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1994/06/03 第129回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第129回国会 大蔵委員会 第6号
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1994/06/03 第129回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第129回国会 大蔵委員会 第6号

#1
第129回国会 大蔵委員会 第6号
平成六年六月三日(金曜日)
    午前九時十四分開議
出席委員
  委員長 宮地 正介君
   理事 石原 伸晃君 理事 金子 一義君
   理事 堀之内久男君 理事 村上誠一郎君
   理事 海江田万里君 理事 村井  仁君
   理事 日野 市朗君 理事 北側 一雄君
      大島 理森君    大原 一三君
      岸田 文雄君    久野統一郎君
      熊代 昭彦君    塩崎 恭久君
      福田 康夫君    保岡 興治君
      山中 貞則君    青木 宏之君
      新井 将敬君    伊藤 英成君
      上田 清司君    大矢 卓史君
      太田 誠一君    栗本慎一郎君
      高木 義明君    中田  宏君
      中村 時広君    山本 幸三君
      米田 建三君    秋葉 忠利君
      永井 哲男君    細谷 治通君
      渡辺 嘉藏君    斉藤 鉄夫君
      谷口 隆義君    田中  甲君
      佐々木陸海君    坂本 剛二君
  出席国務大臣
        大 蔵 大 臣 藤井 裕久君
  出席政府委員
        大蔵政務次官  石田 祝稔君
        大蔵省主計局次
        長       竹島 一彦君
        大蔵省主税局長 小川  是君
        大蔵省理財局長 石坂 匡身君
        大蔵省証券局長 日高 壮平君
        大蔵省銀行局保
        険部長     山口 公生君
        証券取引等監視
        委員会事務局長 杉崎 重光君
        国税庁次長   三浦 正顯君
 委員外の出席者
        総務庁行政管理
        局管理官    柚木 俊二君
        法務省民事局参
        事官      吉戒 修一君
        厚生省保険局保
        険課長     渡辺 芳樹君
        運輸大臣官房審
        議官      加藤  甫君
        大蔵委員会調査
        室長      中川 浩扶君
    ―――――――――――――
委員の異動
六月三日
 辞任          補欠選任
  伊藤 英成君      高木 義明君
  栗本慎一郎君      山田 正彦君
同日
 辞任          補欠選任
  高木 義明君      伊藤 英成君
  山田 正彦君      栗本慎一郎君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 証券取引法の一部を改正する法律案(内閣提出
 第六六号)
 平成六年度における財政運営のための国債整理
 基金に充てるべき資金の繰入れの特例等に関す
 る法律案(内閣提出第二号)
     ――――◇―――――
#2
○宮地委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、証券取引法の一部を改正する法律案及び平成六年度における財政運営のための国債整理基金に充てるべき資金の繰入れの特例等に関する法律案の両案を議題といたします。
 趣旨の説明を聴取いたします。藤井大蔵大臣。
 証券取引法の一部を改正する法律案
 平成六年度における財政運営のための国債整理
  基金に充てるべき資金の繰入れの特例等に関
  する法律案
    〔本号末尾に掲載〕
#3
○藤井国務大臣 ただいま議題となりました証券取引法の一部を改正する法律案及び平成六年度における財政運営のための国債整理基金に充てるべき資金の繰入れの特例等に関する法律案につきまして、提案の理由及びその内容を御説明申し上げます。
 まず、証券取引法の一部を改正する法律案につきまして、御説明申し上げます。
 政府は、自己の株式の取得に係る規制の緩和に対応して、証券取引の公正を確保するため、自己の株式に係る株券の買い付け状況に関する開示、自己の株式に係る株券に関する公開買い付け、内部者取引規制等について、所要の制度の整備を図ることとし、ここに本法律案を提出した次第であります。
 以下、この法律案の内容につきまして、御説明申し上げます。
 第一に、自己の株式に係る株券の買い付けを行う場合には、投資者保護の観点から、三カ月ごとに買い付け状況の開示を義務づけることとしております。
 第二に、利益による株式の消却のために行う株券の買い付けに関して、公開買い付けの制度の整備を図ることとしております。
 第三に、自己の株式の取得を行うことについての決定を内部者取引規制上の重要事実として規定し、これを公表しなければ会社及び会社関係者は、当該会社の株式に係る株券の買い付け等をしてはならないこととしております。
 そのほか、証券会社による取引報告書の作成等につき、所要の改正を行うこととしております。
 次に、平成六年度における財政運営のための国債整理基金に充てるべき資金の繰入れの特例等に関する法律案につきまして、御説明申し上げます。
 平成六年度予算の編成に当たりましては、現下のまことに深刻な財政事情と厳しい経済状況にかんがみ、平成五年度第三次補正予算とあわせ、可能な限り景気に配慮するよう努めるとともに、従来にも増して徹底した歳出の洗い直しに取り組む一方、限られた資金の重点的、効率的配分に努め、質的な充実に配慮したところであります。
 本法律案は、こうした努力に加え、平成六年度の財政運営を適切に行うため、各種制度の運営に支障が生じない範囲の特例的な措置として、平成六年度において、国債費定率繰り入れの停止等の会計間の繰り入れ等に関する措置を講ずるものであります。
 以下、この法律案の内容につきまして御説明申し上げます。
 第一は、国債費定率繰り入れ等の停止であります。
 毎年度国債の元金の償還に充てるため国債整理基金特別会計に繰り入れるべき金額は、国債整理基金特別会計法第二条第二項に規定する前年度首国債総額の百分の一・六に相当する金額及び同法第二条ノ二第一項に規定する割引国債に係る発行価格差減額の年割り額に相当する金額とされておりますが、平成六年度におきましては、これらの規定は適用しないこととしております。
 なお、定率繰り入れ等の停止に伴い国債整理基金の運営に支障が生じることのないよう、別途、NTT株式の売却収入に係る無利子貸し付けについて繰り上げ償還を実施するとともに、地方公共団体等に対し相当額の償還時補助金を交付することとし、このため必要となる措置を講ずることとしております。
 第二は、国民年金国庫負担金の平準化措置による平成六年度の加算額に係る一般会計からの繰り入れの特例であります。
 平成六年度における一般会計から国民年金特別会計国民年金勘定への繰り入れについては、国民年金特別会計への国庫負担金の繰り入れの平準化を図るための一般会計からする繰り入れの特例に関する法律の規定による繰り入れ金額の算定において加算するものとされている金額はこれを加算しないものとするとともに、後日、将来にわたる国民年金事業の財政の安定が損なわれることのないよう、加算しなかった金額に相当する額及びその運用収入相当額の合算額に達するまでの金額を一般会計から繰り入れるものとしております。
 第三は、政府管掌健康保険事業に係る繰り入れの特例であります。
 平成六年度における一般会計から厚生保険特別会計健康勘定への繰り入れについては、健康保険法に定める額から千二百億円を控除して繰り入れるものとするとともに、後日、政府管掌健康保険事業の適正な運営が確保されるよう、各年度の当該勘定の収支の状況等を勘案して、繰り入れ調整分及びその運用収入相当額の合算額に達するまでの金額を一般会計から繰り入れるものとしております。
 第四は、雇用保険事業に係る一般会計からの繰り入れの特例であります。
 平成六年度における一般会計から労働保険特別会計雇用勘定への繰り入れについては、雇用保険法に定める額から三百億円を控除して繰り入れるものとするとともに、後日、雇用保険事業の適正な運営が確保されるよう、各年度の当該勘定の収支の状況等を勘案して、繰り入れ調整分及びその運用収入相当額の合算額に達するまでの金額を一般会計から繰り入れるものとしております。
 第五は、一般会計において承継した債務等の償還の特例についてであります。
 交付税及び譲与税配付金特別会計における借入金のうち一般会計に帰属したもの並びに日本国有鉄道及び日本国有鉄道清算事業団の債務のうち一般会計において承継したもののうち、平成六年度において償還すべき金額については、それぞれその資金運用部に対する償還を延期することができることとし、当該延期に係る金額については、五年以内の据置期間を含め、十年以内に償還しなければならないこととしております。
 第六は、自動車損害賠償責任再保険特別会計から一般会計への繰り入れであります。
 平成六年度において、自動車損害賠償責任再保険特別会計の保険勘定及び保障勘定から八千百億円を限り、一般会計に繰り入れることができることとするとともに、後日、繰入金相当額及びその運用収入相当額の合算額に達するまでの金額を一般会計から繰り入れるものとしております。
 第七は、造幣局特別会計から一般会計への繰り入れであります。
 平成六年度において、造幣局特別会計から一億円を限り、一般会計に繰り入れることができることとしております。
 以上が、証券取引法の一部を改正する法律案及び平成六年度における財政運営のための国債整理基金に充てるべき資金の繰入れの特例等に関する法律案の提案の理由及びその内容であります。
 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。
#4
○宮地委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
    ―――――――――――――
#5
○宮地委員長 これより質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。石原伸晃君。
#6
○石原(伸)委員 ただいま御説明のございました証券取引法の一部を改正する法律案並びに平成六年度における財政運営のための国債整理基金に充てるべき資金の繰入れの特例等に関する法律案につきまして、暫特質問をさせていただきたいと思います。
 それではまず、六年度の繰り入れ特例等に関する法律案等につきまして御質問をさせていただきたいと思います。
 大臣の趣旨説明の中にございましたように、現下のまことに深刻な財政事情という御指摘がございましたが、まず財政事情が一体どういうふうになっているのか。昨今言われておりますのは、アメリカよりも日本の財政事情は悪化している、こういう話を聞くわけでございます。御説明を願いたいと思います。
#7
○藤井国務大臣 財政事情の御説明にはいろいろな見方があると思います。今アメリカとの比較というお話で出ましたが、国民経済計算上の財政収支というのがありまして、日本は、世界からはまだいいのではないかということを言われていたわけでございます。
 それは、実はいわゆる社会保険でございます。日本が積立方式をやっているために、その分を黒字にカウントしているということを無視してかあるいは知ってか、それが黒字部分であるということで、日本の財政収支はいいのだということが言われておりました。しかしながら、細かくは事務方からも答弁させていただきますが、それを加味しても非常に悪い状況、赤字の状況になっておりますし、ましてやそれを除いた一般財政というものは先進国の中では相当悪い、むしろ悪い方に入っているということを申し上げていいと思います。
#8
○石原(伸)委員 大臣の総括的なお話を聞かせていただきまして、私も薄々財政事情が厳しいということはわかっておりますので、事務方で結構でございますが、昨今の状況並びに、およそ二百兆と言われておりますけれども、これ以外に借金があるのではないか、いわゆる隠れ借金の部分も一体どういうふうになっているのか、御説明を願います。
#9
○竹島政府委員 お答え申し上げます。
 まず、財政事情の国際比較でございますが、先ほど大臣の方から政府の財政収支についてのお話を申し上げましたけれども、関連する指標といたしまして、私どもは、それぞれの国の公債の依存度、それから長期政府債務残高のGNPに対する比率、それから毎年の歳出総額に占める利払い費の割合、この三つの指標を用いて検討させていただいております。
 これで申し上げますと、まず公債依存度につきましては、日本は九四年度で一八・七%でございます。これは、フランスが一九・六という高い数字でございますが、それに次ぎましてG5の中では日本はナンバーツーの高さであるということでございます。
 それから、長期政府債務残高のGNPに対する比率でございますが、日本は九四年度で五三%でございます。アメリカが五九・五ということでございますが、ヨーロッパの国は二割、三割の台でとどまっておりまして、これも日本はワーストツーというところでございます。
 さらに、歳出総額、予算規模に対する利払い費の割合は、我が国は九四年度で一五・九%でございまして、これは主要五カ国の中で一番悪い数字になっておるわけでございます。
 それから、長期政府債務残高の大宗を占めます国債残高、これは六年度予算をもちまして二百一兆円の残高になるということで、大変巨額なものになっているわけでございます。
 一方、これ以外の政府の債務、いわゆる隠れ借金等ということで言われておりますものといたしまして、毎年予算委員会に提出申し上げております今後処理を要する措置というものがございます。いろいろ中身が違うものが入ってございますけれども、項目といたしましては十項目、その合計は単純に足し上げますと約三十数兆円になるというものでございます。ただ、その中に日本国有鉄道清算事業団の長期債務二十五兆八千億円というものが入ってございますけれども、国民年金の平準化、それから地方財政対策等々に係るものが大体十二兆円ぐらいあるという状況でございます。
#10
○石原(伸)委員 今後処理を要する措置というものの合計は三十数兆円というお答えでございましたが、もう少し詳しく、三十何兆円なのでございましょうか。
#11
○竹島政府委員 三十八兆七千億円でございます。
#12
○石原(伸)委員 三十数兆円と三十八兆七千億円という数字では大分印象が違いますので、正確なる御答弁をお願い申し上げたいと思います。
 それを単純に計算いたしましても二百四十兆円近い借金がある。そんな中で、毎年度の予算を組み立てていかれる中で今回のいわゆるやりくりの措置をお願いしているのだと思いますけれども、この中で一番大きな比重を占めているのがいわゆる定率繰り入れの停止だと思います。これがおよそ三兆円余りでございますか、この定率繰り入れというものを過去どのように行ってきたのか。また、そのときのいわゆる国債整理基金の残高というものの推移についても御説明をいただきたいと思います。
#13
○竹島政府委員 定率繰り入れの停止につきましては、昭和五十八年度から平成元年度まで、厳しい財政状況のもとで特例公債の発行が行われておりましたが、そういう中で停止のやむなきに至ったという経緯がございます。
 その後、平成二年度の当初予算から特例公債の発行というものがなしで済んでおりましたが、バブル経済を経まして財政の急激な悪化という状態になりまして、平成五年度の補正予算で残念ながら定率繰り入れの停止をさせていただきました。続きまして、この六年度の当初予算におきまして停止させていただいている、お願いを申し上げているということでございます。
 恐れ入ります、先ほど五十八年度当初からと申し上げましたけれども、補正といたしましては五十七年度の補正予算から定率繰り入れの停止ということでございます。
 その間は、国債整理基金の資金繰りといいますか運営につきましては、NTTの株式が売却できたといったこともございまして、毎年度のやりくりはございますけれども、国債の償還は、当然のことながら円滑な償還が確保されてきたということでございます。
#14
○石原(伸)委員 今のお話を聞かせていただきまして、昭和五十七年度の補正でございますか、それから過去やってまいりまして、たしか昨年も私はこれを質問させていただいた記憶がございますので、平成五年度の二次補正以来また再開して十回目であるということでございますが、その間の停止の金額の推移についてお聞かせ願えますでしょうか。
#15
○竹島政府委員 先ほど御答弁申し上げました過去におきます定率繰り入れの停止の合計額は、まず、昭和五十七年度の補正から平成元年度までが累計で十五兆五千七百三十四億円。飛びまして、平成五年度の補正で停止しました分が三兆四百八十七億円、両方足しますと約十八兆六千億円というものでございます。
#16
○石原(伸)委員 かなり巨額の金額に上っていると思いますし、私のいただいている資料を見ましても、その停止額というものは年々上がってきている。
 何でこんな質問をさせていただいているかといいますと、専門家の方に恐縮でございますけれども、国債の償還のための国債整理基金が設けられて、国債の償還がこの基金から行われている。今はNTTあるいはJTの株があるから大丈夫だというようなお話でもございますけれども、この将来展望を見たときに、どんどんどんどん、今回は三兆円を超えている。もうこれがこの先破綻するのではないか、こういう心配を持って実は質問をさせていただいているわけであります。
 この国債整理基金というものは、国債の償還のための財源を制度的に確保して、これは一般会計と区分して経理して償還を行う制度であることは十分承知しております。その中で大きなものがこの定率繰り入れで、法律を読ませていただきますと、前年度の国債総額の百分の一・六ですか、国債整理基金特別会計法第二条第二項。このほかに一般会計の決算剰余金の二分の一以上の剰余金繰り入れ、財政法第六条。さらに予算繰り入れ、国債整理基金特別会計法二条ノ三でございますか、これらのものがあるわけでございますけれども、これが果たして今後も打ち出の小づちのように使えるのか、そこを心配して質問しているわけでございます。
 その見通しについて、所見をお聞かせ願いたいと思います。
#17
○竹島政府委員 御指摘のとおり、大変厳しい財政状況のもとでこの減債基金制度というものの健全な運営を図っていくのは、大変重い課題だと思っておりますけれども、現に六年度に関しましては、ただいまお願い申し上げていますように、定率繰り入れを停止せざるを得ない。しかし、停止しっ放しては国債整理基金の円滑な運営がいかない。よって、かつて行っておりますNTTの無利子貸付事業につきまして一括繰り入れ償還をさせていただくという形で国債整理基金の資金を復元させているというやりくりで、六年度の運営を図ろうとしておるわけでございます。
 これから先、七年度以降につきましては、NTTの無利子貸付事業の繰り上げ償還というのも今回で終わりでございますので、同じことを繰り返すことはできない。そういう中で、しかしながら当然のことながら減債基金制度はきちんと運営していかなければならぬということでございますから、そのための財源というものを、歳出歳入両面から最大限の努力をいたしまして確保していかなければならぬ、大変厳しい課題を背負っているというふうに認識しております。
#18
○石原(伸)委員 平成七年度以降もこの制度を運用していくことは可能と見ているのでしょうか。それとも、本当に厳しいところまで来ていると考えていらっしゃるのでしょうか。
#19
○竹島政府委員 それは、六十年間で償還をするというルールは守っていかなければいけないと思っておりますので、そういう意味で、国債整理基金制度の円滑な運営というものは、七年度以降も当然のことながら果たしてもらわなければならぬと考えております。
#20
○石原(伸)委員 国債整理基金の残高もだんだん底が見えてきた、こんな状況でございますので、そこの部分については、財政当局においては十分慎重に、そしてまた破綻を来さないようにお取り組みいただくよう要望申し上げます。
 質問を続けさせていただきたいのですが、私は、今回のこのやりくりの中を見させていただいて、今お話のあった定率繰り入れ、これがおよそ三兆円、言ってみるならば歳出削減措置でございます。このほか、歳出削減措置として、国民年金の国庫負担金の平準化措置による平成六年度の加算額に係る一般会計からの国民年金特別会計国民年金勘定への繰り入れの特例、これがおよそ二千億円。また、政府管掌健康保険に関する厚生保険特別会計健康勘定への繰り入れが一千二百億円。さらに、雇用保険事業に係る一般会計からの労働保険特別会計雇用勘定への繰り入れの特例が三百億円。また、先ほど隠れ借金の中にも出てまいりました一般会計において承継した債務等の資金運用部に対する償還の特例、これがまた大変大きくて、七千五百億円。これが歳出削減措置。
 そして、もう一つの税外収入の確保措置として、自賠責保険の特別会計から一般会計への繰り入れが八千億円。また、造幣局特別会計からの一般会計への繰り入れが一億円等々、合わせると今回は七つにも及ぶ措置をやっているわけでございますけれども、ここまでやったことが過去にあるのか、また、このほかにも打ち出の小づちがあるのか、お聞かせ願いたいと思います。
#21
○竹島政府委員 お答え申し上げます。
 このような法律をもちましてお願い申し上げましたものを、内容はそれぞれの年で違うわけでございますが、過去振り返って見てみますと、一番大きい額というのは昭和五十八年度でございます。これはちょっと内容が違うと申し上げました大きな点でございますが、当時は特例公債を発行しておりましたので、五十八年度は約七兆円の特例公債を発行し、一方、歳出削減の特例措置というものが一兆四千億円弱、それから歳入の特別確保措置が四千億円、そういったことが行われた。金額的にはこの辺が大変厳しい数字でございます。
 ただ、特例公債を別にいたしまして、今回のように特例的な歳出削減措置と歳入確保の特別措置というものだけで見ますと、先ほど御指摘いただきましたように、歳出削減につきましては今回四兆一千九百三十六億円、それから歳入確保につきましては八千百一億円ということで、両方で約五兆円ということでございます。これは過去にない大きな規模の特例措置でございます。
#22
○石原(伸)委員 昭和五十八年度の場合も、定率繰り入れといわゆる国民年金特別会計への繰り入れの特例、それにいわゆる税外収入確保措置としての自賠責と造幣局からということで、合わせて一兆八千億でございますか、それが過去大きかった。それ以外ではこれだけの措置をすることはなくて、五兆円も超えている。この五兆円という数字は非常に大きな数字だと思いますけれども、大臣、予算編成の最高責任者としてこの点いかがお考えでしょうか。
#23
○藤井国務大臣 先ほどから石原委員のお話を承っておりまして、全く同じ気持ちで御質問いただいていることをありがたいと思っておりますが、おっしゃるように、俗な言葉で言えば、もう極めてやりくり算段だと思います。そのことがいいとは決して思っておりません。
 しかし、いわゆる歯どめなき赤字国債よりは、まだやりくりの中でそれなりのけじめをつけながらやっているという意味で、単なる赤字国債よりはまだ救われているとは思います。しかし、おっしゃるように、極めて異例なことだし、残念なことだと思っております。今までの中で、経済の状況に配慮しながら、建設国債を中心ではありますが、財政の力をどうしても少し超えた形で景気対策をやってきたことなどもあり、また、景気そのものがよくないことからの税収減なども手伝っでこのような事態になっております。
 我々も歳出の根っこからの洗い直し等今までも努めてまいっておりますけれども、今後ともそういうことになお一層の努力をして、いわゆるやりくりでない、本当の意味の財政の体質を直していく努力をこれからまた心を締め直してやっていかなければならない重要な時期だと思っております。
#24
○石原(伸)委員 基本的な御認識はまさに私と大臣一緒だと思うのですが、この五兆円という数字がやはりかなり重いものだと思うのです。消費税の税収に匹敵するぐらいのものを、赤字国債よりはやりくりの方がいいということですけれども、先ほど来質問している趣旨は、もう大臣重々御承知のことだと思いますが、やりくりが破綻するのか、打ち出の小づちがまだあるのか、国民の方としてはそこのところをもうそろそろはっきりしなければならない。
 また、予算編成に当たっては、自由民主党の中曽根政権時代に、よしあしは別としてゼロシーリング、マイナスシーリングということで歳出削減に努めてきた、こういうことがあるわけです。この不景気の状況の中で予算を小さくするということに関する賛否はあると思いますけれども、財政事情からいったら、かなりがけっ縁まで追い詰められてきたのではないか。そういう意味を込めて質問させていただいておるのでございますが、もう一言何かございませんでしょうか。
#25
○藤井国務大臣 私も大蔵省で育って、国会議員にならせていただいてからもこういう関係の仕事をやってまいりましたが、どちらかというと今まで財政当局は、お金がないお金がないと言いながら、何とかやりくりをしてきたというのが本当の姿だったと思うのです。
 しかし、それにも限度があるというのが石原委員の御指摘だと思いますが、私も実感として同じような感じを持っております。やりくり、やりくりでやってきた結果今ここへ来ているように思っております。極めて深刻に受けとめております。したがって、先ほど申し上げた言葉は、そういうことから出てきた言葉であるというふうに御理解をいただきたいと思います。
#26
○石原(伸)委員 やりくりの限度であるし深刻に受けとめるという御認識を大臣がはっきりとお持ちのことには、私も賛意を表するわけでございます。
 そして、これからの展望でございますけれども、先ほど次長のお話ですと、まあ何とか国債整理基金の運用に支障のないようにやっていくというお話でございますが、本当にやっていけるのか。やっていけないという答えが返ってこないのはわかっておりますけれども、いま一度御答弁をお願い申し上げたいと思います。
#27
○竹島政府委員 御指摘のとおり、今回お願い申し上げております約五兆円の特例措置といったものは大変大きな規模だと認識しております。先ほど御指摘のございました、国債整理基金の運営も大丈夫なのかという御心配も、本当に私どもよくわかるわけでございます。
 来年度以降につきまして、具体的にこういう特例措置のアイデアがあるというようなことを申し上げられる状態ではもとよりないわけでございますけれども、いずれにしましても、国債整理基金が円滑に回らないという事態は是が非でも避けなければいけないということでございますので、それが可能となるように歳入歳出で最大限の努力をしていくということを申し上げる以外、今御答弁のしょうがないということでございます。
 この間の機械的試算でも申し上げましたように、五兆円というものは国民負担率的に申し上げますと一・三%に相当するものでございますから、こういったものが幾つも出てくるのはとても考えにくいということでございます。大変厳しい状況だというふうに考えております。
#28
○石原(伸)委員 私は、すべて大蔵省の肩だけを持つつもりで財政を預かる側の立場に立って質問をしているわけではございませんけれども、やはり財布のひもを締めるところはしっかり締めて運営に当たっていただきますよう、当局に対してはお願い申し上げ、また大臣におかれましては、予算の作成に当たってこの点に十分配慮して、そしてまたその一方で、私どもがこれから予算についても組み替え動議、修正動議を出してまいりますので、不景気を乗り切るのと財政論を一緒にするとまた混乱してまいりますので、十分に御配慮を願いたいと思います。
 何か大臣ございますか、もうよろしいですか。
#29
○藤井国務大臣 そのとおりだと思っておりますが、ここ数年間の経済対策として、建設国債中心ではありますが、それが非常に膨らんだことが国債依存度、さっき事務方が申し上げましたが、平成三年には一度非常によくなった時代があります。国債依存度七%台の予算を組みまして、現実にはちょっとそれがパンクしまして九%台になったと思いますが、そこまで行ったのでありますが、その後の経済の情勢の中で、目いっぱいの建設国債の発行等々でここまで来ているというのも事実でございます。
 しかし、いろいろな皆さんのお話のように、財政のために経済そのものを殺してはいけない等々のお話を十分かみしめながら、このような措置をとらせていただいてきたわけであります。めり張りをつけるという御趣旨でございましょう。基本においては景気対策もそのとおりだと思います。しかし同時に、財政体質の基本を守っていくという気持ちを我々は忘れてはいけないということを申し上げたいと思います。
#30
○石原(伸)委員 予算の組み替え、修正等これからまた出してまいりますので、景気対策についての御配慮を政府におかれましても十分やっていただくようお願い申し上げまして、次の質問に移らせていただきたいと思います。
 それでは、証券取引法の一部を改正する法律案に質問を移させていただきます。
 まず、法務省の方に御質問を申させていただきたいと思います。
 今回の証取法の一部改正案、メーンの部分はいわゆる商法改正で、来週月曜日、火曜日と法務委員会等で商法部分については御議論がなされるということでございますけれども、その前提となります商法改正案について二、三御質問をさせていただきたいと思います。
 今回の改正案でいわゆる自社株の取得ができるようになったわけでございますけれども、限定されているような気がいたします。これは法制審でも十分議論のあったところで、議論をするつもりはないのですけれども、利益による消却のため、あるいは従業員持ち株のための譲渡と限定されている意味について御説明願いたいと思います。
#31
○吉戒説明員 ただいま委員御指摘のとおり、今回の改正法案の内容でございますが、利益による自己株式の取得を認める、それから従業員に対する譲渡を認める、それから株式の譲渡制限のある会社において取得の特例を認める、この三点でございます。
 こういうふうにある意味で事由を限定した理由でございますが、実は、この改正法案をまとめるに当たりまして、経済界等の意見を私どもの方でリサーチいたしました。その際に、経済界の方で要求しておりました取得の事由でございますけれども、ちょっと長くなりますが、八点ほどございます。
 まず第一点が株主への利益還元の充実、それから二番目に従業員持ち株制度の運営の円滑化、三番目にストックオプション制度の利用、四番目に余剰資金のより適切な運用、五番目に企業買収への対抗策、六番目に株式需給の適正化、七番目に株価の不当な低落への対応策、八番目に株式相互持ち合い解消の受け皿、かように八点ほどのニーズがございました。
 このニーズと今回の改正法案との対応の関係でございますけれども、この八点のうち、第一点で申し上げました株主への利益還元の充実、それから四番目以下の事由でございますが、これは基本的には利益消却のための取得によって一応目的は達成することができるのではないかというふうに考えております。それから、従業員持ち株制度の運営の円滑化、これはまさに使用人に譲渡するための取得で認められるだろうと思います。
 それから、残りますのがストックオプション制度の利用ということでございます。実はこういう要望もあったわけでございますけれども、これはアメリカと違いまして、我が国の場合に、会社の役員に対しまして現金の報酬以外にストックオプションというある意味でのインセンティブを与えるかどうかということにつきましては、相当議論がございまして、今回は見送らせていただいたということでございます。
#32
○石原(伸)委員 アメリカとの比較をされましたので、もう少し質問させていただきたいのですけれども、アメリカではいわゆる保有についても認められておりますし、役員への譲渡も認められている。ストックオプションの部分については今回は見送った、そういう御答弁でありましたが、今後も議論の過程の中でこの変更もあり得るのか。あるいは、株式の保有を維持していくというものに対して、アメリカでは広く認められているのに、なぜ今回は日本ではそこの部分が認められなかったのか、端的に御答弁を願いたいと思います。
#33
○吉戒説明員 今回の法案は、ある意味では自己株式の一時的な保有しか認めておりません。永続的な保有は認めておりません。そういう点はアメリカと大分法制の差が出てまいるわけでございますけれども、先生御承知のとおり、実はアメリカは五十州ごとに会社法がございます。
 その中身を見ておりますと、取得事由につきましておよそ制限がないという点では五十州ともに共通いたしております。しかしながら、取得された後の自己株式の扱いにつきましては、保有を認めないで当然に消却されるというカリフォルニアの会社法等もございます。これに対しまして、そうではなくして、保有を認める、そしてまた再放出も認めるというデラウェアの会社法もございます。こういうふうな形で、必ずしもアメリカ各州全部が保有を認めておるというわけではない、かように承知いたしております。
 先生御指摘のとおり、今回ストックオプションまでは認めなかったわけでございますけれども、ある意味では、これは昭和十三年の商法改正以来非常にかたい商法の規制を今回ある意味で一歩二歩前進させるわけでございますので、現下のいろいろな会社をめぐる情勢等踏まえますと、今回の改正程度で相当ではないかというふうに考えております。
 今回の改正法案が成立した暁に、運用状況を見まして、もし格段の弊害等がなければまたその時点で考えさせていただきたい、かように考えております。
#34
○石原(伸)委員 参事官のお話、非常によくわかりました。
 ストックオプション制度についても、私、ジャパンドリームをつくるためにすぐやれとか、そういうことではなくて、法制審の中でこの部分も多くの議論があったということを聞いておりますけれども、やはり日本では企業の役員の地位というものがそれに見合っていないというような記事を最近よく見ます。そういう意味からも、勤労者の意欲を高める意味で、これも持ち株会同様、ストックオプション制度というものも意味があるのではないかということで御質問させていただきました。
 まあ昭和十三年以来ということで私もびっくりしたのですけれども、運用を見て随時、当委員会になるのか法務委員会になるのかわかりませんけれども、またこの点につきましては御質問をさせていただきたいと思います。
 どうぞ参事官、もう結構でございます。
 それでは、引き続いて大蔵省に証取法の方で関連の質問を続けさせていただきたいと思います。
 大蔵省としては、自己株式の保有を認めることについて、今回、証券局あるいは大蔵省としてどういうお立場、またどういうお考えでこういうことになったのか、簡単に御説明願いたいと思います一
#35
○日高政府委員 自己株式の保有を認めるという考え方につきまして、商法上の御意見、御議論については先ほど法務省から御説明がございました。私ども、証券取引の公正を確保するという立場からこの問題について考えてみた場合に、仮に自己株式の保有が認められるということになりますと、保有した自己株式はいずれ市場に放出されてくるわけでございます。
 その場合には、当然のことながら株価に大きな影響を及ぼすということでございますし、場合によれば株価操縦を行おうとする意図も働きやすい。あるいは内部者取引規制、いわゆるインサイダー取引規制との関係においても問題が生じる可能性もある。そのような考え方から、私どもとしては今回の商法改正において、自己株式の保有までは、従業員持ち株会への譲渡の場合を除いて認めないという考え方については私どもも賛同させていただいた、そういうことでございます。
#36
○石原(伸)委員 続いて、もう少し細かく質問させていただきたいのですけれども、大蔵大臣への報告というものを義務づけております。これについて、株式を自社がどれだけ買ったかというものを一般株主も知りたいと思うのですね。それで、これはなぜ三カ月になっているのか。あるいは会社では半期ごとに決算などがありますので、その半分で三カ月なのか。この根拠についてちょっと教えてください。
#37
○日高政府委員 今御指摘がございましたように、自己株式の取得は企業の財務内容の変更を生じさせるということで、投資者判断に大きな影響を及ぼすものでございます。したがって、投資者保護を図るという観点から見れば、できるだけ速やかにその取得状況について開示されることが望ましいというふうに考えられるわけでございます。
 ただ、投資者の方から見ましても、余り頻繁に出されていても、どれだけ、いつの時点で把握できるかという問題もございますし、同時に、報告をする方々の事務負担ということもございます。両方の側面を種々総合的に考えまして、三カ月ごとの開示ということで速やかに出していただくというふうに結論を出したわけでございます。
#38
○石原(伸)委員 一般の方も随時これを見ることはできるという解釈でよろしいでしょうか。
#39
○日高政府委員 御指摘がございました自己株券買付状況報告書というのは大蔵大臣に提出をされます。その報告書は、受理した日から一年間大蔵省、これは大蔵本省あるいは提出会社の本店の所在地を管轄する財務局に備え置かれまして、公衆の縦覧に供されるということでございます。
 同時に、報告書の写しにつきましても、証券取引所あるいは証券業協会に提出され、公衆の縦覧に供されるということでございますので、一年間は一般の方々がいつでも見れるという状況にございます。
#40
○石原(伸)委員 やはりその点が非常に重要な点でございますので、この運用がスムーズに行われるように大蔵省の方で十分に監視をしていただきますようお願い申し上げたいと思います。
 さて、先ほどの趣旨説明の中にございましたように、今回の改正案のポイントとも言えるべき、いわゆるインサイダー規制というものがあると思うのですけれども、会社自身が行うもので、会社が自分の株を買うというわけは、自分の会社のことは会社自身が一番知っているわけですから、このインサイダー取引というものが一体どういうふうに限定されるのか。言葉をかえるならば、買う側が知っているか知っていないかをどのように認定されるのかによって、すくんでしまって自分の株が買えない、自社の株が買えない、せっかく法律案を変えても買えないのではないか。
 インサイダーというものは、日本の場合は歴史が非常に浅いもので、そのインサイダーの規定等がなかなかはっきりしておりませんし、判例も日本の場合はほとんどないのではないでしょうか。アメリカのように判例が積み重なってくれば非常にわかりやすいのですけれども、そこの点についてどういうふうに大蔵省としては考えていらっしゃるのか。
 例えば、会社が合併や吸収をするというような重要事項を決めていたときに自己株式の取得をした場合には、これは非常に難しいのですけれども、インサイダー規制の違反になるのかならないのか。それとも、これからこういうことがあって、これは証券監視委員会が告発されるのかどうかわかりませんけれども、そういうことによって事例が積み重なって初めてそれを判断することになるのかならないのか、その点についてお聞かせ願いたいと思います。
#41
○日高政府委員 インサイダー取引規制というものは、会社の業務等に関する重要事実がある場合に、これが公表される前にその会社の株式等の売買を規制するというものでございます。
 今御指摘がございました会社の合併についての決定がなされている場合には、現在の証取法の考え方で、この合併という大きな事実の決定はインサイダー規制上の重要事実ということになっておりますので、この決定内容について公表を行わずに自己株式の取得をやった場合には、現在のインサイダー取引規制の違反ということになるわけでございます。
 なお、インサイダー取引規制をめぐる我が国の判例等につきましては、監視委員会の方から御答弁をさせていただきたいと思います。
#42
○杉崎政府委員 私ども証券取引等監視委員会におきましては、いろいろな犯則事件につきましては常日ごろから関心を持って対応いたしておるわけでございますけれども、私どもの監視委員会の発足以降、このインサイダー取引に絡む犯則事件の告発というのはございません。私の承知しておりますところによりますれば、過去におきまして二件ほどこのインサイダー取引に絡む事件はあるわけでございますが、当監視委員会としてはまだこれからの問題でございます。
#43
○石原(伸)委員 監視委としてなくて過去に二件ということですが、そう考えますと、これは判例がないのですか。
#44
○杉崎政府委員 今までの判例といたしましては日新汽船の事件がございまして、これにつきまして既に平成二年九月、簡裁におきまして罰金刑が科せられております。それからもう一件、谷藤機械工業事件、平成二年の九月でございますが、これは平成四年の九月、地裁におきまして五十万円の罰金というのが判例としてはございます。
#45
○石原(伸)委員 非常に少ないといえば本当に少ないですし、これからこういう新しい法律案をつくって、これはだれかの告発ということもきっとあると思いますし、監視委員会として摘発をされることもあると思うのですけれども、それに十分対応すべく、監視委員会の組織というものはどのようになっておるのでしょうか。
#46
○杉崎政府委員 今回の自社株取得の緩和に絡みまして、先ほど証券局長から答弁いたしましたとおり、公正取引の確保という観点からインサイダーについても所要の整備が行われておるわけでございますから、私どもといたしましても、そうした法令に基づいてインサイダー取引の規制について監視の目を光らせておるわけでございます。
 どのような組織においてやっているかということでございますが、一つは検査という立場、それからもう一つは調査という立場でやっておるわけでございまして、このインサイダー取引は監視委員会の検査あるいは報告、資料の徴収権限の対象となっておりますので、証券会社等に臨席して検査を行うとか、または取引所等から報告、資料等を徴収することによりましてインサイダー取引の監視を一方において行っております。
 また、監視委員会におきまして、その発足に当たりまして新たに犯則事件の調査の権限をいただきました。そこで、他の犯則事件と並びましてこのインサイダー取引も犯則事件調査の対象となっております。
 具体的に申し上げますと、犯則嫌疑者等に対しまして質問等を行う任意の調査、また裁判官の発する許可状によりまして行う差し押さえ等の強制調査の権限、こうしたものが与えられておりますので、そうした調査の結果、監視委員会が犯則の心証を得た場合には告発を行うということになっております。
#47
○石原(伸)委員 監視委員会におかれましては、判例も本当に少なく、また徴収権限あるいは検査、こういうものの権限はあるということでございます。証券市場でここのところ本当に不祥事が多発しておりまして、最近は、監視委員会ができてからは波静かでございますけれども、過去数年間に本当に山積しましたので、そういうことのないよう、また今度の法律案の改正によってそういうことのないように十分御配慮を願いたい、これは御注文させていただきたいと思います。
 それと、局長で結構なのですけれども、先ほど御質問申しましたように、判例も非常に少ないですし、あるいは難しいこととして、例えば製薬会社が新薬開発で一部の技術者とその一部役員がそういうことを決めた場合とか、これは非常に難しいと思うのですね、過去に判例がないわけですから。そういう現実はいろいろな企業で、例えば新しい機械を開発するとか新しい特許を取るとかパテントを取るとか、そういうことが各企業にあるわけですし、どこどこに今度進出するなんということによって企業が大きく拡大していくということもあるわけで、そのどれがインサイダーにひっかかるのか、担当者にとっては、検査、調査する方も判例がなくて非常に困るし、やる方も大丈夫なのかな、大丈夫じゃないのかな、そういう状態が予想されると思うのです。
 そこはどういうふうに分析され、また現実問題として、この改正案で本当に自社株買いというものが、規制緩和の一環として、これは自民党時代から我々からの御注文でもあるわけですけれども、果たして本当にうまく機能するのか。せっかく改正するわけですから、そこのところをどう見ておられるのか、お聞かせ願いたいと思います。
#48
○日高政府委員 いわゆるインサイダー規制というものは昭和六十三年から動き出しているということで、先ほど御指摘がございました判例が少ないというのも、まだ規制が始まってから日が浅いということも一つ理由として挙げられるのではないかと思います。
 ただ、お話がございましたように、何をもってインサイダー上の重要な事実がということで、この点につきましてはその判定が非常に難しかろうということもございます。割今詳しく証取法の規定に各種いろいろな事実について掲げさせていただいているということでございますので、こういったインサイダー規制が行われて、だんだん広く認識されていくようになれば、こういったものに対する関心も深まってくるのではないかというふうに思っているわけでございます。
 今回の自己株式取得の関係につきましても、先ほど御指摘がございましたが、会社あるいは会社の経営者というものは自己株式の事情については一番詳しく知っているわけでございますから、そういう意味でインサイダー規制の対象となり得る余地が大きい。そういう考え方から、私ども今回の証取法の改正におきまして所要の規定の整備を図り、そういったおそれがないようにその手当てをさせていただいているということでございます。
#49
○石原(伸)委員 これはやってみないとなかなかわからないところがあると思いますけれども、そこの部分は公正、公平のルールを十分確保して、この自社株式の取得というものがスムーズに、円滑に行われるよう御配慮いただくよう御要望を申し上げたいと思います。
 このインサイダー規制と並んでこの中で重要なのは、いわゆる相場操縦でございますね。これの防止についてでありますけれども、アメリカなどでは、一定の要件を満たす売買ですか、注文、例えば売買の数、株数とか値段とかそういうものを、要件を満たしていれば相場操縦には当たらないという割と明確なガイドライン、セーフ・ハーバー・ルールというものがあると理解しております。
 今回は、この証取法の中で新たにそういう項目が改正で出ているわけではないのですけれども、日本では法制審で議論になったというのはペーパーで読ませていただいて知っているのですけれども、日本でもこういうルールを設けないと、次は相場操縦の疑いになるのではないかということで、また、企業戦略上でやりたいのだけれどもやれないみたいな事態があるのではないか。これも推測の域を出ないのですけれども、そういうものに対してどう対処されるのか。また、今回の議論の過程の中で、何でこういうセーフ・ハーバー・ルールというものを証取法の中に明記されなかったのか、これを御答弁願いたいと思います。
#50
○日高政府委員 アメリカにおきましてはSEC、証券取引委員会の規則の中に、今御指摘があったいわゆるセーフ・ハーバー・ルールというのがございます。これは、例えば自己株式の買い付けを委託する証券会社の数あるいは買い付けの時期、買い付けの価格あるいは買い付け数量、そういったものについて一定のルールに従って行った場合には、それらの事項を理由として相場操縦禁止規定の違反にはならないというふうになっているわけでございます。
 ただ、我が国の場合には、証券取引法における相場操縦禁止規定というものは、何といっても取引の動機などいわゆる主観的な要素、あるいは売買取引に付随した前後の事情等を総合的に勘案した上でその適用の有無を判断をするということになっているわけでございますので、アメリカのような特定の類型化された行為をやっておれば訴追されることはない、そういう考え方は我が国の司法制度上はなかなかとりにくいということで、今回このような考え方は取り入れなかったところでございます。
 ただ、御指摘がございましたように、どれがその危険性があるのか、相場操縦のおそれがあるのかということで、なかなか難しい判断が要求されるということでございます。私どもの方は、この問題について証券取引審議会で御審議をお願いした際に、やはりいろいろな御議論がございましたので、証券取引審議会の中の報告で、いわば具体的に相場操縦禁止規定に違反するとの疑いを招くような取引態様について例示をさせていただいて、これが一つの目安として機能すれば、公正取引確保という点と同時に円滑な自己株式取得取引が行われるのではないかということで、その点に期待をいたしておるという状況でございます。
#51
○石原(伸)委員 いわゆる現行の証取法の中での適用で、それを設けなくても大丈夫である、そういう理解でよろしいのでしょうか。
#52
○日高政府委員 今申し上げましたように、証取審の報告において一つの目安みたいなものが掲げられておりますので、それらを参考にしてそれぞれの企業の方々が判断されることは十分可能であろうというふうに思っております。
#53
○石原(伸)委員 それは実はちょっと問題ではないかと思うのです。証取審の議論の結果を、これは拘束力があるものでも何でもないですし、大蔵省の政令でもないですし、法律でもないわけですから、それを見てどうこうするというのは、一般の教科書を見て、これは悪いことだと書いてあるからやってはいけないというのと同じことではないですか。
#54
○日高政府委員 もちろん御指摘のとおりでございます。今申し上げた証取審の報告というものは、いわば一つの目安ということで、それを参考にしていただくということにすぎないわけでございます。しかし反面、そういったものもなければ、初めてのことでございますのでなかなか判断が難しかろうということで、目安として掲げさせていただいているということでございます。
#55
○石原(伸)委員 法律の審議ですから、目安も結構でございますけれども、それでは何でセーフ・ハーバー・ルールみたいなものを入れなかったのか。あった方が、実際に自社株買いをする側からすればよりいい目安なのではないですか。
#56
○日高政府委員 証取法におきます相場操縦禁止規定というものも重い罰則が科せられているということで、我が国の司法制度の考え方として、こういった重い罰則を伴う、刑事罰を伴う案件につきましては、いわば形式的な類型によって判断をするということではなしに、先ほど申し上げました取引の動機といった主観的な要素、あるいは売買取引に付随した前後の事情などを総合的に勘案をして司法当局が判断することになっているわけでございます。アメリカのような、いわゆる類型的な行為を掲げることによっていわば違法性を阻却するという考え方は我が国の司法制度ではとり得ないところであろうと思います。現在のこういう刑事罰を伴うような禁止規定の扱いについてです。
#57
○石原(伸)委員 先ほど来言っているように、判例が余りありませんし、類型化もされていないからということだと思うのですけれども、新しいこういう証券市場の不祥事とか犯罪行為というものは、過去いろいろ見てみましても、欧米の、特にアメリカのものに似ているものが多いわけですね。そういうものに対応するためには、日本にはなじまないとかそういうことではなくて、これからの議論の中で結構でございますけれども、運用を見まして大蔵省としても、実際につくったけれどもすくんじゃって何もできなかったら、これは規制緩和でも何でもなくて、我々が議論したのがむだになりますので、そこのところはもう少し柔軟にお考えいただきたいのですが、大臣いかがですか。
#58
○藤井国務大臣 今証券局長お答えいたしましたように、アメリカと日本の司法制度というか物の考え方の違いというのがこういうところに出ていると思いますが、御趣旨のようになるだけ自由に、認められた以上はその範囲ではやるべきだというお考えはよく生かすようにやってまいりたいと思います。
#59
○石原(伸)委員 それでは、自己株式の利益の消却について、これは非常にいいことだと私は思うのですが、公開買い付けということを認めております。公開買い付けを行えば相場操縦が非常にしづらい。そういう意味で価値のあることであると私は認識しておりますけれども、この趣旨説明の中にもございました。その点について御説明を願えますでしょうか。
#60
○日高政府委員 今般の商法の改正案におきましては、自己株式の取得をするに当たりまして、市場、マーケットを通じた取得という方法に加えまして、今御指摘がございました公開買い付けの手続を用いた取得というものも取り入れられております。
 これは、公開買い付けの手続を用いる場合には、すべての株主に均等に売却機会を与える、そういったメリットがあると同時に、今御指摘がございましたように、取引の透明性を確保できる、あるいは一般の投資者に対して取得に関する情報を公平に開示できる、そういったような手だてもございますし、同時に、会社側から見ましても、短期間に大量の株式の消却を行いたいという希望がある場合には、そうした企業のニーズにもこたえることができる。そういった考え方から、商法の改正案において公開買い付けの方法が取り入れられているということになったわけでございます。証取法の改正におきましても、この商法の改正にあわせて所要の規定の整備を行っているというところでございます。
#61
○石原(伸)委員 この部分は今回の改正案で非常に重要なところでございますので、PRも十分努めていただきますようにお願いしたいと思います。
 次は、主税局にちょっとお聞かせ願いたいと思うのでございますが、いわゆるみなし配当課税というものが根本にございまして、これによって大株主が利益消却に反対して事実上これができなくなるのではないかという懸念、自社株買いができなくなるのではないかという懸念、言葉を裏返すならば、本当にその大株主の同意がとれるのかということがあると思うのです。
 この点について、もう私が言うまでもないのですけれども、消却すれば一株当たりの価値がふえるわけですから、このみなし配当課税というものが発生してくるのだと思うのですけれども、これによってこの制度が阻害されるおそれはないのか。また、こういう懸念に対してどうおこたえになっているのか、お話をお聞かせ願いたいと思います。
#62
○小川(是)政府委員 ただいま委員言われましたように、みなし配当課税というのは、我が国の所得課税制度上、法人税と所得税の間をつなぐ非常に基本的な部分でございますので、この制度はいろいろな形で維持をしていかなければならないものでございます。ただ、本年度の税制改正におきましては、円滑な実務を確保し得るよう、株式の利益消却の場合には、残存株主にかかるみなし配当について源泉徴収を行わないといった措置を講じたところでございます。
 これが現実の株式消却にどういう影響を与えるかというところは、税サイドでいろいろお話を伺った限りで私どもが理解いたしますのには、一つは、会社サイドにおいて、みなし配当に対する源泉徴収を行わなければならないということになりますと、どうしても現金配当をつけるといった形でファイナンスが必要になる、その部分がなくなるというのが一つだと存じます。それからもう一つは、消却株式の取得時期あるいは株式消却の時期が定時総会の前後でなければならないというところの事実上の制約が解除されるということになろうかと存じます。
 あと問題は、現実に当該会社の株主が株式消却についてどういう判断をとられるかという点だと存じますので、こうした税制を前提にして、どうした変化が生ずるかというところまでちょっと私どもでは想定が難しいという点は御理解を賜りたいと思います。
#63
○石原(伸)委員 私も、法人税と所得税を結ぶ関係において、みなし配当課税がけしからぬということを言っているのではなくて、先ほど来言っているように、せっかくこの改正をするのに、そういう阻害要因があってできないと困るということから質問させていただいているのであります。主税局長の方で想定するのが難しいというのは、私も難しいだろうな、本当に大丈夫なのかなという気持ちから質問をさせていただいておりますので、そこの部分についても、要するに源泉徴収義務があったのをなくしたということでございますよね。ですから大丈夫ではないかというような話だと思うのですけれども、ここも非常にポイントでございますので、しばらく経過を見て、それが阻害要因にならないように十分に御配慮をいただくようにお願いを申し上げたいと思います。
 引き続いて御質問させていただきたいのですけれども、源泉徴収不適用とされたみなし配当のいわゆる支払調書というものがございますね。これの提出不要限度が十万円とされていることから、十万円以下はみなし配当は実質非課税となり、小口に対して有利で大口に対しては不利益、こういうのは税制上よくあることで、現行法でもあるということは十分承知しているのですけれども、そこの点についての大蔵省としての正式見解というのですか、対外的に何と言っているのか。
 というのは、きっと証券会社の人たちも困ると思うのです。あなた、本当は支払い義務がありますけれども小口だから結構ですよと言うのは、これは昨今の証券業界を取り巻く状況の中から非常に言いづらい。そんなことも考えられますので、ちょっと御見解を賜われればと思います。
#64
○小川(是)政府委員 みなし配当の支払調書等の提出不要限度額を今回十万円ということにいたしておりますが、これは支払調書等の作成の事務負担に配慮して提出基準を定めたものでございます。したがいまして、今お話がございましたように、提出の有無が課税か非課税かを決めるものではございませんけれども、サラリーマンが所得者である場合には、実際のところその他所得の確定申告の不要限度額がございますので、実際上課税されない方が多いであろうということが一つでございます。
 それからいま一つは、この限度額十万円と申しますのは、現在でも通常の配当につきまして、少額配当に係る支払調書の提出不要限度額を十万円といたしております。年一回で配当を行う場合には十万円といたしております。そういったものをそのまま本件についても適用することにしているという考え方でございます。
#65
○石原(伸)委員 今局長おっしゃられたようなことも私は説明を受けて知っていたのですけれども、それでは、公式見解として、現行でもそういうことをやっているからそこの部分はいいですよ、簡単に言えばそういうことなんでしょうか。
#66
○小川(是)政府委員 もとより、この問題につきましては、現在の配当につきましては、一回に支払いを受けるべき金額が五万円、その計算の基礎となった期間が一年以上であるときは十万円以下であるものについては支払調書の提出が不要であるということになっております。
 みなし配当の場合には、必ずしも通常のいわゆる期間損益から生ずる年間の配当とは別の発生形態でございますから、厳密に言えば、今後の株式の消却の状況等に応じて考えなければいけないことが生じてくるかもしれませんけれども、さしあたり、現在行われている配当に対する支払調書の提出不要限度というものをそのままかりて、事務の負担の軽減を図るということにして問題はないのではないかというふうに現状で考えているところでございます。
#67
○石原(伸)委員 最後の、問題はないのではないかということにすべてが含有されていると理解をさせていただきたいと思います。
 るる質問をさせていただきましたけれども、決してこの法案に反対とかそういうことではなくて、この法案、改正によって規制緩和、与党の方は規制緩和を掲げていらっしゃるわけでございますから、現実に自社株式の取得というものがスムーズに行われるよう、規制緩和の目玉になるように私も願う一人として質問をさせていただきました。
 若干時間が残っております。主税局長お見えでございますので、ちょっと法案を外れまして、先般大分議論をさせていただきまして、後半部分で議論ができなかった相続税につきまして二、三質問をさせていただきたいと思います。
 もう政府委員室の方に私言っておきましたが、六月一日の朝日新聞の「論壇」に、私が前回三月二十四日に質問した内容と似ている部分の記事が載っておりました。相続税法の改正案は大変御苦労いただいて、かなりのものができたと私も思っておりました。そんなとき、朝日新聞が投稿という形でこれだけ大きな記事を載せられている。私もジャーナリズム出身の人間といたしまして、これだけ大きな記事を取り上げるということは、社会にこういう問題がまだ残っているし、その改正案では至らない部分があったということの一つの証左ではないか。
 御反論もいろいろあると思いますけれども、ちょっと読ませていただきますと、
  地価の高騰によって、相続税が払えないと
 いった問題が聞かれるようになって久しい。相
 続税問題がこれほど騒がれるのは、相続によっ
 て住む家を追われたり、細々と続けてきた家業
 を続けることができなくなってしまった事例
 が、現実に見られるようになっているためであ
 る。
  平成六年度の税制改正で、これが重要な問題
 として取り上げられ、相続税法およびその関連
 法が改正された。
  しかし、今度の改正は、これまで四回の改正
 といささか事情が異なっている。
  今度の改正ではいくつかの重要なところで財
 産の取得形態に制約を加え課税価格計算を変え
 てしまっている。云々。
 例えば、私も質問させていただきましたけれども、今回の法律案では条件がいろいろ厳しくなっている。これは、三月二十四日の大蔵委員会で局長に私も質問させていただきましたけれども、質問を繰り返させていただけるならば、「例えば居住用の場合は被相続人が居住していれば特例対象となっているのですけれども、改正案ではさらに要件として、同居していた親族が引き続いて居住用に供する場合のみ」云々、これと同じことがこの投稿されている方の中にもあって、あくまでこの法律は、
 同居することを条件として要求している。都会
 生活では居住空間はますます狭くなり、親と同
 居したくてもできない子供だっている。仕事の
 都合で地方へ転勤しなければならないことだっ
 てある。海外勤務もあろう。
 残念ながらそういった事情が改正されたこの法律案には入っていないし、同居して親に孝を尽くす子には特典を与えるという思想がこの法律の根底にあるとするならば、課税は公平でなくてはならないという原則に反している、こういう指摘がされております。
 私の質問と同じで、そのとき局長が何と答えられているかと申しますと、「小規模宅地に対する課税の特例というのは、財産として見た場合には他の資産と同様にそれだけの価値を有する。しかしながら、居住の継続あるいは事業の継続という配慮から、そうした財産価値はあっても、評価を軽減することによって負担を軽くし、その継続を可能にしようという考えでございます。」こういうふうに言って、この御指摘と私の指摘は近いわけです。その点について、これは一人の方の御投稿で、また局長こういう答弁をされるのかもしれませんけれども、やはり問題意識を持っている方があるということについて御答弁を願いたいと思います。
#68
○小川(是)政府委員 この「論壇」の記事は拝見いたしました。まさに今回の小規模宅地の問題についていろいろ触れておられるわけですが、今お尋ねの点につきましては、前回と全く同じ考え方を申し上げなければいけないと存じます。
 財産、資産としてであれば、相続税は他の資産と同様に小規模宅地であっても課税されるべきは当然のことだと存じます。問題は、居住という利用についてどこまでこれを相続税の課税上重く見て、課税の軽減を図るかという問題であると存じます。
 そういう意味におきまして、他に居住用の財産を持っておられるような場合、そこに住んでおられるようなときにまで、財産として引き継ぐときに、この課税の軽減をいっぱいまで考えるということは適切ではない。したがいまして、非常に極端な例もここに引かれておりますけれども、相続の場合にはいろいろなケースがあろうかと思います。やはりそこを分ける考え方というのは、冒頭申し上げたような考え方、財産と利用というところで考えていくのが妥当ではないかというふうに思うわけでございます。
#69
○石原(伸)委員 今の局長の御答弁を聞いていると、前回と変わらないわけでございますけれども、なぜまたここでこう取り上げさせていただいたかと申しますと、今財政事情が大変厳しいわけであります。そして、相続税についてはまだ大きな住民運動にはなっていないかもしれませんけれども、固定資産税についてはやはり同じようなことで、東京では大きな住民運動になっているわけです。国税関係でも、国民の方がこれはおかしいと言って声を上げて、納税を行わなくなるような状態がもし東京で発生したら、これは非常に大変なことなんですね。
 固定資産税については、きょうは自治省の方がいらっしゃらないからもう議論するつもりはありませんけれども、不服審査請求というものが過去最大に及んだ。そして都税事務所で、この不服審査請求の方式を一カ月ごとに変えるというようなこそくなことをやって、数を上げないようにしている。こういうことまで現実にやっているのです。
 こういうことと、この相続税というのは土地に関する、土地の評価が上がったことによってこういうふうに払えなくなってきた。そして、まだ問題があるという指摘がこれだけなされる。それは、局長の御見識は一つの御見識として、議論をすれば尽きないのですけれども、そういう状況にあるわけですから、この問題についても、今の部分を含めてまた当委員会で議論させていただきたいですし、この税収の減っている現状、国民の方がいろいろなことで税に対して文句を言って、大きな動きができてきたときに、やはり国の安定というものを損なうような事態になる。
 しかし、それがすべて土地に関連して、特に東京を中心に起こっているという、局長の言うことは本当にわかるのです。そういうことも配慮して、これから私たちはこの問題についても、やはりあの改正案はかなりのできだとは私も思うのですけれども、まだまだこういう意見もございます。
 あるいは最近私のところに寄せられる意見としては、延納の利率をせっかく下げていただいたのですけれども、今また金利が低くなっていて、一般金利と考えてもうちょっと安くならないのか、何で連動してないんだ、こんな話も実は私のところに何件も電話が寄せられているわけです。
 ですから、国税というものはそう簡単に、一朝にしてすべて制度を変えることはできませんけれども、そういうことによってこの国が危うい方向に行く、国民の方々が反乱を起こす、ある意味では、税に対する反乱というものは非常にシビアなものなんですね。それを考えて、この問題についても引き続いて議論をしていきたいというふうに考えております。
 大臣、何か御所見がございましたら。
#70
○藤井国務大臣 この間もここでお話ししたとおりであります。
 相続税というのは原則的に公平でなければならない。しかし、今石原委員御指摘のように、東京を中心とした大都会において非常な土地の高騰があって、そのためにいろいろな社会問題が起きてきた。これにどう対応しようかということから今回、この間成立させていただきました相続税改正が行われたわけであります。
 そういう意味からいうと、あくまでも例外であるということから今主税局長が申し上げたような仕切りをつけたということでございますので、それはそれで御理解をいただきたいと思います。
 固定資産税の問題についていろいろお話がございました。所管ではないのでございますが、やはり地価が急騰して急落したということから出る過渡的現象のような気もいたします。したがいまして、固定資産税は時価に合わせたような形でまた直っていくのだと思いますけれども、基本的に大きな、数多くの住民の方からそのような運動が起こることに対しては謙虚に受けとめるべきことだと思っております。
#71
○石原(伸)委員 るる質問させていただきましたが、時間ですので質問を終わらせていただきます。
 委員長におかれましては、当委員会の歳入委員会としての権威を高めるよう御尽力いただくように最後にお願いを申し上げまして、質問を終わらせていただきます。
#72
○宮地委員長 次に、金子一義君。
#73
○金子(一)委員 金子一義でございます。
 早速に、きょうかかっております証取法の改正でありますが、証取法の改正の前に商法改正、要するに、本件の前提になりますいわば自己株式取得規制を緩和する、これについてのねらい、何を期待してこういう緩和を行ったかについて御質問させていただきます。
#74
○日高政府委員 今回の商法の改正によりまして自己株式取得規制が緩和される、この考え方は、企業が株主総会の決議に基づいて配当可能利益を用いて自己株式を取得、同時に消却するという考え方でございます。
 この目的は、従来、企業の方から見ますと、例えば配当可能利益を再投資して将来の企業価値をさらに高める、あるいは配当として株主に還元する、こういった選択肢があったわけでございますけれども、今回の規制緩和によりまして、例えば企業を取り巻く環境等を考え、有効な再投資先がない、見つからないといった場合に、配当可能利益を自己株式の取得という形でその売却に応じた株主に還元する。同時に、消却をいたしますれば消却後の自己資本利益率の向上も期待できる、そういう考え方、ねらいが期待できるわけでございます。
 このように株主へ利益を還元する際のいわば選択肢、企業サイドから見た選択肢をふやすことによりまして、結果として株式投資の魅力を高め、ひいては安定的で活力のある証券市場の確立に役立つだろうということで今回の緩和をお願いしているわけでございます。
 なお、もう一つ、商法の改正によって従業員持ち株会に譲渡する場合のその株式の取得も認められておりますけれども、これは従業員持ち株制度の円滑な運営に役立つだろうということを期待しているわけでございます。
#75
○金子(一)委員 大臣、今証券局長から株主還元対策という点、それから企業のいわば目標負債比率の達成、ひいては証券市場全体の活性化、いろいろな御意見、ねらいとしてはあったわけです。
 その中で一つ、株主に対する利益の還元。これはちょっと見方を変えますと、今我が国でこのタイミングで導入された、どういうことかといいますと、バブルが終わったところ。そうすると、個人の株主は大体高い株式で買わされて、今皆さん大体それを塩漬けで持っている。NTT、主婦の皆さんは大蔵省を恨みに思っている、残念ながらそういう状況ですよ。
 それから、時価発行した。時価発行して、上がると思って投資したわけですけれども、一方で、時価発行であれだけやれば何か株主に利益は還元されるのだろうと。
 大体、証券市場というのは、そういう株主に対する利益還元というのは、道義的な部分というのはあったのだろうと思うのです。ところが、現実は今申し上げたようにバブルで株がどんと下がってしまった。では、この時期に導入していきますと、この株式買い取り、消却してしまいましょう。そうしますと、株主はそれに応じてしまって、しょうがないな、金がないからしょうがない、もう応じざるを得ないよとなると、何だか知らないけれども、投資家に対してはやらずぶったくりじゃないか、こういう感じを持っている方が結構いるのですが、どうお感じになられますか。
#76
○藤井国務大臣 自己株取得、その消却、これは制度として認めるわけでありますが、これから各社がどういうふうに運用されるかということについては一定の予見は余りできないと思います。
 しかし同時に、今お話しのいわゆるバブル期に証券市場が非常に活況を呈して、その中で時価発行等々含めて、あるいはNTTのお話もございましたが、大量の株式を多くの方々が持ってそのまま塩漬けになっているというのは事実だと思います。
 この問題というのは、証券市場が持っている一つの過去の変動の状況から来てしまっているわけでありますが、これは長い目で見て、今少しずつそうなってきておりますが、証券市場の活性化を図っていくという形でこれを吸収していかざるを得ないと思います、証券市場の性格からいって。同時に、しかし、この自己株式問題どこれを余りダイレクトに結びつけるのはいかがかなと。
 また、これが一つの仕組みとしてこういう時期に、先ほど石原委員の質問にありましたように、規制の緩和をする中で大きな意味で企業の行動の自由証券市場の活性化に利するものであると考えておりますので、そんな点で御理解をいただきたいと思います。
#77
○金子(一)委員 これは、じっと持っていれば確かにおっしゃるとおり一株当たりの利益が上がる。それから、何もやらないよりは、ずるずる株価が下がっていくような状況のときには、これをやることによって株価が活性化される、ひょっとしたら上がるかもしらぬ。理屈の上では上がらないのでしょうけれども、現実問題としてどうもアメリカでは上がっているようだ。そういう意味では何もやらないよりはいいのかもしらぬという部分。
 それからもう一つは、一律に株主にみんな消却の機会が与えられた。百人いれば百人がみんな五%ずつずっと消却されたということになりますと、うん、なるほどいいんだろうね、こうなるわけですけれども、特定の個人だけが何か消却をやられてしまいますと応じざるを得なくなってしまう。どうもそういう感じが否めないという部分があるのだろうな。
 そういう意味で、これは私一つの側面であえて申し上げているので、全体の制度これ自身は、今おっしゃられたような企業行動の、特に調達面のみならずいわば全体の管理といったような、財務管理といった意味で自由度を高めていくという観点からぜひ必要であると思っておりますものですから、そういう危惧と懸念と不満の声も一部あるということ、ここのところはあえて御指摘をしたところであります。
 それから、さっき同僚の石原議員からの質問であったわけでありますけれども、市場ではみなし配当課税がどうもこれを抑制しているのではないか。さっき主税局長が答弁をされたわけでありますが、ポイントは、前回の改正で源泉徴収義務をやめたという話だったですね、そこが最大のポイントだったと思うのです。
 ところが、これは局長なんですけれども、源泉徴収義務をやめたという話だけであって、それは売却に応じてしまった企業にとってみるとなるほどいいのでしょうけれども、売却に応じなかった他の大株主にとってみると、源泉徴収はされなくたって自己申告して払うのでしょう、そこは変わらないわけでしょう。要するに、さっきのお話ですと、何となく、もう源泉徴収義務を前回の税制改正で直してしまったのだからそう影響はないのです、あとのことはわかりませんみたいなお話のようにちょっと聞こえたのです。
 しかし、売却に応じてしまったところはそれでいいのでしょうけれども、応じなかった大株主、それから個人の株主だって、何とか調書というのが要らないだけであって、申告は申告としてしなければいけないわけです。その場合に、実際に現金の収入がない、キャッシュフローがないのに、申告はしなければいけないのでしょうから、払わなければいけないという部分は残ってしまっているのだろうと思うのですが、いかがですか。
#78
○小川(是)政府委員 今御指摘のとおり、源泉徴収が不要になったということだけでございますから、株主サイドに対するみなし配当に相当する所得の課税というのは残るわけでございます。
 ただ、給与所得者につきましては、確定申告書の提出不要制度というのが少額不追及という考え方でございます。給与等以外の所得が二十万円以下は確定申告を要しませんという形になっておりますから、ほとんどの一般的な、サラリーマンではありますけれども投資家の場合には、このみなし配当について確定申告を必要としないという形で、事実上意図され北ところが達せられるという面はあろうかと思います。ただ、御指摘のように、大きな株主の場合にはもとよりそういうところで二十万円を超えて適用はございません。
 このみなし配当部分というのは、一たんみなし配当が行われますと、株主にとりましては、所得税の課税済みのいわば会社に対する持ち分という形に法制上形を変えるわけでございますから、大株主のような場合には、できるだけそれが発生した時点ごとに課税を清算しておいていただくということがぜひとも必要であると考えるわけでございます。当然のことながら、このみなし配当課税が行われますと、当該株主にとりましては、その株式の取得価額がそれだけ上がるという形で将来の譲渡所得課税がその分小さくなるという、当然のことですが裏腹の関係にあるということも御理解いただきたいと存じます。
    〔委員長退席、北側委員長代理着席〕
#79
○金子(一)委員 証券局長、今の税の議論はわかります。ただ、一方で、これを制度化した、商法改正したさっきのねらいなんですけれども、ちょっと調べてみましたら、アメリカでいろいろな形で使われておるのですけれども、我が国の現状というのは、株価対策とか株価活性化ということと同時に、もう一つ大きな意味合いとしまして、我が国の証券市場の持っている構造がある程度これで解消できる一つのきっかけになっていかないか。
 具体的に言うと、いわば株式の持ち合いですね。大体、個人の株主というのはわずか三〇%ぐらいでしょう、七〇%ぐらいがもう固定化されてしまっている。そのうちの持ち合いというのが、これは三〇なのか五〇なのかいろいろなデータはわかりません。それももしわかったら教えていただきたいのですけれども、今は実態面でもそれがまさに崩れようとしているわけでしょう。もう一つは、アメリカとの議論でも、何だ系列かという、ザ・系列みたいな、一つここにもあるわけですけれども。
 それはそれとして、いずれにしても、証券市場をいわば個人投資家を育成していくみたいな一つの結果としての方向、そして現実問題としての、もう既にお互いに持ちこたえられない、株式を保有し合えないといったような現状、これを考えますと、この商法の改正による緩和というのが一つの受け皿になっていく。そのためにこれが一つの緩和策として用いられてきたという意味は非常にある、また期待されたと思うのですけれども、局長いかがですか。
#80
○日高政府委員 今回の商法の改正あるいはそれに伴います証取法の改正のねらいは先ほど申し上げたとおりでございますが、今の株式市場における状況を考えた場合に、御指摘がございましたような個人投資家の数をふやしていく、促進を図るということは当然のことでございますが、これは従来より各般の措置を講じてきているという状況にございます。
 今回の自己株式取得規制の緩和につきましては、持ち合い解消との関係ではどのような考え方がとり得るかということでございますが、私どものねらいは、先ほど申し上げたように中長期的には証券市場の活性化につながっていくだろうと思います。それと同時に、御指摘がございましたように副次的な効果として、結果として株式の持ち合い解消につながっていくという側面を私どもも全く否定しているわけではございません。
 特に、公開買い付け制度による買い付け、自己株の取得ということも今回商法の改正で認められているというようなこともございますし、そういった手段によって自己株式の取得あるいはそれを消却していくということが、いわゆる持ち合いの解消につながっていくことも結果として期待できるのではないかと考えているところでございます。
#81
○金子(一)委員 証券局長、今控え目にお話をされたなと伺っておるわけでありますけれども、いずれにしましても、長い目で見て、これまで我が国の企業、長期の借り入れですね。社債の発行の弾力化、それからもう一つ、いわば株主資本の調達面、例えば公募時価発行の増資といった面では非常に自由度が高められてきている、高い水準に来ている。一方それは、どんどん設備投資して、そして外需依存度をつくっていこうよという時代の対応だったと思うのですよ。
 今逆に、もうこれから我が国に求められてくるのは、むしろ設備投資してどんどんやっていこうなんという話では必ずしもない。むしろ内需依存へ含めていこうよ。だから、設備投資したって、それをもう一遍何か考えていこうよ。企業がシェアを争うのではなくて、設備をして製品をつくって販売シェアをふやそうやというシェア争いではなくて、むしろ利益を上げていこうよ。外需から内需へ依存していこうよというような状況に変わってきているのだと思うのです。
 そういう意味で、いわば調達の自由度だけでなくて、多分自己資本の、いわば減らす意味での自由度みたいなものも相当求められてくる。まさにアメリカなんかはそういう意味で活用されているのだと思うのです。
 ただ残念ながら、お隣に山中さんという税の大家がおられますけれども、今主税局長がおっしゃられた税の理論はなかなか変えられないのかもしれない。それは、税の理論としてはそれ自身は正しいのでしょうよ。我が国の税体系では、評価益が出ればそのときに、実収入があるかどうかわからないけれどもいただいてしまう。後で、実現益はそのときはそのときだというような基本的な考え方がこのみなし配当課税だけでなくていろいろな面でありますから、なかなか今回変えにくかったということは、これもわかります。
 しかしながら、一方でそういう状況をつくり上げていこうということであれば、多分このみなし配当課税が相当ネックになってしまっているよ、これは大方の証券業界によるヒアリングでは、このみなし配当課税が存在していると大株主の了解がとれないよねというのが、もう言うまでもなく御存じのことだと思うのですけれども今の状況だと思うのです。さっき主税局長は、その先のことはよくわかりませんとおっしゃったのですけれども、現実は今そういう状況。
 そういう意味で、大臣、これはそういう我が国の状況変化に対する仕組みをつくり上げていこうというわけですから、その税法をこういうものについてさらに議論し、場合によっては見直していくことも考えていく必要があるのではないかと思っておるのですが、いかがでしょうか。
#82
○藤井国務大臣 今のお話は大株主の問題だと思います。小口のことについては先ほどから主税局長がお答えしたとおりでありますが、おっしゃるような面がないとは言えないと思います。
 しかし、そういうことについては、大株主である以上、当然株主総会でそれなりの意見を述べられると思います。述べられることによって今の効果が減殺されるのではないかというのが金子委員の御指摘だと思いますが、先ほど主税局長申し上げましたように、一つの税の理論というのは、基本から組み立てられているという面もあるということは御理解いただいた上でのお話だと思いますが、税の一つの基本的理論体系の中での話であるということもひとつ御理解をいただきたいと思います。
 当面は、まずこの形で状況を見守るべき時期だと思います。
#83
○金子(一)委員 今大臣も非常に歯がゆい思いでの御答弁だったなと伺ったのですが、これは、税の論理は税の論理だ、それはしょうがないんだ。しかしながら、こういう制度をつくりながら、税の論理があるからその目的は余り達成できませんでしたというのでは、大蔵省の政府提案としてはちょっと何だという話になりかねない。そういう意味で、実情を見ながらでも結構です。見直し、我々その点も、そういう状況のときに改めてまた議論をさせていただきたいと思っております。
 きょうの法案とは少しそれます。今度の税制改革の点について少し御質問させていただきたいのです。きょうは大蔵大臣、私大蔵委員会を久しく離れているものですから、ちょっとイロハを伺いたい。そういう意味で、藤井教室に入った生徒のつもりで素直に聞きますので、易しくお答えしてください。木で鼻をくくった答弁でなくて、わかりやすいものをひとつお願いします。所得、消費、資産のバランスというのがよく言われるのですけれども、これは何を指しているのでしょうか。
#84
○藤井国務大臣 いろいろな財政需要にこたえるために国民の皆さんに御負担をいただく、その仕組みというのが税制であることはもうおわかりのとおりだと思います。一つの税目というものが本当に正しければ、単一税制になるはずでございます。しかし、どの税制にも長所と短所があります。もし御質問があれば一つ一つお答えいたしますが、そこで、長所は生かしながら短所を埋めていくということから、世界の国々、また日本もそうでありますが、複数の税目の組み合わせができていると思います。
 その組み合わせのバランスをどう考えるかということは、私は、国々の伝統、国民性、そういうものによって違ってきていると思いますが、やはりおのずから常識的な、どの国もとっている一つのバランスがあると思います。それを私は申しているのでございまして、何%、何%などが先にありきとは全く思っていないということもあわせて申し上げたいと思います。
#85
○金子(一)委員 所得、資産、消費のバランスというのが、我が国で今現在において一体何を目標、もしくは何を念頭に置いているのか。今大臣からは、その国その国の伝統、それから置かれている状況、他の税目との関係というお話を伺ったのですが、もうひとつよくわからないのですね。
 政府税制調査会の答申で、所得、消費、資産に対する課税のバランスについて国際的な比較を行ってみると、我が国の所得課税の割合はOECD加盟二十四カ国中第一位、資産課税の割合が第七位、消費課税の割合が最下位。所得課税に大きく依存した体制。こういうことで、所得課税は我が国六七%、ダントツという数字が出ているのです。しかし、この比較というのは、これは言うまでもなく、所得、消費、資産というのは、議論するときは個人について議論するわけでしょう。そうすると、これは法人が入っていますから、個人で置きかえると、大蔵省からいただいた資料、個人所得に対する所得税割合、我が国は地方税入っていませんけれども六・三、アメリカ九・一、イギリスが一一、ドイツ九、フランスは間接税が非常に高い国だから四・六。そうすると、OECDの国で我が国は、ほかの国九、一〇に対して六・三ですから、個人の所得税割合というのは決して高くない。
 今度の議論をずっと聞いて、一連の流れの中では、どうも個人の所得税割合が高いねという話、消費課税が低いからこれを上げようよねというのがずっと流れてきているわけなんですが、このバランス、諸外国とのバランスから比べて、何で個人の所得課税割合を高めようという議論があるのですか。イロハで済みません。
#86
○藤井国務大臣 今申し上げましたように、その数字というのは、私は一つのめどだと思うのです。先ほどから申し上げておりますように、一つ一つの税がどういう矛盾をはらんできたのか、どういうメリットを生かしているのか、この議論の積み上げの結果なんです。そういうふうにまず御理解をいただきたいと思います。
 そこで、日本の所得税、今所得課税というのに法人税が入っているのはそのとおりでございます。その約七割のうちの四割が所得課税であって、三割が法人税であるというのはおっしゃるとおりであります。では、その所得税プローパーを取り上げてみて、今メリットとデメリットがどういうふうに出ているか、ここの方が焦点だと私は思います。
 それで、日本は本来、戦前は間接税国であったわけです。経済力が弱かったということもありましょうし、それこそ文化、伝統から来ていると思いますが、間接税国だった。シャウプ税制によって、はっきり言えばアメリカの影響を極めて強く受けて直接税国になった。しかも、それが国民の中で非常に理解され、そして溶け込んできた。これが所得税中心国になった一つの形だと思います。
 そういう中で、所得税中心であるということは、どんどんそのウエートを高めているという要因を持っています、超過累進制度ですから。シャウプ税制導入のころは五十数%だったと思います、直接税の比率が。それが三十年後は五〇ぐらいまで落ちでいると思いますが、その後ずっと上がってきている。おっしゃる中には当然法人税も入っているとは思いますが、所得税自体の性格がそういうものを持っている。
 そして所得税自体が、現在の時点で取り上げると、諸外国に対して極めて特徴的な姿をなしているということはもうおわかりのとおりだと思います。課税最低限が世界一高い。しかも最低税率が世界一低い。そして最高税率は今や先進国では最も高い。どういうことが起こるかといえば、課税最低限が高くて最低税率が低くて最高税率が高いということは、ごく短いレンジの間に急傾斜の税体系ができ上がる、このことを私は言っているつもりでございます。
#87
○金子(一)委員 そうですか。きょうはとにかく藤井教室ですからそういうふうに承るのですけれども、そうしますと、累進の問題はおっしゃったのですが、もう一つ、直接税比率がどんどん高まっているよという今の答弁の中で、しかしさっきの数字、大蔵省からいただいた数字でいきますと我が国の個人所得に対する課税割合というのは六・三で、アメリカや欧州に比べて低いわけですよ。低いわけでしょう。そうすると、政府税調に出ている所得課税、日本が法人税含めて六七%と一番ダントツだというふうにこの表では出てしまっているのですが、個人所得でいきますと、これはちょっと主税局長、どのくらいの位置になるのですか。
#88
○小川(是)政府委員 法人、個人合わせまして、地方税を込みにいたしまして所得課税のウエートが六七・〇という数字でごらんになっておられるかと思いますが、その年で個人所得課税が三八・四、法人税が二八・六、OECD二十四カ国中ちょうど真ん中に位置するところになります。
#89
○金子(一)委員 真ん中だというわけですから、全体の比較、政府税調ではこういうふうにあるべき姿を、これは単に参考なんでしょうけれども、そうはいっても、諸外国との比較で我が国が余り外れてないかどうかを比較するときに、OECD諸国に比べて真ん中くらいならいいのではないですか。直接税比率がベラボウに高いなんていう話になるのかな。
 それからもう一つ。累進税率の話が今大臣からあったのですが、これも大蔵省にいただいた資料、所得税における給与所得者の課税所得階級別納税者割合。つまり、どの程度の人がどの程度の税率のブラケットに入っているかという話なんですけれども、いただいた資料によると、年収が六百九十二万、要するに一〇%の国税のブラケット、平成四年 一%、二〇%の段階の人、収入ベースで一千一十一万円、二八・九%。そうすると、一〇%、一〇%の国税の適用者というのは、これで九〇%にいってしまっていますね、納税者数。
 そうすると、大体我が国はサラリーマンが今どのくらいなんですか。七〇%ぐらい、もっと上がっているんですか、八〇%ぐらいの方が大体サラリーマンで給与所得者。そういう人たちはもう所得税も全部捕捉されてしまっているわけですね。
 そういうのも考えると、九〇%の給与所得者が一〇%、二〇%のいわばブラケットに、つまり課税対象になっているということは、それでいいじゃないですか。非常に累進が高いんだとおっしゃったのだけれども、高いということになるのですか、大臣。
    〔北側委員長代理退席、委員長着席〕
#90
○藤井国務大臣 まず第一の点でございますが、所得課税ではなく所得税のウエートが真ん中ではないか、そのとおりでございます。
 なぜか。それは先ほど申し上げたとおりであります。課税最低限が非常に高いこと、それから最低税率のあたりが非常に低いこと、これから来ていることは間違いありません。
 同時に、今のように、収入で今おっしゃいましたが、課税所得でいうと三百万までが一〇ですね。六百万までが二〇ですね。六百万というと約千万ですね、収入ベースに直すと。そこいらをひっくるめて、そこいらを延ばしていく、そこいらもフラットにしていくということは大事なことなんです。それには最高税率のあたりから手直しすることによって、いわゆる急勾配を直すということとあわせてやらないと、この二〇%層も含めてフラット化ができない、こういうことは御理解をいただきたいと思います。
#91
○金子(一)委員 そうなのかな。我が国のサラリーマン九〇%、二〇%のブラケットにおさまっているわけでしょう。これでいいんじゃないですか。別にそれで所得税率を何かしようなんて考えなくたっていいんじゃないかな。
 ちょっと余談であります。
 我が国の社会のいいところというのは何かなと考えてみますと、所得、消費、資産のバランスの観点なんですけれども、我が国はやはりお互いにみんなで最後は支え合っていこう、落ちこぼれをなるべく少なくしていこう。これは我が国の社会の持っているいいところ、村社会、家社会から来ているのだろう、こう僕は思うのです。
 アメリカみたいにちょっと能力があると、ハーバードかビジネススクールを出てどこかの証券会社に入って、会長になって高額収入を得る。そうじゃないと、うっかりするとホームレスへ行ってしまう。これはアメリカに失礼だったら撤回しなければいけませんけれども、そういう部分がある。我が国の社会はそこがちょっと違うのだろう。我が国が持っている昔からの村社会、家社会といういわば日本のいいアイデンティティー、所得税の平等化というところがもう一つそれを支えてきた大きな要因ではないのかな。
 我が国所得の第一分位と第五分位なんて使いますけれども、格差五倍でしょう。アメリカで十倍をはるかに超えてしまう。イギリスでさえ九・一倍。
 十倍超えてしまいますとどうなるかといいますと、十倍以内だと割と平等な社会。藤井大蔵大臣と私の所得格差、閣僚資産紹介のベストスリー、ベストツーでしたか、それでもまあ十倍以内でしょう。だから、私が大臣から三回おごられても一回はおごり返せる。そういえば最近ちっともおごってくれないじゃないですか。全然おごってくれなくなってしまった。冷たくなってしまったですね。
 そういう、一回おごり返せるという社会は、大臣と私の関係はいわば水平なんです。友達。友人。従属しない。十倍超えてしまうと、これは主従の縦の関係になってしまう。そういう意味で、我が国の社会が五倍というのはある意味でいい社会じゃないのか。
 例えば日本とアジアの諸外国とを比べると、中国の内陸部に行くとこれが百倍近くになってしまうとか、バングラデシュなんかに行きますと同じようなことになる。むしろ、その十倍以内という部分の我が国のよさを東南アジアに輸出する。つまり、東南アジアの諸国と我々の関係を所得格差という観点で今は申しておりますけれども、十倍以内にしてしまうということが二十一世紀の我が国の課題だと逆に私は個人的に思っているのです。国内ではそれは進みましたから。
 所得の方は、戦後所得の平等化というのは、これは我が国国民の中に定着をした唯一絶対と言ってもいいくらい一つの真理になってきていると思っているのです。
 しかし、それでは資産の方はどうか。この税調の文章の中にも、資産性所得を含め資産に対する課税については、抜本改革以来、利子課税の見直し、株式の譲渡益の課税、地価税の創設、土地譲渡益課税の適正化等々、いわゆる資産家層に対する課税はかなり強化されてきている、この成果を踏襲しみたいな、要するに資産課税が何となくでき上がったみたいな政府税調の書き方になっているのですが、私はこれは物すごく疑問なんです。
 大体、土地譲渡益課税とか地価税の創設とかという資産課税の考え方を、ずっと踏襲しながらつくり上げてきたみたいな書き方になっていますけれども、実態はそうではないのです。その時その時の経済状況において、土地が上がてしまった、しょうがない、地価税をつくろうよ、土地譲渡益課税なんというのは、ここに当時の専門家もおられますけれども、その時その時によって上げたり下げたりしてきているのです。
 そういうことで、必ずしも資産、消費、所得のバランスでもって資産課税が今まで議論されてきたなんて、税調はいろいろ議論されたでしょう、大蔵省もいろいろ考えられたでしょう。我々もいろいろ議論してきましたけれども、しかし、資産、消費、所得のバランスという前提の中ででき上がった議論ではない。むしろ、同僚の石原議員から話がありましたとおり、三代続いたら土地は全部召し上げみたいな、これは相続税の議論ですけれども、そんな哲学、これは共産主義ですよ。大蔵省はそういう意味では共産主義だと私は思っているのです。そんなのが国民のコンセンサスを得たとはとても思っていないのです。ちょっと余談になってしまいましたけれども。
 それからもう一つ、話は戻りますけれども、私はそういう意味で二〇%のブラケットまでの給与所得者が九〇%もいれば非常に平等化も進んでいると思っているのです。これは、細川さんのときに働き盛りの負担という言葉が盛んに使われたのですが、この働き盛りというのはどこの層もしくはどこの階級なんでしょうか。これは局長でも大臣でもどちらでも。
#92
○藤井国務大臣 いろいろ話がございましたので簡単に一つずつ言いますが、戦後の所得税中心超過累進制度は、私はそれだけだとは思っておりませんが、例えば今の日本の雇用形態等々、全部を引っくるめて日本社会の正しい、いいあり方に貢献したと私も思っております。したがって、さっき申し上げたように、戦後のシャウプ税制の結果であると言いながら、それが日本国民の間に定着したというのは、まさにそれを多くの国民の皆様が評価をしたからだと思います。私は、その意味で所得税中心主義というのは、金子委員のおっしゃるとおりだと思います。超過累進の度合いの問題はあります。しかし、所得税がそういう一翼を担っていたということは申し上げられると思います。
 またもう一つは、九〇%とおっしゃるのですが、その中に二〇%層があるわけです。そして、それがどんどんふえているという今の現状を見ますと、一〇%層、二〇%層の幅を広げていくことがどうしても所得税のあり方として必要だということを私は申し上げているわけです。それには、こうしてフラットにしておいてぐっと上げるということはできませんから、全体としての勾配を考えなければいけないということを申し上げているわけであります。
 それから資産課税は、土地税制はあのときの単なる経済情勢とは私は思っておりません。ああいう一つの経過を経て、土地税制というのはこうあるべきだという恒常的な姿としてつくったものだと思っております。
 第三番目に、働き盛りとは何かというお話でありますが、年齢とか職業の問題ではありません。皆さんのように、また会社で働いていられる方のように、第一線で働いている方はちょうどお子さんの育ち盛り、そして家を建てようというようなことでお金が一番かかるときです。そういう一番出費の多い方々のところに急速に税負担が急勾配で出ていくことを私は申し上げているわけでありまして、働き盛りを何歳から何歳までとかそういうふうに限定する意味ではございません。
#93
○金子(一)委員 そうしますと、これも政府税調の答申ですけれども、課税所得で六百万層の人がふえてきていると言うのだけれども、平成元年が五・九、平成四年が九・八、つまり三・九%の層がこの六百万、つまり二〇%部分を超えてしまいましたという話ですね。しかし、これだけで結果として現在九〇%の人は一〇%に……。
#94
○藤井国務大臣 その話をしているのではないのです。今回じ数字を見ていらっしゃると思いますが、三百−六百という層がございますでしょう。これがどんどんふえておりますでしょう、そこを言っているわけです。今課税で六百までが九割だとおっしゃいましたが、その二〇%ランクがどんどんふえている。二〇%ランク、一〇%ランクを通じてもっとフラットにしていかなければならないということをさっき申し上げているつもりです。
#95
○金子(一)委員 もう一つ、この政府税調では中堅所得者という言葉が一方で使われているのですね。細川さんのときは働き盛り。中堅所得者層と働き盛りというのは同じ意味で使われていますか。
#96
○藤井国務大臣 やや違う面もありますけれども、大体常識的に同じところを目指していると考えていただいていいと思います。
#97
○金子(一)委員 まだわからないですね。二〇%ならいいじゃないですか。九〇%の人が中堅所得層でもあり働き盛りでもあるわけでしょう。その人たちが二〇%におさまっているなら、それならそれでいい。ただ、それではどうもおさまりがっかないのかなというのがあるのです。
 今サラリーマンは、この大蔵省の表もしくは政府税調の表では、何となく一〇%の人だけが課税所得ベースで六百万円を超えていないので九〇%ていいだろうと……。ところが、ちょっとほかの資料を集めてみたのですが、日経連傘下の課長さん、この人の年収は八百五十五万、年齢四十五歳。これは言ってみればまさに日本の課長、働き盛り、ちょっとジャーナリスティックかもしれません。部長さん、五十一歳、年収は一千百七十万円です。ですから、この部分は、確かに部長になるとおっしゃるとおり今のブラケットから超えてしまう、三〇%に上がる部分の層なのかもしれません。
 それから、ある金融機関、三十五歳、年収が一千二百三十万。妻プラス子供二人。子供は小学校と中学校。結構高いみたいですけれども、そんなに生活は楽でもなさそうだ。大蔵省の課長さんの年収は、勤続十七年で四十歳、年収が一千万。勤続二十年、四十三歳、昭和二十五年生まれでしょうから団塊の世代で一番かわいそうな人たち、年収が一千百二十万。この人たちは老後になってもまともに年金がもらえるかどうかわからない人たちです。勤続二十五年、四十七歳、これまた課長さんですが、一千三百八十万。
 こうして見てみますと、確かに大蔵省が出してきているこの資料、課税所得ベースでブラケット六百万が九〇%というのは、なるほどこの数字でいきますと、パートタイムですとか――これは女性のパートタイムは入っていないのかな。かなり平均数値が入り過ぎているので、この実態の状況から見ると、確かにこの人たちかぽんとブラケットが上がってしまうのが本当にいいのかな。特にさっきの大蔵省の課長さんじゃありませんけれども、この人たちは朝から晩まで役所を支えている。日本の課長が支えている。
 大体、部長とか局長というのはろくな仕事をしないのでしょう。みんな課長さん以下で仕事をしている。次官なんかになるとろくなことをしない、財界に行って予算よりも政治改革が先だなんて言って歩くのが次官ですから。こういう課長さん方を大事にしていかなければいけない。私もサラリーマンを大分長くやってきたものですから、同僚のそういう仲間たちを見ますと、決して楽をしているわけじゃない。正直言って、そこは考えてあげる必要があるだろうという実感は私も持ってきているのです。
 ただ、それにしても大蔵省や政府税調から出てくる数字を見たら、さっき私が言ったように、いいじゃないか、九〇%の人が二〇%のブラケットにおさまっているのだから下げる必要はないじゃないかという話になってしまうのです。大蔵省、我が国を支える課長さん方の何かそういう資料は出せないものなんですか、主税局長。
#98
○小川(是)政府委員 若干データを申し上げたいと思います。
 先ほど来税率一〇%、二〇%適用者あるいは三〇%以上の適用者の分布のお話がございました。大臣から申し上げましたとおり、前回の税制の抜本改革をやりました当時は昭和六十年ごろのデータで見ておりました。その当時に比べますと、二〇%適用者、あるいは三〇%以上の適用者は今一割くらいと出ておりますけれども、非常にふえてきているところは見直しをしておかなければいけないのではないかというのが一つのポイントでございます。
 ちょっとデータが違いますが、申し上げたいと思いますのは、民間給与の実態によりますと、平成四年分でございますけれども、一千万円を超える年収の方が我が国では約二百二十二万人、全体の六%を占めております。この方々が納めている所得税はサラリーマンの方が納めている所得税の四割を占めているわけでございます。片方で、七百万円以下の方は八三%。人間の数が八三%を占めておりますが、納めておられる所得税のウエートは同じように四割でございます。したがいまして、今委員が具体例で言われました、大きな企業であれば課長クラスあるいは部長クラスという方々が多分この二百二十二万に入っておられて、所得税全体の四割を六%の方で支えておられるということであるかと存じます。
 この所得税の負担の仕方につきましては、るる御指摘がありましたように、全体として見れば我が国の所得税負担は決して高くない。むしろ、マクロ的に言えば、所得に対する所得税の負担率は低いわけでございますが、大臣から申し上げましたように、問題はその負担の仕方の分布の姿でございます。今のような状況ですと、ある程度のところから非常に急激に税負担が上がってくるわけでございます。
 先ほどお話がございましたように、七百万円までのところで所得税率が一〇%、住民税が一〇%でございますから、その辺までですと合わせて二〇%でございます。問題にしておられます一千万円を少し超えるあたりから所得税が三〇%、住民税が一五%。住民税はこれが最高税率でございますが、そこから四五%の税率の適用があるわけでございます。
 したがいまして、今委員御指摘のように、お一人ずつの立場に立って考えますと、これは給与のレベルは地域差もございましょう、もちろん職業差もございましょう。しかし、依然として我が国の場合には年齢で、若いときからまさに働き盛りに向けて賃金、給与が上がっていくわけでございますけれども、五、六百万円から七百万円まで上がっていく過程と、その後の上がり方の過程における税負担の増加、手取りの伸びの鈍化というのが非常に所得税の問題であるということでございます。
#99
○金子(一)委員 今のお話ですと、全体の資産、消費、所得のバランスの前にもう一つ所得課税のいわばゆがんでいる部分、ゆがんでいるというか問題点もあるというお話。特に七百万を超えできますと急速にカーブが立っていく、ですから、そこのところのいわばゆがみをなくしていくこともどこかで必要ではないのかという御示唆だと思っております。
 ところで、それではどこかでそれを直そうとしても、消費税との議論で常に出てきますのは、今度の政府税調の答申の中でも、これはゆがみを直して所得税の減税をやっていく、所得税の減税はそういうゆがみを直していくのに考えるべきだ、そのときに、一方で少額納税者についても配慮すべきだとうたっているのです。つまり、中低所得者に対しても何らかの形で税率の引き下げを考えなさいよ、それが税率の引き下げなのか、また課税最低限の引き上げなのか、いろいろなやり方がありますけれども、考えなさいよと言っているわけです。
 そうしますと、これはどうなってしまうのですか。将来いろいろな財源の調達といったことも常に考えて、今回だけではありません、将来のことも考えて、いわば貴重な財源として消費税の税率が、負担が膨らんでいくということも当然議論しなければ、今まさに議論されていますし、考えられる。そのたびに、中低所得者を配慮していきましょうよ、こういう話になっていきますとどうなってしまうのですか。
 極端に言えば、いつまでたっても中低所得者の方は税率がどんどん下がってくる、これはいろいろな配慮が行われるのですから。一たん累進のカーブをなるべくならしてみても、結果として、例えば一〇%ブラケットの部分というものを減らしましょうよという話になってくると、また累進カーブが立ってくる。そうすると、ある一定以上の方の増税感、不公平感というのは余りなくならないのじゃないか。
 今度、今行われている所得税の減税は二〇%一律にやりましたよね。何で一律にやったかといったら、戻しじゃなくて、一世帯幾らみたいな戻し税のやり方はいろいろあったのでしょうけれども、そこは今の中低所得者の方に対してもう既に相当に配慮がされているんだ。そこの課税最低限を実質これ以上引き上げるということは、今回やりたくないという配慮があったのでしょう。それはもう多分そうですよね。
 だけれども、今みたいに、政府税調はそこのところを最後どうするかというのは、これは我々政治がそこの部分、最後決着のために国民を納得させるためにやるのはいいかもしれませんよ。政府税調はむしろ筋を通すべきなんですよ。中低所得者の方のところは配慮すべしなんというのは、これやっていったらいつまでたったってカーブ直らないじゃないですか。大蔵省が政府税調に実際にこんなのを書かせているからでしょう。政府税調といったって、今だれもが大蔵省が書かせているなと思っていもからあえて大蔵省に伺うのですけれども、累進カーブ、どこかでやはり一たんは、今おっしゃったようにゆがみがあるなら今回ゆがみを直しますということをやったらどうなんですか。
#100
○小川(是)政府委員 ただいま委員の御議論はまさに昨年の政府税調で多々論ぜられまして、課税最低限につきましては、我が国は高過ぎるということが問題だ、したがってこれを下げることを考えてもいいではないかという議論もございました。しかしながら、これは少なくとも現状維持ということだろう、いずれにしても上げるのは適当でないというのが税制調査会の答申でございました。
 ただ、消費税の税率をアップするときには、そうはいっても中低所得者に対する配慮ということで考えていくのもやむを得ないという考え方でございます。
 もう一つ、最低税率を引き上げるべきではないかという議論も同様に税制調査会の中でやられておりました。この点については、いろいろ考えると、水準を今のまま据え置いてやむを得ないのではないかということでございました。まさに委員がおっしゃられたように、この累進構造、我が国における所得税負担のあり方の直し方としては、課税最低限を引き下げるとか最低税率を引き上げるという形で負担を求めるというのもあり得るのではないかという議論が行われたわけでございまして、それから現にそういうことを議論としてやられる方がおられるわけでございます。
 しかし、現実には、課税最低限を引き下げるというところまで税制を持っていくのは無理があるのではないか。したがって、最高税率を引き下げる等によっておっしゃるようなブラケットを広げる、そしてなだらかな形をきちっとつくっておくことが重要ではなかろうかというのが昨年の税制調査会の答申の考え方でございました。
#101
○金子(一)委員 政府税調については、本当に今おっしゃっていただいたような、どういう議論が行われたというのも、せっかく出していただくならいろいろな意見を、中にはあるのですけれども、こういう意見もあった、こういう意見もあった、最後は大蔵省がまとめてしまうからそういう政治配慮を働かせてしまうのでしょうけれども、やはり少し公開していただく必要があるかなと感じております。
 ちょっとこれは一言で教えてください。老人というのは金持ちなんですか。社会的弱者ではないのですか。一言で結構です。
#102
○小川(是)政府委員 昨年の税制調査会の議論では、老人というのを一まとめにして、弱者であるとか強者である、あるいは豊かである、貧しい、気の毒であるということは当たっていない、適切でない。したがって、個々に見ていく必要があるというのが一点。
 それからもう一点は、過去に比べますと高齢者世帯がふえておりますけれども、全体としての経済的な状況は若年世代に比べて悪いということはない。一人当たりの所得とか一人当たりの消費支出とか一人当たりの資産について見ますと、他の世代に比べて遜色がない、あるいはまさっている。それはあくまでも平均であって、個々のところは十分見ていく必要がある、こういう議論でございました。
#103
○金子(一)委員 ということは、消費税率を七%に上げてもそこそこに負担できる、こういう話ですか。
#104
○小川(是)政府委員 ただいま申し上げましたように、老人は一つまとめてということではございません。むしろ消費税の引き上げのような場合には、真に援助を必要とする人々に対しては社会保障等を通じてきめ細かな配慮が必要であるというふうに言っております。この中で、真に援助を必要とする方々をどういう形でとらえていくかという課題であるというふうに存じます。
#105
○金子(一)委員 いずれにしても、政府税調でも消費税議論をしていくときに、老人といったって一塊に確かにつかまえられないね。しかし、一方で老人に対して、何かあっても福祉サービスが受けられるかといったようなものを、目に見えるものを提示してあげて、何かの場合にもそれが実現できるようにという、福祉ビジョンというのはここから出てきたと思うのです。
 それと、その前に、いわば世代間の負担のバランスという議論が一方であるのですが、そこでよく出てきますのが国民負担率が上がってしまう、ここのところなんですよ。
 余談ですけれども、昔は国民負担率というのは、ヨーロッパの水準五〇%より低位にとどめるべきだ、できれば四〇%台の前半なんという議論をしていたのですけれども、今度の福祉ビジョンの試算を見ますと五〇%を超えてしまっているのです。要するに、五〇%を超えない水準というのは、福祉ビジョンでは超えてしまっているのだけれども、放棄してしまったのですか。
#106
○藤井国務大臣 福祉ビジョンは厚生省でございますので、私がお答えするのが適当かどうか存じませんが、ごらんいただければ出ておりますように、ケースT、U、Vとあって、その中にも若干の条件で分けておりまして、五〇%を切っている見通しのものも幾つもございます。五〇%を一%ぐらい上回っているのもありますが、切っているのもございまして、これをお示しになって一つの議論の素材に使っていただきたいというのが厚生省のお気持ちだと思います。
#107
○金子(一)委員 国民負担率が上昇してくると、働く勤労者世代にとって負担が大変だよ、活力がうっかりするとなくなるよ、こういう意味で国民負担率の議論が行われているのですが、国民負担率というのは実はどうもよくわからない議論。国民負担率の数値というのは、いわば国民経済全体で見た総所得の負担の率ですから、そういう意味で生活実感に結びつきにくい。
 そこで、これを具体的にサラリーマンの負担に置きかえてみるとどういう議論になるのか。これは、かつて大蔵省がこの試算をされたことが大蔵省の出版された本の中にあるのです。これをちょっと焼き直してもらいたいのですけれども、現状平成五年勤労者世帯の平均実収入、年収が六百八十四万、総務庁の家計調査。これに対する勤労所得税三十三万九千円、実収入比五%。住民税等が二十九万何ぼ。租税負担率、社会保険料負担率、これを合わせますと年間百十万五千円、実収入比が一六・一%。つまり、サラリーマンにとってみますと、現在租税、社会保険料負担率が一六・一%だ。この機械計算で今度一体どれくらい金がかかりますよというのが福祉ビジョンであり、その福祉ビジョンに基づいて大蔵省が機械的計算として出されたもののベースになっておるわけです。
 これを今のように国民負担率、あの計算になっているのが国民負担率、こういう概念で出てくるものですから、社会保障の負担率というものですからよくわからない。非常にわかりにくい。それで今、あえてサラリーマンの収入ベース負担率でいくとどうなるのかということをちょっと計算をしてほしいのです。資料を出していただきたいのですが、大蔵省、これはどうも計算できてないようなんです。
 ただ、二〇二〇年で大体この負担が二倍になっちゃうのかな、感覚としまして。以前に、初めて同じような機械計算、福祉ビジョンと同じような機械計算を大蔵省でやられたときの数字でいきますと、一・八倍になっちゃう。それが今の状況でな、多分これは主計局の方になるんでしょうか、二倍にいっちゃうのかな、そんな感じなのかなというものを持っているのですが、どうですか、どなたか。
#108
○竹島政府委員 ただいま正確な数字を持ってお答えできないことをお許しいただきたいのですが、かつて今御質問のようなテーマでもって論文がございました。その中では、国民所得の伸びを四%と仮定いたしまして、これは昭和六十一年でございますが、当時もいわゆる国民負担率、今先生がおっしゃった平均的なサラリーマンの実収入、当時五百四十三万五千円、そのときの税並びに社会保険料の割合がやはり一六・一%ぐらいということでございました。
 それをスタートラインにいたしまして将来推計をいたしまして、国民所得の伸びを四%ということでまいりますと、昭和八十五年ということでございますから、これは平成二十二年ぐらいになると思いますけれども、そのときに二九・三%、約三割ということでございますので、一六・一%から約三割ぐらいになるであろうというような論文がございます。
 同じようなことを、新しいデータでどうなるかということにつきましては、今計算したものを手元に持っておりませんので答弁をお許しいただきたいと思いますけれども、その後この間の機械的試算では、国民所得の伸びを五%で見ている等々のこともございますし、その後の制度も変わっておりますので約二倍弱ということ、同じように申し上げられるかどうかちょっと自信がございませんので、さらに調べさせていただきたいと思います。
#109
○金子(一)委員 よくこういう国民負担率の議論、活力がなくなるよ、だからこういう勤労者世帯に余り過重な負担を負わしてはいけないんだよというような話になるのすけれども、大臣、余り実感がぴんとこないのですね。やはり今のままの税体系を続けていくと、平均だって一六%税金と社会保険負担料で持っていかれちゃうでしょう。いずれそのうちに、それが倍として三二%ぐらい持っていかれちゃう。
 これは、今のはあくまでも平均世帯の六百八十四万ですから、いわば働き盛りとか中堅というのはもうちょっと高いのでしょう。そうすると、うっかりすると四割とか五割これで持っていかれちゃいますよ。そういうのは耐えられぬでしょう。だから考えましょうよという議論、もうちょっとわかりやすいものを大蔵省ももう少し工夫して出していただきたい。
 さっきの、私は国民の皆さんは、この大蔵省の資料で、二〇%までのブラケットの人が九〇%もいるなら、別に所得税率下げなくたっていいのじゃないの、ゆがみの部分は別として。そういう話になっちゃうと思いますし、世代間負担、世代間負担といったって、何となく耳にたこができるような感じなんだけれども、どうもよくわからないよ。
 世代間負担がどうのこうのとか、ましてやこれ、傑作なんですよ。「税制の総合的見直しにより、個々の所得階層ごとに税負担の増減すなわち「損得」が生じることは避けられない。」これは消費税を導入して所得税減税をやった場合、だれが損してだれが得する、これは社会ですから避けられない。「しかしながら、この「損得」は、国民の誰もが享受する公共サービスの費用負担を社会の構成員が広く分かち合う制度にしていくことに伴って生じる、いわば一時的な痛みと考えるべきである。」「総合的見直しにより我が国経済は活性化され、持続的な経済成長の成果が広く各階層に享受されることが期待される」なんて、こんな書いてあることを我々地元で言ったら、きょう出席している国会議員はみんな落選。地元でこんな話が通ずるわけがない。
 やはりもうちょっとわかりやすいデータとわかりやすい資料というものを大蔵省、総力を挙げて議論をしていく過程でぜひ出していただきたいと思うわけであります。
 時間がなくなってしまったので厚生省と総務庁、せっかく来ていただいたのですけれども、大変申しわけありません、ちょっと省略させていただきます。
 福祉ビジョンについて御議論、また御質問をさせていただこうと思ったのですが、結論だけ申し上げますと、この二十一世紀福祉ビジョンに絡めて大蔵省も今回機械計算を出されたわけでありますけれども、その中身、ちょっと本当にこれ実現できるのかな。介護といったって、マンパワー大丈夫なのかな。これも既にあちらこちらで議論されております。
 きわめつきは、これを具体的に作成をされた委員の人たちが、目安にすぎない、この推計を根拠に税制改革を議論するのは疑問だ、この委員の一人の高村さん、日本生活協同組合連合会の名誉会長、無理があるとはっきり言っちゃっていますね。それから、同じように日本医師会の副会長も、それほど真剣に議論したわけではない数値が税制改革に絡んでひとり歩きをしているようだとかと言われている。
 私は、福祉ビジョンは一つの方向を議論して提示しているものだと思っておりまして、非常に評価しているのです。これに向けていろいろな制度をこれからつくっていくということで必要だと思っておるのでありますけれども、どうもこれ、そういう意味での無理が批判をされているのですが、ちょっとそこのところ、大臣、どういうふうに考えておられるのか。
#110
○藤井国務大臣 先ほどの自体的な御提案、大変いい御提言をいただいたと思っております。ぜひ勉強させていただきたいと思います。
 福祉ビジョンの方は、これは厚生省さんでおつくりになったもので、私は内容はよく知りません。しかし、非常にまじめに勉強されたというふうに聞いておりますし、福祉ビジョンの懇談会の委員の方々があるべき福祉というものを真剣に御議論になった結果であると考えておりますから、当然、私どもはそういうものを前提にすることは問題がないものと考えております。
#111
○金子(一)委員 いや、それはまさに私が申し上げたことで、福祉ビジョンそのものは、私もいろいろな勉強をさせていただきましたけれども、非常にいい方向であるということで、我々もこれを実現をしていくためにいろいろな工夫をしていきたいし、その実現をやっていかなければいけないと思っておるのです。それは、まさに大臣おっしゃったとおり。
 ただ、申し上げたのは、また御質問したのは、この福祉ビジョンを前提とした機械計算だけで議論をしようと思うとどうもちょっと無理があるのじゃないのということを、いろいろな各界各層からそういう御意見が出ておりますし、一方で、つくった委員の当事者からこういう御意見が出ているということはちょっと残念だなと実は思っているのです。それはそういうことでやめましょう。
 最後に、痛みを分かち合うもので、政府税調にもまさに書かれております消費税にしましても、こういう税制改革の議論、さっきも申し上げましたように、だれが得してだれが損するかという、やはり社会でもあるのです。それだけに、こういう税の議論をするときには、何よりも国民の国への信頼が必要なんです。政府への信頼も必要、政治への信頼も必要だと思っているのです。だからこそ、税は国家なりと言われるまさにゆえんであると思っておるのですが、残念ながら、もう既に議論が出ましたとおり、前回の国民福祉税というのはその部分を無視しちゃったんだと思っているのです。
 大蔵大臣、あのときは官邸に乗り込まれて、そして所得税の減税だけが先行しようとしたことに対して、それは困る、もしそんなことするのであればおれは辞任するということを言われたと新聞の報道でうかがっております。それは大蔵大臣として大変立派な態度でありますし、一方で、大蔵省を預かる大臣でありますから当然であると思っているのですが、ただ、前回の国民福祉税のときは、まさに議論をしない、与えない、議論の場がない、そういう国民福祉税の決定、発表ということに対して大蔵大臣が反対をされなかったというのは、実は私は残念だったなと思っているのです。
 大臣は、ああいうやり方を単に、減税と増税がリンクをしない限りだめだ、おれはやめると言うのじゃなくて、あの進め方について、おれはそれについても反対だとおっしゃっていただきたかったと思っております。
 ただし、最近のいろいろな委員会、いろいろな場での御発言を伺っておりますと、大いに議論しよう、大いに皆さんの意見を聞いていこうよということを言っておられますし、そういう意味では評価させていただいております。この態度をぜひこれからも貫いていただきたいと思いますし、間違っても税制改革を権力抗争の具、政争の具には使っていただきたくないと思っておりますので、これだけはお願いを申し上げておきたいと思っております。
 きょうは、藤井財政税制教室でありましたものですから、いろいろ教えていただきましたことについてもあえて御礼を申し上げまして、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
#112
○宮地委員長 次に、秋葉忠利君。
#113
○秋葉委員 社会党の秋葉でございます。大蔵委員会では初めて質問をさせていただきます。
 今、私の前の自民党の金子委員の質問、私の持っている問題意識と共通点がたくさんありますし、方向としては大体同じような方向を向いているんじゃないか、そういう気がいたしましたけれども、藤井大蔵大臣初めお答えいただく皆さんには、また同じことを何遍も言わせるなというところが出てくるかもしれませんが、今の御答弁の中でも納得がどうもできないようなところもありますので、視点を少し変えて質問をさせていただければというふうに思っております。藤井教室の一員として、金子さん、質問されましたけれども、私も藤井先輩の、何といいますか、藤井スクールに入ったようなつもりでぜひ質問させていただきたいと思いますので、よろしくいろいろ御教授をお願いしたいと思います。
 この法律、社会党の中で一応分担をいたしました。私が質問させていただくのは、繰入れの特例等に関する法案ですけれども、手短に私の理解したところでは、要するに、所得税の減税を行う、その財源を確保するためにいろいろな手だてが必要だけれども、その一つとして、いわば国債整理基金の方に本来であれば回すべきお金をやめて、ともかく財源の方を確保することが大事なんで、それを一時的にやめるというふうに理解しております。その理解でまず一般的なところとしては正しいのかどうか、お願いいたします。
#114
○藤井国務大臣 本委員会に法律を提出させていただいておりますのは、法律の本則からいえば国債整理基金に繰り入れるべきであるというものを、特別の法律を出させていただき、これを停止することを院のお許しをいただきたいというために提出させていただいております。
#115
○秋葉委員 そうすると、来年度減税が行われなければ、今度は、来年度はこのような措置は必要ではないというふうに理解してよろしいんでしょうか。
#116
○藤井国務大臣 念のためでございますが、減税のためにこれができなくなったのではございません。全体の財政事情でございますが、とにかく平成七年度の話は、今は六年度予算の御審議でございますので、余り仮定の話は申し上げるのは差し控えさせていただきたいと思います。
#117
○秋葉委員 すべてが減税のためではないにしろ、減税もするというところが理由の一つになっているというところは、それは確認していただけますか。
#118
○竹島政府委員 六年度の特別減税につきましては、その財源につきまして残念ながら特例公債を発行せざるを得ないということでございます。
 具体的には、所得税、住民税を加えて五兆五千億円ぐらい、そのうちの、国にかかってくる、国の一般会計の負担にかかってくるのが三兆一千三百三十八億円でございます。これは特例公債をお願いをしているわけでございます。今お願い申し上げております歳出の特別削減でありますとか歳入確保というのは、この減税と別に、そもそも六年度の本来の予算が、こういうことをお願いしなければ赤字公債を出さずして組めないという事態でございますのでお願いを申し上げておるわけでございます。減税財源は特例公債ということでお願いしておりますので、減税のためにこういう特例措置を、歳出なり税外収入の特例措置をお願いしているということではございません。
#119
○秋葉委員 そうすると、仮の話ですが、今回の所得税減税が全くゼロだということでもこの法律案はこの委員会に出てきた、全く同額で出てきたというふうに理解してよろしいものなんでしょうか。
#120
○竹島政府委員 結果論でございますが、おっしゃるとおりでございます。所得税の減税がなくても、こういったことをお願いしなければ通常の経費を賄うのに赤字公債を出さざるを得ない、そういうことでございます。
#121
○秋葉委員 わかりました。その点については理解あるいは解釈の違うところがあるんですけれども、それはそれで置いておきまして、実はこういった問題を考えるに当たって、来年のことはわからないというふうにおっしゃいましたけれども、やはり財政の中で非常に大事な一面というのは、長期的な展望、長期とはいかなくても、一、二年先でも結構ですし、あるいは中期的な展望、そういった全体の鳥瞰図といいますか、そういうものが非常に重要であると私は思います。
 例えば、こういった特例についてでも、これはことしだけやるのか、あるいは来年も、これからずっと続いていくのか、今までも続いてきたのかというところでやはり扱いが違ってくるわけですから、来年のことはわからない、だけれども、今おまえたちの目の前に出ているのだけとにかく審議をしろということでは、ちょっとこれは話にならないと思います。
 というところで、私は、ことしだけということであれば、ことし起こっている具体的な歳入歳出についての出来事とこれは当然関連があると考えるのは当然だと思いますけれども、今のお話ではそうではない。となると、これはまるっきり袋小路になってしまって、大蔵が言っていることがすべて正しくて、今までのことはわかるけれども、これからどうなるのか見通しも全くない、ことし起こったことと関連もしていないというようなことで、非常に理解が困難になるわけです。そういった意味で長期的な展望が必要だと私は思いますので、長期的展望についてちょっと質問をさせていただきたいと思います。
 つい先ごろ、これに非常に関連があると私は思っております機械的な試算という値が出てまいりました。これは消費税の税率をアップする、そうすると赤字になるかどうなのかという話ですけれども、こういったものを出した目的について、どういうことを目的としてこの機械的試算をお出しになったのか、まず伺いたいと思います。
#122
○藤井国務大臣 この件は、税制調査会がずっと議論をしておられる過程において、やはり議論の一つのきっかけとして定量的なものが欲しい、こういうお話がありました。
 定量的なものを出すに当たっては、三つの条件がある。一つは、今我々が議論している消費課税の充実、所得課税の軽減という方向であってほしい。それからまた、福祉というものに対して、今後の福祉に対して的確に対応できるようなものであってほしい。また、この機械計算の前提として、より財政体質を悪くしていくようなものであっては困る。こういう三つの条件が出て、機械的計算をするようにという話がございました。
 私どもといたしましては、その後、一部に言われておりますように、何らかの政策意図ではないかという御意見が出てしまうことに対して大変色惧を持っておったわけでありますが、税制調査会のお立場ということもよくわかります。定量的なものなくして議論ができないということで、まさにそういうことをよく、これは機械的計算であるという前提で念を押させていただいて出させていただきました。したがいまして、政策意図は何もございません。
#123
○秋葉委員 定量的な数字を出して議論の資料にするということが目的だというふうに今のお答え受けとめましたけれども、そうすると、議論をする際には、まず、簡単に言ってしまえば幾つかの選択肢がある。その選択肢を選ぶために、例えば定量的な数字が必要だということになるわけですけれども、ここに出された選択肢は六つですか、ございます。それは、すべて消費税率の引き上げ、それを何%にするかという選択肢でございます。
 そうすると、その選択肢、この六つにしか絞らなかったというのは、これは恐らく税調の方も、それから大蔵省の方も、私たちの国民の前に示すべき、議論の対象とすべき消費税の引き上げ率がこの範囲であるという判断をした上でこれを当然出されたというふうに私は解釈せざるを得ないと思いますけれども、その点を確認したいと思います。
#124
○藤井国務大臣 今申し上げました、もう繰り返しませんが、三つの前提条件を満たすならこれだというだけでございます。それをもとにして御議論をいただく、それに限定して私どもが政策選択をしているという趣旨とは違い、機械的計算でございます。
#125
○秋葉委員 済みません、機械的というところは強調していただかなくても結構でございます。計算は大体機械的に行うものです。
 ですから、問題は、機械的だというところで、それを強調することによって実はその背後にあった選択肢が狭められている。これだけしかオプションがないんだというところが、それも機械的なんだから政策意図とは違うんだというところで、実は混同されて使われてしまっている点が重要だという点を私は指摘しているわけです。
 そして、その背後にある理由は何であれ、ともかく国民の前で議論すべき選択肢としては、消費税の引き上げ率としては、七、八、九、一〇しかないんだよということをはっきり言っているわけですから、その理由のところをお聞きしたいんではありません。具体的な大蔵の判断としては、これしか選択肢はないんだよということを考えてこれを出しましたというところを確認してください。事実としてそう言っているわけですからい事実を認めていただきたいということを言っているだけです。
#126
○藤井国務大臣 三つの前提をとればそうであるということだけを申し上げております。
#127
○秋葉委員 その前提について、私、改めて申し上げますが、今その三つの前提について議論しているとちょっと時間がありませんので、結果だけに焦点を合わせて申し上げたいと思います。
 それで、三つの前提があるというところが非常に大事だというふうにお考えのようですけれども、新聞を見て、消費税についてのいろいろなことを考える多くの皆さん、それこそ年配の、年金で生活していらっしゃる方から、あるいは小学生まで、テレビで見たり新聞で見たりするわけですけれども、この発表を見て一番印象に残ることを何か一つ言えと言われたら、一〇%消費税率を上げれば国の経済は、国の台所は赤字にはならないけれども、それ以下だと赤字になるんだよというところは、国民的に非常に強い印象でこれは宣伝が効いだということは言えると思います。その点について、一〇%だったら黒字、それ以下だったらだめだという印象が非常に強く国民の頭の中に残ったというところはお認めになりますね。
#128
○藤井国務大臣 冒頭申し上げましたように、そのことを一番危惧して、国会にお出しする前の、二十七日における予算委員会またマスコミの方に対して趣旨をよくお話ししたつもりでございますが、それにもかかわらず、今のような御意見というか、御感触というものがあることは私は否定いたしておりません。そういう心配があるからこそ最大限努力をいたしましたが、現実にそういう御心配があるということは否定いたしません。
 ただ、ここには政策選択の余地というのが全くないわけですから、この上に立って、単に消費税率の話だけでなく、不公平税制と言われているものをどう考えるかとか、財政の歳出をどう考えるとか、これから議論していただくことだということも当然のことでございます。
#129
○秋葉委員 私の質問にお答えいただいていないんですが、要するに世間的に、意図はどうあれ、マスコミが、それは事実をびん曲げたかどうか知りません。しかしながら、結果として国民の頭の中に非常に強い印象として残ったのは、一〇%だったらいいけれども、それ以下だったらだめだという印象が強烈に残りましたね。そのことは認めてくださいということを申し上げているんで、意図を疑っているわけではございません。ですから、そこのところをまず一点認めていただきたい。
 それから、意図はともかくとして、意図の点については私はこういうことを申し上げたいのです。
 例えば猫が道を歩くとき、一生懸命力を入れて歩いても周りにそれほど大きな影響はございません。ところが、象が忍び足で周りに迷惑をかけてはいけないと思って歩くと、一生懸命静かに歩いても、周りにはこれは地震だと思うような人が出てくるほど大きな影響を与えるわけです。
 ですから、仮に意図が善意であったとしても、そのことと国民的あるいは社会的な影響というのはまた別のことですから、ベルが鳴りましたのでこの継続を後でさせていただきたいと思いますけれども、ともかくその点についてだけ御確認をお願いします。
#130
○藤井国務大臣 いろいろな方がいろいろにこれを受けとめられたと思います。今のように受けとめられた方もあると思いますし、これから政策論議が始まるんだなと受けとめられた方もあると思います。
#131
○秋葉委員 あと、実はもう五分ぐらいいいということで、これに関連したことだけもう一つ伺いたいのです。
 この機械的試算ということは、具体的には、要するに機械が計算をした試算ということですけれども、ということはコンピューターでボタンを一つか二つ押せばこれはできてしまうということなんですが、細川総理が二月に突然示した国民福祉税という構想がありました。そのときには非常に有名になった腰ための七%という数字が出てまいりました。その時点で、これは細川さんはこのような機械的試算を背景にあの七%という発言をされたのか、その点を確認しておきたいと思います。
#132
○藤井国務大臣 あのとき前総理がお答えになっておりましたように、去年の夏以来いろいろ税制のあり方、これは単年度の景気対策ではありません、基本的な税制のあり方の御議論が始まり、十一月には税制調査会の答申が出て、その後においては当時の連立与党の代表者会議あるいは政策幹事会などでいろいろな議論が行われました。そういうことをよく見きわめながら総理の草案としてお出しになったものと承知をいたしております。
 今度のは全く別の機械的計算であります。
#133
○秋葉委員 それでは、機械的計算であるから政策意図は何もないというふうにおっしゃいました。機械的計算ということは、要するに、だれでも常識的に考えて誤りのないような数字を数式に従ってはじき出すというふうに理解いたしますと、その七%というような数字が出てくる際には、最低限そのくらいのこともやっておかなくてはいけない計算だと思いますけれども、今のお話では、必ずしも機械的な試算さえも行わずにああいった腰ための数字が出てきたというように受け取れたのですけれども、それでよろしいのでしょうか。
#134
○藤井国務大臣 当然税制調査会の結論あるいは当時の連立与党政策幹事会、代表者会議等においてはそれなりの勉強をしておられ、それに基づいて議論をしておられたと思います。そういうことを踏まえた結果、総理が草案を出されたと思います。
#135
○秋葉委員 実は、これは総理だけの問題ではありませんで、これは内閣としての方針ですから、当然主管大臣である大蔵大臣もその責任の一端を担っていらっしゃるわけですから、私はその責任についても一緒に問題にしているつもりです。
 そうすると、ともかくその時点では何らかの計算があった。その時点では、当然赤字で日本のこれからの財政を考えようということはなかったでしょうから、二月には七%で恐らく黒字になるということで考えられたのだと思いますが、それが数カ月たったら三%も上がらないと黒字にならないような計算結果になってしまった。ということは、これは事によったらコンピューターに欠陥があったのでしょうか。日本製のコンピューターだったら困りますし、アメリカ製のコンピューターだったら、これは日米貿易摩擦にも発展しかねないほど非常に重要な差だと私は思いますけれども、その点について。
#136
○藤井国務大臣 この試算は、もう見ていただいていると思いますが、西暦二〇〇〇年ということをもとにした数字であることは御理解いただけると思います。
#137
○秋葉委員 わかりました。
 そうすると、細川さんは二〇〇〇年といったった五、六年先のことは全く考えに入れずに、この二、三年だけあるいは一年だけということで七%、その際には収支のバランスは大丈夫だけれども、二〇〇〇年になると赤字が出てくる、こういう計算がどこかにあって、その結果として七%という腰ための数字を述べたというふうに今のお答えはとれますけれども、そういうことですか。
#138
○藤井国務大臣 今回の機械的計算は二〇〇〇年でありますが、当時の総理の草案の前提というものについてはよく承知をいたしておりません。
#139
○秋葉委員 済みません。だんだん重要なところになってきたのですが、本会議が始まるようですので、私は午後も継続してやらせていただきますので、一時中断して、またよろしくお願いしたいと思います。
#140
○宮地委員長 この際、暫時休憩いたします。
    午後零時二十五分休憩
     ――――◇―――――
    午後二時三十六分開議
#141
○宮地委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。秋葉忠利君。
#142
○秋葉委員 本会議にも大臣は答弁をされていて、お昼を食べるくらいの時間がおありだったでしょうか。非人間的なスケジュールになって大変申しわけないと思いますが、しばらくおつき合いいただければと思います。
 先ほどの機械的試算についてですけれども、また時間があれば最後に触れたいと思いますが、いずれにしろ、一般的に与えた印象というところでは、七%の腰ための数字というのが二月に出てきて、ある程度正確に試算をしてみたら一〇%になってしまった。しかも、一〇%じゃなくちゃだめなんだという、非常に強い数字的な根拠のある結論が出たというふうに一般的には受け取られ、それが消費税率引き上げのための非常に強力な一つの便法として使われつつあるという印象を否定することは、残念ながらできないわけでありまして、そういったやり方で世論を形成していくということに私は非常に強い危惧を覚えます。
 また、国の税制が国民的な合意を得るプロセスそのものについて、やはりきちんとした議論を行った上で、そのプロセスの整理といいますか、そういったことが非常に必要だなということを痛感しておりますので、そのことを申し上げて次の点に移りたいのです。
 実は、その機械的試算の中で、一〇%に税率を引き上げ、同時にそれは所得税の減税と一体になったという形の方向での税制改革ということが提案されているわけですが、その所得税減税、この点について伺いたいと思います。
 実は、PR用の「税制の総合的見直しについて」というこのパンフレットをいただきました。答申を読むよりも、この方が図が多くて、カラーでかかれておりますので、大変わかりやすいというところで、これを利用させていただきますけれども、これを読むと、所得税を減税して、そして間接税、消費税の税率を引き上げるという論拠になっているのは、どうもここにかいてあります「サラリーマンのモデル世帯の租税等負担率」このグラフだと思います。
 私の理解しているところでは、サラリーマンの五十歳から六十歳あたりの個人所得課税というのが非常に多くなっている。したがって、それを平準化するために、広く薄くという形で消費税の方の税率をアップすれば非常にうまいぐあいにいくんだというふうに理解をしておりますけれども、大ざっぱなところでは大体そういう理由づけだというふうに理解してよろしいわけですね。
#143
○小川(是)政府委員 昨年度の税制調査会での御議論の過程では、一つは、高齢化社会の中で勤労世代の人口が相対的にウエートが下がっていく、その事実からここの人々に対する負担が大きく偏らないようにというのが一つであったと存じます。
 もう一つは、今委員が言われましたとおり、所得の大きい小さいという観点からはもとより、職業の差あるいは地域の差といったようなものがございますけれども、ライフサイクル、人生を通じて、我が国、やはり年功序列的な賃金がかなり大きく残っているところからいたしまして、今言われましたように、四十代からあるいは五十代ぐらいのところのいわゆる働き盛りのときに収入が大きい、しかし支出も負担も大きい。単年度の所得に対する累進課税でございますので、むしろ、この所得に対する課税というのがある時期たまたま所得の大きい時期に偏らないように、もう少し平準化してはどうか、そういったことが議論の中心的なところであったというふうに思っております。
#144
○秋葉委員 今おっしゃっていることがよくわからないのですが……。
 収入のない人、例えば平均的なところで言えば高年齢層、収入のない人たちのさまざまな生活を、手っ取り早い言葉で言ってしまえば収入のある人が支えるというのが原則ですよね。そうすると、今おっしゃった中には、ですから収入が多い人も少ない人もいる。仮に税率が累進化がないとしても、収入の多い人がたくさん税金を払って支えるというのが論理的な話で、今のお話では、私は収入の話をしていると思ったのですが、ところが収入ではなくて、収入の多い人は支出も多いから、その支出も考えた上で所得税を考えるとちょっと税金を払い過ぎているという、今度は支出がそこで突然入ってきてしまうんです。それはちょっと論理的に変なんじゃないでしょうか、理屈がよくわからないのですけれども。
#145
○小川(是)政府委員 ただいまのところは、個人所得課税の負担状況を見ると、働き盛りで収入は多くなるものの、社会生活を営む上で避けがたい諸出費等のかさむ中堅所得者層においてという言い方をいたしております。収入に着目して、つまり所得で余り大きく負担を求め過ぎると過度な負担になるということをここでは論じていたわけでございます。
#146
○秋葉委員 もう少しはっきり言っていただくと、要するに子供の教育ということが非常に重くここには出てきているわけですね。平たく言うと、所得も多いけれども、支出の中で子供の養育費その他にもかかるからそういうことにも配慮しましょうということですね。そうであればわかります。それでよろしいですね。
 そうすると、またおかしなことが出てくる。それは何かと言いますと、二十歳から六十四歳人口の六十五歳以上人口に対する比率というのがありますが、これは働いている人が、つまり収入のある人が収入のない人を支えるという今のお話と矛盾するわけですね。
 つまり、子供は収入がないわけですから、子供の養育費ということを、税金のバランスを考える際にこのサラリーマンのモデル世帯、次のページのところで考えるのであれば、一番最初に出てきている負担、何人の人がだれを支えているのかというところにも、分母には確かにこれは所得のある人。だけれども、分子には高年齢層の人だけで子供の姿がまるっきりない。片方では、自分の都合のいいところでは子供も育てなくちゃいけないよというふうに言っておいて、こっちでは説得のための道具として、子供が入ってくると負担率が高くなるということがなかなか言えないために、都合がいい絵を描くために子供を外してしまっている。だから二人で一人ということになるのですが、要するにこれは大変だという論の運びじゃないですか。
 そういうのを詭弁という言葉を使う場合もあるのですけれども、まさか意図的にそういうことをやっていらっしゃらないと思いますけれども、子供の養育というところまで考え、支出というところまで考えて全体のデザインをするのであれば、それは一貫して使わないとおかしいんじゃないですか。自分の都合のいいところだけに子供の教育というのを持ってきて、都合の悪いときには外すなんという、そんな乱暴な議論をするから腰ための七%なんという数字が出てくるのでしょう。もう少しきっちりと論理的に考えてください。今のところはどうですか。
#147
○小川(是)政府委員 二つのポイントがあったかと存じます。
 この絵のカラーの方で、二十歳から六十四歳までの間の人口と六十五歳以上の人口とを対比してごらんに入れていますのは、高齢化社会、高齢者の社会的コスト、支えていくコストというものが大きい、これを一般的に支えるのはどれぐらいかというイメージをとっていただくためのものでございます。
 片方で、ここで申し上げました中堅所得者層において社会生活を営む上で避けがたい諸出費等がかさむというのは、もちろん教育費もございますけれども、それ以外の消費支出の動向を見ておりますと、四十代、五十代のあたりが最も大きくなっております。避けがたい出費の中の一つのものとして、もとより子供さんの学校といったようなものもございましょうが、その他もろもろの社会生活における支出が避けがたいものとして、選択的支出というよりは避けがたいものがふえてくるということを申し上げているつもりでございます。
#148
○秋葉委員 何を言っているかというのは図を見れば一目瞭然だから、説明は必要ありません。
 私が申し上げたのはそのことではなくて、データをつくる際に何をして何をとるかということがやはり論理的に一貫してなくちゃおかしいということを言っているのです。大きなシステムをデザインしているのですから、そういうことをやるとシステム全体としては非常におかしなことが出てくるから、やはり論理一貫性というのは大事なんです。だから、子供の養育費ということが非常に大きなファクターであるんだったら、最初からそれはシステムの中に織り込んだ上でデザインをやらなくちゃおかしいだろうということを申し上げているのです。そうじゃないから非常に誤った印象ができてしまうということを申し上げているのであります。
 それと、高齢者の負担ということについて、あと二点申し上げたいことがございます。
 一つは、確かに高齢者は平均的には豊かになったかもしれぬ。しかしながら、平均的に豊かになったということは、すべての人が豊かになったというわけではありません。年金だけで生活をしている人もいる。そういう人たちにとって、消費税そのものが非常に大きな負担だし、税率を引き上げるということは本当に耐えがたいことである。そういう人がいるということも念頭に置いていただきたい。
 それと同時に、年金をもらっている人たちの中にも豊かな人がいる。例えば年収が、これは二千万以上ですね。その人たちのうちの約一五%は年金の交付を受けている、年金受給者であるという数字がございます。そして、さまざまな数字がありますけれども、年齢者別の金融資金保有格差というのを見ると、これは低年齢層よりも高年齢層の方が格差が開いている。
 そういうことを考えると、当然、すべての高年齢層の人たちが豊かでもない。そしてすべての高年齢層の人が貧しくもない。ばらつきがあるんだということを考えに入れれば、論理的に当然考えなくてはならないことは、その高年齢層の人たちの間でも豊かな人にはより大きな負担をしてもらうというのが論理的な帰結であって、高年齢層というところだけでひっくくってしまって、豊かな人にもあるいはその中で貧しい人にも同じような、しかも逆進性が強いと言われているところで、だれでも当然頭に浮かぶような消費税の税率をアップするということで対応するのは、一体どういう論理構造で大蔵省というのは物事を考えているんですか。こんなめちゃくちゃな論理はないじゃないですか。
 それから、もう一点申し上げます。
 こういった年金とかそれから公的なさまざまな制度があるわけですけれども、その中でやはり一番大事なのは、幾ら払って幾らもらえるかということです。それは、一つのある時点で、t=aというような一つの時点、静止画をとって、それでその中でのいろいろなことを考えるのも大事ですけれども、例えば車を買ったりあるいは家を買ったりするときも同じですけれども、やはり一番大事なのは、総体として自分が幾ら払い、そして総体として幾らそれに見返りがあるかということです。つまり、生涯を合わせてどのくらいの負担をして、そして生涯でどのくらいの受給を受けるかというところが非常に大事になってきます。
 それについて、これは阪大の八田先生その他が研究された結果がありますけれども、現在の大体五十九歳、五十代後半、その人たちの場合には生涯受給率というのが大体二五%を超えている。それに対して生涯の保険料率は一〇%を切っています。これは対生涯賃金に対する比率です。ということは、払った額よりも受ける額の方が多いということです。ところが、現在二十代の人について考えますと、この人たちがこれから非常にたくさんの負担をしていくわけですけれども、払った類とそれから受け取る額というのを考えると、受け取る額の方が少なくなっているわけです。
 実は、世代間の公平ということを考えるのであれば、一体生涯に幾ら払って、そして生涯に幾らもらうかというところである程度のバランスがとれていなくちゃおかしい話だと思います。これを全く考慮に入れないで、ただ一時点だけで、例えばことしならことしという時点だけをとって、その年に払っている税金が多い、その年に払っている税金が少ないということだけでこういう大きな、人間の一生にかかわるようなシステムのデザインをするというのは、これは論理的にもめちゃくちゃですし、実際問題として、今私が指摘したような問題がすぐ出てくるわけじゃないですか。
 そのシステムデザインの哲学を根本的に変えてデザインをやり直さないととんでもないことになると思うのですけれども、大蔵大臣、やはり責任として、システムデザインの哲学あたりをぜひ変えるというところで、少なくとも検討くらいは始めてください。
#149
○藤井国務大臣 今のお話は大変大事なことだと思っております。
 ただ、お話の中で、例えば年金は消費税を入れることによる、どういう入れ方かは別として、年金の物価スライドというのが全部厚生省の計算に入っております。必ず物価スライドをするようになっていますね。それから、真に恵まれない人には別途の公的な社会保障があるのは、これは言わずもがなでございます。それから今の、恵まれた方の話については、年金等の所得制限があることも事実でございます。
 それから、さっきの後半の話でございますが、あれは予算委員会でも見せていただきました、こういう表。ただ、あれには負担の方が、企業負担が入っている等々のいろいろな問題があるように私は思います。思いますが、今おっしゃっている真意、そういう個別の話は別として、真意は大変大事なことだと思っております。
#150
○秋葉委員 大変前向きのお答えをいただきまして、ありがとうございました。
 ここで私が申し上げているのは、ここで私が使っているデータが絶対に誤りがなくて、これは正しいんだということを申し上げているんではありません。こういった試算もあって、それがおおむね私たちの常識とかなり一致しているということを申し上げているのです。
 であれば、そういった常識的な経験に裏打ちされた数字というものをきちんとシステムの中に取り入れて、デザインそのものを変えていく必要があるんではないかということを申し上げているのです。そこのところは、数字についてはもう一度大蔵できちんとしたものをお出しになった上で、それで私の申し上げていることを、あるいは大蔵だけの数字では私はちょっと信用できないところがありますから、中立などこか第三者による数字を、今おっしゃったような問題点も含ませた上で具体的なものをおつくりになって、その上で検討をしていただきたい。
 それから、年金受給者に対する制限がある云々というところですけれども、それは、あることは私は存じ上げていますけれども、私が申し上げているのはそことは全然違うところで、お金のある人からたくさん税金を取るという方が、ない人よりたくさん取るというシステムよりいいじゃないですかということを言っているのですから、全然問題が違います。
 ということで、済みません、時間が少ししかありませんので、駆け足であと何点か申し上げたいと思います。
 消費税の税率アップとそれから所得税の減税というところを一体にして考えるという、その方向について問題提起をしているわけですけれども、消費税そのもの、これの引き上げをする以前に私はまだなすべきことがたくさんあるんではないかというふうに思います。
 そういった選択肢について、例えば先日出されました試算ではもちろんまるっきり触れてないわけですけれども、例えばこういう可能性があって、そういったものを含めればどのくらいになるのですよといったような数字を出すことが、国民全体に税に対する関心を深めて議論を広めるということで役立つのじゃないかと私は思います。
 あえて、そういうところで問題提起をさせていただきますと、一つはいわゆる益税の問題、あるいは益税よりももうちょっと範囲を広げて特例措置。これは、中小特例を廃止した場合にどのくらい増収があるかといったようなところなんですけれども、その中でも特に二つ申し上げたいのですが、現在の限界控除を廃止する、これは全く必要ないと私は思っています。それと、免税点というのを三千万から一千万まで下げる、そうした場合に大体どのくらいの増収になるのか。現在の消費税の税率そのままで結構ですけれども、その数字を大ざっぱで結構ですからお教えいただきたいと思います。
#151
○藤井国務大臣 まず、今お話しのように益税という概念、なかなか難しいのですけれども、今秋葉委員はきちっと分けて言われたと思いますので、おっしゃった意味の益税というか、我々もそういうことですが、この仕組みを利用して、消費者の方からいただきながら国税に納付しなかった、こういう意味だろうと思います。これは、中小企業の特例を受けている人というのが世に言う零細企業でございますね。零細企業ですから、そんな大きなことができているはずがないというのが一つ。
 もう一つは、平成三年の国会で大議論の末に税制改革をやった中で、簡易課税のみなし仕入れ率を四段階に分けたために非常に実情に近くなっているのではないか、この点がございます。
 また、中小企業の特例については、導入のときにはそれなりの中小企業、零細企業の方の御不安というものを考えてああいうことをやったわけでありまして、それらについてまた一部の方からはいろいろな御批判があるということもよく承知をいたしております。
 現在、税制調査会においていろいろ御議論いただいているところでありますが、今の数字について、わかる範囲で事務当局から答えさせます。
#152
○小川(是)政府委員 一番わかっておりますのは限界控除制度でございまして、これは平成三年度で税務統計上一千三十三億、約一千億というものでございます。
 それから、免税点があることによって幾らぐらい減収になっているかというのは、現段階ではこの作業ができておりません。しかし、平成二年の国会に免税点でどれくらいの減収額があるかということで資料を御提出したことがございます。このときには、免税点で約〇・三兆円程度ということで御説明をしたことがございます。
 現段階での試算はございませんが、免税点というのは三千万円以下の事業者でございますから、毎年毎年売り上げが伸びてまいりましても、伸びれば三千万から上に行く人が出てまいりますから、そういう意味ではさしたる違いがないのかなというふうに思っております。
#153
○秋葉委員 数字をもう一度言ってください。
#154
○小川(是)政府委員 限界控除制度につきましては、税務統計上出てまいりますので、これは平成三年度で一千三十三億円でございます。
 免税点については、具体的な試算はございませんが、平成二年の五月に国会でこの問題について御説明をしたことがございます。当時の推計で、免税点で、減収額でございますが約〇・三兆円程度という試算を申し上げたことがございます。
#155
○秋葉委員 ありがとうございました。
 それを合わせると四千億ですね。これは決して少ない数字ではありません。
 それから、これは随分粗っぽい方法かもしれませんけれども、大蔵からいただいた資料で免税事業者数、それから二千万とか三千万とかいう区分がありますが、その中間点をとって〇・〇三を掛けるという形での計算をいたしますと、大体八千億ぐらいになります。恐らくいろいろな事情があって八千億そのまますべて、いわゆる免税点を廃止したらそれが収入になるということにはならないと思いますけれども、四千億と八千億、その間のどこか、四千億ぴったりかもしれませんし、済みません、三千億ですね。ぐらいですけれども、ともかくオーダーとしては大体そのくらいの額が出てくるというところは言えるのではないかと思います。
 例えばこういった問題について、やはり消費税の税率を引き上げるということであれば、非常に不満が多いこういった点について、まずもう少しきちんとした調査を行い、それから世論をはかった上で、さらにその問題が解決した上で税率の引き上げといったようなことを私は考えるべきだというふうに思います。
 それから、もう一つですけれども、税率引き上げ、あるいは税を導入する前にやはりどうしてもやらなくてはいけないこと、もちろん一つは歳出を減らすということがあるわけですけれども、その問題は非常に大きな問題ですから、ちょっと時間がありませんのでここでは取り上げることはいたしませんが、もう一つ、捕捉率の問題がございます。
 この点について、捕捉率を向上させることが必要になってくると思うのですが、そもそも日本の税務署は非常に優秀だというような評価もありますけれども、国際的に見て日本の場合捕捉率がいいのか悪いのか、あるいは仮にいいとしても、これは完璧ということはないわけです。これから、その捕捉率を向上させるために一体どういうことを考えておられるのか、大体の方向をお示しいただければありがたいと思います。
#156
○藤井国務大臣 具体的な問題は、国税庁が参っておりますので国税庁から答えさせますが、私は、一つだけ申し上げておきたいのは、世にクロヨンとかトーゴーサンという言葉がありますが、これは極めて実情に合っていないということだけははっきり申し上げられると思います。
 このクロヨンという言葉に例をとると、ある業種の人はみんな四割脱税している、ある業種の人はみんな六割脱税しているという印象を受けます、少なくとも。そんなことはあり得ない話でございまして、国税はまさに法に従った適正な課税を実現する五万の職員の機構でございまして、私は懸命に彼らが努力しているということだけはまず申し上げたいと思います。
 きょうは国税庁の次長が参っておりますので、具体的な問題について答えさせます。
#157
○三浦政府委員 お答え申し上げます。
 委員おっしゃっておられました国際的な比較ということも勉強させていただきました。私どもに関するデータはございますが、どうも主要国に限って見ましても、各国の統計上税務職員の範囲あるいは増産税額、徴税コストの定義がさまざまでございまして、私どもの国税職員に関する数字と直ちに比較することはなかなか困難であろうかと存じます。
 それから、基本的に増産税額とか徴税コストにつきましては、各国の税務行政の実効性や効率性のみではなくて、考えてまいりますと、それぞれの国における納税者の意識とか税務行政にかかわる根本的な諸制度の違いといったようなものが反映されているのではないかと思っております。今後よく勉強させていただきたいと思います。
 それから、具体的に捕捉率を向上させるための努力でございますが、私ども、限られた人員の中ではございますけれども今後やってまいりたいことは、従来の延長でございますが、課税上有効な資料情報を十分に蓄積をいたしまして、質量とも充実した税務調査を実施するということは当然でございます。
 ただ、それと同時に指導、相談、広報といったようないろいろな施策を講じまして、納税意識の高揚とか事業者の方々の記帳の充実など、そういった意味で一般的な納税環境の整備を図って課税の充実に努めたいというぐあいに思っております。
 具体策はいろいろございますけれども、時間がと思いますので。
#158
○秋葉委員 ちょっと外務委員会でも質問することになっていますので、あと五分ぐらいで質問を終わらせていただきたいと思いますが、一つには、私が考えているのは、「徴税コストの比較」という資料があります。これは「租税研究」と税調の資料から抜き取ったものですが、日本とアメリカとを比較いたしますと、徴税コスト、これは百円当たり何円というのと百ドル当たり何ドルというものですから、単位はキャンセルしますからこれで考えますと、要するに、一単位当たりの税金を集めるのに、日本では一・〇九、アメリカでは〇・四九、大体半分ぐらいしかお金がかかっていないという状況です。
 私は、アメリカにかなり長い間住んで税金を払っていました。ですから、アメリカの税金の制度は日本の制度よりもよくわかっているつもりですが、確かにこれはそれほどお金をかけないでも税金が集まるようなシステムだなということはよくわかりました。
 その理由の一つは、恐らく納税者番号だと私は思います。その他にもいろいろなシステムがあるのでしょうけれども、それとやはり総合課税というところなのではないかと思うのですね。例えばそういった形で、さっき申し上げました非常に大きなシステムをデザインし直す、リストラという言葉がはやっていますけれども、こちらはリストラではなくてデザインを根本からやり直すといったような形で税制を考える必要があるのではないか。
 その中の一つとして、日本ではグリーンカードというのでしょうか、それがだめになったいきさつがあるみたいですけれども、やはり納税者番号のようなものを導入するといったことも含めて考える必要があるのではないか。
 ただし、日本の社会とアメリカの社会では非常に大きな違いがあると思います。アメリカには情報公開法という法律がありますし、そのほかにも、例えば裁判所の機能、個人の権利をきちんと守るという意味での社会の通念とか、基本的人権を守る上での裁判所の役割とか、そういった非常に大きな違いがありますから、制度上非常に難しいところがあるとは思いますけれども、少なくとも税金の負担の公平さというところから話を進めれば、納税者番号を導入するという議論が情報の公開というところと一体になって議論されてもいいのではないかという気がいたします。そういった点についてお考えをお聞かせいただければと思います。
#159
○藤井国務大臣 総合課税化の実現、また今おっしゃったような意味を含めて、納税者番号ということがもう長いこと議論になっているということはもう御承知のとおりであります。私どもは、所得税というもののあるべき姿として総合課税だと考えておりますから、その総合課税が、むしろ今の方がまだいいというのは、まさに執行体制、把握体制の裏づけになるものがない、だから今の方がセカンドベストであるということを言っているわけでありまして、これの裏づけになる今おっしゃったようなことができてくれば、総合課税というのは理想を追求する立派な姿だと思っております。
 ただ、お話のように、プライバシーの問題とかいろいろと議論をされておりまして、私も予算委員会でも言ったのですが、長いこと国会でお話を聞いておりますと、不公平税制の是正あるいは総合課税ということは非常に多くの方がおっしゃるのですけれども、今秋葉委員が言われたようなことを真っ正面からやるべしと言って提言される御議論は意外に少ないのが現状でございます。
 したがいまして、そういう御議論を大いに広めていただくことはありがたいことだと思っております。やはり世論の背景がなければこれはできません。そういうことも御理解をいただきたいと思います。
#160
○秋葉委員 ただ、それは条件がありまして、消費税の税率も上げよう、それで納税者番号もつくって税の捕捉率もよくしようなんてことを申し上げているのではないので、やはり消費税、間接税というものに非常に大きな疑問を持っている立場から私は申し上げております。
 それと、長期的にはそういった方向も含めての検討、広い議論を起こすべきだということを私は申し上げているので、それにかわるよりよい案があれば私はそっちの方に賛成したいと思っているということもつけ加えさせていただきたいと思います。
 それで、ただ短期的には間に合いません。短期的な便法として、私が今申し上げてきたようなことを全部ひっくるめると大体次のような提案になるのですが、それについてはどんなものか、お考えをお聞かせいただきたい。
 まず、所得税の減税は、これは今年度はやるということになっていますからこれは変えられませんが、それは一年でやめる。ですから、来年度以降は所得税の減税はやらない。そのかわりに現行の消費税の税率をゼロにする。それを例えば二年間結局凍結することによって、所得税減税それから消費税は大体六兆円ぐらいの規模でしょうから、額としては同じぐらいの額が消費者の手元に戻ってくる。しかもその逆進性、公平性といったところから考えると、当然消費税を二年間でもゼロにした方が問題は少ない。しかも景気浮揚というところから考えても、消費税がなくなった方が景気に対する刺激も大きいという研究もあります。
 そして、例えば二年の間にもっと国民的な税金に対する認識あるいは関心が高まったところで、税制の抜本的な改革についての国民的な議論を起こして、もう一度、私が申し上げましたようなデザイン上の幾つかのミスがあるように見られる現在の税制をより根本までさかのぼった上での議論をするというようなことが考えられると思うのですけれども、そんなことは、そんなアイデアはいかがなものでしょうか。
#161
○藤井国務大臣 既にこの平成六年度の減税によって、はっきり申せば特例公債を発行いたしております。この上で消費税をやめればまた六兆円以上の穴があきます。しかもこれは、今のお話であれば当然歯どめなき赤字国債になります。
 赤字国債ということについてよく一部の方が財政エゴと言いますが、全くそういう角度ではありません。そういう財政体質をつくることが日本の経済の根っこを悪くする。しかもインフレ体質をつくる。そして国民にとって一番不幸なことはインフレである、このことを御理解をいただきたいと思います。戦争と財政が国を滅ぼす、これはドイツの人の言葉でありますが、そういうことを考えると、今の御提案は、残念ながら、申しわけないのでございますが、どうしても私どもとしては理解のできないところであるということを申し上げたいと思います。
 また、先ほどグランドデザインの話でございますが、私は私どものやっている数字とか仕組みは間違いはないということも申し上げたつもりであります。間違いがないけれども、今のような物の見方というものについて確かに承りました、こういうことであります。
#162
○秋葉委員 まだ反論したいのですが、時間がありませんので、また後ほど時を改めて勉強させていただければと思います。
 どうもありがとうございました。
#163
○宮地委員長 次に、永井哲男君。
#164
○永井(哲)委員 私はまず、証券取引法の関係についてお話し申し上げたいと思います。
 まず、今なぜこの自己株式の取引を認めることが必要なのかということに関連して、この商法の改正、いつごろから議論することになったのか、そしてその立法理由は何なのかということについて法務省の見解をお聞きしたいと思います。
#165
○吉戒説明員 答弁申し上げます。
 先生御案内のとおり、現行の商法の自己株式取得の規制、このスキームは昭和十三年の商法改正でできたものでございます。
 自来五十年近く、原則禁止、例外許容という形で来ておりましたけれども、近年諸外国の法制が一歩進みまして、日本の商法の規制が非常にきつくなっております。そういうことも踏まえまして、もう少し緩和してはどうかというような立法論が近年ございました。それから、経済界の方から長年にわたりましてもう少し緩和してほしいという要望もございました。それから、二年前にいわゆる株価が非常に低迷いたしましたときに、やはり経済対策の一環といたしまして、自己株式取得規制の見直しを図ってはどうかということが政府の経済対策の一つに上がったわけでございます。
 そういうことを踏まえまして、平成四年の四月から具体的に法制審議会において見直しの審議を始めたというわけでございます。
#166
○永井(哲)委員 この今回の商法の改正に、従業員持ち株会のために会社が自己株式を取得できるということが理由の一つとして言われているわけですけれども、これについては新聞社などでは、別にわざわざ変えてまでやる必要はない、今まで二十五日という一日だけで、特定日でやっていたので問題があって、それを五日、十五日、二十五日と分けて買えば問題ないのではないか、そういった指摘もあるわけですけれども、その点どうでしょうか。
#167
○吉戒説明員 今回緩和いたしました事由の一つといたしまして、使用人に譲渡するための自己株式の取得というものがあるわけでございますが、その具体的な当てはめといたしましては、会社が自己株式を取得いたしまして、これを従業員持ち株会に譲渡するということになるわけでございます。
 なぜこういうふうなものを認めるかということでございますが、先生御承知のとおり、従業員持ち株会というものは、従業員の福利厚生あるいは安定株主の確保に資するものとして多くの会社において運営されておりますけれども、この従業員持ち株会の運営につきまして、かねてから幾つか隆路が指摘されておりました。
 その一つがいわゆる二十五日の株高というものでございまして、従業員持ち株会の場合には、各従業員の拠出いたします資金、これは給料日あるいはその翌日に集めましてその日に買い付けるわけでございます。これを先生の今御提案のように、二十五日に限らず、例えば一日でありますとか十五日とか分散して買い付ければそういうことは起きないではないかという御指摘もあるわけでございますけれども、実は従業員が自社の株式を買うということはインサイダー取引に形式的には当たるわけでございます。
 そういう観点で、従業員持ち株会の代表者が買い付ける場合には、なるべくインサイダー取引の懸念を払拭するためには、機械的にある一定の日に買うということをもってして、いわゆる証券取引法にいいますインサイダー取引に当たらないということにいたしたいためにこういう機械的な買い付けをいたしておるわけでございます。したがいまして、観念的にはほかの日に分散してやればいいではないかという議論はありますけれども、実際上はそれは非常に難しいことでございます。
 ということで、二十五日の株高、あるいは例えば賞与の月にはたくさんの資金が集まりますけれども、なかなか市場に売り物がないというような隘路がございます。その隘路を解消するためには、会社が余剰資金のあるうちに自己株式を買っておいて持ち株会の方に譲渡するということで、今申し上げましたような二つほどの隘路を解消できるのではないかということで、かねてから立法論があったところでございます。
#168
○永井(哲)委員 今そういう説明もあったわけですけれども、この改正作業が緊急経済総合対策の一環であるということから考えても、これは株式を活性化させるため、そしてまた株式の持ち合いによりそれが不況で市場に多く流通した、それを自己株でもって買い入れて株価の維持を図るといったところが本当の、真のねらいというところではないか、そういうふうにも思えるわけであります。特に、自己株式の取引、そういった意味で本来的にも株価の操作といった要素が強いということでありますので、その点の対策は慎重でなければならないというふうに思うわけでありますけれども、大蔵大臣の見解をお聞きいたします。
#169
○日高政府委員 まず一点目の、今回の改正によりまして自己株式取得規制が緩和されるということでありますが、そのねらいにつきましては、株価対策というお話もございましたけれども、私どもの基本的な考え方は、企業を取り巻くいろいろな環境の変化を考えたときに、企業が配当可能利益をいかに活用するか。その一つの方策としてこうした自己株式の取得ということを認めていく、そういう意味では、いわば株主への利益を還元する際の企業の選択肢をふやすというのが基本的な目的でございます。
 ただ、そういうことが認められた結果、株式投資の魅力が高められる、ひいては安定的で活力のある証券市場の確立に役立つ、そういう目的は私どもも期待をしているところでございます。
 それから、持ち合い解消との関係におきましても、結果として持ち合いの解消といったことに役に立つという側面があることも私どもも否定をしない、その辺も期待をしているところでございます。
 それからもう一つ、二点目の問題でございますが、会社自体による自己株式の取得というのは、財務なり経営をみずからやっている者が自分の株を買うということでございますから、証取法で規定されておりますいわばインサイダー取引規制あるいは株価操縦規制の疑いをかけられやすい取引であるということは確かに御指摘のとおりであろうと思います。
 そのような観点から、今般、商法の改正とあわせまして証券取引法の改正をお願いし、公正な取引確保のための必要な手だてを講じさせていただいている、そういう状況にございます。
#170
○永井(哲)委員 今回のこの改正に関して、こういった指摘があるというふうに新聞にも書いてあるわけです。「企業による株価操作につながる恐れもないではないが、産業界には「お上の指導で保有株の売却やエクイティファイナンスを自粛するといった株価維持の手法よりは健全」という指摘もある。」ということも新聞に書いてあるわけですけれども、指導としてそういうことを行ったことはございますか。
#171
○日高政府委員 私ども、産業界の方々に特別、具体的に何をしてほしいということをお願いしたことはございません。一般的に、例えば株主のための配当性向を高めてほしいとか、そういった形でのお願いを要請したことはもちろんございますが、具体的に、例えば今エクイティーファイナンス云々というふうにおっしゃられたようなことを特別お願いしたことはございません。
#172
○永井(哲)委員 こういうものは特にしっかりといろいろな監視システムを充実していくということが必要かと思いますけれども、その点、証券取引監視委員会の最近の活動状況について御報告をお願いします。
#173
○杉崎政府委員 少々全般的なことにわたりますけれども、せっかくの機会でございますので、私ども証券取引等監視委員会の活動状況につきまして御説明をさせていただきます。
 平成四年七月二十日に設置されて以来、私ども監視委員会におきましては、証券会社等に対する検査、それから日常的な個別銘柄についての市場監視、そして第三に、取引の公正を害する犯則事件の調査等の活動に取り組んでまいっております。
 その中で若干敷衍させていただきますと、検査でございますが、平成四検査事務年度、これは七月から六月ということでやっておりますが、証券会社八十四社、証券業務を営む金融機関十一機関に対して検査を実施いたしてございます。今検査事務年度につきましては、五月末までの数字としては、証券会社八十三社、証券業務を行う金融機関九機関に対しまして既に検査を実施いたしております。このような検査を通じまして、証券会社延べ十一社につきまして、会社またはその役職員に係る法令違反行為が認められたということで、大蔵大臣に対し行政処分等を求める勧告をいたしております。
 次に、犯則事件の調査でございますが、平成五年五月に日本ユニシス株式会社の株式に係る株価操作事件ということで、犯則嫌疑者二名を東京地検に対して告発いたしました。また、その調査の結果に基づきまして、同年九月に法令違反が認められた証券会社及びその使用人について大蔵大臣に対して行政処分等を行う勧告を行いました。
 また、告発事件の第二番目としまして、本年の五月に株式会社アイペックに係る重要な事項について虚偽の記載がある有価証券報告書を提出した事実によりまして犯則嫌疑者、これは株式会社アイペックそのものとその会社の元役員二名でございますが、東京地検に対して告発をいたしております。
 私どもは、このような毎年の活動状況につきましては、法律の規定に基づきまして公表するということになっておりまして、平成四年七月から五年の六月末までの一年間の事務処理の状況につきましては五年の十月に既に公表いたしておりまして、今後とも、毎年そのような形でもって公表をさせていただきたいと思っております。
 結論を申し上げますと、検査に当たりましては、証券市場における取引等について、法令に従って厳正な姿勢で臨むとともに、犯則事件については果断に処理していきたいと考えております。
#174
○永井(哲)委員 今度の法では、会社が先行取得をして、そしてそれを後に従業員の方に売るといったときに、そこで価格の相違が生じてまいります。そのときに、会社が買ったときよりも譲渡するときに価格が低くなった場合、それから逆の場合と二通り考えられます。
 そういったときに、会社が買ったよりも高い価格で従業員が買わなくてはいけないということになると、そこで会社に利益が生じ、また従業員としても場合によれば損害を生じることもあろうかと思います。会社が低価格で買って譲渡時に価格が高騰していた、それで、高騰した価格で売ればそれは会社のもうけとなって、従業員の損害になる。それとその逆の場合とありますけれども、その点、従業員に損害が考えられるというようなことはないのでしょうか。
#175
○吉戒説明員 従業員に譲渡するために会社が株式を取得するという場合でございますけれども、その場合に、取得した株式をどういう価格で処分するか、譲渡していくかという問題が一つの解釈問題であるわけでございます。これは今先生御指摘のとおり、例えば会社が一株千円で買ったという場合に、後に従業員持ち株会に譲渡する場合に、その株式の価格が例えば千五百円になっておった場合にどうかという問題が一つございます。それからまた逆に、処分する場合に、例えば八百円になっておった。だから、高くなっておるか、低くなっておるか、二つ場合が考えられます。
 これにつきましては、私ども、法制審議会の方でこの処分価格についての解釈について検討していただいたわけでございますが、そこでの検討でございますけれども、これはもともと会社が利益を上げる制度ではございません。したがいまして、例えば先ほどの前者の例からいいますと、千円で買ったものは、それが後に千五百円に上がったとしても、その取得価格の千円で処分するということも許されるのではないか。
 それからまた今度は逆に、千円で買ったものが今度八百円になったという場合にどうかということでございますが、その場合に、持ち株会の方に千円で買うようにというふうに求めましても、これは無理なことでございます。そういうことを言いましても、持ち株会の方は市場の方から買った方が安くなるわけでございますので、そういう場合には、その当時のものである八百円で処分できるであろう。
 いずれの処分価格も、これは商法上でいうところの取締役の職務上の注意義務に反することにならないであろう、かように考えております。
#176
○永井(哲)委員 今の例でいいますと、千円で買って、千五百円の時価のときに千円で売却したといったときに、五百円の差額が出ます。これは従業員から見れば、購入時五百円の利得を受けたという形になると思いますけれども、これについては税法上どのような形になるでしょうか。
#177
○吉戒説明員 ちょっと先生、突然の御質問でございまして、税制の問題でございますから、本来主税当局が御答弁差し上げた方が適当ではないかと思いますけれども、一応私どもの方で考えておりますのは、今の例でいいますと、当時の時価が千五百円のものを千円で処分したということでございますから、五百円分のディスカウントがあるわけであります。
 こういう場合に、これを税制上でどう見るかということは、私はもちろん専門家ではございませんけれども、これは会社の福利厚生費の一環として、費用として計上されるのか、あるいは額がこの場合にはかなり大きゅうございますので給与として扱われるのか、二つの考え方があるのではないかと思います。
 これは私個人の考えでございますけれども、額が非常に過小であれば、福利厚生費の一環として許容されるのかなというふうに思っております。
#178
○永井(哲)委員 この証取法のときに審議された平成六年二月二十一日の証券取引審議会の、これは九ページのところに、相場操縦禁止規定の適用に関する考え方についてということで、この中に「相場が一定の価格を下回ったときに自己株式の買付けの委託を反復継続して行う」ということは問題があるということで書いてあるわけですけれども、ある程度安い価格で購入するというのは、従業員の立場に立ってみても利益がある、会社にとっても利益がある。いわば会社が従業員の資金を利用して株価維持をしていることにもつながりかねないわけですけれども、こういったことが、特に従業員の持ち株会の株式を購入するときでも、やはり同じように問題になるという解釈でよろしいのでしょうか。
#179
○日高政府委員 先ほど御指摘がございましたように、自己株式の取得ということになりますと、会社の経営者は、いわば自分の会社の財務、経営について事実を一番承知しているということでございますから、ともすれば株価操縦とか、そういった疑いをかけられやすい取引であるということになるわけでございます。
 そのような観点から、アメリカでは、セーフ・ハーバー・ルールという形式的な、類型的な行為を満たしておけば、要件を満たしておけば株価操縦として訴追されることがないというSECの規則がございますけれども、我が国の場合には、そういった主観的な要素を離れて形式的な要件で株価操縦罪というものを取り扱うわけにはまいらないというのが基本的な考え方でございますので、アメリカのような、そういった形でのものは規定するわけにはまいらなかったわけでございます。
 ただ他方で、企業サイドから見れば何か目安がなければなかなか行いにくいであろうということで、これはそういった問題を考える上に当たっての一つの目安というものを、証取審での議論が行われた際に、こういったものは疑われやすいのではないかという一つの目安として、今の「相場が一定の価格を下回ったときに自己株式の買付けの委託を反復継続して行うこと。」こういったことも一つのそういう類型として考えられるのではないだろうかという御指摘をいただいたわけでございます。
 したがって、これにつきましては、会社が自己株式を取得する場合にそういうおそれがある、疑われやすいということでございますので、その会社が自己株式を取得する目的が従業員持ち株会用の、譲渡用のものであるか、あるいは消却のためであるか、それを問わず、そういう形で疑われるおそれがあるということをこの部会の報告はうたっているというふうにお考えいただければと思います。
#180
○永井(哲)委員 株式の活性化という美名のもとに証券市場の信用を失わないようなしっかりとした規制、取り締まり、指導を行っていただきたい、そういうふうに思います。
 次に、本日は藤井経済教室だということで、私が四番目の生徒としていろいろとお聞きしたいと思うわけであります。
 先ほどから聞いておりまして、消費税の件についていろいろと問題になっております。そこで、これまでに確認されたことは、直間比率のバランスが悪いというけれども、これについては、個人の所得税の比率自体は三八%くらいだ、諸外国に比べて決して高くはない。これはOECDの中間くらいだそうでありますが、そういった直間比率の中で、バランスが悪い、それは個人所得税のことではないということであります。
 二つ目には、所得税の負担率そのもの、GDP比率、それは前回に私がお聞きしましたが、GNPの比率、アメリカ一〇%、それに対して日本は八%程度。これは非常に低いという状況であります。したがって、要は所得税の質というか、そういう点から考えても、これは決して過大なものにはなっていないということになると思います。
 三つ目には、日本の国民の所得格差は少ない。本日も指摘されましたが、いわばこれは平等型である。五分類した所得格差は、日本が五ということに対してアメリカは十二、三倍、またイギリスは九・一倍だということが先ほどの中でも言われておりました。これはこれまでの税制度の結果として、決して悪いものが出ていないということが言えるのではないか。
 先ほどから、日本の最高税率、日本の税率は世界一高い、だから悪いのだというようなことで大臣はおっしゃっておりますが、税率が高いからといって、決して悪い結果は出ていないのではないか。むしろ、世界一税率が高いということは、日本がそれでもってすばらしいとも言えるのではないか。そういうふうにも一言えると思うわけですけれども、そういったきょうのいろいろな教室の結果として私が受けた印象は、消費課税の充実というのはなぜ必要なのか。こういう事情をもってすれば、その消費課税をこれ以上充実させるということは決して必要ではない、そういうふうに思うのでありますが、どうでしょうか。
#181
○藤井国務大臣 幾つかのお話がございました。まず、終始私が予算委員会でも本委員会でも申し上げておりますが、比率が初めにありきではないということであります。何よりもまずおのおのの持っている税の仕組み、これをどう考えるか、そしてその結果として比率が出てくる、このことは終始申し上げていることであります。しかも、その比率というか、おのおのの税の仕組みというのは、その国の文化、歴史、そして国民性、こういうものによって決まってくるということをずっと申し上げてきていると思います。
 そこで、一つの目安としては、当然そういう比率というものも重要だと思います。日本がどういう位置にあるか。しかし、それだからどうこうということではなく、おのおのの税目が持っている問題というものをまずいろいろ議論すべきではないかと思っております。
 そこで、所得税の問題でございますが、所得税というものは日本は明治二十年に取り入れたわけでありますが、そのころは自由経済体制というのが十分でなく、また資本の蓄積も十分でなかったわけですから、戦前は完全な間接税中心国だったと私は思います。昭和九、十、十一年あたりですと、六五%は間接税だったと思います。要するに、アメリカの影響によって、シャウプ税制によって直接税中心主義になり、そのことが日本国民の中に素直に受け入れられ、そしてこの直接税中心主義というものが定着をしたと私は思っております。そして、その直接税中心主義というものは、日本の経済社会情勢に大変貢献したと思っています。
 ただ、今この所得税だけが所得の平等化に貢献したかというと、それは違うと思います。もちろん、今の日本における企業の賃金体系とか、そういうものを全部ひっくるめてこういうものができた。しかし、その一つの大きな要因として、所得税制度というものが機能してきた、これはおっしゃるとおりだと思います。
 そこで、どの税目をとっても、どれが絶対ということはないわけでございます。だからこそ、単税目の税制でやっている国は世界にないわけでありますから、それはやはりおのおの限界がある。所得税にもいい面があるが、限界がある。間接税にもいい面があるが、限界というかデメリットもある。こういう意味で、バランスというか組み合わせというものが必要なんだと思います。
 そこで、現在の所得税を見るときに、先ほどから議論が出ておりますように、日本の所得税というものは、課税最低限がまず世界で一番高いと思います、少なくとも先進国においては。そして、税率が一番低い段階から始まります。一〇%で始まります。そして最高税率は、かつてのイギリスのように、キャラハン内閣のころというか、要するにサッチャーさんの前、これは世界一イギリスの税率が高かったと思いますが、現在においては日本が最高税率は一番高い、こういう状況になっているわけであります。
 そのためにどういう現象が起きているかというと、今、永井委員の御指摘のように、全体としては所得税のウエートが個人所得に対して低く出ております。低く出ているというのは、今申し上げたとおりであります。課税最低限が非常に高いこと、そしてそこの税率が非常に低いこと、こういうことから来ているわけであります。そのことは私はいいことだと思っています。やはり日本の経済の結果、多くの方々の勤勉、努力の結果こういう税制の仕組みができた、いいことだと思っています。
 しかしながら、同時にそのことのために最高税率の差の中に急勾配の税率カーブができ上がった。このことは、今後福祉社会を支えていく上において、多くの方に支えていただくことによって福祉社会が実現する。そのときに所得税、特にこの中堅所得者というのでありましょうか、はっきり言えばサラリーマンの方々に過重な負担がかかってくる仕組みにならざるを得ない、今の仕組みであれば。そういうことから、これを是正して少しフラット化することは大事なことだと思います。
 もちろん、極端にフラット化することについては私も反対です。かつて一九八一年のレーガン減税のときは、二段階税率にしてしまったわけですね、一五%と二八%。私は、これは成功だと思っていません。思っていませんから、超過累進という所得税の仕組みは正しいと思っておりますが、それもやはり限度がある。
 どこいらがいいかというのはいろいろ議論のあるところだと思いますけれども、今申し上げたような、もう繰り返しませんが、所得税の仕組みの中における、世界でも非常に特色のある形のこの税率の仕組みというか税制の仕組みというものは、やはり直していく必要があるのではないかというふうに思っております。そういう意味で、今、永井委員がいろいろ挙げられたことは、基本的に正しい御指摘というか御理解だろうと思っております。
#182
○永井(哲)委員 最高税率が高いからこそ、国民の五段階で分けた部分の格差が少なくなっている。急カーブであるからこそ、そういった平等型の社会が実現しているというふうにも言えるのではないかと思うのですけれども、なぜその急カーブがよくないのかというところがいま一つわからないのです。よろしくお願いします。
#183
○藤井国務大臣 そこのところは、物には限度があるということだと思います。かつてのサッチャーさん以前のイギリスというのは、物すごい急角度だったわけですね。しかし、それはサッチャーさん以後に直したわけです。日本が今一番急角度になっている。所得税である以上、超過累進制度をとることは当然のことです。当然のことであり、そのことがおっしゃる所得税の所得再配分効果というものに機能していることは間違いないところでありますが、やはり限度がある。
 しかも、これからの福祉社会というものは、多くの方がこの長寿社会を支えていく、しかもその長寿社会を特別の社会と考えてはいかぬと私は思っているのです。ごく自然にみんなが支え合って助け合う社会にしていかないと、長寿社会が特別の社会だというふうに考えるといろいろなひずみが出てくる、摩擦が出てくるわけであって、ごく自然に溶け込ますためには、多くの方が自然に御負担できるような仕組みにしないと、うまく機能していかないのではないかということも私はあわせて申し上げたいと思います。
#184
○永井(哲)委員 税率構造が急カーブであるというようなことも言われるわけですけれども、特にこの税率の各段階を見てみると、国税自体ですと、これは課税ベースで三百万、六百万、一千万、二千万という段階になっております。ここに住民税が加わって、これも課税ベースで見ますと、百六十万と五百五十万というところに段階がつけられるというようなことになるわけであります。
 この住民税と所得税あわせたもので見ると、五百五十万と六百万、ここの差がわずか五十万である。その前が二百五十万の段階であるのに、ここの五百五十万から六百万というところがわずか五十万しかない。そして、一千万というような形になっていくわけですけれども、これを全体的に見ますと、夫婦と子供二人の標準世帯で見ますと、七百九万円、九百六十三万円、一千四十六万円、一千四百三十一万円、こういうような段階になってきます。
 この九百六十三万円の前後で見ると、七百九万円から九百六上三万円というのが一つのブラケットでありまして、これは二百五十四万円の差があります。そして、その次のブラケットが九百六十三万円から一千四十六万円、これが八十三万円のブラケットでしかない。その次が一千四十六万円から一千四百三十一万円、これが三百八十五万円のブラケットというふうになるわけですけれども、こういうような構造を見てみると、これは住民税のその段階の分け方が余り適切でないからこういった形になる、住民税の税率をそれだけでも考えれば、少しなだらかなものになるというふうに思うのですが、その点どうお考えでしょうか。
#185
○藤井国務大臣 住民税の税率も関連していることは御指摘のとおりだと思います。しかし、今私は単純化する意味で国税だけで申し上げました。
 国税だけで考えましても、課税ベースでございますけれども、三百万円までが一〇%、三百から六百が二〇%、六百から千が三〇%というぐあいになっているわけでございまして、そこいらあたりに今非常に多くの方がいらっしゃる。多くの方というか、少しずつ所得も上昇していらっしゃるし、そういう中で急角度にそこいらが所得に比べて税金がふえていく度合い、しかもさっきの議論にも出ておりましたように、ちょうどそこいらの方が、家庭の出費とかいろいろな意味の出費が多い。しかも、そういう方々が日本の社会、経済を支えていらっしゃるということを考えると、もう少しそこいらをフラットにすることが、世代間においてもまた各人の一人一人のライフサイクルにおいてもより適当なのではないか、こういう観点だということも御理解をいただきたいと思います。
#186
○永井(哲)委員 特にこの収入ベースで見て九百六十三万、この前後で非常に角度が急になるということが、ある意味で住民税のブラケットが邪魔をしている結果として起きているということはよくわかります。では、その解消ということであれば、その部分のブラケットを広くしてあげるということで十分であって、その最高税率のところをどこにするか、何万円にするかという問題はいろいろあるでしょうけれども、その税率そのものを下げることは必要ではない、そういうふうに思うのでありますが、その点どうでしょうか。
#187
○藤井国務大臣 それも今申し上げましたように、日本の最高税率が今や世界で一番高くなってしまった、これは否定のできない事実だと思います。かつてのイギリスは九〇%とかそういうのまであったのが、今回〇%でございますね。
 そういうようなぐあいで、世界の大勢がそういうふうに動いている中で日本だけが、これはもちろん歴史がございます。国民性ということもございます。ですから、全く同じにしなければいけないなどということを言っているわけではないのでございますが、国際的に見てみると、少しそこいらの税率が高いがゆえに、この中堅の方々の税率の急勾配というものが強くなり過ぎているのではないかというところの問題意識だということを御理解いただきたいと思います。
#188
○永井(哲)委員 先ほどもこれは言いましたけれども、世界一高いが、そういう意味で世界一格差の少ない平等型の社会をつくっているではないか。世界一高いからといって決して悪くはないというふうに思うのであります。ちょっと繰り返しになるかと思いますが、その点とうなんでしょうか。
#189
○藤井国務大臣 同じお答えで大変恐縮でございますが、私は、所得税は基幹税であるという原則は、恐らく永井委員も同じだと思いますが、何ら否定いたしておりません。これはあくまでも基幹税であるべきだと思います。
 しかし同時に、先ほど一般論で申し上げましたように、一つの税目が唯一正しいということもないということも、これは世界の歴史が示しているとおりでございます。いろいろなものをかみ合わせることによって、これからの社会をいろいろな方がいろいろな形態をもって負担していただくわけでありますから、所得税に余りに特化していく――今は特化していないというお話がございました。四〇%という例はおっしゃったとおりでありますけれども、それはさっき申し上げた日本の所得税の特別の仕組みがあるわけでありますが、そういう中で、急勾配になっている、中堅ぐらいから急勾配で上がる所得税制でこれからの福祉社会を支えることが本当に適しているかどうか、そういう観点でございます。
 もちろん、超過累進による所得再配分という効果を否定してはおりません。これは基幹税であるということは否定しておりません。おりませんが、やはり限度があるということ、しかも世界的に非常に特色のある形になってきているということを御理解いただきたい、そういう角度でございます。
#190
○永井(哲)委員 ここで前にもそういう点でお尋ねしたわけですけれども、フラット化といいますか、所得累進構造の階段状というものをなくして、そういった平準化を図るというような意味であれば、ドイツ型のなだらかに順次にその税率が変わっていくというもの、これを採用するのも非常に公平なものだというふうにも思うのでありますが、どうお考えでしょうか。
#191
○藤井国務大臣 ドイツ型という考え方はあるのでございますが、日本で今まで取り入れてもいませんので、必ずしも日本になじまないのではないかということが一つと、ドイツは最低税率一九%でございます。
 ドイツの課税最低限は二百数十万だと思いますが、二百数十万から始まっていきなり一九%でありまして、そしておっしゃったような一定の計算式ですうっとこういうふうになるやり方でございます。その一定の計算式でなだらかであるというやり方は、日本の今までの風土にはなかなかなじまないのではないかなという感じを持っていることは申し上げられると思います。
#192
○永井(哲)委員 よく強調されるのは、先ほど言った日本の累進構造の中で、収入ベースで見ると九百六十三万円、ここの後の百万円というところ、このブラケットが八十三万円である、非常に狭いということを、そこだけを強調します。
 それで、同じ百万の収入が上がっても、状況によっては一挙に一五%も上がる、また状況によっては全然税率自体が上がらないといったような場合もある。こういった不公平というのは、日本の場合はそのブラケットのとり方がまずいという意味でまた一つの問題があるわけですけれども、そういう階段状の累進構造をとる以上、これはどの段階でも起こり得る話であります。そういった意味で、より公平を求めるということであれば、ドイツ型は十分に考慮に値すべき問題だと思うのですけれども、どうでしょうか。
#193
○藤井国務大臣 今のように階段状という問題の弊害ということは、やはりおのおのの間隔を広げることによっても解決すると思うのです。もちろん、おっしゃるように階段である以上は、あるところでは必ず問題があるということは事実でありましょう。そういうことからいうと、ドイツ型のいわゆる曲線型にというお話が出ているのだと思います。ただ、曲線型というのは一々計算式でやるわけです。
 そのことが日本の今までの社会の情勢になじむかどうかということを申し上げておきたいと思います。
 それから、このブラケットの幅を広くするということはやはり大事なので、今御承知のように三百、三百、四百、こう来ているわけですね。ですから、そこいらのところをもう少し広くすることによって、決して全部をフラットにするわけではないのでございます。そこいらのところをもう少し幅を広くすることによって、働く方々が、所得がふえたのに、しかもその所得がふえたころにお子様の教育とかそういう問題があるのに何かぐっと伸びていくという、そこの問題意識で、そのことがやはり働く方の元気を出していただく点で大変大事なのではないか、こういう考え方でございますので、御理解をいただきたいと思います。
#194
○永井(哲)委員 先ほどからもいろいろな議論の中でも出ておりましたけれども、今本当にどういう税制にするかというのは非常に重要な問題であります。その中で、国民にしっかりと理解していただくということは、これは何をおいても必要なことだと思います。その中では、ごまかしの議論という、本当に痛いところを隠したといった部分は、これは避けなければならないと思います。
 税調あたりの答申でも、簡素化というような名前を、そういう言葉を使って最高税率の低減というものを図ろうとする、そういったようなこともありました。言いたいこと、それをもっとストレートに言って、そして国民の判断に供するという態度が必要だと思います。そういう中で、よいものはよいとしてこれも理解を得てもらうことも必要だと思います。
 今まで所得税の論議の中で、余りにも直間比率の是正、直間比率がバランスが悪いということだけが強調されておりまして、日本の所得税の持つ効果として、こういう平等型のものをつくったではないか、また一般の、通常の製造労働者、これはOECDの統計でも出ておりますけれども、社会保険といった負担を考慮しても世界で一番安いとも言える、そういったような状況にある。こういったいい点というのもしっかりと提示して議論を行っていかなくてはいけない、そういうふうに思います。
 そしてまた、今度のいわゆる機械的な試算という問題点の中で、当初七%以上のものしか試算いたしませんでした。これは役所の方でそういったものを判断して、七%以上でなければだめだ、それ以下は計算にも値しないというような形で出さなかったわけですけれども、やはり主権者は国民なんだ。国民に判断してもらう、そのためにはあらゆる材料を提示する、そういう姿勢が必要だと思うのですけれども、その点どうでしょうか。
#195
○藤井国務大臣 今の最後の御議論だけは、大分私の考えと違います、今まで共通の話だったと思いますが。
 まず、隠してなんかは全然いません。私は真っ正面から、去年の八月以来、これからの長寿社会を本当に安定させるためには、幅広く多くの方に御負担いただく方向になることが日本の国のために、これからの若い方が所得税のこういう急勾配の中で未来に対して、自分たちはこれから急速に税金が上がるのではないかという御不安というものを解消することにもなります。また、お年を召した方々が、社会福祉ビジョンというものをお示ししたのに対して、世の中でよく、こんな夢みたいなことを言っているけれどもこれは実際負担する人がないよというような御不安もあるわけなんです。
 そういうことじゃないんだ、全体としてこういう形にすれば、若い方がこれから中堅所得者になっていく、社会の中堅になっていくときはこういうことで済むのだ、またお年を召した方にとっては、それで本当に安心した政府が描いている福祉ビジョンというのはやっていけるのだ、こういう両方の御安心に結びつくことであって、私どもは隠さないで全部お話ししております。
 ですから、言いにくいことは全部言っております。これはひとつ御理解をいただきたいと思いますし、特に申し上げておきたいことは、比率が先にありきではございません。比率先にありきではなく、私たちはまず、今まで御議論のあったような中の所得税では、これからの長寿社会をしっかり社会の中に溶け込ませていくには、本当に働く方に元気を出していただくためには、少し無理があるということを申し上げているわけであります。
 負担率が低いというのは事実でありまして、このことは私はいいことだと思います。しかし、それは日本の長寿化が進んでいないからなんでございまして、これはそれでずっと済むのではなく、やはりこれからの長寿社会、ヨーロッパ的な長寿社会になったときにはおのずから数字が変わってくるということも、はっきり私たちはお出ししているということも申し上げたいと思います。
 また、機械的計算についてでありますが、私たちは七%が初めにありきではございませんで、これも何回も申し上げておりますように、これから皆様でいろいろ議論していただく、だから政策選択は一切入れないでやっている。ただし、税制調査会が消費課税の充実と所得課税の軽減ということ、そしてこれによって財政体質を悪くしないということ、そして福祉の充実に的確に対応できる、この三つをまず前提にしてはじきなさいと言われたからはじいておるわけでございます。
 もちろんそこに、今御議論になっておりますこれからの税制、いわゆる世に言う不公平、我々で言う政策減税をどう直すか、行政改革をどうするか、財政の体質をどう直していくかというようなことは入れてございません。入れてございませんということは、やりませんということとは全然違うわけでありまして、政策判断を入れないで、機械計算を出して、それによって皆様方の御議論でこれを直していこうじゃないか、こういう趣旨であることもひとつ御理解をいただきたいと思います。
#196
○永井(哲)委員 主権者である国民の前にあらゆる材料をいろいろな形で提示していくということで、例えばこれも前にもお聞きいたしましたけれども、こういうような不公平税制といいますか、こういった税制をもっと手直しするといいますか、そうするだけでこういった財源が生まれるといった試算というものも、これはある項目をきちっと具体的に提示すれば、その試算というものをやっていただけるのでしょうかどうか。
#197
○藤井国務大臣 私どもは、政策減税として今約二兆円あるということはお出ししております。六千億が住宅取得減税、約四、五千億が生命保険、損害保険、そして約五千億が租税特別措置というようなものは出しておりますが、今御指摘の話の中には、それ以外のものもどうか、こういう御議論だと思います。それについては、先ほど秋葉委員からもお話ございました中で申し上げましたように、例えば消費税の中小企業特例について出せるものは先ほど御説明をした次第でございます。
#198
○永井(哲)委員 では、ある程度こういったところでどれだけの財源を得られるのかといったものをお聞きすれば、そういった試算はやっていただけるのでしょうか。
#199
○藤井国務大臣 永井委員が何を不公平というふうに考えておられるかということでございますが、例えば引当金でございますね。貸倒引当金というようなものは、これはまさに制度でございますから、それが不公平であるということは言えないと思っております。
 そういう点はひとつ御理解をいただきたいと思いますが、例えばこういうものが不公平ではないのかということについて、試算が可能なものはお出しできると思いますが、私は、今申し上げたような貸倒引当金というようなものは、不公平というよりもまさに企業会計原則そのものではないかというふうに考えている点もひとつ御理解をいただきたいと思います。
#200
○永井(哲)委員 私が言っているのは、いわゆる不公平ということで、それ自体が不公平ということで断定しているわけではございません。
 そういう中で、いわゆる不公平と言われているものが総額どのくらいあるのか、そしてそれが一体本当に不公平なのかどうなのか、これはきちっとその類とその質を分けて議論する必要があると思います。その中でどのくらいの量になるのか、これがなかなか明らかにはならないです。その点、そういった意味で明らかにしていただけるのか、機械的な試算をやっていただけるのか、そういった聞き方をしているわけであります。
#201
○藤井国務大臣 いわゆる不公平というのが実はよくわからないのでございますけれども、今申し上げたようなものは不公平ではないと私どもは考えております。
 また、不公平税制という中に私実際感じておりますのは、制度と執行があるわけでございますね。執行については先ほども御質問があったように、今国税庁からも御説明いたしましたように、世にクロヨンなどというものはあるはずがない、非常にみんな努力しておる。しかし全くないとは言わない。それを適正に課税するように最大限の努力をして働いているのが国税の職員であると考えております。
 また、制度につきましては、実は何が不公平かということは、いろいろな方によってとらえる対象が違うのでございますけれども、私どもは今申し上げました政策減税以外には不公平と言われるものはないのではないかと考えておりますから、ひとつその点は御理解をいただきたいと思います。
#202
○永井(哲)委員 やはり主権者である国民が適正に判断できる、そういった材料をあらゆる努力をして大蔵省の方にも提示していただきたいと思います。何といってもこれから痛みを覚えるのは国民であります。そして、それには行政改革、財政改革というものも必要であります。規制緩和の中で、ダイエーの中内社長さんが、お役人はできない理由ばかり考えているといったような批判もいたしました。そういうことにならないように、そして本当にしっかりと理解が得られる、それには十分な材料がないといけない、そのことを言いまして私の方の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
#203
○宮地委員長 次に、佐々木陸海君。
#204
○佐々木(陸)委員 きょう最後の質問者でありまして、時間も二十分と限られておりますから、答弁はひとつ簡潔によろしくお願いいたします。
 最初に、法案に直接関係ない問題ですが、変額保険の被害者の救済の問題について一言質問をしたいと思います。
 変額保険の問題というのは、もう詳しく申し上げるまでもありませんが、あのバブルの時期に大蔵省の認可のもとで売り出された一つの保険でありまして、銀行そして保険会社がいわば連携をして、土地などを担保に多額のお金を銀行が貸し出して、それで保険会社はそれをいろいろに運用して、いわば定額の保険よりもずっといいものが返ってくる可能性もあるけれども返ってこない可能性もあるというあの保険の問題であります。議事録を繰ってみますと、去年の五月、六月、当委員会でもあるいは商工委員会でもいろいろ論議をされ、被害の問題が議論をされております。
 それから一年たちましたけれども、その一年の間にも事態はいろいろ進行しておりまして、私たちのところにもこの変額保険の被害に対する被害者の皆さんからの非常に切実な訴えが届いております。
 ちょっと読み上げますと、「私達は相続税対策になると騙されて変額保険に入り、その時から巨額の負債を負う身となり、日々膨らみ続ける負債のために窮迫の日々を過ごし、一寸の心安らぐ暇もなく苦しみ続けております。」「悲惨なる現事態に対して、いまなお自己の利益追及のみに終始する銀行、生命保険会社ら、何ら動かぬ主務省、行政府の怠慢に深い怒りを覚えます。」こういう趣旨の訴えがなされております。
 そしてついにことし三月、横浜の飲食店主をやっていらっしゃる四十八歳の方が焼身自殺なさるという事態もありました。そして、東京地裁がこの三十日に、被害者から訴えられていたこの問題に関して、被害者の側の訴えに道理があるということで被害者勝利の判決を下しております。
 この一連の変額保険の問題に関して、大蔵省、今実態をどのように把握し責任をどのように考えておられるか、簡潔に述べていただきたいと思います。
#205
○山口(公)政府委員 お答え申し上げます。
 東京地裁の判決がこのほど出ました。個々の取引に係る内容についてはコメントは差し控えさせていただきたいと思っておりますが、保険会社は業法に基づきます免許企業でございますので、社会的な役割、それから公共的な側面があるわけでございます。したがいまして、顧客との間で無用の誤解とかトラブルを生じないように努めることは当然のことだというふうに私ども思っておりまして、適正な業務運営がなされるよう指導してまいっているところでございます。
 変額保険は、先生おっしゃいましたように、保険金額が資産運用実績によって変動するものでございます。資産運用リスクは契約者が負担するということになりますので、変額保険の販売に際しましてはリスクの説明を十分に行うよう生命保険会社を指導してきたところでございます。また、保険料ローンを利用した保険の募集についても、行き過ぎたものとならないように、平成三年以降は生命保険各社において保険料ローンによる変額保険の取り扱いは自粛しているというふうに聞いて、そういった指導をしてまいっているところでございます。
#206
○佐々木(陸)委員 保険会社を適切に指導してきたということですか。
#207
○山口(公)政府委員 変額保険の発売は六十一年から認めてきたわけでございますが、その売り出しに際しまして、その時点から私どもの方は、将来の運用成績について断定的な判断を提供してはならない、あるいは将来を予測する行為をして誤解を招いてはいけないとか、保証をするというようなことをしちゃいけません、こういうことをはっきり説明しなさいということを通達を出してきております。
 また、その後もいろいろとローンに関する問題がございましたので、六十三年にはさらに、保険料ローンに代表されるような財テクを勧めるような保険本来の趣旨を逸脱した提携は行えないようにしなさいという指導もしてきております。
 それにもかかわらずこういった事件が起きたことは非常に残念でございますが、一層適正な募集を行うよう指導してまいりたいと考えております。
#208
○佐々木(陸)委員 今そういうふうに説明がありましたけれども、まずこれは大きなリスクを伴うことだと最初からわかっていたもので、ですから十分にその危険性についても説明しなさいという指導もしてあったはずなのです。
 ところが、今度の判決ではそういうことがちゃんとなされていなかったということを認定してやっているわけですから、やはりその指導が隅々まで行き届いていなかったという点では、重大な責任を、こういう危険を伴う保険を認可した大蔵省の責任というものは当然問われるわけです。その観点から、今被害者がいろいろ団体をつくって活動しておられますけれども、そういう被害者の皆さんに対しても本当に誠意を持って対処する必要があるということを求めたいと思うのですが、その点、もう一度御答弁を願いたいと思います。
#209
○山口(公)政府委員 変額保険そのものにつきましては、六十年の保険審議会答申にも御指摘いただいておりますが、国民の金利選好の高まりとか生存保障ニーズの増大を背景としてその必要性が認められ、生まれてきたものでございます。諸外国でも広く認められているものでございます。
 ただ、今おっしゃいましたように、いろいろリスクがあるということを十分に説明しなければいけないということで、その徹底を図ることがともに大切だと思っておりまして、いま一段とその辺の指導を強めていっているところでございます。
#210
○佐々木(陸)委員 今のその被害の実態などについて、何か具体的に調査して把握しておられますか。
#211
○山口(公)政府委員 訴訟の件数で見ますと、私どもの把握している件で八十七件でございます。既にそのうち判決が出ているものが二件ございます。そういった状況と心得ております。
#212
○佐々木(陸)委員 被害者の状況についても、まともにつかんでいるとは正直言って言えないと思います。国民生活センター及び各県の消費者センターに寄せられた苦情の件数も、平成五年度でも九十五件、この五年間で二百三十六件に上っている。裁判も二百件と言われています。私ももちろん詳しく調べているわけではまだありませんけれども、こういった問題は実際に深刻な問題として存在するわけですから、大臣、これはしっかり指導するという答弁をしていただきたいと思います。
#213
○藤井国務大臣 この制度は諸外国でも認められておるし、保険審議会の議も経てはおります。しかし、今保険部長が申しましたように、これが危険性を伴うものであるということをその販売に当たって十分言っていない面もあるようでございますし、またその保険料にローンをつけるというやり方等も承知をいたしておりますが、一層厳重に指導してまいります。
#214
○佐々木(陸)委員 それでは、次にいわゆるやりくり法案について若干御質問いたします。
 今度の法案は、合計七つの措置で五兆円以上の財源を捻出しようとするものであります。詳しく聞いていると時間がありませんからこちらで申しますが、国債費の定率繰り入れの停止は二年連続十回目、それから政管健保への国庫補助の繰り延べは二年連続七回目、承継債務の償還延期は三年連続三回目、それから自賠責特会と造幣特会からの繰り入れ特例は十一年ぶり二回目、そして国民年金と雇用保険の国庫負担金の繰り延べは初めて。ともかくあらゆるやりくり算段をして、必死になって取り繕ったという感じが非常に明確でありまして、そういうやりくりの集大成というべきものがここに出ているのではないかということを言わなければならぬと思うのです。
 実際問題として、こういう問題がこうやってそろって法案に出された場合に、かつての例を見ますと、これは大蔵だけでなくて厚生、労働、運輸などもかかわる問題ですから、だから連合審査なども行われて、数日間の時間もかけてこの委員会でも審議をされるという経過もありました。それが、余りこのやりくりが毎年毎年というのか続いてきているので、もう何というのか当たり前みたいになってしまって、一日で審議される。国会の運営の問題について大臣に何か言うつもりはありませんが、そういうとんでもない事態になっているという問題については、大臣から一言反省の弁を述べていただきたいと思います。
#215
○藤井国務大臣 御指摘のように、これはやりくり法でございます。私は、望ましい姿とは全然思っておりません。しかしこのようにならざるを得なかった、累年の結果こうならざるを得なかったということを本当に残念に思っておりますが、我々としては、先ほど来お話し申し上げましたように、何とかこの財政体質を直す最大限の努力をしていかなければいけない、こういう気持ちで今提案させていただいております。
#216
○佐々木(陸)委員 減債制度の基本として位置づけられている国債定率繰り入れの停止措置、これは今度と同じように、来年度以降はもう続けることができませんね。
#217
○竹島政府委員 今回は、定率繰り入れの停止をそのままにしておきますと国債整理基金の資金繰りに支障を来すために、NTTの無利子貸し付け事業の繰り上げ償還ということでその手当てをさせていただいておりますけれども、そのような手当てというのはもう今回限りでございますので、七年度以降定率繰り入れの扱いをどうするかは今の段階で申し上げられませんけれども、今回と同じような形での措置というのはできません。
#218
○佐々木(陸)委員 大蔵省の試算によると、来年度は三兆二千億円からの国債の問題が深刻な問題として出てくることは非常にはっきりしていると思います。
 それから、特別会計からのやりくりの問題でも、もう限界だと思うのですけれども、今度の自動車賠償責任保険特別会計からの繰り入れ措置、これは十一年前に論議されたときに、議事録を見ますと、国によるドライバーのお金のピンはねだとか泥棒だとかいう言葉まで当時の会議録に載っておりまして、大蔵省の方も、人間貧乏するとただただ信用がなくなるということで、必死に答えているというような問題があるわけです。
 こう指摘されるのは当然だと思うのですね、もともと用途が全然違うものなのですから。これはもう本当に異常で、こんなことをやってはならぬ。ことしも私はやることに反対ですけれども、来年度以降はもうこんなことは絶対にやらないとはっきり約束していただきたいと思います。
#219
○竹島政府委員 来年度以降の予算編成、大変厳しいものが予想されますが、では具体的にそのためにどういうことをするかということを今申し上げるのは困難でございます。
 御指摘の自賠責につきましては、今回は自賠責の積立金の運用に将来支障のないように、金利分も含めまして必要な事態にはお返しをする、こういうことにさせていただいておりますので、何とぞ御理解をいただきたいと思います。
#220
○佐々木(陸)委員 当然、来年度以降にまたこんなことを繰り返すことはすべきでないということをはっきりさせておきたいと思うのです。大体、二兆円もの積立金を抱えていること自体が本来異常でありまして、財政に余裕があるなら直ちに保険料率の引き下げ、あるいはその他のさまざまな形での契約者への利益を図る、そういうことを当然すべきだと思うのですが、運輸省、見えていますか。
#221
○加藤説明員 お答えを申し上げます。
 先生ただいま御指摘のように、自賠責特会におきましては、支払い上現金に余裕があるときにはこれを資金運用部に預託することが認められておりまして、これに伴って運用益が生じてくる、こういうことになっております。そして、平成四年十二月の自動車損害賠償責任保険審議会におきましては、この運肝益につきまして、先生御指摘ございましたように保険料の引き下げ、これは翌年の平成五年四月から実施したものでございますが、それの財源に充てるということにいたしまして、そのとおりにいたしたところでございます。
 また、五年度以降に新規に発生する運用益もございます。保険料の引き下げに充てましたのは平成四年度末の運用益でございますが、将来にわたって運用益が発生する可能性がございますけれども、それにつきましても保険料の引き下げ等自動車の保有者に還元するための財源として使え、このような御指摘を自賠責保険審議会からもいただいておりまして、そのようにいたすことにいたしております。したがいまして、今回の一般会計への繰り入れにつきましても、そのような形でもって支障が生じないように、将来にわたってはっきりと一般会計からお返しいただく、金利を付してお返しいただく、このような格好になっていることでございます。
#222
○佐々木(陸)委員 これはもう本当にきっちりさせていただきたいと思います。
 ところで、大蔵大臣にお伺いしたいと思うのですが、こんなにやりくりが大変になっている。それも、十一年ぶりでやるとか二年連続十回目とか三年運続三回目とか、いろいろなことをやる。その財政的な行き詰まりといいますか、この大きな原因は一体どこにあるとお考えになっていますか。
#223
○藤井国務大臣 古くからたどればいろいろなことがあると思います。大体、赤字国債を初めて出したのは昭和五十年補正でありますから、そのころからいえばいろいろな原因があると思います。
 しかし、ここ数年で例をとるならば、バブルによる、いわゆるその後に来た不況、資産インフレのはね返りである不況、これは循環的不況と、そういう構造的と申しましょうか、資産インフレのはね返りとしてひずみが生じていることから来る面が非常に大きいと思います。
#224
○佐々木(陸)委員 それだけですか。つまり、率直に言いまして、こういう財政の状況を見ますと、今大蔵省が消費税の税率アップを含めた税制改革なるものにやっきになっているその気持ちはよく、よくわかると言ってしまうと語弊がありますが、わからぬでもないのですけれども、景気がよくなってくればこういう問題は全部解決してしまうのだ、そんな単純なものではないのではないですか。
#225
○藤井国務大臣 いろいろな経費について、収支のバランスがとれないままに行ってきたことがあると思います。
 例えば公共投資、これは景気対策のためにどうしてもやらなければならない。公共投資は建設国債ではありますけれども、その金利は赤字国債であろうと建設国債であろうと出てくるものでございます。そういうものなども、景気を何とか戻さなければいけないということから目いっぱいのことをやったこと等々があわせて響いていると思います。
#226
○佐々木(陸)委員 もう時間もありませんけれども、私自身もこういう財政の状況を率直に見まして、今税制改革などと言っています。大蔵大臣もきょうの答弁なんかでも何度か繰り返されましたが、戦前は間接税中心主義だった、戦後は直接税中心主義だ。そこまで言って、今そこをやはりかなり変えなければいかぬ、戦後の一つのシステムというようなものを、やはりそれなりに変えていかなければならぬというところに来ているという認識を持っているとも受け取れるような発言をしています。実際、この財政の状況を見ても、これまでのシステムとそのシステムに基づく経済の運営というようなものを大きく考えなければならぬ、検討し直さなければならぬ時期に来ていることは私も間違いないと思うのです。
 しかし、それを本当に検討すべきときに、自民党政権にかわる新しい連立政権ができたのはよかったのですけれども、少数与党内閣というようなことになってしまって、この少数与党内閣が、戦後続いてきたこのシステムの変更とかいったようなものを簡単に決めて実行していく、あるいは宣伝の先頭に立ってその方向に世論を無理やり誘導していくというようなことは、決してあってはならぬ。やはり、こういう戦後のシステム全体を今考えていこうという時期に、国民とともに、本当に国民に信を問いながら前進しなければならぬということを強く要望したいと思うのですが、その点、大蔵大臣、一言。
#227
○藤井国務大臣 連立内閣第一の発足以来、前総理が掲げられた政治の改革、経済の改革、行政の改革、こういうものについては一つ一つ芽を出し始めて、政治の改革はある程度まで来ております。そのほかの改革についてもそれぞれ芽を出し、その方向づけができつつありますが、御指摘のように私どもは少数与党であります。したがいまして、私たちとしては、この今の方向というものを多数である野党の皆様方に御理解をいただく最大限の努力をしていくことが、今一番私たちの選択すべき道だと思っています。
#228
○佐々木(陸)委員 一昨々日の本委員会で、大蔵大臣のというのか、総理の本会議での発言などで、全会一致の議決についての苦情を一つ申し上げましたけれども、きょうのある新聞に、「大蔵省は減税臨時特別措置法の附則で抜本的な税制改革」、あの附則では、「抜本的な」は所得減税にかかっていて税制改革なんかにはかかっていないのですけれども、この新聞は誤解して、「抜本的な税制改革と恒久減税の実現をセットでうたったのをタテに「あれこそ与野党共通の意思」(藤井蔵相)と力説、減税継続−消費税率アップの同時決着を譲らない構え」だと出ていますが、一昨々日私が注意した後、藤井さんは述べられたのではないと思いますけれども、重ねて注意を喚起しておきたいと思います。
#229
○藤井国務大臣 前委員会において佐々木委員が御堂の立場を表明されたことは、よく承知をいたしております。
#230
○佐々木(陸)委員 それでは最後に、お許しを得まして、法案に対する我が党の態度を述べて、終わりにさせていただきたいと思います。
 いわゆる財政運営のやりくり法案については、私たちは反対です。
 第一に、二年連続の国債費定率繰り入れ停止は、赤字国債発行を表面上避けるためのつじつま合わせにすぎず、かわりに建設国債の発行に置きかえられており、財政危機を一層深刻にするからです。また、これは現行の減債制度の基本をないがしろにするものであり、将来の国債償還財源を不安定化し、国債残高の累増の歯どめを失わせるものです。
 第二に、国民年金、政管健保、雇用保険、自賠責特別会計及び承継債務など特別会計からの繰り入れや本来行うべき国庫負担、借金返済の繰り延べ等の異例ながき集め策は、当面の財政破綻を糊塗するものの、国民財産の食いつぶしと繰り延べ期間の利子負担を含め将来の国民負担増となる隠れ借金そのものでありまして、認められません。
 第三に、政府は深刻な財源対策のためやむを得ないと言いますけれども、九四年度予算案は、軍拡継続、大企業奉仕を貫く一方で、生活者重視とは裏腹に、国民に一層の犠牲を強要しています。このような予算財源に、国民本位の財源対策もとらず、大増税など将来の国民負担を増大させる隠れ借金等を重ねる措置は断じて認められません。
 なお、我が党は、自己株取引を一定の条件のもとで解禁する本体の商法改正案には反対する方向であります。しかし、もし商法改正が成立した場合、自己株式取得が認められることに伴って予想されるインサイダー取引等の不正行為を規制するとともに、投資家保護のために一定の開示制度を設ける本証券取引法改正案については、相場操縦に関しての具体的な禁止措置が見送られる等不十分な点はありますが、反対するものではありません。
 また、株式累積投資についての取引報告書の簡略化についても、あえて反対するものではありません。したがって、本法案には全体として賛成する方向であることを申し添えておきます。
 以上で私の質問を終わります。ありがとうございました。
#231
○宮地委員長 ただいま議題となっております両案中、内閣提出、平成六年度における財政運営のための国債整理基金に充てるべき資金の繰入れの特例等に関する法律案に対する質疑はこれにて終局いたしました。
 次回は、来る七日火曜日委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後四時三十七分散会
     ――――◇―――――
ソース: 国立国会図書館
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