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1994/02/16 第129回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第129回国会 本会議 第4号
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1994/02/16 第129回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第129回国会 本会議 第4号

#1
第129回国会 本会議 第4号
平成六年二月十六日(水曜日)
    ―――――――――――――
 議事日程 第三号
  平成六年二月十六日
    正午開議
  一 国務大臣の演説
    …………………………………
 第一 水道原水水質保全事業の実施の促進に関
    する法律案(第百二十八回国会、内閣提
    出)
 第二 特定水道利水障害の防止のための水道水
    源水域の水質の保全に関する特別措置法
    案(第百二十八回国会、内閣提出)
    ―――――――――――――
○本日の会議に付した案件
 細川内閣総理大臣の帰国報告
 藤井大蔵大臣の財政に関する演説
 国務大臣の演説に対する質疑
 日程第一 水道原水水質保全事業の実施の促進
  に関する法律案(第百二十八回国会、内閣提
  出)
 日程第二 特定水道利水障害の防止のための水
  道水源水域の水質の保全に関する特別措置法
  案(第百二十八回国会、内閣提出)
    午後零時三分開議
#2
○議長(土井たか子君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
 国務大臣の演説
#3
○議長(土井たか子君) 内閣総理大臣から帰国報告、大蔵大臣から財政に関する演説のため、発言を求められております。順次これを許します。内閣総理大臣細川護熙さん。
    〔内閣総理大臣細川護熙君登壇〕
#4
○内閣総理大臣(細川護熙君) 私は、二月十日より米国ワシントンを訪問し、十一日にクリントン大統領と三回目の日米首脳会談を行い、十三日に帰国をいたしました。
 今回の米国訪問は、日米包括経済協議の一つの節目に当たったため、首脳会談の直前まで双方の交渉者間で昼夜を問わず交渉が重ねられるという緊迫した状況のもとでの訪問となりました。
 当初同行を予定していた羽田副総理兼外務大臣は予定を一日繰り上げてワシントンに入り、ゴア副大統領、クリストファー国務長官、ベンツェン財務長官、カンター通商代表とそれぞれ会談をいたしました。
 しかし、包括協議の中のいわゆる優先分野の問題、すなわち政府調達、保険、自動車・自動車部品の三つの分野別の問題では、客観的基準と数値目標との関係をめぐって、今回の首脳会談までには両国の立場の一致点は見出されなかったところでございます。
 このような状況の中で、私は、十一日にクリントン大統領との間で、昼食も含めて二時間以上にわたり会談を行いました。
 この会談では、今日の日米関係の幅と深みを反映して、二国間の経済問題のみならず、北朝鮮、中国、ロシアなどの国際情勢やグローバルな協力に至るまで、幅広い分野にわたり率直な意見交換をいたしました。一言で申し上げて、よい会談であったと思っております。
 焦点の日米包括経済協議については、私の方から、細川内閣の基本的方針として、発足当初より規制緩和などの改革を追求しており、数値目標の設定は、このような政権の改革の基本方針と相入れないものであることを意を尽くして主張をいたしました。これに対してクリントン大統領も、米国の立場を主張されましたが、結局、日米包括経済協議については、双方の合意の上で、しばらく冷却期間を置くことになったところでございます。
 しかしながら、クリントン大統領と私は、日米関係は国際社会全体にとって極めて重要な関係であり、経済面で意見の不一致があろうとも、これまでの日米友好関係の歴史を踏まえ、極めて良好な状況にある政治・安全保障の分野やグローバルな問題についての日米間の協力関係が損なわれることがあってはならないとの認識で一致したところでございます。
 さらに、環境や人口、エイズなど、日米が取り組むべきグローバルな課題について、両国が協力していくことを確認したことは、会談の重要な成果であったと考えております。具体的には、人口、エイズの問題で、日米両国は、今後七年間にわたり百二十億ドルの国際協力を実施することとなりました。
 北朝鮮の核開発疑惑については、米側より、中長期的に朝鮮半島の非核化を確保していくことが重要であり、日本との協力を重視していること、また、来るIAEAの理事会の結果によっては国連安全保障理事会において問題が取り上げられる可能性も排除できないので、日本との連絡を緊密に維持していきたいとの話がございました。これに対し、私からは、問題が国連安全保障理事会で取り上げられる場合には、可能な限りの対応をする旨答えたところでございます。
 なお、今般、北朝鮮がIAEAの要請する査察を受け入れたことは、御承知のとおりでございます。
 ロシアについては、米側より、エリツィン大統領の民主化、市場経済化に向けての努力及び外交政策を改革していこうとするロシア側の努力を支援していく必要性がある旨言及があったのに対し、私からも、我が国のロシアに対する支援の努力を紹介いたしました。
 最後に、私の方から、天皇皇后両陛下の本年中の米国訪問について米側の協力を要請したのに対し、大統領からは、両陛下の御訪米の成功に向け、できる限りの歓迎をしたいとの発言がございました。
 また、私から、大統領に対し、来年の日本への訪問を招待したのに対し、大統領は、これに感謝するとともに、再び訪日できることを楽しみにしている旨答えられたところでございます。
 日米首脳会談の後、私は、ジョージタウン大学で政策演説を行い、我が国の外交姿勢について、米国の若者に直接語りかける機会を持つことができました。演説では、日本の「内からの改革」を説明し、この改革が我が国自身の利益にかなうのみならず、日本の国際社会における責任と調和するものであること、第二に、この「内からの改革」は、日本の対外関係にも反映され、より安定した平和な世界を築くために日本がよりダイナミックな役割を果たすことにつながるということ、第三に、我が国は、地域紛争の予防と解決や環境問題また人口問題といった地球的規模の問題への取り組みなどの
分野で一層の役割を果たしていく決意であること、また、我が国が核武装をすることはあり得ないということ、第四に、世界で最もダイナミックな地域であるアジア・太平洋において、日米協力の大きな展望が開けつつあること、第五に、日米のパートナーシップを支えている人間的なきずなに関心を払いつつ、日米関係の強化に取り組む決意であることなどを強調したところでございます。
 また、私は、限られた時間ではありましたが、ミッチェル上院民主党院内総務、ドール上院共和党院内総務、フォーレイ下院議長といった米国連邦議会の指導者を初め、米国各界の要路と直接話し合う機会を設け、私の政治姿勢や私が推進している改革を説明するとともに、幅広く意見の交換をしてきたところでございます。
 今回の私の訪米は、従来になく厳しい状況の中で行われましたが、包括経済協議をめぐる率直な議論を通じ、日米両国は、それぞれのなすべきことを自覚してみずから進んで最大限の努力を行うが、それにもかかわらずできないことについてはそれを率直に認め合うといった、これまで以上の信頼感に裏打ちされた関係への幕あけを示す一つの時代を画するものになったと思っております。(拍手)
 同時に、このような日米関係をさらに発展させていくためには、我が国が、みずからのなすべきことについてより一層の自覚と責任感を持ち、みずから積極的にやるべきことはやっていくとの意思を明確にする必要があると思っております。今後は、日米間の意思疎通をこれまで以上に率直で忌憚のないものにしていくとともに、国際社会における日米。パートナーシップの重みを十分踏まえ、我が国が、我が国としてとるべき措置を自主的に取り進めていくことが重要と考えております。
 私は、この内閣の発足以来、政治・経済・行政面での構造改革の断行を国民から託された歴史的使命ととらえ、その実現のために邁進してまいりました。今後も、規制緩和を積極的に推進し、開かれた社会の創造と国民生活の向上のために最大限の努力を行っていく所存でございます。今回の包括経済協議の結果は結果として、我が国としてとるべき措置については積極的に行っていく所存でございますので、議員各位の御理解と御協力をお願いを申し上げる次第でございます。(拍手)
    ―――――――――――――
#5
○議長(土井たか子君) 大蔵大臣藤井裕久さん。
    〔国務大臣藤井裕久君登壇〕
#6
○国務大臣(藤井裕久君) 今般、さきに決定されました総合経済対策を受けて平成五年度補正予算(第3号)を提出することとなりました。その御審議をお願いするに当たり、補正予算の大要を御説明申し上げます。
 まず、最近の経済情勢とさきに決定されました総合経済対策について申し述べます。
 我が国経済は、依然として厳しい状況にありますが、好調な住宅建設と公共投資が景気を支える中、在庫調整や資本ストック調整が進展するなど、回復への機運が着実に熟しつつあります。政府としては、こうした回復の芽を大きく膨らませ、我が国経済を平成六年度中のできるだけ早い時期に本格的な回復に移行させ、七年度以降の安定成長を確実なものとするため、去る二月八日、十五兆円を上回る史上最大規模の総合経済対策を決定いたしました。
 今回の対策におきましては、まず第一に、現下の極めて厳しい財政事情のもとではありますが、五兆八千五百億円の所得減税の実施等を行うとともに、公共投資等の拡大、住宅投資の促進など、可能な限り最大限の内需拡大策を講じております。第二に、課題を抱える諸分野に重点的かつきめ細かな対応を行うため、土地の有効利用の促進、中小企業の構造調整等の支援、農業の国際化への対応、雇用の安定の確保、金融・証券市場の活性化等に関する施策を展開しております。第三に、我が国経済の将来的な発展環境を整備していくため、新規事業の拡大等につながる規制緩和の推進や新規産業の創出と発展への支援を図ることといたしております。
 以上のように、本対策は、質量ともに充実した文字どおり総合的な経済対策であり、こうした幅広い諸施策を一体として実施しつつ、平成五年度第三次補正予算及び平成六年度予算を通じて可能な限り景気に配慮するよう努めることにより、先行きに対する不透明感を払拭し、我が国経済の本格的な回復に大きく資するものと確信しております。
 次に、財政改革の推進について申し述べます。
 我が国財政は、巨額の公債残高を抱え、国債費が政策的経費を圧迫するなど構造的にますます厳しさを増しておりますが、これに加え、平成四年度決算において税収が戦後初めて二年連続して減少し、約一兆五千億円の決算上の不足を生じ、また、その後の税収動向も引き続き極めて厳しいものと見込まれるなどまことに深刻な状況に立ち至っております。
 今後急速に進展する人口の高齢化や国際社会における我が国の責任の増大など、今後の社会経済情勢の変化に財政が弾力的に対応していくためには、引き続き健全な財政運営を確保しつつ、公債残高が累増しないような財政体質をつくり上げていくことが基本的な課題であり、今後とも財政改革を強力に推進してまいる所存であります。
 次に、今国会に提出いたしました平成五年度補正予算(第3号)の大要について御説明申し上げます。
 さきに御説明いたしました総合経済対策の一環として、一般会計につきましては、歳出面において、一般公共事業関係費の追加として一兆五千億円、各種の施設費等の追加として四千二百一億円を計上するとともに、中小企業等特別対策費八百二十二億円、国際化対応緊急農業対策費一千四百三十八億円、産業投資特別会計へ繰り入れ等百九十一億円、都市開発資金融通特別会計へ繰り入れ二百九十一億円を計上しております。このほか、明るい選挙推進委託費十八億円を計上しております。
 他方、歳入面におきましては、総合経済対策に盛り込まれた公共事業関係費の追加に対応するもの等につき、やむを得ざる措置として建設公債二兆一千八百二十億円を追加発行することといたしております。
 これらの結果、平成五年度第三次補正後予算の総額は、歳入歳出とも第二次補正後予算に対して二兆一千八百五十二億円増加して、七十七兆四千三百七十五億円となっております。
 以上の一般会計予算補正等に関連して、特別会計予算及び政府関係機関予算につきましても、所要の補正を行うことといたしております。
 財政投融資計画につきましては、総合経済対策を実施するため、この補正予算において、住宅・都市整備公団、公営企業金融公庫等十六機関に対し、総額八千四百四十九億円の追加を行うことといたしております。
 以上、平成五年度補正予算(第3号)の大要について御説明いたしました。
 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださるようお願い申し上げます。(拍手)
     ――――◇―――――
 国務大臣の演説に対する質疑
#7
○議長(土井たか子君) これより国務大臣の演説に対する質疑に入ります。橋本龍太郎さん。
    〔橋本龍太郎君登壇〕
#8
○橋本龍太郎君 私は、自由民主党・自由国民会議を代表し、今回提出された平成五年度第三次補正予算並びに当面する問題について質問いたします。
 先般、政府は総合経済対策を発表し、それに基づき、本日、平成五年度第三次補正予算を提出したのであります。私は、まず、細川総理に対し、国民生活の実態を無視して経済対策の決定が大幅
におくれた結果、一段と深刻化した不況の責任を問わねばなりません。
 一昨年より長期にわたって低迷を続けてきた日本経済は、急激な円高に加え、冷夏、長雨などの異常気象、災害により米を初め農作物への影響が加わり、農村の不安は一層高まり、戦後最大の不況は深刻な様相となっております。
 我が党は、こうした経済情勢に対処して、昨年九月以来十二月まで四次にわたって、十兆円規模の緊急総合景気対策を策定し、景気回復のための追加施策を細川総理に強く要請しました。しかるに、政府は、九月十六日緊急経済対策を決定しながら、二カ月半も経過した十一月三十日に至ってようやく第二次補正予算を国会に提出しましたが、その内容は九月に決定した六兆円規模の対策にすぎませんでした。
 我が党は、細川総理に対して不況に対する認識の甘さを強く指摘し、四兆円規模の追加予算組み替え動議を提出したのでありますが、遺憾ながら連立与党によって否決されたのであります。その際、総理は国会において、景気対策は第二次補正で十分であり、第三次補正は行わないと発言しておられたのでありますが、経済情勢はますます悪化してまいったのであります。
 そこで、我が党は、十二月十六日、改めて景気に十分配慮した平成六年度予算の年内編成を細川総理に強く申し入れたのでありますが、政府は、政治改革法案を成立させることが先で、第三次補正並びに新年度予算の編成はその後であるとの態度を変えず、いわば不況にあえぐ国民生活を政治改革法案の人質として、経済対策の決定を引き延ばしたのであります。
 こうして、細川連立内閣は、我が党の要請を四たびにわたって拒否し、景気回復のきっかけを逃したばかりか、国の予算編成のおくれによって地方団体の予算が編成できないなど、影響は地方へも及んでまいったのであります。
 そこで、本年に入り、もはや一刻の猶予もならないと判断した我が党は、二月二日、総額十五兆円を超える総合景気対策を決定し、大型第三次補正予算の提出、並びに積極財政で平成六年度予算の編成に取り組むよう細川総理に強く要請しました。
 今回、ようやく政府は総合景気対策を決定し、第三次補正予算を提出しました。しかし、年度末ぎりぎりの補正は、恐らくほとんどが来年度に繰り越されるため、繰り越し事務にいろいろ問題があり、実行はかなりおくれるでありましょう。後手後手となった対策が本当に効果を上げることができるか、戦後最大の不況に泣く国民に対して対策のおくれを総理はどう説明されるのか、御見解を伺います。
 次に、総合経済対策のうち、最も重要な所得減税について伺います。
 政府は、今回、平成六年度限りの措置として、五兆四千七百億円の所得税、住民税の特別減税を実施することとしましたが、これが決定されるに至った経緯であります。
 細川総理は、二月三日未明、唐突として記者会見を行い、五兆三千億円の所得減税を行うが、その財源として消費税の名前のみを変えた税率七%の国民福祉税を創設すると発表されました。国民すべてが眠りについた深夜にこの重大な政策が発表されること自体が異常であることに加え、そのプロセスにおいて連立与党内のごく少数の人々により密室で決定され、しかも、翌日になりたら連立与党内の調整がつかないということで即日白紙撤回されたのであります。
 その後、細川総理は、連立与党によって国民福祉税の創設を否認せられたおわびの記者会見をされましたが、総理大臣という重い立場で一度決定されたことが連立与党によっていとも簡単に否定され、実行できなくなった責任を国民に対してどう説明されるのか。私は、おわびの記者会見ぐらいで納得するわけにはいきません。この間の経緯について、細川総理のきちんとした説明を伺いたいと存じます。
 次に、所得減税の内容についてであります。
 細川総理は、昨年九月三日、政府税制調査会に出席して、所得税減税を含めて直間比率の是正など税制の抜本的改革について十分な審議を行うことを要請されましたが、今回の税制改正について政府税制調査会は、「税制の総合的見直しの具体化を目指して審議を進めてきたが、」「最終的にはその実現が先送りされることとなったのは誠に遺憾である。」との異例の答申を発表されました。所得税、住民税額の単なる二割カットという単純な今回の減税措置が、構築されるべき基本税制とどのようにつながるのか全く不明確であり、その場限りのこう薬張り的な措置に対して政府税調としても異例の見解を発表されたものでありましょう。また、一年限りの措置が景気の浮揚につながるとは到底考えられず、私は、今回の減税の意義を疑うものであります。
 さらに、総理はおわびの記者会見においても国民福祉税構想を捨てていない旨の発言をされました。最初に総理が示された七%の国民福祉税構想を見ますと、平成七年度から導入された増税分はほとんど赤字国債の返還等に充てられ、福祉対策に充てる部分はほとんどなく、目的税案としては全く理解できない、消費税の名前を変えただけの増税案でありました。総理は今もこの国民福祉税構想を推進していこうと考えておられるのか、お伺いいたします。
 また、今回の減税の財源については、何ら具体的な措置を決定せず、平成六年度は赤字国債の発行によって当面補いながら、今後一年を目途に引き続き与党各党間で検討するということですが、政府が決定した減税の財源を政党間の協議にゆだねることは、細川内閣としてまことに無責任と言わざるを得ません。
 我が党が、昨年九月、大型の所得減税の実施を提唱して以来一貫して主張してきたことは、減税の実施に当たっては、まず行政経費の節減に努め、安易な増税を行わず、国民の理解を得ながら、高齢化社会の到来など二十一世紀に向かって所得、消費、資産の間でバランスのとれた基本的な税体系を構築していくことが重要な筋道であり、減税を行うに当たっては当然こうした筋道に沿って行うべきものであると主張してまいったのであります。政府税制調査会もまた、このことについて、「税制の総合的見直しに正面から取り組み、一刻も早くその一体的な実現を図るよう強く要請する。」と言っております。細川総理は、総合的な見直しについて、特に直間比率の問題など基本税制の構築についてどう考えるか、御所見を伺いたいと存じます。
 次に、今回行われた日米首脳会談についてお伺いいたします。
 日本時間二月十二日未明、ワシントンで行われた日米首脳会談は包括経済協議をめぐって合意することができず物別れに終わったとのニュースは、二十六年ぶりの大雪に白一色となった東京で、テレビニュースを通じ大きく報道されたのでありますが、私は、会談の内容に入る前にまずお聞きしたいことがあります。
 細川総理は、会見において、過去日米間において、その場を糊塗するような玉虫色の決着を図ってきたことがあり、それは往々にしてその後の誤解の種ともなったと発言されました。
 御承知のとおり、我が国と米国は、戦後四十八年間、安全保障、政治、経済、あらゆる面で協力し合い、大きな信頼のきずなで結ばれてまいったのであります。しかし、その間においては、お互いに国益を守る立場から、大いに議論し、真剣勝負の末のぎりぎりの場で交渉の決着を図るなど、今日の関係を築き上げてまいりました。こうした先人の労苦を顧みず、それを否定するような言動は許しがたい発言と言わねばなりません。
 また、これまで長期にわたって日米の友好関係をまとめてきたことが子供のようなもので、物別れに終わった今回の日米関係が成熟した大人の関
係だというのは、一体どのような感覚で申されているのか、理解に苦しむところであります。
 まず、これらの点について、総理の明確な御答弁をお願いいたします。
 次に、包括経済協議の内容についてでありますが、そもそもこの協議は、昨年四月、当時の宮澤首相とクリントン大統領の日米首脳会談で設立が合意され、七月の東京サミットに大統領が来日された際合意がなされたものであり、協議期間を二年とし、首脳は半年に一回会談することとして、優先交渉分野を挙げて、二月の首脳会談までの決着を目指し政府は努力してきたものであると理解しております。しかしながら、残念にも結果は物別れに終わってしまいました。
 交渉の経過を聞きますと、我が国対米国の貿易は、ますます我が国の貿易黒字幅が大きくなっていることから米国内の不満が高まり、米国としては、いわゆる数値目標の設定一本に交渉を絞ってきたということであります。しかし、この問題については、我々がこの協議を始めたときから主張しておりますように、自由貿易の原則に反し、ガット体制等の国際ルールにも合致しないし、さらには両国間の将来にとっても好ましい結果をもたらさないと反対の立場をとってまいりました。総理がこの点について受け入れなかったことは、我々としても評価するものであります。
 しかしながら、我々が総理に申し上げたいことは、あなたが政権を担当されて既に六カ月を経過しているのであります。その間には、確かに解決せねばならない大きな問題が横たわっていたことは認めますが、米国に対し理解を求めるため、有効な手だてを十分講じてきたとは言えないと考えるのであります。
 第一線をすべて官僚任せとしてきた結果、最近の米国内の評論は、日本の官僚こそが敵であるといった風潮がうわさされております。なぜ、もっと早い段階において関係閣僚を派遣して、妥協点を探るとか対日不満の原因等を話し合うとかしなかったのか。新聞報道によれば、総理がこの問題を強く認識し出したのはつい最近のことであり、事の重大さに慌てて特使を派遣されたと報道されております。
 先般のガット・ウルグアイ・ラウンド交渉においても、同様の官僚任せと責任回避がありました。ガット交渉の最終段階において、政府は各国の閣僚が死力を尽くして交渉する場を官僚任せとし、最終段階に至って、我が党の要請によりょうやく外務大臣がジュネーブに赴いたのであります。
 こうした細川内閣の外交姿勢は、政治家として我が国の利益を守るために最善の努力を尽くしたとは到底言いがたく、官僚任せの外交交渉であったと考えるのであります。
 また、総理は共同記者会見において、私の政権は発足以来マクロ経済の運営について次々と対策を講じてきている、先般も史上最大規模の総合経済対策を打ち出したと発言しておられますが、これは全く事実に反するものであります。我が党は細川総理に対し、昨年九月より五次にわたって大型景気対策を要請したにもかかわらず、訪米直前の二月二日に至ってようやく対策を打ち出したものであり、米国としてもその経済対策を評価するわけにはいかなかったのでありましょう。
 細川総理の帰国を追いかけるように為替相場は急激な円高となっておりますが、これがこのまま続けば、今回の総合経済対策の効果を一挙に相殺することとなり、日本経済はさらに厳しい局面を迎えることとなります。また、米国は、既に厳しい対日制裁措置の導入を示唆しております。まさにあなたがこの壇上で、一言で申し上げてよい会談でしたと報告されているそのクリントン大統領との話し合いの結果が、こうした厳しい事態を引き起こしたのであります。
 日米包括経済協議は、今後当分の間、頭を冷やしてお互い考える時間を置くということで合意したということでありますが、今後も日米友好関係を損なわず、最悪の事態にならないよう努力しなければならないと考えますが、細川総理はどう対処していかれるおつもりか、お伺いいたします。
 物別れに終わることが大人同士の成熟した関係などと格好よく言っておられるような事態ではないことを、総理はしっかりと認識すべきであります。激動する世界情勢の中にあって、我が国は日米関係を基軸とし、確固たる信頼関係を築いていくことが国の基本政策であります。細川総理は今後この問題にどう取り組んでいかれるのか、見解を伺います。
 次に、首脳会談において、北朝鮮の核開発疑惑問題が取り上げられたとのことですが、お伺いいたします。
 この問題は、我が国の安全保障にとって、さらには北東アジア全域にとって極めて深刻な問題であります。もし仮に、北朝鮮が核弾頭を開発保持し、先般これも開発に成功したと伝えられる一千キロメートル以上飛翔するノドンミサイルに積んで日本に発射したとすれぼ、我が国の中部以西はすべてその射程に入ってしまうのであります。
 二月二十一日までに北朝鮮がIAEA、国際原子力機関の核査察受け入れを認めなかったならば、同機関の理事会が審議し、その結果が国連安全保障理事会に報告され、北朝鮮に対してどのような措置がとられるのかが決定されることになっておりました。それが急遽、昨日ウィーンにおいて国際原子力機関と北朝鮮の間に合意が成立し、報道によれば、北朝鮮は、IAEAによる申告済み核関連施設七施設の査察を受け入れることになったというものであります。
 昨年三月に北朝鮮が核不拡散条約から脱退宣言をして以来緊張が高まっていた核疑惑問題について、国連の経済制裁などの最悪の事態を免れる方向に進んでいることは、我が国にとっても歓迎すべき事態であります。
 北朝鮮が査察受け入れに踏み切った理由は、これ以上強硬姿勢を続けていても、核問題と米国・北朝鮮関係の改善などを話し合う第三回米朝会談が実現に向かうどころか、国際的な経済制裁を招いてしまう局面に追い込まれると見たからのようであります。こうした事態を考えると、我が国としては、本問題について、国連、米国、中国、韓国などと協力しながら平和的解決に向かって国際的に努力してきたことがよい結果になったと考えるものでありますが、なお今後とも推移を注意深く見守りていく必要があると考えます。
 そこで、総理に申し上げたいことがあります。
 総理は、安全保障理事会において制裁措置が決定した場合は、我が国としては国内法の範囲であらゆる対応をとっていくとの考えを示されたとのことですが、もし仮に制裁措置をとることになっ
た場合、総理の言われるように現行国内法の中で効果的な対応ができるのかどうか、私は極めて疑問に思うのであります。国際的にも一番厳しい立場に立たされているのは我が国であり、現行国内法の範囲を超えて新たな立法が必要になる事態も起こり得ると考えるのであります。
 こうした国際的な危機管理の問題について、常々政府を挙げて具体的に検討し対策を講ずることが大きな課題でありますが、その場合、各省庁が横に連絡をとるとともに、これを一つにまとめる省庁がなくては効果を発揮することはできないでありましょう。総理は早急にこうした体制を確立されるべきであると考えますが、総理の御見解を伺います。
 そして、最後に申し上げたいことがあります。
 細川内閣は、昨年八月の成立以来既に半歳を経過しました。我が国は今、厳しい内外情勢の中にあって、困難な課題を一つ一つ解決していかなければならない大切な時期にあります。まさにそのとき、細川総理は、日本の政治を官僚任せとし、みずからは、それを糊塗するために国民の前で言葉と姿のパフォーマンスをお使いになっているように思えるのでありますが、これはまことに残念なことであると申し上げざるを得ません。
 細川総理の心からの反省を求めて、私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣細川護熙君登壇〕
#9
○内閣総理大臣(細川護熙君) 経済対策について初めにお話でございましたが、我が国経済は、循環的な要因やバブル経済の崩壊の影響に加えて円高等の影響もありまして、総じて低迷が続いていることは改めて申し上げるまでもございません。今後の景気回復には予断を許さない厳しいものがあるという認識でございます。
 政府としては、これまでも、こうした厳しい経済情勢の変化に細心の注意を払いながら、累次にわたる経済対策の策定などを通じまして、このたびの景気低迷に可能な限り対処してきたところでございます。特に、今般、連立与党の合意を受けて、五兆四千八百億円という過去に例を見ない大規模な所得減税を盛り込んだ十五兆円を上回る史上最大規模の総合経済対策を策定をいたしましたほか、平成六年度予算につきましても、平成五年度第三次補正予算とあわせて、可能な限り景気に配慮するように努めてきたところでございます。
 政府としては、これらの施策を速やかにかつ着実に実施をしていくなど、経済情勢の変化に十分注意を払いながら、適切かつ機動的な経済の運営に努めることによりまして、我が国経済をできるだけ早い時期に本格的な回復軌道に乗せていかなければならないと考えております。何とぞ第三次補正予算につきましての速やかな御賛同をいただきたいと思っております。
 それから、国民福祉税の経緯と責任についてのお尋ねでございましたが、私の税制改革草案は、高齢化社会におきましても活力のある豊かな生活を享受できる社会を構築するためには、国民一人一人が費用、責任を分かち合うことが必要であり、また、経済社会の活力が十分発揮されるためには、所得、消費、資産などのバランスのとれた税体系を構築することが必要という認識に立って、昨年の秋以来の税制調査会の御審議、政府・与党間における協議の積み重ねを踏まえて発表をいたしたものでございます。
 この草案をめぐる一連の政策決定のあり方につきましてさまざまな御批判をいただいたことにつきましては、率直におわびを申し上げる次第でございます。
 その後行われました与党代表者会議での協議の結果、税制改革につきましては、与党内に協議機関を設置し、「年内の国会において関係の法律を成立させるものとする。」という合意が成立をしたところで、私といたしましては、この与党合意に沿って、引き続き検討を進め、速やかに与党間の合意を得て、年内に税制改革が実現されるように最善の努力をしてまいりたいと思っております。
 国民福祉税の今後の取り扱いいかんということでございましたが、さきに申し上げましたように、私といたしましては、公正で活力のある高齢化社会を実現するために、バランスのとれた税体系を構築することが必要であると認識をしておりますし、政府・与党間での税制改革についての協議を踏まえまして、先ほど申し上げましたように、この税制改革の草案をお示しをしたところでございます。その後行われました代表者会議での協議の結果、与党内に協議機関を設置をして、「年内の国会において関係の法律を成立させるものとする。」という合意が成立をしたわけでございますが、協議に当たりましては、草案に示された私の意のあるところも踏まえて御議論をいただけるものと考えております。政府としては、この与党合意に沿って、引き続き検討を進め、年内に税制改革が実現されるように努力をしてまいりたいと考えております。
 税制の総合的な見直しについて、直間比率の問題など基本税制の構築についてどう考えるかというお尋ねでございました。
 税制の総合的な見直しにつきましては、昨年十一月の税制調査会の答申で示された方向に沿って、公正で活力ある高齢化社会を実現するため、所得、資産、消費のバランスのとれた税体系の構築に向けて税制改革に取り組んでまいらなければならないと思っております。先ほど来申し上げますように、与党内に協議機関を設けまして、税制改革を年内に実現するということが合意されておりますし、その合意に沿いまして、年内に税制改革を実現するように努力をしてまいるつもりでございます。
 日米関係について、成熟した大人の関係だというのはいかなる認識によるものかというお尋ねでございました。
 私は、これまで長い間にわたって日米間の友好協力関係の発展のために尽くされてきた多くの先人の御苦労はよく承知をしておりますし、その御努力には心より敬意を表する次第でございます。今日の日米関係が、これまでの両国関係者の御努力の上に成り立っていることは、私もよく認識をいたしております。私が新しい時代の日米関係の姿を成熟した大人の関係というふうに申し上げましたのは、日米関係が幅と深まりを増す中で、両国が立場を異にする問題が生じてくることはむしろ当然であって、こうした状況の中で、お互いが異なる判断をする場合にも、それを信頼し、尊重し、かつ日米間の全般的な友好協力関係を損なわないようにすることが大切だという認識を示したものでございます。(拍手)
 日米関係の今後の対処方針いかんというお尋ねでございますが、先般の首脳会談におきまして
は、日米間で経済の個別問題の意見の違いがありましても、これが日米関係全体に悪影響を及ぼすことがあってはならないという認識で一致し、双方の合意によって冷却期間を置くこととしたものでございます。私としては、米側の出方もよく見た上で、できるだけ早く何らかの形で打開する糸口を見つけたいと考えております。我が国としては、今回の包括経済協議の結果は結果として、政府調達手続の改善を含む市場アクセスの一層の改善や規制緩和に向けて、とり得べき措置を自主的にとってまいりたいと思いますし、このような取り組みが日米のパートナーシップというものを一層強固なものとし、今後の日米経済関係の円滑な運用を図っていくためにも不可欠であるというふうに考えております。
 それから、日米関係を基軸とした我が国外交の基本政策についてのお尋ねでございましたが、御指摘のように、日米両国間の円滑な協力関係は世界の平和と安定にとって不可欠であって、経済の分野にとどまらず、政治・安全保障、地球規模の問題への取り組みなど広範な分野において協力を進めていくことは、日米両国共通の責務であると思っております。このような認識は日米間で共有されており、クリントン大統領も、今回の首脳会談後の共同記者会見におきまして、今日の日米関係ほど重要な二国関係はないと明言をしておられました。今回の首脳会談におきまして、環境や人口、エイズなど地球規模の問題への積極的な取り組みに合意したこと、さらには、北朝鮮を取り巻く情勢が緊迫する中で日米間の緊密な協調を確認したことなどは、こうした共通の認識であるというふうに思っております。
 私としては、今後、日米間の意思疎通をこれまで以上に率直で忌憚のないものにしてまいりますとともに、国際社会における日米パートナーシップの重みを十分踏まえまして、日米間の協力関係の一層の強化に全力を傾注してまいりたいと思っております。(拍手)
 それから最後に、北朝鮮の核疑惑など危機管理の問題についてのお尋ねでございました。
 北朝鮮の核兵器開発問題につきましては、本日の未明に北朝鮮が、IAEAの要請している査察活動を受け入れることとした旨発表されたことは、御承知のとおりでございます。現在、対話による解決が模索されているところでございますし、北朝鮮に対する制裁について論じることは、今は適当でないと考えております。
 一般論として、我が国にとっての重大緊急事態などが発生した場合には、当然のことながら、政府が一体となってこれに対処することとしておりますし、北朝鮮問題に関しましても、従来から国際情勢の一環として、関係省庁における情報交換などを行っておりますが、仮に重大緊急事態などに発展するような事態となれば、内閣官房を中心に所要の措置を講じることになろうと考えているところでございます。(拍手)
    ―――――――――――――
#10
○議長(土井たか子君) 井出正一さん。
    〔井出正一君登壇〕
#11
○井出正一君 私は、さきがけ日本新党を代表し、連立与党各党の御了承を得て、ただいま総理より御報告のありました日米包括経済協議をめぐる首脳会談及び昨日提出されました第三次補正予算等について、総理並びに関係大臣に質問いたします。
 まず最初に、日米首脳会談の結果についてお尋ねいたします。
 総理は、首脳会談後の共同記者会見において、今回の会談の結果を踏まえ、日米関係はお互いの判断を信頼し尊重する関係に成熟しつつあると述べられました。包括経済協議については残念ながら合意には至りませんでしたが、首脳会談全体としては、総理の言われる成熟した日米関係の幕あけをうかがわせる成果を上げたと、総理、外務大臣初め交渉の任に当たられた皆さんの御労苦と毅然たる姿勢に敬意を表するものであります。(拍手)
 しかしながら、一昨日来の急激な円高と株価の暴落は、まことに異常であります。協議の物別れに起因しているという説もありますが、この点についてどうお考えですか。さらに、このことが後述する総合経済対策の効果を減殺し、日本の内需拡大が進展しない場合、アメリカ初め世界経済に及ぼす影響も大きなものがあろうかと危惧されますが、それらを含めて、会談の全般的評価について、改めて総理御自身の所感をお聞かせ願いたいと存じます。
 包括経済協議の面では、いわゆる数値目標の設定は、細川政権が進めようとしている規制緩和、すなわち政府介入を減らしていくことに相反しますし、管理貿易につながるわけですから、総理が今回譲歩を拒まれたことは賢明な判断であったと考えます。アジアやヨーロッパ諸国からはもちろん、日米の経済学者、エコノミストからも高い評価をされておるはずであります。
 しかし、日米という世界の二大経済大国の関係は、もはや二国間だけの問題ではありません。両国の関係者はもちろん、世界の国々が今後の進展に息をひそめて見詰めているというのが現実ではないかと思います。とするならば、日米経済関係を今後どのように運営されていくのか。とりあえずお互いに考える期間を置くことに合意ができたようですが、七月にはナポリ・サミットが予定されております。どのくらいの冷却期間が必要とお考えでしょうか。
 さらに、包括協議といっても、二国間のマクロとミクロの問題に加えてグローバルな協力の三点があろうかと思いますが、考察期間を置くのはミクロの分野の交渉と解してよろしいのか。その場合、個別分野一般か、それとも自動車とか保険とか、特定の今回対立した部分に限られるのかどうかを含めて、総理の御見解を伺いたく思います。
 さて、交渉がこうなった以上、我が国としては、さらなる内需拡大、市場アクセスの一層の改善、規制緩和の促進等の課題に、アメリカ側の出方を待つまでもなく自主的に取り組んでいくことが必要であり、その責任も世界に対して負ったと考えますが、いかがでしょうか。
 今日の日米関係は、単に二国間の経済貿易関係にとどまらず、グローバルな広がり、使命を持っています。経済分野の意思の相違は相違として処理し、日米全体の協力関係は維持することこそ、総理の言われる成熟した日米関係だと考えます。その意味で、両国政府には、双方の国民感情に悪影響を及ぼさない努力と英知が求められます。伝えられるようなガットに反する制裁措置の発動はあるまいと願っておりますが、総理のお見通しはいかがですか。また、万一そうなった場合には、
我が国政府としてはどのような対応をするおつもりか、あわせてお尋ねいたします。
 朝鮮民主主義人民共和国の核問題も、我々にとって看過できない問題であります。
 総理は、国連安保理において経済制裁が決定されれば、日本としても法の許す範囲でなし得る限りの対応をすると発言されたと報じられております。もしそのような事態になりますと、日本にとって大変難しい問題も生ずることが予想されますが、たまたま本日未明、北朝鮮が核査察受け入れについて国際原子力機関と合意を見たことは、歓迎すべき事態だと思います。総理の御所見をお聞かせください。
 次に、第三次補正予算に関連してお尋ねいたします。
 第三次補正予算は、昨日政府決定を見た平成六年度予算とともに、去る二月八日発表された十五兆円を上回る史上最大規模の総合経済対策と一体不可分のものであります。
 低迷する日本経済の現状に対し、政治改革論議を一時棚上げし、第三次補正を伴う総合経済対策を一刻も早く打ち出すべきであるとの主張もありましたが、我々はその主張にはくみしませんでした。なぜなら、現在の日本経済の状況は、一昨年八月及び昨年四月の自民党政権時代の経済対策に加えて、新政権による九月の緊急経済対策と、三たびにわたる事業規模三十兆円を超すてこ入れにもかかわらず、景気回復の兆しがなかなかあらわれないことからもうかがわれるように、従来の循環的景気後退とは異なった、政治改革をも前提とする経済構造の変革を必要とするものであるからであります。したがって、政治改革論議に一応の決着がついた後、速やかに対処したことは、国民の多くの皆様も理解してくださるものと考えますが、総理の御見解を伺います。
 一方、地方財政については、緊急措置として、税制改正大綱や経済見通しが決定される前の二月五日に、大蔵、自治両大臣の間で地方財政計画が取り決められましたが、地方自治体の予算編成作業に支障は生じているのかどうか、今後の措置も含めて自治大臣にお尋ねいたします。
 このたびの総合経済対策の規模、内容については、先刻大蔵大臣の御説明のとおり、五兆八千五百億円の所得税等の減税を柱に、十五兆円を上回る規模と重点配分施策は、連立与党の打ち出した景気対策を踏まえたものであり、その確実な切れ目のない実行の手段を講じられることを期待します。第三次補正予算は、その意味でまさに十五カ月予算を形成するものでありますが、特に、昨年暮れ苦渋の選択をせざるを得なかったガットの農業合意に対応して計上された国際化対応緊急農業対策一千四百三十八億円の意義と使途を含め、今後の農政について、農林大臣の所見を伺っておきたく思います。
 さらに、日本経済が新しい段階に入りつつあるとき、景気の回復と成長は、新しい社会資本整備、新しいビジネスの開拓が必要と考えます。そのためには、従来の制度、規制、行政の対応も大幅な変革が必要となりますが、財政もこの観点から、新しい社会ニーズに即しての資源配分機能を果たさなければなりませんし、中長期的視点に立った景気調整機能を発揮していくべきだと考えますが、大蔵大臣の御見解をお聞かせください。
 最後に、税制改革についてであります。
 我が国はこれから、世界のどの国も経験したことのないスピードで高齢化社会を迎えようとしております。公正で活力ある高齢化社会を実現するために、世代間の負担に配慮しつつ、所得、消費、資産のバランスのとれた抜本的税制改革の必要なことは、政府の税制調査会の答申にも述べられているところであります。しかも、我が国の財政は、二百兆円を超えんとしている国債残高、利払い費だけでも十兆円を超す歳出に占める国債費のシェアの大きさに見られるように、極めて厳しい状況にあることも事実であります。
 総理が、御就任以来一貫して、安易な赤字国債による減税は考えないと言われてきたことは見識であり、財政当局が財政の健全化を主張することもよく理解できるのでありますが、一方、税金は公平かつ公正なものとして国民の皆様が納得することが何よりも重要であり、それをめぐる手続と議論は、十分の上にも十分でなければなりません。
 その意味からいって、過般の国民福祉税構想をめぐる一連の経緯はどう考えても唐突でありました。景気対策上、増減税に三年のタイムラグを置いてはあるものの、最初から七%ありきでは、税は納めるものであり取られるものではないという国民的合意はなかなか達成されません。したがいまして、総理の論理の一貫性といった観点からは不本意ではあったでしょうが、ひとまず白紙撤回されたことは賢明な御処置であったろうと考えるのであります。
 しかし、総理の提示によって税制改革の必要性についての認識は一段と高まったわけですから、行財政改革を進め、不公平税制の是正に取り組みつつ、早急に福祉ビジョンを確立する中で、望ましい税制のあり方を追求するとともに、国民の皆様方に理解、納得していただける努力を政府も我々もいたすべきだと考えます。連立与党では、近くそのための協議機関をスタートさせ、年内に関係法案を成立できるよう論議を進めてまいりますが、国民の皆様の理解が得られるよう、どうか総理御自身もその先頭に立って訴えていただきたいことを申し上げ、これに対する総理の御決意を伺いまして、私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣細川護熙君登壇〕
#12
○内閣総理大臣(細川護熙君) 日米包括経済協議と円高、株価との関係についてのお尋ねでございましたが、日米包括経済協議のセクター別協議につきましては合意に達しておりませんが、そのことが日米の緊密な関係を傷つけてはならないということについて両国は合意をいたしております。また、包括協議のうち地球的展望に立った協力のあり方につきましては合意を見ているところでございます。
 為替相場や株価につきましては、内外の経済金融情勢や市場の思惑などさまざまな要因を背景に自由な市場の需給関係で決まってくるものでございますし、その要因を特定することは困難であると思っております。為替につきましては、今後とも相場の動向に注視をし、適宜適切に対処して相場の安定を図ってまいりたいと思っておりますし、また、株式市場の動向につきましては、引き続き強い関心を持って注視をしてまいりたいと考えているところでございます。
 日米会談の全般的な評価についてのお尋ねでございましたが、先般の首脳会談におきましては、貿易経済問題から当面する国際情勢あるいはアジア・太平洋地域の将来、さらにはグローバルな問題への協力まで、今日の日米関係の広がりというものを反映した幅広い分野の協力について話し合い、率直に物をお互いに言い合う会談であったというふうに感じております。包括経済協議につきましては合意に至らない点が残りましたが、今回の結果が両国間の強固な友好関係を損なってはならないということで意見の一致を見たところでございまして、これは、日米関係全体が国際社会において大きな影響を及ぼす重要な地位を占めているということの必然の結果であるというふうに考えているところでございます。
 日米経済関係を今後どのように運営をしていくのかということでございましたが、我が国としては、今回の包括協議の結果は結果として、政府調達手続の改善を含め、大幅経常黒字の縮減のために、市場アクセスの一層の改善や規制緩和の措置を自主的にとっていかなければならないということになるというふうに思っております。このような取り組みが国際社会における我が国の責任を果たすことになるだけでなく、日米の。パートナーシップというものを一層強固なものとし、今後の両国関係の円滑な運用を図りていくためにも極めて大事なことであると認識をしているところでございます。
 日米間でどのくらいの冷却期間が必要だと考えるかということでございましたが、包括協議の今後につきましては、国内の検討を開始したぽかりでございまして、まだ具体的に申し上げられる段階ではございません。ただ、いつまでも経済面で接点が見出せないということになりますと日米関係全体の安定に影響が及びかねませんし、したがって、アメリカ側の出方もよく見た上で、できるだけ早く何らかの形で打開する糸口を見つけたいと考えているところでございます。
 考察期間を置くのはミクロの分野の交渉と解してよいか、その場合、個別分野一般か、それとも自動車とか保険とか特定の今回対立した部分に限られるのか、こういう趣旨のお尋ねでございましたが、今回の首脳会談におきまして、それまでに合意を得るという意味で優先分野とされていた政府調達、保険、自動車・自動車部品などの各分野で、進展をはかるための客観的な基準と数値目標との関係について意見の一致が見られなかったことは今まで申し上げてきたとおりでございます。したがって、今回の首脳会談におきまして、とりあえず、こうした分野の交渉について、双方の合意によって冷却期間と申しますか考察期間を置いて、アメリカ側と調整をしていくこととしたものでございます。優先分野以外の取り扱いにつきましても、同様に米側と調整をしていく必要があろうというふうに思っております。
 それから、さらなる内需の拡大、市場アクセスの一層の改善、規制緩和の促進などに自主的に取り組むことが必要ではないかという趣旨のお尋ねでございましたが、政府は、従来から幾たびかの経済対策の策定などを通じまして、このたびの景気低迷にも可能な限り対処してきたところでございますが、さらに、このたび大規模な所得減税を盛り込んだ総合経済対策を策定をいたしましたし、また、平成六年度予算につきましても、平成五年度の第三次補正予算とあわせて、可能な限り景気に配慮するように努めたところでございます。また、このたびの対策におきましては、規制緩和、政府調達手続の改善あるいは市場開放問題苦情処理体制の活用など、市場アクセスの一層の改善などのための措置を決定をいたしております。政府としては、このような措置などを通じまして、引き続き我が国としてとるべき措置を自主的に講ずることによって、調和のある対外経済関係の形成に努めてまいりたいと考えております。
 ガットに反する制裁措置の発動についての見通しいかんということでございましたが、アメリカ側が我が国に対しましてどういう措置をとるかということにつきまして、大きな関心を持って見守ってまいりたいと思っております。アメリカ政府の良識ある判断と対応を期待をいたしております。
 我が方の対応につきまして、一般論として申し上げるならば、一方的な制裁措置が仮に発動された場合には、我が国としては国際的なルールにのっとって解決を求めることになるというふうに考えております。
 なお、このたびアメリカ政府が包括協議とは関係のない移動電話の分野におきまして、我が国が日米間の合意に違反しており、三十日以内にとり得る行動のリストについて公衆の意見を求めるとの決定を行ったことにつきましては、このような合意違反の事実はないと思っておりますし、米国政府の今回の決定には懸念を抱いております。この決定は制裁を即座に科するものではございませんが、いずれにしても、まずは決定内容を調べて検討をさせたいというふうに思っているところでございます。
 それから、北朝鮮に対する経済制裁への対処についてでございますが、現在、日米韓が協力して対話を通じた解決に向けて努力をしているところでございますが、きょうの未明に北朝鮮がIAEAの要請する査察活動を受け入れることとした旨、発表がなされました。そういうことで、お尋ねの点につきましては現時点で具体的に申し上げることは差し控えたいと思いますが、一般論として、安保理において何らかの措置が決議される場合には、日本としても責任のある対応をとるということに尽きるというふうに思っております。
 同じ問題で、日本と韓国の間の協議についてお尋ねがございましたが、北朝鮮の核兵器開発問題に関する対応につきましては、いろいろな局面におきまして、今後とも、韓国を初め関係国と緊密に連携をしてまいらなければなるまいと思っております。
 現在の不況と政治改革との関連についてのお尋ねでございましたが、今後の景気回復には予断を許さないものがあるということを繰り返し申し上げてまいりました。そこで、今般の総合経済対策におきましては、所得減税の実施、公共投資の拡大などの内需拡大に加えまして、土地の有効利用の促進あるいは中小企業対策、雇用対策など課題を抱える分野への重点的な施策の展開を図りますとともに、規制緩和などの推進あるいは新規産業創出の促進と発展への支援など、経済の先行きに対する不透明感の払拭に向けまして将来的な発展環境の整備を行うということで、経済の本格的な回復と安定した持続的な成長経路への移行を期することにしたところでございます。政府としては、
このような対策を速やかに着実に実施をしていくことによりまして、我が国経済をできるだけ早い時期に回復軌道に乗せる努力をさらに積み重ねてまいりたいと思っております。
 税制改革についてのお尋ねでございましたが、税制改革につきましては、二月の八日に、連立与党に協議機関を設置をして、「年内の国会において関係の法律を成立させるものとする。」という与党の合意が成立をしたことは御案内のとおりでございます。政府としては、与党合意に沿って、引き続き検討を進めまして、速やかに与党間の合意を得て、年内に税制改革を実現するように努力をしてまいりたいと思っております。
 残余のお尋ねにつきましては、関係大臣から御答弁をいたします。(拍手)
    〔国務大臣佐藤観樹君登壇〕
#13
○国務大臣(佐藤観樹君) 井出議員の御質問のうち、地方財政についてお答えをさせていただきたいと思います。
 地方公共団体の予算編成に際しましては、地方財政計画の骨子でございます地方財政対策の概要が示されていることが必要であるため、これまでもその早期決定に努めてきたところでございます。したがいまして、地財対策は、遅くとも地方公共団体の予算編成のデッドラインとなります二月の第一週までに取りまとめておく必要があることから、本年度におきましては、極めて異例ではございましたけれども、経済見通しなりあるいは税制改正大綱が出る前の二月の五日にその概要をお示しをすることができたわけでございます。地方公共団体におきましては、その地財対策の概要を参考にいたしまして、現在、平成六年度の当初予算の編成に向けて最大限の努力をいただいておるところでございます。
 なお、平成六年度の地財対策につきましては、住民税減税や税収不足によりますところの財源不足が約六兆円を見込まれるわけでございますけれども、借入金等によりまして完全に補てんをするとともに、地方交付税の総額も前年以上の十五兆五千億円を確保することができておりまして、地方団体の財政運営に支障が生じないようにいたしました。
 また、景気対策の観点から、地方単独の公共事業も一二%伸ばしまして、十八兆六千億円を確保するなど、各種の施策の充実にも配慮し、総額八十兆九千億円の地方財政対策を組んだところでございます。
 以上でございます。(拍手)
    〔国務大臣藤井裕久君登壇〕
#14
○国務大臣(藤井裕久君) 井出議員の御指摘のとおり、私も、景気調整機能あるいは資源配分機能というのは、財政に期待される重要な機能であると考えています。
 景気調整機能でありますけれども、御承知のように今般十五兆円を上回る史上最大規模の総合経済対策を決定して、平成六年度予算あるいは五年度三次補正とあわせ、可能な限り景気に配慮するよう努めたわけで、これによって本格的な景気回復に向かっていくものと確信をいたしております。もちろん、こういうときに、当然のことながらこの景気調整機能の発動に当たっては、中長期的な視点を含めて、全体として財政の健全性と経済への影響を常に念頭に置いておくということは大変大事なことだと思います。
 さらにまた、資源配分の問題でございますが、新たな時代のニーズに対応し、高齢化社会への備え等緊要な施策については、限られた資金を重点的、効率的に配分していくこと、これもまた非常に重要なことであって、そのような財政運営を行っていきたいと考えておりますし、三次補正及び平成六年度予算はそのような観点から編成したつもりでございます。(拍手)
    〔国務大臣畑英次郎君登壇〕
#15
○国務大臣(畑英次郎君) 井出議員の御質問にお答え申し上げます。
 今後の農政の展開に当たりましては、先般のウルグアイ・ラウンド農業合意の受け入れに伴います影響を最小限に食いとめ、また、我が国農業の将来展望を切り開いていけるよう、新政策に即して、二十一世紀に向けた農業構造を早期に実現すべく、関連諸制度、諸施策につきまして引き続き格段の充実、推進を図ることを基軸といたしまして、合意の実施に伴い生ずる農業、農村及び関連産業の諸問題について、緊急農業農村対策本部において検討の上、所要の措置を総合的かつ的確に講じてまいることといたしておるところでございます。
 今回の国際化対応緊急農業対策は、新たな国境措置が導入されることを踏まえ、担い手の確保を含め、効率的、安定的な経営体の育成等を通じた農業の体質強化を緊急に推進することが必要であることから、第三次補正予算の編成の機会をとらえまして、低コスト生産の実現、経営の複合化等に資する公共投資の追加、農林漁業金融公庫等における農業の経営規模拡大等に資する資金の融資枠の拡大等々を図るものであります。
 以上を踏まえて、予算計上をさせていただいた次第でございます。(拍手)
    ―――――――――――――
#16
○議長(土井たか子君) 谷垣禎一さん。
    〔谷垣禎一君登壇〕
#17
○谷垣禎一君 私は、自由民主党・自由国民会議を代表して、提案されました第三次補正予算に関連する諸問題について質問いたします。
 民主政治における政治の権威は、政治家の言葉への信頼を根幹としております。そして、細川総理は、わかりやすい言葉で国民に語りかける総理として登場され、国民もこれに期待を寄せてきました。しかし、今回の国民福祉税導入をめぐる一連の騒動は、国民のこの期待に真っ向から反するものでありました。
 総理は、一月二十九日の記者会見では、消費税率の引き上げについては全く念頭にないと断言されております。そして、総理の意向を代弁する役割をお持ちの武村官房長官は、一月三十日に、減税先行、増税との分離処理論を述べられ、鳩山官房副長官も同様の趣旨のことを述べられております。
 ところが、二月三日未明に、総理は、事実上、消費税の税率引き上げと何ら変わりない国民福祉税導入の記者会見をされました。これは多くの国民にとってはもちろんのこと、連立与党の方々にとってさえ寝耳に水、寝入りばなに増税の出来事でした。しかも、総理のぎりぎりの決断だったはずの国民福祉税構想は、その三十四時間後には白紙に戻されております。
 目を覆わんばかりの混乱と申さねばなりません。わずか数日の間に、総理がみずからの言葉、
みずからの決断をないがしろにして二転三転させ、政治家の言葉への信頼を失わしめ、さらには政治の権威を失墜させたのです。細川総理の責任はまことに重大だと言わなければなりません。
 総理は、年内に抜本的な税制改革法案を成立させることが最大の政治責任だと述べられておりますが、税制改革は、国民の政治に対する信頼なしには達成できないものであります。一月二十九日以来、発言を二転三転させ、政治家の言葉への信頼を失わしめたことの責任をどうお考えか、総理の御答弁を求めます。
 常々、細川政権は政策決定過程の透明性を自画自賛されてきましたが、二月三日の総理決断までの過程は非民主的で密室的だと言わざるを得ません。
 今回の国民福祉税の決定過程を見て、国民の四〇%の人が余り議論をせずに決めるやり方には不満を感じると述べ、また三七%の人が密室で突然決めるやり方は反対だと述べ、合計七割以上の人が決定過程に不満を持っています。細川内閣の閣僚の間からさえも、大事なことが知らないところで決まりてしまう危ない体質があることを肝に銘じた、これは久保田経済企画庁長官であります。一握りの人間が物を考えて決まっていく政治を許してはならない、これは大内厚生大臣であります。といったような声が聞こえてくるのであります。みずからの閣僚のこうした声を総理はどうお考えなのでしょうか。
 さらに、今回の国民福祉税問題では、まことに信じがたいことでありますが、総理御自身、記者発表の数時間前まで税制改革案を御存じなかったとも言われております。総理が一月二十九日に消費税率引き上げは念頭にないことを断言されてから二月三日未明に国民福祉税導入を記者発表されるまでの間、どのような政治決定過程を経て、いつの段階で総理が税制改革案をお知りになって決断されたのか、先ほど我が党の橋本政調会長からも御質問がありましたが、再度、総理の明確な御説明をお願いいたします。
 細川政権においては、政権の命運を決する重要政策は、各党内での大衆討論を極力省き、政策幹事会や合同幹事会の頭越しに、ごく一握りの人々が対処方針を立てて、最終的に代表者会議で大勢を固めた上で総理に一任し、裁定を仰ぐ方式をとっていると言われております。我々自民党が政権を担当していた時代にも一任という手法はとられましたが、それは、多くの議員が議論に参加し、議論が出尽くしたところでの一任であり、国民も議論の方向を見守り、その過程で国民の意見を反映させることができました。連立政権は、連立政権を守る、すなわち何はともあれ権力を守るということを金科玉条とし、民主政治で最も大切な大衆討議のプロセスを封殺しております。
 政治家が言葉を失ったとき、政治は腕力や金に頼らざるを得なくなります。まさに、連立政権が言葉を失ったために非民主的な密室政治が横行し、腕力で押し切ろうとする一握りの人々のファッショ的政治手法が我が世の春を謳歌しているのではないでしょうか。
 私は、細川総理御自身、そうした腕力による政治手法をよしとするお考えがあるのではないかという点を懸念いたしております。例えば、総理は二月八日のおわび会見で、連立の政策決定のデメリットとして、議論経過が外に出やすいことを強調されておりますが、これは、税のような論議の多い問題は、国民や与党の議員にさえわからぬよう密室で行い、寝耳に水で強行すべきだとのお考えのあらわれのようにも受け取れます。これでは、封建領主の「よらしむべし知らしむべからず」という政治手法の復活と言わざるを得ません。
 また、新聞は、細川総理は政治改革の柱の小選挙区比例代表並立制の利点として迅速な政治決定ができることを挙げておられるとか、総理は何でも大衆討議というのは空理空論にすぎないと述べられているとか伝えております。民主的で透明な政治決定過程には、迅速性に欠ける場合があります。総理は、政治改革後の民主政治における指導者として、圧倒的な支持率をもとに、大衆討議抜きで、密室政治と言われようとも迅速な政治決定を行っていくおつもりなのでしょうか。あるいは、多少迅速性に欠けても民主的で透明性のある政治のあり方を重視していかれるのでしょうか。総理の民主政治におけるリーダーシップの哲学を明らかにしていただきたいと思います。(拍手)
 さて、総理は国民福祉税構想を発表されたときに、これは正月に提示された「二十一世紀ビジョン」に基づく増税構想であるとされました。しかし、あのビジョンでは、国民は将来に対する人生設計が見通せず、先行きへの不安をぬぐえないと言わざるを得ません。
 そこで、総理は三月にもさらなる福祉ビジョンを御提示されるとのことですが、いかに腰だめと言われようとも、既に具体的な数字で国民福祉税構想を提示された以上、総理の頭の中に、ある程度の将来の福祉像があるものと考えるのが当然でしょう。総理はいかなる福祉ビジョンをお持ちなのでしょうか。
 経済活力維持を重視して、できるだけ家庭内福祉、民間福祉に頼る中福祉中負担路線を持続するのか。それとも、人生八十年時代、子供も少ない時代において家庭内福祉は成立し得ないという前提に立って、生活者の視点を重視して、高福祉高負担路線への転換の理解を国民に訴えていくのか。国民が国民福祉税を支持するか否かは、総理のお考えがこのいずれか明確になって初めて決まるのであります。
 総理の考える「二十一世紀ビジョン」においては、国民福祉税を導入さえすれば老後の介護の不安などは一切なくなるということだったのでしようか。老後の心配をして貯蓄をするよりも、今の人生を楽しんで大いに消費をしてくださいということなのでしょうか。国民はそのように信じて人生設計を立ててよいのでしょうか。国民にわかりやすく明確にお答えくださるようお願いいたします。
 さて、国民福祉税を議論する前提条件としてもう一つ必要なことは、行政のむだを徹底して削減することであります。
 クリントン大統領は、首脳会談の前夜、総理の著作などを読んで、日本の官僚制改革を訴えたところに強い関心を持ち、官僚既得権益に対する総理の闘いを支持していくとの意向を側近に漏らしたと伝えられています。そのクリントン大統領は、行政改革には大変に熱心であり、連邦政府職員の一二%に当たる二十五万人余りを五年間に削減し、それにより約十一兆円の経費節減を行うとの行政改革案を出しておられます。
 しかし、日本の行政改革は一体どうなったのでしようか。総理の政策運営を見ておりますと、官僚主導政権と言わざるを得ず、行政改革を行う熱意などはみじんも感じられません。みずからが官僚機構の長になられた途端に、総理が知事時代にお持ちになった官僚制との闘い、行政改革、規制緩和への熱意は消えてしまったのでしょうか。
 今、民間企業は血のにじむような苦労をしてリストラを進めております。そして、国内外の総理に対する行政改革への期待も高まっています。総理は、増税の前に、まずクリントン大統領並みの行政改革による歳出削減案を国民に示すべきではないでしょうか。総理は、あの国民福祉税についてのおわび会見と同じ二月八日に、中期行革大綱を発表されておりますが、これで一体どの程度の歳出削減につながるのでしょうか。また、さらに踏み込んだ官僚制改革に取り組む決意がおありかどうか、お伺いいたします。
 次に、経済運営と経済見通しについて質問いたします。
 二月十日、臨時閣議で実質GDP成長率を二・四%程度とする政府経済見通しが了承されております。しかし、民間シンクタンクの見通しは、総合経済対策を前提としても成長率は〇%から一%程度であるとしており、余りにも政府の見通しとかけ離れております。
 政府経済見通しは、あくまでも政策目標であるということは承知しておりますが、これは多くの企業にとって、その年度の経営計画を立てる際の重要な参考指標として信頼されてきたものです。特に、景気回復期に真っ先に投資を始める中小企業の投資マインドを回復する上で、政府経済見通しに対する信頼というのは非常に重要であります。それを、財政当局が税収を多く見積もりたいため、あるいは対外的に内需拡大に努めているということを見せたいがため、実現できないことがわかっていても高目の目標を設定しているとすれば、これはやはり政治の言葉に対する信頼という意味からも極めて重大な問題であります。
 そこで、総理及び経済企画庁長官にお伺いしますが、まず景気の現状をどう認識されておられるのでしょうか。そして、現在の極めて深刻な状況にもかかわらず、今回の第三次補正予算と平成六年度予算をもってすれば、平成六年度の実質GDP成長率二・四%という目標は達成可能であり、企業はこれを信じて経営計画を立ててほしい、安易に解雇をしないで我慢してほしい、安心して家計を賄ってほしいとみずからの政治責任をかけて言えるのでしようか、明確な御答弁をお願いいたします。
 さて、政府経済見通しは、平成六年度の為替相場を一ドル百十円十八銭として計算をしております。しかし、さきの日米首脳会談決裂を受けて、為替レートはきょうの午前中、百三円台になっております。これは、さきに日米首脳会談後の会見やインタビューにおいて、クリントン大統領やクリストファー国務長官の為替相場も客観基準の一つという発言を、米国政府が円高放置・誘導政策を宣言したものとマーケットが受けとめたことによるものです。
 ここまで円高が進めば、昨年と同様、日本経済は再び打撃を受け、政府経済見通しも絵にかいたもちになってしまうことは明らかです。これを成熟した二国間関係だと言って済ましていることはできません。総理は米国に対してノーと言われたときに、この円高の困難をも覚悟の上で、清水の舞台から飛びおりる覚悟で言われたのでしようか。総理並びに大蔵大臣に伺います。この円高にいかなる対処方針をお持ちか、明確な答弁をお願いいたします。
 最後に、細川総理にお願いを申し上げます。
 私どもの議会制民主主義を発展させ、守っていくために、細川総理、政治家の言葉に対する信頼を大事にした政治を行っていただきますことをお願い申し上げたいと思います。(拍手)私ども自由民主党は、今後とも言葉に対する信頼を大切にする政治、弁論と説得を大切にする政治を行っていくことをここで申し上げまして、質問を終わらせていただきます。(拍手)
    〔内閣総理大臣細川護熙君登壇〕
#18
○内閣総理大臣(細川護熙君) 税制改革についての総理発言についてのお尋ねでございましたが、もとよりみずからの発言の重みについては重々認識をいたしております。
 連立政権の政策決定はどうしても政党間交渉にならざるを得ないという一面がございますし、その結果として議論の経過が従来より表に見えやすくなって、あたかも政策が左右に揺れているかのように受けとめられる嫌いがあるということも一面で事実であろうというふうに考えておりますが、今後とも政策決定過程のあり方につきましては、試行錯誤もいろいろあろうと思いますが、政府・与党間の合意を踏まえまして、誤りなき政策運営に努めてまいりたいと思っております。
 国民福祉税の決定過程についてのお尋ねでございましたが、私がさきに御提案させていただきました税制改革草案につきましては、各方面から御批判があったことは重々承知をいたしております。
 私としては、就任以来、所信表明等におきまして、所得、資産、消費のバランスのとれた税体系の構築につきまして総合的な検討を行っていきたい旨を繰り返し表明をしてまいりました。また、政府税調や経済改革研究会からは、直間比率の見直しあるいは税制改革の一体的な実施などを内容とする答申、報告をいただいておりましたし、私が年頭に発表いたしました「二十一世紀ビジョン」におきましても、活力のある高齢化社会の構築のためにそれなりの負担が必要である旨を申し述べてきたところでございます。さらに、昨年十二月からは与党・政府の経済問題協議会、代表者会議などでも精力的に御論議をいただいてまいりました。
 税制改革草案につきましては、第三次補正あるいは当初予算、訪米など期限が限られている中で、こうした今申し上げたような御議論の積み重ねというものを踏まえて、さらに与党各党の代表者の御意見も承って、所得税減税を含む経済対策を打ち出す必要から、ぎりぎりの判断をさせていただいたということでございます。もちろん、このような手順だけで十分であるというつもりはございません。今後、税制改革の実行に当たりましては、与党や政府部内、さらには国会、国民各位の御論議を真摯に受けとめて取り組んでまいらなければなるまいと思っております。
 それから、国民福祉税の政治的決定過程についてのお尋ねでございましたが、一月二十九日に、私が消費税率引き上げにつきまして念頭にないと
申しましたのは、昨年の十二月末以来、税制改革の問題につきましては、経済問題協議会におきまして鋭意協議を進めていただいておりましたところから、税率が何%とか、そういった具体的な点については私として特段のアイデアがあるわけではないという意味で申し上げたものでございます。
 税制改革のあり方につきましては、さきにお答えをいたしましたように、各方面で御議論をいただく中で私なりにイメージを持ってきたところで、最終的には、第三次補正、当初予算、訪米と厳しい日程の中で、与党各党の御意見も承った上で、先ほども申し上げましたように、ぎりぎりの判断をし、その具体案を税制改革草案として提示をさせていただいたということでございます。
 それから、迅速な政治決定かあるいは透明性のある政治決定かといったような趣旨のお尋ねでございましたが、民主政治におきましては、一般的に透明性のある政治決定過程が尊重されるべきであることは、これはもう言うまでもないことで、私もこの政権においてそのような政治決定過程を心がけているつもりでございます。しかしながら、一方では、政治は結果的にどのような福利を国民にもたらしたかによって評価されるという一面もあるわけで、そのためには、時に限られた時間の中で迅速な政治決定が求められる場合もあろうと思います。要は、過程と結果の兼ね合いの問題であって、リーダーシップというものを特定の固定的な型にはめて考えるのはいかがなものであろうかというふうに思っております。
 なお、今のお尋ねの中で、私が連立の政策決定のデメリットとして議論過程が外に出やすいことを強調したというお話がございましたが、私が申し上げました趣旨は、連立政権は議論経過が外に出やすいためにあたかも論議が右左に揺れているかのように見られることが多いということを申し上げたわけでありまして、議論過程が外に出やすいこと自体をデメリットと言ったわけではございませんので、念のためにそのことは申し上げておきたいと思います。
 いかなる福祉ビジョンを持っているのかというお尋ねでございましたが、我が国は、今後高齢化、少子化が急速に進行し、二十一世紀には本格的な高齢・少子社会を迎えるわけでございますが、そうした状況にありましても、活力ある豊かな福祉社会を築いていくことが重要であることは申すまでもございません。
 そうした福祉社会の実現に向けて、私としては、第一に、本人が希望すれば少なくとも六十五歳あるいはそれ以降も働くことができる仕組みをつくっていくということ、それからまた第二には、仕事と育児が両立し得る働きやすい環境をつくるということ、第三には、高齢期にも健康で安心できる社会を築くために、介護サービスの充実であるとかあるいは給付と負担の公平を図りながら、付き添いを必要としない看護体制の確立や在宅医療の推進などに取り組んでいきたいと考えているところでございます。
 いずれにしても、裏づけとなる財源の負担や関連施策のあり方も含めた総合的なビジョンの策定につきましては、現在、医療、年金、福祉などの社会保障を所掌する厚生省におきまして、大臣のもとに懇談会を設置して、三月をめどに検討を急いでいるところでございます。
 高福祉高負担へ転換するのかというお尋ねでございますが、社会保障のあり方につきましては、北欧諸国のように公的保障中心の高福祉高負担型と、米国のように自助努力型と、その両者の中間型があるというふうに認識をいたしております。我が国は、高福祉高負担型でもなく、低福祉低負担型でもない、我が国の実情に即した、公民の役割が適切に組み合わされた我が国なりの福祉社会の形成を目指してきているところでございます。今後、高齢化、少子化などに伴って、社会保障の給付に要する費用はふえていかざるを得ないわけでございますが、今後とも国民のコンセンサスを得ながら、公正で効率的な社会保障制度の構築に努めてまいりたいと思っております。
 国民福祉税を導入した場合の人生設計という趣旨のお尋ねでございましたが、我が国は現在世界に例を見ないスピードで高齢化が進んでおりますが、現行の税体系のままでは、高齢化社会を支える費用の負担がますます勤労世代に偏ってしまうことになるわけで、経済社会の活力や安定性を弱めてしまうことになりかねないということが懸念をされるところでございます。来るべき高齢化社会を公正で活力あるものとするためには、世代を通じた税負担の平準化を図り、社会の構成員が広く負担を分かち合うことが必要であるということから、繰り返し申し上げますように、所得、資産、消費の間でバランスのとれた税体系を構築することが喫緊の課題であるというふうに申し上げてきたところでございます。税制改正草案は、このような認識を持ってお示しをさせていただいたものでございます。
 いずれにしても、公正で活力のある高齢化社会を実現するための税制改革につきましては、先日、与党の代表者会議におきまして、「年内の国会において関係の法律を成立させるものとする。」という合意が成立をしたところで、政府としては、この与党合意に沿いまして、速やかに政府・与党間の合意を得て、年内に税制改革を実現するように努力をしてまいりたいと考えております。
 行政改革への熱意ということでございますが、我が国の行政を取り巻く内外の社会経済情勢の変化に対応して、新たな時代にふさわしい行政の実現を目指すべく、行政の改革に取り組んでまいらなければならないと思っております。政治改革に続いて経済改革、行政改革ということだと思っておりますし、行政改革に当たる熱意につきましては、いささかも御指摘のような、御懸念のようなことはないというふうに申し上げたいと存じます。
 行政改革による歳出削減についてのお尋ねでございますが、今回の行政改革の推進方策は、中期的な観点にも立って行政改革に関する今後の取り組み方策を定めたものでございます。この推進方策は、規制緩和、地方分権、情報公開の推進など、各般にわたる行革の課題につきましてその方向づけを与えるものでございます。もとより、今申し上げたようなことがすべて財政効果に直接結びつくというものではございませんが、今後の行政改革の推進に当たっては、財政改革面におきましても、制度、施策の見直しや歳出の節減合理化の努力を積極的に払ってまいらなければなるまいと思っております。
 官僚制改革への取り組みということでございますが、行政改革を推進するに当たりまして、内閣
の責任のもとに主導権を発揮をすることはもとより基本とするところであろうというふうに考えます。
 それから、景気の現状認識と成長率についてのお尋ねでございますが、我が国の経済は、公共投資は堅調に推移をし、住宅投資は高い水準で推移しておりますものの、個人消費は総じて低迷をしておりますし、設備投資も減少が続いております。
 今後の景気回復には予断を許さないものがあると再々申し上げてきたところでございますが、このたびの十五兆円を上回る経済対策、それからまた平成六年度予算も景気に配慮して編成をいたしておりますし、こうしたことによって今後住宅投資もさらに堅調に推移していくものと見込まれますし、さらにまた、減税によりまして個人消費の伸びも見えてまいりましょうし、民間部門のマインドは総じて好転をしていくものと期待をいたしているところでございます。設備投資も回復に向かっていくものと期待をいたしております。我が国経済は、六年度中に本格的な回復軌道に乗るものと見込んでおりまして、六年度の国内総生産の実質成長率は政府経済見通しにお示しをした伸びになるものと見込んでいるところでございます。
 円高に対処する決意ということでございますが、為替相場は経済のファンダメンタルズを反映すべきで、過度の変動は望ましくないというのが、昨年四月のG7以来、日米を含むG7通貨当局共通の考え方になっているというふうに思っております。今後とも為替相場の動向に注視をして、適宜適切に対処し、為替相場の安定を図ってまいりたいと思っております。
 残余のお尋ねにつきましては、関係大臣からお答えをいたします。(拍手)
    〔国務大臣藤井裕久君登壇〕
#19
○国務大臣(藤井裕久君) 為替相場については、今総理も答えられましたように、経済の基礎的条件を反映すべきで、過度の変動は望ましくない、これが昨年四月のG7の合意であり、これは日米を含むG7通貨当局の共通の考え方となっております。また、通貨当局が為替相場を人為的に操作すべきでないということは、米財務省も再三表明しているところであって、このような為替市場に対する米国通貨当局の基本的な考え方は変更ないものと承知しております。
 為替相場が思惑等により短期間のうちに大きく変動することや不安定な動きを示すことは好ましいことではなく、今後とも為替相場の動向に十分注視し、適宜適切に対処し、為替相場の安定を図ってまいる所存であります。(拍手)
    〔国務大臣久保田真苗君登壇〕
#20
○国務大臣(久保田真苗君) 谷垣議員のお尋ねは、経済情勢及び六年度経済見通しの実質GDP成長率の達成可能性についてでございます。
 確かに、経済企画庁の経済見通しは民間機関よりも高くなっております。これは、民間機関におきましても、今年度よりは来年度について上昇の傾向があるということはほとんどがお認めでございます。また、政府といたしましては、総合経済対策を策定いたしまして、これに沿って、経済の実勢を踏まえながら現実性のある望ましい見通しと経済運営の姿をお示しした、こういうことでございます。
 もちろん、我が国経済は総じて低迷が続いておりますが、この中にも今後の景気回復に向けての環境が整ってきているという状況もございます。
 その一つは、これまでの累次にわたる経済対策の効果もあって、公共投資、住宅投資が経済活動を支えているということ、二番目には、民間部門におきましてもバブル経済の崩壊後続いてきましたストック調整等種々の調整が着実に進んでいるということ、三番目に、金利の一段の低下、そして物価の安定といったような環境が整いつつあると見ております。
 加えまして、今般決定いたしました総合経済対策によりまして、現在の高い水準の公共投資、住宅投資も引き続き堅調に推移していくものと見込まれますし、大規模な所得税、住民税減税が個人消費の伸びを高め、マインドを好転させていくという、そうした期待が持てるわけでございます。
 政府といたしましては、このように我が国経済が六年度中に本格的な回復軌道に乗りますよう、六年度末までの間に可能な限り有効な施策を展開していくとしておりまして、今般の対策の着実な実施に加えまして、六年度予算につきましても可能な限り景気に配慮して編成したという状態でございます。
 このように適切かつ機動的な経済運営に努めることによりまして景気回復への動きが本格的なものとなり、六年度の実質経済成長率は、さまざまの大きな変化がないという想定のもとでは、政府経済見通しにお示しした伸びを達成することが可能だと考えております。(拍手)
    ―――――――――――――
#21
○議長(土井たか子君) 狩野勝さん。
    〔議長退席、副議長着席〕
    〔狩野勝君登壇〕
#22
○狩野勝君 私は、自由民主党の狩野勝でございますが、橋本政調会長、谷垣議員に次ぎまして、自由民主党・自由国民会議を代表し、総理並びに関係大臣に質問をいたしたいと思います。
 総理、私は今から二十数年前、あなたが自由民主党公認候補として参議院全国区に立候補した折、千葉県の細川護熙遊説隊の責任者として県下を回り、応援をした一人でございます。自由民主党の旗のもとで日本の政治をよりよくしようという情熱に共鳴し、若い世代が結集しての応援でしたが、細川さん、あなたは華麗なる転身を重ね、今新党のもと、総理としてそこにお座りであります。当時は夢想だにしませんでしたが、今一国の総理であり、単なるパフォーマンスではもはや許されない昨今の政治の混迷ぶりを見るとき、厳しくその取り組みをたださざるを得ないのであります。
 そこで、今回提出された平成五年度第三次補正予算並びに日米首脳会談等について、若干重複しますが、視点を変えて質問をいたしたいと思います。
 先ほど橋本政調会長、谷垣議員からもありましたが、やはりこの問題には触れなければなりません。
 細川総理は、訪米を前にして所得税減税及び実質消費税率の引き上げである国民福祉税の創設を唐突に出し、政権与党内の社会党が反対するや直ちに白紙撤回しましたが、まことに無責任きわまりないと言わざるを得ません。実際、税率についても細川総理の説明は、みずから腰だめの数字であると説明されました。国民に増税、新税をお願
いするのであれば、しっかりとした議論を踏まえ理解を求めるのが政府として当然必要であります。また、それが政治でもあります。
 細川総理、このようなことは考え方の相違する連立政権だから起こるべくして起こったということでしょうか。もしそうだとしたら、全く一国を預かる政権にふさわしくないと言わざるを得ません。あるいはこれが細川総理の政治手法であるならば、細川総理は全く無責任な政治を今後とも行いかねないということになりますが、ただおわびだけではなくして、この点について細川総理の明快な答弁を重ねて求めたいと思います。
 次に、ガット・ウルグアイ・ラウンド協定の政府受け入れに関してであります。
 ガット・ウルグアイ・ラウンド交渉は自由民主党政権のもとでの長年の努力で成立したものでありますが、今後の世界の自由貿易が発展するためまことに重要な意義があったと考えます。
 しかしながら、ただ一点、極めて残念なことは、我が国が一貫して主張してまいりました、米は我が国民の主食として重要な基本の食糧であるとともに文化の源泉でもあり、この基本的食糧の安全保障に関して、ガット条約上明確に位置づけることができなかったこと、さらには、米以外の農産物についても関税化を受け入れて終結してしまったのであります。
 我が国農業は、今日まで、進展する国際化の中で後継者が不足する等厳しい条件にさらされてきましたが、ウルグアイ・ラウンド協定の政府受け入れにより、さらに農業者の不安を増幅することになり、不安を訴える声は全国津々浦々から大きく沸き上がっております。また、消費者には、安全な主食が将来にわたって保障されるかどうか、大きな不安があります。
 政府は、今回の補正予算において、二千三百億円の公共投資の追加等国際化対応緊急農業対策を講ずることとしていますが、昨日決まった平成六年度予算案においては、農林漁業関係予算が公共投資の見直しによって低く抑えられたことはまことに遺憾であります。細川総理はこの点いかがお考えか、伺いたいと思います。
 次は、地域経済の振興と景気について伺います。
 地域経済の振興を図ることが国全体の景気回復に不可欠であることは言うまでもないことですが、このたびの第三次補正では、中山間地域に対する配慮が全く欠けています。国土面積の約七割を占める中山間地域で全農業生産の約四割が生産をされています。また、今日の経済の繁栄、都市の繁栄は豊富な水資源なくしては考えられない。そして、その水をつくり、ためる働きをしているのが林地であり水田であることを忘れてはなりません。
 そもそも、大都市の過密と地方の過疎を解消し、国土の均衡ある発展を期すためには、民間投資の進まないこれら地域にこそ中長期的視野から国の採算を超えた思い切った投資が必要であります。しかし、昨年十二月の財政制度審議会の答申には、このような視点が欠落していると言わざるを得ません。国政の基本にかかわる問題として細川総理の明確な答弁を求めます。
 さらに、規制緩和について伺います。
 細川総理は規制緩和を政策の方針としておられますが、近年、円高の進展等により海外からの農産物の輸入がふえてきております。国民からは、食品の安全確保の観点から一層の規制が求められております。また、人類の共通の財産である環境を守っていくために一層の規制を求める声も高まっております。世の中の規制は、その多くが国民の求めによってつくられたものであります。時代時代に合うもの、廃止すべきもの、さまざまですが、それぞれ丁寧な吟味を要します。ただ数を減らせばよいというわけにはまいりません。総理のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
 次に、日米首脳会談等について伺います。
 包括経済協議は、マクロ経済、エイズ等グローバルな問題、自動車等個別問題の三分野について行われたと思いますが、まずマクロ経済について伺います。
 今回の景気対策について米側の評価はまことに低かったと言われておりますが、実際はどうであったのか。先ほど来討議されておりますけれども、あえて細川総理に伺いたいと思います。
 また、個別分野について、決裂したのでありますが、細川総理は、本日の先ほどの帰国報告の中で、我が国としてとるべき措置については積極的に行っていく所存であると言っておりますが、具体的に何をおやりになろうと考えておられるのか、お答えをいただきたいと思います。
 また、グローバルな分野についていかなる話し合いが行われたのか、明らかにしていただきたい。
 さらに、ナポリ・サミットまでには総理は新たなる市場開放をまとめると言われたということでございますが、細川総理、具体的にいかなるものをまとめようとなさっておられるのか、お答えをいただきたいと思います。
 なお、北朝鮮問題につき質問することとしておりましたが、幸いにも、昨日北朝鮮が、国際原子力機関、IAEAの核査察を全面的に受け入れる決定をしたということでありますので、質問は取りやめることといたしますが、北東アジアの問題は我が国の安全保障上極めて重要でありますから、今後とも十分に注意を傾注して遺憾なきを期していただきたいと存じます。
 細川総理、あなたは、日米関係は新たな成熟した大人の関係に入ったと言われましたが、真にそうなのかどうかは今後の結果によって示されることです。自由民主党が政権を担ってきた時代三十八年間に日米間に築き上げてきた信頼関係は、自然に何の努力もなくでき上がったものではなく、あるときは反発し合い、あるときは大人の妥協をする過程を通じ築き上げられたものであることに思いをいたすべきであります。
 細川総理、深夜突然、減税案とそれに対応して実質的消費税率の引き上げ案を唐突に発表し、それを直ちに撤回をしましたが、内外の信用を失墜しないことこそ政治の基本であることを肝に銘じていただきたいと思います。
 以上をもって質問を終わりますが、今壇上からこう見渡しますときに、自由民主党は、さすが比較第一党、圧倒的に多いなあと感ずるわけであります。世界の国を見ても、第一党が政権に着かない国はありません。国民のまさに不幸であります。我が自由民主党は、責任政党として、確かな二十一世紀をつくるべく、着実に大きく前進することを国民の皆さんにお誓いを申し上げ、私の質問を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)
    〔内閣総理大臣細川護熙君登壇〕
#23
○内閣総理大臣(細川護熙君) 初めに、増税、新税についてもっと議論をすべきではなかったかというお尋ねでございましたが、高齢化社会におきましても活力のある豊かな生活を享受できる社会を構築をしていくためには、税制調査会の中期答申に示された方向に沿って、バランスのとれた税体系を構築することが必要であるということを再々申し上げてまいりました。こうした認識に立って、政府・与党間での税制改革についての協議を踏まえまして、税制改革草案をお示しをさせていただいた次第でございます。
 しかしながら、その政策決定のあり方につきましては、各方面からさまざまな御批判が提起されたところで、このことについては率直におわびを申し上げているところでございます。
 税制改革につきましては、与党の代表者会議におきまして、「年内の国会において関係の法律を成立させるものとする。」という合意が成立をしているところで、政府としては、この合意に沿いまして、速やかに政府・与党間の合意を得て、年内に税制改革が実現されるように努力をしてまいりたいと思っております。
 農林漁業関係予算についてのお尋ねでございましたが、六年度の予算案におきましては、農林水産関係予算として三兆四千百八十八億円を計上をいたしました。財政事情が一段と悪化をする中にあって、対前年の増加額五百億円以上と昨年並みの増加額を確保するとともに、将来の担い生育成のための総合的融資制度の創設あるいは中山間地域対策の強化など、内容的に充実強化を図ったところでございます。また、このうちの農林水産関係公共投資につきましては、五年度の三次補正で計上した国際化対応緊急農業対策をあわせて考えますと、急速な国際化に対応して農業の体質強化を進める上で当面必要な事業量は十分確保できているものというふうに考えております。
 中山間地域への投資についてのお尋ねもございましたが、多極分散型国土の形成あるいは経済社会の長期的な発展の基礎固めを行っていくためには、公共投資による社会資本整備を計画的に推進をし、地域経済社会の均衡のある発展を図っていく必要があることは申すまでもございません。政府におきましては、四全総の推進などを通じまして、中山間地域を含めそれぞれの地域が個性豊かな地域づくりができるように、社会資本の整備を計画的に推進をしているところでございます。
 許認可等の問題についてのお尋ねでございましたが、規制緩和につきましては、今般定めました行革大綱にもございますように、経済的規制については原則自由・例外規制とすることを基本的な考え方とし、また、社会的規制については本来の政策目的に沿った必要最小限のものとするということを基本的な考え方として、見直しを行っていくべきものというふうに考えております。行革大綱におきましても、規制緩和推進計画の策定に向けまして、各省庁における見直しを進めることにいたしております。そのような方針のもとに、成果を上げるべく、さらに努力をしてまいりたいと考えているところでございます。
 日米首脳会談において、今回の景気対策についてどういう評価であったかというお尋ねでございました。
 首脳会談におきましては、私の方から、今回の十五兆円を超える総合経済対策は必ずや内需主導型の経済を構築していく上でよい効果をもたらすだろうという説明をいたしましたのに対しまして、クリントン大統領の方からは、我が国の努力はそれなりに評価はするものの、景気を浮揚させるためには十分ではないのではないかという趣旨の御発言がございました。それに対して、私の方からは、今回の対策はレーガン政権下での減税に比べても相当大規模な減税措置を含むものであって、年内には本格的な税制改革を実現したいと思っておりますし、その点を米側においても認識をしてもらいたいという旨を申し上げたところでございます。
 同じく日米協議の今後のあり方について、我が国としてとるべき措置についてのお尋ねがございましたが、政府としては、今回の包括協議の結果は結果として、対外不均衡の存在も念頭に置きながら、規制緩和あるいは一層の市場アクセスの改善に向けまして、政府調達を初めとして、我が国としてとるべき措置というものを自主的に進めていくように引き続き改革の努力をしていくことが必要だと考えております。
 それから、包括協議におけるグローバルな問題の分野についてはどういう話があったかということでございましたが、包括協議の三つの柱の一つとして、環境、人口、エイズ、テクノロジー、人的資源の開発の五つの分野において協議を続けてまいりました。特に人口、エイズの分野において、両国政府は今後七年間にわたりて合計百二十億ドルの国際協力を目指すことで一致を見たところでございます。こうしたグローバルな課題について両国の協力を確認し得たということは、会談の成果であったというふうに考えております。
 新たな市場開放の具体的な内容いかん、こういうお尋ねでございましたが、具体的な措置の中身につきましては、まだこれから詰めるところでございますが、政府としては、今後とも内外無差別並びに公正かつ開放的な市場の形成、輸入の促進などのために、我が国としてとるべき措置を自主的にとって調和のある対外経済関係の構築を図ってまいりたいと思っております。
 それから、日米間の信頼関係は関係者の努力のたまものだと考えるがどうかということでございましたが、それはもう当然のことでございまして、自民党政権の時代に日米間の信頼関係を築き上げるために多数の関係者が真摯な努力を重ねてこられたということにつきましては、私も十分に認識をしておりますし、そのことをまた高く評価をしているところでございます。今日の日米関係がこれまでの両国関係者の努力の上に成り立っているということをよく踏まえて、今後さらにこの関係というものがより深く広いものになっていくように努めてまいりたいと考えております。
 残余のお尋ねにつきましては、関係大臣からお答えいたします。(拍手)
    〔国務大臣羽田孜君登壇〕
#24
○国務大臣(羽田孜君) ただいま狩野さんの方からは、これについての質問はきょうは取りやめるというお話であったと思うのですけれども、たしか北朝鮮の核の問題で御質問いただくということでありました。
 これは今、狩野議員の方からも御指摘がありましたように、今般、北朝鮮が、IAEAが要求す
る査察を受け入れたということ、そして申告済みの施設にございます核物質が軍事用に転用されていないことをIAEAが検査確認する、この道を開くものとして私どももこれを、先ほど狩野議員からお話がありましたように、歓迎したいというふうに思っております。今後、早急に今回の合意のとおりにIAEAによる査察が実施される、そしてこの疑惑というものが解かれること、これは最も望ましいことというふうに思っております。
 我が国といたしましては、北朝鮮が査察の実施とともに、やはり韓国との真剣な対話を開始してもらうということ、また米朝協議というものが再開されること、そして北朝鮮の核兵器開発問題が一刻も早く解決されることを望んでおりまして、そのために今後とも北朝鮮が前向きに対応してもらうこと、このことがこの北東アジア全体にとって、また日本にとっても大事なことであろうというふうに認識しながら、これからも適切に対応してまいりたい、このように考えております。(拍手)
    ―――――――――――――
#25
○副議長(鯨岡兵輔君) 佐々木陸海君。
    〔佐々木陸海君登壇〕
#26
○佐々木陸海君 私は、日本共産党を代表して、細川首相に質問をいたします。
 まず、本題に入ります前に、さきの臨時国会の事態について一言言わなければなりません。
 さきの国会に政府が提出した政治改革法案は、参議院で否決されたことからいっても、また両院協議会の経過から見ても、国会の意思として当然廃案にすべきものでありました。ところが、細川首相らの密室の談合によって、企業・団体献金を政党のみならず個人にも容認し、選挙制度では民意の反映のゆがみをさらに拡大させるなど、内容を一層改悪することを前提に、これを強行したのであります。日本の議会制民主主義の歴史に一大汚点をしるしたこの暴挙を、私は厳しく糾弾するものであります。(拍手)
 さて、日本国民は今、戦後最悪の不況に苦しんでいます。国民に目を向けた政府であるならば、何よりもこの不況の苦境から国民を救い、不況を克服するために全力を傾注するのが当然であります。しかるに細川内閣は、政治改革最優先などと称して、国民のための対策をまともに講じようともしなかったのであります。何よりも現在のこの不況の深刻化がそれを証明しているではありませんか。今こうしている瞬間にも異常な円高が進み、不況をさらに深刻にしているではありませんか。総理、この不況の深刻化についてあなたはどういう責任を感じているのでしょうか。そもそも責任を感じているのでしょうか。答弁を求めます。
 国民が切望し、また我が党も一貫して要求してきた最も重要な不況対策の一つ、それが所得減税であります。政府は、これまでずっとこれを拒否し続け、今ようやく六兆円規模の所得減税を打ち出したのであります。
 しかし、総理、政府が約束するこの所得減税について国民は大きな不安を持っています。入り口では減税でも出口は大規模な増税ではないか、そういう不安であります。いずれ減税以上の増税を押しつけられるのではないかという不安であります。減税にあずかれない多くの人にとっては、増税だけ押しつけられる、そういう不安です。これではまともな不況対策になるはずがないではありませんか。
 この不安には根拠があります。総理は、深夜の記者会見で打ち出した税率七%の国民福祉税という構想について、その後の会見で一応おわびをしたとはいえ、その席で考え方は変えていないと明言しているではありませんか。総理、七%の国民福祉税という構想、実質的な消費税大増税の構想は、撤回するのですか、固執するのですか、二つに一つであります。はっきりと答えてください。
 減税のやり方についても問題があります。政府の提案は一年限りの臨時措置です。これでは、減税を続けてほしければ増税を受け入れなさいということにつながるではありませんか。総理、なぜ恒常的な措置として実施しないのですか。
 しかも、この減税は一律二割という定率方式で、上に厚く下に薄いのが特徴です。これでは、不況対策としても全く中途半端であると言わなければなりません。基礎控除など人的控除の引き上げと税率の適用区分の緩和により、庶民に広く厚く行き渡る減税にすべきであると思いますが、総理、なぜそうしないのですか。
 総理は、消費税の税率アップなど国民に増税を迫る口実として、高齢化社会が来るということを盛んに強調しています。大体、総理、お年寄りへの差別医療を進め、年金の改悪を進めるなど、お年寄りを踏みにじるような政治を現に続けながら、高齢化社会への対応を口実にお年寄りに負担を強いる消費税の税率アップを持ち出すなど、矛盾のきわみとは思いませんか。
 今後の日本社会でお年寄りの人口がふえるのは事実であります。しかし、働く人の人口もふえていきます。働く人が日本の全人口を支えるという観点で見るならば、働く人一人が支える人口は今も将来もほとんど変わらないというのが実際ではありませんか。高齢化社会が来る、働く人の負担がふえる、だから国民福祉税だ、消費税の税率アップだという議論は、消費税導入のとき以来繰り返されてきた全くのごまかしの議論なのであります。
 総理、そもそもあなたは、減税や不況対策、福祉の充実などの財源は、赤字国債の発行か、それとも消費税の増税か、二つに一つしかないと考えているのですか。細川内閣の根本姿勢にかかわる重大問題として、明確に答弁してください。
 これまでの自民党政治の延長線の上での発想に立つのでなく、本当に国民の立場に立ち、国民に目を向けた改革を進めるという立場に立つのならば、赤字国債の増発や増税など負担を国民に押しつけることなく、国民のための施策を充実させることが可能であります。
 ゼネコン疑惑に関連して、公共事業の単価の三割が水増しだという関係者の証言さえ出ています。年間に中央地方合わせて四十兆円にも及ぶ公共事業に本格的にメスを入れるならば、それだけでも莫大な資金が浮くではありませんか。今度の補正予算でも公共事業の追加支出が中心になっています。この問題での政府の対応を伺いたい。
 さまざまな名目で出されている大企業への補助金を縮小廃止すること、世界第二位にまで膨れ上がった軍事費を大幅に削減することなどは当然のことであります。さらに、平均六%の国債の金利を借りかえによって一%下げるだけでも、利払いを二兆円近く節減できるではありませんか。以上のような歳出面での見直しと並んで、歳入
の面でも、バブル経済の中で膨れ上がった内部留保への適正な課税や、大企業、多国籍企業、大金持ちに対する不公正な税制の是正、こういうものだけで数兆円規模の歳入が新たに生まれるのであります。
 歳出歳入のこうした抜本的な見直しによって、十兆円の財源を生み出すことができます。こういう方向を進めてこそ改革と言えるのではありませんか。総理、政府はこういう方向をまともに検討したのですか、検討するつもりがあるのですか、答えてください。
 こういう努力を抜きにして、減税や不況対策、福祉などを口実に、国民にひたすら大増税を迫り、押しつけるなどというのは、変革でもなければ改革でもない、まさしく国民に痛みと苦しみを強いるだけの強権政治そのものだと言わなければなりません。(拍手)
 最後に、日米首脳会談について聞きます。
 総理が、アメリカの一方的な数値目標の押しつけに同意しなかったのは当然のことですが、今後もこの不当な要求を拒否し続けると約束できますか。また、そもそもアメリカ側からの一方的な要求の押しつけの場であることが明白な包括経済協議そのものを、直ちに打ち切るべきであるとは考えませんか。
 総理が首脳会談で、北朝鮮の核兵器開発疑惑に関連して、北朝鮮への制裁の問題でアメリカに同調した事実は、制裁が現実化しようとしまいと、事柄の性質として極めて重大であります。我が党は、もちろん核兵器保有国が拡大することには反対ですが、それは世界から核兵器を廃絶するという立場からであって、アメリカなどの核兵器保有、核兵器独占を容認するものでは絶対にありません。これに対し、総理の立場はどういうものでしょうか。総理は、アメリカの核兵器は平和のために役立っているとしてこれを肯定し、アメリカの核戦略に協力している立場ではありませんか。あなたは、そういう立場から北朝鮮の核兵器問題での制裁を云々しているのであります。そういうあなたの立場が国際的な道理にかない、被爆国日本の首相としてふさわしいと考えるのですか。明確に答弁してください。
 日米首脳会談以後急速に進んでいる円高は、当然ながら不況に拍車をかけています。今の円高の重大な要因の一つに、アメリカ政府による意図的な円高容認、円高への圧力があることは明白であります。総理、この問題でアメリカ政府に厳重に抗議するつもりはありませんか。どうでしょうか。その点の答弁を求めます。
 日本共産党は、内外の強権政治のあらゆるあらわれと徹底して闘い、国民のための外交、国民のための経済政策、そのための真の改革に全力を尽くすことを表明して、質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣細川護熙君登壇〕
#27
○内閣総理大臣(細川護熙君) 政治改革法案の扱いについてのお尋ねでございましたが、密室談合という御批判でございましたが、委員会や両院協議会などを舞台にした政党間の議論が集約できなかった場合には、トップ同士の話し合いで合意を目指すということは民主主義のルールの一つであって、今回の連立与党と自由民主党の合意もこのルールに従ったものであるというふうに思っております。
 改悪というお話がございましたが、政府案と自民党案との相互の歩み寄りであって、民主主義の共通の土俵をつくるための政治改革のねらいからして、暴挙という批判を受けるいわれはないものというふうに思っております。
 不況対策を講じてこなかったではないか、こういうお話でございましたが、我が国経済をできるだけ早期に本格的な回復軌道に乗せていくということは非常に重要な本内閣の課題でございますし、内閣が成立した直後の昨年九月には緊急経済対策を策定をいたしましたし、さらにまた今回も大規模な総合経済対策を策定をして、可能な限り景気に配慮するように努めているところでございます。政府としては、こうした施策を速やかにかっ着実に実施していくことによりまして、我が国経済をできるだけ早く本格的な回復軌道に乗せてまいりたいと思っております。
 国民福祉税の今後の取り扱いいかんということでございましたが、先ほども御答弁申し上げましたように、私としては、公正で活力のある高齢化社会を実現するために、バランスのとれた税体系を構築するということが必要であると認識をしておりまして、政府・与党間での税制改革についての協議を踏まえて、税制改革草案をお示しをしたところでございます。その後、与党内に協議機関を設置し、「年内の国会において関係の法律を成立させるものとする。」という合意が成立をいたしましたが、協議に当たりましては、草案に示された私の意のあるところも踏まえて御論議をいただけるものと考えております。政府としては、この与党合意に沿って、年内に税制改革が実現されるように努力をしてまいりたいと考えているところでございます。
 減税について、なぜ恒久的な措置にしなかったのか、こういうことでございますが、政府・与党におきましては、恒久的な所得税、個人住民税の負担軽減を含む税制改革につきましては、今後引き続き協議を進めて、年内にその実現を図る方針であるということを先ほど来申し上げてまいりました。そうした方針のもとで、当面の経済の低迷を打開するために、緊急避難的な措置として五兆五千億円の所得税、住民税の減税を一年間の措置として行うこととした次第でございます。
 今回の減税は定率方式で行うが、もりと中堅所得層を含めて広く厚く行き渡る減税にすべきではないか、こういうことでございましたが、先ほども申し上げましたように、政府・与党におきましては、恒久的な所得税、住民税の負担軽減を含む税制改革について今後引き続き協議を進めていくということにいたしております。
 そうした方針のもとで、当面の経済の低迷を打開するために、このたび、所得税制のあるべき姿を念頭に置いた税率や人的控除といった制度改正による減税ということではなくて、第一に、現行の所得税制に直接影響を及ぼすような改正というものは回避しつつ、納税者の現実の税負担に応じたものになるようにするということ、それから第二には、納税者にとってわかりやすく、実務的にも簡便なものになるようにするといった観点、第三には、景気刺激の即効性にも配慮して、減税をできるだけ早いタイミングで、かつ、まとまった形で実施をするといったような観点を踏まえまして、定率減税を行うことにした次第でございます。
 高齢化社会に向けての消費税率のアップということについてのお尋ねでございましたが、申すまでもなく、大変なスピードで高齢化に向かって進んでいるわけでございますが、これからの費用負担のあり方というものを考えますと、現行の税体系のままでは勤労意欲が阻害をされて、経済社会の活力が弱まってしまうことになりかねないということは、これも再々申し上げてきたところでございます。
 そういう中で、どうしてもバランスのとれた税体系を構築をしていかなければならないと思いますし、税制調査会の答申におきましても、そうした基本的な考え方が示されていることは御承知のとおりでございます。政府としても、先ほど申し上げました与党合意に沿って、引き続き検討を進めていただいて、速やかに政府・与党間の合意を得て、年内に税制改革が実現されるように期待をしているところでございます。
 減税、不況対策あるいは福祉充実などの財源は、赤字国債の発行か、それとも消費税の増税か、どっちかということでございますが、政府は、これまでも連年にわたりまして既存の制度や施策の見直しなどによる厳しい歳出削減の努力を積み重ねて、財政の効率化に努めてまいりました。特に、財政再建元年と言われた昭和五十五年度予算以降は、厳しい概算要求基準を設定をいたしまして、臨調や行革審の答申などというものも踏まえて、もろもろの制度改革や歳出の合理化に取り組んできたところでございます。また、歳出規模の抑制にも努めてきたところでございます。
 今後の財政運営に当たりましては、増大する財政需要に対応するために、まず、歳出面におきまして、制度の根本にまでさかのぼった見直しや施策の優先順位の選択を厳しくやっていくといったようなことを通じまして、従来にも増して厳しく洗い直しをしていくということも必要でございましょうし、税外収入などの歳入面におきましてもできる限りの努力を傾けてまいりたいと思っております。
 公共事業に本格的にメスを入れれば莫大な資金が浮くはずではないか、こういうお尋ねでございますが、公共工事の積算に当たりましては、会計法令の規定に基づいて、取引の実例価格を適正に反映させて発注者が厳正に予定価格を設定をしているところでございます。しかしながら、諸外国と比べて、賃金や資材などの内外価格差とも関連して社会資本の建設費が高いというそうした側面もまた一面で当たっているところもございましょうし、今後は、輸入資材の活用、技術開発などによって建設費の一層の低減が図られるように努力をしていかなければならないと思いますし、入札や契約制度全般にわたる改革を推進いたしまして、公共事業の適正な執行に取り組んでまいりたいと思っております。
 歳出歳入の抜本的な見直しで十兆円の財源を生み出すことが可能ではないか、こういうことでございましたが、先ほども申し上げましたとおり、これまでも既存の制度や施策の見直しを進めてまいりましたし、また、五十五年以来概算要求基準というものを設定をして厳しく歳出の抑制をしてきた、合理化にも取り組んできたということも事実でございます。今後とも、高齢化などによる当然増の要因を抱える中で、歳出の削減にできる限りの努力を傾けてまいりたいと思っておりますし、また、不公平税制の是正につきましても、納税者の信頼を得るために最も重要なことでございますから、この点につきましても、従来にも増して真摯な努力を積み上げてまいりたいというふうに考えているところでございます。
 それから、日米関係につきまして、アメリカの一方的な数値目標の押しつけに同意しなかったのは当然であるが、今後ともそういう要求を拒否し続けると約束するか、包括協議そのものを直ちに打ち切るべきじゃないか、こういう趣旨のお尋ねでございましたが、今回、最終的に米国との間で合意が得られなかったのは、米側の主張した客観的基準の一部が実質的に数値目標と同じであって管理貿易につながるものであったからでございまして、そのような数値目標は、規制緩和を第一の原理原則として掲げる本政権の基本理念と相入れないものであって、これを受け入れられないというのが我が国の基本的立場である、その立場に変更はないということを申し上げてまいりました。
 他方、包括経済協議そのものは、日米双方の努力によって両国の対外不均衡の中期的な改善を図るものでございますし、安定的な日米経済関係を築いていくためにも極めて重要な意義を持つものでございます。今後、包括協議のあり方につきましては、米側の出方もよく見た上で、何らかの形で打開する糸口を見つけたいと考えております。
 北朝鮮の核兵器開発問題との関連で、米国との協力体制についての考え方についてのお尋ねでございましたが、北朝鮮の核兵器開発問題が核不拡散体制や国際社会の安全保障にかかわる重大な問題であることは、国際社会の一致した認識であると思っております。そうした観点から、我が国としては、この問題解決のために可能な限りの努力をしなければならないと思いますし、米韓を初めとする関係国とよく連携をとって、北朝鮮がNPTにとどまり、あるいはIAEAの査察を完全に受け入れて、さらに南北非核化共同宣言を実施するように今後とも強く働きかけていかなければなるまいと思っております。
 日米会談後の急速な円高について、アメリカ政府に厳重に抗議をするつもりはないかということでございますが、為替相場は経済のファンダメンタルズを反映するもので、過度の変動は望ましくないというのが、昨年四月のG7以来、G7通貨当局共通の考え方でございますし、今後とも為替相場の動向に注視をして、適宜適切に対処し、為替相場の安定を図ってまいりたいと思っております。(拍手)
#28
○副議長(鯨岡兵輔君) これにて国務大臣の演説に対する質疑は終了いたしました。
     ――――◇―――――
 日程第一 木造原水水質保全事業の実施の促進に関する法律案(第百二十八回国会、内閣提出)
#29
○副議長(鯨岡兵輔君) 日程第一、水道原水水質保全事業の実施の促進に関する法律案を議題といたします。
 委員長の報告を求めます。厚生委員長加藤万吉君。
    ―――――――――――――
 水道原水水質保全事業の実施の促進に関する法律案及び同報告書
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
    〔加藤万吉君登壇〕
#30
○加藤万吉君 ただいま議題となりました水道原水水質保全事業の実施の促進に関する法律案について、厚生委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
 本案は、近年のトリハロメタン等の有害物質や異臭味被害の問題、新しい水道水質基準の施行などの状況を踏まえ、水道原水の水質の保全に資する事業の実施を促進することにより、安全かつ良質な水道水の供給を確保しようとするもので、その主な内容は、
 第一に、この法律において水道原水水質保全事業とは、下水道、合併処理浄化槽の整備に関する事業、河川に関する事業等をいうものとすること、
 第二に、都道府県または河川管理者は、水道事業者からの要請により、都道府県計画または河川管理者事業計画を策定し、これら計画に水道事業者の費用負担の額を定めるとともに、国及び地方公共団体は、水道原水水質保全事業に必要な資金の確保等の支援措置を講ずることとしたこと、
 第三に、合併処理浄化槽の整備事業を実施する市町村は、雑排水を排出する者に対し、助言または勧告をすることができることとし、国は、当該市町村に対し補助することができることとしたこと等であります。
 本案は、第百二十八回国会に提出され、一月二十日付託となり、二十六日の委員会において大内厚生大臣から提案理由の説明を聴取した後、継続審査となっていたものであります。今国会においては、昨日の委員会において質疑を終了し、採決の結果、全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと議決した次第であります。
 以上、御報告を申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#31
○副議長(鯨岡兵輔君) 採決いたします。
 本案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#32
○副議長(鯨岡兵輔君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
     ――――◇―――――
 日程第二 特定水道利水障害の防止のための水遣水涼水域。水質の保全に関する特別措置法案(第百二十八回国会、内閣提出)
#33
○副議長(鯨岡兵輔君) 日程第二、特定水道利水障害の防止のための水道水源水域の水質の保全に関する特別措置法案を議題といたします。
 委員長の報告を求めます。環境委員長奥田幹生君。
    ―――――――――――――
 特定水道利水障害の防止のための水道水源水域の水質の保全に関する特別措置法案及び同報告書
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
    〔奥田幹生君登壇〕
#34
○奥田幹生君 ただいま議題となりました特定水道利水障害の防止のための水道水源水域の水質の保全に関する特別措置法案につきまして、環境委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
 本案は、水道原水の浄水処理に伴い副次的に生成するトリハロメタン等の物質による水道利水障害の防止を図ろうとするものでありまして、その主な内容は、
 第一に、国は、水道水源水域の水質の保全に関する基本方針を策定すること、
 第二に、内閣総理大臣は、特定水道利水障害を防止するための施策を総合的かつ計画的に講ずる必要があると認められる等の水域及びその関係地域を指定水域及び指定地域として指定すること、
 第三に、都道府県知事は、基本方針に基づき、水質保全計画を策定するとともに、トリハロメタン等の生成原因となる物質に係る排水基準等を定め、その遵守を義務づけるとともに、勧告、改善命令等の規制を行うことができること、
 第四に、この計画に定められた事業は、当該事業に関する法律等の規定に従い、国、地方公共団体その他の者が実施すること等でございます。
 本案は、第百二十八回国会に提出され、広中環境庁長官から提案理由の説明を聴取いたしました後、今国会に継続審査となっていたものであります。今国会におきましては、昨日審査を行うとともに、参考人から意見を聴取した後、同日質疑を終了し、採決の結果、本案は全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと議決した次第であります。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
#35
○副議長(鯨岡兵輔君) 採決いたします。
 本案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#36
○副議長(鯨岡兵輔君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
     ――――◇―――――
#37
○副議長(鯨岡兵輔君) 本日は、これにて散会いたします。
    午後二時四十九分散会
     ――――◇―――――
ソース: 国立国会図書館
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