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1994/03/08 第129回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第129回国会 本会議 第9号
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1994/03/08 第129回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第129回国会 本会議 第9号

#1
第129回国会 本会議 第9号
平成六年三月八日(火曜日)
    ―――――――――――――
 議事日程 第六号
  平成六年三月八日
    午後一時開議
 一 国務大臣の演説に対する質疑 (前会の続
   )
    ―――――――――――――
○本日の会議に付した案件
国務大臣の演説に対する質疑   (前会の続)
中国残留邦人等の円滑な帰国の促進及び永住帰
  国後の自立の支援に関する法律案(厚生委員
  長提出)
    午後一時三分開議
#2
○議長(土井たか子君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
 国務大臣の演説に対する質疑  (前会の続)
#3
○議長(土井たか子君) 国務大臣の演説に対する質疑を継続いたします。鈴木俊一さん。
    〔鈴木俊一君登壇〕
#4
○鈴木俊一君 私は、自由民主党・自由国民会議を代表して、細川総理並びに関係大臣に質問いたします。
 総理、細川内閣が発足して八カ月が経過いたしました。実質三十八年ぶりに政権交代が行われ、当初国民は、新政権に対する期待感や、総理のスタイルを重視する。パフォーマンスの効果により、かつてない高い支持率を与えました。総理御自身も、昨年九月の第百二十八国会における所信表明演説において、「政府は帆であり、国民は風であり、国家は船であり、時代は海である」というドイツの評論家ベルネの言葉を引用され、また、先週の施政方針演説でも、国民の皆様の声だけが唯一の道しるべであると言われ、世論の支持の中での政治を標榜されました。
 確かに、今日までの細川内閣の歩みを振り返ってみると、多少のことがあっても支持率の高さに救われ、いわば支持率という風に乗って飛行するグライダーのようでありました。しかし、総理が頼りとされる内閣支持率も、いまだ比較的高い水準にあるとはいえ、年が明けてからここ短期間に急激に低下をし、反面、支持をしない方々の割合が急増いたしております。その理由は、私から指摘するまでもなく、総理の一連の政治的不手際、失策にあることは言をまたないところであります。
 戦後最大の不況下で、中小企業者を初めとする多くの国民が苦しむ中、政治改革法案をいわば免罪符として来年度予算の年内編成を見送るなど、後手後手に回った経済対策、民主的なプロセスが全く見えずに突如発表され、一日で撤回された国民福祉税、日米包括経済協議の決裂、そしてこの二週間、日米経済関係を初めとして一日もゆるがせにできない重要な時期に政治停滞を招いた内閣改造問題、これら一連の不手際は、今までの自由民主党政権であれば、この間少なくとも二度や三度は内閣が倒れていてもおかしくない失策、失態の連続でありたと厳しく指摘せざるを得ません。(拍手)
 こうした失策を招いた要因は、そもそも基本政策、基本理念が異なる政党が、ただ単に非自民という図式の中で連立をし、各党の方針や思惑の違いの中で細川総理が内閣の最高責任者としてのリーダーシップを全く発揮できない状況にあること、そして、総理が提唱された「政治の復権」という言葉とは裏腹に、実際には官僚主導の政治が行われていること、さらには、閣僚と所属政党、あるいは連立与党と各党との間の立場の違いをその場その場で使い分けるという無責任な体制になっていることによるものと思います。
 官僚が前面に出て政治が後ろに下がるという官僚任せの政治運営が行われ、さらに責任の所在が不明確で、その上総理のリーダーシップを発揮できないという現実の状況で、これから目指すと言われる経済改革や行政改革が果たして成果を上げることができるのでしょうか。また、重要課題が山積する中、事前の準備、事後の対策等、十分できるのでしょうか。私は疑問に思います。
 最近、事前の準備の著しい不足が露呈されたのが、先月に行われた日米首脳会談でありました。
 この会談は、包括経済協議において合意を見ることができず、完全に失敗であったと申し上げてよかろうと思います。総理は、首脳会談の失敗を、できないことについて率直に認め合う、それが成熟した日米関係だ、新しい時代の大人の関係だと、会見で堂々と表明されました。さらに、本院における帰国報告の中で、「一言で申し上げて、よい会談でした」と発言されましたが、正直言って、どのような神経でこのようにおっしゃっているのか、疑問を禁じ得ませんでした。
 妥協をよしとしなかった、数値目標を容認しなかった、初めてノーと言ったなどと自賛していられるような内容のものだったのでしょうか。その後の結果は、米通商法スーパー三〇一条の復活に見られるように、米国の厳しい態度に我が国経済が打撃を受けつつあることを見ても明らかであります。決裂する前になぜもっと早期に折り合える妥協点を探ろうとしなかったのか、役人レベルの範囲を超えて政治的レベルでの接触を求め、互譲の接点を探らなかったのか、心底悔やまれてならないのであります。
 かつて我が党政権下においても、日米交渉は実に厳しく、熾烈なものでありました。外交交渉とは国益と国益がむき出しでぶつかり合うものでありますから、妥協が最善の知恵となってきたわけであります。ただ、我々は、それを濃密な政治的、外交的配慮でまとめ上げてまいりました。細川総理は、それらの外交の実績、蓄積をいとも簡単に吹き飛ばしてしまいました。
 その後、二月十七日、官邸に外務、大蔵、通産の三省の幹部を呼んで急遽対策を協議され、二十五日には関係閣僚による懇談会を開いたと伺いますが、まさに泥縄的対応であり、今さらの感にたえません。
 言うまでもなく、日米関係は、我が国にとって基軸的な二国間関係であります。そして、両国は、経済問題のみならず、政治・安全保障問題からグローバルな問題に至るまで、幅広い分野での責任を共有しております。経済関係の摩擦が政治・安保を初めとする関係を損ねないうちに解決策を提示し、実行しなければなりません。それは、マクロ分野での黒字削減策を確立し、個別分野の目に見える市場開放策を実現するための規制緩和のプログラムを策定することが基本であると考えますが、総理はこの亀裂を生じた日米包括経済協議をどのように解決しようとするおつもりなのか、お伺いいたします。
 日米包括協議決裂後、総理は、しばらく冷却期間を置くなどとのんきなことを言っておられましたが、帰国後すぐに急激な円高が進行し、さらに、クリントン大統領は三日、期限切れとなっていた通商法スーパー三〇一条を復活させました。このスーパー三〇一条は、米国が自国のルールにより一方的に、相手国が不当貿易制限などを行っているかどうかを九月末までに判定し、その後一年間の交渉で進展がなければ一方的な対抗措置をとるとするものであり、極めて強圧的、恫喝的なものであります。いわば検察官と裁判官を一人で兼ねて裁定を下しているようなものであり、自由貿易の原則からいっても、ガットの体制からいっても絶対に容認することはできません。
 しかし、そうはいっても、現実の問題として決裂したままになっている日米包括経済協議がこのまま打開できなければ、我が国が不公正な貿易慣行を持つ国として特定される可能性は極めて高く、強く危惧するところであります。
 総理は、一方的な制裁措置が仮に発動されれば国際的ルールにのっとって対応するとの方針を述べられましたが、米国側は新ラウンドの合意は三〇一条を禁止していないと主張しており、総理のおっしゃるようにガットに提訴するという方針の実効性があるかどうか不明確なままであります。
 また、現行ガット上の規定のないサービス、金融部門について、当面スーパー三〇一条を使用するということが伝えられています。これらの点についていかがお考えなのか、さらに、ガット提訴以外にスーパー三〇一条に対抗する我が国の措置があるのか、あわせてお伺いいたします。
 我が国のお隣である朝鮮半島の安定は、我が国の平和にとって死活的重要性を持っております。
 大韓民国の金泳三大統領は近く国賓として我が国を訪れますが、昨年十一月の日韓首脳会談で打ち出された、我が国の過去の反省の上に立った両国の未来志向型の関係をより緊密に前進させる上で、その成果が大いに期待されます。特に来年は、日韓条約が締結され、両国の国交が結ばれて三十年の年であります。また、韓国にとっては、同時に独立回復五十周年の年でもあります。複雑な意味を持つ節目の年を目の前にして、間もなく行われる日韓首脳会談に総理はどのような姿勢で臨まれるのでしょうか。
 一方、北朝鮮については核開発疑惑が浮上し、国際原子力機関から査察を受け入れるよう求められておりますが、これに対し北朝鮮側が拒否あるいは条件を付すなどして依然難航している状態にあり、我が国の安全保障にとって重大な脅威を生じせしめております。
 総理は、さきの日米会談で、北朝鮮の核開発疑惑について話し合われ、国連安保理での制裁発動の場合には法令の許す範囲内で可能な限り対応をする旨答えたと報告されましたが、その場合、いかなる対応が可能なのか、危機管理の対応はどうなのかなどについて各省庁で十分検討は進んでいるのでしょうか。一説によれば、現政権の中には親北朝鮮派の閣僚や政党が存在するために、役所の中でその対応にはばかりがあるという声もありますが、事は我が国の安全保障に関する問題であり、万全の対応を検討する必要があります。政府の朝鮮半島政策、日韓、日朝関係に臨まれる方針について、総理並びに外務大臣にお尋ねをいたします。
 我が国は、国連加盟以来一貫して国連中心外交を展開してまいりました。冷戦が終結し、これからは超大国の力を背景とした世界秩序から国連を中心とした国際秩序の構築が目指される今日、国連の機能をいかにして強化するかは重要な課題であります。そして、これまではどちらかといえば受け身の立場にあった我が国が、核兵器を持たない平和大国として、この問題、すなわち国連の強化や安全保障へ向けての機能強化にどのような役割を果たそうという意思を持っているかを示すことは、極めて意義のあることではないでしょうか。
 当然、我が国の常任理事国入りの議論も安保理の改組問題の中でなされると思われますが、我が国が責任を果たすと同時に、発言力を行使できる立場を確保することも必要と思われます。そのような観点に立つとき、総理の、推されればなるという待ちの姿勢ではなく、積極的にそのための努力をなすべきではないかと考えます。明年は、時あたかも国連創設五十周年の年に当たり、一つの大きな節目を迎えますが、そのようなときに日本が態度をいつまでもあいまいにして明確にしないことは、世界からは責任回避の姿勢と受け取られかねません。総理は常任理事国入りの意欲を表明すべきと考えますが、総理のお考えはいかがでございましょうか。
 次に、内政についてお伺いいたします。
 総理も施政方針演説で述べられたように、今国民の皆様が切実に願っているのは深刻な不況からの脱出であります。政府は先般、大型の所得税、住民税減税や第三次補正予算による追加措置を我が党の賛成も得て成立させました。不十分とはいえ、とれに基づく総合経済対策の効果が期待されます。しかし、せっかくの経済対策も、対応のおくれとともに、日米会談決裂後の急激な円高、さらには公共料金の引き上げ等により、その効果の削減が心配されます。
 特に、公共料金などの引き上げは、本年に入りてから、一月の郵便料金の大幅アップ、さらに四月以降、国内の電話料金、国立大学の入学・授業料、ピール、清酒、しょうちゅうの酒税、首都高速道路料金等々の値上げ、また医療関係での診療報酬、入院時給食費の自己負担増、国民年金、厚生年金の保険料の引き上げのほか、さらには東京都を初めとする地方自治体等の公共料金などの値上げも行われると聞いております。
 これらはすべて国民の負担増であり、特に高齢者や低所得者層には厳しい出費であります。現時点でも、一般家庭の可処分所得に占める公共料金の支出割合はおよそ二〇%と言われておりますが、戦後最大の不況下で収入が伸び悩む中、公共料金の支出割合の増大は家計を大きく圧迫し、さらに便乗値上げや、今は落ちついている物価にも大きな影響を及ぼすものと思われます。
 本年予定されている五兆四千億円余の減税は、景気対策、雇用対策など社会経済情勢に配慮して行われるものであると考えますが、これら料金の引き上げにより減税効果が大きく減殺されることになります。例えば厚生年金保険料の引き上げだけでも、事業主と本人分合わせて平年度約二兆六千億円となり、入院時給食費でも平年度約三千億円の負担増となるのであります。他の値上げ等を合わせると、減税の効果はさらに大きく削減されましょう。
 民間の企業が不況にあえぐ中で生き残りをかけたリストラを真剣に進めているとき、政府関係において公共料金等の引き上げがメジロ押しに行われることは、国民生活の足を引っ張り、経済の活性化を一段とおくらせるものと考えますが、総理の御所見をお伺いいたします。
 次に、地方の基幹産業である第一次産業についてお伺いいたします。
 総理は、政権発足以来、生活者重視を打ち出されました。その意味はあいまいでありますが、その後の総理の姿勢や予算の内容などを見ると、都市生活者重視、地方軽視のようにも思われます。総理は、ウルグアイ・ラウンド農業交渉の決着に当たり、言葉では「断腸の思いで決着した」と述べておられますが、総理は、単に期限がやってきた農業に係る課題としてただ処理しただけだったのではないでしょうか。この問題の背後におられる、田んぼや畑で額に汗して頑張って働いている農林漁業に従事する方々の心の思いを受けとめながら重い決断を行ったのか、私には疑問に思えてなりません。実際、先日の施政方針演説の中で林業、水産業に触れたくだりは、わずか六十文字にすぎませんでした。
 細川総理、あなたは緊急農業農村対策本部の本部長として、発足以来、具体的に何をおやりになりましたか。農政の基本問題を検討すべき農政審の検討結果をじっと待っているということでしょうか。どのようなタイミングでいかなる対応を行っていくこととしているのか、国民に明確にするべきであると思います。答弁をお願いいたします。
 次に、昨年の大冷害による国産米の不足と大量の輸入米の供給についてお尋ねいたします。
 三月から国産米三割、外米七割という供給を政府は当初考えていたようですが、二月に外米を五万トン試験売却しているので、その分国産米比率が増すことになるということでありますが、このところ、主婦がお米を買いに行くと国産米が買えないとか品不足であるということで、主食である米について大きな不安が国民の間に広がりつつあります。このようなことについて、畑農林水産大臣は御存じですか、そして、お確かめになりましたでしょうか。
 そもそも食管制度が存在し、食糧庁も総量として必要量を供給しているということなのに、このようなことが起こるのは一体どういうことでしょうか。食管制度は一体機能していると言えるのでしょうか。米の供給については、大丈夫であり、心配はかけないという答弁はできますでしょうか。国民が十分に納得し、買いだめ、売り惜しみが生じないよう、わかりやすい答弁を求めます。生産者にとっても消費者にとっても、安心できる政策を講じる必要があります。畑農林水産大臣の見解をお聞きいたします。
 次に、林業について伺います。
 森林は、木材供給のほか、国土を守り水をはぐくむなど豊かで潤いある国民生活の維持、さらには地球環境の保全のためにかけがえのない役割を果たしています。我が国国土の約七割は森林であり、このように高い森林率を維持し、しかも一千万ヘクタールの人工林を有する国は、世界で唯一日本だけと言っても過言でありません。
 我が国の森林は、先人のたゆまぬ努力により維持造成され、今では、毎年我が国の年間の木材使用量の三分の二にも当たる七千万立方メートルの蓄積の増加を示しています。このような資源を有効に活用していくことが、資源小国日本にとって、二十一世紀に向けての基本的な課題であると考えます。
 戦後造成された人工林はやがて伐期に達しようとしていますが、これからも保育、間伐等の手入れが行われなければならない森林も相当存在します。このような手入れを確実に実施していくことによって、木も木材としての価値を持つことになりますし、森林も国土保全機能を果たし、豊かで美しい国土の形成と潤いのある国民生活の実現にとって、不可欠な存在となるのであります。国民共有の財産である森林を守り、林業を担っていく人々が生活する場は山村であります。総理の山村に対する考え方を伺いたいと思います。(拍手)
 また、今回のウルグアイ・ラウンドでは林産物に関する関税の引き下げが決定されましたが、これは、今でさえ危機的状況にある我が国の木材産業にとっては、まことに厳しいものであります。それゆえ、ウルグアイ・ラウンド対策においては、農業に限らず、林業及び木材産業においても思い切った対策をとっていく必要があります。ぜひ総理のお考えをお聞きしたいと思います。
 水産業をめぐっては、国際的な二百海里体制の定着や水産資源の減少に加え、自然保護、環境面から公海においても操業が規制されるなど、漁場が大幅に狭められてきています。そのため、我が国周辺水域においては、官民挙げて資源管理型漁業に取り組んでいるところでありますが、近年、我が国周辺水域において韓国漁船による違法操業が続発し、特に昨年は、漁具被害のみでなく、操業中の漁船員や取り締まりに当たっている海上保安庁の職員に対し身体への危害を加えるなど、悪質な事件も急増いたしております。
 海上保安庁及び水産庁も懸命に取り締まりを行っておりますが、広大な海域について限られた
予算と人員での取り締まりである上、基本的には、領海外での違反については韓国が取り締まり権を有する仕組みとなっており、残念ながら実効が上がっていないのが現実であります。韓国漁船による違法操業を放置することは、漁業の問題にとどまらず、我が国と韓国との友好関係にも悪影響を及ぼす外交上の極めて重要な問題と考えます。
 特に、近年日韓両国が共通で利用している海域において資源状況の悪化が進み、このままでは両国漁業が共倒れとなる可能性もあります。これからは、両国が協力して、適切かつ実効ある資源管理措置を構築していく時期に来ていると考えます。本年は自主規制措置の見直しの年であり、関係漁業者が将来ともに安心して漁業に従事できるよう、新たな枠組みの構築も含め、今後どのように対処されるおつもりか、細川総理に御答弁をお願いいたします。(拍手)
 漁港は、水産業に携わる者にとって、漁業の生産基盤であるとともに、自然災害に備え、生命財産を守るためにも欠かすことのできないものであります。特に離島などにおいては、まさに日常生活を支える生活基盤そのものであります。実際、漁港事業は、漁港整備にあわせて、消費者である国民に新鮮で安全、良質なたんぱく質を安定的に供給するための流通・加工基盤の整備を行うとともに、集落排水施設の整備などにより、都市と比べ大幅に立ちおくれている漁村の生活環境整備をも行うなど、総理が強調している生活者のための事業でもあります。
 しかるに、昨年、財政制度審議会答申によって、漁港及び沿路事業がCランクに位置づけられ、抑制的に行うべき事業とされ、平成六年度予算編成においても、漁港事業は各公共事業の中で最も低い伸び率に抑えられています。都市への一極集中の弊害が顕著となり、国土の均衡ある発展が求められている今この時期に、これら事業を軽視することは許されることではありません。都市住民も漁村に住む人々も、国民が皆ひとしく、安全で豊かな、活力あふれる生活を享受できるようにすることが政治の責務であると思いますが、細川総理はいかがお考えか、御答弁をお願いいたします。(拍手)
 また、我が国における水産物の輸入は近年大幅に増加し、漁業経営を圧迫する大きな要因となっております。ウルグアイ・ラウンド交渉で、水産物の関税については、原則として現行税率から三分の一程度引き下げるとの合意がなされました。これにより、さらに無秩序な輸入が増加し、魚価の一層の低迷を招くことになるのではないかと憂慮されます。このような国際化という状況の中で、我が国の水産業を振興していくためどのような施策を講じていくのか、総理と農林水産大臣にお伺いをいたします。
 最後に、政治改革について伺います。
 懸案であった政治改革関連法の改正案は、去る四日に自由民主党提出案に極めて近い形で成立いたしました。選挙制度、政治資金制度、さらには公的助成の導入など、これまでの制度を抜本的に改めるものであります。
 このたびの制度改正によって、選挙も政治資金の集め方も政党中心に行われることになり、また、政党に対する公的助成も導入されることから、この法律が成立する以前と以後では、政党を取り巻く社会的状況、法的環境は大きく異なったと思います。現在、政党については、公職選挙法、政治資金規正法、政党助成法というそれぞれ別個の法律の中で、いかなる要件を備えれば政党と呼べるのかといういわゆる政党要件が規定され、それに係る規定が散見されるだけであります。制度改正により政党が果たす機能の重大さを思うとき、政党が政党活動の実態を明らかにしたり、党の民主的運営を担保するなど、国民に対して負うべき責務を明確にし、これまでの任意団体にすぎない政党を真正面から法的に位置づける必要があるのではないでしょうか。
 昨年の選挙において新党が誕生いたしました。これからも新党が誕生することがあるでありましょう。そして、議院内閣制ですから、どこかの党首が首班に選ばれるわけであります。国民にとって、実績のない新党の実体を推しはかるすべは、党首のイメージというあいまいなものに頼っているだけでよいのでありましょうか。少なくとも政党としては、党首がどのように選ばれるのか、党がどのように運営されているのかなとを明らかにすることが、公党として国民に対して持つ責任であると思います。国民の政治的意思を統合する主体として政党を法的に明確に位置づけるべきと思いますが、総理の見解をお尋ねいたします。(拍手)
 また、総理は施政方針演説において、「今後ともより実効ある腐敗防止策を初め、制度の改善に向けた努力を怠ってはならない」と述べられておりますが、例えば末端の選挙運動員まで連座の対象を拡大するなど、新たな腐敗防止法のようなものを具体的に提出されるお考えがあるのでしょうか、あわせてお伺いいたします。
 我が党は、政府四演説に対し、昨日は河野総裁と柿澤政務調査副会長、本日は私が質問いたしました。そこで指摘し、明らかになったことは、我が国を取り巻く内外の難題は山積し、それに対する細川内閣の政治運営はもはや手詰まりの感があるということであります。そして、時間の推移に従って、細川政権のパフォーマンスに彩りされた虚像ではなく、実像が広く国民の間に広がり始めております。
 このかけがえのない日本の国が進路を誤らずに平和で豊かな国であり続けるためには、私たち自由民主党の今までに蓄積された経験、人材が必要であると信じます。我々は党を再生し、必ず政権の座に復帰し、国民の皆様の御期待にこたえていくことを申し上げ、私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣細川護熙君登壇〕
#5
○内閣総理大臣(細川護熙君) 初めに、官僚任せの政治運営と責任の所在ということについてのお尋ねでございましたが、御指摘のような官僚主導ということはございませんし、与党各党の御協力のもとに政府として一定の方向づけを行い、各省庁で諸施策の推進に努めているところでございます。連立政権は、各党一致結束して国民の負託にこたえていくことを確認し合っており、経済改革や行政改革につきましても、今後より一層一丸となって努力をしてまいりたいと思っております。
 日米包括経済協議をどのように解決をしていくかということで、この関係について幾つかお尋ねがございますが、包括経済協議につきましては、考察期間、冷却期間を置くことになりましたが、日米双方とも交渉のドアは開かれているという立場でございまして、今後、米側の出方も見つつ、何とか打開の糸口を見つけてまいりたいと思っております。
 いずれにせよ、我が国としては、中期的な意味のある経常収支黒字の縮減に向けて努力をしてまいらなければなりませんし、マクロ面では、そのような観点から総合経済対策の着実な実施を進めていかなければならないというふうに思っておりますが、また、ミクロの面でも、一層の市場開放に向けた自主的な措置というものを三月中に打ち出すということで、今鋭意その作業をしているところでございます。
 ガット提訴の実効性ということについてのお尋ねでございましたが、基本的には、現行のガットにおきましても、またウルグアイ・ラウンドの結果設立される世界貿易機関のもとでも一方的な措置をとることは禁止をされておりますし、それらの紛争処理手続の実効性に疑問があるというふうには考えておりません。
 それから、現行ガット上の規定のないサービスあるいは金融部門と三〇一条の関係などについてのお尋ねでございましたが、御指摘がございましたように、現行のガットはサービスや金融部門を対象としておりませんが、この場合でも、例えば、米国が我が国に対して三〇一条を発動し、関税率の引き上げといった措置を一方的にとればガット違反となるものと考えております。
 なお、今後設立される世界貿易機関は、サービスなどを含む幅広い分野を対象とするものになるものと考えております。
 三〇一条に対する対抗手段の問題につきましては、これが具体的な案件に対して発動されていない段階で、いかなる対応をとるかといった仮定の問題について予断を与えることは差し控えさせていただきたいと存じます。いずれにしても、米政府の良識のある対応を期待しているところでございます。
 日韓首脳会談に臨む方針ということでございますが、金大統領との首脳会談の際には、昨年十一月の慶州での首脳会談において確認をされました大統領との信頼関係というものを基礎として、北朝鮮の核兵器開発問題を初めとする国際情勢につきまして幅広く意見の交換をいたしますとともに、日韓両国の友好協力関係を未来志向で幅広いものとするための方策につきまして率直な意見の交換をしたいと思っております。
 北朝鮮の核疑惑に関して、制裁についての我が国の対応はどうかというお尋ねでございますが、お尋ねの経済制裁につきましては、現在、日米韓が協力して、対話を通じた問題の解決に向けて努力をしているところでございまして、現時点で具体的に申し上げることは差し控えさせていただきたいと思います。ただ、一般論として、仮に安全保障理事会で何らかの措置が決定される場合には、我が国としても責任ある態度をとらなければならない、対応をとらなければならない、このように思っております。
 今後の日韓、日朝関係についてもお尋ねでございましたが、日韓両国は、自由、民主主義あるいは市場経済、こういった共通の基本的な価値を有する隣国であって、今後とも政府としては未来志向的な日韓関係の構築のために努力をしてまいりたいと考えているところでございます。
 一方、日朝関係につきましては、北朝鮮の核兵器開発問題は、我が国の安全保障上の重大な懸念であるのみならず、核不拡散体制や国際社会の安全保障にかかわる重大な問題でありますし、我が国としては、この問題の解決のために引き続き北朝鮮に強く働きかけてまいりたいと思っております。日朝国交正常化交渉は、北朝鮮側の対応によって中断されて以来再開のめどが立っておりませんが、韓国などの関係国とも連携をとりながら対応していく方針でございます。
 常任理事国入りについてのお尋ねでございますが、私も、就任以来、国連総会に出席し、また、各国の首脳とも会談を行い、日本が国際社会においてより一層積極的な役割を果たすべきであるという期待が高まっている、そのように実感をいたしております。本年一月から安保理の改組について議論するための作業部会もスタートをしておりますし、今後活発な議論が予想されるわけでございますが、施政方針演説でも申し上げましたとおり、このような議論に積極的に参画をし、国際社会の期待にこたえ得る形で、世界の平和と安定のためになし得る限りの役割を果たしていきたい、責任を果たしていきたい、このように思っております。
 公共料金等の引き上げと経済の活性化についてのお尋ねでございましたが、公共料金につきましては、経営の徹底した合理化を前提として、物価や国民生活に及ぼす影響を十分考えて取り扱うこととしておりまして、政府としては、今後とも適正な公共料金が確保されるように、政府部内においてよく連携をとってやってまいりたいと思っております。
 こうした努力に加えまして、円高差益の還元あるいは競争政策の推進、価格動向の調査、監視などを実施をしていくこととしておりまして、今後とも物価は引き続き安定的に推移するものと見込んでいるところでございます。このたび総合経済対策を決定いたしましたが、その着実な実施を図ることによりまして、我が国の経済をできるだけ早く回復軌道に乗せてまいりたいと思っております。
 ウルグアイ・ラウンドの農業合意に伴う国内対策についてのお尋ねでございましたが、昨年の十二月の半ばに設置をいたしました緊急農業農村対策本部につきましては、その後直ちに第一回の会合を開催をいたしまして、関係閣僚に対して万全の対策を講じていくように協力をお願いをしたところでございます。また、先般の第三次補正予算におきまして、緊急に農業の体質強化を進めるために国際化対応緊急農業対策を盛り込んだところで、六年度予算案につきましても、新政策の推進に格段の厚みを増すように工夫を凝らしたつもりでございます。今後の国内対策につきましては、緊急農業農村対策本部において検討の上、農政審における議論も踏まえて、必要な措置を適切に講じてまいりたいと考えている次第でございます。
 林業を通じた山村の振興についてのお尋ねでございますが、山村の振興を図るため、森林活性化資金の創設などを通じまして、山村の基幹産業である林業の振興や地域の資源を活用した地場産業の振興、あるいは生活環境の整備などの施策を展開をしているところでございまして、今後ともその推進に努めてまいりたいと思っております。
 林業について、ラウンドに係る国内対策いかん、こういうお尋ねでございますが、我が国の林業や木材産業は、木材輸入の増大あるいは価格の低迷、さらには関税の引き下げなどによって厳しい状況に置かれていることはお話があったとおりでございます。こうした状況を踏まえまして、林業、木材産業の体質強化が図られるように、これらの産業の高度化のための施策を引き続き適切に講じてまいりたいと考えております。
 韓国漁船の違法操業についてのお尋ねでございますが、韓国漁船の不法操業問題につきましては、昨年秋の日韓首脳会談におきまして、金大統領から今後是正されるように指示するという発言がございまして、その後韓国内で不法操業の防止対策が講じられているということでございますし、我が国としては、この韓国側による対策の実施状況を注視をしているところでございます。来年以降の日韓漁業関係について話し合うために、現在実務者協議を開始したところでございますが、この中で、不法操業問題のほか、両国周辺水域の資源の適切な管理の問題などにつきましても十分話し合って、安定的な漁業関係が構築されるようにさらに努力をしてまいりたいと思っております。
 漁業の整備と漁村の生活向上についてのお尋ねでございますが、活力のある漁村を形成していくために、限られた財源の中で所要の予算を確保したところでございまして、今後とも水産業の振興と漁村の生活環境の整備を着実に推進をしてまいりたいと思っております。
 水産振興策についてのお尋ねもございましたが、我が国の水産業の健全な発展と水産物の安定供給の確保を図るために、周辺水域における水産資源の持続的な、また高度な利用を図るということを基本にして、漁港や沿岸漁場などの生産基盤の整備あるいはまた漁業経営の改善合理化あるいはまた水産物の需給・価格の安定、こうした施策を、これも総合的に引き続き展開をしてまいりたいと思っております。
 政党の法的な位置づけという趣旨のお尋ねでございましたが、今回の制度改革におきましては、政党に関する事項は、政党の内部にできる限り立ち入らないという考え方のもとに、公職選挙法、政党助成法など各個別法におきましてそれぞれ最小必要な事項に限って定めることとし、政党に関する一般法としての政党法の制定は行わないこととしたところでございます。なお、先般、政党交付金を受けることのできる政党に係る法人格付与の問題につきましては、今後連立与党と自民党との間で協議を行うことになりたと承知をいたしております。
 連座の対象を拡大するなど腐敗防止法のようなものを具体的に考えることはないか、こういうことでございますが、このたびの改正法によりまして、腐敗防止に向けて相当な効果が上げられるものと期待をしているところでございます。もともと腐敗防止は、公職選挙法、政治資金規正法、刑法などの広範な法律の整備によって対処してきたところで、さらにその強化が必要であるとしましても、御指摘のような腐敗防止法などの新法が、新たな独立の法律の制定が適当かどうかということにつきましては、今後さらに慎重に検討をしてまいる必要があろうかと思っております。
 残余のお尋ねにつきましては、関係大臣から御答弁をいたします。(拍手)
    〔国務大臣羽田孜君登壇〕
#6
○国務大臣(羽田孜君) 朝鮮半島政策、日韓、日朝関係にどのような方針で臨むのかというお尋ねでございました。
 この点につきましては、我が国の朝鮮半島政策、これの基本は、やはり自由、民主主義そして市場経済という基本的な価値を共有いたします韓国との友好協力関係、これのさらなる強化、これが第一義であろうというふうに思います。そして、今月末には御指摘がありましたように金泳三大統領が訪日されますけれども、日韓両国関係をさらに未来志向で幅広いものとするための契機となるよう、私どもは努力していきたいというふうに考えます。
 他方、北朝鮮の核兵器開発問題は、我が国を含む北東アジア地域の安全保障の重大な懸念であるだけではなくて、核不拡散体制や国際社会の安全保障に関する重大な問題であろうと認識をいたしております。我が国といたしましては、今後引き続きアメリカ、韓国、中国その他の関係諸国とも連携をいたしまして、北朝鮮がこの問題の解決に、疑惑を払拭するという積極的な措置をとるよう強く働きかけていきたいというふうに考えます。
 なお長期的には、朝鮮半島の平和と安定は、朝鮮半島のみならず、東アジア地域全体の安定にとっても重要であるということであります。このためには南北対話、これを通じまして進展をさせていくことが私どもはさらに大事であろうと思います。我が国としては、こうした南北対話の推進のための環境づくりのために、でき得る限りの努力をしていかなければならないというふうに考えております。
 以上であります。(拍手)
    〔国務大臣畑英次郎君登壇〕
#7
○国務大臣(畑英次郎君) 鈴木議員の御質問にお答えを申し上げます。
 まず最初に、米の供給に関する御質問でございますが、御案内のとおり、我が国の一カ月に国民の皆様方が消費をされます消費量、毎月の消費量は五十万トンでございます。三月から、今月から八月まで六カ月間、総量といたしまして三百万トンというものが必要量と相なるわけでございますが、ただいま政府側の手持ちといたしまして、国産米が百二十万トン、なおまた港に陸揚げをいたしました輸入米が四十万トン、ただいま手持ち在庫といたしまして所持をいたしておるところでございます。そしてまた、三百万トンに対する不足分につきましては大方手当てが目鼻がついた、こういう段階でございますので、まず第一点、国民の皆様方にも御承知おきを願いたいと思いますが、量的には全く心配がない、この点を御承知おきを願いたいというように考えるわけでございます。
 しかしながら、一部の消費者の国産米志向によりまして米穀店の店頭から米が品薄になるといった状況が見られますことも、これまた事実でございます。私も数回にわたりまして米穀店に足を運びまして、関係者の話も伺い、その実態をも把握をいたしておるところでございます。さような中にございまして、三月は国産米の売却量をふやしまして、内外比率をほぼ五対五といたしたところでございまして、重ねて申し上げますが、全体的な供給量に不足はありませんので御安心を願いたいというように考えるわけでございます。
 このような需給事情のもとで、消費者の残念ながら一部買い急ぎ傾向等々問題が生じておるわけでございまして、さような意味合いから農林水産省といたしましては、この対応策としまして、当面の米の安定供給に資するため、輸入米の配送の機動化、迅速化及び運送、倉庫業者に対する協力の要請、さらにまた、まことにいささか御難渋をかけるわけでございますが、国産米と輸入米とのブレンドの積極的な活用、これをお願いを、御理解を賜りたいというように考えるわけでございます。
 なおまた、販売業者に対する特別巡回指導及び米一一〇番の活用による米の流通円滑化及び価格の監視の強化を徹底して行ってまいりたい、かように考えておるわけでございます。さらにまた、消費者等に対するPRの実施、これらによりまして安定供給に万全を期していかなければならない、かように考えておるところでございます。
 第二点といたしまして、水産業の問題につきましてお尋ねをいただきました。
 ただいま基本的な問題は総理からもお話があったわけでございますが、いずれにいたしましても、我が国水産業の置かれております現在の姿、生産量におきましても一千万トンから残念ながら今日九百万トン台に下がっておる、こういうような状況にあるわけでございますので、これからの対応といたしましては、つくり育てる漁業あるいはまた資源管理型漁業の推進を施策の柱に据えまして、漁港や沿岸漁場などの生産基盤の計画的整備、漁業経営の改善合理化、水産物の需給・価格の安定を図るための流通、加工、消費対策の推進、漁村生活環境の整備等々、各般の施策を総合的に強力に展開していかねばならない、かように考えておるところでございます。
 なおまた、平成六年度から平成十一年度に向けましての漁港整備計画におきましては、三兆円の投資規模をこれからの国会審議にお願いを申し上げたい、かように考えておるところでございます。
 以上をもって答弁といたします。(拍手)
    ―――――――――――――
#8
○議長(土井たか子君) 不破哲三さん。
    〔不破哲三君登壇〕
#9
○不破哲三君 私は、日本共産党を代表して、細川総理に質問するものです。
 まず伺いたいのは、首相が議会制民主主義をどう考えているかの問題であります。
 三月一日、この本会議で、いわゆる政治改革諸法案の修正案が採択されました。この法案は、昨年十一月十八日、衆議院から参議院に送ったものですが、参議院での審議の最終結論は、本年一月二十一日の本会議での否決でした。本来ならこれで廃案にし、金権政治をなくせという国民の声にこたえる道は何かを原点に戻って問い直すのが、国会が踏むべき当然の道でした。
 ところが、その後、両院協議会を経ての話ということで、否決された法案が強引に生き返らされて一月二十九日の再議決となり、さらに今回の修正案採決となったのであります。この修正案は、小選挙区の議席を三百にふやし、政治家個人に対する企業献金を復活させるなど、法案の根幹にさらに大幅な改悪を加えたもので、総理自身の国会答弁を否定する内容さえ多く含まれていました。そういう修正について、国会での真剣な討議を求めるのは民主政治の当然のルールであります。(拍手)
 しかし、この一カ月半の間、衆議院では、否決された法案の復活についても、その修正についても、まともな討議は一切行われませんでした。あったのは、細川・河野会談と、それに基づく連立諸党と自民党との修正協議だけでした。
 首相は、談合という批判に対して、民主主義のルールの一つだと答えたことがあります。しかし、国会が出した結論を覆すことも、政府の答弁を変更することも、すべて密室の私的な談合で行われたというのは隠れもない事実ではありませんか。そして、国会にはまともな質疑、討論の機会を与えることもなく、談合での結論が問答無用で押しつけられたのであります。これは、特定の政党の間の私的な談合を主にして、それを国会の討議にかえることであり、議会制民主主義を談合を追認する手段に堕落させることであります。首相は、今でもこれを民主主義のルールにかなったやり方と考えているのかどうか、明確に伺いたいのであります。(拍手)
 私たちは、あなた方が強行した小選挙区制の背後に、力で民意を抑える強権政治のねらいがあることを一貫して指摘してきました。参議院での法案否決以来の政府・与党の行動は、目的のためには民意も民主主義のルールも無視してはばからない強権政治の危険を最も生々しくあらわしたものであります。私は、そのことを強く警告せざるを得ないのであります。
 九四年度予算案の問題ですが、私は、最大の問題は、それが消費税の大幅増税を準備する予算として組まれている点にあると思います。
 総理、あなたは二月三日未明、国民福祉税と名前を変えて消費税の税率を七%に引き上げ、その一部を減税の財源に充てるという方針を発表しました。その後、方針は変更され、予算案には減税だけが書き込まれました。しかし、本格的な財源対策は立てられず、減税は一年限りのものとされています。財源対策なし、一年限りの減税というのは、国民に対して、減税を今後も続けたければ首相が発表した消費税の増税を受け入れよ、それが嫌なら減税はことし限りで打ち切るぞとおどしをかけるのと同じであります。本当に国民の要望にこたえて減税を行うというのなら、このようなおどかし型の予算を組むべきではありません。堂々と首尾一貫した減税構想を示して、国会と国民にその判断を求めるべきではありませんか。(拍手)
 しかも、蔵相はG7の会議で、減税は来年度以降も継続すると事実上の公約をしたとのことであります。そういう言明をする以上、政府は財源についての継続的な見通しを持っているはずであります。記者会見などでは、首相は、連立諸党の協議待ちということで逃げてきましたが、協議といっても、白紙から何かが生まれるものではありません。協議に当たって、増税のほかに検討の対象としてどのような選択の道が用意されているのか、伺いたいのであります。それなしにただ協議を云々しているのでしたら、協議とは、増税以外に道なしという結論を国民に押しつけるための手続にしかならないからであります。(拍手)
 首相は、国民福祉税という増税構想を打ち出した責任者であります。しかも、凍結されたとはいえ、首相の言明によれば、この構想自体はまだ生きているし、連立諸党の協議がその結論に近づくことを期待しているとの言葉もありました。そこで、提案者である首相に聞きたいと思います。
 第一に、首相は、この構想のねらいとして高齢者対策を強調していますが、消費税の被害を最も深刻に受けている階層が高齢者世帯であることは周知のことであります。日本では、老齢年金受給者が千六百三十四万人います。その半分以上が、月額三万円台の極端に低い年金であります。その年金生活の中からも遠慮なく定率の税金を徴収する、それが消費税です。おおよその計算では、年金生活者から徴収される消費税分は、現在でも八千億円近くに上ると推定され、七%に引き上げられれば、さらに一兆円以上の税金が新たに吸い上げられます。しかも、高齢者世帯の圧倒的多くは、その所得水準からいって、減税の恩恵には浴しないまま増税の直撃にさらされるのであります。総理、結局のところ、高齢者からも遠慮なく税金を取り立てようというのがあなたの高齢者対策なのですか。第二に、あなたは、国民福祉税と名前を変えることを提案しました。福祉という言葉は、竹下内閣が消費税を導入したときにも使われたものでした。しかし、現実には、口実に使われただけで、消費税は福祉の充実とは全く結びつきませんでした。今、あなたは再び国民福祉税と言うが、名前を変えれば増税分が福祉の充実の財源となるのですか。その保証はどこにありますか。
 大体、消費税の一部を福祉に充てるといっても、一般財源からの福祉予算をそれだけ削るのだったら、福祉の充実にはなりません。あなたが本気で福祉税を提案したというのなら、従来の社会保障、福祉の予算に加えて、増税分のどれだけを福祉予算の増額に充てるつもりか、その計画、構想が当然あるはずであります。首相のお得意の腰だめの数字で結構ですから示してもらいたい。この構想もなく、増税のために福祉の言葉だけを拝借したというのなら、これは最初から国民を欺く話ではありませんか。(拍手)
 私は、先ほど、おどかし型の予算案だと言いました。最近の政府の言い分を聞くと、不況対策であれ国民福祉の問題であれ、何をやるにも財源が最大の問題だとして、あれこれの対策が欲しかったら増税をのめといった式の議論が盛んであります。これは極めて安易で危険な論法であります。
 今日、長引く不況が国民各層に大きな被害を及ぼし、社会の各分野であすへの不安をかき立てています。中でも国民の生活と営業が大きな打撃を受け、それが経済をさらに冷え込ませていることは重大であります。国民の切実な声にこたえるためにも、不況の打開のためにも、国民の生活と営業を守り、購買力を拡大することに力を尽くす必要があります。だからこそ、「不況対策に大幅減税を」が世論の一致した声になっているのであります。
 その減税の財源づくりと称して、減税以上の規模で増税を計画する、しかも消費税の大幅増税で消費生活を正面から攻撃するというのは、不況に苦しむ国民に追い打ちをかけ、購買力の拡大という不況対策の根本に背くことではありませんか。首相は、国民福祉税という増税構想をきっぱり断念し、細川内閣としてはいかなる名目でも消費税の税率引き上げは行わないということを国民に明言すべきであります。(拍手)
 ちまたには、「政府は自分の足元を見よ」の声があふれています。これは、国政の上の浪費や特権に思い切ってメスを入れよ、それを真剣にやらない政府には国民に増税を要求する資格はないということであります。これは正論であります。日本の社会全体が苦しんでいる今日のようなときこそ、古い枠組みにとらわれず、いかなる浪費も、いかなる特権も許さない断固とした姿勢で国政の各分野を大胆に見直すべきであります。
 ところが、あなたの政権は、改革を口にし、見せかけのパフォーマンスには熱心だが、政治の中身は自民党の古い政治を受け継いだ上、小選挙区制の強行、消費税の税率アップなど、自民党が長年できなかったことまでやろうという極めて反動的なものでした。予算案を貫く姿勢も同じことで、自民党政治の枠組みにメスを入れて、国政上の浪費をまじめに是正しようという意欲は少しも見られません。
 幾つかの事例を指摘しましょう。
 まず第一は、四兆六千八百億円にも上る軍事予算の問題であります。
 これまで、日本の軍事費の増大は世界でも有数のもので、その異常さは国際的にも注目されてきました。歴代の自民党政府は、ソ連の脅威をその口実とし、八〇年代にはソ連の原子力潜水艦部隊からシーレーンを防衛する、こういうアメリカ側の要求が大きな理由づけとされてきました。それなら、ソ連が解体した今日、従来の計画の全面的な再検討を図るのが当然の道理であります。ところが、政府は旧来の軍拡路線を平気で続けようとしています。
 例えば、ソ連の原潜部隊に対抗するための対潜哨戒機、P3C百機体制です。ソ理解体後、旧ソ連海軍の脅威が縮小していることは防衛白書も認めています。アメリカの太平洋艦隊では、P3C部隊の縮小再編成が実施されつつあります。そのとき、以前からの百機体制を、大きな予算を毎年使ってまでなぜそのまま維持しようとするのですか。
 それ以上に問題なのは、空中警戒管制機、AWACSを新たに導入しようという計画です。大体、AWACSが問題になったのは今度が初めてではありません。十六年前、早期警戒機としてAWACSを入れるかどうかが大問題となりました。結局、政府、防衛庁自身が、AWACSは不適当だからE2Cを選ぶという結論を出し、今日までに千三百億円の国費を投じてE2C十三機を購入し、全国に配備してきたのであります。それなのに、過去に退けたAWACSを、しかも一機当たりの価格が五百五十億円、E2Cの五倍以上もするこの飛行機を今度新たに購入、配備しようという根拠はどこにあるのですか。総理、財政が苦しいと言いながら、政府自身もその必要性をうまく説明できない計画になぜ莫大な国費を投じるのですか。責任ある解明を求めるものであります。(拍手)
 米軍基地への思いやり予算も問題です。
 一九七八年に始まったこの予算は、今回は二千五百三億円、十六年間に四十倍にも膨れ上がりました。アメリカの政府自身、日本の米軍基地が世界一気前のよい待遇を受けていると説明しています。アメリカ政府の最新の発表によると、米軍基地に対する日本の支出は二十六億ドルで、アメリカ兵一人当たり六百九十一万円、これに対してドイツはアメリカ兵一人当たり九十一万円ですから、日本の支出額は実にドイツの七倍以上にも当たるのです。実際、基地の建設費から従業員の賃金まで全部負担しているという国は、世界に日本のほかにはありません。
 高齢者、障害者など国内の社会的な弱者に対する思いやりは全く不足しているのに、米軍基地に対する思いやりだけが世界でも突出しているというのは、日本の恥にこそなれ、自慢できることでは決してありません。(拍手)この状態から決断を持って抜け出すつもりはありませんか。それとも、これをあくまで続けるつもりでしょうか。
 公共事業の問題でも、浪費の一掃に大胆に取り組む必要があります。
 ゼネコン疑惑は、一つ一つの汚職事件にとどまらず、予算編成では大型プロジェクト優先の体制が中央でも地方でも横行する、しかも事業単価が不当につり上げられる、こういう異常な事態が長年にわたって築かれてきたことを浮き彫りにしました。公共投資は中央地方合わせて年間四十兆円もの巨額に上るのですから、国民の税金を必要なところにむだなく効率的に使うためにも、このゆがみを全面的に正すことは急務であります。
 公共投資をめぐる汚職は、ゼネコンのわいろが事業方針や発注企業についての政府決定を動かす力を持たない限り、成り立つものではないのであります。ゼネコンと結んだ金権政治家が天の声で政府の決定をいかに動かしてきたか、その詳細な仕組みが元建設大臣の経験談としてマスコミに報道されたことさえあります。国政のこのゆがみを解明することは、検察とは別個の、政府が果たすべき政治的道義的な責任に属することであります。私は、首相に、そのゆがみの実態を徹底して調査し、その結果を国会と国民に報告することを求めたいのであります。(拍手)汚職腐敗を断ち切ってこそ、安く効率的な公共事業の編成と執行への道が開かれます。私は、この面で根本的な転換に取り組むことを首相に強く要求するものであります。(拍手)
 国政の上での大企業、財界の取り扱いにも重大な問題があります。
 税制の面でも、引当金や準備金の制度が世界に例がないほど多数設けられ、減価償却も特別に手厚く認められて、大企業の利益の大きな部分が課税の対象から外されています。最近十年間の公表決算を見ても、資本金十億円以上の企業の場合、課税されない利益は年平均で六兆円を超えています。これこそ不公平税制の最大の問題であります。
 また、大企業に国がつぎ込んでいる特権的な補助金にも点検すべき大問題があります。大企業の技術開発への補助金だけでも毎年一千億円を超えています。
 総理、これらの制度を総点検し、大企業に与えている不当な特権の是正に踏み出すつもりはありませんか。
 この指摘に対し、これまでの自民党政府は、国際競争力の維持を持ち出して弁明するのが常でした。しかし、貿易摩擦の深刻な現状が示すように、今日問われているのは、日本の大企業の異常な競争力そのものであります。そして、この競争力の強化を目的に国が特権的な援助を与えていることが、国際競争の公平性を破るものとしてしばしば国際的な批判の的になっているのであります。
 私は、代表的な実例として三つの分野を挙げましたが、これだけでも浪費の規模は莫大であります。ここに国民の良識を踏まえたメスを入れることは、私たちの計算では、十兆円台の新しい財源を生み出すだけの意味を持つことであります。私は、浪費や特権の不当な仕組みを放置することなく、国民的な視野でこれを大胆に解決する構えをとってこそ、国政が国民とともに不況下の苦難に当たる姿勢の確立ができる、このことを確信するものであります。(拍手)
 この基本姿勢について首相の見解をただすとともに、その立場から、当面の問題に対処する緊急対策について、幾つかの提案を行いたいと思います。
 第一は、減税の問題であります。
 減税は、一年限りの臨時措置でなく本格的な減税として行うべきだし、その内容も、一般庶民に薄い一律二割方式ではなく、基礎控除、配偶者・扶養控除の引き上げを中心に、庶民に広く厚く行き渡る減税の実行を提案します。消費税についても、購買力拡大に直接役立つ緊急措置として、食料品非課税の実現を主張します。これで、高齢者世帯など所得の低い世帯にも減税の効果が確実に及ぶことになります。(拍手)
 第二に、不況の打撃を最も集中的に受けている中小企業・業者の経営危機打開に抜本的な対策をとることであります。
 中小企業は、日本経済の中で全事業所の九九%、全従業員の七九%を占めており、その安定なしに日本経済の立ち直りはありません。官公需の中小企業発注率の引き上げ、中小企業向け融資の拡充、さらに政府自身が決めた下請振興基準にさえ違反している大企業による下請の不当な切り捨てや単価切り下げ、これをやめさせる具体的手段をとることが重要であります。
 第三。公共事業では、ゼネコン絡みの浪費をなくす措置をとると同時に、その内容も、ゼネコン好みの巨大プロジェクト優先から、福祉、住宅を初め国民生活の基盤づくりに大きく重点を移すことが大切であります。(拍手)
 第四。リストラと称して国内の事業を縮小し、生産拠点を海外に移す動きが多くの大企業で起こっています。これは、これまで生産に力を尽くしてきた労働者や下請企業を犠牲にする身勝手きわまるやり方であり、また国内産業の空洞化を激しくし、不況を深刻にし、日本経済の将来を危うくすることであります。このようなリストラは規制する態度をとるのが、日本経済に対する政府の責任を果たす道ではありませんか。(拍手)
 最後に、米不足の問題であります。
 国民は、この二週間ほどの間に急激な米不足に見舞われ、あした食べる米も手に入らないという事態が各地で起きています。その深刻さは二十年前のオイルショック当時の物不足を思わせますが、国民の主食である米の問題ですから、事は一刻の怠慢も許さないものがあります。こういう問題でこそ、先々の見通しを早くからしっかり立て、先んじて問題の解決に力を尽くすことが政府の務めではありませんか。
 政府は、必要な米の供給に対して責任ある措置をとってきたのか。もしとってきたというなら、なぜ今日のような事態が起こってきたのか。そして政府は今、国民が安心できる打開策をどのように講じているのか、首相の答弁を求めるものであります。(拍手)
 さらに、昨日、食糧庁は、国産米だけの販売を禁止すると発表しましたが、事態の全貌も政府の責任も明らかにしないまま、消費者の選択の自由を否定する統制手段で対処しようというのは、余りにも官僚的な発想で、混乱を一層拡大するだけではありませんか。首相の見解を求めます。
 また、今日の事態は、単に昨年の冷害不作だけが引き起こした問題ではありません。それに加え、九二年産米の備蓄二十万トン、わずか国民の一週間分という極端な備蓄の貧困がその大きな原因であります。この事態に照らして、政府はこれまでの米備蓄計画及び減反政策の根本的な見直しを行うつもりはないか、そのことについて首相の見解を問いたいのであります。(拍手)
 以上、緊急の問題にかかわる五つの提案を行いました。首相の責任ある回答を求めて、質問を終わるものであります。(拍手)
    〔内閣総理大臣細川護熙君登壇〕
#10
○内閣総理大臣(細川護熙君) 政治改革法案と民主主義のルールについてまずお尋ねでございましたが、総総会談あるいはそれに基づく連立与党と自民党の修正協議は、国会での対応に関する公党間の話し合いであって、あくまでも政党政治のルールの一つと考えているということを申し上げてまいりました。質疑時間など審議のあり方につきましては、国会運営の問題であって、私がコメントすべき問題ではないかと思いますが、いずれにしても、これは国会の手続に従ったものと承知をしているところでございます。
 減税構想を一年限りのものとしてではなく示すべきではないか、こういう趣旨のお尋ねでございますが、政府・与党におきましては、恒久的な所得税、個人住民税の負担の軽減を含む税制改革につきまして、今後引き続き協議を進めて、年内にその実現を図る方針でございます。こうした方針のもとで、当面の経済の低迷を打開するために、緊急避難的な措置として、五兆五千億円の大規模な所得税、住民税の減税を一年間の措置として行うこととしたわけでございます。
 継続的な財源として増税以外に何があるか、こういうお尋ねでございますが、六年度に実施する減税措置は、年内に税制改革を実現するという前提のもとに、いわば先行的に実施をするものでございます。これらの減税財源は公債の発行によらざるを得ませんが、年内に税制改革の実現を図る中で、その償還財源の問題を含めて適切に対処すべきものと考えておりまして、与党の協議会におきましては、バランスのとれた税体系をつくることが必要との認識に立って、減税とその財源問題につきまして今国会中に結論を出すという方向で議論を詰めていただけるものというふうに思っております。
 国民福祉税構想についてのお尋ねでございましたが、私は、これまで連立政権樹立の際の合意を踏まえて、税調答申の基本的な考え方に沿って税制改革を行うことの必要性について、国会でも繰り返し申し上げてきたところでございます。十一月の税調答申以降、政府・与党の協議の積み重ねを踏まえて、税制改革草案として提示をさせていただいたものでございます。
 高齢化社会において、活力のある豊かな生活を享受できる社会を構築をするためには、国民一人一人がそれ相応の費用と責任を分かち合うことが必要であって、税制調査会の中期答申に示された方向に沿ってバランスのとれた税体系を構築することが必要であると考えております。税制改革の年内実現を図ることについては、既に閣議決定を行っておりますし、政府としてもその実現に向けて努力をしてまいりたいと考えております。
 国民福祉税の性格についてのお尋ねでございますが、草案で示しました新税につきましては、高齢化社会におきましても活力のある豊かな社会を構築するための経費に充てることを目的とするという本税の理念を明らかにいたしまして、この目的を法律に明記することとしていたところでございます。
 税制改革につきましては、先日、「年内の国会において関係の法律を成立させるものとする。」という合意が成立をしたところでございまして、政府としては、与党の合意に沿って、年内に税制改革を実現するように努力をしてまいりたいと思っております。
 いわゆる国民福祉税の使途についてのお尋ねでございますが、草案で示した新税の使途のうち、社会保障制度等の歳出増は総額で平年度八千億円としておりましたが、これはゴールドプランの見直しで六千億円、年金などの給付額の引き上げなどで二千億円を考えていたところでございます。
 消費税の税率引き上げは行うな、こういうことでございますが、高齢化社会に対応する税制改革につきましては、先ほども申し上げましたように、与党の合意が成立をしたところで、これを受けて協議会の取り組みが始められておりますが、政府としては、速やかに政府・与党間の合意を得て、年内に税制改革の実現が図られるように努力を傾けてまいりたいと思っております。
 P3Cの問題についてのお尋ねでございましたが、防衛計画の大綱の考え方のもとで、我が国の地理的な特性などを考えて導き出されているものでございます。ただ、国際情勢の劇的な変化や目覚ましい科学技術の進歩を考えますと、現在の大綱の考え方の中にも再整理をすべきところがございましょうし、今後の防衛力のあるべき姿を見定めるべく、政府部内で検討を進めております。
 AWACSについてのお尋ねでございますが、E2Cを導入した当時におきましては、主として低空侵入に対する地上レーダーの覆域の限界を補完するという運用の要求に基づいて導入が適当とされたものでございます。AWACSは、E2C導入以降の技術の進歩に対応して、我が国の防空
能力に欠落を生じさせないために導入をするものでございまして、E2Cと相まって早期警戒監視の体制を構築しようとするものでございます。
 米軍基地への思いやり予算についてのお尋ねがございましたが、我が国は従来から、国際の平和と安定のために日米安保体制の効果的な運用を確保していくことが極めて重要であるという観点から、接受国の支援について自主的にできる限りの努力を払ってきているところでございまして、今後ともこのような考え方に立って努力をしていきたいというふうに思っております。なお、米軍の接受国が駐留米軍に対してどのような支援を行うかということは、それぞれの国情や駐留の態様などによって異なるものでございまして、一概に判断できない事柄ではないかというふうに思っております。
 ゼネコン汚職の問題についてのお尋ねでございますが、いわゆるゼネコンをめぐる汚職事件につきましては、検察当局は法と証拠に基づいて適正な捜査処理を行ってきたものと思いますし、今後とも、刑事事件として取り上げるべきものがあれば厳正に対処するものと思っております。また、昨年末、中央建設業審議会から一般競争入札の採用を初め抜本的な改革に関する建議が出されたところで、これを踏まえて政府におきましては、我が国の公共事業の入札・契約手続の透明性あるいは客観性、競争性、こういったものを高めるために先般、行動計画を策定をしたところでございます。今後、国におきましてはもとより、すべての発注機関がその趣旨を体して制度の改革に取り組まれることを期待をいたしております。
 大企業優遇税制の是正についてのお尋ねでございますが、税負担の公平確保は税制に対する納税者の信頼を得るために最も重要な理念の一つでございますし、このような考え方に基づいて、企業関係の税制につきましても、その実情などを踏まえて毎年厳しい見直しを行っているところでございます。
 技術開発補助金についてのお尋ねがございましたが、技術の開発は経済社会の発展の原動力でありますし、技術開発の課題には先端分野を中心として長期間にわたって多額の資金を要するものもございますし、またリスクが大きいところから、政府としては、最も効率的に開発を行うために適切な施策を講じていくべきものと考えているところでございます。
 本格的な減税をやったらどうかというお尋ねでございましたが、税制改革につきましては、今後引き続き協議を進め、年内にその実現を図ることとされているということ、またこうした中で、当面の経済の低迷を打開するために緊急避難的な措置として所得減税を行う必要があること、そういったようなことにかんがみますと、御指摘のような制度改正による本格減税を行うということは適当ではないのではないかというふうに考えております。
 食料品の消費税非課税化についてのお尋ねでございますが、消費税において非課税の対象を広げるということは、課税ペースの広い間接税としての基本的な性格に反するということもございますし、経済取引をゆがめるということもございましょうし、消費税の中立性とかあるいは簡素性を損なうことにつながるということもございましょうし、特に、食料品のように転々と流通する物品を非課税とする場合には問題が多いと考えております。いずれにせよ、消費税の問題を含む税制改革につきましては、年内に税制改革の実現を図るように、今後政府としても努力を傾けてまいりたいと考えているところでございます。
 官公需の中小企業発注比率についてのお尋ねでございますが、官公需における中小企業者の受注機会の確保につきましては、従来から、いわゆる官公需確保法に基づいて、毎年度国等の契約の方針を閣議決定するなど努めてきているところでございまして、今後ともそのような方針で努めてまいりたいと思っております。
 中小企業の融資の拡充についてのお尋ねがございましたが、中小企業の金融対策につきましては、経済対策の着実な実施に加えまして、先般の総合経済対策におきましても、政府関係中小企業金融機関等に対する一兆三千億円超の貸付規模の追加を決定するなど、手厚い措置を講じているところでございます。
 大企業の下請切り捨てについてのお話がございましたが、政府としては、大企業による買いたたきなど下請企業に対する不当なしわ寄せが行われないように、従来から、下請代金支払遅延等防止法の厳正な運用を図るなど、下請企業対策に努めているところでございます。今後とも、そのようなところにしっかり目配りをしてまいりたいと思っております。
 公共事業について浪費をなくす措置をとるべきではないかという趣旨のお尋ねでございますが、公共工事の積算に当たりましては、会計法令の規定に基づいて、取引の実例価格を適正に反映させ、発注者が厳正に予定価格を設定しているところでございます。今後とも、輸入資材の活用や技術開発の促進などを図りながら、入札・契約制度全般にわたる改革を推進し、建設費の一層の低減に努めてまいりたいと存じます。
 公共事業について、巨大プロジェクト優先から国民生活の基盤づくりに重点を移すべきではないか、こういうことでございますが、六年度予算における公共事業の配分に当たりましては、住宅、下水道、環境衛生、公園などの事業につきまして、他の事業に比べて相当高い伸びの予算を確保しているところでございまして、国民生活の質の向上に資する分野に相当に配慮してきたというふうに考えているところでございます。
 大企業のリストラについてのお尋ねでございますが、内外の経済環境の変化の中で、企業はそれぞれ新たな環境に適応すべくさまざまな努力をすることは当然のことでございます。政府の役割は、こうした企業の努力が新しい産業分野や雇用を生み出していくなど、積極的な展開につながるように必要な環境を整備していくことにあることは申し上げるまでもないわけでございまして、そこで、このたび総合的な経済対策を策定し、その中で、雇用の確保あるいは下請関連企業の事業などにも特段の確保を行っている企業による新分野展開への努力、こうしたものを支援していくために、リストラ関連融資制度を創設するなど、さまざまな施策を講じているところでございます。
 米不足に対する打開策いかんということでございますが、政府としては、三月は国産米の売却量をふやしたところでございまして、全体的な供給量に不足はございませんと先ほども申し上げました。また、輸入米の配送の機動化や迅速化、国産米と輸入米とのブレンドの積極的な活用の指導など、当面の事態に対応して最善の措置を講じてまいりたい、このように思っております。
 国産米の販売方法についてのお尋ねでございますが、今回の措置は、根強い国産米の需要がある中で、米の安定供給を確保するためにブレンドの積極的な活用について指導していくこととしたものでございます。政府としては、三月は国産米の売却量を、先ほども申し上げたようにふやしたところでございまして、全体的な供給量に不足はございませんということを申し上げました。輸入米の単品や種々のブレンドなどを通じて安定供給を図っていきたいと考えているところでございます。いずれにしても、ことしの国産の新米が出回るまでは、限られた量の国産米を輸入米とあわせてバランスよく消費をしていただく必要がある点にぜひ御理解をいただきたいと考えているところでございます。
 米の備蓄計画と減反の政策についてお尋ねがございましたが、平成五年産米の作柄が異常気象によって戦後最低の水準とな。たことに対応して、安定的な米の供給を確保するために、水田営農活性化対策の見直しを行い、平成八米穀年度末の在庫数量を百三十万トン程度をめどとして、転作などの目標面積を七万六千ヘクタール緩和することとしたところでございます。米の備蓄のあり方については、今後、中期的な観点に立った備蓄と用途に応じた需給の均衡を確保することができる新たな米管理システムの整備について検討を進めることといたしております。
 以上でございます。(拍手)
#11
○議長(土井たか子君) これにて国務大臣の演説に対する質疑は終了いたしました。
     ――――◇―――――
#12
○井奥貞雄君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。
 厚生委員長提出、中国残留邦人等の円滑な帰国の促進及び永住帰国後の自立の支援に関する法律案は、委員会の審査を省略してこれを上程し、その審議を進められることを望みます。
#13
○議長(土井たか子君) 井奥貞雄さんの動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#14
○議長(土井たか子君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加されました。
    ―――――――――――――
 中国残留邦人等の円滑な帰国の促進及び永住帰国後の自立の支援に関する法律案(厚生委員長提出)
#15
○議長(土井たか子君) 中国残留邦人等の円滑な帰国の促進及び永住帰国後の自立の支援に関する法律案を議題といたします。
 委員長の趣旨弁明を許します。厚生委員長加藤万吉さん。
    ―――――――――――――
 中国残留邦人等の円滑な帰国の促進及び永住帰国後の自立の支援に関する法律案
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
    〔加藤万吉君登壇〕
#16
○加藤万吉君 ただいま議題となりました中国残留邦人等の円滑な帰国の促進及び永住帰国後の自立の支援に関する法律案について趣旨弁明を申し上げます。
 本案は、今次の大戦に起因して生じた混乱等により、本邦に引き揚げることができず、引き続き本邦以外の地域に居住することを余儀なくされた中国残留邦人等の置かれている事情にかんがみ、これらの者の円滑な帰国の促進及び永住帰国後の自立の支援を図るため、帰国旅費、自立支度金等の支給、住宅の供給の促進等の措置を講じようとするもので、本日の厚生委員会において、これを成案とし、全会一致をもって厚生委員会提出の法律案とすることに決したものであります。
 その主な内容は、
 第一に、この法律において、「中国残留邦人等」とは、中国の地域における昭和二十年八月九日以後の混乱等の状況のもとで本邦に引き揚げることなく同年九月二日以前から引き続き中国の地域に居住している者であって同日において日本国民として本邦に本籍を有していたもの及びこれらの者を両親として同月三日以後中国の地域で出生し、引き続き中国の地域に居住している者並びにこれらの者に準ずる事情にあるものとして厚生省令で定める者をいうこと。
 第二に、国は、本邦への帰国を希望する中国残留邦人等の円滑な帰国を促進するため、必要な施策を講ずるものとすること。
 第三に、国及び地方公共団体は、永住帰国した中国残留邦人等の地域社会における早期の自立の促進及び生活の安定を図るため、必要な施策を講ずるものとすること。
 第四に、国は、中国残留邦人等が永住帰国する場合には、当該中国残留邦人等に対し、厚生省令で定めるところにより、当該永住帰国のための旅行に要する費用を支給すること。
 第五に、国は、中国残留邦人等が永住帰国した場合には、当該中国残留邦人等に対し、厚生省令で定めるところにより、中国残留邦人等及びその親族等の生活基盤の確立に資するために必要な資金を、一時金として支給するとともに、国及び地方公共団体は、永住帰国した中国残留邦人等及びその親族等が日常生活または社会生活を円滑に営むことができるようにするため、これらの者の相談に応じ必要な助言を行うこと、日本語の習得を援助すること等必要な施策を講ずるものとすること。
 第六に、国及び地方公共団体は、永住帰国した中国残留邦人等及びその親族等の居住の安定を図るため、公営住宅等の供給の促進及び雇用の機会の確保を図るため、職業訓練の実施、就職のあっせん等並びに必要な教育を受けることができるようにするため、就学の円滑化、教育の充実等のために必要な思索を講ずるものとすること。
 第七に、国は、中国残留邦人等が一時帰国する場合には、当該中国残留邦人等に対し、厚生省令で定めるところにより、当該一時帰国のための旅行に要する費用を支給するとともに、出入国管理及び難民認定法その他出入国に関する法令の規定に基づき、円滑に帰国しまたは入国することができるよう特別の配慮をするものとすること。
 第八に、この法律は、公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行すること。その他関係法律について所要の改正を行うものとすること。
 以上が本案の趣旨及び内容であります。
 何とぞ、御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#17
○議長(土井たか子君) 採決いたします。
 本案を可決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#18
○議長(土井たか子君) 御異議なしと認めます。よって、本案は可決いたしました。
     ――――◇―――――
#19
○議長(土井たか子君) 本日は、これにて散会いたします。
    午後二時四十四分散会
ソース: 国立国会図書館
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