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1994/03/24 第129回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第129回国会 本会議 第11号
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1994/03/24 第129回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第129回国会 本会議 第11号

#1
第129回国会 本会議 第11号
平成六年三月二十四日(木曜日)
    ―――――――――――――
  平成六年三月二十四日
    正午 本会議
    ―――――――――――――
○本日の会議に付した案件
 平成六年分所得税の特別減税の実施等のための
  公債の発行の特例に関する法律案(内閣提
  出)、酒税法の一部を改正する法律案(内閣
  提出)、租税特別措置法の一部を改正する法
  律案(内閣提出)及び平成六年分所得税の特
  別減税のための臨時措置法案(内閣提出)の
  趣旨説明及び質疑
 地方税法及び地方財政法の一部を改正する法律
  案(内閣提出)の趣旨説明及び質疑
    午後零時三分開議
#2
○議長(土井たか子君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
 平成六年分所得税の特別減税の実施等のための公債の発行の特例に関する法律案(内閣提出)、酒税法の一部を改正する法律案(内閣提出)、租税特別措置法の一部を改正する法律案(内閣提出)及び平成六年分所得税の特別減税のための臨時措置法案(内閣提出)の趣旨説明
#3
○議長(土井たか子君) この際、内閣提出、平成六年分所得税の特別減税の実施等のための公債の発行の特例に関する法律案、酒税法の一部を改正する法律案、租税特別措置法の一部を改正する法律案及び平成六年分所得税の特別減税のための臨時措置法案について、趣旨の説明を求めます。大蔵大臣藤井裕久さん。
    〔国務大臣藤井裕久君登壇〕
#4
○国務大臣(藤井裕久君) ただいま議題となりました平成六年分所得税の特別減税の実施等のための公債の発行の特例に関する法律案、酒税法の一部を改正する法律案、租税特別措置法の一部を改正する法律案及び平成六年分所得税の特別減税のための臨時措置法案、以上四件につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。
#5
○議長(土井たか子君) 着席をしてください。
#6
○国務大臣(藤井裕久君)(続) まず、平成六年分所得税の特別減税の実施等のための公債の発行の特例に関する法律案につきまして御説明申し上げます。
 本法律案は、所得税減税の実施等により平成六年度の一般会計予算において見込まれる租税収入の減少に対処するため、特例公債の発行を行うことができることとするものであります。
 以下、その大要を申し上げます。
 平成六年度の一般会計予算において見込まれる、平成六年分所得税の特別減税の実施による所得税の収入の減少、法人特別税の課税対象期間の終了による法人特別税の収入の減少、相続税の負担軽減による相続税の収入の減少及び普通乗用自動車の譲渡等に係る消費税の税率の特例の適用期間の終了による消費税の収入の減少を補うため、予算をもって国会の議決を経た金額の範囲内で、特例公債を発行することができること等としております。
 次に、酒税法の一部を改正する法律案につきまして御説明申し上げます。
 本法律案は、酒類に係る税負担水準の現状、最近の酒類消費の態様の変化等を踏まえ、酒類に対する税負担の適正化を図るとともに、ビールの製造免許に係る最低製造数量基準の引き下げその他制度の整備合理化を行うものであります。
 以下、その大要を申し上げます。
 第一に、酒類に対する税負担の適正化を図る観点から、酒税の税率を見直すこととしております。
 すなわち、酒税の税率を各酒類の基準アルコール分で一キロリットル当たり、ビール等については一万三千六百円、しょうちゅう甲類等については三万五千九百円、それぞれ引き上げることを基本に、清酒等の酒類については、原料事情、消費動向等に配慮して、引き上げ幅につき所要の調整を行うこととし、これにより酒類間の税負担格差の縮小を図ることとしております。
 第二に、ビールの製造免許に係る最低製造数量基準を二千キロリットルから六十キロリットルに引き下げ、ビールの小規模生産の道を開くこととするほか、所要の制度の整備合理化を行うこととしております。
 次に、租税特別措置法の一部を改正する法律案につきまして御説明申し上げます。
 本法律案は、最近における社会経済情勢等にかんがみ、土地・住宅税制について適切な対応を図るとともに、租税特別措置の整理合理化等を行うほか、課税の適正公平の確保その他所要の税制上の措置を講ずるものであります。
 以下、その大要を申し上げます。
 第一に、土地税制について、土地の有効利用の促進等を図る観点から、優良住宅地の造成等のために土地等を譲渡した場合の長期譲渡所得の軽減税率の特例、事業用資産の買いかえの場合の課税の特例等の拡充等を行うとともに、住宅税制についても所要の措置を講ずることとしております。
 第二に、近年における地価の水準を踏まえ、相続人の居住や事業の継続に配慮するため、小規模宅地等についての相続税の課税価格の減額の特例
の拡充等を行うほか、土地の登記に係る登録免許税の課税標準を減額する特例の新設等の措置を講ずることとしております。
 第三に、課税の適正公平の確保を推進する等の観点から、交際費課税の見直し及び使途秘匿金に対する追加課税制度の新設を行うこととしております。
 その他、企業関係の租税特別措置等について整理合理化を行うほか、社会経済情勢に即応して所要の措置を講ずることとしております。
 次に、平成六年分所得税の特別減税のための臨時措置法案につきまして御説明申し上げます。
 政府としては、当面の経済の低迷を打開するため、一年間限りの措置として、平成六年分の所得税につきまして、三兆八千四百三十億円の特別減税を実施することといたしたところであります。
 以下、その大要を申し上げます。
 この特別減税は、平成六年分の所得税額からその二〇%相当額を控除することにより実施することとしております。なお、二〇%相当額が二百万円を超える場合には、二百万円を限度としております。
 この特別減税の具体的な実施方法に関しましては、給与所得者については、本年一月から六月までの間に支払われた給与等に係る源泉徴収税額の二〇%相当額を、原則として同年六月に還付し、同年十二月の年末調整の際に、給与等の年税額の二〇%相当額から同年六月の還付金額を控除した残額を控除することにより実施することといたしております。
 また、事業所得者等については、平成六年分の確定申告の際に実施することといたしております。なお、平成六年分の所得税に係る予定納税基準額は、特別減税を加味して計算することといたしております。
 以上、平成六年分所得税の特別減税の実施等のための公債の発行の特例に関する法律案、酒税法の一部を改正する法律案、租税特別措置法の一部を改正する法律案及び平成六年分所得税の特別減税のための臨時措置法案につきまして、その趣旨を申し上げた次第であります。(拍手)
     ――――◇―――――
 平成六年分所得税の特別減税の実施等のための公債の発行の特例に関する法律案(内閣提出)、酒税法の一部を改正する法律案(内閣拠出)、租税特別措置法の一部を改正する法律案(内閣提出)及び平成六年分所得税の特別減税のための臨時措置法案(内閣提出)の趣旨説明に対する質疑
#7
○議長(土井たか子君) ただいまの趣旨の説明に対して質疑の通告があります。順次これを許します。久野統一郎さん。
    〔久野統一郎君登壇〕
#8
○久野統一郎君 私は、自由民主党・自由国民会議を代表して、ただいま議題となりました平成六年分所得税の特別減税の実施等のための公債の発行の特例に関する法律案、酒税法の一部を改正する法律案、租税特別措置法の一部を改正する法律案、平成六年分所得税の特別減税のための臨時措置法案について質問をいたします。
 ちまたでは、今この内閣を、八党派、八頭立ての馬車、いや大蔵省というお金をいっぱい持った馬力の強い馬も入れて九頭立ての馬車だと言う人もおみえになります。この馬が全部前を向いていればいいのですけれども、右を向いている馬もおりますし、左を向いている馬もおりますし、中には後ろ向きに引っ張っていくなんという、そんな馬もいるようでございまして、なかなか御者の総理は御苦労をされているようでございます。総理はおもしろおかしく御苦労されているようでございますけれども、国民は政治が前に進まなくて困っております。自分で前に進められないことを早くお気づきになりまして、御者の座を早く馬車を前に進めることのできる人にかわっていただきたいと思います。(拍手)
 例えば、今まで通常国会は、議員の召集と天皇陛下をお迎えする開会式、総理大臣の施政方針演説等、この三つの行事はたったの一日で終わっていたわけでございます。ところが、皆さん御案内のとおり、ことしは、一月中に召集ということで、これより後がない、もうぎりぎりの一月三十一日に国会が召集され、一週間丸々休み、自然休会で、二月の八日の日に開会式が行われました。それから一カ月休んで三月四日に総理の演説があったわけでございます。通常一日で終わるところが一カ月と五日もかかったわけでございます。
 こんなことがいまだかつてあったのでしょうか。もちろん途中に訪米報告、平成五年度第三次補正予算、政治改革四法案があったわけですが、景気が悪くてあす働く職場がなくなるのではないかと心配している人がたくさんおみえになるこんな時期に、国会がこんなにのんびりしていてよいのでしょうか。
 細川総理、あなたは、いまだに平成六年度の予算案の審議に入り得ないでいる今日の異常な国会の状況について、どうお考えになっておられるのでしょう。
 厳しい不況下にある我が国経済を立ち直らせるために、自由民主党は再三にわたって平成六年度予算の昨年内編成を強く求めてきました。しかし、細川内閣は、既にほころび始めている連立与党間の維持結束だけを守るため、いたずらに予算の編成をおくらせ、年度末まで一カ月しかないという時期になって、ようやく予算案と関連法案を国会に提出したのであります。
 この間、細川内閣は一体何をしていたのか。まず、赤字国債による減税はやらないと再三答弁してこられました。しかし、国民が寝静まった深夜の唐突な国民福祉税という消費税の引き上げ構想と、一夜にしてそれを撤回するという無責任な対応の後に出されたのが、赤字国債による一年限りの所得減税でありました。後から増税が予想される一年限りの減税にどれだけ景気に対する効果が期待できるのか、いまだに政府は、今回の所得減税の景気への効果について具体的な数値を明らかにしておりません。きっとそれは出せないのでしょう。将来に明るい見通しのない今、国民の財布はそう緩むとは思われません。
 細川総理は、何よりも、予算案及び関連法案の国会提出をいたずらにおくらせた、景気の回復に水を差したことについて大いに反省し、国民におわびをすべきものであります。
 次に、赤字国債による減税はやらないと国会で言明しておきながら赤字国債による減税案を提出した、国会答弁を変更したことについて、この本会議の場でその責任のとり方を明確にしていただきたいと存じます。(拍手)
 そもそも一カ月足らずの審議期間しかないことを承知で、国民生活に大きな影響のある日切れ法案を含め予算案等を提出した最大の責任は、細川総理、あなたにあります。このことについて、総理みずから何らのおわびも釈明もなく、事態の打開を与野党の国対委員長に任せておられます。
 しかも、与野党国対委員長会談は、我が党が言い出したことではなく、与党側から持ちかけてこられたものであります。細川総理は、従来の国会対策委員会による与野党の交渉を弊害であると批判して、国対政治を排除すると言われました。今日、予算委員会の審議再開を与野党国対委員長会談にお任せになることについて、総理の国対政治批判の発言とどう関係づけられるのか、どう考えてみえるのか。国会運営について、格好よく国対政治を批判したものの、やはり政党間の話し合いは必要だと反省してのことでしょうか。国会運営に関する総理の無責任さを厳しく追及するとともに、このことに関して明確な答弁を求めるものであります。(拍手)
 さらに、今日、いまだに予算案の審議に入れない最大の理由は、細川総理本人の東京佐川急便からの一億円疑惑であります。
 一億円は総理にとっては大金でないかもしれませんが、世間の常識から見れば大変な金額であります。総理は一億円を借りて九年間で返したと言われていますが、いつ借りていつ返したのか。このような大金の貸し借りが正式な書類もなく行われるはずがないという素朴な世間の常識に照らして、我が党が再三細川総理にお尋ねしているのでありますが、総理の答弁はその都度猫の目のようにくるくる変わり、疑惑は深まるばかりであります。
 山口鶴男予算委員長による国会法百四条に基づく資料提出要求についても、細川総理は全く協力する姿勢を見せておりません。それならばと要求した総理の元秘書の深山氏に対する証人喚問に関しても、深山氏本人ではなく細川総理が喚問を拒否していると伝えられております。全くおかしなことではございませんか。細川総理自身、疑惑がないというのであれば、正式な国会の要求に基づく契約書、領収書等の資料を一日も早く国会に提出し、疑惑解明に積極的に協力すべきだということが国民の率直な気持ちだろうと思います。(拍手)
 予算委員会で審議が進まない原因は、細川総理、あなたにあるのです。細川内閣ができた昨年八月から今日まで、政治改革、政治改革で、景気対策、予算編成を先送りされてきました。今になってなぜ政治改革を先送りされるのでしょうか。東京佐川急便の一億円疑惑を明らかにすることがまさに政治改革なのです。(拍手)総理は積極的に協力する気があるのか、それとも、言われているような疑惑があって故意にお隠しになりているのでしょうか。明確にお答えをいただきたいと存じます。
 さて、自由民主党は昨年夏以降、景気回復の最大の決め手である個人消費拡大策のため、大幅な所得税、住民税の減税を行うべきであると主張してまいりました。我々の主張は、今度政府が提案された一年限りの減税ではなく、恒久的な所得税、住民税減税であります。
 細川総理は所得減税について、所得、消費、資産のバランスのとれた税制を目指した抜本的税制改革の中で所得税減税を位置づける、こう再三発言をしてこられました。政府税調へもその方向で諮問を行ったはずではありませんか。ところが、今回、政府の提案のどこに所得、消費、資産のバランスがあるのでしょうか。しかも、減税は一律で二〇%税額を軽減するという非常に粗っぽいものであります。政府税調も今回の決定にはさすがにあきれて、まことに遺憾であると異例の答申を出しています。
 総理はあれほど、政府税調の答申を尊重すると言われてきました。その政府税調さえも無視し、我が党の主張にも一顧だにされなかった今回の減税ですが、平成七年度以降の減税について細川総理は一体どうするおつもりか、お聞きいたします。
 細川総理は、連立与党内の協議会で検討中であり、年内に財源を含めた税制改革法案を提出し、成立を図ると言われておりますが、その協議会には政府の代表はだれも入っておりません。政府の責任ある者の入らない、いわば私的な協議会であります。その私的な協議会の結論に任せると言われても、私どもは承知するわけにはいきません。総理の発言も、立法府に対する責任ある発言と思えないのであります。
 細川総理は、国民福祉税構想を発表したときの記者会見で、政府・与党から対応を一任されていたことを踏まえ、総理の案として提案したとおっしゃいました。私は、それだけの責任を持って発表されたのだとそんたくいたします。現在、連立与党の協議会で検討中と言いながらも、実は総理は七%の国民福祉税の実現に強い意欲をお持ちなのではありませんか。一度主張された国民福祉税構想について今後どのように展開されていかれるつもりなのか、将来の福祉のあり方を念頭に置いてお答えをいただきたいと存じます。
 いずれにしても、国民に将来の税制の姿を示さない一年限りの今回の措置については、簡単に納得するわけにはまいりません。自由民主党は、今度の所得減税のための臨時措置法案の中で、次年度以降の減税についても明確な対応を明らかにするよう強く要求いたします。総理の責任ある答弁を求めます。
 次に、酒税の引き上げについてであります。
 今回の酒税法の改正が、国際的な約束あるいは長年にわたる交渉の結果、国際関係を損ねないために行うという必要性については理解を示すものでありますが、それが直ちに大衆の飲み物であるビールや日本酒の税率の引き上げ、すなわち値上げにつながるということについては、到底容認することができません。ましてや、今回の改正により約一千三百億円の増収をもくろんでいるのであれば、まさに何をか言わんやであります。
 酒類は長年にわたる財政物資として他の物品に比べて高い税がかけられてきました。昭和五十年代にも財源対策としてたびたび増税を行い、特に昭和五十九年は、負担の限界を超えた増税であったため消費が大幅に落ち込み、増税にもかかわらず減収をもたらした結果となりました。平成元年には酒税制度の大幅な改正が行われましたが、酒類に対する税負担は依然として極めて高い水準にあります。
 さらに、酒類の需要は全体として飽和状態にある上、長引く不況による個人所得の伸び悩みと消費需要の低迷等により酒類の需要は著しく減退している現状にあります。今、酒税について安易な増税を行うことは、国民に新たな負担を強いるだ
けではなく、需要の一層の減退を招くことになります。
 また、長引く不況に苦しむ庶民が酒でも飲んで憂さを晴らそうとする、それさえも増税で拒もうとするのでしょうか。庶民は増税によって飲むことを控え、かつてのように、かえって酒税の減収となることも十分考慮すべきであると思いますが、総理のお考えをお伺いいたします。
 今度の予算案を見るまでもなく、細川内閣は公共料金値上げ内閣と言っても言い過ぎではありません。一月の郵便料金に始まり、国内電話料金、医療費や国立大学の入学料、さらに厚生年金の保険料等々、よくもまあこれほどと思うくらいであります。我が党内閣であれば、幾ら役所から言われても、こんなにも多くの公共料金値上げをとても認めなかったでありましょう。
 さらに、冷害による米不足を補うための輸入外国産米の政府の対応の不手際から国民の不信を招き、スーパーやお米屋さんの前に今でも朝早くから行列ができています。そして、昨年の何倍もの値段でお米が売買されていると言われています。総理はこの実態を知っていますか。各種の公共料金の値上げに加え、高いお米を食べさせられる国民はたまったものではありません。
 先日、テレビを見ておりましたら、減税で十万円収入がふえ、公共料金等の値上げで支出が減税額を上回るという家庭のことが出ておりました。何のために減税をするのかわかりません。幾ら所得税減税を行っても、これらの公共料金の値上げがメジロ押しでは、国民の消費は拡大するどころか、むしろ財布のひもを締めて将来に備えるというのが一般的な国民の気持ちではないでしょうか。
 会社では業績不振やリストラで奮闘し、一方、残業の打ち切りなどによる給料の目減りで疲れ果てて家庭に帰るお父さんが、晩酌のビールも満足に飲ませてもらえなくなるのが今回の酒税の増税であります。自由民主党は、このような大衆増税となる酒税の増税に断固反対という態度をこの際明らかにしておきます。総理の答弁を求めます。
 次に、土地に関する税制についてであります。
 我が国の経済が最長、最悪と言われる不況から依然として脱却できない大きな理由は、土地取引が凍結状態にあることと企業の設備投資が極端に低迷していることにあることは全く異論のないところであります。そこで、土地取引の活性化と企業の設備投資の拡大誘導について、税制面からの積極的な対応がなされなければなりませんが、今回の政府の提案された税制改正案においては、その措置は極めて不十分であります。
 まず、土地税制についてでありますが、現行の土地の譲渡益に対する課税は、平成三年度に地価高騰に対処するためにとられた極めて高い税率がそのまま残されております。土地取引の実態について見ると、平成三年の土地の譲渡所得は十八兆円であったものが、翌四年には七〇%も急減して五兆四千億円となっております。これは土地の譲渡所得に対する重課によるものであります。
 また、固定資産税の評価額引き上げに伴い、この評価額を課税標準とする登録免許税、不動産取得税の税額が急激に上昇することに対し、今回の政府の改正案ではそれぞれ負担の調整措置をとることとしていますが、不十分であり、土地取引の活性化が重要な課題となっている今、思い切った対策が必要であります。
 地価税についても、平成六年度における固定資産税評価の均衡化、適正化を契機として、今後、固定資産税の負担の適正化が図られる見通しとなった今日、地価税そのものの必要性を含めて抜本的見直しが行われるべきでありますが、当面、現在の地価税負担が土地を有する企業にとって過重な負担となっていること、また、過重な地価税負担が土地の取得者側の意欲を減殺していることを重視すべきであります。そのためには、時限措置として地価税の課税を停止することにより、企業の正常な経営能力を回復させるとともに、土地の流動化を促進すべきであります。
 土地等の譲渡益に対する課税並びに地価税に対する我が党の提案について細川総理はどうお考えか、お尋ねをいたします。
 次に、企業の設備投資の活性化をいかに図るかであります。
 そのためには、悪化している企業の経営状況を改善するために、所有している土地等を譲渡し、企業全体としての収支バランスを図ることが不可欠の要件であります。したがって、法人の土地譲渡益に対する追加課税については、一律に分離して追加課税を行う現行税制を改め、土地の譲渡益をもって他の事業に係る赤字分を補てんする場合は、その限りにおいて追加課税の対象から除外すべきであります。これにより、土地の譲渡益を活用した企業のリストラの効果的な進展が期待できると言えますが、細川総理のお考えをお尋ねいたします。
 今のところ細川内閣の支持率が、低下傾向にあるとはいえまだ高水準にあり、一般的に言って国民から好感を持たれていると言ってよいでしょう。お人柄も大変いい方だとお見受けしておりますが、政治家、総理大臣として十二分に職責を果たしていると言えるでしょうか。本当に国民のことを、国のことをお考えいただきたい。国民生活や経済に不安が高まる中で、国会の正常化や予算の成立に一日もむだにできないにもかかわらず、内閣改造の話で政府の機能を失わせたり、新・新党をつくるつくらないで与党の腰が据わらないといった事態は、果たして総理が国民のこと、国のことを真剣にお考えか疑わざるを得ないのであります。
 一日も早く深く反省され、国家国民のため、責任ある政治姿勢を取り戻されるよう要請して、私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣細川護熙君登壇〕
#9
○内閣総理大臣(細川護熙君) 初めに、予算並びに関連法案の国会提出の時期についてのお尋ねでございましたが、平成六年度予算につきましては、厳しい経済情勢に対応するための第三次補正予算の編成や、政治改革法案の審議といった諸般の情勢を総合的に勘案をいたしまして、越年編成とすることにしたところでございます。政府としては、総合経済対策あるいは第三次補正予算、平成六年度予算に盛り込まれましたもろもろの施策を速やかにかつ着実に実施をすることによりまして、我が国経済をできるだけ早く本格的な回復軌道に乗せてまいりたいと考えているところでございます。
 赤字国債による減税についてのお尋ねでございますが、今回の減税見合いとして発行される公債につきましては、財政法第四条の特例であるという意味で特例公債でございますが、この公債の償
還財源の問題を含め、年内に税制改革の実現が図られることによって、中長期的に特例公債依存体質をもたらすような歯どめのない赤字国債とは異なるものとなり得ると認識をいたしております。年内に実現が図られる税制改革におきまして、特例公債依存体質をもたらさないような歳入構造を念頭に置きながら、適切な結論を得てまいりたいと考えている次第でございます。(拍手)
 国対政治についてのお尋ねがございましたが、連立与党としてはこれまで、あたかも密室の取引のように受け取られがちないわゆる国対政治はいかがなものであろうかという観点から、委員会、理事会等の現場を重視した国会運営を志向してきたところでございます。しかし、政党政治を前提とする議会制度のもとでは、その円滑な運営のためには政党間の協議は必要なことであり、その観点から政党間協議をお願いをした次第でございます。今後とも、必要に応じて政党間協議を行うことによって、審議の円滑化に努めていただきたいと願っております。
 私自身の一億円借入の問題についてのお尋ねでございますが、私としては、既に国会の場に資料も御提出をし、本会議や委員会での御質問にも誠心誠意お答えをしてきたつもりでございます。国会法第百四条に基づく資料提出要求につきましては、関係省庁において決定された判断を尊重してまいりたいと考えております。また、元秘書に対する証人喚問につきましては、国会のお決めになることではございますが、私が事務所を通じまして元秘書から事情を聴取して、私自身がすべてお答えをしておりますので、それをもって御了解をいただきたいと存じます。
 今回の減税の性格と七年度以降への対応についてのお尋ねでございますが、今回の特別減税は、年内に税制改革の実現を図るという方針のもとで、当面の経済の低迷を打開するために緊急避難的な措置として、いわば税制改革への橋渡しとして実施をするものでございます。所得税制のあるべき姿は、先般の税調の中期答申を踏まえまして、税制の総合的見直しの一環として税体系全体の中で考えるべきでありますし、政府としては、こうしたバランスのとれた税体系を構築していくために、与党の協議を踏まえまして、年内に税制改革の実現を図るように努力をしてまいりたいと思っております。
 なお、今回の所得税減税のための臨時措置法案の中で、次年度以降の減税についても対応を明らかにすべきではないかというお話でございましたが、政府としては、提案しております法案につきまして十分御審議をお願いしたいと考えているところでございます。
 福祉税構想の今後の展開についてということでございますが、高齢化社会におきましても、活力のある豊かな生活を享受できる社会を構築をしていくためには、国民一人一人がそれ相応の費用、責任を分かち合うことが必要であることは当然でありまして、バランスのとれた税体系を構築することが肝要であると考えております。新税の創設を含む税制改革草案は、そのような認識に立って、昨年来の税調の御審議、政府・与党間における協議の積み重ねなどを踏まえて提案をさせていただいたものでございます。税制改革につきましては、現在、与党合意に基づいて協議が進められているところでございますし、政府としては、年内にその実現が図られるように努力をしてまいりたいと思っております。
 酒税の増税は大衆増税ではないか、こういうことでございますが、今回の改正は、税調の答申を踏まえて、ビールや清酒等の価格の上昇に伴って低下した税負担の回復を図りますとともに、酒類間の税負担の公平化の観点から税率の調整を行うことによりまして、適正な税負担水準の確保を図ろうとするものでございます。最近の厳しい財政事情のもとで、消費者への税負担にも配慮して、必要最小限の範囲にとどめたものでございまして、ぜひ御理解をいただきたいと思っております。
 酒税の増税と酒の需要についてのお尋ねでございますが、前回増税が行われました昭和五十九年度において、ビールやウイスキーの消費が減少し、所期の増収見込み額を確保できなかったことはおっしゃるとおりでございますが、その背景には、チュウハイブームに象徴されるような急激な消費構造の変化や、たび重なる大幅な価格の上昇といった幾つかの要因が影響したものと考えております。今回はそのような状況ではございませんし、また、その規模も従来に比べてかなり小さなものでございますから、酒類消費への影響はそれほど大きなものではないと考えているところでございます。
 公共料金の値上げと景気についてのお尋ねがございましたが、公共料金につきましては、当然のことながら経営の徹底した合理化を前提として、物価や国民生活に及ぼす影響を十分考慮して取り扱うことといたしております。政府としては、今後とも適正な公共料金が確保されるように、政府部内において緊密に連携を図ってまいりたいと思っております。
 さらにまた、円高差益の還元あるいは競争政策の推進、価格動向の調査や監視などを実施をしていくこととしておりまして、今後とも物価が引き続き安定的に推移するように努力をしてまいるつもりでございます。政府としては、このたびの総合経済対策を着実に実施をすることなどによりまして、我が国の経済をできるだけ早く本格的な回復軌道に乗せてまいりたいと思っております。
 土地譲渡益課税の税率引き下げについてのお尋ねでございますが、現行の土地税制は、平成三年度の税制改正におきまして、長期的、安定的な制度として設けられたものであって、今後ともその着実な実施に努めていくことが重要だと考えております。六年度の改正におきましては、六年度の答申でも述べられておりますように、現行の土地税制の基本的枠組みの範囲内において適切な措置を講じたところでございまして、土地に係る長期譲渡益課税の税率を一般的に引き下げることは適当ではないと考えております。
 登録免許税と不動産取得税の負担軽減措置についてのお尋ねでございますが、これらの税につきましては、土地取引の現状に十分配慮しながら、今回の固定資産税の評価がえに伴う負担増を軽減するために、土地の登記や取得に係る過去の評価がえにおける上昇率を勘案した上で、課税標準を圧縮する措置を講じたものでございまして、さらなる負担軽減措置は適当ではないと考えている次第でございます。
 地価税についてのお尋ねがございましたが、地価税は、長期的な視野に立って地価高騰の再発を
防止し得るような政策体系を確立する必要があるという問題意識のもとに創設をされたものでございますし、景気対策という短期的な見地から見直しを行うことは適当ではないと考えます。
 法人の土地譲渡益の追加課税についてもお尋ねがございましたが、追加課税は、土地投機の抑制、土地の資産としての有利性の縮減をその目的として、土地の譲渡益だけに着目して課税をする制度であることは御承知のとおりでございます。これに本来の事業の所得状況を加味することは、この追加課税制度そのものを否定することになるわけでありまして、適当ではないと考えております。
 なお、企業の長期保有資産を利用した設備投資の促進を図る観点から、今回の改正案では、事業用資産の買いかえ特例制度の拡充措置を盛り込んでいるところでございます。(拍手)
    ―――――――――――――
#10
○議長(土井たか子君) 矢島恒夫さん。
    〔矢島恒夫君登壇〕
#11
○矢島恒夫君 私は、日本共産党を代表して、租税特別措置法改正法案、平成六年分所得税の特別減税のための臨時措置法案等四法案に対して、総理並びに大蔵大臣に質問いたします。
 税制関連法案について質問する前に、まず指摘しなければならないのは、長引く深刻な不況の打開や米不足問題の解決、ゼネコン疑惑の解明など、国民が政治に求めている課題は山積しているということであります。しかるに総理は、これに対して有効適切な施策をとらないばかりか、みずからの佐川急便疑惑について、国会が全会一致で議決した資料要求や証人喚問についてかたくなに拒否し続け、国会審議を進めることができないようにしているのであります。(拍手)
 しかも、このことによって、税制関連法案を、減税であるからとはいえ日切れ扱いと称して、予算審議に先立って短時間の審議で成立させようとすることは、国会の審議権を侵害する重大な問題であります。(拍手)総理はこの責任をどのように自覚しておられるのか、明らかにしていただきたいのであります。
 さて、今日の深刻な不況を打開するために今必要なことは、国民の購買力の回復であり、国民の消費生活の向上であります。その点で、日本共産党は、所得税、住民税五兆四千七百億円の減税は当然であり、平成六年分所得税の特別減税のための臨時措置法案には賛成するものであります。
 しかし、日本共産党は、この財源を国民の負担にはね返る公債の発行に求めなくても、所得税減税の財源は十分にあることを主張するものであります。
 その一つは、今ゼネコン疑惑が大きな問題になっていますが、年間の公共投資は四十兆円になります。昨年の建設省が行った公共事業積算手法評価委員会の報告によれば、我が国の公共事業の単価は、アメリカなどに比べ三割も割高であると指摘されています。これこそ、わいろと談合、天の声を仕組みとする国民の税金の膨大な浪費であります。これを一割節約するだけでも、四兆円の財源ができるのであります。
 また、導入以来十五年間で四十倍にも膨れ上がった、条約上も全く義務のない駐留米軍に対する思いやり予算も、根本的にただす必要があります。長期にわたって外国軍隊の駐留を認めるばかりか、相手国から世界一気前がいい国と言われるほど経済上の配慮を行っているのを一体どう説明するのですか。日本の自主性の回復のためにも、こうした浪費や特権にメスを入れるべきではありませんか。(拍手)
 さらに、我が国の大企業は、政府の大企業優遇施策のもとで猛烈に内部留保をふやしてきました。資本金十億円以上の大企業の内部留保は、大蔵省の法人企業統計によっても百二十兆円を超えています。この大きな原因の一つが、準備金、引当金合わせて二十八種類に上る異常な優遇措置にあることは明らかであります。イギリスやアメリカでも、これら例外措置はわずか二種類であります。この年間六兆円を超える利益を非課税とする大企業優遇税制などを数年かけて適正化するだけでも、年間一兆円単位の税収が得られます。
 これらは一例にすぎませんが、これらの浪費や不公平税制を是正することによって財源を生み出し、庶民に対する手厚い減税を増税なしで実施すること、これこそが構造的な不況を打開する道です。この方向に踏み出すのかどうか、明確な答弁を求めます。(拍手)
 大企業に対する不公平税制の是正については、我が党は自民党政権時代から強く主張してまいりましたが、細川内閣も自民党政府同様、この大企業優遇税制を温存、拡大しようとしていることは重大であります。
 湾岸戦争時の財源措置として導入した法人特別税を、一方で税収不足を理由に中小企業に対する不況対策や勤労国民に対する社会福祉、教育予算などをカットしながら、これを廃止し、大企業の要望にこたえようとしているほか、国際協調税制と称する製品輸入促進税制の拡充、海外投資等損失準備金制度の拡充延長、国際共同試験研究促進税制の創設、特定対内投資事業者の欠損金にかかわる繰越期間の特例制度の拡充、特定電気通信設備の特別償却制度の対象設備の追加、大企業優遇・大銀行救済のための土地税制緩和策など、アメリカなど外圧にこたえるもの、OECDでも例を見ないもの等々、今回の租税特別措置法の改正案を見ただけでも、細川内閣が大企業には手厚い保護を拡充しようとしていることは明らかではありませんか。
 ところで総理、あなたは二月三日の未明に突如発表した国民福祉税をいまだに取り下げようとはしていません。国民福祉税とは、あなたと大蔵大臣の説明でも明らかなように、消費税の税率三%を七%に引き上げるもので、その中身は消費税と全く変わりがありません。総理、あなたは今も国民福祉税構想に執着しておられるのか、それとも完全に断念されたのか、明らかにしていただきたいと思います。
 特に許せないのは、総理がこれを、あたかもこれで高齢化社会に備える、お年寄りのためだと見せかけていることであります。我が党の不破委員長が指摘したように、政府は繰り返し、現在は五人で一人のお年寄りを支えているが三十年先には二人で一人を支えることになるなどと国民をおどしています。しかし、この政府の主張は経済学的に全くのでたらめです。
 政府は、二十歳から六十四歳を生産年齢人口とし、それで六十五歳以上の人口を単純に割っただけの話であります。実際は、女性や六十五歳を超える高齢者の就業率が高まっており、働く人々はふえ続けています。全人口を就業者数で割った数
字、これは政府の資料でも、現在が一・八九、二〇二〇年が一・八七と、ほとんど変わりません。今も将来も、働く人一人で約二人を支える傾向は余り変わらないのです。適切な経済の成長率があれば、十分に高齢化社会に備えることは可能なのです。
 政府は、「高齢化社会に備える」と一九八八年の税制改革のときに盛んに言われたことをまたまた持ち出していますが、その後の一連の社会保障制度の改悪を見ても、また今国会に提案しようとしている、支給年齢を六十五歳に繰り下げ、保険料を引き上げるという年金改悪を見ても、消費税法の成立によってその分歳入がふえても、政府は社会福祉を充実させることとは逆の施策を進めており、政府みずからこの論の破綻を証明しており、増税計画のための欺瞞的な理由と言わざるを得ません。
 総理、国民福祉税などと名前を変えて、高齢化社会のために消費税の税率アップ、大増税しかないように述べるあなたのこの姿勢は、根本的に誤っているのではありませんか。私は、あなたの消費税率アップ構想の完全放棄を強く主張するものであります。答弁を求めます。(拍手)
 次に、減税措置であります。
 さきに述べましたように、我が党は所得税減税の臨時措置法案に反対するものではありませんが、高額所得者ほど減税額が大きくなり、中低所得者にとっては恩恵が少ないものであることを指摘しないわけにはいきません。大蔵省の資料に基づいて減税額を試算すると、収入の最も少ない層で一カ月千三百七十一円、この層の消費税三%負担額の三分の一にしかなりません。
 また、総理は、減税は深刻な不況からの脱出のためと言いましたが、それならば、一年限りの減税ではなく、基礎控除、配偶者控除など人的控除の大幅引き上げによる恒常的な減税措置を行うべきであります。答弁を求めます。
 酒税法改正案について一言質問いたします。
 今回の酒税引き上げの特徴は、しょうちゅう乙類の酒税引き上げ幅が飛び抜けて大きいことであります。これは、庶民のささやかな楽しみを奪うものであり、しょうちゅう乙類を製造している主として地方の中小企業、地場産業に打撃を与えるものであります。四四・二%に及ぶ異常な引き上げは、地場産業を犠牲にして外国の利益を図るものではありませんか。しょうちゅう乙類の有力な産地である熊本出身の総理に、地場産業育成の考えがあるのかどうか、答弁を求めます。
 最後に、日本共産党は、赤字国債の発行をしなくても、また消費税の税率をアップしなくても財源はあることを明確にしていることを強調したいと思います。
 その立場から、一年限りでなく恒常的措置としての減税、庶民に広く手厚く行き渡る減税、消費税増税や将来の増税につながる赤字国債発行を行わない財源措置という三原則に立った所得税減税の実現に全力を尽くすことを表明して、私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣細川護熙君登壇〕
#12
○内閣総理大臣(細川護熙君) 私自身の一億円借入問題と国会の御審議についてのお尋ねでございますが、先ほどの御答弁でも申し上げましたとおり、既に国会の場に資料も提出をし、本会議や委員会での御質問にも誠心誠意お答えをしてきているわけでございまして、内外の課題が山積する中で、一日も早く予算などの国会審議が促進されることを願っております。
 不公平税制の是正についてのお尋ねでございますが、税負担の公平確保の問題につきましては、租税特別措置の整理合理化など従来からできるだけの努力を続けてきているところでありまして、今後とも税制のあり方の問題として絶えず吟味すべき事柄であると考えております。こうした努力は、減税するかどうかとは全く別個に続けられるべきものであって、減税財源の確保を念頭に置いて行うべき性格のものではないと考えているところでございます。
 いずれにしても、政府としては、活力ある高齢化社会に向けてバランスのとれた税体系をつくることが必要であるという認識に立って、年内に税制改革を実現するように努力を傾けてまいりたいと考えております。
 米軍に対する思いやり予算のお尋ねでございますが、我が国は従来から、日米安保体制の効果的な運用を確保していくことは極めて重要であるという観点から、接受国支援につきまして自主的にできる限りの努力を払ってきているところでございまして、今後ともそのような考えに立って努力を継続をしてまいりたいと思っております。
 国民福祉税構想についてのお尋ねでございますが、何遍も申し上げておりますように、高齢化社会におきましても豊かな生活を享受できる社会を構築をするためには、国民一人一人がそれ相応の費用、責任を分かち合うことが必要でありますし、バランスのとれた税体系を構築をすることが必要であると考えております。新税の創設を含む税制改革草案は、そのような認識に立って、昨年来の税調の御審議、政府・与党間における協議の積み重ねなどを踏まえて提案をさせていただいたものでございます。
 いずれにせよ、税制改革につきましては、現在、与党合意に基づいて協議が進められているところでございますし、政府としても、年内にその実現が図られるように努力をしてまいりた一と一思っております。
 高齢化社会論についてのお尋ねでございますが、御承知のように、我が国は近い将来、少子化、高齢化の進行による年金・医療給付の大幅な増加に加えまして、高齢者の介護や育児に係る社会保障給付が大幅に増加するものと見込まれております。こうした社会保障給付の増加に対応して負担も増加していくことになると見込まれますが、こうした中で、現在、厚生省におきまして懇談会を設置して、あるべき社会保障の全体像、主要施策の基本的な方向、また給付と財源負担のあり方につきまして検討しているところでございます。
 なお、今回の年金制度改正案は、本年の財政再計算に伴って、年金制度を人生八十年時代にふさわしいものに見直すとともに、制度を長期的に安定させるために、給付と負担の均衡を図って、将来の現役世代に過重な負担が生じないようにするためのものであることは御承知のとおりでございます。
 消費税の税率アップについてのお尋ねもございましたが、税制改革については、先ほども申し上げましたように、今協議が進められているところでございまして、政府としては、年内にその実現
が図られるように努力をしていくということでございます。
 しょうちゅう乙類の酒税引き上げと地場産業の育成についてのお尋ねでございますが、しょうちゅう乙類の税負担は他の酒類に比べてかなり低位にあるわけでございますが、このたびの改正におきましても、原料事情などに配慮をして、その引き上げ幅を極力圧縮をしたところでございます。また、税率引き上げによる影響を緩和するという観点から、中小零細業者に対する酒税の軽減措置の適用期限を三年間延長するほか、財政面におきましても支援措置を講ずることとしておりまして、中小零細業者対策としても適切な措置を講じたものと考えております。
 残余の質問につきましては、関係大臣から御答弁いたします。(拍手)
    〔議長退席、副議長着席〕
    〔国務大臣藤井裕久君登壇〕
#13
○国務大臣(藤井裕久君) まず、政策減税についての御意見でございますが、まず製品輸入促進税制の拡充は、大幅な経常収支黒字を縮小する施策の一環として、特に製品輸入の拡大を図る観点からこれは取り入れたものでございますし、海外投資等損失準備金制度の見直しは適切な海外経済協力投資等を促進するという観点から、また特定電気通信設備の特別償却の見直しは新世代通信網の普及促進という観点から、土地税制の見直しは土地の有効利用、企業の設備投資促進を図る観点からそれぞれ講じたわけでありまして、これらの措置は、我が国の現下の政策的要請に適切に対応するため講じているものと考えております。
 また次に、今回の減税は不公平減税ではないかという御意見でありましたが、政府としては、所得税減税を含む基本的税制改革について、与党の協議も踏まえつつ、年内にその実現を図るという方針のもとで、当面の経済の低迷を打開するため、緊急避難的な措置として、平成六年分所得税の二〇%相当額を軽減するものでありまして、個々の納税者の所得税額に応じた負担軽減を図るものであると考えております。
 御指摘のような本格減税についてでございますが、この基本的税制改革の一環として、今回の減税というのは、そういう中で当面の経済の低迷を打開するために緊急避難的な措置として、また税制改革実現に向けての橋渡しであるというような観点からこれを行うものであって、いわゆる御指摘のような本格的税制改正をこの段階で行うのは適当でないと考えております。
 なお、先般の税制調査会の中期答申でも指摘されておりますように、我が国の課税最低限は主要諸外国に比較して既に高い水準となっており、また個人所得課税は広く国民の皆様に税負担を求めるべきものであること等を勘案いたしますと、その引き上げは所得税制のあり方の問題としても適当ではないと考えております。(拍手)
#14
○副議長(鯨岡兵輔君) これにて質疑は終了いたしました。
     ――――◇―――――
 地方税法及び地方財政法の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨税明
#15
○副議長(鯨岡兵輔君) この際、内閣提出、地方税法及び地方財政法の一部を改正する法律案について、趣旨の説明を求めます。自治大臣佐藤観樹君。
     〔国務大臣佐藤観樹君登壇〕
#16
○国務大臣(佐藤観樹君) 地方税法及び地方財政法の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。
 平成六年度の地方税制改正に当たりましては、当面の経済情勢に対応するため、個人住民税の特別減税を実施するとともに、最近における社会経済情勢等にかんがみ、住民負担の軽減及び合理化等を図ることといたしております。
 以下、その概要について御説明申し上げます。
 まず、当面の経済情勢に対応するための措置といたしまして、個人住民税について定率による特別減税を平成六年度限りの措置として実施することといたしております。
 次に、住民負担の軽減及び合理化等を図るための措置といたしまして、個人住民税所得割について非課税限度額の引き上げ及び特定扶養親族に係る控除額の引き上げを行うほか、法人住民税均等割の税率の見直し、土地の評価がえに伴う不動産取得税の課税標準の特例措置の創設、非課税等特別措置の整理合理化等の措置を講ずることといたしております。
 また、個人住民税の特別減税等による減収額を埋めるための措置といたしまして、地方債の特例措置を講ずることといたしております。
 以上が、地方税法及び地方財政法の一部を改正する法律案の趣旨であります。(拍手)
     ――――◇―――――
 地方税法及び地方財政法の一部を改正する法
  律案(内用提出)の趣旨説明に対する質疑
#17
○副議長(鯨岡兵輔君) ただいまの趣旨の説明に対して質疑の通告があります。これを許します。塩谷立君。
    〔塩谷立君登壇〕
#18
○塩谷立君 私は、自由民主党・自由国民会議を代表して、地方税法及び地方財政法の一部を改正する法律案について、総理大臣及び自治大臣に質問いたします。
 我が国の民主政治は健全な地方自治の基盤に立ってこそ成り立つものであり、その理念は、行政はできる限り住民の身近なところで行われるべきであり、何よりも住民の行政に対する信頼が基本であると考えるものであります。
 我が国の地方自治は、関係者のたゆまぬ努力の結果、着実な発展を遂げ、民主主義国家としての原動力となっていることは論をまたないものであります。
 近年、地方自治に対する国民の意識が高まっております。こうした中で、特にここ数年、地方分権について各界、各方面において盛んに議論がされ、高まりを見せております。しかしながら、我が国の現状を見るに、政治、経済、文化及び情報等の中枢機能が東京へ一極集中したことに伴い、種々の問題が発生していることも事実であり、また急速に発展しつつある高齢化、情報化などに対する対応も急務を要する状況となってきております。
 総理は、昨年の総選挙の際、地方分権の推進を一つのスローガンとして掲げてこられました。その中で総理は、地方制度全般の中で国と地方のあり方を検討すべきなどと総論的な議論を展開しておられました。
 私は、地方分権については、具体的なものとし
て、例えば税財源の移譲、権限の移譲、また実効のある許認可の簡素化といったものを、できるものから手がけていくことが肝要であると考えています。すなわち、国民の行政需要に的確に対応し、地域の実情に即した行政を行うには、やはり地方財政をより充実していくことが重要なのであります。
 しかしながら、今回提出される平成六年度予算の文教関連予算にあって、私学に対する助成費補助の中で、私立高等学校等経常費助成について二五%という、制度ができて以来初めて大幅な予算の減額がなされております。
 教育は国の基本といいます。教育の機会均等、公立と私立との格差の是正等の観点から、私立高等学校等が我が国の初等中等教育に果たしている役割の重要性を無視するとともに、ただ単に財政負担を地方に転嫁させるだけの措置であり、このことは、口では地方分権を唱えながら実態は背を向けていることになるのではないでしょうか。総理の御所見をお伺いしたいと存じます。
 次に、地方税制及び地方財政についてお尋ねいたします。
 細川総理は、昨年八月二十三日の特別国会所信表明演説において、「経済社会情勢の変化に税制が即応したものになっているかどうかを点検し、公正で活力ある高齢化社会を実現するために、年金など国民負担全体を視野に入れ、所得、資産、消費のバランスのとれた税体系の構築について、国民の皆様方の御意見にも十分耳を傾けながら総合的な検討を行う」云々と述べておられます。
 しかるに総理は、既に御承知のとおり、二月三日の未明、突如として、国民はもとより細川内閣の閣僚のだれ一人として知らない中で、国民福祉税という消費税をカムフラージュした単なる税率の引き上げを断行しようとしたのであります。このことは、国民に対して何の相談もなく、国民の意思を裏切ろうとした行為であり、当然ながら多くの国民の反発、批判を受けたのであります。政治改革法案成立を実現させた総理が目指したものは、国民に開かれた、より民主的で多くの意見に耳を傾けることではなかったのか、それとも、高い支持率のもと、政治改革関連法案が通れば後は何をしてもよいとお考えであったのか、甚だ残念でなりません。
 その後、連立与党内の調整の結果決定された減税案は、これまた場当たり的な一年だけの減税案であり、住民税の減税は地方公共団体にとってまことに問題の多い案であると言わざるを得ません。
 すなわち、連立政権が取りまとめた地方税法及び地方財政法の改正については、まず地方税法について言えば、今回の一年限りの特例として措置された五兆四千七百億円の所得税、住民税の減税は、このうち地方税に係るものとして一兆六千億円、さらに国税減税分のはね返り分を含めます地方財政への影響額は二兆九千億円になり、国税、地方税を合わせた減税の半分以上となっております。このことは、その財源対策として、交付税特別会計の借り入れ及び地方債の発行によって補てんされているのでありますが、いずれにしましても地方の借り入れとなり、今日の厳しい地方財政の中で、地方の借り入れの残高は、平成五年末九十二兆円であったものが平成六年末百二兆円と予測され、さらなる地方財政の硬直化の要因となっております。
 また、地方税の減収については、本来であれば自主財源である地方税を充実して、減税の財源として補てんすべきと考えるのであります。地方税における直間比率の見直しを踏まえて、今後の地方税の基本税制のあり方について総理の御意見をお伺いいたします。
 また、先般、先進七カ国蔵相会議におきまして、藤井大蔵大臣は、この減税は一年限りのものでなく、平成七年度以降も継続するとの発言をされたとの報道がなされておりますが、今回のように単に借入金のみでの財源措置によることをさらに続けることは、国・地方ともに財政上の混乱が生じることは目に見えております。総理は、さきに述べましたとおり、所得、資産、消費のバランスのとれた基本的な税体系を構築すると言われておりますが、こうした基本的な方針と地方自治行政との関連はどう考えるのか、総理の御所見をお伺いいたします。
 次に、土地税制についてお伺いいたします。
 ただいま国税についても質疑がありましたとおり、我が党は、平成六年度税制改正において、経済対策の一環として、今日の不況を打開するための土地の流動化の促進について、住民税の土地の長期譲渡所得課税について、一般的な土地の長期譲渡についても、現行九%であるものを平成六年度及び平成七年度の二年間に限り六%とすることを強く要求してまいりました。しかるに政府は、これに対して何らの応答もなく、今日まで参ったのであります。
 また、不動産取得税につきましては、固定資産税の評価がえに伴う税の負担軽減措置につきましても、現行の水準に据え置くよう措置することと、納税者の負担増とならないよう、あわせて要望してまいりました。政府は、平成六年中に取得したものについては二分の一、平成七年及び平成八年に取得したものについては三分の二という措置を講じようとしております。我が党の提案と比べて、甚だ不十分な措置と言わざるを得ません。景気対策の観点も踏まえた上で、どのような考えでこのような措置をとられたのか、自治大臣の御意見をお伺いいたします。
 今日、地方財政を預かる者にとって一番大きな問題は、平成六年度予算編成の大幅なおくれであります。平成六年度の税制改正及び地方財政対策、予算編成については、我が党が昨年末強く求めてまいりました年内編成について聞く耳持たずの姿勢で、税制改正、地財対策、予算編成、いずれも二月に入ってから編成され、例年より五十日ものおくれが生じたことは、地方公共団体の予算編成作業及び財政運営に大きな支障を来すとともに、それに携わる地方公共団体関係者への不安を増大したのであります。とにかく早くしてほしいと、叫びにも似た要望が地元から届いております。こうした切実な声に細川総理はいかにこたえられるか、責任ある答弁を求めます。
 細川総理、総理は昨年、政治改革の理想を掲げて未曾有の高い支持率を得て連立政権をスタートさせました。しかし、その大きな目標であった政治改革法案を成立させた後の総理は、先ほども申し上げましたとおり、予算編成等への対応、国民福祉税構想、日米首脳会談、さらに内閣改造問題等、政治の混乱を招く言動が相次ぎ、国民にもさらなる不安を与えています。けさの新聞の世論調
査によれば、支持率は前回に続いて下がっている結果が出ており、最近の状況を裏づけしています。
 政治には理想と情熱と行動力が不可欠であり、最後の結果が出るまで責任を持たなければなりません。政治改革法案の成立は、単に理想を実現させるためのスタート台に立ったところであります。本当の改革はこれからであります。
 しかるに総理、最近の総理には政治改革法案成立までに見せた情熱や行動力は全く影を潜め、国民生活の安定のために一日も早く成立させなければならない予算案の審議に対して全く真剣さが欠けていることは、何を物語っているのでしょうか。連立政権の限界を感じておられるのか、御自分の指導力の限界を感じておられるのか、あるいは政界再編へ向けて暗躍する旧態依然たる政治の体質に嫌気が差しておられるのか。理想は見えず、情熱も感ぜず、行動も起こさない状況から察するところ、ひょっとしたら総理はおやめになることを考えているのではないかと思われても仕方がないと思います。
 総理、一内閣一仕事とよく言われます。難題の政治改革法案成立をなし遂げた政治改革政権としては、そろそろ幕を閉じてもよいころではないでしょうか。このことを強く申し上げて、質問を終えさせていただきます。(拍手)
    〔内閣総理大臣細川護熙君登壇〕
#19
○内閣総理大臣(細川護熙君) 初めに、私学助成の減額についてのお尋ねでございましたが、平成六年度は私学等に対する補助金を削減をいたしましたが、一方で地方交付税措置を充実をしておりまして、補助金と地方交付税措置を合わせた財源措置については拡充をしたところでございます。財政事情が厳しい中ではございますが、今後とも私学振興助成法の趣旨に沿って、国と地方公共団体とが協力をして私学助成の推進に努めてまいりたいと思っております。
 地方税のあり方についてのお尋ねでございますが、住民税の減税は、所得税と同様、年内に税制改革を実現するという前提のもとにいわば先行的に実施をするものでありまして、その財源につきましては,税制改革の検討の中で適切に対処すべきものと考えております。直間比率の見直しなども含めまして、地方税の充実確保を基本に、安定的な地方税体系の確立を図っていくことが必要であると考えている次第でございます。
 バランスのとれた基本的な税体系と地方自治行政との関連についてのお尋ねもございましたが、地方税は現在、国税以上に直接税に偏った構造となっておりまして、今後の高齢化の進展に伴う地域福祉の充実などを考えますと、所得、資産、消費のバランスのとれた税制改革の実現を図って、安定的な地方税体系を確立をしていくことがどうしても必要であると思っております。そのような観点に基づいて地方税の充実確保を進めることによって、自主的な、また自立した地方行財政の確立につながるものと考えているところでございます。
 予算編成などのおくれが地方団体の予算編成などに及ぼす影響いかんということでございますが、平成六年度の予算につきましては、諸般の情勢を総合的に考えまして越年編成とすることにしたわけでございますが、地方団体の予算編成などに悪影響を及ぼすことのないように、これまでの予算編成の過程の例などからいたしますと極力編成作業をスピードアップして、その大枠を決定をさせていただいたところでございます。地方団体におきましては、この地方財政対策の大枠などを参考に、それぞれの翌年度予算の編成に向けてできるだけの御努力をいただいたものと認識をいたしております。
 残余のお尋ねにつきましては、関係大臣から御答弁をいたします。(拍手)
    〔国務大臣佐藤観樹君登壇〕
#20
○国務大臣(佐藤観樹君) 塩谷議員の方から、土地の譲渡益課税の措置、それから不動産取得税の負担軽減措置については景気対策として不十分ではないか、どのような考えに基づいてこのような措置をとったかという御質問がございました。
 土地の譲渡益課税制度につきましては、御承知のように、基本的には譲渡益について九%の分離課税を行っているところでありますけれども、現下の経済情勢等を考慮いたしまして、長期譲渡所得に対しまして、税率を五%に軽減措置をするということになっております。今回、その適用対象範囲につきまして、新たに業務用を含む優良建築物を建設する事業などのための土地の譲渡など、土地の有効利用の促進に資すると認められるものにつきましては、この軽減措置を相当拡大を行うということにしたわけでございます。
 また、不動産取得税につきましては、評価がえに伴う負担増を軽減するために、土地の取得について、過去の評価がえにおける上昇率を勘案しながら、課税標準を平成六年中の取得に係るものにつきましては二分の一に、平成七年、八年中の取得に係るものについては三分の二に圧縮する措置を講じましたことによりまして、景気対策としても十分効果を発揮するというふうに考えておるところでございます。(拍手)
#21
○副議長(鯨岡兵輔君) これにて質疑は終了いたしました。
     ――――◇―――――
#22
○副議長(鯨岡兵輔君) 本日は、これにて散会いたします。
    午後一時三十六分散会
     ――――◇―――――
ソース: 国立国会図書館
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