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1994/06/03 第129回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第129回国会 本会議 第23号
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1994/06/03 第129回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第129回国会 本会議 第23号

#1
第129回国会 本会議 第23号
平成六年六月三日(金曜日)
    ―――――――――――――
  平成六年六月三日
    午後零時三十分 本会議
    ―――――――――――――
○本日の会議に付した案件
 議員請暇の件
  一般職の職員の勤務時間、休暇等に関する法
  律案(内閣提出)
 羽田内閣総理大臣のウルグアイ・ラウンド交渉
  についての発言及び質疑
    午後零時三十九分開議
#2
○議長(土井たか子君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
 議員請暇の件
#3
○議長(土井たか子君) 議員請暇の件につきお諮りいたします。
 横内正明さんから、六月四日から十一日まで八日間、工藤堅太郎さんから、六月四日から十三日まで十日間、右いずれも海外旅行のため、請暇の申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○議長(土井たか子君) 御異議なしと認めます。よって、いずれも許可することに決まりました。
     ――――◇―――――
#5
○小坂憲次君 議案上程に関する緊急動議を提出いたします。
 内閣提出、一般職の職員の勤務時間、休暇等に関する法律案を議題とし、委員長の報告を求め、その審議を進められることを望みます。
#6
○議長(土井たか子君) 小坂憲次さんの動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#7
○議長(土井たか子君) 御異議なしと認めます。
    ―――――――――――――
 一般職の職員の勤務時間、休暇等に関する法律案(内閣提出)
#8
○議長(土井たか子君) 一般職の職員の勤務時間、休暇等に関する法律案を議題といたします。
 委員長の報告を求めます。内閣委員長田中恒利さん。
    ―――――――――――――
 一般職の職員の勤務時間、休暇等に関する法律案及び同報告書
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
    〔田中恒利君登壇〕
#9
○田中恒利君 ただいま議題となりました一般職の職員の勤務時間、休暇等に関する法律案につきまして、内閣委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
 本案は、人事院の平成五年十二月十七日付の一般職の職員の勤務時間、休暇等に関する法律の制定についての意見の申し出にかんがみ、総実勤務時間の短縮、社会の高齢化等に対応した施策の展開等を図るため、職員の勤務時間、休日及び休暇について、週四十時間制の原則の明示等現行制度の再編整理並びに休日代休制度及び介護休暇制度の新設を行うほか、一般職の職員の給与等に関する法律等の関係法律について、所要の改正を行おうとするものであります。
 本案は、五月二十日本委員会に付託され、六月一日石田総務庁長官から提案理由の説明を聴取し、本日質疑を行い、採決いたしましたところ、全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決した次第であります。
 以上、御報告を申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#10
○議長(土井たか子君) 採決いたします。
 本案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#11
○議長(土井たか子君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
     ――――◇―――――
 内閣総理大臣の発言(ウルグアイ・ラウンド交渉について)
#12
○議長(土井たか子君) 内閣総理大臣から、ウルグアイ・ラウンド交渉について発言を求められております。これを許します。内閣総理大臣羽田孜さん。
    〔内閣総理大臣羽田孜君登壇〕
#13
○内閣総理大臣(羽田孜君) ウルグアイ・ラウンド交渉について、御報告を申し上げます。
 四月十二日から十五日まで、ウルグアイ・ラウンド閣僚会合がモロッコのマラケシュにおいて開催され、我が国を含む各国の代表が、ウルグアイ・ラウンド多角的貿易交渉の成果として作成された文書を添付した最終文書に署名し、これによりウルグアイ・ラウンド交渉は正式に終了いたしました。交渉の成果は、最終的に世界貿易機関、WTOを設立する協定として取りまとめられ、現在、各国とも同協定の一月一日の発効を目指して鋭意国内手続を進めております。我が国といたしましても、同協定の締結につきまして国会の御承認を得た上で、年内の締結を目指す所存であります。
 ウルグアイ・ラウンド交渉の子細につきましては、同協定の締結について国会の御承認をいただきます際に、国会の御審議を通じて御報告してまいりたいと考えておりますが、交渉の結果が我が国の国民生活全体に及ぼす影響は、他の外交交渉に類を見ないものであると考えられますので、交渉の概要及び意義について一言申し述べたく存じます。
 ウルグアイ・ラウンド交渉は、鉱工業品の関税引き下げのみならず、今までガット体制のもとで必ずしも十分な貿易ルールがなかった農業、あるいは新たに貿易ルールを定めるべき分野である特許権や商標権などの知的所有権、貿易に関連する投資についての政府の措置、さらには、金融、運輸などのサービス貿易分野を含む交渉でありました。最終的には百二十五の国や地域が参加して七年以上にわたって交渉を行ったかってない包括的かつ歴史的な一大事業であったと申せます。
 この交渉が成功裏に終結したことは、各国がそれぞれの抱える困難を乗り越え、多角的自由貿易体制を維持し、さらに強化することについての強い意思を示したものであり、国際経済秩序に対する信頼を確保する上で極めて重要なことであろうと信じます。我々は、一九三〇年代の保護主義の台頭が、世界貿易、そして世界経済の低迷を招いた苦い経験を持っております。このような経験に照らぜば、今回の交渉の成否が今後の世界の自由貿易体制、ひいては世界経済の拡大と活性化にとりいかに重要な意味を持つものであったかは明らかであります。
 政府は、貿易立国である我が国にとって、世界経済の拡大と繁栄なくして我が国経済の繁栄もないという信念のもとに、歴代政権の努力の積み重ねを踏まえ、ウルグアイ・ラウンド交渉を成功に導くため、一貫して強い意思を持って交渉に臨んでまいりました。私自身、ウルグアイ・ラウンド交渉開始以来七年間にわたって米・ECを初め多くの国・地域の人々と折衝し、我が国の主張について理解を訴えるべく最大限の努力を行ってきたところであります。
 我が国は、農業交渉では米などの困難な問題を抱えておりましたが、将来にわたる国益を考えて厳しい決断を行い、調整案を受け入れることといたしました。これは、ウルグアイ・ラウンド交渉の成功のために我が国の国際的責務であるとの観点から、まさに断腸の思いで行ったものであります。また、鉱工業品の関税引き下げ、サービス、貿易関連投資措置等の分野では、終始積極的な交渉姿勢を示し、多大の成果を得ることができました。
 ガット事務局による分析によれば、ウルグアイ・ラウンド交渉による市場アクセスの改善がもたらす経済的利益は、世界全体で二〇〇五年の時点で約二千三百五十億ドルに達すると見積もられています。
 交渉の妥結によって我が国が受ける利益を具体的に挙げれば、鉱工業品の市場アクセスに関しては、例えば、我が国や米国、欧州連合も含め先進国間で関税率が約四割引き下げられることとなり、我が国はこのような関税引き下げの利益を受けることができます。
 農業に関しては、世界の農産物貿易を大きく撹乱していた輸出補助金が総予算額及び数量ペースの双方で削減されることにより、農産物貿易の安定化が図られることになります。
 また、サービス、知的所有権、貿易関連投資措置等、従来、貿易に関するルールが設けられていなかった分野に初めて国際的かつ包括的なルールが設けられ、貿易の自由化が進められるので、貿易立国である我が国としては、特に途上国を含む世界の国々がこれらのルールを尊重し、今後、次第に自由化を図っていくことにより大きな利益を受けることになります。
 さらに、紛争解決手続につきましても、手続が強化されることにより、一方的な措置の発動を抑止する効果があり、貿易環境が安定的なものになるとの利点があります。
 私は、この機会に、政府が交渉をまとめるため尽力するに当たり、国の各方面から得た御理解と御協力に改めて深く感謝を申し上げます。
 今後の課題として、各国とも、世界貿易機関設立協定が発効するまでの間、ウルグアイ・ラウンド交渉の成果を損なうような措置をとらないようにするとともに、同協定が発効した後は、交渉の結果でき上がった国際的ルールを遵守、活用する必要があります。
 また、我が国としては、新しいルールに順応していくために多くの国内努力をしていかなければなりません。特に農業につきましては、我が国農業の将来展望を切り開いていくために、政府としての万全の施策を講じていく所存であります。また、国内経済面における規制緩和を一層促進し、日本経済の一層の活性化を実現していく必要があると考えており、今後とも皆様の一層の御協力をお願い申し上げ、報告とさせていただきます。(拍手)
     ――――◇―――――
 内閣総理大臣の発言(ウルグアイ・ラウンド交渉について)に対する質疑
#14
○議長(土井たか子君) ただいまの発言に対して質疑の通告があります。順次これを許します。橋本龍太郎さん。
    〔橋本龍太郎君登壇〕
#15
○橋本龍太郎君 私は、自由民主党を代表し、ただいま羽田総理から報告されましたガット・ウルグアイ・ラウンド交渉について質問をいたします。
 本年四月十五日、モロッコのマラケシュにおいて、前細川内閣の羽田外務大臣は、二万六千ページに及ぶ膨大なウルグアイ・ラウンドの最終文書に署名してこられました。この最終文書においては、ウルグアイ・ラウンド交渉の成果を包括的に実施するための機関として、新しくWTOが来年一月一日を目途に設立されることとなっております。
 顧みますと、第二次世界大戦下の一九四四年、連合国は、米国ニューハンプシャー州の小さな町ブレトンウッズで会議を招集し、第二次世界大戦後の世界経済の繁栄に向け、国際通貨基金と国際復興開発銀行の設立、並びに世界貿易をつかさどる国際機関の設立が提唱されたのであります。そして、これがきっかけとなって、一九四八年にガットが設立され、戦後の世界経済の発展に大きく貢献するとともに、日本も一九五五年に加盟いたしました。
 その後、ガットは、第一回ジュネーブ交渉から今回のウルグアイ・ラウンド交渉決着までの四十六年間、関税交渉から貿易交渉へとさまざまな段階をたどるとともに、加盟国も当初の五十六カ国から百二十五カ国へと、まさに自由主義諸国の貿易に関する基本憲章を制定するため、国と国とのせめぎ合いの交渉が続きました。今回、歴史的な発展を遂げ、WTOを設立することが提案されたのであります。
 世界経済における自由貿易の発展拡大は、我が国の基本的な国是であり、今後新設されるWTOが世界貿易のルールをつかさどる機関としてその機能を十分に発揮し、世界経済の発展に大きく寄与することを願うものであります。
 しかし、こうした世界貿易振興の大切な新しい節目に当たって、前細川政権が外交折衝を通じ我が国の立場をラウンドの場で十分に主張したのか、甚だ疑問の残るところであります。また、今回羽田総理が署名した最終文書が真に世界貿易の発展につながるものか、そして我が国の国益とどう一致していくのかなどの問題につき伺ってまいりたいと思うのであります。
 まず、政府の交渉姿勢について申し述べます。
 本年二月十六日、私は本院の代表質問においても申し述べましたが、今次ラウンド交渉の終末部分における政府の外交交渉の姿勢は、官僚任せであったと断ぜざるを得ません。昨年十二月、交渉が大詰めを迎えた段階で、世界の各国から閣僚及び閣僚級の人物が次々に現地に派遣され、厳しい交渉が展開されておりました。我が国の閣僚は一切動こうとせず、専ら「目下、現地を叱咤激励いたしております」との言葉を連ねるばかりでありました。
 羽田総理、あなたも覚えておられるでありましょう。自由民主党政権の時代には、関係閣僚はよく週末を利用し、外交折衝を行ったものであります。我が党は、そうした経験に基づき、大詰めを迎えようとしていた十二月十日、この交渉は国を挙げてのものであり、官僚任せにしないで政治家が最終の責任をとるべきであるとの考えを当時の武村官房長官に伝え、強く閣僚の派遣を要請いたしました。こうした申し入れに対し、連立与党の中には反対論もあったと聞いておりますが、事の重大性にかんがみ、政府は羽田外務大臣を同日夜、派遣することとしたのであります。
 このように、日本の将来の貿易や経済を根底から揺り動かすであろう数々の交渉に、政治家が深く関与せず官僚に任せ切りにしたことは、政治家としての責任を放てきしたものと言っても過言ではありません。
 来週半ば、パリで開かれるOECD閣僚理事会に対しても、政府は閣僚を送らない決定をされたと報道されております。しかし、私は、この場で自由民主党を代表し、この閣僚理事会に少なくとも経済企画庁長官を出席させるべきであると改めて政府に申し入れたいと思います。
 今後、経済面のみならず、環境、人口、安全保障など各般にわたり、外交交渉がより頻繁に行われるでありましょう。先般行われた日米経済交渉もそうでありました。外交の第一線を官僚任せにし、交渉が決裂したら、「ノーと言える外交は大人の外交であった」では話にもなりません。国益の交差する外交交渉に当たっては、国民の代表である政治家がより高い見地から関与し、政治家の責任において事を決すべきであります。
 今次交渉を顧みて、羽田総理はどのような反省をしておられるのか、また、どのような決意で今後の交渉に臨まれるのか、しかとお答え願いたいのであります。(拍手)
 次に、今回の交渉について国会への報告が大幅におくれたことを指摘しなければなりません。
 昨年十二月十四日の朝早く、細川前総理はテレビを通じドゥーニ調整案の受け入れを発表され、翌十五日、七年半に及ぶ交渉が実質合意に達した旨、発表が行われました。この間の関係者の御労苦に対しては、心から敬意を表します。
 その後、直ちに各マスコミはその妥結の内容を報道し、各所において関心部分についての説明が行われてまいりました。とりわけ問題となりました農業合意につきましては、時の畑農林水産大臣はみずから農業団体に赴き、経過報告をされました。
 本来、こうした国を挙げての大きな交渉については、直ちに国会に報告すべきであることは言うまでもありません。しかし、細川内閣も、また羽田内閣も、今日に至るまで、我々の再三の督促に対しても、国会に対し一言の報告もなされませんでした。まさに国会軽視も甚だしいと断ぜざるを得ません。このことは、本年二月、細川前総理が日米交渉に赴かれ、帰国直後、その報告を直ちに本会議で行われたことと対比しても著しくバランスを欠くものであり、やがて協定の批准を求めるべき国会を軽視した連立政権の失態であります。細川内閣の副総理・外務大臣として、また現総理として、その責任をいかがお考えか、お伺いいたします。
 さて、総理は、細川内閣の外相として、四月十五日、協定の最終文書に署名されましたが、この署名の性格については、五月二十五日、我が党議員の質問に対する答弁の中で、国際約束への署名ではなく最終文書文言を確認する署名であり、法的文書への署名は国会の承認の後行われるとの御答弁でありました。このことは、我が国憲法七十三条の三の規定からいっても当然のことであります。
 その最終文書の構成を見ると、世界貿易機関を設立する協定と閣僚決定・宣言の二部で構成されております。WTO設立協定については、その附属書一の中に、物、サービス、知的所有権など各般にわたる十五の独立した協定が含まれております。さらに、附属書二では紛争解決について、附属書三では貿易政策検討制度、同四では複数国間貿易協定などが包含され、全体としてWTO設立協定となっているのであります。また、同じ設立協定の中に十二の重要な閣僚決定及び宣言が含まれております。また、最終文書に含まれない閣僚決定や宣言が四月十五日に決められております。
 このような複雑多岐にわたるウルグアイ・ラウンド協定を政府はどのように整理し、憲法七十三条によって国会承認を求める部分はどの部分になるのか、もし国会承認を必要としない部分があるとすればその理由は何か、羽田総理の見解を求めるものであります。
 また、このような膨大な協定全体について、この本会議における総理の御説明だけでは到底十分なものとは言えません。協定全体を構成する個々の協定一つずつをとりても今後の日本の対外貿易政策にとって重要なものぽかりであります。政府は、個々の協定や決定・宣言、さらに国会承認を必要としないものも含め、それぞれの担当常任委員会に詳しい資料とともに報告すべきであると考えますが、政府はいつまでにどのような手順で報告されるのか、お尋ねをいたします。
 今次ラウンドの最大の結論の一つは、世界貿易機構、いわゆるWTOの設立であります。この設立についてはアメリカ内部に強い異論があり、難航が伝えられました。WTOの設立により自由貿易体制が維持強化されることはもとより望ましいことでありますが、同時に、官僚機構として次第に肥大化していく可能性もあります。また、特定国の影響をどのように排除していくかという問題も発生してまいります。自由貿易体制の維持発展のためにはWTOの設立とともにその運営が大きな問題となるわけでありますが、日本はこのWTOの運営にいかに参加していくのか、世界の経済大国としていかに主導権を発揮していくことができるのか、総理の御見解をお尋ねいたします。
 また、WTOの設立とも関連し、旧社会主義国の取り扱いも今後の課題であります。特に経済成長の目覚ましい中国が加盟を望んでおり、政府はこれを支持する方向であることが伝えられておりますが、いかがお考えになっておられるのか。また、ロシアについても、貿易の拡大を通じて自立を図っていくことが重要であると考えますが、この二カ国の加盟問題について総理はいかがお考えか、御見解をお尋ねいたします。
 次に、この際、日米包括経済協議についてお伺いいたします。
 細川訪米以降中断されていた交渉が双方の努力によって再開されたことは、今後の日米関係を考える上で喜ばしいことであります。しかしながら、交渉そのものは多岐にわたり、困難を伴うものばかりであります。日本の減税問題などのマクロ経済政策、環境やエイズ対策などの協力分野、そして各般にわたる個別分野など、どの問題も政治のリーダーシップが必要であります。羽田内閣としては、どのような交渉姿勢でこの日米協議に臨まれようとされるのか、責任ある御答弁と決意のほどをお述べいただきたいと存じます。
 同時に、この協議では、さきの数値目標にかわって客観基準という概念が用いられている由でありますが、その言葉の定義がややあいまいであります。特に、定量的客観基準は数値目標とどう異なるのか、明確な御説明をいただきたいのであります。また、あわせて、この包括協議のウルグアイ・ラウンド協定の中での位置づけはいかなるものか、御説明をいただきたい。
 また、カンター米通商代表は、五月二十四日の記者会見で、もし日米包括経済協議が不調に終わった場合は、通商法スーパー三〇一条の対日発動を示唆しております。こうした一方的措置の可能性をほのめかしながら交渉に当たるアメリカ側の姿勢は、欧州からも不公正であると指摘されております。このような交渉姿勢に対しては毅然たる態度で臨むべきと考えますが、政府の御所見をお伺いいたします。
 政府はこれまで、そのような一方的措置を封じ込めるためにWTOを設立し、多国間で迅速に紛争処理を行うのである旨を説明してこられました。しかし、アメリカ側はスーパー三〇一条を振りかざしておりますし、WTO設立によってスーパー三〇一条が制約を受けるものではないとの趣旨の発言があります。果たしてWTOの設立によって、政府が言うようにスーパー三〇一条の手足を縛ることができるのか否か、総理の明確な御答弁を求めます。
 最後に申し上げたいことがあります。
 今次交渉においては、農業問題、なかんずく米問題に議論が集中し、報道機関も米の問題を中心に報道した感があります。しかし、最終文書にまとめられた中には、世界の貿易に関する重要な協定が多数含まれております。このため、経済団体なども、合意は評価しつつも数々の懸念を表明しております。
 一例を申せば、ラウンド交渉が妥協の産物でありたゆえに文言が不明確になってしまい、恣意的運用の余地を残した点、また、アンチダンピング協定では、迂回防止条項について合意に至らず、各国の国内法との整合性について疑問を残した点、参加国の中でWTO協定の国内法上の地位について相違が見られる点など、多くの問題が指摘されております。特に、アンチダンピング協定の中の迂回防止の規定が合意に至らなかったことは、今後、日本の企業が海外に投資を行う場合、大きな障害になることが懸念されます。こうした不安は、産業界ばかりでなく多くの分野でも表明されております。
 今回のウルグアイ・ラウンドの最終決着は歴史的なものでありました。その外交文書が膨大なものであるだけに、政府は国民に対してその内容を懇切丁寧に説明すべきであります。また、国会においては、条約の批准、関係国内法の審議など、今後に残された作業は重大なものがあります。我が党としては、国益を守ること、世界経済の発展に大きく寄与していくことを前提とし、今後とも真剣に論議を重ねていくことを申し上げ、私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣羽田孜君登壇〕
#16
○内閣総理大臣(羽田孜君) まず、交渉に対する政治家としての関与につき、どう反省し、どう取り組むのかということであります。
 このラウンドの交渉におきましては、細川前総理大臣御自身が、日米首脳会談の場におきましても我が国の立場を明確に述べられるとともに、当時外務大臣でありました私自身も、あらゆる機会をとらえまして我が国の立場を主張するなど、閣僚みずからが第一線に乗り出し、国会決議の趣旨を体しまして最大限我が国の考えを主張してまいったところであります。(拍手)また、日米包括協議におきましても、外相さらには総理として、両国の合意に向けまして積極的な努力を行ってきておるところでございます。今後の交渉におきましても、従来にも増して先頭に立って交渉に当たっていくことを率直に申し上げておきます。(拍手)
 ウルグアイ・ラウンド交渉について、現政権とも国会軽視であり、その責任をという御指摘でありますけれども、政府といたしましては、ウルグアイ・ラウンド交渉の重要性にかんがみまして、適当な機会にしかるべく国会に御報告すべく準備を進めてきたところでございます。今般、国会の日程との折り合いがようやくついたために、報告を行えることとなった次第でございます。もっと早く報告をすべきであるとの御示唆につきましては謙虚に受けとめてまいりますが、国会を軽視するつもりは毛頭ないことをぜひとも御理解をいただきたいと存じます。(拍手)
 いずれにいたしましても、交渉の結果作成されました世界貿易機関を設立する協定につきまして、国会の御承認をいただいた上で年内に締結したいと考えており、御理解と御協力をよろしくお願いを申し上げます。
 ラウンド協定のうち国会承認を求めるのはどの部分か、承認を必要としない部分があればということでありますけれども、最終文書に添付された各種の文書のうち、世界貿易機関を設立する協定本体及びその不可分の一部をなす附属書一から三までに含まれる諸協定につきましては、一体をなす国際約束として、その締結について一括して国会の承認をいただくこととなります。他方、附属書四に含まれる諸協定につきましては、いずれも世界貿易機関を設立する協定本体の不可分の一部をなすものではないところでありまして、これらのうち行政府の権限の範囲内で締結し得るものにつきましては国会の御承認を求めることにはなりませんが、その他のものにつきましては、別途、締結について国会の承認を求めることとなるわけでございます。
 御指摘の最終文書に添付された閣僚決定及び宣言等並びに最終文書に添付されていない閣僚決定及び宣言については、各国による締結の対象となる国際約束を構成する文書ではありませんので、その締結について国会の承認を求める対象とはならないものであることを御理解いただきたいと思います。
 なお、ラウンド協定を、各担当常任委員会、こちらに報告するかということでありますけれども、御指摘の報告につきましては、御提案を踏まえまして、何ができるのか、私どもとしても検討してまいりたいというふうに考えます。
 日本はWTOの運営にどのように参加するのかということであります。
 政府といたしましては、貿易立国である我が国にとりまして、世界経済の拡大と繁栄なくして我が国経済の繁栄もなく、多角的自由貿易体制の維持強化のために、我が国が積極的に貢献していく必要があるというふうに考えております。このような認識に基づき、我が国といたしましては、WTOの運営に当たりまして積極的に貢献していく所存でございます。具体的には、無用な機構の肥大化を避ける一方、WTO事務局に対する人の派遣、分担金の分担等を含めまして、どのような形で貢献が可能かにつきまして検討してまいりたいというふうに考えます。
 また、中国、ロシアの加入問題についてのお話であります。
 これは政調会長御指摘のとおり私も考えます。多角的な貿易体制の拡充との観点から、我が国はこれらの諸国のWTOへの加入を基本的に支持するとの立場でございます。このため、我が国といたしましても、積極的な役割を果たしてまいりたいというふうに考えます。他方、WTOは国際貿易の権利義務関係を規律するものでございますから、これらの諸国がその義務を実行できる体制にあるか否か、これを加入プロセスの中で明確にしていくことが重要であろうというふうに考えます。
 日米包括協議に関しまして政治のリーダーシップが必要と考えるがというお話であります。
 包括協議につきましては、自分も細川前内閣時代から現在に至るまで深くかかわってまいりまして、その重要性はよく理解をいたしております。特に自分は前職の外務大臣でありました際に、カンター通商代表とまた四月にマラケシュで包括協議の再開に向け精力的な協議を行い、日米双方の立場の理解を深めることができました。これをもとに日米双方が努力を続け、協力の精神に基づいて柔軟性を示し、また、お互いの主張に対する理解を一層深めた結果、今般、優先分野における目標及び客観的基準について共通の理解が得られたことから、包括協議の再開に合意したところでございます。
 この合意を受けまして、今週から日米包括協議の優先分野の交渉を順次再開することとなっております。日米双方の努力によりまして、これらの交渉を円滑に進めていきたいと考えます。
 なお、政府といたしましては、主体性を持って大胆に経済改革を進めてまいる考えであり、特に先般の対外経済改革要綱に基づき、規制緩和など六月末までに検討の成果を取りまとめることとされているものにつきましては、内容のあるものにするべく最大限の努力をしてまいりたいと思いますので、この点についての御協力も心からお願いを申し上げます。
 客観的基準、特に定量的客観的基準は数値目標とどう異なるのかという御指摘でございました。
 客観的基準は数値目標ではなく、包括協議の全般的な目標及び各分野の目標に向けて達成された進展を評価するという目的のために用いられるものであることにつきまして、今回、米側との間で共通の理解に達したところでございます。客観基準の具体的内容は、今後、優先分野の各セクター別に交渉されることになりますが、我が国といたしまして、ある一つの数値的な目標点を義務として設定するような基準が受け入れられないことは申し上げるまでもございませんが、こうした基準に限らず、自由な経済活動に対する政府の介入を招くものであるならば、名称のいかんを問わず、我が国政府の方針である市場経済の原則、規制緩和等に反するものであり、これを受け入れることはできないとの立場であり、今日までもそのことを再三申し上げて理解を得ているところであります。
 なお、日米包括協議に関して、包括協議のウルグアイ・ラウンド協定の中での位置づけいかんということでありますけれども、この協議の枠組みは、その合意文書にうたわれておりますように、「日米経済関係のための新たな協議のメカニズムとしての役割を果たす。」また「世界的な成長、開放的市場、そして極めて重要な世界貿易体制を推進するとの日米共通の利益と責任にしっかりと根ざしたものでなければならない。」というものであります。
 また、その合意文書には、「米国及び日本は、全ての諸国に恩恵を与える開放的かつ多角的な貿易体制にコミットして」おり、この枠組みのもとでの恩恵は、最恵国待遇、MFNベースとなること、さらに「両国政府は、この枠組みの対象となるセクター別・構造分野を扱う主要な手段としてこの枠組みを活用する。これらの分野において問題が生じた場合には、双方は、相違点を早急に解決するための最大限の努力を、この枠組みの下における協議を通じて、または、適当な場合には、適用可能な多国間合意の下で行う。」このようにされておるところであります。
 日米包括経済協議は、ウルグアイ・ラウンド諸協定とは直接の関係はございませんけれども、ウルグアイ・ラウンド諸協定を中心とする多角的な貿易自由化の推進と十分整合性が確保されているものであるというものでなければならないというふうに考えます。
 また、カンター米通商代表は、日米包括経済協議が不調の場合、スーパー三〇一条の対日発動を示唆しているというお話であります。
 この問題につきましては、我が国としては、一方的な圧力のもとでの交渉には応じられない旨、そのたびの会議の際に明らかにしてきております。また、いわゆる一方的制裁措置が仮に発動された場合には、我が国といたしましては、国際的なルールにのっとって解決を求めるといった毅然とした態度をとることは当然のことであります。
 WTOの設立により、米国のスーパー三〇一条の発動を封じ込めることができるのかというお話であります。
 世界貿易機関におきましては、同機関設立協定の対象事項について紛争が生じた場合、世界貿易機関の紛争解決手続を経ることなく一方的措置をとることは禁止されておるところであります。世界貿易機関は、ガットに比べて、サービス、知的所有権等を含む幅広い分野を対象としており、また紛争解決手続の実効性が著しく改善されていることから、一方的措置の抑止機能は格段に向上しておるというふうに考えております。
 以上であります。(拍手)
    ―――――――――――――
#17
○議長(土井たか子君) 遠藤登さん。
    〔遠藤登君登壇〕
#18
○遠藤登君 私は、日本社会党・護憲民主連合を代表し、ガット・ウルグアイ・ラウンドの交渉経過、その報告に対する質疑を行います。
 まず、七年越しの長期にわたり、広範な分野で交渉に粘り強く御努力をされた各位に、深く敬意を表したいと思います。
 しかし、基礎的な食糧の例外なき農業合意には幾多の問題がありますので、この点を中心に御質問をさせていただきます。
 まず、羽田総理に対してでありますが、世界の食糧・農業、環境問題に対する認識についてお尋ねをいたします。
 今や世界の人口は五十五億人を超え、しかも年間一億人以上の割合でふえ続けているのであります。一方、世界の農耕地は、環境の悪化により、年ごとに我が国の全耕地をはるかに超えて減少を続けているのであります。あわせて、食糧の生産も減少に減少を重ね、飢餓人口の増大、環境の悪化とともに、二十一世紀の全人類が生存をかけた今日の状況をどう考えるのか。
 また、我が国の現状はどうなのか。穀物自給率は三割を割り込み、食糧の過半数以上を海外に依存し、その度合いは一層拡大にあります。二十一世紀に向かって、それを保障するすべはどこにあるでありましょうか。
 国民生活の将来に展望の持てる責任ある政治、農政の確立を今こそ急がなければならないと思うのであります。それは、現代を生きる全国民の責任であると思うのであります。
 また、農業は、工業とは異質なものであります。農業と環境は表裏一体であることは今さら言うまでもありません。人間の命である食糧・農業、環境は、百年単位で人類や国民の将来に責任を持って対応しなければならない最重要課題であると思うのであるが、どうか。
 ガット農業合意報告に対する質問でありますが、前段で申し上げましたように、農業・食糧、環境問題は、人口問題とともに、人類存亡の課題として急迫する今日、その課題を解決するためには、今、全世界の国々が英知を結集して立ち上がることなくして解決することは不可能であると確信するものであります。総理及び農林水産大臣はどのようなお考えでしょうか。その所見をお示しいただきたいと存じます。
 基本的には、我が国の米などを初めとして、基礎的食糧はガット自由貿易協定になじまないのではないか。同協定より除外されるべきであります。ましてや、我が国の米のような問題については、二十三年間も減反政策を継続して、生産調整に汗を流してきた品目であります。したがって、六年後の見直しを目指し、ガット協定の例外措置を明確にするよう、その努力を強く要請するものであります。総理並びに農林水産大臣の所信をお示しいただきたいと存じます。
 次に、ガット合意の中で、問題点を幾つか質問いたします。
 まず第一に、輸出補助金つきの自由貿易協定とはいかなるものか、どう考えても理解することができない問題であります。
 また、アメリカとEuの間で未解決の食品の中に含まれる抗生物質、ホルモンなどの食品自由貿易協定は理解できません。また、アメリカのウエーバー条項は、どのように処理されるのか。
 また、国際的に最も重要な課題であります人口急増問題、環境の悪化問題、異常気象の多発、食糧生産の減少、飢餓の増大など、人類存亡の課題に、ガット農業自由貿易協定は何を意味し、どのような役割を果たすのでありましょうか。このことは、新世紀の人類にとっては、百害あって一利なしの憂慮すべき事態と断ぜざるを得ないのであります。総理、農水大臣、外務大臣のお考えをお聞かせください。
 また、合意受け入れに当たって、当時、細川総理を初め政府は、国境措置、国内対策について展望の持てるように万全の対策をやりますと宣言し、国会と国民に重大な決意で公約をなされたことは、記憶にいまだ新しいものがあるのであります。内閣を継承された羽田総理が、その所信をお示しいただきたいと存じます。
 我が国の食糧・農業の実態はどうでありましょうか。御案内のとおり専業農家は全体の一割にも満たない現状にあり、兼業農家が大部分であります。就農者の六割以上は六十歳を超える方々であります。また、新規学卒の就農者は、年間千七百人にすぎません。これは、三千三百の全国の市町村に学卒就農者が一人もいないケースが約半数を占めるのであります。しかも、労働力の大部分が女性であり、特に注目すべきは農業所得の低落傾向であります。農家収入に占める農業所得の割合は年ごとに減少をたどり、今や一七%以下であります。
 特に中山間地域は深刻であります。山村の加速度的な高齢化と集落崩壊が相次ぎ、農業センサスの調査では、五年間に二千五百の山村集落が日本列島から姿を消して廃墟と化しているのであります。放棄農地は三十万ヘクタールを超えようとしているのであります。
 翻って、国土の七割を占める山林の実態はどうなのか。木材消費量の七割を輸入に依存し、国有林会計の赤字の慢性化や、労働力不足による民有林の経営圧迫など、我が国林業の課題もまた深刻そのものであります。川上が荒れれば川下にその被害が及ぶ、そのことは長い歴史の教訓であります。
 また、酪農家、畜産農家を中心に莫大な負債を抱えて、厳しい市場経済の中で廃業も転業もできかねる実例が珍しくありません。また、我が国の国民生活に不可欠で、新鮮な果物、例えばミカン、リンゴ、果汁なども深刻であります。
 昨年の異常気象によって、二百万トンを超える米の緊急輸入、そして綱渡りの食糧政策、このような実態の上にガット・ウルグアイ・ラウンドの農業合意がなされたわけであります。米の部分開放、関税化、その引き下げは即、我が国農業・食糧、環境を破壊に追いやる懸念を憂慮するものであります。総理の持つビジョンと当面の指針をお示しください。
 以上のような国内外の実情に立って、以下、具体的課題についてお尋ねをいたします。
 まず、都市勤労者並みの所得をと、選択的拡大、自立農家育成を目指した三十二年間の農基法農政は何であったのか。それは、農業以外の高度経済成長政策に押し流され、再編されてきた事実は明らかであります。三十二年間の農基法農政とその延長線にある新農政のあり方を、今こそ食糧の自給を原則として、農業・農山村、国土と環境保全の視点に立って、改めて農業・食糧基本法を制定すべきだと考えるのでありますが、総理の所見をお聞かせいただきたいと存じます。(拍手)
 次に、生産性の向上、合理化、効率化は、近代産業が持つ宿命的な課題であります。また、国情により内外価格差も当然なことなのであります。大自然の恵みの中で生命をはぐくむ農業は、基本的に第二次産業とは次元の異なるものなのであります。せめてGNPの二%ぐらいの予算を投入すべきであります。そして、食糧・農業、漁業、環境基金制度の創設、中山間振興基金制度の創設、補助・融資制度の大幅な改善を要求するものであります。羽田総理、農水、大蔵大臣の所信をお示しいただきたいと存じます。
 次に、食管制度の見直しの問題でありますが、まず、基本政策として、ミニマムアクセスの米を含めて主要食糧は国家管理とするべきであります。また、異常気象等に対して、非常時に対応するための主要食糧の備蓄に責任を持って万全を期すことであります。また、他用途利用米制度は廃止して、限度内米穀に組み入れることであります。ミニマムアクセスの米及び備蓄の古米は、他用途利用米を原則として対応することを求めるものであります。米の潜在生産力が大幅に低下している現状にかんがみ、全国一律の減反政策を改め、集落、集団に配慮して農家の選択制とすること、米、麦などの価格政策については、需給事情に配慮するも、原則として生産費所得補償方式を堅持することを要求するものであります。(拍手)
 さらに、もみ貯蔵保管による農家備蓄制度を創設することも御検討願いたいと思うのであります。食糧の規制緩和は、投機の対象となることなどは断固として排除されるべきであります。
 羽田総理並びに農水大臣の所信をお聞かせいただきたいと存じます。
 次に、基盤整備事業についてでありますが、混在化社会に共用化している排水路、水門、基幹農道を初めとする建設費及び維持管理費を含めて完全に公費負担とすべきであります。さらに、生産費の中で一番比重を占める農業機械費についてでありますが、各種機械の開発促進とともに、耐用強化、各種生産資材を含めて特別な価格対策を要求するものであります。
 また、大型圃場整備事業については、二次、三次と圃場整備が相次ぎ、今莫大な借金の返済途中にあります。農産物価格の低迷と相まって、展望の見えない状況の中で、大型圃場の再整備、さらに連動する大型農機等に対する投資意欲も能力もないのが大方の現状なのであります。したがって、無利子の長期融資制度の創設、国庫補助など公的助成の引き上げを強く求めるものであります。
 また、大切なことは、我が国農業の大半を担っている就農女性の農業者年金の制度化であります。さらに、現行農業者年金の給付額の改善を求めるものであります。
 地域の農林業を支援するために、市町村の希望により、国の助成を初め公的助成を強化して、地域グリーン支援センターなどの創設を求めるものであります。
 また、国際貢献を強く求められている昨今でありますが、異常気象や災害の多発、八億人を超えるとされる飢餓の増大、環境の悪化防止などを積極的に支援するために、食糧を含めた国際支援センター基金制度の創設なども強く求めるものであります。(拍手)
 羽田総理、外務、農林水産大臣の所信をお聞きいたしたいと存じます。
 次に、本日は麦価審議会が開催をされておりますが、価格政策が重大であります。国産麦は年ごとに大幅な減少にあり、国内産麦の自給は既に一〇%を割り込んでいる事態は重大な寒心事であります。特に、生産費を下回る価格政策は重大であります。ポストガット対策を含めて現行価格を上回るよう強く求め、農水大臣の決意をお示しいただきたいと存じます。
 最後に、孤立した一WCの現状と我が国の対処方針、また、アメリカ産リンゴを初め果実の輸入解禁が問題であります。万が一病害虫が侵入した場合に、政府は全責任を負って対応できるのか。また、園地の再構築を初め国内対策に政府は責任を持って対処できるのかをお示しいただきたいと存じます。
 ポストガット対策の対応について万全を期することを強く求めて、質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣羽田孜君登壇〕
#19
○内閣総理大臣(羽田孜君) まず、世界の食糧・農業問題でありますけれども、食糧は生命維持に不可欠な物資でありまして、食糧・農業問題は、世界のいずれの国においても最も優先すべき長期的な課題の一つであるというふうに私も認識しておることを申し上げます。
 環境問題は百年単位でというお話であります。
 御指摘のように、環境の悪化が地球的規模で進行しております。まさに人類の直面する緊急な課題となっております。この問題は、人類の存続の基盤である環境が将来にわたって維持される必要があるとの観点から取り組むべき国政上の最重要課題の一つとして、今日までも歴代の内閣で取り組んでまいりまして、さらにこれを積極的に進めることが重要であろうというふうに考えます。
 将来に展望の持てる責任ある農政、この問題につきましては、国民生活に不可欠な食糧の安定供給を初め、地域経済社会の維持発展、国土・自然環境の保全など、極めて多様で重要な役割を果たしております。また、農村は、伝統に裏づけられた地域文化をはぐくみ、緑と潤いに満ちた生活あるいは余暇空間の国民全体への提供という機能も有しております。このような役割や機能を有する農業と農村をめぐる状況が、従事者の減少、高齢化の進行など大きく変貌する中で、今後とも魅力あふれる農林業と活力のある農村の実現に向けまして、私どもも全力を尽くしてまいる考え方であります。
 ガット農業協定の例外措置を明確にする努力ということでありますけれども、我が国は、ウルグアイ・ラウンド交渉におきまして、農産物の包括的関税化は受け入れられないとの方針のもとに、最大限の努力を行ってまいりました。しかし、交渉の最終段階に至ってもなお例外を設けるべきでないとする国が世界の大勢を占めるという状況のもとで、各国の対立する意見を踏まえたぎりぎりの案であるドゥニ調停案、これが示され、我が国は、ウルグアイ・ラウンド交渉の成功、ひいては世界経済の発展及び世界貿易体制の維持強化によってもたらされる幅広い国民的利益という観点から、ぎりぎりの決断として受け入れることとしたものであることを御理解いただきたいと思います。
 なお、農業協定におきましては、改革プロセスを継続するための交渉を、非貿易的関心事項にも配慮しながら、五年目の終了時に開始するとととされており、我が国といたしましては、その際にも、食糧安全保障そして国土・環境保全等、農業が果たしている多面的な役割の重要性、これが交渉の結果に適切に反映されるよう、これからも積極的に主張していきたいというふうに考えております。
 ガット農業合意は人類存亡の課題にとって何を意味し、どのような役割を果たすのかという御指摘であります。
 現在、御指摘のごとき諸問題への対応が喫緊の課題となっておりますが、ガットは、多角的自由貿易体制の維持強化を通じて、世界経済の安定と繁栄を図り、もって人類の直面する諸問題の解決にも重要な役割を果たすものというふうに考えております。このうち、ウルグアイ・ラウンド農業協定は、環境保護、食糧安全保障等の非貿易的関心事項に配慮しながら、農業貿易に一定の規律を設けることにより、世界貿易及び経済の発展に貢献するものと考えております。
 また、合意受け入れに対する私の決意、また今後の中長期ビジョンと当面の指針ということでありますけれども、ラウンド農業協定の実施に伴います影響を最小限に食いとめるとともに、我が国農業の将来展望を切り開き、二十一世紀に向けた農業構造の早期実現を図ることは、我が国農業の発展の上で何よりも肝要と考えます。
 政府といたしましては、今回のウルグアイ・ラウンドの農業協定の実施に伴う国内対策につきましては、昨年暮れに閣議了解された基本方針に沿いまして、中長期的観点に立った農業政策の展開方向等に関しまして、今、農政審議会におきまして御論議をいただいておるところでございます。今後、これらの議論を踏まえまして、緊急農業農村対策本部、ここにおきまして検討の上、関連の諸制度、諸施策につきまして、引き続き格段の充実推進を図ることとし、加えて、今回の農業協定の実施に伴い生ずる農業・農村及び関連産業の諸課題につきまして、所要の措置を総合的かつ的確に講じて、万全を期するために私自身先頭に立っていきたいというふうに申し上げます。
 また、農業基本法農政と新政策、この問題でありますけれども、基本法は、農政の目標として、農業の生産性の向上及び農業従事者と他産業従事者との生活の均衡を具体的な指標といたしまして、究極的には、農業の発展と農業従事者の地位の向上を図ることを掲げております。このような農業基本法に掲げられております目標は、今日の農政においても引き続き重要なものであるというふうに私も考えております。また、新政策は、この目標を今日的の視点に立って具体化し、基本法農政の成果を踏まえつつ、当面する課題に適切に対処しようというものであります。
 他方、農業・農村の有する多面的な機能に着目いたしまして、これらの機能の一層の拡大充実を図るため、法律を整備すべきである等の種々の御意見があることも承知いたしております。このような視点を踏まえまして、現在、中長期的な観点に立った農業政策の展開方向等に関しまして農政審で御議論いただいておりますけれども、私どもはこの議論というものを踏まえながら、これに対してきちんとした答えをしていきたいというふうに考えております。
 また、現行の補助・融資制度の大幅な見直しということでありますけれども、今後の農政の展開に当たりましては、今般のウルグアイ・ラウンド農業合意を踏まえまして、新政策に即して二十一世紀に向けた農業構造を早期に実現して、農業・農村の将来展望を切り開いていくことが何よりも肝要であると考えます。関連諸制度、諸施策につきまして引き続き充実推進を図るとともに、全体的にきちんと的確に講じていくことが今私は大事なときであろうというふうに考えます。
 また、食管制度の見直しでございますけれども、ラウンド農業合意におきましては、米についてはミニマムアクセスを受け入れることから、基本計画等に基づいて全量管理を行う食管法の数量管理のあり方ですとか輸入米についての政府の売り渡し価格等について、やはり必要な制度改正というものを行うことが肝要であろうと考えます。
 さらに、こうしたミニマムアクセスの導入のもとにおきましても、国民の主食である米の需給及び価格の安定を確保していく必要があることから、生産者に対する再生産の確保と消費者への安定的な供給を図るという制度の基本的考え方を堅持しつつ、新政策の方向やことしの夏を目途にまとめられる農政審の報告をも踏まえまして、食管制度のあり方につきまして幅広く検討してまいりたいというふうに考えております。
 また、基盤整備に対する御指摘でありますけれども、国庫補助のほか、地方財政による措置の充実によりまして、地方公共団体の負担に対する支援や農家の負担の軽減に資する各般の施策を講じるなどしておりまして、その円滑な推進を図ってまいりたいと考えております。
 また、農業者年金制度あるいは地域農林業の支援のための公的助成の強化でございますけれども、年金制度につきましては、農業者の老後生活の安定を図りながら、農業経営の近代化及び農地保有の合理化を一層促進する考え方から、今後、総合的な見地から検討を進めていく必要があろうと考えます。
 また、農林業・農山村が有する多面的な役割や機能を踏まえつつ、魅力あふれる農林業と活力のある農山村の実現に向けて、今後とも、農林業の担い手の育成また確保や、地域の主体的な取り組みに対する支援助長など、各般の施策の推進に全力を尽くしてまいりたいと考えます。
 災害、飢餓、環境への国際貢献と国際支援センターについての御提言であります。
 災害、飢餓、環境等の問題に対する国際貢献につきましては、これまでも、途上国に対し食糧援助等を実施し、緊急援助隊を派遣するとともに、環境分野についても、九二年の地球サミットにおいて途上国援助の大幅な拡大強化を発表し、着実に実績を上げてきております。御指摘の国際支援センターの設立につきましては、各分野におけるこれまでの我が国の着実な取り組みをも踏まえながら、やはり慎重にこれは検討していくべき課題であろうというふうに考えておりますことを申し上げたいと存じます。
 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)
    〔国務大臣加藤六月君登壇〕
#20
○国務大臣(加藤六月君) 遠藤さんの御質問にお答えいたします。
 御質問が多岐、多項目にわたりますので、漏れがないように注意して申し上げたいと思いますが、よろしくお願い申し上げます。
 まず、責任ある農政の確立についてのお尋ねでございますが、現在、我が国農業は、新規就農者の減少、高齢化の進行、耕作放棄地の増加等、厳しい状況にあります。また、世界の中長期的な食糧事情については、人口増加、地球環境問題等から不透明であり、今後、不安定な面があらわれてくることも考えられます。このような農業・食糧をめぐる状況の中で、これまでの農政におきましては、こうした事態に対処すべく、新政策に即した各般の施策を推進してきたところでございます。
 今後の農政の展開に当たりましては、今回のウルグアイ・ラウンド農業合意を踏まえ、新政策に即して二十一世紀に向けた農業構造を早期に実現し、農業・農村の将来展望を切り開くべく、関連諸制度、諸施策について引き続き格段の充実推進を図ることとし、加えて、所要の措置を総合的かつ的確に講じて万全を期していく覚悟でございます。
 次に、米等の基礎的食糧はガット協定の例外措置とすべきではないかとの御質問でございましたが、先ほど総理から御答弁申し上げたとおりでございます。
 さらに、輸出補助金、検疫・衛生、ウエーバー条項に関する御質問でございますが、従来明確な規律のなかった一次産品の輸出補助金につきましては、その削減等一定のルールに服させることとされたところでございます。衛生及び検疫に関する協定は、検疫・衛生措置が貿易に係る不当な障害となるととを防ぎ、各国の検疫・衛生措置を国際基準に基づかせる、すなわち調和を図ることを目的としたものでございます。さらに、米国の農産物のウエーバー品目は、米国の譲許表によれば関税化されることになっております。
 次に、ガット農業合意が、世界人口の急増や環境の悪化などの人類存立の課題にとって何を意味し、どのような役割を果たすのかという御質問でございましたが、総理が御答弁申し上げましたとおりでございます。
 さらに、農林水産予算の拡充についてでございますが、農林水産関係の予算は従来からその確保に最大限の努力を払ってきたところでございます。平成六年度につきましては、新農政の本格的な展開を期して、担い手の育成確保、農山漁村の生活環境整備等に重点を置いて、農林水産関係の予算総額を三兆四千百八十八億円、すなわち対前年比一〇一・五%、五百八億円増として、ただいま御審議をいただいておるところでございます。今後とも、農林水産業の重要性にかんがみ、各施策の充実を図るとともに、必要な予算の確保に努めてまいりたいと考えております。
 次に、食管制度の見直しでございますが、これも総理がお答えにな。たとおりでございます。
 今回の農業合意におきまして、米につきましてはミニマムアクセスを受け入れることになったわけでございますが、これらの基本計画等に基づいて、全量管理を行う食管法の数量管理のあり方や輸入米についての政府の売り渡し価格等につきまして、所要の制度改正を行う必要があると考えております。
 そして、このアクセス導入のもとにおきましても、国民の主食である米の需給及び価格の安定を確保していく必要があります。生産者に対する再生産の確保と消費者への安定的な供給を図るという制度の基本的考え方を堅持しながら、新政策の方向や、今夏を目途にまとめられる農政審議会の報告をも踏まえまして、食管制度のあり方につき幅広く検討してまいりたいと考えております。
 基盤整備事業の農家負担の軽減についてでございますが、土地改良事業は事業効果が個別農家にも及ぶことから、受益農家にも応分の負担を求めております。しかし、農家負担の軽減に資するために、例えば大区画圃場整備につきまして負担金の一部に無利子資金を導入するなど、基盤整備事業の円滑な推進を図っているところでございます。
 また、農業機械についての開発促進等についてでございますが、農作業の効率化や労働負担の軽減のためには、農業機械の計画的な試験研究、実用化及び導入促進が不可欠でございます。このため、昨年、農業機械化促進法の一部を改正しまして、国が定める基本方針に即して新たな農業機械の開発実用化ができるよう、その体制を整備したところでございます。
 価格につきましては、主に個別メーカーと農業団体との間の価格交渉で決定されておりますが、農林水産省といたしましては、関係省庁と連携を図りつつ、メーカーに対し一層の合理化と安定供給を要請する一方、農業団体に対しても適正な価格の設定を行うよう指導に努めてきているところでございます。
 農業者年金の改善についても総理がお答えになりましたが、特に、農業者年金への女性の加入につきましては、農業における女性の役割の重要性を考慮する一方、農業者年金が政策年金であること等を踏まえ、総合的な見地から検討を進めてまいる考えでございます。また、農業者年金の給付額につきましては、厚生年金と同様の仕組みで算定されており、その給付の向上のためには、早期加入の促進とともに、農業所得の向上を図っていくことが重要であると考えております。
 また、地域の農林業支援についてお尋ねでございますが、同じように総理よりお答えになりました。要は、農林業の担い手の育成確保や地域の主体的な取り組みに対する支援助長など、各般の施策を推進していくことに全力を尽くしてまいる所存でございます。
 また、農業・食糧面の国際貢献につきましても、総理よりお答えになりましたとおりでございます。
 さらに、アメリカ産リンゴの輸入解禁問題と、これに伴う国内対策についてのお尋ねでございました。
 現在予定されている検疫措置が完全に行われれば、コドリンが等の我が国未発生の病害虫が侵入することはないと考えております。しかしながら、病害虫が万一侵入した場合には、植物防疫法に基づき、全額国庫負担で撲滅防除を行う緊急防除を行うこととしております。また、緊急防除によって生じた損失は、具体的事情に応じまして、社会通念上相当と認められる範囲内で補償できることとされております。
 なお、リンゴの国内生産対策につきましては、他の果樹同様、従来から生産性や品質の向上と経営体質の強化等の対策を講じてきたところでございます。今後、国産リンゴが高品質であること等の有利性を生かし得る産地体制の整備が重要であると考えております。いわゆる園地整備や矮化栽培の推進、貯蔵施設の整備等のほか、消費拡大、輸出促進等のための対策を引き続き講ずることが重要であると考えております。
 そして、麦価に対するお尋ねでございました。
 麦の政府買い入れ価格につきましては、食糧管理法第四条ノ二の規定によりまして、生産費その他の生産条件、需要供給の動向、物価その他の経済事情を参酌し、生産性の向上と品質の改善に資するよう配慮すると定めておられます。本年産麦の政府買い入れ価格につきましては、近年における麦作の生産性の向上を的確に反映するとともに、品質の改善に資するとの観点に立ちまして、主産地の生産費を基礎に所要の調整を行い、据え置くこととして、現在、米価審議会へ諮問を行って御審議を願っておるところでございます。なお、今後の予定としましては、本日夕刻以降できれば答申をいただき、これを踏まえて政府買い入れ価格を適正に決定してまいりたいと考えております。
 以上でございます。(拍手)
    〔国務大臣藤井裕久君登壇〕
#21
○国務大臣(藤井裕久君) 農林水産予算についてのお尋ねでございますが、総理及び農林水産大臣がお答えになったとおりであり、私も同様に考えております。
 ガット・ウルグアイ・ラウンドの農業合意の成立と我が国農業を取り巻く内外の諸情勢の中で、農業の将来展望を切り開いていくために、新農政に即した農業構造を実現していくことが急務であると考えており、その線で今後とも予算編成に取り組んでまいります。
 また、食糧・農業、漁業、環境等に関する御指摘がございましたが、今後のこれらの予算についても、この方向を基本として、補助・融資等、施策、制度全般にわたり、必要性、有効性の観点から見直しを行って必要な施策の充実を図って、施策の重点化を図ってまいりたいと思っております。(拍手)
    〔国務大臣柿澤弘治君登壇〕
#22
○国務大臣(柿澤弘治君) 総理初め関係大臣から御答弁がありましたので、遠藤登議員の指摘に対してできるだけ重複を避けて申し上げたいと思います。
 輸出補助金につきましては、我が国はその抑制を強く求めてまいりましたが、ウルグアイ・ラウンド農業協定において農産品に対する輸出補助金に一定の規律が導入されました。主な規律としては、六年間の実施期間中に輸出補助金の財政支出額が三六%、輸出補助金つき輸出数量が二一%削減されるなど、抑制措置が盛り込まれたところであります。
 また、アメリカとEu等での未解決の食品の中に含まれる抗生物質、ホルモン等の食品自由貿易協定につきましては、御指摘の検疫・衛生措置についてはしばしば各国間の紛争の原因となっておりますが、ウルグアイ・ラウンドにおいては、新たに衛生及び植物検疫に係る措置の適用に関する協定が成立し、各国の採用する検疫・衛生措置に一定の規律が盛り込まれることになったところでございます。
 アメリカのウエーバー条項につきましては、米国は農業調整法第二十二条に関する現行ガット上のウエーバー品目を関税化することを約束しております。また、農業に関する協定第四条二は、現行ガット上のウエーバーに基づく非関税措置を含め、関税化の対象となった措置については関税化を撤回できない旨規定されております。さらに、一九九四年のガットのもとで引き継がれる予定のウエーバーのリストには、米国の農業調整法第二十二条に対して与えられたウエーバーは含まれておりません。したがって、米国の農業調整法第二十二条に対し現行ガットのもとで与えられてきたウエーバーは、WTOのもとにおいてはもはや効力を有しないこととなることになっております。
 国際的な人口急増、環境悪化等とガット・ウルグアイ・ラウンドとの関係につきましては、総理からの御答弁のとおりでございます。
 国際支援センター基金制度につきましては、今後とも慎重に検討を行っていくべき問題と考えます。(拍手)
    ―――――――――――――
#23
○議長(土井たか子君) 保利耕輔さん。
    〔保利耕輔君登壇〕
#24
○保利耕輔君 私は、自由民主党を代表し、ただいまの政府報告に対し質問をいたします。
 まず初めに、先ほども我が党橋本議員からも申し上げましたが、国会への結果報告が半年近くもおくれたことはまことに遺憾であり、連立政権のこの問題に対する緊張感のなさ、ルーズさを重ねて指摘せざるを得ないのであります。(拍手)今後、あらゆる分野で国際交渉が行われるでありましょうが、その経過や結果は、国会以外の場所でコメントされる前に、まず国会に報告されるべきであります。今回の反省とともに、今後の対応について総理の御見解と御決意のほどを伺います。
 さて、マラケシュで署名された最終文書に附属する数々の協定、決定・宣言などについては、各役所が分担し、交渉を行ったものでありましょう。しかし、その総括窓口である外務省は、各分野の相互調整について実権を持っていたでしょうか。米についての国会決議を守るため、各役所はその所掌の範囲で協力する姿勢をとったでありましょうか。これらの点を反省してみると、交渉全体が余りに縦割り行政的であったと思いますが、総理はどのような御感想、御見解をお持ちか、お尋ねいたします。
 総理、複雑多岐にわたるマルチの経済交渉を真に国家国民のために行うためには、個々の官庁の利害にとらわれず、持ちごまをすべて並べ、取捨選択を行う交渉手法とその責任者が必要であります。アメリカとヨーロッパの間の交渉の各局面では、カンター代表とブリタン代表が必死の交渉を行いました。しかし、日本にはこの二人に並ぶ権限と力を持った代表がおらず、日本の総合交渉力を弱めたことは明白であります。総理は、対外経済担当大臣の設置についていかがお考えか、御見解を求めます。総理は二元外交になるとの御懸念をお持ちのようですが、米国は、国務長官と通商代表を別の人が務めております。この点もあわせてお考えください。
 さて、今次の交渉を顧みて、その結果を見るとき、もろもろのアンバランスが目立ち、日本の大きな譲歩に比べ、大国はしたたかに自国に有利な主張を力で押し通した感があります。
 交渉出発時点で全廃を目指した農産物輸出補助金の削減は、ほんのわずかでありました。オーディオ・ビジュアルはフランスの粘り強い抵抗で協定から外れております。欧州は、牛、豚、羊、鶏、七面鳥を一括して肉類としてミニマムアクセスの設定をしようとしました。海運についてもアメリカの勝手な主張がありました。スーパー三〇一条やウエーバー品目の扱いも不明確であります。ダンピング迂回防止協定も結論が出ていません。そのほか、枚挙にいとまがありません。特に金融分野では、米国は最後まで勝手な主張をいたしました。
 こうした中で、大きな代償を払って米の関税化六年間の猶予を得たといって、決して成功とは言えないのではないでしょうか。(拍手)ましてや、例外措置を続けるためには、追加的な、アクセプタブルな、すなわち受け入れ可能な輸入の拡大が必要とされます。こんな不明確な条件で妥結した責任は重大であります。こうした諸点について、総理の御所見を伺うものであります。
 ところで、これらの諸協定は、批准案の形で関連法案とともにいずれ国会に提出されるものと考えます。重要な協定が数多く含まれておりますから、審議によっては、条約一般にあるごとく、一部留保条件をつけられる可能性もあるかと思います。この点について、政府の御見解を求めます。
 次に、去る五月二十五日の予算委員会において、米のミニマムアクセスは義務であるか否かの私の質問に対し、一般的には義務としながらも、客観的に輸入が困難な状況のもとでは、輸入がミニマムアクセスに決められた量に達しなくても法的義務違反が生じないとの従来と異なる見解が示され、政府の統一見解を求めましたところ、そのような場合、義務を免れるとの見解が改めて示されました。
 そこで、政府に伺います。
 このようなミニマムアクセスの歯どめ条項ともいうべき文言は、協定条文上明記されているのか否か。もし記されていないとすれば、政府の恣意的解釈と言わざるを得ないが、政府の見解を求めます。
 次に、米のミニマムアクセスと生産調整についてであります。
 昨年十二月十七日の閣議了解には、ミニマムアクセス導入に伴う転作強化は行わない旨記されておりますし、加藤農林水産大臣も同様の答弁を予算委員会でされました。ということは、国内産の米は、現行水準で作付され、出産が続けられることになります。一方、ミニマムアクセスによる輸入量は年々増加し続け、消費水準が変わらないとするならば、全体として過剰基調になります。単純に計算すれば、六年後には輸入を含めた総供給量は約千百三十万トンとなり、約百三十万トン以上が単年度で供給過剰となるのであります。その後、関税化の例外措置を維持しようとすれば、さらに輸入をふやさなければならず、過剰はより大きくなります。
 政府は、放置すれば大問題となるこのような状況をどう調整なさるおつもりか。農政審の審議を待ってなどと言わず、政治家としての農林水産大臣の御自身の基本的な考え方を、役所の書いた文章を読むのではなく、国民の前にお示しいただきたいのであります。(拍手)
 アメリカは、国民の主食料である牛肉産業を守るため食肉輸入法を制定し、これを盾に、輸出国に牛肉の輸出自主規制を強いてきました。今次交渉では、自主規制は廃止されると聞いております。アメリカの食肉輸入法について政府はどのような見解をお持ちか、お尋ねいたします。あわせて、現在我が国においても同様な議員立法の法案が本院に提出されておりますが、あわせてこれに対する政府の見解を求めます。
 最後に、総理にお伺いをいたします。
 過日の予算委員会でも申し上げましたが、現在、地球上の人口は五十六億人を超え、毎年約一億人のペースで増加をいたしております。そのうち栄養不足の人口は約八億、そうした中で、日本が結んだ協定のもと、世界から大量の米や穀物を輸入し続け、特に米については世界の市場価格を高騰させることが果たして人類のためになるのでしょうか。とりわけ栄養不足に苦しむ人々に対して申しわけないことではないでしょうか。過剰状態にあってもなお輸入を拡大し、むだな使い方をすることがあれば、気の毒な人々に対して罪を犯すことになるのではないでしょうか。それがウルグアイ・ラウンドの成果なのでありましょうか。
 総理、日本は先進国の一員として、地球上から飢餓をなくす責任があります。そのためには、食糧の貿易については、自由貿易原則以外の新たな枠組みが必要であります。先日も予算委員会で申し上げましたとおり、この際、日本は世界食糧管理機構というような機関の設立を世界に向かって提唱し、世界の余剰農産物の拠出を求め、飢餓に苦しむ国々へ、安価であるいは無償で供給するようにしてはいかがかと考えます。(拍手)
 どなたが総理の地位にあられましょうとも、それはサミットの場で日本が提唱すべきものと考えます。協定をこのままの形で続ければ、我が国は飢えたる人々に対し申しわけない状態を続けることになるでしょう。このような状態をどうお考えか、また世界食糧管理機構の設立について政治家としての羽田総理大臣の御見解を求め、質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣羽田孜君登壇〕
#25
○内閣総理大臣(羽田孜君) 交渉の結果がおくれたことについてでございますけれども、これは先ほど橋本政調会長にお答えしたとおりでございます。ただ、おくれに対する御批判につきましては、謙虚に受けとめさせていただきます。
 交渉全体が縦割り行政的であったのではないかという御指摘でありますけれども、ラウンドの交渉に臨むに当たりましては、このラウンド交渉の始まった当初から、政府は十分な体制をしきながら交渉に当たってきたと私は確信をいたしております。
 具体的には、ウルグアイ・ラウンドの関係閣僚によります懇談を開催したり、また各省庁間の連絡を密としてまいったところであろうと思います。また、外務省にウルグアイ・ラウンド担当の大使を置きまして、関係省庁の意見を踏まえつつ交渉に当たってまいりました。また、歴代の総理みずからが、常に全省庁間の調整に当たり、リーダーシップをとり、また必要に応じ交渉者に直接指示を与え、この交渉を進めてきたというふうに私は考えております。今後とも、政府が一体となって対処することができるように、適切にやはり対処をする必要はあろうというふうに考えます。
 また、対外経済大臣の設置でありますけれども、我が国は世界経済の健全な運営のために尽力する国際的責務を有しているというふうに認識をいたします。これまでも、対外通商問題の対応には万全を期すべく我々としても努力をしてきたつもりであります。政府といたしましては、対外通商問題の対応をさらに万全なものとするためには、既存の機構、これの一層の活用ですとか、あるいは機能強化などを通じた体制の整備充実を図っていくことが重要なことであるというふうに私も考えます。
 また、二元外交についてのお話でありましたけれども、米国の制度がこの二元外交であるか否かにつきましては、コメントすることは適切ではないというふうに考えております。いずれにいたしましても、対外経済問題の処理を含めまして、諸般の対外関係事務を適切に取り進めるに当たっては、それらを一体的に遂行する必要があることはもう御指摘のとおりであることを私も認識をいたしております。
 また、米の特例措置の継続のために追加的な輸入拡大が必要とされるという不明確な条件で妥結した責任ということでありますけれども、政府といたしましては、国会決議の趣旨に沿いまして、農産物の包括的関税化は受け入れられないとの方針のもとに最大限の努力を行ってきたところであります。
 なお、関税化の特例措置を六年間の実施期間終了後も継続するか否かにつきましては、実施期間が終了する一年前、すなわち五年目終了時に開始される交渉で決められることになります。御指摘のように、実施期間終了後もこれを継続する場合には、追加的かつ受け入れ可能な譲許、これを与える旨農業協定で規定されておりますけれども、この譲許の具体的な内容につきましては、五年員終了時に開始される交渉におきまして、我が国も含めて相互に受け入れ可能なものについて合意することとなっておるところであります。
 また、ラウンドの諸協定は批准案の形で国会に提出されるというふうに考えるけれども、条約一般にあるごとく一部留保条件をつける場合はという御指摘であります。
 この協定におきましては、同協定の本体についてはいかなる規定にも留保を付することができない旨の規定が設けられており、また同協定の附属書に含まれる諸協定については、その協定に定めがある場合に限り留保を付することができる旨規定が設けられております。このように、極めて限定的な場合にしか留保を付することはできないことになっていることを御理解いただきたいと思います。
 また、ミニマムアクセスの歯どめ条項はあるのかということでありますけれども、政府統一見解に言う「例外的なケース」について、協定上具体的な規定というものはなく、具体的ケースに即して判断する必要がありますけれども、例えば、我が国が輸入しようとしても、輸出国が凶作で輸出余力がないなど客観的に輸入が困難な状況のごとき例外的な例におきましては、現実に輸入される数量がミニマムアクセス機会として設定される数量に満たなかったとしても、これは法的義務違反が生ずるものではないというふうに理解をいたしております。他方、あり得る「例外的なケース」をあらかじめすべて列挙することは困難と考えられますので、将来具体的なケースが生じた場合には、関係国と議論を行うことになるのであろうというふうに私は考えております。
 世界食糧管理機構の御提言でありますけれども、この御提案につきましては、これまでも一九七四年の世界食糧会議や一九八〇年の国際小麦協定の改定の際に、食糧の備蓄や援助の枠組みに関しさまざまな議論がなされ、その結果として、現在の食糧援助規約、世界食糧計画などの国際的な食糧援助システムが構築されていることはもう御案内のとおりであります。我が国といたしましては、これらの国際的な援助システムにはその発足以来参加して、世界の食糧不足、飢餓の克服に対し積極的に貢献を行ってきたところであります。
 御指摘の世界食糧管理機構の具体的な内容、今お話しの中では、日本の国は米は十分あるにもかかわらずたくさん買う、それによって飢餓と栄養失調をつくってしまうんじゃないのか、価格の暴騰を起こすんじゃなかろうかという御懸念も実はあったわけでございまして、今申し上げましたような既存の食糧・農業分野の国際機関が果たし得る役割、これと今御提案があったこと、こういうものを考え合わせながら慎重にやはりこれは検討していく課題であろうというふうに考えております。いずれにいたしましても、御提案のあったことは私どもの念頭の中に置いてまいりたいというふうに考えます。
 以上であります。(拍手)
    〔国務大臣加藤六月君登壇〕
#26
○国務大臣(加藤六月君) 保利さんの御質問にお答えいたします。
 ただ、その前に、遠藤さんのIWCの現状と対処方針についてお尋ねがございましたが、総理が申されたとおりでございますので、よろしく御理解のほどお願い申し上げます。
 米のミニマムアクセスの取り扱いについて、自分の言葉でおまえはっきり言え、こういうお話でございました。
 予算委員会でもお答え申し上げたところでございますが、このミニマムアクセスについては、今回の合意に基づいて、国内産米の作柄の豊凶等国内の需給事情にかかわらず一定数量を受け入れることとなっております。そして、このミニマムアクセスにより輸入される米については、国内の需要動向等に基づきまして主食用や加工用等の用途にも充てていくものとなるものと考えております。このような中で、新規用途の開発、加工用米への弾力的な対応等により、国産米と輸入米とを一体とした全体需給バランスの維持が図られるように、中期的観点に立った備蓄と用途に応じた需給均衡を確保することができる新たな米管理システムの検討を進めていく所存でございます。
 アメリカの食肉輸入法についてのお尋ねでございますが、同法は自由貿易を目的とするガット上の問題があると考えられます。今回のウルグアイ・ラウンド交渉の結果を踏まえ、同法は廃止されることになるものと考えております。
 次に、アメリカの食肉輸入法と同様の議員立法案についてでございますが、私といたしましては、同法案についてはガット協定との整合性などにつき問題があると考えております。また、セーフガードなどの国境措置について、先般のウルグアイ・ラウンド交渉を通じて関係国との間で合意がなされたところであり、これを活用していくこととしたいと考えておるところでございます。(拍手)
#27
○議長(土井たか子君) これにて質疑は終了いたしました。
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#28
○議長(土井たか子君) 本日は、これにて散会いたします。
    午後二時三十分散会
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ソース: 国立国会図書館
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