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1993/10/29 第128回国会 参議院 参議院会議録情報 第128回国会 科学技術特別委員会 第2号
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1993/10/29 第128回国会 参議院

参議院会議録情報 第128回国会 科学技術特別委員会 第2号

#1
第128回国会 科学技術特別委員会 第2号
平成五年十月二十九日(金曜日)
   午前十時三十一分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 九月二十二日
    辞任         補欠選任
     萩野 浩基君     星川 保松君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         中川 嘉美君
    理 事
                鹿熊 安正君
                志村 哲良君
                穐山  篤君
                大久保直彦君
    委 員
                倉田 寛之君
                河本 三郎君
                二木 秀夫君
                前島英三郎君
                前田 勲男君
                翫  正敏君
                稲村 稔夫君
                梶原 敬義君
                三上 隆雄君
                吉田 達男君
                星川 保松君
                市川 正一君
                永野 茂門君
                青島 幸男君
   国務大臣
       国 務 大 臣
       (科学技術庁長
       官)       江田 五月君
   政府委員
       科学技術庁長官
       官房長      井田 勝久君
       科学技術庁科学
       技術政策局長   島  弘志君
       科学技術庁科学
       技術振興局長   新  欣樹君
       科学技術庁研究
       開発局長     石井 敏弘君
       科学技術庁原子
       力局長      石田 寛人君
       科学技術庁原子
       力安全局長    笹谷  勇君
       外務省アジア局
       長        池田  維君
   事務局側
       第三特別調査室
       長        堀籠 秀昌君
   説明員
       外務省総合外交
       政策局軍備管理
       ・科学審議官   林   暘君
       水産庁研究部漁
       場保全課長    吉崎  清君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○科学技術振興対策樹立に関する調査
 (科学技術振興のための基本施策に関する件)
○参考人の出席要求に関する件
    ―――――――――――――
#2
○委員長(中川嘉美君) ただいまから科学技術特別委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について御報告いたします。
 去る九月二十二日、萩野浩基君が委員を辞任され、その補欠として星川保松君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(中川嘉美君) 次に、江田科学技術庁長官から科学技術振興のための基本施策について、その所信を聴取いたします。江田科学技術庁長官。
#4
○国務大臣(江田五月君) 第百二十八臨時国会における私の所信を申し上げます。
 今日、私たちの周りには驚くほど数多くの科学技術の成果を見ることができます。電気、通信、工業製品等々、枚挙にいとまがなく、科学技術の成果や恩恵と切り離した生活は想像すらできません。他方、科学技術が生み出した豊かな現代文明そのものが、人類の未来に対する制約要因と化する場合も見受けられるようになりました。
 しかし、考えてみると、地球環境問題、エネルギー問題、食糧問題等、現代社会の前に立ちはだかる問題を解決し、質の高い実のある社会を創造するためには、さらに一層科学技術の力に期待しなければならないのもまた事実です。私たちが、現代の豊かな社会をよりよいものとして、私たちの次の世代に誇りを持って引き継いでいくためには、哲学のある科学技術政策が求められています。
 本年八月、単なる歴史の通過点でなく、新しい歴史の出発点を画するとの決意で細川内閣がスタートし、私がその閣僚の一員として科学技術行政をお預かりして以来、私は、国家の枠を超えた、生活本位の科学技術という視点に基づく政策のかじ取りこそが求められているという認識で、科学技術振興の重要性、必要性を訴え、また各般にわたる政策を推進してまいりました。
 以下、科学技術行政が直面しております個別課題について、具体的に申し述べます。
 我が国の科学技術水準は、これまでの関係者の努力によって、今や多くの分野において欧米に比しても遜色のない水準に達しています。しかし、人類の新しい可能性を求める独創的な研究や、すべての分野の基盤である基礎研究の分野では、いまだ十分ではありません。長期的視点に立った独創的な基礎研究は、民間には期待しにくく、国が役割を発揮すべき分野ですから、今後とも政府の研究開発投資を着実にふやすよう努めます。
 研究機関の施設設備が老朽化したり、時代おくれのものとなっているようでは、基礎研究の十分な成果は期待できません。このため、研究の基盤となる施設設備の整備を図ってまいります。
 つい先ごろも、基礎研究の推進のため、若くて有能な研究者があこがれるような世界に誇れる卓越した研究機関、いわゆるセンター・オブ・エクセレンスの育成を目指した制度を開始しました。独創的な研究を行っていくような創造性豊かな研究者、技術者等の人材の育成のための諸制度も着実に拡充しています。現在、科学技術会議で科学技術系人材の確保に関する議論、検討を進めていただいておりますが、私としても、次世代を担う人材問題について積極的に取り組んでまいります。
 さて、今日の国際社会はますます相互関係を深めており、どの国も地域も相互の協力や協調がなければその生存が困難になっています。その中で、我が国は、豊かな経済力と世界有数の科学技術力を持つに至った国として、それにふさわしい責任と義務を国際社会の中で果たしていくことが求められています。科学技術の成果は時代を超えた人類全体の共通財産ですので、科学技術の成果を世界に向けて積極的に発信することこそ、我が国に最もふさわしい国際貢献の形であると思います。
 中でも、人類が共通して直面している地球環境
やエネルギー等の問題については、我が国の科学技術力を生かして積極的に取り組んでいく必要があります。このため、人工衛星による地球観測や海洋における観測研究等、地球環境問題に総合的に取り組むほか、宇宙ステーション計画、国際熱核融合実験炉計画やヒューマン・フロンティア・サイエンス・プログラム等の国際協力プロジェクトを積極的に推進してまいります。
 科学技術政策の眼目は、次の世代にどのような幸せな生活の可能性を引き継ぐかにあると言うことができます。このような観点から、生活者としての人間に直接役立つ科学技術分野、例えばがん・エイズに関する研究、長寿社会に対応するための研究、地震予知、火山噴火予知等防災・安全を充実させるための研究などに力を注いでまいります。
 がん研究につきましては、過日、放射線医学総合研究所の重粒子線がん治療装置が完成し、現在、難治性のがん治療の臨床試行の準備を進めております。
 人類の新たなフロンティアヘの挑戦であり、いわば夢への挑戦である宇宙開発にも積極的に取り組みます。来年初頭には、いよいよ我が国が独自に開発を進めてきたHUロケットが打ち上げられる予定です。また、夏には日本人女性として初の宇宙飛行士の誕生が予定されるなど、未来への夢が着実に開花しつつあります。
 さらに、人間活動のもう一つのフロンティア、海洋の開発につきましては、有人潜水調査船「しんかい六五〇〇」等による深海調査研究、地球規模の環境変動に深くかかわる海洋の観測等を総合的に進めてまいります。
 現在及び将来にわたりエネルギーを安定的に確保することは、豊かな生活を私たちの子孫に引き継いでいくための基本条件です。我が国がこれまで推進してまいりましたエネルギー政策につきましては、政権の樹立に際し、他の重要基本政策と同じく、原則として今までの国の政策を継承するというのが連立与党間の合意です。この考え方に従って、今後ともエネルギーの安定的確保を図る上で不可欠な原子力の開発利用を、安全確保を大前提として着実に進めてまいります。連立の合意に新エネルギーの開発も掲げられております。新エネルギーは、供給面での制約があるものの、いずれも大切であり、また核融合研究も着実に進めてまいります。
 核燃料サイクルの確立は、資源小国である我が国にとり、原子力発電を長期にわたる安定したエネルギー供給源とするために必要なものです。現在、原子力委員会で進められている原子力開発利用長期計画の改定作業の推移も見定めながら、今後とも国民の一層の理解と協力を得つつ、また安全確保を大前提として、放射性廃棄物処理処分対策も含め核燃料サイクルの確立に向け努力をしていきたいと思います。
 原子力の開発利用を進めるに当たっては、安全確保とともに平和利用が重要な課題です。このため、原子力安全対策や核不拡散対応の充実強化の分野で国際的な協力に努めます。
 本年九月、私は国際原子力機関の総会に政府代表として出席する機会を得ました。その場において一私は、核不拡散体制の維持強化の重要性を指摘し、また、核兵器の廃絶と国際的軍縮についての我が国の立場にも言及しつつ、核不拡散条約の無期限延長支持を表明するとともに、同条約が原子力平和利用による利益の享受を最大限保障するものであることを再確認いたしました。また、プルトニウム利用の透明性の確保等のため、国際管理体制について我が国が役割を発揮し、今後国際的な検討を重ねていく方針を明らかにいたしましたが、今後とも世界的な核不拡散体制の充実強化に積極的に貢献してまいります。
 さらに、旧ソ連、ロシアによる放射性廃棄物の海洋投棄に関しては、東京サミットやエリツィン大統領の来日の機会をとらえて投棄への懸念と停止を求めてきましたが、先般、低レベルとはいえ何ら管理がなされないような状態で投棄がなされたことは極めて遺憾であります。私は、ロシアのミハイロフ原子力大臣の来日の折にも、今後このような事態が発生しないよう、ロンドン条約締約国会議の決議に反した海洋投棄の停止を求めました。ロシアは投棄の中止を表明しましたが、まだ乗り越えなければならない課題は多く、今後ともこの問題の解決に向け、技術協力等さまざまな努力を重ねてまいります。
 以上、美しい自然と環境を将来に引き継ぐとともに、文化の薫り高い生活環境を築き上げるために不可欠な科学技術に対する私の基本認識と当面する諸課題につきまして所信を申し述べました。
 人類のたゆまぬ創造的活動の所産である科学技術の振興は、百年先、二百年先を視野に入れた総合的なものでなければなりません。そして、これは国民の理解があって初めて可能になるものと考えております。委員各位の御協力を心よりお願い申し上げます。
#5
○委員長(中川嘉美君) 以上で所信の聴取は終了いたしました。
 それでは、科学技術振興対策樹立に関する調査のうち、科学技術振興の基本施策に関する件を議題とし、所信に対する質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#6
○志村哲良君 志村でございます。江田大臣のただいまの所信表明に関して質問を申し上げます。
 初めに御容赦をお願いしたいと思っておりますが、実は私は江田大臣の科学技術政策あるいは原子力にかかわる政策などに関する見解をかねて余りお伺いしたことがなかったものでございますから、きょうの質問に備えまして若干の資料を探しました。その中で、「月刊社会党」という雑誌における大臣の対談、並びに大臣がかつて衆議院の商工委員会におきまして委員として時の中尾大臣でしたかに御質問なさった資料等々、これらをある程度参考にさせていただきながら、一昨日、私の質問の内容をいろいろあれこれまとめてみたわけであります。
 ところが、ただいま所信を拝聴いたしまして、さらに「エルエーインターナショナル」という雑誌、この中におきまして、「「変革の時代」だからこそ原子力の役割は高い」という、これも何がしという経済学者との対談でございますが、これを実は昨夕手に入れました。拝読させていただきましたが、実は申しわけないことでございますが、ただいまの所信あるいはこれに載せられた大臣の御発言、これと私が資料として拝読したと申し上げた「月刊社会党」の今年十月号における対談の内容、あるいは以前の商工委員会における御質問の御発言などとは大分乖離がございます。これを昨晩帰りましてから何とか調整しなくちゃいけないかなと思いましたが、今さらどうにもなりませんので、若干その点で今度は私の方に乖離が起こるかもしれませんが、お許しをいただきながら御質問をさせていただきます。
 新政権が誕生いたしまして約百日を経過いたしました。私は私なりにその経緯を見ておりまして、江田科学技術庁長官が誕生いたしましたことを実は喜んでおります。お世辞を申し上げるつもりもありませんし、そんな必要もありませんので、これは率直な私の心境でございます。ではありますが、多くの閣僚あるいは与党内の実力者と言われる方々などの発言をあれこれの機会に見聞きいたしておりますが、時折、一体これはどういうことなんだろうと大きな疑義を持つことがしばしばでございます。
 消費税、自衛隊、PKO、国旗、原子力、その他いろいろございます。ありますが、どうもたれかれの発言を伺っておりますと、何となくこの方々は戦争のときには戦争的に、平和のときには平和的に、そしてもし革命でも起これば迷うことなく革命的に思惟をいたして、疑うこともはばかることも恥ずることも全くないのではないか、私はそんな思いが実はしてならないものであります。そのような考え方、そのような生きざまは、民族にとりましても国家にとりましても、孜々営々として生き続ける民衆にとりましても極めて有害であり、裏切りですらあるということは疑いない。これは江田大臣や我々、いやというほど経
験をしてきたことであるかと存じます。
 その点、諸般の問題に関し造詣も深いと伺っております大臣から、今申し上げたような私の考えに関して率直な御意見をお伺いいたしたいと考えております。
#7
○国務大臣(江田五月君) 人生の大先輩からいろいろおしかり、御注意をいただくことに謙虚に耳を傾けなければならぬと思います。
 私は、それほど大それたことを言う資格があるかどうかわかりませんが、自分の信念というものをしっかり持っておくということ、これは一つ人間として大変大切なことだ、疑いのないところだと思います。しかしまた、一方で過ちを改むるにはばかることなかれ、これもまた大変大切なことですね。その辺を一体どういうふうにやっていくのかというのは、これはそれぞれの人生観、世界観でいろんなあり方があるんだろうと思います。
 ですから、今志村委員おっしゃった、戦争中は戦争を謳歌し、戦後は一転して民主主義に、そういうのは信用できないじゃないか。しかし一方で、やはりそれだけ時代が変わったから、そういう自分自身が持っていたそれまでの信念をひとつ大いに疑って新しい立場で生きていこうという、これもまた人間として別に恥じることではないという場合もあると思うんですね。
 それはさておき、今回のこの政権交代に伴って多くの政治家が一体どういう対応をとってきたか、これはまあそれぞれ一人一人についていろんなチェックがなされてくるのかと思いますが、私自身につきましては、志村委員これまでの私の言動をいろいろお調べいただいて大変感謝もいたしますし恐縮にも存じますが、今お挙げになった消費税、自衛隊、PKO、国旗、原子力など、いずれも政権の前と政権に入ってからと、私としてはそれほど心の中で良心に恥じるような大きな変化をしているというふうには思っておりません。ただ、野党にいるときの野党の役割と、それから政権を支える与党になったときの役割と、そこは多少の違いはやはりあるので、これはひとつぜひ御理解をいただきたいと思います。
 それから、細川内閣の中にそういう考え方を変えて、閣僚としての立場と所属する政党の立場と個人の立場と、立場によっていろいろ違うことを言う人がいるではないかというお話もあるいは今の質問の中に含まれておるのかと思いますけれども、これはひとつ御理解いただきたいのは、連立政権というものはいろんな政党が集まって連立の合意をして、そして政権を運営するというものですから、おのずとそれぞれの政党が持っている政策と連立政権の政策との間に違いがある場合は出てくる。我々は連立政権の政策で政権を担当いたしまして、あとその連立政権の政策と固有の各党との政策との違いというのは、それぞれの党でひとつこれは十分そしゃくをし、消化をしていただかなければならぬことだと私は思っております。
#8
○志村哲良君 ありがとうございました。
 ただいまの大臣の過ちを改むるにははばかることなかれというような御決意、御心境、これを拝見いたしまして、私もまさに同感であります。冒頭に申し上げましたように、そういう江田大臣を科学技術庁がお迎えしておりますので、ひとつこれから御努力をせっかく願いたいと考えるものであります。
 先ほど申し上げました、ちょっとこれは旧聞になるような思いもして恐縮ですが、「月刊社会党」の「五閣僚に聞く」という対談の中で、全文は省かせていただきますが、
  そういう意味から言うと、科学技術庁というのは、連立与党の中で意見の違いが最も大きい分野に関わっている。いわゆる四つの基本政策と言われるもののうち、三つまでは、議論は分かれていても現実にはだいたい解決がついたようなものですが、原子力に関しては国民の意見にも非常に大きな幅があるし、連立与党の中でも意見の違いが大きい。これをまとめる、そういう意味でこのポストをやれということを選択されたのだろうと思う。まあ、僕が科学技術にたけているとは到底言えないけど、いままでやってきたことの続きで、適材適所という意味があるのかなと思ったりします。と述べておられます。
 無責任な申しようで恐縮ですが、私も何となくそのような気がするななどと思った反面、具体的にはどのような対処をなさろうというおつもりなのか判然としない点もあります。もう少し私たちにわかるように具体的にこのくだりを御説明願いたいと思います。
#9
○国務大臣(江田五月君) 私は、政党という意味においては社会民主連合という政党の代表を務めておりまして、社会党と党は違います。しかし、国会の中では衆参ともに社会党と院内の統一会派を組んで日本社会党・護憲民主連合という会派に所属をしておりまして、「月刊社会党」はその友党であります日本社会党の機関誌ですから、比較的といいますか仲間うちというような気持ちで取材に応じて、いろんなことを勝手にしゃべったという向きがあるいはあるかと思います。
 四つの基本政策と言われておりますのは、これは日米安全保障条約、それから自衛隊問題、それから韓国政策、それと原子力政策と、この四つなんですね。日米安保条約については、これは議論はこれまで随分ありましたけれども、もう今おおむね米ソ冷戦が終わった時代に、日米安保条約があるかないかで日本の運命は大違いだと、これがどうかならないと夜も寝られないというような、そういう国民はそう今いるわけではないんで、大体国の進むべき方向について、政治家なら大体の合意はある。自衛隊についてもまあおおむねそのようなことで、韓国の問題についてはもう違いは乗り越えられたも同然。いや、もう乗り越えられたと言っていいかもしれません。
 しかし、原子力の問題については、これは連立八党派の中にいろんな意見がいまだにあるのは事実でございます。ある人々は、原子力発電というものはもう日本がむしろ中心になって世界に広げていかなきゃならぬとあるいはおっしゃるかもしれません。あるいは別の人々は、もうこれは人類にとっては手にすべからざる危険な技術であるから直ちにやめなきゃとおっしゃるかもしれません。それがこの連立八党派の中にいろんなグレードで入っている。これは事実です。
 私どもは、今回の政権交代は、国民の原子力発電というものに対する意見の表明によってでき上がったものというふうには思っておりません。原子力発電に対する懸念が今回の政権交代をつくり出したというふうには別に思っていないんで、そうではなくて、長く続いた一党支配による政治の停滞とかあるいは大変な腐敗とか利権構造とか、そういうものに対する国民の怒りがこの政権交代をつくったものだと思っておりまして、そこで国の基本重要政策についてはこれまでのことを引き継いでいくんだ、こういう合意でスタートをしたわけです。
 ですから、連立与党の中に意見が大変大きく分かれてはいても、それはこれまでの国の基本重要政策を引き継いでいくという中でひとつエネルギー政策、原子力政策についての方向づけは決めていきたいというのが連立の合意でございますから、したがって意見は分かれていてもその方向はこうですよという合意は既にできておる。方向はできているけれども、意見の違いはありますから、そこはいろいろ調整をし、お互いの意思疎通もし、共通の了解をつくっていかなきゃならぬ。
 そこで、私今まで、野党時代ですが、野党の腕組みが大切ですよということで、野党の接着剤と評してみたり、あるいは調整役と言ってみたりしながら野党間の腕を組ませる仕事をやってまいりましたので、原子力についてこれまでやってきたことをさらに続けてやっていきたいと、こういうことを申し上げた次第です。
#10
○志村哲良君 次に申し上げたいと思いましたことなどは、先ほど来の御発言あるいは所信、この対談などによりますと大分乖離が申し上げたようにありますので、ちょっと私も釈然とせずに申し上げる点もありますが、原発の問題に関してであります。
 大臣はこの雑誌の中で「僕もこれまでは原子力に関して批判的な側にいたのですが、いま話したように、とにかくこの連立内閣がちゃんとやっていけるということでなければ、どうにもならないので」云々と述べておられます。ここは率直に申して私にはどうも理解いたしかねるのですが、ある閣僚が予算委員会の答弁で、「今、私は閣僚として答弁をしておりまして、将来、党に帰る場面というのはさまざまなケースがあると思っておりますけれども、そのことについてお答えすることについては予測と推測もございます。差し控えることではなかろうかと思っております。」というような答弁をしておられました。
 大臣、私はこの「エルエーインターナショナル」を拝見しまして、昨晩、その懸念は実は非常に薄らぎました。薄らぎましたが、ただここで念を押してお伺いしたいと思いますが、もし大臣が再び党に戻られたときには、言うなればまたまた党の立場でというような理由の中で原子力批判の側に立たれるというふうなことがあるとすれば、これはどうしても納得ができないわけでありますが、その点はいかがでございますか。
#11
○国務大臣(江田五月君) 批判的な立場にいたというように言ったと思いますけれども、しかし原子力発電というものを直ちにやめるべきだというような、一言で言えば反原発といいますか、そういう政策を私が主張したということは私自身はないと思っております、これは詳細に見ていただきたいと思うんですけれども。ただ、原子力利用というものは同時に大変危険性も伴いながらやっているもので、したがって常に安全第一、安全の確保を最重点でやっていかなければならぬということは事実です。
 私は、国会議員になる前には裁判官なんかもやっておって、その当時からつくづく感じておったんですが、役所の目で見て見えるところと見えないところがあるんです。役所の目でここまでは見える、しかしそこから先は役所ベースでいくとある壁があってどうしても見えないというふうな部分があって、そういうところは例えば現場の働いている人々とかあるいは市民運動や何かいろいろやっている人たちは、そういうところの間にいろんなものが見えている。しかし、なかなか役所からはそこヘアプローチできないというような部分があるんです。
 ですから、そういう現場で働いている人たちとかあるいは市民運動なんかやっていろんな情報を手に入れている人たちとか、そういう人たちのいわば批判とか警戒とか反対とかという立場からいろんなことを言ってくる。そういう意見や情報、これも大切にしていかなかったら安全な原子力行政というのはできないんじゃないか、そういうふうなことを思ってこういう批判派、反対派の皆さんのことも大切にしていきたいということを私は繰り返し言っているわけでございます。
 私ども、野党の立場のときにはむしろどっちかというと、そういう人たちのいろんな声を聞きながら、その声をよりよい行政をつくるために政策決定の場につないでいくという、そんな役割をしてきたものですから、だから原発に対していろいろ反対をする皆さんといろんな仲のいいつき合いがあった。それは事実で、別に私は恥じてもいませんし、隠すつもりもありません。
 今、連立与党の中の一員に我が党も入って政権を支える立場ですから、政党としてはそういう反対派の皆さんのことも大切にしながら、しかし現実に原子力行政を前へ進める立場ですから、その立場に立って原子力の安全な、そして着実な開発利用というものを進める、こういうことでございまして、私が今の科学技術庁長官という立場を離れても政権を支える与党にいる限りは私はそういう立場で頑張りたい。さらにまた、不幸にして野党ということが仮にあったとするならば、そのときには野党としてまた政府の目に届かないいろんな情報を政策決定の場に伝えていくために努力をするということも必要だろうと思っております。
#12
○志村哲良君 ただいまの御答弁なども非常に興味ある御答弁でございました。例えば、その問題に関しましても、確かにおっしゃったように大衆の御意見に率直に謙虚に耳を傾けるということは、政治家にとっても官僚の皆さんにとっても私はぜひとも必要なことであるとは思います。同時に、これが無原則な追随になったとしたら、これはまた大きな過ちであろうと考えておるものでもありますが、今この場ではそのことの討議に終始するわけにはまいりませんので、今のようなお考えをお持ちの大臣がかつて野党におられましたときに原子力に関して批判的な立場におられたということ、私はこのことは若干理解もいたしますが、まだまだ率直に言って了解はし切れないようなものを持っております。
 先ほど申し上げましたようにちょっと旧聞に属しまして恐縮ですが、平成三年二月十八日の衆議院商工委員会において、時の通産大臣に江田委員から
 こういう湾岸戦争という機会にもっと省エネルギーを進める、CO2排出量の削減も進める、原子力発電をどう位置づけるかというのは、これはなかなか難しい問題がありますが、石油の消費を減らしていかなければならないいろいろな施策を講ずべきだと思います。具体的に数字で見ると、どうもこういうきしみの時期に、そのきしみを禍を転じて福となすというような社会構造の変革あるいは生活パターンの変化、こういうものに生かし切っていない。生かし切っていないところか、実は何も政策的な知恵を発挿していないような気がいたします。という指摘をなすっておられます。
 ちょっと長くなって恐縮ですが、これらに関しての御説明を簡単にお願いしたいと思います。
#13
○国務大臣(江田五月君) これはけさほど、私も委員がこういうあたりのことに言及をされるのであろうというので読み返してみたところで、当時の質問の趣旨を十分まだ思い出していないんですけれども、歴史のそれぞれの時点でいろんなことが起きます。いいこと悪いこと、いろいろあります。しかし、私たちは常に何かいいことが起きたときには、これがまた次のときの足をすくわれるもとになるんではないかなと反省をし、大変困ったことが起きたときには、このことを契機にひとつ何か次にいい方向で生かす道はないかと考える、そういう必要があるんだろうと思うんです。
 ですから、例えば石油危機が起きましたら、その石油危機をきっかけとして石油に依存し切った、石油づけになってしまった国のあり方をどうやったら変えていくことができるかをみんなで考えていくとか、そういう意味で湾岸戦争というのも、あのときには世界のあり方をどう考えるかということの一つのきっかけにもなる出来事でしたし、また同時に、今までの石油依存型のやり方をどう考えるか、やり直すかということを考えるきっかけにもなるべき出来事だったと思うんです。
 石油危機のときには、我が国で省エネルギーあるいは代替エネルギー、随分いろんな議論を行いました。国会でもひとつ省エネルックでというようなことで、みんなもう夏はこんな長いカッターシャツに長い上着なんかやめて半そでで、通産大臣、江崎先生でしたか、率先してというようなこともありました。しかし、今はもうそういうことが何か昔のことになってしまっているようなので、それではいけないんじゃないか。省エネルギー、代替エネルギー、そんなことを真剣にこの機会にまた議論をしようということを頭に描きながらこういう質問をしたのであります。
 今、政権というものの中に入ってみて、連立の合意の中には新エネルギーということを書いてあります。私も先ほど所信の中で新エネルギーのことに触れました。しかし、新エネルギーに対する施策というものが本当に十分にできているかというと、まだそう十分であるというふうに思っていません。これからも一層そういうことに力を注いでいかなければならぬと思いますという意味でこういうことを申し上げたということでございます。
#14
○志村哲良君 次に、例のIAEAやNPTの問
題に触れられまして、この中で我が国がイニシアチブをとっていかなくちゃいけないんだというようなことにも触れておられますが、ちょっと時間がなくなりますので、これはまた後日の楽しみに譲りまして、大臣が新エネルギーの問題に触れておられますので、これに関してちょっとお伺いをいたします。
 新エネルギーの問題はもちろん御案内の、この所信にもありますように、太陽熱その他の問題があります。大臣のおっしゃっておられる核融合などももちろん大切な一つであるとは思うものであります。だが、私は非常に現実的でしかももしそれが成功した暁には革命的とも呼べるような省エネ対策ともなると思われるものがあると実は考えております。これは常温において機能する超電導物質を一日も早くつくり出すことではないかと実は期待をしております。幸い科学技術庁におきましても研究開発局の中に超電導材料研究マルチコア・プロジェクトですか、そんなものができまして努力を続けておられると伺っております。これを支援し強力に進めることは極めて大切ではないかと思います。
 そこで、ちょっと時間がないので急ぎますが、大臣の絶大な御努力の中でこれらに最も関係の深い科学技術関係に関する予算、とりわけ科学技術振興調整費等々を含めた予算の目を見張るような増額、これにひとつ腹を据えてお取り組みをいただけないか。その点では、私は予算においても先ほど来お話にもありました発想の転換というようなものが必要なんではない。かなと考えております。大臣、ひとつこのたびの内閣の中で腹を据えてこの問題に取り組んでいただけないかということをお伺いしたいと思います。
#15
○国務大臣(江田五月君) 超電導研究、これはこれからの極めて可能性の大きな重要な基礎的科学技術であるというふうに認識をしております。
 超電導状態では電気抵抗がなくなるというので、極めて強い磁場の発生あるいは半導体素子の動作速度の向上等が可能になるというわけで、私もつい先日筑波の金材研ですか、金属材料技術研究所へ行って見てまいりました。また、核融合の研究にもどうも超電導研究というものがその前提になるようなところもあったりで、これはやはり力を入れなきゃならぬと思っているところで、来年度の概算要求にもこれは六・一%ふやした要求をさせていだだいていると思いますが、またこれで今の腹を決めたということになるかどうかということになりますと、もう少しやらなきゃならぬという感じもいたします。全力を挙げて頑張る決意でございます。
#16
○志村哲良君 実は私は十月十三日に放医研で重粒子線がん治療の設備が完成なさったのを拝見してまいりました。原子核を専門になさった先生がおられまして、大変親切に説明をしていただきましたが、全くすばらしいものでございました。重粒子線は従来の放射線に比べてがんに対する殺傷力が極めて強く、抵抗性の強いがんにも有効であると伺いました。一日も早く臨床試行を本格化していただけたらよいと期待をしておりますが、今後どのようなスケジュールで進められていくのか、お聞かせを願いたいと思います。
#17
○国務大臣(江田五月君) 済みません、先ほどの超電導の概算要求の数字はちょっと正確でないようですが、もし必要なら後で答弁させますが。
#18
○志村哲良君 後で結構です。
#19
○国務大臣(江田五月君) 重粒子線の方、これは先ほども所信で申し上げましたようにスタートいたしました。先日十月十三日に開所式を行いまして、委員にもお出かけくださいまして大変感謝を申し上げます。一同大いに勇気づけられたところでございます。
 この重粒子線がん治療装置というのは、委員御指摘のとおり大変に画期的なものでございまして、スケジュールでございますが、本年度じゅう、つまり来年の三月末までの間にこの装置を用いた重粒子線がん治療の臨床試行と、こう言っておりますが、これを開始する予定でございます。これからいろいろと順次試験を積み重ねていって、そしてぜひ早期に実用化したいと思っているところでございます。
#20
○志村哲良君 次に、例の情報整備に関して若干の意見がございますが、時間が足らないかもしれません。
 太平洋戦争の終結した後に、当時の学術会議等のあり方に満足できなかった少壮の学徒たちが相集まりまして、大学や研究機関の既存の枠を超えて研究や情報交換の団体研究を行うことを図ったことがございました。諸般の状況の中でこれも後退をしておるようでございますが、私は特に昨今のコンピューター等の発達の中で、国研や大学等を結ぶ情報ネットワークの整備は極めて肝要になっておると実は考えておるものであります。これはまた同時に、省庁や国の枠を超えた中で発想の転換がぜひとも必要になってきたとも考えておるものでありますが、これらに関しまして具体的な方策があったらお聞かせを願いたいと思います。
#21
○国務大臣(江田五月君) 創造的基礎的研究の振興のために省庁や研究領域、あるいは国の枠さえも超えたいろんな研究情報の流通というものが必要であると。これは今委員歴史を概観されながら御指摘くださいましたが、そのとおりであろうと思います。そのためにネットワークやあるいはデータベース等の研究の情報基盤の整備、これは不可欠な課題だと思っております。
 我が国のこれまでの取り組みについては、あるいは政府委員から答弁させた方がいいかと思いますが、今の認識では大学あるいは国立研究機関等の機関内のコンピューター、LAN等の情報流通基盤は大幅に整備をし始められている。しかし、省庁の枠を超えた機関間を接続するネットワークの整備はどうも進んでいない。諸外国に比べると大きくおくれておって、特にアメリカと比べますと百分の一程度の低速のものが部分的に運用されているだけだというような状況のようでございます。専門家によると十年程度のおくれがアメリカからするとあるんではないかということでございます。
 研究機関や研究者から強い要望がございます。この点については、本年六月に科学技術庁、文部省、通産省それから郵政省が合同でアメリカの状況を調査いたしまして、七月に科学技術会議の政策委員会に研究情報ネットワーク懇談会を発足させ検討を進めてまいりましたが、中間的な取りまとめが行われまして、昨日、十月二十八日の科学技術会議の政策委員会に報告をされたところでございます。
 研究情報ネットワークの早急な整備、あるいは研究データ、文献等のデータベース化の推進、こうしたことが強く指摘をされておりまして、平成六年度に科学技術振興調整費に研究情報整備・省際ネットワーク推進制度を創設して、各省庁協力のもと国の研究機関等を接続する省際研究情報ネットワークの本格的な整備に向けて、試行的運用を行いつつ、関連する調査研究を行う、こういう概算要求を行っているところでありまして、一層努力をしていきたいと思います。
#22
○志村哲良君 それでは、時間もなくなりましたので質問の最後に。
 どうも繰り返しになりましたり、若干釈迦に説法のような思いがいたしまして恐縮ですが、私が冒頭に申し上げました、現在の新政権の閣内におきまして一部閣僚の皆様方にどうも残念ながらお見かけをする、戦争のときには戦争的に、平和になれば平和的に支持する。黙ってそのような状況を見ますと、さっき申し上げたように革命で乱が起きれば革命的に支持して毫も恥ずるところがないんじゃないかという、そんな行き方をされたんじゃ、これは本当に私は日本の国民、本当に営々として生きている民衆に対しての大きな罪悪があると考えますので、先ほど大臣の御答弁を伺って非常に安心をいたしましたが、ぜひ新政権においても江田大臣はその点をしっかりとお見詰め願いたいというようにお願いを申し上げて、私の質問を終わります。ありがとうございました。
#23
○国務大臣(江田五月君) 先般の総選挙におい
て、国民は長く続いた金権腐敗の政治、利権の構造に汚れ切った政治にとにかく終止符を打ちたい、何とか政治を変えたいということで、委員にこういう言い方をして大変恐縮ですが、自民党を過半数を大きく割り込ませる、非自民を過半数を大きく凌駕させるという、そういう結果をつくってくれたわけでございまして、私は今、大切なのはその国民の声にとにかく耳を傾けて、その国民の声を政治の中で実現をしていくことだと思っております。
 各党あるいはそれぞれの政治家、いろんな思いがあると思いますし、いろんな主張もあるでしょうが、今は私ども、今のこの連立政権を支える連立与党各党あるいは一人一人、自分の党があるいは自分一人が目立つことよりも、この連立政権をとにかくうまく機能させることが一番大切だと思っているところでございまして、そういう政治家としての今のこの時代における国民に対する責任というものを十分踏まえていきたいと私は思っております。
 さらに、一人一人の政治家あるいは一つ一つの政党、これはまたいろいろこういう時代に反省もし、あるいは乗り越えなきゃならぬ、そういう課題もたくさん今背負っているんじゃないか。これはお互いにということですが、というので、この転換の時代にすばらしい政治をつくっていくためにお互いに努力をしたいと思っております。
#24
○鹿熊安正君 この十月十七日に、ロシア海軍の専用船TNT27が、ウラジオストクの南東約百九十キロメートルの海上で大量の放射性廃棄物を投棄したことが国際環境保護団体グリーンピースによって通告され、同海域を漁場とする関係者ばかりか、日本国民全体に驚きと不安を引き起こしております。ロシアによる放射性廃棄物の海洋投棄はこれまでにも大きな国際問題となっているところであるが、日本海は海洋というより湖のごとき形状に近いとされているだけに、一たび放射能汚染されれば滞留し、悪影響が生ずるおそれは払拭できないのであります。
 今回投棄された規模が法外なものと報道されていることから、果たして海洋汚染はどの程度なのか。また、海産物の安全性の有無についても判断を下し、不安におののく国民に適切な情報提供を行うことが当然と思いますが、これに関して政府はどのような対応を考えておられるのか、まずお伺いいたします。
#25
○国務大臣(江田五月君) 先般のロシアによります日本海、第九海域というようでございますが、ここに対する液体放射性廃棄物の投棄、これは大変に遺憾でございます。エリツィン大統領がお見えになって、エリツィン・細川会談でいろんな課題を乗り越えていこう、新しい日ロ関係をつくっていこうと、こう約束をしたそのやさきのことですから、大変私どもびっくりもいたしましたし、遺憾にも思いました。しかも、今委員御指摘のグリーンピースの努力でこれが発見され、私ども政府はロシアから通知を受けることなく、後から知るというようなことでございまして、この点も大変遺憾に思ったわけでございます。
 そこで、海洋投棄に関連して、これはもう直ちに、去る十月二十日に放射能対策本部の幹事会を開催いたしまして、そしてその開催をした同日、本件投棄の影響を調査するために海上保安庁の調査船を出向させる、こういう対応をとりまして、海上保安庁、気象庁、水産庁による我が国独自の調査を決定、実施しているところでございます。この調査により採取した試料については、これはもちろん国民の皆さんの大変な御関心の高いことでもございますし、正確を期した上で可能な限り早急に分析を行って、専門家による評価、検討を経て、その結果を放射能対策本部幹事会等を通じて迅速に公表しようと考えております。
 いずれにしても、委員の御地元を含め、この投棄の影響については国民の皆さん大変御心配になっている。これは十分留意し、今後とも適切に対処していきたいと思っております。
#26
○鹿熊安正君 今大臣のお話を聞きますと、まだその結果が出ておらないようでありますが、早急にひとつ判断をして国民に情報を提供していただきたいと重ねて要望いたしますとともに、科学技術庁は現在海洋調査船である「しんかい六五〇〇」を所有しておられますが、同船を使って日本海における核廃棄物の探査を早急にすべきではないかと思います。
 特に、ロシア政府から関連資料の提出があるのかないのか。あるとすればいいんですが、ないとすればなおのこと早く政府の方でこれらの近海を調査していただきたいと思います。
#27
○国務大臣(江田五月君) 関連資料の提出の関係については、これはもう機会あるごとにいろんな情報はしっかりこちらへ提供してくださいよということは申し上げているところでございまして、先日もロシアのミハイロフ原子力大臣がお見えになりまして、私も何回もお会いしましてそういうことをお願いしたところでございます。
 先般の第九海域における廃棄物の投棄についてもさらに一層細かな情報を、きのう、おととい、二十七、二十八日とモスクワにおいて行われました専門家会合で提供を受けたところでございまして、必要なら申し上げますけれども、「しんかい六五〇〇」によって調査をしなさいという、こういうお話なんですが、私は技術者でございませんのでよくわからないんですけれども、これはどうも聞くところによりますとなかなか難しいんだと、「しんかい六五〇〇」というのはそういう調査には向いていないんだということでございまして、この点どういうことで向いていないかというのは政府委員の方から答弁をさせます。
#28
○政府委員(石井敏弘君) ただいまの大臣の答弁に補足させていたただきますと、先生御指摘の調査船「しんかい六五〇〇」というものでございますが、その前にいわゆるロシアの廃棄物海洋投棄の問題については、人工物体の廃棄物というようなものと液体の廃棄物というようなものがございます。液体廃棄物につきましては水を採取するというようなことで、海洋センター等の採水器を使って、四月、五月にもいろいろな協力をしたというような実績がございます。
 特に、人工物体につきましての探査というようなものになりますと、その地点が極めて明確に把握されるということが必要になるわけでございまして、通常は曳航式の探査装置、ディープトウと申しておりますが、こういったもので事前に調査をし、調査すべき地点というものを把握するわけでございますけれども、非常に深海のことでもあり、このディープトウを使って面的探査をするということは一日当たりに四十平方キロメートルばかりしかできないというような状態でございまして、いわゆるロシアの人工物体の海洋投棄というようなものにつきましては、これまで私どもが聞いておる限りでは調査対象海域は数万平方キロメートルに及ぶというふうに聞いておりまして、その当該地点を明確に特定化するということが非常に難しいというのがまず第一点でございます。
 また、この「しんかい六五〇〇」というのは有人の探査船でございまして、人が乗っておるわけでございます。したがいまして、まず人の安全ということが非常に重要でございます。そうなりますと、人工物体等の投棄物の状況というものも十分に事前に把握して潜らなければ衝突の危険性が生ずるとか、あるいはその放射能のレベルというものもそれなりに事前にわかっていなければ、もともとこの「しんかい六五〇〇」は放射能調査を想定してつくったというものではございません。したがいまして、そういったような意味から、直ちに六五〇〇を使うべしという点につきましては技術的にもいろいろ慎重に検討すべき問題がある、かように認識しておるところでございます。
#29
○国務大臣(江田五月君) 十月十六日に行われました海洋投棄のさらに詳しい概要を申し上げましょうか。
#30
○鹿熊安正君 いや、後で時間があれば。
 聞くところによりますと、十一月上旬に水産庁の調査船陽光丸が日本海主要漁場における魚介類の放射能調査を行うとのことであるが、今までなぜ速やかに調査船を出さなかったのか、その理由
をまずお聞きしたいこと。それから、調査船による調査項目はどんなような内容のものか。海水とか海底の土とか海洋の生物とか、あるいは調査期間等々をひとつお聞かせいただきたいことと、その結果はいつごろ公表できるものか、それらについて御説明いただきたいと思います。
#31
○説明員(吉崎清君) 私どもの西海区水産研究所の調査船陽光丸は本来日本海の調査は担当しておりませんが、日本海がしけてきておりますので陽光丸という大型船を急遽回すということで、十一月一日という期日に出航になった次第でございます。
 陽光丸は調査の漁具はトロールというものを持っておりますので、そのトロール漁法によって魚類等を採取いたしまして、それを検査するということにしております。なお、検査のデータは科学技術庁の方へ提出いたしまして、安全評価委員会で評価をしていただいて公表するという段取りになっております。
#32
○鹿熊安正君 調査項目をもう少し詳しくお願いします。
#33
○説明員(吉崎清君) ただいま申し上げましたように、トロール漁法でございますので、トロール網に入った魚種を持ち帰って検査をするということでございます。他省庁が水を持って帰って検査をするのに対しまして、一般の国民の方々が一番不安になっておる魚介類を対象に調査をするということでございます。
#34
○鹿熊安正君 では次に、ロシアにおける廃棄物処理貯蔵施設の完成が早くても一九九七年以降とされておることから、それまでの間、再び海洋投棄が行われるおそれはないとは言い切れないのであります。このため、日本海沿岸地帯振興連盟等を初めとする多くの地域より、これ以上の放射性廃棄物の海洋投棄は後世に甚大な禍根を残すとして即時停止を求めているのは当然のことであります。
 こうした国民の声に対し、強硬なロシアの姿勢に打つ手なしとすることは許されないと思うが、政府はどのように対応する用意があるのかお聞きしたいのと、また仮に汚染魚の不安による消費者の魚離れに伴う漁業の経営不振や危機が発生した場合、対ロシア政府への補償交渉の余地についてどう考えておられるか、お尋ねいたします。
#35
○国務大臣(江田五月君) これは、去年まで随分長い間、ロシアによって日本海各海域に随分たくさんの放射性廃棄物が投棄されていたわけです。私どもその事実を察知いたしまして、ロシアが公表した白書、これを直ちに手に入れて、そして日本独自の調査もいたしまして、さらにロシアに対してはこういうものの即時中止と共同の調査、それから資料の私どもへの提供、こういうことを申し入れたわけでございます。
 そして、調査もいたしまして、その結果、中間報告もいたしまして、ことしの八月には最終報告もさせていただいたわけでございますが、さらに先般のものがございましたので、これは二回に分けて行うということですけれども、一回目が行われた直後にその事実を知りまして、知って直ちにその中止とそれから情報の提供を強く求め、ロシア側から中止の表明をいただいたというのが現在のところでございます。
 中止をしまして、さらにまたいつやるかわからぬということでございますが、先日ミハイロフ原子力大臣はもうやらないということを言っておるんですけれども、しかしそれでもわかりません。今ロシアの方ではこういう液体放射性廃棄物をためておくキャパシティーがもういっぱいいっぱいなのでこれは出さざるを得ないんだと言いながら、出しません、こう言っているわけですから心配になるのも当たり前で、そこで、じゃいろいろ手助けもしましょうと。
 もちろんロシアが一義的には自分でやらなきゃならぬことですけれども、しかし私どももいろいろ技術的にもあるいはその他の点でも手助けもしますからそういうことがないようにひとつやってくださいというので、きのう、おとといの会議、あるいはモスクワで会議をやった皆さんはきょうからあすにかけてウラジオストクでいろいろ視察などをすると思いますが、さらに十一月十日、十一日の作業部会、こういうところで、さあどうするかという取り組みを具体的に詰めていこうとしているわけでございます。
 資料の提供等についても決して日本政府として弱腰で対応しているわけじゃありません。ただ、いたけだかになるだけではこれはしょうがないんで、現実にどうやったらこういうことをやめさせることができるかということについて鋭意実務的な作業を行っているということでございます。
#36
○説明員(林暘君) 損害の件についての御質問がございましたが、一般論で申し上げれば、ロシア側によります放射性廃棄物の投棄によりまして我が方が損害を受けるというようなことがございますれば、これは一般の国際法上の問題として損害賠償の請求はできるものというふうに考えております。
#37
○国務大臣(江田五月君) もう一つ、魚に対する影響について委員の御懸念がございましたので触れておきたいと思いますが、ことしの八月の私どもの調査結果の報告では、いろいろ調査をいたしましたが、直ちに今日本国民の健康に影響が出てきているような状態ではない、これが調査結果でございますので、これを報告させていただいたわけでございます。
 今般のロシアによる放射性廃棄物の海洋投棄については、調査をする前に予断を持っていろんなことを言うわけにはいきません。調査をしてみないとわからないことではありますが、しかしロシア側が捨てたものはこういうものですよということを言ってきている。これをそのとおり事実だと仮定して、今までのものと常識的に対比をして結果を考えてみると、直ちに魚から国民の健康が損なわれる状態になっているということはないんではなかろうかな、こう思っておるんですが、しかしこれは予断を持って調査をしてはいけませんから、厳密な調査をやって、そしてその結果を国民の皆さんにお知らせする、こういう態度でございます。
#38
○鹿熊安正君 大臣、非常に丁寧に御説明いただいておるわけでありますが、時間がないものですから簡潔に、要点のみで結構でありますから、お願いいたします。
#39
○国務大臣(江田五月君) はい。
#40
○鹿熊安正君 核廃棄物の海洋投棄が許されるべきものではないということは言うまでもありませんが、しかし現実にロシアの核廃棄物の処理施設が十分でない以上、対日抗議ばかりでは核廃棄物の海洋投棄問題の根本的な解決にはつながらないわけであります。そこで、一歩踏み込んだ政府の対応が必要になるのではないでしょうか。
 そこで、報道によれば、江田長官とロシア原子力相との会談において、放射性廃棄物処理施設建設の資金難に関連して、日本に対しその建設資金調達のためウラン燃料を購入してほしい旨の申し入れがあったとのことであるが、それは事実でありますか。
 そもそも我が国は核燃料の調達に関して長期的視点から計画的に対応してきており、しかもこの問題は基本的に電力会社の問題として位置づけられているところであり、このような申し入れを政府としてどのように考えておられるのか。仮に我が国がロシアの核燃料を輸入するにしても、国が主体となって核燃料を購入すれば内外からの批判も予想されることも考えられることから、日本一国で行うのではなく、例えばIAEA等の国際機関の関与のもとで周辺諸国とともに共同して輸入し、利用していくならば、核管理の透明性が確保されるというメリットも期待できるのではないでしょうか。特に、東アジアにおいては電力需要がさらに増大すると予想される中で、ロシアの核燃料の有効利用は十分検討に値すると考えられるのではないか。長官にひとつその考え方をお聞かせいただきたいと思います。
#41
○国務大臣(江田五月君) 実は、ミハイロフ大臣とは先般のIAEAのウィーンでの総会でもお会いをいたしました。日本にお見えになってからは
十月二十二日、二十五日会談を行いました。いずれの機会にも、ミハイロフさんはぜひひとつ日本はウランを買ってくれ、それが日ロ両国人民のためになる、こういう強いお話でございました。したがって、その要請があったことは事実でございます。
 私の方で申し上げたのは、放射性廃棄物というものを出さないようにするために、それはもちろん第一義的にはロシアの責任なんですが、しかし私たちはいろんな技術的な協力もやりましょうと。それはそれで進める。それとウランを買う買わないという話はこれはまた別の問題で、あれはあれ、これはこれで、別々に分けてその話はひとつしようじゃありませんか。廃棄物を出さないようにするための努力は、これはもうずっと会議の日程も決まっているわけですから、これはこれでちゃんと進めてくださいよ、ウランを買う買わないが前提になるということでは困りますよと、これをまず第一に申し上げました。
 さらに引き続いて、委員ただいま御指摘のとおり、ウランの購入については、これは基本的には我が国の電気事業者の方の仕事でございまして、供給安定性、経済性を考慮しながら二〇〇〇年ごろまでに必要な濃縮ウランについては既に確保しておる。そこで、これは電力事業者の方に話してみてくれればいいけれども、私どもとしてはなかなか難しいと思いますよと、こういうことをミハイロフ大臣にお伝えをしたところでございます。
 各国との共同ということも、これから議論を詰めてみるとしても、なかなか現実的ではないという判断でございます。
#42
○鹿熊安正君 では次に、ロシアの放射性廃棄物処理施設建設は基本的にはロシア自身の問題ではありますが、現実に資金不足という問題がある以上、援助の実施はやはり必要とも考えられます。無論、援助目的が核廃棄による汚染防止である以上、今後ロシアが核廃棄物の海洋投棄を交渉の条件に資金援助の限りない要求といったことにならないように、資金援助には一定のルールが必要ではないかと考えられますが、どう考えておられますか。
 また、仮に核廃棄物に対する対ロ支援を行うことになった場合、政府はどのような対応をするのか。今ほどもお聞きしましたが、重ねて特に財源についてはどの省が責任を持って対応するのか。それもお聞かせ願っておきたい。また、仮にロシア国内の放射性廃棄物処理施設が実際に稼動するためにはある程度の年月がかかると考えられます。それまでの間、政府はロシアの核廃棄物の処理に対してはどのような態度で臨むのか。それらについてもお伺いいたしておきたいと思います。
#43
○国務大臣(江田五月君) おっしゃるとおり、基本的にはロシアが自分で対処をすべき問題である。しかし、ロシアが、いや、できませんからしょうがないんですと言って捨てるということがあってはこれは困るわけでございまして、私どもそういうことにならないように、先ほどから御説明しているとおり、先日、十月二十七、二十八日のロシアでの専門家会合、さらに二十九、三十とウラジオストクにおける視察、そのときももちろん単に見るだけじゃなくていろんな話し合いをすると思います。さらに、十一月十、十一日の作業部会、こういうところで技術的な詰めを行っていきたいと思っておるところでございます。
 一方で、これは際限ない援助になってはいけないじゃないかというような委員の御指摘もこれも事実であり、さらにまた援助ということになりますと、枠組みがしっかりしていないとおかしな軍事援助というようなことになってしまうということもありますので、その辺はロシアとしっかりした話し合いを詰め、枠組みをきっちり決めてやらなければいけない。これはそのとおりだと思っております。
 それから、軍事用の原子力潜水艦にかかわる問題であるということ、この点は非常に私たち意を用いなければならぬポイントだと思っております。
#44
○政府委員(石田寛人君) 今の大臣の御答弁に補足いたしまして、技術的な観点から一言申し上げさせていただきます。
 鹿熊先生御指摘のように、確かにタイミング論というのは非常に重要でございます。したがいまして、私ども技術的に考えておりますのは、もしも今大臣のおっしゃった前提のもとに対ロ協力をするということといたしますと、どちらかといいますと比較的軽便に液体放射性廃棄物の処理ができるような、そういう装置についての勉強をすべきかなと思っておるわけでございます。
 液体放射性廃棄物の処理でございますから、一番簡単にはろ過する、イオン交換樹脂を通す、あるいは蒸発乾固で水を蒸発させまして放射能部分と水の部分を分ける。いろんな装置、考え方があるわけでございますけれども、比較的軽便に持ち運びできるような、そういう装置でもってとりあえずの対応をするということも考えていくべきかと思いますし、もちろん全体の液体放射性廃棄物を一時的にためるという、そういうための施設も速やかに建設する努力もしなくちゃいかぬと思っているわけでございます。
 こういうことも含めながら、何と申しましてもロシアの放射性廃棄物の実態がどうであるかということを確認することが非常に重要でございますので、そのファクトファインディングを含めまして努力していきたい、かように考えておるところでございます。
#45
○鹿熊安正君 ロシアが今回投棄した廃棄物は日本で言う低レベル廃棄物であり、放射能は高くないとのことでありますが、科学技術庁でも当面の心配は本当に必要ないとのことでありますか、お尋ねをしておきます。しかし、一回の投棄の影響が少ないとしても、同じことを積み重ねることが大きな問題を引き起こす可能性があるということでありますから、その点についても一応見解をお聞きいたしたいと思います。
 そこで、海洋投棄についてお伺いしたいのですが、まず今回海洋投棄された放射性廃棄物の量は正確なところどのくらいであったのか。また、旧ソ連及びロシアは一九五九年から九二年にかけ継続的に日本海、オホーツク海、北太平洋、バレンツ海などに放射性廃棄物を投棄してきたとのことで、ことしに入りこの事実が明らかになって大きな国際問題に発展してきました。過去における海洋投棄の実績はどうなっているのでしょうか。ロシア側のデータを入手しておられるのでしょうか、お伺いいたします。
 また、ロシア側のデータは本当に信頼できるものとお考えでしょうか。ちなみに科学技術庁の前回の海洋投棄についての調査結果では一応安全であるとのことでありますが、その根拠を示されるとともに、今後食物連鎖を通じて魚介類の放射能が蓄積されるという心配はないでしょうか。先般、五月に第一回目の日ロ合同作業部会が行われましたが、その後の進捗状況及び今後の見通しはどうか。また、海洋投棄に関するロシア側のデータの公開を求めていくべきと思いますが、この点についてもどうお考えでしょうか、お伺いいたします。
#46
○国務大臣(江田五月君) 質問の項目がたくさんございますので、全部メモとれたかどうか心配ですが……
#47
○鹿熊安正君 ちょっと、大臣よりも科学技術庁それから外務省等々の方にも説明をしていただきたいと思います。大臣は責任ある立場でよろしゅうございます。大変あなたはいろいろ熱心に御説明いただくのはありがたいが、やはりその直接の所管官庁からの事務当局から聞いた方が、政府当局から聞いた方が大変参考になりますので。
#48
○国務大臣(江田五月君) 国会に対して責任を負っているのが私でございますので、私からまず答えておきますが、当面の心配ということについては先ほどちょっと申し上げたとおりですけれども、今回のことについてはこれは調査を今やっているところですから、予断を持った調査ではいけませんので厳正な調査をしたい。
 それから、長期にわたってどうなるかということについては、これは廃棄された核種がどういう
ものであるかといったことを正確に分析していかなきゃならぬことだと思いますが、いずれにしてもいいことであるはずがないんで、これは厳重に対処していきたいと思っております。
 今回のものの量、これはきのうモスクワで開かれました日ロの専門家会合の席でロシア側から明らかにされたものでございます。二度に分けた一回目が投棄をされまして、前回公表の数値は一・〇八キュリーということでしたが、そうではなくて〇・三八キュリーだということでございます。前回との違いは、タンカー内で一番濃度の高い部分のものを積算根拠として出したからそうなったので、正確には〇・三八だと。投棄をされた廃棄物の核種等も明確になっております。必要なら申し上げます。
 さらに、細かくこういう点について詳細の情報提供をするよう要求をしているところでございます。一九五九年から九二年のことについては後ほど政府委員から答弁をさせます。それがなぜ安全であるかという判断の根拠、これも後ほど政府委員から申し上げます。 ロシアの情報が本当に信頼できるのか、こう言われるわけですが、それは私どもうそだと決めつける根拠も特にないのでありまして、今まで向こうが言ってきていることに特にここは違うじゃないかということがない以上、言っていることを信頼していきたいと思いますけれども、しかし調査にそういう予断があっちゃいけませんから、調査は厳正に行うということです。
 作業部会につきましては、先ほどから申し上げているとおり、十一月十日、十一日とロシアで第二回目の作業部会が行われるということです。
#49
○政府委員(笹谷勇君) 過去三十数年にわたりました旧ソ連、ロシアの投棄の実態でございますが、四月に公表された白書によりますと、日本海、オホーツク海、カムチャツカ沖の極東海域におきましては、総放射能量にして一万二千三百キュリーという量でございます。このうち、日本海に限って見ますと、ウラジオストク沖の投棄地点において一万二千キュリーの液体、それから三千八百キュリーの固体廃棄物が投棄されたというふうに報告されてございます。
 これらによります影響に関しましては、既に大臣から先ほど御答弁がございましたが、過去の四月から六月にかけた調査によりますれば有意なデータが出ておらないということで、今回のものについては常識的には影響がないものであろうというふうに考えております。
 以上でございます。
#50
○鹿熊安正君 外務省。
#51
○説明員(林暘君) 合同作業部会その他についてのお尋ねであったと思いますが、御案内のように四月にロシア政府によって白書が公表されました以降、政府としても即時そういう海洋投棄は中止してもらわなくちゃいけないということ、抗議とともにそういうことを申し入れまして、その結果五月に合同の作業部会というものを開催するに至りました。この作業部会におきましても、我が国からは国内の懸念、投棄の即時停止の必要性を強く主張するとともに、日ロ間における共同海洋調査の実施を提案した次第でございます。
 五月の合同作業部会については、原則として日ロ間の共同海洋調査の実施が同意をされたわけでございますが、その後、種々交渉した結果、かつまた先般エリツィン大統領が訪日した際に細川総理と直接話し合われた結果も踏まえて、先ほど来江田長官からも御答弁がありますように、一昨日、昨日と専門家会合を開きまして、また十一月十日、十一日と第二回目の合同作業部会を開きまして、日ロ間による共同海洋調査を年明け早々にも、できれば年内にも実施をしたいということで調整をしてまいりたいというふうに思っている次第でございます。
#52
○鹿熊安正君 今回のロシアによる核廃棄物の日本海への不法な投棄は、本日、大臣の所信表明でもおっしゃったように、エリツィン大統領の来日の機会をとらえて停止を求められたという御発言でありました。にもかかわらず、ロシア大統領の訪日直後に突然行われたものであり、日本とロシア両国の信頼関係、協力関係に水を差すものとなり、極めて重大な外交問題として認識せざるを得ないわけであります。
 今回の不法な投棄に先立ち、ロシア側から我が国に対して何らかの事前通告があったのでしょうか、お伺いいたします。
#53
○国務大臣(江田五月君) ございませんでした。
#54
○鹿熊安正君 これまで数十年にわたってロシアが廃棄し続けてきた核廃棄物の全容について、政府は把握していたのかどうか詳しい説明をお願いしたいことと、日本政府としてはこの海洋投棄の事実をどのようなルートを通じて認識するに至ったのか。一部報道によれば、グリーンピースによる報道が先行するなど、政府の情報収集は後手に回ったという指摘があります。もし事実であるならば、政府はロシア関係の情報収集体制の立て直しを図っていく必要があると考えられますが、いかがなものでしょうか。
#55
○説明員(林暘君) 先ほど江田長官の御答弁がございましたように、政府として、ないしは外務省として今回のロシア側の海洋投棄の事実を事前に入手していたということはございません。入手できませんでした。
 IAEAにはロシア側は十月五日付で書簡を送ったことも事後的には確認をいたしましたが、御案内のとおり、IAEAはIMOと違いまして法律上その通告を締約国政府に連絡する義務を負っている機関ではございませんでしたので、IAEAとしてはその中身について技術的検討を加えていたということが後から知り得た事実でございます。そういうことでございますので、我々といたしましても関係の国際機関等に対しては、そういう情報があった場合には法律的義務いかんにかかわらず関係国にはすぐ通報してくれるようにということで求めている次第でございます。
 グリーンピースがいかなる情報ソースからこの情報を得たかということについてはいろいろ報道されております。我々もその報道は承知しておりますが、かつグリーンピースの関係者も外務省に来られて、その話は我々もお伺いをいたしましたけれども、残念ながら我々としてはそういうソースは持っておりませんでしたので、事前に入手するということができなかった次第でございますが、政府、外務省としましても今後とも情報収集の体制については一層意を用いて、こういうことがないように努力をしていきたいというふうに思っております。
#56
○国務大臣(江田五月君) なお、もう一つ私の立場でつけ加えれば、十月二十日に国際原子力機関のブリクス事務局長が日本にお見えになりまして、私、お会いをいたしまして、確かに条約上はIAEAは日本にロシアからの通報を通知する立場にないことはわかるけれども、しかし関心のある、非常に国民も心配していることであるから、これから適宜そういうことはお知らせを賜りたいということをお願いし、そうするというお約束をいただきました。
#57
○鹿熊安正君 我が国のみならず韓国など諸外国からの強い批判などを受けて、ロシアはその後海洋投棄を一時停止しているようであるが、その事実を政府は確認しているのかどうか。確認しておられるとすれば、その内容についてどのようなものかお聞かせいただきたいと思います。
#58
○説明員(林暘君) 第二回目の投棄の中止につきましては、十月二十一日、ロシア外務省からモスクワにあります我が方の大使館を通じて連絡がございました。さらに、二十一日、モスクワにおきまして、モスクワの本件についての担当大臣でございます環境大臣が記者会見をして、本件を中止するということを正式に発表いたしております。
 発表の内容につきましては、第二回目の放射性廃棄物の海洋投棄を中止するということでございますが、環境大臣が記者会見その他で言っておりますのは、近い将来に投棄がないというようなことも環境大臣は発言をいたしております。
#59
○鹿熊安正君 その確認はわかりましたが、仮に海洋投棄が中断されているにしても、ロシアの海
洋投棄が国内の放射性廃棄物処理施設の不備が原因であれば再開の可能性は常にあると考えなきゃならない。この点について政府はどのように見ておられるか。
#60
○説明員(林暘君) 環境大臣の発言は今申し上げたとおりでございますが、他方、御指摘のとおり、ロシアにおける処理施設が十分でないということも事実でございまして、特にロシア側の処理工場というのはすべて欧州部にありまして、極東部にはないということも事実でございます。したがいまして、貯蔵施設がいっぱいになれば再度海洋投棄を行う可能性があり得るということもそのとおりであると思います。
 そういった観点から、ロシア側の動向については注意を要すると同時に、我々としては、先ほども江田長官からるる御説明がありましたように、どうすれば将来にわたって投棄をしないということが確保できるのか。一義的にはロシア側にやってもらう話でございますが、我々として協力し得るところもあるかと思いますので、その辺の話し合いをいろいろな会議を通じてロシア側と話していきたいというふうに思っている次第でございます。
#61
○鹿熊安正君 もう最後だと思いますが、核廃棄物の海洋投棄についてはロンドン条約などのもとで国際的に取り組んでいくことが重要だと考えております。
 その前提となる次の点について政府の考え方を確認しておきたいと思いますので申し上げますと、その第一点はロシアの原子力潜水艦の解体に伴う放射性廃棄物の発生の見通しとその処理の内容について伺っておきたいこと、第二点は北欧諸国を含め世界各国はロシアの海洋投棄にどのような対応をしてきているのかを確認しておきたいこと、第三点は我が国としてはロンドン条約締約国会議に対しどのような方針で対応しようと考えておられるか、以上三点についてお伺いいたしたい。
 もう一つは、ロンドン条約締約国会議などにおいて、再発を防ぐため海洋投棄の全面禁止の国際的な枠組みをつくるよう提案していくことが必要ではないかと考えますので、お伺いいたします。
#62
○国務大臣(江田五月君) 今後、このロシアの原子力潜水艦の解体ということはずっと進んでいくだろうと思われまして、そこから放射性廃棄物というのがさらに出てくるということは十分予想されることでございまして、これには対処していかなきゃいけないと思います。各国の対応というのは、これは外務省の方で後ほど答えていただきたいと思いますが、北極海の方についてはロシアとノルウェーでいろいろ対応を今やっているところだというふうに聞いております。
 ロンドン条約の締約国会議は来月に入りましたらすぐ開かれることになるわけでございますが、そこで一体どうするかという議論が行われると思います。どういう議論になりますか、あるいは決議になるのか何になるのか、具体的な案文がどうなるのか、そうしたことをこれから見ていかなきゃいけないわけですが、我が国としては、やはりこういう状態になりましたら、八三年のときのモラトリアム決議、このときは我が国は反対、八五年のモラトリアム決議、これは我が国は棄権であったわけですけれども、しかしやはり海洋投棄というものは禁止をするという方向性を持ってひとつ国内の意見をまとめていきたいということで、今関係機関の調整をしているところでございます。
 科学技術庁としては、今回のロシアはそうじゃないんですけれども、IAEAの基準にのっとった海洋投棄ならば科学技術的な見地からいえば安全だという、そういう認識を持ってはいるんですけれども、しかし世の中は科学技術だけでできているわけじゃないんで、海というものの重要性、海というものが言ってみれば生命の根源というようなそういうことがありますから、そこへ捨てていいというような態度は各国ともとるべきではないという、そんな考えで対処していきたいと思っております。
#63
○説明員(林暘君) 北欧諸国を初め世界各国がどのような対応をとっているかという御質問でございますが、ロシアの放射性廃棄物、四月に白書が公表されまして以来、G7諸国を初め北欧諸国、韓国等、多くの国から懸念が表明をされております。今回の投棄につきましても、アメリカ、韓国等が深い憂慮の念を表明しておりますし、投棄の中止を呼びかけております。
 また昨日、羽田外務大臣は来日中のノルウェーのホルスト外相と会談をいたしましたが、その際にも両国で本件についての共通の懸念が合意されましたし、今後ともお互いに協力をしていこうというふうに意見が一致いたしております。
 なお、韓国は日本海における調査を日本と同様にロシアと共同してやろうということで話し合いをしつつあると承知しておりますし、ノルウェーは北方海域についての共同調査をこの夏以降実施している状況にございます。
#64
○委員長(中川嘉美君) 午前の質疑はこの程度とし、午後一時まで休憩いたします。
  一午後零時十分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時一分開会
#65
○委員長(中川嘉美君) ただいまから科学技術特別委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、科学技術振興対策樹立に関する調査のうち、科学技術振興のための基本施策に関する件を議題とし、所信に対する質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#66
○稲村稔夫君 私は、きょうは質問を申し上げる前に科学技術庁に、ちょっと残念なんですけれども苦情を申し上げておきたいと思います。
 具体的な日時や人名だとか、そんなものをいういろと挙げると活字になって残るのは問題があると思いますので、ちょっと抽象的に申し上げます。他の委員会で科学技術庁が呼ばれることがあるわけでありますし、いろいろの質疑があるわけでありますけれども、これに出る説明員の方がその委員会の答弁で不適当な答弁をされるということがあってはならないことだと思うんです。しかし、残念ながらそういう件がございました。
 私は、科学技術庁が当日は忙しいということはよくわかってはおりましたけれども、やはり説明員として出席をする者はそれなりにきちんとした答弁者として対応してもらわなきゃならぬ。その辺のところは、職員の訓練が十分でないのか、あるいは科学技術庁がたるんでいるのか、よその委員会にこう言われますので、特によその委員会に出るときはその点は十分に気をつけてもらいたいというふうに思うわけであります。
 この点について今後の姿勢を、これは大臣にといってもちょっとあれですから――いいですか、大臣がお答えになりますか。じゃ、今後のこともありますので、よろしくお願いいたします。
#67
○国務大臣(江田五月君) 稲村委員の日時とか氏名とかを特定せずにの御注意、御配慮に大変感謝を申し上げます。
 科学技術庁として一番御指導いただかなきゃいけない科学技術委員会、いわゆる参議院の科学技術特別委員会、この委員会でそういう御注意をいただいたことをしっかりと受けとめたいと思います。
 政権交代になりまして、とにかくこんなに長く政権交代がなかったわけですから、私ども旧野党が乗り込んでいってさあどうなるのか。しかし、何はともあれまず職員の皆さんを信頼し、職員と一体となって適切な科学技術行政をやっていかなきゃならぬということで、政権交代がよかった、こう言ってもらえるように職員一同と一緒になって努力をしているところでございます。
 各委員会でも、今とにかく政治家同士の議論ができるように大臣がなるべく答えようじゃないかということで頑張っているつもりでございますが、後ろを振り向いたら職員の皆さんがたるんでおったということでは、これはもう到底許すことができませんので、以後そうした御注意をいただ
くことがないように全力を尽くしてまいります。
 どうも御指導ありがとうございました。
#68
○稲村稔夫君 今の大臣の御答弁、今後きちんと守っていただけるものと信じまして、質問の方に入らせていただきたいと思います。
 さて、きょうの午前中も、本当に我々日本国民にとっては深刻な問題ということで、ロシア海軍の日本海での核廃棄物投棄の事件について質問がございました。私も、この点についてはぜひ政府の対応を伺いたいというふうに思っているわけであります。
 私も日本海に面したところの者でありますから、しかも一衣帯水の仲といって、いつも仲よくしていこうと言ってやっているところから起こってきただけにショックが大きいわけであります。そしてまた同時に、魚介類、海草というものも特産品として私どものところからずっと出ているわけでありまして、そういう水産業にとっても重大な問題、こういうことに相なります。午前中の質疑でかなりいろいろなことを政府側から御答弁になっておられます。できるだけ私は重複を避けながらというふうに思っております。
 それにいたしましても、私は今のロシア政府の状況というのはちょっと愕然とせざるを得ません。ある本を読んでおりましたら大変おもしろい逸話にぶつかりまして、私も事実関係を調べてみました。大正の初期に東京で水洗便所がはやり出した。丸ビルだとか東京駅だとかというところがみんな水洗便所をつくった。その水洗便所は、今までは農家がみんな大事な肥料として買いにきていたものを、これを今度たっぷり水に薄めてあれするから価値がないから買い手がない。そこでどうしたかといったら、船に積んで東京湾の沖合へ持っていって捨てる。ところが、これはかさばかり張って、中は水だからというので、受けた船はあらかじめ船の底に穴をあけておいて、そして目的地へ着いたころは空になっているようにして運んだ。
 そうすると、またそれは困るものだからということで何をやったかといったら、今度はパイプをずっとあれしてお堀につなげた。丸ビルの排水だとか、それから東京駅の排水だとかというのが皇居のお堀にどんどんと流れ込んだ。これが国民新聞に載っておりますというので記事を調べてみたら、事実二日間にわたってそのことの事実関係と当時の警視総監の談話だとかいろいろなものが載っておりました。
 要するにこれと同じことですよ。片っ方では近代的技術を使っているけれども、さてその後を始末する方は何にもつくっていないから穴のあいた船で、今度の投棄事件なんてそんなものみたいなものですよという感じがしてならないのでありますけれども、こういう状況というのは私はよその国のことだといって笑っていられない。やっぱり我が国自身もしっかりやらなきゃならないし、ロシアならロシアに対してもそういう状況を一日も早く克服してもらうようにしなきゃならない、こんなふうに思うんです。
 実は私がそれを感じたのは、正直なことを言うとこの前の投棄事件のときだったんです。今度は再犯なんですよ、ロシア側がやっているのは。再犯が起きたということ、これは私はやっぱり我々にとっては非常にシビアに受けとめなきゃならない問題だと思うんですね。
 そこでまず私は、前回の投棄事件のとき、どういう交渉をされて、どういう約束をロシア側と交わしておられて、そしてそういう中で我が国政府としてはどういう情報収集、対応をしてきたか。このことの大ざっぱな流れを、これは大臣はまだ就任される前でありますが、外務省がかなり窓口になっていると思いますので、まず外務省から伺いたい。
#69
○説明員(林暘君) 旧ソ連及びロシアによります海洋投棄につきましては、ロシア政府の政府委員会によります白書が四月に公表になりましたが、その前、昨年の十二月であったと思いますが、中間報告が出された経緯がございます。したがいまして、その中間報告それから四月の公表、そういったものを踏まえまして、我々といたしましてはロシア側に対してその事実関係の確認及びそのような海洋投棄の即時停止ということの申し入れをしてきた次第でございます。これは大臣、大使を含めましていろいろなレベルでそういう申し入れをいたしてまいりました。
 そういったものを踏まえまして、本年の五月十一日、十二日にモスクワにおいて日ロ間の合同作業部会というものを開催いたしまして、そこにおきまして本件についてロシア側と話し合いをしたわけでございます。この合同作業部会において、ロシア側に対しては我が方の国内の強い懸念を伝えますとともに、投棄の即時停止を要請し、かつ日ロによる共同海洋調査の実施の提案を我が方からいたしました。
 これに対しましてロシア側から回答がございましたのは、投棄そのものにつきましては、固体放射性廃棄物については既に投棄を停止しているということ、液体放射性廃棄物については必要な処理施設を整備することによりステップ・バイ・ステップで投棄を停止する用意があるということ、それから日ロの共同海洋調査の実施については原則として同意するという返事が五月の段階であったわけでございます。
 それから、今回の投棄の前までということでありますと、十月に日ロの首脳会談が行われました際に、細川総理からエリツィン大統領に対しては直接投棄の中止についての申し入れをしたことがございます。
 以上でございます。
#70
○稲村稔夫君 再犯なんて言ったら悪いけれども、私から言えば犯罪行為みたいなものだと思うんですけれども、これを犯さないようにするためにロシア側とどういうきちんとした取り決めをしたのか、これが問題なんですよ。
 というのは、前回のときに、今穐山委員がいますけれども、予算委員会でこれを質問したときには知らなかったんです、そのときのあれは。投棄されるということを知らなかった、向こうから出るまで、何とか委員会のやつが出るまでということになるわけです。そのとき知らなかった。今回も知らなかった。二度続けて知らなかったというのは、これはお粗末だと言われたって仕方がないことになっちゃうんだ。私は、その辺のところは政治的信条とかそういうものを離れてこれは大変なことだという感じをみんな持っていると思うんです。
 しかも、今回の投棄についても、ロシア環境省は海軍に対して海洋投棄を正式に認可しているというそういう情報ですよね。そうすれば、ロシア政府の環境省というのが認可しているにもかかわらず我々の方が知らなかった、きょう午前中のグリーンピースの発表を聞くまでわからなかったみたいな感じの、私はその辺のところがどれだけきちんとできているんだろうか、やっぱり疑問にならざるを得ない。
 前回、やっておられたときにどういう詰めをロシア側とそこのところはやってあるんですか。ロシア側でどこかで認可したらすぐ連絡してもらうようなそういう体制はなかったんですか。
#71
○説明員(林暘君) 前回と言われますが、この白書が発表になりまして我々が知り得た事実は、一九五九年から九二年までの間に投棄をしていたという事実がこの白書で発表になったわけでございます。その間の放射性廃棄物の旧ソ連によります、ないしはロシアによります投棄というものについては、一切外に対してその事実が公表された事実はございません。我々としては、もちろん一種のうわさ話として投棄をしているんじゃないかということがあったことは承知しておりますけれども、ロシア側から、例えばIMO、IAEAも含めまして、投棄の事実について外に事実が公式に流れていったということはございません。
 したがいまして、我々は、五九年から九二年にわたって旧ソ連及びロシアが投棄をしていた事実というのは、新しいロシアになって設置されましたロシア政府委員会の公表によって初めて知り得たわけでございます。したがいまして、これを知
り得た後……
#72
○稲村稔夫君 そういうことは、もう前にも何回も聞いているからいい。
#73
○説明員(林暘君) 知り得た後、先ほども御説明申し上げましたように即時停止についてロシア側に求めるとともに、合同作業部会というものを設置いたしまして共同調査をやるとともに、その即時停止の申し入れをしたというのが状況でございます。第二回目の作業部会は十一月に開かれることになっておりますので、五月から十一月までの間、これは共同調査をどういうふうにするかというふうなことについてそれぞれ打ち合わせをしておりましたけれども、ロシア側の内部手続その他も含めまして時間がかかっていたのが状況でございます。
#74
○稲村稔夫君 聞いていることを、私が聞きたいことをやっぱり理解して答えてもらいたいと思うんですよね。というのは、前回は知らなかったと。前回といったってそれは何回も積み重ねられたものがあって初めてわかった、発表になったのがわかった。そして、そのときに今後やられたら困るからちゃんとやっているはずだと私は思った。これはもう今後不法投棄をしないように。にもかかわらず、今度やられてまた知らなかったと。ここのところが、私は詰めがどうなっていたんだと。それで、ロシアの国内では政府が認可している省庁があるということになると、これは重大問題でしょうということを申し上げているんです。私の聞いていることについて理解をして物を答えてもらいたい。
#75
○説明員(林暘君) 事後的に私どもが知り得ましたのは、ロシアの環境省は九月二十四日付で海軍からの要請に対して許可を与えたということでございます。それと同時に、十月五日付でロシア政府はIAEAに対して投棄を行うということを通報いたしておりました。それも事後的には我々確認はいたしております。
 IAEAが我々に通告をいたしませんでしたのは、午前中にも御説明申し上げましたように、IAEAというのがロンドン条約上何らの地位を、そういう意味での地位を与えられておりませんで、締約国政府に……
#76
○稲村稔夫君 それはもう何回も聞いた。もういい。
#77
○説明員(林暘君) それからもう一つは、グリーンピースの件でございますが、グリーンピースが事前に投棄するであろうということをつかんで監視船を出していたということは、そのとおり我々も報道及び彼らが外務省に来て話を聞いた際に受けております。彼らがその情報を得たところについても報道及びその他から聞いておりますけれども、そういった形での情報源は政府として持っていなかったというのが事実でございます。
#78
○稲村稔夫君 どうもこんにゃく問答を続けているみたいな感じがしてならないんであります。
 ということは、いずれにしたって民間団体が情報を知り得ているものを我が国政府は最後まで知らないで、それで発表されたということに対して私はショックを受けていなきゃならぬというふうに思うんです。そして、再発を起こさないために今までの情報網の持っている欠陥というものを埋めるためにどうするかという手だてをいろいろと打ってもらわなきゃならぬ。そういうことをやっぱり積極的に、今後二度とこういうことが起こらないように、これは幾らやったって同じようなことを答えられていたら時間のむだですから、僕は要求だけきつくしておきます。二度と絶対に起こらないようにしてもらいたい。
#79
○国務大臣(江田五月君) これまで、固体のものは行わないけれども液体のものについては行わないと言えないということであったのに、もっと注意深く見ておかなきゃいけなかったのじゃないかという委員の御指摘はそのとおりだと思います。その都度中止の申し入れはしたのですが、それが守られずに、委員おっしゃる再犯といいますかということになったのは大変遺憾であると思います。
 ただ、国としてどういうことができるかというのは、いろいろ諜報網などを張りめぐらしてなどということもできることでないので、いろいろ情報収集の努力はいたしますが、先日ミハイロフ原子力大臣がお見えのときに、その点私遺憾の意を表し、二度とやらないように求めるとともに、やらないように求めておきながらやるときは知らせろというのもちょっと変な話ではあるんですけれども。
 しかし、まあそういうことも予想されるわけですから、やらないように求めると同時に、もし何かやらなきゃならぬというようなときにはちゃんと前もって今度は教えなさいよと。さらにどういうものであるのかということ、もしできればサンプルなんかもちゃんとよこして、あるいは現地へ行って我々がモニタリングもできるようにしてというようなことをちゃんと考えなさいということを強くお願いし、万一そういうときにはちゃんと教えるが、しかしやらないようにするという、そういう約束を取りつけたところでございます。
#80
○稲村稔夫君 長官の御親切な御答弁はわかりますが、しかしやられたんじゃしょうがない。やると通告されたんでは本当はしょうがないんですよ。だから、そういうものをやりたいということをロシアならロシアの政府がキャッチしたら、そのことを知らせてくれるというくらいの体制にならなかったら、これは防止なんかできないというふうに思いますので、その点はしっかりと今後の交渉をしていただきたいというふうに思います。
 私の持ち時間はもうどんどんと経過をしていきますので、この点は要望でもう締めくくらさせていただくしかありません。ただ、今回の事件、これも午前中にいろいろと出ましたけれども、今地球上にない核種が、今まで天然にはない核種が、低レベルといってもそれは放出されるわけであります。それだけに重大なんでありまして、これは、海水あるいは魚類の調査だけではだめだ、生態系全体を含めてやっぱり調査をきちっとしていかなきゃならないという課題を私は持っていると思います。
 したがいまして、これは私もう意見の言いっ放しにしてしまいまして恐縮でありますが、調査の結果というものは、ロシア側が発表するものもあるでしょうし、少なくともロシア側の発表したものと突き合わせてだれでもが見れるような公表の仕方をきちんとしていただきたい。このことをまずお願いをしておきたいと思います。
 そこで、私どもがそうやってほかの国に対して要求するときに、自分の国の方の足元がおろそかになっていたんじゃこれは何にもならぬ。相手は言うこと聞いてくれませんよ。ということになったときに、自分の足元を振り返ってみたときに、多少気になることがないわけではありません。
 例えば、我が国にはウランは非常に少ないけれども、その貴重なウランを人形峠で採掘したりしておりますけれども、これがまた残滓問題だとかいろいろと今問題を提起しているわけであります。しかし、これは問題が提起されてから随分時間がたっているんですよ。時間が随分たっているんですけれども、これは一体今はどうなっておりますか。これは我が国が外国にもう何を言われても大丈夫、全部そういうことはきちっとやれておりますと胸を張れるんでしょうか。お答えをいただきたいと思います。
#81
○国務大臣(江田五月君) 今の人形峠のことを引き合いにお出しになりながら、全体状況についての御質問というふうに受けとめさせていただいたんですが、そういう意味でお答えをしますと、先般エリツィン大統領と細川首相との話のときに、ロシア側から日本もやっているじゃないかなどということを言われたということが報道されております。しかし、これは確かに我が国も放射性廃棄物の海洋投棄をかってやったことがございますが、これについては昭和四十四年ぐらいまでの間に、いわゆる医療用のアイソトープでございまして、しかもそれもちゃんとした措置をとった上でやっておりますので、安全性について心配なというようなことではない……
#82
○稲村稔夫君 それはまだ論議が残っているんで
すよ、長官それは。
#83
○国務大臣(江田五月君) まあ一応科学技術庁の立場としてはね。そのほかにこの海洋投棄について検討をしたことはあるけれども、各国のいろいろな反対があり、そういう国々の同意がなかったらこれはやっちゃいけないことだというので、モラトリアム決議には我が国は反対あるいは棄権でございましたが、我が国としては海洋投棄をやっていないというのが事実でございます。
 さらに、廃棄物全体についてどうかということになりますと、これは低レベルのもの、高レベルのもの、あるいは低レベルとまでいかない非常に希薄なもの、いろいろと対策をそれぞれ立てているんですが、しかしそれが完全に全部できておるかというと、まだ高レベルのものについていろいろと苦労しておるというのはこれは委員御承知のところでございます。最大限の努力をこれからもしていかなければいけないということだと思います。
#84
○稲村稔夫君 いずれにいたしましても、長官の御答弁いただいたことの中ではまだ論争がいろいろと残っている部分も随分あります。そして私は、こういうかなり厳しい物の言い方をしておりますけれども、厳しい者がおっていろいろと言う者がおることによって、我々人間の集団なんですから、そういう者がいなければ、もうたるんじゃったら困っちゃうという問題もありますしねということがあります。そのこともひとつ十分に念頭に置いていただきたいと思います。
 今のことに関連をして、少し具体的な地元の問題もありますし、吉田達男委員から関連の質問があります。
#85
○委員長(中川嘉美君) 関連質疑を許します。吉田達男君。
#86
○吉田達男君 お許しをいただいて、大臣に稲村議員の質問に関連してお尋ねをいたします。
 問題は、ロシアの核廃棄物どころでなくて地元のことであります。
 昭和三十年代の初めに日本でウランがとれて、その鉱石が発見され採掘されたときは宝の山でありまして、その場所は我が鳥取県と大臣の地元の岡山県境の人形峠でございます。実はその人形峠に、その当時精錬をしてウランとして使うという鉱石が二百四十立米ほど貯鉱場にある。また、掘進をしていく過程で鉱脈を覆った三千立米のものも野ざらしになっておる。鉱滓は一万五千立米野ざらしになって現存するわけであります。
 事が三十数年たった今、十月の二十日にようやくこれを一部分仮置きしようという作業に入りましたが、地元の者としては、たび重なる申し入れ、交渉あるいは覚書の中で、少なくとも貯鉱部分の二百四十立米、鉱帯部分の三千立米は完全撤去する、こういう前提であるのでありますが、今は二百四十立米を仮置きすると、こういう作業が着手された過程であります。しかし、仮置きが据え置きになって今後どうするかということについて大きい不安があるので、この約束はどう守られるのか、まず大臣にお答えをいただきたいと思います。
#87
○国務大臣(江田五月君) これは、委員の鳥取県と私の岡山県とのちょうど両方にまたがってウランの鉱石があって、かつて両方で掘った。その跡が、今おっしゃるようなものがいろいろ残っておって大変苦慮しているという問題でございますが、方面堆積場の堆積物については、本年の八月に動力炉・核燃料開発事業団が方面地区との間で貯鉱場跡の堆積物、これは推定二百四十立方メートルですね、これの袋詰め一時仮置き等の工事及びウラン鉱帯部分にかかわる堆積物、これが推定三千立方メートル、その試験選別等の作業の実施について確認書を締結したと承知をしております。
 そして、御承知のように先般、その確認書に基づいて貯鉱場跡の堆積物の一時仮置き等の工事に着手をしたというところだと承知しておりますが、仮置き工事以降の堆積物の処置をどうするんだということについては、これは頭の痛い課題でございますが、関係機関の理解を得ることが何より重要なので、科学技術庁としては動燃事業団と関係機関との誠意ある話し合いを見守ってまいりたい。動燃事業団の方は私どもが所管をしておりますので、そういう誠意ある話し合いをしなさいと、こう指導してまいりたいと思っておるところでございます。
#88
○吉田達男君 完全撤去ということを目指して約束どおり履行をする、こういう基本的なお考えと受けとめてよろしゅうございましょうか。
 その上に立って、今の御答弁の中で関係機関の協力がなければ不可能なのでこれをなし遂げるということでございましたが、動燃は科学技術庁のいわば指導組織でありますから、これはそのとおりにやっていただけると思います。
 格別に大臣に質問をいたしますのは、関係機関の中に岡山県という動燃が存在するところの行政区がございます。お互い放射性物質については若干のいわばセンセーショナルな感情もつきまとう危惧のあるものでございまして、そこのところの行政当局の御理解がなければならぬ。特に動燃が存在する岡山県の御理解がなければならぬ。ついては、岡山御出身の大臣に格別の解決に向けての努力をなさっていただきたい。そうしなければ、三十数年間野ざらしになってようやく今の政権になって着手ができたと、できたけれども仮置きでほったらかしされてごまかされるんじゃないかというような危惧を残したんじゃ、これはせっかく着手したことが生きないんですから、そこのところをもう一度確信を持って御答弁をいただきたい。
#89
○国務大臣(江田五月君) 私も確かに岡山県の出身でございますが、科学技術庁の長官というのは全国に責任を負っているわけでございまして、岡山県という地方公共団体をどうするこうするということは私にできることではありません。ただ、岡山県の出身として、岡山県当局にこんなこともしてほしい、あんな努力もしてほしいという、そういう特別の気持ちというものはもちろん持っております。したがって、ただいま申し上げた誠意ある話し合いをぜひ動燃事業団と関係岡山県、鳥取県、大いにやってほしいと思うんです。
 どういうことに結局なっていくのかということについては、これは科技庁は見守る立場でございまして、どうなっていくかについては、確認書という委員御承知の書面がございまして、その確認書のとおりの方向で進むということしか私の立場としては今言うことができないということでございます。
#90
○翫正敏君 午前中江田科学技術庁長官からの所信表明をいただきまして、また配付されましたペーパーでは「プルトニウム及び高濃縮ウランに関する国際管理について」という資料も科学技術庁からいただきましたので、プルトニウムの問題について大臣に幾つか質問をさせていただきたい、このように思います。
 まず、プルトニウムと非常に関係の深い動燃ですけれども、動力炉・核燃料開発事業団、この事業団と政府、科学技術庁との関係ということについて、初歩的なことなんですけれども、説明を一応しておいてください。
#91
○国務大臣(江田五月君) 動力炉・核燃料事業団は、科学技術庁が所管をしておる特殊法人であるというふうに理解をしておりますが、細かな法律の立て方は政府委員から答弁させます。
#92
○政府委員(石田寛人君) 若干補足させていただきますと、今大臣から御答弁がありましたように、動燃事業団は内閣総理大臣が指導監督を行う特殊法人、具体的には今御答弁にありましたように科学技術庁が所管しております特殊法人でございます。御承知のように、動力炉・核燃料開発事業団の前身は原子燃料公社でございまして、昭和四十二年に今の立て方、動力炉・核燃料開発事業団という、そういう姿になったわけでございます。
 この動燃事業団の業務といたしましては、高速増殖炉及び新型転換炉に関する開発及びこれに必要な研究を行うこと。それからそれに関連いたしますことはございますが、重立ったものを申し上
げますと、核燃料物質の再処理、いわゆる再処理を行うこと。核燃料物質の生産、保有。核原料物質の探鉱、採鉱、選鉱等々。それからこれらの附帯業務等々ございますけれども、そういう一連の業務を行う特殊法人ということでございます。
#93
○翫正敏君 それで、プルトニウムという化学物質、この物質について我が国が今までに外国から購入をしました量、それから我が国で使用済みのものを外国で処理してそれを我が国が返してもらった量、こういうものに仕分けをしながら、さらには年度別の仕分け、それから国別の仕分け、それから我が国へ運んでまいりましたときの輸送方法の仕分け、こういうものをしていただきながら、現在保有しておりますプルトニウムの全量はどれだけになるのか、これを数量的にお示し願いたいと思います。
#94
○国務大臣(江田五月君) 私の方から細かく申し上げると、ちょっと説明を受けながら申し上げなきゃならぬかと思いますので、概略は私ちゃんとつかんでおりますが、政府委員からの方がより正確な説明になるかと思いますので、さようさせていただきます。
#95
○政府委員(石田寛人君) お答え申し上げます。
 今先生御指摘のように、プルトニウムを我が国に持ってくる入れ方につきましては、御指摘のように購入プルトニウム、買ったものと、それから英仏で再処理いたしました結果出てまいりますプルトニウムを返還するいわゆる返還プルトニウムという二種類があることは御指摘のとおりでございます。
 そのうち、若干お答えが長くなりますが、今先生の御指摘の文句に従いましてお答え申し上げますと、まず一番目が返還プルトニウムでございます。返還プルトニウムは、これは我が国の原子力発電所の使用済み燃料を処理したものでございますけれども、特にイギリスのものは日本原子力発電株式会社東海発電所一号、いわゆるコールダーホール型炉の使用済み燃料の再処理から出たものでございます。
 イギリスにつきましては、再処理するところはBNFL、英国原子燃料公社とでも申すべきところでございますが、これにつきまして申し上げますと、昭和四十五年に一回、これは航空輸送でございます。それから昭和四十七年に四回、これも航空輸送でございます。それから昭和四十八年に三回、これも航空輸送でございます。それから昭和五十年に一回、これは海上輸送でございます。それから昭和五十三年に一回、これも海上輸送。以下ずっと海上輸送なんですが、昭和五十四年に一回、昭和五十五年に一回、昭和五十六年に一回でございます。
 それからフランスのコジェマでございますが、これは昭和五十九年に一回、これは海上輸送でございまして、さらに最も新しいものは平成五年、すなわちあかつき丸によります輸送でございまして、これももちろん海上輸送であったわけでございます。
 それから、購入プルトニウムでございます。これも基本的にはイギリスから買ったものがまずあったわけでございまして、一九七〇年、それから七一年、七二年、七三年、七四年、それぞれ航空輸送によりまして購入プルトニウムを輸送しております。
 それからアメリカから、これは一九六六年、六八年、六九年、七〇年、いずれも航空輸送によりまして購入プルトニウムを輸送しております。
 それからドイツから一九七六年、これは海上輸送によりまして輸送しております。
 それからフランスからでございますが、これは一九七二年航空輸送、一九七八年海上輸送、それぞれ輸送したところでございます。
 以上でございます。
#96
○翫正敏君 合計。総量。
#97
○政府委員(石田寛人君) そういうことでございまして、これまで我が国のプルトニウムの全体のバランスでございますけれども、海外から持ってまいりましたものと合わせますと約二・四トンになろうかと思うわけでございます。
#98
○翫正敏君 現在、我が国の国内にそういうさまざまな形でいろんな国から持ち込まれている。現在ある総量、これは五・二トンなのではないんですか。
#99
○政府委員(石田寛人君) お答え申し上げます。
 総量と申しますのは、これは二つあるわけでございまして、一つは今私の申しました海外から持ってきたものでございまして、これが約二・四トンでございます。
 それからそれと同時に、これは御承知のように動燃事業団が持っております東海村の再処理工場で使用済み燃料を再処理した結果出てまいりますプルトニウムでございまして、これが約三・一トンございます。したがいまして、その両方合わせました合計五・五トンのものが、これまで我が国が自分で分離したりあるいは購入したりしたプルトニウムの合計ということに相なろうかと思うわけでございます。
#100
○翫正敏君 そのプルトニウムという物質は、安全に管理をしておくことは技術的にも科学的にも不可能な物質であるというふうに私は思うんですけれども、政府、科学技術庁の立場からいいますと、そういうことは可能だということで今日保管をしておられるわけですけれども、どこでどういうふうにして政府の立場で言うところの安全に、私からいうとその安全性は確保できないとは思いますが、保管をしておられるのか、お示しを願いたいと思います。
#101
○政府委員(石田寛人君) プルトニウムの安全性でございますけれども、こんなことを申し上げてまことに恐縮でございますけれども、これは何遍もこの席で御説明申し上げましたように、プルトニウムはもちろん取り扱いに細心の注意を払うべき物質ではございますけれども、取り扱いよろしきを得れば必ず安全に取り扱い得るものと私ども確信しておるところでございます。
 そこで、保管場所でございますけれども、プルトニウムは動燃事業団東海事業所のプルトニウム燃料加工施設、いわゆるプル燃というところと、それから再処理施設の中に保管されております。
#102
○翫正敏君 大体、政府の今の立場、今の説明による安全性というのは毒性に対する安全性ということだと思いますので、そういうことでは一定の安全性が確保されているのかもしれません。それも私非常に疑いは持っているんですけれども、まあ一応聞いておきますが。
 ところで、この朝いただきました資料を見ますと、資料の中にこういう文面があります。「プルトニウム等の核兵器転用を検知する役割は、IAEA保障措置制度が担うべきである。仮に、核兵器転用の検知について、その制度の充実・強化が必要との認識が生じた場合には、あくまでも、IAEA保障措置制度の枠内で検討すべきである。」云々、こういう指摘がされているんです。
 つまり危険性ということの一面には、このプルトニウムという物質は核分裂物質であるので核兵器に転用することが可能な物質であるということがあるわけで、この点での安全性ということが管理上不可欠なことだと思いますが、その点についてここに書かれている文面との関連で御説明願いたいと思います。
#103
○国務大臣(江田五月君) 翫委員御指摘のとおり、プルトニウムという物質自体の持つ毒性といいますか人体に与える影響、これは一つございます。これは安全性、技術的に最大限のものを追求していかなきゃいけないということですが、もう一つ、確かにおっしゃるとおり核拡散といいますか、核兵器の原料になるという意味で危険性があるわけでございまして、その部分についてはIAEAの保障措置というものが働いて、現にプルトニウムは一体どこでどういうふうに保管され、どういうふうに利用されているか、どれだけそう利用されなくなっているか、そういうことについて国際原子力機関がしっかりと監視をしていくという、そういう体制を世界じゅうでつくっているわけでございます。
 それだけでなくて、今私どもはIAEAの保障措置のほかにもう一つ、これは例えばソ連の核兵
器解体から出てくるプルトニウムなどもありますので、国際的なプルトニウム管理体制をひとつつくったらどうなんだ、つくるときが来ているんではないかと、こういうことで今検討を始めたところでございます。
 ただ、もう一つ申し上げておきたいのは、我が国が核物質、使用済みの核燃料から再処理をして得るプルトニウムについては、私は技術者じゃないのでなまはんかな知識の受け売りになってしまうかもしれないんですけれども、プルトニウム239というもののプルトニウム全体の中における割合、プルトニウム240とか41とか42とか38とか、いろいろあるようでございますが、プルトニウム全体の中におけるプルトニウム239なり241なりの割合というのはそれほど高くなくて、まあ高くなくてといっても六〇%程度にはなると思いますが、核兵器に転用できる程度のもの、つまり九〇%超えるようなものにはならないというふうに理解をしております。
#104
○翫正敏君 要するに、現在日本が所持し保有しているプルトニウムは239とか241なんかの核分裂の能力を持っているものが六〇%ぐらいであって、核兵器に使う場合には九〇%ぐらいの核分裂物質が含まれていないとできないということは科学的知識として私も知っておりますけれども、つまりそれは濃縮をすることによって科学的に可能であると。する気があるかないかという問題は別問題ですよ、もちろん。我が国は非核三原則があって、そういうことはしないことになっておるんですけれども。
 そういうこととは別の問題として、濃縮という方法によって科学的には240などの分裂しない物質を取り除いて分裂する物質に濃縮するということは、これは十分日本の科学技術力をもってすれば可能であると、こういうふうに理解をしておるわけです。そういうことはIAEAの方から調べてもらうということによって、そういうものがパーセントは高まっていないということを保障してもらうんだろうと思いますが、その辺の科学的な問題と、それをここに書かれておりますようなIAEAの保障措置ということで保障していく問題と、この二つのことについて説明をしていただきたいと思います。
#105
○国務大臣(江田五月君) ウランの方は235と238、これの質量の違いによって遠心分離機で濃縮をしていく、そしてずっと濃度を濃くしていくということが可能であるけれども、プルトニウムの方は238、39、40、41、非常に似通っていて濃縮という技術というのは大変に困難だというふうに私は聞いております。保障措置によってそこの分類をうまくやれないかというのはちょっと技術的に難しいんじゃないかと思いますが、これは政府委員の方で答弁させます。
#106
○政府委員(石田寛人君) プルトニウム濃縮につきまして、一言大臣の御答弁を補足させていただきます。
 今御答弁ありましたように、ウランに比べましてプルトニウムの濃縮、これは在来法、例えば遠心分離法では極めて困難であること、大臣御説明のとおりでございます。ただ、そのほかに例えばレーザー濃縮みたいな方法でプルトニウム濃縮ができないかという議論、これはいろんな、特にアメリカにおきましては研究もあるようでございます。でありますけれども、我が国におきましてはもちろんプルトニウム濃縮の研究は一切やっておりません。
 ただ、ウランのレーザー濃縮、原子法につきまして、あるいは分子法につきまして、技術研究組合とか原研、あるいは分子法を動燃、理研等で研究しておりますことは御承知のとおりでございますが、実際プルトニウム濃縮は我が国で全く研究していないということ、あるいはこれは実際それをやったといたしましても極めて困難な技術でございまして、恐らく我が国が、これは全く私の私見ではございますけれども、プルトニウムを濃縮する、そういうテクノロジーを持っておるという意味では全くない。これからもちろん、これは比較的やはりプルトニウムの濃縮というのは軍事に近いところの技術でございますので、私どもとしましては、そういう技術につきまして取り組むつもりも全くないということを申し上げたいと存じます。
#107
○政府委員(笹谷勇君) 先生の御質問はプルトニウムで核分裂性のものに着目していわゆる保障措置、すなわち核兵器への転用、こういうことをやったらどうかというような……
#108
○翫正敏君 やったらどうかではない。
#109
○政府委員(笹谷勇君) 失礼しました。核転用の防止を行ったらどうかという御質問だと思います。
 先生おっしゃる計量管理等も可能かと思いますが、現在行われておりますのは、そういう核分裂性成分に着目した保障措置制度をとってございませんで、これの考え方は、プルトニウムそのものについて保障措置を適用した方が、核分裂生成物のウエートの高いもの低いものにかかわらず、計量管理した方がより保障措置上効果的に計量管理が行える、また保障措置上もそれが有効だという考え方でなされております。
#110
○翫正敏君 某国が、例えばある国がプルトニウムを持っている、それが核兵器を開発しているのじゃないかという疑いがあるとかないとか、そういうことを言いますよね。そういうときには何によってそれを言うか。そして、IAEAの査察をさせろとかいうようなこと、嫌だとかそういうようなことがあります。そういうのは何を調べるかといえば、結局国際機関がパーセントを調べるわけでしょう。パーセントを調べて、六〇%以下だということになればこれは商業用の発電用のものだということがわかる、九〇%に極めて近ければこれは核兵器転用の危険性がある物質だとわかる。
 そういう意味でIAEAというものの国際的な保障措置というのはあるわけだから、そういう観点からいって、今も政府委員の方もレーザー濃縮という方法によれば、そう言わなかったかな、パーセントを濃縮するということは科学技術的には可能なんです。科学技術的に不可能だということじゃないんです。それだったらある意味でほかの国へ行って調べに行くというようなことも、ほかの国が核兵器転用の物質を持っているのじゃないかということで不安がる必要もないくらいのものなんです。
 やっぱりそういう不安を持たれるということには、プルトニウムそのものが濃縮をして核兵器に転用することは物質的、科学的には可能なものであるという、そういう危険な物質だということがあるんだと思います。要するに、そういう危険な物質を日本が非核三原則という大原則、国是に基づいて安全に管理していくのだという、そういうふうに理解してよろしいか。決意だけ答弁していただければ結構です。
#111
○国務大臣(江田五月君) これはもう先日の国際原子力機関における私の演説でも申し上げましたし、それから機会あるごとに申し上げているわけですが、我が国としてはそういうプルトニウムの兵器転用ということは一切行わないし、行う意思もないし、行う技術も開発をしないし、むしろそういうことが行えないような法制度にし、そういうことが行えないような技術にして、安全にこれを使っていくということでございまして、この点については私ども全く気持ちが揺らぐというようなことはありません。
#112
○翫正敏君 今後のことですけれども、日本はこのプルトニウムにつきまして国産エネルギー確保の観点から増殖炉研究を進めてきた。しかし、プルトニウム余剰の点で今では海外から理解も難しいので、またフランスなどもプルトニウムは要らないという方向に進んでいるので、我が国としてもそういう方向に行きたい。来年四月には福井の「もんじゅ」、これの臨界の時期を迎えるわけであるが、そこではプルトニウムを増殖するというのが基本的になっています、この「もんじゅ」は。こういうことは今後は余り考えないと。むしろプルトニウムそのものを燃やしてそしてそれをなくしていく、増殖するんじゃなくてなくしていくと
いう方向を考えている、こういうふうに理解してよろしいですか、長官。
#113
○国務大臣(江田五月君) 原子力の開発利用については、委員御承知の原子力開発利用長期計画で大きな方向性というものが決まっていくわけでございまして、去年の秋から現行の長期計画というものの見直し、改定の作業に入っているところでございます。従来はこの原子力関係の者だけでこれをやっていたのですが、そうではなくてひとつ広い見地から改定、見直しをすべきではないかというので、今専門家以外の者も加えたチームをつくったりして改定作業をしているところですが、そうした中でいろいろな議論をしていくことになろうかと思います。
 ただ、最近のいろいろな人の発言などに関係して一言申し上げておきますと、核燃料サイクルという考え方で今の高速増殖炉原型炉「もんじゅ」をつくっているわけで、これはブランケット燃料を使いましてプルトニウム239をつくっていくという、したがって原子炉が動くことによって使ったプルトニウムよりももっとたくさんのプルトニウムができるという形でございます。
 その技術を利用すれば、プルトニウムを増殖するという方法ではなくて、プルトニウムを燃焼してなくしていくということもまた可能でございまして、これから先、旧ソ連の核兵器解体などによって出てくる大量のプルトニウムを一体どうするのかという国際的な問題も出てくる、あるいはTRUといったものもある。こうしたことに対処をしていくための技術的可能性として今の「もんじゅ」によって開発されていくFBRというものがいろいろな可能性を持っているということでございまして、そういう議論を今する人が少し出てきておるという、あるいは国際的にはそうした議論もまた一つの方向性として議論されているという、そういう状況でございます。
#114
○翫正敏君 最近の新聞の報道では、政府と表裏一体の関係にある動燃の理事長が、先ほど私が読みましたのは私が文章を書いたわけではなくて、新聞に載っている動燃の理事長の発言を少し読んだんですけれども、そういうふうな発言を理事長がしておられるということなんですが、これは単に動燃の理事長の個人的見解というのじゃなくて、表裏一体の関係にある日本政府の基本的かつ長期的な方向性というものがこういう形で方向づけられつつあるというふうに理解してよろしいですか。
#115
○国務大臣(江田五月君) この石渡動燃理事長の発言に関して、私、石渡理事長と協議などをした上でのものではございません。ございませんが、基本である「もんじゅ」の十分な活用と増殖の確認を行った上で、その上で国際的にも協調しつつ、柔軟に研究を行って高速増殖炉の多様な特質を最大限に引き出していくんだ、そういう趣旨で理事長はおっしゃったんだろうと思っております。新聞の報道とその辺多少ニュアンスの違いがあるかもしれませんが、いろんな可能性がありますよ、それをいろいろやっていきたいですよと、こういうことでございまして、その点は私ども同じ気持ちでおります。
#116
○翫正敏君 本当はあかつき丸のことについてもっと詳しく聞きたかったんですけれども、時間の関係などで一点だけごく簡単に申します。
 フランスの方からプルトニウムを再処理したのを日本の方へ持ってくるというときに、あかつき丸という船を使ったわけですけれども、これはイギリスの核燃料公社に輸送を委託して、そしていろいろ船の改造費を支払い、また輸送費を支払って、そしてさらにはコンテナとか新容器というものを日本の動燃が買って、そしてこれを日本にまで運んできたわけなんです。
 そのことはそのことといたしまして、もともとこの船はイギリスのパシフィック・ニュークリア・トランスポート社。というところが所有しております船で、パシフィック・クレーン号という四千八百トンの船でありまして、現在もこういう名前で、こういう船会社の船なんですけれども、日本にプルトニウムを運び込むというごく一時期に限って、この平成四年五月二十五日付に所有権の移転というものがなされて日本国籍の船になったわけです。日本国籍の船にしたということの意味は私なりに理解しているつもりなんですけれども、説明はきょうは時間の関係でいいですが、ただそのときに株式会社シーバードという会社が船を持つ、こういう形になったわけです。
 ところが、私が行って調べてみましたけれども、これは簡単に言うと会社としてはペーパーカンパニーでありまして、幽霊会社、実体のない会社であります。そういう会社が船を持つということは別に何ら違法ではない、法律には違反しないんだという説明を受けまして、そうなのかなとは思ってはいるんですが、しかしこれはたとえ法律では幽霊会社が船を持つ、一時的に所有してそれを運ぶということがあっていいとしましても、プルトニウムという極めて、先ほどから問題になっておりますような重要な物質なんです。
 こういうものを、再処理したものをこれからも日本に運んでくるということがあるとするならば、私はそういうことも一切やめた方がいいと思いますが、もし運んでくるとするならば、今後はこういうぺーパーカンパニーが所有するというような方法ではなくて、もっと国民が納得できるような船主というものをつくるべきだ。イギリスの船を使うのは構いませんけれども、日本国籍に移すのも構いませんが、その方法としては、前回の方法は極めて国民に不安を駆り立てるものだったというふうに思うんですが、今後のことについてということだけ長官からお願いいたします。
#117
○国務大臣(江田五月君) あかつき丸によるプルトニウムの輸送が去年の暮れからことしにかけて行われたときは私ども野党でございまして、何と秘密主義でやっているじゃないか、もうちょっとみんなにオープンでやったらどうだというような感じを持ったのは事実でございます。私自身もそういう感じを持ちました。しかし、今こういう立場で当時はこうだからこうだったんだということをいろいろ聞きましたら、それはなるほどそれなりにそうかなというような点もあったのだろうと思います。今のあかつき丸という船をシーバードという会社の籍の船にしてとかいうようなところも、どうもなかなかこそくなことだという感じもいたしましたが、今聞いてみますと、例えば原子力損害の賠償責任の関係のこととか、あるいは警備のこととか、警備をこうやったら主権がどうなるかとか、なかなか厄介な問題が国際的にもいろいろあってということのようでございます。
 それはそれで、いずれにしても今後ですが、一遍ああいうことをやってみましたら、なるほどここはこうできるとか、ここはここまでオープンにできるとか、いろんなことがまた見えてくるだろうと思うんです。そこで、これからやらない方がいいか、やらなきゃいけないか、これも一つの議論でございますが、私の立場としてもっと透明性の高いやり方が何かないか、これは知恵を絞ってみたいと思っているところでございます。
#118
○翫正敏君 ありがとうございました。
#119
○大久保直彦君 大臣の所信をお伺いいたしまして、二、三お尋ねをいたしたいと思います。
 先ほど来、同僚議員の質疑の中で大臣の政治家としての基本的スタンスにかかわる問題がやりとりされておりましたけれども、私も長官とは長いおつき合いでございますが、野党のリーダーとしまして、こういう例えがいいかどうかわかりませんけれども、今、日本シリーズが真っ盛りでございますので、野球に例えますと長官は外野手で言うならばレフト、左翼手というポジションではなかったのか、ややセンター寄りの左翼手だったと思いますけれども。それが最近の御発言やらきょうの質疑をいろいろ伺っておりますと、左翼手はもうやめましてセンターに所がえをされたのかな、このような認識を持ちますが、それもやや右翼寄りのセンターになられたかなと。長官の御感想はいかがでございますか。
#120
○国務大臣(江田五月君) 大久保委員とはいろんなところで一緒にいろいろなことをやってまいりましていろんな思い出がございますが、確かに当
時は大久保監督のもとでセンター寄りの左を守れということですからそういうところをやっておったかと思いますが、今政権というものを担うということになりまして、やはり国の将来のためにどういう役割を果たすかというのは多少違った役割になっているかということは感じます。
 それは率直にそう思いますが、しかしいずれにしても、例えば世界の平和を守っていくとか、環境とか人権とか生活とかあるいは今の日本の豊かな経済社会体制を間違いなく後世に引き継いでいかなきゃならぬとか、そういう点で私の基本的な物の考え方がぐらぐらしているということはない。これはぜひ御理解をいただきたいと思います。
#121
○大久保直彦君 今科学技術の振興が求められている方面、テーマは非常に多岐にわたっておると思いますが、長官もみずからセンター・オブ・エクセレンスに象徴されます人材の確保の問題でありますとか、または宇宙開発の問題、国際協力の問題、がん・エイズに対する問題、地震予知、火山噴火、さらには宇宙開発、有人潜水調査船「しんかい六五〇〇」の問題、原子力の平和利用、安全確保の問題等々非常に各方面をテーマに挙げ、また関心が寄せられておりますけれども、私は一日も長く長官に御在籍で頑張っていただきたいと思いますが、この任期中、江田科学技術庁長官として特にこのことだけはぜひやりたい、重点的に取り組みたい、そういうお考えがありましたらお伺いをさせていただきたいと思います。
#122
○国務大臣(江田五月君) 科学技術庁としては今こういう課題がありますよというのは役所でちゃんとペーパーを用意してくれましてここへ書いてあるんですが、これを読み上げてもどうも仕方がないと思うので、私の長官としての個人の思いを申し上げてみたいと思います。
 いつまでやっているかというのはよくわかりませんが、来年の二月一日にはHUロケットというのを打ち上げるわけで、そのくらいまではやりたいなと思っておるんですけれども、それどころではなくてもう少しやっているとするならば、私は今幾つか気になることがあります。
 一つは、若者の科学技術離れというのが大変なことにこれからなってくるのではないかと心配をいたします。今の私たちの経済にしても社会にしても大変に高い水準の科学技術の上に成り立っているわけですね。これをこのまま維持していく、そういう人材がこれから供給できるんであろうかとか、あるいはこういう社会というものは、だんだんみんなが科学技術に関心も何もなくなってきますと、科学技術が社会を勝手にどこかへ持っていってしまうというような心配も実はあるわけですね。こういう国会というものを中心にした社会の民主主義的な動かし方というものも、また多くの委員各位を初めとするような科学技術に十分な関心も持ち、素養も持っている人間がこの民主主義社会を動かしていかなかったら、本当にどこへすっ飛んでいくかわからないというようなこともあるわけでございます。
 私は今、子供たちに科学技術というものは本当に夢があるんだよ、科学技術と出会い、知らないことを発見する、これは心躍ることなんだよ、そういう気持ちを植えつけていきたい。教育の分野でもそれは必要だと思いますが、科学技術庁としてもそうしたことをぜひ先鞭をこの辺でつけていかなければ、今までのように、今までのようにというとちょっと言い過ぎですが、科学技術がひとり歩きをするというようなことになっては困るというのが一つ。
 二つ目はやはり原子力の問題でございまして、私も責任の一端を担っていたのかもしれませんが、これまでどうも敵対関係のようなやっつけ合いの議論になってしまっていたんじゃないか。しかし、お互い長い人類の歴史の中のほんの瞬間にこの狭い日本というところで一緒に暮らすわけですから、やはりこれは原子力という重い課題をみんなでいい方向へ向けていくためにかみ合う議論、そういう先鞭を私の在任中につけることができたら大変ありがたい。
 さらに、それは過去の歩みを振り返ってこれからこういう方向でということですが、今後の日本の課題でいいますと、やはり国際社会の中での日本の役割というのが非常に重要になってくる。科学技術は国際社会共通の財産である、いわば国際公共財ですから、そういう意味で科学技術というものの世界的な展開の中で日本が役割を果たす、そうした方向づけもぜひ行っていきたい。この三点ぐらいを考えております。
#123
○大久保直彦君 特に子供の問題については私は非常にすばらしい御見識だと思いますので、ぜひ長官御在任中に長官としての夢を行政の中で生かされていきますよう心から念願をいたします。ただお願いでございますが、質問よりも三倍ぐらい答弁をされますとどっちが質問をしているのかわからなくなりますので、ひとつ簡潔にお願いいたしたいと思います。
#124
○国務大臣(江田五月君) わかりました。
#125
○大久保直彦君 今の原子力の問題について若干お尋ねをいたします。
 過日、私どもも委員長を先頭に大洗の動燃、原研の視察に行ってまいりました。長官もおいでになったそうでございますが、そこで常陽、高速増殖炉実験炉を拝見いたしまして、そこで将来日本のエネルギーがいかにあるべきか、国際的にも二十一世紀の前半には人類は八十億を突破する、また今の電力エネルギーも約倍近いものが求められている。そういう状況の中で、我が国のいわゆる電力エネルギー、特にまた原子力発電について我々はどういう基本的な方針を貫かなければならないのか。非常に大きなテーマだと思います。
 合いみじくも長官もおっしゃったように、原子力そのものが何か敵対関係の中で議論されているのではなくて、イソップ物語のアリとキリギリスではありませんけれども、安全性の問題よりもむしろ経済性の問題で論議される原子炉の開発の問題、これは、今我々は一生懸命苦労しながら将来に向けて原子力エネルギーの開発に取り進むべきであるのか、それとも諸外国の例に倣って、将来的ないわゆる先行投資は見合わせて今の現状からほぼ平行線のような路線をとるべきなのか。この辺については、ライト寄りのセンターに今おられます長官としてはどんな基本的なお考えをお持ちでしょうか。
#126
○国務大臣(江田五月君) 答えが長くなって申しわけありませんでした。
 原子力が一体今どういう位置を占めておるかということはもうこれは委員御承知のとおり、しかも我が国は資源小国であってということも御承知のとおりのところでございます。やはり地球環境問題ということを考えますと、二酸化炭素をどんどん出すということを科学技術先進国が行っていいという時代はもう去っているんではないか、しかしもちろん原子力は原子力でまた別の危険があるから、そこは慎重にやっていかなきゃいけませんけれども。
 それから、世界の趨勢というのもこれも動いていくものなんですね。さらに、技術というもののリードタイムというのが非常に長いということも考えなきゃならぬ。現に高速増殖炉路線、核燃料サイクル路線というのは我が国の原子力開発利用の長期計画をつくった初めから文言として出てきているのに、常陽があってなおまだ高速増殖炉は「もんじゅ」、原型炉がやっとというあたりですから、私はこれは将来の世代に選択肢を広く残していくためにも我々は今着実に進めていかなきゃならぬ課題であろうと思っております。
#127
○大久保直彦君 これから電力需要がますます盛んになるという一方で、現在の日本の電力供給量というのはある意味ではほぼ一つの限界に来ているのではないかなと。
 外国の友人が日本に参りまして、日本の夜は昼間よりも明るい、こう言う。どういう立場でおっしゃったのかわかりませんけれども、確かに我々が地方へ行きましてホテルに泊まりますと、ホテルは薄暗いですね。しかし、確かに外国の友人が指摘するように日本の夜は昼間よりも明るくなっておる。こんなに明るくする必要があるのかと思
われるくらいかなり無制限に我々は電力を使っているのではないか。かつて石油ショックのときに省エネという考え方がありましたけれども、我々の電力に対する接し方というものはいかにあるべきかということは、私は科学技術の先進国としてある意味ではやはり国際社会の中で範を垂れなければならないのではないかと。
 長官がここでおっしゃっている「哲学のある科学技術政策」というのはどういう意味がよくわかりませんけれども、私はこれからの子供に対しても次の世代を担う人たちに対しても、日本で今電気がなくなってしまったならば全く我々の生活はパニック状態、一日も都会生活はもたないんじゃないかと思うんです。しかし、ある燃料を燃やしてそれを電力にして、その電力を使ってまたそれで暖房をとっているというようなことは、いかにもこれは利便に打ち過ぎた私たちのエネルギーの消耗の仕方ではないのだろうかということを考えますと、この辺についてもしかるべき論議があって当然ではないか、このように思いますが、この点はいかがなものでしょうか。
#128
○国務大臣(江田五月君) 同じような感じを持ちます。たしか気象衛星か何かで世界の夜を連続的に写したそういうポスターを私は見たことがあるんですけれども、これを見ますと、もちろん雲や何かで隠れないようにずっと連続してポスターをつくるわけですが、日本列島はくっきりと白く写っているんですね。あとこんなに国全体が白く写っているようなところは世界じゅうにどこもない。明るいところは、あとは石油が燃えているようなアラブの方の地帯とか幾つかありますけれども、これはやはり日本は考えなきゃならぬことだなとつくづくそのとき思いました。
 考えてみると、私どもこれまで豊かな経済をつくり、豊かな社会をつくろうというので科学技術をどんどん、いわば開発のための科学技術を進めてきたような気がするんですが、それが例えば環境問題を引き起こすとかいろんな問題を引き起こしてきているわけで、しかし、それじゃもとへ戻ればいいかというとそれもできないわけで、そうしますと、今後はそういう我々が抱えた新たな課題を解決していくような科学技術、あるいは開発というよりもむしろ生活のための科学技術、そうしたことが重要になってくる時代が来ているんではないかと思っております。
#129
○大久保直彦君 時間がありませんのではしょりますけれども、だからといって私は「もんじゅ」の、来年ですか、臨界を迎えることについて反対をしている者でもないし、非常にそれを歓迎して喜んでおる立場でありますことをあえてつけ加えておきたいと思います。
 関連して、今の国際協力の中で、クリントン政権が誕生しましてから宇宙開発の計画が一部見直しをされまして、A型のところで大体落ちつきそうであると。NASAの職員が約六〇%ですかカットになるというような非常に大転換でございますけれども、この宇宙計画、私は前々から、金があるからやるんだ、金がなくなったからやらないんだという代物ではないんではないかと。これからはいわゆる国際環境の問題を考えましても、この宇宙開発、特に宇宙ステーションの建設というのは非常に不可欠のテーマだと私は思っておりますが、これについて長官の御所見を伺いたいと思います。
#130
○国務大臣(江田五月君) 宇宙開発というのは、先ほど所信でも申し上げましたような新しい分野でございます。冷戦中は、やはり宇宙開発というのはどうしても軍事との結びつきが切っても切れなかったんだと思います。しかし、今冷戦が終わりました。宇宙が新しい可能性を持ってきたと思います。我が国は、冷戦時代は宇宙開発についてはまあ抑えて抑えて、余り行かないようにということでございましたが、もうそういう軍事という心配がなくなって、私はこれから日本も宇宙開発の分野で大きな役割を果たすことになるべきだと思っております。
 宇宙ステーションにつきましては、クリントン政権下でちょっとブレーキが踏まれた時期がございましたが、九月に見直しの結果がまとめられまして、最終的には従来の計画に近いものが採用されました。我が国あるいはヨーロッパあるいはカナダの意見などが反映されたものと思っております。これは、ロシアがこれからどうかかわってくるかというのが一つの課題でございますが、私は冷戦後という時代ですから、まあいろいろ技術的な問題、詰めをしなきゃならぬ問題がありますが、ロシアも含めて国際的なプロジェクトとしてみんなで一緒に汗をかく、その汗をかいていく中でまた国際的な信頼関係をつくり上げていくという、こういうことになればすばらしいと思っております。
#131
○大久保直彦君 今度女性飛行士が誕生すると言われている向井千秋さん、たしか候補者になりましたときに、私の将来の夢は宇宙ステーションでレストランを経営することだということを私はお伺いしまして、世の中にはすごい女性がいるものだなと大変感動したことを覚えております。ぜひ我が国も引き続きこの宇宙開発、特に宇宙ステーションの建設には力を注いでいきますことを要望いたしておきたいと思います。
 関連して、この一両日に中国の人工衛星が墜落するというニュースが流れておりますけれども、何かニュースが入りましたでしょうか。
#132
○国務大臣(江田五月君) 中国のこれは回収型衛星なんですが、どうも制御不能になって軌道を外れた、落ちてくるのではないかということでございます。いろいろ途中経過はございますが、それを全部省きまして結論で言いますと、最終的に衛星は二十九日、本日午前一時一分東部太平洋北緯二十二度西経百十六度で大気圏に再突入をし、そこからさらにずっと落ちていってペルー沖に落下をしたということでございます。ほっといたしました。
#133
○大久保直彦君 私もほっとしましたけれども、ただ中国の宇宙総公司の発表によりますとまだ七カ月程度は落ちてこないと、こういうことが報道されておりましたが、この辺の確認ですね、後ほどロシアの海洋投棄の問題を伺いますが、この辺のいわゆる外交的な確認の問題は科学技術庁としてはどういうふうにとらえておられますか。
#134
○国務大臣(江田五月君) これは外交ルートを通じてということでございますが、在北京の日本大使館からも、あるいは外務省から在東京中国大使館にもいろいろ照会をいたしましたし、また、このことのためにというのではありませんが、私は徐敦信大使とお会いをした機会に、必ずひとつきっちりした情報を我が方にも教えてほしいということを申し上げました。
 その結果、中国の方から外交ルートを通じて中国の見方というものが伝えられておるんですが、それがただいま委員お話しのようなことでございまして、落ちたというのはこれはアメリカのNORADですか、が言っていることですから、落ちたという方が正しいんだろう、中国から後ほど訂正のお話が来るんではないかと思っております。
#135
○大久保直彦君 これはどういう意図で七カ月間まだ飛んでいると発表されたのかよくわかりませんけれども、これはいい悪いにかかわらず、やっぱり正確な情報をきちっととらなくてはまずいんじゃないかなと思う。ペルー沖で幸いだったと思いますけれども、この辺に落っこってきたらこれはえらいことになりますので、ぜひ今後ともこの宇宙関係の情報につきましては、いいこと悪いこと押しなべて、やはりきちっとした現状の認識だけは正確に把握するということを励行していただきたいと思います。
 最後に、時間もなくなりまして、海洋投棄の問題ですけれども、お隣にいる穐山理事の計算によりますと、今回十六日に投棄された量としてはJRの十トン車で約九十台分である、大変なものがどかんとそのまま海の中へほうり込まれてきているということで、そのこともさることながら、春の白書を拝見しますと、何か古くなった原子炉がそのまま海の中にほうり込まれていたり、何がほうり込まれているんだかわからぬというふうなことが明らかになってまいりまして、IAEAに五
日ですか、ロシアから通報があり、それから約十日以上全くわからなかったということもけしからぬことではあると思います。
 しかし、これは事前にわかっていたからいいとかなんとかという問題ではないと思うんです。むしろロンドン条約の加盟国の間では、当面自粛というようなことで今日に来ているようでございますけれども、自粛ということではなくて、やっぱり海洋投棄は全面的に廃止するというふうなところに、やはり海洋国である日本がリーダーシップをもってそのことを推進していかなければならないときに今来ているのではないか。
 長官に先ほどミハイロフさんとのやりとりのお話がありましたけれども、これももう捨てるところはなくて満杯になっているんだと、しかし捨てませんよ、日本海には捨てませんと。考えてみると随分変な話で、それじゃオホーツクなり、カムチャツカ半島のあの近辺に投棄されても、日本としては海流の関係で非常に大きな影響を受けざるを得ない。そういうことを考えますと、やはり海洋投棄の全面廃止というところにリーダーシップをとられるべきではないのかということを思いますが、今後のロシアの海洋投棄の問題についての科学技術庁並びに長官のお考えと、今私が提案した日本がリーダーシップをとってこの地球環境を守る、こういうことについての御答弁を伺って、私の質問を終わりたいと思います。
#136
○国務大臣(江田五月君) ロシアの海洋投棄は本当に私ども遺憾に思ったものでございます。ミハイロフ大臣とのいろんなやりとりもありました。
 お話しのロンドン条約の締約国会議という場で日本がどういう態度をとるかということですが、これまで八三年のモラトリアム決議には反対、八五年のモラトリアム決議には棄権という態度だったわけです。科学技術庁の専ら科学技術的な考え方からすると、それもあながちまるっきりでたらめな政策選択とも言えない点はあるんですけれども、しかし海というものの性格、これは私の感じ方かもしれませんが、やっぱりすべての生物がなかったときに海から生物が生まれてきたという、そういう海というものを大切にしていかなきゃいかぬなという気持ちを非常に強く感じます。
 科学技術だけで世の中成り立っているんじゃないから、そういう人の気持ちというものも大切にしながら、万々が一にも危ないものに海をしちゃいけないという気持ちで、今度の締約国会議では、日本はそういう決議が出てまいりましたときには反対とか棄権とかではなくて禁止に賛成をしていくという、そういう方向性をもって今関係機関の調整をやっているところでございます。そうなりますと、これは政策の変更ということになると思います。
#137
○星川保松君 私も日本海の魚を食べております山形県の一人として、また、先日私どもの山形県漁協の方もこのロシアの放射性廃棄物の投棄について大変心配をしてきておりますので、このことについてちょっとだけ触れておかなければいけない、こう思っております。
 先ほどからいろいろ御議論があるわけでありますが、いわゆる薄いから、弱いから大丈夫だというようなことに今のところはなっておるようでありますけれども、これは長官も先ほどからお話しのように、海の中ではいわゆる生物の有機的な生命作用があるわけでありまして、言うなればプランクトンに放射性の物質がたまってそれを小魚が食べる、それだけでも何十倍、何百倍というふうに濃縮されるというふうに言われるわけでございます。それをさらに大きな魚が食べる、ずっとそういう食物連鎖の中で濃縮されていって、最後は大変濃度の高いものになって、それが人間が食べる魚になるというような作用が行われておるわけでありますから、薄いからといって安心しているわけにはまいりませんで、将来にわたって大変な危険を生ずるおそれがあるわけでございます。
 それで、捨てるなということで私たちはソ連に一生懸命警告をしておるわけでありますけれども、ソ連はまたどうも困った状況にあるようでありまして、もう処理に困ってどうにもならないというような状況にあるようでございます。こうなりますと、やはり隣で処理に困っているということになれば、もう仕方がありませんから、その処理の方法、うまいことひとつこっちの方でも考えてあげて、こういう機械を貸すからこれを使ってまず容量を小さくして、向こうは大変大きな国土を持っておるわけでありますから、シベリアのどこか一角でも、将来こういう廃棄物を処理するうまい方法を編み出すまでそこに保存をしておきなさいというような知恵をやはり提供していく以外にはないんじゃないか。そうするには、やはり科学技術庁あたりがその処理のうまい方法をやはり一生懸命編み出して知恵をかすということをしなくちゃいけないんじゃないか、こう思いますが、そのことについて一言お願いいたします。
#138
○国務大臣(江田五月君) これはもうおっしゃるとおりでございます。一義的にはロシアの責任ということなんですけれども、おまえのところの責任だと言ったってできないものはしょうがないと。しょうがないと言ってそれでほっておくのか、こういうことですけれども、やっぱり心配になる、被害を受けるおそれがある。それは当方でございますので、こちらでできることはしなきゃならぬ。そこで、今委員がおっしゃるように、暫定的な貯蔵設備の整備とかあるいは陸上における処理設備、可搬性処理設備といったものもあるようですので、そういうものの提供とかいろんなことをこれから考えていく。
 いずれにしても、その前に、一体どういうことになっているのか、何がどういうふうにあるのか、こんなことをしっかり把握をしなきゃいけないわけですから、そうした事実の確認をまず行う。そういう方向で今、おととい、きのうと専門家の会合も行われた、きょう、あすと現地の視察もやる、十一月にはまた作業部会という会議もやる、こういうことで進めていくことになっております。
#139
○星川保松君 そこで、長官のこの所信表明をずっと読ませていただきました。大変科学技術の将来についての格調高い所信であるというふうに承ったわけでございますけれども、格調高く、それは結構でありますが、余り格調ばかり高過ぎて現実ということを忘れては困る、こう思ったわけでございます。
 それで、私は日本の中でもいわゆる大変な豪雪地帯に生活をしておるわけでありまして、多いときは積雪二メートルぐらい家の周りに降る、山手へ行けば四メートル、五メートルという雪が降るわけでありますが、そういう中で生活をしておりますけれども、この雪国の我々の生活、これは半分以上あるんですね。日本では五二%が積雪地帯になっておるわけであります。科学技術が進歩したから雪国の人々の生活が楽になったというふうに思われがちでありますけれども、決してそうばかりは言えないのでございます。
 その一例を申し上げますと、いわゆる雪国の冬の交通手段としては、昔は雪の上をいわゆるそりで交通をしておった。といいますのは、雪というのは非常に滑るわけなんですね。その滑りを利用して荷物を運搬し、スキーを履いたり何かして通行をしておったわけですよ。これは非常に能率がいいんですね。米は十俵ぐらいそりに積んで悠々引いて歩けますよ、そのかわりこっちは滑らないようにわらじか何か履かなきゃいけませんけれども。そのぐらいに滑りを利用しますと非常な能率のいい運搬や交通ができるんですね。
 ところが、その滑りに最も弱い交通手段、これは車なんで、車輪なんですよ。これは滑りにとっては全く弱いんですね。その弱いものが入ってきたんですよね。その結果、いわゆる雪国ではどんな雪でも全部除雪しなければならないということになったんですよ。ですから、常にどんな雪が降ろうとも吹雪になろうとも完全に地べたを出しておかなければならないということになったんです。このいわゆる除雪の経費から労力やら人の難儀といいますか、これはもう大変なことになったわけなんですよ。
 そういうふうに、例えばそれが道路の場合は国
道とか県道とか市町村道とかということで、それは公共事業としてやってくれるからいいようなものの、今度は我々の家の屋根の雪ですね。これは今までは、昔は道路の上に全部おろして、ただ交通の邪魔にならないように平らにならしておけばよかったんですよ。その上をそり引くなりなにして通ったものですから。
 今度は道路の上に雪を捨てるなど、こういうことになってきたんですね。そのために今度は道路に面して便利だと思っている家の屋根の雪は一たんおろす。おろしてもいつまでも置けないんですよ。もう次々とこれを運んでどこかへ捨てなければならないということになったんですね。それで、我々としては何とか屋根の上の排雪のいい方法はないかと思っていろいろ考えているわけなんです。
 ところが、そういういい方法をとこか、私の方も新庄に雪氷防災研究の支所がありますけれども、そういうところでも少しは研究なさっておるようですけれども、一般の我々が使えるような技術はどこからも出てこないですね。今なお出てきておりません。そういうことで、実は私もいろいろやってみました。全部失敗しました。
 一番最初は井戸を掘りました。地下水を上げて、それで屋根の上にパイプに穴をあけて、さあ雪が降ってきたと。そのときにスイッチを入れまして水をじゃあっと出したんですよ。そうしましたら、トタン屋根というのはこういうふうに接いであるわけですね。接いであるところというのは、ぴしっと閉めると中が汗かいてだめなんですよ。だから余裕をつけてあるんです。ですから、上から傾斜で流れる分にはいいんですけれども、今度は雪がとまるわけなんですね。雪でとめられますと、そこに水がたまるんですよ。そうするとそこのところから逆流してきまして、柱という柱からだあっと水が流れてきたんですよ。これはだめだということで、何十万をかけたそれを全部取っ払いました。
 それから今度はまた考えました。それは、なるべく屋根の傾斜を強くしまして、そして降っただけすいすいと落ちるようにしようと思ったんです。ただ、下が道路ですから、道路を通行中の人に目がけてこれが走っていきました。これはもう災害そのものですからね。ですから、屋根の下に全部押さえをつけたんですよ。これも何十万かかったんです。ですから、走ってきたのがとんと当たって、そして穏やかに下に落ちる、そして下に側溝があるわけですから、そこに全部落ちるという理屈でやった。
 ところが、そういうふうにいかないんですね。といいますのは、そういうふうにいくときもあるんです。ところが、春の雪と寒中の雲と、それからまた秋の雪と全部違うんですね。雪の形状が大体これ違うんですよ。それによって滑ってくるのと滑ってこないのとあるんですね。そして、たまってその支えを越えて飛んでいくんですよ。これは危ないということで、これ全部また取っ払いました。
 それから今度は、家のそばに全部雪をためておくわけです。そして、家の周りにパイプを通して、それからじゃあっとその地下水で解かそう、こういうことでやったんですよ。そうしましたら、隣との間に雪がいっぱいたまるわけです。そうしましたら、雪の圧力というのはすごいんですよ。解けていくまでにいろんな変化をするんですわ。そのパイプがばらばらになりました。これは大変なんです。解けて固まっていくときに物すごい力を発揮しまして、これはらばらに壊されました。これで何十万だめにしました。
 もういろいろやって、結局はだめだということで、やはりもとに返って、今は雪おろしの人夫さんを頼んでやっています。今、人夫さん一人頼みますと、夕方になると一杯つけて結局一万ぐらいかかるんです。それで、私は一回に四人頼むんですけれども、運ぶのに二人前かかりますから、機械頼みますから、トラックとで六人分かかる。一日六万かかります。それが二日かかります。十二万かかります。これを多いときは四回やらなくちゃいけないんですよ。
 だから、そういう雪国の中で難儀をして暮らしているところから見ますと、科学技術の進歩したときですから科学技術庁あたりで何とかうまいこと考えて助けてくれないかな、何かそういうことが書いてないんだろうかと、こう思いながら読んだんですが、大変格調が高いばかりで、どうも地上のことがさっぱりにおいも出てこないような感じがいたしましたので、地上のことについてひとつお願いいたします。
#140
○国務大臣(江田五月君) お話を伺わせていただきながら思い出したんですが、私は岡山ですので、もう雪なんか降るとうれしいばかりで、本当に雪国の皆さんの苦労がよくわかっていないと思うんです。それでもこれはもう参議院のおかげでございますが、私も参議院議員であったことがありまして、その当時にたしか地方行政委員会だったと思うんですが、委員派遣でまさにもう雪の真っただ中の山形、秋田を視察させていただいたことがございます。いろいろと各地を回って話を聞いて、確かに雪国というのは、雪の降る間は経済活動がとまり、とまるだけじゃなくて今度除雪に金がかかり、まあ随分雪の降らないところと格差があるなということを痛感させられたわけでございます。
 そのときに私も、雪というのはやっぱり一つのエネルギーだから、このエネルギーを利用して何かできやせぬかなと。科学技術庁長官になったらとそのとき思ったわけじゃありませんけれども、何かないだろうかと思ったんです。しかし、今に至るまでまだ雪のエネルギーを利用して何かをやるということができてきていないようなことでございます。それでも近年の都市化による生活様式の変化とか、交通網の発達とか、高齢化の進展などに伴い、雪害への対応を何かしなきゃいかぬというので、科学技術庁として防災科学技術研究所の、お話の新庄雪氷防災研究支所、あるいは長岡にも同様のものがあるようですが、こういうところを中心にして、雪害に関し基礎から応用、開発まで幅広い研究を実施しているところでございます。
 科学技術振興調整費というものがございまして、これでもいろいろ研究しているんですが、資料を見てまいりますと、平成五年度に克雪・利雪技術融合化による生活空間の快適化技術に関する調査というものがあるんですね。これはどういうものであるのか後でよく聞いてみたいと思うんですが、克雪とか利雪とか、こういう考え方というのは、なかなかこれからの進むべき方向のヒントになるのかなと思ったりしているところでございます。
#141
○市川正一君 長官とは参議院当時からの長いいろいろのおつき合いがございましたので、私はこの機会に率直にお伺いいたしたいと思います。
 午前中、志村理事の質問にも答えられて、長官は自己の信念を貫くことの重要性などを述べられました。ところで、これは十月十六日付の読売新聞の報道でありますが、民社党の米沢書記長が講演の中で細川政権発足時の内幕を披露したというのでありますが、それによりますと米沢書記長は、「江田五月科技庁長官については、「もともと入れるつもりはなかったが、殿の方から」」、原文のとおりであります、 「何とか、と言うので日本新党の枠でポストに入れることにした」と披露している。さらに、「エネルギー政策についてあの人はいい加減なことを言ってきたので、」、これも原文のとおりですよ、「夜中の二時、『今まで言ってきたことを言い続けるならこのポストをやれない』と言ったら、(江田氏が)OKと言うのに二秒もかからなかった」と、こういう講演をしているんです。これは事実でありますか。
   〔委員長退席、理事大久保直彦君着席〕
また、事実とすると、あなたの政治理念とどういうかかわり合いを持つんですか、伺いたい。
#142
○国務大臣(江田五月君) もともと入れるつもりがあったとかなかったかとか、あるいは殿がどうとかいうのが事実であるかどうかは、これは私は知りません。組閣のいきさつというのは、それは
いろんなことがあっただろうと思いますけれども、それぞれが断片的に自分の知っていることを知っているというだけの話ではないかと思っております。
 ただ私は、ここは事実と違うというところを申し上げておきたいのは、私自身は米沢書記長から電話をいただいたというようなことは、まあ考えてみて、おっしゃる件も含めて今まで一度もないんではないかと思いますが、少なくとも今そこで御指摘になられたような電話をいただいたことは全くございません。
#143
○市川正一君 私は、事実関係をここでせんさくするつもりはないんです。また、まさしく連立与党内部の問題ですから、それに介入する意図は毛頭ありません。ただ、いろいろ午前中からの議論やまた長官御自身の見解を承って、私は、問題はあなただけの問題じゃなしに、またエネルギー政策だけのことじゃなしに、そういう論理というのは、結局ジキルとハイドの論理だと私は言わざるを得ぬのです。
 例えば、AWACSの導入について、党としては反対だが閣僚としては導入を含めた予算案に賛成するというようなことがもしあるとするならば、それは私は国民に対して誠実でない。やっぱりそれは国民への欺瞞だと言わざるを得ぬと思うんです。先ほど来の人形峠をめぐる問題やら、あるいはまた例のプルトニウムの輸送問題などをめぐって、一時はそう思っていたとかあるいは今にして思えばとかいうことを、過ちを改むるにはばかることなかれということでもって次から次へ行くと、それこそライト寄りのセンターじゃなしにライトへ行ってしまうことにならぬとも言えぬじゃないかということを、私、まず二人の仲だから率直に指摘させてもらって、主題である海洋投棄の問題に入らせていただきたいと思うのであります。
 我が国の国民は、もう言うまでもありませんが、海洋に貴重なたんぱく源を依存している。それだけに、今国のロシアによる核廃棄物の日本海への不当な投棄は、国民の健康や命にかかわる問題として重要なものであるということは一致した認識だと思うんです。
 そこで伺いたいのは、八月三十日に、これまでの海洋投棄については調査を前提に影響なしという安全宣言を放射能対策本部幹事会で出しておられる。しかし、そのことと今月十六日に行われた日本海への海洋投棄について、長官はどういう認識、見解をお持ちなのか。また、その根拠は何なのかを簡潔にお答えいただきたい。
#144
○国務大臣(江田五月君) 市川委員とは本当に長いおつき合いでございまして、もうお人柄がよくわかっていますから、何を言われてもそれほど腹も立たずに、ああそういう御指摘はありがたいと思って聞いておるんですけれども、それはそれとして、海洋投棄の問題について申し上げますと、五九年から九二年までですか、長い間ロシアが海洋投棄をやっていた、その影響はどうだろうというので、これは実は現に海洋投棄をされたその海域へ行って調べるというようなことはやっぱり不可欠なことだと思うんですね。
 そこで、ロシアと共同で調査をしなければなかなかそれができない、しかしそれがすぐにできるという体制になかなかならない。そこで、日本独自にということで、この白書をいただいて、この放射能対策本部の幹事会の決定に基づいて調査をしたわけでございます、水産庁とか海上保安庁とか気象庁とかと合同で。その調査の結果を、中間報告を一度し、そして八月の終わりでしたか、この幹事会で結論を決めて、それを国民の皆さんに発表させていただいた。
 その結果が、直ちに国民の健康に影響があるというものには至っていないという、そういう文言。正確には、「現在までの調査によれば、本件海洋投棄により我が国国民の健康に対して影響が及んでいるものではない」という判断になったということなんですが、ただ先ほども言いましたとおり、我が国独自でできる調査だけに基づいているものですから、さらに一層調査をしなきゃならぬというので共同調査を今進めている、調査といいますか調査の取り組みを進めているということなんですね。
 そこで、そういう事実が一つあって、さらに今回海洋投棄があったと。これまでの投棄というのは量としてざっと一万キュリーとかというようなもので、今回は……
#145
○市川正一君 二万と聞いておるんやけれども、どうでしょう。
#146
○国務大臣(江田五月君) 一万九千キュリー。
#147
○市川正一君 それはまあ二万や。
#148
○国務大臣(江田五月君) 済みません。ということで、今回は九百立米、一・〇八キュリーということだったんですが、ロシアのその後の説明によると、いやそれは間違っておって〇・三八キュリーだということですから、そういうロシアの説明を正しいものと仮定をし、これまでのこの調査の、その調査も必ずしも十分とは言えないかもしれませんが、その調査をもとに常識的に推論をしてみると、今回のもので直ちにまだ国民の健康に影響が出てくるということはないであろうと、こういう感じは持っていることは事実です。しかし、これはやってみなきゃわからぬことですから、そういう予断を持たずに、今我が国独自の調査もしておりますし、また共同の調査もきっちりやるということでございます。
   〔理事大久保直彦君退席、委員長着席〕
 それともう一つは、やはり先ほどもお話しのとおりのことはございますから、これだけで、だからいいという話にはならない。
#149
○市川正一君 そうなんですね。ラウンドナンバーで従来は約二万キュリー、一万九千キュリーですか、今回は一キュリーそこそこだ、だから安全だという、もしそういうロジックで安全宣言を出されるということならば、これは極めて問題であり、非科学的だとあえて私は言いたいんです。
 しかも、この調査というものは三カ月という短い期間の調査でして、調査地点も限られております。肝心の投棄場所からはるかに離れたところでやられているわけですね。ですから、必要にして十分な適切な調査とは言えないわけです。とすれば、私は、核廃棄物が直接投棄された海域の調査をどうするのか、やっぱり速やかに調査を行うべきだと思うんですが、この点どういう御見解ですか。
#150
○国務大臣(江田五月君) これは速やかに調査を行うべきものと思いますし、委員御指摘のとおりのようなロジックで安全宣言を出すようなつもりも毛頭ないのでございます。
#151
○市川正一君 出ちゃっているんだよ。
#152
○国務大臣(江田五月君) いやいや、今回のことについてですよ。速やかに調査をするために今、日ロで作業が進んでいるということでございます。
#153
○市川正一君 確かにこの安全宣言は八月三十日の対策本部幹事会です。しかし、長官御自身が二十五日にロシアのミハイロフ原子力相と会談なさいました。そのときの報道が伝えられておりますけれども、新潟県の柏崎刈羽原発の年間放出量より少ないというふうに相手が言いよりました。あなたは確かに反論しています。しかし、常識的に見て影響は恐らくないだろうが国民は神経質になっている、きっちり調査して国民に影響がないことを伝えたいというふうにおっしゃっているんですね。私は、この態度というのは非常にあいまいだと思うんです。
 実際に報道機関も、例えばこれは朝日新聞ですが、「迫力欠ける対日抗議」という報道もなされております。したがって、私は、やっぱり調査もしないうちから影響がないということを国民に伝えたいというふうな言い方でなしに、もっと毅然とした態度を江田さんとるべきだと思うんですが、長官の存念のほどを伺いたい。
#154
○国務大臣(江田五月君) 一部の報道で委員がおっしゃるようなことが出ていることは私も承知をしております。しかし、これは事実とは異なりますので説明をさせておいていただきたいんですが、ミハイロフ大臣はモスクワでもあるいは日本
に来てすぐもでしたかね、とにかく一キュリーだから大丈夫なんだと、日本の方はどうだというようなことをしきりに言われたわけですね。
 私は、それは困ると。困るというのは、日本国民というのはそういうあなたのような説明でそれで納得するような国民じゃないですよ、広島、長崎の経験もあるしということで、日本に来てそういういろんなことを言ってもらっても、それは日ロ関係の前進にとっていい日ロ関係をつくっていくことには何のプラスにもならない、むしろマイナスになる。私どもはちゃんと調査をしようとしているんで、日ロの共同調査をやって、その結果をはっきりと国民の皆さんにお知らせをしたい、そのときにそれが大丈夫というなら大丈夫で、危ない、というなら危ないでと。そういうミハイロフ長官のようなことを言ってもらっては困るということをここで申し上げたのであって、恐らく影響はないだろうとか、国民にそう言いたいとか、そんなことを私は言ったことはありません。
 むしろ明確にこの点は遺憾であることを抗議をし、さらにその報道によりますと、放射性物質の種類などの公表すら要求できずというようなことも解説で書いてあるようですが、それも事実と違って、私どもは明確に物質の種類とか性状、そういうことを明らかにするように求めましたし、またできるならばモニターもさせてほしいとかサンプルもくれとか、そういうことまで申し上げたわけでございます。
#155
○市川正一君 としますと、今旧ソ連、ロシアの核廃棄物の海洋投棄に関する報告書、通称ヤブロコフ報告というのがございます。それによりますと、投棄された廃棄物の放射能について「ストロンチウム90の等価量」という記載にとどまっているんですね。伺いたいのは、こういう放射性核種の内訳もない、こういう報告の仕方は適切と思われるのか。また、政府としてはこれで十分な対策がとれるんですかどうですか。
#156
○国務大臣(江田五月君) そのようなもので適切な情報であるというふうには思っておりません。
 そこで、今回の投棄については、これは昨日、昨々日、モスクワで専門家の会合をやりまして、そこでロシア側から明らかにされたものによると、今回の液体廃棄物に含まれている核種はすべてベータ、ガンマ核種であって、セシウム137が〇・二九キュリー、セシウム134が〇・〇〇二キュリー、ストロンチウム90が〇・〇八キュリー、コバルト60が〇・〇〇二キュリー、そういうことが明らかにされてまいりました。しかし、我が方は、これは数字だけを示しておられるのでさらに分析資料の提供も求めました、先方の方からはガンマスペクトロチャートなどの資料を今後提供するというような約束もいただきましたというような折衝をやっております。
#157
○市川正一君 その一部が明るみに出てきたわけでありますが、私はやっぱり、今のデータも含めて放射性核種の内訳とそれぞれの量がわかってこそ影響評価が可能になりますし、また対策も可能になってきます。ですから、引き続きロシア政府に対して詳細、具体的にはこれまで投棄した放射能廃棄物の種類、濃度、量、そういう詳細なデータを必ず出させる。同時に、さっき長官もおっしゃいましたが、投棄された海域に対する直接の調査、こういうことも共同で行うとか、そういうところへこの問題を詰めるべきであると思いますが、いかがでしょうか。
#158
○国務大臣(江田五月君) そのように思います。
#159
○市川正一君 ロシア政府はそういう態度に対して逆に勝手なことをぬかしておるわけですね、例えば援助をよこせとかなんとかという。だから、そこは毅然と頑張ってほしい。
 それで、ロシア政府は日本海への二回目の投棄は中止するということを言っていますけれども、海洋投棄それ自体をやめるとは約束をしておらぬのですね。こういうロシアの残念ながら事態というのは、あの核軍拡競争のもとで処理処分について考慮することもなしに原子力潜水艦や核兵器を大量生産してきたその姿勢の結果が、矛盾が、破綻が露出してきたものであるというふうに私は思います。
 そこで、最後にお聞きしたいのは、国民の命と健康にかかわるこの問題について、政府は、放射性廃棄物の海洋投棄を即時全面禁止するということ一及び今回の問題について言えば、短期間のスポット的な調査ではなしに長期的な常時監視体制をつくること、また効果的な観測地点の設定など徹底的な海洋環境放射能調査を実施すべきである、こう思うんですが、こういう提起に対して長官の決意のほどを承って質問を終わりたいと思います。
#160
○国務大臣(江田五月君) 我が国としては、この放射性廃棄物の海洋投棄を今後とも行う意思はありません。国際的にはロンドン条約締約国会議においてということでございまして、これまで申し上げたようなことでございます。
 そしてその次のことですが、長期的かつ効率的な監視を続ける必要、これはあると思います。このために、日本周辺の海域を網羅した放射能調査定点を設定するとともに、従来の調査海域を広げた日本海周辺海域の広域的な海洋放射能調査の実施及び海産生物調査の実施等について計画をしておりまして、平成六年度の予算では、例えば日本周辺海域の放射能監視体制の充実として一億百万円、あるいは海産生物調査等の充実について五千九百万円、広域海洋調査の実施、これは日本海だけでなくてオホーツク海、カムチャツカ沖等すべてを含むということでございますが、これで一億二千四百万円、その他関連ということで全部で三億六百万円の概算要求をしているところでございまして、ぜひ委員も御支援を賜りたいと思います。
#161
○市川正一君 終わります。
#162
○永野茂門君 まずもって、大臣が哲学のある科学技術政策を構想し、そして強力に推進していく御努力をなさっていることに敬意を表しますとともに、中長期的にその成果に期待したいと思います。
 質問は二つございます。
 その第一は、我が国のプルトニウム利用技術の確立は我が国のエネルギー政策上極めて重要なものであります。ところが、恐らくこれは特殊な平和グループの声が多いと思いますけれども、海外から我が国が兵器開発へ移行していくんではないかということが何度か疑惑を投げかけられております。平和利用に徹し、そして適切な管理をやっている我が国の状況を透明化して外に示すことは極めて重要なことでありまして、それによって国際的また国内的な世論に支えられてスムーズな技術の確立が可能になると思います。国際的にも先ほどからいろいろとお話がありましたプルトニウム及び高濃縮ウランの国際管理の制度について検討が始められ、そしてまた、我が国においてもプルトニウムの国際管理検討委員会が具体的提案を検討しておると聞いております。
 そこで、これらを含みまして、この海外からの疑惑を解消するためにどういうようなお考えでどういうことをなさろうとしているかということをまずお伺いしたいと思います。
#163
○国務大臣(江田五月君) プルトニウム利用技術の確立のエネルギー政策上の位置づけ、これは触れません。プルトニウムというものの兵器転用について、あるいはプルトニウムを利用した兵器開発について日本がいろいろ疑惑を持たれていて、それについて一体どうかというところに限っての御質問だと思いますので、これをお答えいたします。
 確かに、今北朝鮮の核開発疑惑というものがいろいろ言われているとか、日本の国際社会の中で置かれている位置からすると、例えばヨーロッパなどの普通の物の見方で言えば、日本にこういう技術があります、ここでこういう核開発の疑惑があります、それならば日本もオプションとして核兵器開発をするのは当たり前です、そうするんじゃないですかというふうに見られるという、そういう事態はあるだろうと思うんですね。
 しかし、これは先ほども言いましたとおり、それは全く日本としてはそういう意図は毛頭ない
し、技術的にもそういうような技術開発はやらないということでございますので、そこのところの世界じゅうの誤解を解いていかなきゃいけない、あるいはそこのところを世界に正確に認識をしていただかなきゃならぬ。その上で日本の科学技術の発展、プルトニウムのこれからの展開、そういうものについて世界の理解や協力をいただかなきゃならぬ。これはこれから日本がとるべき非常に重要な政策だと思っております。
 もとより日本は昭和三十年の原子力基本法制定以来、原子力の利用というものは平和目的に限るという、しかも国際協力でやっていくという、こういう立場を確立しているわけで、しかも従来から非核三原則、これも国是として堅持をしてきたところでございます。これをこれからも大切にしていくと同時に、国際的に核兵器の不拡散に関する条約、いわゆるNPT、これを批准し、また国際原子力機関、IAEAの厳格な保障措置、これは相当日本にとっても負担ではあるんですけれども、しかしこれを全面的に受け入れをする、こういう非核兵器国としての責務を忠実に果たしているわけでございます。
 今後とも原子力基本法及びNPTの精神にのっとり、またNPTについては、つい先日、無期限延長ということを支持する。同時に、それはもちろん現在の核兵器国が核兵器をそのまま保有していくことを認めるということではないですよ、核軍縮に努力しなきゃいけないんですよということもあわせ言明をする。そういう態度をはっきりさせて、世界の核不拡散体制の維持強化に貢献をしていくとともに、我が国の原子力開発利用については厳に平和目的に限って推進をしていく、この態度を堅持していきたいと思います。
 また、我が国のプルトニウム利用の平和目的ということ、これは私自身も先日のIAEAの通常総会で政府代表として申し上げました。その際には、我が国は唯一の被爆国であるから、だからこの点は本当に真剣に思っているんだ、こういうことも強調させていただいたところでございまして、そういうあらゆる機会をとらえて国際理解を図ってまいりたい。
 さらに、単に言葉だけではなくて、プルトニウム利用の透明性をより高める、そのためにプルトニウム国際管理体制というものをつくっていくために我が国が役割を発揮していきたいということで、国際的な検討を重ねるということも申し上げたところでございます。
 まだ政府として中間取りまとめという段階で、これから各省庁にもたたいていただいて、あるいは外国の意見もいろいろ伺って、日本の提案というものをつくっていきたい。こんなことを考えておりまして、委員おっしゃる点は厳にこれから守ってまいりたいと思っております。
#164
○永野茂門君 第二の質問はロシア社会の安全意識に関することでありますけれども、チェルノブイリを初めとして原発の事故がいろいろと続いて起こっておりますし、本日も放射性物質の海中投棄について同僚の方々がいろいろ御質問になりました。また、テレビ等で拝見するところによりますと、原爆の試験場、核兵器の開発試験場等の周辺においては大変な被害が出ているようでありますが、こういうのを見ますと、どうも私はロシア社会の安全意識が、いいとか悪いとかは別にして、我々にはちょっと理解しがたい面があるのではないかということを感ずるわけであります。
 今、例に挙げましたような原発の安全でありますとか、核兵器あるいはミサイル兵器等の解体その他に伴いまして、安全確保について、我が国に影響する安全要素だけではなくて、地球の安全というようなことの観点に立っても、ぜひロシアの関係当局と共同していろんなことを調査し、そしていろいろと対話をし、どういうことが必要なのかというようなことについて発見をして、対日支援の重要な一つとして、この安全性の確保について何らかの援助、支援を行う必要があるんではないかと、こう考えるものであります。
 これはもちろんすぐれて外務省的な面もあるわけでありますけれども、科学技術庁としては、あるいは長官としてはどういうようなお考えをお持ちか、お伺いしたいと思います。
#165
○国務大臣(江田五月君) この原子力というものの開発利用についてやはり一番大切なことは、安全文化といいますか、原子力というものは一歩間違えば核兵器にもなる、核兵器でなくても非常に危険なものである、したがって安全に安全を重ねてやっていかなきゃいけないんだ、やる以上は。そういう安全文化というものの確立というのはこれはもう大変大切で、安全文化がしっかり確立していないところでみだりにこの原子力の開発利用をやってもらっては困る、そういう立場を私どもは貫いていきたいと思っております。
 ロシアについてはその点でいささかどうなのかなと思うようなことがございます。実は先日、十月二十七日でございますが、このロシアの原子力発電所の安全性ということについて、科学技術庁とIAEAとの共催で東京でシンポジウムを行いました。そのシンポジウムに来賓としてミハイロフ大臣がお見えくださったということでございますが、ロシアからも技術者を呼び、IAEAの専門家も来、日本の学者も入ってみんなでそういう議論をしたところでございます。
 ロシアの原子力発電所の安全性確保及び核兵器の廃棄等、これはもう一義的にはもちろんロシアがやることですけれども、やはり委員おっしゃるように、国際的、地球的な問題ですから、科学技術庁としてもこれまでの安全確保の経験を生かして、すぐ隣のことですからこれは支援をしていきたいと思っております。また先日、日ロ間で協定も結ばれましたわけですが、核軍縮の進展が国際社会の平和と安定にとって重要な課題であるという観点から努力をしていきたい。
 具体的には、原子力安全の支援はロシアの原子力技術者に対する研修事業、こういうものもやらなきゃならぬ、あるいは原子炉配管からの冷却水漏えいを検知するための運転中異常検知システム、これをロシア型原子炉へ設置する、こうしたこともしていかなきゃならぬ。これで今、予算もちゃんと組んで、委員会もつくってやろうとしているところでございます。
 さらに、核兵器の廃棄等については、この廃棄に伴って生ずる核物質の貯蔵管理のための厳格な監視体制の整備等に関する支援方策、あるいは核物質をエネルギー源として平和利用をするそういう方策、保障措置制度の確立のための支援方策、こうしたことについて技術的観点から検討を行っておりまして、今後とも原子力の平和利用という大原則にのっとって我が国の支援が効果的なものとなるよう努力をしてまいります。
#166
○永野茂門君 ありがとうございました。
 まずまずの御健闘、御活躍をお願いいたしまして、質問を終わります。
#167
○委員長(中川嘉美君) 本件に対する本日の質疑はこの程度にとどめます。
    ―――――――――――――
#168
○委員長(中川嘉美君) 次に、参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 科学技術振興対策樹立に関する調査のため、来る十一月五日午後一時から参考人の出席を求め、その意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#169
○委員長(中川嘉美君) 御異議ないと認めます。
 なお、その人選等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#170
○委員長(中川嘉美君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後三時十八分散会
ソース: 国立国会図書館
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