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1993/11/05 第128回国会 参議院 参議院会議録情報 第128回国会 科学技術特別委員会 第3号
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1993/11/05 第128回国会 参議院

参議院会議録情報 第128回国会 科学技術特別委員会 第3号

#1
第128回国会 科学技術特別委員会 第3号
平成五年十一月五日(金曜日)
   午後一時開会
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         中川 嘉美君
    理 事
                鹿熊 安正君
                志村 哲良君
                穐山  篤君
                大久保直彦君
    委 員
                倉田 寛之君
                河本 三郎君
                二木 秀夫君
                前島英三郎君
                前田 勲男君
                翫  正敏君
                梶原 敬義君
                吉田 達男君
                星川 保松君
                市川 正一君
                永野 茂門君
                青島 幸男君
   事務局側
       第三特別調査室
       長        堀籠 秀昌君
   参考人
       動力炉・核燃料
       開発事業団理事  須田 忠義君
       日本原子力研究
       所理事      松浦祥次郎君
       財団法人放射線
       計測協会専務理
       事        沼宮内弼雄君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○科学技術振興対策樹立に関する調査
 (原子力の開発と安全性に関する件)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(中川嘉美君) ただいまから科学技術特別委員会を開会いたします。
 科学技術振興対策樹立に関する調査のうち、原子力の開発と安全性に関する件を議題といたします。
 本日は、本件について参考人の方々から御意見を承ることといたします。本日の参考人として、動力炉・核燃料開発事業団理事須田忠義君、日本原子力研究所理事松浦祥次郎君、財団法人放射線計測協会専務理事沼宮内弼雄君に御出席いただいております。
 この際、一言ごあいさつを申し上げます。
 参考人の方々には、御多忙中のところ貴重なお時間をお割きくださり、当委員会に御出席いただきましてまことにありがとうございます、当委員会は、科学技術振興対策樹立に関する調査を進めているところでございますが、本日は、皆様方から原子力の開発と安全性に関する件につきましてそれぞれの分野から忌憚のない御意見を承り、本調査の参考にいたしたいと存じます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
 それでは、本日の議事の進め方について申し上げます。
 まず、参考人の方々からお一人二十分程度で御意見をお述べいただき、その後、委員からの質疑にお答え願いたいと存じます。
 これより参考人の方々から御意見を承ります。まず、須田参考人にお願いいたします。須田参考人。
#3
○参考人(須田忠義君) 御紹介にあずかりました動燃事業団理事の須田でございます。
 高速増殖炉及びプルトニウムのリサイクルについて御説明申し上げます。お手元に資料として二つ用意させていただきました。一つは「高速増殖炉およびプルトニウムリサイクルについて」、もう一つは「プルトニウムって何」という資料でございます。この「プルトニウムって何」というのは我々動燃の広報用のパンフレットでございます。お暇なときにぱらぱらとめくっていただければ幸甚に存じます。本日、私はこの「高速増殖炉およびプルトニウムリサイクルについて」という資料に基づいて御説明申し上げたいと思います。
 表紙をあけていただきたいと思いますが、目次がついてございます。「プルトニウムの利用」、それから「FBRのしくみ」「我が国のFBR開発の経緯」「海外の状況」「今後の展開」ということでございます。これに沿って御説明申し上げたいと思います。
 最初に、プルトニウムの利用について御説明いたします。プルトニウムの必要性それから利用の形態等について御説明を申し上げます。
 一枚めくって、いただきまして、一ページで「プルトニウムの利用」という系統図といいますか概念図がかいてございます。プルトニウムを利用する場合、利用しない場合、これは国内、国外においてもいろいろの議論がなされておるところであります。それでは、プルトニウムを利用する場合としない場合というのはどこが違うのかということをこれに基づいて御説明いたしたいと思います。
 御高承のとおり、左側でございますけれども、天然ウランを我々は採掘し、それから製錬し、転換し、濃縮いたします。この間で六弗化ウランにして濃縮するわけですが、それをさらに二酸化ウランにいたしまして、この下の方で成形加工ということで、通称ペレットと言っておりますが、そういうものを組み込んだ形の燃料集合体にいたします。
 それをウラン燃料ということで、ずっと上に上がってまいりまして、真ん中辺に軽水炉、ATRと書いてございます。ATRは一つでございますが、今稼働している原子力発電所の大部分がこの軽水炉でございますが、ここで燃やします。燃やしたものを、その上に行きまして、使用済み燃料ということでその後再処理に行きます。再処理で、これから赤線になるわけでございますが、プルトニウムが抽出されまして、このプルトニウムが燃料に加工されましてFBR、いわゆる高速増殖炉並びに軽水炉、それから新型転換炉、これは今、日本では「ふげん」しかございませんが、ここで燃やされます。そして、燃やされたものがさらに使用済み燃料ということで再処理される。いわゆるサイクルがここで形成されるわけであります。
 我が国は再処理、プルトニウム路線という基本政策を堅持しております。したがって、その再処理からプルトニウムを抽出いたしましてFBR、後ほど御説明いたしますが、これを今開発しております。それから軽水炉で燃やす、この路線をとってございます。
 なぜプルトニウムがこういう路線をとらなきゃいかぬのかということについては後ほど御説明いたしますが、今いろいろ議論をされておるのは、再処理からプルトニウムを抽出しないでそのまま廃棄物として処分する方法、こういう方法もございます。これは我々ワンススルー方式と言っておりまして、カナダ等はこの方式をとっているということでございます。したがってサイクルにはなりません。ウランを燃料として燃やして、そのまま使用済み燃料を廃棄物として捨てるということでございます。その他、プルトニウムは抽出するけれども高速増殖炉には使わない、軽水炉のプルサーマルだけに使うとか、各国の財政事情、技術的な問題、資源問題等を踏まえまして、各国が各国の政策を展開しているところでございます。
 それでは、我が国はなぜプルトニウム再処理、プルトニウム路線を選択しているのか、それを基本としているのかということについて御説明いたします。
 この路線選択の問題で第一の問題というのは、やっぱりエネルギー資源からきた問題でございます。御高承のとおり、二〇三〇年になれば世界の人口は一・七倍になると言われておりまして、そのときの燃料の必要量というのは決して一・七倍じゃなく二・七倍と言われております。これは国民生活の向上ということも当然あるわけでございますが、膨大な燃料が必要となってまいります。
 一方、二ページにございますように、世界のエネルギー資源というのは非常に限られでございます。例えば石油ではあと四十六年分、天然ガスが六十四年分、石炭が二百十九年、ウランは七十四年、こういうふうに言われております。この中で石炭は意外と、二百十九年ということでかなり長くもつんじゃないかという意見もあるわけでございますが、これについては地球温暖化の問題、酸性雨の問題、非常に深刻な問題を抱えておるわけであります。それで、ウランは現在の年間生産量からいくと、可採埋蔵量で割るわけですが、七十四年分ある。これを多いか少ないかと見るのはいろいろ議論があると思いますけれども、七十四年分しかないんだということであります。
 ここでプルトニウムの利用を考えますと、ウランの約六十倍と言われでございます。換算できる。したがって、プルトニウムを使うことによって数千年先までの燃料が確保される、そういうふうに考えるわけでございます。したがって、ウランはこのままで掛けますと数千年という積になろうかというふうに思うわけであります。
 また、エネルギー資源に日本は御存じのように非常に乏しい、国産エネルギーがないということに関しては、まさしくウランからのプルトニウムというのは純国産エネルギーと言っていいことでございます。したがって、エネルギーのセキュリティーの上から非常に重要な資源であるというふうに考えております。
 もう一つ忘れてはならないのは、放射性廃棄物の管理の上からもプルトニウム再処理、プルトニウム利用というもので廃棄物の方が非常に楽になるということでございます。我々、これから放射性の廃棄物の問題を考えるに当たっても、やはり再処理、プルトニウム路線というのはぜひ必要だというふうに考えておるところであります。
 一方、プルトニウム利用は何でもいいんだと決して申し上げておるわけじゃありませんで、プルトニウムについては人体への影響並びに核兵器の転用等の観点から非常に危険な物質であるというふうに言われております。したがって、これの使用はやめるべきであるという意見もございます。私どもは、プルトニウムの性質をよく理解して取り扱うことによって、これまでの取り扱い実績でも示されておりますように、現在の技術で十分に安全に利用できるというふうに確信しているところでございます。
 また、高速増殖炉でのプルトニウムの燃焼については、我が国を初め諸外国においても現在研究開発の段階でございます。したがって、プルトニウムは高速増殖炉では実際に実用化はまだされておらぬわけでございますが、軽水炉においては四ページにございますように全発電量の三〇%が今でも使われているわけであります。原子力発電所、軽水炉の発電所の発電量の中では三割、三分の一はプルトニウムの燃焼によって賄われているということ、並びに五ページ目にありますように、ウラン・プルトニウムの混合酸化物燃料としてのかなりの量が軽水炉で利用されているというふうな実績を我々は既に持っておるということをぜひ申し上げたいと思います。
 次に、高速増殖炉の仕組みについて簡単に申し上げます。
 FBRは三つの大きな特色を持っております。一つは、プルトニウムを燃料にして使った以上の燃料を生み出すことができるという特徴であります。高速増殖炉でプルトニウムを燃やします。燃やすその周辺にウラン238を置いておきます。これは我々ブランケット燃料と言っているわけですが、そこで使用した燃料以上のプルトニウムが発生すみということであります。増殖と言っているのはまさしくそういうことでございまして、増殖比が一・二というふうに我々は考えておるわけであります。
 次に、燃料を燃やすのに高速中性子を使っておるということでございます。中性子を減速しないでそのまま燃料、いわゆるプルトニウム239に衝突させることによって核分裂のときにより多くの中性子を放出させるということで、余った中性子でウラン238をプルトニウム239に変えるという非常な特色を高速中性子は持っておるわけでございます。
 三番目として、いわゆる原子炉から熱を運ぶ物質としてナトリウムを使っているということでございます。御存じのようにナトリウムは非常に熱伝導度がいい、したがって高い温度まで沸騰しないということで圧力をかける必要がないという、炉工学上、安全上非常に多くの特色を持っているということと、水と同じくらいの重さなのでポンプで十分循環できる。いろんな観点から考えまして非常にいい物質だと我々は思っているところであります。
 次に、六ページにFBRの系統図がございます。FBRの詳細な説明は時間がないので省略いたしますが、赤で書いてあるのがナトリウムの一次系、ダイダイ色が二次系のナトリウムで、青が水です。こういう三段階で熱循環をいたしまして最終的にタービンで発電機に回す、こういう機構になっております。ここでぜひ申し上げたいのは、ナトリウムの火災とかいろいろなことが言われておりますが、我々は原子炉格納施設内、ここの雰囲気は窒素ガスにいたしております。したがって、火災防止ということについては完全な措置を講じているつもりでございます。
 次に、我が国のFBRの開発の経緯について申し上げます。これは七ページでございます。
 我々がプルトニウムを最初に取り扱ったのは、左の表にもございますが、一九六五年にはプルトニウム燃料第一開発室というのを東海事業所に設けてございます。したがって、プルトニウムの取り扱いは二十数年前から我々はこれの経験を持っております。鋭意二十数年間にわたって取り扱ってきております。また、一九七〇年に実験炉「常陽」が着工をされました。それで一九七七年に初臨界に達しておるわけであります。以後十六年、順調に「常陽」は運転を続けてきております。また、原型炉「もんじゅ」も一九八五年に着工されまして、いよいよ明年四月ころ臨界に達する予定になっております。
 八ページは、「もんじゅ」建設、試験の歩みを記しております。これも時間がないので省略させていただきます。臨界は明年四月を予定しております。
 なお、九ページについては「もんじゅ」のいろいろ主要な場面における写真を載せてございます。左側が「もんじゅ」の全景でございます。
 次に、時間がないので進みますが、海外の状況を十ページに記してございます。
 これは米国、フランス、英国、ドイツ、ロシア、いろいろ記してございますが、先ほど申しましたように全体的な財政事情等非常に苦しい状況に各国が置かれておるということと、各国の資源状態、特にドイツなんかは膨大な石炭の埋蔵量があるという、各国の資源状態、財政問題等の影響で、縮小傾向にある国、また当面研究開発を継続する国、いろいろな特徴を持っています。特に、高速増殖炉の研究開発で一歩も二歩も先に出ている国はフランスであります。これはそこの二番目に書いてありますが、フランスも資源小国でございまして、積極的に原子力開発を進めております。それで、フェニックス(原型炉)、スーパーフェニックス(実証炉)という、これは我々よりももう相当進んだ段階に研究開発を進めております。いかんせん、若干トラブルがあって運転を停止し、今運転再開を準備中と聞いております。
 米国、英国、ドイツ、これにつきましては先ほど申しましたように若干停滞ぎみだということでございますが、試験研究は継続する、こういうふうに承っております。
 なお最後に、十一ページ目に今後の展開ということを書いておりますが、高速増殖炉、高速炉は非常にいろいろな利点を持っております。これは資源問題、環境調和性、安全性、核不拡散性、経済性、こういう観点からさらなる核燃料サイクルを目指して研究開発を進めてまいりたいというふうに考えておるところであります。
 時間が参りましたので、以上で終わります。
#4
○委員長(中川嘉美君) どうもありがとうございました。
 次に、松浦参考人にお願いいたします。松浦参考人。
#5
○参考人(松浦祥次郎君) 日本原子力研究所の松浦でございます。
 本日は、お手元のあらかじめお配りさせていただきました資料に基づきまして、原子力発電の安全性と、それに関します原研で行っております安全性研究について説明させていただきます。
 説明に入ります前に、まことに申しわけございませんが、資料にミスプリントがございましたので、お手数ですがあらかじめ御訂正くださいますようお願い申し上げます。
 一つは、一枚の紙の「原子力発電の安全性について 説明項目と概要」という紙でございますが、これの上の方の「日本の原子力発電」という項目で、運転中の発電用原子炉は四十四基と書いてあると思いますが、先日動いたものがございますので現在四十五基でございます。それと同様のことでございますが、とした資料の二ページでございますが、これの下の方の表の中で、運転中四十四基となっておりますのを四十五基に、それから出力の方が三十六・一と書いてあるのを三十七・二に、それからその次の建設中の八を七に、そして九・〇と書いておりますのを七・九に御訂正をお願いいたしたいと思います。申しわけございません。
 本日お話しいたします項目でございますが、とじた方の一ページをお開きいただきたいと思います。まず、原子力発電の安全性の考え方というところで、日本の原子力発電の状況が今どうかということを簡単に御説明して、それからその安全性の基本的な考え方として取り上げられております多重防護の考え方、それから放射性物質の閉じ込めの話、それからそれに関しまして原研が研究開発を進めております安全性の研究といたしましてのNSRR実験、ROSA計画、シビアアクシデント時の原子炉挙動、こういうものに関しまして簡単に御説明させていただきたいと思います。
 二ページをお開きいただきたいと思います。まず、原子力発電の安全性の考え方でございますが、現在の日本の原子力発電でございます。現在、我が国には平成五年九月の段階で運転中の商業用の発電用原子炉は四十五基、それから建設中の原子炉が七基、建設準備中のものが一基ございます。このほかに開発途上の発電用の原型炉、ATR、これは動力炉・核燃料開発事業団さんが運転中でございますが、それがございます。現在の商業用の発電用原子炉の合計の出力はその二ページの表にもございますように三千七百二十万キロワットでございまして、総発電電力量の約三〇%を原子力で補っているというわけでございます。したがいまして、原子力発電が日常生活と非常に密接なものとなっているというわけでございます。
 原子力発電は当然原子炉を用いて発電いたすものですから、その安全性の確保には十二分の注意を払う必要があることは言うまでもありません。幸い我が国の原子炉の運転実績は世界でも一、二を争うくらい良好なものになっておりますが、これは発電に当たられる関係者の方々の日ごろの安全性確保への努力のたまものと言えるのではないかと思います。
 とじた資料の三ページへ移らせていただきます。
 原子力発電の安全性の基本的な考え方でございますが、これはこのページに書いてございますように、多重防護という考え方で安全性を確保しているわけでございます。多重防護というのは、要するに安全を確保するために何段階もの手だてをつけているということでございまして、まず多重防護のその一といたしましては、異常の発生を防止するためにいろんな対策を立てておく。その次に多重防護のその二といたしましては、異常が起こってもそれが事故に拡大しないようにどこかで事故拡大を防止するための対策をつけておく。三番目は、今度は放射性物質の異常な放出が起こるような事故になったとしても、それを防止するための対策を立てておく。こういう段階でそれぞれに防護を考えておくというわけでございます。
 その第一番目の異常の発生を防止するための対策でございますが、これはまず設計の段階で安全上余裕のある設計をするということ、これは当然ございます。それから、その中で当然誤操作とか誤動作とかいうことが起こる可能性があるわけでございますので、それを防止するような設計をする。すなわち、誤操作を行ったりあるいは機器に誤動作が起こったとしても、それが事故を発生しないように防止するという設計をあらかじめしておく。当然、運転中あるいは運転前の機器の点検、検査をしっかりやる。それから、自然界にはいろいろ地震とか台風とかございますので、そういう自然災害が来たとしてもそれに対応できるようにしておく。これがまず異常の発生を防止するための対策としていろいろ考えるわけでございます、当然のことでございますが。
 それから次に、事故への拡大を防止する対策でございますが、これは異常が起こったときに早く発見できるような設計にしておく。それから、何かあったときに、これは危ないというときには原子炉を緊急に停止できるような設計にしておく。
 次に、今度は放射性物質の異常な放出を起こすような事故の場合のそれのとめ方でございますが、非常用炉心冷却装置、ECCSと略されておりますけれども、これでまず原子炉を冷やす。それから、放射性物質が原子炉から出てきても、今度は原子炉の格納容器でそれを閉じ込める。こういうような何段階かの段取りで安全を確保しようというわけでございます。
 かつて起こりました大きな事故としてアメリカのTMI事故がございますが、これはどこで失敗したかといいますと、この多重防護の考え方で現実に確保することは、まず原子炉をとめるということ、それからとめた後で残っている熱を除去すること、それから放射性物質が放散しそうになったときにそれを閉じ込めるという、このとめる、冷やす、閉じ込めるということが基本でございます。
 先ほど言いかけましたアメリカの事故でございますが、これはとめることには成功いたしました。しかし、冷やすことに部分的に失敗したために原子炉の炉心の溶融が起こったわけでございます。しかし、閉じ込めることには成功しておりますので周辺にはほとんど放射性物質は出ていない、こういうことであります。その次に、ロシアで起こりましたチェルノブイリの事故でございますが、この場合はとめることを失敗し、閉じ込めることを失敗したために放射性物質が放散した、そういうことでございます。
 次の四ページに、今度は放射性物質の閉じ込めのためにどういう段取りがしてあるかということを簡単に示しております。現在日本で使われております加圧水型の原子炉と沸騰水型の原子炉の二つについて示しておりますが、基本的な考え方はいずれも同じでございまして、まず燃料のペレット自身が放射性物質を閉じ込める性質を持っております。それから、そのペレットを包んでおります燃料の被覆管が第二番目のバリアといいますか、閉じ込める障壁として働きます。その次に、原子炉を包んでおります圧力容器がさらにその次の閉じ込めになる。それから、その原子炉圧力容器を設置しております格納容器が次の閉じ込めの障壁になる。こういうことで放射性物質の閉じ込めを何段階かで確保している、そういうことでございます。
 五ページヘ進ませていただきますが、こういう原子力発電の仕組みの安全を確保するために、またその安全がどのように確保されているかを確認するための研究といたしまして原研で行っております研究の項目を五ページに示させていただいております。
 こういう研究は原子力安全委員会が定められます安全研究の年次計画等に従って進めているわけでございまして、先ほど申しました閉じ込めるあるいは冷やすということに研究の重点が置かれております。とめるということについての項目がございませんが、これは現在の発電炉はとめるということについては非常に確実にとまる仕組みになっておりまして、現在ではそれに関する研究を新たにやる必要がないということでございます。
 閉じ込めるということにつきましては、そこにございますように通常時の燃料挙動研究で、通常時に燃料の中でどのように閉じ込められているか、それから実際に使った燃料がどういうふうに健全性を保っているかの健全性試験、事故に遭ったような場合にどのように燃料が振る舞うかの事故時の研究、機器、構造物の信頼性がどういうふうになっているか、そういう項目について、まず閉じ込めに関する研究をしております。
 それから、冷やすということに関しまして、熱水力安全研究あるいはシビアアクシデント時の原子炉挙動の研究という項目でございますが、これはいずれも原子炉を事故時にどのように冷やすかということについての研究でございます。そのほかに解析的な、すなわち理論的な計算でその安全性を評価するという、そういうことのための研究として安全性の解析研究、あるいは確率論的な安全性評価研究、それから人的因子の研究、こういうことを進めておるわけでございます。
 まず最初に、事故時の燃料挙動の研究でございますが、六ページ、七ページ、八ページに示させていただいておりますが、これに関しましてはNSRRの実験というのを行っております。NSRRと申しますのは、ニュークリア・セーフティー・リサーチ・リアクターでございまして、原子炉の安全研究用の試験炉でございます。構造は七ページにございますが、少し細かい絵になりますので説明は簡単にさせていただきます。
 プールの下の方にありますのが原子炉の炉心でございまして、この炉心の真ん中にサンプルを入れる大きなチューブがございます。このチューブの中にテストすべき燃料を入れて、そしてここでいろいろな状況でこの燃料を照射いたしまして、それで燃料がどのくらい大丈夫なものかということをテストしているわけでございます。ここではかなり強い出力で照射しましても、プールの底にあるということで十分に放射線の遮へいはされている、そういう構造になっております。
 六ページへ戻らせていただきますが、この実験では原子炉の出力が異常に上昇する事故というのを想定いたしまして実験するわけでございますが、NSRRでは非常に短い時間に燃料の出力を大きく上げまして、そして燃料の振る舞いを研究いたします。最高は、普通の発電所で燃料が出します出力の七倍程度まで出力を上げてその振る舞いを調べるということをいたしております。この結果は後のページに示しますが、「発電用軽水型原子炉施設の反応度投入事象に関する評価指針」に反映されております。
 八ページでございますが、この図は何を示しているかと申しますと、燃料棒の中にいろいろガスが詰めてあるわけでございますけれども、その状況によりまして事情が変わります。グラフの中の縦軸は何を示しているかといいますと、燃料棒の中に短時間にどのくらい出力、エネルギーが出たかということを指標として示しております。横軸は燃料被覆管の中の圧力でございますが、黒丸は燃料が壊れたという、そういうものを示しております。白丸は壊れなかったという限界を示しておりまして、それから余裕を持って設計の限界が示されている。すなわち、点線が実験値として示された燃料が破損する破損しないのぎりぎりのところを示しておりまして、設計において使われておりますのが実線で余裕を持って決められているというところでございます。
 次に九ページヘ移らせていただきます。次は、冷やすということの研究でございまして、これは熱水力安全研究と称しておりまして、その一番主たる計画がROSA計画と呼んでおります。これは、冷却材が喪失する事故等を想定いたしまして、その場合にどういう現象が起こるかというようなことを調べて、それで現在の設計が確実なものであるということを確認している実験でございまして、その装置等は十ページに示してございます。
 十ページの上に書いてある図がその装置を簡単に示したものでございまして、この装置の特徴は、垂直方向には実際の大型のPWRと同じ寸法を使っております。水平方向に関しましてはずっと小さくて、四十八分の一というのを使っておりますが、こういう装置を使っていろいろの実験をしております。この実験によりまして非常用炉心冷却装置、すなわち事故が起こったときに原子炉がどのように冷やせるかという、その確認をいたしたわけでございます。
 例えば、その確認の一つといたしましては、九ページにございますように、美浜二号炉の事象を模擬いたしました実験を行いまして、事故発生後の原子炉の中の圧力変化等についてどういうふうに経緯したかということを確認したわけでございます。
 この様子は十ページの下の図にございますが、これは圧力を縦軸にとりまして、横軸に蒸気発生器の細管が破れた後の時間の経緯に従ってどんなふうに圧力が変わったかということを示しておりますが、これによりまして、これは実験装置でございますので、原子炉の中のいろんな部分について、温度であるとかあるいは圧力であるとか流量であるとかはかれますので、それによりまして、美浜事故がどういうふうに起こってどう経過したか、そしてどのように確実に安全性が確保されたかということを確認したわけでございます。
 次に十一ページ、シビアアクシデント時の原子炉挙動の研究でございます。このシビアアクシデントと申しますのは、普通の設計基準では考えられないような基準事象を大幅に超えまして炉心の重大な損傷に至るような事象というふうなものをシビアアクシデントと呼んでおります。
 こういう事象というのは、現在の日本で使っております原子力発電所では、工学的な見方からしますととても起こるとは考えられないものでありますけれども、しかしどういうことが起こるかということを確認しておくということは重要なことでありますので、そういう研究を行っているわけでございます。
 もう一つは、シビアアクシデントが起こったときのアクシデントマネージメントということでございますが、これはシビアアクシデントの拡大を防止する、あるいはその影響を緩和するための措置を研究するものでございまして、そこにございますように、この研究によりましてアクシデントマネージメントの有効性を評価する、あるいは原子炉の安全裕度を評価するということを行いまして、リスクの一層の低減、安全性の一層の向上に寄与しようということでございます。
 具体的な実験の例として一つ示しておりますのは、十二ページにございますように、これはそこの絵にございますが、直径が約四メーター、高さが約六メーターの鋼鉄製のタンクでございます。このタンクの中に冷却水を張ったタンクを置きまして、その上から原子炉の炉心が溶融したようなものを模擬するようなもの、ここの実験としては酸化鉄、アルミニウムというようなものを溶かしまして、その溶けたものを上からこの装置の真ん中の冷却水のところへ落としまして、そしてどういう現象が起こるか。水蒸気が発生し、かつその水蒸気が急激な圧力上昇を伴うような爆発的な反応を起こすか起こさないか、どういう場合にそれを起こすか、そういうようなことを研究しているわけでございます。
 以上、こういう研究を進めまして、この研究の結果はどのように利用されているかということでございますけれども、これは一つには、十三ページのところにございますように、安全性の審査指針であるとか、あるいは安全審査を具体的にされますときにこの研究の成果に基づきまして判断される資料を提供するということでございまして、現在までのところ、反応度事故に関する安全指針の策定であるとか、あるいは冷却材喪失事故のときに用いますECCSの装置の指針の改定であるとか、その評価であるとか、そういうことに使われるということであります。また、試験によりまして実際に安全性が確保されることを確認するという実験の例といたしましては、先ほど申し上げました美浜二号機の事故の再現実験を行ってその確認をいたしました。
 あるいは、大型再冠水実証試験と申しますのは、これは原子炉の冷却水を通します大きな配管が突然に破断いたしまして、冷却水が原子炉の外へ出たようなとき、あとを冷やすためにもう一度そこに水を注入いたしまして、そして冷やすということを確認するわけでございますが、そういう大型の再冠水実証試験というのを行って、現在の設計の考え方が正しいということ、十分であるということを確認するという、そういう実験を行っております。
 さらにまた、こういう設計の計算法あるいは安全評価をするときの評価の計算法等の精度を向上させるということを目的にいたしまして、安全性の解析手法の整備等を、これは大型のコンピューターを使うわけでございますが、そういうコンピューターを使って行います計算コードの開発等を進めているわけでございまして、こういうことによりまして、原子力発電所の原子炉の安全性の確保を研究としてサポートするということをいたしております。
 おおよそ時間になりましたので、以上にさせていただきます。
#6
○委員長(中川嘉美君) どうもありがとうございました。
 次に、沼宮内参考人にお願いいたします。沼宮内参考人。
#7
○参考人(沼宮内弼雄君) 放射線計測協会の沼宮内でございます。
 核燃料サイクル施設の放射性廃棄物の安全性について御説明させていただきます。
 私の話は、放射性廃棄物が実際に原子力関連施設、核燃料サイクル施設でどのような形で発生し処理されているかということと、発生した放射性廃棄物が具体的にどういう形で処分されているか、されようとしているのかということ、それから最後にそれらの放射性廃棄物を処理ないしは処分したときの安全性が具体的にどう考えられているのか、どういう評価をされているのかということについて御説明申し上げたいと思います。
 お手元の資料のまず第一のところでございますが、放射性廃棄物の発生状態と処理方法とございますが、まず発生源といたしましては、原子力発電所、核燃料の加工施設、これは濃縮施設を含みます。それから使用済み燃料の再処理施設、原子力の研究開発施設等、そこからいろんな形の廃棄物が出てまいりますが、実際にこういう施設でどういう廃棄物が出てきてどういうふうに処理されているかということにつきまして、原子力発電所の場合と再処理施設の場合に大きく分けてお示しいたしました。
 まず、気体の放射性廃棄物でございますが、これは一番典型的なものは希ガスのクリプトン85というものでございますが、これは核燃料が核分裂を起こしましたときに出てくるいわゆるフィッションプロダクトというものでございます。それからもう一つ代表的なのはアルゴン41という、通常私どもの自然環境中にあるアルゴン40というのが原子力施設等で中性子の照射を受けてアルゴン41に変わる、そういう気体廃棄物が出てまいります。これらの気体廃棄物につきましては、放射能と申しますのは時間とともに減衰していくという特性を持っておりますので、減衰のために一時貯留をして放射能を弱くするという措置を講じます。
 それから、その次にこういう気体の放射性廃棄物をフィルター等を使ってろ過するわけでございますが、これによって含まれている気体廃棄物をここにため込んでしまう。それからもう一つ、ヨード131というようなものにつきましては、さらに活性炭というのを使いまして、これにヨードを吸着させるという方法をとります。これらの減衰とか除去等の措置を行った後に、排気筒から出す前にその気体中の放射性物質の濃度を連続測定によって監視しておりまして、その濃度を確認してから大気中に放出するという形になります。
 それから二番目の液体廃棄物でございますが、これは汚染したものを洗浄するとか、あるいはFP等がしみ出してきたもの等を取り除くための装置がございますが、そういうものから出てくるものでございます。凝集沈殿をするというのは非常にまれな場合だけでございまして、普通の場合はすぐその次の蒸発濃縮という過程に入ります。それで、蒸発濃縮したものをさらにろ通いたしまして、濃度の低いものにつきましては濃度の確認を行いました上で、これも連続監視と、場合によってはサンプリング、試料をとってまいりまして、その試料の濃度を一々確認した上で海洋へ放出する。それから濃度が高いもの、ろ過したものでございますとか蒸発濃縮したものの残渣みたいなものは固型化いたします。それで貯蔵または処分に回すというシナリオになります。
 それから三番目の固体廃棄物でございますが、これは出てくるルートといたしましては、フィルター等の枠でございますとか、あるいは老朽化した施設の機材等がございますが、こういうものにつきましては可燃物と不燃物とに分けまして、可燃物については焼却いたします。焼却した場合に、これまた気体廃棄物が実際に出てまいりますけれども、この場合は一番目に申し上げました気体廃棄物の処理と同じような形で処理いたします。それから、残った残渣につきましては固化して貯蔵または処分に回すということになります。それから、不燃物につきましては切断、圧縮。例えばパイプのようなものでございますと、そのまま保管するということは容積を多くとることになりますので、切断したり高圧縮で押しつぶして容積を少なくいたしまして、その後必要に応じて固化し、貯蔵または処分に回す、こういうシナリオになります。
 これに対しまして、再処理施設の場合でございますが、ここは主に出てくるのは液体が多うございますけれども、これは先ほど須田参考人からもちょっと御説明がございましたが、高レベルのものと低レベルのものでは対処の仕方が違います。高レベルのものにつきましては、蒸発濃縮をいたしまして、それをガラス固化して貯蔵する、いわゆる高レベル廃棄物ガラス固化体というものがここから出てくるわけです。それから、蒸発濃縮して蒸気になっていったものは低レベルの方に回りまして、蒸発濃縮いたしまして、ろ過して、これは後の液体廃棄物の方と同じように濃度の低いものは濃度の確認をして海洋へ放出し、濃度の高いものにつきましては固化して貯蔵または処分に回す、こういうシナリオになります。
 このような放射性廃棄物の発生量の予測でございますが、これは昭和五十九年八月に出されました放射性廃棄物の対策専門部会の報告書から抜粋したものでございます。上の方が発生の予測量、下の方の点線が下北の放射性廃棄物処分施設でございます。当面ドラム缶換算で百万本相当を予定しておりまして、最終的には下北地区に三百万本の容量がございます。これに対しまして、発生量といたしましては、二〇〇〇年の時点で恐らく百五十万本をちょっと切るぐらいになるだろう、こういうふうに考えられております。次のページに移らせていただきます。今、液体廃棄物とか固体廃棄物とかいろいろ申し上げましたが、廃棄物というのは性状によって区分、処理、処分の方法が違いますので、これはちょっと明確にしておかなきゃいかぬわけですが、物性的な状態による区分といたしましては、先ほど申しました気体、液体、固体というのがございます。放射能レベルによる区分では低レベル、高レベルというのがございます。それと、放射性物質の種類による区分といたしましてはTRU廃棄物、これは半減期が長くてアルファ線を放出する超ウラン元素を含む廃棄物でございますが、TRU廃棄物。それから研究開発用に使われておりますいわゆるRI、ラジオアイソトープというものがございますが、それを含む廃棄物。それから、その他の廃棄物と申しますのはそれ以外の原子力施設に出てくる廃棄物、こういうふうに分けられます。
 その次に、放射性廃棄物の処分の実際がどうなっているかということでございますが、低レベルの放射性固体廃棄物の陸地処分につきましては、これは基本的な考え方というものが明示されておりまして、生活環境に対する放射線の影響を未然に防止することを目標として処分されるべきものであり、放射能レベルが時間の経過に伴って減衰して安全上問題のないレベル以下になるまでの間、生活環境から安全に隔離することを安全確保の基本とするという基本的な考え方がございます。
 このような考え方に基づきまして、我が国それから世界ではどういう廃棄物の埋設施設ができているかというのを御紹介したいと思いますが、六ケ所村の低レベル放射性廃棄物の埋設センターでございますが、ここは御案内のようにセメント、アスファルト等によってドラム缶内に固型化したものをコンクリート構造物、コンクリートピットといいますが、構造物内に設置してセメント等の充てん剤によりその間隙を埋めてやりまして、さらにベントナイト混合土で覆い、それをさらに覆土して埋設するというのが六ケ所村の埋設センターであります。
 既に安全審査を受けて許可になっている部分が四万立米、二百リットルドラム缶で二十万本相当、それから最終的には六十万立米、二百リットルドラム缶で三百万本相当ということですが、前の図面で当初ドラム缶百万本と申し上げましたけれども、これは予定としてはこういうものがあるということで、現在既に許可されているものとしてはまだ二十万本に相当するものだけということでございます。
 それからフィンランドでございますが、ここは大型のサイロ型の容器を地下に埋めまして、その中にドラム缶を、六百メートルぐらいの地下でございますが、エレベーターを使ってずっと運び込んでおいてそこへ保管する。それから英国のドリッグでは、ここは素掘りのトレンチ、防空ごうでございますが、トレンチまたはコンクリート構造物の中に埋設するという方法、それからドイツのコンラッドでは、地下手メートルに掘削されました鉄鉱石の廃鉱がございますので、そこを使用したいということで許可申請中でございます。それからフランスのローブでは、コンクリート構造物の中に埋設して、空隙をモルタルで充てんするという方法がとられています。
 それからもう一つの、高レベルの放射性固体廃棄物の処分でございますが、これは基本的には安定な形態に固化いたしまして、崩壊に伴う熱が出てまいりますから、その熱を取り除くための冷却貯蔵というのが三十年ないし五十年。それから深地層、現在は数百メートル以上の地下を考えていますが、そういうところへ処分しようというものでございます。
 処分に係る安全規制に必要な安全基準それから指針、安全評価の手法の整備等につきましては、これは高レベル放射性廃棄物等安全研究年次計画という計画がございまして、当面平成三年から七年までの計画でございますが、この中で基本的な研究でございますとか、多重バリアシステムの安全評価の研究、総合的な安全評価手法の研究、それから先ほど御説明いたしましたTRU廃棄物に関する研究等を行うということになっています。
 これについては、まだ具体化しているわけではございませんので、これらにかかわります関連する考え方というのでIAEAが検討している地層処分に対する考え方というのを御紹介しておきますと、ここでは将来の世代への責任ということで、将来の世代に対する負担をかけてはならない、それから制度的な管理によらない安全性が確保されなければならない、それから特に陸続きの場合でございますと、国境外への配慮というのを当然考えるべきだということが言われているわけであります。
 その次のページに移りまして、放射性廃棄物の処分に係る放射線安全でございますが、先ほど気体廃棄物と液体廃棄物は海洋ないしは大気中に放出すると申し上げましたが、それらを含めまして放射性廃棄物の放射線安全というのはどういうふうに考えるべきかということでございます。基準としてはICRP、国際放射線防護委員会、これは非政府機関でございますが、そこで決めた線量限度というのを各国が法令に取り入れておりまして、これに基づくというのが実態であります。
 それで、放射性廃棄物の場合は、先ほど海洋とか大気中とかに放出すると申し上げましたので、そういう場合はそういうものを吸入摂取あるいは経口摂取するということがございますから、そういうことで摂取した場合のいわゆる内部被曝ということについても考慮を払う。それから、当然のことながら、そういう核燃料サイクル施設から出てまいります放射線についても同じようなことを考える。いわゆる外部被曝と内部被曝の両方について規制がかけられております。
 放射性気体廃棄物でございますが、これの安全評価につきましては、排気口からの放出量は年間最大放出量を定めておりまして、これについての事前の安全評価がなされています。被曝線量はどうやって評価するかといいますと、放出廃棄物からの外部被曝線量の測定、地表に沈着した廃棄物からの外部被曝線量の測定、放出廃棄物の吸入摂取による内部被曝、農畜産物摂取による内部被曝、こういうものを考慮しております。
 それから液体廃棄物につきましては、やはり年間最大放出量を定めておりまして事前の安全評価を行いますが、被曝線量の評価におきましては、海水中の放射性物質、それから漁網、船体等に付着した放射性物質等による外部被曝線量、海産物を摂取したことによる内部被曝線量、海中作業による外部被曝線量、こういうものをすべて考慮して安全性の評価を行うということになります。
 安全性の確認でございますが、これは合理的に達成できる限り放出の低減化を図る。ここで申し上げます合理的にというのは、社会的経済的影響を考慮に入れて合理的に達成できる限り放出の低減化を図るという意味であります。それから、排気口、放出口における放射性物質の濃度の測定、確認。周辺環境における線量率の連続測定。それから周辺環境による各種の試料の測定等が行われます。
 低レベルの放射性固体廃棄物を埋設する場合の放射線安全でございますが、ここは埋設事業の許可申請を行うことができる低レベル放射性固体廃棄物の放射能濃度の上限値の考え方というのがございます。これは、原子炉施設から発生した放射性固体廃棄物について、含まれている放射性核種の組成を考慮して、放射線防護の観点から重要な核種を選定して、一定の管理期間中における放射能の減衰を考慮しつつ、埋設事業の対象となし得る放射能濃度の上限値を決めましょうということです。
 これの前提となります条件としては、一応浅地中に処分するということ。それから二番目に、IAEAが採用している被曝の経路にかかわるいろんなパラメーターでございますとか、いろいろ条件がございますから、それらのうちから最も妥当と思われるパラメーター等を採用するという方法であります。それから、被曝管理の観点から、処分場を管理することを必要としない線量としては年間〇・〇一ミリシーベルト。現在一般公衆の被曝線量限度が一ミリシーベルトでございますので、それのさらに百分の一をもってこの管理を必要としない線量とする。
 それから、放射濃度の減衰を期待する処分場の管理期間としては、コンクリートピットがある場合は三百年間、素掘りトレンチの場合は五十年間を想定する。そして、原子炉施設を設置した工場または事業所において放出された廃棄物に限る。
 これらの条件を付しましてつくられましたのがその四ページにあります表でございまして、A、Bという濃度上限値とCという濃度上限値がございますが、これは今申し上げましたような前提条件に基づいて決められたものでございます。ここのところでちょっと特異的なのが濃度上限値のCというところでございますが、ここでは容器に固形化されていないコンクリート廃棄物、ただしこの場合の前提条件は、先ほどの管理期間を五十年とするということをここでは適用しております。これは、上限値を決める場合の考え方でございまして、実際に埋設するという場合にはその土地土地によっていろんな特性がございますから、そういうのを考慮した上で安全審査によって最終的に、決めるという手続がとられます。
 最後のページでございますが、埋設施設へ処分した後の放射線安全でございます。これは段階的な管理を行うということになっておりまして、まず第一段階の管理としては、人工バリアの外へ放射性物質が漏出することを防止するとともに、漏出していないことを監視する必要がある期間、およそ十年から十五年。それから第二段階と申しますのは、人工バリアと天然バリアで放射性物質が生活環境へ移行することを抑制いたしますとともに、人工バリアからの漏出、生活環境への移行を監視する必要のある段階。これは第一段階終了後およそ三十年を予定しております。それから第三段階は、天然バリアにより放射性物質が生活環境へ移行することを抑制するとともに、特定の行為の禁止または制約をするための措置が必要であるという段階。これは第一段階終了後約三百年を予定しております。
 これに対しまして、素掘りトレンチにコンクリート等を埋めます場合は、この濃度上限値Cを適用するわけでございますが、これは埋設にかかわる段階と保全にかかわる段階とに分けまして、やはり放射性物質の生活環境への移行につきまして、天然バリアによる生活環境への移行等を含めて考慮した段階的な管理を行うということになります。
 このようにして埋設されました放射性廃棄物の安全評価でございますが、平常時の一般公衆の線量評価につきましては、埋めた放射性廃棄物から直接出てくる直接線、それが一回空気中に出ていって、空で空気によって散乱されて出てくるスカイシャイン線、それから施設機能の劣化等による被曝等が考慮される。それから、埋設した放射性廃棄物からの放射性物質の異常な漏出でございますとか附属施設における誤操作、それから機器の故障等による放射性物質の漏出等についても十分な監視を行うということになっております。
 ということで、主に低レベルの実際の地層処分にかかわる話を中心にして、その処分の実際とそれから処分にかかわる安全性がどうなっているかということについて、概略を御説明させていただきました。
 以上でございます。
#8
○委員長(中川嘉美君) どうもありがとうございました。
 ここで、質疑に先立ち、委員長から一言お願いを申し上げます。
 質疑のある方は挙手をしていただき、委員長から指名をすることといたします。
 本日は、限られた時間ではありますが、できるだけ多くの方々から自由濶達な質疑をしていただきたいと存じますので、質疑者及び参考人は簡潔に御発言をしていただきますよう御協力をお願いいたします。
 なお、本日はいわゆる勉強会ですので、御発言は御着席のままで結構でございます。
 それではこれより質疑を行います。
 質疑のある方は挙手を願います。
#9
○倉田寛之君 一つだけ松浦参考人にお尋ねをしたいと思いますが、原子力発電の安全性ということが問われるときに、私は次のような比喩を用いることがあるんですが、その用い方について、いささか失礼な御質問なんですけれども、極めて例えとしては好ましい例えであろう、あるいは好ましくない例えであろう、こういうような形でお教えをいただければいいと思うんです。
 それといいますのは、ちょうどオリンピックの年、昭和三十九年に我が国の原子力発電が稼働しているんですね。また一方では、交通手段としての新幹線が昭和三十九年に東京−大阪に開通をする。新幹線には非常用停止装置のATSというのがあるんですね。原子力発電には原子力炉心冷却装置のECCSという装置が先ほど来の御説明のようにある。 しかし、新幹線のATSというのは、それが働くことによって新幹線は安全な乗り物であるという評価を受ける。一方、原子力発電はECCSが働くことによって危険であるということを指摘されるわけです。これはいささか論理に矛盾があるなど。そのように安全停止装置というものが働くことによって安全が保たれているという、原子力発電を推進する考え方を持っている一人としてはそういう比喩を用いて説明することがありますが、今私が申し上げたようなことについて御感想があればお聞かせをいただきたい。
#10
○参考人(松浦祥次郎君) お答えさせていただきます。
 今先生から例えてお出しになりました新幹線のATSでございますが、実は私が原子炉の立場から申し上げますと、新幹線のATSに当たる原子炉としての装置は制御棒でございます。制御棒は自動制御装置が連動しておりますし、例えば新幹線で言いますとスピードが出過ぎたとか、そういうときにはATSが働いてとまるというのと同じように、原子炉におきましては原子炉の出力が考えている、あるいはセットしているよりも出力が大きく上がったとか、急に上がったとか、そういうときには制御棒が働いて、出力も出方によりますけれども、少し抑えて出力をもとへ戻すとか、あるいは急に出力が上がったときには制御棒を全部入れてとめてしまう、そういうことをいたしますので、原子炉におきましても新幹線のATSと同じように原子炉を安全にとめるということができます。
 ECCSと申しますのは、これはATSとは、新幹線の何を例えにすればいいか私ちょっとわかりませんが、冷やすために急に入れるものと、そういうことでございます。ちょっとATSに関しては制御棒が対応するということで考えを申し上げました。
#11
○倉田寛之君 ありがとうございました。
#12
○志村哲良君 大変難しい問題を三人の先生に伺いまして、どれがどうか区別のつかないようになっちゃいましたけれども、大体安全性の問題にかかわると思いますので、須田参考人または松浦参考人に伺うことになるかもしれません。
 まず須田参考人に。世界のエネルギー資源の埋蔵量、この出典は何ですか、三ページにありましたね。
#13
○参考人(須田忠義君) これは総合エネルギー統計からの出典でございます。したがって、これは各国、OECD等についても毎年こういうのは調べでございます。たまたまこの出典は総合エネルギー統計からとりました。
#14
○志村哲良君 だとすると、我々はこれはかなり精度の高いものであるというふうに受けとめなくちゃならないかな。
#15
○参考人(須田忠義君) 各国の調査をいたしまして、それに基づいて確認埋蔵量を統計でとってございます。そして各国が毎年使う量をそれて割っているということで、今後何年ということを決めておるところです。毎年これはデータが更新されていきます。
#16
○志村哲良君 やはり核燃料のリサイクル、これはもう人類にとって不可欠だと思うんですが、そうなりますと、例の核不拡散の問題、核拡散の問題が当然出てくるわけですね。最近、例えば北朝鮮のNPTの脱退だとか、大国において相変わらず原爆の実験だとかというようなことが起こっておるわけであります。これらの問題はいかがでしょうか。
#17
○参考人(須田忠義君) 我々もやっぱり基本的にはプルトニウムを余さない、できたプルトニウムはできるだけ高速炉でそのまま使っていく。ため込むのは、これは一番核武装で疑惑を持たれるもとになるので、できるだけそういう処置をとりたいということを、これは技術開発と制度の問題、IEAの保障の問題とか、そういう国際的な査察、そういうものも踏まえまして透明性を確保していきたいというふうに考えております。特に、動燃は技術開発の法人でございますので、そういう核不拡散の、抵抗性の強い技術開発に今一生懸命努めておるというところでございます。
#18
○志村哲良君 安全性に関して、私は主観的な条件ですね、これはもう皆さんの御努力の中でかなり、完璧なんということはないでしょうが、非常に高い確度で安全性を日本の場合は確保してきておられると思うんです。
 何といいますか客観的な条件ですね、殊に地震のようなもの、これらに関してはいかがでしょうか。
#19
○参考人(松浦祥次郎君) 地震に関しましても、発電所をつくりますときに、その立地を審査いたしますときに過去の地震の例等を調べ、かつ歴史的な地震のうちで最も大きいもの、さらにそれ以上の考えられるすべての地震を考えた上で原子力発電所に災害が生じないというような設計をするということを指針にしておりますので、地震に関しましてもその点は私は大丈夫だと考えております。
#20
○志村哲良君 それでは相当大きな震度を仮定したものでつくられているわけですね。
#21
○参考人(松浦祥次郎君) はい。まず一つは、そこに歴史的に大きな地震がひどくあったようなところというのはもともと設置の適地としては適さないわけでございますので、そういうところは外されるわけでございます。設置したところにつきましては、ある地震が来たときには原子炉が自動的にとまるという、そういう装置をつけまして、それでつくってきたわけでございます。当然大きな地震が来ても建物は十分耐震になっているというふうにつくられております。
#22
○志村哲良君 経験則では地震の起きる場所と起きづらい場所と、これはありましょうけれども、私はその根拠が最近では地震学者や、私はよく知りませんが、例のプレートテクトニクスだと思うんですよ。これに関してはまだほとんど明確に境界線なりなんなり、もしこれが正しいとしても決定されていないわけですね。
 日本海中部地震が起こって、それまであった北米プレートというのはずっと北海道の上にあったのが、あの地震が起きたら途端に新潟のあたりまで線が下げて引かれてきていますね。というような状況ですから、まあ今度科学技術センターでつくった「しんかい二〇〇〇」ですとか「六五〇〇」ですとか、これらが活躍してプレートの問題にももっともっと突っ込んでいただいたらいいかと思いますが、どうも既存の経験則だけでは極めて怖いような気がしますね。まあそれでもこれに頼ることしかないんでしょうが、今の状況ですと。ただ、それだけ大きな許容度をもってつくったらこれは大丈夫だなという思いはします。
 ありがとうございました。
#23
○吉田達男君 沼宮内先生にお尋ねいたしますが、先生のテキストの二ページに低レベル放射性物質の処分について各国の状況が列挙してございまして、時事的に関心を持っておりますロシアについて書いてはないのでちょっと教えていただきたいんですが、ロシアはどういう処置の仕方をやっているのか。
 それで、この間まで一九九七年までは海洋投棄を停止することができないというふうにロシアの方からあったわけですけれども、最近日本海への投棄に対して非常に批判が強いということを受けて、そういうようなことはしないという表明に至ったのですけれども、不安が残りますのは、どういう処分をしていて、そしてまた海洋投棄しおいということを言った後の処分はどういう技術的な方法がやられるのだろうか。これはわからぬところもありますが、専門家として推定といいますか推量されればどういう場合になるだろうと、こういう辺も教えていただきたいと思います。
#24
○参考人(沼宮内弼雄君) この問題は非常に難しい問題で、科学技術の領域を多少越えた部分もありますので、お答えしにくいというかお答えできにくい面が非常に多うございます。
 まず、ロシアで放射性廃棄物をどういうふうに処分しているかということにつきましては、大ざっぱに申し上げまして、固体廃棄物は保管するという方法をとっています。それから、液体廃棄物については一定の濃度レベル以上のものについては海洋へ放出するという方法をとっております。
 固体廃棄物の場合は、非常に極端な例でございますと、日本がやっているようなあるいは諸外国がやっているような厳重な放射線防護の隔離壁を設けて保管するということをしなくても、一応土地の広いところでございますから陸上保管というのができるかと思いますけれども、液体廃棄物につきましては、これをためておくという施設がない場合に一番怖いのはやっぱり地下水への浸水という問題が出てまいりますので、そうなりますと、これは希釈という効果、薄めるという効果をほとんど期待できない。それに比べて海洋投棄というのは薄めるという効果が非常に期待できるという意味でこの間もそういうふうにしたんだろうと思いますけれども、これは陸上施設で出てきた放射性廃棄物についての一般的法考え方ではなかろうかと思います。
 それ以外の問題、例えば故障した原子力潜水艦をどうするとかという問題につきましては、今のところそういうものをただ投棄してあるということだけで、それを具体的に将来どう処理するかということについてはこれから技術的な検討が国際協力を得て始まるんだろうと思います。
#25
○吉田達男君 わからないところはやっぱりロシアの扱いでしょうからあれですが、既に海洋投棄はなされており、固形物について投棄もしているようでございます。この海洋に投棄された固形物の安定度というものはどうなのか。例えばコンクリートでも風化いたしますし、水圧等の影響がどうなるのか、あるいは崩壊した場合にそれが拡散に向かって動き出した場合の食物連鎖のような影響というようなものの心配はどうなのか。ロシアに限らずそういう措置をしておりますので、お伺いいたしたいと思います。
#26
○参考人(沼宮内弼雄君) 海洋投棄につきましてはIAEAが決めている基準がございます。深海で四千メートル以上でドラム缶にセメント等で固形化したものという条件がつきますので、今までの例で申し上げますと、ドラム缶が仮に水圧で壊れるようなことがあっても、あるいはコンクリートの場合でございますと、日本原子力研究所でも前にやっておった経験がございますが、それほど簡単にコンクリートがばっと壊れるということはございませんので、そういう経験から申しますと、深海に投棄したという場合については、現在のところ安全性を確認する手段ないしは事前の安全評価の手法というのができておりまして、それに基づく安全評価が実際にされておりますし、それからそれに基づく廃棄固化体のつくり方というのも決められておりますから、それは私は特段問題はないんだろうと思います。
 ただ、ソ連が投棄したものがそういうIAEAで決められました基準に合致していたのかどうかということについては、私は情報がありませんのでお答えできません。
#27
○吉田達男君 それでは、日本の場合は千六百六十一本、五六年から六九年にわたって近海に投棄をして、それからマリアナ沖の方に計画があったんですがこれは反対があってやめた。それで、既に投棄されているドラム缶によるものについて、日本の近海でありますし、これについても一定の安全基準は現在も維持されているという御判断でありましょうか。
#28
○参考人(沼宮内弼雄君) 維持されていると思います。
#29
○吉田達男君 ちょっとロシアのことでわかりにくいと言えばわかりにくいこともございますが、専門的に御判断いただいて、この間から問題になっている海洋投棄されたものの放射性物質は何かと、それで影響がいろいろ言われておりますが、安全評価について我々素人は非常にセンセーショナルに聞く場合もございますし、放射性物質によって半減期が長いものや、アルファ崩壊したり、いろんな物質によって影響が違うんじゃないかということも懸念されます。その辺について専門的な御判断があれば、多分こういう物質が投棄されてその学問的な判断によればどういう推移で拡散するのか、集積するのか、影響はどうなのか、その辺をちょっとお聞かせいただきたい。
#30
○参考人(沼宮内弼雄君) ロシアの前にまず日本の場合をちょっと簡単に御説明をしたいと思いますが、実際に海洋にそういうものを投棄する場合には、事前の安全評価というのは先ほど申しましたようにかなり厳密な安全評価を行いましてやるわけでございますが、その場合に考えられる被曝のシナリオと申しますか、こういう経路を通って、あるいはこういうものに濃縮されて、あるいはこういう場合はこういう拡散によって薄められてと、そういう考えられるシナリオをいろいろ選定いたしまして、その中で最も厳しい条件をつけて安全評価をするというのが現在の事前の安全評価の基本でございます。
 ロシアの場合はそれが事前の安全評価がどうなっていたかということについては、私ども全然情報がないのでわかりません。ただ、今までわかっている範囲でございますと、日本海沿岸における海産生物、例えば魚でございますとか海藻類等についての影響は今のところ全然出ていないというのがこれまでの調査結果ではわかっております。
 ただ、その量としてこの間ロシアが海洋に投棄いたしました〇・三八キュリーと申しますのは、〇・三八キュリーと申しますと一掛ける十の十乗ベクレルぐらいになりますから、実績から考えまして日本の原子力発電所が一年間に海洋へ放出する量よりも多いのではないかなというふうに感じております。ただし、それがすぐ私どもの生活環境にはね返って影響があるかどうかというのは、これからも十分監視をしながら判断しなきゃいかぬと思いますけれども、濃度から考えて直接すぐに影響があるというふうに私は考えておりません。
#31
○吉田達男君 それじゃ、もう一問。動燃の須田先生にお尋ねいたします。
 私は鳥取でございますから人形峠の動燃の事業所の近くでございます。先生の御説明のこの核燃料サイクルのうち、あそこのウランを採掘して、そこでタングステンのような製錬の方法で初めになさってスタートされた、それから濃縮その他やられたと。それで、現在がなり高品位のウランが含まれるものが残っている、部分的に。そのものの措置が残土として若干近隣に心配も与えておる。それで、動燃の事業の中で、ヒープリーチングしてウランを抽出する、こういう作業は現在はもう仕事としては中止してしまっているのか。動燃の設置目的の中で天然ウランから製錬をして濃縮するという仕事そのものの意義は、現在の核燃料サイクルを維持するという先生の日本的な燃料の確保の中でもう必要がないという御判断なのか。
 それから、お仕事にもう一つ突っ込んで言えば、今度の仕事の変更といいますかあるいは拡充といいますか、再処理をして燃料をつくられるという作業はどのような段階にあって、そのものの事業としての熟度といいますか安全度といいますか、そういうものについてはどうなっているか、その辺を最後にお尋ねいたします。
#32
○参考人(須田忠義君) 第一点でございますけれども、先生御承知のように、我が国は四十年くらい前、我が国のウラン探査を非常に精力的に進めまして、ウラン鉱を我が国からとろうということで随分探鉱活動をしてまいりました。その結果、全国至るところを調査したわけですけれども、現状においては海外のウランほどの高品位、品位が高いものは残念ながら見つかっておりません。と同時に、我が国の地質構造からいってそれはもう期待はほとんどないという今状況でございます。
 したがって、先生がおっしゃったいわゆるウラン鉱石から硫酸をかけて抽出するというその工程、そういう工程は技術的なレベルは存続させたいと思っていますけれども、ウランの生産のためそういうことをこれからやるというのはほとんど考えていません。したがって、今海外探鉱とか海外のウランなんかを製錬する技術は動燃としても保持したいというふうに考えております。
 第二点目の再処理プルトニウムについては、東海事業所、東海再処理工場で再処理をしておりまして、プルトニウムは事実もう何トンか抽出してございます。したがって、ある程度のパイロットレベルの工場の技術は、中間的な技術は習得し、これが今六ケ所村の再処理工場、商業プラントの方に技術移転されている、そういう状況でございます。
#33
○大久保直彦君 公明党の大久保直彦でございます。
 須田参考人と松浦参考人にお尋ねを申し上げますが、先ほどFBRの件で触れられましたときに、二〇三〇年に実用炉の段階に入るというお話を伺いました。私は、実験炉からこの今の「もんじゅ」、明年臨界を迎えるそうでございますけれども、余りにも時間がかかり過ぎるといいますかスパンが長過ぎるということを前々から感じておりましたんですけれども、「常陽」の着工から逆算いたしますとまさに六十年の歳月をかけて実用炉に結びつく、まさしく二分の一世紀以上の歳月がかかる。これは今どき、三年一昔、十年大昔、こう言っておりますけれども、六大昔を経てようやく実用に入るというのは、これは技術的な面が専らでありますのか、それとも経済性の問題を考慮してこういうことになるのか、この辺はいかがなものかということについてお尋ねを申し上げたいと存じます。
 松浦さんに伺いますが、先ほど志村先生もお触れになりましたけれども、この多重防護の件についての耐震性といいますか、地震対策と申しますか、マグニチュードどの程度のレベルに耐えられるものを今目指しておられるのか。また、先ほど制御棒が外れるというお話でしたけれども、これは地震をいささかなりとも覚知した段階で制御棒がすぐ作動するようになるのか、それとも一つの何か基準みたいなものが定められておりますのか、この点についてお伺いをいたしたいと思います。
#34
○参考人(須田忠義君) これは技術的な問題、経済的な問題がいろいろ複雑に絡み合っている問題だと思います。特に地元問題、立地問題なんかが非常に長引いた理由になっている場合もありますし、一概に全体的にこのためだというのはなかなか言いづらい部分がございます。特に、御承知のように「もんじゅ」なんかも地元問題で、地元の説得で随分時間がかかったりいたしました。これを全部地元にゆだねる気はございません。そういう複雑な要因が絡んだというふうに申し上げたいと思います。
#35
○参考人(松浦祥次郎君) 地震の問題でございますが、マグニチュード幾らまで耐えられることを目指しているかという御質問でございますが、マグニチュードというのは私の承知するところでは地震で発生するエネルギーでございまして、そこの発電所があります震度とは直接関係ない。発電所があるその直下に地震が起こったときはそれは確かにマグニチュードと関係するでしょうけれども、それは直接関係が今ないと思います。
 どのくらい揺れたときにとめるようにするかということでございますが、私が今記憶しておりますのは加速度で二百五十ガル、そういう震度になったときに自動的にとめるようにしているというふうに承知しておりますが、この数字につきましては改めて確認させていただきたいと思います、私の記憶が間違っているといけませんので。
 いずれにしろ、この自動的にとまる二百五十ガルという震度は、普通我々がここで感じます震度からいうとかなり強い震度ですけれども、それでも発電所が耐える震度からいうとはるかに低い震度でございまして、十分の余裕を持ってとめるという、そういうようにしているわけでございます。
#36
○河本三郎君 須田理事にお伺いしたいと思いますが、高速増殖炉の開発というのは我が国の国家プロジェクトであったと理解をしております。しかし、欧州などではもうそれはやめたというような国もあるようですが、その理由を教えていただきたいことと、アメリカでは実験炉が七つもあると聞いておりますが、どうしてそんなにつくることができたのか、予算があったからかどうか知りませんが、必要なのか。この二点を教えていただきたいと思います。
#37
○参考人(須田忠義君) 二番目の問題からお答えいたします。
 アメリカはいろいろ実験炉ございます。しかし、非常に小さいものが多うございまして、例えば日本における「もんじゅ」なり実証炉なり、こういう実用化規模を目的とした実験炉、実証炉という感じ以外に、いわゆる研究的な要素の炉をかなり持っています。これは基礎研究の道具として各大学なり各国立研究機関がそういうふうに持っておるということでございます。アメリカはもともと原子力だけでなく基礎研究を非常に重要視する国でありまして、そういう意味じゃ実験道具としての原子炉、これは原子炉のみならず加速器なんかも含めて非常に多く持つ、そういう国庫じゃなかろうかなというふうに感じます。今はほとんど中断していまして、現在動いているのは一基のみです。
 それで最初の質問でございますが、これもヨーロッパ、アメリカがなぜ高速増殖炉路線というか、それについて停滞しているかということについてはいろいろな要因があると思います。
 一つは、一番大きな要因というのは、やはり各国の財政事情が非常に厳しい。特にアメリカも、この前もやりましたSSCみたいなものもばっさり切っちゃったということくらい財政削減が厳しいということが一つあろうかと思います。しかし、その中で、アメリカも高速増殖炉路線を全部やめたわけじゃなく、いわゆる廃棄物、先ほど私ちょっと申しましたけれども廃棄物の負担を軽くする、そのような研究、超ウラン元素を燃やす、そういう元素を燃やそうというような、そういう研究はこれからも続けるということで今回も予算がついてございます。
 ドイツなんかもいろいろな要因があるんですが、東ドイツを併合したために猛烈に財政が苦しいということが一つあろうかと思いますし、また、あそこは資源的には非常に膨大な石炭の埋蔵量も抱えているということで、今すぐ急ぐ必要がないというふうに我々は考えています。したがって、各国各国事情がございまして、全体的にこういう理由だというのはなかなかないということであります。
 だち言えることは、技術的な基盤、これも全部捨てたということでは決してありません。今急がないけれども、やはり高速炉という技術開発は進めていこうじゃないかというふうな意見である、こういうふうに承っています。
#38
○河本三郎君 原油があとわずか五十年足らず、ここは石油と書いてあるんですが、五十年足らずということのようですけれども、日本が資源小国ということもありまして、わずか五十年ということはあっという間だと私は思うのであります。そういう国が今後この高速増殖炉を開発しないという、いろいろ今言われた財政事情で、諸条件が重なって今後も開発する力がないということになっていきましたら、これは日本にとっても油がなくなっていくわけですから大変重要な問題だと思うのであります。
 そこで、日本が資源小国の頭となってこういう国に働きかけていくということも大事だと思うんですけれども、その辺は須田理事はどのようにお考えでしょうか。
#39
○参考人(須田忠義君) 全く先生のおっしゃるとおりでございまして、日本は、我々は世界各国が高速炉について熱意を失っていくというような状況が、もしそうなら非常にゆゆしき問題であるというふうに考えております。日本こそ世界各国に話しかけ、みんな一緒になってこれの推進に努力しなきゃいかぬというふうに基本的に考えています。
 それで、今我々も、フランスならフランス、アメリカならアメリカと非常に強力な共同研究をお互いに申し込んだり話し合ったりしまして、各国共同でできればこれを推進していきたいということで各国に働きかけを行っておるところでございます。したがって、各国がこれについてみんなして努力していただくことが日本としては一番いいことでございますが、各国各国いろいろな事情がございますので、できるだけ各国と話し合いながら一歩でも二歩でも前進したく、各国と話し合っているところであります。これからもそれを続けていきたいというふうに思っております。
#40
○河本三郎君 以上です。
#41
○星川保松君 今の質問と関連をいたしますが、高速増殖炉について、アメリカがいわゆる実験炉を七つもつくって、それで方向転換をしたということなんですね。それは、私はやはり経済的な理由だけだというふうにはちょっと考えられないわけです。しかも、非常に疑問に思うのは、世界で最も先進国なんですね、この分野に関しては。その先進国の、世界一の私は高い技術水準にアメリカはあるんじゃないかと思うんですが、そのアメリカが方向転換をしたというのは、やはりこれは難しくてとてももう見込みがないということでギブアップしたのではなかろうか、こういう感じもするわけなんですね。
 それに対して日本は、それをやめないでやっていく、それでむしろアメリカにも続けて一緒にやりましょうということ、その意気込みは結構ですけれども、日本はアメリカからすれば後発の国なわけですね。だから技術水準としても私はアメリカよりは低いのではないかという気がするんですが、そういうことからしますと、やはりこの高速増殖炉の開発というものは技術的に大変難しいということになってきているんじゃないかと思うんですよ。
 だから、そういう意味では、それは日本の場合の心意気は結構でありますけれども、果たしてそれでいいのかな、それでやっていけるのか。アメリカよりも自信を持ってこの開発を進めていくということで自信を持っているとすれば、その自信の根拠のほど、どういうところにあるのかということをひとつお伺いしたいんです。
 それからもう一つは、ドイツの場合はいわゆる州政府の拒否により原型炉計画を中止した、こうあるわけですね。ドイツの場合も増殖炉のプロジェクトというのは国家プロジェクトだと思うんです。その国家プロジェクトが州政府の拒否によって中止されたということは、これまたその地域の事情といいますか、そういうことが絡んできたのではないか、こう思われるわけです。ですから、その点はどうなっているのか、わかっているところを教えていただきたい、こう思います。
#42
○参考人(須田忠義君) アメリカの場合は、これは高速増殖炉の研究開発をやめたということは決して言っていません。クリントン政権も高速増殖炉の研究開発は継続するということを一応言っております。ただ、やみくもに増殖をするということよりも、むしろ廃棄物に優しいといいますか、いわゆる燃やしちゃおう、有害な超ウラン元素等を高速増殖炉を使って燃やしちゃおう、そういうような研究を重視していこうじゃないかという政策は出ていますけれども、高速炉体系全体についてはクリントン政権も継続していくという方向であります。ただ、先ほど私申し上げたのは、全体に財政が非常に苦しくてすべてのプロジェクトが縮小されています。したがって、そういう意味では、原子力の研究開発のプロジェクトもかなり縮小ぎみであるということは言えます。
 ただ、先生おっしゃるように、アメリカは日本よりも技術的なポテンシャルは高い、これは事実です。アメリカの方が相当先行していますので、日本より技術は相当進んでいるということでございます。ただ、先ほど申しました財政だけじゃなく、いろいろな要因が絡んでいるということも容易に想像できます。例えば核の拡散の問題とか、これはアメリカは世界をリードしているわけですから、プルトニウムの問題なんかには相当センシティブな政策を展開している。そういうものの絡みとか、それからエネルギー資源もアメリカは相当豊富に持っていますので今急ぐことはないとか、そういういろいろな要因が重なっているのかと想像されます。
 なお、ドイツについてもいわゆる高速炉はやめたというわけじゃございません。ドイツも研究としては継続するということであります。ただ、これはちょっと私今はっきり答えられるだけの資料を持ってないんですが、州政府と国、連邦政府、ドイツの関係というのは非常に複雑でありまして、研究開発なんかやるときは連邦政府何割、州政府何割という形で出していくプロジェクトも多うございます。なお、その州政府は地元立地問題についての意見も非常に言える、そういう国柄でございますので、何がこれの直接の原因だったかというのはもう少し分析してみないとわからない、こういうふうに思います。
#43
○市川正一君 日本共産党の市川でございますが、お三方に簡潔に一問ずつ御質問させていただきます。
 まず動燃の須田参考人でございますが、さっき河本委員とのやりとりを聞いておりますとどうも特攻魂のような印象をちょっと受けましたんですが、お話がずっとありましたように、我が国は世界でも突出した高速増殖炉の開発計画を「もんじゅ」初め持っております。
 しかし、日本よりも率直に言って、客観的に言ってこの分野で先を進んでおりましたフランスで、実証炉と言われるスーパーフェニックスが重大な事故を多発させました。さっきもトラブルというふうに簡単におっしゃったけれども、私の知っている限り四回ございました。今、停止されております。御報告では最近再開の準備がされていると、こうおっしゃいましたけれども、その行方は必ずしも定かではございません。このスーパーフェニックスの事故についてはフランス政府が詳細な事故報告書を出しております。私も素人なりに読ませていただいておりますが、こういう報告書から動燃はどういう教訓を学び取り、我が国の原型炉の「もんじゅ」にどういう具体的な改善を取り入れられようとしているのか、その点をお伺いしたいんです。
 と申しますのは、特にナトリウム火災の問題がこれは御承知のように非常に深刻だと思うんですね。さっき御説明もあった二次系のナトリウムが細管の破断によって空気と接触してそして水と反応した場合は大爆発を起こす危険性が十分あると思うんですね。私は、その点でスーパーフェニックスのトラブルに照らしても「もんじゅ」は構造的に問題があるんじゃないか、こう認識しておるのでありますが、このナトリウム火災の危険に対してどういう対策をおとりになっているのか、まずお伺いしたいと思います。
#44
○参考人(須田忠義君) ナトリウムの火災、ナトリウムと水の反応については、日本も大洗工学センターに実規模大のいろいろな試験装置を設けまして徹底的にこれの研究開発を進めてまいったところです。
 ただ、これについてはフランスは必ずしもやっていないという、そのやっていないというのは、全部という意味じゃなくある部分についてはやっていなかった部分もありまして……
#45
○市川正一君 実証炉ではまだできそいないということなんですね。
#46
○参考人(須田忠義君) スーパーフェニックスですね。
#47
○市川正一君 ええ。
#48
○参考人(須田忠義君) それは今フランスとうちとで共同研究をやっていまして、むしろこれは、ナトリウムと水の火災についてはうちからフランスに教えてやっている状況です、本件問題については。したがって本件問題については我々日本の方がずっと進んでいるというふうに解釈しています。したがって、フランスでこうなったから日本はこれについて危ないというふうには決して思っておりません。我々はそれについては自信を持って進めているというところであります。
#49
○市川正一君 失礼なことをあえて申しますが、非常にこれは大事な問題でして、ただ財政事情というふうに還元できない問題だと私認識しておりますので、またいろいろ機会を見て御教示いただきたいと思います。
 次に、原研の松浦参考人にお伺いいたしたいんですが、原研は、かつて固有安全炉、こういうことで研究をなすっておられたし、今はもっと安全だということで超安全炉というふうに呼ぶように伺っておりますけれども、その今の到達点ですね。例えば概念設計はもう終わったんでしょうか、あるいはまた工学的設計に到達していらっしゃるんでしょうか。もしそこまでいっていないというのであれば、どこに問題があるのかお聞かせを願いたい。
 それからもう一つは、原子力の安全研究は軽水炉の、しかも安全性の実証試験だけに特化すべきじゃなしに、多様な炉型の研究とか、あるいはまたさっき須田参考人も基礎研究ということをアメリカの例を引いて非常に強調されましたが、そういう安全問題の基礎研究にもっと原研は力を入れられるべきじゃないのかという感想を私は持っておりますが、そういった点についてお伺いいたします。
#50
○参考人(松浦祥次郎君) お答えさせていただきます。
 まず固有安全炉でございますが、これは、固有安全炉と言われることがあったりあるいは受動的安全炉と言われることがあったり、先ほど先生も最近は超安全炉という言葉もあるというふうに言われましたような、そういういろいろを言われ方をしております。基本的にこれはどういうことかといいますと、何か危ないことがあったときにほとんど人間が手を添えることなくひとりでに原子炉がとまって冷やされるという、そういうものを目指していろいろ設計しているわけでございます。
 原研におきましてはこれまでに、この固有安全炉というか、むしろ受動的安全炉というのを目指しましてSPWRというタイプの、PWR型のリアクターでございますが、これの概念設計を行っております。これに関しましては、その概念設計は一応終わりまして、むしろこれから先、概念設計も非常に工学に近い概念設計ともう少し初段階のがあるわけですが、このSPWRはその初段階からもう少し進んだところまでいっております。
 ただし、この段階で我々原研といたしまして、原研で他の安全研究で成果の出ております例えば確率論的安全評価というようなことをこの概念設計のできたリアクターに対して行いまして、このリアクターにもし弱点があるとすればどこにあるかというそういう摘出をしております。今後これを工学設計に進めようとしますと、そういうSPWRで相対的にここが弱点だというところについての実証試験等をこれからやっていかないと工学設計に移るというわけにはいかない、そういう段階におります。
 そのほかにも、このSPWRは、どちらかといいますと受動的安全炉ではありますが、非常にコンパクトにできております。コンパクトにできているというのは非常にいいことでありますが、逆にコンパクトにでき過ぎますと常日ごろのメンテナンス等に今度はしんどいところがある。そういう意味で、例えば僻地で使いやすいように持っていくときにはコンパクトなものがいいとか、あるいは海洋で使うようなときにはコンパクトがいいというのがあります。しかし、陸上で使うときには必ずしもひどくコンパクトにする必要等はないというわけで、そういう意味で、もう少し受動的安全でそういう難しいことのないような考え方もしてはいいんではないかということで、そういうことの概念検討等もしております。今後、どちらにしろ、そういう概念設計ができますと改めてそこで安全の評価をいたしまして、そして弱点をつかまえて、それの工学試験をやって、それで次に進む、そういうことにしたいと考えております。
 それから二番目の、軽水炉だけじゃなくて多様な炉についてもやるべきではないかという御指摘でございますが、現実に現在日本で原子炉が問題になりますのはこの軽水炉と、それからあと動燃さんのやっておられますATRとFBRでございます。
 ATRに関しましては、燃料の健全性に関する試験等は原研でやっております。それからFBRにつきましては、今後、FBRの状況のもとでの、先ほど御説明いたしました軽水炉で行いましたNSRR実験といいますか、燃料の急激に反応が起こったときの実験等を高速炉の状況のもとでそのNSRRを使ってやろうというそういう計画を現在準備しております。そういうことでございます。
 それから基礎研究でございますが、これは当然のことながら、安全の確保のその下にある、例えば材料の性能をよくするとか、それから材料が劣化しないようにするためにはどういうふうな材料であればいいか、そういう基礎研究は現在も進めておりますし、今後もぜひそういうのはどんどん進めたいと考えております。
#51
○市川正一君 最後になりましたけれども、沼宮内参考人にお伺いいたしますが、実は、本委員会でも先日、ロシアの核廃棄物の日本海への海洋投棄問題、それをめぐってここで議論をいたしました。そして放射性廃棄物は日本も当然先頭を切ってやっぱり海洋投棄は行うべきでないという議論が非常にここで熱心に討論されたんですが、拝見いたしました資料の一ページの処理方法のところに、原子力発電所の場合は液体海洋放出、再処理施設の場合は海洋放出というくだりがありますが、参考人の御意見としてもやはり廃棄物を海洋投棄すべきでないという基本的立場に立って今後対応されるいわばスタンスなのかどうか、その点だけをお伺いいたします。
#52
○参考人(沼宮内弼雄君) 海洋投棄という言葉と海洋放出というのは中身が違うということをちょっと説明させていただきたいと思います。海洋投棄というのは恐らく、IAEAで決められた基準で申しますと、先ほど御説明いたしましたように四千メートル以上の深海にドラム缶に固形化したものを投棄するというのは海洋投棄であります。それに比べまして原子力発電所あるいは再処理施設等から出る海洋への放出というのは、非常にレベルが薄くなっていることを確認した上で、なおかつそれに伴ういろんなシナリオを考えて事前の安全評価を十分行って、それでなおかつ大丈夫だという審査を経てやっているわけでございますから、そのことについてはそれはそれなりに安全だというふうに私は考えています。
 海洋投棄というのは先ほども申しましたように固形化したものを深海に捨てるという意味でございますから、それ自体が飛び散ったり拡散していくということは今の科学的技術から考えますと容易に起こることではないと思います。ただ、海洋投棄する場合のデメリットと申しますのは、モニタリングといいますか監視がなかなかできにくい、容易にしにくいという話と、それから何かいざトラブルが起こった場合、どういうトラブルが起こるかいろいろ考えられると思いますが、そういうときに早い対応ができないというデメリットがあります。
 したがって、そういうことを考えますと、現時点では技術的なことを考えるならば、安全だとは思いつつも、なおかつ社会的な世論も考えなければいけませんので、現在の放射線防護というのは社会的経済的影響を考慮しつつ合理的に可能な限り被曝線量を少なくするという考え方かる演繹いたしますと、そういう意味では社会的影響ということを考えれば現時点ではやむを得ないのかなというふうに思いますが、これが将来、社会的情勢が変われば、それをまた再検討するということは科学的に見た場合は私はまだ残っているのではないかというふうに思っています。
#53
○市川正一君 終わります。
#54
○委員長(中川嘉美君) それでは、他に御発言もなければ、本日の参考人の方々に対する質疑はこれにて終了いたします。
 参考人の方々には、長時間にわたり当委員会のために貴重な御意見をお聞かせくださいましてまことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚く御礼申し上げます。どうもありがとうございました。(拍手)
 本日はこれにて散会いたします。
   午後二時五十四分散会
     ―――――・―――――
   
ソース: 国立国会図書館
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