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1993/11/10 第128回国会 参議院 参議院会議録情報 第128回国会 国際問題に関する調査会 第1号
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1993/11/10 第128回国会 参議院

参議院会議録情報 第128回国会 国際問題に関する調査会 第1号

#1
第128回国会 国際問題に関する調査会 第1号
平成五年十一月十日(水曜日)
   午後一時開会
    ―――――――――――――
   委員氏名
    会 長         沢田 一精君
    理 事         大木  浩君
    理 事         大島 慶久君
    理 事         山田 健一君
    理 事         荒木 清寛君
    理 事         井上 哲夫君
    理 事         猪木 寛至君
    理 事         上田耕一郎君
                上野 公成君
                岡野  裕君
                佐々木 満君
                下稲葉耕吉君
                林田悠紀夫君
                宮澤  弘君
                矢野 哲朗君
                翫  正敏君
                國弘 正雄君
                谷畑  孝君
                田  英夫君
                細谷 昭雄君
                松前 達郎君
                木庭健太郎君
                中西 珠子君
                永野 茂門君
                島袋 宗康君
    ―――――――――――――
   委員の異動
 九月二十二日
    辞任         補欠選任
     翫  正敏君     深田  肇君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    会 長         沢田 一精君
    理 事
                大木  浩君
                大島 慶久君
                山田 健一君
                荒木 清寛君
                井上 哲夫君
                猪木 寛至君
                上田耕一郎君
    委 員
                上野 公成君
                岡野  裕君
                下稲葉耕吉君
                矢野 哲朗君
                國弘 正雄君
                谷畑  孝君
                田  英夫君
                深田  肇君
                細谷 昭雄君
                木庭健太郎君
                中西 珠子君
                永野 茂門君
                島袋 宗康君
   政府委員
       防衛庁参事官   高島 有終君
       外務省総合外交
       政策局長     柳井 俊二君
   事務局側
       第一特別調査室
       長        下田 和夫君
   説明員
       防衛庁防衛局防
       衛政策課長    伊藤 康成君
       外務大臣官房外
       務参事官     服部 則夫君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○参考人の出席要求に関する件
○国際問題に関する調査
 (最近の国際情勢等に関する件)
    ―――――――――――――
#2
○会長(沢田一精君) ただいまから国際問題に関する調査会を開会いたします。
 まず、委員の異動について御報告いたします。
 去る九月二十二日、翫正敏君が委員を辞任され、その補欠として深田肇君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○会長(沢田一精君) 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 国際問題に関する調査のため、今期国会中必要に応じ参考人の出席を求め、その意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○会長(沢田一精君) 御異議ないと認めます。
 なお、その日時及び人選等につきましては、これを会長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#5
○会長(沢田一精君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#6
○会長(沢田一精君) 国際問題に関する調査のうち、最近の国際情勢等に関する件を議題といたします。
 まず、外務省及び防衛庁から説明を聴取いたします。外務省柳井総合外交政策局長。
#7
○政府委員(柳井俊二君) 外務省の総合外交政策局長をしております柳井でございます。
 まず、最近の国際情勢につきまして概観いたしました後、今後の課題について御説明させていただきたいと存じます。
 それでは、まず最近の国際情勢の概観につきまして、課題とそして各地域情勢の二つの側面から御説明させていただきます。
 現在の国際社会は、冷戦が終わりまして、新たな国際平和と協力の枠組みの構築を模索しております転換期にあると言えると存じます。新しい枠組みの構築に向けまして、国連を中心とした種々の取り組みや世界的な民主化、自由化の進展、市場経済志向の高まりや核軍縮、特に全面核実験禁止に向けての努力も本格化しつつある等、肯定的な動きが見られます。
 他方、国際情勢はむしろ不透明感が増大しているという側面もございます。具体的には、次に申します五つの課題があると存じます。
 第一に、先進国経済は依然として低迷しておりまして、また多くの国は深刻な失業問題を抱えております。これを背景に、保護主義や管理貿易的な動きの高まりから経済摩擦が激化する様相を見せております。また、新しい経済の相互依存関係の中で、国際的な経済調整、協調の枠組みをどのように構築していくべきかという問題も大きな課題でございまして、その足がかりとなるウルグアイ・ラウンド交渉も大詰めを迎えております。さらに、我が国が抱える大幅な黒字の問題もございます。
 第二に、世界各地で発生しております民族や宗教に根差した対立の激化、地域紛争の問題がございます。カンボジア、中東では歓迎すべき動きも見られますが、旧ユーゴスラビア、ソマリア、旧ソ連邦内の幾つかの共和国等では深刻な問題が生じております。
 第三に、核兵器を初めとする大量破壊兵器及びミサイルの拡散防止の問題がございます。これは、国際的な安全保障を確保する上で緊急の課題となっております。特に、北朝鮮の核開発疑惑問題は、東アジアの安全保障という側面のみならず、不拡散に向けての国際社会の努力に対する大きな挑戦でもございまして、極めて深刻な問題でございます。また、旧ソ連の核兵器廃棄問題への対応も必要になっております。さらに、大量破壊兵器、ミサイルの不拡散のための輸出規制強化の努力も行われております。通常兵器の軍縮につきましては、欧州通常戦力いわゆるCFE条約の動きもございます。また、通常兵器の移転の透明性の増大と適切な抑制を図っていくことも重要な課題です。
 第四に、多くの途上国が依然貧困等深刻な困難に直面しておりまして、引き続き途上国支援を行う必要がございます。同時に、冷戦後、旧社会主義諸国の民主化、市場経済化への移行の努力を支援することが新たな課題となっております。
 第五に、地球環境問題、難民問題、人口問題のような地球的規模の問題への対応も求められている次第でございます。
 次に、各地域の情勢につきまして御説明いたします。
 まず、アジア・太平洋地域情勢でございますが、世界経済が低迷する中で、この地域は順調な経済発展を続けており、国際社会の中でのこの地域の重要性は一層増大しております。冷戦終結後、アジア・太平洋地域におきましても、韓ロ、韓中の国交樹立、中越関係の正常化、カンボジアの総選挙実施、新政府の成立といった一連の好ましい動きがございました。
 特に、カンボジアにおきましては、九月二十四日、新憲法が制定され、新政府が発足いたしましたが、これは長年にわたる国際社会と国連、なかんずくUNTACの努力及びカンボジア人自身の努力が実ったものでございます。しかし、ポル・ポト派の存在は依然として最大の不安定要因でございます。シアヌーク国王を中心に国民和解努力が行われておりますが、シアヌーク国王の北京における療養が長引く見込みであること、ポル・ポト派が同派の支配地域の解放等に応じる構えがないこと等から、新しいカンボジア政府とポル・ポト派との話し合い実現の見通しは立っておりません。
 他方、朝鮮半島における南北の軍事的な対峙の構造は変わっておらず、日ロ間の北方領土問題や南シナ海諸群島の領有権問題は依然未解決であり、また我が国に近接する極東地域のロシア軍は、軍の政策として、またロシアの厳しい経済状況等から、活動の規模、レベルともに縮小しつつございますが、依然として核兵器を含む近代化された膨大な戦力を蓄積しているという事実に変わりはなく、さらに北朝鮮の核兵器開発疑惑のような問題も存在しております。
 次に、北米情勢ですが、まず、米国ではクリントン政権が米国の再生を旗印に国内経済の再建を最優先課題として取り組んでおります。九月の議会再開後は、新たに行政改革、NAFTA実施法案の議会成立、医療保険改革の内政の三大課題に取り組んでおります。特に、現在審議されておりますNAFTA実施法案の帰趨は、クリントン政権の今後の動向、米国の今後の対外政策の展開に重要な影響を及ぼすものと見られ、我が国としても大きな関心を有しております。また、外交政策におきましては、ボスニア、ソマリア、ハイチ等の難問に直面しておりますが、アジア・太平洋地域に関しましては、十一月中旬にAPEC非公式首脳会議を開催する等、この地域を重視する姿勢を見せていることが特筆されます。
 次に、カナダにおきましては、変化を訴えた自由党が、十月末の選挙の結果、九年ぶりに政権に返り咲きました。今後、新政権が内政面での最大の課題である景気、雇用問題にいかに取り組むか、また外交面で米国からの自立性を強調し、自主外交を掲げる新政権がいかなる政策を展開するかが注視されるところでございます。
 欧州におきましては、本年初頭にEC域内統一市場が完成いたしまして、さらに十一月一日には欧州連合条約が発効し、さらなる統合推進の努力がなされております。
 東欧につきましては、すべての国で複数政党自由選挙が実施される等、民主化の流れは逆戻りしないで進んでおりますが、改革断行に必要な強力な政治的リーダーシップあるいは多数派安定勢力が欠如しているという状況にございます。他方、経済改革も進展しておりますが、一定の成果が見られる反面、失業の増大、生産の低下等、国民の負担が増大しているという側面も見られます。他方、旧ユーゴスラビアの紛争が依然深刻な状況であり、国際社会としても国連、ECを中心とした取り組みを行っております。
 最近のロシア情勢について申し上げれば、十月三日から四日のモスクワでの騒乱事件は、反大統領勢力が武力を行使したのに対し、エリツィン大統領が秩序維持のためにこれを武力で鎮圧したものでございまして、多くの犠牲者が出たことは極めて遺憾でございますが、他方、衝突が地方などに拡大せず、二日間で一応の決着を見、早期にモスクワ市内の秩序が回復されたことを評価しております。当面の内政上の焦点は、なお保守勢力の強い地方自治体、すなわち共和国、州などでございますが、この地方自治体の動向と、十二月に予定されております新連邦議会や地方選挙についての動向でございます。経済政策につきましては、当面は経済状況の改善は困難であると見られます。
 九一年十月のマドリード中東和平会議以来、これまで紛争当事者の間で和平に向けての交渉が行われてまいりましたが、本年九月にはイスラエル・パレスチナ間で暫定自治に関する原則宣言の署名が行われ、和平交渉で大きな進展が見られております。パレスチナ人支援のための我が国を含む国際協力が強化されております。また、将来の地域協力を念頭に置いた多国間協議も進展が見られております。
 中南米各国におきましては、累積債務問題、インフレ、内戦等に象徴される困難を経て、現在ではキューバ、ハイチを除く国々が民主化を達成いたしまして、市場経済に基づく真摯な改革に努力が傾注されております。
 ペルーにおきましては、昨年四月の憲法一時停止以降の民主化復帰プロセスの総仕上げとも言える新憲法法案に対する国民投票が実施されまして、現時点におきましてまだ公式結果は発表されておりませんけれども、一部開票の結果に基づき、現地の民間調査機関が実施いたしましたサンプリング調査では、新憲法法案に対する賛成票が過半数を獲得していると伝えられております。
 また、ハイチにおきましては、九一年九月末の軍事クーデター以降、国連、米州機構を中心に民主主義秩序の回復のための努力が続けられておりますが、まだその実現は見られておりません。
 アフリカ諸国では、八〇年代を通じて経済状況の悪化が見られ、現在、世界の最貧国四十七カ国のうち三十一カ国がサハラ以南のアフリカに集中している状況にございます。冷戦の終結を受けて、アフリカ大陸でも政治、経済両面での民主化、自由化に向けての改革が進行しつつございますが、こうした改革も所期の成果を上げているとは申せません。
 ソマリア、アンゴラ等では悲惨な紛争が続いておりまして、世界じゅうの注目を集めております一方で、経済的な困難は忘れ去られてしまうのではないかという危機感がアフリカ諸国にはございます。
 南アにおきましては、八九年のデクラーク大統領の就任以来、アパルトヘイトを撤廃し、民主的国家を建設するための歴史的改革が進行しております。特に、本年四月から開始されました各政党間の交渉におきまして、黒人を含む全人種が参加する総選挙を来年四月二十七日に実施することが基本的に合意されております。現在、一部の政党が交渉を離脱するということも起こっておりますが、できるだけ多くの政党の参加のもとで総選挙が予定どおり実施されることが望まれている次第でございます。
 以上、御説明いたしましたような国際情勢の中にありまして、我が国の国際的責任と役割、我が国に寄せられている期待はかつてないほど増大しております。
 我が国が戦後の復興と現在の進展を達成できましたのは、自由、民主主義、市場経済のもとでの国民の英知と努力とともに平和が保たれていたこと、そして自由な貿易が可能であったこと、また特に戦後の時期におきましては、米国を初めとする友好国の援助と協力があったことによるものであると考えております。今や、我が国が世界の平和と繁栄を確保するために積極的な役割を率先して果たすことが必要でございます。また、これは我が国自身の平和と繁栄を確保するためにも不可欠なものであると考えます。
 国際社会が直面する課題に対処するためには、国際協調がますます重要となっていることは申すまでもございません。この中でも、特に基本的価値を共有し、世界のGNPの約七割を占める日米欧の協力は、世界の諸問題に取り組んでいく上で極めて重要でございます。とりわけ、政治・安全保障、グローバルな協力、経済を三本柱とする日米パートナーシップのバランスのとれた発展を確保していくことが我が国外交の基軸として特に重要であります。
 こうした日米パートナーシップ強化の必要性につきましては、九月に行われました細川総理とクリントン大統領との首脳会談におきましても確認されたところでございます。特に、環境、エイズ等の地球的規模の問題解決に向けた協力の推進がますます重要になってきております。また、国際社会における役割をますます高めつつある欧州諸国とも引き続き緊密な協力関係を築いていく必要がございます。
 冷戦の終結は国連の再生をもたらしました。湾岸危機の際の国連を中心とした国際社会の一致した対応は、このことを強く印象づけました。さきに述べました地域紛争への対処や地球的規模の問題の解決は、国際社会の一致した協力によってのみ可能でございます。そのために、国際連合の果たす役割もますます大きくなってまいります。
 次に、我が国は具体的にいかなる外交課題に直面しているのか、また平和と国際協調という憲法の精神に基づき、いかなる外交努力を行っていくかについて御説明したいと存じます。
 我が国の経済的繁栄は、多角的自由貿易体制下で実現されてきたものでございますが、低成長あるいは高い失業率といった世界経済が直面する現在の困難な状況のもとで引き続き繁栄を確保するためには、今後の世界経済の安定的発展を図るとともに、自由貿易体制の維持強化が欠かせません。そのためにも、サミット、OECD等の場を通じた国際協調に率先して取り組み、ウルグアイ・ラウンドを成功裏に年内に終結させることが重要でございます。
 米国やEC諸国を初め幾つかの国々から我が国の大幅な経常黒字が国際経済に与える影響を懸念する指摘がなされていることを真摯に受けとめ、良好な対外経済関係を維持するためのみならず、国民生活の向上を図るためにも内需拡大努力や市場アクセスの改善、内外価格差の是正、規制緩和等の政策を積極的に推進し、経常黒字の縮小に向けて努力していく必要がございます。既に緊急経済対策が決定されており、また経済改革研究会から報告が年内に出される予定になっておりますが、自主的な変革、改革努力の推進が諸外国より期待されているところでございます。
 各国との協調という面では、米国との関係を見ますと、米国内では産業界及び議会を中心に依然として我が国の市場が閉鎖的であるとの認識がございます。また、日米両国の一部において、日本異質論のように摩擦を助長しかねない見解も存在しております。
 こうした状況も踏まえ、東京サミットの際に日米首脳の間での共同発表として、日米間の新たな経済パートナーシップのための枠組みの設定発表に至り、日米関係を中長期的観点から安定させるための日米包括協議という話し合いの場ができたところでございます。九月から協議が開始されまして、明年早い段階での日米首脳会談の機会にその時点までの話し合いの成果を発表すべく、現在も鋭意協議を進めております。
 自由貿易主義や市場経済原則に従って、日米双方が努力することにより両国の対外不均衡の改善を図り、安定的な日米経済関係を築いていくことが重要であります。そのためにも、我が国として政府調達手続の改善を含め、自主的な改善努力を進めていくことが重要です。そして、協議に際しましては、日米双方の問題を取り上げるいわゆる双方通行性を旨とすることや、管理貿易につながるような数値目標を設定するというようなアプローチを排除していくこと、政府による対応が可能で責任が及ぶ範囲を対象とするといった諸原則を踏まえた対応を重視しております。
 日本とECとの間では、九一年の日本・EC共同宣言発出以降、幅広い分野での協力が進展しておりますが、当面の課題は、日米間と同様、貿易不均衡に代表される経済分野で、域内の経済停滞及び高い失業率が問題を先鋭化させる危険をはらんでいると言えましょう。
 また、自由貿易体制の維持強化を進めるための多国間取り決めを築くウルグアイ・ラウンド交渉が不調に終わるようなことがあれば、世界経済に深刻な影響を与えることは確実でございまして、先般の東京サミットにおきましても確認されたように、交渉の年内終結に向けて我が国としても引き続き全力を尽くしていく必要がございます。なお、農業につきましては、各国ともそれぞれ困難な問題を抱えておりますが、我が国としても相互の協力による解決に向けて最大限努力してまいります。
 地域紛争に関しましては、我が国が具体的に行っている協力について御説明申し上げます。
 カンボジア復興への協力に関しましては、我が国も国際平和協力法に基づきまして要員や部隊を派遣し、その活動はカンボジア側及び国際社会より高い評価を受けたところでございます。本年九月の新政府の成立に伴いましてUNTACの任務は終了いたしましたが、今後、カンボジアの経済社会的な安定を通じ政治的安定を図っていく必要がございます。その意味で、復興に関する支援強化が不可欠であります。
 去る九月に開催されましたカンボジア復興国際委員会いわゆるICORC第一回の会合は、昨年のカンボジア復興会議で意図表明されました入・八億ドルの援助の早急な実施に合意し、さらに一・二億ドルの追加の意図表明を得て成功裏に終了いたしました。さらに、明年三月までに東京において次回会合を閣僚レベルにて開催する方針でございます。我が国は、既に約一・七五億ドルの対カンボジア援助を実施しておりますが、引き続きカンボジアの復興に積極的に協力してまいりますとともに、カンボジア復興国際委員会、ICORC議長として国際社会による援助の迅速かつ効率的な実施のため、関係国、国際社会と力を合わせて努力してまいりたいと考えております。
 これまでの中東和平交渉に対しまして、我が国はこれを強く支持、支援する立場から、中東和平多国間協議各作業部会の議長国あるいは副議長国を務めるとともに、調査団の派遣、セミナーの開催等のプロジェクトを進めまして、この多国間協議の進展に大きく寄与してまいりました。また、パレスチナ人支援のために、国際機関を通じた資金拠出、研修員の受け入れなどを行ってきております。さらに、和平交渉当事者などとの意見交換を通じ働きかけを行ってきております。
 本年九月のイスラエル・パレスチナ間の暫定自治に関する原則宣言署名を受け、これまでに国際社会は中東和平のため全体として五年間で約二十一億ドルの支出の意図を表明しております。我が国といたしましても、先般の中東和平支援閣僚会合におきまして、今後二年間で二億ドルの支援を行う意図を表明いたしました。今後も多国間協議等を中心に和平交渉進展のため積極的に支援してまいる所存でございます。
 旧ユーゴの紛争は、冷戦後、世界各地で多発する地域紛争の典型でございまして、国際社会の対応が試されていると言ってよいと思います。特に、戦場における集団虐殺や女性に対する暴行等の非人道的行為は看過できません。このため、我が国としても、三百六十万人とも言われる紛争被災民のため、国際機関を通じまして約六千二百万ドル以上の資金協力も実施してまいりました。
 また、旧ソ連内では、アゼルバイジャン共和国ナゴルノ・カラバフ自治州のアルメニア共和国への帰属をめぐるアルメニアとアゼルバイジャンの紛争、アブハジア自治共和国の分離独立問題等グルジアにおける民族問題、タジキスタンの現政権である旧共産党勢力とイスラム民主党連合勢力等の野党との内戦といった問題もございます。
 我が国といたしましては、こうした紛争により生じた社会的混乱に対して、旧ソ連諸国に対する人道支援の一環といたしまして医薬品等の支援を行っておりますほか、国連、欧州安全保障協力会議いわゆるCSCEによる種々の和平努力を支持しております。
 ソマリアにおける氏族間紛争の一刻も早い終結及び和平と秩序の回復は、国際社会共通の関心事項でございます。モガディシオでの一連の事件は事態の深刻さを示すものでございますが、国際社会として国連による和平努力及び関係諸国の政治和解プロセス促進の努力を支持し、一日も早く危機を克服しなければなりません。我が国としては、人道的観点から、ソマリア国内被災民及び周辺国のソマリア難民に対しまして、九二年以来総額約五千四百万ドルの人道支援を国際機関等を通じて行ってまいりました。今後とも、可能な限りこうした貢献を行ってまいる所存でございます。
 湾岸危機を契機といたしまして、我が国の人的貢献の必要性につきまして国内において議論され、昨年六月、国際平和協力法が成立したところでございます。我が国は、この法律に基づきまして、アンゴラ、カンボジアに要員あるいは部隊の派遣を行ってまいりましたほか、現在、モザンビークに要員と部隊を派遣中でございます。カンボジアへの要員、部隊の派遣は本年九月に終了したばかりでございますが、我が国の協力は国際社会の高い評価を受けております。今後とも、カンボジア等の経験を踏まえた上で積極的に人的貢献を行っていきたいと考えております。
 核不拡散体制の維持強化という課題にも我が国は積極的に取り組んでおります。核不拡散体制を安定的なものとするとの観点から、我が国は核不拡散条約いわゆるNPTの無期限延長を支持しております。同時に、核軍縮、全面核実験禁止に向けても努力しており、ジュネーブの軍縮会議では、来年初めから全面核実験禁止に向けて条約交渉が行えますよう、我が国が核実験禁止特別委員会議長となっており、これを取りまとめておるところでございます。この議長の職は本年末まででございます。
 北朝鮮の核開発疑惑問題に対しましては、米国、韓国等の関係諸国及びIAEA等の国際機関との緊密な協力を通じまして、外交による解決に向け努力しておるところでございます。
 旧ソ連の核兵器廃棄につきましては、我が国として約一億ドルの支援を行うことにしております。このうち、ロシアに対する協力につきましては、先般のエリツィン大統領訪日の際に枠組み協定に署名し、今後、ロシア側と協議しつつ具体的協力案を検討していくことになっております。
 また、大量破壊兵器及びミサイルの不拡散のための国際的努力に関しましては、核兵器不拡散条約NPT、化学兵器禁止条約、生物兵器禁止条約といったグローバルな軍縮条約のほかに、これらの条約体制を補強すべく、先進国を中心としてこれらの兵器の関連物資や技術の輸出規制が国際的な枠組みのもとで実施されており、我が国もこのような枠組み強化のために積極的に努力しております。
 さらに、通常兵器の移転の透明性の増大と適切な抑制を図っていくことも重要でございまして、我が国等の提唱によって設置されました国連軍備登録制度の実効的運用に協力しております。政府といたしましては、武器取引に対する関係国の慎重な対応の必要性を引き続き国際的に強調してまいる所存です。
 途上国の経済困難は、一部諸国を除きましてむしろ深刻化しておりますが、先進各国とも厳しい財政状況にございまして、さらに旧社会主義諸国等新たな援助対象地域の発生、環境、人口等の地球的規模の問題への対応など、援助需要は拡大、多様化しております。このような状況の中で、我が国といたしましては今後とも積極的な途上国支援を行うことが必要となっております。
 九二年の日本のODA実績は、百十三・三二億ドルに達した次第でございます。本年六月には、第五次ODA中期目標を策定いたしまして、九三年から九七年の間に七百億から七百五十億ドルを目標とすることといたしております。また、資金協力計画も策定いたしまして、この期間でODA及び非ODAを合わせ、アンタイド資金おおむね千二百億ドル程度の協力を行うこととしております。
 ODAは、引き続き重要な役割を担うものと考えておりますが、一方、国民の税金を財源とするODAを実施するに当たりましては、我が国国民の理解と支持が得られるものであると同時に、相手国国民からも喜ばれるものでなければなりません。
 このような観点から、政府はODAについて種々の改善措置を図ってきております。
 まず、昨年、政府開発援助大綱を定めまして、我が国ODAについての基本理念や原則を明らかにいたしました。また、援助に対する透明性を高めるとの観点から、本年度よりODA案件の受注企業名を含むODAの実施状況を包括的に取りまとめた年次報告を国会等に提出しております。さらに、援助について広く国民の声を吸い上げるという考え方から、本年十月に援助に関する市民との触れ合いの場といたしまして国際協力プラザを都内、これは広尾でございますが、に開設いたしました。実際のプロジェクト実施に当たりましても、環境配慮を初めとする事前調査や事後の評価活動を充実させております。政府といたしましては、今後とも援助実施体制や広報、情報公開等の面における改善に全力を傾注いたしまして、効果的、効率的な援助の実施に努めてまいる所存でございます。
 我が国は、本年十月、東京におきまして国連等との共催によってアフリカ開発会議を開催いたしまして、今後のアフリカ開発の指針を示す東京宣言を採択する等、成功裏に右を終了いたしました。この会議は、九一年の国連総会で我が国が提唱したものでございまして、我が国の対アフリカ外交上画期的なイニシアチブであったと考えております。
 我が国は、政治の分野における民主化、経済の分野における市場経済化を目指して改革を実施している旧ソ連、東欧諸国が、現在、過渡期特有の苦しみを味わっており、またこれらの諸国における改革が成功し、政治的、経済的安定が確保されることは国際社会全体にとっての利益であるという認識に立っております。このような認識のもとで、我が国はこれらの諸国に対しまして、各国における改革の進捗状況、支援の必要性等の諸点を勘案しつつ、人道援助、技術支援、資金協力等、各種の支援を取り進めてきております。
 環境、難民等の地球規模の問題は人類の生存基盤に関する問題でございます。
 地球環境問題は遠い将来の問題ではございませんで、いっときの猶予も許されない緊急の課題であり、我が国の有する経験と能力を十分に生かしながら、地球環境問題の解決に向けた国際的な努力に対し率先して貢献していくことが必要でございます。
 我が国は、昨年六月の国連環境開発会議、UNCEDにおいて、環境分野での援助を九二年度から五年間にわたり九千億円から一兆円をめどとして大幅に拡充強化することに努めることを表明いたしました。その後、国際的な法的枠組みの強化、環境ODAの実施、UNEP国際環境技術センターの我が国への誘致を通じた環境技術の開発途上国への移転等を中心に、着実にUNCEDフォローアップに努めてまいりました。政府といたしましては、引き続き国連等の場を通じまして本問題に積極的に取り組んでまいる所存でございます。
 全世界に千八百万人以上いると言われる難民の問題につきましては、我が国は人道上の問題であると同時に世界の平和と安定にも影響を及ぼしかねない問題であるとの認識のもとで、国連難民高等弁務官事務所いわゆるUNHCR等の国際機関を通じた協力を実施しております。我が国のUNHCRに対する九二年の拠出額は約一億一千九百万ドルと、各国の中で第二位となっております。
 ちなみに、現在の難民高等弁務官は緒方貞子さんでございまして、今般、五年の任期で再任されたところでございます。今後とも緒方さんと緊密な連携をとってまいる所存であります。
 八七年に五十億人に達した世界の人口は、現在約五十六億人に達しておりまして、今世紀末には六十四億人、二〇二五年には何と八十五億人に増加すると予想されております。このような人口増加のほとんどが開発途上国において発生しており、これらの諸国におきまして経済社会の発展や開発の阻害要因となっており、また緑地の砂漠化や地球の温暖化などの地球環境問題を深刻化させる要因ともなっております。他方、我が国を初めとする先進国は、高齢化や開発途上国からの人口移動等、新たな人口問題を抱えている状況にございます。
 我が国としては、この人口問題への取り組みは人類が直面している最も大きな課題の一つと認識いたしまして、これまで国連人口基金に対して九三年度には六千三百三十万ドルを拠出する等、積極的な貢献を行っておりまして、今後ともかかる支援を継続していく考えでございます。
 また、来年九月にはエジプトにおきまして国連の主催する国際人口開発会議が開催されますが、我が国はこれに先立ちまして、国連人口基金及び国連大学の協力を得て人口問題に関する賢人会議を東京において開催し、国際人口会議に貢献したいと考えております。
 新たな国際秩序の模索に当たりまして、国連に対する期待は増大しており、国際的な平和と安全のために国連を中心とした努力が種々行われております。国連への期待は高まる一方、国連の実力は期待に追いついておりません。したがいまして、国連の機能の強化、具体的には財政基盤の強化を含む行財政改革、平和維持機能の強化及び安保理の機能強化が必要となっております。
 また、安保理につきましても、国際の平和と安全に主要な責任を負う国連の中核的機関といたしまして、加盟国の総意を反映するとともに、今日の世界の期待に実効的にこたえていくことができるよう強化される必要があると考えております。
 安保理改組の問題につきましては、近年の安保理の重要性の増大にかんがみますれば、その一層の機能強化が必要でございまして、世界の平和と安定に貢献する意思と能力を有する国を積極的に活用することが重要でございます。この夏に既に六十九の加盟国が意見書を提出いたしましたのに加えまして、現在行われております国連総会の演説でも百四カ国がこの問題に言及をしておりまして、安保理の効率性を維持しつつ、その議席を拡大することはもはや一つの大きな歴史の流れと言ってよいと思います。
 本年の国連総会におきましては、安保理改組に関し、すべての加盟国が参加できる作業部会を設置するという決議を採択する、そういう方向で関係国間の話し合いが目下行われております。本年末までには作業部会が設置されることになると思われます。
 さらに、若干の予測を申し上げれば、ドイツと並び我が国を常任理事国に加えることは多くの加盟国の支持を得ておりますが、そのほかに途上国よりも常任理事国を加えるとの点につきましては、今後の議論に相当の紆余曲折が予想されるところでございます。したがいまして、今後、なお時間を要する問題であると考えております。我が国といたしましては、このような議論に積極的に参加してまいりますとともに、国際社会の期待にこたえて、安保理においてなし得る限りの責任を果たすとの姿勢が必要であると考えております。
 次に、アジア・太平洋地域諸国との関係、日ロ関係について触れたいと存じます。
 世界の平和と安定を確保する上で、高い成長率を続けるアジア・太平洋地域の国際的役割はますます重要になっております。我が国は、アジア・太平洋地域の一員として、これらの諸国との経済、政治両面にわたる対話と協力をこれまで以上に緊密に進めるとともに、中国、韓国、ASEAN諸国等、近隣諸国との一層の関係改善に努める考えでございます。
 アジア・太平洋地域につきましては、全体として経済的結びつきが中心でございまして、今後ともこのような結びつきを深めていくことが重要でありますが、同時に安全保障の枠組みづくりが冷戦後の今日、重要になってきております。
 安全保障について申し上げれば、アジア・太平洋地域における米軍の存在は、この地域の安定要因として平和と繁栄を促進していくための不可欠の前提となっており、このような認識は域内の多くの国が共有しているということをまず申し上げたいと存じます。したがいまして、我が国といたしましては、引き続き日米安保条約体制を堅持し、このような米軍の存在の確保に引き続き努力する必要がございます。
 このような日米安保体制及び米軍の存在を前提といたしまして、アジア・太平洋地域での安全保障を考えるに当たりましては次のような分野での努力を並行的に進めるいわば複合的なアプローチが重要であると考えております。
 まず、この地域の多様性に留意し、朝鮮半島問題を初めとするこの地域の個々の紛争につき、おのおのの状況に適した枠組みを通じて解決に努力することでございます。
 第二に、アジア・太平洋諸国が安全保障対話を深め、政策の透明性とお互いの安心感を高めていくことが重要でございます。このような全域的な政治・安全保障対話につきましては、昨年からASEAN拡大外相会議を中心として本格化しております。我が国としては、このような域内での政治・安全保障対話に積極的に参画していく考えでございます。
 さらに、経済開発を通じた地域の政治的、社会的安定性の向上を図っていくことも重要でございます。このため、アジアを我が国援助の重点地域として、域内各国の経済発展を引き続き支援していく考えであります。
 ここで、この地域の経済の分野について見ますと、シアトルにおきまして、今月の十七日から十九日までAPEC閣僚会議、また十九日と二十日にはAPEC非公式首脳会議が開催されることになっております。我が国は、APECをガットを補完、強化する開かれた地域協力の場として位置づけておりまして、アジア・太平洋地域、ひいては世界経済の発展のため、その重要性はますます増大していくものと考えております。これらの会議におきましては、貿易投資委員会の設立、新規加盟等の問題などが議論される予定でございますが、このような観点から、APECの一層の推進、強化を図るため積極的に取り組んでいく考えでございます。
 本年二月に発足いたしました金泳三政権は、対日関係発展を重視しております。今後とも個別の案件を着実に処理し、未来志向的な関係の構築のため努力していくことが必要でございます。
 また、従軍慰安婦問題につきましては、我々の気持ちをいかなる形であらわすことができるかを現在鋭意検討しているところでございます。
 先週末の細川総理の訪韓におきましては、自由な雰囲気の中で率直な意見交換が行われ、両首脳の個人的な信頼関係を築く上で大きな意義があったと考えております。首脳会談におきましては、朝鮮半島を中心とする国際情勢及び日韓関係につき意見交換が行われ、特に両首脳は北朝鮮の核兵器開発問題に関して緊密に協議していくことにつき合意するとともに、未来に向けての日韓の貴重なパートナーシップを築いていくことで認識が一致いたしました。
 日中関係は、我が国にとりまして日米関係と並んで重要な二国間関係でございます。良好かつ安定した日中関係を維持発展させていくことは、両国にとってのみならず、アジア・太平洋ひいては世界の平和と繁栄にとり極めて重要な要素であり、我が国として日中関係を引き続き重視していくものでございます。
 我が国の現在の対中政策の基本方針は次の諸点でございます。
 第一に、日中二国間関係の一層の成熟化ということでございます。第二に、中国が国際社会において建設的役割を演ずるよう慫慂することでございます。そして第三に、中国の進める改革・開放政策への支援という点でございます。
 具体的には、まず昨年の国交正常化二十周年、天皇、皇后両陛下の御訪中等を経て、良好かつ安定的な状況にある現在の日中関係を幅広い分野における交流の一層の活発化によって成熟化させ、両国間の種々の問題を政治問題化させることなく、冷静な話し合いを通じて実務的に処理していけるようなそういう関係を固めていくことが必要であります。
 また、日中関係を単に二国間関係の枠組みでとらえるのではなく、世界の中の日中関係という観点から、軍備管理・軍縮、地球環境問題、麻薬対策等、グローバルな問題につきましてともに建設的な役割を果たしていくよう促していくことが必要でございます。
 さらに、中国が政治、経済両面にわたる改革・開放政策を維持しつつ安定的な発展を遂げていくことはアジア・太平洋の繁栄と安定にとって重要であるとの考えから、我が国としては中国の進める改革・開放政策をできる限り支援していくという考えでございます。 対ロ外交につきましては、領土問題を解決して平和条約を締結することにより日ロ関係の完全な正常化を図ること、また現在ロシアにおいて行われている改革を支持し、国際協調のもとでこれに応分の支援を行っていくことを基本としております。この関連で、十月のエリツィン大統領の訪日は、領土問題の解決と平和条約締結に向けての基盤を確立てきたと評価しております。この成果を踏まえ、前述の方針のもとで一貫した姿勢で対ロ外交を進めていく所存でございます。
 また、先般の放射性廃棄物の海洋投棄は近隣諸国に対する配慮に欠けるものであって、極めて遺憾でございます。第一回目の投棄の事実が確認された直後、外務大臣を初めハイレベルで投棄の即時中止を強く申し入れてまいりましたことは御承知のとおりでございます。日日両国の専門家会合を十月二十七日から二十八日にモスクワで開催いたしまして、また第二回日ロ合同作業部会を十一月十日から十一日に同じくモスクワで開催することになっております。これらの会合を通じまして、今回の事態の正確な把握に努めますとともに、日ロ共同海洋調査をできる限り早期に実施できるよう調整を進めていく方針でございます。
 なお、ロシア側は海洋投棄以外の方法によって放射性廃棄物の管理、処理を行うべきであり、そのため、ロシア側が希望するのであれば、適切な管理を行えるよう我が国としても協力の可能性を検討する用意があるところでございます。
 最後に、世界諸国民の相互理解の重要性につきまして申し上げたいと存じます。
 このように大きな転換期にある今日の国際社会におきまして、各国との間で長期的な視野に立った積極的かつ多面的な知的、文化的交流を推進し、国家間の相互理解と信頼関係を築いていくことは、平和で安定した国際関係を構築する上で不可欠でございます。政府といたしましても、平和で安定した国際関係の構築には各国民との相互理解が必要であり、文化交流がそのための最も重要な手段であると認識しており、国際文化交流を我が国外交の重要な柱として推進しているところでございます。
 我が国におきましては、外国や外国人との接触の機会が急速に増大する一方で、日本人一人一人の異文化に対する理解はまだ不十分なところでございます。このため、我が国社会が国際的により開かれたものとなるために、各国、各民族の文化に対する理解を深める必要が増大しております。
 他方、我が国の経済進出、経済協力は進んでいるものの、我が国に対する理解は不十分なままでございます。このため、現在の日本人の姿、日本人の考え方に対する理解を深めてもらう必要がございます。
 このための最も有効な手だての一つは、日本語教育の推進でございます。近年の日本語学習熱の高まりは日本語を普及する上での好機でございまして、早急に対応することが必要でございます。また、ジャパン・フェスティバル、日本週間などの総合的な日本紹介行事も集中的に我が国への関心を高めまして、対日理解を増進する上で効果的でございます。さらに、テレビ、映画等、映像メディアという強力な媒体を利用いたしまして、日本文化についての情報を世界の隅々まで伝えられるよう諸政策を打ち出してまいりたいと考えております。
 また、我が国の世界に対する貢献につきましては、経済協力及び政治面のみならず、文化の面においても我が国の国力に相ふさわしい貢献が必要でございます。特に、途上国の経済開発に伴い、人類共通の遺産である有形無形の文化財、遺産の保存、振興のための国際的協力の必要性が増大しております。特に、欧米的思考が中心となっている現在の国際社会におきまして、固有の文化を持った我が国について正しい理解を得るためには、欧米諸国よりはるかに大きな努力が必要でございます。
 しかしながら、我が国の国際文化交流の中核的実施機関たる国際交流基金の規模は、海外の主要な同種の機関との比較では依然として大きな開きがあり、今後、これらの機関に最低限匹敵し得るような予算、人員等を確保いたしまして、事業の拡大を図ることが我が国の主要な課題になっていると考えております。
 以上、最近の国際情勢と今後の課題について御報告申し上げました。どうもありがとうございました。
#8
○会長(沢田一精君) どうもありがとうございました。
 次に、防衛庁の高島参事官に説明を求めます。
#9
○政府委員(高島有終君) 防衛庁の参事官をいたしております高島でございます。
 最近の国際軍事情勢につきまして御説明申し上げたいと存じます。
 まず、全般情勢でございますが、今日の世界におきましては、特にソ連邦の解体により冷戦が名実ともに終結いたしましたことにより、世界的規模の戦争が発生する可能性は遠のきました。このような中、第二次戦略兵器削減条約いわゆるSTARTUの署名や、欧州通常戦力条約いわゆるCFEの発効などに見られますように、米ソの核戦力や欧州の厳しい対峙を前提として構築されてきました通常戦力の両分野において軍備管理の動きが進展いたしております。
 他方、これまで東西対立のもとで抑え込まれてまいりました世界各地の宗教的あるいは民族上の問題などに起因する種々の対立要因が表面化し、紛争に発展する危険性が高まっております。また、地域紛争を複雑、深刻化させる要因として、核兵器などの大量破壊兵器やその運搬手段を含む兵器の移転、拡散が国際的に懸念されております。
 このように、今日の国際軍事情勢におきましては、安定化に向けて各般の努力が継続されている中で、流動的な要素も多く、先行きに対する不安感、不透明感が存在しております。
 こうした情勢の中で、国連は世界の平和と安全を維持する機能を従来以上に発揮することが期待されております。国連の活動の一つに国連平和維持活動がございますが、現在、世界各地にこのような平和維持活動が展開されております。一九四八年以来、今日までに設立された国連平和維持活動のうち、半数以上が最近五年間に設立されておりまして、近年、その任務や規模は増大する傾向にございます。
 例えば、カンボジアにおいて活動した国連カンボジア暫定機構、UNTACは、従来から行われている停戦監視、選挙監視の任務に加えまして、主要行政分野の直接管理や選挙の実施なども任務とし、要員数約二万人という大規模なものでございました。
 また、冷戦の終結を受けまして、現在、米ロの核戦力や欧州の通常戦力について軍備管理の動きが進展しつつございますことは先ほど申し上げましたとおりでございます。
 米ソ双方が、戦略核運搬手段を千六百基、弾頭数六千発を上限として戦略核兵器を削減するいわゆるSTARTTは、一九九一年七月に米ソ間で署名され、その後、ソ連の解体を経て、昨年五月に米、ロ、ウクライナ、カザフスタン、ベラルーシの間で議定書が署名されました。また、現在の米ロの戦略核弾頭数を最終的におおむね三分の一のレベルまで大幅削減するSTARTUは、本年一月に両国間で署名されております。ただし、このSTARTUの発効にはSTARTIの発効が前提となっておりますが、ウクライナがまだSTARTIを批准していない状況にございます。このほか、米ロ両国は戦術核兵器の撤去等の自発的な措置を表明いたしております。
 欧州におきまして、昨年三月に軍事情報の年次交換、軍事交流や演習等の通報、査察、制限などを内容とするウィーン文書一九九二が採択され、署名国領土を相互に航空機等で査察するオープンスカイズ条約が署名されました。また、通常戦力をより低いレベルで均衡させることにより、奇襲攻撃や大規模侵攻能力を排除することを目的とした欧州通常戦力、CFE条約が昨年十一月に正式発効いたしております。
 さらに、米国及び欧州におきましては、現在、安全保障政策の見直しを行っておるところでございます。米国は、先般、国防省が約半年間検討を続けてまいりました国防の必要性と計画に関する積み上げ方式の検討いわゆるボトムアップ・レビューを公表いたしました。この中で、米国は、冷戦後の国際環境に応じた米軍の戦力規模を明らかにし、今世紀末に向けて再編を実施するとしております。また、欧州におきましては、従来のNATO対ワルソー条約機構という図式にかわる新たな安全保障体制の枠組みづくりが進められております。
 このように、国際社会の安定化に向けた努力が行われている一方で、先ほども申し上げましたように、冷戦の終結により米ソ両大国を中心とする東西対立の構造が消滅したために、地域固有の種々の対立要因が顕在化、先鋭化する危険性が世界各地で増大しております。旧ユーゴスラビアにおける内戦や旧ソ連地域における民族紛争などは、それが実現化している例と言えると思います。
 また、冷戦の終結による変化は主に欧州地域において顕著でございますが、東西対立の構造が欧州ほど明確な形をとっていなかったアジア地域におきましては、冷戦終結後も例えば朝鮮半島に依然として南北の軍事的対峙の構造が残るなど、大きな変化は見られておりませず、したがいまして複雑かつ不安定な状況が今もなお継続しております。
 次に、アジア・太平洋地域の情勢について説明させていただきます。
 アジア・太平洋地域は、伝統的に各国の国益や安全保障観が多様でございまして、欧州のような多国間の集団安全保障体制は存在せず、地域的一体性に乏しい地域となっております。この地域においては、中韓国交樹立や韓ロ基本条約の署名などの緊張緩和に向けた動きも見られますが、我が国の北方領土問題や朝鮮半島、南沙群島等の諸問題が依然として未解決のまま存在しております。この地域は、また世界でも経済的に成長の著しい地域であり、このような成長を背景に多くの国が国防費を増額するとともに、高性能兵器の導入などにより国防力の近代化を進めようとしております。
 極東地域の旧ソ連軍は、一九八九年以降、量的な縮小が見られ始め、ソ理解体後、ロシア軍となってからもその縮小傾向は続いております。しかし、極東ロシア軍はこれまでに再編合理化及び近代化された膨大な戦力が蓄積された状態にございます。また、極東ロシア軍の装備については、欧州方面からの移転を含む近代化が行われており、T80戦車や第四世代戦闘機などの最新鋭兵器の配備が続けられております。
 ロシアは、現在、国防政策の策定及び軍の建設を行う過程にございますが、その先行きはロシア国内の混乱した政治経済情勢により極めて不透明なものとなっております。このため、極東ロシア軍の今後の動向も不確実なままとなっております。このように膨大な戦力を有し、その動向が不確実な極東ロシア軍の存在は、この地域の安全に対する不安定要因であると認識いたしております。
 北方領土に配備されたロシア軍については、師団規模の地上軍が存在していると推定されております。また、従来、択捉島にはミグ23戦闘機が配備されておりましたが、これは現在は所在いたしておりません。いずれにいたしましても、我が国固有の北方領土からロシア軍が早期に完全撤退することが望まれます。また、ロシアが、先般、日本海において放射性廃棄物の投棄を行ったことは極めて遺憾なことと考えております。
 北朝鮮は、一九六二年以来、全人民の武装化、全国土の要塞化、全軍の幹部化、全軍の近代化という四大軍事路線に基づいて軍事力を増強してまいりました。北朝鮮の最近の食糧、燃料事情を含む経済状況の悪化は深刻であると見られておりますが、依然として軍事力にその国力を重点的に配分していると見られております。
 北朝鮮については、従来から核兵器開発の疑惑が持たれておりますことは、先ほど柳井局長の説明でも触れられたとおりでございます。本年二月に国際原子力機関、IAEAは、北朝鮮の核廃棄物処理・貯蔵施設と見られる一部施設への特別査察を要求しましたが、北朝鮮はこれに応ぜず、本年三月には核不拡散条約からの脱退を宣言いたしました。その後、六月に行われた米朝協議の結果、北朝鮮はNPT脱退の発効を中断するとの意図を表明し、当面は同条約にとどまることになりました。七月には米朝協議の第二ラウンドが開催され、北朝鮮は保障措置などについてIAEAと、また核問題などの二国間問題について韓国と早急に協議を開始する用意があることを確認いたしました。
 これを受け、北朝鮮は九月にIAEAと保障措置に関する協議を再開いたしましたが、今日までのところ特段の進展は見られておりません。また、現在、実質的な協議も行われていない状況にございます。韓国との対話についても、現在、特使交換のための実務協議は行われておりますが、実質的な対話はまだ始まるに至っておりません。
 また、北朝鮮は、現在、射程約一千キロメートルとも言われる新型地対地ミサイルいわゆるノドン一号を開発していると見られます。本年五月下旬に、北朝鮮は、同国東沿岸部から日本海中部に向け弾道ミサイルを発射する実験を行いましたが、このミサイルはノドン一号であった可能性があると考えております。北朝鮮がノドン一号の開発に成功した場合には、配備位置によっては我が国の過半がその射程内に入る可能性があることから、我が国としてはその開発動向を強く懸念いたしております。さらに、核兵器開発とミサイル開発が結びつけばより一層危険な状況となり得ます。北朝鮮のこうした動きは、我が国周辺地域のみならず、国際社会全体に不安定をもたらす要因となっております。
 中国は、現在、従来の広大な国土と膨大な人口を利用したゲリラ戦主体の人民戦争の態勢から、各軍、兵種の共国運用による統合作戦能力と即応能力を重視する正規戦主体の態勢への移行を図っております。また、湾岸危機における高性能兵器の有効性にかんがみ、国防科学技術や装備の近代化などの重要性を強調し、量から質への転換を図ろうとしております。
 現在、中国は核戦力や海空軍力を中心に近代化を図ろうとしております。核戦力については新型の中距離弾道ミサイル、IRBMを配備しつつあると見られておりますし、海上戦力につきましてもヘリコプターを搭載可能な駆逐艦、護衛艦の建造などを進めております。また、航空戦力については新型戦闘機を開発、配備しているほか、ロシアからSU27戦闘機等を導入いたしております。
 中国は、ことしの国防予算をここ数年に引き続いて大幅に増額いたしております。これは対前年度比では一四・九%増となっております。しかし、当面は経済建設が最重要課題とされていることや、インフレ基調と財政問題に直面していることもあり、国防力の近代化は緩やかに進むものと見られております。
 また、中国は、昨年二月に諸外国と領有権について争いのある南沙群島や西沙群島などを自国領と明記した領海法を公布、発効させ、昨年十月の共産党全国代表大会の報告に軍の今後の使命として領海の主権及び海洋権益の防衛を明記するとともに、近年、南沙群島における活動拠点を強化するなど、海洋における活動範囲を拡大する動きを見せております。このような中国の動きについては、中長期的にアジアの軍事バランスにどのような影響を与えるか注目していく必要があると考えております。
 また、先般、中国が国際社会の中止要請にもかかわらず核実験を強行したことは、全面的核実験禁止に向けた国際的機運の高まりに逆行するものであり、まことに遺憾であると考えております。
 ASEAN諸国においては、最近、経済力の拡大などに伴い国防費を増額するとともに、新装備の導入などにより軍事力の近代化を配る動きが見られます。このようなASEAN諸国における軍事力の近代化は、一面においては経済開発と産業近代化の進展に伴い国防力も近代化するという各国の方針を反映するものと見られますが、他方、アジアには南沙群島などの未解決の諸問題が存在していることもその背景にあるものと考えられます。
 太平洋国家の側面を有する米国は、従来から我が国を初めとするアジア・太平洋地域の平和と安定の維持のために大きな努力を続けております。米国は、これまでこの地域に陸海空軍及び海兵隊の統合軍である太平洋軍を配置するとともに、我が国を初め幾つかの地域諸国と安全保障取り決めを締結することによってこの地域の紛争を抑止し、米国と同盟国の利益を守る政策をとってきております。
 米国は、一九九〇年四月以来、アジア地域における戦力の段階的な再編合理化を進めてまいりました。また、米比軍事基地協定の終結により米軍は昨年十一月にフィリピンから撤退いたしましたが、ASEAN諸国などで米軍のプレゼンスの重要性について積極的な理解が進んできており、米国は今後は同盟国、友好国における港湾施設の利用の確保や寄港回数の増加といった方法でこの地域へのアクセスの維持を図ることとしております。
 また、本年九月にはボトムアップ・レビューの結果が公表され、米軍再編の方向が明らかにされましたが、その中で北東アジアにおいては、韓国に対する安全保障コミットメント、日本における海兵隊等及び第七艦隊の前方展開を維持することなどが示されております。
 以上のような状況の中で、我が国を守り、平和を維持するためには、引き続き日米安全保障体制を堅持するとともに、自衛のために必要な限度において適切な規模の防衛力の整備を図っていくことが必要であると考えております。
 以上でございます。
#10
○会長(沢田一精君) ありがとうございました。
 以上で説明の聴取は終わりました。
 これより質疑を行います。
 本日は、あらかじめ質疑者等を定めないで、委員には懇談形式で自由に質疑応答を行っていただきたいと思います。質疑を希望される方は挙手を願い、私の指名を待って質疑を行っていただきたいと存じます。
 なお、質疑及び答弁とも御発言は着席のままで結構でございます。
 それでは、質疑のある方はどうぞ挙手をお願いいたします。
#11
○永野茂門君 外務省にお伺いいたします。二つあります。その一つは旧ユーゴ紛争の問題、二つ目は北朝鮮に関する問題です。
 第一の旧ユーゴの紛争についてでありますが、今柳井局長は、この紛争を最近の紛争の典型的なものであるというように御発言になりました。私もそのとおりだと思いますが、どういう特性をとらえて典型的だとお考えになっておるんでしょうかということと、大変にここは処理が難しくて非常に苦労しておるわけでありますけれども、なぜこのように紛争処理が大変に難しい状況に陥っておるんであろうかということについてお伺いしたいと思います。これが第一点です。
 第二点は、北朝鮮問題について、御承知のように国連による制裁についていろいろと論議が始まっておりますが、日本はこれに対して平和的な解決ということを非常に重視してやっておると思います。そして、それそのものは私は正しいと思いますが、どういう条件になったら制裁行為を行うことに目をつぶらなきゃいけないといいますか、あるいは日本も参加しなきゃいけなくなるのかもしれませんけれども、その点についてどういうスレッシュホールドをお考えになっておるのか。
 中には、私はそれに必ずしも賛成ではありませんが、制裁行為に出た場合に日本に対する影響が非常に大きいこと、例えば経済制裁等をやった場合に日本に対する影響が極めて大きいからやらない方がいいんだというけれども、そうじゃなくて、若干の報復行為といいますか日本に対する波及があっても、それは非常に短い将来の問題であって、さらにさらに先の方のことを考えればそのくらい我慢して、それを乗り越えてこそ初めて恒久的なといいますか、やや長期的な利を得ることができるんだ、そういうように言う論者もいます。そういうことも考えて、どのようなスレッシュホールドをお考えになっておるか。あるいはもう永久に制裁には反対だということになるのか。
 それのついでに、こういう非常に閉ざされた国との間の話し合いというのはどういうように開いていくんだろうかと。アジア・太平洋の、特にアジアの安保協力システムといいますか、あるいは会話の場といいますか、フォーラムといいますか、そういうことについてもちょっとお触れになりましたけれども、これだけ閉ざしていると、一番問題の国がその場に参加してこないことでありまして、これをどうやって解きほぐしたらいいのか、何かお考えがありましたらお伺いしたい、この二つです。
#12
○政府委員(柳井俊二君) 二点の問題の御提起でございます。
 第一点の旧ユーゴスラビアの状況でございますけれども、先ほど冷戦後の一つの典型的な事態であると申し上げたわけでございますが、その意味するところは次のようなことであると考えております。
 冷戦の時代におきましては、東西両陣営あるいはそのいずれにも属さない第三世界というような形でそれなりに世界の秩序ができていたわけでございますが、その中にありまして、ユーゴあるいは旧ソ連のような多民族国家の中には潜在的にいろいろな紛争の原因があったと思います。ただ、冷戦構造という中にありまして、そういうような潜在的な問題がいわば封じ込められていたわけでございますが、この冷戦構造が崩れまして、いわばたがが外れたと申しますか、全体の秩序が壊れたために、本来あった民族的あるいは宗教的その他の潜在的な紛争の要因というものが一挙に表面化してきたという事態であると考えております。
 ユーゴの場合には、中世と申しますか、さらに言えば古代から非常に民族が入り乱れておりまして、宗教的、文化的にも違う人々が同じところに入り組んで住んでいるという状況でございますので、最も複雑な紛争であるということが言えると存じます。
 それから、第二点の北朝鮮の問題でございますけれども、現在、核開発疑惑の払拭のためには幾つかのチャネルで外交的な努力が払われていることは御承知のとおりでございます。
 一つは、南北間の直接対話ということでございますが、これは残念ながら今のところ余り進展がございません。最も期待を寄せておりますのが米朝間の対話でございますが、これもなかなか進展しないという状況でございます。ただ、米朝間の対話というものは続けられているというふうに承知しております。必ずしも表面上の動きはございませんけれども、非公式な形でいろいろな接触はあるというふうに承知しております。
 それから、IAEAと北朝鮮との間の交渉というのも行われてまいりましたけれども、この方はIAEAの保障措置といういわばグローバルな制度がございますので、余り交渉の余地はない。北朝鮮としてはIAEAの保障措置を受ける義務を負っておりますので、例えばある施設は保障措置の対象にするけれども、ほかはその対象にしないというような交渉を行う余地はないということで、この方は今動きはございません。
 そういうことで、大変に難しい状況にございますけれども、我が国それから当然韓国、米国といった直接の関係国の間では、何とか外交的な努力によって解決をして、国連による制裁というようなことにいかないようにしようというのが現在の努力の方向でございます。
 しからば、どのような場合に制裁にいくかという点でございますけれども、これらの現状におきまして関係国の間で具体的に想定した仕切りと申しますか、そういうものがあるというわけではございません。ただ、最悪の場合としては、あらゆる外交努力が行き詰まってしまった場合に国連の制裁という道が唯一残された方法になり得るということは、理論的な問題として皆の頭にあるわけでございます。ただ、国連の制裁と申しましても、これも一般論でございますが、例えば必ず経済制裁に一挙にいくということではございませんで、いろいろな段階があろうかと存じております。
#13
○永野茂門君 ありがとうございました。
#14
○中西珠子君 きょうは大変いいお話をいただきまして、外務省も防衛庁もどうもありがとうございます。
 外務省の柳井局長にお伺いしたいのでございますが、国連の機能の強化、殊に平和維持機能の強化というものが必要だと、また行財政改革も必要だと、これは私も必要だと思うのでございますけれども、外務省の方のお考え、外務省のお立場というものをちょっとお教えいただきたいと思うわけでございます。
#15
○政府委員(柳井俊二君) ありがとうございました。
 今、御指摘の国連の平和維持機能の強化、そして国連の行財政といった国連そのものの強化につきましては、現在、国連総会開催中でございまして、これからいろいろな議題のもとで具体的に議論をしていくところでございます。
 まず、平和維持機能の強化でございますけれども、この点につきましても、先般の国連総会一般討論の機会に細川総理からもこの点について触れられております。国連の強化という点につきましては、平和維持活動の強化、行財政の問題、それから安保理の改組、この三つに触れられておるわけでございます。特に、平和維持活動の改善という点につきましては、幾つかの点を総理の演説の中で触れられております。
 それは、例えばPKOの要員の安全確保というものが優先的な課題であるということ、それからPKO活動が過去の例を見ますと非常に長期間にわたっていわば慢性化すると申しますか、惰性的に続いてしまうということがございますが、これはやはりどこかの時点で打ち切る、終了させるというようなことが必要ではないかというようなこと、あるいはこれまでに行いました活動の評価をきちっと行うこと、それから活動期間の延長をするというような場合にはこれまでの活動の厳密な、厳格な見直しが必要であろうというようなこと、こういうことを言っておられるわけでございます。
 PKO要員の安全確保の問題につきましては、現在の総会では二つの側面から議論がなされようとしております。私どもといたしましても、限られた経験ではございますけれども、我が国としてPKOに初めて参加いたしましたので、この安全確保には非常に大きな重点を置いております。
 二つの側面と申しますのは、一つは物理的な保護と申しますか、どういう安全対策、安全のための装備をしたらいいか、あるいはどういう安全措置を国連のPKOの内部でとったらいいかというような点でございます。それからもう一つは、これは第六委員会という法律委員会の方で提案されていることでございますが、PKO要員に対する攻撃をしてはならない、そういうものがあったときにはその紛争当事者を処罰するというような国際的な法的枠組みをつくっていこうという努力の二つの面でございます。
 細かい点いろいろございますけれども、先ほど申し上げましたほかに、我が国が音頭をとりまして、昨年、平和維持留保基金というものを国連の中に設けたわけでございます。これは新しい活動が始まるときに、スタートのために急にお金が要るわけでございますが、そういう資金をプールしておいてスタートしやすくしようというような、こういう点も改善点の一つでございます。
 それから、行財政の方でございますけれども、行財政につきましては、御承知のとおり、国連の財政状況というのは大変危機的な状況になっておりまして、これを改善するということが非常に緊急の課題になっているわけでございます。この点も総理の演説の中で触れられたところでございますが、特に通常予算のほかにPKOの予算というものが、現在のように地域紛争が多くなってPKOの数が多くなる、またその一つ一つの規模が大変大きくなっておりますので、このPKO予算というものが通常予算より大きくなってきております。そういうこともあり、また他方においてアメリカやロシアのような大国を含めて相当滞納をしている国が多いということがございますので、そういう滞納を早く支払って、本来の支払い義務を果たしてもらいたいという点がございます。
 他方において、国連の資金の支出の方につきましても、これは合理化をし適正化する余地がいろいろあろうということで、これは具体的には特に第五委員会、財政の委員会でございますが、そういうところなどを通じまして具体的に指摘をし、改善を図っていきたいと思っております。
 なお、国連の事務局の財政部門にも我が国から職員を送り込んでおりまして、そういうことも通じてより直接的に国連の行財政の改革に貢献したいというふうに考えております。
#16
○中西珠子君 ただいまは大体細川総理が国連総会においてなさいました演説を引用なさいましてお答え願ったわけでございますが、それは私も拝見して承知しておりますけれども、平和維持活動の強化という面でちょっと外務省の御意見を聞きたいんです。
 例えば、ガリ事務総長が「平和への課題」というものを出しまして、その中で平和執行部隊というものをやっていきたい、やらざるを得ないしやった方がいい、こういうことを言っておりますね。これに対しては外務省はどのような御意見ですか。いろんな国でそういうものはちょっと考え直した方がいいんじゃないかという意見もあるらしいんですけれども、外務省の御意見はどういう御意見でしょうか。
#17
○政府委員(柳井俊二君) 「平和への課題」という観点からの御質問につきましては、私どもはあの「平和への課題」というレポートができまして以来これを研究いたしまして、また国連の特別委員会の議論にも参加してまいりました。
 いわゆるガリ報告の中には、ただいまお触れになりました平和執行部隊のほかに、例えば予防的な展開でございますとか紛争解決のための外交的な努力とか、あるいは紛争解決後の復興の問題とか、相当いろいろな点に触れられていることは御承知のとおりでございます。それから、もちろん伝統的なPKOのことにも触れられておるわけでございます。
 私どもといたしましては、いろいろな世界の紛争を見ておりまして、我が国がいわゆる五原則のもとで参加しておりますいわゆる伝統的なPKO、こういうものはやはり国連の長い慣行を通じて出てきた一つの知恵であると思いますし、紛争当事者間で停戦の合意ができた後に、これを保障するために国連のPKOが入っていくということは、やはり引き続き非常に有効な方法であろうと存じます。
 ただ、他方におきまして、例えば旧ユーゴスラビアでございますとかあるいはソマリアのように人道援助をやろうとすると、しかしながらその人道援助として送った食糧なり着る物等の物資が、本来そういうものを必要としている人々に行き渡る前に武装兵力が横取りをしてしまう。あるいは人道援助で現地に赴いている国連の要員、具体的には国連難民高等弁務官の派遣した要員が危険にさらされるというときにどうするかという非常に現実的な問題もあるわけでございます。
 ガリさんの提案しております平和執行部隊というものは、そういう非常に緊迫度の高い危険な状況で人道援助を行う、あるいは平和を確立するために力の行使も必要な場合があるのではないかということを言っているわけでございまして、残念ながらそういう事態があることは否定できないと思います。
 そこで、私どもとしては、場合によってはそういうことも必要かもしれないということで、慎重ではございますけれども必要な場合があるということを認めております。ただ、我が国がそういうことに参加するかどうかということは別問題でございまして、現在の国際平和協力法は五原則に基づく伝統的なPKOでございますから、我が国としてはこの法律のもとでそういうものにしか参加できないという立場を貫いているところでございます。
 繰り返しになりますけれども、ガリさんはいろいろな提案をされておりますが、しかし今後とも伝統的なPKOの有効性と申しますか、が有益であるという点は否定できないと思いますし、今後ともそういう形で我が国が貢献する余地というのはいろいろ出てこようというふうに考えております。
#18
○中西珠子君 どうもありがとうございました。
#19
○上田耕一郎君 まず、柳井局長に二つ質問したいんですけれども、一つはアメリカのクリントン政権の世界戦略について、それからもう一つは非同盟諸国首脳会議の動向の評価、この二つは先ほどのお話の中で触れられていないので、両方とも今の国際情勢を考える上で非常に重要な柱だと思うので、若干意見を含めて質問したいんです。
 クリントン政権、先ほどのお話では経済問題の努力について北米地域で触れられたんだけれども、確かにしばらくの間なかなか外交戦略を発表しなかった。御存じのように、九月になってからかなり明確に新しい拡張戦略、今までのは封じ込め戦略だと、今度は拡張戦略だというのを公表したんです。
 まず、九月一日にアスピン国防長官のアメリカの戦力構造の徹底的見直しの発表。これは二つの大規模戦争同時遂行というので、どうやらイラクと北朝鮮相手の大規模地域戦争を両方やれるということなどの入ったかなり物騒な積極的計画なんです。それから、九月二十日、クリストファー国務長官のコロンビア大学での演説。単独でも武力行使する能力と意思が必要だという中身です。
 それから、極めて理論的に明確に述べたのが、九月二十一日、ジョンズホプキンズ大学での国家安全保障担当の大統領特別補佐官アンソニー・レイクの演説で、これがなかなかすごいです。我々が時代の支配的な力だ、世界一強い軍事力、世界一大きな経済、世界一ダイナミックな多民族社会、我々の指導性は求められ敬われていると言いながら、こういう規定をしているんです。冷戦の間、我々は市場民主主義諸国に対する地球的脅威を封じ込めた、今や我々は市場民主主義の広がりをさらに拡張すべきである、封じ込め戦略の後を継ぐのは拡張の戦略、市場民主主義諸国の自由世界共同体の拡張戦略でなければならないと。
 この新しい概念が九月二十七日のクリントン大統領の国連演説でそのまま盛り込まれて述べられるわけだ。今の世界は危険だということをいろいろ言って、アメリカは引き続き関与し、指導していくつもりであると言って、危険と機会が併存する新しい時代における我々の最優先の目標は、市場を基礎とした民主主義諸国の世界共同体を拡大し強化することでなければならない。冷戦の時期に我々は自由な諸制度の生存に対する脅威を封じ込めることに努めたと。
 だから、クリントン政権が発足してからかなりいろいろ練ったり討議したりしたんでしょうけれども、九月になってからこういう市場民主主義諸国の共同体の拡張戦略というのを非常に明確に打ち出したわけです。
 僕はこれを読んでトルーマン・ドクトリンをやっぱり思い出した。クリントン政権の人たちは、我々は今トルーマン政権の初期に似ているということを言っているような人もいるんだそうですが、御存じのように、トルーマン・ドクトリンというのは四七年にギリシャの内戦に対する援助とそれから軍事介入を決めて、上下両院でトルーマンが演説して世界的にショックを与えて、あれに対してジャーナリストが冷戦という言葉をつけたんです。
 トルーマン・ドクトリンとそれからスターリンのはちょっと対抗していて、スターリンもスターリンの制度を世界じゅうに広げる、トルーマン・ドクトリンもアメリカ制度を世界じゅうに広げるというものなんです。両方広げようという、両方帝国主義です。片方は社会帝国主義で、片方は資本主義的帝国主義なんだが、それが結局四十数年世界支配を競い合って、核兵器をつくり、軍事同盟を張りめぐらした、物すごい金を使って。それが僕は広い意味での冷戦だと思うんです。
 だから、冷戦が終わったとよく言うんで、ここでも柳井さんも冒頭言われているけれども、米ソの冷戦は確かに終わった、ソ連がなくなっちゃったんですから。しかし、双方、自分の制度を世界じゅうに拡張しようというのをやり合っているという意味での冷戦体制というのは、ソ連の冷戦体制はなくなった。なくなったといってもロシアも今度の新しい軍事ドクトリンでは核兵器の先制使用までやるなんということを言っているんだからまだまだなくなったと言えないけれども、アメリカの側のトルーマン・ドクトリンの冷戦体制というのは依然としてあるんです。
 今度のこのクリントンの拡張戦略もまさにそれなんで、これについてどう評価するか。やっぱり世界でアメリカの力と役割は大きいですから、そういう点では局長に大変参考になるお話をいただいたんだけれども、アメリカが考える新世界秩序、その中心になる概念を彼らは九月にこうやって明らかにしてきたわけだから、こういう封じ込め戦略に次ぐ拡張戦略というものをどう評価するか。今度、旧ソ連に対しても市場民主主義をどんどん広げようというんで急進的資本主義化を押しつけてロシアもああいう状況にまでなっている。これは西側の責任も僕は大きいと思うんだけれども、そういう点ではこれの評価というのをやっぱり外務省としてひとつお伺いしたい。
 もう一つは、そういうアメリカ中心の非常に危険な覇権主義的な新世界秩序づくりに対して、非同盟諸国首脳会議がかなり明確に批判的なんです。
 去年の九月、ジャカルタで開かれて、七カ国加入して百八カ国になって、かつてなく大きくふえたんです、フィリピンも入りましたから。そこで発表されたジャカルタのアピールとか最終文書、それから各国首脳の演説は相当強いアメリカ批判です。かなり厳しい。アメリカが考えている新世界秩序というのは、我々発展途上国、非同盟諸国に対して非常にやっぱり強い者のさまざまな押しつけた、こういうものは拒否するということで、彼らが考えている核兵器廃絶それから民族自決権の尊重、南北問題の解決等々を盛り込んだ新しい世界秩序なるものを打ち出している。かなり明確な批判で、百八カ国というと百八十カ国の国連の約三分の二近いでしょう。三分の二に近い国々がそういうジャカルタ会議などでかなり明確な世界像を打ち出しているわけで、東西問題がなくなれば、やっぱり南北問題というのはもっと今の国際情勢の中で非常に重要な軸になっていく。
 例えば、地球環境問題だって南北問題という性格が非常に強いわけです。それから、中東、アフリカのさまざまな紛争も、実はそこに南の国の累積債務も非常に厳しいし、今の不況の中でますます苦しくなっている、そういう苦難の問題がある。そういうものでああいう紛争が非常に激化されているんで、もっと南北問題を重視しなきゃいかぬし、日本は特にアジアに属する国なんだから、そういう非同盟諸国首脳会議の動向などに対してはもっと注視していくべきだと思うんです。
 局長のお話の中にはそういう非同盟の潮流の動きについての評価などもなかったので、以上二つの点について、少し意見も交えましたけれども、お答えしていただきたいと思います。
#20
○政府委員(柳井俊二君) ありがとうございました。
 大変重要な点の御指摘で、かつ非常に鋭い分析を聞かせていただきました。私も網羅的にすべてちょっと取り上げる時間等もないと思ったものですから、確かにただいま上田先生の御指摘になった点には直接触れてはおらない次第でございます。
 まず、アメリカの世界戦略に関してでございますけれども、私はこれはいわゆるかっての、トルーマンの時代から始まったと先ほど言われましたが、冷戦のときの封じ込めあるいは拡張というようなこととは相当に基盤が違ってきているというふうに存じます。市場主義経済あるいは民主主義というようなものを広めていく、そういうものを拡張していくということはあると存じますが、これはむしろこういう制度が世界に広まり、定着していけば世界の平和が保ちやすくなる、そういう考え方からそのような政策を打ち出しているんだろうと思います。
 ロシアにつきましても、ロシア自身がやはり現在民主主義化、そして市場経済化ということに努力をしているわけでございますので、そういうものがロシアのみならず、旧社会主義諸国あるいは開発途上国において広まっていき、人権の尊重というものが行われるようになれば、これは世界平和の安定につながるという考えが基本にあると存じます。
 ただ、そうは申しましても紛争が完全に未然に防げないという現実がある以上、場合によってはアメリカとして軍事力を背景に解決を図るというような決意も一方で示しておりますけれども、やはり目的はあくまでも市場主義経済化、民主主義の定着によって世界の人類の生活向上、平和の安定化ということをわらった政策だというふうに考える次第でございます。
 それから、非同盟の動きでございますけれども、これも冷戦が完全に終わっていない部分ももちろんございますけれども、しかし基本的には冷戦の構造がなくなったということで、非同盟のあり方も一つの曲がり角に来ているのではないかと存じます。先ほども御指摘ございましたように、南北関係というものが非常に重要であり、これを重視すべきであり、特にアジアの国である日本としてはこの南北関係というものを重視すべきであるという点は私も同感でございます。
 特に、東西の冷戦が終わったとなれば、やはり南北間の格差の拡大あるいは格差が縮まらないという問題は非常に大きな問題でございますので、この点につきましては、我が国としても経済協力、貿易というようなものを通じて、あるいはアジア・太平洋における幅広い政策対話というようなものを通じてこの南北問題の解決に取り組んでいくべきであるというふうに考えております。
#21
○上田耕一郎君 お答えはある程度わかりますけれども、ただ一点だけ申し上げますと、やっぱりアメリカがそういう拡張戦略で市場民主主義の制度を拡張するという形で押しつける、背後には軍事力があるというやり方だと南北問題は解決しないだろうと思うんです。だから、そのことだけちょっと申し上げたい。
 次に、高島参事官にお伺いしたいんですが、今柳井局長にお伺いしたこととちょっと関連があるんですけれども、今のそういうアメリカの世界戦略のもとでの日米安保体制、それから自衛隊の役割、これも今大きな再編成のプロセスにあるんじゃないか、そういう感じがするんです。たしか九〇年のアメリカの国家安全保障戦略には、今後アメリカが行使する軍事力、軍事力行使の対象はもうソ連ではなくて第三世界になるだろうという有名な一行があったんですけれども、今、日本もソ連など主な仮想敵国らしくしていた日米安保体制が再編成されつつあるように思うんですね。
 私、実はことしの二月に佐世保にその問題で調査に参りまして、そういうアメリカの新しい方針のもとに、昨年の秋、佐世保に強襲揚陸艦ベローウッド、これは四万トンで、それから約二万トンのジャーマンタウンという揚陸艦と二隻母港化されて、何かすごい大きな船なんです。
 これは僕は大問題であると思うんだけれども、いざとなれば岩国のヘリコプターを積んで沖縄へ行って、沖縄の普天間基地のヘリコプターと千八百名の米海兵隊を積んで出撃していくわけですよ。今でもどんどん演習してやっていますけれども、強襲揚陸艦、日本を基地にして出撃する四万トンの船なんですね。こういう日本から出撃するにはたしか事前協議が当然必要なものなので、いざ本当に有事のときに出撃する、出撃専門の船に母港を提供するというのは、我々反対はしているけれども、日米安保条約に関する日米の合同の合意にも背く危険なもので、しかも第三世界向けにそういう攻撃する船に日本が提供しているというのは、細川首相も反省しているようなあれだけの侵略戦争をやった国として許されるべきことじゃないんじゃないかというふうに思ったんですが、それはそれとして、そういう体制に日本の自衛隊もやっぱり組み込まれつつあると。
 僕は、予算委員会でも質問したんだけれども、海上自衛隊が八千トンの新しい輸送艦を予算に入れたでしょう。今までは二千トンなんですよね、輸送艦というのは。何で二千トンの四倍の八千トンの輸送艦が要るんだと。これは、新聞はイタリアの強襲揚陸艦に似ているという大きな記事を書いたのがありますし、上陸用舟艇を新しく積むというのでしょう。今のところそれは外には行かないだろうけれども、先ほどのお話にありましたようにもうカンボジアにも行っている。モザンビークにも行っている。さらに、平和維持協力で自衛隊の中に法律まで変えて平和維持活動専門の組織までつくろうという話が防衛庁関係から新聞に載るような時期でしょう。八千トンの船が何で要るのか。これは、僕はやっぱり自衛隊の揚陸用の船の準備だとしか思えないんですよ。
 私、予算委員会で聞いたら、ちょっと長くなって悪いんですが、法制局長官は、日本は島国だから島と島をめぐるのに要るんだみたいなことを答えて、僕はもうかんかんになっちゃった。それで、海上自衛隊のそういう八千トンの輸送艦というのは具体的に一体どんな任務で、どうしてそんなに今までの四倍もの船が必要になったのか。私は日米安保体制の第三世界向けの再編成の一環だとしか理解できないんだけれども、その点、ひとつお答えいただきたいと思います。
#22
○政府委員(高島有終君) 日米安保の問題につきましての問題と御意見を今お伺いした次第でございますが、私どもといたしましては日米安保体制は冷戦後の今日においてもその重要性を失っていない、むしろある意味で重要性を増してきているというふうに考えているところでございます。
 先ほど軍事情勢のところで御説明申しましたように、確かに冷戦は終わりましたけれども、アジア・太平洋の地域におきます軍事情勢というのはヨーロッパとはかなり違った様相を示しておりますし、もともと冷戦の時代におきましてもこの地域の多様性といいますか、安全保障観の多様性といったものはあったわけでございます。冷戦終了後におきまして、全般的に紛争要因が顕在化する危険をはらんだ不安定な状況の中におきまして、アジア・太平洋におきましてはそのような潜在的な紛争要因が依然として残されている、こういう中におきましては日米安全保障体制は我が国の安全のみならず、この地域の安全にもかなり重要な役割を果たしてきていると考えているところでございます。
 特に、これは先ほど柳井局長の説明の中にもございましたとおり、この地域の安定という観点で見ますと、米軍のプレゼンスが極めて重要な要因であるというふうに考えているところでございますし、またこのような米軍のプレゼンスを維持していく上におきまして日米安全保障体制が重要な役割を果たしているというふうに考えているところでございます。また、このような状況の中における自衛隊の必要性も、特に基盤的な防衛力の考え方に基づいた必要最小限度の自衛力を維持していくことの重要性はいささかも変わっていないというふうに考えているところでございます。
 それから、輸送艦の問題につきましては、私、若干専門でございませんので、こちらにおります伊藤防衛課長の方から御説明させていただきたいと思います。
#23
○説明員(伊藤康成君) 八千トン、八千九百トン型のLSTの問題でございますが、従来から先生も御指摘のとおりで、いわゆるLST、輸送艦というものは持っておるわけでございます。そのうちの一隻、確かに御指摘のとおり二千トン級のもの一隻がそろそろ耐用命数を迎える、こういうことで、そのいわばかわりとして五年度の予算でお願いをしてお認めをいただいた、こういう経緯でございます。
 では、なぜそんなに大きくなったのか、こういう御質問でございますが、もともと私どもは、非常に長い日本列島でございますし、必ずしもその全局を十分守るだけの勢力を持っているというふうには考えておりません。そういう意味で、例えば陸上自衛隊のある一個単位の部隊を九州から北海道、その逆もあると思いますが、そういったような輸送ということを考えての整備、こういうことであるわけでございます。
 ところが、従来の二千トン型でございますと一個単位を運ぶことができません。何往復かしなきゃならない、こういうような状況でございます。そこで、多少なりともその点を改善したいというのが一つ。もちろん、その改善の仕方としましては、船を大きくするやり方と数をふやすというやり方と両方あるんだろうと思いますが、小さいもので数をふやすといたしますと大変人手も要るというようなことで、この際、省力化という意味も含めましてお願いをした、こういうことでございます。
 それから、御承知のとおり、ホーバークラフトと申しますか、そういうものを載せる形にしたわけでございますが、これも従来のはどちらかといいますと平底でスピードも出ないし、そして海岸にじかに乗り上げるというようなことで考えておったわけでございますけれども、そういうような海岸も必ずしも十分、十分と申しますか、そういうような方式では今のこの国内の海岸の状況から見まして必ずしも用をなさない。そういう意味では、船の中に小型の船を積みまして、そこに荷物を移してあるいは人を移して、そこで上陸をしていく、そういうようなことで考えておるということでございまして、従来の防衛の考え方から特に変わった、何か変えた、こういう趣旨ではございませんので、御理解をいただきたいと存じます。
#24
○國弘正雄君 二つほど外務省の方に伺いたい。柳井さんに伺いたいと思うんです。
 一つは、先ほど同僚の中西議員も御指摘になったガリさんの「平和への課題」、特に平和執行部隊ということについて外務省の中で、部内であるいは省内で甲論乙駁が行われているのかどうなのかということなんです。これだけ大事な問題について、何かもし外務省が一枚岩であるとするならば、私個人としては大変に気がかりであると言わざるを得ない。
 古い話で申しわけありませんけれども、例えば三国同盟のときでも外務省の中で英米派と枢軸派が激しく論争をし合っているわけですね。結局は、枢軸派というか武断派というか、その人たちが勝ちを制してしまって、何かお公家さんがなぎなたを振り回すような感じの外務省に変わっていってしまったということを思い起こすわけです。
 その歴史が今繰り返されているとは申しませんけれども、しかしこれだけ大事な、日本のそれこそ運命を大きく将来変えるかもしれないような事柄について、何か一方的な解釈なりあるいは方向性なりが決められてしまって、部内あるいは省内で十分な利害得失といいますか、それを討論し合う場がもしないとするならば、これはやっぱりゆゆしいことだと思うので、外務省はこのような問題について、つまり一枚岩であるのかどうなのかということをちょっと伺いたいと思うんです。
 もちろん、ガリの平和執行部隊だけじゃなくて、例えばほかの問題で言えばアメリカのソマリアにおける行動というようなものについての評価、これは日本とも将来絡んでき得る問題ですけれども、そういったようなことについても何か一枚岩的な評価に終始されるとするとこれは非常にやばい、こう思うものですから、そこら辺を伺いたい。これが第一点です。
 それから第二点は、話はちょっと変わるんですが、最近、アメリカにおいて日本がいろいろな意味で話題になるわけで、二つだけ今季げさせていただいて御意見を伺いたいと思うのは、一つは例のNAFTAに関連して、何か漁夫の利を得るのは日本だみたいな、そういう言い方がかなり要路の人たちによって公的な場でなされている。もしNAFTAが通らなければ日本人が入り込んでくる、次の日にも日本の外務大臣がやってくるだろうみたいな、そういうようなことを言う人が要路の人の中で、あるいは責任のある媒体にもその手の議論が見られるわけですね。それが第一点。
 それから第二点は、共和国との絡みで、北がああいうミサイルを持っているというようなことで、それによって日本の核武装というようなものが触発されるのではないかというようなことを、これまた責任のある立場の人が責任のある媒体を通じて言っているわけですね。
 これが果たして痛くもない腹を探られているのか。それとも痛い腰なのか。そこは非常に大きな問題だと思うんですけれども、とにかく、そういうような日本の将来に非常に大きくかかわりのあるような事柄について、これもしかも技術論じゃないと思うんです。もちろん、これは非常に高度の政治論だと思うんですが、そういったようなことについて一体どのように受けとめて、どのように対応しようとしておられるのか。
 栗山大使なんかも非常に御苦労なさっているということを私、実は御本人から直接伺ったことがあるんですけれども、そういうことについて一体どう対応しようとしておられるのか、あるいはされようとしておられるのか。これは能力の問題と意図の問題と両方あるわけです、特に核武装の問題は。それは両方あるわけですが、私は必ずしも痛くもない腹だとばかりは言えないのではないか。日本の世論の一部を見ていますとそういう感じもするものですから、どう対応しておいでになるのか、この二点を伺いたいと思います。
#25
○政府委員(柳井俊二君) ただいま御指摘の二点のうち、最初のいわゆるガリ提案の関連でございますけれども、特に念頭に置いておられる」のは平和執行部隊のような提案だろうと思います。
 この点につきましては、先ほどもちょっと触れさせていただきましたけれども、現実の問題として、何らかの国連による力の行使が必要な場合もあり得るということは認識しております。他方、我が国の参加ということになりますと、これはそのようなことを今行うということは考えていないわけでございまして、我が国としてはあくまでも国際平和協力法のもとで行い得るPKOに参加するということでございます。
 現実にソマリアなどで起こっている事態につきまして、一枚岩ということをおっしゃいましたけれども、何か一定の評価があるかという点でございますが、このソマリアという現実の事態あるいは平和執行部隊というような考え方、こういうことにつきましてはいろいろと議論をしておりまして、特にソマリアの評価ということで何らかの結論を出したということはまだございません。
 ざっくばらんに申しまして、私、若干個人的な感じになりますけれども、ソマリアの事態というのは、もともと何らかの人道援助のための安全措置が必要であったということは確かにそうであったと思いますが、ああいう氏族間の非常に複雑な紛争の中で、ある程度の力の行使を行ったことによって敵ができたということは非常に残念だったと思います。
 PKOの歴史を振り返ってみますと、御承知のとおり、コンゴの事態で相当の力の行使がございまして、そのときああいうことになっていわば国連の敵ができてしまったという反省から、いわゆる伝統的なPKOというものが、我が国では五原則と言っておりますけれども、合意の原則あるいは中立性の原則というものが出てきたわけでございますので、ソマリアの事態を見るにつけましても、この伝統的なPKOの知恵と申しますかには非常に価値があるものだというふうに感じております。
 ただ、ソマリアの事態というのは、カンボジアとかその他の状況と違いまして、非常に氏族間の紛争が複雑な状況になっておるということでございますので、それではあそこで伝統的なPKOで事が片づくのかといえば、それはそうでもないかもしれません。ただ、いずれにしましても、PKOを行う場合には、単にPKOということでなくてやはり同時並行的にいろいろ外交交渉を行って、紛争の外交的な解決というもののための努力もなされなければいけないというふうに私は感じております。
 これらの点につきましては、一枚岩とかなんとかいうことではございませんで、外務省の中でも非常に自由にいろいろな観点から討議をしているところでございます。
 それから、第二点のNAFTA、あるいは北朝鮮の核疑惑との関係で日本も核武装するのではないかというような指摘。NAFTAについては日本脅威論というようなことが言われておりますが、この点につきましては、先ほど先生御自身、粟山大使とお話しになったということでございますけれども、栗山大使初め我が国といたしましては、このNAFTAの議会通過あるいはその反対、双方からいわば日本を標的にした脅威論のようなものが出ていることについては非常に強い懸念を有しておりまして、栗山大使もその点をいろいろな機会に指摘し、こういうことは我が国とアメリカとの良好な関係に役立つものでないということを指摘されていると承知しております。
 それから、北朝鮮の核武装との関連のお話でございますけれども、これは端的に申せば痛くない腹を探られているというふうに私は存じます。ただ、そうは申しましても、やはり我が国が核武装をするつもりはないということはいやが上にも明らかにする必要があると考えまして、NPTの無期限延長という問題につきましては、東京サミットの段階ではそういう方向ではございましたけれども、必ずしも国内の根回しと申しますか準備が整っていなかったということもあって、あの段階では無期限延長支持という明確な線は打ち出せなかったわけでございますが、その後、議論、準備を進めまして、新政権ができてから無期限延長ということをいろいろな機会にはっきりさせまして、また細川総理の国連演説の中でもこの点をはっきり確認したところでございます。
 その結果、少なくとも私どもが接触しているような相手から、これはアメリカのみならず、世界的にいろんな国の人々でございますけれども、日本の政策というのは非常にはっきりしたということでかなりの程度そういうあらぬ疑惑というものは払拭できつつあるというふうに考えますが、今後とも、あらゆる機会をとらえて我が国のこういう基本政策を明らかにし、確認をしていきたいというふうに考えております。
#26
○下稲葉耕吉君 防衛庁の方にお伺いしたいと思いますが、国際軍事情勢の分析を伺いまして大変勉強になりました。ありがとうございました。
 そこで、防衛庁は防衛計画の大綱を検討するというふうに承っておるわけでございます。大綱を検討する背景になるのは、国際情勢の分析とそして将来の展望、こういうふうなものが背景になるだろうと思うんです。日米安保条約の話は先ほどお話が出ましたけれども。
 そこで、今まではどちらかというと東西両陣営の対立というふうなことを背景にして日米安保条約というふうな構図があったと思うんです。先ほど来のお話を承っておりますと、北方領土には一個師団ぐらい展開している、ロシアの極東における展開というふうなものもなかなか不安定要素が多いというふうな御説明でした。
 それから、北朝鮮は、今お話しのような核疑惑の問題だとかノドン一号の開発の問題だとか、あるいは報道によりますと七〇%の軍隊が韓国との国境に展開されているというふうなことも言われております。
 中国の問題についても、お話がございましたように、今までどちらかというと対立していたロシアと接近して、武器の購入だとかいろいろな協力、あるいはまた報道によりますと中東地域に対する武器の輸出の問題等々も言われておるわけです。ASEAN諸国の問題もお話があったとおりなんです。
 ということは、今までの防衛計画なんなりの背景にあった情勢というものが基本的に変わってきているんじゃないだろうかということです。
 それから、片やアメリカとの関係におきましても、日米安保条約が基本になるというのはこれは当然のことだろうと思うけれども、アメリカ自身の問題もいろいろあると思うんです。例えば、日米安保条約の際の対応の仕方も、アメリカのアジアにおけるいろいろな軍事力の展開というものを見てみましても変わってきているし、昔の状態と現実の問題ではその対応の仕方も私は違うと思うんです、違わざるを得ない。
 今までは、例えば陸海空を取り上げてみましても、いろいろ報道等にもありますように、空はすぐ来ていたのがすぐ来てくれるかどうか、海は日にちの単位で来てくれたのがこれはもう一週間の単位じゃないかとか、あるいはもう陸は来ないんじ沖ないかとか、そういうようなことすら言われていることに象徴されるように、日米安保条約といいながら、やはりその辺の変化というものもあるだろうと思うし、日米関係が良好な関係でなければならないというのは当然のことでございますが、現実的には政治的にも経済的にもいろいろな問題がある。アメリカ国民の対日感情ということもやはりアメリカ政権としては背景にしなくちゃならぬだろうと思うんです。
 先般、韓国のマスコミによる対日感情の世論調査の結果を見て私も実はびっくりしたんですけれども、一番嫌いな国はどこかと聞かれて、圧倒的多数が日本なんです、御承知のとおり。圧倒的多数です。北朝鮮でもアメリカでもないんです。トップで、しかも圧倒的多数がやはり日本だと。これが私、ジョンクの資料を見てわかったんですが、びっくりするようなことが、まあその数字はある程度そうだろうと思ったんだけれども想像よりはるかに、一番嫌いな国は日本だというふうな形になっています。
 そういうふうな情勢を考えますと、今まで簡単に日米安保条約を基礎にして云々というふうなことを言っておられたんだが、やはりそれほど私は国際情勢というのが質的に変わってきているんじゃないかと思うんです、質的に。だから、そういうふうなものに対応する日本の防衛計画というものはいかにあるべきか、これは大変な問題だろうと思うんです。そしてまた、国際的にも大変な関心を持たれていると思うんです。そういうふうに思うんですが、その辺について防衛庁当局はいろいろ検討しておられるというふうなことでございますので、現在の検討の状況あるいはまた我々にお話がございますればお伺いいたしたいと思います。
#27
○政府委員(高島有終君) 今、下稲葉先生の、周辺の状況が質的に変わってきているんではないか、そういう質的な変化を受けて日米安保体制の根幹も変わり得る状況にあるんではないかというような御指摘であったかと存じます。
 確かに、冷戦が終結いたしましたことによりまして世界情勢が非常に大きく変化し、そういう変化がプラス・マイナス両面におきましてアジア・太平洋に影響を与えていることはもう御指摘のとおりであろうと存じます。ただし、これは先ほども御説明いたしましたとおり、アジア・太平洋地域におきましては冷戦の終結そのものによる影響がヨーロッパにおけるのとはかなり違った様相を呈しているということも事実でございます。したがいまして、ヨーロッパとはかなり違うんだというそういう認識は、私どもが持っているだけではなくて、これはアメリカも共有しているところだろうと存じます。
 例えば、先ほど御説明いたしましたボトムアップ・レビューにおきますアメリカ軍の見積もり、評価の中におきましても、例えば欧州からは非常に大幅な米軍の削減をいたしておりますけれども、アジア・太平洋における削減というのは非常に、いわば小さなものにとどめているというのも、基本的にはアジア・太平洋における情勢はヨーロッパとはかなり違ったものだという評価の上に行ったものというふうに理解いたしております。
 しかし、同時に日米安保体制を有効かつ円滑なものとして維持していくための努力というものが日米双方に引き続き求められているということは、また御指摘のとおりだろうというふうに考えているところでございます。先般、アスピン長官が日本に見えまして、防衛庁長官のほか総理、外務大臣とも会談をしていかれましたが、その際にも、私が今御説明いたしましたように、アジア・太平洋における新しい情勢の中での日米安保体制の重要性ということは改めて確認されたところでございますし、私どもとしては引き続き緊密な日米対話のもとにこの安保体制を円滑に運用できるように努力していく必要があろうというふうに考えているところでございます。
 防衛力のあり方につきましては、このような状況におきまして、確かに御指摘のとおり私どもは今レビューをいたしておるところでございます。現時点におきましてはその方向を明確に申し上げるような段階にはございませんが、一つ大きな要因といたしましては、国際情勢が変わってきているという点がございます。また、第二の要因といたしましては、我が国の人口構成、特に若年人口が将来にわたってかなり減少していく、こういう状況の中で我が国の防衛力のあり方を見直す必要があるという点がございます。それから、現状におきましては、厳しい財政事情ということも考慮に入れていく必要があろう。こういうような状況の中で見直しの検討に着手したところでございまして、現時点におきましては明確な方向性を御説明できるような段階にはまだ至っておりません。
#28
○下稲葉耕吉君 今のことに関連いたしまして、そういうふうな非常に抽象的な話なんで、いささか具体的にお伺いいたしますが、中国のポストケ小平、北朝鮮のポスト金日成の問題について、外務省あるいは防衛庁、何かお考えがございましたら。
#29
○政府委員(柳井俊二君) 中国の場合でございますけれども、現在ケ小平さんはお元気だとは伝えられておりますが、何分にも八十九歳という高齢でいらっしゃいますので、その後の状況がどうなるかという点、当然私どもとしても関心を持って見ております。具体的になかなか見通すことは難しいわけでございますけれども、中国の近代化・開放路線というものは、現在、経済の成長では過熱の問題等がございますが、基本的にはこの路線というものは定着しており、あるいは集団指導体制ということもあり得るとは思いますけれども、ポストケ小平の時代におきましてもこのような路線は継承されていくというふうに考えております。
 それから、北朝鮮の場合はより不確実性が高いのではないかというふうに考えております。金日成氏の後は金正日氏が引き継ぐというところまでは恐らく確立した路線だろうと思いますが、その後、果たして金正日氏がこれまでと同様に北朝鮮の体制の安定性を維持できるか、また非常に現在行き詰まっております経済等の問題を今までのようなやり方で解決できるのかという点につきましては、非常に難しい点が多々あろうと思います。
 先ほども御質問ございましたけれども、北朝鮮の難しいところの一つは、ヨーロッパの旧社会主義諸国の一部あるいはルーマニアのようなところと違いまして、非常に外部からの情報が入りにくい。旧東ヨーロッパの場合には、自由な情報の交流がないと申しましても、北朝鮮に比べますと相当の情報の流入があったと存じます。それから、東ヨーロッパの場合には共産主義体制というものはいわばソ連によって押しつけられた点が強かったと思いますけれども、北朝鮮の場合にはどちらかといえばより土着性が強いというのも、必ずしも適切な表現でないかもしれませんが、割合に中から出てきたものが強いのではないかという感じがいたします。そういうことから申しますと、北朝鮮における改革というものは、東ヨーロッパに比べますといろいろ難しい点がある。
 また、朝鮮半島は残念ながら分断されているわけでございますが、ドイツの場合と比べますと、ドイツの場合には東西両ドイツ間で戦争を行ったことはないわけでございますけれども、朝鮮半島におきましては同じ民族同士が戦争を行ったということで、不信感というものの程度が非常に高いということもあろうかと思います。
 いずれにいたしましても、今後の北朝鮮につきましては何とか開放化、そして今行き詰まった体制を周辺諸国、国際社会が軟着陸させるということが大事な点であろうと存じております。
#30
○大島慶久君 二点お伺いしたいと思います。
 最初に、広い意味での日中関係でございますけれども、日本と中国は今歴史的な流れの中で大変友好関係がうまくいっているということは喜ばしいことであります。
 他方、従来、本当に親日感情のよかった台湾が、今のところは政府の要人が訪れるということもございません。いきなり国交回復ということまではいかないまでも、台湾という国は今現在アジアの中でも大変経済活動の活発なところでありますし、アジア地域においてもそういったいわゆる台湾経済圏というものが着実に浸透している。これは、中国をよく研究されている学者の中でも非常にそういう声が高いわけでありますが、外務省としては、日中の友好関係を保ちながら、一方台湾との関係をどうしていくのか。今のままでじっと静観をされるのか、いや、これからの二十一世紀を踏まえて、台湾との関係も何とか今以上にもっとうまくやっていかなきゃいけないというお考えを持たれているのか、お聞かせをいただきたい。それが一点でございます。
 それから第二点は、先ほどのお話にもございました先般のロシアの核廃棄物の海洋投棄の問題でありますけれども、エリツィン大統領の訪日に相前後してああいうことが起きるということは私たちの常識ではとても考えられない。けれども、日本国民は日ロとの関係というものをいい方につくり上げていかなきゃならない、こういうやさきにああいう出来事が起きるわけでございます。
 幸いにも、外務省のいろんな御努力もありましたし、関係方面の御努力もありまして、第二回目の投棄というものは今のところは差し控えられておりますけれども、これは絶対あってはならないことでありますので、今後どういうふうにそれを見守られていくのか、対応策としてはさらにどういう手を打たれようとしているのか、お聞かせをいただきたいと思います。
#31
○政府委員(柳井俊二君) 第一点の台湾のことでございますけれども、ただいま先生御指摘のとおり、台湾というところは大変に経済発展をし、非常にうまく経済を運営し、一つの大きな経済単位になっていることは事実でございます。
 我が国と中国の関係は、日中国交正常化の際の日中共同声明に基づいて、その後、進展し緊密化しているわけでございます。この共同声明の基礎というものの上に、その基本的な枠の中で日中の関係を発展させ、また台湾との関係におきましては実務的な交流というものを行っているということでございまして、やはり我が国といたしましては、この日中共同声明に基づく基本的な枠組みというものの中で台湾との実務的な関係を進めるというのが基本的な政策であろうと考えております。
 他方、台湾は、我が国のみならず、アジア・太平洋諸国との間で経済交流、その他の交流を非常に進めておりまして、そういうより広い国際的な関係の中での、特に経済面を中心とした重要性というのは増していると存じます。今度、シアトルで開かれますAPECの非公式首脳会議の際にも台湾からもしかるべきレベルの代表が出席するというふうに聞いておりまして、こういうアジア・太平洋という広い国際的な協力の中で台湾という、特に経済的に重要な単位というものが活動の場を与えられるということになるのであろうというふうに考えております。
 それから、ロシアの放射性廃棄物の海洋投棄の問題でございますが、まさしく御指摘のとおり、せっかくエリツィン大統領が来られまして、日ロ関係の今後の改善の基礎ができたやさきにあのようなことが起こりまして、大変に遺憾でございました。あのとき、すぐに東京のロシア大使館あるいはモスクワの日本大使館を通じて先方に遺憾の意を表明いたしますとともに、第二回目の投棄が伝えられておりましたので、少なくともその第二回目の投棄はぜひともやめてほしいということで、最後は羽田外務大臣からコズイレフ外務大臣に直接電話をされて非常に強く申し入れをされ、幸い第二回目の投棄は中止になったことは御指摘のとおりでございます。
 その際、私どもが感じましたことは、この事件自体は非常に遺憾でございましたけれども、少なくとも外務大臣同士が電話で話をし、交渉ができるという対話の関係ができたという点は一つの前進であったというふうに考えた次第でございます。
 ただ、これで何も解決したわけではございませんで、今後の問題といたしましては二つございまして、一つは、これまで行ってきたロシアによる海洋投棄の影響がいかなるものであるかという点につきまして、先ほども報告の中で触れましたとおり、日ロ間の専門家会合を行って、その調査の技術的な細目の詰めを現在行っているところでございます。
 他方、先ほどそこまでは申しませんでしたけれども、韓国としても同じ日本海に面しているということで、私たちと同じような重大な関心を持っております。韓国も幸いロシアと国交がございますので、同じような専門家会合をモスクワで最近やったそうでございます。そこでうまくいけば、日ロ韓という三国で共同調査をしようということも現在検討中でございます。近く韓国側ともこの専門家同士のお話し合いを行おうということで、現在準備中でございます。それから、きょう、あすでございますが、合同作業部会というのをモスクワで行いまして、今後の対策をそこで検討するということになっております。
 原潜の活動あるいは解体というものが行われる限り、特に原潜の解体ということは軍縮につながるものでございますから、これ自体は歓迎すべきことでございますが、他方、どうしても放射性廃棄物が出てきてしまう。これは何らかの形で処理しなければいけないわけでございまして、この処理の方法といたしましては基本的に三つしかないわけでございます。
 一つは、液体のものであれば、例えばそれを固体化するというような形で陸上で処理をするということが一つでございます。それから、もう一つは海洋投棄でございまして、これはぜひやめてほしいということを言っておりますし、ロシア側も将来これはやめるつもりであるということを言っているわけでございます。それから第三の方法は、これは中間的なことでございますが、とりあえず何らかの容器に貯蔵しておくということでございまして、現在伝えられているところによりますと、ウラジオストクあたりではタンカーのようなものに液体の廃棄物を貯蔵していたけれども、それがいわば満杯になったので海洋投棄をしてしまったというようなことでございますが、そういうことでは困りますので、その辺について国際的な協力を行う余地はないか、どういうことができるか、最も望ましいのは陸上で処理をし、陸上にその処理をした廃棄物を貯蔵するということでございますが、その辺どういう可能性があるかということをこれから作業部会で検討していこうというふうに考えておる次第でございます。
#32
○谷畑孝君 二つほどお聞きします。
 一つは、先ほども質問があったわけですけれども、とりわけ南北問題が非常に大事だということの中で、PKOの法案の経過の中でもいわゆるNGOというものが相当日本におきましても活発な活動になってきたわけです。しかし、まだまだ先進諸国から比較しますと数も少ないですし、そういう状況に今ある、こう思うんです。とりわけ最近は不況という中でなかなか資金も集まりにくい。過日、中田さんのカンボジアにおける死去ということもあったりして、とりわけ保険制度、いわゆるNGOもたくさんカンボジアにも行っておられますし、活動しておるわけですけれども、どうしてもそういう危険なところにおいては保険を掛けたいと。私も何回か保険協会へも足を運んだりいろいろやりましたけれどもなかなか難しいということでございました。だから、ぜひひとつ、そういうNGOをもう少し外務省としても何らかの形で支援をしていく、あるいはもっともっと量も広げていく、そういうことが南北問題における日本の一つの側面の援助じゃないかということが一つ。
 それと、NGOでも医療もあれば識字もあればいろんな要素があるんですけれども、私はいつもODAについて考えるんです。ODAそのものが効果を発揮しようとすれば、やっぱりNCOの活動とクロスするようなものをつくり上げていくということが非常に有効なものになるのではないか。だから、そういう意味ではODAそのものの対象もやっぱりもう少し範囲を広げていく必要があるのでないか。
 例えば、バングラデシュでいえば、サイクロンでたくさんの人が亡くなったわけですけれども、その場合によく言われるのは、シェルターというのか多目的のいわゆる寺子屋的なものもできたり、そこで識字のNGOの皆さんの場に提供されたり、あるいはそれがまた避難の場所にもなったり、そういうことがよく言われておるんです。こういうようなものも例えばODAの中でそういうクロスするようなところでやるのが非常に効果があるのではないか。
 特に、南北問題において一番大事なのは、識字を克服するということが非常に大事なことじゃないだろうか。そういうことと生計を立てるための地場産業の育成、そんなところにおいても非常に大事な点があるんじゃないかということを質問として、NGOに対する支援をさまざまな方法として考える必要があるんじゃないか。
 二つ目は、ことしは国連におけるいわゆる少数先住民族年ということで、過日も全国九カ所でマイノリティー・フェスティバルというものをやったわけです。これはもちろん自費でやったものですが、アメリカインディアンを招致し、あるいはアフリカからも招致して相当大がかりになってしまいました。その中で一定程度、満杯にさせていただきましたし、多少新聞にも取り上げていただいて、それなりの評価を得たわけです。地域紛争やさまざまな紛争も、やはり民族の持っている固有の文化に対する理解とか、そういう相互のものが必要だと思うんです。
 そこで、私思うんですが、一つは、ことしは国際先住年として位置づけされているけれども、それだからといって国際的に一定程度、効果が多少上がっておるのかどうかということが一つ。
 また、国際問題は割と私どもの足元にもあるということで、例えば私が住んでおる大阪府の八尾市では、ベトナム難民を外務省が受け入れたことによって、ベトナム難民の皆さんがあるAという私どもの町の団地に暮らしたと。そうすると、それを聞いたたくさんの仲間がそこへ次々と住むようになって、そして学校へ通うと。そうすると、学校では通訳はいないわけで、まず受け入れ態勢がないものだからいろいろと試行錯誤している、そんなことがあるんです。そして、地域で夜間中学だとかあるいは地域における識字活動だとか、そういう状況の中で日本語を学びに来る。だから、夜間中学なんというのはほとんど定住した外国人の皆さんの学校になってしまっている。これもやっぱり外務省としては、まず足元のそういう国際的なことについてもう少し、そういう日本人学校を、少し公的なものをつくったり、さまざまなやり方が、工夫が要るのではないか。
 そんなことを、少し意見を交えて二つ質問をしておきたいと思います。
#33
○政府委員(柳井俊二君) 幾つかの点に触れられましたので、第一のNGOあるいはボランティアの問題につきましては、私の方からはPKOとの関連でお答えを申し上げまして、ODAとの関係につきましては経済協力局の服部参事官がきょう出席しておりますので、服部参事官の方からお願いしたいと思います。それから、第二点の少数民族年につきましては私の方からお答えさせていただきたいと思います。
 まず、PKOとNGOとの関係、あるいはボランティアとの関係でございますが、私もPKOのいわば現場をやらせていただきまして、カンボジアでも実はNGOの方々と随分いろいろ意見交換をいたしましたし、日本のNGOだけでなくて外国のNGOのいろいろな事業も拝見させていただきました。大変にいい仕事をされている方々が多うございます。率直に申しまして、日本からもこれほどNGOが出ているということはカンボジアを手がけるまでは実は承知しておりませんでした。全体としては、まだ欧米に比べますとこの活動の範囲、程度は少のうございますけれども、しかしそれにしましても、カンボジアに関する限りは、例えば病院でございますとか印刷工場あるいは職業訓練等々で大変に活躍をされております。
 そこで感じたことでございますが、NGOというのは通常は小さな組織でございますが、それだけに小回りがきくと申しますか、非常にきめの細かいことができるということで、ますます連携をとって、同じ目的で働いているわけでございますので協力していきたいというふうに考えております。
 例えば、これは外国のNGOでございましたけれども、カンボジアで義足をつくっているところを拝見いたしましたが、義足というのは一人一人いわばオーダーメードでつくっているわけでございます。特に、子供の義足につきましては、子供は成長いたしますので、何カ月に一回かだんだん大きな義足をつくっていくということで大変きめの細かい仕事をしておられました。その隣に職業訓練所がございまして、義足のできた子供については、あるいは大人もいましたけれども、職業訓練を施す、そして社会に帰すということをやっておられまして、大変感銘を受けました。
 それから、これも御承知のとおり、カンボジアの選挙の準備に当たりましては、亡くなった中田さん初めボランティアの方々が非常に長いこと周到な準備をされて、これが選挙の成功につなかったと思います。ただ、これも御指摘のとおり、中田さんのようなボランティアは国連が契約をしたボランティアでございまして、保険も国連の基準で掛けておったわけでございます。ただ、国連というところは世界じゅうからいろいろな生活水準の国からボランティアが出ているものですから、我々の日本の水準からしますと非常に低い水準でございました。これを何とか例えば国の方で見られないかとか、あるいはそれが無理であれば何らかの基金をつくって援助できないかというようなことを検討してまいっておりますが、今までのところ、まだ残念ながら明快な答えが出るに至っておりません。私どもといたしましても何とか知恵を絞って、ボランティアの方々がもっと安心して働けるような環境をつくりたいというふうに存じております。その点が第一点でございます。
 それから、少数先住民族年の効果いかんということでございますが、これはまだいろいろな行事が終わったばかりでございますし、また各国で同じような行事があったと思います。いわば非常にカラフルないろんな文化が見せられて、一般の国民にも随分アピールしたのではないかと私は個人的には思いますが、その効果のほどにつきましては、まだもう少し時間をいただいて測定をさせていただきたいと存じます。
 それから、ベトナム難民につきましては、私どもの方でも難民支援室というものを持っておりまして、できるだけの支援をするように努めておりますけれども、御指摘のような教育の問題等々、まだ解決すべき問題があると思います。本日、そこまで資料を持ってきておりませんけれども、御指摘の点は確かにございますので、これからさらに勉強させていただきたいと存じております。
 ありがとうございました。
 それでは、ODAとの関係につきましては服部参事官からお答えいたします。
#34
○説明員(服部則夫君) ただいま先生御指摘のNGOの関係につきまして、私どもの考え方と、それから現在何をやっておるかというような点について簡単に御説明させていただきたいと思います。
 NGOは日本に約三百団体ございますけれども、先生も御指摘のように、本当に我々政府ベースでは隔靴掻痒の感のある、そういう感じの援助活動をそういう三百団体がやっておられるわけでありまして、我々政府としても、こういうふうなNGOの方々との協力関係を有機的に築くということが我が国の援助をより効果的なものにする上でぜひ必要であるということで、既にNGOとの懇談協議会の場もございますし、それから全国のNGO間のネットワークでありますNGO活動推進センターが全国で行っておりますいろんなNGOの集い等にも私どもの方から係官が出席をさせていただいております。
 さらに、つい先般ですけれども、六本木、麻布の方に国際協力プラザという施設をつくりまして、このプラザではいろんなODAの情報公開をすると同時に、NGOの方々にもぜひその施設を利用していただきたいというふうなことでもっていろいろ文献等もそろえてはおります。このような感じでもって、我々としては、まさに先生御指摘のように、NGOとの関係強化に努めておるところであります。
 具体的には、例えば今年度で申し上げますと、四億四千万円のNGO事業補助金というものを私ども計上しておりますし、さらにそれに加えまして小規模無償資金協力という制度がございますけれども、今年度で言えば十億円です。これは従来のような政府と政府の間の約束というような手続をとらないで迅速に援助を実施するということで少額の資金協力を行うというふうなシステムでございますけれども、このお金の使い方につきましては、NGOの方々からの要請も我々としては十分に配慮させていただいておるわけであります。
 それから、先生御指摘の例えばバングラデシュにおけるような識字率の普及というか、いわゆる教育のことをおっしゃっているんだろうと思いますけれども、この点につきましても、具体的には申し上げませんが、既にバングラデシュを初めとして、いろいろなところでもって、例えば小学校の建設計画とか、そういうふうな点も含めまして、NGOの方々のイニシアチブを我々の方で採用させていただいて実際に援助をしているということでございまして、今後ともこういう協力関係は積極的に進めていく所存でございます。
#35
○島袋宗康君 ちょっと、二点ぐらいお伺いしたいんですが、先ほどもどなたからか出ていたんですけれども、重複すみかもしれませんが、御説明を願いたいと思います。
 今の高島防衛庁参事官の説明によりますと、世界の各地域で各種の信頼醸成措置や軍備管理、それから軍縮の動きが進展しつつあると。欧州、アメリカでも従来の安全保障政策を見直すという動きがあると。それから、細川総理もごく最近の自衛隊の観閲式の訓示で、冷戦構造のもとで二十年前に策定された現在の防衛計画大綱、その大綱が時代の要請に適合しているかどうかというふうな内容のお話をされております。その整理が必要ではないかというふうなことまで発言されているわけです。
 そこで、私がお伺いしたいのは、総理が大綱のどの部分をどのように見直していこうとされているのか、その辺のことを外務省それから防衛庁の皆さんに、そういったことがありましたら、ぜひお聞かせ願いたいと思います。
#36
○説明員(伊藤康成君) 先ほど来、高島参事官の方からも御説明申し上げておりますように、確かに国際情勢というのは大きく変わっておりますし、先生御指摘のような欧米の変化というものもございます。他方、再々申し上げておりますように、アジア周辺地域ではなかなか劇的な変化はないというような側面もあるわけでございます。
 そういう中で、既に現在、平成三年度から七年度までの中期防衛力整備計画の中で、防衛計画の大綱と申しますか、防衛力のあり方そのものについてよく検討し直しておけ、こう定められております。それに従いまして防衛庁としてやっておるわけでございますが、総理も先般、御指摘のとおり、観閲式の中で訓示をされておりまして、できるだけ早くあるべき方向を定めていかなければならないというふうに申されておるわけでございます。
 ただ、そこの中で、特に具体的にどこをどうこうという御指示があったというふうに私ども必ずしもまだ受けとめておらないわけでございますが、いずれにいたしましても、防衛力全般、自衛隊の組織、編成あるいはまた配置、装備体系、そういったもの全般をいわば中長期的に見直しまして、今のままの大綱でよろしいのかどうか、そういうところまで踏み込み、しかるべくお答えを出していかなければいけないんだろうと、私どもとしてはそういう作業を今鋭意やっておる、こういうところでございます。
#37
○島袋宗康君 今の大綱の見直しというものは、まだはっきりとどの部分をというふうなことではないにしても、大体めどとしてはいつごろまでに見直すという方向性はありますか。
#38
○説明員(伊藤康成君) 先ほど申し上げました中期防衛力整備計画の中で、この計画の期間内にということになっておりますので、平成七年度までがこの計画の期間内でございますから、少なくとも平成七年度末までには何らかの答えを出さなければいけない、そういうふうに命ぜられているものということでございます。
#39
○島袋宗康君 あと一点ですけれども、さきの大戦で、我が国がアジア・太平洋地域の諸国民に対する多大な惨害を及ぼしたということはよく御承知でありますけれども、そういったアジア・太平洋諸国との間で信頼関係を築き上げるためには、やはり戦争につながる日本の責任あるいは補償の問題に目を背けるということは、これはできないんじゃないかというふうに私は思っております。
 この戦後補償の問題については、私は百二十六回国会の予算委員会の中でも宮澤総理、それから河野官房長官にも質問をいたしまして、政府の見解をただしたわけであります。先日の韓国での総理の発言や、また一連の総理発言からすると、新政権のこの問題に対する姿勢というものが従来の自民党政府とかなり違った、そして際立った発言をなさっているというふうなことからいたしますと、やはり具体的に新政権としてこの問題についてどう進めようとしているのかというふうなことをやっぱり国民の皆さんも知りたいし、また私としてはアジア・太平洋地域との一番接点にあります沖縄の選出議員ておりますから、やはりその問題解決なしには東南アジア諸国、太平洋の皆さんとの交流というものはそれがネックになってなかなか前進しないんじゃないかというふうに予想されるわけです。そういった意味で、ぜひこのことについて一定の方向性を示してもらった方がいいのじゃないかというふうに思うわけです。
 したがって、細川政権がそういった戦後処理あるいは補償の問題というふうなものをどのように考えておられるのか、その償いというんですか、そういうものを外務省としても、あるいは総理大臣のお考えというものをどのようにお話しされているのか、具体的にまたどういう対応をしていくのかというふうなことが極めて私は重要だと思いますけれども、その辺について外務省の御見解をお伺いしたいんです。
#40
○政府委員(柳井俊二君) ただいま御指摘の過去の戦争あるいは植民地支配に対する認識の問題につきましては、特に韓国との関係では、先週末、細川総理が非常に率直かつ具体的な表現で認識を述べられまして、この点につきましては韓国内では高く評価されているというふうに承知しております。
 過去の我が国の行為をどう認識するかという一つの心の問題と申しますか、姿勢の問題ということが、特にアジア諸国との関係で非常に大事であるということは御指摘のとおりだと存じます。また、あの大戦は非常に広範囲の戦場で戦われましたので、広くアジア・太平洋、そしてさらには英国のような国あるいはオランダといった国との接点も実はあるわけでございまして、そういう観点から過去の行為に対する評価を率直に言われたということはよかったというふうに考えております。
 それからもう一つ、心の問題とももちろん関係はございますが、いわゆる補償、賠償の問題でございます。この点につきましては、御案内のとおり、我が国はサンフランシスコ宇和条約を初めとして平和条約あるいは賠償協定、請求権協定等の締結によりまして、戦後、関係諸国との間でこの問題を処理してまいりまして、賠償の支払い、請求権に対する補償あるいは経済協力といった形で誠実に処理をしてきたわけでございまして、そういう点では私どもとしてはこの補償、賠償の問題というのは一応整理、決着がついているというふうに考えておる次第でございます。
 ただ、これも御承知のとおり、北朝鮮との間では、昨年来、正常化交渉が暗礁に乗り上げておりますので、北朝鮮との関係におきましてはそういう補償の問題というのはまだ未解決であるということでございます。
 それからもう一つ、台湾との関係につきましても、これも御承知のとおりサンフランシスコ平和条約では台湾との特別取り決めによってこういう問題を解決するということになっていたわけでございますが、これが進展しないうちに日中国交正常化ということが起こりまして、その後、台湾と政府レベルの交渉ができなくなったということで未解決の問題が残っておる次第でございます。ただ、その中で、元日本兵であった台湾の方々につきましては議員立法によって一定の補償が行われたわけでございます。そういうことで、未解決の相手もございますけれども、基本的には私どもとしてはこういう補償、賠償の問題は決着済みであるというふうに考えております。
 ただ、いわゆる慰安婦の問題でございますが、これは非常に女性の尊厳を傷つけた、人道的に遺憾な行為があったということでございますので、ことしの八月四日に官房長官談話が出されておりますが、その中で調査結果を発表したわけですけれども、その中で核心のところに触れさせていただきますと、「本件は、当時の軍の関与の下に、多数の女性の名誉と尊厳を深く傷つけた問題である。」という認識を述べまして、その後でそういう方々に対しまして、「心からお詫びと反省の気持ちを申し上げる。」ということを言っているわけでございます。そのほかに、そのような気持ちを我が国としてどのようにあらわすかということについては、有識者の御意見なども徴しつつ、今後とも真剣に検討すべきものと考えるということが一つ。それからもう一つは、歴史の教訓として今後の研究あるいは教育に生かしていくということを言っているわけでございます。
 そこで、日韓関係におきましては、この慰安婦の問題も含めて、一九六五年の日韓請求権・経済協力協定によって最終的かつ完全に解決済みということではございますが、こういう特殊な問題でございますので、何らかのことができないかということで現在検討をしているところでございます。ただ、過去にさかのぼって補償あるいは賠償の問題をこのような問題についてやり直すということはできないと思いますので、何らか別な、より未来志向的な考え方で何かいい案はないかということで現在関係者の間で相談しているところでございます。
#41
○矢野哲朗君 今、補償の関係で台湾のことについての言及があったものですから、私はっとしたんであります。先ほどの大島委員の質問に対して、日中共同声明の枠内で慎重にというふうな答弁があり、先週、同様な質問を羽田外務大臣に私もさせていただいたのでありますけれども、同様な答弁。当時は私もいたし方ないかなというふうなことで聞かせていただいたのでありますけれども、日曜日に細川総理が韓国に行かれて、あれまで言及した会話に及んだということになりますと、片やあの姿勢たるやしょうがないのかな、一部韓国にも評価されたということがありますからね。
 しかし、忘れちゃいけないのは、やっぱり対台湾との関係かなということをつくづく感じたわけです。ですから、先週の外務委員会のときの答弁はそれでいいのかな、こう感じたのでありますけれども、きょうの柳井局長の答弁についてはそこまでの配慮も必要だったんじゃないのかな、対台湾に対してですね、細川総理があそこまで韓国で発言をなさったという後の話でありますから。日中共同声明の枠内で慎重に対応したいということだけじゃ何か寂しいものを感じるということで、その辺の考え方、もう具体的にそろそろアクションを起こさなければいけないようなときを迎えたような感じがいたします。
 ですから、先ほどの答弁ですと、どうも今までどおりと。まあ結構今までどおりやったって実態はうまくいっているじゃないかというような半面気持ちがあるかもしらぬけれども、その辺での今後の展開というものを私は相当期待したいんです。ですから、そこら辺の考え方をちょっとお聞きしておきたい。
#42
○政府委員(柳井俊二君) 先ほどお答え申し上げましたのは、主として経済関係ということとの関連でお答えしたわけでございますが、御承知のように新政権ができまして最初の所信表明の際に、総理の方から、より一般的に過去の戦争あるいは植民地支配ということについての反省とおわびの気持ちを表明されておるわけでございまして、この間はたまたま韓国にいらっしゃいましたので韓国との関係について触れられたわけでございます。基本的な考え方といたしましては、そういう反省とおわびの気持ちというのは韓国だけを対象とするものではございませんで、過去の戦争あるいは植民地支配に関係した国々あるいは人々、地域というものをすべて対象にしているというふうに考えております。
 ただ、台湾との関係につきましては、やはり日中間の基本的な枠組みというものがございますので、その枠内で実務的に進めていくべきものである、そちらの方はそういうふうに考えております。
#43
○矢野哲朗君 ですから、それじゃ今までどおり、一歩も変わらないということになるでしょう。だから、それでは済まなくなってきた事態があると私は思うんですよ。もう時間がないものですから、その辺は前向きな対応をひとつ期待したいと一言つけ加えさせていただきます。
#44
○会長(沢田一精君) まだまだ御質疑もあろうかと思いますが、予定した時間も参りましたので、本日の調査はこの程度にとどめます。
 熱心な御質疑、長時間にわたりましてありがとうございました。
 これにて散会いたします。
   午後四時十二分散会
ソース: 国立国会図書館
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