くにさくロゴ
1993/10/29 第128回国会 参議院 参議院会議録情報 第128回国会 環境特別委員会 第4号
姉妹サイト
 
1993/10/29 第128回国会 参議院

参議院会議録情報 第128回国会 環境特別委員会 第4号

#1
第128回国会 環境特別委員会 第4号
平成五年十月二十九日(金曜日)
   午前十時二十分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 十月二十七日
    辞任         補欠選任
     栗原 君子君     清水 澄子君
 十月二十八日
    辞任         補欠選任
     西野 康雄君     堀  利和君
     粟森  喬君     小林  正君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         竹村 泰子君
    理 事
                石渡 清元君
                小野 清子君
                堂本 暁子君
                横尾 和伸君
    委 員
                狩野  安君
                須藤良太郎君
                西田 吉宏君
                野間  赳君
                真島 一男君
                大脇 雅子君
                清水 澄子君
                堀  利和君
                矢田部 理君
                刈田 貞子君
                小林  正君
                勝木 健司君
                有働 正治君
                河本 英典君
   衆議院議員
       発  議  者  園田 博之君
       発  議  者  田中 昭一君
       発  議  者  倉田 栄喜君
       発  議  者  渡瀬 憲明君
   国務大臣
       国 務 大 臣
       (環境庁長官)  広中和歌子君
   政府委員
       環境庁長官官房
       長        大西 孝夫君
       環境庁企画調整
       局長       森  仁美君
   事務局側
       第二特別調査室
       長        小林 正二君
   説明員
       環境庁企画調整
       局環境保健部長  野村  瞭君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○水俣病の認定業務の促進に関する臨時措置法の
 一部を改正する法律案(衆議院提出)
○環境基本法案(内閣提出、衆議院送付)
○環境基本法の施行に伴う関係法律の整備等に関
 する法律案(内閣提出、衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(竹村泰子君) ただいまから環境特別委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 去る二十七日、栗原君子君が委員を辞任され、その補欠として清水澄子君が選任されました。
 また、昨日、西野康雄君及び粟森喬君が委員を辞任され、その補欠として堀利和君及び小林正君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(竹村泰子君) 水俣病の認定業務の促進に関する臨時措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 本案の趣旨説明は既に聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#4
○有働正治君 それでは、まず提案者でありますさきがけの園田議員、社会党の田中議員、公明党の倉田議員、そして自民党の渡瀬議員の皆さんにお伺いいたします。
 去る七月の総選挙の候補者アンケートの中で、皆さん方は次のように公約されておられます。被害者のアンケートに対しての答えてあります。園田議員は早期救済こそ緊急課題という問いに対しまして「お話の通りです。」、「党派を越えて、早急な解決に全力を注ぐことは全く変りありません。」、社会党の田中議員は早期救済こそ緊急課題との問いに対しまして「まったくその通りであり、緊急に決着をつけるべきである。」、倉田議員は「早期全面解決の為に、国は和解すべきである。」、渡瀬議員は早期救済こそ緊急課題との問いに対しまして「その通りです。一日も早く完全解決希い努めています。」と、それぞれお答えになっておられます。
 被害者への思いが非常に強いことは、とりわけ熊本当身の方々ということで私も承知しております。思いを込めて決意のほどを端的にお答えいただければと思います。それぞれよろしくお願いいたします。
#5
○衆議院議員(園田博之君) 適当な公約をしたつもりでございますので、全くそのとおりであります。
 ただし、私は和解を実現するに当たっては、まず一つはPPPの原則はどうしても守らなきゃならぬということ。それからもう一つは、裁判所では行政責任あるいは病像論をめぐって争いをずっと続けておられるわけでありまして、もう公害が発生してから三十数年間、このときになって当時の行政責任があるかないかなどということを争ってもいたし方ないことでありまして、そういう法的な問題をめぐっての争いはやめて和解についた方がいいんではないかと思っております。
 したがいまして、これは国が決断すればすぐできるという問題でもございません。逆に言いますと、争っておられる原告団を初めとする方々も和解に向けてはもうこれから、高齢者になられましたし、これ以上日本の国内で公害問題を残したまま、これから日本が地球環境問題の私はリーダーとなるべきだと思っておりますが、そういう問題を解決するためにもお互いがいろんなことは捨てて和解をする環境をつくる。そういう意味では、ただ国だけではなしにそういう方々にも御努力をお願いしたい、こういうふうに思っております。
#6
○衆議院議員(田中昭一君) 有働さんの質問にお答えをしたいんですが、アンケートでお答えをしたとおりでございまして、総選挙を終わりまして国会に参りまして、そのアンケートのとおりこれを速やかに実現するように全力を挙げて今頑張っております。
 今、園田議員も御答弁されましたけれども、御承知のように水俣病が発生をしまして三十八年が経過をいたしておりまして、被害者の方かも既にもう七十歳を超える状況にあります。御承知と思いますが、患者の皆さん方は今日、十日に一人は死亡する、こういう状況になっておりまして、国抜きの和解の協議も福岡高等裁判所で相当進んでいる、こういうふうに理解をいたしております。
 また、第百二十六回国会の中で、環境基本法の議論の中でこの水俣病問題については随分私どもとしても議論をしてきたつもりでありまして、当
時の林環境庁長官は、環境基本法と時を経ずしてこの問題について一定の解決を図りたいというそういう誠意のある御答弁をされておりまして、したがって、私どもは今度の国会の中におけるこの問題の解決はそれがスタートであるべきである、こういうふうに思っております。
 また、細川政権が誕生いたしまして、細川さんは熊本県知事時代からこの水俣病問題については随分周知のはずでございまして、和解による解決しかないということを明言された方でございますから、したがって私どもとしては、今次臨時国会の中で一定のめどをつけるべく最大限の努力をしてまいりたい、こう思っております。
#7
○衆議院議員(倉田栄喜君) 水俣病問題についてはともかく生きているうちに救済をという、これが実現するためにはともかく早く解決されることが必要である、そのように考えております。そして、この問題の解決は国の関与なしにはあり得ない。この問題が解決されるためには、国が関与をして解決をしていかなければならないと考えています。また、国の関与なしで解決するということは不可能であるし、あり得ないということを考えるならば、解決のために一つ一つ乗り越えなければならない問題をともかくクリアしていくことが必要である。そのために全力を尽くしたい、そう考えております。
#8
○衆議院議員(渡瀬憲明君) 私は終戦後早い時期から、地元出身でもございますし、議員秘書としてこの問題に取り組んでまいりました。解決に非常に時間をかけておること、本当に心の痛む次第でありますが、当時はまだ公害という概念すら非常に希薄であった。環境庁ができたのが昭和四十五、六年だったと思いますが、したがいまして問題が出るたびに、その都度衆知を集めながら、知恵を絞りながらやってきた。
 県債が一番の例であろうかと思いますが、中には県債はこういう問題にはなじまないんだという意見もありましたけれども、緊急避難的な知恵が出てきて今日に及んでおる。その知恵の絞り方の一つであったろうと思うわけでありますが、とにかく長くかかり過ぎておる。その気持ちはもうだれにも負けないぐらい強く持っておるつもりでありますが、何とかして早くこの解決をと願う一人であります。
 お話のとおりに、近年、和解の話の機運が非常に高まってまいっておりまして、成るうことならばという気持ちでいっぱいでありますが、国は国で行政の根幹にかかわる問題だという大きな壁があります。しかしながら、先ほどから言いますように、知恵を絞れば何か方法があるんじゃないかという気がしてなりません。そのためには、一つは地元でもまだこの和解について完全に合意があるわけじゃありませんし、そういう問題の解決。あるいは本当に今度こそもうこれがおしまいであって、これがまた紛争といいますか、がたがたの始まりになってはいかぬ、そういう気持ちでいっぱいであります。病像論とかあるいは地域の問題とか、そういうこともきちんとこの際片づけなきゃ、せっかく和解をやる意味もないなという気がしてなりません。
 いろいろ問題は含んでおりますけれども、気持ちは申し上げたとおりでありまして何とかして知恵を絞って、この際完全に解決をという気持ちでいっぱいであります。
#9
○有働正治君 それぞれ思いを込めて述べられました。私どもも野党ではありますが、一致する点で力を合わせるところは力を合わせて早期解決という立場であります。そういう点で、提案者の皆さんが精力的に尽力されることを強く要望する次第であります。提案者の方、どうぞお引き取りいただいて結構でございます。
 そこで、政府の方に質問したいと思います。
 私は、去る十月十六日から十七日にかけまして、新潟水俣病共闘会議主催による現地調査に参加いたしました。被害者の方々から生の声を聞かされました。その声を直接ぶつけていただきたいと強い要望が出されました。家庭が破壊されてきたこと、経済的にどれほど苦労してきたか、また社会的な差別も受けてきたこと、何よりも体がむしばまれてきたことについて涙ながらに訴えられました。年寄りが多い、生きているうちに一日も早く解決していただきたい、死んでも死に切れない、この私どもの気持ちを国会の場でそのままぶつけていただきたい、そういう強い訴えでありました。
 その一つを私は御紹介させていただきたいと思います。それは、熊本の被害者の方で柳迫ハツエさんという方です。きのうも東京で私お会いしました。その方もぜひ皆さんにお訴えいただきたいという要望を私に託されました。被害者の声を私は直接訴えさせていただきたいと思うんです。
 この方はことし七十歳になられる方であります。熊本県の津奈木町に移り住まれた方であります。子供が三人おられました。昭和二十四年生まれの長女、この方について、「親の私が言うのもおかしいのですが、利発な子でした。家の手伝いもよくしてくれました」こう述べておられました。長男の方は昭和二十六年に授かったんだが、三歳で亡くなりました。「三歳になっても言葉が出ませんでした。這えないし座れないし、ただ泣くだけでした。私がいつもおんぶしていました。食事も私が手づたえに与えないと自分から何も食べませんでした。」次男は昭和三十年生まれです。この方もぐあいが悪く、胎児性水俣病と認定された方で、しかしことし二月に亡くなられました。そして、こうおっしゃっておられます。
  夫は、漁師をしていましたが、次男が生まれた直後に三十二歳で病気で亡くなりました。
  こんなふうで、本来結婚、出産、子育てと充実しているはずの二十代は、障害のある子を抱え、その子を亡くし、夫を亡くし、大変なことになりました。子どもは近所の叔母に預けなりふり構わず働きました。
  長女は小学五年のときから網元の手伝いに行き、弟たちの面倒も見てくれました。学校の成績もよかったので何とかして高校に行かせたかったのですが、私には出来ませんでした。長女は泣いて高校に行きたいとせがんだのですが、愛知県に集団就職をさせました。本当は看護婦になりたかったのです。
  幸い結婚し、とても理解のある男性にめぐり会ったので、幸せに過ごしています。でも体の具合は悪いようです。電話があると頭痛や手足の引きつりで苦労している様子を伝えてきます。
こう述べておられます。そして、次男につきまして、
  中学を卒業すると左官の見習いに出ました。ところが手足がうまく働かないために長続きせず、自暴自棄となった時期もあります。昭和五十五年に裁判が始まったとき、この子だけはと思い、裁判に加わらせました。
  母親の実感としてこの子が胎児性の水俣病と思っていたからです。
この方はことし亡くなったわけであります。そして、こう訴えておられます。
  今私の家には夫と次男を祭った仏壇があります。次男が亡くなるまでは毎日お経を上げて手を合わせていました。でも、今は手を合わせるもののお経を上げる気持ちになりません。私が夫や子供たちに魚を食べさせたのがいけなかったのではないかということがどうしても心に引っかかっているからです。
  母親として何ともやるせない気持ちです。こんな気持ちを国や県のお役人やチッソの人たちはわかっているのでしょうか。
  私は今、なくすものをなくし、これ以上なくすものがありません。私自身の具合もよくありません。しかし、だからこそ精いっぱい頑張っていかなければと思います。
こう訴えておられます。
 この方は今短歌をたしなんでおられます。そして、花は好きだけれどもにおいがわからないという方でもあります。二つ紹介されました。「すいせんの花のにおいも知らずしてただ愛らしき花をめでつつ」、そして自分の体につきまして、「手のしびれ足のひきつり頭痛して真冬にセミの鳴く声
を聞く」、こう歌っておられました。
 きのうお会いして、こう話しておられました。実は自分の気持ちを広中環境庁長官に手紙として差し上げた、ところが長官からお手紙をいただいた、優しい心の長官だと大変感激しておられました。一日も早い解決のために、本当に国会の場で私の声を届けて、そして皆さん方頑張ってくださいと、そう手を私は握られました。
 そういう点で、一日も早い解決というのは先ほど提案者の方々も申されました。長官として決意のほどをお聞かせいただければと思います。
#10
○国務大臣(広中和歌子君) 私も、昨日、全国公害被害者総行動デーで患者の方あるいはその患者の家族の方々にお目にかかりまして、そして公害によって苦しまれたその苦しみを痛いほど感じたところでございます。
 一日も早くこうした問題が解決することを心から望んでいるわけでございますし、また環境庁といたしましても特に今水俣病に関しましては重要課題の一つとして一生懸命取り組んでいるところでございます。
 患者の救済に関しましてはさまざまなことをしているわけでございますけれども、公害健康被害の補償等に関する法律、いわゆる公健法によりましてこれまで二千九百四十六人の患者の方々を認定しておりますし、またこうした医療を基礎とした公正な救済を推進しているところでございます。また、平成四年度から、水俣病とは認定されない方でもやはり病気で苦しんでいる方に対しましては患者さんの自己負担分に関しましては公費で支給しておりますし、また医療手当を支給するなど、行政といたしましてはできる範囲で一生懸命努力しているところでございます。
 いずれにいたしましても、一日も早くこうした問題が解決することを望んでいるところでございます。
#11
○有働正治君 国としては、旧来の態度、対応だけでは対応できないということで、行政上の責任をそれとして痛感して一定の対応をされておられるということも今言われました。
 国の責任とのかかわりで、行政の根幹にかかわる問題だからということでよく言われます。その国の行政の根幹とのかかわりという点で言いますと、ことし三月、熊本地裁の判決で、被告国には食品衛生法、水質保全法、工場排水規制法等の規制権限を違法に行使しなかったことによって水俣病被害者を拡大させた責任があると明確に国の責任も述べているわけであります。国は発生源であるチッソの垂れ流しに対して規制の策を適切にとらず、原因を隠すなりあるいは加害者を擁護する行為を繰り返して被害が広がってきたという歴史的経過があるわけであります。
 そういう点で、水俣病で問われているというのは一方ではもちろんチッソです。同時に国の責任ということもあるわけで、行政の根幹ということで言い逃れるということは筋が通らないのではないかというふうに考えるわけであります。
 そういう点で、もっと一歩前に進むべきではないかというふうに考えるわけでありますが、いかがでありますか。
#12
○政府委員(森仁美君) ただいまのお尋ねは、国の行政の根幹にかかわる問題というのは一体どういうことなんだろうかというお尋ねではなかううかと思います。
 それで、水俣病訴訟で大変争われております争点の一つというのは、国、県に水俣病の発生拡大の防止について賠償責任があるかどうか。これはただいま有働委員のおっしゃったとおりでございます。そして、この訴訟で国、県が防止の権限を行使しなかったことが違法である、だから損害賠償責任を有するのであるという主張に対し、国としてはそのような権限はなかったし、またやれることはやってきたという主張をしておるわけでございます。
 このようなケースの場合に、国の賠償責任を認めるかどうか。訴訟でございますから、国の賠償責任を認めるかどうかということは、国の行政として考えた場合に法律に基づく行政を行うわけでありますから、国が国民の活動にどの段階であるいはどこまで介入すべきかという問題を含んでいるわけでございます。
 さらに、国が責任を持つべき分野を過大に広く認めるならば過剰な規制を行わざるを得なくなるおそれすらあるということでありまして、私ども訴訟という形で考えましたときに、このケースで損害賠償責任がある、なしと判断されることは法に基づく国の行政の根幹にかかわる問題、そういうとらえ方でございます。
 現に、ただいまお話がございました熊本地方裁判所では、このような場合には国に損害賠償責任がある、こういう御判断でございます。一方、東京地方裁判所ではこの場合には国に責任はないという御判断でございます。それから、新潟の水俣病訴訟に関します新潟地方裁判所の判断も同様に国に責任はない、こういう御判断がなされておりまして、現に下級審ではございますが、裁判所におきましてもその判断にまだ分かれが出ていると、こういう状況で大変問題が難しいということをあらわしているのではないかと思っております。
#13
○有働正治君 問題が難しいということで先延ばしにするというのが放置できない事態にあるということは、先ほど提案者のお答えにもあったとおりであります。患者の救済という点で病像論というのがよく言われますけれども、環境庁の被害者に対する判断基準に問題がやはりあると言えると考えます。
 一九八七年三月の熊本地裁水俣病第三次訴訟第一陣判決で、水俣病か否かの判断には、被告らが主張する十年前の七七年七月一日付環境庁企画調整局環境保健部長通知のような各種症候の組み合わせを必要とする見解は狭さに失するものとしているわけであります。
 司法の一定の判断が出ているわけでありますから、環境庁としてこの点を受けとめて対応すべきではないかというふうに考えるわけであります。簡潔にお願いします。
#14
○政府委員(森仁美君) ちょっと医学的な問題にわたりますものですから、環境保健部長に答弁をいたさせたいと思います。
#15
○説明員(野村瞭君) 水俣病の判断条件についてのお尋ねでございますが、御指摘になりましたように昭和五十二年に環境保健部長通知というのが出されておりますが、この通知に基づく水俣病の判断条件は、医学的に見て水俣病と診断し得るぎりぎりの線を定めたものでございまして、これにつきましては、昭和六十年に開催されました水俣病の判断条件に関する専門家会議におきましても、現行の判断条件は妥当であるとの意見も出されておりますし、また、平成三年の十一月の中公審の答申におきましても、この判断条件に変更が必要となるような新たな医学的な知見が示されていないという結論が得られているところでございます。
 したがいまして、水俣病の判断条件につきましては、現在におきましても医学界の定説となっている知見を基礎とした適切なものであるというように考えているところでございます。
#16
○有働正治君 そうかたくなな態度をとるべきでないということを述べておきます。
 現に、国は従来のかたくなな対応だけでは対応できないと行政上の責任を痛感しているからこそ、例えば医療費や療養手当を負担した総合対策事業だとかチッソに対する金融支援措置等々をとっているというふうに考えるわけでありますけれども、その点はそういう行政上の責任を痛感しているということで対応しているということではないんでしょうか。
#17
○政府委員(森仁美君) 今水俣病総合対策はどういう観点からやっているのかというお尋ねと思います。
 ちょっと経緯を申し上げますと、和解で解決ができないかという議論が提起されました平成二年十月のころに、水俣病に関する関係閣僚会議で国の見解というのを取りまとめたわけでございます。その際、当時の北川環境庁長官から、国の見
解にあわせて健康不安者対策につき検討を進めていきたい、こういう御発言がございました。それを受けて直ちに中央公害対策審議会で議論をし、その結果中公審の答申では、汚染原因者による損害賠償を基礎とした救済を行うものではなくて、地域住民の健康上の問題の解消、軽減を図るものとして、四肢末端の感覚障害を有する者に対する対策を講じていった方が適当ではないか、こういう御答申がございました。
 これを受けまして、水俣病総合対策事業を国、県の事業として環境保健上講ずべき行政上の施策ということでやってまいっているわけでございます。
#18
○有働正治君 チッソに対する県債への国の対応を見ましても、国の施策としてチッソを支援していることは明白でありまして、ことし八月の閣僚会議でチッソ支援を改めて決めたわけですけれども、従来に比べ国と県との関係については万全の措置を確認しているわけであります。
 今行政上の措置というふうに言われたわけですけれども、これらも先ほどの総合対策事業も、北川元長官もかつて行政の責任を率直に認めて対応するということで新たな対応が始まったようなことにも見られますように、やはり行政上の責任をしかるべく痛感しているから対応しているということにはならないんですか。
#19
○政府委員(森仁美君) ただいまお話しのチッソヘの問題でございますが、チッソに対する金融支援措置というのは、御承知のとおり昭和五十三年からいろいろな形でやってまいっておるわけでございます。
 この趣旨としますところは、チッソに万一のことがあった場合に、いわゆる認定患者の方々への補償金が支払えなくなるだけではなく、地域の経済、社会に大きな混乱を引き起こしかねない、こういうような事態はぜひ回避をしなければならないという行政的な判断に基づいて行われてまいっておるものでございます。このことは、今争われております国の国家賠償責任あるいは損害賠償責任、こういうものとはかかわりがなく、行政上の判断として行ってまいっているものでございます。
#20
○有働正治君 行政上の判断としてやっている、それはしかるべく政府としても対応しなければならないという、北川元長官もかつて言われたような行政の責任を率直に認めて対応されたことであるわけであります。
 したがって、そこまでそれなりに一定の国の対応をやっておられることは明白なわけでありますから、事態は一刻も猶予できないという今日の状況にかんがみまして、その国の責任をより明確にして被害者の訴えている、生きているうちに救済を、一日も早い救済を、そして和解による解決をというのは大きな世論であります。願いであります。そういう点で全面解決に向けて政府として新たに対応をすべきである。
 原告を含めました被害者の全面救済に向けて具体的な手だてをとっていくべきだ、もう一歩進めるべきだということ、そのことを要求して私の質問を終わります。
#21
○委員長(竹村泰子君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。
 これより討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
#22
○有働正治君 私は、日本共産党を代表して、水俣病の認定業務の促進に関する臨時措置法の一部を改正する法律案に対して反対の討論を行います。
 反対理由の第一は、本法が、患者が切実に願っている患者救済からほど遠いということです。本法施行後現在までの約十四年の実績は、認定が三十三件に対し棄却百七件、未処分百七十三件という実態です。
 一方で、現在一つの高裁、六つの地裁に二千三百名を超える患者が訴訟を提起し、救済を求めて争っており、本法は水俣病の認定業務を促進するための法律でありながら認定業務の促進にはなっていないし、患者救済は依然進んでいません。
 第二は、これは、本法が水俣病認定申請者の長期大量滞留及びチッソの経営危機という事態を患者切り捨ての方向で打開するために、一九七八年、それまでの認定基準を大幅に改悪した事務次官通知とセットで出されてきているものと言えるからにほかなりません。現行の判断条件を改めることなく本法を改正、延長しても、患者救済ところかむしろ患者切り捨て促進につながるものとなることは明白です。
 第三は、認定業務は自治体の事務という公害健康被害補償制度の大原則を崩したものであるということであります。公害病の認定は最も住民に近い立場にある自治体が行うべきであり、国での認定審査は患者と審査業務を切り離し、その意味においても患者切り捨てにつながるものと言わざるを得ません。
 水俣病は、公式に発見されてから既に三十七年が経過し、被害者も高齢化しています。提訴以来既に二百二十人余りの原告患者が死亡しています。生きているうちに救済をというのが被害者の切実な願いであります。細川総理や広中環境庁長官も就任前は和解による早期解決に賛意を表してきました。熊本県が和解による解決の決断を下した当時の県知事は細川総理でした。連立与党の提案者も同じ立場を繰り返し表明しています。和解による解決の障害はないと言えます。要は政治決断にかかっていると言えます。
 したがって、今この時期にこのような真の患者救済には実効性が乏しい臨時措置法を延長するよりも、細川連立内閣が今臨時国会中にも、国が和解に踏み切る政治的な決断と被害者の早期全面救済を図るための行動をとることを強く要請し、本法案に対する反対討論を終わります。
#23
○委員長(竹村泰子君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。
 これより採決に入ります。
 水俣病の認定業務の促進に関する臨時措置法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#24
○委員長(竹村泰子君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#25
○委員長(竹村泰子君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#26
○委員長(竹村泰子君) 次に、環境基本法案及び環境基本法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案の両案を議題といたします。
 まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。広中環境庁長官。
#27
○国務大臣(広中和歌子君) ただいま議題となりました環境基本法案及び環境基本法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案につきまして、提案の理由及びその内容の概要を御説明申し上げます。
 今日の環境問題は、地球環境という空間的広がりと、将来の世代にわたる影響という時間的な広がりとを持つ問題となっております。環境問題は、質の高い実のある国づくりを目指す我が国にとって重要な政策課題であるばかりでなく、人類の生存基盤としての有限な環境を守り、次の世代へと引き継いでいくという人類共通の課題でもあります。
 我が国では、かつて経済の高度成長期において環境汚染や自然破壊が大きな社会問題となり、これに対処するため、昭和四十二年の公害対策基本法の制定どこれに引き続く昭和四十五年の公害関係十四法の制定または改正、昭和四十七年の自然環境保全法の制定等により、鋭意対策の推進を図ってまいりましたが、これらに基づく対策の推進及び国民や企業の努力によって、激甚な公害の克服やすぐれた自然環境の保全については相当な
成果を上げてまいりました。
 しかし、その後の経済的発展の中で、物質的にはより豊かになったものの、大量生産、大量消費、大量廃棄型の社会経済活動が定着するとともに、人口や社会経済活動の都市への集中が一層進んでおり、そのような中で、大都市における大気汚染や生活排水による水質汚濁等の都市・生活型公害等の改善は依然として進まず、また、廃棄物の量の増大等による環境への負荷は高まっており、さらに、身近な自然が減少を続けている一方、人と環境とのきずなを強める自然との触れ合いを大切にする国民の欲求が高まりを見せております。
 また、地球温暖化やオゾン層の破壊、海洋汚染、野生生物の種の減少など、地球的規模で対応すべき地球環境問題が生じ、人類の生存の基盤であるかけがえのない地球環境が損なわれるおそれが生じてきております。我が国は本年五月、気候変動枠組み条約及び生物多様性条約を締結したところでありますが、今後とも地球サミットの成果も踏まえ、地球環境保全に積極的に取り組んでいく必要があります。
 環境は生態系の微妙な均衡によって成り立っている有限なものであり、人類はこのような環境をその生存の基盤として将来の世代をも含めて共有しており、また、環境から多くの恩恵を受けるとともに、環境にさまざまな影響を及ぼしながら活動しています。このため、広く国民、ひいては人類が環境の恵沢を享受するとともに、将来の世代に健全で恵み豊かな環境を継承することができるよう、適切にその保全を図らなければなりません。
 今やこの環境を保全していくためには、環境の保全上の支障が生じないように科学的知見を充実して未然防止を図るとともに、国民一人一人が環境への負荷が人のさまざまな活動から生じていることを認識し、すべての者の公平な役割分担のもとに自主的かつ積極的に経済社会システムのあり方や生活様式の見直しを行い、環境への負荷の少ない持続的発展が可能な社会を構築することが求められています。
 また、地球環境保全が人類共通の課題であるとともに国民の健康で文化的な生活を将来にわたって確保する上での課題であること及び我が国の経済社会が国際社会と密接な相互依存関係にあることにかんがみれば、我が国は、その経験、能力等を踏まえい世界の国々と手を携えて地球環境保全に積極的に取り組んでいかなければなりません。
 環境基本法案は、こうした要請にこたえ、環境の保全の基本的理念とこれに基づく基本的施策の総合的な枠組みを国民的合意として新たに定立しようとするものであります。
 環境基本法案はさきの第百二十六回国会に提案され、衆参両院における十分な審議を経てさまざまな御意見を調整の上、修正されて全会一致で可決されてきたものの、衆議院の解散により廃案となったものでありますが、同法案の重要性にかんがみ、さきの第百二十六回国会における御審議を尊重し、その過程で追加されました二条項を取り込み、本国会に再び提案することといたした次第でございます。
 次に、環境基本法案の内容の概要を御説明申し上げます。
 第一に、環境の保全についての基本理念として、環境の恵沢の享受と継承等、環境への負荷の少ない持続的発展が可能な社会の構築等及び国際的協調による地球環境保全の積極的推進という三つの理念を定め、国、地方公共団体、事業者及び国民の環境の保全に係る責務を明らかにし、また、環境の日を設けることとしております。
 第二に、環境の保全に関する施策に関し、まず、施策の策定及び実施に係る指針を明示し、また、環境基本計画を定めて施策の大綱を国民の前に示すこととするとともに、環境基準、公害防止計画、国等の施策における環境配慮、環境影響評価の推進、環境の保全上の支障を防止するための規制の措置、環境の保全上の支障を防止するための経済的な助成または負担の措置、環境の保全に関する施設の整備その他の事業の推進、環境への負荷の低減に資する製品等の利用の促進、環境教育、民間の自発的な活動の促進、科学技術の振興、地球環境保全等に関する国際協力、費用負担及び財政措置、国及び地方公共団体の協力など基本的な施策について規定しております。
 第三に、国及び地方公共団体に環境審議会を設置すること等について規定しております。
 次に、環境基本法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案の内容の概要を御説明申し上げます。
 この法律案は、ただいま御説明申し上げました環境基本法の施行に伴い、公害対策基本法を廃止するほか、自然環境保全法等の十八法律について規定の整備を行うとともに、所要の経過措置を定めるものであります。
 以上が、これら二法律案の提案理由及びその内容の概要であります。
 何とぞ、御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
#28
○委員長(竹村泰子君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。
 両案に対する質疑は後日に譲ります。
 本日はこれにて散会いたします。
   午前十一時三分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト