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1993/10/27 第128回国会 参議院 参議院会議録情報 第128回国会 国民生活に関する調査会 第1号
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1993/10/27 第128回国会 参議院

参議院会議録情報 第128回国会 国民生活に関する調査会 第1号

#1
第128回国会 国民生活に関する調査会 第1号
平成五年十月二十七日(水曜日)
   午後二時二分開会
    ―――――――――――――
  委員氏名
    会 長         鈴木 省吾君
    理 事         清水嘉与子君
    理 事         竹山  裕君
    理 事         三重野栄子君
    理 事         浜四津敏子君
    理 事         笹野 貞子君
    理 事         鈴木 栄治君
    理 事         吉岡 吉典君
                遠藤  要君
                太田 豊秋君
                加藤 紀文君
                木暮 山人君
                成瀬 守重君
                服部三男雄君
                藤田 雄山君
                岩崎 昭弥君
                喜岡  淳君
               日下部禧代子君
                栗原 君子君
                千葉 景子君
                山口 哲夫君
                渡辺 四郎君
                和田 教美君
                平野 貞夫君
                下村  泰君
    ―――――――――――――
   委員の異動
 九月二十二日
    辞任         補欠選任
     岩崎 昭弥君     谷本  巍君
     喜岡  淳君     菅野  壽君
     千葉 景子君     鈴木 和美君
     山口 哲夫君     安永 英雄君
     渡辺 四郎君     青木 薪次君
 十月二十一日
    辞任         補欠選任
     藤田 雄山君     岩崎 純三君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    会 長         鈴木 省吾君
    理 事
                清水嘉与子君
                竹山  裕君
                三重野栄子君
                浜四津敏子君
                笹野 貞子君
                鈴木 栄治君
                吉岡 吉典君
    委 員
                岩崎 純三君
                遠藤  要君
                太田 豊秋君
                加藤 紀文君
                木暮 山人君
                成瀬 守重君
                青木 薪次君
                菅野  壽君
               日下部禧代子君
                栗原 君子君
                鈴木 和美君
                谷本  巍君
                和田 教美君
                平野 貞夫君
                下村  泰君
   政府委員
       厚生大臣官房総
       務審議官     佐々木典夫君
       運輸省運輸政策
       局長       豊田  実君
       労働省婦人局長  松原 亘子君
       建設省住宅局長  三井 康壽君
   事務局側
       第二特別調査室
       長        小林 正二君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○国民生活に関する調査
 (海外派遣議員の報告)
 (本格的高齢社会への対応に関する件)
    ―――――――――――――
#2
○会長(鈴木省吾君) ただいまから国民生活に関する調査会を開会いたします。
 まず、委員の異動について御報告いたします。
 去る九月二十二日、山口哲夫君、渡辺四郎君、千葉景子君、喜岡淳君及び岩崎昭弥君が委員を辞任され、その補欠として安永英雄君、青木薪次君、鈴木和美君、菅野壽君及び谷本巍君がそれぞれ選任されました。
 また、去る二十一日、藤田雄山君が委員を辞任され、その補欠として岩崎純三君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○会長(鈴木省吾君) 国民生活に関する調査を議題といたします。
 先般、本院から、イギリス、スウェーデン、デンマーク、フランスにおける高齢化社会問題調査のため、海外派遣が行われました。
 その調査の結果につきましては、議院運営委員会に報告されることと存じますが、この際、派遣議員から便宜報告を聴取し、本調査会の調査の参考にいたしたいと存じますので、どうぞよろしくお願いをいたします。
 議事の進め方といたしましては、まず、派遣議員を代表して清水嘉与子君から報告を聴取した後、各会派から御意見等ございましたら順次御発言いただく方法で行いたいと存じます。
 それでは、清水君から御報告をお願いいたします。清水君。
#4
○清水嘉与子君 それでは御報告申し上げます。
 平成五年度海外派遣特定事項調査第一班は、高齢化社会問題についての調査のため、去る八月二十九日から九月八日まで、イギリス、スウェーデン、デンマーク及びフランスに派遣されました。
 派遣議員は、本調査会の鈴木省吾会長を団長として、三重野、浜四津、鈴木栄治、吉岡、笹野の各議員と私、清水の合計七名でございます。
 現地におきましては、短い日程の中で、各国の政府関係者と会談するとともに、高齢者福祉施設を視察いたしました。また、在外公館からも調査事項に関して説明を聴取し、資料の収集に努めました。
 本日は、派遣議員団を代表して、各国における最近の高齢者福祉政策の動向と課題を中心に御報告申し上げ、今後の調査の参考に供したいと存じます。
 まず、イギリスですが、保健省を訪問し、本年実施されたコミュニティーケア改革を中心に高齢者福祉施策について意見交換をいたしました。
 イギリスは、周知のように、「揺りかごから墓場まで」と言われ、社会保障の充実した国と見られてきました。確かに理念の上では国民すべてを保障しておりますが、伝統的な保守主義を背景として、国が保障する水準は最低限度となっております。医療と社会サービスの行政体制は区別されており、医療・保健サービスは国営の国民保健
サービス(NHS)、福祉などの社会サービスは地方自治体の責任で実施されております。
 高齢者対策については、一九六〇年代以降、コミュニティーケアということで地方自治体が在宅ケア対策を実施することが法的に義務化されております。しかし、八〇年代のサッチャー政権においては民間部門の役割が強調され、公的部門、家族、ボランティアなど広い範囲の中でケアの責任が議論されてきました。
 こういう中で、一九九一年の国民保健サービスの改革に続き、今回コミュニティーケア改革が実施されたところであります。改革のポイントとして次の三点が挙げられます。
 第一は、地方自治体の役割が拡大し、従来の公営サービスの供給主体から民間サービスを含めた総合的なサービス供給の責任主体になったことであります。具体的には、自治体がコミュニティーケア計画を策定すること、また民間サービスの活用などを含めたすべての在宅福祉サービス、施設サービスの供給責任を自治体に一元化することなどであります。
 第二は、高齢者の個々のニーズを評価し、総合的サービスを提供するため、自治体がケア・マネージメントを実施し、必要とされるサービスについてのみ公費負担によるサービスを提供するようにしたことであります。
 第三に、イギリスでは施設利用料についての所得補助制度が低所得者に適用されているため、高齢者の民間施設入居者が大幅に増加し、財政上問題となっておりました。今回の改革により所得補助制度が廃止され、国庫の負担軽減分は自治体に交付され、改革の実施に充てられることになったことであります。保健省の説明では、今回の改革の目的は高齢者サービスの改善と財政問題の両方であるが、あえて言えば改革しなければ財政上のコントロールができなくなることが背景にあったということでありました。
 次に、スウェーデンですが、社会省を訪問し、最近実施されたエーデル・リフォームの内容、経済悪化の福祉への影響、マンパワーの確保、福祉教育などについて意見交換を行いました。
 スウェーデンの福祉政策は、一九三二年以降の四十年にわたる社会民主党政権下で築かれたもので、一九九一年からの保守政権下でも基本路線は維持されております。しかし、戦後最悪と言われる近年の経済不況を背景として財政赤字が増大しておりまして、議会内では社会保障給付の削減を含め、福祉政策の見直しを行うべきであるとの声も強くなっているとのことであります。租税負担と社会保障負担を合わせた国民負担率は一九九〇年で七七%となっておりますが、高い税率などによるゆがみを是正するため一九九一年に税制改正が行われ、個人所得税の軽減が図られております。
 このような状況を背景に、近年の高齢者福祉行政は在宅ケアの充実を重視しております。また、八〇年代以降の経済危機や高年齢層の増加の中で医療と福祉を総合的に把握した行政を進めるため、一九九二年一月からエーデル・リフォームと言われる老人医療改革が実施されております。
 この改革の内容を具体的に申し上げますと、第一に、医療は県、福祉はコミューンの権限となっておりましたが、ナーシングホームを県からコミューンに移管し、高齢者のケアは福祉、医療ともコミューンに一元化しようとすることであります。第二に、一般病院での入院治療が必要でなくなった高齢者が入院を継続する場合は、コミューンがその費用を負担することにより在宅ケアヘのインセンティブを高め、いわゆる社会的入院を抑制することであります。第三に、外来診療、訪問看護といったプライマリーケアについても、コミューンと県との合意が整えばコミューンに移管できるということであります。社会省によれば、改革が実施されて時間を経ていないが、一言で言えば成功との評価でありました。
 また、スウェーデンでは経済の停滞を背景として福祉支出がカットされ、ホームヘルパー数の減少、老人ホームの建設の抑制、コミューン間の格差拡大の動きが出てきております。社会省の説明によれば、経済、財政は厳しい状況にあり、福祉カットは今後も続く。しかし、高福祉のため経済が悪化し福祉カットしていると言われるのは誤解である。福祉の基本的なものは変わらず与えていきたいということでありました。コミューンに対する補助金のカットは疾病給付や年金から手をつけており、老人福祉分野は他に比べ削り込んではいないということであります。
 スウェーデンではストックホルム市のヤーデット・ナーシングホームと、それに関連したグループ住宅を視察しました。ナーシングホームは長期療養病棟のことで、医師は常駐せず、看護婦が運営の責任者となっております。我が国で言うケースワーカーが老人の状況を調査し、医療的なものが必要であるが、緊急でない場合には入居させるということであります。また、地域医療の窓口となっており、プライマリーケアも実施しております。個室または二人部屋となっており、家族の写真が飾られ、家具の持ち込みもあるなど家庭的な雰囲気が維持されておりました。また、グループ住宅は痴呆性老人や重度の障害者を対象とした六から八人用の小規模集合住宅ですが、個室と共有の居間があり、スペースの広さ、十分なケアができる職員数、低い個人負担額など申し分のない環境にあります。ただし、高齢者の人気は高いが、行政にとってはコストが大変かかる、重度化した場合の対応などが問題と述べておりました。
 デンマークでは、社会省を訪問し、高齢者福祉政策の発展、福祉の財政的な基盤、女性の就労と老人ケア、家族の役割などについて意見交換を行いました。
 デンマークは、社会福祉は公共サービスであるという理念に基づき、社会福祉全般にわたる法整備や改革を行い、一九六〇年代には世界に冠たる社会福祉国家を実現させました。しかし、一九七三年の石油ショック後のデンマーク経済は、経済の低迷、財政赤字、対外債務の累積といった多くの課題が社会民主党政権のもとで悪化し、従来の福祉水準をそのままの形で維持することが困難であることが明らかになりました。一九八二年から十年余りにわたる保守党政権下では、社会福祉の根幹部分は維持しつつも在宅ケア重視等の政策が打ち出されました。本年一月に成立した社会民主党を中心とする左派中道四党連立内閣も、前政権の主要路線を継続し、高齢者福祉行政では在宅ケアの充実を推進しております。
 社会省の説明においても、今後、デンマークの人口の高齢化が特に八十歳以上で進むことから、まずは治療より予防が大切で、高齢者の残存能力の活用、在宅ケアの促進などによりケアの時期をおくらすことが課題であると述べておりました。九〇年代は高齢者の住居、ケアの質、コストの抑制に焦点が移っていくということでありました。
 デンマークの高齢者対策の行政体制は、保健医療は県、在宅サービスなどの社会サービスはすべてコミューンの責任となっております。ほとんどが公的サービスであり、財源は税収で賄われておりまして、租税負担率は一九八九年で五〇・七%と極めて高い状況にあります。
 その後、コペンハーゲン市のスロン・ケアセンターを訪問しました。ここは老人ホームとケアつきのシェルタードホームから成っております。生活環境の継続性の維持、高齢者の自己決定権の尊重、残存能力の活用という福祉理念に沿って、家庭でなれ親しんできた家具の持ち込みを認めたり、従来は受け取った老齢年金をホームに預け必要経費を差し引く方式だったものを、各自が年金を管理して、必要なサービスを選択し料金を支払う方式に変えたり、個人個人に合った日常器具の工夫や非常時の連絡などにも細かく配慮しておりました。十分な広さの個室で自由な生活を楽しんでいる入居者の様子には、施設に収容されているという感じは全くありませんでした。
 最後の訪問国フランスでは、社会省を訪問し、高齢者福祉政策について意見交換をいたしました。
 フランスは世界で最も早く高齢化社会を経験している国であり、高齢化率は一九九一年で一六%と推計されております。フランスの国民負担率は一九九〇年で六二・一%と我が国の三九・六%に比べ相当高い水準にありますが、社会保障財政は近年赤字基調で推移しております。今後も、人口の高齢化、高い失業率等が予想され、経済の活力を損なわないように社会保障財政の健全化を図ることが大きな課題となっております。一九九三年の保革共存政権の登場に伴い各種の経済改革が実施されておりますが、社会保障分野でも一般社会拠出金の料率の引き上げ、年金支出の抑制策などが実施されつつあります。
 フランスの高齢者福祉の仕組みは複雑で、国、県、コミューン、老齢年金金庫、疾病保険金庫の五つが関与しておりますが、県が政策の実施責任を担っておりまして、高齢者計画の作成、老人ホームに入居する場合の社会扶助、家事援助サービスの提供を行っております。また、県の委員会を中心として、社会福祉事務所の事業、老齢年金金庫や疾病保険金庫との契約で行われる医療福祉事業などが統合、調整されているということであります。
 フランスも在宅福祉が一九八〇年代以降推進されておりますが、レストラン、観劇、旅行などの奨励が盛んで、介護などの基本的なサービスの供給がおくれているという指摘もあります。
 以上の報告に加えて、調査団として関心のあった事項の一つですが、在宅ケアにおける家族の役割、家族への支援策について各国の考え方を聞きましたので、申し上げたいと存じます。
 イギリスでは、約八割の老人がひとり暮らしまたは夫婦のみ世帯で、老親が著しい障害を持つに至っても子が親を引き取るようなことは極めてまれなようです。しかし、公的サービスを受けている高齢者は少数で、介護の大部分は主に家族などのインフォーマルな部門で支えられております。家族や働く女性への支援策として休息ケアやナイトサービスなどのバラエティーのあるケアを提供して対応する考えということでありました。
 スウェーデンでは、三世代同居は一割以下ですが、近くに住んでおり、子供との交流は頻繁なようです。高齢者のケアは公共部門の主たる責任であり広範囲に及んでおりますが、公的サービスを受けているのは高齢者の三分の一で、三分の二は家族の世話を受けているとの説明でした。このため、家族介護者への支援は重要な課題となっており、デイケアセンター、リリーフケアの充実のほか、一九八八年には親族等介護有給休暇法が制定され、家族介護者への現金給付がなされております。家族介護が可能となるためには十分な公的ケアが不可欠という論理であります。
 デンマークの高齢者も子供との同居率は一割以下で、日常には子供の助けをほとんど受けておりません。社会省の説明におきましても、デンマークでは社会福祉思想が発達しており、介護を受けることは高齢者の権利であり、国の義務である。ただし、行政的には市の責任ということであって、デンマーク人が親を尊敬しないということではないと述べておりました。
 フランスにおいては、高齢者の在宅における一般的なケアは家族によって行われており、在宅ケア、看護といっても家族や地域における介護の補助的なサービスという位置づけであると述べておりました。家族介護者への支援措置としては、在宅における高齢者の看護手当、税額控除があるということであります。総じて、ヨーロッパは我が国と家族観が大きく異なりますが、家族への支援措置には学ぶべき点が多いのではないかと感じました。
 今回の海外派遣の成果をどう生かしていくかですが、我が国における高齢者福祉政策を見ますと、ノーマライゼーションの考え方のもとに在宅福祉が重視され、高齢者保健福祉推進十カ年戦略、いわゆるゴールドプランが実施されております。また、住民に最も身近な市町村によって保健・福祉サービスの一元的、計画的な提供が図られることになりました。
 この基本的な考え方は、ヨーロッパの福祉先進国に共通しており、正しい方向と考えますが、我が国の対策は本格化したばかりであり、今回訪問した北欧などの諸国と比較すると、理念、実施体制、高齢者サービスの内容などで格段の違いがあります。もとより、福祉政策の理念や対策は各国によって特色が異なるのは当然でありますが、二十一世紀には我が国が世界一の超高齢社会になることを考えますと、今回の海外派遣における調査も参考としつつ、当調査会において議論を深め、対策の強化を急ぐことが喫緊の課題であると考えます。
 最後に、今回の調査に当たり多大な協力をいただいた在外公館及び視察先の関係者に対し心から感謝を申し上げ報告を終わります。
 以上でございます。
#5
○会長(鈴木省吾君) 以上で報告の聴取は終わりました。
 本報告に関し、御意見等ございましたら順次御発言願います。
#6
○三重野栄子君 三重野栄子であります。
 海外派遣特定事項調査第一班の派遣団に参加させていただきましたことを幸いに存じます。委員の皆様にも御承認いただいたことを大変お礼申し上げます。
 ただいま清水議員の報告によりまして十分意を尽くされていると思いますけれども、いま少し私の感想を述べさせていただきたいと存じます。
 訪問させていただきました四カ国は、いずれもそれぞれの歴史的背景とそれぞれの国民的要求をもとに政府の施策の工夫が見られますけれども、イギリスの場合は医療・保健サービスは国営、福祉などの社会サービスは地方自治体ということでございましたし、スウェーデンでは医療は県、福祉はコミューン。デンマークでは保健医療は県、在宅など社会サービスはコミューンということでございました。
 そういうところを見ますと、これから日本の場合は地方の時代というふうに言われておりますし、地方自治体の強化ということも言われますが、現在のところ非常に縦割り行政ということでいろいろそごもあるし、やっぱり総合的に考えていかなければならないという面が多分にございます。そういう面では、このイギリスとかスウェーデンとかデンマークのそれぞれのところで分担をしておるというところについでは、やはり介護を受けたい人あるいは高齢者の皆さんに行き届いた施策がされているのではないかというふうに感じました。
 次は、我が国のゴールドプランの策定にかかわってでございますけれども、高齢者問題はだんだん関心が高くなりました。現在、東京都内で福祉機器が展示されておりまして、九カ国二千種類が展示されているということをテレビで報道していたようにも思いますけれども、そういう意味では建設の問題とか福祉機器の問題とかあるいは介護者の問題とか、それぞれの部分が非常に充実してきているのではないかと思うわけであります。
 きょうも、私どもは本格的高齢社会への中間報告をいたしまして、建設省、厚生省、運輸省、労働省からもフォローアップを伺うわけでありますけれども、その場合に私どもは部分的には理解することができたんですが、例えばよく広島県の御調町の問題が報告されるわけでございますけれども、住宅も道路も、介護者も、それから医療も、総合的に進めるにはどうすればいいかということを今後研究していった方が、当然今後研究されていくと思いますけれども、そういう面を十分やっていくことが、今度の四カ国を訪問させていただいて高齢者の問題が徹底しているなということから感じたわけでございます。
 最後に、在宅介護の問題でありますけれども、私どもの認識では、大体在宅介護といいますと自分の家族が介護をするんだということを認識しがちでありまして、これは日本の独特の家族制度からきた面もありましょうし、あるいは日本の政治が今まで老後の問題は家族で見るんだというような施策からであったかとも思いますけれども、先
ほど清水議員の報告にもありましたように、デンマークでは社会福祉というのは公共サービスであるという理念が徹底をしているということを本当に強く感じたわけでございます。
 特に、家族と介護の問題はそれぞれの国でそれぞれ皆さんが注目をしてき、お尋ねしたわけでありますけれども、デンマークの社会福祉の思想の中に介護を受けることは高齢者の権利であるというふうなことを聞きますと、何だかずきっといたしました。私どもは地域介護だとか福祉とかいうことを言っておりますが、年をとった人が何か片隅に肩を寄せ合って、もう長生きしてごめんねと言わなくちゃいけないような感じを受ける今日でありますけれども、デンマークでは高齢者が介護を受けるというのは権利であるというふうに認識をされている。しかも、それは国の義務でありますし、そしてそれはだからといって家族の問題ではなくて、行政的には市の責任であるんだということを言われました。ですから、デンマーク人が親を尊敬しないということはないんだということも言われたわけでありますけれども、これがやはり福祉の先進国と言われる施策を充実させてきた根本であるんではないかということを思いますと、これからの私どもの十カ年計画の中にも福祉の考え方、福祉の基本はどこに置くべきかということをもう一度勉強していきたいというようなことを思ったりいたしました。
 このたび随行されました調査室並びに委員の皆さん、そしてまた在外公館、視察先の皆さん、大変お世話になりました。いろいろありがとうございました。
#7
○浜四津敏子君 浜四津でございます。今回、海外視察の機会を与えていただきまして、大変ありがとうございました。
 清水議員の報告で事実関係につきましては尽きていると思われます。私は、それに補足いたしまして個人的な感想を四点述べさせていただきます。
 訪問させていただいた各国、ともにその文化、歴史、国民性、また国民と政治、行政のあり方あるいは経済状況などに応じまして、独自の高齢者福祉の取り組みをそれぞれされておりました。これらいずれも福祉先進国と言われている国々が試行錯誤しながら築いてきたさまざまな制度や考え方から私たちが学ぶべき点は何なのかを考えながら視察させていただきました。
 時間の関係もありまして大変雑駁なまとめになりますが、第一点は介護における家族の役割と高齢者の自立についてであります。
 子供たちがいずれも十八歳ころには独立するのが当然で、子供との同居率が極めて低いこれらの国々においては老後は子供に面倒を見てもらう、こういう考えは通用しない社会でございました。介護は、子供のみならず家族あるいはだれかほかの人の愛情とか善意に依存するべきものではなくて、社会のシステムとして確立させることが基本とされておりました。システムとしての介護体制、またそれを支えるさまざまな制度、例えば福祉機器とかあるいは町づくり、そしてまたそれに加えまして高齢者自身も最後まで自分でできることは自分でする。しかし、どうしてもできない部分、またできない状況になったときには社会が制度として十分に手助けをするという全体的また総合的な連携をつくり上げている社会に見えました。
 しかし、そのことは、先ほど清水議員の御報告の中にもありましたけれども、家族間の愛情がないことを意味するのではありませんで、福祉のとらえ方の違い、すなわち福祉というのは精神論や施してはなく、すべての人の人権保障のシステムであるべきである、こういうとらえ方の違いというふうに感じました。
 デンマークで受けた説明では、デンマークは子供との同居率が一番低い国ですが、しかし子供との交流は一番深い、こんな説明がありました。またさらに、家族が介護している場合に、その家族をヘルパーとして雇い、その労働に対して報酬を支払うとのことでした。家族による介護をも労働として評価するという制度を確立しておりました。
 また、デンマークでは、残存能力尊重ということを福祉三原則の一つに掲げまして、最後まで自分でできることは自分でするということが何よりも本人にとって、また介護する側にとっても好ましいことと認識されておりました。私たち日本ではとかく何から何までやって差し上げることが優しさと考えられがちでありますが、それとは対照的に見えました。
 日本においても年々子供との同居率は低下いたしまして、老夫婦のみ及び高齢者のひとり暮らしの数が急増しております。子供たちの世代に介護してもらうことを前提とする仕組みはもはや成り立ちません。日本も、老いが老いを支える世帯、そしてまた最後までひとりで暮らす高齢者を前提とした社会全体の介護福祉のシステムを確立することが緊急の課題と感じました。例えば、十分な介護器具を無料で貸し出す制度とか家の改築支援、訪問看護制度、二十四時間の看護制度あるいはリハビリ支援、介護者の数及び待遇改善等々もっと強力に、また充実した内容に早急に推進を図る必要があると感じました。
 次に、第二点は、福祉先進国と言われている国々では福祉のあり方が介護する側の都合で決められるのではなくて、高齢者自身の希望に重きが置かれている、また高齢者の視点から決められているという点でございました。殊に、デンマークでは高齢者自身が自分はどうしたいのか、何が欲しいのかを決め、職員などが押しつけることはしない、自己決定尊重を福祉の原則に掲げておりました。また、従来の生活となるべく同じ生活ができる継続性の重視も原則として掲げ、できる限り高齢者がひとりでも自宅で暮らせるケアの体制を確立しておりました。仮に、老人ホームに入る場合にも自分の家具などの持ち物をなるべくホームに持ち込めることを原則としておりました。
 日本では、高齢者本人はできるなら住みなれた地域で家族とともに暮らしたいと希望していたとしても、介護する側の都合で入院や施設入所せざるを得ず、施設内では私物は制限され、集団的、画一的生活を強いられているのが現状であります。
 スウェーデン、デンマークなどでは寝たきり老人はほとんどなく、最後まで自分の生活を楽しみ、散歩も趣味もおしゃれも楽しみ、介助をかりながら車いすなどで自由に動くことができる日々を送ることができるのに対して、片や日本では人手不足やあるいは制度の不備から、おむつ、薬づけ、点滴、寝かせられきり、ベッドヘの縛りつけなどにより天井を見詰める孤独の中で生きがいをなくし、痴呆症に陥る方々も多い、こういう悪循環の状況にあります。
 福祉先進国の制度を学びますと、介護の仕方やあるいは福祉制度の充実のさせようによっては寝かせきり老人をなくし、痴呆症のお年寄りにも人間らしい生活を十分に保障できるんだということがよくわかります。日本においても、最後まで生きがいのある日々を送れる高齢者の視点に立った福祉制度をもう一度見直してみたいというふうに思います。
 第三点は、福祉先進国においては福祉は人権との考えが根底にあるという点でございました。高齢者が寝たきりにされず、最後まで自分の住みなれた地域で自分の望む生き方をできるということは人間としての当然の人権だという考えがしっかりと確立していることを感じました。日本もこうした認識を広め、またそうした基本的認識に立った福祉制度に見直すべきであるということを感じました。
 先日、十月二十五日の厚生省の調査の発表によりますと、医療機関と家庭の中間施設である老人福祉施設では入所期間の長期化が進み、また退所後の行き先は医療機関が約三二%、社会福祉施設が約一四%、四割以上が家庭に戻れない状況が明らかになっております。高齢者が入院してから、あるいはこうした施設に入ってから何日間で自宅に戻れるか、普通の生活に戻れるかということで
福祉のよさがはかれるというふうに言われておりますけれども、この調査によってもリハビリを含めた継続的な介護体制が整っていないために日本ではなかなか自宅に戻れず、また寝かせきりにさせられる高齢者の数が欧米諸国に比べ異常に多いという現実が浮き彫りにされております。体の不自由な高齢者を日本の社会は寝かせきりにし、先進諸国では普通の生活をさせております。
 スウェーデンではこういう話を聞きました。だれもが死ぬ直前まで自立して人間らしく生きる権利がある、スウェーデンはそれを保障していますと。老人ホームの施設の介護職員の不足やあるいは補助基準単価の低さ、そしてまた良心的な診療をすれば病院が赤字になるといった医療制度のあり方、こうした福祉や医療に関する制度を人権の視点からもう一度見直してみたい、それが生活者の政治の眼目とも言えるというふうに感じました。
 第四点は、国民の老後への不安感、そして政治や行政への信頼の違いを感じました。こうした福祉先進国と言われる国々では、いわゆる高福祉高負担と言われております。税金及び国民負担率は福祉先進国より低いとはいえ、家族が老人介護に責任を持つ日本、そして税金が還元されているとは言えない、こういう人が多い日本。また、政治と行政に対する不信感もどちらかと言えば強い。また、そんなことから老後の蓄えは自分で準備せざるを得ない。そして、国民の八割が老後に大きな不安を持っている日本。それに対しまして、こうした福祉先進国の国々は、負担率は高率ではございますけれども、行政が老人介護に十分な責任を持つ、そして税金は十分に自分たちに還元されているという声の多い社会であります。また、政府に税金を預けているから老後の不安はないというふうに政治そして行政への信頼の厚い国々であることを感じました。
 いずれもそれぞれ利点もあり、問題もあるというふうには思いますけれども、日本が今後どうあるべきなのか、何よりも国民の大多数が持つ老後に対する不安をどう解消すべきなのかをこうした国々から学びながら広く論議を繰り広げる必要があるというふうに感じました。
 福祉先進国は、国民の方々自身が福祉は自分の問題というふうにとらえているというふうに感じました。そしてまた、税金は自分たちに還元されるべきものと十分な監視を行い、自分も入りたくなるような老人ホームを、そして自分も受けたい内容の介護サービスを政治、行政とともに国民の方々自身が決定している成熟した民主主義の国でもあるというふうに感じました。
 そして、今回の視察を含め、さまざまな国で学ばせていただくたびに感じることは、人に人格があるように、地域、社会にもあるいは国にも格というものがあるということを感じました。人格を決めるものは金や地位ではなく、どれだけ人々のため、社会のためあるいは世界のために力を尽くしたかというふうな観点で決められる。それと同じく、その社会、その国がどれだけ地域の方々あるいは国民の方々の幸せや平和といった普遍的なより高い価値実現のために貢献しているかによってその社会、国の格が決まるということでした。
 私たちの日本も、高齢化社会の抱える問題、その他山積する問題への取り組みを通してより格の高い社会、格の高い国を目指して、多くの方々とともに千里の道の一歩一歩を築いていきたい、こういう思いで視察を終わらせていただきました。
 大変ありがとうございました。
#8
○笹野貞子君 今回の視察は、イギリス、スウェーデン、デンマーク及びフランス、四カ国を視察させていただきましたけれども、百聞は一見にしかずということで、私自身も大変多くのものを学んで帰ってまいりました。
 しかし、外国に行って外国の福祉を学ぶということは、それを受け継ぐ部分と違う部分とをしっかり峻別しながら見なければ、非常にその結果を間違うというふうに私は思って帰ってまいりました。いずれにしましても、日本も超高齢化社会を迎えるというこの事実は、今回行った四カ国の国々からその多くを学ぶものがありましたけれども、しかし違いをしっかりとここで見詰めたいというふうに思っております。
 というのは、スウェーデンを例に挙げますと、スウェーデンではゆっくりと高齢化社会が進んだにもかかわらず、日本は非常にその進み方が速いということは、ゆっくり進んだ国のどこを参考にしたらいいのか、また人口の規模が全く違うというこの国に対して、人口の違いというものをどういうふうに生かしていったらいいのかということを感じました。そして、一番私がその違いの大きさを感じましたのは、福祉というものに対する人間の尊厳度というのがまさに違っていて、ノーマライゼーションという考え方というものに対して日本とこれまで違うのかということで、その点では大変私は大きな参考になりました。
 福祉というものの考え方については、スウェーデンやデンマークでは理念の具現化というのが見えるところではっきりわかることになっております。日本も理念だけからいうならば、これは非常に高い理念を持っております。例えば、憲法の十三条ですけれども、「すべて国民は、個人として尊重される。」、その尊重される中に幸福追求権というのがあるわけですから、その年代、その置かれた状況によって個人はそれぞれの幸福を追求できるわけです。その点ではこれはすばらしい日本の憲法の条文ですし、この憲法の十三条をもとにして老人福祉法ではその第二条に、老人は、多年にわたり社会の進展に寄与してきた者として敬愛され、かつ健全で安らかな生活を保障されるものとするとありますから、これは理念としては全くすばらしいですし、またその第四条では「国及び地方公共団体は、老人の福祉を増進する責務を有する。」というふうに規定されておりますので、日本は他の国と理念においては全く劣ることのないすばらしい理念を持っているわけですが、この理念が見える形で私たちの日常にないというところが福祉の大きな違いだというふうに思っております。
 そういう点では、今度行ったデンマークやスウェーデンというのは、福祉というのはまさに制度以前の問題として、人間をいかに優しい目で見、そしてその入間というものの一生を通じて尊厳するということがはっきりとわかったわけで、福祉というのは制度やハードの部分以前の人権意識というのがしっかりできていなければ、これはどんなにすばらしい理念を持っていたところで具現化ということにおいては私は大変劣るのではないかというふうに思っております。
 そういう意味では、その人権意識の厚さというか重さというか、社会全体が見える形で人権というものをあらわしているスウェーデン、デンマーク、フランス、イギリスというのは、私は本当に自分の目で見でよかったというふうに思っております。これから私たちはこの見えざる価値、形に見えない価値というのをどうやって尊重していくかという、そういうやっぱり社会的気風というのを育て上げなければいけないというふうにつくづくと感じました。
 きょうは大変短い時間しかありませんので、気のついたことを本当に簡単にしか申し上げられませんが、やっぱり何といっても私が参考になったのは地方自治においての福祉のあり方ということでした。
 日本でも福祉公社方式などというものをつくって地方公共団体が独自の活動をしておりますが、こういう各地方自治体が創意工夫しているその芽というものを、国がどういうふうにその芽を大きくしていくかという一つの仕事が残ったと同時に、各地方公共団体で格差ができないような共通の基準というものを国はすべてきちっとつくり上げていかなければいけない。それによってゴールドプランの十カ年計画、これは私は早急にきちっと、できれば前倒しをしながらやるということ、これはどなたも言っていらっしゃることですけれども、やらなければいけない大きな問題だというふうに思っております。
 また、スウェーデンのコミューンということに大変私は関心を持ちました。これは人口約三万人程度で、学校教育とか社会福祉とか公衆衛生、文化、スポーツ、電気の配線から消防などのそういうことまでやっている組織というふうに伺いましたけれども、これが福祉の実働部隊というんでしょうか、大変大きな役割をしています。
 しかし、日本にこのコミューンというのがどのように適用されるかというと、私はちょっと不安を感じます。大都市に人口が集中している日本ではこのコミューンというのは現実問題としてはまねができないんではないかという危惧を受けます。そうするならば、日本のように一極集中している、このような大都市型の都市を抱える日本ではこのコミューンというすばらしい形態をどのように実現できるのかどうか、大いに検討すべきところだというふうに思っております。
 そういう点では、これから日本の大都市型都市の中において自治体の独自性を出す、そしてその自治体において財政基盤をどのようにしていくか、そしてこういう大都市の人口が集まったところで在宅ケアという問題をどのように具体的にできるか、そして人権思想というものの啓発にどのような具体的な手があるのかというようなことを私は今考えているところです。これなどもスウェーデン、デンマークとの違いとしてどうやってこれから研究を進めるかというふうに思いをはせております。
 そして、最も私が興味を持ちましたのは国民負担率の問題です。スウェーデンとかデンマークというのは非常に高負担であるというふうに言われています。確かに、数字をとってみますと高負担であることは間違いありませんが、しかし福祉というのは負担するだけじゃなくて給付を受けているわけですから、この負担と給付の実態をしっかりと見きわめて負担率というものの理解をしなければならないというふうに思っております。
 ここに「「寝たきり老人」のいる国いない国」という本の中に田中滋氏による負担率の数字が書かれています。国民の負担をする率から社会保障給付とした率を引いたものを純負担率という呼び方で呼んでおりますが、日本は国民負担率三九%、社会保障給付率一五%。スウェーデンは国民負担率七三%、社会保障給付率四三%。この二つの国を比べてみると、純負担率は、日本は二四%、スウェーデンは三〇%。これは先ほど清水議員が発表になりました数字とちょっと違いますが、これは田中滋氏の数字を参考にしましたのでそのまま読ませていただきますと、日本とスウェーデンとの純負担率はそんなに変わらないという現実がこれでわかります。
 そうするならば、私たちがこれからただ高負担だからいけないとかそういう議論ではなくて、どうして純負担率を効果的に持っていくかという議論を進めない限り、この負担率の話というのはちぐはぐな感じになるんではないかというふうに思っております。これなども私は大変興味を持った問題点の一つだというふうに思います。
 確かに、スウェーデンでもデンマークでもバブルが崩壊して、非常に福祉のコストによっていろいろと困難があるということを聞きました。私は、これから日本の社会ではできるだけコストを抑えながら、そして経済の停滞を起こさない中でこの純負担率というものを効果的に上げる、そういうことを研究していかなければならないというふうに思って帰ってまいりました。
 私にとりましては、この国民生活調査会の中で、こうやってこれからの日本に非常に重大な問題点を海外視察をしながら学ぶというこの調査会のあり方に対しては大変すばらしい調査会だというふうに思っております。私も行きまして本当によかったという思いで帰ってまいりました。
 また、同行していただきました委員部の方、調査室の皆さんに改めてお礼を申し上げまして、私の思いついたことを終わらせていただきます。
 ありがとうございました。
#9
○吉岡吉典君 ダブる点もあると思いますが、感想的に印象に残ったこと、学はされたことについて報告させていただきます。
 私が考えさせられた第一は、高齢化社会対策は何よりも高齢者が生きがいを持ち、安心して楽しく老後を送れるようにすることでなければならないのだということでありました。このことは当調査会の中間報告も重視していることでありますが、調査の中でそのことを一層強く感じました。
 スウェーデン、デンマーク等では高齢者が少しでも安心して生活できるよう道路や交通を初め、町づくりがそういうことを配慮して行われておりました。老後を楽しく有意義に暮らせるよう各国でさまざまの対策が講じられ、施設がつくられています。
 フランスでの生きがい対策をまとめてみますと、旅行援助、すなわち旅行チケットの配付、団体旅行の実施、二番目に退職者クラブ、すなわち地域のクラブでトランプあるいは手芸、チェス等の趣味の活動を実施している。三番目にプレゼント、商品券の配付、これはクリスマス等の時期に行っております。さらに、高齢者大学などということが行われておりました。高齢者大学は日本でも取り上げられ始めておりますが、これは精神、肉体の活動により老化を防止すること、文化、スポーツ、芸術活動を通じて孤独を回避することを目的に一九七三年に発足、その後ベルギー、スイス、ポーランド、イタリア、イギリス、カナダ、アメリカ等に広がっているそうであります。フランスでは一九九三年三月現在、六十七の高齢者大学が実施されているということでありました。
 こうした活動のほか、各地で見聞した一見何でもないような活動の中にもいろいろ教えられるものがありました。デンマークで若い世代と高齢者との交流を図る活動をしているのもその一つです。例えば、老人と子供が一緒に劇をしたり、児童に高齢者への作文を書かせたりしています。興味深いのは、中学生が近所の老人を招いてともに学習したり、デンマークの老人は昔話をするのが好きだというので、昔話を聞いて、それをワープロに入れる活動をしているという活動など、大変興味深いものでありました。デンマークの老人はそういう活動を通じて若い世代の人に彼らにない体験を語り継ぎ、若い世代はこの話から学びながら、同時にそのワープロ化によって老人の伝記もでき上がる、そういうすばらしい成果が生まれる活動ではないかということも感じました。
 清水委員の報告にもあったように、コペンハーゲン市のスロン・ケアセンター訪問で私に印象的だった別の事実について報告します。
 私たちが訪問したとき、ある一室にちょうど対話のために入居者のお年寄りが集まっておられました。参加者の一人は車つきのベッドに乗せられたいわば寝たきり老人でした。対話集会に参加するのですから寝たきり老人とは言えないでしょうけれども、案内してくれたケアセンターの女性は寝たきりになってもできるだけ対話に参加してもらうようにこういうふうにしているのだと説明してくれました。寝たきり老人にも少しでも生きがいをというわけであります。
 私たちがこの部屋を訪れたときのことを一つ皆さんに紹介しておきます。一人の老人がピアノを弾いていました。我が調査団の四人の女性議員がピアノに合わせて一緒に歌い始めました。集まっていたお年寄りもこれに倣って大きい声で合唱を始めました。ピアノを弾いていた老人は感動を身ぶりにあらわしながら、大ピアニストらしい大変な感動を持ちながらこのピアノを弾き続けておりました。私はこれは非常に感動的な場面であったということもつけ加えておきたいと思います。曲は「埴生の宿」でした。
 第二に私が感じたことは、これは清水議員の報告の中でもかなり詳しく述べられ、各委員の報告でも強調されたことですが、在宅ケアにおける家族の役割、家族への支援策の問題であります。今、高齢者対策で最も強く、かつ緊急に対策が求められているのは介護体制の確立てあることは言うまでもありません。その際、家族の役割は決定
的であり、それゆえに家族介護者への支援策が重要となります。このことは当調査会中間報告の高齢者福祉についての十項目の提言の第四にも挙げられているところであります。私は、この問題が訪問国ではどう考えられ、どう制度化されているかについて他の委員と同じように強い関心を持って参加しました。
 よく知られるように、ヨーロッパでは家族のあり方、その考え方に日本と大きい違いがあります。例えば、高齢者の子供との同居率が年々低下しているといっても、日本は一九九二年で五七・一%、ひとり暮らしは一一・七%です。ところが、イギリスでは子供と同居している高齢者が二〇%、ひとり暮らしが五〇%だそうです。デンマークでは同居率はわずかに七%、ひとり暮らしが五三%だということでありました。これは子供の自立心を強めるために早くから別居、独立させるという国情からきたものだそうであります。ともかくこういう状況ですから、例えば在宅介護といっても、その内容は日本で考えることと相当開きが出てまいります。
 こういう状況で、高齢者のお世話、介護はだれが行うかということが当然問題になります。日本では高齢者の介護といえばまず家族であります。NHKテレビでは、一昨日、きのう、きょうと「故郷の親が老いたとき」という連続番組でこの問題を取り上げておりました。この点で、私は同居、別居にかかわらず、どの国でも家族の役割を強調していることにある意味では意外感を持ち、ある意味ではやはり当然だなと思いました。老人施設を訪問すると、どこでも子供の写真を飾り、また子供がどうしているか、子供から毎日電話がくる、こういういろいろな子供の話を聞きました。親子の愛情というのはどこの国でも変わらないということを知りました。そして、どの国でも家族の役割を強調しておりました。
 しかし、日本と大きく違うところがあります。それは、既に各委員から強調されたように、高齢者対策、高齢者介護の基本的責任はだれにあるかという制度上の問題、その底にある考え方の問題であります。スウェーデンやデンマークは家族の役割を重視しながらも国と自治体、すなわち行政にその責任があるという考え方に立っています。デンマークで、私自身も国と家族のどちらの責任か、そういう考え方について直接尋ねてみました。その答えははっきりと行政の責任であり、市の責任だということでありました。
 清水議員の報告にあったように、デンマークでは社会福祉思想が発達しており、介護を受けることは高齢者の権利であり、高齢者介護は国の義務であるという話に私も大変考えさせられました。もっとも、デンマークでは、これも紹介されましたように、親を尊敬しないということではないということもつけ加えられておりました。親を尊敬し、介護することと行政の責任ということは矛盾しないこととしてとらえられ、制度化されているという実情を見てまいりました。
 この考え、つまり国と地方自治体の責任だという考え方からさまざまの施策がとられており、また家族の介護に対しても制度上のいろいろな措置がとられていることを知りました。老人介護に対する家族への支援という問題が出てくるのは、本質的、基本的には国の責任、行政の責任だという考え方から出てきたものだということを知ることができました。スウェーデンの親族介護有給休暇法などはこういう考えの制度上の産物でありました。
 さらに、家族による介護に対して、それをヘルパーと同じ扱いをしてヘルパー手当を支給するという制度があり、さらに介護に当たっている家族の休暇をとるための保障、そういうことまで制度化されているということに私は強い感動を覚えました。もちろん、これは本格的にはこれらの国でもこれからというところでありますが、こうなれば親の介護で家族の生活、健康が破壊されるというような悲劇も起こらなくなると思います。
 日本でも一部の自治体で介護に当たる家族への支援を実施しているところがありますが、まだまだ点であります。しかも、小さい点だというふうに言わざるを得ないと思います。日本とヨーロッパの福祉先進国との違いは点と面の違いだと感じました。世界第二位の経済大国日本で、ヨーロッパの先進国でやられていることができないはずはないと強く感じました。そのためにも福祉先進国からさまざまの先進的な制度とともにその根底にある考え方、哲学をも学び、笹野先生が強調されましたように、憲法の理念を実らせる力にすることが重要だなということを痛感しながら歩き回っておりました。
 以上でございます。
#10
○鈴木栄治君 諸先生方、私大変に勉強になったというか驚いたのでございますが、私はスウェーデンに行ってスウェーデンの保健省の方に、うちの両親は、おやじは警察官だったんですが、貧しい中でも一生懸命働いておまえたちを学校に行かせて頑張っているんだ、だから今度はお父さんお母さんが年をとったらおまえたちが面倒を見るのは当たり前だ、そう私なんかは、多くの日本人というのはそういう教育をされてきているんです、スウェーデンの国民性というのはどうなんでございますかと私聞いたんです。そうしたり、そういう感情はありませんと言うんです。子供は学校も医療もみんな国がやってくれるんです、親じゃないというんです。まず、これは根本的に考え方が違うんですね。だから、PKOのときでもそうですよ、国のためというとみんな国民がばあっと一生懸命やる。ところが、日本の場合は親のため子供のためになっちゃうんです。まず、根本的にこれは考えが違うんだなと私は思いました。
 それから、例えば日本の場合は福祉なんていったってこの十数年、二十年ぐらいですよ。向こうの方に聞いたら、福祉というのは私たちは百年、一世紀かかっているんだと。そんなのにすぐに追いつくわけはないですよ。それと同時に、最近日本でも何しろ高福祉、面倒を見ろ面倒を見ろと言うけれども、実際に国民負担率で見たって日本は三十数%、ヨーロッパのそういう先進国では六十数%。まず金のかけ方が違うわけですよ。
 そして、ヨーロッパの国は例えば電線でも橋でも何でももう全部終わっているんです。ところが、日本は見てください、まだ電線はあるし橋もかけなきゃいけないし道路もつくり直さなきゃいけない。いっぱいあるのでございます。だから、まず日本はやることがある。それと同時に、金も払わないで面倒を見ろなんていったって、それはしょせん無理だということです。
 ですから、私はいろいろお話を聞いているうちに、そうだ、若いうちに、将来国にそういう高福祉を望むなら働けるときに一生懸命働くんだ。望まないんだったら働く必要もないけれども、そのかわり年をとってもそういう福祉を望んじゃいけない、私は強く思いました。私は、権利と義務じゃございませんが、やっぱり権利を主張する以上義務もちゃんとやる、そういうことを非常に強く感じました。
 ありがとうございました。
#11
○会長(鈴木省吾君) 他に御発言もないようでございますので、海外派遣報告についての意見表明は終了させていただきます。
 派遣議員の皆様におかれましては、貴重な御報告、御意見をお聞かせいただきまして、まことにありがとうございました。
#12
○会長(鈴木省吾君) 次に、本格的高齢社会への対応に関する件について、本日は、先般議長に提出いたしました中間報告書を中心に、その提言に関する現状と課題、並びに予算編成期を迎えて次年度以降の取り組みに関し、政府より説明を聴取いたしたいと存じます。
 それでは、まず厚生省より説明を聴取いたします。厚生大臣官房佐々木総務審議官。
#13
○政府委員(佐々木典夫君) 総務審議官の佐々木でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 まず、当調査会におかれましては、本格的高齢社会への対応ということをテーマに取り上げられ
まして精力的な調査活動をされ、八月に高齢者の基本的な課題でございます高齢者介護の問題、それから生活環境の整備の問題を中心としまして御提言をまとめられました。まず、このことに深い敬意を表したいと存じます。
 先ほどもお話ございましたけれども、我が国は世界でも経験したことがない高齢社会を迎えるわけでございますが、これに対応しますためには保健、医療、福祉の各般にわたります施策の推進を図り、揺るぎない社会保障制度の構築が必要でございます。中でも、御提言にありまする介護の施策の拡充、確立は私どもも最重要課題として取り組むべき問題と今認識をしているところでございます。御提言に私どもも大いに力を得、ありがたく思っているところでございます。厚生省といたしましては、御提言の趣旨を体しまして関連諸施策の推進に鋭意取り組んでまいりたいというふうに考えてございます。引き続き、御支援、御指導を賜りますようお願いを申し上げたいと存じます。
 それでは、御要請のありました提言事項について、施策の現状、今後の取り組み等について御報告するようにということでございますので、用意をいたしました資料にのっとりまして簡単に御報告を申し上げてまいりたいと思います。
 まず第一でございますが、一ページ目、高齢者保健福祉推進十カ年戦略の推進、いわゆるゴールドプランの関係でございます。
 施策の現状につきましては、ここに書いてございますとおり、進捗状況につきましてはこれまでのところおおむね順調、特にホームヘルパー、特別養護老人ホーム等については前倒し的な進捗状況となっているというふうな見方をいたしてございます。
 次の二ページでございますが、ゴールドプランの進捗状況の表を入れてございます。在宅福祉対策が上の方、下段が施設の関係でございまするけれども、実績が出ておりますのが三年度まででございます。一番左の欄は三年度予算、括弧内は実績、以下右の欄には四年度予算、五年度予算、六年度概算要求、そして目標年次十一年度分、こういうことで入れでございます。特に一番左の欄でごらんいただきますと、まず上の方の在宅福祉対策の関係では、括弧の方と上の方との対比をしながらごらんいただきますと、ホームヘルパー関係につきましては予定をしております計画よりも、つまり予定が四万九百五でございますが、括弧内、実績の方は四万八千五百九十一ということで実績が計画を上回って進捗いたしているところでございます。ショートステイも数字の上で同様でございます。しかしながら、下の二つのデイサービスそれから在宅介護支援センターにつきましては実績の方が計画どおりにいっておらないというふうな状況でございます。中でも、この在宅関係ですと、その中心的な機関になります在宅介護支援センターの整備というのが、三年度だけで見ましても七百カ所の予定に対して四百といったようなことでおくれを見ているということでございます。
 それから、下段の施設の関係でございますと、特別養護老人ホームは十八万二千十九床の予定に対しまして括弧内が十八万六千二百六十七床ということで、計画を上回って進んでおるというのが先ほどのところでございます。一方、老人保健施設それからケアハウスにつきましては、ケアハウスの方がより乖離が大きゅうございますが、それぞれ実績の方が予定どおりいっておらないというようなのが今のところでございます。とりあえず三年度、今実績が出ておりますところでごらんいただきますとそんな状況でございまして、私どもとしましてはなおこの計画よりおくれているところについてはよりてこ入れをしながら、まずはこのゴ一ルドプランの着実な推進に努めていかなければならないというふうに考えてございます。
 そこで、一ページに戻らせていただきますが、今後の取り組みとしましては平成六年度、来年度がこの計画のちょうど五年次目に当たります。ちょうど中間年になるわけでございますが、まずは計画に沿った所要の予算要求をいたしてございます。そこの所要の予算をまずきちっととりながら、その着実な実施を図るということを考えているところでございます。
 それから、本年度、各都道府県、市町村段階で老人保健福祉計画の策定を進めております。年度中には基本的に約三千三百近い市区町村で策定が完了すると見ておりますけれども、このような計画の状況も踏まえ、さらに必要に応じた充実強化を図ってまいりたいというふうに思っておるところでございます。このような状況を経た上で、必要に応じてこのゴールドプラン自体の見直しということもしかるべき時期には検討をしなければならないと思ってございます。その際には、老人訪問看護ステーション制度というようなものが平成四年からスタートしておるといったような、例えばゴールドプラン以降に出てまいった施策等につきましてもこれに組み入れていく、そういったような方向で検討を進めていく必要があるというふうに考えておるところでございます。
 第一の項目は以上でございますが、次に第二番目の項目、三ページでございます。
 長寿社会対策十カ年計画の策定等についてというふうなことでございますが、高齢者が住みなれた地域社会で生き生きと安心して暮らしていけるためには、御提言にもありますように、各般の施策が総合的に整合性を持って展開されること、これが大変重要でございます。「施策の現状」のところでございますが、住民に最も身近な行政主体であります市町村が中心となりまして、ホームヘルパー等在宅サービスの拡充あるいは特別養護老人ホーム等の施設サービスの充実、それから新しい老人訪問看護制度の普及など保健、医療、福祉の総合的な充実に努めておるといったところでございます。
 政府の段階では、これまで長寿社会対策大綱やいわゆるゴールドプランなどが策定されて各般の施策が推進されているところでございますが、厚生省といたしましては、さらに子供が少ない社会、少子化が進行していくそうした中で介護の充実が求められる、こういった状況下で、まずは国民が安心できる福祉社会を築くための社会保障の全体的、総合的なビジョンを検討したいと考えているところでございます。
 「今後の取組み」のところにコメントしてございますが、先般、十月十四日でございますが、各界の有識者から成ります高齢社会福祉ビジョン懇談会の発足を見たところでございまして、今後懇談会において検討していただくことになるわけでございますけれども、私どもとしましては今後の社会保障政策のあり方に関し介護や児童対策の充実が求められるわけでございますが、将来の年金、医療、福祉分野のバランスをどのように確保していくことがいいのか、あるいは財源負担のあり方はどのようなことが考えられるのかといったような問題のほか、社会保障に関連の深い住宅等の分野につきましても御議論をいただいて、関連分野との連携強化といったようなことを含めた総合的なビジョンづくりをしてまいりたいというふうに考えているところでございます。
 次に、四ページでございます。いわゆるマンパワーの確保の関係でございます。
 このマンパワーの問題につきましては、本格的な高齢社会に備えまして、先ほど出てまいりましたゴールドプラン等の円滑な実施を図っていくためにも看護・介護サービスに従事いたします看護職員あるいは社会福祉施設職員、ホームヘルパーなどの職員の確保は急務でございます。
 看護職員の確保対策につきましては、ここにもございますが、看護婦等の人材確保の促進に関する法律、それからそれに基づきます基本指針を踏まえまして修学資金の貸与とか就業の促進、院内保育所の充実等を推進しているところでございます。
 それから、後段の社会福祉事業従事者の確保対策につきましては、いわゆる福祉マンパワー確保法、長く書いてございますが、社会福祉事業法及び社会福祉施設職員退職手当共済法の一部を改正
する法律、そしてこれに基づきまして基本指針が定められております。これに基づきまして福祉人材センターによる就労援助、研修、啓発、広報あるいは介護福祉士に対します修学資金の貸し付け等の施策を推進しているといったところでございます。
 施策の課題、取り組みといたしましては、看護職員にしましてもあるいは社会福祉事業従事者につきましても、それぞれの人材確保法に基づきまして引き続き基本指針にのっとって処遇の改善、資質の向上、社会的評価の向上など総合的な人材確保対策を推進していく必要がある、そういった考え方で取り組んでまいりたいというふうに思っております。
 今後の取り組みといたしましては、さしあたり来年度でございますが、看護職員関係につきましては、都道府県ナースセンターのコンピューターのネットワーク化を図ることによりましてより就業促進を図っていくといったようなこと、あるいは院内保育所の二十四時間体制の確立などを織り込んで施策の充実を図るということで考えておるところでございます。また、社会福祉事業関係につきましては、福利厚生センター運営事業費の創設、これは社会福祉施設関係は総じてそれぞれの施設が小規模でございますので、単独ではなかなか福利厚生が十分できないといったことで、共同してやれるような体制をつくるといったことで福利厚生センターを設置し、健康管理支援事業だとか余暇の事業とかいったような福利厚生の事業を充実させたい、こんなことでございます。それから、あとはホームヘルパーの手当の改善等を盛り込んで予算要求をいたしているところでございます。
 次のページには、参考でそれぞれ看護婦関係あるいは福祉従事者関係の基本指針の部分を簡単に整理してございます。
 次に、六ページに行かせていただきまして、四番目の項目の家族介護者への支援についてでございます。
 まず、この関係につきまして厚生省の立場で申しますと、「施策の現状」のところに入れてございますが、在宅で介護を行う家庭を支援するためには、まずは必要な在宅サービスが確実に提供される体制を整備することが重要というふうに思っておるところでございます。そして、さらには家族介護者の負担の軽減につながるような施策の充実を図っていくこと、これが大事ではないかと考えているところでございます。
 こんな認識のもとに今後の取り組みでございますが、来年度の予算要求の中におきましては、まずはいわゆるゴールドプランの着実な推進を図りますとともに、ショートステイの利用期間の弾力化あるいはデイサービスの早朝、夜間対応を盛り込むといったようなことを考えてまいりたいと思っております。今のところは、この六ページの一番下に要求の中身を入れてございますが、ショートステイは現在のところ原則七日、状況で一カ月ぐらいまで御利用いただけるということでございますが、これを三カ月の範囲ぐらいまで弾力的な利用ができるようにしよう、気持ちは家庭で面倒を見切れなくなった場合に直ちに特養という選択だけでなくて、なるべくこのショートステイを有効に利用して、また家に戻れるようなチャンスもふやしていこう、こんな趣旨でございます。それから、一番下のデイサービス早朝や夕方の時間延長ということで、文字どおりデイサービスでございますので昼間の時間帯はやっているわけでございますが、例えば状況によって七時から九時の時間帯、あるいは延長して五時から夕方七時ぐらいまで受け入れをできるようにする、そういったようなところについては必要な費用の手当てをしていくといったようなことも盛り込んでまいりたいと思っておるところでございます。
 次に、五番目の福祉マインドの育成についての項目でございます。七ページでございます。
 福祉に対します理解や人に対する思いやりの心を育てますこと、これは福祉社会づくりの基盤となる大変大事なことというふうに考えておるところでございます。なかんずく幼少期からの福祉活動あるいはボランティア活動等の体験の持つ意味は大きいというふうに考えられるところでございます。厚生省といたしましても、去る四月でございますが、国民の社会福祉に関する活動への参加の促進を図るための措置に関する基本指針といったようなものを定め、あるいは七月には中央社会福祉審議会の方からボランティア活動の中期的な振興方策について意見具申をちょうだいしているところでございまして、これらを踏まえ各般の施策の推進を図ってまいりたいというふうに考えているところでございます。
 それで、「施策の現状」のところにありますように、「幼少期から社会福祉への理解と関心を高めることを目的に、「学童・生徒のボランティア活動普及事業」を実施している。この事業では、」云々とございますが、体験学習等実践的な活動を行ってもらうわけでございますけれども、それぞれ地域の社会福祉協議会が学校関係者等の協力を得ましてボランティア協力校を定めて、この実践活動を進めているといったような事業を展開しているところでございます。
 それから、今後の取り組みでは、基本的に来年度予算要求でございますが、都道府県のボランティアセンターの事業の中に組み込むという形で、学童・生徒のボランティア活動普及事業の拡充、あるいは社会人を対象として福祉施設への体験宿泊を行うための経費等についても予算要求をいたしているところでございます。先ほど申しましたような考え方に従ってボランティア活動の育成、福祉マインドの育成についてさらに諸施策の推進を進めてまいりたいと考えているところでございます。
 次に、六の項目、八ページでございますが、これは高齢社会に対応した社会資本の整備促進について、ここでは特養ホームあるいは老健施設等の施設の整備を掲げさせていただきました。ハードの部分につきましては、特養ホーム、老健施設、その他ゴールドプランに掲げられた施設整備を計画的に推進していくということで進めてまいりたいと思っております。
 それから、ことしの四月より特別養護老人ホーム等への入所の措置権限を、従来は市及び都道府県がやっておりましたのを都道府県が事務を町村におろすということで、町村に入所措置事務等を一元化するというふうな措置を講じ、実施に移しているところでございます。これは老人保健福祉計画の策定等とも相まち、あるいはショートステイその他在宅サービスも市町村において一元的に窓口になるというような仕掛けのもとで、在宅施設のサービスの総合的な充実を図っていくという観点からの一連のものでございまして、こういう方向に沿って五年度目のスタートをいたしているところでございます。今後、十カ年戦略に基づきまして必要な施設整備の予算を確保し、この執行をして整備に当たってまいりたいというふうに考えております。
 次に、九ページに行かせていただきますが、項目七、それから次の十ページの八が住宅関係の御提言でございます。
 高齢化に伴いましてどうしても心身の機能が低下をしてまいるわけでございますが、そうした状況下にあっても高齢者の方々が可能な限り住みなれた地域や家庭で安心して生活できる基盤整備ということが重要なわけで、そのためには住宅の問題というものが大変重要であるというふうに考えておるところでございます。厚生省といたしましても、建設省とも連携をとりながら住宅の供給、住宅改造の相談とか助言あるいは資金の融資等の施策を講じているところでございます。
 その中で、七の項目につきましては、「施策の現状」のところ、前段がいわゆるケアハウスの整備でございまして、後段の第二バラグラフがシルバーハウジング構想に基づきます建設省と一緒になってやっている公共住宅の問題でございます。
 公的なケアつき住宅につきましては、ここに書いてございますようにゴールドプランの中にも入れてございまして、また平成五年度からこのケア
ハウスの運営主体を拡大しまして、医療法人も補助対象となるような仕掛けを講じたところでございます。一番最初にごらんいただきましたとおり、ケアハウスのゴールドプランの中での進捗状況は計画よりややおくれぎみでございますので、何とかここはてこ入れをしてやっていきたいというふうに思っておるところでございます。
 それから、シルバーハウジング、後段の関係は建設省と協力のもとに取り組んでおる問題でございますけれども、厚生省の方からは公共住宅に住み込んで生活相談や安否確認等を行う生活援助員の派遣というようなことを分担して担当いたしているところでございます。今後とも、基本的に建設省とも十分連携をとりながら、この施策を推進してまいりたいというふうに考えております。
 「今後の取組み」のところに入れてございますが、予算要求におきましては、十カ年戦略の中でのケアハウス分としてトータルで二万三千七百人分、それからシルバーハウジングに関する生活援助員の増員を盛り込んで予算要求をいたしているところでございます。
 次に、十ページの住宅関係でございますが、高齢者の居住に適した住宅の普及促進、住宅改造の積極的支援についての項目でございます。「施策の現状」のところに幾つか書いてございますが、冒頭申しましたように、やはりこの表題にございます高齢者の居住に適した住宅の普及促進ということは在宅サービスをやる場合の基盤となるもので大変重要という認識でございます。
 まず一つには、高齢者住宅改造マニュアルというものを既に策定いたしておりまして、かなり分厚いものでございますけれども、これの活用を図っているというのが一つございます。それから、二つ目のパラグラフに高齢化に対応した住まいづくりの問題、ようやく最近バリアフリーという言葉がかなり使われてまいりましたが、この発想に立って、建設省とも一緒になりまして高齢者住宅財団というものをつくりまして調査研究事業も促進をしているというところでございます。それから三つ目には、やはり高齢者用住宅の専門家の養成ということも大事でございますので、ここにございますようないろいろな研修を行うというふうなことも進めているところでございます。そして、四つ目が都道府県、市町村の段階ですが、高齢者向けの住宅改造、改築の場合の資金の貸し付けでございますけれども、高齢者住宅整備資金貸付制度ということで資金の制度をやっているところでございます。これはまだこれからやるべきことがいっぱいある分野でございますけれども、関係省庁と連携のもとに一層の施策の推進に当たりたいと考えます。
 今後の取り組みといたしましては、一つには、建設当初から高齢者に配慮された構造仕様が組み込まれた、あるいは増改築が容易な構造を有する高齢化対応住宅の設計指針を現在老人福祉あるいは住宅関係の専門家に託しまして検討をしていただいているところでございます。高齢者が健康で長く住み続けられる住宅の研究といったものにも取り組み、その活用も図ってまいりたいと思っております。
 それから、一番下にございます住宅整備資金貸付制度につきましては、来年度、@にございます大型機器の購入も貸付対象とする。単に改造という際に大型機器、例えば車いす用の昇降機だとか入浴用のリフトといったようなことが考えられるわけでございますが、そういったような購入経費も含めて貸付対象とするといったような要求をいたしているところでございます。それから、Aにありますように、内容の改善それから資金枠の確保について要求をいたしているというようなところでございます。
 以上、七、八は住宅関係でございました。
 次に、十一ページでございます。福祉の町づくりの促進についての項目でございます。
 高齢者、障害者に配慮した福祉の町づくりにつきましては、かねてより問題意識を持って取り組んでまいっておりますけれども、この分野は今後さらに本格的に推進をしていく必要がある分野と思っているところでございます。「施策の現状」のところにこれまでの取り組みが簡単に整理いたしてございます。真ん中の「施策の課題」のところに、第二バラグラフでございますが、障害者対策推進本部が本年三月に策定した障害者対策に関する新長期計画においても、建築物、道路、交通ターミナル等における障害者の利用に配慮した施設・設備の整備等について、補助金、融資等における必要な措置について検討を行う必要があるというふうな御指摘をいただいているところでございます。計画の中にもそれが定められているわけでございます。
 こういったようなことも踏まえながら、今後の取り組みといたしまして、来年度要求では、厚生省の立場では、従来の住みよい福祉の町づくり事業を改編、拡充いたしまして、スロープ、障害者用トイレ、点字案内板の設置などの生活環境整備をそれぞれの地域社会全体で進めていただく障害者や高齢者に配慮した町づくり推進事業という予算要求を行っているところでございます。基本的に町づくりの計画を地域ぐるみでつくっていただいて、その上で、その計画にのっとってその地域地域に必要な事業を実施していただく整備に要する費用について、計画づくりの費用と施設整備の費用について将来的に活用していこうといった考えのものでございます。
 それから最後に、税制面におきましても、障害者や高齢者に配慮した公共的建築物に対する税制上の優遇措置の創設について、これは建設省、運輸省ともども連携をとり合って要望をいたしているところでございます。
 次に、十番目の項目でございます。十二ページでございますが、分かりやすい用語と利用しやすい手続きでございます。高齢者にわかりやすい用語の使用という項目でございます。
 「施策の現状」のところにも入れでございますが、厚生省におきましては、かねてより片仮名用語の使用はできるだけ避けようということで、それから例外的に使う場合にもわかりやすくする工夫をするようにしようというふうなことで基本的に取り組んでまいったわけでございます。例は、ウェルエイジングコミュニティーなんというのは健康長寿の町づくり、マスタープランは基本計画でいいだろうと。それから、いろいろ工夫をして使おうという意味では、ここにはございませんけれども、ホームヘルパーはかなりもう熟しておるわけでございますが、例えば訪問し介護を行う者、あるいはショートステイも既に熟しておりますけれども、特養ホーム等に短期間滞在する事業、デイサービスは日帰りで介護を受ける事業といったような注をつけるとか括弧書きで説明していくとかいったような、使い方には工夫をしてやっていこうというようなことで臨んでいるところでございます。
 この問題につきましては、実は先般、九月でございますけれども、厚生省の方に置きました高齢者施策の基本方向に関する懇談会という有識者の会の御報告でも、基本的に利用者重視、わかりやすい情報を提供する、そういったような視点を強く持つようにというような指摘もいただいておりまして、私どもとしてはできる限り国民にわかりやすく、誤解を避けるような用語を今後とも使っていくような努力をしてまいりたいというふうに思っておるところでございます。
 次に、Aの方で、次の十三ページでございますが、福祉サービス等の利用手続の簡素化の関係でございます。
 この問題につきましては、基本的に保健福祉のサービス利用者にとりましての相談窓口として、在宅介護支援センターの整備をゴールドプランの中でも位置づけて進めておるところでございます。このほか、市町村が在宅サービスの普及定着あるいは利用の促進を図るといった観点から行います在宅福祉サービス推進等事業ということで、将来的にいろいろ地域の実情に応じて創意工夫をしたものについて、アイデアを出して実施したものについて助成をしていくといったような事業も予算化をしましてこれに取り組んでいるところで
ございます。
 今後の取り組みといたしまして、まずは基本的に在宅介護支援センターの整備をゴールドプランにのっとって進めますとともに、先ほどの将来的事業でございますが、在宅福祉サービス推進等事業をよりどころとして、できる限りこの趣旨に沿った施策の展開に今後とも努めてまいりたいというふうに考えているところでございます。
 十の項目につきまして、厚生省の立場からのとりあえずの御説明をさせていただきました。どうぞよろしくお願いいたします。
#14
○会長(鈴木省吾君) 次に、建設省より説明を聴取いたします。建設省三井住宅局長。
#15
○政府委員(三井康壽君) 建設省の住宅局長でございます。日ごろから参議院の国民生活に関する調査会の諸先生方には、建設行政に対しまして御指導、御鞭撻いただいておりますことをこの席をおかりしまして、まず御礼を申し上げます。
 本日は、住宅建築行政を中心にいたしまして、その他省内の道路行政あるいは全般的なものを含めまして、私から御報告をさせていただきたいと思います。いただきましたお時間がやや限られておりますので、なるべく要点をうまく御説明させていただきたいと思います。
 まず、資料の一ページでございますが、高齢社会に対応した社会資本の整備促進ということで、特に公共事業のうち、福祉関係の事業の大幅な引き上げを図るべきである、こういう論点でございます。
 私どもも本格的な高齢化社会の到来に備えまして、高齢者、障害者の暮らしやすい生活空間づくりをしようということは、この調査会で御指摘いただいている考え方に沿ってやらせていただきたいというふうに考えているわけでございまして、建設省全体の所管行政の展開に当たりましても、「人にやさしい福祉の生活空間づくり大綱」というものを、まだこれ仮称でございますが、つくらせていただきまして事業の推進をしていきたいというのが来年度に私ども考えている一つの大きな柱でございます。
 来年度の予算要求も、一般の公共事業費で、事業費は四%、国費は三%の伸びではございますけれども、このうち高齢者、障害者に暮らしやすいような生活空間づくりの事業を事業費で六%、国費で同じく六%、こういうふうな要求をさせていただきまして重点を置いてやっていきたいというふうに考えているわけでございます。
 これらの事業の具体的な中身でございますけれども、三つ書いてございますが、例えば高齢者、障害者用の仕様でつくっていただく公庫融資による住宅の建設の促進。それから、新規の要求事項といたしまして、住宅に限りませんで、都会におきます人がたくさん出入りします建築物におきまして高齢者、障害者対応設備、例えばエレベーターをつけるとかトイレを改造していただくとか、車いす等が非常に使いやすい幅の広い廊下をつくっていただくとか、あるいは階段もスロープにしていただく、そういった工事をしていただくような高齢社会対応あるいは障害社会対応の建築物につきまして、共同部に利用される部分に助成金を出そう、あるいは税制を減免したらどうか、こういった要求を出させていただいております。また、道路の関係につきましては、歩道の幅員を広げていく、スーパーペデストリアンデッキ、立体的な歩道をつくっていく、あるいは昇降機つきの横断歩道橋等をつくっていくとか、そういったことのほか、従来からやっております歩道の段差を切り下げまして段差のない道路をつくっていくとか、こういったことを重点的に進めていきたいというふうに考えております。
 次に、同じ社会資本の整備の促進の中で、やや一般論としての御提言かとは思いますけれども、福祉の前進を図っていくには公共団体に分権化を図っていくべきではないか、こういった御提言でございます。
 私どもも、住宅・社会資本の整備を進めていくに当たりましては、国と地方との間で適切なる役割分担をしていくことが必要であると考えておるわけでございます。もっとも、広域的な調整をする事務でございますとか、あるいはナショナルミニマムの観点からの公平性、統一性の確保が必要であるものにつきましては国においてやるべきではないかと思いますが、地域に密着した行政あるいは住民に身近な住宅・社会資本の整備に関しましては地方公共団体にぜひお願いをしていかなければならないと考えているわけでございます。本年度も、分権ということにつきましては、例えば都市計画の事務、これを都道府県知事から市町村にかなり大幅に移譲するなどいたしたわけでございますが、社会の進展に伴いまして地方分権もさらに検討し、推進していきたいというふうに考えているところでございます。
 次に、住宅関係に移らせていただきたいと思います。
 先ほど厚生省からも御報告がございましたけれども、第一が住宅に困窮しておられる高齢者に対する対策でございます。高齢者に対しましては、一般的には住宅の設計といいますか、つくり方からいわゆるバリアフリー、段差のない住宅をつくっていくことが必要であると言われているわけでございます。平成三年度から第六期の住宅建設五カ年計画が始まったわけでございますけれども、この初年度が平成三年度でございますが、平成三年度から公営住宅と住宅・都市整備公団住宅、これにつきましては原則バリアフリーという設計にいたしまして、新規に供給するものはほとんど居住者が高齢になられましても困らないような住宅をつくっているところでございます。また、民間につきましてもこういったバリアフリーの設計基準というものをつくっていただくようにお勧めする、こういった考え方でやっているわけでございます。
 また、従来から公営住宅はやや低所得者の方々に供給させていただいているのではございますけれども、さらにこれを借り上げ型の公共賃貸住宅という制度がございまして、これを進めているわけでございますが、来年度からは、公団住宅につきまして高齢の方々がたくさんおられるものでございますので、公団住宅の建てかえの際にこの高齢者用の福祉型借り上げ住宅、名前を来年度は特定目的借り上げ型公共賃貸住宅、そういうふうにさせていただくというふうに考えております。
 また、従来からやっているものの復習で恐縮でございますけれども、公営住宅におきましては従来より同居をしていただく方を優先にしているわけでございます。しかし、高齢の方々につきましては、男性の場合は六十歳以上、女性の方は五十歳以上の場合には単身でも公営住宅に入居していただくことができる、こういうふうにしているわけでございまして、そういった意味では高齢者対策は公営住宅につきましては前からかなりやらせていただいているということが言えようかと思います。
 なお、民間のアパートに高齢者の方々が入るのは大変難しいという御議論が出ているわけでございます。確かに、そういった事実が私どもあるというふうに認識しているわけでございますけれども、一般的には民間のアパートに入られる場合は民民契約といいますか、私人間の契約でございますので、行政がどこまで入っていけるかという大変難しい問題に直面するわけでございます。
 一つは、高齢者用の仕様の住宅、民間の賃貸住宅がそうストックとしてはないということもございますし、契約関係もやや民事関係になりますので、行政としての御相談にあずかるのはなかなか難しいような状況もございます。
 一つは、先ほどから申し上げております公営住宅ですとか、あるいは福祉型借り上げ公共賃貸住宅の供給をふやしまして高齢者の方々に入っていただくということが第一でございますけれども、供給の量にもやや限りもございますので、民間のアパートにも入っていただけるような環境整備ということで、実際上は仲介業者が民間の契約に入られるものでございますので、宅地建物取引業界に対します啓発をさらに進めていく、こういうふうに考えているところでございます。
 それから、五ページに参りまして、同じく高齢者用の住宅のうち、特に公的ケアつき住宅についてでございます。公的ケアつき住宅につきましては、先ほど厚生省から御説明ございましたけれども、従来から公営住宅、公共住宅でやっておりますバリアフリー化あるいは福祉型借り上げ住宅のほかに、最近はシルバーハウジング・プロジェクトあるいはシニア住宅供給推進事業というふうな新たなる課題に取り組んでいるわけでございます。
 シルバーハウジング・プロジェクトは、現在、公営住宅を建てかえる際に、厚生省が先ほど言われましたライフサポート・アドバイザーという方に公営住宅の管理人になっていただきまして、それから公営住宅のつくり方も高齢者仕様でつくりますことのほか、住宅の中にセンサーを入れまして、二十四時間お年寄りの方々が動きがございませんとそのセンサーが管理人のところで鳴りまして、そして、いざというときにはその管理人の方が中に入っていける、こういったやり方をさせていただいております。大体十軒とか二十軒に一人のライフサポート・アドバイザーに入っていただきまして、大体は自力で独立して生活できるという前提でさせていただいているわけでございますが、そういった住宅が全国各地でかなり今ふえているところでございます。
 それから、さらに最近ではシニア住宅と申しまして、これは住宅・都市整備公団とかあるいは地方住宅供給公社でやらせていただいているわけでございますけれども、退職時に、あるいは退職金でなくてもよろしいんですが、生命保険を使うのでございますけれども、生命保険に三千万とか四千万ぐらい一時的に入っていただきまして、そのお金をもとにいたしまして住宅の中に入っていただきます。それを家賃として取り崩していくわけでございます。そのシニア住宅におきましては、一時金の保険金を取り崩し家賃として生活をしていただくことのほか、日常の生活相談ですとか、あるいは診療所などもその住宅の団地の中の一画に入れまして簡単な医療サービスも受けられる。医療サービスとか食事は別途実費をいただくような計算になっているわけでございますけれども、そういった住宅の団地づくりといいますか、そういったことを進めているわけでございます。
 さらに、シニア住宅につきましては、なるべく負担を軽くするという意味で、この住宅の中には生活相談室とか団地内のコミュニティー的な活動ができる施設を配置しているわけでございますけれども、それを公的な助成の対象にできないかということで来年度新規の要求を出させていただいております。
 それから、六ページに移らせていただきまして、高齢者の居住に適した住宅の普及促進あるいは住宅改造の支援ということでございます。
 公共住宅につきましてはバリアフリーということで既にやらせていただいているわけでございますけれども、ストックの中ではまだできていないものもございまして今後建てかえの際にその仕様が行き渡るようにしていきたいと思っております。民間につきましてはなかなかそこまで進んでいないというのが現状ではないかと思います。
 制度といたしましては、住宅金融公庫の融資をする際に、高齢仕様の場合には割り増し貸し付けをできることになっておりまして、現在これは五十万円でございますけれども、来年度は百万円に引き上げていきたいというふうに考えております。ただし、今おつくりになる方が平均いたしまして三十代の後半の方が公庫を御利用でございますので、おつくりになるときにまだそこまで思いがいかないといいますか、残念ながらこの利用率がそう高くないわけでございます。したがいまして、民間のこういった住宅の設計につきましても、ぜひ将来に備えて高齢化仕様の住宅の設計指針というものを需要者でありますお建てになる方々にPRをしていく必要があるというふうに考えておりまして、その設計指針の策定を進めているところでございます。
 次に、七ページでございますけれども、そういった高齢者用住宅の専門家の養成あるいは住宅改造資金の助成等の御指摘でございます。
 住宅リフォーム一般につきましては、昭和六十年からリフォームが大変進んでいくだろうということを前提にいたしまして、増改築相談員制度というものを財団法人日本住宅リフォームセンターに設けさせていただいております。全国各地で相談員がおるわけでございますけれども、特に最近では高齢者向けの住宅リフォームをしていただくということに備えまして研修を積極的にやっているわけでございます。既に一万二千人弱の方々に高齢仕様の住宅をつくっていくという講習を受けていただきまして、さらに高齢化対応住宅リフォームマニュアルというものをつくらせていただきまして普及を図っているところでございます。
 それから、公庫につきましては、割り増し貸し付けにつきましては先ほど現行五十万、来年百万と申し上げましたけれども、これは一般論でございますが、ことしの新総合経済対策におきまして、増改築リフォームにつきましては従来七百万円程度の公庫融資でございましたけれども、これを一気に一千万円を超えまして一千七十万円の融資ができるようになりました。したがいまして、大型のリフォームができるようになりましたので、例えば高齢者仕様におトイレを直していただくとかおふろを直していただく、そういった大きな改造が公庫融資だけで可能になったと思っておりますので、高齢仕様のリフォームにこれをお使いいただきたいというふうに念じているところでございます。
 最後に、福祉の町づくりでございます。
 平成三年度に私どもの住宅局と道路局、都市局と省内で相談いたしまして、モデル事業といたしまして福祉のまちづくりモデル事業というのをつくりました。これは、例えば駅の周辺でございますとかあるいは市役所の周辺という大変人がたくさんお歩きになったり通られるところで、例えば駅から出てきたときに横断歩道橋の階段をおりたり上がったりしなきゃいけないというのを、向かいにあります例えばデパートでございますとか、あるいは市のセンターでございますとか、そういったところに段差なく行けるようにデッキをつくるとか、あるいは歩道の幅員を広げたり段差を下げたり、あるいは動く歩道といいますか、そういったもので建物と道路を有機的に、高齢者、障害者の方々がスムーズに使っていただくような事業を予算化したわけでございます。
 現在ではこういったことで十三地区、市町村が事業主体でございますけれども、市町村の計画が実施に移されているわけでございますが、来年度はモデル事業からこの事業を一般化しようということで要求をさせていただいているところでございます。
 甚だ簡単でございますけれども、やや時間を超過して恐縮でございますが、以上報告をさせていただきます。どうかよろしく御指導いただきたいと存じます。
 ありがとうございます。
#16
○会長(鈴木省吾君) 引き続いて、運輸省より説明を聴取いたします。運輸省豊田運輸政策局長。
#17
○政府委員(豊田実君) 運輸省でございます。
 私ども、中間報告の中では福祉の町づくりの推進という項目の中で、駅などにおけるエレベーター、エスカレーター等の設置を促進するためガイドラインの強化ということ、あるいは融資制度の創設というような御提言をいただいております。
 お手元に資料をお届けしておりますので、それに沿いまして御説明申し上げたいと思います。
 一番目は、高齢者、障害者等のためのモデル交通計画の策定ということで、本年度から三年計画ということでモデル交通計画を策定することを今取り組んでいるところでございます。高齢者の方が社会活動するに当たって、移動の場合に駅などが非常に障害となります場合があるわけですが、単に駅施設だけの問題ではなくて、やはり御自宅を出られてから目的地まで移動する全体を連続性
のある、体系的に整備するという事柄からこの計画に取り組んでおるわけでございまして、五ページの関係の方の御協力をいただきまして委員会をつくりまして、この委員会の中でモデル都市を二つ選んでいただきました。大都市としては横浜市、それから地方の都市としては金沢市という二つの都市を選んでいただきまして、このモデル地区を対象にしまして、今申しましたように駅施設そのものだけではなくて、全体の移動に当たっての体系をどう組み立てるかというようなことにつきまして今調査を開始しているところでございます。
 それから、第二点目でございます。
 公共交通ターミナルにおける高齢者、障害者等のための施設整備ガイドラインの策定ということで、既に十年ほど前にターミナルにおける施設整備のガイドラインというものを私ども策定しておるところでございますが、その後十年経過してございますので、今回新しい技術開発というようなものも取り組みながら、もう一度このガイドラインを見直すということを昨年からやっておりまして、今年度中に見直しを完了する予定でございます。
 前回、鉄道駅ということを念頭に置きながらガイドラインをつくっておったわけですが、今回は鉄道駅に限定することなく、ほかのターミナルについても対象に加えながらガイドラインをつくっていきたいと考えております。
 それから、三番目でございますが、移動の手段として、施設面ではやはりエスカレーターとかエレベーターというものが一つの基本でございまして、実は平成三年にエスカレーターについては整備指針というものを策定しまして、これに基づきまして整備を進めておるところでございますが、本年、エスカレーターに加えまして、エレベーターにつきましても同様な整備指針というものを策定して関係者に徹底したところでございます。
 三ページ目に運輸省の関係します高齢者対策として流れ図を書いてございますが、今申しましたような施設面の整備指針とかガイドラインということのほかに車両構造モデルデザインというものを既につくっておりますが、車いす用のスペースの確保とかリフトつきバスの導入というような車両自体の改善というものが一つの柱でございます。それから、技術面でいろいろ乗りやすい車の開発というようなことがありますが、そういう技術の開発研究というものももう一つの大きな柱になっております。
 それから、先ほど冒頭に申しましたように、今申しましたいろんな勉強の成果を全体として連続的に活用するということで、交通体系の整備ということをもう一つの柱に、全体で安心して利用できる公共交通の実現ということを目指して取り組んでおるところでございます。
 四ページ目に現在の施設整備の状況を一表にまとめてございます。小さい数字で恐縮でございますが、毎年かなりの数の施設整備というものに取り組んできております。残念ながら、例えばエスカレーターとかエレベーターというようなものについては、全体の対象の駅数が多うございまして、まだ整備率という点では低い水準にとどまっているという状況でございますが、毎年数の上ではかなりの数が整備を進めているという状況でございます。
 それから、五ページ目は先ほど申しましたモデル交通計画の委員会の名簿でございまして、関係省庁の方にも応援していただいております。
 それから、予算関係でございますが、六ページに表がございますけれども、来年度の予算の面で、まず、生活者に優しい交通都市づくりの推進ということで、今申しましたような交通ターミナルにおけるエレベーター等の設置に対しまして資金面の支援を行う手段としまして生活基盤整備基金というものをつくりまして、この基金を活用することによりまして低利の融資を行ったりあるいは債務保証を行うということで資金面の支援をしよう、それから同時に、これは予算に一億一千二百万という数字が載っておりますが、これは一定の条件に合う事業につきまして地方自治体に助成を行いたいという要求でございます。
 それから、二番目の事項でございますが、先ほど来から申しております調査活動、研究等について一般会計からの予算ということで四千四百万要求しております。
 また、三番目の柱はやはり技術開発の点で、これも調査をするという事項で、金額的にはわずかでございますが、私どもの対策の一環として取り組むということでございます。
 それから、その他でございますが、実は私どもの予算の関係では特記はされておりませんが、例えば鉄道整備助成費という中で全体の施設整備をする際に、今申しました整備指針にのっとっていろいろ関係施設を整備してもらうというような仕組みになっておりまして、鉄道、バスあるいは港湾関係、海岸関係というようなことでそれぞれの予算の中で対応施設に取り組むということになっております。
 それから、最後になりますが、今申しました生活基盤整備基金というものの流れでございますけれども、この基金には一般的に出捐をお願いして、それをもとに低利融資、債務保証をするということでございます。
 以上、私どもの関係の御説明を終わります。
#18
○会長(鈴木省吾君) 最後に、労働省より説明を聴取いたします。労働省松原婦人局長。
#19
○政府委員(松原亘子君) 労働省でございます。日ごろより労働行政にさまざまな面から御指導、御協力をいただきましてありがとうございます。
 私どもの関連では、二点御説明をさせていただきたいというふうに思います。
 一点は、福祉マンパワー確保対策でございます。資料に基づきまして御説明させていただきたいと思いますけれども、福祉マンパワーの確保ということが極めて重要かつ喫緊の課題になっているということは改めて申すまでもないわけでございまして、労働行政といたしましては、介護労働者の雇用管理の改善等に関する法律及び看護婦等の人材確保の促進に関する法律などに基づきまして福祉マンパワー確保に全力を挙げているところでございます。
 施策の体系といたしましては二通りございまして、一つは公共職業安定機関を通じた確保対策でございます。平成四年度から福祉重点公共職業安定所というものを各都道府県にございます職業安定所の中から一カ所ずつ順次指定をいたしておりまして、平成四年度十一カ所、五年度十一カ所、現在二十二カ所指定をいたしているところでございます。その施策の流れは、恐縮でございますが次のページのフローチャートを見ていただければというふうに思いますが、福祉マンパワーの方々は、今就業しておられない看護婦さんの資格を持っておられる方とか介護労働にこれまで従事された方など、潜在的なマンパワーの方々というのはたくさんいらっしゃるわけでございまして、まずこういう方々を発掘するということが必要ではないかということからそのための広報などをやっておりまして、そういうものを通じて出てこられました、発掘されました方々を潜在福祉マンパワーとして登録をさせていただくということをやらせていただいております。
 そういう方々はすぐ求職者になるということではございませんで、そこに求職者として求職を申し込んでいただくまでの間、その福祉重点公共職業安定所に各一人ずつ配置をいたしております介護労働専門官、こういう専門官が相談に当たるとか、例えば看護婦さんですとリフレッシュの講習を受けていただくとか、介護労働に従事した方ですと実習でもう一回過去の経験を思い出していただくといったような各種の講習などもやっております。
 それから、登録していただいた方々には、福祉関係誌を初めといたしましたさまざまの情報誌を提供するなどをいたしまして、求職をなるべくしていただくという方向で働きかけなどを行った上、そういう方々が求職を申し込んでいただくと
いうことになってまいりますと、今度は求人側との結合ということになってまいります。
 まず、求人者に対しましては、雇用管理の改善ということを私どもやっていただく必要があるだろうというふうに考えておりまして、福祉分野の雇用管理アドバイザーというものもこの安定所に各一名ずつ配置をいたしておりますが、そういうアドバイザーが雇用管理改善のための助言、指導などを行いまして、求人条件といたしましてできるだけよい条件を提示してもらう、こういうマンパワーの方々の雇用管理の改善を図ってもらうということを進めている。わけでございます。
 あわせまして、それを具体的に企業の中で実現してもらうために、看護婦さんなどの雇用管理に当たる責任者、担当者、そういう人たちに対する研修というものを助成金を支給して推進するということもやっているところでございます。
 そういうことで、雇用管理が改善された適切な求人というものが出てまいりまして、先ほどの潜在マンパワーの方々が求職者として登録されたのとあわせまして、右下の方にございますが、福祉マンパワー合同求人選考会というものを実施し、ここで求人、求職の結合の促進ということを図っているというのが一つ公共職業安定機関を通じた確保対策でございます。
 また前の資料に戻っていただきまして、こういうことをやって、実は平成四年度の実績といたしまして、そこにちょっと書かせていただいておりますけれども、福祉分野全体で二万四千人余りの再就職が実現をいたしておりまして、対前年度比で七・二パーセントの増という実績を上げているところでございます。
 それから、もう一つの流れは介護労働安定センターを通じましたマンパワー確保対策でございます。この介護労働安定センターは、平成四年度に介護労働者の福祉の増進に関する総合的な支援機関として指定をした法人でございますけれども、これを通じてさまざまな事業をやっているということでございます。
 @に書いてございます最初の二つ、介護労働者雇用管理研修助成金及び介護労働者福祉施設助成金、これは介護サービス業を営む事業主に対しまして支給しているものでございまして、前者はその企業での介護労働者に関する雇用管理の担当者、そういう担当者に対する研修を促進するためのものでございまして、二番目の福祉施設助成金の方は、介護労働者に対して例えば寮ですとか訓練施設ですとか文化、教養、体育施設など、福祉施設を設置する、そういったことを促進したいということで助成金を支給するというものでございます。
 さらに、「健康診断の実施」というふうに書いてございますけれども、いわゆる家政婦さんを考えていただければいいかと思いますが、雇用労働者でないわけでございます。雇用労働者の場合は事業主に健康診断を実施することが義務づけられておりますけれども、この家政婦さん方はみずから受けていただくということが必要になってきます。そういうことから、補助金といいますか、助成金を出すことによってその受診を促進するといったことで、雇用管理全般にわたる改善というものをこの介護労働安定センターを通じてやっておるというのが第一点でございます。
 第二点目は、要介護者に関します施設ですとかサービスについての情報提供、相談、それから家政婦さんの紹介所の団体と企業との連携の促進を図るということによりまして在宅介護の需給安定事業といったものをやっております。この在宅介護需給安定事業というのはこれからもふやしていきたいというふうに考えているものでございますけれども、家政婦さん方は個人の方からの要請といいますか、要望に応じてそこでサービスを提供するということになりまして、就労が非常に不安定になる場合がございます。そういうことから、それをなるべく安定化させるということから、紹介所の団体と企業との連携を図って需給の安定を図ろうという事業でございます。この事業を介護労働安定センターを通じてやっているというのが第二点目でございます。
 それから、第三点目は介護労働者に対します各種講習、具体的にはその方々の持っておられる経験ですとかバックグラウンドによって違ってまいりますが、入門コース、向上コース、専攻コースといったように三段階に分けました講習を実施いたしておりまして、介護労働者の職業能力の開発ということをこのセンターでやっているわけでございます。
 四点目は、「福祉共済制度の運営」というふうに書いてございますけれども、家政婦さんの方々は、先ほど申し上げましたように雇用労働者でないということから、例えば労災保険の適用がないわけでございます。そういうことから、それを補う形での福祉共済制度というものを設けまして、それによってその面でのカバーをいたそう、対応いたそうということでございまして、この運営を介護労働安定センターがやっているということでございます。
 また、これ以外に、資料に書いてございますように、介護労働者の福利厚生面での改善等を図りますために雇用促進事業団に介護労働者福祉基金というものを平成四年度から創設いたしております。平成四年度六十億円、平成五年度六十億円を基金として今積んでいるわけでございまして、その運用益を活用いたしまして、以下@、Aと書いてございますことをやっているわけでございます。
 @は、職業紹介事業を行う者が介護労働者用の福祉施設を設置、整備する場合に、要するに借入金で対応する場合が多いわけでございますが、それの債務保証を行うというのが第一点でございます。
 それから、第二点目は介護労働安定センター、先ほど@からCまでで御説明いたしましたけれども、こういった事業を推進するためにいろいろ事務経費がかかるわけでございますが、その事務経費の助成といったことをこの基金の運用益でやっているわけでございます。
 こういったことで、最初の公共職業安定機関を通じました福祉マンパワー確保対策につきましては、来年度さらに福祉重点公共職業安定所を十三カ所追加指定したいというふうに考えておりまして、現在五億九千万余りの予算要求を行っているところでございます。
 それから、二点目の介護労働安定センターを通じました確保対策といたしましては、在宅介護需給安定事業、紹介所団体等と企業との連携を促進するというものでございますけれども、それを充実させたいということから二十一億余りを来年度の予算要求として行っているところでございます。
 以上が福祉マンパワー確保対策でございまして、もう一点はもう一冊別の資料になっておりまして、恐縮でございますが、家族介護者への支援という点についての取り組み状況を簡単に御説明させていただきたいと思います。
 この点に関しましては、いわゆる介護休業制度ということで以下資料をまとめさせていただいておりますけれども、介護休業制度は、高齢化が進展し、要介護老人がふえるという中で、家族の介護を行う労働者にとって介護と職業を両立させるという意味において非常に大きな意味を持った制度であるというふうに私ども考えております。特に、働く女性にとりましては、継続して勤務することを難しくしているのはどういうことかといったことを調査いたしますと、育児に並びまして介護の問題というのが大きく回答として挙げられているわけでございます。
 そういう状況でございますが、最近時点といいましても平成三年二月でちょっと古いんでございますけれども、この時点での介護休業制度の普及率は、規模三十人以上の事業所におきまして一三・七%という状況になっております。この時点以降、電機ですとか自動車、鉄鋼などの大手企業におきまして、春闘ですとか労働協約の改定交渉時期にこの介護休業制度の導入が労使で合意をされているといったことがございますので、最近時
点ではもう少しこの普及率は上がっているのではないかというふうに考えられます。本年五月にまたこの普及率を把握するための調査をやっておりまして、年内にはその結果をまとめたいというふうに今考えているところでございます。
 この介護休業制度の普及対策といたしまして、平成四年七月に介護休業制度等に関するガイドラインというのを私ども定めました。お手元の資料の別添二というところについてございますけれども、このガイドラインに沿った介護休業制度がなるべく早く多くの企業に導入されるようにということで今さまざまな施策をやっているところでございます。
 @からBまで書いてございますけれども、まず、労使を初め関係者に対しまして仕事と介護に関する問題についての認識を高める、社会の関心を高めるということが必要であるということからシンポジウムを開催するといったこと。それから、使用者及び使用者団体を対象といたしまして、介護休業制度の意義やガイドラインについて周知を図るといった使用者会議を開催する。さらに、もう少し介護休業制度を具体的に検討したい、導入をもう少し具体的に検討するといったようなそういう意思を持っている企業に集まっていただきまして、どのように導入すればスムーズに導入が図れるかといったことを研究していただくための研究会を開催するといったさまざまなレベルでの啓発指導活動をやっているところでございます。
 平成六年度におきましては、こういった指導をさらに広範にやってまいりたいというふうに思っておりますが、特に中小企業ではなかなかこういう制度を導入することが難しいという面もあろうかと思いまして、いわば中小企業が集団でこの介護と仕事の両立のためのプログラムをつくってもらう、そういった事業をやりたいというふうに考えておりまして、仕事と介護支援ト−タルプラン事業というふうに名づけておりますけれども、集団として取り組んでいただく、そういう事業をやりたいというふうに考えております。そういうことから、来年度は介護休業制度の普及促進のための予算要求といたしまして、二億一千五百万程度の金額を今要求いたしておるところでございます。
 ところで、この介護休業制度の問題につきましては法制化問題というのがかなり各方面から期待をされているところでございます。私ども、この介護休業制度につきましては、法制化問題も含めまして、有効な普及対策のあり方についてことしの四月以来婦人少年問題審議会の中で御議論をいただいてまいりました。これ以外の問題も実はあったわけでございますけれども、今後のこの問題への取り組みといたしましては、介護休業は育児休業とはちょっと違いまして、要介護者をどういうふうにとらえるか、特に介護休業というものをいわば労働者の請求権として制度化するというようなことを考えでいきますと、要介護者の範囲をどうするかといったようなことはかなり専門的、技術的に詰めなければいけないといった問題がございます。
 そういうことから、今後、専門的、技術的な問題を検討していただくための研究会を私ども早急にやりたいというふうに思っておりまして、そこの結論を得た上で、審議会で法制化問題も含めた今後の普及対策を検討していただくというような手はずにいたしているところでございます。
 以上、簡単でございますけれども、労働省関係の説明を終わらせていただきたいと思います。
#20
○会長(鈴木省吾君) 以上で政府からの説明聴取は終了いたしました。
 政府に対する質疑は後日行うこととし、本日はこれにて散会いたします。
   午後四時十七分散会
ソース: 国立国会図書館
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