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1993/12/10 第128回国会 参議院 参議院会議録情報 第128回国会 予算委員会 第6号
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1993/12/10 第128回国会 参議院

参議院会議録情報 第128回国会 予算委員会 第6号

#1
第128回国会 予算委員会 第6号
平成五年十二月十日(金曜日)
   午前十時二分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 十二月九日
    辞任         補欠選任
     大島 慶久君     清水嘉与子君
     斎藤 文夫君     宮崎 秀樹君
     野間  赳君     佐藤 静雄君
     星野 朋市君     尾辻 秀久君
     松浦 孝治君     大木  浩君
     北澤 俊美君     釘宮  磐君
     西山登紀子君     吉川 春子君
  出席者は左のとおり。
    委員長         井上 吉夫君
    理 事
                片山虎之助君
                久世 公堯君
                村上 正邦君
                梶原 敬義君
                佐藤 三吾君
                角田 義一君
                木庭健太郎君
                磯村  修君
                足立 良平君
    委 員
                浦田  勝君
                遠藤  要君
               大河原太一郎君
                大木  浩君
                大塚清次郎君
                沓掛 哲男君
                佐藤 静雄君
                清水嘉与子君
                下稲葉耕吉君
                成瀬 守重君
                野村 五男君
                服部三男雄君
                宮崎 秀樹君
                一井 淳治君
                大渕 絹子君
                喜岡  淳君
                國弘 正雄君
                谷畑  孝君
                田  英夫君
                三重野栄子君
                山口 哲夫君
                山田 健一君
                吉田 達男君
                藁科 滿治君
                荒木 清寛君
                牛嶋  正君
                刈田 貞子君
                釘宮  磐君
                武田邦太郎君
                萩野 浩基君
                直嶋 正行君
                吉岡 吉典君
                吉川 春子君
                下村  泰君
   国務大臣
       内閣総理大臣   細川 護煕君
       外 務 大 臣  羽田  孜君
       法 務 大 臣  三ケ月 章君
       大 蔵 大 臣  藤井 裕久君
       文 部 大 臣  赤松 良子君
       厚 生 大 臣  大内 啓伍君
       農林水産大臣   畑 英次郎君
       通商産業大臣   熊谷  弘君
       運 輸 大 臣  伊藤  茂君
       郵 政 大 臣  神崎 武法君
       労 働 大 臣  坂口  力君
       建 設 大 臣  五十嵐広三君
       自 治 大 臣
       国 務 大 臣  佐藤 観樹君
       (国家公安委員
       会委員長)
       国 務 大 臣  武村 正義君
       (内閣官房長官)
       国 務 大 臣  石田幸四郎君
       (総務庁長官)
       国 務 大 臣
       (北海道開発庁
       長官)      上原 康助君
       (沖縄開発庁長
       官)
       (国土庁長官)
       国 務 大 臣  愛知 和男君
       (防衛庁長官)
       国 務 大 臣
       (経済企画庁長  久保田真苗君
       官)
       国 務 大 臣
       (科学技術庁長  江田 五月君
       官)
       国 務 大 臣  広中和歌子君
       (環境庁長官)
       国 務 大 臣  山花 貞夫君
   政府委員
       内閣法制局長官  大出 峻郎君
       内閣法制局第一  津野  修君
       部長
       公正引委員会   小粥 正巳君
       委員長
       公正取引委員会  植松  勲君
       事務局取引部長
       総務庁長官官房  池ノ内祐司君
       長
       防衛庁参事官   高島 有終君
       防衛庁参事官   河路 明夫君
       防衛庁人事局長  三井 康有君
       防衛施設庁総務  草津 辰夫君
       部長
       防衛施設庁施設  江間 清二君
       部長
       防衛施設庁労務  小澤  毅君
       部長
       経済企画庁調整  小林  惇君
       局長
       経済企画庁総合  吉川  淳君
       計画局長
       経済企画庁調査  土志田征一君
       局長
       科学技術庁原子  石田 寛人君
       力局長
       国土庁長官官房  藤原 和人君
       長
       国土庁計画・調  糠谷 真平君
       整局長
       国土庁土地局長  原  隆之君
       国土庁地方振興  秋本 敏文君
       局長
       外務省総合外交  柳井 俊二君
       政策局長
       外務省アジア局  池田  維君
       長
       外務省欧亜局長  野村 一成君
       外務省経済局長  小倉 和夫君
       外務省条約局長  丹波  實君
       大蔵大臣官房総  田波 耕治君
       務審議官
       大蔵省主計局長  篠沢 恭助君
       大蔵省主税局長  小川  是君
       大蔵省理財局長  石坂 匡身君
       大蔵省証券局長  日高 壮平君
       大蔵省銀行局長  寺村 信行君
       国税庁次長    三浦 正顯君
       文部大臣官房長  吉田  茂君
       文部省初等中等  野崎  弘君
       教育局長
       厚生大臣官房総  佐々木典夫君
       務審議官
       厚生省生活衛生  柳沢健一郎君
       局長
       厚生省社会・援  土井  豊君
       護局長
       厚生省老人保健  横尾 和子君
       福祉局長
       厚生省年金局長  山口 剛彦君
       農林水産大臣官  上野 博史君
       房長
       農林水産省経済  眞鍋 武紀君
       局長
       農林水産省構造  入澤  肇君
       改善局長
       農林水産省農蚕  高橋 政行君
       園芸局長
       食糧庁長官    鶴岡 俊彦君
       通商産業大臣官
       房商務流通審議  川田 洋輝君
       官
       通商産業省通商  坂本 吉弘君
       政策局長
       通商産業省産業  内藤 正久君
       政策局長
       通商産業省環境  高島  章君
       立地局長
       通商産業省機械  渡辺  修君
       情報産業局長
       資原エネルギー  堤  富男君
       庁長官
       中小企業庁長官  長田 英機君
       郵政省電気通信  松野 春樹君
       局長
       労働大値官房長  征矢 紀臣君
       労働省職業安定  七瀬 時雄君
       局長
       建設大臣官房長  伴   襄君
       建設省建設経済  小野 邦久君
       局長
       建設省道路局長  藤川 寛之君
       建設省住宅局長  三井 康壽君
       自治大臣官房長  遠藤 安彦君
       自治省行政局長  吉田 弘正君
       自治省行政局選  佐野 徹治君
       挙部長
       自治省財政局長  湯浅 利夫君
       自治省税務局長  滝   実君
   最高裁判所長官代理者
       最高裁判所事務  涌井 紀夫君
       総局総務局長
   事務局側
       常任委員会専門  宮本 武夫君
       員
   参考人
       日本銀行総裁   三重野 康君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○参考人の出席要求に関する件
○平成五年度一般会計補正予算(第2号)(内閣
 提出、衆議院送付)
○平成五年度特別会計補正予算(特第2号)(内
 閣提出、衆議院送付)
○平成五年度政府関係機関補正予算(機第2号)
 (内閣提出、衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(井上吉夫君) ただいまから予算委員会を開会いたします。
 まず、参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 平成五年度補正予算三案の審査のため、本日の委員会に、日本銀行総裁三重野康君を参考人として出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○委員長(井上吉夫君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#4
○委員長(井上吉夫君) 平成五年度一般会計補正予算、平成五年度特別会計補正予算、平成五年度政府関係機関補正予算、以上三案を一括して議題といたします。
 昨日に引き続き、質疑を行います。浦田勝君。
#5
○浦田勝君 まず冒頭に、細川総理にこの新聞をちょっと見てもらいたい。(資料を示す)細川総理に、これは足元になるが、熊本県の農民が国会に乱入をいたしました。それから、これも熊本です。今、熊本の生産農家の農民が熊本県庁でも座り込みをいたしまして、不当な今回の扱いに対しての抗議集会をやっておるわけであります。
 特に熊本県の場合は、細川総理に非常に期待する面が多かった。私自身も総理に対しまして、知事になられるときにも、本当にこの人は新しい時代を担う、これからのやはり政治家というのはこういう人だなというふうに私は感じました。したがって、その調整に当たっては、幹事長という職責の中で私は、細川先生と沢田先生の間で県連は調整をいたしまして、政争県熊本の汚名を返上して円満に交代をいたしたことも事実でありました。
 ところが知事は、「権不十年」ということで、権力の座に十年もあることはまずいんだということで唐突としておやめになったわけです。三期不文律ということになっておったわけでありますけれども、十年でおやめになった。その深さというものには敬服もしたが、いささか私も驚いた次第でありました。もっともっと性根を据えて、せっかくおやりになった新しいテクノポリス構想やあるいは新農業政策、こういう熊本県民のいわゆる農業と工業の産業が調和された県政ということで日本一づくりをおやりになったその成果も上がるやさきにおやめになられたわけでありまして、私はそのときなぜだろうかと思いました。
 ところが、考えてみますと、やはり総理は、非常に勇気があると申しますか決断力があると申しますか、自分が信じたことについてはだれが何と言っても聞かない、自分の初心を貫く、こういうようなタイプの人だなと思ったわけでありました。
 私は、総理が総理になられたときにびっくりもしましたが、喜びもしました。そして、田中角栄先生を思い浮かべたわけであります。お倒れになる前でございましたが、二月の雪の降った日でございましたが、細川という男は殿の中でもあれは本物の殿だ、総理大臣になる男だよ、こう言われました。ここの中に入って、写真に出ておった連中も何人かは来ておったわけでありますが、みんな後になって、やっぱりなるべくしてなった人は本当になるんだな、こういうことでございました。
 ところが、総理がいろいろと御本の中にお示しになっていろいろと言われておりますけれども、それはそれなりとして、政治家にとってはそれぞれのビジョンがあるわけですから、自分の思うことは本に書いたり言ったりしていいわけであります。しかし、一国の宰相となられてから、今回の米問題について全然本当の真実というものが語られなかった、密室の中で来た。あるいは、我々は情報を判断するのにやはり新聞の資料でなければ判断ができないという場面がたくさんあった。
 九月のころから政府はひそかにアメリカとの交渉をしておった、あるいはまた十月には合意に達した、これはもうマスコミ、新聞にも書いてあるからわかるわけでありますが、その中にまた、やみ将軍と称する人がヨーロッパ、ECに行ってこの問題の解決に側面的な支援をしたとか、こういうことがあったわけでありますが、この問題について骨子を我々にお示しになったけれども、この骨子が一から二、三までありますけれども、あの骨子の後ろにあったものは全然表に出てこなかったわけであります。言うなれば、我々をだましたということであります。
 前の宮澤総理は、うそつきだ、こう言われましたけれども、今回のうそは大分違う。宮澤さんの場合はやろうとして努力をしてできなかったからうそつきになったわけで、今度は最初からうそのうそで固めて、二枚も三枚もやって政府が発表してきた、あるいは情報を横流ししてリークして世論操作をしてきた、悪意に考えればそういうようになる。本来なら細川総理はそういう人じゃない、真っ正面から堂々とおやりになるもんだというふうに私は信じておった。その期待の裏切りがこれなんです。
 熊本県のきのうの演説をお聞きになったかどうか私は知りません。だけれども、彼らが言ったことは、本当に申しわけない、熊本県知事だった細川さんは農業に理解のある人だと我々は期待しておったんだ、しかし日本農業を壊滅的に追い込んできた元凶となるということは我々としては憤りにたえない、また、したがって全国の農民に対して心からおわびをする、そのためには、自分たちがみずからの行動によって起こさなければ、これは本当に犠牲にならなければ全国の盟友に申しわけない、ということでの行動であったということであります。この点につきまして総理の御感想を承りたいと存じます。
#6
○国務大臣(細川護煕君) おっしゃるお気持ちはよくわかります。日本が島国として海洋国家として自由な貿易の体制、通商の体制を守っていくということは、これは日本にとって何といいましても最大の国益だ、私はそう確信しております。そのために歴代内閣もあらゆる努力を傾けてこられたと思いますし、今後ともまたこれは傾けていかなければならない最大の課題であるというふうに私は信じているところでございます。
 そういう中で、今度のこの米の問題を初めとする農業の問題についても、御承知のように百十六カ国という多くの国々との間で大変複雑で入り組んだ多角的な交渉というものが行われてまいりました。交渉事でございますから、一〇〇%我が方の主張をのめと、これはなかなか難しいことだと思います。しかし、再三申し上げておりますように、政府としては国会決議の趣旨を体し、あるいはその精神というものを尊重しながら、できる限り我が方の考え方というものが反映をされるように、これは米を初めとする農産物だけではございませんが、あらゆる問題について我が方の主張が反映されるように交渉担当者の人たちがぎりぎりまで努力をしてきているということはぜひ御理解をいただきたい、このように思っているところでございます。
 努力をしていないではないか、こういうお話もあるかもしれませんが、そんなことは決してないと。これはこの七年間かかって政府としてずっと積み上げてきた交渉の一つの収れんした方向であって、各国との間で大変厳しいせめぎ合いをしてきたものであるということをぜひ御理解をいただきたい、こう思うわけでございます。
 先ほど、密室の中で行われてきたのではないか、もっとオープンに交渉はやるべきではないかといった趣旨のお話もございました。しかし、外交交渉でございますから、しかもこれだけの多くの国の間で話をまとめていかなければならないということになりますと、私もできる限りこれはオーブンにして国民の前でわかりやすい形で交渉が進められていくことが望ましいと思いますが、しかしそこにはおのずから限度があるということも、これは改めて申し上げるまでもないところであろうと思います。明らかにできなかった部分で大変唐突な受けとめ方をされる部分が多いかと思いますが、この点につきましては、外交交渉というそういう性格のものであるということをぜひ御理解をいただきたい。
 決していろいろ隠し立てをしながら秘密裏に交渉を進めてきているということではございませんで、できることは極力明らかにしながら交渉をしていくということは当然のことでございますが、しかし、多くの国の話し合いがまとまって調停案が出されたのがこの一両日前である。それも骨子が示されて、そして昨日は日本側のかかわりのある部分についてのみあのような形で文案が示されたということでございますから、その辺の経緯についてはどうぞひとつ御理解をいただきたい、こう考えるわけでございます。
#7
○浦田勝君 ぎりぎりの交渉をやったと。交渉というのは、当然これはもう本当にオープンでやったら交渉なんてできるわけじゃございません。しかし、少なくとも国の進むべき方向というものをある程度は説明をしながらやるべきではなかったか。余りにも唐突過ぎるということであります。
 それから、この調整案の骨子の中に、第三項でありますが、国内の食糧不足の際に輸出制限を行おうとする国は輸入国の食糧安全保障に与える影響に対して十分な配慮を行うとともに協議、通報等を行う、これはどこに載っておるのか、載っておる資料がありましたら御提示願いたいと思います。
#8
○国務大臣(羽田孜君) これは、実は我が国だけの問題ではありません、全体にかかわる問題であるということで、今まだここで提出するということはできないことをお許しいただきたいと思います。
 しかし、これは最終のテキストの中に盛り込められるものであるというふうに私は確信をいたしております。
#9
○浦田勝君 どこに載っておるか、資料を提示してくださいと私は言っておるわけであります。お願いします。
#10
○政府委員(小倉和夫君) 昨日の国会に御提出いたしました資料につきましては、ガット事務局及び議長の特別の承認、了解を得て提出したものでございます。
 そのときに、これは日本が一番主張してまいりました関税化拒否と申しますか、関税化を受け入れがたいというところの部分でございますので、特に事実上日本にだけ関連する――従来の経緯からいたしますと、だけとは申し上げにくいのでございますけれども、日本に関連する部分でございますので特にそれは公表させておいてもらいたいということで了解をとったわけでございます。
 輸出制限の云々につきましては、これは日本だけではなく、外務大臣が今申し上げましたが、ほかの国にも大きく関係するものでございますので、テキスト全般の中で考えなくちゃいけないということで了解はまだとれておりませんが、ガット事務局に対し日本が重大な関心を持つものであるということで、その点につきまして公表できるかどうか照会してみたいと思います。
#11
○浦田勝君 ぜひ公表していただきたいと思います。
 次に、時間がないから急ぎますが、この「附属書5(仮訳)」ということですが、第四条二の下の特例措置でありますが、(d)食糧安全保障及び環境保護のような非貿易的関心事項を反映して、ウルグアイ・ラウンド協定(1994)に付属される加盟国の譲許表のパート1のセクションIBにおいて、「ST−Annex6」という印により、特例措置の対象である旨指定されていること。という項がございますが、これはいかなる指定をするのか、その要点を説明していただきたいと思います。
#12
○政府委員(小倉和夫君) 率直に申し上げまして、これは事務局に若干タイプミスがあるようでございますが、この部分の趣旨は、「「ST−Annex6」という印」は、そういう印が付された産品が特例措置の対象であることを示す、そういう趣旨と理解しております。
#13
○浦田勝君 このような附属書なんというのも、これも後から出て、朝日新聞にすっぱ抜かれて慌ててこの資料が出てきたわけであります。そういう大事な問題について、何らそういうものを素直に出さずに後から小出しに出すのかということで、皆さん方本当に疑惑を持ってきたのは事実であります。いわゆるうそを言われた、うそをつかれたということであります。
 官房長官も随分食い違うことばかりずっと言っておられたが、まあそれはさておきまして、私は畑農林大臣にお尋ねしたいんですが、あなたは何回ガットに足を運ばれましたか。
#14
○国務大臣(畑英次郎君) 十一月上旬にガットにサザーランド氏との会談のために一回お邪魔をいたしました。
#15
○浦田勝君 あなたは本当に国家間の貿易交渉あるいは外交交渉が一回でできるとお思いなんですか、どうですか。
#16
○国務大臣(畑英次郎君) サザーランド氏との関係につきましては、御案内のとおり、その一、二週間前でございますか、御本人が日本に見えましたときに突っ込んだ論議を交わさせていただきまして、そしてまたそれを追っかけてジュネーブに行かさせていただいた。
 なおまた、これをめぐる諸問題につきましては、昨日も申し上げましたように、総理におかれましてもあるいは外務大臣におかれましても、それぞれのお立場で関係の方々に、サザーランド氏につきましても、総理もそしてまた外務大臣も従来の我が方の主張をくどいほど念入りに話をさせていただいた。残念ながら平行線の中で事柄は終わったわけでございますが、そういった各分野におけるそれぞれの立場における、そしてまた長い間にわたる先輩皆様方の御労苦の中からの交渉が今日の状態を迎えておる、かように御理解を賜りたいと思います。
#17
○浦田勝君 国益に関する問題であるから、各国とも国を挙げてみんな真剣に交渉しておるわけであります。
 今、あなたの話は、サザーランドさんと一回会ったと。大体何分会ったんですか。
#18
○国務大臣(畑英次郎君) 一時間は超えた内容の会談をさせていただきました。
#19
○浦田勝君 そのくらいの対話でぎりぎりの交渉をしたなんて言えますか。あなた、ふざけるんじゃないよ。あなたも九州人だろう。農民代表でしょう、あなたも。林業のことだってあなた一番精通しているベテランじゃないか。何で体を張ってやるぐらいの交渉をやらないの。そんなふざけたこと、だからこんなふうになるんだよ。もう一回お尋ねします。どこで、何時。
#20
○国務大臣(畑英次郎君) 昨日も申し上げさせていただいたわけでございますが、本問題はやはりあくまでも交渉が、いわゆる双方が歩み寄って云々というような枠組みの中で物事の交渉が行われるという姿でなかったことも御承知のとおりであります。
 さような意味合いの中にございましての国会決議というものを踏まえたいわゆる交渉事であり、残念ながら、包括的関税化を目指す、それが原則であるという立場と我が方とは大きく対峙する姿の中にございまして、サザーランド氏に対しましては二回にわたって、ただいま申し上げましたように、我が方としてはいわゆる国会決議を踏まえた交渉でありますがゆえに、何ら我が方から具体的な提案をし歩み寄るという余地のない姿の中におきまして、いわゆるまとめ役のサザーランド事務局長の方がまとめるというような気持ちを持って、最終的な最後の話し合いてあるから何らかの具体的なアクション、内容を持ってきてほしいと言い置いて帰らせていただいた。
 さような意味合いにおきましては、その一回の会合ということではなくして、私就任以来のさような意味合いでの戦略の中で、先ほども申し上げましたように、総理におかれましても外務大臣におきましても、それぞれのお立場での関係者に対する、そしてまた何といっても長い間にわたります自民党の皆様方の時代におきましても、我が国の置かれております立場、国会決議の内容等々、特殊事情等々、粘り強く御努力を願った成果としての今日の姿である、かように御理解を賜りたいと思います。
#21
○浦田勝君 みんなわからないと思っておるかもしれぬけれども、まず政治家が頑張らにゃいかぬ。特に大臣、議会を代表する議院内閣制の選ばれた閣僚がもっと体を張ってやらにゃいかぬ。
 ところが、我々の仲間、同僚議員が今度ガットに行って詳細に報告を送ってきた。これは時間がないから後で同僚の大塚議員にお尋ねさせますけれども、この中で、本当の交渉になんてなっていない。たった三問。あなた、握手しに行っただけなの。記念写真を撮って帰ったと言われたってしょうがないんだよ、本当に。にっこり笑ってカメラの方を向いて写ったってしょうがないんだ。ええころかげんなことをあなたたちは言って国民を愚弄しちゃいかぬ。
 そこでもう一つ、今度は羽田さん。
 さっきからあなたはにこにこ笑っておるけれども、あなたは本当に農業に対しては新しいこれまた次代の担い手のニューリーダーだというふうなことで全国の農民から非常に期待を受けておった。だれだって、あなただよ、ハタも羽田の方、羽田、羽田、羽田だよ。あなたには本当に期待があった。
 ところが、最近のあなたは変身だ。特に、前、山口敏夫さんが言ったことに対して文芸春秋にあなたは反論をやっておる。そのとおりですって。あなた、そのとおりならそのとおりなぜやらない。あなた自身が体を張ってこの問題をこのとおりやれば、こんなぶざまな格好で外交交渉終わらなかったと思いますよ。どういうことですか、これは。あなた、いつから変身坊やになったの。
#22
○国務大臣(羽田孜君) 変身というお話でありますけれども、私は少なくも生産者に対しても消費者に対しても、あるいは議会にありましても、あるいは農林水産大臣、大蔵大臣、そして今は外務大臣、私は基本的な考え方は一つも実は変えておりません。
 そして、今そこにお持ちになっております考え方、あの当時、もう自由化した方がいいんじゃないのか、あるいはミニマムアクセスというものをもう認めてもいいんじゃないのか、そういうことが実は出されております。しかし、そういうことがどんどんまかり通るということではこれは困るということで、私の考え方を率直に述べたものでありまして、今でも私は実は変わらない。そして、そういう考え方を持ちながら、それぞれ、それはもうむちゃくちゃな行程を組みながらそれこそ真剣な、あるときにはどなり合いみたいなことをしながら実は今日まで至ってきているんです。
 ただ、残念ですけれども、日本の国が今このガットに対するには、やっぱりこれを、ガットを成功させなかったら、日本の国の経済といいますか日本の国の成り立ちはないということが一つ。そして片っ方で、その中で農業をどうやって守らなきゃならないか、この二つです。それで、守らなきゃならないかというときに私どもとしては、自由化はだめです、関税化はだめですということをずっと実は言い続けてきているわけです。ところが、なかなかよその国の場合には、日本がこの関税化を認めないのはおかしい、例外措置を認めることはいけないということを言われておる。そういうところに私たちの交渉の難しさというものがあったということについては、ぜひともひとつ御理解いただきたいんです。
 そして、新聞等なんかでもいろいろとミニマムアクセスがどうのこうの。我々は否定せざるを得ないわけです。もしこれが交渉の前、今まだ交渉をやっている最中でありますけれども、こういったものが先方の国にあれしたときに、なぜ日本の国に対してそういう例外を認めるんだということになったら、日本はまさに関税化をのまなきゃならなくなってしまう。そういう事態に追い込まれたときは一体どうしたらいいのか、我々はぎりぎりの交渉をしておったんだということをぜひとも、それはもう浦田さんはよく御存じのとおりで、私は今でも農業に対する本当の愛情を持っておるんです。
#23
○浦田勝君 私は、羽田さん、あなたからずっと教えてもらったんだよな。いや、教えてもらったんだ、私は。だけれども、あなたは本当に、それは牛肉・オレンジのときも本当に今言われたような話もされた。しかし、それだけのお考えがあるなら、もっと細川内閣の中で、総理こうこうこういうふうにやって発表したらどうでしょうかと。またそれは確かにいろいろあるかもしれぬけれども。
 もう時間がないからなんですけれども、私は、あの韓国の東亜日報が十月十四日に出した時点でこれはおかしいと思った。あの手この手使って何だ国内世論操作をやるんだなと、こういうふうに追い込んでいくと、私はそういうふうに理解をした。これはもうあなたが首を振ろうが何しようが、それはそれでいいの。
 ところで、もう時間ないですから、細川総理、おたくの御先祖だから一番おわかりだが、細川藩は熊本に入国以来ただの一回だってお家騒動はありません、本当に。九州各藩全部、化け猫騒動とか、お由良騒動なんてあったけれども、細川藩にはなかった。明治になってから戸長壊しとかいろいろありました、自由民権運動の中で。しかし、ただの一回だってなかったということは歴代の藩侯が極めてこれはもう本当に治政よろしきを得たということであります。中には、質素倹約、中にはハイカラさん、歌までありますから、きんきらきんと、だて者と。まあ、細川総理もそうだと思いますけれども、しかし、本当に細川家というのはすばらしい人材がおってすばらしい殿様であったということは紛れもない事実であります。ですから、きちっと家が残っておるんです。
 ところが、しかし最近、総理のことをいろいろみんなが言う。パフォーマンスだとかエリマキトカゲのしっぽ切りだとか、いろんなことをみんなが言いますけれども、私は毅然と耐えておられるお姿を見ておりますと大変だなと思いますが、やはり世間というものはちゃんと歴史を知っています。近衛公が大政翼賛会をつくって軍部と手を握り、日本が敗戦になった。日本の農業は、細川総理になって、この自由化によって壊滅的に稲作をつぶした人だというふうに言う人が多いことも事実であります。そういうことがないように、私は切にそういう面では総理にお願いをしたい。やっぱり家老職がよければいいわけです。この中に八党の皆さんがいらっしゃいますけれども、それぞれ皆さん違うわけです。ですから、足並みがそろわなければやっぱりお家騒動も起きてくるということに相なるわけであります。
 ですから、私はこれは本当に大変だろうと思うけれども、前車の轍を踏まない、そして国民の皆さんからそういうことを言われないように、総理はどういう御見解が、ひとつお聞きしたいと思います。
#24
○国務大臣(細川護煕君) 先人の教訓というものをよく踏まえながら今日の山積する課題というものに適切に対応していかなければならない、国の方向を誤らないように、将来に禍根を残すことがないように努めていかなければならない、日々そう思っております。
 特に、今論議されている米を初めとする農業の問題というのは、何と申しましてもこれは国策として基幹的なテーマでありますし、この問題をおろそかにして国の発展があるはずはございません。私もかねてから自分自身ある意味で農本主義者であるというふうな言い方もしてまいりました。
 しかし、先ほど来申し上げますように、我が国だけの主張が完全に反映されるという国際交渉ではございませんし、ガットというものは本来関税化が建前であって、そこには例外を設けない、高関税であっても関税を受け入れるべきだというのがガットの建前であることは改めて申し上げるまでもないところでございます。しかし、そうした中で、いわば我が国と韓国だけがそこに横車を押して、例外を認めると言って押しまくってきた結果が今日そのような方向になりつつあるというわけであって、そうした意味で国会決議の趣旨、精神というものは何とか反映をされているかな、そのように私は受けとめているわけでございます。
 私どもとしては国会決議の趣旨というものを体して、多くの農民の方々の意のあるところを踏まえて、できる限り政府としてのぎりぎりの交渉を行ってきたその努力はひとつ御理解をいただきたい、こう思うわけでございます。
#25
○浦田勝君 どうも時間の配分が悪いものですから、今度はもう一回、畑農水大臣にお尋ねをいたします。
 我が国が米の輸入をするに当たって、今回、日本が輸入ということを言ったばかりで米相場が上がってしまったわけであります。
 相場が上がって米流通というのが、ここでちょっと数字、大まかでわかりませんけれども、トウモロコシ、小麦、三大穀物あるわけですが、米生産量で五億一千八百五十万トン、世界の米在庫が精米ベースで四千四十一万トン、これはアメリカ農務省の一九九三年から九四年七月の発表であります。前年度産米が五千百五十九万トンでございます。世界の米貿易量が千三百九十万トン、日本の今回の輸入を加えますと千五百四十万トンということになるわけでありますが、途上国においては、日本が米を高い値段で買うんじゃないかというようなことで、非常に米高騰に対する恐怖感がある。とれる国でありながら、潜在生産力が千四百万トンある日本が何で米をつくらずにおれたちを苦しめるかというのがいよいよ出てきたようであります。
 ですから、この米流通に対してどのような対策と対応を途上国にとられるのか、お尋ねしたいと思います。
#26
○国務大臣(畑英次郎君) 浦田先生御指摘のとおり、未分野における貿易量そのものが三、四%といったような極めてわずかな数量の中にございまして、今回の事態はそれぞれのお立場の米相場に対しまして残念ながら五〇%を上回るようなそういった高騰の現象を与えていることは事実でございまして、さような意味合いでは、従来の米を輸入されているお立場等々につきましての国際的な波紋を呼んでおりますことも事実でございます。
 さような意味合いにおきまして、要はやはりこれからの対応につきまして、緊急避難的な対応という姿の中にございましても、まずは輸入米そのものを極力抑えるという基本的な姿勢を持っていかなければならない。そしてまた、来年産の米につきましては早場米等々の植えつけにつきましても力を入れまして、その早場米の供出等々の時期を早めていただく、そしてまた量的にもふやさせていただく。なおまた御指摘のございましたいわゆる米相場等々につきましては、これからも慎重な配慮をしていかなければならない。かようなことを総合的に考えていかなければならない、かような認識に立っておるわけでございます。
#27
○浦田勝君 それから、質問の要旨も御存じだと思いますが、今後の食管についてはどうお考えですか、重ねてお尋ねします。
#28
○国務大臣(畑英次郎君) ただいまの調停案についての方針がこれから決まるわけでございますが、仮定の話としまして、これの受け入れをしたということになりました場合には、食管の基本的な精神あるいはまた全量管理、基本計画、需給計画、そういうことを考えますと、食管法の改正問題の御審議をお願いしなければならない、さような考え方に立っております。
#29
○浦田勝君 植防関係についてこれまた厚生省にお尋ねいたします。
 限られた人員の中で植物検疫をやらなきゃならぬ。そういう人材が果たして今の体制で整うのかどうか。大体今承りますところによりますと、一人で二千件というようなことでありますから大変な御苦労でありまして、そんなことができるわけはございませんから、その点をお尋ねいたしたいと思います。
#30
○国務大臣(大内啓伍君) 御案内のように、輸入米の検査につきましては、出先の買い付け、積み出し、そして本土到着の三段階で厳重な検査をやっているわけでございますが、特に輸入米の決定が行われました十月以降につきましては、御指摘のような検査体制の不備があってはならぬということから、これまでの食品衛生監視員というものを百六十五名から百九十五名に増員をいたしまして万全の体制を今とっているわけでございます。
 一人で二千件というお話がございましたが、それは何かの間違いではないかというふうに考えております。
#31
○浦田勝君 いや、一人で二千件の検査になる、輸入量から計算すればそういうふうになるということを申し上げたわけです。
 それから、食糧の検査に当たっての農薬の基準というのが今お答えがなかったけれども、農薬は、私が先年、もう随分前でありましたが、アメリカに参りましたときに、日本に積み出しのオレンジをやっておりました。工場の中に入るのを嫌がりましたけれども、日本で使っていないようなカビ防止剤を使ってワックス処理して日本に出すわけであります。見た目は大変されいでありますけれども、それをしょっちゅう食べておったら、発がん物質の日本で使っていないOPPとかTBZとかいろんなものを使っておるわけですから、これは非常に危険な話であります。
 これについての対策というのをどのような基準で、そしてまた外圧によって基準を下げるというようなことがないように私は祈るわけでありますが、お考えを承りたいと思います。
#32
○国務大臣(大内啓伍君) いろいろ御注意を賜りまして感謝いたします。
 実は、日本の場合は八十九種に上ります残留農薬の検査を中心にやっておるわけでございますが、今度、輸入米につきましては、御案内のとおり、タイのほかにきょうアメリカから第一船が着きまして、十二月の下旬に第二船が着くと。ところが、アメリカでは日本で使っていないような農薬等が使われているわけでございまして、そういう輸出国が使う可能性のある農薬につきましても実は検査の対象にいたしておりまして、既にアメリカの第一船の積み荷についても検査が終了いたしまして、日本の基準、それから国際的な基準、両方に照らしまして安全であるということを確認して輸入を認めたい、こういうことでございます。
#33
○浦田勝君 わずかしかありませんけれども、これまた質問の内容は通告してありますので大体御案内だと思いますが、財政審の答申に基づいて三つに区分しながらおやりになって、特に私どもがその中で一番不愉快に思いましたのは、いわゆる農村地帯、地方をCランクに位置づけてあるということであります。私はそもそもこれは大蔵あたりの指導によって財政審がやったと思いますけれども、今の現状から考えてそんなことで通るのか。
 それともう一つは、山間地帯に対していわゆる所得補償をするんだということがこれまた新聞で出まして、当局から全然我々は聞いていないわけであります。本当に今こういう米の輸入問題で騒いでおるときにあめがたをやってみたり片一方ではいじめてみたり、一体これはどういうことなのか、所管の大臣の御答弁をお願いいたします。
#34
○国務大臣(藤井裕久君) 浦田委員の第一のお話は公共投資の配分の問題だと思います。これについては、私ども公共投資で今までやってきたことが悪いとは全然思っておりません。ただ、限られた資金を限られた時間に今何を重点にしようかということで出てきたのが生活者に関連した部分というのはおくれているということで、これを重点的にやろうということが一つあります。
 ただし、今のお話のように、農業生産基盤につきましても新農政にマッチするような生産基盤事業はやはり重点的にやっていく、こういう気持ちを持っていることを申し上げたいと思います。
 中山間部の所得補償の問題については何も聞いておりません。
#35
○浦田勝君 これは朝日新聞の十二月四日土曜日の記事にちゃんと出ておるわけなんです。米市場開放後直接所得補償を検討、山間地農家が対象と、こういうことであります。御存じないんですか。
#36
○国務大臣(藤井裕久君) 一部の報道に出ているのは承知をいたしておりますが、所管庁から何も話は聞いておりません。
#37
○浦田勝君 農水大臣は。
#38
○国務大臣(畑英次郎君) ただいまの報道記事につきましては私も承知をいたしておりますが、従来その所得補償問題が論議をされたことがあることも承知をいたしておりますし、私の立場におきましては将来展望の中における一つの大きな検討課題である、かように受けとめさせていただいております。
#39
○浦田勝君 非常に具体的でありますし、また論議されてきたことも私も知らないではありません。だけれども、こういうものが出てくる。
 それから、新聞が勝手に書いたんだという、細川内閣になってからそれが非常に多いわけです。なぜ抗議を申し込まないのか。訂正は申し入れたとかと言っておりますけれども、それはおかしな話であります。
 それから、細川総理、私はお願い申します、もう時間がないですから。
 本当に私は、細川総理、御用心なさった方がいいと思う。なぜかと申しますと、あなた今一番人気がいいんですよ、はっきり言うと。もう昔の総理だったら一遍に三〇か二〇ぐらいになってしまう。それがあなたはまだ依然として人気がいいわけです。
 その理由は何かというと、あなたに対するやっぱり何か知れない魅力と期待感があるからかもしれない。だけれども、あなたのそれを利用してやられたらたまったものじゃないわけです。細川さんのときにやってしまえ、これもやってしまえ、あれは人気がいいんだからと、隠れみのの材料。だからさっき冒頭に申し上げたですね、やはり家老のいいのがおらなきゃだめだと、悪いのは早く切った方がいいと。これをお願い申し上げまして、私の質問を終わります。
#40
○委員長(井上吉夫君) 以上で浦田君の質疑は終了いたしました。(拍手)
    ―――――――――――――
#41
○委員長(井上吉夫君) 次に、牛嶋正君の質疑を行います。牛嶋君。
#42
○牛嶋正君 きょう私は経済財政問題、特に景気対策を中心に質問をさせていただきたいと思います。
 総理が考えておられる公正で活力ある高齢化社会の実現を二十一世紀に目指すためには、それなりの条件を整え、諸制度の改革を通じて社会全体の仕組みを変えていかなければなりませんが、二十一世紀まで残された時間を考えますと、今の停滞した経済状態からできるだけ早く脱却し、ともかく我が国経済を安定成長の軌道に乗せることが緊急の課題と考えられます。こうした基本認識に基づいてこれからの質疑を進めさせていただきたいと思います。
 まず初めに、きょう主に御質問させていただきます総理、大蔵大臣、企画庁長官、日銀総裁がこうした基本認識に対してどうお考えなのか、それをお尋ねしたいと思います。
#43
○国務大臣(細川護煕君) 経済に対する基本認識、一言で言えばそういうことであろうかと思いますが、申し上げるまでもなく、内需を中心としたインフレなき持続可能な成長経路に我が国経済を移行させていくということが、これはもう基本的な課題であることは申し上げるまでもございません。
 そういう課題を解決してまいりますためには、そのときどきの経済の状況に適切に対応してまいらなければならないわけでありますし、国際的には調和がとれた、また国内的には生活者の視点に立った施策というものに重点を置いてこれからの経済政策の運営に取り組んでいかなければならないであろう、このように考えているところでございます。
 今、平岩研究会におきましても、そのようなことも含めまして、中長期的な我が国の経済社会のあるべき姿というものについて御検討をいただいているところでございまして、近くお取りまとめをいただくことになっておりますが、そのような御提言というものも踏まえて、適切な施策というものをこれから講じてまいりたいというふうに考えているところでございます。
#44
○国務大臣(藤井裕久君) ただいま総理のお話しのとおりの基本認識を持っておりますが、やや経済政策的に言えば、当面まず何よりもこの状況を直していかなければならない。それは経済である以上私はサイクルは必ずあると思うんです。ところが、そのサイクルが機能しなくなっているというのは何かといえば、当然のことながら、当面のこの円高、そして冷夏、長雨があったと思います。
 しかし、それだけでなく、今まで積み重なった、特に資産インフレ期にあったいろいろなひずみというものを当面の対策、総需要政策として底支えをしながら直していかなければならない。それが金融システムの問題であり、産業システムの問題であろうと思いますが、そしてそれを乗り越えてただいまお話しのあったような安定した福祉社会をつくっていく、しかしその中には活力がある社会にしなければ本当の意味の福祉社会は成り立たない、こういう観点で対応しております。
#45
○国務大臣(久保田真苗君) もう今までに骨組みは出していただいております。私も全くそのとおりだと思います。高齢化社会の実現、そしてその社会へ向かってインフレなき持続可能な成長経路、これを実現していくことだと思いますが、それを主導するのは生活者重視の経済構造ということであると思っております。
 生活者重視といいますと、じゃ生産はどうなるんだという御質問によく遭いますけれども、私は、生活者の持っている真のニード、需要というものが新しい分野でたくさんございますので、そういうものが産業なり生産なり、本当にそうした交流の中でそういう分野が生まれていく、それによって設備投資、そうしたことが実現していくということを望んでおります。
 第一は規制緩和ですし、第二はそういう分野への生活関連あるいは新しい分野への社会資本の整備、第三に高齢化社会へ対応していく技術開発あるいはそうした製品をつくり出していく、そういうことではないかと思っております。
#46
○委員長(井上吉夫君) 参考人の答弁も求めますか。
#47
○牛嶋正君 お願いいたします。
#48
○参考人(三重野康君) 日本経済は、確かに現在バブルの調整といういろいろ難しい問題を抱えておりますが、そのほかにも、中長期的に見まして人口が高齢化するあるいは複雑な国際情勢に対応するというそういう中長期的な課題を多く抱えているわけでございます。
 この点を中長期的にどうやって持っていくかということは御指摘のとおり大変重要な問題であると思いますが、市場経済である以上、私はやはり何か固定的な目標があるというよりは、市場経済の持つ活力あるいはダイナミズムを引き出すという方向で考えるべきではないかというふうに思います。
 そういった点で中長期的に見て私が大事と考えておりますことは、第一は安定した経済基盤を実現すること、言いかえればインフレなき長続きのするバランスのとれた成長を実現する、維持するということでございますし、第二はそういう先ほど申しました市場経済のダイナミズムというものを引き出すためには思い切った規制緩和ということをやるべきだと思います。第三には、やはり国際的にいろいろ難しい問題がございますので、日本のマーケットあるいは仕組みに透明性を持たせる、このことが大変大事ではないかというふうに考えております。
#49
○牛嶋正君 今お聞きいたしますと、私と大体同じ基本認識をお持ちであるというふうに思います。しかし、現在の景気の底割れ状態を想定いたしますと、安定成長の軌道への復帰というのはそれほど容易なものではないというふうに思います。
 この課題に取り組むためには、まず、今もお述べになりましたけれども、安定成長に乗せるための方策すなわち具体的な景気対策を立てる、そしてこれを国民に示すということも大切ですけれども、同時に景気回復後の安定成長の姿、特に成長率に関して今政府は国民に明示すべきでないかというふうに思います。
 そこで、来年度の景気見通しを作成するに当たりまして政府はどのような視点を重視されているのかということです。例えば、本年の予算編成のときのように三・三というふうな高い成長率を設定いたしますと、今回の補正予算のように減額補正を組まなければならない。恐らく三・三というふうな成長率は設定されないと思いますけれども、やや高目の成長率を設定するとそういう問題が後で起こってくる。しかし、だからといって非常に抑えた成長率を設定いたしますと、ますます今の景気を冷やしてしまうのではないか。
 非常に難しいところだと思いますが、これにつきまして企画庁長官のお考えをお尋ねいたします。
#50
○国務大臣(久保田真苗君) 確かに難しい二つの命題を負っていると思います。一つは望ましい姿であり、もう一つは市場経済を中心とする世界経済がどうなっていくか、その中での日本の位置づけ。
 そうした二つの要素を持っておりますけれども、私といたしましては、やはり客観的に皆様の指標とするにたえ得るそうしたものでなければならない。そして同時に、政府でございますから、政府の施策を望ましい姿、つまり景気回復の姿、インフレなき持続可能な成長経路、そういうことを踏まえて財政あるいは政策、そういったものの裏づけを御相談してやりながらそれを出していく、そういうことになっていくと思います。
 ただいま、もうたびたび申し上げましたけれども、QEが出ますので、それを見まして今年度それから来年度の見通しをしっかりとつくりたいと思っております。
#51
○牛嶋正君 今QEのお話が出ましたけれども、もう少し早く発表されるというふうに私は期待しておりまして、それに基づいてきょうの質問を考えていたんですが、ちょっとおくれているようですが、企画庁長官、何か御事情があるんでしょうか。
#52
○国務大臣(久保田真苗君) 大体毎期このあたりでございます。鋭意作業中ということでございまして、きょうに間に合いませんでしたことは大変残念でございます。すぐに出ます。
#53
○牛嶋正君 単年度の経済見通しも大切ですけれども、やはり経済構造が大きく変化しているわけでありますから、中長期の経済計画を早急に作成して細川政権の描く経済のビジョンを国民に示すべきだというふうに思っております。そして、できれば二十一世紀の我が国の進路を提示していくということが必要かと思いますが、これにつきまして総理はどのようにお考えでしょうか。
#54
○国務大臣(久保田真苗君) 総理からお答えいただきます前に、私ども今中長期の経済計画を持っていることは先生十分御理解いただいていると思います。現行のものはきょうそのフォローアップを閣議で報告させていただいたのでございまして、これを毎年見直しをやっている、それが今済んだということでございます。
 きょうの内容としましては、生活者重視の社会の実現、あるいは時短、それから住宅、もちろん社会資本の整備、こういったものを、宮澤内閣の末期から生活大国五カ年計画という今の状況にもひとつ示唆を与えるような内容がありまして、それを今後の状況に合わせて私どもは見直しをしているということでございます。もちろん平岩研その他貴重な資料が今後出てくると思いますので、ぜひそういう意味から傾聴させていただきたいと思っております。
#55
○国務大臣(細川護煕君) 御承知のとおり、昨年六月に現行の経済計画、五カ年計画が策定をされているわけでございますが、その基本的な考え方というのは先ほど冒頭のお尋ねてお答えをしたとおりでございます。したがいまして、現行の経済計画の着実な推進に当面は努めてまいりたい、このように思っております。
#56
○牛嶋正君 今回の不況は非常に長期化しているわけでございます。この不況に対する対策を立てていくためには、今回の不況の性格あるいは実態というものを十分に明確にしていかなければならないと思っております。
 私は、今回の不況がもうそろそろ四年目に入ろうとしているわけでありますから、これまで戦後八回繰り返されてきた景気循環パターンと比較いたしまして非常に大きな変化が見られるわけであります。恐らくこの背景には経済構造の変化があるというふうに思っておりますが、この経済構造の変化をどのようにお考えになっているのか、企画庁長官にお尋ねしたいと思います。
#57
○国務大臣(久保田真苗君) 景気循環のほかにバブルの後遺症、そして構造の変化というものが既に底流として流れていると思います。そういう意味からは、日本がこのアジアの地域の中において一つの大きな経済センターというものの中にございますけれども、今まで日本が主導してきたそうした輸出を中心とするかなり高度の技術を持ったそういう産業というものが海外に一部シフトをしております。
 そういう形がございます上に、日本の中ではやはり為替相場と内外価格差の問題がございまして、それは日本の経済の中にある先端的な分野あるいはもっと伝統的な分野、そうした構造があると思いますが、そういうものを今乗り越えて対応していくということが必要な時期であろうと思います。
 したがいまして、輸出輸入あるいは国内におけるさまざまな分野の能力を高めていく、新しい雇用分野を開いていく、そういう大きな転換にいかに対応していくかということが今の命題であるというふうに思っております。
#58
○牛嶋正君 私は、こういった経済構造の変化の実態を分析するために今回の不況と前回の円高不況を比較してみますと、違いが四つぐらい浮かんでくるんですね。
 第一は、消費需要の低迷とその長期化であります。前回の不況のときには、やはり不況期におきましても消費需要というのは一定の伸びを示しておりました。これが今回見られない。
 それから二点目は、企業がその投資目標を見失ってしまった。そのために投資意欲が非常に減退しているということではないかと思います。
 そして第三番目は、御指摘されましたが、巨額の不良債権を抱えて金融システムの不安定が進んでいるということです。
 そして第四点目は、バブル期の地価の高騰とその後の地価の高とまりによって土地の保有、譲渡、取得のすべての段階で重課となっており、これが土地の流動性を失わせている、こういった四つの相違点を私は取り出したわけですけれども、これにつきましてもう一度、企画庁長官、それから大蔵大臣、日銀総裁にお尋ねしたいと思います。
#59
○国務大臣(久保田真苗君) 全く御指摘のとおりだと思っております。
 私も円高不況のときどういう脱出の方法をしたかということを少し勉強してみましたけれども、あのときには輸出はだめでしたけれども民需と公需という形である程度の伸びで脱出していると思いますが、今回は輸出もだめ民需もだめ、そして公需だけがダントツになっているという構造だと思います。それには個人消費はおっしゃいますようにますますマインドが悪化して総じて低迷、設備投資は確かに中長期的な不透明感というものが影響していると思いますし、また金融機関に不良債権が増加し融資対応力が低下しておりますし、土地取引に大変停滞が生じているという現象が見られるわけでございます。私どもは、こうした今回の景気調整過程が長期化、深刻化しているその理由だというふうな認識に立っております。
#60
○国務大臣(藤井裕久君) 私も牛嶋委員と全く同じに考えていることをさっきも申し上げたつもりなんです。
 つまり、中期的に、言葉はいろいろ使っておられますけれども、一つがストック調整の話でございますね。これは牛嶋委員は設備投資の減退、消費の減退という言葉を使われたと思います。次がバランスシート調整という言葉を使う方もありますが、要するに資産インフレ期のひずみが残っているということだと思うんです。
 前回のときはいわゆる総需要政策ということによって財政、金融がフルに稼働したと思うんです。特に金融は歴史上始まって以来という二・五%の低金利政策をつけたのもその一つだと思います。しかし、今回の今の現状を見るならば、総需要政策だけではなかなか片づかないということもさっき申し上げたとおりであります。しかし、下支えをする意味においてあらゆる総需要政策はフルに稼働しなければならないのも事実なんです。そういう中で今申し上げたようなひずみというものを一つ一つ解きほぐしていく、これが私は経済政策の当面のあるべき方向だと思っております。
#61
○参考人(三重野康君) 委員の御指摘はそのとおりだと思います。
 私はちょっと別の角度から申し上げますが、両大臣の御答弁とやや重複する点もあるかと思いますが、前回のいわゆる円高不況というのは、やはりプラザ合意以降の非常な円高に伴う輸出減少というそのインパクトが主でございまして、その回復過程も生産調整あるいは在庫調整といういわゆる循環的な景気回復のメカニズムに頼ったというふうに思っておりますが、もちろんそのときに日本経済の課題といたしまして内需中心の構造にしなければならなかったわけでありますが、それはその後のいわゆるバブル景気で中途半端に終わったというふうに理解しております。
 今回の不況は、これも先生の御指摘のとおりでありまして、一つはやはりバブル期のさまざまな行き過ぎの是正でございますが、是正と申しましても、例えば家計の耐久消費財、企業の資本設備あるいは大規模な商業ビル、そういう非常に大きな積み上がりのストック調整が行われているわけでありますが、これはある意味で循環的な部分だというふうに思いますが、これも先生が御指摘なさいましたが、それと同時に、バブルの残した傷跡が企業のバランスシート、金融機関のバランスシートに大きな傷跡を残しておりまして、それの修復ということが加わっていると思います。
 それに、さらにもう少し奥を見てみますと、例えば自動車とか電器というような非常に日本経済を引っ張ってきた産業がようやく成熟産業になってまいりまして、それにかわるべき産業を今模索している段階というまた難しい時期にちょうどぶつかったというふうに理解をいたしております。
#62
○牛嶋正君 今まで皆さんのお話のとおり、経済構造上に大きな変化が見られるわけであります。そういたしますと、これも御指摘になりましたけれども、これまでと同じ需要喚起型の景気対策では十分な効果は期待できないということになります。
   〔委員長退席、理事久世公堯君着席〕
 そこで、私は先ほど指摘いたしました四つの構造的な変化、これに対してできるだけ早く有効な対策を立案して、それと需要喚起策とをセットで実施していくべきではないか、こういうふうに考えておりますけれども、これについて総理のお考えをお尋ねいたします。
#63
○国務大臣(藤井裕久君) 今の牛嶋委員のお話のとおりのことを私は御答弁いたしたつもりでありまして、そのことは細川内閣の基本姿勢であるというふうに申し上げられると思います。
#64
○牛嶋正君 そこで、先ほど指摘いたしました四つの点について一つずつ取り上げて御議論をさせていただきたいと思います。
 まず、最初の消費需要の伸び悩みでございますが、私はこの原因は消費者の消費生活における多様化とかあるいは個性化といった生活態度の変化が大きな要因の一つではないかというふうに思っております。
 それをより明確にするため、私、家計調査のデータを使いまして少し分析をさせていただきました。これは平成二年のバブルのときのデータとそれから平成四年のバブル崩壊後のデータでありまして、勤労者世帯の消費生活の実態を分析させていただいたわけです。
 消費支出全体を見ますと、平成二年のときは四・八%の伸びを示しております。それが平成四年には二・一%に落ち込んでいるわけです。この二年について全消費支出項目を洗ってみました。すなわち、二年のときに四・人よりも多く伸びて、そして平成四年のときに二・一%を下回る、あるいはマイナスのものも含めて、そういう消費支出項目を選んでみたわけであります。そうしますと、次の七項目が出てまいりました。酒類、一般外食、家庭用耐久財、室内装備品、和服・洋服・履物類、身の回り用品、そして交際費でございます。
 これらの支出項目に共通した性格があるように思うんです。ちょっと整理させていただきますと、家庭用耐久財とか室内装備品等ですが、これは購入時期についてある程度月とか年の単位で調整ができるというものだろうと思います。それからもう一つは、和服とか洋服、身の回り用品でありますが、商品に高級、中級、そして下級といった段階がありまして、価格において非常に大きな開きがあるというふうな支出項目かと思います。
   〔理事久世公堯君退席、委員長着席)そして三番目は生活態度によって支出額にある程度の調整ができるもの、これは一般外食とかあるいは交際費がそうだというふうに思います。
 これで、人々が物を大切に使うという姿勢に変わってまいりますと、今挙げました家庭用耐久財とか室内装備品の買いかえの時期がずらされますから、それらの消費に対する支出は落ちてくるというふうに思います。また、商品を求めるときに、その質とそれから価格を十分勘案してブランドなどに左右されない、そういった買い方をするということになりますと、二番目に挙げました和服とか洋服とか身の回り用品の需要が変わってくるんではないか。そして、皆さんが家庭での生活時間をできるだけ長く持とうというふうな生活態度に変わってまいりますと、先ほど最後に申しました一般外食とか交際費というのが落ちてくるというふうに考えられるわけです。
 そうしますと、今の消費需要の伸び悩み、これは伸び悩みでありますけれども、今のような見方をしますと個人の消費生活の健全化が大きな要因になっているというふうに思うわけでございますけれども、この点について企画庁長官のお考えをお聞きしたいと思います。
#65
○国務大臣(久保田真苗君) 消費の健全化ということは、私どもの白書類の分析でもそういう現象があらわれております。そして特に女性などの声を聞きますと、今が本当じゃないかしらという声もかなり聞こえるのでございます。
 私はこの極めて複雑多様な消費の内容につきましてどれがどうということは本当に消費者あるいは地の声を聞くという態度が必要だと思いますけれども、おっしゃいましたように、こうしたパターンの健全化の中で、例えば家庭だけで時間を過ごされるのか、あるいは長くなった生活時間で触れ合いの時間をもう少し広い範囲で持とうとするのかということを見ますと、断言はできませんけれども、今、例えばコンサートとかオペラがはやっている、あるいはレジャーがかなりはやっている。それから、例えば市民に環境家がふえてきて、私どもが今やろうとしているリフォームあるいは住宅の環境との共生を考える。そういうことにその方たちが積極的にお金を使おうという意思を、具体的な例を挙げて恐縮でございますが、最近も例えば太陽電池の陳情がございました。保護されるだけの消費者ではなくて、産業をリードしていく、自分たちの望ましい社会にリードしていく、演説になって申しわけございませんが、そういう健全化の中にそうした要素が含まれているのを私は見受けることがございます。
#66
○牛嶋正君 今かなり私の認識と近い御答弁をいただいたわけですが、そういたしますと、現在議論されている所得税減税ですが、これに対して大きな需要喚起効果は期待できないんではないかというふうに思うわけであります。むしろ、私は消費生活態度の健全化にある意味では水を差してしまうというふうな面も考えられないことはないと思いますけれども、それじゃこの点について企画庁長官はどうお考えでしょうか。
#67
○国務大臣(久保田真苗君) 所得税減税の問題でございますけれども、調査などによりますと、少し消費される面がふえているというような民間調査などもあるようでございます。私は減税ないし増税が景気対策として使われることは間違いのない事実だと思いますし有効なものだと思っておりますけれども、御指摘のように、今の健全化に対して所得減税はどうなのかということでございますと、やはり現在は給与あるいは可処分所得というものが伸びておりませんで、また新しい消費者がそうした意味での質実な、欲しいものを、よいものを安く買うという、そういうもとでの消費を行う、あるいは触れ合いを広めるという、そういう方向に一つのやっぱり不透明感を払拭した形の消費行動が出てくれば所得減税というような減税による景気の刺激というものには役立つのではないかというふうに思っております。
#68
○牛嶋正君 政府税調の答申によりますと、所得税減税はこれから本格的に迎える高齢社会にふさわしい税制を確立するということで中期の税制改革の一環として提案されているわけですね。そのため消費税税率の引き上げがセットになっている、こういった提案になっているわけですが、現在、この政府税調答申を受けられて所得税減税の具体案づくりはどうなっているのか、大蔵大臣にちょっとお尋ねしたいと思います。
#69
○国務大臣(藤井裕久君) 税制調査会の考え方の御指摘がございましたが、私は税制調査会の考え方は基本的に非常に正しいものだと考えております。今後の安定した福祉社会を築くには勤労世代に非常に偏る形での所得税にこれを支えられるというのには限界があると思っておりますし、二年先には生産年齢人口はピークを迎えるわけでありますから、より生産年齢人口が低くなっていく中でそれに過度の負担を求めるというのは基本的に誤っていることであり、税制調査会の物の考え方は私は正しいと考えております。
 そして、今のお話は平成六年度にどう考えるのかという御指摘だったと思いますが、現在、平成六年度の税制改革の議論を始めるところでございまして、私どもは所得課税の軽減、消費課税の充実というものは一体として議論していかなければならない問題であるという基本的な姿勢に立って今議論をしております。
#70
○牛嶋正君 住民税減税も提案されているわけですが、これにつきまして自治大臣にお尋ねしたいんですけれども、私は、住民税というのは利益説的な立場に立って考えるのが一番説明的になるんじゃないかと思うんです。そうだといたしますと、今は税率が三段階になっておりますけれども、私は完全なフラット化をして一律税率でもいいのではないかというふうに思っております。
 こういった私の考え方に対しては自治大臣どうお考えなのか、あわせて住民税減税をどういうふうに具体案づくりされているのか、お聞きしたいと思います。
#71
○国務大臣(佐藤観樹君) 地方自治、地方財政、地方税問題の大変な権威の牛嶋先生にお答えするわけでございますが、専門を生かしましていろいろな御指摘をいただいておりますことにまず敬意を表させていただきたいと思います。
 それで、一つは、税調との関係は、御承知のように、税調からは、一言で言えば、住民税につきまして中堅所得層の重税感あるいは累増感と申しましょうか、これをやはり取り除くことが必要なのではないかという御指摘をいただいているわけでございまして、今後とも住民税減税を考えるときに、その大幅な税負担の感じというものをどう取り除いていくかという観点で具体的に平成六年度の税制改正の中で取り組んでいかなければならぬと思っているわけでございます。
 ただ、それには、藤井大蔵大臣からお話がございました所得税減税をどういうやり方でやるのか、先生のお言葉にもございましたように所得税減税を消費税増税というものと一体にしてやるのかどうなのか、その所得税減税のやり方との関連も住民税減税の方にはございますし、またあわせましてその財源をどうするかということが一番最大の問題だと思っております。
 今、先生もいみじくも言われましたが、個人住民税につきましては、今三段階になっているのをフラットの一段階にしたらどうかという御説につきましては、かねてから牛嶋教授時代から私たちもいろいろ聞かしていただいておるのでございますが、私が断定的に言うことはなにかと思いますが、個人住民税の場合、所得課税でございますので、果たしてこれが全くフラットでいいかどうか、一律税率でいいかどうかというのはいろいろまだ議論があるのではないか。むしろ税調の中でも、先生も税調の専門委員もやっていただいたわけでございますが、本当は税調の中でむしろもっと地方税のあり方というものについては突っ込んで議論をしていただきたいなと思うわけでございます。
 いずれにいたしましても、間接税がわずかに一割、直接税が九割という状況になっております今の地方税のあり方そのものにつきましてさらにメスを入れる中で、あわせて来年度の住民税減税をどうするかということを考えていかなきゃならぬというのが自治大臣としての考え方でございます。
#72
○牛嶋正君 先ほど、大蔵大臣は今回の政府税調の答申についてかなりの評価をされたようですけれども、私は今回の税調の答申をよく見させていただきますと、三つぐらい問題があるんじゃないかというふうに思っております。
 その一つは、今も出ておりましたけれども、所得税減税には景気対策としての効果も期待されていると思うんですが、ところが中期の税制改革として消費税税率の引き上げがセットになっている、そうだといたしますとこの消費税の税率引き上げを幾ら後へずらしてもますます景気対策としての効果は失われてしまうんではないか、これが第一点でございます。
 第二点は、我が国の国民所得に対する所得税の負担率を見てみますと、まだと言っていいのか、もうと言っていいのか、ここは問題ですけれども、六・五%前後でございます。しかし、既にもう一〇%を超えている国々が、イギリスやドイツがそうですけれども、あるわけですね。そういったもう既に一〇%を超えた租税負担率になっているようなところでは間接税への依存というのは私はやむを得ないというふうに思っておりますけれども、我が国の場合これからも、税調答申でも言われておりますように、基幹税目として所得税を位置づけようとされておりますね。だとしますと、むしろもう少しきちっとした税に所得税を手直ししていくことが先決ではないか。例えば総合課税主義を徹底させるとか、そういったことが先決じゃないかというふうに思うわけです。そして、高齢化はどんどん進んでいくわけでございますけれども、当然租税負担率もだんだん高まっていきます。そういった段階で消費税への移行を図るべきではないかというふうに考えたわけで、その点が第二点目です。
 三点目は、中期の税制改革であるといたしますと、我が国の税制の中で最も多くの問題点を抱えている法人税、これについてほとんど議論されなかった、これは問題ではないかというふうに思っております。
 と申しますのは、いつも直間比率という議論が出るんですけれども、直接税の中に法人税が入っているわけですね。そうすると、どうしても直接税が多くなるのは当たり前なんですね。ですから私は、直間比率を議論するときには所得税だけで見なきゃいけない、こういうふうに思っております。そうしますと、所得税は、今ドイツやイギリスと比較いたしましたように、まだ基幹税目として今の国税全体の中での位置づけというのは守っていってもいいんではないか、そのためにやらなければならない税制改革があったんではないか。
 こういうことでこの三点を問題にしているわけでございますけれども、大蔵大臣の御意見をお聞きしたいと思います。
#73
○国務大臣(藤井裕久君) 私の考えを三点申し上げます。
 まず、景気対策。
 これについては、私は税制調査会は景気対策的観点の答申はしていないと思っております。景気対策問題はまさに政治が決める問題だと思っております。
 そこで、先ほどからの御議論の、牛嶋委員のお話の、消費構造が変わったではないか、全くそのとおりだと思っております。また、特に不況期には所得減税の乗数効果が低いというのが学者さんの意見でございまして、そのことも正しいと思っております。ただ減税をするという意味は、今あらゆる手段を使ってその下支えをしながら構造を直していくという一つの手法として、未来に対しての不安感と先生たしかおっしゃったと思いますが、そういうものに対応する効果はあると思っております。したがいまして、そういう効果を考える以上、より悪い体質をもたらすいわゆる垂れ流し的赤字国債にこれを依存するということは非常にまずい選択であるというのが私の意見でございます。
 これは政策である以上、ここでも何度も申し上げましたが、裏と表があると思います。そのプラスの効果とマイナスの意味というものを見きわめていかなければならないわけであって、所得税減税をする以上、日本の経済の体質を悪くし将来に大きな禍根を残す垂れ流し的赤字財政でやるということには反対でございます。そういう意味で申し上げておりますが、所得税減税の景気効果は学問的に言うといろいろ議論がありますけれども、それなりの意味があると考えております。
 第二番目でございます。
 個人所得の中での所得税負担あるいは住民税負担も入れていいと思いますが、日本は、今六とおっしゃったのは所得税だけだと思いますが、住民税まで入れると九ぐらいになると思います。それでも米英に比べれば低いのは事実であります。じゃ、それは何できたのかというと、私は課税最低限が世界に比べると一番高いところにあるということと、最低税率一〇%が低いというところにある、こういうふうに考えざるを得ません。そうすると、要するに中堅のところは猛烈にこの超過累進制度が上がっているということから、やはり税制調査会が指摘している中堅層の所得税負担が非常に重いということは、今おっしゃった大数的な数字とは別に負担感としてあるということを申し上げざるを得ないと思います。
 もう一つおっしゃいました、総合課税をより徹底したらどうかというお話、私はそのとおりだと思っております。
 特にシャウプ税制以来日本の基幹税として所得税が位置づけられているわけですが、私は、戦前は日本は間接税中心主義の国だったと思っています。六五%が間接税でやったんです。ですから、シャウプ税制によって日本は直接税中心主義になったと思っておりますが、そのシャウプ税制は総合課税であるということも事実であります。しかし、そのとき三年間やってみて失敗したのが要するに利子配当の総合化が難しかったということであり、それを求めていく姿勢も正しいと思っております。正しいけれども、今のままで総合化したらより別の不公平を起こすと思っております。なぜならば、それを執行で担保する手段がないからでございます。一言で言えば、納税者の方々に一つの納税者番号という言葉がいいのでございましょうか、それがなければこの利子配当の総合課税は逆の不公平をもたらすということを御理解いただきたいと思います。
 第三番目の法人税でありますが、おっしゃるとおりだと思います。
 国際的にこれだけ壁が低い中で法人税は同じような負担でなければならないのに、現在日本の法人税はドイツと並んで高いというのが事実でありまして、国際社会に有していくためには法人税の負担というのは国際的に同じような水準じゃなければならない。方向としては課税ベースを広くすると同時に負担率は落としていくという方向でなければならないというのが、私の考えでございます。
#74
○牛嶋正君 今、所得税についてお話がありました。
 日本の所得税と先進諸国の所得税を比較いたしますと、今御指摘のありましたように、課税最低限が非常に高いということと、そして最低の税率が低いということ、そのために非常にイギリスやドイツ、それからアメリカと違った負担率の状況になっているわけですね。
 その場合に、納税者に結局は税負担を求めるということであれば、そういった日本の所得税の持っている特殊性というものを十分に説明して、そして、最も納税者の集まっているところで、こんなに抑えられているからここのところでもう少し負担をしてほしいというふうな形で私はやっぱり税負担のお願いを納税者にすべきじゃないか。
 消費税の導入を見ておりますと、どうもその低いところを皆さんに何とかごまかしながらお願いをするというふうな形になっているので、やっぱりもう少し課税当局としては努力をされて、納税者が一番集まっているところでもう本当にお願いをする、そうでないと高齢社会は迎えられないんだというふうな議論をすべきじゃないかと思うんです。そうしますと、おのずと中堅より高いところの税率の急勾配が緩やかになるわけです。大蔵大臣、そういう考えに対してはどうでしょうか。
#75
○国務大臣(藤井裕久君) 私は大変な御見識だと思います。ただ、今の政治のあり方として、今のお話を逆に言いますと、課税最低限を下げるとかあるいは最低税率を外国並みに二〇%にするとか、そういうことを意味していると言わざるを得ませんので、これは政治として本当にそういうことができるか、またあっていいのかということも一つお考えをいただきたいと思います。
 今のお話は、これからの安定した福祉社会を築くのに薄い形の消費税でいくのか幅広い所得税でいくのかという御議論であり、私は大変貴重な御指摘だと思うのでございます。ただ、今のような超過累進構造が非常にきつい段階での所得税に過度に負担をお願いする形でのこれからの福祉社会というものには無理があるということだけ申し上げたいと思います。
#76
○牛嶋正君 税制改革について最後の御質問ですけれども、地方分権をやっぱり推進していくということを考えますと、今、消費税のうち消費譲与税という形で地方に分配されているわけですが、これを独立税として地方消費税として導入して地方公共団体の財源の強化を図るべきではないか、私はこういうふうに思っております。
 この点につきまして、恐らく大蔵大臣と自治大臣の間には若干のお考えの違いがあろうかと思いますが、お二人にちょっとお聞きをしたいと思います。
#77
○国務大臣(藤井裕久君) この後、佐藤自治大臣からお話があると思いますが、若干の違いがあるのはもう明らかになっております。
 私は、地方がしっかりした税を持つということが大事だということはもう御指摘のとおりだと思います。ただ、完全な独立税にしますと、きのうも御答弁申し上げましたように、所得、資産、消費というものに依存するのが税制でございますから、ますます富む地方団体は富み、貧しい地方団体は貧しくなります。これは明らかだと思います。
 したがいまして、そういうことの対応として今交付税とか譲与税という仕組みがあって、交付税、譲与税はまさに自主財源として自由に地方団体がお使いになれる仕組みであって、このことが現実に最も妥当な姿になっているというふうに私は考えておりますので、今のお話については、消費譲与税という現在の仕組みは実情にマッチしたものであると考えております。
#78
○国務大臣(佐藤観樹君) 先生御指摘のように、地方分権を進める時代におきまして、何といっても権限だけではなくて、それの裏づけとなります財源、それから人材という意味におきます人間、この三つが成り立って初めて地方分権は進められるものだと思っております。
 そういう意味におきまして、先ほどもちょっと触れましたけれども、地方の財源の一割は間接税、九割が直接税という格好になっているということは、つまり景気の波をもろにかぶっているわけでございまして、今年度地方税一兆六千億の歳入欠陥が出ておるのはこのあらわれでございます。本来、地方自治体というものはごみの問題、道路の問題、あるいは福祉の問題という常時要るもの、身の回りの人間生活にとって不可欠なもの、そういう常時要る費用というのを賄うのが地方自治体の基本的な資質でございます。そういった面からいいますと、私たちといたしましては、これはやはり景気に余り左右されない安定的な財源というものを持って地方自治体を運営していくということが一番基本であると思っているわけでございます。
 ただ、それが直ちに消費譲与税を地方消費税にかえるかということにつきましては、消費税そのものにつきまして国民の中に逆進性の問題とか益税の問題とか、あるいはそれを一体何に使うんだとか、いろいろな議論がまだまだあるわけでございますから、直ちにそこに私はいきませんが、しかし、今の地方譲与税の場合には国が徴収をしていただき約二割を地方自治体がいただくという格好になっております。その間では、納税者と一番身近な仕事をしてくれる地方自治体との関係というものは断ち切られちゃっておる。国が一度取って、そしてそれを地方に分けてくれる、こういう格好になっておりますから、地方自治の本旨であるところの自分たちの自治体は自分たちで賄うんだという基本的な思想というものをそれは大変薄めてしまっておることにつながるわけでございますので、そういった意味で私は、今の例えば消費譲与税の金額を地方消費税にかえることは地方自治の精神を広めるという意味におきましては大変意味があることだと思っておるわけでございます。
 藤井大蔵大臣から大変御心配をいただいて、それなら東京都の方が、あるいは愛知県の方が、大阪の方が地方消費税というのは大変多くなって不公平になるんじゃないかというふうに言われますが、一方では昼間人口の問題、勤務地と自分の住民票が置いてある住所地との違いの問題がありまして、逆に昼間長くいらっしゃる方のところは消費がたくさんふえるでありましょうから、今申しました埼玉県の方のごみの処理を東京都がやるというのについてそれを賄ってもらう、そういう機能も別の意味であると思います。
 藤井大蔵大臣が再々財源の偏在になるんではないかということがあれば、それはもう先生御承知のように地方交付税の方で埼玉県なり愛知県は大変地方消費税がたくさんありますから、ちょっと交付税の方でそこは調整をしましょうというやり方は幾らでもあると思いますので、ひとつこの辺の議論はまだまだ大いにしていく必要があるのではないかというふうに、私は自治大臣の立場で、また税理論としても考えておるところでございます。
#79
○牛嶋正君 だんだん時間が迫りましたので次の問題に入りたいと思いますが、大蔵大臣に私の考え方を一言述べさせていただきたいと思います。
 地方分権それから税源を地方へ移すという議論をするときに、いつも国側は地域間の格差の問題をお出しになるんですね。ではありますけれども、税目ごとでかなり違うんですね。一番格差があるのは、御承知のように法人関係税です。そして固定資産税もかなり格差がございます。しかし、これまでありました電気税、ガス税あるいはたばこ消費税、こういったものはほとんど格差がないのであります。そうだといたしますと、地方消費税の取り方を工夫すれば私はむしろ今の税収の格差にある程度調整を加えることができるのではないか、こんなふうに思っておりますので、またこの議論はいつか時間がたっぷりあるときにさせていただくことにしたいと思います。
 次に、先ほど私、企業が投資目標を見失ってしまって、非常に投資意欲が減退しているということを申し上げたわけですけれども、この一つの原因といたしましては、バブル期に投資が非常に進みまして今膨大な過剰設備を抱えているということもあろうと思いますけれども、新規の投資計画を企業が立てる場合、やはり三年あるいは五年先まで経済を見通して、そして予想収益を計算し、そして投資コストと比較して投資を決定していく、こういうことだろうと思うのです。今、先ほどから議論がありますように、非常に不透明であると。したがって、企業が投資計画を立てるときに将来収益の確実な予想ができないというところが非常に問題になっているのではないかと思うのであります。
 これまでの多くの企業が持ち続けてきた明確な投資目標、これが私はバブルで全部打ち砕かれてしまったというふうに思っております。もう一度この見失った投資計画を取り戻すためには、先ほども私申しましたように、二十一世紀に向かっての具体的な経済財政運営の基本方向を政府みずからが早急に明示すべきだと思っております。
 先ほどもお話が出ました平岩委員会の最終報告が間もなく出されると思いますが、もちろんその内容も私には関心がありますけれども、それ以上に、政府がその答申を受けて、その具体化に向けて計画や対策をどういうスケジュールで行っていくのか、これを早く明示することの方が重要な問題ではないか、こういうふうに思っておりますが、総理のお考えをお尋ねいたします。
#80
○国務大臣(細川護煕君) 平岩研究会、大変活発な御論議が行われておりまして、私もできる限り出席をさせていただいておりますが、中長期的な我が国経済社会のあるべき姿ということについて年内をめどに御答申をいただくということになっております。年内をめどにと申しましても、恐らく中旬ごろには、もう既に中旬ですが、もう間もなく出していただけるんだろうと思いますが、その御答申を踏まえて、政府としてもできる限り早急にその方向に沿った対策を打ち出してまいりたいと考えているところでございます。
#81
○牛嶋正君 今株価は一日で五、六百円も上下変動するという非常に不安定な状況にございます。このことが一層経済関係者の将来に対する見通しを不透明なものにしているのではないかと思うわけですが、総理はこの株価の不安定な原因の本質はどこにあるというふうにお考えでしょうか。
#82
○国務大臣(細川護煕君) 何と申しましても、やはり先行きの不透明感ということであろうと思います。企業収益の悪化もございましょうし、ストック調整なども、先ほど来御議論があっておりますような、こうしたものは家計においても企業においても進んできつつあるということではございましょうが、いずれにしても、一言で言えば、まだまだそうした不透明感からなかなか抜け出し切れない、そうしたところに基本的な問題があると思っております。
#83
○牛嶋正君 これに関連いたしまして大蔵大臣にお尋ねしたいわけですけれども、これまで郵便貯金あるいは簡易保険等の公的資金によりましていわゆるPKOが発動されてまいりましたが、このPKOが株式市場の安定化にどれぐらい寄与したのか、その実態をちょっとお教えいただきたいと思います。
 あわせて、来年度の財政投融資計画の中でも、このPKO計画を盛り込んでいかれるのかどうか。
 二点についてお話しいただきたいと思います。
#84
○国務大臣(藤井裕久君) 初めに誤解のないように申し上げなければならないと思いますが、今のお話は公的資金の新指定単の話だと思います。
 これは昨年の八月に一万四千円まで株価が低落したときに出てまいりましたもので、いわゆる株価維持というような次元からとらえられておりますが、現実には公的資金の資産運用のあり方として、長期的に安定的な運用をするには株式により多くの投資をすることはいいことだということから新指定単という制度ができたというふうに理解をいたしておりますもので、これは株価維持のためのものではないということはもう一回念押しさせていただきたいと思います。しかし同時に、このことによって株式市場が活性化したという効果があることも否定できないと思います。このことは全部信託銀行の方に委託いたしておりますもので、その内容について私どもは承知をいたしておりません。
 また、平成四年と五年は二兆八千億ずつ新指定単ができたわけでありますが、六年度をどうするかということについては、金融証券市場の動向等を見ながら今後検討すべき課題だと考えております。
#85
○牛嶋正君 私は、今回の株価の不安定な動向というのは、不良債権の処理が進まないことを背景とした金融システムの不安感の高まりが大きな要因ではないかというふうに思っております。すなわち、金融システムの安定化を進めていくためには、金融機関が今抱えている巨額の不良債権をできるだけ速やかに処理していかなければなりませんが、今、保有株式の含み益を大きくするということがその処理を早める一つの大きな要因ではないかと思います。したがって、今回のような大幅な下落というのは不良債権の処理をさらにおくらせる、これが金融システムの不安定を増幅させている、こういった悪循環が今の株価の非常に不安定な状況を生み出しているのではないかと思います。
 そういたしますと、この悪循環をどう断ち切っていくかということが問題になるわけでございますが、これについて大蔵大臣と日銀総裁のお考えをお伺いしたいと思います。
#86
○国務大臣(藤井裕久君) ただいまの牛嶋委員の御指摘は非常に正しいと思っております。
 金融のシステムの問題は極めて重要なことだと考えておりまして、既に本年一月に共国債権買取機構をつくったわけでございます。現在までに約二兆円のものを買い上げております。それを金融機関に損出しをしてもらって一兆一千億で買い上げておりますし、同時に、自己の責任における償却も非常に私は進んでいると思います。この中間決算でも、一兆円という平成五年三月期で一年間の償却に匹敵するようなものが償却をされておるわけでございます。
 不良債権の額がことしの三月末と九月未で十二兆八千から十二兆八千に一兆円ふえたという話があるのでございますが、これは事実でございますが、これはやはり個々の金融機関が個別の融資先に対する処理態度を非常にはっきりしてきた、住専だとかノンバンクに対してはっきりしてきたことの結果であって、予想されたところであります。私はそういう意味で金融の不良資産の処理というものは緒につき出しているというふうに考えております。
 しかし、同時にまた証券市場の問題も御指摘ございました。
 証券市場につきましては、去年の八月、いろいろ決定されました諸般の株式活性化対策があります。小口投資を充実する、あるいは財形貯蓄に証券投資信託を入れる等々もやりましたし、現在、規制緩和という観点から投資家保護という立場の規制はこれは続けてまいりますけれども、市場の活性化に役立つような規制緩和について関係者と議論をして詰めている、こういう状況でございます。
#87
○参考人(三重野康君) ただいまの大蔵大臣のお話につけ加えることは少ないわけでございますが、株価の最近の低落、もちろんいろんな原因がございますが、より基本的にはやはり景気停滞が長期化して企業収益が悪化しているということだと思います。しかし、もちろん株価の低落は、先生が御指摘になったとおり、金融機関の体力に影響がございます。したがいまして、株価の低落が金融機関のシステムの不安を招き、金融システムの不安がさらにまた株価の低落というふうな連鎖的なものはやはり非常に警戒しなければならないわけでございます。
 ただ、現状を見てみますと、現在のあれではBISのいわゆる八%規制、自己資本規制に直ちに波及するということはない、まだ余裕があるということと、それから大蔵大臣が今言われましたように、金融機関は非常に積極的に償却をし、かつリストラに努めておりますので、今申し上げたような非常な心配の事態が直ちに起きるというふうには考えておりませんけれども、先生も御指摘をしたとおり、非常に企業マインドあるいは金融機関の体力その他各般に株価の低落というのは影響がございますので、全体の状況判断をする上についてはやはり重大な関心を持って見守ってまいりたい、かように考えております。
#88
○委員長(井上吉夫君) 牛嶋君の残余の質疑は午後に譲ることといたします。
 午後一時に再開することとし、休憩いたします。
   午前十一時五十七分休憩
     ――――◇―――――
   午後一時一分開会
#89
○委員長(井上吉夫君) ただいまから予算委員会を再開いたします。
 平成五年度一般会計補正予算、平成五年度特別会計補正予算、平成五年度政府関係機関補正予算、以上三案を一括して議題とし、休憩前に引き続き、質疑を行います。牛嶋正君。
#90
○牛嶋正君 お昼前、私は、前回の円高不況と今回の不況を比較しながら経済構造上の四つの相違点を取り上げました。もう一度繰り返させていただきますと、一つは消費需要の低迷とその長期化、それからいま一つは企業が投資目標を失ってしまったということ、それから第三点は金融システムの不安定が進んでいるということ、そして四つ目は土地の流動性でございます。
 この四つ目の土地の流動性が最後残っておりますので、これについて御質問をまずさせていただきたいと思います。
 今、不況が長期化しておりますし、企業の投資活動も低迷しているわけですが、こういった背景には私は土地問題がやっぱりあるのじゃないかというふうに思っております。特に、企業が投資活動を行っていくに当たりまして、まず土地の確保というのは投資決定にとりましては重要な前提条件であります。そういう意味から申しますと、できるだけ土地の流動化を図っていく、これはまさに企業の投資活動を引き起こす環境づくりというふうに考えられるわけであります。
 しかし、この土地の流動化、これはまた大変難しい問題であります。今考えられておりますことは、土地譲渡益課税の見直しが議論されておりますけれども、これにつきましても見直しの内容によっては私はミニバブルの発生も懸念されるというふうに思うわけであります。したがって、この見直しを行うに当たりましても、もう一度土地基本法に基づいて慎重に検討すべきだと思いますけれども、これについて大蔵大臣と通産大臣のお考えをお聞きしたいと思います。
#91
○国務大臣(藤井裕久君) この点も牛嶋委員御指摘のとおりだと思います。土地の流動化が行われていないということは、私どもは金融のシステムの回復という意味においても非常に重要なことだと考えております。
 この譲渡課税につきましては、これも今御指摘のように、土地基本法の原則のもとに平成三年度の税制改正ができたわけでありまして、この基本は守らなければいけない、この骨組みは守らなければいけない、こう私は考えております。
 ただ、あのときもその中で政策手段があったわけで、例えば居住用財産あるいは公有地の拡大であるとか優良宅地の供給というようなものについて政策手段を講じたわけでありますから、現在のこの事態に当たって、金融のシステムの回復だとかあるいは産業のリストラということに貢献する範囲の措置がどういう形でできるかということを勉強しているところでございます。
#92
○国務大臣(熊谷弘君) 先生の御指摘のとおり、土地問題については土地基本法というものがございまして、その基本理念に従ってさまざまな税制を含めた仕組みができているわけでございます。
 問題は、それをどのように適正に行っていくかということでございまして、ただ、私の気持ちといたしましては、現在の経済情勢というものが、構造改革も必要でございますし、またさまざまな目配りも必要だけれども、患者を前にいたしまして手術は成功したけれども患者は死んでしまったというようなことになったんでは、これは困る。
 土地問題というのが深く経済の低迷に大きく介在していることは、もう先生の御指摘のとおりでございまして、私どもとしては、その中で平成三年のあの措置というものがどのような環境でつくられてきたかということを考えますと、やはりもう一回そこに戻って物事を、発想ですよ、政策を全部もとに戻すという意味じゃないんですが、発想のレベルではそこまで戻って、その中でもう少し見直しをしてもいいんじゃないか。そうしないと、土地の流動化というものが進まない。私どもの立場で言いますと、産業、特に製造業のリストラというのに取り組んでいるわけですけれども、もっとそれ以上に経済の基本環境というものがどうにもならないところに来てしまうおそれがある。
 そういう問題意識で大蔵大臣に議論を申し上げたところでございまして、今、政府として真剣に取り上げていくということで議論を進めているところでございます。
#93
○牛嶋正君 これまでずっと議論してまいりまして、今回の不況のもう一つの特徴は、私はメンタルな面が非常に強く出ているんじゃないかと思います。あらゆるインセンティブが萎縮してしまっている。こういうふうに考えますと、複合不況とかあるいは構造不況と言われておりますが、別な言い方をしますと心理不況というふうな面もあるかと思います。
 私は、それだけに、最初にも申し上げましたように、平岩委員会の報告等を受けられましてできるだけ早く細川政権の経済のビジョンを国民に示していただきたい。そういうことを最後にお願いいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。
#94
○委員長(井上吉夫君) 以上で牛嶋君の質疑は終了いたしました。(拍手)
    ―――――――――――――
#95
○委員長(井上吉夫君) 次に、磯村修君の質疑を行います。磯村君。
#96
○磯村修君 磯村でございます。
 初めに、今、大変重要な課題が山積して、連立政権にとっても大変な時期を迎えているわけなんですけれども、細川政権が誕生いたしましてちょうど四カ月ということになります。国民の世論も、マスコミの調査で見られますように、依然として高い支持率を示しているわけなんです。しかし、ここに来まして、政治改革、あるいは米の問題、さらには景気、税制改革、非常に国民生活にとって大変重要な課題を抱えているわけであります。こうした問題を着実に処理していくことが、この国民の熱い期待にこたえることであろう、こういうふうに私は確信しております。
 その意味で、重要な問題が山積している、どうなっていくんだろうかというふうな大変心配を多くの皆さんがしている、そんな時期でもありますので、ぜひここで総理の本当に活力ある、これは意気込みと申しましょうか、そういったことを国民の前に披瀝してはどうかと思います。この今直面している難局を切り抜けていく総理の決意をここで初めに伺っておきたいと思います。
#97
○国務大臣(細川護煕君) 政権が発足してから今お話しございましたように四カ月余り経過をしたわけでございますが、ここに来て経済の状況も御案内のような状況になっておりますし、なかなか先行きの不透明感が払拭されずに低迷が続いております。
 この政権がスタートをしたときには政治改革を最優先の課題としてということを申し上げたわけですが、同時にそのとき申し上げたことは、景気が今日のような状況になっていくとは、そこまでは考えておりませんでした。しかし同時に、構造的な問題、経済における構造的な改革というものも政治改革とともに進めていかなければならない。農業の問題も、今度の米の問題などを切り離して考えてみましても、やはりこれは長い間の農政というものが一つの転機を迎えていることは事実であろうと思います。これもやはり構造的な改革に取り組んでいくべきであろうというふうに思いますし、今まさに新農政という方向のもとにその取り組みが始まろうとしておるわけでございますが、あらゆる課題につきまして、行政の改革についても規制の緩和の問題を初めとしてさまざまな問題がございますし、いずれも構造的に本腰を入れて取り組んでいかなければならない課題である。
 その構造的な改革に取り組んでいくということが本内閣の歴史的な使命であって、それを何としても今この一つの大きな時代の流れの中の転換点に立って、私どもはそれに一つの方向づけを与えなければなるまい、そのように考えているところでございます。
#98
○磯村修君 そこで、幾つかの問題についてお伺いしたいわけなんですけれども、大変きのうの総括質疑以来、景気の問題、雇用の問題も出てきております。
 今、この不況の中で、雇用調整というものも、最初は残業規制とか、あるいは新規とか中途の採用の抑制、一時帰休あるいは希望退職者の募集とか、そして本当に今深刻な問題になっているのは、指名解雇というところまで入ろうとしている、そういう企業も出始めているということも聞いております。
 企業の過剰雇用感というものも大変高い率を示してきております。その対象となるのが四十五歳から五十歳代の中高年に占められているわけなんですね。そうしたことから、二人に一人ぐらいは非常に失業の危機感というものを持っているということであります。特に労使交渉の窓口を持たない中高年のいわゆる中間管理職層、こうした人たちはいわばこれまでの日本経済の成長を支えてきた人々であります。そうした人々がある日突然解雇通告を受けるというふうな場面もあるわけであります。あるいはまた、景気のよいときには非常にあの手この手の方法で若い人たちを企業に誘う、かつてはこういう状況もありましたですね。しかし、一たん不況になりますと、本当に不要になったものを捨てるように会社からほうり出されていく、こういう企業の仕打ちと申しましょうか、そういうものに対する怒りを持つ声も聞かれるわけなんです。
 一体政府はこうした状況をどういうふうに受けとめておられるのか、あるいは将来の雇用のあり方というものはどうあるべきか、その辺のことをひとつお伺いしたいと思うんですが、労働大臣、いかがでしょうか。
#99
○国務大臣(坂口力君) お答えを申し上げたいと存じます。
 昨日もお答えを申し上げたところでございますが、有効求人倍率並びに完全失業率等が月々だんだん悪化してまいりましたことは御承知のとおりでございます。同じことを申し上げても失礼でございますので、その点はお許しをいただくといたしまして、この雇用調整が行われております現状を、第一次オイルショックのときとそれから円高不況のときと今回とを比較して見てみたいと思うわけでございます。
 雇用調整の実施割合全体でございますけれども、製造業でございますと、第一次石油ショックのときにはピークで七一%に及んでおりました。それが円高不況期におきましては四〇%でございましたが、今回は、この十月から十二月にかけましてのこれは予定でございますけれども、四八%になっておりますので、この円高不況期は既に超えている。第一次オイルショックには至っておりませんけれども、円高不況期は超えている。
 また、卸・小売業を見てみますと、第一次石油ショックのときには三七%、円高不況期には一四%でございましたが、今年の十月から十二月の予定は三六%になっておりまして、第一次石油危機のときに大体匹敵する値になっている。サービス業、卸・小売業のところに今までに比べまして非常に高いという傾向が出ております。
 こういった傾向は残業あるいはまた一時休業その他の面にも若干あらわれておるわけでございますが、こうした傾向がございまして、今御指摘になりましたように、とりわけその内容を年齢別等で見てみますと、四十五歳以上のところ、その中でもとりわけホワイトカラーの皆さんのところに雇用調整がしわ寄せされているという現状でございます。
 こういう現状、さらに今後まだこのような状態は続くものと一応覚悟を決めなければなりませんので、労働省といたしましてはこれに対しまして、企業に対しましては雇用調整助成金の活用等を積極的にいただいてこれを乗り切っていきたい。また、中高年のホワイトカラーの皆さんに対しましては、そうしたことだけではなくて職業転換の道もひとつ考えていかなければならない。今まで若い皆さん方それからブルーカラーの皆さん方に対する職業転換につきましては、企業におきましてもあるいは公的な機関におきましてもいろいろと持っていたわけでございますが、中高年以上のホワイトカラーに対します職業転換に対する訓練等の機関は余りなかったわけでございますので、この点に力をこれから入れていきたい。そして、これからの産業構造の転換等によりますところの雇用転換がスムーズに行われるような体制を整えていきたいというふうに思っております。
 どんな方向にこれが進むかはちょっと予断を許さない点がございますし、今どちらの方向に進むかということを明確にすることもできない面もございますけれども、しかしそういう職業転換ができる新しい能力を身につける、そうしたことがスムーズにできる、そういう機能面は今整備をしていく必要があるし、これを早急にやらなければならないというので体制を整えているところでございます。
 以上のようなことを中心にいたしまして現在大まかに進めているところでございますが、また後ほど具体的なことがございましたらお答えをさせていただきたいと存じます。
#100
○磯村修君 大変雇用をめぐる不安感というものは強まっているわけでございまして、完全失業というものをこれ以上ふやしていくということは本当に好ましいことではございませんので、ぜひともその辺への力点を置いた労働行政というものを推進してほしい、こう思うわけなのであります。
 労働省は大臣が今言われましたように、企業の雇用維持への努力、あるいは中高年齢者の再就職の促進、さらには雇用機会の開発というふうなことを柱にした対策を具体的に今検討して、その計画をまとめて具体的に実施していこうということを聞いております。実はこれを私が以前に聞いたときには、ちょうどきょうあたりその計画案がまとまるんじゃないかというふうなことをお聞きしたこともございますけれども、こういう具体的な計画が実際に集約されて、これからどのように、予算的な措置とかいろんな作業もございましょうけれども、できるだけ早くそうした対策を実施していく必要があると思うので、これから予算編成も迫っているわけでございますから、その辺のお考えを一言お伺いしておきます。
#101
○国務大臣(坂口力君) ただいま御審議いただいております第二次補正を出しましたが、九月十六日段階のときからさらにその後完全失業率並びに有効求人倍率ともに悪い方向に参りまして、そうした状態を受けまして省内に雇用対策プロジェクトチームを編成いたしました。そして、先生御指摘いただきますように、大体きょうあたり発表する予定でいたわけでございますが、最後の調整また他の省庁との連携その他が少しおくれておりまして、少なくとも一週間後には発表させていただける段階になるだろうというふうに思っております。
 その中には、雇用調整助成金等の内容もさらに充実をさせたいというふうに思っております。また、地域の雇用対策ということにつきましてもより積極的に取り組んでいきたいというふうに思っているところでございます。先ほど申しました中高年の問題等もその中に含めていきたい、幅広くひとつ雇用対策を盛り込んでいきたいというふうに思っております。
 そうした問題を、予算的には来年の予算になりますかあるいはその他予算になりますか、今のところ少し検討をしなければならないというふうに思いますが、早急にひとつその予算的裏づけも明確にさせていただきまして、一日も早くそれが実施に移されるようにさせていただきたいと考えているところでございます。よろしくお願い申し上げます。
#102
○磯村修君 先ほどから景気対策等が論議されておりますけれども、株価の低落、企業の業績の悪化等非常に厳しい状況があるわけですが、そうした状況を打開していく一つの方策として土地の流動性というふうなことも言われております。
 総理は今月、十二月一日の衆議院の予算委員会で、土地税制の基本的な枠組みの中で土地の有効利用等を検討すべき点があればよくそれを検討しなければならないというふうな趣旨のことを述べられております。来年度税制改革の中で土地税制の緩和、そうしたことを検討していくというふうな考えをお持ちであるのかどうか、改めてお伺いしておきたいと思います。
#103
○国務大臣(藤井裕久君) 現在の土地税制は平成三年に抜本的な改正が行われたわけでございますが、その基本は、平成元年における土地基本法の理念に従って改正が行われているのは御承知のとおりであります。この基本的な骨組みは一時的な現象を前提にして行ったものではありません。したがいまして、この基本の枠組みは当然残してまいります。
 しかしながら、既に基本的な税制の中においても優良宅地の供給であるとかあるいは公有地の拡大であるとか居住用資産の問題とかいろいろ税制上の措置があったことも事実でありまして、現在の時点の中に立って金融のシステムの回復であるとか産業のリストラというものに資するような政策措置がとれるかどうか、このことを勉強しているのでございます。
#104
○磯村修君 土地税制の問題につきましてはいろいろな議論もあるわけなんですけれども、ともかく土地基本法の理念というものが大変重要な意味を持っているわけですね。
 例えば、今、土地の流動性というものが非常に鈍い、何といいましょうか、ないというふうな状況の中で、買い手もつかなければ売り手もないというふうな状況、そういう状況の中で、政府はいずれは何かこの税制を緩めてくるであろうという期待感も世間にはあると思うんです。そういうことから、土地税制の理念でありますところのいわゆる適正な利用とかあるいは投機的な取引、もうそういったことはやってはいけないというふうな基本があるわけなんですけれども、例えば税制を緩めることによって再びそういう方向に流れていきやしないかというふうな非常に大きな懸念を抱く意見もあるわけなんです。その辺をもう一度大臣にお願いします。
#105
○国務大臣(藤井裕久君) 磯村委員のお話のとおりに考えておりまして、土地基本法の理念、つまり、土地というのは公共の福祉のためにあるということ、したがってこれは利用するものであり投機的対象にしてはいけない、外部的な要因によって値上がりしたものは還元していくというこの基本原則を守る中で今申し上げたようなことをやるのであって、ましてや土地の再上昇を期待するようなことは絶対にないということを改めて申し上げたいと思います。
#106
○磯村修君 それから、今の土地の問題で土地譲渡益の課税制度というもの、例えばこれを考えた場合、勤労者層というのは自分の土地もない、持ち家を持てないというふうな方が大変多いわけですね。そういう方々から見ると大変不満な声も聞かれるわけなんです。ですから、かえってこの土地譲渡益課税制度というものをやはり守っていくべきであるというふうな声もあるわけなんです。これは自分の持ち家を買いかえたいというふうなそういう人たちにとっては大変いいかもわかりませんけれども、一方、そういうものがない、資産がない勤労者にとっては大変不満も出てくる。やはりそういう土地を持たない人たちに本当に公正に土地が持てるような状況をつくりつつある中でもって緩和していくということは大変これは不満だというふうな声もあるわけなんです。そうしたことについて、大蔵大臣、もう一度この譲渡益課税の問題についてそういう勤労者の側にもそういう意見があるんだということをぜひ頭の中に置いておいてほしいということでございます。
 それから、補正予算を今は審議しているわけなんですけれども、ことしの一月−三月期には実質GNPの成長率もプラスに転化して景気はよくなっていくのかなという感じがあったんですけれども、四月−六月には再びマイナスに逆戻りするというふうなことで、非常に消費も低迷しているというふうな状況が続いているんですね。そうした中で、景気の立ち直りにはどうしても減税、あるいは財政金融政策、さらには予算編成の中での景気対策というふうなことを真剣に考えていかなければならないというふうな局面に立たされているわけなんですね。
 そうした中で、消費の刺激策としていわゆる所得減税とか公共事業の円滑な実施、あるいは金融政策、こういう問題を早期に具体的に実施していかねばならないというふうな課題があると思うんですけれども、総理、この消費刺激策、そういう面でのもし御所見がありましたらお伺いしておきたいと思うんです。
#107
○国務大臣(細川護煕君) 総合的な経済対策ということで申し上げてよいのかと思いますが、本年度の予算、それからまた四月の総合経済対策、そしてまたこのたびの緊急経済対策、その上に乗ったこのたびの補正予算、そして来年度の景気というものに配慮した予算、そうしたものを通じてできる限りの景気対策というものを講じてもまいりましたし、またこれから講じてもいきたい、このことが何よりも基本だというふうに思っております。その他動員できるあらゆる手だてを講じて当面の深刻な景気の状況に対応してまいりたいと思っております。
#108
○磯村修君 関連の質問者も控えておりますので、その前に一つ総理にお伺いしておきたいんですけれども、今の所得減税、これが税制改革の中でもいろいろ論議されているんですけれども、当面とにかく景気の回復の道、その道の一つとしてどうしてもこの所得減税というものを具体的に考えていかなければいけないんじゃないか、こういうふうに私は思うわけであります。
 五兆円規模の所得減税ということを求める世論も強まっているわけなんですね。しかも、内外からこの所得減税ということが求められている、こういう状況にもあるわけなんです。ですから、政府といたしましても、これは予算編成のかかわりということにもなるわけなんですけれども、この所得税減税、これをとにかく断行すべきであるというふうなことを我々は求めるわけなんですけれども、これには大変大胆な財源論もあるわけなんです。
 しかし、それはそれとしてこの所得減税の実施の時期等につきましていつごろそれを明らかにすることができるのか、その辺のひとつ考えをお伺いしておきます。
#109
○国務大臣(細川護煕君) 税制調査会の答申におきましても総合的な見直しの方向に沿って六年度の税制改正の中でと、こういうことでございますが、連立与党の中でのこの問題についての御論議の中でも、政策幹事会の中で今後この税調の答申というものを土台として所得、資産、消費のバランスのとれた総合的な税制改革に向けて早急に結論を得ていく、こういうふうな方向が示されたというふうに承知をしておりますし、私どももそうした与党内でのいろいろな御議論あるいはまたこの国会における御論議等々も踏まえながら、いずれにしても六年度の税制改正の中で考えてまいりたいというふうに思っております。
#110
○磯村修君 では、一たんここで関連質問に移らせていただきます。
#111
○委員長(井上吉夫君) 関連質疑を許します。釘宮磐君。
#112
○釘宮磐君 新生党の釘宮でございます。
 きょうは時間も限られておりますので、私は福祉そして地方分権、こういった問題についてお伺いをさせていただきたいと思います。
 平成五年の五月調査による「国民生活に関する世論調査」というのがございますが、その中に、国民が政府に対して何に力を入れてほしいかという問いがございます。その中に、第一位が医療、福祉、年金の充実、これが六一・一%で、それに続きまして高齢者介護などの福祉の充実、これが四七・二%であります。税の問題、物価対策、景気対策というようなことがこの後に続いておるわけですけれども、こうして見ますと、やはり国民は福祉の充実、特にこれから高齢化社会が訪れるわけでありますから、そのことに対して非常な不安を覚えておるということにほかならないと私は思うのであります。
 そこで、二十一世紀の初頭には四人に一人が六十五歳以上のお年寄りになるということでありますし、実は私も団塊の世代でありますから、実際問題、我々が六十五歳を過ぎるころには大変な高齢化社会が訪れるということであります。
 高齢化社会というとどうも暗いイメージがしてならないわけでありますけれども、やはりこれを明るいイメージに変えていかなきゃならない、まさにそれが政治の役割であろうというふうに思うわけでありますが、多分これは総理も担当の厚生大臣もこのピークの時代にはもう七十から八十にはなっていると思うんですけれども、この時代、お二人がどういう老後を送っていたいか、その辺のところを、これは閣僚というよりも個人的なロマンもちょっと聞かせていただきたいと思うんです。
#113
○国務大臣(大内啓伍君) これはいろんな表現の仕方があると思うのでございますが、やはり人生八十年、これから九十年、百年になるかもしれませんが、健康で生き生きとして楽しい明るい、そういう老後を何とか送りたいものだという願いは私は国民の共通の願いであろうと思います。そのためには、やはり老後になっても安心できる諸条件というものがいろいろな意味で整備されなければなりませんが、その一つは、何といっても揺るぎない安心できる社会保障制度でございまして、そこには年金と医療と福祉と三つの問題がございますが、それらの点について、ああこれなら安心して老後をゆだねられる、こういう社会保障制度をつくり上げるということが大事だと思っているのであります。
 こういう見地から、これからの高齢福祉社会のビジョンというものを政府としても国民の皆さんにはっきりお示しする必要がある。しかも、それは単に定性的な構想ではなくて、それとともに定量的な構想というものも盛り込んでいかなければならぬ。そういうものを何とかつくり上げるために今識者の御協力もいただきまして懸命に努力をしているさなかでございますが、これもいつまでも待っているわけにはいかない。したがって、来年の春早々にはそういう構想を固めて皆様にお示しをしたい、こう考えている次第でございます。
#114
○国務大臣(細川護煕君) 大体厚生大臣がおっしゃったとおりでございますが、一言だけ個人的な感想としてつけ加えるならば、可能な限り家族が、先ほど生き生きととかいろいろなことをおっしゃいました、私も全くそのとおりだと思いますが、できるならば家族が一緒に暮らしていけるようなそういう老後というものが過ごせればいいなと、そのように思っております。
 いずれにしても、これから高齢化社会を迎えていく中で、公正で効率的な社会保障制度というものを考えていかなければならないということだろうと思いますが、福祉に対する国民の要請というものもさまざまでございましょうし、また、それを負担していくそのあり方、費用負担のあり方というものについてもこれはいろいろなお考え方がございましょうが、いずれにしてもこの両方とも密接にかかわり合った問題でございますし、広く国民のコンセンサスというものを得ながら、これからの社会保障制度というものがどうあるべきかということについて真剣に見詰めていかなければならない、対策を講じていかなければならないというふうに考えております。
#115
○釘宮磐君 きょうはテレビが入っておりますから、国民の皆さんは両大臣がどういう答弁をなさるかということを期待しておったと思うんですけれども、閣僚という立場での御答弁であったかと思うんです。
 私は、やはりこれからの将来に対して国民が安心を持てる、安心感が確保できるということが極めて重要であろうというふうに思いますので、そういう意味での今後の対策というものはぜひ立てていかなければならない、このように思います。
 福祉を語るという場合に、従来は福祉というのは無料である、ただであるという概念が強かったわけでありますけれども、最近やっと負担という問題を一緒に考えられるようになってきたわけでありまして、このことは二十一世紀に向けて非常に政治がこういった問題に対して取り組むのに取り組みやすくなった。これは国民の理解ができたということでありますので、評価をすべきであろうと思います。
 そこで、私はきょうはこの財源の問題、負担の問題について若干お伺いをしたいと思うのであります。
 国の社会保障関係予算はもうすでに一般歳出の三分の一を占める十二兆円、さらに社会保障費については五十兆円を超えております。ますます高齢化が進んでいくわけでありますから、これは大変なことであります。ことしから来年にかけて年金の改革や医療保険の改革など今論議が進んでおりますけれども、これから社会保障の伸びが経済成長をどうしても上回らなければならないという一つの大きな前提があるわけでありますから、そういうことを踏まえた上で、厚生大臣に今後の財源の確保という問題について展望をお聞かせいただきたいと思います。
#116
○国務大臣(大内啓伍君) 今、委員御指摘のように、実は年金、医療、福祉関係の財政需要は大変な勢いで伸びてまいります。ちなみに、今、社会保障全体では御指摘のように五十兆を超えております。その中で医療費は十九兆三千億に達しておりまして、また年金は二十五兆八千億にも達する。つまり、社会保障費は毎年約三兆円ずつふえていく、医療費は一兆円ずつふえていく、年金は一兆五千億円ずつふえていく、こういう状況でございます。したがいまして、これらを全部国費で賄う、こういう体制をとることはいずれにしても困難でございます。
 御案内のとおり、福祉国家を建設いたしました北欧三国なかんずくスウェーデン等におきましては、その負担がだんだんふえまして現状でも実は七六%近い国民負担率を国民の皆様が負担する、したがってそこから勤労意欲というものがそがれたり社会としての活力を失うという状況が出ております。
 また他面、アメリカの方では、自分が負担するということが原則でございますので本来公的な負担についても個人負担のところが多い。今それをヘルスケアというあの法案で何とかカバーしようとしているわけでございます。
 日本としても、将来どのような社会保障というものを国民が望むか、そしてその中で国民は勤労意欲、社会的な活力を失わずにどの程度まで負担にたえ得るか、そういう問題をお互いに考えなければならないからこそ、私は、今こそ福祉ビジョンの策定が定量問題を含めて必要である、こういう問題を提起して実はそれに着手しているわけでございます。
 したがいまして、その結論を見なければなりませんが、しかし、これからの国の財政という面からいいますと、けさ来の御議論にもございましたように直接税の中でもある程度検討すべき課題はなお残ってはおりますが、この直接税を、例えば所得税、法人税等を相当増徴していく、それによって国の税収を強化していくという余地は割合に少なくなってきているのではないか。とすれば、やはり間接税という問題についてだんだん欧米並みに比重を移していかなければならない。しかしそれは、単にそういう面からのアプローチではなくて、高齢化社会のビジョンはどうなのかということを国民の皆さんにお示しして初めて納得のいただける問題ではないか。そういう面にこれからは力を入れて考えていかなければならぬ、勉強さしていただきたいと思っております。
#117
○釘宮磐君 確かに財源問題というのは給付と負担のバランスということが今後はどうしても避けて通れない問題でありますから、これは国民に広く私は議論を求めていく、また選択肢を提示していくということが大切であろうと思います。
 そこで、大蔵大臣にお伺いをしたいのでありますが、政府税調で税制の抜本改革が今後進んでまいることになるわけでありますけれども、そういう中にあって消費税をどう考えるか、こういった論議も実は出てきております。しかし私は、この福祉という問題を取り上げたときに、いわゆる特定の税の全部でも、一定の割合でも、または一定額でも、これが老後のための社会保障に使われるんだということをある程度明らかにして国民の皆さん方に負担を求めていくというようなことがなされないとなかなか国民の皆さん方の御理解は得られないのではなかろうか、このように思うわけであります。
 よくこの間接税、直接税の問題、さらには消費税の論議をするときに、税を福祉に使うんだということを言うけれども、それが見えてこないというのがどうも国民の皆さん方の論理であろうかと思います。
 一人一人の納得が得られる、納税意欲を持てる、そんな形での考え方というのができないのかどうか、ぜひ藤井大蔵大臣にお伺いしたいと思います。
#118
○国務大臣(藤井裕久君) これからの本格的長寿社会の中で、安心という大変重要なテーマを今言われました。
 私は、安心ということは、医療、年金、福祉を通じてこういうことをやるということと同時に、だれが一体そんなことを負担してくれるのかということをはっきりさせることによって本当の安心があるだろうし、また若い方にとっては、自分たちがこれから働く世代の中でこの程度で負担なのかということをはっきりわかるということが広い意味の国民の皆様全体の安心につながると思いますから、釘宮委員の今御指摘の点は大変大事な点だと考えております。
 そこで、その御負担をいただくのはいろんな仕組みがあると思います。直接税という仕組みもありましょう。間接税という仕組みもありましょう。さらに保険料という仕組みがもう一つあるわけで、そこのバランスは非常に私は大事だと思います。一つだけに偏るということは、いずれもだめだと思います。そのバランスだと思いますが、今お話しの間接税にどれだけのバランスをとるのがいいのかということはこれからの問題ではございますが、御指摘の点は平成元年度にこの制度を導入したときいろいろ議論のあったところでございます。財政当局的見地から言えば、余り目的税は望ましくない等々の議論はありますが、福祉グループの皆様からも、かえってそのことがマイナスに作用するのではないかという御議論が非常に強くあったことも否定のできないところであります。
 今のところは福祉に使うんだということで、現実はどうなっているかといいますと、大体今消費税は七兆円弱いただいておるわけでありますが、そのうちの六割が国に入っておって四割が地方に入っております。六割というと四兆何がしてございますが、今お話しのように社会保障費は十二兆円でございますね。それから、地方に行っておりますのが全体でそのぐらいでありますから二兆何がしてございますが、地方財政計画における福祉に向かっている地方負担分というのは約十兆円でございますから、現実の姿としては明らかにそちらへ回っているのでございます。
 釘宮委員の今御指摘の点は確かに一つの考え方だと思うのでございますが、今申し上げたような問題点もあり、現実にそういう今申し上げたような姿を常に多くの皆様にお知らせするということが大事だと考えております。
#119
○釘宮磐君 きょうは時間がありませんので議論をしているあれはありませんけれども、要は、国民の皆さん方が理解をしていただける、コンセンサスが得られるようなそういう状況で今後の税制改革の問題も進めていっていただきたい、このように思います。
 さて、細川総理の高支持率、この内容を精査してみますと、やはり知事をやっておったということで地方の痛みがわかってくれるんではないのか、そういう期待が非常に大きいというふうに思います。地方を顧みてくれるんではなかろうかというふうに多くの地方の人たちは思っておると思います。
 私は隣の大分県でありますし、総理が知事の時代には私は県会議員でありましたから、そういう意味では隣班でありますので、大分県は過疎率全国ナンバーワンということでありますから、地方の痛みというのは特に総理にはおわかりをいただけると思うのであります。
 今、このまま推移しますと、人口の社会減ではなくて自然減、いわゆる出生数の方が死ぬ方の数よりも少ないというようなことが今出てきておりまして、その比率が大分県の場合は八七%の町村が自然減であります。こうなりますと、将来これは必ずゼロに向かって進んでいくことになるわけでありますから、これは非常にゆゆしきことでありますし、かなり地方の過疎地域に住んでいる人たちは不安でしょうがないと思うんです。
 こういった問題について実際どういうふうな手だてが考えられるのか。知事の時代の経験と、今、国のトップになった総理がその英知の中でこの過疎問題についてどう対応されるか、ちょっとお伺いをしたいと思います。
#120
○国務大臣(細川護煕君) 過疎問題を含めまして、均衡のある国土というものをどういうふうにつくっていくか、あるいは反対に東京一極集中というものをどのように抑制をしていくか、これはまことに大きな課題であって、そのために今までもさまざまな論議がなされてきたことは御承知のとおりでございます。
 行革審あるいは地方制度調査会などにおきましても、あるいはまたその他の国土審議会等々におきましても、国土全体の有効な活用という観点から、どうしたら一体この偏ってしまっている国土の利用状況というものを改善していくことができるか、過疎になっている地方の活性化を促進していくことができるかということでさまざまな論議がなされてきたわけでございますが、まだなかなかこの問題については思い切った手だてを講じ得るだけの妙案がないと申しますか、地方分権についての先般からこの委員会でも御論議がございますような、基本的な国と地方のあり方の問題についての整理がなされていないというのが現段階であろうと思います。
 受け皿の問題もいろいろ議論になっておりますし、三千三百の市町村、その市の中にも、大きな市もあれば小さな村もあれば、あるいはまた三百二十万人という横浜市のような大きな政令都市もあれば、市町村と一概に申しましてもさまざまな形態があるわけでございますし、そういう中で道州制であるとかあるいは広域市町村圏であるとか中核都市であるとか、受け皿だけについてもまだ整理されていないというのが現実の姿であろうと思います。
 地方制度全体にわたって整理をしていかなければならないということなんだろうと思いますが、長い間定着してまいりました行政の区域というものをどういうふうに整理をしていくかということはこれまたなかなか簡単にいかない議論であって、これからさらにその辺を煮詰めて、今度の行政改革審議会の答申におきましても、推進本部をつくって総理みずから本部長になって地方分権の法案といったようなことも含めて分権を推進していくべきだというふうな方向づけもなされておりますから、そういう方向に沿ってできる限り実質的に意味のある分権というものが進んでいくように力を尽くしてまいりたいと思っております。
 国と地方の権限、財源の配分の問題につきましては、行革審でもパイロット自治体というものが打ち出されて、限られた権限や財源でございますが、少しでもやる気のある自治体というものがその能力を自主的に発揮をしていくことができるようにということでそのようなものがスタートをしたわけでございますが、今後さらにそれぞれの自治体が個性のある自主的な判断に基づいての取り組みというものができるように、国と地方の基本的なあり方についてしっかり勉強し方向づけをしてまいりたいと思っているところでございます。
#121
○釘宮磐君 総理に対する国民の期待というのは、あの人なら何かやってくれるんではなかろうかという期待が非常に大きいわけでありますので、特に知事を経験なさっておられますし地方のことも十分わかっておられますので、今後の取り組みに対して期待を申し上げておきたいと思います。
 最後になりましたが、最近の参議院の審議のあり方にかんがみまして、私はここで一つの論文を御紹介申し上げたいと思うんです。
 それは、十一月三十日の読売新聞に出されておりました元参議院事務総長の河野義克さんの論文であります。
 目下最大の政治課題と言われる選挙関係四法案がようやく衆議院を通過した。一つの難関を突破したことになるが、法案の中核は第八次選挙制度審議会が海部内閣に答申し、内閣が国会に提出したものと余り変わってはいない。
 それがさきには衆議院で廃案とされ、いまは可決された。時の勢いというべきか、情勢の激変というべきか。審議会の一員であった私としては妙な気分がしないでもない。
 それはさておき参議院の審議が遅まきながら始まろうとしている。参議院はいままれに見る熱い注目を浴びている。今こそその独自性と自主性を発揮して慎重にしかも活発に審議してほしい。しかも法案の内容には多くの問題点が残されている。必要ならばどしどし修正することも当然である。
 元来日本の国会では修正が極めて少ない。いわゆる五五年体制のもと、与党は原案に固執して異なる意見を包容する度量を欠き、野党はしばしはオールオアナッシングの立場をとり、審議を怠って議事妨害に趨った。
 これが習い性となり、議会政治の妙味を発揮すべき修正作用を軽視するに至った。
 異なる意見を調整するものは修正である。修正は円熟した議会の所産である。また、かねてから日本の国会は党議の拘束が強すぎるといわれている。両院を通じて、党議で拘束するようなことは他国にはほとんど例を見ないことである。特に参議院は拘束を緩和するのでなければ、二院制の妙味を発揮することが困難である。議員の良識を本位として院の運営がなされてほしい。と述べておられます。さらに氏は、
 憲法は議院内閣制を採用し、内閣の存在は事実上衆議院の多数の意思に依拠せしめている。この意味において衆議院の意思は重視されねばならない。また参議院は内閣の解散権の対象にはされていない。
 参議院と内閣が対立しても、内閣が参議院を解散して審判を民意に問うということはあり得ない。このように見てくると、参議院は政局の死命を制するような意思決定をつつしむことが要請されているように思われる。
 「参議院の自己抑制」と私が言う問題である。これは大先輩の言葉でありますが、私は、この言葉を我々参議院議員は真摯に受けとめ、参議院の権威が発揚されるよう今こそ期待にこたえていかなければならないと思うのであります。
 国会議員の皆さん、そしてきょうはテレビをごらんの国民の皆さんがおられるわけでありますが、ぜひ御一考願いたく紹介をいたしました。
 以上で私の質問を終わります。
#122
○磯村修君 先ほどもう既に予算の関係の話も出ましたけれども、新しい年度の予算編成に当たりましては既に財政制度審議会の報告もございます。そうした中で今一番地方自治体が心配していることは、生活環境整備等に重点が置かれていくと地方の公共事業、そうしたものへのしわ寄せはなかろうかというふうないろんな心配も出されているわけなのでありますけれども、この生活環境の整備、あるいは国土保全、産業基盤というふうな優先順位の内容がこの報告の中では見受けられるわけです。
 そこで、新年度予算の編成も既に間近に迫っているんですけれども、総理の新年度予算に対する基本的な考え方をここでひとつ伺っておきたいと思います。
#123
○国務大臣(細川護煕君) 何と申しましても、当面の経済状況というものを考えますと、景気対策というものに配慮した予算でなければなるまいと思っております。基本的には生活者重視という視点に立って公共事業等の配分につきましてもめり張りのきいた予算にしなければならないと考えているところでございます。
 補足することがございましたら大蔵大臣から御答弁いたします。
#124
○磯村修君 自治大臣にお伺いしたいんですけれども、とにかく地方自治体の財源というのは今大変厳しい状況に置かれているわけですね。いわゆる活力ある地域づくり、そうは口で言ってもなかなかお金がなければ事業を進めていくことができないというふうなことにもなっているわけであります。さらにまた、地方の自律性という問題もございます。それにはやはり何といっても税財源を確保してほしい、これが非常に強く今出されております。
 こういうことを踏まえまして、ひとつ自治大臣、自治体の財政運営に支障の生じないように財源の確保、あるいは景気対策を配慮した単独事業、そういう問題もございます。そういう財源の問題につきまして、ひとつ自治大臣のお考えをお伺いしたいと思います。
#125
○国務大臣(佐藤観樹君) 今、補正予算でも、御承知のように、地方交付税のもとであります交付税正税が五兆五千億ばかり足りなくなっておりますので、地方交付税が一兆六千億足りなくなっている。これにつきましては別の委員会で法案をお願いしますけれども、交付税特会からお借りをするということで、地方自治体が運営に支障のないようにしていきたい。
 それから、やはり一兆六千億円ばかり地方税が足りなくなっておりますので、これは歳入補てん債でひとつ手当てをして、当初の地方財政計画というものが完全に達成できますように、いや、そればかりではありません、四月の総合経済対策で二兆四千億も地方自治体にやっていただき、それから九月の緊急経済対策でもまた五千億円事業をやっていただくということで、国と一体となって地方も景気の下支えをしている。それは、特に細川総理からもお話がございましたように、いわば文化の薫りの高い新社会資本整備と申しましょうか、生活に非常に密着したものを重点にやっていこうということで進んできておるわけでございます。
 ただ、今、磯村委員言われましたように、何分財政指数というのは、〇・四六というのがこれが全国の平均でございますが、三分の二は平均以下のところでございますし、歳入のうち税収が占める割合三〇%以下というのが三分の二ばかりあるわけであります。それから、公債費比率、今までの借金の元金と金利を抱えております、一五%というのが俗に言うイエローカードと申しましょうか、黄色信号になるわけでありますが、ここも公債費比率が一五%以上というのが四割を超えているという、財政規模につきましてもあるいは歳入状況につきましても大変厳しい状況でございます。
 しかし、今度この補正予算が終わりますと、当初八十二兆の借金だったわけでございますが、一挙にこの一年間で八十八兆と六兆ふえたわけでございます。しかし、経済が今こういうふうな大変厳しい状況でございますから、来年の地方税収もあるいは地方交付税のもとのお金も国の税収もこれ以上余りふえるということは期待できないのではないだろうか。さりとて、じゃ地方の財政のあり方というものをだからといって小さくしていっていいんだろうか。
 私は、これからの高齢化社会に向かい、新しい社会資本整備の問題とかたくさんの要望に従って、やはりこれは国と地方自治体というものが車の両輪となって、いや、実は国よりも地方自治体の方が、今や七七%の公共事業は地方が担う、財源は三割程度でございますけれども、というような中でございますから、景気対策といたしましても、それから総理が言われましたこれからあるべき社会のあり方からいたしましても、この際、借金が若干ふえても頑張っていかなければならぬというのが私は地方財政を預からせてもらう者の責任だと思っております。
 幸い、先輩の方々は大変景気がよかった六十二年の補正予算から平成三年の補正予算の間までに地方の借金を、十四兆円という大変な金額を早目に償還をしたり返済をするというようなことをやっておりますから、必ずやこれからこういったことをやっていけば景気がよくなるときもございますので、そのときにはまた借金を大いに返していくということでやっていくことが日本の地方自治体あるいは日本の景気に今求められていることではないか、この気持ち、この方針で頑張らせていただきたいと存じます。
#126
○磯村修君 もう時間が迫ってまいりましたのではしょってまいりますけれども、ともかく財源の問題につきましては自治体にとっても大変今深刻な状況に直面しておりますので、その辺の配慮をぜひ新年度予算編成につきましては考えていただきたいということをお願い申し上げておきます。
 さて、農業の問題を一言伺っておきたいんですけれども、総理は、食糧の安定供給は基本的に国の国策でもある、さらに基本となる食糧は自給が基本であり安定供給を図らなければならないというふうなことを先ほども御答弁なさっておりますですね。そうは言っても、それじゃ今の日本の農業の状況をどう見るかというふうなことを考えますと、大変これは厳しい状況にあるということは言えると思うんですね。
 従来、国は減反政策というものも行ってまいりましたですね。そしてまた、その減反政策に従っていろんな果樹をつくり、あるいは野菜をつくりというふうなことを農家の方々はやってきているわけなんですけれども、非常にこれが全国的に今度は逆に過当競争の時代になってきて、非常に経営が思うようにいかないというふうな問題もあるわけなんですね。そういう実態の中で、やれ食糧の基幹部分なるものは自給ということも国策であると、そうはいっても実態はそうではないんだ、なかなかそこまでいかないというふうな実情ではなかろうかと思うんです。そこでもって、これからの農政というものはやはりその辺のことを十分に考えながら展開していかないととんでもないことになってしまうというふうなことにもなるわけであります。
 そこで、お伺いしたいわけなんですけれども、ことしの例の冷害ということを考えますと、これは大変大きな問題でもあったわけで、これまでの日本農業のあり方というものがこの米の問題一つとってみても非常に浮き彫りにされたような感じがしたわけなんです。そこで、農林水産大臣、この減反政策の問題をどういうふうにお考えになるのか、これからどう考えていくのか、伺っておきたいと思います。
#127
○国務大臣(畑英次郎君) 今般、いろいろ国家的な難しい問題を抱えている現在の姿ではございますが、やはりあくまでも主食の米の自給体制といいますものは堅持を目指すという立場で私自身は当然のことながら努力を積み重ねてまいりたい。
 そういう中にございまして、いわゆる減反問題の御指摘があったわけでございますが、これからの新農政を踏まえまして、やる気のある方々には積極的にやっていっていただく、そしてまた経営規模の拡大も図る、さような営農安定という意味合いでの減反政策という視点からの対応を進めてまいりたい、かように考えておるところでございます。
#128
○磯村修君 今、農家の後継者がなかなかいないということが言われますね。実際にそうでもあるわけですね。特に稲作農家にそういう後継者がいないというのが言えると思うんですね。私どもが地方に帰りまして実際に自分の家の周り見まして、あれ、つい最近まで米がつくられていたんだけれども今はどこで米をつくっているんだろうかというふうなのが実態なわけです。なかなか後継者もいない。そして、減反政策もあった。こういったことでもって本当にこの米づくり農家というのは経営もなかなか思うようにいかないというのが実態であろうと思うんですね。そしてまた、生産費も非常に上がってきているというふうな問題もございます。
 そこで、このまとめとしまして、先ほど減反政策のことを言われましたけれども、これからの農業政策の基本、新農政、こういう基本的なことをどういうふうに考えてこれからやっていくのかお伺いしたいと思うんですけれども。
#129
○国務大臣(畑英次郎君) 私は、国土の現状からいたしました場合に、農地という存在の位置づけといいますものは従来と違った意味合いの重要性をこれからも持っておる、こういうことを考えますと、農業に寄せられる国民的な課題、責任といいますものは従来とは比較にならないものがある、そういう中にございまして二十一世紀につなぎ得る条件整備を積極果敢に展開していかなければならない、土地基盤整備等々もその最たるものではなかろうかと考えておる次第でございます。
#130
○磯村修君 時間ですね。一つよろしゅうございますか。外務大臣、よろしいですか。
 カンボジアで活躍なさいました明石さんが今度旧ユーゴに代表として就任したわけでありますけれども、日本の方がヨーロッパのPKOに参加していくというふうな、しかも国連の代表として就任するということで、日本の国もいろいろとこれにかかわってくると思うのでありますけれども、これからの国際貢献と申しましょうか、そういう方面へのお考えを最後にお伺いして、終わりたいと思います。
#131
○国務大臣(羽田孜君) かつての明石カンボジア代表が今度あちらに派遣されるようになりましたのは、やはりカンボジアでの活動というものが非常にきめの細かいものであって、しかも民生、いわゆる道路ですとかあるいは橋ですとかまた選挙監視を手伝うとか、そういった問題の中で、国民に対して平和、あるいは選挙というもの、あるいは民主主義というもの、こういうものがいかに大事かということの非常にきめ細かい広報をしたそうです。そういったことによってカンボジアの和平というもの、選挙というものは成功したということでありまして、こういった経験というものをぜひともユーゴスラビアで発揮してもらいたいということで今度行かれるということであります。
 ユーゴスラビアにつきましては、難民の問題ですとか、いろんなところを通じながら今日まで我々いろいろと協力してまいったわけでありますけれども、私どもは力ということじゃなくて、そのほかの問題でやり得ることについては、やはりあそこに平和をもたらすということは国際社会にとっても大変大事なことでありますから、我々としてもでき得る限りの声援をしなければいけないだろうというふうに思っております。
 以上であります。
#132
○委員長(井上吉夫君) 以上で磯村君の質疑は終了いたしました。(拍手)
    ―――――――――――――
#133
○委員長(井上吉夫君) 次に、足立良平君の質疑を行います。足立君。
#134
○足立良平君 私は、民社党・スポーツ・国民連合を代表いたしまして質問をいたしたい、このように思います。
 まず最初に、米の問題につきまして総理の見解をただしたいと思います。
 昨日、政府が公表いたしましたドゥーニー調整案を見ますと、従来政府が説明をしてきた内容と重大なそごがあるのではないかというふうに私は実は受けとめているわけであります。
 国会で今日まで論議をしてまいりましたのは、政府としては米の自給を堅持していく、こういう考え方を述べてきているわけでありますが、一方、この秘密交渉と批判されかねないそういう交渉が今日まで行われてきたということは私は大変遺憾なことである。しかも、その内容につきましては、このドゥーニー調整案では七年目以降の対応いかんによりましては例外なき関税化を認めた内容と同様なのではないだろうか、このような疑問も実は私は持つわけであります。しかも、本日のマスコミ報道等を見ておりますと、総理あるいはまた官房長官等にも交渉内容について正確に報告がされていなかったがごとき報道も一方ではなされている。
 こういうことがそれぞれ出てきているわけでありまして、そういう面からいたしますと、細川内閣が国民をだましているんだ、あるいはまた国会を軽視していたんではないか、このような批判といいますか、そういうものを避ける意味におきましても、今日までの交渉の経緯あるいはまた今後の見通し、そういうものにつきまして総理の方からまず明確にしていただきたい、このように思います。
#135
○国務大臣(細川護煕君) 主として昨日公表されました調整案の問題につきましての関連してのお尋ねでございますが、昨日公表いたしました調整案に示されているような具体的な形では私は残念ながら承知をしておりませんでした。
 一般的には、特例措置が認められるに当たりまして代償を払わなければならないという考え方は骨子にも示されているわけでありまして、追加的な譲歩というものもこのような考え方の延長線上にあるものと認識をいたしております。その意味で特段新しい要素ではないというふうに認識しているところでございます。
 このような問題は早晩これは議会にお諮りをし御理解を賜る性格のものでございますし、秘密裏にと申しますか、そういう形で国際的に約束などするわけはございませんし、またできるものでもございませんし、意図的に伏せようということでやってきたということでは全くございませんということでございます。
 しかし、いずれにしても、このような重要な事柄について十分な御説明を欠きましたことにつきましてはおわびを申し上げなければならないと思います。
#136
○足立良平君 今、総理の方から、こういう事態の生じたことについて遺憾の意を表明されているわけであります。
 私は、このウルグアイ・ラウンドという問題は、何といいましても国益を中心に、そしてしかも日本の農業というものをどのように守っていくのか、この二つの問題を両立させていくということが我が国の今日の置かれている一番大きな立場なのではないか、重要な視点なのではないか、このように思っているわけであります。
 そういう観点で、このウルグアイ・ラウンドというものは、米のみじゃなしに米以外の農産物につきましても大変いろんな影響を与えてくるのでないか、あるいはまた銅やすずやあるいはニッケルとかいわゆる非鉄金属の問題についても、アメリカとECとのこの問題も進んでいったらいろんな大きな実は日本の産業構造上の問題に影響を与えてくるものだろうというふうに実は思っているわけでありまして、そういう面でこれからこの問題につきまして、今後の見通しといいますか、その点について何かあればひとつお聞かせを願いたい、このように思います。
#137
○国務大臣(細川護煕君) 昨日も申し上げましたように、この調整案というものは多数国の間の複雑な交渉の結果ようやくまとまって出てきたものでございますし、ドゥニ議長が我が国の立場にも配慮をしつつ、各国の国益がせめぎ合いをする中で我が国としても我が国の主張してまいりました立場というものが、もちろんこれは決して満足のいくものではございませんが、我が方の主張が相当程度反映をされたものであろうというふうに受けとめておりますし、ドゥニ議長もそのようなことを十分踏まえて対応をしていただいたものであるというふうに受けとめております。
 この段階に至りまして我が方の主張がさらに入れられるかどうかというお尋ねでございますが、この点については極めて厳しいというふうに率直に申し上げます。
#138
○足立良平君 これも既に本委員会におきましても議論をされているわけでありますが、細川内閣が成立をした、これは私は、今日までの政治のシステムあるいは経済のシステムあるいは社会のシステム、そういうものが大きく変わっていかなければ今日の我が国の当面している問題の解決はできない、そういう事態に今至ってきていることが逆に言うたら今日の細川内閣が成立した一番大きな要因だろうというふうに実は思っているわけであります。
 そういう面から考えてみますと、今までと同じような手法で政治というものを進めていくことはやはり不可能な状態になっている。その面からいたしますと、例えばこの米の問題にいたしましても、政治改革の問題にいたしましても、あるいはまた税制改革の問題にしても、これはもう今までの内閣が一つの内閣でひょっとしたら一つがやれるかやれないかのような問題。それほど大きな問題を今抱えている。そういう面ではもっともっとその実態を、あるいはまた、こうしなければならない、こういう問題点はあるけれども、これは国民に向かってひとつ辛抱してくれと直接的にやっぱり訴えていかないと今のいろんな問題に対する対応というものは本当に難しい、解決をすることはできないのではないか、私はこういうふうに実は思えてなりません。
 そういう面からいたしますと、私は細川総理が例えばテレビ等に出演して今日の日本の置かれているそういう問題にもっともっと積極的にやっていただきたいということを、答弁は要りませんけれども、申し上げておきたい、このように思うわけでございます。
 さて、その上で、今日の経済問題等についてちょっと入らせていただきたいというふうに思うわけであります。
 今日のこの長期不況というものについて、その原因がどういうところにあるかということについては既にいろんな議論がされております。私はあえてもう一度経企庁長官にお聞きをいたしたいと思うわけであります。
 今日まで約三十兆円を超える補正予算を組んで、そして今回のこれをやってきた。しかし、それもだめ。あるいはまた平成四年、平成五年の通常予算につきましてもまさに景気刺激的な予算というものが組まれて今日まで来たけれども、まだまだ先行きの見通しというものは立っていない。この状況というものを考えてみたときに、問題は本当のところそれぞれの要因というものを一体どのように考えているのか、この点につきまして経企庁長官から説明をしていただきたいと思います。
#139
○国務大臣(久保田真苗君) 御指摘のように、景気は大変不況が長期化しております。
 今度の不況の長期化の特徴を見ますと、やはり複合的な要素がございまして、通常の循環的な要因、それに加えまして、一つはバブル期の過度の投資や消費、それに対する反動、今なおバランスシートの悪化というものが残っておるわけでして、それに加えましてバブル後のマインドへの影響というのがございまして、特に企業家、また消費者へもその影響が残っていると思います。加えまして、ことしの二月からのスピーディーな円高、これがマインドに非常に悪影響を及ぼしたということがございまして、ことしの前半は状況が非常に落ち込んでいる、総じて低迷ということになっていると思います。
#140
○足立良平君 私は、今、経企庁の長官が言われたほかに政策的要因というものをやっぱり無視できないのではないか。これは考えてみますと、これは平成三年でありますけれども、四月に前回の景気の山がある。それ以降、公定歩合にいたしましても三回にわたって小刻み的にどんどんどんどん落としている。それから昨年、平成四年の場合にも二回にわたってやっている。それから、ことしになりましてもこれまた小刻み的に二回ぐらいやっている。
 これは一般的に、この種のいわゆる公定歩合あるいは金融の緩和なり、あるいはまたこの点についての問題でありますけれども、これを考えてみますと、こういう長期の構造的ないろんな問題をはらんでいる景気の中で、今小刻みに物を処理していくというのはすべて織り込み済みの、今の株価の問題も含めてあるわけでありまして、そういう面からいたしますと私はむしろ政策的要因というのが極めて大きいのではないかというふうに思えてならないわけであります。そういう面で、きょう日銀総裁も来ていただいているわけでありますが、そういうふうな小刻み的な公定歩合等の金融政策を進めてきた考え方は一体どこにあったのか。
 それから二つ目に、例えば見通しが今はっきりしていないわけでありますから、金融問題、公定歩合の今後の考え方について総裁の考え方をお聞きいたしたいと思います。
#141
○参考人(三重野康君) 今、委員のおっしゃいましたような御批判があることは私ども十分承知しておりますが、私どもの考えを申し述べたいと思います。
 いわゆる平成景気の頂点というのは、委員が今御指摘になりましたように一昨年の四月ということに一応なっております。私どもが金融の緩和を始めたのは一昨年の七月一日でございますから、間もなく金融緩和を始めたということだと思います。それで、今これも委員が御指摘のように、その後変化の激しいときではございますが、絶えず景気を見直して七回にわたり公定歩合を下げたわけでございます。それは中央銀行の常道としましてそのときそのときの景気を見直して下げていったということでありまして、私どもとしてはかなり思い切った作業をしてきている。実に、今の公定歩合一・七五%というのは本店でもたびたび申し上げましたが、百十一年の日本銀行の歴史の中では一番低い水準でございますし、公定歩合に限らず市場金利、貸出金利、このほとんどが中央のボトムを更新して最も低い水準まで下がっているわけでございます。にもかかわらず景気がなかなかよくならない、これが委員の御質問の背後にあるものだというふうに思っております。
 今回の景気停滞が長引いた理由はいろいろあると思います。今、企画庁長官がおっしゃったことに尽きるわけでございますが、私は四つあると思っております。と申しますのは、現在はいわゆるバブル時代の行き過ぎを調整する時期でございまして、したがってまず第一にバブル時代の山が高かったので谷が深い。すなわちストック調整にかなりの時間を要する。これは、しかしある程度進んでおります。
 第二は、やはりもう一つのバブルの残した遺産でありますバランスシート。これは企業も金融機関のバランスシートが傷ついているわけでございますが、その修復はややおくれぎみではございますが、やはりリストラに努めて今のところ進行していると思います。
 第三は、ことしに入ってからの急速な円高。これは一時百二十五円が百円まで下がりました。今は百八円台まで戻りましたが、この水準でもやはり対応にはまだまだ時間がかかるというふうに考えているわけであります。
 そういうことでございまして、それにもう一つ最後につけ加えるならば、やはり企業マインドが非常に悪い。これは景気の停滞が続くから企業マインドが悪くなり、企業マインドが悪いからまた景気の停滞が続くという悪循環ではございますけれども、そういうことでございます。
 それでは金利を下げた効果は全然ないのかということになりますが、それはそうではなくて、こういうバブルが一たん生じました後の調整は、調整にめどがつくまではやはり表立って投資を引き出すとかそういう効果はございませんけれども、企業の収益を下支えするという意味でかなり大きな効果は既に発揮しているはずでございます。例えば住宅投資というのは一番先にストック調整が終わりましたが、低金利のもとで再び堅実な動きを取り戻したのが証拠でございまして、今はまだ各方面の調整はもう少し時間がかかりますが、それが終わって新しい前向きの経営に転じます場合は今の低金利というのは非常に大きな効果を持つと思っております。
 それで、今後でございますが、今はこれまでの財政金融政策の効果をもう少し見守っていくと。例えば金融につきましても、既に今週に入りまして短期プライムは〇・三七五下がって三%、長期プライムレートは〇・三下がって三・五%になりました。こういった効果も出ますので、当分は現在の情勢の推移を注意深く見てまいりたい、かように考えております。
#142
○足立良平君 次に、これは経企庁長官にちょっとお聞きをいたしたいと思うんですが、景気の見方というものについて、それぞれの統計指標を見ておりますと実は大変に指標の出方が遅いというふうに思えてならないわけであります。これは、実際的にはきちんと間違いのない確定値を算出するというのは結構なことでありますけれども、これほど急激に経済が動いているときに確定値をつくるまでに相当時間をかける、三カ月くらいはもう十分にかかっているわけでありますから、そういう面では米国が今行っているように、例えば概算で出して、後、修正をしながらきちんとしていくという手法を取り入れながら即応していく態勢というものが必要なのではないか、このようにも思うんですが、その点につきまして経企庁の考え方をお聞きいたしたいと思います。
#143
○国務大臣(久保田真苗君) 御指摘のように、確かにアメリカでは当該四半期終了後、一カ月目下旬に暫定値というのを出しまして、二カ月目下旬に速報値、三カ月目下旬に確定値と、三度やっております。ただ、結果的に見ますと、速報値とそれから暫定値にはいろんな制約がございますので、速報値との間に相当の乖離が生じて、また修正というようなことになるというふうなことも聞いております。
 ヨーロッパで見ますと、ドイツなどは大体ほぼ日本並みの二、三カ月、日本の場合二カ月半が普通でございますけれども、そういうことになっておりまして、日本の場合は、私どもが扱いますのは一次統計を集めてそして二次統計というものができるわけでございますけれども、一次統計の公表の時期によってかなり左右されます。私どもとしては、例えば月例経済報告というようなところで月々統計を収集、分析しますとともに、産業界からのヒアリングという形でそれを補っております。
 しかし、確かにこのような状況のもとでは足元が非常に早く知りたいということがございますので、その点については先行指標の開発ということをぜひやらなければならないということで力を入れておりまして、改善したいと思っております。
#144
○足立良平君 その上で、今日の景気の一番の問題点はやはり個人消費をどのように喚起していくのかということではないかというふうに思っております。
 そういう点で、私は三つか四つを一緒にもう時間の関係で申し上げて、それぞれの担当大臣から考え方をお聞かせ願いたいと思うんです。
 まず一つは建設省の関係であります。これは昨日も梶原議員から出されましたけれども、いわゆる住宅投資の問題。きょうのNHKのニュースを見ておりますと、概算要求で五十五万戸に十万戸プラスして再度大蔵省に折衝するんだということがちょっと出されておりますが、私はその住宅投資というのがこれからの景気浮揚の対策には大変重要なことだろうというふうに思っておりますので、その事実があるのかどうなのか、まずお聞かせを願いたい。
 それから二つ目に、これは厚生大臣にお聞きをいたしたいわけでありますが、やはり住宅問題の中で、厚生省としても高齢化社会に向かって在宅ケア、そういう家屋の改造の問題について取り組んでいかなきゃならないというふうに考えておられるようでありますけれども、これは単に高齢化社会の問題で在宅ケアというよりも、やっぱり住宅問題として、いわゆる景気浮揚の一環としてもこれは積極的に取り組んでいく必要があるのではないか、このように思うわけでありますが、これに対する考え方をお聞かせ願いたい。
 それから、同時に厚生省にお聞きをいたしたいわけでありますが、先ほどもこの委員会におきましていわゆる福祉ビジョンの関係が出されているわけであります。この福祉ビジョンの関係というのを考えてみますと、これは高齢化社会における福祉ビジョンというだけにとどまらずに、実際的に日本の貯蓄性向というのは欧米に比較して極めて高い。そして、その要因というのは、何といいましても、住宅の問題なりあるいはまた子供の教育費の問題なりということとあわせて老後の生活保障という観点が大変強いわけです。
 そうすると、個人の消費を拡大していこうとするなら、将来に対する安心感というものをどのように確立するかということは将来的に個人消費を拡大していく大変重要なファクターになってくるのではないか、私はこのように思っておりますので、そういう観点からこの問題についてひとつ考え方をお聞きしておきたい、このように思うわけであります。
 それともう一つ、これは大蔵大臣にお聞きをしたいわけです。減税の問題についていろんな議論があります。しかし、今の段階において残されているのは、私は、やっぱり減税問題ももう一番大きな要素になっていることは事実、その要素の中で考えてみますと、中堅層の云々という話があります、税の負担率が高いということ、しかしこれは税調の方でその金額は大体七百万か八百万くらいを想定されているようでありますが、例えば大蔵大臣の言われる政治的な判断で個人消費を拡大していくという観点からこれを考えてみますと、現実に今、日本の企業規模別に見ますと、十人未満の企業規模でいいますと平均賃金は三百四十八万、そして五千人以上であっても六百十四万の平均賃金である。
 例えばそれを業種別に見まして、一番高いと思われる金融産業が平均で五百五十五万、繊維工業の場合においては三百四十九万、これは平成四年度の賃金であります。こういう賃金で、そして政治的に個人消費を拡大していこうという観点で減税問題を考えようとするなら、七百万、八百万の問題に焦点を当てた減税議論というものは現実的にはそうなっていかないのではないかというふうに私は思うわけでありまして、したがってそういう観点で私は、この減税問題というものもいわゆる大卒のしかもモデルを組んだ上での話というのは現実の日本の実態に合わない、このように思えてならぬわけでありまして、そういう点で大蔵大臣の考え方をお聞きいたしたいと思います。
#145
○国務大臣(五十嵐広三君) 住宅の問題でありますが、御承知のように昨年は五十五万戸でありますが、今年は当初で五十五万戸、それから六月の補正で五万戸上積みして九月にさらに十万戸で、今年は一気に七十万戸という融資対象の戸数にしているわけであります。
 明年度の計画でありますが、一応概算要求では、御承知のように我々も入閣いたしまして、その折にはもう既に概算要求はほぼ固まっている状況であったものでありますから、各般について十分なチェックができなかったのでありますが、しかし、住宅に関しては特に明年度は力を入れたいと、こういう思いもありまして大蔵省に対して、概算要求に一項加えて、住宅の、殊に住宅金融公庫の戸数等の増についてはお願いを申し上げたいと。つまり追加要求をするということを申し入れてございまして、その後、大蔵省とも今話し合いを進めているところであります。
 ただ、概算要求では五十六万戸で前年の五十五万の当初に対して一万戸増ということになっているわけでありますが、今年は景気対策も含めて七十万戸やっているわけでありますが、その水準を明年度の当初にそのまま持ち込むというのはいささか無理ではないかというふうに思うわけであります。
 全体の状況は今のところ公庫の受け付け等の状況もそう陰りはないようでありますし、まあまあいいところにいけるとは思うものの、最近の雇用状況等も勘案してそこそこのところにしながら、必要があれば明年当然補正で上積みをするというようなことにすべきであろうと思いまして、今のところ、明年度に関しましては概算要求五十六万戸に一定の上積みをしてもらう、それはほぼ六十万台の前半ぐらいのところと、こういう感じで今のところ考えているのでありますが、これはしかし大蔵大臣と十分に協議しながら最終的には決めてまいりたい。
 あわせて、例えば買いかえの税制の特例等につきましても、上限を従前の一億を二億円まで伸ばすことであるとか、あるいは容積率の緩和の問題、殊に先般来問題になっています住宅の地価の容積率の緩和の問題、これもこの際思い切って緩和をしていこう、全体の坪数の四分の一までぐらいの面積であればこれを地価の場合は除外するというようなこと等も検討いたして、全般を通じて住宅の促進に努めてまいりたい、こういうぐあいに思っているところであります。
#146
○国務大臣(大内啓伍君) 今、六十五歳以上の御老人、高齢者は大体千六百万人強でございます。これが七年後、二〇〇〇年になりますと二千二百万人、さらに二〇二五年になりますと三千二百万人を超える、こういう状態でございまして、したがって御老人つまり高齢者に対する潜在的な住宅の需要というものは極めて強いものがございます。そういう観点から、委員が、在宅ケアのための住宅改造を進める場合の高齢者対策として、同時にまた景気対策というものをにらみながらこういう施策を強化すべしという議論は当を得た議論であろうと思っているのでございます。
 したがって、今御審議をいただいております補正予算におきましても、約五十億円ぐらいの予算をもちまして高齢者のための住宅改造についての融資等を中心とする予算措置をお願いしている次第でございます。具体的には、高齢者住宅整備資金貸付事業というのがございますし、さらには年金福祉事業団が行っております年金住宅融資の中で在宅ケアのために必要な住宅改造に対する割り増し融資、これは一件百七十万円ぐらいでございますが、そういうものを整備したいという観点から年金住宅の融資枠といたしましては当初一兆五千億円を計上しておったのでございますが、景気対策といたしまして本年四月には三千七百億、九月にはさらに四千億を追加する、こういう措置を今とっている次第でございます。
 そして、来年度に向けての概算要求におきましても、在宅ケア対応住宅資金貸付制度の創設という形で、いわゆる在宅ケアの住宅改造という問題についての低利融資を行いたいということで予算的にも要求している次第でございまして、御指摘のような観点からこの問題は進めてまいりたいと思うのでございます。
 それから、もう一つの質問は日本の貯蓄率は高いではないかというお話でございます。
 確かに現状では日本の国民の貯蓄率は年収の一五%を貯蓄に回しておりまして、アメリカの四・九%、イギリスの五・七%と比較いたしますと極めて高いわけでございますが、なぜ貯蓄率が高いかといいますと、第一がやはり老後の生活に対する備えなのでございます。そして、第二には病気、災害、第三には子供の教育ということになっておりますので、将来の高齢化社会に向けての福祉ビジョンというものが明確になってまいりまして、公的資金その他で老後の生活に心配はない、こういう状況が明らかになりますと、この貯蓄率というものが減少してくる、こういう可能性は大いにあるわけでございます。
 もちろん、貯蓄率の高いことの功罪という面は両方にあるわけでございますけれども、そういうものを低めていく対策といたしましては、高齢化福祉社会のビジョンを明確に政府の責任において示すということが大事でございますので、けさ来も御説明申し上げておりますように、これを来春
早々までにつくり上げまして、定量的な面でも一つの構想をお示しをいたしたいと思って努力しているさなかでございます。
#147
○国務大臣(藤井裕久君) ただいまのお話で、余り数字のことを細かく言う気はありませんが、一つ感じておりますのは、金融などは独身女性などが非常に多いわけです。だから全体を下げるわけです、所得の水準を。
 それから、今の七百万というのは、これは一つのモデルなもので、夫婦子供二人という水準を掲げているわけです。したがって、独身の方はもっと早い時期からこういう上がっていく事態が出ますから、その点は割り引いて考えていただきたいと思います。
 それからもう一つ、税制調査会の話が出ましたが、これはやはり税の基本的あり方の問題を言っておられると思います。私は財政の機能の中に所得再分配効果というのはあるんだと思います。サッチャー政権が出る前のイギリスは最も急角度だったわけです。しかし、今日本が最も急角度になっているという事実があって、所得再分配効果としてはそれは意味があるんですが、同時にこれが次の長寿社会を支える仕組みとしていいのかということを考えれば、当然これを寝かせていかなければならない、こういう角度からの御指摘が税制調査会であり、私はそれを高く評価している、こういう趣旨であります。
#148
○足立良平君 この点にはついてはちょっと時間がございませんので、次に議論を譲らせていただきたい、こう思います。
 私の最後の質問になろうかと思いますが、円高の問題についてそれぞれ関係大臣の考え方をまずお聞きいたしたいというふうに思うわけであります。
 考えてみますと、日本の経済をここ二十年くらい振り返ってみますと、例えば第一次の石油ショック、第二次の石油ショック、それから円高不況、そして今回のという大きな景気の波があります。
 その状況の中で考えてみますと、企業のリストラというのは、そういうふうな状況で何としても生き抜いていくという大変なリストラをやっていく、そしてそのことが結果として企業の国際競争力ということを高めて、そしてまた次に円高を招来するという、この繰り返しを今日まで我が国の経済、企業というものはやってきた。そして今日の円高の大きな問題が出てきている。それは企業の側におきましても大変な問題を惹起いたしていますし、地域社会においても問題点があるし、またそこに働いている日本の勤労者というものが例えばこれほど急テンポに大きな能力の転換を迫られているということは、ゆとりある社会あるいはまたそういう状態を考えてみると、私は大変憂慮すべき状況が今日までの我が国の経済の実態だったんではないかというふうに思えてならないわけであります。
 そういう点を考えてみると、これからの日本の産業構造というものが、とにかく不況から脱出するというだけにとどまらずに、どういう産業なりどういう企業社会というものをつくっていかなければいけないのかという観点での産業政策というものが確立されていかないと、私は、これは将来に対して憂慮すべき状況をまた繰り返してしまうというふうに思えてならないわけであります。
 そういう観点で通産大臣もいろんな点を今日まで言われてきているわけでありますけれども、そういう観点でこれからの産業構造というもの、特に今電器産業はどんどん海外に出ていってしまって空洞化も出てきているわけでありますから、そういう点を含めて考え方をお聞かせ願いたい。
 そして労働大臣、まことに申しわけございませんが、一点。
 そういう面で雇用調整というものはますますこれから本格化してまいります。あるいは企業の空洞化というものも進んでまいるでしょう。そういう場合における例えば雇用政策というものを労働省として一体本当にどうしていくのかということを最後にお聞きいたしたいと思います。
#149
○国務大臣(熊谷弘君) 長期にわたる不況下の中で、特に円高も加わった中で、従来の日本の産業の変化と現在の状況を踏まえた上での先生の御認識、方向というのは実は私どもも全く意見を共有するものでございます。共通の認識でございます。
 文字どおり、現在は御指摘のように、電器だけではなくて自動車も含めて従来日本の経済のいわば牽引車でありました産業が大変な状況に今追い込まれておるわけでございます。その結果として、後に労働大臣からもお話があろうと思いますが、特に雇用面におきまして大変なプレッシャーがかかっておるわけでございます。もう御指摘のようにこれらをこのまま座視するわけにはまいりません。やはり日本の経済の持つ潜在的な能力ということを考えますと、適切な政策を展開いたしまして、新しい産業構造をつくり上げていかなければならないと思っております。
 そのためにはまず第一に、何よりも私は適切なマクロ経済運営というものが必要だと思っております。それは新しい産業が生まれてくる環境を整備すると同時に、円高の中である意味では浮き足立ってしまいまして、本来日本の中に製造能力というのが十分残ってやっていけるにもかかわらず、また日本の立地条件の中できちっと足元を固めれば十分やっていけるにもかかわらず、海外進出を雪崩を打ってやると。かつてレーガノミックスの時代にアメリカの産業がそういう経験を踏みましたけれども、私はそういうことを抑える意味でも、また同時に後ほど申し上げます産業のリストラというものを適切に展開するためにも、まず第一に何よりもマクロの適切な経済運営がなされなければならない、こういうふうに思うわけであります。
 第二に、しかしながら、先生御指摘のように現に日本の企業は今大変な努力をしてリストラをやっておりますけれども、それらが適切に機能するように内外価格差の是正でございますとか、あるいは企業レベル、業種レベル、そして全体のいわゆる構造転換、構造再構築といいますか、そういったリストラができるような競争条件の整備、規制緩和なんかもそうでございますけれども、そうしたものを含めたミクロの政策がやっぱり整備されなければならないと思っております。
 第三番目に、何といいましても構造調整のいわばマクロとミクロの積み重なったセミマクロ的な政策が用意されなければならないのでございますが、いずれにいたしましても今私ども産業政策の当事者として自分ながら自戒の意味を込めて反省をいたしておりますのは、今何よりも求められているのは、これだけの潜在能力を持っている企業、産業がある中で、一方でやっぱりどうしても海外展開もしなきゃならぬだろう、縮小しなきゃならぬところもあるだろう、しかし伸びる分野、新規に十分やっていける分野、これについて明確にし、それに対する政策を一刻も早く提示をしていかなければならない、こう考えているところであります。
#150
○国務大臣(坂口力君) 先生が御指摘になりましたように、産業構造の転換は確かに起こってきているというふうに私たちも認識をいたしております。今また通産大臣からもお話がありましたように、その方向性というものもだんだんと明らかになりつつあるというふうに思いますが、またしかしもうひとつその方向性が明確ではないわけでございます。しかしながら、その産業構造の転換の方向性が明確になりましてから雇用構造を転換しておりましたのでは遅くなり過ぎますので、我々といたしましては今から雇用の転換をできるようなそうした構造、機能はつくりあげていかなければならないだろう、とりわけ中高年のホワイトカラーのところに雇用調整が集中いたしておりますので、そうしたところをより重点的に考えながら進めていかなければならないのではないかというふうに思っております。
 そうした方向性をこれから堅持してそして進んでいきたいというふうに思っておりますが、もう一つは全体の流れというものにつきましてもよく考えていかなければなりません。雇用全体の流れも十分に考えていきたいと存じます。今までの我々労働省の政策は、どちらかと申しますと終身雇用制を中心といたしました今までの日本の雇用制度を維持していくような方向の政策が多かったわけでございますが、これだけではなくて新しい方向の、そうした雇用を転換できるような方向の政策を加味していかなければならない、こんなふうに考えているところでございます。
#151
○足立良平君 ちょっと済みません、一点だけ。
 一つだけ短期的な問題で、これも本委員会で議論されているんですが、金融機関が不良債権を大変たくさん抱えている、そして年末の中小企業の融資というものが大変滞っているような状況がございます。この点について、特に中小企業の年末融資について通産省、特に中小企業庁の方の考え方を最後にお聞きいたしたいと思います。
#152
○政府委員(長田英機君) 私どもとしましては、累次にわたる総合経済対策におきまして中小企業の金融対策につきましては最大限の努力を傾注してきたところでございます。現実に政府系の中小企業金融機関の貸し出しは非常に順調に伸びておりまして、数字で申し上げますと、平成五年度四月から十月までをとりますと中小公庫で約二二%の増、国民金融公庫で約一九%の増というふうに非常に伸びているわけでございます。また、去る九月の緊急経済対策におきましても、総額一兆円を超える貸出規模の追加ということを決定いたしまして、本補正予算案においてもそれを織り込んでお願いしているわけでございます。
 また、先生今御指摘の年末対策につきましては、政府系の中小企業金融機関や信用保証協会に対しまして、十一月の三十日に年末の金融繁忙期を迎えて貸し出しや保証手続の迅速化など適切に対応するように指導しているわけであります。さらに民間の金融機関につきましては、私どもお願いしているわけでございますが、金融当局の方から民間の金融機関に対しまして貸し付けにつきまして一層配慮を行うというような指導が行なわれております。
 こういうようなことを通じまして、中小企業の金融の円滑化には万全を期してまいりたいと思います。
#153
○足立良平君 どうもありがとうございました。
#154
○委員長(井上吉夫君) 以上で足立君の質疑は終了いたしました。(拍手)
    ―――――――――――――
#155
○委員長(井上吉夫君) 次に、吉岡吉典君の質疑を行います。吉岡君。
#156
○吉岡吉典君 私は、日本共産党を代表して、米問題、不況対策を初め幾つかの問題で細川内閣の基本姿勢をただしたいと思います。
 まず最初に、細川内閣が国民の怒り、私ども日本共産党の申し入れをも無視して米の自由化受け入れ、関税化受け入れに等しい調整案の受け入れを決定しようとしていることに強く抗議し、この態度を改め国会決議を貫くよう求めるものであります。
 さて、きのうのこの委員会での論議以来、調整案の新しい内容も明らかになり、農民を初め国民の間に大きい怒りが渦巻いております。改めてこの内容をすべて明らかにしていく必要があると思います。そこで私は、以下、外務大臣にお伺いいたします。
 この内容は、第一に最低輸入量、ミニマムアクセス、これで四十万トン−八十万トンの米の輸入を義務づけられます。この対象にならない米以外の二十品目はどうなりますか。
#157
○国務大臣(羽田孜君) 今私どもが特別な例外措置を確保できるというのは米に限られておるということであります。
#158
○吉岡吉典君 そうすると、米以外はすべて発効と同時に関税化ということになる、こういうことですね。
#159
○国務大臣(羽田孜君) 幾つかの問題につきましては我が国と同様にこの関税化というものに対して拒否をしておった国もあります。しかし、そういった国も全体の趨勢の中でやっぱり関税化をのみ込まなければいけないということで、その関税の高さというものは、その国の価格あるいは外の国の価格というもの等を勘案しながら一つの公式によって関税が決められるわけでありますけれども、今までの国境措置を関税化に置きかえるという措置をとらざるを得ないということであろうというふうに思います。
#160
○吉岡吉典君 それでは、アメリカなど農産物輸出国の問題ですけれども、ウェーバーあるいは輸出補助金、これらはどうなっておりますか。
#161
○国務大臣(羽田孜君) ウエーバーについては、これはガットの中で一応許されておったといいますか、当時始まったときにその権利をとっちゃったものでしたね。しかし、そういう中にありまして、今度私どものものが扱われるときに、一緒にずっと扱われてこられながら、今私どもが得ております情報によりますと、これはすべて関税化されるというふうに聞いておるところであります。
 それからもう一つ、補助金等につきましては、これはブレアハウス合意が中心になって盛んに議論されておりましたけれども、この中で、これも今までは輸出補助金というのはいけないということはガットの中になかったわけでありますけれども、これは一つの方向が出されるものであろうというふうに確信をいたしております。
#162
○吉岡吉典君 日本側が求められる犠牲ははっきりしているわけですが、アメリカ初め農産物輸出国の側は、聞いているあるいは何かあるだろうということでは問題が残ります。はっきりこの場で説明してください。
#163
○国務大臣(羽田孜君) これは実はガットの中での交渉でありますから、それぞれのよその第三国の問題について、これがどういう交渉になったという結果について私たちが今申し上げるということは実はできないという立場であります。
#164
○吉岡吉典君 そうすると、こういうことを国民の前にははっきりさせられないまま日本農業を破壊に導く重大な調整案を受け入れる、こういうことだと言わざるを得ません。こういうことでは国民はいよいよ納得できない、私はそう申し上げておきたい。
 それでは、この猶予期間の六年が過ぎた後どうなるか、論理的には三つの可能性が考えられます。一つは白紙に返る、二つは今の特例措置の継続、三つ目は関税化、この三つの可能性がすべてあるのかどうなのか、協定上はどうなるのかということをお答えいただきたいと思います。
#165
○国務大臣(羽田孜君) まずはその前に、何か日本農業を破壊させるというお話があったわけでありますけれども、もしガットで私たちがここでこの譲歩というものがないとしますと、それでは日本というのは一体どういうことになるんだろうか。関税化も拒否するということであるならば、残念ですがこれをまとめることができないということです。もしまとまらなかったときには、まさに日本の米そのものが例えばパネルに提訴されるとか、あるいは一方的なアメリカあたりの措置、こういったものによって三〇一条でどうのこうの、実はこれはもう御案内のとおり、昭和六十年ですか、一回目、そして二回目は昭和六十二年にアメリカでRMAが米を提訴しております。
 しかし、ガットの中で議論しましょうということの中で、二国間でやらないということで実は今日まできたという経緯があるわけでありまして、ガットがもし成立しないとしたらそういった方向にいくということ、私たちは本当にそこまで憂えなきゃならない。しかし、先生が今言われたことをずっと私どもも言い続けながら、今日のものを今ある程度確保しつつあるんだということを御理解いただきたいと思うわけであります。
 それから、今御質問のございましたその白紙という意味を、もともともとに戻りながらというより、特例措置というものを続けるのか、あるいは関税化をするのか、これはもうそこで議論されるものであるということを実は申し上げてまいったわけでありまして、ですから、あとの二点の特例措置あるいは関税化、こちらのいずれかをやっぱり選択するというものになるのであろうというふうに思っております。
#166
○吉岡吉典君 今、羽田大臣が、これを受け入れなかったらどうなるかとおっしゃった。私はこれは大変な発言だと思います。ついこの間まであなた方は国会決議を貫くと言っていた。そのあなたが、受け入れ方針がほぼ決まったら今度は受け入れなかったら大変だと言って、農民、国民、我々におどしをかけている。そういうことですよ、それは。
 急に態度を変える、そういうことで農民が納得できますか。だからデモが毎日起こっているわけですよ。
 今、二つのケースしかないとおっしゃった。それでは、特例措置継続の場合の条件はどういうものか、これを答えてください。
#167
○国務大臣(畑英次郎君) 特例措置の継続というのは七年以降という意味合いで受けとめさせていただくわけでございますが、その六年の期限が切れます一年前に協議を再開する、そういうような内容に相なっておるわけでございます。七年目からは自動的に関税化というものが我が国に課せられるということではなくして、よく私が俗っぽい形でもってお話しをさせていただくわけでございますが、いわゆる関税化分野につきまして七年目には自動的にあぶり出しのように関税化というものに移行する、そういう性格のものではない、かように御理解を願いたいと思っております。
#168
○吉岡吉典君 私が聞いているのは、特例措置を継続する場合の条件のことを聞いているわけです。
#169
○国務大臣(畑英次郎君) ただいま申し上げますとおり、協議が再開をされる、そしてまたその節には関係の方々の御理解を得る。先ほど総理も御答弁をなさったわけでございますが、そこにそれなりの従来の一つの荷が課せられる話し合いというものはあり得る、かように理解をいたしております。
#170
○吉岡吉典君 なぜそんなあいまいな言い方をするんですか。はっきりしているじゃないですか、調整案の中で。相手国が受け入れる追加譲歩が必要でしょう。相手が受け入れなければ、これは関税化ということになるんじゃないんですか。はっきりしてください。
#171
○国務大臣(畑英次郎君) いわゆる協議の再開でございますから、当然のことながら我が方の立場、我が方の主張、そういうものが当然そこにあっての話し合いということに相なるわけでございます。
#172
○吉岡吉典君 話し合いをやるわけですけれども、最終的には相手が受け入れる追加譲歩が必要だ、そういうことじゃないんですか。はっきり言ってください。そんないいかげんなことじゃだめですよ。
#173
○国務大臣(畑英次郎君) 我が方においても受け入れられるという要素が入ることは協議再開の中では当然の姿であると、かように受けとめさせていただいております。
#174
○吉岡吉典君 だめだよ、そんなの。何で調整案に沿ってきちっと言わないのか。そんなのではだめです。委員長、はっきりさせてください。
#175
○国務大臣(畑英次郎君) ただいま示されております調整案の内容の立場、考え方をお答えをさせていただいたわけでございます。
#176
○吉岡吉典君 国民が皆見ている前で具体的にはっきり言えない、そういう調整案を受け入れようというわけですか。
 それじゃ、関税化の場合にも条件がある、それはどういう条件ですか。
#177
○国務大臣(畑英次郎君) 七年目に関税化を受け入れるといった場合におきましては、御案内のとおり、ただいま我が方の考え方の中には関税化を受け入れるという気持ちはございません。
 しかしながら、関税化を受け入れた場合の具体的な取り扱いはどうなるかという一般論として申し上げれば、いわゆる六年間におけるスタートした時点からの一五%を引かれたものがスタートラインに置かれるということが一つ。そしてまた、ミニマムアクセスの最終年度の数字が維持されるという要素が入る、こういうことであります。
#178
○吉岡吉典君 そうすると、もうこの調整案を受け入れれば後返りの白紙ということはない、相手国が受け入れる条件での追加譲歩あるいは関税率は、すぐスタートした税率の関税と、それからミニマムアクセス、輸入義務を引き継ぐ、そのどちらかを選ぶしかないということは、関税化が事実上六年後にスタートするのじゃなくて今からスタートするということであり、これは関税化受け入れと実際上同じものじゃないんですか。関税化を原則とし、それを前提としたものだということはサザーランドも言っている。そういうものと違いますか。
#179
○国務大臣(畑英次郎君) 御案内のとおり、いわゆるガットの精神そのものが包括的な関税化、そういう中にございましての六年間にわたって例外的な措置を今回は調停案の中に盛られておる。さような意味合いでは、包括的な関税化の対象からただいま論議になっております米が外されておる、こういう内容でございます。
#180
○吉岡吉典君 あなたはまともには答えない。答えられないんだ。
 米が例外じゃない。事実上、この調整案を受け入れれば最初から関税化の原則に沿って関税化の税率も動き出す。そして六年後、これはもう関税化か今言ったような条件での継続か、そのどちらかしかない。そういうことでしょう。関税化の原則を前提とする、それを受け入れたものだとサザーランドが言っている。違うんですか、そのとおりだということですか、そこをはっきりしてください。
#181
○国務大臣(畑英次郎君) 今回は、さようないわゆる例外なき関税化を求められておる姿の中における例外的な関税化の取り扱いをただいま申し上げたような姿の中で調停案の中に盛り込まれておる。残念ながら、ミニマムアクセスという問題がもう一つの要素としてありますことは、これは私も厳しく受けとめさせていただいているわけでございます。
#182
○吉岡吉典君 そういうことではありません。
 関税化の原則を今受け入れようとしておる、そういう事態であります。だから国会決議と違うんだと。国会決議と違うそういうものの中身、あなた方は一々はっきりできないんです。もし関税化でないと言うのなら白紙にすることもできなくちゃならない、そういう問題であります。そういうことをごまかそうということでは農民は絶対に納得しない。それがきのう以来、中身が明らかになったことによって一層重大問題になっているところであります。
 国会決議に反する、そういうものだというふうには全く思わないんですか。あなた方は、この交渉結果、今取りまとめようとしているものを、交渉が成功したと見ているのか、それとも失敗だったと見ているのか。これ総理、はっきり答えてください。
#183
○国務大臣(細川護煕君) 今、外務大臣、農水大臣からるるお答えがございましたように、政府といたしましては国会決議の趣旨を体して、その精神を踏まえてぎりぎりの交渉を行ってきたわけでございまして、繰り返し申し上げておりますように、百十六カ国もの間の入り組んだ交渉でございますから、我が方の主張が一〇〇%反映をされることにならなかったことは大変申しわけなく残念に思っておりますが、しかしミニマムアクセスというものの受け入れを前提として包括的な関税化を回避することができたと、それなりに私どもの主張というものを反映をする調整案である、そのように理解をいたしております。
#184
○吉岡吉典君 外務大臣、国会決議が通ったと思っていますか。
#185
○国務大臣(羽田孜君) 国会決議そのもので反対しておりますのは、関税化というものあるいは自由化というものはいけない、この趣旨を私たちは外しながらずっと今日までそれこそ七年と数カ月間議論をしてまいったわけであります。そういう中で私どもが今覚悟をしたのは、ぎりぎりの交渉の結果としてミニマムアクセスというものはのみ込まなければならないであろうということであります。
 そして、今七年後に白紙という話があったんですけれども、七年後に白紙といって、七年たって特別に猶予されたものがまたもとへ戻ってゼロから始まるということは、これはガットのこの前のブラッセルのときでしたか、その後出されたドンケル・ペーパー、こういった中のミニマムアクセスの部分なんかを見ましてもやっぱり六年後にこれを見直すということに実はなっておりますけれども、そのときには、そこまであったものをカウントした上で、実はそれが、何というんですか、一つの基盤になってその上にまた要求するんだったら上積みするんですよということはそこにも書き込まれておるわけですけれども、しかし私は、これは関税化を受け入れたものであるというふうに思いませんし、ぎりぎりの中で国会の決議というものを私たちはそんたくすることができたんじゃなかろうかというふうに思っております。
#186
○吉岡吉典君 私は総理の答弁は大変だと思いますよ。一〇〇%我々の主張が通ったものではないとおっしゃった。一〇〇%どころじゃありませんよ。あなたらの認識は、大体よかった、成功した、そういう認識でしょう。あなたらが受け入れようとしているものは一〇〇%ではなかったがなどと言えるようなものだという認識ですか。もう一度答えてください、総理。
#187
○国務大臣(細川護煕君) 先ほど申し上げたとおりでございますが、同じことの繰り返しになると思いますが、我が方としても厳しい選択を迫られている。何とかこの国会決議の趣旨を体して最後までその主張というものが反映をされるように国際交渉の場において努力をしてきたところでございますが、残念ながらそれが一〇〇%反映される結果にならなかった、これは本当に残念なことだというふうに思っております。
#188
○吉岡吉典君 自給の参議院決議に対して根本的に違反した中身であります。一〇〇%通らなかったなどという言い分が通る、そういうものではありません。私は、そういう態度に強く農民の声、国民の声を代弁して怒りを表明せざるを得ない、そういう態度であります。
 そういう国会決議を無視したものである、だからあなた方は国民に交渉経過を明らかにすることもできなかった、秘密交渉を通さざるを得なかった、そういうことだと私は思います。そして、その秘密交渉の前提は日米の秘密合意。あとはこれをいつどういう形で表に出すか。そういう交渉をマスコミにリークしたり隠したりを織り込みながら世論操作をやってきた。これがこの間の経過です。
 その秘密交渉にはいろいろな人が動員された。きょうの新聞にも出ています。新生党代表幹事の小沢一郎さん。これもヨーロッパでの秘密交渉に参加した、こう言っております。私が調べたところでも、この秘密交渉はだれがセットしだれが同行したかということまで聞いております。一体、小沢さんをどういう資格で交渉に参加させたんですか、答えてください。
#189
○国務大臣(羽田孜君) そういう資料がおありになって実際にそういう事実があったら、私に教えてください。私は何にも知らないんですから。私は少なくもこの七年何カ月この問題にかかわってきた人間です。小沢さんが、なぜ、だれに会ってそういう有効な話をすることができるんでしょうか。小沢さん、彼個人はどちらかというと関税を容認しても新しい農政をやるべきだという考え方の人なんですよ。今のお話というのは、もしそういうあれがあるのだったら私に教えていただきたい。
#190
○吉岡吉典君 きょうの新聞にも出ています。あなた、見ていませんか。
#191
○国務大臣(羽田孜君) 持っておりません。
#192
○吉岡吉典君 こういう大事なときにそういう重大問題が出ている新聞も見ないで教えてくれということじゃ。私はそのためにここへ立っているわけじゃありません。ですから、これはあなたの方で調べてください。
 それでは、絶対そんなことはないということが断言できるかどうか、それだけ答えておいてください。
#193
○国務大臣(羽田孜君) 断言できるも何も、私は本当に知らないんですから。これははっきり申し上げておきます。
#194
○吉岡吉典君 それをここで争うことはやめます。本筋は今の日本農業の直面している重大事態です。私は小沢さんがいつ国会の請暇をとってどこへ行ったかということも聞いております。それは別の機会にします。本筋は関税化を事実上受け入れようとしているという問題であります。
 その関税化を受け入れる理由として細川総理初めどういう論理を持ち出されたか。ウルグアイ・ラウンドの成功ということを持ち出された。そして、ウルグアイ・ラウンドの成功が、それとも国会決議か、これをてんびんにかける論理で、最後的にはウルグアイ・ラウンドの成功のためにはこの調整案の受け入れもやむを得ない、あなた方の論理はこういう論理です。それで、国会決議をそういうふうに踏みにじる。
 そのウルグアイ・ラウンドの成功ということの中身は何かというと、これはアメリカの要求に基づいて行われた日米合意だ。日米合意がなかったなどというのは白を黒と言いくるめるものだと、そういうリポートが私らのところへも届いております。恐らく後から問題になるでしょう。
 そういう経過を経て、今いよいよぎりぎりのあなた方が決断をやろうとする、そういうところへきているわけであります。日米合意というのはいかなる段階でもなかったのかどうなのか、これもはっきり答えておいてもらいたい。
#195
○国務大臣(畑英次郎君) ただいま御指摘のような合意はございません。
#196
○吉岡吉典君 これまでの経過上、まあそう言うしかないでしょう。しかしこれは、そういうことを言っても、白を黒土言いくるめるものだとガットの責任ある人が言っているというリポートが出ています。そのことだけ申し上げておきます。
 細川内閣は、今述べられたような論理で国民の願いも国会決議も無視してこの調整案を受け入れようとしています。私はもう一度強く抗議するとともに、調整案を受け入れることを拒否する態度をとるようもう一度求めて、次のテーマに移りたいと思います。
 次のテーマは不況の問題であります。
 不況の問題で私が皆さんにまずお伺いしたい問題は、不況を克服するということになれば何が一番大事か。これは国民の消費をふやし内需を拡大する、そのことが不況克服の根本問題であり、不況対策といえばこれを基本に据えなければならないと思います。この点では政府も異論はないだろうと思いますが、どうですか。これは通産大臣ですか。
#197
○国務大臣(熊谷弘君) 私に対する指名でございますので、通産大臣が今の御質問に対して有資格者かどうかはわかりませんけれども、経済全体の現在の状況が大変厳しい、そういう中でさまざまな対策を講じてきたわけでございますけれども、やはり国民総生産の中で五割以上を占める消費について、これはいろいろな議論がございますけれども、減税を含めて対応策を講ずるべきだという議論が非常に多くの方面から起こっていることは私どもも承知しておりますし、またそれらの対策が講じられることになればそれなりの私は効果があるものだというふうに思っておるわけでございます。
#198
○吉岡吉典君 質問を聞いていないような態度というのは改めてもらわなくちゃなりません。深刻な不況をどうするかという問題を論議しているときですから、担当大臣の態度は遺憾であります。
 今、消費を拡大するということについては異論はない答弁だったと思います。そうだとすると、今の日本の状況の中で最も重要な問題は、不況対策だと称して進められているリストラ、これによって雇用不安が大きく広がっている、このことであります。これでは消費は拡大しない。その点をどうするかというところに不況対策の第一の問題がある。そう思いますが、どうですか。これも通産大臣にお伺いしましょう。
#199
○国務大臣(熊谷弘君) そういうことであれば、私がお答えしなければならない御質問だと思います。
 ただ、私は委員のお話を伺いまして、事態の厳しさ、そして将来の方向への正しい選択ということについての認識、これはいささか私とは意見を異にしておられますねというふうに思うわけでございます。なぜかと申しますと、現在の経済の状況というものが何ゆえにこういうことになったのかということから始めなければならないと思うのでございます。
 もう既に、足かけ三年余にわたりまして不況が続いているわけでございますが、従来の景気対策が数次にわたって行われたにもかかわらず、なかなか従来と同じような景気の回復が見られないというのは、現在の経済の不況というものが単に循環的な要因、これはもちろん循環的な要因はございますが、午前中の質疑の過程におきましても日銀総裁から消費あるいは投資の両面にわたりましていろいろ御発言がございましたが、しかしながら、それらの循環的要因ではもう律し切れない大きな構造的な要因があるというのは私は既に多くの論者によって認められている認識ではないかと思うのでございます。
 そして、企業がそういう状況を前提にいたしましてみずからのリストラを努力するのはこれは私は当然の方向だと思いますし、現に我が国よりも早くこの不況の事態に立ち至りましたアメリカは最近になりまして非常に自律反転をしつつあるわけでございますけれども、その過程におきましては、企業レベルあるいは金融なんかについて言えば全体の業種レベルで大変なリストラが行われてきているわけでありますし、政府レベルでも財政赤字の削減についてみずからのいわば痛みを伴う作業をやっているのは御案内のとおりでございます。私は、それが大きな効果を生みつつあって、今、アメリカ経済が好転の方向を歩みつつある、これは他山の石とすべきではないかと。日本の企業がこれだけの構造変動に遭遇しているわけでありまして、それに即応するようにみずからの事業の再構築、いわゆるリストラを行うのはこれは当然でございます。
 ただ、それをそのまま放置すれば、恐らく委員が御指摘の点は、雇用不安が起こりそしてそのことが消費に響いていくではないかと。私は、その限りにおいてはまさに委員の御指摘も当を得たものだと思っておりますけれども、しかしながら、だからリストラをするのは間違いだというのは、私は病気の原因を治す真の治療にはなり得ないと考えるわけでございます。問題は、それに対応する新しい産業の育成とか、あるいはリストラに当たって内外価格差の是正といった、あるいは規制緩和といった、そういった政策を講じまして、今の条件の中でもリストラの中で、より少ない雇用調整の中で企業が再生していくというようなことをやれるようにするのが私は政策者の立場ではないか、こういうふうに考えるところでございます。
#200
○吉岡吉典君 私は通産大臣の学説を聞きにここへ立ったわけじゃありませんけれども、時間がありませんから私はここでそういう論議を繰り返しませんけれども、そういうことを繰り返してきたその結果今こういう深刻な不況が強まっている。それは、不況そしてリストラ、それが不況要因を拡大するという悪循環を続けているだけだということを現実の事態が実証しているわけですよ。それを当然だという感覚では、私は、労働者の置かれた状態は大変であり不況の今まで繰り返してきた悪循環を断ち切ることもできないと思います。
 労働大臣、労働省も同じ見解ですか。
#201
○国務大臣(坂口力君) 現在、先ほどお話しありましたように、産業構造がだんだんと変化をしてきているということは御指摘を受けましたとおりだというふうに思っております。
 この産業構造の転換がなぜ起こってきたかということにつきましてはいろいろこれは理由もございますし、またこの産業構造の転換が起こっておりますことを急速に阻止しようと思いましても、これは時の流れでございますから、それはなかなかでき得ない問題だというふうに思っております。
 ただ、産業構造が変化をし、そして諸外国に一部の企業が出て空洞化が起こってくるというようなことが起こってまいりましたときに、いかなる産業を日本の国の中に残し、そしていかなる産業を海外に出さしめるか、そして日本の国の中に残りました産業をどのようにして育成をしていくか、そこに雇用をいかに拡大をしていくかということを考えていかなければならないと考えているところでございます。
 現在の雇用情勢につきましては、今さら申し上げるまでもなく、この九月、十月と有効求人倍率、完全失業率ともに悪い方向に向かっておることは事実でございます。こうした状況を踏まえまして、私たちも雇用対策プロジェクトチームを編成いたしまして今鋭意その対策を努力中でございまして、間もなく発表させていただけるものと思っております。
 また、現在の雇用状況、雇用調整もかなり進んでおりまして、円高不況のときに比べますと、その円高不況時をややしのいだ雇用調整が既に見られます。製造業でございますともう四八%ぐらいの雇用調整がございまして、これは円高不況時におきましては四〇%でございましたから既にそのときをしのいでおります。第一次石油ショックのときには七〇%でございましたので、まだそれまでには至っておりませんけれども、現在のこのデータを見ますと円高不況時をしのいでいる、そういうふうに認識をいたしておりまして、そうした意味で、今申しましたように新しいさまざまな政策を煮詰めているところでございます。
#202
○吉岡吉典君 今の答弁も私はどうも要領を得た答弁だとは思いません。
 いずれにせよ、不況対策の根本問題は、リストラで雇用不安をあおるようなことが当然で、それが将来への再建につながるんだというところにあるのではなくて、GNPの六割を占める内需をふやす、そのためには雇用不安をなくす、減税その他、労働者の生活をどうするかというところに置かなければならないと思います。リストラ、これは当然だという態度ではならない、私はそのことを申し上げておきたい。
 時間の関係でもう一点だけこの不況問題でお伺いしておきますが、労働者の問題と同時に中小零細業者の問題が不況対策で今とりわけ重要になっております。特に親企業の一方的な打ち切りによる仕事の問題、単価の切り下げの問題、これで大変深刻な事態にあります。この点については通産省、中小企業庁、公取等でも調査されていると聞いております。その調査の状況と同時に、それらは下請関連法に照らしても放置できない問題だと思います。この点についての現状、対応あわせて御報告願います。
#203
○政府委員(長田英機君) 九月十六日の経済対策におきまして、下請取引関係の緊急調査をするということの決定をいたしました。これについての御質問だと思いますが、私ども下請企業に対してその後調査いたしまして、現在回収されておりますのが千七百社ぐらいでございますが、これの結果を見てみますと、親企業から下請単価の切り下げ、引き下げあるいは既契約分の値引きまたはこれらの要請を受けたという下請企業はそのうち二七・四%でございます。またそのほか、支払い遅延とか返品、受領拒否というものを受けた下請企業は〇・六%あるいは一・二%、それぞれでございますが、そのような状況になっています。
 この調査の結果は、直ちに下請代金支払遅延等防止法違反というふうになるものではございませんが、現在の下請企業が直面している厳しい状況を反映したものであることは確かだと思います。
 したがいまして、私どもとしましてはこの十二月の八日付で約八千五百社の親企業に対しまして公正取引委員会と連名で違反の防止徹底を要請したわけでございます。さらに今後は、今申し上げましたような調査に基づきまして、違反の容疑が認められた親企業に対しまして調査、指導あるいは立入検査によって改善を図ってまいりたいと思うわけでございます。
#204
○吉岡吉典君 公取。
#205
○政府委員(小粥正巳君) お答えを申し上げます。
 ただいま中小企業庁からもお答えございましたが、私ども公正取引委員会といたしましても、現在の景気情勢のもとにおきまして、御指摘のような親事業者による不当なしわ寄せ行為が下請事業者に対して行われることのないように、私どもの所管しております下請代金支払遅延等防止法、いわゆる下請法の厳正な運用に努めているところでございます。
 ただいま中小企業庁長官からお答えもありましたように、私ども中小企業庁といわば共同いたしまして十二月八日に親事業者あるいは団体等に対しまして下請法の遵守の徹底を要請する通達を発出したというところは、ただいま中小企業庁からも御答弁があったところでございます。私どもといたしましても、これに関連した調査を行っておりますが、その調査結果に基づきまして、下請法違反の疑いのあるケースにつきましては必要な調査を行いまして、親事業者に対してこの違反を排除するための必要な措置をとることとしております。
 具体的に申し上げますと、この十月に実は定期的に行っております年次調査とは別に特別の調査を行いました。その特別の調査の内容は、特に最近の円高等に伴いましてこれらの影響が大きいと思われます一般機械器具製造業者等六業種を選びまして、その下請事業者を対象として特別な調査を実施したところでございます。これは九月に政府が決定をいたしました緊急経済対策の内容をなすものでございます。
 それから、多少さかのぼりますが、既にことしの三月には、やはりこの景気低迷の影響が大きいと思われる電気機械器具製造業それから輸送用機械器具製造業、この両業種の下請事業者につきまして同じような調査を実施しておりまして、この調査結果に基づいて約四百件の下請法違反被疑事件として現在所要の調査を行っているところでございます。
 その調査の内容等を見ましても、御指摘がありましたような下請事業者に対する代金の減額というような行為も見受けられるわけでございますので、私どもこれらの点につきましてはあくまで個別の事案に即して具体的に判断をするわけでございますけれども、これが下請法違反に当たります場合には、申すまでもなく、調査の結果必要な処置をとりまして下請法の厳正な運用に特に意を用いてまいるつもりでございます。
#206
○吉岡吉典君 この問題はもう少し突っ込んでやりたかったんですが、時間がなくて論議できないことが非常に残念です。
 労働者の問題にしても中小零細業者の問題にしても本当に深刻な事態であります。特に、中小零細企業の問題ではここでその現状をお伝えした上でいろいろな対策について答弁もしてもらいたかったんですけれども、時間がありませんので、そこで、聞いた声として、通産大臣や中小企業庁長官が現場に来て直接我々の声を聞いてもらいたいという強い要望がありました。大臣、長官、先頭に立って現場に耳を傾ける用意があるかということだけお伺いして、次のテーマに進みたいと思います。
#207
○国務大臣(熊谷弘君) 私どももいつも現場に出るというつもりでおりますし、今後ともそうしたいと思っているところであります。
#208
○吉岡吉典君 中小零細企業の問題では、年末を控えて融資の問題も重要問題になっています。
 私のところへ言ってきたのでは、年末融資を国金に頼んだら来年になると言われたという例もありました。これじゃ何のための年末融資かという問題です。大蔵大臣、この点も責任を持ってそういうことがないよう全力を期してもらいたい。
#209
○国務大臣(藤井裕久君) 今御指摘の年末金融は大変大事なことだと思います。特に政府関係機関はそういう政策目的をやっておるわけでありますから、今のような点については万全を期すようにさせていただきます。
#210
○吉岡吉典君 次の問題に入ります。
 民主主義の根本問題にかかわる盗聴事件についてであります。
 日本共産党は、戦後、全国各地で多くの盗聴事件を仕掛けられるということがあり、現在も緒方国際部長の盗聴問題をめぐって争っているところであります。盗聴問題というのは世界じゅうどこの国でも許されないものとなっております。
 私は、一九八〇年八月二日に、アメリカ共和党の二人の議員が共産党本部にやってきて長時間話し合ったことがあります。
 そこで私どもが、ウォーターゲート事件でニクソンが辞任した直後でしたので、あなた方は与党・共和党としてこのニクソンの盗聴事件の問題をめぐって辞任すべきかどうか、どういう態度をとるかということをただしました。そのときに二人ともこう言いました。我々は与党の議員として大いに悩んだ、しかし最後には辞任すべきだという一票を投じた、なぜなら、盗聴事件というのはアメリカ民主主義、自由なアメリカの市民社会を根本から崩すものだからだ、こう言いました。どういう理由で崩すのか。彼らの言葉によれば、アメリカの自由な市民社会というのは一対一の対話が保障されるところにある、そこへ盗聴器が突きつけられたのでは、自由な市民社会は根底から覆る、こういうことを言っておりました。私もその言葉はなかなかいい言葉だと思って聞きました。
 総理、そういう盗聴問題についてあなたはどう思いますか。
#211
○国務大臣(細川護煕君) 盗聴問題についてのお尋ねでございますが、申し上げるまでもなく通信の秘密ということは基本的な人権の一つとして憲法で保障されているものでございますし、通信関係のもろもろの法律にもしっかりとこの通信の秘密を確保するための規定が設けられていることは改めて申し上げるまでもないところでございます。
 電話の盗聴ということは、この通信の秘密を侵すものでございますし、違法なものであると考えております。
#212
○吉岡吉典君 ところが、その許されないことが日本共産党に対しては、権力からだけでなく創価学会、公明党によっても行われたという事実が明らかになっております。
 当時現職の参議院議員であり創価学会副会長だった北条浩氏が関与し、山崎正友元創価学会顧問弁護士が実行した日本共産党宮本顕治議長、当時は書記長です。この宮本宅に電話盗聴の事実があった。民事裁判で判決が確定してその事実が法的に確定しました。
 最高裁、そうですね。
#213
○最高裁判所長官代理者(涌井紀夫君) 御指摘の事件に関する東京高裁の判決におきまして、山崎正友元創価学会顧問弁護士らによりまして宮本顕治氏宅の電話の盗聴行為が行われたということ、またこの盗聴行為につきまして、事件当時現職の参議院議員でございまして創価学会副会長の地位にありました北条浩氏が関与していた、そういう事実が認定されていることは御指摘のとおりでございます。
 また、この判決がその後確定しておりますこともそのとおりでございます。
#214
○吉岡吉典君 今、盗聴事件の事実、それに北条氏が関与していたということまで明らかになりました。
 この東京高裁判決は、盗聴の動機ないし目的についても述べております。山崎氏が、言論出版妨害問題で窮地に陥っていた学会及び公明党が批判の急先鋒に立つ日本共産党の出方を探り、ダイレクトな情報が欲しかったと供述していることを、その供述のとおりの動機ないし目的から本件電話盗聴に至ったものだと認めることができる、こう判決は判示している。
 間違いありませんね。
#215
○最高裁判所長官代理者(涌井紀夫君) 御指摘の高裁判決におきまして、本件盗聴の動機あるいは目的に関します山崎氏の供述の内容がおおむねただいま御指摘のとおりのものであるという判示がされておることはそのとおりでございます。
 また、高裁判決がこのような内容の山崎供述につきまして、山崎氏らがその供述どおりの動機ないし目的から本件電話盗聴に至ったものと認めることができるという判示をしておりますことも御指摘のとおりでございます。
#216
○吉岡吉典君 総理、今お聞きになったとおりであります。政敵の出方を探るための電話盗聴、これは辞任に追い込められたニクソンがやったことと全く同じことであります。こういう宮本議長宅電話盗聴事件を総理は民主主義を危機にさらす出来事だと思いますか、どうですか。
#217
○国務大臣(細川護煕君) 通信の秘密の基本的な考え方については、先ほど申し述べたとおりでございます。
#218
○吉岡吉典君 この事件は、創価学会が隠していたために実態が十年間明らかになりませんでした。十年たって、当時創価学会の顧問弁護士だった山崎正友弁護士が告白して真相が明らかになりました。公明党は事実無根だと言っておりましたが、裁判でこの事実が確定した以降だんまりを決めております。
 神崎郵政相に聞きますが、あなたは法律家でもあります。こういう公明党、創価学会による宮本宅電話盗聴事件は許されない反民主主義的犯罪行為であるという、総理が御答弁になったと同じ認識をお持ちですか。
#219
○国務大臣(神崎武法君) 私も判決を一見いたしましたけれども、北条氏については裁判中に死亡して直接反論ができなかったという経過はあるようでございますが、判決の結果、北条氏及び山崎氏ら実行行為者に対しまして、共同不法行為による事実を認定して損害賠償請求を容認されたということは間違いない事実でございます。
 かかる行為はあってはならない行為である、このように思います。
#220
○吉岡吉典君 それは当然のことだと思います。
 ところで、この裁判において、山崎氏は民事裁判で宣誓の上供述しております。
 最高裁に聞きますが、山崎氏らの電話盗聴の実行及び北条氏の盗聴関与の事実認定に関し、判決は一審、二審とも、山崎氏の供述は大筋において信用できることを述べて、認めている。このことは間違いありませんか。
#221
○最高裁判所長官代理者(涌井紀夫君) 本件の判決におきましては、山崎氏の供述につきまして、まず一つは、山崎氏らが電話盗聴行為を実行するに至りました動機ないし目的はどのようなところにあったかという点、それからもう一つは、この電話盗聴行為の実行のてんまつが具体的にどういうものであったかという点、さらにもう一つ、この電話盗聴行為に北条氏が関与していたか否かという点、この三つの点につきまして、その供述の信用性が問題にされておるわけでございます。
 一審判決あるいは二審判決、いずれも、その供述の細部についてはともかくといたしまして、今申し上げました三つの点につきましては大筋において山崎供述の信用性を肯定しておる、これは御指摘のとおりでございます。
#222
○吉岡吉典君 じゃ、次にお伺いします。
 神崎郵政大臣、あなたは、宮本議長宅盗聴事件に創価学会の北条副会長が関与していたということは認めますか。
#223
○国務大臣(神崎武法君) 私は、事実関係を承知しておりませんが、判決で関与が認められているということは判決文に明らかでございます。
#224
○吉岡吉典君 判決文にあるという形ですが、お認めになったと思います。
 では、続けて神崎郵政大臣にお伺いします。
 あなたは、十月二十七日の衆議院逓信委員会で、我が党の矢島議員の質問に、山崎供述が宣誓証言であることを知りませんでしたと答弁しております。それまで衆議院予算委員会あるいは本委員会などでの繰り返しの答弁は、民事裁判の経過などをよく調べないままに、山崎の言うことは信用できないと答弁をしてこられました。あなたのそういう答弁はいいかげんな答弁であると思いますが、どうですか。今日の時点でどういうふうに考えておられますか。
#225
○国務大臣(神崎武法君) 私は、従来どおり申し上げているとおりでございます。
 この民事訴訟で私がこの訴訟の当事者になっておるわけでも全くございませんし、この訴訟の中でも山崎氏が指摘した者の中で関与が否定された者もおりますし、本人の民事における供述を見ますと、私と会ったというときの状況につきまして、当初は、私たちと会った後で総本山から下山して東京に帰ったということを言っていたわけですけれども、その後、ずっと本山にいることが創価学会側の弁護士からの質問で写真を示されて、結局ずっといたことを認めたと。結局、全部の状況がくるくる変わっている。その点は、私どものあの総本山における状況については明確でございます。
#226
○吉岡吉典君 あなたのこれまでこの委員会で自民党議員から行われた質問に対する答弁というのは非常に明白に、閣僚が裁判批判をやるのかと思わせるような内容を織り込みながら、人格否定にも等しいような、信用できない供述だという答弁をなさっていたわけです。しかも、その答弁は宣誓した上で行った供述であるということを知らないでいたということを認められたわけなんです。そうすると、そういうことも知らないでの答弁だということは、本当に無責任な、不まじめな答弁だったと言わざるを得ないんです。どうですか。
#227
○国務大臣(神崎武法君) 委員も御承知のことと思いますけれども、刑事におきますいわゆる宣誓証言、いわゆる偽証罪の制裁を科した上での証言と、山崎氏の偽証罪の科されていない宣誓証言、いわゆる過料、もしうそをついた場合は過料が取られる、こういう証言であった、このように記憶をいたしております。
#228
○吉岡吉典君 最高裁の方、もう終わりましたので退席していただいて結構です。
 過料がどうかというふうな問題じゃないんですよ、今の問題は。あなたは、そういう制裁を科すことを前提とした証言、そういうものだということを知らないと言ったんですよ。しかも今、最高裁は判決は大筋信用できると認めている。そういうことを、そういう態度をとっていたわけです。
 しかも、その山崎証言というのは、その宣誓供述では、盗聴が発覚して大石寺で池田大作氏に後始末をせよとしかられた後、神崎氏、福島氏ともう一人現職検事のいる宿坊に行って対応を相談した。神崎さんは困った顔をしていた。福島さんが、知らんぶりをしている方がいい、下手に動く方が怪しまれると言った。神崎さんたちもそれに同意してうなずいていたと述べています。そして、現職検事の三人とも、山崎さんも大変ですねと言っていた等々証言しています。大変リアルな証言です。
 判決で信用できるとされた山崎証言によると、神崎郵政大臣、あなたはこの電話盗聴という重大犯罪のあったことを知りながら、犯罪捜査を厳正にすべき検察官としての職責にも反して、仲間の行為であるので告発はおろか自首の勧告もしなかったのではありませんか。これは盗聴犯罪の隠ぺいにくみしたことにはなりませんか。どうですか。
#229
○国務大臣(神崎武法君) この問題につきましては、従前から私が御答弁申し上げているとおり、山崎氏からそのような相談を受けた事実は全くない、こういうことでございます。したがって、私がそのような関与をしたということも全くございません。
#230
○吉岡吉典君 私は厳密に申し上げます。
 相談を受けた、相談をかけた、こう言っていることです。しかも、その供述は大筋において信用あるものとして認められ、この裁判は確定しているわけです。その確定は、創価学会の側から途中で取り下げられて確定したわけです。だから、創価学会の側からこの事実を認められたことになるわけです。
 盗聴事件というのは、ニクソンが辞任に追い込まれた、そういう重大問題。総理も民主主義の根本を揺るがす大問題だと言われた。そういう事件にそういう形でかかわっていたという疑惑、これは確定判決からいっても否定することのできないものです。
 私は、これは閣僚として非常に重大な問題だと思います。特に通信を担当する郵政大臣という大臣、これに適格とは言えない。私は、そういう点で、神崎大臣は疑惑を晴らすことがこれまでもできなかった、そうである以上辞任すべきだ、そういうふうに思います。辞任する意思はありませんか。
#231
○国務大臣(神崎武法君) 私は、全く関与はしていないと一貫して申し上げているわけでございまして、辞任する理由は全くございません。
#232
○吉岡吉典君 判決がはっきりしております。
 私は総理にお伺いします。
 あなたは、神崎郵政大臣がこういう疑惑を持たれているという事実を知った上で郵政大臣に任命したのですか、知らなかったのですか。
#233
○国務大臣(細川護煕君) 神崎大臣から御答弁があったことを信じております。
#234
○吉岡吉典君 そうすると、あなたは大臣に任命する前に今のような答弁を聞かれたのですか。任命するときにどうだったかということを答えてください。
#235
○国務大臣(細川護煕君) そういうことはあり得ないと思って任命をいたしております。
#236
○吉岡吉典君 ということは、そういう疑惑がある人だが、事実ではないだろうということですか。知っていたか知っていなかったか、任命するときに。これは重大問題ですから。
#237
○国務大臣(細川護煕君) 存じておりません。
#238
○吉岡吉典君 知らないまま任命したということが明らかになりました。
 そうすると、こういう民主主義の根本問題にかかわる疑惑を持たれた人が国務大臣の一人、しかも郵政大臣というポストにいるということが明らかになった以上、これをどうするかということは、神崎郵政大臣の問題であると同時に、細川内閣の政治姿勢を問われる問題であります。
 アメリカ共和党議員は悩み苦しんだあげく辞任に賛成したと言いました。細川総理は、こういう事実が明らかになっても、なお適任だとして続けてもらうのかどうなのか。私は、細川内閣の政治姿勢にかかわる問題としてあなたの意見をお伺いしたいと思います。
#239
○国務大臣(細川護煕君) 先ほど申し上げましたとおり、神崎大臣の言われたことを信じております。
#240
○吉岡吉典君 確定裁判で明らかになっていることよりも大臣の発言を尊重するというのが細川内閣の政治姿勢だということが明らかになったということを確認して、次のテーマに移ります。
 繰り返しますが、私はこの神崎郵政大臣の大臣としての適格性が全く適格性を欠いているということは明らかだと思います。
 次の問題は、今国会で大きい論議になりました総理の侵略戦争発言を受けて行われた論議の問題であります。これは日本の歴史の根本にかかわる問題であります。
 私は、そこで、この戦争の性格をどう見るかということを明らかにする上で、外務省に大東亜政略指導会議大綱という文書はいつだれが決めたものかということと、その第一章、同時に第二章の第六項を読んでもらうようにお願いします。
#241
○政府委員(丹波實君) 先生が御指摘の書類は大東亜政略指導大綱というものであると理解いたしますけれども、これは昭和十八年五月二十九日大本営政府連絡会議決定、昭和十八年五月三十一日御前会議決定に決定を見ておるところの指導大綱でございまして、第一章は「方針」となっておりまして、その一項は「帝国八大東亜戦争完遂ノタメ帝国ヲ中核トスル大東亜ノ諸国家諸民族結集ノ政略態勢ヲ更ニ整備強化シモツテ戦争指導ノ主導性ヲ堅持シ世界情勢ノ変転ニ対処ス」というふうになっております。
   〔委員長退席、理事村上正邦君着席〕
 それから、第二に「要領」となっておりまして幾つかの項目が挙がっておりますが、先生がおっしゃる第六項につきましては次のように書かれております。「ソノ他ノ占領地域ニ対スル方策ヲ左ノ通リ定ム。」。その(イ)だけという御要請だと思いますけれども、「「マライ」「スマトラ」「ジャワ」「ボルネオ」「セレベス」ハ帝国領土ト決定シ重要資源ノ供給地トシテ極力コレカ開発並ヒニ民心把握ニ努ム。」。
 以上でございます。
#242
○吉岡吉典君 御前会議で決定した文書で、帝国を中心とするいわば大東亜共栄圏構想の中身が決められているわけですね。その中身としてマライ、スマトラ、ジャワ、ボルネオ、セレベスなどを帝国領土の一部とする、こう言っているわけです。
 私はこの文書を見て、日本がこれはアジア独立のために戦争をやったなどという議論は通じなくなったと思いますが、総理はどうお考えですか、この文書に照らして。
#243
○国務大臣(細川護煕君) この問題につきましては、再々本会議、委員会等でも御答弁申し上げてまいりましたように、人それぞれさまざまな歴史観、受けとめ方があるというふうに思っております。
 私が、この八月に私の気持ちとして申し上げましたことは、我が国の過去の行為によって多くの国の方々に耐えがたい苦しみと悲しみをもたらしたと、そのことに対して決意を新たにしてこれからの我が国としてのなし得る限りの決意を持ってその責めを負っていかなければならないと、このようなことを申し上げたところでございます。
#244
○吉岡吉典君 今の発言は、アジア独立の戦争などでなかったということを別の表現でお述べになったものだと思います。私も、東南アジア諸国を日本の領土にすることを決めてやった戦争、こういうのがあの戦争だったんだということを踏まえて過去の戦争に迫っていかなくちゃならないということを申し上げておきます。
 この問題について、私、時間があればいろいろ意見を述べたいんですが、時間の関係で、きょうはこの委員会でも問題になりました日本の戦争によるアジア・太平洋諸国へ及ぼした被害、とりわけ犠牲者二千万人という数字は根拠のないものであるということで撤回が迫られた問題です。
 私は、まず外務省にお伺いしますが、外務省は、あの太平洋戦争による死亡者数をアジア・太平洋諸国全体また各国別にどういう規模だったというふうにおとりになっているか。御承知になっておれば報告してください。
#245
○政府委員(池田維君) お答えを申し上げます。
 戦争犠牲者の数につきましては、事柄の性質上、客観的な数字を把握することは極めて難しいということについては御理解をいただきたいと思います。特に、いろいろ民間等で資料等が出ておりますけれども、そこに言及されております戦争犠牲者であるとかあるいは被害者というものも同一の基準に基づいて算出されたものではないというように考えられます。
 したがいまして、外務省として各国の戦争犠牲者の数は把握していないという状況でございます。
#246
○吉岡吉典君 外務省の判断を加えないで各国の政府あるいは政府に準ずるもの、そういうところの発表の数字はつかんでいますか。
   〔理事村上正邦君退席、委員長着席〕
#247
○政府委員(池田維君) これまでに関係各国政府が公式にそういう数字を発表したかどうかにつきまして、必ずしも私どもとしては把握はいたしておりません。
 ただ、今後もし戦争犠牲者に関します各国政府の数字が公式に判明いたしました場合には、私どもとしてはそれは貴重な情報として受けとめていきたいというように考えているわけでございます。
#248
○吉岡吉典君 今まで各国が何も発表していないような言い分ですね。そんなことはありませんよ。例えば外務省がつくったサンフランシスコ会議議事録、この中でもインドネシアとフィリピンは数を挙げて言っていますよ。皆さん読んでいますか、外務省。
#249
○政府委員(丹波實君) 一九五一年九月のサンフランシスコ平和条約会議におきまして、アジアの若干の国の代表が一定の数を挙げて遺憾の意を表しておるということは承知いたしております。
#250
○吉岡吉典君 インドネシア、フィリピン、それぞれ何人と言っていますか。
#251
○政府委員(丹波實君) インドネシアにつきましては、九月七日の会議におきましてスバルジョという代表の方が「日本人による占領期間中にインドネシアが被った損害は二重であります。第一に、約四百万名の人命の損失があり第二には数十億ドルの物質的損害があります。」云々と述べております。
 フィリピンにつきましては、同じく九月七日でございますけれども、ロムロ将軍がフィリピン政府の代表といたしまして「千八百万の人口のうち、われわれは百万以上の生命を失いました。」云々という発言をしておられます。
#252
○吉岡吉典君 インドネシア四百万、フィリピン百万、これは政府が公式な講和会議で発表した数字です。
 私は、外務省はつかんでいないと言うから言います。
 中国は最近では公的な数字として二千万人と言っています。ベトナムは二百万人、インドネシアは四百万人、これは国連の文書でもそう言っております。インドは、イギリスの調査でベンガルの飢餓だけでも百五十万、ニュージーランドは政府発表で一万千六百二十五人、オーストラリアは二万八千三百六十五人と。こういうふうな数字、これは各国政府が発表している数字で、民間の数字じゃありません。
 そしてまた、例えばあの泰緬鉄道建設のための労働者、これの死者、英国の調査で七万四千二十五人、こういう数字は各国の政府ないしは機関が発表した数字です。こういう各国の発表した数字は根も葉もないいいかげんな数字だという態度を外務省はとりますか。どうですか、外務大臣。答えてください。
#253
○政府委員(池田維君) 私どもといたしましては、ただいま挙げられましたような数字につきましては、それなりに貴重な数字であり貴重な情報であるというように受けとめております。他方、先ほども申し上げましたけれども、戦争被害者あるいは犠牲者の数を算出いたします場合に必ずしも統一された基準というものはございませんので、そういった意味で数字を全体的に把握するということは極めて困難なことではないかというように考えているわけでございます。
#254
○吉岡吉典君 公的に発表されたものを集めても、中国の二千万ということを入れれば三千万人以上になりますよ、日本を含めれば。ですから、教科書が二千万と書いているのはいいかげんな根も葉もないものだなどとは言えません。だから教科書でも文部省検定でそうなっていたんです。その数字を、山花国務大臣はどういう理由でか別として、撤回された。私はあの答弁を聞いてここで驚きました。戦後この数字を探求してきた歴史家、教師、これらも大変驚き怒っています。あの撤回要求は太平洋戦争を肯定する立場からのものでありました。それも含めて撤回されたのか、どういうわけで撤回されたのか、私は山花さんのはっきりした答弁を聞きたいと思います。
#255
○国務大臣(山花貞夫君) 今の御質問だけですと誤解を受ける部分があると思いますから、正確に当時のいきさつをちょっと触れさせていただきたいと思います。
 九月二十四日、参議院の本会議におきまして、社会党の委員長、当時、であったときの発言に関連して、私が答弁をいたしました。「さきの太平洋戦争において」「約二千万人ものアジアと連合国の軍人軍属、市民、女性、子供たちが日本の軍国主義の犠牲になった事実に誠実に向かい合おうとすれば、過去の戦争が侵略戦争であったことは否定することのできない歴史的な事実であると考える」、こう発言したものでございます。
 この発言に対して、十月七日から八日にかけての当委員会でございましたけれども、二千万という数字について事実として発言をしているけれども、政府の公式な発言ということではない、公式的な数値ではない、推量、推計のものをも含めたものではないか、こういう御指摘をいただいたところです。
 私も、先生お手持ちの資料などとは違うものもあるかもしれませんけれども、自分なりにかなり精査をした中で整理して発言したつもりでありましたけれども、日本とかオーストラリア、ニュージーランドのように国として戸籍のような形で正確な数字が発表されているものもあれば、今おっしゃった講和条約あるいは裁判の記録あるいは国家の独立宣言といったもので出てきた数字も実はあったことをも含めまして、こうしたたくさんの文献の中にいろいろな数値が引用されるものについて、推定された部分も確定した公式の数値であるかの誤解を与える部分があるではなかろうか、こういう御指摘をいただいた中で、この十月八日の委員会におきましては、約二千万という数字を事実として申し上げたけれども、この点について、そしてそうした数字の部分については撤回をさせていただきますと、こう整理したところでございます。委員会とも御相談させていただいてそういう整理をした次第でございます。
 御指摘ありましたような戦争のとらえ方あるいは性格づけ、問題、それからその数値が正しいかどうかということについて触れたものではありませんし、そうしたこととは関係のない立場で、当日の委員会の状況の中でその数字の部分について撤回をした、こういう経過でございます。
#256
○吉岡吉典君 そんな、数字だけということをはっきりしたものではなく、あなたは陳謝までしたんですよ。そうですよ、速記録にははっきり残っているんです。ですから、私は非常に無責任だったと思う。社会新報によると、国会対策上やむを得なかったと書かれている。世界の中で日本がどういうふうな位置を占めているか、歴史的にどういう目で見られているか、そういう日本の態度を国会対策上やむを得ずやったというふうなことであったのかどうなのか。そういう点、あなたの誠実性にもかかわる問題でありますので、私はもう一度答えてもらいたい。
#257
○国務大臣(山花貞夫君) 社会新報の記事は私が書いたものではございません。記者の取材だと思います。したがって、そうしたことが理由になったものではない、それとは関係がない、こういうふうに私としては申し上げる次第です。
 さっき陳謝と申しましたけれども、そう言われますとまたそれ誤解を受けるといけませんので、委員会が非常に長引いたということに対して、その時間的な問題について大勢の委員の皆さんに、私の発言ということでとにもかくにもそうだったものですから、その点について皆さんにそういう気持ちを表明した次第でございまして、その点についても一言触れさせていただきます。
#258
○吉岡吉典君 時間がありませんから、この問題、今の答弁はそれとしまして、私は、山花さんの撤回がもとになって教科書をどうするのかというところまで今事態が進んでいるところに重大な問題があると思います。
 この二千万人という数字は根も葉もないものではなくて、非常に控え目なものだ。私はそういう研究グループの人々に古くからよく知った人もいます。教科書の数字を見ても、そういう発表より控え目な数字が書かれている。それが実態なんです。そういうときに、ここでの論議、山花国務大臣の撤回がもとになって教科書を改訂するというところまで至れば、日本の誠実性が世界から問われることにもなるし、日本の国民の立場から見てもそれは問題が残ると思います。
 そこで、私は外務大臣そして文部大臣に、今国会で論議を積み重ねてこられたところから、教科書の数字を変える必要があるというのかどうなのか、その点について答えを求めたいと思います。
#259
○国務大臣(羽田孜君) 私の立場で、教科書についてこうすべきだとかああすべきだということを言うべき立場ではないと思います。
#260
○国務大臣(赤松良子君) 文部省といたしましては、この問題は教科書の内容についての問題というふうに受けとめておりまして、教科書の内容でございますので教科用図書検定調査審議会に審議をお願いしているところでございます。その中での審査に関連して、先般の当委員会での御指摘を紹介をいたしまして、議論を深めていただいているところでございます。
#261
○委員長(井上吉夫君) 時間が参っておりますので、最後の質問にしてください。
#262
○吉岡吉典君 総理にお伺いします。
 私は、今の文部大臣の答弁も、これはどういう見地でそういう審議をお願いするというのかがはっきりしていない点で時間があればただしたいと思いますけれども、少なくとも、侵略戦争と私が言っている太平洋戦争を肯定する立場から、自民党の側からいろいろ意見が出たから検討を求めるのかどうかということは、この問題の根本問題であります。私は、あの戦争を肯定する立場からこの数字を検討しょうとするということであれば重大な問題だと思います。もちろん、政府も数字がはっきりしないと言っている。だから、これをより正確にしようということの検討は当然であり、我々もそういう作業は続けているわけであります。
 総理、あなたの侵略戦争発言からいっても、この問題についてどういう態度をとるかということは、あなたの発言の中身がどういう内容のものかを問われるものでもあります。二千万人という数字を戦争肯定の立場から改定する必要があるとお考えになるかならないか、その点だけお答え願います。
#263
○国務大臣(細川護煕君) 今までも検定は適切に行われてきていると思いますし、また審議会において今後もその論議をしっかりと深めていただきたいと思っております。
#264
○委員長(井上吉夫君) 以上で吉岡君の質疑は終了いたしました。(拍手)
    ―――――――――――――
#265
○委員長(井上吉夫君) 次に、大塚清次郎君の質疑を行います。大塚君。
#266
○大塚清次郎君 私は、七年を超えるこのマラソン交渉がいよいよ大詰めを迎えまして非常に緊迫した場面でございますが、このガット・ウルグアイ・ラウンド交渉に問題を絞って質問いたします。
 実は、このことにつきましては国会でいろいろ論議がありますし、また国内でもございます。ただ一つ、私は大げさでないと思いますが、これはやはり日本農業の命運がかかっておる、こういう見方でございます。それは皆さんもそうだろうと思いますが、そういうことでございますので、この際その交渉に当たられた方々、特に大臣に質問をいたしたいと思います。
 率直に真っすぐ質問に入りますが、私は、きのう関税化へのドゥニー調整案の附属文書の一部がこの委員会で明らかにされまして、その中の特例措置を読んでみますと、これは二年前のドンケル最終合意案、いわゆる包括関税化、このフレームワークはちっとも変わらない。そして、その組みかえ、変形であるという認識、この点ははっきりしておかないといかぬ点だと思いますが、それについて羽田外務大臣からひとつはっきりお願いしたいと思います。
#267
○国務大臣(羽田孜君) 今、ダンケル・ペーパーのお話がありましたけれども、例のブラッセルで決裂した後ダンケル・ぺーパーがつくられました。そして、その中に、ミニマムアクセスをしてそれから後関税化ということにたしかなっておったというふうに思っておりまして、ミニマムアクセスというところで同じような考え方じゃないかということであれば、全くそういう一つの枠組みみたいなものであることは間違いないでしょう。ただし、その次には、もうこの次は関税化というものがはっきりしておったというふうに思います。
#268
○大塚清次郎君 その辺の見方、見ようが問題なんですよ。
 実は、これはこの示されたドゥニー調整案の六項目を見ますとやっぱり全部相関連しているんです。ですから、その特例措置によっても相関連しておるが、やっぱりその根っこにはドンケル合意案があるわけでございます。したがって、私は、そういう点では、例外なき関税化という呼び名が一方にありますが、これは呼び名としては非常に紛らわしい。それがまた世間にまかり通ってきたということです。
 ですから、はっきり申しますと、国内的にはそういうことで言えても、国際的には今度の場合、関税の例外をつくったんだということは大声で言える筋合いのものじゃないと思います、今までのこっちでやった社会通念からしますと。そこにいろいろな問題がある、私はこういうように思いますが、農林水産大臣はどうですか。
#269
○国務大臣(畑英次郎君) 我が方といたしましては、今この問題にまことに真剣にお取り組みを賜りました大塚先生のお話でございますから私もいろいろ感慨深く伺わせていただいたわけでございますが、いわゆる関税化に対しましては免除をするという特例措置、こういうように私は位置づけて認識をさせていただいているわけでございます。
#270
○大塚清次郎君 これは、ガットの専門家はやっぱり関税化の例外はないんだということで総称しているんです。したがって、これは経過段階の措置なんです、六年なら六年の。ガットの専門家もそう言っている。それから、各国から国際的に聞こえてくるのは、例外といったようなそういう大げさなものじゃないというようなことがもう常識じゃないですか。これが私が外務大臣と見解が、それを言ってしまえばいろいろ差しさわりがあるということじゃないですか、本音は。
#271
○国務大臣(羽田孜君) 大塚議員もこの問題についてはともに勉強した仲間ですからよくおわかりでございますけれども、いずれにしましても、前回のときのドンケル・ぺーパーの場合には六年後には完全に関税化しなきゃいかぬということでしたね。しかし、今度の場合には、六年、そしてその一年前の一年間の間にその後をどうするのかということを議論することができるようになっておりまして、これは関税化にするもよし、いや、そうじゃなくて今のようなやり方、ミニマムアクセスを再延長するもよし、そういった問題について全体的にもう一度議論をしましょうということになっているわけでありまして、いわゆる関税化というものとは違うと思います。
 ただ、いろんなお立場の方々、これは外交ですから、じゃ何であの国だけがというようないろんな話があります。その辺が外交交渉の難しさでございまして、ただ全部ここで物をあれしますと、そのとおり新聞に出、そしていろんな国に迷惑をかけることになります。そのあたりはよくひとつ御理解をいただきたい。ですから、例えばブレアハウス合意があれだけ鳴り物入りで騒がれましても、中身というのはなかなか表に出てこないというものであろうというふうに思います。
#272
○大塚清次郎君 私とはかみ合いません。
 実は羽田大臣は非常に、前の東京ラウンドのとき私どもも兵隊になってついていったわけでございますけれども、外に向かっては、これは内に向かって外と交渉するようなそういう手法はやめていただかないと紛らわしいですよ。これ以上は言いませんけれども、もう少し深く言っていいんですが、もう言いません。
 しかし、調整案の中身を見ますと、まだ不分明なところがたくさんあります。私は、そういう状態でこれを受け入れでいいのかどうか。実はこの中身が政府の国務大臣のところに、あるいは政権与党の党首の方に出ておる、こんなはずじゃなかったというようなこと等がいろいろ新聞紙上その他で喧伝された、だからやっぱり問題があるということなんですよ。
 今まで外務大臣が閣内でお聞かせになったのか、それからあるいはまた農林水産大臣がそういう説明をされたのか。かなり受け取り方がびっくりするようであったから、いろいろ与党の中でも問題があったんじゃないかと思いますが、どうでしょう。
#273
○国務大臣(畑英次郎君) ただいま先生御指摘の問題は、いわゆる骨子、そしてまた昨日の調停案、この辺に関する御指摘と、かように受けとめさせていただくわけでございますが、いわば骨子案、いわゆるやりとり、話し合いの中で、こういう項目が調停案の中には入るであろうというような意味合いでの御連絡をやはりこの段階で、そういうものがニュースとして、情報として入った場合には速やかに伝達をというような意味合いの中で出てきた最終的なもの、いわゆる調停案の全貌に比べますと、追加条項等の問題がいささかその取り扱いにおきましてはまずかったなという反省を私自身も持たせていただいておるわけでございます。
#274
○大塚清次郎君 正直でよろしいと思いますよ。
 しかし、追加条項なんというのはあるに決まっているんです。二年前のダンケル合意案というものの枠の中でしかこれは組まないわけですから、あるに決まっているんです。だからそれは甘かったんじゃないですか、びっくりしたというのは。畑農水大臣、どうですか。
#275
○国務大臣(畑英次郎君) すべて関税化という中にございまして、いわゆる七年目以降も引き続き関税化を逃れるあるいは免除をさせてもらうという中におきましては、やはり今日までのあの骨子の中にございましてもそれなりの一つの代償措置、そういうものがうたわれておるわけでございますから、流れとしましてはそういうことはあり得るというような意味合いでの考え方に立つわけでございます。
 甘かったという御指摘でございますけれども、その辺は、そういう中にございましての再協議、協議再開、そしてまた関税化をしないというような要素をきちっと協議の中で主張ができる、この辺につきましても御理解を賜りたいと思います。
#276
○大塚清次郎君 今の農水大臣の答弁はちょっと問題だと思いますよ、私にとってみれば。条文を読んでみなさい。政府は、まあ白紙な立場で、青天井とまではいかないが、再交渉のときは十分ちょうちょうはっしとやれるんだということをおっしゃっておりますが、これは実は間違いです。もう限られた、ドンケル・ぺーパーそれからドゼウの特例措置で非常に狭い交渉しかできないと私は思います、この条文では。どうですか。皆さん方の御答弁で、白紙というと非常に自由自在にできるような印象をみんな持っておったんですよ。
#277
○国務大臣(畑英次郎君) 先生の御指摘がございましたように、いわゆる関税化という問題の一つの事柄の中にございまして、昨日のこの委員会でも申し上げましたけれども、七年目以降は自動的に関税化という文字がそのぺーパー、白紙の中に出てくる、言葉はどうかと思いまするけれども、いわゆるあぶり出し、時間がたてばこれは関税化に移行せざるを得ない、そういう性質のものではないということを私の方は言わせていただく意味合いでの関税化問題の白紙ということがいささかその表現におきましてまずかった、そういう点もあろうかというふうに考えるわけでございます。
#278
○大塚清次郎君 さっぱりわかりません。
 実は、これはやっぱりシャドーの基本的な関税率を初年度にしいて、そしてこれがずっと低減されていくんだと、これは一五%と書いてある。それが六年間なんですよ。だから、それはこれをやるときミニマムアクセスでいくか関税化に乗るかの選択をした上で、そうでない場合、ミニマムアクセスでいくとなれば追加措置をまた重ねるということになっているわけですね。
 ですから、国別表に二次関税についてはお書きにならないということをきのうの農林水産委員会で私に経済局長が答弁されました。本来これは向こうはやっぱり国別表に書いてほしいということじゃないかと思いますが、皆さん方が書かない、また書くようにしないのかどうなのか、その辺どうですか。
#279
○政府委員(眞鍋武紀君) この特例措置の項目の一項に書いてございますように、この四条の二の規定はこの対象になります日本の米につきましては適用されない、こういうことになっておりますので、その関税率、TEといいますか関税相当量は書かないということでございます。
#280
○国務大臣(畑英次郎君) 国別約束表の中にいわゆるTE、その数字は書き込まない、かように処置をさせていただくつもりでございます。
#281
○大塚清次郎君 そういたしますと、日本に対して出されておるこの六項はどういうふうに読めばいいんでしょうか。
#282
○政府委員(眞鍋武紀君) この六項でございますが、これにつきましては二項に書いてございますように、関税化の実施とそれから継続ということを各国が、これは日本の場合ではございませんが、一般のルールでございますので、二年目あるいは三年目に関税化をする国、あるいは七年目に関税化をする国、こういうのがあるわけでございますが、そういうふうに関税化をする場合にどういうふうにTE、関税相当量を設定するかというふうなことでございます。
 それで、どの年次目にやるかということにおいてバランスをとるために、初年度から仮に関税化をしたとしたらどういうふうに関税相当量が削減されていくか、六年間一五%というものを年平均で割りまして、その分ずつ削減をしていったと仮定をして、したがいまして、七年目に関税化するといたしますと、その時点で当初の関税相当量が幾らであったかということを計算しましてそこから一五%を引いて、それでそれをもとに交渉してTEを定める、七年目の関税率を定める、こういう趣旨でございます。
#283
○大塚清次郎君 だから、逆説的に言うと、そのシャドーの関税率はやっぱり今設定しておかない方が有利なんですか不利なんですか。有利だったら今設定した方がいいんですよ。これ、どうですか。
#284
○政府委員(眞鍋武紀君) これは、関税化をするときに、その時点、初年度に幾らであったかというふうなことにつきましては、現在、ダンケル・テキストにルールがございます。そこで、設定するとするとこうなるというふうなルールがあるわけでございますので、そういうルールに基づいてその範囲内でその関税相当量を設定する時点で、そのときに設定しておったとしたらこういうものであったというところから一五%削減をしたところを基準に交渉をするというふうなことでございますので、有利不利ということじゃなくて、それは交渉によって決まってくるということでございます。
#285
○大塚清次郎君 それじゃ、それはいつ交渉するんですか、それをひとつ。
#286
○政府委員(眞鍋武紀君) 関税相当量を設定する時点でございます。設定をするための交渉をする時点でございます。したがいまして、その一年前ということでございます。
#287
○大塚清次郎君 実はこの六項に書いてあるんですよ。しかも別添に示されたガイドラインもあるわけでしょう。書いてあるのに、これを抜いていくと。それから、二次関税は国別表には出さない、これは非常にガットからすれば問題なんじゃないですか。
 それで、これは後で非常に私ども日本に不利になるようなことはないんでしょうか。
#288
○国務大臣(畑英次郎君) 今回の場合には、あくまでも関税化を免除されるという特例措置、それに伴います事務処理というような意味合いでのひとつ御理解をいただきたいと思います。
#289
○大塚清次郎君 実はこの特例措置の四項、ここでちょっと気になるのは、「当該加盟国は、その交渉において決定される追加的な、かつ、受入れ可能な」というのは、相手方もあるわけですね。「譲許を与えなければならない。」ということは、今おられませんけれども、官房長官は保利先生の問いに対して、これがわかってびっくりしたということを言っておられる。知らなかったと。そういうことがあっていいのかどうか、こう思うんですけれども、官房長官が今いませんので後で聞きましょう。
 それから、次は非貿易的関心事項、このことについてどの辺まで盛り込まれできますか。
#290
○政府委員(眞鍋武紀君) 昨日お配りをいたしましたこの一項の(d)のところに「食糧安全保障及び環境保護のような非貿易的関心事項を反映して」云々、こういうふうに書いてございまして、これは何と申しますか、指定の要件といいますか、特例の対象になる要件を判断するについて一つのこういう特例措置を設けるに至りました背景的な考え方がここにあらわれておるということでございます。
#291
○大塚清次郎君 それからこの一の(c)、「有効な生産制限措置が当該一次農業産品についてとられていること。」ということでございますが、これは米であれば減反ですね。これの適用は、例えば米についていえばどこまで。
#292
○政府委員(眞鍋武紀君) これは三つの要件の中の一つになっておるわけでございますが、やはり生産制限措置がとられていることというふうなことでございまして、これは現在のガットの規定で十一条二項(c)というのがございます。これは、生産調整を行っております産品につきましては輸入数量制限、一定の輸入をすることを条件にいたしまして輸入数量制限がとれる、こういう規定があるわけでございますが、それとの見合いといいますか、そういう考え方のもとにこれが導入されておるわけではないかと思うわけでございます。
 したがいまして、これは生産制限が続いておるというふうな条件でございまして、もしやめたとしたならば、その時点で問題が生ずるということでございます。したがいまして、その生産調整が行われているということがこの特例措置を受ける要件になろうかと思います。
#293
○大塚清次郎君 これは、結局これにかかわりのある農家の受け取り方は、やっぱりミニマムアクセスがどんどんふえていくんだ、減反をずっと固定していかないとそういう関税化が出てくる、非常にこれは心理的にも何か政治の不整合さというのを感ずる大きなことなんです。だから、いわゆる生産抑制的な措置というものについてどうなのか、これは交渉の余地がありはせぬですか。そういう点についてどうですか。
#294
○政府委員(眞鍋武紀君) 我が国がこれまで主張してきておりましたのは、米のような基幹的食糧でございますとかガットの十一条二項(c)のような生産制限を行っておるというふうなものについては包括関税化の例外にしろ、こういうことを主張してきたわけでございます。したがいまして、この調停者の考え方としては日本の考え方を取り入れた、こういうふうなことも言えないわけではない、こう思うわけでございます。
#295
○大塚清次郎君 政府の特にこの大詰めての外交交渉努力、官房長官は最大限やったとおっしゃっておりますが、こういう追加措置が出たりなんかして、いろいろなものがここでちょっと骨子だけでも明らかになってきた。私は、本当にその詰めの段階でよくやったとはこれは言えません。そういうことですから、ひとつ本当にこれは受け入れてほしくない、その点からもこう思います。
 それから、もう一つの理由は何かといいますと、これは羽田大臣はよく御存じなわけですが、輸出国と輸入国の貿易の取り扱い、ガットの取り扱い、非常な不公平さ、不公正さです。これがちっとも改まっていないというところに問題がある。どういう交渉をしたんですか。これはマルチでやらなきゃならぬ点もあるし二国間でやらなきゃならぬ点もあるが、最近の輸出補助金についてECとアメリカのやり方を見てみると、ちっとも日本政府は努力しなかったんじゃないかということですよ。
 と申しますのは、その跡形もない。あの牛肉・かんきつ、東京ラウンドのときなんか、みんな議員外交もやって、与野党一緒になってやって、そして時の農林水産大臣、外務大臣はそれこそ本当に何十遍も目に見える形でそういう努力がなされているんですよ。それでサザーランドとブリタンが来たとき、一生懸命やりました一生懸命やりましたと言ったって、向こうはこっちを抑えに来たんですから。それから、向こうへ農林水産大臣に行ってもらいました。向こうの新聞の評価なんというのは余り一本調子で、やっぱりあのときの牛肉・かんきつでさえあのような大変な国を挙げての外交交渉をやったんだ。これが見えなかった。
 私は考えますと、私のげすの勘ぐりかもしれませんが、細川内閣は政治改革内閣だ、だからそれにかまけて本当に大臣が頻繁に、やっぱり国連を賭して、これはこの米の問題に限らず輸出国と輸入国との不公平是正、これに非常に努力が足りなかった。本当にこれははっきり認めてもらいたい。
#296
○国務大臣(羽田孜君) 輸出補助金の問題でありますけれども、この問題、それよりその前の交渉ですけれども、この交渉は別に何もこの数カ月ということじゃなくて、私自身が自民党におったころ皆さんと一緒に何回もあちらこちら走り回りましたそのときに、ECに対しても私どもはこの輸出補助金に対して相当強く言ったものであります。そのときにECを言ったことは、そんなことを言うけれども、おれたちはアメリカに比べて十分の一の農業なんだ、どうして輸出補助金がなくて我々が競争できるのか、我が国の農業をやめろということなのかというのがECの声でした。
 今度はケアンズ・グループの方は、ちょっと待ってくれ、アメリカとECが何か言っているけれども……
#297
○大塚清次郎君 今度の六カ月。
#298
○国務大臣(羽田孜君) いや、今度の交渉というのは、まさにそういうものの積み重ねの上にでき上がっているんですよ。ですから、そういう中で方向が実は出されてきておるということで、今度私が出かけていったときにも、それぞれの担当の皆様方にそのことを申し上げておるということでありまして、今までこのガットのルールの中にはそういうものはなかったんです。ところが、今度はまさに輸出補助金というものをきちんと書き込まれることになるであろうというふうに私は確信しております。
#299
○大塚清次郎君 その輸出補助金も、本来ならば全廃してこっちにあけろというのが本当でしょう。それを二四%を二一%にする、そして何がまだ隠れておるかわからぬ。私は、油糧種子あたりの、あそこの共通政策の中でのリバランシングなんて隠れているんじゃないかと。
 それからもう一つ、輸出補助金については、輸出補助金の今度のガットの協約の例外に何百万トンか、千万トンか二千万トンか、小麦を置いているでしょう。もう大変なこと。そしてしかも、今延々やっておるのは、フランスはアメリカにこんなことを言っておる。あのAV、オーディオ・ビジュアル、あれなんか今まだ終わっていない。それはヨーロッパの文化を壊すと言っているんです。米は日本の稲作文化を壊しゃせぬですか。そのはしりですよ。だから、そういうしたたかさというのが私はこの六カ月欲しかった、こういうことですよ、理屈じゃなくて。その点、農林水産大臣、一本調子じゃいけませんよ。
#300
○国務大臣(畑英次郎君) 先日来申し上げておりますように、私なりの一つの交渉スケジュール、戦略、戦術、その中でいささか変化球が足らぬではないかというような御指摘でございますが、それはそれとして私自身が受けとめさせていただきますが、これは私の立場でもって全力を尽くす、当然のことではないかと思います。細川総理におかれましても、当然のことながら外務大臣の羽田副総理におかれましても、既に御承知のとおり、一々は申し上げませんけれども、それぞれのお立場でそれぞれの関係者に強くただいまの文化というような要素をも加味したお話を再三にわたって私自身もやらせていただいたということは、御理解をいただきたいと思うわけでございます。
#301
○大塚清次郎君 それを一生懸命内閣を挙げておやりになっておるとすれば、私はおとといのような、ああこんなはずじゃなかったということはあり得ないと思う。連絡も悪い、閣内の。国務大臣ですよ。これは各省大臣じゃないじゃないですか。みんな御存じでなくちゃいかぬということですよ。官房長官よりもむしろ外務大臣がこれは責任者ですからね。
 私に首ばかり振って、いや、そうじゃないそうじゃないと。それは人はそうは見ていないんですよ、実は。あなたが中心だと見ているんですよ。これが最後に本当にぬぐい切れない禍根を残すとすれば、そのときはやっぱりあなたになってくるんです。特にあなたは二年前の文芸春秋で、米部分開放は絶対反対ということを何ページも条理を尽くして、そうしたらみんなそれを覚えておる人が、あれ、羽田さんが外務大臣になったら豹変したか、こういうことを言うんですよ。
 ですから、それは庶民の声として聞いていただきたい、こう思います。こんなことを言っちゃまことに私も保利さんと同様じくじたる思いですよ。しかし、日本農業は今からどうなっていくかということは読めません。今までの国境措置を維持するという下敷き、前提に立ってあの新農政、農政プランはつくってあるということは、官房長官ははっきり農林水産委員会で私に言ったんです。崩れていきますよ、これは。
 それからもう一つは、構造政策を、生産対策を、あるいは自立対策を今からおやりになっても、もうこれであけたということ、その心理的ななにで、皆さん方のなさる政策と実際の農家の意欲喪失は、政策が浸透するにはこれはタイムラグがありますから、農業政策はそう簡単に石けん、マッチをつくるようにあしたからというわけにはいかぬのですから、タイムラグがある中で参ってしまうということを私どもは非常に心配しておりますよ。本当に私はこれは大変なことだなと思います。
 もう私は、あしたかあさってか何か決断なさるというそんなことはしていただきたくない。十五日まであるじゃないですか、まだ。世界各国を見てもまだまだ。早く早くやろうやろうなんて、これはみんなわかっています、今農家は。どうですか農林水産大臣、あなた体を張って世界各国と同様に、これはひとつ最後の最後まで、二、三日前は、アリの一穴ぐらい余裕があるだろうかと保利先生は言っておられましたが、これはやっぱりそうしないといかぬ。どうですか、農林水産大臣。
#302
○国務大臣(畑英次郎君) 御案内のとおり、ただいまの段階は、今あの調停案に盛られていない分野につきましてのかなり技術的な実務的な要素の段階の詰めの作業が行われておるわけでございます。そしてまた、サザーランド事務局長の考え方におきましても、首席交渉官というものを各国が決めて、それを中心としてのただいま取り組みがなされておる。
 絶えず連絡をとらせていただいておるわけでございますが、引き続き総理、そしてまた外務大臣、そういったお立場におきましてもこの問題に力を入れさせていただいている今日の姿を御理解をいたださたいと思うわけでございます。
#303
○大塚清次郎君 総理に伺います。
 総理大臣は、この問題については国会の決議を尊重して国内自給を旨としてやるということ、これで一貫してこられました。意気たるや壮なものがあったわけでございますが、いつの間にか総理の言の中に非常に今度はファジーなところが入っておると思います。だからやっぱりだんだんそういうようになったんだろうなというように思いますが、その点については今どうお思いですか。今、十五日ぎりぎりまででもやるという覚悟ですかどうですか。
#304
○国務大臣(細川護煕君) 十三日が御承知のように交渉の締め切りということでございますから、それまでなお引き続きぎりぎりの交渉をやらせていただきます。
#305
○大塚清次郎君 やっぱり道なきか本当に狭いところでも、ひとつ一生懸命政府を挙げて総理を先頭にして交渉してくださいよ。いいですか、外務大臣。
#306
○国務大臣(羽田孜君) もちろん農業、米問題も含めまして、全体の中で日本がきちんとこれからの国として成り立っていくようなものを私どもつくり上げなきゃならぬ。これは最後の最後まで私たちは注意を怠ってはいけないということを率直に申し上げたいと思います。
#307
○大塚清次郎君 それじゃ、そのアクションを、例えば大臣がジュネーブなりアメリカなりヨーロッパなり行かれるか、アクションを起こされますか。
 総理大臣、ひとつお願いします。
#308
○国務大臣(細川護煕君) 現地に外務大臣が参りまして総指揮をとるということで今夜出発をする予定でございます。
#309
○大塚清次郎君 その行かれることが形だけのものであってはいけない。やっぱり今までの七年間の総決算ですから、ひとつ成果をつかんで帰ってきてほしいと思いますね。どうぞよろしく。
#310
○国務大臣(羽田孜君) ともかく、先ほどもお話し申し上げましたように、七年と大変長い年月、そしてその結論を出さなきゃならない、我々はちょうどその時に遭遇をいたしておるわけでありますけれども、やっぱり交渉の結果というものは本当に自由貿易、そしてそういう中で農業というものも本当に足腰強く活力のあるものにしていかなきゃならぬ、そんなつもりで我々としても最後の最後まで頑張ってまいりますことだけは申し上げておきたいと存じます。
#311
○大塚清次郎君 時間がなくなりましたが、最後に一つ。
 国家貿易品目がありますね。この取り扱いをどういうようにしていくんですか。
#312
○政府委員(眞鍋武紀君) 我々が包括的関税化の例外扱いを求めていた品目についてのお尋ねだと思いますが、これからの交渉にかかる部分があるわけでございますが、我々これまでもいろいろやりとりはやってきておりますが、国家貿易については維持をするというふうなことで努力してまいりたいと思っております。
#313
○国務大臣(畑英次郎君) 今日の牛肉輸入の実態、オレンジ・牛肉問題に絡んでの関税問題等々そういうことを考え合わせますと、国家貿易という形、その仕組みは何としてもこれは維持をしていきたい、そういうことを督励しながら最後の詰めの作業をさせていただいておる段階でございます。
#314
○大塚清次郎君 農林水産大臣、あなたも農業では総指揮官ですよ。できれば両ハタハタ、二人で行くと成果があるかもしれぬ。ぜひひとつこれは行ってほしいと思うんです。
 以上注文いたしまして、私の質問を終わります。
#315
○委員長(井上吉夫君) 以上で大塚君の質疑は終了いたしました。(拍手)
 本日の審査はこの程度といたします。
 次回は来る十三日午前十時から開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
   午後五時十七分散会
ソース: 国立国会図書館
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