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1993/11/04 第128回国会 参議院 参議院会議録情報 第128回国会 労働委員会 第2号
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1993/11/04 第128回国会 参議院

参議院会議録情報 第128回国会 労働委員会 第2号

#1
第128回国会 労働委員会 第2号
平成五年十一月四日(木曜日)
   午前十時開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 十月二十六日
    辞任        補欠選任
     中尾 則幸君    菅野 久光君
 十月二十七日
    辞任        補欠選任
     橋本  敦君    吉川 春子君
 十一月四日
    辞任        補欠選任
     菅野 久光君    栗原 君子君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長        石川  弘君
    理 事
               柳川 覺治君
               庄司  中君
               細谷 昭雄君
               笹野 貞子君
    委 員
               井上 吉夫君
               小野 清子君
               田辺 哲夫君
               坪井 一宇君
               大脇 雅子君
               栗原 君子君
               菅野 久光君
               西岡瑠璃子君
               浜本 万三君
               武田 節子君
               中西 珠子君
               足立 良平君
               吉川 春子君
               松尾 官平君
  国務大臣
      労 働 大 臣  坂口  力君
  政府委員
      労働大臣官房長  征矢 紀臣君
      労働省労政局長  齋藤 邦彦君
      労働省労働基準  石岡慎太郎君
      局長
      労働省婦人局長  松原 亘子君
      労働省職業安定  七瀬 時雄君
      局長
      労働省職業能力  松原 東樹君
      開発局長
  事務局側
      常任委員会専門  佐野  厚君
      員
  説明員
      総務庁長官官房
      地域改善対策室  炭谷  茂君
      長
      外務省総合外交
      政策局国際社会
      協力部国連行政  隈丸 優次君
      課長
      外務省総合外交
      政策局国際社会
      協力部人権難民  國方 俊男君
      課長
      大蔵大臣官房企  玉木林太郎君
      画官
      大蔵省証券局証  藤原  隆君
      券市場課長
      農林水産省構造
      改善局建設部設  岡本 芳郎君
      計課長
      通商産業省産業
      政策局企業行動
      課産業労働企画  平工 奉文君
      官
      資源エネルギー
      庁長官官房省エ
      ネルギー石油代  藤野 達夫君
      替エネルギー対
      策課長
      運輸省鉄道局業  岩崎  勉君
      務課長
      建設大臣官房会  木下 博夫君
      計課長
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○労働問題に関する調査
 (男女雇用機会均等法の見直し等女子労働者対
 策に関する件)
 (雇用における同和対策の推進に関する件)
 (職場におけるエイズ対策に関する件)
 (勤労者の健康増進対策に関する件)
 (出稼ぎ労働者対策に関する件)
 (旧国鉄労働者の不当労働行為救済申立てに関
 する件)
 (ILO第百五十六号条約の批准に関する件)
 (高齢化社会に対する労働行政の姿勢に関する
 件)
 (日本型雇用システムの評価と今後の見通しに
 関する件)
 (雇用調整助成金の運用に関する件)
 (労働時間の国際比較に関する件)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(石川弘君) ただいまから労働委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 去る十月二十六日、中尾則幸君が委員を辞任され、その補欠として菅野久光君が選任されました。
 また、去る十月二十七日、橋本敦君が委員を辞任され、その補欠として吉川春子君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(石川弘君) 労働問題に関する調査を議題といたします。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#4
○坪井一宇君 委員の坪井でございます。
 自由民主党を代表いたしまして、労働委員会の一般質疑に入りたいのですが、坂口労働大臣は八月九日に就任して以来はや三カ月をたとうといたしておりますが、その政治及び行政に対する姿勢、また公明党の閣僚としての立場を踏まえながら労働大臣の御姿勢をまずお伺いしたい。
 特に、坂口労働大臣は公明党の政策審議会の会長として縦横に御活躍になり、また医師としての資格も持ち、厚生、労働全般にわたるエキスパートとして私どもはお伺いしておるわけでございますが、労働問題に関しましては、御存じのように労働者と経営者という二極に分かれる、いわゆる資本主義かあるいは自由主義か社会主義かという極の中にありまして、公明党さんがいつごろからメーデーに参加しており、どういう方針があってどういう立場で労働問題に参画し考えておられるのか、その点をまずお聞きしたいと思います。
#5
○国務大臣(坂口力君) 坂口でございます。きょうは参議院の方で初めて答弁に立たせていただきます。よろしくお願い申し上げたいと存じます。
 ただいま坪井先生から御質問いただきましたメーデーに関する件でございますが、これは私ども、とりわけ地方の主要都市でメーデーに出ましてごあいさつを申し上げるようになりましたのは昭和四十八年ぐらいからではなかったかというふうに記憶をいたしております。
 これはどういう理由でという御質問でございますが、労働者の祭典として皆さん方がお集まりになる、そして皆さん方の方から、主催者の側から最初は御招待をいただきましてそこでごあいさつを申し上げるというのが私たちのスタートでございました。
 地域によります格差もございまして、地域によりましては若干名メーデーに参加をさせていただ
いている地域もございますし、ただ出席をさせていただきましてごあいさつだけを申し上げるという地域もございます。また、地域によりましては出席もさせていただかないという地域もあるようでございまして、かなり私どもの方はばらつきがあるわけでございます。
 いずれにいたしましても、出席をさせていただきまして皆さんに激励を申し上げ、そして労働者の皆さん方の御活躍をお祈り申し上げるというのが最近のならわしになっているわけでございます。
#6
○坪井一宇君 そうしますと、公明党さんは労働者側に立って労働者の主催者側から御招待を受けて行ったということですが、それまでの方向転換ですね、公明政治連盟つくられてから四十八年ぐらいまではそういう御招待はなかったのかあったのかその辺はどうでございますか。
#7
○国務大臣(坂口力君) 私は、昭和四十七年に衆議院に出させていただきまして、大体そのころからというふうに記憶をいたしておりますので恐らく間違いはなかろうというふうに思っておりますが、それ以前というのは御招待をいただいていたのか、それともいただかずにいたのかということはちょっと私は定かにいたしておりません。御招待をいただいていたけれどもお邪魔していなかったということもあり得ると思いますし、そこのところはちょっと定かでございません。
#8
○坪井一宇君 そうしますと、公明政治連盟、いわゆる公明党の前身のときは社会主義社会を建設するというのが、いつのころから方向転換して中道政治、いわゆる労働者、経営者も含めてどういう形に持っていくのか、その辺はどう認識しておられますか。
#9
○国務大臣(坂口力君) 御承知をいただいておりますように、我が党は中道ということを申しております。中道という言葉は足して二で割るという意味ではございませんけれども、すべての階層、皆さん方の方向を十分に配慮しながら政治を進めていくというのが私たちの立場でございますので、当然のことながら労働者の皆さん方の立場も十分に見、あるいはまた経営者の皆さん方のことも考慮に入れながら政治を進めていくというのが私たちの立場でございます。
#10
○坪井一宇君 労働大臣はまじめな方ですので、今の話にありましたようにすべてに満足できる政治、これはなかなか難しい問題でございまして、立場というものがございまして、その立場から少しずつ自分らの要求、あるいは引き下がる要求というのはあるわけです。私どもとしては、公明党さんがメーデーに参加し労働者の諸君と一緒にやる、そして裏返して言うなら経営者の方にも目を向けているんだ、こういうええとこ取りの政策を果たして続けていかれるのかどうか大変疑問に思うものでございます。
 その問題はおきまして、さらに労働大臣に就任されるまで労働行政にどのように坂口労働大臣はかかわっておられたのか。また、昭和六十一年十二月から平成二年二月まで公明党の政策審議会会長に就任されておられた。とりわけ、労働行政の分野でどのような考え方を持っておられるのか、ちょっとお聞きしたいと思います。
#11
○国務大臣(坂口力君) 私は、昭和五十二年ぐらいからでございましたか政審の副会長になりまして、長い間副会長を務めておりまして、今御指摘のように昭和六十一年からでございますか政審会長を二年ばかりやらせていただいたわけでございます。昭和五十二年ごろ私も参加をいたしまして公明党がまとめました政策の一つにトータルプランというのがあるわけでございますが、それからちょうど十年を経過いたしまして私が政審会長になりましたときに、その見直しをやらなければならないというのが一番大きな仕事でございました。
 一番最初に私たちがつくりましたトータルプランは、これはシビルミニマムを設定いたしまして、それ以下の皆さん方にいかに社会保障を実現していくかというのが基本的な考え方でございましたが、その後中曽根内閣のときに、中曽根総理から自助独立と申しますか、自助ということが言われまして、これは私たちが考えておりました以上にまず自助が大事だというこの御発言に対するかなりの賛同者があったというふうに思っております。
 そうした中で、私たちもシビルミニマムのその考え方の中で社会保障というもの一本やりの考え方で果たしていいのかというのが私の政審会長時代の一番大きなテーマでございまして、それでいろいろ議論をいたしました中で私たちが到達いたしました結論は、雇用機会の拡大、弱い立場の皆さん方の雇用機会、雇用といいますのは雇うという意味の雇用ももちろんでございますけれども、機会の拡大ということが大事であるということでございました。機会を拡大していく、弱い立場の皆さん方のそれぞれのチャンスを与えていくということがもう一つ非常に大きなことである。例えば、障害者の皆さん方の雇用に対しましては今まで以上に広範な雇用の場を提供していく、そういう機会の拡大が大事であるということをそこでうたったのが私たちの仕事でございました。
 そうした総論の中で、特にそのときに問題になりましたのは、パートの皆さん方の問題をどうするか、それから家内労働の皆さん方の問題をどうするか、それから障害者の皆さんの問題をどうするか。それから、当時も育児休業の問題は既に話が出ておりまして、育児休業をどう定着させるかという問題。介護の方は、そのころは若干話は出ておりましたけれども、それほどまだ大きな話にはなっていなかったというふうに記憶をいたしておりますが、育児の方がそのころは主流の問題でございました。そうした問題をそのころ手がけたように記憶いたしております。それ以前の問題は、寡婦の皆さん方の雇用促進の法律案をつくったりというようなことをやったこともございました。
 以上のようなことが、私が手がけてまいりましたような仕事ではないかというふうに思っております。
#12
○坪井一宇君 公明党さんの第三十一回公明党の全国大会の重点政策等を拝見させていただきますと、第六の項目の「ゆとりと安心を確保する雇用対策の推進」というところに、「労働時間短縮の推進」、「時間外労働の大幅抑制」、「年次有給休暇の完全消化と「リフレッシュ休暇制度」の創設」等、働く人々の立場のことがうたってあるわけです。
 今大臣のお話の中にありました育児休業法、これは平成三年の百二十国会で全会一致で成立した件でございますけれども、法律の成立までに独自案を議員立法として再三国会へ公明党さんが提出をされておられるわけです。そういった御成果がこういう形になってあらわれたんだろうと思うんですが、育児休業法に基づく育児休暇制度の普及状況あるいは育児休業の取得状況はどのようになっているのか、お知らせ願いたいと思います。
#13
○政府委員(松原亘子君) 先生御指摘のとおり、育児休業法は昨年の四月一日から施行になったわけでございまして、この法律によりまして、規模三十人以上の事業所に勤務する労働者が育児休業の申し出をした場合には、事業主はその休業の申し出を拒むことができないということになっておるわけでございます。そういう意味で、三十人以上の規模につきましては、この育児休業法が全面適用になっておる。ただし、三十人以下の労働者を雇用する事業所につきましては、平成七年の三月三十一日までその適用が猶予されていますことから、ここについてはまだ全面適用ということになっていないわけでございます。
 法律上はこうなっているわけでございますけれども、実際に企業の中で就業規則ですとか労働協約に具体的にどの程度規定がなされているかということにつきまして、私どもとりあえず昨年十月でございますけれども、東京、大阪及び名古屋の各証券取引所の一部、二部上場企業を対象といたしまして調査いたしました。それによりますと、就業規則、労働協約など何らかの規定、根拠を持つ企業の割合というのは九〇・四%という状況になっております。
 これらの企業における育児休業取得者の状況でございますけれども、平成四年の四月一日から九月三十日までの半年間に育児休業取得者がいたという企業は、今申し上げた九〇・四%の企業のうち四一・一%でございました。実際に育児休業をとった方の数は三千百三十一人というふうになっているわけでございます。
 ただ、これは一部の企業を対象とした調査でございますので、全国的な調査といたしまして、本年五月時点で現在調査を実施しているところでございます。この調査結果をなるべく早くまとめたいというふうに思っておりまして、それがまとまりましたらどの程度の取得状況になっているかということがもう少し詳しく御報告できるかというふうに思っております。
#14
○坪井一宇君 労働大臣は、大臣に就任されてその問題に関心がある、また大臣になる前からその問題を推進されてこられたと、今の実績をどのように評価されておられますか。
#15
○国務大臣(坂口力君) ただいま婦人局長から御答弁を申し上げたとおりでございますが、もう少し正確な数字は五月の調査のものが出てからでないと判明をいたしませんけれども、現在のところスタートいたしました直後でございますので、まずは順調な滑り出してはないだろうかというふうに思っております。
 ただ、中にはもう少しあってもいいのではないかという御指摘をされる方もございますし、いろいろの受けとめ方があるようでございますけれども、私はまあ順調な滑り出しをさせていただいているのではないだろうか、そんなふうに思っております。
#16
○坪井一宇君 労働省が、育児休暇取得者に対して一定の所得の保障制度を検討しているというふうに聞いておりますが、その検討内容はどのようになっていますか。
#17
○政府委員(七瀬時雄君) 育児休業を取得された方々に対する経済的援助の問題につきましては、労働者が育児休業を取得することを容易にし、円滑な職場復帰を援助、促進するという観点から非常に重要な課題であると考えておりまして、労働省ではこれを雇用保険制度によって行うべく具体的な検討を進めているところでございます。
 これに関しましては、中央職業安定審議会の雇用保険部会において御議論をいただいておりまして、同部会での労使などの御意見を承りながら、できるだけ早い時期に結論が得られるよう努力してまいりたいと考えております。
#18
○坪井一宇君 育児休暇制度に関しましてはとめ置きますが、さらに介護休業法の制定について各方面でさまざまな議論があるところでございます。公明党さんにおかれましても、前通常国会で議員立法を提出をされておる。
 介護休業法について、公明党として今国会あるいは次期の通常国会に閣法あるいは議員立法どちらにせよ法案を提出する考えがあるのかないのか、その点をお聞きしたいと思います。
#19
○国務大臣(坂口力君) 私が今大臣をさせていただいております立場から、党のことを申し上げるのは大変失礼かというふうに思いますが、御質問がございましたので、党の方にも問い合わせてみましたところ、党の方といたしましては、現在八党の与党の中でいろいろと議論をさせていただいているところだそうでございまして、その結論を得て決定させていただくということだそうでございます。
 確かに、過去の経緯におきましては、公明党の方からこの法案を出させていただいたという経緯はあるわけでございますが、今はかなり政治の状況も変わっておりますので、単独で私たちがするというわけにはいかないだろうというふうに思っております。そういう状況にありますことをひとまず御理解をいただきたいと存じます。
#20
○坪井一宇君 野党にあるときは単独でも介護休業法を提出する、与党になれば単独でできなくなって、皆さんはどうすると。社会保障制度問題に関して、こういう問題にまでトーンダウンするということは、私は非常に不安定な要素があるんじゃないか。また、社会福祉を進めていく中におきましても、かえって逆にマイナス面が出ているんじゃないかなというような感がするわけでございます。
 また、十月二十六日の坂口労働大臣の所信演説も聞き及びましたけれども、公明党の労働政策に対してどのように大臣は反映をしておられるのか。自分の考えはどうなんだと。信条、哲学、そういった自分の出てきた背景というものを大事にしてなさっておられるのか。十月二十六日の大臣の所信表明のあいさつの中にはそういったものがうかがい知ることができないということで、私は逆に残念だなというふうに思うわけでございます。
 今後、大臣が公明党を離れましても、自分の主義、信条で公明党という政党に所属し、大臣になっておるわけですから、その辺はどういうふうに反映されるのか、その決意をお聞きしたいと思います。
#21
○国務大臣(坂口力君) 私が今までやってまいりました労働行政の中での中心的なものというのは、これはどちらかと申しますと労働福祉のにおいが非常に強い部分であったというふうに思っております。
 先ほども申し上げましたように、パート労働者の問題、家内労働をしておみえになる皆さん方の問題、障害者の問題、そしてまた中小企業で働かれる皆さん方の問題等々、どちらかと申しますと労働福祉と言われる範疇に入ることが多かったのではないかというふうに思っております。
 そうした私のその考え方をひとつは反映もさせていただきまして、来年の法案の提出におきましては、一つは六十一歳から六十五歳までの継続雇用の問題、あるいはまた障害者の皆さん方の働く場の問題、そしてまた育児休業の問題であり、そうした皆さん方の育児休業やあるいは介護休業の法案が出せるかどうか、これは今のところすぐには少し難しいというふうに思っております。ただし、この問題もじっとしているわけではございませんで、今鋭意努力をいたしておる最中でございまして、一日も早くこの介護休業の法案等も提出をさせていただけるような準備を進めたいというふうに思っているわけでございまして、そうした努力もさせていただいている。
 こうした問題は、私が今まで進めてまいりました労働福祉の考え方の中、その考え方と軌を一にするものであるというふうに思っておる次第でございまして、御理解をいただければと思います。
#22
○坪井一宇君 総理の所信表明演説あるいは労働大臣の所信表明演説について言えば、公明党さんが年来主張されておられる個々の具体的な内容について比較的トーンダウンが多いということで、しかも従来の施策の一つ一つのことに意外に触れておられない。玉虫色に飾ったものだけが出てきているということですので、ぜひともそういった個々の問題も、先ほど申しましたように信条、哲学に基づいて公明党出身の労働大臣として思い切った施策を実行していただきたい。そして、まして公明党出身の閣僚だということをお忘れになっていないというふうに思うわけでございますので、どうかひとつそういった主張というものを、しっかりしたものを打ち出していただきたいというふうに思うわけでございます。
 公明党が今まで進めてきた最重要の労働政策の推進について堂々と、せっかく政権をおとりになられたのにその期間各党の玉虫色の中でじっとしておったということでは、私はトーンダウンしたことになってきてしまうんじゃないかなという心配をするわけでございます。政策によって政権をとられたということで、維持することの難しさというものをあわせて今痛感しておられるんじゃないか。しかも、介護休業法につきましても今のお話によりますと、通常国会等で単独で出されておられた公明党さんが大臣をなされたら、今の答弁にありますようにいささか難しい問題を持っているというふうに御発言がなされております。私はそういった問題を、この問題をこの内閣でひとつやるんだということを前提にする、何に力を注い
で仕事をしていくのかということをはっきり見せるということが非常に大事な仕事の範疇にあるんじゃないかなというふうに思うわけでございます。
 そういった意味で、大臣が所属しておられる公明党という政党が中庸、中道という非常に根気と忍耐が必要な分野におられるわけでございますので、野党の立場で気楽に今までしておられたものと違ってどういう形で実現するか、その辺のことを大臣としてお話をお聞きしたいと思います。
#23
○国務大臣(坂口力君) 労働大臣にさせていただきまして三カ月でございますが、その間で最大級の御激励をいただいたというふうに思っております。今までこんなに党のことを含めて激励をしていただいたことはなかったわけでございまして、大変光栄に存じております。
 しかし、いずれにいたしましても、連立政権の中で歩調を合わせながら、そしてまた大先輩でございます自民党の先生方の御意見も十分に拝聴しながら進めなければならないわけでございますので、ひとつ慎重の上にも慎重を期していきたいというふうに思っております。ただ、先ほど申しましたように私の考えてまいりました労働福祉の観点というものは忘れずにこれからもひとつやらせていただきたいというふうに思っておりますので、何とぞよろしくお願いを申し上げたいと存じます。
 また、あわせまして最近の経済状態を考えましたときに、これからの経済構造の変化がどのような方向に向かっていくのか、そのことについても私たちは勉強をしなければならないというふうに思っております。そのことが雇用構造をどう変化させるかということに結びついでくるわけでございますので、大変重要な問題だというふうに思っておりますし、そしてこの雇用構造の変化というものを起こしやすいようにどのようにしていくのか、すなわち能力開発というものをどのように進めていくことができるようにしたら一番いいのかといったこともこれからの労働行政の中では大切な問題であるというふうに思っているわけでございます。
 それから、もう一つ視点を変えて発言をさせていただければ、高齢化が進み、そして少子化社会が来るわけでございます。こうした人口動態の変化に関しまして、どういたしましても労働人口が減少をしてくるわけでございますから、これに対しまして中高年の皆さん方の雇用の問題、そしてまた女性の労働環境の整備の問題等々含めまして、これから着実に前進をさせていくことが中長期的展望の中で大変大事な問題ではないかというふうに思っておりますので、これらのことにつきましても勉強を重ねながら、鋭意前進をさせていただきたいと思っているところでございます。
#24
○坪井一宇君 大臣、この委員会は労働問題の委員会ですので、比較的先鋭化した討論の場ではなくて、むしろいかに労働者の皆さんが雇用とか差別とかいろんな問題を克服して一歩一歩前進するかという委員会ですので、ひとつ大臣のそういう姿勢を今後我々は見詰めてまいりたいというふうに思っております。
 話は変わりますが、同和関係住民の差別問題についてお聞きをしたいのです。
 私ども、大阪あるいは近畿、西日本一円に対します同和問題は大きな問題を含んでおることもまた事実でございますし、地域的にいろいろの問題を今含んでおります。私も政治家を志して以来、常々その問題に関心を寄せておりまして、大阪府議会の幹事長、議長時代には、興信所条例という就職、結婚等のときに興信所が身元調査をするということに対する規制を全国に先駆けて大阪府で施行しておるわけです。これも一地域の小さな大阪だけということになりますと、奈良に頼んだり京都に頼んだり、あるいは福岡に頼んだら調査できるということでございますが、一つずつでもそういう前進をさせていくということが大変大事なことだというふうに私は思っておりまして、ぜひこの差別の問題につきまして質問をしたいというふうに思っております。女性問題は、私どもの小野先生がおられますので譲りまして、差別の問題等につきましてこれから質問をしてまいりたいというふうに思っております。
 政府も、昭和四十年の同和対策審議会の答申及びそれを受けて昭和四十四年から施行された同和対策事業特別措置法以来、さまざまな努力を私ども自民党もやってまいりましたし、努力をし続けてまいったわけでございます。同和関係住民たちの長年の努力で、徐々には貧富の差あるいは特別な経済的な問題等は解消されてきたんじゃないかなというふうに思っているわけでございますが、なお差別の解消の徹底がなされているのかどうかということについて、総務庁の方から答弁を求めたいと思います。
#25
○説明員(炭谷茂君) ただいま先生御指摘になりましたように、同対法施行以来二十四年間、政府といたしまして関係諸施策を進めてまいったわけでございます。
 この結果、同和地区の生活実態等のいわば実態的な差別につきましては大変改善されまして、同和地区と一般地区の地域との格差というものは相当改善されたというふうな評価をいただいております。
 一方、心理的差別につきましても改善が進み、その成果については全体的には着実に前進をしているというふうに地対協の答申でも評価をいただいているわけでございます。しかしながら心理的な差別につきましては、例えば同和関係者と一般住民との婚姻というものは相当進んでおりまして改善の方向にありますけれども、一般的に申せば結婚や就職などにおきましては差別事象が相変わらず出てくるということがありますので、十分な状況にはないんではないかというふうに認識いたしております。
#26
○坪井一宇君 労働省として、同和関係住民に対する施策として、雇用対策を中心としていかに進めておられるのかお聞きしたいと思います。
#27
○政府委員(七瀬時雄君) 大変重要な課題であると認識しておりますが、労働省といたしましてはかねてより、同和関係住民の方々の就職の機会均等を確保することが同和問題解決の中心課題であるとの認識のもとに、同和関係住民の雇用の促進と職業の安定を図るため、事業主の方々が同和問題について正しい理解、認識を深め、応募者の適性、能力のみによって採否を決める公正な採用・選考を行うことに重点を置きまして啓発、指導を展開してきたところでございます。
 ただ、労働省が毎年把握しております就職差別につながるおそれのある事象は、昭和六十年当時に比べますと減少を見ておりますものの、現在においても数多く発生しているところでございまして、遺憾ながらいまだに差別の解消が徹底されているとは言いがたい状況にあると認識しております。
 今後とも、就職差別の解消を図るため、労働省といたしましては、関係機関とも緊密な連携のもとに公正な採用・選考システムを確立することに重点を置きまして、事業主の方々の啓発、指導に努めてまいりたいと考えております。
#28
○坪井一宇君 今きれいなお話をお聞きしておったんですが、実際はそんな状況じゃない。私ども掌握しておりますところでも、差別事件のいろんな問題がぜひ話をしていただきたいということで届いております。全体として差別の解消に進んでおることは事実でしょうけれども、逆に最近のように雇用状況が悪くなりますと、顕著にそういうことが出てくる可能性が非常に強い。
 とりわけ、面接でどこの部落ですか、家は一戸建てですか、お母さんの収入だけでやってきたんですかとか、祖母とお母さんの年齢差がありますが実の子ですかとか、あるいはお父さんはどこに住んでいるのですか、行き先は聞いていますかというような報道が大阪で差別事件としてついこの間も事件になっている。どこの会社とはここでは申しません。あるいは新潟県の市では、一次試験の合格者に対して大学を通じて思想調査を実施しているということもございます。あるいは新聞の折り込み広告で、履歴書の問題で本籍、あるいは
同和関係ではないかということを調べている会社もございます。
 そうしたふうに、一方では確かに地対法、ここでいろいろと改善されている面もあるんですが、逆に悪質など言ったらおかしゅうございますが、雇用関係の中における差別というものが起こっておる。その辺は労働省はどう掌握されておるのか、お聞きしたいと思います。
#29
○政府委員(七瀬時雄君) 私ども、非常に厳しい認識を持って臨んでいるところでございます。就職差別につながるおそれのございます事象は、ただいまお話にございましたように面接時において不適切な質問をするというような形を中心に数多く発生しておりまして、ここ数年八百件台で推移してきておりましたけれども、平成四年度は七百八十件ということで、約一割の減少を見ているところでございます。
 ただ、今本当に先生からお話がございましたような厳しい状況にもございますので、今後ともこうしたことが生ずることがないように公正な採用、そして選考システムの確立を図ることを重点に、事業主に対して啓発、指導に努めてまいりたいというふうに思っております。大変厳しい認識を持っておるところでございます。
#30
○坪井一宇君 今大変厳しい認識を持っているということですが、成績とかあるいは面談とかいうことで、明らかに就職試験を受けて劣っている場合は別にいたしまして、ほぼ同じ学力、あるいはほぼ匹敵するような面接の点数を取りながら就職ができない。あるいは中におられて当然昇進がされるということでも、そういう問題が発生した場合いろいろと差別が行われておるということで、比較的その地域のないところは別にいたしまして、とりわけ関西を中心にいたします同和行政というものに、ぜひその行政の担当として真剣に取り組んでいただきたい。そして、そういう事業所に対して一段と厳しい指導をしていただきたいというふうに考えるわけでございます。
 これは、完全に同じ人間でありながらその中でそういう差別が行われているということにつきましては、やはり労働省としても各事業所に厳しい指導をしていただきたい。そして、特に就職を前にした若者が人生を左右されるという大事なときに、機会均等がひとつ実質的に確保できるようにお願いをしておきたいというふうに思うわけでございます。
 さらに、同和対策事業の特別措置法は延長を重ねて、昭和六十二年には一般対策への円滑な移行のため最終の特別法として地域改善対策特定事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律ということで制定されました。さらに、平成四年三月三十一日に同法の失効の予定でありましたが、国の財政上の支援が必要であるということで、五年間の延長が図られたところでございます。これは、平成九年三月三十一日まで政府の最大限の努力ということになっておりますが、この法律がもし失効ということになりますと、国の特別な支援が受けられなくなったときの状況を考えますと、差別が実質的になくなっていないおそれの強いことが予想されるときに国の援助を受けられない。受けられる措置が私は引き続き必要じゃないかなというふうに思うわけでございます。
 特に、国の一部の中には、支援の結果逆差別が起こっているじゃないかというような非難を聞くこともあります。しかし、逆差別以上に差別されている方々にすることの方がより重要な課題だろうというふうに思うわけでございます。そのことからいいまして、新しい法律の制定を考えておられるのか。労働省もこの問題に対しましては積極的に関与していくのか。その辺のことについてお聞きしたいと思います。
#31
○説明員(炭谷茂君) 現在、同和対策につきましては、現行の地対財特法に基づきまして、今先生御指摘なさいましたように平成八年度までこの法律があるわけでございますので、この法律に基づきまして、例えば残された物的事業を平成八年度までに完遂させるということとか、また啓発等の事業を積極的に進めることなどによりまして同和問題の早期の解決に努力したいというふうに考えているわけでございます。
 この法律は、平成八年度をもって失効するわけでございますけれども、その後の地域改善対策、同和対策の方策につきましては、ことしの七月に地対協の中に総括部会というものが設置されております。この総括部会におきまして、例えば特別対策をどのように円滑に一般対策で推進させるとか、またこれからの啓発等のあり方というものについてこの場において検討されていくものと考えております。
#32
○政府委員(七瀬時雄君) 労働省といたしましては、ただいま御指摘のございましたようなことを念頭に置きながら、就職差別といったようなことがないように積極的に対応していきたいと思いますが、ただいま御指摘の法律の問題、その他は政府全体の問題でございますので、労働省といたしましても政府全体の議論の中で積極的にいろいろとやっていきたいと考えております。
#33
○坪井一宇君 この問題を八年とか九年とかいうふうに、何年でそういう事業が完遂すると思われるかということなんです。恐らく、同和地域の特別措置であと五年以内にそれをしなきゃならない。しかし、しなきゃならないことがそれで完全にでき上がるかどうか、私は非常に疑問に思うわけです。
 こういったものを特別立法、いわゆる年を追ってやるということ自体がまた一つの大変な差別であるのじゃないか。当然やるべきことをなさってこなかったツケが今来ているのではないかというふうに思うわけでございまして、ひとつそのときにはまたこの論議が再現するだろうと思います。しかし、話を少し変えますけれども、今や日本は一つの経済大国あるいは生活大国として世界に範を示さなきゃならないという立場からしますと、国内に差別問題を残すという状況、現実、これはやはり私どもは見過ごしてはならない大きな問題であろうというふうに思っております。
 そこで、国連では人種差別撤廃条約というのがございまして、日本ではまだ批准をされておりません。さらに、ILO第百十一号条約についても批准がされていない。今国連の常任理事国入りが議論されている折に、これらの問題をほっておいてその責任を果たせるかどうか。私は甚だ疑問に思っている一人でございまして、人権問題、差別問題というのは先進諸国は大変敏感な問題として受けとめておりますし、我々もこの問題にどう対処していくかということは、先進諸国の中の一つとしても主導的役割を果たせる意味から考えなきゃならない問題というふうに考えております。
 そこで、国連の人種差別撤廃条約及びILO百十一号条約について日本は未批准になっておりますが、推進する意思があるのかどうか、この辺についてお聞きをしたいというふうに思います。
#34
○説明員(隈丸優次君) 先生御指摘の条約でございますが、雇用及び職業についての差別待遇に関する条約、ILO百十一号についてまずお答え申し上げたいと思います。
 この条約は、締約国が雇用及び職業につき人種、皮膚の色、性、宗教、政治的意見、国民的系統または社会的出身に基づく差別をなくすため、雇用または職業についての機会及び待遇の均等を国内事情及び国内慣行に適した方法により促進するための方針を明らかにしている、またこの方針の実施のための措置をとることを規定している条約でございます。
 御案内のとおり、我が国におきましては、憲法十四条に一般的に法のもとの平等が規定されております。職業、雇用の分野におきましては、労働基準法、職業安定法、男女雇用機会均等法等に基づき差別に対する施策が講じられているところでございます。
 しかしながら、この条約につきましては、雇用及び職業に関する広範な差別を対象としております。その批准に当たりましては、この条約の規定の具体的内容についての確認を行うとともに、国内法制との整合性等につきさらに検討する必要があると考えておりまして、今後とも引き続き検討
を進めてまいりたいと思っております。
 人種差別撤廃条約でございますが、これにつきましては担当の責任者が参っておりますので、そちらの方から答弁申し上げます。
#35
○説明員(國方俊男君) 先生から御指摘のございました人種差別撤廃条約についてお答えを申し上げます。
 この条約につきましては、外務省といたしましては、あらゆる形態の人種差別を撤廃するというこの条約の趣旨にかんがみまして、早期締結が重要であると考えておる次第でございます。
 他方、これまでこの条約の締結に向けましていろいろと鋭意検討を重ねてまいったわけでございますけれども、先生御高承のとおり条約が規定しております処罰の義務ということと、それから我が国の憲法が保障しております、表現の自由などを初めといたします基本的人権との関係をどう調整するか。そういった問題を含めまして困難な問題があるということが明らかになってきております。
 この点をいかに解決するかも含めまして、この条約を締結するためにいかなる方途が最善であるかということにつきまして、関係省庁との検討をさらに進めるよう一層の努力をしておるところでございます。
#36
○坪井一宇君 こういった問題をぜひとも早期に批准する、そしてそれに伴う国内関係法を整備する。これがやはり世界の主導的役割を果たすという意味からも非常に大事な要件だろうと私は思いますので、労働大臣の方からも一言この問題につきましての御見解をお願いしたいと思います。
#37
○国務大臣(坂口力君) 今先生御指摘になりましたさまざまなことにつきましては、私も紀伊半島の一隅に住まわせていただいております一人といたしましてよく理解のできることでございます。
 私も党にありましたときには、役員の一人としていろいろやってきた一人でございまして、ぜひ解決をしなければならない問題であるというふうに思っておりますし、また新法につきましても、個人的立場といたしましてはぜひ解決をしなければならない問題であるというふうに思っております一人でございます。
 ただいま御指摘になりましたILO百十一号条約につきましては、これは今外務省の方からも御指摘をいただきましたように処罰義務とそれから表現の自由との関係調整、そうした難しい問題もあるようでございまして、ぜひこの辺のところを整理しながら前進をさせなければならないのであろうというふうに思っております。
 こうした難しい問題もございますけれども、今後とも批准のためにいかなる方法が最善であるかにつきまして、関係省庁とも綿密に連携をとりながら検討をさらに進めていきたいというふうに思っておりますので、ひとつどうぞよろしくお願いいたします。
#38
○坪井一宇君 労働大臣の御決意を聞かせていただいて了とするものでございます。保
 いずれにいたしましても、大阪の泉佐野市で過日解放同盟が基本法を制定せよというふうな条例等を決議しておりますし、各地区で今そういう動きが出てまいっております。その場合に、それに見合う成案としてそういうILO条約の批准あるいは国内法を整備していく、その上にさらにそれをしなきゃならないのかどうかというところまで論議を高めていかなきゃいけないんじゃないかなというふうに思うわけです。
 その分野だけをこうせよということは、やはりそれだけその分野だけが劣っているんじゃないかなというふうに我々として考えますので、ぜひそういう問題が大きな社会的な問題になる前に、すべき成案、すべき法律、すべき条例というものを整備していくということが非常に大事な、その上でなおかつ解放同盟の皆さんがおっしゃるように基本法までつくる必要があるのかどうかということをしなければ、その問題だけが突出してくるという可能性が私はあるんじゃないかなというふうに心配するわけでございます。どうかその点もひとつお含みおき願いたいというふうに思います。
 それから、同和対策に関連いたしまして、新たな差別問題としてエイズの問題が今世間でも徐々にながら問題視されておりますし、大臣は血液の専門家でございますのでエイズの問題に関しましても一つの認識を持っておられるだろうというふうに思うわけですが、これでそれだけ時間をとれませんので少しはしょって私の考え方についてお話しするわけでございます。
 まず、エイズの対策でかからないようにするということ、これはもう一番大事なことでございまして、厚生省を初めとして労働省もその問題については前向きに取り組んでいただいているというふうには思うわけでございますが、どのような対策というよりも、労働省の範囲の中におきましては、いわゆるエイズにかかった方、キャリアあるいはノンキャリアを含めましてエイズにかかった方々は雇用の中で差別が将来起こるんじゃないかな、それに対して起こってから手を打っていくということではもう世界的な情勢の中では大変遅いんじゃないかなというふうに私は思うわけでございます。
 私が昭和三十七年に就職しました会社が日本ブラッドバンクという、ミドリ十字という会社でございまして、今血友病患者のエイズの問題は私の会社としても大変大きな問題として認識をいたしておりますし、解決しなければならない問題だというふうに先生と同じ血液関係の仕事をしておりますので思うわけでございます。その中で、アメリカを中心としまして職場におけるエイズ対策についてWHO、ILOのガイドラインという概要をいただいたんですが、この中にもエイズ患者に対する待遇あるいは差別はすべきでないというふうに書かれております。さらにそれに基づきまして、ADAの内容等を読みますと、そういう差別をされた場合は、雇用機会均等委員会に直ちに訴えてそして裁判にかける、そして差別の禁止命令、費用の賠償という点についてするというふうな、そういう対策が労働省の中でとられているのかどうかひとつお聞きしたいと思います。とられる可能性があるのかどうか、聞きたいと思います。
#39
○政府委員(石岡慎太郎君) 労働省といたしましても、エイズの問題は非常に重要な問題だと考えましていろいろ対策を講じてきているところでございます。先ほどお話がありましたILOのガイドラインといいますか、ILOの「エイズと職場」というテキストなどにつきましても、先般これを翻訳いたしまして、エイズによる職場の混乱がないように各方面にこれを配布いたしまして正しい取り扱いを行うように啓蒙もしているところでございます。
 御指摘のとおり、ILOの「エイズと職場」の中におきましては、「健康なHIV感染労働者は、他の労働者と同じように扱われるべきである。」という項目も入っているところでございまして、このような考え方は我が国でもこれから現実の問題として原則としてとっていかなければならないものではないかと思っておる次第でございます。
 諸外国の例もいろいろ研究をいたしておりますが、さらに今後この問題につきましては諸外国の例も検討の上いろいろな対策を講じてまいりたいと考えております。
#40
○坪井一宇君 大臣はいかがでございますか。
#41
○国務大臣(坂口力君) このエイズの問題は、御指摘のように一つは予防が大変大事なことはもう言うまでもございません。もう一つは、感染しましたときに、あるいは発病いたしましたときに、その人をいかに職場、我々の範囲でいきましたら職場だと思いますが、職場や社会の中でいかに受け入れていくかという問題がございます。
 ですから、いわゆる感染予防の問題と感染をいたしました後その人たちをどう受け入れ、そしてその人たちとどうともに生きていくかという二つの問題を考えていかなければならないというふうに思っておりまして、これから働く場におきましても、感染者の方が、ふえるという言葉を使っていいかどうかわかりませんけれども、今までに比較をいたしますとふえてくる可能性は当然のことながら考えておかなければならないというふうに
思うわけでございます。
 その場合に、はれものにさわるような形でこの人たちに接するようなことがあってはなりません。したがいまして、正しい知識を持って感染者に対しましても接していく、そしてふだんの生活の中では感染をしないのだということを明確に知った上でこの人たちを受け入れていく、そういう労働環境をつくり上げていくということが大事ではないだろうか。そのことはかなり教育をしておかないといけないというふうに思っておりまして、この問題を今までは厚生省の中での問題というふうに私たちも考えておりましたけれども、ただ厚生省の中の問題というのではなくて、働く場の一つの問題として私たちもこれから積極的に取り上げていかなければならない、こういうふうに思っているわけでございます。
 かなり関心は高まっているようでございまして、先ほど局長が申しました「エイズと職場」というILOで出されておりますものを今回翻訳いたしましたが、これもあっという間に三万部出ましてかなり職場でもこの問題の関心が高まっているというふうに思っておりまして、この高まっておりますときにぜひ徹底した教育がなされるように私たちも努力をしていきたい、労働衛生の中の一つに加えていきたい、こんなふうに思っております。
#42
○坪井一宇君 今大臣から教育を徹底してやりたいということでございますけれども、これは先ほどお話しの同和問題もそうでございますけれども、実際の場合差別というのはまた別の時点でやはり考えなきゃいけないんじゃないか。ですから、教育をすればするほど余計に差別が起こるときもありますし、逆な現象も起こってくるときが私は往々にしてあると思うんです。
 ですから、こういうふうにエイズが出てきた場合には、そういう訴訟はできます、こういう訴訟をしてください、こういう法律をつくります、こういう条例をつくりますということの姿勢というものを今からきっちりとしておかなきゃいけないんじゃないか。長い間家の中におられて、教育だけでやっておりましても、大丈夫だというわけにはやっぱり人間の感情としていかない。差別されて、それは教育していたけれどもなにわからないのかということでは済まない。やはりその人をどういうふうに今度は法律で救っていくかというのが政治家の一つの務めじゃないかというふうに思うわけです。ですから、そういう面で、今我が国は数字も上がっておりますが、決して欧米諸国よりも多いとは言えませんけれども、この問題は大変な問題になってくるんじゃないか。
 例えば食品衛生とか、あるいは今大臣も私もそういう会社におりますが、そういうところにもし仮にエイズ患者がおられたら教育で何ぼ大丈夫だ、働いておられてもうつることはないんだ、こう言っておられましても、そういう会社にエイズ患者がおられたということだけで商品としての価値は非常にマイナスされる。他の企業からも攻撃を受けるということになりますと、雇用者としてはどうしてもやめてもらうとかいろんな措置をとらざるを得ない。そういったことに対する認識というものをきちっとその中でしておかなきゃいけないんじゃないか。
 今のように教育だけで、教育しておれば間違いないだろう、あるいはこういうことを言っておれば間違いないだろうということだけでは私は免れることのできない事態が、治療薬ができれば別ですよ、しかしここ数年のうちに治療薬ができる見通しというのがなかなか立たないという状況でございますので、それならばやはりこの間にそういう法律というものを整備していく。しかも、こういう問題の中の差別というものにつきましては病気、これも大変な差別の一つになってくる可能性があるわけでございますので、その辺の決意をひとつお聞きしたいというふうに思います。
#43
○国務大臣(坂口力君) 過去におきましては結核でございますとか、らいでございますとか、さまざまな病気に対しまして同様なことが起こったわけでございます。そうした過去の問題も十分に私たちは参考にしながら、新しいこのエイズという病気に対処していかなければならないというふうに思っております。
 今御指摘のように、教育をすればさらに差別が広がるのではないかという御心配もございますが、差別が広がらないような教育をどうしていったらいいかというのが今回の教育の一番中心的なテーマではないかというふうに思っております。
 ただ、教育だけではなくて、そのほかに私たちがやらなければならないことがあるならば、これは法律で縛るというふうに申しましても、法律で縛れば感情が抑えられるかといえばこれもなかなかそうもいかない面もございます。したがって、考えられるいろいろのことを組み合わせをいたしまして、そして先ほど申しましたように一つは感染をしない、予防ができるように、もう一つは感染をいたしました場合にあるいは発病いたしました場合にその人たちをどのように受け入れていくかというその二点について、私たちは今まで以上にこれは真剣に取り組んでいかなければならない。数の少ない現在のうちに取り組んでおかねばならない、そのように思っております。
 また、いろいろと御指導いただきたいと思っております。
#44
○坪井一宇君 先ほど来、大臣の姿勢と差別問題等を質問してまいりましたが、最後に、ただいまの経済問題に対する大臣の一つの見識というものをお聞きしたいというふうに思うわけです。
 過日の新聞も、労働省の発表じゃございませんが、来年度には失業率が三%になるだろうというような連合総研の方からも発表がございました。大変な雇用不安の状況を生みつつあります。そして、各経営者団体あるいは経営者の方々も、ボーナスあるいは春闘の賃金等については非常に悲観的な見通しが報じられるようになりました。さらに、将来的には賃下げをされるんじゃなかろうかというような報道も我々耳にするところであります。
 ますます気持ちの中で、国民の皆さんが不安と、あるいは萎縮されるというんですか、明るい希望というよりもこれからますます締まっていかなきゃいけないなというような景気の情勢でございます。
 その中にありまして、昨年私どもの大臣でございました近藤元労働大臣が在任中に盛んにお話ししておられましたのは、こういう時期にこそ逆に賃上げをすべきだ。私も、私を囲みます若手経営者の会で、もし松下幸之助さんが今生存しているならばどんな経済政策を出すだろうかというフリートーキングも一回したことがございます。そのときの話の中で、私は非常に新しい衝撃を受けましたのは、この時期こそ逆に政府あるいは企業が一丸となって賃上げをして国民に希望を与えて、そしてそのためのありとあらゆる施策をしくべきじゃないかという意見を私も耳にいたしまして、一つの提言かなというふうに思うわけでございます。
 しかし、日本の賃金そのものは、各経営者に聞きますと世界一高いんだ、あるいは外国に比較しても高いと言うんですが、しかしこの賃金の高さというのは、その国の物を買う値段、実質賃金とは少し違うんじゃないか。例えば、日本の非常に高い物価水準の中で賃金をもらっておっても、世界と比べて高いかもしれぬ、しかしその国の物価が安ければ非常に賃金というのは高くなるという意味からして、日本の賃金は私は決して高くないんじゃないかなというふうに思うわけでございます。
 ですから、そういう対策というのは、逆説の論理というんですか、この際労働大臣として思い切って賃上げ論争もいわゆる経営者に論戦を挑んでいただく、賃金問題は労使間の問題だということで退かずに、こういう問題についても積極的な意見を労働大臣として発言する気があるのかないのか、その点をお聞きしたいと思います。
#45
○国務大臣(坂口力君) 先生のすばらしいお話でございまして、つい引き込まれそうなお話でございますけれども、今私がとかくこの問題を申し上
げることは混乱を与えてかえってマイナス面を与える可能性もございます。慎重には慎重を期してここは御答弁を申し上げておいた方がかえってプラスになるのではないかというふうに思っておりまして、自重しながらひとつ現在おるということを申し上げて答弁にかえさせていただきたいと存じます。
#46
○坪井一宇君 大臣になられまして、慎重というのでは。どうですか、大臣になられて、ずっと二回も三回も大臣なさろうと思うんですか。やはりそう何回も大臣はないんだから、ですから自分の考え方というものを思い切ってぶつけていく。そして、かんかんがくがくの議論が国民に伝わってくる。我々のことを本当に考えてくれる政治家がいてるんだなということ。賃金を下げろと言っている人たちは随分お金をもらっている人なんです。
 そういう意見が支配する中にあって、私はむしろこの間の新聞の報道を見ますと、五百万円年収もらう人、もらっていない人、日本の国民で年収五百万円以下の人が日本の財政を支えているというんです。そうすると、今五百万円以下の人をいかに五百万円にするかということが大事な時期で、所得税減税よりはるかに私は効果があると思うんですが、もう一度大臣の決意をお聞きしたいと思います。
#47
○国務大臣(坂口力君) 坪井先生が御指摘になりますことは、十分私もわかっておりまして、先生に万雷の拍手をしたい気持ちでございます。
 いずれにいたしましても、景気が回復をいたしまして、そして明るい見通しを持っていただくようにしなければならないわけでございます。ところが、現在の状況は御指摘のとおり明るい見通しがなかなかございません。それで、これを我々としては明るい見通しを持っていただくようにするということが一番大事ではないかというふうに思っておりまして、そのためには税制改革の問題もございましょう、それから物価をどう下げるかという問題もございましょう。あわせて賃金の問題もございましょう。これらの問題を総合的に私たちとしては考えて、そして働く皆さん方が本当に日本の賃金は実質的に世界の中で安定をしている、やはり高いと言っていただけるような状態をつくり出していかなきゃならない。
 ただ、ここで大きく私がこうすべきだと言うことは簡単でございますけれども、そう申し上げて一遍にそれがなるわけでもございませんし、そうすることがかえって混乱を与えるということは差し控えなければならないというふうに思っているわけでございます。ただ、先生が御指摘になっておりますことは十分に念頭に置きながらお答えを申し上げさせていただいているということをひとつ御理解いただきたいと存じます。
#48
○坪井一宇君 最後に要望させていただきたいんですが、今お話ありましたようにいろいろな施策で景気の浮揚策、景気の明るい見通しがないから言えないというんじゃなくて、景気を明るくするための手段としてそういう施策も必要じゃないか。思い切った今そういう手当てをしなければいけない。
 ただ、所得税減税をしたそのマイナス分を逆に消費税から取る、こういう単純な考え方では恐らく私は政治家は要らないんじゃないか。実際に所得減税してそれをいかに守るかということがやはり政治の根底にあるんじゃないか。それがどうしてもならないなら国民にお願いして形を変えていかないといけない。しかし今の理論を言いますと、所得税減税した、そうしたらその足りない分をこっち側で取るんだと。これなら全く算数的な役割しか果たさないんじゃないか。これでは、私は国民が議論することはできないんじゃないかなというふうに思うわけでございます。まあ、与党の皆さんから感謝してもらっていますが、いずれにいたしましてもそういう姿勢というのもひとつお願い申し上げたい。
 それからもう一つは、リストラだとかいろんなことがありますね。どうも経営者初め、今与党の皆さん方も余りにも欧米型で押しまくられる可能性があるんじゃないか。もう少ししっかりしてもらいたい、そしてしっかり指導してもらいたい。ということは、日本古来の年功賃金制、終身雇用制あるいは企業内組合というシステム、これを日本の今までのやり方でしっかりやってきたからこそ経済大国になったんです。ここにきて一気にそれが崩壊されるような欧米型のやり方で押しまくられるというのはどうも私は腑に落ちない。勇気を持って今のやり方はやり方で正しいということを、やはりやっていただく時代をつくっていただきたい。
 世界の国々が、日本を目標にしてきた国々があるわけですから、そういうことも念頭に置いてこれから先進国の雇用サミット等においていろいろと議論をされるわけですが、堂々と日本の今までの労働形態の中のよさというものを、大いにひとつ頑張っていただきたいということを申し上げまして私の質問にかえます。
#49
○小野清子君 自由民主党の小野清子でございます。坂口労働大臣に御質問をさせていただきます。
 最近は、建設作業場などにも女性の従業員が働くようになってまいりました。大臣はお医者様であると同時に労働衛生、労働環境も専門分野とされ、特に職場の衛生については大変御造詣が深いわけでございますけれども、インタビューの御発言の中で男女別職場の方が事故が少ないなど御発言をされていらっしゃるようでございます。あるいは曜日別に事故の多い曜日があるなどお話をされておるようでございます。その辺をまず最初にお伺いさせていただきたいと思います。
#50
○国務大臣(坂口力君) そのお話は少し間違って実は書かれまして、男女別々に働いた方が事故が多いのでございます。別々の方がかえって多くて、男女ともに同じ職場で働く方が事故は少ないわけで、私はそう申し上げたんですけれども、私の申し上げ方が悪かったのか逆に書かれてしまいまして大変面目なかったわけでございますが、この場をかりまして訂正させていただきたいというふうに思っております。
 また、休みました後の月曜日でございますとかそうしたところに事故が非常に集中をするということがございます。休みました後の翌日に事故が多い、そうした統計がかなりございます。そうしたこともございますので、体のなれと申しますかそうしたものと労働というものからこの労働衛生というものも考えていかなければならないということがあるということを私は申し上げたわけでございまして、御理解いただければ幸いでございます。
#51
○小野清子君 実は、私も自分のメモでは、男女一緒の職場の方が事故が少ないとメモして、今直前にもう一度新聞を見直ししましたら、新聞の間違いに今気がついたところでございますけれども、これで実は安心をさせていただいたところでございます。いわば、事故をなくす環境づくりに力を入れていきたいという大変心強い御発言をいただいたわけでございます。男女共生の時代をよりよくしていきたいというお気持ちそのものと受けとらせていただきます。
 新規の学卒者の採用抑制という問題、もうこれは大分前から言われておりますし、内定取り消し等々話題になりました。このように景気が低迷いたしますと、これは女性に限らない大卒者全体にかかわる問題ですけれども、特に女性の就職難の問題、それから五十歳以上を超える中高年の雇用あるいは障害者の皆さんが、パートの皆さんとかいわば景気低迷の中で一番余波を受けるのではないかと思います。その辺あたり、労働省といたしましてはどのような対策をおとりになられるのか。今三部門について質問させていただいたわけでございますけれども、まず大卒者の女子の就職難に関してお答えをいただきたいと思います。
#52
○政府委員(七瀬時雄君) 最近の景気の低迷を反映いたしまして非常に雇用失業情勢が厳しいわけでございますが、その中で特に女子の大卒者の方々の就職が厳しい。
 これは、私どもの学生就職促進センターにいらっしゃる方々の動向などを見てもそういうこと
がございますので、先般来大臣御自身で産業界に将来ある学卒者に対しまして中長期的視点から採用をお願いしたいと、特に女子大生が非常に厳しい状況にあるということで各産業界にいろいろと要請行動なども大臣御自身でやっておられるということでございますが、私どもとしてはそういうことを本当に産業界に訴えていきたいと、こういう気持ちで取り組んでいるところでございます。
#53
○小野清子君 五十歳以上の中高年の雇用問題、これはこういう時期になりますと希望退職を募るなど、いろいろ中高年あるいは六十歳定年後も働く意欲のある高齢者を支援する雇用保険法を抜本的に改正するという方針を決められたということでございますけれども、この点は具体的にどういうことなのか。
#54
○政府委員(七瀬時雄君) 高齢化社会を迎えまして、やはり六十五歳まで現役で働きたいと思っておられる方が働けるようなそういう環境づくりをしていくことが非常に大事ではないかと思っております。ただ、私ども六十歳から六十五歳までの継続雇用の促進ということでこれまでも努力してきておるところでございますが、非常に厳しい状況にございます。
 そういった中で、来年度の最大重点施策といたしまして、企業における六十五歳までの雇用のシステムづくりをしていく。そのためには、必要があれば法改正も含めて対応しなければならぬということで、現在雇用審議会に検討を依頼しているところでございます。
 その中で、雇用保険制度との関連でございますけれども、六十歳でおやめになって雇用保険をいただく方、それからそのまま継続する方両方を比較した場合に、継続雇用をした場合に働く日にちが少なくなるとか、それから責任その他の関係で賃金が低くなると、そういった場合に働き続けた方が賃金が低くなるというような傾向がございますので、そういったことについて継続雇用を促進する観点から、仮称でございますけれども、継続雇用給付というものを雇用保険制度の中でおつくりをして、そこで雇用保険制度から援助をして継続雇用をやっていったらどうだ、こういうことで中央職業安定審議会の方からそういう御意見もいただいているところでございますので、そういった観点から対応してまいりたい。
 詳細については、引き続き中央職業安定審議会で検討をしていただいておりまして、年内のできるだけ早い時期にお答えをいただいた上で所要の対応をしてまいりたい、このように考えているところでございます。
#55
○小野清子君 同様に、やはりこういう景気状況になってきまして企業の方も苦しくなってきますと、障害者の雇用に関しましても大変厳しい状況のようでございます。この点に関して、現状を御説明お願いしたいと思います。
#56
○政府委員(七瀬時雄君) 障害者の雇用対策に、障害者の方々が働けるような環境をつくるということは非常に大事なことであると考えておりまして、諸般の施策を講じております。障害者の雇用率につきましては一・六〇という法定雇用率にはまだかなり差があることではございますけれども、一・四一ということで、前年に比べましてかなり前進が見られたところでございます。
 そういったことで、障害者の雇用対策に鋭意取り組んでいきたいと思っておりますけれども、何しろ最近の雇用経済情勢の厳しさ、これが障害を持っておられる方にはね返るようなことがあってはならないと思っております。また、事業主の方々もそういった障害を持っておりながら働きたいと思っている方々にこの経済情勢のしわ寄せが行ってはならないという、そういうお気持ちが本当にかなり広く浸透してきていると思いますので、そういう皆様方のお気持ちを酌みながら私どもとしては鋭意取り組んでいきたいと思っております。特に、重度の障害を持っておられる方々の雇用の促進につきましては、御本人あるいは御家族、学校、その他いろいろな方々がそういう方々の雇用を進める上で本当に障害になることについていろいろとおっしゃっていただいておりますので、そういったきめ細かな対策をこれから考えていかなければならないと思っております。
 現在、身体障害者雇用審議会に御検討を御依頼しながら、来年度の重点施策として対応してまいりたいと考えているところでございます。
#57
○小野清子君 ありがとうございました。
 やはり景気低迷のときであればこそ不安を取り除くような、しっかりと後を支えていただきたいということを切にお願いしたいと思います。将来の希望というものを失わせることのないような政策をぜひお願いしたいと思います。
 それでは、働く女性の問題に入らせていただきますけれども、女性の施策における重要ポイントの一つとして政策や方針決定の過程への参画というものが、これは九〇年に、平成二年にナイロビ・将来戦略の勧告の中で平成七年までに指導的地位につく女性の割合を少なくとも三〇%までふやす目標を示されて、これを受けまして日本の場合平成三年五月に新国内行動計画の第一次改定を行い、国の審議会の委員の女性登用を九五年までに一五%を目標としたわけでございます。
 そこでお伺いしますけれども、労働省の中に審議会というのは幾つあるんでしょうか。
#58
○政府委員(征矢紀臣君) 手元に資料がございませんので正確には申し上げられませんが、十三ぐらいあるかと思います。
#59
○小野清子君 その中の女性の割合はどのようになっておりますでしょうか。データはございませんか。
#60
○政府委員(松原亘子君) 恐縮でございますが、ちょっと今手元にデータがございませんので、後ほどお答えさせていただきたいと思います。
#61
○小野清子君 御案内のとおり、働く女性が全労働者の四割を占める時代になってまいりました。ぜひ働く皆さん、特に女性の声がやはり浸透していくためには審議会の中に女性の皆さんの参画を労働省は率先して進めていただきたいと思います。
 特に、農業に携わる方は六割が女性である、しかし審議会にはゼロであるとか、具体的にそういうところをやはり洗っていただきながら、女性の声を響かせていただきたいと思います。場をもらって初めて人は能力を出すわけでございまして、なれてないとなかなか能力の出しようもないわけでございます。そういったところで積極的な雇用をぜひ目的達成を目指してお願いしたいと思います。
 さらに、大臣の御発言の中にも少子化の問題等々大変御心配の旨をおっしゃっておられますけれども、男女雇用機会均等法あるいは育児休業法が制定されまして法制化が進みました。労働環境というものも着々と進んではいるんですけれども、現実的にまだまだこれからという部門もないわけではございません。特に、子育てあるいは介護に女性の果たす役割というのは調べてみますと、数字を言いますとちょっとがっかりして言いたくはありませんので、あえて大変なものであるということだけにおさめておきたいと思いますけれども、労働省としてこういういわば介護休業制度あるいは育児休業法に対する積極的取り組みというのは、具体的にどのようなことをしていらっしゃるのか、お聞かせいただきたいと思います。
#62
○政府委員(松原亘子君) まず、育児休業の関係でございますけれども、育児休業等に関する法律を昨年の四月一日から施行いたしました。私ども、この法律がまずどういうことを要請しているかということを周知する必要があるということから周知のための活動をし、また個別の相談がある場合にはそれに対して積極的に応ずるということを施行以来やってまいりました。
 先ほどもちょっと申し上げましたように、規模三十人以下の事業所につきましては適用が平成七年の三月末まで猶予されているということでございますけれども、こういう事業所に対してもなるべく早く制度が導入されるということが望ましいわけでございますので、そのためのPR等もやったわけでございます。
 これらにつきましてはあわせまして、まず育児
休業というのはただ休むということではなくて円滑に職場に復帰するということも重要なことでございますので、その職場復帰を奨励するための給付金というものも私ども創設をさせていただきまして、休んでいる間の職業能力の低下といったようなことに対して積極的に事業主が対応するようにということを進めてきたわけでございます。また、先ほど申し上げました適用が猶予されておる中小企業に対しまして、早期導入を奨励するための奨励金制度も創設をさせていただいたところでございます。
 介護につきましては、昨年介護休業制度等に関するガイドラインというのを定めました。このガイドラインに沿った制度を最低限企業に導入してほしいということで、その普及指導をやったわけでございますが、まず一つは、世間にこの介護と仕事の両立の問題についてよく理解してもらう、そういう機運の醸成を図ることが必要であるということからシンポジウムを開催するといったこと。また、ガイドラインを策定しました後は、そのガイドラインに沿った制度の導入が企業において図られるようにということで、事業主に対するガイドラインの周知活動、さらにはガイドラインに沿った制度を具体的に導入しようというふうに考えている企業に対する具体的な制度導入のための研究会の開催といったようなことをやってきたわけでございます。
 育児と介護というのは、ある意味では女性が働き続けるための非常に大きな障害ということが女性の間にも非常に大きく意識されていることでございますので、今後ともこれらについて私どもさらに施策を充実するなど対応してまいりたいというふうに思っているところでございます。
#63
○小野清子君 新聞なんか見ますと、育児休業者に給付金、賃金の二割、九五年実施を目指す、あるいは介護休業法制化、労働省検討へ来月研究会等々書かれたものが出されておりますけれども、こういう具体的なお話というのが相当進んでいるというふうに理解してよろしいのでしょうか。
#64
○政府委員(七瀬時雄君) 育児休業を取得された方々に対する経済的援助の一環といたしまして、雇用保険制度の中からそういう継続雇用のために必要な給付ということで一定の金額を支給するということにつきましては、先ほど申し上げましたような手続で中央職業安定審議会で検討中でございますが、具体的な金額、給付の具体的内容をどうするかにつきましては、現在引き続き検討すべき事項として御論議をいただいているところでございます。
#65
○政府委員(松原亘子君) 介護に関する研究会についてお答え申し上げます。
 私ども、この四月から婦人少年問題審議会というところで婦人行政の中期的な重点課題について検討を進めてまいりました。大きく言いまして四つ検討課題がございまして、一つは男女雇用機会均等法の見直しの問題、労働基準法の女子保護規定の見直しの問題、それから今職業安定局長から答弁がございましたけれども、育児休業取得者に対する経済的援助の問題、それから介護休業の法制化を含む有効な普及対策の問題、この四つを議論してまいったわけでございますけれども、審議会の中においてこれら四つについて同時に議論し同時に決着するというのはなかなか難しいということがございまして、九月末にある程度議論の整理をしていただきました。
 そして、育児休業については先ほどのような整理になったわけでございますけれども、介護の問題につきましては介護休業法制化も視野に入れながら検討するということでございますけれども、そういった場合に介護が必要な状態というのはどういう状態であるかということについてはもう少し専門的、技術的に検討を深める必要があるんじゃないか。そこで、検討された結果を踏まえてさらに審議会で検討することが適当であるということになりまして、先ほど先生が御指摘の研究会はそれを踏まえまして、私ども今月にも第一回を開催いたしたいと思っておりますけれども、お医者様ですとか、介護の問題の専門家の方、法律家の方、そういう方にお集まりいただきまして、先ほど申し上げましたような点、法制化を検討する場合の諸問題、介護が必要な状態とはどういう状態を言うのかといったようなことを含めました検討をやりたいというふうに思っている、そういう研究会でございます。
#66
○小野清子君 ありがとうございました。
 お願いをしたいのは、いずれの場合にでも学者の方とかお医者様とか、そういう方々と同時に実際にそういう立場にいる一般の、何というんでしょうか、立場の者を必ず委員会の中にお加えいただきたいと思います。
 少子化の問題とあわせて何が原因かというのを調べてみますと、やはり経済的重さというのが一番にきまして、それから子供をお願いする保育所の問題という点があります。特にゼロ歳児保育、これは厚生省の管轄になるわけでしょうけれども、ゼロ歳児保育というのは、育児休業を一年間とってまた戻ったからには必ずゼロ歳児保育が連動して必要になるわけです。その辺あたり、これは費用がかかることで、また厚生省の問題であると思いますけれども、育児休業法というものが制定されて働きやすい条件整備という言葉をつけた場合には、そこにすぐゼロ歳児の保育所との連動が結びついていかなければ本当のサポートにはならないんではないかと思います。
 この辺のお答えは大変難しいかと思いますけれども、ぜひその連動をお考えいただきませんと、ゼロ歳児保育をしているところが非常に少ないというこの現実というものを御認識としてはお持ちだったのかどうか、その辺ちょっと伺わせてください。
#67
○政府委員(松原亘子君) 御指摘のように、ゼロ歳児保育をやっている事業所が非常に少ないということは私ども十分認識をいたしております。
 また、この保育所への入所の時期というのは一般的には四月というのが大部分であるということから、御指摘のように育児休業をとって、途中で復職をしたいと、それがたまたま四月であれば入所も可能ということになるわけですけれども、そうでない場合にはなかなか入りにくいといったような問題があるとか、保育所という問題と仕事への復帰、仕事の継続といったことについてはさまざまな問題があるということは十分認識をいたしております。育児休業法の施行に伴いまして、先ほど申し上げた点のうち、途中入所が非常に難しいということにつきましては厚生省の方でも検討されまして、それについての措置費をとるといったようなことはやられたというふうに私ども聞いております。
 またこの問題、先ほどの介護の問題もそうでございますけれども、労働行政と厚生行政というのは非常に関連が深い点がございますので、特にこの保育の問題につきまして、先ごろ厚生省の担当局とも意見交換をするなど、お互いが整合性のとれた形で施策を展開していこうということで意思の統一をしたといったようなこともございまして、またこれからも御指摘をいただいて、私ども施策の十分な遂行ということに心がけていきたいというふうに思っております。
#68
○小野清子君 ありがとうございました。
 出生率が下がっているということに関して、大臣の女性が働くようになるとどうしてもそうなってしまうというふうな御発言を拝聴させていただきました。片や諸外国の例を見ますと、アメリカやイギリスは二・〇一、一・八四と、女性の労働力が高い国は決して出生率が低いわけでもないんですね。
 これは、十月末に出た新聞だと思いますけれども、「「産む・産まない」男たちの考え方」という、女性グループが約五十人に調査をした記事がございまして、そこに「「産まない」男性に共通するのは、子育てより仕事や余暇にエネルギーを注ぎたいという価値観と、妻に子育てを押し付けたくないという意識」というものが一つあるという、これは男性側の意見でございます。それから、超過勤務や住宅事情も背景にあるという中で、「僕も妻も仕事が終わるのが十時過ぎ。疲れて帰って
子供の世話なんて耐えられない」というのが二十九歳。それから「二DKの狭い部屋にあとひとり人間が増えるなんて無理。妻は三十五歳を前に子どもを欲しがり出したが、妻が仕事をやめたら僕の稼ぎだけでは生活できない」、三十二歳。
 こういう現場の声を聞きますと、決して女性だけの問題ではなくて、来年は家族年になるわけですけれども、男女ともどもに一つのこういう傾向があるのかということで、私も改めて女性の問題ばかりを説いてもこの問題はうまくいかないような感じがいたしました。大臣、これは御感想いかがでいらっしゃいますか。
#69
○国務大臣(坂口力君) 出生率がだんだん低下をしてまいります問題は、今御指摘になりましたように女性だけの問題ではなくて、これは男女あわせました全体の問題ではないかというふうに思っております。
 それは、労働条件の問題もございましょうし、それから住宅環境の問題もございましょうし、さまざまな要素が組み合わさりました結果ではないかというふうに思いますし、また先ほど御指摘になりました価値観等の問題も影響をしていることは当然でございましょう。そうした中ではございますが、しかしこの働く場というものを考えました場合に、小さなお子さんをお持ちの女性、あるいはまたこれからお子さんを産みたいという女性に対しまして十分な環境を整えているかどうかということは、大変大きな要素の一つであることだけは間違いないというふうに思っております。
 したがって、労働環境が大変悪いためにお子さんを一人にどうしてもしなければならなかったということだけはないようにするためにはどんな手があるかということを私たちは考えていかなければならない。そのほかのもろもろの要素もあると思いますが、その中のたとえ一つの要素であったとしても、それは大きな要素でありますだけに、労働行政の中で考え得るものをひとつ徹底的に洗い出して、そして改革をしていきたい、そんなふうに思っているわけでございます。
#70
○小野清子君 女性の意識調査の中で、将来労働に関してどういう考え方であるかという中で、継続就業型、いわゆるずっと継続して仕事をしたいという方が一四・四%、それから出産や育児等々で一時家庭に入っても再就業を目指したいという方が六四・二%、これを合わせますと七八・六%が生涯を通じて就業を目指すという、非常に女性の働く意欲が高くなってまいりました。
 また、こうした中に占めるパートの割合も非常に多いわけです。パート減税というものが、パート法も制定されまして整理がされたわけですけれども、一定の収入で百万で切れるということではなく、控除額というものが百三十五万円まで段階を追っていくということは一つではございます。しかし、社会保障あるいは制度の枠組みとかそれから賃金制度の問題等々で女性の皆さんが一様に私どもにお願いをしてくるのは、例えば月に十万というお金、区切りがいいからいいというのでは非常に短絡的なんですけれども、百万というお金を年間で割って十二カ月ということになりますと、一番これから忙しい十二月あたりに就業調整をして、仕事をしたい意欲はあるのだけれども、仕事をやめなければ税の、あるいはいろいろな意味での制約にぶつかってしまうというふうな意見が大変多うございます。百万を百二十万まで非課税にするという、その額そのものだけですべてがうまくいくとは思わないわけでございますし、またパートをなさる皆さんも独立した一人の働き手として税を納めて、社会保障の方もきちんとした方がいいのではないかという考え方も片やあるわけでございます。
 そういった意味における新しい時代のパートの皆さんに対する限度額の問題、例えば一番忙しいときに力が十分発揮できる、いわゆる女性の労働力なくして日本の労働界もなかなか難しい時代を迎えておりますとぎに、こういう皆様方が本当に働きたい者が十分力を提供し得るような環境づくりというものの中で、例えばパート減税もあと少しの額、例えば月十万掛ける十二カ月、ちょっと短絡的かもしれませんけれども、そういう区切りというものの大変要望が強うございますけれども、この辺はいかがなものでございましょうか。
#71
○政府委員(松原亘子君) 私どもが平成二年に調査いたしました結果によりますと、今先生が御指摘になりました所得税の非課税限度額百万円を超えそうな場合に就業調整をするかどうかということに対しまして、女性のパートタイム労働者のうち三割の方が就業調整を行うというふうに答えておられます。
 こういった実態もございまして、実はさきの通常国会で成立させていただきましたいわゆるパートタイム労働法、これを審議会で御審議いただくときにもこの就業調整の問題をどういうふうに考えるかということが議論になった点でございます。
 そのとき、さまざまな角度からの議論があったわけでございますけれども、パートタイム労働者が就業調整を行わなくても済むように非課税限度額をもう少し引き上げたらどうかという議論につきましては、いわば税制面から世帯での所得の逆転現象というのは配偶者特別控除制度というのが設けられて、もうこれはなくなっているということ。それから、この非課税限度額を引き上げてもまた今度は引き上げた金額をめぐっての就業調整というのが行われて、結局は根本的な解決にはならないというようなこと。それから、いわば配偶者控除とか配偶者特別控除、それから社会保険制度での取り扱い、企業の賃金制度での配偶者手当といったようなこういった制度。こういったものはいわば夫は外で働き、妻は家庭で働く。逆の場合があってもいいんですけれども、一般的には夫が働き、妻はうちでという、そういったようなことが一般的であった社会を背景としてできた制度ではないか。
 先生も御指摘されましたように、これから女性も本当に社会での基幹的な労働力として働いていくんだといったようなことを考えますと、むしろこういった制度は基本的に考え直す時期に来ているのではないかといったような観点から、実はことしの七月に婦人少年問題審議会から関係大臣あて建議が出されたわけでございます。そういうことからパートタイム労働者だから非課税限度の範囲内でということになってまいりますと、いわばいつまでもパートタイム労働者というのはその範囲内でしか働かない人、そういったことがまたパートタイム労働者の賃金にもはね返ってくるなどさまざまな問題があるということから、いわばパート減税といったようなとらえ方というのは私ども必ずしも適当ではないというふうに考えているわけでございます。
 もちろん、低所得者に対する税制のあり方かどうかというのは別途の問題がございまして、それはそれで議論されるべきだというふうには思いますけれども、パートだから税制面で特別扱いをするということは本当に女性の地位の向上にとっていいのかどうかということから見ますと、私どもとしてはいささか疑問があるというふうに考えているところでございます。
#72
○小野清子君 それでは、外国人労働者の問題に入らせていただきたいと思います。
 大臣は、単純労働者の受け入れに関しまして大変幅広い御見解をお示しされましたけれども、そのお考えにお変わりはございませんか。
#73
○国務大臣(坂口力君) 私が就任いたしましたときに外国人労働者の問題に触れさせていただきましたのは、一つは日本の国にとりましてメリット、デメリットがございますけれども、日本の国におけるメリット、デメリットだけではなくて、国際貢献という立場からこの問題もひとつ考える必要があるのではないか。もちろんメリット、デメリットの問題もございますけれども、それだけではなくて国際貢献の立場からも考えていく必要があるという趣旨で実は申し上げたわけでございます。
 したがいまして、日本の中にお見えになります外国人の中には現在約六十万の外国人労働者がお見えになりまして、その中で約三十万が不法就労と言われている人たちであります。その中には、
単純労働者の人たちもたくさん含まれておりますし、またある職種によりましては、その人たちがいなければやっていけないというような職種も存在するというふうに御指摘になる方もあるわけでございます。我々、実態調査をそこまでしたわけではございませんけれども、そういう御主張もあるわけでございますので、我々といたしましてもこれは真剣に考えていかなければならない問題だというふうに思っております。
 そうした中で、この技能実習制度を前大臣のときにおつくりいただきました。立派な制度であるというふうに思っております。ただ、この技能実習制度ができ上がりましてから景気が停滞をいたしましたので、受け手の方がそう多くないものでございますから、今これがそう大きく育ってはおりませんけれども、制度といたしましては立派な制度であるというふうに思っております。
 したがいまして、将来はこの技能実習制度をさらに充実拡大をしていくということで、私が申し上げましたことは十分に果たせるのではないだろうかというふうに思っている次第でございます。
#74
○小野清子君 不法就労の方々の問題というのはいわば少々社会問題にもなっている嫌いがありますので、もしこれを整理するのであれば、また新しいきちんとした法の整備が必要かと思います。
 今大臣がおっしゃいましたように技能実習制度、これが実施されましたけれども、その中で一般労働者としての取り扱いで厚生年金と雇用保険を適用するということが行われているわけですけれども、例えば厚生年金につきましては、これは二年間でもう帰るわけですので、掛け捨てとなるわけでございます。これが非常に大きな負担になっているということでございます。
 例えば、月額税込み所得額が十三万六千五百六十八円とした場合に、厚生年金保険料は一万九千四百三十円、これは事業主と実習生折半ということで大変負担が大きい、この件に関してはどういうふうにお考えでしょうか。時間がないのでできるだけ短くお答えをいただきたいと思います。
 厚生省の管轄でございまして、立場上の御発言でも結構でございます。
#75
○政府委員(齋藤邦彦君) 技能実習制度の関係でございますが、半年たちますと全く国内の労働者と同じに扱う、こういう建前から厚生年金なり雇用保険なりをそのまま適用するということになっておるわけでございます。
 ただ、それぞれの保険の制度目的がございまして、厚生省がそのように恐らく取り扱っているんだろうというふうに思いますが、なかなか難しい問題でございますけれども、少なくとも労働者と同じに扱うという建前から申し上げますと、そういう取り扱いにならざるを得ないのではなかろうか。むしろ、厚生年金の掛け捨ての問題といいますのは、我が国におきます外国人全般に通ずる問題でもありますし、また逆に各国に行っております我が日本国の労働者の問題もございます。したがいまして、各国のそれぞれの国でどのように取り扱うかという調整をしなければならないということでございまして、かねがね私ども一番典型的な例で承知しておりますのは、日本とドイツの間でいろいろ交渉を行っているようでございますが、まだいまだに決着をしないというようなことでもございますし、解決はなかなか難しい問題ではなかろうかというふうに思います。
 確かに、実習制度はことし四月から発足したばかりでございまして、いろいろ問題点はあろうかというふうに思いますが、その辺これからいろいろ運用をしながら改めるべきところは当然改めていかなければならない、一般論としてはそういうふうに思っております。
#76
○小野清子君 ぜひ御検討をお願いしたいと思います。
 それから技能実習生につきまして、来日前に本国の公的機関におきまして三カ月程度の事前研修を修了している者、こういう者に関しては我が国における集合研修を免除してもよいのではないかという声もございますけれども、いかがでしょうか。
#77
○政府委員(七瀬時雄君) 技能実習制度の根幹でございますけれども、オン・ザ・ジョブで研修をする前にきちんとした集合訓練なり事前のシステムにのっとった訓練をする、あるいは言葉の問題をきちんとする、そういったことが必要だということで、後半にオン・ザ・ジョブ・トレーニング制度を設けたわけでございますので、やり方によっては本国で日本語その他事前の研修をやることを我が国に来てやったと同じように評価するというシステムがあってもいいんではないかそういう角度から制度をつくり上げておりますし、そういう視点で今後とも運用に当たっていくべきであろうと考えております。
#78
○小野清子君 それでは、大臣がおっしゃっておられます豊かさとゆとりという問題について御質問したいと思います。
 時間がなくなってきてこちらのゆとりがなくなってまいりましたけれども、大臣は豊かさとゆとりといたしまして日ごろどんなことをなさっていらっしゃいますでしょうか。
#79
○国務大臣(坂口力君) ゆとりのお答えを申し上げます前に、外国人労働者の問題に一言だけちょっとつけ加えさせていただきますが、御指摘のようにさまざまな問題が少しあるのではないかというふうに私も思っております。
 とりわけ、年金と雇用と医療とは三点セットになっておるものでございますから、日本の場合にもそれが必ずしも当てはまらない年齢の人でもその三点はきちっといただかなきゃならないという、日本の中の人たちにもそういう仕組みになっておりますので、外国の方にもそのまま当てはめたのではないか、こう思っているわけでございます。そんな点も一遍よく検討させていただきたいと思いますので、少し時間的余裕を与えていただきたいと思います。
 それから、ゆとりでございますが、申し上げました私自身はまさしくゆとりはございませんで、私の半生を振り返ってみますとゆとりのない人生であった、一言で申しますとそう総括する以外にございません。
#80
○小野清子君 国民の皆様がゆとりと豊かさというものをどういうところに感ずるか、こういうアンケートを見ますと、やはり経済的な安定と自由時間ということが出てまいります。
 時短の問題が制度化されてまいりましたので、いかがでしょうか、大臣、サマータイムの導入ということに関してはどういう御見解をお持ちでしょうか。
#81
○国務大臣(坂口力君) サマータイムに対します御意見もいろいろあるようでございます。かって、何年からでございましたか、昭和二十三年から二十七年まで四年間一度導入をされまして、そして廃止になったわけでございますが、そのときの理由の中の一つに労働者等の過労の原因となり、かえって能率を低下させるおそれがあることというのが実は挙げられているわけでございます。その当時と現在と労働環境もかなり変化はしているというふうに思いますが、その当時としてはそういうことが言われておりました。
 背景といたしましては、サマータイムを導入しました場合、現在の超過勤務の実態からしまして、夕方の明るい時間が長くなるためにかえって勤務がふえてしまうおそれがあるという意見も実はございました。そうしたことからこの問題に対してちゅうちょをする意見も実はあるわけでございますが、先生が御指摘になりますように積極的に夕方の明るい時間にまとまった時間をとることこそが何かをする時間を生み出すことである、だからこそ必要なのだという御意見もまた一方であるわけでございまして、この問題は意見相半ばしているというふうに思っております、
 労働省といたしまして、その中立的立場に今あるわけでございまして、いずれというふうに決定をしているわけではございません。
#82
○小野清子君 今回いろいろ見てみましたら、OECD参加国二十四カ国の中で参加していないのは日本とアイスランドだけで、アイスランドは御案内のとおりずっと明るいわけですから別段こう
いう施策をとる必要もない。といいますと、あとは日本だけということになりまして、合わせますと大体世界で五十カ国くらいがこの制度を活用している。この制度ができたのは英国、フランスともども一九一六年、いわば第一次、第二次オイルショックのときに省エネという問題からこれに入っていったようでございます。
 今や環境問題で、特にCO2排出の非常に高い我が国におきましても、早い時間に仕事を始めて、そしてゆとりと豊かさの時間が出てくる、そして仕事の時間短縮というものが法制化されてきたことの中で私はあえて今いいときではないかなと思うわけでございます。終戦後の二十三年の時期と今現在とでは、労働時間というものが法的にきちんとなされて、時間外労働というものが今のように制約を受ける場合に、明るい時間に家に帰れるというのは非常に心広がる思いを私自身も経験するわけです。
 そうした中における例えばスポーツ活動、芸術活動、文化活動、あるいは植木をいじるとか何をするとかいう生活の中で、仕事から離れたものに活動の時間が、余裕が一時間出てきた場合に、一時間の時間があれば十五分のジョギングもできるし、一時間あれば二十分の散歩もできるというそういう時代展開、あるいは積極的に体づくりをする、こういった意味におきましては私は経済的効果も大分違ってくるのではないかと思いますけれども、通産省の方、その辺をちょっと伺わせていただきたいと思います。
#83
○説明員(藤野達夫君) 御指摘の点はサマータイムの経済効果ということでございますけれども、民間の調査機関等におきましてサマータイム制度、夏季に一時商標準時を変更した場合に、その変更された時間が戸外におきます活動、スポーツとかあるいは趣味、レジャーとか、そういうことに充てられた場合に一定の余暇需要というものが発生するというふうな試算がなされていることは承知しておりますけれども、現実にサマータイムが導入された場合に国民の生活がどうライフスタイルが変わってくるかということにつきましては、これはさまざまな意見というのに分かれるのだろうと思っております。
 通産省自身としまして、その経済効果についてはより詳細な検討というものを行っていく必要があると考えておりまして、現在経済効果も含めて社会生活に及ぼす影響という面については調査をしているところでございます。
#84
○小野清子君 釈迦に説法になるわけですけれども、医学的にサーカディアンリズムというものが、よく腹時計などという言葉もありますけれども、生物の持つ生物時間の日周期、これも一時間から四時間くらいの間というのは肉体的に生理学的に影響がまずないということがやはり実証されているようでございます。
 そして、いろんなデータを見ましたら日常的な生活のバランス改善という効果の中ももちろんですけれども、歩行者の事故が大変少なくなるということやら、あるいは暴力犯罪一〇%減とか、経済効果は今通産の方から出していただきましたけれども、特に三十代から五十代の男性が豊かさを感じないという中で、生活時間配分が仕事中心になっているということが非常に私は大きなマイナス要因になっていると思うんです。
 五十カ国にもわたる国々がやっている現在、時間短縮が法制化された場合に、私は今こそこういうサマータイムの導入の中で、省エネの問題とか経済的効果とか労働者そのものの生きがいの問題とか、いろいろな意味でぜひ御検討をお願いをしたいと思います。
 次の質問に入らせていただきます。
 特に、大臣は働く人の健康づくりという問題に心をかけていらっしゃるわけですけれども、これから労働省といたしましては、データを見ましたら昨年から見ますとスポーツ関係に関する予算が少なくなっているようでございます。ちょっと今データをこれから探しますけれども、労働施策としての健康政策に対する予算、内容等について一言伺わせていただきたいと思います。
#85
○政府委員(石岡慎太郎君) 労働省におきましても、労働者の健康づくりがやはりこれは基本的な問題であると考えまして、従来からいろんな対策を講じてきているところでございます。
 例えば、昭和六十三年には安全衛生法を改正いたしましてトータル・ヘルス・プロモーション・プランということで事業主が健康測定をしてその後健康指導、運動指導などを行う場合に補助を出す制度を実施いたしております。これに要する費用は現在のところ約二十五億円となっております。
 そのほか、今年度から小規模事業場に産業保健サービスを提供する地域産業保健センターそれから産業医等を支援する産業保健推進センターの設置も講じているところでございます。
 その他、具体的に今予算の数字は持っておりませんけれども、このような健康対策につきましては今後予算面でも充実を図ってまいる考えでございます。
#86
○小野清子君 平成六年度の体力づくり関係概算要求、これはまだ案なわけでしょうけれども、昨年、平成五年度が九十五億五千という数字に対して、六年度が七十億というぐあいに額が下がっているものですから、体力づくりがどうなっているんだろうかと心配をするわけでございます。
 それで、働く人々の、どうでしょうか中小零細企業の場合には九三%と申し上げてよろしいんでしょうか。九〇%以上が大企業でないわけですから、いわゆる体力づくりに値する体育館、プール、グラウンド、テニスコート等々の設置ができない方々が九三%の皆さんではないかと思います。大企業の場合には厚生施設というものが用意されるわけですから、これは整備されているところはよろしいわけですけれども、大方の九三%の労働者の皆さん方というのはそういう整備のされてないところで仕事をされているということになりますと、日本の労働行政上はこの方々のいわば健康管理というよりは健康体力づくりをどうするかということが非常に大きな問題ではないかと思うんです。
 その点に関しまして、時間がないので端的に申しますけれども、例えば厚生省は健康増進施設利用料金の医療費控除を設けたわけでございます。医師の指示に基づく運動療法を実施するに必要となる健康増進施設の利用料金、要するにあなたは運動不足だからどこそこの施設に行って体づくりをしなさい、医師の処方があった場合には医療控除が受けられるという、これが通っているわけでございます。
 そういう観点からしますと、病気になって治療するのにお金をかけるよりは病気にならないように体づくりをするということがとても大事な観点ではないかと思うんです。
 そういった意味からしますと、御案内のようにスポーツ施設というのは公的なものもあれば民間もあるわけですけれども、大方公的なものは足らないわけでございます。そうした場合に民間施設を利用した場合にはすべてが受益者負担になりますから、結果として結構高いものになっている。そういうものの費用が、例えば厚生施設整備として大企業が使っていると同様に何らかの優遇措置なり税制面の問題で御協力がいただけるような形にならないかどうかということを御質問申し上げたいと思います。
#87
○政府委員(石岡慎太郎君) 御指摘のとおり、中小企業の労働者の健康づくりは非常に重要なことだと考えております。
 そのため、先ほど申し上げましたトータル・ヘルス・プロモーション・プランにおきましても、中小企業の事業者が健康測定をして運動施設などを利用して運動指導などを行う場合には、それに要した経費の三分の二の補助を実は行っているところでございます。それからまた、中小企業勤労者福祉サービスセンターというものが各都道府県に設置されておりますが、このセンターを通じまして中小企業がスポーツ施設を割り引きして利用できるようにあっせんも行っているところでございます。
 それから、ただいま医療費控除の御指摘がございましたけれども、厚生省の場合は治療として運動施設を利用する、その場合に医療費控除が認められる、こういう制度をつくっておるわけでございます。労働省の場合は、治療として行うというよりもむしろ健康増進として行うということで少し違った面がございますが、同様の医療費控除制度がとれないものか真剣に検討してまいりたいと思います。
#88
○小野清子君 大蔵省の立場としては、こういう問題に対してどういうお考えか伺いたい。
#89
○説明員(玉木林太郎君) お答えいたします。
 一般にスポーツなどにかかる費用、もちろん健康増進という目的からこれを促進するということはあるかと思いますけれども、所得課税の考え方に立ちますと、スポーツなどにかかる費用、これはスポーツクラブの利用に要した費用に限りませんけれども、一般的に最も典型的な生計費と考えるべきでありまして、所得課税としては課税後の所得の中から支払われるべきものではないかと考えております。
 生計費について個別に一つ一つ配慮してまいりますと、所得課税の課税ベースが極めて大きく浸食されてしまいまして、極端に言えば所得税が成り立たないという問題がございますので、こうした費用について端的に控除していくといった考え方はとりえないのではないかと考えております。
#90
○小野清子君 この問題は、非常にこれからの健康政策を考える上で重要な問題であろうかと思います。
 非常に大きな建物とかハード面というものは目に見えますし、逆にやりやすい面がありますけれども、いわば一件一件の一人一人の労働者をどう大事にしていくか。西ドイツのゴールデンプランのように人が国の財産であるという認識に立っていきますときに、これからも今申し上げましたような非常に細かい問題こそ大きなる力となす問題であろうかと思いますので、ぜひ今後ともこういった問題に対しての御理解をお願いさせていただきまして、質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。
#91
○委員長(石川弘君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。   午後零時十一分休憩
     ――――◇―――――
   午後一時三分開会
#92
○委員長(石川弘君) ただいまから労働委員会を再開いたします。
 午前に引き続き、労働問題に関する調査を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#93
○細谷昭雄君 まず、坂口大臣、御就任御苦労さまでございます。政権が変わったということもございまして、今までの歴代労働大臣も非常にしっかりやっていただきましたので、それにまさるとも劣らない御活躍をひとつ期待したい、こう思います。
 まず最初に、私は出稼ぎの問題を取り上げまして、その後に、私が前に取り上げてなかなか進行しておりません地方労働委員会関係の問題について、この二つをお聞きしたい、こう思っております。
 御案内のとおり、ことしは大変な冷害の年でございまして、百年に一度というふうに例えられておりますけれども、これは出稼ぎの送り出し地帯に集中しておるということも事実でございます。例えば、これまで青森県が一番多くて五万四千人、北海道が三万一千人、岩手県二万三千人、秋田二万四千人、山形一万人、こういった送り出し県が今年度特に冷害がひどいわけでございます。そこで、例年であれば大体農繁期が終わってからの冬の出稼ぎということになりますけれども、飯米さえもないという北海道とかそれから青森なんかではもう九月から出かけておるという人さえも出ておるという状況でございまして、例年この北海道、東北は全体の八〇%を占めておるという出稼ぎ地帯でございますので、大変我々も心配しておるわけでございます。
 しかも、不況という中でございますので、まず労働省にお聞きしたいことは、ことしの冬の求職の状況とそれから求人の状況、これについて御説明を願いたいと思います。
#94
○政府委員(七瀬時雄君) 求職の状況でございますが、農業に就業しておられる方々の高齢化、兼業農家の増加などによりまして、出稼ぎの方々は減少する傾向になっておりますが、本年につきましてはただいま御指摘の点もございまして、これからふえてくるのではないかというような可能性もにらみながら対策を立てている状況にございます。
 それから、求人の状況でございますけれども、景気の停滞を反映いたしまして求人数は押しなべて減少いたしておりますし、特に製造業でかなり大幅な落ち込みがあるという要素がございますので、その辺を念頭に置きながら対策を立てる必要があると考えております。
#95
○細谷昭雄君 そこで、非常に厳しい雇用状況の中にあるということは今のお話のとおりでございますが、特に出稼ぎ者を受け入れておりますいろんな関係の企業がございますが、主として農林水産省の関係、それから建設省の関係、通産省の関係、この三つの省庁が大体多いんじゃないかというふうに思いますので、この各省の対応について、まず極めて簡単で結構でございますが、御報告願いたいと思います。
#96
○説明員(岡本芳郎君) 農林水産省におきましては、今回の冷害等における農作物の不作が農家経済及び地域経済に深刻な影響をもたらしており、この被災農家及び被災地域の救済対策に全力を挙げて取り組んでいるところでございます。
 まず、冷害等による被災農家の就労機会の確保に資するため、農業農村整備事業については、八月三十一日付で局長通達により、未契約工事にありましては早急に執行するよう事務処理等の促進を図っております。さらに、請負工事の執行に当たりましては、被災農家の就労希望者を優先的に雇用するよう指導しているところでもあります。
 また、被災地域における営農意欲の減退や地域経済の落ち込み等に対処するため、当初予算及び一次補正予算による事業の未契約分につきまして特別枠を設定し、被災地域に重点配分することとしております。さらに、二次補正予算におきましても、被災地域における営農の安定を図るとともに、被災農家の就労による所得の確保に資するための生産基盤整備等を実施する予定にしております。あわせまして、総事業費おおむね二千億程度の冷害対策を緊急実施することにいたしております。
 以上でございます。
#97
○説明員(木下博夫君) 私の方も、今農水省の方からお答えなさったような関連での冷害対策はやらせていただいております。
 多少もとに戻るお話でございますけれども、建設現場は御案内のとおり三K職場と言われまして、大変危険でありきつい現場でございますので、当然企業の立場あるいは発注者の立場から、施工上の点で従来から機械化も進めてきております。一方では、先生のお話にございましたようにやはり冷害地域を含めましての、従来の寒冷地域におきます冬季の雇用確保という視点では、むしろそういうところにできるだけ建設業からも雇用の機会をつくらせていただくということで、モデル工事を中心としてやらせていただいていますが、これはまだ数は少のうございますからこれからも鋭意努めさせていただきたいと思っております。
#98
○説明員(平工奉文君) 通産省といたしましても、今回の雇用情勢につきましては極めて厳しい状況にあるというふうに認識をしております。
 まず第一には、やはり適切な内需拡大による景気の拡大、これが重要であり、このため新総合経済対策とあわせまして、本年九月に決定されました緊急経済対策の着実な実施を図ることが肝要と考えております。
 ただし、これらマクロ経済対策とあわせまして、規制緩和、円高差益還元等のミクロ政策や、産業
界におきますリストラを中心とする対応が円滑に進むための環境整備等を組み合わせることにより、現下の厳しい経済情勢に的確に対応してまいりたいというふうに考えております。
#99
○細谷昭雄君 大変厳しい状況でございますが、それぞれの各省庁で、ひとつぜひ今後の対策については万全を期していただきたいということを強く要請申し上げたいと思うわけであります。
 労働省にお聞きしますが、昨年、出稼対策要綱が二十年ぶりで改定されました。これは労作でございますので大変評価をしておりますが、具体的な実績を上げるのは今年度からだと思います。そこで今後、宿舎の問題、それから有給休暇の問題、建設業退職金共済組合の加入の問題、健康管理の問題、災害防止、いろいろございますが、重点で結構でございますので、どこに力点を置いて具体的にどう指導するのかということを簡単にひとつ御報告願いたいと思います。
#100
○政府委員(石岡慎太郎君) 出稼労働者対策要綱に基づきまして、労働条件の確保対策などの徹底を図っているところでございますが、今後におきましては、労働基準法が改正されまして、六カ月勤務した後十日の年休が付与されることになりましたので、出稼対策要綱を改正いたしまして、六カ月以下の勤務をした人には十日の半分の五日程度の年休を付与する、そういう内容といたしまして、行政指導でこの実施普及を図ってまいりたいと考えております。
 また、宿舎の問題につきましても、今までもいろいろ違反がありました場合はその都度是正を図っているところでございますが、この対策も今後あわせて強化をしてまいりたいと思っております。
#101
○細谷昭雄君 大臣につきましては、一番最後にひとつこの出稼ぎの問題も含めて御所見をお伺いしますので、出稼ぎ問題は一応大ざっぱに触れただけで終わりたいと思いますが、ぜひ一番下積みの、こういうふうな二重生活をしておる、しかも遠く家族を離れてきておるという観点から温かい配慮をお願いしたいというふうに思うわけでございます。
 次に、二番目の労働委員会関係について問題を取り上げていきたいというふうに思います。
 私は、一昨年、九月の十九日ですのでもう二年前になりますけれども、当委員会におきまして、行政委員会であります労働委員会における不当労働行為の事件につきまして、当時の近藤大臣ほか皆さん方に質問をしたわけでございます。ところが、二年を経過した現在に至りましてもその当時の事態がほとんど遅々として進んでおらないということ、もうこれは放置しておけないという問題が私にはあるわけであります。そこで今回、二年ぶりにまた質問に立たせてもらったわけでございます。
 問題は、これは非常に今までの長い経緯がございまして、難しい問題はたくさん抱えておるようでございますけれども、大臣並びに関係当局には何としても一日も早く労使が本当に受け入れることのできるようなそういう環境、条件、こういったものを早くつくっていただきたい、このことを望むという立場から次のいろいろな質問をしたいというふうに思うわけであります。
 まず第一に、私がただしておきたいと思いますのは、不当労働行為という場合に、今回挙げられておるのは差別という問題でございます。例えば、JRに対する採用差別事件ということになっておりますので、この差別ということについてまず定義をただしておきたい、こんなふうに思っております。
 労働関係においての差別というのは一般的にどういう事例を指すのか、これを労政局の立場と労働基準局の立場と二つあると思いますので、労政局長と労働基準局長からそれぞれ例示をお願いしたい。
#102
○政府委員(齋藤邦彦君) 御承知のように、労働組合法第七条は、使用者によります労働者や労働組合に対する正当な組合活動を理由とする不利益取り扱いあるいは支配介入を不当労働行為として禁止しておるわけでございます。
 これを少し具体的にどういう場合かということを申し上げたいというふうに思いますが、まず労働組合法が禁止しております一つは不利益な取り扱い、それからもう一つは支配介入ということでございます。不利益取り扱いも、労働者が労働組合の組合員であること、あるいは労働組合への加入、結成、正当な行為をしたことを理由とする不利益取り扱いというのがまず前提になります。
 それで、具体的な不利益取り扱いにそれではどういう事例があるかということになりますが、これは千差万別でいろいろな形態がございます。よく労働委員会等で出てまいります具体的な態様といたしましては、例えば解雇ですとか配置転換、減給、賞与の減額、出勤停止、再雇用の拒否、その他いろいろな形での不利益な取り扱いがございます。それから、もう一つ禁止されておりますのが支配介入でございます。
 支配介入の具体的な態様といたしましても、これも千差万別でいろんな態様がございますが、組合結成に対します非難、威嚇、その他の妨害行為、あるいは使用者の利益代表者が労働者団体の結成について主導権を握るというような場合もございますし、それから組織問題に対します干渉、介入、それから組合行事に対します干渉、介入、それから組合員に対しまして個別にストライキ不参加を要求するというような事例等々、いろいろな事例があり得るというふうに思います。
#103
○政府委員(石岡慎太郎君) 労働基準法関係の差別についてお答えを申し上げます。
 労働基準法第三条は、労働者の国籍、信条または社会的身分を理由とする労働条件に関する差別的取り扱いを禁止しております。ここで言う差別的取り扱いをするという意味は、当該労働者を有利または不利に取り扱うことを言うものであるとされております。
 労働者が労働組合員であることのみを理由に労働条件に関する差別的取り扱いがされた場合はこの条項との関係でどうなるかでございますが、こういう場合につきましては基準法は直接これを禁止する規定は設けておりませんけれども、実質的に労働組合員であることに名をかりまして当該労働者の政治的な信念を理由とする差別を行う場合につきましては、判例もございますが、労働基準法第三条の違反の問題が生じ得るものであると考えております。
    ―――――――――――――
#104
○委員長(石川弘君) この際、委員の異動について御報告いたします。
 本日、菅野久光君が委員を辞任され、その補欠として栗原君子君が選任されました。
    ―――――――――――――
#105
○細谷昭雄君 ただいま例示されました差別、これはいろいろあるわけでございますが、労使関係の中でこれが生じた場合、その救済措置というのはいろいろあるわけでありますが、法制度の上でどういうふうになっているのかこれを極めて簡単で結構ですから御説明願いたいと思います。
#106
○政府委員(齋藤邦彦君) 労働組合法第七条に違反いたします不当労働行為が行われました場合には、その当該労働組合あるいは労働組合員は救済の申し立てを労働委員会に対して行うことができることになっております。
 労働委員会は、各都道府県ごとに一つの地方労働委員会、それからさらに中央に中央労働委員会が設けられております。したがいまして、一般的には地方労働委員会に救済の申し立てを行うということになります。それで、その救済申し立てに対します命令に不服のある申立人あるいは被申立人、使用者側は、それぞれ再審査の申し立てを中央労働委員会に行うことができることになっております。したがいまして、これらの労働委員会によって不当労働行為の救済がなされるということになるわけでございます。
 なお、この中央労働委員会の命令に不服がある者につきましては、この命令自身に対して取り消し訴訟を裁判所に提起することができるということになっております。また、もう一つのルートと
いたしまして、直接地方裁判所へ申し立てをする。要するに、地方労働委員会を経由しないでいきなり裁判所へ不当労働行為といいますか民事上の問題として裁判所に救済といいますか、裁判を求めることも当然ルートとしてできることになっております。
#107
○細谷昭雄君 紛争調整機関として地労委と中労委があるわけでありますが、これはいわゆる判定的な機能とそれから調整的な機能を両方持っておるということです。
 一般的に、地労委で出された命令、この命令というものは中労委の再審査の中で尊重されてきたのかきておらないのか。半世紀にわたる中央労働委員会の歴史があるわけでありますが、地労委で出された命令が再審査の段階で中労委でどの程度尊重されてきたのか、事実として報告を願いたいと思います。
#108
○政府委員(齋藤邦彦君) 中労委におきます再審査事件は、昭和五十八年から平成四年度までを合計いたしますと、再審査命令が合計で百九十九件出ております。そのうち、初審、地労委の命令を支持したものが百七件、それから地労委の命令のうち一部を支持したものが七十一件、こういう形になっております。
#109
○細谷昭雄君 本来、労組法によって労働委員会が設置された。その理由というのは、労使関係というのは民事裁判、いわゆる訴訟にこれはなじまない、労働者の権利の早期回復、そして実質的な効果を期待するという面があるために労組法上こういうふうな調整機関の判定機関を設けたというふうに法の精神からいうとあるわけでございます。
 そこでお尋ねしたいと思うんですが、地労委へ労働者が不当労働行為として申し立てた。そして、その事件が成立をしてから最終的に中央労働委員会で命令なり勧告なり和解なりをする。そして事件が解決するというその期間を、法の精神にのっとりますとどの程度にこれは考えておるんでしょうか。これは法をつくったときの理想的な期間、望ましい期間というのはどのくらいだと思いますか。
#110
○政府委員(齋藤邦彦君) どれくらいの期間で解決されるのが望ましいかということは非常に難しい問題だというふうに思います。
 いずれにいたしましても、労働委員会制度が設けられました趣旨は、先生御指摘のように一つは労働者に対しまして迅速な救済を行うという面が一つございます。それから、さらに申し上げれば、個々の労使の間でできるだけ将来にわたって労使関係が安定するようなことでなければならない。すなわち、単に救済するだけでなくて、将来にわたって労使の間で安定した労使関係が生じ得るような形での救済ということをするために、この労働委員会制度というのは設けられたんだというふうに思います。
 したがいまして、現実に労働委員会におきまして申し立てがございました場合には、まず和解によって何とか解決できないだろうか。そのうち和解によって労使が譲り合って、これからの労使関係を安定したものに築き上げていく方策はないだろうかということを重点に置いてまず努力をいたしておるのが実態でございます。したがいまして、具体的な事案の解決に要する日数は個々の事案によって非常に異なっております。四年も五年もかかるものもございますし、一年以内に解決できるのもございます。
 したがいまして、どの程度がということになりますと、一概に申し上げるのはなかなか難しいわけでございます。ただ、私どもとして申し上げられますのは、できるだけ短期の間に時間を要さずにこういう問題は処理されるのが望ましい、こういうことではなかろうかというふうに思います。
#111
○細谷昭雄君 そこで、これまでのおさらいをいたしますと、いわゆる差別の定義、それから労働委員会の機能その他をお尋ねしました。
 具体的にはJRの採用差別事件、これの現状について伺いたいと思いますが、中労委の審理はどこまで進んでおって、それで問題点があるとすれば、簡単で結構ですから、公表できる範囲で報告を願いたい、こういうふうに思います。といいますのは、もう時間が非常に少なくてあと十何分しかないということでございますので、簡単に報告を願いたいと思います。
#112
○政府委員(齋藤邦彦君) JR各社の採用関係の不当労働行為事件でございますが、現在十七地労委から命令が出されておりまして、十九案件が中労委に係属をいたしております。中労委におきまして、係属以来いろいろ和解の努力等をいたしてまいりましたが、ことしの一月以来、命令作業に重点を置いて中労委は作業をしておるというふうに承知をいたしております。
 具体的に申し上げますと、JRの採用関係事件のうち、北海道それから大阪地労委に係ります再審査事件に関しまして、審問に参与いたしました労使委員からの意見聴取を十一月十日に行うということを決定したというふうに聞いております。
#113
○細谷昭雄君 二年前と比べまして、事態はなかなかいい方に進んでおらないというふうに私自身は感じておるわけであります。JR各社の法的な言い分を聞きますと、いわゆる国鉄改革法と言われる、我々が参画をしたわけでございますが、この二十三条は、法制的に八十七年の三月三十一日に旧国鉄はなくなった、そしてJRは八十七年の四月一日に新会社が設立されたんだ。したがって、我々には不当労働行為はないんだ。いわゆる当事者適格がないというふうな主張なわけでございます。そこで、なかなか折り合わないというふうに聞いておるわけです。
 それはそれで認めるとすれば、一つ問題が残ってくるのは、私たちの国鉄改革法の審議の過程で、時の中曽根総理が国会で答弁しましたのは、一人も路頭に迷わせる者を出さないというふうにおっしゃいました。我々もそれを信じました。そして、当参議院の国会決議、附帯決議でもそれを特に明記しておったというふうに私たちは記憶しておるわけであります。私は当時衆議院でありましたけれども、その法律に参画をした一人として、そのことをしっかり覚えておるわけです。だとすれば、当事者がだれなのかということをきちっと特定しておらないと、どんなに労働法に救済規定を設けておりましても、もう命令を出してもそれをやる人がおらないという不思議なことになるわけであります。
 私は、法律をつくった我々立法府も当然責任を持たなくちゃいけないし、そしてまた当時の政府も責任を持たなくちゃいけないと思うのです。JRが責任を持てなければ、立法府なり政府がこれはもう当然責任を持たなければならない。政策の変更によって、政策の変更といいますか、国策の変更によって生じた、これは一つのはざまの人方だと思うんです。そうすれば、一体だれが当事者になるのかという問題が残るわけです、もしJRの言い分を認めたとしても。これは、労働省や運輸省にお聞きしても難しい問題なんです。
 そこで、今までも自民党の皆さん方、自民党から出た労働大臣もいろいろ苦労されてきました。前の労働大臣にしても、その前の大臣にしても。
 そこで、坂口労働大臣にお聞きしたいんですが、そういう意味では、政治家坂口労働大臣として一外そういう事態にどう対処するつもりなのか。これは非常に難しい問題なんですが、このことについて大臣から、そういうはざまに沈んでおる皆さん方、これをどうするつもりなのか、大臣の御見解をお聞きしたいと思うんです。
#114
○国務大臣(坂口力君) 細谷先生が先ほどから御指摘になっております問題は、私も大臣に就任をさせていただきましてから心を痛めております問題の一つでございます。多くの皆さん方からお手紙等もたくさんちょうだいをいたしまして、その内容を読ませていただきますと切々たる訴えのものもございまして、本当に何とか一日も早く解決ができないものかと私も思う一人でございます。
 この国鉄改革法におきます問題点、先ほど二十三条の問題を御指摘になりましたが、この二十三条の問題点はまさしく現在中労委の論点になっているところだというふうに思うわけでございまし
て、ここはひとつ中労委にお任せをして結論を出す以外にないだろうというふうに思います。しかし、先ほど一政治家としてというお話がございましたが、私にでき得る範囲のひとつ努力を私もやらねばならない、そういう決意をしながら日々そんなお手紙を拝見しているところでございます。
#115
○細谷昭雄君 今大臣からも御指摘がございましたし、御感想もお伺いしましたが、九〇年の四月一日法律に基づいて、国鉄清算事業団が三年になったので千四十七名の方々を解雇したわけです。その解雇された皆さん方からこうして我々にもお手紙が時々来るわけです。大臣もそれをお読みになったと思うんです。
 こうしてみますと、その人方はもちろんですけれども、家族があり、しかも今度北海道の音威子府とか稚内とかという一番北の方なんです。解雇されてからは四度目かの厳しい冬を迎えようとしているわけです。こういうふうに考えますと、やっぱり生活も大変でしょうし、一番大事なことは心情だと思うんですね、毎日毎日の気持ち。私たちは、何とかこの温かい気持ちをあらわしてやりたいというふうに思いますし、そのためには一日も早い解決が必要だと、今のJRの差別事件、こういうふうに思うわけでありまして、ぜひひとつ大臣の今の気持ち、政治家として最大の努力を傾けていただきたいということをあわせてお願いしたいと思うわけであります。
 JRの社会的な責任は一体どうなのかという問題が残っておるわけであります、今もちょっとお話がありました。運輸省に要望したいと思うわけでありますが、本来なればJR当局に来ていただきまして、そして参考人としていろいろお聞きしたい、要望したいと思うんですが、調停の当事者であり、しかも七つも会社が分かれちゃっている、もうつかみどころがないわけです。ヤマタノオロチには一つ足りないわけですが、七つもあるということで大変あれだけれども、監督官庁であります運輸省から間接的に、ひとつ私も要望しますので善処をお願いしたい、こんなふうに思うわけであります。
 まず最初に、この中労委に対しましては採用差別事件のほかにいっぱい不当労働行為が挙がっているわけです。しかも、百七十九件に上る不当労働行為がいわゆるJR各社から出ておる、JR関係の。もうこれは驚くべきことだと思うんです。これを考えますと、一般の社会的な企業がもう何十万とある中で、なぜJR七社だけがそういうふうに非常に多く出るのか、まことに不思議でならないわけです。どうもJR各社というのは、近代の企業として何か労働問題に対しては欠けておるんじゃないかという気がするわけです。いろんなうわさとかそういうのはありますけれども、私は一般的な立場からしますとそういう感じがするんです。
 しかも、所属組合のいかんによってそれぞれ違う。東には東の問題、西には西の問題、所属組合によって、まさにさっきの差別なども、それが非常に多い。だから、どこかやっぱりもう前近代的な、一口に言うと労労戦争だとか使使戦争だとかというふうにも言われるくらい複雑怪奇な様相を持っているというふうに言われておるんですけれども、やっぱりもっと近代的な企業に変えるように監督官庁として格段のひとつ努力をしてもらいたい、これが要望の一つです。
 もう一つは、具体的な問題ですが、私は地元が秋田なんです。それで、秋田からも県外にたくさんの皆さん方が出向しているわけです。ところが、秋田出身が多いためだとは思うんですけれども、片道切符で行っている人が非常に多い。私の身内、私の支持者の中にも何人かおるわけです。もういつ帰るかはわからない、普通は二年というふうになっているんですが、そういう多い関係でしょうがね。隣の山形県に行ったらあともう帰れないという人力がたくさんおる。こういうふうな不公平というのはなくしていかなくちゃいけないんじゃないか。具体的にこれはどういうふうにお考えなのか、運輸省として。
 もう一つの問題は、十二月一日にJR東日本では時短の関係でダイヤ改正をするというふうになっております。ところが、秋田の地元、私の方の支社ですが、秋田の電気機関車の運転手が十分にそれは対応できない、人数が少なくて。それで、他県に行っている人方が多いわけですので、少なくとも安全運転の点からしますと、今言ったような点でやっぱり地元へ帰してもらうということが必要じゃないのか。これは運輸省として、監督官庁としてどういうふうにお考えなのか、この二つの点。
#116
○説明員(岩崎勉君) お答え申し上げます。
 最初に先生が事例として御指摘になりました件につきまして、JR東日本の説明によりますと、新会社発足以降、いわゆる山形地区の要員逼迫という、そういう状況があったようでございまして、要員需給上の必要性に応じていわゆる配置を決めたと、こういう報告を受けております。
 これに対しまして、これは六十二年七月の転勤だと思いますけれども、転勤となられた職員の方を対象に秋田の地労委に対して不当労働行為の救済申し立てがなされ、そして地労委からは救済命令が出た。これに対しまして、JR東日本は中労委に対して再審査の申し立てを行っているという状況のようでございます。
 まさに中労委で係争中でございますので、運輸省としてはコメントは差し控えさせていただきます。いずれにいたしましても、運輸省といたしましては、JRが事業運営を適切に行っていきます上で労使関係の安定ということは非常に重要なものでございます。そういう観点から、会社それから組合相互間が信頼関係を持って、誠意を持って十分に話し合うということが必要である、こういうふうに認識しているところでございます。
 それから、二点目の時短の関係でございますけれども、十二月一日にダイヤ改正が行われる、それに合わせまして時短をするということでございまして、時短そのものは職員の労働条件の向上ということに配慮して行うというふうに聞いております。
 そこで、今回の十二月一日のダイヤ改正、時短の実施によりまして先生御指摘の秋田地区における運転士不足ということでございますけれども、安全及び列車運行の確保の観点から、特にダイヤ改正の内容を見ますと列車キロが減少するということもございます。ということで、JRの説明によりますと運転要員は充足しているということでございます。
 運輸省といたしまして、JRが行います個々の職員の配置といいますかそういう問題に関しましてはJR当局自身の問題でございますので、私どもとしてそれに介入すべきではない、こういうふうに考えております。ただ、先ほども申し上げましたように労使関係の安定というのが安全確保も含めましてJRの経営にとって重要でございます。そういう認識で、先ほど申し上げましたように会社、組合相互間が誠意を持って十分に話し合っていただきたい、こういうふうに思っておるところでございます。
#117
○細谷昭雄君 どうぞ、ひとつ運輸省関係にも十二分な配慮をお願いしたいということを強く要望申し上げたいと思います。
 最後で大変恐縮ですが、大臣にもう一度ひとつ所信の表明をお願いしたいと思います。
 これまで見てきましたようにいろいろの問題がございます。出稼ぎ問題も含めまして今までのいわゆる自民党政権による大臣もこの労働問題に対しては非常によくやってくれました。私も非常に敬意と感謝を持っておりますけれども、それ以上のことが望まれるわけです。それはなぜかというと、やっぱり今の連立与党が標榜しておる問題は、何といったって生活者優先、しかもゆとり、そういう温かな行政ということを特に言っているわけでありますので、今言った出稼ぎの問題、そしてこうして苦しんでおられる皆さん方に対する今後の大臣の労働行政に対するあり方、決意、これを最後にお伺いしまして、質問を終わりたいと思います。
#118
○国務大臣(坂口力君) 最初に出稼ぎのお話も
あったわけでございますが、大変な凶作でお困りになっております皆さん方に本当に御苦労をおかけしているというふうに思うわけでございます。
 我々といたしましても、とりわけその皆さん方が、農業が非常に厳しいわけでございますから、それにかわるべき雇用をどうするかということで非常に困っておみえになるのではないか。さすれば、まず地元で何か雇用していただく、そのことを考えなければならないというふうに思いまして、先ほども一部御答弁を申しましたとおり公共事業等その地域で働いていただく内容はどんなものがあるのか緊急にひとつ調査をしよう。そして、今職をお求めになっている方が大体どれぐらいな人数で、そして今度は大体どれぐらい地元でそれを受けることができ得るのか明確にしていこう。そして、なおかつそれでは受けられない場合にこれは出稼ぎとして外に出ていただく以外にないだろう。外に出ていただきます場合には、これは受け入れ側とそして出ていただきます側とが綿密な連絡をとっていかなければならないだろう。
 特に、最近は農業をしていただいております皆さん方もかなり高齢化をしておみえになりますので、とりわけお体のことも十分に考慮に入れて、あるいはまた職業につきましても、そうした新しい職業についていただきますときのその訓練等も含めてきめ細かくひとつ配慮をしながらこの人たちに対処をしなければならない、そのように考えているところでございます。
 ひとつ鋭意努力をさせていただきたいというふうに思っております。
 それから、先ほどの旧国鉄、JRにかかわります問題につきましては、先ほどから先生にもるる御指摘をいただきましたし、私も一部答弁をさせていただきました。いずれにいたしましても、日本がしょっております大変大きな問題の一つでございます。何とか早く、新しいJRになったわけでございますし、すべてを解決して、そして新しいJRの時代を迎えなければならないわけでございますが、旧国鉄時代の一部のそうした事情をまだ引っ張ったままで、しょい込んだままで今日を迎えているということは大変残念なことでございます。
 しかし、これは政治が解決をする以外に方法がございませんので、政治の場でこれはどうしても解決をしなければならないだろう。現在、中労委にゆだねられておりまして、その結論が間もなく出るやに聞いておりますが、その結論は結論としてひとつお出しをいただき、そしてそれを私たちは拝聴しなければならないというふうに思いますが、その結論を受けて、その上で私たちは、さてそれをどうするかということをまた御一緒に考えなきゃならないだろうというふうにも思っている次第でございます。
 したがいまして、この問題につきましてもひとつ最大限努力をさせていただきますことを改めてここで決意表明をさせていただきたいと存じます。
#119
○細谷昭雄君 どうもありがとうございました。
#120
○大脇雅子君 大脇でございます。
 景気がよかったころは華やかに女性に対する均等処遇が伝えられましたが、結局不況の中でそれが深刻化いたしますと一転して女子学生に対して就職の門戸を閉ざす企業がふえるようになりました。こうした有事のときにこそ均等法が働くべきだ、それが働かないという以上均等法は欠陥品ではないかということが新聞紙上でも問題になっております。
 ただいま婦人少年問題審議会の婦人部会で均等法の見直しについて議論されていると聞いておりますが、労働省は均等法の施行後の変化についてどのような評価をなさっているのかお尋ねをしたいと思います。
#121
○政府委員(松原亘子君) 雇用機会均等法が施行されまして七年半ぐらいたっわけでございます。
 いろんな評価があるわけでございますけれども、まず私どもが最も大きくこれが効果があったと思いますのは、女性が働くこと、また雇用の場での機会均等の確保の必要性、こういったことについての社会全般の理解が非常に大きく広がったということはまず第一に挙げられるのではないかというふうに思っております。また、女性の方々の意識も、雇用機会均等法ができたということで非常に働くことについて真剣に考える意識というのが芽生えてきたというふうに思っておりますし、結果として、少しずつではありますけれども勤続年数も長くなってきているといったようなこと、また結婚しても、子供ができても働き続けたいと思う女性の方もふえてきているといったような全般的な効果というのがあらわれているかというふうには思うわけでございます。
 しかしながら、必ずしもすべての企業において男女雇用機会均等法の趣旨にのっとった雇用管理が実現できているかといいますと、かなりの企業ではそういうふうにされているわけでございますけれども、一部にはそうでないところがあるということも否定できないわけでございます。例えば、私どもが昨年調査いたしました結果によりますと、募集・採用に当たりまして男子しか募集しない職種やコースがあるというふうに答えている企業もまだあるわけでございます。
 その理由を聞きますと、その理由の中には、例えば労働基準法上女子の就業が制約されているために女性は募集できないといったようなやむを得ないものもあるわけでございます。それ以外に、例えば女性は転勤ですとか出張などが難しいから女性は募集しないといったことだとか、技術系などに多いんですけれども、募集しても女性の応募者がいないとか女性に必要な資格や技能を持っている人が少ないといった女性に対する固定的な考え方、そういったもので女性に門戸を開いていない企業もあるなどまだ徹底していない部分があるということは認めざるを得ないというふうに思っている、そういうことが均等法施行後の状況として私どもが認識しているところでございます。
#122
○大脇雅子君 ことしの募集につきまして、そうした男子のみ募集とか、あるいは男女別枠募集ということが非常に問題になっているというふうに新聞紙上報道されておりますが、労働省では何か実態などをつかんでおられるでしょうか。
#123
○政府委員(松原亘子君) ことしの今御指摘のような状況につきましては、現在調査中でございます。
 就職協定上十月一日が正式に内定が出せるという時期になっているということもございまして、十月一日から五日までの状況を調査しているところでございまして、目下回収し点検中ということで、なるべく早く私どもはことしの学卒の就職状況についての状況を把握したいというふうに思っておりますが、今のところどうであったかということはちょっと申し上げられないような状況にございます。
#124
○大脇雅子君 婦人少年問題審議会で、いわゆる均等法改正の見直しの論点というところはどのようなところに置かれているのでしょうか。
#125
○政府委員(松原亘子君) 雇用機会均等法ができて七年半の間に本格的な見直しというのが行われていない状況にございます。
 そういうことから、募集・採用に始まりまして定年退職・解雇という雇用管理の全ステージにわたる雇用機会均等法の規定についてこれがどのように機能してきたか。また、努力義務規定になっておりますことについては指針が策定されているわけでございますけれども、その効果がどうであるかといったようなこと。それから、機会均等調停委員会という救済手段がございますけれども、その状況など非常に全般にわたりました均等法についての施行後の評価について見直した上検討するということで進めているところでございまして、まだポイントが絞られているという状況ではございません。
#126
○大脇雅子君 いわゆる均等法で一番問題とされたことは、募集・採用、配置・昇進、教育訓練、そして福利厚生、定年・解雇という雇用の全ステージに係るものの募集・採用と配置・昇進については努力義務規定があるということでそれを禁
止規定にしてほしい、すべきであるというふうに私は考えるものでございますが、この点についてはどのような議論をしておられるのでしょうか。
#127
○政府委員(松原亘子君) 先生おっしゃいましたように、努力義務規定を禁止規定にすべきであるという御議論ももちろんございますが、一方には中小企業まで含めますとまだ十分均等法そのものの周知が図られていない面もあるのではないか。また、企業の自主的な努力によって相当程度改善が進められてきている。したがって、さらにこれを進めるという方向でやればいいのではないかというような議論もございまして、まだ煮詰まっているというような状況ではございません。
#128
○大脇雅子君 努力義務規定は、法的に見れば、かなり著しい不正がある場合には公序良俗違反で無効という形で救われるかもしれませんが、一般的に倫理規範としてしか機能しないということで均等法の効力をかなり制約している、本質的に制約している一つではないかというふうに考えます。ぜひこの点を御検討いただきたいと思います。
 さらに、努力義務に関しては指針ということが問題になっておりまして、その指針が施行されておるわけですけれども、男女の枠組みは均等法違反ではないとか、あるいは女子のみ募集については女子に利益を与えるという奇妙な理由で認められているというような形で、なお指針にいわゆる伝統的な性別、役割分担、職場における職域のいわば固定化というものを助長するような指針があるというふうに考えますが、この点はいかがでしょうか。
#129
○政府委員(松原亘子君) 指針の性格でございますけれども、これは雇用機会均等法制定のときもいろんな議論がございました。指針は、事業主の方に大きく法律で努力義務がかかっているわけでございますけれども、そのうち当面ここまでは実現するように努力してほしいという目標を定めるという、そういう性格のものでございます。
 したがって、指針に載っていないからということで努力義務がかからないということではなくて、いわば機会均等実現の緊急度、重要度といいますか、そういったものに照らして現行の指針というのが定められているわけでございます。
 したがいまして、もちろんこれは固定的に考えるべきものではなく、今後もう少し審議会での議論をお願いしなければいけないというふうには思っておりますけれども、そこを踏まえましてさらに指針を充実させるということももちろんあり得るわけでございます。
 必ずしも、現行の指針はつくって以来改正されておりませんけれども、これですべてがカバーされているとか、これはこれ以上変えないものであるといったような認識では私どもいないわけでございます。
#130
○大脇雅子君 そういたしますと、男女枠の指針を認めているような指針の書き方とか、あるいは女子のみ募集が有効であるというような指針についてはぜひ見直しをしていただきたいと思います。
 次に、調停制度についてですが、これまで七年半たちまして、調停制度にかかった事例、少なくとも申し立ての事例はどんなものがあるかお尋ねをしたいと思います。その件数と内容です。
#131
○政府委員(松原亘子君) 現在まで調停申請がなされたものは、六事業所に勤務する女子労働者六十三人からというふうになっております。
 例といたしましては、申請者よりも勤続年数が短い男性が先に昇格したのは女性であるがゆえの不利益取り扱いであるということで調停の申請があった例がございます。
 また、企業でコース別雇用管理制度が導入されているところでございますけれども、それにつきまして一般職、ここは女性だけであったわけでございますけれども、その一般職の女性の中で未婚者については管理職に昇進させているけれども既婚者を昇進させていない、これは均等法に抵触するのではないかということで調停の申請があった例などがございます。
#132
○大脇雅子君 その処遇でございますが、申し立てが六件のうち調停の事例が全く今までないということですが、この場合、婦人少年室が調停を必要と認めた場合に相手方の同意を得て調停開始決定をするということになっておりますが、どのところまで進んだ事例があるんでしょうか。ほとんど入り口の申請の段階で終わっているんでしょうか。
#133
○政府委員(松原亘子君) 六事業所についてあったというふうに申し上げましたけれども、そのうち三事業所につきましては、女子労働者からの調停の申請があって、婦人少年室長が調停開始のために事業主に同意を得るという、そういうプロセスがあるわけでございます。その過程において、事業主が差別的取り扱いを是正したということで女子労働者の目的が達成されたために事案が終了したというのが六事業所のうちの三事業所の案件でございます。
 残る三事業所のうちの二つにつきましては、申請事案が法律で定めます調停対象事項に該当しなかったというものでございます。
 残る一事業所に係るものにつきましては、事業主に同意を求めましたけれども、事業主は自主的に解決したいということで調停開始に同意をしなかったというような結果になっております。
#134
○大脇雅子君 これは、私が国会に参ります前に取り扱ったケースが一番最後の事例ではないかと思うんです。要するに、このときは使用者の方は自分たちで解決したい、こういうふうに申しましたが、事実上は同意して調停事例の第一号になる名誉は受けたくないというふうに言ったということもあったりいたしまして、この同意条項というものがこの調停制度の効果を非常に減殺している、むしろ動かないようにしているというふうに考えるわけであります。
 とりわけ、労働省の婦人局が編さんされました実務解説によりましても、要するにこの調停制度とそれから婦人少年室の援助というものはいわば自由選択だ、ともかくお互いが補い合って効果を上げていくというふうにして書いておられるにもかかわらず、ほとんどというか全く動かない。この同意条項の存否について、それが導入されたいきさつ、そして現在その同意条項の果たす機能についてどのように考えておられるのかお聞きしたいと思います。
#135
○政府委員(松原亘子君) 私ども、雇用機会均等法案を策定いたしましたときの考え方をちょっと御説明させていただきますと、そもそも調停というのは、紛争の当事者間に第三者が関与してお互いの譲り合いによって事件の妥当な解決を図ろうとするものであるということから、基本的には当事者の任意による話し合いを進めることによって行うものでございます。したがいまして、実際上調停を行うことについて双方の同意がなければ調停そのものが成立しないということで、均等法ではこのような調停の性格を踏まえまして双方の同意ということで開始をすることにいたしたわけでございます。
 御指摘の、この条項があるために調停がなかなか進まないのではないかということでございますけれども、先ほどちょっと御説明させていただきましたように、同意条項があるがために調停開始に至らなかった事案というのは一事業所に係るものでございまして、私どもとしては必ずしも同意条項があるために調停制度が機能していないというふうには考えておらないわけでございます。
 なお、先生がおっしゃいましたように紛争解決のための措置といたしましては、調停委員会による調停のほかに法第十四条に基づきます婦人少年室長の援助というものがございます。これは年度によって多少ばらつきはございますけれども、これまでの経験ですが、年間少ないときで二十四件、多いときで六十六件、この十四条に基づく紛争の解決の援助をいたしておりまして、このうちもうほとんどのものが解決に至っているわけでございます。
 そういうことを考えますと、調停委員会の調停開始要件に同意条項が入っているということによって実際に起こっている男女雇用機会均等法を
めぐる紛争の解決が著しく阻害されているということにはなっていないというふうに私どもは考えているところでございます。
#136
○大脇雅子君 同意がなければ歩み寄りができないので調停そのものが成立しないというようなお考えですけれども、実は調停といいますものは、相手が、例えば偏見とかあるいは厳しい反対意見を持っていたとしても、そこに今一般的な男女平等にかかわる情報を与えて説得していく、そして説得をしていくプロセスが一つの教育的な効果を発揮して、そして双方の合意を形成していく、そして差別が是正されていく。調停の本意は、むしろ同意するしないというよりもまさにそのプロセスにあります。
 したがって、そこに双方当事者を引き込んでいくということがまさに調停制度の本旨にあるというふうに考えるわけですが、この同意条項があるということだけで入り口にいわゆるかんぬきがかけられているという状況ではないかと私は思いますが、その調停をいわば説得のプロセスを重視していくという考え方というのは重要じゃないでしょうか。
#137
○政府委員(松原亘子君) おっしゃいましたような効果ももちろんあろうかというふうに思いますけれども、お互いが平和裏に話し合おうというようないわば態度で入っていただかないと、いたずらに時間がかかるとか複雑になるとか、かえって問題をこじらせるというようなこともあるのではないかというふうに思います。
 私どもが雇用機会均等法を策定いたしましたときは、先ほど御説明いたしましたような考え方にのっとってやったわけでございまして、それがあるがために、その後の施行状況を見て、これが大きな紛争解決援助の妨げになっているというようなことにはなっていないことを考えますと、必ずしも同意条項があることが不適切だというふうには言い切れないというふうに考えております。
#138
○大脇雅子君 不適切でないということに固執されますが、しかし調停制度にのらないケースというのは裁判によるしかないわけであります。もっとも、行政上の指導援助というのはこれは別でありますけれども、恐らく司法的な援助に対しては非常に長時間と経費がかかる。
 本来、調停制度というのは、迅速で簡便でかつ円満な手続として第三者機関による公平、中立性をモットーとしてできた調停制度でありまして、ほとんどこの同意条項があれば調停制度というのは申し立てても無理だろうというふうに一般の女性労働者が考えているというふうに私は考えるわけですが、なぜそれほどまでに阻害要因となっていないと考えられるのでしょうか。あるいは経営者の方が著しくそういう点に固執をしているという導入のいきさつがあるからでしょうか。
#139
○政府委員(松原亘子君) 同じことの繰り返しになって恐縮ですけれども、先生がおっしゃいました最後の点、経営者が云々ということは私どもは別に考えているわけではございません。
 紛争の解決というのは、まさにお互いの譲り合いで平和裏になされることが最も適当なわけでございます。そういうことからいたしまして、先ほどのようなことを考えて同意条項を入れたわけでございます。
 それ以外にも、実際には紛争の解決の援助を婦人少年室長が行うということをやっておりますし、実際に六件、実質六件でございますが、出てきた調停申請につきましても室長が同意を得る過程で事が解決されておるといったような実態なども考えますと、必ずしも同意条項があるから女性が紛争の解決を持ち込んでこないといいますか、行政機関の方に上げてこないというようなことには私どもはなってない。
 調停制度自体が知られてないということはあるのかもしれないとは思いますけれども、同意条項があるからということで調停申請しようとしたのがやめようということになるというふうには考えないものでございます。
#140
○大脇雅子君 いろいろ言われますけれども、例えばアメリカのEOCとか、イギリスのEOCのような権限が効果を上げているという実績を見るにつけ、日本でもぜひこの調停制度についての活性化というか、本当に動かしていただきたいと思わずにはいられないわけです。
 どうしてもこれを削除するということの法改正が必要である。この同意条項が削除されて、そしてそこで円満な調停が実施されれば、女性も本当に差別是正に対する一つの大きな希望がこの均等法に持てるのではないかというふうに考えます。
 労働大臣は、そうしたこの同意条項という言ってみれば奇妙な条項、少なくとも公害の調停委員会などについても相手方の同意条項はありませんし、あるいは裁判所の簡裁や家裁の調停だって同意条項はなくて大きな効果を上げていることを考えますと、この法改正についていかなる形でお考えをお持ちなのかということをお尋ねしたいと思います。
#141
○国務大臣(坂口力君) 男女雇用機会均等法ができましたとき、これは今までこの種のものがなかったわけでございますから、これが誕生いたしましたことは大変大きな前進であったことは間違いございません。ただ、ベストであったかと言われれば、いろいろと検討しなければならない点も積み残されたんであろうというふうに思いますが、何はともあれスタートするということがより大事ではなかったかというふうに考えております一人でございます。
 したがいまして、先ほどから婦人局長も御答弁を申し上げておりますように七年半という年月が経過をいたしまして、そしてさまざまな意味でこの男女雇用機会均等法を御利用いただいて、そしてそれに対するいろいろの意見も今出てきているところでございますし、また今先生が御指摘になりましたような問題もあるいはその一つであるのかもしれません。
 こうした問題を踏まえさせていただきまして、これからひとつまたさらに一歩前進をした法案の作成に向けていきたいというふうに思っておりまして、何はともあれ我々といたしましてはその一歩を踏み出しているということでひとつ御理解をいただきたい。その中の具体的な議論につきまして、今御指摘になりましたような調停制度に同意条項を入れること云々の問題等もこれはもう含めさせていただいて、ひとつこれから大いに議論を深めていきたいというふうに思っております。
#142
○大脇雅子君 ぜひこの調停制度の同意条項というものの改正、削除ということを御検討いただきたいと思います。
 さらに、もう一つの均等法見直しの点といたしまして、いわゆるアファーマティブアクションというものがございます。これは使用者に対して直接的に雇用管理の見直しを求めまして、集団としての女性や障害者などが受けている差別、構造的な差別をいわば制度的に救済していこうという制度といたしまして女子差別撤廃条約も第四条でその存在意味を認めておりますし、それから女子差別撤廃委員会も勧告でアファーマティブアクションの導入について各国政府は検討しろと言っておるわけですが、均等法の見直しと関連してこのアファーマティブアクションの導入については何か議論あるいは調査をされているのでしょうか。
#143
○政府委員(松原亘子君) 男女雇用機会均等法は、御批判もある点でございますけれども、女性だけを募集しているなど女性に対する門戸が広くあるといったようなこと、また条件がつけられている場合であっても女子に不利な条件がつけられているのを何とかしようということで、いわばある意味では女性のサイドから見た機会均等法になっているわけでございます。それは、一つのアファーマティブアクションと言えば法全体がなっているとも言えるわけでございまして、先ほど先生がちょっと御指摘になりました女子のみ募集の是非論というのは一つそれに絡んで問題としてあろうかというふうに思います。
 女子のみ募集の是非論というのは、ある意味では女子を従来型の女子向き職種に固定するという面があるということで御批判はあるわけでございますが、一方ではそれがアファーマティブアク
ションになっている部分もあるわけでございます。例えば、女性についてだけこれまで教育訓練が十分に行われていなかったのでこれからは女性についてだけ特別の教育訓練を実施するといったようなこともあり得るわけでございまして、国際的に言われておりますアファーマティブアクションというのは、むしろ最後に申し上げましたような能力の向上とか開発、就業の確保といったようなことではないかと思います。
 そういう意味では、現在の雇用機会均等法はいろんな意味を含めた女子のサイドから見た法律になっているということはあるわけでございまして、審議会の中でも女子のみ募集の是非論というのは出ておるわけでございますが、その問題を議論するときには、今先生がおっしゃいましたように女子についてだけ特別扱いするということを一体どこまで是とし、どこがいけないのかといったような議論はかなり突っ込んでやっていかなければいけないんではないかというふうに思います。
 それは、実態上の議論はもとより法制上の整合性なども踏まえてやらなければいけないんではないかというふうに思っておりますが、現時点の雇用機会均等法は、女子差別撤廃条約で男女平等を促進するための暫定的な措置というのは差別とみなしてはならないというふうに規定がございますが、その趣旨は体現されているというふうに考えているわけでございます。
#144
○大脇雅子君 私が質問させていただきましたのは、現在ある均等法のいわば女子のみというものは、いわゆる基本的にはアファーマティブアクションというよりはむしろ男女の性別役割分担を固定化するという側面が強いものであります。
 日本の法律では、いわゆるそういったアファーマティブアクションでももう少し根本的な、根元にいわば切り込んだ差別是正の方針、例えば全体の雇用管理を見直す、そしてそこで男女の性差別があるかないかということを分析し評価して、そして一定のゴールを定めて、例えば何年以内に管理職に何%上げるとか、あるいは女子が一人もいない場所にいわゆる何年たって何人を採用していくとかという具体的な、いわば積極的な差別是正措置を申し上げたわけですが、そういった問題を総体として取り入れるという観点はないのでしょうか。
#145
○政府委員(松原亘子君) 男女雇用機会均等法づくりの過程で、実は男女平等問題専門家会議というのを労働省において開催させていただきまして、そこで男女平等とはどういうものをいうのかというのをかなり労使の方々も入っていただいて議論したわけでございます。そのときの結論は、男女平等といってもそれは機会の均等を確保することであるということで、例えば管理職の一定割合を女子にするといったようないわば結果の平等を求めるものではないというのがそのときの結論でございました。今先生がおっしゃいました一定のゴールというのは、いわば結果の平等ということではないかというふうに思います。
 私どもは、機会均等という場合にはあくまでも意欲、能力に応じて均等な取り扱いということを目指しているわけでございまして、もちろん雇用管理上機会均等が実現されていないということは是正してもらわなければいけないというのは当然でございます。その結果、じゃ女子がどの程度採用されるか、女子がどの程度管理職に登用されるかということは、機会の問題と同時に、女子がどの程度みずから能力をつけ、意欲を持って仕事に当たっているかということとの相関で決まってくるものでございまして、一定のゴールを定めるということにつきましてはまだ世の中のコンセンサスができていないというふうに思っております。
#146
○大脇雅子君 私は、我が国の土壌の中でこのアファーマティブアクションの導入についての調査研究が早急に行われて、いわばおくれた日本の意識というものをもう少し啓発していく必要があるというふうに考えているものであります。
 最後に、いわゆる募集・採用の結果、まあ差別の結果というか、今調査しておられる事態が出てまいりまして、世の中では男性に比べてその半分が就職が女性は不利益に取り扱われているというふうに言われておりますが、そういう場合には均等法三十三条の発動ということを考えられるかどうかということをお尋ねしたいと思います。
#147
○政府委員(松原亘子君) 十月時点での実態の調査をやった上どういう措置をとるかということは、必要な場合には三十三条による指導ということもあり得るわけでございますが、私ども最近思っておりますのは、女子学生に対して非常に厳しいというのはトータルで言えばそのとおりだとは思うんですけれども、その場合、女子ということで全部くくってしまっていいのかどうかというのはちょっと気になるところでございます。
 つまり、少し深く見てみますと、例えば事務職に非常に採用抑制が大きくされているとか、大卒よりも短大卒にされているとか、例えばコース別雇用管理をとっているところでは総合職よりも一般職の方が採用を抑制しているという、そういう職歴とか学歴、そういったものによって採用抑制の程度が違うということがあるわけでございまして、それが結果として、例えば事務職は女性が多いとか、短大卒はほとんど女性である、したがって結果として女性トータルで考えると女性に厳しい、こういうことになってきている面もあるわけでございます。
 それはそれでもちろん問題はございますけれども、雇用機会均等法に照らして考えますと、同じような意欲、能力を持ちながら女性だからということで機会がない、差別をされているというのが問題なわけでございまして、そういったものが調査の結果把握されればもちろん私ども三十三条にのっとった指導というものをやってまいりたいというふうに考えております。
#148
○大脇雅子君 最後に労働大臣にお尋ねしたいんですが、能力と資格のある女子学生が就職その他において差別されているというふうに把握された場合、あるいは現在なおかつある、いわば昇格差別その他について均等法の三十三条での発動ということを積極的に労働大臣にやっていただきたいと思うわけですが、御決意のほどをお伺いしたいと思います。
#149
○国務大臣(坂口力君) 先ほどから御答弁を申し上げておりますように、ただいま調査を続けているところでございまして、その結論を待ちたいというふうに思っております。しかし、全体的なニュアンスといたしまして非常に女性に厳しい状況にあることは間違いがないというふうに思っております。
 しかし、その中身をよく吟味いたしますと、今婦人局長が申しましたようなことも含まれている、その辺のところを精査しなければならないというふうに思うわけでございますが、その結論といたしまして、先生が御指摘になりましたような事態に立ち至りましたならば、私もそうしたいというふうに思います。
#150
○中西珠子君 労働大臣、御就任おめでとうございます。
 バブルの崩壊、長引く不況、円高による輸出不振、そして国内的には消費の低迷、そういった問題が山積している中で、リストラを余儀なくされている日本産業が究極的には空洞化していくのではないかという懸念も表明されておりまして、国民は何だか雇用不安というものをしょっちゅう感じさせられているような状況でございます。特に、大学とか短大とか高校の新卒の採用抑制、それがまた女性に殊にしわ寄せされているという状況は、私も御質問したいと思っておりましたが、同僚議員がもういろいろ御質問になりましたので質問は差し控えますけれども、こういった状況。
 また一方、中高年の企業内失業というのもふえておりますし、また高年になりまして、六十歳以上になっても一応働く場所が欲しいと思っている人たちの雇用機会というものもどんどん狭められているという、このような状況の中で、九月の有効求人倍率は○・七を割り、○・六九倍になったと報道されております。円高不況の昭和六十二年七月以来六年二カ月ぶりだそうでございまして、このような問題の山積しているときに大臣に御就
任になられましたことは大変御苦労なことだと思いますけれども、大臣の御指導のもと、労働行政に山積している大きな問題に効果的に対応して、そして解決していただきたいと大いに期待をしているところでございます。
 新聞報道によりますと、雇用対策検討プロジェクトチームというのを十月二十九日に設置されましたそうですが、この構成はどのようになっているのでございましょうか。また、当面の緊急の雇用失業対策が非常に必要だという一方、中長期的にやはり日本経済、産業、雇用の構造的な変化とかまた人口の高齢化、出生率の減少による少子化社会、大変言いなれない言葉でございますが、子供が大変少なくなった社会がもう既に到来している。それで、若年労働力の減少というものも近く起きてきまして、今度は中長期的に見れば労働力をいかに確保するかという問題にもなると思うのでございます。
 いずれにいたしましても、この雇用対策検討プロジェクトチームというのはどのようなことをなさるおつもりで、どのような構成で発足なさいましたのかお伺いいたします。
#151
○政府委員(七瀬時雄君) 大変厳しい状況にございますが、特に有効求人倍率が○・六倍台に落ち込んだということもございまして、大臣の指示によりましてプロジェクトチームをっくったわけでございます。構成は、事務次官をキャップといたしまして、関係する私職業安定局長でありますとか、職業能力開発局長など八名ぐらいの構成になっております。
 そこで、検討するテーマといたしましては、現下の非常に厳しい状況にいかに対応するか。特に、雇用維持のためにどういう方法を講じる必要があるのかというようなことでありますとか、求職者の就職促進を進めるために私ども求人開拓などをやっておりますけれども、それにプラスして緊急対策としてどういうことができるんだろうかというようなことをできるだけ早い時期までに答えを出すということ。それから、ただいまおっしゃいましたような中長期的にどういう雇用の観点からビジョンを描いていくのか、そういった観点の検討課題がございます。
 例えば、今回の雇用情勢が悪い。その中で、特に中高年ホワイトカラーの方々の話がよく出ますけれども、今後の雇用構造が年齢構成との関係でどうなっていくのか、あるいは企業の海外進出という議論がなされておりますけれども、そういった関係の中で国内の雇用をどういう方向に持っていったらいいのかといった、そういった中長期的課題につきましては若干時間をかけて検討する、こういう構成になっているところでございます。
#152
○中西珠子君 ただいま完全失業率はどのくらいでしょうか。
 欧米に比べますと、完全失業率が二・一とか二・三とか二・四とかその辺で、二・五になると大騒ぎというふうな日本の状況でございます。これは、やはり雇用調整助成金をうまくお使いになって、そして助成金を支給することによっていわゆるレイオフ、労働者の解雇を防ぐという、一時帰休というふうなものもなるたけ抑えていくという、そういった効果を持っていると思うんですけれども、その雇用調整助成金をことしは非常にたくさんお出しになって、去年あたりからふえているんだと思いますが、累計どのくらい既に支給なすっていらっしゃいますでしょうか。
 昭和六十二年七月のころに比べるとずっとひどい状況ということで、相当の累計となっていると思うんでございますが、ことし、昨年度、それから一昨年は余り多くないと思うんですけれども、大体どのくらい支給していらっしゃいますか。また、これからの支給の見通し、そういったものをちょっとお教えいただきたいと思います。
#153
○政府委員(七瀬時雄君) 雇用調整助成金でございますが、十一月一日現在で二百三業種になっておりまして、対象事業所数で十七万五千カ所で、これは雇用保険の適用事業所に占める割合が九・五%になっております。それから、対象労働者数で四百十二万人ということで、被保険者に占める割合は一二・二%ということになっておりまして、いずれの数字も過去の円高不況期あるいはオイルショックのときよりも率、数が多くなっている状況にございます。
 それから、支給状況でございますけれども、平成三年度は二十三億円、それから平成四年度は三十三億円ということになっておりまして、この雇用調整助成金が平成四年度の後半ぐらいから利用が高まってきたという経緯がございます。平成四年度の数字と今後の見通しということになりますと、余り比較ができないと申しますか、平成五年度の予算では七百五十億見当の金額を予算の中に入れていただいておるような状況でございます。したがいまして、四年度に比べて五年度はちょっとけたが違うような形で支給がなされるのではないかというふうに思っております。
 それから、今後の支給見通してございますけれども、これまで非常に雇用状況が悪い中で事業主の方々ができるだけ希望退職とか解雇とかということを出さずにやっていただいたという御努力もございます。同時に、時間外労働の削減を中心とした時短でかなり雇用の減少をカバーしてきたということがございますが、かなりそういった状況も厳しいところに来ておりますので、今後私どもとしては雇用調整助成金を効果的に使いながら雇用維持努力をお願いしていきたいと思っておりますので、これからさらに利用状況は上がっていくんではないかというふうに認識いたしております。
#154
○中西珠子君 どうもありがとうございました。
 労働大臣は所信表明の中で、これは七ページでございますが、「男女の雇用機会等の確保など女性が能力を発揮できる環境の整備、勤労者の職業と家族的責任の両立支援策、パートタイム労働法の円滑な施行等」とおっしゃっておりまして、また八ページでさらに大臣は、「来年は国連の「国際家族年」でもあり、仕事と育児の両立のための施策の充実など、家族的責任を有する労働者への対策を一層推進してまいります。」と、こうおっしゃっているわけでございますが、具体的にはどのような内容の施策をお進めになっているのか、またお進めになるおつもりなのか伺いたいと思います。
#155
○国務大臣(坂口力君) 女性の労働環境を整備いたしますためには、一つは先ほどから議論のございます男女雇用機会均等法の今後のさまざまな議論を深めるということ、それからもう一つは育児休業法の見直し、そしてまた介護休業制度の、現在ガイドラインがございますけれども、その充実等を図っていかなければならないだろうと、こんなふうに思っております。女性を取り巻きます問題はさまざまございますが、大きく分けまして四点。一つは男女雇用機会均等法の問題、一つは育児休業法の問題、もう一つは介護休業法の問題、そしてもう一つは労働基準法にかかわります問題、この四つが主にあるわけでございます。そして、その中で一つ一つ順序立ててこれを解決していかなければならないだろうというふうに思っておりますが、どの項目をとりましてもさまざまな議論が必要でございます。
 その中で、やっぱり一番早く着手しやすいと言えますのは育児休業の問題ではないかというふうに思っておりまして、また労働省内におきます議論も最も進んでおりますので、ひとつ育児休業の経済援助の問題をまず最初に取り上げさせていただく、そして随時それに続いてまた他の問題も取り上げさせていただく、こういう手順を踏まえていきたいというふうに思っているわけでございます。
#156
○中西珠子君 来年は国連の国際家族年でございますが、日本政府としてはILO百五十六号条約、これを批准なさるおつもりはございませんでしょうか。
 男女労働者、特に家族的責任を有する労働者の機会均等及び均等待遇に関する条約、これはまだ批准国が非常に少なくて十九、それで日本はまだ批准はもちろんしておりませんけれども、ぜひご
の条約を批准していただきたいということを先日労働省の方に申し上げましたらば、昭和六十一年四月に外務省がお出しになったものでILO百五十六号条約に関しての問題点というものを列挙したものをちょうだいしたわけでございます。
 これにつきまして、こういった問題点を調査して、そして条約批准のために努力を重ねてまいりたいと外務省はこの中でおっしゃっているのでございますが、この中に出ております問題点は相当解明されましたものでしょうか。これは問題点別に御説明いただけますでしょうか。外務省の隈丸課長、お願いいたします。
#157
○説明員(隈丸優次君) 先生御提起の条約でございますが、一九八一年六月に第六十七回ILO総会において採択されたものでございます。
 この条約は、「家族的責任を有する者であって就業しているもの又は就業を希望するものが、差別待遇を受けることなく、また、できる限り就業に係る責任と家族的責任とが相反することとなることなく就業する権利を行使することができるようにすることを国の政策の目的とする。」べきことなどを規定したものでございます。
 この条約につきましては、この趣旨に沿った形で育児休業等に関する法律などが制定されるなど、我が国におきましては批准に向けての環境整備が進められてきているところでございます。
 しかし、条約と国内法制との整合性につきましては、例えば「家族的責任のみをもって雇用の終了の妥当な理由としてはならない。」というような条約の規定がございまして、これが国内法制において満たされているかどうかなどの問題があります。
 先生御指摘の問題点でございますが、今ほど申し上げました「家族的責任のみをもって雇用の終了の妥当な理由としてはならない。」という条約第八条の規定が国内法制において満たされているかどうかなどの検討を要する問題がまだ残っているということでございます。
 この条約の締結国における条約の解釈、それから適用状況につきましては政府におきましても従来より調査を行ってきたところでございますけれども、今後さらにフランス、オーストラリア等の最近の条約の締結国につきましても、それぞれの国における解釈、適用状況等について調査を進めてまいりたいということでございます。
 そして、このような調査の結果を踏まえまして、我が国の国内における法制との整合性の問題について国内関係省庁との調整をさらに重ねてまいりまして、この条約の批准に向けての検討を続けてまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
#158
○中西珠子君 この条約の目的は二つあると思うんです。デュアルというか、二つあると思います。家族的責任を有する男女労働者の間の差別というものが行われないようにするということと、家族的責任を持つ労働者と家族的責任がない労働者との間の差別をなくして機会均等と均等待遇を促進していくということを目的とする二つの面があると思うのでございます。
 この条約は、非常にフレキシブルに国内の事情に合った措置をとって批准をすればよいと。日本は何でもかんでも法律にびっしりとなっていないといけないということをいつもおっしゃいますけれども、法律だけの整合性ではなくて、第九条にございますように、「法令、労働協約、就業規則、仲裁裁定、判決若しくはこれらの方法の組合せにより又は国内慣行に適合するその他の方法であって国内事情を考慮した上適当とされるものにより、適用することができる。」と書いてございます。ほとんどのILO条約はこういうことを書いているんですけれども、殊にこの条約に関しましては、第一条の定義につきましても、「被扶養者である子に対し責任を有する男女労働者であって、当該責任により経済活動への準備、参入若しくは参加の可能性又は経済活動における向上の可能性が制約されるものについて、適用する。」と、こう1に書いてございまして、2が御承知のように「この条約は、保護又は援助が明らかに必要な他の近親の家族に対し責任を有する男女労働者であって、当該責任により経済活動への準備、参入若しくは参加の可能性又は経済活動における向上の可能性が制約されるものについても、適用する。」と、こうなっておりまして、この内容については第九条に掲げているものの中の一つによって定義されているものを使ってよいと、非常にフレキシブルに言っているわけでございます。
 それから、先ほどおっしゃいました第八条「家族的責任のみをもって雇用の終了の妥当な理由としてはならない。」というところが大変問題だとおっしゃいましたけれども、これにつきましても、法的な禁止というもの、また法的な強制というものを要求しているのではない。ただ、家族的責任そのものを解雇の妥当な理由とすることは許されない、間違いであるということで、それで加盟国はこれを適用するに当たっては、方法は何も法律によることを強制してはいないんで非常に柔軟性を与えているということなんです。とにかく国際家族年というものが来年参りますけれども、他の国も非常に柔軟な対応をもってこれを批准していくのではないかと考えておりますので、日本の政府もぜひ柔軟な対応をしていただきたいと思うわけでございます。
 それから第十条に、外務省の方はこれを問題点の一つとして挙げていらっしゃいますけれども、「この条約は、国内事情を考慮した上、必要な場合には段階的に適用することができる。」と決めておりますけれども、仮に段階的に適用する場合、最低限どの程度まで施策を講じておく必要があるのかということが問題だ、こうおっしゃっているわけでございます。段階的適用につきましては、第一条の「被扶養者である子に対し責任を有する男女労働者」、これは絶対段階的には適用できなくて、こちらはもうそれに対する施策というのは適用しなくちゃいけないわけですが、第一条の2の方の「保護又は援助が明らかに必要な他の近親の家族に対し責任を有する男女労働者」に対する施策というものは段階的に適用してもいいと、こういうことになると私は考えるわけでございます。
 日本は、育児休業法も既に実施しておりますし、育児休業法の休業中の経済支援についても、雇用保険法の中かも、それを改正することによって何らかの支援策を講じて、漏れ聞くところによりますと、従前の給与の二割ぐらいは何とかなるのではないかということも聞いておりますけれども、そのような状態でございますから、ぜひ百五十六号条約は批准していただきたいと考えるわけでございます。
 それから、外務省がもう一つ問題点としてお挙げになっています第十一条ですね。これは「使用者団体及び労働者団体は、国内の事情及び慣行に適する方法により、この条約を実施するための措置の策定及び適用に参加する権利を有する。」と定めておりますが、ここではどの程度まで労使団体との協議を行うかが問題であると、こうおっしゃっているわけでございます。
 これに関しましても、ついこの間の総会に提出いたしました条約勧告適用専門家委員会の報告によりますと、この十一条は使用者団体及び労働者団体に対する協議というのは、必ずしもこの条約を実施するための措置について両者の同意というものを必要とするものではないし、また国内の状況に適応した方法で相談や協議をすればよい。そして、「この条約を実施するための措置の策定及び適用に参加する権利を有する。」と言っているのは参加を奨励するという意味であると、このように専門家委員会は説明しているわけでございます。
 とにかく、各国の事情に合った方法でやっていただきたいという非常に柔軟性を持った条約であると私は考えるわけでございますが、外務省さんはいかがでございましょうか。
#159
○説明員(隈丸優次君) 先生御指摘の諸問題がございまして、それでその具体的な規定ぶりのそれぞれにつきまして、その具体的な内容がどうあるべきか、どういうふうにこれを解釈すべきかとい
う問題点が一つと、それを国内法において担保できているかどうかという問題点がもう一つあるということでございます。
 そういうことでございますので、それを国内的に検討しますのと同時に、先生今御紹介ありましたとおりの事務局サイドでの対応、それから条約審議におきますところの審議のやりとりの状況、さらには締約国になっております国のそれぞれの国がどういうふうな解釈を行ってどういった措置をとっているかというようなことの調査、そこの数点につきましての調査あるいは分析というのを今行っているわけでございまして、それを踏まえましてさらに国内で関係の省庁と調整を重ねていきたいということでございます。
 本条約の批准につきましては、今申し上げたようなことでさらに検討を進めてまいりたいというふうに考えております。
#160
○中西珠子君 ぜひ外務省としても、この条約の解釈につきましてもう少し調査をしていただきまして、条約勧告適用専門家委員会の解釈というのは一応権威のあるものと、これは事務局のあれではなくて一応権威のあるものと。それで、それより上にいくのには国際司法裁判所と、こういうことになるんだと思いますが、いずれにいたしましても非常にフレキシブルな解釈で、この条約を批准するということ自体に非常に意味があると思うわけでございます。
 国連の女子に対するあらゆる形態の差別を撤廃する条約の中にも、家族的責任というものは男女共同の責任であり、育児の責任も男女共同の責任であるというふうに言っておりますが、とにかくそういった男女間の差別も家族的責任とか、育児とか介護とか家事とかいうものが女性に重くのしかかっているがゆえに差別がいつまでも存続しているという面もございます。
 また、男女ともに家族的責任を持つと考えたにしても、そしてまたその考えることが今世界の趨勢になりつつあるわけでございますが、家族的責任を持つ労働者とそうでない労働者との間の差別というものは、やはり差別除外優先というけさほども出ましたけれどもILO百十一号条約、雇用と職業における差別をなくすための条約の定義というのを使っておりまして、そこに家族的責任をつけ加えたという形になるのでございます。こういうものを批准することによって非常に啓発的な意味があり、そして国民全体が男女共同参加の社会というものに向かって、そしてゆとりのある和やかな社会というものを実現していくということにもつながるのではないかと思います。
 また、家族というのは社会の重要な構成単位でございますから、来年は国連の国際家族年でもございますので、ぜひとも百五十六号条約というものを批准していただきたい。そして、もちろん労働省と外務省だけでお決めになるわけにもいきません。厚生省や文部省その他の関係省庁ともよく御協議くださいまして、ぜひこの条約の実現を図っていただきたいと思うわけでございます。
 労働大臣としては、とにかく就業と家族的な責任とを両立させるような施策をとり、そういった環境をつくっていきたいとおっしゃっているわけでございますから、この条約の批准に対しましては前向きな姿勢でいらっしゃると思うわけでございますけれども、いかがでございますか。
#161
○国務大臣(坂口力君) 国際家族年を迎えますに当たりまして、最も今議論をすべき条約の一つというふうに思っております。
 今外務省の方からいろいろ御指摘になりましたような問題点もまだ残っているわけでございますが、育児休業法も既にでき上がったことでございますし、またそれに対して今御指摘のように経済援助の問題もことしは議論をされようとしているところでございます。
 したがって、全体的にはこの条約の環境整備はかなり進んできたというふうに思っているわけでございますので、一層ひとつ議論を深めていただきまして我々も実現に向けて努力をしたい、こういうふうに思っております。
#162
○中西珠子君 大いに期待しておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 外務省の隈丸課長は、この条約に対しては批准した方がいいとお考えでいらっしゃいますか。先ほど、これからまだいろいろ難しい問題があるとおっしゃいましたけれども、それを早く調査していただきまして、外務省の方もやはり前向きにこの百五十六号条約批准に向けて大いにほかの省庁に協力なりハッパをかけるなりしていただきたいと思いますが、いかがでございましょうか。
#163
○説明員(隈丸優次君) 本件条約は非常に重要なものだと認識しておりまして、そういった意味からも検討すべき点をさらに洗い出して、調査も進めさせていただいて、国内官庁と十分協議を深めさせていただきたいと思っております。
#164
○中西珠子君 どうもありがとうございました。ぜひ実現していただきたいと思います。
 これは、私個人のお願いではなくて日本女性全般のお願いでございます。どうぞよろしくお願いいたします。終わります。
#165
○笹野貞子君 坂口労働大臣におかれましては、就任以来大変な激務だというふうに思いますけれども、心から御慰労申し上げ、敬意を表したいというふうに思います。
 きょうは、初めて私たちと将来の労働政策についてお話し合いができるということは大変うれしいことだというふうに思います。どうぞよろしくお願いいたします。
 さて、勤労権というのは憲法の二十七条に保障されておりますけれども、勤労するということが人間としての勤労であるというところで、いろいろな問題を整備しなければならないというふうに思います。これが、人間の尊厳としての勤労というためには、まだまだ人間の尊厳としての勤労がなされていないもろもろの部分があるわけですから、その部分を私たちは英知を絞って、勤労というのはまさに人間としての尊厳であるような、そういう社会をつくっていかなければいけないというふうに思っております。
 先ほどから女性の問題がたくさん出ておりますし、また歴代の大臣は大変心優しい方で、この女性の勤労問題について御理解が深いのは大変ラッキーだというふうに思います。先ほどからの御議論を聞いておりますと、大臣も大変心優しい方ですので、女性の政策もこれからスムーズにいくだろうというふうに思っております。
 しかし、先ほど小野委員から、労働省はみずから婦人の審議委員のメンバーを登用すべきだという御発言がありました。労働省そのものが今まで卓越した女性をどんどん出しておりますので、もちろん審議委員のメンバーに女性を登用することはいいことですけれども、先ほどの労働省がこんな女性を出しているということをちょっと私が知っている限りで申し上げてみますと、古いところで言うと田中寿美子参議院議員。そして、今の文部大臣の赤松良子さん。そして、自民党からも森山眞弓さん。社会党には久保田真苗さん。そして、大使となった佐藤ギン子さん。堀内光子さん、国連にいますね。そして、社会党の新しい議員川橋幸子さん。そして、今ここに座っていらっしゃる、ILOに行った御経験があるという中西珠子さん。そして、現在の婦人局長である松原局長。
 労働省は、婦人局は一人だけ除いて全部女性が担当している。日本の各省庁に先んじて労働省というのは本当に女性に対しては一生懸命やっている。これは、私が知っている限りでもこのぐらいの名前が出るわけですから、先ほどの小野委員の言ったことは、労働省みずから頑張っているということを私はちょっと申し述べさせていただきたいというふうに思います。
 そこで、これからの女性のもろもろの政策について個別的にお聞きしたいと思うんです。こんなすばらしい労働大臣が御就任されて、つまり女性の政策というのを労働省の中でどのように位置づけてこれから大臣は労働政策をやっていくおつもりなのかを、ほかの方たちと違って私はまず最初にお伺いしてから個々の婦人の問題を御質問したいというふうに思いますので、その点ちょっと大臣に最初にお伺いしたいと思います。
#166
○国務大臣(坂口力君) 褒めていただきましたり厳しい御意見をいただきましたり、労働省も大変でございます。
 私は、大臣に就任をさせていただきましてまず最初に申し上げましたのは、これからの中長期的な展望で労働行政を見ました場合に、人口動態から見ましても非常に労働人口が減少してまいりますし、また女性の労働意欲も大変高まってまいります。一方におきまして、労働人口の面から見ましても、女性の働く環境をさらに整備しなければならないことは間違いございませんし、また女性の労働意欲の高まり、高学歴化、そうしたことを見ましても、この皆さん方にもおこたえをしなければならない。いずれの面から見ましても、女性の労働環境の整備ということは避けて通れない問題であるというふうに思ったわけでございます。
 そうした意味で、労働行政の中で女性の問題は最も大きな柱の一つである、こう申し上げたわけでございまして、今少し言い過ぎたかなとちょっと思っているわけでございますが、しかし今もその気持ちに変わりがあるわけではございません。
#167
○笹野貞子君 大変心強く思っております。
 女性になぜ力を入れたかといいますと、今まで人間としての勤労ではなかった部分を女性が随分歴史の中でやらさられてきた。こういうことを早く喜びを持つような尊厳を持った勤労にするという、そういう点で大いに女性の面では頑張っていただいたことは本当によくわかります。
 しかし、世の中はどんどん進むわけで、今度は次に、女性の問題をやりながら、しかしバランスをとりながらもっとやっていかなければならない部分が出てまいりました。これが高齢化社会という社会の出現です。そして、この高齢者がどうやって今度は働くかということ、一生涯の喜びとして働き続けられるかという社会づくりにまた頑張っていただかなければならない時代が到来いたしました。
 そこで、人間が働くということに喜びと誇りとそしてその働いた結果の福利の享受というもの、これがある限り労働省という省は本当に重大な省なんです。ですから私は、労働省こそ人間が働くという意欲を持つ限りにおいては大変頑張っていただきたいというふうに思っている一人です。
 そこで、来年度の概算要求をちょっと見ますと、大きな丸めた数字になって大変申しわけないんですけれども、労働省の概算要求を見ますと四千九百九億円ということになります。片や、産業を支え企業を支える通産省の数字を見てみますと九千百七十四億円という数字ですが、これはやっている行政の中身によってその額が大きいから小さいからということは一概に言えませんので、そこで概算要求の伸び率をちょっと調べてみました。
 労働省の伸び率〇・四%、通産省の伸び率四・一%という数字を試算することができました。人間の社会がある限りにおいてはお互いに両輪でなければいけません。働くということの重大さと企業の発展という重大さ、これはどちらもしっかりと行政の中でやっていかなければいけないのですが、伸び率を見ますとどうも労働省の方は決定的に何かおくれをとったような気がいたしますので、ちょっと心配になってまいりました。
 これから高齢化社会を迎えて、高齢者の雇用問題ということを一生懸命やっていただかなければならない時期に、去年よりも〇・四%といったら同じととっていいんじゃないかなというふうに思っております。この数字は大変申しわけありません、質問通告するときにはまだここまで手が回らなかったので、先ほど政府委員室を通じてこの数字を申し上げますということをちゃんと私通知しておりますので、どうぞこの数字を御記憶いただきたいのです。
 ここで私が言いたいのは、数字が低いから云々というのではなくて、これから労働省は一つ済んだらまた次、また一つ済んだら、人間の生存する限り労働省という省はいろんなやるべき仕事がいっぱいあり、人間の尊厳という質的なものをどんどん高めるという大変重大な省であるという、そういう思いを込めまして大臣に大いに頑張っていただきたい。特に、超高齢化社会に向けて高齢者の雇用ということに頑張っていただくためには、予算の要求が少しつつましやか過ぎるのではないか。もっと通産省のように四・一%増というぐらいの要求をしてもいいんじゃないかというふうに思いまして、大臣にもっといろんなことをどんどんこれから政策としてやっていただきたいというふうに思うんですが、大臣いかがでしょうか。
#168
○国務大臣(坂口力君) 正確な伸び率は私もちょっと今手元にございませんので、あるいは先生の御指摘がそのとおりかもしれません。
 しかし、中身につきましては、今御指摘のように高齢化の問題そして女性の問題あるいはまた障害者の問題等メジロ押してございまして、来年は非常に内容を充実させていただかなければならない年でございます。それだけに私たちも張り切っているわけでございますので、予算の面で今御指摘がございましたが、ひとつ来年は大いに内容を充実させる年にしたいというふうに思っております。
 ただ、予算の面につきましては、後ほど一度よく調査いたしまして一遍検討をしたいというふうに思っております。
#169
○笹野貞子君 そこで、私は次の質問に移らせていただきますけれども、私たちが超高齢化社会に移るということは大変私はいいことだというふうに思います。しかし、どうも高齢化社会の到来とか、そう言いますと何か暗いイメージというんでしょうか、何か大変だというイメージを抱く方がいっぱいあるというのは私は大変間違いだというふうに思っております。
 そこで、私は大臣に、こういう間違ったイメージというのはよくない。これから高齢化社会が来るときには、年をとりながらでも自分の人生に勤労意欲を持ちながら、それを実現していくような社会だという喜びを与える省がどこかになければいけない。私は、それはまさに労働省じゃないかというふうに思うんです。
 ですから、厚生省は厚生省の段階でやるのは大いにいいと思いますけれども、やっぱり勤労意欲、そして働くということが誇りとなり喜びとなり、それが社会を支える重大な一つの要素であるということです。どうでしはうか大臣、高齢化社会に対する労働省の一つの大きな青写真というんでしょうか、労働省というのは高齢化社会が来たときに高齢者雇用についてはこういうイメージがある、そして働くという人に対してはこういうバックアップ体制があるというイメージづくりというんでしょうか、厚生省で言うとゴールドプランのようなものを出して、高齢化社会を迎える働く男性、女性、いろいろな方に希望を与えるようなそういう先を見越した政策づくりというのはいかがなものでしょうか。
 つまり、青写真をつくって、これから迎える高齢化社会に我々は年をとったらこういうふうに雇用ができるんだ、こういうようなところに喜びがあるんだという、十年先のそういうものをつくるという計画はいかがでしょうか。
#170
○国務大臣(坂口力君) 大変重要な御指摘だというふうに思います。
 高齢化社会は、御指摘のように大変これは私たちが待ち望んだ社会であることに間違いはございません。しかし、高齢化社会にはさまざまな問題がつきまとう面もあるわけでございますので、そうした面が強調されましてそして大変だという言葉も出てくるわけでございます。
 しかし、高齢化社会を見ました場合に、昭和五十五年ごろに比較をいたしますと、二〇〇〇年を超えました段階のところでは、五十五歳以上の人口のパーセントが六十五歳以上の人口のパーセントに大体一致する、大体一七%台であったというふうに記憶をいたしております。昭和五十五年ごろに五十五歳以上の人が一七%であったものが、二〇〇〇年を超えますと六十五歳以上の人が大体一七%ぐらいになるという、十年間ずらした形になってくるというような構成でございます。
 したがいまして、六十歳代の中にも非常にお元気な方が多いわけでございまして、六十歳代の皆さんにこそ働いていただかなければならないわけでございます。ところが、六十歳代の皆さんの中には、自由にひとつ生活をするのでもう労働はこの辺で一服だ、こうおっしゃる方も中にはあるわけでございますので、一律に六十歳代の皆さん方にお仕事を押しつけるというわけにはいかないだろうというふうに思っております。六十歳代の皆さんにはひとつ選択をしていただいて、そして労働を続けたいという意欲をお持ちの皆さん方にはさらに続けていただけるような体制をつくり上げていく。そういった意味で花の六十歳代、こう呼んでおりますけれども、この六十歳代をぜひつくり上げていかなければならないだろう。
 そうした意味で、来年は六十歳代前半の雇用ということにつきましてひとつ御審議をいろいろといただきたい。そして、御希望の皆さん方には継続雇用、勤務延長ができますようにひとつ配慮をしていきたい、そんなふうに考えているところでございます。
 そうした雇用延長の問題だけにとどまらず、もう少し全般的に六十歳代あるいは七十歳代、高齢化社会は非常に明るいんだという、そうしたイメージが持てるような全体的なプランができるといたしましたらそれはすばらしいことでございまして、どうぞひとつ、笹野先生に御提案をいただきましたら我々も一生懸命勉強させていただきたいと思います。
 今のやり方を見ていますと、年金問題が先に討論されまして、六十歳から六十五歳だとかそういう年金の方が先に議論の対象になって、それで慌てたり、いいとか悪いとかいう議論がありますが、実にこれは本末転倒であって、本来であるならば労働省の高齢者の雇用の問題を先に展望しながら、それから厚生省の年金問題の討論をするのが私は筋だというふうに思っているんです。その点、労働省の方がちょっと後手後手に回るものですから暗いイメージになってしまうというような危惧を持っております。
 そういう点では、来年度はどうやら高年齢者雇用安定法の改正があるというふうに漏れ聞いておりますけれども、やっぱりこういうときにはどうぞ大臣、ぐっと骨太の企画をして、予算をがばっととれるようなそういう力強い労働省の行政というのをやっていただきたいというふうに思っておりますので、ひとつ頑張っていただきたいというふうに思っております。私も及ばずながら一緒に頑張りたいというふうに思っておりますので、どうぞよろしくお願いします。
 では、続いて婦人行政の個別的な質問をさせていただきたいというふうに思います。
 先ほども言いましたように、本当に労働省は一つ一つ女性問題について一生懸命頑張っております。しかし、もっとやった方がいいんじゃないかなという気がするのが幾つかあります。その中の一つにファミリー・サポート・センターができるということをちょっと聞きましたけれども、ファミリー・サポート・センターというのはどのようなものであるのか、御説明いただけますか。
#171
○笹野貞子君 私も一生懸命に頑張りたいというふうに思っております。
#172
○政府委員(松原亘子君) 私ども、女性をめぐるさまざまな問題の中の一つに、職業と家族的責任を両立することのできるような環境条件を整備していくというのが非常に大きな政策課題であるというふうに認識をいたしておるわけでございます。
 このため、さまざまな対策に取り組んでおりますけれども、お尋ねのファミリー・サポート・センター事業といいますのは、実は来年度新しく始めたいということで現在予算要求を行っているものでございます。その考え方は、現在でもかなり多様な保育施設があるわけでございますけれども、それで応じ切れない変則的な、また変動的な保育ニーズというものもあるわけでございます。多くの女性が保育所だけでは対応できず、二重保育、三重保育をやっているような例もあるわけでございます。そういった保育ニーズに対応するため、地域における仕事と育児両立のための相互援助活動といったようなものを実施していただく。
 従来ですと、それらは地縁関係の中でお互いの助け合いでやられたものが多いかもしれませんけれども、最近そのあたりのことが崩れてきておりまして、特に都会ではなかなかそういう援助も得られない。それがために二重、三重の保育をしなきゃいけないということで随分困っている女性も多いわけでございますので、そういった地域における相互援助活動を行政として支援したい。そういうことで、今までの保育施設では応じ切れないような保育ニーズに対応できるようなサポート事業を実施したいというものでございます。
#173
○笹野貞子君 私も働きながら子供を育てましたけれども、本当に育児というのは女性にとっては大変厳しいものの一つですので、こういうものができるということは私は大賛成です。ひとつしっかり、たくさん各地域につくっていただきたいものだというふうに思います。
 続きまして、私もよくここに行ったんですけれども、働く婦人の家というのがあります。これは、婦人行政の中でも全国二百三十もあっていろんなところへきめ細かい政策をしているんです。これは婦人の福祉だけを担当するもので、せっかく全国に二百三十もあって随分これが機能しているのに、婦人の福祉だけを担当するというのは私は非常にもったいないような気がしますので、この機能をもっと家族的責任を有する、つまり働く人を支援するという幅を広げた総合的なセンターにひとつ直していただくというのか、機能を拡大していただくという方向はどうなんでしょうか。
#174
○政府委員(松原亘子君) 御指摘のように、働く婦人の家は働く女性のための総合的な福祉施設ということで、これまでかなり歴史もあり事業を展開してきたわけでございます。
 先ほど申し上げましたファミリー・サボiト事業につきましても、この働く婦人の家は市町村が建てるものでございますけれども、こういったファミリー・サポート事業なども働く婦人の家との連携でやっていただいてはどうかということも実は考えておりまして、家族的責任を持つ労働者を支援するセンター的な機能として働く婦人の家をいわば新しく再構築するといいますか、そういうことは十分考えられることだというふうに私ども思っております。
 来年が国連が定める国際家族年ということもございまして、私ども勤労者家族に関しますさまざまな施策を総合的に改めて検討したいというふうに思っておりまして、そのときにはこの働く婦人の家の機能、家族的責任を持つ労働者を支援するといったような性格までも含めました機能のあり方、そういうものにつきましても検討をいたしたいというふうに思っております。
#175
○笹野貞子君 先ほども予算のことを言いましたけれども、どうも労働省はいいことをやっているんだけれども、予算がないので大変ちまちまとやっている、私はそんなふうに思います。もうちょっと事業を広げて、そしていろんな全国的なレベルにしていただきたい。
 例えば、このフレーフレー・テレフォン、これも孤独で困っている女性とかいろんなことで悩んでいる女性の手助けをして非常にいい機能なんです。ところが、たった東京に一つ、東京、大阪、埼玉、愛知、福岡しかない。京都にもないんですね。ですから、私も京都にないのはけしからぬという少し地域エゴを出したくなるんですが、やっぱりこういう女性の施設や政策というのは、女性というのは全国に半分いるわけですから、そういう点ではもっと堂々とやっていただきたいなというふうに思っております。
 そこで、本当に時間がないので残念なんですが、私たちは前の政権を引き続きという約束で政権担当しておりますので、前の労働大臣が私と約束したことが一つあります。そこで、私も約束をしたわけですから、それを何とか頑張って果たしていただくように今度の坂口大臣にもお願いをしなければなりません。
 それは、今婦人局長がいろんな事業をお話しになったように今婦人局は婦人だけの対象ではなく
て、男性も含めた家族責任あるいは勤労ということが女性だけではなくて男性も含めて基本的人権としてすばらしいものだという、その守備範囲は非常に大きい局だというふうに思っております。また、大臣も先ほどそうだとおっしゃった。言い過ぎかなというんじゃなくて、言い足りないような感じも私は持って聞いておりました。
 前の村上大臣のときに、行政というのは国民が親しみわかりやすいネーミングをすべきであって、私たちもめったに婦人という言葉は使いません。もうほうきもなくなりましたし、電気掃除機でお掃除しているのにいつまでもほうきを持っていることを想定するのもおかしいので、婦人局というのは、名前が合わないんじゃないですかということをお話ししましたら、変えますというふうに非常にはっきり、議事録を見ていただいたらわかると思いますが、そのようにお約束をいただきました。
 しかし、どうも私は後で考えたら、婦人という名前は合わないんですけれども、ただ婦人を女性に直すだけじゃこれまた合わなくなるんで、そのやっている行政の内容から見ましても、これはもうただ女性局じゃ済まない問題になっています。
 そこで大臣、ひとつ私が考えましたのは、ノルウェーとかスウェーデンなんかは男女均等局とか男女平等局とかそういう局になっているんですが、これは私のただの提案ですが、そういうような婦人から何か違う、とってもそうだと思えるような、そういうネーミングに変えていただくということはどうなんでしょうか。大臣、ひとつお約束を果たすという意味で御見解をお聞きしたいと思います。
#176
○国務大臣(坂口力君) 前労働大臣からの引き継ぎだそうでございますので、ひとつ十分に検討させていただきます。
 今御提案になりました名前はすばらしい名前だと私個人は思いますけれども、ひとつ皆さんに十分御検討いただきまして、新しい女性の立場、その局の名前を聞けばそれでもうわかるというような、そんな名前にすることができれば大変これはいいことだというふうに私個人は思います。しかし、これは皆さんに一度検討していただかないと、中身も伴うわけでございますから、中身によりましては中身をいろいろとまた異動しなければならないというようなこともあるかもしれませんので、これはよく検討していただくことにしたいと思います。
#177
○笹野貞子君 婦人局長はどのようにお考えですか。
#178
○政府委員(松原亘子君) 大臣の御答弁のとおりでございまして、私も十分今後の情勢展開なども踏まえまして、それにふさわしい名前を検討する必要があるときには検討してまいりたいというふうに申し上げておきます。
#179
○笹野貞子君 ありがとうございました。
 大臣、どうぞよろしくお願いいたします。終わります。
#180
○足立良平君 坂口大臣、きょうは朝から大変御苦労さまでございまして、御就任もおめでとうございます。おめでとうと申し上げますとともに、本当に御苦労さんですねというふうにもう一言申し上げたいと私は思うんです。
 ちょうど大臣の所信、これはあいさつになっているんですが、このあいさつを二度、三度私は熟読させていただきました。熟読させていただきながら、労働省の今置かれている、結局このあいさつの中心は雇用問題のすべて一点に絞られているように私は理解をいたしたわけです。したがって、きょうの質問は一般質問でございますから、雇用問題を中心に考え方等をお聞きしていきたいと私は思うんです。
 ずっと熟読をしておりまして、それであれっというふうに気づいたといいますか、ふっと思ったことがあるんです。これは、揚げ足を取るとかどうとかそんな意味じゃないんですが、このあいさつをずっと読んでいますと「努める」という言葉がたびたび出てくるんです。前後いたしますと、大体七回くらい使われているんです、このあいさつの中に。
 これはどうなのかなというふうに思いまして、それであっと思いまして、これは多分目に通っていると思いますが、これは厚生省の事情ですからね、労働省の事情じゃないと思うんです。厚生省のある役人さんの書いているこの本を見ていますと、国会答弁における適切な言葉の中で、前向きにとか鋭意とか十分あるいは配慮をいたします、検討いたしますとか、こういう言葉を使うときは一体どういう意味で使うかということを、これは厚生省が多分やっているんでしょう、労働省は違うと思います。厚生省では努めるというのは結果的には責任をとらないときにこういう言葉を使うと、こういうことを言っているんです。これは事実かどうかわかりません。
 細川内閣に今回政権がかわって、平易な言葉で率直に国民に訴えていくという意味においては、従来の国会の通用語というものは廃して、やはり率直な議論というものはある程度なされなきゃいけないだろうし、きょうも朝から、私はちょっと予算委員会等で席を外していましたけれどもお聞きをしていまして、大臣も率直なことを、先ほども言い過ぎたかなというふうなこともおっしゃっているわけであります。
 そういういわゆる物の表現の仕方といいますか、そしてまたそれは仮にその時点では正しくても、例えば半年後、一年後には事情の変化によって変わってくることがあるでしょうから、あるときこう言ったから、あるいはまたこうだからということで揚げ足を取るようなそういう議論はこの労働委員会においては私はしたくない。むしろ、そのときそのときに応じて率直な議論というものがなされたら一番いいのではないか実はこんな感じを持ったりしております。
 それで、そういう観点から私はこの雇用問題に集中いたしたいわけでありますが、もう既に同僚委員から提起されていますように大変に厳しい雇用環境にあるということは、これは今さら言うまでもないと思うんです。
 この雇用問題を大臣の所信のあいさつ中にも、これを最重点にしていこうとするときに、問題は短期的に雇用をどのように維持するかということと、中長期的に雇用の条件をいかにうまく進めていくのか、この二つの視点が必要なのではないか。先ほども議論の中で、これは雇用対策の検討委員会も設置して中長期的にやっているということもございました。私がまず大臣にお聞きをいたしておきたいのは、短期的な雇用の確保の問題、短期的な雇用め確保というのは今雇用調整助成金ですか、表現は別といたしまして、失業者を出させない、企業の中に仮に潜在的な失業者が存在したとしても、原則として企業から失業者として外に出さないということが今日までの労働省の基本的な労働政策、雇用政策であったのではないかというふうに私は思うんです。
 そうすると、この大臣の所信表明の中にもございますけれども、今日の企業を取り巻いている状況、例えば終身雇用というものを前提にした年功賃金であるとか、あるいはまた若年労働者が大変多いとか、それが全部高齢化に変わってきたり、いわゆる出生率が下がってきたりというふうに従来の企業の中にすべて雇用を抱え込んでいくという、そういう経済的条件、社会的条件というものが大きく変化していこうとしているときに、そういうふうな考え方だけで実際的に雇用政策というものを進めていくことが可能なのかどうなのかこの辺のところを私がきょう質問しますポイントにいたしたいと思います。
 したがって、まず第一点目の質問は、日本型の雇用システムというものをこの雇用安定という観点から、これは大臣でも労働省でもいいんですが、どのように一応評価をされているのか、まずこの点をお聞かせ願いたいと思います。
#181
○国務大臣(坂口力君) 雇用というものが大変大事なものであることはもう今さら申し上げるまでもありません。雇用はその国の文化のバロメーターであると実は私申し上げているわけでございますが、その国あるいはその地域におきます雇用
の状態というのは、その国の状況というものをよく反映しているのではないかというふうに思っております。
 最近のこの動向を見ておりますと、確かに景気が非常に停滞をいたしまして、そして雇用環境が非常に悪化をしてまいりましてから、この雇用状態、雇用調整というものを各企業にいろいろと質問等をした調査等がございまして、それを拝見いたしますとやはり中高年、とりわけ四十五歳以上のホワイトカラーのところに雇用調整の動きが非常に大きい。しかも、それが管理職であったりするわけでございまして、そうしたホワイトカラーの中高年、そうしたところに大変雇用調整の動きが大きいというようなこともございます。
 それからまた、若い皆さん方の方を見ますと、若い皆さん方の方は今まで自分の意思で一度自分が選びました企業というものをまた別の企業に容易にかわられると申しますか、今までよりも急にまたかわられるケースが多くなっている。そういったこともございまして、今までのことを思いますとこの終身雇用制というのは少し揺らぎを見せているのかなという感じがしないではございません。
 しかし、そういう状況はございますけれども、全体で見ますと企業は少しでも長くいてほしいという気持ちがまだ強く残っておりますし、またお勤めになっております皆さん方の方にもより長く勤めたいというお気持ちの方が多いわけでございますから、日本の伝統的な雇用のあり方、終身雇用制というものは多少揺らぎはありますけれどもなお続いていくのではないだろうか、そんなふうに私は思っているわけでございます。
 しかし、今までの雇用調整助成金を中心とした失業を予防するという、その方針だけでいいかという問いに対しましては、やはりそれに対しては新しい角度からの取り組みが必要であろう、そんなふうに思っているところでございます。
#182
○足立良平君 認識としては、私も全く同じ認識を持っているんです。
 ただ、そこで今の終身雇用というものが、今大臣から答弁の中にございましたけれども、例えばホワイトカラー、中間も含めてでしょうが管理職を中心に雇用調整というものが出てきている。あるいはまた若年層が本人の意思で企業をかわっていくという、これはちょっと別といたしまして、この終身雇用というものは日本の中では主として大企業が中心なんです。あるいはまたいわゆる官庁の状況が中心になっていまして、大部分の九〇%くらい以上を占めている日本の中小企業というものは本当に終身雇用というものを前提にした、そういう形態をとっているかというと一概には言えない、こういう状況だろうと思うんです。
 ですから、そういう点からいたしますと、この雇用の問題というのも先ほどから出ている企業リストラの問題を含めて、こういう終身雇用を前提にした雇用の確保という問題は早晩大変難しくなってくるんではないか。極端に言いますと、終身雇用というのは年功賃金なものですから、仮に今回の不況のような状況の中でコストダウンを図っていこうという意思が強くなってまいりますと、これは当然にして中高年なりあるいはまた管理職なり、いわゆるホワイトカラーというものがこの雇用調整の第一手に、一番初めに出てしまう。そういう状況を労働省側としても企業内の雇用を考えていく場合には一番初めに頭の中に置いておいていただかないと、雇用を今までの雇用調整助成金という、ある面におきましては製造業的な部分だけを――部分だけというと悪いかもしれませんが、中心に考えていく姿勢というのは現実に合わなくなってきているのではないかという感じが私は実はいたすわけであります。
 そういう面で、短期的な問題は何といってもそういう点を弾力的にあるいはまたうまく進めていくより仕方がないんだろうと私は思うんですが、中長期的に考えてみましたときに、そういう観点でまいりますと、いわゆる従来の企業と労働者の契約関係というものは、包括的あるいはまた長期的な関係というものが、ある面においては終身雇用なりそういうものであったと思うんです。
 そうすると、これからの状況というものを考えてまいりましたときに、いわゆる短期的個別的な契約に相当変化してくるのではないか、契約そのものが。それは、一遍にころんと変わっちゃうわけじゃないんでしょうけれども、例えば高齢化社会になってまいりまして、六十歳を超える雇用を一つの企業で維持していこうとするならば、それは当然にして今の場合でしたら相当従来の賃金というものはがたんと落としてしまう。極端に言いましたら、一般的な企業というのは四十七、八歳、五十歳くらいから昇給というものはむしろもうダウンしてきているわけです。そして、五十四、五歳になってくるといろんな手当分は実質的にさらにダウンしてくる。しかも、それは六十歳を超えるとさらにダウンする。いわゆる社員としての雇用というものが変化してきている、変わってしまう。
 こういう日本の終身雇用を前提に置いた年功型賃金というものを前提に、雇用対策というのは将来的に見ると必ず長期的包括的な雇用というものは姿を消していくだろう、高齢化社会の場合。それは、必然的に短期的なあるいはまた個別的な契約に変化してくるときに、中長期的な雇用政策というものはどのようになければならないのかということになってまいりますと、実は私もまだ結論を持っていないわけでありますけれども、そういう観点で例えば労働省としてどういうふうな物の考え方を今認識としてされているのか、考え方をお聞かせ願いたいと思うんです。
#183
○政府委員(七瀬時雄君) ただいま先生から日本型雇用慣行のお話がございましたけれども、労働省の方でもこの日本型雇用慣行がどういうふうになっていくのかというきちんとした分析を持たなければならないということで、現在検討をいたしているところでございます。
 ただ、今労働省が考えておりますのは、やはり労使双方、あるいは企業の活力、労使関係の安定ということを考えた場合に、長期に継続的に雇用をするというシステムについては明らかにメリットがありますし、欧米諸国からも評価されている一面がございますので、そのよい面をどういうふうに生かしていくかということが一つあろうかと思います。
 ただ、企業を取り巻く環境も変わっておりますので、賃金体系でありますとか処週の問題でありますとかそういったところでは現実の企業は大変苦労をいたしておりまして、管理職の処遇その他についても新しいシステムを編み出そうというような努力もなされているところでございますので、状況に応じて修正を加えなければならない部分はあろうかと思いますが、長期継続雇用というのはそれなりにメリットがあるのではないか。
 それと同時に、やはりそうは言っても、ある時点で別の企業あるいは別の職種に変わりたいという、そういう転職をある年齢でしたいと思う方もいらっしゃるわけでございますので、そういう方々に対して、あるいはやむを得ざる事情で離職をされる方々に対してどういう道筋をつくり、能力開発のシステムをつくり上げるかということが大事になってくるのではないかという認識を持っております。
 それから最後に、中高年のホワイトカラーの皆様方が今この厳しい状況の中にありまして、企業でも過剰感があるというのがその層でございますけれども、それらの方々もいわば長期継続雇用の前提の中でこれまで仕事をしてこられたという経緯もあるわけでございますので、そういう方々がどういうふうになっていくかということについてのプロセスということも十分念頭に入れておかなければならない、このように認識いたしております。
#184
○足立良平君 それで、私もう一つ、これは労働省だけの問題でないかもしれませんが、日本の企業の場合、例えば企業内の福利厚生の問題、健康管理制度の問題、給与、住宅制度の問題、あるいは資産形成の援助の問題等いわゆる一般的な企業内福利厚生と言われているようなものが相当発達
している。これは、企業としての大変な負担というものが一方ではあるんです。
 これは逆に言いますと、国として行っていかなければならないような費用面を企業としてそれは肩がわりをしている一面性があるわけです。そういう長期的に見て大きな雇用関係の変化が出てまいりますと、それは一面においてその種の今まで企業内福利として進んできたものを、今度は国でもって全部肩がわりをしていかざるを得ない、相当コスト的にアップになってくる状態を私は考えておく必要が一方であるのではないかという感じが一ついたします。それに対しての労働省側の考え方をひとつお聞かせ願いたいと思います。
 それから二つ目に、これも同僚委員から少し出ていたわけでありますが、雇用の空洞化というんでしょうか、円高が進んでまいりますと企業が海外に移転をしていく、そういうものの国内における状態というのは私は相当問題点が生じてくるのではないか、こういう見方があると思います。七三年の第一次石油ショックなりいろんな経済的な変化、それからこれは八五年だったでしょうか、いわゆるプラザ合意以降の円高の状況によって我が国の企業の海外進出というのは大変に大きなものがあった。
 労働省の担当者の皆さんと話をいたしておりますと、それは我が国の中における空洞化というものを結果としてはもたらさなかったんだというふうに認識をされています。それでは、それがこれから例えば一ドル百円時代の状況が出てまいったときに同じような状況が国内でも生じてくるんだろうかということになってまいりますと、例えばプラザ合意以降のあの円高のような状態を国内でも十分吸収することが可能というのは甘過ぎるのではないかという感じを私は持ったりいたすわけであります。
 そういう点で、雇用を中長期的に確保していこうとするならば、国際経済の面、あるいはまた我が国の経済構造の面、そういう面から中長期的に労働省として雇用をどのように確保していくかという施策を、基本的にどういう認識をお持ちになっているのか、お聞かせを願いたいと思います。
#185
○国務大臣(坂口力君) 実は、先日もある大手企業でございますが、電機関係の企業にお邪魔をしまして、ひょっとしてそうしたところも海外に出られる御計画があるのではないかと思いましてお聞きをいたしましたら、私のところは高付加価値のものを完全自動化でやっておりますので外へは出しません、こういうお話でございました。大変これはありがたいと思ったわけでございます。
 それで、それに関係をいたします材料その他もろもろのことが中小企業としてそこにかかわってくるんだろうと思うんですが、皆さんのその製品にかかわります関連の企業のところはいかがですかとお聞きをいたしましたら、それも外国から入れるのよりもやはり近くから入れる方がベターなので今のところは外国から入れるつもりはございません、その方が我々といたしましてはプラスになります、こういうお話がございました。
 それで、これは企業によりましていろいろだろうというふうに思うんですが、そうした企業の中で高付加価値、そして完全自動化、そうした日本の中でこれから継続してやっていかなきゃならない産業と、そして外国にお願いをしなければならない産業と、どのようにこれから整理をしていくのかということがこれからの産業界における大きな問題になるのではないかというふうに思われます。その辺のところが私も不透明でございますので、それ以上のことを申し上げることはでき得ませんが、その動向によりまして雇用構造というものもかなり変化をしてくるのではないかというふうに思っております。そうした雇用構造の変化を念頭に置きながら私たちも対応をしていかなければならないだろう。
 それは、一つは先ほど局長から話がありましたように能力開発の問題等にも力を入れていかなければならないというふうに思いますし、またその他の問題もあろうかというふうに思いますが、そうした一つのこれから選択を新しくしなければならないことが続くのではないかというふうに思っておりまして、そうした中で新しい日本の雇用システムというものをつくり上げていくときが来たのではないかというふうに思っております。それに合わせました労働行政の中におきますシステムもまたつくり上げていかねばならないだろうというふうに総論的には思っている次第でございます。
#186
○足立良平君 この問題は、また単に労働省だけの問題ではないことは十分承知をいたしております。
 これは、通産省の我が国企業の海外事業活動の資料等を見ておりますと、海外の生産比率というのは一九八五年が三%なんです。いわゆるプラザ合意が行われた年であります。それ以降ずっとふえていまして、九二年で六・五%が海外比率になっている。これは、例えば米国を見ますと、九○年の資料しかないわけでありますが、米国の場合は八五年が一八・一%が、二五・八%というふうに相当ふえてきている。しかも比率的には大変高い。その生産比率が高い企業がどんどん海外へ低い労働力とかいろんなことを求めて出ていく。そのことが今日のアメリカの経済の問題点、貿易収支の問題を含めてもたらしてきているというふうに私は思っているわけであります。
 これは、これからの例えば円高の問題、経済の産業構造上の問題、いろんな問題を含めて、このままの形で、例えば不況が生じました、今までずっと振り返って見ましても、不況が来た、そうしたら企業はリストラでコスト低減でもう精いっぱい頑張る、コストの低減をやる、そしてまた輸出をどんどんふやしちゃう、そしてまた円高が出てくる、またリストラをやる。これの繰り返しが今日の、百円になるかならぬか、今百八円ぐらいになっているんでしょうけれども、円高の状況がずっと来て、そして大臣の所信あいさつの中に触れられているように日本の働いている人たち、日本の国民が本当に豊かさ、ゆとりというものを感じないような社会というものが結果的に出てきている。
 そうなってくると、問題はこういう不況時の中で一体どういうふうな日本の産業構造というものをつくり上げていくのか。それは国際的な経済の問題も含めて、その中で雇用という問題、まさに労働省の一番柱になるこの雇用問題というものを中長期的にどのようにきちんと確保していくのか。しかも、これは急速に進んでいる高齢化社会の中で、先ほどもちょっと笹野委員からも出されておりましたけれども、そういう青写真といいますか、そういう観点が労働省の雇用というだけでなしにもう少し大きな意味でつくり上げていかないと、幾ら日米の構造協議をやってみたとしても、あるいはまたガット・ウルグアイ・ラウンドでやってみたとしても、どうもいつも問題を抱え込んで追いかけて走り回らなきゃいけない、こういう状態になってきているのではないだろうか。
 したがって、これはこれからの課題ということで労働省の方で、これは単に労働省だけの問題では私はないと思いますけれども、ひとつその点鋭意検討していただきたいということをお願いしておきたいと思います。これはまた、私自身もう少し別の場所で各省庁含めて一回議論をする場所を設けたいと思いますけれども、そういう観点でさらにお願いをしておきたいというふうに思います。
 もし、労働省の方で御認識なり御意見等がありましたらお聞かせを願って終わりたいと思います。なければ結構です。
#187
○吉川春子君 雇用情勢問題について、まず大臣に伺います。
 十月二十九日に、新日本製鉄が社員七千人の人員削減計画を発表して大きな衝撃を与えました。NKKとか住友金属工業、川鉄などでも既に大幅な人員削減計画を発表しています。このところ連日新聞でこういう問題が取り上げられまして、国民の間に雇用失業の不安が広まっています。
 それで、具体的な問題として一つ伺いたいのは、NTTが現在二十三万二千人の社員を四年後には
二十万人にする、こういう計画を発表しまして、そして来年末までにこのうち一万人を減らしていくという計画を発表したのですが、これは九月一日の朝日新聞によりますと、この計画を事前に労働省にも相談しているんです。労働省がゴーサインを与えたか黙認したか、その辺はっきり聞きたいんですが、その上でこういう計画が発表されているわけです。NTTは、この数年来非常に人減らし合理化が大幅に行われてきている会社です。そして赤字だということでもない、そういう会社が年に一万人ずつ減らしていくということは社会に与えるマイナスの影響というのは非常に大きいわけです。
 雇用の安定を図る労働省が、こういうことを事前に相談されてよかろうというような姿勢ではとてもけしからぬと私は思うんですけれども、大臣の見解を私は伺いますので、政府委員を廃止するかという話もあるぐらいですから、大臣に御答弁いただきたいと思います。
#188
○国務大臣(坂口力君) 実は、衆議院の段階におきましてもこのお話をちょうだいをいたしました。
 確かに、このお話をNTTの方からお聞きいたしましたけれども、これはこういうふうに決定をしましたということを我々は聞いたわけでありまして、これからこういうことをしたいと思いますがどういたしましょうという相談を受けたわけでは決してないわけでございます。合理化のお話は、NTT当局とそして組合との間のお話し合いのもとにこれは決定をされたことでございまして、我々がそれに対しましてどうこう言う話ではないというふうに思っております。
 ましてや、先ほど申しましたように決定をする前に労働省の方に意見を求めて、そしてその労働省の意見を入れて決定するというようなことでは決してございませんでしたので、前回にもそういうふうに御答弁を申し上げましたので、改めてまたここで御答弁を申し上げたいと思います。
#189
○吉川春子君 新聞を読んだ限りでは、これは労働省も認めてこういう計画が行われたんだなと多くの読者は感じたんじゃないかと思うのですけれども、やっぱり労働省としてはこういうものについてそういうことはしてはならないという立場で対応するのが筋ではないかと思います。
 次に進みますが、新日鉄は今も言いましたように三年間で出向者を除く全従業員三万七千人のうちの約二割にあたる七千人を出向や採用抑制で減らす計画だそうです。既に同社の出向者は一万五千人もおりまして、関連会社が八百社あるんだけれども、どれも業績がそんなに思わしくない。そういう中で、こういう強引な人減らしとか退職強要が起きないとは言えないわけであります。新日鉄は、雇用調整助成金も物すごくたくさん受け取っている会社です。その金額も明らかにしてほしいと思いますが、ぜひ労働省の方でもこれを呼んで、この内容を聞いて、大臣の所信にもありますように雇用維持のために努めていきたいということもおっしゃっておられますので、この計画の内容を聞いて見直しを求めるべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。
#190
○政府委員(七瀬時雄君) 新日鉄という企業の名前が出ましたけれども、非常に厳しい状況の中で、それぞれの企業がやむを得ざる事由で雇用調整ということもあるかと思います。
 私どもは、一般論としてこういう厳しい状況でございますので、雇用をとにかく維持していただきたい、また雇用調整助成金を支給している趣旨もそこら辺のところにあるんだということを申し上げておりますし、仮に雇用調整ということがあった場合にも直接的な方法というのをできるだけ避けていただきたいというような形で日ごろから申し上げているところでございます。
 ただ、具体的に企業がどういう形でやっていくかという問題になりますと、当該企業が関係労働組合と十分お話し合いをした上で判断するという部分もございますので、私どもがどういう形で物を申し上げるかというのはそれぞれのケース・バイ・ケースでございますので、その辺を踏まえながら対応していきたいと思っております。
#191
○吉川春子君 一般論としてではなくて、まさにこういう具体的な事例が発生したときにこそ雇用調整助成金をたくさん上げている会社として労働省として意見を言わなきゃいけないんじゃないでしょうか。
 それで、新日鉄八幡労働組合発行の労働組合ニュースの、ナンバー五十七によりますと、今回の新日鉄の大幅人員削減計画が発表される十七日前、十月の十二日に同社は労働組合に対し、出向者の転出措置についての一つの提案を行っています。内容は、新日鉄グループ内関連会社の一つの日鉄物流が来年の、六年七月に株式の店頭登録を申請しているということとの関係で、日鉄物流及びその下請企業二社に現在出向している新日鉄の従業員に転出してもらうというものです。
 大蔵省お見えですか。その理由は、株式の店頭登録に当たっては、日本証券業協会の審査基準により、店頭登録企業にふさわしい親会社からの人的独立性が必要であり、当該企業及び当該企業の子会社への出向者の比率を原則的にゼロにすることが求められている。具体的には、登録申請時には出向者の比率をおおむね一〇%程度以下に抑制するとともに、その後出向者比率を漸減させていくことが求められている、こういう説明をしているわけです。
 そこで、大蔵省に伺いますが、私たちも証券業協会を呼んで聞いてみたんですが、株式の店頭登録に当たっては、投資家保護などのために当然形式基準、実質基準が詳しく設けられていますけれども、親企業からの独立という点で言えば、平成三年五月の審査扱いでは、登録申請会社の要件として「受入出向者は、原則として役員または経営管理上重要な部門の責任者(部長またはそれと同等の地位にある者)でないものとすること。」とされております。これは店頭登録実務ハンドブックによるものですが、証券業協会の説明でも最終的な判断はケース・バイ・ケースである、工場要員などについては幅を持って考えておるということで出向者の一〇%以下の条項などはないというふうに私たちは説明を受けましたが、そういう理解でよろしいんでしょうか。
#192
○説明員(藤原隆君) お答え申し上げます。
 日本証券業協会の規則によりまして、引受証券会社等は店頭登録を行おうとしている企業につきまして事業の内容あるいは財務状態及び経営成績の将来の見通し等を十分に審査することとされております。店頭登録の審査に当たりまして親会社から子会社への役員等の出向者につきましては、原則として解消するように引受証券会社等から指導されているところでございます。
 また、今お話しございました役員等以外の従業員の出向者に関しましては、親会社からの独立性の確保の観点等から個々の事情に応じ審査が行われることになっておると承知いたしております。
#193
○吉川春子君 わかりました。大蔵省、どうもありがとうございました。
 そういうことで、会社は一〇%以下条項などというものを持ち出して出向者の転出ということをやろうとしている。非常にけしからぬと思うわけです。
 それで、転出というのは新日鉄からは退社して新しい会社、日鉄物流へ就職ということですから、新日鉄従業員としての身分を残して行っている現在の出向とは違って、当該労働条件も新たな会社との労働契約、就業規則のもとに置かれることになるわけです。会社から提案内容を聞いた労働者の間には当然大きな動揺が広がっています。株式を公開していない出向企業というのは今もたくさんあり、今後こうして企業の店頭登録を理由に今回のような転出措置がとられるのではないか、あるいは連合会とか単組とも縁が切られることになって労働条件などで問題が発生した場合によりどころがなくなるんではないか、こういうような不安が広がっているんです。
 労働省に伺いますが、出向についての同意ということはあってもそれは転籍についての同意であるということは言えないと思いますが、いかがで
しようか。
#194
○政府委員(七瀬時雄君) 特定の企業が、例えば六十歳定年の中である時期に出向制度を設けるということはあり得ることだろうと思っておりますが、それと同時に関係者の関係組合、あるいは関係者の了解の中で退社して移籍する、俗に言えば移籍出向ということになるのかもしれませんが、そういうこともあり得るだろうし、それは個別企業の置かれている状況なり……
#195
○吉川春子君 質問に対して端的に答えてください。
#196
○政府委員(七瀬時雄君) 端的に申し上げますと、そういう関係者、労働組合との了解のもとで移籍出向ということもあり得るし、それは個別事案の評価の問題である、こういうことでございます。
#197
○吉川春子君 要するに、移籍については新たな同意が必要である、こういうことでよろしいですね。今出向している、それをそのまま移籍ということは移籍の同意も必要であると、その点を伺ったんですけれども。
#198
○政府委員(石岡慎太郎君) 移籍につきましては、現在の労働契約の合意解約と新労働契約の締結という手段などによりまして行われると考えられますが、これらにつきましては労働者の同意を必要とするものであるということが学説及び判例の考え方だと承知いたしております。
 一例を挙げますと、移籍にかかわる裁判例としまして最高裁は、労働契約の一身専属性にかんがみ、労働者の承諾があって初めて転属が効力を生ずる、こういう旨の判示もいたしております。
#199
○吉川春子君 それで、新日鉄は転出対象者を平成六年三月末時点で年齢五十五歳に到達した者として、さらにその時点で五十五歳未満の人についても五十五歳に到達した時点で転出をお願いしていきたい、こういうふうにしているわけです。
 会社の説明によると、その出向者の皆さんの技能、経験が三社、つまり出向先三社の事業推進に当たって必要不可欠などと言いながら、本当は高齢者の人員整理であるというふうに言えると思うんです。転出ということで労働条件の異なる出向先に変更させられちゃうということは、労働者にとっては重大問題ですし、社会的な影響も大きいと思うんです。同意を求めずにこういうような転籍を行うというのは事実上の解雇ではないかと思うんですけれども、どうでしょうか。
#200
○政府委員(石岡慎太郎君) 労働者の同意を得ないで移籍を行うことは解雇に相当いたしまして、労基法で定める解雇の手続をとる必要があると考えております。
#201
○吉川春子君 大臣にお伺いしたいんですけれども、出向社員を今度のように転出させる背景には新日鉄が出向社員の給与補てんが困難になっているという、こういう問題があるわけです。
 新日鉄に限らずに大手鉄鋼メーカーは、出向者の給与について給与水準が下がらないように配慮して一定の額の補てんを行っているわけです。新日鉄の負担は年間四百億であるというふうに推測されております。業務悪化に対応するために、出向者の給与まで踏み込んで考えなければならないというふうに佐々木副社長が言っているんですけれども、今回の問題は、そういうことを考えますと特定の店頭登録を最終理由にしていますけれども、そうじゃなくて出向者全体にかかわる問題としても広がっていくんじゃないか、あるいは新日鉄だけではなくて給与補てんをしているほかの鉄鋼メーカーの労働者にも広がっていくんじゃないか、こういう非常に大きな問題を含んでいるわけなんです。
 新日鉄は、その七千人の合理化も希望退職を行わないというふうにしているんですけれども、こういう形で事実上の解雇をして人員削減を行うというのは世間を欺いているし、何よりも労働者の生活と権利を踏みにじるものであると私は思うんです。こういうことは非常に許されないんじゃないかと思いますが、大臣はいかがお考えでしょうか。
#202
○国務大臣(坂口力君) 個々のケースの問題につきまして、私は具体的に存じませんので総論的なことしか申し上げることができ得ませんけれども、総論的に申し上げれば、各労働者の皆さん方あるいはまた出向されている皆さん方とよく相談をしてそれは決定されるべきことだというふうに思っております。
#203
○吉川春子君 さっきも聞きましたけれども、新日鉄には雇調金はどれくらい支払っているんですか。
#204
○政府委員(七瀬時雄君) 個別企業に対して雇用調整助成金が払われているかいないかあるいは金額がどれぐらいかということは、いろんな事情がございますので明らかにしないという形で運用いたしておりますので御了解いただきたいと思います。
 新日鉄のみならず、そういたしますと個々の中小企業を含めて明らかにしなければならないということになりますと、いろいろ制度の運用上支障が生じますので、ぜひ御了解をいただきたいと思います。
#205
○吉川春子君 大臣は一般論として言われましたけれども、新日鉄はこの雇調金をほかの中小企業が申請するより何よりいち早く申請してかなり多額な額を支給されている会社です。
 その金額は言えないとおっしゃいましたけれども、そういう中で雇用調整助成金というのが雇用を守るための制度として、大臣のお話の中にもありましたけれども、労働省の柱として、位置づけられているものです。こういうお金を受け取りながら、一方でそういう転出という形で事実上の解雇のようなことをやろうとしているということを私は指摘しているわけですから、この問題について個別問題として新日鉄を呼んで、よく事情を聞いて適切な指導をするということは、国の予算を使っているわけなんですから、それが適切に執行されているかどうかということの調査の義務もあるわけですから、そういうことをぜひひとつ新日鉄についてはやっていただきたい。
 これは、再度大臣にお願いいたします。
#206
○国務大臣(坂口力君) 雇用調整助成金につきましては、御指摘のようにそれぞれの企業がそれによって立ち直ってくれることを期待してこれは出しているものでございます。
 しかし、企業によりましては、その過程におきまして一生懸命努力をしたけれども、その努力が報われずだんだん悪化していくというものも中にはあると思います。しかし、多くの企業はそれによって立ち直っていただけるのではないかと期待をいたしているわけでございます。
 したがって、一方において雇用調整助成金を受けながらその趣旨に反するようなことが堂々と行われているということがありますれば、私たちもそれは捨てておくことはできないというふうに思っております。
#207
○吉川春子君 そういうことが堂々と行われているかどうかということも、よく会社を呼んで聞いてみないとわからないことですね。聞かないうちにそういうことが堂々と行われているなどということは私も実は指摘するつもりはないんです。
 そういうことも含めて、ぜひ調査をしていただきたいと思いますが、大臣、再度いかがでしょうか。
 大臣に伺っておりますので、政府委員は結構でございます。
#208
○国務大臣(坂口力君) これは、多くの企業に対しまして雇用調整助成金を出しているわけでございます。
 どの企業におきましてどのようなことが行われているかということにつきまして、我々労働省あるいはその出先機関がそれに対してある程度責任を持ってやっていかなければならないことでございますから、いろいろの情報等を加味いたしまして、やらなければならないことは私たちもやっていきたいというふうに思っております。
#209
○吉川春子君 私は、今大臣の答弁も承りましたので、強く再度要求しておきます。
 それで、雇用調整助成金の効果についてお伺いしたいんですが、先ほど資料はいただきまして、
大企業、中小企業にどれだけ対象人員、事業所、雇調金が支払われているかという数字は見せていただきました。この雇調金を支給したところで、人員整理を打ち出し、あるいは解雇に至ったところはどの程度あるんでしょうか。そういう実情について御報告いただきたいと思います。
 これは政府委員で結構です。
#210
○政府委員(七瀬時雄君) 先ほど申し上げましたとおり、雇用調整助成金は企業で雇用維持を図っていただくために支給しているものでございますので、業種指定の際あらゆる機会を通じましてそういう趣旨を申し上げているところでございますが、現在具体的な企業、雇調金を支払われている企業で、それぞれどういう状況になっているかということは、今手元に資料がございませんので、御答弁を差し控えさせていただきます。
#211
○吉川春子君 手元に資料がないという意味ですけれども、それは追跡調査をしていないということですか。それとも、しているんだけれども細かい数字はわからないということですか。どっちでしょうか。
#212
○政府委員(七瀬時雄君) それぞれの企業について、雇用調整助成金が趣旨に従って払われているかということは十分配慮しながら運営を行っておりますけれども、その企業の具体的なその他の雇用管理の方法等について情報をとっていることはございません。
#213
○吉川春子君 それはかなり問題じゃありませんか。例えば別の会社なんですけれども、大阪の三洋電機の下請で三立電機というのがありまして、徳島に工場が一つあるんです。ここは三洋電機の一〇〇%の仕事を引き受けて成り立っている会社ですが、四月から六月の間雇調金の支給を受けました。しかし、この夏三洋から発注全面ストップの通告を受けまして、十月にも工場閉鎖をしなければならないというところに追い込まれ、八月に入って従業員全員の解雇を発表したんです。
 この問題については、衆議院でも質問しましたし、現在打開のための努力が続けられているということですので、この具体的な事例に入るつもりはないんですけれども、その後示されたのが、人員整理とか給与一五%の切り下げなど厳しい条件が示されてきているんです。問題なのは、四月から六月に雇調金が支払われたときに三洋は仕事の継続発注を約束しているんです。そして支給を受けさせておいて、その直後に仕事を一〇〇%出せないというふうに通告してきたわけです。私も現地に入って調査しましたから、この間の事情は職安とかその他から聞きましたけれども、私たちの調査では、二、三月ごろからAV製品、オーディオ製品の海外生産の方向を三洋は打ち出しているわけです。
 こういうことを考えますと、雇用を守るための助成金が大企業の合理化を図るための手段に使われてはならないと私は思うんですけれども、非常に微妙な使われ方をしているわけです。だから私は、予算も大幅にふやして雇調金も活用してくださいと労働省も一生懸命取り組んでおられる、そしてこの雇調金は多くの人々にとっては大変ありがたいお金であると思うんですけれども、同時に本当に大切に役立てて使わなければならないわけですから、やっぱりその支給されたお金がちゃんと使われているのか、そしてその支給した先が雇用調整などをどの程度行っているのか、そういう追跡調査もしませんと、支給するときの調査ももちろんもっと徹底してやってほしいんだけれども、その後のフォローがなければこの予算というのは本当に有効に使われないんじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。
#214
○政府委員(七瀬時雄君) 雇用調整助成金がその趣旨に従って使われるようにきちんとやっていきたいと思っておりますが、個別の企業のことは別といたしまして、雇用調整助成金をもらってそれで雇用を維持する。ただ、時間的な経過の中で状況の変化が起こることも十分考えられるわけでございます。
 いずれにいたしましても、トータルの時間的なプロセスを経て雇用調整助成金がその制度の趣旨に従ってきちんと使われているかどうかということは、問題のケースがあれば十分フォローをしたいと思っております。
#215
○吉川春子君 私が申し上げているのは、雇用調整助成金を支給した会社はもう絶対に倒産しないとか、人員整理してはならないとか、そういうことまでは私言ってないんです。それは認めるものじゃありませんけれども、今おっしゃった事情の変更によっていろんなことが起こり得るとは思うんですよ、理論的には。
 しかし、そうだからといって、その後のフォローをちゃんとしなくて問題が起きた会社だけ調べるというんじゃなくて、支給したところについては追跡調査をして、人員整理が出てきてないかとかどうなっているかとか、そういうことは最低限つかんでおく必要があるんじゃないですか。そういうことを今やっていらっしゃらないんです。やっていらっしゃらないとすれば、私はそこをきちっとやって、統計的にも国会で質問されればそれに答弁ができるような、そういうことは最低限していただかなければならないと思うんですけれども、いかがでしょうか。
#216
○政府委員(七瀬時雄君) 全体的な話として、大事なお金の使い方がどうなっているかということをよくフォローアップしなければならないということは御趣旨としてわかりますけれども、個別に一つ一つということが実務的に可能かどうかという問題もございますので、例えば指定業種の業界団体を通じて何か状況を把握できないかというようなこともございますので、その点については検討させていただきたいと思っております。
#217
○吉川春子君 私が特に要求したいのは、大企業についてなんです。大企業はこういう形で、三洋の例と新日鉄の例を申し上げましたけれども、非常に労働者に与える影響も大きいし、それから大変なこともやっているし、多額の支給も受けているし、そういうことについてきちっとフォローすべきだし、人員削減などということについては、それは呼んできちっと調査するとか、そういうことを最低限やっていただきたいというふうに思うわけです。
 大臣、最後に伺いますが、新日鉄の問題だけではなくて、こういう雇調金の使われ方、特に大企業においてどう使われているか、そういうフォローアップもぜひやっていただきたい。そして、報告していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
#218
○国務大臣(坂口力君) 三立電機の問題は、衆議院のときにもお答えを申し上げましたとおりでありまして、私たちも一度調査をしたいというふうに思っているわけでございます。
 全般の問題は、かなり雇調金をお受けになりましたところも多くなってまいりましたので、ケースケース全体にそれを見るということは甚だ難しい状態になってきているというふうに思いますが、サンプリングをして、そしてその中の幾つかにつきまして、その状態がどうなっているかということをフォローアップすることは大切なことではないかというふうに思っております。
#219
○吉川春子君 終わります。
#220
○松尾官平君 けさから、皆様大変御苦労さまでございます。最後の質問者でございますので、ごく簡明に、時間を余りかけないように質問を終わりたいと思うんです。
 きょう、同僚委員の皆様からいろいろ立派な御質問がございました。男女雇用機会均等法は、私が役所にお世話になっておったとき施行になった法律でございますので大変感慨深く聞いたわけでありますが、少なくともきょうのこの委員会は、男女質問機会均等法的にいえば、男対女の割合が四対五で男の方が少ないわけでありますから、この委員会のこれからは大いに期待できるんじゃないかと先ほど来伺っておりました。
 きょうは一般質問ということでございますので、大所高所から聞きたいんでありますが、余り頭がよくありませんので、細かいことから聞いてまいります。
 今いろんな問題があるわけでありますが、時短
の問題、労働時間の問題が大きな問題になっているわけでありまして、特に私ども小規模事業者にとりましては、時短の問題は頭が痛い問題でございます。社会情勢を見ましても、もう大変な不況という中で時短が進行しているわけでありますから、我々がいかに指導しようと思ってもなかなかいい答えが出てまいりません。御苦労をかけることになるなと思っているわけであります。
 そういう中で、経企庁から出されました平成四年版の経済要覧を見ますと、週実労働時間を製造業について見ますと、一九九〇年の労働時間が日本とアメリカと全く同じ数字が出ているわけでありまして、四十・八時間、その最後の方に注としてアメリカは賃金支払い時間と、こういう説明があります。
 この間、担当者に説明を聞きましたら、アメリカの労働時間は有給休暇の数字を含む賃金、日本は実際に働いている時間で有給休暇を除くのでこういう数字が出たというのであります。お聞きしたいのは、担当者で結構ですが、有給休暇を数える数えないの時間で、通常言われておりますように日本の総労働時間が年間二千百数十時間でしょうか、アメリカが千九百数十時間でしょうか。そんなにも差が出てくるのだろうかというのが一つであります。
 日本の労働時間を短縮するに当たって、すぐ例に引かれるのが世界との比較になっているような気がしてなりません。日本の労働時間の計算方法と先進諸国の労働時間の統計の数字と、計算方法が全く同じという国があったら教えていただきたいと思います。
 その二点をまずお伺いいたします。
#221
○政府委員(石岡慎太郎君) 御指摘のアメリカと日本の週実労働時間の比較につきまして、まずお答えいたします。
 アメリカの労働時間は、今御質問にもありましたように賃金支払い時間ということで、十九日間の年次有給休暇の賃金の支払いの対象になったが実際には労働していない時間も含んだ、そういう時間でございます。そういう差もございますので、実労働時間ということで比較しますと差が出てくるわけでございます。
 それから、日本の実労働時間は毎月勤労統計調査で行っておりますけれども、これと同じ計算方法の国があるかどうかというお尋ねでございますが、ECは年間総実労働時間を労働費用調査ということで発表いたしております。この年間実労働時間の調査の定義を見ますと我が国の毎勤とほぼ同じような定義となっておりまして、労働省では、このECの定義と同じような調査を使って製造業の生産労働者につきまして国際比較を行っているところでございます。
 なお、米国の場合は先ほど言いましたように賃金支払い時間が発表されているわけですが、米国政府は賃金支払い時間から年間の実労働時間を推計いたしております。そういう米国政府の推計方法もそのまま用いさせていただきまして、米国との国際比較をしているわけでございます。
#222
○松尾官平君 推計して掲げているということですが、こういう公に出している要覧でどうして同じような条件の推計をして並べないんだろうか、私はどうしてもその点がわからないんです。アメリカの時間を推計できるんだったら日本の時間も推計できるわけでしょう。有給の時間を推計して入れるとか外すとか、同じような条件でこの表をつくられないのか。表題が「週実労働時間」と、こう書いてあるんです。だとすれば、同じような条件の数字を並べてやるべきじゃないか。
 ECはやっているというんですが、八九年で見ますと、イギリスが四十二・二時間ですから、我が国の四十一・四時間より余計なわけです。だとすれば、いつも新聞等で発表になる、日本人は働き過ぎだと、二千百何十時間も働いている、ドイツが千五百時間しか働いていない、どこが働いてない、日本は働き過ぎだということを盛んにいろんな場でマスコミを通じて発表しているわけでありますが、その数字と実態とは違うんじゃないんだろうか。あれは製造業だけでやっているんじゃありませんか。日本の労働者の実労働時間と外国の総労働時間との比較じゃないんじゃありませんか。
 私は、もしそれだとすれば、はっきりそれを明示して例に引いて事を言うべきだと思うんです。条件の違うものを例に引いて、日本が働き過ぎだ働き過ぎだと、外国はそれを見てまだ喜んでいじめるわけでありますから、実態に合わない数字を掲げてやることはちょっと問題じゃないのかなと。場合によっては業種ごとの時間ぐらい欲しいものだなと思うんですが、伺うところによると、どうも外国にはそういう数字がないという話も聞くわけです。だとすると、外国との労働時間の比較において長い、短いという論をするのはおかしいんじゃないか。我々が労働時間を短縮しろというとき、すぐ外国の数字が出てくるわけでありまして、不思議でなりませんが、教えていただきたいと思います。
#223
○政府委員(石岡慎太郎君) 私も平成四年の経済要覧を拝見いたしましたけれども、そこでは確かに法で「アメリカ、カナダ、西ドイツは賃金支払時間。」などというものが付記されております。このデータのベース自体が各国まちまちなものをそのまま載せているのは事実でございまして、誤解を与える点があろうかと思います。したがいまして、経済企画庁にもその点今後相談してみたいと思います。
 それから、労働省のやっている国際比較は余り意味がないのではないかというようなお尋ねがございましたけれども、労働省の場合は次の三点を、繰り返しになりますが、考慮しながら国際比較をしておりまして、決して比較にたえないものではないと思っています。
 一つは、ホワイトカラーにつきましては、我が国では毎勤調査で実労働時間の実態がわかりますけれども、外国では所定労働時間だけを調べておりまして、実労働時間がわからないことになっています。それから、外国で実労働時間がわかりますのは製造業の生産労働者だけでございます。したがいまして、国際比較は製造業の生産労働者に限ってやっております。これが第一点です。
 それから二点目は、ECでは我が国の毎勤の定義と同じ内容の調査をやりまして年間の実労働時間を出しておりますので、それに基づきまして比較をしております。
 それから三番目に、アメリカでは賃金の支払い労働時間しか調査していないんですが、米国政府は別途この支払い労働時間から実労働時間の推計をやっております。これを製造業の生産労働者に限って使って比較をしているわけでございます。
 したがいまして、厳密に言えばそれは違いはあろうかと思いますが、現時点では正確な前提といいますか条件をそろえまして、労働省が製造業生産労働者につきまして比較をしているわけでございますから、労働時間が日本の場合長いか短いかはこれによってある程度正確に判断できるものと信じております。
#224
○松尾官平君 最後の一言が気になるんですが、製造業同士で比較するんならわかるんですよ。それだったらもう何も言いません。
 ところが、製造業から割り出した所定時間というものを、従業員三十人以下の小規模事業者あるいは五人以下の小規模事業者にもやがて同じような時間設定をしようとしているから私は心配で言っているわけです。今ちょっと猶予期間をもってもらっていますけれども、やがてそこへ一括して持っていこうとしている、ここに無理があるんじゃないか。製造業の大手の方々と小規模事業者と同じ労働時間を設定するというのはちょっと無理があるんじゃないかという心配があるから聞いているわけでありまして、後日また時間をかけて議論してみたいと思います。
 次ですけれども、出稼ぎ者対策につきまして先ほど細谷議員からありがたい御質問をしていただきました。実は、我が青森県は開闢以来の冷害でございまして、私の生まれたところなんかは作況指数が二でございます。百粒のうち二粒しか米が入っていないというわけでありますから大変なことで、新規の出稼ぎ者が相当出るんじゃないかと
予想しまして、既に県には新規出稼ぎ者に対しての十分な指導をしていただくようにお願いをしているわけであります。
 先般の労働基準法の改正に伴いまして、就業日数が六カ月を超える者について有給休暇がもらえるようになりました。これは私の十七、八年前からの懸案がようやく先般実現したわけで、言いようによっては十七年も何やっていたんだと言われますが、県会議員時代からこの問題を取り上げて労働省にお願いしてきたわけですが、何としても一年の壁を破れなかったわけです。先般、この一年の壁を破って六カ月にしていただいたということで、出稼ぎ者もあるいは恩恵を受けるんじゃないかと思って大変うれしく考えております。
 そこで、私はこれもまた前から言っているんですが、ハローワークの仕事が、出稼ぎ者の受け入れ先のハローワークの出稼ぎ者に対するいろんな指導その他と、送り出す地域のハローワークの出稼ぎ者への指導体制というものにおいてどうも差があるような気がしてならないわけであります。受け入れる方も大事ですけれども、送り出す方も大切なわけでして、出稼ぎ者に十分な指導を与えるためには送り出すとききちっと物を教え指導をして出してよこすことが私は大切だと思っていろいろ指導しているわけですが、なかなか思うようにいかないのが現状であります。
 そういうものに限って、いわゆる正規の手続で雇用を安定所に申し込んでいないところへこっそり隠れて行ってしまう方に限って不幸なことに事故に遭うケースが多いわけでありますから、そういう点、出稼ぎ者対策というものについて、送り出す安定所に対しても十分な御指導を願いたい。恐らく本県は、昨年は五万四千人と言っていますけれども、ことしは一万人か二万人ふえるんじゃないかと心配されるような状況でございますので、何か新しい出稼ぎ者対策というものを考えていらっしゃるかどうか。
 私は、今青森県のことだけ言いましたが、さっき細谷先生から触れられましたように北海道から東北、九州、この地域は大変な冷害でありますから、全国的にも大きな問題になろうかと思う。事故を未然に防ぐ意味で何か方策ができないだろうか。私が政務次官をやっておりましたときいろいろお願いして、出稼ぎ者のための安全福祉旬間ですか、何かつくってもらってやっているんですが、さて出稼ぎ者が帰ってきて聞いてみると、そんなの聞いたことありませんという出稼ぎ者が圧倒的に多いわけであります。そういうことからいろいろ面倒は見てもらっておりますけれども、弱い立場の出稼ぎ者ですから御指導をお願い申し上げたいと思いますが、御意見がありましたら。
#225
○政府委員(七瀬時雄君) 出稼ぎ者の方々に対する新たな対策というお話でございましたけれども、率直に申しまして、ただいま御指摘がございました就労経路の問題で、送り出し地の公共職業安定所と市町村との連携をきちっとする、それから送り出し地と受け入れ地の安定所相互間、それから受け入れ地と企業の相互間、そこら辺の連携を密接にすることが重要だと思っておりますし、そこら辺のところは地道にやっていかなければならない問題だろうと思っております。
 また、本年は特に製造業の求人が大幅に減っているような状況もございますので、新たに例えば建設業の方に出稼ぎに行かれるとか、あるいは冷害でこれまで行かれていなかった方が行くようなことになるとか、いろいろ新しい状況も出てまいりますので、送り出し地における安全衛生の講習でございますとか技能に関するいろいろな御指導とか、そういうことをさらにこういう状況を踏まえながら念入りにやっていくというようなことで対応したいと考えております。
#226
○松尾官平君 ぜひ、ひとつよろしく手厚い面倒を見ていただきたいと思います。
 次の質問は、これは大臣にお願いしたいんですが、我が国は四全総という大変大きな計画のもとに進められているわけでありますが、その四全総の中でのポイントは、私どもは一極集中と多極分散問題にあるんじゃないかと考えているわけであります。しかし、この東京圏一極集中と多極分散問題というのはどうも東京から地方を見ているような感じがしてなりません。私どものように過疎地域に住んでいる者からするとぴんとこない面もあるんです。それにしても、多極分散ということについて大きな期待を持っているわけでありますが、なかなかにして一極集中は勢いを増す一方で、過疎地域はまた高齢化、過疎がどんどん進んでいるというのが実態だと思うわけであります。この大きな命題である一極集中の打破と多極分散を進めるということについて、労働行政でどんなことが考えられるんだろうかということをお聞きしたいわけであります。
 私は先般、商工委員会で質問した経験があるんですが、数字が若干違っているかもしれませんけれども、例えばアメリカのワシントンにおける大学の全国に占める比率は〇・八%しかないわけです。日本は東京に二三、四%大学があるはずです。私は、首都移転も結構ですけれども、ともかく大学に政治の力であめとむちを与えることによって地方分散を図れないだろうか。私は、これをやったら相当な人間が大移動をするんじゃないかと期待しているわけであり、多極分散に実をとるといいますか、身の入った多極分散はこの辺から本当の多極分散ができてくるんじゃないかと常々考えているわけであります。
 大臣、労働行政を担当する立場から御施策があるのか、あるいはまたこの一極集中と多極分散についての所感がございましたら御答弁願いたいと思います。
#227
○国務大臣(坂口力君) 私もどちらかと申しますと過疎に近い方に住んでおりまして、先生と同じように時々何とか田舎に働く場所がないだろうか、そんなふうに私もいつも思っております一人でございます。
 だんだんと働く場所のない地方は高齢化が進んでまいりまして、私のところも最高のところは高齢化率四〇%を超えたわけでございます。高齢化率四〇%を超えてまいりますと村の機能を維持できないようになってまいりまして、だんだん山が里に攻め寄せてきたと村の人は申しますけれど一も、もはやいかんともしがたいような状態が来ている。そうした状況を見るにつけまして、地方にも働く場所を何とかつくっていかなければならないということを常々私思っておりました一人でございます。しかし、これは全体の働く場をどう分散するかということと大きなかかわりのある問題でございますから、日本の産業形態をこれからどのようにしていくかということ等と大きく結びついている問題でございます。
 それとあわせてもう一つは、いわゆる働く場のあり方ということを私たちは考えていかなければならないのではないかというふうに思っております。まだ、そこまで我々の議論が進んでいるわけではございませんけれども、例えば今東京におきましては一極集中が進み過ぎまして、そして朝あるいは夕方の通勤のラッシュが大変な問題になりまして、時間差出勤をどうするかというような問題で運輸省と労働省とで先日来話をしているわけでございます。
 この過程の中におきましても、やはりすべての人が同じ時間に出勤をして、そしてそれぞれの職場に出なければならないものなんだろうか、家庭において決められた仕事をある程度することはできないのであろうか。現在の大変な電子システムの発達の中で、そうしたことはもう可能になっているのではないだろうかというようなお話がございまして、そうしたことを専門にしておみえになります経営者の皆さん方からもそれは可能であるというような御指摘がございました。それは、過密だけではなくて過疎の地域にもこれは使用のできることである。過疎地域において、そしてそこで仕事をして、一週間に一度ぐらい本社なら本社にその仕事の結果を報告しに行くということで十分ではないか。そのほかはいろいろの通信システムを使ってそれで十分ではないかというようなお話がございました。
 そうした働く場のあり方といったものもこれか
ら労働省といたしましては検討をしていかなければならないのではないだろうか、私はかねがねそんなことを考えております一人でございます。全体の大きな多極化の問題とそうした問題とを組み合わせることによって私は可能になるのではないかというふうに思っております。
 私の個人的な所感を申し上げさせていただきまして、御理解をいただきたいと存じます。
#228
○松尾官平君 ありがとうございました。
 大臣から期待したような答弁をいただきまして感謝しております。もう五全総の話も出ている昨今でございますが、四全総がさっぱり効果なり目的を達しないうちに五全総も情けない話だと思っておりますので、ひとつ今後とも御努力を賜りたいと思います。
 最後に、お願いを一つ申し上げておきますが、大臣の発言というのは閣議でも大変底力がある発言をなさっているようでございます。今政治改革ということで選挙法改正に取り組んでいるわけでありますが、在外邦人といいますか、外国へ行っている日本の方が選挙に参加できないものだろうか。これはもう前から言われている問題でありますが、きょうの新聞を見ましたら、ブラジルにおいても海外へ出ている人が大統領の選挙に参加できるということが出ておりました。通信方法が発達した昨今、我が国でやってできないはずがないと思うのでありまして、海外へ働きに行っている方々が国民としての選挙権をむだにしないように、投票に参加できるような御提言を今後していただければ大変ありがたいと思います。
 答弁は結構でございます。終わります。
#229
○委員長(石川弘君) 本日の質疑はこの程度にとどめます。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後四時五十分散会
ソース: 国立国会図書館
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