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1993/11/04 第128回国会 参議院 参議院会議録情報 第128回国会 内閣委員会 第3号
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1993/11/04 第128回国会 参議院

参議院会議録情報 第128回国会 内閣委員会 第3号

#1
第128回国会 内閣委員会 第3号
平成五年十一月四日(木曜日)
   午前十時五分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 十一月二日
    辞任         補欠選任
     永野 茂門君     田村 秀昭君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         岡部 三郎君
    理 事
                板垣  正君
                翫  正敏君
                山口 哲夫君
    委 員
                井上  孝君
                木宮 和彦君
                村上 正邦君
                守住 有信君
                瀬谷 英行君
                三石 久江君
                村沢  牧君
                大久保直彦君
                井上 哲夫君
                寺澤 芳男君
                吉田 之久君
                聴濤  弘君
                田村 秀昭君
   国務大臣
       国 務 大 臣  武村 正義君
       (内閣官房長官)
       国 務 大 臣  石田幸四郎君
       (総務庁長官)
       国 務 大 臣  中西 啓介君
       (防衛庁長官)
   政府委員
       人事院総裁    弥富啓之助君
       人事院事務総局  山崎宏一郎君
       管理局長
       人事院事務総局  丹羽清之助君
       給与局長
       人事院事務総局  福島  登君
       職員局長
       総務庁長官官房  池ノ内祐司君
       長
       総務庁人事局長  杉浦  力君
       総務庁行政管理  八木 俊道君
       局長
       総務庁恩給局長  稲葉 清毅君
       防衛庁教育訓練  上野 治男君
       局長
       防衛庁人事局長  三井 康有君
       防衛施設庁労務  小澤  毅君
       部長
   事務局側
       常任委員会専門  菅野  清君
       員
   説明員
       国税庁課税部審  長尾 和彦君
       理室長
       文部省初等中等
       教育局小学校課  銭谷 眞美君
       長
       文部省高等教育  喜多 祥旁君
       局企画課長
       郵政省放送行政  清水 英雄君
       局放送政策課長
       建設省建設経済  竹歳  誠君
       局建設業課長
   参考人
       成蹊大学教授   塩野  宏君
       中央大学名誉教  橋本 公亘君
       授
       日本行政書士会  塩野征四郎君
       連合会副会長
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○行政手続法案(内閣提出、衆議院送付)
○行政手続法の施行に伴う関係法律の整備に関す
 る法律案(内閣提出、衆議院送付)
○一般職の職員の給与等に関する法律の一部を改
 正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
○特別職の職員の給与に関する法律の一部を改正
 する法律案(内閣提出、衆議院送付)
○防衛庁の職員の給与等に関する法律の一部を改
 正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(岡部三郎君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について御報告いたします。
 去る二日、永野茂門君が委員を辞任され、その補欠として田村秀昭君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(岡部三郎君) 行政手続法案及び行政手続法の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案、以上両案を一括して議題といたします。
 本日は、両案の審査のため、参考人の方々から意見を聴取することといたしております。
 御出席いただいております参考人は、成蹊大学教授塩野宏君、中央大学名誉教授橋本公亘君、日本行政書士会連合会副会長塩野征四郎君、以上三名の方々でございます。
 この際、参考人の方々に一言ごあいさつを申し上げます。
 本日は、御多忙のところ本委員会に御出席をいただき、まことにありがとうございました。参考人の皆様方から忌憚のない御意見をいただきまして両案の審査の参考にさせていただきたいと存じておりますので、よろしくお願いをいたしたいと思います。
 それでは、議事の進め方について申し上げます。
 まず、塩野宏参考人、橋本参考人及び塩野征四郎参考人の順序でお一人十五分程度の御意見をお述べいただき、その後各委員の質疑にお答えを願いたいと存じます。
 なお、御発言はお座りのままで結構でございますので、御了承ください。
 それでは、まず塩野宏参考人にお願いいたします。塩野参考人。
#4
○参考人(塩野宏君) ただいま御紹介にあずかりました塩野宏でございます。
 行政手続法案について意見を申し述べる機会を与えられまして大変光栄に存じております。お許しがございましたので着席のまま発言させていただきます。
 私は、臨時行政改革推進審議会に設けられました公正・透明な行政手続部会におきまして部会長代理として審議に参加してまいりました。行政手続法案の内容は審議会が取りまとめました要綱案と基本的に等しいものであることから、私はこの法案について賛成するとともに、一般行政手続法の制定を長らく待ち望んでおりました我が国行政法学者の一人として、その成立を心から期待しているもめであります。
 以下、私が手続法案に賛成するゆえんを、法治主義の徹底、行政スタイルの変革、行政の国際化への対応の三つの点にわたって申し述べます。
 第一に、この法案あるいはこの法律によりまして我が国の法治主義の一層の徹底が図られることであります。
 すなわち、我が国の行政のよるべき基本原則が法律による行政の原理であり、これは一般に法治主義と言われております。そして、行政がこれに反しまして、その結果国民の権利利益を侵すような場合には、行政不服審査法、行政事件訴訟法などの事後的救済の制度が整備されております。しかし、法治主義をより充実するためにはこのような事後的な救済制度だけでは不十分でありまして、適正妥当な行政活動をあらかじめ確保する方策として、事前の手続を公正・透明にすることがぜひとも必要であります。
 この点に関しましては、我が国でも従来個別法で事前の聴聞制度や理由付記制度を置いている例もないわけではありませんけれども、全体として甚だ不備、不統一であります。つまり、どの程度の手続が標準なのかが一向に定かでありません。裁判所の判例の蓄積によって公正・透明な行政手続の整備を図るということも考えられ、諸外国ではその例も見られるわけでありますけれども、我が国の経験にかんがみますと、これに余り多くの期待を寄せることはできません。
 実は、平成四年七月一日に出されました成田新法に関する最高裁判所大法廷判決におきましても、行政処分が多種多様であることから、裁判所がこれを一義的に判断することは困難であるので、行政手続に関する基本的法典を制定して適正な事前手続についての的確な一般的準則を明らかにすることが必要であるということが補足意見において述べられているところであります。立法者に課題が投げ返されているというところでございます。
 この手続法案は、申請に対する処分の手続、不利益処分の手続、行政指導の手続、届け出の手続、これらについて所要の規定を置き、法治主義の徹底に向けて大きく歩みを進めたものであります。
 すなわち、まず行政手続の根幹をなす不利益処分手続については、聴聞や弁明の制度を置きまして不利益処分の相手方にあらかじめ防御の機会を保障しております。その際、聴聞手続に限定されておりますけれども、行政が持っている文書等の閲覧請求権を認めたことは、これは十八条にございますけれども、我が国の法制としてはまさに画期的なことと言えます。処分の理由付記の制度も一般化されております。また、申請に対する処分の手続では、審査基準の設定、公表とかあるいは標準処理期間の設定といったようなこと、五条、六条あたりにこの種の規定が見られますが、諸外国の法律でもこれらは必ずしも取り入れられていないものであります。さらに、行政指導の手続、届け出の手続に関する諸規定は、これらの分野で法治主義が必ずしも徹底していない、あるいは法治主義に必ずしも適していない行政が行われてきたことにかんがみますと、その是正に大いに役立つものと考えられます。
 そして、このような規定が一般法として置かれたことに私は大きな意味があると考えます。確かに、この法律及び関係法律の整備に関する法律案には行政手続法の一般行政手続法に対する特例的定めや適用除外規定というものがあります。しかし、私の考えておりますところでは、適用除外となるものが公正・透明でなくてよいということを意味するわけでは毛頭ありません。行政手続の公正・透明のいわば標準的な中身が行政手続法に示されているわけでありますから、適用除外となった分野の行政手続も常に公正・透明の確保といった点からの吟味が要求されるということになるわけであります。これは立法の際の指針でもあり、また個別法における手続規定の解釈に際しても考慮されることになると思われます。
 この点は、適用除外とされました地方公共団体の機関の行為についても同様であります。行政運営における公正の確保と透明性の向上の要請は、その権力が国の権力であると地方公共団体の権力であるとを問わず、公権力一般に妥当するところであります。したがいまして、私としては、行政手続法が制定されました暁には地方公共団体も当然行政手続の整備に向けて努力を傾けるべきであると存じております。
 第二に、行政スタイルの変革ということでございます。
 これも法治主義の徹底と関連することでありますけれども、この法律は、我が国の行政スタイルの変革を迫るという意味におきまして、実は今次の行政改革の最も重要な一環を占めるものと考えております。行政スタイルと申しましてもそう難しいことを言っているわけではありませんで、平たく言えば国、地方公共団体が国民に対して行政を遂行する実際上のあり方と言うべきものであります。
 各国にはそれぞれの行政スタイルがあります。それぞれの特色を持っております。我が国のそれは、一言で申しますと行政指導に対する依存度が非常に高いという点にあると私は見ております。これは別の言い方をいたしますと、法律及びそれに基づく行政処分といった正式の法的方法ではなく、相手方との折衝あるいは交渉を行いながら行政側の意向を伝え、これに従うことを相手方に要請するというものであります。
 このような方法は、一応相手方の協力を前提としますので、法的にいや応なく従わせるというものではありませんで、相手方の任意の協力ということを前提といたしますので、行政との紛争が裁判所に持ち込まれない場合が多いということ、それから法律が整備されていない場合にも機敏に対応できるということで、日本では非常に広く多方面で活用されてきたものであります。しかし、許認可権等を有する行政側が事実上有利に立つことから行き過ぎの例が間々見られること、行政指導にはしばしば明確性を欠くものがあり、責任の所在が明確でないことがあるといった批判が内外に強くなってまいりました。
 正式の方法ではない、いわばこういったインフォーマルな方法によることは決して日本の行政だけではありません。時に、行政指導は外国では例を見ない日本に独特のものであるとか、行政指導というのがそのまま外国の辞書にも載っているというようなことを言われる方もあります。しかし、名前はともかく、行政側が相手方と交渉しつつ行政の期待することを伝達する、こういった手法は諸外国にも決してないわけではありません。日本の行政に独特なものがあるといたしますと、それに対する、つまりインフォーマルな方法に対する依存度が官民を通じて高過ぎるという点であると私は考えております。それはともかく、従来の我が国の行政スタイルは法治主義を空洞化するとともに、特に行政のあり方についての透明性を阻害するおそれをはらんでいるということが言えます。
 行政改革というのはいろんな側面を持っておりますけれども、その重要な要素の一つが従来の官主導のもとにおける官民相互依存性から民間の自立性への移行であるというふうにいたしますと、今まで指摘しましたような我が国の行政スタイルもそのままであってはならないわけであります。
 その際、最も大切なことは、民間自体が従来の行政依存体質から離れ、みずからの権利を適切に主張する、実体法上の権利であれ手続法上の権利であれ、これを適切に主張することにあるのですけれども、従来の制度ではそういった自立性に富んだ国民のあるいは企業の自立的な活動を手続的に支援するには必ずしも十分でありませんでした。
 今度の行政手続法案は、審査基準の設定、公表、申請に対する行政庁の審査義務、聴聞権、行政指導の請求に基づく文書化、届け出の意義、これらを明確にすることによりまして、もし民間側がその気になるならば行政のあり方、つまり行政スタイルの変革を招くことが期待できるのであります。このことは、大変遅きに失しましたが、日本にもようやく行政の近代化をもたらすものということができるのであります。その意味で私は行政手続法の成立に大きな期待を寄せるものであります。
 第三に、行政の国際化対応の点でございます。
 統一的な行政手続法の制定は昨今各国で進められているところであります。一九〇〇年代の初めから既に出発しているところもございますけれども、一九四〇年代、それ以後各国で進められているところでございます。その法律の内容は各国で異なっております。しかし、公正・透明ということを基準にした場合には、行政手続についての一定の相場観とも言うべきものが国際的に醸成されているように思われます。
 日本の行政もいろんな意味で国際化されてまいりました。各国それぞれの行政スタイルがあり、それはそれで結構なことなのですけれども、手続の公正の確保、透明性の向上というこの基本理念、それに基づく具体の手続の相場というものには我が国も十分意を用いていかなければ、現今の行政の国際化に対応できないものがあります。
 この点で、行政手続法案は、御案内のように聴聞、文書閲覧、理由付記、処分基準の設定、公表という行政手続のいわば四原則を実定化したものでありまして、国際的相場観からそう大きく外れるものではないという意味でもその早期の成立が望まれるわけであります。
 以上、三点にわたりまして行政手続法案の成立に賛成の趣旨を申し述べましたが、もとよりこの法律で手続的整備が完了したというものでは全くありません。行政立法手続、計画策定手続など、審議会答申でも宿題とされたものがあります。この法律案は、第一条の趣旨からも明らかに読み取れますように、行政の直接の名あて人、あるいは行政の直接の相手方の権利利益の保護に重点を置いたものでありまして、広く住民なり国民の民主的な手続参加を保障したり、また一般的に公衆との関係における行政の透明度の向上を図るという点にまでは及んでいないことは事実であります。
 これらのいわば行政の抱える現代的課題とも言うべきものにつきましては、問題がより複雑であるという点からして、今回見送ったものはやむを得ないものでありまして、具体的にどのような手続が望ましいかという点は行政法学界としてもなお検討していかなければならない課題と考えております。
 かようにして、行政手続法案は、現在行政が抱えている問題に対してすべての人を満足させるものではありませんけれども、この法案が成立することは今後の行政の改革の出発点である、あるいは基礎となるという意味におきまして、私はこの法案に賛意を表するものであります。
 以上でございます。
#5
○委員長(岡部三郎君) ありがとうございました。
 次に、橋本参考人にお願いいたします。橋本参考人。
#6
○参考人(橋本公亘君) 橋本公亘であります。
 本日、行政手続法案について意見を述べる機会を与えていただきましたことを感謝いたします。それでは座って申し上げます。
 最初に結論的なことを申し上げますと、私もまた行政手続法案の成立に賛成するものであります。
 私が行政手続法にかかわり合ったのは実はもう三十年ほど前からでありまして、第一次臨時行政調査会において、当時行政手続法を調査、そしてその草案を立案するという仕事を担当したことがございます。第一次臨調は昭和三十七年二月にできまして、その当時、調査会の委員も専門委員もどなたも実は行政手続法ということについて理解を示しておりませんでした。その当時の状況としては、行政手続法とは何なのかというような程度であったわけであります。そこで私は、行政機構の改革はだれでも意見を述べることができる、しかし行政手続法となると余り専門家がいないということで、あえて分科会をつくってもらいたいということで要請をいたしまして、三カ月後の昭和三十七年五月に第三専門部会第二分科会というのをつくってもらいました。
 そこで調査員八名をいただきまして、当時の我が国の行政手続法の状況を調査いたしますと、一般行政手続法はございませんが、個別的にはアメリカの制度をまねして種々雑多な制度がございました。この混乱を是正して、そして何とかしようということで、それから一年数カ月後ですが、昭和三十九年二月に百六十八条に達する行政手続法草案というものをつくりまして、それで委員会にお答えしたわけであります。臨調はこの草案をモデルとしてぜひ研究してもらいたいというような勧告をしたことがございます。由来約三十年の年月が流れましたが、その当時から比べますと、今日では国民の意識もそれから行政庁の意識もそのほか各界の意識が基本的に変革されてきたと思います。
 行政手続法の意味はどこにあるのか。簡単に申しますと、昔の行政法は要するに行政実体法をつくるということで、いかなる場合にどのような処分ができるかというようなことを法律で決める、これが法律による行政である、こんなふうに理解されておったわけでありますが、新しいと申しますか、ちょっともうそう新しいわけでもございませんが、実体法の保障だけでは足りない、行政庁の処分その他について手続面から保障する、手続の保障がなければ権利の保障がないというのがいわば新しい考え方でございます。そこで、手続面の保障を整備していこうという考え方が次第次第に浸透してまいりました。
 第一次臨調のときには行政庁はことごとく反対でありました。アンケート調査しますと、裁判所は賛成、弁護士会も賛成、学者の中では意見が分かれました。大体の様子としてはそんな程度でありましたが、今日ではこの法案の成立につきまして、行政庁も参加し始めてきているし、一般国民も恐らく大半が賛成すると思いますし、学者も同様に賛成しているというようにすべてが変わってまいりました。国際的な要請もあると思います。こういったような状況で、既にすべてが変わってまいりまして、今日では行政手続法の整備が急務であるということで一致していると思いますので、ぜひこの点を実現していただきたい。
 この法案の目的に、「行政運営における公正の確保と透明性の向上」ということがございますが、これは非常にすぐれた考え方であると私は思うのであります。
 若干幾つかを申し上げていきますと、例えば申請に対する処分についてちょっと考えてみますと、従来の行政で、諸先生恐らくいろいろ御経験になっていると思いますが、行政庁に申請を出しても、その申請がそのまま預かりおくという形で握り込まれて、受理するでもない受理しないでもない。受理すれば手続が進行いたしますし、あるいは許可とか不許可とかいろいろなことが、処分があればよろしいのですが、何もしないで握り込んでおくという例が幾つもあると思います。実際にはそこで不透明なままに密室の中でいろいろ処理が行われるということがございます。
 実例を一つ申し上げますと、例えば都市計画法における開発行為の許可申請というのがございます。諸先生方いずれも御経験があると思いますが、この開発行為の許可申請と申しますと、指導要綱がございましていろいろ事前に審査をします。例えば都道府県知事等に対する申請の場合、関係市町村長を経由して都道府県知事にその申請書を出せと。そうなりますと、関係の市町村長に提出する。そこで書類がとどめおかれてしまいます。何も行われないで、その間どんなことが行われるかというと、さまざまの不透明な、例えば寄附の強要というような実例がいろいろございます。諸先生よく御存じだと思います。こういうようなことで、不透明なままにまず書類がストップされる。そして、それが送られてから後でまた出てくる行政指導がいろいろ行われるわけであります。
 例えば、そのほか建築基準法の確認申請なども実際には書類がとどめおかれているというようなことは幾らでもあるわけでありまして、こういうようなことを是正するためには、申請が出されたらこれについて行政庁側が速やかに対応しなければならない。審査基準を定める、標準処理期間を定めるというようなこれらの規定を設けることは非常にすぐれたことであろうと思います。
 次に、時間が余りありませんので、不利益処分に参りますと、不利益処分について聴聞と弁明という二つの手続を定めておりますが、これは私も大変賛成であります。私どもの行政手続法草案でも弁明と聴聞という二つに制度を分けました。聴聞の方が正式の手続でありまして、弁明の方がやや略式の手続であります。このように分けることは必要だと思います。
 行政というものは多種多様ですから、すべてを司法手続化することは賢明ではない。行政手続というと、恐らく諸先生は非常に厄介な手続が行われて行政が遅滞してしまうのではないかというような不安を抱かれる方もあるいはあろうかと思いますけれども、そのような複雑な司法手続化は私も賢明ではないと思いますが、この法案に書かれている程度のことはぜひ定めておかれた方がよろしかろうと思うわけであります。
 次に、行政指導でありますが、これは大変いろいろ問題がございます。問題があるというのは、だからこのような規定を設けた方がよいという趣旨でありますが、要するに密室における行政指導がいろいろ弊害をもたらしております。例えば最近の例で証券不祥事などというのがある。一体、証券不祥事の原因はどこにあったのか。密室における行政指導があったのではないだろうか。これについて国会でいろいろ調査をされただろうか、国政調査でやられたのか、どうも余りはっきりしない。密室における行政指導ですから文書がございません、関係者は沈黙を守る、こういうようなことで、これは一つの例でありますけれども、そのほかのさまざまな場合に、要するに行政指導という形を通じて国民の権利が実質上侵害される、あるいは国政がゆがめられるというようなことが起こるわけであります。
 ですから、行政指導はできるだけこの際はっきり規定を設けた方がよいと思うわけでありまして、この不透明、不公正、無責任な行政指導を何とかレールの上に乗せるということが私は必要であると思いますので、できればできるだけ文書による行政指導が望ましいと思うのでありますが、余り強い主張をしても法律ができないといけませんから、この法案にある程度のことでもぜひ実現していただきたい、そのように考えるものであります。
 この法案にはなおいろいろ欠けているものがあるというような批評がございます。しかし、これはそうも言えないので、例えば行政立法手続がないとかあるいは計画策定手続が欠けているとかいうような批評がございますけれども、行政立法手続の制定ということは実は大変難しいことであります。
 私も三十年前に行政立法についてどうしよう、いわゆるルールメーキングについてどうしようかということを考えたことがございますが、放棄いたしました。これはなかなか難しい。実際にはフォーマルな行政立法手続、インフォーマルな行政立法手続というようなものを考えることになりますけれども、これを一般行政手続法の中に取り入れることまで考えますと非常におくれるだろうと思います。ですからこれは後回していい。計画策定手続にしても同様でありまして、すべてを一つの中に盛り込むということは無理だと思いますので、せめて今回の行政手続法案に盛られた事項はぜひこの国会で成立していただきたい、このように考えるわけであります。
 これは国民的要請であり、同時にまた国際的な要請でもあると思うわけであります。整備法でいろいろございますようですが、これについてはもう省略いたしまして、いろいろな例外だとかいうような事柄についてはこれはやむを得ない。そもそも行政というものは非常に多種多様でありますから、すべてを同一の手続でやることはできませんので、これはいたし方のないことであろうと思います。
 簡単でありますが、以上で私の意見陳述を終わります。ありがとうございました。
#7
○委員長(岡部三郎君) ありがとうございました。
 次に、塩野征四郎参考人にお願いいたします。塩野参考人。
#8
○参考人(塩野征四郎君) ただいま御紹介いただきました日本行政書士会連合会副会長の塩野征四郎でございます。
 本日、行政手続法案及び行政手続法の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案の審査につき、参考人として意見を述べさせていただく機会を与えていただきましたことを心より感謝しております。御指示どおり着席して意見を述べさせていただきます。
 行政書士は、法に基づき、他人の依頼を受けて官公署に提出する書類その他権利義務または事実証明に関する書類の作成と提出する手続をかわって行うこと、また当該書類の作成について相談に応ずることを業としております。そこで、行政書士の役割と行政手続法との関係を中心に国民の立場から意見を述べさせていただきます。
 現在、行政書士は、法制定以来四十三年を迎え、全国で三万五千人会員を有し、業務を行っております。また、全国四十七都道府県に行政書士会が置かれ、連合会はその指導的役割を果たしております。私ども行政書士は、法律の定める業務を通して国民の権利と利益を擁護してまいりました。そして、業務の一つである官公署に提出する手続代行により行政庁と深いかかわりを持っているため、このたびの行政手続法制定には重大な関心を持っており、最も身近な関係者であると認識しております。
 私どもは、平成三年に行革審のもとに設置された公正・透明な行政手続部会で検討された行政手続法要綱案(第一次部会案)について意見書を提出いたしました。その中で主な項目は次のとおりであります。
 一、標準処理時間の設定、公表を義務づけるべきであり、標準処理期間内にできない場合は申請者に不利益を与えてはならない旨の規定を設けるべきである。二、行政庁が拒否処分を行う場合の処分理由の提示は、申請人が拒否処分となった理由を明確にとらえ得る程度のものでなければならない旨を規定し、緊急の場合は事後に理由を示さなければならないとすべきである。三、申請により、拒否処分を行おうとする場合においても、少なくとも弁明手続を適用すべきであり、生存権にかかわる金銭に関する処分等の場合には、大量の処分を早期に確定するという行政の便宜よりも行政運営の公正を重視すべきであると考えるので、弁明の機会を付与すべきである。四、聴聞に関する実施事項はできる限り本法に定めるべきである。五、処分基準の設定、公表は、単なる努力義務とするのではなく、その設定、公表をしなければならないものとすべきである。六、外国人に対する行政庁の処分は、日本国民と同様に扱うことができるか否かの問題はあるが、日本の国際化の中で公正・透明にすることをますます要請されることになると思われるので、外国人の出入国の管理、難民の認定または帰化に関する処分を適用除外から削除すべきである。
 以上、主な六項目について意見を出しましたところ、これらの意見はほぼ今回の法案の中に採用していただいており、感謝しております。
 許認可手続について現状を申し上げますと、許可を得るために相当な日数がかかることは理解できますが、時間的にばらつきがあり、ある許可を申請した場合、同一の内容のものであり、かつ補正等の指導経過もないにもかかわらず、他の申請者の提出したものより一カ月以上もおくれて許可になる場合があり、これは申請者にとって致命的な問題になりかねません。国民は現行の行政指導による許認可事務に対し少なからずとも不安感を持っております。
 国際化の進んでいる我が国において、外国人の出入国と在留並びに帰化に係る許可についても同様なことが見受けられます。たとえこれらの事案に特別な時間のおくれ要因があったとしても、一般的な申請者の認識は、許可を得るためにどれぐらい時間がかかるかということが申請時から意識されておりますから、一般的な許認可日数が官公署としてあらかじめ公表されることは、努力目標であったとしても大いに歓迎されることと思われます。
 私ども業界でタブー視された許認可日数の約束が、大まかながら公表された日数等で伝えることができることになり、申請者の不安を払拭させることができるという大きなメリットが期待され、まことに意義のあるものと考えるところであります。
 また、同じ許可申請でも、提出する受付窓口によってその指導が異なり、また担当者によっても異なることが多々あり、同じ法律でありながら担当者の異動により許可にならなかったり更新ができないことさえ生じております。プロの私どもでさえその都度窓口担当者と協議を行わなければ申請書類が作成できない場合もあります。まして一般国民にとっては大変な戸惑いとなっていると考えられます。また、行政指導の名のもとに不必要な添付書類を要求されたり、担当者の都合により審査が後回しになったりすることもしばしばであり、国民に相当な負担、不利益を与えていることもあります。
 このたびの行政手続法が施行されますと、我々行政書士の役割が重大になってくると思われます。行政庁の許認可要件が公正・透明となるため、手続の上で明確な説明をすることができ、広く国民の要望にこたえていくことができます。また、不利益処分に関して聴聞や弁明を不利益処分を受ける者の代理人として行政手続の専門家である行政書士が行うことにより、スムーズな行政運営に寄与できるものと確信しております。
 次に、行政書士は行政手続に関する相談業務を行っておりますが、行政手続法の施行により増大すると思われるさまざまな相談にも適切な助言やアドバイスを国民に行ってまいりたいと考えております。
 我々行政書士会といたしましては、国民の権利利益を保護し、擁護する立場から、行政指導の公正性、透明性の確保を打ち出した行政手続法案は、国民と行政とがお互いに近づくことになり、円満で迅速な行政運営に寄与するものと大きく評価し、全国の行政書士挙げて賛成するとともに、国民の立場から早期成立を切に望むものであります。
 以上です。
#9
○委員長(岡部三郎君) ありがとうございました。
 以上で参考人からの意見の聴取は終わりました、
 これより参考人に対する質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#10
○木宮和彦君 木宮和彦でございます。
 本日は三参考人の皆様方、大変いい御意見をお述べいただきまして本当にありがとうございます。まずそれを感謝いたしまして、いろいろ感想はたくさんございますが、質問をさせていただきたいと思います。
 まず最初に、塩野宏先生からお話がございましたけれども、今回の行政手続法につきましては賛成であると明確にお答えになりました。ただその中に、日本はちょっと行政指導に対する依存度が高過ぎる、しかし外国にもたくさんそういう事例はあるんだ、日本だけが例外ではないと、こういうお話がございました。
 私もそうだとは思いますが、しかしやや異常といいますか、日本の今までの行政手続についてはどうも普通の状態とは違う。特に許認可の場合には首根っこを押さえられている。そういう認可をしにくくされる、あるいは税務署の場合には税金をかけられるという。例えば修正申告をする場合には、確かに相互のなれ合いといいますか、相互の談合で決めたには違いないと思いますが、しかし、そこに行き着くまでにはかなり無理があることは、これは今までの事例がたくさんあると思います。
 やはりこれからこの法律ができた後に、果たして今までのようなそういう弊害が顕著に是正されるという見通しがあるのか、いやそうは変わらぬだろうと。個々の法律をこれからしっかり、しかも国民が、あるいは今最後の参考人のお話もありましたが、代行者がどちらのサイドに顔を向けるか。国民の方に顔を向けるのか、あるいは政府の方、官の方に顔を向けるのかによって私はこの法律の帰趨が決するような気がするんでございますが、ややもすると日本人の性格というものは長いものに巻かれるという、代行人も本来ならこっちにつかにゃいかぬのだけれども、向こうとうまく手を握っておいた方が自分の仕事がやりやすいというようなこともあって、今回の法律も、三十年来ずっとやってきたけれども、いろんな意見はあるけれども出にくい、遠慮をしている。
 これはもう民が遠慮しているし、同時に我々政治家もやはり官に対する一つのあれがございましてなかなか言いづらいという点がありますので、ぜひひとつ参考人の皆様方、この法律の後の実効性について、その予測はできませんでしょうけれども、三人の先生方にそれぞれ御意見を承りたいと思います。
#11
○参考人(塩野宏君) この法律が制定、施行された後のことということでございます。
 まず、その前提として、日本の行政スタイルについて私先ほど申しましたし、今、木宮委員の御発言と基本的には私も同じだと思います。ただ、余り日本の行政指導が日本に独特だということを言われるものですから、特に外国人が言うものですから、いやあなた方のお国でもあるでしょうということで、多少その点は研究も進んでまいりまして、外国にもあるじゃないかというような話にはなってまいりました。しかし、その行政への依存度あるいは行政指導への依存度が官民相互に強過ぎるという点はおっしゃるとおりだと思います。
 そこで、今度の法律が制定された場合のことでございますけれども、結論的に申しますと、この法律を生かすも殺すも眠らせるも、これは結局国民のあるいは民の問題であるというふうに私は見ております。
 つまり、国民がせっかく行政手続法に書かれてあるような公正手続の履践を求めないで、今は大分変わっていると思いますけれども、かつてそうであったように、官民癒着のままに、あるいはなれ合いのままに相互に密室のままで動き、それでよしということであるとこの法律の精神は生かされないということになります。その意味では、まず国民あるいは行政書士の方々も含めて、行政の相手方がこの手続的な権利というものを十分理解されて公正手続の運営に向けて国民も参加していただかなければ到底これは動くものではありません。
 ただ、従来の制度ですと、せっかくそういうある意味では手続的な整理というものを理解している国民に対して制度がどうもそれをうまく受けとめていないという点がございます。あるいはせっかくそういった気持ちのある人に対して法律があらかじめ用意していないというところがございます。
 ところが、このたびの行政手続法案では、例えば審査基準を設けるとかあるいは聴聞、弁明の制度をきちんとそろえる、行政指導の文書化を示す、申請に対する審査義務、あるいは届け出に対しての法効果というものをきちんと定めるということで、国民がその気になればその適正手続の実現に対して法律は大変手助けになるというふうに考えているところでございます。権利のための闘争というのがよく言われますけれども、やはり権利のための闘争という気構えが国民にありませんと法律は動かないというその鉄則はこの場合にも妥当するというふうに私は理解しております。
#12
○参考人(橋本公亘君) 法律ができたら、その瞬間に一夜にして変わってしまうかと。そうはならないと思います。しかし、若干の時間をかけますと私はかなりの変化が出てくるだろうと思うんです。法律というものを制定いたしましてこれを運用する能力については、私は日本国民のかなりの人が相当の力を持っていると思っております。ですから、一夜にして変わることはありませんが、行政庁の頭も次第に変わってまいりますし、国民が権利を主張するということはこのごろかなり強くやるようになっておりますから、行政庁がいいかげんなことをすれば見逃さないということで次第に変わってくる。
 したがって、この行政手続法案を一つの画期的な現象として考えることは可能だと思うんです。若干の時間はかかると思いますけれども、次第に変化してくるというように考えております。
#13
○参考人(塩野征四郎君) 実務者の立場から申し上げます。
 まず、このたびの適用除外、これについては大変私も憂慮しておりまして、先ほど塩野先生の方から適用除外も常に吟味が要求されるだろうということですので、安心はしておりますが、実は外国人に対する行政処分については、外国人のみじゃなくて我々日本人が大変かかわっておるわけです。そういったものについて非常に憂慮しております。
 現場の担当者に聞きますと、棚に上げておくだけなんだと、こういうようなことを言われる場合がちょくちょくありまして、大変私どもの方も困りまして、実質的にはそういった基準はあったとしても、その基準が担当者によってちょこっとずつ上下させられる。それによって先ほど申し上げたように一カ月延びたり二カ月延びたりというようなことがあることについては、私どもの方もそういった意識を持って今後は言っていけるんじゃないかな、要求できるんじゃないかなということで、実務者としてはこのたびのこの法律については、除外されていたとしてもかなり前進的に考えられるというふうには思っております。
 以上です。
#14
○木宮和彦君 ありがとうございました。
 私、ちょっと行政指導という面でこだわりますけれども、これはやはり両刃の剣といいますか、いい面もあるし悪い面もある、両方あると思うんですね。しかし、どう考えてもいい面よりも悪い面が多い。いい面というのは調整機能がそこにあると思いますけれども、悪い面の方が少し出過ぎているんじゃないか。そして官は、民はほっておくと何をやるかわからぬと、むしろそういう不信感の方が先に立つし、あるいは納税のときも、国民は黙っていればすぐごまかすというふうなところから来る、だから何とか摘発しようとする。片方は一生懸命まじめにやろうと思っても、そう言われちゃうと、結局官に対しては何とかしてごまかしてやれと、こういうやはり悪循環が今来ているような気がしてならないわけでございます。
 その辺やはり私決め手は、行政指導は、求められたら書面で出すんじゃなくて、必ず書面で出す、個人で出すんじゃなくて。しかも今まで許認可の場合には、担当官の言ったことが、あるいはひとり言が、あるいは廊下で言ったことがもう行政指導でもって、それをまじめにやらないと許可してくれないという恐怖感の方が先に立ってしまうんです。だから結局は行政指導がひとり歩きしてしまうというのが現状でございます。
 やはり私は、もしも行政指導する場合には、局長以下全部、これは各省の大臣の補佐官も、補佐人、補佐機関だから、省に上げて、やはり一定の共通のルールをつくって書面で公開すべきだと思う。そうでないと、前回の場合と次にやった場合と担当官によって全く、ちょっと違うのならいいんですけれども、白と黒ぐらい違う場合が間々あるはずなんです。その辺について、行政指導についてもう少し厳格に今後やっていく方策が何かありましたらひとつお教えいただきたい。
 塩野参考人と橋本参考人にお願いいたします。
#15
○参考人(塩野宏君) まず、前提としてこの法案が要綱案を前提としているといたしますと、要綱案の行政指導に対する考え方は行政指導そのものの是非について何らかの判断を下しているものではない。その意味では行政指導に対して中立てあるという前提をとっております。これは手続法ですのでそういうスタンスをとったということは私も納得をしております。
 問題は、そのなされるときの行政指導がどうあるべきかというのがまさに手続法の分野に入るということでございまして、この行政指導につきましては、実は審議会の手続部会でもさんざん議論をいたしまして、もうかなりの時間がこれに割かれました。そのときには当然のことながらすべて文書化という議論も出ましたし、いやすべて努力義務ではないかといういろんな方面の議論が出ました結果、この要求を前提とする文書化というところに落ちついた、そういうことでございます。
 そこで、今の御質問との関係で申しますと、先ほど私申し上げたことと関係するわけですけれども、従来のような行政指導に両方ともなれ親しんでいるということではこれは動きようがないわけでございますけれども、行政指導の明確化ということがここで一般的に打ち出されまして、そしてそれが官民、特に国民の間に浸透してまいりますと、しかるべきときにその文書の要求というものがなされる、そしてそれによって明確化あるいは責任の所在というものがより明らかになるということになろうかというふうに思います。
 出発点からすべて文書化ということになりますと、今度は例外規定をどう置くかとか、いろんなことで難しい問題が起きまして、また法律案の制定等に多大な時間を要するということも考えまして、多少相手方にその意味では御負担をかける、いつ文書を要求したらいいかなどということで多少御負担をかけることになると思いますけれども、しかし、ある意味では目覚めた国民については十分な用意ができているのではないか、ぜひこの文書化の規定を活用していただきたいというふうに私は考えております。
 なお、先ほど申し忘れたことを一言だけ申しますと、この法律案、橋本参考人の御説明のように、すぐには効きませんけれども大変じわりと効いてくるものでございます。さきの民営化の改革がいわば外科手術だといたしますと、これは内科的なものであるというふうに考えておりまして、体質改善というふうに理解をしていることを申し添えておきます。
 どうもありがとうございました。
#16
○参考人(橋本公亘君) ただいまの木宮委員の御発言に実は私も同感するところが多いのです。
 ただ、今この法律案を成立させたいということで、この法律案に反対するものではありません。ただ、私の個人的な意見を、木宮委員の抱かれたと同じようなことを実は前にある雑誌に書いたことがございます、書面の交付をむしろ原則とした方がいいんじゃないかと。ところが、この法案によりますと、行政指導が口頭でされた場合と、口頭でされた場合もあり得るということを前提としまして、相手方が、要するに国民の側が書面の交付を求めると行政上特別の支障がない限り交付しなければならない、こういうことになっております。ですから、口頭で構わない、そして相手方が求めた場合には書面で行政指導する、こうなるとどづもいろいろ不都合が起こるのではないかということで私は別案を書いてみたことがございます。
 御参考までに申しますと、「行政機関は、行政指導の相手方に対し前項に規定する事項を記載した書面を交付しなければならない。ただし、」、そこでただし書きをつくりました。「次の各号に掲げる場合はこの限りではないものとすること (1)緊急を要する場合 (2)申請の形式その他軽微な事項につき、相手方から書面によらない指導を求められた場合 (3)行政上特別の支障が生ずる場合」。そして次の項に「前項ただし書き(1)号の場合においては、相手方の求めに応じ、できるだけ速やかに書面を交付しなければならない。」、こういうふうにしたらどうかということを書いたことがございます。もしそうしますと、非常に処理がたくさんになって困るんじゃないかという反論があることを考えまして、しかしながら最近ではOA機器が発達しておりますから書面の交付は極めて簡単だというふうなことを書いたことがございます。
 これは私の希望でありまして、今回提出された法律案はぜひこの機会に成立させていただきたい。小さなことは目をつぶって、この際この法案は成立させていただきたい、このように考えるわけでございます。
#17
○木宮和彦君 ありがとうございます。
 もう時間もなくなりましたのでやめますが、ただ最後に一点だけ、両先生とも大学の先生でいらっしゃいますのでお尋ねいたしますが、有名な家永事件というのがございまして、教科書の検定問題でございます。これは裁量権の問題、今裁判になっておりますが、先生方の個人の御意見で結構ですが、一般にそういう学校を認可するとか教科書をやるときには、審議会をつくりましてそれを隠れみのにして役人がやる、そう言ったら怒られますけれども。その場合に、果たして官の方にその内容、裁量権がどのくらいあるか、そしてまた審議会というものの運用が今まで円滑にいっているかどうか。一言で結構でございますが、もし御意見がありましたら。
#18
○委員長(岡部三郎君) 申しわけございませんが、時間が経過していますので、簡単にひとつお願いいたしたいのですが。
#19
○参考人(塩野宏君) 裁量権は行政処分の性質によって甚だ広狭いろいろでございますので一律に言うことはできません。教科書検定の場合とそれから放送局の免許の場合、それぞれ処分の性質によって異なってくるということでございます。
 審議会につきましては、私も審議会の委員として参加しているということがございますけれども、これもいろいろな場合がございます。
 以上でございます。
#20
○参考人(橋本公亘君) 私も同じように審議会によって違うだろうと思いますね。ですから一律に論ずるわけにはいかないように考えます。
#21
○木宮和彦君 どうもありがとうございました。
#22
○大久保直彦君 公明党の大久保直彦でございます。きょうは大変御苦労さまでございます。
 私は、与党各党の皆さんの御了承をいただきまして二、三、各先生方にお尋ねをさせていただきたいと思います。
 初めに塩野先生にお尋ねをいたしますが、公正の確保、透明性の向上という問題について本法律は非常によくできておる、かなりの点数を与えていいのではないかという御見解でございますが、これは諸外国の法令と比較しましていかがなものなのかという点が第一点でございます。
 それから二点目には、いわゆる行政指導そのものはともしますと法治制度を空洞化してしまうという先生の御見解でございましたが、この法案、法律が施行されますのは一年後になっておりますが、今まで御議論がございましたように急にはなかなかなじみにくい問題ではないか。極言しますと、やはり窓口行政の取り扱いといいますか、この辺にやっぱり大きな問題が寄せられるのではないかと思いますが、この点についての先生のお考えを聞かせていただきたいこと。
 三番目には、国際化への対応という御見解もございましたが、確かに欧米の価値観が我が国独自の価値観のみでは御し切れない部分もたくさんございまして、これに順応しなければならない部分はあると思いますけれども、当面この行政手続法案の中で、特にこの問題はさらに検討しなければならないというようなことがもしございましたら御指摘をいただきたいと存じます。
 四番目には、長い間の御議論の中での懸案事項、大体何パーセントぐらい満たされておりましたかについての御見解を承りたいと存じます。
#23
○参考人(塩野宏君) お答えいたします。
 諸外国との比較でございますが、これは申し上げると大変時間がかかりますのでごく大ざっぱに申しますと、先ほど申しましたように、不利益処分につきましてはまあ諸外国の相場にかなり近づいているという程度でございまして、特にアメリカでは裁決手続と称する手続がございますが、これは日本で言う公正取引委員会とかいうような、両当事者が証拠を提出し合っていわば裁判に類似した手続をもってやる、この手続がかなり多方面で活用されております。これに対して、本法案ではそういった手続は予定しておりませんで、もう少し略式の手続ということでございます。
 そういうことで、不利益処分の手続については必ずしもこれで国際第一級のレベルということは申せませんけれども、申請に基づく処分の手続については、これは大変わかりやすく、国民にもあるいは必ずしもプロでない方でも、読めば大体手続の流れに応じて書いてある、それからその内容も審査基準、処理期間、それから断る場合の理由付記ということがそろっている点では、私はむしろ諸外国の模範となるようなものではないかというふうに考えております。
 ただ一点、これはいろいろ御批判のあるところですけれども、許可申請を断るときには理由付記だけではなくて弁明あるいは意見の陳述を求めるべきではないかという御意見もありました。これは私もその点について十分了解するものでございますけれども、基本的には申請の段階でかなり意見の交換がありますので、そこで実際上いろいろ申請者の意見を取り入れる、あるいは聞くという機会を設けていただければなというふうに思っております。
 こういった申請手続が非常に整備されているということは、やはりこれは私は、行政改革の過程で生まれたもので、この点で日本法は大変特色があるということでございまして、これは既にドイツの学者が日本の行政手続法案あるいは要綱案に大変興味を示しまして、かなり高い点を与えた論文がドイツの「アルヒーフ」という専門書に出ております。そのことを申し添えさせていただきます。
 それから、行政指導等々の窓口対応の問題でございますが、これはまさに委員御指摘のとおりだと思います。それをどういうふうに実現するか、実はこれ学者ではなかなかわからないところでございますので、総務庁に。
 それから、地方公共団体の機関が今後この法律の執行に当たらなければならない場面が非常に多くなりますので地方自治体にどういうふうにPRしていくかということが非常に重要なことである、これはかなり急がなければならない喫緊の課題であるというふうに、私も委員と同じような意見を持っているところでございます。
 国際化への対応で足りないという点につきましては、これは先ほどからいろいろと議論のあるところですけれども、やはりルールメーキングと申しますか、行政立法については、まずアメリカが自分の国でつくっているものですから、日本はルールメーキングがどうであるかということをいろいろ言ってくるという点はあろうかと思います。それを除きましても、審査基準の設定等を含めまして行政立法あるいは行政規則が大変重要な機能を果たしておりますので、何かしら一種の標準手続みたいなものをつくって、その標準手続を利用するかどうかは各省で立法の際に検討するというような方式が考えられないかというのが私の個人的なアイデアでございます。
 それからもう一つは、計画策定手続、これはドイツで大変発展したものでございますし、また我々もそれを勉強いたしましたが、まだまだ勉強不足ということですけれども、肝心のドイツでこの計画策定手続が少し時期をおくらせ過ぎるのではないかということで反省をしているところがございます。そういう意味でも、ドイツ側の反省も含めて我々としては勉強をしなければいけない課題であろうというふうに理解をしております。
 以上でございます。
#24
○大久保直彦君 続いて橋本先生にお尋ねをいたします。
 本当に長い間の御労苦が実りまして、陣痛の苦しみというか陣痛の喜びに先生は今浸っておられるのではないかと存じますが、ただ、私どもも、この法案が先国会から提出されましてから非常に時間をかけて勉強といいますか内容を見ておりますのですが、なかなかこれ、国民にこういうふうになったということを周知、理解していただくには相当時間がかかるのじゃないかなと思います。
 今まで、申請しましてからその書類が受理されたのかどうかもよくわからない、果たしてどのくらいの期間を費やして検討、審議されるのかもわからないというような時代から比べますと、大変画期的ないわゆる近代国家にふさわしい法整備ではあると思いますけれども、この手続法が成立しましたことについて、これは総務庁の仕事だと思いますが、積極的にPRをすべきだというふうに先生はお考えになっておられますか。具体的な経験の上でこうした事務手続上の問題は国民が会得していくものであろうかというふうに思いますけれども、この点についての御見解を伺いたいと存じます。
 それから二番には、余り細かいことをごちゃごちゃ言うなということで、この法案成立そのものに大賛成であらねばならないという御見解、私も全く同じ立場でおりますんですが、ただ、今この法律が成立する段階になりまして、本委員会でもいろいろ議論してまいりましたのは、適用除外の問題をどういうふうに我々は認識をしてこれから取り組んでいかねばならないかということでいろいろ議論をいたしております。この問題についての先生のお考えをお伺いさせていただきたいと存じます。
#25
○参考人(橋本公亘君) 国民に周知させるということにつきましては、いろいろな機会にやっていただきたいと思うんです。新聞、雑誌、その他広報機関を通じていろいろな機会に徹底させていただきたいと思います。
 業者などは比較的早く認識するだろうと思います。一つ例を挙げてみますと、こんなひどい例もあるんです。都市計画法の開発許可申請を出します場合に、ある地区の地権者の相当数の同意書を添えて出す、こういうことになっております、先生方もいろいろ御経験あると思いますが。その書類を全然関係のない第三者、これは暴力団ですが、暴力団が委任状を持って、これはにせの委任状です、だれが見てもすぐわかるにせの委任状を持ってきて、その地権者の同意書を含む書類を全部持っていってしまった、こういう事例が現にあるんです。こういうようなことがありますが、これに対して肝心の申請者が対応するのに非常に苦労したという例がございます。
 ですから、これは案外早く業者は認識しているんです。申請に対してどういうことを行政庁は義務づけられているのかということがわかれば、どんどん徹底していく。一般の国民も今では権利意識が相当発達しておりますから、これは徹底していくだろうと私は思います。
 それから適用除外の点につきましては、行政というのは非常に種々多様でいろいろな種類の行政がございますから、一般行政手続法ですべてを賄うというようなことは不可能なんです。ですから、これは個々にはいろいろ御議論があると思いますけれども、今回のところはこの程度で一応成立させていただいて、もし将来問題が起こったことがございましたら見直していくということにぜひしていただきたいと思います。よろしくお願いします。
#26
○大久保直彦君 塩野副会長にお尋ねをいたしますが、本委員会の審議の中で石田長官は、この法律が施行された後この趣旨がきちっと守られているかどうかについて年一回ぐらいは何らかの調査をいたしたい、こういう御発言をされておりまして非常に私ども意を強くいたしておりますのですが、実際に現場に携わっておられる先生のお立場からいたしまして、この施行後の問題について、特にこういう点を留意すべきではをいかということがありましたら、この際お伺いをさせていただきたいと存じます。
#27
○参考人(塩野征四郎君) まず、現場の立場なんですが、先ほども申し上げましたように、それぞれのいわゆる担当者がかわりますとこの間まで指導されていたことがころっと変わってしまうというようなことで、非常に困惑しております。そういった面では、やはり課長クラスなり局長クラスなりそういったところで指示徹底をしていただきたいということが私どもの方の常に考えているところでございます。平たく申し上げますと、やはり官庁の方から勉強していただきたいなというようなことでございます。
 以上です。
#28
○大久保直彦君 ありがとうございました。終わります。
#29
○井上哲夫君 井上哲夫でございます。私も連立与党の代表ということですが、所属は日本新党・民主改革連合というところに所属をしております。
 まず、これは条文にも絡むんですが、長く携わってこられた両先生にお尋ねをいたしたいと思います。
 いろいろ言われております行政指導。今、橋本先生の表現では不透明、不公正、無責任と。この行政指導について塩野先生も非常に心配がないわけではないという趣旨だと思われるんですが、今回の法案では、適用除外の第三条で、各項目は第四章の行政指導までかかって適用除外になるわけですね。具体的に言いますと、例えば行政指導そのものも、第四章に書かれているその趣旨は、法文上形式的に解釈するならば、第三条の適用除外条項に関する行政指導は一切関係ないということになります。つまり、依然として野放しというふうにも解釈ができるわけです。この点についてどのように理解したらいいか。さらに、この問題についてどういう課題をもし残したとすれば残っているか。
 先ほど橋本先生は、口頭を原則にしたということは、本来で言うと書面を原則にして例外に口頭にすることも考えられたけれども、欲張っても仕方がない、今回はとにかく懸案の行政手続法を一刻も早く欲しいんだ、こういう趣旨で参考意見を申し述べられたと思いますが、まずその点をお尋ねいたします。
#30
○参考人(塩野宏君) 行政指導の点についてのお尋ねかというふうに理解をいたします。
 まず、行政指導の内容につきましては、これはごらんいただきますとおわかりになりますように、行政指導につきましては異例のことでございますけれども行政実体法が書いてございます。それは、行政指導の一般原則に当たる三十二条から許認可等の権限に関連する行政指導の三十四条まで、これは実は既に要綱案にも、文言どおりではございませんけれども、ほぼ同じような趣旨が出ております。これは私の理解では実は書かなくても妥当する憲法上あるいは一般法上の原則であるというふうに理解をしております。つまり、行政指導については若干の最高裁判所の判例がございますけれども、最高裁判所の判例を法文に書きあらわすと三十二条から三十四条のようなものになるのではないかという理解でございます。
 そういうことでございますから、この法律でたとえ適用除外というものになったといたしましても、それが行政指導の実体を備えているというものであるといたしましてそれが最高裁判所の判決の射程の中に入るということであれば、その適用不適用にかかわらず三十三条から三十四条に掲げてあるような内容については判例上のチェックがあるだろう、裁判所のチェックがあるだろうというふうに理解をしております。
 そこで問題は、むしろ三十五条の行政指導の方式のうちの特に二項、お尋ねの件は二項だと思います。
 これは実は長い歴史がございまして、私は時間の関係で申し上げませんでしたけれども、行政手続法の研究会が総務庁に二度にわたって置かれております。第一次が一九八四年と申しますから昭和五十八年ぐらい、昭和五十八年ごろに第一次の研究会がございました。それで、第二次が平成元年に報告を出しておりますけれども、このいずれも既に行政指導の文書化ということを提案しております。第一次の場合には原則文書化、それから第二次の場合には口頭によるけれども以下のものについては原則文書化ということで来ているわけでございまして、文書化の線はずっと今でも続いているというふうに私は理解をしております。
 ただ、その実現の方法において一律に行政庁に文書化した方がいいのか、それとも事項的に文書化した方がいいのか、あるいは要求に応じて文書化した方がいいのか、これはいろんな議論がありまして、こういった法律案の作成については、当初は学者のみだったわけですけれども、学者のみならず官庁側あるいは受けとめる産業界の側の意見も聞いた上で現在の法案ができているというふうに私は理解しております。
 ただ、これが運用の過程において、従来の行政指導のやり方に両方ともなれ親しんでいるために結果として文書化の意味がなかったではないかということになりますと、それは本来の趣旨に反しますので、そのときはまた改めて考え直すべきではないかというふうに私は理解しております。
 以上でございます。
#31
○参考人(橋本公亘君) 第三条に、「行政指導については、次章から第四章までの規定は、適用しない。」ということで、適用除外があるということについての御質問があったろうと思いますが、以下に掲げる処分につきましては、それぞれいろいろな理由で適用除外にしなければならないということがあると思います。個々にはあるいは議論の余地はあるかと思いますけれども、すべてにわたってこの一般手続法を及ぼすということは不可能だというふうに私は思います。
 それから、文書化の問題につきましては、私先ほど述べましたのでこの程度にとどめたいと思います。
#32
○井上哲夫君 塩野征四郎参考人にお尋ねいたします。
 外国人の帰化等の問題で、第三条の十号ですか、適用除外になっている。実際に実務の中では、今私が塩野宏先生、橋本先生にお尋ねをした行政指導について、現実にこの法律ができたことによってどういうおもしがあるか。私も、塩野先生から今明快にお答えをいただいて、判例上の積み上げによって法の第三十二条から三十四条は適用除外という、第三条で除外されていて、なお判例上の規範力といいますか拘束力が現にあるという理解もできる。できる余地があるというふうに理解した方がいいかもしれません。
 そこで、塩野参考人が先ほど来御意見の中でおっしゃってみえました第三条十号に該当する外国人の帰化等その他についての行政指導で憂慮されるようなことは、今のように解釈すればない、こういうふうに理解してよろしいのでしょうか。実務の中ではどうなっているんですか。
#33
○参考人(塩野征四郎君) 入管法につきましては、平成二年に基準を明確にしろということで新たな法律ができたんですが、実はその基準が上下しまして、担当者によっては一週間も違うと考え方が違うというふうなことが間々あります。また、帰化等につきましては非常に明確になっておりましてそれほど問題がないと思いますが、最近、外国人のいわゆる在留とかそういったことについては、外国人そのものが受ける利益不利益だけじゃなくて、それを雇用したりまた関係する日本国民自体にも相当な影響を与えているというようなことで、今回適用除外になっておるとはいいますけれども、今後吟味されるということですからその辺については安心はしております。
 以上です。
#34
○井上哲夫君 もうあと五分しかありませんので、塩野宏先生と橋本先生にお尋ねいたします。
 先ほど来問題になっております行政立法手続法があった方がいいんじゃないかという意見に対して、いろいろ検討してみてもなお今は宿題にせざるを得ないと。その点は私は質問に入れません。
 次の計画策定手続、これについてもるる検討をしたが、問題は複雑でありかつ諸外国の例を見て、日本が今直ちにこの処分等の今回の法案に一緒に入れるこということはちょっと難しいと、こういう御意見を伺いました。
 そこで、この計画策定手続についてどういう課題を今後残したか。時間の関係がありますので簡潔にお願いしたいんですが、この計画策定手続の一般法化については私も大変難しいとは思っているんですが、むしろ行政機関の持っている情報の公開法といいますか開示法、これによるアプローチの方が適切あるいは課題を解決できるかもしれないという、実は私はそういう考えを持っているわけですが、その観点も含めてお尋ねいたします。
#35
○参考人(塩野宏君) 実は、計画策定手続はいろんな要素がありまして、つまり単に意見を聞くということにとどまらず、意見を聞いた上で決定をしたその計画の効力をどういうふうに見るか、つまりそこで決定をした以上はもう後から文句は言わせないという一種の確定効を持たせるとか、それから計画の場合には、御承知のように例えば原子力発電ですと数十とか非常に大きな決定がありますけれども、それを個々別々にやるのかそれとも一遍に集中的にやるのかといったような、実体法、行政手続法、それから訴訟法といった非常に難しい問題がありますのでなかなか問題の解決の糸口が見つけ出しがたいという問題と、それからもう一つ、こういうものを一般法としてそれをどのくらい仕組めるかなどいう問題があるわけでございまして、これは考え方によりますけれども、むしろ場合によっては個別法の方でまず検討をし、その積み上げで一般法に持ち上げていくかどうか、そういった問題があるということでございます。
 そういうことで、今回見送ったということでございますが、我々としても先ほどから申しておりますように、学界としてもっと一層精力的に研究をしてまいりたいというふうに思っております。
 情報公開との関係は、情報公開はまた非常に広いと申しますか、理念が御案内のように国民の知る権利というところに出発したそれなりの哲学を持ったものでございまして、非常に広いものですから、いろんなところに情報公開によって得た資料を使うということはあります。しかし、たまたまこういった計画策定手続に便宜であるから情報公開問題からアプローチした方がいいのかどうかという点については、私即答をしかねるところがございます。確かに聞きます。聞きますけれども、それでアプローチするのが情報公開の本当のあるべき姿を描くことになるのかどうか、この点については私多少疑念を持っておりますことを申し上げたいと思います。
#36
○参考人(橋本公亘君) まず、計画策定手続の方からまいりますと、ここでは多数の利害関係人の参加という大変やっかいな困難な問題があると思います。実はいろいろな問題につきまして、多数人がある政策決定をつぶすために動員されるということがございます。ですから、やり方によってはもう身動きがとれなくなる可能性もないわけではないというようなことを一つ考えておく必要があるのではなかろうか。
 それから第二の情報公開法の問題につきましては、私は行政の透明化の向上のためにぜひやってもらいたい。既に地方公共団体では情報公開についての条例を多数つくりまして現に大体うまくいっていると思いますが、国のレベルにおきましても情報公開法というものを制定することはプラスになると思います。
 以上です。
#37
○井上哲夫君 ありがとうございました。
#38
○聴濤弘君 日本共産党の聴濤弘です。どうぞよろしくお願いします。
 塩野宏先生に最初にお伺いしたいと思います。
 先生は一番最初の御発言の中で、今度の法律の基本的な諸規定が国だけではなくて地方自治体、地方権力にも適用されるべきであるというふうにおっしゃったと思います。
 その点についてちょっとお伺いしたいんですけれども、実は二日のこの委員会で質疑をやりまして、そういった問題がちょっと議論になりました。ですからお聞きするわけなんですが、地方権力にも適用すべきだとおっしゃったのは、いわばこの法律の精神を体して今後やっていくべきだという精神的な面でおっしゃられたのかと思うんですが、それか、本法律が当然地方自治体にも及んでいくものだという立場でおっしゃられたのか、その辺ひとつお聞きしたいんですが。
#39
○参考人(塩野宏君) 答えを先に申しますと、前者でございます。
 この法律は、地方公共団体の機関の行うすべてではございませんけれども、端的に申しますと、条例に基づく処分それから行政指導についてはこの法律は適用しないというのが三条の二項でございます。しかし、そのかわりにと申しますか、他方で、地方公共団体にもぜひこの趣旨の公正・透明さを図ってもらいたいというのは、これは私の年来の主張と申しますか考え方でございます。それはどこからくるかと申しますと、先ほど申しましたように、地方団体の権力であれ国の権力であれこれは公権力でございまして、その公権力に国の権力は悪いけれども地方公共団体の権力はいいという理屈はないというのが私の持論でございます。
 しかし、特に条例に基づく処分あるいは行政指導について地域の実情に応じでどのように公正・透明な手続を生かしてつくり上げていくかということは、地方自治の本旨に基づいて地方公共団体にお願いをするというのがこの要綱案の趣旨でもございましたし、それからこの法律の趣旨であろうと思います。
 では、それじゃどういう形になるかという場合に、この法律が一種のナショナルミニマムなんだからこれをそのまま条例化するのが趣旨であるとか、あるいはこれより下回る条例をつくるとそれは違法だとか、そういう議論を聞くこともございますけれども、私はそうは理解はしておりません。これは国のスタンダードをつくったものでございますから、地域の実情に応じてそれこそ地方の知恵を出し合って公正・透明な手続をお考えいただければそれでいいのではないかということでございます。
#40
○聴濤弘君 同じことですけれども、橋本先生の御意見を。
#41
○参考人(橋本公亘君) できれば国だけでなく地方にもすべて及ぼすことがよいと思いますが、地方公共団体の中には小さなものもございますし、いろいろあるので、若干の時間が欲しいということではなかろうかというふうに私は考えるんですが、これを徹底させるためにも多少の時間が必要でしょうし、将来は国、地方を通じて同じような制度があってもいいのではないかと私は考えております。
#42
○聴濤弘君 次に、塩野征四郎先生にお伺いをいたします。
 この適用除外の問題の税務の関係のことなんですけれども、今度、税務行政が基本的には適用除外ということになっているんですが、法律の三十二条、三十三条、三十四条、三十五条の第一項の行政指導の理念的な規定、これは税務行政にも適用されるということなんですが、端的に申しまして、そういう点が適用された場合に税務行政の実務の面でどんないわばいい影響があらわれてくるんだろうかということですが、どのようにお考えでおられるか、御意見をお聞かせいただきたいと思います。
#43
○参考人(塩野征四郎君) 適用除外というのはこれ以上ふやさないようにしていただきたいのが我々の考え方です。
 次に、税務行政に関してですが、あくまでもこれの根幹となるものですから、我々一般の市民として考えた場合に、先ほども話が出ましたようにやはり市民そのものが役人の方を向いているのかというようなことになってくる場合に、どうしても指導にかかってしまって実質的には言うことを聞かなければならないだろうというようなことが常に頭にあったわけですが、このたびのそういった理念規定によってかなり主張ができるというふうに考えておりますし、また、税務行政に携わる税の専門家等にもお聞きしましだら、このたびのこういった理念規定につきましては歓迎しておる、こういうふうに伺っております。
#44
○聴濤弘君 今の御説明はそれでわかりました。
 私は質疑のときに、変わる点があったらちゃんとしたこういう点が変わるんだということを通達としてでも出すべきだということを主張した者ですが、それはさておきまして、そういう点での影響というのはあるにしても、基本的には税務行政というのは今度適用除外され、本法でもまた整備法の面でも両面で適用除外されているということですが、税務行政というのは国民の営業、生活、財産にかかわるもので、国民の権利利益を保護するというこの法律の精神からいった場合に、私の立場で言えば、何よりもまずこの法律が税務の面で生かされなければならない分野だ、そういうふうに考えるわけです。ところが、これが適用除外されている。
 その場合に、適用除外されている理由として、別の法律があって、国税通則法とかというのがあって、そこでいろいろ規定されているからだという一つの理由が立っているんですね。ところが、国税通則法では、例えば質問検査権を行使する場合の事前の要件、事前の手続というようなことは規定はされていないというそんな状況であるわけで、矛盾だというふうに私は感じているわけです。
 これも二日の委員会でいろいろ質疑をしたところなんですけれども、そういう状況で、やはり国民の最も権利保護にかかわる分野なんですからこの分野にこれは適用すべきだ、そして国税通則法を初め必要な法律を改正すべき点は改正すべきだというふうに私は思っているんです。
 この点で、まず直接いろんな実務に携わっておられる塩野征四郎先生の御意見を伺い、あとまたお二方の御意見を伺いたいと思います。
#45
○参考人(塩野征四郎君) 矛盾は確かにあると思います。その中で、他の法律でどうしても適用できないということがあるということも調べの中でわかりました。ですから、今後これを適用除外からできましたら外していただければという考え方もあるんですが、今のところ私どもの方では、専門家を通じても理念規定で十分だろうという考え方で進めております。実務者としては今のこの条文で十分だというふうに考えております。
 以上です。
#46
○参考人(塩野宏君) まず、前提問題として二点先に申し上げさせていただきたいと思います。
 質問検査につきましては、これは行政調査ということで、今回の行政手続法では議論はいたしましたけれども、適用が三条でもともと外れているという問題がございます。今回の行政手続法案の中に調査は入っていないということでございます。
 それからもう一つ前提問題として、一般法を適用するか、それとも個別法にゆだねるか、あるいは適用除外するかという問題はいろいろ議論のあるところでございまして、一般法は、どうしてもそれこそ一般でございますので、個別の行政需要と申しますか行政のあり方にそぐわないところがあるという場合に、それを余りにも押しつけることはよくないという問題があると同時に、全部特例特例と言われたのでは一般法の意味がなくなるという大変難しい問題がございます。
 そこで、この問題については以前からどういう範囲のものを適用除外するかということでいろいろ議論になったときに、一つの議論としては、独自の手続体系を持っているものについてはそちらの方で考えてもらおうという筋が一つございました。それから、それと関係していることでございますけれども、処分にもいろいろなものがあるので、例えば金銭にわたるようなものについては事後手続も含めて考える必要があるのではないかというような議論もございました。そこで、今御指摘の国税に関しましては、これはそれなりの特別の手続体系があるから適用除外をするというその類型に当てはまっているものというふうに私は理解をしております。
 それでは、独自の手続体系があるから適用除外をするということの意味が、それでは現状のままでいいということかというと、この手続法はそう言っているわけでは毛頭ありませんで、手続体系を持っているところはそれなりに行政手続法の趣旨に応じて吟味をする必要があるというのが前提で、この手続法の読み方だと思います。
 そこで問題は、では国税通則法でそういった手続規定がどうなっているかというそちらの方の問題になっているというふうに私は思います。
 現行法で適用除外がされているというのはいろいろな理屈があろうかと思いますけれども、先ほどちょっと申しましたように、国税の場合には事後手続というものがかなり整備されているものであるという問題と、それから申告納税という申告という手続があるということ、それから、事後手続の関係で言えば、最初の処分というものを通常の行政手続法の処分と同じように考えていいかどうかというなかなか難しい問題がありまして、こういったもろもろの難しい問題がある中で、現時点での立法のあり方ということで整備法の整備がなされているというふうに私は理解をしております。
 繰り返して申しますけれども、国税のみならず一般に適用除外となったものについては公正・透明性の向上というものが要らないということを言っているつもりは手続部会報告でも全くございませんし、今回御提案の行政手続法案でもそのように理解すべきだというふうに私は考えております。
 以上でございます。
#47
○参考人(橋本公亘君) 大体ただいまの塩野参考人のおっしゃられたことに同意であります。
#48
○委員長(岡部三郎君) 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。
 参考人の方々に一言御礼を申し上げます。
 本日は、長時間にわたりまして御出席を願い、貴重な御意見をお述べいただきましてまことにありがとうございました。委員会を代表して厚く御礼を申し上げます。
 午後一時に再開することとし、休憩いたします。
   午前十一時四十分休憩
     ――――◇―――――
   午後一時一分開会
#49
○委員長(岡部三郎君) ただいまから内閣委員会を再開いたします。
 行政手続法案及び行政手続法の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案、以上両案を一括して議題とし、前回に引き続き質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#50
○木宮和彦君 いよいよ大詰めに参りました本法案でございます。この法案はもういろいろ審議が長い間され、なお最初は三十九年ですから三十年近く一生懸命努力した結果やっと陽の目を見るという法案であろうかと思います。私もこの法案につきましては大変うれしく思っている一人でございます。
 きょうはこの法案の最後の質問でございまして、与えられた時間も一時間でございますので、本来ならば合馬先生がまだ聞き残した各省庁の対応をお聞きするのが筋かもしれませんが、せっかくお忙しいところを長官お見えになっておりますので、ぜひとも最後の締めにふさわしいような質問をまず最初にひとつやらせていただきたいと思います。
 この法案が今回特に強調していらっしゃいますのは、既にわかっておりますが、申請者に対する処分あるいは不利益の処分をどう直すか、あるいは今回行政指導といった非常に大きな問題に取り組んだ問題だと私は思います。特にこの最後の行政指導というものは今までもいろんな意味でやられておりました。特に許認可のときには大変これが威力を発揮しておりまして、実は私、自分のことを申し上げて大変恐縮でございますが、私は実は昭和二十四年から学校経営の道に入りまして現在なお続いております。その間四十四年間、今現在幼稚園が二つ、小学校が一つ、中学が二つ、短期大学が三つ、大学が二つ、高校が三つと十三ありますから、それぞれの学校の申請を実は手がけてまいりました。それだけではなくて、学部増とか学科増をやるとまた同じような手続をするわけでございますので、一生涯この学校の認可とかかわり合った一人でございます。
 きょうはそういう意味で、今までの四十四年間の恨みつらみを言えば一日かかってもまだ終わらないんじゃないか。一時間の間質問することがなくなっちゃうものですからそうはまいりませんけれども、しかし実際に手がけて、これは文部省だけじゃなくて、その前にはいろいろ開発工事であるとか建築の確認であるとかあるいは消防法の問題であるとか農地転換の問題であるとか、いろんな各省にわたる問題を抱えながらやってきたのが事実でございますので、いいことも悪いことも私は自分で熟知しているつもりでございます。
 ところで長官、この法案ができますと透明性が増す、私は確かにそうだと思います。しかし今までは逆に、そう言うと怒られますけれども、お役人さんがこそこそやって上手にそこを調整したりなだめたりあるいは褒めたり、あるときにはこの行政指導というものを盾にいたしまして言うことを聞かせるというか、そういう面も強調されたことは事実でございます。しかし、これからは相当さま変わりするだろうと私は期待していますが、いい方に行くのか悪い方に行くのか。逆に、今度は行政側がこれを盾にして、何といいますか、今まではこそこそやっていたのが今度大っぴらにやるようになる可能性もなきにしもあらずと私は思うのでございます。それはそれでいいと思います。
 この法案が成立した後には総務庁としてはいかなるふうにお進めになるつもりなのか、確たるひとつ方針がありましたらお答えを賜りたい、こう思います。
#51
○国務大臣(石田幸四郎君) 木宮先生、学校経営の中で長い間御活躍をいただいてきたことについては承っておるわけでございますが、その間にやはり学校の経営について、新しい学部を一つつくるについても行政との関連で大変な御苦労があったということは想像がっくわけでございます。私も何件がそういった点について御相談を受けたこともございますので、その間の御苦労については若干ではございますが承知をいたしておるところでございます。
 今度のこの行政手続法、今御審議をいただいておるわけでございますが一この行政手続法が成立をいたしますれば、何といいましても、例えば申請から一つの決定が出るまでの期間、こういったものの標準的な考え方をお示しすることになるわけでございますので、そういった意味では、国民の皆さんの側からのアプローチもかなり透明性を持って受けとめていただくことができるであろうというふうに思うわけでございます。また行政指導については、今までもそういった学校経営の中におきましても行政指導の中で行われてきた部分が相当に多いというふうに承知をいたしておるわけでございます。
 そういう中で、一つの基本的なルールづくりをしようというわけでございますので、やはり行政側は行政側としての、この申請に対する処分の問題、あるいはまた許可の取り消しや不利益処分に関する問題にいたしましても、あるいは行政指導に関する問題にいたしましてもかなりきちっとした対応をしなければならない、国民の皆さんに十分理解できるように格段の努力を払っていかなきゃならないわけでございますので、これは行政各省庁と十分にまず準備の期間におきまして打ち合わせをさせていただきたい、こんなふうに思っておるわけでございます。
 前回も御答弁申し上げましたように、さらにこの施行後も、その法律に書かれた規定が十分に実施されているかどうかの問題についても事後的にきちっと把握をしながらさらに指導をし、調整をしていかなければならない問題があるというふうに心得ておる次第でございます。
 一方におきまして、やはり各省庁全般にわたる行政の問題でございますから、それを受ける国民の皆さん方も大変広範囲になると思うわけでございます。ですから、そういった国民の皆さんの御要望についても苦情処理機関等を十分に活用しまして、また地方にもそういった相談の窓口が開かれておるわけでございますので、そこら辺の事情も十分にお伺いをしながら国民の皆さん方の御不満が解消できるように、これもまた相当な努力をしなければならないのかなというふうに思うのでございます。
 しかし、いずれにいたしましても、この内容がはっきりいたしますれば国民の皆さんの利便に供する面も非常に多いわけでございますので、これは国民の皆さん方の御理解を期待しながらきちっとした対応をしていきたい、こんなふうに考えているところでございます。
#52
○木宮和彦君 ありがとうございます。
 きょう午前中に実は参考人をお呼びいたしまして、諸先生方の御意見も伺いました。とかく我々の被害意識はあるかもしれませんが、日本語で世界に通用するのは昔はフジヤマ、ゲイシャ、そういう言葉でございまして、しかし最近ヤクザであるとかダンゴーだとかそれからギョーセイシドーとか、イメージの悪い言葉が海外に乱発しているというように聞いております。私は実際にそれは知りませんから、物の本に書いてあるからそうかなと思っただけでございますが。
 行政指導に私は大変こだわりますけれども、行政指導というのをやるときには、今回の法律は認可を申請する人の申し込みによって書面で書きなさいと書いてある。だけれども、本来行政指導をやる場合にはあらかじめ書面で示すのが筋ではないか、これが私の主張なんでございます。参考人の方々も、その方がよりベターであるけれども、今回の法案はもう通してくれ、これをくちゃくちゃ言っちゃ困るんだ、むしろ早く通して、また次の段階にやるべきであるという御意見だと私は聞き取ったわけでございます。それはそうだと思います。
 いずれにいたしましても、今までの官の行き方を決して悪く言うわけじゃございませんけれども、やはりある意味で日本人的といいますか、非常に自分でもって日本をよくしなくちゃならないという、そういう使命感に基づいていると思います。我々役人がともかく一生懸命やらなければ日本はだめになっちゃうんだと。民はある意味においては黙っていると何をやり出すかわからぬ、あいつらは悪いやつが大勢いるんだから、だから我々が一生懸命やっぱりそこをセーブしていかないと日本が悪くなる。税金もそうだと思いますが、黙っていればみんな税金をごまかすから、申告をごまかすから、こういうところから発足していろいろな面でトラブルが起こっていることは事実だと私は思うんです。
 そういう意味で、やはり国民を官も信用して、そしてまた氏もやはり官に対して尊敬を持って、今後行政指導をしてこういう許認可の問題についてみんなが同じような扱いをされて、ある人はどうもうまくいったけれどもこっちはだめだということじゃなくて、悪ければ悪いだけにやっぱり書面をもって指導をしてもらう。しかも、私の場合もそうですが、例えば学校の場合でも、同じようなことで前回経験がありますから今回もそれと同じようにやると、前回と違う行政指導が間々行われる。そうすると、全くそこでもって物の考え方を変えなくちゃならないという、非常に私立学校にとっても不便な点が多々ありました。
 学校の場合には、国公立と私立があります。放送の場合にはNHKと民放があるし、それから運輸の場合だったら国鉄、今はなくなりましたが、JRと私鉄というのがございます。要するに官と民が同じような仕事をやっております。どちらがいいか悪いかということを私は申し上げません。しかし、どう考えても、国鉄がJRになったし、それからまた郵便局もこのごろはクロネコにやられていますし、そういうことを考えていきますと、やはり今ここで民の力を十二分に発揮して活用しないと日本の活性化はなくなるのではないか、こう思うので、何とかひとつ行政指導については、やはりよりクリーンにより透明的にやっていただくように御指導を賜りたいと思いますが、それについて長官に。
#53
○国務大臣(石田幸四郎君) 全く木宮先生の御指摘のとおりだというふうに思うわけでございます。日本は敗戦の経済混乱の時期がございましたので、その体制を立て直すためにはやはり社会の基本である経済を活性化させるためにいろいろな規制を設けながら、むしろその規制によってそれぞれの産業が発展をするような仕組みを長い間つくってきたと思うわけでございます。
 それはそれなりに大きな成果があったわけでございますけれども、まさにイデオロギーの対立がなくなって、市場経済というものが社会主義国にも採用されるような時代になってまいりましたし、また世界の経済との交流というものがますます活発化していくというような状況でございますし、また民族同士のいろいろな交流も盛んになってきたわけでございますので、そういうような情勢を考えてみますと、私はやはり官側から一つの考え方だけを押しつけていくのでは社会の活性化に資することはできない、そういう面もむしろこの時代になりますれば大きく膨れ上がってきたのかなというふうに思うわけでございます。
 そういう意味におきましては、できるだけやはり規制を外しまして、そうして民間の自由なる発想に基づく活動を活性化させることが日本全体、世界全体にとっても共通して必要なことではないかというふうに思っているわけでございます。
 そんなことで、今政府としましては、この規制緩和は行政改革の大きな柱の一つというふうに心得ております。第三次行革審からもいろんな答申をちょうだいいたしておるのでございますけれども、この積極的な推進を図りたいということが第三次行革審の答申の中にもございます。
 この点、実は昨日、総理とたまたま御懇談をする機会がございましたので御報告を申し上げたわけでございますが、従来、ともしますと、仮に総理大臣を中心とした推進本部等をつくった場合、形式的な閣僚の発言、それぞれの省庁が練りに練って最後の結論を閣議で発言をするというような仕組みがかなり横行していると言うと言葉が悪いんでございますけれども、そういう習慣になっておるわけでございます。これでは十分な規制緩和の推進に資することができないんじゃないか、やはり一時間なら一時間の時間を持ったときにはちゃんとテーマも示し、また議論をしていただく内容についても若干あらかじめ御通知を申し上げながら、閣僚同士の活発な意見を集約しながら行政全体をリードしていくというような、推進本部をつくったらその運営要綱みたいなものをつくりたい、またそうあるべきではないだろうかということを私は総理にも率直に御意見を申し上げたところでございます。
 そういうような一つの新しい試みに挑戦をしながら、行政改革全体、緩和推進に努力をしてまいりたい、こんなふうに決意をいたしているところでございます。
#54
○木宮和彦君 ありがとうございます。
 大変こだわって恐縮でございますが、行政指導というものは、今まではともかく許認可の場合にはいわゆるその担当係官の指示に従って、その担当係官も時と場合で前に言ったことと今度言うことと違っているみたいに、あるいは逆に、いろいろあります。ちょっとそのときの思いつきで言ってみたり、あるいは廊下でもってこれはこうした方がいいよと親切で言ってくれる場合もある。ところが、いずれにしてもともかく認可を受けようという人は必死なんです、はっきり言って。非常に弱い立場であるし、言ってみれば怖い、怖いというのは何ですけれども、まさに怖いです。
 私もかつて文部省の玄関でずっと一階の廊下、汚いですな、あそこの役所は。あそこに行くと何か牢屋に引き込まれていくようなそんな、それであそこに喫茶店がございます。そこで一杯コーヒーを飲んで自分でもって言い聞かせて、さああそこへ行こうと思ってそして行ったことを、若いころですが、今はそんなことありません。今はだんだんずうずうしくなりました。一度国会議員になってああいう人と対等に話をしてみたいなと思ったら、やっとそれがかなえたというふうな心境で、別にそのためになったわけじゃございませんけれども、ややそういう感想を今持っております。
 ですから、やはり皆さんがいろんな意味でかなり立場を悪くする、これはこの法案ができようができまいが同じことだと思います。私はもし行政指導をされるのならば大いにやってもらいたいけれども、しかしそれはあくまでその係官あるいは責任者の担当官のことじゃなくて、私に言わせれば局長以下すべてこれはそこの省のいわゆる行政機関は大臣の補助機関である。やはりそれは集約して、省で一緒に決めて、そしてやってもらいたいというのが私の希望なんですけれども、これは行政指導に対するこれから出てくるであろう一つの考え方の基本になるものでなくちゃならないと私は思うんです。その辺をひとつ、総務庁としては大いに他の省庁に対して、教育という言葉がいいか悪いか知りませんが、ぜひ強調してもらいたい。
 私も実は立場がちょうど二重人格みたいなもので、今度は父兄や生徒に対しては入学、卒業、退学なんというときにはまさに役人みたいなものになるんです。大変私は今その意味で自分でも矛盾していると思いますが、申請するときには富士山の下から眺めて、役人さんは一番てっぺんからヘリコプターの上から見ているので違うのは当たり前なんです。しかし、そのときにやはりお互いに信頼関係があればこれから許認可の問題がうまくいくと思うんです。
 ぜひその行政指導についての一貫性、これについて御指導を賜りたいし、また各省庁にひとつ、総理大臣もそうおっしゃるんですから、首相初めみんなでもってひとつこの法案を契機にこれからは行政を改革するんだ、行政指導も今までの方針とは違うことをやるんだということをうたいとげてもらいたいという、大変身勝手な言い方かどうか知りませんが、ぜひお願いしたいと思うんですが、いかがでしょうか。
#55
○国務大臣(石田幸四郎君) まさに私どもは国民の公僕でなければならないわけでございます。このことは今までも何回も議論をされてきた問題でございますから、お互いに行政を執行する側としては観念的には頭の中に入っていることであろうというふうに思うのでございます。
 しかし、それが現実のいわゆる業務執行ということになりますれば、間々やはり機械的になり、法律にこう書いてあるからとか、あるいは省の方針であるとかいうようなことで申請側に対して厳しく当たる、あるいはいろいろな意見を言いながら、さらに申請から許可までの期限が何となしにどんどん延びてしまうとかいうようなことも確かに私はあったであろうというふうに推測をするわけでございますが、これは公僕としての私たちの行政執行の立場から考えますと、やはり基本的な心のあり方として十分に議論をしていかなければならない問題であろうと存じます。
 先生の御指摘を受けまして、今度の準備期間の一年間の間にそういった問題も十分話し合えるようにいたしてまいりたいと存じます。
#56
○木宮和彦君 本当にこだわるようなことで、私こういうしつこい男じゃないんですけれども、大変恐縮でございますが、やはり今までも実績がた。くさんあるものだからついしつこく言わざるを得ないので、きょうは運輸省あるいは農水省もいらっしゃると思いますけれども、例えばの話、タクシー料金もそうですね。同一地域で同一運賃、これは別に法律にあるわけじゃないし、どこを探したってそんなものがあるはずはない。要するにこれは運輸省が業界をそういうふうに指導してやっているだけの話なんです。これはやはり私は不自然だと思わにゃいかぬと思うんです。
 私は民間人でございますから、我々が賃金を決めるときも労使でもって決めるんですね。労使で決めるときに何を基準に決めるかというと、やっぱり支払い能力だとか、父兄の負担、学校の支払い能力があるか、あるいは隣の学校の社会的な相場といいますか、そういう相場、あるいは先生たち、従業員の生活、家計から大体どのぐらいがいいだろうというようなことを勘案しながら、世間相場を見ながらやるんです。結果的には似たような待遇になると思いますけれども、タクシーだってそれでしかるべきであって、全く同一地域が同一でなくちゃならないというような指導というのはちょっと私は余りにも官が出過ぎているじゃないかと思うんです。
 あるいは農水省でも減反政策、減反しろなんというのはどこにも書いてありません。さっきのタクシーの方でも、逆に言うと、あれは違反行為と言っては何ですけれども、ある意味においては競争を妨げるといいますか、独占禁止法にあるいは触れているかもしれませんし、また米の減反問題だって食管法あるいはその他を見ても、増産しろとは書いてあるけれども、減反政策をしろなんてない。しかしそれはあめとむちでこれをやはり全国にやらせている。
 ですから、行政指導というものはあくまでも二面性がありまして、もろ刃の剣みたいなもので、ある意味においてはこれはいい面もあれば悪い面もある。ですから、そういう顕著な例がたくさんある。しかも、減反政策に成功していればいいですけれども、今回みたいに不作になっちゃうと、さあ今度は輸入だ何だって、てんやわんやでみんなやっておるわけです。
 やはり、そういう意味では、一人一人の国民を信用して、その政策は結構ですけれども、そこに裁量権といいますか、皆さんがやることに対して最低限度は認める姿勢というものが官にないと、これだけ世界が発展して世界との交流もこれだけ出てくるんですから、やはり日米構造協議もそのあらわれだと思いますけれども、そういう意味で、この法律案が通りましたらそれを機会に、総務庁は責任があるわけですから、特に長官は責任があるんですから、ぜひひとつ今後のあり方を、決意を述べていただきたい、こう思うんですが、いかがでしょうか。
#57
○国務大臣(石田幸四郎君) 行政指導をめぐるいろいろな角度からの御指摘がございました。行政指導がもろ刃の剣になっていることはいろんなケースの中で私も話を聞かされる場合がございました。そういった問題を踏まえて、私どもとしても、これは各省庁の中でいろんなケースを持ち出し合って十分お互いに基本的な理解を深めていくということが大事ではないのかということを今先生のお話を承りまして痛感いたした次第でございます。
 どういうケースが議論の対象になるかは定かではございませんけれども、ここら辺は今後総務庁として、この準備期間の一年の間にいろんなケースを想定いたしまして、行政指導において誤りのなきよう十分なひとつ配慮をしてまいりたい、このように決心をいたす次第でございます。
#58
○木宮和彦君 それでは、建設省来ておりますね。今問題になっているいわゆるゼネコンの談合問題なんです。
 これも私はある意味では、やっぱり行政指導の行き過ぎがここへ来ていると思います。現在いろいろ新聞紙上ではこれから一般入札にするだとか、指名はこれからやめる、全面的にやめるわけじゃないと思いますが、この問題について、今、日本を代表するような大きなゼネコン三社幹部がみんな逮捕されてみたり、あるいは知事さん、あるいは市長さんが逮捕された大変な不祥事で、これに対して割合とマスコミもあるいは与党も我々野党自民党も声が余り出てこない。これはやはり今までのいわゆる行政指導というものがかなりの重みを持っていて、自分もいじめられたこともあるが、あるいは逆にいい目も見ておりますので、お互いに言わずもがなでしゃべるのやめようやというような、そういう嫌いがあるんじゃないかなという私は気がしてなりません。
 しかし、この間建設大臣が、建設省の役人に対してこれは責任を明確にすべきだということでみずから何とか、しかし、人事院の方でそうかといって具体的な例はないんだからこれは処分するのは難しいというようなことも伝わっております。
 学校で言いますと、ちょうど父兄の子供が万引きしたようなもので、親に責任があるかないかというのは大変難しい。親がおまえとってこいと言えば、これはもう責任がありますが、そうじゃない。とっちゃいけないよいけないよと言っているわけです、はっきり言って親は。にもかかわらず子供はやっちゃうわけですね。そのときにやはりそれは親が悪いんだ、おまえらがぜいたくするからそうなるとか、あるいは金を与えないからそうなるんだとか、そうは言い切れません。
 ちょうと言ってみれば建設省さんにとって今度の問題は、私らはそんなことを指導した覚えはないとおっしゃるでしょう、多分ね。だけれども、そうじゃなくて、そこは監督官庁として非常な責任があるわけですから、きょうは建設大臣いませんけれども、役所としてもこの談合問題、それから入札問題、どういう展開で今後明るくやられるのか。これこそこの機会に、こういう新しい法律ができることによって行政指導のあり方についてひとつ見通しが立っておりましたらお教えを願いたいと思います。
#59
○説明員(竹歳誠君) お答えいたします。
 現在、先生御指摘のように、ゼネコンの汚職等一連の不祥事が生じているということにつきまして、建設省としては、基本的には入札契約手続の透明性、競争性を高める、こういうような方向で、中央建設業審議会というのがございますが、そこに特別委員会を設けていただきまして御審議をいただいておるところでございます。
 公共工事の発注につきましては、先生御承知のとおり、国民の貴重な税金を使って行うものでございますから、従来から技術力にすぐれ経営的にも安定している建設業者に対しまして適正な競争を通じて発注をするということで指名競争入札というものを基本としてまいりました。この指名競争入札は、大正十年の会計法改正以来から数えても七十年間公共工事の発注の基本とされてきたものでございまして、社会資本整備のおくれている我が国におきまして早急に社会資本整備をしなくちゃいけないという意味で、いいものを効率的につくるという観点から見ますと大変大きな貢献をしてきたと思います。
 また、建設業と申しますのは九九%が中小企業の方でございます。多くの方はまじめにこつこつと仕事をしておられるわけでございまして、地域におきます雇用、経済を支えるという意味で非常に大きな役割を持ってきておられるわけでございますが、こういう方々につきまして秩序ある競争を通じてその健全な発展にも役立ってきた、こう考えております。
 しかしながら、最近の一連の不祥事を見ますと、このような指名競争入札の制度の本来の趣旨でございます公正中立という点から見ますと、このような制度の趣旨に外れたような運用が見られたということは事実でございまして、現在中央建設業審議会で御審議をいただいておりますのも、信頼のできる業者を選ぶと同時に不正の起こりにくいシステムにすべきである、冒頭申しましたように透明性、競争性の高い競争契約制度にすべきであるということで現在御審議をいただいているわけでございます。
 基本的には現在の大きな方向としましては、大型工事につきましては条件つきの一般競争入札、それから中小規模の工事につきましては透明性、競争性を高めた指名競争入札、こういうような基本的な方向で現在御検討がなされているところでございまして、年内には中建審としての御結論をいただける、このように考えているところでございます。
#60
○木宮和彦君 一般入札になるのか指名入札になるのか、それは両方だと思いますし、またほかに違う方法だってまだあると思うんですね。今、国の仕事とか地方公共団体が公共事業において、入札において頭金だけで見積もりの中を検討するというようなことはかってされたことはあるんですか、一つの仕事に対して。
#61
○説明員(竹歳誠君) 先生の御指摘の一般競争入札、それから指名競争入札以外にも競争契約の方法があるかということでございますが、会計法におきましては、例えば災害時等におきまして緊急に業者を決めなくちゃいけないというときには随意契約というような形でできることになっておりますが、基本は今までは指名競争入札契約ということでございます。
#62
○木宮和彦君 その唯一の指名競争入札が今ちょっとおかしくなっちゃっているので、これを解決していくというのは大変だと思うんですね。しかし、やはりこれは国民の税金ですから、先ほどあなたがおっしゃったように。ですから、どうしてもこれは不正な行為がないように、ちゃんとしっかりまじめに入札した、あるいは見積もりをとってしっかりやったところにちゃんと仕事が行くような、きょうの新聞にも出ておりましたが、不調になってそれを二回三回繰り返したけれども本命はいつも変わらなかったというようなことが歴然としているというときには、むしろ逆にもう行政指導でそれこそそれは抜いてほかのやつでもう一回やらせるとか、やっぱり変化球みたいなもので、野球のピッチャーと同じで直球ばかり投げちゃいけないんで、時には変化球を投げて、そして時々そうやってやらないと本当の意味でやはり癒着が直っていかないんじゃないか、そうなるとまた違う問題が出てくるかもしれませんけれども。
 いずれにいたしましても、公共事業に関する問題でございますので、大変国民も関心を持っているし、我々も持っておりますので、何とかひとつ合理的に、しかも国民に非常に喜ばれるような新機軸を建設省の方々頭がいいんですからぜひひとつ考えて、いつでもそのときには法案に我々も賛成して、何とか正常な入札ができるようなそういう方式をぜひお考え賜りたいと思います。
 それからもう一つ、建設省。建設業の何といいますか自由競争の原理があるんですが、外国の業者あるいはコンサルタントですね、この業者が入ってくることに対してかなり開かれつつあると思います。今後の予測といいますか、今後の展開といいますか、そういうものについて、私はなるたけ外国でも優秀なコンサルタントなりあるいは建設業者があるなら、日本と競争させて日本が勝てばいいんだから、それが勝ちそうもないから邪魔するじゃ困るんで、その辺はどうなんですか。
#63
○説明員(竹歳誠君) 先生御指摘のコンサルタント業務についてでございますが、これにつきましては外国企業自身得意とする分野であるとの意識が大変強うございまして、またそれだけに我が国建設市場に対します参入の期待というのも大きいところでございます。
 したがいまして、先般十月二十六日でございますが、公共事業の入札・契約手続の改善に関する行動計画の骨子というのが発表されたわけでございますけれども、この中におきましても設計、コンサルタント業務の適正化という項目を設けまして、これについても今後十分検討していくということになっております。
 先ほど申し上げました中央建設業審議会の特別委員会におきましても、この発注業務の適正化について今後御議論をいただくことになっておりまして、これも年内に結論をまとめていただき、明年初頭に策定される予定になっております行動計画、この中に反映させてまいりたいと考えております。
#64
○木宮和彦君 文部省来ていらっしゃいますね。文部省じゃなくて総務庁でも構いませんが。
 私も大学の設置委員会について何回か経験しておりますので余り具体的なことを言いますと支障があるといけませんので言いませんが、ただ、私はひとつ文部省さんに要請もしたいんです。私立学校を認可する場合に、役人さんの頭の中の半分以上、前頭葉の半分以上は国立大学が常について回るんですね。ところが、私に言わせると、私立大学と国立大学とは全然これはもう根っこが違うんです、はっきり言って。私はよく言うんですが、私立学校というのはある偉い先生が一人いて、例えば早稲田には大隈重信がいるし、慶応で言えば福沢諭吉がいる。そういうことで、その人の徳を慕い、その人の学問を慕って集まってきてだんだんできたわけです。それが私立学校のルーツなんで当たり前ですよ。
 国公立はそうじゃない。国の必要に応じて、ここに人口がふえた、あるいはこういうものを盛んにしようというのでやるんですから、言ってみれば国立大学というのは人じゃなくて物が先なんです。予算が先で、土地、それから人間が集まってきて、そこへ生徒が集まってくる。私立学校はそうじゃなくて、人が先で物は後からくっついてきているんですよ。ですからもう全然違うんです。
 ですから、同じ先生でも、やっていることは同じなんですけれども、私立の先生と国立の先生ではこれはもう身分が違うんですよ、はっきり言って。身分が違うというのは、要するに法律が違うんです。こっちは国家公務員法である、こっちは労働基準法なんです。こっちはストができるんです、こっちはできないんです。だから、国公立の先生は民間の学校の先生に比べれば力は半分しかないんです。
 そういう意味では、私立大学の先生の方が偉いんです、偉いと言う生言葉は悪いですけれども。偉いんですけれども、しかしそういうときに文部省の審議会の先生はほとんど、全部が全部じゃないですけれども、私立の先生もいますけれども、私立の先生とは言いながら、元国立大学の先生を定年でおやめになってどこかの私立学校へ行って学長をやられている先生みたいな人が大体審議会委員になるんです。そうすると、自分たちのやってきた経験法則がいいと思い込みますから、だから私立学校も何だか国立学校にまねたようなことをしないといけないような行政指導になってしまう。
 その典型的ないい例が、例えば学長の選任規則をつくりなさい、そういうときに、まあこれは後はどうなってもいいけれども、ともかくやっぱり公選制がいいんじゃないかと。だって私立学校で公選制、初めに先生もいませんのにそんな規定をつくって申請すること自体がナンセンス。そういう意味で、やはり文部省の係の担当官もよく勉強してもらわなきゃいかぬ、これがまず第一。
 それから、それぞれ私学審議会というのがございます。そこが一応審査してやるんですが、これはあくまで隠れみのでございまして、こんなこと言っていいのかな、やっぱり実際は手が入って、これはもうだれも知っていますからあえてここで否定することもないと思いますが、やはりそういう意味で本当に血の通ったような許認可をこれから、厳しくていいんですよ、厳しくても結構、ただ問題は、やはり皆さんに事前にわかるように、そういう審議会でもって内規をつくって、それを表に出さないで審査対象にするというようなことが今後あればやっぱりこれは問題がある。
 ですから、これは大蔵省もいるか国税庁もいるかどうか知りませんが、やはり税金のときもそうですが、事前審査のときに自分たちだけが資料を持って公表をしない、だから税理士も困るわけですね。そういうことはやっぱりオープンにしてもらってちゃんとして、同じ物差しで同じようにやはり審査を受けるということがこれから一番大事なことだと私は思うんですが、その辺、今までも決して悪いというわけじゃございませんけれども、なお一層ひとつ御検討をいただければありがたいと思いますが、どうですか。
#65
○説明員(喜多祥旁君) お答えいたします。
 私立大学につきましては、建学の精神によって設立されておるところでございますし、また一昨年大学設置基準を大綱化いたしまして、それぞれの大学が個性豊かな教育をやっていただくというふうにいたしたところでございます。国立、私立ともそれぞれの持ち味を生かした教育研究を行っていただきたいというふうに思っておるところでございます。
 設置認可に関してでございますけれども、大学の設置認可申請がございました場合には、六十五人の委員とおよそ二百五十人の専門委員で構成されております大学設置・学校法人審議会、これに諮問いたしまして、その答申に基づきまして認可を行っておるところでございます。審議会におきましては、申請された内容が大学等を設置するのに最低の基準を満たしておるかどうか、あるいは大学を設置されます学校法人の経営といいますか財政的な面から見て適切かどうかということにつきまして極めて専門的な観点から審査が行われておるところでございます。
 設置認可関係の関係法令がございます。これはもう当然のことでございますが、そのほか審議会が決めました審査基準でございますとか内規あるいは申し合わせに至りますまで従来からすべて公表いたしておるところでございますし、申請書類につきましても詳細な記入方法等も含めましてすべて様式を公表いたしておるところでございます。
 申請内容につきましては、先ほど申し上げましたように審議会におきまして専門的に審査されるものでございまして、担当者レベルにおきましては審議会の意見を申請者に伝えたり、あるいは申請者からの求めに応じまして申請書の書類の整備の仕方等につきまして示しております様式に従いまして助言をいたしておるところでございますが、今後ともこの法案の趣旨にのっとりましてさらに適切に対処してまいりたいというふうに考えておるところでございます。
#66
○木宮和彦君 文部省は本当にまじめですよね、よその官庁に比べますと。私は大いに認めますよ。
 ただ、今おっしゃったとおりだと思いますが、例えば大学の先生を一人一人、やっぱりこの人は可であるとか不可であるとか保留であるとか議論する。これは文部省の責任じゃないかもしれぬけれども、その場合、教授資格の場合にはなかなか生きた私立学校ができてこないことがありますよね。ですから、みんな初めは、どうしたって相当年功のある業績を積んだ先生でないと教授になれませんから、どうしてもそういう無理がある。
 それからまた、それを審査した場合にも、審査する先生はもう専門の先生がいらっしゃるのは私よく知っていますけれども、それも伏せてあります。理由も言いません。ですから、そういう点てやはりもう少しその点が、人間が人間を審査するわけですからなかなか言いがたい基準があるとは思いますけれども、そういう点では、私も裁判二回やって二回とも実は勝たせてもらったことがありますが、裁判をやっているうちに判事のところへ会いにいくばかはいないし、会いに行ったって会ってくれるものじゃないし、逆に心証を悪くするだけだと思いますが、やはりそのくらいの毅然たる姿勢で文部省は臨んでいただきたい、これを私は強く要望しておきたいと思います。
 今後ますますいい学校をたくさん認可していく。むしろ自由競争の原理を発揮するように、余り学校の数が少ないということは安住するだけであるし、また仮に悪い学校が出てきてもそれは文部省の責任じゃないんで、その当事者の責任なんだから、私はそういう意味ではむしろ自分の経験から、みんな国民が選択する、受験生が選択できるようにすべきだ、こう思うんですが、いかがですか。
#67
○説明員(喜多祥旁君) 先生の御指摘の趣旨を踏まえましてさらに適切に対応させていただきます。
#68
○木宮和彦君 もう一つ、これは教科書問題でこの間訴訟になりまして、幾つだかのうち幾つだか負けたというあれがありましたが、その教科書の審査の問題があると思います。これは私は歴史教育、いわゆる現代が問題だと思うんですが、これは非常に難しいと思う。文部省の審査する方も難しいと思いますが、文部省のこの教科書検定はこれはほかの認可とはちょっと違うんですが、哲学が入ってきますから。
 こういう場合のいわゆるフィロソフィーといいますか、文部省は現代の歴史についてどういう観点から、これは普通の学者はみんなそれぞれ考え方違いますから勝手なことを言いますから、それはいいですよ、それは学説で自由に、学問の自由ですからいいですが、事教科書の問題についてはやはり毅然たる態度でもって、しかも正しい、後世に残るような基準というものをある程度明確にする。それには文部省だけじゃなくて各層あるいはいろんな人の意見を聞いて打ち出すということが非常に大事なことだと思うんですが、その辺の手順やら、それから今回の問題を踏まえて文部省としてもし御感想があれば教えていただきたいと思います。
#69
○説明員(銭谷眞美君) ただいま先生御指摘ございましたように、学校教育というのは憲法や教育基本法にのっとりまして公正かつ中立の立場に立って行われるべきものでございます。
 それで、学校における教育内容の基準につきましては、基本的には文部省において告示をしております学習指導要領に基づいて実施をしていただくということになっております。また、教科書の検定もこの学習指導要領に則して、教科書検定基準に基づいて検討を行うという仕組みになっております。
 そこで、歴史教育でございますけれども、従来から文部省というのはこの学習指導要領において、歴史教育は国際理解と国際協調の観点から、ただいま先生御指摘ございましたように近・現代史の教育の充実に努めてきているところでございまして、新しい学習指導要領におきましてもこの点を一層重視し配慮しているところでございます。
 そこで、具体的に歴史教育の内容でございますけれども、歴史教育におきましては客観的、学問的な研究成果を踏まえまして事実を事実として児童生徒の発達段階に応じて指導するということが大切かと存じます。学習指導要領におきましては、例えば高等学校の地理歴史科、この中に日本史とか世界史の科目があるわけでございますけれども、この地理歴史科の中では、「近・現代史の指導に当たっては、客観的かつ公正な資料に基づいて、事実の正確な理解に導くようにする。」といったようなことを明確に示すなど、子供たちが正しい歴史観を持つように指導を行っているところでございます。
 教科書の検定もこういう観点から実施をしているところでございます。今後ともこういう考え方に立って引き続き努力をしてまいりたいと考えております。
#70
○木宮和彦君 次は日の丸と国歌のことについてちょっと。
 自民党ではいわゆる日の丸を国旗とし、君が代を国歌とする法律を議員立法でつくりたいという話がございます。私はどっちかというとどっちでもいいと思っているんです。国民の大多数が、九十何%あるいはもっとそれ以上が国旗と思い国歌と思えば私はそれでいいと思うんです。
 ただ、文部省が今まで余りにもそれについて触れなさ過ぎたというか、おっかなびっくりでやって、学校に対しても指導要領にも入れないものだから、最近は国民の中にもかなり感情的に、この間文部大臣も丸坊主の学校は昔の戦争を思い出す、あれも余分なことを言うと思うんですけれども、これは別に、丸坊主だから戦争を思い出す人もいるかもしれないけれども、私はそうだとは思わないんですね。例えばバイクの問題でもそうです。私は高校生にバイクはいけないよと言っている。これは親だってそうですよ。子供が買いたいと言ったときに買ってもいいよと言う親と、いや、うちの子供はとてもじゃない、あんなものを買わせたらとんでもない、事故を起こしたら困るので私は嫌だよと言う親もいる。うちの子供が大丈夫だというのは親が決めればいいんでしょう。それは親が決めることなんですよ。
 だから、そういう意味で私は文部省も毅然たる態度でやっぱりある程度、頭髪の問題もそうだと思うんですよ、別にこれはあくまでも親あるいは国民なりが決めることであって、文部省が特に指導すべき問題だとは私は思わない。そういう意味で、そういう現場の意向というものをやはり尊重していただくということがこれからも大事だと思います。
 例えば君が代にしてもそうですが、そこまで法律で決めちゃうと、逆にもう何でもかんでもみんな法律で決めないといけないということになったら困っちゃうんです。お医者さんはみんな白衣を着ていますよね。看護婦さんも大体白衣を着ていますね。あるいはお坊さんはみんな衣を着ていますね。あるいは神主さんがいる。それからまた司法官の判事さんはみんなガウンを着ています。これは、みんな人間というものは臭みがあるんですね、人間臭。だからそれを隠して、そしてやはり聖職というものはそれぞれその人がまず自分の体でもって正しいことをやろうと、お医者さんもそうだと思うんです。もし判事さんがジーパンでもって裁判で判決を下したらやっぱり困るんですよね、国民は。
 そういう意味で、私は国歌・国旗というものは何も法律で決めなくたって、みんなに浸透してこれは正しい、正しいというか、それをみんなでもって尊重する気持ちを教育することがより必要なんで、強制的に法律で決めるなんというのは、それもいいけれども、それ以上のことを今後やっていくことが私は大事なような気がするんですが、文部省さんはその国旗と国歌についてどういうあれがありますか。
#71
○説明員(銭谷眞美君) 子供たちが将来国際社会において尊敬され信頼される日本人として成長するためには、我が国の国旗・国歌はもとより、諸外国の国旗・国歌に対する正しい認識とそれらを尊重する態度を持つということが極めて重要であるとまず考えるわけでございます。
 我が国におきましては、長年の慣行によりまして日の丸が国旗、君が代が国歌であるという認識が広く国民の間に定着をしていると思います。新しい学習指導要領におきましては、こういう観点から社会科において国旗・国歌の意義を理解させ、これを尊重する態度を育成するとともに、特に入学式や卒業式などにおいて儀式を行う際にはその意義を踏まえ、国旗を掲揚するとともに国歌を斉唱するよう指導するものとして指導の充実を図っているところでございます。
 例えばことしの春でございますけれども、この春の卒業式、入学式での国旗掲揚及び国歌斉唱に関する調査、これは毎年行っている調査の今年度分でございますけれども、小中学校の場合は国旗掲揚につきましては九七、八%の学校が実施をいたしております。また、国歌斉唱につきましても八割以上の学校で実施をいたしております。ただ、小中学校に比べまして高等学校における実施率が低い状況がございますし、地域間の格差もございます。
 そこで、文部省といたしましては、去る八月二日付で初等中等教育局長名で通知を発しまして、各学校において学習指導要領に基づいて国旗・国。歌に関する指導が適切に行われるように指導の徹底を促したところでございます。
 今後とも、私どもといたしましては、すべての学校において新しい学習指導要領の趣旨が理解をされまして、国旗・国歌について適切な取り扱いがなされるようにあらゆる機会をとらえて指導してまいりたい、かように考えております。
#72
○木宮和彦君 私も大変よくなったと思います。だけれども、本当に不思議なことは、私立学校はほとんど一〇〇%に達しているんですよ、君が代も。税金でやっている学校の方は九十何%というのは私は非常におかしいと思うんですがね。文部省さん、今後もひとつ大いに努力して頑張ってもらいたい、こう思います。よろしくお願いします。
 次、国税庁来ておりますか。
 税金の問題は今度のこの法律からは除外されておりますが、税金というものは国民が一番関心を持っている問題でございましてね。ただ私は、税務署さんは非常に最近はよくなったと思うんですが、それでもなおかつ私の経験からいいましても、大分昔の話でもう時効だから言ってもいいと思いますけれども、私は当時学校の経営者でございましたが、自分の地所を学校に売ったわけですよ、はっきり言って。その地所も別に私が買いたくて買ったんじゃなくて、たまたま部下がここを百坪欲しいといって、反歩あるんですが、あと二百坪はしょうがないから私が買った。ところが、そこへ学校で寮をどうしてもつくりたいという校長の要請があったから、それじゃその人のためにも世間相場並みで売ろうというので、隣の価格を聞いてそれで売ったんですよ。
 ところが、隣のそのまたこっちの隣は、不正申告じゃない、昔はいわゆる二重申告していますから、私は高く学校へ売ったというのでえらい重加算税をたくさん、二百万円取られちゃった。私は自分で悪いことをしたと思っていませんから、あくまでこれは李下に冠を正さず、これをもし認めてしまったら私の立場がなくなっちゃいますから、ですから私は不服申請をしました。国税庁へ行きました。
 そこまではいいんですよ。ところが、それを決定した係官が、私に来るなら話は別ですよ、私の事務局長のところへ、これがまたまじめなじいさんで、公立の事務あるいは県庁の役人を勤め上げた人だから、そこへ持ってきて、あんなことを申請するとはえらいことになる、おまえの理事長は全部洗いざらい出されて今にそれが新聞に出るよ、だから早くあれを取り下げなさい、こういう言い方をした。だから、それが私の信用にかかわるから、先生あれをおろしましょうよおろしましょうよとうるさい。おれはやるよと言って、お陰で、そこの静岡の副署長さんは大変立派な方で、いや、そんなことせぬでも大丈夫です、お金を払ってください、そのかわり私どもが悪ければ全部全額返しますよと。後に全額返ってきましたよ。
 私はそういう意味で、そういう行政指導はむしろ脅迫に近いですな。あるいは修正申告もそうですよね。修正申告を、これは合意でやるんでしょうけれども、それに応じなければまたあしたもう一回来て調査します、まだずっと一週間ぐらい来ますよなんというと、しょうがない、まあええわ、承服はできないかと、こういう行政、国税庁のやり方、中には悪いのもいるからそれも仕方がないかもしれないけれども、そこにもしも税理士さんがいるのなら、税理士さんとよくそこら辺のトラブルがないように、やっぱり今回の法律の趣旨をひとつ十分わきまえて、今後税金につきましても精神だけはこれを引用していただくようにお願いしたいと思うんですが、いかがですか。
#73
○説明員(長尾和彦君) 私、特に異議の方を担当しておりますけれども、異議申し立て制度、今先生御質問ありましたので大体趣旨の方は皆さんにもわかっていただいたと思うんですが、やはり簡易迅速な手続によりまして国民の権利救済を図るということとともに、行政の適正な運営を確保する、こういう異議申し立て制度の趣旨にのっとりまして、その処理に当たりましては、もちろん取り下げの処理をするといったことではなくて、原処分にとらわれることなく、謙虚に納税者の主張に耳を傾けまして、公正な立場で事務の運営を行っているところでございます。
 今後ともそういった異議申し立て制度の趣旨を体した事務処理手続、これを適正に行ってまいりたいと思っております。
#74
○木宮和彦君 結構です。
 以上、もう時間があと二分になりましたので、最後に郵政省さんいらっしゃいますか。この間テレビ朝日の事件がありました。大変遺憾な事件だと思います。これもやはり認可に関係してきます。
 私は新聞だとか雑誌とかというのは、これは何書いたって自由だと思うんですよ。金さえあれば新聞だって発行できますし、反対意見も載せられます。だけれども、テレビというのは、これはあくまで電波が物理的に幾つかに決まっていて、それ以上つくって反対しようにも認可してくれません。だから私は、テレビとそれから新聞とは根本的に考えを違えてやはり認可してもらわないと困るんで、今回の椿事件というのはあれは本当にふざけた話で、うそ八百を平気でもって公的な機関で言っちゃったというのはとても残念な事件だと思うんです。これから認可を踏まえながらテレビの電波法についていかがな、何といいますか、所見がありましたら、決意とそれをお願いしたいと思うんですが。
#75
○説明員(清水英雄君) 先生御指摘のように、放送法は、新聞等とは違いまして、ある意味で放送が利用する電波が有限希少でございますので、他の者の利用を排除して独占的にそこに排他的に利用させますことから、番組の編集に当たっては、確かに放送事業者に番組編集の自由を認める一方で、やはり例えば政治的公平の確保ですとか、あるいは公安及び善良な風俗を害しないというような面での遵守を求めております。
 先生御指摘のテレビ朝日の関係の事案が先日ございましたのですが、基本的に現行放送法は放送番組の適正化につきましては放送事業者の自覚と責任というところをまず第一に置きまして、その中での実効を図ることを基本として、放送事業者がみずから番組の審議会をつくりまして、番組についての意見、要望を反映させるというような形をとっております。
 そこで、十一月一日の段階で既に郵政省にございます電波監理審議会の諮問、答申を経まして、一斉再免許という形で行っております。ただ、その際、全一般放送事業者に対しまして、放送が児童、青少年に与える影響だとかそういうようなものに十分配意した事業運営を行うよう、私どもといたしましても全放送事業者に要望いたしましたし、また、先ほど述べましたような放送番組審議会の委員長に対しても同様の趣旨でのお願いを申し上げているところでございます。
 今回、第三者機関において放送番組の内容に関する問題を取り扱う等々、今回のテレビ朝日の事案につきまして十分郵政省としても調査を行いまして、認識されました諸問題について調査検討した上で、現行の諸措置のほかにさらに新たな措置が必要となるかどうか、また検討してまいりたいと思っております。
#76
○木宮和彦君 時間が参りましたのでこれで終わりますが、最後にひとつぜひとも、この法律ができましたら、より国民と官の信頼関係が保てるような方向に御尽力くださいますように、よろしくお願いいたします。
#77
○委員長(岡部三郎君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#78
○委員長(岡部三郎君) 御異議ないと認めます。
 行政手続法の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案の修正について聴濤君から発言を求められておりますので、この際、これを許します。聴濤弘君。
#79
○聴濤弘君 私は、日本共産党を代表して、行政手続法の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案に対する修正案を提出いたします。その内容は、お手元に配付されております案文のとおりでございます。
 これより、その趣旨について御説明申し上げます。
 本来、行政手続法は、適正で民主的な手続によって国民の権利を保護する有効な措置であるとともに、広範な行政行為に国民が参加する道を開くことによって民主的で公正かつ効率的な行政の運営を確保することにあります。
 我が国に行政手続法がいまだ制定されていないもとで、政府提出による行政手続法を制定することが全体として行政の改善につながっていく一定の意義を持っていることは言うまでもありません。しかし、政府案を本来あるべき行政手続法の趣旨に照らして検討した場合、不十分な内容であると言わなければなりません。
 一つは、政省令などの行政立法、また行政計画が法の対象から外されていることにも示されているように、国民の行政参加という民主主義的立場が軽視されていることです。このことは、政府提出法案を初め関係の文書に「民主的」という用語が一語もないことに象徴されております。
 二つ目には、法の目的について政府案も「国民の権利利益の保護に資すること」とうたっているように、行政手続法による権利利益はすべての国民が平等に享受すべきものでありますが、広範囲にわたって適用除外が行われていることであります。
 適用除外の中には除外が当然なものもありますが、租税の賦課徴収、社会福祉の措置解除、外国人の出入国の管理、学校での処分、公務員の身分に関する処分など、その多くは人の身分、財産、地位、人権にかかわる極めて重要な分野です。
 特に税務行政は、徴税手続が税務当局に任されているために人権無視の税務調査など強権的な税務攻勢がしばしば行われております。これを抑え、納税者の権利を保護するために、行政手続法を国税通則法や地方税法に適用させ、公正で適正な事前手続規定を整備することは緊急な課題であります。
 以上の立場に立って、政府案に対する最低限の修正措置として、政府案が行政手続法から適用除外している国税通則法並びに地方税法を適用させる修正案を提案するものです。」修正案の概要は、国税通則法並びに地方税法を適用除外している行政手続法の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案第六十四条及び第三百五十五条を削除するとともに、所要の規定を整備するものであります。
 以上が修正案の提案理由とその概要でございます。
 委員各位の御賛同をいただき、速やかに可決されますことを要望いたしまして、修正案の趣旨説明を終わります。
#80
○委員長(岡部三郎君) これより両案並びに修正案について討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。――別に御発言もないようですから、これより直ちに採決に入ります。
 まず、行政手続法案について採決を行います。
 本案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#81
○委員長(岡部三郎君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 次に、行政手続法の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案について採決を行います。
 まず、聴濤君提出の修正案の採決を行います。
 本修正案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#82
○委員長(岡部三郎君) 少数と認めます。よって、聴濤君提出の修正案は否決されました。
 それでは次に、原案全部の採決を行います。
 本案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#83
○委員長(岡部三郎君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、両案の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#84
○委員長(岡部三郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#85
○委員長(岡部三郎君) 一般職の職員の給与等に関する法律の一部を改正する法律案、特別職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案及び防衛庁の職員の給与等に関する法律の一部を改正する法律案、以上三案を一括して議題といたします。
 まず、政府から順次趣旨説明を聴取いたします。石田総務庁長官。
#86
○国務大臣(石田幸四郎君) ただいま議題となりました一般職の職員の給与等に関する法律の一部を改正する法律案及び特別職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案について、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
 まず、一般職の職員の給与等に関する法律の一部を改正する法律案について御説明申し上げます。
 本年八月三日、一般職の職員の給与の改定に関する人事院勧告が提出されました。政府としては、その内容を検討した結果、勧告どおり実施することが適当であると認め、一般職の職員の給与等に関する法律について所要の改正を行うこととし、ここにこの法律案を提出した次第でございます。
 次に、法律案の内容について、その概要を御説明いたします。
 第一に、俸給表のすべての俸給月額を、人事院勧告どおり引き上げることといたしております。
 第二に、初任給調整手当について、医師等に対する支給月額の限度額を二十九万四千円に引き上げること等といたしております。
 第三に、扶養手当について、配偶者以外の扶養親族に係る支給月額を三人目から一人につき二千円に引き上げるとともに、満十五歳に達する日後の最初の四月一日から満二十二歳に達する日以後の最初の三月三十一日までの間にある扶養親族たる子がいる場合には、当該子一人につき千円を加算した額を支給月額とすることといたしております。
 第四に、居住手当について、借家・借間に居住する職員に対する手当の支給月額の限度額を二万七千円に引き上げることといたしております。
 第五に、単身赴任手当について、職員の住居と配偶者の住居との間の交通距離に応じて支給する加算額の限度額を月額二万九千円に引き上げることといたしております。
 第六に、超過勤務手当及び休日給の支給割合について、百分の百二十五から百分の百五十までの範囲内において人事院規則で定める割合とすることといたしております。
 第七に、期末手当の支給割合について、三月期を百分の五十に、十二月期を百分の二百に引き下げることといたしております。
 第八に、非常勤の委員、顧問、参与等に支給する手当について、その限度額を日額三万七千五百円に引き上げることといたしております。
 以上のほか、施行期日、適用日、この法律の施行に関し必要な経過措置等について規定することといたしております。
 引き続きまして、特別職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案について御説明申し上げます。
 この法律案は、ただいま御説明申し上げました一般職の職員の給与改定にあわせて、特別職の職員の給与について所要の改正を行おうとするものであります。
 次に、法律案の内容について、その概要を御説明申し上げます。
 第一に、内閣総理大臣等の特別職の職員の俸給月額を、一般職の職員の給与改定に準じて引き上げることといたしております。
 第二に、特別職の職員である常勤及び非常勤の委員に支給する日額手当の限度額を、一般職の職員の給与改定に準じて引き上げることといたしております。
 以上のほか、施行期日、適用日等について規定するものといたしております。
 以上がこれらの法律案の提案理由及び内容の概要でございます。
 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願い申し上げます。
#87
○委員長(岡部三郎君) 中西防衛庁長官。
#88
○国務大臣(中西啓介君) ただいま議題となりました防衛庁の職員の給与等に関する法律の一部を改正する法律案について、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
 この法律案は、このたび提出された一般職の職員の給与等に関する法律の一部を改正する法律案の例に準じて防衛庁職員の給与の改定を行うとともに、自衛官俸給表の陸将、海将及び空将の欄または陸将補、海将補及び空将補の(一)欄の適用を受ける自衛官以外の自衛官に係る調整手当の支給割合の改定を行うものであります。
 すなわち、第一点は、参事官等及び自衛官の俸給並びに防衛大学校及び防衛医科大学校の学生の学生手当を一般職の職員の給与改定の例に準じて改定することとしております。
 第二点は、昨年度の給与改定において導入された自衛官俸給表の陸将、海将及び空将の欄または陸将補、海将補及び空将補の(一)欄の適用を受ける自衛官以外の自衛官に対する調整手当制度について、引き続きその充実を図っていくため、自衛官俸給の改定との兼ね合い等を総合勘案し、当該自衛官に係る調整手当の支給割合を改定することとしております。
 以上のほか、附則において、施行期日、適用日、俸給表の改定に伴う所要の切りかえ措置等について規定しております。
 なお、事務官等の俸給、扶養手当、住居手当、単身赴任手当、医師及び歯科医師に対する初任給調整手当、期末手当等につきましては、一般職の職員の給与等に関する法律の改正によって、同様の改定が防衛庁職員についても行われることとなります。
 以上が、この法律案の提案理由及びその内容の概要であります。
 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願いいたします。
#89
○委員長(岡部三郎君) 以上で、三法律案の趣旨説明の聴取は終わりました。
 これより、質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#90
○板垣正君 例年よりも大分早く給与法の審議が行われ、恐らく採決の運びとなろうと思いますが、このことについて担当大臣として御感想があれば承りたいと思います。
 また、人事院総裁におかれても感慨もおありじゃないか、その点承りたいと思います。
#91
○国務大臣(石田幸四郎君) 今回、特別に当日このように給与関係の法案の審議について委員会を開催させていただいたわけでございますが、本年の八月三日に人事院勧告が提出されましたけれども、やはり現在の経済状況といいますか、まさに不況深刻な折でございますので、政府としましても多少なりとも景気回復に資することができればという意味で鋭意努力をして今日まで法律案作成の準備にかかってきたところでございます。いろいろな御議論があるかと思うんでございますけれども、どうか昨今の経済事情も御勘案の上、ひとつ速やかに可決をさせていただきますよう、心からお願いを申し上げたいと存じます。
#92
○政府委員(弥富啓之助君) お答えを申し上げます。
 御承知のとおりに人事院勧告制度、これは公務員の労働基本権制約の代償措置でございまして、公務員にとりましてはほとんど唯一の給与改善の機会となっておるところでございまして、従来から国会及び内閣におかれましても最大限に尊重すべきものとして対処していただいておるところでございます。
 また、勧告の内容が情勢適応の原則と申しますか、公務員の給与を民間の四月時点における給与に追いつかせるものであるという趣旨でございまして、時期を失することなく実現していただきますよう、人事院としても従来から早期勧告に努め、また早期実施をお願いしてきているところでございます。本年の公務員給与改定の取り扱い、また給与法改正法案の審議が従来より早まったことにつきましては、関係各位の御理解、御努力のたまものと認識をしておりまして、今後さらに早期の実施に向けて御尽力を賜りますようお願いを申し上げる次第でございます。
#93
○板垣正君 官房長官がお見えになりましたので。去る九月十六日の当委員会におきまして人事院勧告を受けての審議が行われました。その際、官房長官も何とか例年よりも早く給与関係閣僚会議等も開いて早くやりたいんだという気持ちを訴えておられた。きょうここで恐らく審議成立まで行くと思いますけれども、このことについての官房長官としての御感想、いかがですか。
#94
○国務大臣(武村正義君) 板垣委員おっしゃるとおり、今年度は早期に人事院勧告を法律化して一日も早く実施をいたしたいという気持ちでございました。また、この内閣委員会でもそういった熱心な御意見をお伺いしたわけでございます。精いっぱい努力を重ねてまいりまして、きょうようやく本委員会で御審議をいただくところまで運んでいただくことができました。大変ありがたく感謝を申し上げるものでございます。
 財政の面では、決して財源にめどが立っているというわけじゃありません。歳入欠陥の大変心配される年度でございます。しかしまた景気がこういう状況でございますから、そう高いアップ率じゃありませんが、それでも何百万という公務員の家族の皆さんにも喜んでいただけるということもございますが、同時にそれなりの景気対策にも資するという認識も持っておりまして、そんな意味も込めながらここまで運んでいただいたことに重ねて感謝を申し上げるものでございます。
#95
○板垣正君 昨年は十二月十日なんですね、この委員会で成立しましたのが。しかも、十二月八日に審議はやりましたけれども、当時の野党さんはその日に採決はさせないと、会期延長いろいろございましたね。それで十日の日に、会期延長した夜八時過ぎです、この給与法の成立を見ましたのは、忘れもしませんが。まさに今度はさま変わりと申しますか、政府側も大変努力されましたし、今度は与党の立場におかれる先生方も大変な御熱意であったと思う。健全野党という私どもも、これはやはり国民のために早く上げて差し上げなければということで、心から御協力申し上げていることをよく御理解もいただきたいと思うのでございます。
 ただ、十月八日ですか、閣議で公務員の給与改定に関する取り扱いについて、つまりこれを完全実施しますという決定をされた。このときに官房長官の談話がございますね。まことに深刻な財政事情のもと、今回の給与改定の実施財源についてはいまだに捻出のめどが立っていない、こういう状況の中で政府としては従来に比し少しでも早く結論を得べく格段の努力を払い、かつ特段の配慮をもってこの完全実施を決めたと。これもまことに異例な談話でなかったかと思いますけれども、そういう背景のもとに、いずれにしましてもアップ率は二回目ぐらいの低さである、あるいは期末手当も削られる。しかし、今一番やはり深刻なのは景気の問題でございますね。
 きょうもいろいろな同僚議員の話を聞きますと、政治改革、選挙制度がどうなるだろうか心配だから地元に先生方帰ると、もうそれどころじゃない、景気対策をやってくれと。これが今や大都会だけじゃない、各地域の、そして中小企業あるいは商店街、こういうところまで非常に深刻な不況のあらしにさらされ、それこそ何百万人という失業者が出てくるのではないか。民間におきましてもボーナスを切り下げるとか、こういう深刻な情勢の中で公務員給与が例年より早くいずれにしても実施される。
 こういうことについての御見解、またどういう気持ちでこれを、今も一部触れられましたけれども、政府の姿勢について官房長官、総務庁長官のお気持ちを承りたい。
#96
○国務大臣(武村正義君) 板垣委員のおっしゃるとおりでございます。財源が厳しい、しかし景気対策としては一刻も早く実施をしたい、そんな板挟みで苦慮をしてきたわけでもございますが、雇用不安といいますか、一部の民間会社には賃金の切り下げなんという議論も始まっているところでもございまして、そんな中でありますだけに、今回は率が低いとはいえ、政府としては精いっぱいの決断をさせていただいたというふうに思っております。
 重ねて、こういう状況を御認識いただいた健全野党の自民党の先生を初め、院の全体の先生方に重ね重ねお礼を申し上げる次第であります。
#97
○国務大臣(石田幸四郎君) 私も官房長官と同じような考えでございますが、特に民間のこういった給与の引き上げあるいはボーナス支給については大変厳しいという話を新聞等でよく拝見をするところでございます。一部給与のむしろ引き下げというようなそんな議論まで出ているような状況でございます。そういった意味合いからいっては、一日も早く景気対策がその効果を発揮して景気が上向きになることを期待するわけでございますけれども、現状からいきまして、この公務員の給与の引き上げというものがそういった意味での賃金の問題に対する一つの支えになるかなというようなそういう感じもしておるわけでございますが、いずれにいたしましても昨今の厳しい経済状況を踏まえて、少しでも影響が出るようにというのが私たちの願いでこれはございます。
 今日、このように早く審議をしていただきますことを御礼を申し上げますとともに、若干所感を申し上げた次第でございます。
#98
○板垣正君 官房長官にこの際基本姿勢で伺いたいんですが、人事院勧告、これは労働基本権のいわゆる代償措置として完全実施という基本姿勢で貫かれてきている。反面、やはり憲法で保障された労働基本権は与えられるべきだ、こういう基本姿勢を従来ずっと貫いてきた有力な党が連合政権を形成しているわけです。そういう政権のもとで、しかも今後雇用情勢等を含めて非常に厳しい局面も予想される。そういう中で、しかし連合政権の基本姿勢においては従来の政策を踏襲されて、やはり代償措置としての人事院勧告、人事院のあり方、この方向はそのまま堅持されるかどうか、確認をいたしたいと思います。
#99
○国務大臣(武村正義君) ぜひこの考え方、こういう姿勢は今後とも堅持をさせていただきたいと思っております。
#100
○板垣正君 大いに自信を持って今後も取り組んでいただきたい、こう思うわけでございます。
 それでは人事院に伺います。今回基本給のアップは当然でございますけれども、諸手当その他でもやはり情勢を見ながらいろいろきめの細かいあるいは新しい考え方も幾つか打ち出しておられると思います。その中で若干伺いたい。
 扶養手当ですね、扶養手当を増額された、あるいは学校に通っているような子弟を持つ、そういったところには新たな手当をつくられた。これは、御説明にもございましたように、このごろはどうもお子さんの生まれる姿がなかなか少なくなってきている、いわゆる少子になってきている。これについて何がしかのというようなことも含められたと思うんですね。そうであれば、趣旨としては結構ですけれども、もう少し人事院としても扶養親族、特にそうした子供に対する手当についてはもっと思い切って配慮していいんじゃないのか、もっと上げていいんじゃないのか、こう思いますけれども、その点はいかがでしょうか。
#101
○政府委員(丹羽清之助君) 扶養手当の改定に当たりまして、従来から配偶者と配偶者を除きました三人目までの額の合計額で民間との均衡を図るというようなことを基本として改定してまいっだわけでございますが、先生御指摘のように、本年は公務におきます扶養の実態あるいは生計費の負担、それらの傾向等を踏まえまして、特に扶養手当を重視して改定いたしましたところでございます。
 ただ、何分にも較差が一・九二%というように低い較差の中での改定でございます。したがいまして、それを基本給と申しますか、俸給表に配分するとか、あるいは生活関連の他の住居手当、通勤手当その他いろいろ手当があるわけでございますが、そのいずれにどの程度配分するかということにつきましては、その必要性あるいは緊急性というようなものを配慮しながら年々決めているところでございます。本年は扶養手当を重視しまして、特に子供にウエートを置きました手当額の改善を行ったところでございますが、今言いましたような枠の中での改善でございます。
 ただ、今後とも公務部内におきます職員等の意見とか、あるいは民間の状況、さらには御指摘のように少子化問題等もございますので、子に対する扶養手当の額につきましては、今申し上げましたような点をも考慮しながらさらに検討してまいりたい、このように存じております。
#102
○板垣正君 次は、単身赴任手当ですね。これは、今度は限度額いろいろございますが、月額一万八千円から二万九千円と一挙に一万一千円、これは相当な大幅な、今までのあれから見ますと結構なことだと思うんです。
 ただ、やはり単身赴任という問題が一般企業、一般社会におきましても近年特に深刻な状況になってきている。ただ単身だから手当だけ出しておけばいいというわけにはまいらない。これは、企業においてもいろいろ苦労しながら、いかにして余り遠距離に行かないように、家族との関係も保たれるような配慮、そうした配慮もされているということも聞いておりますし、当局でもいろいろ考えておられると思いますが、人事院としてはこうした問題は手当とあわせてどういうお考えを持っておられますか。
#103
○政府委員(丹羽清之助君) 先生御指摘のとおり、単身赴任というものは、職員に対しまして二重生活に伴います生計費の増加等の経済的負担、あるいは家庭生活をともに営むことができないというようなことからきます心身面への負担というようなことから考えますと、これは決して好ましいものではないと思います。このようなことがひいては公務員の公務能率への影響ということも懸念されるということもあるわけでございます。したがいまして、人事院といたしましては、基本的には単身赴任そのものを減少させることが肝要ではないかと存じているところでございます。
 ただ、公務におきます転勤というものは、公正な公務の執行というような観点から必要やむを得ない面もあるということもございます。これを減少させるということにつきましては、公務部内での指針も統一されていると思いますし、したがいまして、各省庁におきましても行政の円滑な運営を図りながら、一方におきまして職員の転勤による負担等を十分に考慮しながら、必要最小限になるよう努力しているものと考えております。今後ともこのような努力を続けてまいりたいと存じておるところでございます。
#104
○板垣正君 住居手当の額も今回増額、借家借間ですね、改善措置が図られておりますが、気がつきますのは、自宅を持っておる人、自宅居住に対する住居手当というのは、もう昭和四十九年以来二十年間千円で据え置かれておるわけですね。これは余り意義を認めておられないのか、やはり自宅を持っておられる人はそれなりの期待も持っておられるんじゃないか。その辺はどうでしょうか。
#105
○政府委員(丹羽清之助君) おっしゃるとおり、自宅手当につきましては、現在千円あるいは新たに建設いたしました場合には五年間二千五百円というような金額になっておりまして、先生御指摘のように、しばらくその金額を改定していないというような状況にございます。この点につきましては、いろいろ御要望もございますが、やはり自宅を持っている職員と持っていない職員との関係、特に自宅というものが資産価値があるわけでございますから、それらの点を考えますと、やはり自宅を持っていない職員の例えば借家借間等に対する手当の方が緊急性があるんではなかろうかというような考えがございまして、借家借間等の手当を改善してきているところでございます。
 したがいまして、緊急性というような観点から、やむを得ず自宅の方につきましては改定していないというような事情があるわけでございますが、今後とも社会一般の情勢等を考慮いたしまして、必要があればそちらの方にも配慮していく必要があるんではなかろうか。いずれにいたしましても、先生の御意見等も踏まえまして、さらに検討させていただきたいと思う次第でございます。
#106
○板垣正君 次に、介護休暇制度の創設、これはまことに結構なことだと思うんですけれども、これの意見の申し出の時期はいつごろをお考えになっておられるのか。それと、いわゆる育児休業制度が創設されましたね。育児の場合は休業制度、介護の場合は休暇制度、休暇となると何かいかにもごく短期間というような感じを持ちますわ。その辺を含めて御見解を承りたい。
#107
○政府委員(弥富啓之助君) 社会の高齢化あるいは女性の社会進出、それから核家族化の進展というような社会情勢の中におきまして、個人生活と職業生活との調和を図るという観点で、公務においても介護休暇制度の導入に踏み切ることが適当である旨勧告において指摘をさせていただいたわけでございます。
 その際、介護休暇制度の導入のほか、いろいろ一般的に公務における今後の勤務時間や休暇制度のあり方などを見据えまして、法体系の全般的な整備をしなければならないのではないかということを考えまして、別途立法措置について意見の申し出を行う旨の表明をさせていただいたところでございます。いっと確定的に申し上げるわけにも今のところちょっとまいらないのではございますけれども、成案を近々得るべく最終的な調整を行っているという段階でございまして、成案が得られ次第、本年中にも意見の申し出をさせていただきたいと思っているところでございます。
 ただいま言われました育児休業の休業と休暇ということでございますが、これは法律的に厳密に申し上げる根拠がちょっと今持ち合わせはございませんが、一般的に休業と申しますと、代替職員を確保するというようなことから考えますと、やはり休暇よりもちょっと長期という考え方もあろうかと思いますけれども、今ここで考えております介護休暇というものは、期間的には、育児休業の場合一年未満でございますが、介護休暇の場合は三カ月程度というふうに今考えておる次第でございます。
#108
○板垣正君 その辺はさらに検討していただきたいと思います。
 人事院総裁、最後に、一昨年の勧告ではいわゆる官民比較の方式を検討する、こういう意向も出しておられました。その検討状況。さらには、これからの高齢化社会、定年延長等々を迎えながら基本的な公務員給与のあり方についても重要な検討課題として、今回の勧告にも将来の給与体系の方向を念頭に入れて改定案を出す、こういう文言もあったと思いますが、そういうことを含めて、将来に対する給与体系の方向あるいは官民の比較、そういう問題について基本的な考えをお聞かせいただきたい。
#109
○政府委員(弥富啓之助君) ここ二、三年、官民比較方式の検討を提言させていただいておるところでございますが、官民比較方式の検討と申しますとやはり二つぐらい問題がございまして、一つはただいまのラスパイレス方式と申しておりますように、官と民との同じ段階における相互に比較する問題。それにおきましては、やはり民間の場合におきましてもいろいろな職制が変わってまいります。対応関係が固定的に長いこと、それを固定化しておくというのはなかなか難しいのではないか。それを年々繰り返して見直していかなければならないということが第一点。
 それから、比較方式でありますと、例えば企業の規模、どのくらいの規模と比較すべきかという問題点がございます。これにつきましては、現在は企業規模で百人以上、事業所規模で五十人以上というところで比較をいたしておりますけれども、これは大体全企業における常雇の従業員の約六割をカバーしているというところで、現在のところ妥当ではないかというふうに考えております。
 将来の高齢化社会に向かいまして給与がどうあるべきかということは、これは真剣に、もう高齢化社会の迅速なる到来ということを目前にいたしまして我々としても考えておかなければならないということでございまして、現行の給与体系というものは、これは六十歳定年ということを原則として組み立てられておるわけでございまして、やはりいろいろな高齢の方の雇用の道を開くとするならば、これについては見直しをし、あるいは定年後雇用の導入も視野に入れながら、その職責がどうなるかあるいは生計費の変化がどうなるかといったことも念頭に置きながら、ふさわしい給与のあり方などの視点に立脚をいたしまして、民間における状況にも留意をしながら検討をしてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
#110
○板垣正君 次に防衛庁長官に伺います。
 御存じのとおり、防衛庁の場合は特別職として人事院勧告の対象外、給与体系が別といえば別なんですけれども、しかし、実質的には人勧に準じて行われる、こういうやられ方が従来踏襲されてきております。何と申しましてもやはり自衛隊、国の守りを支える隊員の職務というものは極めて重大な大事なものであります。その訓練等ももとよりでございますけれども、やはり家族を含めて安んじてその職務に精励してもらえる。そういう意味合いにおいて、今この人事院勧告が出される、それに準じて給与体系は別ですけれども、防衛庁なりとしての改定を行ってきておられる。それについて何か格段の支障はあるのかないのか、一応これで防衛庁側の期待というものは満たされているのか、その辺はどういうお感じをお持ちですか。
#111
○国務大臣(中西啓介君) 板垣先輩の御指摘でございますが、一応、防衛庁職員の給与というものは人事院勧告の対象外になっていることは事実でございます。その点は、今国防という極めて重大な任についている職員に対してという大変ありがたい御指摘をいただいたわけでございますが、それはでき得れば対象内にしていただければ大変我々としてもありがたいとは思いますけれども、まだそういう現実、状況にはなってはおりません。しかし、例に準じて給与改定を行っているという現実の姿は、理想は対象にしていただきたいわけでありますが、現実支障というような現象は見られておりません。
 一カ月本当に例年より早くしていただきまして、防衛庁としては、特にレーダーサイトというようなへんぴな地域とかあるいは離島等に隊員もおりますので、年末ぎりぎりだと大変慌ただしい形での支給ということでございましたが、ことしは正式に国会で決定をされた暁は余裕を持って給料の支払い等に応じることができますので、本当に心から感謝を申し上げたいと思います。
#112
○板垣正君 防衛庁の自衛隊員につきましても人事院勧告に基づいて扶養手当、住居手当、こうした諸手当は一般職給与法の改正によって所要の改定が行われている、それで格段の支障はないということは結構なことでございますが、同時に、やはり防衛庁独自の諸手当、これは当然必要なものがいろいろあるわけでございます。そうしたことについての改善、例えば平成五年度に改善された諸手当、どんなものがあるのか、あるいは平成六年度はどういう自衛隊独自の手当の改善を考えているか、承りたい。
#113
○国務大臣(中西啓介君) 手当につきましても、いわゆる隊員の処遇という視点から考えますと、特に将来を予測いたしますと出生率の低下等がございまして、自衛隊員、自衛官の募集等にも大変大きな制約として今我々としても留意している点でございます。そういう観点からも、いろんな手当というものには我々は重大な関心を払っているところでございますが、詳細につきましては人事局長からお答えをさせることにいたします。
#114
○政府委員(三井康有君) 御指摘のとおり、防衛庁職員の諸手当につきましては人事院勧告に基づいて一般職の諸手当に準じて改善されるものと、防衛庁職員の職務の性質上、防衛庁独自に設けられております手当とに大別されるわけでございます。
 お尋ねの防衛庁独自の諸手当でございますけれども、平成五年度予算におきましては、例えば落下傘隊員の手当の支給率の改定でございますとか、夜間の特殊業務手当の拡大などを行ってきておるところでございます。
 それからまた、六年度予算の概算要求におきましては、例えば予備自衛官が訓練招集に応じて訓練に従事した場合に支給をいたします訓練招集手当の改定でございますとか、あるいは小笠原諸島に置かれる官署に勤務をいたしております自衛官に支給されております小笠原手当の適用期間の延長などにつきまして、関係省庁の御理解を得てまいりたいと考えておるところでございます。
#115
○板垣正君 これは防衛庁の方で、給与と直接関係ありませんけれども、最近の雇用関係、今までは自衛隊独自での隊員募集、こういうふうなことについても非常に苦労されてきた。最近承りますと応募者が比較的多い。従来、防衛大学校を卒業する間際に自衛官、自衛隊幹部としての道をやめてしまう、こういう数が比較的多かったわけですが、これは目立つほどの数ではない、最近はそういう雇用、雇用というのはおかしいんですけれども、採用状況、相対的には今後ますます若い人たちは少なくなるから非常に厳しい状況は当然でありますけれども、現状はどういう状況にあるのか。
 そういう一つの要素として、例えば自衛隊の任務と申しますか、初めてのカンボジアのPKO活動等も大変成果を上げられた、諸外国からも高く評価される活動をされた。こういうことがやはり一般国民の自衛隊に対する理解、そういうものにも何がしか影響しているのではなかろうか、こんな感じを持ちますけれども、この際、その辺を承りたいと思います。
#116
○政府委員(三井康有君) 募集の状況でございますけれども、現時点におきましては委員お説のとおり、現在の景気情勢等のせいもございましてまず退職者が非常に少ない。他方で応募者は非常にふえておるということから一時的には大変好転をしているというのが現状でございます。しかしながら、こういった趨勢はいつまでも続くものとは考えられませんで、中長期的に考えますと、我が国の若年年齢層の構成等から見まして、将来は非常に募集状況が厳しくなるという状況がまいるものだというふうに考えております。
#117
○板垣正君 次に、総務庁長官に承りたいんですが、まず第一に、総務庁が担当していただいております恩給、これはやはり公務員給与の決定と直接関連してまいるわけですが、長官、まず恩給ということについてはどういうふうな見解をお持ちでしょうか。
#118
○国務大臣(石田幸四郎君) これは従来の受給者の方々が、まさに戦没者の御遺族とかあるいは戦傷病者、そういった旧軍人の方々でございますので、その性格からいきましてもこれは国家補償的な意味合いを持つものである、このように考えておりまして、したがいまして年金制度とは基本的には全く異なったものと考えるべきものである、このように思っている次第でございます。
#119
○板垣正君 そこで、遺族に対する公務扶助料なり、またこれが厚生省関係の遺族援護法による遺族年金等にもすぐ連動してまいるわけでございます。また恩給受給者、御存じのとおりに遺族がおり、傷疾軍人あるいは長年勤められた軍恩関係、数は少なくなりましたけれども、いわゆる軍官恩給と言われる方々がおられるわけでございますが、こうした方々の恩給改善について、今長官がおっしゃっていただいたようにほかの年金、いわゆる社会保障的な社会保険的な福祉制度的な年金とはおのずからその趣を異にする。つまりは、国家の命のもとに国民としての公的な務めを果たされる、あるいは長年それに従事をされる。
 この辺に、ほかの年金一元化の流れの中で恩給法が恩給法として長い歴史を持つ法律でございますけれども、言うなればこの法律が戦後の戦没者、多くの戦没者遺族の、あるいはその他関係の方々の物心両面の支えになってきた。同時に、敗戦下のあるいは極めて経済的にもこの貧困の中からスタートした国家補償制度のあり方をめぐっては、これはもう長い長いいろんな曲折があったわけでございます。そして、現在行われている制度が御承知のとおりにいわゆる総合勘案方式と言われています。
 それ以前は、昭和四十八年度以来おおむね公務員給与にスライドをさせる、人事院勧告に基づいた公務員給与によってそれにスライドさせるという形で定着してまいりましたけれども、この問題も行革、土光さんの臨調等でも年金制度のあり方それに関連する恩給というものが、確かにそういう基本的に国家補償制度としての特殊性はあるけれども、同時にほかの年金がすべて年金一元化をしていく社会情勢の大きな流れの中で恩給制度のあり方についても、あるいは特に増額措置のあり方についても何らかの配慮があってしかるべしということ、これが言うなれば総合勘案方式と言われる。つまり、公務員給与のアップ率なり消費者物価なり、国民生活の水準等々を総合的に勘案しながら毎年のアップ率を決めていく。御存じのとおりにこうなってもう既に数年たつわけでございます。
 それで、長官にお願いし、お伺いしたいのは、ことしの場合、まずは政権がかわりました。私ども政権党の間はむしろ定着した姿で総合勘案、実質的にはしかし公務員給与のアップ率によりウエートを置いて、しかも結果的にはやはり受給者の中でも戦没者遺族については特別の配慮をすべきだと、こういう配慮も加味された形でここ数年定着して行われてきているという経緯がございます。
 そこで、端的に言って、予期せざる政権交代という事態を迎えた。まあ従来の政府の政策は踏襲していく、こういうことでございますし、従来それ以前におきましても恩給の問題については超党派的に御理解と御支持を最近はいただいておる、こういうわけでございますから、長官におかれてもきょうのこの給与の決定を受けまして、つまり一般職を二%、そうであればこの二%を基準にし、やがて出てまいります消費者物価も勘案しながら実質的には今までと同じ手法で、恩給受給者については心配要りませんよ、遺族年金を受けている人も心配要りませんよと、そういうふうに扱っていただけると信じておりますが、その辺の御見解を承りたい。
#120
○国務大臣(石田幸四郎君) 年金との関係で考えてみますと、最近、年金年齢の引き上げというような問題が出てきていることは私も承知をいたしておりますが、しかしこの制度は、今先生も御指摘があったように、いわゆる遺族や戦傷病者の方々に対する国の責任においての補償制度であるわけでございますから、国としては重大な責任を感じなければならない制度、このように承知をいたしておるわけでございます。
 現在、約百八十七万人ぐらいの受給者がいらっしゃるわけでございますが、今、先生からもいろいろ御議論をいただきましたように、基本的には公務員の給与ベース、そういったものとのスライドを勘案しながら、あるいは物価調整というものをしながらきているわけでございますが、当然、恩給を受給している方々から見れば、やはりもう少しベースを高くというような御要求も伺っておるところでございます。一面、財政状況は昨今極めて厳しいというような状況も反面あるわけでございますので、なかなかその実現は難しいわけでございますけれども、来年度におきましては、今先生御指摘のとおりの総合勘案方式、これは堅持してもらいたいというような角度でこれから財政当局、最終的な予算の成立の時期に向かってそういう姿勢で、方針で私どもとしては臨んでまいりたい、このように思っているところでございます。
#121
○板垣正君 大変明確な御答弁をいただきましてありがとうございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 防衛庁にもう一つ。防衛大留学生に手当を支給しようということが一部報道されておりますね。防衛庁の、我が方の生徒はもちろん今度手当も上がる、こういうことでございますが、諸外国から現在三十何名ですか、この報道によりますと、タイ、シンガポール、フィリピン、マレーシアから三十二人在籍して、授業料と宿泊費など衣食住は日本側が負担しているけれども、それ以外は自前で、日本人学生が受け取っている月額、今度は十万一千二百円になりますけれども、そういうものや期末手当など合わせて百何十万を超す給与が支給されていない。
 ところが、本国から支給される手当は少額。で、物価高から夏休みに帰国できない。授業に必要な参考書の購入もできない。クラブ活動でも費用が足りない。こういう状況の中で、防衛庁では学生手当に準じた生活費補てんのための奨学金の支給ができないか実態調査や法制度の検討を始めた、早ければ二年後にも実施したい、こういうことが報道されております。
 私は、これは趣旨としては非常にいいと思うんですね。いろんな問題は確かにあると思いますけれども、これは報道された内容がそのとおりであるのか、またこういう問題についての御見解を承りたい。
#122
○国務大臣(中西啓介君) 今、板垣先輩が御指摘のとおり、三十三名の主としてアジアの諸国から留学生を受け入れております。これは一般的な教育的効果、国際的視野を深めるとか、相互啓発が促進される、そういう効果はもちろん期待したものでありますが、それ以外に我が国の防衛政策あるいは自衛隊というものの理解を深めていただく絶好の機会でもある、そういうふうな視点から今三十三名の留学生に勉強していただいているわけでありますが、御案内のとおり東京は特に物価が高いとか、あるいは折しも大変な円高等で、彼らの実態は大変苦しい状況にあることは本当に事実なんですね。
 そういうことで、少しでも何と言うか、彼らの目的にもっともっと協力できたらなという気持ちで今勉強いたしておるところでございますけれども、御指摘のような具体的な検討は多分していないんだろうと、私まだ報告はいただいておりませんが、それを今から詳細、教育訓練局長に答えさせたいと思います。
 先ほどの一般手当の話でございますが、とにかく日本の防衛力の機能を高めるということはいろいろもちろんございますが、やっぱり優秀な人材を集める、募るということも私は大変重要なファクターだろうと思っております。皮肉なことに、今景気が悪いものですからかなり応募状況もいい。また離職していく人も少ないという状況にありますけれども、中長期的に考えた場合には、民間のいろんな福利厚生の面から考えても自衛隊の隊舎、宿舎等も余りにも時代おくれというか、民間との格差があり過ぎる。そういう視点から、そんな宿舎だったら私どもはみたいな、現実、景気のいいときには本当に非常にそういう場面もたくさんございまして、とにかく今後とも、若干時間はかかりますけれども、隊員を募っていくための環境整備にもぜひ力を入れていきたいと思っております。
 それから、PKO問題の御指摘もいただいたわけでありますが、やっぱり自衛官、自衛隊員ともども評価されたい。国民から感謝をしてもらって嫌な人はいないわけですから。そういう意味で、カンボジアに初めての経験ではありましたか手探りでスタートしたPKO業務でありましたけれども、大変国民からも評価をされる結果につながったということで、自衛隊員の士気も非常に上がっていると私は認識いたしております。
 そういう意味で、もう少しこのPKOという部門に焦点を当てていただくべく、いろいろ国会でも御議論をいただければと、そんなふうに考えておるところでございます。
#123
○政府委員(上野治男君) お答えいたします。
 ただいまの大臣の説明で大方説明は尽きているわけでございますが、若干補足させていただきます。
 防衛大学校におきましては、昭和三十三年以来各国から留学生を受け入れております。大変な成果が上がっており、おかげで各国で軍人として活躍している方も大勢出ているわけでございますが、いかんせん最近の諸般の情勢から、日本へ留学生を派遣する本国にとってはいろいろな負担があるので大変だという声が非常に強いわけでございます。その中で、今までも授業料ですとか食費ですとか宿舎費、医療費、そういったものを順次無料化する等の措置を講じてきたわけでございますが、さらに学生手当等についても支給してもらえるならば本国の負担が軽くなるという要望が来ておる次第でございます。
 本来、学生手当というのは、必ずしも給与ではないわけでございますが、現在やっております学生生活を充実させるために必要な各種の経費でございます。休み中に旅行する、あるいは学生として各種のコンパのようなものがあります。クラブ活動の経費、そういったものもございますが、そういったような費用も、我が国の学生と同じような生活ができるよう、充実した学生生活を営み、すぐれた市民として、すぐれた自衛官として育ち上がるようにということで、私ども内部で今一生懸命勉強しているところでございます。
 学生手当等につきましては、いずれまた財政当局ですとか、あるいは法律上の諸問題等解決しなければならない問題がたくさんございますので、そういったことを順次解決させながらこの実現を努力したいと私どもの局では担当の係員等が今勉強している最中でございます。
#124
○板垣正君 終わります。
#125
○聴濤弘君 今度提出されました法案で期末手当が〇・一五カ月カットされている、このことはベースアップが低いだけに、公務員労働者に与える影響は極めて大きいというふうに思います。実際、公務員の方々から私のところに何とかしてほしいという要請がいわば相次いております。
 一つだけ御紹介いたしますが、公務労組連絡会から来ております要請書には、「消費者物価上昇分や所得税・社会保険料等の増加分を差引いた年収でみると、実質賃金はほとんど改善されないことになります。これでは公務員労働者の生活実態に照しても、また、職務に専念するにふさわしい処遇ということからみてもとうてい納得できません」と、こういう要請書が来ております。少なくとも一時金の切り下げだけは行わないようにということを要求しております。
 私は、人事院にお伺いしたいんですが、この〇・一五カ月の切り下げというのは、人事院が主張している民間に依拠する、民間に準拠という原則に反するんじゃないか。民間の一時金が労働省の調べによっても切り下げられたということはないはずでありまして、その点いかがでしょうか。
#126
○政府委員(弥富啓之助君) 従来から期末・勤勉手当の計算原則と申しますか、それはその年間支給月数を前年の五月から当年の四月までに支給された民間の特別給の年間支給割合と均衡をさせるように改定をしてきているところでございます。
 具体的に申し上げますと、民間の年間支給月数につきまして、職種別の民間給与実態調査において当年四月までの過去一年間に支給された支給額を調査いたしまして、これをもとに年間支給月数を算出しているところでございます。したがいまして、公務の年間支給月数におきましては、ほぼ前年度における民間の特別給の年間支給月数と同じ動きになるわけでございますけれども、一方その年間支給の額で見ますと、前年度における民間の基礎給与の増減幅というものがありまして、これと当年度における公務の基礎給与の増減幅、これはことしは一・九二と非常に低いわけでございますが、この関係等によりまして公務と民間で異なる動きになることがございます。
 期末・勤勉手当を民間の特別給と均衡させる方法につきましては、これは過去いろいろな御意見が想定されるところではございますけれども、民間の支給状況を正確に反映をさせていくためには、最新の給与実態、実績のデータを用いることが適当である。
 いずれにいたしましても、現在の方法が国民の理解と納得を得ることができる最善の方法であると考えているところでございます。
#127
○聴濤弘君 調査のことについて触れられましたが、調査のあり方に問題があるということについて、いろいろこれまでも議論されております。きょうはもう時間がありません。あと三分ぐらいで終わりなんですが、ですから調査のやり方について質疑をするわけにはいきませんので、調査のやり方に問題があるということは指摘したいと思います。
 ところで、人事院、どなたでも結構なんですが、特別職、役職者、これも同じく〇・一五カ月カットなんでしょうか、同じように一律。
#128
○政府委員(丹羽清之助君) 期末手当を〇・一五カ月落としたわけでございますから、管理者につきましても同様でございます。
#129
○聴濤弘君 民間企業で一時金をカットする場合というのは、経営責任というのがあって、その観点から、役職者ほどこのカット率が大きいというのが大体その常識なんですね。国家は別に商売やっているわけじゃないですけれども、民間というのはそういうやり方をするというのが常識的なことになっている。しかし、この際、現在のやつでは一割カットということでありまして、この点でもいわば民間準拠というのは原則になっているわけで、どうもこの点でもいまいち納得のしかねるところがあるんですが、いかがでしょうか。
#130
○政府委員(丹羽清之助君) おっしゃるとおり、支給月数そのものにつきましては同様でございますけれども、御承知のように公務員の場合、期末・勤勉手当には管理職加算あるいは役職段階別の加算というものがございまして、カットの月数はそれぞれの加算に反映するということでございますから、減額の率におきましては管理職の方が重くなっているという結果になるわけでございます。
#131
○聴濤弘君 いずれにしましても、この〇・一五カ月のカットというのが公務員の方々に打撃を与えるということは、要望書、その他によりましても明確なことであると思います。
 最後に総務庁長官にお伺いしますけれども、こういう公務員の方々にとって不利なものにはやはり従うべきではないと私は思うんです。九月の十六日に内閣委員会でこの問題の審議があったときに、私はそのことを長官に申し上げました。長官はそのときに、人事院の勧告というのは、それを尊重するということがやはり基本でなければならないという趣旨の御答弁をされました。
 しばしばこれまで公務員の労働者にとって有利な勧告が無視されてきたケースもあります。勧告に従わないというケースもあった。今回のこの切り下げの部分ですけれども、この部分については尊重するということで従っていくということでありますと、それが恣意的にあるときには従う、あるときには従わないというようなことで使い分けられますと、これは基本的な精神からいって、なかなか納得のしかねるところでございます。この点についての長官の立場をもう一度お聞かせいただきたいのと、いずれにしろ不利なものについては従わないということをきちっとされるべきではないかというふうに思いますが、いかがでしょうか。
#132
○国務大臣(石田幸四郎君) これは聴濤先生も御承知のとおりでございますが、国家公務員の期末・勤勉手当の支給問題につきましては、これは国家公務員の給与の問題と同様に、人事院で民間の状況あるいは公務員の状況等を客観的に調べた上で、トータルで勧告をなされておるわけでございますので、やはり私はこの人事院の勧告というのは、そういう意味合いで政府としてはトータルで出されているものについてやはり尊重せざるを得ない、このように思うわけでございます。
 もちろん、経済状況あるいは社会状況によってこの勧告の幅が大きくなるケースもありましょうし、逆に小さくなる場合もあるわけでございまして、それを一律に一つの方針を決めて、どこかの点が削られたから、断じてこれだめというわけにはなかなかやはりまいらないのではないか。毎年毎年のそういった民間等との給与較差、その他十分調整をした上の勧告でございますから、毎年毎年の判断によって決めるべき性格のものであろう、このように考えているところでございます。
#133
○聴濤弘君 終わります。
#134
○委員長(岡部三郎君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#135
○委員長(岡部三郎君) 御異議ないと認めます。
 一般職の職員の給与等に関する法律の一部を改正する法律案の修正について聴濤君から発言を求められておりますので、この際、これを許します。聴濤弘君。
#136
○聴濤弘君 私は、日本共産党を代表して、一般職の職員の給与等に関する法律の一部を改正する法律案に対する修正案を提出いたします。その内容は、お手元に配付されております案文のとおりでございます。
 これより、その趣旨について御説明申し上げます。
 政府提出の法案は、期末手当について支給月数を年間〇・一五カ月切り下げて、現行の期末・勤勉手当の年間支給月数五・四五カ月を五・三カ月にしようとするものです。
 我が党提出の修正案は、この期末手当〇・一五カ月の切り下げをやめ、現状の年間支給割合五・四五カ月を維持しようとするものであります。
 その理由は、第一に、ことしの給与勧告が一・九二%という人勧史上二番目という低率勧告の上、ベースアップにすれば〇・九%に相当する十五年ぶりという期末手当の大幅切り下げが、公務員労働者とその家族の生活に大きな打撃を与えるからであります。
 第二の理由は、期末手当切り下げが、政府が強調する給与法の民間準拠の趣旨に照らしてみても問題があることです。また、期末手当の支給月数の切り下げの基礎となっている民間企業の一時金水準は、労働省の調査によっても前年と比べて下がっておりません。この民間の一時金水準から見ても期末手当の切り下げは問題があります。
 また、民間企業が一時金を切り下げる場合には、経営責任の観点から役職者ほどカット率が高いということが一般的です。しかし、今回の公務員の期末手当切り下げは、一般の職員も一律カットであるという点、この点でも民間準拠から問題があります。
 しかも期末手当は三年前、最高二割増しの役職別傾斜支給が強行され、役職者などを優遇する措置がとられています。これらの役職者優遇措置とあわせて見ると、今回の一律カットは、一般の職員に一層の犠牲を強いるものとなっています。
 我が党の修正案は、こうした問題点を是正するとともに、公務員労働者とその家族の生活を擁護するものであります。
 次に、修正案の概要を申し上げます。
 政府提出の一般職職員給与法改正案が、期末手当を年間〇・一五カ月切り下げている第十九条の四第二項の改正規定を削除し、現行の支給月数を維持するものであります。
 なお、本修正案に要する経費は、約二百八十二億円の見込みであります。
 以上が修正案の提案理由とその概要であります。
 委員各位の御賛同をいただき、速やかに可決されんことを要望しまして修正案の趣旨説明を終わります。
#137
○委員長(岡部三郎君) ただいまの聴濤君提出の修正案は予算を伴うものでありますので、国会法第五十七条の三の規定により、内閣から本修正案に対する意見を聴取いたします。石田総務庁長官。
#138
○国務大臣(石田幸四郎君) ただいまの一般職の職員の給与等に関する法律の一部を改正する法律案に対する修正案につきましては、政府としては反対でございます。
#139
○委員長(岡部三郎君) これより三案並びに修正案について討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。――別に御発言もないようですから、これより直ちに採決に入ります。
 初めに、一般職の職員の給与等に関する法律の一部を改正する法律案について採決を行います。
 まず、聴濤君提出の修正案の採決を行います。
 本修正案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#140
○委員長(岡部三郎君) 少数と認めます。よって、聴濤君提出の修正案は否決されました。
 それでは、次に原案全部の採決を行います。
 本案に賛成の方の挙手を願います。
   一賛成者挙手〕
#141
○委員長(岡部三郎君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 次に、特別職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案について採決を行います。
 本案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#142
○委員長(岡部三郎君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 次に、防衛庁の職員の給与等に関する法律の一部を改正する法律案について採決を行います。
 本案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#143
○委員長(岡部三郎君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、三案の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#144
○委員長(岡部三郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後三時二十四分散会
     ――――◇―――――
ソース: 国立国会図書館
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