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1993/09/24 第128回国会 参議院 参議院会議録情報 第128回国会 本会議 第3号
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1993/09/24 第128回国会 参議院

参議院会議録情報 第128回国会 本会議 第3号

#1
第128回国会 本会議 第3号
平成五年九月二十四日(金曜日)
   午前十時一分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○議事日程 第三号
  平成五年九月二十四日
   午前十時開議
 第一 国務大臣の演説に関する件(第二日)
    ━━━━━━━━━━━━━
○本日の会議に付した案件
 一、請暇の件
 一、日程第一
 以下 議事日程のとおり
     ─────・─────○議長(原文兵衛君) これより会議を開きます。
 この際、お諮りいたします。
 大脇雅子君から海外旅行のため明二十五日から八日間の請暇の申し出がございました。
 これを許可することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○議長(原文兵衛君) 御異議ないと認めます。
 よって、許可することに決しました。
     ─────・─────
#4
○議長(原文兵衛君) 日程第一 国務大臣の演説に関する件(第二日)
 去る二十一日の国務大臣の演説に対し、これより順次質疑を許します。大河原太一郎君。
   〔大河原太一郎君登壇、拍手〕
#5
○大河原太一郎君 私は、自由民主党を代表して、綱川総理の所信表明演説に対し、現下の緊急課題である政治改革、景気対策及び外交問題等を中心に、総理はか関係大臣に質問をいたします。
 本年中に政治改革を断行することは細川内閣の最初の、そして最優先の課題であると総理は言明されました。その政治改革についてまずお尋ねいたします。
 最初に、政治改革に取り組む基本姿勢についてお聞きいたします。
 政府は、ようやく政治改革関係法案を国会に提出されました。この間、連立与党内部でさまざまな意見があったと伝えられ、どのような内容になるのか最後の最後に至るまで不明でありました。
 選挙制度について言えば、小選挙区比例代表並立制を採用するとしながらも、一票制になるかと思えば二票制になり、定数配分が小選挙区三百になるかと思えば二百五十に戻る、企業・団体献金を全廃するかと思えば政党などについては認めて五年後に見直す、さらに、政党助成については六百億円になったかと思えば再び三百億円に戻り、四百億円に上積みされるという変わりようであります。しかも、その間の議論は不透明で、なぜそうなるのか明らかにされておりません。
 このような経緯からいたしますと、審議に入ってもまた変更するということになるのではないか、与党内が一本化されていないのではないかという危惧の念すら抱かざるを得ないのであります。これでは、責任ある変革を掲げる内閣としては問題ではないでしょうか。政治改革に取り組む総理の御決意をお示し願いたいのであります。
 他方、選挙制度を初めとする政治改革は、すべての政党の共通の土俵づくりでもあります。特定の政党、特定の勢力のためのものであってはならないのであります。したがって、その実現に向けては与野党の合意が大切なことでありますし、互いに議論を戦わせ、主張するところは主張し、譲るところは譲り、補うところは補って進めていかなければならないことは言うまでもありません。
 総理は、審議において修正も受け入れる姿勢を示されているようでありますが、改めてその姿勢を確認させていただくとともに、もしそのような御用意があるのならば、連立与党ばらばらではなく、一本化して責任を持って対応していただきたく、その御決意もお聞きしたいのであります。
 言うまでもなく、選挙制度の改革は議会制民主政治の基本問題であります。政府・与党は、衆議院議員の選挙に小選挙区比例代表並立制を導入するとしました。これは、我が自由民主党が決定した方針と同じであります。しかし、その目指す改革の理念はどこにあるのでしょうか。
 我が党は、一貫して小選挙区制を中心とすることを基本としてきたのでありますが、それは、これからの日本は政党中心に民意を集約し、安定した政権を形成し、国際的にも国内的にも責任ある政治体制を築かなければならないとする理念に基づくものであります。
 これに対しまして、連立与党内には、民意の集約ではなく、民意の議席数への反映を目的として比例代表制を基本とする選挙制度をとろうとする主張が多かったと聞いております。また、総理自身も多様な価値観にこたえる連立政権を基本とした政治体制が望ましいとして、これを穏やかな多党制と表現されました。
 しかし、小選挙区比例代表並立制はこれに矛盾するものであります。並立制の基本は民意を集約する選挙制度にほかならないのであります。連立与党内で強力に主張されたと伝えられる一票制が理念とするところは、まさにその点であります。
 なぜ並立制を採用することとされたか、一体何を理念として選挙制度改革をなさろうとするのか、政府・与党には国民の前にこれらをはっきりと示す責任があります。総理と政治改革担当大臣の明確なお答えを要求するものであります。
 次に、政府案の内容について数点ただしておきたいと思います。
 政府案は、総定数を五百とし、小選挙区と比例代表の定数をおのおの二百五十とし、比例代表は全国を単位とし、投票は記号式二票制を採用するものでありますが、この案にはさまざまな問題が含まれていると考えざるを得ません。
 まず、議員定数を五百人としたことであります。政治改革においては効率的で簡素な政治体制を構築することもまた一つの要請であります。確かに、現行の定数五百十一を削減することは結構なことでありますし、総定数五百人は端数のない数字ではありましょう。しかし、この数字は中途半端で、かつその根拠も明らかではありません。抜本的に選挙制度を改革するこの際には、英断を振るって思い切った定数削減を実現することが必要なのではないでしょうか。
 我が党は、これを公職選挙法本則の四百七十一名とすべきであると決定したところであります。政治改革似みずから範を示すべきではありませんか。
 並立制は、本来小選挙区を基本とする制度であります。小選挙区制によって民意を集約し、安定した政権と緊張ある政治を実現しようとするものでありますが、これによって生じ得る民意の偏りを是正し、補完するのが比例代表制なのであります。
 重複立候補を認める点からいえば、総選挙区の落選者の救済をも現実には意味しているものであります。このような補完的役割を果たすべき比例代表制の定数を小選挙区と同数にしたのはどのような考えに立ってのことでありましょうか。小選挙区制を導入する意味がどこにあるのか理解しがたいのであります。
 さらに、我々参議院の選挙制度との関連も問題であります。参議院は、都道府県を単位とする地域代表的な要素を持つ選挙区選挙と、全国の有為な人材を職能、職域代表的な要素として選出する比例代表選挙とから成っております。衆議院に導入しようとする並立制は、理念は異なりますが、形式的にはこれに似た制度となります。しかも、政府案は二票制を採用し、かつ、比例代表を全国単位とすることによってますます現行の参議院選挙制度に近づいてくるのであります。
 総理は、参議院の選挙制度のあり方は二院制の趣旨が生かされることを基本に検討すべきものとこの場で御発言なさっております。その趣旨は、衆議院の改革を先行させ、その後にそれにあわせて参議院の改革を考えればよいということではよもやないと考えておりますが、いかがでありましょうか。
 我が党は、民意を集約するという並立制の理念にのっとり、かつ参議院とは異なった制度とする趣旨を踏まえ、一票制を採用するとともに比例代表は都道府県単位とすることとしたのであります。こうすることによって、少なくとも二院制の趣旨は生かされるはずであります。
 また、衆議院の選挙を並立制にすることは、個人の利益誘導型選挙から政党を中心とした政策競争型選挙への転換をも意味しているのであります。二票制は、小選挙区の投票と比例代表の投票とが政党について食い違ってもよいということを意味するものであります。これでは個人中心の選挙はそのまま残るでありましょうし、政策競争と政党間の緊張ある政治が実現されないという問題も残るのであります。
 総理、並立制を導入する以上、一票制を採用し、都道府県単位の比例代表とすることが、その理念を実現するためにも、また二院制の趣旨を生かすためにも必須の条件と考えますが、御見解を明らかにしていただきたいのであります。
 また、もし政府案を維持する考えならば、参議院の選挙制度は具体的にどのようにすべきとお考えなのか、改めてお伺いを申し上げます。
 次に、政治資金についてお尋ねいたします。
 企業、団体による献金の問題は、政治資金の透明性を確保する上でまさに中心課題であります。連立与党の政権協議においては、企業・団体献金の廃止が重要事項として掲げられていたと記憶しますが、政府案は政党、政治資金団体以外への献金を禁止するにとどまりました。与党内にはさきの総選挙において企業献金の全廃を公約に掲げた党もあったはずであります。なぜこのような案になったのか、その理由を明らかにすベきではないでしょうか。
 政府・与党は、どのような方針で五年後の見直しをしようというのか、どのような方法によって企業・団体献全廃止を実現しようとしているのか明らかにしていません。スローガンを掲げることは容易であります。これらの点を明らかにし、その実現への具体的な展望をお示しいただきたいと存じます。
 もともと政治資金は、透明性を高めながら国民の皆さんの自発的な献金によることを基本とすベきであることは言うまでもありません。支持をしていただく各界各層から広く薄く拠出をお願いし、政治活動に必要なコストを賄い、これによって国民の政治意思を形成するという政党と政治家の役割を果たすベきものであります。
 企業・団体献金を廃止すると言うのは容易でありますが、果たしてそれが妥当な措置でありましょうか。企業・団体献金がすべて悪しきものだとすることは、余りにも一面的であります。企業、団体も社会を構成する存在でありますし、その政治的活動の自由も保障されているのであります。献金の透明性を高めながら、適法な企業・団体献金も一定範囲内で認めることこそが妥当な方向であると考えざるを得ません。
 一方では現実離れをした献全廃止を主張し、他方では財政が成り立たないから税金でその分を賄うというのでは、余りに御都合主義に過ぎるのではないでしょうか。
 もちろん、政党への公的助成を国民の皆さんの御理解のもとに導入することは、政治腐敗をなくし、国民のための政治を実現するためにやむを得ないものでありましょう。しかし、そのためには条件があります。みずからの襟を正すこと、政治不信を一掃して政治に対する国民の信頼を回復すること、助成の額が納得のいくものであることであります。実際に足りないからできるだけ多く助成すべきだという態度こそ、最も戒めるべきであります。
 翻って、政府・与党の政党助成案は、この態度を如実にあらわしたものではないでしょうか。当初の三百億から六百億円に増額され、さらに、多ければ多いほどいいという発言さえあったやに伝えられております。一たん三百億円に戻すことになったのも、世論の批判を浴びて、額の根拠が提示できない、説明しにくいという理由であったようであります。それでも、政治家への献金を禁止したから四百億円でいいのではないかという理由でまた増額されたと聞いております。二転三転したこのような無責任な態度では、公的助成について国民の御理解を得ることは到底できないのではないでしょうか。
 政治腐敗の防止は、選挙制度の改革、政治資金の抜本的な透明化、腐敗防止に関する法律の厳正な運用と相まって、我々政治に携わる者が政治倫理を確立して国民の負託にこたえる責任ある政治を実現することによって初めて実現できるものと確信いたしますが、総理の御見解を承りたいと思うわけでございます。
 次に、今日緊急の課題となっている景気対策についてお伺いいたします。
 景気の循環的落ち込みに資産デフレの加わった今回の平成複合不況に対しましては、宮澤内閣時代、昨年八月と本年四月に大型の総合景気対策が講じられ、景気浮揚に力が尽くされました。その結果、ようやく年度の初めにはその効果が出始め、一部には明るい兆しも見えていたのであります。これを受け、この六月には船田経済企画庁長官の景気底入れ宣言があったところであります。
 しかるに、その後、冷夏と長雨という異常気象により、消費が冷え込む一方で、我が国経済は急激な円高の直撃を受け、一転して再び厳しい事態に見舞われております。内需は個人消費が停滞し、設備投資は減少していますほか、外需も円高により輸出が減少しています。また、雇用状況も有効求人倍率は低下し、完全失業率は上昇をたどり、企業内調整を考慮するともはや限界に近づいております。
 先般の国民所得統計速報値によれば、国民総生産の実質成長率は年率二%マイナスと言われております。まさに、戦後最長最大の不況と言えるのであります。
 こうした事態に担いても政府の認識は依然として型どおりで、九月の月例経済報告によれば、底を打った景気が回復に向けた動きに足踏みが見られるなどと極めて楽観的な認識であります。今や景気は底割れの状況にあります。二番底の可能性すら指摘されている中で、このような認識は、この深刻な不況が一体いつまで続くのか、この光景気はどうなるのかという一般国民の不安とは著しく乖離しております。
 そこで総理、あなたは今日の景気の状況をどう認識し、先行きについてどう考えているか、まずお伺いいたします。
 我が党は、責任野党として景気の現状と対策の緊急性を厳しく受けとめ、去る九日、大型の所得減税を含む十五項目の緊急総合景気対策を取りまとめ、政府に対してその実施を要求いたしました。
 政府は、当初、財政支出を伴わぬ規制緩和や円高差益の還元等、構造対策に専ら重点を置き、景気対策としてのマクロ政策に消極的でありましたが、国民の間に広がる不安と産業界の悲鳴に近い要請を受け、ようやく重い腰を上げ、先週十六日、緊急経済対策を発表いたしました。
 対策の柱は、規制緩和の推進、円高差益の還元及び生活者・消費者の視点に立った社会資本整備の推進等から成り、総事業規模は六兆一千五百億円と言われていますが、ここまで落ち込み、冷え切った不況からの脱出がこの程度の対応で可能であると思っているのでありましょうか。
 発足早々の政権といたしましては、これができ得る精いっぱいの限界かもしれませんが、国民の感覚を肌で感じる政治主導ではなく、官僚主導の色合いが強く、目玉がありません。生活者重視と言いながら効果は不明のまま、ただ項目が多ければよしとするものではありません。せめて十兆円を超える事業規模を持ち、五兆円を超える所得税減税を先行するくらいの国民の目に見える内容を整えないと、ここまで落ち込んだ消費マインドをよみがえらせ、景気を回復する起爆剤とはなりません。
 ついては、政府はこの対策の実施により経済成長率がどれだけ高まるとお考えでありましょうか。また、今年度のGNP成長率はどの程度となるか、対策による経済効果をお示し願いたいのであります。
 我が党の発表した景気対策の中心は、大型所得税減税の速やかな断行であります。これに対して、政府の減税への対応は税制調査会における総合的検討にゆだねております。今、国民が一番望んでいるのは所得税減税の早急な実施であります。逆流する景気の歯どめとして、即効性のある大型の所得税減税を目玉に据え、国民の期待にこたえるべきであります。
 加藤政府税調会長も、十分な財源担保の保証のもとに所得税減税の先行実施についての可能性を検討する旨言明しております。また、鈴木財政審会長も減税先行論に同調しております。なぜ今回の対策で所得税減税を先送りされたのか、その理由を改めてお伺いいたします。
 また総理は、各方面で言われておりますように、消費税の税率引き上げによる財源担保とセットで減税の先行実施を実施するお心づもりなのかどうか承りたいのであります。
 なお、この七月の総選挙において、連立与党である日本新党を初め与党各党の皆さんは大型所得税減税を公約として掲げられておりましたが、今回の対策にこれが具体的に盛り込まれていないことについていかに国民に弁明されるのでありましょうか、総理より代表して明確な答弁を求めます。さらに、細川内閣の金看板である規制緩和も、数は九十四そろえましたものの、即景気回復につながるものに乏しく、景気浮揚効果は疑問との大方の批判に政府はどう答えられますか。
 また、政府の対策に追いかけて、重い腰を上げた日銀により公定歩合〇・七五%の引き下げが行われました。どうかこれが市場の貸出金利に早期かつ十分に反映し、企業の設備投資の回復に結びつくよう措置するとともに、年金生活者等に十分配慮すべきであると思います。
 いずれにいたしましても、私は、細川連立内閣が日本経済の中長期の変革を目指すならば、まず今回の不況から脱出するために思い切った政治決断をなすべきだと思います。それとあわせて、対策のフォローアップを絶えず行い、適時適切、必要な追加措置を講ずベきと存じます。
 次は歳入不足問題であります。
 景気の落ち込みは、経済、国民生活のみならず、財政の上にも深刻な影響を及ぼしております。五年度予算の税収は、四年度税収の落ち込みで発射台が下がり、五兆円ないし七兆円に及ぶ税収不足のおそれがあると報じられております。政府の現段階の見通しを御説明願いたい。また、仮にこのような税収不足が生ずるとすれば、既に年度後半に入る段階で、その穴埋め策は極めて限られた手段しか残されていないと思いますが、どのような手段、手法が考えられますか。めらゆる手段を尽くすのは当然ではございますか、その中には赤字国債の発行も含みますか、伺いたいのであります。さらに、六年度税収も大きな影響を受けることは必至であります。二度と赤字国債を発行しないと言明される細川内閣は、これから始まる予算編成にどのような姿勢で臨まれるか、その基本方針を明確にお示しいただきたいのであります。総理及び大蔵大臣の答弁を求めます。次に、災害対策についてお伺いいたします。本年は、相次ぐ地震、集中豪雨、台風など、各地で多大の被害の発生を見ました。再びかかる災害を生じないよう自然災害に強い国づくりを進めるとともに、今後とも事態の推移に応じ速やかに必要な措置を講ずるよう政府に強く要請いたします。
 この際、特に申し上げたいことは、異常気象に伴う冷夏により国民生活に多大の影響が出ていることでありますが、特に国民の基幹食糧としての稲作に深刻な被害が出ていることであります。すなわち、本年の夏は四十年来の低温、多雨、そして日照不足となり、八月十五日現在の稲の作況は九五という未曾有の低いスタートを切ったところであります。しかも、私自身現場で稲を見、農家から話を聞いたところでは、この状況は日に日に悪化しているとの感を強めているところであります。
 そこで、まず極めて厳しいと予想される本年の稲作について、今後いかなる見通しをお持ちなのか。また、今回の冷害についてどのような対策を講ずるつもりか、総理にお伺いいたします。
 また、こうした状況を踏まえ、米の需給についての逼迫を強調し、減反の大幅緩和をしてもなお米の輸入が避けられないとの報道も行われております。国民の不安は今後高まってくると思います。米については従来より国内自給を基本としているところであり、今後ともこの基本方針に基づいて、当面、米の需給状況を乗り越えられるのかどうか見解をお伺いしたいのであります。
 次に、外交問題に関してお尋ねいたします。
 まず、細川内閣の外交姿勢にかかわる問題についてであります。
 さきの特別国会で我が党の斎藤議員会長は、およそ一国の基本にかかわる外交政策は、一つの顔、一つの言葉によって明快に語られなければならないと指摘いたしました。そうでなければ、我が国の国際的な信用を失墜し、国益を損なう結果になることを危惧したからであります。このことに対する総理の御答弁はいただけなかったわけでありますが、決してこれを否定されることはないと確信をしております。
 ところが、先般、社会党委員長としての山花国務大臣が韓国を訪問された際に行った発言はいかがなものでありましょうか。
 従軍慰安婦問題についての細川連立内閣の基本方針は、この問題は法的に解決済みであり、新たな補償は行わないというものであることと承知しておりますが、山花大臣は、補償措置は不可欠であるとの考えを示したと伝えられております。明らかに細川内閣の方針と矛盾、対立いたします。
 総理は、山花発言について、閣僚の一人として内閣の姿勢を踏まえているので安心しているとされたようでありますが、これはまことに理解に苦しむところであります。補償問題を不可欠とする発言と、補償問題は決着済みとする方針とが百八十度も違うことはだれの目にも明らかではあり当せんか。与党第一党党首の発言であるだけに、その発言には責任と重みが伴うのであります。ままに閣内不統一であり、二つの顔、二つの言葉による外交の最たるものであります。
 山花大臣の真意は何でありますか。これを内閣の姿勢を踏まえたものと言うことは、新たな補償を考えるということなのか、総理並びに山花国務大臣の明快な答弁を求めます。
 次は、カンボジアPKOについてであります。
 二十六日の自衛隊施設大隊の帰国をもって、我が国のカンボジアPKO協力は成功のうちに終了いたします。国際社会の責任ある一員として、我が国は戦後初めて具体的な形で国際的な人的貢献をしたのであります。私は、極めて困難かつ悪条件の中で任務を全うされた自衛隊員、文民警察隊員、選挙監視要員の方々に対し、そしてまたすベての関係者に対し、心からの敬意と感謝を申し上げる次第であります。国民の多くもまた同様に、無事に帰国した自衛隊員の労をねぎらい、心から拍手を送っておられることと思います。
 このPKO協力に際して死傷者が出たことはまことに悲しむベきことでありました。しかし、もしあのとき我が国だけが任務を放棄し、自衛隊員を帰国させていたらどうだったでありましょうか、我が国の国際貢献に対して今日寄せられるような各国の評価は得られなかったでありましょう。
 細川総理、あなたは今、我が国のカンボジアPKO協力をどのように認識、評価しておられるのでしょうか。自衛隊のPKO参加は正しかった、よかったと考えるのか、それとも連立与党の一部にあるように、参加すべきではなかった、別組織で参加すべきであったと考えるのか。今後のこともございますので、現在の御判断をしかと承りたいのであります。
 また、自衛隊参加に異を唱えられた現在閣僚としてひな壇に並ぶ方々を代表して、山花大臣の御答弁を承りたいのであります。
 ところで、ポストPKOのカンボジア問題の核心は、カンボジアの復興、開発支援にあることは御承知のとおりであります。既にパリでカンボジア復興国際委員会が開催され、我が国も緊急財政支援などを表明しておるわけでありますが、今後のカンボジア支援策を具体的にお伺いいたします。
 次に、中東和平についてお聞きします。
 長年の宿敵であったイスラエルとパレスチナが憎しみの壁を乗り越え、領土と平和の交換という原則に基づいて平和への第一歩を踏み出したことはまことに歓迎すべきことであります。
 私は、中東の地に一日も早く包括的な平和が訪れることを願うものであります。そのためにも、今後この地域の平和の基礎となる経済的、社会的安定をいかに構築していくかが重要であります。羽田外相が暫定自治協定の調印式に招かれたのも、そうした面での我が国に対する国際社会の期待のあらわれであると思います。
 ところで、占領地の経済復興と発展には、今後十年間に少なくとも約三十億ドルの支援が必要であると見られておりますが、私は、我が国がこのような支援措置を速やかに実施していくことこそ、今後我が国が中東地域で果たすべき貢献であると思います。中束和平に対する御認識と今後の我が国の役割、そしてまた、さきの外相訪米の際、米国とどのような話し合いを行ったか、細川総理並びに羽田外相にお尋ねいたします。
 次に、総理の国連総会出席に関連してお尋ねいたします。
 細川総理は、この二十七日には国連総会に出席し、また、その後クリントン大統領と会談される予定と承知しております。
 そこで何点がお聞きします。
 まず、国連総会の一般演説ではどのようなことを訴えようとされるのでありますか。また、特に安保理常任理事国入りについては、宮澤内閣時代の七月にガリ事務総長へ前向きの意見書の提出が行われたこと、アメリカを初め先進主要国の理解、支持があること、また、国際貢献について我が国が後退した印象を与えぬことなどの点を踏まえ、総合的な判断が必要と思います。
 総理、我が国の常任理事国入りの希望を明確に表明されるのでありましょうか。この際、総理は世界に向かって、我が国が一層の国際貢献をしていく覚悟であることを明らかにすべきであります。
 次は日米首脳会談についてであります。
 会談では経済問題が最重要課題とされ、クリントン大統領から日本の経常黒字を国内総生産の二%以下とし、分野別の客観基準について数量目標を設定するよう求められることも予想されます。こうした理解が米国の一方的なものであることは言うまでもありませんが、羽田外相が黒字などマクロ経済面での数量目標設定に前向きとも言える姿勢を示していることもあって、米国の期待は高まる一方であります。また、国内経済界からもこれを容認する声も上がっております。さきの外相訪米の際、この点についてどう話し合ったのか、お述べいただきます。
 またあわせて、細川総理訪米の際には、こうした米国の要求にどのように対処されるのか、総理の明確な答弁を求めます。
 次に、日朝関係についてお伺いいたします。
 まず、国交正常化交渉についてであります。
 私は、両国間の一日も早い正常化を願い、そうすることがこの地域を含むアジア・太平洋地域の平和と安全に寄与することを信じて疑いませんが、外交にはまた原理原則にのっとった行動が殊のほか重要であると考えます。我が国にとって重大な脅威である核の開発疑惑といった基本問題について十分納得できる進展が見られない限り安易な妥協はすべきではないと考えます。今後の対北朝鮮外交についての御見解を総理からお聞かせ願います。
 また北朝鮮は、核弾頭搭載可能で、我が国にも到達可能な労働一号というミサイルの試射実験に成功したことが確認されておりますが、我が国はこの事実を探知できたのでありましょうか。また、現在の我が国の防衛能力でこれに対処することは可能なのでしょうか。事は我が国が本旨とする専守防衛の根幹にかかわることでありますので、今後の方針を含めてはっきりとお答え願います。
 ところで、ロシア情勢は緊迫を加えております。細川総理はエリツィン大統領を支持する旨発言されておりますが、今後の推移をどう分析されておりますか。さらに、大統領の訪日の見通しにつきまして総理の答弁を求めます。
 次に、ウルグアイ・ラウンドについてお尋ねいたします。
 七年越しのウルグアイ・ラウンドについては、自由貿易体制の維持強化を図り、世界経済の成長と発展を回復するためにも早期にかつ成功裏に終結させなければならないという認識が世界各国の間にこれまでになく強く広まっているところであります。こうした情勢を背景として、交渉はことし十二月半ばまでの終結に向け、既にかなりの突っ込んだやりとりが行われ、各分野において相当の進展が図られているのではないかと考えられます。交渉の現状はどのようになっているか、総理より御説明をいただきたいわけであります。
 また、特に我が国は農業に関し困難な問題を抱えていますが、我が国の主張する包括的関税化の例外の問題については、多くの国が一切例外を認めないという強い態度を崩しておらず、大変厳しい状況に置かれていると思われるのであります。そこで、政府としては、最終段階にある交渉が終結に向けてどのように展開していくと見通しているのか、また、我が国として米の問題にどのような対応をしていこうとするのか、総理のお考えを承りたいと思うのであります。
 終わりに一言申し上げます。
 細川政権が誕生して一カ月有余が経過いたしました。国民は変化と変革に期待し、今のところ高い支持率を記録しているようでありますが、連立政権の命題である政治改革を初め、景気対策、対米問題、構造調整、予算編成、税制改正など、克服すべき重要課題が山積しており、正念場はこれからであります。今後の国政運営に当たって最も重要なことは、基本政策の大きく異なる八党会派の政策調整に総理が指導力をいかに発揮するかであります。
 総理は、無私にして毅然たる態度で断固やると申されていますが、連立政権誕生の経緯を振り返るとき、果たしてやれるのかと危倶するのは私一人ではないと思います。大きく主義と政策を異にする連立与党各党は、従来の主義主張を一切顧みることなく、棚上げ、先送りし、反自民の政権をつくり、それに参画することの目的のみで寄り合っていますが、それが単に自民党政策の継承だけのもので済むのなら問題を生じないかもしれません。内閣として独自の政策を打ち出さねばならないとき、私は理念なき連立はほころぶことが必至であると思うのであります。
 既に、防衛庁概算要求におけるAWACSの購入問題、所得税減税の先行実施問題、自衛隊法改正法案の再提出問題の取り組み方を見るとき、今後いつ連立政権内において不協和音が生ずるかわかりません。もちろん私どもは野党でありますから、政権与党内部の不協和音には関知せぬところでありますが、閣内不一致、政策調整のおくれによる国政の渋滞、政治の空白を許すことはできません。
 総理は、材質の異なる寄り合い世帯の連立政権において、今後政策調整についていかなる決意で臨むか、その決意を承りまして、私の代表質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣細川護煕君登壇、拍手〕
#6
○国務大臣(細川護煕君) 初めに、政治改革に取り組む基本的な姿勢についてのお尋ねでございましたが、政治改革関連法案の取りまとめの過程におきまして、連立与党内でさまざまな御議論があったことはそのとおりでございますが、事柄の性質上、むしろ当然のことと考えております。四法案は、その結果得られた合意に基づいて内閣として最善のものと判断をいたしまして責任を持って提案をさせていただいたものでございます。国民の政治に対する信頼が損なわれている今日、この法案を早く成立させるということが何よりも必要なことであって、そのために全力で取り組んでまいりたいと思っております。
 それから、法案の修正についてのお尋ねでございましたが、修正について私が言及をいたしましたのは、議会政治の一般論としてそれは当然のルールについて申し上げたものでございます。今回の改正案は、連立与党各党の合意のもとに、今も申し上げましたとおり、内閣として最善のものと判断をして提出させていただいたものでございます。もとより審議に当たりましては、与野党の合意の形成に努めまして、各党各会派の御理解と御協力を得て早期に成立をさせていただくように期待をいたしております。
 小選挙区比例代表制の理念、なぜ並立制がということでございましたが、今回の選挙制度改革案は、いろいろの弊害が指摘されてきた候補者個人中心の現行中選挙区制度を思い切って改革をし、政策中心、政党中心の選挙に切りかえていこうということでこの法案を提出させていただいたところでございます。
 小選挙区制あるいは比例代表制のみではさまざまな問題が残るということから、それらを組み合わせた小選挙区比例代表並立制をとることにしたものでございまして、御指摘のような民意の集約と多様な民意の反映というそれぞれの制度の持つ特性を生かすことができるものと考えております。
 定数削減についてのお尋ねがございましたが、総定数が五百人であることにつきましては、五百人程度とした第八次選挙制度審議会の答申、あるいはまた、さきの国会での自民党案、社公案におきましてもいずれも五百人程度というお話が出ておりますし、そのあたりが妥当なところではないかと思っております。主要な先進国の例から見ましても決して多い数ではないというふうに考えているところでございます。
 小選挙区と比例の定数を同数としたのはどういうことか、小選挙区制を導入する意味がどこにあるのかといった趣旨のお尋ねでございましたが、定数を二百五十人ずつの同数といたしましたのは、小選挙区三百人、比例代表百七十一人とされた海部内閣の政府案が廃案となりました経緯や、あるいはさきの国会における御論議、その後の与党各党の御意見などを踏まえたものでございます。小選挙区制と比例代表制を同じウエートで組み合わせることによって、それぞれの制度の持つ特性を相互補完的に生かしていこうというものでございます。
 なお、定数が比例代表制と同数でありましても、民意の集約やあるいは国民の政権選択の意思というものが明確に示されるという小選挙区制の効果というものは発揮されるというふうに考えているところでございます。
 参議院の改革についてお尋ねがございましたが、衆議院選挙に導入しようとしております並立制は、小選挙区選挙、比例代表選手ともに政党が中心となることが前提になっているわけで、重複立候補も認めるなど、現在の参議院議員の選挙制度とは異なる内容になっております。
 衆議院選挙と参議院選挙の改革の前後関係につきましては、まず、おおむね各党間の認識が一致しております衆議院の改革について御審議をいただいて結論を得ることが肝要と考えております。参議院の選挙制度につきましては、衆議院に並立制を導入することとの関係で、二院制下における参議院の役割、機能というものをより発揮するためにはどのような選挙制度が望ましいかという観点から、引き続き各党各会派間で十分に御論議をいただいて、早期に方向づけがなされるように念願をしているところでございます。
 二票制についてのお尋ねもございましたが、並立制におきましては、小選挙区選挙と比例代表選挙が基本的には別の当選人決定の手続を持つ二つの選挙でありますし、有権者の意思を尊重してそれぞれに投票する二票制が適当と判断をしたところでございます。しかし、いわゆるクロスボーティング、異党派投票の余地が残るからといって、両選挙とも政策中心、政党中心の選挙であることには変わりはないわけで、二票制によって改革案の趣旨が損なわれるようなことはないものと考えております。
 一票制、それからまた県単位の比例代表とすることはどうか、参議院の選挙制度を具体的にどのようにするかということでございましたが、一票制につきましては、無所属候補者への投票の取り扱い、あるいは異党派投票の取り扱い、無投票や再選挙の場合の取り扱いについて慎重な検討が必要と考えておりまして、また、比例代表選挙の区域を都道府県ごととした場合には、定数二名程度の少ない選挙区が数多くできると見込まれますので、比例代表制の趣旨を徹底するためには、やはり全国を通じて行うこととした方が適当ではないかと考えているところでございます。
 なお、参議院の具体的な選挙制度のあり方につきましては、既に申し上げましたとおり、二院制の趣旨が生かされることを基本に、各党各会派間で十分御論議を賜って、できるだけ早い時期に合意点を見出していただきたいと考えているところでございます。
 企業・団体献金の禁止、五年後の見直しについてお尋ねがございましたが、企業などの団体献金について廃止の方向に踏み切るとしても、あくまで現実に即して対処していくことが必要であろう。今回は、政党、政治資金団体以外のものについて全面禁止としたところでございます。
 また、改正法施行後五年を経過した時点で、政党に対しての寄附のあり方についても見直しを行うこととしておりまして、この五年後の見直しにおきましては、企業など団体献金の廃止につきましても検討がなされるものと考えております。
 企業・団体献金の禁止と公的助成の両立についてのお尋ねもございましたが、政党、政治資金団体以外の者に対する企業などの団体献金の禁止が企業などの団体の政治活動に一定の制約となるとしても、近年続発しております政治腐敗事件の多くが企業などの団体献金に起因することにかんがみますと、このような措置を講じることが必要であると考えているところでございます。
 また、公的助成については、選挙や政治活動を政党中心の仕組みに抜本的に改革することに伴って、政党の財政基盤の確立強化が不可欠になるとともに、より中立的な資金の提供という意味で、民主主義のコストである政党の政治活動の経費を国民全体で負担していただこうとするものでありまして、国民各位の御理解をいただきたいと思っております。
 公的助成の総額が二転三転したではないかということでございましたが、政党への公的助成の総額につきましては連立与党間の協議の過程でさまざまな考え方が出たことはそのとおりでございますが、いろいろな角度から検討されたということでありまして、政府としては連立与党としての最終的な意見を踏まえ検討いたしました結果、総額を四百十四億円としたところでございます。
 この総額の算定に当たりましては、選挙制度、政治資金制度の改革後における政党の所要額を推計いたしまして、その三分の一を助成することとしたわけで、国民各位の御理解がいただけるものと思っております。
 税額控除制度の導入についてのお話でございましたが、国民の政治参加によって政治が国民自身の手で支えられるようになるとの見地から、個人献金の促進は重要なものだと考えております。
 今回、政党、政治資金団体に対する個人献金について税額控除を導入することといたしましたのは、制度改革に伴って選挙や政治活動の中心となる政党への個人献金の慣行の定着化を促進し、その財政基盤の確立強化に資するようにすることが必要であろう、企業などの団体献金の廃止の方向に踏み出すこの際にこのような制度を一体的に導入することがよろしいのではないかというふうに考えたところでございます。
 政治腐敗の防止についてのお尋ねでございますが、政治腐敗事件を根絶し、政治に対する国民の信頼を回復するためには、御指摘のように政治家個々人の政治倫理を確立するとともに、腐敗防止策を含めた選挙制度や政治資金制度の抜本的な改革を一体として実現することが何よりも重要だと思っております。
 次に、景気の現状についてのお尋ねでございました。
 我が国の経済は先行きに対する中期的な不透明感も広がるなど、今後の景気回復には予断を許さないものがあるとたびたび申し上げてまいりました。
 このような経済の緊急状況を克服し、我が国経済を内需を中心とするインフレなき持続可能な成長経路に円滑に移行させるとともに、我が国の中長期的な課題の解決にも資するように、今般、規制緩和と円高差益の還元に加えまして、円高の影響や災害による被害への財政措置など緊急経済対策を発表させていただいたところでございます。
 政府としては、本年度予算や四月に決定された総合的な経済対策を引き続き推進をしてまいりますとともに、今回の対策を早急に実施に移すことによりまして先行き不透明感を払拭して景気回復への動きを確たるものにしてまいりたいと思っております。
 緊急経済対策の効果はどうかということでございますが、今回の対策の大きな柱であり、これまでなかなか手をつけられなかったものとして規制緩和や円高差益の還元があるわけで、こうしたものだけでも相当の効果が期待されると思っております。
 さらに、これに加えまして、今回の対策中に金額が示されているものを単純に合計しただけでもおよそ六兆円と計算されるところで、この限りでも相当思い切ったものであるというふうに認識をいたしております。この部分につきまして、波及効果を含めて前回の対策と同様の方法で一年間の効果をあえて試算をいたしてみますと、名目GNPのおよそ一・三%程度になると推測をされているところでございます。したがって、対策全体として経済の活性化に大きく寄与するものと期待をいたしております。
 また、今年度の経済の姿についてのお尋ねでございますが、四―六月期のGNPの伸びがマイナスとなったことにつきましては大変厳しいものだと受けとめておりますが、四―六月期のQEのみが出た段階で五年度の成長率全体を判断することは適当ではないのではないか、七−九月期のQEの数字も見た上で判断をすることが適当だと思っております。 所得税減税についてのお尋ねもございましたが、これも再々申し上げておりますように、その経済効果の問題、財源確保の問題など、なかなか克服すべき課題が多いということを申し上げてまいりました。この問題につきましては、全体として均衡のとれた税体系の構築についての検討の中で取り組むべき課題だというふうに考えております。
 また、消費税の税率の問題につきましては、国民各層の御意見、御論議に十分耳を傾けながら、今後の財政需要の動向を踏まえて、今申し上げたような総合的な検討の中で論議をしていくべき課題だと思っております。いずれにしても、所得税減税を含めて直間比率の是正など税制の抜本的改革につきましては、税調における総合的な検討をお願いしているところでございます。
 連立与党は所得税減税を公約として掲げだてはないか、こういうことでございましたが、各党の公約としてはいろいろなお立場からそういうこともあったわけでございますが、連立与党として所得税減税の実施を公約したということはございません。
 公定歩合についてのお尋ねでございますが、金融機関の貸出金利につきましては、最近における市場金利の低下に伴いまして着実に低下してきていると認識をいたしております。今般の公定歩合の引き下げによって金融緩和の効果が一層浸透するものと考えているところでございます。
 年金生活者などへの配慮としては、現在、定期預貯金金利が低下している中で、老齢福祉年金の受給者などを対象としている福祉定期預金につきましては従来と同様の金利四・一五%での預入が可能でありまして、これによって年金生活者などに対応しているところでございます。
 それから、五年税収の見通しと税収不足の穴埋め策についてのお尋ねでございますが、平成五年度税収につきましては本格的な収納が始まったばかりでございまして、現時点では具体的な見込みを申し上げられる段階ではございませんが、平成四年度税収が補正後予算額から三兆円余りの減収になったことが極めて大きな影響を及ぼしているところでございます。いずれにしても、今後の税収動向、経済情勢などを見守ってまいりたいと思っております。
 こういう厳しい状況のもとでございますが、今後の財政運営に当たりましては、再び特例公債を発行しないということを基本として、従来にも増して既定経費の節減に努めるなど、歳出歳入両面にわたってあらゆる努力を続けてまいりたいと思っております。
 六年度予算編成にどのような姿勢で臨むかということでございましたが、大変厳しい財政の状況に加えまして、バブル経済の崩壊という追い打ちもございましたから、ますますその深刻の度を加えていることは改めて申すまでもないところでございます。
 そういう状況のもとではございますが、六年度予算の編成に当たりましては、将来をにらんで高齢化や国際化などに適切に対応してまいりますためにも、今申し上げましたような、再び特例公債を発行しないということを基本にして、公債残高が累増しないような財政体質をつくり上げていくということを目指して財政改革を推進してまいらなければなるまいと思っております。
 将来の世代に大きな負担を残さず、健全な形で我が国経済社会を引き継いでいくということが我々の責務でございますし、現下の状況を乗り越えるべく、歳出歳入両面にわたって引き続き努力をしてまいりたいと思っております。
 特に歳出面におきましては、社会経済情勢の変化に応じて、国民生活の質の向上に資する分野に重点投資をしていく、公共事業のシェアの抜本的な変更に取り組むなど、限られた財政資金の重点的、効率的な配分に努めてまいらなければなるまい。制度の根本にさかのぼった見直しや優先順位の厳しい選択を行うなど、従来にも増して徹底した洗い直しをしてまいりたいと思っております。
 自然災害に強い国づくりに関してお尋ねがございましたが、言うまでもなく災害を受けやすい国土条件でございますし、国民の生命、身体、財産を災害から守るということは政治の基本でございます。治山治水は内閣の重要課題として取り組んでまいらなければならないことだと思っております。特に、本年相次いで発生した災害につきましては、政府は直ちに災害対策本部を設けまして、当面の応急措置のほかに地域の再建、復興に向けて種々の対策を実施しているところでございます。
 それから、今後の稲作の見通しについてのお尋ねでございましたが、低温、日照不足、台風などの異常気象によって、八月十五日の時点でやや不良であったものが、その後も不順な天候が続きまして作柄がさらに悪化することが予想されております。異常気象による水稲被害につきましては、目下その実情把握に努めているところでございまして、被害の状況を十分に踏まえて政府として対策に万全を期してまいりたいと思っております。
 当面の米の需給状況についてでございますが、四年産米に加えまして五年産米の新米の出回りが始まっておりますことから、当面の米の需給に心配はございません。平成六米穀年度の需給につきましては、九月十五日現在以降の作柄などを踏まえまして、五年産米に加えて六年産米の新米供給を基本として対応していくことになるわけでございますが、作柄いかんによって需給操作が厳しくなることも懸念しているところでございます。いずれにしても、需要に応じた安定的な供給を確保していくために、当面、本年産米の集荷に全力を挙げてまいりたいと思っております。
 次に、従軍慰安婦問題についてお尋ねがございましたが、日韓両国の間では、従軍慰安婦問題についての補償の問題を含めて、日韓両国と両国民間の財産請求権の問題は一九六五年の日韓請求権・経済協力協定によりまして完全かつ最終的に解決済みというのが政府の立場でございます。
 他方、従軍慰安婦として数多くの苦痛を経験され、心身にわたっていやしがたい傷を負われた方々がおちれるのは事実でございますし、政府としては、人道的観点に立って、これらの方々に対しどのようにしておわびと反省の気持ちをあらわすかについて今鋭意検討をしているところでございます。
 今回の山花大臣の訪韓は社会党の委員長として訪韓されたものでありまして、その発言もそのような立場からの発言であると考えられますが、いずれにしても、山花大臣の御発言は、さきに述べましたような政府の考え方を山花大臣なりの表現で言われたものと理解をいたしております。
 カンボジアPKO協力をどう認識し評価をしているかということでございますが、カンボジアにおいて我が国の要員、部隊がPKO活動に従事をしてまいりましたが、UNTACへの参加を通じて、我が国としてカンボジアの和平の基礎づくりに人的な面を含めて貢献をなし得たと評価をいたしております。このような自衛隊を含む我が国の要員、部隊の活動につきましては、現地でも高い評価を得ているところでありますし、また、我が国におきましても国民の理解と支持が深まっていると認識をいたしております。
 今後のカンボジア支援策をどうするかということでございますが、これまでもカンボジア和平の基礎となる経済的、社会的安定を確保するために復旧復興支援を積極的に進めてきておりますが、今後とも関係国、国際機関と力を合わせて積極的に支援を行っていく考えでございます。
 そのような観点から、先般、我が国は議長国としてカンボジア復興国際委員会の第一回会合をパリで開催をし、我が国の具体的な支援策を表明したところでございます。さらに、明年三月までに東京で同委員会の次回会合を閣僚レベルで開催する方針になっております。
 次に、中東和平に対する認識と我が国の役割ということでございましたが、中東紛争の解決は冷戦終了後の国際社会の共通の課題であるとの認識に立って中東和平プロセスを強く支持し、これまでその進展に努力をいたしてまいりました。
 先般、イスラエル政府とパレスチナ人の間でジョルダン川西岸、ガザ地区における暫定自治に関する原則宣言が合意、署名されたことは、このプロセスの最初の目に見える成果であって、心から歓迎をいたしております。今後、この合意が弾みとなって、イスラエルと他のアラブ諸国との交渉が進展することを期待いたしているところでございます。
 我が国としては、今後とも和平プロセスの一層の推進のために、中東和平多国間協議の作業部会への積極的な参画でありますとか、あるいは交渉当事国ないし関係国との一層の政策対話の強化でありますとか、パレスチナに対する支援の拡充の実施など、積極的な貢献策をしてまいりたいと思っております。
 国連総会演説の内容についてのお尋ねでございましたが、国連総会演説におきまして、政治改革、経済改革、行政改革といった国内改革に取り組む本政権の姿勢を世界に訴えてまいりたいと思っております。また、国際社会が直面する諸問題への取り組みに当たっての国際協調の必要性や世界平和実現に向けての努力の重要性を訴えて、我が国としてこのような努力に積極的に協力していくとの立場を表明してまいりたいと思っております。
 安保理については、世界の平和と安全に対して主要な責任を持つ機関として一層の機能強化が必要となっていることは御承知のとおりでございます。国連総会における主要議題の一つは安保理改革問題でございますが、我が国としてもこの問題に関する議論には建設的立場で参加をしてまいりたいと考えております。
 国連総会演説におきましては、このような認識に基づいて我が国としての考えを述べますとともに、今後とも安保理においてなし得る限りの責任を果たしていくとの姿勢を明らかにしてまいりたいと思っております。
 訪米時における数値目標に対する対処いかんということでございましたが、我が国として良好な対外経済関係の維持を図っていく上でも、経常黒字の縮小に向けて努力をしていくことは当然のことでございます。包括経済協議の共同声明にある中期的な経常黒字の十分意味のある縮小という方向性を踏まえて、今回の緊急経済対策を含む幾たびかの経済対策を着実に実行に移し、引き続き内需拡大や市場アクセスの改善などに向けて自主的な努力を進めてまいりたいと思っております。
 今回の訪米では、こうした我が国としての経済運営の基本方針を説明すると同時に、米国に対しましても財政赤字の削減あるいは国際競争力の促進強化などの政策課題について改善を求め、世界の二大経済大国たる日米両国が積極的に協力をし合って世界経済の運営に責任を果たしていく、そういう観点から首脳会談に臨みたいと思っております。
 経常収支は各国間の自由な経済活動の結果でありますし、単に一国の経済政策や構造調整によって自由に調節できるものではないわけで、政府として具体的な目標を設定することは適当ではないと考えております。こうした考え方は管理貿易的措置につながるおそれがあるわけで、自由貿易体制の維持の観点からも問題があるというふうに理解をしているところでございます。
 ちなみに、この問題につきましては、包括経済協議におきまして我が国の経常収支黒字について数値目標を定めないことで米国側の了解も得ているところでございまして、日米間では既に決着済みの問題であると認識をいたしております。
 日朝国交正常化交渉についてのお尋ねでございますが、第二次大戦後の日朝間の不正常な関係を正すという側面と、朝鮮半島の平和と安定に資することが重要であるという側面の二つを踏まえまして、韓国などの関係国とも緊密に連携をとりながら対応していかなければなるまいと思っております。
 交渉が再開される場合は、当然のことながら、従来からの我が国の原則的な立場というものを維持しながらこれに臨んでいく考えでございます。特に、北朝鮮の核兵器開発問題の解決なくしては国交正常化は困難である点を今後とも強調してまいりたいと思っております。
 ロシア情勢についてでございますが、エリツィン大統領が議会の活動を停止し、全く新しい議会の選挙を十二月に行うという演説を行ったのに対しまして、議会の方は大統領の権限を停止する決議を採択して、副大統領を大統領代行に就任させるなど、ロシアの政局は大変緊迫をいたしております。現時点でこの政局の帰趨を占うのは困難でございますが、我が国はエリツィン大統領の民主化に向けた改革努力を引き続き支持し、国民の意思が真に反映する民主的な政治状況が誕生することを期待いたしているところでございます。
 いずれに、せよ、ロシアの国内情勢につきましては、今後とも引き続き注視をしてまいりたいと思っておりますが、私としては情勢が平和的に推移することを希望しているところでございます。
 大統領の訪日にそのことが影響を与えるかどうかということでございますが、今回の情勢が十月中旬の訪日に影響を及ぼさないことを願っております。エリツィン大統領の訪日については引き続き両国間で準備を進めておりまして、国連総会における日ロ外相の会談予定につきましても特段の変更はございません。
 ウルグアイ・ラウンドにつきましてのお尋ねでございますが、ラウンドの交渉は物品やサービスの市場アクセス交渉を中心として十二月十五日までの実質的な妥結を目指して、集中的、精力的な協議が行われております。ラウンドを早期かつ成功裏に終結させ、多角的自由貿易体制の維持強化を図るということは、世界経済の活性化、保護主義を防ぐために極めて重要な課題でありますし、我が国としては交渉の年内妥結に向けて引き続き最大限の努力をしてまいりたいと考えているところでございます。
 米の市場開放問題につきましてのお尋ねがございましたが、我が国としては、ラウンド交渉の年内終結に向けて今申し上げたように全力を尽くしてまいりますが、同時に今後の交渉に当たりまして、我が国の農業が将来に向けて安心して生産を続けられる環境を確保することが大切であることも申すまでもないところでございます。
 ラウンド交渉が最終段階を迎えている現状で、各国とも農業問題に関してそれぞれ困難な問題を抱えておりますが、相互の協力による解決に向けまして最大限努力をしていくことが必要であると認識をいたしております。
 米については、その重要性にかんがみて、繰り返し申し上げておりますが、国会決議の趣旨を体し、国内産で自給するという基本方針のもとで対処してまいりたいと思っております。
 連立政権において政策の調整はいかんというのが最後のお尋ねでございましたが、この政権の樹立に際しまして、外交、防衛、経済、エネルギー政策などの基本政策について原則として今までの国の政策を継承することを確認をしたところでございます。
 連立政権は、閣議、政府与党首脳会議、与党代表者会議、政策幹事会、そういった協議の場を既に整備をいたしておりますし、これまでも緊急経済対策や政治改革など、そうした種々の問題につきまして適時適切に対応してきているところでございます。
 残余の問題につきましては、関係大臣から御答弁をいたします。(拍手)
   〔国務大臣山花貞夫君登壇、拍手〕
#7
○国務大臣(山花貞夫君) 大河原議員から三点の御質問をいただきましたが、答弁に先立って一言申し上げます。
 八月二十七日本会議における森山議員に対する私の発言に不適切な表現があり、関係者の皆様に御迷惑を及ぼしましたことは遺憾であります。
 既に会議録の訂正をいただいているところであります。今後十分気をつけてまいります。
 さて初めに、選挙制度についての御質問をいただきましたが、総理に対する御質問と同じテーマのものでございます。
 先ほど総理が、選挙制度の改革に当たっては政策中心、政党中心の選挙制度の確立を目指して小選挙区比例代表並立制を導入しようとしたものであること、また小選挙区制あるいは比例代表制それぞれの組み合わせ、すなわち御指摘のような民意の集約と多様な民意の反映という、それぞれの制度の持っ特性を生かすことができるようにと考えていることにつきましては総理の御説明のとおりでございまして、つけ加えるところはございません。
 この並立制の導入は連立政権樹立の合意事項の一つであり、このことを踏まえ、各党各会派の御理解と御協力を得て改正法案を速やかに成立させていただけるよう、全力を挙げて取り組んでまいりたいと考えております。
 次に、私の韓国訪問に関する発言に対しての御質問にお答えいたします。
 御質問にありましたとおり、従軍慰安婦の問題につきまして補償措置は不可欠であるとの趣旨の考えを示したと伝えられているとの御指摘でありますが、御指摘の声明につきましては正確に引用させていただきますと以下のとおりです。「社会党委員長としての立場から、この場をかり、改めて懸案事項に関して我が党の立場を明らかにしておきたいと思います。第一に、過去の植民地支配について、日本は誠実な謝罪を行い、関連国際条約と道義的責任の観点から、両国国民の納得できる措置を講ずるべきです。」と申し上げたところでございます。また、この点につきましては他の場所におきましても発言しておりますが、あくまでも両国民が納得できお措置を真剣に考えるべきだといたしておるところでございます。
 現在大きな問題となっている従軍慰安婦問題につきましては、前政権におきましても大変御苦労されて対応してきていることは承知しているところでございます。
 ことしの八月四日に出されました当時の河野官房長官談話におきましても、「政府は、この機会に、改めて、その出身地のいかんを問わず、いわゆる従軍慰安婦として数多くの苦痛を経験され、心身にわたりいやしがたい傷を負われたすべての方々に対し心からおわびと反省の気持ちを申し上げる。また、そのような気持ちを我が国としてどのようにあらわすかということについては、有識者の御意見なども徴しつつ、今後とも真剣に検討すべきものと考える。」とされているところでございます。また、「なお、本問題については、本邦において訴訟が提起されており、また、国際的にも関心が寄せられており、政府としても、今後とも、民間の研究を含め、十分に関心を払ってまいりたい。」、これが前政権当時の考え方として発表されていることについては御承知のとおりでございます。
 私は、この前政権の官房長官談話に深い感銘を受けるとともに、私も同様の気持ちでいっぱいであることを踏まえ、韓国においては社会党委員長として発言いたし、また、これまでの政府の考え方も十分承知をし踏まえたものであると考えているところでございます。
 なお、従軍慰安婦問題に関する国会論議は我が国のみならず韓国の国民の皆さんも大きな関心を寄せているところでございます。大河原議員におかれましても、何とぞ問題の所在と日韓両国民の友好と善隣の推進という観点から特段の御理解を賜りたいと存ずるところでございます。
 第三点、カンボジアPKOの経験を踏まえてのPKO活動に対する考え方についての御質問をいただきました。
 議員の御指摘のとおり、私もまた、現地に派遣され無事帰国された自衛隊員の皆様の労をねぎらい、そして同時に、中田さん、高田さんお二人の貴重な命が奪われ、負傷者が出たことについて深く悲しみ、哀悼の意を表するものでございます。そして、このカンボジアにおける貴重な経験を踏まえ、今後のPKO活動に生かすことは当然であり、派遣五原則の的確な運用を初め、現行法の今後の運用において十分な検討が必要であると考えます。法におきましては見直し条項もございます。今後も活発な議論があってしかるべきと考えております。
 連立政権におきましては、国際平和協力法の的確な運用を図るため、十分に議論する中で、その合意に基づいて対処してまいりたいと考えているところでございます。(拍手)
   〔国務大臣藤井裕久君登壇、拍手〕
#8
○国務大臣(藤井裕久君) 大河原議員の御質問は二点だと思うのでございます。平成五年度の税収の見通しと、それから平成六年度の予算編成方針だと思います。
 細川総理が既にお答えになっておりますが、御指名でございますので重複をあえていとわずお答えいたしますが、まず平成五年度の税収見積もりは、大河原議員が言われました発射台でございますね、平成四年度の決算が既に出ておりまして、平成四年度の補正後で三兆二千億減、しかも二年連続して前年に比べて税収減というのは戦後初めて、こういう厳しい状況にあるわけでございます。
 したがいまして、平成五年度も厳しいということは当然であ少ますが、総理も言われましたように、本格的な収納が今始まったばかりでございますので、今後の税収動向あるいは経済情勢等を見守ってまいりたいと考えております。
 このようなまことに深刻な状況でありますけれども、これも総理のお言葉にありましたように、後世代に多大の負担を残さずに公債残高が累増しないような財政体質をつくり上げていくという財政運営の基本的方向は堅持しなければならないと考えております。とりわけ、特例公債を発行するような事態は厳にこれを回避してまいりたいと考えております。
 次に、第二の御質問の平成六年度の予算編成の基本方針でありますが、歳出歳入両面においてあらゆる努力を傾注してまいりたいと思っておりますが、特に歳出面においては、国民生活の質の向上に資するそういう分野に重点投資をして、公共事業のシェアの大幅な変更に取り組む等、限られた財政資金の重点的、効率的配分に努めて、従来にも増した徹底した洗い直しを行ってまいる所存でございます。
 よろしくお願いいたします。(拍手)
   〔国務大臣羽田孜君登壇、拍手〕
#9
○国務大臣(羽田孜君) 今お話がございましたように、私は十二日から一三日にかけまして大変急でございますけれども訪米いたしまして、イスラエルとパレスチナ人との間の暫定自治に関する原則宣言の署名式、この式典に出席をさせていただきました。
 その際、クリストファー国務長官と会談をいたしまして、中東和平の現状、また、これからにつきまして率直な有意義な意見の交換ができ得たというふうに申し上げることができると思います。
 この際、クリストファー長官とは、このたびのイスラエルとパレスチナ人との合意を着実に実施すること、しかも確実なものにすることが大切であり、その実現のためには国際的支援が必要不可欠であるということで我々意見が一致いたしたところであります。
 我が国といたしましても、このたびの和平の第一歩を確実にすること、これは先ほど総理からもお答え申し上げましたとおり、単にこのパレスチナというだけではなくて、他の地域にもいい影響を及ぼしていくものであろうということでございまして、その意味でも私どもとしてはでき得る限りの支援というものをしていくことが重要であろうと思っております。
 ただ、その支援の具体的な内容について何をなすべきなのか、一体どれぐらい必要なものなのか、どのくらいの期間を必要とするものなのか、こういったものを詰めることが大切であろうというふうに考えておりまして、我々としてもこういったものを詰めた上で速やかに対応をすることが、先ほど大河原議員の方からも御指摘いただいたように、国際社会の期待であろうという認識を私どもも持って対応したいと思っております。
 次に、今もう総理の方からもお話があったことでございますけれども、例のマクロ経済面での数値目標の設定という点についてであります。
 ちょうどクリストファーさんとお話しいたしましたときに、この問題については特別にこれについて言及することは、一切これはありませんでした。
 ただ、問題はやっぱり貿易黒字というものが大変大きくなっていること、このことにつきまして我々政治家の中にありましても、あるいは内閣にあっても、また民間にあっても、余り大きく一つの国だけが黒字を持つということは問題があるという中にあって、規制緩和あるいは円高差益の還元、内需拡大、さらには日米包括協議、そして経済改革研究会などを通じて黒字を解消していくことを認識して対応していることを申し上げたところであります。
 先方からも日本の経済改革の推進について大変関心があることが表明され、また経済成長ですとか、あるいはこの不均衡の問題が現実に存在していること、こういったことを解消するためにお互いが率直に話し合い、お互いに努力していこうということでありました。
 いずれにいたしましても、数値目標の設定云々といったその話につきましては、経常収支というのはやっぱり各国間の自由な経済活動の結果でありまして、単に一国だけの経済政策によってこれは自由に調節できるものでないということであろうというふうに思っております。
 この点につきましては、先ほど総理の方からもお話がありましたように、日米包括協議の場におきまして我が国は経常黒字についての数値目標を定めないことでこれは米国との間で理解がされており、日米間では既に決着がついたものであるということを申し上げさせていただきたいと思います。
 以上であります。(拍手)
   〔国務大臣中西啓介君登壇、拍手〕
#10
○国務大臣(中西啓介君) 北朝鮮のミサイル発射実験についてでありますが、防衛庁は各種の情報を総合的に分析した結果、北朝鮮が去る五月二十九日に弾道ミサイルの発射実験を実施したものと判断をいたしました。このミサイルは、北朝鮮東沿岸部から日本海中部に向けて発射され、約五百キロメートルを飛しょうしたものと考えております。
 なお、これは現在開発中で射程約一千キロメートルとも言われるノドン一号を発射方法に制限か加えて実施した可能性があると考えております。
 次に、ミサイル対処能力についての御質問でございますが、現在我が国は、例えばスカッドミサイルのような弾道ミサイルに対処することを想定したシステムは保有いたしておりません。このような観点から、防衛庁といたしましては中期防衛力整備計画に従いまして、平成四年度からミサイル対処能力等の向上を目的とする能力向上型のペトリオットの整備に着手しております。今後、これを逐次進めていくことといたしてございます。
 能力向上型のペトリオットにより北朝鮮が開発していると見られる新型ミサイルに対処できるか否かにつきましては、このミサイルがスカッドミサイルをもとにさらに射程を延伸したものと見られるものの、その詳細については承知いたしておりませんので、今ここで申し上げることはなかなか困難かと思っております。
 いずれにいたしましても、一般的に申し上げれば能力向上型のペトリオットはミサイル対処能力を向上させてはおりますが、今後ミサイルの性能が向上していくに従い、我が方の対処能力は相対的に低下して、限定的なものとなっていかざるを得ないという関係にあることだけは言えるかと思います。
 防衛庁といたしましては、引き続き、核のみならず生物や化学兵器も搭載可能な弾道ミサイルに有効に対処し得るために必要な検討だけは行ってまいりたいと考えております。
 以上であります。(拍手)
#11
○議長(原文兵衛君) これにて午後一時まで休憩いたします。
   午前十一時三十六分休憩
     ─────・─────
   午後一時一分開議
#12
○議長(原文兵衛君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 国務大臣の演説に対する質疑を続けます。鈴木和美君。
   〔鈴木和美君登壇、拍手〕
#13
○鈴木和美君 私は、日本社会党・護憲民主連合を代表して、細川総理並びに関係大臣に対して質問をいたします。
 連立政権誕生の意義や細川内閣の基本方針などにつきましては、さきの特別国会において我が党の久保副委員長が質問をしておりますので、私は政治改革及び景気対策を初めとする当面の諸課題について質問をいたします。
 さて総理、最近の新聞の報道によれば、細川内閣の支持率は七三%と極めて高く、また、六五%が政治改革法案の今国会成立を期待しているのであります。
 海部内閣、宮澤内閣でも果たし得なかった政治改革、このままでは日本の政治、日本の民主主義は大変なことになるとの思いから、私たちは政治改革を実現するための非自民の連立政権の樹立に踏み切ったのであります。私たちのこの決断がこうして広く国民の皆様方に期待を持って受け入れられている事実を目の当たりにいたしまして、いよいよ身の引き締まる思いがします。
 この政治改革国会の幕あけに当たり、ともに政治改革の実現に不退転の姿勢で臨むことを確認し合いながら、以下質問をいたすことにいたします。
 まず、衆議院の選挙制度についてであります。
 これについては、従来、国民の間にも各政党間でもさまざまな意見があり、第百二十六通常国会においては各党間の合意形成の努力が積み重ねられたものの、自民党内の混乱により成案を得ることができず、ついに衆議院解散、総選挙という事態に立ち至った経緯は国民周知のことであります。
 小選挙区二百五十、比例代表二百五十の二票制という政府の小選挙区比例代表並立制案は、総理の御説明にもありましたように、国民の政権選択の意思が明確な形で示され、顔が見える小選挙区、それと、多様な民意を国政に反映させるという比例代表制の特性をあわせ持つものであります。これは日本新党と新党さきがけの提案を契機として、連立与党ぎりぎりの合意を踏まえたものであることも国民周知の事実です。その事実を無視できましょうか。
 この政府案が、もしかしたら三百対二百とか三百対百七十一の一票制というように、小選挙区制に比重を移すものになってしまうのではないかという危惧を抱く向きもありますが、政府案は軽視できない経過と重みを持ったものなのであります。私としては修正することなく実現すべきものと考えます。その点について総理の御所見を伺っておきたいと存じます。
 次に、企業・団体献金の禁止の問題であります。
 市町村会議員に至るまでのすベての政治家個人に対する企業・団体献金を全面的に禁止するという今回の政府提案は、金権腐敗、汚職事件を断ち切るに非常に有効な提案であります。実態的にも完全禁止にも等しい画期的なものとして高く評価いたします。
 さらに、政党に対する献金についても、禁止の意見に配慮して五年後に見直す、このことで連立与党間の合意が得られたことは大いに歓迎すベきことであります。しかし、政府案では、五年後見直し規定について、連立与党合意にある禁止の意見に配慮しという文言が見当たらないために、政府・与党は政党に対する企業・団体献金の禁止を真剣に考えているのかという疑問が生じています。
 この問題について細川総理は、さきの特別国会における所信表明演説では「廃止の方向に踏み切る」とし、先日の演説では「廃止に向けて大きく一歩を踏み出すこととした」と述べられました。私は、五年後の見直しは当然企業・団体献金を完全に廃止する方向で行われていくものと理解しているのでありますが、総理のお考えを明らかにしていただきたいと思います。
 次に、政党助成についてであります。
 政府案では、国民一人当たり年間三百三十五円、総額約四百億円を税金から支出することとされています。これは政治家に対する企業・団体献金の禁止による減収のうち四百億円を税金から援助するものであって、政党中心の政治を実現して、政治のコストを引き下げ、政治家は金権腐敗につながるような金には手を出すなという趣旨ではないかと考えるのであります。総理のお考えはいかがでしょうか。
 さきの新聞報道によれば、個人献金について献金する気持ちがあると答えた人は一三%です。八三%の人が献金する気持ちがないと答えています。これは汚職事件が相次いだ今日までの日本の政治に対する国民の根強い不信のあらわれだと思います。政治家全体が重く受けとめなければならないと思います。
 さて、この問題について、政府案では五年後見直すこととされていますが、その前提には新法のもとにおける私たちの努力を含め、個人献金を活性化する努力によって、将来的には公的助成の額を減らすという観点も含まれているものと理解しているのでありますが、総理の御所見を伺いたいと思います。
 いずれにしても、政治資金規正法違反者の公民権の停止、選挙違反に対する連座制の拡大、罰則の強化などの措置を含め、政府の政治改革関連法案は一体のものであり、これによって我が国の政治が大きく発展することを期待し得るものと考えています。国民の期待にこたえ、ぜひとも早期成立を図らなければなりませんが、総理の決意を改めてお示しいただきたいと存じます。
 さて、ことで政治改革と関連して、公共事業の入札問題についてお伺いいたします。
 昨年来、大手ゼネコンから政治家へのやみ献金疑惑に端を発して、公共工事の入札問題をめぐる建設業界と政界との癒着が浮かび上がり、その温床として指名競争入札制度の問題が指摘されました。
 大手ゼネコンをめぐる汚職事件は、仙台市長、茨城県知事といった地方政界及び鹿島建設、ハザマ、清水建設など大手ゼネコントップの摘発が相次ぎ、なお拡大しようとしています。このような事態に対して国民の怒りと不信はその極に達しているのであります。したがって、その根絶に向けて徹底的な解明を行うことと、透明、公正な入札制度を確立することは、今日の政治の重要課題であると考えます。
 これらの問題を細川内閣が掲げる政治改革の重要な一環と位置づけ、内閣全体として取り組むべきだと思いますが、総理のお考えをお聞かせいただきたいのであります。
 また、入札問題については、第一に、制限つき一般入札を一部の大規模事業だけにとどまらせることなく中小公共事業にも適用範囲をできるだけ拡大していくこと。第二としては、入札に参加できる業者の審査基準を具体化し、基準及び登録名簿を公開するなど、基準の明確化、情報の公開を最大限行うこと。また、一定の基準に合致したものすベてに参加を認めるライセンス型の制度に転換することなどが求められていると思いますが、建設大臣の見解をお聞かせ願います。
 次に、景気対策について伺います。
 このたび連立政権が決定いたしました緊急経済対策については、円高の急進展や冷夏、長雨などの影響を受け、底割れの危険性さえうかがえる現状において、生活者・消費者の視点に立った規制緩和や円高差益還元、社会資本整備などを短期間のうちに広く各分野にわたって取りまとめていただいたもので評価いたします。また、過日公定歩合が史上最低水準に引き下げられましたが、これも景気の浮揚にそれなりに役立つことが期待できましょう。
 しかし、これらの対策によってもなお景気の底割れの懸念のあることも否定できません。希望退職者の募集や人員整理に踏み切る企業も出ているのが現実です。雇用問題は政治の柱です。国民の不安や閉塞感を払拭できるよう、引き続き全力を挙げていただきたいと思います。
 また、金利引き下げによって一面では年金生活者の生活に重大な影響を及ぼすことにもなります。この点について特段の対策があればお聞きいたしたいと存じます。
 したがって、このような景気状況の中では、消費拡大が期待できる所得税減税など、マクロ対策の必要性は一層その重みを増しつつあると考えます。
 加えて、九〇年から四年間の物価上昇率は約一〇%に達しているのに、これに見合った所得税減税を自民党政権が行わなかったために納税者の重税感は募るばかりです。物価調整の観点からの減税を求める声を拒む理由は何も見当たりません。制度改正を伴いますが、納税者に責任のない物価上昇によって結果として派生する税負担の増でありますから、政府税調の抜本的税制改正論議と切り離して政府の責任で当然行うべき減税ではないでしょうか。今こそ景気対策の上からも、年末調整を念頭に置いた所得税減税を実行すべきだと考えますが、総理の率直な御所見を伺いたいと思います。
 あわせて、抜本的税制改革についても伺います。
 所得税減税の財源や間近に迫る超高齢社会への備えとして、安易に消費税率の引き上げをもって充てようとする議論が見られますが、これには納得できません。税制の生命線は透明性に担保される公平公正にあると思います。トーゴーサンピンに象徴される源泉所得者と申告所得者の間に横たわる税の捕捉率の問題、整理合理化が進まないために時代の変化に取り残されている租税特別措置、引当金のあり方一つをとってみても、国民の税制への不信感はぬぐいがたいものがあります。
 そこで、まず着手すべきものは不公平税制の是正であります。さらに、抜本改正の一つとして、物価の上昇に伴う実質増税を回避するための自動物価調整制度を導入する必要があります。こうして新しい土台を築いた上でこそ、消費税論議は進められるべきではないでしょうか。総理及び大蔵大臣の御答弁をお願いいたします。
 さて、今回の緊急経済対策の一つの柱となっております規制緩和は、総理自身も表明しておられるように、今回の九十四項目で終わるものではなく、引き続き中期的な経済社会構造の変革へと踏み出していくことが求められています。先ごろ設置された経済改革研究会において、年内を目途として新たな経済社会構築への政策対応を検討すると表明されておりますが、ぜひともその中で規制緩和の第二ステップの具体化を御検討いただき、指針を示していただきたいのであります。
 その際、私は指摘しておきたいことがあります。市場経済のもとで自由競争を推進し、経済の活性化や内需拡大、輸入を促進するという基本的な立場からは経済的規制の緩和は必要です。しかし同時に、食品や医療品など安全性や危害の防止、製造物責任の制度といった消費者保護の諸施策、環境保護や労働者の安全確保のための措置といった社会的規制は十分に整備しておかなければならないと思います。その点についても総理の基本的な考え方を聞かせていただきたいのであります。
 次に、災害対策についてお伺いいたします。
 本年正月早々から大きな自然災害が頻発しており、これによりとうとい命を失われた方に対し哀悼の意を表するとともに、被災者の皆さんに心からお見舞いを申し上げます。
 ところで、政府はこの臨時国会に提出を予定されている第二次補正予算に、四千数百億円の災害復旧経費を計上される方針と伺っております。私はその具体化に当たり、次のような措置がとれないか、総理にお尋ねいたします。
 まず、北海道南西沖地震の場合では、激甚災害指定が約二カ月後、七月末以来の集中豪雨災害ではいまだ指定のめども立っておりません。被災状況の査定作業をスピードアップするとともに、局地災害指定については年一度でなく随時指定することはできないのでしょうか。
 また、民家の被害に対しては、地震保険の加入者でも最高一千万円、通常の火災保険加入者には見舞い金しか出ません。こうした問題は、長崎県の雲仙・普賢岳の災害の際にも指摘されたところです。住宅金融公庫が被災者に対して既存の住宅ローンの金利の減免などを行っていることは存じていますが、被災者の惨状を考慮し、こうした措置を超える援助措置がとれないものでしょうか。
 雲仙・普賢岳噴火の当初、私は災害対策の特別委員長でありました。現行法の枠内でできるだけの努力をしてまいりましたが、どうしても限界を感じざるを得ませんでした。ぜひとも制度、施策の見直しが必要です。これまでも政府に対して強く要請してまいりましたが、細川内閣の発足を機になお一段の御検討を強く要請しておきたいと思いますが、いかがですか。
 さらに、農業災害でございますが、本年は記録的な冷夏や台風、長雨などによりまして、全国で壊滅的な農業災害がもたらされています。
 天災融資法の適用や激甚災害の指定、共済金の早期支払いなど、被災農家への救済対策や、消費者物価の安定対策などという数多くの課題があるのですから、米備蓄を含めた課題についても政府部内に農業災害対策本部を設置して早急に対処すべきだと考えますが、いかがですか。
 次に、環境基本法案についてお尋ねいたします。
 宮澤内閣が前通常国会に提出し、成立を目前にしながら、衆議院解散によって廃案となった環境基本法案について、細川内閣が前通常国会における修正部分を加筆して再提出することは、私たちも承知しております。
 私たちもまた、この法案を一日も早く可決成立させなければならないものと考えておりますが、環境保全面では環境影響評価制度の法制化が必要だという声が大きいことも無視できません。前通常国会ではこの点について宮澤前総理は、環境影響評価制度については法制化も含めて所要の見直しを検討すると答弁されているわけですが、生活者本位の経済社会の構築を目指しておられる細川総理は、いかがお考えでしょうか。宮澤前総理以上に前向きに法制化を御検討なされることを強く希望しております。
 さて次に、今問題になっております農業問題について伺います。
 ガット・ウルグアイ・ラウンドは、本年十二月十五日が期限と言われる中、協議そのものは進められておりますが、多くの分野で合意には達していないのが現実であります。とりわけ、農業分野におきましては、補助金問題に見られるようなEC内の不統一や、例外なき関税化に対する反発など先行きは不透明であります。
 我が国としては、食糧の安全保障や国土環境保全などの立場から、従来方針どおり米の市場開放につながる農産物の例外なき関税化に反対の姿勢を貫くべきであると考えますが、総理の御所見をお伺いします。
 最後に、外交問題について質問いたします。
 その第一は、アジア・太平洋地域の人々との真の和解を達成することに関連してであります。
 総理は、就任後初の所信表明演説で、侵略戦争、植民地支配について反省とおわびの気持ちを表明されました。戦後四十八年が過ぎ去ったわけですが、アジア・太平洋地域の人々との真の和解はいまだ達成されたとは言えません。総理の所信表明は、残された戦後処理問題の解決の第一歩になるものとして評価したいと存じます。
 そのような観点から、この際、歴史教科書のあり方などについても検討することが必要ではないかと思うのでありますが、総理及び文部大臣の見解をお聞きいたします。
 今月四日、我が堂山花委員長は韓国の与党民主自由党の招待を受け、社会党の現職の委員長として初めて韓国を訪問しました。
 三・一独立連動発祥の地パゴダ公園や独立記念館を訪問するなど、日本の植民地支配への謝罪の姿勢は広く韓国国民の歓迎を受けましたし、金泳三大統領からは、今後の両国関係について、正しく過去を清算し、未来志向の関係をつくる必要性が強調されました。また、両首脳の間では、北朝鮮の核査察受け入れ問題や従軍慰安婦問題についても率直に意見交換がなされ、アジアと世界の平和のために協力し合うことが約束されたと承知しております。
 このような情勢の中で、総理には韓国訪問の意向があるやに聞いておりますが、この際、今後の韓国との関係をどのように築いていかれるのか、総理のお考えをお聞かせください。
 第二は国際貢献に関する問題です。
 総理は、平和憲法のもとに国連の平和維持活動に積極的に貢献すると述べています。私は、総理の平和憲法を重視する姿勢を高く評価します。総理は近く国連に出席されるわけでありますが、その際、細川総理としても、宮澤前総理の国会答弁のように、平和憲法は日本の外交原則であると国際舞台で明快に宣言されますか、お伺いいたします。
 また先日、パレスチナ解放機構とイスラエルとの間で暫定自治共同宣言が結ばれました。これはパレスチナ和平への歴史的な一歩として歓迎すべき出来事であります。被占領地への経済的支援が求められていますが、大事なことは我々の援助が確実に住民に届くことであります。援助国閣僚会議が呼びかけられていますが、政府はこの問題にどのように対処される方針か、お尋ねいたします。
 以上、私は政治改革を初め当面する諸課題について質問してまいりました。細川連立内閣は圧倒的な国民の支持を得ているのでありますから、総理は自信を持ってこれらの課題に対処されるよう心から期待するとともに、日本社会党・護憲民主連合もそれを全面的に支持することを表明して、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣細川護煕君登壇、拍手〕
#14
○国務大臣(細川護煕君) 小選挙区二百五十、比例二百五十の二票制という政府の選挙制度改革案についてまずお尋ねがございましたが、このたびの四法案は、これまでの国会における審議の経過やその後の与党各党の御意見などを踏まえまして、内閣として最善のものを提出させていただいたということでございますし、御審議の上、各党各会派の御理解と御協力を得て早期に成立をさせていただくことを念頭をいたしております。
 企業・団体献金のあり方についてのお尋ねでございましたが、このたびの法案では、連立与党間における企業献金の廃止の意見に考慮し、その見直しを行う旨の合意を踏まえまして、政党に対する企業など団体献金のあり方についての見直し規定を設けたところでございます。
 五年後の見直しにおきましては、連立与党間の合意の趣旨を踏まえ、企業など団体献金の廃止につきましても検討がなされるものと考えております。
 公費助成につきましてのお尋ねでございますが、このたびの法案では、今後政党の財政基盤の確立強化が不可決になりますことから、政党に対する公費助成を行って、民主主義のコストと至言うべき政党の政治活動の経費を国民全体で負担していただこうとするものでございます。公費助成を含めまして、政治資金の調達が政治家個人から政党中心の仕組みに改められれば、政治と金とをめぐる腐敗事件の防止にも大きな効果を持つものと期待をいたしております。
 五年後に企業・団体献金のあり方を見直すという前提には、個人献金を活性化する努力によって将来的には公的助成の額を減らすという観点も含まれていると理解していいかと、こういう趣旨でございましたが、このたびの法案では、政党、政治資金団体に対する個人献金につきましては、現行の所得控除制度に加えまして控除率三〇%の税額控除制度を新たに設けまして、そのいずれかを選択できる形にしているところでございます。
 政党交付金の総額につきましては、政党助成法の施行後五年を経過した後に、個人による政治資金の拠出の状況を初めとして、政党財政の状況などを考えてその見直しを行うことにしておりまして、個人献金が大幅に増加した場合においては政党助成の総額を減らすということもあり得ないことではないと考えております。
 政治改革関連法案を一括して早期に成立させるための決意ということでございましたが、このたび提案しております四法案におきましては、これまで種々の弊害が指摘されております中選挙区制を思い切って改革をして、政策中心、政党中心の選挙制度を確立をいたしますとともに、企業などの団体献金の規制を強化して政治資金の透明度を高め、さらに違反者に対する制裁の強化などいろいろな腐敗防止措置を講じることにしておりまして、国民の御期待にこたえ得る内容のものであると考えております。
 これまでも繰り返し申し上げておりますように、国民の政治に対する信頼を早急に回復するためにも、四法案の年内成立に向けて全力で取り組んでまいる決意でございます。政治改革を断行した新たな体制のもとで国際国家としての責任を果たし、また国民の政治に対する信頼を回復をしていかなければならない、内外に山積する課題に本格的に取り組んでいける体制を早くつくらなければならないと思っております。
 ゼネコン汚職事件の徹底的解明についてのお尋ねでございましたが、いわゆるゼネコンをめぐる贈収賄事件につきましては、検察当局において適正な捜査処理を行っているものと考えております。検察当局は今後とも刑事事件として取り上げるベきものがあれば厳正に対処されるであろうと確信をいたしております。今回の政治改革は、このような汚職事件の根絶のためのものでもあること睦言うまでもございません。
 雇用問題についてのお尋ねでございますが、有効求人倍率が低下するなど厳しい状況になってきております。御指摘のように、雇用の安定は国政上の重要課題の一つでございますし、先般決定いたしました緊急経済対策におきまして、雇用調整助成金制度について業種指定基準の緩和措置を継続いたしますとともに、中高年齢ホワイトカラー労働者の雇用の安定を図るなど、積極的またきめ細かな雇用対策を盛り込んだところでございます。これらの対策の着実な実施に努めてまいりたいと考えております。
 金利の引き下げが年金生活者に悪影響を与えないようにどういう対策を講ずるか、こういうことでございますが、現在、定期預貯金金利が低下している中で、老齢福祉年金の受給者などを対象としている福祉定期預金につきましては、従来と同様の金利四・一五%での預入が可能でありまして、これによって年金生活者などに対応をしているところでございます。
 所得税減税を実行せよということでございましたが、これまでもしばしば申し上げてまいりましたように、その経済効果の問題、財源確保の問題、さまざまな克服すべき課題がございます。均衡のとれた税体系の構築についての総合的な検討の中で取り組むべき課題であろうと申し上げてきたところでございます。所得税減税を含めて、直間比率の是正など税制の抜本的な改革につきましては、緊急経済対策におきましても中長期的な視野で活力と創造性のある経済社会構造の構築を図るという観点から、経済改革研究会での検討とともに、税調における総合的な検討を推進するとしているところでございます。
 消費税論議の前に、不公平税制の是正、物価調整減税制度を導入せよということでございましたが、税負担の公平確保は税制に対する納税者の信頼を得るために最も重要なことでございますし、租税特別措置の整理合理化など、従来から努力を続けているところでございます。今後とも、社会経済情勢の変化に即応して見直しを進めていかなければなるまいと考えております。
 物価調整減税制度については、巨額の財源を必要といたしますし、物価上昇による自動的な減税の制度を導入すれば財政体質の悪化につながりかねないといったこともございますし、これまでの税制調査会の答申でも適当ではないというお考えが出ているところであるというふうに認識をいたしております。
 なお、消費税の問題につきましては、国民各層の御意見や御論議によく耳を傾けて、今後の財政需要の動向を踏まえつつ、先ほども申し上げましたように、バランスのとれた税体系の構築についての御議論の中で論議をされるベき課題だと思っております。
 いずれにいたしましても、直間比率の是正など税制の抜本的改革につきましては、税調に総合的な検討をお願いしておりますので、その検討の成果を尊重してまいりたいと思っております。
 規制緩和についてでございますが、御指摘のような規制の性格について十分配慮した論議をしていかなければならないと思っておりますが、今経済改革研究会におきまして規制緩和の問題についても検討を始めていただいているところでございますし、そのようなことを十分踏まえて御検討いただけるものと思っております。
 それから、激甚災害指定についてのお尋ねでございましたが、激甚災害制度につきましては、速やかに適用できるように被害状況の早期把握を含めて努力をしているところでございます。現に、北海道南西沖地震につきましては災害発生から約一か月半後の八月二十五日に適用を開始いたしまして、八月豪雨につきましてもまた速やかに措置できるように努めているところでございます。今後とも、激甚災害につきまして、災害の規模や措置の内容に応じて適時指定をしてまいりたいと思っております。
 住宅金融公庫以外の援助措置がとれないかということでございましたが、災害で家を失われた被災者の方々に対する援助措置につきましては、公庫の融資を受けておられる場合には、被災者の既存の債務につきまして据置期間を設定し金利を軽減することによる融資条件の緩和を行うこととしておりますが、これは地震保険あるいは火災保険だけでは対応できない場合もあることを踏まえたものでございまして、このようなケースにつきましては極力迅速に対応するように措置してまいりたいと思っております。
 普賢岳の噴火に関連して災害対策に関する制度の見直しについてのお尋ねでございましたが、雲仙岳の災害に関しましては、住宅、民生、農林漁業、中小企業など多くの分野にわたって総合的な救済対策を決定いたしまして推進をしているところでございます。特に噴火活動の長期化にかんがみまして、現在、砂防事業などの防災対策、恒久的な住宅の供給などきめの細かい施策を推進しております。今後とも、現行制度の活用によりましてこうした対策を実施して、被害者の方々の救済や生活の再建、被災地域の復旧、復興を図ってまいりたいと思っております。
 農業災害対策本部を設置すベきではないかということでございましたが、農業災害につきましては、既に農林水産省内に災害対策本部を設置いたしますとともに、被害状況の把握に努めまして、順次被災農家対策に着手をいたしております。
 また、冷夏による農業災害につきましては、十五日時点の水稲の作柄が今月末には明らかになりますので、被害の状況を十分に踏まえまして政府としての必要な体制を整備して対策などに万全を期してまいりたいと思っております。
 それから、環境影響評価についてのお尋ねでございましたが、この問題につきましては環境の保全上の支障を未然に防止する上で極めて重要だと認識をしておりまして、環境影響評価を法制的に位置づけるために環境基本法案では明確に規定をしているところでございます。
 政府としては、これまでも的確な環境影響評価の推進に努めてきたところで、今後とも現行制度の適正な運用に一層努めますとともに、内外の制度の実施状況などにつきましてさらに調査研究をいたしまして、その結果を踏まえて法制化も含めて所要の見直しについて検討するということにしておりまして、既に政府部内におきまして調査研究のための準備に着手をしているところでございます。
 農産物の例外なき関税化についてのお尋ねでございますが、ウルグアイ・ラウンド交渉の年内妥結に向けて引き続き全力を尽くしてまいりますが、同時に、今後の交渉に当たりましては我が国の農業が将来に向けて安心して生産を続けられる環境を確保することが何よりも大切であることは申すまでもございません。ウルグアイ・ラウンド交渉が最終段階を迎えている現状で各国とも農業問題に関してそれぞれ困難な問題を抱えておりますが、これまでの基本的な方針のもとに相互の協力による解決に向けて最善を尽くしてまいりたいと思っております。
 歴史教科書の問題についてのお尋ねでございますが、我が国とアジアの近隣諸国との近現代史の教育につきましては、文部省におきまして従来から国際理解と国際協調の観点から充実に努めてきたところでございます。歴史教科書における近隣のアジア諸国との間の近現代史の取り扱いにつきましても、昭和五十七年に教科書検定基準を改正いたしまして、国際理解と国際協調の見地に立って適切に検定を行っており、今後とも引き続き努力をしてまいりたいということでございます。
 今後の対韓外交でございますが、日韓関係の発展は両国にとってのみならず、アジア・太平洋地域における平和と繁栄にとっても極めて重要なごとでございます。私としては、このような日韓関係をさらに発展させていくために金泳三大統領と緊密に協力をしてまいりたいと思っております。現時点では私自身の訪韓を具体的に計画しているわけではございませんが、金大統領との間で十分意見交換を行っていくことが重要であると思っておりますし、しかるべき時期に会談する機会を持ちたいと思っております。
 国連総会演説と平和憲法についてのお尋ねもございましたが、憲法の理念を踏まえ、国際社会が直面する諸問題への取り組みに当たっての国際協調の必要性や世界平和実現に向けての努力の重要性を訴え、我が国としてこのような努力に積極的に協力していくとの立場を表明したいと考えているところでございます。
 中東和平援助国会議への対応についてのお尋ねでございますが、中東の和平実現のためにはイスラエル政府とパレスチナ人の間で最近達成された合意を着実に実施をしていくことが重要なことであって、そのためには国際的な支援を協調して行うことが不可欠であろうと思います。そうした観点から、米国が提唱しております支援調整のための国際会議の開催を支持いたしますし、我が国としてこれに参加することによって、この地域の住民が国際的支援の受益者となることを期待しているところでございます。
 残余の質問につきましては、関係大臣から御答弁をいたします。(拍手)
   〔国務大臣五十嵐広三君登壇、拍手〕
#15
○国務大臣(五十嵐広三君) 鈴木議員の御質問にお答えしたいと思います。
 相次いで明らかにされた公共工事をめぐる汚職事件は、建設行政ひいては政治に対する国民の信頼を大きく損なうものであり、まことに残念なことであります。この際、一連の政治改革とあわせ、建設行政における政・官・業それぞれの真摯な自己改革の徹底を期さなければならないと思います。
 公共工事は国民の貴重な税金を使って行うものであり、適正な競争を通じ、技術力にすぐれ、健全な経営を行っている信頼のおける建設業者に発注することが基本と考えております。
 御質問の入札制度につきましては、改革の重要なポイントであり、建設省としても、現在、中央建設業審議会の公共工事に関する特別委員会で年内に結論をいただくことを目途に御検討いただきながら鋭意改善に向け努力をいたしているところであります。
 その一つとして、最近の大手ゼネコンを中心とする一連の不祥事にかんがみ、先般、特別委員会にお諮りして、一部の大規模工事について条件つき一般競争入札の試行導入を決め、直ちに実施に入るところであります。その試行の成果を踏まえ、特別委員会で対象範囲等幅広く御検討いただいた上で、条件つき一般競争入札の本格的導入について取り決める所存であります。
 御質問の第二点である審査基準の具体化と基準及び登録名簿の公開につきましては、建設省では、現行の指名競争入札においても、業者の資格登録の審査は事務処理要領等を定め、基準を明確化し、この公開された基準に基づいて審査しているところであります。また、地方公共団体などいずれの公共事業の発注者に対しましても、基準の明確化と公開について一層の指導を行いたいと存じます。
 なお、登録名簿の公開につきましては、各般の配慮からこれまで非公開といたしておりますが、その公開の是非についても審議会において御論議いただけるものと考えているところであります。
 御質問にございましたライセンス型制度についてでありますが、現在、試行を予定している条件つき一般競争入札方式は、公告によって示される一定の具体的資格要件に該当するすべての者の入札参加を認める方式であり、御提案の趣旨とおおむね同様のものと考えられるところであります。
 いずれにいたしましても、建設業界には大小五十二万の多様な業者が混在し、他方、発注者も多様である実態を踏まえながら、この際、入札・契約制度の透明性、競争性を高め、公正な公共工事の執行を目指し、審議会の御審議を得ながら精力的に改革案を検討し、実施したいと考えているところであります。(拍手)
   〔国務大臣藤井裕久君登壇、拍手〕
#16
○国務大臣(藤井裕久君) 鈴木議員御指摘の二点についてお答えいたします。
 まず第一点、税負担の公平確保、これはもう御指摘のとおりでありまして、税制に対する納税者の信頼を得るための最も重要な理念だと思います。こういう観点から租税特別措置の整理合理化を従来から不断の努力を続けておりますし、今後とも最善の努力を続けてまいります。
 ただ、御指摘の税法上の引当金でございますが、これは費用収益の対応という考え方に基づいて法人税の課税所得を合理的に計算するために設けられたものでありますので、制度自体を政策税制と考えるのは適当でないと思います。したがいまして、個々にその趣旨だとか利用の実態等を踏まえて、必要に応じ適切な見直しを行っていくべきものと考えております。
 第二点の、物価が上がった場合に、当然にそれを減税に回すというインデクセージョンでございますが、総理からもお話がありましたように、巨額な財源を必要とするばかりか、さらに年金などの歳出が物価上昇など自動的な要因で増加する一方で、物価上昇による自動的な減税制度を導入しますと財政体質の非常な悪化になるということも御理解をいただきたいと思いますし、また、この制度はインフレの体質というものを経済社会の仕組みの中に取り込んでいくわけでございますので、適当でないと考えておりますので、採用することについては消極的であると御答弁させていただきます。(拍手)
   〔国務大臣赤松良子君登壇、拍手〕
#17
○国務大臣(赤松良子君) 歴史教科書のあり方についての御質問についてお答えいたします。
 歴史教科書における近隣のアジア諸国との間の近現代史の取り扱いにつきまして、昭和五十七年に教科書検定基準を改正し、近隣のアジア諸国との間の近現代の歴史的事象の取り扱いについて、国際理解と国際協調の見地から必要な配慮がなされていることという項目が追加され、その後はこの基準によって検定を行っているところでございます。
 その結果、小中高等学校の教科書につきましては、第二次世界大戦などにおいて我が国がアジア諸国に大きな苦しみを与えたことについて、具体的に記述がなされているところでございます。
 児童生徒が近現代の歴史について正しい理解を持つことは極めて重要なことでございます。このため、引き続き歴史教科書が適切な内容になるよう努力してまいりたいと存じます。(拍手)
#18
○議長(原文兵衛君) 鶴岡洋君。
   〔鶴岡洋君登壇、拍手〕
#19
○鶴岡洋君 私は、公明党・国民会議を代表して、細川総理の所信表明演説に対し、質問をいたします。
 自民党一党支配の長期単独政権が終わり、細川連立政権が誕生じ、一か月半が過ぎました。この間の各種世論調査を見ると、細川内閣の支持率はいずれの調査でも極めて高く、責任ある改革を強調する新しい政治、新政権への国民の期待がいかに大きいものであるかを強く感ずるものであります。
   〔議長退席、副議長着席〕
 リクルート事件から始まり、共和、佐川、金丸巨額脱税事件など、いずれもが政治家と金、政・官・業の癒着を白日のもとにさらけ出し、五五年体制以来三十八年間続いた自民党政権の末期は、こうした腐敗し切った権力のよどみが一気に噴き出し、国民の政治に対する不信を心の奥底に焼きつけてしまったのであります。今また、全国各地で摘発が行われているゼネコン疑惑も、自民党の長期政権が生み出した政・官・業の癒着構造をそのまま引きずっているものであります。
 私は、細川内閣への高い支持率は、こうした政治構造への国民の怒りの裏返しであると同時に、新しい政治への国民の願望であり、本格政権への期待でもあると思いますが、総理御自身、この高い支持率をどのように分析し、国民の期待にどのようにこたえようと決意をされているのか、まずお伺いしたいのであります。
 細川内閣は、非自民の八党会派が結集した連立政権であります。それぞれの党派の固有の政策は持ちながらも、政治改革や行政改革を初め、生活大国の実現などの八党会派合意を基本に、常に対話と合意で政策の実現を図るこれまでにない政権の枠組みを持っております。
 ガラス細工という批判がありました。寄り合い世帯の砂上の楼閣という声もありました。しかし、これまでの密室政治と違って、合意形成までの過程が国民の前にオープンにされたガラス張りの政治であり、さらに、繰り返されてきた不毛のイデオロギー対立を乗り越えるなど、日本の政治体質の変革へ大きな一歩を踏み出したと言えます。
 また、今国民が政治に望んでいるのは、長期政権が生み出してきた負の遺産の清算だけではありません。冷戦構造の崩壊後、世界は新しい国際秩序を模索し、揺れ動く国際社会の中で、我が国は、政治はもちろん、経済構造や社会システムそのものの変革を迫られております。生産者中心から消費者・生活者中心の政治、社会構造の構築や平和へ根差した国際貢献の推進など、今、二十一世紀へ向けた日本のグランドデザインを描く必要があります。
 総理は、さきの特別国会の所信表明演説で質実国家を提唱されましたが、具体的にどのような国家像を国民に提示しようとされるのか、また、質実国家を裏づけるプランをどう検討されるのか、明確な答弁を求めるものであります。
 さて、今国会の最大の課題は政治改革であります。リクルート事件を初めとする政治の金権腐敗構造に、自民党政権も四代の内閣にわたって政治改革の実現を公約してまいりましたが、いずれも党利党略、みずからの利権にしがみつき、その王党内合意すら得られず、国民を裏切り続けてまいりました。特に、宮澤前総理は、絶対にやります、やるんですと公言しながら、結果的にうそをついた形になり、国民の政治に対する信頼を完全に失わせたのであります。この失われた政治への信頼を回復させる第一歩が今回の政治改革であり、細川政権の使命でもあります。
 しかし、深く刻み込まれた金と政治、政・官・業癒着の腐敗した構造は根強いものがあります。現在また、政界と大手ゼネコンの献金疑惑の摘発が拡大しておりますが、今回の政治改革で本当にきれいな政治になるのか、政治は生まれ変わるのかという国民の素朴な疑問があるのも事実であります。政治改革の実現、国民の期待にこたえ得る政治の浄化へ向けた総理の決意と対応をいま一度国民に向かって明確にしていただきたいのであります。
 今月十七日に閣議決定された政治改革関連四法案は、これまで金権腐敗構造の温床となっていた政治家と企業の金による癒着を断ち、政策本位、政党本位の選挙を促す画期的な法案であります。
 特に、本法案の最大のポイントは、政治腐敗を断ち切るために政治家個人への企業・団体献金を全面的に禁止していることであります。さらに、政治献金の公開基準を五万円超とし、透明度を大幅に高める一方、違反者の罰則を強化し、公民権停止も厳しくしております。ただし、企業・団体献金を政党に一本化し、全面廃止の意見を考慮し、法施行の五年後に見直すとした点については、現実的な選択を評価する意見がある一方で、厳しい批判もあります。
 総理は、この企業・団体献金のあり方について今後どのように取り組む決意か、お聞かせいただきたいのであります。
 政治改革のもう一つの柱は、衆議院の選挙制度の改革であります。
 本法案では、政権を争う、顔の見える小選挙区制と民意を反映する比例代表制を組み合わせた小選挙区比例代表並立制を導入したことであります。サービス競争に走らざるを得ない現行の中選挙区制度では、政治と金の問題、政治腐敗の根本的解決はできないというのが私たちの認識でありますが、国民の間では、なぜ選挙制度の改正と一体でなければならないのか、政治資金の改革だけでいいのではないかとの考えが今も残っております。この一括処理の必要性についても総理から明確な答弁を求めておきたいのであります。
 さらに、参議院の選挙制度の抜本改革についても参議院の長い経験をお持ちの総理にお伺いします。
 衆議院で並立制を導入する以上、同様の制度を持つ参議院の選挙制度を抜本的に見直し、衆議院の並立制成立後に早急に審議する必要があります。参議院の独自性を発揮し、衆議院と異なった形での民意を反映すること、余りに大きくなり過ぎた一票の格差を是正することなどを基本に、抜本的な検討が加えられるのは当然のことと思います。二院制度をとる日本国憲法下における参議院の選挙制度について、総理の御所見をお伺いいたします。
 次に、今国民が切望している景気対策と生活者重視の政策についてお伺いいたします
 我が国の不況は長期化し、今や極めて深刻な状況に陥っております。先日発表された四月−六月期の国民総生産の実質成長率は前期比年率換算でマイナス二・〇%とマイナス成長に逆戻りし、個人消費や設備投資にも回復の兆しは見られず、有効求人倍率も昨年十月に一倍を割り込み、ことし七月には〇・七二倍にまで低下しております。
 中でも雇用調整は六割もの企業に及び、その形態も残業規制などから一時帰休や希望退職、さらには解雇といった厳しいものが増加しております。まさに景気は底割れするかどうかの分岐点にまで来ているのであります。
 今回の不況がここまで深刻化したのは、自民党政権の複合不況に対する認識不足や不況突入の判断の誤り、さらには景気対策の実施が後手後手に回ったためであります。今まさに政府の的確な景気判断とその処置の重要性が問われているのであります。
 政府は、九月の月例経済報告で我が国経済は足踏みとの厳しい見方をしておりますが、中小企業の皆さんの現場の実態と直接国民から伝わってくる声はさらに後退しているといったより深刻なものであります。総理は後ずさりという表現を使われたと聞いておりますが、まず今回の不況をどう認識されているのか、改めてお伺いしたいのであります。
 新政権は、先日、景気回復を目指し総額六兆一千五百億円の緊急経済対策を打ち出しました。綱川内閣が掲げていた規制緩和と円高差益還元を具体化したのを初め、景気の低迷に加えて円高や災害など国民が直面している厳しい経済環境に対して、中小企業向け融資の一兆円の拡大、公的住宅融資の二兆九千億円の増額、また、住宅教育減税の拡充など即効性のある幅広い施策を盛り込んでおります。これらの施策は適切であり時宜を得たものであります。非自民政権が公約した生活者・消費者重視の社会を築く第一歩となるものであります。
 また、公定歩合の引き下げも先日実施されました。国民の消費マインドが冷え切っている今日、こうした対策を早急に具体化し、消費者や企業に明るい展望を示すとともに、その効果を注意深く見詰めることが肝要であります。総理の緊急経済対策にかける決意をお伺いいたします。
 次に、我が党が一貫して主張し続けている大幅な所得税減税については、政府税制調査会でもようやく所得税減税を先行させることが検討のテーブルにのりました。しかし、景気対策で最も重要なことは、いかに機動的、効果的に対応することができるかということであります。財政の健全性維持が大切であることに異論はありませんが、大不況の到来を招いてでも赤字国債の発行は断固まかりならぬというのでは無為無策と言わざるを得ません。私は、緊急経済対策の効果をにらみながら、所得税減税の実施などさらなる対策が必要であると考えますが、総理の見解を明らかにしていただきたいのであります。
 さらに、今回の対策では、これまで自民党政権ではほとんど手のつけられなかった規制緩和に初めて本格的に取り組み、九十四項目の実施に踏み切っております。規制緩和は、我が国の経済構造の転換や行政の簡素化を促進し、一面では、政治家、行政、業界の政・官・業の癒着にもメスを入れるものであり、今回を第一弾として行政全般を見直し、さらに推進する必要があると考えます。今後、規制緩和の促進に当たって、総理はどのような理念に立ち、いつまでにどの程度行うとの指標をお持ちなのか、明確にお答えいただきたいのであります。
 行政だけではなく、広く国民の意見を反映し、具体的な施策につなげる必要があると考えます。例えば、規制緩和一一〇番など、国民の声を集める具体的な計画があるのか、あわせてお伺いいたします。
 もう一点、規制緩和とともに今回の対策の柱となっている円高差益の還元についても、差益が着実に消費者へ還元されているかどうか、政府が監視し検証していく必要があります。どのように対応されるのか、また、この差益還元についても消費者の側からの情報を集めるべきであると思いますが、総理のお考えをお聞かせください。
 いずれにしても、政府は緊急経済対策を早急に具体化するとともに、二十一世紀へ向けて、生活者の利益優先の観点に立ち、内外の要請にこたえる我が国の経済構造の改革に取り組まなければなりません。
 総理は、新たに私的諮問機関である経済改革研究会を発足させ、この改革へ踏み出しておりますが、どのような点をこの研究会にゆだね、どのようなプロセスで改革を実現しようとしているのか、御答弁をいただきたいのであります。
 次に、災害対策についてお伺いいたします。
 本年我が国は、一月の釧路沖地震に始まり、七月の北海道南西沖地震、そして八月の南九州を中心とした二度にわたる記録的な台風、集中豪雨により、かつてない大きな被害を受けたのであります。
 私は、これらの災害により犠牲になられた方や御家族に対し、改めて深い哀悼の意を表しますとともに、被災され復旧に取り組んでおられる皆様に心からお見舞いを申し上げるものであります。
 政府は、緊急経済対策の中で災害復旧事業費として四千五百億円を計上しております。しかし、復旧のための事前調査や法的な措置はいまだに進んでいない現状であります。政府として、これらたび重なった災害について、被災者の救済はもとより、被災施設の早期復旧、被災地の復興及び資金の融資など、具体的な災害復旧対策をどのように進めていくのか、まずお伺いいたします。
 依然として噴火活動が続く長崎県雲仙・普賢岳のふもと島原市では、九十六世帯、四百三十六人の集団移転法に基づく移転が決定しております。三年目を迎えた噴火災害で初めて集団移転が実現し、被災者はふるさとに別れを告げ、復興の第一歩を踏み出すことになりますが、今後実施する火山砂防事業などとともに、より円滑な移転を行う施策が必要であると考えますが、見解をお聞かせください。
 また、ことしの夏の記録的な長雨や低温などの異常気象は、稲作を中心に豆類及びビートなど農作物全般に甚大な被害を与えております。特に、東北地方の稲作は冷害によって病害が広がり、作況指数が八〇台から七〇台へ落ち込む戦後最悪の凶作となる懸念すら出てきております。
 我が党も調査団を青森、岩手など東北地方はもちろん、北海道、九州へも派遣し、その実態をつぶさに調査してまいりましたが、このままでは来年の種もみの確保が困難、耕作を放棄して出稼ぎに出るしかないなど、農業生産者の生の声を聞いてまいりました。
 政府としても、国民生活や地域経済にも大きな影響を与える本年の農作物被害に対して速やかに実情を把握し、天災融資法の発動や激甚災害の指定を早急に行うとともに、農業共済の適正評価、共済金の早期支払いなどに取り組む必要があると考えますが、総理の見解をお伺いいたします。
 次に、製造物責任法と情報公開法の立法化についてお伺いいたします。
 国民が新政権に期待し、変革を求めた最大の焦点の一つが生活者重視の政策の実現であり、今回の緊急経済対策においても変革への努力が随所に見られるのであります。しかし、生活者重視と言えるためには対策を着実に推進していくとともに、立ちおくれている生活者・消費者保護制度の確立が不可欠であります。
 特に、消費者被害の予防と救済のため、そして企業の社会的責任担保のための製造物責任法の立法化は、我が党を初め各党、消費者団体からも具体的な提案が出され、早急に取り組むべき重要な課題の一つであります。既に欧米先進各国においては立法化され、世界の趨勢となっております。消費者の安全を守るのは国籍を問う問題ではありません。総理は立法化へ向けてどう取り組まれるのか、お伺いいたします。
 さらに、消費者の権利を十分に保障するためには消費者が選択できるだけの必要かつ十分な情報が公開されていることが必要不可欠であります。そのための情報公開法の立法化についてもあわせてお伺いいたします。
 次に、外交問題についてお伺いいたします。
 総理は、明日訪米の途につかれ、まず国連総会に臨まれます。冷戦後の新しい国際秩序の中心的役割を果たすのは国連であり、我が国は国連中心主義を外交の基本とすべきであります。唯一の被爆国であり、世界に誇り得る平和憲法を保持する我が国は、国連による通常兵器移転登録制度の拡充や核実験全面禁止条約の実現など、世界的な軍縮、軍備管理にあらゆる努力を傾けるべきであると考えます。
 総理は、国連改革、国連強化を表明しておられますが、具体的にどのような改革案を考えておられるのか、また我が国の安保理常任理事国入りに対しては、総理はどのような認識、判断をお持ちか、また国連総会においてどう言及されるおつもりなのか、お伺いいたします。
 また、良好な日米関係の維持発展は我が国の外交の基軸であり、アジア・太平洋地域、さらには世界全体の平和と繁栄に不可欠の前提であると考えます。今回の総理の訪米が日米パートナーシップの一層の強化につながることを期待するものであります。
 また、今回の日米首脳会談では、結果重視を掲げるクリントン大統領が我が国の巨額の対米貿易黒字の削減について、再度数値目標の設定を要求することが予想されますが、総理はどのような姿勢で臨まれるのか、御決意のほどをお伺いいたします。
 次に、先般イスラエルとPLO、パレスチナ解放機構は、イスラエル占領地に初めてパレスチナ人の自治を認める暫定自治宣言に調印し、世界の火薬庫と言われた中東地域において画期的な平和の第一歩がしるされたのであります。
 我が国の経済発展が中東地域からの石油資源に大きく依存してきたことを考えても、日本がこの地域の和平プロセスの達成に貢献すべきことは当然の責務であります。政府は、我が国として経済的及び人的な面で具体的にどのような貢献をどの程度の規模で行うのか、速やかに決定すべきであると考えます。総理の見解を求めるものであります。
 最後に、今後の国連平和維持活動への参加のあり方についてお伺いいたします。
 先日からカンボジアPKOに参加していた我が国隊員の帰国が始まっておりますが、さまざまな困難の中で任務を果たされた隊員並びに関係者の御苦労に心から敬意を表する次第であります。我が国として今後も法律に定める参加五原則のもと、着実にこうした貢献を続けることが肝要だと考えますが、総理の今後のPKO参加に対する見解をお伺いいたします。
 今、世界は冷戦という暗やみから抜け出し暁へ向かって船出しようとしております。我が国も新政権のもとで政治から始まった日本の夜明けを確実なものとしなければなりません。それには政府・与党一体となってこの困難に立ち向かわなければなりません。私は、連立政権の成功こそ新時代を切り開くものと確信するものであります。
 新政権の今後に期待し、総理の明確かつ具体的な答弁を要望して、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣細川護煕君登壇、拍手〕
#20
○国務大臣(細川護煕君) 支持率をどのように分析をし、期待にどのようにこたえていくのか、こういう趣旨のお尋ねでございましたが、国民の皆様方の御期待のあらわれであろうと受けとめておりますし、新政権への激励であろうと感じているところでございます。
 今、我々に課せられた重要な課題は、国民の政治に対する信頼を回復することでございますし、厳しい経済に対する対応などを初めとして、当面する課題に全力で取り組んでいかなければならないことはもとよりでございますが、この内閣の歴史的な使命というのは、何と申しましても、あらゆる日本の抱えている構造的な問題をあくまでも改革をしていくということに尽きるであろう。その構造改革似中には、まず政治改革がございましょうし、経済改革もございましょうし、第三には行政改革というものが挙げられるであろう。そうした課題に全力で取り組んでまいりたいというふうに思っているところでございます。
 質実国家ということについてお尋ねがございましたが、質の高い実のある国家というものを文字どおり目指していこうということでございまして、国も国民も背伸びをせずに内容本位の生き方をとるべき時代を迎えているというふうに感じております。
 そのことはつまり、外に向かっては大国主義に陥ることなく、内にあっては文化の薫り高い質の高い実のある生活様式というものを編み出して、美しい自然と環境を将来のために残していくことが何よりも重要ではないかと考えているところでございます。
 今回の緊急経済対策、これは目先の話でございますが、この緊急経済対策におきましても、規制緩和とか円高差益の還元の話に加えまして、今申し上げましたような趣旨にのっとって質の高い生活にかかわる社会資本の整備などについてその具体的な対策を打ち出しているところでございます。
 政治改革の実現についての決意ということでございましたが、これも繰り返し申し上げておりますとおり、四法案につきましては、これまで種々の弊害が指摘されております現行の選挙区制度を思い切って改革をして、政策中心、政党中心の選挙制度を確立するということとともに、企業などの団体献金の規制を強化し、政治資金の透明度を高め、あるいはまた違反者に対する制裁の強化をしていく、さまざまな腐敗防止措置を講じることにしているところでございます。国民の御期待にこたえ得る内容を盛り込んでいるものと確信をいたしております。
 国民の政治に対する信頼を早急に回復するためにも、四法案の本年中の成立に向けまして全力で取り組んでまいる決意でございますということを繰り返し申し上げてきたところでございます。
 企業・団体献金についてのお尋ねでございましたが、このたびの法案では、政党、政治資金団体に対するものに限って認めることにしておりますが、これ以外の者に対するものは一切直ちに禁止をすることにしたわけでございまして、企業などの団体献金の廃止に向けて大きく一歩を踏み出すことになるものと思っております。
 また、改正法施行後五年を経過した場合には、政党に対してする寄附のあり方についても見直しをすることにしておりまして、この五年後の見直しにおきましては、連立与党間の合意の趣旨を踏まえて、企業など団体献金の廃止についても検討がなされるものと考えております。
 選挙制度の改正と政治資金改革の一括処理の必要性についてどうかということでございましたが、現行の選挙制度のもとでは政権党を目指す限り、同一選挙区で同一政党の候補者間の同士討ちが避けられないわけで、選挙は政策論争というよりも候補者個人間の競争になってしまっているという大きな問題がございます。このことが、候補者個人を中心とした政治資金の調達などに関連をいたしまして、政治と金をめぐるいろいろな問題を生じさせる大きな要因になってきたと認識をしているわけでございまして、この点については、これまでの国会での審議などを通じて、既に共通の認識が確立をしているというふうに思っております。
 このように、選挙制度と政治資金制度のあり方や腐敗防止の問題は相互に関連を持っておりますし、こうした改革をあくまでも一体のものとして実現できるように四法案を提出して御審議をいただくことにしている保ところでございます。
 参議院の選挙制度についてのお尋ねでございましたが、参議院の選挙制度のあり方についても、繰り返しお答えを申し上げておりますように、抜本的な検討が必要であるということについては全く私も同感でございます。衆議院の改革について結論を得ました後に、引き続き各党各会派間で十分御論議を賜って、二院制の趣旨が生かされるということを基本に、できるだけ早い時期に合意点を見出していただきたいと考えているところでございます。
 不況、緊急経済対策にかける決意ということでございますが、経済の先行きに対する中期的な不透明感が広がっていく中で、今後の景気回復には予断を許さないものがあると認識をいたしております。このような経済の緊急状況を克服し、我が国経済を内需を中心とするインフレなき持続可能な成長経路に円滑に移行させていかなければなりませんし、我が国の中長期的な課題の解決にも資するように、さきに規制緩和と円高差益還元に加えまして、円高の影響や災害による被害への財政措置を伴う対応など、幅広いものから成ります緊急経済対策を講ずることにいたしたところでございます。
 本年度の予算あるいはことしの四月に出されました総合的な経済対策を引き続き着実に推進をしてまいりますとともに、この対策を早急に実施に移すことによりまして景気回復への動きを確たるものにしていかなければならないというふうに思っております。
 所得税減税についてのお尋ねでございますが、これも再々申し上げますように、経済効果の問題、財源確保の問題などなかなかクリアすべき課題が多く、容易なことではないということを申し上げてまいりました。所得・消費・資産など均衡のとれた税体系の構築についての総合的な検討の中で取り組むべき課題だということを申し上げているところでございます。
 所得税減税を含めて、直間比率の是正など税制の抜本的改革につきましては、政府の緊急経済対策におきましても、中長期的な視野で活力と創造性のある経済社会構造の構築を図るという観点から、税制調査会における総合的な検討を推進するということにしているところでございます。
 規制緩和の問題でお尋ねでございましたが、まずは今回の緊急経済対策において決定をいたしました措置の着実な実施、フォローアップに努めてまいらなければなるまいと思っております。
 今回の措置は、規制緩和の推進に向けた重要な一歩でございますが、今後とも構造改革を目指して中期的な観点からも取り組む必要があると考えておりまして、経済改革研究会あるいは行革審などでの御論議の成果をしっかり受けとめてまいりたいと思っております。
 規制緩和の促進について国民の声を集める具体的な計画があるかというお尋ねでございましたが、規制緩和の推進に当たって広く国民の御意見、御要望をお聞きする必要があるということはお説のとおりでございます。現在、総務庁におきまして、消費者団体を含むさまざまな分野の団体、企業などを対象にアンケートを実施いたしますとともに、各地で規制緩和推進懇話会を開催いたしますほか、ファクス、郵送による受け付けもしているということでございます。
 今回の緊急経済対策におきましても、規制緩和に関する国民の声を広く収集し、各省庁の施策に反映させるために広報・公聴活動の積極的展開を図るということにしておりまして、引き続き規制緩和に関する意見や要望の把握に努めてまいりたいと思っております。
 円高差益の還元、政府の監視、検証への対応策ということでございますが、今回の経済対策におきましては円高差益の還元などに係る施策の一環として、輸入品価格動向の調査の拡充、あるいは地方公共団体による生活関連物資の監視、貿易統計の活用などによりまして情報収集の強化充実を図り、円高の価格への反映を注視しながら消費者への情報提供を強化することにいたしております。今回の施策の実施状況につきましては、物価担当官会議などにおきまして点検をいたしまして、施策の実効性ある推進を図ってまいりたいと思っております。
 消費者の側からの情報を集めるべきではないかということでございましたが、これも今回の対策におきまして、消費者からの情報収集の強化充実について、具体的には物価モニターあるいは国民生活センターの活用などによりまして情報収集の強化充実を図っていかなければならない、円高の価格への反映を注視してまいらなければなるまいと思っております。
 経済改革研究会についてのお尋ねでございますが、我が国をめぐる内外の情勢の変化などに対応して、中長期的な視野から我が国の経済社会構造の改革を視野に入れた我が国として掲げるべき理念と施策のあり方について検討を始めていただいたところでございまして、年末をめどに御意見をいただけるようにお願いをいたしているところでございます。政府としては、その御意見をしっかり受けとめて、早急に新たな経済社会を構築するための対策に取りかかってまいりたいと思っております。
 災害について何点がお尋ねがございましたが、本年相次いでいる災害に対して、生活必需品の供与あるいは住宅の建設など応急対策を講じておりますほか、災害弔慰金などの早期支給、あるいは農林漁業や中小企業に対する救済の措置、災害復旧事業の早期の実施、あるいは自治体への財政措置など、さまざまな対策を推進いたしております。今後とも、地元自治体と緊密な連携をとって被災者の救済や被災地の再建、復興に取り組んでまいりたいと思っております。
 島原市において今後実施する火山砂防事業などについてのお話でございましたが、恒久的な住宅の供給、砂防事業などの防災対策、住民の移転支援などを重要な課題として推進いたしております。砂防事業などによる用地補償や家屋の移転補償も行われつつあるわけで、そのほかの各種の支援策も活用されておりますので、住宅宅地の供給を相当ふやすことにそれはつながっていくと思いますし、今後とも住民の移転と生活再建が円滑に進むように取り組んでまいりたいと考えているところでございます。
 農作物の被害に対する対応についてでございますが、異常気象による農作物被害についてはその実情の把握に努めているところでございまして、被害の状況を踏まえて政府として被災農家対策に万全を期してまいりたいと思っております。
 製造物責任法の立法化についてでございますが、現在、政府部内において総合的な消費者被害の防止や救済のあり方についての検討を行っておりまして、年内に結論を得たいと思っております。
 情報公開法の立法化についてでございますが、行政運営上の措置として、文書閲覧窓口制度の整備、行政情報公開基準の設定と、その的確な運用に努めていることは御承知のとおりでございます。
 法制上の措置としては、行政手続二法案におきまして、国民の権利義務に直接かかわりのある行政庁の活動に関して、審査基準などの公開、処分理由の提示など、情報公開規定の整備を図ることにしておりまして、二法案を早期に再提出の上、その成立に努力をしてまいりたいと思っております。
 手続法に加えて、さらに別個の一般共通法制としてのいわゆる情報公開法制の必要性の問題につきましては、非公開とすべき情報の範囲や争訟手続など、関連するもろもろの制度との調整等についてさらに検討すべき課題もございますし、もう少し調査研究を進めてまいりたいと思っております。
 国連改革についてでございますが、御指摘がございましたように、冷戦の終えん後、新たな国際秩序の構築に当たりましては国連が中心的な役割を果たすことに対する期待が国際的に高まっております。他方、国連が国際の平和と安全を初めとする諸問題に有効に取り組んで新たな時代の要請にこたえていくためには真摯な改革努力が必要であることは、これまた論を待たないところであろうかと思います。
 とりわけ、国連改革の分野としては、平和維持活動の充実化あるいは安保理の改組、国連財政の健全化を念頭に置いた行財政分野での改革があると思っておりますが、このような諸点について総会の場で私の考えも述べたいと思っているところでございます。
 常任理事国入りの問題につきましては、世界の平和と安全に対して主要な責任を有する機関として一層の機能強化が必要となっていることはもとよりでございます。御承知のように、今度の総会における主要議題の一つはこの問題でございますが、我が国としてもこの問題に関する議論には建設的な立場で参加をしていかなければならないのではないかと考えております。
 安保理の機能強化のためには、世界の平和と安定のために貢献する意思と能力を持つ加盟国の資源を積極的に活用していくことが必要でございますし、総会におきましては、そういう認識に基づいて我が国としての考えを述べますとともに、今後とも安保理においてなし得る限りの責任を果たしていくとの姿勢を申し述べたいと思っております。
 日米首脳会談において数値目標の設定がまた出るのではないか、その対応はどうかということでございますが、経済分野につきましては、世界の二大経済大国たる日米両国が積極的に協力をして、世界経済の運営に責任を果たしていくという観点から首脳会談に臨んでまいりたいと思っております。
 政府としては、経常収支について具体的な目標を設定することは、これも再々申し上げておりますように、管理貿易的な措置につながるものである、そういうおそれがあると、自由貿易体制の維持の観点からも問題があるのではないかと考えているところでございます。
 ちなみに、この問題につきましては、包括経済協議におきまして、我が国の経常収支の黒字について数値目標を定めないことで米側の了解が得られておりまして、日米間では既に決着済みの問題であるという認識でございます。
 中東和平プロセスヘの貢献でございますが、先般、イスラエル政府とパレスチナ人の間でジョルダン川西岸、ガザ地区における暫定自治に関する原則宣言が合意、署名されましたことは、和平プロセスの最初の成果でありまして、今後この合意が弾みとなって交渉が進展することを期待いたしております。
 我が国としては、このプロセスの一層の進展のために、御指摘の点も踏まえながら、我が国としてできる貢献策を今後とも強化をしていくつもりでございます。
 PKO参加に対する見解いかんということでございますが、我が国としては国連を中心とした国際社会の平和と安全を守るために、資金面だけでなく人的な面でも貢献を行うことは当然のことでございます。今後とも、PKO活動に対する協力はいわゆる五原則に関する規定を含む協力法に基づいて進めてまいるつもりでございます。(拍手)
    ―――――――――――――
#21
○副議長(赤桐操君) 吉田之久君。
   〔吉田之久君登壇、拍手〕
#22
○吉田之久君 私は、民社党・スポーツ・国民連合を代表して、細川総理の所信表明演説に関し、総理並びに関係大臣に若干の質問を行います。
 細川政権は、何よりもまず政治改革を断行するために生まれた連立政権であります。しかも、それは、総理がさきの国会で「責任ある変革」と述べられたように、自民党の一党支配のもとで培われた我が国の政治構造を変革することであります。単に政治腐敗を防止するにとどまらず、多年国民から遊離していた政治の枠組みを新しい手法で立て直し、国民の多様な意見を反映して、政党同士が切瑳琢磨する政治本来の姿を取り戻すために誕生した政権であると私は考えます。我々八党派が連立政権に参加したのは、まさにその歴史的意義を認めたからにほかなりません。
 この大道を切り開こうとする総理は、今回の政治改革にどのような決意を固めて臨まれるのか、改めて承りたいと存じます。
 さて、今回の公職選挙法の改正案では小選挙区比例代表並立制の導入が最大のポイントになっておりますが、昭和二十二年以来衆議院において一貫して行われてきた現行中選挙区制がなぜ完全に行き詰まったのか。また、小選挙区制の導入によって本当に金のかからぬ選挙が実現するのか。また、小選挙区制と比例代表制は政党を中心とする点では共通項を持っているものの、形の上では相矛盾する概念の結合であり、特に重複立候補もあることから国民に相当難解な制度とならないか。さらには、この改正によって衆議院と現行参議院の選挙は余りにも類似した形になるが、参議院の選挙制度をどのように抜本的に変えるべきか。
 それは、もちろん我々自身が早急に検討を始めることではありますが、この際、かつて参議院を経験されたことのある細川総理自身の衆参のあるべきバランスと保つべき独自性についてお考えの一端を例えればと存じます。
 次に、公費助成についてでありますが、総理は、現実問題として政治活動に一定のお金がかかる以上、健全なる民主主義のコストとして一定規模の公費助成の導入が必要と述べておられます。
 お尋ねしたいのは、ここで述べられている政治活動にかかる一定の金とは、一体どの範囲の金を指しておられるのか。
 恐らく、年間正規に報告されるすべての政治資金のトータルを意味されているのでありましょうが、多くの国民は、実はそれ以外に膨大な伏流水のごときものの流れを承知いたしております。たまたまそれが表面化したのが今度の一連の不正金脈問題であります。もし、その不純な流れに目をつぶってその上に公費助成という蒸留水を注ぎ込むのであれば、国民はむしろ不快感と拒絶反応を示すと思うのであります。あくまでも清潔、透明な政治資金にこそ公費助成は加えられ、したがって、その使用もまた極めて公的な使途であるべきことが要請されると思われるのでありますが、総理のお考えを承りたいと存じます。
 次に、経済、税制問題についてお尋ねいたします。
 低迷を続けてきた我が国景気は、一時底入れ感があったものの、急激な円高、長雨と冷夏などの影響もあり、一段と深刻な状況となっております。このような情勢に対応して、細川内閣が発足後わずか一カ月半という短期間に新社会資本整備や規制緩和、円高対策を柱とする緊急経済対策を決定したことを私は高く評価するものであります。しかしながら、経済は生き物であり、我が国経済を回復の軌道に乗せるためには、経済動向に対する不断の怠りない監視と状況の変化に応じた機動的な対策の実施が必要であります。
 私は、今回の緊急経済対策の実施により、速やかに不況が克服されることを期待するものでありますが、景気動向のいかんによっては大幅な所得減税の実施による個人消費の拡大によって一気に景気回復を図るため、場合によっては短期国債の発行などを真剣に検討すべきであると考えますが、総理の御見解をお伺いいたします。
 次は、行政改革についてお尋ねいたします。
 政治腐敗の根源である政・官・財の癒着を断ち切るには、政治改革にあわせて行政改革の断行が不可欠であります。
 昭和五十八年の第二次臨調の最終答申以来既に十カ年を経過し、旧国鉄、電電などの民営化は実現しましたが、旧態依然とした省庁体制の中枢にはほとんど手がつけられておりません。したがって、この十月に期限を迎える行革審にかわり、第三次臨時行政調査会というべき機関を設置し、新たな視点に立って本格的な行政改革を実施すべきことを提案するものであります。
 また、地方分権を進めるため、地方分権推進基本法の制定を図るべきであります。地方分権は国民重視の行政を進める上で、その根幹をなすものであります。また、参加と責任を原則とする住民自治の確立は民主主義の健全な発展と福祉社会創造の不可欠の課題であります。東京一極集中の現状も一日も早く是正しなければなりません。現在、憲法や地方自治法において地方自治に関する諸原理と基本的制度を保障していますが、それは制度的保障にすぎず、地方分権を抜本的に進めるためには新たな法的措置がどうしても必要になります。
 総理、あなたは知事の経験を持つ初めての総理であります。率先して地方分権推進のための基本法の制定を目指すべきだと考えますが、御見解をお聞きいたします。
 次に、急速に進む高齢化社会に対応する福祉政策について、厚生大臣に伺います。
 新政権の発足を機に、我々が目指す長寿社会のビジョンを国民の前に明確にし、その理想に向けて計画的に推進すべき政策を網羅していくことが重要であります。平成二年度からスタートした高齢者保健福祉推進十カ年戦略、いわゆるゴールドプランは、在宅福祉、施設福祉、マンパワーの確保などで着実な成果を上げておりますが、来年度は計画全体の中間年にも当たります。厚生大臣は就任時の記者会見で、ゴールドプランの拡充強化について抱負を述べられましたが、具体的にどのように見直そうとしているのか伺います。
 また、年金制度については近く審議会の答申がまとめられるようでありますが、雇用と年金支給開始年齢が断絶してしまい、その間の所得保障は個人の自助努力に任せるということでは、国の責任放棄と言われかねません。勤労意欲の高い六十歳代前半層の就労の場を拡大していくことに重点的に取り組んでいくとともに、これらの年代の年金支給については、年金受給者一人一人の状況に対応できる弾力的な仕組みを工夫していかなければなりません。
 年金審議会の近々の結論を踏まえて、年金改革についてどのように取り組んでいくのか伺います。
 また現在、国民はがんと闘う逸見さんの姿を注視していますが、このたび厚生大臣は、がん撲滅十カ年計画を強力に推進する決意を固められたと聞きますが、所信のほどを承りたいと存じます。
 次に、外交、防衛問題についてお尋ねいたしたいと存じますが、その前に、カンボジアに派遣されていたPKOの自衛隊員が無事帰国されつつあることは、まことに喜ばしいことであります。あわせてこの機会に、苦労されまた犠牲者まで出した文民警察官やボランティアの青年各位に深く敬意と感謝をささげます。
 さて、我が国の外交を進めるに当たってまず重要なのは日米関係であります。安全保障政策について、日米安保を基幹とした従来の政策を継承していくのか否かは、アジア・太平洋地域ばかりではなく世界の平和と安全に直接重大な影響があるだけに、各国の重大関心事であると言っても過言ではありません。政府は日米安保堅持の確固たる姿勢をさらに内外に鮮明にすべきであります。また、冷戦後のアジア・太平洋の経済発展の枠組みづくりに日米両国が責任を持ち、協調努力していくことが安全保障と同様重要な課題であります。
 総理は、あすから国連総会出席のため訪米されます。ぜひともこの際お尋ねしたいことは、国連安全保障理事会の常任理事国入りの問題であります。
 最近、米、豪、蘭など国連加盟国の中から、我が国を常任理事国とすべきであるとの意見が表明されております。しかし、我が国が世界の安全保障に責任を持つ中心的な国家となるためには、平和憲法を持つ唯一の国家として世界平和達成のために積極的にどの範囲まで対応できるのか、その基本原則を明確に示す必要があると考えますが、総理の御決意のほどをお伺いいたします。
 次に、外務大臣にお伺いいたします。
 まず、ロシア支援と北方領土問題についてであります。
 我々はこれまで、ロシアの本格的な財政金融支援には北方領土問題を解決することが必要と言ってまいりましたが、今後もロシアとの外交交渉に当たっては政経不可分の原則を貫き、領土問題と経済支援を一体として取り組むべきであると考えますが、いかがでありますか。
 昨日の報道によれば、エリツィン大統領とハズブラトフ最高会議議長との間に決定的な対立が生じ、二重権力構造が出現したと報ぜられていますが、このような状況の中でエリツィン大統領の訪日が期待できるかどうか、外務大臣の御所見をお伺いいたします。
 なお、今般、イスラエルとPLOの歴史的な和解が成立いたしましたことは喜びにたえません。中東地域の平和と安定は世界平和に直結しており、また石油資源の八割近くをこの地域に依存している我が国には、このたびの和平協定が平和裏に実現されるため、パレスチナ自治区を初めとする中束地域に対し特に経済支援について各国の強い期待が寄せられておりますが、我が国としてどのような支援を行う用意があるのか、お聞かせいただきたいのであります。
 最後に、私は、これら諸外国の平和と繁栄のために今後我が国が最大の努力を払うことはもとより重要でありますが、その前に、かつての第二次大戦で我が国が原因国として生じた周辺国への残された問題の解決が何よりも急務であると考えます。
 特に、過日の中国残留婦人の帰国は象徴的な問題の一つであると思います。
 細川政権が誕生した以上、きっと私たちを迎え入れてくれると信じた彼女たちに、政府のとった当面の措置は適切であったと思いますが、もしどうしても身元引受人が必要であるならば、我々国会議員みずからがその引受人となるくらいの手を差し伸べるべきことをここに提言して、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣細川護煕君登壇、拍手〕
#23
○国務大臣(細川護煕君) 初めに、政治改革の意義についてのお尋ねでございましたが、所信表明でも申し上げましたように、政治改革は本内閣にとって最優先の課題でございますし、これを早急に実現することによって国民の政治に対する信頼を回復し、その上に立って国際国家としての責任を果たしていきたい、国民生活の安定と向上を図るための対策に本格的に取り組んでいくような状況を早くつくり出さなければなるまい、そのように思っているところでございます。
 今国会に提出をいたしました四法案には、政策本位、政党本位の選挙を実現するための選挙制度の改革、連座制の強化などの腐敗防止策の強化、あるいはまた政党、政治資金団体以外の者に対する企業などの団体献金の廃止、あるいはまた政党助成制度の創設などの政治資金制度の改革を織り込んでおりまして、こうした改革を一体として実現できるように、本年中の法案成立に向けて全力を傾けてまいりたいと思っております。
 現行の中選挙区制はなぜ行き詰まったと考えるかということでございますが、政権党を目指す限り、同一選挙区で同一政党の候補者間の同士打ちが避けられないし、選挙は政策論争というよりも候補者個人間の競争にならざるを得ないという要素がございますし、このことが候補者個人を中心とした政治資金の調達などに関連して政治と金をめぐるさまざまな問題を生じてきたということがあろうと思います。
 我が国の政治を利益誘導型といいますか、政・官・業の癒着といったような、硬直した構造をもたらす大きな要因になってきたと認識をいたしております。この制度のもとで、長年にわたって政党間の勢力状況が固定化してきたことが政治における緊張感を失わせて、それがまた政治の腐敗を招きやすくしてきたのではないかと受けとめております。
 小選挙区制の導入によって金のかからない選挙が実現するのかということでございますが、今回の選挙制度の改正によって、政策本位、政党本位の選挙が実現できれば、日常の政治活動や選挙が政党中心になることによって政治家個人の負担は減少することになると考えますし、現行の選挙制のもとにおけるような、いわゆる同士打ちを背景とした政治家個人間の競争による本来の民主主義にとって不要な支出の増大というものは避けることができるのではないかと考えているところでございます。
 国民に難解な制度にならないか、こういうことでございますが、並立制は政党中心の選挙制度である小選挙区制と比例代表制を単純に組み合わせたものでありまして、小選挙区選挙は極めてわかりやすいものでありますし、また比例代表選挙についても既に参議院の選挙で経験を重ねてきているわけでございますから、国民にとってそれほど難解な制度であるとは考えておりません。
 それから、小選挙区制と比例代表制の長所と短所を相補う工夫をどうするのかという趣旨のことでございましたが、二つの制度ともに政党中心の選挙制度ではございますが、小選挙区制のみでは政権の選択についての国民の意思が明確な形で示される反面で少数意見が選挙に反映されにくいという問題がございますし、また比例代表制のみでは多様な民意をそのまま選挙に反映はいたしますが、小党分立となりやすいといったような問題があるわけであります。したがって、両制度を組み合わせる並立制をとることによって、そのことが両制度の特性を生かし得ることになる、相補うことになり得るというふうに考えているところでございます。
 参議院の選挙制度についてどう考えるかということでございますが、これも再々申し上げておりますように、衆議院の選挙制度と密接に関連する問題でございますし、二院制の趣旨が生かされることを基本に検討すべきものと思っております。衆議院の改革について結論を得た後、引き続き各党各会派間で十分御論議を賜って、できるだけ早い時期に合意点を見出していただきたいと考えているところでございます。御指摘のように、ぜひ参議院の方におかれましても早急に御検討を始めていただけるように念願をしているところでございます。
 公費助成の範囲とその使途についてのお尋ねでございますが、透明な政治資金にこそ公費助成は加えられるべきという御指摘はまことにそのとおりでございます。一連の不正金脈問題などによる金の流れは、選挙制度改革、政治資金制度改革を伴う今回の政治改革によって一掃できるものと期待をいたしております。公費助成は、その上で本来の民主主義のコストとも言うべき政党の政治活動の経費を国民全体で負担をしていただこうというものでございます。
 政党の政治活動の自由を尊重する見地から、政党交付金の使途につきましては特に制限しないことにしておりますが、一方で政党交付金が国民の税金という貴重な財源で賄われるものであります以上、政党は国民の信頼にもとることのないように、交付金を適切に支出していかなければならないことは当然であると考えております。
 所得税減税と短期国債の問題についてのお話でございますが、所得税減税は、これも再々申し上げますように、経済効果の問題あるいは財源確保の問題などいろいろな課題がある、赤字国債に依存することはよくよく慎重でなければなるまいと思っております。
 また、短期国債を発行して減税を先行させるということは、減税と将来の増税が同一の法律で同時にセットされる場合でありましても、先行減税期間中に発行した短期国債を償還するための財源というものは確保されないわけでございますし、結局、この短期国債は普通の赤字国債と変わらないものになって残ってしまうという問題がございますから、軽々にとることはできないというふうに思っております。
 いずれにしても、所得税減税の問題につきましては、税体系全体の総合的な検討の中で取り組むべき課題だと思っております。
 行政改革についてでございますが、冒頭申し上げましたように新内閣の大きな課題でございますし、第三次行革審におきましても、今、最終答申に向けて精力的に御審議をいただいているところでございまして、審議会の最終答申が出されました後の推進体制につきましては、その時点で新たな視点から総合的に判断をさせていただきたいと思っております。
 地方分権推進基本法についてのお尋ねでございますが、基本法の制定につきましては、与党各派、各方面から御提言があることはよく承知をいたしております。国会における決議もございますし、今後、政府みずから取り組んでいくことはもとよりでございますが、国会におきましても十分御論議をいただければありがたいと思っているところでございます。
 日米安保条約を堅持せよという御指摘でございましたが、冷戦の終結後も国際社会が依然不安定な要因を抱えている中で、我が国が引き続き安全を確保していくためには日米安保条約に基づく米国の抑止力が必要であるという認識をいたしております。また、国際社会における広範な日米協力関係の政治的な基盤にもなっておりますし、さらに、アジア・太平洋地域における安定要因としての米国のプレゼンスというものも確保し、この地域の平和と繁栄を促進するために不可欠であるというふうに考えているところでございます。
 政府としては、今後ともこのような意義と重要性を持った日米安保条約というものを維持し、その円滑な運用のために努力をしてまいりたいと思っております。
 アジア・太平洋の経済の枠組みづくりに関する日米の責任と協調ということでございましたが、アジア・太平洋地域は、ASEAN諸国あるいはNIESを中心に全体として順調な経済成長を続けておりますし、世界でも有数な経済の活性化をしている地域になっております。各国間の相互依存関係の強化とも相まって、そのことが地域全体の安定化に寄与しているというふうに受けとめているところでございます。
 我が国としては、この地域の平和と繁栄にできる限りの努力をしていく考えでございますし、その際、米国を初めとする域内各国とも協調しながら、この地域の多様性を踏まえて、ASEAN拡大外相会議あるいはAPECなどの既存の協議や協力の場を活用して取り組んでいくことが重要であるというふうに考えております。
 常任理事国入りの問題についてでございますが、安保理につきましては、世界の平和と安全に対して主要な責任を有する機関として一層の機能の強化が必要であるという認識が国際的に高まってきております。そういう背景のもとに安保理の改革問題が今度の総会における大きなテーマになるわけでございましょうが、我が国としてもこの問題に関する議論には、先ほども申し上げましたように、建設的な立場で取り組んでまいりたいということでございます。
 他方、今日、世界の平和と繁栄を達成するための方法は多様でありまして、軍事面での対応にとどまらず、環境、難民、貧困、そういった非軍事分野での取り組みの重要性も相対的に増大をしてきておりますし、軍縮、不拡散といった分野での努力も大いに我が国としてしていかなければならない分野であろうと考えているところでございます。
 中国残留日本人の帰国問題についての取り組みいかんということでございましたが、帰国を希望される方々が円滑に帰国されることができるように種々の施策を講じているところでございます。中国残留邦人の高齢化が進んでいることなどに対応いたしまして、受け入れ施策に関して見直す点があれば今後見直してまいらなければなりませんし、さらに帰国の促進を図ってまいらなければなるまいと思っております。
 身元引受人の件につきましては、多くの方々が中国残留邦人の帰国問題に関心を持っていただいて御協力をいただくことは大変ありがたいことだと思っております。(拍手)
   〔国務大臣大内啓伍君登壇、拍手〕
#24
○国務大臣(大内啓伍君) 吉田議員の質問にお答えをいたします。
 まず、ゴールドプランすなわち高齢者保健福祉推進十カ年戦略についての見直しについてお尋ねがございましたけれども、このゴールドプランにつきましては、今まで掲げてまいりましたその目標実現のためにまず全力を尽くしたいと思っております。
 また現在、各自治体において、これは市町村が中心でございますが、老人保健福祉計画の作成に従事しておりまして、これらの計画や事業の推進状況を踏まえまして、これらとの調整も起こってまいります。したがって、必要に応じ、しかるべき時期に見直しをしなければならない、こう考えておる次第でございます。
 さらに、それらの見直しの論議に当たりましては、老人訪問看護ステージョンの創設や、あるいは福祉用具の開発、普及などゴールドプランができる前にその後から出てきた問題もございまして、それらも組み入れていくことが見直しの中身になってくる、このように考えておる次第でございます。
 次に、年金問題でございますが、年金改革への取り組みについてのお尋ねにつきましては、特に人口の高齢化が進む中で先行きに不安のない年金制度をどうするか、あるいは老後に心配のない年金をどうするかという観点に立ちましてこの問題に鋭意取り組んでまいりたいと思っております。
 また、二十一世紀の超高齢化社会を活力ある社会としていくために、高齢者の雇用の場の確保を初めといたしまして、社会のさまざまな分野において適切な対応が求められておりますが、年金制度もこれにふさわしい制度にしていくことが重要だと考えている次第でございます。
 年金の制度改革につきましては、このような観点から取り組んでいくわけでございますが、特に六十歳代前半期の生活設計については雇用と年金との連携が重要である、これはかねがねそう私自身も指摘してまいりましたが、その認識に立ち、雇用政策における高齢者雇用の場の確保と相まちまして、六十歳代前半の年金については多様なニーズに対応できる弾力的な仕組みにしていくことが必要であると考えております。
 いずれにいたしましても、次期制度改正に向けての基本的方向につきましては、現在年金制度審議会において審議をなされているさなかでございまして、その意見等を踏まえながら対応してまいりたい、こう思っておる次第でございます。
 それから、最後にがんの問題についてお尋ねがございましたが、がん対策につきましては、対がん十カ年総合戦略によりまして、昭和五十九年以来がんの本態解明に迫るなどを目指しまして、厚生省、文部省、科学技術庁等が一体になりましてその研究事業を推進してきた結果、がん遺伝子の発見やがんの早期診断、がん患者の治療成績の向上など着実な成果を上げてきたものと考えております。
 しかしながら、この十年間にがん患者の高齢化や、肝臓がんあるいは膵臓がんなどの治療の難しいがんの増加など新たな課題も生じているところでございまして、がん対策につきましては厚生行政の最重要課題の一つと認識しておる次第でございます。
 このため、厚生省といたしましては、来年度より関係省庁との密接な連携のもとに、がん克服を目指し新たな十カ年計画を策定いたしまして、がんの転移のメカニズムの解明、遺伝子を用いた正確な診断法の確立、新しい抗がん剤の開発、電子技術を応用した画期的な診療機器の開発等に重点を置いて研究を進めてまいりたいと考えております。
 これによりまして、今後十年の間に、何としてもがんを克服したいという国民の悲願の達成に向け一生懸命取り組んでまいりたいと考えております。
 以上、お答えをいたしました。(拍手)
   〔国務大臣羽田孜君登壇、拍手〕
#25
○国務大臣(羽田孜君) お答えを申し上げます。
 まず、対ロ外交でございますけれども、対ロ外交につきましては、これまでの施策、これを私どもも継承してまいります。特に、領土問題を解決して平和条約を締結することによりまして日ロ関係の完全な正常化、これを図ること、及び、現在のロシアにおいて行われております改革、これを支援していくことを課題といたしたいと考えております。
 政治、経済、外交のすべての面におけるロシアの改革が実現をすることになりますと、世界の平和と安定に多大の利益をもたらすものであるというふうに信じます。特に、法と正義に立脚した外交の実現は、スターリン時代のいわゆる残滓、これの除去を意味しておりまして、領土問題の解決を促進し得るものであろうというふうに考えます。
 私どもといたしましては、これらの基本的な立場を堅持しながら、国民のよき理解あるいは御支援をいただく中にありまして、今後とも粘り強い交渉を進め、そしてよき隣人として互いに協力できる体制をつくり上げる、このために私どもは外交努力をさらに続けたいと思います。
 なお、昨今の情勢が十月中旬のエリツィン大統領の訪日に影響を及ぼさないかという御指摘でございますけれども、私どもは、この訪日に影響を及ぼさないことを希望いたしております。
 また、大統領の訪日につきましては、引き続き両国間でその対応のための準備を進めておりまして、国連総会におけるコーズィレフ大臣、この会談も予定は今一切変わっておらないことを申し上げたいと存じます。
 なお、中東の和平の問題でありますけれども、我が国はこれまで現行の中東和平プロセス、これを強く支持してまいりましたし、またその進展に協力をしてまいったところであります。
 先般のイスラエルとパレスチナ人の間の暫定自治に関する原則宣言への合意の弾みにつきましても、パレスチナ人以外の他の和平交渉、これが進展することにも大きく影響するであろうというふうに私どもは期待しております。
 真の和平実現のためには、何といってもこの合意を着実に実施していくことが重要で、そのためには国際的な支援を協調して行うことが不可欠であろうというふうに考えておりまして、御指摘のございました点を私ども大切にしながら対応をしていきたいというふうに考えております。
 いずれにいたしましても、多国間の協議などで建設的な役割を果たすとともに、パレスチナ人に対しましては国際社会と協調して、私どもも速やかにでき得る限りの対応というものをするように努めなければいけない、このように存じております。
 以上であります。(拍手)
    ―――――――――――――
#26
○副議長(赤桐操君) 立木洋君。
   〔立木洋君登壇、拍手〕
#27
○立木洋君 私は、日本共産党を代表して、首相に質問をいたします。
 首相は、みずからの政権を政治改革政権と名づけて政治改革の断行を最優先課題と明言しました。ところで、今回政府が提出した政治改革法案を見れば、金権腐敗の元凶とも言うべき企業・団体献金の廃止の保証は全くなく、結局は民主政治に根本的に反する小選挙区比例代表並立制を最優先させるものであることは明らかであります。
 憲法前文には、「国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動しこと述べ、さらに「国政は、国民の厳粛な信託によるもの」と明記されているように、主権在民と議会制民主主義の憲法の原則にふさわしく「正当に選挙された国会」とは、多様な民意を正確に国会の議席に反映させることが不可欠の要件であります。
 ところで首相は、一昨日の衆議院においての日本共産党の松本議員の質問に対し、この制度は政権選択についての国民の意思が明確な形で示される特性を持つ小選挙区制と、多様な民意を反映するという特性を持つ比例制を並立させようとするものと合理化しましたが、とんでもないことであります。国政選挙は、国権の最高機関で唯一の立法機関である国会を選出するのであって、行政府の選挙ではありません。政府の首班指名は、国の最高機関である国会の一つの機能であります。この点で明らかなように、政権選択についてのあなたの論理は問題のすりかえにほかなりません。
 問題は、国会の議席に民意が正確に反映しているか否かが国政選挙制度の根本問題であります。いかに比例代表部分が設けられているからといっても、第一党が得票率を大きく上回る議席を占め圧倒的に有利になるこの選挙制度が国民の意思を国会の議席に正確に反映しないことは、だれが見ても明白ではありませんか。このような選挙制度の導入は議会制民主主義に反する改悪そのものであります。首相は、問題をすりかえることなく明確に答えていただきたい。
 また、この制度では、立候補する政党の数を人為的に減少させるとともに、強大な一つの保守政党の支配を生み出すか、あるいは二大政党制を生みやすくするものであって、第三党以下の政党を事実上国会から締め出す方向が強められます。
 首相は、同じく一昨日の衆議院での答弁で、この制度は少数意見の反映にも十分配慮し、むしろ第三党以下に議席を与える制度だと強弁しましたが、全く事実に反しています。
 政府の法案では、政党として選挙に参加するためには現職国会議員五人以上、直前の国政選挙で三%以上の得票率、新規参入の場合、比例代表に三十人以上の候補擁立などを満たさなければならないこととなり、さらに小選挙区三百万円、比例代表六百万円の高額な供託金を求めることは、小政党や新党の選挙参加への大きな障害をつくり出すものにほかなりません。
 供託金について言うなら、外国での供託金は、イギリスでは九万円、フランスでは二万円程度、イタリアではゼロであります。
 その上、比例代表選挙で得票率三%未満の政党には議席を与えないという阻止条項まで持ち込んでいることは、三%以下の政党に投票した国民の意思を切り捨て、小政党を締め出そうとするものであることははっきりしているではありませんか。
 首相は、これらの条件は過度の小党分立になるおそれがないようにするためと述べましたが、政党の存在の可否は国民自身が選択すべきものであり、制度で禁じるようなことは民主主義にもとるものであります。
 首相は、この民主主義に反する小選挙区比例代表並立制導入をあくまで実現しようとして、その理由に冷戦の終えんという認識さえ持ち出していますが、ソ連の崩壊が冷戦の終えんであるなどというのは極めて皮相な誤った見方であります。冷戦の手段となった核兵器を初めとする膨大な軍備やアメリカの軍事同盟は、第三世界などを主な目標として引き続き維持され、日米軍事同盟は強化さえされているからであります。
 こういうときに小選挙区制を導入し、国際国家として責任を果たすために政策展開に果敢に取り組むというあなたの立場は、結局政権に批判的な政党の存在を抹殺し、アメリカの力の政治に追随して悪政を断行する強権政治を目指すものではないでしょうか。
 総選挙直後のNHKの世論調査で、政治改革の第一の要望が政治腐敗の一掃であるというのが八五%を占めたことでも明らかなように、国民が求めているのは何よりも金権腐敗の防止であり、その根絶であります。これに反して選挙制度を変えよというのはわずか一四%でしかありません。細川内閣に何を期待するかとの他の調査でも、政治腐敗防止と景気対策がそれぞれ四割を超えているのに、選挙制度の改革は一一%。この極めて明白な国民的要求を、首相はすりかえることなく真剣に受けとめるべきではありませんか。
 佐川急便やゼネコン疑惑の糾明はいよいよ焦眉の問題であります。金丸被告を初め、仙台市長や茨城県知事など、政治家や地方の首長が天の声を発して、公共事業発注額の一%ないし三%をいわば当然のように賄賂として受け取ることが構造化しているところに問題の異常さと重大さがあります。
 今日、既にゼネコンによる政治家百余名に上る献金リストが問題とされ、相次ぐゼネコン会長らの逮捕で明らかになったように、公共事業の発注先の決定に政治家が介入し、血税である公共事業費の上前をはねて、私腹を肥やすという腐り切った構造に徹底してメスを入れることこそ肝要ではありませんか。
 首相は、さきの国会で政・官・財の癒着の打破を繰り返しながら、その後一層深刻になっているゼネコン問題については、今回の所信では全く触れていません。
 そこで、これほど重大化しているゼネコン問題ではっきりさせていただきたいのは、まずその使途不明金について、また、中央、地方を問わず行われている天下り大事について、さらに、後を絶たない大手の談合システムについていかなる根絶策を講じるのか、それぞれ明確な答弁を求めます。
 企業献金の害悪は、国民のためにあるべき政治を財界、大企業のためにねじ曲げてしまうことにあります。企業、団体が政党に対して行う政治献金は、見返りを求めないなどという根拠は全くないのであります。政治腐敗一掃のためには、政治家にも政党にも企業・団体献金の即時禁止こそが不可欠であります。
 一カ月前に首相が表明した「廃止の方向に踏み切る」と、あいまいながらも「廃止」と述べた表現すら法案では削除されています。どうして企業・団体献金すべての禁止を明確に打ち出せないのかはっきりしていただきたい。
 今回の政党への公的助成を内容とする法案は、いち早く国民の厳しい批判を受けていることは当然のことと言わなければなりません。
 政党とは、本来国家権力から独立して、国民の自由な意思に基づき、国民の多様な意見や要求を政治に反映させるために活動する結社であります。その財政は、当然党費と個人寄附、政党としての正当な活動によって賄われることが生命であり、そうした努力をせずに公的助成に依存するということは政党を堕落に導くことになりかねません。ましてや、納税者である国民の立場からすれば、政党への公的助成は政党支持の自由に反して支持していない政党にまで資金負担を強いられることとなります。
 憲法第十九条には、「思想及び良心の自由は、これを侵してはならない。」との国民の基本的権利を明確に定めています。公的助成が法律で決められると憲法で定めた自由の制限にならないという首相の答弁は、全く筋違いのおかしな論理ではありませんか。首相、この憲法違反の公的助成を民主主義のコストと言うのもまた甚だしい筋違いであります。
 政党の政治活動の健全な発達の促進を言うのなら、何よりも政党機関紙への消費税課税こそ撤廃すべきではありませんか。政党のあり方、また憲法とのかかわりについて明確な答弁を求めます。
 次に、国民生活に関連し緊急の課題について質問をいたします。
 今日、長引く不況に加え、急速な円高によって中小企業経営の危機、雇用、社会福祉への不安は深刻になっています。とりわけ、個人消費は昨年に続きことしに入っても前年比連続マイナスになっており、景気対策は国民の切実な要求となっています。
 消費停滞の最大の要因は賃金抑制にありますが、さらに大企業の六割が実施している雇用調整などによる雇用不安、将来への年金問題など生活不安にあることは言うまでもありません。今、内需拡大を図るためには真に国民生活に目を向けた経済政策への根本的な転換が求められていますが、所信表明ではこの点での具体的な政策が示されていないのであります。現に、政府の対策は労働者の雇用の深刻な不安にこたえるものとはなっていないのであります。来年四月の大学新卒者の就職、とりわけ女子学生の就職は大きな問題になっています。
 大企業は本格的な雇用調整に乗り出そうとしていますが、円高による海外生産の強化は一層それに拍車をかけています。雇用調整の最たるものは国が重要なかかわりを持つ最大企業NTTの希望退職一万人などの合理化計画であります。労働者の生活及び景気回復にも重大な影響を持つ雇用問題について、政府は緊急の対策を講じるべきではありませんか。
 また、民間信用調査機関によれば、九二年度の企業倒産は前年比二二・七%増で二年連続一万件を超え、そのうち資本金一千万円未満の中小企業が四分の三を占めています。中小企業は、不況と円高で工賃の四〇%が減った、仕事がとまってしまって頭が変になりそうだと悲痛な声を上げています。この中小企業の困窮を打開するため、中小企業への予算の増額、金利三%以下で低利の緊急融資制度の実施、それと同時に、特に親企業の不当な下請いじめの禁止、公共投資を生活基盤中心に転換して中小企業への仕事の増大を図るべきであります。明確な答弁を求めます。
 政府は、国民が強く期待している大幅所得減税を見送りました。それどころか首相は、所信で直間比率の是正などと言って、税制調査会に税制の抜本的な改革を求め、その成果を尊重すると述べています。消費税の税率引き上げとセットでは、幾ら所得減税しても景気対策としての効果も台なしであり、生活のゆとりもかき消されてしまいます。赤字国債発行で短期間つないだとしても、それは全く同じであります。本当に消費不況からの打開を図り豊かさを実現しようとするのなら、所得税減税を速やかに実現すること、その財源は消費税の増税や赤字国債以外の財源で賄うべきであります。答弁を明確に求めます。
 被用者年金の六十五歳支給への動きが強まる中で、国民は年金制度の将来に大きな不安を抱いています。現在、六十歳定年制もまだ未定着てあって、支給年齢引き上げは国民の生存権そのものへの脅威となることは明らかであります。細川内閣は、支給年齢六十五歳引き上げをやめるよう再検討する用意はあるかどうか、答弁を求めます。
 また、年金財政の安定を言うのなら、政府が縮小した国庫負担の復元や財力のある大企業に一定の拠出を求め、労働者の保険料負担を軽減するために労使負担割合を三対七に変更すること等が検討されるべきだと思いますが、あわせて答弁を求めます。
 この夏の記録的な異常気象による農作物への被害は、冷害常襲地帯にとどまらず、全国的に広がっており、戦後最大の凶作と言われ、自殺者の発生が問題になるほど極めて深刻であります。所信表明では、これほど深刻な農業問題に全く触れなかったのはなぜでしょうか。
 今回の冷害がもたらした結果は、相次ぐ農作物の輸入自由化によって引き起こされた食糧自給率の低下、米在庫の極端な不足を招いた需給政策、作付面積を減らせと言ったりふやせと言ったり、くるくる猫の目のように変わる減反政策などの政策の大失態を浮き彫りにしました。また、自主流通米の価格を初め、農作物の価格の高騰となって国民生活を直撃し、主食などの安定供給への努力は不可避の課題となっています。
 政府は、天災融資法と激甚災害法の早期発動を行うとともに、一刻も早く種もみの確保、大幅な減反緩和の速やかな決定、復田経費への補助、さらに適正な損害の評価と早期の共済金の支払い、自作農維持資金の確保や利子の補給、税の減免などに万全を期すべきであります。
 同時に、生産農家の意欲を著しく減退させ、農業への展望を失わせる農政を抜本的に改め、再生産可能な米価の保障、中山間地帯への特別措置の確立、災害に強い農業づくりに特別の対策を検討すべきではありませんか。米の輸入自由化への道を切り開くようなことが断じてあってはならないことを強く指摘し、あわせて答弁を求めるものであります。
 量後に、首相の訪米に関して若干お聞きしたい。
 首相は、著作の中で、今世紀末までに核兵器等大量破壊兵器を全面廃棄することを表明してきましたが、今回、国連の舞台において、また日米首脳会談でこのことを明らかにされる用意があるのかどうか。さらに、非核三原則を全世界に向けて確認すると述べていますが、アメリカ側に、核兵器はどのような形であれ一切持ち込ませないことを文字どおり確認してくるのかどうか、あわせてお答えを願いたい。
 細川新政権は、基本政策などの覚書で、世界平和と軍縮のための責任を果たし役割を担うと明記しています。今回の訪米で、この基本政策をどのように具体的に示す用意があるのか、明らかにしていただきたいのです。
 ましてや、日本における米軍の出撃基地の役割強化や在日米軍への一層の財政負担増など受け入れることは論外であると言わなければなりませんが、このことも明確な答弁を求めます。
 また、首相は、米国の財政赤字削減について改善を求めると所信で述べました。ところが、さきの特別国会で日本共産党の上田副委員長が、円高ドル安のため日米首脳会談でアメリカに軍縮を要求する用意があるのかとの質問をしたのに対し、首相は、要求する考えはないとの態度を示しました。それでは、アメリカの財政赤字の重要な要因である軍事費について、その縮小を求めるというのか求めないというのか。求めないというのなら、一体何の改善を求めるというのか、その内容を明らかにしていただきたい。
 国際的な平和維持に関して決定的な権限を有している国連の常任理事国への参加は、軍事制裁措置に対する責任と協力を果たすことが当然求められ、それは我が国の憲法で戦力不保持を定め、一切の武力行使を禁じた平和原則に照らしてみれば真っ向から矛盾するものであります。日本国憲法の平和原則に忠実な態度を首相はおとりになるのか否か、日本の進路にかかわる重要な問題として明確な答弁を求めるものであります。私は、我が国が憲法の平和的、民主的原則の精神を踏まえ、恒久平和と民族自決権の尊重の立場を堅持すべきであることを重ねて強調し、質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣細川護煕君登壇、拍手〕
#28
○国務大臣(細川護煕君) 初めに、並立制は憲法の原則に反するのではないかというお尋ねでございましたが、小選挙区比例代表並立制は、政権の選択についての国民の意思が明確な形で示される小選挙区制と、多様な民意を反映する比例代表制を並立的に組み合わせたものでありまして、憲法の基本原理である国民主権の理念や議会制民主主義の原則に何ら反するものではないと考えております。並立制は政党を選択する主権者、国民の立場から見るならば本末転倒ではないか、第三政党以下にも配慮したものと言ったけれども、その法的根拠いかんということでございましたが、このたびの改正案では、小選挙区制に比例代表制を並立的に組み合わせることによって少数意見の国政への反映にも十分配慮しているところでございます。この比例代表制を導入することによって、第三党以下でも国会の議席を確保し得るものと考えているところでございます。
 供託金と三%条項についてのお尋ねでございましたが、今回の選挙制度の改革は、政権の獲得、政策の実現を目指す政党間の政策の争いを中心として行われる選挙の実現を目指しているわけでございまして、そのために一定の政党要件、供託制度などを設けているものでございます。三%のいわゆる阻止条項は、政権を争う政党間の政策論議の場である衆議院が小党分立に陥るのを防止するという観点から設けているものでありまして、全国を単位とする比例代表制を衆議院に導入する場合には必要かつやむを得ない制約であると考えているところでございます。
 並立制の導入は強権政治を目指すものではないか、こういうお尋ねでございましたが、小選挙区比例代表並立制は、政権の選択についての国民の意思が明確な形で示される小選挙区制と、多様な民意を国政に反映する比例代表制を並立させようとするものであって、より健全な議会制民主主義の確立を目指そうとするものであると認識をいたしております。強権政治なるものを目指すつもりは毛頭ございません。
 国民の第一の要望は政治腐敗の一掃であるということでございましたが、政治資金制度のあり方や腐敗防止の問題は選挙制度と密接な関連があるわけであって、現行の個人中心の選挙制度を残したままでは政治と金の問題の根本解決にはならないというのが国会などにおけるこれまでの御論議の結論であろうと考えております。これらの改革をあくまで一体として実現できるように今国会に四法案を提出いたしまして、御審議をいただくこととした次第でございます。
 ゼネコン汚職事件に関連してのお尋ねでございましたが、検察当局は適正な捜査処理を行っているものと思っておりますし、今後とも刑事事件として取り上げるべきものがあれば厳正に対処されるものと確信をいたしております。国会で調査を行うべきかどうかは、国会御自身が御判断をされるものと考えております。
 使途不明金についてのお尋ねでございますが、
 使途不明金については、本当の所得者に課税する観点から、できるだけその使途を解明し、その支出先に対して適正な課税を行うことが原則でございますし、国税当局はそのための最大限の努力を行っているものと認識をしております。ただ、どうしても使途が解明できない場合には、その支出した法人に対して経費としての損金算入を否認することによって結果的に全額を課税しておりまして、法人税制の枠内としてはできるだけの措置を講じているものと考えているところでございます。
 ゼネコン問題との関連で、業界への天下り大事についてのお尋ねでございますが、国家公務員につきましては、離職後二年間は人事院の承認を得た場合を除いて、密接な関係のある営利企業への就職はできないこととされております。この制度は人事院における厳正な審査によって適切に運用されているものと承知をいたしております。公務員の営利企業への就職をすべて制限するということについては、職業選択の自由などとの兼ね合いもございますし、慎重に対応することが必要であると思っておりますが、いずれにしても、国民に信頼される行政運用に心がけてまいらなければなるまいと思っているところでございます。
 あわせて、地方業界への天下りについてもお尋ねがございましたが、地方公務員につきましても、退職公務員の職業選択の自由などを踏まえて、在職中の営利企業への不当な接近を防ぐための服務規律の確保などによって、それぞれの地方公共団体におきまして適切に対応されるべきものと理解をいたしております。今後とも、地方公務員と営利企業とが縁故情実の関係に陥らないように、地方公務員の服務規律の確保について厳正に指導してまいりたいと思っております。
 大手の談合システムについて根絶策を講ずるのかというお尋ねでございましたが、談合事件などを初めとする一連の不祥事の背景にはいろんな要因があると思いますが、公共工事の契約制度にも検討の余地があると思っております。現在、大規模工事を中心とする条件つき一般競争入札制度の導入について中央建設業審議会で検討をお願いしているところでございまして、年内には結論を得て思い切った改善を目指してまいりたいと考えております。
 企業・団体献金の禁止についてお尋ねでございましたが、その廃止の方向に踏み切るとしても、あくまでも現実に即して対処していくことが肝要であって、今回は政党以外の者について全面禁止としたところでございます。五年を経過した場合には、政党に対してする寄附のあり方についても見直しを行うこととしているところでございます。
 公的助成と思想、良心の自由についてのお尋ねでございましたが、政党への公費助成は改革後の民主主義のコストを国民の理解のもとに国民全体で負担していただく制度であって、これによって個々の国民がおのおの自己の政治信条に基づいて政党を支持する自由は何ら制限されるものではなく、また、国会の議決を得る法律で定められるものである限り、税金が国民の意思に反して用いられるというわけではございませんし、憲法上の問題は生じないと考えております。
 政党機関紙への課税の撤廃についてのお尋ねでございましたが、消費税は対価を得て行う物品、サービスの提供などに広く課税することとされておりまして、講読料などの対価を得て新聞、機関紙などを販売する以上、消費税が課されるものと認識をいたしております。消費一般に広く公平に負担を求める消費税において、政治活動であるとの理由だけで政党機関紙に対する課税を撤廃することは課税の公平を著しく失することになるわけで、適当ではないと思っております。
 雇用問題についてでございますが、有効求人倍率が低下をするなど、大変厳しい情勢であると認識をしておりますが、もとより雇用の安定は国政上の重要課題でございますし、今回決定した緊急経済対策におきまして雇用調整助成金制度について業種指定基準の緩和措置を継続するなど、雇用対策を盛り込んだところで、こうした対策の着実な実施に力を尽くしてまいりたいと思っております。
 中小企業対策についてお尋ねでございましたが、昨年八月とことし四月に策定されました二次にわたる総合経済対策におきまして、合わせて一千五百五億円の補正予算を計上いたしました。低利融資制度の創設などの金融措置、下請企業対策などの対策を講じますとともに、平成五年度予算におきましても中小企業をめぐる厳しい経営環境に配慮した措置を盛り込みまして、そうした措置の着実な実施に努めているところでございます。
 しかし、中小企業をめぐる経営環境は依然として厳しい状況でございますから、今回の緊急経済対策におきましても、金融措置あるいは下請企業対策、官公需対策などを盛り込んで、これらを実施していくためにおおむね六百八十五億円の追加予算措置を講ずることといたしているところでございます。
 所得減税についてのお話でございましたが、これもたびたび申し上げているとおりでございまして、克服すべき課題が極めて多い、なかなか簡単なことではないと申し上げてまいりました。所得・消費・資産などの均衡のとれた税体系全体の検討の中で取り組むべき課題だと考えております。
 年金の支給年齢引き上げについてのお尋ねでございましたが、引き続き人口の高齢化が進んでいく中で、その長期的な安定を図っていくことが必要であることは申すまでもございません。高齢化社会を活力ある社会としていくためには、高齢者の雇用の場の確保を初め、経済社会のあらゆる分野において適切な対応が求められておりますが、年金制度もこれにふさわしい制度にしていくことが重要であると思っております。
 年金制度改正につきましては、そうした観点から取り組んでいかなければなりませんが、特に支給開始年齢の問題は、前回改正の際に次期財政再計算において見直しを行うということになっておりますわけで、次期改正の最も重要な課題の一つとして、雇用と年金の連携に配慮しながら検討してまいりたいと思っております。
 いずれにしても、現在、年金審議会におきまして審議されているところでございますから、その御意見等を踏まえながら対応してまいりたいと思っているところでございます。
 年金財政についてもお尋ねがございましたが、年金の国庫負担につきましては、昭和六十年改正によりまして国民共通の給付である基礎年金に国庫負担を集中したところでございます。この改正は国庫負担について全国民を通じた公平を確保するためのものであって、その縮小を図ったものではございません。したがって、改正前の国庫負担の方式に戻す考えはございません。
 保険料については、年金制度の長期的な安定のために、その料率を二十一世紀の高齢社会に向けて適正なものとしていくことが重要であると考えております。なお、厚生年金の労使の保険料負担割合につきましては、制度発足以来労使折半とされておりまして、これは定着した制度になっていると理解をいたしております。
 農業問題でございますが、前特別国会の所信表明では、新政権の目指すべき方向、基本理念などについて述べさせていただきましたが、今回はそれを受けて、この臨時国会で御審議をお願いする法案のねらいなどにテーマを絞って述べさせていただいたところでございます。
 もとより、農業問題は重要な政策課題であると認識をしておりますし、今後の農政の展開に当たりましては長期的な展望のもとに、魅力ある農業と活力のある農村の構築のためにできる限りの施策を講じてまいりたいと思っております。
 農作物被害に対する対応でございますが、異常気象による被害につきましては、目下その実情把握に努めているところでございまして、被害状況を十分に踏まえて、被災農家対策にできる限りの対策をとってまいりたいと考えております。
 農政全般についてもお尋ねがございましたが、昨年、農水省からいわゆる新政策が取りまとめられたわけでございますが、今後、その方向に沿って経営感覚にすぐれた意欲的な農業者が生産の根幹を担う力強い農業構造を実現していくように、また、条件の不利な中山間地域を初め農村が多様で活力のある地域として発展できるように施策の充実強化に努めてまいりたいと思っております。
 米の問題につきましてもお尋ねがございましたが、これも再々申し上げておりますとおりで、ウルグアイ・ラウンド交渉の年内終結に向けて、我が国としては引き続き全力を尽くしてまいります。同時に、今後の交渉に当たって我が国の農業が将来に向けて安心して生産を続けられる環境を確保することが大切なことであると考えているところでございます。
 最終段階をラウンドも迎えておりますが、各国とも農業問題に関してそれぞれ困難な問題を抱えておりますし、相互の協力による解決に向けてできる限りの努力をしていくことがお互いに必要であると考えているところでございます。
 米につきましては、国会決議の趣旨を体して、国内産で自給するという基本方針のもとで対処してまいりたいと思っております。
 核兵器など大量破壊兵器の全面撤廃を日米首脳会談で明らかにする用意があるか、非核三原則を米側に確認するのかという趣旨のお尋ねでございましたが、核兵器の究極的な廃絶はもちろん我が国の目標でございます。
 今国連総会におきましては、アメリカやロシアにおける核軍縮の進展あるいは包括的な核実験の禁止に向けて本格的な交渉が開始されることになったことを歓迎いたしますとともに、すべての核兵器国が一層核軍縮に努力することの重要性を訴えてまいりたいと思っております。また、日米首脳会談におきましてもそのような観点に立って意見交渉をしてまいりたいと考えているところでございます。
 非核三原則は我が国の基本政策として堅持されてきたものでございますし、今後とも堅持してまいる考えでございます。繰り返し内外にこのことは表明されておりますし、米国も十分承知をしているものと考えておりますので、政府としては改めて確認することは考えておりません。
 それから、今回の訪米で世界平和と軍縮のための責任を果たし役割を担うという基本政策をどのように具体的に示すのかといった趣旨のお尋ねでございましたが、東西対立の終結による国際社会の激動の中で、軍縮を促進し国際の平和と安全の維持を図るということは極めて重要な課題だと思っております。
 そういう認識のもとで、今回の訪米におきましては、核軍縮の一層の進展あるいは不拡散体制の強化などに向けた国際社会の努力の重要性を訴えますとともに、このような目的のために我が国としても旧ソ連の核兵器解体支援などの面で積極的な努力を行っていくつもりであることを明らかにしてまいりたいと思っております。
 日米安保体制と在日米軍経費についてでございますが、日米安保条約及び関連取り決めに基づいて、我が国の安全に寄与し、極東における国際の平和と安全の維持に寄与する目的で米国に対し施設、区域を提供しているところでございますが、政府としては、このような平和と安定の維持に不可欠な意義と重要性を持っている日米安保条約を維持していく考えでございます。
 また、駐留経費の負担につきましては、日米安保体制の円滑な運用を図っていくことが必要であるという観点から、今後とも自主的な判断に基づいて対応してまいりたいと思っております。財政赤字と軍事費の縮小についてでございますが、米国におきましては、先般、五年間で合計五千四十八億ドルに上る財政赤字削減を図る予算調整法案が成立をいたしました。米国の赤字削減はアメリカの経済の活性化、ひいては世界経済の成長に寄与するものでございますし、来るクリントン大統領との会談におきましてもアメリカのこうした努力を評価いたしたいと思いますし、この法律に従って米国の財政赤字削減が早期に実現されることを期待しておりますが、米国の予算のあり方についてまでいろいろと申し上げるつもりはございません。
 常任理事国の地位と責任についてのお尋ねでございますが、今の国連憲章を前提に申し上げれば、安保理による軍事制裁措置に対する加盟国の協力の具体的内容は憲章に基づいて締結される特別協定によって定められることが想定されておりますが、加盟国は現行憲章上、兵力の提供を義務づけられているわけではございません。また、このことは常任理事国と他の加盟国とで異なるものではございません。したがいまして、我が国が安保理常任理事国になったとしても、それによって直ちに国連憲章との関係で我が国憲法上の問題が生ずるとは考えておりません。
 なお、安保理改組後の常任理事国の権限、義務につきましては、さまざまな態様があり得ますので、現時点におきまして一定の権利義務を前提として憲法との関係を論ずることは適当ではないと考えております。
 いずれにしても、我が国は憲法の枠内で安保理における責任を果たしてまいらなければなるまいと考えているところでございます。(拍手)
#29
○副議長(赤桐操君) 片山虎之助君。
   〔片山虎之助君登壇、拍手〕
#30
○片山虎之助君 私は、自由民主党を代表して、細川総理の所信表明演説に対し、幾つかの重要テーマに絞って総理はか関係大臣に質問をいたします。
 まず、政治姿勢と基本政策についてでありますが、細川連立政権が発足してはや一カ月半を経過いたしました。アメリカ合衆国大統領は就任して蜜月の百日間があると言われますけれども、各社の世論調査で見る細川内閣の支持率は御祝儀の意味はあるにしても大変に高こうございまして、国民の変化や新しさに対する志向がうかがえるのであります。
 しかし、国の内外の状況はまことに多事多難、会期九十日間の今臨時国会も始まり、総理の所信表明にもありますように、この政権が国民の負託にこたえていけるかどうかは当面する国政上の課題に対して具体的成果を打ち出していけるかどうかにかかっており、まさに細川連立政権は正念場を迎えたと思うのであります。
   〔副議長退席、議長着席〕
 既に何度も指摘されているように、八党派による連立政権は与党の数の多さで世界に例がなく、また外交、防衛、経済、エネルギーなど、重要な基本政策については八党派覚書により前自民党政権の基本政策をそのまま継承し、八党派の立党の理念や基本政策はいずれも棚上げするという、まさに世界で例のない異常な形でスタートをしております。
 なるほど、この一カ月半の細川内閣の仕事ぶりを見ますと、表面的には前自民党政権とほとんど変化がなく、格別の新しさもありません。言葉は多く、表現は多彩でありますが、細川内閣が政治改革以外に何を目指しているのかも定かでない。
 せんだって発表された規制緩和一つをとっても、項目数は多いものの前政権時代から各省庁が検討しほぼ結論を出したものを寄せ集めたにすぎず、この一カ月半、顔の見えない、肉声の聞こえない細川総理の向こうに見えるのは自民党の顔であり、聞こえるのは大蔵省を初めとする各省庁の声であると一部マスコミはやゆしているのであります。
 あえて言えば、前自民党政権の基本政策を継承、前政権との違いを出さないことによって国民に安心を与え、マスコミ受けするパフォーマンスによって新しさを強調したことが、私は細川内閣高支持率の秘密ではなかろうかと思うのであります。
 しかしながら、見た目の平穏さは現在までのところ連立政権維持のため政府・与党首脳が必死の努力をしている結果でありまして、内実は異なります。私の見る限り、連立与党八党派の理念及び基本政策の相違から来る大きな落差は埋めがたく、八党派内の我慢がいつまで続くのか、寄り合い世帯のもろさがいつ露呈するのか、国の内外の激動の中で果たして内閣として統一のとれた整合性ある政策を力強く打ち出すことができるのか、多くの国民はこの政権の先行きと我が国の将来に言い知れぬ不安を持っていると思うのであります。
 以下、国民の不安を解消するため、政権誕生後今日まで、国の重要政策について政府・与党首脳間において意思疎通を欠く、または不一致な事例を指摘し、その整合性につき改めて総理並びに関係大臣より明確な所見を求めたいと存じます。
 まず、総理は、二十一世紀を前に、激動する転換期の政治を担当するに当たって、国民の声を聞きつつ、この政権が目指す政治を明示しなければなりませんけれども、政策決定には残念ながら八党派の合意が必要であります。総理には、この難解な寄り合い政権の意思統一をどのように図っていかれるおつもりか。
 とかく十分な調整がないまま与党内の一部の実力者に引きずられ、権力の二重構造となっているのではないか、しかも意思決定が密室で行われているのではないかという批判があります。この際、総理としてのリーダーシップ発揮のための決意をお伺いしたいと思うのであります。
 個別の問題で第一に指摘いたしたいのは、景気対策の目玉となるべき所得税減税につき連立与党間の調整がつかず、何ら手が打たれなかったことであります。
 我が党は、バブル経済の崩壊に伴う不況に対処して、昨年八月及び本年四月と二度にわたり史上最高の緊急総合景気対策を講じてまいりましたが、その後、円高、冷夏、さらには災害などにより景気の動向は再び深刻な状況となっております。
 こうした深刻な不況を速やかに回復させるため、我が党は去る九日、緊急総合景気対策を発表、政府に対し早急な第二次対策の実施を要望いたしました。
 一方、政府は去る十六日、総額六兆二千億円の事業規模の緊急経済対策を発表されましたが、その内容を見ると景気効果への即効性はなく、全くの期待外れであります。この対策の内外の評価については御承知のとおりでありますが、パネルを使って説明された総理みずからが、現時点で可能な最大限と対策を説明される一方で、決してこれで十分とは思っていない、必要ならさらに追加対策を検討すると本音の発言が出ているのであります。
 規制緩和といっても即効性に疑問があり、経済効果は不明であります。円高差益の還元も御承知のような程度であります。実需不明の財政投融資や地方任せの地方単独事業ではここまで落ち込んだ景気の回復にはなると思えないのであります。日銀が行った七回目の公定歩合の引き下げも限界がありましょう。
 我が党は、五兆円を超える大型の所得税減税を中心にした緊急対策を打ち出しましたが、政府は、この所得税減税については専ら税制調査会での検討の成果を尊重しと問題を先送りにし、調査会任せにしております。私は、今や緊急対策の目玉は個人消費の回復に直接結びつく犬型所得税減税の早期断行しかないと考えます。
 この所得税減税については、政府・与党首脳からさまざまな発言がなされてまいりました。
 すなわち、藤井大蔵大臣は、消費税率引き上げを財源とした所得税減税を来年度実施したい。新生党は、消費税の税率引き上げによる直間比率の是正から検討、財源は短期の赤字国債。社会党の委員長となられた村山氏は、大幅所得税減税の財源は不公平税制廃止、防衛費見直しなどで最大限努力して、足りない場合は短期赤字国債もやむを得ない。しかし、消費税率は将来的にも上げるべきでないと思う。坂口労働大臣は、減税を税制の抜本改革の中で検討するとなると増税と一体処理になり、経済効果が少ない。減税を先行、その上で財源確保のための消費税の税率引き上げを検討。民社党の米沢書記長は、減税を先行させて短期国債で、財源は二、三年後の抜本税制改革で担保する。石田総務庁長官は、一たんは十兆円程度の所得税減税を先行し、その税源としての消費税率引き上げを示唆された後、一転、所得税減税財源としての消費税率引き上げには十分時間をかけた議論が必要だし、国民の納得が必須条件、そういう意味で消費税と減税は連動するものでない。
 報道されている限りでは、大体以上のとおりであります。
 まさに百家争鳴、政権内はばらばらであります。連立与党の政策幹事会でも代表者会議でも調整がつかず、結局、政権与党の都合で目玉抜きの総合経済対策となったのであります。景気対策として最大の効果が発揮できると思われる所得税減税がこのありさまであります。総選挙で各党の公約は一体どこに行ったのでありましょうか。
 総理は、連立与党としては公約していないと、午前中そう述べられましたが、総選挙の際には連立与党はないのでありますから、当たり前の話であります。連立与党がそれぞれ独自に公党として約束されたわけであります。この責任はどうなるのでありましょうか。
 ところで、一昨二十二日の衆議院本会議での代表質問に答えて、総理は、税制調査会への諮問には当然所得税減税先行の問題も含まれているとし、さらに減税先行の場合には、減税だけでなく増税の内容、時期が同一の法律で具体的にセットされることが最低の条件だと述べられました。また藤井大蔵大臣は、減税先行の場合には、財源から見て数年間のタイムラグでなく一年後に増税する必要があることを強調されております。
 総理は、税制調査会の答申いかんによるものの所得税減税の先行を容認される意向と推察いたしますけれども、御所見を伺いたい。また、その場合、セットとなる増税の内容、時期、一年後なのか、大蔵大臣が言うように、あるいはいつなのかについても答弁をいただきたいと思います。
 減税の財源については、消費税しかないわけではありませんけれども、確たる財源は消費税以外に見当たりません。そこで、消費税の税率を引き上げるということになれば、今まで申し上げましたように消費税反対の社会党、公明党等の内部より強い反対の意見が噴き上げまして、連立政権の調整はますます難航、連立基盤が揺るぎかねない事態が憂慮されます。それは全く杞憂にすぎないのでしょうか。
 いずれにせよ、この問題は総理が決断を迫られる時期が必ず参ります。総理及び石田大臣の所見をお伺いいたしたいと思います。
 第二に指摘いたしたいのは、既に何度も議論がありましたが、戦争責任に関し、細川総理の発言と山花大臣の韓国での発言との食い違いについてであります。
 韓国は我が国と一衣帯水であり、最も近い隣国であります。本年二月、金泳三文民新政権が発足、近年の経済発展等はすばらしいものがあり、外交面ではいわゆる北方外交が成功し、国際的地位が向上いたしております。
 まず総理に、我が国としてどのような日韓関係を構築されようとお考えか、これを伺っておきたいのであります。
 さて、本月四日、山花大臣は社会党の現職委員長として初めて訪韓されました。社会党はかねてより北朝鮮重視の朝鮮半島政策をとり、韓国を認めなかっただけに、その党首が訪韓することは南北均等交流の始まりと受けとめますが、このことは社会党が韓国を友好国家として承認することと解してよいのか、山花大臣の所信を説明されたいのであります。
 山花大臣は、従来同党がとってきた北朝鮮に偏った対韓政策を反省されるとともに、韓国国民に耐えがたへ犠牲と苦痛を強いたことを謝罪し、これまでの同党が主張していた国家補償の表現を避けつつも両国国民の納得できる措置を講ずべき旨の発言を行っております。
 これに関し大臣は、社会党委員長として、社会党の立場での発言で、趣旨は前政権の考え方とほぼ同様であるとの答弁が午前中にありました。連立内閣の主要閣僚としてこのような発言の自由な使い分け、あるときは閣僚、あるときは委員長、あるときは個人、これが許されるとすればこれは私は大変なことではないかと思うのであります。
 したがいまして、端的にお尋ねいたします。閣僚としても社会党の前委員長としても、この件で補償の必要はないとお考えですね。
 この際、さらにお伺いいたしたいのは、過去の戦争の認識であります。
 細川総理は、就任直後の記者会見では侵略戦争との見解を発言されました。その後はトーンダウンしまして、さきの特別国会においてはこの言葉は控えた経緯がございます。
 しかるに、山花大臣は韓国での講演において、過去の歴史への反省を示す国会決議は侵略戦争という言葉を用いるべきだ、こういう旨の発言がありますが、これまた総理発言と与党第一党の党首、当時でありますけれども、発言の食い違いをいかに受けとめればよいのか、総理及び山花大臣の答弁を求めます。
 また、山花大臣は金大中氏と再会、拉致事件の真相解明に、しっかりと受けとめて、よりよい方法を見つけたいとの努力を約束されておりますが、どのような方針によりどのような協力をされるのか、御見解を承りたいのであります。
 今後は、海外でこうした不用意な紛らわしい発言を行うことは自他ともに国民に誤解を与えかねないだけに、慎重の上にも慎重に行うべきことをここに強く申し入れておきます。
 第三に指摘したいのは、社会党は今なお自衛隊派遣の国連平和維持活動に反対の態度を貫くかどうかという点であります。
 明後二十六日、カンボジアより自衛隊施設大隊が帰国される予定であります。ここに至るまでの間、厳しい条件のもとで任務を果たされました自衛隊員を初め、多くの関係者の皆様に深甚なる敬意と感謝をささげるものであります。
 私は、カンボジアにおける我が国のPKO協力は、中田さん、高田警視のとうとい犠牲を乗り越えて、新生カンボジアの復興、再建、平和に立派に貢献したものとして世界的に高く評価できると思います。
 それにしても、社会党は一年前、PKO協力法案の審議に当たって、反対のための反対の立場から国会の正常な審議を妨害し、下条特別委員長に暴行、あまつさえこの議場で超牛歩戦術をとって反対した言動を振り返るとき、私は今昔の感ひとしおであります。
 当時、社会党は、PKO活動に自衛隊を派遣することは昭和二十九年の参議院の自衛隊の海外出動の禁止決議に反し、海外派兵に通じ違憲である旨を党見解として発表いたしました。山花大臣は、午前中、今回のカンボジアのPKO活動に参加した自衛隊の活動を評価すると発言されましたが、それでは参議院決議との関係において社会党の見解はどうなるのか、明確に答弁を願いたいのであります。
 また、PKOを文民、民生活動に限定し、自衛隊とは別組織にすべきだというかねてからの主張は引っ込められたのかどうか、あわせて承りたい。
 恐らく、八党派覚書による合意があるからPKOを認めるのだというお話があるかもしれません。私は、八党派覚書があれば公党の過去のすべてが帳消しになったり百八十度の転換が許されるとはなかなか思えない。公党の責任はどうなるのかということを強く指摘しておきます。
 さらに、中西防衛庁長官は記者会見で、PKOの任務規定をきちんと位置づけ、平和維持面に重点を置いて貢献していくべき旨の発言がありますが、私も自衛隊による国際平和業務は、自衛隊法第八章の雑則としての附帯的な規定などではなく、自衛隊法第三条そのものを改正して、自衛隊本来の任務にすべきだと考えます。
 また、大内厚生大臣は、PKO協力法の三年後の見直し規定にこだわらず、国連平和維持軍、PKFの参加の凍結解除を含む見直しを行うべき旨を発言されておりますが、以上について両大臣の見解をお認めになるのか、お認めにならないのか、総理のはっきりした御答弁を承りたいと存じます。
 次に、緊急時における在外邦人の空輸を行う自衛隊法改正案再提出については、総理は一昨日の衆議院本会議において、法案の速やかな成立が必要と考えているが、関係者間の意見調整を進めていると答弁されました。可能な限りの早期再提出を総理は前の国会で約束されたのであります。また、この法案は連立与党が継承した基本政策の一環であります。総理はいつまでに調整をされるおつもりか、調整の十分な御自信があるのか、しかと承りたいのであります。
 以上お尋ねした幾つかの基本政策に対する考え方や関係大臣の発言は、いずれも連立政権として統一されず、多くはばらばらであります。いかに表面上、前政権の基本政策を継承すると国民を安心させても、いざ具体的な問題となるとこのような状況であることを私は国民の皆様に知っていただきたいと思うのであります。
 次に、政治改革法案について何点かお伺いいたします。
 細川政権は、政治改革の実現を最優先の課題として成立し、それのみが連立与党八党派唯一の一致点だとも言われておりますが、ともかく今国会に政治改革四法案を提案されました。総理は前国会で、年内に法案が成立しなければ責任をとると言われた。今回も所信表明で会期内成立への強い決意を述べられておりますが、一部閣僚の中から、不成立の場合は年内解散だ、こういう発言があったと報ぜられていますけれども、総理も同じお考えなのか。
 また、この連立政権はどのような見方をしようが、その成り立ちからして政治改革実現のための暫定政権と考えざるを得ない。政治改革法が成立したならば、区割りなどの準備や周知のため一定の期間は置くとしても、できるだけ速やかに解散し、国民の信を問い直す必要があると考えますが、総理の所信をお伺いいたしたい。
 さらに、その場合、連立与党各党派は、今度は自民党政権の基本政策を継承するなどと言わないで、必要ならばそれをみずからの政策に取り入れまして国民に訴え、選挙後、もし再編成をお考えならばその見取り図も国民に示された上で、わかりやすく国民の判断を仰ぐべきだと考えております。この点につきまして山花大臣と石田大臣の所見を求めます。
 総理は、特別国会の代表質問に答えて、将来は穏健な多党制に収れんするという見通しを述べられました。私は一つの御見識であると思いますが、それならば、今回提案の小選挙区比例代表並立制が穏健な多党制をもたらす制度とお考えなのかどうか。もたらすとすればその理由を、もたらさないとすれば総理の見通しは何だったのか、説明を願いたいのであります。
 というのは、御承知のように小選挙区制は、民意を集約する二大政党を志向し、政権の安定と交代をもたらす選挙制度であり、比例代表制は多様な民意を鏡のように正確に反映する。したがって、多党化、連立志向の選挙制度でありまして、二つの制度は理念、効果において全く相反するものであります。これをフィフティー・フィフティーに組み合わせることは、私は木に竹を接いたような、両論を足して二で割る便宜的な制度と言わざるを得ません。
 総理は、「顔の見える小選挙区制の特性と多様な民意を国政に反映させるという比例代表制の特性とが相まって」と所信表明で述べられましたが、このフィフティー・フィフティーの制度では両方のメリットを生かすよりも、それを相殺する可能性が強いのではないかと思います。そんなによい制度なら、並立制を採用する国が世界にもっとあってもいい。現在、並立制を採用している国はたかだか三つか四つであります。しかも小選挙区と比例代表が完全に同じという国は一つもありません。大体小選挙区が多い。
 既に何度も指摘されているごとく、我が国の今後の政治のあるべき姿を考えますと、小選挙区制を中心とすることを明確にして、比例代表制でそれを補完する制度とする方が私ははるかにベターだと思いますが、自民党案をいかがお考えか。
 また、連立与党の中には、政府案で一切妥協すべきでないというかたくなな、しかし有力な意見が最近出てまいりました。総理は自民党案と調整する御意思をお持ちか、重ねて答弁を求めるものであります。
 次に、政党に対する公的助成についてお尋ねします。
 公的助成については、その必要性は認めるとしても、政府案はその積算根拠があいまいなまま助成総額を決定している点に最大の問題があります。聞くところによると、現行選挙制度における過去三年間の政党活動費などを前提に、その三分の一ということで、人口一人当たり三百三十五円、総額四百十四億円という計算をしております。新しい制度に基づく推計だと総理は述べられたようでありますが、実態はそうではないのであります。現行制度下、金がかかり過ぎていると批判される現状を追認するような総額決定は不合理であり、到底国民の理解は得られないと思います。
 そのため、諸外国に比べて助成総額が大変大きい。為替レートで変動はありますけれども、ドイツでは人口一人当たり百四円であります。フランスでは一人当たり百二円、スウェーデンでは二百四十六円、オーストリアは百二十六円であります。総額もずっと少ない。
 我が国の党によっては、現在調達し支出している政治活動費よりもはるかに大幅な公的助成を労せずして受けることができ、早くも大喜びしているなんとうわさされておりますが、いやしくも国民の税金が、このような形で実態以上に、ある意味では不当に支出されるとすれば、深刻な不況に苦しむ国民の納得が得られるはずがありません。
 新しい制度室前提に、できるだけ切り詰めてモデル計算を行い、必要最小限度の、当初は少ない助成額からスタートし、その運用に国民の理解を得て増額を検討すべきではないでしょうか。
 私は、自民党提案の人口一人当たり二百五十円、総額三百九億円も、当初のスタートする額としてはぎりぎりの額で、できればもう少し少ない方がよいと考えております。政治資金調達における安易な公的依存は、政党及び政治家の活力をそぐことになります。助成総額の引き下げをぜひお願いいたしたい。
 こういう無理が出てくるのも、政治家の資金管理団体に対する企業・団体献金を一律に悪と断定し、それを禁止することから来ております。各国と同じように、企業・団体献金を厳重な制限のもと、透明度を高くして残存することが、公的助成をほどほどに抑えることができ、政治資金調達のあり方としてバランスがとれ、実態に即すると考えますが、この点についても御所見を求めるものであります。
 また、公的助成の公表、監査等については政府案で十分なのか。この助成は会計検査の対象となるのか。さらに、地方議員や地方の首長に対する公的助成はどのように考えられておるのか。無所属の場合はどう扱うのか。
 政府案では、さらに個人献金について、現行の所得控除制度を残した上で税額控除制度を導入して二つの制度を併存する、ある意味では例のないような仕組みをつくろうとしております。しかし、これも形を変えた公的助成の拡大であります。
 本来、権力から自由でなければならず、権力に対抗して自主自立していくべき政党のあり方から見て、この点大きな問題が残りますし、企業・団体献金のほぼ全面的な禁止が個人献金の形で企業、団体が実質的に負担するというふうな、いわば脱法的な方式を生まないのか心配でありますが、以上の諸点について、簡潔なあるいは明快な御答弁を求めます。
 次は参議院の選挙制度であります。
 我が国が二院制であり、二院制が健全に機能する必要がある以上、本来は衆参の選挙制度はワンパッケージで検討され、整合性を持っ改革が同時に行われることが望ましいのであります。議員立法でなくて政府提案であるだけに、その辺の配慮は私は不可欠であると思うのでありますが、今回の政府提案には遺憾ながら参議院の選挙制度改革は入っておりません。
 現在、我が党は選挙制度検討委員会をつくり、本格的検討を進めつつありますが、政府・与党としてはこの参議院の選挙制度改革についてどのように取り組み、いつまでを目途におまとめになるおつもりか、お伺いしたい。また、総理は何度も参議院の選挙制度については抽象論のお答えがありました。抽象論ではなく、具体的にどのような制度をお考えなのか、重ねて所見を求めるものであります。
 次に、政治改革の一環として国会改革についてお伺いします。
 せんだって日本新党と新党さきがけは、予算委員会審議における全閣僚の出席の義務づけ、委員会の定例日制度、重要法案の趣旨説明要求、いわゆるつるしでありますが、これら国会慣行の見直し、本会議の押しボタン式投票方法の導入など、国会改革に本格的に取り組むことで合意し、必要ならば国会法改正法案をこの国会に両党で出すと報道されております。我が党でも国会改革としてかねて主張した項目が少なくありませんので協力するにやぶさかでありませんが、その内容はどういうものか、連立与党の他の党派はどういうお考えなのか、二党だけというのは大変奇異な感じを持つのであります。
 また、さきの国会で我が党の斎藤議員会長が指摘した政府委員制度については、今国会で若干委員数は減らしたようでありますが、運用上も政府委員の答弁を減らすのか、次の通常国会ではどうされるのか、全廃されることになるのか、以上、官房長官の答弁を求めます。
 次に、地方分権の推進についてお尋ねいたします。
 地方分権の必要性は今さら申すまでもありませんが、御承知のように、さきの百二十六国会で衆参両院において、憲政史上初めて地方分権の推進に関する決意が全会一致で採択されたことは画期的であり、国会みずからが地方分権の推進の先頭に立つことを宣明した意義は重く大きいものがあると受けとめております。しかし、具体的な地方分権の推進は、ひたすらお題目を唱え、単なるムード論や理念先行の観念論を繰り返しても何の役にも立ちません。
 我が党は八月三十日、「地方分権の推進について」という党の基本的考え方をまとめ、地方分権推進のための具体的な提言をいたしましたが、総理は知事を経験された地方分権論者であり、行革審におけるパイロット自治体制度の生みの親と聞いておりますけれども、今回の所信表明では地方分権については具体的には何ら触れられておりません。その点大変に残念でありますけれども、地方分権推進について、この際、総理と関係大臣の御所見を伺いたい。
 社会党、民社党、日本新党等は、さきの総選挙の際、それぞれ地方分権の推進に関する基本的な法律の制定を公約ないしは政策として掲げ、民間では経団連、民間臨調が法制定を主張、全国知事会もおくれて基本法制定を決議したと承知しておりますけれども、その後連立与党で具体的な法律制定の検討作業に入られたとは全く聞いていない。選挙用の一過性の議論ではないのかと疑う向きも出てきております。
 私は、地方分権の推進については、基本法的なものが不可欠ではなく、むしろ具体的な項目を一歩一歩改革していく方がはるかに実効性があると思ってまいりましたが、しかし基本法の中身によっては地方分権に十分なインパクトを持ち得ると考えます。
 総理は、今後、リーダーシップを発揮され、各党各案を速やかに調整して実効あるものに仕上げ、抵抗があればそれを排しづつ、今後の基本法制定についての方針を明らかにすべきだと考えますが、総理の所見をお伺いいたしたい。
 私は、実質的に地方分権を推進するに当たって直ちに措置されなければならない重要な課題が二つあると考えております。一つは国からの地方への権限移譲であり、他の一つは国庫補助金等の整理合理化であります。
 前者については、一括改正法等によりそれなりに措置されてきたところでありますが、まだまだ不十分であります。特に、第二十一次地方制度調査会の答申で緊急に実現を要する項目として提言され、しかも地方側から地域づくりを進める上で要望が特別に強い農地転用、これは二ヘクタール以上は大臣であります、保安林の指定、解除、重要な三つの要件に関するものが大臣であります、に関する権限を知事へ移譲すること。また、都市計画を市町村の事務とし、あわせて都市計画に関する国の関与を廃止すること、規模の大きい市においては知事が計画決定し、大臣認可であります、については地方分権の推進を標榜される細川内閣として速やかに提言に沿った措置を講ずべきではないかと考えますが、総理の明確な答弁をお願いいたしたい。
 後者については、今まで各方面から補助金の弊害、補助金の陳情や事務に係る労力や時間や経費のむだ、地方の自主自立性の阻害などが指摘されてきましたが、一向に減りません。最近はサンセットと言って時限的な補助金が少なくありませんけれども、廃止されてもすぐ類似の補助金ができるわけであります。これでは意味がない。奨励補助金や零細補助金の廃止等、国庫補助金の整理合理化を行い、それを地方の一般財源に振りかえることにつき、政府として確たる方針を策定して計画的に推進すべきだと考えますが、総理の見解を承りたいと思います。
 地方分権推進のためには、何よりも地方自治に対する国民の信頼が不可欠であります。最近のように地方公共団体のトップがゼネコン汚職など次々と不祥事を起こすような状況にあって、単純な地方自治賛美や地方公共団体性善説を主張するだけでは、地方分権が進めば、国会、国民、マスコミ等の監視の目が届かないところで政治腐敗が進行し、いわば腐敗の地方分散になるという危惧の声に何らこたえることになりません。このような不祥事件の再発の防止策が早急に、かつ具体的にとられるべきであることを強く申し上げたいと存じます。
 特に問題とされている公共工事の指名競争入札については、指名権の乱用防止、透明性の高い公正なシステムとすること、先ほどお話ありました制限つき一般競争入札制度の導入や随意契約の活用等が早急に検討されなければならないと考えます。
 建設省においては、先日、制限つき一般競争入札の試行を行うことを発表しましたが、地方公共団体においても制限つき一般競争入札を積極的に採用するなど現状の思い切った改善、是正について強く指導すべきだと考えますが、自治大臣の所見をお伺いいたしたい。
 また、今回の不祥事件の原因の一つとして、汚職は個人の倫理観の問題だとしながらも、強力な権限を持つ首長が多選されることによってもたらされた面があるのではないかと言われております。首長、とりわけ知事の多選禁止問題は古くて新しい問題であり、かつて昭和二十九年に三選禁止法案が、昭和四十二年に四選禁止法案が議員立法として国会に提案されましたが、いずれも審議未了で廃案となっております。
 多選禁止は、賛否両論のある難しい問題でありますけれども、来月の行革審答申でも取り上げられるようでありますし、みずから権不十年と言われて熊本県知事三選を潔く辞退された総理として、知事の多選禁止問題につきどのようなお考えをお持ちか、率直な御見解をお聞かせいただきたいと存じます。
 また、官房長官も滋賀県知事を御経験でございます。あわせて御所見をお願いいたしたい。
 以上、何項目かについて質問いたしました。時間の関係上、また代表質問の性格上、総論的な質問にとどまりましたが、各論につきましては引き続き責任野党として予算委員会等で堂々の議論をさせていただくことを申し上げまして、私の代表質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔国務大臣細川護煕君登壇、拍手〕
#31
○国務大臣(細川護煕君) 初めに、政権の意思統一についてのお尋ねでございましたが、この政権の樹立に際しまして、外交、防衛、経済、エネルギー政策などの基本重要政策について、原則として今までの国の政策を継承することを確認をいたしております。
 時代は、多様な価値観の存在を認めつつも、当面する国政上の課題について、一つずつ、現実的かつ具体的な成果を打ち出していくことを求めているわけでありまして、それが国民の御負託にこたえていく道であると思っております。
 連立政権ができたということ自体が、いわゆる政・官・業の癒着体制とかあるいは族議員政治を打破することに大きな意味があったというふうに思っておりますし、閣議あるいは政府与党首脳会議、また与党代表者会議、政策幹事会などの協議の場を通じまして、待ったなしの課題に機動的に対処してきているところでございます。
 権力の二重構造であるとか密室政治であるとかいう批判は全然見当違いのものであると認識をいたしております。
 税調の答申いかんによるものの、その場合セットとなる増税の内容、時期についてどうか、こういうお尋ねでございましたが、いわゆる減税先行論につきましては、仮に減税と将来の増税が同一の法律でセットされる場合におきましても、先行減税期間中に発行した短期国債を償還するための財源というものは確保されませんわけで、結局この短期国債は普通の赤字国債と何ら変わらないものとして残ってしまうという問題があるわけでございます。軽々にとることはできないと考えております。
 所得税の減税と消費税率の引き上げについてもお尋ねがございましたが、これも繰り返し申し上げておりますように、その経済効果の問題や財源確保の問題など極めて課題が多い、なかなか容易なことではないと申し上げてまいりました。
 所得税減税の問題については、バランスのとれた税体系の構築についての総合的な検討の中で検討してまいる課題である、そういうことを申し上げてきたところでございます。
 消費税の税率の問題は、国民各層の御意見や御議論に十分耳を傾けながら、今後の財政需要の動向を踏まえてバランスのとれた税体系の構築についての総合的な検討の中で議論するべき課題だと考えております。
 いずれにしても、所得税減税を含めて直間比率の是正など税制の抜本的改革につきましては税制調査会に総合的な検討をお願いしているところでございますし、政府としては税調での検討の成果を尊重して、国民の各位の御意見に十分耳を傾けながら税制改革に取り組んでまいりたいと思っております。
 日韓関係についてのお尋ねでございましたが、日韓両国は自由、民主主義、市場経済という基本的な価値を共有する隣国でありますし、日韓関係の発展は両国の利益であるだけでなく、アジア・太平洋地域における平和と繁栄にとっても極めて重要な関係であると認識をいたしております。
 そういう認識に立ちまして、政府としては今後とも広い視野に立った未来志向的な日韓関係構築のために最大限の努力を傾けてまいりたいと思っております。
 国会決議に関する山花大臣の発言と総理発言との違いについてのお尋ねでございましたが、私が侵略戦争、侵略行為という表現を用いましたのは、過去の我が国の行為が多くの人々に耐えがたい苦しみと悲しみをもたらしたとの同一の認識を率直に述べたものでございまして、改めて深い反省とおわびの気持ちを表明したものでございます。
 今回の山花大臣の訪韓は、社会党の委員長として訪韓されたものでありまして、その発言もおのずからそのような立場からの御発言であると考えておりますが、いずれにせよ、山花大臣の発言もこのような私の考え方と同じ考え方に立っているものと理解しているところでございます。
 自衛隊による国際平和業務についてのお尋ねでございますが、自衛隊法第三条を改正し、PKO業務を自衛隊の本来任務とすることは自衛隊の存立目的を変えることになるものでありまして、PKO業務の実績などを踏まえて、国民的な議論を経た上で行うべきであろうと考えているところでございます。
 PKFの参加の凍結解除についてのお尋ねでございますが、PKF本体業務の凍結解除につきましては、協力法のもとで実際の協力が開始されてようやく一年を迎えたところでございますし、実績を積み重ねていくことがまず重要であると考えているところでございます。
 自衛隊法改正案の再提出に関する関係者間の調整についてのお尋ねでございますが、政府としては、前国会でも申し上げましたとおり、法案の速やかな成立が必要と考えておりまして、そのための関係者間の意見調整を目下進めているところでございますが、できるだけ早く調整をいたしたいと思っております。
 政治改革法案が不成立の場合どうかというお尋ねでございますが、政治改革関連四法案を御提案させていただいたばかりでございまして、成立に向けて全力投球することのみを考えております。成立しなかった場合のことは念頭にございません。
 法案成立後は速やかに解散して信を問うべきではないかということでございますが、この内閣が政治改革政権として、政治改革を断行することを内閣の最初の、最優先の課題とすることについては先国会の所信でも申し上げたとおりでございます。
 しかし、そもそも解散は、そのときどきにおいて内閣が解決を迫られている政治課題の重要性、緊急性、あるいは民意の所在、その他さまざまな政治事情を総合的に考慮して行うべきすぐれて政治的な行為でございますし、お答えは差し控えさせていただくのが適当と考えております。
 穏健な多党制の問題についてのお尋ねがございましたが、政党制がどのようになるかということは選挙制度によって当然に導かれるものではないと思っております。広い意味での国民の選択によるものと考えておりますが、定数二百五十人の比例代表制を並立している以上、見通しとしては直ちに二大政党制や極端な多党制になるということはなかろう、穏健な多党制に収れんしていくのではないかと考えているということを申し上げたところでございます。
 自民党案についてどう考えるか、自民党と調整する意思ありやなしや、こういうことでございましたが、今回の改正案は、小選挙区制と比例代表制を同じウエートで並立をさせて、それぞれの特性を相互補完的に生かしていこうとする考え方に立つもので、政策本位、政党本位の選挙を実現するために適当であると考えて提案をいたしたところでございます。
 なお、自民党案につきましては、法案が国会に提出されておりませんし、詳細を承知していない段階でコメントすることは差し控えたいと思いますが、いずれにしても、審議に当たって与野党の合意形成に努めていくことは当然のことだと思っております。
 公的助成額についてのお尋ねでございますが、このたびの政党に対する公費助成は、民主主義のコストと言うべき政党の政治活動の経費を国民全体で負担していただこうとするものでございます。
 なお、政党助成の総額の算定に当たりましては、政党、政治資金団体以外の者に対する企業などの団体献金を禁止することとした収入構造の変更も織り込んだ新しい制度のもとにおける政党の所要額を推計し、その三分の一を助成することとしたものでありまして、国民各位の御理解をいただきたいと思っているところでございます。
 企業・団体献金についてでございますが、企業などの団体献金のあり方についてさまざまな御意見があることは承知しておりますが、近年続発する政治腐敗事件の多くが企業などの団体献金に起因することにかんがみまして、このたびの法案では、これまで特に問題を生ずることの多かった政治家個人や政党、政治資金団体以外の政治団体に対するものにつきまして禁止することとしたところでございます。
 会計検査の対象に公的助成がなるかというお話でございましたが、政党交付金は国が交付している補助金などに含まれますことから、会計検査院法によって会計検査の選択的な検査事項の対象になるわけで、現在各議院における各会派に対して交付されております立法事務費と同様の位置づけになるものと考えているところでございます。
 地方議員などへの公的助成についてのお尋ねもございましたが、今回提案の政党助成法に基づく政党交付金とは別に、地方議員などへの公費による政治活動助成を行うことにつきましては、その前提となる地方の選挙制度のあり方、政党とのかかわり方、政治活動の実態などさまざまな観点からの慎重な検討が必要であると考えているところでございます。
 政党法につきましてのお尋ねでございますが、今回の制度改革におきましては、政党に関する必要な事項は公職選挙法など個別法においてそれぞれ定めることにしておりまして、政党に関する一般法としての政党法の制定につきましては、政党の本来的な性格、政治活動の自由という観点から慎重な対応を要するものと考えているところでございます。
 税額控除制度の導入と公的助成についてでございますが、今回政治改革の一環として、政党、政治資金団体に対する個人献金について税額控除を導入することといたしましたのは、制度改革に伴って選挙や政治活動の中心となる政党への個人献金の慣行の定着化を促進し、その財政基盤の確立強化に資するようにするためでございます。議席数や得票率を基準に一律に交付される政党助成とは趣を異にしたものでございますし、国民の政治参加を促進する上で意味があると考えているところでございます。
 個人献金への企業、団体の関与についてのお尋ねもございましたが、このたびの改正法案におきましては、政治資金の透明性を高めるとともに、法に違反した場合には公民権の停止など厳しい制裁を科すごとにしているわけでございますし、政治資金規制の実効性は十分確保できるものと考えているところでございます。
 参議院の選挙制度についてもお尋ねがございましたが、第八次選挙制度審議会の答申におきましては、参議院議員の選挙制度の望ましいあり方として候補者推薦制をとることなどを含めてさまざまな考え方についての見解が示されるとともに、望ましい選挙制度の具体案については詰めが必要とされる点があるので、現行制度について指摘されている問題点を解決するという見地から、拘束名簿式比例代表選挙については個人名投票の導入をも行うべきであるということ、あるいはまた選挙区選挙については選挙区別定数の再配分を行うべきこと、そういった具体案が示されていたものと承知をしておりますが、より抜本的な改革が必要という議論もございますし、今後各党各会派間で十分御論議を賜って、できるだけ早い時期に合意点を見出していただきたいと考えているところでございます。
 地方分権推進に関する基本法の制定についてのお尋ねでございますが、いわゆる地方分権推進のための基本法の制定につきましては、与党各派、各方面から提言があることは承知をいたしております。国会における決議もございますし、今後政府のみならず国会などにおきましても十分に御論議が必要と認識をいたしているところでございます。
 国から地方への権限移譲について何点がお尋ねがございましたが、まず農地転用につきましては、原則的には都道府県知事権限であって、大臣権限となる二ヘクタールを超えるものの件数は転用件数全体の〇・一%にすぎないことは御承知のとおりでございます。また、多極分散法などの地域整備法に基づく農地転用につきましては、平成三年に面積にかかわらず知事に権限を移譲したところでございます。二ヘクタールを超える大規模な農地転用は、優良農地の確保、国の公共投資との調整、環境保全等の観点から国が責任を持って判断することが適当だと考えております。
 保安林の指定についてもお尋ねがございましたが、保安林の指定や解除につきましては、その権限を都道府県に移管することが適当であると考えられるものは既に移管をしているところでございます。保安林のうち水源の涵養、国土の保全などの国民の生活上重要な役割を広い範囲にわたって担っているものにつきましては、現段階では国の権限とすることが適当であると考えております。
 都市計画の市町村への事務化などについてのお尋ねもございましたが、都市計画の決定につきましては市町村が中心的な役割を担っておりますが、この市町村の役割はこの六月に施行された改正都市計画法による市町村マスタープラン制度の創設、あるいは用途地域の決定権限の大幅な移譲の措置などによりましてさらに増大をしているところでございまして、当面、市町村の執行体制の充実などによって改正法の的確な推進を図ることが重要だと考えております。
 国の関与のあり方、あるいは市町村への一層の権限移譲については、今後とも改正都市計画法の定着状況や地方制度に関するさまざまな議論も踏まえて引き続き検討してまいりたいと思っております。
 補助金等の整理合理化を進めるべきではないか、こういうことでございますが、補助金などにつきましては、従来から臨調・行革審の答申などに沿って、地方公共団体の自主性にゆだねるべきものについては逐次一般財源化を進めますとともに、零細補助金の廃止、統合・メニュー化など、補助金などの整理合理化に努めてきたところでございます。地方行政の自主性の尊重などの方針のもとに、引き続き補助金などの整理合理化を推進してまいりたいと思っております。
 最後に、知事の多選禁止問題についてのお尋ねでございましたが、知事の多選禁止につきましては望ましいこととは考えておりますが、一方、多選の良否は元来選挙民の意思によって決定されるべきという御意見もございますし、憲法上の制約も指摘をされておりますので、今後いろいろな観点から検討すべきものと考えております。
 残余の問題につきましては、関係大臣からお答えをいたします。(拍手)
   〔国務大臣石田幸四郎君登壇、拍手〕
#32
○国務大臣(石田幸四郎君) 片山議員の御質問にお答えを申し上げます。
 私に対する御質問は、所得税減税議論への問題と、また基本政策の継承問題という二つの問題であったと存じます。
 所得税減税に公明党も強い意欲を持っていること、また各政党、各議員の間にもさまざまな議論があることは御指摘のとおりでございます。また、その財源問題をめぐりましては、赤字国債への依存は困難だと総理も極めて慎重な姿勢を示しておられるわけでございます。また、一方で税制全般の見直しを税調に諮問していることも御案内のとおりでございます。
 景気対策としての所得税減税の必要性と財源の難しさはセットになっておりまして、困難であるだけに多様な議論になっているわけでございます。この問題の決定以前の段階において多様な議論はある程度やむを得ないのではないかと思います。ただ、このさまざまな意見を集約しなければならないわけでございまして、その意見の集約の時期、手法については、総理も述べられておりますように、税調の諮問結果を得て、政府・与党間でさらに議論を行い、対応をすべきものと考えておるところでございます。
 基本政策の継承問題についてお答えをいたしたいと存じます。
 次の選挙を想定し、連立各派の基本政策はどうするのか、連立政権樹立に当たって自民党政権の基本政策を継承すると言ったが、これとの関連はどうするかとの御質問であろうかと存じます。
 自民党政権の基本的政策を継承するという問題は、政権交代に伴う政治の混乱を避けるために新政権の当然の責務でございます。先進諸国の政権交代でもこのような措置がとられているのは、議員御承知のとおりであります。仮に次の選挙を想定した場合、連立をそのまま継続するとすれば、連立を組むための政策を国民に示すのは当然の責任と考えます。しかし、その際示すべき基本政策は、単に自民党政権の基本政策を継承するのではなく、新しい政権の新しい政策になるべきだと私は考えております。
 また、選挙後再編成するとすれば、選挙時においてこれを国民に明示すべきなどのお話もございましたが、今後の再編問題がどのように発展をしていくのか、選挙後であるのか選挙前であるのか、今にわかに判断しかねる問題であると存じます。しかし、国民に対してわかりやすいやり方でなければならないとの御指摘は十分尊重しなければならない御意見だと思います。
 以上でございます。(拍手)
   〔国務大臣山花貞夫君登壇、拍手〕
#33
○国務大臣(山花貞夫君) 答弁に先立って一言申し上げます。
 片山議員は、なぜか一度ならずも私が日本社会党の委員長でないとして御質問されておりましたが、なお日本社会党の委員長でございます。そうした責任ある立場でお答えをさせていただきたいと思います。
 六つの質問をいただきましたが、まず社会党の韓国に対する関係。
 平和憲法を持つ日本は全方位外交に基づいてすべての国家との友好を進め、もって自国の安全保障を確保することを基本にしていると考えます。日本が最も近い隣国である韓国と友好関係を強化していることは当然であります。また我が党は、我が国と大韓民国とが自由と民主主義という基本的価値を共有しており、その意味においても一層関係強化を図るべきものと考えております。
 両国国民の納得できる措置ということについて御質問をいただきました。日本が過去の戦争行為に対して心からの謝罪を行い、あわせて犠牲者に対して両国国民が納得できる措置を講ずることは、日本がアジアの一員として将来にわたって積極的な役割を果たす上で不可欠なことであると考えます。
 両国国民の納得できる措置というのは、賠償問題は解決済みとした日韓基本条約の取り決め、日韓請求権・経済協力協定の内容等を踏まえつつ、犠牲者の苦痛に心を寄せながら、人道的な立場から日本としての道義を示すため、国民レベルで納得し理解できる措置を検討していくべきである、こうした気持ちを込めたものでございます。
 なお、従軍慰安婦の問題につきましては、八月四日、官房長官談話の精神を受け継ぎながら、さきの武村官房長官の内閣委員会での答弁も踏まえて検討さるべきものであると考えております。
 次に、国会決議に関連してですけれども、私はまず、さきの太平洋戦争において数百万人もの日本の国民が戦火の犠牲になったことに対して衷心より哀悼の意を表するものであります。同時に、アジアと連合国の軍人軍属、市民、女性、子供たちが日本の軍国主義の犠牲になった事実に誠実に向かい合おうとすれば、過去の戦争が侵略戦争であったことは否定することのできない歴史的な事実であると考えるものであります。
 国会決議にどのような表現を盛り込むかにつきましては、超党派の合意を得るために十分な議論の上で国会でお決めいただくべき問題であると考えているところでございます。
 金大中氏らの拉致事件の真相解明に関する努力についての御質問をいただきました。
 今回、私がお会いした際、金大中氏は、自分は犯人たちを十年前に全部許したとされながら、ただ一つの私の希望は真相を明らかにしてほしいということだ、これがあれほど高い関心を持ってくれた日本人、韓国人、そして世界の人々に対する我々の責任であるし、人は許しても真相は明らかにしなければ歴史において正しい責任を果たすことはできない、こう述べられました。これに対し、社会党委員長としての私は、よりよい方法を見つけたいと発言をいたしました。その方法とは、今後、韓国民主党調査委員会あるいは我が国国会議員団による調査委員会の人たちとの話し合いを持つ、話し合いを行うなどについて社会党としても積極的に対応していくことなどが考えられると思った次第でございます。
 PKOのについてお答えをいたします。
 カンボジアPKOについては、極めて厳しい環境にもかかわらず、自衛隊員や選挙監視要員など、自衛隊員及び文民の方々が任務を全うされたことに対して心からねぎらいの言葉を送りたいと思います。
 社会党としては、PKO目的とはいえ自衛隊を海外に派遣することは好ましいことではないと考えます。しかし、連立政権としては、与党間の合意を踏まえ、国際平和協力法の的確な運用を図ってまいるべきものと考えております。非軍事、文民、民生の原則に基づいて、自衛隊とは別組織をつくるという社会党の見解については変更はございません。
 他方、このたびの連立政権におきましては、PKOを含めてこれまでの外交防衛政策を継承しつつ、世界平和と軍縮に努力することになっております。したがって、この立場に立って、国際平和協力法に定められたPKO参加五原則を厳守しつつ、国民合意を図りながら個別のPKO派遣問題については対応していく所存でございます。
 最後に、自民党政権の基本政策の承継と解散、総選挙に関連して御質問をいただきましたが、連立政権樹立の前提をなす連立与党間の合意におきましては、国民の負託にこたえ、政治倫理を重んじ、自由民主党政権のもとではなし得なかった抜本的な政治改革を実現する連立政権の樹立を決意したことを根幹とし、御指摘の承継の問題については、連立政権は我が国憲法の理念を尊重し、外交及び防衛等国の基本施策についてこれまでの政策を継承しつつ、世界の平和と軍縮のために責任及び役割を担い、国際社会に信頼される国づくりを行おうとしていることは御承知のとおりでございます。
 したがって、将来、自民党政権の政策を取り入れて選挙に臨むか否かという問題については、その時点における各党それぞれの御判断によるところであると考えます。
 私といたしましては、何よりも連立政権に対する国民の期待にこたえ、総理の所信にもありましたとおり、内外の課題に着実かつ的確に対応していくことが内閣の使命であり、私の担当する政治改革の実現に最大限の努力を尽くしてまいりたいと考えております。(拍手)
   〔国務大臣武村正義君登壇、拍手〕
#34
○国務大臣(武村正義君) まず、国会改革についてお尋ねをいただきましたが、連立与党各党の間におきましても、御指摘のような押しボタン式投票方法の導入などを含めて、新しい国会運営のあり方について検討を進めていただいているところでございます。その中で、日本新党、新党さきがけも意欲的に提案をしていこうという姿勢だと認識をいたしております。連立与党の中の議論に提案をして参加していこうという考えだろうと思っております。
 この問題は、連立与党だけでなしに与党野党を超えて、まさに国会のあり方でございますから、幅広く国民の期待にこたえられる、わかりやすい能率的な国会のあり方を目標に、どうぞ御議論を賜りたいと存じます。
 政府委員の問題につきましても、私どもはこれを縮小、廃止の方向で改革していきたいという考えを持っておりますが、単純に今の国会の実態、運営の実態のままでほんと廃止をせよといっても、これは無理であります。当然その前提になる条件を改革しなければなりません。今のような単なる質疑だけの国会方式でなしに、やはり討論方式を考えることも必要であります。
 先ほど、通常国会を思い起こしますと、衆議院で政治改革の議論がございましたが、あのときは議員提案でもありましたが、双方、私も答弁側におりましたけれども、答弁者が質問者に批判も加えられる、あるいは質問もできると、こういうイコールフッティングで議論が行われておりました等々、国会の審議のあり方そのものを真剣に改革しながら、その中で政府委員に頼らないで、国会は国会議員みずからが、我々が中心になって、主役になって議論をしていくんだという新しい方向に頑張っていきたいと思うのであります。
 もう一点、首長の多選の問題につきましては細川総理からお答えがございました。私も同じ考えてあります。首長の多選はできるだけやはり避けた方がいいという考えを持ってまいりました。多選の首長の中にも大変クリーンで立派な人もたくさんおられますが、どうしても多選になると一定の秩序ができ上がってしまう、あるいは利害が固定化する、そういう中で腐敗が起こりがちであるということであります。たとえ腐敗が起こらなくても人事や政策がやはり偏ってくる、あるいはマンネリ化するという傾向もあるわけでございますから、そういう意味で首長の多選問題は太いにこれを改める方向で議論が起こっていいのではないか、私個人としてはそう思っております。(拍手)
   〔国務大臣佐藤観樹君登壇、拍手〕
#35
○国務大臣(佐藤観樹君) 片山議員御指摘のように、最近の一連の公共工事の発注をめぐります知事、市長等の不祥事件は非常に遺憾でありまして、地方分権の推進を図る立場からいたしまして、御指摘のように、まことに憂慮すべきものであると私も考えております。
 このような不祥事件は、基本的には知事、市長等の公務員としての自覚の欠如で、あるいは厳正な執行をすれば本来根絶すべきものでありますけれども、地方自治体に対しましてもなお一層綱紀の粛正を図るように既に適切な改善策を講ずるよう通知を出しておるところでございます。今後ともさまざまな機会を通じまして指導してまいりたいと考えております。
 また、入札制度の運用の改善を図ることによりまして不祥事件が起こる可能性をできるだけ少なくするという工夫をすることは、御指摘のように、当然のことであると私も考えております。制限つきの一般競争入札につきましては、さきに申し上げました通知におきましてもその活用について検討を行うよう求めてきたところであり、各地方公共団体においてもその実施を検討されているということを承知しております。
 自治省といたしましては、制限つき一般競争入札が活用できる工事の具体的な内容、指名競争入札にするにいたしましても、指名基準の公表、入札の経過及び結果の公表等、その透明性を高めるための方策など入札・契約手続の改善及びその運用の適正化について現在行っております建設省との協議の結果も踏まえまして、地方公共団体を今後とも積極的に指導してまいりたいと存じます。
 以上でございます。(拍手)
#36
○議長(原文兵衛君) これにて質疑は終了いたしました。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後五時十分散会
ソース: 国立国会図書館
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