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1993/11/26 第128回国会 参議院 参議院会議録情報 第128回国会 本会議 第7号
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1993/11/26 第128回国会 参議院

参議院会議録情報 第128回国会 本会議 第7号

#1
第128回国会 本会議 第7号
平成五年十一月二十六日(金曜日)
   午前十時一分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○議事日程 第七号
  平成五年十一月二十六日
   午前十時開議
 第一 心身障害者対策基本法の一部を改正する
  法律案(衆議院提出)
    ━━━━━━━━━━━━━
○本日の会議に付した案件
 一、元議員野坂参三君逝去につき哀悼の件
 一、公職選挙法の一部を改正する法律案(閣法
  第一号)、衆議院議員選挙区画定審議会設置
  法案、政治資金規正法の一部を改正する法律
  案(閣法第三号)、政党助成法案、公職選挙
  法の一部を改正する法律案(参第三号)、政
  治資金規正法の一部を改正する法律案(参第
  四号)及び法人税法の一部を改正する法律案
  (趣旨説明)
 以下 議事日程のとおり
     ─────・─────
#3
○議長(原文兵衛君) これより会議を開きます。
 さきに院議をもって永年在職議員として表彰されました元議員野坂参三君は、去る十四日逝去されました。まことに痛惜哀悼の至りにたえません。
 つきましては、この際、院議をもって同君に対し弔詞をささげることといたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○議長(原文兵衛君) 御異議ないと認めます。
 同君に対する弔詞を朗読いたします。
   〔総員起立〕
 参議院はわが国民主政治発展のため力を尽くされ特に院議をもって永年の功労を表彰せられました元議員野坂参三君の長逝に対しつつしんで哀悼の意を表しうやうやしく弔詞をささげます
     ─────・─────
#5
○議長(原文兵衛君) この際、日程に追加して、
 公職選挙法の一部を改正する法律案(閣法第一号)、衆議院議員選挙区画定審議会設置法案、政治資金規正法の一部き改正する法律案(閣法第三号)、政党助成法案、公職選挙法の一部を改正する法律案(参第三号)、政治資金規正法の一部を改正する法律案(参第四号)及び法人税法の一部き改正する法律案について、提出者から順次趣旨説明を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#6
○議長(原文兵衛君) 御異議ないと認めます。佐藤自治大臣。
   〔国務大臣佐藤観樹君登壇、拍手〕
#7
○国務大臣(佐藤観樹君) 公職選挙法の一部を改正する法律案、衆議院議員選挙区画定審議会設置法案、政治資金規正法の一部を改正する法律案及び政党助成法案、以上四件につきまして、趣旨とその内容の概略を御説明申し上げます。
 初めに、公職選挙法の一部を改正する法律案につきまして御説明申し上げます。
 この法律案は、政策本位及び政党本位の選挙の実現を図るため、衆議院議員の選挙について、小選挙区比例代表並立制を採用し、総定数を五百人とするとともに、候補者を届け出ることができる政党の要件や政党が行う選挙運動等に関する規定を整備し、あわせて、腐敗防止のために連座制の強化その他所要の改正を行おうとするものであります。
 以上がこの法律案の趣旨であります。
 次に、この法律案の内容の概略につきまして御説明申し上げます。
 まず第一に、衆議院議員の選挙制度に関する事項であります。
 その一は、選挙制度の基本的仕組みとして小選挙区比例代表並立制を採用することといたしております。
 その二は、衆議院議員の定数についてであります。総定数は五百人とすることとし、原案では、そのうち、二百五十人を小選挙区選出議員、二百五十人を比例代表選出議員とすることといたしたのでありますが、衆議院において、二百七十四人を小選挙区選出議員、二百二十六人を比例代表選出議員とする旨の修正が行われたところであります。
 その三は、選挙区等についてであります。小選挙区選出議員は、定数一人の各選挙区において選挙することとし、その選挙区は別に法律で定めることといたしております。比例代表選出議員は全国を通じて選挙することといたしております。
 その四は、投票についてであります。投票は記号式投票の方法により行うことといたしております。
 その五は、立候補についてであります。小選挙区選出議員の選挙における候補者の届け出については、所属国会議員五人以上を有することまたは直近における衆議院議員の総選挙もしくは参議院議員の通常選挙の得票率が百分の三以上であることのいずれかに該当する政党その他の政治団体が行うことができるほか、本人届け出または推薦届け出もできることといたしております。
 比例代表選出議員の選挙における候補者名簿の。届け出については、小選挙区選出議員の選挙において候補者の届け出ができる政党その他の政治団体及び名簿登載者を三十人以上有する政党その他の政治団体が行うことができることといたしております。
 なお、小選挙区選出議員の選挙において候補者の届け出ができる政党その他の政治団体は、その届け出に係る候補者を名簿登載者とすることができる、いわゆる重複立候補を認めることといたしております。
 その六は、当選人についてであります。小選挙区選出議員の選挙については、有効投票の最多数を得た者をもって当選人とすることといたしております。ただし、有効投票の総数の六分の一以上の得票がなければならないとするものであります。また、比例代表選出議員の選挙については、有効投票の総数の百分の三以上の得票があった名簿届け国政党等に限り、ドント式によりその当選人の数を定め、重複立候補者で小選挙区選出議員の選挙の当選人とされたものを除き、名簿の順位に従い当選人とすることといたしております。
 その七は、選挙運動についてであります。小選挙区選出議員の選挙においては、候補者個人のほかに、候補者届け出政党についても、原則として候補者を届け出た都道府県ごとに当該都道府県における届け出候補者の数に応じて、一定の選挙運動を認めることといたしております。
 また、比例代表選出議員の選挙においては、名簿届け出政党等に、原則として名簿登載者の数に応じて、一定の選挙連動を認めることといたしております。
 その八は、候補者の選定権限の行使に関し、請託を受けて、財産上の利益を収受した者等について罰則を設けることその他罰則に関し所要の規定を整備することといたしております。
 第二に、戸別訪問の自由化に関する事項であります。
 午前八時から午後八時までの間に限り、選挙に関し、戸別訪問をすることができることといたしております。
 第三に、あいさつ状の禁止の強化に関する事項についてであります。
 候補者及び立候補予定者は、当該選挙区内にある者に対し、答礼のための自筆によるものを除き、慶弔、激励、感謝その他これらに類するもののための電報等を含むあいさつ状を出してはならないことといたしております。
 第四に、連座制の強化に関する事項であります。
 立候補予定者の親族並びに候補者及び立候補予定者の秘書を新たに連座制の対象とするとともに、親族、秘書が禁錮以上の刑に処せられたときは、執行猶予の言い渡しを受けた場合でも、連座制の適用があることといたしております。
 また、連座制の効果について、当選無効に加えて、連座裁判の確定等のときから五年間、立候補制限を課することといたしております。
 このほか、罰金額を二・五倍以上に引き上げるなど所要の改正を行うことといたしております。
 なお、衆議院における修正により、衆議院議員の定数に関する事項のほかにも、衆議院議員の選挙運動の期間を現行の十四日から十二日に短縮することとしたほか、公職にある間に収賄罪を犯し実刑に処せられた者は、実刑期間に加えて、その後の五年間、選挙権及び被選挙権を有しないこととされております。また、公職の候補者等及び後援団体の政治活動のために使用されるポスターについて、衆議院議員の総選挙にあっては解散の日の翌日または任期満了の日の六カ月前から、参議院議員の通常選挙等にあっては任期満了の日の六カ月前から、補欠選挙等にあっては当該選挙を行うべき事由が生じた旨を告示した日の翌日から、当該選挙の期日までの間、当該選挙区内において掲示することができないものとされております。
 この法律は、原則として、衆議院議員の選挙区を定める法律の施行の日から施行することとし、衆議院議員の選挙については施行日以後初めてその期日を公示される総選挙から適用する等の経過措置を設けております。
 次に、衆議院議員選挙区画定審議会設置法案につきまして御説明申し上げます。
 この法律案は、衆議院小選挙区選出議員の選挙区の改定等に関し、調査審議等を行うため、総理府に衆議院議員選挙区画定審議会を置こうとするものであります。
 以上がこの法律案の趣旨であります。
 次に、この法律案の内容の概略につきまして御説明申し上げます。
 まず第一に、設置及び所掌事務に関する事項であります。
 総理府に、衆議院議員選挙区画定審議会を置くこととし、審議会は、衆議院小選挙区選出議員の選挙区の改定に関し、調査審議し、必要があると認めるときは、その改定案を作成して内閣総理大臣に勧告することといたしております。改定案の作成においては、各選挙区の人口の均衡を図り、人口の格差が二倍以上とならないようにすることを基本とし、行政区画、地勢、交通等の事情を総合的に考慮して合理的に行わなければならないものとするとともに、各都道府県への定数の配当においては、まず、各都道府県に一ずつ配分した後、残りの定数を人口に比例して配当することといたしております。
 第二に、勧告の期限等に関する事項であります。
 勧告は、原則として十年ごとに行われる国勢調査の結果による人口が最初に官報で公示された日後一年以内に行うことといたしております。
 また、最初の画定案の勧告については、委員が任命された日から六カ月以内に行うことといたしております。
 なお、内閣総理大臣は、審議会から勧告を受けたときは、これを尊重し、かつ、これを国会に報告することといたしております。
 第三に、組織等に関する事項であります。
 審議会の委員七人は、国会議員以外の者から、両議院の同意を得て、内閣総理大臣が任命し、任期は五年とすることといたしております。
 なお、この法律は、公布の日から施行することといたしております。
 次に、政治資金規正法の一部を改正する法律案につきまして御説明申し上げます。
 この改正法案は、政治資金制度について、政治資金と密接な関連を有する選挙制度の改革と軌を一にして、政党その他の政治団体及び公職の候補者の政治活動の公明と公正を確保するため、会社その他の団体のする政治活動に関する寄附の制限の強化等を図るとともに、政治資金の透明性を高め、あわせて、政治資金についての規制の実効性を確保するなどの措置を講じようとするものであります。
 以上がこの法律案の趣旨であります。
 次に、この法律案の内容の概略につきまして御説明申し上げます。
 まず第一は、会社その他の団体のする政治活動に関する寄附の制限の強化のための改正であります。
 選挙制度の改革に伴い、選挙や政治活動が政策本位、政党本位となりますので、政治資金の調達を政党中心とするため、また、近年における政治と金とをめぐる国民世論の動向等にかんがみ、会社、労働組合その他の団体のする政治活動に関する寄附については、政党に対するものに限りこれを認めることとし、政党以外の者に対するものはすべて禁止することといたしております。この場合における政党は、所属国会議員五人以上を有すること、直近における衆議院議員の総選挙または参議院議員の通常選挙の得票率が百分の三以上であることのいずれかに該当する政治団体といたしております。
 なお、この法律の施行後五年を経過した場合には、団体献金のあり方について見直しを行うことといたしております。
 第二は、公職の候補者の政治活動に関する寄附の制限の強化を図るための改正であります。
 公職の候補者の資金面における公私の峻別を徹底するため、公職の候補者は原則として金銭等による政治活動に関する寄附を受けてはならないものとし、公職の候補者の政治資金は、その者のために政治資金の拠出を受けるべき政治団体として指定した資金管理団体で取り扱うことといたしております。
 なお、資金管理団体は、公職の候補者がみずからその代表者である政治団体のうちから一つに限り指定することができるものといたしております。
 第三は、寄附等に関する公開の強化のための改正であります。
 政党以外の政治団体に対する寄附の公開基準は、現行の年間百万円超から年間五万円超に引き下げることといたしております。
 また、政治資金パーティーの対価の支払いの公開基準については、一の政治資金パーティー当たり現行の百万円超から、原案では、五万円超に引き下げることといたしたのでありますが、衆議院において、二十万円超に引き下げることとする旨の修正が行われたところであります。
 第四は、政治資金の規制の実効性を確保するための改正であります。
 その一は、政治資金の規制の実効性を確保するため、罰金額を二・五倍以上に引き上げるとともに、企業等の団体の役職員または構成員が政治資金規正法違反をしたときは、その行為者のほか、その団体に対して刑罰を科することといたしております。
 その二は、政治資金規正法に規定する罪を犯し、罰金以上の刑に処せられた者は、公職選挙法に規定する選挙権及び被選挙権を一定期間有しないことといたしております。
 また、個人が政党に対して寄附をした場合においては、当該寄附については所得税の課税について新たに税額控除制度を導入することといたしております。
 なお、この法律は、選挙制度の改革と一体のものでありますので、原則として、公職選挙法の一部を改正する法律の施行の日の属する年の翌年の一月一日から施行することといたしております。
 次に、政党助成法案につきまして御説明申し上げます。
 議会制民主政治における政党の機能の重要性にかんがみ、選挙制度及び政治資金制度の改革と軌を一にして、国が政党に対する助成を行う制度を創設することとし、これにより政党の政治活動の健全な発達を促進するとともに、その公明と公正を確保し、もって民主政治の健全な発展に寄与しようとするものであります。
 以上がこの法律案の趣旨であります。
 次に、この法律案の内容の概略につきまして御説明申し上げます。
 第一は、助成の対象となる政党についてであります。
 政党助成の対象となる政党は、国会議員を五人以上有する政治団体または国会議員を有し、かつ、直近における衆議院議員の総選挙もしくは参議院議員の通常選挙のいずれかの選挙の得票率が百分の三以上の政治団体といたしております。
 また、政党交付金を受けようとする政党は、その年の一月一日現在で、名称、主たる事務所の所在地、所属国会議員の氏名等を届け出ることといたしております。
 なお、その年中において衆議院議員の総選挙または参議院議員の通常選挙が行われた場合も同様の届け出を行うことといたしております。
 第二は、政党交付金に関する事項であります。
 政党交付金の総額は、原案では、直近の国勢調査の確定人口に三百三十五円を乗じた額を基準として予算で定めることといたしたのでありますが、衆議院において、直近の国勢調査の確定人口に二百五十円を乗じた額を基準として予算で定めることとする旨の修正が行われたところであります。
 なお、この法律の施行後五年を経過した場合には、政党交付金の総額について、見直しを行うことといたしております。
 各政党に対して交付すべき政党交付金の額は、各政党の所属国会議員数及び国政選挙の得票数に応じて一月一日現在において算定した額とし、総選挙または通常選挙が行われた場合には再算定することといたしております。
 第三は、政党交付金の使途の報告及び公表等の措置であります。
 政党交付金については使途を制限しないこととし、その使途を記載した報告書を公表することといたしております。
 このため、政党の会計責任者は、会計帳簿を備え、政党交付金による支出等について記載するとともに、十二月三十一日現在で政党交付金の収支に関して記載した報告書を、支部から提出された支部報告書等とあわせて、自治大臣に提出しなければならないことといたしております。
 この場合において、政党の会計責任者は、政党の会計監査を行うべき者の監査意見書とともに、公認会計士等が行った監査に基づき作成した監査報告書をあわせて提出しなければならないことといたしております。
 また、報告書等については、その要旨を公表するとともに、届け出書、報告書等の関係書類は五年間保存することとし、また、何人も、五年間、これらの関係書類の閲覧を請求することができることといたしております。
 なお、政党交付金による支出のうち人件費その他の自治省令で定める経費以外の経費に係るものについては、原案では、一件一万円を超えるものについてその支出先、金額等を報告書に記載することといたしたのでありますが、衆議院において、五万円以上のものについて報告書に記載する旨の修正が行われたところであります。
 第四は、政党の解散等に関する措置であります。
 政党が合併または分割により解散する場合には、当該政党に対する未交付の政党交付金については、当該合併により存続しもしくは新たに設立される政党または当該分割により新たに設立される政党に対して交付することといたしております。
 第五は、政党交付金の返還等の措置であります。
 政党がこの法律に違反して政党交付金の交付の決定を受けた場合、政党が提出すべき報告書を提出しない場合などには、政党交付金の交付を停止し、またはその返還を命ずることができることといたしております。
 なお、この法律は、選挙制度の改革と一体のものでありますので、公職選挙法の一部を改正する法律の施行の日の属する年の翌年の一月一日から施行することといたしております。
 以上が公職選挙法の一部を改正する法律案、衆議院議員選挙区画定審議会設置法案、政治資金規正法の一部を改正する法律案及び政党助成法案の趣旨とその内容の概略であります。(拍手)
#8
○議長(原文兵衛君) 橋本敦君。
   〔橋本敦君登壇、拍手〕
#9
○橋本敦君 私は、日本共産党を代表して、公職選挙法、政治資金規正法及び法人税法の一部を改正する法律案について、その趣旨並びに提案理由について御説明申し上げます。
 佐川急便事件、金丸巨額脱税事件に続き、底知れないゼネコン疑惑が広がる中、今、国民の圧倒的多数が求めているのは、これまでのどの世論調査でも明らかなように、選挙制度を変えることではありません。金権腐敗政治の根絶であります。
 ところが、細川内閣と連立与党は、この国民の声に背を向け、ゼネコン疑惑の徹底解明を棚上げした上、民意をゆがめ、虚構の多数で強力な政治を進める憲法違反の小選挙区比例代表並立制を強行しようとしています。さらに、政党などには企業・団体献金を引き続き容認した上、憲法第十九条の定める思想・良心の自由を侵害し、支持しない政党にも事実上の強制献金となる公費による政党助成まで導入しようとしています。我が党は断じて容認することはできません。
 日本共産党は、政治と金の問題に徹底したメスを入れるとともに、金権腐敗政治の根源である企業・団体献金を全面的に禁止すること、大企業の巨額の使途不明金を厳しく規制すること、現行中選挙区制のもとで選挙権の平等を保障する定数格差の抜本是正を行うことを当面の政治改革の緊急かつ中心課題であると主張してきました。これこそ国民の求める真の政治改革への道であります。
 この見地に立って、今回の公職選挙法の改正案、政治資金規正法改正案及び法人税法改正案を提案したものであります。
 以下にその内容について御説明申し上げます。
 まず、公職選挙法の改正案についてであります。
 第一は、衆議院の議員定数格差の抜本是正であります。
 言うまでもなく、主権在民の憲法のもとにおける選挙制度の民主的根本理念は、国民の多様な意思を国会の議席に公正に反映することであります。これに反して、小選挙区制が死票の山をつくり出し、第一党ないしは大政党に得票以上の議席を与え、民意をゆがめる重大な欠陥を持つことは総理も否定できなかったところであります。また、世界の流れを見ても比例代表制が大勢となっており、小選挙区制はこの歴史の流れに逆行するものであります。
 今とるべき道は、当面、国民の多様な意見を比較的に反映しやすい現行中選挙区制を維持し、そのもとでの定数是正を直ちに行って、民意の公正な反映を実現することであります。八六年の国会決議も選挙権の平等の確保は議会制民主政治の基本だとし、二人区、六人区の解消を含めた定数の抜本是正を速やかに行うこととしているのであります。この抜本是正をしておれば、細川内閣が小選挙区比例代表並立制導入の一つの理由としている政権交代はとっくに行われていたことも明白であります。
 しかるに、衆議院の定数は、現在も最大二・七七倍の格差があり、格差が二倍を超える選挙区は二十九にも上り、依然として違憲状態が続いています。したがって、速やかにこれを是正し、憲法の保障する一票の価値の平等を実現することこそ国会に課せられた急務なのであります。
 そこで、本法律案は、各選挙区間の定数格差を少なくとも一対二未満に抑えること、選挙区の定数は三ないし五人を維持すること、国勢調査に基づく定数是正の実施を国会と政府に厳格に義務づけること、以上の三点を基本原則として法に明記をいたします。その上で、九〇年国勢調査をもとに総定数五百十一を各都道府県に人口比例するよう配分し、次に各都道府県に配分した議席数を現行の選挙区割りをできるだけ尊重しながら、必要な場合は、合区、分区、境界変更による再編などの方法で選挙区を再構成して、選挙区定数を三あるいは五人とし、現行の二人区、六人区はすべて解消しております。
 この是正によって、選挙区の数は現行百二十九から百二十六となり、定数格差は現行の一対二・七七から一対一・五〇に是正されるのであります。こうして憲法違反は解消し、公正な民意の反映が可能となるのであります。
 第二は、選挙運動の自由化についてであります。
 現行の公職選挙法は文書・言論活動を不当に厳しく制限しており、日本の民主主義のおくれを雄弁に物語っております。その上、法定ビラの頒布の抑制に加え、選挙連動期間の短縮、任期満了前六カ月間のポスター掲示の禁止などの修正がなされたことは、言論・表現の自由による政策中心の選挙に逆行するものであります。本法律案では、まず、戸別訪問禁止規定を削除し、選挙運動の自由化に踏み出すことにしております。
 第三は、供託金の引き下げであります。
 我が国の供託金は世界に例のない高額なもので、これは国民の立候補の権利を不当に制限するものとなっております。にもかかわらず、昨年末の改定では、衆議院と参議院選挙区の供託金額が二百万円から三百万円に、参議院比例区の供託金額が四百万円から六百万円に引き上げられています。本法律案は、地方選挙も含めてこれを改定前の額に戻すこととしております。
 第四は、悪質な選挙犯罪等に対する連座制の拡充強化と公民権停止の強化であります。
 買収、利害誘導などの悪質な選挙犯罪はさきの総選挙でも依然として後を絶ちません。この際、選挙の公正を確保するために、これらの選挙犯罪に対しては、当選を無効とする連座制の対象を政治家の秘書、親族、市区町村を含む区域の地域主宰者にまで拡大し、違反行為者と政治家の公民権を十年間停止するなどの厳しい規制が必要であります。また、収賄罪についても十年周の公民権停止とします。
 次は、政治資金規正法の改正案についてであります。
 日本共産党は、金権腐敗政治一掃のために企業・団体献金の禁止を繰り返し強く主張し、みずからもかたく実行してきました。ところが、厳しい国民の批判にもかかわらず、企業も社会的存在であると称して企業・団体献金が存続されてきました。しかし、本来浄財である国民の政治献金は、主権者たる国民一人一人の憲法で保障された固有の権利である参政権行使の一形態にほかならず、そもそも投票権、参政権を有しない企業には政治献金が容認されるいわれはないのであります。
 それどころか、営利を目的とする企業が個人をはるかに超える強大な財力で政治的影響力を行使するなら国民の参政権の公平平等な行使をゆがめ、政治は大企業、財界に目を向けたものになります。しかも、企業献金そのものは本質的にわいろ性を持つため、甚だしい政治腐敗と国民の政治不信を生み出すことは、これまでの数々の金権腐敗事件でも明白であります。
 そこで、本法律案は、第一に、企業、労働組合その他の団体は、政党であれ政治家個人に対してであれ、政治活動に関する寄附を一切してはならないものとしております。また、何人も企業、団体に対して政治活動に関する寄附を勧誘、要求し、これを受けてはならないとして、企業・団体献金を全面的に禁止しております。これこそ金権腐敗政治根絶の最大のかなめ、その核心であります。
 これに違反した者は、五年以下の禁錮または百万円以下の罰金に処するものとし、五年間公民権を停止することとします。
 また、政治資金パーティーの対価の支払いも政治活動に関する寄附とみなし、企業、労働組合その他の団体が政治資金パーティー券を購入することを禁止することといたしました。
 第二は、政治資金の透明性の確保についてであります。
 国民一人一人は、政治に対する浄財として政治活動に関する寄附を政党及び政治団体に対してすることができます。しかし、政治家個人に対しては何人も政治活動に関する寄附をしてはならないこととします。したがって、政治家は、政治活動に関する寄附をこれらの政党や政治団体に取り次ぐ以外は、政治資金の寄附にかかわる金銭の授受に携わってはならないといたします。なお、政治家はみずからの政治資金を取り扱う指定政治団体を一つに限り持つことができるようにいたします。
 政党以外の政治団体間の寄附は原則として禁止します。
 次に、政治活動に関する寄附の公開基準を引き下げ、政党、その他の政治団体を問わず一律に年間一万円を超える金額とします。
 寄附に関する量的制限については、総量規制を強めるほか、政党・政治資金団体以外は、一政治団体に対しては指定政治団体も含めすべて年間百五十万円を限度といたします。これらの量的制限違反には、三年以下の禁錮または五十万円以下の罰金に処し、五年間公民権を停止することができるものとします。
 また、政治家に対して、自己の指定政治団体の役職員や構成員が、会計帳簿、収支報告書並びに寄附に関する制限等の規定に違反しないよう監督する義務を課します。この監督を怠った場合には、違反行為者の罰則に応じた刑罰を科するとともに五年間公民権を停止することができます。
 以上の措置によって、国民が期待する清潔な政治に向かって政治資金の透明度と公私の峻別が飛躍的に高まることは疑いありません。
 第三は、国民の激しい怒りが渦巻いている金丸事件やゼネコン汚職で明るみに出たように、私腹を肥やす政治家の不正に対し厳しい罰則を創設することであります。いやしくも政治家が政治資金を私的に流用しまたは蓄財するような行為は、政治に対する国民の信頼を裏切る悪徳、不法のきわみであり、断じて許されるところではありません。そのため、このような不正行為に対しては、新たに厳しい罰則を設け、十年以下の懲役に処するとともに十年間公民権を停止することといたします。
 次に、法人税法の一部を改正する法律案について御説明申し上げます。
 本法律案は、企業献金の全面禁止と相まって金権腐敗政治一掃のために、大企業の巨額の使途不明金を厳しく規制することを目的とするものであります。
 今年三月の金丸逮捕に端を発し、中央政界、地方政界を巻き込んでかつてない大事件になっている一連のゼネコン汚職事件で、鹿島や清水建設は三年間で五十億円あるいは六十億円もの使途不明金をやみ政治献金の原資としていた事実が明らかになりました。一方、大手建設業界の使途不明金は、国税庁の一部企業の調査で判明しただけでも平成三年度で三百八十二億円に上っております。このように、大企業の巨額の使途不明金が汚職と腐敗の隠れた資金源となっていることをこれ以上放置することは許されないのであります。
 そのため、本法律案は、大企業のやみ献金の原資となっているこれら使途不明金に対し、厳しい法の網をかぶせようとするものであります。このような使途不明金に対する規制は、現にフランスにおける税法でも重い課税措置がとられておりますように、国際的に見ても現実的な課題となっているものであります。
 そこで、本法律案は、第一に、資本金一億円以上または当該事業年度の売上高が五十億円以上の法人に対し、年間の使途不明金が一千万円を超える場合、その超える部分に対して制裁として税率一〇〇%の法人税を課すこととしております。この場合の使途不明金とは、交際費、機密費、接待費その他いずれの名目をとるかを問わず、法人が交付したと認められる金銭その他の資産で交付の相手方が明らかでないものであります。
 まず、税務当局は、法人が交付したと認められる金銭等のうち、交付の相手方が明らかでないものについて、その相手方の氏名、金額等を文書で明らかにするよう求めることができます。この開示要求を受けた法人は、相手方の氏名等を明らかにした文春を一月以内に提出しなければなりません。しかし、これによっても企業が相手方を明らかにせず、または提出期限内に回答文書を提出しない場合には、その使途不明金に対して法人税を課するものであります。
 第二に、使途不明金を根絶するための措置の一つとして、使途不明金に関する課税を受けた法人について、その法人名、使途不明金の金額等を公示し、国民の監視と批判ができるようにいたしております。
 以上が現行中選挙区制の抜本的定数是正、企業・団体献金の全面禁止及び莫大な使途不明金への課税を主な柱とする日本共産党の公職選挙法、政治資金規正法及び法人税法の一部を改正する法律案の内容と提案理由であります。
 この日本共産党の三つの改正案が一体となって、金権腐敗政治を一掃し、憲法と民主主義の根本理念に基づいて民意を公正に我が国政治に反映することができるのであります。これは、まさに今国民が切実に求めている真の政治改革の原点であると確信いたします。
 慎重に御審議の上、御賛同賜りますようお願いいたしまして、提案理由の説明を終わります。(拍手)
#10
○議長(原文兵衛君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。坂野重信君。
   〔坂野重信君登壇、拍手〕
#11
○坂野重信君 私は、自由民主党を代表いたしまして、衆議院から送付されました政府提出の政治改革関連法案につき、総理ほか関係大臣に質問を行うものであります。
 本論に入ります前に、一言申し上げたいと存じます。
 現下の緊急課題は二政治改革の断行とともに、厳しい不況の速やかな克服であります。景気は、今や極めて深刻な状況にあります。
 我が党は、九月九日、総額十兆円を超える緊急総合景気対策を決定し、政府にその実現を求めました。しかしながら、細川内閣が九月十六日に発表した緊急経済対策は、事業費一兆円の社会資本整備や景気回復策とは言えない規制緩和など、総額六兆円程度の内容にすぎませんでした。これでは不十分であり、しかも、いまだに補正予算案として国会に提出されておりません。加えて、公定歩合再引き下げの効果もあらわれず、為替相場は一ドル百円台にとどまっており、これに米の凶作が重なり、雇用情勢も一段と悪化しつつあります。
 我が党は、さらに河野総裁を本部長とする不況・冷害対策本部を設け、深刻な不況への対応策を検討いたしました。今や新たに早急な対策を時宜を失することなく講じなければなりません。
 政府は、この際、さきに発表した緊急経済対策を見直し、冷え切った消費需要を喚起するための大型所得税・住民税減税の実施、地域経済に配慮した公共事業の追加、異常気象・冷害対策等を内容とする大型の第二次補正予算案を編成、すべてに先んじて一刻も早く国会に提出すべきであります。
 ところが、この補正予算の提出時期について、政府首脳は十一月二十六日と言っておきながら、今度は議運理事会における官房長官の報告で三十日に延期することにしたとのことですが、これは一体何事ですか。まさか政治改革関連法案の委員会審議を優先するという政略的な理由で補正予算の提出をおくらせるというようなことではありますまいか。もしそうだとすれば、とんでもないことであります。法案の審議入りがおくれたのは政府のかかる姿勢によるものであります。そうした政府の姿勢に対しては強く抗議しなければなりません。総理の説明を求めます。
 さて、リクルート事件を初めとするさまざまな政治不祥事の発生を契機に、国民各層に広くかつ急激に政治改革の機運が生まれ、海部内閣以降今日まで政治改革が三たび試みられました。この間、海部内閣と宮澤内閣とが相次いで政治改革に挫折して倒れ、我が自由民主党が政権の座を離れるという事態にまで至りました。
 そして、政権交代によって生まれた細川内閣に至り、今回初めて衆議院を通過し参議院に送付されてまいりましたことは、まことに画期的なことではあります。今まで政治改革法案の審議は衆議院どまりであり、参議院には送付されたことはなかった。私自身、再度政治改革に関する調査特別委員長に選任されながら幻に終わってしまいました。
 そこで、細川総理にこの参議院の審議開始に当たり、冒頭に幾つかの基本的な認識をお伺いいたしたいと存じます。
 これまでの衆議院における濃密かつ真摯な議論に対しましては深く敬意を表します。そして、ともに政治に携わる者として、我々も政治改革の実現に向けて積極的に取り組んでいかなければなりません。
 ところが、これまでの衆議院における審議を見ますと、なるほど実質審議時間は実に百二十五時間を超えました。しかし、地方公聴会において、政治改革の緊急性については十分認識されるが、まだ法案の内容がよくわからず、理解が不十分なばかりか、地方の無所属議員に対する政治資金の扱いなどに配慮が欠けていると指摘されたではありませんか。この点は、我が党も政府案の重大な欠陥として指摘してきたところであります。地方公聴会における論議を踏まえて、地方の意見が十分反映されるよう修正等の対応が考えられるべきであったと思います。
 にもかかわらず、中央、地方の公聴会を終えると、自由民主党の反対を押し切って、政治改革関連法案の採決を急ぐ余りこの十五日に石井委員長が職権で締めくくり総括質疑を行う旨を宣言するなど、数を背景として強行手段に訴えたことは遺憾であります。こうしたことは絶対に参議院において許すことはできません。よもや良識の府と言われる参議院ではかかる委員長の強権的言動はないものとかたく信じております。このことをまずもって強く申し上げておきます。
 そもそも、政治改革法案は議会政治のルールづくりでありますので、時間をかけても与野党が歩み寄り一致点を見出すことに最善の努力を傾けるべきであります。連立与党側から修正項目として五項目が出され、また、我が党から二十一項目を示したところでありますが、何回かの六者会談による修正論議を踏まえ、去る十五日、河野総裁と細川総理によるトップ会談に期待されたが、遺憾ながら決裂しました。
 我々としては、何とかお互い不満ながら納得のいく妥結点を見出してほしかったのであります。年内成立が公約だからただ急ぐ、連立与党の一党派の主張をおもんぱかって根幹部分の修正には応じられないというのでは、民主政治の共通の土俵づくりである選挙制度はまとまらないではありませんか。政府・与党の衆議院の皆様には野党ぐせが残っていて、まだ与党の立場になり切っていないのではないでしょうか。
 しかし、我が党は、こうした連立与党の姿勢にもかかわらず、責任野党として粛々と論議、討論に参加し、採決に応じ、まじめな態度で終始しました。そして、今までの野党に再々見られたような審議拒否とか牛歩等の物理的な抵抗などは行いませんでした。このことは政府・与党の皆さんも評価されていると信じておりますが、いかがですか。総理はこの点とう認識されておりましょうか。また、前社会党委員長の山花大臣の感想を伺いたい。
 政治改革の実現にとって重要なことは、まず議員みずからが政治倫理を確立することであります。同時に、選挙制度の仕組みを抜本的に改めるとともに、政治資金について公私の透明性を高めることであります。また、国民の皆様にも意識改革をお願いしなければならない面もあると思います。残念ながら現行の中選挙区制のもとでは、我が党について見れば、本来の政策中心の争いでなく、主として個人中心の同士打ちの選挙となっております。今こそ政党中心の選挙に移行し、議会政治に活力と緊張感を与え、政権交代可能な政党政治の体制の確立が要請されております。
 我が党としても、この五年間、政治改革大網を初めとして、党を挙げてこの政治改革の実現に取り組み、この間、資産公開法の制定など政治倫理、政治資金などについて積極的に対応してきました。そしてこのたび、いよいよ抜本的な政治改革四法案が参議院へ送付され、ここに本格的審議がスタートしますが、我々が目指す政治改革の理念は、政治に対する国民の信頼を回復して新しい時代に対応できる政策本位の政治システムを構築することであります。
 これに対し、立党の精神や政治理念の異なる連立八党会派が妥協し、まとめた政府案の政治改革の基本理念は一体どういうものでありましょうか、全くはっきりいたしておりません。総理は一体どのような政治システムを目指しておられるのか、この際、改めて明らかにしていただきたいのでおります。
 理念がはっきりしないで、法案成立を急ぐ余り、拙速に走ることで迷惑するのは国民であります。我が党と政府案はともに小選挙区比例代表並立制ではありますが、その内容や目指すものは全く異質の似て非なるものであります。
 十二月十五日までの会期終了日まで二十日ばかりでありますが、民主政治の根幹を定める大改革であるだけに、参議院において我々は、年内成立という総理の公約にこだわることなく、二院制の使命と役割に照らし、衆議院におけみ議論に行き過ぎがあればこれを是正し、また足らざるところがあればこれを十分に補って、国民の負託にこたえ、十分な審議を尽くす決意であります。
 細川総理、あなたはよもや政治改革法案が衆議院を通過したことで大きな山を越したとお考えではありませんか。参議院での審議の重要性についての総理の御認識とともに、あわせて、これからの参議院における審議の結果、修正等の問題が生じた場合に、当然政府・与党において柔軟に対応していただけるものと信じますが、お考えをお伺いします。
 これまでの衆議院における議論につきまして、我々参議院側におきましては与野党を通じまして物足りなさを感じておりました。それは、今回の政治改革の論議が参議院を視野に入れないで衆議院中心に進められてきたからであります。
 言うまでもなく、政治は衆議院のみで行われているのではありません。御存じのように、我が国の憲法は第四十二条以下で二院制を規定しております。その意味からは、参議院を全く視野に入れずに衆議院の選挙制度だけを論じることは余りにも一方的ではありませんか。参議院とのバランスを配慮しながら論議すべきでありました。
 しかるに、細川総理自身、参議院の選挙制度につき、参議院におきましてもぜひ活発な御議論をいただきたい、そうした御議論も踏まえて政府としてもぜひ検討させていただきたいと答弁され、また担当の佐藤自治大臣も、参議院のことは参議院で検討していただければよいなどの趣旨の答弁がありました。このことは、とりもなおさず、二院制のあり方について総理も担当大臣も確固たる理念がなく、参議院を考慮の外に置いたまま政治改革論議を推し進めようとしていることを示しているではありませんか。
 特に参議院議員の経験があり、参議院の実情をよくおわかりのはずの細川総理にその点の認識をお伺いいたしたい。また、佐藤大臣の見解もあわせてお聞きしたい。
 特に、政府案が採用した比例代表区の全国単位と二票制は大変な問題であります。政権与党は、この衆議院における比例代表制を多様な価値観を持つ人の民意が反映できるとしておられますが、これは自由民主党の都道府県単位、一票制と基本的仕組みが大きく異なっています。政府案は、重複立候補制度を除げば、まさに現行の参議院の拘束式比例代表選挙そのものではありませんか。
 改めて申すまでもなく、参議院の比例代表制度は、特に職域職能の代表や専門的知識、経験にすぐれた国家的人材が選出されるという参議院らしい独自性を発揮するための特色ある選挙制度であります。両院の選挙制度の整合性を何ら考慮に入れることなく、抜本改革と称して類似の紛らわしい制度の導入を図らんとするこのたびのやり方は、二院制下の参議院を無視したものと言わざるを得ず、我々は到底容認できるものではありません。仮に同時選挙にでもなれば大変な混乱が生じるおそれがあります。一体政府は何を考えているのですか。
 私は都道府県単位の自民党案がよいと思うが、いずれにしても、全国単位は何としても改めるべきであります。我々としては、この点につきましては本院において法案の修正が必要であることをあらかじめ強く指摘しておきたいと存じます。
 以上、参議院軽視に立った改革について反省を促すとともに、総理の御所見を承りたいと存じます。
 さて、政治改革はひとり選挙制度の改革だけではありません。それとあわせて議会の組織、運営についても、従来の慣例にとらわれることなく新しい時代の開かれた議会の構築、つまり国会改革を行わなければなりません。
 例えば、我々は今日まで議員同士が議論し合うという参議院独自の調査会を三つ設置したり、参議院で議員立法を行ったり、衆議院側の協力を得て法案の参議院先議案件を増加させたり、あるいは委員会の運営に改善を加えたりしてきましたが、さらに努力する決意であります。
 これまで参議院が存在意義を発揮することなく、本来の使命を失っているという声があります。今こそ我々は二院制の原点に立って、衆議院に対する抑制、均衡、補完の役割を果たし、独自性が発揮できるよう、与野党が一体となって参議院の選挙制度とともに国会改革に積極的に取り組み、参議院らしい充実した審議を通じてその権威を高めることが急務であると思います。
 もとより、参議院の議会運営は議院みずからの課題ではありますが、再度の本院議員の経験をお持ちの総理としては、二院制下における参議院の役割を十分認識されていると思います。この際、参議院の選挙制度並びに参議院の議会運営のあり方についての御認識を御披露願いたいと存じます。
 さて、我が参議院自由民主党は、これまでも参議院の選挙制度が衆議院のそれと異質性を確保しながら均衡を図る見地に立って、数年間にわたり現行参議院選挙制度の見直しを検討してまいりました。今回、衆議院の選挙制度の大改革が行われるに当たって、改めて本年八月、参議院選挙制度検討委員会を設置、不肖私が委員長となり、真剣に検討の結果、改革大綱を取りまとめ、参議院自由民主党の議員総会において決定を見ておりますので、これを紹介し、総理の所見を求めたいと思います。
 まず、参議院選挙制度の仕組みについてであります。
 我が党提案の衆議院小選挙区比例代表並立制は、各都道府県を幾つかの小選挙区に分割し小選挙区候補者への一票制による投票により候補者を選ぶとともに、小選挙区の補完として重複立候補を認める都道府県単位の拘束比例代表制により比例代表候補者を選出する制度を採用し、政権を担当する政党を選択するいわば不完全並立制の選挙となっております。
 一方、参議院の現行制度は、地域代表としての性格を持つ各都道府県を一選挙区とする選挙区と全国を一選挙区とする比例代表区とから成る二票制、つまりいわば完全並立制を採用しております。すなわち、参議院の選挙区は細分化される衆議院の小選挙区とは異なり、必ずしも人口比例にとらわれず都道府県の行政単位に基づくものであり、また比例区については小選挙区との重複立候補を含める等の中途半端なものでなく、この選挙制度により広く全国的な立場から学識経験者や職能代表を選出することとなっております。以上のとおり、選挙の性格や議員の選出方法において小選挙区を基本とする衆議院の改革案と大きく異なり、現行の参議院の選挙制度は参議院としての特色があり、形式や呼び方は似ていても全く異質のものとなっておりますから、その基本的仕組みは変えることなく維持することとした上で、参議院の独自性を高め問題点の解決を図るよう検討しました。
 総定数二百五十二につきましては、参議院創設以来、沖縄復帰に伴う二増を除いて増員することなく据え置かれており、いわば本則の定数でありますが、この際、民意の動向を踏まえ、我が党の政治改革大綱等に掲げられている政治改革の方針に沿って、思い切って比例区定数を十減じて九十、選挙区定数も十減じて百四十二として、総定数を我が党提案の衆議院の総定数四十減の二分の一に相当する二十減の二百三十二とすることといたしました。
 比例区選挙については、昭和五十八年選挙より全国区にかわって拘束比例代表選挙が導入されていますが、この制度は、各党で候補者を決定し党名投票を行う関係上、参議院の政党化を助長し参議院の独自性が損なわれるおそれがあること及び有権者が直接候補者を選べないため民意が反映されないこと等の諸問題が指摘されておりますので、この際、第八次選挙制度審議会の答申を踏まえ、党名でも候補者個人名でも投票できるいわゆる非拘束比例代表制を導入し、かつ、各党として出したい候補者を出しやすい現行の拘束比例代表制との組み合わせ方式に変更するとともに、定数を十減いたしたいと考えております。
 なお、その際、非拘束比例代表制の導入に当たりまして、候補者個人に一定の選挙運動は認めることといたしますが、かつての全国区のように候補者の負担が過重とならないよう公営の拡充措置を講ずることとしております。
 選挙区選挙につきましては、選挙区における議員定数配分と都道府県人口との関係において逆転現象を生じています。そこで、投票価値の平等の見地から、第八次選挙制度審議会の答申に沿って是正を行うとともに、定数を十減じ、最大剰余法により各都道府県に定数配分を行いたいと考えております。
 以上が骨子であります。総理の御理解を得たいと存じますが、御所見をお述べ願います。
 野党の我々が参議院としてあるべき選挙制度を求めて検討しておりますので、政権を担当されている連立与党においても、さぞ検討を進められていることと推察いたします。進捗状況はいかがでしょうか。連立与党においても制度改革案を早くおまとめになり、参議院与野党で衆議院制度と対比しておよその共通の考え方なり方向づけをすることが望ましいと思います。いつごろを目途に改革案が取りまとめられるのか、総理からお示し願いたいのであります。
 そこで、衆議院より送付されました政治改革関連法案につきましては、参議院における審議の中で以上の考え方を配慮の上、さきに申し上げました全国単位の問題の修正は言うに及ばず、二票制の問題等類似、競合するものあるいは追加して見直しが必要なものにつきましては、ぜひとも見直し、修正を重ねて強くお願いしておきます。総理、いかがでしょうか。
 以下、法案の具体的な内容について幾つかの質問を行います。
 まずは、小選挙区比例代表並立制という基本的な枠組みと定数配分の問題についてであります。
 重ねて申しますが、この枠組みは、参議院の選挙制度と形式的には全くと言っていいほどよく似た制度で、国民の皆さんにはその違いがわかりにくいと思います。参議院の選挙制度は、その創設のときから、都道府県を単位とする地域代表選出の地方区選挙と、職能・職域代表選出の全国区選挙の二つの別個のもので構成され、それがそのまま現在の選挙区選挙と比例代表選挙に引き継がれており、いわば完全並立制であります。ところがこれに対し、今回の衆議院小選挙区比例代表並立制はどうでありましょうか。
 御存じのように、小選挙区制は二大政党制を指向するものであり、これに対し、比例代表制は多党制を指向するものであると言われております。いわば両制度は両極に位置するわけで、一つの選挙制度としてその両極のものを組み合わせる場合には、それなりの工夫を要するものと考えます。
 衆議院に提出した自民党案では、小選挙区制を基本とする理念が明快に示されております。それは、定数配分で小選挙区三百、比例代表百七十一としている点、及び比例代表が全国単位でなく都道府県単位となっている点から、比例代表選挙が小選挙区選挙の補完として位置づけられていることが明らかだからであります。既に申し上げましたように、いわば小選挙区を基本とした不完全並立制とでも言うべきでありましょう。
 ところが政府案のように、小選挙区と比例代表の定数が同数であり、しかも比例代表が全国単位である場合には、小選挙区と比例代表は対等に位置づけられているとしか言いようがなく、政府・与党は、小選挙区制と比例代表制との相互の欠点を補い合うものと説明されているようでありますが、それはまことに都合のよい説明でありまして、中途半端な理念なき選挙制度ということではありませんか。改めて総理の所見をお伺いいたします。
 そして衆議院修正により、小選挙区二百七十四、比例代表二百二十六となりましたが、これにつきたしか総理は、まず四十七都道府県に小選挙区の議席を一つずつ与え、これを総定数五百より控除し、残りを二で割って出した数字であると申されているようでありますが、特に連立与党内の一党派の立場を考慮する余り、自民党案と政府案とを足して二で割り一引いた結果ではありませんか。
 議会政治の最も重要な基本的仕組みが連立与党内の調整に力点を置いた形で処理されることは余りにも党略的であり、かつ合理性を欠くものとなり、結果として理念も哲学もないものとなっているではありませんか。これを総理はどう説明されますか。自民党案のような理念を持った制度とすべきではありませんか。お答え願います。
 次は総定数の問題であります。
 政府の送付案は、小選挙区二百七十四、比例代表二百二十六の計五百であり、現行定数の五百十一よりはわずか十一減少しております。しかしながら、五百十一という現行定数は、附則で当分の間認められた暫定定数であり、公職選挙法の本則が定める衆議院の定数は四百七十一なのであります。これまで数次にわたり定数是正を行う際に安易に総定数を増加したことで調整してきたツケでしかありません。そうであるならば、今回のような抜本的な改革を行う際には、本来の四百七十一を基本とすべきであることは当然ではないでしょうか。
 国会議員の定数削減は、第八次選挙制度審議会においても指摘されたところでもあり、また民意の存するところであると思います。政府案がなぜ五百という定数を採用するのか、国民に確固たる根拠を示し、国民の理解を求めるべきではありませんか。
 むしろ、この際、国民世論を踏まえて、さらに総定数を本来の定数四百七十一以下に削減することが政治の原点だと思われます。小さな政府を目指して行政改革を推進する以上、立法府たる国会の方でも極力身を削って小数精鋭を目指すべきではないでしょうか。総理の御答弁を求めます。
 さて、この際問題として特に指摘したいのは、先ほど申し上げましたように、地方の担い手に対する措置であります。
 冒頭申し上げましたように、これに対する対応が政府案においてなされていないことが地方公聴会において強く指摘されました。
 御案内のように、我が国の憲法は第九十二条以下で地方自治をうたっております。言うまでもなく、地方政治の担い手は地方の首長であり、地方議会の議員でありますが、今回の政治改革論議では、これら地方政治の担い手に対する視点が欠落していると言わざるを得ません。国会議員本位の政党助成法案や、それを前提として企業・団体献金を禁止する政治資金規正法案は、地方政治の実態を無視し、地方政治家の死活を制する大問題であります。
 無所属議員や無所属の首長の多い地方政治のあり方についての配慮なくして政治改革を推し進めることは、すなわち地方自治の原則を踏みにじることにほかならず、それでは、知事の経験をお持ちであり、また熱心な地方分権論者である総理の信念に大きく反するものであると存じます。細川総理への国民の期待を裏切るものではありませんか。
 その点に関する認識を総理及び地方自治を所管する佐藤自治大臣にお伺いいたしますとともに、今後の審議に当たり、私、自治大臣の経験者の一人として、政党助成法及び政治資金規正法は本院においてぜひとも修正の必要があることをここに強く指摘させていただきます。
 次に、戸別訪問の問題であります。
 政府案は、選挙運動として戸別訪問を認めることにしておりますが、これを歓迎する有権者の声が意外に少ないのです。戸別訪問は買収などの選挙犯罪の温床になるといった指摘のほかに、戸別訪問を受ける有権者は戸別訪問が解禁された場合にどのような選挙連動が展開されるかを想像して戸惑いを感じています。従来の選挙運動の実態から見て、有権者の平穏な生活を害しないで戸別訪問が行われるとは想像しがたいのであります。戸別訪問解禁は時期尚早であります。ぜひとも考え直していただきたい。この点を指摘して、総理乃び自治大臣の御所見をお伺いいたします。
 次に、政治資金規正法についてお伺いいたします。
 今回の政治改革論議の原点が政治と金をめぐる問題であったことから、政治資金のあり方こそが今回の政治改革でまず取り上げられるべきだと考えます。選挙制度をどのように変えようとも、政治資金のあり方を放置してはスキャンダル等を絶つことはできないと思います。選挙制度にも増して切実な政治資金のあり方の問題こそ先行して決着を図るべきとする考え方に対し、総理の所見をまずお伺いいたします。
 関連して、企業・団体献金の問題についてお尋ねいたします。
 政府案は、企業・団体献金を政党に対するものを除き一切禁止することといたしております。それはいかなる理由によるものですか。企業、団体も社会的な存在である以上、本来、その政治活動の自由もまた認められなければならず、それを制約するには合理的な理由が説明されなければなりません。政府案は、企業・団体献金はすべて悪だというお考えでありましょうか。そうであれば政党に対する献金も許されるべきではないと思われますが、政府案はその点で一貫していないではありませんか。
 問題は、すべての企業・団体献金が悪なのではなく、いわゆるやみ献金とか巨額の献金でありながら細分化して合法化を図るような献金こそが問題なのであります。これまで政治資金規正法にのっとり正しく処理されてきたような献金までも一切封じてしまうことは明らかに行き過ぎではありませんか。
 この際、あつものに懲りてなますを吹くというような行き過ぎた規制のお考えは撤回し、秩序ある企業・団体献金、つまり自民党案のように一定の金額制限を設けて、ガラス張りの中で、政党に対するものに限定しないで候補者の一定の政治団体に対しても許容する方式こそ採用すべきだと考えます。特に、個人献金に多くを期待できない現状では、一定の企業・団体献金は存続すべきであります。この点を指摘しておいて、総理及び山花大臣の御見解をお伺いいたします。
 ところで、それはそれとして、今国民が最も関心を持っていることは政治の腐敗防止であると思います。今回の政府案及び自民党案においても、連座制の強化、収賄罪で有罪となった者の公民権停止措置の強化、罰金の引き上げ及び罰則の強化などの措置がなされておりますが、果たしてこれで十分なのか。さらに徹底した政治腐敗を防止するための法をイギリスの例等を参考として制定することも急いで検討すべきなどの考えに対して、総理の御所見をお願いいたしたいのであります。
 続きまして、政党助成法案についてお伺いいたします。
 我が国としても、欧米並みに公費助成がいよいよ導入されることとなるわけでありますが、これに伴い政党に対し、公的な監視、介入により、政党の自由なる政治活動がゆがめられる懸念はありませんか、伺っておきたいのであります。
 政党助成においては、政党に重要な地位を与えることになりますが、憲法は政党について何ら規定してはいません。今日、憲法の定める議会制民主主義は政党を無視しては円滑な運営は期待できません。そこで、政党の要件を法的に整備し、位置づけを明らかにするための政党法の制定が必要と認識されますが、総理の御所見を求めたいのであります。
 次いで、日本共産党提出の政治改革関連法案について発議者にお尋ねいたします。
 本来ならば、政権を争う衆議院の場でこの種案件が提案されるべきところ、提出条件を満たし得ず、やむを得ず本院へ提出されたものと存じますが、貴党の熱意を評価いたしますとともに、幾つかの点についてお尋ねいたします。
 まず第一は、衆議院選挙制度において現行の中選挙区制度を維持されている点であります。
 現行の中選挙区制につきましては、個人本位の選挙から脱却することは困難であるという指摘がなされ、我が党を初め各党は小選挙区制や比例代表制の導入などの選挙制度改革に取り組んでまいったわけでありますが、これまでも熱心に政党本位の選挙に取り組んでこられた日本共産党が、最も政党本位の選挙になじみにくいと言われる中選挙区制を支持されることについてはどのようなお考えがあるのか、この際お聞かせ願いたいと存じます。
 次は、衆議院総定数を現行の五百十一を維持され、しかも現行の五百十一は附則に規定された暫定定数であるのに、これを本則に規定されようとしている点であります。
 世論は衆議院の定数削減を支持しておるのに対し、何ゆえに五百十一という定数に固執され、しかもそれを本則に規定して固定化しようとされるのか、お考えをお聞かせ願いたいと存じます。
 次は、企業・団体献金を政党に対するものも含め一切禁止されることについてであります。
 本来、企業、団体も社会的な存在である以上、その政治活動の自由も保障されなければならないと考えますし、このような全面禁止では団体結社の自由をも大きく阻害するものと考えますが、共産党はこの点についてどのようにお考えか、お聞かせ願いたいと思います。
 さて、締めくくりとして総理に申し上げたいことがあります。
 今、日本は内外ともに重大な局面に立っております。ソ連が崩壊、東西の冷戦構造が崩れ、世界の政治システムも新しいものが求められています。そうした情勢のもとで、日本の政治体制も旧来のものから大きく脱皮して、ここに政治改革をやり遂げ、二十一世紀に耐え得る新しい政治システムを確立いたさねばなりません。
 細川内閣が誕生して三カ月有余を経過いたしましたが、総理に課せられた責任は重かつ大であります。かつて同志として同じかまの飯を食った者として、私は個人的には総理の御健闘を祈っている一人であります。今のところかつてない高い内閣支持率が続いておりますが、これがいつまでも続くと過信されてはいけないと思います。
 一国のかじ取りの責めに任ずる総理としては、パフォーマンスもさることながら、大切なことは不動の信念と決断であると存じます。最終決断は総理自身が下されなければなりません。これから総理の決断を必要とする幾つかの非常に重要な課題が控えております。政治改革も極めて重要な課題の一つです。
 我々は、これから始まる政治改革の審議に当たっては、真摯な態度で堂々の論戦を展開し、二院制における参議院の独自性と権威を高め、もって国民の負託にこたえる決意であります。
 総理は、我々の真剣な主張に耳を傾けられ、民意の存するところを洞察され、かつ、あなたの祖父であられ、日米開戦前の我が国未曾有の非常時に宰相を三期も務められ、国民期待の星であった故近衛文麿公が敗戦後壮絶な最期を遂げられた心情に思いをいたされ、党利党略を超えて、国家、国民のために誤りなきを期していただきたいと存ずる次第であります。総理の所信を伺って、私の代表質問を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)
   〔国務大臣細川護煕君登壇、拍手〕
#12
○国務大臣(細川護煕君) 補正予算の提出時期の件につきまして初めにお尋ねがございましたが、五年度の第二次補正予算につきましては、現下の極めて厳しい税収状況のもとで、特例公債の発行を何としても回避をしようということで、冷害対策など追加財政需要の正確な把握に努めますとともに、財源の捻出にあらゆる努力を傾けているところでございます。
 現下の厳しい経済状況につきましては、一刻も早くさらなる適切な対策を講じなければならないということにつきましては私も全く認識は一緒でございますが、できる限り早く国会に補正予算を提出できるようにということで、今鋭意作業を進めているということをぜひ御理解をいただきたいと存じます。
 それから、さきの衆議院の採決に当たりまして、自民党の審議の態度についてのお尋ねがございましたが、その前に、私ども連立与党が一会派の主張をおもんぱかって根幹部分の修正には応じられないという態度をとったという御主張がございましたが、いささかそれは事実と違うのではないかということをまずもって申し上げておきたいと存じます。
 御指摘の衆議院通過に当たりまして自由民主党がとられました態度につきましては、議会政治における政党の本来あるべき姿であるとはいえ、さすがに堂々たる野党の姿勢であったと高く評価をさせていただいているところでございます。参議院におかれましても、責任野党として粛々と御論議をいただけることを願っている次第でございます。
 それから、政府案の政治改革の基本理念についてのお尋ねでございましたが、山積する内外の諸課題に対処してまいりますためには、政治改革と経済改革と行政改革の三つの構造改革を推し進めていくことが本内閣の大きな使命であると認識をしている旨、再三申し上げてきたところでございます。
 まず、その中でも選挙や政治活動を政策本位、政党本位の仕組みに改めるとともに、腐敗防止策などを織り込んだ政治改革を早急に実現することによりまして国民の政治に対する信頼を回復するとともに、山積しております喫緊の内外の課題に取り組んでいくことが国際国家としての責任を果たし、また国民生活の安定と向上を図るためにぜひとも必要なことであろう、そのように考えているところでございます。
 それから、参議院での審議の重要性についての認識いかんということでございましたが、参議院の審議につきましては、申すまでもなく、良識の府、理性の府の審議としての重要性ということを十分認識をしているつもりでございます。
 次に、参議院における審議の結果、修正などの問題が生じた場合にどういう対応をするか、こういうお尋ねでございますが、今回の改正案は提案した衆議院におきまして修正が行われておりますが、当然参議院での御審議に当たりましても与野党の合意の形成に努めていただき、各党各会派の御理解と御協力を得て早期に成立をさせていただくように願っている次第でございます。
 それから、二院制のあり方についてどう考えるかというお尋ねでございましたが、政府が提案をしております衆議院の選挙制度は総定数や比例以外の選挙がすべて小選挙区制である点、あるいはまた小選挙区と比例との重複立候補の可能性といったような点で現行の参議院の選挙制度とは異なることにつきましては衆議院での審議の際にも申し上げてきたところでございます。むしろ、自民党案の都道府県単位の制度の方が現行の参議院の選挙制度と類似することもその際申し上げてきたところでございます。
 そもそもこの問題につきましては、海部内閣時代に自由民主党政治改革本部におきまして、参議院の選挙制度改革案について自民党の参議院側の早急な意見の集約が求められたところ、衆議院の制度改革を先行すべきとの要請がなされ、また、本年四月十五日の各派代表者会議における斎藤自民党議員会長のお取りまとめの発言におきましても、先に衆議院で成案を得ることを前提に、成案を得た衆議院選挙制度に対し二院制度においてあるべき参議院の選挙制度へ向かっての抜本改革が提唱されたことなどの経緯を踏まえて、衆議院の選挙制度改革が先行されたものであることは御承知のとおりでございます。
 したがって、衆議院改革先行の現在の状況は決して参議院軽視ということではないというふうに理解をいたしておりますし、斎藤自民党議員会長のお取りまとめの発言に言われたところの、各会派の検討を経て来年の通常国会には成案を得るよう最大限の努力ということを期待をさせていただきたい、このように思っているところでございます。
 それから、二票制と比例代表全国単位は参議院類似の紛らわしい制度ではないか、比例代表全国単位は見直すべきではないか、こういうお尋ねでございましたが、今回、衆議院選挙に並立制を導入するに当たりまして二票制を採用いたしましたのは、並立制におきましては小選挙区選挙と比例代表選挙が基本的には別の当選人の決定の手続を持つ二つの選挙で、有権者の意思を尊重してそれぞれに投票する制度が適当と判断したためでありまして、また、比例代表選挙の区域を全国といたしましたのは、多様な民意をそのまま選挙に反映するという比例代表制の趣旨を徹底するためには、やはり全国を通じて行うとした方が適当と判断をしたためでございます。
 今回、衆議院選挙に導入しようとしております小選挙区比例代表並立制は、あくまで政党が中心となることが前提になっておりまして、その制度も現在の参議院議員の選挙制度とは異なる内容になっております。
 参議院の選挙制度のあり方につきましては、二院制の趣旨が生かされることを基本に検討すべきものと考えておりますが、既に各党各会派でも検討作業が進められておりますし、ぜひ、できるだけ早い機会に合意点を見出していただきたい、このように考えているところでございます。
 参議院の選挙制度についての認識いかん。これも同じようなお答えになるのかと思いますが、参議院の選挙制度のあり方につきましては、衆議院の選挙制度との関連を念頭に置きながら、二院制の趣旨が生かされることを基本に検討すべきものであることは申すまでもないところでございます。
 第八次選挙制度審議会の答申におきましては、参議院議員の選挙制度の望ましいあり方として、候補者推薦制をとることなどを含めてさまざまな考え方についての見解が示されるとともに、望ましい選挙制度の具体案については詰めが必要とされる点があるので、現行制度について指摘されている問題点を解決するという見地から、第一に、拘束名簿式比例代表選挙については個人名投票の導入をも行うべきであるといったこと、また第二には、選挙区選挙については選挙区別定数の再配分を行うべきことという具体案が示されていたものと承知をいたしております。
 いずれにしても、土俵づくりとも言うべき基本的な問題でございますので、衆議院の改革について結論を得た後、引き続き各党各会派間で十分御論議を賜って、できるだけ早い時期に合意点を見出していただきたいと考えているところでございます。
 次に、参議院の議会運営のあり方についての認識いかんということでございましたが、当然、良識の府、理性の府にふさわしい議会運営がなされるべきものというふうに認識をいたしております。
 次に、参議院の自由民主党が決定した参議院選挙制度改革大綱についてどう思うかというお尋ねでございましたが、参議院自民党が二院制のもとにおける参議院制度のあり方について真剣に論議を尽くされ、参議院選挙制度改革大網をまとめられたことは大変結構なことだと敬意を表する次第でございます。衆議院の改革について結論を得ました後に、引き続きこの案も含めまして各党各会派間で十分御論議をいただいて、実りある結論を出していただくように期待をいたしております。
 連立与党の改革案はいつごろをめどに取りまとめるのかというお尋ねでございましたが、私は直接連立与党の各党を指導する立場ではございませんので確かなことは申し上げかねますが、個人的には再来年の次回通常選挙まで制度改革が仕上がるように改革案が取りまとめられることが望ましいと考えている次第でございます。
 参議院における修正の問題についてのお尋ねでございましたが、今回衆議院選挙に導入しようとしている並立制は、あくまでも政党が中心となることが前提になっておりますし、また、比例代表選挙が全国単位であっても重複立候補を認めるなど現在の参議院の選挙制度とは異なる内容になっていると考えておりますが、審議に当たりましては与野党の合意の形成に努め、各党各会派の御理解と御協力を得て早期に法案を成立させていただけるように願っている次第でございます。
 それから、中途半端な理念なき選挙制度ではないか、自民党案のような理念を持った制度とすべきではないか、こういった趣旨のお尋ねでございましたが、小選挙区と比例代表の定数につきましては、衆議院におきまして、委員会での論議における御意見などを踏まえて、政府原案より小選挙区の定数をふやして、小選挙区二百七十四、比例代表二百二十六とする修正が行われた次第でございます。この修正によって、地方公聴会なども含めまして、審議の過程でいろいろ出されました御意見も踏まえまして地方への配慮を行いますとともに、一方で小選挙区と比例代表のそれぞれの持つ特性を相互補完的に生かしていくという原案の基本的な考え方も原則的には維持されているものと考えている次第でございます。
 定数の問題についてお尋ねでございましたが、総定数五百人につきましては現行の定数より十一人減じているわけでございまして、また、五百人程度とする第八次選挙制度審議会の答申であるとか、あるいは五百人という先般の国会に提出されました自民党案、社公案における総定数などから見ましても、大体妥当なところではないかと考えているところでございます。主要先進国の例からも決して多い数ではないというふうに考えております。
 なお、四百七十一という数字につきましても公職選挙法本則の規定ではございますが、その数字自体に絶対的意味があるわけではないと承知をいたしております。
 次に、無所属の地方政治家を助成対象に加えることについてのお尋ねでございましたが、このたびの法案では現行の個人中心の選挙や政治活動を政党中心のものに抜本的に改めることにしておりますが、これによって政党の財政基盤の確立強化が不可欠になりますことから、政党に対する公費助成を行い、民主主義のコストとも言うべき政党の政治活動の経費を国民全体で負担していただこうとするものでございます。
 また、地方議員などへの公費による政治活動助成を行うことにつきましては、その前提となる地方の選挙制度のあり方、あるいはまた政党とのかかわり方、政治活動の実態、そういったいろいろな観点からの慎重な十分な検討が必要であると考えているところでございます。
 戸別訪問についてのお尋ねでございましたが、戸別訪問につきましては、これを自由化すれば候補者、選挙人双方ともに、その煩にたえないのではないか、確かにいろいろな懸念があることから禁止をされてきたところでございますが、諸外国の例に見られますように、やはり有権者とじかに触れ合える有力な選挙運動手段でもあることから、前回の政府案においては人数制限、時間制限のもとに自由化することとしていたところでございます。
 今回の法案におきましては、このような経緯なども踏まえまして、腐敗防止策の強化などをあわせ実施することによりましてこれまでとは選挙のやり方も選挙する側の意識もさらに変わっていくことが期待されることから、さらに踏み込んで一定の時間制限のもとに自由化することとしているところでございます。
 政治資金制度の改革を選挙制度に先行して決着を図るべきではないか、こういうお尋ねでございましたが、現行の中選挙区制のもとでは、同一選挙区で同一政党の候補者問の同士打ちが避けられないわけで、選挙は政策論争というよりも候補者個人間の競争にならざるを得ないという要素がございます。こういうことが候補者個人を中心とした政治資金の調達などに関連して政治と金をめぐるさまざまな問題を生じさせる大きな要因になってきていると認識をしているわけでございまして、そういう観点から、政治資金制度の改革や腐敗防止策と一体のものとして選挙制度の抜本的な改革が不可欠である、このように考えているところでございます。
 企業献金はすべて悪であると考えるか、こういうことでございます。企業などの団体献金が必ずしも悪だとは思っておりませんが、近年続発する政治腐敗事件の多くが政治家をめぐる企業などの団体献金に起因することにかんがみますと、この際、公費助成の導入などの措置を講ずることによって廃止の方向に踏み出すことが適当と考えて、このたびの法案では政党・政治資金団体以外の者に対する企業などの団体献金は禁止することとしたところでございます。
 政治家の政治団体に対する企業献金も一定の範囲で認めてもいいのではないか、こういうことでございますが、企業などの団体献金について、少額であれば政治家の政治団体に対するものもいいではないかということも確かに一つの理屈ではございましょうが、今申し上げましたように、最折のさまざまな企業と政治との問題というものを考えますと、この際、政党・政治資金団体以外の著に対するものは一切禁止する方が適当であろう、このように判断をしているところでございます。
 それから、公的助成の問題について、政党の政治活動に対して公的助成は介入を招くことにならないか、こういうお尋ねでございましたが、このたびの法案では、政党の政治活動の自由を尊重する見地から、政党交付金の使途については特に制限をしないこととするなど行政庁の関与はできるだけ排除することとしておりますが、一方で、政党交付金が国民の税金で賄われるものであるということから、内閣から独立した機関である会計検査院の検査までは排除することとはしなかったということでございまして、現在、衆参両院における各会派に対して交付される立法事務費と同様の位置づけにしたところでございます。
 いずれにいたしましても、政党助成法案につきましては行政庁の関与をできるだけ排除することとして策定をしたもので、政党の自由な活動を阻害するものとは考えておりませんし、結社の自由を侵害することにはならないものと考えているところでございます。
 政党法の制定についてのお尋ねでございましたが、議会制民主政治の主要な担い手である政党がその期待される役割を十分に果たしていくためには、何よりもまず政治活動の自由が最大限尊重されなければなりませんし、政党に対して制約を及ぼす可能性のある事柄については慎重な対応を要するものと考えております。
 そういう見地から、今回の制度改革におきましては、政党に関する必要な事項は政党の内部にできる限り立ち入らないという考え方のもとに、政党助成を受けられる政党の要件あるいはまた政党交付金の使途の報告の手続を初めといたしまして、政党助成に関する事項については政党助成法で定めることといたしております。そのほか、政党に関する必要な事項は公職選挙法など個別法においてそれぞれ定めることといたしまして、政党に関する一般法としての政党法の制定は行わないこととした次第でございます。
 政治改革の審議に当たって党利党略を超えて国家国民のために誤りなきを期せ、こういう最後にお尋ねがございましたが、民意の有するところをよく踏まえて党利党略を超えて国家国民のために誤りなきを期していくべき、これはもう全くそのとおりだと思っております。ぜひ本院におかれましても、そのような立場からの積極的な御審議をお願い申し上げたい、このように思っております。
 残余の質問につきましては、関係大臣から御答弁をいたします。(拍手)
   〔国務大臣佐藤観樹君登壇、拍手〕
#13
○国務大臣(佐藤観樹君) 坂野議員の私に対します御質問が四点ございましたけれども、今総理の懇切な答弁の中でほとんど尽きているように思いますので、簡単に答弁をさせていただきたいと存じます。
 今度の政治改革につきましては、選挙制度の改革について参議院のことを視野に入れずに改革をしているのではないか、二院制のあり方との関係でどうだというお話がございましたけれども、私たちといたしましても、当然のことながら衆議院と参議院というこの二つの院が二院制の趣旨を十分生かして国政の発展につながるような、そのような役割を果たしていくことが当然だと思っているわけででございます。
 今回の選挙制度の改革につきましては、総理からもお話がございましたように、あくまで政党が中心になって小選挙区制度あるいは比例代表の方をやっていくんだという前提になっておりますし、あるいは重複立候補を認めているということもあったり、あるいは名簿登載者というのは政党に所属をする者に限るということになっておりますので、その意味におきまして現在の参議院の選挙制度とは異なっているという認識に立っておるわけでございます。
 しかしながら、衆議院におきまして並立制を入れるということに伴いまして、参議院の役割あるいは機能というものをより発揮するためにはどうあるべきかということにつきましては各党各会派におきまして今活発な議論がなされているように聞いておりますので、私たちといたしましても、何分とも国権の最高機関の一院に関するあり方の問題でございますので、各党会派の十分な御論議を賜りたい、こういうふうに考えているわけでございます。
 それから、政党助成制度につきまして、地方政治家に対しましても公的な助成対象にすべきではないかというお話がございました。
 これに対しまして私たちは、総理からもお話があったように、あくまで今国民が求めているものは腐敗をした政治のもとは何だったか、企業・団体献金ということがこれが今の現状を起こしてきているのではないか、こういう立脚点に立つならば、私たちといたしましては、この際企業・団体献金は政党のみに限るということで、政治家と企業というものの関係をこの際断ち切るべきであるということに立っているわけでございます。
 そういった意味におきまして、地方の議員の方につきましても、活動につきましては政党に所属する者は政党交付金の交付もございますし、あるいは個人献金でやっていただくという道もあるわけでございますから私たちといたしましては、国の政治の問題だけではなくて地方の、いわば地方というのは国を全部支えているわけでございますから、その政治のあり方自体をこの際問い直していく時期ではないかというふうに考えておりますので、十分、制度で対応できるというふうに考えております。
 それから、企業・団体献金につきまして一部これを解禁し認めるようにしたらどうかというようなお話もございましたけれども、今申しましたように、現在でも残念でございますけれども一部地方自治体の首長が続々と逮捕されるというような、このようなゼネコン汚職というのが続いておるわけでございます。
 こういう状況を考えますと、この際やはり企業・団体献金というものを政党に限って、個人との関係を断ち切るということが政治の浄化にとって不可欠である、こう言わざるを得ないというふうに考えておりますので、私たちといたしましては、一部一定の金額だけ企業・団体献金を許すという考えには立たないわけでございます。
 最後に、戸別訪問の解禁の問題もございましたけれども、これが今日まで禁止をされておりましたのは、なかなか有権者にとりましても煩にたえないとかあるいはプライバシーの侵害だとか、こういったことがあったものですから禁止をされてきたわけでございます。しかし、これから政党中心、政策中心の選挙制度になっていく場合には、この際やはりヨーロッパと同じように有権者とじかに話し合えるという、この戸別訪問というのは解禁をする時期に来ているのではないか。
 ですから、海部内閣のときの法案でも、人数の制限とかあるいは時間の制限はございましたけれども一部解禁をしたわけでございますので、有権者の意識の変革もございますので、政府案といたしましては、ひとつこれを解禁して自由な政策論議というものがなされるような選挙にした方がいいのではないか、こういう趣旨のもとに本法案を提案をした次第でございます。
   〔国務大臣山花貞夫君登壇、拍手〕
#14
○国務大臣(山花貞夫君) 坂野議員から二点御質問をいただきました。
 初めは、衆議院における審議そして採決に至る経緯に関する評価、認識を述べよということでございましたが、百二十時間を超える御熱心かつ真剣な御論議の上、粛々と御採決いただき、可決していただきましたことに対して、野党の皆様も含め各党各会派の皆様に謝意と敬意を表する次第でございます。
 次のテーマは、企業・団体献金の関係でありまして、企業献金を悪と考えるのか、企業献金については一定の条件をつけることなどにより、政治家の政治団体に対する企業献金を認めてよろしいのではないか、こうした御質問でございました。
 総理も先ほど答弁されたとおりでございます。私たちは、まず、この企業・団体献金すべてが悪であるとは考えておりません。そして、御意見のような御主張があることについては承知しているところでございます。しかし、近年続発する政治腐敗事件の多くが政治家をめぐる企業などの団体献金に原因しているということを考えますならば、この際、公的助成の導入などの措置を講ずることにより廃止の方向に踏み出すべきであると考え、このたびの法案では、政党・政治資金団体以外の者に対するものは一切禁止するということにしたものでございます。(拍手)
   〔橋本敦君登壇、拍手〕
#15
○橋本敦君 坂野議員からいただきました御質問の第一点は、政策本位の選挙に取り組んでいる私ども日本共産党が、政党本位の選挙になじみにくいと言われる中選挙区制をなぜ支持するのかというお尋ねでございました。
 坂野議員は現行の中選挙区制は政党本位の選挙になじみにくいと、こう言っておられますけれども、なぜそうなめか特に理由をお述べになっておられません。恐らく小選挙区制導入を主張される立場から、中選挙区制では、よく言われておりますように、複数立候補による同士打ちが起こるからというのがその主な理由だと思います。
 しかし、この同士打ちの問題、これは選挙制虚の問題ではないと思います。自民党の内部資料の「選挙制度の基礎知識」というのを拝見いたしますと、「現行の中選挙区制で、最も大きな弊害と生れている点は、この同士討ちである」、「しかし、この同士討ちは党内の事情である。その党内事情の同士討ちをなくすために小選挙区制にしようというのでは、党利党略のそしりはまぬがれない。」と、こう書いておられるわけでございます。
 政党本位の選挙を行うかどうかはその政党の政治姿勢の基本問題でありまして、選挙制度の問題ではない、こう考えるわけでございます。私ども日本共産党としては、中選挙区制では政党本位(選挙にはなじみにくいという御主張は、これは北ともと根拠がないものではないかと考えておる」ころでございます。
 坂野議員は、小選挙区制で政党本位の選挙になるという御意見のようでございます。しかし、小選挙区制になりますと、かえって政党本位どころか個人中心の、しかも腐敗、不正がはびこる、そういう選挙になりますことは、戦前小選挙区制を二回導入いたしまして、その都度これらの弊害めために小選挙区制を廃止して、そして中選挙区制にしてまいりました我が国の歴史によっても実証されているところでございます。
 我が党は、民意を比較的正確に反映できるために準比例代表制と言われております現行の中選挙区制のもとで政党中心の選挙を大いに進めることができる、こう考えております。
 また、そのためにも八六年の国会決議に基づきまして直ちに定数の抜本是正を行いますことが、これが国会が国民に対して果たすべき責務である、こう考えております。その上で、日本共産党は将来的には一層民意を正確に反映し、また国民が政党を正確に選ぶ比例代表制に進むべきだという、こういう立場であることを申し上げておきたいと思います。
 次に、御質問の第二点でございますが、衆議院議員の総定数問題についてお答えいたします。
 坂野議員の御質問の要点は、衆議院の現在の五百十一という定数は附則で定めるもので、本則で定める四百七十一の定数に削減するのが本来の筋ではないかという、こういう御質問と思います。
 まず、本来国会議員の総定数はどのくらいで成るべきか、これは主権者である国民の意思を何よりも国会に正しくかつ豊かに反映させるのに必要で十分な数を確保する見地に立って決められるべきものと思っておりますが、この立場に立つなら、現在の総定数五百十一を削減しなければならない特段の理由は全くないと考えております。といいますのも、現に各国下院の一議席当たりの人口を見てまいりますと、日本の二十四万二千人に対しまして、フランスは九万九千人、カナダは九万二千人、イギリスでは八万五千人となっておりまして、アメリカを除きますと我が国の議員定数は諸外国に比べまして決して多いとは言えない状況だからでございます。
 そこで、現行法の本則が議員定数を四百七十一としている点でございますけれども、もともと衆議院議員の定数は、日本の人口が現在と比べましてはぼ半分であった時代に、人口十二万に対しまして一議席を割り当てる、これを基数にいたしまして総定数三百で出発したものでございます。そして、戦前には定数是正のたびに本則の方を改正いたしまして四百七十一に至っておるものであります。現在、附則で本則と違って定数五百十一となりましたのは、長きにわたって格差一対二未満の抜本是正を棚上げして暫定是正ということをやってきた結果にほかなりません。
 こういうことに照らしますと、定数を四百七十一にするということは現在と比べまして人口が約半分の時代に戻せということに等しいことに決りはしないか、合理的理由がないものと考えるわけでございます。
 我が党案は、人口二十四万二千人に対して一議席となっております現在の定数五百十一をこの際本則に定めまして、これを出発点といたしまして、今後は国勢調査をもとに的確かつ抜本的な宗教是正を国会と政府に義務づけまして、おざなりな定数是正をもう附則で行わない、こういうことにしまして、その都度本則で明確に定めるようにしようとするものでございます。
 次に第三問といたしまして、企業、団体も社会的な存在である以上、その政治活動も保障されなければならないが、企業・団体献金を全面禁止することは団体結社の自由を大きく阻害するものではないかというお尋ねがございました。企業、団体が政治的意思表示をする自由を持っておりますことは言うまでもございません。そのことと、企業が特定の政党、政治家に政治献金をするということとは本質的に異なる問題だと私どもは考えております。
 既に提案理由説明で御説明いたしましたように、政治献金は参政権の一形態でございまして、参政権を持つ個々人が主権者であり、国民一人一人が自分の支持する政党、政治家に献金を行いますことは、これは選挙での投票と同様に憲法十五条が国民に保障しております参政権の重要な一部をなすものでございます。
 しかし、企業にはそういった参政権はこれはございません。そういう企業が巨大な財力で政党、政治家に献金をする、こういうことをやりますと国民の政治意思を公正に形成していくことをゆがめまして、憲法上の国民の権利を侵害するということになってまいります。
 また、実際にも、企業は社会的存在であっても営利を目的としているものでございますから、企業献金をいたしますと必ず見返りを期待する、政治を金で左右する、こうならざるを得ません。もし見返りを期待しないのなら株主に対する背任行為ではないか、こう言われております。このような企業献金が全面駒に禁止されなければならないのは、国民主権の立場から当然のことであると考えておる次第でございます。
 以上でございます。(拍手)
#16
○議長(原文兵衛君) これにて午後一時十分まで休憩いたします。
   午後零時二分休憩
     ─────・─────
   午後一時十二分開議
#17
○副議長(赤桐操君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 趣旨説明に対する質疑を続けます。久世公堯君。
   〔久世公堯君登壇、拍手〕
#18
○久世公堯君 私は、自由民主党を代表して、提案されました政治改革関連四法案に対し、細川総理ほか関係大臣に質問をいたします。
 政治改革は、現下における最重要かつ緊急の課題であります。我が自由民主党は、政治に対する国民の信頼の回復とともに、国民の願う政治改革を実現すべく、数年来努力を重ねてまいりました。
 政治改革関連法案につきましては、衆議院においては過去の経緯を含めますとかなりの時間をかけて審議をいたしておりますが、参議院におきましては全く審議をしておらず、まさにこれからでございます。
 この法案の衆議院通過に際し、新聞社説等は、審議時間の長さはともかく、論議の内容が不十分であったことを指摘し、参議院審議の中でもう一度改革の原点に立ち返り、国民が真に願う政治改革の中身を吟味し、思い切った手直しを加えるべきであると強く主張をいたしております。
 加えて、この法案は参議院との関連性が深いばかりでなく、参議院選挙制度さらには両院制のあり方が問われております。十分な時間をかけて審議いたしますとともに、改革の実を上げ得るよう修正も考えるべきだと思います。
 以下、幾つかのテーマについて質問をいたしますが、その前に、政治改革に取り組む総理の基本認識と現時点における御決意、特に法案修正についての御意向について伺っておきたいと思います。
 質問の第一は、連立政権と政治責任についてであります。
 細川連立内閣が発足をして既に三カ月余りとなりました。今回の法案は、政党中心、政策中心の政治体制をつくるための選挙制度が中核となっておりますだけに、七党八会派による連立政権に対して著しい不安を持っております。
 さきの本院予算委員会におきましても、自衛隊違憲問題や非核三原則問題等で細川連立政権内の不統一を国民の前に露呈をいたしましたが、本法案についても連立与党内に不協和音が満ちあふれ、閣内も不統一となるおそれがあるのではないかと危倶の念を持っているのであります。
 「連立政権樹立に関する合意事項」として、並立制による選挙制度改革を行うことをうたっておりますが、過ぐる通常国会で社会党及び公明党が提案いたしましたのは並立制と百八十度異なる併用御でしたし、総選挙に当たって各党の公約の中に並立制を掲げましたものはほとんどなかったのであります。連立政権樹立に当たって、政治判断だけで政治の根幹である選挙制度につき並立制に雪崩を打って合意、順応したことについて、まことに奇異に感ずるのであります。
 また、過般の衆議院における与野党の修正協議のための大者会談には、与党第一党の社会党、そして法案について実質責任を持っていると言われる新生党はいずれもその代表に加わっておられません。はれものにさわるように社会党を抱きかかえ、新生党を表に出さないようにしながら細渡りの閣内運営を行っておられる総理の御苦労も大変のことと存じますが、それ以上に、国民はこのようなガラス細工の内閣がいつまで続くのかと不安を持っていることと思います。
 総理、予算委員会の質疑の際にも痛感いたしたことでありますが、細川連立内閣は、政治改革を含む国政の基本問題につき国会に連帯して責任を果たし得るでしょうか。お答えいただきたいと思います。
 また、総理がしばしば口にされるヨーロッパにおける連立政権の実態は、細川内閣のごとく、閣内における立場と見ないし個人の立場を使い分けるような国務大臣を抱える連立政権はどこの国にも見当たりません。細川連立内閣は世界においてたぐいまれなる無責任な連立政権であると思われますが、御所見を承りたいと思います。
 また、衆議院の審議において、総理を初め何名かの閣僚良連立政権維持のために多彩な選挙協力を行うと答弁しておられますが、いまだに主要政策が各党ごとにばらばらで統一性のないと党八会派の連立与党は、今後の選挙において国民にどのような公約を行われるのでしょうか。各党互いに協力するとか連立を組むつもりとだけを公約して、政策については合意のないままに国民を欺くおつもりでございましょうか。連立政権における選挙措力についての考えを承りたいと思います。
 衆議院や参議院の基本的選挙制度は、過去の経緯を見ても二十年、三十年に一度あるかないかの改革です。政治を論ずる大切な土俵づくりです。今回の改革は四十六年ぶりの大改革ですが、どう見ても理念、哲学があるとは思えず、また国民の真の意思に沿ったものとも言いがたく、不安定な連立政権のもとにおいて何とかまとまればよいとか、ここまで来たのだからとにかく変えてみようという無責任かつ拙速的な考え方に基づくものと思われてなりません。もう一度、国民の立場、選ぶ側の論理から検討し直していただくことを強く期待いたします。
 第二に、並立制の本質についてお伺いいたします。
 自由民主党が提案いたしました並立制の本質は、政党中心、政策中心、そして政権を選ぶ政治体制をつくるために民意を集約することであり、したがって小選挙区が中心となり、比例代表は補完という関係になるわけであります。
 ところが、政府提案の並立制は、総理の御答弁によりますと、小選挙区と比例代表のそれぞれの特色を生かす相互補完による制度と言われており、小選挙区と比例代表という全く異なった選挙制度を足して二で割った制度であるように受け取れます。また、都合のいいときには並立制は政権を選ぶ選挙制度、政党中心、政策中心の選挙と言い、都合の悪いときには民意集約と民意反映の二つの選挙と言っておられるように思われます。衆議院の修正によりまして多少小選挙区のウエートが高まりましたものの、その本質は変わらないと思われます。さらに、並立制は本来安定した政権を確立するため二大政党制の実現をねらいとする選挙制度ですが、総理は穏健な多党制に収れんするという見通しを述べておられます。
 そこでお尋ねをいたしますが、今日における我が国の政治の現状を顧みるならば、我々が今選択すべき並立制の本質は、政策能力を備え安定した政権を選ぶための選挙制度であり、小選挙区選挙が主で比例代表選挙は往の関係でなければならないと思いますが、御所見を承りたいと思います。
 また、並立制を総理はそれぞれの特色を生かす相互補完の関係と言われますが、実態は、それぞれの特色ないし長所が生かされるどころか、相殺されて短所のみが生きることとなり、並立制の本質に反することとなると思いますが、いかがでございましょうか。
 私はどうも、連立政権内の各党が選挙制度の究極的なあるべき姿をそれぞれ考えつつも、連立を組むという事情から過渡的な姿として並立制に合意されたのではないかと思われてなりません。我が国の衆議院選挙制度として望ましい究極的な姿は、小選挙区のウエートが高く二大政党体制をねらいとする制度であるべきなのか、むしろ比例代表制に近づけることが望ましいのか、あるいはその中間とも言い得る穏健な多党制が目標なのか、各党のお考えにつきそれぞれの党に属する国務大臣にお答えをいただきたいと思います。
 さらに、総理の言われる穏健な多党制という意味についてお伺いをいたします。
 穏健というのは、常識的に言われる穏やかなという意味ではなく、米国の政治学者の言うモデレート、すなわち数が多くもなく少なくもないという意味で使われておりますのを借用されたものと思われます。そうなりますと、穏健な多党制を前提とする政党の体制やその数は、七党八会派は多過ぎてうんざりだけれども、四つ五つぐらいの政党か、三つか四つなのか、また穏健な多党制に収れんする見通しについて具体的に説明していただきたいと思います。どうも穏健な多党制は並立制では実現しにくいような気がいたしますが、いかがでしょうか。
 なお、並立制をとっている国は一般に大統領制が多いようですが、そもそも並立制が我が国のような議院内閣制に親しむ制度であるかどうかについても御答弁願いたいと思います。
 第三に、並立制と参議院選挙制度との関係についてお尋ねをいたします。
 細川総理は国会議員として十三年五カ月在籍をしておられます。この間に、参議院全国区、地方区、比例代表区、そして衆議院、お立場も与党、野党、そして前とは別の与党、さらに知事選挙、まさに選挙制度を総なめしておられ、ギネスブック物でいらっしゃいますが、国政では参議院の御経験が圧倒的に長く、参議院については豊富な知識と無限の愛着を持っておられることと拝察をいたします。
 憲法で両院制をとっている我が国では、衆議院と参議院とがそれぞれの存在理由のもとに機能を分担し合い、特に参議院は衆議院と異なる角度からの審議機能を持つとともに、衆議院に対するチェック機能を果たしているところに特色があります。このような両院制の本質を考えますと、衆議院と参議院とは異なった選挙制度によって選ばれた議員によって構成されることが望ましいし、現在のところそのようになっております。
 今回の政治改革の中核は衆議院の選挙制度の抜本的改革を行うものでありますから、本来は衆参両院の選挙制度をワンパッケージで改革すべきものであることは言うまでもありません。衆参両院の選挙制度が仮に同時提案できない場合でも、参議院選挙制度の改革の考え方と具体的改革構想が示されなければなりません。
 私ども自由民主党は、午前中に坂野議員から詳細にわたって説明がありましたように、当然のことながら現時点における参議院選挙制度の改革に係る構想を持ち、これに基づいて政治改革の審議に今臨んでおります。両院制のもとにおける衆参両院のあり方に照らし、これらの諸点について御答弁を賜りたいと思います。
 特に、改革すべき参議院選挙制度の具体的構想につきましては、午前中の坂野議員の質問に対する総理からの御答弁によりますと、現在持っていないとのことでございますが、両院制を踏まえ、衆議院選挙制度の抜本的改革を提案される以上、責任ある政権党としては当然改革の構想を持っていなければならないと思います。
 また、総理は午前中の御答弁の中で、自由民主党の斎藤会長と各会派による改革の話を出されましたが、それはことしの初め、あるいは去年の暮れ、四増四減が問題になりました当時の話でございまして、この問題ではございません。総理、お間違いにならないようにお願いをしたいと思います。重ねて、これらの点についての御答弁をお願い申し上げます。
 また、法案によりますと、衆議院比例代表制と現行の参議院比例代表制は極めて類似の制度となっております。憲法の定める両院制のもとにおきまして、現に存在する参議院選挙制度と競合、矛盾するような改正を提出すること自体、土足で参議院というやかたに踏み込んでくることに等しく、絶対に許されないことであると思いますが、御所見を承りたいと思います。
 この点につきましては、衆議院における審議では、両者の差異についていろいろと比較の上、専門的な説明をされておりますし、午前中の坂野議員の質問に対する答弁によりますと、総理及び自治大臣から重複立候補制や政党所属問題をその理由に挙げられておりますが、国民から見れば両者は全く同一であり、その差はわかりません。衆参同時選挙にでもなれば戸惑いをするのは国民でございます。国民的視点から見てどのようにお考えになっておられるのか、国民にわかるように御答弁を願いたいと思います。
 第四に、政治改革と地方自治についてです。
 米国では、四十二代にわたる歴代大統領のうち十五名が州知事の出身者であります。それに比べて我が国では、細川総理は憲政史上恐らく初めてに近い知事出身の首相でいらっしゃいます。また、クリントン政権では、大統領及び内務長官と教育長官の三人が州知事の出身、また住宅都市開発長官と運輸長官の二人は市長の出身です。細川政権も、総理と武村官房長官は知事の御出身、畑農林水産大臣と五十嵐建設大臣は市長の御出身でいらっしゃいます。私は、地方自治の薫り高い細川内閣には、長く地方自治に身を置いた者の一人として地方自治の立場からエールを送りたいと思います。
 細川政権には、当然のことながら地方自治からの期待はまことに大きなものがありました。政治改革につきましてもその例外ではありません。ただ実態はどうでしょうか、全くの期待外れと言っても過言ではありさせん。
 政治改革法案について地方自治の生の声を反映すべく、衆議院での公聴会に、自由民主党は、中央公聴会で地方自治六団体の意見を聞くことを、また全国十カ所で地方公聴会を実施することを強く主張いたしましたが、これに対する連立与党の態度は極めて消極的であったことは御承知のとおりです。何とか自由民主党の意見が通り、公聴会は行われましたが、各地で地方自治の立場、特に地方議員から多彩な意見が出されたにもかかわらず、ほとんどこれを取り上げることなく、法案にもわずかしか反映されておりません。
 並立制について、自由民主党が小選挙区の割合三百、比例代表の単位を都道府県単位とすることを強く主張いたしておりますのも、民意の集約、政権を選ぶための選挙制度という並立制の本質に加えて、過疎地域を含む地方自治の視点からの強い要請があるからでございます。政治を国民にとって身近なものにするためにも、小選挙区の割合を三百とし、比例代表の単位を都道府県にするための修正を強く要求いたします。
 これらの点を含め、政治改革について地方自治に対しどのように配意されているか承りたいと思います。
 衆議院選挙制度が並立制になりますと、地方自治体の選挙制度も影響を受けることとなります用地方自治体の選挙制度の改革の考え方と具体的構想は当然お持ちのことと思いますが、お聞かせ願いたいと存じます。
 また、小選挙区の区割りは、地方の行政、経済、社会、文化と極めて関連が深いと思います。区割りを衆議院議員選挙区画定審議会に任せるに当たって、基本的方針とその手続については法律自体に定められておりますが、内閣としてどのような方針で臨まれるか、また審議会からの勧告を受け、区割りに係る法案を提案される際にどのような配慮をされるのか、具体的に承りたいと思います。
 細川総理は、地方分権の推進を強調されておられます。地方分権の確立のためには、近い将来において都道府県制度、市町村制度の抜本的改革が必要であり、首都移転問題もこれとの関連において検討することが重要であると思われます。衆参議院の選挙制度改革は、地方制度の抜本的改革と極めて密接な関連性があるものと思われますが、並立制を中心とする今回の改革はそのあたりのことまで視野に入れておられるかどうか、承りたいと思います。
 第五に、政治資金規制、政党助成等についてお尋ねをいたします。
 政治改革に関して忘れてならないことは政治と金の関係を正すことであり、また国民が政治改革に最も期待をいたしておりますのは、政治腐敗防止と政治資金の透明化です。昨今、この政治改革の本来の目的が薄れ、政界再編への思惑のみが先行している感がなきにしもあらずでございます。
 昨年末、宮澤内閣当時、早急に行わなければならない緊急改革として、政治腐敗防止や政治資金規制について二十一項目にわたる改革を行いましたが、その成果がどのように上がっておりますか。仏つくって魂入れずでは困ります。その際改正された制度の一つとして政治倫理審査会がありますが、これが全く活用されておりません。政治家みずからが襟を正し、政治倫理を確立する制度として政治倫理審査会の活用が必要だと思われますが、総理のお考えを承りたいと思います。
 法案によりますと、政党に対するものを除き企業・団体献金を全面的に禁止をいたしておりますが、企業も社会的存在であり、政治に対する参加意欲も大きく、政治活動も保障されております。資金の透明性を確保し、違反や抜け道を厳しく規制することにより、これを認めることが当然と思いますが、御所見を承りたいと思います。
 また、企業・団体献金禁止に関連して、ボランティアと称して政治活動のために役務を提供する脱法的行為は厳に慎まなければならないと考えますが、御所見を伺いたいと思います。
 個人献金は今後望ましいものとして助長させることが肝要です。そのためには、多少年月をかけてまず国民の意識を定着させ、税制のあり方なども十分検討した上で望ましい方向で実現すべきものと思います。少なくとも、個人献金が国民の間に定着するまで企業・団体献金を認めるべきものであると思いますが、御所見を承りたいと思います。
 次に、政党に対する公的助成についてお尋ねいたします。
 政治改革四法案を通じて、今回の改正は選挙における政党中心主義を大きく取り入れておりますが、そうする以上、政党が国民に持つ重い責任を果たすために、政党の将来像を明らかにした上で政党に係る法制を考えなければなりません。いわゆる政党法の制定が必要です。政党に対する公的助成もその一環として行うべきものと思います。
 したがって、政党助成につきましては、今直ちに行うのではなく、政党法の制定や企業・団体献金のあり方、そして個人献金の定着をも勘案して行うべきものと思います。これらの点について御所見をお聞かせ願いたいと思います。
 また、仮に公的助成を認める場合についても、公的助成の対象について、法案では国からの助成の対象を一定以上の国会議員数や得票率を満たす政党に限っております。したがいまして、それに満たない政党は一切の対象になりませんし、そもそも無所属である国会議員は考慮されておりません。参議院において無所属の議員で構成されている院内会派がある現状を考えますと、政党助成の対象となる要件についてはもう一度検討してみる必要があると考えますが、御所見をお伺いいたします。
 さらに、試算によりますと、現在の政党の財政経費を上回る助成を受け取る政党が出てくることになります。これは税金で賄われる政党助成のあり方からして、多くの国民の到底納得いかないところだと思います。政党の財政経費の一定割合を超える額の助成は国に返還させるなどの措置を講ずることを新たに検討する必要があると考えますが、御所見を伺いたいと思います。
 なお、政党助成を行う以上は既成政党と新規政党の平等性を確保するとともに、地方首長や地方議員に対する公的助成も念頭に置き、かつ地方の無所属首長や議員に対する制度上の配慮も当然に行わなければなりません。これらの点について御答弁をお願いしたいと思います。
 政治改革法案について、以上五項目について私の意見を述べましたが、法案全体を通じて二つの点を指摘いたしたいと思います。
 第一は、政治改革法案と憲法との関係です。
 政治改革関連四法案には憲法上問題とされる問題点が数多くございます。既に申し上げました両院制に係る憲法四十二条及び四十三条、内閣の国会に対する連帯責任に係る憲法六十六条。また、今回の並立制が政党中心の選挙制度であることから、小選挙区選挙では立候補及び選挙運動について、比例代表選挙では名簿届け出の要件について、さらに企業・団体献金の受領について、既成政党と新規政党との間において不平等が生ずることについて憲法十四条及び十五条の関係から問題でございます。新生党、日本新党、新党さきがけなど新党ブームで躍進した政党が中枢を占める細川連立政権が、これから出てくる可能性のある新しい政党に対して門を閉ざし、これを不平等に扱うことにつきましては全く自分勝手と言われても仕方がありません。
 比例代表の議席配分をめぐる三%阻止条項や、政党助成をめぐる無所属議員の扱いについても憲法十四条の関係から問題でございます。政党助成についての検査、監査に関連して、政党に対する国家権力の介入をめぐって憲法二十一条問題もありますし、さらに衆議院議員選挙区画定審議会を総理府に置くことについては、三権分立の原理から問題であります。共産党からは憲法十九条の御指摘もございました。これらの諸点については、何分憲法に係る問題でございますので、ぜひお考えをお聞かせ願いたいと思います。
 第二は、法案は衆議院選挙のみのことを考え、参議院選挙や地方自治選挙について念頭に置いていないことです。
 基本的な問題としては、既に申し上げましたように、両院制のもとであるにもかかわらず、衆議院に並立制を採用して政権の選択と多様な民意の吸収とを実現させようとする余り、参議院の公選制との調整が図られないままになっていることは極めて問題でございます。さらに、今回の四法案を通じて政党中心のシステムをつくり上げておりますことは、衆議院選挙のためにはそれなりに意義があることと思いますが、政党政治に必ずしも親しまない参議院選挙や地方自治選挙について、それぞれの特性に配慮することなくこのシステムの中に組み入れようとしていることを指摘しなければなりません。
 また、細かな問題としては、衆参の比例代表制で名簿届け出要件が整合性を欠いていること、戸別訪問の解禁自体も問題ですが、その解禁に当たって衆議院小選挙区と参議院選挙区との選挙区の広さの違いを考慮していないこと、あいさつ状の制限強化に当たって参議院比例代表選出議員について配慮していないこと、企業献金の受け皿となる政党支部について実情に沿わないことなど、参議院選挙制度のみをとらえても実態にそぐわない問題が多々ございます。
 地方自治選挙につきましても、法案は地方自治に対して配慮していないところか、地方自治の視点や地方議会の立場について全く論議の対象にしておりません。地方公聴会が行われまして以来、全国の地方自治体、特に地方議会においては、法案に対する不満の声が僚原の火のごとく広がり、暮れの定例議会で政治改革と地方自治の関係を徹底的に論議し、地方自治の立場から意見書を提出しようという機運が津々浦々にみなぎっております。
 また、この法案によって政党の中央本部が権力を集中することは、せっかくほうはいとして起こりつつある地方分権の流れを逆流させるのではないかと危惧の念が抱かれております。これらについても御所見を承りたいと思います。
 最後に一言申し上げます。
 衆議院で本法案が通過する前後から、各新聞論調そして世論は大きく変わってきております。それは、国民が本法案の中核をなす選挙制度改革の内容、特に並立制の意義についてほとんど理解していないということ。そして、国民が求めている真の政治改革とは何かということをいま一度有権者、国民の側からじっくりと考え直し、吟味すべきであること。また、ここまで来たのだから何とかまとまればといった安易な考え方や、何でもよいから足して二で割るといった妥協は絶対に許されないということです。
 さらに、参議院審議に対する激励の論調も数多くございます。衆議院に並立制をとることは、両院制のもとにおける参議院の存在価値を失わせるに等しいとか、議会制度の根幹にかかわる基本問題であるから審議を尽くすべきであるとか、衆議院の選挙制度改革はむしろ利害関係の少ない参議院においてこそ積極的に論ずべきであるとか、改革の実現には最後の段階が極めて重要であり、参議院の段階においてこそ十分な審議を行い、思い切った修正を加えるべきである等々、参議院審議に対して大いなる期待を寄せ、我々を勇気づける論調が連日紙面をにぎわしております。
 時間が参りましたので政治改革法案についての私の質問を終えることといたします。
 重ねて申し上げますが、政治改革は今日我が国における最重要かつ緊急の課題です。しかし、法案は両院制の本質、並立制の基本、憲法をめぐる諸問題等の基本問題を初め、政治資金規制、政党助成等、個別問題まで余りにも問題点が多く、修正をしなければならない点も数多くあるものと思われます。
 参議院は、総理も長年にわたって経験されましたように、良識の府でございます。衆議院と異なった各方面にわたる専門家も数多くおります。私が申し上げました問題点及び修正点については高い見識を持つ先輩、同僚議員とともに改めて政治改革特別委員会で徹底的に論議を闘わすことといたし、私の質問を終えます。(拍手)
   〔国務大臣細川護煕君登壇、拍手〕
#19
○国務大臣(細川護煕君) 初めに、政治改革に取り組む基本認識などについてのお尋ねでございましたが、国民に信頼される政治を取り戻すためには、政治改革をぜひとも早急に実現をするということが何よりも必要であるというふうに認識をいたしております。審議に当たりましては、与野党の合意の形成に努め、各党各会派の御理解と御協力を得て、政治改革関連法案の今国会中の成立が図れるように全力で取り組んでまいりたいと思っております。
 政治改革を含む基本問題について国会に連帯して責任を負い得るか、こういう趣旨のお尋ねでございましたが、連立内閣が政治改革を含む国政の基本問題について、当然のことながら何よりも閣内統一を心がけ、国会に連帯して責任を果たしつつあることについては国民もそのように認識をしてくださっているものというふうに確信をしているところでございます。
 閣内における立場と見ないし個人の立場が異なっていながら両立している例というのは、例えばフランスのミッテラン政権下のモーロワ内閣における共産党でありますとか、あるいは最近のドイツのコール内閣におけるFDPの立場でありますとか、広くヨーロッパに実際に見出し得るものというふうに承知をいたしております。したがって、無責任な連立政権という御指摘は必ずしも当たらないのではないかというふうに受けとめているところでございます。
 連立政権における選挙協力についてのお尋ねでございましたが、連立政権における選挙協力は当然国民に対して統一的な公約を示して審判を仰ぐのが適当であると考えておりますが、しかしながら、場合によっては選挙において示された民意に従って選挙後に各党がより大きな大義のために結集することを必ずしも排除するものではないとも考えております。
 それから、小選挙区選挙と比例代表選挙の相互補完の関係についてのお話でございましたが、今回政府が提案している並立制は、小選挙区制と比例代表制とを組み合わせてそれぞれの制度の持つ特性を補完的に生かそうという考え方に立っているものでございますし、衆議院における修正によって小選挙区のウエートが増したわけでございますが、この基本的な考え方は生かされているものと認識をしているところでございます。
 それから、政党のあり方と選挙制度についてのお尋ねでございましたが、政党制がどのようなものになるかということは、選挙制度によって当然に導かれるものではなくて、広い意味での国民の選択によるものと思っておりますが、見通しとしては、直ちに二大政党制や極端な多党制というものにはならずに穏健な多党制に収れんをしていく可能性があると考えているわけでありまして、並立制はそれにふさわしい選挙制度だというふうに私は考えております。
 穏健な多党制に関連してもう一つお尋ねがございましたが、学説的にも政権の帰趨に関与する政党が大まかに三つから五つ程度のものを言うと承知をしておりますが、私もこれと異なったことを言っているわけではございませんで、我が国でも結局はそういう方向に向かうことになるのではないかという見通しを申し上げたところでございます。このような穏健な多党制というのは、今回の修正後の政府案の並立制におきましても全国単位で二百二十六の比例議席が考えられておりますことから、十分実現可能なものというふうに考えている次第でございます。
 並立制は議院内閣制に親しむ制度であるのか、こういうお尋ねでございましたが、小選挙区制と比例代表制を組み合わせたいわゆる並立制をとっております国にもハンガリーとかイタリアとか議院内閣制をとっている国もございますし、並立制が議院内閣制になじまない制度というふうには考えておりません。
 それから、参議院制度改革の具体的な構想についてのお尋ねでございましたが、参議院の選挙制度のあり方につきましては、衆議院の選挙制度との関連を念頭に置きながら、二院制の趣旨が生かされることを基本に検討されるべきものであることは申すまでもございません。
 その際、第八次選挙制度審議会による現行制度の問題点解決のための具体案の答申でありますとか、あるいは参議院の各党で進められております協議の状況というものを参考に、各党各会派間でさらに十分御論議を賜って、できるだけ早い時期に合意点を見出していただきたいと思っておりますし、そのような合意が得られた場合には政府としても尊重させていただきたいと考えているところでございます。
 それから次に、並立制は参議院の選挙制度と全く同一であることについてどう考えているのか、また衆参同時選挙の場合は国民にどのように説明するつもりか、こういうお尋ねでございましたが、これまで繰り返し申し上げておりますように、今回衆議院選挙に導入しようとしております並立制は、現在の参議院の選挙制度とは異なる内容のもので、仮に衆参同時選挙を想定するといたしましても、このような制度が支障になるとは考えていないということでございます。
 次に、法案には公聴会での地方の声が取り入れられていないと思うかどうか、こういうお尋ねでございますが、先般の地方公聴会におきましては各地域各界の方々から活発な御意見が述べられたわけでございますが、衆議院におきましてはこうした御意見も踏まえて、政府原案よりも小選挙区の定数をふやし、小選挙区二百七十四、比例代表二百二十六とする修正や、政党交付金の総額の修正などが行われたところでございます。
 それから、地方自治の視点から小選挙区の数を三百とし比例代表の単位を都道府県とすべきではないかというお尋ねでございますが、小選挙区と比例代表の定数につきましては、衆議院におきまして委員会などの論議あるいは公聴会などにおける御意見を踏まえまして、今申し上げたような形で修正が行われたところでありまして、この修正によって原案の基本的な考え方も原則的には維持しつつ、審議の過程で表明されたいろいろな配慮もなされたものと考えているところでございます。
 また、比例代表選挙の区域につきましては、これを都道府県ごととした場合には定数の少ない選挙区が数多くできると見込まれますし、少数政党が著しく不利になること、人口格差が拡大することなどの問題があるというふうに認識をしているところでございます。
 それから、地方自治体の選挙制度の改革に対する具体的な構想いかんということでございますが、地方公共団体の選挙制度につきましては、国の選挙制度との整合性という観点とともに、国政選挙と異なる事情、例えば地方公共団体は長を住民が直接選挙するという大統領制といった形をとっているというようなこと、そういうことをどういうふうに考えるか、あるいは政党化が進んでいる都道府県や指定都市と一般の市町村とは区別をして考えるのかどうかといったようなこと、いろいろ問題点があろうと思いますが、そういった点も考慮をし、また地方制度の改革とも関連をして検討をされるべき課題だと考えているところでございます。
 それから、画定審議会についてのお尋ねでございましたが、選挙区の区割りは言うまでもなく公正妥当なものでなければなりませんし、今回、学識経験者から成る公正な第三者機関を設けてこれを行うこととしたところでございます。内閣としては公正な判断をいただける方を委員としてお願いをした上で、その審議の進め方は任命された委員の方々の合議にゆだね、第三者機関としての特徴を生かして御審議をいただきたいと考えているところでございます。
 また、その勧告を受けた場合には内閣総理大臣はこれを尊重することとされておりますし、勧告を尊重した区割りに関する法案を作成の上、速やかに国会に提出をさせていただきたいと考えております。
 今回の政治改革に当たって地方制度の抜本改革まで視野に入れていたか、こういうお尋ねでございましたが、今回の選挙制度改革を初めとする一連の政治改革の実現は、当然今後における地方制度改革を含めた山積する内外の諸課題に対処していく上での言うならばペースというか礎になるものというふうに考えている次第でございます。
 それから、昨年末に行われた二十一項目にわたる緊急政治改革の成果はどのように上がっているか、こういうお尋ねでございましたが、昨年十二月に各党問で協議の上取りまとめられました緊急政治改革によりまして、政治資金規正法関係では、本年一月一日から寄附の量的制限違反に対する罰則の強化がなされるようになりましたし、また、違法な寄附の没収、追徴など厳しい措置が実施をされることになりましたし、また、本年四月一日からは政治資金パーティーの規制が実施をされていることは御承知のとおりでございます。
 さらに、公職選挙法関係では、公職にある問に収賄罪を犯し刑に処せられた者の公民権停止の強化が図られたところであって、一定の前進があったものと認識をしております。
 しかしながら、国民の政治に対する信頼を回復していくためには、この緊急改革に引き続いてさらに選挙制度、政治資金制度の抜本的な改革をぜひとも実現しなければならないという判断から、今国会に関連法案を提案させていただいているところでございます。
 政治倫理審査会についてのお尋ねでございましたが、政治浄化を確立するために審査会の活用が必要であるとの御指摘は全く同感でございます。本院におきましても、ぜひその活用に努めていただきたいというふうに考えているところでございます。
 企業・団体献金についてお尋ねでございましたが、企業などの団体献金のあり方についてさまざまな御意見があることは承知をしておりますが、最近のゼネコン疑惑にも見られるように、近年続いております政治腐敗事件の多くが政治家をめぐる企業などの団体献金に起因することにかんがみますと、この際、政党・政治資金団体以外の者に対するものは一切禁止をすることが適当であろう、このように判断いたしたということでございます。
 また、個人献金の促進につきましては、今回の法案でも配慮したところでございますが、企業などの団体献金の禁止は、今申し上げたような状況から見まして喫緊の課題であるというふうに考えている次第でございます。
 政党法の制定についてのお尋ねでございましたが、政党活動の自由との関係で慎重な検討を要するものと考えますし、政党助成につきましては、今回御提案している政党助成法の制定、あるいはまた公職選挙法などの改正による個別法で十分対応できるものというふうに認識をいたしております。
 次に、地方政治家への公的助成制度についてのお尋ねでございましたが、地方議員などへの公費による政治活動助成を行うことにつきましては、その前提となる地方の選挙制度のあり方、政党とのかかわり方、政治活動の実態など、いろいろな観点からの検討が必要であると考えております。
 それから、小選挙区選挙における立候補、選挙運動、それから比例代表選挙における名簿届け出の要件、それからまた阻止条項、あるいはまたこうしたことに関連して幾つかの憲法の問題に関連してのお尋ねがございましたが、御指摘のように、小選挙区選挙におきまして候補者を届け出ることができる政党なども一定のものといたしましたのは、政策本位、政党本位の選挙を実現する趣旨によるものでございまして、また三%の阻止条項は、政策論議の場である衆議院が多数の政党に分裂するおそれを少なくする観点からのものでございまして、いずれも合理的な理由に基づくものであって、憲法に反するものではないというふうに考えております。
 それから、企業・団体献金を受けることができる要件について憲法上問題はないか、こういうお尋ねでございましたが、現行の政治資金規正法におきましても、一定の要件を満たした政党につきましては、寄附の量的制限に関して政治家個人や政党以外の政治団体とは異なった取り扱いをしていることは御承知のとおりでございまして、企業などの団体献金を政党・政治資金団体に限った今回の改正案につきましても憲法上問題があるというふうには考えておりません。
 それから、政党助成をめぐる無所属議員の取り扱いについてのお尋ねでございますが、政党助成は、国民全体の負担に基づいてなされる以上、政党の機能や活動から見てこれにふさわしい政党に対して助成を行うとしたものでございまして、対象となる政党の要件を定め、その結果として無所属議員が助成を受けられないこととなったとしても、憲法十四条の禁ずる合理的な理由のない不当な差別に当たるものではないと考えているところでございます。
 それから、政党助成に関する検査、監査は結社の自由を定めた憲法二十一条に反するのではないかというお尋ねございますが、このたびの法案では、政党の政治活動の自由を尊重する見地から行政庁の関与はできるだけ排除することにしておりますが、一方で政党交付金が国民の税金という貴重な財源で賄われているものであることから、内閣から独立した機関である会計検査院の検査までは排除することとはしなかったものでございまして、現在、衆参両院における各会派に対して交付される立法事務費と同様の位置づけとしているところでございます。
 いずれにしても、必要最小限の措置にとどまるもので、政党の自由な活動を阻害するものとは考えておりませんで、結社の自由を侵害することにはならないというふうに考えているところでございます。
 次に、画定審議会の問題についてのお尋ねでございましたが、これを総理府に置くことといたしましたのは、国会議員の選挙の区割り案の作成については従来から総理府に置かれる選挙制度審議会の所掌事務とされておりますため、今回常設の専門的な調査審議機関として独立の組織を設置するに当たりましても、選挙制度審議会の例に倣ったものでございます。また、作業に当たっての事務遂行体制などの点からも総理府に置くことが適当と考えております。
 なお、内閣総理大臣は画定審議会の勧告を尊重することとされており、勧告を尊重した区割りに関する法案を作成の上国会で御審議、御決定いただくものでございまして、三権分立の見地からいっても問題はないものと考えているところでございます。
 次に、参議院選挙や地方自治選挙にまで政党中心主義のシステムを持ち込むのは問題ではないかということでございますが、今回の政治改革関連法案のうち選挙制度関係の改正については、主として衆議院議員の選挙制度を対象としたものでございます。政党助成を含む政治資金制度の改正も、参議院の政党化に結びつくものとは考えておりません。
 また、地方選挙において政党化が進むかどうかは、基本的には各政党における地方政治への取り組みの姿勢、運営方針やそれに対する地方側の受けとめ方いかんにかかわる問題があって、今回の改正が直ちにそのような結果をもたらすとは限らないと考えているところでございます。
 残余の質問につきましては、関係大臣から御答弁をいたします。(拍手)
   〔国務大臣佐藤観樹君登壇、拍手〕
#20
○国務大臣(佐藤観樹君) 最初に、衆議院に並立制を導入することによって地方選挙の改革についてはどう考えているかという御質問がございました。
 確かに、国の選挙制度と地方自治体の選挙制度、この両者の整合性ということについても非常に重要なことでございますが、一方ではまた、御承知のように国と地方というものの政治システムは違うところが随分あるわけでございます。国の方は議院内閣制をとっておりますけれども、地方公共団体の方は住民の皆さん方が直接投票するといういわゆる大統領制をとっていることもございますし、また政党化が進んでおります都道府県あるいは指定都市の議員の場合と、あるいは無所属の多い一般の市町村の議員という区別等もございますので、こういった点も当然のこと考慮していかなければなりません。
 また、第三次の行革審の最終答申に出ておりますように、国と地方との役割というものを一体どうすべきかということの今後の検討と相まって、この選挙制度の問題も考えていく問題だという視点で考えております。
 それから、衆議院の選挙区画定審議会のあり方につきましては、総理から大半御答弁がございましたので、総理の御答弁のとおり、公正な第三者機関で決めていただく、でき得る限りあの法律に盛り込んだ範囲内で二倍以内を基本とする、あるいは地勢なり交通体系なりあるいは歴史的なそういった地域の状況、これを総合的に勘案をして決めていただくということで、でき得る限り審議する委員の皆さん方の合議に基づいて、公正なる学識経験者によるところの第三者機関というその特徴が出るように御審議を願いたいというのが私たちの考え方でございます。
 また、たびたび総理からお話しございましたように、勧告を受けた場合には内閣総理大臣はそれを尊重することになっておるわけでございますので、勧告を尊重した区割りの法案を速やかに作成をしました上、国会に提出して御審議を願うということでございます。
 それから、今回の政治改革に当たって、将来の地方制度の抜本的な改革まで視野に入れたかということでございますけれども、今国民の皆さん方の不安、不信というのは政治そのものにあるわけでございますし、そのために御承知のように、現行中選挙区制を政党中心、政策中心のものに変えていこう、また企業・団体献金についても政党以外に禁止をしようという政治腐敗を防止するための改革を今議論いただいているところでございますので、まず、とにかく政治の信頼を回復させていく、このことの上に地方制度の本格的な抜本的な地方と国のあり方がいかにあるべきかという議論になってくるというふうに私たちは考えております。(拍手)
   〔国務大臣羽田孜君登壇、拍手〕
#21
○国務大臣(羽田孜君) 私に対しましては、選挙協力につきまして、それからもう一点は、連立政権の各党から見て我が国の衆議院選挙制度として望ましい究極的な姿は、小選挙区のウエートが高く二大政党制をとる制度なのか、むしろ比例代表に近づける方が望ましいのかという、この二点でございます。この二点につきましては関連がございますので、二つ御一緒に答えさせていただきたいと思います。
 まず、今度の並立制、今御指摘がありましたように、並立制というのは政党中心あるいは政策中心、また政権を選ぶ、政治体制をつくるために民意を集約することであるというふうに述べておられたわけでありますけれども、私も久世さんと一緒に御論議を申し上げましたときに全く同様な考え方でおりました。
 そういう中で、今度新しい政権ができる、そして選挙制度を御審議いただくという中にありまして、今までは比例という方に大きく比重を置いていた皆様方も、いろんな議論をする過程の中で、民意を反映する比例、民意を集約する小選挙区、これを一緒にする皆さんと同様の小選挙区比例並立というところまで実は来たということ、これは私は非常に意義あるであろうと思っています。
 そして、民意を反映すること、あるいは意見を集約すること、これは確かに二つ物すごい難しい問題があるんですね。日本の国もここまで来ますと非常に国民の意思というものも多様性があるということ。ですから、民意を反映するという意味では、比例部分というのがやっぱり重要であろうと思います。
 それともう一点は、どうしても内閣をつくる、あるいは今日日本が課せられておる課題というのは非常に大きな難しい問題もあります。こういった意味では、やっぱり集約しなければならない機能というのはどうしても必要であろうというふうに考えておりまして、この二つの機能が取り入れられたことは、私は大きく前進しておるというふうに思っております。
 そして、どちらかというと私自身は、個人的にはまさに意見を集約するというのが今の時代、内外ともに対応するのには大事だろうというふうに思っておりまして、今度修正を衆議院でされまして、いわゆる小選挙区の方が数がふえたということは、私は多とすべきであろうというふうに思っておるところであります。
 そして、こういったものは、今、久世議員の方からも御指摘がありましたように、だんだんそういうことをすることによってこういう制度ができ上がっていきますと、何というんですか、意見というのはやっぱり収れんされてくるであろう。
 そういう中で、今多数の政党で我々は連立を組んでおるわけでありますけれども、一通に一つの政党にするというのはなかなか私は難しいと思います。しかし、お互いがだんだん話し合う中にあって、一つのグループ、会派、こういったものにだんだん進んでいき、そして将来は、私はやっぱり自民党に対してもう一つの勢力として成長していくことがいいんじゃないのかなという実は思いを持っておるところであります。
 そして、今この御指摘のありました中に、何か政策はどうでも構わなくて、国民を欺くおつもりでしょうかというお話があったわけでありますけれども、しかし前回の選挙のときは、もう経緯は皆様御案内のとおりでありまして、非常に短い中でありました。しかし、基本的な政策の合意というものは見ながらやったわけです。そして今、新しい連立政権ができまして、今のこの選挙制度についても、まさに今までは水と油みたいだったものが、むしろ比例並立というところで皆様にこの法案を提出申し上げておるということ、あるいは今度自衛隊法の改正につきましても、一部分を修正しながら、また今度の国会にお願いしておるというようにして、私どもはお互いに生まれ育ちは違いますけれども、お互いに議論を率直にし合う中で、お互いが一つの方向を目指して今歩み始めておるということを申し上げることができようと思っております。
 そういう中で、きちんとした基本的な政策なんかを合意しながら国民に一つの方向を示して選挙の協力をすることは、私は十分可能であるというふうに考えております。
 以上でございます。(拍手)
   〔国務大臣山花貞夫君登壇、拍手〕
#22
○国務大臣(山花貞夫君) 久世議員からたくさんの御質問通告をいただいております。順次お答えをさせていただきたいと思います。
 選挙協力の問題につきましては、これは今後連立各党の間で話し合いが進められるべき問題であり、閣僚として答弁できかねる問題でもありますけれども、連立政権における政策の実績を積み重ねながら、連立与党はそれぞれの政策の豊富化を図りつつ、また将来の選挙におきましては、それぞれの政権構想及びそれにかかわる政権政策について国民の前に明らかにしつつ選挙に臨むべきが至当と考えています。
 また、選挙制度とあるべき政党制の問題について御質問をいただいています。
 細川連立政権における政治改革担当という立場で、今日御提案させていただいているこの制度が今までの長い、多くの議論を踏まえた中で最も最善の提案と考えております。
 また、政党制がどのようになるかにつきましては、選挙制度により当然に導かれるものではなく、広い意味での国民の選択によるものと考えております。見通しとしては、直ちに二大政党制や極端な多党制にはならず、いわゆる穏健な多党制に収れんしていく可能性もあると考えていることにつきましては、先ほどの総理の示したお考えと同じでございます。
 また、参議院議員の選挙制度と今回の法案のかかわりなどについても御質問いただいたところでありますけれども、先ほど総理が答弁されましたとおり、現在の参議院議員の選挙制度とは内容において異なっているところでありまして、この点につきましては先ほどの答弁を引用させていただきたいと思っています。
 また、選挙実施にかかわる具体的な御質問についてもいただいておりますが、新しい選挙制度については、国民の皆様に十分御理解いただけるよう啓発等に努めてまいりたいと考えているところでございます。
 次に、昨年末の二十一項目の緊急政治改革についてのお尋ねがございましたけれども、これも総理がお答えになったとおりでございまして、政治資金規制の強化、政治資金パーティーの規制、そして収賄罪にかかわる公民権停止の強化が図られておりまして、一定の前進があったものと受けとめているところでございます。
 しかしながら、国民の政治に対する信頼を回復するためには、さらに選挙制度、政治資金制度の抜本的な改革をぜひとも実現しなければならないと考え、今国会に関連法案を提出しているところでございます。
 さらに、ボランティア等の役務の提供についてでありますけれども、こうした役務の提供の問題につきましては、政治活動に関して労務を無償提供するということは一般的には政治資金規正法上の寄附に該当する場合も多いものと考えております。このたびの法案では、企業等の団体がする政治活動に関する寄附については、政党・政治資金団体以外の者に対するものは一切禁止することにしているところであり、政党・政治資金団体以外の者に対し企業等の団体が政治活動に関し役務を無償提供することは禁止されている、こう理解しているところでございます。
 続きまして、個人献金と企業・団体献金に関しての御質問でございますけれども、この点につきましては、およそ総理がお答えしたところを引用させていただきたいと思っております。
 なお、国民の政治参加を進めて国民自身が政治を支えるという見地からも個人献金の促進は重要なものと考えており、その方策の一つとして、今回、政党・政治資金団体に対する個人献金について税額控除を導入し、政治活動の中心となる政党への個人献金の慣行の定着化を促進し、その財政基盤の確立強化を図ることとしたものでございます。
 次に、政党にかかわる御質問についてですけれども、このたびの法案では、選挙制度を政策、政党中心の仕組みに抜本的に改めるとともに、政治資金の公正と公明を図るため、企業等の団体献金の制限、透明性の確保、公私の峻別の徹底、違反に対する罰則の強化等の措置を講ずることとしており、またこれらの改革と相まって、政党に対する公費助成制度を導入し、民主主義のコストとも言うべき政党の政治活動の経費を国民全体に御負担していただこうとするものであり、これらの改革を一体として実現することで政党助成について国民の皆様の御理解も得られるのではなかろうかと考えているところでございます。
 なお、今回の制度改正におきましては、政党に関する必要な事項は、政党の内部にできる限り立ち入らないという考え方のもとに、政党助成を受けられる政党の要件、政党交付金の使途の報告の手続を初めとして、政党助成に関する事項について政党助成法で定めることとしたほか、政党に関する必要な事項は公職選挙法など個別の法律におきましてそれぞれ定めることとしておりまして、政党に関する一般法としての政党法の制定は行わないこととしたものでございます。
 また、政党助成の要件に関する御質問をいただいておりますけれども、政党に対する公的助成は国民の税金という貴重な財源を用いて行われるものである以上、その対象とすべき政党の要件は、国会議員を通じて国政において政策の実現を図り得る政党である必要があり、あわせて組織的かつ継続的な活動を行い、一定の国民の皆様の支持を受けていること、そうした要件が必要であると考えたところでございます。
 次に、公的助成の総額につきまして御質問いただいております。
 新しい選挙制度と政治資金制度のもとで、政党が担うべき経費をいわば全体としてマクロ的に推計して算出し、各党の配分につきましては国政への参画及び各党に対する国民の支持の度合いを最も公平に反映させるとの観点から、国会議員及び得票数という客観的な基準に基づいて行うものであります。
 配分の結果として、相対的に少ない収入で国民の支持を相対的に多く獲得している政党が、その収入に比べて多くの政党交付金の配分を受けることはあり得ることだと考えております。また、そうであったとしても、政党としてはそれを今回の制度改革のもとにおける今後の政党活動の充実と強化のために充てることとなるものと考えておりますので、現在の制度のもとにおける収入と比較してその多少を論ずることは適当でないと考えております。
 また、新しい制度のもとにおけも政党の要件につきましては、先ほど申し上げましたとおり、政治活動の内部に立ち入らずに政党の政治活動の結果を示すことができる外形的基準によることとしたものでございます。要件を満たさない政治団体にあっては、政党と比べて資金調達面で異なる条件となりますが、政党を制度改革の趣旨に沿って明確な基準により位置づけざるを得ない以上、やむを得ないものと考えているところでございます。なお、これらの政治団体であっても、選挙を通じて実績を上げることによって政党要件を備えることは当然のことでございます。
 続いて、地方議員に関する御質問についてお答えをいたします。
 地方議員の皆さんへの公費による政治活動助成を行うことにつきましては、先ほど自治大臣が答弁されたとおりの問題があります。なお慎重な検討が必要であると考えています。
 次に、名簿届け出の要件についてでありますけれども、今回の法案における衆議院の比例代表選挙の政党要件のうち、得票率要件と候補者数要件は現行参議院の比例代表選挙における要件と異なっておりますが、これは選挙すべき議員の数や現行の確認団体の要件の相違などを考慮して決定したものでございます。
 戸別訪問につきましては、重要な選挙運動手段となり得るこの戸別訪問の取り扱いを選挙によって違う、認めるものと認めないものを置くということにつきましては、混乱を招きかねないこと、政治改革の流れの中で国民の政治意識も選挙のやり方も変わっていくことが期待されることから、戸別訪問をすべての選挙において自由化するという方向を打ち出したものでございます。
 さらに、あいさつ状について御質問いただいております。
 今回、「慶弔、激励、感謝その他これらに類するもののためのあいさつ状」についても禁止対象として追加することといたしましたのは、金のかからない政治の実現を選挙の公正の確保という前回の改正の趣旨をより徹底するためであり、何とぞ御理解をいただきたいと考えているところでございます。
 最後に、政党の支部につきまして、政党は本部のほか支部組織から構成されております。支部組織にはさまざまな態様があると思われますが、外形上それが政党の支部であるかどうか不明確な場合もあり得るものと考えています。このため、企業等の団体献金を受けることができる政党の支部については、一以上の市区町村の区域または選挙区の区域を単位とする支部に限ることといたしまして、その明確化を図ったものでございます。
 地域支部以外の例えば企業を単位とする支部などについて考えてみますと、企業等の団体献金を受けることを認めることとした場合においては、実質的に企業が政党支部として自己資金による寄附を広く行うことを認めることともなり、今回の企業等の団体献金を政党・政治資金団体に対するものに限ることとするとした法改正の趣旨から見て適当ではないことから、地域の支部についてのみ認めたということでございます。
 以上で答弁を終わります。(拍手)
   〔国務大臣石田幸四郎君登壇、拍手〕
#23
○国務大臣(石田幸四郎君) 私に対する御質問は二点であったと存じます。
 最初の御質問は、我が国の衆議院選挙制度として望ましい究極的な姿は小選挙区のウエートが高い二大政党制をとる制度なのか、むしろ比例代表に近づけるのが望ましいのか、あるいはその中間の穏健な多党制が目標なのかというそういうお尋ねでございました。
 小選挙区比例代表並立制は、政権の担い手を選ぶ選挙制度であると同時に、この制度によって政権交代がシステム的に可能になるというふうに考えておるところでございます。現在の日本の政治情勢を考え、政権交代の可能性を実体的に追求していくのであれば、一大政治勢力の自民党に対し、もう一つの大きな政治勢力を形成していくことが必要と考えておるところでございます。
 ただ、この自民党に対するもう一つの政治勢力が今直ちに一つの政党になるかといえば、今日までの経過を含め、その可能性は薄いものというふうに考えておりまして、やはり包括的な政治勢力に集約されていくのではないかというふうに思うのでございます。その意味におきまして、細川総理が言われております穏健な多党制も別に矛盾した考え方ではないというふうに思っております。
 いずれにいたしましても、公明党の考え方は、将来ともに政権交代が可能な二大勢力という考え方に立って、その一つの政治勢力の形成に向かって努力をいたしたいというところでございます。
 それからもう一つの御質問は、企業、団体がいわゆるボランティアと称して政治活動のために役務を提供する脱法行為についてどう考えるか、こういうような御質問でございましたが、一般的には、国民の一人一人が個人の主体的判断によって選挙あるいは政治への積極的な参加をするということは、健全な民主政治の発展にとって望ましい姿であると考えているところでございます。
 しかし、いわゆるボランティアと称しての企業、団体からの派遣等による役務の提供というのは、やはり特定の利益提供につながりかねず、先ほど山花大臣の答弁にもございましたように、今回の法案では、政党・政治資金団体以外の者に対し明確に禁止することになると、このように認識をいたしておるところでございます。(拍手)
#24
○副議長(赤桐操君) 上野雄文君。
   〔上野雄文君登壇、拍手〕
#25
○上野雄文君 上野雄文でございます。
 私は、連立政権を構成する公明党・国民会議、日本・新生・改革連合、民社党・スポーツ・国民連合の御了承をいただきまして、日本社会党・護憲民主連合を代表し、ただいま議題となりました政府提国政治改革関連四法案に対し、総理並びに関係大臣に御質問をいたします。
 さきの総選挙におきまして、国民は戦後三十八年間続いた自民党の一党支配に終止符を打つことを選択したのであります。そして、細川連立内閣が誕生いたしました。
 内閣が発足し既に百日以上経過いたしましたが、発足当時のマスコミによる世論調査では七三%という歴代内閣では考えられないような高い支持率を記録いたしたのであります。新内閣の支持率は、俗に言うところの御祝儀支持率で高くなると言われておりますが、つい最近の調査でも七〇%という大変高い支持率を維持しております。
 このような国民の熱い期待にこたえるためには、一刻も早くこの政治改革法案を成立させ、国民が今一番望んでいる景気の回復や米不足、災害対策などの重要な内政問題、さらに山積する外交政策などに対処していくことが急務であると確信をいたしております。
 我々連立内閣に参画する各会派は、一致協力して細川内閣を支え、これら諸問題に対処することを確認しながら、以下御質問をいたします。
 まず、政治改革に対する総理の決意についてお伺いをいたします。
 そもそもこの法律案の出発点に返れば、古くは田中金脈・ロッキード事件にさかのぼらなくてはなりません。この政治腐敗の原点とも言うべき事件の教訓は全く生かされることなく、リクルート、共和、佐川急便事件、金丸前自民党副総裁の巨額脱税事件、さらに大手ゼネコン疑獄の発生と、これでもかこれでもかというほど続発してまいりました。国民は、これらの政治不信の源である事件が二度と起こらないように、政治家がみずからを厳しく律し、腐敗防止や罰則の強化を求めたことがこの法律案の原点であったと思うのでありますが、腐敗防止を求める多くの国民の声にこの法律案が十分にこたえるものであると考えておられるのかどうか、まずお伺いをいたしたいと存じます。
 さて、総理は、衆議院本会議でこの法律案が可決された感想を求められ、百里の道も九十九里をもって道半ばという言葉があるが、道半ばというよりも気持ちとしては三分というところだ、気を引き締めてやっていかなければならないと述べられました。
 衆議院議員としての経歴よりも参議院議員としての経歴がはるかに長い総理が、参議院での審議の重要性を正しく認識なさっておられることに深く敬意を表するものでありますが、まさに参議院は良識の府としての役割を担おうとする議員の集まりであり、民主主義における二院制の意義を再確認する意味からも、衆議院とは異なった観点から議論がなされるべきであります。
 そうした点からいえば、日程が限られ、衆議院で積み残された幾つかの問題の解決を迫られている今日の状況に参議院議員の一人として不満を持つものではありますが、しかし、誤解を生じるといけませんからはっきりと申し上げますが、私はこの法律案の成立に全力を傾注する決意であり、その立場であります。そうであればこそ、本院での実りある議論をここに求めるものでありまして、総理、参議院における委員会での粛々とした審議や法案の成立に向けた強い決意をここで改めてお示しをいただきたいと存じます。
 さて、宮澤政権時代までの政治改革法案の審議が、衆議院の段階でとんざし、本院にまで送付されることがなかったわけでありまして、私ども参議院側といたしましては、これまでの審議に参加できなかったことはまことに残念に思ってきたところであります。しかし、内容的には、衆議院の選挙制度の変更が中心でありますが、両院を通じ、また地方政界にまで影響するところが多く含まれているわけでありますから、今回の法案の送付を心待ちにしていたことも事実であります。
 今回の連立与党合意のもとでの政府案については、各党代表者会議など各党各会派問の協議が熱心に重ねられ、最終的にはいわゆる細川・河野トップ会談が行われ、合意の成立に至りませんでしたが、与党側の修正提案によって粛々と委員会あるいは本会議で採決されたことは国民周知のことであります。また、一日も早い法案の成立を望む国民の皆様からはやむを得ないこととして御理解いただけたものと思っておりますが、この際、この点について総理の御所見をお伺いいたしたいと思うわけであります。
 次に、具体的な法案の中身について何点かお伺いをいたします。
 まず、定数でありますが、総定数については五百人とする政府案と自民党の四百七十一人という案との間で最後まで合意を得ることができなかったのでありますが、諸外国を見てもドイツが六百五十六人、イギリス下院が六百五十一人、イタリア下院が六百二十人、フランス国民会議が五百七十七人、アメリカ下院の四百三十五人に比較しても決して多い方ではなく、むしろ少ない部類に属するものと思われます。
 また、海部内閣が提出した政府案における小選挙区三百人、比例代表百七十一人が衆議院において賛成を得ることができず廃案となったこと、それに加え、第八次選挙制度審議会の答申は五百人程度としていること、さきの自民党案あるいは社公案でも五百人としていたことなどから考えましても極めて妥当な総定数であったと思われますが、五百人という定数を堅持するという確認をいたしたいと存じますので、総理の見解を求めたいと思います。
 次に、定数配分の問題についてであります。
 当初の政府案では、小選挙区、比例代表ともに二百五十人であり、これはそれぞれの制度が持つ特性を相互補完的に生かそうという考えに立つものであったと理解するものでありましたが、話し合いの結果、小選挙区二百七十四人、比例代表二百二十六人になったのでありますが、この点について、総理がこれまで述べられてまいりました民意の反映と集約のバランスが保たれた小選挙区と比例区の両制度の特性が生かされている選挙制度という考えに変わりはございませんでしょうか、お伺いをいたしたいと存じます。
 次に、比例代表議員選出の選挙区についてお伺いをいたします。
 自民党案の都道府県単位というのは、比例代表とは名ばかりであり、一番少ない県では比例代表で二人の当選者を決めることになり、試算するならば、三十四の県で二人から三人の議席数になるわけでありますから、中選挙区制と何ら変わらないのではないかと思うのであります。この場合にどれだけの党が各県ごとに候補者名簿を提出するかによりますが、かなりの死に票が出ることは明らかであり、政府案における全国単位の比例選挙の最低条件である三%の阻止条項以上の死に黒となるのではないでしょうか。
 したがって、衆議院の選挙は、政権の選択を国民に問うものでありますが、それを補完するものとしての位置づけがなされている比例代表選挙でありますから、政府提案の全国一本の比例制こそが多様な民意を議席に反映させるという比例代表の趣旨にふさわしいと思うのであります。この点についての総理のお考えをお伺いいたします。
 次に、一政治資金についてお伺いをいたします。
 今回の改正案では、政治家個人に対する企業、団体からの寄附の禁止という画期的な提案がなされております。たび重なる政治腐敗を深刻に受けとめるならば、政党と政治資金団体に対しても企業・団体献金は一切禁止をするのが妥当でありますが、連立与党の合意が、禁止の意見に考慮し五年後に見直すということであったことを考慮すれば、この見直しの規定も強制力のある規定であると考えるものでありますが、山花政治改革担当大臣のこの点に関する認識を承りたいと存じます。
 次に、参議院の選挙制度についてお伺いをいたします。
 総理は半年前まで本院に在籍されておりましたので、本院の選挙制度についても十分な見識をお持ちのことと存じますのでお尋ねをいたしますが、政府案では、本院と若干異なる並立制をとることになります。このことに関して、総理のこれまでの衆議院における答弁をお聞きいたしますと、改正案では、重複立候補ができること、政党が中心になって選挙が行われること、選挙区はすべて小選挙区であること、総定数が違うことなど、本院の選挙制度とは大分違っておりますので並立制を導入しても二院制の意義が失われることにはならないと述べられ、必ずしも参議院の選挙制度を変更する必要がないという御意見のように伺ったわけであります。
 御承知のとおり、比例代表制は昭和五十七年に参議院の中で提案、議論され成立をした制度であります。その後今日まで、各党各会派におきまして独自に二院制にふさわしい本院の選挙制度はかくあるべしと緩みない検討が重ねられてきておるところであり、さらに党派を超え、衆議院の優越性のもとで参議院の抑制機能を発揮すべく勉強を繰り返しているのであります。
 また、参議院は議院内閣制のもとにおいて独自性を特に尊重されるべき立場にあります。その点で、参議院の政治改革は本院を構成する各党各会派の話し合いにゆだねる意思をお持ちかどうかお伺いをいたします。
 次に、戸別訪問の解禁についてお伺いいたします。
 政府案によれば、政党本位の選挙が行われることになり、その意味で戸別訪問というものはできる限り政策を有権者に訴えていくという手段としても大変大事なポイントであると思うのであります。戸別訪問の禁止は、欧米諸国にその例を見ない選挙運動の規制でありまして、憲法学者には解禁論者が多いとも聞いております。これで生き生きとした民主的な選挙に一歩近づいたのではないかと評価するところであります。とはいいながら、戸別訪問の原則自由は買収などの腐敗行為の温床となるのではないかという懸念も国民の一部にはあるように聞いております。
 そこで、改めて佐藤自治大臣から、戸別訪問原則自由化の意義どこれらの不安に対する明快な答弁を承りたいと存じます。
 次に、政党への公的助成についてもお伺いをいたします。
 国民一人当たりに二百五十円の御負担を求め、総額にして三百九億円と減額した数字に修正になったわけですが、今回、選挙制度を政策、政党中心の仕組みに抜本的に改めて、政治資金の公明と公正を期するため、企業などの団体献金の制限や政治資金の透明性の確保、あるいは公私の峻別の徹底、違反行為等に対する罰則の強化などの措置を講ずることによって、国民の血税による公的助成も国民の御理解が得られるものと思いますが、政治情勢の変化によっては公的助成の総額について見直しを行い、情勢に応じて増減を検討するというお考えがあるのか、山花政治改革担当大臣にお伺いをいたします。
 さらに、本法案の成立に向けた決意について総理にお伺いをいたします。
 総理は、年内に本法案の成立を見なければ責任をおとりになると強い決意を表明されました。総理の法案成立へかける熱意は国民に十二分に伝わっており、高い支持率がその証左でありましょう。野党の中には総理の責任を追及しないという声すら出ているのです。
 そこで、総理を補佐する大臣にお尋ねをいたします。
 総選挙で示された国民の選択は、自民党一党支配の終止符であったと同じに、社会党に対する厳しい審判でもあったわけでありますが、その最高責任者であった山花前社会党委員長が政治改革担当大臣として、前国会で社公案のまとめ役であった佐藤社会党前副委員長が自治大臣として入閣されたのでありますから、それ相当の覚悟と決意を持ってこの法律案の成立に臨んでおられることと存じます。
 そこで、改めて両大臣に、政治改革の実現に向けて、また参議院での審議を前にしての決意をお伺いいたしたいと存じます。
 内外に山積する重要な問題、地方政界から中央政界に波及することが必至と至言われておりますゼネコン疑惑、国民は、この法案が良識ある参議院での粛々とした審議を経て速やかに成立をし、ゼネコン疑惑の政・財・官の癒着構造の徹底解明、そして国民生活に直結した政策に着手することを待ち望んでいます。知事経験者でもある総理並びに武村官房長官に、ゼネコン汚職と本法律案成立後の国民生活に密着した政策をどのように展開されるのか、お尋ねをいたしたいと思います。
 最後に、先ほど坂野議員の質問でも、我々はこれから始まる政治改革の審議に当たっては真摯な態度で堂々の論戦を展開し、二院制における参議院の独自性と権威を高め、もって国民の負託にこたえる決意でありますと述べられたのであります。また、久世議員も、特別委員会において徹底的に審議すると述べられたのであります。私はまことに同感であり、その真摯な姿が国民の皆さんの目に映るよう一日も早い委員会での審議が始まるようにお互いに努力をしようではありませんか。そういう私の気持ちを申し添えて、質問を終わりたいと存じます。
 ありがとうございました。(拍手)
   〔国務大臣細川護煕君登壇、拍手〕
#26
○国務大臣(細川護煕君) 政治改革法案は腐敗防止を求める国民の声に十分にこたえるものであるか、そういうお尋ねでございました。
 今国会に提出をいたしました政治改革関連の四法案には、政策本位、政党本位の選挙を実現するための選挙制度の改革、あるいはまた連座制や罰則の強化、あるいはまた政党・政治資金団体以外の者に対する企業などの団体献金の禁止、あるいはまた政党助成制度の創設などの政治資金制度の改革を織り込んでいるわけでございまして、こうした改革を一体として実現することによって腐敗防止を求める国民の声にこたえることができるものと確信をしているところでございます。
 法案の成立に向けての決意ということでございましたが、法案の成立に向けた決意はこれまでも機会あるたびに繰り返して申し上げてきているとおりでございます。参議院におきましても、ぜひ良識の府である参議院にふさわしい論議がなされることを願っておりますし、各党各会派の御理解と御協力をお願い申し上げる次第でございます。
 それから、衆議院における法案の審議についてのその経緯等のお話と参議院の審議との絡みについてのお尋ねでございましたが、私としては、河野総裁とのトップ会談でぜひ合意をさせていただきたかったと思っておりましたが、最終的にそれが実現できなかったことはまことに残念なことであると思っております。与野党の相違が、哲学と申しますか、基本的な考え方の相違によるものであって、衆議院において、にもかかわらず粛々と採決が行われましたことは、国民の御理解をいただいているものというふうに理解をいたしております。
 それから、定数の問題についてのお尋ねでございましたが、総定数五百人については、第八次選挙制度審議会の答申や、五百人という先般の国会に提出されました自民案、社公案における総定数から見まして妥当なところではないかと考えております。午前中の質問にもお答えをいたしましたように、主要先進国の例からいたしましても決して多い数ではないというふうに認識をしているところでございます。
 それから、小選挙区二百七十四人、比例代表二百二十六人というのは、比例区と小選挙区の両制度の特性が生かされた選挙制度と考えるかという御趣旨でございましたが、この定数につきましては、衆議院におきまして、委員会などの御論議あるいは地方公聴会における御意見などを踏まえて御承知のような数に落ちついたわけでございます。修正が行われたところでございます。
 この修正によりまして、審議の過程で表明されました地方への配慮などとともに、一方で小選挙区と比例代表のそれぞれの持つ特性を補完的に生かしていくという原案の基本的な考え方も原則的には維持されているものと考えているところでございます。
 全国一本の比例制が多様な民意を反映させるという比例代表の趣旨にふさわしいのではないか、こういう御趣旨でございましたが、比例代表選挙の区域を都道府県ごととした場合には、定数の少ない選挙区が数多くできると見込まれますので、多様な民意をそのまま選挙に反映するという比例代表制の趣旨を徹底するためには、おっしゃいましたように、全国を通じて行うこととした方が適当なのではないかと考えているところでございます。
 参議院の政治改革は、本院を構成する政党間の話し合いにゆだねるべきと考えるかどうか、こういうお尋ねでございました。
 おっしゃるとおりだと思います。既に本院の各党におきましてもそのための準備が始められていると承知しておりますが、ぜひ少しでも早く、あるべき参議院のあり方につきまして与野党の話し合いが結実するように期待をしているところでございます。
 それから、ゼネコン汚職の問題に関連してのお尋ねでございましたが、いわゆるゼネコンをめぐる贈収賄事件につきましては、検察当局が建設会社役員あるいは地方公共団体の首長らを起訴したところでございまして、検察当局は適正な捜査処理を行ったものと考えております。今後の捜査の見込みなどについてコメントすることは差し控えさせていただきますが、一般論として申し上げれば、検察当局は刑事事件として取り上げるべきものがあれば厳正に対処するものと確信をしております。
 それから、政治改革法案成立後の国民生活に密着した政策の展開についてどう考えるか、こういうお尋ねでございましたが、国民生活の安定と向上を図るための政策の展開を図っていくということは、いついかなるときにありましても政府の基本的な役割であることは当然のことでございます。
 今後とも、生活者・消費者重視といった視点に立って、従来の制度や政策について見直すべきところは見直しを行い、さらに国民生活に密着した政策の展開に向けて努力をしてまいりたいと思っております。
 残余の質問につきましては、関係大臣から御答弁をいたします。(拍手)
   〔国務大臣佐藤観樹君登壇、拍手〕
#27
○国務大臣(佐藤観樹君) 戸別訪問を原則自由化した場合に、国民の中にいろいろと不安が出てぐるのではないかという御質問がございました。
 戸別訪問につきましては、かねてから買収等の温床になるとか、あるいは選挙をやる側も有権等の側も煩にたえないのではないか等いろいろなことが指摘をされまして、今日まで禁止をされてきたところでございます。しかし、外国等で見られますように、この際政策本位、政党中心の選挙にしようと、こういうときに、やはり有権者とじかに接することができるこの戸別訪問というのは極めて有効な、またあるべき選挙運動の手段ではないかというふうに私たちは考えておりまして、かつて海部内閣のときのあの法案でも人数は十五人とかそういう制限をつけ、時間の制限もつけて自由化をされてきたところでございます。
 したがいまして、これらの経緯を踏まえまして、この際、私たちといたしましては、その他の腐敗防止策、連座制の強化とか連座制の対象が広がってくるとか、こういった強化策と相まって、原則的にこの戸別訪問を解禁いたしまして、有権者の側にもやはりいろいろ意識も変わってもらう、このことが必要なのではないかということで、時間制限のみを設けて戸別訪問を解禁したところでございます。
 それから、政治改革に向けて参議院審議を前にしての決意を述べよということでございました。国民の政治に対します不信のきわみという状況は皆さん御承知のとおりでございまして、早急に政治改革を実現せよという国民の声はますます高まっていると私は思っているわけでございます。特に私は、昨年緊急改革二十一項目を担当し、またことしは社公案の提案者、答弁者という立場でこの問題提携わってまいりました者といたしまして、今参議院でこの審議が始まりますことは極めて意義深いものだと思っておるわけでございます。お互いに政治に携わる者といたしまして、国民の信頼を回復させることが緊急かつ最優先の課題であるという確信に立っておるわけでございます。
 私は、政府四法案の提案者としてのみならず、一政治家として、参議院の皆さん方の御理解のもとに、国民の皆さん方の前に成案をお示しできる日が一日も早いことを願ってやみませんし、また、私も提案者として全力を傾けてまいりたいと決意を新たにしているところでございます。
 信頼される政治をつくる基礎、基盤というものをつくってまいりまして、上野議員からもお話がございましたように、景気対策あるいは税制改革、高齢化対策、あるいは地方分権等々、国の内外にございますこれらの課題を二十一世紀に向けて力強く日本の再構築、リストラとしてできますように、どうぞそのための改革が一日も早くできますように、参議院の皆さん方の御理解をお願い申し上げさせていただきまして、私の決意の一端にさせていただきたいと思います。
 どうぞよろしくお願いを申し上げます。(拍手)
   〔国務大臣山花貞夫君登壇、拍手〕
#28
○国務大臣(山花貞夫君) 上野議員から三点の御質問をいただきました。
 をず初めは、企業・団体献金禁止の問題につきまして、禁止の意見に考慮し五年後に見直すという連立与党の合意の重みについての御質問でございました。今回は、法案におきまして企業・団体献金を政党・政治団体以外の個人そして後援会等については全面的に禁止をしたところでありますけれども、企業・団体献金禁止という大きな世論に沿って一歩大きく踏み出したものと考えているところでございます。
 法案では、五年間、新しい制度のもとにおける、それは選挙制度もしかり、そして新しく設置される個人献金についての税額控除を含めた個人の献金の実態がどうなるか、政党の財政状況がどうなるかということを踏まえ、五年後に見直すことになっているところでございますけれども、御指摘の合意につきましては、当然その点を考慮して廃止を含めて検討されるものと、このように考えているところでございます。
 第二番目は、公的助成の総額についてその見直しはどうなるのかといったことにつきましても、これまた今回は四法一体ということでございますので、新しい選挙制度のもとで政党の財政支出等がどうなるのか、本部、支部の関係あるいは政党活動の実態がどうなるのか、そして何よりもそれぞれの政党の財政状況の安定性はどうなのか等々のことが判断されると思いますけれども、そこでも総額について御指摘のとおり検討の対象となることは当然である、このように考えているところでございます。
 最後に、政治改革の実現に向けまして、改めて参議院における審議を前にしての決意についてお尋ねをいただきました。
 さきの総選挙における国民の皆さんの審判は、御指摘のとおり日本社会党に対しても大変厳しいものでございました。日本社会党もまた戦後政治を担い、歩んできたと考えております。しかし、現実に新しい政党と政治情勢に対する有権者の皆さんの期待を見たときに、その国民の声を真摯に受けとめ、改革に憶することなく挑戦する姿勢を持たなければ、新しい時代に政党も議員も国民の意識の多様化と豊富化に対応することができない、支持は得られないと、当時、私は党の責任者として実感をし、今日に至っているところでございます。
 四法案は、確かに選挙制度も政治資金制度も現行制度から大きく変わる内容となっておりまして、これは衆議院の選挙制度の改正ということだけではない意味を持つことについては十分承知しておるところでございます。参議院においても十分に御審議をいただきたいと考えているところでございますが、同時に、政治改革の実現は国民の強い要求、期待であることについてももう申し上げるまでもないと思っております。ぜひ議員の皆様の御理解と御協力により法案を速やかに成立させていただくことを念願し、微力ながら担当の大臣として最大限の努力を尽くしてまいりたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。(拍手)
   〔国務大臣武村正義君登壇、拍手〕
#29
○国務大臣(武村正義君) ゼネコン汚職の徹底解明の御意見でございますが、総理もお答えを申し上げたとおりでございます。徹底解明、今後の対応、まずは司法当局が法と証拠に基づいて適正な捜査処理を行っていくことが基本であります。今後とも全力を挙げて厳正に対処していくものと信じております。
 当然、こういう状況を私も地方自治に身を置いた一人として残念に思っておりますし、司法の解明を待つだけでなしに、こういう状況を認識しながら、今回の四法案を超える問題についても、国会で政治改革のいわば第二弾として我々が真剣に目を向けていかなければいけないというふうに思っております。契約制度をどう変えていくのか、あるいは国との請負契約のある企業と政治資金の関係をどうしていくのか、あるいは税における使途不明金の問題をとう正していくのか、ひいては地方の選挙制度、地方の政治改革をどう考えるのか、そういう問題にも広がっていくと認識をいたしております。
 早く政治改革を実現して、その後、国民の期待にこたえられる、国民生活に密着した政策を展開していくべきだという御意見は、全く同感であります。
 総理の申し上げております質実国家はまさにそのことだと思っておりますし、国民の暮らし、環境、福祉、こういった側面に真剣な目を向けなければなりませんし、同時に日本の世界に対する国際貢献のあり方というふうなテーマにも大胆に目を向けなければなりません。同時に、政治改革の後は行政改革あるいは税制改革、財政改革、経済改革、その他農業、教育等々、さまざまな諸改革の課題が待っているという認識に立ちたいと思っております。(拍手)
#30
○副議長(赤桐操君) 上田耕一郎君。
   〔上田耕一郎君登壇、拍手〕
#31
○上田耕一郎君 私は、日本共産党を代表して、政治改革関連四法案について、細川総理と関係大臣に質問いたします。
 まず問いたいのは、総理が政治責任をとるとまで明言してその成立に連立内閣の命運をかけている小選挙区比例代表並立制が、七月の総選挙で現在の連立与党の公約にあったのかという議会制民主主義の根幹にかかわる大問題です。
 総選挙の直前、六月二十七日の社会、公明、民社、社民連、新生の五党首合意には「抜本的政治改革を速やかに実現し」とあるだけでした。ところが、総選挙の結果、政権交代の可能性が見えた途端に、五党合意には参加せず、選挙公約には一票の格差や定数の是正を含めた選挙制度の見直しを掲げていた日本新党は、七月二十三日、さきがけとともに、にわかに並立制を基本とした政治改革政権の提唱を決定し、各党に踏み絵として提示しました。
   〔副議長退席、議長着席〕
日本共産党を除く各党は、同じく公約になかったこの並立制という踏み絵のそろい踏みを行ったのであります。この結果、細川内閣のもとであたかも政治改革の中心が並立制であるかのような奇怪な事態が進行してきたのであります。
 そこで、総理にお聞きしたい。
 日本新党はなぜ小選挙区比例代表並立制を総選挙公約に掲げなかったのですか。また、総選挙で声高に訴えた政権交代が実現した今日、政治改革の中心に並立制を据えるという公約は一切なかった以上、改めて国民の民意に問うことなしにこの四法案を成立させようとすることは、国民主権と議会制民主主義の原則を踏みにじった到底許されない暴挙ではありませんか。責任ある答弁を伺いたい。
 公約違反ということだけでなく、並立制はその内容自体が憲法違反であります。
 総理は、所信表明でも衆議院での答弁でも、並立制導入の根拠として、小選挙区制については国民の政権選択の意思が明確な形で示されること、民意の集約ができることを挙げてきました。
 しかし、総選挙は、第一義的には国民の代表機関、すなわち国会の構成を決めるための選挙なのであります。憲法前文は「同本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動しこと宣言し、憲法第四十三条は「両議院は、全国民を代表する選挙された議員でこれを組織する。」と定めてあるからであります。同時に、総選挙は、間接的に行政府、内閣の構成を決める選択ともかかわっています。憲法第六十七条が国会議員の中から国会の議決で内閣総理大臣を指名することを定めてあるからです。
 重要なことは、憲法がこの過程のすべてに民意の反映を貫いていることです。政権も、正当にすなわち正確に民意を反映した選挙で構成され、憲法第四十一条で国権の最高機関、国の唯一の立法機関と定められた国会によって選ばれるからこそ民意を反映した政権となり得ます。こうして国民主権と議会制民主主義、議院内閣制、立法、行政、司法の三権分立が民意の反映を土台として成り立つのであります。
 国民の政治意思を国民の代表機関の構成に、したがって国政に正確に反映させることを要請しているこの制度のもとでは、政権交代を実現するためには、単独であれ連立てあれ、国民多数の支持で過半数の議席を獲得することが求められています。これが当然の民主主義の原理であります。
 ところが、並立制とは、すべての試算が示しているように、五割前後の死票を生み、第一党に対して三割台から四割台という低い得票率でそれを超える六割の議席を人為的に獲得させて政権につかせようという選挙制度であります。これが民意の集約と称して、憲法が定めた諸原則を踏みにじり、総選挙を国権の最高機関としての国会構成の選択よりも行政府の選択を優先させる選挙にゆがめ、国民の政治意思とは異なった構成を持つ国会と政権を生み出そうとする選挙制度であって、国民主権、議会制民主主義、三権分立の原則を侵すものにほかならないことは余りにも明瞭ではありませんか。
 この極めて重大な憲法問題について総理の答弁を求めます。
 総理も衆議院で我が党の志位議員の質問に対して、並立制には小選挙区制だけでなく民意反映の比例代表部分があるから大幅に緩和されるとしか答弁できず、民意をゆがめる並立制の本質を認めざるを得ませんでした。国会の正規の機関を無視した密室協議で、原案では比例代表と同数だった二百五十の小選挙区定数が二百七十四に修正されて、比例代表議席を四十八引き離す、そういうことになった結果、ゆがみは一層決定的になりました。
 小選挙区制とは、イギリスやアメリカの実例が示すごとく、本質的に二大政党制を強制する選挙制度であります。イギリスの自由民主党が得票率の六分の一の議席しか得ていないことが示すように、第三党以下の少数政党や新党は、民意に反して国政から排除されます。並立制の比例代表部分は、総理の言いわけと異なり、この違憲の排除を大幅緩和するどころか拡大しているのであります。
 法案は、政党要件として、小選挙区について国会議員五人以上、国政選挙の得票三%以上を定め、比例については候補三十人以上を定めています。
 山花政治改革担当相、立候補の入り口でこのようにハードルの高い排除を行っている国があれば教えていただきたい。どこにもないはずです。
 衆議院で我が党の正森議員が総理に鋭く迫ったように、もし七月の総選挙が並立制で行われていたなら、国会議員四人だった日本新党は政党参加資格がなかったこととなり、細川総理大臣もなかったでしょう。新しい党が比例に出ようとすると、三十人立候補するには供託金が一人六百万円ですから、何と一億八千万円が必要になります。このような例も世界に皆無ではありませんか。
 しかも、その上、悪名高い足切り条項、得票三%未満の政党には議席配分しないという死票拡大条項があります。三%というと総数二百二十六名に対して六・七議席に当たり、六議席獲得という支持を受けた政党が切り捨てられる。有権者数九千五百万人、投票率七〇%とすると、約二百万票が死票として切り捨てられるのです。もし二党あれば、切り捨ては二倍になります。
 細川総理、憲法が保障する選挙権の平等を破壊するこの排除と切り捨てが、なぜ合理的理由があればという口実で許されるのですか。一体、どこが大幅緩和なのですか。責任ある答弁を行っていただきたい。
 指摘しなければならないことは、小選挙区制が既に時代おくれの反動的選挙制度であることであります。イギリスでも世論の過半は比例代表制を求めており、旧大英帝国の植民地だった諸国も次々に小選挙区制を廃棄しています。ニュージーランドもこのほど比例代表制への移行を国民投票で決めました。
 そこで、山花政治改革担当相に、欧米諸国で小選挙区制から比例代表制の採用に移った国、さらに世界で並立制を採用している国のそれぞれについて答弁していただきたい。
 日本共産党は、憲法の原則を誠実に守った国会が取り組むべき選挙制度の改革とは、国会決議に従った定数是正であるとして、企業・団体献金禁止を定める法案その他とともに独自の法案を提出しております。その内容と提案理由については、午前中に橋本敦議員が説明したとおりであります。この改革を行っていれば、既に二十年前に自民党は過半数割れとなって、政権交代の可能性が生まれていたことも強調しておきたい。
 次に、政治腐敗防止の問題についてお聞きしたい。
 世論の圧倒的多数が求めている政治改革とは、連立内閣がすりかえた選挙制度では決してなく、何よりも金権腐敗政治の一掃であります。その核心としての政治献金の問題では、七月二十九日に非自民七党首が合意した連立政権の合意事項には「公費助成等と一体となった企業・団体献全廃止」がうたわれていました。
 そこで、次の六点を伺いたい。
 第一、総理は所信表明でも「このたび、企業・団体献金の廃止に向けて大きく一歩を踏み出すこととした」と述べていましたが、その後、企業献金は一概に悪とは言えない、企業も社会的存在などと言い始め、ついに法案では五年後の見直しだけとなって、約束していた企業・団体献全廃止が消えてしまいました。なぜ総理は立場を後退させ、七党首合意という国民に対する公約を投げ捨てたのですか。その理由を聞かせてほしい。
 第二、企業献金は政党には許されるとされていますが、なぜ同じ政治団体で、国会議員五人未満、得票率三%未満の政党には犯罪とされるのに、その基準以上の大きな政党には許されるのですか。全く説明がつかないではありませんか。
 第三、政党支部を利用すれば政治家個人への献金も自由という迂回献金が容認されることが政府答弁によって明らかとなりました。こういう抜け道や欠陥をすべて封じる手段が企業・団体献金の全面禁止以外にあるとすれば、お答えいただきたい。
 第四、七党首合意と異なり、企業・団体献金は禁止されていないのに、それと一体とされたはずの政党助成のみ法案化されたのはどういう理由ですか。総理その他の答弁でも、自分が支持していない政党にもその税金が行く事態が認められました。これは、憲法第十九条が厳しく禁じた思想及び良心の自由を侵すことであり、日本共産党は、この違憲の悪法が成立した場合、受け取りを拒否する態度を既に表明しました。なぜ国民からの税金収奪による政党への配分という違憲立法を強行するのですか。答弁を求めます。
 第五、ゼネコン疑惑の驚くべき拡大は国民の憤激を買っています。談合による価格競争の排除、莫大な政治献金によって国民の税金が不法に浪費されている事態は極めて重大なのに、総理は所信表明でも、ゼネコンのゼの字も触れず、検察に任せるばかりで、全貌解明の努力は全く払おうとしていません。金権腐敗政治の一掃という国民が望む最大の課題を放置しておいて、どうして政治改革と言えるのですか。犯罪的とも言うべきすりかえではありませんか。
 総額二千億から三千億円と推定されている使途不明金について、日本共産党は、一千万円を超える場合一〇〇%の制裁課税という独自の法案を提出しました。政府はいかなる対策を講ずるつもりですか。
 第六、連立与党の実力者と目されている新生党の小沢一郎代表幹事について、岩手でのゼネコン選挙、鹿島建設からの五百万円の裏献金、総選挙での二千万円以上の立候補者への資金配分と、次々と重大な疑惑が明らかとなっているにもかかわらず、連立与党も細川内閣も全く解明の努力を行わないばかりか、疑惑を覆い隠そうとする態度をとっています。首相また与党の党首として、小沢氏の証人喚問についてどうするつもりですか。
 以上、問いただしてきた細川内閣による戦後第五回目の小選挙区制策謀は、これまでの四回の策謀と同じく、強権政治の実現と、それによる憲法改悪の計画と深く結びついていることが重大な問題であります。
 この問題について、総理は、我が党の聴濤議員に追及されて、強力な政治を実現していく、そうでなければとてもこういう国際社会の中で的確に対応していくことはできないと答弁しました。細川内閣自身が七〇%を超える支持率の高さと細川総理に対する幻想を巧妙に利用して、既に強権政治の道を走り出しています。
 細川内閣が取りかかっている政治課題は、小選挙区制、消費税率の引き上げ、米の関税化、年金や医療の改悪、自衛隊機の国外派遣、戦域ミサイル防衛計画への参加と、どれをとっても自民党政権がやろうとしてできなかった反動的課題を実現させようとするものばかりではありませんか。
 そして、この強権政治の行き着く先には憲法改悪が見えています。小沢一郎氏の著書「日本改造計画」同様、総理の編著「責任ある変革」の中には、国連常設部隊への参加と、それを是認する条項を日本国憲法に盛り込むことがうたわれています。総理の言う強力な政治による国際社会での的確な対応とは、国連の軍事行動に対する参加、そのために必要な憲法改正も含まれているのではないですか。重要な問題なので逃げないで答弁してほしい。
 細川総理は、昨年、「「自由社会連合」結党宣言」と題した論文を雑誌文芸春秋六月号に発表されました。今読み返してみて驚くのは、その後二つの大きな変化があったことです。一つは選挙制度問題で、この論文には「定数是正と現行選挙区制度の見直し(中選挙区連記制)」とありました。もう一つは憲法問題で、「戦争放棄を世界共通の理念とすべく平和憲法の理想を高く掲げる」と書いてありました。
 総理が、中選挙区の定数是正から小選挙区制へ、戦争放棄の憲法尊重から憲法改悪へと、選挙制度と憲法という二つの国民的大問題で、日本共産党や多数の国民と一致できる正しい立場からその対極に位置する最タカ派の反動的立場へ変節した事実は、実は小選挙区制策謀が憲法改悪策謀と連結、並立しているという真相を重ねてさらけ出したものと言えるでしょう。
 わずか一年の間に、なぜ総理はこの重大問題でその立場を百八十度変えるに至ったのですか。社会党同様、政権つきたさのためですか。政治家としての誠実さ、信頼感、資質、節操にかかわる問題であり、率直な答弁を期待したいと思います。
 日本共産党は、この憲法違反の四法案の廃案を目指し、小選挙区制粉砕、金権腐敗政治一掃、国民生活の向上、憲法の平和的、民主的原則擁護のために全力を尽くす決意を表明して、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣細川護煕君登壇、拍手〕
#32
○国務大臣(細川護煕君) 日本新党はなぜ並立制を総選挙の公約に掲げなかったのかと、こういうお尋ねでございました。
 確かに、選挙公約として具体的な形で掲げてはおりませんでしたが、選挙によって示された民意に従って政治改革政権が発足をした際の八党派合意におきまして並立制が採用されましたわけで、これは日本新党の選挙公約である政治改革の実現と選挙制度の見直しということの具体化したものであると考えているところでございます。
 また、それまでの政治改革論議の集約として、新たに採用すべき選挙制度として並立制が極めて自然なものであったことなどを考えますと、改めて国民の民意を問う必要はないものと考えております。
 次に、並立制は三権分立の原則を侵すものではないか、こういう趣旨のお尋ねでございましたが、並立制は政権の選択についての国民の意思が明確な形で示される小選挙区制と多様な民意を反映する比例代表制を並立的に組み合わせたものであって、憲法の基本原理である国民主権の理念や議会制民主主義、あるいは三権分立の原則に何ら反するものではないと考えております。
 憲法が保障する選挙権の平等についてのお話でございましたが、このたびの法案におきましては、政党の選挙運動の量を原則として候補者数に応じて定めることとしておりまして、多くの選挙運動手段を得ることを目的として当選を度外視して多数の候補者を届け出ることを防止するなどの観点から、従来と同様に供託の制度を設けているところでございます。
 また、三百万円ないし六百万円は現行制度と比べても必ずしも多いとは考えておりませんし、また名簿届け出要件の三十人につきましては、比例代表定数こ百二十六人の約一割であって、現行の衆議院選挙の際の確認団体要件などから考えましても必ずしも多いとは考えておりません。
 三%のいわゆる阻止条項は、政権を争う政党間の政策論議の場である衆議院が多数の政党に分裂することとなるおそれを少なくするという観点から設けているものでございます。全国を単位とする比例代表制を衆議院に導入する場合には必要かつ合理的な制約であって、法のもとの平等に反するものではないと考えているところでございます。
 企業献金の五年後の見直しの問題についてのお尋ねでございましたが、企業などの団体献金について廃止の方向に踏み切るとしても、あくまでも現実に即して対処していくことが肝要であって、今回は政党・政治資金団体以外の者について全面禁止としたところでございます。五年を経過した場合には、政党・政治資金団体に対しなされる寄附のあり方についても見直しを行うこととしたのは、現実的な判断だというふうに考えております。
 それから、企業献金と政党との関係についてのお尋ねでございましたが、現行の政治資金規正法におきましても、一定の要件を満たした政党については寄附の量的な制限に関して政治家個人や政党以外の政治団体とは異なった取り扱いをしているところでありまして、今回の改正案におきましてもこの見地から企業献金を政党などに限ったところでございます。
 企業・団体献金の禁止以外に制度の抜け道や欠陥を封じる手段があるか、こういった趣旨のお尋ねでございます。政党支部を利用することによって企業などの団体献金が政治家個人に流れることは抜け道ではないかということですが、この企業・団体献金の受け手を政党に限って、政党が介在することによって企業と政治家個人との結びつきに起因する政治腐敗事件の防止に大きな効果を持つものと考えております。
 また、このたびの改正法案におきましては、政治資金の透明性を高めるとともに、法に違反した場合には公民権の停止など厳しい制裁を科すこととしておりまして、政治資金規制の実効性は十分確保できるものと考えております。
 企業・団体献金は禁止せずに政党助成だけが法案化された理由はいかなる理由が、こういうことでございます。政党助成は民主主義のコストを国民にも御負担をいただく趣旨から導入を提案しているものでございますが、これが導入されたとしても政党においては相当部分を党費あるいは寄附、事業収入などの自助勢力によって調達をしていただかなければならないわけであって、今日の政党財政の状況からして企業などの団体献金を直ちに禁止することは現実的に適当でないことなどから、政党・政治資金団体に対するものに限って認めることにしたものでございます。
 違憲である政党助成法案をなぜ強行するのか、こういう趣旨でございましたが、先ほども申し上げましたように、政党への公費助成は民主主義のコストを国民の理解のもとに国民全体で負担していただく制度であって、この助成制度によって個々の国民がおのおの自己の政治信条に基づいて政党を支持する自由は何ら制限されるものではなく、憲法上の問題は生じないと考えております。
 所信表明でゼネコン疑惑に触れず政治改革と言えるのかという趣旨のお尋ねでございましたが、所信表明では、国民の政治不信の直接の原因となった政治腐敗事件がこれ以上発生しないようにするため腐敗防止措置を講ずることが不可欠と指摘をしたところでありまして、政治家個人に対する寄附の禁止あるいは運座制の拡大、罰則の強化など一連の措置は政治腐敗防止に大きな効果を持つというふうに考えております。
 いわゆるゼネコンをめぐる贈収賄事件につきましては、検察当局において、建設会社役員あるいは地方公共団体の首長らを逮捕するなどして、法と証拠に基づき適正な捜査処理を行っているものと考えております。私としては、検察当局は今後とも刑事事件として厳正に対処するものと確信をしているところでございます。
 使途不明金につきましては、真実の所得者に課税する観点から、できるだけその使途を解明し、その支出先に対して適正な課税を行うことが原則であって、国税当局はその使途解明に最大限の努力を行っているところでございます。ただ、どうしても使途が解明できない場合には、その支出した法人に対し、経費としての損金算入を否認することによって、結果的に全額を課税しているところでございます。なお、今般の税制調査会の中期答申では、使途小明金につきましては、「社会的に見て不明朗な企業支出を抑制する見地から、何らかの検討をすべきではないか」という意見と、「このような問題を是正するための手段として税制を活用することには極めて慎重であるべき」だという意見があったと承知をいたしております。それから、小沢氏の証人喚問についてどうするつもりかというお尋ねでございましたが、小沢氏はそれぞれの事実について記者会見という公の場で説明をしておられますが、それでもなお証人喚問が必要であるか否かは当然国会の御判断にゆだねられていると考えております。
 それから、国連の軍事行動への参加と憲法の改正の問題についてのお尋ねでございましたが、我が国としては、今後とも国際社会の責任ある一員としていかなる貢献をなすべきかについて真剣に検討していくことが重要でありますが、その場合、あくまでも憲法の枠内でできる限りの協力の実績を積み重ね、汗を流していくことが肝要だと思っております。
 また、現在、国民の中で憲法改正の具体的な内容について合意が形成されているとは考えておりませんし、内閣として憲法改正を政治的日程にのせることは考えておりません。
 それから、雑誌の論文についてのお尋ねがございましたが、私がその中で中選挙区連記制に触れましたのは政治改革実現のための一つの例示として挙げたまでのことでございまして、最終結論として並立制を採用したことは当初の私の主張と矛盾するものではないと思っております。
 また、「戦争放棄を全世界共通の理念とすべく平和憲法の理念を高く掲げる」と述べた点につきましては、それがまさしく現在の私の立場であるということを改めて申し上げさせていただきたいと思います。
 残余の質問につきましては、担当大臣からお答えをいたします。(拍手)
   〔国務大臣山花貞夫君登壇、拍手〕
#33
○国務大臣(山花貞夫君) 上田議員からは二つの問題について御質問をいただきました。
 まず、立候補の届け出に係る政党要件などについてでございます。各国の国情とか採用している選挙制度の内容などに応じましてさまざまでございます。
 外国における例とのことですが、例えば小選挙区比例代表併用制を採用しているドイツでは、五人以上の議員を有する政党のほか、小選挙区では二百人以上の署名を得た政党または個人、また比例代表では選挙人の千分の一以上の署名を得た政党という要件を設けていることを承知しております。
 第二番目に、欧米諸国で小選挙区制から比例代表制の採用に移った国、さらに世界で並立制を採用している国はどこかとお尋ねがありました。
 欧米諸国で小選挙区制から比例代表制の採用に移った国につきましては、今世紀初頭にオランダ、デンマーク、スウェーデン、ノルウェーなどの国が小選挙区制を中心とした選挙制度から比例代表制へと移行したものと承知をしております。
 世界で小選挙区制と比例代表制を組み合わせた選挙制度を採用している国につきましては、ハンガリー、韓国、メキシコ及び本年八月の法律改正によりまして採用することとなりましたイタリアなどを承知しております。また、来月行われる予定のロシアの下院議員選挙につきましても、いわゆる並立制で行われるものと聞いているところでございます。
 以上であります。(拍手)
#34
○議長(原文兵衛君) これにて質疑は終了いたしました。
     ─────・─────
#35
○議長(原文兵衛君) 日程第一 心身障害者対策基本法の一部を改正する法律案(衆議院提出)を議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。厚生委員長会田長栄君。
    ―――――――――――――
   〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
   〔会田長栄君登壇、拍手〕
#36
○会田長栄君 ただいま議題となりました法律案につきまして、厚生委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
 本法律案は、障害者を取り巻く社会経済情勢の変化等に対応し、障害者の自立と社会参加の一層の促進を図るため、法律の題名を「障害者基本法」に改め、障害者のための施策に関する基本的理念を定めるとともに、障害者の日及び障害者のための施策に関する基本的な計画に関する規定を設けることとするものであります。あわせて、雇用の促進、公共的施設の利用、情報の利用その他障害者のための施策の基本となる事項に関する規定、障害者施策推進協議会に関する規定等について所要の改正を行うこと等、障害者のための施策を総合的かつ計画的に推進するための措置を講じることとしております。
 委員会におきましては、提出者の衆議院厚生委員長から趣旨説明を聴取した後、討論に入りましたところ、自由民主党を代表して前島委員より、日本社会党・護憲民主連合、公明党・国民会議、日本新党・民主改革連合及び民社党・スポーツ・国民連合を代表して堀委員より、日本共産党を代表して西山委員より、本案に賛成の旨の意見が述べられました。
 討論を終わり、採決の結果、本法律案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、本案に対し附帯決議が付されております。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#37
○議長(原文兵衛君) これより採決をいたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#38
○議長(原文兵衛君) 総員起立と認めます。
 よって、本案は全会一致をもって可決されました。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後三時四十九分散会
ソース: 国立国会図書館
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