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1993/12/14 第128回国会 参議院 参議院会議録情報 第128回国会 本会議 第9号
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1993/12/14 第128回国会 参議院

参議院会議録情報 第128回国会 本会議 第9号

#1
第128回国会 本会議 第9号
平成五年十二月十四日(火曜日)
   午後零時一分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○議事日程 第九号
  平成五年十二月十四日
   正午開議
 第一 国務大臣の報告に関する件(ガット・ウ
  ルグァイ・ラウンド農業交渉について)
    ━━━━━━━━━━━━━
○本日の会議に付した案件
 一、新議員の紹介
 一、日程第一
 一、歯科技工法の一部を改正する法律案(厚生
  委員長提出)
     ─────・─────
#3
○議長(原文兵衛君) これより会議を開きます。
 この際、新たに議席に着かれました議員を御紹介いたします。
 議席第五十六番、選挙区選出議員、広島県選出、溝手顕正君。
   〔溝手顕正君起立、拍手〕
#4
○議長(原文兵衛君) 議長は、本院規則第三十条の規定により、溝手顕正君を運輸委員に指名いたします。
     ─────・─────
#5
○議長(原文兵衛君) 日程第一 国務大臣の報告に関する件(ガット・ウルグアイ・ラウンド農業交渉について)
 農林水産大臣から発言を求められております。発言を許します。畑農林水産大臣。
   〔国務大臣畑英次郎君登壇、拍手〕
#6
○国務大臣(畑英次郎君) 本日、細川総理は、十二月十五日のガット・ウルグアイ・ラウンド交渉の最終期限を控えて、交渉全体が妥結するとの前提のもとに、農業交渉の最終合意文書の調整案について、これを受け入れるとの決断を下されたところであります。
 ウルグアイ・ラウンドは、十五にわたる分野において、七年を超える長期に及ぶ交渉が行われてまいりましたが、特に農業分野の交渉は各国の主張の隔たりが大きく困難をきわめるものでありました。
 この間、御承知のとおり、一昨年十二月に、輸入制限をすべて関税に置きかえるという包括関税化の原則や輸出補助金、国内支持の削減の方法が示された最終合意文書案、いわゆるダンケル合意案が提示されております。さらに、昨年十一月には、鋭く対立していた米・EC間でこの最終合意文書案の一部を修正することについての原則的な合意がなされたところであります。しかし、各国とも困難な問題を抱える中で、全体としての合意には至らず、交渉は継続されてまいりました。
 我が国はこの交渉において、世界最大の農産物輸入国としての立場から、食糧の安全保障や環境保全のために農業が果たしてまいりました役割を重視すべきこと、また、世界の農業貿易をゆがめてきた原因とされる輸出補助金に歯どめをかけるべきこと等を強く訴え、包括関税化に対しては、国会決議の趣旨を踏まえ、これを回避すべく最大限の努力を傾けてきたところであります。
 しかしながら、世界の大勢は包括関税化をウルグアイ・ラウンドの農業合意の重要な原則として受け入れる方向にあります。このような状況下で、ガット事務局は、ラウンド全体の成功のため、ぎりぎりの調整案を作成し、過日我が国にこれを提示してまいりました。
 この調整案は、我が国の主張のすべてを取り入れているわけではなく、不満は残るものの、各国の対立する意見を踏まえた最終のものであり、我が国としても最終的な判断を下すことが必要となった次第であります。この調整案によれば、米のミニマムアクセスの加重や米以外の農産物の関税化といった点で我が国農業にとってまことに厳しいものであると認識をいたしております。
 我が国は、自由貿易体制のもとで経済発展を遂げ、今日の地位を築き上げてきたところであり、ガット体制の維持と世界経済発展に向けて、ラウンド成功のための重大な責務を負っていることもこれまた事実であります。世界の大勢が調整案受け入れとなっている中で、仮に我が国が受諾しなかった場合には、ウルグアイ・ラウンドが崩壊し、そのこと自体で我が国が国際的非難を浴びるだけでなく、関係国から我が国の農産物の輸入制限についてガットの場や二国間協議において、さらに厳しい条件の受け入れを強いられることは確実であります。
 以上のような諸般の事情から総合的に判断した結果として、冒頭申し上げましたとおり、総理は苦渋に満ちた調整案受け入れの決断を下されたところであります。
 この結果、我が国農業は新たな国境措置のもとにおいて、内外ともに一段と厳しい環境に置かれることになりますが、新たな国境措置も相当程度高い水準のものが確保されるものと考えております。また、我が国農業の体質強化を初めとする国内対策に万全を期する覚悟であります。
 今後は、関係者の声を十分お聞きしながら、農家の方々の不安を解消し、農業、農村の将来展望が開けるよう最大限の努力を傾注する所存であります。また、そのことを通じて、農業の持つ国土、環境の維持や地域経済の安定といった多面的機能が十分に発揮され得るものと考えております。
 こうした考え方のもとに、総理を本部長とする関係閣僚による緊急農業農村対策本部を設置し、今後の農政の推進に万全を期することといたしているところであります。
 終わりに、七年の長期にわたる交渉の過程で、多くの方々から力強い御支援をいただきましたことに対し深甚なる感謝を申し上げ、ガット・ウルグアイ・ラウンド農業交渉に関する説明を終わります。(拍手)
     ─────・─────
#7
○議長(原文兵衛君) ただいまの報告に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。北修二君。
   〔北修二君登壇、拍手〕
#8
○北修二君 私は、自由民主党を代表し、ただいま農林水産大臣より報告のありましたガット・ウルグアイ・ラウンド交渉について、総理ほか関係閣僚にお伺いいたします。
 今未明、細川内閣は三度にわたる米自由化反対の国会決議に反して、米の部分開放への道を進むガット調整案を受け入れたことに対し、国家と民族の食糧の安全保障の見地から極めて遺憾であり、我が党としては断じて容認できません。
 昨日は、くしくもカリフォルニア米七千トンが緊急輸入の主食米として初めて神戸港へ入港、陸揚げの後、外米の安全性に懸念の声が出ている中、冷害の凶作による米不足分として一般消費者へ送り込まれることになりますが、こうした状況が将来は米の部分自由化に伴って日本農民の犠牲において恒常化されることを強く懸念いたすものであります。
 まずお尋ねいたしたいことは、米の問題に取り組む総理の決意であります。
 一九八六年九月以来、足かけ八年に及ぶウルグアイ・ラウンドの交渉がようやく終わりを告げました。この間、我が党内閣は歴代国会決議に基づく米の完全自給方針を守るため、終始一貫して自由化を意味する包括関税化について反対、粘り強い交渉を繰り返し、また立場を同じくする国々と連携しながら、我が国の主張が反映されるよう最大限の努力をしてきたところであります。
 しかるに、細川内閣は、前政権の基本方針を引き継ぐ、再三にわたり国会決議に沿って交渉すると言いながら、妥結を急ぐ米国の多少の姿勢の変化を契機に基本方針堅持の姿勢を軟化させ、この秋以来、水面下における実務者レベル交渉により妥結方向へまっしぐらに走ってまいりました。
 しかるところ、今回の合意の内容が市場参入グループ議長の調整案という形で提示されるや直ちに受け入れを表明したことは、農家と国民をだまし、外交交渉という名のもとに国会を軽視したもので、我々としては黙過できません。
 まさに総理は二枚舌を弄したことになります。わかりやすい言葉で言うならば、総理はうそをついたと断ぜざるを得ません。総理はこれにどうお答えになりますか。
 それとあわせて、外務大臣より交渉の経過について真相を披瀝願いたいのであります。
 今回の交渉を通じて大変な問題は、責任を負うべき政治家が不在であったということであります。それは断定的に申せば、総理が交渉の最終局面に至るまで交渉を実務者レベルに任せ、今日の結果を招いたことが大きな一因であります。
 交渉の最終局面においてまさに総理のリーダーシップの発揮が必要なときに、政治改革のみに目を奪われて、民族の将来にかかわる重要な問題をないがしろにしてきたことを指摘しなければなりません。
 いずれの国でも、重要な交渉の節目節目においては関係閣僚を現地に派遣して自国の主張を貫くという努力を行っておりますしかるに、今回の日本の対応はいかがでしょうか。
 農相の現地訪欧は一カ月以上前のことでございます。外務大臣のガット交渉を目的とした出張は遺憾ながら聞いたことはありません。今回の外務大臣の急派も我が党の強い主張によりようやく実行したものであり、米国やECが交渉の節目節目には主要閣僚により何回となくぎりぎりの長時間交渉を行い、最大限自国の主張を貫くために努力しているのとはまるで対照的であります。
 総理、この点厳しい反省があってしかるべきと存じますが、どう受けとめるかお聞きをいたします。
 調整案を我が国が受け入れることにより、国会決議、連立合意、与党各党の公約の関係が大きく問題となります。
 三度にわたる国会決議には、米の完全自給、安全保障体制としての食糧自給力の強化等がうたわれています。ダンケル案は自由化を前提とし、内外価格差を基準とした高率の二次税率のもとに低関税のミニマムアクセスを設定しております。もともと、ミニマムアクセスは関税化の一部であり、米について言えばまさに部分開放であります。
 我が党の追及質問にもかかわらず、政府は九日の時点まで、追加譲歩条項のあることを隠していました。七年以降については白紙である。その後の協議である旨申していましたが、これは全く国政のリーダーとして信頼を失墜するやり口ではありませんか。これについてはどう弁解するのか、総理の答弁を求めます。
 特に問題なのは、猶予期間終了後、関税化を受け入れる場合、最初一年目からの削減率を適用した低関税からのスタートになり、加えてミニマムアクセスの八%維持義務により、最初から関税化したよりも大きな代償を支払い続けることでございます。
 また、特例を継続する場合は追加譲歩として、八%を大幅に拡大し、他の農産物の関税引き下げも要求されるおそれが大であります。これはどう見ても単なる追加譲歩だけでなく、一種のペナルティーつきと言っても過言ではございません。隠れ包括関税化であります。明らかに米の完全自給を放棄したものであります。なし崩し的な自由化をもたらします。
 総理、これでも今回の調整案は国会決議の自給方針に沿ったものと確信を持って言えるのでありましょうか。
 さて、昨夜来、連立与党にとって頭を悩ましたことは調整案の閣議了解決定と八党派合意事項との関係でありますが、今回の調整受け入れで、連立与党各党はどのような見解でこれを容認したのか承りたいのであります。
 特に、社会党を初めとして、米の完全自給堅持、例外なき関税化反対を明確に公約していますが、選挙の際に公約した基本政策を連立政権維持のために全く顧みないことは有権者を欺くことになります。これは重大な公約違反であると思いますが、山花、石田両大臣の所見を求めます。
 これまで申し上げましたように、今回の調整案の受け入れは、実質的な農産物の総自由化と言うべきものであります。そのことにより、今後、酪農家や畑作農家に対する大きな影響が予想されます。乳製品、でん粉、雑豆等、重要基幹農産物について総関税化を招き、北海道、九州を初め各地の農業に大きな打撃を与えることは明白であります。例えば、乳製品については、子牛価格の低下等に加えて、冷夏による消費低迷により生産調整強化を余儀なくされております。そのやさきのことであり、米のために犠牲になったとの農民の強い批判が寄せられています。今後、影響を少なくするために、二次関税設定等の対策をどのように行っていくか、具体的に伺います。
 さて、調整案の閣議了解後の今後の新協定の条約の国会承認及び食管法など関係国内法の手続でありますが、どういう手順を考えておられますか。
 以上、総理及び農林水産大臣の所信をお伺いいたします。
 今、日本農業は未曾有の凶作に襲われ、その再起に農民が懸命に頑張っているさなか、今回の調整案は関税化を六年間猶予するとしながらも、ミニマムアクセスの受け入れでそれがだんだん拡大していき、米の市場は完全に開放されていくことは必至の状況であります。せっかく新農政の展開に向け、耐えがたき生産調整に協力している生産農民の意欲はこれでは減殺されかねません。
 農業は国のもととして、一億二千万人の安心のいく国民の食糧確保のための日本農業をどう育成発展させるのか、納得のいく総理の答弁を求めます。
 若干時間がございますから、一つつけ加えて申し上げたいと存じます。
 御案内のように、今回の米の問題につきましては大きな心配があるわけでございます。農家自身が、御承知のように、今、米の計画はいわゆる一年に六十五万トンずつ、二年間で百三十万トンの備蓄をすることに相なっております。それに今の輸入二カ年分を足しますと二百三十万トンを上回るんです。四年後はどうなるか、四百五十万トンを上回ります。六年後は七百万トンの備蓄になります。一体この処理はどうするんですか。どういう方法でやるんですか。この点農家が大変心配しております。私は、農水大臣に明確にひとつお答えを願いたい。
 このようなやり方につきましてはまさに農村を壊し、農民殺しである。怒りを持って私は抗議をし、私の質問を終わります。
 以上でございます。(拍手)
   〔国務大臣細川護煕君登壇、拍手〕
#9
○国務大臣(細川護煕君) このたびの一連の交渉におきまして政府はうそをついたことになるのではないか、こういう御趣旨のお尋ねでございますが、政府としては国会決議の趣旨も踏まえ、米を初め農産物の包括的関税化というものは受け入れられない、そういう方針のもとに最大限の努力を行ってきたところでございます。
 しかしながら、各国間の対立が激しかったために、交渉期限である十二月十五日を目前に控えまして、ドゥニ議長が各国の意見を集約し、微妙なバランスのもとに調整案が取りまとめられたところでございます。
 この調整案につきましては、遺憾ながら我が国の主張のすべてが取り入れられているわけではないものの、ラウンド交渉の成功、ひいては世界経済の発展と自由貿易体制の維持強化によってもたらされる国民的な利益という観点から、ぎりぎりの決断を下さざるを得なかったものでありまして、うそをついたとは思っておりません。
 交渉における閣僚の対応についてのお尋ねでございますが、農業合意案の修正問題につきましては、これが本格化するに先立ち農林水産大臣を欧州に派遣し、ガットのサザーランド事務局長などに対し我が国の立場を十分伝え、これに従い我が国代表団は交渉を進めてきたところでございます。この間、外務大臣、農水大臣はあらゆる機会をとらえて我が国の立場を伝達いたしますとともに、現地の交渉者と密接に連絡をとりながら交渉を指揮し、我が国の主張がドゥニ調整案に十分反映されるように努力をしてきたところでございます。
 七年目以降についてどう考えているのか、こういう趣旨のお尋ねでございましたが、私としては調整案の基本的な考えをできるだけ早く国民の前に明らかにするために、調整案の骨子を公表するように指示したところでございますが、何分その時点では追加的譲歩という考え方がどのような形で盛り込まれるか明らかではございませんでした。意図的に伏せようとしたということではございません。骨子の表現に一部不十分な点があったことにつきましては、このような事情をぜひ御賢察いただきたいと存じます。
 今回の調整案と国会決議の関係についてのお尋ねでございましたが、今回の調整案は、各国の主張を討議する中で国会決議の趣旨、精神に沿うようにこれまで積み上げてきた交渉の結果であり、我が国の主張が相当程度反映されているものと考えております。
 いずれにしても、本調整案は我が国農業にとってまことに厳しいものであることから、その取り扱いにつきましてはぎりぎりの検討を行ってきたところでございますが、ラウンド交渉の成功のために応分の貢献を果たすことは我が国の国際的責務であるとの観点から、まさに断腸の思いでその受け入れを決断したところで、国民各層の御理解を得たいと考えているところでございます。
 農産物の二次関税設定などの対策についてのお尋ねでございましたが、関税化する品目につきましては、最終合意案の規律の範囲内で関税化に伴う国内生産、価格、流通などへの影響をできる限り緩和し得るように必要な関税相当量などを確保いたしますとともに、今後の所要の国内対策の立案、実施に遺憾なきようにしてまいりたい、このように思っております。
 それから、新協定の国会承認手続についてのお尋ねでございますが、一般に我が国としては、国際約束の締結に当たりましては、その実施のための国内法制の整備を行った上で締結することといたしております。ラウンドの結果として作成される国際約束につきましても、所要の国内法制の整備とともに、明年その締結について国会の御承認を求めることになろうと思っております。
 日本農業の育成発展についてのお尋ねでございます。農業は、食糧の安定供給を初め、国土や自然環境の保全あるいはまた余暇空間の提供といった多面的な機能を持ったものであることは改めて申すまでもないことでございますが、現在、我が国農業は新規就農者の減少あるいは高齢化の進行、耕作放棄地の増加などの厳しい状況に置かれており、農政の展開に当たりましては、こうした事態に対処すべく新政策に則したさまざまな施策を推進してきたところでございます。
 ラウンドの農業合意の成立、実施に伴う新たな国境措置のもとにおきましても、我が国農業、農村の振興を図り、引き続き新政策に則した施策の格段の充実、推進に努めますとともに、このたびの合意の実施に伴って生ずる諸問題につきまして必要な措置を的確に講じてまいりたいと考えているところでございます。
 残余の質問につきましては、関係大臣から御答弁いたします。(拍手)
   〔国務大臣畑英次郎君登壇、拍手〕
#10
○国務大臣(畑英次郎君) 北議員の御質問にお答えを申し上げます。
 まず初めに、乳製品、でん粉、雑豆等の農産物の今後の対策についてお尋ねをいただいたわけでございますが、調整案を受け入れ、関税化する品目につきましては、最終合意案の規律の範囲内で関税化に伴う国内生産、価格、流通等への影響をできる限り緩和し得るよう所要の関税相当量の適切な設定、現行アクセスの適正な管理、国家貿易制度の維持等、それぞれの農産物の保護に必要な条件を確保いたしますとともに、国内保護の削減についても今後の所要の国内対策の立案、実施に遺憾なきよう適切に対処してまいりたいと考えておるところでございます。
 なおまた、調整案の閣議了解後の今後の食管法などの関係国内法の手続に関するお尋ねもございました。
 ガット・ウルグアイ・ラウンド農業交渉の合意に伴い、食糧管理法を初め幾つかの国内法の整備が必要となると考えております。ウルグアイ・ラウンドの交渉内客の具体的な実施時期は平成七年以降であると想定されますので、それに間に合うように必要な国内法整備を進めて御審議を賜りたい、かように考えておるところでございます。
 次に、備蓄の問題について御指摘をいただいたわけでございます。
 本問題につきましては、今後の備蓄のありよう、あるいはまた、いわゆる米の分野の新たな用途開発等々、これらの問題につきまして農政審議会等々の御意見も伺いながら対応を進めてまいりたい、かように考えておるところでございます。(拍手)
   〔国務大臣羽田孜君登壇、拍手〕
#11
○国務大臣(羽田孜君) お答えを申し上げます。
 百十六カ国に及びますところの、まさにマルチの外交交渉ということでございまして、この性格上、交渉におけるやりとりの子細を明らかにするということはお許しをいただきたいと思います。
 ただ、この問題が起こりましたのは昭和六十年、中曽根内閣の当時でありました。私自身この問題につきまして、今御質問がございました北委員を初め各党の議員の皆様方とそれぞれの立場を持ちまして話し合いをしてまいりました。また、それぞれの責任者あるいは機関の代表の方が我が国を訪れましたときにも、日本の農業の現状あるいは食糧の現状、そして稲作農業というものが果たす現状というもの、こういった問題についてそれらの皆様と一緒に私どもは訴えを続けてまいったわけでございます。
 そういう中にありまして、一緒に行かれた方は御記憶がありますでしょうけれども、我が国の例外なき関税化あるいは包括関税、こういったものについては一緒に行かれた皆様方も残念ですけれども、どこの国の方もこれをなかなか認めてくれるという状況でなかったということ、これはぜひともひとつ皆様に御理解をいただきたいと思うわけであります。
 そして、今日の農業合意案につきましては、我が国の今申し上げましたような問題につきましてるる主張してまいったわけでありまして、それらが反映されるように政府としてなし得る最大の努力を傾注してまいったことを申し上げたいと思います。
 なお、私自身、先ほど総理からもお話がありましたように、この最終段階でありましたけれども、急遽ジュネーブに出向きまして、サザーランドさん、あるいはドゥニさん、こういった皆さんあるいはアメリカ、カナダ、EC、こういった代表の皆様方と率直なお話し合いをしてまいったところであります。
 そして、そういった中にありまして、最後のこの合意という中には、将来七年目からの問題について、これを関税化するのか、あるいは現在のこの、ミニマムアクセスというものを継続するのか、こういった問題について、やはり環境問題ですとかあるいは食糧安全保障の問題、こういったものも加味しながら我々が選択できるように、話し合えるように、このことを実は合意の中に盛り込むことに成功したということを申し上げることができると思います。
 ただ、これは結果として非常に厳しいものでありますけれども、しかし各国が日本に対して今まで一切例外なき関税化というものは認めないというものを私たちは確保することができたのは、これは率直に申し上げまして私どもとともにそういったことを今まで各国に対して訴えてきた、そのものの成果であったろうということを申し上げることができます。
 以上であります。(拍手)
   〔国務大臣山花貞夫君登壇、拍手〕
#12
○国務大臣(山花貞夫君) 北議員からの御質問の第一は、今回の調整案受け入れで、連立与党各党はどのような見解でこれを容認したのか、八党派合意との関係いかんということでございます。
 社会党が苦悩の末に政党としての真剣かつ慎重な多くの党内議論を踏まえ、村山委員長が委員長取りまとめとして集約した内容は、調整案については、これまでの社会党の方針に照らせば反対だが、ウルグアイ・ラウンドの成功と連立政権に参加する立場から総理の方針を了とせざるを得ない、そして、日本農業の再建に全力を尽くす決意を表明したものであります。
 連立の合意覚書も国会決議の趣旨を踏まえたものであることを考えるならば、広い意味で覚書の趣旨を完全には満たすに至っていないという点については反省しなければならない問題点と考えております。しかし、連立政権にあっては、各党が国民の前でぎりぎりのところで開かれた議論を行い、連立各党、内閣の合意が形成されていくことは連立政権のあり方として当然であり、今回も連立与党内で意見の一致を見た点を御理解いただきたいと考えております。
 第二問は、公約違反という御指摘です。
 党としては最大限ぎりぎりまで努力を尽くしましたが、多国間の長年の外交交渉の中で、トータルな意味でアメリカ、ECを含めて最終調整案が示されたものと理解をしております。そして、例外なき関税化という点では我が国の主張は一定程度取り入れられておりますけれども、完全自給という点では一〇〇%我が国の主張が入れられなかったことも事実として受けざるを得ません。
 しかし、政策運動の目標と結果が完全に一致しなかったからといって、それを直ちに公約違反と考えるか否か。それはこの過程における努力、また受け入れられないとする場合の対策などに基づいて総合的に判断されるべきものと考えます。
 外交交渉においては最大限主張し、かつ国際協調を図ることが必要であり、我が国の要求が完全に満たされない限り公約違反とするなら、政府の外交交渉全般が困難となるのではないでしょうか。
 そして、一朝にして変わったわけではなく、議論を尽くした上で政治決断をしたものであります。ぎりぎりまで党の政策方針を確認しながら、苦悩の中で総合的に判断したものでございます。(拍手)
   〔国務大臣石田幸四郎君登壇、拍手〕
#13
○国務大臣(石田幸四郎君) 北議員にお答えを申し上げます。
 私に対する御質問は、公明党は八党派合意事項の関係でどのような見解でこれを容認したのか。また、公明党は米の完全自給堅持、例外なき関税化反対を公約にしている、公約違反ではないのかというお尋ねでございました。ともに関連する項目でございますので、まとめてお答えすることをお許しいただきたいと存じます。
 まず第一に、私たちは、ウルグアイ・ラウンドの成功は自由貿易を守るために極めて重要であり、貿易立国として我が国はこの妥結に最大の努力が必要であると判断をいたしました。
 さらに、第二点といたしまして、ドゥニ議長の調停案は、六年間は非関税、六年後の再交渉となっておりまして、これによって関税化の阻止が確保されたと判断をし、この点は評価できるものである、このように判断をいたしておるところでございます。
 ミニマムアクセスの問題は、その代償措置として認識すべき問題であり、一〇〇%の成果ではないにいたしましても、我が党の基本政策並びに八党合意あるいは選挙公約に大筋において反するものではないと判断をいたしたところでございます。
 また今後の対応として、今回の決定によりまして農業者のこうむる不利益を最小限にとどめるため、政府・与党一体となって最大限の努力を払っていく必要があり、特に稲作農家、なかんずく中山間地や小規模農家はもとより、乳製品など深刻な打撃が予想される酪農者に対し、でき得る限りのあらゆる対策を速やかに検討すべきであると考えておるわけでございまして、これを機会に新しい日本の農政に本格的に取り組んでいくべき問題である、このように決意をいたしているところでございます。
 以上、答弁とさせていただきます。(拍手)
#14
○議長(原文兵衛君) 青木幹雄君。
   〔青木幹雄君登壇、拍手〕
#15
○青木幹雄君 私は、自由民主党を代表し、米の自由化を事実上決定した細川内閣の責任を国民の前に明らかにしていただきたいと思います。
 昨日、本日、衆参両院の本会議において米問題の質疑が行われてまいりました。自民党として私が最後の質問者であります。重複する部分があろうと思いますが、長年にわたりこの問題は議論をしてきた問題でありますので、今さらその内容について細かい議論をしようとは考えておりません。事実上米の自由化を決定された細川内閣の責任がどのような形でとられるのか、とられないのか、責任問題に絞ってお尋ねをしたいと考えます。
 まず、三度にわたる国会決議についてであります。
 今回の決定は、明らかに国会決議を無視した決定であります。私は、参議院に当選しましてから七年になります。国会決議というものは、いかなる事情があろうとも、いかなる立場にあろうとも、議会に席がある以上絶対に守らなければならない議員にとっては憲法に等しいものであると考えてまいりました。国民の皆さんもまた同じ気持ちで国会決議を受けとめてこられたはずであります。この三度にわたる国会決議を踏みにじった責任を総理はどのような形でとられるのか、明らかにしていただきたいと思います。
 その責任は、単なる米問題の責任ではありません。衆参両院の権威を完全に失わしめた責任であります。また、国民の皆さんに国会決議がいかにむなしいものか、信用できないものかということを事実をもって示した責任であります。この責任は、米の自由化賛成、米の自由化反対以前の問題であるという認識に立ってはっきりとした答弁を求めます。我々議会に対してではなく、細川総理の国会決議に対する認識を国民の皆様にもわかりやすく説明を求めるものであります。
 自由民主党は、今日まで四度目の国会決議を主張してまいりました。与党の中でも多数の賛成者がありながら、四度目の国会決議はできませんでした。まことに残念であります。三度の国会決議を守るから四度目の必要はないということでありました。しかし、事実は、うそをついているので今さら決議はできないということが真実であったわけであります。
 総理、国会決議を無視してうそをつくくらいなら、なぜ堂々と正直に、三度の国会決議を今回は守ることはできません、それはこういう理由からであります、したがって米の自由化はいたしますと正直に表明されるのが、努力はしましたができませんでしたとうそを言われるよりもまだ親切な政治であったと思います。総理が日ごろおっしゃっている、わかりやすい正直な政治であったと私は考えております。
 この問題は息子や娘の入学試験ではありません。失敗したからもう一度頑張って六年後にはしっかりやれと言える問題でないことを、総理ははっきりとこの際認識すべきだと考えております。
 総理、あなたは五十五年の決議には参議院議員として参加をしておられます。しかし、それはウルグアイ・ラウンドの始まる前であります。二回目、三回目には参加をしておられません。前回の衆議院選挙、前回の参議院選挙で初当選された皆さんは、一回も決議には参加しておられないのであります。それゆえにこそ、本気で国会決議を守る気持ちが総理にあるならば、あなたが率先して四回目の決議をすべきだったのではないでしょうか。日本国の総理の命がけの決意を世界に示す上でも必要なことであったと思います。はっきりとした答弁を求めます。
 四度目の国会決議ができなかった時点で、既に日本の外交は完全に敗北をいたしております。国会の意識統一ができない国が、事実上三度にわたる国会決議を破棄した国が、激しい外交交渉の中で勝てるはずがございません。子供でもわかることであります。
 それがはっきりと証明されたのが、長い間における国会を無視し、国民をだまし続けた秘密交渉が行われてきたという事実であります。内外の新聞で報道されるたびに、私どもは本会議で委員会でこのことをただしてまいりました。総理も農水大臣も、その都度、報道の誤りであり、絶対そういうことはありませんと言い続けてまいりました。私たちは、その都度信用をしてきました。国会という公の場での責任ある立場の人の発言だからであります。
 この際、はっきりとさせておきたいと思います。
 外交は国と国とがそれぞれの国益をかけた話し合いであります。時には秘密も必要でありましょう。しかし、秘密外交が許されるのは、それがそのまま日本の、我が国の国益に合致するときのみ許されるべき問題であります。国益を結果として害することに終わった今回の秘密外交は、絶対に許すべからざる行為であります。この際、隣国の大統領が行ったように、正直に国民に断りをし、この責任を明らかにしていただきたいと思います。総理のはっきりとした答弁を求めます。
 先般、同僚の片山議員の予算委員会における質問から七年目の問題が明らかになりました。日本にとって何ら得るものはありません。努力の跡など影すら見えない状態であります。外国に対するサービスの跡だけが残っておるのが現状であります。こういう重大な問題を何も知らずに役所に任せていたとしたら大変な問題であります。また、知っていたとしたら一体だれとだれとが知っていたのか、その存在を明らかにし、その責任を明らかにしていただきたいと思います。
 昨夜のテレビ報道によりますと、日本において閣議了承が行われる前に現地においては既に決定事項として取り扱われているということでありますが、一体どういうことになっておりますか、説明を求めます。
 次に、羽田外務大臣の派遣についてであります。
 最後の一番大事な時期に責任大臣を派遣するかしないのか。一度は中止をなさいました。そしてそのとき、今からでは遅過ぎると反対されたと聞いております外務大臣が、自由民主党の要請によって自分で行かなければならなくなった。全く国民から見ればなそのような内閣の動きであります。しかも、与党の首脳の皆さんも羽田外務大臣の派遣を知らなかったということですから、一体内閣の方針はどうなっているのか全く理解に苦しむものであります。
 当然初めから内閣を挙げて現地で最後の努力をするのが本当の姿ではないでしょうか。それができなかったということは、既にそれまでに秘密交渉によってすべてが決定したというあかしてはありませんか。正直な御答弁を求めます。
 残念なことでありますが、今朝、細川内閣の名において事実上の米の自由化が閣議了承されました。
 私は、それぞれの党の代表からはっきりとした答弁を求めたい気持ちでありますが、時間の関係から質問の内容は各党に対し同じ気持ちであることを申し上げ、昨日一番苦しい選択をされたであろう社会党を代表して、山花大臣に答弁を求めます。
 社会党は、国会決議、八党派合意、特に公党として選挙の公約にはっきりと完全自給を堅持し、農産物の例外なき関税化には絶対に反対するとはっきりと国民の前に表明を続けてまいられました。現在でも党内の多くの同志の皆さんが、公党として公約はあくまでも守るべきだという正しい主張を続けておられる現状ではございませんか。そういう中で、調停案には反対であるけれども政府の決定はやむを得ない、内閣にとどまり協力するという決定をなされたわけであります。
 まさに国民を裏切り、農民を見捨て、公約を破り、昨日までともに汚した同志を裏切り、政党としての存在をみずから放棄した行為であると言わざるを得ません。
#16
○議長(原文兵衛君) 青木君、時間です。簡単にしてください。
#17
○青木幹雄君(続) 政党として政治家として、国民よりも農民よりも大臣のいすに残ることを選んだ行為ではありませんか。与党第一党の社会党の一部は細川政権の一使用人になったと言われても何ら弁解の余地はないと私は考えております。
 今回は閣議了解であり、幸か不幸かそれぞれ署名捺印の必要がありませんでした。しかし、いずれはそのときが参ります。そのときにどう対処されるか、あわせてはっきりとした答弁を求めます。
 自民党に再び政権を渡すわけにはいかないと、そのために細川内閣に残るんだということを言われておりますが、政権は政党として堂々と政策をもって守るべきものではありませんか。
 最後に、私はいろいろな会合で、特に米の自由化反対の会合で与党の皆さんの一部から自民党政権がもし続いていたら同じ道を歩んだはずだという発言を耳にいたします。全く無責任な言い逃れであります。自由民主党は決してそういうことはいたしません。
#18
○議長(原文兵衛君) 青木君、時間です。もうやめなさい。
#19
○青木幹雄君(続) 自由民主党はいかなる立場に立とうとも、公約実行を第一にしっかりと国民の皆さんと農民の皆さんとの約束を守っていく責任政党であることをこの際はっきりと申し上げて、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣細川護煕君登壇、拍手〕
#20
○国務大臣(細川護煕君) 初めに、国会決議に関連してのお尋ねでございましたが、政府としては国会決議の趣旨を体して最大限頑張ってきたところで、今回の調整案は我が国の主張が相当程度反映されているものと繰り返し申し上げているところでございます。
 本調整案の取り扱いにつきましては、こうした事情を十分踏まえながらぎりぎりの検討を行い、まさに身を切られるような思いでその受け入れを決断したところでございまして、ぜひともその点について御理解をいただきたいと存じます。
 今後につきましては、農家の方々に不安や動揺を来さないため、万全の国内対策を講じていく考えであり、私を本部長とする関係閣僚による緊急農業農村対策本部を設置いたしまして、今後の農政の推進に全力を尽くしてまいりたいと考えておりますし、国民各層の御理解と御協力をお願い申し上げる次第でございます。
 四回目の国会決議についてのお話でございましたが、今も申し上げましたように、政府としては国会決議の重み、国会決議の趣旨を体して極力頑張ってきたところでございます。今回の調整案はこれまでの決議の趣旨、精神がそれなりに反映をされたものである、こう申し上げている次第でございます。四度目の国会決議の件につきましては、国会でお決めになるものでございますから、私から意見を申し上げることは差し控えさせていただきます。
 七年目の問題を知らずに役所任せにしていたのではないかという趣旨のお尋ねでございましたが、骨子につきましては特例措置の適用に当たって代償を払わなければならないという考え方を示しておりまして、その延長線上として、七年目以降の特例措置の継続のためには追加的な譲歩が必要であるとの基本的な考え方につきましては承知をしておりましたということを委員会の答弁などでも再々申し上げてきたところでございます。
 しかし、このような追加的譲歩という考え方がテキスト案にどのような具体的案文で盛り込まれるかにつきましては、骨子の提示の段階では明らかではなかったということでございます。
 私としては、調整案の基本的考えをできるだけ早く国民に明らかにするために調整案の骨子を公表するよう指示したのでありまして、秘密外交とか役所伝せといった御指摘は当たらないと思っております。ただ、説明が不十分でありましたことにつきましては、改めておわびを申し上げる次第でございます。
 それから、一番大切な時期に大臣を派遣しなかったのはなぜかと、こういう趣旨のことでございましたが、十一月の上旬に合意案の修正問題が本格化するに先立ちまして農林水産大臣を欧州に派遣をし、また、最終段階におきまして交渉全体の総合的な調整を行うために外務大臣をジュネーブに派遣をいたしました。いずれも交渉過程の適切な時期をにらんで派遣をしたものでございます。
 なお、交渉が秘密裏に決着していたということはございません。
 残余の質問につきましては、関係大臣から御答弁をいたします。(拍手)
   〔国務大臣山花貞夫君登壇、拍手〕
#21
○国務大臣(山花貞夫君) 青木議員の御質問は、社会党のガット・ウルグアイ・ラウンドのドゥニ調停案に対する態度決定に関してのものでございました。
 承知している事実関係につきましては、先ほども御報告させていただきましたが、社会党はこれまでの方針に照らせば反対であるが、ウルグアイ・ラウンドの成功と連立に参加する立場から総理の方針を了とするものであると承知をしております。
 国会決議、八党派合意については、政府としても社会党としても最大限の努力を重ねてきたところでありますけれども、一定の主張は取り入れられつつも、その趣旨が完全に満たされるとまでは言えないことも反省しづつ、しかし外交交渉でもあり、全体の新ラウンドの成功や我が国の国際的な位置づけ等に照らして総理の判断をやむなしとしたものであり、同時に農業、農村の再建、振興に全力を尽くすとしたものであると承知をしております。
 この社会党の決定については、党内でも多くの厳しい議論を尽くし、大変苦悩を伴ったものであり、国民の皆様の御理解を心からお願いしている次第でございます。
 次いで、署名捺印の関係についてもお尋ねをいただきました。内閣におきまして抜本的な国内対策について政府の一員として全力を尽くしていく中で、そうした署名捺印の問題につきましては、内閣の一員としてなすべき義務は当然果たすべきものと考えているところでございます。(拍手)
    ―――――――――――――
#22
○議長(原文兵衛君) 林紀子君。
   〔林紀子君登壇、拍手〕
#23
○林紀子君 私は、日本共産党を代表して、細川内閣が国会決議を踏みにじり、国民への公約を裏切って、ガットのドゥニ議長調整案を受け入れ、米の自由化に踏み出したこと、また乳製品、でん粉、コンニャクなど二十に上る輸入制限品目の例外なき関税化受け入れを決定したことに対して、満身の怒りを込めて糾弾し、この決定の撤回を断固要求するものであります。
 政府は、ウルグアイ・ラウンド成功のため、やむを得ない譲歩だなどと弁解していますが、その実体はアメリカヘの屈服以外の何物でもありません。そのことは事の全経過が証明しています。総理は、さきの訪米の際、ウルグアイ・ラウンドの成功をみずからアメリカのクリントン大統領に誓約しました。そして、細川内閣が受け入れを決めた調整案は、十月に対米交渉で秘密合意として報道されていた内容そのものではありませんか。
 クリントン政権は軍事面ばかりでなく、経済的にも世界一の地位を確保する野望に燃えています。今回の決定は、このクリントン政権に細川内閣が屈し、日本国民の利益をアメリカに売り渡したことにほかなりません。アメリカヘの屈従がどうして国益ですか。何が成功ですか。ウルグアイ・ラウンド成功のためというのは売国の論理ではありませんか。
 総理、なぜこのように日本の国益、経済主権を守り通さず、対米追随の卑屈な態度をとるのですか。あなたは、未曾有の冷害に苦しむ農民と米の完全自給、食糧自給率の向上を願う国民の声を踏みにじり、日本の主権と国益を投げ捨ててでもクリントン政権に迎合することでみずからの政権の延命を図ろうというのですか。明確な答弁を求めます。
 国民の主食である米をどうするかということは、まさに日本の経済主権の根本にかかわる問題です。各国の経済主権の尊重を前提としたガットのあり方に照らしても、日本は調整案の受け入れを拒否できる権利を持っています。我が国政府がみずから態度を決めることにどの国も干渉できないことは明白ではありませんか。また、我が国に全面自由化を受け入れさせながら、輸出大国のアメリカなどには輸出補助金の温存を認めるなどの不公正をどうして容認するのですか。あわせて答弁を求めます。
 米は日本農業の最大の柱です。日本の百五十倍の経営規模を持つアメリカや日本の十分の一以下の賃金で生産されるタイなどの米との競争で稲作経営が成り立たなくなったとき、農家にとって農業で生きるすべは何も残されません。転作しようにも、例外なき関税化ですべての作物が外国産との激しい競争にさらされるのです。
 総理、本院はだからこそ、三度にわたって米の国会決議を全会派一致して行ってきたのです。そのうち、一九八四年と一九八八年の国会決議は、国内で完全自給することを政府に対して厳格に求めています。今回の決定がこの国会決議に真っ正面から反することは明白ではありませんか。
 総理、本院の決議をないがしろにし、国会と国民を無視した政治的及び道義的責任をどのようにとられるのか、本院に対して明確な答弁を求めるものです。
 また、今回の決定は、与党各党の選挙公約にも明白に反するものです。さきの総選挙時には、すべての政党が米の関税化、自由化受け入れに反対との公約を掲げていました。総理並びに官房長官、政治改革担当大臣、厚生大臣、総務庁長官、このような国民に対する約束を踏みにじった責任を明らかにすべきです。それぞれ明確な答弁を求めます。
 社会党が、党としては反対と言いながら、細川内閣を支えることを理由に閣内にとどまって政府の調整案受け入れ方針を認めたことは、どのような言いわけをしようとも自由化容認の立場への変節にほかなりません。みずからの態度と両立しがたい矛盾に満ちたもの、国民に対する背信と欺瞞だとは考えませんか。社会党の六人の閣僚を代表して山花大臣に答弁を求めます。
 また、反対する六人の閣僚がいるということは、まさに閣内不統一そのものではありませんか。これで首相として責任が果たせるのですか。総理の答弁を求めます。
 外に向かっては米の自由化、そして国内では減反を続ける農政は、日本の農業を滅ぼす道でしかありません。日本が米自由化への道に踏み込んだことによって、アメリカはさらに次々と屈服と追随を押しつけるでしょう。それは自由化された牛肉やオレンジの結果を見るだけでも明らかです。一九九一年に完全自由化となった牛肉は、関税率の低下に伴いアメリカやオーストラリアなどの輸入量が国内生産量に匹敵するまでに急増し、今、和牛や酪農経営に大打撃を与えています。また、ミカン農家についても同様です。だから、現時点で三十六にも上る道府県議会が米自由化反対の決議や意見書を可決しているのです。
 こうしたことは、農産物の関税化がどんなに国内対策を講じようとも我が国の農業に壊滅的な打撃を与えずにはおかないことをはっきりと示しているのではありませんか。
 また調整案は、関税化猶予の条件として減反を義務づけていますが、減反を続けながらなぜ大量の米を外国から輸入しなければならないのでしょうか。こんなに日本農業を愚弄した話はありません。米を輸入しなくとも自給能力を十分に持つ日本が国内自給の方針を捨て去ることは、人口の爆発的増加と食糧危機の慢性化が予想される中で、アジア、アフリカの諸国民にどのような運命をもたらすのか、あなたはわかっているのですか。細川内閣は国際貢献を唱えながら、国際的背信の道をたどっていると言っても過言ではありません。明確な答弁を求めます。
 今、農政に求められていることは、断固とした自由化拒否であり、食糧自給率の向上へ向けた政策的転換であります。減反政策の中止、価格保障の抜本的拡充、家族経営の維持と後継者対策、中山間地への特別措置こそ急務です。明確な答弁を求めます。
 ウルグアイ・ラウンドの正式調印は来年の春です。しかも、国会での承認がなければ効力は持ちません。日本共産党は、生産者、消費者とかたく手を結んで、例外なき関税化反対、ミニマムアクセス拒否のため、最後の最後まで闘い抜くことを表明して、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣細川護煕君登壇、拍手〕
#24
○国務大臣(細川護煕君) 日米秘密合意があったのではないかというのが冒頭のお尋ねでございましたが、二国間、複数国間でいろいろな論議、話し合いは行っておりますが、日米間で合意が成立をしていたというようなことはございません。
 なぜ対米追随の卑屈な態度をとるのか、こういう趣旨のお尋ねでございましたが、今回示された調整案は各国の対立する意見を踏まえてでき上がったぎりぎりのものでございまして、国内農業の振興と貿易立国としての我が国の立場などを総合的に判断をいたしました結果、ラウンドの終結を前提として受け入れることとしたところでございまして、そういう御指摘は当たらないと考えております。
 ガットの機構についての関連してのお尋ねでございましたが、ガットは申すまでもなく国際自由貿易体制の大きな柱であって、関税、非関税障壁の撤廃を目指して自由化を促進するための枠組みでございます。このような機構におきまして、国際協力を促進し、一方的な措置や保護主義的な措置を防止することが大切であって、各国ともそのような目的のために協力することが期待されているものと認識をしているところでございます。
 日本には全面自由化を強制しながらアメリカには輸出補助金の温存を認めるといったような不公正があるではないか、こういう趣旨でございましたが、我が国はラウンドの交渉におきましてかねてから輸出国と輸入国とのバランスの問題を指摘してきたところで、今回の調整案はいろいろな条件はついておりますものの、関税化の例外措置が認められたものと考えているところでございます。
 他方、輸出規制についての一定の規律が新たに導入されているほか、輸出補助金につきましては、従来規律が課せられていなかったところに新たに一定の規律を課することになる見込みで、輸出国と輸入国のバランスの改善が見られると考えております。
 調整案と六十三年参議院の国会決議についてのお尋ねでございますが、今回の調整案は、何遍も申し上げますように、各国の主張を討議する中で国会決議の趣旨、精神に沿うようにこれまで積み上げてきた交渉の結果でありまして、我が国の主張が相当程度反映されているものと考えているところでございます。
 調整案の受け入れと八党派合意についてのお尋ねでございますが、政府としては国会決議それから八党派合意の趣旨を体して最大限頑張ってきたところで、その結果が今回の調整案に反映されていると考えております。
 本調整案につきましては、ラウンドの交渉の成功、自由貿易体制の維持強化といった観点からその受け入れを政府として決定をしたところで、ぎりぎりの決断であったことをぜひ御理解をいただきたいと存じます。
 閣内不統一ではなかったかということでございますが、きょう未明の閣議におきまして外務大臣そして私自身から今回の調整案を受け入れたい旨の方針を御説明申し上げ、これについて内閣として最終的に異議なく了承することになったものでございまして、閣内不統一はございません。
 調整案の受け入れと日本の国益ということについてのお尋ねでございますが、今回の調整案は、繰り返し申し上げますように、我が国の主張に相当程度配慮がなされているものであるというふうに受けとめております。
 この調整案につきましては、第一に、ガットのもとでの自由貿易体制の中で現在の経済的な発展を実現した我が国にとりまして、目前に迫った交渉の成功裏の終結のために応分の貢献を果たすということは我が国の国際的な責務であるということ。それからまた、第二に、我が国が調整案を受諾しなかった場合には、ラウンドが崩壊をし、各国の保護主義を助長し、我が国経済の存立の基盤が危うくなるといったようなことなど、将来にわたる国益を考えまして受け入れの決断をした次第でございます。
 日本が米の輸入国になることは飢餓の輸出につながるのじゃないか、こういう趣旨のお尋ねでございますが、米の生産調整につきましては、依然として潜在的な生産力が需要を上回っている状況のもとで、今後とも引き続き実施をしていく必要があると考えております。
 今回の調整案の受け入れに伴うミニマムアクセスの実施に当たりましては、世界の米の貿易の実情に十分配慮して慎重に対応することが必要であると認識をしておりますが、国際相場などの貿易関係に及ぼす影響にも十分配慮をしながら適切な輸入が進められるように留意をしていかなければなるまいと思っております。
 調整案受け入れの撤回についてでございますが、もちろんこの今度の調整案につきましては我が国の主張のすべてが取り入れられているわけではございませんけれども、先ほども申し上げましたように、ラウンドの交渉の成功、ひいては世界経済の発展と自由貿易体制の維持強化によってもたらされる国民的な利益という観点からぎりぎりの決断を下さざるを得なかったということでございます。
 今後、新たな国境措置のもとにおいて一段と我が国の農業は厳しい環境に置かれることになるわけでございますが、農家の方々に不安や動揺を来さないためにもできる限りの国内対策を講じますとともに、我が国の農業の体質が強化されるように今後できる限りの努力を惜しまない決意でございます。
 残余の質問につきましては、関係大臣から御答弁いたします。(拍手)
   〔国務大臣武村正義君登壇、拍手〕
#25
○国務大臣(武村正義君) あらゆる外交の場で例外なき関税化に粘り強く堂々と反対し続け、まさに先進国の中では日本の米のみにその例外を認めさせることができたのでありますから、いわゆる八党派合意、ウルグアイ・ラウンドの成功と例外なき関税化に反対するという八党派合意をどうにか貫くことができたと考えております。(拍手)
   〔国務大臣山花貞夫君登壇、拍手〕
#26
○国務大臣(山花貞夫君) 林議員からは二点御質問いただきました。
 まず初めは、調整案受け入れ、公約、八党派合意に関する部分でございます。
 社会党が真剣かつ慎重な多くの党内論議を踏まえ、村山委員長が委員長の取りまとめとして、調整案についてはこれまでの社会党の方針に照らせば反対だが、ウルグアイ・ラウンドの成功と連立政権に参加する立場から総理の方針を了とせざるを得ないとして、これからの日本の農業の再建に全力を尽くす決意を表明していることにつきましては、先ほど来御報告しているとおりでございます。
 ウルグアイ・ラウンドの成功、例外なき関税化反対という連立の合意そのものだけではなく、その背景となっている国会の決議の趣旨などを考えれば、広い意味でその覚書を完全に満たしているかということについては反省すべき点があると考えております。
 しかしながら、連立政権にあって各党が国民の前でぎりぎりのところで開かれた論議を行い、連立各党、内閣の合意が形成されていくことは連立政権のあり方として当然であり、今回も連立与党内でそうした努力の上での意見の一致を見たことをどうか御理解いただきたいと考えます。
 次の国会決議、八党会派の合意につきましては、政府としても社会党としても最大限の努力を重ねてきたところではありますけれども、一定の主張は取り入れられつつも、その趣旨が完全に満たされたというところまでは言えないことを反省しつつ、しかし外交交渉であり、全体の新ラウンドの成功や我が国の国際的な位置づけ等に照らして総理の判断やむなしとしたことにつきましては、先ほど来御報告しているとおりでございまして、同時に、これからの農業の再建、農村の振興のために内閣の中にあって全力を尽くしたいと考えております。
 こうした立場での党の決定につきましても先ほど来御報告したとおりでございまして、どうか皆様の御理解のほどを心からお願い申し上げる次第でございます。(拍手)
   〔国務大臣石田幸四郎君登壇、拍手〕
#27
○国務大臣(石田幸四郎君) 林議員にお答えを申し上げます。
 調停案受け入れは総選挙での公約、八党派合意にも反するのではないかという御質問でございました。
 先ほども初めにお答えを申し上げたわけでございますが、私たち公明党はウルグアイ・ラウンドの農業分野での合意を受け入れることを決定したわけでございますが、その第一の理由は、ウルグアイ・ラウンドの成功は自由貿易を守るために極めて重要であり、貿易立国としての宿命的な立場にある我が国はこの妥結に最大の努力をしなければならない、このように判断をいたしたところでございます。
 また、第二に、米に関しドゥニ議長の調停案は、六年間は非関税、六年後の終了時までに再交渉となっておりまして、これによって関税化の阻止が確保された、この点は評価できるものであるというふうに考えておるわけでございまして、同時に、ミニマムアクセスはその代償措置として認識すべきであり、一〇〇%の成果ではないにいたしましても、大筋において八党合意や選挙公約に反するものではない、このように考えておるところでございます。
 また、こういった事態にかんがみまして、日本の農業の再生、全力を挙げて政府、与党一体となって努力をしていかなければならない問題であることは申し上げるまでもないわけでございます。
 また、乳製品あるいはその他の農産品に対しましても、これは積極的にできるだけの対策を打って生産者に安心できる道を明確に示していかなければならない、このように考えているところでございます。また、そういう決意で今後も頑張ってまいりたいと思います。
 以上、答弁をさせていただきました。(拍手)
   〔国務大臣大内啓伍君登壇、拍手〕
#28
○国務大臣(大内啓伍君) 林議員にお答えをいたします。
 まず、八党間で合意されたものは、一つはウルグアイ・ラウンドについてはこれを成功させなければならない、二つには例外なき関税化には反対するという二点でございました。したがいまして、八党間合意では今回のドゥニ調整案に示されましたミニマムアクセスには直接触れておりませんが、といってそれを初めから容認したものではないと理解をいたしております。
 しかし、その後、ウルグアイ・ラウンド交渉の中で農産物についての各国の合意が急進展いたしまして、例外なき関税化の適用を六年間猶予されるかわりにミニマムアクセスを受け入れることが必要な事態が生まれまして、日本を除くすべての国々が農産物について合意に達する状況が発生した中で、我が国がひとりそれを拒否して国際的に孤立化する道を歩むことが国益を守ることになるのかという新しい事態に直面したわけでございます。
 ミニマムアクセスを受け入れることは、八党間の合意並びに我々がかねてから主張してきた米の自由化反対という国民への公約を完全に履行することにはなりません。日本としては、この際、国際的に孤立化する道を回避する道を選ぶことが広い意味で我が国の国益に沿うものであるという認識に立ち、まことに苦しい思いでこれを受け入れることとしたわけであります。
 当面、例外なき関税化を回避し得たとはいいましても、公約を完全に履行できなかったことについては、国民の皆様に率直におわびしたいと思います。
 この上は、日本農業の厳しい状況を踏まえて、日本農業の安定と発展のために、強力な施策を講ずるよう全力を傾注してまいりたいと思う次第でございます。
 以上でございます。(拍手)
#29
○議長(原文兵衛君) 先ほどの青木幹雄君の発言につきましては、速記録を調査の上、議長において適切な措置をとります。
 これにて質疑は終了いたしました。
     ─────・─────
#30
○議長(原文兵衛君) この際、日程に追加して、
 歯科技工法の一部を改正する法律案(厚生委員長提出)を議題とすることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#31
○議長(原文兵衛君) 御異議ないと認めます。
 まず、提出者の趣旨説明を求めます。厚生委員長会田長栄君。
    ―――――――――――――
   〔議案は本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
   〔会田長栄君登壇、拍手〕
#32
○会田長栄君 ただいま議題となりました歯科技工法の一部を改正する法律案につきまして、厚生委員会を代表して、その提案の理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
 歯科技工士は歯科医師の指示のもとに義歯等の歯科技工物を作成することにより、歯科医療の普及及び向上に寄与しており、本格的な高齢化社会を迎え、今後その役割は一層大きくなるものと考えられます。
 こうした中で、社会からの多様な要請に十分対応できるよう、歯科技工に関する技術水準を一層高めていくとともに、歯科技工水準の向上に貢献する人材をより多く育成していくことが重要であります。
 このため、文部大臣の指定する学校を歯科技工士の養成課程の一つとして位置づけることにより、短期大学等における教育・研究施設の設置への道を開くとともに、法律の題名を改めることとし、法律案を提出した次第であります。
 改正の内容は、法律の題名を歯科技工士法に改めるとともに、歯科技工士試験を受験できる者として、文部大臣の指定する歯科技工士学校を卒業した者を加えることとするものであります。
 なお、この法律は、公布の日から起算して六十日を経過した日から施行することとしております。
 以上がこの法律案を提出する理由及びその内容の概要であります。何とぞ御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
 以上であります。(拍手)
    ―――――――――――――
#33
○議長(原文兵衛君) これより採決をいたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#34
○議長(原文兵衛君) 総員起立と認めます。
 よって、本案は全会一致をもって可決されました。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後一時三十二分散会
ソース: 国立国会図書館
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