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1993/11/04 第128回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第128回国会 政治改革に関する調査特別委員会 第14号
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1993/11/04 第128回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第128回国会 政治改革に関する調査特別委員会 第14号

#1
第128回国会 政治改革に関する調査特別委員会 第14号
平成五年十一月四日(木曜日)
    午前十時開議
出席委員
  委員長 石井  一君
   理事 大島 理森君 理事 北川 正恭君
   理事 野田  毅君 理事 保岡 興治君
   理事 左近 正男君 理事 前田 武志君
   理事 権藤 恒夫君 理事 三原 朝彦君
      逢沢 一郎君    伊吹 文明君
      石破  茂君    小此木八郎君
      河村 建夫君    斉藤斗志二君
      笹川  堯君    白川 勝彦君
      津島 雄二君    中川 秀直君
      西岡 武夫君    額賀福志郎君
      葉梨 信行君    穂積 良行君
      細田 博之君    増子 輝彦君
      松岡 利勝君    阿部 昭吾君
      秋葉 忠利君    今村  修君
      大畠 章宏君    岡崎トミ子君
      土肥 隆一君    堀込 征雄君
      岡田 克也君    金子徳之介君
      土田 龍司君    西川太一郎君
      吹田  ナ君    宮本 一三君
      吉田 公一君    赤松 正雄君
      太田 昭宏君    日笠 勝之君
      前原 誠司君    茂木 敏充君
      簗瀬  進君    川端 達夫君
      柳田  稔君    吉田  治君
      正森 成二君
 出席国務大臣
        内閣総理大臣  細川 護煕君
        外 務 大 臣 羽田  孜君
        厚 生 大 臣 大内 啓伍君
        郵 政 大 臣 神崎 武法君
        建 設 大 臣 五十嵐広三君
        自 治 大 臣 佐藤 観樹君
        国 務 大 臣
        (内閣官房長官)武村 正義君
        国 務 大 臣
        (総務庁長官) 石田幸四郎君
        国 務 大 臣
        (国土庁長官) 上原 康助君
        国 務 大 臣
        (科学技術庁長
        官)      江田 五月君
        国 務 大 臣 山花 貞夫君
出席政府委員
        内閣法制局長官 大出 峻郎君
        内閣法制局第三
        部長      阪田 雅裕君
        内閣総理大臣官
        房審議官    石倉 寛治君
        宮内庁次長   宮尾  盤君
        総務庁長官官房
        長       池ノ内祐司君
        総務庁行政監察
        局長      田中 一昭君
        防衛庁長官官房
        長       宝珠山 昇君
        防衛庁防衛局長 村田 直昭君
        国土庁地方振興
        局長      秋本 敏文君
        法務省刑事局長 濱  邦久君
        外務省アジア局
        長       池田  維君
        大蔵省主計局次
        長       竹島 一彦君
        大蔵省主税局長 小川  是君
        国税庁課税部長 若林 勝三君
        厚生省社会・援
        護局長     土井  豊君
        運輸省自動車交
        通局長     越智 正英君
        郵政省放送行政
        局長      江川 晃正君
        建設大臣官房長 伴   襄君
        建設省建設経済
        局長      小野 邦久君
        自治政務次官  冬柴 鐵三君
        自治大臣官房審
        議官      谷合 靖夫君
        自治省行政局長 吉田 弘正君
        自治省行政局選
        挙部長     佐野 徹治君
 委員外の出席者
        議     員 伊吹 文明君
        議     員 鹿野 道彦君
        議     員 津島 雄二君
        衆議院法制局長 和田 文雄君
        衆議院法制局第
        一部長     内田 正文君
        衆議院法制局第
        一部副部長   臼井 貞夫君
        自治省行政局選
        挙部選挙課長  松尾 徹人君
        自治省行政局選
        挙部管理課長  山本信一郎君
        自治省行政局選
        挙部政治資金課
        長       大竹 邦実君
        特別委員会第二
        調査室長    田中 宗孝君
    ―――――――――――――
委員の異動
十一月四日
 辞任         補欠選任
  自見庄三郎君     小此木八郎君
  細田 博之君     松岡 利勝君
  増子 輝彦君     河村 建夫君
  秋葉 忠利君     今村  修君
  大畠 章宏君     土肥 隆一君
  小沢 一郎君     西川太一郎君
  吹田  ナ君     吉田 公一君
  大口 善徳君     日笠 勝之君
  柳田  稔君     吉田  治君
同日
 辞任         補欠選任
  小此木八郎君     伊吹 文明君
  河村 建夫君     増子 輝彦君
  松岡 利勝君     細田 博之君
  今村  修君     岡崎トミ子君
  土肥 隆一君     大畠 章宏君
  西川太一郎君     金子徳之介君
  吉田 公一君     吹田  ナ君
  吉田  治君     柳田  稔君
同日
 辞任         補欠選任
  伊吹 文明君     自見庄三郎君
  岡崎トミ子君     秋葉 忠利君
  金子徳之介君     土田 龍司君
同日
 辞任         補欠選任
  土田 龍司君     宮本 一三君
同日
 辞任         補欠選任
  宮本 一三君     小沢 一郎君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 公職選挙法の一部を改正する法律案(内閣提出
 第一号)
 衆議院議員選挙区画定審議会設置法案(内閣提
 出第二号)
 政治資金規正法の一部を改正する法律案(内閣
 提出第三号)
 政党助成法案(内閣提出第四号)
 公職選挙法の一部を改正する法律案(河野洋平
 君外十七名提出、衆法第三号)
 衆議院議員小選挙区画定等委員会設置法案(河
 野洋平君外十七名提出、衆法第四号)
 政治資金規正法の一部を改正する法律案(河野
 洋平君外十七名提出、衆法第五号)
 政治腐敗を防止するための公職選挙法及び政治
 資金規正法の一部を改正する法律案(河野洋平
 君外十七名提出、衆法第六号)
 政党助成法案(河野洋平君外十七名提出、衆法
 第七号)
     ――――◇―――――
#2
○石井委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、公職選挙法の一部を改正する法律案、衆議院議員選挙区画定審議会設置法案、政治資金規正法の一部を改正する法律案及び政党助成法案並びに河野洋平君外十七名提出、公職選挙法の一部を改正する法律案、衆議院議員小選挙区画定等委員会設置法案、政治資金規正法の一部を改正する法律案、政治腐敗を防止するための公職選挙法及び政治資金規正法の一部を改正する法律案及び政党助成法案の各案を一括して議題といたします。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。岡田克也君。
#3
○岡田委員 新生党の岡田克也でございます。
 この特別委員会での質疑も日を重ねてまいりまして、今お伺いしましたところによりますと、既に一昨日までの段階でほぼ七十時間審議を経過したということでございます。これから地方公聴会等も予定されておりますので、順調にそれが経過をいたしますと、地方公聴会が終わった時点で恐らく百二十時間を超える質疑時間ということになるわけでありまして、宮澤内閣のときの、本当に審議を尽くしたと言われたあの百七時間をはるかに超える審議時間ということになるわけでございます。
 ここに座っていろいろお話を聞いておりましても、これほど長く審議をしてまいりますと、さすがに同じ趣旨の質問が何度も繰り返し行われたり、あるいは政治改革に直接関係のない質問が大部分を占めるといった、そういう質問者の方もいたりしまして、もう大分質疑も尽きてきたな、審議も尽くされてきたな、こういう気がするわけでございます。
 今国会における政治改革の実現というのは、私、前回質問させていただきましたときも申し上げましたけれども、これは何も与党、自民党問わず国民的な要請である、これは政治家の責任として、これをどうしてもこの国会でやらなければいけない、このように思うわけでございます。
 新聞等によりますと、細川総理は一昨日、二日の夜の連立与党代表者会議に出席されて、この国会における政治改革の実現について並み並みならぬ決意を示された、そのことが出ております。私どもも活字を通してしかそのことがわかりませんので、きょうは各テレビ局も来ておりますから、ぜひ国民に対しまして総理の肉声で、この国会における政治改革実現に向けての決意というものを語っていただきたいと思います。よろしくお願いします。
#4
○細川内閣総理大臣 何としてもこの国会で政治改革法案を成立をさせていただきたいということは、繰り返し申し上げてきたとおりでございます。
 とにかく、余りにも長く私たちはこの政治改革法案で時間をかけてまいったわけでございますが、必ずしも百点満点でなくても、この辺で区切りをつけるべきときに来ているのではないか、そして区切りをつけて、内外に山積しているさまざまな課題につきまして、与野党協力してやれるものについては、思い切って対応していかなければならないときに来ている、そのように考えているところでございます。
 何とかひとつ、この国会で仕上げなければならない、そのような強い決意を改めて申し上げておきたいと思います。
#5
○岡田委員 新聞報道等によりますと、場合によっては自民党の河野総裁とのトップ会談も辞せず、こういう報道もあるわけでございますが、その辺についてはいかがでございましょうか。
#6
○細川内閣総理大臣 政治改革の法案は、何と申しましても、議会政治の、あるいは民主主義の一番基本的なルールをつくる作業でございますから、このことに大いに時間をかけて論議をしなければならないことは当然でございますが、与野党の合意ができる点があれば、政府としてもその点を尊重していくことは、これは当然のことだと思っておりますし、そのような観点から、現在与党の方にもできるだけ早く野党との具体的な折衝を始めていただくようにお願いをし、その折衝がまさに始まっているわけでございまして、与党の方々も、我々もまた大いに汗をかいているわけでございますから、野党の皆様方にも、ぜひひとつ御一緒になって汗をかいていただいて、この法案が少しでも早くまとまるようにぜひ御協力をお願いを申し上げたい、そのように思っております。
#7
○岡田委員 実は、私、きょうこの場に自由民主党の河野総裁または政治改革本部長である三塚さんの出席を委員部を通じて正式に要請をしたわけでありますが、特に三塚政治改革本部長におかれましては、自民党案の法案提出の責任者でもあるわけでありまして、先般も同僚の議員から、ぜひこの場に出てきて三塚先生のお考えというものを直接お聞かせいただきたいという要請もあったわけであります。私も、それを受けて一昨日その要請を出したわけでありますけれども、残念ながら多忙であるということで、具体的な、何の用事があるかということは御説明いただけなかったわけでありますけれども、御出席をいただくことができませんでした。
 私は、これは非常に残念なことだと思います。やはりこの委員会の場できちんと議論を尽くしていく、そのために、なるべくその責任の立場にある方が出てきて直接審議に参加をしていただく、このことが私は委員会の基本であるべきだと思います。今日に至るまで、法案提出責任者である三塚議員の出席が一度もないということは、私、大変遺憾に思うわけでございます。
 そこで、自民党の委員の先生方にお聞きをしたいと思いますが、一昨日既に与党サイドといたしましては、修正協議項目として五つの項目を提案をさしていただいているところでございます。きょうは、その個々の中身についてここでお聞きすることは差し控えたいと思いますけれども、与党側がこういった具体的な提案をしてきたということについてどういうふうに受けとめておられるか、率直な感想をお聞かせいただきたいと思います。
#8
○鹿野議員 河野総裁、三塚本部長にぜひ出席をという御要請をちょうだいいたしておるということは、私どもも承知をさしていただいております。金曜日の午後の御要請であったということもございまして、以前から、本日はもうお約束をさしていただいている予定も入っておりました。
 また、三塚本部長におかれましては、御案内のことと思いますけれども、宮城県連の県連会長という大きな使命をもちょうだいをしているという等々のこともありますということを、どうぞお含みをいただきたいと思います。
 そこで、五項目の問題等につきまして、今私どもに対する考え方をということがございました。私自身は、いろいろ今日までの御議論を詰めさしていただきますと、連立与党側と我が党の考え方には、およそ二十一項目にわたる違いがございます。やはりこれだけの大きな大改革でありますから、そういう問題、やはり詳細にわたってお互い話し合っていくという、もう五項目でございますよというこのような限定の形ではなしに、重大な問題が多々あるわけでございますから、さらに幅広く、これからどうするかということをやはりお互いが率直に話し合いをしていくということが大事なことではないでしょうかということを申し上げさせていただきたいと思います。
#9
○岡田委員 県連会長のお仕事大変大事であることは理解をいたしますが、あとは政治家の見識の問題ではないかと思います。この政治改革の問題を今この委員会で議論しているそのことと、どちらを優先するかの問題であると私は思います。
 今二十一項目ぐらいあるんだと、こういうお話でございました。きょう私の後、自民党の委員の先生方の総理に対する質問も控えておりますが、その場におきましても、この法案に関するそういった具体的な点についての質疑が中心に行われますことを期待を申し上げておきたいと思います。
 私は、いろいろ新聞等で聞きますと、例えば自民党の森幹事長が、地方公聴会が終わってから協議を始めるとか、これは事実かどうか私はわかりませんが、そういうことも聞くわけであります。果たして本当にきちんと協議をする気があるんだろうか、そういう思いを禁じ得ないわけでございます。
 河野総裁は、宮澤内閣における官房長官として、宮澤内閣における政治改革問題の議論というものをよくフォローしておられたと思うわけでありますけれども、結局、私は、宮澤総理が政治改革をやり遂げるという意欲があったということは今でも疑っていないわけでありますが、結局できなかったのは、それはリーダーシップの欠如にあったのではないか、このように思います。そういう意味で、河野総裁のリーダーシップの発揮ということを強く求めてやまないわけでございます。
 さて、具体案に入りたいと思います。
 いろいろ審議をしてきた中で、きょうは、一票制の問題それから比例制における都道府県単位の問題を中心に取り上げていきたいと思います。時間も限られております。
 一票制の議論をする前に、この一票制の議論、憲法論でありますが、これをしますと、この前の私の質問のときもそうでありましたが、伊吹議員の方から、いや、与党の案も三%の足切り条項があって、それこそ憲法違反ではないか、こういう切り返した質問がすぐ出されますので、まずこの点について確認をしておきたいと思いますが、法制局長官にお伺いしたいと思います。
 与党案において、三%未満の得票率の政党については比例において議席を認めない、こうしていることが憲法上疑義があるという意見がありますが、この点について法制局の明快なる見解を求めたいと思います。
#10
○大出政府委員 いわゆる阻止条項についての御質問でございますが、憲法は、国会両議院の議員の選挙につきましては、議員の定数とか選挙人の資格、選挙区、投票の方法その他選挙に関する事項は法律で定めるべきものといたしておるわけであります。そして、両議院の議員の各選挙制度の仕組みの具体的決定を、原則として国会の立法裁量にゆだねているところであります。
 今回の政府案では、全国を単位として比例代表選挙を行うこととしていることから、いわゆる阻止条項というものを設けない場合には、極めて支持基盤が小さい政党が多数、わずかな議席を獲得するという結果を生ずる可能性があり得るわけでございますが、政治の安定等の観点から、政権を争う政党間の政策論議の場である衆議院が多数の小さい政党に分裂することを避けるため、政府案におきましては、一定の得票率を得た政治団体に限って議席を配分することとしたものと承知をいたしておるわけであります。
 このように、今回の政府案において一定の得票率による阻止条項を設けたことは、衆議院の選挙に全国を単位とする比例代表制を導入するに際しての必要かつ合理的な理由に基づくものでありまして、そういう意味で、憲法上特段の問題は生じないというふうに考えておるところであります。
#11
○岡田委員 明快なる説明、ありがとうございました。
 それでは本題に戻りまして、自民党案の一票制であります。このことが憲法上問題ないのかどうか。私、以前の質問のときにも、衆議院法制局の方にお尋ねしたところでございますが、きょうは和田局長においでをいただいております。和田局長の明快なる御答弁をお願いいたします。
#12
○和田法制局長 お答えいたします。
 私ども、自民党案の作成をお手伝いする立場から、法案作成の段階におきましては、いろいろ党側と意見の交換もし、御議論もいたしました。そして、その議論の結果、私どもとしては、最終的には党の基本的なお立場、お考えを前提にして法案作成に当たった、こういう次第でございます。
 したがいまして、今ここにおいて自民党案についてあれこれ私どもが意見を申し述べることは差し控えさせていただきたい、こういうふうに思います。
#13
○岡田委員 基本的に、前回私が質問したときと同じ御答弁であります。憲法に違反しないということを明言されなかったわけでございます。
 さきの三%についての内閣法制局長官の御答弁と比べたときに、その違いというものは明白である、このように思います。(発言する者あり)これは、衆議院の法制局長が、憲法違反であるということを現実にはそう思っておられる、それをうかがわせるに足るものであると思います。
 今いろいろ場外発言も出ておりますが、海部内閣のときに、実は自民党でこれを議論いたしました。そのときに、私の記憶では当時の後藤田さんが、これは一票制はいかぬぞ、憲法に合致しない、こういうことを言われて、結局我々は二票制を採用したわけであります。そのことを私は申し上げておきたいと思います。
 この憲法違反かどうかという問題は、実は、これで選挙をして、そして選挙の結果衆議院が新しく選任をされて、そして裁判所に行ったら憲法違反だということになりますと、これは大変な問題であります。大変な問題であります。そういう意味で、先ほどの衆議院の法制局長の答弁と重ね合わせまして、私は、もう一票制の問題はいいかげんこれでけりがついたと自民党さんも認めていただきたい。それがもし自民党さん与党であれば、当然私は出さなかったであろうと思いますが、通らないことを前提に出してきておられるのではないかな、こういう気がいたします。この辺で、この議論はもう終了していただきたいと思います。
 さて、次の、比例制に都道府県の単位を採用するということであります。私は、今日までの議論を聞いておりまして、二つの大きな問題点がこの都道府県制にはある、このように思っております。
 一つは、都道府県単位で比例制を採用するということでありますが、そもそも小選挙区比例代表並立制というときに、比例制というのは一体何か、こういうことでございます。比例制というのは、これはもう議論の過程で何度も出ておりますけれども、民意を正確に反映するために比例制というものがあるわけであります。そして、その比例制、民意を正確に反映するということでありますけれども、私が十月十九日に伊吹議員に対して、都道府県で比例制をやるということは、これは比例制の本質を損なっているのではないか、こういう質問をいたしましたが、それに対して伊吹議員は、自民党の比例制が極めて小選挙区的だということを御評価いただければ、またそのようにつくってある、こう申し上げざるを得ないわけであります、こういうふうに答弁をしておられます。つまり、自民党の都道府県別の比例制というものは実は比例制の本質を失っておって、小選挙区制に実質上は近いということをみずから認められたわけであります。
 自民党は、小選挙区比例代表並立制を採用するということを総務会で決定したわけであります。そのときには比例制を入れるということをお認めになっていながら、現実に出してきたものは比例制とは似ても似つかないものである。
 特に、もう既にこの委員会の審議で明らかになっておりますけれども、全体の都道府県のうち三十四県が二人区ないしは三人区になってしまう。二人区では三三%をとっても落選することがあり得る、こういうことであります。三人区では二四%とっても落選することがあり得る。こういうことで、三三%の票をとった人が議席を得ないということで、それは比例制の本質を全うしているか、当然全うしていないわけでありまして、ここのところが私は、小選挙区比例代表並立制と言われる限り、自民党案の致命的な問題である、このように思うわけでございます。
 この点について鹿野先生の御意見をお伺いしたいと思います。
#14
○鹿野議員 最初に、比例の問題についてのお答えの前に、一票制の問題につきまして申し上げさせていただきますが、もうそろそろ議論はこの程度にして終わらせたらどうか、こういうことでございました。私どもは、基本的に私どもなりの明確な考え方のもとに提出をさせていただいているわけでありますから、ここで議論を終わらせていただくというわけにはいきませんということを申し上げさせていただきたいと思います。
 すなわち、このたびの制度改革というものは、あくまでも衆議院というのは政権選択です。ですから、一つの選挙、一つの投票によるところの小選挙区制を軸とした考え方なんです。ですから、当然これは一票制である、こういうことになるわけでございます。過般の参考人の聴取におきましても、岡原先生等々、やはり基本は一票制ではないかということも申し述べられておられました。私どもは、これはまさしく……(発言する者あり)いや、その後でいろんなことを、基本は一票制ですよということを申し上げられているわけであります。
 やはりこれは立法政策上の問題で、これは私ども国会に与えられた裁量権だ、こういう認識を持っておりますから、私どもは憲法違反には何らこれは抵触するものではないというふうなことを、触れるものではないというふうなことを申し上げさせていただきたいと思います。
 それから、比例の問題につきましては、重ねて申させていただきますが、あくまでも小選挙区を軸とした、比例はその補完的な役割でありますと、こういうふうな考え方であります。ですから、当然そういう中でどういう形でその民意を補完的な役割として果たしていくかというのはいろいろございます。しかし、私どもはあくまでも小選挙区を軸としたというこの考え方ですから、小選挙区の結果というものが比例にも生かされるというふうな、そういう制度でなければなりません。それなら当然、比例制におきましても顔の見えるというふうな制度でなければなりませんね、こういうふうなことであります。この点も明確に申し述べさせていただきたいと思います。
#15
○岡田委員 最初の一票制の問題についての鹿野議員の発言、御意見というのは、政策的に必要だ、こう言っておられることはよくわかりますが、そのことは憲法上どうかということについては全く触れられておりません。私はそのことを、憲法上問題があるのではないかということを申し上げているわけであります。
 それから、今の都道府県の問題でありますけれども、この点につきましても、結局、そうであれば並立制をとらないということになるんじゃないかと思うのですね。小選挙区比例代表並立制、つまり、比例制をとるということを言われながらその実質において比例制でないということについて、私は全くお答えになっていない、このように思うわけであります。
 もう一つ、この都道府県制をとったときの問題点として、これもこの委員会で既に指摘をされておりますが、一票の格差の問題がございます。既に何人かの委員がこの問題を取り上げまして、今の自民党の案でやってまいりますと、一票の格差が二・九七になってしまう、こういう問題であります。もうちょっと変われば三倍を超えてしまう、こういう問題であります。この点につきまして、きょうこの席にお座りではございませんが、伊吹議員は、十月十九日、茂木委員がこの点を指摘しましたときに、いや、三倍を超えればやはり調整が必要ですよということをお認めになっておられます。そのことは議事録にはっきりと書かれているわけであります。ところが十月二十二日、それから三日後でありますが、同じく同僚議員である松沢委員の質問に対しては、いや、やはりこれは県単位で小選挙区と比例を合わせて格差を論じないといけないんですよ、こういうふうに違った論理を展開されているわけであります。
 三倍を超えれば調整が必要と言ってしまうと、実はこれは、百七十一議席という議席を大幅にふやすか、あるいは各都道府県にまず一議席を配分をするということをやめない限り調整はできないわけであります。そのことに気がついて、伊吹先生は考え方というか言い方をがらりと変えられたというふうに私は思うわけでありますが、しかし、やはり比例は比例であります。例えば、島根県で自由民主党というところに丸をつけた方と、それから東京都で丸をつけた方で、その格差が三倍もある、東京都の方は島根県の方の三分の一の価値しかないということが、これは許されるのでありましょうか。それは都道府県で全体で比例と小選挙区を合わせてやればいいんだというのは、私はそれは詭弁にすぎない、こう思うわけでありますが、鹿野先生の御意見をお伺いさせていただきたいと思います。
#16
○鹿野議員 最初の、今の質問に答える前に、例えば比例の救済の問題につきまして、五一%対四九%というふうな投票結果というものは、これは考えられることですよ。そうすると、四九%をどうするかというふうな問題、それを救済するというこの考え方、これが私どもの比例の考え方でもあるわけですね。ですから、この民意の反映というふうなものが我が党の考え方ではなかなかなされないじゃないですかというふうなことでございましょうけれども、そういう形で明確に救済されるということだけは申し上げさせていただきたいと思うのです。
 それから、今の格差の問題でございますけれども、伊吹議員の方から御答弁されたとおりでございまして、両方合わせての考え方でありますというふうなことの私どもは認識を持っておるところであります。
#17
○岡田委員 まあ、時間もございませんのでこれ以上この問題触れませんが、少し冷静になってお考えをいただきたいと思います。私は、この一票制の問題、比例制における都道府県制を採用するという問題、いずれももう既に論理的に決着のついた問題である、このように思っておりますし、それが多くの方の意見であるということを申し上げておきたいと思います。
 最後になりますが、随分審議も、先ほど申し上げましたように尽くしてまいりました。自民党に対しても私どもは五項目の提案を出させていただき、やるべきことはすべてやっている、こういう気持ちであります。地方公聴会まで終わりますと、審議時間も、先ほど言いましたように宮澤内閣のときの審議時間をはるかに超えるわけでありますし、もうそこまで審議を尽くせば、この国会で成立をさせるという大前提に立って、どこかで思い切らなければいけない、決断をしなければいけないんじゃないか、こういうふうに思っているところでございます。今の自民党の皆さんのやり方を見ておりますと、もちろんすべてがそうだというわけではありませんけれども、例えば地方公聴会が終わらないと協議をしないなどというのは、形を変えた牛歩じゃないか、こういうふうにすら思えるわけでございます。(発言する者あり)
 どうか、そこで総理にお聞きをしたいと思います。もうこれまでの審議期間も考えますと、地方公聴会を終えた時点で一つの大きな決断をしなければいけない、このように思うわけでございますが、総理のお考えを最後にお聞かせいただきたいと思います。
#18
○細川内閣総理大臣 先ほども申し上げたことの繰り返しになるかもしれませんが、選挙制度というのは、また政治改革全体含めてそうでございますが、なかんずく選挙制度はやはり民主主義の、議会主義の根幹のルールを定めるものでございますから、十分に御論議をいただかなければならないと思いますし、またお互いに汗をかいて、私たちはしっかり汗をかいているつもりでございますが、お互いにしっかり汗をかいてルールづくりがきちんとでき上がっていくように、今おっしゃいましたように相当に審議も尽くされてきつつあるというふうに思っておりますし、ぜひここで区切りをつけていただいて、そして思い切ってお互いに内外の課題に取り組んでいけるような、そういう状況ができますように心から願っているところでございます。
#19
○岡田委員 これで終わりたいと思いますが、先ほどの私の発言に対して、大島委員から場外発言がありました。私も、自民党の委員の先生方全体がそうであると言っているわけではございません。そういうつもりはありません。党内にも、自民党の中にも改革派として頑張っておられる先生方がおられる、そのことは私は重々承知の上で、お互い力を合わせて、それぞれの選挙区においてこの国会で政治改革を実現しようということを約束してきているはずでありますから、その国民に対する約束を果たすためにともに頑張っていきたい、そういう趣旨でありますので、ぜひ頑張っていただきたいと思います。
 ありがとうございました。
#20
○石井委員長 次に、保岡興治君。
#21
○保岡委員 まず、冒頭にお伺いをしたい点がございます。
 それは、今、細川総理もこの法案の成立に向けてのいろいろ決意を述べておられましたが、いよいよ審議も進んでまいりまして、お互い百年に一度とか言われる大変な革命を成就しなければならない大事なときを迎えている、そういうふうに思っております。そういった意味で、お互いこの法案を政府・与党それから自民党主党双方でそれぞれ出して審議をしているわけでございますが、大切なのは、やはりその内容で一致点をできるだけ見出して、そうして共同修正、こういったものを得て、そして与野党一致してこの革命をなしていくということが非常に大事なこの国会における姿だと思います。
 そういった意味でちょっとお伺いしたいのでございますが、きのうの朝刊並びにきょうあたりのテレビの放送によりますと、連立与党と総理と政治改革の関連法案の修正についていろいろお話し合いを持たれたということを承っておりますが、どのようなお話し合いをされたのか、それをまずお伺いさせていただきたいと思います。
#22
○細川内閣総理大臣 とにかく長期間にわたって、もう五年以上になるわけでございますが、この政治改革の法案が論議をされてきたわけでございまして、何とかここで区切りをつけなければならない、先ほども申し上げたとおりでございます。
 そうした観点で、連立与党の中におきましても、各党首の方々と私とお会いをいたしまして、何とかその成立に向けて歩み寄れる点があるならば、先ほども申しましたように、議会主義の根幹のルールにかかわることでございますから、ぜひひとつ話し合いをしていただければ幸いである、こういうことを申し上げて、その協議の場を設けていただくことになったわけでございまして、修正の幾つかの項目についてまさにこれからその具体的なお話が始まっていこう、こういう段取りになっているわけでございます。そこにおきまして、双方とも最大限に努力をして何とかひとつ歩み寄りがなされれば、まとまる方向に進んでいけばというふうに願っているところでございます。そうした大きな方向でぜひ各党ともに、連立与党の中におきましても、各党ともにお運びをいただきたい、こういうふうにお願いを申し上げた次第でございます。
#23
○保岡委員 今の総理のお考えというのはよくわかりましたが、この新聞報道によりますと、修正項目を五項目を対象にしたということが出ております。
 その五項目というのはどういうものかというと、総定数の配分、それから戸別訪問、小選挙区の政党要件、それから地方議員、首長の選挙の公営化など、それから公費助成、この五つだということでございますけれども、実は、私は、こういうふうに修正項目を限定したことは一体どこに理由があるのか、これは今後この委員会で審議をしていく上で非常に重要な意味を持っていると思うんです。
 すなわち、この委員会は、委員長も理事の各党の皆様も御案内のとおり、先ほど岡田委員のお話にはいろいろ異なる意見もありましたけれども、お互いに信頼し合ってやるべき審議を粛々と進めてきておる。それは先ほど私が申し上げた、この革命にも似た、今後の日本の運命を左右する大事なこの制度の成立について、みんな命がけで取り組んでいる。それは確かにいろいろ、岡田委員の言われるように、やはり政党についてもいろいろ歩んできた道、あるいは個人についてもまた政治生命にかかわる非常に重要な厳しい問題だけに、いろんな意見があるのは当たり前であって、そういうものを乗り越えてやっていくためには、やはり相互に信頼を持って真剣にやっていくということが非常に大事なのではないか、そういうふうに思うんですが、この委員会のそういう審議の推移というものを見たときに、今まだ途上、道半ばというところでございます、率直に言って。
 それはなぜかといえば、これは総理も各国務大臣も、国民の意見をよく聞いて審議をしていかなきゃならないということを言っておられます。そしてまとめるのも、実は、国会という場は国民の声を代表して来ているんだと、総理も答弁でそう言っておられますし、また石田国務大臣は、国民から毎日ファクスが流れてきて、新聞で審議の状況を聞いたその内容が自分の手元に届く、そういうものをよく見ながら、国民に理解をしてもらって、そうして内容を取りまとめていくことが大事だということを言っておられるわけです。
 そこが、我々そのために中央公聴会、地方公聴会という大事な、国民の意見を聞く機会というものをお互いセットしたばかりでございます。そういった意味で、恐らく地方の皆様からは強い声が上がるであろうと思われる政治資金の、無所属の地方の方々に対する企業献金が全く道を断たれて個人献金だけに限定されたこと、あるいは比例の区域が都道府県であってほしい、身近な顔の見える選挙であってほしい、衆議院というのは本来そういう選挙じゃないかという強い意見、こういったものをこれからその地方公聴会や中央公聴会で聞いて、さらに、その点を踏まえてお互いが結論を見出していかなきゃならぬ大事なときだと私は申し上げているのでございます。
 そういった意味で、地方にとって大事な、今申し上げたような項目がこの五項目から抜けておるわけですね。私は、そういうことを考えたときの国会の、これから大事な審議を控えた今、なぜこの五項目に限ったのか、そのことは非常に、お互い政党同士信頼し合ってやっていく上で重要な問題を持っていると思います。
 なぜこの五項目に限ったのか、それについて総理がおわかりでしたらお答えをいただきたいと思います。
#24
○細川内閣総理大臣 今、国民の多くの方々が期待をしておられることは、とにかく、もう五年間以上もこの政治改革の問題を審議をしてきた、国会の審議を見守ってきたが、一刻も早くこれに区切りをつけて、景気の問題、あるいは冷害でこのような状況になっている農業の問題、その他の問題に対してもっと積極的な対応というものをしてもらいたい、これが私は多くの国民の方々の恐らく御期待であろうと思いますし、これは与野党ともに恐らくほとんどの方々がそのような認識を持っておられるのであろう、このように思っております。
 したがいまして、私どもも硬直的な姿勢で、棒をのんだようなことでこの法案に対するということではなくて、先ほどから申し上げておりますように、できる限り速やかに協議の場を設けて、柔軟に対応するような方途を講じるべきではないかということで、このたび協議の場を設けさせていただいたところでございます。
 五項目に絞っているということでございますが、今までの長い御論議の中で主として浮かび上がってきているのがこの五項目ではないか。おっしゃるように、それはまだまだあろうかと思います、二十一項目ですか、それは細かく言えばまだまだいろいろあろうかと思いますが、しかし、主たる争点はこのようなものではないかということで、とりあえず五項目に絞らせていただいたわけで、別にこれにこだわるものではございません。それ以外のものにつきましても、御論議がございますれば大いにひとつ御論議をそこでいただけたら結構だと思っております。しかし、私どもとしては、とりあえず今までの争点の中から浮かび上がってきたものはこの程度のものであろうということで、さしあたりこの点に絞らせていただいた、こういうことでございます。
#25
○保岡委員 よくわかりました。
 五つに限定したような趣旨の報道がされておりましたので、これは非常に交渉が始まる前に問題だなということで伺ったわけですが、総理が今の御答弁で前半に述べられた認識は我々も共有しているものでございますし、また、棒をのんだようなことではない、これは主たる論点であって、与野党の相違点が二十一項目あるかと思うのですが、これすべてについて一つ一つその当否を検討していく、そういった場として与野党の交渉の場が持たれることを期待してよろしゅうございましょうか。もう一度お答えを願いたいと思います。
#26
○細川内閣総理大臣 今申し上げたとおりでございまして、さまざまな問題につきまして濶達なひとつそこで御論議をいただければと願っております。
#27
○保岡委員 そう伺えば、むしろ与党案をそのまま通過をさせるというんじゃなくて、修正の姿勢を幅広く可能性として示されたということは、私は今の総理の発言というのは大きな意味を持っていると思います。ぜひ、お互いに信頼し合って、修正項目を求める努力を必死でやり遂げてまいりたいと私も思う次第でございます。
 実は、今同僚の野田理事から、もう一度、五項目に限定しないということを総理に確認してほしいということでございますので、もう一度御答弁をお願いいたします。
#28
○細川内閣総理大臣 五項目に限らず、その他の重要な問題につきましても実りのある論議がなされて、そしていい方向にまとまっていくことを願っております。
 しかし、私どもとしては、その五項目が、先ほども申し上げましたように、今までの争点の中で浮かび上がってきた主要なテーマである、このように認識をしているということを重ねて申し上げておきたいと思います。
#29
○保岡委員 与党としてはこの五項目が重要だとは思いますが、我々からすれば、総定数というものは、先ほど鹿野議員がいろいろ我が党の提案者として答えておられましたとおり、総定数、それから小選挙区と比例区の数の配分の問題、それから一票制、それから比例区の単位を都道府県にしたことなどは、小選挙区のメリットを生かすための、これは本当にこれからの日本の政治をどう決めていくかということに重大に関連してくる、そういう理念を持って訴えておりますから、その辺は同じ問題として受けとめて、総理に、そこも含めて十分検討いただきながら結論を得るようにお願いをしておきたいと思います。
 それから、次に質問を移します。
 私は、政治は結果責任であるという観点でとらえた場合に、戦後の政治を振り返って今日を考えた場合、国際的地位の向上とか経済的発展というところなどから見ると、今までの日本の政治は非常に有効であった、非常に機能してきたというふうに考えております。
 戦後の日本が日米安全保障条約を基盤にして、日米関係を基軸にして成長と日本の繁栄を築いてきたこと、これはもうだれも否定できない。このことの背景には、やはり日本の政治が安定していたということ、そして各省庁の優秀な官僚の皆さんと国民とが、中選挙区で、ある意味では議員がいろんな住民の要望、戦後の日本の復興に重要なこと、そういったことについて政府につないできた、そういうことがきちっと機能してきたからだと思うのでございます。
 しかし、私は、最近の国際情勢や日本のいろいろな問題を見たときに、政治改革に携わるようになって、そういった問題の解決をどうすべきかという観点から、改めて政治の持つ重みというものが自覚されると同時に、政治改革に対する意義というものを考えさせられてまいっております。
 同僚議員として総理が二十年前に国政に参画されて、知事に転出された後、昨年新党を旗上げされ、再び国会に戻ってこられ、まあこれは思いがけずだと思いますが、連立政権の総理になられた、国の命運を左右するお立場に立たれているわけでございます。大きな国際環境の変化の中で、日本のあり方が常に問われる中で、あすの日本をどのように導いていこうとするのか。年内に成立を図ると約束された政治改革を通して新しい日本を創造される責任者、そういった総理の決意というか思い入れというか、そういったものを伺わせていただきたいと思います。
#30
○細川内閣総理大臣 大変難しいお尋ねでございますが、幅の広いお話で、どういう角度から申し上げたらいいのかちょっと戸惑いを覚えますが、教育の問題、福祉の問題あるいは産業の振興、さまざまな課題が今山積をいたしておりますが、内にあっては、今申し上げたような問題も、まだまだほかにもございましょう。また、外に向かっては国際社会の中でそれなりの責任を果たしていく、期待されている役割というものを担っていく、そういう役割というものもございましょうし、それを果たしていくためには当面何としても我が国が抱えている構造的な改革、つまり政治改革であり、経済改革であり、あるいは行政の改革であり、そうしたものをまずしっかりとやり遂げていくということが今我々に課せられている大きな役割ではないか、そのように思っているところでございます。
 そのようなことをやり遂げることによって、なかんずくこの政治改革をやり遂げることによってもろもろの内外の課題に的確に対応していける、国民から信頼をされる、またわかりやすい政治の状況というものもつくり上げていくことができるのではないか、そのように考えております。
#31
○保岡委員 いろいろ総理は今包括的に述べられましたが、とにかくけさも、ウルグアイ・ラウンドでの米の市場開放の問題を協議するためにジュネーブに畑農林水産大臣が行っておられますが、ガットの事務局長との会談で、いろいろ日本の農業に影響が懸念されないような内容になっているので国内を説得してほしいというようなことで、強い米市場開放を求められておられます。
 それに対して、政府は従来の姿勢を堅持して主張はしておられますが、場合によっては、ガット全体をまとめるためにこういう従来の考え方と違った対応も迫られるかもしれないというようなことを含みとして畑大臣が言われたみたいな報道がされておりましたが、ウルグアイ・ラウンドのこの米市場開放に関連する畑大臣の発言について、ちょっと総理の御所見を伺っておきたいと思います。
#32
○細川内閣総理大臣 そのことは、私はまだ何も確認をいたしておりません。あるいは外務大臣が何か聞いておられるかもしれませんが、少なくとも今までの基本的な方針のもとで対応していくという方向には変わりはないということだけは、はっきりと申し上げておきたいと思います。
#33
○保岡委員 羽田外務大臣、いかがでございましょうか。
#34
○羽田国務大臣 確かに、先日サザーランドさんが日本に来られたときに、あるいは一昨日でございましたか、ケアンズ・グループの議長国をちょうど今オーストラリアがやっておられるわけですね、そういうことで日豪の閣僚委員会、この席で、やっぱり例外なき包括関税、これについて相当強く彼らは主張しておったということです。
 ただ、私どもといたしましては、そのそれぞれの場所にあって、国会の決議、こういったものをもとにしながら、我が国として、また食糧大輸入国であるという立場、いろんなことを説明しながら、それに対して理解をしてほしいということ、そして、余り完全を求めるということは、これはむしろガットを壊してしまうよということを申し上げております。
 しかし、御案内のとおり、各国ともやっぱりここまで来ますといろんな難しい問題を抱えておるわけですね。だから、そういう問題の中で我々としても解決していくことが賢明な道であろうというふうに思っております。
#35
○保岡委員 このように今我が国を取り巻く国際環境は、国内問題と非常に密接に関連して、待ったなしのいろいろ対応を次から次へ求められる、こういう問題などがたくさん出てきていると思うんです。
 この十一月に英国のサッチャー前首相がお見えになるんでしょうか、サッチャー前首相がよく言われるんですが、氷は解け始めが一番危ない、警告をしておられますけれども、近年の世界の動向を見ると、もうまさに二十一世紀を目前として多難な時代を迎えていると言えると思うんです。冷戦後のこの世界全体の歴史的な転換期に、自民党単独政権にかわって責任ある改革を旗印に誕生した細川連立政権、この七〇%を超える国民の支持というものは、こういった厳しい国際環境の中で日本という国がいろいろ対応を迫られている問題について、やはり国民としては、きちっとした方針というものが明確になって、国民もそれがよく理解されて進んでいくということを強く求めているだろうと思うんです。また、高齢化時代を迎えて、成熟した、安定した経済社会、日本の国民も生活できるようになっておりますので、そういった本当に質の高い、これからは内外の問題に対するしっかりした理念を持った、しっかりした先見性に支えられた、そういった政策決断というものを、説明を求めて、決断を求めているんだろうと思います。
 そういった意味で、総理が常々述べておられますように、経済改革あるいは行政改革あるいは政治改革、こういった問題について、私は、総理としては本当に強い使命感を自覚していただいて、そうして高度の指導性、リーダーシップを発揮していただかないと、日本の国の政権を担当していくということはかなわないと思うんです。
 そういった意味で、そういった責任ある変革を目指しておられる総理の政治の強力なリーダーシップということにどのように総理はこたえていくおつもりであるか、そのことについてお答えをいただきたいと思います。
#36
○細川内閣総理大臣 さまざまな課題に的確に、また機動的に対応してまいりますためにも、これも先ほど来申し上げていることの多少繰り返しになるかと思いますが、まずやはりこの政治改革を仕上げるということが、何よりも今、国民からも強く求められていることであるというふうに思っております。この内閣が成立いたしましたのも、まさに政治改革を最優先の課題としてやるべし、こういうことで御負託を受けてこの内閣が成立をしたと思っておりますし、国民も一日も早くこの政治改革ができ上がって、仕上がって、そして内外の課題に取り組んでほしいというのがほとんどの国民の方々の強く願っておられるところであろう、このように思っているところでございます。
 したがいまして、自民党の方々におかれましても、野党の方々におかれましても、与党はもちろんでございますが、何とかひとつこの限られた時間の中で、参議院での審議もございますし、大いに論議を尽くしていただくことは結構でございますが、一刻も早くこの法案が成立をして、そして内外の課題に対応していくような状況ができますように、さらなる御協力をお願いを申し上げたい、このように願っているところでございます。
#37
○保岡委員 それでは、私は、非常に政治改革の究極の目的は何かということを強く感じさせられるものですから、こういう質問をしているわけでございますが、私は、やはりこの日本の政治改革で今何が求められているかといえば、それは結局、強いリーダーシップと言ってもいいんですけれども、要するに先見性を持って、問題の本質的な解決を図る力を持つということだと思うのです。そしてまた、全体を見通したビジョンと調整能力を持つということだと思うのです。あるいは即時に対応できるスピードのある決断や実行というものが求められている、こういうものが不可欠な時代に入っているからこそ、政治改革でそういうものを求めるんだ。
 中選挙区で我々がお互い国をつくってきたときは、いわゆる縦割りの行政というものに乗っかって、議員が行政にいかに顔がきくかということで地域やいろいろな人に答えを出す、そういうことを中心に日本の政治の、あるいは日本の国の繁栄に努力をしてきた。その中で我々はやはりいつの間にか、全体を見渡して総合調整して結論を出すという、そういった政策決断についてついつい怠りがちになってきたんじゃないか。そういうことから、今、中選挙区の問題点の一番最大のネックというものは、役所というものが非常に優秀であっただけに、だからこそ専門的でかつ非常に堅実だということで、役所と、本当に優秀性というものとの裏腹な、いわゆる総合調整とか先見性を持ってリスクを決断していくとか、そういうことが政治から失われてきつつあったんじゃないだろうか。
 ところが、今、内外を取り巻く環境というのは、そういったリーダーシップ、総合調整力というものが絶対に必要な時代に入っている。だからこそ政治改革をしなきゃならないんだ。有権者も国民も、そしてまた政治家も政党も、そういった役割を果たせるような政治をどうやって手にしていくかということがこの政治改革の究極の目的ではないかと思うんですが、いかがでございましょうか。
#38
○細川内閣総理大臣 おっしゃるように、この現行の中選挙区制のもとで、同士打ちによる、言うなればよく言われるような利益誘導型の政治というものにどうしても陥りがちで、そのために本来の政策本位の選挙というものが行われてこなかった、また、ひいては政治というものが行われてこなかったというところに、日本の政治の大きな私は問題があったというふうに認識をしておりますし、だからこそ、ここで与野党ともにこの選挙制度を変えなければならないということで、このような提案がなされているものと認識をしているわけでございます。
 政治が、おっしゃるように大きな方向づけというものを与える、そしてお役所が、各省庁がそれに対して肉づけをしていく、そういう姿というものができ上がってくるということが、日本の政治にとってやはり何よりも必要なことであろう、そしてそれが国民の待ち望む政治や行政の姿であろう、そのように思っております。
#39
○保岡委員 我々は、中選挙区を本当に捨てて、さよならして新しい制度に移るということは、これは政党にとっても政治家にとっても非常に大変なことでございます。そういった意味で、これだけの革命をやる以上、しっかりした理念、政治改革の目的というものをしっかり踏まえた制度の実現を期すというところで、お互いに真剣に、そこに何が落としどころとして一番大事かということを求めていかなければならないのだろうと思います。
 そういった意味で、政府・連立与党案と我が自民党案ともに、今回の選挙制度案については小選挙区比例代表並立ということにはなっています。しかし、我々自由民主党の案は、要するに、民意の集約というものと民意の反映というものとをどのように調和させるかということにおいて、一つのしっかりした物の考え方に立っております。それは、第八次選挙制度審議会の答申に沿って今日まで我が党は来ております。この第八次審というのは、政府が諮問して答申を求めた、いわばそういった意味では、細川内閣もこれを引き継いでいかなければならない答申であろうとは思うのです。
 そういった意味で、その第八次審にははっきり、やはり小選挙区を主として、基本として、比例区というのは従にして考えていかなければならないというような趣旨が明快に出ているわけです。その点について総理大臣はどのようにお考えでしようか。
#40
○細川内閣総理大臣 八次審で、おっしゃったような方向が出されたわけでございますが、その後の海部内閣での政府提案におきましてそれが廃案になり、また、その後各党からさまざまな案が出てまいりました。あるいはまた民間臨調などからも違った案が出てきたわけでございますが、そうしたさまざまな経過を踏まえて、論議の中で、今回政府案として出させていただいたものが並立制の、小選挙区と比例代表半分ずつということでございますが、その辺が今までの御論議を踏まえると妥当な落ちつきどころではないか、そういう考え方に立ちまして、今回の法案を出させていただいたということでございます。
 おっしゃるように、小選挙区が民意の集約である、その方が多い方がいいだろうというお考えもあろうかと思いますが、しかし今度のカナダの選挙などを見ておりましても、やはり大きくこれが振れ過ぎてしまうといったような問題もございましょうし、またイギリスあたりも、この小選挙区の制度が始まった当初の話を聞きますと、やはりしょっちゅうそれが振れ過ぎてさまざまな問題があったということも、私は承知をいたしております。
 そうしたことを考えますと、やはりこれが両方で、比例制とともに相補う形でこの選挙制度というものが構成をされるということが、安定した、また一方では民意の集約、政権の選択の意思あるいはリーダーシップといったようなことにもつながる、その両方の兼ね合いというものを考えたときに、それが現時点で考えられる最も妥当なものではないか、そういうことで政府案として出させていただいたということでございまして、ぜひひとつその点について御理解をいただきたい、このように思っております。
#41
○保岡委員 総理は、八次審や民間政治臨調と言われましたが、いずれもこれは三百を基礎に小選挙区を考えていて、一貫してそこに流れている、この政治改革に一つの理想を見出しておられる、その姿勢がそこにあらわれているわけです。
 で、これは、八次審にははっきりと小選挙区制にも長所も欠点もあるということで書かれておりまして、比例制にも同じような長所と欠点があるということが書いてあります。そして、現在の我が国の内外の情勢の中で、時代の変化に即応するような政治が行われるためには、やはり民意の正確な反映と同時に、民意の集約、政治における意思決定と責任の帰属の明確化が必要である。また、活力ある健全な議会制民主主義の政治のためには、政権交代により政治に緊張感が保たれることが必要である。このような要請を満たす上で、小選挙区と比例制とで比較するとき、小選挙区制がこれらの要請によりよく適合するものと認められると。
 明らかに、総理が先ほどから、最高責任者としてこの内外のいろいろな難しい問題に必要とされるリーダーシップを実現していくために、まさにそういうことを願って、政治改革の究極の目標として小選挙区を中心とする民意の集約ということに日本の新しい政治の姿を求めていこうということは、これは足して二で割るような、その後の議論で妥当なところに落とすとか、あるいは林と竹があるが眺めがいいとか、あるいは佐藤大臣が折衷案であると言われましたでしようか、違いましたか、どなたかがそう言われたと思うのです。そういうような簡単なものではないという認識が、まずこの審議をしていく上で大事だし、これから修正を協議していく上でも大事なことだと私には思えるんです。このことは本当に本質的な問題になるだけに、少しくどくどとやってまいりましたけれども、この審議会としては、もう明らかに小選挙区を基本、だから三百と二百だったのですよ。理屈なしにそうしたわけじゃないのです。
 そういった意味で、私は、この小選挙区制と比例の特色は、じゃ、どこにあるのかというと、これは明らかに小選挙区制というのは単独政権というのですか、一つの大きな政党が政権を基軸となって担う、まあ単独政権、それから比例の方は必ず連立政権になるということだと思うのですね。そうすると、この連立の要素と単独政権の要素とをどう組み合わせて日本の将来の政治をつくって、そこに政治決断をしていくかということは、今までの日本の政治をどう変えるかということとか、時代の要請に日本の政治がどのような政治がふさわしいかという非常に大事な問題を含んでいると私には思えるんです。
 そういった意味で、私はやはり日本にも連立政権、過去片山内閣の時代の連立政権や、まあ新自由クラブとの連立は余り大きな連立じゃありませんでしたが、片山時代は、片山内閣のときは非常にいろいろな議論が出てなかなか結論が出ない、そして結論を出せば中途半端になる、意見が合わずについに内閣は崩れるというような運命になった。私は、連立政権というものはそういう要素をはらんでいると思うのです。私はだから、本当にこんなことを言ったら失礼かもしれませんが、連立八党の政治改革についてのこの定数配分の問題についても、連立を組んでその後に各党で協議をしたところであっさりとフィフティー・フィフティーに決まってしまったと、どういう力学が働いたかは、まあいろいろ言われていますから私は申し上げませんけれども、そういうふうに中途半端になってしまう、妥協的になる。したがって、本質から外れた結論になりやすい。このことは日本の命運というものを、日本の歴史というものを二十一世紀に進めていく上で、本当に大事に考えなければならない大変な問題だと私は思うのです。
 そういった意味で、私は、総理に今私が申し上げたことについての感想を伺わせていただきたいと思います。
#42
○細川内閣総理大臣 これも繰り返しでまことに恐縮でございますが、理屈としては、それはいろいろなことが言えるのだろうと思います。
 しかし、やはりこれは理屈の問題だけではなくて、政治的な今までの経緯というものも十分に踏まえて問題の処理をしていかないと、なかなか解決できないテーマであろう。それぞれの議員の身分にかかわることでございますし、そう簡単に理屈だけでいく話ではないのではないか。今までの、もちろん審議会のそうした合理的な御議論、科学的な御議論というものも、理屈というものも踏まえながら、しかし、この国会におけるそれぞれ各党の御論議というものも踏まえて一つの方向を導き出していくというのが大事なことであって、その結果として出てきたのが二百五十と二百五十という、数について言えばそういうことであるということでございますから、その辺の経緯の重要性ということもぜひ御認識をいただきたい、このように考えるわけでございます。
#43
○保岡委員 まさにそのとおりだろうと思うのですね。連立政権としては、それが重要だったのですよ、そういう妥協をすることが。私は、その辺に国の命運が本質から外れる危険性を感じます。
 ですから、やはり連立政権というものはそういう問題をはらんだ政体であるということを私たちはしっかり認識しなきゃならないし、そのことは、別に細川政権を批判するつもりで申し上げているのじゃなくて、私としては、本当にこの総定数の配分というものは、与党の修正項目の一つにも数えられておりますからその点は非常にいいと思うのですけれども、私は、やはり三百に限りなく、できたら三百におさめるのがこの政治改革の究極の目的という、一番根幹なところですよ。一番根幹なところ、これからの日本の政治を決めていく、三百、この三百というものを非常に大事に考えていくということが本当に求められていると思うのですが、総理、いかがでございましょう。
#44
○細川内閣総理大臣 それについては少し見解を異にしておりますが、とにかくそうした問題につきましても、協議の場が設けられたわけでございますから、その協議の場におきまして、十分実りのある御論議がなされることを願っているところ
でございます。
#45
○保岡委員 要するに、私は三百になればいいと思いますが、しかしこれの点について妥協の線がどこに出るかはわかりません、妥協ができるかどうかも含めて。しかし、何とか妥協しなければ、この点で妥協しなければ先に進めない根幹です。そういった意味では、本当にどこに落とすかというときには、やはりこの理念に基づいて落とすという意識がお互いにないとこれだけの決断はできない、私はそう最後に申し上げたいと思うのでございます。
 そこで、私は、この問題については非常に重要な問題ですから、甚だ恐縮ですけれども、この連立与党のそれぞれ構成に入っておられます各政党の党首の閣僚の皆様方に、あるいは山花大臣、社会党は山花大臣で結構でございますので、それぞれこの総定数三百と、政治改革の私が申し上げている究極の理念、目標というものとの関係について、また、修正の可能性についての見解があれば述べていただければと思います。
#46
○山花国務大臣 今のお話を注意深く伺っておりましたが、党首という立場ではございませんけれども、個人的な見解も含めて若干お話しさせていただきたいと思います。
 お話を伺って、やはり考え方が少し違うのかなと思いましたことは、一つは、理念ということで自民党案が正しいと主張されておりましたが、先生のお話はいわば出口論といいますか、将来のあるべき政治形態というものをイメージしてそこに選挙制度、技術を持って進んでいこう、いわば入り口論ではなくて出口論的なお考えではないかと思います。
 第二番目。同時に、新しい今回の選挙制度の問題について、妥協ということについて、私は妥協という以上にこれまでの議論を踏まえたベストの案だと思っておりますが、でも、例えば今どこの国が選挙制度の改革を行おうとしても、やはり一番参考にするのはドイツの併用制ではないでしょうか。この問題について、スタートのときをごらんになっていただければ、やはりそれぞれの占領地区によって小選挙区、比例が全く対立しておったものについて、併用という知恵を出して今日まで定着しているわけでありまして、したがって、その妥協がだめだということでは私はないと思っています。
 今日求められている政治改革をどうつくって、積極的に新しい政治の風土というものを、とりわけ国民の皆さんの関心の強い腐敗防止、金のかからない選挙システムをつくっていく、こうした方向での制度に対して積極的にそれぞれの党がどう取り組んでいくかという、まあ入り口論からというのは正確じゃないかもしれませんけれども、そこから私は考えるぐらい、大変大事な局面を迎えているのではなかろうかと思っています。
 結論としては、三百、二百の問題については、そうした流れの中で政府側としてはこれまでの議論を踏まえて提案させていただいたわけでありまして、提案者としては、これでぜひ御理解をいただきたい、こういう立場でございます。
#47
○保岡委員 それぞれお答えいただきたいと思います。今山花大臣の考え方、これはまた率直なお話で、恐らく山花大臣は比例制を理想としておられるという御見解だと思います。併用制というのはまさに比例制でございます。ですから、私は、それは先ほど申し上げたように、八次審も大方も、今の日本の制度を、いろんな問題を解決する政府の型としては不適切だと考えているのだろうと思います。
 まず、あと伺って……。
#48
○石田国務大臣 お答えを申し上げます。
 八次審における三百の考え方、その理念的なことを保岡先生お触れになったわけでございますが、今までの経過も保岡先生御存じでございますから、三百、二百、三百、百七十一、二百五十、二百五十、いろいろな議論があったことは御承知のとおりでございます。
 ただ、今度の政治改革の基本的な問題を考えるときに、私はやはり日本の政治の最大の欠陥は、政権交代が行われなかった、ここにあると思うわけでございます。そういう政権交代可能なそういう選挙制度をつくるためには、今いわゆる並立制の議論が行われておるわけでございます。
 ただ、この三百、二百にするか、二百五十、二百五十にするか、あるいは三百、百七十一というふうにするか、これはいろいろな議論があるところでございますが、少なくともこの政権交代が行われる将来の二大勢力志向といいますか、そういった問題を考えてみましたときに、自民党が御提言になっていらっしゃる三百、百七十一のこの考えというのは、いわゆる強力な政治的なリーダーシップを発揮できる体制をお考えになっていらっしゃるのだろうというふうに思うわけでございます。そういった意味におきまして、確かにそういうような体制ができれば、より強い政府ができ上がるというふうに存じます。
 しかしながら、日本の現在の政治状況を考えてみますと、やはり日本人の多様な思考の結果としましていわゆる八会派があるわけでございまして、そういうような民意の反映というものも、これは決して軽視できない問題ではないかと思います。そういった意味で、私どもが今主張いたしております二百五十、二百五十の数の考え方というのは、緩やかな二大勢力志向というようなことの方が現在の日本の政治風土にふさわしいのではないか、そのように考えて御提案を申し上げているところでございます。
 我が党内でもいろんな議論がございましたけれども、今申し上げましたやはりこの民意の反映も第一、現在の日本の政治状況も十分考えなければならないという結論の中からそうなったことを御理解をいただきたいと存ずる次第でございます。
#49
○保岡委員 石田大臣は、八会派という多様な国民の意思を反映して、この法案の一番基軸のところが決まったんだ、こういうお話だと思うのです。私は、それは中選挙区、まあ参議院の会派も入っておられますが、衆議院で中選挙区をとってくるところからする民意の集約のされ方が、今の八会派の基礎にあると思うのです。
 ところが、今度の与党の提案での比例というのは、二百五十というすさまじい大きな、小選挙区分とフィフティー・フィフティーの比例を含んでいますから、三%阻止条項、これは問題だと我々指摘していますけれども、これを仮にそのまま適用して八人以上の会派というものができるわけです。そうすると、二百五十の中には、恐らく参議院の五十という比例の中に見られるあの多党化現象がもっとすさまじい形であらわれる可能性がある。それは確かに衆議院の中選挙区をベースにしたものから移行していきますから、初めのうちはどうかわかりません。あるいは、初めのうちからも珍しいからいろいろ政党が出てくるかもしれません。そういうことを考えると、この二百五十、二百五十という案というものは、私はかなり小党が出てきて、小党が介在する政体というものになる可能性が十分あるように思えてならないのです。
 このことは、小選挙区という部分で民意の集約という力が働きますから、今の政党というものもだんだん収れんされていくという力学を考えていろいろ総理も発言されているし、皆さんも発言されている。私は、そういった民意の集約というものが小選挙区の部分で比例の部分についても影響を与えていくということを考えれば、やはり今度の制度は、衆議院の制度は、小選挙区を基本とするというところが非常に大事なポイントじゃないかというふうに思うわけでございます。
 自分の意見ばかり言っていてもいけませんので、ほかの皆さんのお考えを聞かせてください。
#50
○大内国務大臣 保岡委員先ほど御指摘のように、日本は非常に内外で重要問題が山積しておりまして、これを処理するためには強力なリーダーシップが必要である。政治改革も、そういう意味で総合調整力とかあるいは先見性、ビジョン、決断、実行力というものが大事であるとすれば、やはり小選挙区というものにウエートを置いた制度の方がベターではないか、こういう御指摘でござ
いますが、私は、そのリーダーシップの確立という点は大賛成でありますし、また、政治改革の先生の三つの整理も、非常にいい整理だと思うのであります。
 ただ、私は保岡委員と幾らかあるいは意見が違うかもしれませんのは、強力なリーダーシップや政治体制をつくるというのは、選挙制度だけでつくるのではなくて、根本は国民の意思によってつくる、それを尊重するということが、私は政治改革の原点ではないか。ですから、先ほど総理がカナダやイギリスの例を出しながら、その民意の集約度の高いというこの選挙制度が場合によっていろんな意味での弊害も生み出しているという趣旨のお話がございまして、例えば自民党案のように三百、百七十一という形で小選挙区と比例制を分けていきますと、あの当時のいろんなシミュレーションでも明らかなように、非常に少ない得票で非常に過大な議席を得てしまう。そのぶれというものが実は民意というものを圧殺していく。そこに一つの私は問題があったのではないかと思うのであります。
 ですから、確かに御指摘のように、小選挙区の比率が多ければ民意の集約度は高いとは思うのでございますが、しかし、比例の部分においても民意の集約というものは十分に行われるわけでございまして、私は、政府が出している二百五十対二百五十というのは、これはバランス感覚の問題だと思いますが、相当考えに考えたあげくであるし、また、今までの論議を経たものである。というのは、やはり政治にとって一番大事なのは、政治は大衆とともに歩まなければならぬ、私はいつもそういう確信に立っていろんな政策や何かを考えておりますが、今の政府案においても十分に民意の集約はできる、私はそう思っております。
 しかし、にもかかわりませず、保岡委員のような御指摘もございますので、私は一貫して、この種の問題は与野党の合意が得られる案をつくるべきである、こう言っておるわけでございまして、それに固執する意味ではございません。
#51
○武村国務大臣 私も五年ほど、この議論に参加をしてきましたが、率直に言って、選挙制度、本当にこの制度なら百点満点と言えるものはありません。結局相対的な選択になります。そこへお互い党利党略が入ってまいります。そのことが議論をややこしくしておりますが、お互い党利だとは言えませんから、哲学だと、我が方は一緒だと、こうおっしゃいますが、私は必ずしもそうは思いません。
 確かに自民党は、海部政権のときから並立制でああいう形でまとまって、その後単純小選挙区制に戻って、また並立制、この前後で終始をされているわけでありますが、社会党さんは、あるいは公明党もそうかもしれませんが、本来から比例制を基本にする考え方でありました。併用制になり連用制になり、そして清水の舞台から飛びおりるつもりでこの並立制に参画をいただいているところでございます。かなり妥協に妥協、苦渋の妥協の道を歩んでいただいていると、こういうふうに私は全体を見て認識をいたします。
 そういう中で、二百五十、二百五十はバランスとか折衷案だとか大野伴睦方式というふうな表現もありますが、ロシアは二百二十五、二百二十五の、全く政府案と同じフィフティー・フィフティーの選挙制度で、今回初めて、十二月十二日、総選挙を行うようであります。大体、ずっと見てまいりますと、ハンガリーやブルガリアも並立制でございますが、この辺は比例の方が六割ぐらいです。比例の方のウェートの高い並立制の国もございます。過般のカンボジアのPKO協力による総選挙は比例制でございました。発展途上国は意外と、全部調査ができておりませんが、私ども、点々と知った限りでは比例制の国が多いし、ヨーロッパは比例の国が圧倒的に多いという状況も考えますと、やはり比例というのも、自民党の皆さんには余り賛同がないわけだけれども、一つの大きな流れであり、哲学だ。
 そういう中で、今回、五年の真剣な議論の末、私どもとしては二百五十、二百五十の、ちょうど民意の反映と集約という二つの特色を持った選挙システムを折半する、こういう提案をいたしているところでございまして、これは立派な案であると思っております。
#52
○江田国務大臣 連立与党の各党首から御答弁がありましたが、私も基本的に同じ考えでございます。
#53
○保岡委員 先ほど、先見性であるとか、あるいは将来のビジョン、総合調整能力、いろいろ重要な点を御指摘になりまして、私もその点は同じ考えです。ただしかし、それじゃその将来のビジョンとか先見性とかの中身となりますと、これはまたいろんな意見が出てきますよね。
 そこで、そういういろんな本質論を総合調整していく能力というのが非常に大切だということになるのかと思いますが、連立内閣というものは、そういう本質論の議論じゃなくて何か変な妥協で結論が出てしまう、そういうおそれがあるということをおっしゃられましたが、そういう心配も一つあるかもしれませんが、必ずしもそれだけじゃない。やはりいろいろな本質論が大きく調整されるという、そういう機能を連立内閣というのは持つわけでありまして、この点もひとつお忘れいただかないようにしていただきたいと思います。
 それをこの選挙制度改革ということで見ますと、第八次選挙制度審議会で一定の方向が出された、これは非常に重要な問題提起です。しかし、従来の自民党内閣のときにもその答申そのままを法案として出したわけじゃありませんね。やはりそこにはいろんなその他の要素を加えてお出しになって、しかしそれがいずれも実現できなかったわけで、今回、国会の中の勢力比が大きく変わったことによって、これまでとは違う政権が生まれて、そして今までのやり方ではない新たな調整能力の発揮で今回の二百五十、二百五十というものが出てきたわけでありますから、そして、私は大きく見ますと、全体が並立制ということで意見が大きくこうまとまってきた、この国会の総合調整能力というのは相当程度にまで今進んできている、あともうちょっとだという感じで見ております。
#54
○羽田国務大臣 今保岡委員の方からお話があったわけでありますけれども、私といたしまして、長いことこの議論をしてまいりまして、日本の国の規模ですね、それから、国際的にも果たしている役割ですとか、あるいは、日本が今戦後ちょうど五十年ぐらいを迎えようとするときに大きな変革をしなければならぬ、そのときに二つの考え方、鏡のように反映するものと、もう一つは集約する、私は集約する方をとる方がいいのではないかという論を実は進めておった人間であります。
 ただ、先ほど来皆さんからお話がありましたように、ほかの政党の場合にはむしろ比例というものをとっておられた。それが併用までは、そしてこの間のときには連用まで来られておるという中で、今度並立を容認されたということは、私は、本当にお互いに話し合う中に、よくここまで進んできたなあというふうに思っております。
 そして、多党化というお話もあったわけですけれども、それを防ぐために三%というその条項というのを取り入れておるということを考えたときに、私は、でき得ればそこらあたりでおさまることがよろしいのじゃないかなというふうに思います。
 しかし、先ほど総理からもお話がありましたように、大きな課題として、この比例と小選挙区どちら、数の配分の問題、これも一つのやはり大きな柱であるという御指摘があったわけでありまして、これから本当に、今までの議論をもとにしながら話し合っていただくことが大事なのかなというふうに思っております。
#55
○保岡委員 非常に大きな本質的な問題だけに、いろいろ時間もかけてお話も伺いましたが、私は、今武村大臣が言われました、党利党略を後ろに持って、建前でいろいろ言って調整をしているというような御趣旨の発言がありましたが、これは、絶対そういうことはあってはならない、政治というものは。それは、確かに現実としてそういう力が働くのは否定はしませんけれども、しかし、そういうものを排除して、いかに理念に沿って結論を出すか、本質に沿って結論を出すかということにお互い苦労があるのであって、そのために私はこれだけ時間を費やしてこのことをお話しして、訴えていることを御理解いただきたいと思うのです。
 それからまた、大内大臣からは、民意の集約がこの制度でもできるというお話がございました。私は確かに、全くできないと言うているのじゃなくて、それ相応の民意の集約もできるが、どちらに重点を置くか、ウエートを置くかということは、日本の将来を考えると大事な問題じゃないかと思って、フィフティー・フィフティーという物の考え方に立つ、そういう考え方との対比をしているわけでございます。
 それに、江田大臣からは、大きな本質論もあって、相談しているうちに一つの本質が見出されていく、そういうことも考えて、先見性にもいろいろあるということを言われました。私は、そういうものもあると思います。ですから、多様な社会ですから、多様な価値観があるのだから当然なことなのです。しかし、それをどういう形で集約していくかというその方法論の問題なのです。
 私は、その方法論としては、やはり二つの大きな政党がわかりやすくいろいろな利害を調整して、そうして一つの最大公約数として責任を持ってこれでやりますという形で示すことの方が、はっきり言って選挙民にも明らかにその民意の集約の形がディスクローズされるし、また国会でも議論するときには、そういう議論が、二つのわかりやすい立場に分かれて議論をすることによって非常に国民からわかりやすく、はっきり本質が浮かび上がってくる、そういう透明度ですね、これは今度の政治改革のもう一つの究極の目標として据えておかなきゃならぬ大事な論点だと思うのです。
 そういった意味で、私は、やはり民意の集約というものに競争原理が働くと言ってもいいでしょう。民意の集約に競争原理が働くということは、皆さんは連立のまま次の選挙をやるとすれば、恐らく小選挙区の部分では選挙協力とかそういった選挙での何か同じ方向を見出すような工夫をするということになると思いますが、これは小選挙区があるからそういう力が働くのであって、やはりそういった意味で競争原理というものが、民意の集約というところではいろいろなところで働いていくわけです。総合調整能力が高められていくのです、いろいろな段階で。そして、はっきり透明度が明らかになるのです。私はそのことの特色を、今度フィフティー・フィフティーでやるよりかは、やはり小選挙区を基本に据えるところに求めたいのでございます。そういったことでございますので、よろしくお願いします。
 また、羽田大臣からは、自分は小選挙区を基本とする考え方がいいと思うがというお話がございました。私は、恐らく羽田大臣と同じような考え方ではないかと思います。
 そこで、私は長々と言ってまいりましたけれども、自由民主党、我が党の案はそういう理念、哲学というものが基礎にあって、そして小選挙区というものの機能がより発揮できるように考えるという点において一貫しております。それは一票制において、これが二票制になりますと政権選択が不明確になるし、小選挙区で求めた政権選択という一つの大きな要素というものが相殺されてしまうということになりますから、一票制は我々の当然の帰結であります。
 そしてまた、都道府県単位ということでございますけれども、これもまた私は、比例というものを考えた場合に、余りにも二百五十では多党化するという懸念を非常に強く持っています。総理は、三つか五つの政権政党ということに収れんされていくだろうと言われておりますが、私は、そういう考え方は安易じゃないかと、この二百五十の比例について感じております。
 そういうことからいうと、やはり当然顔の見える、衆議院というのは地域性というものを非常に大事にする選挙で、だからこそ地方で都道府県単位の選挙にしてほしいということを強く求める声が起こってくるのです。これは、鹿児島の場合だと、今九ある議席が一気に小選挙区では、政府案でいきますと四になります。我が党案でいきますと、これは七つにとどまります。そういったことは地方にとっては非常に大事なことで、衆議院というのは地域性を基礎にして選挙をやるという特質を持っている、私はそういうふうに信じております。
 そのことは、やはり地域のいろいろな問題に触れる、そういうことを地域が国政に反映させるために、やはり地元の顔の見えるという代議制というものを衆議院は基本にすべきである、そういうふうに思いますし、重複立候補というものの考え方も、あるいは小選挙区というものを都道府県単位で割り振ったこと、それから小選挙区の数も都道府県単位で一与えて区割りをしたという、県単位で小選挙区がすべて基礎づけられていることを考えたときに、県単位で民意の反映という意味での死に票の補完を考えることが、論理的に筋が通っている。
 そのように私は、自民党の案は三百と百七十一という一つの大きな基本理念を中心にして一貫して主張しているという意味で、今度の政府・与党との修正でも、ぜひ修正項目の中に入れて十分検討しなければならないし、また、このことについては非常にわかりやすい選挙だという意味で参議院との補完ということがあって、我が国は二院制で参議院がありますから、そちらの方で民意の反映というものを機能させるように考えていくということを考えなければならぬということは、同僚の議員からもいろいろ指摘をしたところでございますが、そういう場合に、例えば同日選挙があったりしますと、私は、我が党案の場合は一票で記号式で、しかも顔が見える、今の参議院選挙とは明らかに姿、形が違いますから、非常に明確にその選挙というものが区別できるという利点がありますが、今の与党案では、総理大臣初め各閣僚の皆様のお話を聞いておりますと、いろいろ衆議院の比例と小選挙区の組み合わせや数あるいは重複立候補の制度など、違う制度だから補完できるというような言い方をされているわけなんです。
 これは私は総理にお答えを願いたいと思うのですが、どうして衆議院の今の政府案というものに対して参議院が補完になるのか、確かに違う仕組みにはなっているけれども、補完する仕組みとして機能するような形での整合性があるのか、その点については参議院は参議院で整合性があるように考えてくれ、実は整合性のない形になっているんだということを言われるのか、その辺をお伺いしたいと思います。
#56
○細川内閣総理大臣 参議院は、今日も二院の府としてそれなりの役割を果たしているというふうに私は認識をしておりますが、しかし、今後、さらにチェック・アンド・バランスの機能が求められている、あるいは良識の府としての機能を国民の多くの方々が期待をしておられる。そういうようなことを考えますと、この衆議院の制度についての改革がなされて、できる限り早く、参議院につきましてもその改革についての論議が煮詰まっていくことを願っている、こう申し上げてきているところでございまして、そのためにもぜひ、少しでも早くこの衆議院の制度の問題に決着をつけていただきたい、このように願っているわけでございます。
#57
○保岡委員 私は、選挙制度というのは本当にわかりやすくつくるということが非常に大事なんじゃないか、そういう点で我が党案は非常にすぐれた案だと思うんです。参議院との比較においても、その特色がしっかり出ている案だと思います。しかし、これが今のような形で、参議院を後でやってくれというようなことでありますと、これは参議院に送ってから、参議院の方々との、この法案についての審議が非常に難しくなるということを私は心配します。ですから、やはり参議院は後でやれというのではなくて、やはりこの法案を共同修正をして、衆議院を上げて参議院に送るときは、参議院との補完関係についても十分配慮したそれなりの結論を持って臨まなければならないということだと思いますが、総理、いかがでしょうか。
#58
○細川内閣総理大臣 おっしゃることはよくわかりますが、また、そのような形で今まで参議院についてもあわせて論議が行われてきておったならば、それは大変結構なことだと思いますが、残念ながら、今までの経緯は衆議院の改革についての論議が先行してまいりました。まだ参議院についての論議が十分に煮詰まっているというふうには思っておりませんし、ぜひそうした意味でも、参議院についての論議が早急になされることを願っている、このように考えているわけでございます。
#59
○保岡委員 それから、私は比例区の、全国単位にしてありますけれども、総理、よく地方分権のことを言われまして、広域市町村圏とか道州制とかいうことについて非常に御関心があると思うのです。
 私は、広域市町村圏にしても道州制にしても、一気に制度化するというのは非常に無理がある。しかし、それについてはいろいろな分野分野で広域の区画のとり方が違ってくると思うのですね。ですから、ある一つの、欧州の共同体ではありませんけれども、目標を定めて、それに向かっていろいろな分野分野で広域というものを具体化していくことによって、その積み上げとして、あるいはその整理として道州制というものあるいは広域市町村圏というものの意味、新しい行政区画というものの意味もでき上がってくると思うのです。
 そういう意味で、私は二つお尋ねしたいと思います。
 一つは、広域市町村圏の数は三百六十ぐらいあるのでしようか、それからいくと、将来そういったことが小選挙区というものの数との連動ということでも非常に重要な問題ではないかということ。
 それともう一つは、道州制というものを考えた場合には、我々は都道府県単位ということで考えますけれども、道州制ということを考えた場合に、その政治的ないろいろなニーズを集約していく意味での代表という、そういう考え方というものは、これは私がとるという意味ではありませんが、そういう考え方というものについての御所見、この二点をお伺いしたいと思います。
#60
○細川内閣総理大臣 恐縮ですが、その初めの点は何でしたですか。(保岡委員「広域市町村圏の数と小選挙区の数」と呼ぶ)わかりました。
 広域市町村圏というか、基礎的な自治体のサイズがどのくらいであるべきであるか、これは行革審などでもさんざん御論議があってきたところでございまして、今確かに、おっしゃったように、広域市町村圏というものについては三百六十幾つかだったかと思いますが、そのような数になっております。しかし、それが果たして本当にこれからの基礎的な自治体のあり方として望ましい姿であるかどうかということについては、まだまだ論議が尽くされていない、これからも大いにその辺については議論をしていくべき大きなテーマであろう、地方制度の全般の問題などとの絡みの中でも、もう少し整理をしていかなければならない課題だろうと思っております。
 ただ、そのことが直接に選挙制度とどのように結びついていくのか、あるいは結びついて考えていくべきであるのかどうかといったようなことについては、これはなかなか難しい判断を要するところであろう。それがうまくマッチするならばそれにこしたことはないと思っておりますが、しかし、それぞれの行政の区画というものは今までの長い歴史もございますし、なかなか簡単にそのような形で選挙区の区割りというものが基礎的な自治体と適合するのかどうかということについては、私は、なかなかこれは簡単にはいかない難しい問題ではないかなというふうに理解をしているところでございます。
 それから、道州制の問題につきましては、私はなかなか、これはもう全く私見でございますが、今の都道府県制度というものがこれだけ定着をしてきている中で、それほど簡単にこの広域的なサイズというものが果たして行政的にできるのかどうか、またそれがいいのかどうかということについても、さてどんなものだろうかな、なかなか克服しなければならない課題が多いのではないかなというのが私の認識でございまして、この点につきましても、選挙制度の問題と、一概に、端的に絡めて考えていくということの可否につきましては、なかなかこれは難しいテーマだという理解でございます。
#61
○保岡委員 それでは、最後に企業献金についてちょっと伺っておきたいと思います。
 私は、いろいろな集会などに参りまして、ここで個人献金をされている方がいたら手を挙げてくださいと言って聞いてみるのですが、ほとんど個人献金をしているといって手を挙げる人はいません。私は、これは本当にどういう実態になっているのか、これは自治大臣、個人献金が政治資金の収支報告でどういう割合になっているか、わかっていたら教えていただきたいと思います。
#62
○佐藤国務大臣 今の保岡委員の御質問は、すぐ数字が出てくるのには大分、膨大な量があるものですから、ちょっと政府委員に答弁させます。数字は出ております。
#63
○保岡委員 じゃあ時間がないから、大体わかっているから。大体一二、三%、中央選管というのですかね、自治大臣所管のが。それから地方に行きますと大体四〇%余りということなんですね。
 それで、中央選管の場合一割ちょっとというのは、これは大変なことで、これを一気に政治家個人については個人献金だけにシフトするというのは、いかに何でもドラスチック過ぎて大変なんじゃないかということをまず申し上げたいと思うし、それから、地方の方の個人献金が四割余りでちょっと多いかなという印象を受けると思うのですが、実はこれは社長が、あるいは役員が企業献金している例がほとんどだ。いわば実質的には企業献金です。
 ですから、そういった意味で、私は、なぜ献金が日本の場合企業中心になっていて一般の人が出さないのかなということなんですが、やはり会社というものも団体というものも、これは立派な社会的存在ですから、当然日本の社会がどうあるべきか、政治がそのために何をしてくれるかということについて、やはり積極的に参画していくということは、これは許されていることだと思うんです。それは株主が当然コントロールするということになるし、定款の範囲という法的制約はつきますけれども、それでも私は、当然その会社の存立する社会の政治のありよう、社会のありように参画していく自由がある、このことを否定するような国は、本当の民主主義の国じゃないと思うんです。そうすると、政治的自由というものの裏腹で、政治献金は当然自由なんです。ですから私は、企業献金禁止というのは、民主主義の根幹を揺るがすおかしな否定の仕方ではないだろうかということを思います。
 たまたま、企業献金というのは何か個人と結びついて今いろいろ問題を起こしておりますけれども、しかし一般の企業献金というものは健全に機能していると考えて、それがほとんど日本の献金の実態だと考えざるを得ないんじゃないでしようか。
 私は、そういった意味で、もしこれから個人献金にシフトして、いろいろ個人献金を受けるとすると、個人献金の方が何か、小さなものをたくさん集めるならいいのです、しかし、これはなかなか今の政治資金を賄うに足るような資金には直ちになりようがない。そういうことを考えると、ある程度お願いをして個人献金を集めるということになりますと、これはもう何か目的があるんじゃないかというような色がつくことは明らかで、個人献金の方がむしろ危ないと言ってもいいぐらいなんです。私は、もし個人献金にそういう問題が、今度は逆に、企業献金が禁止されて、実質企業献金なんだけれども個人献金に形を変えてきた場合に、不祥事が起こったら、今度は個人献金を全部禁止するんでしょうか。そんなことはできっこないのです。
 私は、あつものに懲りてなますを吹くたぐいとか、過ぎたるは及ばざるがごとしということがありますが、まさにこの企業献金の取り扱いは、本当にこれは与野党の接点として最もよく検討しなければならない大問題だと思う。ある意味で民主主義の否定につながりかねない大問題なんだということを私は強く言いたい。そのことは、やはり日本という政治の中でも原理原則というものはきちっと守るということがしっかりしてないと、かえって規制を強めることによってお金は必ず迂回して、もっと不透明になって把握がしにくくなっておかしくなる。
 私は、政治献金というものはやはり透明度を確保することが命だと思います。私は、そのことによって選挙民に選挙で弾劾するという機会が保障されていることが大事であって、そのことの方が非常に重要だということを考えたときに、今度の政府・与党案というものは、まあ何というか、政党に企業献金を認めてありますけれども、それが、同僚が指摘するように、個人の政治家あるいは政治家個人の管理団体に行った場合に、管理団体に行く場合は収支が明らかになるでしょうけれども、個人が使ってしまった場合、その収支は必ずしも管理団体に報告する必要はないんだろうと思いますけれども、そういった意味では透明度が非常に薄くなるということが言えると思うんですね。私は、そういった意味で、やはり透明度を明確にした我が党案の方が、非常にそういう点ではすぐれているということを考えますが、今私が申し上げた企業献金の本質についてと透明度の確保についての両党案の違いについて、お答えいただきたいと思います。
#64
○山花国務大臣 前段ちょっと整理されました地方における献金の実態等についてですけれども、大体の数字は先生おっしゃったとおりだと思うのですが、私は、この政治資金状況を見る場合に、今御指摘ありました個人の献金と法人等の献金だけではなく、党費や会費など、こういった個人が負担している資金ということも一緒に見るべきじゃなかろうかなと、こうも思っております。
 地方分で見ますと、寄附の場合、個人については三百九十九億、法人については三百二十六億ですが、実は党費または会費の部分が三百六十八億あるわけでありまして、全体の個人が出している分と企業が出している分、この党費、会費の分を見ますと、中央で計算すれば、ちょっと粗っぽく粗削りに言いますと、大体法人が出しているよりも個人が出している方が、合計一千億円ぐらいで、三百億円ぐらい多いという実態はあるわけでありまして、したがって、冒頭、個人で出すのはいないのじゃなかろうか、そういう方はいらっしゃらないのじゃなかろうかと、こうおっしゃいましたけれども、こうした現実はかなり個人の負担の方が大きいという今の状態について、一言触れておきたいと思った次第です。
 第二番目、企業・団体献金の問題については、先生御指摘のような御意見も一貫してあることについては、私も承知をしております。でも、過去の流れを振り返ってみると、やはり政治資金についての大きなテーマは、企業・団体献金をなくして個人献金中心にしていくという歴史の流れではなかったでしょうか。選挙制度審議会の第一次、明確でした。第二次もしかり。そして第五次もこのことを承継して今日に至る中で、最近のゼネコン汚職に至る政治と腐敗の関係が改めて問われたわけであります。
 したがって、おっしゃるとおり、私たちは企業献金について悪だと断じているのではありません。あの八幡製鉄の判決にもありましたとおり、要は政策論ということであります。判決の中でも主張しておりましたとおり、こうした莫大な企業の献金というものが政治を毒してはならないということならば、立法政策としてどこまでやるかということではないかというのが、判決の一つの大きなポイントだと思っております。したがって、今回ここまでとしたわけでございます。
 三番目の問題、これは透明度について、自民党案が政府案に比べればここのところははっきりしているんじゃないかというのは、政治団体同士の、管理団体同士のやりくりの部分だと思うのですが、これは従来型、派閥の領袖がどんとお金を集めて配っていく場合には御指摘の心配がございますけれども、今回のシステムでは、そうした心配はまずないのではなかろうか、こう思っているところでございまして、私は、今度の選挙制度の改革、政治資金の改革、企業・団体献金の禁止等々、全体の仕組みからすると、先生御心配のような点は起こらないのではなかろうか。むしろ五万円あるいは一万円ということでかなり透明度を増しているわけでありますから、全体として見ると進んできて、かなり期待にこたえられることができるんじゃなかろうか、こう思っております。
#65
○保岡委員 私は、やはり今山花大臣は、政策によって企業献金は廃止できるというお考えでありましたが、やはり企業の政治活動の自由というものは厳然としてあるんですね。その中には、やはり政治資金の拠出によって応援するという、民主主義のコストを負担するということの自由も、私は、当然裏腹の問題としてあるのであって、これを否定することは、やはり私は、合理的な必要最小限度の規制という基本的人権の制約としては余りにも行き過ぎ、余りにも実態を無視するということが言える、そう思います。私は、これは本当に根幹にかかわることで、余りにも実態を無視している。
 確かに、おっしゃるように、個人献金にだんだんシフトしていくということは、多くの国民が企業だけに、あるいは企業の経営者だけに献金を任せないで、一般のサラリーマンや一般の主婦や、そういう方々も少しずつ少額の寄附をするというふうに、多くの人が、国民が政治に参加するときに民主主義のコストもあわせて出すような習慣を求めていこう、そういうことでできるだけ多くの人に支持されて政治をやるような体制に持っていこうということでございますから、企業献金からいきなり、今のような、個人がまだ政治の意識で、お金で参加するというところまで成熟していない日本社会において、一気にこれを切りかえていくということは、私はやはり無理があるということを非常に実態論としても感じます。
 そこで、最後になりますが、今の企業献金について、総理、基本的人権との関係、企業の政治的自由との関係、これをどう考えられますでしょうか。
#66
○細川内閣総理大臣 今おっしゃったように、企業の政治活動の自由、また、社会的な存在としての企業の活動のあり方、そうしたものは当然私もあるであろう、これはもうそのとおりだと思います。節度のある企業献金というものであれば、必ずしもそれは一概に悪とは言えない、そうも思いますが、ただ、昨今問題になっておりますような企業と個々の政治家との金にまつわるさまざまな問題というものを考えましたときに、やはりここは政党一本に企業・団体献金を絞る、そして企業献金の廃止の方向に向かって一歩踏み出すということが、国民的な、社会的な要請であろう、そのような判断から、このたびの政府案というものの考え方をまとめさせていただいた、そういうことでございます。
#67
○保岡委員 私は、やはり違法な献金、やみ献金というものの退治の仕方というものは、別途これは考えるべきであって、そのために企業の政治的自由の裏づけとしての政治的コストの拠出というものを全部否定するような物の考え方は、やはり私は間違った考え方だと思います。
 そういったことをベースに、与野党で政治資金についての妥協が図られて、共同修正が可能になれば幸いだということを申し上げまして、質問を終わりたいと思います。どうもありがとうございました。
#68
○石井委員長 午後一時より再開することとし、この際、休憩いたします。
    午後零時三分休憩
     ――――◇―――――
    午後一時一分開議
#69
○石井委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。伊吹文明君。
#70
○伊吹委員 細川総理、御苦労さまです。お忙しいところまことに申しわけありません。
 細川さんの御先祖は大変な歌人であって、古今伝授を残された方だし、また、千利休さんとも大変な御懇意のあったお茶人だと私承っておるのですが、千利休の高弟に山上宗二という方がおられます。この方は、きょう集まった者はまた相まみえることはあるけれども、きょうのこの会はこの会限りのものである、そういう気持ちでお互いにもてなそう、これが一期一会という言葉の基本なんです。だから、細川さんとは今後どういう立場でたびたび相まみえるか私はわかりませんが、私もこれ、二度自民党案の提案者としてこの成立のために一生懸命やってきたわけです。ぜひ、自分たちの案が最善だということを細川さんもおっしゃるし、我々もそう申し上げてきたわけですが、お互いに欠陥のあるものはまずそれを直して、そして同時に、国民にさわやかな気持ちで受け入れてもらえるようにするために、きょうは質問をさしていただきたいと思います。
 まず最初、ちょっとウォーミングアップをした方がいいと思うので。
 私は、あなたのおっしゃっていることに幾つか共感を持っていることがあるのです。例えば、私も余り先生と呼ばれるのは嫌なものですから、きょうも、失礼ですが細川さんと呼ばしていただきますので、どうぞ伊吹委員とか伊吹先生とか言うことなく、伊吹さんと答えていただきたいと思います。
 それで、同時にバッジ。バッジも、参議院におられたころ、私はまだ国会にいなかったのですが、知事時代に私は国会へ出てまいりまして、バッジは、あなたがバッジのことをいろいろおっしゃる前から、私はほとんどのところでは、必要と認めないときはつけてないのです。これは例えばタキシードを着たりモーニングを着たときにバッジをつけていたら、これは笑われますよ。それから、リゾートヘ行ってテニスをするときに、スポーツジャケットにバッジをつけていれば、これはださい人だと思われる。だから、これは相手がどう思うかなんですよ。ただ、地元へ帰っても、この後援会はやはりバッジをつけた国会議員が来てほしいんだと思うときは、私はバッジをつけているんです。
 つまり、これは全く自然体で、私がどうこう考えるものじゃないのです。だから、バッジをつけるのは私の趣味じゃないとか、あるいはバッジをやめようじゃないかとか、規則でどうだとか、土井さんも若干そういうことを言われるんだけれども、余りバッジ、バッジと言われると、私は、そこまでバッジのことを気にしておられるという方は、随分バッジに対する権力主義的な気持ちを持っておられるんだなという気がしてならない。もっと自然体でごく当たり前のように言ったらいいと思うんだが、その辺どうです。
#71
○細川内閣総理大臣 ウォーミングアップということでございましたから、私も本当にそういうつもりで言わしていただきますが、本当に私もおっしゃったようなつもりでおります。バッジ、バッジと私はそんなに申しておりません。つけるべきところにはつけて出た方がいいと思っておりますし、ただ、時々忘れたりすることがあるものですから、そういうときに話題になるということでございまして、気持ちは全く伊吹さんと同じだと思っております。
#72
○伊吹委員 それからもう一つ、質実国家でしたっけ、そうでしたね、あれも僕はなかなかいい言葉だと思うんだけれども、もちろんルールに反するようなことをして集めた富とかお金というのはよくないと思うんですが、貧乏であるのか、正当なルールにのっとって豊かであるのか、あるいは、政治資金が余りなくて秘書にも十分給料が払ってやれなくて、どうもおれの知らないところで何か頼まれ事してお礼を取るんじゃないかななんという心配をする方がいいのか。それとも、ルールにのっとった献金であれば――献金という言葉は後で聞きたいと思うんだが、潤沢に政治資金があった方がいいのか、どちらがいいですか。
#73
○細川内閣総理大臣 それは、潤沢であればそれはそれにこしたことはないと思いますが、しかし、政治活動に本当にどれくらいのものが必要であるのか。それはそれぞれの事情によって、国会議員としての活動、あるいはまた地方議員としての、あるいはまた首長としての活動によっても違いましょうし、またそれぞれの地域の選挙区の事情によっても違いましょうし、さまざまであろうと思いますが、それは、しかし国民の許容される範囲の中で、合理的に説明のつく範囲の中で、節度のある献金ということに尽きるんだろう、こう思います。
#74
○伊吹委員 私のうちは、細川さんのお宅のように大名じゃないんですが、ずっと商人のうちなんですよ。我が家の申し伝えというか家訓は、商売の費え惜しむべからず、しかし私の暮らし華美に流るべからず、これが我が家の家訓です。
 つまり政治資金は、要るものはやはり私は要ると思いますよ。しかし、高級車が国会の周りにうろちょろしておったり、あるいはまたお中元やお歳暮の贈り物が、一般人の常識から外れたようなものを国会議員が相互に贈り合っているとか、こういう点は私は直さなければならないと思うが、例えば月一度ずつ、どういう国会活動をしているか、私ははがきに書いて送っている。これはやはり五万枚送りますと、四十一円だから約二百万円かかるんですね。こういうものは私はどうしても必要なものだと思うんですよ。それは、また同時に、選んでくれた人への選ばれた者の私は義務だと思っているんですね。
 だから、私は貧しいより豊かであった方がいい。権力がないよりもやはり、自分の願っていることを実現するためには権力の座に、細川さんだって着いたんだから、着かなければならない。ただ、権力を持っていても常に謙虚であれるのか、そして同時に、豊かであるけれども質素に暮らすすべを知っているのか、これが値打ちなんだと私は思いますが、どうですか。
#75
○細川内閣総理大臣 全く、おっしゃることに同感でございます。
#76
○伊吹委員 そこで、ウォーミングアップはこの程度にして本題に入りますが、細川さん、あなた、いろいろな答弁の際に、問題になるのは企業献金、企業の献金でございますのでという言葉を再三お使いになるんですよ。このことについて私ちょっと伺いたいんだが、まず選挙部長、ちょっと教えてもらいたいんだが、政治資金規正法上、献金という言葉はないでしょう。私はないと思うんだけれども、どうですか。
#77
○佐野(徹)政府委員 現行の政治資金規正法上、献金という用語はございません。
#78
○伊吹委員 ある言葉は寄附と政治資金という言葉ですね。それで間違いありませんか。
#79
○佐野(徹)政府委員 現行の政治資金規正法では、政治資金という用語、それから寄附という用語、これはいずれもございます。
#80
○伊吹委員 そうですね。
 それで、新聞に裏献金ということがよく言われる。あれは今のことを聞いておられて、献金という正式な言葉はないんだけれども、政治家に対して政治資金として使ってもらいたいというのが本来の私は献金だろうと思うんですが、裏献金という言葉は、いい言葉だと思いますか。細川さん、言葉の意味。
#81
○細川内閣総理大臣 いや、それはいい言葉だと思いません。
#82
○伊吹委員 つまり、私は正しい用語からすると、あれは裏金だと思うんですね。裏献金ではないと思うんですよ。献金ではないと思うんです。献金という言葉自体が私は余り好きな言葉じゃないんだが、政治家に対する寄附ではないと思いますよ。
 そういうことからいうと、細川さんがいろいろな答弁の際に、問題になるのは企業の献金でございますからとおっしゃっているのは、どういう事態を想定して言っておられるのですか。どういう寄附を想定して言っておられるのですか。
#83
○細川内閣総理大臣 最近のいろいろな事件というものが、企業と個人の政治活動との癒着にまつわる問題である。そして、それがいわゆるやみで、やみの資金としてなされているということであるところに問題がある、そして不透明であるところに問題がある、そしてそれが限度を超えているところに問題がある、そのように私は理解をしております。
#84
○伊吹委員 今御答弁になったのと、私も全く同じ意見なんですよ。つまり、現在問題になっているものは現行政治資金規正法による企業の寄附ではないんですね。企業の寄附ではないんです。あなたが再三、問題になっているのは企業献金でございましてという答弁をされて、そして連立側の出してきておられる案では、企業献金、企業の寄附については政党へは認めるが個人の政治資金団体には認めないという案になっておる。私は、これは大変問題があるんじゃないかと思うんですよ。
 というのは、今細川さん御自身がいみじくもお認めになったように、裏にあって非常に不透明であって、つまり現行の政治資金規正法にのっとってないものなんですね。のっとってないものが大変問題になっている。
 それで、きのうも証人として来られた岡原さんでしたですかな、あるいは経済同友会の、秩父セメントの諸井さんがよく、企業の献金は企業が本来の目的、つまり利益追求の目的に合致していない限りは背任罪になるんだ、これはまあ一つの私は理屈だと思うんですよね。ところが一般には、自分たちは商売をしている自由社会の取引の雰囲気、社会のシステム、こういうものをやはりしっかりとした政治家に守ってもらいたいということが、私はあっていいんだと思うんですよ、献金の動機として。それはおかしいと思いますか。
#85
○細川内閣総理大臣 午前中の御論議でもちょっとそれに似たような御論議がございましたし、また今でも繰り返し出ておりますが、企業も社会的な存在であるし、また企業の政治活動も当然これは認められるものであろう、そう思います。
 問題は、それが節度があるものであるかどうか、先ほど申し上げたような透明性のあるものであるかどうか、そういったようなことが一番基本にあるのであろう、そのように思います。
#86
○伊吹委員 今の御答弁と、これまで問題になってきた企業と政治家との関係が、いわゆる政治資金規正法という表の舞台で処理されているものではなくて裏の舞台で処理されているものであるということも、先ほど御答弁の中にあった。そういうことを考えていくと、現行政治資金規正法上許されているものを今回禁止したというのはどうしてですか。
 いや、総理に伺っているから、いいんだ、総理に答えてもらってください。
#87
○石井委員長 それではちょっと先にどうですか、一言。(伊吹委員「では、簡単にしてください。時間が余りないから」と呼ぶ)それでは簡単に。佐藤自治大臣。
#88
○佐藤国務大臣 一言だけ、議論が先に行く前に申し上げさしていただきたいのは、現行の政治資金規正法は、御承知のように公開基準は百万円超ということになっております。したがいまして、一億円裏献金といいましょうか不透明な格好でもらおうとすれば、現行法では百個政治団体をつくればいいということになっております。
 したがいまして、それまでいいんだろうか、総理が言われますように、透明性の確保、節度を超えるということの範囲の中に、今政治資金規正法自身にある基本的な問題点があることをひとつ前提にお願いをしたいと思います。
#89
○伊吹委員 総理、今佐藤さんがおっしゃったこと、そのとおりなんですよ。後であなたの佐川との関係について私は伺う中でそのことを伺いたいと思うんだが、佐藤さんがおっしゃったとおりです。
 であれば、例えば、受けられる政治団体は二つに限定する、そしてその透明度は幾ら以上はみんな公開しなければならない、そして受ける限度も百五十万をもっと下げてもいい、あるいは、百万以上公開しているという基準をもっと下げてもいい、それは当然のこととして私は伺っているんです。それを踏まえて答えてください。なぜ禁止するんですか。
#90
○細川内閣総理大臣 それは、今まさに自治大臣の答弁がありましたように、透明性を確保するということも大事なことでありますし、そのことによって、当たり前の話ですが、政治と金にまつわる国民の信頼を回復することができる、そのために今度の法案の中でも、そのような透明性の確保なりなんなりを盛り込んでいるということでございます。
#91
○伊吹委員 それは全然御答弁になっていないんですよ。
 というのは、私が伺っているのは、問題のあるのは現行政治資金規正法にのっとった献金じゃなくて裏で行われているいろいろなやみ金、裏金である、そこと政治家の関係が非常に問題なんだ。そして、政治資金規正法に乗っかっている献金というものは、それは佐藤さんがおっしゃったように、一億円受ければ、幾つも政治団体をやっておけば分散されちゃう。だから、それはやめればいいのであって、例えば団体二つにするとか、限度百五十万を例えば七十五万にするとか百万を五十万にするとか、ということをやればいいのであって、政治家個人に対してすべて禁止しちゃうというのはどうしてなのかということを伺っている。
 だからそれは、結局こういうことなんですよ。企業献金というのはすべて悪であって個人献金は善であるという考えに僕はどうも立っておられるように思えてならないんだが、私もきょうはいろいろ済みませんが、細川さんの政治団体のことについて伺うので、私も素直に私のことを申し上げておきます。
 私は、月一万円、年十二万円の会費をちょうだいしている会合と、それから年三十万円の会費をちょうだいしている団体と、二つのその団体の会費でやっています。大変善意の人がたくさんおられますが、この人たちから、いまだかつて私は物を頼まれたことはありませんよ、私の経験からいえば。ただ、個人は、どうも自分が見てもどうかなと思う人から、息子をどこどこへぜひ就職さしてくれとか、あるいは何とかあの人に勲章をもらってほしいんだがとか、ありとあらゆる頼み事は来ますよ。
 そして、あなたの内閣の出された案からいうと、個人の献金はいい、個人の献金は促進するんだ、だけど企業の献金は政治家個人に対しては認めないんだ、個人の団体に対しては、という構成になっているんですね。そして、今また、まさにおっしゃったように、企業も社会的存在だということもお認めになっている。そして、不透明であるということに原因があるので、裏でいろいろ行われたり、そこで国民の非難を受けているということ、それもそのとおり。
 じゃ、まじめに会費でやっておるような団体までを禁止しちゃうという理由、まさに個人献金は善で企業献金は悪であるという細川内閣の哲学を教えてくださいと言っているんです。
#92
○細川内閣総理大臣 私も、それは、おっしゃることはよくわかりますし、先ほど来申し上げるように、企業献金というものも必ずしも悪ではない、こう申し上げたわけですが、しかし、ずっとこの委員会での御論議でもありますように、やはり今企業と政治家との間の癒着の問題がいろいろ出てきているところでございますから、この際やはり、この点については、できる限り企業との癒着というものを断ち切る方向に踏み出すということが一つの政治姿勢として大事なことではないか、そういう観点から、政府としての法案を出させていただいているということでございます。
#93
○伊吹委員 どうもお答えになっていないと思うんですよ。これは、新聞記者の諸君もたくさんいるから、私とあなたとのやりとりについてどういう記事にして、国民がどう理解してくださるかということだと思います。
 そこで、選挙部長、総理が、これからまた細川さんが答えるために、予備知識としてあなたに質問をしたいんだが、例の緊急是正をやりましたね。今出てきているほとんどの問題は、緊急是正の前の問題だ、これ。だから、大変おかしな話なんだが、あなた方が所管しておる政治資金規正法の規定によれば、例えば金丸さんの問題について、あれは二十万円を払ったから政治資金になったんですか、払う前から政治資金だったんですか。
#94
○佐野(徹)政府委員 政治資金と申しますか、現行の政治資金規正法の四条の第四項でございますけれども、「政治活動に関する寄附」という用語がございます。これにつきましては四条の四項で定義規定がございまして、「政治団体に対してされる寄附又は公職の候補者の政治活動に関してされる寄附をいう。」こういうようになっております。
 したがいまして、先ほどのお尋ねの件につきましては、それが政治活動に関する寄附であるかどうかということを具体的な事実関係によって判断されるべきものである、こういうように考えております。
#95
○伊吹委員 もう一つ伺いたいのだか、つまり、今の法律構成は、緊急是正を、まあ佐藤さんも大変御努力なすって御一緒にやったわけですが、緊急是正をやったから、違法な献金は没収をされて、そして大変な、公民権停止だとかいろいろなことがくっついてきたわけですね。それまでは、百五十万以上は受け取っちゃいけない、これは法律に書いてあるんですよ。ところが、百五十万以上受け取った者については、これは罰金を科されることになっておるわけですね。それから、百万以上のものは公表義務があるわけですね。ところが、公表義務を犯した者についても二十万の罰金、こういうことになっている。つまり、公表を怠った者も後で罰金という対象になるのだから、政治資金だと認められちゃうわけですよ。そして、一定量以上受けていても、やみに葬られておれば政治資金か何かわからないが、わかった途端に、罰金を払った途端に政治資金の範疇の中へ入ってくるという法律になっている。これは非常におかしいと思わないですか、所管しておって。悩みはありませんか。
#96
○佐野(徹)政府委員 政治資金規正法上は、先ほど申し上げましたような政治活動に関する寄附につきましての定義規定がございまして、この政治活動に関する寄附につきましてのいろんな量的、質的制限の規定、それから政治活動に関する寄附につきましては、収支報告書に記載をしていただきまして、それを提出をしていただく、また、政治団体が収支報告書を提出しなかったり、虚偽の事項を記入したり、それから記入すべき事項を記入しなかったり、こういう場合には罰則の規定があるということでございますので、政治活動に関する寄附につきましては政治資金規正法上の所定の手続に従ったそういったことをお願いをする、これが私どもの立場でございます。
#97
○伊吹委員 細川さん、ぜひ、これから修正の話が進んでいくと思うんですけれども、僕は二つのことをお願いしておきたい。
 今御答弁の中でも、いろいろなお気持ちが御答弁の中にそこはかとなく出ています。そして、後ほどお伺いするんだが、企業献金というのは、私はすべて悪いものじゃないと思うんですよ。仮に佐川さんという方が大事件を起こしておられても、そういうことを起こされる人だと御存じなかったときとか、あるいは何も依頼を受けていなかったときに受け取ったからといって、事後的にすべて悪いんだということも私はいかがかと思うんですね。ところが、今の社会風潮はややそういうところが私は率直に言ってあると思う。
 ですから、企業献金の扱い、これは五項目の、何かあれは連立側がうまくやっちゃって、自分たちがもめないところだけ五つ出して、そこへ世論を収れんさせて自民党が言うことを封じちゃおうという、私は権力の争いのまことにうまいやり方じゃないかという気がしているんだが、それ以外に、ぜひ企業献金と政治家の個人とのあり方については、これは修正のときによく議論してもらいたい。
 特に、後ほどお話しするが、公的助成というものは、これはやはり、今は一時の寂寞を得なくても、後で考えてみると万古の凄涼をとることになりかねない要素がありますよ。だから、そのことも含めて、この企業献金と個人との関係、もちろん佐藤さんがおっしゃったように、団体を幾つも認めるということは不必要だし、限度も抑えればいいし、公開の限度ももっと抑えればいいけれども、そのことはひとつよく考えてもらいたい。
 それから、現行政治資金規正法で私は一つ提案をしておきたいんだが、政治資金というものは、受け取った年内に必ず選管に登録をしたものというか報告をしたものというふうに法律を改正してもらいたい。そうすれば、報告をしてないものはすべて所得税の対象になるか、あるいは職務権限があれば収賄罪の対象に自動的になっちゃうんですよ。これを今罰金を払ったら、後で、やれ政治資金だとかどうだとかということになるんで、非常に困るんだな。
 国税庁、来ていますか。国税庁の方は、政治資金であろうとなかろうと、実際政治資金を個人が、団体じゃなくて個人、政治家個人が受け取ったもの、あるいは政治家の団体が受け取ったもの、これは残ったものの課税はどうなりますか。個人の政治団体と、それから個人が受け取った場合、二つに分けてください。
#98
○若林政府委員 お答え申し上げます。
 政治資金を受け取られた場合、それがまず団体である場合、これは法人税法上、一般には政治団体の場合、人格なき社団ということになろうかと思います。そういたしますと、この場合は法定されております収益事業を行う場合以外につきましては非課税になっておりますので、この場合は課税問題は発生いたしません。
 次に、政治家個人がお受け取りになった場合につきましては、これは一般に政治資金の収入につきましては雑所得を構成する収入だということになります。したがいまして、お受け取りになった収入から政治活動のためにお使いになった経費を控除いたします。その余に残があれば、それについては雑所得として課税されることになります。
#99
○伊吹委員 わかりました。政治家個人への寄附は、もう今回の提案では自民党案も、皆さんの案もないんですよ。だから、あとは政治家の持っている団体への企業献金が残るんですね。これは、団体に残ったものは今の説明のようにそのまま繰り越せる。だけれども、個人が受け取ったものは今回もう一切ないから、これはもう問題なし。
 そこで、団体が受け取ってるんだが、いや、報告してなかったとか、団体が受け取ってるんだが限度を超えていたという問題にどう対処するかということ、これをよく考えて、この問題と、それから企業献金というのは、やはり私は、一定の制約、透明度、それからすべて明るいところへ出していくという前提で、これは認めてもらいたい。これを認めずに政党助成を入れるということは、私は禍根を大変残すと思う。このことは後で質問します。
 それで、企業献金が必ずしも悪い献金ばかりじゃないというのを、あなた御自身のことについて、私は確かめねばならない。そして、あるいは問題があるのかもわからないんですが、この例の、一九九三年だからことしの五月二十五日のアエラで、あなたは蜷川さんと対談しておられますね、アエラです、これ。
 この中で、このことに関して、共産党の聴濤さんが参議院でこういうことを聞いてるんですね。つまり、あなたが受け取った二千五百万円という、佐川さんから受け取った献金は、どういうことを言っておられるかというと、「最近五、六年間で、おそらく合計二千五百万円程度は受けているだろうと思います。」そして「それは政治団体の財政金融調査会、新昭和研究会、それにすでに廃止した情報産業振興会で、それぞれに受け入れてきましたが、すべて政治資金規正法に基づいて届け出ており、平成三年八月以降は、受けておりません。」この平成三年八月以降というのは、多分知事をおやめになった後ということでしょう。
 それで、これに対して聴濤さんはどういうことを言っておるかというと、この二千五百万を、五、六年と言っておられるから、仮に六年ですわね、大きくとって六年、六年で受け取ったとして、二千五百万を六で割ると平均四百何十万円になるんです、年平均。ある年はもっと受け取って、この年はなかったというケースもあるかもわからないが、平均的に受け取れば四百何十万円になるだろう。ところが、あなたは、財政金融調査会、新昭和研究会、それに既に廃止した情報産業何々でと、こう言っておられるから、じゃ、三で割ったら一つは百万を超えますね、ところが自分はどこを調べてもそれがなかった、だからどうなったんですかと、こう聞いたわけですね。
 それについて、このときの答弁は、虚をつかれたのかどうか、率直に言ってあなたの答弁はしどろもどろですよ。「三団体だったか四団体だかちょっと忘れました」「大変申しわけございませんが、」ということと、「私も詳細について承知をしておりません。私が正式に了知をしておりますことは、その政治団体に基づいて処理をしているというふうに私は聞いております。」政治家が一々、特に一党の党首になるほどの方だから、その細かなことは聞いていないというのは当たり前です。僕はそれ、よくわかります。
 それで、その後、今度は衆議院の本会議へ出てきて、吉井さんが質問をしたんですね。吉井さんの質問に対して、あなたはどういうふうに答えておられるかというと、一つは、佐川に聞いてみたけれども、向こうの帳面がもうどこかへ行っちゃって、担当者もいなくなったからわからないということが答弁の一つね。それからもう一つは、なるほどうまいことを言っておられるんだが、ここで「佐川グループ」、こう言っておられるんですね。だから、グループだから、例えば、東北佐川とか九州佐川とか北陸佐川とか、いろいろなところから百万円以下のものをたくさん私はごっそり集めて受け取ったよ、おのおの計上されているのは個々の企業の名前で計上されているから、当然表にも出てこないし、これは適法に処理されています、こういうことを言っておられるんですよね。
 これは先ほど、まさにあなたの自治大臣がおっしゃったように、幾つもの団体に、どっさり受けたのを分けるというのは透明度が薄れるということも、これは確かなんですね。ところが、私は佐川さんとおつき合いがないんでよくわからぬが、あなたのおっしゃっているこのアエラの一問一答では、「いうなればケタはずれの大型のタニマチということでしようね。」こう言っておられる、佐川さんのことを。つまり、私もいろいろな人から伺ってみると、佐川さんは献金をいろいろなところへ割り当てる、自分の傘下にある企業へ。割り当てて、そしてそれを、まあ細川さんなら細川さんのところへ寄附をさしてあげる、こういうことを大変やっておられるようですね。
 そうすると、これは受ける側が分散しているわけじゃないが、出す側が分散しているわけですね。こういうことは余りいいことじゃないと思いませんか。
#100
○細川内閣総理大臣 おっしゃるとおりだと思います。余り好ましいことではないと思います。
#101
○伊吹委員 結構です。
 それで、だから、そういうことをやってまで献金を受けなくてもいいような政治をつくりたい、こういうことですね。
 それで、選挙部長、伺いたいんだが、まず、政治資金規正法第九条一項に、政治団体は、会計帳簿の備えつけをして、寄附については、寄附した者の氏名もしくは名称、主たる事務所、金額を記載しなければならない、こういう規定がありますね。それから、第十六条には、収支の公表された日から三年間の帳簿保存義務が課されていますね、三年間の。これは間違いないですか。
#102
○佐野(徹)政府委員 おっしゃるとおりでございます。
#103
○伊吹委員 それでは細川さん、伺いますが、平成三年の分は平成四年の夏に公表されるんですよ。そして、平成二年の分は平成三年の夏に公表されるんです。平成元年は平成二年の夏に公表されるんです。つまり、それから第九条第一項の規定と第十六条の規定を引っ張りますと、平成三年分については七年の夏まで保存の義務があるんです、帳面は。そして同時に、二年分については六年の夏まで保存義務が当然出てくるでしょう。平成元年は、私のところは残していますが、これはことしの、五年の夏に、一応なくしたという答弁をしても、まあ、つじつまは法律上は合うんですね。
 そこで、ぜひ、これはあなたの出しておられる法律と我々の出している法律を、国民の、これからの日本の意思決定を左右する大きな法律ですから、それを出していらっしゃる方が政治資金規正法違反を犯していなかったということをはっきりさせるために、この平成三年と平成二年の帳簿を出して、どことどこの佐川系の企業から寄附を受けていたのかということを教えてくれませんか。そうしないと、これはなかなか、私はこれをそう簡単に採決をするとか妥協を図るという話にいくというわけにはいかないと思うんですよ。これは出している人が、いや、こういうふうにしてありますから済みませんけれどもという答弁しかしておられない。で、それは実はだれも確認できていないのです。
 特に細川さん、あなたは、選ばれた者の中でも最も選ばれた者の義務を果たしてもらわなければならない。つまり、一般の人に許されていても、法律上許されていても、政治家にはやっちゃいけない倫理上、道徳上のことがあるのと同じように、一般の政治家には許されていても、法案を提出した総理としては許されないことが、私は当然あるんだと思うんですよ。これを教えていただけぬですか。
#104
○細川内閣総理大臣 私も、どの程度資料が残っているか、今おっしゃったように、もちろんその保存義務というものもあるわけでございますし、恐らく事務所で適正に管理をしていると思いますが、明らかにできるところは、できるだけ明らかにさせていただきたいと思っております。
#105
○伊吹委員 大変ありがとうございます。そうでなければ、私はならないと思います。
 あえて申せば、細川さん、あなたは熊本の知事を五十八年から平成三年までやっておられましたね。この間に、このアエラの話の中に出てくる佐川先端科学振興財団というものを認可をしておられると思うのですね。認可をね。これの認可権者はどなたですか。
#106
○細川内閣総理大臣 多分、それは知事だと思います。
#107
○伊吹委員 それから、昭和六十年の三月二十日に、佐川急便の北熊本営業所及び車庫、これの建設事業計画の変更認可が、運輸大臣というか運輸事務所で行われている。しかし、同時に、これを建てるときの建築許可と車庫前の道路の幅員の証明というのは、これは知事の権限なんです。同じように、八代営業所は六十年四月十二日、本渡営業所及び車庫は六十年十月十一日、人吉営業所車庫は六十二年十月三日、これだけの建築基準法及び、まあ主に建築基準法でしょうね、道路関係の法律による許可が、一応知事に委任されているわけです。
 刑事局長、一般論として伺いますよ。一般論として伺いますが、例えば都道府県知事が持っている権限を行使して、その権限を行使した相手から受けた金品が政治資金規正法によって処理されているのか、あるいは裏金であったのか、これがわからない場合は、あるいはもし裏金であったとしたら、もちろん収賄の認識があったのか、贈賄した側に請託の犯意があったのか、立件するためにはその条件が必要だ。しかし、権限を持っている者が許認可を現に行って、そして何がしかの金を受け取っているが、その金が政治資金規正法によって処理しているということが証明できなかった場合は、事情聴取の対象になりますか、なりませんか。一般論として。
#108
○濱政府委員 ちょっとお尋ねの趣旨を私誤解しておれば重ねてお尋ねいただきたいと思いますが、要するに委員のお尋ねは、具体的事案を離れまして一般論としてのお尋ねでございますけれども、公務員が金品の収受を行った場合、刑法上のわいろ罪になるのか、あるいは、例えば政治資金規正法違反になるのか、その辺がわからない場合にもその公務員を取り調べることができるかという御趣旨のお尋ねでございますか。(伊吹委員「いやいや、そういうことがわかった場合は、あなたの方では事情聴取は行わないのですかと聞いているのです」と呼ぶ)わかった場合というのは、例えば金品の授受が行われたということは少なくともわかったという御趣旨でございますか。まあそれは事案によりけりだと思いますけれども、要するに、金品授受の事実の確度というか、証拠上との程度の確度のものが認められるかということによるのだと思いますけれども。
#109
○伊吹委員 細川さんは、多分きちっと私、処理しておられると思うのですよ、あなたのお人柄からいって。だから、ぜひそのことを、書類を調べて、少なくともこの平成三年分と二年分については明らかにしてもらいたい。これは帳面が残っているわけだし、これを残さなければ今度は政治資金規正法違反になるわけですから。
 あなたの内閣がお出しになったこの法案を私たちはこれからべースにして妥協するのか、自民党案をベースにして妥協するのかともかくとして、あなたの方の御意見はあなたの法律にすべて盛り込まれている。我々の方の意見は我々の法律にすべて盛り込まれている。しかし、それを出した者がお互いに国民に対して、自分は今までの法律や、特に政治関係の諸法律を遵守してきたんだという前提がなければ、やはり国民の信頼を受けられないと私は思うのですね。だから、ぜひこの点は私は明らかにしてもらうというお約束がほしい。私に……(発言する者あり)いや、もちろん採決するまで。私に示していただく必要はないが、理事会で協議してもらえませんか。委員長、どうですか。
#110
○石井委員長 理事会における協議事項といたしましょう。いたします。
#111
○伊吹委員 いやいや、ちょっと待った。委員長、それは理事会として協議をするのはいいが、私は、細川さんのお人柄からいっても、今まで選挙の際にずっと日本新党が主張してこられたことからいっても、このあたりはやはりきちっとしたいと思いますよ、細川さんの今までのお人柄からいえば。それはきちんとさしてあげて、なるほどと思って、みんなが最後に粛々と本会議で、どういう案になるかわからないけれども投票するというのが筋じゃないですか。協議するだけでは、私はちょっと困りますね。
#112
○石井委員長 速記をとめて。
    〔速記中止〕
#113
○石井委員長 速記を起こして。
 伊吹君。
#114
○伊吹委員 それは委員長のお言葉ですが、これは国民が注視しておる法律です。ですから、はっきりとしなければ私はならぬと思いますがね。
#115
○石井委員長 速記をとめて。
    〔速記中止〕
#116
○石井委員長 速記を始めて。
 細川総理大臣。
#117
○細川内閣総理大臣 誠意を持って私も対処したいと思います。しかし、誠意を持って対処する、もちろんそのとおりなんですが、法の趣旨もございますし、また、御承知のように百万以下ということで自分の名前を出さないことを希望するという、そういうことをおっしゃる向きも、先方の御意思もあろうかと思いますから、そこのところもできる限り御理解をいただくように、私の方としては最善の努力をさせていただく、法の趣旨に従って誠意を持って対処していただきたい、そして理事会の御決定に従う、こういうことでございます。
#118
○伊吹委員 細川さん、政治資金規正法の九条一項によると、会計帳簿を備えつけ、寄附についてはこれは一円たりとも、寄附をした者の氏名、名称もしくは事務所、金額は記載しなければいけないとなっているのです。しかも、十六条の規定によって三年間は帳簿を保存しなければならない。
 だから、少なくとも平成三年にお受けになった分と二年でお受けになった分は、多分あなたのお人柄だから私はきちっと法律に従ってやっておられると思いますから、ぜひそれを示してもらいたい。ただ、確かに相手があることですし、相手に対する守秘ということも考えねばなりませんから、それは理事間で私は協議していただけば結構です。だからきちっと、佐川からの献金は私はすべて悪いと思いませんよ。何もそんな問題が起こる前に受けておった適法な献金は、私は悪い献金だとは思わないから、堂々とそのことを私は教えてくださればいいと思うんですね。
 そこで、次へ移りましょう。
 選挙制度が今度変わりますと、どの程度政治資金が要るのかというのは、これは私も自民党案の提案者で、政党助成法を出すときに実は大変困ったんですよ。率直に言えば、現行中選挙区制度のもとでの過去何年かの政治資金を算定して、それで個人と企業と助成と三分の一、三分の一、三分の一というやり方を客観的にやっているんですが、政府側も多かれ少なかれそういうことでしょう。個人への寄附を減らされた分だけ政党助成はふえているのですかね。
 そういう中で、これは私率直に言って、自分で法律を出しておきながら無責任なことなんだけれども、自信がないんですよ、正直なところ。細川さんもそうなんじゃないかと思うんだけれども。まあ算定の基準だとかなんかは私は十分勉強していますから、山花さん、もう結構なんですよ。選挙制度が変われば政治資金が減ると思われますか。
#119
○細川内閣総理大臣 今までのような同士打ちというものがなくなりますから、その分は相当に減ってくるであろうというふうに思います。しかし同時に一方で、政策のPRであるとかあるいはまた政党の組織活動であるとか、そうしたもので今まで以上に恐らくコストがかかるようになるだろうと、これもまた想像されるところでございまして、私も、おっしゃるように、率直なところ、どういうことになるのかということについてはなかなか確たる自信を持って申し上げることはできないのですが、しかし、今までの政治活動というものを根拠にして、それをよりどころにしてやはり数字を出すしかないだろうと。今までの過去に出されました法案などにおきましても、政党助成に対する政党交付金などの額などもやはりそのようなことで根拠にして出されているということでございまして、私も、よりどころはこのようなところしかないのではないか、それが一つの現実的な考え方ではないかということで、政府案として出させていただいたということでございます。
#120
○伊吹委員 正直な御答弁だと思います。私も、その点は非常に悩んだわけですよ。新しい制度というのはこれからできるので、新しい制度のもとでどれだけお金が要るかというのは実はわからない。
 それで、今同士打ちということをおっしゃいましたね。あなたの内閣の副総理である羽田さんもよくそういうことを言われる。しかし、これは選挙区によって違うと思いますが、全国で今五百十一ですか、定数が。そして選挙区の数が百二十九でしょう。百二十九の選挙区で過半数をとろうとすれば、政権をとる意欲のない政党は別だが、単独でとろうとする政党は必ず二人か三人立候補させねばならない。そこで、いろいろな、政党本位、政策本位の選挙が行われない、これは私そのとおりだと思うんですよ。しかし、これは小選挙区にしたからといって、お金が減るという保証は今おっしゃったようにないんですよ。
 これはなぜかというと、日本共産党は全選挙区で一人ずつ立候補さしておられるのですよ。これ
は実質的に中選挙区の中で小選挙区の選挙をしておられるのですね。ところが、政党としての政治資金は、もう御承知のとおり飛び抜けています。だから私はあえて言えば、小選挙区にするメリットというのは、個人で後援会をつくり、個人で文書活動をする、その活動を党に移す。そして、そのために個人であくせくして集めていたお金を政党に移す。つまり、個人がお金をさわらないというメリットだと思うんですね。これは後で申し上げるように、これは大変なデメリットがあるんだが、メリットだと思うんですよ。
 だから、同士打ちでお金がかかるけれども、それがかからないというのは、私は、羽田さんがおっしゃっているのはそうじゃないと思うのですね。今まさに細川さんがおっしゃったように、それ以外のお金がたくさんかかる可能性がある、政党同士のせめぎ合いで。ですから、これはだれもわからないということをやはり国民の前に、自民党も細川さんも確認しておきましょうや、今。
#121
○細川内閣総理大臣 おっしゃるとおりだと思います。したがって、五年後に見直しをしようということになっているわけでございまして、政府案としてはそのような提案をさせていただいているということでございます。
#122
○伊吹委員 それで、結局個人がお金をさわるチャンスが少なくなる、だから個人にまつわるスキャンダルというものが少なくなる、これは私は一つのメリットだと思うんですね。ところが、メリットというのは必ずデメリットを伴うんですよ。
 自由経済では、買い占めとか投機というのは自由なんですね。しかし、それが極端に流れると、これは悪徳商人と言われるんですよ。だから、悪徳商人を抑えようとして配給公団をつくったらいいかというと、これはなるほど悪徳商人はなくなるんですよ。だけれども、やみが横行して、それから公団職員の汚職が生じて、自由経済の濶達さがなくなるんですね。
 今回の政党助成と企業献金というのは、特に先ほど企業献金、企業も社会的存在だということをお認めいただいて、あらゆる政治問題というのは、やはり裏の、政治資金規正法に乗っかってない部分において行われているという認識だったと思うんですが、そういうことを考えますと、私は、これはちょっと、今でいえば政党の濶達さというのですか、こういうものを失う、つまり配給公団にした場合の弊害が大変多いような気もするんだけれども、どうですか。
#123
○細川内閣総理大臣 それは、そういうおっしゃるような面も確かにあろうと思いますが、まさにお話が冒頭にございましたように、どちらにより大きなメリットがあるかという、そこのところの兼ね合いの問題だろうというふうに私は思っておりますし、やはりこれは配給公団にした方が、よりメリットは大きい。国民の政治に対する信頼を回復するという意味では、やはりその方がこの際ベターなのではないか、そういう判断でございます。
#124
○伊吹委員 配給公団にすると、私も実はこれは大変悩んでおるんですよ、正直なところ。自分が法案を出しておって。山花さんのように器用に使い分けられれば私もいろいろなことは申し上げられると思うんだが、なかなかこれ、提案者という立場と個人の政治家としての良心とを使い分けて質問するのは難しいもんですから弱っておるんだが、憲法八十五条によりますと、国費を支出するには、国会の議決に基づくことが必要だ、こう書いてあるのですね。同時に八十六条は、毎会計年度の予算を作成し、国会に提出し、その審議を受け議決を経なければならない、こう書いてあるんですね。これを受けて財政法にいろいろな規定があるんですよ。国会の審議を受けるために、その目的だとか、その目的に従ってこれを項に区分しなければならないとか、各項に定める目的以外にこれを使用することはできないとか、財政法の二十三条、三十二条にいろいろ規定があるのです。
 それで、このたびの政党交付金のように、ぼそっとマクロで、ばさっと一発で出しているような金は、地方交付税交付金とか電源立地特別交付金とか国有財産施設等所在市町村交付金とか、こういうものはあるわけですよ。ところが、これらは、今度は受ける方の、例えばあなたが知事をしておられた熊本県で、必ずそれを歳入に立てて、そのおのおのの科目について詳しく、議会というか有権者である国民の代表の審判を受ける仕組みになっているんですね、地方交付税だとかなんかはね。
 ところが今回、こういう政党交付金的なもの、まあ、もちろん公認会計士を入れるということはあるんですが、これは例えば、あなたの財政金融調査会とか情報産業振興会とか、それからもう一つ、アエラにも言っておられなかったが、熊本行財政研究会というものを持っておられますね。こういうものをみんないろいろ調べてみても、政治活動費の中には組織活動費と選挙関係費という区分がなされているだけで、この中身が具体的にどういうものなのかわからぬですよ。それは自民党の収支報告も一緒なんですよ。
 こういうものが、主計局来ていますか、主計局に伺いたいんだけれども、こういう支出というものを予算書に載っけるということについて、あなたは国民の負託を受けた善良な公務員としてどういう考えを持っていますか。
#125
○竹島政府委員 お答え申し上げます。
 政党助成法によりまして政党交付金というものが設けられるということになりますと、それも当然国会で議決されてそういうふうになるということを受けますと、当然それは予算にそういう形で計上されるべき性格のものであるということでございます。
 で、いろいろ財政法について御指摘ございましたけれども、御指摘の中の、例えば財政法第二十三条では、「目的に従ってこれを項に区分しなければならない。」ということでございますので、確かに御指摘のように特色のある交付金ではあると存じますけれども、これはまさに項として整理をするということにすべきものだというふうに考えております。
#126
○伊吹委員 まさに特色のある交付金なのですね。それで、こういう形のものは、私の経験からいうと、今総理官邸に入っている報償費以外には余りないのじゃないかという気はするのだが、主計局は、こういう形の経費がこれから予算にどんどんどんどんふえていくということについては、抵抗はないのですか。
#127
○竹島政府委員 一般的に助成金につきましては、これは交付要綱等で何のために使うのかということが決められているわけでございますが、この政党交付金につきましては、目的ははっきりしております。かつ、算定の根拠も法律できちんと決められております。そういう意味で歯どめもある、金額についての積算根拠も法律できちんとしているという意味でございますので、御指摘のような心配は私どもはしておりません。
#128
○伊吹委員 主計局は予算をつけるときは心配はしていないと思うのだが、今度はそれを何に使うかという問題。政党に交付された後、何に使うかというと、これはまさにその政党の品性によってくると私は思うのですね、政党の品性に。
 そこで、公認会計士を入れているのですが、細川さんのお考えとしては、会計検査はさせるつもりですか、どうですか。
#129
○細川内閣総理大臣 会計検査につきましては、これは立法事務費と同じ扱い、今、特色のある交付金という話がございましたが、それと同じようなものになるのかなという感じがいたしますが、とにかく国民の税金で賄うものでございますし、独立した会計検査院の検査というものを排除することはできないというふうに私は思っております。
#130
○伊吹委員 会計検査をさせるということですね。――じゃ、山花さん、短くしてください、前置きはいいですから。
#131
○山花国務大臣 御指摘の問題については、先ほど引用になりました会計検査院法二十三条によって、「内閣の請求があるときは、」「会計経理の検査をすることができる。」と、選択的な検査事項になっております。
 取り扱いは立法事務費と同じである、こう思っています。
#132
○伊吹委員 法制局長官、憲法九十条の規定からいって、これは、行政裁量は別として、検査は当然できるでしょう。しなけりゃおかしいわね、憲法違反になっちゃうもの、九十条の規定からいって。
#133
○大出政府委員 政党交付金につきましては、先ほど山花国務大臣の方から言われましたように、会計検査院法の規定によって、選択的な検査事項の対象にはなり得る。で、この政党助成法においては、法律上それを排除するというような特段の規定は設けていない。こういう意味合いからいたしますというと、形式上は対象になり得ることは間違いないところだと思います。
#134
○伊吹委員 山花さんと御一緒でしょう、今の答弁は。
 憲法九十条では、「国の収入支出の決算は、すべて毎年会計検査院がこれを検査し、」とこうあるのですよ。会計検査院の院長というのは、会計検査官もそうだったかな、国会の承認にかかることですが、任命は内閣総理大臣ですね。
 つまり、今度は区割りの審議会も私は大変そういう危惧を持っているんだけれども、行政裁量として、検査をしませんとか公平にやらせますというのは、これは裁量権の問題なんですよ、権力を持っている者の。法律的にはそこのところは自由にやれるんです。やれるんです。ですから、これはまさに、極端なことになると、自民党が政権をとったときには我々は品性を持ってやりたいと思っているが、法律上はやれるんですよ。法務大臣の検事総長への指揮権と同じなんですよ。政治的な規範としてやらないということ、あるいはできるだけやらないというリーダーシップのもとに置かれているのであって、法律的にはこれはやれるんですよ。だから、政権政党が他党の内容を検査しようとすればできるんです。できるんです。また、国費であればそうなければならないんですよ。これはやはり私はなかなか問題があるなという気がする。
 そして、総務庁、これは行政監察局では、おのおのの行政機関の業務について実地に調査することができるということが総務庁設置法の第五条に書いてあるんですが、実際は、あなた方が調査をしているのを見ると、農協へも行くし、建設会社へも行くし、それから国立病院が買っている薬屋へも監察が入っていますね。そういうことからいうと、行政監察の範囲というのは一体だれが決めるんですか。
#135
○田中(一)政府委員 お答え申し上げたいと思います。
 今伊吹先生言われたように、総務庁設置法の第四条に基づきまして、十二号でございますが、「各行政機関の業務の実施状況を監察し、必要な勧告を行うこと。」第十三号におきまして、この「前号の監察に関連して、第十一号に規定する法人の業務及び国の委任又は補助に係る業務の実施状況に関し必要な調査を行うこと。」ができるということと、お話しのように、第五条におきまして、長官の権限が定めでございます。
 その中で、簡単に申しますと、農協についての例を挙げられましたが、これは、補助金を受けておることについては、権限として調査権がございます。ただ、そのほかの民間企業につきましては、これは、この第五条の六項におきまして、「長官は、監察上の必要により、公私の団体その他の関係者に対し、必要な資料の提出に関し、協力を求めることができる。」という規定でございます。
#136
○伊吹委員 ですから、細川さん、補助金を受けていると監察ができると言っているんですよ。これは一種の補助金なんですね、率直に言って。だから、これも、内閣総理大臣や総務庁長官がそれは政党政治や議院内閣制の建前からいってまずいというのでやらさないという、政治家としての縛りによって担保されているだけであって、今の話だと、補助金が出ているからやるんだ、こう言っているわけだから、これは政党の中へ入ってくる可能性があるんですよ。だから、ここもひとつ大いにこれは検討しなければいかぬところなんですね。
 それで、今政府の方の姿勢について申し上げましたが、助成を受ける方の政党の立場からいっても、選挙のときには、独立の政党として行動をして、党是を掲げてやっておられますね。ところが、選挙が終わっちゃったら合併したとか、あるいは、国会では何か独立の政党のように言っているけれども、選挙のときになったら、交付金は独立の政党としてもらっているけれども選挙は一緒だとか、こういういろいろな事態が生じた場合に、法の精神から見てどう思われます。――いやいや、ちょっと、まず総理から答えてもらいたい。
#137
○石井委員長 それじゃ、簡単に、山花国務大臣。
#138
○山花国務大臣 御指摘の点につきましては、今回、かなり検討し、詳細に規定をつくっておりますが、趣旨としては、新しい政党ができるあるいは政党が分割する等々を含め、政党としての同一性が承認されるということであるならば、国民の政治意思結集の媒体としての役割は続いておる、こういう観点で全体を整理しておりますので、御指摘の点についてそうした整理で私は十分だと思っております。
#139
○伊吹委員 どうもよくわからないのだが、総理、もっと何というか、国民にわかる、総理が得意の国民の声で、生の声で話してほしいのですが、独立の党是を持って、例えば日本新党なら日本新党という綱領を掲げて所在地を定めて政党助成法の交付金を受ける、しかし、選挙では違う綱領を掲げている政党を応援するということはおかしいと思いませんか。それが政党助成法には禁止規定はないのですよ。政治活動の自由ですか、それも。
#140
○細川内閣総理大臣 今度の法案におきましても、その政党活動の自由、政治活動の自由というものにつきましては、今の問題との関連で配慮をして書いているつもりでございます。
#141
○伊吹委員 そこは率直に言って、書いてあるというより規定がないのですよ。もう書いてないということが配慮しているということなんですよ。書いてないということが配慮しているということなんです。
 つまり、独立の政党として綱領を持って、国民に、我々はこの綱領に従う政党ですということを明らかにしておいて、そして日本新党には幾ら、社会党には幾らという交付金を独立に受け取る、しかし、選挙になれば、この選挙区は、自分が受けた交付金を受けるときに掲げた綱領とは違うけれどもこの政党を支援するんだ、そのかわりにこの政党からこちらは支援してもらうんだということは、禁止の規定も何もないのですよ。まさに書いておられないということが政党の政治活動の自由に配慮しておられるということなんです。これが国民のためにいいのかどうなのかということは私はぜひ考えてもらいたい、ぜひこの点は。
 それで、もう余り時間がありませんので、私は結論を申し上げたいと思うのですが、私自身も今自民党の中で政党法の勉強をしているのですよ。例えば、じゃ山花さん、先ほどからいろいろよく手を挙げていただくので一言お聞きしたいのだが、社会党の会館、これの所有者はだれです。
#142
○山花国務大臣 財団法人の社会文化会館だったと思います。
#143
○伊吹委員 そのとおりなのですよ。社会党じゃないのですね、借りておられるのは。自民党も同じなのですよ。
 つまり、各政党は法人格がないのです。そして、自治大臣が一番よく御承知のように、政党の規定というのは現行法律上いっぱいあるわけですよ。政治資金規正法上の政党、それから公職選挙法上の政党、それから今度は、皆さん方の案では全国で比例配分の対象になる政党、それから政党助成を受ける政党、これだけ政党の規定がいろいろあるのだけれども、本来政党というものはどういうものかという規定はどこにもないのですよ。
 私どもが大変悩んでいるのは、もしそこに政党というものの規定を置きますと、これに法人格を与える場合は、財団法人、社団法人、その他法人、すべて、これはまさに先ほどの佐川先端科学財団と同じょうに、だれかの認可行為というものが必要になってくるのですよ、認可行為というものが。認可行為というものが憲法に言うところの結社の自由を極めて侵すだろうというのでみんなこの政党法というものにさわってないのですよ。今までそういう理由でさわってないのです。だから、本当は政党法というものがあって、その中から助成を受ける政党というものを政党助成法でつまみ出すのが一番私は方向性としてはいいと思う。ただ、そうすると、今度は結社の自由を侵すからなかなかやりにくい、こういう構成になっていると思うのですね。
 それにしては、私は政党助成法が、私どもも出したんだけれども、今考えてみると、国民に対していかにも抜けているところがたくさんあるなと。例えば会計検査院の問題、行政監察の問題を含めて、やはり政党の立場も、これは政党政治の濶達さですから、守ってやらねばならぬ。同時に、国民の血税を配給してもらうわけですから、であるならば、私は、もう少しやはり政党の義務を書き加えるという形で、両方でよく相談して、政党助成法だけは抜本的に直さないとちょっと恥ずかしいんじゃないかなという気も一つする。そういうアイデアもある。
 それからもう一つは、企業献金というのを、多分細川さんの佐川からの献金も私はきちっと適法に処理されていると思うのですね。それは金丸さんの事件があったりなんかして大変問題になっている企業だけれども、受け取っておられたときはそんなことは私は認識の外だったと思うのですよ、細川さん御自身が。だからそれは、立派な、きっちりした献金というのか、政治資金規正法上にのっとっているんなら、個人の政治団体に寄附があっても私はおかしくない。
 一番最初にまさにおっしゃったように、裏金とか不透明さとか、そういうところで問題になっているんだから、私は、もう少し企業献金の例えば枠を、先ほど佐藤さんがおっしゃったことも勘案して、政治団体二つ、そのかわり五十万円を上限とするとか、あるいは百万円を上限とするが五十万円以上は公開しなければならない、支出は五万円以上公開しなければならない、こうしておいて、政党助成法は、今、新しい選挙制度のもとでどれぐらいお金がかかるかということをやはりはっきり把握した上で出し直したらどうかという考えもあるんですよ。
 今その二つ考えがあるんですよ。それについて御感想、どうです。
#144
○細川内閣総理大臣 私は、その政党法のお話についてはやはり、諸外国の例で恐縮でございますが、政党法をつくらないで政党助成をしているという国の方がむしろ多いんだというふうに、よく御存じのことかと思いますが、承知をしておりますし、必ずしも政党法をつくるということが政党助成のための必須の条件ではないんだろうというふうに思っております。
 しかし、おっしゃったようないろいろ難しい課題も、考えなければならないテーマも確かにあることも事実だろうと思っておりますが、とにかく政党の政治活動というものの自由を保障するためにも、この問題については、政党法を考えるということについては、私はやはりどちらかというと、慎重な立場をとるべきではないかなというのが今の私の感じ方でございます。
#145
○伊吹委員 基本的には私もあなたの考えに非常に近いんですよ。政党法はできればつくりたくない。しかし、政党助成というものを持ち出しちゃった限りは、政党法をつくらないのならば、今の政党助成法を、政治家や政党の活動の濶達さを保障するという権利の部分と、国民の血税を受けているという義務の部分について、私はもう少し書き込む必要があるのじゃないかという気がするんですね。
 それで、これは、よく細川さんの今の体制が大政翼賛会の体制だとかなにか、おもしろおかしくマスコミに書かれるが、私は必ずしもそうじゃないと思いますけれども、大変よく似ているところも確かにあるんですよ、当時の歴史を振り返ると。昭和の十年代に帝人事件があったり、三井、三菱と民政党、政友会の癒着というものがあって、国民は大正デモクラシーで自由濶達、これは非常にいいんですが、自由濶達が行き過ぎたために野方図だという非難を受けたわけですね。
 そしてその後、あなたのおじいさんの文麿公や後藤文夫さんが研究会をつくられましたね。これは昭和七年の一月ですよ。私は、近衛さんも日本のためを思って新しい運動に乗り出されたと思いますよ。そして、十一年の二月二十六日に二・二六事件が起こって、私が大変尊敬している高橋是清さんが暗殺されました。
 その後、蘆溝橋事件が起こって、それから十三年から十五年にかけて、社会大衆党とか日本革新党とか、いわゆる革新政党がまず近衛さんのもとに集まったのです。
 そして最後に、政党政治を守らなければならない民政党と政友会も、大臣になりたい、ポストが欲しいという欲ぼけのために大政翼賛会に入っちゃったんです。入っちゃって、そして大政翼賛会の費用はすべて陸軍の軍事機密費から賄われているという状況になって、日本の政党政治は死滅したんですよ。私はこの歴史を考えると、やはりもちろんそのことが戦争に至った一つの大きな原因だろうと私は反省するんですね。
 きのう文化勲章をお受けになった司馬遼太郎さんが、月刊文芸春秋の巻頭論文にいつも「この国のかたち」というのを書いておられますね。単行本になって、私はこれは非常にいい本だと思うのですが、その中に、明治憲法も大変民主憲法であった、しかし、結局シビリアンコントロールがつぶれたのは、帷幄上奏ということが起こった。このときに、帷幄上奏に非を唱えたのは、毎日新聞のただ一人の記者だった。政党においても、朝日新聞を初めとすると司馬遼太郎さんは書いておられるから、わざわざ私は名前を挙げますが、マスコミにおいてすら、憲法を守れという言葉は一言も生じなかったということを喝破しておられるんですよ。
 今とよく似ているかどうかは、おのおのが胸に手を当てて考えるべきことだけれども、そのときそのときの世論とか国民の声というのは大変大切です。これはもう政治家としてはこれを無視してやれない。しかし、石橋湛山先生が言っておられるのは、政治家というのは国民の声を聞かなければやれない仕事だ、しかし国民の声ばかり聞いておってはやれない仕事だと。私は、これは名言だと思うのですね。
 細川さんも、今の時の流れからいうと、支持率も大変高いし、私は、あるいはやりにくい、かえってやりにくいことがあるのかもわからないけれども、政党政治の濶達さというか民主主義の原点というものを守っていくために、選挙制度の話は私はずっとやってきたから、別段特に意見はありません、しかし、この政党助成のあり方とかなにかについては、もう一度やはり、ふろへ入って天井でも見てゆっくりと考えてもらいたい。ぜひお願いしておきます。
 ありがとうございました。
#146
○石井委員長 次に、笹川堯君。
#147
○笹川委員 まず、総理、御就任おめでとうございます。
 さて、今、伊吹先生が細かくいろいろとお尋ねになりました。結婚式のスピーチとこういう質問は、後になるとだんだん残り少なくなりますが、そういう観点じゃなくして、まさに一般の国民が心配をしているようなことからお尋ねをしたい、こう思います。
 総理にお尋ねをいたしますが、今新聞を見ますと、政治改革については総理自身も、内閣の責任で、今年中という言葉を最初使われたわけであります。今の国会は御案内のように十二月の十五日
で終わりになるわけでありますが、もし御答弁がしにくかったら別にされなくてもいいのですが、いずれにしても、私自身も今度の選挙、無所属でやりましたので、現在は自民党の議員として質問いたしておりますが、年内に必ずやる、責任を持って、多少の不便はあっても、あるいはまた多少の難点はあってもと、こういうことを申し上げましたので、やはりどうしても年内にはこれをまとめ上げたいという気持ちには変わりはありません。
 そこで、十二月十五日に何が何でもというふうに考えるか、あるいはまた会期を延長しても、あるいはまた十二月というのは三十一日まであるわけですから、年内にはどうしても両方で歩み寄ってこれをまとめたいという気持ちにはお変わりございませんか。
#148
○細川内閣総理大臣 長い間、もう五年以上にわたって、何とか成立を図らなければならないということで、与野党の間で真摯な論議が重ねられて今日に至っているものでございますし、国民の多くの方々が期待しておられることも、一刻も早くこの政治改革の法案を仕上げて、そして内外の課題に的確に対応してほしいというのが大方の声であろうというふうに思っております。そのことを考えますと、何としても年内の成立を目指して全力を尽くしてまいりたい、その決意は全く変わっておりません。
#149
○笹川委員 政府の出したものが、いつも山花さんあるいはまた佐藤自治大臣の答えではベストなものだと。それは確かにここでベストじゃないとも言えないし、それは妥協した方がいいとも、これも言いにくい。ですから、そういう答えを、聞いても答えが返ってこないということは、聞いてもむだですから聞きませんが、どうかひとつ、いずれにしても細川政権は連立で各党がいろいろな意見があるでしょうから、まずひとつ各党の方をなるたけまとめていただいて、おれの党が譲ったということじゃなくして、国民に向かって譲歩するんだと、このことは私、総理、大切だと思うんですよ。自民党に歩んだとか、いや社会党に歩んだとかじゃなくして、国民に向かって歩むんだと、この姿勢でひとつぜひお願いをしたいと思います。
 さて、先般、総理大臣は元総理を御訪問になったわけであります。中にはお訪ねになってない人もいるようにも聞いておりますが、その内容について全部お聞きするわけじゃありませんが、総理の就任のごあいさつにしてはちょっと時期おくれだと思うので、就任のあいさつに行かれたのか、あるいはまだ政治改革、非常に難産だから、そういう意味で先輩の意見を聞き、あるいはまた御支援、御理解もいただきたいという趣旨でお訪ねになったんですか。
#150
○細川内閣総理大臣 さまざまな思いを持ってお訪ねをいたしました。政治改革のことももちろんございますが、それ以上に、この三カ月近くほど経過をいたしまして、日米会談あるいは日ロ首脳会談、そうした大きな懸案もございましたし、その御報告もしなければならないという気持ちもございましたし、また、これからAPECその他の会議もございます。韓国の大統領との会談もございますし、大所高所からの御高見をぜひ聞かせていただきたい、大変ごあいさつもおくればせになっておりましたし、本当はもっと早く伺わなければ失礼であると思っておりましたのですが、個々の諸先輩には宮中のいろいろな晩さん会等々でもお目にかかっておりましたので、延び延びになってしまっていたわけでございますが、当面の景気の問題あるいはまた政治改革の扱い、そうした問題についても大所高所からぜひ御高見を承りたい、こういうことで出かけてまいったところでございます。
#151
○笹川委員 総理の御説明である程度わかりましたが、新聞を見ますと、年内にできなくても総理の責任は問わない、何か昔、何年か前そういうことをおっしゃった人がいますが、総理の責任は問わないということが新聞に出ておりますが、これは考えますと、本当に一生懸命やってできなきゃしようがないよとも解釈できるのですが、逆に言うと、責任間わないんだから余りやらない方がいいんじゃないかともとれる。どちらにとりましたか。
#152
○細川内閣総理大臣 私もわかりかねました。
#153
○笹川委員 人、いろいろ解釈がありますが、大体、世の中というのはよく解釈するとろくなことはない。悪く解釈した方が成功の確率があると思いますので、ひとつそのように解釈をしていただきたいな、それで対処をしていただきたい、こう思います。
 さて、総理に、実は八月の十日の記者会見で、第二次大戦は侵略戦争で、間違った戦争だと認識している、こういう御発言がありました。しかし、八月二十三日の総理大臣の所信表明の演説では、ぐっとやわらかくなりまして、そういう意味が全く書いてないのですよ。「まずはこの場をかりて、過去の我が国の侵略行為や植民地支配などが多くの人々に耐えがたい苦しみと悲しみをもたらしたことに改めて深い反省とおわびの気持ちを申し述べるとともに、今後一層世界平和のために寄与することによって我々の決意を示していきたいと存じます。」こういうことであります。
 大変内容的には私も賛成できるわけでありますが、確かに戦争問題を考えるときに、近隣諸国に迷惑をかけたという言葉はいつも出てきます、中国に行くたびに、あるいは韓国に行くたびに。ところが、総理がここでもう一行加えてもらったら、例えば遺族会にしても、亡くなって靖国神社に祭られている人に対しても、私は相済んだと思うのですが、やはり今度の第二次大戦は、まあ指導者が間違っておったのでしようが、国のために散った多くの兵士の皆さん、そしてまた、戦災によってとうとい人命が、民間人も失われております。こういう方々にも思いをいたしているのだということを本当はこの後につけ加えていただければ、まあ答案としては百点に近くなったのじゃないかと思うのですが、いかがですか。
#154
○細川内閣総理大臣 今お話がございましたように、戦没者のみたまを慰霊をするという気持ちにつきましては、私も決して人後に落ちるものではないと確信をいたしております。予算委員会あるいは本会議の答弁等でも再々申し上げてまいっておりますが、今日の日本の平和と繁栄というものは、そうした諸先輩のたっとい犠牲の上に成り立ったものであって、そのことを片時も忘れてはならないし、また、そのことを子々孫々にわたってしっかりと伝えていくということが我々の世代に課せられた大きな責務である、このように私はかたく信じているところでございます。
#155
○笹川委員 それでは、実は我が国では、終戦記念日というふうにいつもこう新聞に出るわけであります、終戦記念日。しかし、私は、全面降伏であったので、本当は敗戦記念日と言うのが正しいと思うのです。特に、戦後A級戦犯で巣鴨の収容所に入られた、戦争中の陸軍大臣、文部大臣をやられた荒木貞夫大将にお目にかかったときには、笹川、あれは終戦だ、陛下がやめろと言うからやめた、しかし、竹やりで本土決戦をしたら勝負はわからなかったということを私は言われたことがあります。だから、ああ、これじゃ日本は勝つはずないなということをそのとき思ったのですが、私は率直に、敗戦記念日だといつも言っています。終戦とは言わない。
 あの状態のことを、総理は、ちょっと年がお若いのでございますが、終戦記念日が正しいと思うか、敗戦記念日が正しいと思うか、いかがですか。
#156
○細川内閣総理大臣 それはなかなか難しいお尋ねでございまして、一般に私は終戦記念日と、自分ではそのように、特に意識をしないでそう申してまいりました。
#157
○笹川委員 今総理が、意識をしないという御返事でありますが、この意識をしないことが実はいけないのですね。意識をしていないと、いや、あれは終戦なんだ、両方に責任があるんだというふうに考えられますね。しかし、敗戦であれば、我が国が責任の重さが重いということは、これはだれでも考えつくことなんですね。だからぜひひとつ、もし何げなく終戦記念日だと思っていたというならば、私は、やっぱり今度の第二次大戦はあくまでも負けたんだ、全面降伏だから敗戦記念日だというふうに心の中に思うことにぜひひとつ変えていただきたい、このようにお願いをしておきます。今急に言いましても、これはなかなか難しいでしようから。
 さて、実は外国へ我々が行きましても、必ず国立墓地へお参りをするわけであります。すなわち、その国のために戦った人、兵隊はもちろん、あるいは警察官、消防士、まさに国のため、国民のために命を散らした人の国立墓地に必ずお参りに行く。ところが、今の日本では、外国から要人がおいでになっても、御案内をするところが実はないはずであります。そこで、まさか靖国神社というわけにはまいりませんので、結局行くところがない。
 こんなことは、日本の国としては、これは私は一番先に考えなきゃならぬことだろうと思うんですが、そういう意味で、日本には正式に国立墓地というものはありませんが、何か墓地とか国立というともう軍人さんだけの話になってしまいますが、私は、これからも日本の国が続いていくんだから、そういう国のために亡くなられた方々を総称してやはりお祭りをする国立墓地というものを考える必要があるんではないのかなと思うんですが、いかがですか。
#158
○細川内閣総理大臣 おっしゃるように、諸外国へ参りますと確かにそのようなところがあって、外国から行った人々がそこにお参りをし、敬意を表するということがなされているわけでございますが、我が国におきましても千鳥ケ淵などはその一つの姿として、形として考えられた経緯があったのではないかというふうに私は承知をいたしております。
#159
○笹川委員 今、千鳥ケ淵の話が出ましたが、これは戦没者だけでありまして、私の申し上げているのは、警察官でも、自衛隊であろうがあるいは消防官であろうが、国のために国民の犠牲になって殉じた人を、実は正式にお祭りしているところはない。そういうものを含めての国立墓地ということであって、軍人の墓地という意味だけではありませんから、念のために。
 それから、これはいつも問題になるんですが、靖国神社に公式参拝論がいつもよく出ます。恐らく総理も、いろんな団体から公式参拝をしてくれという陳情もあったと思うんですが、公式、非公式というと、いや公式はね、総理大臣の肩書を書いたとか、あるいはその玉ぐし料を国の税金から払ったとかと、いろんなことがあると思うんですが、私はそういう議論よりも、やはり総理大臣にも個人があるわけですから、今から行ってくださいとか、行くなとかいうことを言っているわけじゃありません。もし機会があれば、御近所を通ったときでも結構です、まさに総理の好きな平服で結構ですから、ちょっと寄った、玉ぐし料を出さなくてもそれは別にどうという問題じゃないと思うんですが、せっかく連立与党になって、この問題ではたたかれないんですから、今までは、自民党のときはもうこてんこてんにやられたわけですね。いかがですか。何か機会があったら行くよ、絶対に行かないですか。
#160
○細川内閣総理大臣 率直に申し上げまして、このような立場になる前は折に触れてお参りをしてまいりました。
 今、公人か私人かというお話がございましたが、このことは、それぞれの方々が個人の責任において御判断をされるべきことであろうというふうに私は思っております。今の立場にあります以上は、この問題についてのさまざまな問題というものを考えて、やはり慎重に判断をしなければならないであろうというふうに受けとめているところでございます。
#161
○笹川委員 慎重というのは非常にいいんだけれども、行く気がありますか、行きたくないかというふうにお尋ねしたので、行く気がなければ、行きたくない、それは結構。
 私も小学校のときから靖国神社へお参りしています。国会議員になっても行きます。しかし、集団では行きません。集団では絶対行かない。これは集団で行くところじゃないと私は思っているから。近所に寄ったときは行きます。じゃ国会議員として行ったのかと言われれば、そうでしょう。私人で行ったのか、そうでしょう。どちらでもいいと思うのですが、余り慎重に慎重にと言わずに、この問題、四十何年ずっと長いんですから、もう一度ひとつ答弁してください。
#162
○細川内閣総理大臣 慎重にと申し上げましたのは、今の立場で参りますと、以前のようにふらっと桜の季節に行ってお参りをしてくる、あるいはもみじの季節に行ってお参りをしてくる、何も季節に限りませんが、暑い日でも何でも、折に触れて出かけていくということがそう気軽にできないと申し上げましたのは、例えば、使う車は何の車使うのか、だれか秘書を連れていったのか、そういう話にすぐなってまいりますので、非常に問題が複雑になりますし、また、対外的な配慮というものもしていかなければならないといったようなこともございますものですから、その辺については慎重に考えている、こういうことを申し上げたところでございます。
#163
○笹川委員 まあ顔を見ていると、行きたいと、行きたいけれどもみんなに迷惑をかけちゃ困るし、外国からも批判をされたときに非常に困難だから、それを押してまでは今のところ行かない、そういうふうに理解をいたします。まあ個人的なお立場も、御家族、親戚の方のことを考えれば、それは当然今まで行っておられた、これからも行くということは、私にはよく理解できますが、やはり総理大臣にぜひこういうことを聞いてほしい、こういう国民の声もあったものですから、お尋ねをさせていただきました。
 さて、皇室批判でありますが、総理も耳に入っていると思います。
 先般、官房長官に聞いたときは、宮内庁とこの問題については話し合ってないということでありましたので、翌日、実は法務委員会で宮内庁に来ていただいて、いろいろとただしました。そのときに、宮内庁としても対応が遅いとか悪いとか、いろいろな議論を私どもいたしまして、結果、週刊文春は、一応わび状がきょうの週刊文春に載っています。
 そこで、総理としてはこの問題を云々ということを私はお尋ねしませんが、心の中では大変心配なさっておったと思いますが、皇后陛下が、これは心因性の失声症というのが正しいんだそうです。失声症、声が出なくなる。このことについて、総理はお見舞いか何かは正式になされたんですか。
#164
○細川内閣総理大臣 幾たびか皇居に参内をする機会がございましたので、その折にお見舞いを申し上げてきたところでございます。
#165
○笹川委員 報道の自由とか国民の知る権利というものは、十分に私は尊重しなければならぬと思いますが、その中にあっても、やはり一つのルール、そして相手を思いやる気持ちというものは絶対に必要だ、こういうふうに思っておりますので、ぜひひとつ総理もそういうことをよく念頭に置いていただいて、こういうことが再びないように、十分にひとつ宮内庁を督促して御配慮を賜りたい、このようにお願いをいたしておきます。
 さて、先般自衛隊の観閲式があったわけでありますが、これは総理は平服で出られたわけでありますが、私も実はモーニングというのは嫌いなんです。あれが似合うとは思っておりません。できるだけ着たくはないんですが、やはり着なければならぬときは我慢をして行かなければならぬので、歴代総理の中で平服で出られたのはあなただけなんですね。
 来年一月に、各閣僚を引率して伊勢神宮に行かれるんでしょうと思うのですね。行かないんですか、行くんですか、これをまずお尋ねします。行くか行かないか。そのときに、やはりその服装で行かれるのか、モーニングを着用されるのか、これをちょっとお尋ねしておきます。
#166
○細川内閣総理大臣 まだ先の予定は全く考えておりません。
 それから、その観閲式の問題でございますが、服装の問題でございますが、これは申し上げるまでもなく、観閲式というのは、自衛隊の訓練の成果とそれから装備品の現状というものを広く国民に知ってもらおうということでやっているものでございまして、隊員の士気を高揚するということが主たる目的とでも申していいのかと思いますが、観閲する側の自衛官の服装につきましては、服装規則によりまして礼装を着用するということになっておりますが、シビリアンにつきましては、特段の定めがございませんで、諸外国の観閲式などにおきましてもすべて平服であるというふうに承知をいたしております。
 私の知る限りではそういうことでございまして、そもそもモーニングというものも、今、御自身も余りお好きではないというお話でございましたが、第二次大戦後、もうモーニングというものはちょっと少し時代おくれじゃないかという話が出ているということを私は聞いておりまして、まあ極端に言うと、機能的でないということで、使われているのは日本ぐらいなものじゃないか。まあ結婚式のとき。結婚式以外ではほとんど、諸外国、先進国では用いられていないということも聞いておりますが、私自身は、モーニングを着てシルクハットを持って巡閲をするというのは、どうもやはり余り指揮官として機能的ではないんじゃないか。ジープに乗っかって、こうして行くわけでございますが、それよりもやはり私は、私はそのときは略装で、白っぽいネクタイをして参りました。略礼服で参りましたが、その方が礼をも失さないし、また機能的でもあるし、その私なりの考え方に基づいて、そのようにさせていただいたということでございます。
#167
○笹川委員 今、総理のその気持ちは十分にわかります。もし、どうしても総理がそうしたければ、やはり防衛庁長官は指揮下にあるわけですから、例えば事務次官も政務次官も、おれはこういう服装で行くから、おまえらも見習っておれの服装と一緒にしろ、ここまで配慮すればいいんですよ。ところが、あなたは、御自身だけはその気持ちだけれども、防衛庁長官もモーニングでしょう。何か事務次官も政務次官もそうでしょう。そうすると、バランスがとれないわけね。内閣は総理大臣の命令一下なんだから、もしそのことを来年、どうしても御自分も平服でと言うんならば、やはりとれるように、じゃ、おれはこうなんだから、ひとつ長官もそれで合わせてくれよということを、ぜひ事前にそういうことをお話し合いをしていただいて、つまらぬことで――あなたが自分でマイク持って自分の言葉で話したということは、高く評価できると思うんですよ。役人の書いたこんなもの読んだって、何もならないんです。弔辞と一緒なんだ、あれは。本当は自分の言葉でしゃべるということが大切なんですよ。もうこのことは強くお願いしておきますので。
 やはり制服組にしてみると、この間の皇室問題で天皇陛下は、皇后陛下も、自衛官の制服がお嫌いということでどんと出たわけですね。そういうやさきにあなたが平服で行くから、ああ、これはもしかすると細川総理も自衛隊嫌いなんじゃないかと言われても非常に嫌な思いをされると思いますので、ぜひひとつその趣旨を徹底して、下の者に言っていただくようにお願いをいたします。
 それから戦争責任で、これはこんなことを言っちゃ大変申しわけないんですが、実は私の第一秘書は熊本の県議二期やって、細川政権を一生懸命支えましたな。私も、あなたが初めて参議院に出るときに、偉い宮様から、笹川、頼むと言われた。あるいはまた、知事のとき、私はお伺いいたしました、表敬訪問にね。今度こういう形で御質問するわけでありますが、実は、戦争中の近衛文麿総理の未亡人ですね、たしか千代子様とおっしゃったと思うんですが、私は昭和二十八年からお目にかかっておりまして、実は大変尊敬し、かつまた、御無礼をいたしたことがあります。私の長男を抱いていただきまして、たまたまおむつをかえた後だったもんだから、着物のここへおしっこを漏らしたんですよ。それで、戦争中の総理夫人に、いやあって家内も私も大変恐縮をいたしましたが、ああ心配ない、心配ないと言うんで、そういう実は思い出がありましたので。
 そのときの会話の中にしばしば、実はシベリアに抑留された近衛文隆陸軍中尉のことがしょっちゅう出ました、もうすぐ帰ってくる、もうすぐ帰ってくると。ところが残念ながら、昭和三十三年の十月一日に、以前にお亡くなりになって、正子夫人が、実は遺骨を引き取るためにソビエトに行かれたわけであります。先般あなたが総理になられたとき、エリツィンさんが来て、当時の身分証明書を持ってこられましたね。総理になったから持ってきたわけですよ。もし、あなたが総理じゃなかったら、絶対持ってこない。本当に返す気があれば、未亡人が行かれたときにお返しになっておれば感激はもっと大きかったと、私はそう思います。
 実は、これは大内厚生大臣にもお尋ねするわけでありますが、シベリアに抑留された方が総数がなかなかつかみにくいんですね。非常にわかりにくい。実は、亡くなった方は五万五千と言っているんだけれども、実際はもっと多いんじゃないのかと言われてもおります。これはなかなか日本で確認の方法ございませんし、向こうの言う言葉をうのみにするより私は仕方がないと思っておるんですが、日本の兵隊が中国大陸に、一番多いときは何百万か行かれたんだろうと思うんですが、私は、これはまだ戦後、二十八年からずうっと、当時の中国派遣軍総司令官の岡村寧次大将から直接お話を聞いた。蒋介石には大変恩がある、中国大陸から無事に引き揚げができたのは蒋介石総統の恩情あふるる措置だということは、私はこの耳でじかに元大将からお伺いした。
 これは、中国にはさんざん迷惑かけてます。今総理が言われるように、多大な苦しみを与えたということは事実であります。しかし、ソビエトには多大の苦しみは与えていない。にもかかわらず、あれだけ大勢連れていって、結局食うものも食わせないで使って亡くなった人が五万五千。この中に総理、近衛文隆中尉も入っているわけですね。
 私は、もう失礼だけれども、元総理のせがれさんをソビエトは返すつもりなんか全くなかったと思っていますよ、それは残念だとは言ったでしょうけれども。私は、そういう意味では、大勢の人が理由もないのに抑留された。その謝罪を、つい最近したやにも思うし、しないようにも思うんですが、そういう国が、実は今仮想敵国ということで日本は自衛隊を増強してきました。ソビエトの潜水艦はすごい原子力潜水艦、日本の潜水艦は話にならない、あれはディーゼルだから。用意ドンで走ればすうっと置いていかれちゃう。
 その原子力潜水艦を、もう年期が来たから壊しているわけですね。その壊す金を日本が出さなけりゃ、その辺へいろいろな廃棄物を捨ててしまうぞと言って今やられているわけだ。考えてみたら、防衛力は日本でつくらなきゃいかぬし、向こうが勝手にやったものの処理費まで日本が負担しなければ、その辺へ、日本海へ捨ててしまう。空から弾丸で攻めてきて日本が敗れるのかと思ったら、何のことはない、水の中からやられる可能性があるわけだ。
 こういうことで、非常に時代とともにいろいろと変わってきますから、防衛大綱をいろいろな意味で見直すということも総理は言われたんだと思いますが、ぜひひとつ厚生大臣、できるだけ後世に正しく残るように、できる限りのひとつ調査をしていただいて、やはり正確な記録として残していただきたい。これは、シベリアから帰ってきた人は本当に怒っている。ひどいやつらだった、帰ってこれただけでも運がよかったと、こういう話をしておりますので、ぜひひとつ部下を統率していただいて……。この問題はお願いだけであります。
 次に質問でありますが、実は中国から御婦人が一時帰国されておる。ところが、一時帰国で来たんだけれども、実際はもう帰りたくない、厚生大臣ひとつ永住お願いします、こういうことであります。私もテレビを見たんですが、こういう答えでした。日本へ来たら、毎日おふろに入れておいしいもの食べられて、こんなに幸せなことはないと。向こうには帰りたくないということを、私はテレビで見た。私は、ゆうべ地元へ帰りまして五百人の人に、私はこのテレビを見て涙が出た、じゃ、あなた方は毎日おふろへ入って毎日おいしいもの食って幸せだと思うけれども、幸せだと思っている人、手を挙げてくださいと言ったら、だれも挙げなかった。だれも挙げないですよ、今の日本人は、その程度では。
 同じ日本人で、同じパスポートを持って、まあ戦争中はみずから中国に行かれた人でしょうから、帰ってくるのも自分で帰ってきなさいというのはわかるけれども、今まで身元引受人、面倒くさかったのですね。本来日本人のパスポートには、この人は日本人だ、諸国はよろしく便宜を図ってくれと書いてあるんですよ、あのパスポートには。そうやって持たせたパスポートを持っている人が日本へ帰ってくるときに、身元引受人がない。今度は厚生大臣の英断によって非常に簡便になりました。非常にいいことだけれども、何か厚生省の役人のインタビューを見ていると、中国政府にやはり気兼ねしているせいか、これで一時帰国がとまると困るから、非常に話の内容がはっきりしないんですが、ぜひひとつこの問題は、日本国として責任があるんですから、もし引受人がいなければ日本政府が引受人になって当たり前だ、私はこう思っているんだ。これは自民党政権のときもやっていないから、余り大きなことは言えませんが、ぜひひとつこのことは心にとめてお願いをしたいので、このことについて、ひとつ総理と厚生大臣とお答えいただきたいと思います。
#168
○大内国務大臣 今笹川委員御指摘のように、残留婦人の皆様は、まさに歴史的な最大の犠牲者だと思っております。
 したがいまして、先般十二名の方が来られたときに、私は厚生省の人々に、最大の親切をもってこの人に対応するように、それから、今までのような、例えば身元引受人にしましても本籍地主義とかそういうことに拘泥しないで、そして最終的には国が全責任を負う、このくらいの決意で身元引受人等のあっせんについても積極的にやってもらいたいということをお話を申し上げまして、御案内のとおり、十二名についてはみんな引受人が決まりまして、そしてもうじき全員がその居住地で生活する、こういう状況になってきているわけでございまして、私はやはり、この問題については先生御指摘のように、最終的には国が全責任を負う、そのくらいの決意でこれからも当たってまいりたいと思っております。
#169
○細川内閣総理大臣 今厚生大臣からお話し申しましたように、受け入れ施策の推進なりあるいは帰国、定着の促進ということに、今後とも国としてしっかり対応してまいりたいと思っております。
#170
○笹川委員 ぜひひとつこのことは、もう先行き短い人たちですから、やはり僕は、家族がいて、御主人がいても子供がいても、やっぱりふるさと日本がいいのかな、こう思いました。それぐらいやはり故国へ帰りたいという気持ちが強かったということに我々はどれだけ今までこたえられたのかなと思うと、全く申しわけない気持ちでいっぱいでありますが、残念ながらただいま野党になりましたから、与党の皆さんにお願いするより仕方がない。どうぞひとつ、総理も厚生大臣も部下を督促していただいて、これは時間との戦いですから、ゆっくりやればいいというものじゃないんだ。政治改革の方はまだ、きょうあした国民は死なないけれども、これの方は死んじゃうから、ひとつよろしくお願いをしたいと思います。
 さて、法務省刑事局長にお尋ねをしますが、今、ゼネコンのいろいろ汚職があります。それで先般、名前を言っちゃ本当はいけないのですが、大成建設の架空工事発注で裏金一億四千万詐取した、こういうことで実は何人か逮捕されております。これは架空取引を利用したのだから、横領になるのか、特別背任、背任、脱税、いろいろあると思うのですが、一般論で結構ですから、このことは今私の言ったどれとどれがひっかかる可能性があるか。可能性があるかということをちょっとお答えいただきたい。
#171
○濱政府委員 お答えいたします。
 今、委員いろいろ罪名を挙げられたわけでございますけれども、まさに仰せのとおり、事実関係いかんによりまして、刑法上の横領罪、業務上横領罪あるいは背任罪、商法上の特別背任罪等々、犯罪の成立する可能性はいろいろあるわけでございます。
 したがいまして、つづめて申し上げますと、要するに会社の役職員が裏金を捻出する行為がどういう犯罪を構成するかということを一般的に考えてみますると、それは実行行為者の地位、権限がどうか、あるいはその犯意がどうであったか、あるいは生じた結果がどうか、行為の態様等がどうかということによって違ってくるわけで、この点を証拠によって確定した上でなければ、どういう犯罪が成立するかということはお答えしにくいわけでございます。ただ裏金を捻出するという行為だけから、直ちに何らかの刑罰法令に抵触するというふうに判断し得る事例は少ないかと思うわけでございます。
 ただ、御指摘のような行為が何らかの犯罪を構成するか否かということにつきましても、これは先ほど申しましたように、そのような点を捜査機関が個別に検討することになろうと思うわけでございます。
 それから、つけ加えて申し上げると、先ほど委員が御指摘になられました横浜地方検察庁で捜査中の事件、これは詐欺の事実で逮捕したというふうに聞いておるわけでございます。
#172
○笹川委員 これは、裏金をつくるという趣旨で全くの架空の工事をでっち上げて、建設大臣、ペーパーだけですね。もう一つは、ゼネコンが裏金をつくっているのは、工事はある、事実上の工事はあるんだがそれにオンさせて、上乗せして払って、もう一遍戻ってくる方法。もう一つ、一番簡便なのは、仮払いをしておいて使っちゃって、後でそれは使途不明金ということで課税をしていただいて、それで済ませちゃうという方法があるわけです。
 刑事局長、今言いました、仕事はあったんだけれども、実際に上乗せして、戻して、金を使った。この金は全部何々に使ったということを使った人が言えば、それは検察庁もしようがないなということになるだろうけれども、全容を解明できないときには、その裏金を預かっていた責任者は、個人で使って横領したんじゃないかと言われたときにどうなるんですか。
#173
○濱政府委員 端的にお答え申し上げますれば、結局、証拠によって事実を認定するわけでございます。したがいまして、例えば業務上横領罪の嫌疑が周囲からかけられているということでありましても、業務上横領罪の犯罪構成要件に当たる事実が証拠によって認定されなければ、業務上横領罪は成立しないということになるわけでございます。
#174
○笹川委員 刑事局長、その立証責任は検察庁にあるんですか、本人にあるんですか。
#175
○濱政府委員 もちろん、我が国の刑事訴訟法上は、検察官が犯罪の構成要件に当たるという事実を立証するということになっているわけでございます。
#176
○笹川委員 どうもありがとうございました。
 今、私、これを何で聞いたかというと、新聞読んでいると、実は大成建設ほかそうですが、皆幹部の人が贈収賄で、建設大臣、捕まっているわけですね。それなのに、自分たちが捕まっているのに、今度自分たちの下の人を、自分の会社の金を使ってごまかしたと訴えているのですな。考えてみると、大泥棒が小泥棒を訴えているわけですよ。そうなんだよ。社長も副社長も引っ張られているでしょう、贈賄で。それなのに、今度は下のやつを訴えたんだ。これは被害届を出したから実は捜査されているわけですね。何かたくさんとったやつが少なくとったやつを訴えている。
 どうもこういうことやってたんじゃ、とてもじゃないけれどももう困るということと、実はこのことが、総理、景気回復には何が一番いいかということを考えたときに、減税がいいという方法と公共投資がいいということで、自民党内閣のときには、減税してもなかなか貯金しちゃって使ってくれぬかもわからぬから、ひとつ公共投資をすれば将来日本のために、国民にみんな恩恵がいく、同時に、公共投資を使えば必ずそれが垂れてまた地方へ恩恵がいくということで実はやったのですよ、公共投資を。
 ところが、公共投資してみたら、ゼネコンがぼこぼこ逮捕されていると、仕事の面の停滞もあるでしょうが、景気回復のために公共投資したのが、むだになるどころか、建設関係が景気回復の足を今引っ張っているのですよ、はっきり言って。足を引っ張っている、その認識はありますか、どうですか。
#177
○五十嵐国務大臣 景気回復の足を引っ張っているのではないかということは、つまり、先般来のさまざまなスキャンダルで次々に逮捕者が出るというようなことで、殊に大手ゼネコン等の受注している工事等についてそれぞれ契約なり着工が思うようにいかぬということ等から、全体として公共事業が順調に進んでいないのではないか、こういう点が景気の足を引っ張っていないか、こういうことではないかというふうに思うのでありますが、全体として今公共事業の契約率、執行率等を見ますと、当初からとにかく前倒しで全力を挙げてやっていこうということで、殊に上半期で、例えば建設省の所管の公共事業については七七・五%、九月末まででやっちゃおうということでやっておりまして、八月末で七〇%であります。恐らく九月末では目標の七七・五%を上回ることができるだろう、まずそういう確信を持っているところであります。
 ただ内容的に見ると、御指摘のように、大手ゼネコンのそれでは状況はどうかということになりますと、大手五十社の公共工事の九月の受注額は、対前年同月比で二一・四%減ということになっております。四月から九月までの累計では一九・九%の減ということになっていて、これは一つには、去年大型の工事がかなり出ているものですから、それが去年は大体三七%ぐらい、前々年から見て前年がふえているものですから、そのことを考えれば、そう前々年から見て下がったということにはならないということにはなりますものの、確かに影響は出ているかと思うのです。
 ただ一方では、中堅のところで見ますと、統計では四百七十五社について中堅どころの同じような契約率なんか見ているのですが、これはおかげさまで前年から見るとかなりふえていて、ややその健闘が大手のダウンをカバーしている面もあるのではないか。
 全体としては、前年から見ると伸びていて、トータルで申しまして、先ほど申し上げましたように、実は目標どおり今のところ進んでいる、こういうことであります。
#178
○笹川委員 悪いときには悪いことが重なるものですが、建設の公共投資ということで私たちも随分一生懸命予算組んでやってみたが、こういうのがどんどん出ると国民の不信感は増幅されるわけですね。何か政府だとか国会議員は公共投資すれば景気がよくなると言ったけれども、景気がよくなるんじゃなくして汚職が出ただけの話だ。国民の不信感が、総理、ずっと上がってきたと思うのですね。これは一日も早く、やはり終局というのはなかなか難しいかもわからぬけれども、とにかく何か考えないと、もうあっちもこっちもじゃないかということになりますと、我々も選挙区へ帰りまして、まあいろいろあるのですね。だから、ぜひひとつ、公共投資というものはよほど公正、公明にやってもらわないと、これから先、公共投資なんて政府、政治家が考えたときに、それはおかしいぞ、おまえたちが金もらうためにどんどんやるんじゃないかと言われたときに、説明するのが僕は非常に困難だと思うのですね。
 ですから、どうかひとつ、こういうことが政治不信につながっているのですよ。これを解決しないと、政治改革四法案だけでは、総理、難しいと思うのですよ、はっきり言って。国民は、選挙制度、小さくする大きくするということよりも、なるべくなれた人を使いたいということと、もう一つは、やはりこういう汚職、腐敗だけはやめてほしいという、これの方が僕は願いとしては圧倒的だと思うのですね。しかし、やはりこの政治改革四法案も通さないと、これはもうみんな公約違反ですから。
 そういう意味で、ぜひひとつ、野党といっても自民党、共産党さんの場合にはちょっと妥協は非常に難しいだろうと思いますが、自民党の場合は、私はこれは必ず可能になる。何か困難なことがあったときに、何にもやらないで寝っ転がっているか、もう死ぬか生きるかわからぬけれどもやってみるか、この二つしか、総理、ないと思うのですね。
 例えば、戦争中、あの大型の軍艦大和が沈むなんて、だれも思っていなかった。不沈戦艦。ところが、あえなく沖縄出撃で沈没しました。船が沈没するときに、沈む方の側に飛びおりた方が助かるのか、高さは高いけれども反対側から飛びおりた方が助かるのかと聞きましたら、低い方から飛び込むと巻き込まれちゃうのだそうですね。残念だけれども、高いところは怖いけれども、飛びおりればそちらの方が生き残る可能性がこっちよりあるんですって。だから、総理、どちらをとりますか。最後に。
#179
○細川内閣総理大臣 それはもう、ちゅうちょなく高い方から飛ばせていただきます。
#180
○笹川委員 いろいろ質問させていただきました。まだ時間が多少残っているわけでありますが、最後の総理のそのお答えで、高い方からちゅうちょなく飛び込む、私もそうしたい、こう思っています。しかし、いずれにしても、これはもう痛みが伴う話ですから、一人一人聞くと、総論では賛成、各論では反対、選挙区へ帰ればもう一歩も動きたくない、これが政治家の心理であろうと思うのです。
 さて、建設大臣、最後になりましたが、この前何か新聞で、これだけとかく世間を騒がせて、ただゼネコンだけが悪いという話にはいかぬから、建設省部内もひとつ処分したらどうかの話も出たんですか、全然出ないのか。
#181
○五十嵐国務大臣 本当にこの間来の相次ぐゼネコン汚職等については、公共事業に対する信頼ということだけでなくて、国民全体の信頼を非常に低下させているものであって、まことに遺憾に存ずる次第であります。全力を挙げて今その回復のために努力をしているところであって、政治改革と一体の問題として年内に解決の方向も具体的に示したい、こういうぐあいに思っているところであります。
 そういう中で、やはり大事なのは、監督官庁である私ども建設省としてもしっかりまず襟を正して対応する必要がある、こういうぐあいに考えているわけで、その襟を正すということは、心だけの問題でなくて、この際やはり一つの形を考えようということで現在検討いたしておることを御報告申し上げたいと思います。
#182
○笹川委員 山花大臣、佐藤大臣に御出席をいただいておりまして、きょうは質問ができなかったのですが、先般もうたっぷりとお尋ねをしましたし、間違って質問すると、もう質問の時間より答弁の時間の方が長くて、タイムオーバーになるのでできなかったので、あしからず。大変、座っているだけでも苦痛だと思いますが。
 どうもありがとうございました。これで質問を終わらせていただきます。
#183
○石井委員長 次に、河村建夫君。
#184
○河村(建)委員 政治改革論議もここまでやってまいりまして、まさに胸突き八丁といいますか、また重要な局面を迎えておる、このように思うわけであります。
 細川総理の、我が内閣はまずこの政治改革を実現するために生まれたようなものだ、これに向けて全力を投球していくんだ、ぜひ年内にやり遂げたい、強い意欲を持って取り組んでおられることにまず敬意を表したい、こういうふうに思うわけであります。
 五年越しの懸案事項だ、こう言われるわけでありますが、私は、五年よりもっとこの政治改革ということは、これは歴史はもうずっと古いものであろうというふうに思うわけでありますし、特に、あのロッキード事件が起きたとき、これも大変な一つの衝撃であったわけでありまして、新自由クラブができました。また、あのときに三木内閣ですか、政治資金規正法の改正も行われたわけであります。また、我々の国会議員手帳にもありますが、倫理綱領等もできたわけであります。しかし結果は、いかに倫理を追求し、まあ評論家によっては、政治家に倫理を求めるのは木によって魚を求めるがごとしと、ここまで言われたわけでありますけれども、結果としてあのリクルート事件が起きて、さらに今続いていろいろな問題が起きている。
 特に、五年前といいますとリクルート事件でありますが、たしかあのとき総理は熊本知事でいらしたはずであります。地方からこれを見ておられたと思うわけであります。私も、当時山口県議会におりまして、これは私は大変なことだ、まさに日本の政治の危機である、これは単に自民党がどうだけの問題ではないんではないかという強い危機感を持ったことも事実であります。
 そこで、当時国会においても、特に自民党においても、皆さんまさに必死になった思いで政治改革大綱というものをおつくりになって、これの実現に向けて第一歩を踏み出した。その中にまさに、今までやってきたことだけではだめだ、単なる、政治資金規正法を一部いじっただけではだめなんだ、この政治の、特に政治と金をめぐるいろんな問題というのは病根は深いんだというところで、一党優位性の問題であるとかあるいは選挙制度まで踏み込んでいくべきだということで、どうしてもやっぱり新しい政治システムをつくっていかない限りこの問題の解決はできないんだという基本認識のもとに今日がある、私はこのように思っておるわけであります。
 総理も、自民党の政治改革大綱というものをお読みになって、これがある意味では進んでいないということも認めながら、基本認識においてはそれは変わっていないんだという考え方をお持ちだと思うわけでありますが、その辺の認識については、今申し上げた点で、基本認識は変わらないということでよろしゅうございましょうか。
    〔委員長退席、三原委員長代理着席〕
#185
○細川内閣総理大臣 基本的な考え方につきましては、並立制という基本的な考え方につきましては、与野党とも大きな枠組みについては変わりがない。これはぜひお互いに汗をかいて、歩み寄れるところは歩み寄るべきである、そして何としても年内に成立を図らなければならない、それが国民の御負託にこたえる道である、そのように確信をしております。
#186
○河村(建)委員 そこで、ここまで論議が進んできたわけでありますけれども、政府・与党案とそして自民党案、こう二つあるわけでありますから、これ、どっちかにしか決まらない、あるいは両方をあわせたもの、この三つの方法しかないことはもうはっきりしておるわけであります。
 そこで、総理にお聞きしたいのでありますが、これまでの論議を通して見て、いわゆる着地点というものは見えてきたというふうにお考えでしょうか。
#187
○細川内閣総理大臣 まだ見えてきておりません。ですから協議会が、窓口ができて、そこで協議事項について本格的にこれから御論議をしていただくということでございますから、ぜひそこで可能な限り歩み寄りをしていただいて、現実的な、具体的な案というものをまとめていただきたいものだ、そのように願っております。
#188
○河村(建)委員 午前中の論議の答弁の中で、与党協議会でお出しになったいわゆる五項目、この修正、これだけにはこだわらないのだという答弁があったわけでありまして、私は、ここまで来た以上、やはり一つの妥結点というものを見出していく、これはもう妥協しかないのだというふうに考えておるわけであります。先般、参考人の前最高裁判所長官の岡原先生ですか、岡原昌男先生の話をお聞きいたしましても、学説には妥協はないが、立法には妥協があるのだという話もあったわけであります。
 そういうことから考えると、私は、この妥協点を見出す、今総理言われた、これに最大の努力をしていかなければいけない、こう思っておるわけでありますが、妥協をする以上は、これは一方だけではできないわけでありまして、自民党側におきましても、いわゆる協議会設置、幹事長を中心に交渉団というものを設けてこれに対応するのだということでありますが、これに向かってはどのような考え方で臨もうとされておるのか、まず自民党側の方の意見をお聞かせいただきたい。
#189
○鹿野議員 もう過般来申し上げましたとおりに、私どももこの政治改革実現をしなければならない、こういう基本的な考え方を持っておるわけでございますので、そういう中でこれから合意形成、合意をどうやって生み出していくかということについてできるだけの努力をしていきたい、こういう考え方であります。
 ただ、私どもの自由民主党が提案をさせていただいている考え方、一貫性を持って、理念を持って提案をさせていただいているということでございますので、この点はぜひ御理解をいただきたい、このような認識を持っておるところであります。
#190
○河村(建)委員 この特別委員会における論議においては、もちろん法案として出す以上我が案こそベストだ、こう思って出す、これは当然のことだと思うわけでありますけれども、総理、先ほどの答弁で高い方から、こうおっしゃったわけでありますが、やっぱり思い切った、これは譲るべきは譲るというものがない限り、私はこの法案の成立というのはできないだろう、こう思っておるわけでありまして、国民サイドから見ても、一体何年同じことをやっておるんだ、こう言われておるわけで、まさにいいかげんにしてくれと言われておる現状をまた踏まえてこれから対応していただきたい、こう思うわけであります。
 そういう点で、私は、これから妥協案もつくっていかなければいけないだろう、こう思うわけでありますが、今出されている法案、若干、私は自民党側から見ながらも、二、三の問題について疑問を抱いた点もありますので、妥協案づくりを考える上で一、二指摘をしていきたいと思っておるわけでありますが、まさに妥協案といいますか、詰めてきた段階で大きな争点というのは大体絞られてきておると思うわけであります。
 一つは、総定数と定数配分の問題がありますし、比例単位をどうするかという問題、あるいは投票方式の問題、それから政治資金の問題、また公費助成の問題、それから戸別訪問の問題、あるいは政党要件、ここらあたりが一つの大きなこれからの詰めていかなければいけない問題点だ、こう言われておるわけであります。
 いわゆる小選挙区比例代表並立制、ここまでおりてきて、ここから始まっておるわけであります。特に与党側におかれましては、社会党、一時は小選挙区を入れることは民主主義の破壊につながるんだとまで言い切っておられた社会党がここまでおりてこられたということは、それなりの大変な努力といいますか、党内でのいろいろな論議の上でここまでおりてこられた、私はそういう意味では、これからの新しい政治の仕組みをつくっていくという上で、社会党の決断というものは立派なものであるというふうに思うわけでありますけれども、ここまで来た以上は、これは与党内でこれまでいろいろお詰めになって、今日、二百五十、二百五十の法案をお出しになっておることはわかるわけでありますが、まさに与野党協議というのはここから始まるわけでありますから、ここから始まるわけでありますから、まさにこれから本当の協議をしていただかなければならぬと思うわけであります。
 そこで、ちょっと子細にわたって恐縮なんでありますが、与党側は三人の、いわゆる折衝団といいますか、おつくりになったわけでありますが、この中に野党第一党であります社会党は……(発言する者あり)与党第一党であります。大変失礼しました。第一党であります社会党がこの中に、与党内、お入りになっておらないわけでありますが、これについては何かお考えがあってのことでありますか、お聞きしたいわけであります。
#191
○山花国務大臣 与党の相談の結果、一日の日に相談が大体まとまって、御指摘のとおりになったと私も承知をしております。
 私の立場は、政府・与党の代表者会議で社会党を含む与党の皆さんから説明を伺ったということを含め、党の関係でお話は伺っていますけれども、その最終的な決断は代表者会議が行ったものですから、そのことについて私が理由をお話しする立場にはございません。
 ただ、代表者会議でよく相談してお三方決めたわけでありますから、まさに交渉担当者として全体の合意実現のために努力が連日続けられているところと承知をしております。
#192
○河村(建)委員 すなわち、社会党としては、いろいろあろうがあの代表団に全権一任しているんだ、こういう認識でよろしゅうございますか。
#193
○山花国務大臣 これまた党の立場ではお答えできませんが、ただ、こうした場合には、連立与党の代表者が合意をしたわけですから、その合意の範囲内において交渉が任されているということだと思います。全権委任とか白紙一任とか、いろいう言葉は使われますけれども、今回も、この五つの交渉のテーマということなどはそこでの合意があると思いますから、そういう言葉をどう使うかということではなく、全体の合意に基づいて交渉に当たられる、こういうことだと思っております。
#194
○河村(建)委員 総理は、今回の新しい政治システムをつくっていくことによって、いわゆる強いリーダーシップが発揮できる政府をやはりつくらなきゃいけないんだということをいろいろなところでおっしゃっておるわけであります。
 「権不十年」ですか、ベストセラーだそうでありますが、熊本知事を体験した、地方から見て、そして新党を結成されてお書きになったわけでありますが、この中にもドゴールの第五共和制のこともお引きになって、やはりこれからは強いリーダーシップが要るんだ、特に日本の湾岸戦争の対応あるいは日米構造協議の対応等々を見ておると、今の日本の政治の仕組みでは、これはトップがかわっただけでは何ら変えられないんではないかということが書いてあるわけでありますが、現在まさにトップにおつきになってみて、その考えは変わりませんですか。
#195
○細川内閣総理大臣 どのような国でありましても、またどのような政治制度でありましても、やはりリーダーシップが本当に振るえるような体制でないと内外の期待にこたえていくことはできないと思いますし、そういう環境というものをいかにしてつくるかということがまさに今我が国でも問題になっているところであろうと思っております。
 この議院内閣制のもとで、どのような選挙の仕組みであれば一番そのような期待にこたえられるのか、あるいはまたその他の政治制度の仕組みというものをどのように変えていくことが国民の信頼というものをつなぎとめることにつながっていくのか、そういう観点からさまざまな御論議がなされているわけでございまして、ぜひ半歩でも一歩でも、制度でございますからなかなか完璧なものというのは期し得ないのかもしれませんが、しかし、今まで中選挙区のもとで同士打ち的な選挙が行われて、利益誘導的な選挙が行われることによってさまざまな弊害が生まれてきた、政治に対する不信というものが増幅をされてきたというようなことを考えますと、ここで何とかこの新しい選挙制度というものを確立することによって、あるいはその他の政治の仕組みというものを改善することによって、国民の御期待にこたえていくような状況をつくり出していかなければならないであろう、そのように願っているところでございます。
 私も大いに汗をかきたいと思っておりますし、ぜひ与野党の各位におかれましても、新しい協議の場におきまして実りのある御論議をしていただければと願っているところでございます。
#196
○河村(建)委員 総理は、あの「権不十年」の中でも言われておるわけでありますけれども、今の日本の政治システムというものがなかなか的確な政治決定がやりにくい。「限りなく民意の調整に努めなければならないし、その結果、政策を争うよりも徒党を組んで権力を争う派閥政治に堕してしまっている。」これは自民党のことを指摘をされておるのかもわかりませんが、そういうことで、「そういうことを考えると、政治改革の目標は、あえて反論を覚悟で言えば、」ということが書いてありますけれども、「選挙制度など政治システムの変更による「政治権力の強化・集中」ということしかないのではないか。」ということを言っておられるわけであります。
 自民党の政治改革大綱の中にも、いわゆる政権交代ということも視野に入れながら、やっぱり強いリーダーシップの持てる政権、政治を求めていかなきゃいけない、そのためにはやはり小選挙区制というものが中心になって、一部民意を繰り入れるための比例制を加味していこうというのが自民党の考え方に、基本にあったわけであります。
 最終的には、やはりこれまでるる言われてきたように、衆議院においては、いわゆる政権を選択する選挙制度だから、いわゆる単純小選挙区ではっきり民意の集約を得て、過半数を持った強い内閣というものが議院内閣制においてリーダーシップを発揮すべきであろうという観点に立って今日まで来ており、まあ前回はそれを求めて小選挙区制、単純小選挙区制というものであったわけでありますけれども、今日はあらゆることを勘案しながら、政治改革大綱の本旨に戻って小選挙区比例代表並立制、そしていわゆる小選挙区制に力点を置いたものを考えていくということで今日法案を提出し、それはまさに衆議院の代議制であり、目に見える、顔の見える選挙だ。県単位で比例も選んでいかなきゃいけないだろうという観点、また当然強いリーダーシップを求める上においても、いわゆる一票制において、一票、政党を選ぶ、即政策を選ぶ、一致させるべきだという観点から、いわゆる筋の通った理念のある案として今日まで出されておるわけであります。
 私は、どうしてもフィフティー・フィフティーのあり方というものを、物は言い方はいろいろあると思いますけれども、総理の言われる強いリーダーシップの持てる政権ということであれば、帰趨するところは、やはり小選挙区制に力点を置いた選挙制度というものはこれからの方向ではないか、これは総理の腹の底を見るわけにいきません、割るわけにいきませんからあれでありますが、私はそのように感じておるわけでありますが、その辺については総理はいかがでございますか。
#197
○細川内閣総理大臣 先ほど、どなたかのお尋ねに対しまして、今回のカナダの選挙のことなども例に引いて、余り振れが大き過ぎるということは政治の安定ということに対してもいかがなものであろうかということをちょっと申しましたが、おっしゃるように、民意の集約ということも政権の選択あるいはそれにつながるリーダーシップということも非常に大きな眼目だと思いますが、民意の反映ということもまた同時に非常に大きな目標で、目的でなければなるまいというふうに私は思っているところでございまして、今回政府案として出させていただいておりますものは、まさにその両方の側面をあわせ持ったものである。今までの長い間の御論議を踏まえて、この辺が妥当な落ちつきどころではないかというところで出させていただいているわけでございまして、ぜひひとつその点について御理解をいただきたい、こう思っているところでございます。
#198
○河村(建)委員 この論議はこれまでもずうっと続けられてきて、総理は一貫してそうおっしゃっておるわけでありますが、いわゆる自民党案というものがあり、また与党案というものがある以上、落ちつき場所はほかに求めていかなければならないのではないか、私はこのように思っておるわけであります。
 そしてもう一つ、もう一、二点、私は今までの論議の中でどうしても胸に落ちないことでありますけれども、特に総理が地方の知事、熊本県の知事を経験されて、これからは地方の時代だ、地方の時代をつくっていかなけりゃいけないということを声高に喝破されて今日あるわけでありますし、また国民もそれを大変期待をしておるわけでありますが、そういう観点から見たとき、今回の政府・与党案というものはその配慮に非常に欠けている面が残念ながらある、これを指摘せざるを得ないわけでありまして、同じく「権不十年」の中でも、総理は、このまま定数是正を単純にやってしまったら、まさに国会は南関東国会になるんだという懸念を表明されております。これについては、小選挙区については基数一を置いてから、置いてやるということで一部の救済ということも考えられておるわけでありますが、これにいわゆる五分五分の比例制を持ってきた場合に、ほとんどの都道府県、特に地方の県は、これは国会議員、衆議院議員の定数がほとんど半数になる。熊本も九人が、小選挙区は四人になればあとは比例でありますから、当面は熊本出身の国会議員ということで比例にお回りになってもそれで一応顔は見えるかもしれませんけれども、しかし、これやっていくうちにそういうことがなくなってくれば、完全に地方の衆議院議員は半数になっていくということがこれは目に見えているわけでありまして、この点はこれからの公聴会等でも私は大いに問題になる点であろうと思いますが、こういう配慮から考えてみても、やはり顔の見える比例制、都道府県単位ということを自民党が提案をしているということは私は理にかなったものであるというふうに思うわけでありますし、この点について総理はどのようにお考えであろうかと思うわけであります。
#199
○細川内閣総理大臣 今お話があったこともそれなりにわからないわけではございませんが、地方の代表をどれだけ選び出すかということと、地方分権と申しますか、地方の活性化の問題とはそのまま短絡的につながるものでは必ずしもないのではないかというふうに私は認識をしておりまして、全国一本の比例制度で仮に選ばれるということになりました場合でも、地方の問題がそれによって、それぞれの地域から代表が選ばれていないから地方の問題に日が当たらないかというと、必ずしも私はそういうことにはならないのではないかというふうに理解をいたしております。その問題は別の次元の問題として考えていかなければならないのではないかというのが私の基本的な認識でございます。
#200
○河村(建)委員 それからもう一点、地方への配慮という観点から考えた場合に、いわゆる政治資金の問題、あわせて公的助成の問題であります。
 これまでも政治資金規正法の改正の問題についてはいろいろな角度から論議されてまいりましたし、先ほどの伊吹先生ほか皆さんもいろいろな角度から御指摘なさって、いわゆる企業献金をすべて悪と見るようなこの形というものは、今日の民主主義社会においてこの考え方を突き進めていくことが果たして妥当なのかどうか大いに疑問がある、疑問点が指摘されておるわけであります。
 私も率直に言って、いわゆる政治資金というもの、政治と金をめぐる問題が今回の一番大きな論点になっていることは事実でありまして、地方から見ていると、この問題だけやればそれで済むのじゃないか、厳しい腐敗防止法だけやれば済むのではないかという意見もあるぐらいこの問題に関心が集まっておるわけでありますが、だからといって、保岡先生御指摘ありましたように、すべてに驚いて何もかも閉じてしまったらそれでいいのだということには私はならないのではないか。いわゆる公開性、透明性というものが確保されれば、私は、それで企業の社会的責任からいっても当然政治への参画ということはあり得るのだ、こう思っておるわけでありまして、まあ中央の政治家はそれでも国から党を通じてでも金が入ればまだしも、地方の政治家は一体どうしてくれるのだというのが一つの大きな声になっておることは承知しておられると思うわけであります。
 現時点、地方議会の現状は、今、統一地方選挙等行われておりますけれども、県議会まであるいは政令都市ぐらいまではまだしも、地方の市議会あるいは町議会、村議会になりますと、立候補者が定数に足らないところがどんどん出てきている。定数をさらに削減をしてやっと無投票という現実があるわけであります。
 このような状況から考えると、やはり政治への参画ということから考えますと、今政府・与党が出しておられます政治資金の問題、これは企業献金を認めないという観点からいきますと、地方の政治家まで個人献金ということは非常に難しいわけでありまして、最低一月一万円とか五千円とか、あるいは千円とか、そういうような形で地方の議員も支えられている点が非常に多いわけでありますし、あわせて公的助成を考えても、無所属議員については全くこれは考えられないという点から、非常に不満が強いわけでありますけれども、この点については総理はどのようにお考えてありますか。
    〔三原委員長代理退席、委員長着席〕
#201
○佐藤国務大臣 今度の政府案では、御承知のように、個人献金によりまして資金管理団体をつくってもらいたい、こういうことに、現実に自治体議員の方々の場合にはなるわけでございます。それで、今河村議員自身も言われましたように、五千円、一万円、そのくらいの規模なら、企業の企業献金という形をとらなくても、その社長さんなりなんなりがかわってくれるんじゃないでしょうか。確かに日本の社会は今まで企業からそういうものは出しやすいということになっていた。それは、個人の企業に毛が生えた程度の有限会社とか、あるいは、株式会社が三百万社あるわけですから、そういう意味で会社の経理の方が出しやすかったということは事実だと私は思うのであります。
 しかし、私たちは今、国の政治におきましても政治改革、意識改革をして、結局腐敗の温床になった企業・団体献金というものは政党に限ろうと、国の政治もそのように変えようとしておるわけでございまして、これは単に、国の政治というのは地方の政治と全く分離しているものではないと思うのであります。私もあるいは河村委員もお互いにやはり地方議員の方々にいろいろな格好で支えられておるわけでございまして、その政治風土というのは国も地方も一体なのではないでしょうか。そういった意味では、これだけの腐敗を呼び、不信を呼んでしまった日本の政治をもう一回よみがえらせるためには、地域も私は意識改革をしてもらわなければいけないのではないかと思うわけでございます。その意味で、地方議員の方々がいろいろな御要望を持たれておりますこと、これは今まさに問われております政治の土壌、政治の改革、意識の改革のためには、大変乱はむしろプラスになっておるのではないかと思うのであります。
 重ねて申し上げますが、今河村委員が言われました一万円、五千円、これは、ひとつぜひ個人献金に変えていただく。もしそれでも嫌だという企業というのは、何か後ろに、背後に利権というものを潜めておるのではないだろうか、私はこう思っておるわけでございまして、この際、我々を支えております地方の政治そのものもひとつここで意識改革が必要である、ぜひこの点について御理解をいただきたいと存ずるわけでございます。
#202
○河村(建)委員 お話を聞いていますと、そのように意識改革が全部できれば、それはそれで一つの方法だと思いますが、現実に、地方に、議会に籍を置く者として、そんなに、言われるように簡単にわかったといって集められるかどうかとなると、私は非常に、机上はそれで通るかもわかりませんが、現実は非常に問題があるし、また、いろんな問題を起こしたのは企業だからすべて企業はもう悪なんだという考え方が、私はどうしてもそこにあるのではないか、こう思われるわけであります。
 やはり企業も社会的責任を果たしていっているわけでありますから、最近は特に企業の社会的責任を果たせということも言われておるわけでありますから、これをそういうような見方でするということ、企業もやりますし、もちろん社長さんは個人でおやりになるなら当然おやりになればいいし、また政党に対してもおやりになるわけでありましょうから、それはそれとして、皆そういう道があって当然ではないか、私はそのように思うわけでありまして、この考え方をそのまま押しつけるということには、どうしても私はまだ無理があるというふうに考えるわけであります。
 総理にちょっとお聞きしたいのでありますが、昔からいわゆる井戸塀政治家と言われる話がよくあるわけでありますが、これについては総理はどういうお考えをお持ちでありますか。
#203
○細川内閣総理大臣 まあその精神やよしというところではないかと思いますが、その気概やよしということなんだろうと思いますが、実際に政治に金がかかるということも事実でございましょうし、また民主主義というものを維持していくためのコストというものがどういう形で賄われるべきか、そのことについてもまさに今度の法案の中でその問題の提起をいたしているところでございまして、そのようなことについて十分この国会で御論議をいただいて、そして成案が得られればと願っているところでございます。
 直接的なお答えにならないで恐縮でございますが、まあ井戸塀政治家になるということもこれは余り好ましいことではない、やはり民主主義の最低のコストというものは、その気概やよしといたしますけれども、政治家はそのくらいにみずからの矜持を正してやらなければならないとは思いますが、しかし、それはやはり国民がその民主主義の最低のコストというものは担っていくという、そういう意識を持っていただくことも大変大事なことではないかと考えているところでございます。
#204
○河村(建)委員 ありがとうございました。総理言われるとおりだと私も思うのでありますけれども、この今与党案でおやりになろうという精神というのは、一歩間違えますと、特に地方においては、これは地方のいわゆるお金持ちであるとか資産家であるとか、そういう者でないともう政治はできないのかという意識を呼び起こす懸念がそこにあるのではないか、私は、これから民主主義の成熟を求める上で、逆行する風土をここにつくっていくのではないかという懸念を抱いておるわけでありまして、この点を指摘をしておきたいと思うわけでありまして、修正について、自民党案についてお考えをいただきたい、このように思うわけであります。
 次に、総理にお聞きしたいのでありますが、行革審の答申が出てきたわけであります。地方分権あるいは規制緩和等々の問題も含めて出てきたわけでありますが、この行革審の答申、きょうも新聞の投書欄なんかを見ましても、どうも官僚の作文ではないかという話が出ておるようなわけでありますが、この行革審の答申について、どのような評価をされておりますですか。
#205
○細川内閣総理大臣 官僚の厚い壁の中で、委員の方々もまだ何かのどに骨がひっかかっているようだと、この間そういった趣旨のことを鈴木行革審会長も打ち上げのパーティーのときにおっしゃっておられましたが、恐らくそういうお気持ちであったろうと拝察をいたしております。
 しかし、私は、そのときにも申し上げたのですが、各省庁がさまざまに、それぞれにまた理由のある問題について、それはこういう根拠があるから一概に、例えば規制なら規制の問題について、それを撤廃をするということは難しい、その根拠もわからないことはないのでありまして、そうした一つ一つの問題について、三年余りかけて、大変苦労をなすって、可能な限りのものを出していただいた、お取りまとめをいただいたというふうに私は思っておりますし、それを最大限尊重してまいらなければなるまいというふうに思っております。
 ですから、今後、推進体制をどのような形にしていくかということにつきましては、これから検討しなければならないと思っておりますが、いずれにしても、その答申の推進に当たって実効が上がるように最善を尽くしてまいりたいというふうに思っているところでございます。
#206
○河村(建)委員 今回政治改革を進める上で、私は、地方、地元で言われるのは、今回の、特に選挙制度等を変えることによって一体地方はどういうふうに変わっていくのかという質問がよく出るわけであります。
 いわゆる予算時期になりますと、まあ細川総理も経験をお持ちかと思いますけれども、大蔵省の廊下、満員になるわけであります。このような陳情政治が行われておるわけでありますが、このようなものが、いわゆる政治改革を進めることによって変わっていくのだという視点がないと、国民はなかなか今回のこの政治改革の論議が見えてこない、このように指摘をされておるわけでありますが、総理はこの点についてどのようにお考えてありますか。
#207
○細川内閣総理大臣 地方分権の問題につきましても、今度の答申の中で触れられておりますし、一年程度をめどにしてその手順などについて大綱を策定をして、そして法案の準備にかかっていくということになっているわけでございますから、その考え方に沿って今後、先ほど申し上げました推進体制をどうつくっていくかということとのかかわりの中で考えてまいらなければならないと思っているところでございます。
 これは、今の状況が今度の選挙制度の改革あるいは政治改革法案の改革によって変わるのかという、こういうお尋ねでございますが、変わると思うかということでございますが、これはある意味でかかわりももちろんございましょうが、ちょっと次元の違う話なのではないか。
 やはり地方分権、国と地方のあり方、国と地方の事務配分の問題でありますとか財源の問題でありますとか、そうした問題はやはり別個の問題としてきちんと進めていかなければならない大きなテーマでございますし、またそのことに、この政治改革を初めとする、今進めておりますさまざまな経済改革なりなんなりといったものも、経済改革の中でも規制緩和の問題等々もございますから、さまざまな問題が根っこでつながっているとは思いますが、そうした問題をあわせて進めていくということが、国と地方の基本的なかかわり方というものを考えていく際には、やはり重要なことではないかというのが私の基本的な考え方でございます。
#208
○河村(建)委員 総理のおっしゃることは私もわかるわけでありますけれども、やはり今回の選挙制度を含む抜本的な政治改革をやることによって、まさに政治の復権といいますか、強いリーダーシップを持った内閣というものをつくってこれを推し進めていくということになるんだと、またそれはやらなきゃいけないんだという理念で今回の政治改革に取り組まない以上、私は、国民はそれを支持してくれないのではないか、このように感じておるわけでありまして、この点、最近、政府委員の廃止の問題等々出たわけでありますが、これについても官僚側の強い抵抗に遭ってなかなか前へ進まない、このように言われておりますが、この問題はもちろん国会が進める、院が進める問題ではありますが、一政治家として、また総理という立場に立ってごらんになったときに、今の政府委員の問題、廃止の問題等についてどのように総理はお考えてありますか。
#209
○細川内閣総理大臣 政府委員制度のあり方というのは、むしろ分権の問題というよりも国会のあり方、おっしゃったように国会のあり方にかかわる問題であろうというふうに私は思っておりますし、これもかねがね当委員会でも申し上げてきておりますように、ぜひひとつこの政治改革とともに国会の改革につきましても、それぞれ両院におきまして御論議をいただきたいものだ、このように願っているところでございます。
#210
○河村(建)委員 それからもう一点、最近のいわゆる政治をめぐる状況の中で極めて重大なといいますか、ほっておけない大事な問題があると思うのでありますが、それは国民の政治意識の持ち方だろうと思うのでありますけれども、特に最近の選挙の投票率の低さの問題であります。
 この委員会が始まるときに、自治大臣からもさきの選挙の報告がされておるわけでありますが、七月十八日の選挙、六七・二六%、衆議院選挙、総選挙であります。前回より六・〇五%低くて、これまでの総選挙の中で最低の投票率であったという報告がされておるわけでございますが、まさに今回の選挙は政界再編も問われ、まあテレビまで云々された大きな話題を呼んだ選挙であったわけでありますが、結果は最低の投票率であったという、この事実があるわけでありますが、これについては、総理はどのように認識をされておりますか。
#211
○細川内閣総理大臣 いろいろな理由があろうと思いますが、何といいましてもやはり国民の政治に対する不信ということが一番大きな原因であろうと思いますし、また、政権交代がないということも政治に対する国民の関心を白けさせてきた大きな理由だと思いますし、一票の行使をする意味というもののその位置づけがどうも感じられない、一票の行使の意味というものをそれぞれの国民が感じられない、そういったようなこともございましょうし、そのほかにもいろいろあろうと思いますが、要は、政治が自分たちから遠いものになってしまっている、そこのところに一番基本的な原因があるのではないかというふうに思っております。
#212
○河村(建)委員 最近特に若い層といいますか、若年層の政治に対する意識は非常に薄い。これは、年齢別に投票率を調べてはおられないわけでありますが、新聞社の統計等なんかを見ても、若い人たちが投票に行かない率が非常に高い。
 外国においては、投票というのは国民の義務だ。罰金制度まで設け、あるいは国民のいろんな権利を行使する場合には、投票に行ったかどうか確認の票を持たなければそれができないという国もあるぐらいでありますが、私はもっとこれを高める必要があると思うわけでありますし、いわゆる税金がどのように使われるか、タックスペイヤーにとってはやはりこれは、政治というものはもう切っても切り離せない関係にもあるわけでありますが、この有権者を十八歳まで下げたらどうであろうか、私もそういうふうに考えるわけでありますが、この問題については、私は進めていくべきだというふうに考えておるわけでありますが、これについての見解をお聞かせをいただきたいと思います。
#213
○山花国務大臣 今御指摘の点につきましては、大変大事なテーマだと考え、今回の政治改革の法案をまとめるに当たりましてかなり議論をしたところでもございます。
 御指摘のとおり、全体としての投票率が大変低下し、最近の衆参それぞれの選挙において戦後最低ということの中で、若い二十代の有権者の投票率が目立って低いということが特徴的なものとして出ておりますが、そのことの原因については、今の総理の答弁でほとんど触れられておったのではなかろうかと思っています。
 十八歳まで引き下げるということは、その意味においては若い世代の関心を引きつけるということもあり、かつ諸外国における年齢などを見ても、十八歳というのはかなり多数派でございます。そうしたことで検討は進めてまいりましたけれども、民法、刑法、それぞれの、民法ならば成人の年齢、刑法ならば少年法の関係等々、全体的な法体系とのかかわりがありますので、前向きに検討すべきテーマだと考えますけれども、今回の法案には残念ながら盛り込んでおりませんが、また法務省その他各省庁と十分相談をしながらその実現の当否について検討を続けていきたい、こういうように思っているところでございます。
#214
○河村(建)委員 投票率の低さの問題、非常に大きな問題でありますし、最近、地方へ行きますと、定数是正の問題も絡めて、投票率というものも計数化すべきではないかという強い意見もあるわけでありまして、これはぜひひとつ、一考に値する問題だと思いますので、この点についても御配意をいただきたい、強く要望しておきたいと思います。
 時間がもう参ったようでありますので、最後にもう一度、最初の質問に返りまして、総理の決意をお伺いしたいと思うわけでありますが、ここまで参った以上、与党案あるいは自民党案、いずれもすり合わせをしながら、すべて足して二で割るというわけにいかないまでも、妥協点をどうしても見出していかなければいけない問題、これまでのいろんな論点、また与党側から出た五項目の修正等も含めて、また、自民党側からもいろいろ言われておるわけでありますが、そういうものを含めて見出していただかなきゃならぬと私は思うわけであります。
 政治資金の問題はさっき触れたわけでありますが、せめてこれは町村議員、首長のことを考えますと、やはり与党案は欠陥商品ではないかと、私はそういうふうに感じておるわけでありまして、自民党だって二団体を認めようというわけでありますから、場合によっては一団体だけでもいいではないかという妥協案だってあるかもしれませんし、そういうことも考えられるわけであります。
 また、戸別訪問の問題等にしても、一遍にそこまでいくのはどうなのか、部分自由化を考えてしかるべきではないかという意見も強いわけでありますし、また、比例の区域の問題についても、第八次答申ではブロック制というものも言われたわけであります。これは、社会党も一時、併用制のときにはそういうことも考えられたわけでありますが、そういうことも踏まえて、私は、思い切った妥協点を見出して、今回の、これからの最後の詰めに入っていただきたいと思うわけであります。
 昔、お年寄りが、木に登った人がおりるときその最後の一メーターに一番気をつけなさいよ、こう言っておるわけでありますが、私は、総理はこれは最後までやり抜くのだ、責任をとってまででもやり抜くのだという決意を持っておられるわけでありますが、もう一度改めて、今の妥協点を見出すための、いろんな妥協点があるわけでありますが、それについてどのようにお考えで、これからどういうふうに進んでいかれようとするのか、また、責任をとると言われておるわけでありますが、どのようなとり方があるのだというふうにお考えであるか、あわせてお聞きして、最後の質問にいたしたいと思います。
#215
○細川内閣総理大臣 与野党でぜひ、いい妥協点を見出していただきたい、そのように願っておりますし、また、そこで出てきた成果につきましては、政府としても最大限尊重をさせていただくということでございます。
 責任の問題についてのお話がございましたが、今、全力を尽くして、この問題に私も汗をかくと、きょう再々申し上げておりますとおりでございまして、ぜひそのように与野党におきましても御協力をいただきたいと思っております。
#216
○石井委員長 それでは最後に、正森成二君。
#217
○正森委員 総理は、我が党の志位書記局長の質問に対しまして、小選挙区制が民意の集約が中心で、これだけでは民意を反映しないことを認められました。その上で、比例制を併用することで民意の反映ができる、こういう趣旨の答弁をされております。
 しかし、小選挙区制を導入する限りその欠陥は基本的に是正されないとの志位質問には、十分納得のいく説明がなかったように私は思います。本日の質問では、小選挙区制ではもちろん、また、総理が民意を反映すると称する比例制でも、少数政党、少数意見切り捨てで、民意を反映せず、選挙権の平等という憲法上の要請に対し重大な疑義があることを指摘したいと思います。
 まず伺いますが、本法案では、まず小選挙区において選挙に政党として参加できる要件として、国会議員五名以上、直近の選挙で三%以上の得票を有することを条件にしております。これ自体大変厳しい条件であります。自民党案でさえも、失礼ですが、このほか、三十人以上の候補者名簿を提出すれば政党として小選挙区の選挙に参加することができます。なぜ政府案ではかくも厳しい条件をつけたのですか。
#218
○山花国務大臣 今回の選挙の最大の特徴は、中選挙区における個人本位の選挙から、政権を目指し、そのための政策の実現を目指す政党本位、政策本位の選挙に変えたところでございます。そして、そのためには、継続的に国民の意思というものを国家の意思、国政の場において実現するための媒体としての役割と機能が政党に求められています。その資格というものを、政党活動の自由ということを念頭に置くならば、ある程度客観的な基準が必要である、こうした観点から、御指摘ありましたとおりの要件を定めたところでございまして、合理的な要件である、こう考えて政府案を提出しております。
#219
○正森委員 政党本位の選挙というのは、むしろ細川政権よりも自民党の方が、これまでの議論を聞いておれば強く主張されたところであります。ところが、その自民党案でさえも、小選挙区制に三十人の候補者を立てれば政党として選挙を戦うことができるということになっているのですから、今の山花担当相の答弁は何人をも説得することはできない議論であるというように思います。
 比例制でも、同様に極めて高いハードルになっております。そもそも、比例制採用国で、選挙に参加する入り口でこのような高いハードルを設けている国があるでしょうか。たくさんございますが、ドイツとノルウェーとスイスについて答えてください。
#220
○佐藤国務大臣 ドイツの比例代表選挙における名簿届け出の要件は、一つといたしまして、連邦議会または邦議会において前回の選挙以降継続して五人以上の議員を有する政党、二番目は、邦内の選挙人の千分の一以上の署名を添えて届け出た政党。それからノルウェーにおける名簿届け出要件は、一つ、あらかじめ選挙人三千人以上の署名を添えて党名を登録した政党、二つ目は、選挙区内の選挙人五百人以上の署名を添えて届け出た政党ということでございまして、スイスにおける名簿届け出要件は、選挙区内の選挙人五十人以上の署名を添えて届け出た政党、こういうことになっていることを承知をしております。
#221
○正森委員 委員も皆お聞きになったと思いますが、スイスはもちろん小さな国ですけれども、それでも選挙区内居住の有権者五十人以上の署名があれば政党として選挙に参加できます。ドイツについては、州の有権者の千分の一以上で、ただし二千人を超えない、その数の署名があれば参加することができるわけであります。それに比べますと、我が国の要件が極めて厳しいということはもう論をまたないところであります。
 法案ではまた、比例制について三十人以上候補者を立てれば今度は政党として参加できるとしておりますが、比例区では供託金は一人六百万円で、一億八千万円が必要であります。
 外国でこんなに高い供託金を設けている国がございますか。小選挙区と比例制に分けてお聞きしますが、まず小選挙区制のイギリス、フランス、カナダについて供託金の額をお答えください。
#222
○佐藤国務大臣 供託金の話をしますときには、これは換算率を統一していかないといかぬと思いますので――いや、違うのです。金額を、言うまでもなくポンドとかフランとかあるわけでございますから、換算率を統一して物を言わせていただきたいのでありますけれども、我が方の方は通貨の換算は外国為替取引の報告に関する省令に定める換算率、平成五年下期分ということで国会図書館がつくりました資料に基づいて言わせていただきたいと思うわけでございますけれども、結論的には、イギリスは候補者につき八万九千円、フランスは二万二千円、カナダは一万九千円、オランダは一名簿届け出政党につき百六十万円ということになっております。
 ちなみに、一ポンドは百七十八円、一フランは二十二円、一カナダ・ドルは九十四円、一ギルダーは六十五円、こういうことになっております。
#223
○正森委員 私が手元に持っておりますのは、平成五年度支出官レートを使いましたが、少しだけ誤差がありますが、ほとんど同じであります。それで見ますと、イギリスは約九万円ぐらい、フランスは二万二千円ぐらい、カナダは一万九千円ぐらいということですから、これは日本の三百万円に比べますと十分の一、百分の一という額であります。また、オランダは百六十万円余りでありますが、これはそれだけのお金を出せば政党として全部の比例区の選挙に参加できるということで、我が国の一億八千万円に相当いたしますから、百分の一以下であります。
 そういう点を見ますと、これは、総理が今度国会にお出しになりました案は、立候補自体に莫大な金を必要とさせて、少数政党や新規参入政党を費用の面で事実上排除をする、あるいは排除しかねないということをねらったものだと言わなければなりません。
 それだけではなしに、被選挙権、これは選挙権と同様に国民のだれでも立候補できるという基本的人権であります。その被選挙権、国民の立候補に事実上、財産上の条件を設けるもので、これは普通選挙権の否定につながるのではありませんか。選挙をする投票のときには、かつて選挙権が認められたときのように、直接税十五円以上を納める男子というような要件が今許されないのは当然であります。
 ところが今度は、被選挙権については、これは六百万円の三十人、一億八千万円が要る。これはオランダの百倍以上であるということになれば、これは事実上普通選挙権という趣旨にも大きく反して、憲法上の問題が起こってくるのじゃないですか。
#224
○佐藤国務大臣 正森委員に御説明するまでもなく、供託金というのは法定得票数をとればちゃんと返ってくるお金でございますから、それだけの自信があるところは十分それはそれだけのお金を出していただくということは至当だと思っております。
 特に、選挙の運動量を決めるときには候補者の数によって決めざるを得ないわけでございまして、選挙運動量をたくさんとるためにとにかく候補者をたくさん出そうという、当選を度外視して多数の候補者が出ることを防止をするというのが、これがそもそも供託金を設けているところであります。
 高い、高いと言われますけれども、三百万円自体は非常に、私、個人的に見ても高い金額ではありますけれども、既に参議院の選挙区選挙あるいは衆議院の選挙におきましてもその金額でございますし、参議院の比例の場合には六百万円、こういうことになっているわけでありまして、そもそも昭和二十五年のときには供託金が三万円、それから分担金が二万円で五万円だったわけですね、昭和二十五年が。それから、物価指数を掛け、もう一つぜひ聞いていただきたいのは、昭和四十四年から公営の拡大をやりまして、今、正森委員、執行経費が、国民の皆さんのお金を幾ら使っているか、我々が選挙を行いますと、執行経費が、候補者一人当たり千四百十万円かかっているのであります、千四百十万円。それから、これを議員一人当たりにしますと、二千七百十三万円かかっているわけであります。国民の税金をこれだけかける選挙でございますから、もちろん参議院の費用もございますけれども、これだけ、私たちは過去の経過から申しましても、供託金三百万円というのはそれなりに妥当の金額であると考えております。
#225
○正森委員 今の立論は、まず第一に、我が国で戦後間もなく二万円であったとか、私が選挙に出たときは三十万円でした、それが今三百万ですから十倍になっているのですが、その比較をするというのは我が国の中での比較であって、私が言っているのは他国との比較ですから、その立論の前提において佐藤自治大臣の言うことはまず採用できない。
 その次に、選挙の費用にこんなに莫大な金が要るんだというように公営の点について言われますが、それじゃ国民の立候補権というようなものは、選挙によって金がかかれば幾らでも高くしてもいいのかということになるし、大体、ある政党、ある候補者を事前に泡沫候補であるかどうかというようなことで金で規制していくなんということが、これは普通選挙権の趣旨に反するということは、多くの学者が選挙法の中で認めているところであります。
 ですから、選挙の公営でこんなに金がかかるんだから、だから供託金をたくさん出すのが当たり前だというような議論は、少なくとも、国民の税金で支持しない政党にも何百億円という金を取ろうと、そういう案を出している人がいやしくも言えた義理のない言葉であるというように言わなければならぬと思うのですね。それだったら、自分たちで存分に政党を運営する金を出したらいいじゃないですか。それはやらないで、それの方は国民の税金で出せと言いながら、国民の当然の権利である被選挙権については莫大な金が出せなければそもそも国民の審判を仰ぐことができないというようなことは、これは論外であると言わなければなりません。
 自分たちの一般的な政治活動にそれだけ金を出すというなら、国民の立候補権を尊重する供託金の額を下げるというのが当然のまずやらなければならない論理だというように思いますが、こういう点について自治大臣と論争しておれば私の持ち時間がなくなりますから、次の問題に移りたいと思います。
 今までのところ、主として担当大臣と自治大臣が大いに頑張っておられますが、総理も負けずに立って答弁をしていただきたい。きょうは総理に対する集中審議です。
 私は、こういうような方針というのは、結局少数政党や新規政党に国民の審判を与える機会を失うというようなところで、非常に問題だと思っております。ヨーロッパ諸国で結果要件や投票結果による阻止条項を置いている国でも、選挙の入り口では要件を緩くして政治団体や政党が国民の審判を受ける機会を保障し、民意の赴くところを結果を見る、尊重するという態度をとっているのは皆様御承知のとおりであります。本法案は、頭から既成政党擁護のカルテルであるというように言わなければならないと思います。
 そこで、結果要件と阻止条項の三%について、前回も指摘いたしましたが、観点を変えて伺いたいと思います。
 定数、政府案の二百五十名で、三%に少し満たない二・九%ぐらいをとれば、阻止条項がなければ何名議員を出すことができますか。
#226
○佐野(徹)政府委員 比例の選挙の定数を二百五十人と仮定をいたしました場合には、政府案は二百五十人でございますが、二百五十人で三%掛けますと、百分の三を掛けますと七・五でございます。大体七名ないし八名程度ではなかろうかと思います。
#227
○正森委員 お聞きになったように、二・九%とれば、他党がどういう票をとるかによっても違ってまいりますが、最低七名、恐らく八名当選させることができます。
 それでは、五名の議員、これは比例選挙に参加できる議員の数であります。五名の議員が支持者とともに奮闘して、国民がこれを認めて支持が与えられた、そしてふえて七名に躍進する。二・九%とるということは、七名に躍進し、四割増であります。四割増になれば大抵の委員長や書記長は大勝利のテレビ会見をいたします。
 ところが、そういう国民の審判結果が出たのに法律でこれを認めない、議席を与えない、国民の投票の結果は認めない、今後は政党として認めずに差別する、こういうことであります。これはその政党の政策や思想に共鳴する国民をまさにその支持する信条によって差別することにほかなりません。そんな不合理なことが許されるのですか。総理。
#228
○細川内閣総理大臣 今回の政府案というものは、申し上げるまでもなく、政党本位、政策本位ということの実現を目指して、そういう観点からさまざまな検討を経て取りまとめたものでございますし、その過程におきまして今お話に出ておりますようなこともいろいろ検討して、このようなことになったということでございます。
 政治の安定のために阻止条項を設ける、今阻止条項のお話がいろいろございましたが、阻止条項を設けるというようなこともヨーロッパの各国でもやっているところでございますし、私は、この問題は、おっしゃる趣旨は憲法十四条に反するのではないか、こういうことだろうと思いますが、さまざまな検討の結果それには該当しないという認識を私どもは持っているということで御理解をいただきたいと思っております。
#229
○正森委員 認識は総理の御自由ですが、その認識が、憲法十四条だけでなしに十五条一項の、そもそも国民固有の権利である奪うことのできない選挙権の自由あるいは平等というものを侵害するのではないか、こういうように私が言っているのですが、総理の、きょうだけでなしにこれまでのたび重なる答弁を見ますと、衆議院は政権選択が中心だから小党分立を避けるために許される合理的な制約であるという趣旨のことを、私なりにまとめますと、繰り返し繰り返し答弁されているようであります。
 そこで伺いますが、この見解は恐らく総理のブレーン、場合によったらいろいろな方が考えられたことだと思いますが、最高裁判所の判決があります。昭和五十一年以来繰り返し判決されておりますが、その中で、「憲法上の投票価値の平等の要求と前記の選挙制度の目的とに照らし、右不平等が国会の裁量権の行使として合理性を是認し得る範囲内にとどまるものであるかどうかにつき、検討を加えなければならない」、ここで合理性という言葉が出てまいります。同じ判決はまた、「不平等が生じ、それが国会において通常考慮し得る諸般の要素をしんしゃくしてもなお、一般に合理性を有するものとは考えられない程度に達しているときは、右のような不平等は、もはや国会の合理的裁量の限界を超えているものと推定され、これを正当化すべき特別の理由が示されない限り、憲法違反と判断されざるを得ないものというべきである。」こういうように言っております。総理がたびたび合理的な制約というように言われたのは、この最高裁の判例を念頭に置いて答弁作成者が総理にお届けしたものだろうと思います。総理自身もそう考えられているのかもしれません。
 しかし、政権選択などということは、憲法上どこにも規定がありません。憲法は逆に、「そもそも国政は、国民の厳粛な信託によるものであって、その権威は国民に由来」すると明確に述べております。前文です。憲法十五条は、公務員の選定権、すなわち選挙権を、奪うことのできない固有の権利としております。
 その権威の由来する国民意思、投票をかくも切り捨てることが政権選択の一語で合理化されるいわれは全くないのではありませんか。法制局長官、憲法上の問題だから答えてください。
#230
○大出政府委員 憲法は、国会両議院の議員の選挙については、議員の定数とか選挙人の資格とか選挙区、投票の方法、その他選挙に関する事項は法律で定めるべきものといたしております。そして、両議院の議員の各選挙制度の仕組みの具体的な決定、どのような選挙制度というものをつくるかということにつきましては、原則として国会の立法裁量にゆだねているところであるわけであります。
 政権選択のための選挙制度というような、そういう選挙制度の仕組みというものも、国会の立法裁量の範囲内の一つとしてこれは考え得るところであろうというふうに思います。
#231
○正森委員 今の法制局長官の答弁は、最高裁判所の判決も正しく読んでおらないし、学説についても、失礼ながらほとんど全く勉強していないと言わなければならないと思います。今あなたが引用されました憲法の四十七条とか四十二条とかいうのは当たり前の話じゃないですか。そんなもの、選挙区をどう決めるかとか、不在投票をどうするかとか、そんなことは法律で決められるのは当たり前です。
 しかし、私が言っているのは、選挙権の平等という点についてどうかということであります。つまり、基本的人権でも最も根本的な国民の参政権と選挙権の平等を、そういう国会の裁量というようなことで切り捨てることはできません。確立された最高裁判決は、選挙権の平等は選挙権の内容の平等、換言すれば各選挙人の投票の価値、すなわち各投票が選挙の結果に及ぼす影響力においても平等であることを要求せざるを得ない、こういうように明言をし、これを解釈の大前提に置いているじゃありませんか。
 また、何人かの裁判官は、「政策的要素ないし国会の裁量権に対する配慮はそれ程必要がなく、憲法上最も重要かつ基本的な原則であるところの投票価値の平等の理念すなわち人口比例主義をより一層重視すべきである」、あるいは「人口的要素以外の諸事情についての国会の裁量権を過大視する必要はなかろう。」こう言って、国会の裁量権より投票価値の平等が優先することを指摘しております。
 これを受けて、ほとんどすべての学説も、制度の合理性から権利の制約を正当化する論法自体問題性がある、そもそも憲法上の諸制度がすべて人権保障の目的に仕えるものであることからすれば、選挙制度の合理性によって投票価値の平等と選挙権の侵害を正当化することは本末転倒のそしりを免れない、こう言っています。これは当たり前のことであります。
 それをあなたのような、最高裁判所の判決でさえも言っていないような、何でも法律でやればいいんだというような議論は、そもそも根源的な権限である国民主権のもとにおける国民の選挙権、その平等、これを全く冒涜するものじゃないですか。それが法制局の見解ですか。
#232
○大出政府委員 今回の政府の案は、小選挙区比例代表並立制というものを採用したものでありますが、比例代表制は、国民の政治的な意思の多数と少数とを問わず、その勢力に応じてできるだけ比例的に代表の機会を与える、選挙制度としてのそういう特性を持っているものと考えられるわけであります。しかしながら、このように少数意見を含む多様な民意をできるだけ国政に反映させるという比例代表選挙制度の特性といいますのも、一定の合理的な理由に基づく制約を加えるということは、これは許容されているところであろうかと思います。それは先ほど申し上げましたようなことによるものであります。
 今回の政府案では、全国を単位として比例代表選挙を行う、こういうふうにしておるわけでありますが、いわゆる阻止条項を設けない場合には、極めて支持基盤が小さい政党が多数わずかな議席を獲得するという結果を生ずる、そういう可能性というものがあり得るわけで、政治の安定等の観点から、衆議院がこのように多数の小さい政党に分裂することを避けるために、一定の得票率を得た政治団体に限って議席を配分することとしたものと承知をいたしておるわけであります。
 このように、一定の得票率を得られなかった政治団体に対しまして議席を配分しないこととするいわゆる阻止条項といいますのは、全国を単位とする比例代表制というものを政党間の政策論議の場である衆議院に導入するに際しての、必要かつ合理的な制約であると考えられますので、一定の得票率を得られなかった政治団体に投票した選挙人の意思が議席に結びつかないというような形になったとしても、それが参政権について定めるところの憲法十五条一項の規定に反するということにはならないであろう、こういう考え方であります。
#233
○正森委員 とんでもないことを言う法制局長官ですね。私が今単純な例を挙げましたが、選挙に参加できるのは五人以上の議員だ、こう言っている。それで頑張った結果、二・九%、七人にふえて委員長や書記長が記者会見して大勝利だというような結果を得ても、なおかつ法律で切り捨てる、どこに合理性がある、こう言っているのに、それは許される、小党分立を避けるとかいう憲法に何ら規定のないことで、国民の基本的人権である憲法十五条の選挙権の平等や参政権を否定する。
 いいですか、私はここに最高裁判所の有名な昭和五十一年の判決を持ってきましたが、その中でこう言っているのですよ。「投票価値の平等は、さきに例示した」というのは複数選挙や等級選挙などのことです。「選挙制度のように明らかにこれに反するもの、その他憲法上正当な理由となりえないことが明らかな人種、信条、性別等による差別を除いては、原則として、国会が正当に考慮することのできる他の政策的目的ないしは理由との関連において調和的に実現さるべきものと解さなければならない。」これは、あなた方が一番利用したいと思う判例の部分です。しかし、それだって無視していいとは書いていないのですよ。調和されるように決めなければならない。
 三%の条項が、どこが調和しているのですか。自民党の、政権選択が大事だと言っている案でさえそんな条項は持っていないじゃないですか。
 しかも、この判決によれば、「その他憲法上正当な理由となりえないことが明らかな人種、信条、性別等による差別を除いては、」と言っています。いいですか、二・九%支持して七名、八名当選することができるということは、そういう政策や思想を持っている政党を支持するということですよ。
 つまり、そういう政策や思想を支持する国民の信条に対して、二・九%ではだめだ、七名は切り捨てる、こういう信条による差別を行っているものじゃないですか。これは、まさに最高裁判所の考え方にも明白に違反するものじゃないですか。こういう憲法上の疑義があるのに、法制局長官、憲法の番人がそういうずさんな理論でこれを正当化するなどというのはもってのほかだというように私は言わなければならないと思います。
 時間がありませんのでさらに申しますが、選挙運動でも既成政党カルテルじゃないですか。政見放送、選挙用ポスター、選挙用ビラ、はがき、選挙事務所、すべてで政党公認候補とそれ以外の候補は差別されます。普通、二倍の武器を政党公認候補は持つと言われますが、そうではありません。政党は、善戦した、当落線上だ、あの無所属候補が頑張っておるということになれば、その選挙区にポスターやビラやはがきを集中させることができます。だから、二倍どころか三倍、四倍、五倍、そういうのと戦わなければならないのです。そして、一定の比率を上げてもそれは法律で切り捨てる。こんなものがどうして選挙権の平等ということになるのですか。
 一つや二つでなく、かくも複合的に、選挙に参加する入り口要件、出口の阻止条項、供託金、選挙運動の差別、次々とハードルを設けることが、国会における「通常考慮し得る諸般の要素」に当たらないことは明白であります。国会の合理的な裁量の限界を超えていることもまた明白であります。これは既成政党の利益を図る党利党略以外の何物でもない、こういうことを申し上げて、総理、答弁することがあったら答弁してください。
 これで私の質問を終わります。
#234
○細川内閣総理大臣 その点については、ちょっと私どもは見解が違うということだけ言わせていただきます。
#235
○石井委員長 次回は、明五日金曜日正午理事会、午後一時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後四時四十三分散会
ソース: 国立国会図書館
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