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1993/11/02 第128回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第128回国会 科学技術委員会 第2号
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1993/11/02 第128回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第128回国会 科学技術委員会 第2号

#1
第128回国会 科学技術委員会 第2号
平成五年十一月二日(火曜日)
    午前十一時四分開議
出席委員
  委員長 臼井日出男君
   理事 尾身 幸次君 理事 田中 直紀君
   理事 川島  實君 理事 岡田 克也君
   理事 上田 晃弘君 理事 田中  甲君
      越智 伊平君    佐藤 剛男君
      塚原 俊平君    平沼 赳夫君
      今村  修君    上田 清司君
      柴野たいぞう君   大野由利子君
      斉藤 鉄夫君    鮫島 宗明君
      笹木 竜三君
 出席国務大臣
        国 務 大 臣 
        (科学技術庁長 江田 五月君
        官)
 出席政府委員
        科学技術庁長官 井田 勝久君
        官房長
        科学技術庁科学 島  弘志君
        技術政策局長
        科学技術庁科学 新  欣樹君
        技術振興局長
        科学技術庁研究 石井 敏弘君
        開発局長
        科学術庁原子  石田 寛人君
        力局長
        科学技術庁原子 笹谷  勇君
        力安全局長
 委員外の出席者
        科学技術委員会
        調査室長    吉村 晴光君
    ―――――――――――――
委員の異動
十月二十六日
 辞任         補欠選任
  佐藤 剛男君     中川 秀直君
  今村  修君     横光 克彦君
同日
 辞任         補欠選任
  中川 秀直君     佐藤 剛男君
  横光 克彦君     今村  修君
同月二十七日
 辞任         補欠選任
  鮫島 宗明君     荒井  聰君
同日
 辞任         補欠選任
  荒井  聰君     鮫島 宗明君
十一月二日
 辞任         補欠選任
  小沢 一郎君    柴野たいぞう君
同日
 辞任         補欠選任
 柴野たいぞう君     小沢 一郎君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 科学技術振興の基本施策に関する件
     ――――◇―――――
#2
○臼井委員長 これより会議を開きます。
 科学技術振興の基本施策に関する件について調査を進めます。
 江田国務大臣から科学技術行政に関する所信を聴取いたします。江田国務大臣。
#3
○江田国務大臣 第百二十八臨時国会における私の所信を申し上げます。
 今日、私たちの周りには、驚くほど数多くの科学技術の成果を見ることができます。電気、通信、工業製品等々枚挙にいとまがなく、科学技術の成果や恩恵と切り離した生活は想像すらできません。他方、科学技術が生み出した豊かな現代文明そのものが、人類の未来に対する制約要因と化する場合も見受けられるようになりました。
 しかし、考えてみると、地球環境問題、エネルギー問題、食糧問題等、現代社会の前に立ちはだかる問題を解決し、質の高い実のある社会を創造するためには、さらに一層科学技術の力に期待しなければならないのもまた事実です。
 私たちが、現代の豊かな社会をよりよいものとして、私たちの次の世代に誇りを持って引き継いていくためには、哲学のある科学技術政策が求められています。
 本年八月、単なる歴史の通過点でなく、新しい歴史の出発点を画するとの決意で細川内閣がスタートし、私がその閣僚の一員として科学技術行政をお預かりして以来、私は、国家の枠を超えた生活本位の科学技術という視点に基づく政策のかじ取りこそが求められているとの認識で、科学技術振興の重要性、必要性を訴え、また、各般にわたる政策を推進してまいりました。
 以下、科学技術行政が直面しております個別課題について、具体的に申し述べます。
 我が国の科学技術水準は、これまでの関係者の努力によって、今や多くの分野において、欧米に比しても遜色のない水準に達しています。しかし、人類の新しい可能性を求める独創的な研究や、すべての分野の基盤である基礎研究の分野では、いまだ十分ではありません。長期的視点に立った独創的な基礎研究は、民間には期待しにくく国が役割を発揮すべき分野ですから、今後とも政府の研究開発投資を着実にふやすよう努めます。
 研究機関の施設設備が老朽化したり時代おくれのものとなっているようでは、基礎研究の十分な成果は期待できません。このため、研究の基盤となる施設設備の整備を図ってまいります。
 つい先ごろも、基礎研究の推進のため、若くて有能な研究者があこがれるような世界に誇れる卓越した研究機関、いわゆるセンター・オブ・エクセレンスの育成を目指した制度を開始しました。独創的な研究を行っていくような創造性豊かな研究者、技術者等の人材の育成のための諸制度も着実に拡充しています。
 現在、科学技術会議で科学技術系人材の確保に関する議論、検討を進めていただいておりますが、私としても、次世代を担う人材問題について積極的に取り組んでまいります。
 さて、今日の国際社会はますます相互関係を深めており、どの国も地域も相互の協力や協調がなければその生存が困難になっています。その中で、我が国は豊かな経済力と世界有数の科学技術力を持つに至った国として、それにふさわしい責任と義務を国際社会の中で果たしていくことが求められています。科学技術の成果は時代を超えた人類全体の共通財産ですので、科学技術の成果を世界に向けて積極的に発信することこそ、我が国に最もふさわしい国際貢献の形であると思います。
 中でも、人類が共通して直面している地球環境やエネルギー等の問題については、我が国の科学技術力を生かして積極的に取り組んでいく必要があります。
 このため、人工衛星による地球観測や海洋における観測研究等、地球環境問題に総合的に取り組むほか、宇宙ステーション計画、国際熱核融合実験炉計画やヒューマン・フロンティア・サイエンス・プログラム等の国際協力プロジェクトを積極的に推進してまいります。
 科学技術政策の眼目は、次の世代にどのような幸せな生活の可能性を引き継ぐかにあるということができます。このような観点から、生活者としての人間に直接役立つ科学技術分野、例えば、がん・エイズに関する研究、長寿社会に対応するための研究、地震予知・火山噴火予知等防災・安全
を充実させるための研究などに力を注いでまいります。
 がん研究につきましては、過日、放射線医学総合研究所の重粒子線がん治療装置が完成し、現在、難治性のがん治療の臨床試行の準備を進めています。
 人類の新たなフロンティアへの挑戦であり、いわば夢への挑戦である宇宙開発にも積極的に取り組みます。来年初頭には、いよいよ我が国が独自に開発を進めてきたHUロケットが打ち上げられる予定です。夏には、日本人女性として初の宇宙飛行士の誕生が予定されるなど、未来への夢が着実に開花しつつあります。
 さらに、人間活動のもう一つのフロンティア、海洋の開発につきましては、有人潜水調査船しんかい六五〇〇等による深海調査研究、地球規模の環境変動に深くかかわる海洋の観測等を総合的に進めてまいります。
 現在及び将来にわたりエネルギーを安定的に確保することは、豊かな生活を私たちの子孫に引き継いていくための基本条件です。我が国がこれまで推進してまいりましたエネルギー政策につきましては、政権の樹立に際し、他の重要基本政策と同じく、原則として今までの国の政策を継承するというのが連立与党間の合意です。この考え方に従って、今後ともエネルギーの安定的確保を図る上で不可欠な原子力の開発利用を、安全確保を大前提として着実に進めてまいります。連立の合意に、新エネルギーの開発も掲げられております。新エネルギーは、供給面での制約があるものの、いずれも大切であり、また、核融合研究も着実に進めてまいります。
 核燃料サイクルの確立は、資源小国である我が国にとり、原子力発電を長期にわたる安定したエネルギー供給源とするために必要なものです。現在、原子力委員会で進められている原子力開発利用長期計画の改定作業の推移も見定めながら、今後とも、国民の一層の理解と協力を得つつ、また、安全確保を大前提として、放射性廃棄物処理処分対策も含め、核燃料サイクルの確立に向け、努力していきたいと思います。
 原子力の開発利用を進めるに当たっては、安全確保とともに平和利用が重要な課題です。このため、原子力安全対策や核不拡散対応の充実強化の分野で、国際的な協力に努めます。
 本年九月、私は、国際原子力機関の総会に政府代表として出席する機会を得ました。その場において、私は、核不拡散体制の維持強化の重要性を指摘し、また、核兵器の廃絶と国際的軍縮についての我が国の立場にも言及しつつ、核不拡散条約の無期限延長支持を表明するとともに、同条約が原子力平和利用による利益の享受を最大限保障するものであることを再確認いたしました。また、プルトニウム利用の透明性の確保等のため、国際管理体制について我が国が役割を発揮し、今後国際的な検討を重ねていく方針を明らかにいたしましたが、今後とも、世界的な核不拡散体制の充実強化に積極的に貢献してまいります。
 さらに、旧ソ連、ロシアによる放射性廃棄物の海洋投棄に関しましては、東京サミットやエリツィン大統領の来日の機会をとらえて、投棄への懸念と停止を求めてきましたが、先般、低レベルとはいえ、何ら管理がなされないような状態で投棄がなされたことは、極めて遺憾であります。私は、ロシアのミハイロフ原子力大臣の来日の折にも、今後このような事態が発生しないよう、ロンドン条約締約国会議の決議に反した海洋投棄の停止を求めました。ロシアは投棄の中止を表明しましたが、まだ乗り越えなければならない課題は多く、今後とも、この問題の解決に向け、技術協力等さまざまな努力を重ねてまいります。
 以上、美しい自然と環境を将来に引き継ぐとともに、文化の薫り高い生活環境を築き上げるために不可欠な、科学技術に対する私の基本認識と、当面する諸課題につきまして所信を申し述べました。
 人類のたゆまぬ創造的活動の所産である科学技術の振興は、百年先、二百年先を視野に入れた総合的なものでなくてはなりません。そして、これは、国民の理解があって初めて可能になるものと考えております。委員各位の御協力を心よりお願い申し上げます。(拍手)
#4
○臼井委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午前十一時十四分散会
ソース: 国立国会図書館
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