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1993/11/12 第128回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第128回国会 安全保障委員会 第4号
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1993/11/12 第128回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第128回国会 安全保障委員会 第4号

#1
第128回国会 安全保障委員会 第4号
平成五年十一月十二日(金曜日)
    午後三時八分開議
出席委員
  委員長 近藤  豊君
   理事 鈴木 宗男君 理事 中谷  元君
   理事 町村 信孝君 理事 山崎  拓君
   理事 大出  俊君 理事 月原 茂皓君
   理事 赤松 正雄君 理事 樽床 伸二君
      麻生 太郎君    今津  寛君
      瓦   力君    高村 正彦君
      谷垣 禎一君    中村  力君
      中山 利生君    西銘 順治君
      浜田 靖一君    宮里 松正君
      宮下 創平君    山下 元利君
      渡瀬 憲明君    岩垂寿喜男君
      楢崎弥之助君    江ア 鐵磨君
      松田 岩夫君    平田 米男君
      福島  豊君    三原 朝彦君
      矢上 雅義君    東中 光雄君
      玄葉光一郎君    高市 早苗君
 出席国務大臣
        外 務 大 臣 羽田  孜君
        国 務 大 臣 中西 啓介君
        (防衛庁長官)
 出席政府委員
        防衛庁長官官房 宝珠山 昇君
        長
        防衛庁防衛局長 村田 直昭君
        防衛施設庁労務 小澤  毅君
        部長
        外務大臣官房領 荒  義尚君
        事移住部長
        外務省条約局長 丹波  實君
 委員外の出席者
        議     員 鈴木 宗男君
        議     員 町村 信孝君
        議     員 高村 正彦君
        議     員 谷垣 禎一君
        安全保障委員会 下尾 晃正君
        調査室長
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 自衛隊法の一部を改正する法律案(鈴木宗男君
 外五名提出、衆法第一号)
 自衛隊法の一部を改正する法律案(内閣提出第
 一五号)
     ――――◇―――――
#2
○近藤委員長 これより会議を開きます。
 鈴木宗男君外五名提出、自衛隊法の一部を改正する法律案、内閣提出、自衛隊法の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。宮里松正君。
#3
○宮里委員 自由民主党・自由国民会議所属の宮里松正であります。
 私は、さきに提出された自由民主党提案の自衛隊法の一部を改正する法律案について質問をいたします。
 質問の中身に入ります前に、一言お断りをしておきます。私がこれから行います質問は自由民主党提案の法律案についてでございまして、政府提出の法案に質問するつもりはございません。そのことをあらかじめ御了承願っておきたいと思います。
 私は、沖縄が復帰する前は、琉球政府副主席として沖縄の円滑な復帰の実現に努めてまいりました。そしてまた、沖縄復帰直後には、沖縄県の副知事として、新生沖縄県の基礎固めに微力を尽くしてまいりました。
 御承知のように、沖縄では今なお金国の七五%に及ぶ広大な米軍基地があります。私がそのときに最も苦労いたしましたのが、この広大な米軍基地の取り扱いと自衛隊の受け入れについてでございました。鈴木宗男先生には、沖縄のそのような厳しい状況に深い理解を示され、いろいろな面で御支援を賜りました。とりわけ防衛政務次官在任中には現地をつぶさに視察をされ、広大な米軍基地の重圧に苦しんでいる県民の実情をしっかりと把握をされて、いろいろな面で対策を講じていただきました。そしてまた、沖縄に展開をしております自衛隊の各駐屯基地も視察を賜りました。自衛隊諸君に絶大な御支援と御協力をいただき、自衛隊諸君に大変な勇気と自信を与えてくれました。質問に入ります前に、鈴木宗男先生に、私は地元を代表いたしまして、心から敬意と感謝の念を申し上げておきたいと思います。
 さて、国民の生命、身体の安全と自由を確保することは、国家にとりまして崇高な使命であります。そのような観点から、政府はさきに、緊急時に海外で災害に遭ったり、あるいは紛争に巻き込まれたりする邦人を救出、輸送するために、自衛隊にそのような任務を付与すべく自衛隊法の一部を改正する法律案を国会へ提出されました。同法案は、前国会で衆議院を通過し、参議院へ送られて、私が仄聞するところによりますと、可決直前に衆議院が解散になったために廃案になった、このように理解をしております。
 日本は戦後、現行憲法のもとで目覚ましい発展を遂げてきたのでありますが、そこに一つだけ欠落したものがあると私は思います。それは、何といっても危機管理に関する国の体制が必ずしも十分でないということであります。そのようなことを考えますと、一日も早く自衛隊法を改正いたしまして、海外で不安に思っておられる邦人の救出が十分にできるような体制を整えるべきであろうというふうに思います。
 そこで、鈴木先生にお伺いをいたしますが、自民党提案のこの法律案が、さきに政府が提出をされ衆議院を通過した法律案と異なるものかどうか。それが同一なものであるとするならば、何ゆえこの段階で自民党はこの法案を提出されたのか。その中身といきさつについて御説明を願っておきたいと思います。
#4
○鈴木(宗)議員 御質問にお答えする前に、今宮里議員から私の防衛政務次官時代のお話がありましたので、このことに感謝をしながらも、私が若干沖縄に思いを寄せていることを披瀝をしまして御理解をいただきたいと思うのであります。
 私は、沖縄に行きますと、必ずあの海軍壕に行きます。あの海軍壕には、大田中将閣下の最後の電文が記されております。「沖縄県民かく戦えり、後世の皆さん、沖縄県民に対し特別の御配慮賜らんことを……」で終わっているのでありますが、あの心を私は忘れてはいけない、そのためには、沖縄に私は誠心誠意尽くしていくべきだ、こう思っております。
 きょう、副総理・外務大臣として羽田先生もお見えでありますが、羽田先生が農林水産大臣時代、さらには党の農林族として、それは自由民主党時代でありますけれども、自由民主党時代の農林幹部として、サトウキビ等の値段につきましては殊のほか一生懸命でありました。そのとき私も、北海道はサトウキビは関係ありませんけれども、率先して審議に参加をしながらも、何とか価格は維持してあげたい、あるいは振興策は講じてあげたい、こういうふうに思ってきたものであります。
 同時に、宮里先生は、琉球政府の副主席、さらに本土復帰になっても副知事を四年間やられて、
さらには、四十七年の第一次沖縄振興開発計画、そして二次、三次と先生が携わってきた経緯は私も十分考えておりますので、これからも沖縄に対しましてはできる限りの協力はしてまいりたい、こう思っております。
 さて、前国会で衆議院で可決、成立した案と、今我が党の議員立法が違うのかどうかという御質問でありますけれども、この衆議院の本委員会で自由民主党、公明党、民社党によって可決、成立したものと同じ法案であります。このことは明確にお答えをしておきたい、こう思っています。
#5
○宮里委員 既に、衆議院をかって通過をし、そして参議院に送られて可決寸前までいっておったものでありますから、それほど中身について議論するまでもなく速やかに本委員会を通してしかるべきだと私は思うのでありますが、これで質問を終わるわけにもまいりません。
 それならば、自民党がわざわざこの段階で同じ法案を提案されたこのいきさつ、経緯について、御説明を願っておきたいと思います。
#6
○鈴木(宗)議員 当法律案につきましては、政府において早期の適切な対処が望まれるということで、さきの特別国会で、我が党の町村政調副会長が代表質問におきまして、政府において同法律案を早期に責任を持って再提出をし成立を図る考えがあるかどうかを細川総理にただしました。そのときの細川総理の御答弁は、同法の速やかな成立が必要である、可能な限り早期に国会に提出し、審議していただきたい旨の明確な発言がなされましたことは、委員の皆さん方も御承知のことと思います。
 さらに、今国会におきましても、政府・与党の対応がまだはっきりしなかったものですから、九月二十二日、我が党の橋本政調会長、額賀政調副会長が、さらには九月二十四日、参議院では我が党の片山議員が、それぞれ代表質問で細川総理並びに山花政治改革担当大臣等にその考え方を再度ただしております。
 ところが、細川総理は、今国会の答弁においても明らかなように同法案の提出には意欲を持っていながらも、与党第一党の反対、対応の未決定により決断できない状態にあったことから、総理発言の威厳、リーダーシップ、公党への発言の責任の所在が問われましたことは、さきの当委員会における提案理由説明でも申し上げたとおりであります。
 私は、政府においては、邦人を救出、さらには救助を必要とする事態を常に考慮に入れ、国家的な判断を求められる危機に際して準備をしておくのが国家としての当然のことだと考えております。これが政府・与党におきまして順調に進展しなかったことは、極めてこれは遺憾であります。そのために我々は、国家国民の生命財産の保護に責任を持つことがまず大事である、そのために議員立法で一日も早い成立を期さなければいけない、こう思って法案を提出した次第であります。
#7
○宮里委員 一通り慎重な審議を経たものでありますから、大体の理解は得られていると思うのでありますが、改めて自由民主党の法律案の基本的な考え方につきましてお尋ねをしておきたいと思います。
 在外邦人の保護のために、あるいは救出のために、輸送をなぜ自衛隊の航空機によって行う必要があるのかということを、しっかりと説明をしていただきたいと思います。
#8
○町村議員 宮里議員の御質問にお答えいたします。
 外国における災害、騒乱、こうした緊急事態に際しまして生命等の保護を要する邦人について、政府は従来から、こうした邦人を本邦等の安全な地域へ避難させる必要が生じた場合には、まず民間定期便などで自発的な避難を促す、同時に民間定期便等の利用が困難な場合、民間機をチャーターするということでこれまで政府は対応してきた、このように考えております。
 しかしながら、この民間機チャーターという手段では、例えば航空会社との調整に非常に時間がかかってしまう、適時適切な対応が難しい、こうした経験を私どもは何度かしております。例えばあのイラン・イラク紛争のときがそうでございましたが、在イラン邦人出国のために救援機の派遣を政府が進めたわけでありますけれども、結局間に合わない、こういうことで大多数の邦人がトルコ航空で出国をする、こうした経験もあったわけでございます。
 こうした問題点を改善をいたしますために、平成四年の四月一日から在外邦人の輸送の用に供することが可能な政府専用機、これが防衛庁へ移管されたことを契機といたしまして、自衛隊法を改正してそして在外邦人保護のための輸送を行うことができる権限を防衛庁長官に与えるということにしたところでございます。
#9
○宮里委員 ここで緊急事態というのが想定されてこのような措置がとられるわけでありますが、ここで言う「緊急事態」というのは具体的にどのようなことを指すのでありましょうか、御説明をいただきたいと思います。
#10
○谷垣議員 お答えいたします。
 改正後の第百条の八で申します「緊急事態」とは、水害あるいは震災等の災害によって、あるいは内乱、騒擾そのほかの騒乱が起こることによって治安、秩序が乱れ、人の生命あるいは身体に対して危険が存する状態を言うものでございます。
#11
○宮里委員 緊急事態、いろいろなことを挙げられましたが、この「緊急事態」の中に特に紛争による緊急事態が想定されていると思うのでありますが、そのとおりでありましょうか。
#12
○谷垣議員 先ほど申し上げましたように、治安や秩序が乱れて人の生命、身体等に危険が存在する状態を言うわけでございますから、委員の御指摘の紛争もその中に含まれるわけでございます。
#13
○宮里委員 重ねてその点をただしておきたいと思うのでありますが、「緊急事態」の中に紛争によるものが含まれるとするならば、紛争当事者間の停戦の合意など、いわゆるPKO法のときの、五原則を定めた国際協力法に基づく活動よりも本改正案に基づく活動の方が危険が伴うといいますか、そういうことが考えられるのでありますが、その点とうでありましょうか。
#14
○谷垣議員 自衛隊機を派遣してこの法の目的、すなわち在外邦人等の輸送の目的を達成するためには、派遣先国の空港それから航空機の飛行経路において、派遣先国の政府において航行が支障なく確保されているということが前提でございます。こういう前提でこの法の運用を行うわけでございますから、委員の御指摘の御懸念は当たらないものではないか、このように考えております。
#15
○宮里委員 この自民党案の中で、輸送手段を政府専用機に限定せずに自衛隊の保有する航空機にしている理由についてお尋ねをしておきたいと思います。特にその点、しっかりとした説明を願っておきたいと思います。
#16
○高村議員 在外邦人保護のための輸送手段については主として政府専用機が想定されているところでありますけれども、例えば政府専用機が他の目的で使用中のときとか、内閣総理大臣等の外遊のために使用中とか、あるいは整備中等のために使用できない場合、在外邦人保護のための輸送ができないとすることは不合理であるということがその理由であります。
 さらに、被派遣国の受け入れ能力、例えば滑走路が短い場合、あるいは輸送人員数、輸送の時期等により最適な輸送手段を使用することが当該輸送を最も効率的に実施できるということのためにこうしているわけであります。
#17
○宮里委員 ただいまの御答弁で輸送手段を政府専用機に限定しないという理由がよくわかったのでありますが、より広いオプションを持つことが緊急時においては大切であるということであろうかと思います。
 しからば、在外邦人等の輸送に使用する自衛隊の航空機の種類についてはどのようなことを考え
ておられますか、お尋ねをしておきたいと思います。
#18
○高村議員 在外邦人等の輸送に使用する航空機としては、航続距離、搭載能力等を考慮すれば主として政府専用機が考えられるわけであります。
 なお、政府専用機が他の目的で使用中のため使用できないといった場合や派遣先国の空港の滑走路が短い等の政府専用機を使用できないといった場合、あるいは政府専用機を使うことが効率上よろしくないというような場合にはC130を使用することもオプションとして考えているところであります。
#19
○宮里委員 その際、C1でありますとかYS11などを使用することは想定されておりませんか。
#20
○高村議員 C1やYSuについては、政府専用機やC130と比較すれば航続距離や搭載の能力において劣っており、政府専用機やC130が使用できない等の極めて例外的な場合以外にこれらの航空機を使用することは一般的には想定されていないと考えております。
#21
○宮里委員 現地の状況によってはヘリコプターを使用することが得策であるということも考えられるのでありますが、そのことは考えておりませんか。
#22
○高村議員 ヘリコプターについては、航続距離や搭載の能力において極めて大きな制約があるわけでありますから一般的には想定されないわけでありますが、ごく近距離や極めて少人数の場合には、全く排除されるわけではないと考えております。
#23
○宮里委員 在外邦人等の輸送に使用されることが想定される航空機につきまして、細かく確認の意味を込めてお尋ねをしたのでありますが、ただいまの答弁では、政府専用機を中心にC130等も対象機種ということでありました。
 そうだとするならば、法文上、例えば輸送機によりといったように使用機種をはっきりと明記すべきではないでしょうか。その点いかがお考えでございましょうか。
#24
○高村議員 在外邦人等の輸送を自衛隊の権限として付与する以上、その目的によって使用機種はおのずと限定されることから、あえて使用機種を法文上明記する理由がないと考えております。
 さらに、実際の運用に当たって一定の機種の航空機が使用される自衛隊法の他の規定、すなわち自衛隊法第百条の五の「国賓等の輸送」においても同様の考え方に基づいて法文上使用機種を明記していないところであります。
 以上のことから、使用機種を法文上明記する必要はないし、さらに他の条文との整合性から考えても明記すべきでないと考えております。
#25
○宮里委員 自民党の提案では、輸送機以外の航空機を使用することは考えていないということでございますね。
#26
○高村議員 搭載能力等を考えれば、例えば戦闘機等を在外邦人等の輸送に使用することはおよそ考えられないことだと思っております。
#27
○宮里委員 これまで輸送機種等について確認の意味を込めて細かくお尋ねをしたわけでありますが、それでは、在外邦人輸送の場合に武器を携行するのかどうかその点について御説明を願いたいと思います。
#28
○鈴木(宗)議員 在外邦人等を輸送する自衛隊の航空機内におきましては、ハイジャック等の不測の事態が全く想定されないわけではなく、セキュリティーチェックなどの措置によっては十分防止できない、こういうことも考えられると思います。したがって、諸般の事情を考慮し、ハイジャック等の不測の事態に備え、必要な場合には自衛隊法第九十六条の規定に基づき武器を携行することもあり得ると考えております。
#29
○宮里委員 私は、かつて沖縄戦のときに武器を持たずにアメリカと戦いました。大変苦労いたしまして、多くの仲間を失いました。したがって、武器を使うかどうかは別にいたしまして、やはり携行する武器はしっかりとしたものを携行すべきではないかとも思うのでありますが、自衛隊法第九十六条に基づき携行する武器というのはどのようなものでございましょうか。
#30
○鈴木(宗)議員 同条の規定に基づき携行する武器は、自衛隊の航空機内における秩序維持という警務官の職務の性質にかんがみまして、けん銃が考えられるわけであります。
#31
○宮里委員 携行する武器はけん銃に限るという御答弁でございましたが、そのほかに携行が予想される武器はございませんか。
#32
○鈴木(宗)議員 武器を携行する必要がある場合でも、警務官はけん銃を携行すればその職務は十分果たすことが可能であると考えられますので、それ以外の武器を携行することは考えておりません。
#33
○宮里委員 そうであるならば、航空機等を防護するために航空機外において武器を使用しないとするならば、自衛隊法第九十五条の適用を排除する旨の規定を置くべきではないでしょうか。その点はどうでございましょうか。
#34
○鈴木(宗)議員 派遣先国においては自衛隊法第九十五条の規定に基づく武器使用は想定されませんが、このことを法律上排除する積極的理由もないことから、同条の適用を排除する旨の規定を置かなかったものであります。
 また、自衛隊法第九十五条に基づく武器使用が想定されていない自衛隊法の他の規定、いわゆる土木工事等の受託だとか国賓等の輸送でありますけれども、これにおいても同条の規定の適用を排除していないこととの権衡上からも、同条の規定の適用を排除する規定を置かなかったわけであります。その方がまた適当であるという判断であります。
#35
○宮里委員 在外邦人等の輸送に当たっては、具体的な措置の中では輸送の安全性を確保することが非常に大事であるというふうに思いますが、その点はどのようにして確保されると考えておりますか。
#36
○町村議員 改正後の自衛隊法に基づきまして自衛隊が在外邦人等を輸送する場合には、当然派遣先国などから領空の通過でありますとかあるいは着陸の許可を得ることになります。これは、国際民間航空条約第三条の(C)という規定から当然のことであろうと思います。
 また、派遣先国の空港それから航空機の飛行経路、これらにおいても派遣先国政府等の措置によっては在外邦人、航空機等の航行が確保されるか否か、これを慎重に確認するということが必要でございます。こうした安全性確保の点については、今回の法改正においても十分配慮しているところでございます。
#37
○宮里委員 現地の状況に応じたいろいろなことを想定して細かい配備をしておかなければなりません。その際、航空機に対する急迫不正の侵害が実際にあった場合にはどのようにするのでありましょうか。
#38
○谷垣議員 この法案に基づきまして在外邦人等の輸送の目的を達成する前提といたしまして、派遣先国の空港あるいはそこまで行く航空経路が派遣先国政府等の措置によって航空機等の航行が支障なく確保されている、あるいはそれらの安全性が確保されているということが派遣の前提でございます。したがいまして、そういう前提で派遣いたします限り、急迫不正の侵害というものが起きてくるということは想定いたしておりません。
#39
○宮里委員 安全が確認されない場合は自衛隊機は派遣しない、こういうお考えのようでありますが、もしそうだとするならば、安全な場合は民間チャーター機を使えばいいわけでありまして、むしろ危険な地域にこそ自衛隊機を派遣する必要があると考えるのであります。その点どのようにお考えでございましょうか。
#40
○鈴木(宗)議員 今般の自衛隊法改正案は、在外邦人等の輸送を適時適切に実施し得るよう、独自の輸送体制を整える必要から、政府専用機を含む自衛隊機による在外邦人等の輸送を行い得るようにしようとする法律案であります。したがって、本改正法律案が成立した後には、外国において緊
急事態が発生し、商業便の利用が困難となり、政府による在外邦人等の輸送の手段が必要となった場合には、緊急事態の態様、さらには利用可能な航空機の種類等を総合的に勘案して、民間チャーター機、政府専用機を含む自衛隊機の中から最も適当と考えられるものを派遣することとなります。
 このように、自衛隊機による在外邦人等の輸送は、あくまでも従来から実施をしてきた政府による在外邦人等の輸送を一層適時適切に行い得るようにするものであり、従来の民間チャーター機と異なる性格の輸送を行うものではありません。したがって、自衛隊機による在外邦人等の輸送に当たっても、派遣先国の空港及び飛行経路において派遣先国政府等によって航空機等の航行が確保されていることが前提であることに変わりはなく、これらを踏まえて対応していくこととしております。
 なお、これは私の経験でありますけれども、おととし湾岸戦争がありました。あのとき、国際移住機構からベトナム避難民を日本国政府でぜひとも輸送していただきたいという要請がありました。あのときの対応も相当時間がかかったのでありますけれども、はっきり言いまして、民間飛行機会社の労働組合の人たちは危険なところには行きたくないということでありまして、管理職が乗ったのであります。スチュワーデスは乗ってくれませんでした。パイロットもスチュワードもすべて男性で管理職であります。同時に、国際的に日本は何をやっているんだという指摘も受けた経験もありますので、この点は幅広く適時適切に対応することが肝要である、私どもはこう判断しているのであります。
#41
○宮里委員 国会の承認を得ず、国会への報告もせず、そして閣議決定もしないまま、外務大臣の要請だけで自衛隊機を派遣するということは、シビリアンコントロールに欠けるところがありゃせぬかという危惧の念を抱く向きもあろうかと思います。その点についてはどのようにお考えでございましょうか。
#42
○鈴木(宗)議員 在外邦人等の輸送は、従来から、海外における邦人の生命、身体及び財産の保護を所掌する外務大臣の判断に基づいて行われているところであります。また、自衛隊の航空機による在外邦人等の輸送も、あくまで従来から実施してきた政府による当該輸送を一層適時適切に行い得るようにするためのものであり、民間チャーター機と異なる性格の輸送を行うものではありません。
 そのため、自衛隊の航空機を派遣する場合も、従来と同様、あえて国会承認等の手続を法律上規定する必要はないと判断しているところであります。あくまでも外務大臣がその紛争なり緊急事態が起こった国の安全等を確認して防衛庁長官に要請するわけでありますから、この点は間違いのない判断だと考えております。
#43
○宮里委員 本委員会には外務大臣並びに防衛庁長官も御出席でございます。今まで自民党側から自民党提案の法案の中身につきまして大変いろいろとお話を伺いました。両大臣、今のお話を伺って、自民党案に対しましてどのようにお感じでございますか、一言ずつお答えを願いたいと思います。
#44
○羽田国務大臣 今回私どもが提案申し上げました自衛隊法の改正でございますけれども、これは今もお話がありましたように、邦人の生命が危険が迫った、こういったときに邦人を救出するためにお願いをするという法律でございまして、今自民党の提案者のお話をお聞きしておりまして、基本的に私どもは相違はないというふうに承知をいたしております。
 また、海外邦人保護を所管する私どもといたしましては、こういう考え方に立ちましたときに、自衛隊の航空機の使用が可能となるよう、やはり速やかにこういったものが必要であるということでございまして、御審議を促進していただきますことを心からお願い申し上げます。
#45
○中西国務大臣 今宮里さんと自民党側のやりとりを聞いておりまして、本当に緊急非常事態というものがいつ起こるか、これは全くわかりません。それに可能な限り対応できる状況をあらかじめつくり出しておくというのは、政治の非常に重要な責務であろうと私も思うのですね。そういう意味では、確かに危機管理という面で見ると、日本がもっともっと整備を急がなければならぬという部分はいっぱいあろうかと思いまして、この法律もその一環だろうと私は認識をいたしております。
 我々も、とにかく法案を提出させていただいているわけでございますが、内容はもうほとんど、ほとんどというか全く同じだと言ってもいいと思っております。ただ、政府としてそういう問題に取り組む責務というものもございます。それから、前回も政府提案として出した経緯もございますので、ぜひ政府提案の法案を審議いただきまして、可及的速やかに成立されることを望んでいる次第でございます。
#46
○宮里委員 時間が参りましたのでこれで質問を終わりますが、ひとつ速やかにこの法案を本委員会を通して成立させていただきたい、こう思います。
 私の質問をこれで終わります。
#47
○近藤委員長 渡瀬憲明君。
#48
○渡瀬委員 私は、自由民主党の渡瀬憲明であります。
 ただいま提案されております自衛隊法の一部改正、鈴木宗男君外五名提出の法案につきまして、提案者並びにお越しの外務大臣、防衛庁長官から所信を承りたいと思います。
 昨今、国際化の進展に伴いまして、在外邦人が約六十万を超えておるといいますし、海外へ出かける日本人旅行者、ビジネスマン等も年間一千万人を超える状況であると言われておりますが、こういう方々の、いつ非常事態が起こるかわからない、そのために備えて安全確保、保護あるいは救出体制を整えること、本当に喫緊の事態であろうかと思うわけであります。そういう認識をいたしますけれども、提案者のお気持ち、提案理由の御説明をまず総括的に承っておきたいと思います。
#49
○谷垣議員 渡瀬委員のこの法案に対します大変温かい御理解、今の御発言を伺いまして、まことにありがたく思っております。
 答弁者一同を代表させていただきまして私どもの気持ちを申し上げさせていただきたいと思いますが、私たち、こうやってお互いに政治をやっております。その目的は、やはり国民の一人一人が安心してあすを信じて生活できる、安心して働ける、こういう国をつくっていこう、こういうことではないかと思っております。
 今委員御指摘のように、これだけ多くの日本人が海外で一生懸命仕事をされておられる、あるいは海外でいろいろな活動に従事をしておられる。そういう中で、やはり思わざる困難に遭って、何とかして国が助けてくれないか、こう思う事態が、それは起こらない方がいいのですが、起こらないとは言えない。そのときにやはり国家が、日本の国が助けてくれる。これは、やはり多くの方が海外でこれだけ活動しておられるときに、国が果たすべき責務ではないかと私は思っております。
 そのような意味におきまして、今回、政府専用機並びに自衛隊機がそのような困難に陥った我が国の同胞を救い出す、こういう法律案を提出させていただいたわけでございますが、これは国家の基本的な責務としてもっと早くつくられていなければならなかったのではないかと思っております。その意味におきまして、この法案を一日も早く成立させていただきますように心からお願いを申し上げる次第でございます。
#50
○渡瀬委員 国民を思われる提案者の熱き心がよくわかりました。特に、もたもたしている政府案の成案に先立って出されたということに私は改めて敬意を表したいと思うわけであります。
 そこで、早速各論に入らせていただきます。
 まず外務大臣にお尋ねいたしますけれども、海
外における邦人に対し、外務本省あるいは在外公館の邦人保護体制はどのようになっておりますでしょうか。あるいはまた、先ほど申し上げましたような状況でありますが、それで予算面等十分であるとお思いでありますかどうか。
 これも個人的経験で甚だ恐縮でありますが、在外邦人のみならず外務省職員の問題もあろうかと思います。私の知人がかつてラオスに勤務中に、夫妻とも遭難をしてしまいました。その善後処理のことを頼まれて随分走り回りましたけれども、当時はまだそれに対する処置が非常に手薄であった。こんなことでいいのかなということを思いながら走り回ったことを今思い出しておるわけでありますが、そういうことも含めまして御答弁を願えたらと思います。
#51
○羽田国務大臣 緊急事態が発生いたしました場合には、まずやはり在外公館におきまして、在留邦人あるいは邦人の旅行者、この皆様方の安否というものを確認することが第一であります。そしてその邦人の皆様方に対して、現地の情勢に関します情報の提供、そして適切な安全指導というものを行うとともに、必要に応じまして現地邦人の皆様方を招集して対策を協議することなんかもいたします。
 さらに事態が悪化した場合でございますけれども、在外公館と本省が協議しながら、在外邦人に対しまして退避勧告を発出すると同時に、具体的な退避手段、こういったものを検討をいたしております。また、これまで外務省としまして、邦人の退避が必要となった際には、現地の事情などに応じまして、航空機を初めとしたあらゆる可能な退避手段を手配することによりまして邦人の退避を支援したところでございます。
 具体的な対応としましては、定期便などの利用というのが、これがまず我々として対応する、いわゆる勧奨するわけですね。そして、定期便の利用が困難な場合には民間航空機をチャーターして派遣をする。そして今度のように自衛隊法を改正いたしまして、今法案で御審議いただきますように、こういったものに対して政府の飛行機あるいは自衛隊の飛行機といったものを活用するというようなことをやっていくということであります。
 また、今最後に御指摘ありました在外公館員の安全につきましては、一般在留邦人のための安全対策に加えまして、住居へのいわゆる警備員、こういった人たちを配置すること、あるいは警報装置の設置、こういったことをやりまして、可能な限りの安全対策というものをとっておるものであります。
 なお、予算について十分かと申し上げますと、私どもとしては四億二百万円ほどの経費を確保しておるわけであります。しかし、これで完全かということでありますと、多々ますます弁ずということであろうと思いますけれども、私どもは、今申し上げました邦人の皆様方の安全のためには、これからもありとあらゆる知恵というものも使っていきたいというふうに考えております。
#52
○渡瀬委員 次に、自民党の提案者の皆さんにお尋ねいたしますが、救出を必要とする状況とはどういうことか、どういうことを想定しておられるかということを提案者にお尋ねしたいと思います。
 それから、ただいま外務大臣から答弁がございましたが、緊急事態が発生した場合の在外公館の役割はどのようなものであるか、提案者はどのように考えておられるか承りたいと思います。
#53
○谷垣議員 救出が伴う状況下ということを今委員お尋ねになりましたけれども、先ほどから答弁いたしておりますように、今回自衛隊機を派遣いたしますのは、相手国の政府によって支障なく着陸、発着等が、航行が確保されている、そういう飛行場、そこに、航行の安全性といいますか支障なく航行ができるということが確保されている経路をとって輸送するという、そういう業務を担当する、これがこの法律の目的としているところでございまして、それを超えて何か救出を行うというようなことは、この法律のもとでは想定をいたしてないと考えております。
 それから、あとは町村議員からお答えいたします。
#54
○渡瀬委員 次に、このような緊急事態、今までもなくさん発生いたしました。これからなおかつたくさん発生することが予想されるわけでありますが、これまで派遣した実例はどの程度あるのか、あるいはまた、これは私どももその都度いらいらした思い出があるわけでありますが、派遣できなかった例があったと思いますが、特に、外国の救援部隊に我々の同胞の救援をお願いした例もあった記憶がありますが、その両方の例、ありましたら御答弁願いたいと思います。
#55
○高村議員 戦後における例として、外務省、政府が民間の航空機をチャーターして邦人救出のために輸送を行ったケースは全体で十四件あると承知しております。昭和四十年のインド・パキスタン戦争のときが最初であります。
 第一の例は、日本航空のチャーター便を用意して邦人の救出のための輸送を行ったケースが、先ほど申しました昭和四十年のインド・パキスタン戦争を含めて八件あります。そのほかに、インド・パキスタン、それから第四次中東戦争、昭和四十二年、四十六年のパキスタン内戦、四十六年インド・パキスタン戦争、それから五十年のベトナム戦争、これはマニラまで行って待機していたわけでありますが、情勢の変化でフライト自身が実現できませんでした。それから五十一年、中国の北京の近くの大地震がありましたときに、日航機のチャーター便を出しております。
 第二の類例といたしまして、いろいろな事情で我が国の航空会社のチャーター便が使えないあるいは困難ということで、外国航空会社のチャーター機を使ったケースが二件あります。昭和六十三年のミャンマーにおける騒擾の際に、日米共同でタイの航空機をチャーターして邦人の救出をいたしました。それから一昨年、平成三年九月ですが、ザイールで暴動が起きましたときには、地理的その他いろいろ考えまして、スイスの航空機をチャーターして邦人の救出を行いました。
 第三の類例でありますが、日本航空のチャーター便と外国航空会社のチャーター便を組み合わせて複合的に使ったケースは、いずれも平成二年のイラクによるクウエート侵攻のときでありまして、イラクの航空機と日本航空機、イラクの航空機はバグダッドからアンマンまで、それ以遠、例えば東京まで、あるいはバンコクまでは日本航空のチャーター機を使った、こういう第三のケースが四件あったわけであります。
 やむを得ず外国の軍用機等に乗ったケース、いろいろなケースとしまして十件以上あると承知しております。最近の例から申しますと、昨年の十一月、ルアンダ、アンゴラ情勢が悪くなった時点でそこに邦人の方が三名いたわけでありますが、イギリス政府の協力を得て、イギリス軍用機によって三名の邦人が救出されたということであります。
 それから、同じ昨年の五月、フリータウンで起こったときにもやはり、米軍機、これは一名でございましたけれども邦人の方を乗せていただいて救出しておりますし、それから、一昨年の平成三年、ハイチでクーデターが十月に起こったとき。そのときメキシコが軍用機を出して外国人を救出するということで、外務省がメキシコ政府に協力を依頼しまして、邦人が十名以内でございますけれども救出してもらったという例があったと承知をしております。
#56
○渡瀬委員 それでは、このような事態が発生した場合の、これは先ほど宮里議員の質問にもあったかと思いますが、外務大臣が防衛庁長官に対して要請される場合の基準、まずそれが自民党案ではどのようになっておりますか、改めてまた御説明願いたいと思います。
#57
○高村議員 外務大臣が防衛庁長官に救出のための輸送を依頼する場合の判断基準といいますか、考え方でありますが、まずその前提といたしまして、外国におきまして災害、騒乱その他の緊急事態が発生して邦人の退避が緊急に必要とされると
いう状況が、これは当然のことでありますけれども、外国におきまして災害、騒乱その他の緊急事態で定期便等の利用が引き続き可能であるというような場合では、在外邦人の方々にそういう定期便を早急に利用して退避されるよう勧告する、これが第一段階であります。
 次に、そういう定期便の利用が困難あるいは不可能な場合ですけれども、そういう場合におきましては、いろいろな要素、例えば我が国から当該地域までの地理的な距離であるとか、当該国の地理的条件、対象になります空港の状況、施設の状況、それから現地の一般的な情勢、それから輸送対象となり得べき人の数であるとか、時間的な要素、どれほど緊急性があるか、自衛隊機及び民間機のうち、どういうものが利用可能であって、どういう種類があるか、その性能、そういった機体の手配に要する時間を総合的に勘案して、その結果、民間チャーター機及び政府専用機を含む自衛隊機のうち、自衛隊機が最も適当であることを政府において判断した場合に、防衛庁長官に対して外務大臣名で依頼を行うことになるのだろうと思います。
#58
○渡瀬委員 それでは次に移りますが、仮に政府専用機を派遣する場合に、その政府専用機の国際法上の位置づけはどのようになるのでしょうか。単なる民間機のままなのか、それとも軍用機になってそして特別な扱いを受ける、特権がある、そういうことが出てくるのでしょうか、御答弁願いたいと思います。
#59
○町村議員 政府専用機、御承知のように、現在ボーイングが二機あるわけでございますが、これは防衛庁に所属をいたしますし、防衛庁によって運航されるということでございますから、一般論として申し上げますれば、国際法上、これは軍用機としての取り扱いを受けるということになると承知をいたしております。
 今委員御指摘の、その軍用機の国際法上の扱いということにつきましてでありますが、私もそう詳しく知っているわけじゃございませんが、一般国際法上、軍用機につきましては不可侵権といったような特権が一応与えられているということではございますけれども、航空機の歴史というものが比較的新しいということでありまして、特権であるとか免除であるとか、そうした具体的な内容について現行の一般国際法上で何か確立したものあるいは詳細な規則というものがあるかといえば、そういう状況ではないというふうに承知をしております。
 したがいまして、国際条約、例えばシカゴ条約でありますとか、あるいは国際民間航空条約、こうしたものが一般的なルールとして適用されるということになると、これは軍用機も民間機であっても変わりがないということになってまいりますから、外国の領域を飛行するとかあるいは着陸をするという点につきましては、軍用機、民間機の違いがないということでありまして、国際法上、原則の問題ではありますが、当該外国政府の事前の同意が必要であるということであろうと理解をいたしております。
#60
○渡瀬委員 輸送機派遣に際しての、現地の安全性の確認でありますけれども、その点は自民党案ではどのように考えておられましょうか。自衛隊機が運用される場合あるいは民間航空機の場合等について、別々にケースがあると思いますが、お答えを願いたいと思います。
 それから、その問題に関連しまして、先ほど宮里議員がこの輸送に当たる隊員の安全確保の問題で、ただピストルだけでいいのかという御質問がありましたけれども、その人たちの、自衛隊員の、それ自体の安全性の問題、それも一つのテーマとしてあろうかと思います。例えば危険手当をどうするとか、万一の場合、事故があった場合の処遇をどうするとか、そういうことは想定しておられるのか、あるいはもう既に用意があるのか、それを含めてひとつ御説明を願いたいと思います。
#61
○町村議員 先ほどもお答えをいたしましたように、一般国際法上の軍用機たる自衛隊機が運航される場合でありますが、特に民間航空機との違いがあるということにはならないんだろう、こう理解をいたしております。
 そして、外務大臣が防衛庁に運航をお願いするという際に、これは当然関係の在留邦人を安全に輸送するという目的でございますから、現地の飛行場に着陸できるような状況にあるかどうか、あるいはその過程における飛行の空路が当該国によってきちんと管理されているかどうか、こうした点が確認すべき大前提となるということでございます。
 そして、取り残された邦人の救出ということがこの派遣機の仕事になるわけでございますけれども、そのときどきの状況に応じて、先ほど外務大臣からお話がございましたような段階に応じた適時適切な措置を講ずる、大使館に退避をしますとか、集結をしますとか、あるいは退避勧告を出すとか、いろいろな方法もございますし、また状況によっては他の友好国の協力も依頼できる場合があろうか、こうしたことで外務省があらゆる手段を講じていく、こういうことだろうと思います。
 それから、民間航空機の運航が困難あるいは不可能というケースも過去あったわけでございますが、これもケース・バイ・ケースであります。
 例えば民間航空機が辛うじて不定期ながら飛んでいるけれども座席数にゆとりがなかったというような場合、あるいは当該政府の指導で定期便が中断したりとか、しかしチャーター便だけが飛んでいたとか、いろいろなケースがあろうかと思いますので、自衛隊機が最も適当であると総合判断できた場合に外務省から防衛庁に依頼を行うということになるわけであります。その場合、防衛庁としては、受け手としては、自衛隊の任務遂行に支障が生ずるかどうかという観点、それからもう一つは、輸送の運航責任を有する者として、言うならば専門家としての立場から運航が確保できるかどうか、こうしたことを今度は防衛庁としては判断をする、こうしたことを加味しながら総合判断をしていくということになろうかと思います。
 なお、行く自衛官の処遇等の問題については、同僚議員からお答えをさせていただきます。
#62
○高村議員 処遇、危険手当等、そのこと自体についてはこの法案の中には盛り込んでおりませんが、全体的な問題として政府からお答えいただいた方がいいのではないか、こういうふうに思います。
#63
○宝珠山政府委員 本件法案が成立した場合において輸送したときに行われるのが、先ほど来御論議ございますように、あるいは前国会までに御論議ございました法案でも、輸送機を念頭に置いてございます。この航空機乗員に対しましては、その職務の特殊性ということで、これは危険性、困難性でありますとか、肉体的、精神的な疲労等に着目いたしまして、私ども配置手当と呼んでおりますが、航空手当として階級初号俸の七五%から五〇%ほどということで、それぞれの特性に応じて支給されております。
 在外邦人等の輸送というのは、先ほど来御論議がございますように、派遣先国の空港あるいは飛行経路における安全性が確保されているということが前提でございますので、この輸送が通常の航空業務と基本的に同じものではないかという認識に立っておりまして、前国会までにおきましての論議でも、今のところ特別の給与上の措置を必要としないのではないかという考え方に立っております。
 しかし、この業務というのはこれから、法律が成立後行うものでありますので、この特殊性というもの、必ずしも明らかでございません。今後の実施過程におきましてこの業務の特殊性というものが認められ、かつその特殊性でカバーされるものが現行の手当ではカバーされないということが明確になります場合におきましては、関係省庁とも調整を図りながら、どうするかということを検討すべきであろうと考えております。今後、検討させていただくという問題であろうと思いま
す。
#64
○渡瀬委員 ただいまの答弁を聞いておりまして、いつかのPKOのときの議論を思い出しました。あのときも、もう紛争は終わったんだ、もう平穏なところに行くから問題ないんだという説明でしたが、行ってみると大変な違いがあったというふうに聞いております。
 先ほど外務大臣にもお願いしましたように、外務省の職員そのものの安全確保の問題があります。これはもう自衛隊も同じでありますから、その隊員の士気の問題でもありますので、十分なことをひとつやっていただくようにお願いしたいと思います。
 あと、もう率直にお伺いしますけれども、政府専用機は現在の機数で足りますか。メンテナンス中であったり、使用中であったりする場合、何かこのままでいいんだろうかという気がしてならぬわけであります。特に政府案にはそういうふうに書いてありますが、率直な御意見を、まずは提案者から承りたいと思います。
#65
○町村議員 私自身はまだ政府専用機に乗ったことがないのでありますが、私の地元の千歳に二機置いてございます。747が二機あるわけでございまして、ことしの六月から運航開始をされたということであります。この二機というのは、他の先進国などと比べましても、機数、機種とも、非常に用途がふえてきておりますので、したがいまして、私の考えではありますが、これは今後政府において十分検討されるのでありましょう、予算の制約等もあるかもしれませんが、私は専用機の数をふやすということが必要なんではないだろうか、個人的にはそう思っております。
#66
○渡瀬委員 両大臣からひとつ。
#67
○羽田国務大臣 緊急事態における海外邦人の保護というのはやはり適時適切、しかも迅速でなければならないということであろうと思います。こういったときに、国際情勢が非常に流動化していることに伴いまして地域紛争あるいは騒乱等が多発している現状、こういうことを考えましたときに、一般論としてはやはり可能な限りの輸送手段を確保することが必要であろうというふうに考えております。
 いずれにいたしましても、我々としても、実績をよく見ながら検討をしていかなければいけない問題であるというふうに認識をいたしております。
#68
○中西国務大臣 ただいま防衛庁が管理をいたしております政府専用機は、御案内のとおりボーイング747二機を持っております。六月一日付で特別航空輸送隊というものを編成いたしまして、本格運航を開始したところでございます。
 今の二機で大丈夫なのかという御指摘でございますが、率直に私の心境を言わせていただくならば、これだけ国際化が進展をいたしまして、政府専用機の活用率というのは大変なものがございまして、総理も今度APECに行かれる際にこの専用機に乗っていただきますし、この間の韓国にもこの政府専用機で行っていただきました。また、天皇、皇后両陛下の訪欧時の空輸も実施をさせていただきました。また、国賓の輸送ということもこの政府専用機で行うことになっておりますし、これからPKO活動も大変需要が増してくることも容易に想像をされます。その際にも、この政府専用機が使われる。
 こういうふうなことを考えれば、なかなか、大体総理や天皇陛下が行かれるときは二機で行くわけですね。故障した場合にもう一機で対応していくという観点から二機飛んでいく。こういうことですから、機械物でございますから、絶えず、その安全性の確認という意味でも修理点検をしなきゃいけませんし、故障も起こる可能性もございます。そういう意味で、我々としては、最低限度三機は必要がな、今そんな気持ちでおります。
 ちなみに、主要各国のあれを簡単に申し上げますと、アメリカでは政府専用機が四十三機ございます。英国二十一機、フランス十七機、ドイツ二十九機、イタリア十機、これくらいの機数を持って先進国は対応しているという状況でございます。
 以上でございます。
#69
○渡瀬委員 どなたの御意見を聞いても、これでは足りないというふうに理解できたわけでありますが、それならば、これに対応するために、その輸送力をアップするのに、政府専用機の機種、機数をふやすこともなんですけれども、そこで自衛隊の輸送機をそれにあわせて使う、そういう選択の道もあるわけでありますが、これについて提案者のお考えをまず承っておきたいと思います。
#70
○町村議員 なかなか難しい御質問でございまして、今後政府専用機というものを実際にどう活用していって、足りるのか足りないのかというふうなことも考えるのだろうと思いますが、やはり基本的には、政府専用機という形、これを中心に据えていくというのが適当なんではないだろうかな、こう思います。
 ただ、そうはいいましても、危険な事態、紛争等が発生する空港はどちらかというと整備されていないような地域が多いのかもしれない、そんな実態をも考えながら、今直ちにどちらが中心かというのはなかなか結論を出すのが難しい問題なんではないだろうか、さらにもう少し慎重に考えていくべき課題ではないだろうか、こんなふうに考えております。
#71
○渡瀬委員 派遣される航空機の機種を限定すべきではないと私は思うのでありますが、これはひとつこれから大いに検討していただきたいと思います。
 私の持ち時間もなくなりましたので、最後に、私が日ごろ感じております我が国の防衛の問題について一言申し添えさせていただきたいと思うのであります。
 我が国が国際社会の中で将来にわたってどのように生存を確保していくかどうかというのが防衛の基本にあるわけでありますが、そのためには、国際的な軍事情勢を的確に判断し、そして国民の負託にこたえるものでなければならぬと思うわけであります。このためには、我が国の防衛のあり方、まずは日米安保の機能を高めることが大事ではなかろうかと思っております。それから、近々非常に大きな使命として浮上してまいりました国際貢献の問題、これがあろうかと思います。
 なお、我が国をめぐる軍事情勢の変化に伴いまして、基盤的防衛力構想の見直しも日程に上っておるわけでありますけれども、私も、実はかつて防衛計画の大綱、基盤防衛力構想づくりに参画させてもらった一人でありますが、当時の坂田防衛庁長官は、防衛力を整備するについては、何としても国民の理解と支持、そして協力がなければ、いかに装備を整え、隊員をふやしても、真の防衛のポテンシャルを上げることはできないんだということを再三繰り返しておられました。そういう立場で考えますと、今回のこのようなエマーシェンシーに対する自衛隊の体制づくり、こういうものもきちんと的確に早くつくるべき問題ではなかろうかと思うわけであります。そうすることが、国民の自衛隊に対する期待も高まり、信頼感も高まるのではなかろうかと思うわけであります。
 そういうわけで、この法案が一日も早く審議を終えられて成立しますようにお願いをして、私の質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。
#72
○近藤委員長 中村力君。
#73
○中村(力)委員 私は、中村力でございます。
 昨日質問されました浜田靖一委員同様、私にとっては当委員会における初質問であり、国家の安全保障を所管する当委員会に所属し、そしてまた、このような形で質問させていただくことをまことに光栄に存じております。また同時に、責任も痛感いたしております。皆様方の御指導をよろしくお願いいたします。
 さて、私は、自由民主党提案の自衛隊法の一部を改正する法律案について質問申し上げます。
 さきに提出された同改正法案の必要性はだれもがひとしく認めるところであり、私も、宮里委員
そしてまた渡瀬委員と自民党との質疑応答をつぶさに伺いまして、この法案の意図しているところがよく理解できるものでありますが、さらに幾つかの項目について確認させていただきます。
 まず第一に、輸送機の派遣については、その安全性が確保されていることが大前提となるわけですが、派遣された輸送機が日本人のほかに外国人を同乗させる場合、その中に、犯罪者、テロリスト、あるいは紛争当事者の指導的立場にある人を同乗させるということになる心配はないでしょうか。そしてまた、機内の安全は確保されるのでしょうか。お願いします。
#74
○町村議員 中村議員にお答え申し上げます。
 今御指摘のこの安全性の問題、そして同乗者の危険性の問題、大変重要な問題だと私どもも思っております。
 まず、派遣先国の空港それから飛行経路、これらにつきましては、先般来申し上げておりますけれども、派遣先国政府の措置によって航空機の航行が確保されているということが大前提になるわけでございます。また、その航行の確認ということを踏まえまして、派遣先国が輸送機に対して着陸の許可を出す、こういう仕組みになっております。
 そして、外国人の同乗を認める場合、こういうことにつきましては、やはり人道的な見地から、その救出機しか他に手段がないというようなことがまず第一に必要でありましょうし、二番目は、申しわけないがまず邦人の救出優先ということですが、なおかつ座席にスペースがあるといったような場合には、外国の方もお乗せするというケースもまたあろうかと思います。それから三番目は、やはり何といっても、相手国政府あるいはその同乗させるべき人の政府から、ぜひこの人を乗せてやってくれといったような政府からの要請がある、こうしたことの条件といいましょうか、これが満たされているということが必要なのだろう、こう思います。したがいまして、御指摘の、犯罪者とかテロリスト、あるいは紛争の当事者の指導的な立場にある人、こういう人たちをよもや関係国政府が乗せてくれと頼んでくることは考えられないんじゃないのかなということが言えるわけでございます。
 しかしながら、機内の安全性ということについては、それでもなおかつ、万が一のケースでありますが、チェックをすり抜けて飛行機の中に危険物を持ち込むといったような外国人がいないかといえば、それは万が一のケースとして、絶対ないとは言えないでしょう。その辺を考えまして、先ほど同僚の鈴木委員が御説明を申し上げましたけれども、防衛庁としては、警務官を同乗させる、そして、必要な状況に応じましてこれにけん銃を保有させて、これをもって機内の秩序を図るということがこの法律によってできる、このように考えているわけであります。
#75
○中村(力)委員 先ほどより使用機種を政府専用機に限定しない理由を御説明いただきまして、政府専用機がほかの目的で使用中または整備中などのため使用できない場合、在外邦人保護のための輸送ができないとすることは不合理であること、また、飛行場など、被派遣国の受け入れ能力などにより適切な輸送手段を使用することが当該輸送を最も効率的にでさることであることを考え合わせれば、自民党案で政府専用機に限定しなかったことが賢明な御判断であったと私も実感いたしております。
 ここで、自衛隊機活用の必要性についてお聞かせください。
#76
○谷垣議員 今まで緊急時における在外邦人の救出ということにつきましては、民間機を活用したりあるいは外国の飛行機にお願いをしたり、いろいろな手段を講じてきたわけであります。
 今度、先ほどから御議論がされておりますように、自衛隊にも政府専用機の運用というものが任されました。したがって、従来の民間機あるいは外国の飛行機だけではなく、それにあわせて自衛隊機も使って邦人救出ができるのではないか、そういう新しいオプションもつくろうということを今回お願いしているわけでありまして、もう自衛隊機だけで、政府専用機だけで、今までのほかの手段を排除してやろうという考えではないわけであります。
 そして武器使用につきましても、非常に厳しいマニュアルをちゃんと守っていく、しかし最小限度の機内の保安ということも考えなくてはならないであろう、こういうようなことで、今回私たちのこの法案をお願いしているわけであります。
#77
○中村(力)委員 政府専用機以外に使用できる機種としてはC130が考えられるわけですが、どのような使い分けをされるのでしょうか。
#78
○谷垣議員 C130につきましてまず考えられますことは、先ほどから御議論のように、今政府専用機、ボーイング747は二機しかないわけでありますから、それが使用中で使えないというような場合、これがまず考えられます。それからもう一つは、派遣先国の、これから行かなければならない空港の滑走路が短くてジャンボが着陸できないというような場合がございます。そういう場合には、滑走路が短くて済むC130を活用することが考えられるわけでございます。
 しかしそれだけではなくて、政府専用機が使える場合におきましても、状況によってはC130を使うということがあるんだろうと思うのですね。例えば、それほどたくさんの邦人を乗せなくてよいような場合。C130というのは九十人を運ぶことができるわけでありますから、それ以下の場合には何も大きなジャンボ、政府専用機を飛ばす必要がない、C130で足りるじゃないか、こういう場合があろうかと思います。
 そういうわけでございますから、どちらを使っていくかというのは、結局具体的なケースに応じて妥当な判断をしていくということになるのではないか、こういうふうに思っております。
#79
○中村(力)委員 では、民間機と自衛隊機の使い分けについてはどのようにお考えなのでしょうか。
#80
○町村議員 先ほどもちょっと申し上げましたが、まず、定期便が運航しているときはできるだけ早くこれを使っていただくということだろうと思いますし、定期便がだめだという場合に初めて民間チャーター機かあるいは自衛隊機がという御指摘のような状況が来るわけでございますが、なかなか一概には言い切れないので、これは答弁の常套かもしれませんが、ケース・バイ・ケースで総合的に判断をするということにならざるを得ないだろうと思います。
 例示的に判断基準の幾つかを申し上げますれば、一つは、当該緊急事態が起こっている場所と日本との距離、それから二番目は、その地域の地理的な状況、それから現地の空港の施設、それから現地の紛争等の状況とそれから今後の見通し、それから一体何人輸送しなければならないかという対象人数、それから当然のことですが、事態の緊急性といった時間的な要素、こういうことをいろいろな角度から考えるということ。それからもう一つは、先ほど谷垣議員お答えのように、民間機あるいは自衛隊機、民間機のチャーター機の方ですけれども、その利用可能な航空機にどういうものがあるか、あるいはその性能それから準備に要する期間、時間、こうしたものを検討して総合的に判断をするということになるのだろうと思いまして、一概にどちらのケースはどちらというのはあらかじめお答えするのはなかなか難しいかな、こう思っております。
#81
○中村(力)委員 また、一度に派遣される飛行機の数の上限については、自民党案ではどのようにお考えなのでしょうか。
#82
○谷垣議員 純理論的と申しますか、今回の法律、純法律的には特段の制約というものはありません。理論的には何機でも行くことができるということだろうと思います。
 しかし、実態面といいますか、その方からは当然制約があるわけでありまして、その輸送を担当すべき状況であるとか、あるいは一体だれがその状況に当たっているのか、あるいは距離ですね、どのくらいの遠いところなのか。それからもう一
つは、その飛行機を派遣することによって自衛隊の本来の任務が阻害されるようなことであっては困る。そういうようなことから、おのずから制約があろうかと思っております。
 実際にはそれほど多くのものが行くということは想定されておりませんけれども、理論的には先ほど申し上げたようなことでございます。
#83
○中村(力)委員 これまでの御答弁からも明らかになっておりますように、何が何でも政府専用機というのではなく、状況、情勢などを的確に判断し、選択の幅を広げていただいていることが読み取れるわけですけれども、緊急事態の対処としては、いついかなる場合にも短時間で対応できることが必要となることを考えるならば、さきに提出された自民党案の考えをとることが肝要であると私も考えるところであります。
 ここで基本的な質問で恐縮ですけれども、C130の特性について御説明ください。
#84
○町村議員 C130の場合、これはあり得べしということを先ほど来御答弁を申し上げておりますけれども、要するにその運用が適切な場合に限られてくるだろう、こう思っております。
 例えば、派遣先国の空港の滑走路が短い、したがって747では着陸できない、しかしC130ならおりられる、こういうケースは当然これをオプションの中に入れるということであろうと思います。また、輸送すべき対象人数が非常に少ないという場合に、ジャンボの場合は三百人乗せることができるわけでありますが、C130の場合は最大九十人乗せられるということでありますから、その場合はそちらでもいいではないかというオプションもあり得ようかと思います。
 そんなようなことで、適切な手段で適切なケースでこれを使うということで、C130、当然あり得るのだろうと思っております。
#85
○中村(力)委員 緊急事態でありますから、オールラウンドで対処できるよう措置することが望まれますけれども、我が国、日本から遠く離れた地で救助を必要としているような事例が生じた場合の輸送機の派遣についてどうお考えになられているか、御説明願います。
#86
○谷垣議員 大変遠いところ、例えば日本から見て地球の裏側のようなところでこういう緊急事態が発生したとしますと、現実的な対応としては、やはり一番その地域から近くにある、近くに飛んでいる定期航空、そういうものをまず利用するということが考えられると思います。そういう定期航空がないような場合にはその地域の近くからチャーターをするというような努力を第二義的にするのが実際的であろうかと思います。こっちから飛んでいくよりはるかに間に合う、こういうことでございます。しかし、そういうこともなかなか不可能であって、飛行機が見つからない、時間的にも間に合わない、こういうような場合には自衛隊機に依頼して飛んでいってもらう、こういうようなことではないかと考えております。
#87
○中村(力)委員 たびたび基本的な質問で恐縮ですけれども、政府専用機の航空機の航続距離はどれくらいあるでしょうか。また、一刻も早い救援を在外邦人が待ち望んでいることを考えた場合、給油などが仮に必要な場合、空中給油なども考慮に入れることは考えられますでしょうか。
#88
○谷垣議員 政府専用機、747−400型の飛行機の航続距離、これは、積んでいる荷物の重量等にもよるわけでありますけれども、基本的には一万三千キロぐらい飛べるわけであります。ですから、通常のスタイルであれば、一万三千キロ、これは無給油で飛べる。しかし、安全度その他を考えて途中で給油するというケースももちろんあるだろうと思います。どこかに寄って給油をするということでございまして、空中給油ということを特に考えているわけではありません。
#89
○中村(力)委員 仮に自衛隊が武力行使をなし得る場合の法的な根拠規定はどこに求められるのか、念のためお伺いいたします。
#90
○町村議員 今回のこの提案しております法案、緊急事態における邦人の救出と、大変困難な仕事だろうと思いますが、念のために、委員御承知のことではございますが申し上げておきます。
 これは、武力行使をしに海外に行くのではないか、したがって自衛隊の海外派遣だ、こうしたいわれもない批判が一部の方々から出ておりますが、もとよりそういうことではなくて、まさに人道的見地に立って邦人の救出に行くというのが今回の法律改正の目的であるということは、まず冒頭、念のために申し上げさせていただきますが、御質問でございますからお答えいたします。
 自衛隊法八十八条というのがございまして、これによりますと、自衛隊法第七十六条第一項の規定により出動を命ぜられた自衛隊は、わが国を防衛するため、必要な武力を行使することができる、こういう規定がございます。こうした形で、自衛隊法は、防衛出動を命ぜられた場合において、八十八条の規定に基づき、外部からの武力攻撃に対して我が国を防衛するため、自衛権の発動として武力行使することが認められているということになっております。
 もちろん、この場合の武力行使につきましては、従来から答弁をしておりますけれども、第一に、我が国に対する急迫不正の侵害があるということ、第二に、これを排除するために他の適当な手段がないということ、第三に、その行使が必要最小限度の実力行使にとどまるべきであること、こうした三つの要件を必要とするということを従来からも言っておりますし、こうした見解は今後ともまた維持されるべきものであろう、このように考えております。
#91
○中村(力)委員 あと残り二つの点について質問させていただきたいと思います。
 自民党改正法案中の「その他の緊急事態」とは何を指すのでしょうか。
#92
○谷垣議員 この改正案の条文を見ますと、「外国における災害、騒乱その他の緊急事態」こう書いてあります。災害、騒乱というのが例示してあるわけでございますから、「その他の緊急事態」というのもこの例示から考えていくということであろうと思います。
 細かに申し上げることはなかなか難しいのですが、種々雑多でございますけれども、内乱あるいは騒擾、先ほど申し上げましたように国内的な秩序が乱れているというような場合ですね。あるいは、大規模な自然災害、人為災害というものも含まれるのではないかと思います。それから、紛争と申しますか、あるいは侵攻というようなこともこの「その他の緊急事態」というのに含まれるのではないかと考えております。
#93
○中村(力)委員 最後に、一般的そして恒常的な権限を自衛隊法の中に盛り込む趣旨がどこにあるのでしょうか、お教え願います。
#94
○町村議員 重ねての答弁になるかもしれませんが、まず、この権限を法定する必要性の方から申し上げさせていただきますと、従来からこれは、外国における災害、騒乱等の緊急事態に際しまして、生命等の保護を要する邦人について民間機をチャーターする、こうした方法で対応してきたわけでございますが、先ほど来御説明させていただきましたように、なかなかこうした民間航空会社のチャーターといったようなことは時間がかかる、適切なタイミングで対応することが難しい。こんな問題点を改善するために、政府専用機が防衛庁に移管をされた、このことを契機といたしまして、在外邦人保護のための輸送を行うことができる権限を防衛庁長官に付与するための自衛隊法の改正である、こういう趣旨でございます。
 そのとき、一般的、恒常的な権限として規定するという意味合いは、あらかじめ一般的にこれを規定をしておいて、そういう仕組みをつくっておいて、そして、いつでもこういう事態に対応できるようにしていこうということでありまして、別にこういう事態が頻発することを望むものではもとよりないわけでございますが、これだけ民族紛争等々も起き、あるいはいろいろな内乱、騒擾、大規模災害、こういうようなものもある、そして他方、邦人の海外における活躍というのは目覚ましく広がっているということを考えたときに、やはりこうした権限を一般的、恒常的なものとして
自衛隊に付与しておくことが今の日本の置かれた状況の中では適切なのではなかろうか、こういうことでこうした改正を必要とする、このように考えた次第でございます。
#95
○中村(力)委員 最後に、私が安全保障委員会に所属させていただきまして以前から感じていることを一言述べさせていただいて、終わりたいと思います。
 本委員会で発言することが適当かどうかはわかりませんけれども、数年前までは、例えば軍事あるいは防衛のことについて一般の人たちが話をするということは、それだけで、右翼という言葉が適当かどうかはわかりませんけれども、そのように言われることがありました。私も、十年ほど前にヨーロッパに参りまして、例えばイギリスでは戦争博物館とか、フランスではナポレオン博物館というのがありますけれども、そこにまず最初に行きたいんだということをある人に言いましたら、あなた右翼ですか、そういうようなことを言われました。
 これは極端な話にしても、これまでの戦後の長い年月の中での最大の不幸は、そのような形で、私たちがそれぞれ考えなければならないこと、せめて関心を持たなければならないことについて議論し合うことでさえタブーとされてきたということが最大の不幸であり、それが、幸いにして、三年前でしょうか、湾岸危機、湾岸戦争のころから少しずつ冷静な形で議論されてきたことは何より喜ばしい限りだと思っております。
 言うまでもなく、自衛隊は国民の理解と支持がなければその能力を十分発揮することはできませんし、また、自衛隊のさまざまな活動が国民の中に深い理解を得て、国民から信頼されているという実感を得ることによって、隊員の士気も高まり、自信を持って任務を遂行することができることと考えます。
 自衛隊の第一義的な任務は国の防衛にあることは申し上げるまでもありませんが、そのほかに、天災地変その他の災害に対する救援のための災害派遣、あるいは各種の部外協力活動、さらにはPKO法の成立によって積極的な国際貢献を行っており、その成果はさきのカンボジアPKOによって実証されております。
 これらの活動は、私たち国民生活や社会秩序の維持、さらに国際社会における平和と安定に寄与するとともに、隊員には、国際社会にあるいは国民に対し貢献しているという誇りと職務に対する自負心を植えていることも事実です。私は、国際貢献、そして災害派遣などで活躍されている自衛隊員の姿を見るとき、心から感謝の気持ちが込み上げてまいります。そうした隊員への素直な気持ちが何よりも隊員にとっての励ましになるとともに、国民と自衛隊の一体感を生むきずなとなるものと考えます。
 このように、自衛隊は国民の財産と呼ぶにふさわしい存在であり、日々私たち国民の生命財産を守るためひたむきな努力を行っていることを忘れてはなりませんし、私も当委員会所属委員の一人として微力ながら力になっていくことをお約束し、質問を終わります。
#96
○近藤委員長 次回は、来る十六日火曜日午後零時五十分理事会、午後一時から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後四時四十二分散会
     ――――◇―――――
ソース: 国立国会図書館
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