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1993/10/26 第128回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第128回国会 農林水産委員会 第3号
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1993/10/26 第128回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第128回国会 農林水産委員会 第3号

#1
第128回国会 農林水産委員会 第3号
平成五年十月二十六日(火曜日)
    午後一時開議
出席委員
  委員長 竹内  猛君
   理事 石破  茂君 理事 久間 章生君
   理事 中川 昭一君 理事 二田 孝治君
   理事 前島 秀行君 理事 仲村 正治君
   理事 千葉 国男君 理事 錦織  淳君
      赤城 徳彦君    菊池福治郎君
      岸本 光造君    栗原 裕康君
      七条  明君    玉沢徳一郎君
      中谷  元君    浜田 靖一君
      林  幹雄君    保利 耕輔君
      松岡 利勝君    松下 忠洋君
     三ッ林弥太郎君    御法川英文君
      山本 公一君    石橋 大吉君
      遠藤  登君    辻  一彦君
      実川 幸夫君    白沢 三郎君
      広野ただし君    上田  勇君
      長内 順一君    倉田 栄喜君
      井出 正一君    木幡 弘道君
      初村謙一郎君    小平 忠正君
      藤田 スミ君
 出席国務大臣
        内閣総理大臣  細川 護煕君
        農林水産大臣  畑 英次郎君
 出席政府委員
        内閣法制局第一 津野  修君
        部長
        大蔵省国際金融 加藤 隆俊君
        局長
        農林水産大臣官 上野 博史君
        房長
        農林水産省経済 眞鍋 武紀君
        局長
        農林水産省構造 入澤  肇君
        改善局長
        農林水産省農蚕 高橋 政行君
        園芸局長
        食糧庁長官   鶴岡 俊彦君
 委員外の出席者
        農林水産委員会 黒木 敏郎君
        調査室長
    ―――――――――――――
委員の異動
十月二十六日
 辞任        補欠選任
  林  幹雄君    玉沢徳一郎君
同日
 辞任        補欠選任
  玉沢徳一郎君    林  幹雄君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 農林水産業の振興に関する件(米問題)
     ――――◇―――――
#2
○竹内委員長 これより会議を開きます。
 農林水産業の振興に関する件について調査を進めます。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。石橋大吉君。
#3
○石橋(大)委員 細川総理、大変御多忙な中、本委員会のたっての要望にこたえまして御出席を賜りましたことを、まず冒頭に厚くお礼を申します。
 私は、連立与党各党を代表いたしまして、極めて限られた時間でありますが、米の関税化、輸入自由化に関連をいたしまして、以下若干の質問を申し上げたいと思います。
 まず第一にお伺いしたいのは、御承知のとおり、十二月十五日の交渉期限を前にいたしまして、ガットのウルグアイ・ラウンドが交渉決着に向けて極めて重大な局面を迎えているわけであります。
 そこで、我が国国民の主食である米については関税化や輸入自由化は認めず、国内自給を堅持すべきである、こういう従来からの政府の基本方針について、これを堅持するという総理のお考えにいささかの変化もないのかどうか。決意のほどを伺わせていただきたいと思います。
 御承知のとおり、衆議院は、米輸入自由化反対について、以下の三回の決議を行っております。すなわち、第九十一国会、昭和五十五年四月の食糧自給力強化に関する決議、第百一国会、昭和五十九年七月の米の需給安定に関する決議、第百十三国会、昭和六十三年九月の米の自由化反対に関する決議の三つの決議であります。
 なぜこういう決議が行われるに至ったのか。その背景について思い起こしてみますと、一九七三年、前年の異常気象によってアメリカの大豆の生産が大幅に減少し、そのためにアメリカ国内の供給に不安が生ずるというようなことから、日本などに対する大豆の輸出が禁止をさせ、非常に大きなショックを与えられたこと、また、一九七九年にソ連が突如としてアフガニスタンに侵攻したことに対し、アメリカは直ちに対ソ穀物輸出を禁止し、いわゆる武器としての食糧戦略を断行したわけであります。こういう事実に直面し、国家や民族の自立にとって食糧を自給すること、特に、我が国においては主食である米を自給することが極めて重要であることが痛感されたからであります。このような食糧の安全保障の重要性は、最近ますます人類全体にとっての大きな問題となりつつあります。
 その一つの大きな理由は、人口増加と食糧生産の関係で非常に厳しい現実を示しつつあるからであります。例えば、一昨年、一九九一年五月十三日に発表された国連の人口白書でありますが、一九九〇年代の初め、世界の総人口は約五十四億人、これが二〇〇一年には六十四億人となり、二〇二五年には八十五億人、二〇五〇年には百億人を突破する、こういう人口増加のもとで予想される事態は、@食糧の供給不足による飢餓の発生、A食糧不足地域での紛争激化と戦争の勃発、Bエネルギー使用量の増大に伴う化石燃料など資源の枯渇、全世界に向けてこういう警告を発しているわけであります。
 もう一つ、環境問題の第一人者であり、世界的な農業経済学者として知られるレスター・ブラウンは、その編著「地球の挑戦」でこう言っております。「八〇年代の前半まで世界の食糧生産は人口増加に対して順調に増加してきた。しかし、一九八四年から一九九〇年になると、残念ながら食糧生産の伸びは年一%に低下し、人口増加率の半分も満たさなくなった。この不安な動向が新しい時代の対応を告げている。食糧と人口との許容バランスが従来のやり方では達成できなくなる時代がくるのだ。」こう言っています。そして、その原因は、毎年数百万ヘクタールに及ぶ耕地の消滅が原因だとされておりますから、これは極めて構造的な問題であります。
 ちなみに一七月十三日に発表されました国連食糧農業機構の報告によりますと、今後二十年間に日本の全面積の四倍、一億四千万ヘクタールの農地が消滅すると言われています。人口増加に伴うエネルギー源としての森林の消滅が農地の消滅につながっているわけであります。
 こういう状況から今後を展望いたしますと、この国、一億二千万人の食糧の安全を確保するためには、国内の農業生産を確保する、主食であり、総合食品としてもすぐれた米の自給を堅持すること、これはますます重要になってまいりますから、国内農業をつぶすおそれのある米の関税化、輸入
自由化は何としても避けなければならない、こういうふうに考えるわけであります。
 総理の所信と決意のほどをまず伺いたいと思います。
#4
○細川内閣総理大臣 自由化の問題についての決意いかんということでございますが、本会議あるいは予算委員会等でも再三申し上げてきていることでございますが、政府といたしましては、ウルグアイ・ラウンド交渉の年内終結に向けまして引き続き努力をしていくということでございますが、同時に、政府としては、今後の交渉に当たりまして、生産農家があるいは我が国の農業が将来に向けて安心して生産を続けていくことができるようなそういう環境というものを確保していくということが何よりも大切なことである、このように考えております。
 交渉が最終段階を迎えております中で、各国とも農業の問題についてはそれぞれ困難な問題を抱えておりますが、相互に譲り合うところは譲り合って、協調すべきところは協調して、解決に向けて最大限努力を傾けていくということが重要であろう、このように考えているところでございます。
 ただ、米につきましては、その重要性にかんがみまして、国会の決議の趣旨を体して国内産で自給するという基本方針のもとで対処してまいりたい、これも再三申し上げてきているとおりでございます。
#5
○石橋(大)委員 質問時間がわずか十五分ですので、次に武村官房長官の談話に関連してちょっと聞こうと思いましたが、順序を入れかえまして、ガットのウルグアイ・ラウンドの中心的課題である自由貿易主義の原則と、食糧輸入大国としての我が国の立場に関連して総理の所見を伺っておきたいと思います。
 御承知のとおり、アメリカを初めとする食糧輸出国は、自由貿易主義の原則を振りかざして、我が国に対し執拗に米の輸入自由化を迫ってまいったわけであります。しかし、この原則と世界貿易の現実の間には大きな乖離があり、また著しい不公平がある、こういうふうに私は見ておるわけであります。
 アメリカの通商問題では第一人者と言われ、ニューヨーク・タイムズなど三百を超える新聞、雑誌に寄稿すると言われているジェームズ・ボパードというフリーのジャーナリストが、去年の春、「アメリカの貿易は公正か」、こういう著書を発表し、我が国においても翻訳、紹介されておりますが、その著書の中でこう言っています。「著者の考えでは、「公正貿易」は、この世紀におけるアメリカによる最大の「知的詐偽」の一つである。政治家が海外に対して公正貿易を要求すればするほどアメリカの貿易政策は不公正になる。政治家が、砂糖、タバコ、線維、鉄鋼、自動車等の、非能率的で、競争力はないが、巨大な政治的影響力を持つ産業の御機嫌をとり、これらの特殊利益集団の損にならないよう「公正貿易」という概念を身勝手に定義づけ、そして、定義そのものを頻繁に変えてきている。」そして、「アメリカには八千品目に及ぶ関税対象、最高四五八%の関税率、三千品目に及ぶ輸入割り当てがある。」こう言っているわけであります。
 ガットの自由貿易主義に関連して非常に問題があり、ガットの原則そのものを空文化しているものに、輸出自主規制という名の保護主義の横行があります。日米関係を見ましても、日米カラーテレビ輸出自主規制一九七七年、日米自動車協定一九八〇年、日米鉄鋼輸出規制一九八四年、日米半導体協定一九八六年など、事実上の管理貿易が横行しているのであります。ガットの自由貿易主義の空文化と言ってよかろうと思います。
 また、今日のウルグアイ・ラウンド交渉において我が国政府も強く主張してまいりました、食糧輸入国にとって死活問題とも言うべき輸出数量制限の問題であります。すなわちガット第十一条二項(a)で、数量制限禁止の一般的例外として、「食糧その他輸出締約国にとって不可欠の産品の危機的な不足を防止し、又は緩和するために一時的に課する」措置を挙げているわけでありますが、これがいわゆる食糧危機における輸出国の食糧輸出禁止の公認であります。
 その趣旨は、飢饉による穀物欠乏などを予想したものであり、また外国における価格騰貴の結果、国内の同種産品の価格が騰貴し、当該産品の不足を招来するような場合を想定していると説明されているのであります。しかもこの条項は、今回のウルグアイ・ラウンドの交渉でも厳然として残されることになっているわけであります。輸入国の立場を無視した、まことに不公平きわまる話であります。
 以上、要するにこういう事実を見ると、アメリカなど輸出国の勝手きわまる圧力に屈することは私はない思います。米の輸入自由化を阻止をする、せめて一つぐらいは断じて国益を守る、こういう観点に立って米の国内自給の原則を堅持されるべきだ、こういうことを強調せざるを得ない大きな理由の一つでありますが、この点、総理の所信を伺っておきたいと思います。
#6
○細川内閣総理大臣 農業については、農業の幾つかの分野については保護措置が残ってもいいのではないか、こういう趣旨であろうかと思いますが、農業は、お話がございましたように、他の経済の分野とはおのずからこれは異なったものであると、私もそう認識をいたしております。食糧の確保のみならず、環境の問題、国土の保全、あるいはまた地域の経済へのいろいろな影響、そういったようなことから考えますと、農業の持つ外部効果とでも申しますか、あるいは非貿易的な関心事項とでも申しますか、そうしたことに強くやはり留意をしなければならないと思っておりますし、そうした点につきまして、ラウンドの交渉の場におきましても、従来から我が方の立場というものを強く主張をしてきておりますし、また今後とも交渉の過程の中でそのことを強く訴えていきたい、こう思っております。
#7
○石橋(大)委員 ぜひひとつそういう基本的な姿勢を堅持をして頑張っていただきたい、こう思います。
 ごくわずかしか時間がありませんが、さっきちょっと順序を入れかえましたが、「コメ決断は近い」こういう武村官房長官発言について、総理の所見を承っておきたいと思います。
 御承知のとおり、十月二十四日付日本経済新聞によりますと、「武村官房長官は二十三日、福岡市内で講演し、コメ市場開放と絡む多角的貿易交渉(ウルグアイ・ラウンド)への対応について「米欧の話し合いはかなり整ってきている。もはや日本だけ抵抗できないくらいに進んでいるのも事実だ。最後の決断を迫られる時が近づいている」と述べ、何らかの市場開放措置をとらざるを得ないとの考えを強調した。」こういうふうに報じられております。
 続いて、この十月二十五日の午前の記者会見におきましても、武村官房長官は、「十一月十五日が期限になっているウルグアイ・ラウンドの国別表の提出とコメの市場開放問題の関連について「まだ日があるので、日本政府としてぎりぎりまで協議していく。だが、米国とECの農業交渉の協議が完全に収まるかもしれない。その具合によって、日本の答えの出し方がかなり影響される」と述べ、米・EC交渉の進展次第では、国別表の提出時に日本政府がコメについての政治決断を迫られる可能性があるとの見通しを示した。」こういうふうに朝日新聞に報じられているわけであります。
 官房長官の発言ではありますが、内閣のスポークスマンの発言ですから、総理の御見解をこの点について伺っておきたいと思います。
#8
○細川内閣総理大臣 官房長官は、昨日の記者会見におきまして、二十三日の発言につきましてこのように言っておられます。一つは、ウルグアイ・ラウンドは本年末を期限として交渉が進められているし、年内終結に向けて政府としても最終の判断をする必要がある、そうした中で、米については、国会決議の趣旨を体し従来の基本方針のもとで対処していく、そういう趣旨を述べたものと、
こういうふうにおっしゃっておられますわけで、これまでの政府の方針に沿った発言であるというふうに私は理解をいたしております。
#9
○石橋(大)委員 持ち時間がちょうど来ましたのでこれで終わりたいと思いますが、どうかひとつ、三度にわたる国会決議をしっかり踏まえて今後の交渉に対処をしていただきますようにお願いいたしまして、私の質問を終わります。
 ありがとうございました。
#10
○竹内委員長 玉沢徳一郎君。
#11
○玉沢委員 米の関税化並びに自由化の問題に対しまして、総理に質疑をいたしたいと思いますが、その前に、基本的な問題としまして、総理の持っておられる農業観、歴史観、これに対して若干問いただしてみたいと存じます。せっかくの農林水産委員会における総理の出席でございますので、しっかりとひとつお答えをいただきたいと思います。
 まず第一に、総理は、八月二十三日の就任初めての所信表明におきまして、細川内閣の性格を責任ある変革内閣と規定しました。そしてその総理の所信表明の中にもありますが、さらにはまた、その前に総理が「日本新党 責任ある変革」という著作、これは本年の四月三十日に刊行されておるわけでありますが、その中におきまして、日本を変える農業、農村の活性化政策について言及されております。いろいろと述べられまして、結論のところに参りますと、このように申しております。「結論からいうと、将来、ウルグアイ・ラウンド交渉によりコメの完全自由化になっても、決して日本の農業が危機にひんすることはない。」こう述べておられるわけでありますが、総理の、現在、基本的な認識として、これは態度が変わっておられないかどうか、まずお伺いいたしたいと思います。
#12
○細川内閣総理大臣 農業についての基本的な考え方、理念というものはいかなるものか、こういうお尋ねでございますが、農業は、先ほどのお尋ねにもお答えをいたしましたように、食糧の確保あるいはまた国土の保全、環境からの視点、地域の経済、その他さまざまな観点から考えていかなければならない極めて国家にとっての基本的なベースになるものであるというふうに思っております。
 私は、農業は国のもとであるということをかねてから持論として持っておりますし、農本主義という言葉はちょっと古めかしいのかと思いますが、言うなれば新農本主義者と自負をしてもいい、そんなことまで言ってきたわけですが、農本主義という言葉が古ければ、新田園主義者だ、そういう言葉で言ってきたわけですが、史上先進国と言われるところで、史上というか、先進国と言われるところは一般に工業国であるというふうに思われがちでありますけれども、実際にはいずれも、アメリカでもフランスでもイギリスでも、皆農業大国なのであって、そのことをやはりしっかり、当たり前のことといえば当たり前のことかもしれませんが、我々はしっかりと銘記をしておくことが肝要であろうというふうに思っております。
 農業は、私は、多少楽観的だといっておしかりをいただくかもしれませんが、まだまだ技術革新の余地が非常に残されている分野であるというふうに思っておりまして、そういう意味では農業の将来に対して、確かに後継者の方々が減っておられる、荒れている農地もどんどんふえてきている、さまざまな観点から大変厳しい環境であるとは思いますが、しかし、今申し上げましたような、技術革新の余地が非常にあるといったようなことも考えますと、決して私は悲観をすべき材料ばかりではなくて、農業の将来に対してもっと前向きな受けとめ方というものをすべきではないか、また、それが日本の農業というものを救っていく基本的な一つの考え方であっていいのではないか、そのように思っているわけでございます。
 農業政策と一言で申しましても、中身はいろいろございましょう。農業、農村政策もあれば、あるいはまた生産政策もあれば、食糧政策という観点からのとらえ方もございましょう。そうしたものをすべてひっくるめて一言で言えば、さきに農水省が出された新政策というものに一番その考え方がよく出ている、あれは非常によくできたものだ、私はそう思っておりますし、あそこに盛られている施策を着実に進めていくということが今後の日本の農業にとって確かな足がかりを築いていくことになるのではないか、いろいろな申し上げようがあると思いますが、端的に申し上げればそういうことかなというふうに思っております。
#13
○玉沢委員 総理が端的に私の質問に対して答えておりませんので、つまり、現在の認識として、米の完全自由化になりましても日本の農業は危機に瀕することはない、こういうことは、技術革新をして規模の拡大を行っていけば要するに外国とも競争できる、足腰の強い農業になるから自由化になっても心配はない、こういう意味ですね。
#14
○細川内閣総理大臣 それは、規模の拡大だけではとても私は自由化をして競争力のある農業になれるとは考えておりません。規模の拡大も農業の活性化のために極めて重要なポイントだとは思っておりますが、また、そのためにそれと並行して濃密な基盤整備を進めていくということも大変重要なことだと思っておりますが、しかし六割余りは中山間地でありますし、大規模な基盤整備ばかりやれるという状況でないことも、そういう土地状況でないこともこれまた事実でございますし、その辺の、中核的な役割を担っていく稲作の専業農家と、また中山間地におけるそれぞれの役割というものを担った農家というものに対する対策というものがあわせて行われて初めて日本の農業というものはいい方向に向かっていくのであろう、規模拡大だけで自由化に対抗できるような状況にはとてもなることはできない、そのように認識しております。
#15
○玉沢委員 そこで、総理の著作に戻るわけでありますが、規模の拡大だけではなかなかできない。そうなってまいりますと、技術の革新と、この本の中におきましては、「工業においては、世界一の技術を持つロボットで省力化を徹底させ、コストダウンを図った。農業にも農業ロボットが登場するハイテク農業への転換はできるはずである。」こう言っておるわけですね。そして、世界の経済は競争原理で成立しておるのであって、この競争原理というものを重要視して今まで日本の産業というものはこれに打ちかってきた、だから自由化しても、工業の持ついわゆるロボット化、技術化、そういうようなものを駆使すれば、規模の拡大、技術の革新と相まってこれはやれる、こういうふうに今考えておられますね。
 それから、同時に、規模の拡大につきましては、これは、農業後継者が非常に少ないということを強調されておりまして、端的に申し上げますよ、そういう状態でありますれば、現在の状態では日本の農業構造は二戸当たりで全国で百八ヘクタールに拡大する方向になってきている、こういうようなことも申していますね。
 私は、総理に申し上げてみたいと思いますのは、農業の発展というものを期す場合におきましては、やはり農業の実態というもの、我々も生産性を向上させて規模を拡大させながら新政策を進めていくという点については全く同じなんですよ。ただ、総理の書いておられる著作と我々の認識が違いますのは、農業は、そのように、工業と同じように規模の拡大をして技術革新をしてやっていけばすべて競争原理で世界の農業にも勝てるというようなことにはならないところに問題があるのですね。だから、あえてここで私は取り上げてみたいと思いますけれども、例えば生産性を向上せしめるという上におきまして、とかくこれは日経連等の財界の物の考え方なんですが、だから、総理は先ほど農本主義ということを言いましたが、農本主義とは、日経連の考え方とはちょっと違うのですね。あくまでも大地に基づいて自然のことわりというものを十分認識してやっておる、こういうことを私はまず申し上げておきたいと思うのです。
 そこで、農業における生産性の向上といいますのは、歴史的に見て飛躍的に、二倍も三倍も上がっ
たというような認識を総理はお持ちですか。私は米の反当収量につきましてずっと調べてまいりました。例えば現在は、我が国の反当収量は約五百キロに近い、正確に言えば四百九十九キロですが。ところが、明治の時代におきましては、明治三十一年、一八九八年でありますが、平均反当収量は二百五十キロなんですね。ですから、この現在の収量になるまで、二倍になるまでどのくらい技術革新を行いながらやってきたかと申しますと、九十五年かかっているのですよ。この事実をお認めになると思いますが、いかがですか。
#16
○細川内閣総理大臣 おっしゃるようにそれは大変時間がかかるものだと思いますが、今おっしゃったのは九十五年かかったというお話でございましたが、しかし、これからは技術革新ももっと速いテンポになっていくのではないかという感じはいたしております。
#17
○玉沢委員 今農林省等で例えばハイブリッドの生産等について研究していますね。これは、いろいろやりましても、交配をさせて一代雑種をつくりまして大体一〇%収量が上がるというのが実態ですよ。しかも、できるだけ多収の品種をかけ合わせてやっても五〇%上げるのに十五年かかる、こういうような実態なんです。時間というものは非常にかかるのです。工業と違うというのは、この点を御認識をいただかなければならぬと思いますよ。
 それから、農業といいますのはやはり天候に左右されますね。どんなに技術が進歩をいたしましても、なかなかそれを克服するということはできない。ことしは天明の飢饉以来の最大の飢饉だ、こう言われていますね。我々は農林部会におきまして、青森、岩手の災害の被災地を回ってまいりました。そこで、例えば青森県の藤坂試験場におきまして画期的な耐冷品種として発明されましたのが昭和二十五年の藤坂五号です。藤坂五号というものをもとにしましてたくさんの奨励品種ができている。むつほまれであるとかキタオウであるとかアキヒカリであるとかレイメイであるとか、それが全部試験場の圃場になっている。ところがことしの天候は、無残にも、不穏率がレイメイの八四%というのが一番低い。ところが、あとは九五とか九八とか、全部九〇台です。九割が不稔なんです。だから、計画的な生産で、例えば農林省も百万トンの回転備蓄を持ちたい、こう言いましたね。しかし、天候というものは常に変わるわけですから、猫の目行政とよく言われますが、天候が猫の目なんですから、それに対して、米が余る、減少する、なかなか対応できないというのが現状なんです。だから、技術が進歩しましても、天候を相手にするものでありますから、よく言われますように、七年おきに冷害が来るというのが東北の冷害常襲地帯の現状なんです。ですから、農業というものは、そういうように天候を相手にしていくものでありますから、計画生産をやりましてもなかなか工業のようなわけにはいかないということをまず総理も認識されていると思いますが、いかがですか。
#18
○細川内閣総理大臣 おっしゃる認識と私も全く同じでございます。
#19
○玉沢委員 それから総理は、先ほども言いましたように、規模の拡大においては、現在、農業後継者が非常に少ないので、将来とにかく荒れ地がふえてくるだろう、だから規模の拡大は非常に環境がよくなってくるというようなことを言いました。しかし私は、あなたが言っておるように、現在一戸当たりに百八町歩も面積が集約されるような情勢にはないと思いますよ。たわけたことを言うなという言葉がありますが、この語源がどこにあるか御存じですか。たわけというのは、要するに先祖伝来持ってきた農地を人に譲ることを四分けというのです。だから、たわけたことを言うなというのはそういうことです。総理の言の中には、そうだとは言いませんが、それに近い、空論に近いような議論を言っておられると思うのです。どんなに後継者がいなくても、一人の農家に百八町歩も集まるような、あるいは適正規模は五十町歩と言っていますけれども、そういうようなものにはならないと思います。時間がかかりますよ。それはよく御存じですか。いかがですか。
#20
○細川内閣総理大臣 それはおっしゃるとおり、大変私も時間がかかるであろうと思いますし、また地価の問題とか、あるいはまた農業の抱えております、努力だけでは解決できないような国土の条件、地理的な条件といったようなものもございましょう。そういうことを考えますと、農業だけの問題ではなかなか解決できないような内部的な要因というものもたくさんある。ですから、私はそう簡単に、五十ヘクタールと申し上げたかどうかわかりませんが、そんな大規模なものに簡単にいくとは思っておりません。
 ただ、私もいろいろ事例を承知しております。例えば、私の知っている鹿児島の枕崎の方に近い農家でございますが、三十歳ぐらいの青年が、一人で二百二十ヘクタールもサツマイモをつくっている、一億数千万の収入を上げているといったような、これはもうあちこちから農地を借りてやっているというようなところも知っております。
 それは特殊な例だとは思いますが、確かに私も、五十ヘクタールというのは少しハッパをかける意味でというか、大いに奮起をしてもらいたいという、そういう願望も込めてそういうふろしきを広げて物を申し上げたわけでございますが、先ほど申し上げましたように、さまざまな制約的な要因もございますし、そう簡単に土地が集積できるとは私も考えておりません。しかし、新政策の中でも、あれはたしか新政策の中では幾つでございましたか、二十ヘクタールぐらいのものでございましたか、十ヘクから二十ヘクタールだったかちょっと私も覚えておりませんが、そのくらいのところを目標にして進めていこうということになっておりますし、少なくとも現在の〇・七五ヘクタールというようなものでは、これは生産性というものもなかなか上がっていかないだろうし、また当然それでは競争力のある農業として育っていかないであろう。そういうことを考えますと、どうしてもやはり効率的、安定的な農業経営というものを育成をしてまいりますためには、構造政策というものを推進をしていくということが不可欠なのではないか、こういうふうに考えているわけでございます。
#21
○玉沢委員 我々も、新政策の方向についてはこれはちゃんと認めますよ、進めてきたわけですから。ただ、それを進めるに当たりましては、時間と労力がたくさんかかる。我々も、ウルグアイ・ラウンドの成功に対しては何にも反対するものではありません。
 ただ、ウルグアイ・ラウンドは公平な競争と自由な貿易を進めていく。公平な競争ということになった場合におきまして、例えばアメリカとかオーストラリアとかカナダとか、今からたかだか二百年ぐらい前に、見渡す限りの平地に開拓に入った。そして、大規模な農家となった。我々みたいに三百年間鎖国しておりまして、耕地を血のにじむような努力でもって開拓してきた、そして人口の増大に備えてきた、限られた狭いところでやっている農業は、二月当たり一・三町歩なんです。ですから、それを十五町歩にしましても、たとえやったとしましても、二戸の農家が十五町歩やれば、あとの十四戸の農家が犠牲になるということもあるのですよ。ですから、そう簡単に集積ができない。集積ができなければ、自由化ということになった場合にはとても外国と公正な競争ができないから、これは時間を十分とって、慎重に対処すべきだ、こう言っているわけです。ですから、基盤整備をやって生産性を向上せしめる、技術革新を行うという新農政の方向については何ら異議はありません。
 そこで、当然これは、総理はこの本の中でも申し述べておりますが、五年間で十兆円の基盤整備の緊急投資を行ってやる、こう言っておりますね。こういうことにつきましては、どんどんおやりになるわけですね。いかがですか。
#22
○細川内閣総理大臣 今農業、農村の置かれた環境というものが厳しいことはもうここで改めてるる申し上げるまでもないことでございますが、ど
こまでやれるかはともかくといたしまして、第四次の長期計画におきましても、平成五年度以降十年間で四十兆円でございましたか、それぐらいの計画のもとに今基盤整備を進めていこうということになっているわけでございますし、こういう厳しい農業の状況の中で、できる限り効率的な、効果のある基盤整備というものを進めていかなければならないであろう。私は個人的には、できる限りそれを前倒ししてやったらどうかということを従来言ってきたところでございますが、現下の厳しい財政状況の中で、それが今後どういう状況で進めていけるか。今はとりあえず、十年間で四十一兆円というこの計画に沿って着実に進めていくということが肝要ではないかというふうに思っております。
#23
○玉沢委員 そこで、本論のこのウルグアイ・ラウンドの問題に入るわけですが、先ほど来からの共通の認識としましては、日本の農業が、自由な競争にはかなり時間がかかるということは総理もよく認識をされたと思うのです。
 そこで、お尋ねいたしますが、総理はアメリカのクリントン大統領と先月の二十七日、首脳会談を行いましたね。その際に、共同声明、その他新聞の報道等を見ますと、まず総理は、首脳会談で、所得税減税などの税制改革、規制緩和、米市場の開放を含めたウルグアイ・ラウンドに言及し、思い切った日本の構造改革は、日米の不均衡是正のみならず世界経済の発展に貢献すると明言した、こう言っております。また、総理及びクリントン大統領の共同記者会見におきましても、クリントン大統領は、我々はウルグアイ・ラウンドを十二月十五日までに成功裏に終結させることにつき共通の認識を得た、こう言っているわけです。つまり十二月十五日に向けまして何らかの行動をしなければならない、そういう点におきまして、経済の構造を改善する、農業の構造改善をしながらウルグアイ・ラウンドを成功させなければいかぬ、こういう場合におきまして、当然自由化の問題等につきましても言及されたものと思われますが、こういう点につきましてはアメリカ側に何らかの約束がなかったかどうか、これについてはいかがですか。
#24
○細川内閣総理大臣 クリントン大統領との会談におきましては、政治改革、経済改革あるいは行政改革、そうした三つの構造的な改革を推し進めていかなければならないということで、我が国としては最大限努力をしていきたいということでやっておりますということを申し上げましたが、そのこととの関連でウルグアイ・ラウンドなりあるいは農業問題について言及はいたしておりません。
 そのときに申しましたことは、農業問題に関して、特に米の問題に関して、正確に申し上げますと、米問題につきましては私の方から、各国とも農業などの分野で難しい問題を抱えていて、我が国は特に米問題という難しい問題を抱えておりますが、ウルグアイ・ラウンドを年内に成功させていくために努力をしていきたい、こういう旨を発言をいたしました。それに対してクリントン大統領の方からは、ウルグアイ・ラウンドの年内成功は重要であり、この目的のために日本と協力していきたいということを述べられたということでございます。クリントン大統領の方から米についての言及は全くございませんでした。
#25
○玉沢委員 もう一つだけ質問させていただきますが、そうであるならば、最近における新聞報道等にありますように、部分自由化という問題があります。関税化を延期して六年後にこれを受け入れる、それからミニマムアクセスを三ないし五%、これは六年間において受け入れる、こういうことの新聞報道がなされました。私は、これから国別表を十一月十五日までに提出をして十二月十五日の終結に向けての行動ということを考えた場合に、利害関係国が二国間ないし多国間で話し合いをしていると思うのです。六年というこの数字に私は若干こだわるわけでございますが、ダンケルペーパー、ダンケル案におきましては、関税化を受け入れた場合は六年後には一五%の関税の引き下げを受け入れる、それからミニマムアクセスは六年後には五%輸入するようにすべきだ、こう言っておりますね。連合政権では関税化は一切拒否をする、こう言って合意をしたというふうに言っております。ところが、新生党の代表幹事の方々は、一部にはですよ、こういうような案であれば、要するに与党の合意もクリアすることができるというようなことまで言っていますね。当然二国間ないし多国間におきましてはいろいろな案が提案をされたりいろいろされていると思うのですよ。私はそれが実態だと思うのですね。だから、そういうことまで提案してない、こういうことでございますか。それともあくまでも部分自由化も否定しながら一括関税化を阻止する、こういうことで進もうとしておられるのですか。この点を当委員会において明確にしていただきたいと思います。
#26
○細川内閣総理大臣 交渉でございますから、いろいろな話が飛び交っていることはおっしゃるとおりだと思います。しかし米につきましては、先ほどもお尋ねにお答えをいたしましたように、その重要性ということにかんがみまして、これまでの政府が申し上げてまいりましたとおり、国会決議の趣旨を体して国内産で自給をしていく、そういう基本的な方針のもとで交渉をしているということでございまして、今まで新聞等々に報じられましたような何らかの提案なりあるいは合意なりということは一切ございません。
#27
○玉沢委員 それでありますならば、もう一度明確にさせていただきたいと思いますが、私は、各国はウルグアイ・ラウンドの成功は望んでいると思うのです、我が国も含めて。ただし、その中におきまして、ダンケル案をいかに修正しながら、まとめるけれども自分の国の意見をその中に修正として入れていく、こういう交渉をしていると思うのです。
 ですから、例えばドイツの農業大臣はこう言っています。我々はガットの場でアメリカに対して徹底抗戦しているのは、これ以上農業の後退を許すとヨーロッパは人間の住む場所でなくなる、こう言いながら頑張っている。またフランスは、アメリカとECで合意されたブレアハウスの合意の見直しを求めて今行動しておりますね。これも何かごり押しのようには見えますけれども、フランスは朝野を挙げて、フランスの農業がつぶれることはフランスの文化の源、フランスの文化そのものが崩壊をするということで、みずからの姿勢を明らかにしてこのガットの交渉に臨んでいるということを総理もぜひ理解をしていただきたいと思いますよ。
 そして国会におきましても、この政府の交渉方針というものをバックアップするということでありますならば、この委員会におきましても、米の関税化拒否、自由化反対の決議を上げるのが当然だと私は思いますよ。国会においても決議を行いまして、そして政府の姿勢をただしていく、こういうことを私は最も大事なこととして主張いたしまして、私の質問を終わります。
#28
○竹内委員長 保利耕輔君。
#29
○保利委員 総理並びに農林水産大臣、お二方、この委員会にお出ましをいただきまして本当にありがとうございました。厚く感謝をいたします。
 時間が限られておりますので、端的にいろいろ伺いたいと思います。
 ウルグアイ・ラウンドの問題について、まずお伺いをしようと思いますが、その前に一点だけ、せんだってのロシアによる核廃棄物の投棄問題、これは我が農林水産委員会にとっても非常に大きな問題でありまして、水産ということを考えますと、この核廃棄物の投棄問題というのは本当に重要な問題であろうかと思います。
 いろいろと申し述べる時間がございませんけれども、私はこの中で非常に心外であった、あるいはこれは困ったなと思いましたのは、この報道、ロシアが核廃棄物を投棄したという報道がグリーンピースなる民間団体によって最初にもたらされ、そしてそれに日本のマスコミの方々が乗っておられたということでありまして、その時点にお
いて日本国政府は何も知らなかったということが言われております。こういう点は外交上の非常に大きな問題でありますし、また水産関係者にとりましては非常に大きな悩みの種であろうと思います。今後この問題については政府として全力を挙げてしっかり取り組んでいただきたい、こう御要望を申し上げるわけでありますが、総理大臣のこの問題に対する御決意をお聞かせをいただきたいと思います。
#30
○細川内閣総理大臣 ロシアの海洋投棄の問題はまことに遺憾なことでございまして、その後、政府としてもすぐ抗議を申し入れるなりなんなり、迅速な対応をとったところでございますが、この問題についての政府の情報の収集について御懸念の御指摘がございましたが、IAEAに対しましてはその関係国が通報をする義務というものは、御承知かと思いますがございませんで、したがいまして、IAEAの方から当方政府に対しまして何らかの事前の連絡はなかったということでございます。
 もう一つIMOという国際海事機構と申すものがございます。この方は関係国から通知がなされた場合にはそれぞれ関係政府に対して、関係国に対して通知をする義務があるということになっておりますが、このIMOの方に対しましてはロシア政府からの通報がなされていなかったということでございます。したがって、IMOの方からも日本政府に対しましては何ら連絡がなかったということでございまして、そういうことで、いずれにしても我が方は何も知らされていなかったという結果になったわけでございます。
 もう既にそういうことを申しておりますが、IAEAに対しまして、あるいはまたIMOに対しましても、今後何かそのような動きがあったならばひとつすぐ御連絡をいただきたいということを申し入れておりますし、また在外公館などを通じましてできる限り、可能な限り情報の収集に当たってもらいたい、そのような指示を既にいたしているところでございます。
#31
○保利委員 この問題で時間をとる余裕がございませんが、いずれにいたしましても、漁民の心配を和らげるためには、政府が毅然とした態度で今後この問題には取り組んでいくというその姿勢が大事だろうと思います。今後ともこの問題については十分な監視体制並びに情報収集体制をとっておいていただきたい、このように思います。もし二度目の投棄の事実がまたこの間のような格好で民間団体からもたらされるというようなことになったならば、外務省というのは一体何をやっているのだということにますますなってまいりますから、それは日本政府の威信にかけても頑張っていただきたいと思います。
 そこで、ウルグアイ・ラウンドの問題について御質問をさせていただきます。
 総理初め政府の皆様方は、ウルグアイ・ラウンドは成功させなければいけないということをあちこちで確認しておられますし、発言もしておられます。また我が党もそう思うわけでありますが、実は我が党も大変この点悩んでまいったわけであります。例外なき関税化というのは受け入れない、しかしウルグアイ・ラウンドは成功させなければいけない、いわば総論賛成各論反対とは言いませんが、各論にちょっと疑問を呈しておる、こういう状態になっているように私は思います。ここのところをどういうふうに調整させて成功させていくのか。十二月十五日までにウルグアイ・ラウンド問題は決着をさせよう、こういうお気持ちがあるとすれば、どういう方向に持っていってこのウルグアイ・ラウンド問題を決着させようとしているのか。交渉事ですから、相手もあることですからそれはまあいろいろ結果は出てくるでしょうけれども、交渉に当たるお気持ち、その心構えというものをまずお聞かせいただきたいと思います。総理お願いいたします。
#32
○細川内閣総理大臣 大変難しいお尋ねでございますが、率直に言って大変苦悩をしているということでございます。しかし、海洋国家として何とか自由な通商の体制というものは守っていかなければならない、それがやはり我が国にとっての最大の国益であろう、このように思っておりますし、そうした観点から、年内には妥結の方向に向かってこれがうまく決着がつくように我が国としても最善の努力をしていかなければならない、これがまさにおっしゃった総論ということかもしれませんが、私もそのように確信をいたしております。
 ただ、例外なき関税化は反対である、こういうこととしからばどのようなその接点が見出せるのか、こういうことでございますが、まさにそこのところで今、従来の国会決議等々、基本方針のもとで厳しい、ぎりぎりの交渉をやっているということでございまして、もちろんラウンドの交渉は、改めて申し上げるまでもなく、農業の分野だけではございませんし、皮革製品の問題でありますとかあるいは繊維の問題でありますとか、十五の分野にわたってそれぞれにぎりぎりの交渉をやっているところでございます。いずれにしても、期限は迫ってきておりますけれども、従来の方針というものを踏まえて、その方針のもとで我が国としては、先ほど玉沢委員からも、ほかの国は、フランスにしてもどこにしても厳しい姿勢を打ち出しておるじゃないか、こういうお話もございましたが、きのう、おとといでございましたか、サザーランドさんが見えましたときにも、我が国の厳しい姿勢というものをお示しをしながら我が国としては対応していかざるを得ないのだ、こういうことを申し上げたところでございまして、今後も、これからぎりぎりの段階に向けまして、そのような態度というものを堅持しながら、従来の基本方針のもとで厳しい交渉に臨んでまいりたい、このように思っております。
#33
○保利委員 大変お悩みの点というのはよくわかりますし、私どもも長い間そういう問題についていろいろ考えてまいりましたけれども、非常に難しい問題だと思うのです。
 そこで、例外なき関税化というのを相手に認めさせながらウルグアイ・ラウンド全体を成功裏に終結させる、そういうふうにならないと日本の国益に反するわけでありますが、そういうふうに持っていこう、こういうふうなお気持ちでいらっしゃることは間違いない、そう考えてよろしゅうございましょうか。ちょっと質問の意味がおわかりにくいかと思うのですが……。
#34
○細川内閣総理大臣 これは今申し上げたことの繰り返しになって恐縮でございますが、例外なき関税化には反対である、従来の、あくまでもこれは国内の米で自給をしていく、国会決議というものを踏まえて対応していく、こういう基本方針のもとで交渉をぎりぎりやっていく、こういうことでございます。
#35
○保利委員 そこで、先ほど総理の御答弁の中に、非常に苦悩しながらそういうぎりぎりの交渉をやっているというお言葉があったのです。その交渉の状態というのは随分マスコミに出ておりまして、私も、新聞をもう切り抜くのが嫌になるほどたくさんこの記事を集めました。そういう記事を全部集めてみますと、どうもかなりの交渉がなされているんだなというふうに我々にはとれるのですけれども、そういう事実はありませんという御否定もなさるわけであります。ここのところは我々政治に携わる者としてはっきりしていただかなければならない、こう思うのです。
 例えば、最近の新聞等によれば、数字を入れてこういう提案をしたんだとか、それをアメリカ側が是認をしたとか、是認したというよりはこういう交渉をやっているということを認めたとか、あるいは交渉担当官の名前まで引用して、この人とこの人との間でこういう話がされているという報道がされているわけですね。そうすると、もしそういう交渉はやっていませんということになると、この報道が間違いだったということになるわけでありますが、間違いではなさそうな感じを受けるのです。その辺が、我が党の同志、皆、どうなっているのだろうなといって非常に心配をしておりますから、総理の口からこういう交渉があるのかないのかということをひとつはっきりさせていただきたいと思います。
#36
○細川内閣総理大臣 まあ外交交渉でございますから、当然のことながらさまざまなやりとりがあっておると思いますが、私は、先ほども申し上げましたように、そのような提案なりあるいは合意というものがなされているということについて全く承知をしておりません。
#37
○保利委員 確認をさせていただきますが、提案を御存じない、こういうことでしょうか。もしかしたら提案があり得るかもしれない、しかし総理は御存じありませんよ、私は聞いていませんよ、こういう意味に受け取れますが、いかがでしょうか。
#38
○細川内閣総理大臣 私のところまではまだ上がってきておりません。あくまでも基本方針のもとで交渉をしているということしか上がってきておりません。極めて大まかな話について、しばらく前に幾つかの選択肢を示されて、こういう方向でという話はございましたが、それは外交交渉のことでございますから、ここで申し上げるのは差し控えさせていただきますが、しかしそれは従来の基本方針のもとで対応している、交渉しているというふうに私は受けとめております。
#39
○保利委員 総理のところにまだ上がっていないという御認識がありました。そうなると今度は、農林大臣はこの問題についてはどういうふうにお考えでしょうか。
#40
○畑国務大臣 本問題は大変な大きな国民的関心事であるわけでございますので、重ねて明確に申し上げておくわけでございますが、ただいま総理からも申し上げましたとおり、我が方からの提案とか、あるいはまた合意とか、そういうものは一切なされていない。いわゆる交渉事でございますから、いろいろなやりとりはございますが、そういう意味合いでの合意等々の問題は全くない、私自身も事務段階に厳しくチェックをした結果として重ねて明言をさせていただく次第でございます。
#41
○保利委員 ただいま農林水産大臣から大変力強い御答弁をいただいたわけであります。事務段階まで何もない、こういうふうに言われたわけであります。そうなると、新聞が伝えておりますいろいろなことというのは、うその報道をしているということになりますが、いかがですか。
#42
○畑国務大臣 私の立場からうそという言葉を使うのはいささかどうかというふうに考えますが、こういうふうな段階になりますと、各国それぞれ自国の主張等々、有利な状況づくり等々のためにも、種々従来から交渉事の中にございましたこういったパターンがあり得たこともこれまた事実でございます。私自身は、さような意味合いでの受けとめ方をさせていただいておるというのが現在の姿でございます。
#43
○保利委員 実はこの問題は、十月十四日付の韓国の東亜日報から大きく広がってきたように思います。東亜日報の文章の中に、「先週、日本政府から、このような内容の通報を受け、日本側はこれに関し、韓国に対して申し訳なく思うと伝えてきた。」こういうことを書いてあるのですね。そういう事実がもしないとすれば、この文章はどういう性格のものだとお考えになりますか。これは農林大臣にお願いします。
#44
○畑国務大臣 その東亜日報さんの記事を私も拝見をいたしたわけでございますが、なおまた、こういう事実はないということを韓国側にも連絡をさせていただいたということでございまして、私どものあずかり知らない中における報道である、かように御承知を願えればありがたいと思います。
#45
○保利委員 どうも何かあるのではないかという感じがいたすわけでありますが、あずかり知らないということでございますので、もうこれはここまでにいたしておきます。
 次に、これも一部マスコミの伝えるところでありますが、「新ラウンドの農産物関税化 「コメ以外」即時受け入れ」というニュースが流れました。これは一流紙であります。そうすると、米以外どういうものが例えばあるのかというと、「バター、脱脂粉乳、小麦、大麦など」「ミルク・クリーム、無糖れん乳、米粉・小麦粉など、でんぷん、雑豆、落花生、こんにゃくいも・海草、たら・ぶりなど一部魚類、ホタテ貝・イカなど、その他調製品」こういうふうになっているわけですね。こういうものは十一月十五日の国別表を提出する時点では、これはもう関税化のみますよという意思表示をするという記事になっております。農林水産省はこういう腹を固められたのかどうか、これをちょっとお答えいただきたいと思います。
#46
○畑国務大臣 私もその報道記事を拝見いたしたわけでございますが、いわゆる基本的なスタンスとしましての、姿勢としましての例外なき関税化、これはのめない、それは、その各品目につきましてそういった困難性あるいはよって来る根拠等々を主張しておるのが現在の姿でございまして、何らその辺につきまして、十五日にそれはのむというようなことを決めた、あるいは納得した、そういうことはございません。
#47
○保利委員 これはきっぱり否定をされたということは、十一月十五日に予定される国別表の提出は、二十数品月については現在と同じ形で出すというふうに今のところは考えていらっしゃる、こう受けとめさせていただいてよろしゅうございますか。
#48
○畑国務大臣 ただいま申し上げましたような姿勢をもってさらなる努力を重ねておるという現在の姿でございます。
#49
○保利委員 それでは、ちょっと話題を移させていただきます。
 せんだって、ガットの事務局長のサザーランドさんがおいでになりました。アイルランドの方で、非常にいろいろ日本から情報を集めていかれましたし、我々もいろいろのことを申し上げさせていただいた。総理からもサザーランドさんには関税化の受け入れはできないという意思表示をしていただいた。大変我々としては頼もしく感じたわけであります。
 そこで、実は私、サザーランドさんと個人的にお目にかかる機会がありましたので、いろいろお尋ねをしてみましたらば、日本ではウルグアイ・ラウンドのことは米問題だと考えているようで、特にマスコミの皆さんは、私はガットの事務局長として来ているんだけれども、質問は全部米の問題であった。これは日本の報道ぶり、もう少しいろいろほかの分野も報道をしてもいいんではないかというような感じのことを言っておられました。私も実はそう思うのです。サザーランドさんは、御存じかと思いますが、ガットの事務局長に御就任になる前はアイルランドのアライド・アイリッシュ・バンクの会長をしておられたということで、その前には、ずっと以前ですけれども、法務大臣、法務長官と言うんですか、それもしておられたという方でございます。したがって、金融関係には非常に詳しいわけですね。そのサザーランドさんが私に言われましたのは、ウルグアイ・ラウンドの中では金融問題というのが非常に大きなテーマになっている、しかしこれを質問する人は余りいなかったということであります。
 実は大蔵省にもおいでをいただいているのですか、金融関係が今ウルグアイ・ラウンドの中でどういう交渉をされているのか、サービス交渉の中でですね。それで、それがどういう問題があって、どういうような解決方法をとろうとしているのかというようなことについて総理に報告がどの程度行っているものなのか、ここでちょっとお述べをいただきたいと思うのです。短くお願いします、時間が足りませんから。
#50
○加藤(隆)政府委員 委員御指摘のとおり、ウルグアイ・ラウンドは今度画期的な交渉でございます。と申しますのは、サービス分野を含めて、今般のラウンドでは協定をつくり、それに基づきイニシアルコミットメントという金融分野の交渉を二国間あるいは多国間で鋭意行っております。交渉の進捗状況につきましては、総理に進捗に応じ御報告申し上げておるところでございます。
#51
○保利委員 その問題で、サザーランドさんがこういうことを言っておられましたので、総理お聞
き及びかどうかちょっとお尋ねをしたいのでありますが、アメリカはヨーロッパに対して金融関係で保護的な申し入れをしているらしい、こういうことがありました。つまり、日本に向かってはあけろあけろと言っていながら、自分のところの金融関係では、まあアメリカも大きな銀行は強いですけれども、州の中でやっている小さい銀行は弱いですからね。そういう意味で金融関係も保護措置が必要だ、そういう意味からなのでしょうか、ヨーロッパに対して保護的を申し出をしておる、こういうサザーランドさんからのお言葉がありました。そういうことは大蔵省から聞いておられますか、総理にお尋ねします。
#52
○細川内閣総理大臣 私が大蔵省から聞いておりますことは、金融の分野については既に我が国としてできる限りのことはやっているということで、今後とも厳しい交渉を迫られるだろうけれども、引き続き我が国としてはやるべきことはやったんだということを言いながら、交渉に臨んでいくということを言われております。
 サザーランドさんとの話のときには、金融の問題については具体的なお話はございませんでした。ウルグアイ・ラウンド全般の問題について、ECとアメリカとの間の話、あるいは日本の米の問題、ぜひ例外なき関税化を受け入れてほしい、こういったような話があったわけで、金融その他の問題についてそれほど突っ込んだお話は私のところにはございませんでした。
#53
○保利委員 ウルグアイ・ラウンド問題というのは、農業分野だけではなくてこうした問題、さらに、アメリカが嫌がっているMTOあるいはアンチダンピングの問題とかというようなものがたくさんあるのですね。そういうものを総合的に視野の中におさめながら判断をしていかないと、これは判断を間違う。そして、日本の米という大事なものを安易に譲るというようなことがあったら、これはもう悔いを千載に残すことは火を見るよりも明らかであります。こういうような交渉態度というのは、私は日本国政府としてとってはまずいのだろうと思うのです。
 この間、予算委員会でもちょっとお話を申し上げたのですが、縦割り行政でこれをやられたらとてもじゃないけれどもこのウルグアイ・ラウンドはうまくいきません。全体を統括して、総理がいろいろ情報をお集めをいただいて、それで総合的な見地から御判断をいただく、こういう必要性があるのだろうと思うのです。十一月十五日までに国別表を出すのだ、それまでに米はどうするんだこうするんだ、十二月十五日までに何がなんでも妥結しなければおかしいのだ、そうしなければ日本がのけものにされるのだ、こういう固定観念にとらわれてこの交渉をしていたらいかぬと僕は思うのです。もっと広い視野で見ていただきたいなと思います。
 それから、もう一つちょっと総理にお伺いしたいと思うのですが、実はせんだってエスピー農務長官がおいでになって、農林水産大臣、それから総理もお会いになったと思うのですが、そのときに私もお目にかかる機会があって申し上げたのですが、ウルグアイ・ラウンドの交渉当初に、当時のアメリカの代表はヤイターUSTR代表だったのですが、その方が、貿易歪曲効果を一番大きく持っているのは輸出補助金である、したがって、輸出補助金は全廃をしなければならない、一方で、すべての品目については関税に置きかえて、輸入障壁というものは関税に置きかえるということが要求される、これが一つのバランスとしてあったのです。このことはエスピー農務長官も、ヤイターさんがそういう発言をしておられたということは認めておられます。
 ところが、出てきたダンケルペーパーによると、輸出補助金の二四%はカットするが七六%は逆に言うと残るという意味で、それでいて関税化の方は一品たりとも許さない、これが世界の世論だ、こう言っているということは、ヤイターさんの発言を引用してもこれは全くバランスがとれていないと思いますが、総理いかが思われますか。
#54
○細川内閣総理大臣 私はエスピーさんとはお目にかかっておりませんので、そういう話は出ませんでしたので、農林大臣の方からお答えをさせていただきます。
#55
○畑国務大臣 私は、今回のウルグアイ・ラウンド交渉の中にございましては、ただいま委員御指摘のとおり、まず公平でなくてはならない、それは一つの大きな原則であろうかというように考えるわけでございまして、ただいま御指摘がございましたような輸出補助金、これを残しながら、しかもまだEC・アメリカ間にございましては、二四から二一といったような問題、こういうことを私どもは今指摘をしながら強力に、先般エスピーさんあたりがお見えになったときに、そういった不公平な中で私どもがいわゆる例外なき関税化などということはのむわけにはいかないではないですかと強く否定をさせていただいたところでございます。
#56
○保利委員 次に、先ほどもちょっと話題になっておりましたが、世界の人口というのが急速に増加しつつある、これは私も予算委員会で一遍やらせていただいたことがあるのですが、今たしか五十五億か五十六億だと思いますが、一年間に大体一億人近くふえ続けているという今の地球上のこの問題、そして食糧供給体制がこれに追いつくのか追いつかないのか、今でも十億近くの方々が飢餓線上にある、こういうことになっている。そうすると、これから先の人口増加というものを見ていったときには、世界的に見まして、グローバルで見て、人口と食糧供給能力、この地球上の限られた面積の中でバランスがどういうふうにとれていくんだという議論を世界的に起こしていかないといけないんじゃないかという感じがいたすわけであります。
 そこで、総理は、例えばサミットでありますとか、あるいはFAOあるいは来年の九月に予定されております世界人口会議あるいは環境会議、こういったところでやはり日本がこの問題を提唱をして、世界の食糧の供給、それと人口増加の兼ね合い、この問題についてやはり日本が強く問題提起していくべきじゃないか、今までもあっただろうと思いますけれども、さらに強く提起していくべきじゃないかと思うのですが、総理、お考えいかがでしょうか。
#57
○細川内閣総理大臣 私もそれは全く同感でございます。人口と食糧の問題というのは、まさに我が国がイニシアチブをとって国際社会の中で訴えていくべき課題であるというふうに思っております。
 特に人口の問題は環境の問題とも密接にかかわっている問題でありますし、この問題で具体的にどういうことができるのかというと、やはり教育ということに最終的になってくるのかもしれませんが、しかしこの問題については何か知恵を絞って、今お話がございました世界人口会議、その他の会議におきましても、我が国としてさらに積極的なアピールというか行動というか、そうしたことをすべきであろうというふうに私も思っております。
 食糧の問題についても、おっしゃったような地球的な環境の逼迫をしている状況の中で、我が国としてどういうことができるのか、その点についても、何が一体できるのかということについてできる限り知恵を絞ってみる努力が必要だというふうに思っております。
#58
○保利委員 この問題、非常に大きな問題ですから、ぜひ学者あるいは評論家の皆さんで私的な諮問機関をおつくりになるなりして、よく、勉強と言っては大変失礼ですけれども、いろいろ調査活動をしていただいて、それに基づいて国際舞台の場でぜひ御発言をいただくように私からお願いを申し上げたいと思うわけであります。
 いよいよ時間がございません。実は私は、この質問の締めくくりに、これはある一つの投書なんですけれども、「コメの自由化不安いっぱい」、不安がいっぱいであるという東京都の主婦の方の投書をちょっと引用したいと思います。
 読ませていただきます。
  コメの輸入自由化をしたら安いコメが食べら
れる。確かに今はそうだ。でも長い目で見ると私は恐ろしい。自由化をしたら競争力の弱い日本のコメが負けるだろう。すると、日本の稲作は廃れて日本人の食べるコメのほとんどを輸入米が占める。
  日本がコメをつくらなくなったその時、悲劇はやって来る。コメは日本人にとって必要不可欠な食糧だから、米国などがどんなに高いコメを売りつけようが買わざるを得ないし、世界的な凶作なら買うことも出来ない。あるいは「いうことを聞かないとコメを売らないぞ」などと国際交渉の切り札として使われるかもしれない。こうしたことが全く起こり得ないといい切れるだろうか。
  主食のコメを外国に依存したなら、日本はそれらの国に首根っこを押さえつけられるのと同じである。
  また、水や緑を豊かにたたえるなど環境に対する良い面、そして日本文化の一つとして日本人の心に与える影響、そういった点を考慮すると、単に机上で計算できる経済上の品物としてだけ、そして短期的視野でコメを考えてはならない。米作を国の根幹としてとらえ、国をあげて守り育てるべきだと思う。
こういう三十二歳の東京都の主婦の方の御意見があるのです。これは一つの大事な御意見だと私は思っておりますが、総理の御所見、御感想をちょっとお聞かせをいただきたいと思います。
#59
○細川内閣総理大臣 今のお手紙の中にございましたように、米というのはもちろん基本的な食糧でございますが、それだけでなくて日本の文化そのものであると思っておりますし、昭和の初めぐらいまで日本にはおよそ四百種類ぐらいの米があったということも言われておりますし、それを薬膳として、きょうはお母さんがおなかを壊したから黒い米をおじやにして食べよう、お父さんがのどが痛いからきょうは黄色い米をおじやにして食べよう、さまざまな形で米というものが日本の食生活の中に入り込んできていた、そういう一つの食文化としての意味もあったでありましょうし、また、田ごとの月と言われるように、本当に一つの田んぼごとに映る月を眺めてまたそこにたくさんの、それぞれの家が神様としてお祭りをしてきたとよく言われますように、文字どおり米というものが日本の民族の苗代であるということは、これは全く今のお手紙の中に書いておられることと通ずるものではないかというふうに私は思っております。
 先ほど来申し上げておりますように、農業の持つ外部効果というものにつきましても、水田の持つ外部効果というものについても、これは極めて、その湛水の効果なりなんなりというものが持つ意味は大きなものがあるというふうに私は思っておりますし、そうした意味で、農業、とりわけ稲作の持つ意味、水田の持つ意味というものをよく我々は守っていかなければならない、それは私の基本的な考え方でございます。
#60
○保利委員 今総理がお話しいただきましたこと、大変ありがたく思います。私は、この米の問題というのは農業者だけの問題というよりもむしろ、これは東京都の三十二歳の主婦の御意見でありますが、消費者の問題だということを非常に強く印象づけられております。したがって、東京都の、あるいは大阪の都会に住んでいる皆さん方がこういった問題についてどう考えるんだということを、世論を喚起していく必要があるのだろうと思うのです。これは農林水産省にもよくお願いを申し上げておきたいと思います。
 時間が参りましたので、終わらせていただきたいと思いますが、我が党は先ほどの理事会で、米の自給方針堅持に関する決議というもので案をお示しをしてあります。理事会で十分御協議をいただいて、この米の問題について世界に向かって、我々は民族の主たる食糧を守り抜くという決意をきちんと表明していくべきだと思います。取り扱いについて委員長にお願いを申し上げたいと思います。
 以上で終わらせていただきます。ありがとうございました。
#61
○竹内委員長 委員長としては、先ほどの保利委員の御提案については、十分に今の内閣総理大臣の御答弁も踏まえまして理事会で検討させていただきます。
 藤田スミ君。
#62
○藤田委員 私は、日本共産党を代表いたしまして、総理に質問をいたします。
 今、国民の主食である米をめぐってまさに異常な事態が進行しているというふうに思うわけであります。それは、政府が例外なき関税化を受け入れ、米については実施まで六年間の猶予期間を置き、その間三%から五%を恒常的に輸入するという対米秘密交渉が進められていたという問題であります。この秘密交渉が国会決議に反することは言うまでもありません。そしてその秘密交渉の存在は、ガット事務局、アメリカ政府、そして南朝鮮政府、小沢新生党代表幹事などの情報からも確認できるわけでありますし、その後の連立与党の動きからも明確なものであります。
 さらに、きょうの報道によりますと、エスピー・アメリカ農務長官が、ジュネーブで現在話し合われているが、もし真剣な申し入れならこの提案はまじめに考慮されるであろうと、この秘密交渉が現在も行われていることを明らかにしているところであります。
 総理は先ほど来御答弁の中でも、提案したことも合意したことも私は承知していないとおっしゃり、私のところまで上がってきていないというおっしゃり方もされました。私は、秘密交渉の存在は否定していない、そういうふうに総理の御答弁を伺いながら、やはり聞いたわけでありますが、違いますか。
#63
○細川内閣総理大臣 先ほどから再三申し上げておりますように、今までの基本方針というものを踏まえて、その基本的な考え方というものの上に立ってぎりぎりの交渉をさせていただいているところでございまして、繰り返して恐縮でございますが、そのような合意も提案もないということで御理解をいただきたい、こういうことでございます。
#64
○藤田委員 私が聞いているのは、提案したことも合意をしたこともないということですが、秘密交渉と言ったらお気にさわりますならば、日米間でそのような交渉が行われているのではないのかということをお尋ねしているわけです。その存在はありや否やということをお伺いしているところであります。
#65
○畑国務大臣 私は、今事務方の直接の監督をする立場にもあるわけでございますが、交渉事の中における種々各般にわたりますそれぞれの分野での論議がされておることは、これは事実でございます。そしてまた、そういった論議が行われます際におきます秘密交渉、あるいは今御指摘がございましたような提案とか合意とか、そういうことは全くなされていないということを重ねてお答えをさせていただきます。
#66
○藤田委員 二十三日の武村官房長官の発言、すなわち「ガットのサザーランド事務局長は、例外なき関税化の原則さえ認めてもらえば、数%ぐらいの自由化でいいんだという話をしている。政府としてはそう簡単にのめる案ではないが、反対、反対で済む状況ではなくなっている」、この発言は細川内閣の方針に反するものではありませんか。これまで官房長官は、日本民族は米を基本に生きてきた、自給原則を変えるべきではないとまでおっしゃっておられたわけであります。それだけに、こうした発言が出るたびに、今この凶作で打ちひしがれている農民がどれほど絶望感を味わっているかということは、総理はよもやおわかりではないはずがないというふうに思いますが、武村発言について、それが政府の見解なのか、そうでないとしたら、総理として武村発言にどのような対処をされたのか、明らかにしてください。
#67
○細川内閣総理大臣 武村官房長官の発言につきましては、先ほどどなたかのお尋ねにお答えをさせていただいたとおりでございまして、武村官房長官御自身も昨日の記者会見におきまして、二十
三日の発言について、ウルグアイ・ラウンドは本年末を期限として交渉が進められていて、年内終結に向けて政府としても最終の判断をする必要がある、そうした中で、米については国会決議の趣旨を体して従来の基本方針のもとで対処していく、こういう趣旨を述べられたわけでありまして、これまでの政府の方針に沿った発言であるというふうに思っております。
 なお、秘密交渉云々というお話がございましたが、外交交渉というものはおよそ、これは全部明らかにしてしまっては外交交渉は成り立たぬわけでありまして、外交交渉の中にはかなり水面下でやらなければならない交渉が多々あることも、これは十分ひとつ御理解をいただきたいことだと思っております。
#68
○藤田委員 外交交渉が水面下であることも承知をせよと。だからそういうふうな内容の問題についても話し合いがあった、あったけれども総理はそのことを直接承知をしていない、こういうふうに聞いておきたいと私は思います。しかし、そのことは本当に許しがたいことであります。反論があったらしてください。
 もう一つの問題は、先ほど、翌日武村長官は記者会見でこういうふうに言ったからもういいんだと。私は、その総理の態度が本当に我慢ならないわけです。あちらで言っていることを翌日ひっくり返したら、もうそのひっくり返したその言葉だけで、実はそうじゃないんだというふうな言い方をされたら、不信感は募るばかりじゃないでしょうか。そこに、総理としての政治的な責任や指導性は一体どこにあるのかというふうに言わざるを得ません。
 しかも新聞報道によりますと、総理と親しいある経済人は、首相が、どう押し切られた環境をつくるかが焦点だと述べたことを明らかにし、首相の考えは市場開放で固まっていることを示唆したとされているわけであります。
 口先だけで方針を貫く、方針を貫くと言いながら、最後はガット交渉成功のために押し切られた形をつくって、やむを得ず受け入れた形にする、そのやり口は、三度の国会決議にも政治的責任もとらない、全くの無責任な国民だましであります。
 かつて、牛肉・オレンジの輸入自由化のときもそうだったのです。私たち国民は、そのことを決して忘れることはできません。もし、私はそうではないんだと総理がおっしゃるなら、米の輸入自由化を政治生命をかけても受け入れない、はっきりこの場でおっしゃっていただきたいわけであります。
#69
○細川内閣総理大臣 再三申し上げますように、政府としては、国会決議を初めとして今までの基本方針のもとで交渉をしている、それ以上のことはございません。それ以上でもないし、それ以下でもない、こう申し上げているわけでございます。
#70
○藤田委員 総理は、政治生命というお言葉を割合に最初からよくお使いになりますので、私は、米問題ではそう言ってほしいと思うのです。
 先ほどからお話にありましたが、私も実は消費地出身の農林水産委員です。この部署に来るまで私自身、恥ずかしいけれども、農業というものが国のもと、今の大もとだということについての認識は本当に甘かったと思っています。しかし私は、この任について日本の農業の実態を知り、そしてそれが実に民族の存亡、主権にかかわる問題であるということを知り、古来農業を滅ぼして栄えた国がないということを知り、子供たちに本当に瑞穂の国は瑞穂の国として残していきたいという、命を守る者の責任として思いをいたすときに、この問題は、時の総理は、命をかけて米輸入自由化はやらない、部分自由化もやらないということを明言すべきだと私は思います。
 せっかくの機会であります。どうぞ、その一言だけはおっしゃってください。
#71
○細川内閣総理大臣 共産党の先生から瑞穂の国というお言葉を伺いますとは私は思いませんでしたが、とにかく、私の米についての、米が日本の民族の苗代であるという基本的な考え方は先ほど来申し上げているとおりでございまして、再三再四申し上げておりますように、基本的な国会での御論議というものを踏まえて、その基本方針のもとで政府としては最大限の努力をさせていただきます、こういうことをまた重ねて申し上げさせていただきます。
#72
○藤田委員 残念ですが、時間が参りましたから、これで終わります。
#73
○竹内委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後二時三十六分散会
ソース: 国立国会図書館
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