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1993/10/21 第128回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第128回国会 内閣委員会 第3号
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1993/10/21 第128回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第128回国会 内閣委員会 第3号

#1
第128回国会 内閣委員会 第3号
平成五年十月二十一日(木曜日)
    午前九時三十分開議
出席委員
  委員長 左藤  恵君
   理事 大石 千八君 理事 近岡理一郎君
   理事 虎島 和夫君 理事 渡辺 省一君
   理事 田口 健二君 理事 中島  衛君
      池田 行彦君    栗原 博久君
      近藤 鉄雄君    佐藤 信二君
      自見庄三郎君    橘 康太郎君
      野田  毅君    葉梨 信行君
      原田昇左右君    池端 清一君
      石井  智君    大出  俊君
      金田 誠一君    北沢 清功君
      山田 正彦君    弘友 和夫君
      山田 英介君    石田 勝之君
      宇佐美 登君    吉田  治君
      松本 善明君
 出席国務大臣
       国務大臣     石田幸四郎君
       (総務庁長官)
 出席政府委員
        総務庁長官官房 池ノ内祐司君
        長
        総務庁行政管理 八木 俊道君
 委員外の出席者
        参考人
        (学習院大学法 高木  光君
        学部教授)
        参考人
        (元最高裁判所 角田礼次郎君
        判事)
        参考人
        (日本行政書士)住吉 和夫君
        会連合会会長)
        内閣委員会調査 松村 淳治君
        室長
    ―――――――――――――
委員の異動
十月二十一日
辞任        補欠選任
 池端 清一君     金田 誠一君
 渡部 恒三君     山田 正彦君
 園田 博之君     石田 勝之君
 柳田  稔君     吉田  治君
同日
辞任       補欠選任
 金田 誠一君     池端 清一君
 山田 正彦君     渡部 恒三君
 石田 勝之君     園田 博之君
 吉田  治君     柳田  稔君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 行政手続法案(内閣提出第七号)
 行政手続法の施行に伴う関係法律の整備に関す
 る法律案(内閣提出第八号)
     ――――◇―――――
#2
○左藤委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、行政手続法案及び行政手続法の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案の両案を一括して議題といたします。
 本日は、両案審査のため、参考人から意見を聴取することにいたしております。
 本日御出席の参考人は、学習院大学法学部教授高木先君、元最高裁判所判事角田礼次郎君、日本行政書士会連合会会長住吉和夫君、以上三名の方々であります。
 この際、参考人各位に一言ごあいさつ申し上げます。
 本日は、御多用中のところ本委員会に御出席くださいまして、まことにありがとうございます。
 参考人各位におかれましては、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べいただきたいと存じます。
 次に、議事の順序について申し上げますが、まず、高木参考人、角田参考人、住吉参考人の順序で、御意見をお一人十五分程度に取りまとめてお述べいただき、次に、委員の質疑に対してお答えいただきたいと存じます。
 それでは、高木参考人にお願いいたします。
#3
○高木参考人 高木でございます。
 今回、行政手続法案について意見を申し述べる機会を与えられましたことを光栄に存じます。私は、学界の一員としての立場から行政手続法案に対する考え方を述べさせていただきます。
 まず、結論から先に申しますと、私は今回の法案に賛成するものでありまして、速やかに法律として成立すること、その前提としまして、本委員会で法案が可決すべきものとされることを願うものであります。
 なお、この点は現在の学界に属する者の多くも同意見であると思われます。憲法、行政法を専門とする学者で構成しております全国的な団体に日本公法学会というのがございます。その総会が去る十月九日、十日、九州大学で開催されましたが、そこでの統一テーマは地方自治と行政手続の二つでございました。私は行政手続の方の部会に参加いたしましたが、そこでの報告あるいは討論におきまして、今回の行政手続法の制定への動きは一様に好感を持って受けとめられておりました。
 もちろん、学者と申しますのは人と異なる意見を言うことが商売という面もございますので、個々の条文の内容が不十分であるとか、ここの部分が足りないというふうな注文はいろいろと出されました。しかしながら、今回のような一般的な行政手続法が制定されること自体に対しての反対は全く聞かれませんでした。
 それでは、本論に移りまして、今回の法案について、私なりの評価を申し述べたいと思います。
 以下、比較法的な観点、理論的な観点、教育的な観点の三点に絞らせていただきますが、いずれの観点からも今回の立法化は好ましいものであると私は評価しております。
 第一の点でございますが、今回の法案の内容は比較法的に見てバランスのよいものであると考えます。行政手続に関する一般的な法律はアメリカ、ドイツ、オーストリアなどで制定されておりますが、これらのうちで、我が国の行政手続法がどうあるべきかという観点から最も重要なものはドイツのそれであると思われます。その理由としましては、我が国の法制度と基本的な考え方が最も似ているのはドイツの法制度であること、それから、ドイツの行政手続法の制定が比較的新しく、現代社会の問題を考慮した上で立法がなされていると思われることの二つでございます。
 ドイツの行政手続法は一九七六年に制定されまして、七七年、翌年から施行されております。ドイツでは伝統的に行政活動についてはその結果が決め手である、結果に至るプロセスには副次的な意味しかないという考え方がとられておりました。そこでは、行政活動に不満を持つ国民には裁判所で争う道を広く認めることが適正な行政活動を担保することになるということになります。ところが、戦後の社会経済の発展とともに、国民の主体的な役割を尊重すべきだという理念が強調されてまいります。そして、不利益処分の相手方となる国民の権利利益の救済のためには、事後的に裁判所が行政処分の適否を審査するというだけでは不十分である、事前に意見を述べる機会を与えることが憲法上要請されると考えられるようになりました。
 また、公共事業に係る計画あるいは大規模施設についての許認可につきましては利害関係人の数が多数にわたります。あるいはまた、価値観が多様化いたしますとなすべき利益調整というものも複雑になってまいりますので、行政決定に先立ちまして関係人に意見を述べる機会を与える、まあ公聴会のようなものがございますけれども、そういうことをしましてコンセンサスを得るための努力をすることが結局は合理的な決定あるいは円滑な事業の遂行につながるという発想が出てまいりました。
 このあたりはまさに我が国の昨今の状況と類似している点が多いのでございますが、ドイツでは一九六〇年ごろから行政手続法の立法化の動きが具体化いたしました。しかしながら、法案は何度も練り直しがなされまして、最終的に立法にこぎつけるのに十数年かかってしまったということがございます。
 その理由は幾つかございますが、私の見るところ、遅延した原因の一つは、ドイツの行政手続法はその盛り込む内容が多過ぎたということでございますのでき上がりで条文の数が再三ございまして、通常の行政処分についての手続規定のほかに、公共事業の計画などに適用されます計画確定手続という特殊な手続、それから行政処分の定義、行政処分の効力あるいは取り消し、撤回、あるいは手続に違反した場合の行政処分の効力、さらには公法上の契約についての規定などなどが含まれております。これだけ盛りだくさんになってまいりますと、それぞれの条文について議論を詰める作業が膨大なものになることは見やすい道理であります。また、これらの中には行政処分の定義など理論的な観点から争いのある部分も含まれておりまして、その点をめぐっても議論が難航したという面がございます。
 さて、我が国の今回の法案でございますが、ドイツの行政手続法と比べてまとまりのよいものとなっております。第二章の申請に対する処分に関する規定、それから第三章の不利益処分に関する規定、そして第四章の行政指導に関する規定、これが三つの柱と言えようかと思いますが、このうち第二章、第三章は通常の行政処分についての手続規定でございます。その内容は、ドイツのほかアメリカやフランスと比較いたしまして若干のでこぼこ、出入りはございますけれども、ほぼ国際的な相場に従ったものになっていると思われます。
 例えば、申請に対して拒否する処分や不利益処分について理由の提示が必要であること、不利益処分をなすに先立って相手方に意見を述べる機会を与えなければならないということは、いずれの国においても共通して認められているところであります。ただ、不利益処分についての事前手続のあり方につきましては、それぞれ重点の置きどころが違うという面もございます。
 次に、第四章の行政指導の規定でございますが、これは諸外国には見られない我が国独自のものでございます。もちろん、我が国で言われております行政指導に当たるようなものが諸外国ではないのかといいますと、それはそうではございませんが、ただ、行政指導という言葉で、ある特定の非公式な行政活動をまとめてとらえるという点は我が国独自のものでありまして、見方によれば我が国は先進的であるということが言えるのであります。
 条文の内容といたしましては、第三十二条から第三十四条は原則を定めております。これは裁判例を初め広く認められている原則をうたったものでありまして、それ自体には異論がないところであると思われます。
 そこで、手続規定として注目されますのは、三十五条の二項にございます書面の交付に関する規定ということになると思われます。
 なお、今回の法案には計画確定手続や行政立法手続は含まれておりませんが、この点に関しましては学界で批判的な立場も見られます。ただ、参加ですとか情報公開という観点を強調する論者も、今回の法案にはそのような理念を実現するための条文が余り含まれていない、その点が不十分であるとかあるいは残念である、そういう言い方をするにとどまっておりまして、提案されている今回の条文の内容自体に対する批判とは別の次元であると思われます。
 計画確定手続は主としてドイツ、それから行政立法手続は主としてアメリカの制度を参考にその導入が説かれているものでございます。しかしながら、これらにはそれぞれ問題点もありまして、なお検討が必要であるという見解もございます。私個人は、どちらかといいますと、そちらの見解に従っております。この意味で、今回の法案がこの領域を見送ったのは賢明であったと思われます。
 以上が、第一の比較法的な観点でございまして、比較法的な観点から見て、今回の法案はバランスがとれたものであると私は評価いたします。
 それでは、残された時間で、第二の理論的な観点、第三の教育的な観点に簡単に触れたいと存じます。
 まず、理論的な観点から見ますと、今回の法案は穏健なものであると思われます。と申しますのは、行政法学界はこの十数年あるいはもう少し長くいわゆる戦国時代にあると言われておりまして、さまざまな理論的な対立がございます。基本的な概念であります行政処分とは何かとか、あるいは行政処分をどう分類するかという点に関しましても、論者の説くところは分かれております。
 そこで、このような理論上の対立に決着をつけるような形で立法をしようと仮にいたしますと、ドイツにおいて起こりましたように、一つの条文の一つの文章をめぐって延々と議論がなされるということにもなりかねないわけでございます。あるいはまた、立法がなされた後でもさらに条文の意味をめぐって複雑な解釈上の争いがまた生じるということも予想されます。
 このような観点から見ますと、今回の法案はそのようないわば無用な争いができるだけ生じないようにという配慮がされていることがうかがえるのでありまして、その意味で穏健なあるいは穏当なものであると私は評価いたします。
 最後に、第三の教育的な観点でございますが、私のように大学で行政法を教えるという仕事をしている者にとりましては、今回の手続法の立法化は大変ありがたいものでございます。
 今日、行政活動はますます複雑かつ多様になっておりまして、およそ行政活動はこうあるべしという議論をすることは非常に難しくなっております。行政活動を公正妥当にするためのルールを扱うのが行政法学であると学生に言うわけでございますが、これを抽象的な理論に流れることなく具体的な事例や条文に即してわかりやすく説明するということは非常に難しい、正直申しますならば、絶望的と言ってよいというところでございます。
 細かな個別の法律を逐一説明するということは時間的にも不可能でございますし、行政事件訴訟法や国家賠償法というものも一般法ではありますけれども、訴訟といういわば病理現象のみをとらえるものでございますので、訴訟になった事例を中心にこれらの法律の条文に説明を加えるだけでは行政活動を正しく理解させることはできないのであります。
 これに対しまして、今回の行政手続法は、日常的な生理現象としての行政活動に横断的に適用される一般法であるということでございますので、典型的な行政活動の仕組みに入門的な説明を加えるための素材として重宝するものになると思われます。また、このような教育的な観点は、大学での教育だけではありませんで、公務員等の研修にも当てはまるものであると考えます。
 以上、比較法的な観点、理論的な観点、教育的な観点の三点にわたり私の見解を申し述べました。
 今回の法案は、個々の細かい内容については議論の余地はありますが、全体としては高い評価を与えることができます。結論といたしましては、既に冒頭で申し上げましたように、立法化に積極的に賛成するものでございます。(拍手)
#4
○左藤委員長 ありがとうございました。
 次に、角田参考人にお願いいたします。
#5
○角田参考人 角田でございます。
 本日、参考人として行政手続法案につきまして意見を申し述べる機会を与えられましたことを、まずここに感謝申し上げたいと思います。
 私は、臨時行政改革推進審議会のもとに設けられました行政手続部会の部会長として、同審議会が一昨年十二月に行いました行政手続法制の整備に関する答申の原案の取りまとめに当たった者であります。
 今回政府から今国会に提案されております行政手続法案は、今申し上げた答申の中で示されている行政手続法要綱案に基づくものでございますから、同要綱案の作成に関与した者として基本的に同法案に賛成の立場をとるものであります。
 以下、同要綱案のポイントと思われる点に絞って要綱案の考え方を申し上げて審議の御参考に供したいと思います。
 まず、要綱案の前提となる我が国の行政手続法制の現状と行政の運用状況について私どもはどういう認識を持ったかということでありますが、我が国の行政手続については、これまで個別の法律において不利益処分の手続を主として若干の規定が設けられていたところであります。しかしながら、全体として規定が不備・不統一であり、特に申請に対する処分の審査基準その他不利益処分を含む処分の処理の基準が明確にされていないとか、あるいは行政指導が乱用されていて行政運営における公正さと透明性が欠けているとか、種々の指摘が国の内外を通じてなされてきたところであります。
 これに対して、行政手続法制の整備のための努力がこれまで全くなされていなかったわけではなくて、昭和三十九年及び五十八年には臨時行政調査会の貴重な提言がなされたのを初めとして、半ば公的な研究会からの具体的な提言もなされてきたところであります。しかしながら、種々の事情から、遺憾ながら今日まで行政手続の法的整備が実現を見るに至っていないというのが今日までの経過であったわけであります。
 ところで、行政手続法要綱案が今の時期にまとまった背景には次のような事情があると思われます。
 第一には、ただいまも申し上げましたように、行政手続の不透明さに対する内外の批判の高まり、これが手続法整備の機運を助長したということであります。
 第二は、従来行政手続法制の整備に対して無関心あるいは消極的態度をとってきた各省庁も、このような事情を背景としてもはや頭から反対という態度をとることはできなくなったということもあると思います。
 第三には、理論的に高次な、網羅的な法律をつくらなくても、現実的にできるものから手をつけるべきだという共通の認識が早くから部会の委員の間に形成されていたことであります。また、この機を逸しては行政手続法の整備の実現は再び遠のくであろうという一種の切迫感が関係者の間に共通の意識として成立していたことも大いに力があったかと思います。
 ある人はこの追い風に乗るべきであると言ったことがありますが、それはともかくとして、私どもは、以上のような状況、現実を直視するとともに、これに対していかなる効果的な対応をするかについて議論を重ね、同要綱案を取りまとめたものでございます。いろいろな批判はあるとは思いますが、限られた条件のもとにおいて長年の懸案解決に大きな前進をすることができたという確信を現に持っているものでありまして、またこの確信が現実のものとなることを心から期待するものであります。
 次に、行政手続法案要綱を取りまとめるに当たっての主要な問題点について申し上げたいと思います。
 第一は、対象となる行政手続をいかようにして選択をするかということであります。
 この法律の対象としては、申請に対する処分、不利益処分、行政指導の三つをいわゆる三本の柱として取り上げております。前の二つの処分を取り上げることには問題はないと思いますが、行政指導を取り上げることは、従来の法律の常識では考えられないことであるかもしれません。しかしながら、要綱においてあえてそれを承知の上で取り上げたことは、我が国の行政手続法としては行政指導に触れないでは意味はないということが委員の間の共通の認識であったからであります。
 なお、一言付言させていただきますと、これによって行政指導を認知し、かえって行政指導が乱用される危険があるのではないかという説もございますが、行政指導は、立法の上においても、最高裁判例の上においても、また現実の行政運営においても、あるいは学説の上においても既に認知されておりまして、この法律案によって初めて認知されるというようなものではございません。と同時に、仮に認知説に立ってみても、そのことを恐れて放任しておくよりは、行政指導について適正なルールを定めて、行政指導が正しく行われるような方向に持っていく方がはるかにプラスであるというのが私どもの考え方であったわけであります。
 次に、同じ対象の問題についてであります。
 学問的に行政手続の範囲ということになりますと、先ほど高木参考人も御指摘になりましたように、本要綱において取り上げたもの以外に、行政立法手続あるいは計画策定手続というようなものが当然含まれると思います。私どもは、理論的、体系的かつ網羅的な行政手続法をつくるということの意義を決して軽視するものではございませんが、行政手続法の制定が今日まで実現しなかった経緯、行政手続の整備に対する要請の高まり、我が国行政の運営の実情等を総合的に考慮すれば、この際、一挙に網羅的なものを目標とせず、国民の権利利益に直接かかわる分野について法制の整備を優先させることが適切であるという考え方のもとに、先ほど申し上げましたような申請に対する処分、不利益処分、行政指導の三つを柱として取り上げることにいたしたわけであります。
 その他の手続につきましては、先ほども申し上げたように、そのことの必要性は認めるものであります。したがいまして、要綱におきましては、「将来の課題として調査研究を進められることを期待する」と特に付言しております。これらについては、なお基本的にいろいろな調査研究を必要とする場面があり、直ちに立法に結びつけるということは困難であるとしても、問題意識を持ちつつ、要綱においてはそのような記述をしたわけでございます。今の段階で間口を広げればまとまるものもまとまらなかったと思っておりますので、このような現実的配慮は適当であったと今でも思っております。政府の提出した法律案も同様な考え方で立案されたものと考える次第であります。
 第二は、いわゆる適用除外の問題であります。
 個々の問題は別として、基本的な考え方を申し上げますと、行政手続法はもともと一般法でありますから、すべての行政手続に一律に適用することは理論的にも実際的にも適当でないと思います。しかし反面、適用除外を広く認め過ぎると、せっかく一般法である行政手続法で共通の基準を定めても、その趣旨が没却されるということになろうかと思います。
 そこで、私どもはあらかじめ四つの客観的な基準を掲げて、適用除外が恣意的に流れないように留意したつもりであります。その四つの基準というのは、本来の行政権の行使と認められないもの、特別の規律で律せられる関係があるもの、処分の性質上行政手続法の規定の適用になじまないもの、特定の行政分野について既に独自の手続体系が形成されていてそれによることが適当なものという四つの基準であります。
 以上の基準のうち、第一から第三までの基準を立てること、あるいはそれに当たるものとしてどんなものを選ぶかということについてはそれほどの異論はないと思いますけれども、四番目の基準については、仮にこの基準を立てることに異論がないとしても、実際にそれに当てはまる法律としてどういうものを選ぶかということについてはいろいろな意見の分かれがあることは避けがたいと思います。
 ただ、四番目の基準に当たるものについても、要綱においては、適用除外ということで野放しにしてよいということを言っているわけではないのでありまして、それぞれの個別法で、行政運営の公正の確保と透明性の向上を図る観点から必要に応じて規定の見直しを行うことが適当だという意見をつけていることを御留意願いたいと思います。法律のつくり方としては、この点は、要綱では例示的に示すにとどめて、いわゆる整備法に任せているところでありますが、政府の整備法案もそのような趣旨で立案されているものと思います。
 第三は、要綱ではいろいろ例外規定あるいは努力義務規定を置くにとどめている点がございます。
 この点については、かなりの批判があるところであります。確かに、これらの点については徹底を欠くのではないかという批判があろうかと思いますけれども、これらの規定は、一方においては行政手続の公正と透明性の確保の要請、他方においては行政の多様性と円滑な遂行の確保ということに対する現実的な対応の必要との二つの調和ということを念頭に置いて、慎重に議論を重ねた結果、それぞれの規定を置いたつもりであります。
 ただ、この際一言付言しておきたいと思いますが、全くこれまで何もないところに、留保つきといえどもこのような規定を置くということの意味は相当にあるということであります。さらに、行政上特別の支障があるとか、あるいは努力義務という規定のもとにおいても、単に支障があると言いさえすればいい、あるいは努力していると言いさえすればいいというわけでは決してないのでありまして、支障が具体的にどういうものがあるのか、具体的な努力をどういうふうにしているかということを立証しなければならないということであります。
 判例の上でも、最近は手続保障ということがだんだん重視されてきて、今までのような安易な対応では裁判所でも認められないところであります。往々にして、努力義務になったからこれでいいというような安易な考え方がありますけれども、それは大変な誤りであるということをこの際申し上げておきたいと思います。なお、これによって行政手続法が骨抜きになったというような非難も私どもとしては当たらないのではないかというふうに考えます。
 第四は、地方公共団体の機関の行う行政手続と行政手続法との関係についてであります。
 答申案の成案の過程においても全部適用説、全部不適用説、その中間の部分適用説といういろいろな説がありましたが、結局、現在提案されている法律案は要綱どおりの部分適用説に落ちついております。そのために若干わかりにくい点はあろうかと思いますが、行政手続の整備の目標である行政の公正と透明性の確保の必要は国・地方を通じて十分妥当するところでありますけれども、しかし一方、地方自治の尊重の観点から、地方団体において地域の実情に即し、かつ総合的な行政運営を確保することができるようにするということも大切なことであります。この両者の要請を調整するということを考えた結果が要綱案のような部分適用説になったものであります。
 なお、この際、申し上げておきますが、この法律の趣旨に従って地方団体において適切な措置をとることを期待するということを要綱案に述べておりますし、法律案にもその趣旨のことが書かれております用地方団体がこのような措置を怠っておれば当然住民の批判を招くでありましょうし、また、そのような措置をしないままに行われた行政手続については、それが裁判の事件になれば当然その点が問題になるわけでありまして、これは努力義務の規定と同様、単なる訓示規定というふうに安易に考えるべきものではないと思います。
 以上に述べた要綱案の主要なポイントについての考え方及びその内容は、すべて政府案そのものの中に忠実に取り上げられていると考えられますので、冒頭にも述べましたとおり、当参考人としては、政府案について全面的に賛成するものであります。
 なお、往々にして要綱と政府案との間に違いがあるのではないかというような御指摘もありますが、確かに表面的には違いがございます。それは要綱と法律案との違いであり、むしろ立法技術的なものが中心でありまして、その点については法律案の方が要綱案よりもより正確に確実に条文を書いたものでありまして、私としてはその点について異論を差し挟む点は一つもございません。
 以上、私の意見を述べまして、審議の御参考に供した次第であります。どうもありがとうございました。(拍手)
#6
○左藤委員長 ありがとうございました。
 次に、住吉参考人にお願いいたします。
#7
○住吉参考人 ただいま御紹介をいただきました日本行政書士会連合会の会長を務めています住吉和夫でございます。本日、参考人として行政手続法案について意見を申し述べさせていただく機会を与えていただき、まずもって感謝を申し上げるところでございます。
 行政書士は、行政書士法に基づき、他人の依頼を受けて官公署に提出する書類その他権利義務または事実証明に関する書類の作成と官公署へ提出する手続をかわって行うこと、また、当該書類の作成について相談に応ずることを業としております。
 そこで、私は行政書士の役割と行政手続法との関係を中心に意見を述べてみたいと思います。また、ある意味では国民的サイドからの考えを述べさせていただきたいと思います。
 現在、行政書士は全国で三万五千人が会員となり、業務を行っております。全国四十その都道府県にそれぞれ行政書士会が設置され、連合会はその指導的役割を果たしているところでございます。私ども行政書士は、行政と国民の間にあって、官公署へ提出する許認可申請書類を作成しており、今回の行政手続法制定には重大な関心を持っており、最も身近な関係者だと認識をしておるところでございます。
 行政書士会では、平成三年に、行革審のもとに設置された公正・透明な行政手続部会で検討された行政手続法要綱案(第一次部会案)について意見を出してございます。
 その中で主なものは次のような項目でございました。
 一つとして、標準処理期間の設定、公表を義務づけるべきであり、標準処理期間内に処理できない場合には申請者に不利益を与えてはならない旨の規定を設けるべきである。
 二つとして、行政庁が拒否処分を行う場合の処分の理由の提示は、申請人が拒否処分となった理由を明確にとらえ得る程度のものでなければならない旨の規定をし、緊急の場合は事後に理由を示さなければならないとすべきであるということでございます。
 三つ目が、申請により拒否処分を行おうとする場合においても、少なくとも弁明手続を適用すべきである。
 四つ、聴聞に関する実施事項は、でき得る限り本法に定めるべきである。
 五番が、処分基準の設定、公表は、単なる努力義務とするのではなく、その設定、公表をしなければならないものとすべきであるという意見を申し述べでございます。
 これらの意見はほぼ今回の法案の中に採用していただいており、感謝をしているところでございます。
 行政書士は、現行の行政指導による許認可事務に対し少なからず戸惑いを持ってございます。
 許認可手続についての現状を申し上げれば、許可を得るために相当な日数がかかることが常識でございますが、いわば日数的なばらつきが多く、一つの例を挙げさせていただきますが、例えばある営業許可を申請した場合、本人の申請手続にかかわるものが、同一内容のものであり、かつ、補正等の指導経過もないにもかかわらず、他の者が提出したものより半月もおくれて許可になる場合があります。これは申請者にとって致命的な問題となるものでございます。
 たとえこの事案に特別な時間のおくれ要因があったとしても、一般的な依頼者の認識は、許可を得るためにどれだけ期間がかかるのかということが依頼時から意識されておりますから、一般的な許認可日数が官公署としてあらかじめ公表されることは、努力規定域を脱しないにしても、大いに歓迎されることだと思います。今まで私ども主業界ではタブーとしてきた許可日数等の約束が、大まかながら公表された日数等で伝えることができ、依頼者の不安を払拭させることができるという今度の法案に大きなメリットが期待され、まことに意義のあるものであると考えるものでございます。
 また、同じ許可申請でも、提出する受付窓口によってその指導が異なり、また担当者によっても異なることがございます。書類作成のプロとしての私どもでも、その都度、窓口担当者と協議をしなければ申請書が作成できない場合があります。まして、一般国民にとっては大変な戸惑いとなっておることが考えられます。また、行政指導の名のもとに、余分な添付書類を要求されたり、担当者の都合により審査が後回しになったりすることがございます。したがって、依頼者に相当な不利益を与えていることがございます。
 このたびの行政手続法が施行されますと、我々の役割が重大となってくるものと思います。行政庁の許可要件が透明となるために手続の具体的説明が容易になり、国民のニーズにこたえていくことができると思います。
 また、不利益処分に関して聴聞や弁明の機会の道が開け、不利益処分を受ける者の権利や利益を、行政手続のプロである行政書士が代理人としてこの必要な手続を申請人にかわって行うことにより、スムーズな行政運営に寄与することも可能でございます。
 次に、行政書士は行政手続に関する相談業務を行っておりますが、行政手続法の施行によりその相談が増大するものと思われます。国民からのさまざまな相談にも適切な助言やアドバイスを行っていきたいと考えております。
 行政書士会といたしましては、国民の権利利益を保護し、擁護する立場から、行政指導の明確性、透明性の確保を打ち出した今回の行政手続法案は、国民と行政とが互いに近づくことになり、円満で敏速な行政運営に寄与するものと評価し、全国行政書士会挙げて賛成をするとともに、一日も早く早期成立を切に望むものでございます。
 終わります。(拍手)
#8
○左藤委員長 ありがとうございました。
 以上で参考人からの意見の開陳は終わりました。
    ―――――――――――――
#9
○左藤委員長 これより参考人に対する質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。大石千八君。
#10
○大石(千)委員 三人の参考人の方には、かなり急なお願いでございましたが、きょうこのように御出席をいただき、また貴重な陳述をいただきましてありがとうございました。
 また、三名の方ともこの行政手続法に関して全面的に賛成をしておられるというか、期目的には、この発端が昭和三十九年の第一次臨調のときに既に意見が出されておよそ三十年近くたっているという経過はありますけれども、とにかく早くこれを取り入れるべきだという御意見を持っておられて、それが今回このように国会に提出され、早期に成立を期待するということでございますので、内容としては、今いろいろなお話にございましたとおり、不十分な点とかあるいは将来にわたる御注文等もありましたけれども、早く成立をしてもらいたいということで意見が一致をされておられました。
 そういった点では、特に具体的にこの法案の内容に関して指摘をするということの質問は私としても余り持ち合わせていませんが、これが待望されておった、また我が国において当然、公正・透明性の確保というところからも必要であると言われながらようやく今日、日の目を見ようとしているというところでありますので、せっかくそれが我が国でいよいよ法制化しようとしているときに、これが将来にわたって国民のためにもいいものであり、そしてそのためにこれからどうすべきかということに関しても少し御意見をお伺いしていきたいというふうに思っております。
 まず、高木参考人さんにお伺いいたしますが、先ほどもお話をされておりましたけれども、特にこの行政手続法は、アメリカでは終戦直後、昭和二十一年、一九四六年に制定されておりますし、それから同じ敗戦国といいますか、ドイツは一九七六年でございますか、これも大分長くかかっている、十六年間かかっているようでありますが、それでも同じような事情から新しい観点でつくられた行政手続法であるということで、日本もその点を十分に参考にしてドイツの行政手続法のよい点などを取り込んでおられるということでございましたけれども、我が国が、しかも西ドイツの行政手続法がもたついた点も参考にしながら、よりまとまりのあるものをつくられた、こういうふうに言っておられますが、そうすると、特に世界的に見ても日本のあれは極めてまとまりのよい、世界の中でも最も手続法としてすばらしいものというふうに自賛をされますか。
#11
○高木参考人 諸外国と比べて一番であると誇れるかという点でございますが、全体として見ればバランスのよいものであるというのが私の評価でございまして、個々の点につきましては、例えばここはドイツはより手続保障が厚いという部分もございます。ですから、全体としてはということでございまして、すべての点において我が国が諸外国よりもすぐれている、手続的に保障が厚いという意味ではございません。
#12
○大石(千)委員 それでは、これから一年間基準の設定とかなんとかありますけれども、これから運用するに当たって、基準決定などを含めて特に注意することというようなことはございませんか。
#13
○高木参考人 運用につきましては、個々の行政庁が事前にいろいろな事案というのですかを予測して、あらかじめ方針を定めるということが重要であろうかと思われます。私の印象ですと、これまで行政庁というのはどちらかというと事件が起こってからどういうふうに対応するかという方針を立てるという形で動いてきたのじゃないかという、これは全くの印象でございますが、持っております。
#14
○大石(千)委員 それでは、ちょっと角田参考人にお伺いしたいと思います。
 角田参考人は、特にこの第二行革審でございますか、部会長としてもこの行政手続法に関する、手続法を目指すべく意見の取りまとめをされたといいますか、いろいろ御苦労された方でございますので、ある意味では極めてこの法案の成立にかけて重要な立場におられた方でございますが、その中で、日本では昭和三十九年の第一次臨調からそういう意見がありながら、なかなか意見はあっても法制化に向けての力が加わらなかった。圧力がかからないとできないというのは我が国のそのほかの面でもよく言われることではありますけれども、特に部会の一致した意見として、この機を逃してはもういつできるかわからない、追い風を利用してというような善言葉もありまして、かなり必要性がありながらなかなかきっかけがしっかりしないとできない、こういうような状況であったようでございます。
 そういう中で、角田参考人としては、その辺の日本社会の現状を見ながら、先ほどその理由として諸官庁の意見調整あるいは利害調整ができないというようなことでありましたけれども、そういったマイナスのといいますか、我が国の全体の機構が一圧力がないと、きっかけが相当ないとできない、こういうことが、この法律ができたことによって後は円満にいくと思われますか。いくど思われますかというとおかしいですけれども、そういうようなことでやっとここまでこぎつけたということで、一応一般法として成立をいたしましたが、そういった欠点は、この一般法ができたことで後は心配が残らないか。
 今言われたように、行政だけでなくて日本社会全般に言えることかもしれませんが、この一般法というものは、その後にこういう点を特に注意しないとせっかくできても実効が十分に上がるか心配されるとか、例えば努力目標を掲げたにすぎないということで逃げてしまうとか、そういったことに対して、一般法をつくるのにこれだけ長くかかったという日本社会の欠点みたいなものは、今度この一般法ができればそれで済んだということにならないんではないかという心配を私は持つのですけれども、その辺のところは角田参考人はどうお考えでしょうか。
#15
○角田参考人 産みの悩みといいますか、そういうものを現に経験しているわけでありますが、この法律案が成立をして施行されれば翌日から直ちに行政の上で非常に大きな変化が起こるというほど私は甘い期待はしておりません。ただ、率直に申し上げますと、この要綱なり法律案に書いてあることはいわば当然のことを書いてあるわけでありまして、こういうことさえ守られないということであれば、もともと我が国の行政改革というのは口だけのものだと思います。
 それからもう一つ、先ほども申し上げましたけれども、努力義務の規定についての認識というものは、これは変えなければいけないと思います。現に裁判の上でもそういう点が争点になり、単に努力をしていますというだけでは裁判所はもう納得しないということになっています。世論としてもやはりそういう方向にだんだん向いていくと思います。
 それから同時に、法案の段階で申し上げるのは何かと思いますが、この要綱なり法律というのはじわりじわりときくようにつくってあるつもりであります。一見すると非常に例外規定などがあるように書いてありますが、総合的に言えばなかなか抜け道がないようにつくってあるつもりであります。そういう意味で、行政機関に属する人たちがこの法律を実際にまじめに運用してくれれば、必ず行政運営における公正と透明性の確保というこの法律の目的は達成されると思います。
 それからもう一つ申し上げたいのは、やはり国民の意識の変化ということもこの法律を通じて達成されなければなりませんし、またそういうこともこの法律の中で考えておるわけであります。それで、今まで行政指導を中心としてなれ合いとかいろいろなことを言われておりますが、そういう意味において、国民意識の変化ということもこの法律がうまく動くための要件であろうというふうに私は考えております。
#16
○大石(千)委員 最後に、住吉参考人に伺います。
 住吉さんが会長をしておられる行政書士会としては、申請にかかわる処分の問題、不利益処分のはっきりとした基準、それから何よりも標準処理期間の明示、こういったものを意見具申もされて、まだかなり明確にこの手続法案の中にそれが盛り込まれているように思います。またそうおっしゃっておられました。
 また、行政処分の基準をつくったことによって業務相談も多くなるだろう、極めて期待が大きいということをお話しになりましたけれども、そちらの方の期待が大きいのはわかりましたが、この法案に対して不安とか不満が、こういう点は改めてもらいたいというようなことが後ほど出てくるかもしれないと思いますが、そういった点に関して何か注文といいますか、この実行に関してこういうところに気をつけてほしいということがもしありましたらつけ加えていただきたい、こういうふうに思います。
#17
○住吉参考人 大変お褒めをいただいてありがとうございます。
 この法案、今までの行政手続を我々が担当していまして、それから見ますと大変な変化のある法律ができる、国民にとっては大変ありがたいことだなというふうに考えておりますが、これの施行に伴いまして、それぞれの行政側、いわゆる窓口においても、また国民においても、大変な戸惑いが発生するのではないかというふうに考えはしてございます。
 しかし、今までのそれぞれの職域の方々が短期で交代をしていくということは少しこれから反省をしていかなければならないだろう、そしてそれぞれの専門家的な立場にならないと今度の行政手続法を円滑に運営するということは難しいのではないかなというふうに考えております。
 ただ、いずれにしろ、我々国民的サイドから見ますと、行政指導という立場の中で、結果的にはお願いをされ取り下げをしたというケースが今まで非常に多い。そういうことで、単な至言葉の行政指導ではなくて、なぜ取り下げになったかということが明快にわかるというシステムができることは大変ありがたいことだというふうに考えております。これは一時のそれぞれの戸惑いはあろうが、結果的には円滑な行政になるというふうに考えております。
 以上です。
#18
○大石(千)委員 どうもありがとうございました。
 時間が参りましたので、以上で終了いたします。
#19
○左藤委員長 次に、北沢清功君。
#20
○北沢委員 ただいまは、それぞれ貴重な御意見をいただきましてありがとうございました。
 このたびの手続法につきましては、それぞれ参考人の先生方、そして私どもも、行政の透明、公正という意味で一定の評価をしておるわけでありますが、その中で特に問題になっている点として、いわゆる必要なもので限定をされたということで、これは今の法律の状況の中では非常に妥当な面もあろうかと思いますが、特にオープンな行政というためには、既に各自治体で行われております情報公開条例というようなものがございます。
 これも十数年前、私も長野県でこのことにかかわったことがございますが、条例はできましても、その中に一つの限界がございまして、今回このような手続法の中ではより明確になるという意味で、私は今回のこの法律の制定ということは大切なことであろうと思いますが、国にとりまして、やはりそういう面で情報公開という、法といいますか、そういうもの、さらにこの制定によって非常にオープンな行政が目に見えてくるんではないかと思いますが、これらについての必要性なり、または御意見につきまして、高木先生からまずもってお教えをいただきたいと思っております。
#21
○高木参考人 情報公開法の制定の必要があるかということでございますが、それ自体としては、やはり長期的にあるいは中期的に必要であろうと私は考えております。先ほど申し上げましたように、今回の法律案は国民の権利利益を守るための手続ということでございますので、その情報公開の理念とはやや違った分野の問題でありますので、情報公開は別途進めるべきだというふうに考えております。
 それと関連いたしまして、やはり各省庁における文書の作成ですか、文書管理という問題をあわせて行うことが恐らく重要になるだろうというふうに考えております。
#22
○北沢委員 私は、やはりこのことにおいては情報公開法というような形にすることにおいて、やはりオープンな行政というものがより幅広く民主的にされるんではないかという感じを持ちまして、今の官庁の情勢、文書等の保存等を含めてなかなか難しいことであろうと思いますが、そのことはやはり今後念頭に置いていかなきゃいけないんじゃないかというふうな思いをしております。
 そこで、今回のこの行政指導という面の手続法が新たな形で出たわけでありますが、この行政指導というスタイルは、これは日本特有なものであろうか、それとも諸外国でもそういうような形の、法規行政という形が主であって、日本型の行政指導という形でしばしば指導されるということがあるんじゃないかという思いをしておりますが、このことの諸外国の例と、それからもう一つは、今回この法によって行政指導が法制化するといいますか、法規化するという一面で乱用されるんではないかという感じがするわけでありますが、これらについての御意見について、角田先生からお教えをいただきたいと思います。
#23
○角田参考人 行政指導が我が国特有の行政手法であるかという点については、先ほど高木参考人からも申し上げたとおりであります。外国においてもそれに相当するものがないわけではないと思います。ただ、我が国の行政運営の実情からいえば、行政指導というものが非常に多用されているということは、これは諸外国に例のないところではないかと思います。また、そのことをめぐっていろいろな問題があることは御指摘のとおりだと思います。
 そこで、先ほどの私の陳述の中でも申し上げたと思いますが、行政指導というものは法律の世界の中に既に地位を持っているものであると思います。したがって、これを放置するよりは、やはり適正なルールを決めて、その法律の世界の上で、さらにそのルールに従わせることによって行政指導を適正なものにするという方が選択として正しいであろうというのが私どもの考え方であります。
 さらに、この要綱なり法律案によって行政指導が乱用される方向に行くだろうということは、私はむしろ逆であろうと思います。つまり、これまでややもすれば放任されていた行政指導に適正な枠を決めるわけでありますから、今後は適正な枠が法律の上で明記されている、それに反してやれば違法な行政指導だということがはっきりするわけであります。したがいまして、むしろ抑制的方向にこれによって向かうだろうというふうに確信をしております。
#24
○北沢委員 ありがとうございました。
 それでは、もう一点角田先生にお伺いをいたしたいと思いますが、この手続法は国の法律として制定されるわけですが、国の委任事務等は別として、非常に地方の行政にかかわりがあるわけでありまして、住民生活の中では、具体的には各末端の自治体との関係が非常に深いと思います。これは当然自治体独自のものを持っておりますから、今後どういう形でこれを進めるかということが非常に重要なポイントになると思うのです。
 そのことは、地方においては条例の制定とか要綱という形になると思いますが、そういう面で、これからのこの法の制定後における地方の取り組みをより深めていくためには、国なり、世論といいますか、そういうものが必要だろうと思いますので、それらについて先生の指導面でのお考え等につきまして、ございましたらお教えをいただきたいと思います。
#25
○角田参考人 実は、私は地方団体との関係におきましては、最後まで全部適用説を主張した者でありますが、実はその意見は少数意見として退けられたものであります。したがいまして、現に要綱なり法律案に書いてありますように、地方団体の自主性というものを尊重するということになっておるわけであります。しかしながら、今委員もおっしゃいましたように、このまま法律に書いただけではむろん地方団体にその趣旨が徹底するとは思えません。
 そこで、総務庁はもとよりのこと、自治省さらにそれぞれの行政事務を担当する各省庁が自分自身の行政手続の面において、この法律に従っていろいろ運営の改善を図ると同時に、地方団体に対してもそういう指導をすべきだと思います。
 同時に、先ほども申し上げましたように、最も住民に密接な行政をやっている地方団体としては、国以上にこういう点についてはもっと早くやるべきであったと思います。情報公開であるとか公害の問題だとか、いろいろな行政の面において地方団体はある意味では国より早く手をつけた点もあろうかと思いますが、行政手続の点については、遺憾ながらそういうふうに地方団体が先に手をつけたということは少ないと思います。そういう意味で、委員が御指摘のように、これから政府の各関係機関は全力を挙げてこの行政手続法の趣旨が浸透するように地方団体に対して適切な指導を行うべきだと思います。
#26
○北沢委員 ありがとうございました。
 以上で終わらせていただきます。
#27
○左藤委員長 次に、山田英介君。
#28
○山田(英)委員 三人の参考人の皆様には、お忙しい中を御出席をくださり、貴重な御意見をお聞かせをいただいておりまして、まことにありがとうございます。
 早速でございますが、まず高木先生にお伺いしたいのですけれども、先ほどるるお話がございまして、第三条「適用除外」の関連でございますが、先生は、無用な争いを避けたというか、そういう組み立てあるいは中身で非常に穏健なものである、私もさように思うんでございます。
 ただ、この適用除外には、三条を読んでみますと、幾つかのタイプに分かれておりまして、まさにこの法案の適用が実際上もしくは技術的に不可能である、あるいは困難である、なじまない、こういう適用除外のタイプ、もう一つは、手続法をいわば身軽にするために、無用な争いを避けるためにとでも言っていいんでしょうか、あえて除外をしたんではないかと思われるところも実はあるんではないか。
 例えば、公務員に対する人事行政上の行為、これは、例えば免職処分とか、公務員にとっては大変重大な処分ということになるわけでございます。これが三条で適用除外されていますよね。それから、外国人の出入国等に関する行為、これも適用除外されておる。あるいは、租税の賦課徴収に対する処分、これも除外ということであります。
 ただ、この手続法を適用しようとすれば、これは決して不可能なタイプのものではないんじゃないのかという感じを持っているわけでございます。ですから、言いかえれば、適用除外の例としてこれらのものを一般化してしまって果たしていいんだろうかということを私は思うんですけれども、この点は、高木先生いかが御見解をお持ちでございましょうか。
#29
○高木参考人 まず、私は、穏健とか争いを避けるためと申しましたのは、これは適用除外の関係の問題ではございませんで、内容的に学者がそれを見て争いが起こるようなことを避けているという意味で穏健と申し上げたわけでございます。
 適用除外につきましては別の論点でございますので、先ほどの説明で触れなかったのですが、これから申し述べます。
 御指摘のとおり、公務員、外国人、租税につきましても、その事前の手続が必要であるということは理論上あるわけでございまして、今回手続法の適用範囲に含めるという選択肢もあったであろうと思われます。ただ、その手続法を適用しますと、今用意しておる規定をそのまま適用するにはやはり問題があるという面がございます。
 例えば公務員ですと、現在公務員法には、事後手続といいますか、不服審査の手続が非常に手厚くつくられておりますので、その事前の手続と事後の手続をあわせて考える必要がある、あるいは裁判で争った場合にどうなるか、その全体の中で組み立てを考える必要がございますので、そういう意味では公務員あるいは租税の問題というのは今回適用除外して、別途全体としてどういう手続があるべきかという形で見直しをするのが適当であるというふうに私は考えております。
 それから、外国人につきましては、今回の法律がいわゆる典型的な行政処分を念頭に置いておりますので、やや特殊な分野である。ここは、公務員、租税とはまた別の意味で、別途の全体として適切な手続なり訴訟というものの組み立てをつくることが適切であろうというふうに考えます。
 以上です。
#30
○山田(英)委員 次に、角田先生にお伺いをしたいと思います。
 八条、十四条関係で、八条は申請に対する処分、十四条の方は不利益処分、この関係でございますが、八条の二項に「前項本文に規定する処分を書面でするときは、同項の理由は、書面により示さなければならない。」こうございます。基本的に不利益処分のところも、十四条もこういう記述に、法律になっております。
 そうすると、これは書面で行わない、書面でしない拒否処分というのが、結果的にこの条文の立て方だとふえるのではないのか。それが一般的というか主流になってしまうのじゃないか。本来書面で行うことが適当であるのに、口頭で行われてしまった、こういうケースが仮に出てきたとして、その場合は申請人等については書面で示すことを、この条文を読む限りは、申請人の方から、あるいは不利益処分を受ける者の側からは、書面でひとつ理由を提示してくださいということが要求、請求できなくなっているのではないのか。これは不都合はないのかなという気がするのですけれども、いかがでございましょうか。したがって、書面主義をもうちょっと徹底する、そういう配慮といいますか御努力が必要だったのかないかがでございましょうか。
#31
○角田参考人 そういう杞憂といいますか御心配は、実は部会の席上でも出ました。ただ、いかなる処分を書面でやるか、口頭でやるかということは、いわば行政通則法的な問題でもあり、またそれぞれの個別法で決めるべきことであって、行政手続法において、それをどういう場合に書面でやり、どういう場合に口頭でやることが許されるかというようなことを規定することは無理であろうということで規定しなかったわけであります。
 ただし、御指摘のような議論は確かにあると思います。したがって、この法律としては、その点については、口頭でやることをこれによって奨励する、そういう意図のもので決してないということだけははっきり申し上げておきたいと思います。
#32
○山田(英)委員 次に、住吉先生にお伺いしたいのです。
 先ほど不利益処分の部分で、弁明とか聴聞の機会が設けられたということを非常に高く評価をなされておられました。それで、これは十三条関係になるのですけれども、その弁明の機会の付与について適用除外がありますよね。二項四号に規定されておるのですが、弁明の機会はこの場合には与えませんという適用除外のところの一つに、「納付すべき金銭の額を確定し、一定の額の金銭の納付を命じ、又は金銭の給付決定の取消しその他の金銭の給付を制限する不利益処分をしようとするとき。」は弁明の機会の付与が適用除外ですから認められていない、法律案はそういう立て方になっています。確かに、いろいろお伺いをするときに、一般的には金銭に関する処分というのは事後の救済で原状回復が容易であるから適用除外したんです、弁明の付与は与えません、こういうことと説明をされております。
 ただ、一般的には確かにそういうことなんでしょうが、社会保障関係の給付というのはちょっとまた性質が違うのじゃないか。例えば生活保護給付の打ち切り、こういう処分がなされた。この場合には、金銭的な問題だから事後に原状回復が可能だということにはなかなかいかないのではないか。その受ける打撃、ダメージというのは、そんな簡単にいかないのじゃないか。したがって、これは住吉先生が、国民の権利利益を保障するという意味において一番身近なところで御活躍をなさっておられるお立場から、ちょっと具体的で恐縮には存じますけれども、この社会保障関係の今私が申し上げた点については、どんな御見解をお持ちでございましょうか。
#33
○住吉参考人 具体的な御質問をいただいたわけですが、総括的に、適用除外というのは将来的にはよく研究をすべきだというふうに考えてございます。ただ、現在日本の国情として行政改革等を打ち出している中でこの法律を成立させようとすると、とりあえずはこの形でいかざるを得ないのかなというふうに考えますが、これでよいというふうには考えてございません。
 以上でございます。
#34
○山田(英)委員 大変恐縮ですが、角田先生からも一言お願いしたいと思います。
#35
○角田参考人 社会保障関係の問題については行政手続法を一律的に適用するということをしなかったわけであります。これは政府側が既に前国会において本会議等で御答弁申し上げたような理由によるものでありますが、一方においては、社会福祉関係の問題については、ケースワーカーを中心とした適切な対応というものが第一義的には採用されるべきであって、行政手続法というような共通的な一般法をそのまま適用するということは必ずしも適切でないと私は思います。しかし、いろいろ問題のあることは私も承知しておりますが、そういう点については、今後社会福祉各法の運用についてそれぞれの省庁において適切な対応をすべき点があろうかと思います。
 また、今回整備法の段階でありますが、社会福祉各法について行政手続法の規定の趣旨に沿った若干の改正をいたしておることも事実でございます。そういう点も勘案しまして、今後検討すべき点があろうというふうに私は思います。
#36
○山田(英)委員 最後になりますが、高木先生にこれはお願いしたいと思っています。
 行政指導の三十五条関係で、国民のいわゆる権利利益を保障する、そういう仕組みをこの法案によってつくり上げよう、これは非常に重要なことだと思います。
 それはそれとして、関連をして、例えばかつてのロッキード事件、あるいは近年におけるリクルートとか証券不祥事、損失補てんの問題、これらは行政指導のあいまいさとか密室性というものがその背景にはあると指摘をされているわけです。別の観点から、また、許認可とか行政指導がこういう法案の成立等によって、運用によって一層透明化が進んでいけば、言われております政官業のいわゆる癒着関係、この癒着の構造にも一定の、あるいは大きな変化を与えることができるのではないのか。一方において、こういう角度からのこの法案に対する期待感も決して小さくはない。また佐川事件とか巨額の金丸脱税事件とか、こういうものも結局は政、業だけではなくて官の介在、言いかえれば、申し上げました許認可とか行政指導のあいまいさとか不透明さというものがあって初めて成り立つ、そういう性質の事件ではないのか、こういう基本的な認識を私は持っているわけです。
 さて、そこでその三十五条の「行政指導の方式」なんですが、「行政指導が口頭でされた場合において、その相手方から前項に規定する事項を記載した書面の交付を求められたときは、」「行政上特別の支障がない限り、これを交付しなければならない。」二つハードルを設けているわけですよ。一つは書面交付の請求、もう一つは行政上特別の支障がない限りはこれを交付する、こういうことでございます。言われている政官業のトライアングル、癒着の関係というものを打ち破っていこうとしている、そういう大きな流れが一つあるわけですけれども、それを打破していく上でこの三十五条の規定がどの程度効果を持つものなのか、御専門のお立場で御意見をお聞かせいただければありがたいと存じます。
#37
○高木参考人 三十五条二項が役に立つかということになりますと、これは、行政指導を受けた相手方がその行政指導を歓迎する場合には書面交付を要求いたしませんので三十五条二項の適用が問題になることはないわけでございますので、手続法の条文自体が今おっしゃられたことに意味を持つということではないと思います。ですから別の、行政改革なら行政改革、あるいは世論なら世論の問題ではないかと思います。
#38
○山田(英)委員 先生、恐縮ですがもう一言。
 この法案が成立して運用されていった場合に、やはり公正で透明な行政の確立というものが一歩前進する、近づく、そういう趣旨ですよね。それは僕はそのとおりだと思うのです。
 関連して、じゃ、この三十五条にこだわりません。この法律案全体の立て方とか中身というものが、言われている政官業の関係に対してどういう影響を与え得ると考えられるのか、その点を一言ちょっと。全くないのか、幾らかあるのか。
#39
○高木参考人 全体として今回の行政手続法が公正、透明な行政運営という方向に向かっているということは確かでございまして、例えば、申請に関する手続というのがその法案どおりに運用されるということが積み重なってまいりますと、今おっしゃられましたような透明化という効果は確実に出てくる、角田参考人が言われましたように、じわじわときいてくるというふうに私も考えております。
#40
○山田(英)委員 貴重な御意見を賜りましてありがとうございました。
#41
○左藤委員長 次に、松本善明君。
#42
○松本(善)委員 行政手続法というのは、適正で民主的な手続によって国民の権利を保護するということ、そして広範な行政行為に対して国民参加の道を開く、そういう点では、民主的で公正かつ効率的な行政の運営を確保する、そういうものであろうかと思います。我が国に行政手続法が制定されていないという中で、不十分とはいえ政府提出の行政手続法を制定するということに一定の意義があるということについては言うまでもない。だからこそ、学会でもあるいは民間からもいろいろ不十分さの指摘は方々からありますけれども、全面的に反対という意見は出てきていないのではないかというふうに思うわけでございます。その不十分な点をどういうふうにこれから将来補充をしていくかということについては参考人からもお述べをいただいていると思いますけれども、それらの点について若干伺いたいと思います。
 まず角田参考人に、立法過程からかかわっておられますので、これはデュープロセスという考え方と、あるいは憲法の三十一条、これは一九九二年七月一日の最高裁大法廷判決が、三十一条の適用を行政部分についても言及されたということもございます。政府の答弁でもやはりそういうものがこの背景にある、底を流れているという答弁がありましたが、この点についてどういうふうにお考えになっておられるか、簡明にまずお聞きしたいと思います。
#43
○角田参考人 御指摘のとおりで、最高裁判例でも、いわゆるデュープロセスの考え方というものが行政手続にも適用されるという考え方が示されているわけであります。無論、直接の適用というところまではいっておりませんけれども、同じような趣旨が行政手続にも適用されるということは、既に判例の上でも確立していると言っていいと思います。
 ただ、先ほども申し上げましたように、裁判所としましては、それにしてもその適用について広範なものから狭いものまでいろいろ、どこまで適用するかということについての指針というものは必ずしも今まで明瞭に示されていないわけであります。ところが、今回行政手続法が成立をすれば、まさにそういう意味のデュープロセスの考え方というものが、実質的に行政手続にどのように適用されるかということについて非常に大きな指針と申しますか、基準になると思います。
 そういう意味において、私は、この行政手続法はいわばデュープロセスを実際に具体化するための手段として非常に大きな効果を持ってあろうというふうに思っております。
    〔委員長退席、田口委員長代理着席〕
#44
○松本(善)委員 そこで、この手続法案の不十分な点と申しますか、その点について、これから将来の課題としていろいろ研究しなければならないということは角田参考人も述べられたところでありますが、それは将来いつの日か、二十一世紀になっていつの日かというようなことではなくて、かなり早急に整備すべきことではないか。これは、今回のものが第一歩ということで、政府の答弁でも、各省庁がそれぞれ関係法規の見直しについてなされることを期待するという答弁をしておりました。
 二つに分けて、一つは行政立法と行政計画、これについての国民の行政参加、そういう観点が今度の場合は完全に抜けているわけであります。これについて一体どうすべきか。
 それから、既にいろいろ話が出ております除外規定、適用除外の問題。これは、やはり各省庁でこの問題について、この精神でさらに充実をさせるように考えなければならぬというふうに思いますが、そういうような展望についてどうお考えになるか。
 いつの日かやればいいというものではないだろうと私は思うんです。やはりできるだけ早急に行政の全分野に透明性あるいは公正の確保というようなことが貫かれなければならないものだろうと思います。その点について、まず角田参考人に伺いたいと思います。
    〔田口委員長代理退席、委員長着席〕
#45
○角田参考人 御指摘の点につきましては、先ほど意見陳述をいたしましたことを繰り返すほかございませんけれども、行政立法であるとかあるいは計画策定手続につきましては、これはそもそも一般法としてそういうものを取り上げるかどうかという問題もありますし、仮に一般法として取り上げるにしても、具体的などういう規定を設けるべきかということについては、実は、調査研究といいますか、実態を含めてそういうものについての調査研究がほとんどされていないというのが実情であろうと思います。そういう意味で、私どもとしては、今回この答申、要綱においては取り上げなかったというのが本当であります。
 ただ、こういう問題についての問題意識は先ほども申し上げましたとおりでありますから、直ちに立法化は困難であるとしても、そういう方面についての研究、努力というのはこれからも行うべきであろうというふうに考えます。
 それから、適用除外の問題につきましても、これも先ほどるる申し上げましたけれども、一挙にこの通則法、一般法である行政手続法をすべての行政手続に適用するということは困難であろうと思いますが、できるだけそういう適用除外の範囲を狭めるということは、まさに方向として私どもは打ち出しているつもりなんです。ですから、あの要綱にも書いてありますように、行政手続法を適用しなくても、それにかわる措置を十分それぞれの各法においてとるべきであるという意見を申し上げているところであります。
#46
○松本(善)委員 高木参考人に、今、角田参考人にお聞きした点について伺いたいと思いますし、あわせてこの行政手続法要綱案に対して、行財政総合研究所、いわゆる臨調行革プロジェクト行政部会の委嘱を受けて行政手続法対案研究会が設けられています。原野岡山大学教授が座長になられて対案がつくられております。かなりの行政法学者が参加をしている。学者というのは異なった意見を言うのが仕事だというような趣旨のことを言われましたが、果たしてそうかなという疑問も感じますが、この対案についてどのようにお考えになるか。
 私は、やはりこれからの行政法分野についてかなり参考にして、各省庁とも研究の対象にしなければならない性質のものではないかと思いますが、その点もあわせてお答えをいただきたいと思います。
#47
○高木参考人 それでは、三点にわたって申し上げます。
 まず、立法手続、計画確定手続についてでございます。
 これは、確かに一挙には無理だということは角田参考人と同意見でございますが、私個人は、計画確定といいますか、土地利用に関します都市計画の関係については早目に立法化を目指した方がいいのではないかというふうに個人的には思っております。
 それから、適用除外されたものについてでございます。
 ドイツでは、一般行政、それから租税の領域、そして社会保障の領域というのを三本柱というふうに呼んでおりまして、一般行政ができた後にはそれぞれの分野で手続、やや一般的なその分野の法律をつくるという動きがございましたので、我が国でも、例えば国税通則法の見直しとか、そういう形でなされればいいのではないかというふうに個人的には思っております。
 それから、三番目の対案の問題でございます。
 これは非常に重要な提言でございまして、ただ反対を言っているということではございませんで、対案が目指している透明性とか民主的な、あるいは参加という点は非常に重要な点でございますので、私も先ほど申しましたような計画の部分ですとかの立法化という形で反映されていくべきであろうというふうに考えております。
#48
○松本(善)委員 具体的なことで、今も高木参考人からドイツの例で租税の分野についてのお話がございましたが、やはり租税の分野というのが一般国民にとっては一番身近な行政庁の行為であります。そして、日本弁護士連合会、日本税理士連合会などがこの適用除外について、やはりそうすべきではないのではないかということを言っております。この点について、角田参考人と高木参考人に伺いたいのであります。
 例えば、先ほど行政指導の話もありましたが、修正申告をする、これはもう明らかに行政指導である。このときにこの三十五条、先ほども議論になりましたが、行政指導の趣旨並びに内容、責任者を明確にする、求められれば文書を出す、こういうことはやはりあってしかるべきではないかと思いますけれども、早急にやはりそういうような方向に持っていくべきではないか。欧米諸国では納税者の権利がかなり保障されておりまして、そういう点では日本は非常におくれておると思いますが、その点についての御見解を角田参考人とそれから高木参考人に伺いたいと思います。
#49
○角田参考人 ただいま御指摘の中で、三十五条の一項というのは租税関係の業務にも適用されております。したがって、明確原則というのは、適用されておるというか、整備法で適用するように規定しております。したがいまして、行政指導を行うときには明確にしなきゃいかぬということは規定をされておるわけであります。
 それから、書面交付の三十五条の二項は、御指摘のとおり整備法で適用除外になっております。この点については、既にいろいろな議論がされているように伺っておりますが、税の実務から見て、膨大な事案を処理するについて一々書面交付ということは非常に大変であるということもありますが、同時に、長い間築き上げられてきた税務運営についてのいろいろな行政相談的な、あるいは指導的なそういうものの体系に対して直ちに今書面交付の規定を適用するのは無理であるというのが、実は部会においても一致した意見であったのであります。
 ただ、私の個人的な意見でありますけれども、税務の面においてもそういう民主的な、あるいは行政の公正と透明を確保するための必要な措置というものを、運営上において、今後行政手続法の成立と相まってどんどん講じていただきたい、それを国税当局においては考えていただきたいというのが私の気持ちでございます。
#50
○高木参考人 租税の分野でございますが、私も、確かに修正申告の慫慂について書面交付を認めるべきだという意見があるということ、それがかなり聞くべきものであるということは考えておりますが、ただ、先ほどの角田参考人の意見にもありましたように、租税関係は特に数が多いというのが特徴でございまして、例えばドイツと比較いたしましても、ドイツの手続法も、租税の分野につきましては、どちらかというと事後の救済に重点を置くという選択肢を選んでおります。
 先ほどから申しておりますように、国民の権利救済ということは、事前手続のほかに事後の手続、それから裁判というものを全部含めて考える必要がございますので、現在の日本ですと、まず不服申し立てが二段階ございまして、それから裁判所で三審、三回あるということで五段階になっているわけでございまして、これは、そこにまた事前手続が加わりますと六段階になりますので、そうなりますと、例えば仮にドイツと比較いたしますとかなり段階が多過ぎるといいますか、そういう気がいたしますので、恐らくその修正申告等の手続につきましても、全体の手続の見直しの一環として行うというのが合理的ではないかというふうに考えます。
#51
○松本(善)委員 日本の国税通則法は事後の手続ですね、処分があってからの。事前については全くないと言っていい。そういう分野がかなり必要なのではないか。
 時間になりましたので、最後の質問でありますが、角田参考人に、修正申告のことはお聞きいたしましたが、例えば更正決定についても不利益処分の理由をつけるとか、それから、それについての不服のあり方、これは更正決定が出ますと裁判で争っても国民にとっては決定的なことになりますので、やはりこういう行政手続法の趣旨が生かされるべきではないか。
 この点はどのようにお考えになるかということを角田参考人に伺い、それから、住吉参考人にも伺いたいのは、日本弁護士連合会や日本税理士連合会は適用除外その他について意見を述べております。行政書士会はそういうことについては御意見はないのだろうか。実務の中で、こういうところはやはり行政手続法が適用された方がいいんじゃないか、こういうふうにお考えになっている点はないのかどうか、立法府に対する御要望もあわせて伺いたいと思います。
#52
○角田参考人 先ほど高木参考人から申し上げたことにつけ加えるべきものはありませんが、修正決定を含めまして税務行政の運営については、国税通則法といいますか、そういう法律があるわけでありますから、その全体の見直しという点において取り上げるべきじゃないかというふうに私は考えます。
#53
○住吉参考人 先ほども適用除外についてお話をしたのですが、実際現場に携わっている者として、今度の行政手続法なるものが極めて大変な変革だというふうに考えております。したがって、どのような混乱が生じてくるのだろうかということをまざまざと私どもは体験をしておりますので、そういう意味では、今度は第一歩を踏み出すということで、こういうものについてさらなる研究をし、見直しをしていく必要があるだろうというふうに認識をしております。
#54
○松本(善)委員 終わります。
#55
○左藤委員長 これにて参考人に対する質疑は終了いたしました。
 参考人の方々には、貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。法案審査の参考に資するところ大なるものがございました。委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。
 ちょっと速記をとめてください。
    〔速記中止〕
#56
○左藤委員長 速記を起こしてください。
    ―――――――――――――
#57
○左藤委員長 内閣提出、行政手続法案及び行政手続法の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案の両案を一括して議題といたします。
 これにて両案に対する質疑は終局いたしました。
    ―――――――――――――
#58
○左藤委員長 この際、行政手続法の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案に対し、松本善明君から修正案が提出されております。
 提出者から趣旨の説明を求めます。松本善明君。
    ―――――――――――――
 行政手続法の施行に伴う関係法律の整備に関す
  る法律案に対する修正案
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
#59
○松本(善)委員 日本共産党を代表して、ただいま議題となっております行政手続法の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案に対して、修正案の提案理由とその内容の概要を御説明申し上げます。
 本来、行政手続法は、適正で民主的な手続によって国民の権利を保護する有効な歯どめであるとともに、広範な行政行為に対して国民参加の方途を開くことによって、民主的で公正かつ効率的な行政の運営を確保することにあります。
 我が国に行政手続法がいまだ制定されていないもとで、不十分とはいえ、政府提出による行政手続法を制定することが一定の意義を持っていることは言うまでもありません。しかし、政府案を本来あるべき行政手続法の趣旨に照らして検討した場合、極めて不十分な内容であると言わなければなりません。
 政府案が不十分となっている背景には、行政手続法制定というすぐれて民主主義的課題を、米国からの市場開放、日米財界の規制緩和など政治的要求の対応に絡めたことがあります。そのことは法案の内容にも示されています。
 一つは、政省令などの行政立法、また行政計画が法の対象から全く外されていることにも示されているように、国民の行政参加という民主主義的立場が全く軽視されていることであります。このことは、政府提出法案を初め関係の文書に民主的という用語が一語もないことにも象徴的にあらわれております。
 二つは、政府案の目的でも「国民の権利利益の保護に資すること」とうたっているように、国民の権利にかかわるという事の性格からも、行政手続法による権利利益はすべての国民が平等に享受すべきものであります。しかし、法案は限定された行政処分についてさえも、行政手続法案によるさまざまな行政分野にわたる適用除外、また、行政手続法の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案によって百十七本の個別法律が適用除外されるなど、広範にわたる適用除外は法の目的を損ねかねないおそれがあります。
 しかも、適用除外されている内容は、当然なものもありますが、租税の賦課徴収、社会福祉の措置解除、外国人の出入国の管理、学校・刑務所での処分、公務員の身分に関する処分など、その多くは人の身分、財産、地位、人権にかかわる極めて重要な分野であります。
 特に税務行政は、徴税手続が税務当局の恣意に任されているために、人権無視の税務調査など強権的な税務攻勢が横行しています。税務当局の横暴を抑え、納税者の権利を保護するために、行政手続法を国税通則法や地方税法に適用させ、公正で適正な事前手続規定を整備することが緊急な課題となっています。
 以上の立場に立って、政府案に対して、最低限の修正措置として、政府案が行政手続法から適用除外している国税通則法並びに地方税法を適用させる修正案を提案するものであります。
 修正案の概要は、国税通則法並びに地方税法を適用除外にしている行政手続法の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案第六十四条及び第三百五十五条を削除するとともに、所要の規定を整備するものであります。
 以上が修正案の提案理由とその概要であります。
 委員各位の御賛同をいただき、速やかに可決されますことを要望いたしまして、修正案の趣旨説明を終わります。
#60
○左藤委員長 これにて修正案についての趣旨説明は終わりました。
    ―――――――――――――
#61
○左藤委員長 これより両案及び修正案を一括して討論に付するのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。
 まず、行政手続法案について採決いたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#62
○左藤委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
 次に、行政手続法の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案及びこれに対する修正案について採決いたします。
 まず、松本善明君提出の修正案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#63
○左藤委員長 起立少数。よって、松本善明君提出の修正案は否決されました。
 次に、原案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#64
○左藤委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
 ただいま議決いたしました両法案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#65
○左藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
    〔報告書は附録に掲載〕
    ―――――――――――――
#66
○左藤委員長 次回は、来る二十八日木曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午前十一時二十四分散会
ソース: 国立国会図書館
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