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1993/11/12 第128回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第128回国会 本会議 第9号
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1993/11/12 第128回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第128回国会 本会議 第9号

#1
第128回国会 本会議 第9号
平成五年十一月十二日(金曜日)
    ―――――――――――――
 議事日程 第八号
  平成五年十一月十二日
    午後一時開議
 第一 心身障害者対策基本法の一部を改正する
    法律案(厚生委員長提出)
 第二 保健婦助産婦看護婦法の一部を改正する
    法律案(参議院提出)
    ―――――――――――――
○本日の会議に付した案件
 日程第一 心身障害者対策基本法の一部を改正
  する法律案(厚生委員長提出)
 日程第二 保健婦助産婦看護婦法の一部を改正
  する法律案(参議院提出)
 畑農林水産大臣の帰国報告についての発言及び
  質疑
    午後一時四分開議
#2
○議長(土井たか子君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
#3
○議長(土井たか子君) 日程第一は、委員長提出の議案でありますから、委員会の審査を省略するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○議長(土井たか子君) 御異議なしと認めます。
    ―――――――――――――
 日程第一 心身障害者対策基本法の一部を改正する法律案(厚生委員長提出)
 日程第二 保健婦助産婦看護婦法の一部を改正する法律案(参議院提出)
#5
○議長(土井たか子君) 日程第一、心身障害者対策基本法の一部を改正する法律案、日程第二、保健婦助産婦看護婦法の一部を改正する法律案、右両案を一括して議題といたします。
 委員長の趣旨弁明及び報告を求めます。厚生委員長加藤万吉さん。
    ―――――――――――――
 心身障害者対策基本法の一部を改正する法律案
 保健婦助産婦看護婦法の一部を改正する法律案
  及び同報告書
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
    〔加藤万吉君登壇〕
#6
○加藤万吉君 ただいま議題となりました心身障害者対策基本法の一部を改正する法律案について、趣旨弁明を申し上げますとともに、保健婦助産婦看護婦法の一部を改正する法律案について、厚生委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。まず、心身障害者対策基本法の一部を改正する法律案について申し上げます。
 「国連障害者の十年」に引き続き、本年から「アジア太平洋障害者の十年」が発足することとされ、政府においても、新たな「障害者対策に関する長期計画」を策定し、これまでの理念及び目標を受け継ぎながら、新たな時代のニーズにも対応できるよう積極的に取り組んでいくこととしております。
 しかしながら、障害者の完全参加と平等を目指すためには、今後も引き続き施策の一層の充実強化が求められております。
 本案は、このような障害者を取り巻く社会経済情勢の変化等に対応すべく、心身障害者対策基本法を大幅に改正することとし、障害者のための施策を総合的かつ計画的に推進するための措置を講じようとするもので、自由民主党・自由国民会議、日本社会党・護憲民主連合、新生党・改革連合、公明党、さきがけ日本新党、民社党・新党クラブ、日本共産党の七会派間の合意に基づき、起草案を得、十一月九日の厚生委員会において、これを成案とし、全会一致をもって厚生委員会提出の法律案とすることに決したものであります。
 その主な内容は、
 第一に、法律の題名を障害者基本法に改めるとともに、障害者の自立と社会、経済、文化その他あらゆる分野の活動への参加を促進することを法律の目的とすること、
 第二に、法律の対象となる者の名称を「障害者」に改めるとともに、身体障害、精神薄弱または精神障害が法律の対象であることを明定すること、
 第三に、基本的理念として、「すべて障害者は、社会を構成する一員としてあらゆる分野の活動に参加する機会を与えられるものとする」を加えること、
 第四に、十二月九日を「障害者の日」とすること、
 第五に、政府は、障害者基本計画を策定するとともに、都道府県及び市町村も同様の計画を策定するよう努めること、
 第六に、政府は、毎年、国会に、障害者の施策の概況に関する報告書を提出すること、
 第七に、国及び地方公共団体は、障害者の医療、施設への入所、在宅障害者への支援及び雇用の促進等について、必要な施策を講ずること、
 第八に、中央協議会の委員を、障害者及び障害者福祉事業の従事者のうちからも任命すること、
 第九に、この法律は、公布の日から施行すること。ただし、施策推進協議会及び基本計画等に関する規定は、公布の日から起算して六月を超えない範囲内を政令で定める日から施行すること、
 その他所要の経過措置を設けるとともに、関係法律について所要の改正を行うこと
 以上が、本案の趣旨及び内容であります。
 何とぞ、御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
 次に、保健婦助産婦看護婦法の一部を改正する法律案について申し上げます。
 我が国における人口の高齢化及び保健指導業務の多様化等に伴い、地域保健指導の重要性がますます高まり、保健婦の活動領域が一層拡大していること等にかんがみ、男子についても保健士の名称を用いて保健指導に従事することができるよう、当該法律の保健婦に関する規定を準用しようとするものであります。
 本案は、参議院提出によるものであり、十一月五日本委員会に付託され、同月九日参議院厚生委員長から提案理由の説明を聴取した後、採決の結果、全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと議決した次第であります。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#7
○議長(土井たか子君) これより採決に入ります。
 まず、日程第一につき採決いたします。
 本案を可決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#8
○議長(土井たか子君) 御異議なしと認めます。よって、本案は可決いたしました。
 次に、日程第二につき採決いたします。
 本案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#9
○議長(土井たか子君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
     ――――◇―――――
 国務大臣の発言(帰国報告について)
#10
○議長(土井たか子君) 農林水産大臣から、帰国報告について発言を求められております。これを許します。農林水産大臣畑英次郎さん。
    〔国務大臣畑英次郎君登壇〕
#11
○国務大臣(畑英次郎君) 私の欧州訪問について御報告を申し上げます。
 ガット・ウルグアイ・ラウンドは、十二月十五日までの終結を目指して最終局面を迎えており、農業分野における米・EC間のブレアハウス合意や包括的関税化の例外問題を含めたダンケル合意案の修正に係る本格的交渉が行われようとしております。
 私は、こうした情勢を踏まえ、欧州を訪問して交渉の第一線の状況を直接把握するとともに、ガット事務局長やECの農業担当委員等とウルグアイ・ラウンド農業交渉について意見交換を行うため、十一月一日に日本を出発し、ジュネーブに続いてブラッセルに行き、十一月五日に帰国をいたしました。」
 まず、十一月二日、ジュネーブにおいて、十一月一日の貿易交渉委員会の状況を含め、最近のウルグアイ・ラウンド交渉の状況を在ジュネーブ日本政府代表部大使より聴取するとともに、サザーランド・ガット事務局長と会談をいたしました。
 会談では、サザーランド事務局長より、十二月十五日の交渉期限が迫り、各国とも交渉を成功裏に終結させるため決断しなければならない時期が来ており、日本も包括的関税化の受け入れについて国内説得に努め、ウルグアイ・ラウンドの成功に寄与してほしい旨述べられました。これに対し、私からは、ダンケル合意案における輸出国と輸入国との取り扱いの不公平を指摘しつつ、我が国が包括的関税化の受け入れが困難な事情を説明するとともに、交渉の最終段階に臨む我が国の立場を再度明確に伝え、これを十分尊重した交渉運営を図るよう念押しをさせていただいたところでございます。
 次に、十一月三日、ブラッセルにおいて、在EC日本政府代表部大使より最近の米・EC交渉の状況等を聴取するとともに、シュタイヘンEC農業担当委員及びECの議長国であるベルギーのブルジョワ中小企業・農業大臣と会談をいたしました。
 会談では、農政の責任者同士という立場から農政改革など農業をめぐる諸問題につき意見交換をするとともに、ウルグアイ・ラウンド農業交渉に臨む我が国の立場への理解を求めてまいったところでございます。
 農業分野における交渉においては、多くの国が包括的関税化には一切例外を認めないとの強い態度を崩しておらず、厳しい状況にあると認識しておりますが、これらの会談を通じ、私より、それぞれ立場の違いはあっても互いの利害関係を尊重し合って、相互に受け入れ可能な解決策をとるべきであることについて理解を得るべく、るる説明をしてきたところであり、包括的関税化は受け入れられないとする我が国の立場及びその背景事情についての関係者の理解は深まったものと考えておるところでございます。
 いずれにいたしましても、今後とも、これまでの基本的方針のもとに、食糧輸入国としての立場が交渉結果に十分反映されるよう引き続き最善を尽くしてまいりたいと考えておるところでございます。
 以上をもって御報告を終わります。(拍手)
     ――――◇―――――
 国務大臣の発言(帰国報告について)に対する質疑
#12
○議長(土井たか子君) ただいまの発言に対して質疑の通告があります。順次これを許します。柳沢伯夫さん。
    〔柳沢伯夫君登壇〕
#13
○柳沢伯夫君 私は、自由民主党を代表し、ただいま行われました畑農林水産大臣の訪欧報告に関連して、いよいよ大詰めを迎えたガット農業交渉につきまして、政府の最高責任者である細川総理にその見解をただしたいと思います。
 細川総理は就任以来、ガット農業交渉、殊に米をめぐる交渉に臨む政府の姿勢や方針につきまして、あるときはみずから進んで、あるときは他から求めちれて、たびたび御見解を明らかにされてきました。そのエッセンスはおおむね、交渉を成功させなければならないという我が国の基本方針、農業については各国ともに困難な問題を抱えているという現状認識、そして、米については国会の決議もあり、国内自給を基本として交渉に当たるという交渉の現況報告のような言葉を組み合わせたものでありました。この限りでは基本的に、我が党が政権にあった時代と同じ立場に立たれている、同じ見解を表明されているように見受けられます。
 しかし、交渉の最終段階が迫っている時期でもありますので、この際、いま少し立ち入って総理のお考えをお伺いし、細川政権が交渉をどう決着させようとしているか、何を守るべきと考え、何を譲ることやむなしと考えているかを、国民の前に明らかにしていただきたいと考えるのであります。
 そのため、以下幾つかの点を挙げ、これまでの交渉において私ども自民党が行ってきた主張を申し述べ、総理の見解をただし、その対比のうちに細川政権の考え方が明らかになればと考えております。
 その一は、農産物の貿易のあり方についての基本的な考え方であります。
 私どもは、食糧は直接人間の生存と結びついており、工業製品やサービスのように便益を本質とするものとは根本的に違う、だから、食糧自給率であるとか食糧の安全保障であるとかは、国際社会がお互いに尊重し合うのが当然だと主張してま
いりました。そして、この主張の背景には、言うまでもなく、世界の人口と食糧の将来が必ずしも楽観できるものではないという予測も念頭に置いていたのであります。私どもはまた、食糧の生産がその国の社会や文化と深く結びついており、さらに国土保全や環境との関係も看過できない、このことも強く指摘してまいりました。殊に環境との関連では、欧州などで、粗放農業など生産性の引き上げに一定の制約を設けようという動きさえ出てきており、そうした時代に、専ら生産性を競い合うことをもって善とする自由貿易主義が本当に農業の国際関係を律するに有効、適切な準則たり得るのか、こういう疑問も提起してまいりました。そして、これらの主張は、交渉の節々に出された文書の上でも、農産物貿易における非貿易的関心事項として尊重されてまいりました。
 ところで、このような我が党の主張について総理はどのように考えておられるのか。
 総理が著された書物「責任ある変革」には、要旨、自由貿易のルールを受け入れるべきだ、輸入農産物に負けないような生産性の高い農業は可能などの主張が記されております。私どもも新農政を打ち出し、国内の他の産業部門に負けない所得と労働時間の農業の実現を目指しております。しかし、それにしても、総理の主張は余りにも大胆、性急に過ぎ、何よりも農業の持つ多面性への顧慮が全く欠落していることを見逃すわけにはまいりません。
 総理の農産物貿易のあり方についての基本認識がこのようなものであるとするならば、交渉の結果は、自民党がこれまで努力を積み重ねてきた、この努力の積み重ねの効果を一挙に無にしてしまつのではないかと危惧せざるを得ません。改めて総理の見解を明らかにしていただきたいのであります。
 二つは、ガット農業交渉における対称性あるいは公平性の問題です。交渉では、輸出補助金の縮減は二割ちょっと、逆に言えば八割近くも存続を認める方向にありますが、他方、輸入制限措置は例外なく関税化しようというものであります。
 そもそも今回の交渉は、食糧の輸出国が、あるいは他の輸出国との競争に敗れ、あるいは国内生産を補助金で刺激し過ぎた結果、大量の余剰在庫を抱え、それを補助金をつけることまでして他国に輸出するという、ゆがんだ輸出競争を是正するために始まったものであります。貿易をゆがめた元凶は輸出補助金であるというのは、この経緯を知っている者ならばだれでも理解しているところであります。
 そもそも補助金つきの輸入農産物は、輸入国の農民を不当に厳しい競争状況に置くものであり、許されないものだとする反省の声は、輸出国の有識者からさえ上がっておるのであります。
 また、我が国が国際経済社会へ戦後復帰したときの経験でも、真っ先に取り組まされたのは輸出への補助、税制上の優遇措置の撤廃でありました。輸入国としての義務は、その後に順次履行されていったと記憶しているのであります。
 私ども自民党は、こうした実情から、輸出補助金の縮減と、輸入制限を関税化してその税率の引き下げを行うことの二つを、あたかも対称的な義務であるかのように取り扱うことは、問題の重要性を故意に誤るものだと拒否してまいりました。
 細川総理は、今回の農業交渉における輸出国と輸入国の負うべき義務のバランスについてどのように認識しておられるか、お考えを示されたいのであります。
 三つは、関税化ということの意味あるいは評価の問題です。
 昨年秋訪日したダンケル元ガット事務局長も、さらに最近来日したサザーランド新事務局長も、異口同音にこう言いました。「関税化は、現在行われている輸入制限措置を関税に置きかえるだけだ。関税を新しい保護措置として機能させるのだから、全く心配は要らない。」こう言って私どもを説得しようと試みました。
 これに対する私どもの言い分は、こうでした。「なるほど、あなたの説明はその限りでは理解できないわけではない。しかし、制度というものは一たんでき上がれば、立法者の意思からは独立してひとり歩きをする。我が国の場合はこれまで、ガットで約束したことを随分前倒しさせられてきた。農産物についての事情も同じで、農民はそのことをよく知っている。だから、関税化は保護の継続だといっても、農民はとても説得される状況にはない。」こう私どもは言ったものであります。
 総理、総理に対してもサザーランド事務局長は、関税化について恐らくこうした説明をしたのではないでしょうか。総理は、サザーランド氏の説明と我々自民党の言い分のどちらが説得力を持つとお考えでしょうか。
 四つ目は、いわゆる所得補償をめぐる問題です。
 ガットは、今回の交渉で、国内の農業政策に対しても厳しい制約を設けようとしております。このこともあって、私は、先ほど総理の著書が提唱する農業構造政策の現実性に疑問を呈したのですが、実際、この制約は、我が国のように農業構造の転換がおくれた国にとっては、深刻な問題になりかねないと指摘をしておきたいのであります。
 そういう中で、ガットがやってよろしいと青信号を出しているのは、生産と関係させない、生産から切り離された所得補償の制度であります。
 先般、小沢一郎議員がこれに触れた発言をしたと新聞が報道し、私どもを少なからずびっくりさせました。
 第一、今申したとおり、私どもの認識では、ガットの交渉は、関税が保護措置として有効に機能するかどうかをめぐって議論が行われている真っ最中であるということであります。それをいきなり、関税がゼロになったときはその分所得補償で保護するのだと言われたのです。これでは、まさしく何をか言わんやであり、農民からすれば、関税の効用など語るに落ちたということにならざるを得ません。
 第二に、小沢議員は、一トン二十万円で八百万トン分、一兆六千億円を所得補償すればよいと言われたようです。話をわかりやすくするために、数量を八百万トンではなく、常識的な数字の一千万トンにしましょう。二兆円です。そもそも、我が国の米市場は、流通経費込みで三兆円でありますから、小沢構想によれば、農家の補助金が二兆円、したがって、経済取引分、通常の分は一兆円となるでしょう。経済行為として一兆円足らずの農産物をつくる農家に対して、二兆円もの補助金を支給するというのです。言うのは簡単ですが、
そのようなことが国民の理解を得て永続的な制度になり得るでしょうか。
 私どもは、もともと、兼業農家がたくさんいる我が国の米農家に国民の納得を得られる所得補償を行うことは極めて難しい問題だと考えてきました。
 そして、現に所得補償を実施しているECの場合は、これが国際的な資金移動だから可能になっているように思います。アイルランドの農民が所得補償を受けていることについて、アイルランドの非農民が黙っているのは、そのお金が外国から来ているからではないだろうか。それがもし自分たちの払っている税金だけから成っているとするならば、現在のように平穏に実施されるかは、かなり疑問ではないでしょうか。
 所得補償を頼みに市場開放を断行すべしとする小沢発言について、総理のお考えはいかがなのでありましょうか。
 最後のくだりであります。
 私は、ここで、かつてどこかで目にした外交についての二つの格言を思い出しております。
 一つは、すべての外交、なかんずく経済交渉は、国益ゲームであるということです。得るものを得るためには、譲ることも必要でしょう。その場合、総理は、縦割り行政にとらわれずに済む立場におられるわけですが、それゆえにこそ、農業部門にはこのガット交渉で得るものは何もないこと、したがって、農業で譲れば、それはすなわちその分農業が他の部門の犠牲になるものであることを厳しく御認識賜りたいということであります。
 二つは、文化摩擦と言われるものが絡む外交交渉には、永久に解は存在しない、解は不存在であるというものであります。農業交渉も、さきに述べたとおり、文化摩擦の面を持つことを否めません。その交渉に当たって、これに解があるかのように錯覚して臨むことは極めて危険だと指摘せざるを得ないのであります。
 以上を踏まえて、私は、総理にぜひ、ここ一番の賢明な御裁断を期待いたしたいと思います。
 そして最後に、その御裁断が万々が一、国会決議に反することになった場合、総理は、御自身にどのような責任が生じるとお考えでしょうか。その点をお伺いして、私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣細川護煕君登壇〕
#14
○内閣総理大臣(細川護煕君) 農産物は工業製品とは違って単純にガットの貿易ルールに合わせることは無理があると考えるかどうか、こういうお尋ねでございましたが、申すまでもなく、農業は他の経済活動とは違って、食糧の生産とともに、国土・環境の保全あるいはまた地域経済の維持など多面的な役割を担っているものでございますし、天候に左右されやすいという特殊性もございますから、我が国は、ラウンドの交渉におきましても、このような非貿易的な関心事項や農業の持つ特殊性というものが適切に考慮されるように従来から主張をしてきているところでございます。
 それから、農産物の関税化は、自由化、市場の開放につながるものと考えるかどうか、こういうお尋ねもございましたが、我が国はこれまで、農産物の包括的な関税化は受け入れられないという方針のもとに交渉してきているところでございまして、食糧の輸入国としての我が国の立場が交渉結果に反映されるように、引き続き努力をしてまいりたいと思っております。
 次に、我が国は、ウルグアイ・ラウンド交渉におきまして、輸出補助金と輸入措置の取り扱いが不公平と主張しているけれども、公平な取り扱いとはどのようなものか、どのような姿か、こういう趣旨のお尋ねであったかと思いますが、申すまでもなく、我が国は、世界最大の農産物の純輸入国として、世界の農業貿易の安定と発展に貢献をしてきているところでございます。輸入国の立場から見ますと、現在のダンケル合意案の農業部分につきましては、輸出補助金の一定割合の削減に比べて、国境措置につきましては特に包括的な関税化の考え方が示されていることなど、種々の問題を含んでいるものと考えておりますし、まさに我が国はそのような立場を主張しているところでございまして、ラウンドの交渉におきまして適切な配慮が在されるべきである、このように考えているところでございます。
 生産活動と切り離した所得補償について見解を問うということでございましたが、御指摘の点につきましては、小沢さんの御発言についてでございますが、個人としての御発言でございますし、御本人から直接話を伺ってもおりませんので、的確なことを申し上げることはできませんが、いずれにいたしましても、政府におきましては、再三申し上げておりますように、米につきましては、従来から申し上げておりますとおり、国会の決議を踏まえて従来の基本方針のもとで対処してまいりたい、こういうことを申し上げているとおりでございます。
 なお、お尋ねのような直接的な所得補償措置、いわゆるデカップリングの問題につきましては、これが本当に地域全体の活性化や定住の促進に資することになるのかどうか、あるいはまたそれが国民的な合意を得られるかどうか、そういった問題もございますし、今後、構造政策の達成の状況なりあるいは国民の合意の形成状況などを踏まえまして、引き続き検討していくことが必要であると思っております。
 それから次に、生産性の向上によって国境措置は不要とする論点の真意はいかなるものか、こういう趣旨であったかと思いますが、農業が、先ほども申しましたように、食糧の安定供給を初め国土や自然環境の保全あるいは余暇空間の提供といった多面的な機能を有していることは改めて申すまでもございません。農業の活性化のためには、経営規模の拡大あるいは生産基盤の整備、技術革新などによって生産性の向上に一層前向きに取り組んでいく必要があると思っております。しかし、我が国の農業は、アメリカやECと比べて国土の条件あるいは地価が高いといったような、農業内部の努力だけでは解決できない制約要因も抱えておりますし、可能な限り効率的な農業を展開することを主眼としながらも、一定の国境措置と国内農業政策が必要であると考えているところでございます。
 いずれにしても、米につきましては、繰り返しになりますが、従来の方針のもとで対処をしてまいりたいということでございます。
 それから、国会決議に反する裁断をした場合にどういう責任が生じると考えているか、こういう趣旨のお尋ねでございますが、その重要性にかんがみまして、あくまでも国会決議の趣旨を体し
て、国内産で自給するという基本方針のもとで対処しているところでございまして、ぜひともその点について御理解をいただきたい、このように思っております。
 残余のお尋ねにつきましては、関係大臣から御答弁をいたします。(拍手)
    〔国務大臣畑英次郎君登壇〕
#15
○国務大臣(畑英次郎君) 最終段階を迎えましたウルグアイ・ラウンドの問題につきましての御質問に対し、ただいま細川総理から具体的に御答弁を申し上げたところでございます。
 私の立場にございましても、従来の包括的関税化は受け入れをてきない、この大きな基本方針を念頭に置きまして、これからも情熱を傾けて取り組んでまいりたい、かように考えております。(拍手)
    ―――――――――――――
#16
○議長(土井たか子君) 辻一彦さん。
    〔辻一彦君登壇〕
#17
○辻一彦君 私は、新生党・改革連合、公明党、さきがけ日本新党、民社党・新党クラブの同意を得て、日本社会党・護憲民主連合を代表して、ただいま行われました畑農林水産大臣の訪欧報告に関連して、ガット・ウルグアイ・ラウンド、米の需給問題について伺います。
 米決議については多くの経緯がありましたが、本日の米についての総理答弁は、国会決議と同じ重みを持つと思いますので、明快なる答弁を望みます。
 私は、超党派議員団の団長として、四名の皆さんとともに、さきの畑農林水産大臣の訪欧に引き続き、国会の三度にわたる決議を踏まえ、米関税化、自由化を受け入れないという固い決意を伝えるため、去る十一月八日にガットのサザーランド事務局長を訪れました。
 私は、我が国の水田農業が、国土保全、環境保全、日本の歴史と文化からその果たす役割の重要性を力説しました。特に、日本の農産物輸入は世界最大で五百五十五億ドル、対米百七十八億ドルとなり、反面、我が国の食糧自給率は、穀物ペースで二九%と激減し、サミット参加国、人口一億以上の国で最低となっております。この上もし米を関税化すれば、自給率は二〇%を切りかねません。一億二千万の人口を持つ我が国が、食糧安全保障の観点から、自由化につながる関税化を受け入れないことは、主権国家として当然であることを強く申し入れました。
 また、今日、世界の農産物貿易をゆがめる最大のものは、輸出補助金であります。当初全廃を目指したアメリカが、米・ECブレアハウス合意で二一%削減、それは輸出補助金の七九%を残すという妥協の道を選んだのであります。ところが、もう一つの重要な柱である関税化では一切の例外を認めないと主張するが、これは余りにも輸出国中心の考えで、輸入国との公平を欠いたものと言わなくてはなりません。ウルグアイ・ラウンド成功のためには、輸入国の意見を入れ、例外なき関税化の修正に応ずるよう強く申し入れました。
 また、アメリカ、EC、オーストラリアの大公使にも同様のことを申し入れてきました。
 今、我が国では、多くの農民が、百年に一度という大凶作と米の緊急輸入に続き、これを機会に米が自由化になるのではないかと大きな不安を持っております。多くの消費者、国民も、自給率の低下と輸入食糧の安全性に不安を持って、今日の総理答弁を見守っております。過去三回の国会決議を踏まえ、あくまでも例外なき関税化を受け入れることはできない、米関税化に例外を求め、これを貫徹すべきであると思いますが、総理、外務大臣、農林水産大臣の決意を伺います。
 最近、米関税化について日米合意案なるものがマスコミを通して流れていますが、そのような提案か合意案が日米いずれかにあったのかどうか、総理、明らかにしていただきたい。
 今日、ガットを初め内外から、米のミニマムアクセスと高関税により米自給率は九五%を守れる、関税化は保護の形態であるとの見解が流されていますが、これは誤りであります。言われるような六〇〇から七〇〇%の高関税を我が国が米にかけたとして、貿易立国の我が国が、そのような世界に例のない高関税を維持することはできるわけがありません。国際的な非難の中で下げざるを得ず、それは自由化につながることは、牛肉、オレンジの例からも明らかであります。総理は、高関税化で米の自給が守れるという考えについて、どのような認識を持っておられるかを伺いたいと思います。
 日本経済新聞で伝えられました、総理は、皆が渡れば例外なき関税化の橋を渡らざるを得ないとも受け取れるような発言がありましたが、その真意はどこにあるのかを伺いたい。
 総理は来るべきAPECの日米首脳会談で、米についての譲歩提案を行うのではないかとの推測が流れておりますが、日米会談はどう対処されるつもりかを明らかにしていただきたい。
 連立政権樹立の政策合意事項の中に、米の関税化、自由化を認めないという重要な一項があります。これは連立政権の基本であります。これがもしほごになったとき、連立政権の命運にかかわるものと思いますが、この点、総理はどう認識されているかをお伺いいたしたい。
 過去、水田の三分の一を減反しながら、大凶作とはいえ今日のような大量の米輸入に追い込まれたことは、備蓄政策を軽視した前政権の失政と言わざるを得ません。この苦い経験を参考に、今後、減反緩和を三年間は継続するとともに、備蓄を含めた米の安定供給についてどのように考えられておるのか、また、三年後の在庫と備蓄はどの程度になると見ているかを明らかにしていただきたい。
 今回の未曾有の凶作により、二百万トンの米が不足する中で、米緊急輸入のやむなきに至り、これは米自由化とは別次元ではあるが、今回の米の輸入量はどの程度になると見ているのか。また、確保できるのか。また、大量の米輸入の中で、精白米の長時間にわたる輸送のため、ポストハーベストによる安全性への懸念が国民の間に強まっています。これへの対処をどう考えているか、伺いたい。
 今、米の貿易量は千三百万トンぐらいと言われております。我が国が二百万トン近い米を国際市場で買い付けるとき、米の国際価格の上昇は避けられません。外貨手持ちの少ない発展途上国が米を買えなくなる心配があります。そのとき、新たな我が国に対する非難が国際的に起こる可能性があります。この点から考えても、米自給のできる我が国が、自分の国で必要な米は自分の手でつくり、世界に迷惑をかけないようにする、自給の方
針を貫くべきと思うが、総理の見解をお伺いいたしたい。
 米以外の乳製品、でん粉などの農産物についても、絶対に自由化しないことを約束すべきと思うがどうかをお伺いいたしたい。これは予告してありませんから、よろしくお願いします。
 今、我が国の農業は、未曾有の凶作の中で、その再建のために多くの農業者が苦労されております。細川連立政権が、生産者と消費者の相互理解の上に立って、我が国の農業の再建、食糧の安定供給のために強力な支援が求められ、期待されているのであります。
 今、その期待にこたえなければならない決意を込めて、質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣細川護煕君登壇〕
#18
○内閣総理大臣(細川護煕君) 米の自由化、全般的な問題についてのお尋ねでございましたが、我が国としては、ウルグアイ・ラウンド交渉の年内終結に向けて引き続き全力を尽くしているところでございまして、今後とも最善を尽くしてまいりたいと考えているわけでございますが、今後の交渉におきまして、我が国の農業が、各国とも困難な問題を抱えている中で、将来に向けて安心して生産を続けていけるような状況というものをしっかりと確保していく、そういうことに十分留意をして、そうした環境の確保というものを図ってまいりたいというふうに思っております。米につきましては、再三申し上げておりますように、従来からの基本方針のもとに対処してまいりたい、こういうことでございます。
 米について、日米間でいろいろな問題について協議をしているといったような報道がなされているが、事実関係はどうか、こういうことでございましたが、これもまさに申し上げているとおりでございまして、従来の基本方針に基づいて今ぎりぎりの交渉を進めているということでございまして、御指摘のような提案とか合意とか、そういったようなものはございません。御指摘がありましたような、報道にありましたような事実はないということでございます。
 それから、米の高関税化についてのお尋ねでございましたが、申すまでもなく、米は農業の基幹をなすものでございますし、また、水田稲作というものの持つ外部効果というものも極めて大きなものであることは、これまた改めて申すまでもないことでございます。したがって、米につきましては、これも繰り返して恐縮でございますが、従来の方針で対処をしていくということに尽きるわけでありまして、高関税化云々という、あくまでも今例外なき関税化は受け入れられないということで交渉しているわけでございますから、仮定のお尋ねには御遠慮を、差し控えさせていただきたいと思います。
 それから、新聞のインタビューの記事につきましてのお尋ねがございましたが、ECにおけるアメリカとECとの農業合意をめぐる域内の対立、あるいはアメリカにおけるNAFTAの採決に向けた動きなど、全体状況を見ながら、我が国の基本方針のもとで交渉を行っているという趣旨のことを述べたものでございます。ぜひそのように御理解をいただきたいと思っております。
 それから、クリントン大統領との会談で米の問題が出るのかどうかといったような趣旨のお尋ねでございましたが、現時点では、どういう会談の中身になるか、まだ決まっておりません。今後、米側と調整をしてまいりたいと思っております。いずれにしても、我が国の基本的な立場というものを踏まえ、また、そのような基本的な考え方というものをきちっと述べてまいりたい、このように考えているところでございます。
 今回の米の緊急輸入は、これからのなし崩し的な輸入に結びつくものではないということを確認をしたい、こういう御趣旨でございましたが、おっしゃるとおりでございまして、予想し得なかった異常気象によって生じた作柄不良に対処して、米を安定的に供給していくためには、食管制度のもとにおいて、緊急特例的に輸入を行う必要があるということで今回輸入をしたわけでございまして、今回のこの輸入というものは、いわゆる輸入自由化の問題とは全く次元を異にするものであるということを再三申し上げてきているところでございます。
 それから、米の安定供給に関する見解はどうかということでございましたが、御承知のように、潜在的な過剰が存在する中で、国内産米による米の需給の安定に努力をしてきたところでございます。今回の事態は、異常な気象条件に起因するものでございまして、今申し上げましたとおり、食管制度の基本的な役割を果たすための緊急特例的なものであるということでございまして、来年度以降の生産調整の見直しに当たりましては、ゆとりのある在庫の保有が重要であるという観点を含めて在庫の造成を計画したところでございまして、このような措置を通じまして、今後とも米の安定供給を図ってまいりたいというふうに思っております。
 米の自給方針についてのお尋ねでございましたが、これは、ラウンドの交渉が年内終結に向けてだんだん時間が切迫していく中で、我が国としては引き続き全力を尽くして交渉をしてまいりますが、今後の交渉に当たりまして、我が国の農業が我が国にとって、農業はどこの国でもそうでございましょうが、かけがえのないものである、将来に向けてまた生産農家の人たちが安心して農業を続けていけるような環境を確保することが大切であるということをしっかり念頭に置いて交渉に臨んでまいりたい、当然のことでございますが、そのように思っております。
 各国ともそれぞれ困難な問題を抱えておりますが、我が国としても、相互の協力による解決に向けて、できる限りの努力をしてまいりたいと考えているところでございます。
 残余の問題につきましては、担当大臣からお答えをいたします。(拍手)
    〔国務大臣畑英次郎君登壇〕
#19
○国務大臣(畑英次郎君) 辻議員のお尋ねについてお答えを申し上げます。
 ただいま基本的な問題等々につきましては総理からお答えがあったわけでございますが、当然のことながら、私の基本的な本問題に対する取り組みにつきましては、総理の指示に基づきまして、全く同じ基本的姿勢を持っての取り組みを今日までやらさせていただいておるところでございます。
 そういう中にございまして、米の自由化の問題、そしてまた、米のみならず、いわゆる乳製品あるいはまたでん粉等々につきましては、御案内のとおり、従来の長年にわたります関係皆様方の
本問題に対する真摯なお取り組みの中からの基本姿勢といいますものは、国会決議あるいはまた連立政権スタートの際に八党派の合意項目の中にきちっとうたわれておるわけでございますから、私の与えられた立場にございましても、その基本姿勢を受けとめて引き続き全力を挙げてまいりたい、かように考えておるところでございます。(拍手)
 ただいまいろいろ御心配を煩わしております国別約束表の提出につきまして申し上げさせていただきます。
 本問題につきましては、先ほども総理から申し上げましたように、種々多国間の話し合いの中で難しい問題を抱えておることは御案内のとおりであります。我が国におきましては、あくまでも米のような基礎的食糧や国内で生産調整を行っている農産物については、包括的関税化は受け入れられないという主張を行っておるところでございますから、この交渉の進展を踏まえて作成をしていかざるを得ない、当然のことではないかなというように考えておるわけでございまして、これまでの基本方針のもとに、我が国の立場が交渉結果に反映されますように、引き続き全力を挙げてまいりたいと考えておるところでございます。
 米の安定供給の問題につきましても、既に御答弁があったわけでございますが、現在、今回の水田営農活性化対策の見直しに当たりまして、本対策の期間内に、米の安定供給や安定的な転作営農の確保に配慮をいたしまして、平年作ベースで百三十万程度の在庫造成を計画いたしたところでございます。そしてまた、これからもゆとりある在庫ということを念頭に置き、本年の作付面積等々勘案をしながら、本問題に取り組んでまいりたいというように考えておるところでございます。
 なおまた、転作面積の緩和につきましても、既に御案内のとおりであるわけでございますが、本問題につきましては、いわゆるやらんとする意欲のある農家のお立場、そういうものに十分配慮をして取り組みをさせていただいたところであるわけでございます。いずれにいたしましても、転作等面積目標を七万六千ヘクタール緩和をさせていただいたことを重ねて申し上げさせていただく次第でございます。
 米の輸入については、安全性の問題が御指摘がございました。本問題は極めて重要な項目であることも御案内のとおりであるわけでございます。かような意味合いにおきましては、厚生省の指定検査機関での安全性の確認を行っているところでありますが、今回の米の緊急輸入に当たりましても、従来同様、あるいはまた従来以上の十二分な徹底した検査をやって、安全性の確保を維持していくことが、万全を期することが大切と、かように考えておるところでございます。
 幸い、厚生省におかれましても、既に今回の緊急輸入にかんがみまして、近く入港予定の第一般及び第二船のサンプルにつきまして厳正な検査を行ったところであるわけでございますが、検査結果はすべて食品衛生上問題がなかったと公表されておるところでございます。
 いずれにいたしましても、私自身、皆様方のこの国民的な課題である、例外なき関税化を受け入れてはならない、その国会決議、八会派間における申し合わせ、この重要性を十二分に踏まえて、残された正念場の交渉に当たってまいることを申し上げて、答弁を終わります。(拍手)
    〔国務大臣羽田孜君登壇〕
#20
○国務大臣(羽田孜君) 米の自由化につきましての御質問でございますけれども、我が国といたしましては、ウルグアイ・ラウンド、これを年内終結、これに向けまして引き続き全力を尽くしてまいります。ただ同時に、今後とも交渉に当たりましては、先ほどから各大臣からもお答えのとおり、我が国の農業が将来に向けて安心して生産を続けられる環境、これを確保することが大切であろうと確信をいたしております。
 また、ウルグアイ・ラウンド交渉が最終段階を迎えております現状におきましては、各国とも農業問題に関してはそれぞれ困難な問題を抱えております。相互の協力により、解決に向けて最大限努力していくことが必要であろうと考えます。
 特に、米につきましては、先ほど総理あるいは農林水産大臣からもお答えいたしましたとおり、その重要性にかんがみまして、国会決議の趣旨を体しまして、国内産で自給するという基本方針、これで対処してまいりたい、かように考えております。
 以上であります。(拍手)
    ―――――――――――――
#21
○議長(土井たか子君) 二田孝治さん。
    〔議長退席、副議長着席〕
    〔二田孝治君登壇〕
#22
○二田孝治君 私は、自由民主党を代表いたしまして、細川総理、羽田外務大臣、畑農林大臣にお尋ねをいたしたいと思います。
 先ほど辻議員のお話にもありましたとおり、昨日、十一月七日からきのうまで訪欧してまいりました。それは、超党派の訪欧団ということでございます。参ります前に、私は、辻団長に確認を申し上げておったのでございますけれども、それは何かといいますと、各党の代表であることに間違いないでしょうねという念を押したわけでございます。参りました議員は、辻さんと白沢新生党の議員、それから錦織さきがけ日本新党の議員、この四名なわけでございます。ということは、この代表団というところに大変大きな意義があるということは皆様方理解のとおりでございます。
 いかがでございましょうか。各党が代表で行きまして、交渉に行ったんじゃないということも確認しておるわけでございます。交渉じゃなく、私どもは各党の代表が国会の意思を申し述べに行った、こういうことでございますので、総理、その点をひとつよろしく御理解のほどをお願い申し上げたいと思います。
 申し上げてまいりました内容につきましては、ただいま辻代表が申したとおりでございます。
 端的に言いますと、米の例外なき関税化には反対でございますという意思を鮮明に申し述べてきた、こういうことでございますので、ただいま参りました各党の代表者もこのことには縛られるんじゃないか。でなければ、我々が外国に行ってうそをついてきたということになりますので、どうぞよろしく御理解のほどをお願い申し上げたいと思います。
 サザーランド・ガット事務局長にもお会いしてまいりました。話は先ほど畑農林大臣がしておったとおりでございまして、辻議員から日本のいろいろな実情、そしてなぜできないかということ
は、私から申し述べますのは重複をいたしますので省かせてもらいたいと思います。
 そして、我が党では、ここでこうやって話し、皆様のお顔を拝見いたしますと、米の例外なき関税化にはみんな反対だよという顔をしていらっしゃいます。しかし、じゃ、ここで国会決議を上げてくださいと言うと、どういうわけか、なかなかできない。この摩詞不思議な現象というのは、一体どうしたことでございましょうか。(拍手)我が党では、先月からずっと一貫しまして、三度この国会で上げております国会決議を、選挙もやって議員もかわったし、政権交代もしたことだ、こういうことでございますので、新たにやったらどうかという御提案を再三再四申し述べておったところでございます。しかし、これがなかなかできない。私はまことに不思議に思うのでございます。
 しかし、また一方、各党の代表団は、私どもは党を代表して参りまして、米の例外なき関税化、自由化には反対ですぞ、こういう二つの矛盾した問題をどう解決したらいいかということではないでしょうか。そしてまた、今回の我が党からの提案に対しまして、連立与党側からは、政府の交渉の手足を縛りたくないというような返答があったようにお伺いしております。
 総理にお伺いいたしたいのでございますけれども、手足を縛られたくないということは、総理は過去三回の決議には手足は縛られたくないということなのかどうか、はっきりしていただきたいと思います。したがいまして、新たな決議はできないのじゃないか、こういううがった見方もできますので、どうかひとつ速やかな、一日も早い国会決議というものをお願い申し上げたいと思います。
 私は秋田でございますから、選挙制度はどうなるかわかりませんけれども、今までどおりよくうちに帰ります。そうすると、実際の農民者、生産者にお会いをいたします。いろいろな地域に参る。生産者の手は、総理、大変荒れています。総理に質問しているのでございますから、ひとつ……。総理に質問しているのでございますから。荒れております。
 そして、私どもはなぜこういう地域にいるのか、なぜここで農業をやっているのか、それはとりもなおさず、私どもが農業をやめてしまったらこの地域はどうなるでしょうか。だれも人がいなくなってしまうのじゃないでしょうか。何とかひとつ私ども農業者にもいい目を見るようにお願い申し上げたい。そして、米の問題はおおむね心情的な問題なのでございます。国家が食糧自給を堅持するか否かという、極めて哲学的な問題でございますので、その点を踏まえたひとつ御答弁をお願い申し上げたいと思います。
 次に、ガット・ウルグアイ・ラウンド交渉は、現在大詰めの段階を迎えて、大変緊迫の度を深めております。
 サザーランド事務局長にいろいろなことをお伺いしました。事務局長は、問題は米ばかりではございませんでしょう、いろいろな問題が内在しておる、存在しておる、とりわけ金融問題は今大きな問題になっておるんだ、こんなこと一つでもウルグアイ・ラウンドというのはすっ飛ぶ可能性すらあるのだ、こういうお話をお伺いしておったわけでございます。
 総理は、ウルグアイ・ラウンド全体をまとめる立場にございます。何をとり、何を捨てるのか、この決断をしていかなければならない部面が必ず到達する、私はそう思うわけででざいますのでございますので、総理の責任におきまして、ウルグアイ・ラウンド全体をまとめる責任のある総理の見解をお聞きしたい、こう思います。
 また、いろいろ勉強したり、見たり、聞いたりしておりますと、大詰めのウルグアイ・ラウンド交渉に対処するためには、各省ばらばらの対応ではなく、総理がリーダーシップをとる体制で総力を挙げて取り組むことが重要だと思います。各省のそれぞれのエゴが出てきておってはこういう交渉というのはまとまらない、私はそう思います。こういったばらばらな交渉を統合し、一本化し、交渉をするということが大変大事なことじゃないかな、私はそう心から思うわけでございますので、この辺に関する見解をお聞かせいただきたいと思います。
 NAFTA、北米自由貿易協定の批准を前にいたしまして、ガットのそれぞれの関係者のお話をお伺いいたしますと、アメリカとしては、このNAFTAの批准が決まらなければウルグアイ・ラウンドどころではないというお話が各関係者から出ておりました。そして、このNAFTAが批准されるのか批准しないのか、大変厳しい状況だということもまた聞かされております。これが批准されない場合には、羽田外務大臣、どういう影響が我が国に来るのか、またガット交渉はどういう展開になっていくのか、その辺の見通しと対処の方法というのは、我が国でもきっちりと踏まえておかなければいけない問題だと思いますので、ひとつよろしく御見解をお聞かせいただきたいと思います。
 また、フランスのシャローという生産貿易局長に会ったのですけれども、こういう話をしておりました。ガットの交渉期限は十二月十五日でございますけれども、そもそもアメリカのファストトラックとの関係から来ておるわけでございまして、アメリカ側が今のようにNAFTAでまとめるような努力をしなければウルグアイ・ラウンドの年内合意はおぼっかないのじゃないか、おぼっかなければ困るのじゃないですか、こういう質問をしましたら、それはアメリカの都合でおぼつかないということ、またアメリカの都合で十五日までに決めなければならないというのは極めて変な論理であって、それは十五日までに決めなくても、もっとやったらいいじゃないですか、こういうようにその貿易生産担当局長が言っておりましたので、そういう考えというのはいかがかと私は思ってまいったわけでございます。
 我が日本の国民は、米を含めまして、どこへ行っても毎日ガット、ガット、ガット、ガットとやっていますけれども、果たしてもうちょっと冷静になって、この条約の行く末というものをきっちりと見きわめる必要もあるのではないかなという感じを受けましたので、よろしく御見解をお聞かせいただきたいと思います。
 また、農林大臣にお伺いしますけれども、国別表の提示期限が迫っていますが、米はかりじゃなく、米以外の乳製品、でん粉等の重要な地域作物があるわけでございます。これをどう取り扱うのか。きょうの新聞を見ますと、我が国が来週中に国別表の出し直しを行い、二十五品目について白
紙回答を行う、こういうふうな報道がされておりましたが、これまでどおりの方針で臨むのかどうなのか。また、決まらない前に書くわけにはまいらないでしょうから、白紙で出し得るのかどうなのかということを、畑農林大臣から、多少質問が重複いたしますけれども、よろしく御答弁のほどをお願い申し上げたいと思います。
 ウルグアイ・ラウンド交渉に当たりましては、また、水産物、林産物に関してもあるわけでございまして、我が国の水産業は二百海里が定着し、公海操業の規制が厳しくなる中で本当に漁業者は大変な努力をしながら日々暮らしておるわけでございます。こういう中で、輸入数量制限を行っている水産物の取り扱い方法というものにつきまして、生産者は大きな関心を持ってその行方を見守っております。我が国は世界一の水産国と言われております。また、魚の消費量もずば抜けて多うございます。かかるときに、国民の食生活に大変関係深いこの水産物の取り扱いにつきまして、御見解のほどをお知らせいただきたいと思います。
 また、我が国は山が非常に多くございます。林産物交渉につきましては、木材関税についてゼロ・ゼロとする方針で交渉が行われているというふうにお伺いしておるわけでございますが、これに対処する方針はどういうものか、畑農水相にお答えいただきたいと思います。
 以上、四点について御質問いたしたわけでございますけれども、いずれも我が国の存立にとりまして大変大事な問題ばかりでございます。私は思いますに、食糧問題に関しましては、余り経済的、直接的に論ずることはナンセンスではないか、こう思っております。国家は、政府の大きな責任は、国民に、安定的な食糧を、不安のないように良質なものを提供していくという大きな責務を負っている、それがまた政府の大きな仕事の一つの比重だ、私はそう思います。
 どうかひとつ、この問題には地域問題も絡んでおります。どうも細川総理の田舎での評判を聞きますと、あの人はどうでしょうか、都会型の方ではないでしょうか、地方のことは切り捨てていくのではないでしょうかという、私が言っているのではなく、有権者の声はそういうふうに言う方も非常に多うございます。
 総理、光の当たらないところに光を当てるのが政治である、私はそういうふうに学んでおります。かくのごとき観点を持って、よろしく御答弁のほどをお願い申し上げます。ありがとうございました。(拍手)
    〔内閣総理大臣細川護煕君登壇〕
#23
○内閣総理大臣(細川護煕君) 私に対するお尋ねは二つでございましたが、私は、決して都会派というわけではございません。国土の均衡のある発展のためにということを常に念頭に置いて努力をしているつもりでございます。
 最初のお尋ねは、国会決議についてのお尋ねでございましたが、国会決議は、言うまでもなく、これは両院でそれぞれの意思表示としてお決めになることでございまして、政府としていろいろ申し上げる立場ではございませんが、政府としては、その御趣旨というものを尊重して、その実現に努力をしていくということでございますし、また、現にそのような基本方針のもとで今ラウンドの交渉にも臨んでいる、こういうことでございます。
 それから、縦割りによる交渉ではなくて、各省庁関係があるところがたくさんあるのだから、総力戦で対応すべきじゃないか、こういう御趣旨のことでございましたが、全くおっしゃるとおりでございまして、ラウンドの成功裏の終結というものは我が国にとっても極めて重要なことだと思っておりますし、当然私としても、関係省庁を取りまとめて督励をしてまいらなければなるまいというふうに思っております。(拍手)
    〔国務大臣畑英次郎君登壇〕
#24
○国務大臣(畑英次郎君) 二田議員の御質問にお答えを申し上げます。具体的な御質問でございましたので、端的にお答えをさせていただきます。
 第一番に、農産物に係る改訂国別表に関する御質問でございましたが、御指摘のような報道の内容は事実ではございません。明確に否定をさせていただきたいと思います。従来からの基本方針にのっとりまして、引き続き粘り強く交渉をさせていただきたい、かように考えております。(拍手)
 次に、水産物のIQ品目についてのお尋ねであったわけでございますが、この水産物、水産業、今日の置かれております立場を十二分に踏まえまして、あるいはまた資源管理の面等々を念頭に置きまして、今後の交渉に当たりましては、国内漁業に不測の悪影響が及ばないよう、現在の輸入制限の基本的な枠組みを堅持する方針で、引き続き努力を続けてまいる所存でございます。
 最後に、林産物についてのお尋ねがございました。過般来の台風の被害等々の実態の中での山腹崩壊等々が極めて大きい今日の事実に照らしましても、山を守るあるいは林業関係に力を入れる、かような意味合いの面から、関税相互撤廃には応じられないという立場を堅持しながら、今後とも引き続き適切な対応をしてまいります。
 よろしく御了解を願いたいと思います。(拍手)
    〔国務大臣羽田孜君登壇〕
#25
○国務大臣(羽田孜君) 中国に「食をもって天となす」という言葉がありますけれども、今二田さんの方から御指摘があったように、まさに国家としての、また政治の要請であろう。私も同感であります。
 それから、今御質問は、NAFTA批准、この見通しとの関係で実は御質問があったわけでございますけれども、これは他国の議会に関する問題でありまして、この見通しについて、これは発言をお許しをいただきたいと思います。
 ただ、十日に開催されました貿易交渉委員会、TNC、ここにおきましてサザーランド・ガット事務局長は、遅くとも十一月十五日の週に交渉を踏まえて改訂国別表、これを提出するよう全ウルグアイ・ラウンドの参加国に対して呼びかけをしております。また、このラウンド交渉の実質的な期限というのは十二月の十五日であったことは、これは東京サミット経済宣言、ここにおきまして確認されておりまして、また、もう直接お聞きになったと思いますけれども、事務局長自身もそれぞれの場におきまして、この間にひとつ決着をつけたいということを申し述べ、そして各国のやっぱり共通の認識になっていることであろうというふうに思っております。
 我が国といたしましては、このような認識を踏まえまして、ウルグアイ・ラウンド交渉に向けまして引き続き最大限の努力をしてまいりたいと思っております。その中におきまして、米等につ
きまして、先ほど来お答え申し上げましたように、私どもとしても国会の決議というものを基本にしながら対応していきたいということを申し上げたいと存じます。
 以上であります。(拍手)
    ―――――――――――――
#26
○副議長(鯨岡兵輔君) 藤田スミさん。
    〔藤田スミ君登壇〕
#27
○藤田スミ君 私は、日本共産党を代表して、米の輸入自由化、市場開放、例外なき関税化反対の立場で質問をいたします。(拍手)
 今、日本農業は、戦後最大の凶作のもと、その歴史的岐路に立たされています。農業者は今後の営農をどのように進めようか迷い、多くの農業者が、将来展望がない中で多額な負債を抱え、離農の危機に追い込まれています。このようなときこそ、政治が確固とした農業展望を打ち出す、その中でも米の輸入自由化は決して認めないという不動の姿勢を示すことこそが、最も求められているのであります。(拍手)
 ウルグアイ・ラウンドは、十一月十五日の国別表の提出、十二月十五日の最終期限と大きな山場を迎えています。この重要な局面での政府の動きは、国会などの表向きの態度としては、従来どおりの反対を貫くと言いながら、実際には、国際的な圧力でやむなしということで最後には受け入れを決めるという、表と裏の使い分けが露骨に見られると言わざるを得ません。
 総理、あなたは九日の新聞社のインタビューで、ウルグアイ・ラウンドについて、「みんなが橋を渡れば、日本も橋を渡るのか。」と問われたのに対して、「みんなが渡るのに日本だけ渡らないというわけにはいかないでしょう。」と、ECとアメリカの合意がなされるならば日本も米の輸入自由化に踏み切る構えを示したのであります。この発言は、アメリカのカッター大統領補佐官から非常に大きな前進だと受けとめられたわけであります。まさしく総理は、率先して米輸入自由化に道を開いているのであり、その政治的責任は重大であります。総理の基本的姿勢を明らかにするよう、明確な答弁を求めます。(拍手)
 改めて言うまでもなく、ガットは裁判所ではありません。貿易交渉はそれぞれの国の経済主権を当然の前提とした上で行うものであり、協定は全会一致が原則であります。その中でも、米のような主食の問題については、その国民の死活の利益にかかわる問題であって、ECやアメリカがどうこう言おうと、そのような問題については断固として守り抜くことが認められ、それを前提として貿易交渉が行われているものであります。
 まして、日本のように世界一の農産物輸入国であり、食糧自給率がカロリーベースで四六%にまで落ちている国が、国民の主食である米まで外国に明け渡すなどは、何のいわれもありません。そのことはアメリカでさえ主張され、例えばフロリダ大学のシンプソン教授は、自分の国なのだから意思決定を外国に任せるべきでない、日本は米の市場を開放する必要はない、一国には食糧政策を決定する権利があると述べています。
 総理は、ウルグアイ・ラウンドの成功は重要だとして、そのためには国民の死活的利益についても譲歩する構えてありますが、それは、日本の経済主権を投げ捨てるに等しいことであります。事は、国民の命の安全と民族の存亡にかかわる問題であります。総理の明確な答弁を求めます。(拍手)
 三度にわたる本院の米の国会決議は、米の完全自給を政府に求めるものでありますが、その中でも八四年七月の国会決議は、三年連続の不作が続いた後の韓国米の輸入を受けたものであり、そして、八八年九月の国会決議は、米国精米業者協会が米国通商代表部に米市場の開放を求め提訴したのに対し、「米国内の我が国に対する自由化要求の動きは、極めて遺憾であり、認められない。よって政府は、二度にわたる本院の決議の趣旨を体し、断固たる態度で臨むべきである。」として、極めて強くアメリカの米輸入自由化要求をはねのけることを求めているものであります。
 この三度の国会決議の趣旨に基づくならば、日米秘密交渉など許されるものではなく、アメリカの米輸入自由化要求を断固として拒否することが日本政府の任務であることは明らかではないでしょうか。総理の明確な答弁を求めます。
 これまでの国会決議の経緯を見れば明らかなように、戦後最大の冷害と政府の失政によって二百万トンもの米緊急輸入に追い込まれ、ウルグアイ・ラウンドの最終交渉を目前に控えたこのときこそ、本当に例外なき関税化を阻止するというのであれば、四度目の米輸入自由化阻止の国会決議は当然行うべきであります。国会決議は交渉の手を縛るから反対との連立与党の意見がありますが、そうだとすれば、それは国会決議を無視して交渉しようとするものではありませんか。(拍手)総理及び外務大臣、農水大臣の見解を明らかにしてください。
 米の輸入自由化を阻止するとともに、今切実に求められているのは、農民の汗と苦労にこたえる農業政策の根本的転換を図ることであります。冷害での被害の状況を見ても、歴代政府が進めてきた減反政策の押しつけが米需給をゆとりのないものにし、農民の生産意欲を奪い、国民の主食の確保にまで混乱と不安を招いた政府の責任は、極めて重大であります。(拍手)今こそ、減反政策の抜本的見直しに取り組むべきであり、また、農業を切り捨てるような価格政策を改めるべきであります。総理及び農水大臣の明確な答弁を求めます。
 世界の食糧問題を見ると、年ごとに深刻になる食糧不足にどのように対応するかが大きな問題になっています。世界の飢餓人口は、国連食糧農業機関の発表で、五億人にも達し、また、世界の人口は、二〇二五年には現在より三十二億人もふえるとされています。国際稲作研究所は、米生産を現在の四億七千万トンから六〇%ふやさないと三
十年後には重大な事態になると指摘し、各国に米の増産を呼びかけました。ざらに、政府が緊急輸入を発表した途端、米の国際価格は急騰し、世界の米輸入に依存している諸国民に深刻な影響を与えています。米の国内完全自給こそ、日本が果たさなければならない国際的な責務ではありませんか。(拍手)その点、農水大臣、外務大臣の見解をお伺いいたします。
 最後に、私は、今回の米輸入に際しての政府の検査体制についてお伺いをいたします。
 今回の輸入米の安全性については、多くの国民が不安を抱いています。果たして水際できちんとチェックできるのか、極めて疑問があると言わざるを得ません。私たちは、米の残留農薬検査を行う横浜と神戸の輸入食品・検疫検査センターを視察してきましたが、実際にその検査に携わる人員は、横浜、神戸、それぞれ十一名と非常に少なく、これで二百万トンの輸入米を検査するのは、まさに至難のわざであります。職員を大幅にふやし、抜本的に検査体制を強化しなければ、国民は安心できるものではありません。また、先行サンプルで事前検査をして問題がなければ同国産の米の場合は検査を省略するとの考えが出されていますが、これでは、国民の不安はますます強まるばかりであります。厚生大臣の明確な答弁を求めます。
 日本共産党は、安全な食糧は日本の大地からの立場で、あくまで米輸入自由化阻止、食糧自給率の抜本的な引き上げのために全力を挙げることを表明し、私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣細川護煕君登壇〕
#28
○内閣総理大臣(細川護煕君) 新聞報道等についてのお尋ねでございましたが、先ほどもお答えを申し上げましたように、ECにおけるアメリカとECの農業合意をめぐる域内の対立あるいはアメリカにおけるNAFTAの採決に向けた動きなど、全体状況を見ながら、我が国の基本方針のもとで交渉を行っているということを申し述べたということでございます。
 それから、米の自由化について基本的にどのように考えているかと、こういうことでございますが、ラウンドの交渉が最終段階を迎えている現状で、再々申し上げますように、各国とも農業問題に関してはシリアスな問題を抱えているわけでございますが、今後の交渉に当たりましては、我が国の農業が将来に向けて安心した状況というものを確保していくことができるように、その点を十分踏まえてできる限りの努力をしてまいりたい、このように思っております。
 米につきましては、従来から申し上げている方針のもとでしっかり対応してまいりたい、このように考えているところでございます。
 それから、国会決議についてのお話も、これも先ほど御答弁を申し上げたとおりでございますが、決議につきましては、政府はその趣旨を尊重してその実現に努力をする立場にあると、当然のことながらそのように申し上げている次第でございます。
 農産物の価格政策の抜本的な見直しを図るべきと思うかどうか、こういうことでございますが、農産物の行政価格につきましては、これまでも関係の法律に基づいて毎年度適正に決定をしてきたところでございまして、今後とも、安定的な経営体の育成に配慮しながら、農産物の需給の均衡の確保あるいは生産性の向上などに資するように適正な価格の決定に努めてまいりたいと思っております。
 それから、減反政策の見直しを図るべきではないかということでございますが、生産の調整につきましては、依然として潜在的な需給ギャップが存在する状況でございますし、今後とも引き続き生産調整を実施をしていく必要があると考えておりますが、平成六、七年度の米の生産調整につきましては、今回の不作に対応すべく、米の安定供給の観点から、転作面積を七万六千ヘクタール緩和をして六十万ヘクタールとして実施をすることとしたところでございます。
 残余のお尋ねにつきましては、関係大臣からお答えをいたします。(拍手)
    〔国務大臣羽田孜君登壇〕
#29
○国務大臣(羽田孜君) 国民に対しまして食糧を安定して供給していくということが国政上大変重要であるということにつきましては、先ほど二田さんにお答えしたとおりであります。
 また、今後、発展途上国を中心とした世界的な人口増加が見込まれていることを考えると、それぞれの国が、国内の食糧供給力、これを維持強化していくということについては、私も全く同感であります。
 ウルグアイ・ラウンド農業交渉におきましても、このような考え方というものを踏まえて対応してきておりまして、米につきましては、その重要性にかんがみ、先ほど来申し上げておりますように、国会決議、この趣旨を体しながら国内産で自給するという基本方針、このもとでこれからも対応していきたいというふうに考えております。
 それから、四回目の国会決議ということでありますけれども、これはあくまでも院で御決定になることでありまして、政府として御意見を申し上げる立場にはないというふうに思っております。
 しかし、既に決議はされておるわけでございまして、今日までも私どもは国会のその決議というものを尊重しながら交渉してきておるということでございまして、この考え方には変わりはございません。(拍手)
    〔国務大臣畑英次郎君登壇〕
#30
○国務大臣(畑英次郎君) 私に対しまして、ただいま藤田議員から五項目につきまして御質問をいただいたわけでございます。
 既に総理から具体的にお答えを申し上げました減反政策、価格政策、当然のことながら、その総理の基本的な取り組みの姿勢を私自身が懸命に努
力をさせていただいておる、かようにまず御理解を賜りたいと考えるわけでございます。
 まず、国会決議につきましてお尋ねがございましたが、ただいま外務大臣からも御答弁があったわけでございます。いずれにいたしましても、私の与えられた立場にございましては、その国会決議の重要性を十分踏まえて、国内産で自給するという基本方針のもとで対処してまいりますということを重ねてお答えを申し上げる次第でございます。(拍手)
 米の世界的な視野からの視点に立っての御質問をいただいたわけでございます。
 私自身、この地球の上には毎年一億人といったような新しい人口増がある、いわゆる人口増即食糧問題である、かような受けとめ方の中にございましては、それぞれの国が少なくとも主食については自給体制を堅持する、極めて今後における、二十一世紀においても大切な問題ではないかなというように受けとめさせていただいておるわけでございます。さような意味合いにおきまして、この米につきましては、これまで同様国内産で自給するという基本方針を持って交渉にも当たってまいる、かように重ねて申し上げる次第でございます。(拍手)
 最後に、米の安全性の問題につきましてお尋ねをいただいたわけでございます。
 本問題につきましては、先ほどのお答えにも申し上げましたとおり、従来から、政府の要請によって輸入業者が輸出画から船積み前に安全性の確認を行い、さらに本邦において厚生省の指定検査機関で安全性の確認を行う。いずれにいたしましても、この面についていささかの瑕疵もあってはならない、かような意欲を持って取り組まさせていただきたいというように考えるわけでございます。
 先ほども申し上げましたように、年末の二十万トンに対する第一船、第二船のサンプルにつきましては、厚生省の機敏なお取り組みによって全く心配がないという結論が得られておりますことを重ねて申し上げて、お答えを終わります。(拍手)
    〔国務大臣大内啓伍君登壇〕
#31
○国務大臣(大内啓伍君) お答えいたします。
 横浜、神戸等々御視察いただいたようでございますが、輸入米の検査体制につきましては、国民の食糧、健康に関する重要な問題でございますので、厚生省といたしましては、慎重の上にも慎重を期し、万全の検査体制をとっているわけでございます。
 まず、輸入食品の検査体制につきましては、これまで、食品衛生監視員の増員、試験検査体制の充実等の整備に鋭意努めてまいったところでございますが、今回のお米の緊急輸入に際しましては、まず第一段階といたしまして、買い付けをする段階におきまして農薬の残存するものについては輸入をしない、こういう立場に立ちまして、十分な検査を行うよう輸入業者に対しまして指導を厳格に行っております。第二には、そのお米の輸出時に採取いたしましたサンプルの検査を行った上で、そして第三には、貨物の到着時にも検査を行うという三段階の検査によることといたしておりまして、人員等の体制につきましても万全の体制をとっているところでございます。
 なお、タイからの最初の二隻の先行サンプルの検査結果につきましては、すべて食品衛生上問題がなく、昨日この結果を公表したところでございます。
 以上でございます。(拍手)
#32
○副議長(鯨岡兵輔君) これにて質疑は終了いたしました。
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#33
○副議長(鯨岡兵輔君) 本日は、これにて散会いたします。
    午後二時四十五分散会
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ソース: 国立国会図書館
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