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1993/11/30 第128回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第128回国会 本会議 第11号
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1993/11/30 第128回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第128回国会 本会議 第11号

#1
第128回国会 本会議 第11号
平成五年十一月三十日(火曜日)
    ―――――――――――――
 議事日程 第十号
  平成五年十一月三十日
    午後一時開議
 一 国務大臣の演説
    ―――――――――――――
○本日の会議に付した案件
 原子力安全委員会委員任命につき同意を求める
  の件
 科学技術会議議員任命につき同意を求めるの件
 公正取引委員会委員任命につき同意を求めるの
  件
 公害健康被害補償不服審査会委員任命につき同
  意を求めるの件
 中央更生保護審査会委員任命につき同意を求め
  るの件
 社会保険審査会委員任命につき同意を求めるの
  件
 漁港審議会委員任命につき同意を求めるの件
 運輸審議会委員任命につき同意を求めるの件
 航空事故調査委員会委員任命につき同意を求め
  るの件
 日本放送協会経営委員会委員任命につき同意を
  求めるの件
 労働保険審査会委員任命につき同意を求めるの
  件
 藤井大蔵大臣の財政についての演説及びこれに
  対する質疑
    午後一時三分開議
#2
○議長(土井たか子君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
 原子力安全委員会委員任命につき同意を求めるの件
 科学技術会議議員任命につき同意を求めるの件
 公正取引委員会委員任命につき同意を求めるの件
 公害健康被害補償不服審査会委員任命につき同意を求めるの件
 中央更正保護審査会委員任命につき同意を求めるの件
 社会保険審査会委員任命につき同意を求めるの件
 漁港審議会委員任命につき同意を求めるの件
 運輸審議会委員任命につき同意を求めるの件
 航空事故調査委員会委員任命につき同意を求めるの件
 日本放送協会経営委員会委員任命につき同意を求めるの件
 労働保険審査会委員任命につき同意を求めるの件
#3
○議長(土井たか子君) お諮りいたします。
 内閣から、
 原子力安全委員会委員に佐藤一男さん、住田健二さん及び内藤奎爾さんを、
 科学技術会議議員に大澤弘之さん及び熊谷信昭さんを、
 公正取引委員会委員に植松敏さんを、
 公害健康被害補償不服審査会委員に入山文郎さん及び加藤陸美さんを、
 中央更生保護審査会委員に梅田晴亮さん及び堀雄さんを、
 社会保険審査会委員に古賀章介さん及び三橋昭男さんを、
 漁港審議会委員に齋藤禮次郎さんを、
 運輸審議会委員に石山陽さんを、
 航空事故調査委員会委員に小林哲一さんを、
 日本放送協会経営委員会委員に草柳大蔵さん、中村紀伊さん、中村桂子さん及び松山公一さんを、
 労働保険審査会委員に加藤繁夫さん及び川西利興さんを
任命したいので、それぞれ本院の同意を得たいとの申し出があります。
 まず、原子力安全委員会委員、公正取引委員会委員、中央更生保護審査会委員、社会保険審査会委員、漁港審議会委員及び労働保険審査会委員の任命について、申し出のとおり同意を与えるに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○議長(土井たか子君) 御異議なしと認めます。よって、いずれも同意を与えることに決まりました。
 次に、科学技術会議議員、公害健康被害補償不服審査会委員、運輸審議会委員、航空事故調査委員会委員及び日本放送協会経営委員会委員の任命について、申し出のとおり同意を与えるに賛成の皆さんの起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#5
○議長(土井たか子君) 起立多数。よって、いずれも同意を与えることに決まりました。
     ――――◇―――――
 国務大臣の演説
#6
○議長(土井たか子君) 大蔵大臣から財政について発言を求められております。これを許します。大蔵大臣藤井裕久さん。
    〔国務大臣藤井裕久君登壇〕
#7
○国務大臣(藤井裕久君) 平成五年度補正予算(第2号)の御審議をお願いするに当たり、当面の財政金融政策の基本的な考え方について所信を申し述べますとともに、補正予算の大要を御説明申し上げます。
 まず、最近の経済情勢と当面の政策運営について申し述べます。
 我が国経済は、調整過程にある中、急激な円高の進行や冷夏、長雨の影響が加わったこともあって、総じて低迷が続いております。
 政府は、昨年三月以来、三次にわたる経済対策と景気に配慮した平成五年度予算を通じ、景気の状況に鋭意対応してまいりましたが、さらに去る九月十六日には、規制緩和、円高差益の還元に加え、円高の影響や災害による被害への対応等国民が直面する厳しい経済情勢に対し速効的に対応し得る幅広い諸施策から成る緊急経済対策を策定いたしました。同時に、本対策は、生活者・消費者が豊かさを実感できる経済社会の構築といった我が国の中長期的課題の解決にも資するものと考えております。
 今回の対策においては、内需拡大や輸入促進に直接的な効果があり、また経済構造の変革の新たな第一歩につながる公的規制の緩和等を推進するとともに、国民が円高のメリットを速やかに、かつ十分に享受し得るよう円高差益の還元を促進することとしております。また、国民が直面する厳しい経済情勢等への対応につきましては、生活者・消費者の視点に立った社会資本整備の推進、集中豪雨や台風等により被害を受けた地域における災害復旧事業等の推進、国民が真に豊かさを実感できるような住宅投資の促進、構造調整に資する設備投資の促進、円高、冷夏等厳しい経営環境に直面している中小企業等への支援、雇用対策の推進等の施策を実施することといたしております。さらに、調和ある対外経済関係の形成が重要との観点から、輸入の促進のための施策等を実施することといたしております。
 金融政策の面では、先般、公定歩合の第七次引き下げが実施され、その水準は史上最低となっております。こうした幅広い諸施策が一体となって、我が国経済の内需中心の持続的成長の実現に大きく寄与するものと確信しております。
 一方、世界経済は、貿易や直接投資の拡大とともに相互依存関係をさらに深めつつありますが、その中にあって我が国は、調和ある対外経済関係の形成に努めるとともに、世界経済の発展のために積極的に貢献していく必要があると考えます。このような観点から、ガット・ウルグアイ・ラウンドの交渉につきましては、十二月十五日までの実質妥結を目指して努力していくことが極めて重要な課題となっております。同交渉の成功は、保護主義を回避し、多角的自由貿易体制を維持強化するために何よりも重要であると考えております。
 為替相場につきましては、経済の基礎的諸条件を反映して安定的に推移することが望ましいと考えており、我が国としては、各国の政策協調及び為替市場における協力により、為替相場の安定を図ってまいりたいと考えております。
 次に、財政改革の推進について申し述べます。
 我が国財政につきましては、平成五年度末の公債残高が約百八十八兆円程度にも達する見込みであり、国債費が政策的経費を圧迫するなど構造的にますます厳しさを増しております。これに加え、平成四年度決算において、税収が戦後初めて二年連続して減少し、約一兆五千億円の決算上の不足を生ずるという事態となりました。また、平成五年度税収についても、第一次補正後予算と比べて大幅な減収が生ずるものと見込まれ、これが平成六年度税収にも影響を及ぼすものと考えられるなど、まことに深刻な状況に立ち至っております。
 このような異例に厳しい状況のもとではありますが、今後二十一世紀をにらんで高齢化や国際化などに適切に対応していくためにも、再び特例公債を発行しないことを基本とし、公債残高が累増しないような財政体質をつくり上げていくことを目指して、財政改革を強力に推進していかなければなりません。将来の世代に大きな負担を残さず、健全な形で我が国経済社会を引き継いでいくことこそ我々の責務であり、このため、現下の極めて厳しい状況を乗り越えるべく、今後、歳出歳入両面にわたって、あらゆる努力を傾注してまいりたいと考えております。
 このため、平成六年度予算編成に当たっては、社会経済情勢の変化に応じて、国民生活の質の向上に資する分野に重点投資する等、限られた財政資金の重点的、効率的配分に努めることとし、制度の根本にまでさかのぼった見直しや優先順位の厳しい選択を行うなど、従来にも増して徹底した経費の洗い直しを行ってまいる所存であります。
 次に、税制改革について申し述べます。
 税制につきましては、十一月十九日に取りまとめられた税制調査会の「今後の税制のあり方についての答申」を踏まえ、「公正で活力ある高齢化社会」の実現を目指して、所得、消費、資産等のバランスのとれた税体系を構築するため、税制改革に取り組んでまいります。
 我が国経済の先行き不透明感にこたえるためにも、答申に示された税制の総合的見直しの方向に沿って、国民の皆様の御意見に十分耳を傾けながら、税制改革の具体案の取りまとめとその実現に
向けて最善の努力をしてまいる所存であります。
 次に、金融の円滑化及び金融自由化の着実な推進について申し述べます。
 金融は、経済のいわば血液としての重要な機能を担っており、現在の経済環境のもと、今後の景気回復に向けて、金融の一層の円滑化を図ることは極めて重要であります。このため先般の緊急経済対策においても、金融機関にたいし、中小企業向けを含め、資金の円滑な供給が図られるよう融資態勢の強化を要請したところであります。
 また、金融機関の不良資産の増大に対処し、金融システムの安定性を確保する観点から、今後とも金融機関の不良資産の着実な処理を進めるとともに、一層の経営合理化等の努力が必要であります。
 一方、金融自由化の着実な推進につきましては、本年四月に金融制度改革が実施に移されたほか、六月に定期預金金利が完全に自由化されました。また、来年には流動性預金金利の自由化を実施することといたしております。今後とも、金融自由化のための一連の施策を着実に実施してまいる所存であります。
 次に、今国会に提出いたしました平成五年度補正予算(第2号)の大要について御説明申し上げます。
 平成五年度一般会計補正予算(第2号)においては、先に御説明いたしました緊急経済対策や冷害等対策の実施に必要な公共事業関係費等の追加を行うほか、義務的経費の追加等を計上するとともに、税収の大幅な減収に対処するための措置を講ずることといたしております。
 今回の一般会計補正予算につきましては、歳出面において、緊急経済対策の一環として、生活者・消費者の視点に立った社会資本整備を推進するため、一般公共事業関係費三千億円及び各種の施設費等三千四百億円を追加計上するとともに、災害復旧等事業費三千三百九十二億円を追加するほか、中小企業等特別対策費七百七十一億円等を計上しております。また、冷夏等により、水稲の作柄が戦後最低の水準になる等極めて大きな農作物被害が発生していることにかんがみ、被害を受けた農家の経営及び地域経済の安定を図るため、冷害等対策を講じることとし、これに必要な経費九百七十二億円を計上しております。このほか、義務的経費の追加など特に緊要となったやむを得ない事項等につき措置を講ずることといたしております。
 他方、歳入面においては、租税及び印紙収入が最近までの収入実績等を勘案すると、第一次補正後予算に対し、五兆四千七百七十億円の大幅な減収となることが避けられない見通しとなりました。このようにまことに深刻な事態に対処するため、従来にも増して徹底した既定経費の節減を行うとともに、税外収入の確保及び追加財政需要の圧縮に努めたところであります。また、所得税及び法人税の収入見込み額の減少に伴い、地方交付税交付金を一兆六千六百七十五億円減額するとともに、やむを得ざる措置として、公共事業関係費の追加に対応するもの等について建設公債を追加発行することといたしております。
 しかしながら、これらをもってしてもなお財源が不足することから、特例的な措置として、当初予定していた国債整理基金特別会計に対する定率繰り入れ等三兆四百八十七億円を停止することとし、このため、平成五年度における国債整理基金に充てるべき資金の繰入れの特例に関する法律案を提出し、御審議をお願いすることといたしております。なお、これに伴い国債整理基金の運営に支障が生ずることのないよう、NTT株式の売却収入に係る無利子貸し付けについて繰り上げ償還を行うこととし、このため必要となる措置を講ずることといたしております。
 これらの結果、平成五年度一般会計第二次補正後予算の総額は、歳入歳出とも第一次補正後予算に対し、七千八十七億円増加して、七十五兆二千五百二十二億円となっております。
 地方財政につきましては、一般会計からの地方交付税交付金が減額されますが、地方団体の円滑な財政運営を確保するため、交付税及び譲与税配付金特別会計において所要の借り入れを行うことにより、当初予算額どおりの地方交付税総額を確保することといたしております。
 以上の一般会計予算補正等に関連して、特別会計予算及び政府関係機関予算につきましても、所要の補正を行うこととしております。なお、冷害等対策の一環として被害農家等に対する共済金の支払いに充てるため、農業共済再保険特別会計において農業再保険費三千九百四十八億円を追加することといたしております。
 財政投融資計画につきましては、緊急経済対策の実施等のため、この補正予算において、中小企業金融公庫、国民金融公庫等十七機関に対し、総額二千八百二十億円の追加を行うことといたしております。
 以上、平成五年度補正予算(第2号)の大要について御説明いたしました。何とぞ、関係の法律案とともに、御審議の上、速やかに御賛同いただきますようお願いいたします。(拍手)
     ――――◇―――――
 国務大臣の演説に対する質疑
#8
○議長(土井たか子君) これより国務大臣の演説に対する質疑に入ります。深谷隆司さん。
    〔深谷隆司君登壇〕
#9
○深谷隆司君 私は、自由民主党・自由国民会議を代表し、本日提出された第二次補正予算に関連して、細川総理並びに関係閣僚に対し質問をいたします。
 総理、あなたは今日本国じゅうを覆う深刻な不況の実態を本当に認識しておられますか。とりわけ中小企業者の悲鳴にも似た声が聞こえておられるでしょうか。私は率直に申し上げて、大不況に対する総理の認識は極めて甘いと言わざるを得な
いと思っております。(拍手)そしてまた、その対応も国民の期待からかけ離れていると思いますが、いかがでありましょうか。
 第二次補正予算が本日ようやく本院に提出されたのでありますが、率直に言って余りにも遅過ぎたと言わざるを得ません。(拍手)
 細川連立内閣は八月九日に成立いたしました。そして、特別国会において、我が党の質問に対し、早期の追加景気対策の必要性を答弁されました。そこで、我が党は、九月九日、大型の所得減税や新社会資本を中心とする十兆円以上の緊急総合景気対策を決定し、細川総理にその実現を求めたのであります。
 細川内閣も、こうした我が党の要請にこたえ、九月十六日、緊急経済対策を決定し、本臨時国会に第二次補正予算を上程することを表明いたしたのであります。
 しかるに、あれから二カ月半、不況にあえぐ国民の苦悩をよそに、補正予算は本日まで本院には上程されなかったのであります。我が党は、十一月五日、細川総理に対して再度、一日も早く国会に提出するよう文書をもって強く要望したのであります。
 大蔵省筋によれば、予算案は事務的には二十日にでき上がっていたとのことであります。武村官房長官、あなたも十月二十七日の政治改革委員会において、二十日過ぎまでには衆議院に上程すると発言されました。にもかかわらず、これほどおくれたのは一体なぜなんでしょうか。参議院での政治改革法案審議の思惑から、補正予算の提出を故意におくらせたという報道もあります。だとするならば、国民の切実な願いを踏みにじり、予算を人質に利用したということで、断じて許されることではないと思うのであります。(拍手)
 武村官房長官に対し、その間の事情を御説明いただきたいと思います。そして、細川総理には、まず国民に対し、提出のおくれを率直にわびていただくことが筋ではないかと考えますが、いかがでありましょうか。(拍手)
 さて、細川内閣が発足した今年八月九日の東京株式市場の平均株価は、二万四百九十三円五銭でありました。ところが、きのうは一時一万六千円台を割る異常な事態となってしまいました。このことが何を意味するか、細川総理、あなたは御存じでございましょうか。今の不況に対し何ら有効な対策を打ち出せない、いや、打ち出そうとしない細川内閣に対する失望感のあらわれだと私は思いますが、いかがでございましょうか。(拍手)ぜひ総理のお考えを伺いたいと存じます。
 さきに細川内閣が発表した緊急経済対策は、景気対策とは言えない九十四項目の規制緩和と、わずかな円高差益還元、それと一兆円の社会資本整備から成るものでありました。発表の際、細川総理は「相当思い切ったものになったと思う。各分野にもにじみ渡り、景気回復に大きく寄与する」と記者会見で言われました。しかし、結果はこのとおりでおります。不況は一層深刻になり、取り返しのつかないありさまです。あの発言は一体何だったんですか。単なる自画自賛、いかにもあなたらしい、無責任な発言にすぎなかったのであります。
 一万以上もある規制の中で、わずか九十四項目の緩和でどの程度効果があるのか、私には甚だ疑問であります。そこで、今、どこまで実行に移され、景気回復にどれだけ成果を上げているのか、国民の前に明らかにしていただきたいと思うのであります。
 私は、規制緩和は、住宅建設を促進させるための建築基準法の改正など、国民生活を豊かにさせ、しかも大きな効果のあるものを選ぶべきだと思いますが、総理のお考えを伺いたいと存じます。
 我が党が九月に要請した内容は、政府の緊急経済対策を見直し、まず景気対策の柱として、冷え切った消費需要を喚起するために、大型所得税、住民税の減税を行うことでありました。
 さらに、一、高齢化、情報化等に対応した新社会資本の整備を進めるとともに、地域経済に配慮した公共事業の追加を行うこと。二、異常気象、冷害の影響をもろに受けた地域社会への対応策や、公定歩合の引き下げが市中金利に連動しないことによって資金繰りに苦しむ中小企業への配慮を行うこと。三、雇用の実態がまことに深刻であり、企業内の実質的な失業者を加えると、失業率は五%から六%にもなる。この事態は日本企業の特色である終身雇用制へも影響を及ぼしかねず、産業の空洞化、そして同時に雇用の空洞化が起きるおそれが出ており、さらにきめ細かな雇用対策を講ずること。四、農業については、冷害に対する農業共済対策や就業機会確保のための公共事業の重点配分、米の緊急輸入が即自由化につながるのではないかと不安の高まる農業者への明確な対応を講ずるなどでございました。
 しかし、本日提出された第二次補正予算は、九月十六日の最初のあなたたちの対策をそのまま書き写しただけのものであり、我が党が要請した見直しも追加も結局行われておりませんでした。これは細川総理の独善であり、国民の声を無視した姿勢で、決して許されることではないと私は思うのであります。改めて、我が党の要請に対して、この際、明確な総理の答弁を求めたいと思います。
 次に、減税問題についてであります。
 今回の補正予算案においては、国民の最も求める最大の景気対策である所得減税には全く触れておりません。当初、細川総理は、景気対策としての所得減税は考えていないと言い続けてこられました。しかし、その後、政府税制調査会総会に出席した際には、「所得、消費、資産の間でバランスのとれた税の制度を検討してほしい。所得税減税についてもそのバランスの中で考えてほしい」と微妙な発言に変わりました。
 先般、政府税調から中期答申が出されました。細川総理は、この答申を受け取ったすぐその日に、アメリカに旅立ったのであります。そして、クリントン大統領に、景気対策の一環としての答申をもらったと、所得減税を実施する意向を明らかにされたのであります。答申を受けた後、我が国国民に対しては所得減税の意向を示さず、真っ先にアメリカ大統領に対して報告するというのは、一体どういうことでありますか。細川総理はどこの国の総理大臣かと、私は義憤に駆られてならないのであります。(拍手)あなたは日米首脳会談でどのような発言をされたのか、この際、明確にお答え願いたいと存じます。
 新聞等の報道によれば、細川総理は、来年から所得減税を行うが、あわせて消費税の増税も考え、減税分を埋める措置を一緒に書き込む意向であると言われております。もしそれが事実なら、何と思慮のない発言でございましょうか。これでは、減税の効果があらわれるどころか、むしろマイナスになることは必定であります。
 平成四年における給与所得者は三千七百十四万人おります。そのうち七五%が収入六百万円以下の人々でございます。こうした七五%の中堅以下の人たちを切り捨てて、しかも消費税をアップすれば、減税どころか明らかな増税となるのではないでしょうか。
 藤井大蔵大臣にお伺いいたします。あなたのただいまの報告も、まことに情のない上っ面の発言にすぎませんでした。あなたは、一体、政府税調答申における減税、増税の関連はどう思っておられるのか、この際、大蔵大臣として責任ある御答弁をいただきたいものであります。細川総理はこの答申を踏まえてどうなさるおつもりなのか、国民に明確な御答弁をこの際されるように求めます。
 細川内閣の税制討議は、すべて政府税調におんぶしているようですが、官僚主導、机の上の議論では国民は救えません。我々自由民主党が政権にあったときは、我が党税調において、国民の生の声を土台にして税制改正案をまとめたものであります。今、我々は責任ある野党として、党税制調査会において議論し、我が党独自の税制改正案をまとめつつあります。政府の税制改正案が国会に提出されるならば、我々は国民の真剣な声を踏まえて大いに議論いたしたいと考えているところであります。
 最後に、一言、細川総理に申し上げたいことがあります。
 あなたは総理就任以来、いろんなパフォーマンスをもって細川カラーをつくろうとしてこられました。確かにそれが上辺の人気を支える一因になっておりますが、時にはその発言が、善良な人たちに対して大きな迷惑を及ぼしていることを御存じでしょうか。
 例えば、この議員バッジもその一つです。私は、この議員バッジは、私を支えてくださる多くの人たちの心の象徴だと心得ています。そして、政治を託されたあかしたと思っています。ですから、私たちはこのバッジを大切に胸につけることによって、毎日政治家としての自覚に立った行動をとっているのであります。しかし、総理は、これを何か権威を誇示しているようでたまらないと申されました。総理は、これを何か権威を誇示しているようでたまらないと申されました。あなたの趣味で何をおっしゃることも自由ではありますが、そのバッジの無用論が、不況にあえぐ日本全国のバッジ業者に大きな打撃を与えているのです。(発言する者あり)私は、国民の皆さんにお訴えしたい。この与党の、苦しんでいる人たちに対する発言についての爆笑は一体何だろうか。ここに彼らの悲痛なまでの陳情書があります。不況のために単価は下がり、注文も減り、その上、あなたのバッジ無用論が彼らの生活を不安に陥れているのです。
 私は、一国の総理として、パフォーマンスも結構ですが、もっと庶民の心を大切にして、軽々しい発言は慎んでいただきたいと思うのですが、いかがでありましょうか。(拍手)これはほんの一例で、ほかにもあるのです。この機会に、御見解がありましたらお伺いいたしたいと存じます。
 以上、今回提出されました第二次補正予算に関連して質問いたしましたが、私が指摘いたしたいことは、我が国の不況は細川総理のお考えになっておられるよりはるかに深刻であるという事実であります。第二次補正予算で示された財政対策では、我が国の景気が再び上昇するとは到底考えられないと思うのです。さらなる対策を強く要請するとともに、来年度予算の作成に当たって、国民の声に真剣に耳を傾け、国民があすに向かって安心して前進できるようにしていただきたいのであります。
 我が党は、今後ともこうした日本経済の実態を直視し、国民の立場に立って細川内閣に対応を求めてまいりたいと思います。是は是とし、非は非として、時を失せずあらゆる対策を要請してまいることを明らかにして、私の質問を終わりたいと思います。(拍手)
    〔内閣総理大臣細川護煕君登壇〕
#10
○内閣総理大臣(細川護煕君) 景気の現状に対する認識の問題からお尋ねがございましたが、景気の現状は、円高などもあってまことに厳しい状況に立ち至っている。それは、その認識につきましては、私も全く厳しいものであるという認識をいたしております。公共投資や住宅投資など一部に明るい動きが見られますものの、個人消費は冷え込んでおりますし、また、設備投資も落ち込んでおります。とにかく全体として景気は、先行き不透明感もあって、おっしゃるように深刻な状況にあるというのが私の認識でございます。
 政府は、これまで数回にわたって経済対策を行ってまいりましたし、さらに九月には緊急経済対策を策定をし、その中には規制緩和の推進や円
高差益の還元あるいはまた生活者・消費者の視点に立った社会資本の整備といった施策も含まれていたわけでございますが、とにかく本対策をできる限り早く本格的に実施するためにも、補正予算の一日も早い成立をお願い申し上げる次第でございます。
 補正予算案の提出の問題についてのお尋ねがございましたが、五年度の第二次補正予算につきましては、現下の極めて厳しい税収状況のもとで、冷害対策など追加財政需要の正確な把握に努めますとともに、財源の捻出に精いっぱいの努力を傾けてきたところでございます。
 景気についての認識は、今申し上げたとおりでございまして、私もまことに厳しく受けとめているわけでございますが、そういう観点からも、できる限り早くこの補正予算を国会に提出できるように作業を進めてまいりましたし、本日国会に提出をさせていただいて御審議を始めていただいたところでございますが、さきに申しましたような状況のもとで鋭意作業を進めてきたということをぜひ御理解をいただきたいと思っております。
 それから、証券市場の動向についてのお尋ねでございましたが、このところ株式市場は見送り気分が強くなっておりますが、その要因としては、投資家は企業業績の悪化や景気の先行き不透明感などから株式投資を控えているといった市場関係者の見方もあったりしておりますが、言うまでもなく、株価は自由な市場の需給関係によって決まってくるものでありますし、政府が株価そのものに関与することは、株式市場の公平性、透明性の観点から不適当と考えておりますが、最近の株式市場の動向については懸念をしておりますし、当然のことながら重大な関心を持っているところでございます。
 証券市場の活性化につきましては、基本的には、景気の回復を通じた企業業績の回復が必要であると認識をしておりますし、また、市場が本来の機能を発揮する上で必要な環境を整備することが重要であることから、今後も引き続き市場活性化のための対策に積極的に取り組んでまいりたいと思っております。
 政府としては、今回の補正予算におきましても、できる限りの措置を講ずることにしておりますし、この補正予算を速やかに成立をさせていただくということが、当面の最大の景気対策であると考えているところでございます。(拍手)いずれにしても、基本は景気であって、今後とも景気の回復に全力を傾けてまいりたいと考えているところでございます。
 規制緩和と景気回復についてのお尋ねでございましたが、九月の緊急経済対策におきましては、九十四項目に上る規制の緩和などの施策を行うということを発表いたしましたが、ここで挙げましたことは、それぞれに、新規事業の創出でありますとか、あるいは事業の拡大につながるようなもの、あるいはまた競争の促進であるとか価格の弾力化などを通じて市場の効率化を促すもの、あるいはまた市場アクセスの改善を通じた輸入の促進でありますとか、あるいはまた申請負担の軽減による経済的なコストの削減といった効果がそれぞれ見込まれるものであるというふうに私は思っております。
 こうした規制の緩和などを実行してまいりますことは、経済全体として、中長期的には日本経済の潜在成長力を高め、国民生活の豊かさの実現に資するものだと思いますし、また、短期的にも新規事業の創出などによって事業の拡大や研究開発に伴う投資を誘発する効果がございますから、需要の拡大に相当の効果を持ち得るものと考えているところでございます。現在、各省庁におきましても、こうした規制緩和の早急な実施に向けてさらに努力をいたしているところでございます。
 規制緩和への今後の取り組みについてのお尋ねでございましたが、規制緩和につきましては、本年九月の緊急経済対策におきまして、今申し上げましたように、その第一歩を踏み出したところでございますが、さらに、経済改革研究会の報告などを踏まえまして、その積極的な推進に取り組んでまいらなければならないと思っております。おっしゃいましたように、住宅の話などを例に挙げてのお話がございましたが、国民生活の充実に直結するものや経済効果の大きなものに重点を絞って取り組んでまいりたいと思っております。
 それから、自民党が要請した、減税、農業対策あるいは社会資本の整備、雇用対策等に対する見解はどうか、こういうことでございましたが、政府は、九月の緊急経済対策の決定以降も、例えば所得税の減税につきまして、税調の答申に示されました税制の総合的見直しの方向に沿って、国民の声に十分耳を傾けながら、六年度の税制改正において税制改革の具体案を一体として取りまとめて、その実現を図る中で取り組んでいくこととしておりますほか、農業につきましては、本年の低温などによる水稲などの被害にかんがみまして、被害農業者の経営あるいは被害地域の経済の安定を図るための冷害対策を講ずることといたしております。今回の補正予算に、そのために必要な冷害対策関連経費などを盛り込んでいるところでございます。
 また、社会経済情勢の変化などを踏まえました社会資本整備を進めるための公共事業の配分の見直しに向けての検討や、あるいは企業の雇用維持努力の支援、さらにはまた中高年齢者の再就職の促進などを基本的な視点とした雇用対策の検討などを引き続き行っているところでございます。経済情勢の変化に細心の注意を払いながら、今後とも適切な経済運営に努めてまいりたいと思っております。
 所得税減税について日米首脳会談でどのような話があったか、こういう趣旨のお尋ねでございましたが、さきの首脳会談におきましては、私からは、クリントン大統領に対しまして、我が国の景
気回復の世界経済に対する重要性というものを踏まえて、引き続き適切な経済政策の運営を行う決意を述べた次第でございます。その際に、税調の答申の内容についても説明をいたしましたが、所得税減税を含めて具体的な景気対策については言及しておりません。
 それから、税調答申とその対処方針いかん、こういうお尋ねでございましたが、答申に示されておりますように、公正で活力のある高齢化社会を目指して、所得、消費、資産などのバランスのとれた税体系を築くことは、我が国経済の先行きの不透明感にこたえるためにも、今から取り組むべき緊要な課題であると認識をいたしております。私としては、税制調査会の答申に示された税制の総合的な見直しの方向に沿って、国民の声によく耳を傾けながら、六年度の税制改正作業の中で、税制改革の具体策の取りまとめに取り組んでまいりたいと思っております。
 最後に、議員バッジについてのお尋ねがございましたが、必要なときにバッジをつけるのは当然でありまして、人それぞれ考え方もあろうかと思いますが、バッジの意義、価値についてもよく認識をしているつもりでございます。(拍手)
    〔国務大臣藤井裕久君登壇〕
#11
○国務大臣(藤井裕久君) お答えいたしますが、政府税制調査会の答申の内容、これはもう今総理が言われたとおり、今後の将来あるべき社会においての、活力ある高齢化社会をどうやって実現していくかという段階での国民負担のあり方の基本的考えについての答申でありまして、一言で言えば、所得課税の軽減、消費課税の充実、これが原則で、基本的なことであります。
 なお、短期的な景気対策としての税制についての提言はございません。これにどう対応するかは、今総理のお答えのとおりでありまして、国民の皆様の世論をよく伺いながら、関係の皆さんと御相談して決定をしてまいることだと考えております。(拍手)
    〔国務大臣武村正義君登壇〕
#12
○国務大臣(武村正義君) きょうから御審議をいただきます補正予算の提出をわざとおくらしたんではないかというおしかりでございますが、そんなことはありません。
 確かに、十月の半ばごろでございましたか、不肖私も定例記者会見で質問を受けまして、十一月の二十日過ぎを目標に全力を挙げて作業を進めている、こういうお答えをしたことがありますし、また政治改革特別委員会でも御指摘のような答弁をさしていただきました。そのときの発言といいますか、私の目標からすれば一週間余りおくれをとってしまったことは事実でございまして、そのことは認めます。
 ただ、総理もお答えいたしましたように、今回の補正は、全国を覆ったこの異常な冷害、災害もございましたが、この冷害の現地の状況を精査をして、その上で数字をまとめ上げてきたわけでございます。補正にかかわる財政需要をきちっとまとめ上げるために、やや予定よりも時間を要してしまった。二十日には補正予算が仕上がっていたというのは事実ではありませんし、意図的におくらしたわけでない点はぜひ御了解をいただきたいと思います。(拍手)
    ―――――――――――――
#13
○議長(土井たか子君) 愛知和男さん。
    〔愛知和男君登壇〕
#14
○愛知和男君 私は、新生党・改革連合を代表し、連立与党各党の御了承を得て、本日、今国会に提出された補正予算に関連し、現下の緊急課題である景気対策を初め内外の重要課題について、細川総理並びに関係閣僚に質問いたします。
 細川政権誕生以来、百日余りが過ぎましたが、我々の目の前にはもはや猶予を許されない、決断を求められている課題が余りにも多いことを日々実感するものであります。それにつけても、一日も早く政治改革をなし遂げ、これらの諸課題に正面から全力で取り組むことができる政治体制を早急につくり上げることが国民各位の切なる希望であると確信しております。(拍手)
 政治改革関連四法案は、総理の英断により、政府案を修正しつつ衆議院で可決の運びとなりました。しかしながら、参議院での審議はいまだ入り口に立ったところであります。今後、法案の一日も早い成立に向け、精力的かつ建設的な論議が行われることを強く期待しております。(拍手)まず冒頭に、政治改革法案成立への総理の御決意を改めてお伺いいたします。
 さて、現下の景気状況は、昨日の株価の大幅下落にも見られるとおり、一日たりとも猶予がならない切迫したものとなっております。本日明らかになった統計資料によれば、有効求人倍率は先月よりさらに下がって〇・六七となり、また完全失業率も三カ月連続して上がって二・七%となっております。総理は、雇用情勢を初め我が国の現下の景気状況をどう見ておられるか、まずお伺いいたします。
 景気のこれ以上の後退は何としても阻止せねばならず、補正予算に盛り込まれた公共事業等の追加、中小企業対策等について、できる限り速やかに実行に移されることが急務であります。今回の補正予算における公共事業等の追加は、総理が緊急経済対策の策定時に指示されたいわゆる「生活者・消費者の視点に立った社会資本整備」を具現化するものであり、より質的な面に着目し、思い切って社会資本整備を推進するもので、評価に値すると考えますが、しかしながら、一部に、地方や農村が切り捨てられるのではないかとの危倶の念が強くあることも事実であります。この点に関して、総理の御見解をお聞きしたいと思います。
 ところで、今回の景気低迷を分析してみますと、バブル経済崩壊とそれに伴う企業の資産内容の悪化があり、こうした構造的な問題を克服して
経済を再活性化するためには、あらゆる面で新しい発想に立った施策を講ずる必要があります。
 その一つとして、緊急経済対策にも盛り込まれた規制緩和がありますが、特に留意すべき点は、民間の活力をできる限り引き出し得るような、将来に向けての明るい展望につながる理念、方策を示すことにあると思います。規制緩和を実施していく段階では、官僚機構や既得権益を守ろうとする勢力からの強い抵抗が予想されますので、これを推進していくためには強い政治的リーダーシップが求められます。経済改革研究会の中間報告を踏まえた総理の今後の規制緩和への取り組みについて、お伺いいたしたいと存じます。
 構造的な問題へのもう一つの取り組みとして、中小企業のリストラ努力への積極的な支援があります。先般のリストラ支援法の成立を受けて、今回の補正予算にもこの実施のための予算が盛り込まれておりますが、中小企業の置かれている現状をどうとらえ、今回のリストラ支援で何を目指しておられるのか、通商産業大臣にお伺いしたいと思います。
 次に、来年度の予算編成についてでありますが、蔵相の諮問機関である財政制度審議会より「公共事業の配分のあり方に関する報告」がなされましたが、同報告では、住宅、上下水道などは生活環境の改善に結びつくとして集中的に投資する、治山治水など国土保全の事業は着実に整備するとうたう一方で、工業用水や漁港は基本的に産業基盤整備と位置づけ、公共投資を抑制する方向が示されております。硬直化した予算配分の方式の見直しは、「連立政権樹立に関する合意事項」の一つではありますが、いわゆる地方切り捨てになるようなことがあってはなりません。この点に関して、大蔵大臣の御所見をお伺いしたいと存じます。
 次に、景気対策と税制改正とについてお尋ねいたします。
 総理が諮問を行った政府税制調査会において、先般「今後の税制のあり方についての答申」が出されました。この中で所得課税の軽減と消費課税の税率引き上げの方向が打ち出され、かつ、「具体的な改正事項は、その全体が一体的に成案に取りまとめられ、実施されるべきである。」との提案が行われています。
 ところで、私は、現下の厳しい経済状況を打開するためには、厳しい財政事情も十分踏まえた上で、税制改革の方向に沿いつつ、思い切った規模の所得税の減税をタイミングを失することなく断行すべきではないかと考えます。(拍手)景気回復のためには、国民に与える心理的効果も考慮しなければなりません。総理が力強いリーダーシップを発揮されることが景気回復に大きな影響力を与えます。総理の御決意のほどを改めてお伺いしたいと思います。
 ところで総理は、先日、シアトルで開催されたアジア・太平洋経済協力会議の非公式首脳会議に出席され、クリントン米国大統領とも会談されました。世界の人口の四割、GNPの五割を占めるに至ったアジア・太平洋地域にとって、二十一世紀に向けた共同展望が示されました。太平洋を隔てた国々が共通の認識を持ち始め、さらに、世界を変革する実力と意思を確認した点で、今回の会合は歴史的な出来事であり、また、その中で日米両国が果たすべき役割の大きさをあわせ考えると、総理の会議出席の成果は大いに評価されてしかるべきと考えますが、その意義について総理の御所見をお伺いいたします。
 このAPEC会議で採択された宣言では、十二月十五日までにガット・ウルグアイ・ラウンドを終結させることが不可欠とされました。ガット・ウルグアイ・ラウンド交渉において、我が国としての最大の課題は申すまでもなく米の問題でありますが、この問題についての我が国の基本的方針は、再三にわたる国会決議にあるとおりであります。しかし、事は外交交渉案件であり、最終的には交渉に当たる政府に対応をお任せするしかないとも言えます。長期的、総合的視野に立って、我が国の国益を守るためのぎりぎりの外交努力をお願いいたしたいと存じます。改めて総理の御決意のほどをお聞かせください。
 本年の冷夏により、未曾有の被害を受けた農業従事者の経営及び被害地域の経済の安定を図ることは、まさに緊急の課題であります。農業共済金の年内支払いを実施するためにも、本補正予算を一日も早く成立させることが肝要であります。
 また、農業は、食糧供給のみならず、環境、国土保全の維持などの機能も有します。農業従事者が生きがいを見出すことのできる環境を整えることは、国家としても極めて大切なことであると考えます。総理及び農林水産大臣に、今後の農業問題に対する取り組みについての御決意を伺いたいと思います。
 総理、我々が今日の状況を見回すとき、自民党政権が残していったいわば負の遺産ともいうべき課題は余りにも多く、いずれも差し迫ったものばかりであることに改めて気がつきます。(拍手)これらの多くの課題は、これまで我が国のさまざまなシステムの根本的な見直しを求めるものであり、また、国民各位の新たな時代に臨む意識改革を必要とするものと考えます。今後も、政府・与党は、諸施策の実現に向けて、困難を避けて通ることなく不断の努力を続けていかなければなりません。
 総理は、九月の所信表明演説で、「政府は帆であり、国民は風であり、国家は船であり、時代は海である」と申されました。私は、今こそ政府・与党の帆をいっぱいに広げ、国民の強い後押しの風を受け、現下の荒波に向かって安全に船を進めていくことが、国民の負託にこたえる道であると申し上げ、私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣細川護煕君登壇〕
#15
○内閣総理大臣(細川護煕君) 初めに、政治改革法案の成立に向けての決意を問うということでご
ざいましたが、政治に対する国民の信頼を回復し、政治の活力を取り戻して、現在我が国の直面する多くの政策課題に的確に対処していくためには、五年越しで取り組んでまいりました政治改革を一日も早く仕上げなければならないということは、おっしゃるとおりでございます。今回の政治改革関連法案は、既に先々週に衆議院で可決をしていただき、参議院に送付されているわけで、ぜひ精力的、建設的な御論議によって、早急に成立をさせていただくことを期待をしているところでございます。
 なお、私としては、現下の経済情勢にかんがみて、景気対策に全力を投入していく決意であるということも改めて申し上げておきたいと存じます。
 景気に対する認識についてのお尋ねでございましたが、景気の現状は、さきにも申し述べましたとおり、全体として見れば、先行きの不透明感などもあって、大変深刻な状況であると認識をいたしております。
 政府は、これまで数回にわたって経済対策を行ってまいりましたが、その効果が経済の各分野に着実に浸透していくように極力努力を傾けているところでございます。さきの緊急経済対策をできる限り早く本格的に実施をしていくためにも、今国会に提出をしております補正予算の一日も早い成立をお願い申し上げる次第でございます。
 雇用情勢についてのお尋ねがございましたが、景気の長期にわたる低迷を反映して、有効求人倍率が十月には〇・六七倍とさらに低下をするとともに、完全失業率も二・七%に上昇するなど、一層注意すべき状態にあると受けとめております。雇用の安定につきまして、引き続き最善の努力をしてまいる所存でございます。
 今回の予算は地域間の格差を拡大しかねないという危惧があるかどうか、こういうお尋ねでございましたが、先般の緊急経済対策におきましては、生活者・消費者の視点から、特に生活環境の実現に資する社会資本などにつきまして、一兆円の事業費の追加を行っており、今回の補正予算に必要な予算を計上いたしております。生活者・消費者の重視と申しますのは、言うをでもなく、大都市のみならず、地方や農村におきましても当然求められている課題であって、追加いたしました事業につきましては、こうした地域においても、おっしゃったようなことを十分念頭に置いて実施をすべきものであると考えているところでございます。
 次に、規制緩和についてのお尋ねでございましたが、九月の緊急経済対策においてその第一歩を踏み出しましたところで、引き続き経済改革研究会の報告なども踏まえて、その推進に取り組んでまいらなければならないと思っております。十一月八日の研究会の中間報告を受けまして、全般的な規制見直しの作業に直ちに着手するように、関係閣僚に既に要請をしたところでございます。結論の得られるものにつきましては、政策目的とその効果などをよく考えて、年内を目標にその成果の取りまとめを行うことにしたいと考えております。
 所得税減税についてのお尋ねでございましたが、先ほども申し上げましたように、景気につきましては、経済の先行きの不透明感を払拭するためにも全力を傾注してまいらなければならないと思っておりますが、何よりも当面は、緊急経済対策などを実施するためのこの補正予算を速やかに成立させていただくということが、最大の対策だと考えているところでございます。
 また、今後の予算編成に当たりましては、景気の動向に十分配慮しなければならないことは当然でございますし、また、証券市場の活性化、金融の円滑化につきましても一層の努力を払いますとともに、土地の流動化対策につきましても検討を進めてまいりたいと考えております。(拍手)
 なお、政府としては、税制調査会の答申も踏まえて、六年度の税制改正において税制改革の具体案を一体として取りまとめて、その実現を図る中で所得税減税につきましても取り組んでまいりたいと考えているところでございます。
 APECの非公式首脳会議の意義についてのお尋ねがございましたが、先般のAPECの首脳会議は、世界で最もダイナミックな経済成長を遂げつつあるアジア・太平洋地域の主要国・地域の指導者が初めて一堂に会する歴史的なものであったと思っております。会議におきましては、地域経済の現状と将来の展望や課題について大所高所から自由な意見交換が行われまして、アジア・太平洋地域指導者間の個人的な関係の樹立と地域の一体感の醸成に大変有意義であったと評価をいたしております。また、各国・地域のAPECに関する関心をさらに高めて、今後のAPECの発展にとっても大きな弾みを与えたと受けとめているところでございます。
 明年二月の首脳会談に臨む姿勢いかんということでございましたが、日米関係は言うまでもなく日本外交の基軸でありますし、日米両国間の円滑な協力関係は、世界の平和と繁栄にとって不可欠のものであることは申すまでもございません。明年二月十一日に予定されている次回の首脳会談におきましても、このような認識のもとに、これまでの会談の成果を基盤に一層緊密な協力関係を構築すべく努力をしてまいりたいと思っております。
 経済分野では、包括経済協議につきまして、合意されたスケジュールと原則に沿って、現在日米双方が努力をしておりまして、その成果を首脳レベルで確認することが主要なテーマになるものと思いますし、引き続き協議の進展に努めてまいりたいと考えております。
 米の自由化問題についてのお尋ねでございましたが、再々申し上げますように、我が国としては、ウルグアイ・ラウンド交渉の年内終結に向け
て引き続き全力を尽くしてまいりますが、交渉が最終段階を迎えて、各国とも農業問題に関してそれぞれ困難な問題を抱えている中で、相互の協力による解決に向けて、国益を守るという立場をしっかりと踏まえて最大限の努力をしてまいる決意でございます。
 今後の農業問題に対する取り組みいかんというのが私に対する最後のお尋ねでございましたが、政府としては、今回の冷害について、被災農家や被災地域に対しまして円滑な救済対策の推進に向けてできる限り努力をしているところでございます。
 今後の農政の展開に当たりましては、新規就農者の減少、高齢化の進行あるいはまた耕作放棄地の増加など、特に農業の置かれた厳しい事態というものを踏まえまして、経営感覚にすぐれた意欲的な農業者が生産の根幹を担う農業構造を実現できるようにしていくということとともに、国土の均衡のある発展に向けて、農村が多様で活力のある地域として発展できるように今後とも十分意を用いていきたいと考えております。(拍手)
    〔国務大臣熊谷弘君登壇〕
#16
○国務大臣(熊谷弘君) 中小企業の置かれている現状をどうとらえ、今回のリストラ支援で何を目指しているのかという御質問でございますけれども、昨今の厳しい景況に加え、さまざまな構造的問題が顕在化している中で、中小企業が活路を切り開くために必要な新分野進出及び海外展開を支援し、その円滑化を図ることが必要と考えております。
 このため、政府としては、先般制定されたいわゆる中小企業新分野進出等円滑化法に基づき、中小企業者が行う新分野進出等の円滑化を図ってまいる所存であり、今回の補正予算の中においても、新分野進出等の事業活動を行う中小企業者に対する低利融資制度を政府関係中小企業金融機関等に創設する等の措置を盛り込んでいるところであります。これら施策と中小企業者の努力とが相まって、中小企業の経済の構造的変化への適応が円滑に行われることを期待いたしております。(拍手)
    〔国務大臣藤井裕久君登壇〕
#17
○国務大臣(藤井裕久君) 公共事業費の配分についての御質問だと思いますが、高齢化社会が本格化する二十一世紀までのわずかの期間に、限られた資金を重点的かつ効率的に使用することが重要である、こういう認識に立って、本格的実施がおくれております生活環境整備型の事業を都市、地方を通じて優先すべきであると考えておりますので、総理も言われたように、地方を切り捨てるというようなことはないということを明確に申し上げておきたいと思います。(拍手)
    〔国務大臣畑英次郎君登壇〕
#18
○国務大臣(畑英次郎君) これからの農業政策の展開いかがかというようなお尋ねをいただいたわけでございます。
 ただいま現在の喫緊の課題は、やはり災害によって農業に対する大変厳しい実態にあります被災農家の方々に対する救済措置、これに万遺憾なきを期することが今日喫緊の課題であろうか、かように考えている次第でございます。
 既に総理からお話があったわけでございますが、何としましても共済金の財源確保の問題あるいは支給時期の年内実現の問題等々、引き続き全力を挙げて取り組んでまいりたい、かように考える次第でございます。
 さらにまた、農業が、やはりこれからの地方の時代におきましては、地方の地場産業の最たる位置づけを確保できますようなこれからの施策の展開をやっていかなければならない。なおまた、農用地そのものが国土のわずか一四%という現況にございましては、その持てる、いわゆる国土保全の面から、環境保全の面から、あるいはまた水源涵養の問題等々からいたしまして、私どもの立場におきまして、さらに、いわゆるかけがえのない農地であり、農業であり、いわゆる若い方々が、やらんとする意欲を持った方々が十二分に取り組んでいただけるような条件整備に向けまして、全力を新農政の展開とともに図ってまいりたい、かように考えている次第でございます。(拍手)
    ―――――――――――――
#19
○議長(土井たか子君) 保利耕輔さん。
    〔議長退席、副議長着席〕
    〔保利耕輔君登壇〕
#20
○保利耕輔君 私は、自由民主党・自由国民会議を代表して、この際、先ごろ行われましたアジア・太平洋経済協力閣僚会議、いわゆるAPEC並びに緊迫の度を加えつつあるガット・ウルグアイ・ラウンド交渉について、総理及び関係大臣に質問をいたします。
 まず、細川総理にお伺いいたします。
 先ごろ行われましたAPECの意義や目的について、先ほど御答弁がありましたが、重ねて、国家の指導者として、国民にわかりやすく御説明願いたいのであります。特にアジアにおいては、日本の指導的役割が求められている一方、総理の侵略発言はいかがかと思いますが、深い反省と謙虚な態度が求められておるのであります。この相異なる二点を踏まえて、日本の指導者たる総理の哲学を御説明ください。
 また、多様性に富むAPEC加盟各国が互いに話し合い、相互の経済発展を期することは、意義深いと考えます。この会議の目的あるいは思惑にはさまざまなものがあろうかと思いますが、その一つに、アジアに対するアメリカの関心またはプレゼンスを確かなものにするという役割があると言われております。このことは、反面、大国によるアジア支配が懸念され、さまざまな反応が示されておるところであります。このような懸念に対し、総理はどのような御見解をお持ちですか、お示しいただきたいのであります。
 次に、APECで確認された事項のうち、ガット・ウルグアイ・ラウンド交渉については、年内に成功裏に終結させるべきであるという旨うたわれております。総理並びに関係大臣は、従来、交渉を成功させなければならないと述べる一方、繰り返し、農業交渉についてはあくまで従来方針を貫く、また、三度の国会決議は守ると答弁しておられます。この方針にお変わりはないかどうか、総理大臣の明確な答弁を求めるものであります。(拍手)
 報道によれば、サザーランド事務局長は、近く交渉全体についての調停案を示すことになろうとされております。加盟各国が下交渉を続け、その結果が調停案に盛り込まれるという交渉のプロセスは常識的でありますが、総理は、従来、そうした交渉の事実はないと否定を重ねてこられました。それでは、下交渉なしに調停案が示されるのでしょうか。それとも、前言を翻し、下交渉の事実をお認めになるのでしょうか。公明党の市川書記長は、報じられるような案をもとに御所見を述べておられます。総理の明確な御答弁を求める次第であります。
 さて、先日、来日されたサザーランド事務局長は、日本に来たら米の問題しか質問されなかったと皮肉まじりに述べておられましたが、この交渉では、各方面にわたり日本にも関係の深いもろもろの問題が取り上げられています。その中の幾つかの点について質問いたします。
 まず、外務大垣にお尋ねをいたします。
 交渉の期限とされる十二月十五日はアメリカのファストトラックから来ていることは明白でありますが、アメリカの国内事情が優先されて国際会議のやり方が決められることに、外務大臣はどのような御所見をお持ちか、お尋ねいたします。
 もし、一国だけの国内事情が勘案されるのならば、ほかの国々にも国内事情があり、公平な措置とは言えません。国際間で既に合意をしたのだから、これに従うのは当然といたしましても、一国だけの事情が勘案されるのであれば、欧米流のやり方からいえばかなりの代償をアメリカは支払うことになりますが、外務省はこれまで、こうした公平でない措置に問題提起をしてこられたか否か、大臣にお答え願いたいのであります。この点は、これからの多くの外交交渉や国際会議での日本の姿勢にかかわるものでありますから、あえて外務大臣の御見解を求めるものであります。
 次に、多角的貿易機関、いわゆるMTOについて外務大臣に伺います。
 ガットは、現在、常設の国際機関ではなく、自由貿易体制をより強固なものにし、貿易紛争処理をより的確に行うため常設の国際機関を新たに設立しようとするもので、その骨格はダンケル・ペーパーに示されております。
 これに対し、アメリカは、もしMTOが設立されれば通商法三〇一条などが発動しにくくなるとの思惑から反対していると伝えられております。申すまでもなく、同法のごとく、貿易相手国を一方的に不公正貿易国と認定し、制裁措置を発動させるなどは、到底他の国が容認できるものではありません。したがって、欧州各国は、MTOを発足させ、このような一方的措置を封じ込めようとしております。
 そこで、外務省は、MTOについてこれまでどのような主張をし、期限を目前にしてその設立につきどう見通しておられるのか、大臣の御答弁を求めます。
 ここで大蔵大臣にお尋ねいたします。
 サザーランド事務局長は、ラウンド交渉の中で最も困難な問題の一つは金融サービスの問題であると指摘しておられます。アメリカは本年十月、金融問題について新たな保護主義的提案をしたと伝えられております。すなわち、金融について、アメリカは相手国の状況により差別的措置を行うというものであり、各国は猛反発をしているとのことであります。
 日本はこの問題にどう対処しようとしておられるのか、日本の主張はどのようなものであるのか、また、米欧の交渉の現況はどうなっているのか、十二月十五日までに決着がつきそうか否か、見通しについて大蔵大臣の御所見をお聞かせください。
 そこで、総理大臣にお伺いいたします。
 今申し述べました諸点のほか、繊維、電子機器、林産物、革製品、海運、オーディオ・ビジュアル、弁護士、課税の内国民待遇、アンチダンピング、知的所有権など、問題が多岐にわたり国際的に交渉されております。こうした諸問題に縦割り行政的な対処をするのではなく、一元的に管理する政府のシステムが必要であると思いますが、総理の御見解をお示しください。
次に、農業交渉について農林水産大臣にお伺いいたします。
 ダンケル・ペーパーによれば、農産品について各国に求められているミニマムアクセスは三から五%とされております。最近の報道によると、米について六年間の関税化猶予のため、その代償としてミニマムアクセスを四から八%に拡大することが交渉で検討されている由であります。もともとダンケル・ペーパーそのものが輸入国に対し公平でなく、これをスタート台にして、修正するのなら代償を払えという考え方は容認できません。現在そのような交渉がなされているのは事実であるのか否か、大臣から明確にしていただきたいのであります。
 今まで政府側は、そういう事実はありませんとか、交渉事だからいろいろあるでしょうとか、あいまいな発言を重ねてこられました。もうわずかな期間しか残されていない現在、交渉の実体について明らかにしていただきたいのであります。報道は、日に日に詳しく、現実味のあるニュースを流しております。もしそうした事実はないと否定するのであれば、マスコミが虚偽の報道をしていることになりますから、大臣は強く抗議し、取り消しを求めるべきであると思います。いずれにしても、政府のこれまでの答弁と報道は余りに食い違い過ぎます。大臣の明確な御説明を求める次第であります。(拍手)
 次に、ミニマムアクセスそのものについて、大臣の御見解を伺います。
 ミニマムアクセスを認めるとすれば、一定の輸入数量を世界に向かって約束することになり、商品が国際市場でどんなに不足をしていても、また品質が合わなくても、あるいは価格に不満があっても、さらには外貨事情が悪化しても、毎年一定量を輸入する義務を負うことになります。今回の緊急輸入によって、食品衛生上の問題が現実のものとなってきました。この点も気がかりであります。
 そもそも、自由貿易における取引は売り手と買い手の条件が合ったときに成立するものであり、不要のものまで数値を示して買う義務を負うことには慎重であるべきと思います。この点、日米経済協議の中で日本が数値化に応じないのは賢明であり、理解ができることであります。
 そこで、農林水産大臣はミニマムアクセス拒否の姿勢をとられるのかどうか、お伺いいたします。
 もし恒常的に一定量を輸入するというミニマムアクセスを受け入れる場合、食管法の改正と生産調整の強化が必要になると思いますが、大臣の御所見を求める次第であります。さらに、ミニマムアクセスは受け入れざるを得ないとするならば、条件の合わない場合の免責条項が必要であると思いますが、あわせて御所見を伺います。
 さらに、農産品二十数品目について日本に関税化が求められておりますが、その中には、米のほか、麦類、乳製品、でん粉、雑豆、落花生、コンニャクなどがあります。これらの品目の関税化について、大臣はしばしば、これまでどおりの方針で頑張ると答弁されていますが、今日まで具体的にどう頑張ってこられたのか、また見通しはどうか、国民に向かって各品目ごとに御説明願いたいのであります。(拍手)さらに、大臣が言われる従来どおりの方針とは、関税化もミニマムアクセスも拒否するというのか、それとも異なるのか、大臣のお考えをお聞かせください。
 次に、国家貿易についてお尋ねいたします。
 現在、米麦、乳製品など数品目は国家貿易品目になっておりますが、これはガット交渉上いかなる扱いになるのでしょうか。麦などでは、国家貿易を維持することによって国内産品との価格バランスがとられ、秩序が保たれております。私は、当面この制度の維持が必要と考えますが、交渉の中でどのようになっているのか、農林水産大臣の明確な御説明を求めるものであります。
 今、日本の畜産は、円高などの影響を強く受け、競争力が低下しています。そこに加え、関税の引き下げ要求が来ておると聞いております。これに対しどう対処されるおつもりか、大臣の御答弁を求めます。
 一度関税化をすると、すぐ続けて引き下げ要求が来ることは、牛肉の例をもってしても明白であり、米などについて、高い関税が取れるから大丈夫だなどの意見は、余りにのんき過ぎます。我が党は断じて関税化を容認するものではないことを申し上げ、一たん関税化を受け入れた後、すぐその引き下げ要求があり得ることに対する大臣のお考えをお聞かせください。
 細川総理、国会は過去三回にわたり食糧自給力強化の決議をしております。先般、我が党は、土井議長に対し、四度目の国会決議案を提出いたしました。議院運営委員会や連立与党の政策幹事会においては、一たん前向きの姿勢が示されながら、実現されずにおります。私どもは、心ある与党各党の皆様の御賛同を得て、ぜひ実現したいと考えておるものであります。(拍手)
 連立与党の中には、今決議をすれば政府の手足を縛ることになるとの意見もある由ですが、しからば、今までの三度の決議は政府を拘束しないものなのでしょうか。過去の国会決議、特に参議院
における完全自給という強い立法府の姿勢に対し、行政府の長である細川総理の御所見、特に完全自給についてどうお考えになるか、御見解を求めるものであります。
 私の地元、佐賀県唐津市には、日本最古の水田と言われる菜畑遺跡があり、県内には水田文化に支えられた吉野ヶ里遺跡があります。米は、歴史を通じて日本人がはぐくんできた大切な食糧であり、文化であります。ヨーロッパにおいては、ウルグアイ・ラウンド交渉の中で映像や音響の問題を取り上げ、他国によって自国の文化が破壊されないよう、必死の交渉が続けられております。
 米などの問題は、単に農業者の問題ではなく、いや、むしろそれ以上に消費者の、また、現在、将来にわたる全国民の問題であり、食糧自給力を維持することは、国家の主権にかかわる大問題であります。(拍手)
 国際協調を守りつつも、独自の文化や食糧自給力の維持のため、主権国家の長である内閣総理大臣の力強い御決意を御披露いただくよう求め、質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣細川護煕君登壇〕
#21
○内閣総理大臣(細川護煕君) 初めに、APECの意義と目的についてのお話がございましたが、我が国としては、アジアにおける過去の我が国の行為に対する反省を踏まえつつ、今後、アジア・太平洋の地域、ひいては世界の平和と繁栄に一層寄与することによって我々の決意を示していく必要があると考えております。
 その意味で、アジア・太平洋地域の活力のある経済成長を維持するために、多角的な自由貿易体制の維持強化とともに、域内におけるさらなる自由化、経済協力の推進に寄与していくということは、我が国の貢献として極めて重要なことでありますし、APECにおきましても、このような立場から一連の会議に臨んだ次第でございます。
 APECを通じてのアメリカによるアジア支配の懸念に対する見解はどうかと、こういうお尋ねでございましたが、アジア・太平洋地域の平和と繁栄のためには、アメリカの存在と関与が不可欠でありますし、域内諸国の多くがこのような考え方を共有しているということを、さきの会議においても直接に各国の首脳と話をする中で改めて感じてきたところでございます。
 他方、アジアの立場からいたしますと、APECにおける協力を進めるに当たりましては、アジア・太平洋地域の多様性というものを尊重をし、特に発展段階の違いに配慮して、コンセンサスペースで漸進的に推進をしていくことが重要であって、このような考え方は、先般のシアトルでの非公式首脳会議におきまして、私より説明をし、米国を含む参加メンバーの賛同を得たところでございます。
 農業交渉と国会決議についてのお尋ねでございましたが、我が国としてはウルグアイ・ラウンド交渉の年内妥結に向けて引き続き全力を尽くしているところでございますが、同時に、繰り返し申し上げておりますように、我が国の農業が将来に向けて安心して生産を続けられる環境を確保することが何よりも肝要であると再々申し上げてきているところでございます。我が国は従来の方針に沿った主張を行っていくことに変わりはございませんが、ラウンド交渉は最終段階に至っており、第三者が関係国から事情を聴取しながら、いずれ何らかの調整案を提示する段階が来るものと予想されるところでございます。その中で、我が国の主張が最大限に反映されるように、全力を尽くして努力をしてまいりたいと思っております。
 同じく米の問題について、アメリカとの間での下交渉の事実はあったかどうかということでございましたが、誤解がないように申し上げておきますが、ラウンドの農業交渉も当然のことながら外交交渉でございますから、二国間、複数国間でいろいろな議論、話し合いが行われていることは事実でございます。そういう中で、我が国としては従来からの基本方針に基づいて交渉をしてきているところで、このような議論の経緯や各国の主張を踏まえて、先ほども申し上げましたとおり、最終的には第三者が調整案を作成をし、提示する段階があるものと考えております。
 ラウンドの交渉に対処するには一元的な管理体制が必要ではないか、こういう趣旨のお尋ねでございましたが、政府としては、随時ラウンドの関係閣僚などによる懇談を開催をして、各省庁間の連絡を密にしておりますし、また、外務省にウルグアイ・ラウンド担当大使を置いて、関係省庁の意見を踏まえながら交渉に当たっていることも御承知のとおりでございます。私自身も、各省庁間の調整に当たりますとともに、必要に応じて交渉者に直接指示を与えるといった体制をとっておりますし、今後とも政府一体となって対処してまいりたいと考えております。
 米に関する国会決議についてのお尋ねでございましたが、国会決議については、政府はその趣旨を尊重し、その実現に努力する立場にあることは申すまでもないことでございます。政府としては、米につきましては、これも再々今までの本会議場での答弁、委員会での答弁でも申し上げてまいりましたように、その重要性にかんがみ、国会決議の趣旨を体し、国内産で自給するという基本
方針のもとで対処してまいりたいということを繰り返し申し上げてきているところでございます。
 食糧自給力の維持に向けての決意いかんということでございましたが、おっしゃるように、食糧は国民生活にとって最も基礎的な物資であって、食糧の安定供給を図るためには、国内供給が可能なものについては国内供給を基本としながら、輸入と備蓄を適切に組み合わせて対処していかなければならないと思っております。
 国内生産については、生産性の一層の向上など、品質、コスト面での改善を進めることによって、可能な限りこれを維持拡大することが基本と考えておりますし、今後はいわゆる新政策のもとで、意欲的な農業者が生産の根幹を担う農業構造の実現によって、国内の食糧供給力の維持強化を図ってまいりたいと考えているところでございます。
 残余のお尋ねにつきましては、関係大臣から御答弁をいたします。(拍手)
    〔国務大臣藤井裕久君登壇〕
#22
○国務大臣(藤井裕久君) ウルグアイ・ラウンドの金融サービス部門の交渉状況についての御質問と存じます。
 御承知のように、本年の六月の東京でのウルグアイ・ラウンド四極会合等の場におきまして、厚生年金基金の運用に係る規制の緩和措置を含むなど、目いっぱいの貢献策を既に表明をいたしておりまして、この十一月の二十六日には、ガットの事務局に対しまして、それらを含んだ譲許表を提出済みであります。
 各国からも交渉の成功裏の終結に向けた対応がなされるものと期待しておりますし、いずれにいたしましても、アメリカを含め各国とも、金融を含めたサービス交渉が十二月十五日の交渉期限までに終結するよう努力している、このように承知をいたしております。(拍手)
    〔国務大臣羽田孜君登壇〕
#23
○国務大臣(羽田孜君) 今、保利議員の方から御指摘ありましたのは、ラウンドの交渉の期日、これが米国のファストトラック、これから来ているんじゃないのかということ、それから、一国だけの国内事情が勘案されるような公平でない措置にこれまで問題提起をしてこなかったのかという実は御指摘でありました。
 確かに、アメリカの政府では、ファストトラック手続上のいわゆる対議会通報、これを十二月十五日までに行わなければならないということは、これはまさにそのとおりであろうというふうに思っております。
 ただ、問題は、サザーランドさん等も何回もお話しされておりますように、実はもう七年を超える協議であるということ、そういう中で、何としてもひとつ十二月十五日にということを再三言われていることと、もう一つは、東京サミットの経済宣言、ここにおきまして、「本年末までに包括的かつ均衡のとれた合意を達成するとの決意を新たにする。」という記述があります。
 そういうことで、今、保利議員の方からも御指摘がありましたように、これはこれで決まったことなんだろうというお話でありまして、しかし、アメリカに合わせるんだったら、アメリカは罰金払いなさいよという御指摘だったと思うんですけれども、今申し上げましたように、いわゆるラウンドの皆様方もやはりこういう意思でこれを決められておるということ。ただアメリカの意思によってやられているものじゃないんだというふうに我々理解し、この問題についてアメリカに対して、これはおまえさん勝手だぞという忠告はしておらないということ、それから問題提起しているということはないということを御理解いただきたいと思います。
 それから、今お話がありましたもう一つ、MTOの問題でありますけれども、これは、サービスですとか知的所有権など、今度新しい問題が議論をされているわけであります。こういう中で、こういったものの合意というもの、これを包括的にやはり管理する国際機関としてMTOを設立する方向、これで交渉されていることは事実であります。
 我が国といたしましては、MTOの役割というものを重視しておりまして、開放的な多角的貿易体制をより一層強化するために、MTO設立協定交渉、これに積極的に参加してきたということは、もう御案内のとおりであります。
 この設立につきましては、各国ともおおむね支持を得ておりますけれども、先ほど御指摘がありましたように一部の国が態度を保留しておりまして、決着は今後の交渉にゆだねられておるというところが本当のところであります。我が国といたしましては、やはり公平性というものをきちんと確保するというためにも、MTOの設立につきまして合意が成立しますように、我々は全力を尽くしてまいりたいということを申し上げたいと存じます。
 以上であります。(拍手)
    〔国務大臣畑英次郎君登壇〕
#24
○国務大臣(畑英次郎君) 保利議員の御質問にお答えを申し上げます。
 まず、米をめぐる報道につきまして御質問をいただいたわけでございますが、いわゆる二国間、
あるいはまた複数国間におきまして、いろいろやりとりは行われておりますが、我が国が合意をしたという事実はございません。はっきり申し上げさせていただく次第でございます。
 そういうことを踏まえまして、交渉におきましては、既に再三申し上げておりますとおり、国会決議等々、その趣旨を踏まえて、基本的方針に基づきまして、包括的関税化には例外を設けるべきであるというところの主帳をやらせていただいてまいっておりますことは御案内のとおりでございますが、残念ながら、ほとんどの国は、包括的関税化の原則は崩すべきではないというような主張がただいまされておるということであるわけでございます。
 既に総理からもお話がございましたとおり、この交渉事の、今度はまとめるべき側にある方が、あるいはその関係の方が、第三者というような立場にございますが、そういう立場からの何らかの調停案が提示される段階が迫ってきておるなということを感じておるのが実感でもあるわけでございます。さような意味合いにおきまして、私どもは、国会のこの決議を踏まえた主張に対しましての、これをめぐる十二分な主張を反映した案が出てくることを期待をしておる。そしてまた、その趣旨を体した現場での最終的な段階に対する精力的な交渉を指図をさせていただいておる。こういう現況にありますことを御承知おきを願いたいと思います。
 誤った報道、あるいはまた誤解を招く報道等が、残念ながらそういう記事を見受けるわけでございますので、これらの問題につきましては強く否定をし、あるいはまた文書をもって抗議をさせていただいた。こういうことにつきましても御承知を願いたいというように考えるわけでございます。
 次に、ミニマムアクセスの取り扱いに関する御質問をいただいたわけでございます。
 このミニマムアクセスの概念、これにつきましては、釈迦に説法に相なるわけでございますが、輸入実績がほとんどない産品につきまして、国内消費量の一定量、一定割合の数量の輸入に関しまして、関税割り当てによります低率の関税が適用される関税輸入枠を設定するというものであることは御案内のとおりであります。
 そういう意味合いの中にございまして、ただいま保利議員から種々具体的な御指摘も賜ったわけでございまして、国内消費量の一定割合の数量について輸入機会を、チャンスを提供するということであって、その数量の輸入自体を実現することを約束するものではない、こういうように私の方では受けとめさせていただいておるわけでございます。御指摘がございましたとおり、仮に、国際需給の逼迫等により実際の輸入がミニマムアクセス約束数量に満たないような場合、そのことをもって約束違反に問われるものではない、かように理解をさせていただいておるわけでございます。
 次に、米のミニマムアクセスの問題につきましてお尋ねをいただいたわけでございます。
 これはあくまでも仮定の問題でございますが、仮に米のミニマムアクセスを受け入れることとした場合には、国内における米の需給事情のいかんを問わず、一定数量の輸入を一定期間実施されるケースとなること等から考えまして、食管法につき所要の改正が必要となるものと受けとめさせていただいております。
 なお、生産調整等につきましては、営農の安定という、そういう視点からも重要でございまして、一概にいわゆる生産調整を強化するということのみの要請ではない、かように御理解を賜りたいというように考えるわけでございます。
 米以外の輸入制限品目につきまして、お尋ねをいただきました。
 御案内のとおり、ウルグアイ・ラウンドのこの農業交渉におきましては、農産物貿易の、一つの大きな柱はあくまでもその貿易ルールづくりにあるということも御案内のとおりであります。そして、もう一つの柱が、個別品目別の関税引き下げなどアクセスの改善に関する論議、やりとりが行われておるということも御承知のとおりであるわけでございます。
 個別品目につきましては、それぞれ関心をお持ちの諸外国から、関税化や関税引き下げ要求が行われておりますことは御案内のとおりでございますが、我が国からは、関税化はできない事情等々、それぞれにつきまして反論をさせておる現在の段階であるわけでございます。
 ルールにおいて、我が国は、従来からの主張どおり、基礎的食糧や乳製品、でん粉等の輸入制限品目につきましては、各品目ごとの実態も踏まえ、安定供給や国内での生産制限の実効性を確保する観点からも、いずれも量的な管理が必要であり、包括的関税化は受け入れられないとの主張をさせていただいておるところでございます。
 いずれにしましても、残念ながらほとんどの諸外国が、包括的関税化の原則は崩すべきではない、一切の例外を認めない、こういう主張をされておるわけでございまして、交渉は厳しい状況にあると認識はいたしておるわけでございます。ただ、先ほども申し上げましたように、ルールの問題として、交渉を取りまとめるべき立場にある者
が、いわゆる関係国から事情を聴取しつつ、いずれ何らかの調停案が提示される段階、かようにも考えておるわけでございますが、私自身の立場にございましては、従来の国会決議を踏まえたその我が方の主張が力強く反映されるよう、残された期間は極めてわずかでございますが、最大限の努力を重ねてまいりたい、かように考えておる次第でございます。(拍手)
 次に、従来どおりの方針ということにつきましてお尋ねをいただいたわけでございます。
 既に申し上げたところでございますけれども、御指摘のような包括的関税化は受け入れられない、受け入れることができない、これが大きな大黒柱であることは御承知のとおりであるわけでございます。今後におきましても、この残された、限られた時間ではございますが、こうした方針のもとに交渉に当たってまいる次第でございます。何としても、調整過程におきまして、従来の我が国の、そしてまた国会決議等々が織り込まれるように、私自身も、残された期間の最大の、いわゆる現場の関係者の方々を督励しながら取り組みをさせていただいておる、かように御理解を願いたいと思っております。
 次に、ウルグアイ・ラウンド交渉における農産物の国家貿易品日の取り扱いについてお尋ねをいただいたわけでございます。
 ダンケル・テキストにおきましては、国家貿易につきましても、それが実質上非関税障壁の手段となっている場合に、その非関税障壁の関税化が求められておりますが、国家貿易の存在そのものについては何ら規定がされていないことは御承知のとおりであるわけでございます。したがいまして、我が国としましては、国家貿易自体は現行ガット上も最終合意文書案上も存続が認められている旨の主張を行っているところでありまして、今後とも、国家貿易の果たす役割を踏まえて、この点について我が国の主張が認められますように、残された時間にべストを尽くしてまいりたい、かように取り組まさせていただいておるわけでございます。
 次に、畜産物の関税引き下げ要求に関してお尋ねをいただいたわけでございます。
 いわゆるダンケル・テキストにおきましては、農産物全般につきまして平均三六%、最低でも一五%の関税引き下げが提案されておりますが、畜産物の主要輸出国からは、残念ながら、畜産物につきまして大幅な関税引き下げが求められておりますことは御案内のとおりであります。アメリカにおきましては六〇%、あるいはEC諸国におきましても乳製品等五〇%といったようなカットの要求がなされておるわけでございますが、我が方といたしましては、我が国の畜産をめぐる現在の、そしてまた厳しい状況等、大幅な関税引き下げは極めて困難な事情につきまして説明をさせていただいておるところでございまして、引き続き各国の理解が得られますように全力を傾けてまいりたいというように考えるわけでございます。
 関税化した品目について、さらなる引き下げの要求があり得るのではないか、こういう御質問もいただいたわけでございます。
 ウルグアイ・ラウンドの合意は、我が国農業を国際競争から守るための貴重な手段というような一面もあるわけでございますので、その後における、その後の関税引き下げ要求等を受け入れる、受け付ける余裕はないというのが私の現在の立場であるわけでございます。
 いずれにいたしましても、最終段階でのこのやりとりであるわけでございます。いわゆる真剣勝負の正念場、私の方の主張が残念ながら今日まだ明るい見通しは得ていないことは事実でございますが、交渉事は、こちらもきつい、相手方もきつい、これが粘り腰を発揮する大切な時期ではなかろうか、かように考えておることを申し上げて、お答えにかえさせていただきます。(拍手)
    ―――――――――――――
#25
○副議長(鯨岡兵輔君) 岩佐恵美さん。
    〔岩佐恵美君登壇〕
#26
○岩佐恵美君 私は、日本共産党を代表して、政府の財政演説に対し質問いたします。
 まず初めに、私は、民主主義を根底から揺るがす小選挙区制を初めとする政治改革法案が、多くの問題を残し、しかも修正点については一切本院の審議もないまま、採決強行されたことに対し、強く抗議するものです。(拍手)
 質問の第一です。公共事業とゼネコン疑惑の問題です。
 政府は、補正予算の中で、生活者重視の社会資本整備を強調しています。しかし、公共事業という以上、公共事業のあり方をゆがめているゼネコン疑惑にこそメスを入れるべきです。
 東京湾横断道路トンネル部分の工事入札で、各工区とも落札価格が予定価格の九九・七%で横並びするという奇妙な事実が、会計検査院の調査で発覚しました。これは、不正な談合がなければ全くあり得ないことです。このような三十数兆円の公共事業にかかわる政財官の腐敗した癒着と膨大な税金のむだ遣いに、国民は憤っているのです。
 ところが、政府は、疑惑解明を全くしようとしないばかりか、疑惑を覆い隠そうとさえしています。総理は、公共事業発注とゼネコン献金のかか
わりを徹底調査し、そしてその結果を国会と国民に報告すべきです。答弁を求めます。
 質問の第二は、深刻化する不況打開のための対策についてです。
 庶民が潤う所得減税を直ちに行うことは、圧倒的な国民の要求です。ところが、政府は、今回の補正予算で所得減税を見送ったばかりか、金持ち減税と引きかえに消費税率を引き上げる庶民大増税を進めようとしています。とんでもないことです。
 消費税が税率アップされれば、所得減税があっても、どんなに控え目に見積もっても、労働者、サラリーマンの八五%に当たる年収七百三十万以下の世帯は、確実にすべて増税となります。税率七%ならば、八万円から十数万円の増税です。結局、大多数のサラリーマン、所得の少ない農家や自営業者はみんな増税となります。一方、年収一億円以上の金持ちには一千万円以上の大幅な減税となります。
 このような、庶民の懐から奪って大金持ちと大企業につぎ込む税制改悪では、景気を回復させるどころか、ますます冷え込ませるばかりです。消費税の引き上げは本当に困る、嫌だというのが国民の声です。消費税率の引き上げは絶対に行うべきではありません。(拍手)歳出のむだをなくして、庶民の懐を暖かくすることを優先させる二兆円規模の所得減税を直ちに実施すべきです。総理、明確に答えてください。
 中小企業は、今、仕事がない、生活費をどうするか、年が越せるかどうかなどの事態に追い込まれており、全国商工団体連合会の調査では、四月から八月までの五カ月間で、営業不振などを苦にした痛ましい自殺者が四十六人も出ています。ところが、政府の対策は、地域開発プロジェクト推進、大企業のリストラ支援、銀行減税の推進、各種の輸入拡大措置など、大企業とアメリカの要求にこたえるものばかりではありませんか。中小企業や労働者への犠牲の押しつけは、消費を後退させ、景気対策に逆行するものです。今、政府がやるべきことは、大企業の下請切り捨てや人減らし合理化、工場の海外移転などに対して必要な規制を行うことです。また、中小企業に対する無利子融資や返済猶予、官公需発注枠を大幅にふやすことなどではありませんか。総理の明確な答弁を求めます。(拍手)
 第三に、冷害対策と米の輸入問題について伺います。
 武村官房長官は、テレビ番組で、米市場開放問題について、関税化を六年間猶予し、最低輸入量の米の部分自由化を認めることが、国会決議に反するものではないとの見解を表明しています。これは重大な発言です。これまで政府は、国民には、米の関税化は受け入れられないと言ってきたのに、やっていることは関税化に向けての地ならしそのものではありませんか。まさに背信行為です。こういうごまかし、偽りの政治は、絶対に許されません。総理、官房長官の見解は細川内閣としての見解ですか、明確に答えてください。(拍手)
 今、国民は、お米の不足と価格の高騰で悲鳴を上げています。凶作は天災だが米不足は政治災害と農民が言うように、減反による米作つぶし、むちゃな米在庫減らしこそ今日の米不足の元凶です。日本がことしから来年にかけて海外から買い付けるお米の量は百十万トン。世界の米輸入大国と言われるブラジル、イラン、ドイツなどの年間五、六十万トンと比べても、けた外れの量です。世界で八億人もの人が飢餓に直面しています。こうした人たちのためにも、お米の自給率を一〇〇%確保することは、日本の国際的責務です。
 ところが、政府は、毎年四十万トンから八十万トンの米を段階的に輸入するとしながら、来年度は水田面積の四分の一にも匹敵する六十万ヘクタールも減反すると決めています。このような政府の姿勢は言語道断です。
 お米は日本人の主食です。ガット協定では、輸出国の都合でいつでも輸出をストップすることが認められています。アメリカなど輸出国の圧力に屈し、お米を輸入に頼ることは危険です。減反をやめ、国会決議に従い、お米の自由化を決してしないと約束できますか。総理の明確な答弁を求めます。(拍手)
 さらに、輸出米には、長期間の貯蔵や輸送の間の虫やカビの害を防ぐため、収穫後においても、殺虫剤や殺菌剤をたっぷりかけます。今回の緊急輸入に際し、このような米を混米してほしくない、販売の際の表示、検査データの公開をしてほしい、そういう消費者の声にどうこたえますか。総理、はっきり答えてください。
 政府は、規制緩和と称して、食品の製造年月日表示を賞味期限に変えようとしています。日本では、新鮮で安全な食品を求める運動によって、食品の製造年月日表示はすっかり定着しています。お米の問題同様、アメリカの圧力に屈し、製造業者や輸入商社の利益のため、国民の声を押しつぶすことが、一体、生活者重視の政治なのでしょうか。製造年月日と賞味期限表示の併記をしてほしいという日本の消費者の切実な声をなぜ聞けないのですか。総理の答弁を求めます。(拍手)
 質問の第四、今回の補正予算では、生活保護費の削減を初め、私学助成、大学研究費など、福
祉、教育の予算を大幅に削減しています。その上、政府は、年金の支給開始年齢をおくらせる、また、治療の一環である病院の給食を有料化して患者負担をふやす、さらに保育所入所に契約方式を持ち込み、措置制度を突き崩し、父母負担をふやすなど、社会保障の根幹にかかわる改悪を次々と計画しています。
 しかも、郵便、電話、バス、国立大学学費など、まさに公共料金の値上げラッシュです。加えて、固定資産税の引き上げ、公定歩合引き下げによる預金の目減りで、お年寄りや国民の生活は苦しくなる一方です。これでは、国内消費が向上するはずがありません。不況打開の方向に全く逆行しているではありませんか。国民に負担を押しつける制度改悪や公共料金の値上げをやめるべきではありませんか。総理並びに厚生大臣の答弁を求めます。
 国民本位の不況対策、冷害・災害対策を進めるための財源として、年々膨れ上がる軍事費の削減や大企業優遇税制の抜本的見直しが必要です。消費税の税率アップや福祉、医療の切り捨てなど、国民いじめの政治を強行する限り、国民本位の景気の回復はあり得ません。アメリカ言いなり、大企業優遇の政治を国民のための政治に転換することが今強く求められていることを強調して、質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣細川護煕君登壇〕
#27
○内閣総理大臣(細川護煕君) 公共事業の発注とゼネコン献金の調査についてのお尋ねでございましたが、いわゆるゼネコン疑惑につきましては、検察当局において現在捜査中のところであり、今後とも、刑事事件として取り上げるべきものがあれば、検察当局として厳正に対処されるものと確信をいたしております。
 また、建設業界における事業活動の適正化、とりわけ違法な政治献金の禁止、使途不明金の解消などにつきましては、建設省におきまして厳しく指導を行っているところでございます。
 さらに、公共工事の入札・契約制度のあり方につきましては、中建審におきまして、目下、一般競争入札の導入を初め、改革のための検討が行われているわけでありまして、年内をめどに結論を得て、透明性、競争性のある制度の導入、運用に取り組んでまいりたいと思っております。
 消費税率の引き上げの問題についてお尋ねでございましたが、政府としては、税制調査会の答申に示された税制の総合的見直しの方向に沿って、六年度の税制改正におきまして、税制改革の具体案を一体として取りまとめるべく取り組んでまいりたいと考えております。
 それから、政府がやるべきことは、入減らし合理化あるいは工場の海外移転などに対して、むしろ必要な規制を行うべきではないか、こういった御趣旨でございましたが、景気低迷の長期化などに伴う雇用の不安や産業の空洞化の懸念を解消していくためには、活力を持ち、国際的にも調和のとれた経済社会構造への転換を進めていかなければならないと思います。
 このような観点から、現在、経済改革研究会におきまして、我が国経済社会の自己改革を図る上での理念と施策のあり方について、広い観点からの論議が行われているところでありまして、政府としては、この御意見を踏まえて、新たな経済社会を構築するための対策に取りかかってまいりたいと思っております。
 中小企業に対する無利子融資や返済猶予、あるいは官公需発注枠をふやすことについてのお尋ねでございましたが、中小企業向けの融資制度につきましては、九月の緊急経済対策におきまして、低利の運転資金支援特別貸付制度、それから緊急経営支援貸付制度の要件の緩和あるいは貸付規模の追加などを決定をし、今回の補正予算案に盛り込んでいるところでございます。
 また、既往債務の返済の猶予につきましては、従来から政府関係中小企業金融機関に対しまして、個別企業の実態に応じた配慮をするように指導を行っており、実際問題として返済猶予の実績は高い伸びを示しているところでございますが、さらに今回の緊急経済対策に基づいて再指導を行ったところでございます。今後とも適切な指導をしてまいりたいと思っております。
 また、官公需における中小企業者の受注機会の確保につきましては、いわゆる官公需確保法に基づいて、今年度も「国等の契約の方針」を閣議決定をいたしまして、鋭意努力をしているところでございます。
 武村官房長官の米市場開放問題での見解表明についてのお尋ねでございましたが、官房長官は昨日の記者会見におきまして、二十八日の発言について、ウルグアイ・ラウンドについては現在いろいろなレベルで交渉が進められており、年内終結に向けて政府としても最終の判断をする必要があるということ、そうした中で、米については国会決議の趣旨を体して従来の基本方針を貫いていきたいという趣旨を述べたものと発言をされておりまして、これまでの政府の方針に沿った発言であると理解をいたしております。
 米の自由化と減反についてのお尋ねでございますが、米については、再々申し上げておりますように、国会決議の趣旨を体し、国内産で自給する
という基本方針のもとで対応してまいりたいと思っております。
 生産調整については、依然として潜在的な需給ギャップが存在する状況のもとで、今後とも引き続き実施する必要があると考えているところでございます。
 輸出米の安全性と混米についてのお尋ねでございましたが、今回の緊急輸入にかかわる米の安全性につきましては、食品衛生法に基づいて厚生省が輸入時に検査を行い、食品衛生法上問題がないことを確認したものに限って輸入を認めているところでございます。また、輸入米の販売に際しましては、今後関係者の意見をよく聞きながら適切に対応してまいりたいと思っております。
 食品表示の製造年月日と賞味期限の併記についてのお尋ねでございますが、食品の日付表示につきましては、食品製造技術の進歩などを踏まえ、製造年月日表示から期限表示を原則とする方式へ移行することになっております。製造年月日表示と期限表示の併記を義務づけるべきであるという御指摘につきましては、期限表示がなされていれば、食品の品質がいつまで保てるかということは明白でありますし、さらに製造年月日表示を義務づける意義は乏しいと考えております。また、国際的な食品の表示の基準との調和を考える必要があるといったようなことを考えますと、おっしゃるようなことは困難であると考えている次第でございます。
 年金、医療、保育所などの制度改悪をやめるべきではないかということでございますが、我が国は今後人口の高齢化や少子化が進行してまいりますが、その中にあって国民が安心して暮らせる生活先進国の実現を図ってまいらなければなりませんし、年金、医療保険、保育所については、将来にわたって揺るぎのないものとするべく、必要な制度改正に向けて検討を進めていくべきであると考えております。
 公共料金についてのお尋ねでございましたが、公共料金については、経営の徹底した合理化を前提として、物価や国民生活に及ぼす影響を十分考えて取り扱うこととしておりますし、その値上げに当たりましては、真にやむを得ないものに限るとともに、その実施時期や改定幅につきましては極力調整をしてきているところでございます。政府としては、今後とも適正な公共料金が確保されるように、政府部内におきまして緊密に連携をとってまいりたいと思っております。
 残余の質問につきましては、関係大臣から御答弁をいたします。(拍手)
    〔国務大臣藤井裕久君登壇〕
#28
○国務大臣(藤井裕久君) 岩佐議員にお答えする前に、保利議員の質問で、ウルグアイ・ラウンドに対して日本の主張はどうかというのをもう少し明確に言えというお話だったようでございますが、私といたしましては、先ほど申し上げましたように、日本で譲許できるものを譲許し、そして各国がこの成功裏の終結に向けた対応をされることを期待すると申し上げたのでございますが、あえてつけ加えるならば、これらを含めてすべて最恵国待遇、MFNでございますね、これが重要な原則であるということを主張していることをあえてつけ加えさせていただきます。
 そこで、岩佐議員にお答えいたしますが、これは総理のお答えのとおりでありまして、平成六年度の税制改正は、これから国民の皆様の御意向を伺いながら決める問題であるということに尽きております。(拍手)
    〔国務大臣畑英次郎君登壇〕
#29
○国務大臣(畑英次郎君) ただいま岩佐議員からの御質問に対しましては、総理から具体的にお答えがあったわけでございまして、私の方から補足する必要もない、かように考えるわけでございます。
 十二分に総理の意を体しまして、懸命の取り組みをやってまいりたい、かように考えております。(拍手)
    〔国務大臣大内啓伍君登壇〕
#30
○国務大臣(大内啓伍君) 岩佐議員にお答えをいたします。
 今後の年金、医療保険、保育所のあり方につきましてお尋ねでございましたが、我が国は、御案内のように世界でもいまだ経験のない本格的な高齢・少子社会の到来を目前に控えまして、国民が安心して暮らせる福祉社会の建設のために、年金、医療、福祉等の社会保障制度につきまして、将来にわたり揺るぎのないものにしていくことが必要でございます。
 この超高齢化社会は、今後、年金、医療、福祉等社会保障費用の増大を必然的に招来するわけでございます。しかし、国の財政には一定の限界がありますし、といいまして、現世代の負担能力を超えるような過大な負担は回避しなければなりません。それらのことを総合的に考えながら、将来に向かって信頼できる社会保障制度を確立しなければならないわけであります。
 そこで、年金制度につきましては、先般取りまとめられました年金審議会の意見書を踏まえまして、高齢者の雇用の促進とも連携のとれた本格的な高齢化社会にふさわしい年金のあり方、将来にわたる現役世代と年金世代の給付と負担のバラン
入の確保等の観点から、具体的な改正案を近く打ち出してまいりたいと考えております。
 医療保険につきましては、高齢化の進展や国民の医療ニーズの高度化、多様化などの変化に対応していけるよう、現在、保険給付の範囲、内容のあり方につきまして、医療保険審議会におきまして検討が進められているところでございまして、その結論を踏まえて適切に対処してまいりたいと考えております。
 保育所につきましては、今後少子社会が進む中で、子育てと仕事の両立を支援する施策の柱として、利用しやすい保育所、例えば乳児保育、時間延長保育、通勤する駅や職場での保育等々、多面的な国民のニーズにこたえるような、そういう保育制度をつくり上げるために、目下制度改正を検討し、来年度予算に向けてその予算の要求をしているところでございます。
 このように、国民にとりまして不安のない福祉社会の実現を目指し、年金、医療保険、保育所の各制度につきまして、必要な制度改正へ向けて検討を進めてまいりたいと思っております。
 食品の日付表示等の問題につきましては、総理大臣から十分お答えをさせていただきましたので、割愛をさせていただきます。
 ありがとうございました。(拍手)
#31
○副議長(鯨岡兵輔君) これにて国務大臣の演説に対す質疑は終了いたしまた、
     ――――◇―――――
#32
○副議長(鯨岡兵輔君) 本日は、これにて散会いたします。
    午後三時二十分散会
     ――――◇―――――
ソース: 国立国会図書館
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