くにさくロゴ
1993/12/13 第128回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第128回国会 本会議 第13号
姉妹サイト
 
1993/12/13 第128回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第128回国会 本会議 第13号

#1
第128回国会 本会議 第13号
平成五年十二月十三日(月曜日)
    ―――――――――――――
  平成五年十二月十三日
    正午 本会議
    ―――――――――――――
#2
○本日の会議に付した案件 
 畑農林水産大臣のガット・ウルグアイ・ラウン
  ド農業交渉についての発言及び質疑
    午後零時三分開議
#3
○議長(土井たか子君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
 国務大臣の発言(ガット・ウルグアイ・ラウ
  ンド農業交渉について)
#4
○議長(土井たか子君) 農林水産大臣から、ガット・ウルグアイ・ラウンド農業交渉について発言を求められております。これを許します。農林水産大臣畑英次郎さん。
    〔国務大臣畑英次郎君登壇〕
#5
○国務大臣(畑英次郎君) 十二月十五日のガット・ウルグアイ・ラウンド最終期限を控え、農業分野におきましては、包括的関税化等の問題に関し先月来農業合意案の修正に関する議論が行われてきました。我が国は国会決議の趣旨を踏まえ包括的関税化に例外を設けるべく主張してまいりましたが、他の多くの国々は包括的関税化の原則を貫くべきであるとの意見を主張し、対立状態となったところであります。このような中で、市場アクセス交渉グループのドゥニ議長が調整を開始し、各国と協議した結果、去る十二月八日、議長調整案が提示されました。
 この議長調整案によれば、包括的関税化に一定の特例措置が設けられ、我が国の米については、関税化は六年間免除されるとともに、当初四%、六年目に八%のミニマムアクセスを受け入れ、また、七年目以降特例措置を継続するのか否かは交渉にゆだねることとなっております。他方、乳製品、でん粉等米以外の輸入数量制限品目はすべて関税化を余儀なくされるなど厳しい内容を含んでおります。しかしながら、この調整案は、各国の対立する意見の調整を図るためのぎりぎりの案として重く受けとめており、真剣に検討の上、速やかに結論を出すべきものと考えております。
 以上であります。(拍手)
     ――――◇―――――
 国務大臣の発言(ガット・ウルグアイ・ラウンド農業交渉について)に対する質疑
#6
○議長(土井たか子君) ただいまの発言に対して質疑の通告があります。順次これを許します。森喜朗さん。
    〔森喜朗君登壇〕
#7
○森喜朗君 私は、自由民主党・自由国民会議を代表して、ガット・ウルグアイ・ラウンド交渉について、細川総理並びに関係閣僚にお伺いをいたします。
 ウルグアイ・ラウンド交渉は、一九八六年九月にガット閣僚会議において開始が宣言され、以来七年三カ月を経過し、終結を迎えようとしております。その間の七年余りは、自由民主党が与党としてその交渉に当たってまいりました。その際、我が党は、食糧安全保障の重要さを主張し、天候、気象等自然条件の影響を強く受ける農業と工業との相違がガット規約の中に有効な形で示されるよう要求してまいりました。本年の大冷害は、くしくもこの命題を国民の前に強烈な形で示したものであります。
 今日まさに、農業者のみならず国民全体の目がウルグアイ・ラウンド交渉に向けられているのであります。それは、この交渉が我が国の将来の食糧安全保障にとって極めて重大な問題をはらんでいるからであります。
 しかるに、細川内閣の本交渉に対する態度は、まことに国民に対し不誠実であります。その国民の代表によって構成されている国会を軽視したものと言わざるを得ません。
 細川総理は、再三、国会決議に沿って交渉すると言い、ドゥニ調整案が出る以前にそれとほとんど同様の内容のものが報道されても、交渉・合意についてすべて否定されました。ついには、ちまたでは二枚舌という声が聞かれるに至っております。一国の総理に対し、二枚舌という声が聞かれることは、まことに恥ずかしいことであります。国会を単に軽視したにとどまらないものであります。
 また、交渉の進め方についても、ほとんど官僚に任せ、残された幾つかの困難な問題、例えばMTO問題、アンチダンピングの問題、金融問題等を一元的に交渉してなるたけ交渉を有利に進める努力をほとんどしておられません。羽田外務大臣に至っては、ぎりぎりになって形だけ出かけたにすぎない。これで、国益を踏まえ真剣に交渉したと言うのでしょうか。アメリカはカンター代表、ECはブリタン副委員長、いずれも国益を担って、ジュネーブにとどまって交渉を懸命に続けておら
れるではありませんか。国家の将来と国民の生命にもかかわる一大事に対応する細川総理の余りにもその無責任さに憤りを感じます。
 我々自由民主党は、牛肉・かんきつの自由化問題を取り扱ったとき、農民の声を聞きながら、連日百五十人を超える議員が集まり、必死になって政府を督励し、頑張り、最後は秘密裏の交渉もできるよう政府に一任したのであります。
 そして、当時の佐藤隆農林水産大臣は、病を押してアメリカに飛び、激しい交渉を行いました。そのときは、我が党の国会議員や農業団体も渡米し、大臣のバックアップをいたしました。結果は、我が国として到底のめる案ではなく、決裂して大臣が日本に帰り、その後アメリカもまた新しい考えを持って、当時のヤイター農務長官が今度は日本に来て交渉を妥結させました。厳しい交渉でありました。
 総理、あなたの内閣の交渉は、これでも、こうした前例とにらみ合わせながら、一生懸命国益をかけてやってきておられる、そのようにあなたはお答えができるでしょうか。ぜひあなたの姿勢を伺いたいものであります。
 次に、ウルグアイ・ラウンドの性格についてであります。
 ウルグアイ・ラウンド交渉の経過を見ると、輸出国に有利に展開していると言わざるを得ません。交渉開始当時、最も市場歪曲的な性格を有するものは輸出補助金であると言われ、当時のヤイター通商代表は、輸出補助金は撤廃されるべきであり、それとあわせて輸入規制も撤廃されるべきであると言っていたものが、いつの間にか輸出補助金はダンケル最終合意案においてすらわずか二四%の削減でよいとされ、ブレアハウス合意案に至っては、さらに三%下回る二一%の削減でよいこととされております。その一方、関税化の特例措置については、ミニマムアクセスについての代償を払うこととされ、極めて厳しいものとなっております。
 また、輸出国に与えられておりますガット十一条二項(a)による輸出規制に係る規定については、訓示規定的条項がついているということは自由民主党の長年にわたる交渉の成果でありますが、その実効を確保するためには、政府として種々の外交上の努力が必要とされております。総理はいかなる努力をされるのか。食糧安全保障にかかわる重要な問題でありますので、しっかりとしたお答えをいただきたいと思います。
 さらには、外交上の努力にとどまらず、国内での努力として食糧自給力を強化するための努力をする必要があります。しかし、最近出されました財政制度審議会の答申によれば、農業基盤整備事業は抑制すべき事業となっております。これは、まさに総理がなすべき努力と逆の方向に向いていると言わざるを得ません。細川総理は、その答申におけるその点についていかにお考えになっておるか、お伺いをしたいと思います。
 次に、今回の交渉の内容について、その主な問題点について伺います。
 オーディオ・ビジュアル問題は、文化の問題としてフランスの反対が強くてなかなか合意できないという話を聞いております。一国の文化を守ること、つまり独自性を守ることに命がけになることは大事なことであります。稲作は我が国民族の文化であり、農村は民族の苗代であります。皇室の行事に、天皇陛下によるお田植えがあります。稲荷神社のお祭りを初め、全国には稲作にかかわる行事は数多くあります。まさに宗教に根差した文化であります。基礎食糧としての米の位置づけから食糧安全保障上の位置づけがなされ、国土保全上の重要性からの位置づけ等、米はフランスにおけるオーディオ・ビジュアルにまさるとも劣らない日本古来の文化そのものであります。(拍手)
 ただいま入りましたニュースによりますと、ガット首席代表者の会議は、米部分開放を盛り込んだドゥニ調整案を採択したということでありますが、政府はドゥニ調整案を受諾することを決定されたのでありましょうか。細川総理にお伺いをしたいと思います。
 しかも、その内容は、国民には大変わかりにくく、疑念のあるものになっておると言わざるを得ません。
 最初に政府が出したドゥニ調整案の骨子は三項目となっており、そのうち米の関税化に係るものは二項目であって、その内容は、三つの指定基準についての記述と六年間関税化しないことができることについての記述、また、そのために本来三ないし五%の、ミニマムアクセスを四から八%に引き上げることについて記述してございます。そしてさらには、七年目以降の継続については実施期間終了一年前に交渉することが記述されていますが、それのみでありました。
 しかし、その後提出された正式な資料では、特例措置を受けるための要件が一項目追加されており、そこでは譲許表、つまり国別表に指定する旨記されております。また、このほか特例措置の終了した後の国境措置の項目があり、特例措置実施期間中の関税相当量に基づいて設定された関税の税率引き下げについて記述されています。
 そもそも、六年間関税化を実施しないのであるならば、関税相当量の計算は要らないはずであります。したがって、当然国別表に関税相当量に基づく関税率は記載されるものではない。しからば、特例措置を受けるため国別表において指定するということは、米に係る国別表のどこにどう記載するのか極めて不明瞭であり、何か裏で七年後の関税化を約束しているのではないのかという疑念を持たざるを得ません。
 畑農林水産大臣に伺いますが、七年後の関税化の約束はあるのでしょうか。また、関税相当量及びそれに基づいて設定される関税率を国別表に載せるのか載せないのかについても、あわせてお答えをいただきたいと思います。
 ウルグアイ・ラウンド交渉は十二月十五日に終える予定で進められているということでありますが、実際に示されたのはドゥニ調整案のみ、しかも米の問題の裏にある他の重要農産物はすべて関税化するということになるのでありますが、これらについては何も触れられておりません。
 我々は、乳製品等生産調整を進めてきている農産物についても、関税化することを強く反対してまいりました。今日、我が国酪農は子牛価格の大幅下落などのため極めて厳しい状況にあります。したがって、政府は、ドゥニ調整案についての取り扱いについて判断を求めるのであれば、これら関税化することになるという重要農産物についての対応についても、あわせて説明する必要があるのではないでしょうか。
 関税化については、従来、関税は常に前倒しさせられてきた経緯から、結局なし崩し的に自由化させられることになるということで反対してきた経緯があります。この点についての不安は現在残されたままであります。ドゥニ調整案の受け入れを議論するのであれば、いわゆる特例措置から切り離されている乳製品等について、我々の従来主張してきた点についても当然説明があってしかるべきだと思います。
 また、国家貿易の維持は、今後の我が国農業の維持発展を考えたとき、不可欠な要件であります。国家貿易を維持するのかしないのか。するとすれば、いかなる条文上の根拠によるのか。関税化する重要農産物の取り扱いとあわせて、農水大臣のお答えをいただきたいと思います。
 また、ドゥニ調整案骨子の中の三番目の項目である輸出国の輸出制限に対する規定については、ドゥニ調整案として示された正式な資料の中には載せられておりません。骨子にあるものがなぜ正式の資料の中に載っていないのか。このような整合性のない資料の出し方が種々の不明朗さと疑念を与えるのであります。武村官房長官、本件については知らなかったということだけでは済まされないのであります。この際、これが単なる疑念であるならば、明確に晴らすべきであります。お答えをいただきたいと思います。
 最後に、国益について細川総理にお伺いをしたい。
 ウルグアイ・ラウンド交渉については、自由民主党が政権の座にあったときにも、その成功裏の決着が必要であることは主張してきたところであります。その意味は、国益を考えた決着を考えてきたことであるということは言うまでもありません。何が何でも交渉を妥結させることではないのであります。
 アメリカとECは、より自由な市場を目指してまなじりを決して種々の交渉を進めてきております。しかし、その結果としては、かなり双方に都合のよい妥協があることが見受けられます。ブレアハウス合意の輸出補助金削減の緩和にとどまらず、さらには、最近、フランスの有する過剰在庫を処分するため新たな合意ができたと聞いております。それなどはその最たるものであります。しかし、国益とはそういったものなのであります。
 アンチダンピング、MTO、金融、オーディオ・ビジュアルあるいは木材の関税等について協議するため、羽田外務大臣がジュネーブに行かれ、交渉を進められたことは当然なことであります。しかし、これも当初の予定では全くその日程は考えておられなかったのではありませんか。実際、ジュネーブにはカンターやブリタンがおられるのでありますから、総理は各閣僚を積極的に派遣すべきであったと私は思います。
 また、四極閣僚会議が開かれたようでありますが、これも当初の予定では出席しないということだったのでしょうか。日本が行かなければやらないのだと官房長官はおっしゃった。この重要な、最後ともいうべき大事な四極の通商会議を、全く重要な会議として取り扱っていなかったのではないかということの疑問が実はここに出てくるのです。一体この重要な会議を総理はどのように位置づけしておられたのか、ぜひ総理からお伺いをしたいと思います。
 この中で、木材関税につきましては、三年前に日米間で合意済みであり、日米両国はウルグアイ・ラウンド交渉の場に提出することとされていたのであります。なるほど三年たてば世の中も変わるでありましょう。しかし、一度の議論もせずに関税の相互撤廃を求める米国の態度には疑問を感じます。このような政治的要求には、政治的にこたえていくべきであろうと思います。
 先週末、我が党は、ドゥニ調整案を簡単に受け入れるべきではない、官僚任せでなくて、外務大臣を急派してぎりぎりまで交渉することを強く要請しました。政府はこれに応じ、その際、我が党から交渉の注意点を幾つか指摘をいたしましたが、その点、どういう結果になったのか、まだ外務大臣はお見えでございませんから、ぜひ連絡のあった総理からこの点についてもお答えをいただきたいと思います。
 最後に、総理にお伺いいたします。
 カンター、ブリタンは、先ほども申し上げましたように、国益をかけて、最後の瞬間まで縦横十文字を目を皿のようにしてにらみながら、ジュネーブにおいてこの交渉を続けております。我が国はこの瞬間まで一体何をしていたのか。あなたは、国益の追求の仕方が甘い。一億二千万人を超える国民の生命と利益を守る総理としては、残念ながら無責任と言わざるを得ません。
 総理、二十一世紀を展望いたしますと、不確実な要因がたくさんあります。例えば、東西対立の時代を終えて本当に新しい抗争というものが出てくるのか、東西冷戦が終えて本当に世界が平和になっていくのか。ニつ目には、計画経済体制への優位性を示した自由経済体制に内在する不均衡あるいは停滞を克服することが果たしてできるのか。
 こうした不確実な要因がたくさんありますが、中でも最も不確実要因は人口と食糧のいわゆる偏在であります。この百年、この地球上は十六億の民族が五十五億にふえたと言われております。このまま推移をいたしますと、毎年一億、恐らく西暦二〇二〇年には百二十億を超えると言われております。しかし、現実には、世界の、地球上の耕地面積は八十億人分しか食糧がつくられない、こう言われております。これだけ重要な問題を、単なるウルグアイ・ラウンド交渉というものだけではなくて、世界のこうした首脳たちと一緒に、地球全体の問題をどう解決するかという政治家としての議論をこの際ジュネーブでしっかりとして続けるべきであったと私は思っております。(拍手)
 景気対策もうまくいかず、政治改革も年内決着は困難、それに今回の米についての国益の軽視、内閣の失政は明らかでありますが、その点をどう思われているのか、今後の政治運営をどうされようとしているのか、これに関し総理の考えをお伺いをして、私の質問を終わらせていただきます。(拍手)
    〔内閣総理大臣細川護煕君登壇〕
#8
○内閣総理大臣(細川護煕君) 政府の対応は国益をかけてやってきたと言えるのか、こういうお話でございましたが、我が国政府は、ラウンドの成功に対する我が国の国際的責務を念頭に、世界経済の発展のために、これを成功裏に終結させるために最大限の努力を傾けてまいりましたことは、改めて申し上げるまでもございません。私はもとより、外務大臣、農水大臣もあらゆる機会をとらえて我が国の立場というものを主張してまいりました。国益を見据えて懸命の努力を行ってきた、
このように明確に申し上げさせていただきたいと存じます。(拍手)
 輸出規制に係る規定につきましては、訓示規定的条項がついているけれども政府として食糧安全保障の観点からいかなる努力を行うのか、こういうお尋ねでございましたが、我が国は従来より世界最大の食糧純輸入国である立場から、食糧安全保障には極めて重大な関心を持って取り組んできたところでございます。このような観点から、輸出国が輸出規制を行おうとする場合には、ガットに通報をし、要請があれば関係国と協議するとの条項が新たに設けられるよう強く主張をし、そういうこともあって、農業合意案の中にこのような規律が盛り込まれることが見込まれております。我が国は、引き続き関心を持って食糧安保に万全を期してまいりたいと考えているところでございます。
 財政審の答申と農業基盤整備事業の問題についてのお尋ねでございますが、食糧自給率を向上させることは、国民の食生活の変化、国土条件の制約などを考慮すれば容易ならざる課題であると認識をしております。まず食糧自給率の低下傾向に歯どめをかけることが基本であることは、これまた改めて申し上げるまでもないところでございます。基本的には、新政策を強力に推進をしていくということが必要でありますし、農業生産基盤整備事業につきましては、財政審の報告を踏まえて、新政策で示された活力のある農業構造というものを早期に実現をすべく、担い手に着目をして重点的に実施をしてまいりたいと考えております。
 いずれにいたしましても、六年度予算における公共事業の配分につきましては、社会経済情勢の変化や国民の要請というものを踏まえて、今後、予算編成過程で検討をしてまいりたいと考えております。
 羽田外相の派遣に関連して、もっと積極的な外交をすべきだったのではないかというお話でございますが、我が国は、従来からその立場が十分に反映されるように最大限の交渉努力を行ってきておりまして、また関係閣僚からも、あらゆる機会をとらえて各国に対しまして我が国の立場を主張してまいりました。今般の外務大臣によるジュネーブでの交渉は、そのような状況を勘案しながら、交渉の最終段階で我が国の主張に対する各国の理解を求めるとともに、各国と協力して交渉をまとめるために行われたものでございます。
 なお、その際、四極の関係閣僚がジュネーブに滞在しておられたこともあり、四極間の閣僚会合が成立をし、ウルグアイ・ラウンドについて議論が行われ、羽田大臣は我が方の立場を踏まえて主張すべきところは強く主張してこられたというふうに連絡をいただいております。(拍手)
 それから、これは外務大臣に対するお尋ねでございますが、私の方からお答えをさせていただきますが、羽田外務大臣は、十二月十日から十二日までジュネーブを訪問し、四極の閣僚会合に出席するとともに、カンター米通商代表、エスピー米農務長官、ブリタン欧州共同体副委員長、サザーランド・ガット事務局長などと率直な意見交換を行い、ラウンドの最終段階の困難な状況の中でぎりぎりの努力を行ってこられたところでございます。その結果、全体として交渉は妥結しつつあるとの認識を持っております。
 米問題につきましては、外務大臣から、日本として言うべきことは言い、サザーランド事務局長の方からは、ラウンド成功のため、この問題の解決に最大限の努力を傾けるべき旨の発言があったというふうに連絡を受けております。
 それから、政治改革あるいは景気対策、こうしたものとの関連で、今後の政権運営に当たっての所感いかんといった趣旨のお尋ねでございますが、この内閣は、政治改革を初め経済対策など構造的な改革に正面から取り組んでいくということでスタートをしたところでございまして、まずはそうした問題に今全力で取り組んでおりますが、当面、参議院における補正予算の審議と政治改革法案の速やかな御審議をお願いを申し上げる次第でございます。(拍手)我々は、国民の皆様方の負託にこたえるべく、一致協力して国政の運営に今後とも取り組んでまいりたいと存じます。
 それから、ドゥニ調整案について、ガット首席代表者会議で受け入れと報道されているがその真偽のほどはどうか、こういうお尋ねでございますが、我が国はこの問題については留保しておりまして、報道は当たっておりません。
 それからもう一つ、外務大臣に対してのお尋ねでございますが、米について国家貿易を維持するのか、こういう趣旨のお尋ねでございましたが、ガット上、今後も国家貿易は維持されることになると承知をいたしております。
 残余の質問につきましては、関係大臣から御答弁をいたします。(拍手)
    〔国務大臣畑英次郎君登壇〕
#9
○国務大臣(畑英次郎君) ただいまの御質問にお答えを申し上げます。
 まず初めに、米の七年後の関税化及び国別約束表の記載についてのお尋ねがございました。
 米について、七年後に関税化する約束はいたしておりません。仮に調整案を受け入れた場合、七年目以降も特例措置を継続するか否かについては、確定的には申し上げられませんが、その継続を図ることが基本的な検討方向になるものと考えております。
 また、調整案を受け入れた場合には、関税相当量を設定する義務がないので、これを国別約束表に記載する必要はなく、記載はいたしません。
 また、米以外の農産物についての取り扱いに関する御質問をいただきました。
 我が国としては、米についても他の輸入制限品目につきましても、同じように包括的関税化の例外とすべき旨を主張してまいったところでありますが、調整案におきましては、その基準に照らせば、残念ながら特例措置の対象となるのは米のみであり、乳製品、でん粉等米以外の輸入制限品目は関税化すべきことと相なっております。調整案を受け入れるかどうかの判断は、この点も含めて行うべきものと考えますが、仮にこの調整案を受け入れることとする場合には、米以外の農産物について、関税相当量の適切な設定、現行アクセスの適正な管理、国家貿易制度の維持等、それぞれの農産物の保護に必要な条件を整えることとしなければならない、かように考えておるわけでございます。
 なおまた、既に総理から御答弁がございましたが、国家貿易の問題でございますが、非関税障壁を伴わない国家貿易につきましては、ダンケル合意案を初め今回の調整案においても否定されてお
らず、国家貿易の仕組みは維持できると申し上げます。(拍手)
 さらに、ミニマムアクセスをふやすことについては、この点についての御指摘もあったわけでございますが、現在の生産調整期間中は生産調整を強化しないということを申し上げさせていただきます。(拍手)
    〔国務大臣武村正義君登壇〕
#10
○国務大臣(武村正義君) いよいよウルグアイ・ラウンド交渉が大詰めの段階を迎えております。御承知のとおり、今回の交渉は、世界百十六カ国のまさに国益と国益のぶつかり合いでありますし、その利害をどう調整をするかという最終場面を迎えているわけでございます。
 この交渉の基本としましては、すべて交渉の結果がまとまるまでは公表をしないということが原則になっているわけでございます。しかし、そういう中ではございますが、我が国の米を中心とした農業問題に対する国民世論の強い関心を受けまして、政府は、この最終段階、再三再四ドゥニ議長と交渉をいたしまして、例の骨子を発表することになったのでございます。世界の中で、こういう交渉がまとまる前に骨子を発表すること自身、異例の出来事でございました。
 その骨子の中には、包括関税化の特例措置と並んで、森幹事長がおっしゃるように、輸出規制に関する部分もあわせて盛り込まれた次第でございます。
 その後、さらに調停案全体の中の日本の米に関する部分についての発表が、これまた議長との再度の交渉の結果、許可を受けたわけでございますが、この公式の文書の中には確かに輸出規制の部分は入っておりません。入っておりませんが、これは全体の文章の前段に書かれていることでございまして、その点は調停案文全体の形式の問題であるというふうに御理解をいただきたいのであります。前段に入っているものと、日本の米に関する特例の部分と両方に分かれておりまして、後段を全文発表を許可されたということでございます。
 以上、ぜひ御理解をいただきたいと思います。(拍手)
    ―――――――――――――
#11
○議長(土井たか子君) 田中恒利さん。
    〔田中恒利君登壇〕
#12
○田中恒利君 私は、新生党・改革連合、公明党、さきがけ日本新党、民社党・新党クラブの御了承を得て、日本社会党・護憲民主連合を代表し、ガット・ウルグアイ・ラウンドにおける米等の輸入自由化について緊急質問をいたします。
 総理、去る九日、米自由化反対のデモ隊の一部が国会内に乱入するという出来事が起きたことは御承知と存じます。皮肉なことに、この農業者の多くが細川首相の地元、熊本県の若い人々であったと聞いています。彼らをこのような行動に駆り立てたものは何だったのか。私は翌朝、あの現場に立って、政治家の一人として、反省、自問自答を繰り返したのであります。
 総理、あなたは今、ガットから提示されているドゥニ調整案に対し、いかなる態度を示されようとしているのか、明らかにしてほしいのであります。
 我が党は、既に数次にわたって、米を初め農畜産物のこれ以上の自由化に反対であることを政府に申し入れております。(拍手)
 今、自民党からも御質疑がありましたが、時事通信の十二月十二日十一時六分の文章を見ると、日本政府代表は十三日、ジュネーブで行われているウルグアイ・ラウンドの首席代表者会議で、さきにドゥニが提示した米の部分開放を盛り込んだ最終案について受諾を表明した、これを受けて同会議は同調整案を採択したと、こういうニュースが流れてきたわけでありますが、このニュースはうそか本当か、御調査をいただいてお知らせをいただきたいと思います。
 「信あらずんば立たず」と言われていますが、今、我が国では、国民の多くが政治家や政党に対して大きな不信感を募らせています。国会は、既に三度にわたって米自給の方針を決議しています。さきの農林水産委員会では、調整案について質疑が交わされましたが、大半がこれを厳しく批判していることをあえて申し上げておきます。
 ことしの農村は、百年に一度と言われる戦後最悪の凶作の中にあって、農業者は天を仰いで長嘆息しています。食糧自給率二九%、跡取りは三千三百市町村の中でわずかに千九百人、耕作放棄の農地は毎年十五万ヘクタールという数字が示すとおり、農山村の危機は深刻であり、崩壊寸前であります。この事態をもたらした最大の原因が、ガット体制下の農畜産物の自由化にあったことは否定できません。自民党政権は、そのことを昭和三十年以来繰り返してきたではありませんか。(拍手)
 牛肉・オレンジの自由化に続き、最後のとりでとされていた日本人の心、米が今まさに沈没しようとしているのであります。細川総理は、この農村の実態をどう認識されていますか。
 あなたは先ごろ、冷害被災地を見舞われて、農民に「農魂」の色紙を贈られたと聞いていますが、農の魂とは一体何なのか。あなたの農業への哲学をお聞きしたい。
 今、日本の農業者と消費者の一部が、米、畜産、でん粉等の包括関税化阻止に向けて闘っている姿をどう評価し、これにどうこたえられようとしているのか、所信のほどをしかと承りたいのであります。
 一九六二年に百三品目もあった輸入制限品目が、現在は米等わずかに十一品目になっています。歴代総理は農政の基本に自給力の向上を挙げていますが、細川総理はいかがですか。今回のドゥニ調整案を受け入れた場合、食糧自給率はいかほどになると見ていらっしゃるか、お尋ねいたします。
 米の自由化はやらないとは、ここにお集まりの皆さんの多く、ほとんどの政党が国民に約束したことであります。(拍手)ガット交渉は国会決議に基づいて粘り強く進めていくと、政府当局はつい最近まで一貫した主張を繰り返してきたのであります。私どもは、これを信頼してまいりました。しかし実際は、かなり早い時期から、現在公表されている調整案に沿った日米間の話し合いが進められ、これを軸に一定の合意が存在していたとの報道が行われていましたが、真実はどうなっていたのか、明らかにしていただきたい。
 この調整案は突如公表され、内容の重大性にもかかわらず、時間的制約を理由に、国会でさえほとんど論議のないままに受け入れられようとしています。国会、ひいては国民を愚弄することではありませんか。農林大臣のお答えを求めます。
 また、外務大臣にお尋ねしますが、最初の調整案は、遠藤大使の私的なまとめの骨子であり、全文ではなかったというのでありますが、それは、なぜ初めからそのことを明白にしなかったのか。総理大臣も官房長官も知らなかったと国会で答弁されていますが、それでは済まされぬ重大な出来事と思うが、その責任を明らかにすべきである。(拍手)
 政府は、今回の調整案で、米については六年間の特例措置により包括関税化の例外であると高く評価しています。しかし、その背後には関税率の削減が進められることもはっきりしているのであって、この特例措置は、関税化の例外ではなくて、例外なき関税化のもとでその実施を六年間先送りしたに過ぎないのではないのですか。今回の特例措置がはっきりと関税化の例外と言い得る条件があれば示していただきたい。ガット加盟各国もそのように認識しているのか、明確な答弁を求めるものであります。
 また、今回代償として増枠された、ミニマムアクセス、最低輸入量は、初年度四%、最終は八%になりますが、四%に相当する四十万トンといえば、私の郷土、四国四県の米生産量より多く、八十万トンは北海道の生産量を上回ります。これほどの大量な米輸入を行って、米を自給していると言えますか。三度にわたる米自給の国会決議に反していることは明白であります。米のミニマムアクセスを認める以上は、当然のことながら、減反政策は即刻やめるべきだと思いますが、いかがですか。農林水産大臣の見解を求めます。
 日本農業は、このたびの米を初めとする全産品に対する輸入自由化で、かつてない重大な局面に襲われるでしょう。政府がこの実態を直視し、いたずらに国際化、自由化、効率化にとらわれることなく、農林業の持つ多面的な価値に注目し、食糧と環境、自然と人間の共存の果たす役割を重視して、特に中山間地域への大胆な所得政策の実現、耕作放棄農地の再編整備、国民年金、農業者年金制度の充実、後継者づくり等の諸課題に挑戦することを期待して、私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣細川護煕君登壇〕
#13
○内閣総理大臣(細川護煕君) ドゥニ調整案に対してどのような態度をとるかということと、ガット首席代表者会議で我が国が調整案を受け入れたと報道されているが真偽はいかん、こういうお尋ねでございますが、第二番目のお尋ねからお答えをいたしますが、そのような報道に対しましては、事実ではない、我が国は留保をしている、こういうことでございます。
 それから、ドゥニ調整案に対してどういう態度をとるかということでございますが、ぎりぎりの最終案であることはもちろんそのとおりでございますが、これを受けるか受けないか、苦悩の中で検討をしているところでございます。
 農村の実相についての認識はいかん、こういう趣旨のお尋ねでございますが、農政の展開に当たりましては、新規就農者の減少あるいは高齢化の進行、耕作放棄地の増加などの厳しい状況の中で、長期的な展望のもとに、魅力のある農業と活力のある農村というものをどのように構築をしていくかということで、今真剣な検討をしているところでございます。もとより、農業の持つ環境などの外部効果にも配慮をしながら、活力のある農村、農業というものを築いていくために、あらゆる努力をしていかなければならないことは申し上げるまでもございません。
 そうした認識のもとに、いわゆる新政策に沿って、経営規模の拡大なり、あるいは生産基盤の整備なり、あるいはまた技術革新などによる生産性の向上に一層前向きに取り組むことによって、時代に即した農業構造を実現してまいりますとともに、農村が多様で活力のある地域として発展できるように、しっかりと施策の充実強化に努めてまいりたいと思っております。
 「農魂」という言葉の意味についてのお尋ねがございましたが、苗代の中で、とっさに色紙を出されて、思わずそのように書いたところでございますが、農業に携わっておられる農家の方々の心情というものに敬意を表し、またその携わっておられる方々の士気をぜひこのような冷害の厳しい状況の中で鼓舞しなければならない、そういう思いを持って書いたものでございます。農業というものが、食糧確保の面からも、産業としても、あるいはまた先ほども申し上げました農業の持つ外部効果といったような観点からいたしましても、国の一番の基本であり、ひいては日本の文化そのものであるという信念を変わらず持ち続けておりますが、今後ともこのような信念を持って日本の農業というものを確固としたものにしてまいりたいと考えているところでございます。
 農業者と消費者の一部が包括関税化阻止に向けて闘っている姿をどう受けとめているか、こういうことでございますが、農民の方々などの心情は十二分に承知をいたしておりますが、政府としては、そのようなことを十分わきまえつつも、これまで農産物の包括的関税化は受け入れられない、そういう方針のもとにぎりぎりの交渉を行ってきたところでございます。先日提示されましたドゥニ議長による調整案には、我が国の主張や努力がそれなりに反映されてはおりますものの、厳しい内容が含まれていることは御承知のとおりでございます。最終的な対応につきましては、ラウンド全体についての総合的な評価並びに我が国農業への影響というものを踏まえて、総合的に結論を出したいと考えているところでございます。
 食糧自給率についてのお尋ねでございますが、自給率を向上させるということは、国民の食生活の変化、国土条件の制約などを考えますと、容易ならざる課題でございますし、ラウンド交渉の結果によって海外農産物との競争が厳しくなることは、当然考えられることだと思います。基本的には、新政策を一層強力に推進をし、意欲的な農業
者が生産の根幹を担う、そのような農業構造というものをできる限り早期に実現をするとともに、あわせて関連施策の充実強化を図ることによりまして、自給率の低下傾向に歯どめをかけていくように努めてまいりたいと思っております。現時点で、このような施策の効果も含めた自給率の具体的な数値を見通すことは困難であると考えております。
 外務大臣に対しまして、なぜ初めから調整案の全文を明白にしなかったのか、こういうお尋ねでございますが、その責任を明らかにすべきではないか、こういう趣旨のお尋ねでございましたが、骨子発表の際は調整案が固まっていたわけではないという、そういう事情はございますが、いずれにしろ、重要な事柄につきまして十分な御説明を欠いたことをおわびを申し上げたいと存じます。
 残余の質問につきましては、関係大臣から御答弁をいたします。(拍手)
    〔国務大臣畑英次郎君登壇〕
#14
○国務大臣(畑英次郎君) 田中議員の御質問にお答えを申し上げます。
 まず、日米間でかなり早い時期から合意があったのではないかとのお尋ねがございました。
 これまでの交渉において、二国間、複数の国の間でいろいろな議論、やりとり、話し合いはなされてまいりましたが、繰り返して申し上げておりますとおり、我が国は、包括的関税化は受け入れられないとの方針のもとに粘り強く交渉を行ってきたところであります。米国との間で合意をしたというような事実は全くございません。
 次に、調整案について国会で議論されていないのではないかとの御質問をいただきました。
 包括的関税化につきましては、各国間の対立が激しかったため、交渉期限が迫ってきた段階において、ドゥニ議長の調整案として示されたものであります。しかしながら、今回の調整案につきましては、限られた日数内ではございましたが、できる限り国会等の場で明らかにし、審議を尽くしていただくよう努めているところでございます。
 次に、調整案の特例措置は単に関税化の先送りではないかとのお尋ねがございました。
 いろいろな条件はつくものの、六年間輸入数量制限の関税化の規定が適用されず、また、七年目以降も交渉によってそれが継続できることとなっており、関税化ではなく、その特例措置と見ることができると認識をいたしておるところでございます。
 次に、今回のミニマムアクセスについてお尋ねがございました。
 我が国は、包括的関税化に強く反対してまいりましたが、今回の調整案では、ミニマムアクセスの加重を条件に、輸入数量制限の関税化が回避できることと相なっております。この場合のミニマムアクセスは、数量制限を維持するための代償的な措置となっているものと理解されております。
 今回の調整案については、多数国の利害を調整して取りまとめられていることから、我が国の主張を完全に満足させるようなものを望むことはなかなか難しい、そういう状態の中の一つのケースであるというふうにお受けとめを願いたいというふうに考えますし、国会決議の趣旨、精神に沿うように努力してきた結果がそれなりに反映されているものと考えておるところであります。(拍手)本調整案の取り扱いについては、こうした事情を十分踏まえながら、ウルグアイ・ラウンド交渉全体についての評価及び我が国農業への影響を考慮して、総合的に判断する必要があると考えておるところでございます。
 最後に、減反政策を中止すべきとの御質問でございますが、米の生産調整については、依然として潜在的な生産力が需要を上回っている状況のもとで、今後とも引き続き実施する必要があると考えております。仮にミニマムアクセスを受け入れることとした場合にも、安定的な米の国内生産と営農の安定の確保が重要であることから、先般見直しを行った水田営農活性化対策の枠組みを維持する方向で検討していく必要があると考えております。また、水田営農活性化対策終了後の生産調整につきましても、安定的な米の国内生産と営農の安定の確保の観点に立って中長期的に検討をしていく必要がある、かように受けとめておるところでございます。
 終わります。(拍手)
    ―――――――――――――
#15
○議長(土井たか子君) 玉沢徳一郎さん。
    〔議長退席、副議長着席〕
    〔玉沢徳一郎君登壇〕
#16
○玉沢徳一郎君 私は、自由民主党・自由国民会議を代表し、本日細川内閣が行おうとしているウルグアイ・ラウンド農業交渉にかかわるドゥニ議長調整案受諾に対し反対の意思を表明し、国民と国会に対し不誠実な態度をとってきた細川首相に対し、その責任を求め、問いただすものであります。(拍手)
 具体的な質問に入る前に、ただいま総理は、田中議員の質問に対し、ドゥニ調整決議案は受諾せず留保していると答えられましたが、外電ははっきりと我が国が受諾したと伝えております。この点に関しまして、まず総理は、直ちにジュネーブに明確に確認をして、その正しい回答をここに示していただきたいと存じます。
 さて、今日まで我々が主張してきたように、米は我が国の主食であり、一時もないがしろにできない重要な基本食糧であります。しかも、その米の貿易量は、世界の生産量五億トンのうちわずか千四百万トンのまことに微々たるもので、それゆえ基本食糧の確保は一国の安全保障にとって死活的な問題であります。この食糧の安全保障に対するガット上の明確な位置づけをウルグアイ・ラウンド当初から我が国が強く求めてきたのでありますが、ドゥニ案には全くそれが考慮されることなく、交渉に終止符が打たれようとしていることは
極めて遺憾な事態であり、絶対に譲ってはならない点を譲ったと評される失敗の交渉であったと言えますが、細川総理は何と見るか、まずお答えをいただきたいと思います。
 ウルグアイ・ラウンド交渉が開始されて今日までの七年間の中で、細川政権が誕生してからの四カ月は極めて重大な時期であったと考えます。なぜなら、各国は従来から主張してきた原理原則を乗り越えてまでラウンド終結を口にしながらも、いかに自国の利益をその中に盛り込ませるかということに死力を尽くして戦う交渉の場となりました。
 この重大な時期に、本院においては、我が党の保利、柳沢両議員から再三にわたり指摘いたしましたように、ラウンド交渉は農業交渉のみにあらず七分野に上るものであり、縦割りの官僚主導の交渉に任せず、総合的な視点に立って、何を譲り何を獲得するか、戦略的な立場から総理にリーダーシップを発揮されることを要請したのでありますが、総理は、国会決議に基づき目下ぎりぎりの交渉を行っていると繰り返すのみで、担当の農水大臣や、全体を見るべき外務大臣も派遣することなく、ただ事態の推移を見守る態度に終始してきたのは、一体いかなる理由からでありましょうか。それで我が国の利益を守るための最善の努力をしたと言うのでありましょうか。
 総理は、就任早々の九月と十一月に米国を訪れ、クリントン大統領と会い、我が国の経済構造の改革と一方的な市場開放を約束しましたが、その際、米の問題についても何らかの約束をし、その内容をドゥニ調整案の形で提示されるのをただ待っていたのではないかという重大な疑念があるのでありますが、いかがでありますか。
 この件に関し、我が党の松岡議員一行が先般ジュネーブで米国代表部にただしたところ、去る十月の下旬には日米双方の合意が成ったとの回答があったと言われております。当時、本院においては、我が党の提案による四度目の国会決議案が提出された時期と符合いたします。その我が党提案に対し、新生党を初めとする連立与党各党は、政府の交渉の手足を縛ってはならないという理由で反対しました。
 しかし、もしそのとき日米合意案が既にできていたというならば、国会に対して何らかの報告があってしかるべきではないか。この事実を明確にしていただきたいと存じます。もしそれが事実であったとするならば、重大なる国会軽視であると言わざるを得ません。細川総理は、ドゥニ調整案に至るまで、いつ、どこで、何を交渉してきたのか、ここに交渉の経過をはっきりとお示しいただきたいと存じます。(拍手)
 さらに、ドゥニ調整案に関して、関税猶予後七年以降の扱いについて追加条項が明らかになった時点で、我が党からの強い申し入れを受けて、羽田外相が再交渉のため急速ジュネーブに飛んだのでありますが、その後の展望はどのように開かれたのか、お答えをいただきたい。また、農業分野のほかに、他の分野の合意は果たして得られたのか、総理にお伺いをいたしたいと存じます。
 さらに重要なことは、ドゥニ調整案の全文がいまだに国会に提出されておらないことであります。公表されたのは、我が国に関する附属書五のみであります。この点においても、国会に対して政府の対応はまことに怠慢であると言わざるを得ません。これでは、国際交渉における合意の公平性、平等性が果たして貫かれたか否か、にわかに判断できません。
 そこで、質問させていただきますが、例えば、我が国が問題を指摘し、廃止を明確に要求してまいりましたアメリカのウエーバーの扱いはどうなったのでありましょうか、食肉輸入法は存続するのでありますか。ECにおける輸出補助金は何品目を対象とし、税率の削減率は実際に何%になったのか。この点がドゥニ議長案に明記されておらないという報道があるが、事実でありますか。事実とすれば、甚だ公平性、平等性に欠けると言わなければなりませんし、まさにこのことは、我が国外交の無力さを露呈したものと言わざるを得ません。(拍手)まことに残念な結果であります。本来、輸出補助金によって農産物が過剰になり過ぎて国際競争が激化したため、これを取り除く目的で始まったウルグアイ・ラウンドでありながら、堂々と米・ECの密約によって残されていることが問題であります。今後も我が国はこれを取り除く努力を行うべきではないかと存じますが、農林水産大臣の明確な答弁を願います。
 さらに、米と同様、ウルグアイ・ラウンドで重要な案件となっていた乳製品、酪農、畑作物の取り扱いであります。
 全国的な生産物である乳製品を初め芋、でん粉、雑豆等にありましては、北海道や南九州の農業、経済にとって大きなウエートを占めておりますし、落花生、コンニャク等の農産物は中山間地域の重要な作物であり、今度のドゥニ調整案によってそれらは関税化の事態となります。事実上の関税化を認めた米以外のこれら重要な農産物については、従来、関税化したら守れないと言ってまいりましたが、これらの関税化を認めたことはまことに重大なことで、関税化拒否を明言してきた細川総理の責任をどう果たすのか、はっきりしていただきたい。
 さらに、木材関税につきましても、これまでの我が国との約束にもかかわらず、アメリカは関税相互撤廃を要求し、また、インドネシア等は、原木に五〇〇%の輸出税をかけ、事実上の輸出禁止をしている中で、一方的に五〇%もの関税引き下げを要求しておりますが、いわばこうした理不尽な各国の要求に対し、我が国はあくまでも断固これを拒否することはもちろん、輸出規制を解くよう明確に要求すべきであります。政府はこれに対してどう対処しているのか、御答弁をいただきたいと存じます。
 次に、視点を変えて、細川総理、あなたは、我が国農林漁業、農山漁村が担い手の確保に困難を来し、過疎化、高齢化が進み、集落の崩壊にもつながる危機に直面している現実をどう見ているのでありましょうか。しかも、細川政権になって以来、農林漁業、農山漁村住民の問から、生活者重視という政治の方向に、生産者が軽視され、人口の集中している都会重視の方向に政策が変更されていくのではないかという不安の面持ちで見ております。
 細川総理は、農林水産委員会での質問に対し、農山漁村の果たしている役割を理解し、住みよく活力のある農林漁業、農山漁村づくりに全力を尽くすと言われましたが、財政制度審議会の報告が来年度予算編成方針の重要な指針となり、農林水産業にとって大変な混乱と不安を巻き起こしている事実を御存じではないのか。生活者重視の政治とは、ドゥニ案を容認したり、農林漁業の生産基盤整備を抑制したりする政治を行うことを意味しているのか、これが総理の言う「責任ある変革」の実態であるのか、はっきりと答弁していただきたいと存じます。
 さらに、本年は、天明の飢饉以来と言われるほどの未曾有の凶作に日本列島は襲われました。農家は生産意欲の減退が強まり、経営の存続にも深刻な悩みをもたらしております。それに加え、米について、ミニマムアクセスの受け入れで輸入量が年々拡大されることになれば、全国の稲作農家及び畜産。畑作農家すべてが崩壊に向かって進むことになりかねません。我が国農政はまさに新農政を目指して動こうとしているやさきであり、それゆえ我々は関税化拒否を主張し続けてきたのであります。
 さらに、稲作農家は、現在、厳しい米の生産調整を実施中であります。まさに生産調整は農家の政府に対する理解と協力があってこそなし得るものでありますが、ミニマムアクセスの拡大によって米の生産調整がさらに強化されることになれば、生産農家の意欲を著しく低下させることとなりますが、総理はどう受けとめておられるのか、お答え願いたい。
 最後に、我々は、細川総理の政治がもはや行き詰まっているものと判断せざるを得ません。(拍手)
 総理、あなたは、政治改革が年内に実現できなければ責任をとると明言されました。また、米の関税化を阻止するために、従来方針を堅持すると言ってまいりました。しかし、政治改革の年内実現も怪しくなり、例外なき関税化阻止も果たせないで、総理は重大なうそをついていると言わざるを得ません。国民はもはや総理の言葉を信用しないでありましょう。「信なくば立たず」とい言葉があります。国民にうそをついてまで政治を混乱させている事実を率直におわびして、責任をどうとるか、細川総理の明確な答弁を求めて、私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣細川護煕君登壇〕
#17
○内閣総理大臣(細川護煕君) 初めに、ドゥニ調整案について、ガット首席代表者会議で受け入れたと報道されているが真偽いかんということの質問でございますが、このことに関連して、先ほどお答え申し上げましたとおりでございますが、再度のお尋ねでございますから申し上げますが、このニュースは、予算委員会の開催中に入ってきた、一時間ほど前に入ってきたニュースでございますが、我が国は留保しておりますし、報道は当たっていない、こう申し上げているところでございます。
 それから、今回の交渉について、これは失敗ではなかったか、こういう趣旨のお尋ねでございましたが、今回の調整案では、米については、ミニマムアクセスの受け入れを前提として、輸入数量制限の関税化を回避できる内容となっていることは、御承知のとおりでございます。ほとんどの国が包括的関税化を貫くように主張している中で、御指摘の食糧安全保障の考え方を反映したこのような特例措置が提案されたことは、我が国にとって完全とは言えないものの、一定の評価をすべきものと考えているところでございます。(拍手)
 次に、食糧を買うお金がない国の存在ということを考えると、今回のラウンドではその要件を満たしているのか、こういう趣旨のお尋ねでございますが、先進国におきましては農産物の過剰生産が行われながら、途上国においては多くの人々が飢餓や栄養不足に悩んでいることは重大な問題である、これはもうおっしゃるとおりに私も認識をいたしております。ダンケル・テキストにおきましても、途上国に対しては幾つかの特別かつ異なる待遇が認められておりますほか、食糧の純輸入開発国に与える影響を考慮して、先進国は必要な措置をとることとされております。また、今回の調整案におきましても、国内の食糧不足の際に輸出制限を行おうとする国は、輸入国の食糧安全保障に与える影響に対して十分な配慮を払うとともに、輸入国に協議、通報などを行うことが盛り込まれているところでございます。
 農林大臣や外務大臣の交渉に当たっての姿勢についてのお尋ねでございましたが、農業合意案の修正問題につきましては、これが本格化するに先立って農水大臣を欧州に派遣をし、ガットのサザーランド事務局長などに対しまして我が国の立場を十分伝え、これに従って我が国代表団は交渉を進めてまいりました。この間、外務大臣、農林水産大臣は、あらゆる機会をとらえて我が国の立場を伝達をするとともに、現地の交渉者と密接に連絡をとりながら交渉を指揮し、我が国の主張がドゥニ調整案に十分反映されるように努力をしてきたところでございます。
 ドゥニ調整案において、農業以外の分野で合意は得られたのか、こういうお尋ねでございましたが、全体として妥結の方向に向かっております
が、なお幾つかの分野で最後の交渉が行われているところでございます。
 次に、ドゥニ調整案の全文が国会に提出されないのはなぜか、こういうお尋ねでございますが、調整案はまだ全体として固まっているわけではなくて、交渉継続中でございますし、いずれテキストが最終確定し、国会の承認を求める際には、当然のことながら全文を提出させていただきたいと思っております。
 食糧安全保障についてのお尋ねでございますが、国土の条件などに制約のある我が国におきまして、国民に食糧の安定供給を図るためには、国内供給が可能なものについては国内供給を基本としながら、輸入や備蓄を適切に組み合わせて対処していくことが肝要であることは、これまた申すまでもないところでございます。
 このような観点から、ラウンドを通じまして、我が国は、世界最大の食糧純輸入国としての立場を反映させるべく交渉を続けてまいりました。交渉結果により海外農産物との競争が厳しくなることが考えられますが、今後、新政策を一層強力に推進をし、意欲的な農業者が生産の根幹を担う農業構造というものをできるだけ早期に実現するということを基本として、関連施策の充実強化を図ることによりまして、食糧の安定供給の確保に努めてまいりたいと思っております。
 ドゥニ調整案をいつ知ったか、こういうことでございますが、最終的な調整案の骨子は十二月七日に連絡を受けたところでございますが、ダンケル・テキストの修正問題が議論されていることはその少し前から承知をしておりました。
 それから、米の関税化についてのお尋ねでございますが、調整案では、米については、ミニマムアクセスの受け入れを前提として、包括関税化を回避することができる内容となっております。これは、多数国の利害を調整して取りまとめられていることから、我が国の主張を完全に満足させるようなものを望むことはなかなか難しいものと考えますが、国会決議の趣旨、精神に沿うように努力をしてきた結果が相当程度反映されているものと考えているところでございます。
 七年目以降の取り扱いにつきましては、実施期同前、一年前のレビューにおきまして改めて交渉されることとなっておりまして、関税化の一時的な猶予ということではございません。
 酪農、畑作物の関税化についてのお尋ねでございますが、米以外の農産物につきましても包括的な関税化の例外とするように交渉を行ってきたところでございますが、ラウンドが最終段階に至った今日、我が国の国際社会における責任の大きさを兼ね合わせ考えますと、調整案を修正するということは極めて困難な状況であると認識をいたしております。政府としては、国家貿易制度の維持など、それぞれの農産物の貿易上の保護に必要な条件の整備に最大限の努力を払っておりますが、調整案を受け入れる場合には、その上で生ずる影響を極力軽減をし、我が国農業が維持発展していけるよう十分な配慮を行うことを基本として、適切な措置を講じていくことが必要であると考えている次第でございます。
 生活者重視の政治と農林漁業の生産者との関係についてのお尋ねでございますが、農林水産業は、食糧の安定供給を初め環境の保全など多面的な機能を有しておりますし、そのような観点から、引き続き生産基盤の整備を初めとする農林水産業の振興と農山漁村地域の生活環境の整備などに対する施策の充実を図ってまいりたいと考えております。
 財政審の報告に関連してのお尋ねでございますが、農業生産基盤整備事業につきましては、新政策で示された活力ある農業構造を早期に実現するため、担い手に着目して重点的に実施をしてまいりたいと考えております。なお、生活環境整備に対するニーズというものは、農村、漁村におきましても共通のものであるという認識を持っているところでございます。
 ミニマムアクセスによる米の生産調整の強化についてでございますが、仮にミニマムアクセスを受け入れることとした場合にも、安定的な米の国内生産と営農の安定の確保の観点に立って、米の生産調整のあり方について検討していく必要があると考えております。
 それから、政治改革あるいは例外なき関税化阻止と今後に向けての決意といったような、政治責任といったようなことについてのお尋ねでございますが、この政権は、政治改革を実現する、いわば政治改革政権であるということを肝に銘じて、実現のために取り組んでまいりました。せっかく国民の皆様方の御支援を受けて衆議院を通過したにもかかわらず、参議院でいまだ御審議をいただけないという状況でございまして、ぜひとも御審議をいただきたいと願っているところでございます。
 また、ラウンドの交渉は、既に七年間に及ぶ交渉を行い、その最終局面にあるわけでございます。今まさに自由貿易体制を堅持できるかどうかの瀬戸際に立たされているわけで、日本もその歴史的な決断をせざるを得ない、そういう段階に至っております。
 新しい時代の建設には多くの困難がございますが、それを一つ一つ乗り越えてこそまた道が開けてくると思いますし、今後ともそのような方向で努力をしてまいりたいと考えております。
 それから、外務大臣に対してお尋ねがございましたが、従来から外務大臣はどういう交渉をしてきたのか、こういうことでございますが、また、ジュネーブに飛んで何か展望が開かれたのか、こういうことでございましたが、従来から外務大臣はジュネーブにおける交渉の指揮に当たり、我が国の立場が十分に反映されるように努力を行ってまいりましたし、また、外相みずからもあらゆる機会をとらえて各国に対しまして我が国の立場を
主張してこられたところでございます。交渉の最終段階に当たりまして、ジュネーブに赴いて我が国の主張に対する各国の理解を求めるとともに、各国と協力して交渉をまとめるべく努力をしてこられたというふうに承知をいたしております。
 残余の質問につきましては、関係大臣から御答弁をいたします。(拍手)
    〔国務大臣畑英次郎君登壇〕
#18
○国務大臣(畑英次郎君) ただいまの御質問にお答えをさせていただきます。
 既に細川総理から具体的な御答弁もございまして、一部重なる点もございますが、その点お許しを願いたいと考えるわけでございます。
 とりわけ、米以外の農産物の取り扱い、これにつきまして大変な御指摘をいただいておるわけでございますが、重要案件でありますだけに、これにつきましては、当然のことでございますが、仮にこの調整案を受け入れることとする場合には、関税相当量の適切な設定、現行アクセスの適正な管理、国家貿易制度の維持等、それぞれの農産物の保護に必要な条件を整えることといたしたいというように考えておるわけでございます。
 次に、輸出補助金等々をめぐります視点からの御質問をいただいたわけでございます。
 当然のことながら、この輸出補助金が最も貿易を歪曲的なものとして、その段階的な削減を通じまして最終的には撤廃をすべきものであると一貫して主張をしてまいったところであるわけでございますが、今回のウルグアイ・ラウンドにおいて初めて輸出補助金の削減に向けてのルールが合意されたというところであるわけでございます。
 なおまた、米国のウエーバー品目あるいはまた食肉輸入法等々の問題についても御指摘があったわけでございますが、この点に関しましては、米国が提出をいたしました国別約束表において、すべて撤廃をして関税化をするということに作業が進んでおりますことを、この機会に改めてお答えを申し上げる次第でございます。
 次に、林産物の関税交渉についてお尋ねがございました。
 林産物関係関税につきましても、当然のことながら、我が国の国土、環境の保全等々に果たしております役割の重要性にかんがみまして、なおまた、最近の林業あるいは木材産業の置かれております厳しい実態、そういうものを踏まえまして、従来から関税相互撤廃には絶対応じられない、かような立場で交渉を行うとともに、主要木材輸出国における丸太輸出規制の撤廃を要求をしてまいったことは、御案内のとおりでございます。さような意味合いで、この基本的な立場を引き続き、ただいま残された時間はわずかでございますが、努力をさせていただいている。なおまた、羽田外務大臣も、今回訪欧しました際にこの点を強く要請をしていただいた点であるわけでございます。
 ミニマムアクセス等の問題につきましても、これまた総理から既に御答弁がございました。いずれにいたしましても、営農の安定あるいは安定的な米の国内生産体制、そういうものを念頭に置いて、これから先も御理解を得る立場で努力を重ねてまいりたい、かように考えております。(拍手)
    ―――――――――――――
#19
○副議長(鯨岡兵輔君) 藤田スミさん。
    〔藤田スミ君登壇〕
#20
○藤田スミ君 私は、日本共産党を代表して、細川内閣が国会決議を踏みにじってドゥニ調整案を受け入れるというこの暴挙に、断固として抗議をするとともに、その撤回を強く要求するものであります。(拍手)
 そして何よりも、細川内閣が、追加譲歩義務、さらには、相手国の同意が得られなければ関税化が実施されるという重大な事実を隠して、国会と国民を欺き、米の輸入自由化に踏み切ることは、ニ重三重の国会と国民に対する背信行為であり、決して許すことはできません。(拍手)総理、外務、農水大臣の責任をまず明らかにすべきであります。
 今回、細川内閣が丸のみした調整案は、ミニマムアクセスを六年間四%から八%受け入れるものでありますが、ミニマムアクセスは例外なき関税化と一体のものであり、自由化そのものであります。八%のミニマムアクセスは、八十万トンもの米輸入に相当し、日本を一気に世界最大の米輸入国にし、最初から米の自給体制を崩壊させるものであります。(拍手)さらに調整案は、六年間ミニマムアクセスの間も関税率が一五%下がり、七年目以降は、相手国の同意が得られなければその税率で関税化が直ちに実施されるという関税化の原則受け入れが前提であり、六年間猶予の後は、米の全面的自由化は避けられません。
 また、乳製品やでん粉など二十品目もの農産物が一挙に関税化され、結局、すべての農産物が自由化されることになり、日本農業に壊滅的打撃を与えることは明らかであります。(拍手)
 このような、国民の食糧をすべて輸入に頼り、日本の農業と安全な食糧という国民にとって死活的な利益を投げ捨てることは、決して許されるものではありません。(拍手)
 総理、このような調整案受け入れが、米の完全自給を求め、例外なき関税化を拒否している国会決議全体に真っ向から反していることは明らかでおります。三度にわたる国会決議をないがしろにしたその政治的責任をあなたはどうとられるのか、明確にお答えください。(拍手)
 この問題で細川内閣がとってきた態度の最大の問題は、ウルグアイ・ラウンドを合意期限までに必ず成功させなければならないということをアメリカヘの公約として自縄自縛に陥り、そのためには譲歩もやむを得ないとして、日本の農民、国民の利益よりも交渉をまとめることを最優先させてきたことであります。この自主性を全く欠いた交
渉姿勢を改め、日本の主権を堂々と行使して、米自由化を断固として拒否することこそ道理ある態度であります。どんな国でも一国の食糧政策をみずから決める権利を持っており、国民の主食、米をどうするかは、まさに日本の経済主権の根本に属する問題であり、日本政府がノーを貫きさえすれば、どんな大国といえども強制できるものではないのです。総理、なぜ自国の経済主権を堂々と主張しない、卑屈な外交姿勢をとり続けたのか、はっきり答えるべきであります。(拍手)
 総理、それどころか、あなたは、国会と国民に隠れて日米秘密交渉を進め、今回の米をも含む関税化受け入れという調整案をいち早く日米間で合意してきました。そして、国会に対しては、その間も、国会決議の趣旨を体して今までの基本方針のもとで対処したい、ぎりぎりの交渉を行っているとの答弁に終始し、国会と国民をここでも欺いてきたのです。こんな二枚舌ともいうべきやり方は、民主政治のもとで決して許すことはできません。(拍手)総理、外務大臣、この日米合意の全容を直ちに国会に明らかにし、民主政治の基本原則を踏みにじった責任を明らかにすべきであり、明確な答弁を求めます。(拍手)
 総理、今、日本農業は、戦後最大の凶作のもと、多くの農業者は、今後の営農をどのように進めようか迷い、将来展望がない中で離農の危機に追い込まれています。このようなとき、農産物の全面的自由化に踏み切り、あなた方は日本の農業をどのようにしようとするのでしょうか。
 北海道の酪農家は、畑作農家は、稲作農家は、政府の規模拡大政策に追い立てられ、莫大な借金と過酷な労働に押しつぶされ、そして自由化で経営は破綻するでしょう。東北地方の稲作農家は、一層の減反の強化と生産者米価の一層の引き下げで、後継者は希望を失い、高齢化した生産者はその生産に見切りをつけるでしょう。中山間地域の農業は、価格競争に勝てず壊滅し、過疎化の進行は一層進み、国土の荒廃は日本全土を覆うでしょう。このような事態が日本全体で起こるのです。そうなることがわかっていながらそれを進めるのは、国民に責任を持つ政治では断じてあり得ないのであります。(拍手)
 あなた方は、国内農業対策、予算措置で何とかなるとしていますが、一度離れた農業者の気持ちは決してもとには戻りません。総理、農水大臣、それでもあなた方は心の痛みを感じませんか。(拍手)政治家として恥ずかしくありませんか。明らかにしてください。
 総理、これまでの減反政策で、多くの農業者が生産意欲を奪われ、かけがえのない農地を荒廃させてきました。今回の調整案では、この減反が一層強化され、義務化されることになり、一方で八十万トンもの米が輸入されるのです。こんな理不尽なことが一体世界のどこの国で行われているのでしょうか。総理、農水大臣、減反の政策の中止こそ求められているのではありませんか。はっきり答えてください。
 総理、消費者にとっても重大な事態になります。現在四六%という、世界の先進国の中で最低の我が国の食糧自給率が、今回の調整案の実施で急速に下がり、日本は、歴史上も世界的にも例のない、食糧自給がほとんどできない国になるのです。
 しかも、世界の食糧問題を見ると、年ごとに深刻になる食糧不足にどのように対応するかが大きな問題となっています。世界の飢餓人口は、国連食糧農業機関の発表で既に五億人にも達し、また、世界の人口は、二〇二五年には現在より三十二億人もふえるとされています。ことしの十月、国際稲研究所は、米生産を二〇二五年までに倍増しないと世界の米の必要量を満たすことができないと各国に警告し、米の増産を呼びかけました。
 この将来に、稲作が崩壊し、食糧自給率がほとんどなくなる日本民族の命運はどうなるのでしょうか。こんな明確なことを知りながら、それでも農産物の例外なき関税化に踏み切るならば、私は、その責任の重大さを幾ら指摘しても指摘し切れないものであります。総理、明確に答えてください。(拍手)
 さらに、世界最大の食糧輸入国の日本にとって、食品の安全基準を国際基準にまで緩和するというガットでの妥結案の受け入れを拒否すべきであります。それは、我が国の残留農薬や残留抗生物質の基準の一層の緩和、食品添加物の一層の拡大、さらには、日付表示などさまざまな安全規制の緩和につながり、国民の食生活の安全と健康を破壊し、直撃するものであります。どうしてこんなことが許されるでしょうか。厚生大臣の明確な答弁を求めます。
 総理、このような日本と日本民族の死活的利益を投げ捨てるような決定を行い、その撤回の意思がないのであるならば、細川内閣は国民全体から厳しい歴史的審判を受け、将来にわたってその責任が追及されるものであることを強く指摘するものであります。(拍手)
 ウルグアイ・ラウンドば、まだ終結をしていません。正式調印は来年の四月、条約としての国会承認が審議されるのは来年の秋以降になるでしょう。日本共産党は、国の主権を投げ捨て、子供たちの未来を奪う、農産物に対する例外なき関税化と、ミニマムアクセスの導入に断固として反対を貫くことをここに表明して、質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣細川護煕君登壇〕
#21
○内閣総理大臣(細川護煕君) 藤田議員にお答えをいたします前に、玉沢議員からのお尋ねに対しまして答弁漏れがございましたので、冒頭に、お許しをいただいてお答えを申し上げたいと思います。
 玉沢議員からクリントン大統領との会談についてのお尋ねがございましたが、米については全く議題に上っておりません。そのことだけ、お答えを申し上げておきたいと存じます。
 藤田議員から何点かにわたってお尋ねがございましたが、政府は調整案について当初は骨子のみを示して、追加条項があることを隠してきたのではないか、こういう趣旨のお尋ねでございますが、骨子発表の際、特例措置継続の見返りとしての追加的措置に言及がなかったことにつきましては、その時点では、追加的措置のような考え方があることは承知をしておりましたが、調整案として固まっていたわけではございませんでした。意図的に隠そうとしたわけではもちろんございません。いずれにしろ、十分な説明を欠いたことにつきましては、おわびを申し上げる次第でございます。
 日米間の農業に関する秘密交渉を公表すべきではないか、こういう趣旨のお尋ねでございますが、外務大臣に対しましても同じく同趣旨のお尋ねがございました。ラウンド農業交渉におきましては、米国を含む多くの国々との間で、二国間、複数国間でさまざまな議論、話し合いは行っておりますが、その経過のすべてをつまびらかにできないことは御理解をいただきたいと存じます。なお、日米合意があったのではないかという御指摘でございますれば、そのようなものはなかったと申し上げます。
 それから次に、調整案を受け入れたことに対する政府の責任いかんということでございますが、調整案は、多数国の利害を調整して取りまとめられていることから、我が国の主張を完全に満足させるようなものを望むことはなかなか難しいと考えておりますが、国会決議の趣旨、精神に沿うように努力してきた結果が相当程度反映されているものと考えているところでございます。(拍手)
 それから、調整案の受け入れが日本農業にもたらす影響についてどう考えるかということでございますが、ラウンドが最終段階に至りました今日、我が国の国際社会における責任の大きさを考えますと、修正することは極めて困難な状況であると認識をいたしております。政府としては、国家貿易制度の維持など、それぞれの農産物の貿易上の保護に必要な条件の整備に最大限の努力を払っておりますが、調整案を受け入れる場合には、その上で生ずる影響を極力軽減し、我が国農業が維持発展していけるよう十分な配慮を行うことを基本といたしまして、適切な措置を講じていくことが必要であると考えているところでございます。
 減反政策の中止についてのお尋ねでございますが、米の生産調整につきましては、依然として潜在的な生産力が需要を上回っている状況のもとで、今後とも引き続き実施をしていく必要があると考えております。仮にミニマムアクセスを受け入れることとした場合でも、安定的な米の国内生産と営農の安定の確保の観点に立ちまして、米の生産調整のあり方について検討していく必要があると考えているところでございます。
 それから、調整案の受け入れと政府の責任ということについてのお尋ねでございますが、政府としては、国家貿易制度の維持など、それぞれの農産物の貿易上の保護に必要な条件の整備に鋭意努力を払っておりますが、調整案を受け入れる場合には、その上で生ずる影響を極力軽減するとともに、我が国農業の維持発展を通じまして、国民生活にとって最も基礎的な物資である食糧が安定的に供給されるように十分な配慮を行うということを基本として、あらゆる措置を講じてまいりたいと考えているところでございます。
 残余の質問につきましては、関係大臣から御答弁をいたします。(拍手)
    〔国務大臣畑英次郎君登壇〕
#22
○国務大臣(畑英次郎君) ただいまの御質問に対しましては、具体的にも総理から御答弁がございました。
 私の立場にございましては、御指摘のとおり、今回のこの問題につきましては、心の痛みあるいは不安、そういうものを、私の立場にございましては、今後解消すべく全力を挙げて取り組む、この決意を申し上げて、お答えにかえる次第でございます。(拍手)
    〔国務大臣大内啓伍君登壇〕
#23
○国務大臣(大内啓伍君) ガット・ウルグアイ・ラウンドに関する検疫・衛生措置に関するお尋ねでございますが、この検疫・衛生措置に関する最終合意案というのは、各国が人の生命や健康を保護するための措置をとることを前提といたしまして、そのそれぞれのとる措置というのが食品の国際流通に与える影響を最小限にとどめようとすることを目的とするものでございます。各国の検疫・衛生措置の国際基準へのハーモナイゼーション、つまり調和につきましても、こうした前提のもとに、国民の健康の保護に支障が生ずる場合には、科学的根拠に基づきまして国際基準より厳しい措置をとることができることとなっているわけであります。
 したがいまして、最終合意案の受け入れは、食品の衛生の確保に支障が生ずるものではないと考えておりまして、私ども厚生省といたしましては、今後とも、国民の健康確保を第一に考えまして対応してまいる所存でございます。(拍手)
#24
○副議長(鯨岡兵輔君) これにて質疑は終了いたしました。
     ――――◇―――――
#25
○副議長(鯨岡兵輔君) 本日は、これにて散会いたします。
    午後一時五十一分散会
     ――――◇―――――
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト