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1993/08/27 第127回国会 参議院 参議院会議録情報 第127回国会 本会議 第6号
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1993/08/27 第127回国会 参議院

参議院会議録情報 第127回国会 本会議 第6号

#1
第127回国会 本会議 第6号
平成五年八月二十七日(金曜日)
   午前十時一分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○議事日程 第六号
  平成五年八月二十七日
   午前十時開議
 第一 国務大臣の演説に関する件(第三日)
 第二 平成二年度一般会計歳入歳出決算、平成二年度特別会計歳入歳出決算、平成二年度国税収納金整理資金受払計算書、平成二年度政府関係機関決算書
 第三 平成二年度国有財産増減及び現在額総計算書
 第四 平成二年度国有財産無償貸付状況総計算書
 第五 義務教育費国庫負担制度の堅持・充実に関する請願
 第六 水道水源の水質保全法(仮称)制定に関する請願
 第七 保育制度の堅持・充実に関する請願
 第八 小規模作業所等成人期障害者対策に関する請願
    ━━━━━━━━━━━━━
○本日の会議に付した案件
 一、裁判官弾劾裁判所裁判員予備員及び裁判官訴追委員辞任の件
 一、裁判官弾劾裁判所裁判員予備員等各種委員の選挙
 一、日程第一より第四まで
 一、日程第五より第八までの請願及び米市場開放阻止に関する請願
 一、委員会及び調査会の審査及び調査を閉会中も継続するの件
 一、常任委員長辞任の件
 一、常任委員長の選挙
     ―――――・―――――
#3
○議長(原文兵衛君) これより会議を開きます。
 この際、お諮りいたします。
 関根則之君から裁判官弾劾裁判所裁判員予備員を、石井一二君、猪熊重二君から裁判官訴追委員を、それぞれ辞任いたしたいとの申し出がございました。
 いずれも許可することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○議長(原文兵衛君) 御異議ないと認めます。
 よって、いずれも許可することに決しました。
     ―――――・―――――
#5
○議長(原文兵衛君) この際、
 裁判官弾劾裁判所裁判員予備員、
 裁判官訴追委員、
 皇室会議予備議員、
 国土審議会委員、
 国土開発幹線自動車道建設審議会委員、
 北海道開発審議会委員、
 日本ユネスコ国内委員会委員及び
 国会等移転調査会委員の選挙
を行います。
 つきましては、これらの各種委員の選挙は、いずれもその手続を省略し、議長において指名することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#6
○議長(原文兵衛君) 御異議ないと認めます。
 よって、議長は、
 裁判官弾劾裁判所裁判員予備員に千葉景子君を、
 裁判官訴追委員に志村哲良君、常松克安君を、
 皇室会議予備議員に山本正和君を、
 国土審議会委員に青木薪次君、山下栄一君を、
 国土開発幹線自動車道建設審議会委員に竹山裕君、稲村稔夫君、矢原秀男君を、
 北海道開発審議会委員に峰崎直樹君を、
 日本ユネスコ国内委員会委員に狩野安君、肥田美代子君を、
 国会等移転調査会委員に渡辺四郎君、片上公人君を、
それぞれ指名いたします。
     ―――――・―――――
#7
○議長(原文兵衛君) 日程第一 国務大臣の演説に関する件(第三日)
 昨日に引き続き、これより順次質疑を許します。久保亘君。
   〔久保亘君登壇、拍手〕
#8
○久保亘君 私は、公明党・国民会議、民社党・スポーツ・国民連合、参議院新生党、日本新党、民主改革連合、日本社会党・護憲民主連合を代表して、過般の細川総理の所信表明演説並びに新政権の基本政策についてお伺いいたします。
 五五年体制以来、三十八年間にわたる自民党一党支配の政治が崩壊し、多年の念願でありました非自民連立政権が樹立され、政権交代が実現し、真の議会制民主主義の炎が点火されたことを国民の皆さんとともに喜び、連立政権発足の意義深い代表質問に立つ機会を与えられ、本院において現衆議院議長、土井たか子さんを首相に指名した四年前を思い起こしながら、感慨ひとしおであります。
 自民党一党支配の閉塞状況の政治に決別を求めた全国の主権者の心を心として、私たちは連立与党の信頼と結束のもと、新しい時代にふさわしい新しい政治を実践してまいる決意であります。
 そこで、まず私は、細川新政権のアイデンティティーとも言うべき基本合意について伺います。
 日本の政治は、この三十八年間にわたる自民党一党支配のもとで、あらゆる面で動脈硬化が進み、極限に達した政治不信の中で、議会制民主主義そのものの危機に陥ることによって自民党にかわる新たな政権の樹立につながったものと考えております。
 非自民連立政権はまさに時代の要請であり、国民の選択でもあります。政治の価値観が変化し、多様化する中で、連立政権は過渡的政権ではなく、連立そのものに価値を求められる本格的政権として生まれたものであります。
 多くの政治学者が指摘しておりますように、ヨーロッパにおいてはむしろ連立政権こそが正常な姿であり、安定政権を維持しております。また、多党による連立政権は多様化、多元化しつつある国民のニーズや価値観を的確に反映できるものであります。さらに、連立与党間の相互チェック、政策や協定の決定が国民の目に見えるところで行われるため、政治の透明性が確保されることは明らかであります。
 だからこそ、細川政権に対する各種世論調査の結果は、いずれも政権与党の支持率合計を上回る未曾有の支持率を示し、国民の期待の高さに身が引き締まる思いがいたすのであります。
 総理は、よりよい合意を求めてこの国民の期待に必ずやこたえなくてはならず、そして、すべての連立与党は一体となって細川内閣の前進を全力を挙げて支える決意であることを表明いたしておきます。
 与党間の意見の違いを政府の不統一、不安定要因として批判する向きもありますが、我々は、国民に眼を向けた論議を闘わすことによって、国民のための真の合意を生み出す、そんな与党を目指したい。単なる政権を守るだけの政府と与党の関係でなく、新たな政府と与党の関係を築くことが政治改革と心得ております。このことは、与野党間の関係においても、国会がみずから改革を求めている課題と存じます。
 総理は、所信表明演説において「責任ある変革」を強調されました。「責任ある変革」とは、議会制民主主義の手続を得て成立している法制度を認め、継承することからスタートすることは当然であって、冷戦構造の崩壊に伴い内外が激動する変化の時代に対応する変革にほかならないわけでありますが、その政治運営の基本に改めて日本国憲法を据え直すことが必要であろうかと存じます。
 我々日本国民は、四十八年前、侵略戦争を反省する中から今の憲法を国民の共有財産といたしました。このことは、公布に当たって出された政府声明とも言うべき詔勅に明らかにされております。すなわち、日本国憲法は国家再建の基礎を人類普遍の原理に求め、自由に表明された国民の総意によって確定したとしているのであります。しかし、冷戦時代を通ずる自民党一党支配の政治のもとでは、憲法は政権の勝手な解釈にゆだねられて、国論を二分する国民的な論争の中で権力による解釈改憲の道を歩まされたのであります。
 今はポスト冷戦の時代であります。憲法の基調である国民主権、平和・国際協調主義、基本的人権など、冷戦後の新たな国際秩序の形成を模索する現在にあって、日本国憲法はまさに花開く時代を迎えたと言えると思います。
 細川政権を構成する連立八党派合意においても、我が国憲法の理念及び精神を尊重することを確認しているところでありますが、総理は、これからの政治運営において憲法をどのように位置づけられるのか、まずお伺いをいたします。
 第二に指摘したいことは、歴史認識の問題であります。
 総理は、所信表明演説において過去の歴史への反省に言及され、日本の侵略行為や植民地支配などによる耐えがたい苦しみと悲しみを与えたことに深い反省とおわびの気持ちを申し述べられました。私は、あなたのこの言葉に深く共鳴するものであります。
 歴代の自民党総理は、第二次世界大戦について後世の判断にまつとの立場をかたくなに貫き、歴史的な評価を避けてまいりました。今回、細川さんが正しい判断を勇気を持って言明されたことに多くの国民は胸のつかえがとれた感じを持ったと思うのであります。歴代の総理が無責任であいまいな態度をとりながら、他方で自衛隊の増強を進めるようなやり方が、国内的には国民の不信を、国際的にはアジア近隣諸国の脅威を増幅してきたのであります。
 誤りを率直に認め、戦争を悩み、謝罪すべきは謝罪し、平和への決意を示すことは、連立政権発足に当たっての合意であります。細川さんは、戦争に対するあなたの認識を外交はもちろん教育を初め内政の基本に据えられるものと思いますが、御見解を承っておきたいのであります。
 第三に指摘しておきたいことは、政治改革を徹底してやり遂げ、議会制民主主義を復権させることであります。
 言いかえれば、政治と国民との距離を短くすることにほかなりません。長い間の自民党一党支配の政治のもとで政・官・財の癒着構造が形成され、癒着を牢固なものにするための利益誘導が日常化しました。そして、その手段である許認可行政とがんじがらめの規制、これが複合し、相乗効果となって政治腐敗の温床をつくり上げ、政治不信を招く大きな原因となってきたと思います。
 事実、最近の事例だけでも、ロッキード疑獄、リクルート疑惑、共和汚職事件、東京佐川急便事件、さらには金丸副総裁の巨額脱税・不正蓄財事件など、政・官・財癒着構造に根差す政治汚職は後を絶たず、極限にまで高まっている国民の政治不信を払拭するためには、こうした政治腐敗の再発を根絶し、議会制民主主義の生命である国民に見える透明なガラス張りの政治を実現することであり、このことこそが連立政権のまずやるべき使命として合意されています。改革は、政権交代の機を逸すれば再び困難となります。細川さんの決意を伺っておきたいのであります。
 次に、災害対策について伺います。
 もとより我が国は、地震、火山、台風などの風水害と、災害に見舞われやすい国土であります。治山治水など災害対策はまさに国政の基本であります。とりわけ、本年は正月早々から北海道の釧路沖地震に始まり、北海道奥尻町に壊滅的な津波被害をもたらした七月の北海道南西沖地震、百人近い死者、行方不明者を出した鹿児島県を中心とする集中豪雨被害、さらに冷夏による農業被害も心配されるなど、大きな自然災害が頻発しております。長崎県雲仙・普賢岳の大規模土石流、火砕流も依然として猛威を振るっています。これらの災害によって亡くなられた方々に哀悼の意をささげるとともに、被災者の皆さんに心からお見舞いを申し上げます。
 鹿児島の風水害については、私も現地を調査いたしましたが、組閣間もない総理や国土庁長官らが早速現地を視察され、事務当局を督励して迅速かつ積極的な取り組みをされていることを評価するとともに、今後も被災者の救済、地域の復興のため最大限の努力を傾けられることを求めるものであります。
 私は、この際、こうした大きな災害によって得られた幾つかの教訓を指摘し、政府において適切な施策を打ち出されるよう要望したいと思います。
 第一に、集中豪雨等による水害、急傾斜崩壊地などの問題であります。鹿児島県を中心に南九州では七月末から集中豪雨、さらに台風七号による雨が追い打ちをかけ、極めて大きな災害を出しました。鹿児島県から宮崎県にかけての地域は、大部分が火山灰に覆われたシラス台地であり、崩壊のおそれのある急傾斜地は一千カ所以上に上ると言われております。鹿児島県には、人命が失われないと梅雨が明けないという悲しいことわざがあります。
 南九州の豪雨災害は、程度の差こそあれ毎年必ず繰り返されております。ところが、緊急事業であるこれらの急傾斜地崩壊対策事業がなかなか目に見えて進捗しないのであります。これまでの惰性的、固定的な公共事業の配分により、結果として危険箇所が放置されていたとすれば、今回の集中豪雨もまた人災と言えるのではないでしょうか。
 細川内閣は、国民生活優先の観点から公共投資配分を見直すことを明らかにされております。危険性の高い箇所については、従来の公共投資配分を見直す中で優先的、集中的に事業が実施されるよう、国民の命を守る立場から政府の努力を強く要請したいと思います。新政権の約束である生活優先の立場からの災害対策に対する公共投資配分の見直しは必ず実行なさいますか、お伺いいたします。
 第二に、北海道南西沖地震においても地震による津波の被害によって多くの人命が失われ、家屋の倒壊などの被害も甚大であります。とりわけ民家の被害に対しては、高額の保険料が必要な地震保険にもかかわらず、保険金の支払いは最高でも一千万円、通常の火災保険加入者にはスズメの涙程度の見舞い金しか出ないとのことであります。新築の住宅を失い、多額の住宅ローンを抱えてしまったという気の毒な方もおられるのであります。
 長崎県雲仙・普賢岳の噴火災害でも同様の問題が指摘されております。自力復興を前提としつつも、こうした場合に既存のローンの金利等の一段の減免など何らかの形で援助が行えないものでしょうか。
 政府においても、国土庁が昨年七月、初動期災害対策に関する調査報告を公表され、災害共済あるいは基金を設けることにより被災者への援助、支援を行える道を開くことも検討課題とされ、政府部内において検討が進められていると伺っております。政府部内での検討をスピードアップし、早期に被災者の救援の道を開かれるよう要望いたします。政府の対応をお聞かせください。
 第三に、雲仙・普賢岳の災害対策であります。
 大規模土石流、火砕流から住民と地域を守るため、大規模な移転を中心とする防災計画の推進が急務であります。移転地域対象地区の住民に対して十分な補償、将来の生活設計の明確化ができるよう、制度、施策の見直しも含めた十全な対策がとられ、事業計画が円滑に進められるよう、政府の一段の努力を求めるものであります。
 以上、私は、今次災害の状況を集約的に申し上げたわけでありますが、被災者の救済や復旧工事は迅速かつ的確な対応が求められております。しかるに、実際には行政の壁や法規制の手続に阻まれ、臨機応変の措置が不可能となり、犠牲が大きくなったり、民心、民生の不安が募る場合があります。これは行政上の問題であります。災害の救済や応急的な復旧措置のあり方について、立法の必要性を含めて総理の御見解をお伺いいたします。
 過去に目を閉じる者は現在に対しても盲目である、一九八五年五月八日、ヨーロッパ大戦終戦四十周年を記念して西ドイツのワイツゼッカー大統領はこのように演説されています。これは政治家たる者の箴言と受けとめ、私どもの座右の銘にいたしております。
 折しも、非自民連立政権樹立に関する八党派合意事項においては、かつての戦争に対する反省を内外に明らかにすることが明記され、細川さんは過去の戦争を初め日本の植民地支配について反省とおわびをするという歴史認識を明確に示されたのであります。これこそ歴史に対する責任にほかなりません。
 私たち日本国民は、国家の命令に逆らうことを許されないままにあの侵略戦争によって三百万のとうとい人命と貴重な財産を失い、国土を廃墟といたしました。しかし、日本の軍国主義はアジアにおいて二千万人以上のとうとい生命とはかり知れない財産を犠牲にしてきたのであります。この事実を決して忘れることはできません。
 戦後史の大きな節目とも言うべき一九九五年は目前に迫っております。私は、細川総理の歴史認識を与野党はもちろん、日本国民共有の認識と受けとめ、国権の最高機関である国会において過去の侵略戦争についての反省と謝罪の決議を実現するとともに、強制連行、従軍慰安婦を初め未解決の戦後補償問題に決着をつけるべきではなかろうかと思います。
 また、日本の歴史教科書についても、正しい歴史認識に基づく記述をするとともに、ヨーロッパで進められているように、侵略した国とされた国とが共通の歴史教科書を使用することも検討の時期に入ったと思うのであります。
 今度の内閣に民間、女性の起用として文相になられた赤松さんは、細川さんの要請を受けた理由を、憲法を尊重する人だからと述べ、過去の戦争を侵略戦争、間違った戦争とする細川さんの認識に私も近いと明言されています。また、従軍慰安婦問題など臭い物にふたという態度だった、悪いことは悪いと認めるべきだと、自分の言葉で語られていることに共感が持てるのであります。
 そのような考え方の上で、若者に現代史を学ばせるべきだと言われていることは重要であります。教科書検定や歴史教育に改革が求められると思うのでありますが、細川さんのお考えを伺いたいと思います。
 さらに、人権にかかわる問題として部落解放問題、アイヌ問題、在日外国人の人権問題などが存在いたしております。部落差別をなくすための部落解放基本法を初め、総合的な法制度の整備やアイヌ新法の制定に向けて政府はどのようなお考えでありましょうか。
 戦争責任との関連において緊急を要するのは、原爆被爆者援護法の問題であります。
 細川総理は八月六日に首班に指名され、九日に組閣を終えられましたが、くしくもこの両日は広島、長崎の原爆記念日であります。ことしの追悼集会においても原爆被爆者の高齢化が深刻に訴えられています。
 被爆者たちの悲痛な叫びにこたえて、私ども日本社会党を初め連立政権に参加している多くの党派の共同作業として、一九七四年以来、国家補償の精神に基づく原子爆弾被爆者等援護法案を再三にわたって提出してまいりました。そして、本院においては第百十六臨時国会、第百二十三通常国会の二回にわたって可決し、衆議院に送付したのでありますが、いまだに成立を見ておりません。
 国家補償の精神というのは、広く国家がその活動により直接または間接にこうむらせた損害を補償することを意味し、国家の責任において始められた戦争による被害をあまねく救済すべき責務を有するということであります。この被爆援護法と同じ考え方は、既に旧西ドイツの戦争犠牲者救援法を初め、イタリア、フランス、イギリスなどヨーロッパ諸国では実施済みのことであり、新政権の努力に期待する人々に対し、細川さんのお考えを承りたいと思います。
 次に、環境問題について環境基本法案と水俣病対策に絞ってお伺いいたします。
 宮澤内閣がさきの通常国会に提出し、衆議院解散によって廃案の憂き目に遭った環境基本法案を前国会における修正部分を加筆して再提出することは承知をいたしておりますが、一日も早く成立させなければならないものと考えております。そして修正箇所については、当時野党であった私たちは、一つには基本的人権としての環境権の明記や、また環境影響評価制度の法制定までの担保がなければ画竜点睛を欠くとの懸念から修正を要求したのであります。
 そうした経過も含め、前の法案では業界を初め他の省庁からも難しい注文が出され、わかりにくい条文になっていた箇所が多く見受けられています。早い機会に提案される環境基本法案は、環境面における憲法でありますから、国民の皆さんだれにもわかりやすい条文にしていただきたいと希望いたしますが、どのようにお考えでしょうか。
 また、前国会において当時の宮澤総理は、環境影響評価については法制定まで含めて制度の見直しを進めるとの答弁をされておりますが、この問題について細川さんの所見を伺います。
 公害病の代名詞として世界に知られている水俣病については、近年各地の裁判所から和解勧告が出されておりますが、これまでの自民党政権は一切和解のテーブルに着こうとしてきませんでした。総理は、熊本県知事を経験され、水俣病問題については熟知されていると思うのでありますが、患者の高齢化も考え、どのような解決策をお持ちなのか、お伺いいたしたいのであります。
 次に、経済問題に関し、細川政権のスタンスについて伺っておきたいと思います。
 新しい政権の経済政策は、地方分権と国土の均衡ある発展を重視し、環境と調和し、生きとし生けるものに優しい経済運営に改めるべきであります。さらに大事なことは、前政権下の政・官・財のもたれ合い方式を根本から改め、産業経済関係の行政改革を断行し、この面で小さな政府づくりに努めなければなりません。
 他方、二十一世紀を展望したとき、豊かさが実感できるゆとりある経済社会と生きがいのある高齢化社会、いわばノーマライゼーションの社会をつくっていかなければなりません。住宅を初め生活環境の整備や高齢者の介護対策など、毎日安心して充実した国民生活が送れるための施策充実を図らなければならず、この面では大きな政府づくりに努めなければなりません。新政権は多様な政策の組み合わせ、すなわちポリシーミックスの推進が肝要であると思います。
 自民党政権のマイナスの遺産が顕著な国際経済問題では、何よりも国際信頼の回復が大切であります。市場開放等でやれるものとやれないものを明確にし、いやしくも後ろめたい市場開放はこの際徹底的に洗い直すこと。さらに、八六年四月に出された前川レポートはつまみ食い的には実行されても、最も肝心な内需主導型の経済成長、国際的に調和のとれた輸出、輸入、産業構造への転換、市場アクセスの一層の改善等、いわば構造転換の分野が忘れられてきたことを反省し、同レポートの全面検証と完全実施にあすから取りかかること。この二つを新前川レポートの作成の前に緊急に行うべきだと思いますが、細川さんに経済運営の基本方針を伺っておきたいのであります。
 次に、当面する経済情勢とその対策について伺います。
 円高に追い打ちをかけられた急激な景気悪化を前に、自民党政権は六月の経済閣僚会議で景気底入れ宣言を行いましたが、経済認識と情勢分析が全く誤っていたと申さざるを得ません。新内閣が去る十九日の経済情勢臨時懇談会で、景気の本格回復は予断を許さないとの認識で一致し、自民党政権の景気判断を修正したことは当然であります。また、その席で規制緩和や円高差益の還元、一カ月以内に緊急経済対策閣僚会議による今後のとるべき政策の決定、四月の総合経済対策の実施状況の総点検等で合意したことは、発足後間もない新政権として適切で時宜を得たものと言えると思います。
 私は、景気対策を大きく二つに分けて考えていくべきだと思います。
 まず、緊急に行うべき施策は、経営努力とは異なる外国為替市場の円買いによって生じた円高差益の還元であります。電力、ガスはもちろん、政府所管の小麦等幅広く実施すべきであります。
 さらに、これと関連して内外価格差の解消に努めるべきであります。特に、航空運賃の是正は緊急に行うべきだと思いますが、香水や洋服、装身具類等多くの分野で、高いのが当然、円高は海外旅行でなければ味わえないと思い込まされてきた消費者に、ぜひ円高メリットを実感できるように内外価格差解消のキャンペーン強化や業界指導等を強力に推進すべきであります。
 なお、輸入に係る規制緩和を並行して行うことは緊急施策となると同時に、中期的にはより一層国民生活を豊かにすることに役立つはずであります。
 財政面の対策としては、史上最大の十三兆円余の総合経済対策を決めているわけですが、自民党政権とは異なる景気判断を行ったわけでありますから、せめてもその執行テンポを早めることとし、繰り上げ実施を打ち出すべきではないでしょうか。
   〔議長退席、副議長着席〕
 次に、当面及び中期的な施策についてであります。
 さきに政府が決められた、一カ月以内にまとめられる緊急経済対策閣僚会議で検討し、結論を出していただきたい点であります。
 まず減税であります。
 消費不況が叫ばれている景気の現状から、個人消費の拡大に大幅所得税の減税が必要なことは、細川さん自身早くから五兆円ないし六兆円の減税を提唱されており、その後、自律反転の兆しということで撤回されています。しかし今日、日本経済は自律反転の兆しを見るという状態ではないと思うのであります。不況に対応するには、住宅、教育等の政策減税とともに前広に実施し、景気押し上げの浮揚力にしていただきたいのであります。所得税減税の実施について、細川さんの決断のある回答を求めたいと思います。
 二つ目は、金利の引き下げであります。
 公定歩合がかつて最低だった二・五%と肩を並べていることは承知しておりますが、これまで経験したことのない資産デフレと円高デフレに見舞われ、不況の長期化が憂慮されている折、一段の金利引き下げが必要なのではないでしょうか。バブル景気の引き金となった低金利政策は、適時適切な弾力的運用を誤ったためで、あつものに懲りてなますを吹くの愚を犯してはなりません。もちろん、金利の引き下げに当たっては高齢者、年金生活者に十分な配慮をする必要があります。
 三つ目は、銀行の不良債権の処理であります。
 バブル経済に踊って過剰貸し出しを行ったとはいえ、その後遺症によって金融が正常に機能できない状態で貸し渋りが起きております。銀行みずからが不良債権処理の機関を設けて対処していますが、資金量も小さく処理がはかどっていません。特別措置として資金運用部の資金等を活用して不良債権処理を図ることも検討すべきことではないだろうかと思うのであります。お伺いいたします。
 次に、平成六年度予算編成について伺います。
 来年度予算の概算要求基準が決まってスタート台に立ったわけでありますが、前政権が生活関連重点化枠など別枠方式で経費計上を行い、新政策でさも国民生活に重点を置くかのような見せかけの予算編成を行っていたのを概算要求基準段階で全廃されたことは評価できます。
 硬直化した公共事業費予算の計上と配分が国民のニーズと乖離し、生活関連社会資本の整備をおくらせ、さらに公共事業費のピンはねを政治家がやるほどに癒着構造の根は深いのであります。来年度予算では、ぜひ事業費の配分を密室でなくオープンに、そして政権交代の今こそ配分率を改める絶好の機会です。この点を明確にしていただきたいと思うのであります。
 次に、農業政策についてお伺いいたします。
 ガット・ウルグアイ・ラウンドは本年十二月十五日が交渉のタイムリミットとされておりますが、農業を初めとする複数の分野で基本的合意がなされていないのが現状であります。現在のラウンドは、農業、サービス、知的所有権など、これまで自由貿易とはなじみにくかった分野の貿易ルールづくりを図ることを目的に進められてきましたが、とりわけ農産物が一般の工業製品と比べていかに自由貿易のベースに乗りにくいかは、今日の世界的な異常気象を見ても一目瞭然であります。
 アメリカでは記録的な大雨による洪水のため穀倉地帯が大打撃を受け、トウモロコシや大豆の国際価格は高騰しており、ヨーロッパやアフリカでは干ばつによる農産物の被害が深刻な状況に陥っています。そして、我が国も記録的な長雨と冷害などで水稲を初めとする農産物の不作が予想され、特に政府米の需給に関しては在庫割れによる緊急輸入の可能性すら論じられているのであります。このように、気象その他の自然条件に大きく左右されやすい農業を一般的な自由貿易で割り切ろうとするのは極めて危険であります。
 今回のような世界的異常気象に際して、食糧の七〇%も輸入に依存する我が国では、世界的な農産物価格の高騰に重大な影響を受けるのは必至であります。国内で増産しようにも、減反政策などによる生産意欲の減退、耕作放棄で荒れた田畑は容易にもとには戻らないのであります。
 私どもは、食糧の自給体制の確立こそ主権国家の前提であり、このような立場から、米を初めとする農産物の例外なき関税化は絶対に受け入れるべきではないと考えます。総理のガット農業交渉に向けてのお考えを明らかにしていただきたいのであります。
 次に、林業政策について伺います。
 昨年、ブラジルで開催された環境と開発に関する国連会議では、地球環境保全にとって森林の保全、育成の重要性が決議されました。また、平成四年度林業白書も、日本の森林も国際的な視野でとらえ森林資源の充実を図ることで国際的な責務を果たすことを提唱しています。
 我が国の森林は国土の六七%を占め、林産物の供給だけでなく、国土保全、水資源の確保、大気浄化、生活環境保全等に大きな役割を発揮してきました。しかし今日、農山村の過疎、高齢化により農業同様林業も深刻な危機を迎えています。地球環境保全に果たす森林の役割からも、林業の振興は国民的課題であります。
 今こそ我が国の外材依存政策を見直し、積極的な森林整備と担い手対策を含めた林業振興を図るべきであると考えますが、細川さんの御所見を伺っておきたいと存じます。
 次に、新内閣の外交課題、日本の国際的役割について伺いたいと存じます。
 現在の世界は、第二次大戦後の世界を規定づけてきた冷戦時代という古い秩序が崩壊したものの、それにかわる新しい秩序はまだ生み出されていないというのが最大の特徴であります。そして、冷戦の終えんは東西間の軍拡競争に終止符を打ち、国連が正常な機能を回復し、ヨーロッパを初め地域的な多国間の新たな安全保障システムの構築が進みつつあるということでもあります。
 他方、古い秩序の崩壊に伴い、それまで米ソ対立のもとで潜在していた民族対立や宗教に起因する地域紛争が多発化しています。また、地球環境の保全や発展途上諸国における飢餓、貧困の問題など、人類共通の課題が山積し、国連並びにその国連機関に対する期待がいよいよ高まりを見せております。
 さらに、国際経済の分野においても貿易資本のグローバル化の反面で経済の不均衡が高まり、国際摩擦は深刻の度を深めています。南北問題も一向に解決の兆しを見せていません。
 こうした世界の状況に対して、我が国はどのような国際的役割を果たすべきでありましょうか。細川さんは来月の国連総会に出席されることが決まったとのことでありますが、この際、自民党政権の政策の継承にとどまらず、新政権のスタンスを内外に鮮明にすべきであると存じます。
 その一つは、軍縮・平和外交に徹し、国連中心主義を名実ともに日本外交の基本に据えることであります。
 先日、野党党首として質問に立たれた河野洋平さんが軍事面での抑制による憲法擁護の立場を宣言されたことは、改憲を党是として進めてきた自民党の新しい外交防衛政策への転換を示すものとして歓迎し、私たち政権与党がこれまでの外交防衛政策を継承しつつ世界の平和と軍縮に責任と役割を担うことで合意していることに近づくものと考え、今後の具体的対応に注目したいと思います。
 今求められていることは、日本国憲法と国連憲章の精神に沿って、ポスト冷戦時代にふさわしく、国際軍縮と世界平和の先導役として国連を中心とする普遍的安全保障の確立を初め国際的な役割を積極的に果たすべきことであります。国連の武力行使への積極的参加と引きかえに安保理常任理事国を手に入れようとするミニ超大国路線を憲法の上からも否定した河野さんの発言について、あわせて細川さんの見解を伺っておきたいのであります。
 国際民主主義の原点を踏まえ、国連安保理事会の改組、人権・環境理事会の設置、国連総会の権限強化、NGOの位置づけなど、国連改革に向けたイニシアチブを日本が積極的にとるべきであります。日本の安全保障理事会への参加は、それからでも決して遅くはないと思うのであります。
 二つには、国連PKO、すなわち平和維持活動に積極的に参加し、国際的な役割を果たすことであります。
 申すまでもなく、PKOは国連憲章第六章半とも呼ばれる冷戦時代の落とし子にほかなりません。国連発足以来、米ソ両国間を中心に、安全保障理事会では二百七十九回にわたって拒否権が発動され、国連の平和調停機能が阻害されてきたのであります。そうした状況を背景に、世界の英知として国連憲章には規定のないPKOが生み出され、常任理事国以外の北欧諸国、カナダ、オーストラリアなどによる支援で発展、定着が図られてまいりました。そして、ポスト冷戦時代を迎えて、PKOを拡大強化する必要性はますます高まっているのであります。
 国連中心主義に徹しようとする我が国がPKOについても積極的に協力すべきことは言うまでもありませんが、その前提には、第一に国民の合意、第二には国会の多数会派の賛成、第三にアジア諸国の納得と理解を得ることが欠かせないと思うのであります。
 PKO協力法をめぐっては、連立与党会派の中に意見の相違が存在するのは事実でありますが、当面、まず現行法に対処すると同時並行的に、よりよきPKO協力を展開するためには、日本の戦争責任の反省や戦後補償を誠実に履行し、憲法下においてなし得る積極的協力の手段を確立することであります。
 三つには、ODA、すなわち政府開発援助を初め、経済協力開発政策の積極的な展開であります。
 我が国のODAは、拠出額が世界一となり、九三年度のODA予算は一兆円の大台を超える膨大なものに発展していますが、かつてのマルコス疑惑を初め、現地の環境破壊や公害の輸出など、日本のODAに対する信頼は必ずしも高くないのは極めて残念であります。ODAが国民の税金で賄われていることを考えるならば、疑惑を一掃し、効率と評価を高める努力が不可欠であると考えます。
 連立与党の五会派は、ODA政策の抜本的な改革のために、さきの通常国会に国際開発協力基本法案を提案いたしたところであります。今後の我が国ODAの役割、進め方について、細川さんはどのような御所見をお持ちか、お伺いいたします。
 次に、政治改革についてお伺いいたします。
 細川連立内閣の誕生は、自民党長期一党支配のもとで繰り返し起きた金権腐敗を断ち切り、清新な政治を取り戻してほしいという国民の強い願いに基づくものであります。その意味で、私は、総理の所信表明が政治改革政権であることを肝に銘じ政治改革の実現に全力で取り組むと表明されたことを心から歓迎し、議会制民主主義の死に至る病となった政治腐敗を根絶し、その生命を取り戻すために私たちも全力を尽くす決意を表明したいと思います。
 私は、新政権の政治改革の基本は、去る七月二十三日に、さきがけ日本新党の代表委員としての武村さん、細川さんの呼びかけにあると考えております。今日、連立与党に参画した各党は、この呼びかけに賛同して集まったからであります。
 この呼びかけは、政治改革について二つの大きなテーマを提起しております。その第一は、企業・団体献金の廃止に踏み出すということであり、政・官・財癒着にメスを入れ、国の行財政と関係を持つ企業、団体からの政治献金を断ち切るということであります。私は、この提唱こそ、まさに国民が願っている腐敗をなくす政治改革に確かな一歩を踏み出すものと期待したいのであります。細川さんの企業・団体献金禁止に対するかたい決意をお示しいただきたいのであります。
 私は、三十八年ぶりの政権交代の機会を千載一遇ととらえ、直ちに企業献金を廃止すべきではないかと考えております。そのためには、懸案となっている政党への公的助成について思い切った措置を工夫してもよいと思うのであります。
 呼びかけの第二は、選挙制度の改革であります。
 選挙制度を小選挙区二百五十、比例代表も二百五十とする小選挙区比例代表並立制とするということを基本として提唱されたのであります。この呼びかけには、今日の連立与党である各党が次々に賛意を表明し、自由民主党も従来の単純小選挙区制から転じてこの呼びかけにこたえる並立制に踏み切ることを党議とされたのであります。したがって、私は、両党の呼びかけが実を結び、国民が求める政治改革を実現する見通しが極めて大きくなっていると考えるのであります。
 しかるに、最近、いろいろの基本合意に対するイレギュラーな発言も聞かれます。そこで、改めて選挙制度改革の基本について、提唱者である細川さんのお考えをお示しの上での改革実現への決意を表明していただきたいと存じます。
 また、政治改革については、腐敗防止、政治倫理の確立が重要であります。七月二十三日の政治改革政権の提唱でも、腐敗防止のための連座制の強化がうたわれていることを高く評価するものでありますが、その法制化の実現を期待するものであります。
 さらに、今日各地で摘発が進んでいるゼネコン汚職は、ますます拡大する兆しを見せております。政府は、これに対し厳格に対応するとともに、まさに政治浄化を進める内閣であることを示していただきたいのであります。細川さんの御主張でもありました、既に参議院で準備が進められている情報公開法を一日も早く成立させるなど、この点に関する細川さんの決意のほどを伺いたいと存じます。
 政治改革の問題に関連して、参議院のあり方について最後に細川さんの所信を伺います。
 二院制度下における参議院の役割は、一般的に衆議院に対する抑制、均衡、補完の機能を通じて、国民の代表機関たる国会の機能を万全たらしめることにあるというのが専門家の共通した認識であります。その意味において、本院が第二衆議院に堕したり、慎重かつ充実した高い水準の審議が確保されず、政党の強力な支配のもとで参議院の独自性や自主性が失われるならば、それはまさに参議院の無用論につながると言うべきでありましょう。これは、長らく本院に在籍された細川さんも実感として受けとめておられると思うのであります。
 したがって、日本国憲法下における二院制のもとで、参議院の存在を高めることは党派を超えた共通の任務であり、本院において河野議長以来その努力を積み上げてきたところであります。また、現在進行中の参議院改革協議会を中心に、本院を構成する各党派の英知を結集した新たな改革の取り組みと、その成果が待たれるところであります。
 細川連立政権は、当面、最大課題である政治改革について政府提案とされる方針かと伺っております。しかし、衆議院に比例制度が導入されるのであれば、二院制度の本旨からして参議院議員の比例制度を含む選挙制度についても再検討が必要となってくることは当然であります。総理は、日本国憲法下の二院制度における選挙制度のあり方について、どのような御所見であるかをお伺いいたします。
 私は、与党を代表する質問を終わるに当たって、変革の時代に新しい政権の担い手となられた細川首相を初め、閣僚の皆さんに心からの激励を送るものであります。
 ありがとうございました。(拍手)
   〔国務大臣細川護熙君登壇、拍手〕
#9
○国務大臣(細川護熙君) まず初めに、憲法の問題についてのお尋ねでございましたが、言うまでもなく憲法は国の基本を定めた最高法規であって、その基本理念を国の政治運営に当たって生かしていくことは当然であると考えております。連立与党内には憲法問題について幅広い御意見がございますが、憲法の理念と精神を堅持していくということで合意しているところであって、私自身もこれを尊重して政治運営を行ってまいりたいと思っております。
 戦争に対する認識と、外交、教育についてのお尋ねでございましたが、先日の所信表明でも申し述べましたように、過去の我が国の行為が多くの人々に耐えがたい苦しみと悲しみをもたらしたことに深い反省とおわびの気持ちを抱きつつ、外交の分野でも今後一層世界平和のために寄与することによって我々の決意を示していきたいと思っております。
 また、教育の分野におきましても、国際理解と国際協調の見地から歴史教育を進めていくことが肝要であろうと思っております。
 政治改革についての決意いかんというお尋ねでございましたが、国民に信頼される政治を取り戻すためには、いわゆる腐敗防止策を含めた選挙制度や政治資金制度の抜本的な改革を一体として実現しなければならないと考えておりますし、政治改革関連法案の本年中の成立に向けて、改めて全力で取り組んでまいる決意であるということを申し上げておきたいと存じます。
 災害の問題につきまして、特に急傾斜崩壊地への対策事業などを優先的に実施をすべきではないかということでございましたが、本年五月に計画期間内の総投資額を一兆千五百億円とする第三次五カ年計画を閣議決定したところでございますし、この計画に基づいて、重点的、計画的に事業を推進いたしてまいりたいと考えているところでございます。
 また、災害の問題に関連して、住宅ローン金利などの減免が図れないか、こういうお尋ねでございましたが、住宅金融公庫の融資を受けていた被災者の債務の融資条件の緩和につきましては、被災状況と被災者の今後の償還能力に留意をして、個別の事情に応じながら融資条件の緩和を行うことにしておりまして、極力迅速に対応するように措置をしてまいりたいと思っております。
 それから、災害の基金を設けることについてのお尋ねもございましたが、政府としては、被災者の方々の救済やその生活再建の支援に全力を挙げて取り組んできているところで、現行制度の的確な運用によりましてその成果をできるだけ上げてまいりたいと思っております。今後、御指摘のようなことも含めまして、災害の態様や程度に応じた被災者への支援方策につきまして検討を続け、災害対策に万全を期してまいりたいと思っております。
 雲仙・普賢岳の災害についてもお尋ねがございましたが、政府としても地元自治体と密接に連携をとりながら懸命にその対策を推進しているところでございます。
 移転対策につきましては、政府として総合的な検討を行っておりますが、このたび島原市から集団移転促進事業計画の承認申請がなされましたので、早急に措置してまいりたいと思っております。今後とも、用地取得を初めとして、関係者の御理解と御協力を得ながら、政府一体となって災害対策に万全を期してまいるつもりでございます。
 次に、教科書検定と歴史教育の問題についてのお尋ねでございましたが、近現代史の教育につきましては、国際理解と国際協調の観点からその充実に努めてきたところで、新学習指導要領におきましても十分配慮がなされているところでございます。
 また、教科書検定におきましても、昭和五十七年の教科書問題以降、検定基準の改正がなされ、必要な配慮が行われているところと承知をいたしております。
 歴史教育におきましては、客観的、学問的な研究成果を踏まえ、事実を事実として子供たちの発達段階に応じて指導することが重要であると思っております。文部省では、我が国の行為によってアジアの近隣諸国が受けた損害なども含め、子供たちが正しい歴史理解を持つように指導しているところで、今後ともこのような考え方に立って努力をしてまいりたいと思っております。
 部落解放基本法等の整備の問題、それからアイヌ新法、原爆被爆者援護法案等々についてのお尋ねがございましたが、まず同和問題につきましては、憲法に保障された基本的人権にかかわる重要な問題であるという認識のもとに、政府としては現行の地対財特法に基づいて啓発などの事業を積極的に推進することによって本問題の早期解決に努力をしてまいりたいと思っております。
 アイヌ新法につきましては、現在、関係省庁から成る検討委員会によって検討をしているところでございますが、この問題につきましては検討すべき事項が広範にわたりますことから、今の時点でその結果についてお答えできる段階ではございませんが、引き続き委員会において真剣に検討をさせていただきたいと思っております。
 原子爆弾被爆者援護法案についてのお尋ねでございましたが、この法案につきましては、一般戦災者との均衡上基本的な問題があることや、現在の与党各会派のすべてが共同提案者であったものではございませんことから、その取り扱いにつきましては今後与党内で慎重に考えるべきものと思っております。
 それから、環境基本法案につきましてのお尋ねがございました。また、環境影響評価制度の問題についてもお尋ねがございましたが、この問題につきましては、さきの国会に提出された法案は環境の保全の基本的な理念とこれに基づく基本的な施策の総合的な枠組みを定めたもので、地球環境時代に対応した新たな環境政策の展開を図るために不可欠の法案であると認識をいたしております。御指摘のように、一日も早く成立をさせなければならない法案であると思っております。
 おっしゃるとおり、環境権の明記などの御意見もあったわけでございますが、広く有識者から成る関係審議会の答申を踏まえて作成されましたこの法案は、前国会で衆参両院におきまして法技術的にも、また表現ぶりも含めて十分審議が尽くされ、御指摘の点も含めまして、いろいろな御意見を調整の上修正されて全会一致で可決をされてきたものでございます。したがいまして、この全会一致で可決されてきた法案を次の臨時国会に再提出をして、ぜひその早期成立をお願い申し上げたいと思っております。
 それから、アセスメントの問題につきましては、環境の保全上の支障を未然に防止をする上で極めて重要と認識をしておりまして、環境基本法案ではこれを法制的に位置づけるために明確に規定していたところでございます。
 政府としては、これまでも的確なアセスメントの推進に努めてきたところで、今後とも現行制度の適正な運用に一層努めますとともに、内外の制度の実施状況等につきまして調査研究を行い、その結果を踏まえて、経済社会情勢の変化なども勘案しつつ、法制化も含めまして必要な見直しについて検討をしてまいりたいと思っております。
 水俣病問題についてのお尋ねがございましたが、この問題につきましては我が国の公害問題の原点とも言うべきもので、環境行政の重要課題と認識をいたしております。早期にこの問題が解決されることが望ましいことは申すまでもございません。
 なお、水俣病訴訟につきましては、その争点が法に基づく国の行政のあり方の根幹にかかわる問題でもございますし、いましばらく慎重に考えさせていただきたいと思っております。
 それから、市場開放の洗い直しをすべきではないかというお尋ねでございましたが、調和ある対外経済関係を構築していくためには、内需主導型の経済成長の定着と、国際的に調和のとれた透明度の高い市場の形成に向けて努力することが重要であることは論を待たないところでございます。規制緩和などによって市場アクセスの一層の改善に努めますとともに、このことが国民生活の向上に結びつくように消費者重視の政策を積極的に推進をしてまいりたいと思っております。
 前川レポートの全面検証と完全実施についてのお尋ねがございましたが、日本経済の国際協調を踏まえた経済構造調整のための施策につきましては、その後の我が国の経済情勢の変化などに即応し、我が国の経済社会構造の変革も視野に入れた中長期的な対応策につきまして、できれば九月のできるだけ早い時期から各方面からの御意見もちょうだいする場を設けて、年内をめどに取りまとめをしていただきたいと思っております。この取りまとめの過程におきまして、適宜、前川レポートの実施状況につきましても点検をしていただきたいと思っております。
 それから、円高差益の問題、内外価格差の是正、輸入に係る規制緩和の問題等々についてのお尋ねがございました。
 この点につきましては、八月二十四日の閣議におきまして、今の経済情勢を踏まえ、経済の活性化、内需の振興を図る上でこの内閣に課せられた重要な課題であるという認識に立って、実質的に意味のある結論を一日も早く得るべく、各大臣に率先して御尽力をいただくようにお願いをしているところでございます。内外価格差の是正、縮小につきましても、消費者重視の観点から積極的に取り組んでまいりたいと思っております。
 四月の経済対策の繰り上げ実施を打ち出すべきではないかという趣旨のお話でございましたが、我が国経済は、最近の急激な円高や冷夏の影響も懸念されて、今後の景気回復には予断を許さないものがあるところでございます。そこで、本年度予算やこの四月に決定されました新総合経済対策を着実に実施をすることがまず先決だと思っておりますし、その効果の十分な浸透を図りますとともに、早ければ九月中旬までに規制の緩和や円高差益の還元を初めとして幅広い観点から種々の施策の取りまとめをいたしまして実行に移してまいりたいと思っております。
 公共事業の執行につきましては、八月二十四日に開催されました関係閣僚会議におきまして、特段の努力を行っていく旨、関係閣僚間で確認をいたしたところでございます。
 政策減税、所得税減税についてのお尋ねがございましたが、所得税減税につきましては、御承知のような財政事情やあるいはまた費用対効果の点などを考えますと、なかなか容易なことではないと判断をいたしております。特に、減税財源を赤字国債の発行に求めるということにつきましては、後世代に元利払いという大きな負担を強いることになりかねないということなどを考えますと、よくよく慎重でなければならないというふうに思っております。
 いずれにしても、この所得税減税の問題につきましては、当面の景気対策ということではなく、税体系の全体的なバランスを考える中で考えるべき課題ではないかというふうに思っております。
 なお、新総合経済対策におきましては、投資減税、住宅取得の促進税制、あるいはまた特定扶養控除の引き上げなどの措置を講じたところでございまして、こういった対策の効果はこれからあらわれてくるのではないかと思っております。
 また、金利の引き下げについてもお尋ねがございました。
 この点につきましては、平成三年の七月以来の六次にわたる引き下げによって、現在、史上最低の二・五%の水準にあるわけで、各種の金利は大幅に低下をしてきております。政府としては、こうした政策の効果がなお一層浸透していくことを期待しているわけで、今後ともその浸透状況を見守ってまいりたいと考えているところでございます。
 銀行の不良債権の問題についてもお尋ねがあったと思いますが、不良資産問題の解決に当たりましては、民間金融機関の厳しい自助努力が求められているところで、そのような自助努力の一環としてことしの一月に不動産担保付債権の買い手の役割を果たす共同債権買取機構が設立をされ、既に多額の不良債権処理に貢献しているところでございます。
 この機構におきましては、資金運用部資金などの公的な資金は前提とされておりませんで、民間金融機関の自助努力を基本に不良債権の処理が進められているところで、今後ともその対応を見守るつもりでございます。
 公共事業費の配分についてのお尋ねがございました。
 従来の特別枠という限られた枠の中で対応するのではなく、これを廃止して予算全体を根っこから洗い直し、予算編成の自由度を増大させて、社会経済情勢の推移により弾力的に対応していく必要があると思っております。
 六年度予算における公共事業の配分に当たりましては、今後、予算編成過程で検討していくことになるわけでございますが、社会経済情勢、産業構造の変化などを踏まえて、国民生活の質の向上に資する分野に思い切って重点投資をするなど、今までの経緯にとらわれずに思い切ったシェアの変更に取り組むことにしたいと思っております。
 わかりやすい予算編成ということについてもお話がございましたが、主要国におきましては我が国と違って各省の要求額、大蔵省の内示額など予算の編成過程というものは一切公開されていない、それが確立をされた慣行になっているというふうに聞いております。
 これまでも国民の御理解をいただけるように各省の概算要求額や大蔵省の内示額を公表するなど、他の主要国にも増してできる限りの努力がなされてきたものと考えているところでございますが、今後、各年度の予算の内容や財政の現状などにつきましてもいろいろな機会を利用して各方面の御理解をいただけるように努力をしてまいりたいと思っております。
 ガットの農業交渉についてのお尋ねもございましたが、我が国としては、ウルグアイ・ラウンド交渉の年内妥結に向けて引き続き全力を尽くしてまいらなければならないと思いますが、同時に、今後の交渉に当たりましては、我が国の農業が将来に向けて安心して生産を続けられる環境を確保することが大切であることは申すまでもないところでございます。交渉が最終段階を迎えている現状で、各国とも農業問題に関してそれぞれ困難な問題を抱えておりますが、これまでの基本方針のもと、相互の協力による解決に向けて最善を尽くしてまいりたいと考えているところでございます。
 林業の問題についてもお尋ねがございましたが、今日我が国の森林資源は充実してきつつあるということでございますが、森林を守り育ててきた山村と林業は困難な状況に置かれておりまして、その振興を図ることが重要な課題であることは御指摘のとおりでございます。これからの国産材時代を展望して、森林の整備あるいは林業の担い手の確保を初めとした施策を今後とも積極的に展開をしてまいる必要があろうと思っております。
 国連に対する姿勢とミニ超大国路線についてのお尋ねがございましたが、我が国は平和と国際協調という憲法の精神を尊重しつつ、戦後一貫して国連中心主義を外交の基本としてまいったところでございます。
 そのような基本姿勢のもとで、私は、より平和で、そして人権が尊重される世界を目指して、国連による国際的な努力に対する人的貢献を着実に展開をしてまいりますとともに、冷戦後の世界に対応できるような国連改革、国連強化のためにも積極的に寄与してまいることが必要であろうと認識をいたしております。
 さきに河野議員が代表質問で指摘されましたミニ超大国路線なるものにつきましては、そのような路線を目指すつもりはないということを申し上げたところでございます。
 PKO協力法につきまして、また、PKOへの協力と戦争責任の反省等についてのお尋ねがございましたが、国連平和維持活動への協力につきましては、PKO法に基づきまして我が国の国際社会に占める地位にふさわしい責任を今後とも果たしてまいる必要があろうと思っております。
 また、我が国が国連の平和維持活動に対しまして、人的側面におきましても国際貢献を積極的に推進していく上で近隣諸国の不安と不信を取り除いて、その理解を深めることの重要性は十分に認識をいたしております。
 昨年六月に成立をいたしましたPKO法に基づいて、現在カンボジアとモザンビークにおいて我が国の派遣隊員によって行われております平和維持活動は、おおむね近隣諸国の御理解を得られているものと認識をいたしております。
 なお、いわゆる戦後処理の問題につきましては、我が国はサンフランシスコ平和条約等、関連諸条約に従って誠実に対応してきているものと受けとめております。
 ODAの役割、進め方についてもお尋ねがございましたが、昨年、政府開発援助大綱を定めて援助についての基本的な理念なり姿勢なりを明らかにいたしましたほか、本年度からODAの実施状況を包括的に取りまとめた報告書を国会に配付するなど、援助の透明性を一層高めることに努めているところでございます。政府開発援助につきましては、今後とも大綱や現行の関係法令などの枠内で改善すべき点は改善しながら、効果的、効率的な実施を図ってまいりたいと思っております。
 それから、企業・団体献金の問題について、また公的助成の問題、あるいは選挙制度の改革、連座制の問題等々についてお話がございましたが、まず企業・団体献金の問題につきましては、近年続いている政治腐敗事件が企業などの団体献金に起因していることを考えますと、この際、公費助成の導入などの措置を講ずることによって廃止の方向に踏み切ることが適当だと考えております。
 具体的な内容につきましては連立与党各党の間で詰めの作業をいただいているところでございますが、できるだけ早急に国会で御審議をいただいて、実現が図れるように全力を挙げて取り組んでまいりたいと思っております。
 公的助成につきましては、与党各党の間で詰めていただいているところでございますから、その結論を待たせていただきたいと思っております。
 選挙制度改革の基本とその決意についてということでございましたが、連立政権を呼びかけた際の提案は、小選挙区二百五十、比例代表二百五十による並立制を基本とするというものであって、また、これに賛同する八党派でまとめられた合意事項では、単に小選挙区比例代表並立制による選挙制度改革となっていたところでございます。
 私としては、現在の与党内の論議はこれらの枠内のものと受けとめておりますが、具体的な判断は各党の御協議におゆだねをしたいと思っております。
 選挙制度につきましては、現在の個人中心の選挙を抜本的に改めて、政党本位、政策本位の選挙を実現しなければならないと考えておりますし、関連法案の成立に向けて取り組んでまいる決意でございます。
 連座制の強化につきましても、今回の法案におきましては、腐敗防止のため、御指摘の連座制の拡大や罰則の強化などを織り込む必要があると思っておりますし、その詳細についての詰めの作業が行われておりますわけでございますから、そうした事項の実現につきましてももちろん全力を尽くしてまいりたいと考えているところでございます。
 ゼネコン汚職の問題についてのお尋ねでございましたが、検察当局が建設会社役員、地方公共団体首長らを起訴したところであり、検察当局は厳正な捜査処理を行ったものと考えております。
 今後の捜査の見込みなどについてコメントすることは差し控えさせていただきたいと思いますが、一般論として申し上げるならば、検察当局は刑事事件として取り上げるべきものがあれば厳正に対処されるものと確信をいたしております。
 また、建設業界に対しましては、企業倫理の確立、関係法令の遵守の徹底などにつきましてその指導に努めているところで、公共工事の入札契約制度につきましても、一層の透明性、競争性を確保するために改革に取り組んでいるところでございます。そういった措置を通じまして、公共工事の執行に対する国民の信頼を一刻も早く取り戻すように努めてまいる必要があると思っております。
 情報公開法の問題についてのお尋ねでございましたが、法制上の措置としては、行政手続二法案において国民の権利義務に直接かかわりのある行政庁の活動について審査基準などの公開、処分理由の提示など多くの点において情報公開規定の整備を図ることとしておりまして、この二法案を早期に再提出の上、その成立に努めてまいりたいと思っております。
 手続法に加えて、さらに別個の一般共通法制としてのいわゆる情報公開法制の必要性の有無の問題につきましては、非公開とすべき情報の範囲であるとか、あるいは訴訟手続など関連するもろもろの制度との調整などにつきましてなお検討すべき課題もございますので、さらに勉強をさせていただきたいと思っております。
 最後に、二院制度における選挙制度のあり方についてのお尋ねでございましたが、参議院の選挙制度のあり方が衆議院の選挙制度と密接に関連する問題であることは御指摘のとおりで、二院制の趣旨が生かされるということを基本に検討されるべきものと考えているところでございます。(拍手)
#10
○副議長(赤桐操君) これにて午後一時まで休憩いたします。
   午前十一時二十分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時一分開議
#11
○副議長(赤桐操君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 国務大臣の演説に対する質疑を続けます。上田耕一郎君。
   〔上田耕一郎君登壇、拍手〕
#12
○上田耕一郎君 私は、総理の所信表明に対し、日本共産党を代表して、細川総理に質問いたします。
 総理は、外交、防衛、経済、エネルギー政策などの基本重要政策について、原則として今までの国の政策を継承すると述べました。それなら、細川内閣の非自民と三十八年間の自民党政治との違いは何で、何のための政権交代だったのか、国民にわかるように具体的に御説明いただきたい。
 何のための政権交代かを最も端的に示しているのが、自民党政府でできなかった小選挙区制を細川内閣が導入しようとしていることです。
 昨日、衆議院で日本共産党不破委員長が、なぜ小選挙区制導入を強行しようとしているのか、真の理由は何かを質問いたしました。総理の答弁に対し改めて質問したい。
 第一、総理は、小選挙区比例代表並立制導入には十分な理由があると答弁されました。しかし、不破委員長が詳細に述べましたように、小選挙区制とは、その選挙区の最高得票者がただ一人当選して、他の候補者の得票はすべて死票となる選挙制度です。今の日本の政党状況では、多数意見が無視され、少数意見が支持したただ一人の議員が政治的にその小選挙区を代表する事態は恐るべきものがあります。
 総理は、比例代表もあるので民意を反映できると答弁されましたが、小選挙区に比例区を組み合わせた並立制も、ドイツの実例が示すように、二大政党への収れんを加速するだけで、世論無視の本質を変えることはできません。
 総選挙の結果に基づく試算では、二百五十対二百五十の並立制でも、第一党の自民党は三三%の得票で何と六割近い議席を得ることになります。したがって、最大の問題は、小選挙区制とは国民世論の多数を制度的に抹殺し、どんな悪政をも強行できる強権政治の体制をつくり出す最も反動的な選挙制度であることにあります。
 国民主権と両立しないこの小選挙区制の本質について総理はどう考えるのか、答弁を求めます。
 第二、総理は、最優先課題としたのは小選挙区比例代表並立制ではなく政治改革だと答弁されました。しかし、所信表明でも、「本年中に政治改革を断行することを私の内閣の最初の、そして最優先の課題」とし、「そのため、選挙制度については」と、第一に小選挙区比例代表並立制を挙げていたではありませんか。総理は、いずれに対して政治責任をとると言われるのか、改めて答えていただきたい。
 第三、総理は、中選挙区の制度疲労の結果として腐敗の拡大とともに政党間の勢力状況の長期固定化を挙げられました。しかし、定数是正を行っていれば、既に一九七〇年には自民党は過半数を割り、政権交代の可能性も生まれていたはずです。定数是正を求めた八六年衆議院本会議での国会決議の実行をなぜ細川内閣は最優先課題としないのですか。答弁を求めたい。
 第四、総理は、穏健な多党制が望ましいと答弁されました。それなら、なぜ二大政党制を加速する小選挙区並立制を強行されるのですか。並行制は民意を反映した小党を事実上疎外することになりますが、この大きな矛盾をどう説明されますか。
 第五、政党助成法には憲法第十九条の思想及び良心の自由、憲法第二十一条の結社の自由違反の疑いがあります。細川内閣は、当面企業・団体献金は続けたまま、その上国民からの税金で三百億円も搾り取ろうというのです。ある自民党議員は、小選挙区制は政党助成法を成立させるために必要だという趣旨をテレビ討論で述べました。一括成立が強く主張されていることもそのためではありませんか。
 以上の諸点について、細川総理の明確な答弁を求めるものであります。
 何よりも許せないことは、細川内閣が常に国民に目を向けた政治が原点だという一見さわやかな言葉に反して、国民世論の大多数、最近のNHKの世論調査では八五%が求めている金権腐敗政治の一掃を、わずか一四%しか望んでいない選挙制度改革にすりかえているまことに奇怪な事態です。
 金権政治根絶のための最も有効な手段は、企業・団体献金の禁止です。第一次選挙制度審議会、六一年の答申で「会社、労働組合その他の団体が選挙又は政治活動に関し寄附をすることは禁止すべきものである。」と答申してから、既に三十二年たっています。経団連でさえ献金あっせんをやめた現在、なぜ細川内閣が即時断行にひるみ、現議員の任期後の五年後に先送りしようとしているのか。これはやらないと同じことです。その理由を明らかにしていただきたい。
 次は、小沢一郎氏のいわゆるけじめ問題です。
 小沢氏は、東京佐川急便事件や竹下内閣成立に暴力団の介入があったという憲政史上かつてない疑惑について深く知っているはずの人物として国会に証人喚問され、再喚問要求も出ていることは御存じのとおりです。総理は、小沢氏の説明でけじめはついたと思っておられるのかどうか、お答えいただきたい。
 総理の佐川清氏との長期にわたる深い関係について、総理は一部を明らかにされました。今、総理となって、国民を驚愕させた佐川急便事件の全貌追及の視点に立って、どう反省し処理されようとしているのか、責任ある答弁を求めたい。
 金大中事件に関する韓国の野党民主党の調査委員会から、日韓の政治決着の過程で朴大統領から田中角栄首相、当時、に三億円の金が流れた疑惑も提起されています。要請に応じて真相解明と疑惑の調査を行うべきではありませんか。
 さらに、小選挙区制がつくり出そうとしている強権政治は、憲法改悪の策謀と結びついています。
 総理は昨日、憲法改正には国民の合意が形成されておらず、現段階において内閣としては政治日程にのせることは考えていないと答弁されました。しかし、総理が党首である日本新党の昨年十二月十六日に発表された政策要綱には具体的な政治目標が盛り込まれています。重大な問題なので、厳正な答弁を求めたい。
 第一点、冒頭の、国連憲章に盛り込まれた理想に沿って、国際平和のための国連常設部隊創設に向けて積極的な国連外交を展開するとは、憲章第七章の国連軍創設を意味するのですか。鳩山内閣は五六年の国連加盟に際して憲法九条の存在から軍事的協力を保留する旨を表明しましたが、その態度も変えるのですか。
 第二点、国連常設部隊に参画するため、自衛隊とは別個の国連平和協力隊を創設し、それを是認する条項を日本国憲法に盛り込むとあります。
 総理自身が編さんした「責任ある変革」には、「日本国憲法の理念を外れる活動が海外で行われることになる」、「無理な解釈で憲法の規範をすり抜けるようなことをしてはならない」と書かれてあります。
 総理は、小沢一郎新生党代表幹事の「日本改造計画」と全く同じ、海外派兵のための公然たる憲法改正が必要という立場ですか。これはソ連崩壊後の国連の現状を見ても、実際には米軍を中核とした国際軍事活動に日本が軍事力を提供するための改憲主張であり、対米追随のミニ超大国への道であることは明白です。
 小選挙区比例代表並立制とは、憲法改悪を可能とする政権と政党制度、何よりも改憲勢力が三分の二以上の議席を占める国会をつくり出すことに隠された最大の目的があるのではありませんか。お答えいただきたい。
 小選挙区制と憲法改悪が日本の政治の日程に上ってきたのは今日の国際情勢と深くかかわっています。総理が所信表明で冒頭から繰り返された冷戦終えん論とは、唯一の超大国として新たに第三世界に焦点を当てた核抑止力、軍事力の再編成を行い、日本に軍事力提供を求めているアメリカの冷戦戦略を覆い隠し弁護するものにほかなりません。
 アメリカ自身が冷戦態勢を認めています。最近、アジアの同盟諸国を歴訪したクリストファー国務長官一行のある米政府高官は七月二十六日、シンガポールで、北アジアでは冷戦が続いていると指摘しました。クリントン大統領は、七月九日、東京での記者会見で、我々はアジア・太平洋の我々のプレゼンスを強化しつつあると述べ、翌十日、韓国国会では、日本での米軍配備について次のように演説しました。我々は日本にベローウッド、強襲揚陸艦上陸作戦指揮群と、世界で最大かつ最も近代的なインディペンデンス、空母戦闘グループを配備している、それらはアメリカがとどまるつもりであることのしるしである。
 私は、この二月調査に参りましたが、昨年秋、佐世保基地を母港としたベローウッドは、いざとなれば沖縄の米海兵隊千八百名を目標国に強襲上陸させる四万トンの巨大な攻撃艦船です。アジア諸国に二千万人もの犠牲を負わせた日本が第三世界を対象とする出撃拠点を米軍に提供することは許されません。過去の侵略を反省する総理の見解を伺いたいと思います。
 そこで質問したい。総理は昨日、不破委員長に、記者会見での侵略戦争と所信表明の侵略行為とは同一の認識と答弁されました。そうであれば改めてはっきりと確認したい。この場で、侵略戦争があの戦争の本質に対する総理の認識だと表明していただきたい。
 同じ旧侵略国としてドイツと日本は余りに対照的です。総理に、被爆者援護法とシベリア抑留者の補償問題について具体的な態度をお聞きしたい。前者は昨年参議院で野党の多数で二回目の可決をいたしましたし、後者については、最近ワシレフスキー元帥あてに、右帰還までの間におきましては極力貴軍の経営に協力するごとくお使い願いたい、と書いた関東軍の報告書も出てきたからです。
 侵略戦争の反省を真剣なものとするためには、その戦争責任を不問に付してきた戦後政治の反省に及ばなければなりません。戦前の侵略戦争に断固として反対し、また、戦後日米安保体制のもとで進められてきた対米追随の政治に反対して闘ってきた党として、日本共産党は世界に誇る憲法の平和原則を厳密に守った非軍事、平和の分野での国際貢献を提唱いたします。
 日米安保条約をやめて、アメリカ追随を断ち切った真の独立国、世界で唯一の被爆国として、非核、非同盟の進路を選び、国連加盟国の三分の二、百八カ国が加盟している非同盟諸国会議に日本も参加いたします。
 所信表明で総理が一言も触れなかった核兵器廃絶、軍事同盟解消、南北問題の解決を初め、地球環境、難民、飢餓、災害などの大問題の解決に日本のすぐれた科学技術、経済力、医療、教育、人的貢献も含めて努力を尽くすことこそ、日本が世界から期待されている国際貢献だと確信しております。
 次に、災害問題と水俣病問題について質問いたしたい。
 既に三年目を迎えた雲仙・普賢岳災害、北海道南西沖地震や西日本を襲った豪雨などで、ことしは既に死者、行方不明者三百六十名を超えております。私どもは、犠牲者、被災者の方々に心からお悔やみとお見舞いを申し上げる次第です。
 金丸事件、ゼネコン疑惑とますます拡大する金権政治の根絶を国民が強く願っているのは、こうした自然災害の苦しみと比べてみても余りに巨額の税金ピンはねと政治家の驚くべき収賄行為がまかり通っているからです。公共事業のあり方の抜本的な改革が今迫られています。
 例えば、鹿児島の豪雨災害についての我が党の調査によりますと、県の施行残箇所千八百余、完成まで何と八十年とされております急傾斜地崩壊対策事業に必要な国、県の予算額は、試算では千四百億円にすぎません。ゼネコン疑惑の徹底追及とあわせて、バブル崩壊で破綻した東京湾臨海開発など、汚職続発の元凶である巨大プロジェクトにばかり集中するのではなく、国民の生命、財産を守るための災害対策事業を最優先課題とすべきです。総理の御所見をお伺いしたい。
 なお、水俣病被害者の救済について、総理は熊本県知事時代に和解勧告を受け入れ、記者会見で、たとえ総理から罷免されても解決をこれ以上おくらせるわけにはいかないと述べ、自民党離党の理由の一つとされました。これは勇気ある発言だと私も思います。さて御自身が総理になられて、和解に踏み切る勇断を示されるのかどうか、お伺いいたします。
 最後に、不況、円高問題を取り上げたい。
 不況はいよいよ深刻で、そこへ急激な円高が襲い、輸出の不振、産業空洞化、大量失業などが心配されています。総理は、新前川レポートの年内策定を指示されたとのことですが、とんでもありません。八五年のプラザ合意を受けた中曽根内閣の前川レポート七年の決算は、対米黒字の増大、円高の進行と惨たんたるものだったからであります。
 第一は、この危機を打開するためには国民生活を豊かにする内需拡大、とりわけ内需の六割を占める個人消費拡大のための政策転換、所得減税、良質の住宅の大量建設を初め、国民の生活環境を重視した社会資本の抜本的整備が必要と考えますが、総理の決意いかん。
 第二は日米経済関係です。
 連立政権の合意事項には、世界平和と軍縮のための責任を果たすと書かれてあります。ところが、アメリカのクリントン政権の軍事予算は、削減どころか、有名なラロック元海軍提督が所長をされておられる国防情報センターの分析によれば、冷戦水準程度かそれよりもさらに高額なものになるであろうというのです。異常円高ドル安是正のためにも、日米首脳会談でアメリカのクリントン政権に対して軍縮を要求する用意と決意があるかどうか、総理にお聞きしたい。
 私ども日本共産党は、小選挙区制、翼賛政治化、憲法改悪などの一切の反民主主義の策動に対して、日本の民主主義、憲法の平和、民主の原則を守る決意を持つすべての国民とともに断固として闘う決意を表明させていただいて、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣細川護熙君登壇、拍手〕
#13
○国務大臣(細川護熙君) 非自民と自民党政治との違いは何かというお尋ねでございましたが、この政権はいわゆる政治改革政権でございますし、政治に対する国民の信頼を回復するための政治改革の実現を最優先の課題としているところでございますが、自民党は長らく政権の座にありながらこの政治改革をなし遂げることができなかったということであろうと思います。したがって、いわゆる非自民と自民党政治との違いはいろいろあろうと思いますが、まずその第一は政治改革に対する姿勢であって、それゆえの政権交代であったろうというふうに認識をいたしております。
 また、政策の内容の点でも、幾つかの基本政策は継承いたしますものの、全般的に自民党政権とは基調を異にするものになると思っておりますし、政権交代そのものが政・官・財の癒着体制の打破などの点で既にそれなりの効果が出始めていることも評価をしていただければと思っているところでございます。
 さきの答弁を踏まえまして、小選挙区制の世論無視の本質は変わらないと考えるがどうかと、こういうお尋ねでございましたが、小選挙区比例代表並立制は、小選挙区制に比例代表制を並立させることによって多様な民意の反映を可能とする制度であって、小選挙区制のみのいわゆる単純小選挙区制とは極めて異なっていると考えております。小選挙区制と並立した比例区が、ドイツの実例が示すように二大政党への収れんを加速するだけというのは、事実の認識を異にしておられるというふうに思っているところでございます。
 それから、最優先課題としたのは小選挙区比例代表並立制ではなくて政治改革だと答弁したが、小選挙区比例代表並立制でなければ何に対して政治責任をとるのかといった趣旨のお尋ねでございましたが、所信表明で私は、選挙制度、腐敗防止、企業・団体献金の三つに関して関連法案を一括させて成立させる決意との趣旨を申し上げたはずでございます。
 定数是正の国会決議についてお尋ねがございましたが、昭和六十一年の国会決議は八増七減によって定数是正がなされた際に行われたものでございますが、これを踏まえて、それ以降抜本的な定数の是正に向けて各党各会派におきまして真剣な御論議をいただいてきているところで、昨年の緊急改革に際しましては、九増十減による是正が行われたことは御承知のとおりでございます。もちろん、格差の是正はかねてより私の極めて重要な関心事でもございますが、しかし中選挙区制下における格差の是正は個々の議員の複雑な利害も絡みますし、今や抜本的な選挙制度の改革を早急に実現しなければ完全には格差是正の実現を見ないと考えているところでございます。
 次に、穏健な多党制が望ましいと答弁したにもかかわらず、なぜ二大政党制を加速する小選挙区比例代表並立制を強行するのかというお尋ねでございましたが、穏健な多党制が望ましいとは申し上げていないつもりでございます。一つの可能性、見通しとして穏健な多党制に収れんしていくのではないかということを申し上げたところでございます。並立制は、多様な民意を国政に反映するという特性を持っている比例代表制を小選挙区制に並立させる制度であって、必然的に二大政党制を加速する制度とは言えないわけで、穏健な多党制と矛盾するものとは考えておりません。
 政党助成法についてのお尋ねでございましたが、政治活動に一定の金がかかることは事実であって、政治活動に要する経費はいわば民主主義のコストと言うべきものと考えております。政党への公費助成は、このような民主主義のコストと言うべきものを国民の御理解のもとに国民全体で負担していただく積極的意義を有する制度であって、憲法上の問題は生じないというふうに認識をいたしております。
 小選挙区制と政党助成法の点についてお尋ねでございましたが、選挙制度と政党助成法を含む政治資金制度の改革を一体として行うのはあくまでも抜本的な政治改革を実現するためのものであって、個々の議員の論評はともかく、いずれか一つの制度を導入する目的で他の制度を導入するものではないと考えております。
 企業・団体献金の点についてのお尋ねでございましたが、公費助成の導入などによって企業などの団体献金の廃止の方向に踏み切ることにつきましては既に所信表明で述べたところでございますが、その内容につきましては現在与党各党の協議をいただいておりまして、五年後に先送りするといった具体的な結論が出ているわけではございません。
 小沢氏のけじめ問題についてお尋ねがございましたが、何がけじめであるかということについては御議論のあるところでございましょうが、小沢さんは証人喚問で知っていることはきちんと述べたとおっしゃっておられますし、また、万が一何か問題があればおやめになるとも述べておられるわけで、私としてはその言葉をそのとおりに受けとめさせていただきたいと思っております。
 佐川急便事件の全貌追及の観点に立って佐川氏との関係についてのお尋ねでございましたが、いわゆる佐川事件については裁判所において公判係属中の事柄などもあり、その推移を見守るべきであると思っております。
 私自身と佐川氏とのかかわりにつきましては、十五年余り前、私の父の家の賃貸借につきまして知人から頼まれて父に紹介したのがきっかけで、その後、政治資金の支援などをいただいたことも事実でございますが、法に基づいて適正に処理いたしているところでございます。その後、私自身はもちろん一切かかわりはございませんし、今後ともみずからに対して厳しい姿勢を心がけてまいりたいと思っております。
 金大中事件につきましてのお尋ねでございましたが、韓国民主党より金大中事件の真相解明のための調査への協力要請がなされていることは承知をしておりますが、しかしながら韓国政府より本件に関する資料提供などについて要請がない現時点におきましては、特別な対応を検討することは考えておりません。
 日本新党の国連常設部隊についてのお尋ねがございましたが、連立政権の樹立に当たりまして、与党八党派は外交、防衛などの基本政策について今までの国の政策を継承することを確認したところでございます。連立政権の性格から、当然各政策分野におきましてさまざまな意見や主張がございましたが、御指摘の点につきましてもその一つでございます。ただ、日本新党として、国連常設部隊の具体的組織や態様について確たる考え方を示しているわけではないということを申し添えさせていただきたいと思います。
 五六年の国連加盟に際して、憲法九条の存在から軍事的貢献を保留する旨表明したが、この態度も変えるのかというお尋ねでございましたが、我が国が国連加盟に当たって何らかの留保を付したとは考えておりません。そういうことが従前からの政府の立場でございます。
 それから、憲法につきまして、海外派兵のための公然たる憲法改正ということをおっしゃいましたが、海外派兵のための憲法改正を唱えたことは一度もございません。
 また、選挙制度についてお尋ねがございましたが、小選挙区比例代表並立制の導入は、現行中選挙区制の弊害を除去し、新しい時代にふさわしい政治の仕組みを確立するためのものであって、御指摘のような認識を私は持っておりません。
 米軍に対する施設の提供についてのお尋ねがございましたが、先日の所信表明演説でも明らかにいたしましたとおり、過去の我が国の行為が多くの人々に耐えがたい苦しみと悲しみをもたらしたことに深い反省とおわびの気持ちを抱いております。
 他方、我が国は、日米安保条約及び関連取り決めに基づいて、我が国の安全に寄与し、極東における国際の平和と安全の維持に寄与する目的で米国に対し施設、区域を提供いたしております。
 冷戦の終結後も国際社会が依然不安定な要因を内包している状況の中で、我が国が引き続き平和と繁栄を享受していくためには日米安保条約に基づく米国の抑止力が必要であって、日米安保体制はアジア・太平洋地域における平和と繁栄を促進するために不可欠であると認識をいたしているところでございます。
 政府としては、今後ともこのような意義と重要性を有する日米安保条約を維持していく所存でございます。
 侵略戦争と侵略行為の認識について改めて確認をしたいということでございましたが、改めて確認するまでもなく、既に申し上げましたとおり、私の認識は明らかであると存じております。
 被爆者援護法についてのお尋ねでございましたが、原子爆弾被爆者援護法案につきましては、一般戦災者との均衡上基本的な問題があるということや、現在の与党各会派のすべてが共同提案者であったものではないということから、その取り扱いにつきましては今後与党内で慎重に考えるべきものであると考えているところでございます。
 シベリア抑留者の補償問題についてもお尋ねがございましたが、シベリア抑留者の補償問題につきましては、昭和五十九年に提言をいただきました戦後処理問題懇談会の報告の趣旨を踏まえまして、政府としては、戦後四十年を経過してなお国に対して強い要望を寄せておられる関係者の心情に深く心をいたし、昭和六十三年に特別基金等に関する法律を制定して慰労金の支給、慰労品の贈呈などを行ってきているところでございます。
 戦後強制抑留者の問題につきましては、今後とも同法に基づく慰藉事業を適切に推進をすることをもって関係者の御心情にこたえてまいりたいと思っております。
 災害対策事業につきましてのお尋ねでございましたが、急傾斜地崩壊対策事業につきましては、五月に閣議決定をいたしました第三次五カ年計画に基づきまして重点的、計画的に事業を実施してまいりたいと思っております。
 それから、水俣病の問題についてのお尋ねでございましたが、水俣病患者の救済につきましては、公害健康被害の補償等に関する法律によりまして、また平成四年度からは、療養手当の支給など水俣病総合対策事業を実施してきているところでございます。これらの行政施策を推進することによりまして水俣病問題の早期解決に努力をしてまいりたいと思っております。
 和解につきましては、訴訟の争点が法に基づく国の行政のあり方の根幹にかかわる問題でございますし、いましばらく慎重に考えさせていただきたいと思っております。
 不況脱出のための対策いかんということでございますが、最近の経済の状況、また冷夏の影響など、景気の回復には予断を許さないものがあるとたびたび申し上げてまいりました。このため、本年度予算やこの四月に決定された新総合経済対策を着実に実施をして、その効果の十分な浸透を図ってまいりますとともに、早ければ九月の中旬までに規制の緩和や円高差益の還元を初めとして、幅広い観点から緊急状態に対応するための施策の取りまとめを行って、それを実行してまいりたいと考えているところでございます。
 なお、所得税の減税につきましては、その経済効果の問題でありますとか、現下の財政事情のもとにおける財源確保の問題でありますとか、いろいろ課題がございますし、いずれにしてもバランスのとれた税体系の構築全体を考える中で取り組むべき課題と考えております。
 アメリカの国防予算の問題についてのお尋ねが最後にございましたが、米国は国防予算削減の努力を進めているところでございますし、アメリカの国防予算が近年削減されつつあることは御承知のとおりでございます。
 同時に米国は、冷戦終了後も国際社会は依然として多くの危険あるいは不安定な要因を内包しているという認識のもとに、必要な防衛体制の維持のための努力を継続しているということでございましょうし、政府としては、米国がこのような努力を継続していることに対して異を挟むことは考えていないという認識でございます。(拍手)
    ―――――――――――――
#14
○副議長(赤桐操君) 森山眞弓君。
   〔森山眞弓君登壇、拍手〕
#15
○森山眞弓君 私は、自由民主党を代表いたしまして、総理の所信表明に対しまして、今までの質問者とできるだけ重複を避けながら、細川総理ほか関係閣僚に質問いたします。
 質問に先立ち、最近相次いで発生いたしました自然災害の被害を受けられた方々に対し、心からお悔やみとお見舞いを申し上げます。そして、政府は速やかに万全の対策を講じられるよう要望いたします。
 最初に、国民の高い支持、期待を受けて細川連立政権がスタートいたしましたことを、まずお喜び申し上げます。どうか国家国民のために責任と信頼ある政治を行って、これにこたえていただきたいと思います。
 私どもも、国民の生活、福祉の向上のため、国家の将来の発展のために必要な正しい政策については御協力申し上げるにやぶさかではありません。新政権の御健闘をお祈りいたします。
 さて、新内閣は政治改革を最大の旗印に誕生いたしました。今、国民の第一の関心事は、新政権が内外の課題をどう克服して国民の期待にこたえていくかということ、そして、衆議院に小選挙区比例代表並立制が導入された場合、今後の政界再編成がどのように進むかということでありましょう。
 一昨年十月、海部内閣のとき、あれほど各党が強く反対し、結局廃案となった小選挙区比例代表並立制が、この七月二十三日、さきがけ日本新党による政治改革政権の提唱として発表されるや、各党がいとも簡単にこれに同調し、基本政策で相入れないと思われる方々が当たり前のような顔をして連立を組まれたことに、私は全く驚き、言うべき言葉を知りませんでした。
 唖然としたのは私ばかりではないと思います。むしろ、例えば社会党の綱領や運動方針に共鳴し、トップの言葉を信じてこつこつと努力してこられた第一線の党員の皆さんなどはさぞびっくりなさったことでございましょう。長年大事に守り、貫いてこられたかに見えたそれぞれの政治理念や信条も、目前の都合次第であっさりとかなぐり捨てられる。政治というものはこういうものなのでしょうか。普通の国民、特に一般の女性、大多数の主婦たちには全く理解しがたいことであります。
 おまえは十三年も国会議員をやっていながら素人のようなことを言うと思われるかもしれませんが、国民のほとんどは素人なのでありまして、私たちはその国民の疑問を明らかにする責任があると思うのでございます。
 基本政策に関するさまざまな矛盾にあえて目をつぶり、無理を重ねてつくられた新政権は、きのうの衆議院本会議における町村信孝議員の日米安保条約に関する質問に対する総理と上原国務大臣の答弁の食い違いにも見られたように、大事な基本問題に対する内閣の姿勢は支離滅裂、内閣として何を考え、何をしようとしていられるのかわからないのであります。こんなことで国の将来は大丈夫なんでしょうか。細川総理と社会党委員長でもある山花国務大臣の御所見を承りたいと思います。
 さらに、参議院議員といたしまして特にお聞きしたいことは、つい先日まで同僚参議院議員でありました細川総理は、御計画の政治改革の中で参議院をどのように位置づけておられるのかということであります。
 憲法上、国会は衆参両院から成ると決められており、すべて法律は両院を通らなければ成立しないことは御存じのとおりです。政治改革には参議院の改革を避けて通れないのであります。さらに申せば、参議院は平成七年夏に次の選挙を控えており、その選挙制度の改革は遅くとも平成六年、つまり来年の夏にはでき上がっていなければ、与野党を問わず困るということは総理御自身よく御承知のとおりでございます。
 そのためには、衆議院の選挙制度改革を年内にと言われるのなら、それとほとんど同時くらいに結論をまとめるべきであると思います。この点いかがお考えかお伺いしたいと存じます。
 次に、行政改革について、特に総理の御専門とも言える地方分権についてお伺いいたします。
 国民が活力に満ち、豊かでゆとりある生活ができる社会を建設するためには、地方分権を一層推進することが必要でありましょう。しかし、行政をできるだけ効率よく行うということも、納税者、国民に対して政治が果たすべき務めであります。権限が中央にある程度集中しているので、全国で同じ基準の行政が行われ、同じ内容のサービスを受けられるといった公平性、効率性が発揮できる面も見逃すことはできません。
   〔副議長退席、議長着席〕
 総理は、この行政の公平と効率ということや行政のコストについてどのように評価されているのか、伺いたいと思います。
 地方分権とは、地域社会に関する行政は第一義的に地方政府が権限と責任を持つという地方主権とも言うべき体制を確立することにあるのではないでしょうか。地方自治体が地域住民のニーズに即した多様な行政サービスを、できる限り効率的に迅速に提供できるような行政能力をみずからの努力によって確立しなければならないと思います。そのために、地域住民の声を吸い上げて、現代の生活圏の時間と空間に合致した広域的な自治体の姿を具体的に描き、その実現に向けて努力することが必要と思いますが、細川連立内閣はどのような地方分権を確立されるおつもりか、お伺いいたします。
 次に、文教政策について伺います。
 私は、さきの宮澤内閣において文部大臣を務め、二十一世紀の日本を担う子供たちの教育のために精いっぱいの努力をいたしてまいりました。この経験を踏まえて、気になります点、主な幾つかを伺いたいと思います。
 新政権は、国の基本政策については前政権のものを継承するとしておられますが、特に教育は時の政治の事情によって左右されてはならないものと考えます。学校教育については憲法、教育基本法に定めるとおり、公正かつ中立な教育の実施、全国的水準の維持、向上が強く求められております。このため、従来から学校教育法に基づいて、学校における教育課程の基準として学習指導要領が定められてきているのでありまして、新政権下においても、公教育としてふさわしい公正かつ中立な教育を実施することは当然のことと考えます。
 現在、新しい学習指導要領において、子供の個性と創造性を伸ばし、みずから考え、主体的に判断し行動できる資質や能力の育成を目指してきたところでありまして、この方針はこれからもしっかりと進めるべきだと考えますが、総理の御所見はいかがでしょうか。
 総理は、我が国が国際社会において相応の責任と役割を果たしていく決意を述べられましたが、学術研究の推進とすぐれた人材の養成は二十一世紀の我が国社会をつくる基礎であり、求められる国際貢献の要請にこたえていく上で極めて重要な課題であります。そのためには、各大学がそれぞれ特色を発揮しつつ、教育研究水準の向上を図ることが大切と考えます。
 現在、戦後最大の規模で大学改革が進められております。各大学においてはカリキュラム改革や教育研究体制の見直しに取り組んでいるところでありまして、今後これらの取り組みを一層進めるべきと考えますが、いかがでしょうか。
 中でも、基礎研究や人材養成の中核的な役割を担って活動している国立大学については、深刻な問題となっている施設設備の老朽・狭隘化の解消について前内閣が特に力を入れ、今年度補正予算において格段の配慮をしたところであります。これを引き続き推進して早急な整備充実を図るべきと考えますが、いかがでしょうか。
 また、教育文化の面における国際貢献としては、留学生の受け入れやユネスコなどを通じた識字教育、文化財保護への協力を充実するなど、より一層のきめ細かな取り組みが必要と思われます。これらの点について総理の御所見を伺いたいと思います。
 さらに、これからの国際化の進展を考えますと、子供たちが将来国際社会において信頼され尊敬される日本人として成長してもらうことが何より大事であります。そのためには、学校教育において自分の国の国旗・国歌の意義を理解させ、それを尊重する心と態度をしっかりと育てるとともに、外国の国旗・国歌に対してもひとしく敬意を表する態度を身につけてもらうことが必要だと思います。このため、我が国の学校教育においては、国民として必要な基礎的、基本的な内容として、学習指導要領に基づいて国旗・国歌に関する指導の徹底を図ってまいりました。
 昭和六十三年三月十五日の参議院予算委員会において内閣法制局長官が、我が国の国旗が日の丸であることは慣習法によって認められており、君が代が国歌であることも国民的確信になっていると答弁しておりますが、新政権もこの点同じお考えと理解してよろしいのでしょうね、確認させていただきたいと思います。
 そして、さきに申した学習指導要領に基づく国旗・国歌に関する指導の方針についても、今後ともいささかも変更すべきものではないと考えますが、総理の御見解を承りたいと存じます。
 次は労働政策についてであります。
 我が国経済は依然として低迷が続いておりますが、こうした状況の中で最も懸念されますのは雇用の動向であります。有効求人倍率は、昨年十月に一倍を切ってからも低下を続けており、六月には〇・七四倍になるなど、最近大幅な減少が続いております。また、失業率も二・五%とやや上昇しておりまして、雇用失業情勢は非常に厳しい状況にあります。
 また、雇用調整の話とか新規学卒者の厳しい就職状況など、連日報じられておりまして、今後につきましても急激な円高など、経済の先行きは非常に不透明であり、雇用情勢は今後一層難しくなるという心配があります。こういう状況は国民生活の安定という観点から最も憂慮すべきことではないでしょうか。
 総理は、最近の雇用失業情勢をどのように見ておられるのか。また、それに対する対策をどう進められるお考えなのか、お伺いしたいと思います。
 我が国は世界一の長寿国となっており、さらに二十一世紀の初頭には国民の四人に一人は高齢者という超高齢社会を迎えることが見込まれております。長寿ということはそれ自体喜ばしいことでありますが、他方、出生率の低下と相まって諸外国に例を見ないスピードで国全体としての高齢化をもたらしております。
 このような高齢化の進展により、人生六十年時代を前提としてつくり上げられた今の経済社会システムにはさまざまな不都合が生じてきており、昨日は年金の問題が出ておりましたが、雇用の面においても解決すべき問題が多々あると考えられます。すなわち、我が国の高齢者は長く働き続けることを希望する者が多いし、その経験、能力の活用は経済社会のためにも必要でありますのに、現実には高齢者を取り巻く情勢は極めて厳しく、企業においても高齢者を活用する体制は十分ではありませんから、健康で、能力、意欲があっても高齢者の働く場は狭く限られているというのが現実であります。
 このような状況を踏まえ、今後二十一世紀初頭における超高齢社会の到来に向けて、高齢者の雇用環境をどのように整備していくお考えか、労働大臣の御見解をお伺いします。
 次に、障害者雇用対策についてお尋ねします。
 ことしは、アジア太平洋障害者の十年の始まりの年であります。前内閣においても、ことし三月には障害者対策に関する新長期計画を策定いたしまして、総合的な障害者対策の展開を図ってまいりました。しかしながら、就職を希望する障害者を取り巻く状況は非常に厳しいものがあります。
 我が国の就業率は全体としては約六〇%であるのに対しまして、身体障害者の就業率は約三〇%にとどまっております。民間企業の障害者雇用率は一・三六%で、法律で定められた雇用率の一・六%にはなお隔たりがあり、雇用率を達成していない企業が五割近くにも上っております。特に、視覚障害、脳性麻痺などの重度身体障害者や精神薄弱者、精神障害者の雇用が立ちおくれている状況にあります。
 景気が低迷し、雇用失業情勢の厳しい中、一人一人の生活を大切にするとおっしゃる立場から、働く意欲と能力を有する障害者の方々に雇用の場を確保する対策には特別に力を入れていただく必要があると考えますが、労働大臣の御見解をお伺いいたします。
 次に、外国人労働者の問題について伺います。
 今日、経済の国際化に伴い外国人労働者の我が国への入国、在留が増加しており、中には不法滞在者も少なくない状況でありまして、外国人労働者問題が関心を集めております。
 これまで我が国は、専門的、技術的職種については外国人も積極的に受け入れ、また技術研修の範囲を拡大し、技能実習の制度を設けるなどいたしまして国際協力に努力してまいりました。しかし、いわゆる単純労働者を受け入れるという国は世界じゅうどこにも例がありませんし、我が国も単純労働者は受け入れないという基本的な考え方をとってまいりました。
 先般、労働大臣が単純労働者についても中長期的な視点から受け入れを検討する意向を示されたと聞きました。これは、とりようによっては重大な政策変更とも考えられ、今後我が国の雇用、産業はもとより、教育、福祉、治安、財政など国民生活全般にわたってさまざまな影響をもたらすこともあり得るものと思われます。労働大臣のこの発言の真意はどこにあるのか、外国人労働者問題に対する労働大臣の基本的な考え方をお聞かせいただきたいと思います。
 次に、労働時間の短縮について伺います。
 労働時間の短縮は、勤労者とその家族にゆとりと豊かさをもたらし、職業生活と家庭生活あるいは地域生活との調和を図り、総理の言われる生活者優先の文化の香り豊かな実のある生活様式の実現を目指す上で最も重要な課題の一つであります。
 我が国の労働時間の現状を見ますと、平成四年度の年間総実労働時間は千九百五十八時間となりまして、初めて二千時間を割り込むことができましたが、まだ欧米諸国と比較すると年間百時間から五百時間ほどの格差があります。
 新政権においては年千八百総労働時間の早期実現を政策目標として掲げておられますが、これをどのような方法で達成しようとされているのか、労働大臣の具体的なお考えをお伺いしたいと思います。
 次に、女性対策についてお伺いします。
 私は、女性の地位の向上を図り、女性が社会のあらゆる分野でその能力を発揮し、生き生きと暮らせる社会を築くことは国の政策の中でも最も重要な課題の一つと考えて、今日まで私なりに努力を続けてまいりました。
 その意味で、このたびの新内閣に女性閣僚が初めて三人登用されたことは心強いことであり、新任の三大臣に心からお祝いを申し上げます。
 さらに、宮澤内閣で初めて設けられた女性問題担当大臣が細川内閣でも続けて置かれたことを歓迎いたします。
 そして、この際、武村内閣官房長官の女性問題担当大臣としての抱負をぜひお伺いしたいと思います。
 さらに、宮澤内閣では男女共同参画型社会に関する推進体制を整備していく方向を決定いたしましたが、婦人問題企画推進本部の本部長としての細川総理に、この体制整備に関する取り組みについてお考えを伺いたいと思います。
 また、女性の地位向上のためには経済的な自立がその基盤となるものでありまして、この意味で労働省は大きな役割を担っていると考えます。
 男女雇用機会均等法が施行されて七年が経過し、働く女性の数が千九百七十四万人、雇用者全体の三八・六%を占めるに至り、女性の職場進出は目覚ましく、中でも、結婚しても仕事を継続する女性が大変増加しております。こうした中で、女性が職場で能力を発揮できるようにするための環境整備は喫緊の課題となっています。とりわけ、ことしの就職活動は女子学生にとって非常に厳しいと伝えられていますが、職場における男女の機会均等はまだまだ不十分な点があるのではないでしょうか。
 このような状況をどう認識し、どう対処しようとしているのか、また、今後機会均等法の見直しということも考えられているのかどうか、お伺いいたします。
 また、既婚女性が仕事を続けようとした場合、多くの女性が悩むのが育児、介護などのいわゆる家族的責任です。折しも来年は国連が定めた国際家族年であります。政府としては、この国際家族年を契機に、家族的責任、特に育児や介護と仕事との両立を支援する政策の充実を図るべきと考えますが、労働省としては今後どのように取り組んでいかれるのか、労働大臣の見解をお伺いいたします。
 さらに、こうした職場における機会均等の推進のための施策や家族的責任と仕事との両立対策が効果を発揮するためには、社会全体に根強く残っている男女の性別役割分担意識やそれを前提とした制度、慣行などを見直していくということが重要と考えますが、この点については今後どのように取り組んでいかれるおつもりか、労働大臣にお伺いいたします。
 先日聞かせていただきました細川総理の所信は、ところどころに目先の変わった表現を使ってはおられましたが、内容には特に新しいものは見当たらず、御自身で基本政策は前政権のものを引き継ぐとおっしゃっているとおり、今までの自由民主党内閣の政策とほとんど同じという印象を受けました。こんなことなら、つい先日まで野党だった現連立与党の皆さんのあのころの言動は一体何だったのかと不思議な感じがいたしますとともに、改めて我々自由民主党の政策に自信を深めたのであります。
 しかし、総理の所信はいかにも抽象的な言葉が並んでいるだけと思われましたので、私といたしましては、特に関心ある幾つかの重要事項について確認をいたしたく質問をさせていただいたのでございます。いずれも、質の高い実のある国づくりと言われる細川政権のキャッチフレーズにかかわりの深いものばかりです。ぜひ細川総理を初め関係大臣から、明確な、具体的な御答弁をくださるようお願い申し上げまして、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣細川護熙君登壇、拍手〕
#16
○国務大臣(細川護熙君) まず、小選挙区比例代表並立制についてのお尋ねがございましたが、今御指摘がございましたように、私ども統一会派さきがけ日本新党の政治改革政権の提唱には、小選挙区二百五十名、比例代表二百五十名による小選挙区比例代表並立制を基本とするという一項が確かにございました。
 連立を構成する八党派は、この提案に全面的に御賛同をいただいたものと理解をしておりますが、その際の各党の対応の経緯につきましては、それぞれの党の自主的な御判断に基づくものでございますから、私から申し上げることは差し控えさせていただくのが適当と思っております。
 ただ、国民の政治に対する信頼を回復するための政治改革の実現が緊急の必要性を持つものであるという共通の認識と決意がすべての面で歩み寄りを可能にし、この政権を生むに至ったものと理解をしているところでございます。
 参議院選挙制度の問題についてのお尋ねでございましたが、参議院の選挙制度のあり方につきましては、衆議院の選挙制度と密接に関連する問題でございますし、二院制の趣旨が生かされることを基本に検討すべきものと考えておりますが、まず、おおむね各党間の認識が一致している衆議院の改革について御審議をいただき、その結論を得た後引き続き各党間で十分御論議を賜って、できるだけ早い時点に合意点を見出していただければと考えているところでございます。
 行政コスト、行政の公平と効率の評価ということについてのお話でございましたが、全国的な行政水準、サービスの維持を図る必要があることは御指摘のとおりでございますが、同時に、地域の特色や自主性が反映される活力に満ちた地域行政を展開していくことも極めて重要な課題であると思っております。国、地方を通じまして行政改革を推進し、行政の簡素化、効率化を図る必要があることは改めて申すまでもないことでございます。
 そうした観点から、政府としては、今後、臨調・行革審答申などに沿って権限の委譲なり国の関与や必置規制の緩和などに一層努めてまいりたいと思っておりますし、その具体的な成果を上げるべく強い決意で取り組んでまいりたいと考えているところでございます。
 地方分権の点についてもお尋ねがございましたが、東京一極集中を是正して国土の均衡ある発展を図り、地域の特色や自主性が反映される活力に満ちた地域行政というものを展開していくために、地方の主権を確立していくということは極めて重要な課題であると認識をいたしております。
 今後、権限委譲などできる限り積極的に進めてまいりますとともに、いわゆるパイロット自治体制度の実施、あるいはまた地方制度調査会から出されております広域連合制度などにつきましても、できるだけ早くその制度化を図っていきたいと考えているところでございます。
 いずれにしても、地方の自主性、自立性の確立ということは極めて重要な課題でございますし、私としても具体的な成果を上げるべく取り組んでまいるつもりでございます。
 教育についてのお尋ねが二点ほどございましたが、教育の中立性を確保し教育水準の維持向上を図ってまいりますためには、教育が教育課程の基準としての学習指導要領に基づいて適切に実施をされることが必要であると思っております。
 新学習指導要領は、私が申し上げるまでもなく、子供たち一人一人が生涯にわたって個性を発揮しながら創造的に生きていくことができる力をはぐくむことを目指しているものでございますが、今後とも新学習指導要領の趣旨が実現をされ、子供たち一人一人が豊かに生きていくために必要な力を確実に身につけていくことができるように努力をしてまいりたいと思っております。
 大学改革の取り組みについてでございますが、我が国が今後あらゆる分野で活力を維持し、積極的に世界に貢献していくためには、学術の振興と人材の養成を担う大学の改革を進めていくことがぜひとも必要だと思っております。そういうことから、大学教育の基本的な枠組みを定めた大学設置基準が大幅に簡素化、大綱化されるなど、各大学が個性豊かな教育を自由に展開し得るように改革がなされたものと承知をいたしております。
 こうした制度改正によって、現在、各大学におきましては、カリキュラムの改善を初め、大学の個性化、高度化に向けて相当な改革が進められているものと認識をしておりますが、今後とも各大学の改革への取り組みを積極的に促して支援をしてまいりたいと考えているところでございます。
 国立大学の施設設備につきましてお尋ねがございましたが、学術研究の推進と有為な人材育成についての中核的な担い手である国立大学の教育研究条件の改善充実は、将来にわたる我が国の発展と国際的貢献の上でも大変重要な課題と認識をいたしております。財政事情が厳しい中ではございますが、今後とも国立大学の教育研究条件の一層の改善充実のために、施設費、設備費などにつきましてできるだけの努力を払ってまいりたいと思っております。
 留学生の受け入れ、識字教育、文化財保護の点についてもお尋ねがございましたが、教育文化の国際交流、国際貢献は国際的な相互理解を促進し、真の友好関係を築いていく上でも重要な意義を持っていると考えております。そういう観点に立って、従来から、留学生交流に関して二十一世紀初頭における十万人の受け入れに向けての施策が進められている一方で、識字教育につきましてもその進展のための教材の共同開発でありますとか指導者の研修事業への協力などに取り組んでこられたところでございます。
 また、文化財の保護に関しましても、研究者の交流や共同研究などの施策の推進に努めてきているところでございまして、今後ともさらに努力をさせていただきたいと思っております。
 国旗・国歌についてのお尋ねでございましたが、国旗・国歌につきましては、長年の慣行によって日の丸が国旗、君が代が国歌であるとの認識が確立をし、広く国民の間にも定着していると考えられますので、従前どおり政府としても、また私自身としても、日の丸・君が代を国旗・国歌として尊重してまいりたいと思っております。
 学習指導要領に基づく国旗・国歌の指導方針についてでございますが、子供たちが将来国際社会において尊敬され、信頼される日本人として成長するためには、我が国の国旗・国歌はもとより、諸外国の国旗・国歌に対する正しい認識とそれらを尊重する態度を育てることが大変大事なことと認識をいたしております。新学習指導要領におきましても、社会科や入学式、卒業式などにおける取り扱いが明確化されたところでございます。今後とも国旗・国歌の取り扱いにつきましては、学習指導要領に基づいて適切に指導をいたしてまいりたいと思っております。
 雇用問題についてのお尋ねでございましたが、雇用失業情勢は有効求人倍率が低下するなど厳しい状況にあるところでございますが、このような状況のもとで、雇用対策として引き続き雇用調整助成金制度の機動的な活用など、対策の充実に努めてまいりたいと思っております。
 男女共同参画型社会に関する推進体制についてのお尋ねでございましたが、女性に関する施策は各省ばらばらでなく総合的に推進されることが重要であって、お話にもございましたように、現内閣では、さきの内閣からそうでございますが、女性問題担当大臣を内閣のかなめである官房長官にお願いをし、また私自身も婦人問題企画推進本部の本部長という立場でございますが、そういう立場で政府として推進本部の体制をできる限り整備をして取り組んでまいりたいと思っているところでございます。
 残余のお尋ねにつきましては、関係大臣からお答えをさせていただきます。(拍手)
   〔国務大臣山花貞夫君登壇、拍手〕
#17
○国務大臣(山花貞夫君) 森山議員の私に対する質問には二つのポイントがあったと思っています。
 前段は、野党各党が、去る七月二十三日、新党さきがけが提唱した小選挙区並立制を含む提唱について、これにいとも簡単に同調したことに驚き、言うべき言葉を知らないという点でございました。
 しかし、連立与党に参画した私たちは、決していとも簡単に同調したものではありません。我々だけではなく、他の連立与党の皆さんも共通の認識だったと思いますけれども、何よりも選挙における有権者の皆さんの審判の結果を重んじたのであります。
 さきの総選挙は国民の皆さんの政治不信が極限に達した中で行われ、その結果自民党にかわる新しい政権を樹立する機会が示されました。私たちは、━━━━自民党にかわる新しい政権を樹立することによって、自民党政権のもとではできなかった政治腐敗根絶策と選挙制度の改正を一体とした政治改革を断行することが政治不信を解消し国民の負託にこたえるものと判断し、連立政権樹立を政治決断したものであります。その条件に小選挙区比例代表並立制も含まれていたことからこれを受け入れたものでありまして、その際、解散前の国会で自民党が単純小選挙区制から一歩も動かず、国民の求める政治改革を実現することができなかったという経過についても十分踏まえたものでありました。
 次に、後段の御指摘は、それぞれの政治理念や信条をかなぐり捨てたとされておりますけれども、そのようなことは全くありません。昨日もその内容を御紹介いたしましたとおり、連立政権の樹立に当たりましての合意をお読みいただきますならば、そうした誤解については完全に解消されるものと考えているところでございます。憲法の理念と精神を尊重し、戦争への反省を明確にすることなど、昨日具体的な内容を御紹介させていただいたところでございますけれども、こうした点を十分御理解いただきたいと思う次第でございます。
 若干、党の立場でのお話もさせていただきましたが、閣僚としての私の立場からするならば、連立政権の合意事項に沿った施策を推進していくこととなりますけれども、まずは私の担当であり内閣の最優先の課題でもあった政治改革の本年度中の実現に向けて全力で取り組んでいく決意でございます。(拍手)
   〔国務大臣坂口力君登壇、拍手〕
#18
○国務大臣(坂口力君) 森山先生からは七つの質問をちょうだいいたしました。逐一お答えを申し上げたいと存じますが、まず最初に、高齢者雇用対策についての御質問でございます。
 人生八十年時代において我が国経済社会の活力を維持していくためには、高齢者の豊かな知識や経験を生かしまして六十五歳まで現役として働けるような環境づくりを進めていくことが極めて重要な課題であると認識をいたしております。
 このため、今後においては企業の職場環境を高齢者が働きやすいように改善し、希望する高齢者が六十五歳まで再雇用その他いろいろの形で働き続けることができるような雇用の仕組みを企業につくってもらうことを柱といたしまして、高齢者が六十五歳まで現役として働けるような環境づくりを進めてまいりたいと考えております。そのため、労働省といたしましては、高年齢者雇用安定法の改正も含めまして、積極的に対応したいと考えているところでございます。
 障害者雇用につきましても御質問がございました。
 関係者の努力にもかかわりませず、所定の雇用率が達成されておりませんことは、先生の御指摘のとおりでございます。また、最近の景気停滞によりまして、障害者を取り巻く雇用環境は一層厳しいものとなっているところでありまして、この雇用の安定に向けて万全を期していきたいと考えております。
 さらに、障害者雇用をめぐる当面の大きな課題は、福祉関係施設に入所している人など、これまでの雇用対策では対応が困難でありました重度障害者の雇用の促進であります。専門的な人を配置してきめ細かな援助を行います職業リハビリテーションの実施体制の整備や、通勤、住宅、福祉施設等の面で働きやすい環境づくりを進めていくことが重要であると存じます。このため、重度障害者の雇用対策の総合的な展開が可能となるよう障害者雇用促進法の改正を含めまして、積極的に施策を展開してまいりたいと考えておりますので、何とぞ御協力のほどよろしくお願いを申し上げたいと存じます。
 三番目は、外国人労働者の受け入れの問題でございます。
 外国人労働者の受け入れにつきましては、専門的、技術的分野の労働者は可能な限り受け入れることとし、単純労働者については慎重に対応することが現在までの方針でございます。既に、我が国には合法不法を問わず、合わせて六十万人以上の外国人労働者が就労していることも事実でございます。労働省は、外国人労働者の雇用の安定と労働条件の確保を進める一方、関係省庁と連携いたしまして不法就労対策を推進してきたところでございます。また、本年四月には技能実習制度を発足させたところでございます。
 単純労働者の受け入れにつきましては、我が国の雇用情勢に重大な影響を与えるなど、経済社会に広範な影響を及ぼす問題であります。また一方で、単純労働者を必要とする声もありまして、いろいろな意見に耳を傾け、国民的コンセンサスを図りながら関係省庁とも十分話し合い、中期的視点に立って検討していく必要がございます。
 私がこの問題を申しましたのは、将来の問題といたしまして、一つは、日本に必要な人だけを入れるだけで果たしていいか、そして、諸外国の皆さん方の御意見は聞かなくていいかどうか、そうしたことも含めまして私は申し上げたわけでございます。
 いずれにいたしましても、外国人労働者の我が国への受け入れに当たりましては、技能移転など途上国に対する貢献という視点が不可欠であると考えております。これは、村上前大臣のときにおつくりをいただきました技能実習制度、まことに立派な制度でございますので、この技能実習制度の充実、拡大で私の趣旨は達せられると考えているところでございます。
 労働時間の短縮についてでございますが、勤労者のゆとりある生活を確保するため、年千八百総労働時間の早期実施に全力で取り組んでまいりたいと考えます。このため、週四十時間制の実施を目指す改正労働基準法の円滑な実施を図る中で、週休二日制の普及に努めるとともに、年次有給休暇の取得促進、残業の削減等を図ってまいりたい。
 特に、時短が進めにくい状況にあります中小企業につきましては、本年度に創設された時短を行った中小企業に対する奨励金制度の積極的な活用を図るなど、中小企業の実情に配慮したきめ細かな対策を講じてまいりたいと考えております。
 職場の機会均等についてでございますが、男女雇用機会均等法が施行されて七年を経過しました現在、以前に比べれば法の趣旨は着実に浸透していると認識をいたしております。しかしながら、問題のある企業も残っておりますので、労働省といたしましては引き続き法の定着に努めてまいりたいと思います。
 特に、来春卒業予定の女子学生につきましては、男子学生に比べて採用抑制が厳しいと懸念されていますところから、女子学生のための特別相談活動を実施し、さらに主要使用者団体に対しましても男子学生と均等な機会を与えるよう要請したところであります。また、来月から各種団体に雇用促進のためのお願い行脚をしたいと考えておりますが、その中でも女子学生に対する積極的な採用についてお願いをしたいと思っているところでございます。
 男女雇用機会均等法の見直し等につきましては、現在、関係審議会において検討していただいているところでありますので、その動向を踏まえて対応したいと思います。
 職業と家族的責任の両立支援策についてでございます。
 来年は国際家族年でございますし、御指摘のとおりでございます。労働者が家族的責任との両立を図りつつ、その能力や経験を生かして働くことができる環境を整備することは極めて重要と考えております。特に、合計特殊出生率が一・五〇と急激な低下を来しておる環境でございますだけに、女性の労働環境を整備しなければならないと思っております。
 このため、労働省では、育児休業法に基づく育児休業制度の定着、介護休業制度等に関するガイドラインに沿いました介護休業制度の普及促進などに取り組んでいるところでございます。来年の国際家族年を一つの契機として、今後さらに職業と家族的責任の両立支援策の充実を図ってまいりたいというふうに思います。女性の労働環境の整備は、日本の労働行政最大の柱であると認識をいたしております。
 最後でございますが、女性の地位向上につきましては先ほども申し述べましたとおりでございますが、女性の地位向上を図ることは労働省の最も重要な使命の一つであり、こうした観点から、これまで男女の固定的な役割分担意識を初め、社会の制度、慣行、慣習等を見直すための啓発活動に取り組んできたところであります。労働省といたしましては、今後とも女性の地位向上のための広範な活動を引き続き行ってまいりたいと思います。
 また、妻は家庭内にとどまり夫に扶養されることが通常であった社会を背景としてつくられました社会制度等の見直しについて、先般、婦人少年問題審議会から関係大臣に対して建議がなされたところであり、労働省といたしましても、この建議が生かされるよう必要に応じて関係者に働きかけを行っていきたいと考えておりますので、何とぞ御指導をいただきますようお願いを申し上げたいと思います。
 ありがとうございました。(拍手)
   〔国務大臣武村正義君登壇、拍手〕
#19
○国務大臣(武村正義君) 今、労働大臣から女性問題につきましても大変詳しく熱意のこもった答弁がございました。
 女性問題は、ひとり雇用問題だけではありません。育児の問題もございますし、教育の問題等々ございます。大変幅の広い問題でございますだけに、全体として総合的にとらえていくことが大変大事だというふうに認識をいたしております。労働大臣と同じように、男は仕事、女は家庭という古い考えを捨てまして、女性がより積極的に社会参加のできる日本を目指して頑張っていきたいと思っております。
 内閣には三人の女性大臣がおられますから、三人の女性大臣のお知恵も十分おかりをいたしたいと思っていますし、こうして議場を拝見いたしますと、参議院は大変女性の議員が多うございます。ぜひこの問題につきましては、女性の議員各位の御叱正と御支援を心からお願いを申し上げます。(拍手)
#20
○議長(原文兵衛君) ただいま理事が協議中でございます。しばらくお待ちください。
 先ほどの森山君の質疑に対する山花国務大臣の答弁につきましては、速記録を調査の上、議長において適切な措置をとります。
 これにて質疑は終了いたしました。
     ―――――・―――――
#21
○議長(原文兵衛君) 日程第二 平成二年度一般会計歳入歳出決算、平成二年度特別会計歳入歳出決算、平成二年度国税収納金整理資金受払計算書、平成二年度政府関係機関決算書
 日程第三 平成二年度国有財産増減及び現在額総計算書
 日程第四 平成二年度国有財産無償貸付状況総計算書
 以上三件を一括して議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。決算委員長大渕絹子君。
    ―――――――――――――
   〔審査報告書は本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
   〔大渕絹子君登壇、拍手〕
#22
○大渕絹子君 ただいま議題となりました平成二年度決算外二件につきまして、決算委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
 平成二年度決算は、平成四年一月二十四日に提出され、同年六月十七日委員会に付託となり、また、国有財産関係二件は、同年一月二十四日に提出され、同日委員会に付託となりました。
 委員会におきましては、国会が議決した予算及び関係法律が適正かつ効率的に執行されたかどうかを審査し、あわせて政府施策の全般について広く国民的視野から実績批判を行い、その結果を将来の予算策定及びその執行に反映させるべきであるとの観点に立ち、審査を行ってまいりました。
 全体で十一回に及んだ委員会質疑では、決算否認と内閣の責任、決算の早期提出、会計検査院の検査体制の充実強化、最近の税収動向と景気対策、国保財政調整交付金の不適正な受給、公共工事の契約をめぐる諸問題、湾岸平和基金からの財務報告のおくれ、佐川急便グループをめぐる諸問題等について論議が交わされましたが、詳細は会議録に譲りたいと存じます。
 従来、決算の議決方式は、第一に決算の是認、第二に内閣に対する警告から成っておりました。前国会の理事会におきまして、決算を是認するか否かにかかわらず、委員会審査にあらわれた政府の財政運営等の問題点を警告として議決すべきであるとの提案がありましたが、これに対し、決算を是認しないときには警告は行わないとの従来の扱いを変更すべきではないとの反対意見が示され、今回も警告の取り扱いについて各会派の意見が一致せず、決算を是認するか否かの議決のみを行うことになりました。
 なお、警告の取り扱いにつきましては、今後も引き続き協議することが確認されました。
 質疑を終わり討論に入りましたところ、日本社会党・護憲民主連合を代表して中尾委員、公明党・国民会議を代表して木庭委員、民社党・スポーツ・国民連合を代表して直嶋委員、日本共産党を代表して高崎理事、民主改革連合を代表して井上委員より、それぞれ是認することに反対の意見が述べられ、また、自由民主党を代表して鈴木理事より、是認することに賛成の意見が述べられました。
 討論を終わり、平成二年度決算外二件を順次採決に付しましたところ、これら三件はいずれも賛成少数をもって是認すべきものでないと決定いたしましたが、衆議院の解散に伴い、本会議において議決されることなく、審議未了となりました。
 これが前国会までの経過であります。
 これら三件は、今国会において改めて本委員会に付託されましたが、従来の慣例に従い、これまでの審査の経過を認めることとし、採決のみを行うことに決しました。
 このような経過を経て、平成二年度決算外二件を順次採決に付しましたところ、前国会と同様に、これら三件はいずれも賛成少数をもって是認すべきものでないと決定いたしました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#23
○議長(原文兵衛君) これより採決をいたします。
 まず、日程第二の平成二年度決算について採決をいたします。
 本件決算を是認することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#24
○議長(原文兵衛君) 少数と認めます。
 よって、本件決算は是認しないことに決しました。
 次に、日程第三の国有財産増減及び現在額総計算書及び日程第四の国有財産無償貸付状況総計算書を一括して採決いたします。
 両件を是認することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#25
○議長(原文兵衛君) 少数と認めます。
 よって、両件は是認しないことに決しました。
     ―――――・―――――
#26
○議長(原文兵衛君) 文教委員長及び厚生委員長から報告書が提出されております日程第五ないし第八の請願並びに本日農林水産委員長から報告書が提出されました米市場開放阻止に関する請願を一括して議題とすることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#27
○議長(原文兵衛君) 御異議ないと認めます。
    ―――――――――――――
   〔審査報告書は本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
#28
○議長(原文兵衛君) これらの請願は、各委員長の報告を省略して、各委員会決定のとおり採択することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#29
○議長(原文兵衛君) 御異議ないと認めます。
 よって、これらの請願は各委員会決定のとおり採択することに決しました。
     ―――――・―――――
#30
○議長(原文兵衛君) この際、委員会及び調査会の審査及び調査を閉会中も継続するの件についてお諮りいたします。
#31
○議長(原文兵衛君) 本件は各委員長及び各調査会長要求のとおり決することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#32
○議長(原文兵衛君) 御異議ないと認めます。
 よって、本件は各委員長及び各調査会長要求のとおり決しました。
     ―――――・―――――
#33
○議長(原文兵衛君) この際、お諮りいたします。
 決算委員長大渕絹子君から委員長を辞任いたしたいとの申し出がございました。
 これを許可することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#34
○議長(原文兵衛君) 御異議ないと認めます。
 よって、許可することに決しました。
     ―――――・―――――
#35
○議長(原文兵衛君) この際、欠員となりました決算委員長の選挙を行います。
 つきましては、決算委員長の選挙は、その手続を省略し、議長において指名することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#36
○議長(原文兵衛君) 御異議ないと認めます。
 よって、議長は、決算委員長に三上隆雄君を指名いたします。
   〔拍手〕
     ―――――・―――――
#37
○議長(原文兵衛君) 今期国会の議事を終了するに当たり、一言ごあいさつを申し上げます。
 今特別国会においては、先月実施された総選挙の結果を受けて、内閣総理大臣の指名を行ったほか、内閣総理大臣の所信表明及びこれに対する質疑が行われました。また、さきの北海道南西沖地震及び九州地方の豪雨による被害の実情調査を行いました。
 ここに、議員各位の御尽力に対しまして、衷心より感謝申し上げる次第であります。
 内外の時局いよいよ多端の折から、議員各位におかれましては、御健康に留意され、ますます御活躍くださいますようお願い申し上げましてごあいさつといたします。(拍手)
 これにて散会いたします。
   午後二時四十七分散会
ソース: 国立国会図書館
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