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1993/08/25 第127回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第127回国会 本会議 第5号
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1993/08/25 第127回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第127回国会 本会議 第5号

#1
第127回国会 本会議 第5号
平成五年八月二十五日(水曜日)
    ―――――――――――――
 議事日程 第七号
  平成五年八月二十五日
    午後一時開議
 一 国務大臣の演説に対する質疑
    ―――――――――――――
○本日の会議に付した案件
 国務大臣の演説に対する質疑
    午後一時三分開議
#2
○議長(土井たか子君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
 国務大臣の演説に対する質疑
#3
○議長(土井たか子君) これより国務大臣の演説に対する質疑に入ります。河野洋平さん。
    〔河野洋平君登壇〕
#4
○河野洋平君 私は、自由民主党・自由国民会議を代表いたしまして、一昨日の細川総理の所信表明演説について質問をいたします。
 質問に先立ちましてい先月の北海道奥尻町を中心に大きな被害を出しました南西沖地震、鹿児島を中心とする豪雨災害、既に二年余りを超える普賢岳噴火など、たび重なる自然災害によってとうとい命を失われ、あるいは大きな被害を受けられた皆様方に対し、心よりお悔やみとお見舞いを申し上げたいと存じます。また、政府には、でき得る限りの善後策を迅速にとられるよう要望いたしておきます。(拍手)
 細川総理、私は今、若干複雑な思いを抱きながらこの場に立っております。総理と私がこういう形でこの壇上で対峙するとは、わずか数週間前まで思いも寄らぬことでありました。国民の皆さんもまた、まさに「変革の時代」、その到来をお感じになっておられることと思います。まず、この内外の情勢極めて困難な折に首班をお引き受けになった細川さん、あなたの勇気と心意気を多としたいと思います。(拍手)
 言うまでもなく、このたびの細川八党派連立内閣の発足は、三十八年ぶりの自民党以外の勢力による内閣として内外の注目を浴びております。政党政治の妙味は、二つ以上の政党の切磋琢磨によって国民の利益を増進させることにある、こう思っておりますから、その点で、政権交代が久しく行われなかった我が国の状況は、政党政治のメリットを完全に生かし切っていなかったということになるかもしれません。政権交代は、下野する我々にとって極めて残念なことではありますが、大局に立って、積極的な意味合いを評価したいと思います。(拍手)
 細川総理のキャッチフレーズは、「責任ある変革」だとか聞いております。政治や行政の改革に積極的な姿勢をおとりになる、こういうことだと思います。内外の情勢はまさに変革を求めておりまして、細川内閣が国民にとって正しい政策を展開しようとなさるならば、我々自由民主党も積極的にこれをバックアップしてまいりたい、そう考えております。また、批判すべきはきちんと批判をして、お互いに切礎琢磨、日本の議会政治の発展と国民生活の向上に努めたいと考えております。(拍手)
 さて、承った御所信の中には、傾聴すべき点がありました。ラフカディオ・ハーンの言葉を引いて、「質の高い実のある国づくり」を訴えられたくだりは、まさに保守政治のエッセンス、エートスといいますか、これを語られたものとして共感を持った次第であります。また、政治改革の本年中の断行を宣言されたことも、出処進退を明確にされた言葉として重く受けとめさせていただきます。(拍手)
 しかし、一方で、演説を伺っていても一向にはっきりしないのは、細川総理が、日本という国の将来の姿を具体的にどのように導いていくおつもりなのか、その目指すものが何であるかということであります。
 総理は、「終戦以来の大きな曲がり角」と言い、「新しい歴史の出発点」「新しい時代の幕あけ」「新しい時代のための変革に着手する」など、たびたび「新しい」「新しい」を連発なさいました。言葉は実にすがすがしいのでございますが、では一体何が曲がり色なのか、総理が目指そうとする新しい時代とは一体どんなものなのか、その内容、理念は必ずしもはっきり伝わってこないのでございます。
 実は、戦前の日本にも、内容が明らかにされないまま革新が叫ばれて国の進路を誤った時代がございました。したがって、ただ、新しいものを目指す、新しい、新しいと言うだけでは、国政を担っていただくのにちゅうちょせざるを得ないのでございます。
 そこで、この機会に、まず、冷戦終えん後の国際社会の中で我が国がどのような路線を歩んでいくべきか、そして第二に、今日の深刻な経済状況への対策を含め、細川内閣の我が国の経済、社会に関する中長期のビジョンについてお伺いをし、さらにそれを実現するため、政治・行政改革をどう進めていくかの三点について総理の御所見をお伺いをし、細川内閣の目指すものを明らかにしたいと存じます。
 さて、具体的な質問に入ります前に、一言国民の皆様に申し上げたいことがございます。
 それは、これまで自由民主党政権が長く続いた問に、数々の腐敗事件を引き起こし、特にここ数年、スキャンダルによって、内外の課題が山積する時期にたびたび国政の渋滞を招いたことについてでございます。私は、このことを国民の皆様に心からおわびを申し上げたいと存じます。
 さきの総選挙の結果、私たち自由民主党は比較第一党としてぬきんでた国民の支持をいただきました。これは、今日の我が国の平和と繁栄が、大筋において我が党の政策が的確なものであったことによる、その評価だと考えております。その証左は、新しい政権も「政策の継承」をおっしゃっていることを見てもよくわかります。(拍手)
 しかし、我々自由民主党は、本院において過半数の議席を獲得することができず、政権の座を失いました。これはひとえに、頻発した政治の不祥事と、これに対し抜本的な解決をなし得なかったことに対する国民の皆さんの政治不信の高まりによるものだと思います。私たちは謙虚にこのことを反省し、生まれ変わった気持ちで党の体質を抜本的に改めると同時に、選挙制度を初めとする政治改革、国会改革に挑戦をして、国民の皆さんの信頼を回復することによって、再び近い将来、必ず政権を奪還する決意であることをここに明らかにいたしておきます。(拍手)
 細川総理にお伺いしたいことの第一は、経済大国となった我が国が冷戦後の世界においてとるべき進路についてであります。
 所信表明において述べられた、過去の反省を明確にし、国連中心の世界平和秩序づくりへの積極的な参加を表明し、日米安全保障条約を柱とした良好で建設的な日米関係の維持発展と、アジア・太平洋の一員としての役割の自覚に重点を置いた細川内閣の外交路線は、自民党政権のそれを継承したものであって、私に異論はございません。
 ただし、私はここで、細川内閣と社会党との政策の調整がどのように行われたかについてただしておかなければならないと思います。
 総理の述べられた外交路線は、八党派の党首の皆さんの「連立政権樹立に関する合意事項」から導き出されているものと思いますが、これらと社会党のこれまでの基本政策との食い違いの余りの大きさに唖然とするほかはないのであります。(拍手)
 日米安保条約や日韓基本条約、自衛隊を認めない、PKOへの参加にあれほどの物理的抵抗をされた社会党の政策や方針は、一体どこへ行ってしまったのでしょうか。東西対立が崩壊したためだと説明なさるのであれば、それは総選挙の前にその説明をなさるべきではありませんか。総選挙前にはそうした説明は一言もなくて、この選挙後のこうした状況を見れば、社会党に一票を投じた有権者がら疑義が呈せられるのは当然のことだと思います。
 総理、将来このような国の基本政策について与党八党派内に意見の食い違いが生じた場合、連立を解いてでも国の礎を守るのが責任ある姿勢だと思いますが、いかがでございましょうか。(拍手)
 現に、政府が専守防衛の我が国にふさわしい「ウサギの長い耳」として来年度二機購入を検討している空中警戒管制機について、社会党出身の上原国土庁長官がこれに異議を唱えられたと新聞は伝えられております。これは閣内不統一ではないんでしょうか。
 さて、細川総理の外交の基本方針については、先ほど申し上げたとおり、おおむね了解できます。しかし、我々日本の国が行くべき先には、大きく言って二つの進路があると思うのです。
 一つは、これまで続けてきた軍事面での抑制を継続し、世界の中での役割分担はマクロ経済政策での協調や地球環境問題、途上国や旧社会主義圏の問題の解決などへの協力に重点を置いて、国連の平和維持活動に要員を派遣して戦後復興に取り組むことも含めて、青年海外協力隊など途上国への技術者やボランティアの派遣に力を入れることなどを中心に考えていく、いわば世界政治に控え目なあり方を模索する、そういう道が一つあると思います。これは、我が国の国益を追求する際にも、あくまでも軍事以外の手段によるという意味で、我が国憲法の理念に忠実な路線と言っていいかもしれません。
 もう一つの道は、例えば国連の武力行使にも積極的に参加する、そういったことと引きかえに国連安全保障理事会の常任理事国の地位も手に入れようという、そういった発想に代表される考え方、「普通の国になる」という言い方もされておられますけれども、これは国家のすべての要素をそろえようとする意味で、いわばミニ超大国路線とも言えるものであると思います。
 私は、基本的に軍事面での役割については抑制して考える行き方を継続すべきだと考えます。これは、戦後の経済成長にとって軍事費の負担が軽かったことがプラスに作用した経験があるというだけではなくて、ミニ超大国路線は覇権主義につながりかねず、かえって近隣諸国を初め国際社会に緊張要因を増すことになるのではないかと考えるからであります。もっと言えば、究極的には再び国民を不幸な状況に追い込むことになるおそれがあるのではないか、そう考えるからであります。
 そもそも、軍事力によって解決できる問題はそれほど多くはないでしょう。湾岸戦争のころ、冷戦後の世界は、民族紛争や宗教紛争などの地域紛争がふえるから、国際社会が協力してこれを軍事力で抑え込まなければならないという意見がありました。確かに地域紛争はふえていますけれども、中東を見ても、旧ユーゴやソマリアの状況を見ても、むしろ軍事力による問題解決はますます難しくなってきていることがよくわかります。外見上は民族対立や宗教対立に見えても、問題の本質は貧困や富の格差の問題であることが多いと思います。
 私は、これらの問題に対処するには、武力介入という外科手術よりも、保健衛生の向上や識字率アップなどの教育の普及、あるいは環境、エネルギー面での技術供与などを通じて地域の経済、社会の体質改善を支援する方が、時間がかかるように見えてかえって効果があるように思います。(拍手)どの国家にも持ち味があっていいわけですから、私は、そのような分野で日本は積極的に、国力にふさわしい世界の一員としての役割を果たすべきだと考えております。
 「背伸びをせずに内容本位の生き方をとるべき」とおっしゃり、「大国主義に陥ることがないことが大切」と言われる総理も、基本的には私と同様のお考えとお見受けいたしておりますが、いかがでしょうか。(拍手)
 一方、連立与党の新生党の中には、国連の枠内での武力行使にも参加すべきだという考え方を初め、この意見と違った路線を主張する意見が有力だと伺っております。連立内閣を組まれる一に当たって、この部分、皆さん方の中で調整がちゃんとできているかどうか、総理からしっかりお答えをいただきたいと思います。(拍手)
 なお、総理や外務大臣が、さきの戦争に対する反省の表明に熱心なことが話題を呼んでおります。
 自民党政権におきましても、最近では、一昨年、海部元総理がシンガポールでの演説で、心からの反省の念を表明し、宮澤前総理も参議院予算委員会における答弁で「我が国が過去において、戦争を通じて近隣諸国の国民に対し重大な損害を与えたのは事実であります。」と事実を認めて、かかる我が国の過去の行為について、侵略的事実を否定することはできませんという答弁をいたしております。また、百二十三通常国会における施政方針演説でも、アジア・太平洋地域での戦時中の日本の行為について、深い反省と遺憾の意を表明するなどしてまいっております。
 総理、私も過去の歴史から決して目をそらせてはならないと考えているものの一人でございます。しかし、総理のこの問題についての見解表明に少し揺れが目立つことが気になって仕方がありません。
 総理は八月十日の記者会見で、さきの戦争について、私自身は侵略戦争であったと認識していると明言されました。この発言は明らかに、これまでの社会党などが主張するような戦後補償問題に対する見直しを前提にしたものと受け取られかねない発言であります。ところが、総理は所信表明演説では、一転してこの点について明言を避けられました。一体あなたの本音はどこにあるのでしょうか、明確にしておいていただきたいと思います。
 核不拡散条約の無期限延長問題について、総理の前向き発言がございました。私も、核不拡散体制の強化は、我が国が前向きに取り組むべき重要な問題と考えております。
 しかし、核不拡散条約は、御承知のとおり、核兵器保有国は核軍縮の努力を約束し、核兵器を持たない国は、将来とも核兵器を持たないことを約束するかわりに平和利用を保障される、いわば核兵器保有国と、持たない国の両方に義務が課せられている条約であります。
 総理にお伺いしたいのは、核兵器保有国側の核軍縮への努力の約束が十分果たされているかどうか、きちっと調査、認識した上でのこの御発言かどうか、お尋ねをいたしたいと思います。このことが十分担保されないまま核不拡散条約を無期限延長するということは、核兵器廃絶に逆行するのではないかという指摘が広島市長などからなされていることについてどうお考えになるか、お示しをいただきたいと思います。
 ところで、総理、今国民が一番深刻に受けとめ、政治の緊急な対応を求めているのは、経済の問題であります。景気が底を打っだといいながら一向に明るい兆しが見えない中で、貿易黒字は依然として大きく、円高の進行が企業経営の苦しさに追い打ちをかけております。冷たい夏、ゼネコン疑惑による地方公共団体の公共事業の執行のおくれの影響も懸念されます。
 そこで、総理に伺います。円高の急速な進行という新しい局面の中で、財政面からの一層のてこ入れと、思い切った減税を求める声が高まってきていることを総理はきちっと耳にしておられるでしょうか。
 日本経済が未曾有の困難に直面している今、円高差益の還元、規制緩和、自由化などで民間に一層の努力が求められているときに、政府の財政金融政策が手をこまねいていることは許されないと思います。
 総理は、「時期を失することなく必要かつ効果的な対策を講じる」とおっしゃいましたが、この点で連立与党内の考え方はばらばらではありませんか。さきの総選挙での公約に従って所得税減税を求める声が与党内には大変大きい。しかし、公債政策のあり方や消費税の扱いも含めて、総理は一体この問題をどう考えておられるのか、はっきりここで明言をしていただきたいと思います。(拍手)
 自由化との関連でどうしても伺っておかなければならないことがございます。それは、国際的な農業問題についてであります。
 総理は演説の中で、解決に向けて努力すると述べられましたが、不思議なことに、この部分の総理の演説は、ことし一月二十二日に宮澤前総理がこの壇上で述べられた施政方針演説と一字一句全く同一のものではありませんか。(拍手)総理は、「新しい時代の幕あけ」を強調される一方で、基本的な重要政策については政策の継続を言われているわけでありますから、全く同じ表現になっても当たり前なのかもしれませんが、自由貿易体制の維持に関する部分全体がほとんど宮澤演説と同内容であることを見ますと、この重要課題への取り組み方がいかにもおざなりではないかと感じるのは私一人でしょうか。(拍手)総理が日本新党を興されるに際してしばしば述べられたこれまでのこの問題に対する発言と相当に違っているように思いますが、総理のお考えを明らかにしていただきたいと思います。
 規制緩和については、経済活動を刺激して内需を拡大し、同時に輸入を促進して内外価格差を縮め、国民生活を豊かさの実感できるようにするという内閣の考え方は、宮澤内閣の生活大国路線とほぼ同一のもので、基本的に支持できます。
 ただし、問題は、どのような規制緩和をどのようなスケジュールで進めるかということ、いずれにしても、規制緩和だけでは内需拡大としてそれほど大きな数字にはならないであろうということが問題であります。具体的にどのような内容の規制緩和をどのようなスケジュールで進めようとしているのか、お考えをお聞かせいただきたいと思います。
 当面の景気対策は、中長期的な経済政策との整合性も考慮して進めなければなりません。今働き盛りのいわゆる団塊の世代が定年を迎えるおよそ二十年後、高齢化社会がピークに差しかかり、国民の貯蓄率は急速に低下をし、さまざまな施策を実施するのには困難な時代がやってまいります。
 欧米並みの社会資本整備を進めるにはここ十年が勝負であり、核家族化に対応する在宅老人介護を支援する設備や組織づくりも急ピッチで進めなければなりません。また、産業の競争力という面からも、相当高度な技術面での展開がない限り、アジア諸国にすっかり追いつかれてしまうと予測されております。
 この際、手をこまねいているのではなく、今国民に何らかの負担をお願いしてでも、国の力がピークを越えた時代に住む子供や孫たちのために、思い切った社会資本整備、福祉システムづくり、先端技術開発などに力を注ぐべきなどの意見がございます。財政支出のシェアを見直すことはもとより重要ですが、必要な分野に一段と強力に財政を出動させることも、当面の内需拡大と中長期的な課題への対処という両面において有効だと考えます。
 そこで、お尋ねをいたしたいのですが、細川総理が目指す国内における路線は、いわゆる小さい政府なんでしょうか。それとも高福祉高負担なんでしょうか。あるいは、キャッチフレーズはともかくとしても、今後二、三十年の我が国の産業・経済、福祉・生活の水準とそれに対する負担のあ力方などについて、大筋どのような姿を望ましいものと思い描いておられるのか。今後お互い議論を闘わせていくため、まず総理のビジョンをお聞かせいただきたいと思います。(拍手)
 さて、次に、政治改革について伺います。
 総理は、この政権を「政治改革政権」と位置づけられて、並み並みならぬ決意を表明されました。政治改革政権には八党派が参加をされましたが、きょうに至るも八党派の意見が一致しないのは一体どういうわけですか。したがって、所信表明演説で述べられた方針は、政治改革についても骨格にとどまって、具体的な施策を国民に示すことができないではありませんか。
 そこで、まず、総理の基本的な御認識と将来の政党政治への展望をまずお伺いしておきたいと思います。
 総理、あなたは今回の総選挙の結果について、「多くの国民が保革対立の政治に決別し、現実的な政策選択が可能な政治体制の実現を期待されたもの」だと述べられました。それならば、総理の胸のうちにあるべき姿として描かれているのは、二大政党制なんでしょうか、それとも中間的な第三勢力の存在するパターンなんでしょうか、あるいは、今日のように小党分立の連立政権が一番いいとお考えになっているんでしょうか。その背景となる時代認識とともにお考えを明示していただければありがたいと思います。(拍手)
 そして、このことに関連して、もう一点伺っておきたいと思います。
 去る二十二日、連立与党の公明党大会において、二大政権勢力の形成を目指すために、次期衆議院選は統一確認団体か新党的なもので選挙に臨む方針が明らかにされたと新聞で拝見をいたしました。これは、日本新党党首である総理は同じお考えでしょうか。お伺いしておきます。
 国民の一部には、連立与党内の力関係から、思わぬ方向に日本の政党政治がねじ曲げられるのではないかという危惧の声が出始めております。この心配の声を総理はどのように御判断されておられるか、お伺いいたします。(拍手)
 なお、衆議院の議員定数につきまして、総理は、小選挙区、比例区合わせて五百人と考えておられると伝えられております。官房長官、しばしば明言しておられます。国民の皆さんの間には、しかし、国会議員の数はできるだけ減らせという声が大きいこともまた事実であります。考えてみますと、現在ございます公職選挙法の本則には、衆議院議員の数、四百七十一人というのが本則に書かれております。五百人、五百人とおっしゃる総理は、この公選法、四百七十一人という本則の数字には全くこだわられないのかどうか。議員定数を減らすという国民の声にはどうおこたえになるのか。お考えをお聞かせください。
 また、企業・団体献金については、廃止の方向に踏み切るとおっしゃいましたが、私は、政治資金の大半が現在は個人献金ではなくて、企業・団体献金で賄われているという実際から日を背けて、これを一律に禁止することは、例えば形式だけ個人献金にするなどの便法での抜け穴探しを活発化させるだけで、かえってやみに流れる割合をふやしてしまうのではないかと心配をいたします。これについては、むしろ透明度を高めるといった方法が実効性があるのではないかと考えますが、いかがでしょうか。企業、団体も社会的存在であります。国民の前でオープンに、クリーンな政治活動を支援するために、一定の節度を持って必要な資金を提供するのは、政治参加の一つの形態として認められると考えますが、いかがでしょう。
 それでも廃止の方向だと言われるのであれば、何年後をめどとされるのか。そして、これにかわる公的助成、年間三百億円と言われる国費の助成のあり方をどうお考えになるのか。連立与党問の調整に臨まれる基本方針をお示しいただきたいと思います。
 そして、何よりもはっきりしておいていただかなければならないのは、「本年中に政治改革を断行する」という総理の公約であります。年内と申しますと、九月以降実質審議が可能な日数はおよそ八十日足らずと思います。このごく限られた時間の中で、どのようなタイムスケジュールで実現を目指されるのか。そのためには、選挙区割りの進め方、衆議院、参議院両院にまたがる選挙制度の整合性について、あるいは地方議会についてこの選挙制度をどう反映をさせていくかなど、大方針を明確にしておいていただかなければならないと思います。(拍手)提出を予定されている法案の件数、形式についても、同時にお考えをお示しいただければ幸いであります。
 総理、私は、総理が八月十日の記者会見で、年内の改革実現を公約と認め、それが実現しない場合には政治責任をとると表明されたことを、かたい決意のあらわれと評価いたします。私たちも納得のいく範囲内でこれに協力していくのは当然と考えております。しかし、仮に年内実現が達成されなかった場合に、あなたがおとりになる政治責任とは一体何なんでしょうか、明らかにしておいていただきたいと存じます。
 なお、政・官・業の癒着を断ち切るためには、まず手始めとして、政治と行政の関係を正すことが大切だと総理はおっしゃいました。私も同感であります。国の基本政策は政治家が決め、行政はそれを実行する。逆に、日常の行政は公正なルールにのっとって官僚が進め、政治家の介入などは認めない、そういった仕分けが必要だと思います。
 規制緩和はこの観点からも促進すべきものでありますが、さらに、さきの国会に政府・自民党が提出し、審議未了、廃案となった行政手続法案は、行政過程の透明化に一歩こまを進めるものであり、一日も早い成立が望まれます。国会再提出と成立に向けた努力に明快なお約束がいただければ幸いであります。(拍手)
 細川内閣は、規制緩和など行政改革を進めるため、第三次臨時行政調査会を設置する方向と伺っております。しかし、私は、これにはにわかに賛成いたしかねます。
 細川総理は、以前、行革審の部会長として業績を残されましたが、同時に、この種の第三者機関が、実態は官庁が議論をリードするための装置として機能していることに手をやかれたと言われたというふうに漏れ承っております。
 政治のありようとしては、選挙によらない第三者機関といったバイパスをつくるのではなくて、内閣が信ずるところを国会にストレートに提案をして、国民代表の議論にゆだねる道を選ぶべきではないかと思います。(拍手)大事なことは国会の外で議論するというのでは、国会が形骸化するおそれがあると考えます。むしろ目指すべきは国会審議の活性化だと考えますが、総理のお考えをお聞かせ願いたいと思います。
 最後に、総理が所信の中でも一言お触れになった、そしてかねてから主張しておられる地方分権の推進についてお伺いしたいと思います。
 地方分権の推進は、今日多くの人が日にしておりますが、その具体的内容はまちまちであり、ただ地方分権という言葉が先行している、そういう感じがいたします。
 そこで、初めて衆議院本会議場の壇上で総理大臣として御答弁に立たれる、知事経験をお持ちの細川総理に敬意を表しつつ、その哲学の根幹について一つ質問をさせていただきます。
 総理、憲法第九十二条にある「地方自治の本旨」とは何ですか、御高説を賜れれば幸いであります。(拍手)
 冒頭申し上げましたとおり、私ども自由民主党は、細川内閣が打ち出す政策が国民にとって正しいものであると信ずる限りにおいて、積極的にこれを支援してまいりたいと思います。(拍手)
 また、我々は本院において、結党以来初めて野党として活動をするわけです。反対のための反対といった態度はとらない、国民本位の内容の充実した審議を心がけてまいりたいと思います。間違っても、牛歩戦術を使ったり、集団で辞職願を出したり、またそれを引っ込めたりするつもりはございません。(拍手)
 総理も、連立内閣にさまざまな勢力があって、御苦労も大変多いことと思いますが、どうぞ与党内の理不尽な横車に屈したりすることなく、国民のための政策を追求してくださることをお願いいたします。(拍手)
 我々も、フェアプレーで政権を競っていくことを国民の皆様にお誓いをして、質問を終わらせていただきます。(拍手)
    〔内閣総理大臣細川護煕君登壇〕
#5
○内閣総理大臣(細川護煕君) 最近の相次いだ災害につきまして政府の対応いかんというお尋ねでございましたが、災害を受けやすい国土条件にある我が国におきましては、国展の生命、身体、財産を災害から守ることは政治の基本でありますし、治山治水は、内閣におきましても当然重要な課題として取り組んでまいります。
 北海道南西沖の地震災害や鹿児島を中心とする豪雨災害につきましては、政府として直ちに非常災害対策本部を設置をし、関係自治体とも密接な連携をとりながら、種々の対策を実施をしてきているところでございます。
 また、雲仙岳の噴火災害につきましては、地域の再建、復興を視野に入れて、住宅や安全、移転対策、中小企業、農業、地域振興などの分野におきまして、総合的な対策を展開しているところでございます。
 今後とも、各種の災害対策を推進をいたしまして、被害の軽減に努めますとともに、被災地の再建と復興のための施策に鋭意取り組んでまいりたいと思っております。
 それから、国の基本政策について与党八党派内に意見の食い違いが生じた場合、連立を解いてでも国の礎を守り抜くべきであると考えるかどうか、こういうお尋ねでございましたが、このたびの内閣は、八党派によって樹立されましたいわゆる連立政権でございますが、もともと連立政権は各党が固有の政策を抑制して協力し合うものであろうと思います。その基礎となるものは連立政権の合意であり、今回もあえて立場の違いを乗り越えて、政権の樹立に際し、外交、防衛などの基本政策について、原則として今までの国の政策を継承することを確認をいたしております。与党八党派内には、内部でさまざまな御意見を持つ方々もおられますし、また、これからも基本政策に至るまでいろいろな御議論があろうと思いますが、必ず前向きに対処していけるものと確信をいたしております。(拍手)
 それから、AWACSの導入問題につきまして閣内で不統一があるのではないか、こういうことでございましたが、上原沖縄開発庁長官の御発言は、長官の個人的な見解と承知をいたしております。この御意見によって閣内不統一の問題が生ずるわけではございません。今までの政権下におきましてもいろいろと閣僚の活発な御意見がありましたように、開かれた、国民に目を向けた内閣の運営が望ましいと考えております。(拍手)
 それから、外交の基本路線についてのお尋ねでございましたが、現下の国際情勢は今までにも増して不透明で流動的な状況であって、御指摘のあった二つの道のどちらを選ぶというような単純な問題ではないように私には思われます。(拍手)私としては、御指摘のようなミニ超大国路線を目指すつもりは毛頭ございません。
 それから、連立与党内では、国連の枠内での武力行使について、この問題をどのように調整したのかというお尋ねでございましたが、連立与党八党派は、連立政権の樹立に当たりまして、外交、防衛など国の基本政策について、これまでの政策を継承することで合意いたしております。冷戦後の国際安保体制をどうするかという問題は、世界にとっても、我が国にとりましても、最も重要な課題でございますし、したがいまして、将来をにらんでさまざまな積極的論議が展開されることは、むしろ望ましいことと考えております。
 それから、さきの戦争についての認識についてのお尋ねでございましたが、八月十日には記者会見で質問にお答えをいたしましたもので、私の基本的な考えは、所信表明演説で述べたとおりでございます。
 先ほど河野総裁も、自分自身、過去の歴史から決して目をそらせてはならないと考えているという趣旨の御発言がございましたが、私の発言は、いずれも、さきの戦争についての私の認識をお示しをしたもので、いわゆる戦後補償問題を前提とした発言ではございません。ちなみに我が国は、いわゆる戦後処理の問題につきましては、サンフランシスコ平和条約等関連条約に従って誠実に処理してきているところで、このような法的立場について見直しを行うことは考えておりません。
 私は、所信表明演説におきまして、過去の我が国の侵略行為や植民地支配などが多くの人々に耐えがたい苦しみと悲しみをもたらしたことに、改めて深い反省とおわびの気持ちを申し述べた次第でございます。(拍手)
 それから、核不拡散条約の問題についてのお尋ねでございましたが、私も、NPTの延長の問題につきまして河野総裁と同様の懸念を抱いておりましたので、今回の所信表明におきましても、核兵器の廃絶について言及いたしたところでございます。我が国を含む国際的な安全保障を確保するために核兵器不拡散体制を安定的なものとするとの観点から、NPTの無期限延長を支持することといたしました。
 言うまでもなく、核兵器の廃絶は究極的な目標でありますし、米ロ核兵器削減合意あるいは核実験の禁止問題など、最近の国際的な軍縮の機運の高まりは歓迎するところであって、今後とも、すべての核兵器国に対し一層の核軍縮を求めていく考えでございます。
 それから、円高の進行の中で、政府としても財政面からの一層のてこ入れ、あるいは減税などの財政金融政策を講じる必要があるのではないか、こういうことでございましたが、我が国経済は、現在調整過程にあって、各種の指標にもまだら模様が見られる中で、最近の急激な円高や冷夏の影響も懸念されるところでございます。今後の景気回復には予断を許さないものがあるという認識をいたしております。そうした中で、今後、景気の足取りを確実なものとし、我が国経済の先行きに対する不透明感を払拭することが重要な課題であることは改めて申し上げるまでもございません。
 そこで、前内閣で御努力いただきました本年度予算や、この四月に決定されました新総合経済対策を着実に実施をし、その効果の十分な浸透を図ってまいりますとともに、早ければ九月中旬までに、規制緩和や円高差益の還元を初め、幅広い観点から現下の緊急状態に適切に対応するための諸施策の取りまとめを行い、実行に移してまいりたいと思っております。(拍手)
 それから、所得税減税に関連して、公債政策、消費税の問題についてのお尋ねがございました。
 平成四年度税収が当初予算に比べて八兆円強も落ち込むといった深刻な財政事情のもとで、巨額の財源をどのように安定的に確保するのか、財源として赤字国債を発行できる状況であるかどうか、また消費の現状から見て、必要なコストと比べてどの程度の効果が期待できるのか、そういったことを考えますと、なかなか容易なことではないと判断をしておりまして、この問題につきましては、当面の景気対策ということではなくて、所得、消費、資産などの均衡のとれた税体系の構築についての総合的な検討の中で取り組むべき課題ではないかと考えております。
 それから、お尋ねの公債政策のあり方というのは、減税財源を赤字国債の発行に求めるのか否かということと思いますが、この点につきましては、ただいま申し上げましたとおり、後世代に元利払いという大きな負担を強いることになるわけでございますし、また財政状況の急速な悪化への道を開くことになりかねないということを考えますと、慎重の上にも慎重に判断をしてまいらなければならないのではないかと思っております。
 それから、消費税の税率の問題につきましては、国民各層の御意見や御論議によく耳を傾けまして、今後の財政需要の動向をにらみ海がら、バランスのとれた税体系のあり方などを議論する中で検討するべき課題だと考えております。(拍手)
 それから、米の市場開放問題についてのお尋ねでございましたが、我が国としては、ウルグアイ・ラウンド交渉の年内終結に向けて引き続き最善を尽くしていくことは言うまでもありませんが、同時に、政府としては、今後の交渉に当たって、当然のことでございますが、我が国の農業が将来に向けて安心して生産を続けられる環境を確保していくことが何よりも重要であると考えております。ウルグアイ・ラウンド交渉が最終段階を迎えている中で、各国とも農業問題に関してそれぞれ困難な問題を抱えておりますが、相互の協力による解決に向けて、できる限り知恵を絞り、工夫をしてまいらなければなるまいと思っております。
 また、米の問題につきまして宮澤前総理の施政方針と同じではないかという御指摘でございましたが、過去の経緯等も十分踏まえまして、結果的に同様の表現に落ちついたところでございます。(拍手)
 それから、規制緩和の内容、スケジュール等についてお尋ねがございました。
 規制緩和につきましては、これまでも臨調・行革審答申の推進、さらには、先般の新総合経済対策に基づく許認可等の見直しによっても行われてきたところでございます。現下の内外の経済情勢を踏まえ、経済の活性化、内需の振興を何とか図っていかなければならないということから、このことに寄与し得る規制緩和の実施に早急に取り組むということで、現在、各省庁におきまして詰めの検討作業を行っているところでございます。早ければ九月中旬までに実質的に意味のある結論が得られますように努力をしてまいりたいと思っております。
 それから、小さな政府が、それとも高福祉高負担路線なのかというお尋ねでございました。
 国民負担率の今後のあり方は、究極的には国民が必要とする公共支出の水準と表裏の関係をなすものでございますし、受益と負担のバランスを眺めながら、そのときどきの情勢のもとで国民的な選択が行われるべき事柄であろうと思っております。
 お尋ねの福祉と負担との関係について申し上げるならば、今後、高齢化社会の進展などに伴いまして、国民負担率はある程度上昇していかざるを得ないものと思っておりますが、本格的な高齢化社会の到来時における国民負担の上昇を極力抑制しつつ、活力のある経済社会を維持することが必要であると考えております。
 お尋ねにございました、小さな政府を目指すのかどうか。そもそも、小さな政府とは何か、大きな政府とは何か、その区別は大変難しいことだと思いますが、私としては、極力小さな政府を念頭に置いて進んでまいりたいと考えているところでございます。(拍手)
 それから、二大政党制か、その他の姿かという趣旨のお尋ねでございましたが、二大政党制や中間的な第三勢力の存在するパターンなどの政党制の姿というものは、政治家の側が決定できるものではなくて、政治文化やそのときどきの政策軸などを含む広い意味での国民の選択によるものだと思っております。そのような国民の選択をまず尊重するということだろうと思いますが、ただ、私としては、幾つかの政党が提携関係を結んで行動することはともかく、政党の数としては、東西のイデオロギー対立終結後の時代には、いわゆる穏健な多党制と呼ばれるようなものにおのずから収れんしていくのではないかと考えているところでございます。(拍手)
 それから、次期衆院選において、連立与党は統一確認団体か新党的なものか、または連立与党内の力関係から政治がねじ曲げられるのではないかという危惧の声があるがというお尋ねでございました。
 連立政権は、主体性を有するそれぞれの政党が、国民に責任を負うべき政権の樹立に関して互いに協力をしていくもので、選挙に当たりましては、ヨーロッパの例などから見ましても、それぞれがみずからの選択によって対処するのは当然のことだと思っております。したがって、連立与党内のいずれかの党が立てた選挙方針が必ずしも他党を拘束することにはならないと思っておりますし、それぞれの党が主体性を持って次期衆院選に対応するということになるのではないかというふうに認識をいたしております。御指摘のような危惧につきましては、御懸念には及ばないということを申し添えさせていただきます。(拍手)
 それから、衆議院の定数の問題についてお尋ねでございましたが、選挙制度改革の具体的内容につきましては、総定数の問題を含めまして、現在、連立与党各党間で精力的に検討作業を進めておりますが、第八次選挙制度審議会の答申や前国会における社会、公明党案、さらに自民党案におきましても総定数は五百人になっていたと承知をしておりますし、一応の目安となる数ではないかと考えているところでございます。
 それから、企業・団体献金のあり方についてお尋ねでございましたが、企業などの団体献金につきましては、現行法では総枠の制限など一定の制限のもとに認められているところでございますが、近年続発する政治腐敗事件が企業などの団体献金に起因することを考えますと、この際、公費助成の導入などの措置を講ずることによりまして廃止の方向に踏み切ることが適当だと考えております。
 なお、企業、団体が社会的存在であることはもちろんでございますが、だからといって、そのことが直ちに献金を認めることにつながるものではないと考えております。(拍手)
 改革案の詳細につきましては、これも連立与党各党の間で詰めの作業が進められているところでございまして、その結論を待って、できるだけ早急に国会で御審議いただけるようにしてまいりたいと思っております。
 それから、企業・団体献金を廃止するめどは何年後かと、こういうお尋ねでございましたが、その点につきましては、現在、これも連立与党で進められている検討作業の中心的な課題の一つでございますので、その結論を待ちたいと思っております。
 それから、公的助成のあり方についてのお尋ねでございますが、政治活動に一定の金がかかることは事実でありますし、政治活動に要する経費はいわば民主主義のコストというべきものと考えております。また、選挙制度を政党・政策中心の仕組みに改めることによって、政党の財政基盤の確立、強化が必要となるわけでございますが、選挙や政治資金の制度を抜本的に改革することで、政治活動に要する経費に対する公費助成についての国民の御理解も得られるのではないかと考えているところでございます。
 公費助成の額をどうするか、その詳細につきましては、これも連立与党の各党の中で検討作業を進めているところでございます。
 それから、政治改革を断行するという公約について、また、提出を予定している法案の件数等についてのお尋ねでございました。
 政治改革関連法案の詳細につきましては、これも今検討作業が進められておりますので、その結論を待って、できるだけ早い機会に国会に御審議をお願いし、各党各会派の御理解と御協力を得て、ぜひとも本年中に成立させていただきたいと考えております。
 区割りにつきましては、政治改革関連法案成立後、第三者機関によって案を作成をしていただき、それを踏まえて法案化したいと考えております。
 参議院の選挙制度のあり方は、衆議院の選挙制度と密接に関連する問題でございますし、また、地方公共団体の選挙制度のあり方も重要な課題と考えておりますが、まず、おおむね各党間の認識が一致している衆議院の改革について御審議をいただき、結論を得ることが肝要と考えております。
 なお、関連法案の件数なり提案の形式につきましては、与党各党間の検討の結果を待ちまして、最終的に結論を出したいと考えているところでございます。
 それから、政治改革と政治責任についてのお尋ねでございましたが、お尋ねの政治責任の点につきましては、八月十日の記者会見で申し述べたとおりでございます。私としては、政治改革の実現に全力を尽くして取り組んでまいりたいと思いますので、何とぞ御協力のほどをよろしくお願いを申し上げたいと思います。(拍手)
 それから、行政手続法案の問題についてのお尋ねでございましたが、行政手続法案につきましては、内外から、公正で透明な行政運営の確保を求める声が高まっているわけで、そうした要請にこたえるために、ぜひとも早期成立を図ることが必要だと思っておりますし、さきの通常国会に提出をいたしました法案を次の臨時国会に再提出するつもりでございます。
 それから、第三次臨時行政調査会の設置についてのお尋ねがございました。
 第三次行革審は、過去九件の答申、意見を提出し、現在、今秋の最終答申の提出を目指して鋭意御審議をいただいているところでございます。
 なお、第三次行革審任期満了後における新たな行政改革推進のための調査審議機関が要るかどうか、あり方などの問題につきましては、十月の審議会の最終答申をにらみながら、成果の上がる方向を総合的に判断すべきものであろうというふうに考えているところでございます。
 それから、「地方自治の本旨」とは何かというお尋ねでございましたが、憲法九十二条に規定する「地方自治の本旨」とは、かた苦しく申し上げるならば、地方公共団体の運営を住民自身の責任においてみずからの手で行うという住民自治と、それから地方公共団体の自主性、自律性が十分発揮できるよう地方自治の制度を定め運営するという団体自治をともに実現することであると申し上げてよいのかと思います。それを私なりに申し上げるならば、それぞれの地域がその風土や歴史を踏まえ、そこに住む人々がその地に誇りと愛着を持って日々の暮らしを営んでいけるような、地域本位、住民本位の個性ある地域づくりを進めていくことであろうかと思っております。そのようなことが実現できるような国と地方の関係を確立していくことに尽きるというのが私の基本的な認識でございます。(拍手)
 いずれにしても、憲法の定める「地方自治の本旨」を確立するために、地方自治の充実発展に真剣に努めてまいりたいと思っております。
 最後になりましたが、河野総裁からは先ほど温かい励ましをいただき、大変恐縮をいたしております。河野新総裁によりまして、自由民主党が大きく生まれ変わることを御期待を申し上げますとともに、同世代人として前向きに競い合うことによって日本の政治に寄与してまいりたいと存じますので、どうぞよろしくお願いを申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#6
○議長(土井たか子君) 赤松広隆さん。
    〔赤松広隆君登壇〕
#7
○赤松広隆君 私は、新生党・改革連合、公明党、さきがけ日本新党、民社党・新党クラブの四党・会派及び日本社会党・護憲民主連合を代表して、細川総理の過日の所信表明演説に対し、質問いたします。
 総理、雲仙・普賢岳の噴火に続いて、北海道南西沖地震、鹿児島の集中豪雨など自然災害が発生し、とうとい命と財産が奪われました。私は、亡くなられた方々とその御遺族に対して謹んで哀悼の気持ちを申し述べるとともに、現在、厳しい生活を余儀なくされている被災地の方々に心からお見舞いを申し上げます。
 それぞれの被災地では、農林水産業、中小企業を初め地域経済の再建、生活基盤の整備など、被災者の救済や災害復旧が求められており、政府、自治体は一体となって万全の対策を推進されるよう、強く要請いたします。総理はいち早く鹿児島を視察されましたが、これらの災害に対し、具体的にどのように取り組まれる所存なのか、その決意をお伺いしたいと思います。
 さて、総理、私たち連立政権を構成する五党・会派は、一致協力して細川内閣を懸命に支え、政治改革を求める国民の期待にこたえて、日本の新しい政治をつくり上げる決意であります。三十八年間にわたる自民党一党支配の政治に終止符を打ち、国民の新たな選択によって誕生した細川内閣は、内外政策の確かな進展を図って、国民の政治不信の克服と国際信頼を回復するという大きな使命を負うております。我が国の政治史上、最も新しい歴史の扉を開くに当たり、私は、細川内閣が連立政権をどのように運営される決意なのか、その基本的な考え方をお聞きしたいと思います。
 我が国の社会の中には、国民のさまざまな利益と意見が存在し、その表現や行動の仕方にも多様、多元的なものがあります。こうした多元化した社会の現実から、国民の多様な意見と利害を代表する政党が形成されてきました。連立政権の基本は、そうした支持者や政策、組織、歴史の異なる複数の政党が、国民の利益を最優先した課題と政策の実現のために共同歩調をとるところにあると思います。(拍手)
 したがって、連立政権を支える政党は、活発な議論を通じて政策決定の透明化に努め、調整された政策を誠実かつ積極的に推進しなければなりません。そこでは、それぞれの政党が可能な限り自己を抑制して、相手の主張を許容し、政策の調整範囲を広げていくことは当然のことであります。それが、連立政権の長い歴史を持つサミット参加の主要先進国や、民主主義と市民社会の成熟したその他のヨーロッパの国々の経験でもあります。連立政権に対する細川内閣の基本姿勢を伺いたいと思います。
 次に、私は、新政権の大きな課題である政治改革についてお尋ねいたします。
 この数年、我が国の国会は、政治家のスキャンダル問題で幕をあげるという異常な事態が繰り返されてきました。このため、国会も行政も正常に機能せず、激動する世界と日本の重要課題に敏速に対応できないという政治の停滞がもたらされたのであります。一連の政治スキャンダルは、利権絡みの政策決定と利益配分という不透明な政治構造から生み出されております。最近の仙台市や茨城県を舞台とした自治体と大手建設業界の癒着も例外ではありません。
 総理、こうした政治腐敗を根絶するためには、違法・腐敗行為を犯した者に対する議員資格の剥奪、立候補制限や連座制の強化、さらには企業、団体の政治献金の禁止など、政治資金規正法の改正や政治倫理法の制定、政治腐敗防止策の確立、そして小選挙区比例代表並立制の導入による選挙制度改革が必要であります。総理は、政治改革関連法案は一括して本年中に成立させるべきであるとの見解を示されましたが、改めて政治改革に対する総理の決意を伺いたいと思います。
 政治改革は、中央政治だけではなく、自治体政治を含む政治構造全体を視野に入れたものでなければなりません。中央省庁からおろされる膨大な許認可権や補助金、さらには中央中心の税制や交付金、起債権限、機関委任事務などの実態は自治の理念とも矛盾しており、許認可権限や各種規制の削減を初め、中央政府に集中した権限と財源を大幅に自治体に移譲するなど、地域主権の確立が必要であります。地方分権の推進は、細川政権に課せられた大きな課題の一つでもあり、その基本方向を示していただきたいと思います。
 また、今日の行政情報の非公開が、密室政治や利益絡みの政治を生み出す要因ともなっております。情報公開は、議会制民主主義の原点であるとの立場から、法的措置も含めて、地方・中央政府機関が保有している情報の公開に向けて積極的に取り組まなければなりません。総理の見解を伺いたいと存じます。
 今、我が国経済は、一昨年のバブル破綻から引き続く深刻な不況の局面にあります。異常なスピードで百円の大台割れに迫ってきた急激な円高や、冷夏による消費低迷の影響を初め、景気の先行きは不透明であり、今後、景気の二番底を防ぐ万全の対策が必要であります。この平成不況は、細川内閣が自民党政権から受け継いだ大きな負の遺産であります。しかも、現在の不況局面は、自民党流の公共事業一辺倒の対策だけで打開できるほど単純なものではありません。(拍手)
 昨年八月に打ち出された時期おくれの経済対策、さらに本年四月、鳴り物入りで策定された十三兆二千億円の新総合経済対策も、浮揚効果が期待されながら、今のところその政策効果は見えず、市場の反応さえ極めて鈍い実態にあります。総理は、こうした景気回復のおくれをどのように認識され、今後の経済運営をどうなさるのか、率直な御意見を伺っておきたいと思います。
 総理、米国における双子の赤字の深刻化、欧州における通貨・経済統合の予想外の難航など、国際経済環境は日々厳しい変動を重ねでいます。さらに、経済格差を背景とする地域・民族紛争の激化も世界市場の深刻な不安定要因となっております。その中で、グローバルな強い影響力を持つ日本経済の役割と責任は重大であります。平成不況を克服して新たな活路を切り開くためには、単に国内だけに目を向けた対症療法的な対策ではなく、経済運営の方針をグローバリゼーションの時代に対応したものへと転換し、再構築する必要があります。すなわち、二十一世紀に向かって、日本の経済社会、国民生活の新しいビジョンを鮮明に掲げ、全世界と協調できる産業・経済活動の目標を明確にすべきであります。総理は、これに関してどのような見解をお持ちか、基本理念と具体的な政策方針を示していただきたいと考えます。
 我が国の経済を輸出主導から内需中心へと転換するには、生産者優先の経済運営と産業構造を生活者優先のものへと大きく変えていかなければなりません。既に一九八六年、八七年の前川レポートはそのことを示唆していましたし、宮澤前内閣もそうした時代のニーズに対応するかのような姿勢を「生活大国五か年計画」によって示しました。しかし、住宅政策の充実強化を初め、生活環境の整備、高齢化社会に備えた年金、福祉、医療の改善、労働時間短縮と余暇政策の確立など、いわゆる新たな社会資本の整備にかかわる課題の多くが持ち越されたのであります。細川内閣は、こうした課題を継承、発展させ、確実な実行の軌道に乗せるとともに、前川レポートや「生活大国五か年計画」を生活者の視点から見詰め直し、今日的な新たな計画と政策に組み直すべきだと考えます。総理の御見解はいかがでしょうか。(拍手)
 総理も述べられましたように、年内に期限の保迫ったガット・ウルグアイ・ラウンドを成功させることは、極めて大切な課題であります。その際、米の市場開放問題が最大のネックになると言われていますが、細川内閣は、米の自由化や例外なき関税化の押しつけに対して、毅然たる反対の態度をとられることを強く要望いたします。(拍手)
 二千年に及ぶ豊かな経験を蓄え、恵まれた気候風土を持つ米づくりは、我が国の縁の国土保全に貢献してきました。したがって、食生活の安全や安定、民族文化など経済外の多面的価値に支えられる米づくりを、市場の論理だけで評価するのは適当ではなく、とりわけ中山間地における米づくりには、国土・環境保全などの視点からも、徹底した保護、助成が必要であります。また、広々とした平野部においては、経営規模や新しい技術、手法などの確立が求められております。政府は、若い農業者にも魅力のある自立的な米づくりの構想と中長期のプログラムを策定し、農業、農村の確かな将来展望を提示しなければなりません。総理の御所見はいかがでございましょうか。(拍手)
 総理、以上の経済運営の理念や構造政策の展開を前提に、細川内閣が今緊急に対処しなければならないのは、何よりも今日の深刻な不況対策であります。これに関連して、私は、三点ほど問題を提起し、総理のお考えを伺っておきたいと思います。
 まず第一に、待ったなしの景気対策の決め手として所得税減税、政策減税の実施を十分に御検討いただきたいのであります。九〇年以降、減税が見送られたことで、実質的な増税が進み、納税者の重税感が募り、消費意欲が減退しています。今、中小企業に対する投資減税を初め、教育や住宅などの政策減税実施はもちろんのこと、生活者利益優先の立場から、所得税減税に真正面から取り組むときに来ています。
 総理、経済は生き物であります。生き物である日本経済は今、かつてなく重い疾患にかかっております。その疾患を所得税減税の刺激によっていやし、景況を回復させ、経済のパイを大きくすることができるならば、財源の確保はさまざまな手段と選択があっていいのであります。私は、景気低迷下の国民の暮らし向きを少しでもよくするために、減税の実施を優先されるよう要望いたします。
 直接税と間接税の比率の是正を軸とした抜本的な税制改革のあり方については、近く開始される政府税制調査会の議論を見た上で、私たちの見解を申し上げたいと思います。
 第二に、電力、電気、航空運賃、輸入品などの値下げによる円高差益の還元について緊急の行政指導を強め、消費者が円高メリットを実感できるようにしなければなりません。
 エネルギーコストの低下は、設備投資意欲の刺激にもつながるものであります。円高は一面で産業構造の転換を促し、生活優先の政策を推進する新しい機会でもあり、こうした産業構造の変化に伴う労働力のミスマッチ対策など、タイミングをずらさず早目に手を打つことが重要であります。
 第三は、規制緩和についてであります。私は、総理が規制緩和に対して積極的な姿勢を示されたことを高く評価をいたします。
 現在、国民の生活と社会経済活動は、一万一千件にも及ぶ許認可事項など規制の網の目によってがんじがらめにされております。この過剰な規制システムの体系が中央集権的官僚国家の支えとなり、政官財癒着の構造をつなぐ回路として、しばしば利権と腐敗の温床ともなっているのであります。また、海外から見れば、異常に高い日本市場の障壁と映っているばかりか、巨大な内外価格差と経常収支の黒字を助長し、摩擦激化の要因をつくり出しているのであります。
 こうした規制を大幅に緩和し、自由で自律的な市場メカニズムを活性化させ、自己責任の原則を推し広げることは、基本的に生活者の利益にかない、国際社会の要請にこたえる道でもあります。それは、我が国の社会経済の体質を変え、構造転換と分権を促進する中長期のテーマに位置づけられると同時に、当面の沈滞した経済局面に刺激と活力をもたらす緊急措置としても、直ちに着手され、積極的に推進されなければなりません。
 しかし、私は、こうした規制緩和の内容は、単に量的な緩和だけではなく、どのような規制をどう緩和するのかの査定と選択が重要であり、それを定めるに当たっては、市民、生活者の視点を基本に据えるべきであると考えています。そのためにも、市民の感性による規制緩和の推進・チェック機構を設け、院内外の共同作業としてその課題に取り組むことを提言したいと思います。
 私は、当面の不況対策に関連して、とりあえず以上三つの課題を提起いたしましたが、こうした方針は、平成六年度予算編成に際してもぜひ織り込んでいただきたいと思います。
 総理、今私が申し上げた生活者優先、内需拡大の新しい経済社会、国民生活の実現に当たって十分に考慮しなければならないことは、ややもすると経済成長の果実から遠いところに置かれてきた人たちへのパイの再配分をどう進めるのかということであります。
 我が国は今、急ピッチで高齢化社会が進展しています。その主人公である高齢者が生き生きとした人生を過ごすためには、豊かな経験と知識に裏づけされた能力を発揮できる環境を整備し、社会参加の条件を整えることが基本でなければなりません。働くことを希望する高齢者のためには、公的年金とリンクした定年制の確立や高齢者向けの職業訓練施設とケアつき住宅の充実などが必要であります。さらには、高齢者人口の増大でニーズの高まる在宅サービスを基本とした介護システムの確立や保健・医療・福祉分野におけるマンパワーの確保など人材養成が緊急な課題となっています。総理の高齢者問題に対する基本町な見解を求めたいと思います。(拍手)
 総理、戦後から現在に至るまで我が国の福祉政策は、高齢者や障害者を社会から隔離して、国が一括して保護することを中心に考えられてきました。これは典型的な生産者優先時代の政策であり、生活者優先の福祉を主張する高齢者や障害者からは否定され始めております。すなわち、これまでの福祉政策にかわる新しい政策として、体の自由がきかない高齢者も障害者も、できる限り住みなれた地域社会の中で普通の生活ができるような社会づくりが提起されているのであります。こうした新しい問題提起を受けとめ、新政権は、高齢者や障害者が地域社会の中で自立し、市民とともに生きていくノーマライゼーションの理念を国民的な目標に掲げて、人類共生の二十一世紀を目指すことを希望いたします。
 総理、人生八十年の時代の到来は、心身に障害を持つ人たちと持たない人たちとがともに支え合い、助け合って生きる共生の社会システムを必要としています。その実現のためには、公的福祉、ボランティア、民間活力など多様な選択肢と多様な組み合わせによる社会サービスの充実はもとより、移動の制約からも解放しなければなりません。高齢者や障害者ばかりではなく、大きな荷物を持った人などにとっても、現在の交通施設は移動の制約となっています。
 したがって、これらの市民が安全、快適に移動し、生きていくためには、JR、大手民間鉄道、地下鉄の主要な駅に、だれもが自由に使えるリフトやエレベーターを設置するなど、本格的な福祉の町づくりを急がなければなりません。私は、新政権が自治体や関係企業と協力し、生活者重視の内需拡大の一つとして、これらの課題に積極的に取り組まれるととを提言し、総理の見解を求めたいと思います。(拍手)
 生活者優先の主張は、子供たちにも十分に配慮した政策として実行しなくてはなりません。子供たちは今、学校生活におけるゆとりを欲しがっており、私たちは、この子供たちの小さな叫びにこたえる責務があります。ゆとりの視点から、現在の授業内容や分量が将来の生活に本当に必要であるのかどうかの精査、洗い直しが求められています。私は、選択、調査、発見という子供の自己学習力の向上を考えたとき、これからの学校教育は、学校図書館活動を重視したものに変えるべきだと考えます。
 子供の自主性、最優先の原則、人格の尊重を掲げた「子どもの権利条約」については、国会審議の経過と世論を踏まえ、「チャイルド」は「児童」ではなく「子ども」と訳し、「子どもの権利条約」として、一日も早く成立させるべきことを強調しておきたいと思います。(拍手)
 総理、世界では一日に三万五千人の子供たちが栄養失調や病気などで死亡しております。国連の子供サミットでは、二〇〇〇年までに飢餓をなくし、小さな生命を救うことが約束されています。私は、日本のアイデンティティーとして、子供の問題では国境を越えでやってくる日本を確立されることを提言し、総理の見解を求めたいと思います。
 総理、私は今、この衆議院本会議場の光景が大きく変わったことに深い感激を覚えております。それは、土井議長と閣僚三人の女性が議場正面に着席されたことによって、女性と男性が共同でつくり上げる政治の手ごたえを感じるからであります。(拍手)この光景を当たり前のものとするためには、女性と男性の社会的平等の実現を目標に、公的生活及び雇用、職業における平等、パートタイム労働の権利の確立、社会、家庭における役割分業の克服など、よりよいパートナーシップが必要であります。
 総理、私たちはクオータ制度の導入をも考慮し、女性が政治、社会のあらゆる分野で活躍できる日本を築き上げなければなりません。この点に関する総理の見解を伺いたいと思います。
 生活者重視の政治は、人権問題に対しても積極的な政策の展開と行動を起こし、さまざまな差別や人権侵害のために人間の尊厳が著しく傷つけられている人々と連帯するものでなくてはなりません。総理、私たちの世代の力で民族の多様性と内外人平等を大切にすお日本を実現しようではありませんか。
 ことし六月、世界人権宣言四十五周年を記念してウィーンで国連世界人権会議が開かれ、すべての人権は普遍的価値であるという宣言が採択されました。政府は、この宣言を肯定的に受けとめ、国内における部落差別、民族差別など、その解決に努めなくてはならないと考えます。総理の見解を伺いたいと思います。
 総理、およそ四千四百万人に上る日本のサラリーマンの生活に今必要なのは、ゆとりであります。日本の国民は勤勉に働き、世界の果てまで自動車や電気製品を浸透させ、膨大な貿易黒字と企業収益を生み出してきました。しかし、その人たちは現在、自分で自由に自分の文化活動を選択したり、地域社会と触れ合うなど、個性的な生き方や豊かなライフスタイルを過ごせる時間を持っておりません。日本のサラリーマンがゆとりある生活を享受するためには、労働時間の短縮、完全週体百制の実施、長期有給休暇の実現によって十分な時間が必要であります。それと同時に、安く利用できる長期滞在型のレジャー施設の整備や適切な余暇情報が求められております。
 私は、新政権が内需拡大の視点から、ゆとり実現のための諸課題に取り組まれることを要望したいと思います。
 来年四月から週四十時間労働を実施するための労働基準法改正が行われました。猶予措置が設けられた一定規模の事業所、業種に対しては、円滑な移行ができるよう、行政指導はもちろんのこと、財政援助など政府のリーダーシップが必要であります。総理の見解を伺いたいと思います。
 次に、私は、軍縮と国際貢献についてお伺いをいたします。
 米ソ対立を軸とする半世紀に及ぶ東西冷戦は終わり、世界は今、不信と敵対の関係から信頼と協調の外交関係へと大きく転換されつつあります。しかし、反面、民族紛争や地域紛争が頻発し、新しい危機も生まれています。こうしたポスト冷戦の新秩序の形成に向かう過程にあって、我が国は平和憲法の精神に沿い、軍縮と平和、経済発展、地球環境保全など新しい国際貢献を果たさなければなりません。
 総理も所信表明で強調されましたように、軍縮への取り組みは一段と重要になっております。世界の軍事支出は四年連続で減少し、九二年度は八七年以来最高の一五%の減少率となっています。世界の国防費の大幅な削減の中で、我が国自身も目に見える軍縮の推進が何よりも必要であります。
 総理、冷戦後の世界は、主権国家を超えて、ともに生きる相互依存の時代に入っております。この新しい時代の世界秩序は、国際連合を中心に構想されなければなりません。冷戦時代には十分に機能できなかった国連の時代がようやく訪れたのであります。国連が国際正義と平和のための重要な任務を果たすには、軍縮、環境、人権、南北問題など今日の地球的課題に対応し得る役割と機能の根本的な強化が必要となっております。総理は、国連改革の問題についてどのような方針で臨まれるのか、伺いたいと思います。
 私は、我が国の外交の基本は日米関係にあり、世界で最も重要な二国間関係として、国際経済の面でも両国間の調整が極めて重要であると考えています。しかしながら、その枠組みだけでは、相互のもたれ合いと甘えが生まれ、不条理な摩擦を強めることになりかねないのであります。グローバリゼーションの時代にあっては、地球社会の全域にわたる相互依存の関係をしっかりととらえ、国際公正と人類共生の原則を踏まえた経済外交路線の新たな展開を期すべきであります。そのためにも、冷戦後の積極的な経済協力、国際貢献の意義はますます重要であり、とりわけ、最も安定的な成長を遂げつつあるアジア近隣諸国を重視し、市場の多元化を進め、それに対応する国内構造の転換を一層促進しなければなりません。総理のお考えを伺っておきたいと思います。
 冷戦の終えんは、アジアにおいても、ロシア艦隊のベトナムからの撤退、在フィリピン米軍基地の撤去を初め、大韓民国と朝鮮民主主義人民共和国の国連同時加盟、韓国と中国の国交正常化、APECへの中国、台湾の加盟など、アジア・太平洋の地域協力関係の進展となってあらわれています。こうした新しい現実を確実なものとするため、我が国は、ロシアヘの経済再建の支援、日中の政治経済関係の緊密化、日朝国交正常化などに向けて積極的な取り組みを展開しなければなりません。
 総理は、アジアの中の日本として、アジア外交をどう展開されるのか。また、日本がアジアで中心的役割を担うためには、総理も述べられたように、過去の過ちに対する反省が必要であり、とりわけ、国際社会から人権侵害として指摘されている従軍慰安婦や強制連行問題の具体的解決が迫られています。
 総理、一九九五年は第二次世界大戦の終結から五十年という記念すべき年であり、それまでに私たちは、アジア諸国民に対する反省と謝罪の意思を国会決議として内外に示す必要があると思います。総理の見解を伺いたいと思います。(拍手)
 私は、地球環境保全に対する総理の見解を伺っておきたいと思います。
 今日、二酸化炭素を主因とする地球温暖化現象を初め、フロンガスによるオゾン層の破壊、酸性雨による森林や湖沼の被害、熱帯雨林の伐採、途上国の人口爆発と砂漠化、生物種の危機の進行など深刻な事態が国境を越えて広がり、地球規模の協力が必要となっています。こうした宇宙船地球号の新たな現実の中で、とりわけ重要なことは、途上国の耕地の土壌保全、森林再生、再生可能なエネルギーの開発、農業の生産性向上のためのインフラ整備などに向けた国際協調行動の展開であります。日本は、これまで開発してきた公害防止技術や人材養成などの経験と卓越した経済力を総動員して、地球環境問題の解決を目指して世界の先頭に立ち、その重要な役割を担わなければなりません。また、国内的にも、地球環境保全の視点から、モーダルシフトの推進や、我が国の森林の計画的な整備、保全と林業の再生が焦眉の課題となって保います。
 こうした自然と人間の共生を図る上でも、さきの国会で廃案となった環境基本法の再提出が期待されております。総理の基本的な考え方を伺っておきたいと思います。
 総理、ポスト冷戦の時代においても、ポスト五五年体制の日本においても、今、新しい秩序が模索されています。この意味で現在は、国民と政治家の英知を創造的に展開できる最良の機会であり、私たちは限りない可能性の中に生きているのであります。ユネスコのフェデリコ・マヨール事務総長は、危機を破局に向かわせず、危機を最良の好機としてとらえるべきだと述べています。私たちの世代に求められているのは、変革に挑戦する熱意と精神であり、私たち五党・会派は、国民の変革のエネルギーを背景に、細川内閣とともに自由と民主主義、自立と共生を基礎とした日本と世界の実現に向かって邁進することを約束し、私の代表質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣細川護煕君登壇〕
#8
○内閣総理大臣(細川護煕君) 最近の幾つかの自然災害についてのお尋ねでございましたが、まず、雲仙岳噴火の災害につきましては、先ほども申し上げたことでございますが、住宅、安全、移転対策、中小企業あるいは農業、地域振興など二十一の分野にわたる広範な対策を推進をしているところでございます。
 北海道南西沖地震や鹿児島を中心とする八月の豪雨災害につきましても、発災後直ちに対策本部を設置をいたしまして、調査団を派遣をし、地域の再建と復興に向けて、当面の応急措置のほか、災害復旧の早期実施、農林漁業や中小企業に対する救済の措置、あるいはまた被災自治体への財政措置など、もろもろの対策を取りまとめまして実施をしているところでございます。今後とも、こうした大災害に対する場合はもとよりでございますが、被災地の再建と復興に向けまして、できる限りの取り組みをしてまいりたいと思っております。
 それから、連立政権を運営するに当たっての基本的な考え方ということでございましたが、連立政権の運営に当たりましては、所信表明でも申し述べましたように、責任のある変革、今までのいいところは引き継ぎ、改めるべきところは改める、つまり責任のある変革ということを旗印に、さきの総選挙で示されました国民の歴史的な審判に全力でおこたえをしてまいりたいと思っております。政治改革の実現はもとより、いわゆる族議員政治でありますとか政・官・業の癒着の打破でありますとか、我が国の政治の旧弊を改めて、内外から信頼されるに足る、時代にふさわしい政治の確立に最善を尽くしてまいりたいと思っております。
 なお、政権の運営に当たりまして、常に国民に目を向けた政治を行うことをこの連立政権の政治姿勢の原点としてまいりたいと思っているところでございます。
 それから、連立政権を支える政党が可能な限り自己を抑制して政策の調整を図っていくべきではないかということでございましたが、連立政権は、申すまでもなく、その成り立ちや立党の精神、あるいは政治手法や政策など、それぞれに異なった政党が主体性を維持しながら、なおかつ協力することによって初めて成り立つものでございます。したがって、連立政権に参加する政党が自己抑制と相手の主張の許容に努めることは当然でありまして、この内閣におきましても、そうした基本姿勢を維持することによって、国民の間にできるだけ幅広いコンセンサスをつくり出すという連立政権の特色の発揮に努めてまいりたいと思っております。
 政治改革関連法案を一括して本年中に成立させるべきであるとする決意についてのお尋ねでございましたが、国民に信頼される政治を取り戻すためには、選挙制度や政治資金制度を含めました抜本的な改革を一体として早急に実現しなければならないということを機会あるごとに申し上げてきたところでございます。政治改革関連法案の本年中の成立に向けまして全力で取り組んでまいりたいと存じます。
 地方分権のことについてのお尋ねでございましたが、東京一極集中を是正して国土の均衡ある発展を図り、地域の特色や自主性が反映される活力に満ちた地域行政を展開していくことは、極めて重要な課題であると認識をいたしております。
 地方分権につきましては、既に行革審の答申などでもパイロット自治体を初めとしてもろもろの提言がなされておりますが、今後、内需主導型の経済社会を実現し、地方公共団体の自主性や自律性の強化を図ってまいりますためには、私としても強い決意で具体的な成果を上げるべく取り組みをしてまいりたいと考えているところでございます。
 情報公開に対するお尋ねでございましたが、地方の情報公開に対する取り組みいかんということでございましたが、地方公共団体における情報公開条例の制定につきましては、各団体が自主的に対応しておりまして、平成五年四月一日現在で三十六の都道府県、百八十一の市区町村が情報公開条例を制定しております。
 地方公共団体における情報公開につきましては、基本的にはそれぞれの団体が実情に即して、その判断と責任によって対応されるべきものと考えておりますが、地方公共団体における情報公開についての法的措置が必要であるかどうかという点につきましては、国の情報公開法制の調査研究の中であわせて調査研究させていただきたいと思っております。それから、中央政府機関の情報公開についてもあわせてお尋ねがございましたが、国の行政情報の公開につきましては、公正で民主的な行政運営を実現をし、行政に対する国民の信頼を確保するという観点から、行政運営上、文書閲覧の窓口制度でありますとか行政情報公開基準の適切な運用に努めているところで、法制上の措置としては、行政手続二法案におきまして、国民の権利義務に直接関係する行政庁の活動について、審査基準などの公開あるいは処分理由の提示など、多くの面で情報公開規定の整備を図っておりますので、この法案を早期に再提出して、その成立に努めてまいりたいと思っております。
 なお、手続法に加えて、さらに別個の一般共通法制としてのいわゆる情報公開法制の必要性につきましてお尋ねがございましたが、この点につきましては、非公開とすべき情報の範囲でありますとかあるいは争訟手続など、関連する諸制度との調整などにつきまして、いろいろな観点から検討すべき課題もございますので、もうしばらく勉強させていただきたいと思っております。
 それから、景気回復、経済運営についてのお尋ねでございました。
 我が国の経済は、現在調整過程にあって、各種の指標にまだ、まだら模様が見られるわけでございますが、最近の急激な円高や冷夏の影響も懸念されますし、今後の景気回復には予断を許さないものがあると認識をいたしております。そうした中で、今後、景気の足取りを確実なものとし、我が国経済の先行きに対する不透明感を払拭することが重要な課題であると認識をいたしております。
 そこで、先ほども申し上げたことでございますが、本年度予算や、この四月に決定されました新総合経済対策を着実に実施をして、その効果の十分な浸透を図ってまいりますとともに、早ければ九月中旬までに、規制の緩和や円高差益の還元を初め、幅広い観点から、現下の緊急な状態に適切に対応するための施策の取りまとめを行って、実行に移してまいりたいと考えております。
 産業・経済活動の目標なり基本理念についてお尋ねがございましたが、我が国におきましては、国民一人一人の生活の質の向上や精神的な豊かさ、社会的な公正といった点に十分意を用い、生活者利益優先への転換が求められていることはよく指摘されているとおりでございます。また、世界経済のグローバル化、貿易、投資の相互依存が進展をしていく中で、我が国経済社会を地球的規模の視点で見直すことも重要であることは、言をまたないところでございます。
 具体的には、自由貿易体制を維持強化するための国際協調に率先して取り組んでいかなければなりませんし、良好な対外経済関係を維持するだけでなく、暮らしの向上を図るために、内需拡大の努力や市場アクセスの改善、内外価格差の是正、規制緩和など、消費者重視の政策を積極的に推進をしてまいることが肝要だと思っております。
 それから、前川レポートなどにかわる新たな計画と政策についてということでございましたが、現行経済計画におきましても、生活者・消費者重視の視点への転換がなされ、内需主導型経済構造の定着を目指して、例えば年収の五倍程度で住宅を取得できるような土地住宅施策の推進や、利用者の視点に立った社会資本の整備目標などが掲げられていることは御承知のとおりでございます。
 しかし、冷戦構造が終えんを迎えて、社会経済状況が大きく変わってきた状況のもとで、国民生活の向上を図ってまいりますためには、我が国の経済社会構造の変革も織り込んだ中長期的な対応策につきまして、各方面からの御意見も拝聴して早急に取りまとめを行ってまいる必要があろうと思っております。おいおいそのお取りまとめをいただくメンバーを決定をいたしまして、年内をめどに御提言をいただければと考えているところでございます。
 それから、米の自由化問題につきましてお尋ねがございましたが、我が国としては、ウルグアイ・ラウンド交渉の年内終結に向けまして引き続き全力を尽くしてまいりますが、同時に、政府としては、今後の交渉に当たって、我が国の農業が将来に向けて安心して生産を続けられる環境を確保することが何よりも大切であると考えております。ウルグアイ・ラウンド交渉が最終段階を迎えている中で、各国とも農業問題に関してそれぞれ困難な問題を抱えておりますが、相互の協力による解決に向けて、最善を尽くしていかなければならないと考えているところでございます。
 米につきましては、所信表明で申し上げたとおり、国会決議の趣旨を体し、国内産で自給するという基本方針のもとで対処してまいりたいと思っております。
 それから、米づくりの将来展望いかんということでございましたが、我が国の稲作につきましては、米の国内自給を基本とし、需要に見合った生産を推進をしてまいりますとともに、経営感覚にすぐれた効率的、安定的な経営体を育成していくことが重要であることは申すまでもないところでございます。
 さきに農水省が公表いたしました「新しい食料・農業・農村政策の方向」におきましても、おおむね十年後を目指して、稲作を中心とする望ましい経営体の姿を提示するとともに、その実現のための施策の方向が示されているところでございます。今後は、この政策の方向に沿って、将来に向けた魅力ある稲作の実現を図るために、担い手の育成、規模拡大の推進、新技術の開発、普及などの施策を何とか一生懸命に推進をしてまいりたいと思っております。
 それから、減税問題について幾つかお尋ねがございましたが、政府としては、今後の景気の足取りを一層確かなものとするために、本年四月に新総合経済対策を決定をし、現在その着実な実施を図っているところでございます。税制上の措置としても、新総合経済対策におきましては、中小企業機械投資促進税制といったような投資減税でありますとか、あるいは住宅取得促進のための税制の拡充でありますとか、あるいはまた特定扶養控除の引き上げでありますとか、そういった措置を講じてきたところで、そういった対策の効果はこれから着実にあらわれてくるものと考えております。
 所得税の減税につきましては、平成四年度の税収が当初予算に比べて八兆円強落ち込むといった深刻な財政事情のもとで、巨額の財源をどのように安定的に確保するのか、財源として赤字国債を発行することは、さていかがなものか、消費の現状にかんがみますと、必要なコストと比べてどの程度の効果が期待できるのか、そういったことを考えますと、なかなか容易なことではないという感じを持っております。
 いずれにしても、所得税減税の問題につきましては、当面の景気対策ということではなく、所得税制度の問題として、今言われたような所得、消費、資産の均衡のとれた税体系の構築についての総合的な検討の中で取り組むべき課題ではないかと考えているところでございます。
 それから、円高メリットの問題についてのお尋ねでございましたが、差益還元の問題につきましては、八月十九日に経済情勢臨時懇談会を開催をいたしまして、これを踏まえて、早ければ九月中旬までに実質的に意味のある結論が得られるように検討を進めているところでございます。政府としては、円高のメリットを国民が享受し得る状況ができてまいりますように、今後とも適切かつ機動的な対応を図ってまいりたいと思っております。
 それから、労働力のミスマッチの問題についてのお尋ねでございましたが、円高による産業構造の転換に伴って労働力のミスマッチが発生することも予想されるところでございますが、円高の進展が雇用に与える影響につきましては、今後とも注意深く状況を把握して、適切な雇用対策、職業能力開発対策の実施に万全を期してまいりたいと思っております。
 規制緩和の問題についてお尋ねでございました。
 この息につきましては、これまで民間の有識者をメンバーとする臨調、行革審の答申に沿ってその実現に努めてきたところでございます。今後、今御提言にあったようなことも含めまして、国民各層の方々から御意見や御要望を積極的にちょうだいして、その推進を図りますとともに、現在検討されている行革審の最終答申なども踏まえまして、幅広く検討をしてまいりたいと思っております。
 高齢者問題についてのお尋ねでございましたが、だれもが健康で生きがいを持って安心して生涯を過ごすことのできる社会にしていくことが基本であることは申すまでもございません。高齢者がその豊富な人生経験や知識、技能というものを生かして、社会に貢献できる一員として社会活動ができるように、高齢者の生きがいと健康づくり推進事業などによって必要な機会の提供や環境の整備を図っていることは御承知のとおりでございます。
 また、働くことを希望する高齢者が六十五歳まで現役として働けるように、高齢者の雇用対策の一層の拡充、あるいはまた高齢者向けの職業訓練の充実を図りますとともに、シニア住宅事業の推進でありますとかケアハウスの整備でありますとか、高齢者ができる限り自立した生活を継続していけるような住環境の整備に努めてまいりたいと思っております。
 高齢者の介護につきましては、ゴールドプランの着実な推進などによって一層の保健福祉サービスの充実を図りますとともに、将来の介護システムにつきましても、中長期的な視点に立って、今後さらに検討してまいりたいと思っております。さらに、保健、医療、福祉の分野における必要なマンパワーの確保につきましては、昨年の通常国会におきまして必要な法的な整備をしていただいたところで、今後とも人材確保対策を推進をしてまいりたいと思っております。
 ノーマライゼーションの問題についてのお尋ねでございましたが、年齢や障害の有無にかかわらず、だれもが住みなれた家庭や地域社会において通常の生活ができるようにすることが重要であるというノーマライゼーションの考え方は、高齢者や障害者の福祉施策を進める上で極めて基本的な理念であると認識をいたしております。
 今後とも、ゴールドプランや障害者対策に関する新長期計画に基づきまして、家庭や地域社会での自立した生活を支えるホームヘルパーなどによる在宅福祉対策の充実を図るなど、その実現に向けまして努力をしてまいるつもりでございます。
 それから、共生の社会システム実現のために福祉の町づくりが急がれているが、どうかという趣旨のお尋ねでございましたが、鉄道利用者に適切なサービスを提供するために、最近では随分鉄道の駅におけるエスカレーターやエレベーターなどの施設整備を推進をしているところでございます。具体的には、鉄道の駅におけるエレベーターの整備指針を策定をいたしましたほか、平成五年度には、駅におけるエレベーター、エスカレーターなどの整備を対象とした開発銀行の超低利融資制度を創設をいたしております。今後、さらに、身体障害者や高齢者の方々にとりましても利用しやすい駅になるように指導してまいりたいと思っております。
 それから、教育の問題についてのお尋ねがございました。
 次代を担う子供たちがゆとりある学校生活の中で、実りある生涯を築いていくために必要な力を身につけるようにすることが肝要であることは言をまたないところでございます。新学習指導要領は、そのような考え方に立って改訂されたもので、各教科などの内容につきましては、各学校段階におきまして確実に身につけるべき基礎的、基本的な内容に一段の工夫が凝らされておりますが、今後、教育関係者が知恵を出し合って、その趣旨を実現していっていただくことを期待をいたしているところでございます。
 それから、学校図書館は、子供たちの知的な活動を促し、人格の形成や情操を養う上で重要な役割を担っているものでございますが、特に情報化が進んでいる中で、子供たちがみずから情報を活用し学習を進めていく力を育てる上でも、図書館の果たす役割は大きなものがございますし、新学習指導要領でもその活用が明示されていることは御承知のとおりでございます。既に文部省におきましても、図書館、読書指導の充実のための施策が実施されておりますが、今後とも学校図書館の充実が図られることを期待をいたしております。
 それから、児童の権利条約についてのお尋ねでございました。
 本条約につきましては、前国会で長時間にわたる御審議の末、全会一致で衆議院で可決され、参議院でもいま一歩という状況であったことは御案内のとおりでございます。
 「チャイルド」という言葉の訳語につきましては、言葉のニュアンスなど種々の御指摘がございましたが、条約の訳文におきましては、国際人権規約などの条約並びに我が国の憲法あるいは労働基準法、児童福祉法などに用いられております法令用語の整合性を保つことが重要であるという見地から、「児童」が用いられたものと承知をいたしております。
 本条約につきましては、できるだけ早い機会に国会の承認をいただくべく再提出をしたいと考えておりますが、承認後、この条約の広報活動などを行うに当たりまして、御指摘も踏まえまして、「児童」ばかりではなく「子ども」という言葉を用いることも考えてまいりたいと思っております。(拍手)
 それから、世界の子供問題でリーダーシップをというお話でございましたが、御指摘がございましたように、今日、世界では多くの子供たちが飢餓や病気など困難な状況のもとにあるわけで、このような状況を改善するために、今後とも世界の子供たちの保護の促進に向けて国際協力に努めてまいりたいと思っております。
 女性と男性の社会的平等の実現、クオータ制度の問題についてのお尋ねでございましたが、生活者利益優先の視点に立って従来の制度や政策を踏み込んで見直していくためには、女性の視点を盛り込むことが必要であることはお話しのとおりでございます。女性が政治、社会のあらゆる分野に男性と同じように参画する男女共同参画型社会の形成は、政府の施策の重要な柱だと認識をいたしております。
 男女の固定的な役割分担意識や慣行の変革、あるいは女性が社会参加しやすい条件整備など、総合的な施策を推進しておりますし、現内閣におきましても、三人の女性に御入閣をいただき、さらに官房長官を女性問題担当大臣に指名をいたしまして、内閣としても最善を尽くして女性問題に取り組んでまいりたいと考えているところでございます。(拍手)
 行政の分野につきましては、女子公務員の採用、登用、それから審議会などの委員への女性の登用にさらに努めてまいりたいと思っておりますし、審議会の委員も、女性の委員の割合は現在一〇・四%でございますが、これを平成七年度までに一五%にするという目標を政府の計画に盛り込んでおりまして、その達成に一層努力をしてまいりたいと思っております。
 それから、世界人権会議の宣言に関連してのお尋ねでございましたが、本年六月にウィーンにおいて開催されました世界人権会議では、すべての人の人権の普遍的な尊重をうたったウィーン宣言及び行動計画が採択されましたが、我が国としては、この会議が国際社会における人権の尊重と促進への新たな契機となるように積極的に議論に参加したところで、この宣言を踏まえまして、また、おっしゃった趣旨も考慮に入れながら、今後とも人権の尊重と促進のために努力を払ってまいりたいと思っております。
 それから、週四十時間制の問題についてのお尋ねでございましたが、来年四月から施行される改正労働基準法では、御承知のように、現行の四十四時間制を、原則として週四十時間制に移行することにいたしております。
 しかしながら、労働時間の短縮が進んでいない中小企業などにつきましては、平成九年三月末までの間、猶予措置を適用することにしているところでございます。
 政府としては、時短を行った中小企業に対してまして奨励金を支給するなど、助成措置の活用を図りながら、きめ細かな指導、援助などを行って、猶予期間中にこうした中小企業などができるだけ早期に四十時間制に円滑に移行できるように努めてまいりたいと思っております。
 国連改革についてのお尋ねでございましたが、冷戦の終えん後、新たな国際秩序の構築に当たりましては、御指摘がありましたとおり、国連が中心的な役割を果たすことに対する期待が国際的に高まっております。
 今日、国際の平和と安全の問題に関しましては、さまざまな地域紛争に加えて、環境、貧困、難民といった非軍事的な要素も不安定要因となってきておりますし、国連はそうした問題を解決するに際して、グローバルな枠組みを提供し得る唯一の普遍的な国際機関であって、国際社会の期待にこたえていくためには、国連自身、新たな時代の変化に適合する変革が必要だと認識をいたしております。我が国としても、国連がこうした冷戦後の世界に対応できるように、国連改革、国連の機能強化のために積極的に寄与していく方針でございます。
 それから、冷戦後の経済協力、国際貢献、アジア近隣諸国の重視といったようなことについてのお尋ねでございましたが、東西冷戦は終わりを告げましたが、国際社会は新たな平和秩序の構築という重い課題に直面をし、我が国の外交を取り巻く環境も大きく変わってきております。国際経済における相互依存関係の深化も背景として、今や我が国の行動が国際社会の動きを左右するまでになってきていることは御承知のとおりでございます。我が国としては、新しい平和秩序の構築と世界経済の発展のために、アジア・太平洋そして国際社会における主要な一員として、その責任と役割を積極的に果たしていかなければなるまいと思っております。
 そういう認識のもとで、我が国としては、まず第一に、地域紛争の解決や軍備管理・軍縮を初めとする世界平和の確保のための取り組みをしていくということ、第二には、世界経済の繁栄の確保、ウルグアイ・ラウンドの年内終結に向けての努力をしていくということ、第三には、途上国援助の拡充をしていくということ、第四には、地球環境を初めとする地球的規模の問題への取り組みを積極的に進めていくということ、そうしたさまざまな分野において国際貢献を推進をしていくことが重要であると認識をしております。
 それからまた、アジアの近隣諸国など諸外国の経済発展のためには、我が国の市場アクセスの一層の改善など市場機会を拡大することが重要であって、このような市場機会の拡大などを通じまして、貿易、投資などの国際的な経済交流をより一層活発化していく必要があると認識をしているところでございます。
 それから、対日、日中、日朝、アジア外交全体を含めてどう考えるかというお尋ねでございましたが、私は、アジア・太平洋地域の一員としての我が国の役割を重視し、この地域の平和と繁栄のために可能な限りの貢献を行ってまいりたいと考えております。そのような考え方につきましては、先日の所信表明で述べさせていただいたとおりでございます。
 ロシアとの関係につきましては、北方領土問題を解決をし、国交の完全正常化が実現するように努力をしてまいりますとともに、ロシア国内の改革に対し応分の支援を行ってまいりたいということを申し上げました。
 また、中国との関係につきましては、引き続き政治経済両面にわたる改革・開放政策を促すとともに、一層の国際協調を慫慂し、国際社会におきましてともに建設的な役割を担ってまいりたいと考えているところでございます。
 それから、日朝国交正常化交渉につきましては、このことが朝鮮半島の平和と安定に資するものとなるように、そのことをしっかり念頭に置いて、誠意を持って、かっ粘り強く交渉に臨んでいきたいと思っております。
 それから、アジアの諸国民に対する反省と謝罪の意思を国会決議でどうかというお話でございましたが、御指摘の点につきましては、先日の私の所信表明演説におきましても改めて深い反省とおわびの気持ちを申し述べたところでございますが、国会決議につきましては国会が決定されるべきことと考えております。
 それから、地球環境問題についてのお尋ねでございましたが、この問題は人類の生存基盤に深刻な影響を与える緊急かつ重要な問題であって、我が国にとりましても最重要課題の一つであると受けとめているところでございます。まずもって、高度な経済活動を営み、地球環境にも大きなかかわりを持っている、そしてまた環境保全の分野で多くの経験とすぐれた技術力を持っている我が国といたしましては、地球環境の保全に積極的な役割を果たしていくことが求められていると考えております。
 そのような観点から、我が国としては、環境への負荷が少なく持続的な発展が可能な社会を構築するとともに、我が国が国際社会において占める地位に応じて、地球的規模の環境問題に対応する国際協力の一層の強化について率先して努力してまいらなければならないと思っております。
 また、御指摘の開発途上国における環境問題への取り組みに対する支援につきましても、我が国として引き続き積極的に取り組んでまいりたいと思っております。(拍手)
 それから、環境基本法の再提出についてのお尋ねでございましたが、さきの国会に提出されました環境基本法案は、環境の恵沢を現在及び将来の国民が享受していくための基本的な理念と、これに基づく基本的施策の総合的な枠組みを定めたものであって、地球環境時代に対応した新たな環境政策の展開を図るために不可欠の法案であると認識をいたしております。前国会で、衆参両院におきまして十分審議が尽くされ、修正を経て全会一致で可決されたものでございますし、これを次の臨時国会に再提出をし、その早期成立をぜひお願いをしたいと思っております。(拍手)
#9
○井奥貞雄君 国務大臣の演説に対する残余の質疑は延期し、明二十六日午後一時から本会議を開きこれを継続することとし、本日はこれにて散会されることを望みます。
#10
○議長(土井たか子君) 井奥貞雄さんの動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#11
○議長(土井たか子君) 御異議なしと認めます。よって、動議のとおり決まりました。
 本日は、これにて散会いたします。
     午後三時十七分散会
ソース: 国立国会図書館
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