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1993/08/26 第127回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第127回国会 本会議 第6号
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1993/08/26 第127回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第127回国会 本会議 第6号

#1
第127回国会 本会議 第6号
平成五年八月二十六日(木曜日)
    ―――――――――――――
 議事日程 第八号
  平成五年八月二十六日
    午後一時開議
 一 国務大臣の演説に対する質疑 (前会の続
 )
    ―――――――――――――
○本日の会議に付した案件
 国務大臣の演説に対する質疑   (前会の続)
    午後一時三分開議
#2
○議長(土井たか子君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
 国務大臣の演説に対する質疑  (前会の続)
#3
○議長(土井たか子君) これより国務大臣の演説に対する質疑を継続いたします。町村信孝さん。
    〔町村信孝君登壇〕
#4
○町村信孝君 私は、自由民主党・自由国民会議を代表し、細川総理の所信表明演説に対して質問をいたします。
 質問に入るに先立ち、連立与党の皆様に一言申し上げたいのでございます。
 細川総理は、所信表明演説において、与野党間の対話の重要性と建設的提案競争の時代の到来を告げられました。まことにもっともな考えであると考えます。それならば、与党五会派の皆さんは、本特別国会の開会に当たって、自民党の強い要請にもかかわらず、なぜ当初、所信表明に応じようとしなかったのでありましょうか。連立与党の皆さんの強い反省を求めみものでございます。(拍手)
 さて、総理、総理は所信表明演説の中で、連立政権は、外交、防衛、経済、エネルギーなど基本重要政策について自民党政府の政策を継承すると言われました。この姿勢は、我が党の政策の正しさを評価したものとして我々は歓迎をいたします。(拍手)
 しかし、総理の所信表明及び昨日の河野総裁への答弁は極めて抽象的なスローガンが大部分でございましたので、私は、まず、基本重要政策の具体的内容について伺いたいと思います。
 まず、憲法についてであります。
 我が国の憲法が制定されて以来、半世紀を迎えようとしております。この間、我が国の社会情勢、世界の趨勢や我が国の国際的な立場は大きく変化をしてまいりました。総理が代表の日本新党の政策大満においては、「新しい改憲論の提唱」として、「現行憲法の筆不原則が冷戦以後の新しい国際環境のなかでよりよく発揮できるようにするための憲法改正に、慎重に、しかし積極的に取り組む。」と書いてございます。
 最高法規である憲法といえども不磨の大典ではなく、時代の変化に対応しつつ常に見直していくことは政治の責任として当然であると認識をしております我が党の主張に賛意を表されているものと評価をしておりますが、総理に就任をされた現在もこの考え方に変わりはないでしょうか。また、憲法改正の具体的内容は何であるのか、御所見をお伺いをいたします。
 また一方において、細川連立内閣には、一貫して憲法改正に反対されている政党や、また、憲法に関する基本的な姿勢を全く示しておられない政党も参加をしておられます。憲法という国の基本理念について一致を見ていない政党による連立内閣に対して、不安を抱くのは私だけでありましょうか。
 そこで、社会党の山花大臣にお伺いをいたします。
 山花大臣は、去る一月二十五日の衆議院本会議において、違憲の実態にある肥大化した自衛隊と発言をしておられますが、このお考えは今も変わっておりませんでしょうか。また、社会党の伊藤大臣は、大臣就任の記者会見で、自衛隊が違憲であることは小学生が憲法を読んでもわかると発言をしておられるのであります。自衛隊は合憲か違憲か、社会党委員長として責任のある答弁を求めます。(拍手)
 そして、総理、あなたは所信表明で、政治のリーダーシップこそが今必要であると言われました。総理のリーダーシップで、せめて憲法問題ぐらいは、細川内閣に参加をしておられる各政党の主張を統一されるべきである、こう考えますが、総理の御所見を求めます。(拍手)
 先般来、我が党は、憲法調査会において徹底的な議論を行い、その結果、広く国民的な憲法論議を展開するための機関を内閣もしくは国会に設置すべきであるとの中間取りまとめを行いました。かかる審議機関の設置について、総理の御所見を伺います。
 次に、外交問題について伺います。
 東西冷戦は、日本を含む西側陣営の政治、経済、軍事各分野にわたる強い結束の結果、ソ連・東欧ブロックの崩壊という形で終わりを告げました。ポスト冷戦時代の今日、我が国は、これまでのように一国平和主義あるいは一国繁栄主義に閉じこもっているわけにはまいりません。今こそ我が国独自のビジョンを世界に提起し、世界とともに歩む日本の姿を示すときが来たと考えます。
 我が党は、これまで、国際社会において我が国の国力にふさわしい役割を担うべきであるという観点から、平和のための協力強化、政府開発援助の強化等を積極的に推進をしてまいりました。特に、近年、従来の資金面、物資面での協力にとどまらず、人の面でも積極的な役割を果たしていくべきなどの声が高まり、我が党の政権のもとで、昨年、国際平和協力法を成立させ、国連平和維持活動及び人道的な国際援助活動への道を開いたところであります。
 総理も所信表明で「国連による国際的な努力に対する人的貢献」の必要性を述べられました。しかし、国連平和維持活動への協力に関しても、連立与党の各党とも見解が異なっておりますが、今後、政府として適切な対応をとることができるのか、強く危惧せざるを得ません。
 カンボジア、モザンビークにおいては、自衛隊の皆さん方が厳しい環境のもとで現地の平和と復興のためにひたむきな努力を続け、汗をかいております。これらの活動は国際的にも高く評価をされているものであり、また、中田、高田両氏のとうとい犠牲を無にしないためにも、国際平和のための協力に後戻りがあってはなりません。
 総理は、所信表明で何らの言及もありませんでしたけれども、自衛隊を中心とした国連平和維持活動のこれまでの実績をどのように評価をしておられますか。また、カンボジアに派遣された自衛隊の皆さんは来月半ばには帰国の途につく予定でございますが、彼らの労苦に報いるためにも、総理みずから自衛隊の諸君を出迎えに足を運ばれるべきだと私は考えますが、いかがでございましょうか。(拍手)
 次に、山花大臣にお伺いをいたします。
 あなたが委員長を務める日本社会党は、昨年の国際平和協力法の採決に当たり、牛歩戦術をとり、議員辞職願を提出してまで明確に反対をされました。このことを今、山花大臣、心静かに反省をしておられるでありましょうか。また、社会党の提出されました非軍事・文民・民生面での五百人の要員派遣のアイデアは、中田さんの例を見るまでもなく、極めて危険で、かつ非現実的なものであったとはお考えになりませんでしょうか。そうして、早晩、国連モザンビーク活動の期間が延長になるのは確実でありますけれども、内閣の一員として、よもや延長に反対されることはないでしょうね。この三点をお尋ねをいたします。(拍手)
 他方、私たちも、法案の成立を優先する余り、やや現実と離れた議論をしていたのではないかと率直に反省は持っております。カンボジアでの貴重な経験を生かし、今後の国際平和協力法の内容や運用の面で改善すべき点があると考えますが、総理の御所見を求めます。
 次に、日米安保条約でございますが、この条約が我が国の平和と安全に果たしてきた役割にははかり知れないものがございます。だからこそ、総理も所信表明で日米安保条約の必要性をうたわれたのでございます。
 しかし、連立与党の第一党である社会党にあっては、これまでたびたび国会などで日米安保解消論を主張しているのでありますが、党の最も基本的な外交・安保政策について、これを変更をするのか、あるいは一時的に政権にあるときだけ凍結をするのか、どちらなのか、ぜひお伺いをいたします。(拍手)もし、政権にあるときだけ凍結するという、政権につきたいがためだけの便宜的な政策であるとしたら、国民をこれほど敷くものはないのであります。(拍手)社会党山花大臣の明確な御答弁をお願いを申し上げます。
 また、上原大臣は、昨年十一月二十七日の外務委員会で、安保条約は冷戦構造下の遺物であると、こう言明をされました。また、閣僚就任後も、日米安保体制の核心をなす在日米軍の駐留に関し、沖縄の米軍基地の縮小、撤去を主張されておられますが、これは細川総理の所信と百八十度異なるものでございます。これらについて、上原大臣の御見解をお伺いをいたします。
 韓国との関係についてであります。
 日韓両国は、自由と民主主義という基本的価値を共有する極めて近い隣国であり、その友好協力関係は日韓両国民のみならず国際社会の認めるところであります。しかしながら、社会党は、党の正式な政策として、今日の日韓関係の基礎をなす一九六五年の日韓基本条約をいまだ認めておらず、北朝鮮とのみ緊密な関係を保っておりますが、こうした立場は、今日の国際社会の現実から遊離したものであると言わざるを得ません。新聞報道によれば、社会党委員長のお立場で九月上旬訪韓をされると伺っておりますが、社会党は日韓基本条約を公式に認めることになったのか否か、山花大臣に伺います。(拍手)
 次に、北朝鮮政策でございます。
 現在の北朝鮮は、国民に耐乏生活を強いつつ強大な軍事国家を築き、IAEA、国際原子力機関の保障協定の不履行、核兵器の疑惑、長距離ミサイルの開発など、極東の平和と安全に大きな影を投げかけております。
 私は、武村官房長官も同行された金丸訪朝を契機として始められた国交正常化交渉が、社会党も参加している新政権のもとで政治的にゆがめられることを懸念をしておりますが、総理の御見解を伺います。
 次に、ガット・ウルグアイ・ラウンド交渉について伺います。
 本交渉は、議論が始められてから既に八年目に入っておりますが、本年末までの決着を目指し、秋から本格的な交渉が行われます。本交渉の成功が極めて重要な意味を持ちますことは言うまでもございませんが、農業分野の交渉は大変に厳しいものがあります。その中で、我が国の米について、水田農業が日本農業の基幹であり、かつ、急峻な国土条件のもとで自然環境を保全するなど、食糧安全保障を初め、国民生活全般にわたる多面的な機能を有する特別な重要性を有しております。国会決議の趣旨を体し、米を包括的関税化の例外とし、国内産で自給する方針を貫くべきであります。
 しかし、日本新党など連立与党の中には、米の市場開放に柔軟な意見もあり、農業者を初め国民に不安を与えております。他方、細川内閣の消費者重視の政策から、諸外国では、安い米を日本に輸出できるようになるのではないかという期待が高まっております。そこで、米の問題に臨む方針につき総理の明快な御所見を求めます。
 次に、防衛政策について伺います。
 我が党は立党以来、政権政党として、我が国に対する侵略を未然に防止するため、アメリカとの安全保障体制を堅持しつつ、みずからの国はみずからで守るという意志のもとに自衛力の整備に努めてまいりました。このことが我が国の平和と安全と独立を守る上で決定的に重要であったことは、万人の認めるところであります。
 総理は、所信表明演説で、防衛政策については、原則として今までの国の政策を継承するとだけ言っておられるのでありまして、何ら具体的な説明がありませんでした。前に述べたように、細川内閣の中には、自衛隊を憲法違反と言う政党があり、また、国際平和協力法にも絶対反対の政党も加わっておりまして、国民は、我が国の防衛は本当に大丈夫なんだろうかと心配をしているのであります。
 冷戦終結後の国際情勢は、確かに核兵器による大規模な戦争の起こる可能性は遠のきました。しかし逆に、東西冷戦によって抑え込まれてきた宗教や民族上の問題に起因するさまざまな対立が表面化をしてきております。
 また、目をアジアに転ずれば、中国の軍事力の著しい増強、そして南沙群島問題、東南アジア諸国の軍備拡充の動き、北朝鮮のミサイルや核開発、極東ロシア軍の膨大な戦力など、数多くの不安定、不確実な要因が見られるのであります。
 まず、基本的な国際情勢の認識について、今私が述べたところと異なる御見解をお持ちか否か、総理の御答弁を求めるところであります。
 昨今、欧米各国における兵力再編や国防費削減をとらえて、我が国においても防衛予算を削減せよという、いわゆる平和の配当論が言われております。しかし、欧米各国は、ソ連の脅威の増大に直接対抗をするため防衛費を拡大させてきたのであり、冷戦終結とともにその予算を削減するのは当然と言えましょう。
 しかし、皆様御承知のように、我が国は、日米安保のもとで、もともと独立国として必要最小限の防衛力の整備を進めてきたところであり、欧米各国とは防衛政策に関する基本的な考え方が異なっているのであります。
 そこで、総理及び山花大臣にお尋ねをいたしますが、基本政策の継承を言われるからには、いたずらにムードに流されて防衛費削減を唱えるのではなく、防衛計画の大綱と、下方修正したばかりの中期防衛力整備計画に従って、各年度の防衛力整備を着々と実行していくべきであると考えますが、いかがでありましょうか。
 ところで、私たちは、緊急時における自衛隊による在外邦人の空輸を内容とする自衛隊法の一部改正法案を国会に提出をし、衆議院では自公民の賛成で可決したわけでありますが、同法案は解散により残念ながら廃案となってしまいました。
 海外における邦人の安全確保のため、自衛隊の能力を活用して政府独自の在外邦人の輸送体制を有すれば、今後、より適切な措置をとれると考えられます。そこで、新政権としても、この法案を改めて国会に提出をし、速やかな成立を図られるべきだと考えますが、その点に関して総理の御決意のほどを伺います。
 次に、エネルギー政策について伺います。
 国民生活の向上などを背景に、民生部門を中心としてエネルギー需要が引き続き増大をしていますが、他方、旧ソ連の石油生産の減退などエネルギー供給の不安定性が増大し、さらに、地球温暖化問題を初めとする環境問題への関心が高まるなど、エネルギー政策は極めて厳しい局面を迎えております。とりわけ、今後とも拡大が見込まれます電力需要を満たすためには、全電力供給の約三〇%を依存しております原子力発電の推進は不可欠と考えます。
 原子力発電はコスト的にも極めて有利でございまして、昨夜の新聞報道によれば、私の地元の北海道電力は、その建設に私も協力をいたしました泊原子力発電所が円滑に稼働しているために、近日中に料金値下げを行うという予定であると伺っております。また、原子力は、環境負荷の小さいクリーンなエネルギーであることから、地球環境問題への対応という観点からも重要なエネルギーであると位置づけられております。
 ところが、原子力をめぐっては、これまた連立与党の中で足並みに相違が見られます。与党第一党の社会党は、地域において反原子力運動の先頭に立っていますし、また、九三年重言草案の中で「脱原発の日本」を掲げておられます。公明党は、原子力は代替エネルギーの目途がつくまで安全性チェックを前提に容認しておられ、また民社党は、プルトニウムの利用を含めた原子力開発の積極的推進をうたっております。
 新エネルギーの導入、開発を積極的に促進すべきことは当然でありますが、コスト的に高いことに加えまして、二〇〇〇年時点の新エネルギーのエネルギー供給全体に占めるシェアはせいぜい三%程度と見込まれ、新エネルギーのみで原子力にかわるエネルギーとすることは不可能であります。また、省エネルギーを一層推進すべきでありますが、経済成長や国民生活への影響を考えますと、省エネルギーによって電力需要を大幅に減少させることも困難であります。
 以上の観点を踏まえ、我が国としては、安全性の確保を前提として、原子力の利用を今後とも積極的に推進をすべきと考えますが、この点についてどのようにお考えになるか、総理、山花大臣、そして江田大臣の答弁を求めます。
 特に山花大臣には、社会党は原子力発電を基幹エネルギーとして認めるか否か、また、地域で行っております反原発闘争から手を引くのかどうか、明確にお答えをいただきたいのであります。(拍手)
 江田大臣からは、核燃料サイクルの確立を推進するのかどうか、伺います。また、高レベル放射性廃棄物処理をどうするのか。特に、現在、科学技術庁が北海道の幌延町で進めております貯蔵工学センター計画について、引き続き推進する方針か、お伺いをいたします。
 次に、急激な円高への対処と景気対策についてであります。
 円高は、日本の円の価値が評価されたとの証明であるという意見もあります。また、円高にはメリット、デメリット両方あることもお互いに認識しているところであります。しかし、円高がこのまま推移をいたしますと、今日までの日本の経済成長の原動力であり、また、現在の不況で最も影響を受けている自動車やエレクトロニクスといった輸出産業や、これを取り巻く下請、孫請の中小企業及びその勤労者は壊滅的な打撃をこうむることになり、景気の底割れすら懸念をされております。
 連立政権の成立時点で一ドル百十円であった円は、一挙に百円近いところまで急騰いたしました。その背景には、国際金融市場の連立政権の政策に対する信認の低下があったとする向きもございます。新政権のもとで、投機筋の思惑に立ち向かう確固たる国際協調体制はできておりますでしょうか。
 また、今回、米国の通貨当局が介入に踏み切るに当たって、総理はクリントン大統領との電話会議の中で、通商政策の面で新たな約束をしたと言われておりますけれども、これは事実でしょうか、御説明を願います。
 政府は、経済情勢臨時懇談会で円高差益の還元や規制緩和の検討に入ったと伝えられております。
 差益の還元は我が党も必要であると思いますが、電気・ガス料金の一カ月わずか数十円程度の引き下げでは到底抜本的な対策とはなり得ません。規制緩和もまた必要でございますが、相当な期間を要する課題が多く、即効薬とはなりません。
 現下の最も重要な政策課題は、今申し上げたような急激な円高への対応と、景気回復をどうするかでありますが、細川総理の所信をお聞きする限り、残念ながら、新政権がどのように日本経済を運営されようとしているのか、私どもには全くその具体的な姿が見えてこないのでございます。
 円高差益の還元にしても、規制緩和にしても、行政分野の仕事とはいえ、いずれも民間の努力を前提としております。政府自身による対策はどうされるおつもりなのか。私は、今、直ちに政府として実行可能な内需拡大策は、公定歩合のさらなる引き下げと財政投融資の活用ではないかと考えますが、財政、金融、税制など、各般にわたってできるだけ具体的な対応をお聞かせ願いたいのであります。
 総選挙に際し、最も強かった国民の要望は減税、とりわけ所得税の減税でありました。
 我が党も、四月に緊急総合景気対策を決定する過程で、所得税減税の必要性は十分認めつつも、財源の問題、景気への乗数効果、税制全体のバランスの問題から今回は見送って、次の検討課題とした経緯もございます。
 これに対し、今日、連立与党となった各党の税制に関する選挙公約はいかがでございましたでしょう。おおむね、所得減税、特に与党第一党の社会党は、大型減税と消費税の食料品非課税を掲げられ、その財源は赤字国債によるというものでありました。ところが、政権の座についてからは、一転して赤字国債反対の大合唱であります。野党が与党にかわると、かくも基本政策が変わるのかと、ただただ驚くぽかりでございます。(拍手)
 所得減税を求める国民の声はますます大きくなっていますが、この声に細川内閣はどうこたえるのか、減税を行うなら財源をどうするのか、社会党や公明党の書記長を初め連立与党の首脳は、赤字国債を財源とする所得減税を言われているようでありますが、どうか総理御自身の考え方を明確にお示しください。
 また、消費税について、社会党は依然として廃止を主張されるのか。一方で、新生党の小沢氏は暮春の中で消費税率一〇%への引き上げを述べておられますが、消費税の存廃を含め、これに対する社会党委員長としての山花大臣のお考えを伺います。(拍手)
 なお、雇用不安も増大している昨今でありますが、政府の大方針である規制緩和及び地方分権を進めることは、我々も、簡素にして効率的な政府の立場から基本的に賛成です。
 しかし、このことは、公務員の仕事が減るのですから、必然的に公務員、特に国家公務員の大幅削減を伴うことになるでしょうし、そうでなければ国民は納得いたしません。官公労を中心に労働組合の強い反対も予想されますが、規制緩和担当の石田大臣、そして社会党委員長の山花大臣の強い決意を伺っておきます。(拍手)
 次に、公共事業について伺います。
 国民一人一人が豊かさとゆとりを日々の営みの中で実感できる生活を実現するためには、住宅、社会資本の整備等が必要であります。そのため、我が党は、平成二年、政府とともに総額四百三十兆円に上る公共投資基本計画を策定し、積極的に推進をしてまいりました。また、我が党は、本年四月の緊急総合景気対策において、新たに大学・研究機関、医療・社会福祉施設、再開発事業、都市鉄道の整備など、いわゆる新社会資本の整備を積極的に推進してきました。細川新内閣では、公共事業のシェアの見直しを公約しております。新内閣は、来年度予算編成において生活関連特別枠などを廃止して、一律のシーリングとするとのことでありますが、そのようなことで生活環境施設を初め真に必要な社会資本に重点配分を行えるのかどうか、総理にお伺いをいたします。
 最後に、細川総理に、連立政権の基本的な問題点について所見を求めます。
 確かに国民は、今回の選挙で変化を求めました。自民党の政策は支持されましたが、その古い体質は国民の支持を得なかったと思います。逆に、社会党は、冷戦構造の終わりを反映して議席を大幅に減らしました。そこに新党躍進の原因があったと言えると思います。
 しかし、私は、成立した新政権が、政治改革と非自民の二つの共通項で結ばれていることの問題点をあえて指摘したいと思います。
 すなわち、政治改革は、単純化して言えば政治の土俵づくり、フレームワークづくりの問題であって、本来的、本質的な政策の内容ではございません。そして、これは、我が党もまた積極的に取り組まなければならない政界共通の課題であります。
 次に、非自民のスローガンは、共通の政治理念や共通の政策を示すものではありません。だからこそ、この連立政権は、政権参加に当たって政党として固有の考え方を持つことは否定しないという形で調整を行わざるを得なかったのであります。私が本日この場で、各党の基本政策の大きな違いを指摘したのも、まさに連立政権の政策上の無責任さ、整合性のなさの一端を国民の前に明らかにする必要があると考えたからであります。(拍手)
 そして、あえて大胆に分類することをお許しいただくならば、所得の平等、福祉の拡大を目指す大きな政府のグループ、その反対の小さな政府のグループ、それに大国主義志向のグループ、本質的に相入れない三つのグループが連立政権の中には存在するように見えるのであります。一体、総理は、この三つの流れをどうやって一つの統一会派にまとめ、次の選挙で国民に対し支持を求めていくお考えでしょうか。相も変わらず非自民というスローガンで国民を誘惑するつもりでありましょうか。連立政権の基本理念にかかわる問題として、どうぞ総理御自身のお言葉でお答えをください。
 もちろん、私たち自由民主党も、揺るぎない自由と民主主義の理念と政策を、より具体的に国民に示していかなければなりません。このため、我が党は、橋本政調会長を会長とした二十一世紀委員会を新設し、この課題に取り組み始めたところであります。また、三十八年間の間にしみついた古い体質や、長年政権の座にいたところからくるおごりと非常識な行動を、根本的に改めていかなければならないと考えております。(拍手)このため、我が党は、野田毅本部長のもと党改革本部を新設し、信頼される政党づくりに邁進をしてまいります。
 国民各位の御協力と御支援を切にお願いを申し上げ、私の質問を終わらせていただきます。(拍手)
 なお、御答弁の内容によりましては、再質問を行うこともありますので、その旨申し添えます。どうもありがとうございました。(拍手)
    〔内閣総理大臣細川護煕君登壇〕
#5
○内閣総理大臣(細川護煕君) 憲法の問題について数点ほどお尋ねがございました。
 申すまでもなく、この政権は八党派によって樹立をされました連立政権でございますが、したがいまして、自民党の中にも憲法についてさまざまなお考え、憲法観の隔たりがございますように、八党派の中にもさまざまな御意見やお考え、提唱があることはひとつ御理解をいただきたいと存じます。
 御指摘の日本新党の政策大綱には、現行憲法の国民主権、平和主義あるいは基本的な人権などの原則を護持する立場から、従来の改憲論とは異なる、今まで憲法を尊重してきた側からの新しい改憲論、言うなれば護憲的な改憲論だ、こういうことを申し上げてまいりましたが、そういうことを提起しておりますが、これも一つの政党としての考え方であるということでございます。
 このたびの連立政権は、八党派があえて立場の違いを乗り越えて、我が国憲法の理念と精神を尊重していくことで合意をいたしております。また、私自身も憲法の理念と精神を尊重することでは人後に落ちないというふうに自覚をいたしているところでございます。(拍手)
 総理のリーダーシップで、内閣に参加している各政党の主張を統一させるべきである、こういうお尋ねでございましたが、憲法について、連立与党内には、このままがよいとする方もございますし、あるいは時代に応じて見直すべきだという方もおられますし、幅広い意見があるとは思いますが、ただ、現行憲法の理念と精神を堅持していくということでは全く一致していると考えているところでございます。(拍手)したがって、憲法についての八党派の合意も、積極的で実質的なものであると信じているところでございます。
 憲法論議を展開するための審議機関を設置すべきと考えるが、どうか、こういうお尋ねでございましたが、憲法問題をめぐっては、これまでも各方面からさまざまな御意見が出されてきておりますが、重要な問題でありますだけに、まず国民の各界各層で広く御論議をいただき、合意が形成されることが何よりも肝要であると考えております。現段階で、内閣として、御指摘のような審議機関の設置について政治日程にのせるということは考えておりません。
 次に、国連平和維持活動の強化ということについてのお尋ねでございましたが、我が国が国連平和維持活動に対してきる限りの人的協力を行うことは、まさに国際協調のもと、恒久の平和を希求する憲法の理念にも合致をすることであると思っております。
 昨年九月から十月にかけてアンゴラにおいて選挙監視業務を実施いたしますとともに、現在は、カンボジアにおいて約六百名、また、モザンビークにおいて約五十名の我が国派遣隊員がそれぞれの国における和平の確立と復興のため汗を流していただいているところでございます。
 カンボジアにおける我が国要員の死傷事件の発生につきましては、まことに痛ましく残念なことでございますが、UNTACの活動がカンボジアの和平の基礎をつくったことは事実でございますし、我が国としてこのカンボジア和平に人的な面を含め貢献をなし得たことは誇りとしてよいと考えております。なお、我が国の要員、部隊の活動につきましては現地でも高く評価されておりますし、また、我が国におきましても国民の理解と支援が深まっているものと考えているところでございます。
 自衛隊の隊員の方々の帰国の際には、現地での御苦労に十分報いるように適切に対応してまいりたいと思っております。
 国際平和協力法の内容や運用で改善すべき点があると考えるかどうかということでございましたが、国際平和協力法のもとでの実際の協力が開始されてようやく一年を迎えようとしている現段階におきましては、この法律によって協力の実績を積み重ねていくことが重要であると考えておりますが、カンボジアなどへの派遣に際して得ました、要員、部隊の安全確保など貴重な経験を十分そしゃくした上で、国際平和協力法のあり方、その運用についてさまざまな実りある議論が行われることを期待をしているところでございます。
 なお、法律の施行後三年を経過した場合において、法律の実施状況に照らして、その実施のあり方について見直しを行うこととされていることは御承知のとおりでございます。
 日朝国交正常化交渉についてのお尋ねでございましたが、この問題につきましては、第二次大戦後の不正常な関係を正すという二国間の側面と、この国交正常化交渉が朝鮮半島の平和と安定に資することが重要であるという国際的な側面があると思っております。日朝国交正常化がこのような二つの側面を持っているということを十分に踏まえて、従来からの原則的な立場を堅持しつつ、関係国とも緊密に連絡をとって誠実に交渉を行っていくという政府の姿勢に変化はございません。
 次に、米の市場開放の問題についてでございますが、ウルグアイ・ラウンド交渉が最終段階を迎えている中で、各国とも農業問題に関してそれぞれ困難な問題を抱えておりますが、相互の協力による解決に向けてできる限りの努力をしていかなければならないと、当然のことながら考えているところでございます。
 昨日も申し上げましたとおり、米については、その重要性にかんがみて、国会決議の趣旨を体し、国内産で自給するという基本方針のもとで対処してまいり保たいと思っております。
 次に、冷戦終結後の国際情勢の認識いかんということでございますが、冷戦の終結後、国際社会におきましては、大規模な武力紛争が起こる可能性は低くなっておりますものの、依然として多くの不安定な要因が存在をいたしております。
 アジア・太平洋地域におきましても、緊張緩和に向けた好ましい動きが見られる一方で、北方領土や朝鮮半島問題など未解決の問題や、極東地域のロシア軍あるいは北朝鮮の核開発疑惑のような不安定な要因が引き続き存在をしている、このことをしっかり見詰めていかなければならないというふうに認識をいたしているところでございます。
 防衛力整備の件についてお尋ねがございましたが、我が国は、防衛計画の大綱のもと、独立国として必要最小限の基盤的防衛力の整備に努めてきたところでございます。政府は、この大綱に基づいて中期防を策定をいたし、また、防衛力整備を実施してきたところでございますが、この中期防につきましては、昨年末に一年前倒しで減額修正したことは御承知のとおりでございます。今後の具体的な防衛力の整備につきましては、この修正後の中期防のもとで、深刻な財政事情なども踏まえて検討をすべきものと考えております。いずれにしても、今後とも、効率的で節度ある防衛力の整備に努めてまいる所存でございます。
 次に、自衛隊法の改正法案についてのお尋ねでございましたが、政府としては、同法案の速やかな成立が必要と考えておりますし、可能な限り早期に同法案を国会に再提出して、御審議をいただきたいと考えているところでございます。
 原子力の平和利用についてのお尋ねがございましたが、所信表明演説において申し述べましたとおり、政権の樹立に際して、エネルギー政策については、原則として今までの国の政策を継承するということを確認をいたしたところでございます。
 エネルギーの安定供給は、経済発展と環境保全に密接にかかわりがございますし、エネルギー需給の現状を踏まえて、今後ともその安全の確保に努めつつ、原子力の利用を進めてまいらなければならないと思っております。
 それから、急激な円高に関する問題でお尋ねがございましたが、我が国としては、為替相場は経済のファンダメンタルズを反映して安定的に推移することが望ましいと考えております。こうした基本的な考え方は、本年四月のG7のコミュニケで示されているとおり、各国の共通の理解になっているところと認識をいたしております。
 次に、クリントン大統領との電話会談の中身についてのお尋ねでございましたが、電話会談の中では、日米間の経済問題につきまして、私の方からは、包括経済協議の枠組みに関する合意というものを尊重をし、円滑な関係の発展のためにさらに日米双方が努力していくことが重要であるという立場を申し上げました。これに対して大統領の方からは、協議の枠組みのもとで進展を見ることが重要であるとの発言がございまして、極めて和やかな有意義な会話であったというふうに私は理解をいたしております。
 次に、円高、景気回復対策についてのお尋ねでございましたが、最近の急激な円高や冷夏の影響もあって、今後の景気回復には予断を許さないものがあるという認識をいたしております。そうした中で、今後、景気の足取りを確実なものにし、我が国経済の先行きに対する不透明感を払拭することが重要な課題であることは申すまでもないところでございます。
 昨日も申し上げましたが、本年度予算やこの四月に決定されました新総合経済対策を着実に実施をし、その効果の十分な浸透を図ってまいりますとともに、早ければ九月中旬までに、規制の緩和や円高差益の還元を初め、幅広い観点から現下の緊急状態に適切に対応するための施策を取りまとめて、それを実行に移してまいりたいと思っております。
 所得減税につきましてお尋ねがございましたが、平成四年度の税収が当初予算に比べて八兆円も落ち込むといった深刻な財政事情のもとで、巨額の財源をどのように安定的に確保するのか、財源として赤字国債を発行できる状況であるかどうか、また、消費の現状から見て、必要なコストと比べて、費用対効果の面で一体効果が期待できるのかどうか、そういったことを考えますと、なかなか容易なことではないと考えております。
 特に、減税財源を赤字国債の発行に求めることについては、財政状況悪化への道を開くことになりかねませんし、慎重の上にも慎重を期して考えてまいらなければならないということを昨日も申し上げたところでございます。
 いずれにしても、所得税減税の問題につきましては、当面の景気対策ということではなくて、均衡のとれた税体系の総合的な検討の中で取り扱っていく、取り組んでいくべき課題であると認識をいたしております。
 また、シーリングと社会資本の重点配分についてのお尋ねでございましたが、従来の特別枠という限られた粋の中で対応するのではなくて、これを廃止して、予算全体を根底から洗い直して、予算編成の自由度をふやし、社会経済情勢の推移に、より弾力的に対応してまいりたいと思っております。
 平成六年度予算における公共事業の配分につきましては、今後の予算編成過程で検討していくことになるわけでございますが、社会経済情勢、産、業構造の変化などを踏まえまして、国民生活の質の向上に資する分野に思い切って重点投資をするなど、従来の経緯にとらわれず、抜本的なシェアの変更に取り組んでまいりたいと思っております。(拍手)
 最後に、大きな政府か小さな政府がといった御趣旨のお尋ねがございましたが、おっしゃるような三つのグループが存在するというふうには私は思っておりませんので、したがって、この質問にはお答えのしょうがないということでございます。
 ただ、大きな政府か小さな政府がということでは、それぞれの御意見もあるだろうと思っておりますが、その際にお話がございました大国主義を志向する云々というお話につきましては、大国主義を志向する人がおられないということを私は確信を持って申し上げておきたいと思います。(拍手)
    〔国務大臣山花貞夫君登壇〕
#6
○国務大臣(山花貞夫君) 町村議員の御質問にお答えをさせていただきます。
 御質問の内容は、政治改革を担当する国務大臣の立場にある私に対し、日本社会党委員長としての、政治改革ではないさまざまな政策についてただすものでございます。しかし、私は、この壇上に答弁をする立場は、質問通告にもありましたとおり大臣としての立場でございます。その辺をしっかりとわきまえた上で答弁をさせていただきたいと思っています。
 町村議員は、自衛隊の憲法上の位置づけ、PKO法への対応、文民等の派遣、国連モザンビーク活動への対応、外交・安全保障政策、日韓基本条約、防衛問題、原子力問題、反原発運動、所得税減税、消費税、規制緩和、地方分権問題等についての御質問でありますが、これらの質問は、社会党の従来の考え方と内閣の一員としての対応についていかがかというものであったと思いますので、一括してお答え申したいと思います。(拍手)
 連立政権は、申すまでもなく、その成り立ちや立党の精神、政治手法や固有の政策などそれぞれに異なったものを持つ政党が、主体性をしっかりと維持しながら、なおかつ協力することによって初めて成り立つものであります。七月二十九日、八党派は、国民の皆さんの期待にこたえ、その負託にこたえ、政治倫理を重んじ、自民党政権のもとではなし得なかった抜本的な政治改革を実現する連立政権樹立を決意いたしました。同時に、政治改革のテーマだけではなく、日々動く政治のさまざまな基本的な問題についても基本的な合意をつくっているところでございます。そしてその中には、御指摘に関連する外交、防衛などの基本政策について、原則として今までの国の政策についてこれを承認することについても確認しているところであり、それに沿って対応してまいりたいと思っています。
 なお、この連立政権の合意事項に沿って一言つけ加えますと、「連立政権は、わが国憲法の理念及び精神を尊重し、外交及び防衛等国の基本施策について、これまでの政策を継承しつつ、世界の平和と軍縮のために責任及び役割を担い、国際社会に信頼される国づくりを行う。」「徹底した安全管理の下におけるエネルギーの安定的確保に責任を果たすものとする。」「連立政権の発足に当たっては、かつての戦争に対する反省を踏まえ、世界及びアジアの平和と発展のために協力することを、内外に明示する。」「規制緩和など行財政改革」「地方分権の推進と本格的地方自治の確立」「公正な国民合意の税制改革」「PKO等の国際貢献」等の「重要政策課題について、各党は、誠意をもって協議を行い、合意を得て活力ある福祉文化社会を創造することに努める。」ことを合意しています。
 こうした考え方のもとに、国民の皆様の幅広い御理解を得られるものと確信をしているところでございます。
 以上であります。(拍手)
    〔国務大臣上原康助君登壇〕
#7
○国務大臣(上原康助君) 町村議員の御質問にお答えさしていただきますが、現在の私の立場は、細川内閣の閣僚の一員であるということを自覚を持って、私に与えられた三庁長官としての職員に処していくことだと心得ております。御理解を賜りたいと存じます。
 そこで、先ほど町村議員から御指摘とお尋ねのありました日米安保条約に対する私の見解でございますが、私は、冷戦構造下で、歴代の自民党政府がその軍事的面だけを突出させた安保条約の解釈、運用に絶えず疑問を持ってまいりましたのは御指摘のとおりであります。いわんや、戦後の日本の独立と繁栄のために、沖縄が余儀なくされてきた、戦中戦後は言うに及ばず、復帰して二十年余を経過した今日に及んでも、小さい狭い沖縄に米軍専用基地の七五%が集中しておって、日米安保体制を最優先させた軍事基地の重圧によって産業経済の振興が阻害され、県民の日常生活が営まれている現状を思うとき、日米安保のあり方に疑問を投げかけ、ポスト冷戦の今日的国際情勢に見合った方向に日米安保体制を改めていく努力をすべきとする主張は、ごく自然なことではないでしょうか。(拍手)
 細川連立政権は、外交、防衛などの基本政策を原則として継承していくことを申し合わせておりますが、その意味は、自民党政権下で蓄積されてきた政策をすべてそのままでよいというものではないと私は理解をいたしております。(拍手)細川総理を初め、関係閣僚もこのことによく御配慮の上で、連立政権の基本政策についても漸次進めていかれるものと期待をいたしております。
 ですから、私は、閣内で無理難題を主張しようとは思いませんが、さりとて、みずからの政治信念や信条を捨てるつもりもございません。(拍手)私は、戦後三十八年ぶりに誕生した細川政権は、国民の熱い期待と冷厳な負託にこたえていくため、必ずやこの難題を克服していけるものと信じております。(拍手)
 町村議員が御指摘なさった点、御懸念につきましては十分念頭に置いて、今後の職員に微力を尽くしてまいりたいと存じます。発言の機会を与えてくださったことに敬意を表し、北海道開発庁の仕事も一生懸命やりますので、御協力をお願いいたします。(拍手)
    〔国務大臣江田五月君登壇〕
#8
○国務大臣(江田五月君) お答えいたします。
 私の方は、所管の事項についての御質問でございました。
 細川総理から御答弁がありましたし、また、山花大臣からも御答弁がありましたが、総理が所信表明演説等において述べられているとおり、政権の樹立に際し、他の基本重要政策と同じく、エネルギー政策についても、原則として今までの国の政策を継承することを連立与党間で合意いたしました。
 その合意は、原子力政策にも及んでおります。原子力利用については、総発電電力量の三割弱を担うに至っており、エネルギーの安定的確保を図る上で不可欠と考えているからでございます。そこで、今後とも、安全の確保を大前提として、着実にその開発利用を進めていくつもりでございます。
 核燃料サイクルについてですが、原子力発電を長期にわたる安定したエネルギー供給源とするためには、我が国の場合には、核燃料サイクルに取り組むことが必要であって、このため、ウラン資源の確保、ウラン濃縮の国産化、国内再処理事業の確立、放射性廃棄物対策等を計画的に推進するというのが継承した国の政策であります。現在、原子力委員会により原子力開発利用長期計画の見直し作業が進められているところでもあり、その推移を見定めながら、今後とも、国民の一層の合意と協力を得つつ、安全確保を大前提として、青森県六ケ所村の核燃料サイクル施設計画等、核燃料サイクル確立の努力をしてまいります。
 高レベル放射性廃棄物処理処分対策は、原子力開発利用を進める上で避けて通れない課題であり、原子力委員会の基本方針に沿って計画的にその対策を進めているところです。具体的には、ガラス固化により安定な形態とし、三十牛から五十年の間、冷却のための貯蔵をした後、地下数百メートルよりさらに深い地層中に地層処分する方針のもとに、これを安全かつ適切に実施するための研究開発を進める一方、二〇〇〇年を目安に処分事業の実施主体の設立を図ることとし、必要な諸準備を進めているというのが現在のところでございます。いろいろ課題はありますが、いずれにしても、これらの対策を着実に進めることにより、安全かつ確実な処理処分を可能にするよう努めてまいります。
 放射性廃棄物の処理処分を安全かつ適切に行うために、まず研究開発が必要となることは言うまでもありません。そこで、動力炉・核燃料開発事業団が北海道幌延町でそのような研究のためのセンターとして貯蔵工学センター計画を進めており、それはこれまでの政府の重要プロジェクトでございます。
 これからの具体的進め方については、これまでの経緯や関係の方々の意見をよく聞いて適切に判断していくべきものと思いますが、いずれにしても、地元及び北海道の理解と協力を得ていくことが何より大切であり、その努力をしていきたいと思います。
 以上です。(拍手)
    〔国務大臣石田幸四郎君登壇〕
#9
○国務大臣(石田幸四郎君) 町村議員の御質問にお答えをいたしたいと存じます。
 お尋ねの点は、政府の方針である規制緩和及び地方分権を進めることによりまして公務員の仕事は減るのであるから、必然的に公務員、特に国家公務員の大幅削減を伴うものでなければならない、しかし、これに対して官公労を中心に強い反対も予想されるが、どう考えているかというような御質問でございます。
 私どもは、規制緩和や地方分権を初めとする行政改革の推進は、いわゆる政治改革と並んで政府の重要な政治課題であると認識をいたしておるわけでございまして、現在、鋭意この行政改革、特に今、規制緩和の問題と取り組んでいるところでございます。
 国家公務員の定員につきましても、従来からその総数を抑制しづつ、行政需要の変化に対応した政府部門の定員の適正配置、これを強力に推進する、また効率的な業務処理体制を確保する、こういう方針のもとで総定員の縮減に努力をしてきたところでございます。ちなみに、昭和五十七年から十二年間で約三万七千人の純減というふうになっておるわけでございます。今後、今申し上げましたような方針に基づいて、引き続き厳正な定員管理を行いまして、町村議員御指摘の混乱のないように鋭意努力をいたしてまいりたいと思います。
 以上でございます。(拍手)
#10
○議長(土井たか子君) 町村信孝さんに対する答弁が終わったわけでございますが、ただいま議場内交渉がまだ続けられております。そのまましぱらくお待ちを願います。――議場内交渉は、急ぎまとめられるようお願いします。
 この節、町村信孝さんから再質疑の申し出がありますから、これを許します。町村信孝さん。
    〔町村信孝君登壇〕
#11
○町村信孝君 ただいま議運の皆様方が御協議をいただいていたと思いますが、きっとテレビをごらんの国民の皆様方は、なぜここに空白の十数分があったのかわかりづらかったんだろうと思います。
 私は、今、上原大臣の大変政治信念に満ちた立派な御答弁をいただきましたことに、まず感謝を申し上げます。(拍手)
 しかし、私は、後ほどきっと山花大臣からも御答弁をいただけると思っておりますけれども、今、上原大臣のその政治家としての趣旨、鮮やかな態度とは別に、その答弁をされた内容は、基本的に日米安全保障のあり方はおかしいという疑問を呈せられ、この際、大臣の御発言をかりれば、軍事のみ突出した日米安保のあり方はおかしい、これを変えろ、こういう御発言であったと私は受けとめました。これに対して細川総理は、日米安保の今の姿を全面的に認めた上で、その重要性を所信表明においてもはっきり指摘をしておられます。これは明らかな閣内における総理と上原大臣の答弁の食い違いがあると思っております。(拍手)
 この問題の詳細につきましては、いずれ予算委員会できっちりと伺わせていただきたいと思っておりますが、この際、総理大臣から、上原大臣の先ほどの答弁に対していかなる見解をお持ちか、総理の御答弁を求めて私の質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
    〔内閣総理大臣細川護煕君登壇〕
#12
○内閣総理大臣(細川護煕君) 私は私なりの考え方を申し上げましたし、また、上原長官は上原長官なりの個人的な信念として先ほどおっしゃられたような趣旨の御発言があったと思いますが、それは内閣の一員としてきちんとそれなりのお立場を尊重してやっていかれるということをはっきりとおっしゃっておられますので、私はそのお言葉を信じております。(拍手)
#13
○議長(土井たか子君) 山花国務大臣から答弁を補足したいとのことであります。これを許します。国務大臣山花貞夫さん。
    〔国務大臣山花貞夫君登壇〕
#14
○国務大臣(山花貞夫君) ただいま御連絡をいただきまして、社会党委員長としての見解をただしたのではなく、閣僚としてただした部分が三カ所あった。一つは、非軍事・文民・民生、要員派遣というアイデアについて、あるいは国連モザンビーク活動の期間延長問題について、第二番目は日米安保条約について、そして第三番目は防衛計画の大綱と中期防衛力整備計画についての部分でございます。
 こうしたそれぞれの基本的なテーマにつきまして、私たち社会党は党としての政策を堅持しております。同時に、かねてから、連立政権としての立場での政策については、連合政権としての政策あるいは連立政権としての政策についても固有の政策を堅持しながら、こうした政策でありたいという社会党の政策についても明らかにしてまいりました。
 そうした前提を置きまして、閣僚としての立場でお答えをさしていただきますが、私たちは、そうした政策を堅持しながら、先ほど申し上げました基本合意に基づいて、細川政権が国民の皆さんの期待にこたえることができる実績を上げ得るために、閣内で、国民の皆さんに見える透明な形での議論を展開しながら合意を形成し、そしてこれを実行していきたいと思っているところでございます。連立政権、連合政権の意味はそこにあると思っています。
 一党政権が長く続いた場合には、そうしたオープンな議論というものがなかったということが批判されてきたのではなかったでしょうか。(拍手)それぞれの党の政策を徹底的に議論しながら、よりよい結論を求めていく、そのことが連合政権、連立政権の国民の期待にこたえるところだと思っています。
 御指摘ありました三つのテーマにつきましても、そうした立場で、私たちの主張については、今後、閣議、首脳会談あるいは代表者会議において十分議論した上で、それぞれが努力をした上での合意をつくり上げ、それを実行することによって国民の皆さんの期待にこたえたいと思っておりますので、どうぞ御理解いただきますよう、よろしくお願い申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#15
○議長(土井たか子君) 不破哲三さん。
    〔議長退席、副議長着席〕
    〔不破哲三君登壇〕
#16
○不破哲三君 私は、日本共産党を代表して、細川総理に質問いたします。
 総理は、所信表明で、新政権がいわゆる「政治改革政権」であることを肝に銘じ、政治改革の実現に全力を挙げると強調しました。同時にまた、国民に目を向けた政治が原点だということも繰り返し力説しました。この言葉が真実のものであるならば、当然、政治改革に対する態度においてもそれを貫くべきであります。(拍手)
 国民が政治改革に何を求めているかは、総選挙の前も後も一貫しています。最近の世論調査でも、金権腐敗の解決が第一とする声が八割前後を占め、選挙制度改革を求める声は一割台の少数意見でした。ところが、新内閣は、この声を無視して、小選挙区並立制の導入が政治改革の中心だということを、最初から、いわば問答無用の結論としてきました。なぜ国民の世論に目を向けないのか。それは、首相が政治の原点だとしたことと全く矛盾しているではありませんか。(拍手)
 しかも、今、日本の政治は、災害対策、不況・円高対策など、国民生活にかかわることだけでも、一連の緊急、重大な問題に直面しています。その多くは、従来の自民党政治の古い枠組みの再検討を切実に迫るものであります。その中で新内閣が、選挙制度の問題を最優先の課題とすること自体、国政全般からいえば極めて異常な態度と言わざるを得ないのであります。(拍手)なぜ選挙制度の問題が最優先なのか、総理の見解をまずただしたいのであります。
 しかもその中身が問題であります。小選挙区制とは、選挙区の最高得票者だけが当選して、他の候補の得票は無視される制度であります。これは少数意見の抹殺というにとどまらず、今の日本の政党状況では、国民の多数意見が無視されることになります。
 先日の総選挙の結果で試算しても、政党の配置が同じなら、得票率三七%の自民党が小選挙区の八〇%以上を獲得する計算になります。連立諸党が合体したら現与党の方が多数になるなどの計算もありますが、現与党とは、自民党政治の継承を公に宣言している勢力であります。重大なことは、仮に二大政党制と呼ばれる体制になっても、小選挙区制のもとでは、自民党政治の立場に立つ勢力が小選挙区の全議席を独占し、これに批判的な国民の声は議会から締め出されてしまうことであります。
 首相は先日の記者会見で、国民の多様な価値観の問題について触れましたが、小選挙区制とは、単一の価値観が国会を独占して、多様な価値観を排除することにほかなりません。(拍手)首相が昨日、希望的な見通しとして述べた「穏健な多党制」などは最初からその基盤を奪われるのであります。選挙制度における民主主義の核心は、国民の多様な意見をできるだけ正確に国会の構成に反映することにあります。小選挙区制とはそのことを否定する制度であり、国民主権の民主主義とは絶対に両立し得ないものと考えますが、議会制民主主義のこの基本点について首相の見解を伺いたいのであります。(拍手)
 首相は、並立制は比例代表制を加味していると弁明するかもしれません。しかし、二百五十議席にしろ二百議席にしろ、比例代表制を部分的に加味したぐらいで、小選挙区制の害悪が消え去るものでないことは明白であります。総選挙の結果に基づく試算をもう一度挙げれば、二百五十対二百五十の並立制でも、第一党である自民党は、三七%の得票で総議席の六〇%近くを得る、こういう計算になります。
 もともと小選挙区制は、自民党の鳩山内閣以来の野望であります。特に並立制は、七〇年代には田中内閣が、最近では海部内閣が持ち出し、その都度、民主政治を擁護する国民の反対の前に断念せざるを得なくなったものでした。しかも、この計画が、嶋山内閣の最初の提案のときから、自民党の党是である憲法改悪の策動と結びついていたことを国民は忘れてはおりません。(拍手)小選挙区並立制は、自民党政治の中でも最も自民党的な悪政の典型であります。それを受け継いで最優先の課題としようという内閣や政党に、非自民を名のる資格がどこにあるのでしょうか。結局は、自民党歴代内閣がやれなかったことを、自民党にかわって新しい陣立てで強行しようというだけのことではありませんか。(拍手)
 しかも、不思議なことは、今なぜ小選挙区制がということについて、首相が国民の前に何ら説明しようとしていないことであります。演説で首相が導入の理由として述べたのは、現行中選挙区制には「制度疲労に伴うさまざまな弊害が指摘されている」ということだけでした。新内閣として民主主義の基本にかかわる重大問題を提起するのに、自民党のこれまでの言い分を引き写すだけといった無責任な態度は許されないのであります。(拍手)首相が、現行の選挙制度は一刻の放置も許されない制度疲労に陥っているとするのなら、一体、制度疲労の深刻な弊害とは何なのか、また、現行制度がいつから制度疲労に陥ったと考えているのか、首相自身の言葉で国民に明確な説明をすべきであります。(拍手)
 自民党が一九九〇年に並立制を党議決定したとき、二つの理由を挙げていました。
 その一つは、中選挙区制では、自民党が同じ選挙区に複数の候補を立てるから、有権者へのサービス合戦になって金がかかる、金権腐敗のもとになるといった説明でした。この説明自体、自民党の党内事情を選挙制度へなすりつけたもので、天下に通用できる議論ではありませんでした。しかし、最近の金権腐敗事件は、その言い分をさえ完全に覆したのであります。
 実際、仙台や茨城の金権汚職は、複数候補どころか、定数一の知事・市長選挙をめぐって起こった事件であります。また、金丸事件は、ゼネコンからのやみ献金を個人の財産としてため込んだものでありました。これらの腐敗の原因を選挙制度になすりつけるわけにいかないことは明白ではありませんか。(拍手)
 小選挙区制のもう一つの理由づけは、政権交代を促進できるということでした。しかも、当時、自民党の選挙制度調査会長だった羽田氏、現副総理は、並立制を推進する論拠として、それ以外の選挙制度だと、連立内閣になって国政が不安定になるから困るということまで力説したものであります。(拍手)大体、小選挙区制とは、どんな形であろうと、第一党の議会内での比重を得票率以上に強めることを特質とする選挙制度であります。政権交代云々は、手前勝手なごまかしの議論にすぎませんでした。しかも、現在では、中選挙区制のもとで政権交代が行われ、しかも並立制推進論者が絶対に避けるべきだとした連立内閣が生まれたのであります。(拍手)この口実が何の説得力も持てなくなったことは既に明瞭ではありませんか。
 口実がすべて失われても、小選挙区制導入の計画そのものは変えないというのなら、それは本来のねらいが公式の説明とは別のところにあったことを告白することにほかなりません。そのねらいとは、自民党政治に対する国民の批判を小選挙区制によって国会から締め出し、国会の絶対多数をもってどんな悪政をも強行できる、いわゆる強権政治の体制をつくり出すということであります。
 この点で特にただしたいのは、憲法改定の問題であります。
 細川代表が編さんして総選挙直前の四月に発行した「日本新党 責任ある変革」という本では、自身の立場を「護憲的改憲」、先ほども登場した言葉ですが、と性格づけながら、国連の安全保障活動に積極的に参加できるように憲法に新たな文章をつけ加えることを提案しています。現憲法のもとでは国連の軍事活動に加わることはできないから、新しい条文をつけ加えて、国連の名による海外での軍事行動に日本が参加できるようにしようというものであります。これは、新生党の代表幹事である小沢氏が、国連を中心としたアメリカの平和維持活動に積極的に協力する立場からといって、その著書「日本改造計画」で述べている憲法改定の提案と全く同じ性質のものであります。護憲的どころか、憲法第九条に対する改悪攻撃の当面の最大の焦点がそこにあるのであります。
 これは、小選挙区制導入の後の日本の政治の大きな展望にもかかわってくる問題であります。連立諸党の合意がどうとかなどの逃げ口上でなく、こうした内容での憲法改定が、細川首相が目指す方向であるのかどうか、明確な答弁を求めるものであります。(拍手)
 このことにも深い関連のある問題で伺いたいのは、過去の戦争に対する評価の問題であります。
 首相は、先日の記者会見では、日本が行った戦争が侵略戦争であることを認めました。ところが、所信表明では、「侵略行為」と「植民地支配」についての反省の言葉を述べただけでありました。これは、昨日の答弁のように、不十分な部分を補ったなどというものではありません。極めて重大な後退であります。日本が行ったのは、決して個々の侵略行為にとどまるものではありません。数百万の大軍を動員し、長期にわたった大規模な侵略戦争であったからこそ、それは日本人三百万人の犠牲だけでなく、アジア諸国にあれだけの巨大な被害を与えたのであります。このことをあいまいにしたのでは、結局は自民党政府の従来の立場と本質的には変わりないことになり、首相の言う「深い反省とおわびの気持ち」も中身のないものになります。首相は、この戦争の性格を一体どう認識しているのか、なぜ、一たん述べた「侵略戦争」という認識を所信表明で変更したのか、改めて見解をただすものであります。(拍手)
 次に、金権腐敗の問題に進みます。
 新内閣は、日本の民主主義を覆す小選挙区制導入には内閣の命運をかけるほどの熱意を示す一方、国民の批判と怒りの的になっている金権腐敗の一掃の問題についてはなまぬるい態度しか示しておりません。この具体策という点で、連立与党の間での合意がまだ大綱的で、協議中だということは承知しておりますから、ここでは、首相自身が問題をどう認識しているかに重点を置いて伺いたいと思います。
 まず、企業・団体献金を日本の民主政治にとって有害な、禁止すべきものと考えているかどうかという基本問題であります。
 自民党はこれまで、企業も社会的存在だから献金をする権利があるという議論を振りかざしてきました。しかし、政治の主権者は国民であります。営利を目的とする企業、財界がその経済力に物を言わせて政治に介入する、この状況を放置すれば、財界の利益のために政治をゆがめる金権政治を生み出すことは必然であります。現在、中央、地方のゼネコン疑惑が摘発されつつあり、この徹底究明は国政上も重要な課題であります。
 一部には、財界団体を通じての献金なら腐敗は起きないとの議論もありました。しかし、献金のまとめ役である経団連が、自民党政治に対する最大の圧力団体として行動してきたことは周知の事実であります。
 先日、北海道の釧路で行われた九十五カ国の参加によるラムサール条約締約国会議、自然保護の国際会議で、勧告文春の原案にあった「環境アセスメントの法制化を各国に求める」という部分に日本が頑強に反対し、ついにこれを削除させたという残念至極な事件が起こりました。
 もともと、開発が環境にどんな影響を及ぼすかを事前に調査する環境アセスメントは、環境保護の基本であって、その法制化は、日本政府の環境庁長官が二十年前に国連の人間環境会議で公約したことでした。それが経団連の反対でつぶれて今日に至り、日本は環境後進国というべき立場にあることが国際会議の場でさらけ出されたのであります。あるイギリス人研究者は、日本とアメリカ、イギリスの環境保護制度の比較研究を行って、日本では企業の開発活動の自由がはるかに大きく保障されていることに驚きの声を上げていました。
 これは一例ですが、企業・団体献金とそれを裏づけにした財界の圧力が政治を曲げるという事実は、ゼネコンのやみ献金と公共事業発注の関係にとどまらず、国の行政のさまざまな分野に極めて深刻な形であらわれています。
 幾つかの問題を見てみましょう。
 日本は、世界じゅうの地震と火山の一割が集中しているという世界有数の地震国、火山国であります。そうでありながら、災害に弱い日本列島という状況は長く放置されてきています。一昨年来の雲仙の噴火災害に続き、北海道奥尻島を中心にした地震災害、鹿児島の豪雨災害など、重大な被害を経験するたびに立ちおくれが指摘されます。しかし、地震、火山の災害に対しても、台風や豪雨の災害に対しても、本格的と言える対策は講じられないまま、逆に、乱開発などによって、災害の危険が年ごとに大きくなっているのが現実であります。
 日本は、世界第二の経済力を持ちながら、ヨーロッパなどに比べて社会保障が極めて低水準にあることも重大な問題であります。年金でも、高齢者の過半数が月額三万円程度の年金の受給者である。これは、サミット諸国の二分の一、三分の一という状態であって、日本の社会保障がけた外れにおくれていることを示しています。
 不況のもとで、最大の被害を受けるのが中小企業・業者であること、そして、中小企業というのが日本経済の中で、工業でも商業でも大企業以上の比重を占めていることは政府も認めました。しかし、政府が不況対策の重要な柱として中小企業の営業を守ることを柱にしたことは一度もないのであります。
 円高でも、国民の購買力での力関係では、円が一ドル二百円というのが常識であります。その実力からかけ離れた円高が長く続いているその根底には、大企業の大量輸出による貿易の不均衡があります。その貿易の不均衡、大量輸出は、過労死を生み出す長時間・過密労働、下請企業に対する締めつけ、こういう異常なコスト切り下げ体制によって支えられていますが、自民党政治のもとでは、ここに目を向けることはついにありませんでした。
 これらの問題は、すべて国民にとっては緊急の問題でありますが、これらがなおざりにされてきた根底には、企業献金に裏づけされた大企業・財界優先の政治が横行しているという日本の現実があったことは紛れもない事実であります。(拍手)
 総理、あなたは金権政治が生み出したこのような日本の政治のゆがみ、大企業・財界優先のゆがみを今日どう認識しているのか、そして、今後の政治に当たるに当たって、こういうゆがみを正す立場で政治に取り組む決意があるかどうか、そのことを企業・団体献金の禁止にかかわる基本の問題として総理の見解を伺いたいのであります。(拍手)
 企業・団体献金の廃止の問題については、総理は、所信表明で、政党に対する公費助成の導入などによって廃止の方向に踏み切ると述べました。踏み切ると言うだけで、本当に企業・団体献金の禁止を実行せず、条件つきで先送りにする、そして、実際にはいつまでも企業・団体献金が残る、そういうことが繰り返されるならば、国民の不信は一層増すばかりであります。
 総理が金権政治への国民の批判に本当にこたえるつもりならば、あれこれの条件をつけないで、企業・団体献金の禁止に向かって確実な措置をとる、そして、少なくとも次の国政選挙までには企業・団体献金禁止をきっぱりと実施する、こういう態度を明らかにすることを私はここで求めるものであります。(拍手)
 特に、公費助成が企業・団体献全廃止の条件とされていることは極めて重大な問題であります。これはもともと自民党が提案したものであって、さきの国会には、総額三百億円、国民一人二百五十円の資金を国の財政から政党に回す法案が提出されました。しかし、企業献金、金権政治から脱却すると言いながら、それを国の財政で賄うというのは、全く言語道断な政党のおごりであります。本来、政党というものは、みずからめ必要とする資金を、みずからの活動で国民の支持を広げ、主権者である国民の一人一人の個人献金によって賄うのが当然であります。私たち日本共産党は、党員の党費及び機関紙活動などの収入以外には、企業、団体からの献金は受けず、すべて個人献金によって党の政党活動を賄っております。企業献金を減らした分を国の財政によって賄おう、国民の税金によって賄おうというのは、私は、これはまさに政党としては許されないおごりであって、これは絶対に断念すベきであるということを総理に主張したいのであります。
 特に、公費助成ということになれば、これはすべての国民が、国民の税金から政党の資金を拠出することになります。ある人が、自分はあの政党は絶対に支持しない、こういう信念を持っていたとしても、その人から徴収された税金は、あれこれの政党に、その人の信念に反して助成される、そういう結果になります。憲法は、国民の思想及び信条の自由を厳格に保障しておりますけれども、この点からいっても、公費助成は憲法上の重大問題であります。
 こういう危険まではらんだ公費助成を、それを条件にして企業・団体献全廃止に踏み出すという政策は、私は、民主主義に対しても、国民の権利に対しても重大な背反であり挑戦だということを指摘せざるを得ないのであります。(拍手)
 総理は、答弁の中でも再三にわたって、国民に目を向ける、その政治の原点を強調されました。しかし、今、新内閣が用意している政治改革の法案は、小選挙区並立制を中心にした、そしてまた公費助成を含むもので、これは国民の願いに真っ向から反するものであります。本当に総理が、また新内閣が国民の声にこたえることを使命とするというのであるならば、そういう反動的な政治改悪法案を直おに準備を中止し、企業・団体献金の禁止、政治腐敗の防止、このことを中心にした本当の政治改革の諸課題に向かって、改めて根本的な準備を行い直すべきであります。
 総理が、新内閣が、あくまでも現在の小選挙区導入の計画に固執するというのであるならば、日本共産党は、日本の民主主義を守ろうというすべての国民とともに、この計画を打ち破るために闘うであろうということを最後に申し上げ、その決意をもって私の質問を終わるものであります。(拍手)
    〔内閣総理大臣細川護煕君登壇〕
#17
○内閣総理大臣(細川護煕君) 選挙制度について幾つかのお尋ねがございました。
 小選挙区並立制の導入を政治改革の最優先の課題としているのはなぜかということでございましたが、私は、「本年中に政治改革を断行する」ことを内閣の最初の、そして最優先の課題とするということ、それからまた、選挙制度の改革、腐敗の防止策、企業・団体献金の廃止の方向への踏み切りを一括して成立させることについては既に申し述べておりますが、並立制の導入を政治改革の最優先の課題とするというようなことは、これまで申し述べておりません。
 いずれにせよ、政治資金制度のあり方や腐敗防止の問題は選挙制度と密接な関連があるわけでございますし、現行の個人中心の選挙制度を残したままでは、政治と金の問題の根本解決にはならないわけで、政治改革に当たりましては、並立制の導入による選挙制度改革を含めて取り組んでまいりたいと思っております。
 それから、小選挙区制の問題についてのお尋ねでございましたが、この選挙制度は、小選挙区を通じての民意と比例代表選挙を通じての民意をそれぞれ国会に反映させようとするものでありまして、民主主義の要請にこたえ得る制度であると認識をいたしております。
 選挙制度の制度疲労についてもお尋ねがございましたが、現行の中選挙区制のもとでは、単独で政権党を目指す限り、同一の選挙区で同一政党の候補者間の同士打ちが避けられないわけで、選挙は、政策論争というよりも候補者個人間の競争にならざるを得ないという側面があるわけで、このことが、候補者個人を中心とした政治資金の調達などに関連して、政治と金をめぐるいろいろな問題を生じさせる大きな原因になってきたことは事実であろうと思います。また、この中選挙区制のもとにおいて、長年にわたって政党間の勢力状況が固定化し、このことが政治における緊張感を失わせ、それがまた政治の腐敗を招きやすくしてきたことを考えますと、今こそ現行中選挙区制というものを抜本的に改革をして、政党中心、政策中心の選挙制度を確立する必要があるのではないかというふうに考えているところでございます。
 並立制に固執するのは強権政治の体制を実現するねらいがあるからではないかという趣旨のお尋ねでございましたが、並立制を自民党が党議決定したときの理由づけである、同じ政党の複数立候補が金権腐敗のもとになるという点、政権交代を促進するという言い分は最近の政治状況の中で成り立たなくなったとの御指摘がございましたが、私は、同意をいたしかねるところでございます。特に、政権交代につきましては、今回たまたま実現をいたしましたものの、政権交代がルール化されるに至ったわけではないと認識をいたしております。並立制の導入については現在でもなお十分な理由があると思っておりますし、強権政治を実現するねらいという御指摘は当たらないものと思っております。
 次に、憲法第九条についてのお尋ねでございましたが、憲法改正をめぐっては、最近、各方面からさまざまな御意見が出されておりますが、現在、国民の中で憲法改正の具体的な内容について合意が形成されているというふうには受けとめておりません。したがって、現段階において、内閣として憲法改正を政治日程にのせることは考えておりません。
 侵略戦争の認識についてのお尋ねでございましたが、さきの所信表明も、八月十日の記者会見も、いずれも同様に、さきの戦争についての基本的な私の認識、同一の認識をお示しをしたものと御理解をいただきたいと思います。
 企業・団体献金についてのお尋ねでございましたが、企業などの団体献金については、現行法では総枠の制限など一定の制限のもとに認められているわけでございますが、近年続発する政治腐敗事件が企業などの団体献金に起因することを考えますと、この際、公費助成の導入などの措置を講ずることによって廃止の方向に踏み切ることが適当だと考えているところでございます。
 金権政治のもとで、財界・大企業優先の政治のゆがみが生まれてきたことをどう認識しているかというお尋ねでございましたが、これまでの日本の政治におきまして、金権的な政治があったということも一面で否定できないところであろうかと思います。しかしながら、この点については、世界観によっても恐らく意見の分かれるところでございましょうし、直ちに御指摘の見方に同意するものではございません。ただ、政治の流れを全体として生活者利益優先の方向に転換をしていくということ、また、企業・団体献金について、公費による助成を導入することなどによってこれを廃止の方向に踏み切る決意につきましては、所信表明でも申し上げておりますとおり、その限りでは、不破議員の表明された御期待に相当程度こたえられるのではないかと思っております。
 企業・団体献金の禁止の時期についてのお尋ねもございましたが、その方向に踏み切っていくためには、政党の財政基盤の確立、強化などの観点から、公的助成の導入などが必要になるものと考えておりますが、その具体案の詳細につきましては、現在、連立与党の間で精力的に検討作業を進めているところでございます。
 また、公費助成についてもお尋ねがございましたが、政党への公費助成は、民主主義のコストというべきものを国民の理解のもとに国民全体で負担をしていただく制度であって、その使途などについて行政側は介入することができないといったことなど、当然、国民の「思想及び良心の自由」を侵犯することのないよう配慮がなされるものと思われますので、国民の権利と民主主義に背くものになるとは考えておりません。
 政治改革法案の準備を中止して、企業・団体献金の禁止並びに政治腐敗の根絶を中心内容とする政治改革に取り組むベきではないかというお尋ねが最後にございましたが、現在与党で検討中の法案の準備を中止するわけにはまいりません。これらの法案によりましても、政治腐敗の根絶など、御期待の点は相当程度実現されるのではないかというふうに考えているところでございます。(拍手)
#18
○副議長(鯨岡兵輔君) これにて国務大臣の演説に対する質疑は終了いたしました。
     ――――◇―――――
#19
○副議長(鯨岡兵輔君) 本日は、これにて散会いたします。
    午後三時二分散会
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ソース: 国立国会図書館
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