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1993/04/21 第126回国会 参議院 参議院会議録情報 第126回国会 土地問題等に関する特別委員会 第3号
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1993/04/21 第126回国会 参議院

参議院会議録情報 第126回国会 土地問題等に関する特別委員会 第3号

#1
第126回国会 土地問題等に関する特別委員会 第3号
平成五年四月二十一日(水曜日)
   午後一時開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 三月四日
    辞任         補欠選任
    小林  正君      清水 澄子君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         青木 薪次君
    理 事
                小野 清子君
                永田 良雄君
                野村 五男君
                瀬谷 英行君
                村田 誠醇君
                矢原 秀男君
    委 員
                井上 章平君
                石井 道子君
                泉  信也君
                久世 公堯君
                沓掛 哲男君
                斎藤 文夫君
                清水 達雄君
                関根 則之君
                野沢 太三君
                藤田 雄山君
                梶原 敬義君
                清水 澄子君
                谷本  巍君
                種田  誠君
                牛嶋  正君
                武田 節子君
                西山登紀子君
                笹野 貞子君
                西川  潔君
                武田邦太郎君
   国務大臣
       国 務 大 臣
       (国土庁長官)  井上  孝君
   政府委員
       国土庁長官官房
       長        藤原 和人君
       国土庁計画・調
       整局長      糠谷 真平君
       国土庁土地局長  鎭西 迪雄君
       国土庁大都市圏
       整備局長     内藤  勲君
       国土庁地方振興
       局長       秋本 敏文君
       国土庁防災局長  黒川  弘君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        駒澤 一夫君
   説明員
       大蔵大臣官房企
       画官       清水  治君
       大蔵省主税局税
       制第三課長    渡邊 博史君
       大蔵省銀行局銀
       行課長      北村 歳治君
       国税庁徴収部管
       理課長      品川 芳宣君
       文化庁文化財保
       護部建造物課長  宮澤 智士君
       厚生省社会・援
       護局施設人材課
       長        大田  晋君
       林野庁指導部治
       山課長      工藤 裕士君
       建設省建設経済
       局総務課長    百武 伸茂君
       建設省建設経済
       局宅地開発課宅
       地企画室長    松原 文雄君
       建設省建設経済
       局宅地開発課民
       間宅地指導室長  榊  正剛君
       建設省建設経済
       局不動産業課長  藤田  真君
       建設省都市局都
       市計画課長    板倉 英則君
       建設省都市局公
       園緑地課長    山田 勝己君
       自治省税務局固
       定資産税課長   堤 新二郎君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○土地問題及び国土利用に関しての対策樹立に関
 する調査
 (地価対策の目標に関する件)
 (土地開運融資に関する件)
 (土地税制に関する件)
 (土地利用に関する件)
 (土地情報整備に関する件)
 (東京一極集中是正に関する件)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(青木薪次君) ただいまから土地問題等に関する特別委員会を開会いたします。
 土地問題及び国土利用に関しての対策樹立に関する調査を議題とし、これより質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#3
○清水澄子君 私は、バブル経済崩壊後の土地問題についてお伺いをしたいと思います。
 一九八六、七年から始まりました急激な土地高騰は、その後土地の投機的取引を促してそして経済に大変大きなゆがみをもたらしましたけれども、ようやく一九九〇年ぐらいから鎮静化してまいりました。そして、地価の値下がりの傾向が見られるようになりました。その点は評価できるわけですけれども、ところが、そのことによって今度はいろいろな矛盾や問題点が出てきておりますので、そのことについてお伺いをしたいと思います。
 まず、長官にお伺いをしたいと思います。
 この公示価格制度でございますけれども、去る三月二十五日に国土庁が発表されました全国の土地公示価格は全国二万地点を調査された結果であると聞いております。また、この土地の公示価格は、国税である相続税に対しては公示価格の八〇%、それから地方税である固定資産税の方は公示価格の七〇%と連動をしているわけです。ですから、公示価格が高いとそれだけに税収の方はそれで高まるということになるわけですけれども、税を支払う側は公示価格が高く表示されますとそれだけ税金が重くなるということが生じております。同時に、地方自治体が新たに土地を購入します場合には、今度は財政を圧迫することになる。
 ですから、既にある地方自治体からは、公示価格は実情を反映していない、そして公示価格が高過ぎるという声も出ておるわけですけれども、この公示価格は実際の取引価格を適切に反映しているとお考えでしょうか、そしてまた、土地利用の基本であります公示価格が高過ぎるという意見について長官はどのような御見解をお持ちでしょうか、お伺いします。
#4
○国務大臣(井上孝君) 去る三月の末に本年一月一日の全国二万数百カ所の公示価格を公表いたしました。
 今、先生御指摘のような地方公共団体等から高過ぎるというような御批判はまだ私直接耳にいたしておりませんけれども、私どもとしましては、この公示価格というのが非常に大切なものになってきた、特に御指摘のように固定資産税評価とか
あるいは相続税の評価の基準にもなりますし、仰せのように公共事業用地の取得とか土地取引の指標になったり、あるいは土地取引規制の価格審査の基準というものにも使われるということで、極めて大切でもありますので、慎重に扱っております。
 具体的には、最新直近の取引事例を採用したり、あるいは売り希望価格、買い希望価格というようなものも収集することによって的確に現状の価格を把握したい、こう思っております。具体的には、さらに、土地鑑定士二名以上、そしてその結果を国土庁の土地鑑定委員会で審査、調整をいたしまして、その上で公表をするということになっております。
 したがいまして、私どもといたしましては、実際の取引価格と一致しておるものと、こういうふうに考えておる次第でございます。
#5
○清水澄子君 それでは、国土庁はこれでもう地価は一応下げどまりと見ておられるか、また、政府が目標とされる適正な地価水準の実現というのはどの程度の達成目標を考えていらっしゃるんでしょうか。
#6
○政府委員(鎭西迪雄君) ただいま大臣がお答えをいたしました地価公示価格は関係方面の見方とほぼ一致していて公示価格が高過ぎるというようには見ていないということは御承知だと思いますけれども、現在の土地の客観的な市場価値を評価した水準がそういうところにある、その点については不動産関連業界を初め関係方面の見方とほぼ一致しているということを申し上げたのでございまして、土地政策の目標としてのあるべき水準というところに来たのかどうかということは、当然でございますが、別の問題でございまして、これにつきましては、御承知のとおり、私ども一昨年一月に閣議決定いたしました総合土地政策推進要綱におきまして、土地政策の目標の一つといたしまして適正な地価水準の実現を図るということにしておりまして、この場合の適正な地価水準と申しますのは、土地が経済実物財としての利用財であるという考え方に立ちまして、利用価値に相応した適正な水準を目指そうということでございます。
 特に国民的に非常に関心が漂うございますし、住居基盤として不可欠の住宅地でございますが、これにつきましては、大都市部におきましても中堅勤労者が相応の負担で一定水準の住宅を確保し得るそういう地価水準の実現を図ろうという目標を立てまして関係省庁一丸となって努力しているところでございまして、昨年の六月末に宮澤内閣として閣議決定いたしました生活大国五カ年計画の目指すところもこの総合土地政策推進要綱の考え方を具体的に敷衍したものである、かように認識しているところでございます。
#7
○清水澄子君 そうでありますならば、この政府のいわゆる生活大国五カ年計画によりますと、これは年収の五倍、七十平方メートル、そして都心へ一時間から一時間半の距離で住宅を手に入れるというものであると思うんですが、それは現在の地価の低下傾向から見まして平成八年までにはその目標が達成できるというふうなお考えでしょうか。
 それともう一点、この問題から、本来、職住接近の生活環境の充実というものが非常に大切だと思うわけですけれども、都心いわゆる勤務地から一時間半離れている、これが平均ということになりますと、それは都心の中に住宅地を広げていくというそういう国土利用の政策という問題から見ますと、逆に都市のスプロール化が促進されるという面も一面出てくると思うんですけれども、その点はどのようにお考えでしょうか。
#8
○政府委員(鎭西迪雄君) 生活大国五カ年計画をつくりましたときに、わかりやすい具体的な指標というものを掲げる必要があるということで、御承知のとおり総労働時間一千八百時間、それから住宅の価格は年収の五倍というものが出されたわけでございます。
 そのときにも、それでは相当地域によっていろいろイメージも違うしある程度具体的なイメージというものを前提にしないといろんな建設的な意見が進まないのではないか、こういうことで、これは私どもというよりもむしろ中心になって事務方の努力をされた経済企画庁の方からあるいはお答えになるのが適当かと思いますけれども、御紹介をいたしますと、一番状況の厳しい東京圏におきましても一戸建て、これは五カ年を目標にする計画でございますので戸建てというわけにはなかなかまいらないだろうけれども、中高層のマンションでしかも通勤時間が一時間から一時間半ぐらいというものを前提にして、平均的な年齢の平均的な家族数のそういう勤労者世帯が世帯の年収の五倍程度で七十平米ぐらいの中高層マンションを取得できる、そういう状況を目指そうと。そのためには、住宅取得能力の向上策、あるいは建築コストの低減、合理化努力、それと相まちまして一段の地価の引き下げということが必要だろうということで、関係省庁が一丸となって努力をしているところでございます。
 私どもとしては、かなり政策的な努力、各方面の努力が必要かと思いますけれども、五カ年後という一定のタームの中におきます実現可能な具体的な政策目標たり得るものであろうと、かように考えているところでございます。
 それから、そういうことであれば、一時間半とかそういうところはいいかもしれないけれども都市の中心部において空洞化になるのではないか、こういう御指摘でございますが、確かにおっしゃいますように、現時点におきましては、例えば東京圏などをイメージいたしますと、区部において年収五倍でこういった規模の中高層マンションを取得するというのは非常に困難な状況があろうかと思います。
 したがいまして、これは主として建設省サイドでございますけれども、都市計画法の平成二年の改正あるいは平成四年の改正等々におきまして、東京の比較的真ん中の非常に用途が欄密なそういうところにおきましても住居用としての用途をなるべく確保する、あるいは住宅としての利用という場合のそういう容積率についていろんな政策的配慮をするというような御努力、それから、相当長い間懸案でございました市街化区域内農地でございますけれども、昨年の暮れまでに生産緑地、都市の中における都市空間として存続させるものと計画的に宅地化するものと仕分けをいたしまして、都市計画、町づくりの中でこの市街化区域内農地というものを有効に活用していこう、こういう方策をとりまして今年度から精力的に始めているところでございまして、こういう政策と相まちまして、私どもとしてはこの総合土地政策推進要綱に言います適正な地価水準の実現、それから生活大国五カ年計画の目標達成というものに方向を定めまして積極的に努力を続けていきたい、かように考えているところでございます。
#9
○清水澄子君 地価というのはやはり総体的に今後も私たちはこれ下落させなければならないというふうには考えているわけですが、一方、景気との関連でありますけれども、かつてのバブル経済の時期に今おっしゃったような監視区域の指定とか金融税制面での強化または土地取引を規制する対策がとられてきたわけですが、それが現在は、これらのことが原因で不動産の取引が停滞して、逆に今度は地価のスムーズな下落が阻害されたり景気回復の足を引っ張っているのではないか、こういうふうな見方も出されておるわけですけれども、国土庁としては地価対策と景気対策との整合性をどのように調整しようとしておられるのか、その点についてお伺いしたいと思います。
#10
○政府委員(鎭西迪雄君) 昨今の地価の下落の基本的要因でございますけれども、私どもといたしましては、ただいま委員のお話にもございましたように、基本的にはやはり利用財としての土地というものの価格がその利用価値に見合う価格と著しくかけ離れた水準になった、その背景として大変な超低金利、超金融緩和というものがございまして、先高期待感、成長期待性というもので非常に市場価格というのが現実に上がった、こういうことでございまして、地価が安定するためには、
何といたしましてもこの需給価格といいますか実需に見合う価格帯に現実の地価水準が入るということが必要なんだろう、かように考えているところでございまして、そのためには、総合土地政策推進要綱で方向を示しております需給両面にわたる対策というのを着実に推進していく必要があるんだろう、かように考えているところでございます。
 現実に昨今かなり実需帯に入ってきたと思われるような動きというのも見えておりまして、例えば一時間半程度ぐらいの通勤エリアにおきます一次取得者向けのマンションの売れ行きというのは非常によくなっている。そういうものを背景にして、事業者の用地の取得意欲というのがかなり出てきている。それから、住宅の新築戸数、これも年率に直しますと百四十万戸強ということで、かなり戸数としてはいいところにきている。
 こういう動きが見られるわけでございますので、私どもとしては、まず何はおいても土地の価格というのが実需に見合ったそういう価格水準になることが中長期的に見て土地取引の活性化なり関連産業の活性化に資する、そのことが我が国経済の底支えということになるんだろう、かように考えているところでございます。
 なお、先ほど引用いたしました一昨年閣議決定をいたしました総合土地政策推進要綱におきましても、従来のマクロ経済政策なりマクロ金融政策の発動におきまして、ややもすれば地価の動向といいますか土地というものへの配慮についてやや欠ける嫌いがあったのではないかという率直な反省のもとに、経済政策等におきます土地問題への配慮というのを明確に土地対策の大きい目標として掲げられておりまして、「土地問題が経済や金融の動向と密接に関係していることにかんがみ、経済運営において地価の安定に対して十分に配慮する。」と、そういう内閣としての意思決定をやっておりまして、その後の例えば金利政策あるいは総合的な経済政策の中に土地問題、地価の動向への配慮というのが行われているというように承知しているところでございます。
#11
○清水澄子君 次に、大蔵省にお伺いをいたします。
 それは、地価が下がれば土地に関する相続税の負担というのは軽くなるんじゃないかと、普通一般的にはそう考えられると思うんです。しかし、実際にはそうなっておりません。このことは、やはり相続税の課税の仕組みに問題があるのではないかと思うわけです。
 例えば路線価の評価基準が、公示価格が発表されるとそれの七割から八割程度に今度引き上げられたことによって、地価が下がったにもかかわらず昨年発表された路線価は前年比五・八%の上昇となっておるわけです。さらに、バブル崩壊によって不動産不況で、相続税を支払うために土地を売ろうとしてもなかなか買い手が見つからない。たとえ売れたとしても、路線価を下回るような値段でしか売れない。そして、土地税制の改正で譲渡所得税も強化されているわけです。
 こうした状況の中で、今、相続税破産という言葉がはやっているわけですけれども、非常にその問題ははやっているだけではなくて、最近自殺者すら出てきたというふうな非常に深刻な問題が起きております。特にこの間田園調布で亡くなった夫婦の場合は、幾ら田園調布というのが一級地であるといっても、この人たちは長年そこで住んでいた個人の住宅であるわけですから、その人たちには地価高騰の恩恵というのはそうないわけです。ですから、やはり大蔵省としてもこういうふうな問題に対して相続税の軽減など何らかの対策を講ずる必要があるんじゃないか、私はこのように思います。
 そういう意味で、私の本当に知人の最近の例ですけれども、これは世田谷だったんですけれども、相続税評価額一億円の土地を相続しました。その相続税を払うためにこの土地を売ったんですが、実勢価格より高く一億二千万円で売れた。しかし、譲渡所得税と住民税で四千万円払う。そうすると残り八千万円ですから、二千万円借金しないと相続税が払えないと。現実にこういう問題が起きているわけですけれども、大蔵省の方ではこういう土地の相続にかかって今起きているいろんな問題について何らかの対策が私は必要だと思いますけれども、どのようにお考えになっていますでしょうか。
#12
○説明員(渡邊博史君) 御答弁申し上げます。
 ただいま委員御指摘いただきましたように、東京都あるいは都市圏を中心といたしまして地価の高騰によりまして相続税の負担がふえているという状況にあることは、私どもも承知しているところでございます。
 ただ、今御指摘にございました田園調布云々の話につきましてはやや事実誤認の点があるのではないかと思われますが、中身につきましては個別の話でございますのでここで詳細を申し上げることは差し控えます。
 一般的に、土地の値段が高いということによって生じたものについてどう考えるかということですが、まず基本的にはやはり土地の値段を下げていくということによって対応していくべきものでありまして、税制が先にどうのこうのということで考えるということではないのではないかと思っております。
 ただし、そうは申し上げましても、平成二年あるいは平成三年という非常に土地が急激に高騰し、またその後さまざまな理由で急激に低下しているという状況の中で納付に困難を来しているという状況があるわけでございますので、そういうものについての配慮ということは必要に応じて考えていかなければならないというふうに考えているわけでございます。
 ただ、一般的に、その土地に対する課税、特に相続税というものは、やはり親族から移転されるという性格がございますので通常の所得とはまた違う性格を持っているわけでございますので、そういうものに対する負担を今後どう考えていくかということは、税制全体の中で、所得、消費、資産といったようなものの中でどのように均衡のとれた税制を構築するか、その中で基本的には資産に対する課税を強化していく必要があるということとのバランスの中でどのように考えていくかということで我々としては考えていく、そういった性格のものではないかというふうに考えているところでございます。
#13
○清水澄子君 やはり実勢価格と路線価の逆転現象というのは現実に起きているわけです。そして最近、物納の申請とか、金額も非常に大きくふえておりますよね。しかし、それの申請をしても受け入れられるのは一割程度しかないわけですが、それはやっぱり物納の条件をもっと緩和する必要があるんじゃないか。同時に、この相続税の評価については実際に相続する時点でそのときそのときの土地の評価で実施する、そういうふうなことが考えられないかどうか。
 時間がありませんので、簡単にお答えください。
#14
○説明員(品川芳宣君) お答え申し上げます。
 最初に、先生の方から物納申請について一割ぐらいしか許可しないのではないかという御指摘がありましたけれども、これにつきましては、三年度のデータで申しますと、千件余り処理しているわけですが、その五割の五百三十二件許可しておりますし、四年度におきましては、まだ年度が終わったばかりで正確な数字はつかんでおりませんけれども、二千件余り許可しておりまして、大体処理の三分の二は許可しております。発生件数との差につきましては、これは未済ということで、翌年度の処理対象ということで、先ほど申し上げましたように次の年度で処理に努め許可をしているというそういう事情について御理解いただきたいと思います。
 また、その物納の許可が厳しいということで緩和すべきではないかという御指摘をいただいているわけでございますが、先生御案内のように、国税につきましては金銭で納付するのを原則としているわけであります。しかしながら相続税につきましては、財産課税という性格上、例外的に金銭
で納付することが困難とする事由がある場合において納税者の申請に基づき管理または処分をするのに適当な財産による物納が認められているわけでありまして、このような物納の許可要件等につきましては、執行面におきましても、昨年六月の通達改正におきまして、取引相場のない株式や相続人が居住等の用に供している土地、すなわち底地についても許可できることを明らかにさせていただきましたほか、管理または処分をするのに不適当な財産の範囲を明らかにしたところでありまして、このような執行を明確化することにより納税者の便宜も図っているところでございます。
#15
○清水澄子君 次へ進みます。
 次にお尋ねしたいのは、東京都の臨海都市開発計画についてです。
 既に新聞でも報道されていますけれども、東京都不動産の破産などと言われておるわけですけれども、これは本当に非常に巨大な開発プロジェクトで、事業費八兆円とも十兆円とも言われているわけなんですね。それが今のこういうバブル経済が終わったという中で、非常に予定が狂ったということではあるでしょうけれども、民間の開発業者が開発したのとは異なって、東京都という自治体がこの開発事業の主体になっている、そして臨海部のこの開発を認めてきたというこういうことについて、私は国の責任は大きいと思うわけです。
 この東京臨海部開発推進協議会の事務局を国土庁はやっているわけですけれども、今後この東京都の臨海副都心開発の行き詰まった状況をどのように指導なさるおつもりなのか、そしてまた、東京都はこの臨海都市開発計画で打ち出しました都有地を三十年間賃貸で貸す新土地利用方式というのをとっておられるわけですけれども、これは三十年後は幾らの土地に値上がりするということを前提にしてやっているわけですけれども、地価の下落を政策目標としている国土庁としては、こういうふうな将来の地価の値上がりを計算に入れた土地の賃貸方式、そういうことは土地利用基本法の側面からどういうふうにこれをお考えになっているかということについてお答えいただきたいと思います。
#16
○政府委員(内藤勲君) 東京湾の臨海副都心のお話でございますが、事業は先生もおっしゃいましたとおり東京都の事業ということで進めておりますが、国も非常に関心があるということで、昭和六十一年に関係省庁及び東京都から成る東京臨海部開発推進協議会というものを設けまして、基本方針をその協議会の場でつくりまして、東京都が事業を実施している、そういう状況でございます。
 今後の問題につきましては、社会経済状況の変化がいろいろ考えられるわけですが、東京都におきましても柔軟に対策を講じながら着実に事業を進めるということを言っておりますので、私どももそういう状況を把握しつつ東京臨海部開発推進協議会の場を通じて適切な対応をしてまいりたいと思っております。
 それから新土地利用方式のお尋ねでございますが、この新土地利用方式は、もう御承知のとおり、都有地部分については原則として売却を行わない、すべて賃貸方式で行うということでございまして、地価の上昇、地価の高騰を招かない方式としてその当時採用したものであって、このやり方は評価できる方式ではないかと思っております。
 なお、先ほど地価の上昇を前提にしてというお話がございましたが、賃料の値上がりの話を御質問かと思いますけれども、あの地域の整備がだんだん進んでまいりますと、あの地域が成熟しだんだん完熟してまいります。そういった土地利用の完熟を前提とした賃料の値上げということでございまして、特に地価の上昇を前提としてああいうものを考えたということではないと思っております。
#17
○清水澄子君 じゃ最後に、一つは、埼玉県で旧国鉄大宮操車場の跡地に新都心開発計画が行われているわけですけれども、これも本来東京への一極集中をやめて多極分散の国土開発という方針でおられるわけですけれども、埼玉というのは東京圏と同じようなところで、ここにそういう大きなものができるということは一つのミニ一極集中の拠点になるというおそれがあるわけです。これらについてどうお考えなのかということと、ここにそういうものをつくるときに、水資源とか交通渋滞をなくすとか住宅建設など都市基盤の整備に国はどのような配慮と具体的な施策を実施する計画でおられるのか、こういうことについてひとつお伺いし、最後に長官に、こういう東京都とか埼玉に見られるように大都市圏の自治体が事業主体となって進めていく大規模な土地再開発計画について、税制とか財政、都市基盤整備構想、それから都市環境、そういうふうな側面からどういうふうな基本的な政策を考えていらっしゃるのかということについて、お答えいただきたいと思います。
#18
○政府委員(内藤勲君) 埼玉新都心の御質問でございますが、埼玉新都心を含め業務核都市の整備ということを私どもは担当しているわけですが、それは首都圏における都心部の一極集中是正を図る、首都圏全体の中での一極集中是正、首都圏全体ではそういう哲学のもとに行っているものでございます。
 なお、そういう業務核都市につきまして関連の公共事業とか道路、水、そういった問題がございますが、業務核都市に関しましては、基本構想というものを県がつくりまして国が承認しておりますが、その構想に基づいて必要な事業を行っていくということでございますので、その構想に基づきまして国土庁といたしましても関係省庁と話し合いながら指導してまいりたいと思っております。
 以上です。
#19
○国務大臣(井上孝君) 首都圏の整備につきましては、御承知と思いますが、首都圏整備法という法律がございまして、基本計画、これは大体十五年ぐらいの期間でございます、それから整備計画、これが五カ年ぐらい、それから単年度の事業計画、こういうことでいわゆる首都圏整備計画に従って実施をいたしております。
 御指摘の例えば埼玉の新都心のような計画がございますが、これは政府委員が今申しましたように、東京一極集中是正という全国的な計画がございます。しかし、既に都心、東京都の区部に集中しているもの、これもまた是正しなきゃいかぬということで、首都圏という範囲の中で一極集中を避けていくというぐあいに私どもは埼玉の操車場跡の新都心を計画しておるわけでございますので、ひとつ御理解を賜りたいと思います。
#20
○清水澄子君 終わります。
#21
○村田誠醇君 社会党の村田でございます。
 まず、長官にお尋ねしたいんですが、最近発表されました地価公示価格、何回か調査なさって傾向が出てきているわけでございますが、それについて総体としてどのような御判断といいましょうか、見解をお持ちなのか。
 それともう一つは、価格が下がるだけでは意味を持たないわけで、経済的な取引、要するに土地の実需が起こってない限りは一体幾らぐらいの地価が適正なのかということについてもわかりづらいと思うんで、今実際の土地の取引というものがどのような状況になっているのか。つまり、端的に言えば少し多目に取引が開始されているのか、それともまだ底がたい状態でいくのか、あるいはまだまだ取引が不活発といいましょうか、低下しているのか、若干そこら辺の御判断について冒頭御質問をしたいと思います。
#22
○国務大臣(井上孝君) 去る三月の下旬に発表いたしました平成五年の地価公示によりますと、大都市圏では地価は極めて顕著に下落をいたしております。地方圏におきましても横ばいあるいは下落という状況になっております。
 それからまた、お尋ねの土地の取引件数ですけれども、これは昨年の実績を見ますとその前年よりも九%も下がっているというようなことで、引き続き土地の取引件数は今のところ統計上は低調でございます。
 そこで、大都市圏のこの下落した地価でござい
ますが、数字を申し上げて恐縮でございますが、私どもが仮に目標といたしております昭和五十八年の地価あるいはその他の指標と比較いたしますと、住宅地は東京圏におきましては五十八年を一〇〇として一九四、まあ二倍近い。一番ピークは二倍半に上がっておって、それが下がって今一九四になっていますが、一方、GNPが一七三でございます。それから、首都圏の世帯の平均収入が一六四でございます。したがいまして、またやや安定しておったと思われる昭和五十八年に比べて、指数だけで比較いたしますと、収入の方が一六四で地価が一九四ということでございますから、まだまだ、先ほど政府委員がお答えいたしましたような生活大国で目標といたしております平均勤労者世帯が年収の五倍で持ち家を持つというような状況にはまだ地価の方が高過ぎる、こういう認識でございます。
 したがいまして、一昨年の一月に閣議決定いたしました総合土地政策推進要綱に従って今なおしばらくは地価の下落のための土地政策を取り続けてまいりたい、こう思っておる次第でございます。
#23
○村田誠醇君 それでは、もう一つお聞きしたいんですけれども、土地の取引が、実需といいましょうか、現在世間的には不活発だと言われているわけでございますが、その理由はどこら辺にあるのか。土地がまだ高過ぎるという意味で実需がないのか、それとも金融が締まっているという意味で実需がないのか、その辺についてはどのような御見解なのか。
 それと、今の長官の御説明でいきますと、収入から見るとまだ地価の部分が若干高いと。そうしますと、今の地価の公示価格というのはまだ底値ではない。底値という表現をしていいのかどうかわかりませんが、国土庁が考える適正な地価水準からすればもう少し下がっていなければいけないということだと思うんです。逆の意味から言いますと、これは全体の問題があると思うんですけれども、約年収の一六四に対して一九四という数値を言われましたので、数値でいけば約三〇ポイントぐらいあと下がればいいということですけれども、実際問題としては、国土庁が考えている適正な平米当たりの地価というのは価格の面でどのくらいまである程度のモデルで下がったら適正な水準というふうに言えるのかどうか。
 ちょっと、その二点をお聞きをしたい。
#24
○政府委員(鎭西迪雄君) まず取引の状況でございますけれども、先ほど御説明いたしましたように、基本的には、今回の地価高騰の過程を通じまして先高期待感あるいは成長期待性ということから投機的あるいは一部投資的なそういう動きによる取引というのが非常に活発になった。その結果、当時、高騰期でございますが、非常に取引量自身も多かったということでございますが、昨今、いろんな土地対策をとったということもございましょうし、全般的な金融経済状況ということの中でそういった仮需がほとんど姿を消した。それから、さらには昨今の景気動向がいまいち低調でございますので、実需と目されるそういう取得意欲も実質的にやはり減っているんだろう。
 こういうことが競合いたしましてこの取引量の減少ということになっているわけでございますけれども、先ほど大臣がお話しいたしましたように、全国ベースで見ますと、ピーク時に比べましても一、二割ぐらいの減、三大都市圏で大体二、三割ぐらいの減ということでございますんで、一部非常に極端に言われているように、ほとんど取引がなくなっているということではございません。これはよく御了知おき願いたいと思います。
 それから、現在の地価の水準の考え方でございますけれども、ただいま大臣から御答弁申しましたとおり、私どもとしてはGNPなりあるいは世帯収入の伸びといった地価の動向、水準と相関関係が非常に高い関連指標の動きを非常に注目しているわけでございますが、これはもちろん一、二年という短期のタームで物事を見ると非常にまた間違いますし、それからある程度これは幅を持って見ていただく必要があろうかと思います。
 そういうことを前提にいたしまして考えますると、先ほど申しましたような数値でございますので、割り切って申しますと、東京圏におきましてはまだ一割強ぐらいの乖離があるんじゃないか。ただ、これも東京圏という平均的なイメージでございますが、先ほど御説明いたしましたように、私どもことしに入ってからの地価の動向、関係方面からヒアリングをしているのでございますが、一時間半ぐらいの通勤エリアにおきましてはかなり一次取得者向けのマンションの販売動向が非常に好調であると、それを背景として事業者の用地取得の意欲も非常に出てまいっている、こういうことで、やはり地域なりその用途によって少しきめ細かくその動向は監視する必要があろうかと考えておるところでございます。
#25
○村田誠醇君 それでは、これはまだ全体的な説といいましょうか意見じゃないんですけれども、一部に、地価はここが底値でやがて経済政策の運営によってははね上がっていくだろうということを危惧している人たちも実はいるわけでございます。当然御承知だと思うんですね。
 過去の日本の歴史を調べてみますと、大体十二年周期ぐらいな感じで地価がぼんぼんとはね上がっているわけですが、前回のバブル期と比較をしてみますと、内需振興という意味で景気刺激を前回と今回もかなりやっている。やがて補正予算も十三光何がしかの金を出そうと、こういうことでございますので、その政策も一致しているし、それから低金利政策を長期間続けているという点についても前回と同じである。あるいは貿易黒字の幅がどんどんと拡大していく、こういう点についても同じ条件。それから、これは決して単純に同一だということだけなんですけれども、政策担当者が同一。これ、表現が悪いですけれども、当時の大蔵大臣が現在の総理大臣。
 こういうことでございますので、そういう意味では、この経済政策を仮に続けているとバブルの再燃につながるんではないかということを懸念する人がかなりいらっしゃるわけでございますが、その説に対して国土庁としてはどのような御見解をお持ちなのか。今言ったようにもう少し下げるべきであるということですけれども、これだけの条件がそろってやれば上がるんじゃないかということを不安に思うわけですけれども、その点はいかがでございましょうか。
#26
○政府委員(鎭西迪雄君) 私ども去る三月二十六日地価公示を公表させていただきましたが、その直前に不動産関連業界、それから各自治体の土地対策部局の責任者の方、あるいは不動産鑑定サイドで現場のことをよく了知されている方、こういう方から何回かに分けましてかなり詳細にヒアリングをしたわけでございます。
 そのときの大方の見方を若干御紹介いたしますと、かなり先のことはいろんな経済状況が不透明でございますのでなかなか確たることは言えないんでございますが、当面ということでまあ夏から秋口ぐらいまでの動きというように御理解いただきたいんでございますけれども、住宅地につきましては地価公示で見られましたような下落傾向は依然としてまだ続きますけれども下落幅自身は縮小していくんじゃないか、こういうぐあいに大方見ておられます。
 それから商業地につきましては、特に東京圏、大阪圏を中心にいたしまして昨年の後半来相当ハイペースの下落になってまいっておるのでございますが、引き続きそのような相当ハイペースの下落傾向を大都市圏を中心にして続けるんじゃないか、こういう見方が大方の見方であったのではないか、こう承知しておるところでございまして、そういう形でまだ地価は今のような趨勢を基本的にはたどっていくんだろう。
 ただ、先ほど申しました通勤エリアにおける一部地域の住宅地の動きというのは夏から秋口ぐらいにかけてほぼ下げどまるんじゃないか、こういうような見方もかなりの方がしているということでございまして、私どもとしては、現時点の水準が生活大国五カ年計画が目指します適正な地価水準に比べましてなお高いという認識、それからこ
れからも住宅地、商業地がそういう趨勢をとっていくんではないか、かように見ているところでございます。
 それからもう一つは、累次の景気刺激策等々をとりますと、今回の地価高騰が始まりましたあの当時の状況とかなり客観的な経済状況が似ているんじゃないか、こういうお話であったかと思いますけれども、確かに金利の動向、国際的な貿易状況等々非常に似た状況にあることは事実だろうと思います。
 ただ、当時と違いまして、マネーサプライは非常に落ちついているといいますか低調でございますし、金融機関の貸出残高の伸びも一般的には非常に低調でございますし、不動産関連融資も懸念するような高い伸びではないという状況でございますので、全く同じような状況下のもとでいろんな累次の総合経済対策が行われるということではないと思いますが、ただいま委員御指摘のように、我が国において過去三回大変な地価高騰に見舞われたわけでございますので、十分この動向については短期、先行きの見通しを含めてウォッチしていく必要があろう、かように考えているところでございます。
#27
○村田誠醇君 地価がはね上がらないように、あるいは高騰したときに抑えようということで、金融的に総量規制ということをしたわけでございます。その点について質問をさせていただきたいんですが、これは大蔵省の方にお聞きします。
 今、局長さんの御答弁の中で不動産向けの貸し出しがそれほど伸びてないというように御説明をなさったんですけれども、確かにバブル期のときに比べればそんなに金額は伸びてないんですけれども、片一方でBIS規制の影響を受けて貸し渋りということが言われて銀行系統の総貸出残高が非常に低くなっているのに比較して、実は不動産向けの融資がこのところへ来て急激に増加しているんですね。
 大蔵省がとってきました総量規制の効果的発動するための条件、二つほどございますけれども、平成四年の九月と同じく十一月とそして本年の一月に実はこの条件をクリアしちゃったんですね。一カ月、単独だけなんです。しかし、よく見ますと、平成四年の十二月には三%という条件のうち二・九で、わずか〇・一%なんですね。事実上これは三カ月続いて大蔵省が決めました総量規制の効果的発動するという条件をほぼ満たしているんじゃないかと思うんです。
 そこで質問をしたいんですけれども、地価も下がっている、取引の数値もマイナス九%ぐらい下がっている、にもかかわらず不動産向けの融資だけが何でこの総量規制を緩めてからじわじわじわじわとこうやって上がってきて、しかも大蔵省が決めたトリガーと呼ばれるこの規制を三カ月連続下手をすればクリアするところだった。そこまで伸びてきた理由というのは一体どこにあるのか、まずその理由について見解も含めて説明を受けたいと思います。
#28
○説明員(北村歳治君) お答え申し上げます。
 お尋ねの不動産業向け貸し出しの伸び率につきましては、日本銀行の経済統計月報に掲載されております業種別貸出残高というものがございますが、この統計によりますと、今、先生が御指摘になりましたように、昨年の九月に不動産業向けの貸し出しの伸び率が総貸出残高の伸び率に比べまして二、三%上回る状況になっているわけでございます。十月にはその差が二・二%、それから十一月には三・二%、十二月には二・九%、それが一月には三・四%というふうになっているわけでございます。
 そのもとになっております不動産業向け貸し出しの伸び率につきましては、昨年の秋以降おおむね五%前後の伸びだったわけでございますが、この一月におきましては六%程度の伸びになっているわけでございます。
 現時点でこの不動産業向け貸し出しの伸び率の背景なり理由につきましては、私ども必ずしも詳細を掌握しているわけではございませんけれども、金融機関からのヒアリングで得た感触に基づいて申し上げますと、土地の先行取得を行っている地方の土地開発公社等向けの貸し出しの増加がかなり重要な要因になっているんではなかろうかというふうに推察しているわけでございます。
#29
○村田誠醇君 その地方の公社、あるいは三セクも入っているのかもしれませんけれども、その部分が入ってこういう数字だというんであれば、この日銀の経済統計月報の中にはノンバンク向けのデータは入っていませんでしょう。ノンバンクというのは別の分類系統になっていますでしょう。バブルのときに一番問題になったのはノンバンクを経由して不動産融資に迂回した部分、それがあるわけですけれども、日銀の統計の中にはこの部分は出てこないんですよね。そういうのも加算すると、一体何でここに来てまだ不動産向け融資が膨れ上がってきているのか。
 考えられるのは二つなんですよね。一つは、土地をまだ買っているのか、実需があるのか。もう一つは、後ろ向き融資ですよ。焦げつきをいろいろ起こしたところに対してつなぎでもってお金を一生懸命貸している。つぶさないように一生懸命金を貸しているためにじわじわと上がってきている。
 その二つが考えられるんですけれども、今言われたように地方公社の分が多いんだという説明をなさるんであれば、ノンバンクも含めた不動産向け融資がどうなっているかというデータを出さない限りはそれは説明にはならないと思うんですよね。それと同時に、今言ったようにこれは後ろ向きの融資、つまりつぶさないために融資しているんじゃないか、実需とは関係ない形でやっているんではないかという点があるんですけれども、その点についてはいかがでしょうか。
#30
○説明員(北村歳治君) 先ほども申し上げましたように、その内容につきましてまだ私どもつまびらかなデータを持っているわけではございません。
 今申し上げることができますのは、通常の場合には、金融機関に細かな情報の提供を求めることは必ずしも適切ではないというふうな立場からデータの制約というふうなものは当然出てまいりますので、その場合に、日銀の業種別貸出残高の動向をまず一応の目安としてとらえて不動産業向けの貸し出しの動向を勘案する、そして先生が御指摘になりましたようなトリガーの問題等の是非を論ずるような場合につきましては、そういった中身につきましてさらに考えていく必要があるんじゃなかろうかというふうな考え方を持っているわけでございます。
#31
○村田誠醇君 それではお聞きしたいんですけれども、トリガーを発動する、総量規制をもう一度発動する条件の、まず最初は注意を喚起し、その次がやるという二段構えですけれども、最初のこの注意を喚起するという条件、つまり二カ月以上連続して不動産向け融資の方が総貸し出しの伸びよりも三%以上上回った場合、つまりここでいいますと、九三年の一月にはこの条件をまず一つ満たしているわけですね。二つ目には、これはまだデータが発表されていませんけれども、九三年の二月に三%を仮に超えたときにはこれは直ちにこの注意事項を各金融機関に通達をするんですか。
 あるいは二番目の条件を満たしたときに、この総量規制というのは、大蔵省が通達で出している基準を満たしたら自動的に発動するんですか、それとも、そのときそのときの状況を判断して発動する場合もあるし発動しない場合もあるんですか。そのどちらなんでしょうか。
#32
○説明員(北村歳治君) 総量規制の発動につきましてのいわゆるトリガー方式は、昨年の一月に導入をされたわけでございます。これは、一昨年十二月の総量規制解除後におきましても地価高騰のおそれが生じた場合に、総量規制がタイミングを逸することなく効果的に発動されることを確保することを目的にするものでございますが、この場合、金融機関の業種別融資状況につきましては、先ほど申し上げました日銀の業種別貸出残高を利用しながら金融経済情勢を総合的に勘案するというふうなことになろうかと思います。
 現在、金融機関の不動産業向け貸し出しの伸びは、一月末で前年同月比六・〇%と総貸し出しの伸び二・六%を三%以上上回っているわけでございます。しかしながら、二月につきましてはちょっと私どもコメントできる立場じゃございませんので差し控えさせていただきますが、いずれにいたしましても、今の段階では二カ月以上連続というトリガーの方式の適用条件を満たすには至っていないわけでございます。
 このトリガー方式は、土地関連融資につきまして将来における総量規制のタイムリーな発動を確保すべく行政運営上の指針としてまとめたものでございます。その適用に当たりましては、従来から、これを機械的に運用するのではなく、金融経済情勢等を総合的に勘案しつつ総量規制の実際の発動には慎重であるべき場合があるというふうに打ち上げているところでございます。
#33
○村田誠醇君 このトリガーについて、平成三年十二月三日の大蔵委員会で羽田前大蔵大臣がこのように説明しているんですよね。一定期間の間に一定の数値、つまりトリガーの条件を上回った場合、金融機関の注意を促す、あるいは一定期間一定数値を上回ったような場合には、金融経済情勢等を総合的に勘案しながら総量規制というものが、自動的といいますか、発動できるような体制というものもつくっていきたい、と。自動的に発動するとは言っていないんですけれども、自動的に発動するような体制と、こういうふうにとれるんですよね。
 しかし、今の御説明でいきますと、条件は満たしても自動的にこれは発動するものじゃないというんであれば、一体何のための総量規制だったのかなということにもなると思うんです。その点について、この前大蔵大臣の見解、答弁についてはどのように理解したらいいんですか。大臣は自動的に発動できるような体制というようなものというふうに説明しているんですけれども、その点はどうでしょうか。
#34
○説明員(北村歳治君) 一昨年の十二月二十日に私どもが新聞発表いたしました内容は、前年同月比で見た金融機関の不動産業向け貸し出しの伸びと総貸し出しの伸びを比較して二カ月以上連続して前者が後者を三%以上上回った場合は、当局は金融界に注意を喚起し、二カ月以上連続して前者が後者を五%以上上回った場合には金融経済情勢等を総合的に勘案しつつ総量規制を導入する体制を整えるという表現になっているわけでございます。
 先ほども申し上げましたように、このトリガー方式は土地関連融資につきまして、将来における総量規制のタイムリーな発動を確保すべく、行政運営上の指針としてまとめたものでございます。その運用に当たりましては、これを機械的に運用するのではなく、金融経済情勢等を総合的に勘案しつつ総量規制の実際の発動には慎重であるべきである、こういう考え方でございます。
#35
○村田誠醇君 あなた方の出した通達については確かに総量規制を導入する体制を整えると書いてあるんですね。これ読むだけでは自動的にやるのか、それとも選択的にといいましょうか恣意的にやるのか、何にも書いてないんですよね。
 だから、御説明はそのとおりで構わないと思うんですけれども、ただ私どもが心配しているのは、ここで記載している条件といいましょうか、総量規制を発動するあるいは金融機関に注意を喚起するというそのガイドラインを明らかに九二年の十一月は三%を超えてますよ。去年の十二月については若干少なかった二・九%ですよ。わずか〇・一%数字が違っただけなんです。それで九三年本年の一月には三・四%に。大蔵省が決めた数値の基準を上回っているんです。仮の話、十二月末でこれが三%になっていたら、あと〇・一行っていたら、この条件の第一項目にまず該当しちゃうんですよ。だから、自動的にやるのかどうかということが大変重要な問題として出てきますし、この調子でいきますと、総量貸し出しと不動産の貸し出しの差といいましょうか比率はどんどん狭まっているんですよね。三%の数値を下手したらクリアするかもしれない。
 そういうことが危険性として考えられますので、これの運用もしくはこの数値の把握についてきちんとしていただきたいのと、総量規制を導入する体制というのは一体どういうことなのか、自動的に行政として発動するという意味なのか、それとも条件は満たしているけれども土地の値段の動向によってはやる必要ないんだという意味なのか、しつこいようですけれどもその辺をもう一度聞いて質問を終わらせていただきます。
#36
○説明員(北村歳治君) 総量規制の発動につきましては、二カ月以上連続して金融機関の不動産業向け貸し出しの伸びが総貸し出しの伸びを五%以上上回った場合に金融経済情勢等を総合的に勘案しつつ総量規制を導入する体制を整えるということでございまして、御質問の趣旨は総量規制を導入する体制を整えるというふうな意味のクラリファイといいますか明確化というふうなことかというふうに理解いたしましたが、原則といたしまして、そういうふうな五%以上の乖離が続くような場合には総量規制というものを念頭に置きながら関係方面と調整に入るわけでございますが、その発動に当たりましては、景気の好不況その他経済政策運営全般に照らしまして慎重な配慮を要する局面もあり得るかと思います。
 そういった意味では、繰り返すようですが、金融経済情勢等の総合的な判断に基づいて行われるべきものというふうに考えるわけでございます。
#37
○清水達雄君 今回の地価の乱高下というのは、我が国の経済社会に対しまして大変悪い影響を与えているわけでございます。
 この過程におきまして、政府としてもいろんな対策をとったわけでございます。監視区域制度をつくるとか、あるいはただいま議論がありましたようないわゆる不動産融資につきまして個別ヒアリングをやるとか、総量融資規制をやるとか、あるいは税制につきましてもいろんな改正をやったわけでございます。
 ところが、今に至ってみますと、初めてこういう大きないろんな施策をやったというようなこともありましていろいろ反省したり検討する点もあるんじゃないかというふうに思っているわけでございます。やっぱり国民の土地対策に対する考え方というのが一致しませんとなかなか強い対策が打てないわけでございまして、この点については大いに今後議論をしてより的確な対策がつくれるように努力をしていかなければならないというふうに私は考えているわけでございます。
 それで、先般の決算委員会におきまして土地問題についての基本骨格みたいな議論をさせていただいたわけでございますが、私のスタンスを御説明する意味もありまして若干その点について考え方を述べさせていただきたいと思うわけでございます。
 地価というのは、宅地の需要と供給の関係によって決まる。宅地の供給が長期的に見て不十分であるというふうな構造にあれば、土地は持っていれば後で上がった上で売れるから必ずもうかるよということになるわけでございまして、これが土地神話だと思うわけでございます。こういう状況において、需要が増加すれば、つまり供給を上回って需要がふえれば、地価は必ず上がるというのが地価の問題だろうと思うわけでございます。
 したがいまして、地価を安定させるためには宅地の需給をバランスさせるということが一番大事でございまして、そのためには土地利用転換、宅地供給をうまくやっていくということが一番大事な点でございます。そのために、土地基本法では第三条に土地の適正な利用あるいは計画に従った利用というふうな理念を書きましたし、それから第十二条でいわばこれを実現させるための規定も置いているわけでございます。
 そういうふうなことで、地主の意思だけによるのではなくて、その土地が置かれた状況に応じて適正に利用されるということをどうしてもやっていかなきゃならない。そのためには、今回三大都市圏の特定市街化区域農地でやられましたようなああいう行政措置を伴う具体策をどうしてもやら
なければ効果が上がらない、そういうふうに思っているわけでございます。しかし、これはそう簡単にできることではなくて、大変難しい問題であるというふうに思っているわけでございます。
 一方、税制改正が地価対策という意味でいろいろ言われているわけでございますけれども、それなら税制によって地価を安定させる機能があるかという点を考えてみますと、まず有効利用地じゃなくて、未利用地や低利用地に比較的高い保有課税をやりまして土地利用を促進させること、これは利用促進の効果があると思います。それから、投機的取引を抑制するために今行われておりますような超短期譲渡益に関して重課をする、つまり投機的な地上げ行為等をやめさせるということも効果があると思います。
 しかし、有効利用されている土地に対して保有税をかけて土地保有に伴う利益を縮減させるといったふうな対策というのは、私は効果がないと思っているわけでございます。
 というのは、有効利用している人たちが税金が高くなって、じゃどうすればいいのか。その土地を売ってどこかへ移転するのか、あるいはそこの建物をぶち壊して何か新しいものを建てるのかという対応がない限りは、土地は動かないし何にもならないわけでございます。そういう意味で、やっぱり保有税というのは担税力の点からいっておのずから限界があるわけでございまして、土地の保有コストを上げるというのは本来的な意味の政策課題にならないというふうに思っているわけでございます。
 そんなことで、平成三年度の土地税制改正につきましては今後十分見直しを行って安定的な土地税制に変えていく必要があるというのが私の基本的な考え方でございます。
 それで、じゃ長期構造的な宅地供給というふうな対策が十分とれない段階では地価が上がってくれば短期的な対応をしなきゃならない、それは何でするかといったらば、これはもう供給を上回るような需要につきましては金融面で調節して需要を抑えるしかないというふうに私は思っているわけでございます。
 その点について、今、トリガー方式のお話がございましたけれども、あれは一つの指標数字で書いているわけですが、やっぱり大蔵省の銀行局が答えられているような地価の動向とか経済情勢を十分見た上でトリガー方式等を発動してうまく需要を抑えていくということが必要ではないかと思うわけでございます。
 基本論はそういうことで、決算委員会でもやりましたので、きょうはやや具体的な問題について御質問いたしたいと思います。
 それで、最近の不動産業界などの事業用土地の取得状況につきまして建設省が三月に調査を行ったというふうに伺っているわけでございますけれども、当面の取得の見込みとかあるいは取得を進めるに当たっての支障とかという点について御説明をお願いいたします。
#38
○説明員(藤田真君) 建設省では三月に、不動産業の用地取得それから在庫の状況について不動産業界の関係団体の理事会社に対しましてアンケート調査を行いました。その結果、六十四社から回答が参っておりますけれども、今後、事業用土地の取得の当面の見込みにつきまして、当面と申しますのは平成五年度一年間程度ということでございますが、「増やす」というふうに答えている会社が十七社、「増やしたいが支障があり進めにくい」というところが二十四社、また一方で「減らす」あるいは「凍結する」というのが十一社でございまして、そういう意味では今後ふやすという会社が多いわけでございます。
 取得の傾向といたしましては、一次取得向けのマンション用地を中心に買いたいという回答が寄せられております。
 また、用地取得を「増したいが支障があり進めにくい」というふうに答えている会社に対しまして、これは複数回答でございますけれども、どんな支障があるかということで回答を求めましたところ、「採算に合う土地が限られている」というところが二十四社、一番多いわけでございますが、続きまして「税制面」が二十二社、それから「用地買収に際しての規制が厳しい」というのが十三社というのが大体でございます。
#39
○清水達雄君 今お話がございましたように、取得をふやしたいけれども支障がある、土地が限られているとか税制面で支障があるというお話があったわけでございますが、その意味で土地税制の問題につきまして大蔵省、自治省、国土庁にお伺いをしたいわけでございます。
 まず第一点は地価税の問題でございまして、これは未利用地や低利用地に課税をして有効利用を促進するということであれば先ほど申し上げましたように意味があると思います。ところが、適正な利用がなされているものに課税することというのはこれはコストアップ要因にしかならない。そういう意味で、今回の地価税の徴収状況なんかが新聞に出ておりましたけれども、日本の有数企業がほとんどべたに課税をされているわけでございますし、また日経新聞なんかによりますと土地利用の見直しをするというふうな意見の会社というのは非常に少ないというふうなこともあるわけでございまして、そういう意味で、今後保有税全体を見直すというふうな見地も含めてこれを見直す必要があるかどうか、その点について大蔵省にお伺いいたします。
#40
○説明員(渡邊博史君) お答え申し上げます。
 委員御指摘のように、先般の地価高騰は我が国の経済社会に資産格差の拡大あるいは住宅取得の困難等さまざまな支障をもたらしたわけでございまして、そういうものに対応するために総合的な土地対策というのが図られまして、その一環として土地税制改革というのが行われたわけでございますが、その中で地価税というものも創設されたわけでございます。
 地価税は、土地基本法にも定められておりますように、土地は公共的性格を有する資産であるという土地についての基本理念にのっとりまして、土地保有に対する税負担の公平を確保するということと、土地の保有コストを高めることによりまして土地神話を打破し地価高騰の再発を防止するための長期的、体質的改善措置として創設されたものでございます。
 具体的に土地政策の観点からどのような役割が地価税に期待されていたかといいますと、土地は有限で個別性が強く生産活動の基盤となるという特性を有しているためにほかの資産に比べまして有利性が付与されやすいという状況にございますが、このことが結果的に土地神話を形成しているものでございまして、地価高騰の再発防止のためには保有コストを高めることにより構造的に土地の有利性を縮減することが必要であると考えたところでございます。また、このような形で保有コストを高めることを通じまして、土地の保有が値上がり期待ということで持つわけではなくて利用価値に着目して行われる、そのように変わっていくような効果を持つということを通じまして地価高騰の再発防止に効果があるというふうに考えられたわけでございます。
 今申し上げましたように、土地の保有コストを高めることが地価税の機能として期待されているところでございますので、土地を保有して事業を営んでいる法人にとりまして地価税負担が広い意味でのコストの上昇要因となることは委員の御指摘のとおりでございます。
 ただ、その結果、このコストの上昇に見合うような土地の有効利用を図ることになるという方策をとられる方もありますし、あるいは既に土地を最大限有効に利用しているという場合においては、その税負担を含めた総合的な収益に見合った水準にまで本来の地価が下落していくということが期待されているわけでございます。
 現在、今申し上げましたようなさまざまな過程が進行し始めたところにあるというふうに認識しているところでございまして、この過程を逆戻りさせないためにも、地価に応じて保有コストを高めるという地価税の重要性は依然として高いというふうに考えているところでございます。
 御承知のように地価税は税法の本則に従いまして今年度から〇・三%に移行することになりますが、税制調査会の平成五年度税制改正に関する答申において、土地政策を引き続き総合的に推進する中で地価税創設の趣旨を踏まえ着実な実施に努めていくことが必要であるとされたところでございまして、これも踏まえまして着実な実施に努めてまいりたいというふうに考えているところでございます。
#41
○清水達雄君 今まで政府としていろいろ言われてきた御答弁であったわけでございますけれども、日本の土地の面積の中で実際に取引が行われるのは年間に一%強ぐらいの土地が動くんですね。その動き方、供給と需要の関係で地価は動くんです。日本の土地全体のあり方がどうかということで地価が動いているんじゃないと私は思います。
 要するに、日本は国土が狭いというのは供給が少ないという意味を持っているわけでございます。実際に保有コストが上がっても、土地は別のその一%で動いているわけでございまして、持っている人には何の作用もしてないというあたりの点について、私は政府の税制調査会のいろんな考え方というものについてやっぱりもうちょっといろいろ議論、検討が必要ではないかなというふうに思っているわけですが、今ここで見直すなんという答弁はなかなかできないと思いますので、今後御検討をお願いしたいというふうに思うわけでございます。
 それから、いわゆる遊休地課税としての意味で特別土地保有税というのが地方税であるわけでございます。これにつきましては有効利用がなされているものについては免除されているというふうに思っているわけでございますけれども、この税制につきまして概略でいいですけれども、その辺の実態とこういう遊休地課税で効果が十分上がっているのかどうかという点について、自治省からお答えをお願いいたします。
#42
○説明員(堤新二郎君) お尋ねの特別土地保有税につきましては、昭和四十八年度に政策税制として創設されたわけでございまして、創設されました当時は、住宅用地とか一定の非課税の用途に供されたもの以外の土地につきましてはその利用状況のいかんにかかわらず特別土地保有税が課税されておったわけでございますが、その後、地価が総体的に安定してきた、あるいは土地の取引あるいは土地の利用に関する法の整備がなされたということもございまして、昭和五十三年度の改正によりまして、今、議員御指摘の恒久的な利用の用に供される土地につきましては特別土地保有税の納税義務を免除するという制度が講じられたところでございます。
 具体的に申し上げますと、事務所ですとか店舗ですとか、あるいは工場施設でありますとか、そういった一定の恒久的な利用の用に供されております土地でしかもその利用が土地利用の計画に適合しておる、土地利用計画の適合性の要件も満たしておる、そういった恒女性の要件と土地利用計画の適合性の要件、この二つの要件を満たす土地につきましては特別土地保有税をいただかないということにいたしておるわけでございます。
 特別土地保有税につきましては、昭和六十年ごろからの異常な地価高騰に対してその期待されておる役割が十分達成されていないのではないかなということで、平成三年度の税制改正、土地税制の抜本改正の一環といたしまして、特に三大都市圏の特定市につきまして、青空駐車場ですとか資材置き場ですとかといったような恒久的に利用されているのかあるいはそうではなくて一時的な利用なのかよくわからないような土地につきましては、建物とか構築物とかそういった一定のものを備えなければ免除をしないというふうな改正なども講じられたところでございまして、私どもとしては、特別土地保有税はその政策税制としての役割はそれなりに果たしておるというふうに理解をいたしておるところでございます。
#43
○清水達雄君 政府税調でその地価税の議論が行われたときに、建設省はいわば遊休地課税案というふうなのを政府税調の方に、委員会か何かに提案をしたという。ところが、遊休地だったか未利用地だったか知りませんけれども、定義ができないじゃないかという議論があってこれはつぶれたというふうなことを私は新聞報道なんかで知ったわけでございますけれども、この遊休地課税というのは、必ずしもちょっとした掘っ立て小屋が建っていればいいのか悪いのかとか駐車場がどういうあり方ならいいとか悪いとかという議論ではなくて、例えば都市計画で法定容積率と称されるものが決まっているわけですけれども、あれについて現実の利用容積率がごく低いような場合にはやっぱりこれは遊休地としてとらえて、低い程度に応じて税率を変えて課税するという遊休地課税だってあり得ると思うんですよ。
 そういうふうな意味も含めまして、この地価税を今後どうするかというふうな問題につきましては、私は、特別土地保有税と合体と言っちゃおかしいけれども、何か一緒に的確な遊休地課税をつくって土地利用促進の効果を上げていくというふうな検討をぜひしてほしいなと。やっぱり本当にもうこれ以上使いようがないのに使っている土地に地価税をかけるというのはいろんな弊害ばっかり出てくるんじゃないかという感じが非常にしておりますので、御検討のほどをお願いしたいと思います。
 それからもう一つは、土地の長期譲渡所得課税の問題がございます。
 これにつきましては、優良住宅地造成に対する譲渡については国税一五%、地方税五%という軽減をやっていただきまして、私はこれは非常に宅地供給に効果があるということで大変な評価をしているわけでございますが、一方で、それ以外の譲渡につきましては国税三〇%、地方税九%という大変高率の言ってみれば取引禁止的な税率になっちゃっているわけでございまして、こういうふうなことだと、既成市街地の中にもかなり小規模な土地がありまして、これが本来なら住宅が一戸なり二戸なり建つというのが建たなくなって駐車場だけになるとかいうようなこととか、一般的な土地の流動化に非常に障害になっているというふうに思っているわけでございますが、この辺につきましても見直しの検討をやっていただけるかどうか、大蔵省にお伺いいたします。
#44
○説明員(清水治君) 土地の譲渡益課税につきましてですが、譲渡益課税につきましては、税制におきましてこれまでもかなりの頻度で改正が行われてきたわけでございます。
 これらの改正はそのときどきの政策的な要請に対応するということから講じてきたものでございますが、こうした改正の経緯を通じまして国民の間に絶えず土地の譲渡益課税に対する税制の緩和期待が生じまして、その結果として土地の売り惜しみを招いているのではないか、そういう懸念がされてきたところでございます。
 先般の土地税制改革、平成三年度の改正でございますが、この土地税制改革におきましては、以上のような懸念も踏まえまして、土地に対する適正公平な税負担を確保する、それから土地の資産としての有利性を縮減する、そういう観点から、長期的な視野に立った安定的かつ確固たる制度を確立するということをねらいといたしまして土地譲渡益課税につきましても見直しを行ったところでございます。
 具体的に申し上げますと、一般の土地の譲渡益に対する所得税の税率につきましては三九%、これは住民税九%含むものでございますが、といたします一方で、優良住宅地の供給ですとかあるいは公共用地の確保といった土地政策にも配慮いたしまして、こういうものにつきましては軽減税率を適用しまして、これについては一律に住民税五%含めまして二〇%に引き下げるという形でめり張りのきいた措置を講じているところでございます。
 このような土地税制改革における譲渡益課税の見直しをいたしましたところでございますので、これらの措置を着実に定着させていくことが現在最も重要なことではないかと考えております。
 先生の御指摘の土地譲渡益課税、こういった優良住宅地あるいは公共用地といったこと以外のものも含めて一般的に軽課するということについての問題ですが、これについては土地税制改革のときの税制調査会の基本答申でも触れられているところですが、土地譲渡益と申しますのは公共投資とかあるいは経済活動が集積するといった外部的な要因によって生じてくるものでございまして、そのような土地の譲渡益を軽課するということにつきましては税負担の公平確保の観点から見て問題がございます。それから勤労所得などに対する税負担との均衡ということも図っていく必要がある、そういった問題がございます。
 さらに加えますと、その土地税制緩和の議論ということがまたございますと、最初に申し上げましたように、かえって土地の売り惜しみ、そういった問題につながるんではないかといった深刻な懸念もございまして、到底そういった見直しを行うというのは難しいもの、とり得ない、こう考えているところでございます。
 なお、小規模なものにつきましては、都市計画など、そういったいろいろな小規模な住宅開発につきましては規制等が行われているところだと承知しておりますが、そういった非常に小規模なものについては、乱開発にならないか、そういった問題もございます。そういうものにつきまして、現在、軽減税率を適用しております優良住宅地のための土地の譲渡というものと同じように扱うということにつきましては適当でないと考えているところでございます。
 なお、この関連でさらに申し上げますと、都市計画法上の開発許可の対象面積につきましては、三大都市圏の特定市における……
#45
○清水達雄君 もういいです、その辺はまた後から触れますから。できるだけ簡潔にお答えをいただきたいと思います。
 今おっしゃった中で、土地基本法の中で、土地というのは地主が汗かいて積み上げた利益じゃないんだから、公共施設の整備であるとかあるいは都市の集積だとかということによってもうかった金なんだから、これはそれなりの負担を負うべしということが書いてあります。そうなんですけれども、その部分だけをつまみ食いしますと、私当初に申し上げたように、宅地供給が進む構造になっていないときにそういう税制的な部分だけつまみ食いすると、がん細胞を殺すだけじゃなくて実際の実需に対する供給も殺しちゃうんですよ。そういう点は、土地基本法につきましてはある部分だけをつまみ食いするというやり方は考え方としてとってほしくない。これは私が国土庁にいたときに提案をした法律でございますけれども、そういうふうに読んでいただきたいというふうに思うことが一点でございます。
 それから、土地税制は余りいじくるなというのは私も大賛成でございまして、昭和五十七年度の税制改正のときに、当時の山中税制調査会長が長期安定的な土地税制をつくるということで御自身も大変苦労されて税制をつくられたわけでございます。私は基本的にはああいうのでいいんじゃないかというふうに思っていたんですが、言うならば、平成三年度の税制改正というのは、ちょっと悪い言葉で言うとやややり過ぎたかなというふうな、つまり余りあっちこっちいじくるなの中に入る税制改正じゃなかったか。そういう意味で私は安定的な税制じゃないというふうに考えておりますので、その辺も頭に置いていただきたいと思うわけでございます。
 それから次に、長期保有土地から減価償却資産への買いかえ特例を廃止したわけでございますけれども、この事業資産の買いかえ特例の中で減税額が七四%を占めていたのが今のものでございまして、これがなくなりましたので、地方都市での広義の再開発、例えば密集地にあるような商店とか工場なんかをもっと郊外の土地が広く使えるいいところに移転して展開をしたいというふうなことについて大変支障になっているんではないかというふうに思うわけでございまして、この廃止したものを全部復活させろなんということは私は言いませんが、そういう都市整備上必要な部分についてはやっぱり復活を検討すべきじゃないかというように思っておりますけれども、いかがでございましょうか。
#46
○説明員(清水治君) 事業用資産の買いかえについての御質問でございますが、事業用資産の買いかえにつきましては、これは土地、事業用の資産を譲渡いたしておりますので、本来そこで譲渡益について課税を行うということが基本でございますが、現行の制度におきましても、例えば過密地域からの移転の促進ですとかあるいは地方の開発を要する土地への誘致といったような観点からの買いかえにつきましては、国土利用政策上政策的な位置づけを有して奨励すべきものといたしまして買いかえの特例を認めでございます。全体として、十六類型、さらに法律に基づく構造改善等のための買いかえというものもございまして、幅広くきめ細かな特例措置を認めているところでございます。
 ただ、旧来ございました長期所有土地から減価償却資産への買いかえ一般につきましては、まずその種類の土地から種類の異なる資産への買いかえでございます上に、従来の制度におきましては国土利用政策等に関連した地域などの限定というようなものはございませんでしたので、これにつきまして他方でさまざまな国土利用政策上の観点から買いかえ特例の対象となっています買いかえ、すなわち過密地からの移転ですとか地方への誘致といったものでございましたが、こういったものが利用されず進まない、そういう問題があった。それから、この減価償却資産への買いかえにつきましては、土地さえ持っていれば、減価償却資産であれば建物でも機械でも何にで買いかえられるということから、土地の有利性を非常に助長しているという弊害がございました。
 それで、そういった観点を踏まえまして、平成三年度の土地税制改革におきまして、この長期保有土地からの減価償却資産への買いかえにつきましては廃止させていただいたものでございます。
 この制度の復活という問題につきましては、仮に限定的な復活でございましても、再び土地の有利性を非常に助長する結果となる。あるいは、現在特例が認められております地方への誘致といった観点からの買いかえですとか過密地からの移転促進といったような国土利用政策上の観点からの買いかえの支援というものを阻害するおそれもございます。さらに、これは平成四年一月一日から実施された見直してございますが、土地税制につきましては長期的に安定的であるべきものでございますので、これを短期間でまた改めるということになる。そういった問題がございますので、適当でないのではないかと考えているところでございます。
#47
○清水達雄君 今の買いかえ制度というのは、土地から土地への買いかえじゃなくて、土地を売ってその金で減価償却資産を買うというふうなことですから、従来いろいろ議論されてきたような買いかえとはちょっと違うわけですね。これも設備投資の一つの資金調達手段にはもちろんなるわけですけれども、生活大国を築いていくためのそういう都市整備、そういう意味で非常に効果があるというふうなものであればやっぱり前向きに検討してほしいなというふうに思っているわけでございます。
 以上、今いろいろ議論をされている税制についてお伺いをしたわけでございますけれども、こういう段階でこういう席で見直しますとかやりますなんという答えは当然できないと思っているわけでございますが、いろいろここのところについては議論があるわけでございます。
 ただ、この税制改正というのは土地対策という面からなされているわけでございますんで、国土庁長官とされて今のような議論を聞いておられてどんなお考えを持たれたか、御所見をお伺いしたいと思います。
#48
○国務大臣(井上孝君) 今、清水さんの御質問を伺っておりまして、清水さんの長い経験から出る御意見には大部分賛成といいますか、むしろ感心
してお聞きしたわけでございます。本来、質問というものは知らない人が知っている人に聞くものだと思うんですが、私は知っている人に知らぬ者が答弁するというようなふうになっております。
 ただ、先生が言われた中で、地価税は反対と、保有税は反対と、遊休地だけにかけるべきだというようなお話がございましたが、これは、私はにわかに清水さんの御意見に賛成するわけにはまいりません。
 といいますのは、まだ一遍取っただけでございますし、私は、この間大蔵省が発表しました地価税の高額納入者二十社のうち十社が、これは不動産会社というかそういうのならわかるんですけれども、不動産ですからビル会社とかそういうのはわかるんですが、あるいはデパートなんかはわかるんですけれども、この二十社のうち十社が保険・金融業だというようなのは、これは果たしていいことなのかどうかという気がいたしました。非常に利用価値の高いところに保険会社とか銀行が軒を並べておるというようなことが土地利用の上で本当に有効利用がされているのかなという感じもいたします。
 また、地価税地価税といいますが、税率も〇・二から〇・三になっただけでございます。昨年初めて施行した地価税は、これも大蔵省の方が答弁しておりましたけれども、土地神話をなくする、土地の資産価値をなるべく縮減するという長期的な観点からつくった税でありますから、廃止というよりも、むしろこれを改善していくといいますか、そういう観点でひとつ見ていただきたい。
 地価が下がっておるからというようなことから、負担が非常に企業にかかっているというような観点から廃止したいというふうな短期的な見方にはどうも今の段階では賛成しがたいなと、こういう感じで私は伺っておりました。ごく一部の意見かもしれませんけれども、お答えをいたします。
#49
○清水達雄君 確かに税をつくったばっかりでもうすぐやめろとかという話というのは考えてみれば非常に異常な話でございまして、長官が今お答えになったようなこと以外のことについてもいろいろ議論はあるわけでございますけれども、これはまだ十二月の税制改正まで時間もありますし、いろいろ今後議論を積み重ね、指導もしていっていただきたいというように思っています。
 それから次に、これはもう土地対策の基本になる部分でございますけれども、土地基本法第三条の適正な利用とか計画に従った利用、それから第十二条の適正な土地の確保を図るための措置ということでございますけれども、土地基本法制定後このためにどのような措置をとってきたか、また、今後どのような措置をとろうとするのかというふうなことにつきまして、国土庁と建設省からお答えをいただきたいと思います。これは恐らく建設省なんかたくさんあるんだろうと思いますが、項目を挙げる程度のお答えで結構ですので、お願いいたします。
#50
○説明員(板倉英則君) 平成元年に制定されました土地基本法におきましては、第三条におきまして、先生御承知のとおり、土地の適正な利用及び計画に従った利用が定められました。そして、これを受けまして第十二条では適正な土地の利用を確保するための措置を講ずるというふうになっているわけでございまして、建設省といたしましても、この土地基本法の趣旨を踏まえまして諸施策の充実に努めてきたところでございます。
 特にさきの地価高騰におきまして大都市地域を中心に業務ビルの住宅地への進出による住環境の悪化や都心部の空洞化等の問題が発生したことは記憶に新しいところでございますが、これらの問題に対処するため、総合的な土地対策の一環といたしまして、国土庁とかあるいは土地政策審議会等とも緊密な連携をとりながら逐次に都市計画を初め土地利用計画制度の充実を図ってきたところでございます。
 具体的には、簡単に申し上げますが、平成二年には都市計画法を改正いたしまして、市街化区域内農地につきまして、公共施設の整備とあわせて高さ等を緩和しながら良好な中高層の住宅地をつくる住宅地高度利用地区計画制度の創設。それから、都心部におきまして住宅を確保していくために、住宅用途につきましては一・五倍の容積率の割り増しを認めます。途別容積型地区計画の創設。それから、先ほどもちょっと議論がございましたが、市街化区域内の低未利用地の対策といたしまして、その有効利用を促進するため遊休土地転換利用促進地区制度の創設というようなことをやってまいりました。
 続く平成三年に入りまして、生産緑地法を改正いたしまして、三大都市圏の特定市の市街化区域内農地につきまして、昨年末までに保全する農地につきましては生産緑地の指定作業を終えまして、現在、宅地化農地につきまして整備プログラムを作成しているところでございます。
 それから、平成四年に入りまして、都市計画法の大幅な改正を行いまして、一つは、土地利用の面で総体的に劣にある住環境を保護し用途に見合った地価の形成を図っていくような観点から、用途地域の細分化を図っております。それから二つには、都心部におきまして住機能を回復するという観点から、中高層階住居専用地区の創設をいたしております。さらに、公共施設の整備とそれに見合った土地の有効利用を促進するための誘導容積制度の創設、それから市町村みずからが町づくりの具体的なビジョンを明らかにいたします市町村の都市計画に関する基本的な方針の創設等を盛り込んだところでございます。
 今後、今般改正されました都市計画法及び建設基準法の適切な施行を通じまして、私どもとしましては、一つは、きめ細かな土地利用の規制、誘導によるそれぞれの用途にふさわしい適正な地価水準と良好な住環境の実現、二つには、都心部周辺での住宅機能の回復によります職住のバランスのとれた土地利用の実現といったようなことを図る観点から、今後、新用途地域の的確な指定、市町村の都市計画に関する基本方針の策定等を推進することによりまして、改正後の都市計画制度が所期の効果を上げられるよう地方公共団体との連携を密にしながら全力を挙げてこの問題に取り組んでまいりたいと思っております。
#51
○政府委員(鎭西迪雄君) 土地政策の中でよく需給両面にわたる総合的な土地対策と、こう申し上げておるのでございますけれども、着実な供給促進策というのは非常に重要なことであることは申すまでもございません。
 この面につきましては、ただいま建設省の方から御説明がございましたように、主として建設省サイドで大変御努力をされ、かつ平成四年の都市計画法の改正といった画期的な制度改正に踏み出されまして、今年度から具体的な実施に移されるという形になっているわけでございます。
 私ども国土庁として具体的な事項の所管をする部分につきまして若干申し上げますと、委員御承知のとおり、国土利用計画法を改正いたしましていわゆる遊休土地制度につきまして少し対象範囲を拡大いたしております。面積要件を引き下げたりあるいは遊休と見なされる期間要件というのを短縮いたしましてなるべく効率的な利用が図られるように、この改正を土地基本法と同じ国会にお出しして、現在実施中でございます。
 それから、市街化区域内の農地の有効適切な利用の中で、特に農住組合制度、これは土地区画整理等々といった基盤整備と、上におきます住宅等々の建物の管理経営といった、上物と基盤整備を一体として、かつ所有者である農業者が町づくりに積極的に参加するという形で、非常に今後の処方としては理想的なものなんだろう、かように考えまして、これが従来の法律でございますと三大都市圏の特定市街地等に限られておりましたが、これを全国の県庁所在地あるいは人口二十五万人以上の都市等々に拡大するとか設立面積要件を緩和する等々いたしまして、長年の懸案でございました市街化区域内農地の有効活用に生産緑地法の改正と相まってこれから積極的にこの処方というのを使ってまいりたい。
 そのためにも予算、運用等々でそういう面の充
実強化も図っておるところでございますので、そういったこともあわせまして引き続き関係省庁と十分連絡をとりながら積極的に対応してまいりたい、かように考えているところでございます。
#52
○清水達雄君 いろいろお答えをいただいたわけでございますが、建設省の関係の住宅地高度利用地区とか低末利用地の利用転換促進云々といったふうなことというのは、これ、現実に地方公共団体がなかなか地区指定をやらないとかいうことがあって、なかなか進ませにくい対策ではないかと思うんですが、この辺をぜひとも督励をしていただいてやっていただきたいというふうに思うわけでございます。
 何といいましても、一番大きな施策というのは生産緑地法を改正して三大都市圏の農地について区分けをさせたという、それで宅地化を進ませるようにするということだと思うわけでございます。
 私は、三大都市圏の市街化区域内農地だけではなくて、既成市街地の中の遊休地の利用促進についても今までの対策だけではまだ不十分ではないかというふうに思いますし、それから地方の中枢都市なんかについてはかなり人口も今後集まるわけでございまして、やっぱりそういうふうなところに三大都市圏の市街化区域内農地でとったと同じような対策をとる必要があるのではないかなといった感じがします。
 一方、地方の中小都市については、もう線引き制度というような難しいことはやめちゃって、もっとみんなが、大都市なんかの人が行って住みやすく、家がつくりやすいような、人口動態等から考えましてもそういう施策を考える必要があるんじゃないかというふうな感じがするわけでございますけれども、そういった線引き制度の問題につきまして、再検討といいますか、そういう時期に来ているんではないかなというふうに思うのでございます。
 それらの点について御見解を承りたいと思います。
#53
○説明員(松原文雄君) 市街化区域内農地の宅地並み課税の問題につきまして、私の方からお答えをさせていただきます。
 御指摘の宅地並み課税の問題につきましては、住宅需給や土地利用の状況等を踏まえまして、現在のところ、当分の間三大都市圏の特定市の市街化区域内農地について実施するということになっております。
 地方の中核都市への適用の拡大につきましては、基本的には住宅需給の逼迫度合いでございますとか、あるいはそれぞれの地域の都市化の進展等を総合的に判断して検討していくということになろうかというふうに思っておりますが、現在の三大都市圏の状況と地方の中枢都市の状況とを比較いたしますと、もう少し長期的に考えていくべき課題ではないかなというふうに私ども認識いたしております。
 ただ、いずれにいたしましても、それらの都市におきましても宅地供給の重要性というのは私ども十分認識しておるつもりでございまして、現在でも地方活性化のための幾つかの施策を講じておりますけれども、そういったものを活用しながら積極的に取り組んでまいりたいというふうに考えております。
#54
○説明員(板倉英則君) 後段の問題につきましてお答え申し上げます。
 都市計画におきます市街化区域及び市街化調整区域の区域区分の制度は、先生十分御承知のとおりでございまして、無秩序な市街地の拡大を防止し効率的な公共投資及び計画的な市街地形成を図るため都市計画制度の根幹となっているものでございまして、制度創設以来二十年余にわたりまして着実な運用がなされスプロール防止等に相当の成果を発揮してきたところでございます。
 今後とも都市化が全国的かつ長期的に進展することが見込まれる我が国におきまして、この区域区分制度は今日でも十分に妥当性を有していると我々考えているわけでございまして、これを廃止することは、都市計画の目標でございます都市の健全な発展と秩序ある整備に重大な支障を及ぼすことが懸念されることから、考えていないわけでございます。
 なお、この区域区分につきましては、御案内のとおり、人口、産業等の動向と計画的な市街地整備の見通し等を踏まえまして適切な見直しを推進するということでございまして、いわゆる保留人口フレーム方式を活用致しまして、将来想定人口の枠内であるならば土地区画整理事業等により計画的な都市化が確実な土地の区域につきましては随時に市街化区域に編入することができるとすることなど、区域区分制度の弾力的な対応を図ってきているところでございます。
 今後とも、良好な住宅宅地の円滑な供給に配慮しつつ区域区分の適切な見直しを進めるとともに、さきの都市計画法及び建築基準法の改正による新用途地域の的確な決定等、充実されました土地利用計画制度について所期の効果が上がりますように公共団体と連携を図ってまいりたいと思っております。
#55
○清水達雄君 線引き制度がうまい見直しができればそれで本当はいいんですけれども、農水省サイドに言わせるとまだ農地がいっぱい残っているじゃないかというふうな話で、非常に線引き制度、線引きの区域の見直しというのがなかなか難しいというふうな議論もあるから私はそういうふうな話をしているわけでございまして、その辺の運用がうまくいくように御尽力をお願いしたいというように思うわけでございます。
 それから次に、林野庁にお伺いしたいと思うんでございますが、これは私全く素人でございまして、国土庁長官申されたように本当に質問をするわけでございますが、平成二年の六月十一日に森林法に基づいて開発行為の許可基準の運用細則というのが非常に強化されたようでございまして、例えば別荘地でありますと残置森林を六〇%残しなさいとか、それから境界から三十メートルの間は残置森林を残しなさいとか、それから住宅地についても、これは残置森林だけでなくても緑地でもいいようでございますけれども、二〇%以上を残すとか、あるいは二十ヘクタール以上の規模になると境界から三十メーター以内の間は森林緑地を残さないかぬというふうなことになっているわけでございますけれども、こういった規制というのは市街化区域であるとかあるいは都市計画法による計画開発区域についても適用されるんでしょうか、また、市街化区域についてはこういう地域森林計画をつくっているような民有林というのもかなりあるんでしょうか、その辺をお伺いしたいと思います。
#56
○説明員(工藤裕士君) 林地開発許可制度のお尋ねの件でございますけれども、これは昭和四十九年度に創設されておりまして、国民の生活及び地域社会における森林の果たす役割の重要性にかんがみまして森林の有する多面的機能の高度発揮を図る、こういった観点から森林におきまして一定の開発行為を行う場合にその有する機能を阻害しないように森林の土地の適正な利用を確保する、こういった観点から創設されたところでございます。
 その後、今、先生御指摘のとおり平成二年の六月に至りまして、当時、経済活動や国民生活の高度化に伴いまして都市周辺におきまして急速に緑資源が減少する、こういった状況や、また一方、森林に対する国民の要請が多様化、高度化しておりまして、地域の森林を保全いたしまして森林の有する国土の保全とか環境の保全、こういった公益的機能を維持するということがますます重要な課題になっておるというような状況に至りまして、平成二年六月に学職経験者の方々の意見とか、また各都道府県でいろんな条例、要綱等を定めて開発規制を定めておりますが、こういった内容等も勘案いたしまして運用細則といったものを改正いたしまして、今、先生御指摘の残すべき森林の割合等の基準の見直しを図ったところでございます。
 それで、市街化区域についてこういった基準が適用されるかどうかということでございますけれ
ども、市街化区域につきましてもこの同じ基準が適用されるということでございます。
 これはなぜか。この趣旨でございますけれども、一つは、林地開発許可は、森林法の中で地域森林計画という知事が定める森林計画がございますけれども、この地域森林計画の対象となっている民有林におきまして一へタタールを超える開発行為を行う場合に適用する、こういうことになっております。この林地開発許可の申請があった場合には、当該開発行為によりまして、例えば災害の発生のおそれがあるとか、水の確保に著しい支障を及ぼすおそれがあるとか、環境を著しく悪化させるおそれがある、こういったことのいずれにも該当しない場合に知事が林地開発を許可しなければならない、こういうぐあいにされておるところでございます。
 これらの許可要件を満たすかどうかの判断基準を含めて運用細則等で定めているところでございまして、この中で残すべき森林等の基準を定めているところでございます。で、この残置森林、残すべき森林等の配置につきましては、主として当該開発行為によりまして周辺の地域における環境を著しく悪化させないための措置ということで定めているところでございます。
 なお、住宅団地の造成にかかわるものにつきましては、公園とかのり面緑地、こういった緑地を森林に含めることができる等の運用も行っているところでございます。
 以上でございます。
#57
○清水達雄君 森林法における森林を保護するというか、そのためのいろんな規定についていわゆる市街化区域についてまで同じように適用をしていくという点について私は大変疑問を感ずるわけでございまして、同じように残置森林を残すとかという話というのは何か理屈が合ってないというふうに強く思っているわけでございます。
 それからもう一つの点は、この森林法の体系をきのうちょっと勉強してみますと、法律では開発行為の許可というのは、今お話がございましたように政令に委任しているのはいわゆるその事柄の規模、一ヘクタール以上の開発とかなんとかをやるときにはという規模だけを政令に委任しているわけでございまして、例えば残置森林を残すとかなんとか環境的な問題については、法律では「当該開発行為をする森林の現に有する環境の保全の機能からみて、当該開発行為により当該森林の周辺の地域における環境を著しく悪化させるおそれがあること。」云々というふうな書き方なんですね。
 こういうことで、政令にも何にも委任してなくて、いきなり通達だけで残置森林が六〇%だとか境界から三十メーターだとかというような、私も長い間役人をやっていますけれども、こういう乱暴な法体系というのは余り見たことがないんですよね。ちょっとひどい言い方なんですけれども。
 例えば都市計画法なんかを見てみますと、二十九条の開発許可でありますとか三十三条、三十四条の開発許可の基準みたいなことについてはかなり事細かく法律の中で規定をしておりますし、それから政令に委任するときにも政令で定めるということをきちっとしておる。なぜ今政令ということを言うかといいますと、こういうふうなやっぱり国土の利用に関する基本的部分であり、国民の権利、これ民有林ですから国民の権利、に著しく影響を与えるような行為については、例えば国土庁とかそういうところと協議をしながら内容を決めていくということが必要ではないかというふうに非常に思いまして、そういう点については一言そういうことだけ申し上げておきます。何か機会があれば頭に置いて考えていただきたいというように思っているわけでございます。
 あと時間がもう余りなくなってまいりましたが、宅地開発なんかをやる場合あるいは住宅を建てる場合に非常に問題になっておりますのは、いわゆる開発者負担の問題でございます。
 これについては先ごろ武蔵野市の教育施設負担金についても事実上強制に当たるというようなことでの最高裁判決もあったわけでございますが、建設省が余り行き過ぎちゃいけませんよということで昭和五十八年に宅地開発指導要綱の行き過ぎ是正という通達を出しているわけでございます。ところが、よく聞く話は、これが市町村によっては守られてないという話が大分あるわけでございまして、この辺の実態が一体どうなっているのか、あるいはだんだんと守られるようになってきているのかどうかということ。
 それから、先ほど大蔵省の主税局の方からお話があったように、都市計画法の施行令の改正案によると開発許可の規模が千平方メートルから五百平方メートルに下がるというふうなことを聞いているわけでございますけれども、こういう五百平方メートルほどの小さな土地に今まで行われているような開発者負担をかけたらこれはどうしようもないというふうに思うわけでございまして、この辺の指導をどういうふうにしようとされておるのか。
 それから、学校用地等の無償提供だとかあるいは教育施設負担金とかいうのが現実にはもう余り学校を建てる必要もないというようなことで現実に使われてないとか、いろいろな問題があるわけでございまして、こういうものについてはもう廃止の指導を行ったらどうかというふうな感じがするわけでございます。
 この辺、一まとめにして御答弁をお願いします。
#58
○説明員(榊正剛君) 先生御指摘のとおり、昭和五十八年に「宅地開発等指導要綱に関する措置方針」というものを私どもで通達をいたしまして、行き過ぎた指導要綱の適切な見直しにつきまして公共団体を指導してきたところでございます。
 ただ、その市町村の指導要綱に対する是正指導ということもありまして、委員御指摘のとおりすべて守られているわけではございません。しかしながら、例えば住宅地における六メートルを超えるような区画道路幅員を求めるような要綱、これは五十六年当時三百四十一市町村でございましたが、平成元年では四十四に減少するなど適切な見直しも行われてきておるところでございます。しかしながら、一方で住民同意の義務づけなど実効が上がっていない側面もございますので、今後とも引き続き行き過ぎた指導要綱の適切な見直しに向けまして公共団体を指導してまいりたいというふうに考えておるところでございます。
 それから、都市計画法施行令の改正の関係でございますが、これにつきましては都市計画中央審議会や国会での議論も踏まえまして、現在、政府部内で検討中でございまして、三大都市圏の既成市街地等の区におきまして千平米とありますのを五百平米に引き下げようということを検討しているところでございます。仮にこのような改正が成立しました場合には、その施行に当たりまして審査期間の短縮、それから指導要綱による過大な負担を求めないといったようなことにつきまして公共団体を指導してまいりたいというふうに考えておるところでございます。
 それから、学校用地等の関係でございますけれども、そもそも私どもは寄附金等の開発者負担を求める指導要綱につきまして、従来より、入居者の負担につながるものであることにも配慮しつつ総合的に検討して適正化が図られるよう見直しを推進しようと、それから地方財政法の趣旨にのっとりまして開発事業者の理解と協力のもとに受け入れるべき性格のものであるということも指摘いたしまして、公共団体にいろいろな指導をしてまいったところでございます。
 今回、武蔵野市における教育施設負担金の関係の最高裁判決が出たということも踏まえまして、建設省といたしましては、本判決の趣旨、それから児童数の減少等、最近の社会経済情勢を踏まえまして、開発者負担の適正化の観点から、寄附金等の負担を求める指導要綱につきましてその必要性も含め総合的に検討するよう、自治省とも協議しました上で再度通達する等の指導をやりたいというふうに考えるところでございます。
#59
○清水達雄君 国土庁の大都市圏整備局に事務所床の需給見通し等の問題についてお伺いする予定
でございましたけれども、時間がなくなりましたので、申しわけございません、これで質問を終わらせていただきます。
#60
○牛嶋正君 私は、土地対策の基本施策に関する国土庁長官の所信に基づきまして、土地政策の基本問題について四点ほど御質問してまいりたいと思っております。
 初めは私有財産権に対する制限の問題でございます。
 先ほどから議論に出ております土地基本法では、四つの基本理念を決めております。繰り返させていただきますと、第一番は土地についての公共の福祉優先、第二番目は適正な利用及び計画に従った利用、第三番目は投機的取引の抑制、そして四番目は利益に応じた適切な負担であります。
 これらの基本理念は、土地政策の基本目標と言ってもいいかと思います。そして土地という資産が持っている特性から申しますと、非常にもっともな目標であり、そしてまた基本理念だと、こういうふうに思うわけでありますが、ただこの基本理念に基づいて実際に具体的な土地政策を展開しようといたしますと、土地の私有財産権に対する制限を伴うことは言うまでもございません。例えば公共の福祉を優先させようとすれば、個人の福祉に対して制限が加えられるわけでございます。また、計画に沿って土地利用を図ろうといたしますと、個人の土地利用計画に対しまして制限を加え変更を余儀なくされるわけでございます。
 ここで大切なことは、土地の私有財産権に加えられる制限の程度の問題ではないかというふうに私は思っております。
 土地私有財産に対する制限が緩やかな場合、四つの基本理念に基づいて土地政策を推進しようとしてもその実効はなかなか上がらないんではないかというふうに思うわけであります。しかし、また一方では、土地の私有財産権に対しましては憲法でその財産権は守らなければならない、こういうふうに言われているわけでございます。
 こういうふうに考えていきますと、どこでその調整を図っていくのか、土地政策を実効あらしめるためにどれだけ制限を加えていけばいいのか、これは非常に難しい私は問題ではないかと思っております。
 最もきつい私有財産権に対する制限というのは、それは土地公有論ではないかというふうに思っております。そして、先ほどから議論が出ておりますように、現行の制度の中でも、いろいろ程度は違いますけれども、いろいろな制限が加えられているわけです。例えば建築基準法における行政指導などは、これは非常に緩やかな制限ではないかというふうに私思います。そのほかにも監視区域の設定とかあるいは用途指定、こういったものも制限かと思います。
 現行の制度の中で、私は一番厳しい制限というのは土地の収用法ではないかというふうに思っておりますので、これについてちょっとお聞きをしたいと思います。
 土地収用法に基づいて土地の収用がなされる場合の手続について概略御説明をお願いし、そして実際これまで適用されてきた実例に基づいてどれぐらいの期間がかかるのか、まずこのことをお教えいただきたいと思います。
#61
○説明員(百武伸茂君) お答えいたします。
 土地収用法の収用の手続でございますけれども、まず起業者が建設大臣または都道府県知事に対しまして事業の認定というものを求めまして事業の認定を受けるわけでございます。これについては、事業の公益性その他の観点から判断をして認定が行われるわけでございます。それから、その後起業者から都道府県の収用委員会に裁決を申請いたしまして収用委員会が補償額を決定する裁決を出すわけでございます。この裁決には権利取得裁決と明け渡し裁決の二つの種類がございます。
 それで、収用手続に要しております期間でございますが、建設大臣の事業認定について申し上げますと、現在、申請から認定まで平均して二カ月程度でございます。それから、収用委員会の裁決につきましては裁決申請から平均七カ月程度で裁決が出ております。
 以上でございます。
#62
○牛嶋正君 この土地収用法の適用につきましてはいろいろ意見があるところでございまして、これまでの適用の件数は少ないのではないか。もっと適用を広げて事業の促進を図るべきだという意見もありますし、これまでの適用件数というのは大体適当なものであって今後もこういう形で行っていけばいいというふうな意見もありますけれども、この点については長官はどのようにお考えでしょうか。
#63
○説明員(百武伸茂君) 事務的に私から御説明させていただきますが、土地収用制度につきまして適時適切に運用し活用していくということは、社会資本整備の円滑な推進のためにも必要だということでございます。この趣旨で昭和六十三年の六月の総合土地対策要綱でも土地収用制度の活用ということが盛り込まれてございまして、件数につきまして、その後それらのことから必要な場合には適切に活用していくように指導をしてまいりました結果、平成三年度におきましては事業認定件数が、建設大臣認定が百八十六件、都道府県知事の認定が九百六十四件で、合計千百五十件でございます。これは平成二年度の合計千八件、平成元年度の九百四十五件に比べて着実に増加しております。
 また、収用委員会の行いました裁決の件数でございますが、権利取得裁決について申し上げますと、平成三年度には百三十件でございます。平成二年度の七十六件、平成元年度の五十五件に比べて増加している状況でございます。
#64
○国務大臣(井上孝君) 土地収用法は国土庁の所管ではございませんで建設省なものですから私答弁を控えさせていただきましたが、合せっかくのお尋ねでございますので……。
 私、長く道路事業とか建設事業に携わってきた技術屋でございますので、みずから土地買収などにも現場で当たった経験がございます。そういう経験からいたしますと、今の土地収用法というのはもう少し早めに手続をとって、また手続も効率化して、もっと積極的な収用法の活用を図るべきじゃないかな、こういう感じておりますが、私の個人的な考えを申し上げて御理解いただきたいと思います。
#65
○牛嶋正君 次に、土地の利用における公正ないしは公平の問題についてお尋ねしてまいりたいと思います。
 今取り上げました四つの基本理念、この中には公共の福祉優先とか、適正なあるいは適切なという言葉が出ております。政策決定の際の一つの判断基準を私はこれらの言葉というのは示しているんではないかというふうに思うわけでございます。
 価値基準といたしまして、恐らく公共の福祉優先とか、適正なあるいは適切などか、そういった言葉が意味していることは、土地利用によってもたらされる便益を全体としてできるだけ大きくするというふうな意味合いが私は強いんじゃないかというふうに思うわけです。しかし、限られた土地でこの一億二千三百万人の人口が国が目指しております生活大国として生活をしていくためには、もう一つ重要なことは、この土地の利用によってもたらされる便益をできるだけだれもがひとしく享受する、そういう方向で物事を決めていかなければならない、そういった価値判断が必要ではないかと私は思うわけです。言うならば、これは土地利用における公平あるいは公正といった価値基準ではないかと思います。
 今取り上げました四つの基本理念の中で、公共の福祉優先とか、あるいは適正なあるいは適切なという言葉が使われておりますけれども、その中で、私は今申しました公平とか公正という基準が欠けているんではないかというふうに思っております。
 例えば今、公共の福祉優先に基づきましてある街路の幅員が三メートル両側で拡張する、こういうふうな事業が行われたといたします。それを車
道で使っていくのか、それとも歩道で使っていくのか。恐らく三メートルの幅員拡張ですから、歩道に使いますと歩行者は非常に安全な歩行ができますし身障者も車いすで自由に移動できるんではないかというふうに思います。しかし、適正な土地利用というふうなことを考えますと、その公共の道路に供した土地がもたらす便益を最大にするということになりますと、これはもう車道で使って交通渋滞を解消するのが最も効果的、効率的だと思うのですね。
 そういたしますと、今私が申しました公正とか公平という概念、あるいは判断基準が欠けておりますと、いつでもそういう使われ方をしてしまう。そうしますと、いつまでもそういった交通弱者であります歩行者とかあるいは身障者のための施設の整備がおくれるんではないかというふうに思うわけでありますけれども、この基本理念の中に今申しましたような判断基準あるいは価値基準があるのかないのかということをちょっとお尋ねをしたいと思います。
#66
○政府委員(鎭西迪雄君) 土地基本法で、土地がなぜ公共の福祉が優先されるべきなのかということについては、ただいま委員おっしゃったように二条にその考え方を書いておりまして、端的に言いますと、国民のための限られた貴重な資源である、あるいは国民の諸活動にとって不可欠の基盤である、その利用が他の土地の利用と密接な関係を有すると。いわゆる人間のひとしく生存基盤、活動基盤として非常に富める人もそうでない人も不可欠のその基盤である、こういうことから土地の公共性あるいは土地の特殊性ということがきているんだろう、かように理解をしております。
 土地基本法の法案の審議の際もそういう御議論が当然行われまして、ここで言っております「適正な利用」あるいは「計画に従った利用」というのは、単に経済的に一番効率的な利用ということではございませんで、今まさに委員おっしゃったようなそういう、その土地の所在する地域の自然的、社会的、経済的、文化的諸条件に応じて適正に利用される必要があるんだと、こういうことを意味しているんだろうと私どもは理解しております。
 ただいまの例で申しますと、これは私のあるいは個人的な理解かもしれませんけれども、道路幅員を広げる場合に、交通渋滞を解消するために基幹道路等においてそういうことをやる場合にはこれは当然車道として広げられるでありましょうし、住宅地におきます街路の幅員を広げて歩道の幅を少しとりまして住環境を非常によくするというようなときでございますれば、これは歩道ということでそこは確保される、こういうものだろうと。
 これがまさに土地基本法の三条で言っております地域の自然的、社会的、経済的、及び文化的諸条件に応じた適正な利用ということだろう、かように考えておりますので、まさに委員おっしゃるその四つの基本理念の中には公平公正の観点からの適正ということが入っているというように理解しているところでございます。
#67
○牛嶋正君 今のお答えをお聞きいたしまして、結局、計画づくりというのが非常に重要な意味を持っていると思います。
 その計画をつくっていくに当たりまして、できるだけその地域の実情に合った計画をということになりますと、計画の主体をできるだけ下へおろしていくということが必要になってくるかと思います。今私が例に挙げましたような生活道路等につきましては、やはりその地域でその地域の実情を十分加味した形で計画を立てていく、こういうふうなことでなければならないと思います。しばしばその計画をつくっていくに当たりまして補助事業の場合は国からのいろいろな制約が加わってまいりますけれども、その基本法の理念というものを生かしますと、そういった補助事業の場合でも、やはり地域の実情あるいは地域の計画性、そういったものを尊重するというふうなことがこの理念の中に含まれているならば、私は今のお答えで十分納得したいというふうに思います。
 それでは次の問題に入らせていただきますが、先ほども議論に出ておりました適正な地価水準について少しお尋ねをしてまいりたいと思います。
 総合土地政策推進要綱の第一の「土地政策の目標等」の中で「適正な地価水準の実現」という目標が掲げられております。適正な地価水準の実現は、地価対策の目標であるとともに土地政策全体から見ても私は極めて重要な目標であるというふうに考えております。しかし、何をもって適正な水準とみなすか、これは非常に私は難しい問題ではないかと思っております。
 要綱では「土地の利用価値に即応した」と、そういう表現を使っておられます。で、特に住宅地につきましてはもっと具体的に「中堅勤労者が相応の負担で一定水準の住宅を確保しうる地価水準」と、こういう言い方をされているわけであります。そして、国土庁長官の所信の中では、生活大国五カ年計画を受けまして、勤労者世帯が平均年収の五倍程度を目安に良質な住宅の取得が可能となる地価水準、これをもって適正な水準とするという表現を使われております。
 この場合、この勤労者世帯の平均年収をとるというふうに言われているわけでありますけれども、それでいきますと、この間いただきました資料では平成四年度は八百七十五万円という数字が出ておるわけであります。しかし、その取得が可能となるというこの点を強調して考えますと、むしろ持ち家に住む勤労者ではなくて今借家に住んでいる勤労者の年収が問題に私はなるんではないかというふうに私は思うわけでございます。
 そこで、借家に住む勤労者の年収平均というものが算出できるのかどうかということでございますけれども、私の手元にありましたデータで、総務庁の統計局の「日本の住宅」の中で、六十三年度の調査でございますが、世帯の年間収入階級別に見た普通世帯の住宅の所有関係別割合というデータがございます。それで見ますと、全体で借家に住む世帯というのは三七・三%ですけれども、年収が二百万円未満の場合はそれが五四・二%、そして年収が千五百万円以上ということになりますと、これは九・九%、ほとんど持ち家に住んでおられるということになるわけであります。
 で、幾つかの仮定を置きまして私なりにこの借家に住んでいる人たちのその勤労者の年収の平均値を算出をいたしました。先ほど申しましたように、昨年の勤労者世帯の平均年収は八百七十五万円ですけれども、この借家に住む勤労世帯の平均年収は五百八十万円ということになるわけでございます。そうしますと、今仮に平均年収の五倍をもって適正水準と、こういうふうにみなす場合、全勤労世帯の平均ですと四千三百七十五万円という数値が出てまいります、単純に五倍したわけですが。しかし、これを五百八十万円で算定いたしますと二千九百万円、約三千万円ということでかなりのギャップが出てくるわけなんです。
 この場合に、それじゃ、もう一度またもとの議論に戻るんですけれども、適正とは何かということを考えるのは非常に難しいのではないか。単純に年収五倍と言っても、どの年収をとるのかということですね。
 私は、年収の中で住宅費に充てる費用を今仮に二〇%なら二〇%と設定いたしますと、五倍という数字は非常に乗数としては意味のある数字だと思っておりますが、被乗数の方の世帯の平均年収をどう見るかということでございまして、これについて何かコメントがございましたらお聞きしたいと思います。
#68
○政府委員(鎭西迪雄君) ただいま御議論をされております年収五倍論、これは先ほども御説明いたしましたように、総合土地政策推進要綱の中にございます、住宅地につきまして中堅勤労者が相応の負担で一定水準の住宅を確保し得るそういう地価水準の実現を図るというものを、昨年の六月末の閣議決定、生活大国五カ年計画と言われているものでございますが、敷衍、具体化したという位置づけになっておるものであると、こういう理解をしております。
 このときに、主としてこれは経済企画庁が建設
省の住宅局等々と事務当局として御相談になりまして、経済審議会にお出しをした一つのイメージでございます。具体的に国民に対していろいろと提示するときにわかりやすいそういう指標というものがなければなかなか理解を得にくいのではないか、こういうことで、これは一つの考え方でございます。
 したがいまして、ただいま委員おっしゃいましたように、本当に新規に持ち家を必要としているそういう現在の借家階層の平均的な年収をとるべきではないかとか、あるいは現実に例えば住宅金融公庫を利用いたしまして新規に住宅を取得されているそういう方の平均年齢、これはたしか三十代の後半、三十八歳ぐらいだったと思いますが、そういうものをとるべきじゃないかとか、いろんな考え方がこれは当然あるわけでございます。
 経済審議会におきます一つの議論としては、都市勤労者の平均的なイメージ、世帯主の年齢、家族構成、こういうものを平均的なイメージとして描きまして、その年収の大体五倍程度で東京における大都市圏といえども五年後には七十平米ぐらいの中高層マンションを取得できる、そういう住環境の確保を目指そうということになったわけでございますので、これは唯一絶対のものでもございませんし、かつ将来的にいわゆる終局の理想の姿ということでもございませんで、あくまでも五年後の現実的な政策目標と、こういうように御理解をいただきたい、かように考えるところでございます。
#69
○牛嶋正君 大体予想しておりましたお答えでございました。そのように適正な地価水準というのは非常に難しいということだろうと私は思っております。
 そうなりますと、具体的に土地政策を推進していく場合には、そういった下の階層の部分も十分にやっぱり見た上で考慮しながら進めていくべきではないか、そういったことをちょっとお願いをいたしまして、次の質問に入らせていただきます。
 次は、土地に関する情報の整備拡充についてでございます。
 先ほどの要綱の第十章で、土地に関する情報の整備拡充ということで次のように述べておられます。「土地の所有、取引、利用、地価等に関する情報について、関係行政機関相互の連携を図りつつ資料の収集・整備を行うとともに、土地に関するデータベースの計画的整備及びデータの相互利用の推進を図る。」と、こういうふうにされております。
 土地政策を総合的、また整合的に確保していくためには、私は土地に関する情報の整備拡充は必須の条件というふうに思っております。しかし、土地に関する情報の収集というのは、調査対象が非常に広いということ、それから調査項目が非常に複雑なデータであるというふうなことから、非常に私は困難ではないかというふうに思っております。またさらに、収集されたデータがどういうふうに生かさせていくのか、公開の問題も含めましてこれも重要な問題だろうと思います。中にはプライバシーと関係した項目も当然含まれることになるわけでありますから、したがって、利用するに当たりましてもいろんな制約が出てくるのではないかという心配もしているわけでございます。
 長官の所信の中で、本年度、土地の基本調査を実施するということが出ておりますので、最後にこれについてお尋ねをしてまいりたいと思います。
 土地の基本調査の概要と主な調査項目をまず説明していただきたいと思います。
 それから、データベースはやはりデータを蓄積していかなきゃいけませんので、一回限りでは困るわけでありますが、しかし、先ほど申しましたように膨大な調査でございますので毎年というわけにもいかないわけですが、どんな間隔で調査をされようとしているのか。
 それから、調査項目の中に地価が含まれるかどうかということ。もし含まれないということになりますと、今の公示価格の制度とどういうふうに関連してくるのか。
 この三点について最後にお尋ねしたいと思います。
#70
○国務大臣(井上孝君) 土地政策を的確に実施するために土地の所有、取引、利用、あるいは地価というような情報を把握することが非常に重要であるということは委員おっしゃるとおりでございます。ただ現在、国土庁では土地政策上必要な十分なデータがないということをはっきり申し上げております。
 実は私も、国土庁に参りまして勉強してみまして、こんなに土地に関する調査データがないのかなということを実は感心――感心といいますか、びっくりしたような次第でございまして、人口についてはいわゆる国勢調査で相当プライバシーに関するもの以外は公表されてデータもそろっておりますが、土地に関しては全くないと言っていいぐらいでございます。
 したがいまして、平成五年度の予算で新規に土地基本調査というものを予算化いたしまして、ことしから始めるわけでございます。これから新しく始めるのでまだ経験が全然ございませんが、今の予定ではことし実施をいたしまして、項目については後ほど政府委員から申し上げますが、土地の利用状況とか、それから所有の属性といいますか、法人が所有しておるのか個人が所有しておるのか、法人ならばどういう産業か企業かというようなことを調べまして、土地に関するいわゆる国勢調査をやってみようと思っております。
 それから、初めてでございますが、ことし調査をして、恐らく来年、平成六年一年ぐらいは集計にかかるんじゃないかと思います。公表できるのは六年の末か七年の初めということを目標にやりたいと思っております。
 それから、お尋ねの一回限りかということでございますが、これも人口の国勢調査と同じように五年置きにやりたいというふうに考えております。
 それから、地価は入っておりません。
 その他の項目等は政府委員からお答えいたします。
#71
○政府委員(鎭西迪雄君) 私ども国土庁が平成五年の十月から十一月ぐらいを目途に新しく始めようといたしております土地基本調査の考え方、概要はただいま大臣から御答弁されたとおりでございますが、若干補足いたしますと、初めて行います文字どおり土地に関する国勢調査ということでございまして、基本的には個人、法人を対象にいたしまして、どういう職種、業態、資本階層、こういう方がどこにどれだけのどういう用途の土地を持っているか、どういう利用をしているかという、いわゆる土地に関する基礎的な所有・利用構造の全貌をつかみたい、これが目的でございまして、そういったことをかなり詳細に個人につきましては、統計部局の御協力を得まして、いわゆる統計調査に携わっておられます調査員が面接でアンケートをする方式によってやりたいと。それから法人につきましては、大規模法人は悉皆で国土庁が直接行いますし、小規模法人につきましては各都道府県の土地対策部局にお願いいたしまして、これは郵送調査でサンプル調査ということを考えておりまして、全体で、個人法人合わせまして百数十万サンプルという相当膨大な調査対象を予定しております。
 それから、一回限りでは問題がございますので、私ども今後のスケジュールといたしましては五年ごとにこういった大規模な調査を繰り返していきたい、その間はそれぞれの土地政策の目的に従っていろんな形での行政調査、業務調査と申しますか、そういった補完調査というものでこれはフォローしていきたい、かように考えております。
 それから、せっかくこの調査をいたしまして、それを適正に収集、分析いたしまして国民に的確に提供すると、こういう責務も行政庁としてございますので、それを七年度ぐらいにはそういう形で国民に提供できるようにいたしたい、かように
考えているところでございます。
 それから、地価でございますが、地価につきましてこういう形での調査設計でございますと、聞けることは、例えば、最近何カ年間においてその売買をされましたか、価格が幾らでございましたかという取引価格を収集することは可能でございますけれども、これは非常に不正確になる可能性がございますし、かつその時期が一致しておりませんので、地価というサイドから言いますれば、私どもが現在やっております二万、来年の一月には二万六千ポイントの公示を予定しておりますけれども、そういったもの、それから三万ポイントの都道府県地価調査、それに短期の地価動向調査というものによりまして、その時点時点における客観的な市場価値を判断するものとしては、現在の地価調査の体系、やり方というのが最も適当なんだ、こういうものをいろいろ組み合わせまして土地対策に適切に活用していきたい、かように考えているところでございます。
#72
○西山登紀子君 国土庁は、八五年に首都改造計画を発表いたしましたが、そこでは、産業構造のソフト化やサービス化が進み、その進展を背景に都市の業務管理機能の適正な配置を図ることが必要であるとしました。そして、そのためには東京都区部だけでも必要な事務所の床需要は西暦二〇〇〇年までに五千ヘクタール、超高層ビルで二百五十棟分に相当するという極めてショッキングな予測を立てて、そのための財源確保についても示唆いたしました。
 その後、政府の統一的な見通しを作成するために国土庁を中心に関係省庁等連絡会議が設置されましたが、八七年の十一月に二〇〇〇年までの事務所床需要を千六百から千九百ヘクタールと三分の一に大幅に下方修正をいたしました。
 国土庁が当初行った極めて過剰な予測がその後首都圏を皮切りにして巻き起こった土地投機や土地の買い占めの背景に利用されて、さらに全国に地価高騰や地上げ、高度利用という名の高層過密の都市環境破壊を押し広げる結果となったと思うのです。バブル経済が崩壊をいたしまして各地に土地騰貴や環境破壊の後遺症が続いている今日、振り返ってみまして、この過剰な予測が首都圏における土地騰貴の引き金になったという意味で国土庁は重要な責任があるのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。
#73
○政府委員(内藤勲君) 今の御質問の数字は確かにそのとおりでございます。昭和六十年に東京都区部で五千ヘクタールという予測を立てたわけですが、幾分弁解じみているかもしれませんが、五千ヘクタールというその需要をはじいたときには、世の中の事務所需要というのは非常に熱がこもっていた時期であったように思いますし、この首都改造計画で五千ヘクタールというのを出したときには、この首都改造計画の目的自身が業務核都市の育成といいますか、首都圏の一極集中是正のための今後の施策として業務核都市の育成ということを目的として東京都区部で大量に発生する事務所需要を分散すべきである、そういう前提での五千ヘクタールという数字であったわけでございます。
 なお、その五千ヘクタールにつきましては、おっしゃいますとおり、二年後には過大な見通しであるということで、期間においてちょっと違いがありますが、五千ヘクタールにつきましては十九年間千六百から新しい六十二年の目標は十五年間千九百ということでございますが、いずれにいたしましても、二年後には下方修正いたしました。十五年間で千六百から千九百ということですから、年間では百十から百三十というようなことで、この数字は今現在でもかなり妥当なところではないかと考えております。
 以上です。
#74
○西山登紀子君 わずか二年間の間で予測が三分の一になるというようなことは通常考えられないと思いますし、騰貴をたきつけたとは言わないまでも、結果的にはリードしたと言わざるを得ないと思います。そして、そういう土地騰貴の波が東京から全国へも波及したわけですけれども、この土地騰貴と経済効率優先の被害を最も深刻に受けたのが、一つは住みなれた町に住めなくなった住民と、もう一つは京都、奈良、鎌倉に代表される歴史都市のすさまじい景観の破壊だと思います。
 いわゆる民活路線による都市開発と規制緩和によって、鎌倉では逗子の池子の森につながる緑地帯が破壊の危機に直面し、奈良でもゴルフ場建設による緑の破壊や若草山、東大寺の大仏殿などが高層ビルで見えにくくなっておりますし、私の地元は京都なんですけれども、八五年ごろから嵯峨野、それから産寧坂周辺にもマンションやビルが無秩序に乱立し始めまして、八七年から八八年の二年間で近畿圏のワンルームマンション建設の五割は京都市内に集中いたしました。東山でも景観を当て込んだワンフロア十二億円を超す億ションが投機の目的に建設をされました。
 地価は、京都は借地、借家が多いところなんですけれども、時価が九〇年の当時で全国で一番の上昇になったということで、地上げ、家賃の引き上げでこの間毎年六千人以上の人が京都市内を去りました。
 京都の代表的な行事であります五山の送り火が高層ビルに阻まれてところどころしか見えない、こういうふうな結果を生んでいますし、祇園祭りの鉾町から住民がいなくなって、近い将来祭りの担い手がいなくなるという不安も生まれているわけです。京都などの歴史都市に代表されます景観は、ひとり我が国だけの財産ではなくて、世界の重要な文化的遺産としてしっかりと保全される必要があると考えます。
 そこで、国土庁長官にお伺いしたいんですけれども、国土利用計画の上でこれらの歴史的財産、歴史都市京都などをどのように位置づけておられるか、また、現在の破壊の状況をどのように認識しておられるか。今後歴史的なこういう財産を守る上でリーダーシップを発揮していただいて関係省庁に働きかけてほしいと思うんですけれども、御意見をお伺いいたします。
#75
○国務大臣(井上孝君) 今御指摘の国土利用計画でございますが、これは全国計画は私の方で扱っております。この中にも、歴史的風土の保存とか文化財の保護を図るために土地利用を規制する区域を設定する制度を活用するというようなことで、美しい町並みの保存、景観の維持というようなこともうたってはおります。
 しかし、個別の都市について計画でははっきり京都をどうするとか奈良をどうするとかというようなことは触れておりません。これは、国土利用計画に従って今度は都道府県がそれぞれで計画を定めることになっております。そちらの方へお任せをするといいますか、個別的なことはそういう計画でやっておるわけでございます。
 ただ、今、西山さん御指摘の京都等の景観の保持につきましては、私も実は京都に住み、京都大学に通っておりました。蹴上に住んでおりました。大変美しいところでございます。時々行きますが、確かに少しずついい景観が失われていくというような、本当に私も残念に思っておりますけれども、私も、今申しましたように国土利用計画というような行政の手法ではなかなかうまくいきませんが、委員のおっしゃるような京都の歴史的な貴重な町並み、景観、こういうものを保存していくのには大賛成でございます。個人的ではございますが、努力をしたいと思います。
#76
○西山登紀子君 次に、文化庁にお伺いいたします。
 ユネスコは七〇年に京都で京都・奈良伝統文化保存シンポジウムを開きまして、「京都・奈良の都市計画における歴史的地域の保存と開発についての勧告」を日本ユネスコ委員会と文化庁に提出いたしました。
 そこでは「京都・奈良両都市の遺跡と記念物は、日本人および世界にとってきわめて価値の高い、日本の芸術的、歴史的および文化的遺産の重要な要素を構成している」として、「文化保存の方策は、単に指定又は未指定の遺跡および記念物のみならず、それらの直接周辺地域並びに歴史的地域や田園にまで及ぼすべきである。」と、また「指定
地域の景観を規制するために、歴史的地域の周辺部と「借景」は厳重に取締まられるべきである。」など五十六項目の極めて重要な指摘がされているわけですけれども、文化庁はこの勧告をどのように受けとめて行政に反映させてこられたでしょうか。
#77
○説明員(宮澤智士君) ユネスコによる一九七〇年の勧告は、古都の歴史的遺産の保存について文化庁に施策の推進を促したと受けとめております。
 昭和五十年、一九七五年になりますが、文化財保護法の改正に当たって勧告の趣旨を文化財保護施策に反映させてきたところであります。
 具体的には、伝統的建造物群保存地区制度の創設、それから埋蔵文化財保護制度の強化等があります。これによって、京都、奈良を初めとする伝統的建造物群が集中して残る地域をその周辺の環境と一体として保存するために、伝統的建造物群保存地域として決定し保存が図られることになっております。埋蔵文化財については、遺跡所在地の周知、発掘調査制度の充実等の制度の整備が図られてきているところでございます。
#78
○西山登紀子君 続いて文化庁にお伺いしたいんですけれども、この文化財保護法、七五年に改正をされまして、伝統的建造物群保存地域の指定が新たに設けられたわけですけれども、このことは非常に重要な意義を持っているというふうに思います。
 現在、この伝統的建造物群保存地区、保存事業の予算とそれから指定区域の現状はどうなっているか、教えてください。
#79
○説明員(宮澤智士君) 平成五年の四月現在でございますが、国の選定した重要伝統的建造物群保存地区は二十三都道府県にわたり二十九の市町村で三十四地区があります。これについては、今後とも保存地区の拡充に向けて市町村に積極的に指導、援助をしたいと考えております。
 それから予算でございますが、平成四年度の予算総額は約三億六千三百万でありました。それが平成五年度の予算は総額約五億三千万、約一億六千七百万、パーセントにしまして四六%の増額を見ました。これについても今後とも伝統的建造物群の保存、修理等にかかわる予算の確保に努めてまいりたい、こういうぐあいに考えております。
#80
○西山登紀子君 予算がふえているということは大変いいことだと思うんですけれども、一カ所当たりにしますと年間わずか千五百万程度にしかならないということで、これからも引き続き予算を増加していただきたいと思います。
 次に、引き続いて文化庁にお伺いします。
 京都では現在四地域が指定されているんですけれども、今後の対象地域、それから指定のための調査はどうなっているのかお伺いいたします。
#81
○説明員(宮澤智士君) 今御指摘のとおり、京都府下では京都の上賀茂、それから参事坂、祇園新橋、嵯峨鳥居本の四地区が重要伝統的建造物群保存地区に選定されております。それから京都府下では、北桑田郡美山町のカヤぶきの民家集落でございますが、これが重要伝統的建造物群保存地区選定の申し込みがつい最近ございました。
 それから、文化庁では市町村に伝統的建造物群保存対策調査を国庫補助事業として実施しております。これまでに、今挙げました地区のほか京都の鞍馬、それから伏見について実施しております。
 伝統的建造物群保存地区の制度でございますが、これは市町村が地域住民の合意を得て主体的に推進を図るという制度でありまして、文化庁としては、今後とも京都府それから京都府下の市町村に対して伝統的建造物群の保存に関し積極的に指導、助言をしてまいりたいと考えております。
#82
○西山登紀子君 当初全国で百程度指定しようとしたわけですれけれども、現在は指定がまだ三十四カ所ということなわけです。住民の合意を得るということが非常に大事なところではありますが、早く指定作業をしていただくようにお願いしておきたいと思います。
 それから、次に建設省にお伺いしたいんですけれども、古都保存法によります歴史的風土保存地域及び特別保存地域の指定はどれぐらいあって、古都保全及び緑地保全事業における予算の執行状況はどうなっているのか、教えてください。
#83
○説明員(山田勝己君) お答え申し上げます。
 古都保存法に基づきます歴史的風土保存区域につきましては京都市、奈良市、鎌倉市など二十一地区一万二千九百七十五ヘクタールが指定されておりまして、このうち歴史的風土特別保存地区、都市計画で決定する地区でございますが、につきましては同じく三十九地区四千五百三十二ヘクタールが指定されているところでございます。
 また、古都保存事業の予算でございますが、緑地保全事業あわせて執行しておりまして、事業費ベースで全国平成五年度の予算でございますが、四十六億五千百万円、国費で二十三億八千六百万円という予算を計上いたしておりまして、全額執行する予定で取り組んでまいりたいと思います。
#84
○西山登紀子君 古都保存法における予算の執行状況を見ますと、過去十年間約二十億円ということでずっと横ばいの状況が続いているということ、大変残念に思います。これからも予算をふやす姿勢をぜひ持って対処をしていただきたいということを御要望して、次の質問に移りたいと思います。
 最後の質問になるわけで、ぜひもう一度長官の方からお考えを聞きたいと思っていますが、いわゆるバブル経済が崩壊して、八七年に制定されましたリゾート法も見直しを余儀なくされておりますし、東京副都心開発に象徴される大規模開発も全国各地でつまずきが出始めているということで再検討を余儀なくされているわけですが、この時期に当たりまして、今安心して都市に生活できる住宅を確保する点でも、歴史的都市の保全につきましても、これまでの民活路線による開発優先政策を抜本的に見直す時期に来ているのではないかと思っております。
 京都を訪れる観光客は年間三千八百万人ということなんですけれども、例えば外国のマスコミがどういうふうに京都を見ているのか御紹介いたしますと、この間の京都の変貌を、イギリスのインディペンデント紙というのがあるんですけれども、これは、京都の変貌は爆弾よりも協力な破壊に見舞われていて京都は既に荒れた町だ、こういうふうな表現をしております。またフランスのル・モンド紙は、イギリスのノーベル賞作家キプリングがかつて京都を東洋の真珠と評価をしたけれども今や土地騰貴という重圧に押しつぶされようとしている、こういうふうに報道をしておりまして、世界的に京都の状況などを心配されているわけなんです。
 そこで、長官にお伺いしたいのですけれども、今日求められている国民本位の国土利用計画というのは、都市の住民が安心して暮らせる住宅を確保するために必要な比率の住宅地を一定地域で確保するということ、そして産業と業務利用の土地と住宅用地は市や区程度に一定の圏域でバランスをとって職、住、そして緑の結合した生活圏をつくる、こういう方向を全体として追求すべきではないか。政府の生活大国五カ年計画でも「美しい社会資本の整備や景観の形成」ということを言っておられますので、住民合意の上に国民生活の本当の質の向上をこれからは目指すべき時期に来ているのではないかと思いますので、最後に長官の御所見をお伺いいたします。
#85
○国務大臣(井上孝君) 私どもお預かりしております国土利用計画法につきましては、先ほど申し上げたように、全国的な計画でございますので限界がございますが、ちょうどこの国土利用計画も昭和六十年につくりましたものでありまして平成七年には改定しなきゃならないという時期が来ております。その際に、御指摘のような歴史的風土の保存とか、特に京都、歴史的な価値を保存していくというようなことにつきましては十分配慮してまいりたいと思います。
 また、もう一つ別に第四次全国総合開発計画というものもやはりこういったものに関係をいたします。これにつきましては、今ちょうど半分、五
年たったところでございまして、国土審議会の中に調査部会も設けて今点検中でございますので、その際にもひとつこういう点に十分気をつけていきたいと思います。
 何分国土庁は調整官庁でございまして、自分自身で仕事をしたり物をつくったりというところではございませんけれども、調整機能を十分発揮いたしましてできる限り御要望に沿えるようにいたしたいと思います。
#86
○笹野貞子君 先ほどの御論議の中で、長官の御発言で、どうも日本は人口動向に対しては非常に速やかな調査結果があるけれども土地のことに対しては非常に少なくて感心しているという御発言がありましたけれども、長官が感心するほど土地の問題については非常にいろいろなデータが不足しておりますし、また最も重大な視点を抜かしているんではないか。これが異常に高騰した土地に対するもろもろの対策が後手に回ってしまっているもとではないかというような、そういう私は危惧を持ちます。
 この異常な土地の高騰、バブルとでも言うんでしょうか、そういう問題に対して、これは東京一極集中は諸悪の根源であるかのようなそういう発想から去年、当委員会におきまして、地方拠点都市地域の整備及び産業業務施設の再配置の促進に関する法律、余りに長いのでこれを略しまして地方拠点都市法と呼ばしていただきますが、この法律が大変な御議論の末成立したというふうに承っております。
 この法律ができ上がったときには、平成四年内にも指定都市を決めて速やかにこの法の効果を出すのだというふうに言われていましたが、結果を見ますと随分おくれておりまして、二月の五日ですか、十四地域が指定されたというのは、私の考えでは、これは余りにも都道府県知事と主務大臣あるいは関係大臣が多過ぎて何かそこでまとまらないのではないかというふうに思うのですけれども、長官、いかがなものでしょうか。法律の制定後この法律がスムーズに運営されるための何か障害があるのでしょうか、お聞きいたします。
#87
○政府委員(秋本敏文君) 地方拠点法についてお答え申し上げます。
 今委員からも御指摘ございましたように、地方拠点法は関係の省庁が相当数ございまして、主務大臣としては六省庁、地域指定に関しては五省庁、これが主務省庁ということになっております。
 地方拠点都市地域の整備ということにつきましては、単に例えば道路などの整備をするというだけでなくていろいろな面から整備を進めていくという必要がございますので、したがって関係の省庁はどうしても多くなるということはございます。
 ただ、この数が多くなるために拠点地域の整備がおくれるということのないようにひとつ連携を密にしなきゃいかぬということで、法律が昨年の六月に成立、公布していただいておりますけれども、各省庁の連絡協議会というものをつくりまして、国土庁がいわば事務局的な役割をして、そして連携を密にするということにいたしまして、十月に法律に基づく基本方針を策定して、そして十一月から指定を希望される地域につきましてはお考えを承るということをやりました。
 ちょうど年末は予算編成等が重なりましたので年を越しましたけれども、今お話しございましたように、申し出のございました三十二地域のうち十四の地域につきましては、二月の初めに国の省庁としては指定について異議がないということを御連絡いたしました。残る十八地域につきましても、今月中には国として異議がないという御返事をしたい。そうしますと、各県知事が指定をするわけでございますけれども、三十二地域についての指定が行われるということになってこようかと思います。
#88
○笹野貞子君 この院の委員会で審議の際に、国土庁は何度も、国主導ではない、これは市町村、県の自主性を尊重する地域主導型の考え方をとっている法律だということが議事録でうかがわれるわけですけれども、新聞等で読みますと、各地方は余り聞いてないとか、我々を無視したというようなことが書かれております。これなどは「「地方の自主性」どこへ」なんて書かれておりますけれども、私個人といたしましてはそういう地方の自主性を尊重するということは大変いいことだというふうに思っております。
 そこで、お尋ねをいたしますけれども、こういうふうに地方の自主性を尊重しながらすみ協議の方法あるいは時間などは、今までありました国が承認する地域振興立法と比べて、そのもろもろのところでどこが、つまり時間的あるいは手続上いろいろな意味で非常にすぐれているということが指摘できるでしょうか。
#89
○政府委員(秋本敏文君) 今御指摘ございましたように、いわゆる地方拠点法におきましては、地域指定を知事が行う、しかもその計画策定は関係の市町村が行って知事が承認をするということで、地方の自主性を最大限尊重するような仕組みにいたしております。ただ、国としての支援措置の対象地域をこの地域指定ということで具体的に明らかにするということでもございますので、そういったことから地域指定に当たっては国と協議をしていただくということにいたしております。
 協議をするということで、それが本当にその地方の自主性を尊重するということになっているのかどうなのかといったことでの御意見かと思いますけれども、地域指定を行うのに当たってどういう考え方でやっていけばいいだろうかといったことでお尋ねがありましたときに、それぞれの省庁それぞれの担当の方からこういう考え方はどうだろうといったようなことで御意見を申し上げるということはあったかと思いますけれども、先ほど申しましたように昨年十一月に三十二の地域から申し出がございましたが、これらの地域につきましては、十八についてはまだ最終的な処理を行っておりませんけれども、大体――大体と申しますか、三十二地域につきましては知事からの申し出があったとおりの地域指定について国として異議がない、こういう回答をするということになろうかと思います。
#90
○笹野貞子君 それにあわせて、今までは国が主導して決めていく。今度はそうじゃない。地方の知事のあるいは市町村の意見を酌み取った場合に、今までの法律の経過、いろいろなプロセスですね、にとってこの法律の方が何か簡素化できるのか、それとも速やかに事務手続ができるのかあるいはできないのか、そういうことは今度のいろんな協議の中で、どうでしょうか、明らかになったでしょうか。
#91
○政府委員(秋本敏文君) いろんなケースがあると思いますので具体的にどうであるかということを余り断定的に申し上げることはどうかと思いますけれども、計画の策定は市町村で知事が承認ということでございますから、その計画の内容について一々国と協議をしなきゃならないといったことはございませんので、その分は速やかになされるということに少なくともなろうかと思います。
 ただ、計画策定に当たりましてそれぞれ縦割りの事業別のいろいろな計画がございますから、それらとの調和を図っていただくとかそういったようなことは計画策定に当たって考えていただかなきゃならぬということにはなりますけれども、少なくともそういった面ではスピーディーになるということは言えるだろうと思いますが、同時に、速い遅いというだけではなくて、その地域づくりを進めていくに当たりまして、その地域の実情を一番よく知っている市町村あるいは県がこれからこの地域をどうしていくかということをよく考えていただき、みんなで相談していただく、そしてその地域の実情に合った拠点整備を進めていただく、こういう点で非常に意味があるということが言えるんじゃないかと思います。
#92
○笹野貞子君 この法律が制定されるとき、参考人として地方の市長さんだと思いますが、意見を述べた際に、こういう法律ができて地方の意見を酌み入れるということは大変表面的にはいいけれども、それを策定するまでの間膨大な事務的な手
す。
 そこで、国土庁はそういう調整機能でありますから、やっぱり速やかに既にあるデータを便利に提供するためにも、こういう価格についても行政の一本化あるいはそういう情報の一本化ということに御努力いただきたいというふうに思いますが、いかがなものでしょうか。
#93
○国務大臣(井上孝君) 地価につきましては、仰せのとおりでございます。今度の土地基本調査には地価は入っておりませんが、これは今御指摘の公示地価の方でなるべく地点数をふやして、来年もまたふやす予定でございますが、なるべく正確な地価を国民に提供したいと思っております。
 今御指摘のほかの固定資産税とか相続税とかとの均衡でございますが、これはもう委員御承知のとおり、土地基本法で一物四価という現状を何とかせいということで、相互の均衡と適正化を図れということでやりまして、ことしから地価公示価格の八割を相続税の評価の基準にしておりますし、それから固定資産税評価については地価公示価格の七割ということで、いきなりそれをやりますと激変する場合がございますので、激変緩和を図りながらそういうふうな評価の均衡化、均衡ある評価というふうな事態に持っていきたいと思っております。
#94
○笹野貞子君 終わります。
#95
○西川潔君 よろしくお願いいたします。
 諸先生方がいろんな角度で御質問なさいました。私はいつものとおり福祉の方面からいろいろと御質問をしていきたいと思います。
 都市部における福祉施設の立地問題からお伺いしたいと思うわけですが、現在、バブルが崩壊し、土地・住宅価格は下落しております。しかし、賃金や家計と関係なく二倍から五倍に上昇した地価・住宅価格が一割、二割下がったといたしましても家計から見ますとまだまだ高値安定というのが庶民の本音ではないか、こういうふうに思うわけですが、住宅、土地の資産価値が上がりまして相続税や家賃が支払えない場合には、住みなれたおうちから、また地域から離れていかなければならないという事態もたくさんございます。特にお年寄りの皆さん方は、都市部に住み続けることが大変難しい状況であります。
 高齢化社会が目前となった現在、高齢者が寝たきりや痴呆症になっても住みなれた地域で安心をして暮らせる、またかつ自立した生活を送るためには、住宅の改造や建設が必要であると思います。また、老人ホームを初め福祉サービス、地域の中にそういう施設を建設していく必要があると思います。いろいろ現場でお伺いいたしますと、特別養護老人ホームや養護老人ホーム、そしてまた軽費老人ホームや中間施設と言われるようなところもまだまだ少のうございます。
 そういう意味におきまして、国土庁長官にお伺いしたいのですが、都市部における公共福祉のための土地利用についてはどのようにお考えになっておられるのか、まずお伺いしたいと思います。
#96
○国務大臣(井上孝君) 西川委員御指摘のように、土地基本法におきまして基本理念が掲げてございます。それには、土地については、公共の福祉を優先させる、それから土地はその所在する地域の諸条件に応じて適正に利用される、及び計画に従って利用されるということをはっきり明記してございます。
 御指摘の公共福祉施設等につきましても、それぞれの地域で必要なものは整備を進めるという観点から対処してまいりたいと思います。
#97
○西川潔君 約三年ほど前になるんですが、この問題について質問をさせていただきました。その際、厚生省から御答弁をいただいたんですけれども、都市部において特別養護老人ホーム、ケアハウス、シルバーハウジングなどを立地していくためには公有地の活用あるいは他の施設との合築、また複合化を進めていき、全国どこの都市でもこのような形のものがふえていくよう努力していくという答弁をいただきました。
 ここでお伺いしたいのは公有地の活用という点からでございますが、その後の経過と今後の見通し、もし実例があれば御答弁いただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
#98
○説明員(大田晋君) 委員御指摘のとおり、三年ほど前に我々厚生省の担当官が今おっしゃいましたことで答弁しております。
 御報告にもなりますけれども、その後、特別養護老人ホームを初めといたしまして、我々も委員御指摘のとおり社会福祉施設整備の第一歩は何よりも土地の確保であるという認識に立っております。こういった認識のもとに、土地の中でも御指摘の公有地の有効活用ということが非常に大きなウエートを持っているという認識も同じでございます。
 そういったことから、我々といたしましては、毎年行います全国の民生福祉部長会議あるいは課長会議、そういったところを利用いたしまして、それぞれの地域における公有地の福祉の面での有効活用を図るようにという指導、依頼をしております。
 こういったこともございまして、最近の動きでございますが、私どもの所管をしております社会福祉・医療事業団、これは特別養護老人ホームを初めといたしまして福祉施設を民間の社会福祉法人が整備するときにその資金の貸与を行うという特殊法人でございますが、ここで扱っておるケースを調べてみましたところ、毎年のこの貸付対象になっておりますほぼ四分の一が公有地を何らかの形で活用しておる。あるいは有償、あるいは無償、あるいは一部貸与、こういった形でございますが、四分の一程度が民間の法人が公有地を有効活用しておるという状況がございまして、この傾向は少しずつふえてきております。
 こういった認識でございますけれども、実例を一つ二つ調べてみましたので御報告させていただきたいと思います。
 委員の地元でございます大阪がよろしいかと思いますが、大阪の例を考えてみますと、西成区の特別養護老人ホーム、ここが大阪市の方から土地を無償貸与を受けて、四階建ての建物で特別養護老人ホームを中心に、あと精神薄弱者更生施設、身体障害者のデイサービスセンター、こういったものを複合的に整備をいたしております。また同じように、大阪市にも乳児院とかあるいは老人保健施設、先ほど中間施設という表現をされたと思いますけれども、そういったものも一緒にやっているケースもございます。あるいは東京ですと、品川区の例が最近よく取りざたされるわけでございます。
 いずれにいたしましても、最近こういったふうに市町村あるいは県というところで福祉の問題は自分の問題というふうな認識が非常に強く出ておりまして、特別養護老人ホームを初めといたしまして公有地の何らかの提供というケースはふえてきておりますし、我々も今後ともこの線を推進させていきたいと思っております。
#99
○西川潔君 続いてもう一つ、厚生省に合築、複合化についてお伺いしたいと思います。
 厚生省では今年度の新規事業といたしまして、都市部の老人介護を充実させるために、公営住宅にデイサービスセンターや給食センターを組み入れられました都市型複合デイサービスセンターの整備を進めていかれるということでございますが、地域の方々は本当に喜ばれると思います。
 親子、身内で大変遠く離れて生活をしておられるお年寄りが本当にふえてきております。今後、厚生省といたしまして社会福祉施設の合築、複合化についてどういった方向で整備を進めていかれるのかということをきょうはお伺いしておきたいと思います。
#100
○説明員(大田晋君) 御指摘の社会福祉施設整備における合築、併設あるいは高層化という問題でございますけれども、私どももこの手法は、合築であれ併設であれあるいは高層化であれ、極めて重要なポイント、手法だと認識しております。
 なぜこういうふうに我々がこの合築、複合化ということを推し進めるか、四つの点で我々は認識しております。
 一つは、きょうの委員会のテーマだと思います
けれども、何よりも限りある土地の有効利用という観点からぜひともこういった合築、併設を進めていきたいという点が一点でございます。二点目は、いわゆる入所者処遇というふうに我々呼んでおりますけれども、お年寄りと子供、そういった施設が一緒になるということで、それぞれの交流が図られるというメリットもございます。三点目といたしましては、人事管理という表現が適切かどうかわかりませんが、いろいろな施設を職員の方々が回るということで、精神薄弱者の方を扱っているところ、あるいは子供さんを扱っているところ、いろいろなところを自分が経験でき、あるいは能力を発揮できるということで、人事管理の可能性が広がるという点がございます。四点目といたしましては、経営基盤の強化、安定ということにつながるというメリットも大きくあると思っております。
 こういった四点の考え方から、厚生省といたしましては、現在及び今後、この施設整備の大きな基本方針といたしまして施設整備の合築、併設ということをもっと進めていきたいと思っております。
 この基本方針を進める上でどういう手法、手段を使っているかということを述べておきたいと思いますが、一つは国庫補助の採択といたしまして合築、併設を優先的に採択するということを行っております。二つ目は、合築の一つの方法としての高層化につきましては、補助対象基準面積を増加させまして八%ほど加算をいたしております。それから三つ目は、とりわけこの合築は都市部において現実的な問題、有効な方法ということになっておりまして、その点から本年度、五年度でございますが、昨年度つくりました都市部の補助単価の割り増し措置を拡充いたしました。それからさらに、社会福祉・医療事業団というところで行っております無利子融資あるいは一部償還免除、こういった手法もございます。これらを総合的に援用いたしまして、この基本方針である合築、複合化をますます強く進めてまいりたいというふうに考えております。
#101
○西川潔君 ありがとうございました。今後ともよろしくお願いいたします。
 次に、国土庁にお伺いします。
 今お話にございましたが、こうした福祉施設を含めた公共施設の合築、複合化は国民の間にも政府内にも賛否両論はあると聞いておりますんですが、都市部における土地の有効利用という点で国土庁としてはどのように評価されておられるのか、お伺いします。
#102
○国務大臣(井上孝君) ただいま御指摘の社会福祉施設の合築、複合化につきましては、公有地の有効活用による土地の高度利用ということになるわけでございまして、土地基本法の趣旨に沿ったものであると高く評価をいたしております。
 また、ただいま厚生省が答弁されましたように、厚生省にとってもいいことずくめというふうに受け取られますので、私どもとしても大いにこういったものを促進してまいりたいと思います。
#103
○西川潔君 よろしくお願いいたします。
 次に、大阪湾のベイエリア開発整備についてお伺いをいたします。
 生活大国を目指して土地対策を進めていくには国土を有効に利用するという観点が必要でありますが、特に先日、大臣が所信で述べられました、東京一極集中を是正することにより土地問題の解決につながっていくのではないかという点については、私もそう思います。現在、東京には政治、経済、文化、情報などさまざまな機能が集中しておりますが、これらの機能を分散させるその受け皿といたしましても大阪を中心とする近畿圏の持つ役割は非常に大きいと思います。その意味では、昨年十二月にベイエリア開発整備法が成立いたしましたことは大変意義があると思います。
 そこで、この法律の執行に際して、関係省庁のまとめ役である国土庁にお伺いしたいのであります。
 これからこのベイエリア地域の開発整備に当たりまして、道路、鉄道、通信施設などの基盤整備が積極的に行われるように予算を重点的に配分するなど配慮が必要だと思うわけですけれども、この点、国土庁といたしましても関係省庁に積極的に働きかけていただきたいと思うわけです。
 この法律には税制や金融面での支援措置が規定されていないようですが、今後何らかの具体的措置が予定されているのか。特に大阪湾ベイエリア地域は東京にある企業のオフィスなどの移転先としては適しているんではないかと思うわけですけれども、地方拠点都市整備法にあるようなオフィス移転に対する優遇措置が必要ではないかと、こういうふうに思うわけですけれども、これらの点について国土庁としてのお考えをお伺いしたいと思います。
#104
○政府委員(内藤勲君) 今、委員のお話にございましたように、大阪湾のベイ法が昨年末、議員提出法案として成立させていただきました。いよいよ法律に基づきまして具体の運用というのはこれからということになります。
 国といたしましては、地域指定あるいは基本方針の指定というものをこの夏ごろには終えたいと思っておりますし、それができますと次に各県におきまして整備計画をつくる、そして関連施設の整備などを進めていくと、そういう手順になるかと思います。
 それで、今質問の点でございますが、関連公共事業につきましても整備計画に基づいてということでございますが、この法律の中にも、国及び地方公共団体はその整備計画を達成するために必要な公共施設の整備を進めていくんだということが書いてございますので、そういう運用を行ってまいりたいと思います。
 それから、この整備計画の実施に当たりましては関係省庁が協力してやっていくんだと、そういうことも法律に書いてございます。
 それから、具体的な支援策の中で金融、税制のお話がございました。法律の文言では十三条に「国は、整備計画の達成に資するため必要な資金の確保その他の措置を講ずる」というやや抽象的な表現でございますが、私どもはこの中に金融、税制を含んでいると理解しております。したがいまして、整備計画をつくる過程で必要な金融、税制の措置についても検討してまいりたいと思っております。
 以上でございます。
#105
○西川潔君 ありがとうございました。
 ベイエリアの開発整備の対象は臨海部にあるわけですけれども、工場跡地などの遊休地が中心になると思うわけです。これらの土地には現在さまざまな法律によりまして厳しい土地の利用規制がされておるわけですけれども、これらの土地は市民がだれでもが利用できるようなレクリエーション施設や文化施設などが建設可能となるように、特に高齢者や身体に障害を持っておられる人たちに配慮した住宅、福祉施設を充実させるような方向で土地利用規制の見直しを図っていただきたいと思うわけです。これも申しわけないんですが、関係省庁を代表いたしまして国土庁にお伺いします。
#106
○政府委員(内藤勲君) 今のお話はベイ地域の開発が今後どうなるかということに関連すると思いますが、法案の審議の際にも議論ございましたけれども、ベイ地域ということで広く住民に開かれた開発を行う必要があるという議論がございましたし、それから、法律の中にもございますように「住宅の良好な居住環境等を備えた地域」ということでございますから、必要な公園とか住宅などもできることでしょうし、関連する福祉施設、そういったものもできるんではないかと思います。
 いずれにいたしましても、整備計画でそういうものがまとまってまいりますので、そういう形で土地利用の促進を図るということだと思っております。
#107
○西川潔君 ノーマライゼーションというような観点からもそういうようにしていただければありがたいと思います。
 次に、このベイエリア法によります主務官庁は国土庁を初め七省庁となっておるわけですけれど
も、例えば福祉施設を所管する厚生省は主務官庁には入っておりません。主務官庁の所管以外の事業を地元の自治体が積極的に行うという場合には、自治体の意思を十分尊重して関係省庁の協力が円滑に得られるように国土庁は積極的にリーダーシップをおとり願いたい、こういうふうにお願いしたいわけですけれども、この問題を最後に質問いたします。長官、いかがでしょう。
#108
○国務大臣(井上孝君) 国土庁は大阪湾ベイエリア法の七省庁にまたがる政府機関の窓口であるわけですが、七省庁の窓口ではなくて政府の窓口と心得ておりますので、今、委員御指摘のように、主務官庁以外のものにつきましても責任を持って国土庁が調整に当たるということを申し上げておきます。
#109
○西川潔君 ありがとうございました。
#110
○武田邦太郎君 まず、地震についてお伺いします。
 東京圏は大きな地震が必ず来るという地方圏として知られておるわけでありますけれども、不幸にしてそういう地震が来た場合の被害を極力少なからしめるためには土地利用が非常に大きな要因をなすものと思います。その意味で、その対策は本委員会の重大な課題にならざるを得ない。
 そこで、震度七以上の地震が襲ってきた場合にどれくらいの被害を受けるものと思われるのか、そういう調査ができておりましたらお示し願いたい、こう思います。
#111
○政府委員(黒川弘君) 国土庁におきましては、南関東地域の直下型の地震に対応するために、いざ起こった場合に緊急的な活動をする必要があるということで南関東地域震災応急対策活動要領というものを六十三年の末につくりました。
 その前提といたしまして被害想定を行っております。
 これは、関東大震災クラス、マグニチュード七・九ぐらいの地震が相模湾を震源地として発生した場合を想定いたしまして、発生時刻として三つとってございます。冬の夕方、冬の深夜及び秋の正午ごろ、三つのケースでございます。それによりますと、例えばケース一の冬の夕方でございますと、火災で焼失する棟の数が二百六十万棟、それから死者の数が十五万人、そういった数字が出ております。また、冬の深夜ということになりますと、焼失棟数が九十八万棟、それから死者が八万三千名、そういった数字。そのほかにもございますけれども、主とした数字を申し上げますと、以上のようなことでございます。
#112
○武田邦太郎君 そういう被害の可能性のあることを国民の常識として徹底するようにお願いしたいわけでありますけれども、そういう考え方からいきますと、例えば、できたての法律にけちをつけるようで非常に悪いのでありますけれども、緑地を宅地に転換させるというようなことは、その被害を少なからしめるため、あるいは地域を安全化する、健康的にあるいは美観を保持するため、あるいは災害の起きたときの退避する場所を確保する意味では、まことにこれに逆行する政策を進展させているということになります。
 もちろんその点だけを強調してこのたびの法制定を非難するわけにはいきませんけれども、当面の応急措置としてはやむを得ない問題かもしれませんが、しかし長い目で見れば、今申しましたような東京圏における緑地的な空地を極力広げるという側面がありませんと、日本だけでなくて、やがて東京が金融あるいは情報の国際的中枢都市として発展する前途を考えます場合に、東京が住んで安全であり、生活して住宅、食料がそう高くない、国際的に称賛されるようなそういう中枢都市になるということを考える場合、これは応急の問題だけ考えるわけにいかない、こういうふうに思うのであります。例えば二百メーターののっぽビルだとかあるいは五十メートルの深度利用とか、こういう技術の前進を誇るだけの東京建設が非常な危険を冒す心配がある。
 有名な大阪市の名市長として新しい大阪建設に不滅の足跡を残したと言われる関一の言葉に、一本の道路、一つの小公園といえども、その建設を技術者だけに任じてはいけない、国民の良識が支持するに足る世界観あるいは社会観を持つ政治の高い見地からの指導が絶対に必要である、こういう言葉が残っておるわけでありますけれども、今日のこの新しい東京の建設方式について、そういう高いビルだとか深いところを利用するとか、こういうようなことは高い良識に支持される政治の指導が十分に行われているかということになりますと、これは大変憂うべき事態が進展していると、こういうふうに思うのでありますが、長官、いかがでしょうか。
#113
○国務大臣(井上孝君) 先生のおっしゃるとおりだと思います。
 ただ高度利用だけで東京をつくっていく、高いビルとか大深度で仕事をやるというようなことだけではいけないので、やっぱりいざというときの避難緑地あるいは住環境をよくする公園緑地の整備というようなものは欠かせないものだと思います。そういうことを、私どももいろんな計画をつくります際に十分配慮していきたいと思います。
 ただ、私、何度も申しますが、公園をつくるというのは国土庁ではなくて建設省なものですから、関係各省の調整を十分やらせていただきたいと思います。
#114
○武田邦太郎君 先ほど来長官の答弁の御姿勢は全く深く感銘しております。国土庁が御在任の間に高い国民の良識の圧倒的支持を得られれば、調整力が格段に高まることを確信します。
 そこで、国際的に称賛されるに足る東京の建設ということになりますと、もう三全総以来、四全総もそうでありますし、近く五全総もそうなるだろうと期待するのでありますけれども、多極分散、一極集中はいけないと。これはもう国民の耳にはたこができるほど浸透しているわけでありますけれども、その間、全く実現の足跡が見えない、いよいよ集中している、こういう事態についてはやはり政治の責任は免れないと思います。
 結局それは、先ほど西川委員もおっしゃったように、東京に集中し過ぎた産業、経済、文化が地方に分散するという以外にあり得ないですね。ところが、最近、道州制でありますとか連邦制でありますとかいろいろ受け皿が出ておるのでありますけれども、国土の高度利用あるいは安全な利用という見地からいいますと、続出している道州制論あるいは連邦制論が全く国土利用という視点を欠いていると思います。
 例えば、現在の状態では山は非常に荒廃しつつある。それから、山を源流とする川が水が非常に減りまして、流域で井戸を掘ってもろくに出ない。で、海岸になると、魚や貝の赤ん坊を放ちましても成長が非常に悪い。こういうような全国土的な荒廃が進んでいるということは、これはまことに国土利用についての深憂きわまりない事態でございます。どうしても現在、国土の重大な機能を持っている農水、建設、通産の諸省が全く縦割りでありまして、有機的な相互連絡がございません。それから、利根川のようにでかい川はもちろんでありますけれども、相当の川は皆二つの県、三つの県、あるいはそれ以上にまたがっておりまして、都府県ではその川あるいはその源流である山の管理ということは総合的に不可能であります。したがいまして、今日の日本の国土を本当に有機的に安全に健康に管理する体制というものは今日の政治、行政においては全く欠けている。
 そういうことを考えますと、東京に集中した産業、経済、文化を地方に受ける受け皿としては当然国土の総合利用を合理的に可能にする単位ということになりますと、北海道はこれでいいわけでありますけれども、東北でありますとかあるいは関東でありますとか、あるいは中部、それから近畿。それから瀬戸内海はもう刻々に死の海に転落しつつある。これは多分九つの県に分割されておりますから総合的な改善はすべくもありません。これは中国と四国を、農水省は中四国というものを単位にしておりますけれども、これを一つの地方政治単位にしなければ瀬戸内海は救うことはできない。九州はあれでいいでしょう。これが一つあります。
 それから、これからの日本というものは、日本が接している諸国との有機的な連携ができなければなりません。それは主権を背景にした外交だけじゃなくて、国民の自主的な外交と言っていいのか何かわかりませんけれども、そういうことが必要でありますから、結局はアメリカとかロシアとかという場合には、北海道、東北が一単位になるでしょうし、東京圏だけが日本海に顔を持っておりませんから東京圏はやがて新潟県を包容すべきものと思います。
 結局、そういうような地方圏が、中国で言えば旧満州あるいは朝鮮半島、それから九州あるいは中四国の四国部分は東南アジア、そういうところに有機的な国民的連携を持って経済的、文化的な貢献をするという形になるでありましょうから、そういう国土利用なりあるいは近隣諸国との有機的な連携なりを考えますと、結局これは地方圏というものは全国を七つに分ける。道州制という言葉は適当とは思えませんから、仮に連邦制、こういう名前をとっておけば、結局そういうようなことが国土利用の見地からもう抜くべからざる政治的根拠を持ち得るんではないか、こういうふうに思いますが、この点についても長官のお考えを伺いたいと思います。
#115
○国務大臣(井上孝君) 今、武田委員御指摘のとおり、東京の一極集中というのは本当にもう耳にたこができるぐらい我々も言っておりますし、国民の皆さんもそういうようなことだと思います。
 しかしながら、統計によりますと、昭和六十二年に東京の人口の社会増は十六万人、平成三年には八万人弱になる、半減はしておりますがゼロにはならない、ましてマイナスにはなっていないということで、私どもの見方は東京一極集中は鈍化をしているけれども是正されておらないという認識でございます。したがいまして、今四全総そのものを国土審議会の調査部会で徹底的に点検をしていただきまして、必要あらば見直し、さらに必要あらば五全総に改定するというようなことも考えながら徹底的に点検をしていただいております。
 その際、今いろいろな審議の過程でございますから私も全体を承知しておりませんが、例えば新しい国土軸というものを考えたらどうだとか、あるいはその中には恐らく先生の今御指摘になりました圏域というような考え、こういうものもあるんじゃないかと思っております。先生の長い間の御研究の結果、ただいまの御意見をしっかりと受けとめましてこういった作業に生かしていきたいと思っております。
 いずれにしても、今御指摘ございましたように我が国の政府は縦割りでございまして、それを調整するために、縦割りの弊害を除き、また欠けておるところを補うという意味で国土庁もございますし、恐らく環境庁なんかもそういう意味でできておると思いますが、そういうことを大きな国土庁の使命として、今の先生の御指摘を生かしながら仕事を進めてまいりたいと思っております。
#116
○武田邦太郎君 私の予定しておりましたお尋ねは終わったのでありますが、まだ五分ほど時間がありますので臨時にお尋ねいたします。
 毎朝七時ごろのテレビを見ますと、主として関東圏だけでありますけれども、こっちに行けば十何キロ渋滞、こっちに行けば何キロ渋滞、それも交通事故が原因が多いとか、事故がなくてもそういう渋滞が多い。これが国民の能力、エネルギーあるいは産業経済全体にどれほどの被害をもたらしているか。これは調査技術の進んだ今日でありますが、調査した結果がございますかしら。どなたでも結構ですが。多分まだできていないと思うんです。結構です。
 だけれども、朝あれを見るたびに胸が痛むんですね。何とかしてこれを明確に調べて国民に提示するということも、先ほどの地震の被害予想と同じように、国民に本当に――これは分散なんと言ったって政治家の力だけでできません、やはり国民の深い理解と支持がなければこういうお仕事はできません、今直面しております政治改革だって政治家だけの御努力ではなかなか容易ならぬ問題でありますが、それよりもはるかに大きな歴史的課題でありますので、そういう意味で国民の世論を耕すという立場から何とかお骨折りいただいて、こういう調査も概算でよろしゅうございますからお示しいただくようにお願いしたいと思います。
 終わります。
#117
○委員長(青木薪次君) 本日の調査はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。
   午後五時散会
ソース: 国立国会図書館
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