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1993/02/05 第126回国会 参議院 参議院会議録情報 第126回国会 産業・資源エネルギーに関する調査会 第3号
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1993/02/05 第126回国会 参議院

参議院会議録情報 第126回国会 産業・資源エネルギーに関する調査会 第3号

#1
第126回国会 産業・資源エネルギーに関する調査会 第3号
平成五年二月五日(金曜日)
   午後一時開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 二月三日
    辞任         補欠選任
     寺澤 芳男君     武田邦太郎君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    会 長         浜本 万三君
    理 事
                上杉 光弘君
                星野 朋市君
                藁科 滿治君
                横尾 和伸君
                長谷川 清君
                立木  洋君
                萩野 浩基君
    委 員
                合馬  敬君
                岡  利定君
                佐藤 静雄君
                関根 則之君
                田沢 智治君
                楢崎 泰昌君
                南野知惠子君
                矢野 哲朗君
                吉村剛太郎君
                大森  昭君
                久保田真苗君
                庄司  中君
                西野 康雄君
                深田  肇君
                白浜 一良君
                武田邦太郎君
   事務局側
       第三特別調査室
       長        秋本 達徳君
   参考人
       財団法人日本エ
       ネルギー経済研
       究所研究理事   藤目 和哉君
       財団法人世界エ
       ネルギー会議東
       京大会組織委員
       会専務理事    横堀 恵一君
       財団法人省エネ
       ルギーセンター
       専務理事     石田  寛君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○産業・資源エネルギーに関する調査
 (二十一世紀に向けたエネルギー長期需給動向
 に関する件)
 (二十一世紀に向けた地球環境問題とエネル
 ギーに関する件)
 (省エネルギーの現状と二十一世紀に向けた課
 題に関する件)
    ―――――――――――――
#2
○会長(浜本万三君) ただいまから産業・資源エネルギーに関する調査会を開会いたします。
 まず、委員の異動について御報告をいたします。
 去る二月三日、寺澤芳男君が委員を辞任され、その補欠として武田邦太郎君が選任をされました。
    ―――――――――――――
#3
○会長(浜本万三君) 産業・資源エネルギーに関する調査を議題といたします。
 本日は、二十一世紀に向けたエネルギー長期需給動向に関する件、二十一世紀に向けた地球環境問題とエネルギーに関する件、省エネルギーの現状と二十一世紀に向けた課題に関する件の調査のため、参考人といたしまして、財団法人日本エネルギー経済研究所研究理事藤目和哉さん、財団法人世界エネルギー会議東京大会組織委員会専務理事横堀恵一さん、財団法人省エネルギーセンター専務理事石田寛さん、以上の方々に御出席をお願いしております。
 この際、参考人の方々に一言ごあいさつ申し上げます。
 本日は、御多忙中のところ本調査会に御出席いただきまして、まことにありがとうございます。
 参考人の皆様から、忌憚のない御意見をお述べいただき、今後の調査の参考にいたしたいと存じますので、どうぞよろしくお願いを申し上げます。
 議事の進め方といたしましては、二十分程度それぞれ御意見をお述べいただきました後、委員の質疑にお答えいただく方法で進めてまいりたいと存じますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。
 それでは、藤目参考人からお願いを申し上げます。
#4
○参考人(藤目和哉君) どうぞよろしくお願いいたします。
 私に与えられたテーマは、二十一世紀に向けたエネルギー需給動向ということでございます。お手元に資料がございますので、それに沿って行いたいと思います。(OHP映写)
 最初に、エネルギーを取り巻く国際情勢の現状と見通しということですけれども、二ページ目に図一がございます。一九九三年の国際石油情勢、エネルギー情勢の中でも国際石油情勢、非常に重要な問題ということでこれは取り出してあります。
 いろいろな要因があるんですけれども、比較的現在石油情勢は安定しているんですが、攪乱要因としましては旧ソ連の石油輸出の減少という状況があります。ひところ旧ソ連地域から四百万バレル・パー・デーという量が出ていたんですけれども、その後二百万バレル・パー・デー、さらにことしは百五十万ぐらいに減るんじゃないかということで、旧ソ連地域からの輸出が減少するという動向にあります。それから、やはり中東、湾岸地域ですね。イラクをめぐる問題、サウジの問題、イランの動向、こういったものが依然としていつ火がつくかわからないような状況にあるということでございます。それから、クリントン政権が新しくできたわけですけれども、このエネルギー政策あるいは湾岸政策がどうなるかということです。これはまだスタートしたばかりでわかりませんけれども、アメリカの景気の回復とともに石油の輸入が拡大する方向にあるということです。
 そういった意味で、旧ソ連の石油輸出の減少、アメリカの石油輸入の増大、それから湾岸地域で政治的な事件が起こる可能性、そういった三つの不安定要因がございます。
 それから三ページにございますけれども、九〇年代の国際エネルギー情勢を見る場合に、どうしたらつかめるかということでございますけれども、これも基本的には冷戦終結後の世界の政治経済情勢、やはり冷戦は終わったとはいえ、民族問題、宗教問題、それらが混乱要因になる。これがエネルギーに響くということです。それから湾岸危機の影響があったわけですけれども、一応今小康状態ですけれども、これはいつ火を噴くかもわからないというような状況でございます。それから、全体として環境問題、これは後で横堀さんの方から詳しく説明があると思いますけれども、要するにエネルギーの高品質化という動きがあるということです。クリーンなエネルギーへの転換といった動きがあります。それから、自由化と規制緩和ということで、国際的にもエネルギー市場の規制緩和の動きがございます。このエネルギーデタントというのは、いろんな不安定要因がある中でも、産油国と消費国あるいは先進国と途上国といった話し合いの場がつくられつつあるということで、一応これが緩和要因ということで、そういった動きがございます。
 ただ、一番やはり大きいのは地球環境問題、温暖化問題。昨年の六月に地球サミットがあったわけですけれども、そこで決まった気候変動枠組み条約のフォローアップということで、これからがむしろ本番ということではないかと思います。
 それでは(2)といたしまして、エネルギーを取り巻く国内情勢の現状と見通しということでございます。
 三ページに図三がございますけれども、これはGNPが増加しているという状況です。これは一九七三年の第一次オイルショックから現在までを描いてございます。これが原油価格の動きです。第一次オイルショック、第二次オイルショックで上昇して、その後下がっているということでございます。一次エネルギー総供給、エネルギー全体の動きはどうかと申しますと、オイルショックで減少したこともありまして余りふえてはおりませんでしたけれども、平成景気になってかなり急速にふえたということでございます。現在不況で若干横ばい基調になっていると思いますけれども、いずれにしても増加基調であるということです。
 それで、産業部門については、これは石田さんの方からお話があると思いますけれども、特に省エネルギーが進んだということと、経済活動の低迷でほとんど横ばいで来ていたということであります。平成景気でふえたことはありますけれども、省エネルギーがかなり進んだ効果があったということです。それから民生用というのも、家庭用と業務用ということですけれども、民生用は堅調に伸びているということです。オイルショックの影響も受けたわけですけれども、消費の伸びはかなり堅調に推移しているということです。それから輸送部門、民生部門は全体の今二十数%であります。それから運輸部門が二十数%、産業部門が五〇%ぐらいですけれども、この運輸部門もオイルショックの影響はありましたけれども、堅調に伸びているというような状況にあります。
 それから、やはり三ページ目に図四としてございますように、我が国のエネルギー消費の対GNP原単位、GNP一単位当たりのエネルギー消費がどのように推移してきたかということでございます。オイルショックのあった一九七三年ごろを一〇〇として、それからこの原単位は徐々に減少してきております。最近では六四ですか、つまり三六%エネルギー原単位は減少しているということでございます。ただ、ここで見ていただくように、横ばい基調であるということでございます。省エネルギーがやや停滞しているということでございます。
 それはなぜかという問題があるわけですけれども、やはり三ページに図五がございまして、原油価格の動きを追っております。この赤い線が名目の値です。この青い線が一九七三年のオイルショックのときの貨幣価値ではかったいわゆる実質価格でございます。これで見ますと、現在ほとんど第一次オイルショック前の水準に戻っているということで、いわゆる経済的なインセンティブが少ないということで省エネが停滞しているということでございます。
 それから四ページ目に図六がございます。オイルショックの後、地球温暖化の原因とされております炭酸ガスの排出量はどうなったかということですけれども、ほとんど横ばい基調で来たということです。経済成長は増加要因ですけれども、あと燃料転換、原子力とか天然ガスに転換したことによって減少した分がこれだけです。それから省エネの効果ということでこれだけ。したがいまして、炭酸ガスの排出量を横ばいないし減らす要因として省エネが非常に大きな効果があったということが言えるかと思います。
 それでは、政府の石油代替エネルギー供給目標という見通しがあるんですけれども、これが最近の実績とどういう関係にあるかということです。政府の見通しては最終エネルギー需要がこのように伸びることになっております。ところが実際にはエネルギー消費はこう伸びまして、この伸びた点から引っ張りますと、大体今後年率で一%程度の上昇しかできないというような実態になっております。
 それから、我が国の長期エネルギー需給展望ということでちょっと触れたいと思いますけれども、長期の目標としまして政府が掲げている三つの目標があります。一つ大きいのは、先ほど触れましたように地球環境保全、特に温暖化防止、それからエネルギー需給の安定、経済成長ということです。地球温暖化防止上の目標としましては、これは九〇年の十月に決定されました温暖化防止行動計画というのがありまして、二〇〇〇年以降おおむね一人当たりCO2の排出量を九〇年水準に安定化するということでございます。
 それから、エネルギー需給バランス上の政策目標というのがあります。これは石油代替エネルギー供給目標ですけれども、一番力点が置かれているのは省エネルギーの推進ということで、GNP当たりのエネルギー消費を二〇一〇年までに三七%減少するということです。これは一九七三年のオイルショックから八八年までの減少幅と同じ程度省エネを行うということです。それから原子力等の非化石エネルギーの拡大、それから石油依存度を五割以下に抑える。それから、経済成長の目標としましては、従来は二〇〇〇年まで四%ということだったんですけれども、最近は生活大国五カ年計画で年三・五%が目標となっております。
 それで、私どもの研究所で三つのシナリオを描きました。トレンドケースとそれから弾力化ケース、環境重視ケースというのがございまして、これは六ページの表一にございます。
 これはいろいろ検討するためにつくったシナリオで、どれが最もありそうかということではないんですけれども、トレンドケースというのは、現状のまま、特に政策的な強化をするとかそういうことなしにした場合にどうなるかということで、結果的には原子力の立地もなかなか進まないとか省エネルギーもそれほど進まないということで、炭酸ガスの排出量がかなりふえるということであります。
 それから弾力化ケースというのは、フレキシブルなケースということで、経済成長、エネルギー需給、環境、目標は三つとも達成できないんですけれども、それに近い目標で達成されるという場合でございます。この場合は経済成長が三%、それから石油依存度は二〇一〇年になって五割程度まで落ちる。一人当たりのCO2の排出量は二〇〇〇年は一割程度上回ってしまいますけれども、それ以降横ばいでいくというケースです。
 それから環境重視ケースは、CO2の排出量が一人当たりで二〇〇〇年以降安定するわけですけれども、経済成長が二%まで落ちるということでございます。
 やはり、かぎは省エネルギーをどこまでやるかということです。これは通産省で環境、経済成長、エネルギー、この三つの要素をどう調和させるかということで議論したときに出てきた資料ですけれども、政府の目標としましては年率一%のエネルギー消費の伸びということでございます。それに対して、トレンドケースとかあるいは自然体ケース、まあ余り政策を強化しないというままでいきますと、このように伸びてしまいます。この差が石油換算にして大体三千万から四千万キロリットルあるということで、この分だけ政策を強化して省エネルギーを進めなければいけないというようなことになっております。
 それから、これは、エネルギー経済研究所、エネ研と言っていますけれども、エネ研のトレンドケース、七ページに表二というのがございます。トレンドケースと政府の目標を比べたわけです。このトレンドケースというのは政策努力を余りしない、強化しないということですけれども、大きいのはやはりエネルギー需要が年率二%ぐらいで二〇〇〇年まで伸びてしまうということです。それで一人当たりの炭酸ガスの排出量も二〇〇〇年で二割増し、二〇一〇年で三三%増しということで、ほっておくと炭酸ガスの排出量が非常にふえてしまうということでございます。
 これはいろいろトレンドケースと弾力ケースと環境重視ケースと比べた場合ですけれども、やはり一人当たりで横ばいにするためにはこうやってかなり政策努力あるいは場合によっては経済成長も落とさなきゃいけないというような状況にあるということでございます。
 それから、最後に政策的な対応ということで、九ページ、最後のページにございますけれども、やはり政策の中心は地球温暖化防止ということで、炭酸ガスの排出量の安定化のための対応策を考えるということでございます。炭酸ガスの排出量の削減のためにはどうするかということで、やはり省エネルギーが非常に重要であるということでございます。
 省エネルギーとしましては、技術的な対応ですね、効率の高い機器を導入するということ。それから使い方、ライフスタイルの変化なども考えなきゃいけない。それから社会資本の整備。例えば交通網の整備などによって省エネをする。それからいわゆるリサイクリング。それからシステム的なものということです。あと、燃料転換ということで、原子力、天然ガスへのシフトをしていかなきゃいけないということですけれども、これも限りがあるということです。太陽エネルギー等の再生可能エネルギーも限りがあるということでございます。あと、産業構造の変化とか経済成長の鈍化といったことがあるんですけれども、これはできれば政策的にそれほど手を加えないで省エネルギーと燃料転換でCO2の排出量を削減していくということが重要だということでございます。
 それから最後に、石油の供給の安定化ということですけれども、先ほど申しましたように、石油の依存度を五割以下に下げるというのがエネルギー政策上の目標なわけですけれども、石油供給が非常に不安定であるということです。そういうことでありますけれども、五割を切るのは実際問題としてはなかなか難しいということです。そういう意味で、石油にやはり五割以上頼らざるを得ないということで、石油の安定供給システムを確立するということであります。
 一つは、現在七〇%依存している中東、これは趨勢ではふえそうなわけですけれども、これを分散化するということが一つあると思います。
 それからいわゆる備蓄システムということです。現在百四十五日分備蓄が国と民間を合わせてありますけれども、民間の場合には六十日分ぐらい操業上必要なんで、これをそのぐらいまで落としていく。今七十数日分ありますから、落としていく。かわりに国家備蓄を現在の六十日から七十日ぐらいまで上げていくということで、国家備蓄を中心に備蓄の増強を図るという政策ももう一方で必要であるということでございます。
 これで終わります。どうも御清聴ありがとうございました。
#5
○会長(浜本万三君) どうもありがとうございました。
 次に、横堀参考人にお願いいたします。
#6
○参考人(横堀恵一君) 横堀でございます。
 私は、環境問題についてお話をするようにということでございますので、私もお手元にお届けしてあります資料を中心にいたしまして御説明させていただきたいと思います。
 なお、私の御説明申し上げることは既に幾つか藤目参考人から御説明いただいたところとダブり、あるいは申し上げることはほとんど同じだと思いますが、ちょっと違う見方といいますか角度が違う、そういうような点もございますので、その点は少し簡略化させて御説明させていただきたいと思います。
 最近、地球環境問題というようなことが言われておりますが、実はこの問題についてどういうふうに考えたらいいか、どういう特徴があるんだろうかということをまずお話し申し上げたいと思います。それで、この地球環境問題の特徴といいますと、大体五つぐらいの問題点といいますか、特徴があるんじゃないかと思います。
 一つは、因果関係が非常に地理的に拡大しているということでございます。これは、例えばチェルノブイリの原発事故あるいは湾岸の油田火災というような事故の場合にもあらわれるわけですが、事故が発生したといいますかそういう環境汚染のもとが発生した地点と、それから実際起こる環境の被害というものが必ずしも同じところじゃなくて広がっている、あるいは場所が離れておって、越境的効果と言うのがいいかと思いますが、そういう現象がいろいろふえているということが一つございます。
 それからもう一つは、因果関係が時間的に拡大しているということでございます。例えば、最近言われております地球温暖化の問題でございますが、これは私どもが今出している炭酸ガスがそのまま空中に、空中にといいますか大気中にたまって、そしてそれがために赤外線が閉じ込められて暖かくなるというのではなくて、産業革命以来出していた炭酸ガスが積もり積もって大気中に蓄積されたということがあるわけです。我々が今出している効果というのは、実は我々の子孫に影響するということになるわけで、こういうタイムラグの拡大の問題というのも一つあります。したがいまして、世代間の利害が対立してくるという問題が実はこの裏にあるわけでございます。
 それから、因果関係が地理的あるいは時間的に広がっていくということともかかわってくると思うわけでございますが、なかなか因果関係を明確に確定することができないような場合もございます。そのために不確実性というものが非常に広がっております。
 この不確実性は、単に因果関係の面だけではなくて、例えば炭酸ガスがふえていった場合、あるいはフロンその他のいわゆる温室効果ガスと言われるものについても同じでございますが、これが積もり積もっていった場合に一体どういう影響があるんだろうか。例えばいろいろ海面上昇があるというようなことが言われておるわけですが、これがどういうメカニズムでどういうふうになっていくかということについては実は余り細かなことがわかっておりません。それから、地域的にもどういう影響があるのかということがわかっていないという不確実性がございます。
 それから、対策の効果についても、一応質的なことは、これから申し上げます例えば省エネルギー効果あるいは代エネルギー効果というものが効果があるだろうということは言われるわけですが、それを導入するための対策、よく言われております炭素課税とかそういうようなものについて、どれだけ税を上げたら例えば炭酸ガスなりエネルギー消費が減るかというようなことについても実はこれまたいろいろ議論がありまして、そこのところは不確実性が存在するという、三つ目の厄介な問題がございます。
 さらに厄介な問題になるわけですが、四番目に、いろいろな環境問題が実はあるわけですが、こういう効果が環境問題相互の間に、ある場合には重なり合ってくる問題もありますし、短期的あるいは局部的に見ればそれが対立するというような問題もあります。例えば相乗効果というようなものについて非常に単純化した例でお話を申し上げますと、亜硫酸ガスとかそれから窒素酸化物、こういうものが酸性雨の原因になっているわけでございますが、これが例えば森林破壊をする。そうすると森林破壊をされたために炭酸ガスをいわゆる炭酸同化作用によって木に閉じ込める作用がさらに減るということで温室効果が促進される、こういうような一面があります。これが相乗効果でございます。
 それから、対立効果というのは、これは最近言われておることでございますが、実は空気中にありますSOx、NOxと言われておりますものの微粒子が実は冷却効果を持っていると。これはちょっと科学的なことなので私もつまびらかには知らないのでございますが、要するに、片っ方で炭酸ガスがふえていて温室効果が促進される反面、SOx、NOxというようなものがあって実はこれまで若干緩和していたんじゃないかというようなことが最近になって言われております。そうすると、SOx、NOxというのは放置していていいかということになるわけですが、決してそういうわけではありません。SOx、NOxを抑えるということもあわせて必要になるわけですが、こういう対立効果があるということが言われておりまして、これをどう考えるかというのがまた難しい問題になっております。
 それから最後に、実は環境問題が、先ほど申し上げましたように非常に地理的にも拡大し、あるいは時間的にも拡大したという点から見てまいりますと、環境問題をどうとらえるかということについていろいろ物の考え方によって非常に見方が違ってくるということがございます。つまり保護対象と考えるべき環境というのはどう考えるか、それに対してどういうふうに保護したらいいかというのがしばしば議論されます。
 これを具体的に言いますと、一つは身近な環境破壊をやめるということから、生態系を保護しようというような動きが一つ見られるわけです。例えばよく言われております鯨あるいは野生動物の保護というような問題が国際的に議論されるわけですが、このような動きに対してはまたいろいろな考え方がありまして、必ずしもそれに同調される方ばかりじゃないというような問題もございます。
 それから、環境対策に対してどう対応するかということについては、技術的に例えば公害防止施設をつくるとかそういうような対応だけではなくて、最近言われておりますのが、例えば都市問題、ごみとか、それに派生して資源の再利用という問題があるわけでございますが、あるいは交通問題。こういうところにありますように、非常に我々自身の物の考え方といいますか生活のスタイル、行動様式を変えなきゃいけないんじゃないかというような問題が出ております。こうなってまいりますと、実はかなり物の考え方ということに絡んでくるわけでございまして、なかなかコンセンサスを簡単に得ることができないというような問題がある。これが私は地球環境問題を考える上で一番難しい問題じゃないかというように思います。
 では地球環境問題と資源エネルギー問題は一体どのようにかかわってくるんだろうかということで、その問題について触れさせていただきますと、資料の三ページに図一ということで多方程式というものを出させていただきました。多方程式といいますのは、東大の茅陽一先生が気候温暖化問題を議論されるときに説明された図式でございまして、わかりやすいものですから多方程式と言わせていただきます。実はこの内容は先ほど藤目さんが図六あるいは図十四で御説明されたことと同じでございまして、なぜ藤目さんが図六あるいは図十四で省エネあるいは代エネについて御説明になったかという裏づけの考えにもなるわけでございます。
 簡単に申しますと、例えば炭酸ガスの排出量というものを考えてみますと、これは要するに一人当たりの経済規模とエネルギーの原単位、つまりGNP一単位当たりエネルギーをどれだけ使うかということ、それからエネルギーを消費するときにそのものにどれだけ炭酸ガスを排出する要因が含まれているかということ、それから人口、それから炭酸ガスがほかの手段で吸収できないで出ていく、こういうようなことによって炭酸ガスの排出量が左右されるということでございます。実はこれは炭酸ガスでなくてもSOxでもNOxでも同じような式はっくれるわけでございますが、今ここでは炭酸ガスを例にしてお話させていただいております。
 そうしますと、炭酸ガスの排出量が変わるにはどこをいじるかというと、結局、一人当たりの経済成長率をいじるかエネルギーの原単位の変化率をいじる。つまりこれは省エネになります。それからエネルギーの消費に含まれている炭酸ガスの集約度といいますか含有度といいますか、それを変化させる。つまりこれは代替エネルギーということでございます。この場合の代替エネルギーというのは炭酸ガスのより少ないエネルギーにかわっていくという意味でございます。それから人口増加率、つまり人口対策、さらに炭酸ガスの純排出率を変化する、つまり炭酸ガスの固定化。例えばSOx等ですと、これを脱硫等によって対応するというようなことになるわけでございます。
 それで、もう一遍一ページの方に戻らせていただきますと、これらの要因のうち一番最後の例えば炭酸ガスの排出率を変化させる、あるいはSOxで言いますと脱硫装置等で対応するという事後的な公害対策というのは実は相当限界がございます。通常このような事後的な公害対策というのは省エネを逆に阻害するというような問題もございます。それからコストがまたかかります。それからやはり事後的な対応でございますので、予防ということに比べて既に被害が出てしまっているというような好ましくないことがございまして、結局、事後的公害対策によらないで、それでかつ経済成長率というものを落とさないでこれを対応するとすればどうするかということとなると、人口対策とそれから省エネ、代替エネルギー対策ということになります。
 先進国の場合、例えば日本の場合ですと、人口対策というのはほとんど必要がないというように考えますと、実は省エネ対策と代替エネルギー対策というものがここで非常に重要になってくるという、これが先ほどこの意味で藤目参考人から御説明されました省エネ対策、代替エネルギー対策の重要性というのが出てまいるわけでございます。
 そこで、この省エネ対策あるいは代エネ対策ということを考えるにおきまして、実は幾つかまた考えなければならないものがございます。特に代エネ対策についてでございますが、エネルギーとか資源といった場合に、それぞれが異なる環境の影響を持っておるわけでございます。それは逆に言えば、環境に影響力がないエネルギーあるいは資源というものはないということでございます。あるいはものによっては事故が起きたら大変である。よく原子力の例があります。それから石油のタンカー事故、これもあります。こういう事故が起こったら大変であるという場合と、それから、例えばよく言われております炭酸ガスなんかの場合は化石燃料を燃やすと出てくるわけですが、そういうように日常的に環境に影響をもたらしているものというものがありまして、これはそれぞれまたいろいろ違います。
 それからもう一つは、エネルギー資源についてはやはり存在量の制約があるということでございます。いろいろ議論される中で、しばしば再生エネルギーというようなものが議論されますが、実は私は再生エネルギーも限界がある。例えば太陽というものをとってみますと、実は日照時間あるいは太陽の強さというものが地域によって違うということによりまして非常に制約があるということでございまして、この辺を考えていかないといけないというのが資源エネルギー問題において地球環境対策を考える上で重要なことじゃないかと思います。
 それでは、このような状況のもとで、日本においては地球環境あるいは資源エネルギー問題に対する対応策というのはどういうことになっているんだろうかということを簡単に御説明いたしたいと思います。
 四ページに表一というのがございますが、これはSOx、NOx、それから炭酸ガス、無鉛ガソリン、これらについての主要先進国と環境水準を比較した表でございます。これで一言で言いますと、非常に日本の場合はほかの国に比べてかなり環境対策というのが行き届いておりまして、SOx、NOx対策につきましてはほかの国に比べて数分の一という排出量になっております。それから炭酸ガスにつきましても、日本の経済規模あるいは人口規模に比べまして非常に少ない水準である。それから無鉛ガソリン、ガソリンの無鉛化、これも日本ではほとんど一〇〇%達成しておりまして、ヨーロッパに比べればかなり高い水準に達しておるということです。
 私はここで何を申し上げたいかということでございますが、既存の環境問題につきましても実は現在相当国際的に見ましてでこぼこがある。それで、その中でかなり日本は、これは先生方の御尽力の成果でもありますけれども、国際的に見れば比較的すぐれた水準に達しているということが言えると思います。
 それからその次に、エネルギー面で環境対策を考える場合にしばしば議論されるエネルギー効率と環境問題の話がございます。先ほど私は公害対策をやると効率が悪くなるというようなことを申し上げたわけですが、これについて少しく説明させていただきたいと思います。
 そのために、まず五ページにあります図二を見ていただきたいと思います。これは電源開発株式会社におきます石炭火力発電所の燃費効率を示した表でございます。一九七五年と八〇年の間に火力の発電所の燃費効率が下がっているわけでございます。これはちょうどこのころに排煙脱硫装置が導入されたからでございます。したがいまして、このところだけを見ると確かに燃費が悪くなったわけですが、実はその後をごらんいただきますと、新しい技術の導入によってまた燃費効率がどんどん改善されております。最近では超々臨界あるいは加圧流動床燃焼、これは実は若干未来技術ではございますが、こういうものが導入されればさらにSOxもNOxも減らした上で燃費が高まるということが期待されております。
 何をここで申し上げたいかと言いますと、結局、最初そのような環境問題に対応するために排煙脱硫装置を導入したために効率がおくれましても、かえってその結果、結果といいますか、それがまた引き金になって技術開発を進めることができれば、それによって長い目で見れば燃費効率を改善するということに資する場合もあるのではないかという一つの明るいケースをお示ししたわけです。
 それからもう一つ、その次の六ページでございます。実はこれは暗いケースをお示ししたく御参考までに供したわけでございます。
 これは日本のアルミ地金産業と電気料金の関係を示したわけでございます。御承知のように、アルミ地金の精錬業というのは電気の缶詰と言われております。御承知のように電気料金が七三年以降非常に上がっております。これは二つ大きな理由がありまして、一つはいわゆるエネルギー危機に伴い電気料金が非常に上がったこと。もう一つは環境問題、先ほど申し上げましたが、環境対策費用あるいは土地の費用その他、そういうようなコスト高で日本の電気料金というのはかなりそれを反映してコストが高くなっている。その結果、アルミの地金精錬業については国際的に競争力が落ちていきまして、結局、需要はここに示しておりますように伸びておりますが、国内の生産というのはどんどん落っこちていったということでございます。つまり、もし環境問題に対して資源を使うということになりますと、場合によってはまたこういうような産業構造の調整といいますか、そういうことが起こり得るケースもあるということをお示ししたくこの図を皆様に供したわけでございます。
 これが大体日本のこれまでの状況でございますが、それでは今いろいろ問題になっております地球環境問題のうちの気候温暖化問題について、世界各国がどのように取り組んでいるかということを簡単に表二、表三、表四により御説明させていただきます。
 表二、七ページでございますが、これはOECDの国際エネルギー機関の作成した資料でございます。OECD諸国の取り組み方を簡単に幾つかのグループに分けて提示したものでございます。この中には、目標に対する一方的、無条件のコミットメント、ここはオーストリア、カナダ等が入るわけです。あるいはオランダ、デンマークは、さらにそれに炭酸ガス税を財源とする行動計画というものに裏打ちされておりますが、このようなかなりはっきりした強いコミットメントを持っている国と、それから余りそういうことがはっきりしてなくて、たまたまその国が欧州共同体あるいはEFTAの加盟国であるということで、欧州共同体なりEFTAがグループ全体として炭酸ガスの排出量抑制についてコミットしたということに賛成したという形をとって間接的にこれに約束しているという緩い取り組み方の国もありまして、ここの間にいろいろなバラエティーがあるわけでございます。
 御承知のように、日本は一人当たりの排出量基準での目標をつくっておりますが、これは実は日本だけではなくて、ECのフランスも同じようなやり方をとっているということでございます。
 それから、八ページ、九ページはそれをさらに細かに御説明したものでございます。ここにいろいろ書いてありますが、今申し上げました表二をさらに敷衍したものでございまして、国によって、コミットメントの形というのは目標なのか、それとも先ほど申し上げました自分が属している共同体、EC共同体のようなものの共同目標というものだけにコミットしているのか、それから対象とするガスを炭酸ガスあるいはそのほかの温室効果ガスも含んでいるのか、約束の内容が排出量の安定化なのか、それを削減するというものなのか、それの基準年がどうか、それをいつまでに達成するということになっているかといういろいろなバラエティーをお示ししております。
 一九八〇年代後半あるいは九〇年代を基準年といたしまして、二〇〇〇年あるいは二〇〇〇年初頭までに達成しようというのが大体の傾向でございますが、例えばオランダなどにつきましては、もう少し厳しいといいますか、もう少し積極的な約束をしておりまして、例えば一九九五年までにまず八九―九〇年の平均の値で安定化させる、それからさらにそれよりも三から五%削減した目標の水準を二〇〇〇年までに達成するというようなことを言っております。これがいろいろ国によってパターンが違うということでございます。
 それから、よく議論になりますOECD諸国におきます炭素税についても、一応表四に資料としてつけさしていただきました。いろいろな国が導入しておりますが、大体導入しているものは北欧諸国でございます。それからもう一つ御注意いただきたい点は、これらの国におきましてはやはり産業への影響、特に国際競争力への影響というものに対して非常に注意を払っておりまして、例えばデンマークの場合には、実質的に省エネの推進によっては課税したものを全部返還するとか、それからスウェーデンの場合には国際競争力に影響がないように一種の適用除外を設けるというような配慮をしております。この炭素税につきましても、税率全体から見ましても非常に大きなものというものは余りなくて、いろいろここにもバラエティーがございますが、それぞれの国なりにそれぞれの国情を反映して余り弊害がないような配慮をしていることがうかがわれるかと思います。
 大体こういうことで今各国の状況をざっと見たわけでございますが、それでは日本の取り組みについて少し補足させていただきたいと思います。
 先ほど申し上げましたように、日本は既に相当炭酸ガスの排出量も各国に比べて低い状況でありますし、SOx、NOxも低い状況にございます。それだけこれはやはり日本の技術が進んでいるということの裏打ちをするわけでございますが、ただ逆に言うと、日本の技術あるいは状況というのは若干突出しているのではないかというような懸念もしばしば指摘されるわけでございます。
 これをお示ししましたのが最後のページでございます。大気汚染防止装置の生産実績と輸出額の推移でございます。これは日本産業機械工業会の方で調査されたものに基づくわけですが、ここにありますように、国内生産というものは例えば重油脱硫装置、排煙脱硫装置等において相当多いわけでございますが、輸出量というものを見ますとかなり低い水準にとどまっております。
 これは二つ大きな原因があると思います。一つは、日本の技術が必ずしも現地の事情に適合してないんではないかというような問題があります。例えば最近、通産省だったと思いますが、中国向けに簡易脱硫装置ということで、脱硫の機能としては、今までですと九〇%ぐらいいっているのを、例えば八割ぐらいの脱硫能力を持っているけれども価格としては三分の一ぐらい、こういうようなもう少し簡易に運転できる装置を開発されていると聞いております。このように現地の事情に技術が適合しないものがあるのではないかという問題が一つございます。
 それからもう一つは、先ほど申し上げましたように、環境水準が国際的に見てもいろいろばらつきがあるわけでございますが、先進国においてすら大きなばらつきがありますので、実は途上国との関係におきましては相当ばらつきがございます。したがいまして、途上国の方で必ずしもそのような公害規制に対するニーズがない。ここはちょっと言い過ぎかもしれません。例えば、SOxについては大体アジア地区で十カ国、それからNOxについてはアジア地域でも九カ国が既に何らかの規制を導入しているという実績にあるわけですが、ただ、例えば日本が行っておりますような排煙脱硫装置の設置状況というのを見ると、これはほとんどの国では行われていないというような状況にございます。としますと、やはり公害規制の水準において各国において相当違いがある。そのために必ずしもこういう公害防止機器に対する需要がないんじゃないかというようなことも考えられるわけでございまして、この辺はやはり我々といたしましても身近な環境問題への取り組みというものをそれぞれの国にまずお願いしていくことが必要なんじゃないかと思います。
 ちょっと長くなりましたが、以上をもちまして私の報告とさせていただきます。
#7
○会長(浜本万三君) どうもありがとうございました。
 次に、石田参考人にお願いをいたします。
#8
○参考人(石田寛君) 財団法人省エネルギーセンターにおります石田寛と申します。
 私は、省エネルギーの現状と今後の方向につきまして、産業を中心に消費側の立場、エネルギーを使う側の立場から御説明を申し上げたいというふうに考えております。
 資料をおとりいただきたいと思います。二ページをごらんいただきたいと存じます。
 省エネルギーをするということについて、エネルギーの消費側から見た意味は何だろうかということでございます。
 一つは、使いたいエネルギーを安定的に自分で確保できるようにということ。それから、製品でありますとか生活費におけるエネルギーコストを低減するんだということ。もちろんCO2やSOxなどの低減という効果によって地球環境の保全にも寄与するんだというような意味を見出すことができようかと存じます。人類の福祉向上のためにはある水準の経済活動の維持がどうしても必要でございますが、あらゆる経済活動にはエネルギーの使用を伴うわけでございまして、発展、開発と人口増、その他、そのエネルギーの使用量はどんどんふえるわけでございます。
 そこで、エネルギー源を有効に上手に使おうではないか。効率よく使わなければならない。そういう意味で、エネルギーの変換・消費の効率の改善、向上を図る、こういうふうに省エネルギーの意味を置きかえてみる必要があろうか、こういうふうに思います。これまでの参考人の御説明でもありました効率、つまり原単位という表現でもよろしいかと存じます。そして、個々の改善努力を積み上げまして、社会全体を環境調和型、エネルギー効率型に転換していくのだということが省エネルギーの究極の目標である、こういうふうに考えておるわけでございます。
 エネルギーの消費の効率を考えるということについて、どういうところでその可能性があるのかということをイメージしてみますと、工場などの事業所でございます、農水産で使われるもの、建設で使われるもの、ビル、店舗、オフィスあるいはレジャー施設で使われるもの、貨物、バス、乗用のような自動車で使われるもの、鉄道の運行だけじゃなくて鉄道の冷暖房などが時々話題になります。もちろん住宅などの生活に使われるものというように、大変広い分野で問題になるということをここで私どもは認識する必要があろうかと思います。こういうエネルギーのシステム全体での効率を改善するということがこの省エネルギーという問題の対象であろう、こういうことでございます。
 ページをめくっていただきまして、最初に個別の状況を少しごらんいただきとう存じます。
 主要産業におけるエネルギー消費原単位、つまりエネルギー利用の効率の推移でございます。エネルギー多消費四業種と言われる四つの業種の各年における、例えば紙一トン当たりを生産するのに幾らのエネルギーを使うかということをプロットしたものでございます。
 これは指標で、昭和四十八年のところを一〇〇に押さえた変化を示しておりますが、原単位はごらんのように大変大幅に改善をいたしておりますが、近年、昭和六十一年、六十二年から若干鈍化傾向にあるということでございます。何によってこういう成果が出されたのかということは後ほど御説明申し上げたいと存じます。
 次のページをごらんいただきとう存じます。
 家庭用で使われます、ここは電気器具でございますけれども、電力消費量の推移、例としてツードアの百七十リットルという冷蔵庫をはかってみましたということでございまして、昭和四十八年当時に一〇〇あった時間当たりのキロワットアワーが、平成三年では三四になっている。つまり六六%のエネルギー消費量減になっている、こういうことでございます。大幅な減少でございます。カラーテレビでありますとか、ルームエアコンでありますとか、四割から五割の減少という技術改良が進んでおります。
 次のページをごらんいただきとう存じます。
 これは平均的なものでございますが、一世帯当たりのエネルギー消費量の推移でございます。
 これも一世帯当たりというとらえ方で原単位というふうに把握できようかと存じます。長期的には増加しているわけでございますが、先ほどごらんいただきましたように、個々の器具はエネルギー消費量が大幅に低下しているわけでございますけれども、普及がふえましたり、もちろん使われる世帯の数がふえる、新しい器具の出現でございますとか、例えば冷蔵庫一つでも大型のものに買いかえてまいりますというようなことで、一世帯当たりで見ますと原単位はごらんのようにふえてきておる、こういうことでございます。これに世帯数を掛けますと、一貫して増加してきているという傾向がございます。
 なお、このグラフをごらんいただきますと、途中原単位が前の年よりも少しずつ減っている年がございます。その年は、一番左の欄をごらんいただきますとわかるのですが、おおむね暖房用の消費が少なかった年、つまり暖冬の年が少しくぼんでいる、こういうことでございます。
 もう一点、左から二つ目の区分でございますけれども、冷房の消費量を表示したのがございます。平成元年でも全体のエネルギー消費量の二%ぐらいが冷房需要だということをここでごらんいただけると思います。
 次に進ませていただきます。
 六ページでございますが、エネルギー消費の分野別推移、今までごらんいただきましたことの累積の結果といたしまして、ここにあらわれております。グラフの高さは各年のエネルギー消費全体をあらわしておるわけでございますが、一貫してふえてきております。一番下の左下がりの斜線が産業用の消費量でございます。昭和五十七年には実は前年から六%減っております。その後昭和六十年と六十一年が対前年減、産業用の分だけでございますけれども、ということがございました。平成三年度、一番右端の柱のところは、産業用が、実は、これ数字を入れますと一・八五億キロリットルでございます。第一次石油危機が勃発いたしました昭和四十八年のときは、産業用だけで一・八八億キロリットルでございました。つまり、産業用の消費の量はまだ石油危機発生前の水準よりも消費の絶対量が低い水準にあるということがこれでわかるわけでございます。相対的に民生用と運輸用の消費が当然増加率も大きいわけでございまして、全体の消費量の中で比重がふえてまいります。省エネルギーの重点も、これまでの産業用中心からどうしても運輸、民生用から目を離せなくなるというふうに変わってきているということを申し上げたいというふうに思うわけでございます。
 次のページをごらんいただきとう存じます。
 七ページでございますが、先ほどの藤目参考人の資料の中にもございましたので特に説明は加えませんが、これまでの結果といたしまして、全体のエネルギー、こちらは実はエネルギーの総供給量をもってGNPとの対比をしたものでございます。
 右下がりのグラフがそのGNP原単位エネルギー使用量というふうに言えるものでございます。昭和四十八年から平成二年までの間でこの原単位が三六%改善されたというふうにお話ししておりますのはこのことでございます。
 しかし、ごらんいただきますように昭和六十一年からほぼ横ばいになってきておるということでございます。ちなみに、昭和四十八年のところが一回目のオイルショック、五十四年と五十五年の間あるいは五十六年にかけて二回目のオイルショックということでございます。思い起こして加えてごらんいただければ御理解いただけようかと存じます。
 八ページ目のところは、ごらんいただきますように、各国の同じようにGDP原単位を表示したものでございます。昭和四十八年をスタートポイントにしておりますが、ほぼ並行した努力の成果が各国とも出ているというふうに言えようかと存じますが、これは原単位が下がると申しますか、下の方のラインに移れば移るほどコストパフォーマンスが悪くなると申しますかお金がかかる、難しくなるということでございます。スタートポイントで既に日本の原単位、このグラフで申しますと大分低い水準にありました。ほかの国よりもさらに細かい英知を集めて努力をしてこの成果が上がっている、こういうふうにごらんいただきとう存じます。
 次のページは、通産省さんの設備投資調査から拝借したものでございますが、各主要望造業の業種別の省エネルギー設備投資が棒グラフでございます。それに適当なデータがございませんでしたので、鉄鋼業の各年のエネルギー消費原単位を重ねてプロットいたしました。
 設備投資と同時に原単位がずうっと下がってきております。つまり、設備投資の効果が順調に出ておりましたが、昭和六十二年、平成元年、投資をすれども原単位は悪くなるという時期を迎えております。平成二年、若干改善されましたが、平成三年、メッシュのところが鉄鋼業における省エネルギー設備投資額でございます。平成二年より平成三年、設備投資額をふやしましたが原単位は悪化してしまった、こういうことでございます。製品の内容が変わってきたとかというような背景があろうかと存じます。
 次へお進みいただきまして、次からはポイントを拾って御説明申し上げたいと存じます。
 さて、こういうエネルギー原単位減少、効率改善は一体どこから出てきているのだろうかということでございます。
 大部分は産業部門で出されているわけでありますが、左側、各業種ごとに「改善の方法」というふうに書いた欄がございます。そこをごらんいただきとう存じます。一番左側の二重丸、操業技術・運転制御の改善。業種によりましてはこの努力でもって四〇%から六〇%ぐらいの省エネ効果を上げたというふうに言われる業種もございます。つまり、むだな運転をしない、あるいは操業の方法を変える。したがって、ほとんど省エネルギー技術、ノーハウと言えるような分野のものでございます。
 それから、二つ目が生産工程・設備の改善でございます。この生産工程・設備の改善につきましては、右側の「改善の設備等(ソフト合まず)」という欄がございますが、そこに列記されましたような設備、つまり効率のよい設備に入れかえた、改善したというケースでございます。
 三番目が廃エネルギーの回収利用ということでございまして、捨てられるエネルギーを取り戻してもう一回使う、こういう努力でございます。保温・蓄熱、そしてスクラップ利用などのリサイクルというような方法が各事業所において隅から隅まで努力が重ねられまして、今ごらんいただきましたような成果が出ておる、こういうことを御理解いただきとう存じます。
 次へ進ませていただきます。
 エネルギー効率改善の促進方法ということでございます。若干繰り返しになる部分もございますがお許しください。
 産業・企業における努力ということで、ただいま申し上げました効率改善設備投資でありますとか、技術開発の努力でありますとか、同時に操業、運転管理面の点検、チェック、改善ということになりましょうか、さらにリサイクルですとか、廃エネルギーの回収でございますとかというようなことが挙げられようかと存じます。
 同様に民生部門における努力といたしましても、リサイクル運動への協力でございますとか、あるいはごみ問題とあわせて過剰包装などを改善するというような努力も当然エネルギーの効率改善に寄与いたしております。御家庭で冷暖房あるいは照明などを自粛していただく、あるいは建築物に断熱材を使用して冷暖房エネルギーを節約するというようなものが当然効果を発揮いたしております。
 操業・運転管理面の改善支援ということで申し上げたいのは、従前からエネルギーの使用の合理化に関する法律、いわゆる省エネルギー法というのがございます。その法律に基づきましてエネルギーを管理すべき工場の指定制度、指定された工場ではエネルギー管理者を選任すべきことあるいはその事業者が努力するべき判断基準、指標を公表するというような支援措置がございます。
 また、特定の機器につきましては、その製造に当たって、燃費でありますとか電力消費量などの目標を公表するというような制度も同じく省エネルギー法の中にございます。
 ほかに、中小企業者等に対するエネルギー使用の合理化のアドバイスの制度でありますとか、あるいは工場などでのこういったQCサークルなどの改善努力、その成果を表彰したり、情報交換したりというような支援措置もございます。
 さらに、設備投資に対する支援助成措置がございます。この支援助成措置が随分これまでにも効果を残してきているのではないかというふうに考えております。
 金融面の特利融資の措置あるいは例えば住宅省エネルギーの割り増し融資でありますとかというようなシステム、ほかには、省エネルギー設備についての税制面の税額控除、特別償却の制度、ソーラーシステムやコジェネシステムヘの設置融資制度など各種ございます。この辺の支援措置は効果的に運用されて成果が出ているのではないかというふうに思います。
 省エネルギー関係技術開発、それから広報、啓蒙普及、技術情報交換というような制度も相まって、全体として今ごらんいただきましたような成果が残っているのではないか、こういうふうに思っております。
 エネルギー効率改善の促進方法、これからということでございますが、産業、企業の分野におきましては、地球保全の観点からの効率改善努力という視点が新たに加えられる必要があろうかなと、こういうふうに思っております。その視点でもってリサイクルでありますとかエネルギーの回収利用でありますとかというような努力が必要になろう。企業行動を環境調和型のものにするための検討が行われ、実践に移されるというようなこと。例えば、部品の再利用の可能性でありますとか、寿命でありますとか、燃費でありますとか、そういったような問題をでき上がります製品の内容において考慮してもらう、市民運動に協力してもらうというようないろんな問題があろうかと存じます。
 社会・生活の面においてというふうに書きましたが、リサイクルへの参加でありますとか節約、もったいない文化などを何とか回復できないものだろうか。あるいは今の豊かさは、いずれにいたしましてもエネルギーに頼り切ったエネルギーづけの豊かさではないかというふうに私の立場では思っておりますが、少しでも自然になじむライフスタイルに変化していかないだろうか、こういうことでございます。
 そのための国、自治体などでの支援措置ということでございまして、誘導、助成のいろんな広報・啓発活動あるいは省エネルギー投資促進のための金融・利子補給などの制度。現在、平成五年度の政府予算においてもお考えいただいておりますので、税制面の支援措置、さらにはエネルギー効率の改善に資する法制面の整備の御準備が進んでいるようでございますが、何とか実現してほしいというふうに考えております。
 最後に、長期的に見まして持続的に省エネルギー型社会を形成していく、これが究極の目的であるというふうに最初に申し上げました。何とかして大量生産・大量消費の社会の見直し、企業の社会的役割の認識あるいはその徹底、行動、実践というようなことにつながっていってほしいものだというふうに思っております。
 いずれにしましても、今ごらんいただきましたように、非常に広い分野での足並みをそろえた努力が必要であろうと思っております。つまり、総合的アプローチがどうしても必要であろう。
 もう一つ、特に地球環境問題としての省エネルギーは、国際的なアプローチが非常に重要、効果的でありますし、日本の貢献ということでも意義の高いものになってこよう、こういうふうに考えております。
 社会全体での環境調和型社会への変更を目指した変革ということにつきましては、例えばサマータイム制度など新しい社会制度が決断されて導入されていくというようなことが非常に重要になってくるのではないか、こういうふうに考えております。
 最後のところの「国際」のところは、ただいま御説明申し上げましたことの繰り返しになりますので、国際貢献に大変適した分野として省エネルギーの技術協力が重要であろうということだけを申し上げまして、私の説明を終わらせていただきます。ありがとうございました。
#9
○会長(浜本万三君) どうもありがとうございました。
 以上でお三人の参考人からの意見聴取は終わりました。
 これより、参考人に対する質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#10
○西野康雄君 日本社会党の西野でございます。
 参考人のお三方、お忙しい中、有益な御意見を聞かせていただきまして本当にありがとうございます。
 私も省エネだとか自然環境保護、こういうものについて人一倍関心を持っている議員の一人でございます。省エネ対策の一つとして私は何ができるんだろうかということで、去年から車を手放しました。そして、持っているとまた乗りたくなると思うので免許証の方も効力を失効させました。そういうふうな中で、公共交通の利用だとかそういうふうなものを一つ一つみんなが実践していけばいいんじゃないかなと思っているわけです。
 ただ、省エネというものをそんな中で、頭の中でころころと考えておりますと、省エネの技術が進めば進むほどかえってエネルギーを今使っているんではないか。原単位で非常にコストがダウンしてくると製品価格が安くなってくる。製品価格が安くなると、そこで使い捨ての文化が始まる。あるいは石田参考人のレジュメの四ページ目のツードアの冷凍冷蔵庫百七十リットルクラスは消費電力が随分と下がりました。しかし、消費電力が下がるということは今度は家計に余裕ができてくる、家計に余裕ができてくると今度は大型冷蔵庫を買っていく、こういうふうなことになって、結局省エネをしているようだけれどもエネルギーの消費を促進させているんじゃないだろうか、そんな気がしてならないわけです。
 ある家具メーカーの方にこんなことをお伺いしました。日本の合板技術は非常に進んでいるんだ、ヨーロッパ諸国は一本の材木からどかんと大きな机をつくるけれども日本はそうじゃないんだ、合板技術が進んで非常に安くていいものをつくっているんだ、これはもう自然保護に役に立っているんだみたいなことを言う。一つの木から幾つもの机をつくる、しかしここにも大きな矛盾があるわけです。安いから引っ越しのときにはすぐぽんと捨ててしまったりします。結局は何代も使えるそういう家具の方が本当の自然保護にはいいんじゃないだろうか、そんな思いを私はその家具メーカーの方からお話を伺ったときに心の中で思ったわけです。
 ですから、本来省エネとは一体何なんだろうか、省エネというものはどうあるべきなんだろうかということは私自身も大変に結論が出しにくいところがございますが、三人の参考人の方に、まず省エネの端緒としてその政策というものはどうあるべきなのか、省エネとは一体どういうものなのかということを御順に藤目参考人から横堀参考人、そして石田参考人とお伺いできればと思います。
#11
○参考人(藤目和哉君) 確かにおっしゃるとおり、技術が進むとか改善されるということはエネルギー代が安くなるわけで、それがかえってエネルギー消費をふやすというようなケーススタディーを我々もやったことがあります。
 これをどう説明するかということはなかなか難しいことで、エネルギーを効率的に利用するというのが省エネと言われているんですけれども、エネルギーを効率的に利用した結果、全体のエネルギー消費がふえるということもある。結果的には豊かな生活とか快適な生活というその利便性は増すわけですけれども、そういうことがあるというのは確かに事実ですし、我々もモデル計算でやりますとそういう結果が出てきたりもします。
 したがいまして、その辺は一種のパラドックスといいますか逆説的な問題で難しいんですけれども、私は省エネというのは基本的には効率的に利用するというのが中心で、快適さとか豊かさというのは時代の流れで上がっていくものだということで、一定の消費量はどうしてもふえる傾向にあるということじゃないかと思うんです。
 それに対して、結局はエネルギーの使い方といいますか、これはライフスタイルにも関係があるわけですけれども、例えば夜テレビを見ないとか、それから普通のオーディオ機器などは使わなくても今はタイマーをセットしたりいろいろしているんですけれども、数%は電気が消費されております。そういうのはタイマーを切るわけにいきませんけれども、ほかのところは小まめに切るとかということで、要するに使い方によって改善せざるを得ないのじゃないかというふうに思っております。
#12
○参考人(横堀恵一君) 西野先生が御指摘になられました問題、私は藤目参考人と同じように大変重要な問題を指摘されたというように思っております。
 難しいのは、逆に、じゃそういう省エネを促進する、あるいは安い省エネ技術ができるから物をむだ遣いするんだから価格を高くすればいいかというと、そこはちょっと私もまたそれも問題があるんじゃないかということでして、何が問題かというと、やはりエネルギーをたくさん使う、使った結果どういう不便があるかというのが実は価格ということ以外にその辺の状況でどういう負担を、例えば環境に課しているんだろうかということを実は我々自身もよくわかっていないところにあるんじゃないかと。
 そうすると、私はやはり単なる価格だけの問題じゃなくて、よく言われておりますラベリングの問題とか、それからいろいろ消費団体がやっておられるような、こうなったらこういう環境に負荷があるんだということをいろいろ情報として提供される、あるいはさらにこれを公的な学校教育の場でやるということになると、教育をされるというそこら辺が難しいことになるかもしれませんが、やはり教育の場で普及していくということしかないんじゃないかと思います。
 例えば、私は実は外国にもおったことがあるんですが、私も向こうでびっくりしたのは、意外にというとおかしいんですが、フランス人やアメリカ人というと非常に華美といいますか派手に生活するというように我々も思っておったわけですが、実は例えば古着とか使い捨てたものあるいはちょっと壊れた電気器具などをごみ捨て場というかそういうところへ持っていくとちゃんとそれがいつの間にかなくなっている。それは決して、貧しい人というとおかしいんですが、そういう人たちが持っていくというんじゃなくて、普通の人たちがそれはもったいないからもう一遍使えるじゃないかということでやっているということで、これはやはり教育の問題で、ちょっと経済観念とは違う問題で、そこのところは我々自身も少し物の考え方を考えなきゃいけないなということで、先ほど西野先生が冒頭におっしゃった、みずから車をやめられたというお話などは非常に私も耳の痛い話として伺った次第でございます。
#13
○参考人(石田寛君) ほとんど重複してしまいますので、変わった部分だけを申し上げたいと存じますが、結局、価値観の問題ではなかろうかというふうに常日ごろ考えております。
 ただいまの社会での価値体系でございますと、福祉の向上、豊かさを何とか自分のものにしたいということになるわけでございますから、それで先ほど御説明申し上げました最初のところにございましたように、原単位で議論する、効率で議論するのが最も適当な方法であろうかということを申し上げたわけでございます。つまり、豊かさを得ることとの相関になってしまうというわけでございまして、要るものは要る、しかしそれを上手に使うんだと、こういうことであろうかというふうに思います。
 その価値観という問題につきまして、エネルギー価値的な評価の体系ができないものであろうかというようなことも考えたりはいたしますが、なかなか具体的に全体の価値体系としてまとまってまいりません。ということで、私ども広報をやっております中では、とりあえずでございますが、例えばライフスタイルの変更にいたしましても、そんなにエネルギーを使わなくてもそれ相当のあるいはそれ以上の快適さを得る方法はこういうふうにありますと、暖房の方法だってこういうふうにすればそんなに油を使わなくても快適になれるんですよというようなことの幾つかを御提案申し上げるというようなやり方をいたしておる。そういうようなところで、当面のところ今の難しいテーマに対して対応させていただいているということでございます。
#14
○西野康雄君 エネルギー問題を突き詰めていくと、本当に自己矛盾というんですかパラドックスに入って、そのところが、今僕が指摘したところが今エネルギーの政策をいろいろと立てる皆さん方の本当にぶち当たっている壁ではないかな、そんな気がいたします。
 ライフスタイルそのものを変えていかなければならないし、また横堀参考人がおっしゃったとおり、そこが教育なんだ、もったいないという文化、そういうふうなものが今見直されているんじゃないだろうか。むしろ今の社会というのは過剰発展をし過ぎたんじゃないだろうか、そんな気もいたします。
 さて、藤目参考人からは世界のエネルギーの情勢を聞きました。
 アメリカは石油を輸入するときに、例えばラテンアメリカから二百万バレルを日量輸入すると中東からも同じように二百万バレル日量輸入する、その半分ずつをカナダ、西欧あるいはアフリカから輸入するというふうな形で、非常に世界各国に分散をいたしております。
 ところが日本はと申しますと、今藤目参考人がおっしゃったとおり、七〇%が中東に頼り切っておる。これは大変に日本のエネルギー政策として脆弱じゃないだろうか、弱いんではないだろうか。なぜ、アメリカのようなシステムというんですか政策というのがとれないのかな、そういうふうな思いをいたしておるわけです。その辺の御回答を得られればと思うんですが、藤目参考人、どうでしょうか。
#15
○参考人(藤目和哉君) なかなか難しいわけですけれども、一つはアメリカと日本の立地条件の違いというのがあると思います。確かにアメリカも分散化を政策としておりますけれども、幸い、メキシコとかベネズエラとかそういった近くに石油の輸出国がある。それから、中東はアメリカにとっては非常に遠いということと、確かに日本に比べればエネルギー安全保障の概念が非常に強いということがあって、できるだけ中東からの石油輸入を減らす意識というのは強いと思いますけれども、やはり立地条件がかなり幸いしているという面もあるんじゃないかと思います。
 そういうことで、反対に日本の場合は、もちろんインドネシアとか中国とかそういった地域から、あるいはメキシコなどの太平洋岸から輸入しようと努力しておりますけれども、やはり量的には非常に多いということもあって、どうしても中東から輸入せざるを得ないと。それから、一回原油で例えばシンガポールに運んできて、そこで製品にして日本に入れるというようなことで、立地条件としては中東以外から輸入したいわけですけれども、中国も人口の非常に大きい国ですし、これから国内の消費もふえていくと思います。それから、インドネシアも今は輸出国ですけれども、国内の消費がふえて輸出もだんだんできなくなるということが言われております。それから、ベトナムについては最近開発が非常に積極的に進められておりますけれども、ここの埋蔵量もそう大きなわけではないということで、どうしても中東依存度が上がる傾向にあるということです。
 そういう意味で、安全保障の観点からは、分散といっても石油以外のものに分散するというのが一つあると思うんです。それから、石油についてもできるだけアジア・太平洋地域から輸入するという方向で取り組むという意味で、やっぱりエネルギー安全保障という考え方を、アメリカ程度とは言わないですけれども、もう少し強く持った方がいいんじゃないかというのが私の考え方です。
#16
○西野康雄君 ありがとうございました。
 横堀参考人にお伺いをいたします。
 今、日本では炭素税あるいは炭酸ガス税、そういったものを環境税の一環として導入しようじゃないか、そういうふうなことも言われております。OECD諸国の若干ざる法かなと思えるような感もするわけでございますけれども、その炭素税あるいは炭酸ガス税が日本に導入されて予想される諸問題というんですか問題点、あるいはこういう利点があるんだ、そのようなもので御指摘があるならばお伺いをしたいんです。
#17
○参考人(横堀恵一君) お答え申し上げます。
 炭素税といいました場合に、いろいろその考え方が実はまだはっきりしておりません。それで、炭素税というのはなぜ出てきたかというと、先ほど私が申し上げましたように、気候温暖化をもたらす温室効果ガスの中で一番はっきりわかっているのが炭酸ガスであって、その炭酸ガスを出す一番の原因というのはいわゆる化石燃料であると。そして、これが炭化水素であるわけですが、それが非常に気候温暖化の原因となる炭酸ガスを出しているからそれに課税しようと、こういうことだと思います。
 ところが、現実に言われている話というのはいろいろありまして、実は炭酸ガスをある一定の水準で安定化させるためにはどのぐらいの炭素税をかけなきゃいけないかというと、いろいろな試算がありますけれども、かなり高額なものになるだろうと。そうすると、そのときに経済的に非常にマイナス効果がある。つまり、非常に値段的に石油製品あるいは石炭をほとんどやめなきゃいけないというようなことになる。ところが、これについてはそこまで行っていいんだろうかというような、また今の段階ではちょっとそこまでは行き過ぎじゃないかというようなちゅうちょを持つ人もかなりあるわけでございます。
 例えば、石炭というものについては今日本は余り使ってないかもしれませんが、まだ日本でも炭鉱がございます。それから、世界各国で、特に先進国の中でもオーストラリアとかカナダとか西ドイツ、ここはやっぱり石炭産業には非常にたくさんの人が働いておりまして、それでいきなりこの人たちにここの職を失うというようなことをやるということについては非常に各国とも懸念を一方で出しているという問題があります。
 それからもう一つは、実はこの炭素税を財政再建の一環に使えないかというような議論もあります。ところがこれについては、炭素税というのはなぜ使うかというと、そもそも炭酸ガスが出て、それが結局気候温暖化をもたらすという悪い結果をもたらすんですから、その気候温暖化を緩和するためにお金を使うんだったらともかく、一般的な財源としてやっていいんだろうかというような問題があります。
 それで、これがまた若干国際的に言いますと、実はOPECの諸国が、そんなことを言うんだったら自分たちはむしろ値段を上げたいというような議論もしておるということで、実は炭素税については国際的なコンセンサスというのはまだないわけです。それで、何といいますか、気は心だというような意味で、先進国の中で北欧諸国などは炭素税を導入したわけですが、これも若干シンボル的にやったわけでして、本当に炭酸ガスを抑制するということになるだけの実効があるようなことはやっていないわけです。ただ、シンボル的にもやった方がいいんじゃないかというような議論というのは一部の国であります。
 ただ、私はその前に、実は炭酸ガスだけではなくてメタンの問題でありますとかいろいろありまして、炭酸ガスというものだけを集中的にやっていいんだろうかという問題もまだ理屈の上からいうと残されておりますし、それから先ほど申しました石炭産業の問題その他もありまして、ここのところははっきりしていない。
 それからもう一つは、冒頭申し上げましたけれども、例えばいろんな国でまだ身近な、例えば亜硫酸ガス、それからNOx、この辺の規制も行われていない。それで、NOxとSOxの規制というのは一見炭酸ガスの規制、排出抑制に関係ないように思われるかもしれませんが、実はNOx、SOx規制は公害防止対策だけじゃなくて、実は省エネでかなりやられてきたわけなんです。したがいまして、省エネを促進するようなことを考えるというのが近道であって、そのためにあえて炭酸ガスというものを直接考えなくてもいいんじゃないかと。
 それから、やはりSOx、NOx対策をやるというとエネルギーの価格は上がるわけです。それで、現実に日本のエネルギー価格あるいはSOx、NOx規制をやっている国の土ネルギー価格というのは高くて、例えばやっていないアメリカの価格は安いと。ちょっと極端かもしれませんが、そういうことでございまして、むしろSOx、NOxのような対策を地道にやっていくということも炭酸ガス抑制につながるということで、これはいろいろな方策があるわけで、必ずしも炭酸ガスだけに特化していいのかどうかというのは、これは皆様方にむしろお考えをいただく問題ですが、ちょっと私はそういうように思うわけでございます。
#18
○西野康雄君 ありがとうございます。
 私も炭酸ガスだとかそういう部分にだけ絞って課税をしていくというこの考え方は若干間違っているんじゃないだろうか。時代を先取りしているように思えるし、また耳に響きのいい言葉でございます。環境税だとかあるいは炭酸ガス税だとか、そういうふうなことを言うと非常に地球がクリーンになるような、そういうふうなイメージを抱かせるわけですけれども、横堀参考人がおっしゃったとおり、大変に私自身も問題点が多いなと思うわけですが、クリーンエネルギーの話を少し石田先生にお伺いしたいと思います。
 先生の著書に「ここまできた太陽光発電」というのがございます。今、太陽というのが非常にクリーンエネルギーの代表選手だというふうなことも言われております。アモルファスあるいは結晶シリコン、そういうものを使っての太陽光発電というのが随分と盛んになっておるようでございますが、今の太陽光発電の現状とか問題点あるいは実用の可能性、そういったものをお聞かせ願えればと思います。
#19
○参考人(石田寛君) 突然のお尋ねでございますのでちょっと考え方がまとまりませんが、私がひところ太陽光発電の技術開発に関与しておりましたころの考え方を御披露申し上げて御説明にかえさせていただきたいと思います。
 もちろん、現状はその当時より少し進展しているわけでございますが、太陽光発電、一時は太陽熱を発電に利用しよう、いわゆるソーラー利用と称してお湯を使っていろんな需要に充てようと、そちらの方はまあ爆発的にとはまいりませんが、順調に使われる形で普及しておると存じます。
 太陽光発電は、ただいまのところ国内でも何カ所か実用化されているケースが出てきております。今年度あるいは来年度あたりからデモンストレーションのための予算措置も行われまして、毎年十数カ所あるいは数十カ所の太陽光発電利用のデモンストレーション設備ができ上がるようでございます。もちろん国際的には、配電線の届かない場所での通信施設やあるいは照明施設などにスポットで太陽光発電が利用されているというケースも徐々にではございますがふえてきておると思います。こういう形で、私が携わっておりましたころに比べましても、つまりここ七、八年だと思いますが、価格的にも三分の一ぐらいに既にダウンしていると思います。デモンストレーション施設のお話をいたしましたのは、そういう形で使われる量がふえていけば、それに伴って価格もダウンしていくのではないか、今やそういう時期に既に移っているのではないかというふうに思いましたので、国内外で利用されるケースの御紹介を申し上げたわけでございます。
 何にいたしましても、太陽の光を遮って発電するわけでありますから、大きな発電設備にしようと思いますと大きな面積、場所が要ります。その裏側は太陽の光が当たらなくなります。というわけで、日本の国内でどこででも大規模な発電設備にするというわけにはまいりませんが、それはそれでいろんな工夫をした使い方が現に、先ほどから申し上げておりますように、デモンストレーション設備としてスタートいたしております。使い方が見つかるわけでございますから、そういう形で使われ、普及が進んでいけば価格もそれに伴ってもっと使いやすいものになっていくのではないか、こういうふうに見通しているところでございます。
#20
○西野康雄君 ありがとうございました。
#21
○楢崎泰昌君 楢崎でございます。きょうは参考人の方々、お忙しいところありがとうございます。
 言うまでもなく、エネルギーの問題というのは一国の経済、国民の生活、そして国民の運命を左右する非常に大きなテーマであろうというぐあいに思っております。特に、日本のようにエネルギーをほとんど他国に頼らざるを得ないというような国では非常にバイタルな問題であろうと思うんですけれども、現に戦後においても第一次石油ショック、第二次石油ショック、そして湾岸戦争の折等々、石油の問題が非常に我が国の命運を左右する大問題として取り上げられました。
 また、私は戦前に生活しておりましたので、石油の一滴は血の一滴というような言葉を今鮮明に覚えているわけでございますけれども、エネルギー問題は、従来供給源としての問題が大きく論じられることが多くて、もちろん現時点においてもそれが非常に重要な問題であることは間違いないと思いますし、先ほど御質問がありましたように、石油の供給をどうするのだというような問題も話されましたけれども、やはり節減の問題というのも非常に重要なテーマだと思っています。先ほど御説明をいただいた我が国経済の発展に伴う原単位の推移を拝見しますと、非常に我が国が努力をしている。三六%の節減が石油ショック以来行われたという事実を知りまして、大変感銘をいたしているところでございます。
 しかし、最近エネルギー問題についての視点というものが非常に変わってこざるを得なくなった。まあ、伏兵があらわれたというんですか、それの一番大きな問題はやっぱり公害の問題だと思います。我が国ではSO2あるいはNOxの問題というのはほとんど解決されき始めているように思われますけれども、今やはり一番大きな問題はCO2の問題であろうというぐあいに認識をしているわけでございます。すなわち、地球温暖化効果というものをCO2が持っている、そのCO2の発生をどういうぐあいにして抑えるかというのが今日のエネルギー問題の焦点になり、そして大きくエネルギー問題の将来を左右する要素となっているように思っております。
 もちろんのことながら、地球環境の問題は我が国だけで片づく問題ではありません。世界の各国と協調してやらなくちゃいけないということで昨年六月にもサミットの世界会議が行われ、我が国の総理大臣は残念ながら出られなかったというような事情もございましたけれども、世界的に解決しなければいけない問題だと思います。現時点においてはCO2を中心として、その視点のもとにエネルギー問題を十分論議する必要があるかと私は思っているわけでございます。
 そして、このCO2の問題というのは、その一番の端緒というものは随分前から議論されていたようでございますけれども、一九九〇年の八月に気候変動に関する政府間パネル、IPCCの報告書で、現状のままで温室効果ガス、二酸化炭素等の排出が続けられるならば、過去一万年の間に例を見ない急激な温度上昇が生じる、その結果として重大な影響を地球に及ぼすであろうということが指摘され、早急な対策の実施の必要性が指摘されたのだと思います。
 横堀参考人にお伺いをいたしたいのですけれども、参考人はこの政府間パネルに大変関与されたお方と承っておりますが、どうもはっきりしない話が多いんですね、私が知っている限りではという意味でございますけれども。急激な温度上昇が生じる、それから地球に重大な影響を及ぼすということはそうなんですけれども、先ほど御説明いただいたように不確実性の問題が非常に多いんだ、こういうお話してございました。どうも不確実だからと余り言われても困っちゃうんですね、これは。それではどこまでが地球に対する影響が確実で、どこから先が不確実なんだというようなことは恐らく議論をなされていると思うんです。
 伺いますと、IPCCには全世界の気象学者がほとんど参与されて下した結論であるというぐあいに思っていますから、現在の科学的レベルのもとでは考えられる限りの正確さを持って指摘されているんだというぐあいに思いますが、私どもから見ると、どうも不確実性だと言われるとあれだし、海面が上昇すると言われてもどうもぴんとこないしというようなことがございまして、まず出発点としてこれがどの程度の確実性を持ち、どの程度の不確実性を持っているかもしお教えをいただければ幸いだと思います。
#22
○参考人(横堀恵一君) お答えいたします。
 ただいま楢崎先生がおっしゃった点でどうもはっきりしないというのは、実はかなり、ある意味では言い過ぎになるかもしれませんが、今まさにおっしゃいました政府間の気候変動に関するパネルに参加した多くの人たちがまた思っているところだろうと思います。
 それで、結局やっぱり万が一のことがあったら困る、万が一以上のことがあるのじゃないかというのが大体みんな持っている懸念でございまして、じゃ、一体どういうことなんだということでございますが、例えばなぜ海面上昇するかというと、温まって海水が膨張するから上がるんだということなんです。上がったらどうなるかというと、これも受け売りでございますが、例えば十センチ上がったら津波といいますか、それが起こったときは津波の高さは三十センチになる、増分が三倍になるというようなことのようでございます。したがって、一メートルですと三メートルになるというような、これは一つのいろいろ難しいモデルを使って専門家の方が予測されたものですから、例えばそうなってしまうということで、そうなったら大変だということになります。
 そこで、じゃ何を考えているんだというと、対応策の方で考えておりますのは、まずそうなったときに、気候変化が起こっちゃったときにどう対応するかという、これを適応策と言っております。一番手っ取り早い話が、例えば堤防をつくるとか海岸線の危ないところにある施設は奥地へ移すとか、こういう検討というのが一方で進んでおります。それからもう一つは、私どもエネルギー関係者が考えなきゃいけないのはエネルギー対策の方を考えなきゃいけない、こういうことでございます。
 それで、先ほどの一九九〇年の報告には、実は特効薬はないんだと言っております。特効薬がなくて、じゃどういう措置をとればいいのかと。
 これもまた抽象的な話ですけれども、要するにいろんな対策、例えば省エネ、代エネがありますが、その中で経済的にも合理的であって、そしてそのほかにも社会的、経済的に利益の、得の多いそういう政策をとらなきゃいけない。例えば、省エネがそういうことでございますが、そういうものからとらざるを得ない。ただ、どの政策をどうとるかというのは、これはやはり各国が違う状況に置かれている。自然条件から始まりまして社会的条件も違いますので、それは各国で考えなさいと、こう言わざるを得ない。
 今の段階ではちょっと抽象的ではございますが、また具体的なお話は後の御質問のときにお答えさせていただくということに。
#23
○楢崎泰昌君 大変恐縮ですけれども、なかなかこうなんだというような数字的な明示が難しい問題である。しかし、気象学者の間ではそういう傾向線上にあり、いずれかの時期に海面上昇のような地球的変化が起こるであろうというような御予測のように拝聴をいたしました。
 我が国はそれを受けて、その懸念が十分あるんだという認識のもとに平成二年に地球温暖化防止行動計画をおつくりになった。これが今日のエネルギー対策の一番の大きな眼目になっているように私は思うんですけれども、最重点としてその中で二酸化炭素の排出抑制についての目標を立てられたというぐあいに認識をしております。一人当たりのCO、排出量は二〇〇〇年以降おおむね一九九〇年レベルまで持っていこう、こういうお話のように私は認識をしているんです。
 先ほどの表を拝見していますと、世界の各国でCO2の排出量がまるっきり格差があるわけですね。むしろ、我が国が一番優等生でもう本当に一生懸命やっているんだ。だから、サボっていいというわけじゃなくて、我が国も地球温暖化防止対策のために一生懸命努力をしなきゃいけないし、その模範国となっていろいろ国際貢献が課せられている、また期待されていると思います。この面においても我が国は頑張らなきゃいかぬというぐあいに思っているんですが、世界の各国はどのような取り組みをやっているんでしょうか。
 先ほどざっと一覧表的に見せていただきました。しかし、私の耳には、いや実はヨーロッパの諸国は美しいことを言い過ぎちゃったんだけれどもなかなかできないねというような話もあります。アメリカはどうもそっぽを向いているんじゃないかというような話も承っていますが、参考人の御所見、お感じはどうなんでしょうか。また、日本はこういう立場の中にあって環境問題について、特にCO2について世界に大きな役割を果たし得るというぐあいにお考えなのかどうか、横堀参考人に重ねてお伺いをいたしたいと思います。
#24
○参考人(横堀恵一君) お答えいたします。
 私は、各国ともそれぞれ非常にまじめにこの問題に取り組まなきゃいけないと考えていると思います。それで、日本の場合もそうですし、よその国の場合もそうですが、ここに掲げた目標というのはそれぞれの国において官民挙げて取り組まなきゃいけない。それで、最大限の力を挙げて達成しなきゃいけないんだというのがそれぞれの国の当局者の方々あるいはその決定に参加された方の共通認識であるわけです。
 ところが、率直に申しまして、いろいろ難しい状況がそれぞれの国にあります。例えば、ドイツあるいはほかの国ではこれまで化石燃料を、特に石炭などを、それから褐炭、こういうような質の悪い石炭をたいていましたから、そういう国ははたから見ると比較的簡単にそういう目標を達成されるんじゃないか。なぜならば、褐炭の発電所をやめて天然ガスの発電所に変えればいい、こういうようなことになるわけです。
 それから、アメリカについても、よその国からいえば、アメリカのエネルギー料金は安いから値段を上げればいいというようなことになるわけですが、ところがそれぞれ、ドイツの場合は、東ドイツと西ドイツの合併といいますか、一つになったということに伴って東ドイツ対策に非常にお金が要るということになったし、それからまず東ドイツというのは危ない原発の運転をとめたというようなこともありまして、そうなると電力を供給するためにはちょっと、ちょっとといいますか、環境的には問題のある褐炭などを使っている発電所も動かさなきゃいけない。
 それから、アメリカにおきましては、エネルギーの値段は安いというのは我々も簡単に言えるんですが、我々の場合もそうですが、エネルギーの値段を例えば上げる、これは税を導入するというのは大変政治的な決断を要するわけでございまして、こういうことについてはそれぞれの国で大変な努力をしなきゃいけない。そういう意味で現実には各国とも大きな悩みを持っているというのが現実だと思います。
 それから、我が国の場合も、それぞれ省エネを最大限に使ってやるということでございますが、省エネルギーを追求する、あるいはエネルギーの需要の伸びの抑制をするというのは、これはまた政府の方でいろいろおっしゃられても、我々個人個人の、私自身を含めまして自分のやっていることを反省しますと、だからといってエネルギーの消費を節約するということになかなかなりにくいわけで、我々自身を含めましてその辺いろいろ問題があるわけですが、とにかくこの辺は各国ともいろいろな意味で問題を抱えているというのが率直なところだと思います。
#25
○楢崎泰昌君 よくわかります。各国とも一生懸命自分のポジションの中でできる限りのことをやっておられるということは仰せのとおりだろうというぐあいに思っております。我が国もその中でいいポジションを現在持っているわけですから、さらに進んで省エネに進む、CO、抑制に進むということは、大変国際的にもすばらしい貢献になるんだろうというぐあいに思っているところでございます。
 そこで、今度は石田参考人にお伺いをしたいんですけれども、省エネですね。先ほどおっしゃいましたように、自分の生活も含めて省エネというのが非常に大事なんだというお話はそのとおりなんだと思いますけれども、実はいろいろ項目で国民生活のことに関連して、いや、省エネのために包装紙を云々というようなところまではなかなか意識としてはいかない要素があるんですね。また、産業界としても第一次石油ショックのときから比べますと大変な原単位が低下をいたしておりますし、産業においてもそれが顕著に行われているわけですから、そのときにはエネルギーコストが高くなり、そして省エネを産業がやることがその企業の利益につながっていたという側面があったと思うんです。
 それで、一応それが一巡をして、先ほどの掲表を拝見しますと横ばいになってきつつある。こういう時期に、生活水準を下げてしまえといえばそれっきりの話ですけれども、生活水準を引き下げないというようなことになりますと、どうも今回省エネの効果というものがあらわれにくいんじゃないか。先ほど参考人が申されましたけれども、コストパフォーマンスというぐあいになりまして、省エネをやるには相当のコストがかかってくるという現状にあるように思います。
 御参考人にあえてお伺いをしますが、いろいろな項目を挙げられましたけれども、省エネのポイントは一体どこにあるんだ、どこが一番省エネで効果が出てくるんだと。さらに、伺いますと三六%低減効果があるということでございますが、見込みというと、政府じゃありませんからこんなことなかなかおっしゃれないかもしれませんけれども、どれぐらいなら省エネができる見込みがあるのか、お伺いができればお話をいただきたいと思います。
#26
○参考人(石田寛君) 御説明申し上げます。
 先ほど私が御説明申し上げました省エネルギー全体の状況で一つ申し上げたかったのは、これまでのように産業だけで効率改善の成果を上げる、それを期待するというのはだんだん無理になってきた。エネルギーの変換、つまり発電でありますとか蒸気をつくる部門でありますとかいうところから流通、消費、消費の形態を先ほどはいろいろ御説明申し上げましたが、そのいろんな形態全体でもって努力をしなければ、さらなる効率改善は難しいだろうということを申し上げたかったわけでございまして、全体押しなべて分担をすると申しますか、努力が必要である、こういうふうに思っております。
 個別に申し上げますと、例えば産業の分野ではエネルギー効率改善設備、工程を変更するとか、さらに高効率の設備に入れかえるとかいうことで、既に技術はありますが、まだその設備の入れかえができていないという部分が具体的にあります。つまり、効率改善設備投資残というようなものがまだございます。
 エネルギーの価格が安くなってきておりますからなかなか今投資しても回収できない、こういう状況に立ち至ってしまって設備投資せずにきょうまで来ている、こういうことでございます。そういう設備に対しましては、先ほどもちょっと触れさせていただきましたが、新たなる投資促進の交援措置をお考えいただいておりますが、そういうものが実現いたしますれば、つまり新たなる追加的な投資促進、金融・税制面の措置が実現いたしますならば、そういう投資残の部分についてもさらに置きかえが行われ、効率を改善するという部分が現にあります。目で見て判別できるというものがございます。
 それから、先ほどこれも御説明の途中で申し上げましたが、企業さん、各事業所で、今まではエネルギーコストの節減のためにという意識であったんですが、地球環境対策に貢献するという新しい観念を導入して効率改善のためのエネルギー管理、隅々のチェックをさらにもう一段徹底してやろうというような企業さんの行動が始まれば、環境調和型の企業行動という形で始まりますれば、そちらの面の効果も十分にまだ期待できるであろう、こういうふうに思っております。
 一般民生用の需要につきましては、これは支援措置がなかなか難しいわけでございまして、先ほどのように自家用車はちょっと勘弁していただいて公共機関に移ってくださいませんか、皆さんがそういう行動をとっていただければ大変結構なんですが、なかなか動きは遅うございます。そこで、教育の部門でも、あるいは私どもなどが広報啓発活動を一生懸命進めまして、価値観の変更までまいりませんけれども、生活の観念が変わっていく、こういうふうにならないだろうかと。
 その途中では、先ほども申し上げましたが、サマータイムでありますとか、あるいは長期の夏休みを導入するでありますとかいうような社会システムの変更ということも必要であろうというようなことをいろいろ考えました。先ほど藤目参考人の御説明の中にもございましたが、これまでの省エネ対策を継続するだけで、つまり新たな省エネ対策を追加せずに今の消費が続くと四億二千万キロリットルから四億三千万キロリットルの消費量になるだろうという数字が示されておりましたが、これが先ほどの二〇〇〇年で一九九〇年レベルのCO2発生量に抑えようという目標を達成するためには、実はその目標の数字のさらに三千万キロリットルから四千万キロリットルぐらい上をいってしまう、こういう図面がございました。
 思い出していただけると存じますが、今私が申し上げましたような幾つかの追加的な支援措置をとりますれば、ほぼ三千万キロリットルぐらいは効率改善ができるのではないか。産業部門では千三百万キロリットル、民生部門では八百万キロリットル、運輸部門で何とか頑張って九百万キロリットルというような数字が出ないだろうかというような推計も部分的にはいたしております。
 それに、社会制度の変革でありますとか、あるいは未利用エネルギーを回収してお湯の供給に使うとかいうような環境調和型のコミュニティーが何カ所かスタートするようになりますれば、四千万キロリットルの省エネルギーということもあながち不可能ではないのではないか。何とかそれを目標に頑張ってみようではないか、こういう気持ちでただいまおるということを御説明申し上げます。
#27
○楢崎泰昌君 省エネルギー対策の必要性、大変よくわかりました。
 最後に、藤目先生にお伺いをいたしたいと思いますが、藤目先生のレジュメの中でトレンドケース一、二、三というぐあいにございまして、自然体のケースはこうだよと、こういう数字を拝見しております。それで、レジュメの中で、七ページでしょうか、表二で「一次エネルギー供給シナリオと政府見通しの比較」というぐあいにございます。トレンドケースというのは自然体のケースであるというぐあいに認識をいたしました。また、政府見通しは、先ほど申し上げた政府の温暖化防止行動計画にのっとって供給源についての試算をされたものと承知をしております。
 これを拝見していますと、水力はそうでもないんですけれども、地熱それから新エネルギー、そこら辺の開差が非常に目立っているように思います。また、水力についても若干どうかなというような数字も出ておりますけれども、それはそれぞれ水力ではダム地点が非常に難しいとか、地熱では国立公園内が発生源でございますからこれもなかなか難しいとか、新エネルギーは、先ほど太陽光のお話が出ましたけれども、しかし開発には相当時間がかかるね、コストはどうだろうかねというようなお話が多分重なっているんだというぐあいに思います。
 私は、どうもその中で原子力発電についての開差が非常に目立っているように思うんですね。恐らく、CO、発生を見ると、石炭が一番多く、石油、LNG、そして地熱、その他所エネルギーあるいは原子力、こういうような順番になるかと思うんですけれども、我が国では、原子力発電についてチェルノブイリあるいはスリーマイル島等での地域的なあれがなくなったというお話が先ほどございましたけれども、そういうような危険性が原子力にはあるね、放射能は一たん漏れたらどうも長い世代残るねというような議論がありまして、少しでも危険があれば反対だというグループ、諸説が現在の原子力発電の立地が進まない大きな理由であるというぐあいに見えます。
 しかし、私が社団法人のエネルギー・情報工学研究会議というところのつい最近の原子力エネルギーに対する世論調査というのを拝見いたしました。その設問として、原子力発電の重要性について「あなたは、原子力発電が今後の電力需要を満たすのに、どの程度重要になるとお考えですか。」という設問に対しまして、九二年の世論調査でございますけれども、「非常に重要」だと答えた方が三六%、「ある程度重要」だと答えられた方が四二%、七八%ですからほぼ八割ぐらいの方が原子力発電の有効性をお認めになっている。「あまり重要でない」が一二%、「全く重要でない」が五%ですから、一七%の方が原子力は容認できないというような御意見だったような感じがします。
 私は原子力の立地、発電が日本のエネルギー上非常に重要なものであると考えていますし、放射能につきましても二重、三重の厳重なチェックを日本の場合にはなすっておられるし、維持、運営も、現在のところでは大きな事故を起こしたことがないという長い原子力発電の歴史の中で、十分な措置がとられているように思いますけれども、原子力発電がなかなか立地を地域の方にお許し願えないというのは、PRというんですか、原子力発電の発電の機構であるとか、そういう安全性についてのPRが足らないんじゃないか、また地球環境という点を視野にいたしますと、原子力発電が一番地球に優しいエネルギーになるんじゃないかというようなことを考えているんですが、御感想を承りたいと思います。
#28
○参考人(藤目和哉君) 原子力については、非常にデリケートな問題で、私自身も原子力そのものを専門にしているわけではないんですけれども、原子力がスタートしたのは一九六〇年代だと思うんです。そのときにはたしか全党一致で平和利用ということで進んできたと思うわけですけれども、やはり決定的な事件は一九八六年のチェルノブイリの事件だと思うんですね。私自身も原子力発電所はよく見て回りましたけれども、原子力のいわゆる核分裂の制御のシステムについては、日本では非常に安全に運転できるというシステムが確立しているんじゃないかというのを個人的には思っております。
 ただ、原子力そのものは、一つは安定供給といいますか、国内でウランもわずかな資源でできる、安定供給という意味と、それからオイルショック後は特に経済性、原子力発電が一番安いということですね。それから、最近では地球環境問題で炭酸ガスを出さないという三つの利点から推進するということで政策はとられていると思います。
 ただ、実際に日本の中では安全だとしても、チェルノブイリの事故とか、中国が始めましたけれども、中国の原子力発電所が安全なのか、あるいは台湾、韓国等安全なのかということで、外国で事故が起きた場合、日本では安全であっても影響を受けるという問題があると思うんです。これについては、民間あるいは政府ベースでも途上国の原子力発電については安全性の面で協力していますし、それから先ほども出ましたように、ロシア、旧東欧地域の原子力発電所については安全性について全面的に日本も協力するということでやっておりまして、その方向ではかなり万全にやっていると思います。
 ただ実際には、仮に原子力発電所を見学した場合には、恐らく理屈では安全な制御システムが二重三重にもできているということはわかると思いますけれども、理屈を超えた感情的なものといいますか、あるいは放射性物質に対する固有の懸念というものがありまして、なかなか立地が進まないということで、一つは理屈で理解してもらうためのPAといいますかPRといいますか、そういうことをもっと進めるべきだと思います。
 原子力の安全の仕組みについての例えば教育なども、危ないということは教科書に載っているんですけれども、安全だというのは教科書になかなか載っていないというようなこともありまして、非常に難しいと思います。研究所のトレンドシナリオ、これはいわば放置しておくと大体一年に百万キロワット級の発電所が一基ずつで十年で一千万キロワットということで見ておりまして、政府の場合には二〇一〇年までに百万キロワット級の発電所を四十基つくるということで、最大限の目標だとは思いますけれども、PA、それから安全性についての協力、それから外国への協力、あらゆる協力も含めた安全確保のシステムを、今以上の努力をしないとそこにはいかないということですから、先ほど申しましたように、安定供給、経済性、それから地球環境問題の観点から政策努力が非常に必要であるということじゃないかと思います。
 以上です。
#29
○白浜一良君 公明党の白浜でございます。
 きょうは貴重な御意見をいただきましてありがとうございました。もう既にいろいろ質問されておりますので、重複を避けまして何点かお伺いしたいと思います。
 まず、藤目参考人に伺います。
 今の話と関連するんですが、先生の方で「三つのシナリオ」、「供給シナリオ」とこう書いていらっしゃいますね。これは政府の、通産のいわゆる需給見通し、二〇一〇年まで出ておりますが、これはこの三つのトレンドで言えば大体どの辺の位置になりますか。要するに、トレンドケースと弾力化ケースの間になるんですか、それとも弾力化ケースと環境重視ケースの間ぐらいになるんですか。大体どの辺の位置になっておるんですか、政府の見通しというのは。
#30
○参考人(藤目和哉君) これは、政府の見通しは、一九九〇年の十月の段階ではGNPを二〇〇〇年まで四%、それからCO2の排出量は九〇年水準で二〇〇〇年まで安定化と、そういう政策を織り込んでつくっておりますので、いわゆる政策促進ケースというものだと思いますけれども、そういった考え方でつくられております。
 したがいまして、エネルギー経済研究所でつくったシナリオはこういう政府の見通しとは違った視点からつくっているということですね。つまり、経済成長をどの程度動かしたらどの程度のCO2の削減効果があるかとかあるいは原子力について動かした場合にどの程度CO2の増加につながるのかとか、そういった観点でシナリオを組んでおりまして、したがいまして、政府の見通しは政策目標としてつくられているわけですけれども、研究所のシナリオの方はむしろいろんな、GNPを動かしたり、省エネの程度を動かしたり、そういうことによって感度を見るといいますか、どの程度影響があるのかというのを見るためにつくったシナリオでして、政府の見通しとはやや次元が異なった見通しであるということであります。
 したがいまして、政府の見通しは、この三つのシナリオとは別の次元でつくられているというふうに見ていただいた方がいいんじゃないかと思います。
#31
○白浜一良君 別の次元というのはよくわかるんですけれども、要するにこれを見ましたら、政府見通しも含めて供給確保のためにどうしても原発のいわゆる理解を高めなきゃいかぬという、そういうお話も今あったわけでございます。しかし実際問題、かってこの調査会でもエネルギー問題をやったことあるんですけれども、石油を落とすために原子力を上げているだけの話なんですね、ざっくり言いましたら政府の見通しというのは。
 だけれども、実際問題これだけ原発できない。二〇〇〇年で五千五十万キロワットですか、こういう中期見通しになっておりますが、とてもじゃないけれども、今計画中でもこれだけできないんですよね。それは違った観点でいろいろお考えになっているんですが、要するに省エネルギーというか、CO2だったらCO2をベースに考えたら、それを抑えるためにクリーンエネルギーということでよく広報されるんです、原子力というのは。
 だけれども、現実的な問題として立地上非常に無理があるということもございますし、このトレンドケースを見ましても二〇〇〇年で四千五百五十万キロワットですか、こういうふうになっておるわけですが、非常にまだまだ原発の立地そのものが難しいという状況の中でエネルギー全体の供給を、当然省エネという流れをつくると考えでどのように考えたらいいのかということを伺いたくて、どの辺の位置にあるかということを私は伺ったわけでございます。
#32
○参考人(藤目和哉君) 原子力についてはなかなか見通しをつくること自体が難しいわけです。そういう意味では考え方としては弾力化ケースが相当すると思うんですけれども、原子力についてはもちろん立地の地点がどの程度確保できるかとか、あるいは既存のサイトで増設がどの程度できるのかということで、サイトごとにチェックしないとなかなか難しいわけです。
 一方、住民感情とかそういう人間的なものも絡んでおりますから、見通しは非常に難しいわけですけれども、この私どものシナリオの弾力化ケースというのは、原子力は今総発電量の二七%を占めております。政府の見通しは二〇一〇年までに四三%に上げようということですね。これは目標だと思いますけれども、この弾力化シナリオでは原子力が総発電量の三分の一まで上がるという考え方をとっております。
 原子力への依存も含めて電源の多様化という問題がありますから、原子力だけに余りに頼るというのも問題かもしれません。そういう意味で、ここでは原子力が三分の一、それからたしか天然ガス発電も三分の一ぐらいだと思います。そういうことで、電源の多様化という考え方でこの弾力化シナリオというものはつくっております。
#33
○白浜一良君 もう一点。
 御専門じゃないという話あったんですけれども、いろいろそういうエネルギーの長期需給の動向を考えられる場合、二〇二〇年ぐらいをポイントにした、今よく問題になっておりますいわゆるプルトニウムの問題ですね。だけれども、欧米社会はほとんどいわゆる増殖炉はやめているんですね。日本だけが一生懸命開発しようと頑張っているんですが、当然研究所としてエネルギー需給の見通しを考えられる場合、そういう今の通産省の考え方というのをベースにやっぱり考えられるんでしょうか、どうなんでしょうか。
#34
○参考人(藤目和哉君) 通産省の考え方をベースにといっても具体的にどういうことか少しあれなんですけれども、もちろんプルトニウムの問題はまたなかなかデリケートな話なんですけれども、御存じのように、ウランだけではウラン資源の〇・五%ぐらいしか使えない。高速増殖炉の路線をとれば、最終的には六〇%ぐらいのウランが資源的に有効に使えるということです。
 ただ、経済性からいいますと、ウランの需給の関係が非常に緩んでいて、ウランの価格は安いということで軽水炉でウランを使う方が経済的であると。ただ、高速増殖炉はできたとしても二〇三〇年といった、そのころの話ですから、今から四十年あるいは五十年後の話なので、かなり長期的な問題だと思いますね。
 したがいまして、原子力を発電すれば当然原子力の使用済み燃料というものが出てくるわけですから、これをリサイクルしてプルトニウムで使うということからいっても、いわゆる使用済み燃料という一種の廃棄物ですけれども、この廃棄物の有効利用という面もあると思います。考え方としては高速増殖炉は、二十一世紀に入ってかなり年月はたちますけれども、その時点で使うという考え方がベースにはあります。今、各国で中断していますけれども、長期的に考えていけばまたあるいはスタートするかもしれないというようなこともあって、特に日本だけが突出しているというふうな考え方は私自身はとっていません。
#35
○白浜一良君 よくわかりました。なかなか実際政治的な問題も絡みますから、非常に難しいんじゃないかというふうに私個人的に思っておるわけでございます。
 次に、横堀参考人にお伺いしたいんですが、先ほどいわゆる炭素税を中心とした環境税の話も出ました。どちらかというと消極的なお話とお伺いしました。
 しかし、こういう考え方があると思うんですね。コストとして税をかけるというか、そういうことがいわゆる省エネというか、できるだけエネルギーの消費効率を高めるというか、そういう効果につながる要素はありませんね。それはお認めになっているわけですか。
 それからもう一つお聞きしますが、当然一般財源というのはけしからぬ話でございますが、目的税としてそういう取った税をいわゆる環境保全とか環境対策を目的として使うという、こういう考え方もあるわけですね。そういう場合はどのようにお考えなんですか。
#36
○参考人(横堀恵一君) お答えいたします。
 炭素税であれ何であれ、税がふえると結果的に燃料代が上がる。そうすると、それは当然省エネといいますか、それを促進する効果というのはあると思います。ただその場合に、実際何がどの程度とうなるかというのはいわゆる需要の価格弾力性の問題ということでございますが、一般的に言えば、エネルギーのようにかなり生活必需品的になっているものは少々上げただけではなかなかすぐには響いてこないなというところがあります。それからいうと、例えば相当消費を抑制するのであれば、必要となる税額というのは相当高くならなきゃいけないんじゃないだろうかというのは、この辺は一般的な議論としていろいろ行われております。
 それからもう一つは目的税的な考え方でございます。実は、環境というものだけに限らなくていろいろの問題を考えてみますと、これは御承知のように、電源開発促進税あるいは石油輸入におきましては石油税というものがございます。それで、石油税で何をやっているかというと、例えばまさに代替エネルギーの開発の促進とか省エネルギーの促進、それから備蓄の推進、こういうようなものをやっております。
 それで、こういうものの考え方の背景には、石油に伴って石油の一種の外部性と言っておりますけれども、石油の供給対策が必要であるから、当然備蓄対策というものはそういうものとして含めなきゃいけないんじゃないかというのがこういう考え方の背景にある問題です。したがいまして、そういうような一般の問題としてそういう社会的な費用を税という格好で取って、そして社会的費用をその上がった財源で対応するということは一般論として日本でも相当やっております。
 実は炭素税について、じゃそれをやったらいいじゃないかというような議論があるかと思います。ところが難しいのは、実はこれが不確実性ということにもかかわってくるわけですが、気候温暖化に伴う外部性の費用を数量的に把握している、つまり炭素一トン出した場合にどれだけの被害を社会的に出していて、それは一体何にお金を使わなきゃいけないのかということについては、実はそこが把握されてない問題がございます。
 それで、そういうような状況でお金をやりますと、実はこれはいろんな計算があるわけでございますけれども、非常にたくさんのお金が出てきちゃって、そうすると、それをどこに使っていいかわからないから、じゃそれは財源確保のほかのところに使おうかというような議論が出てきます。そこまでいきますと、今度は先ほど言いましたちょっと本来の目的と違うんじゃないかという議論を誘発してしまうということでございます。
 なお、ついでに申し上げますと、先ほど申し上げました外部性の問題について、そういうものの社会費用についてわかっているものについてはやはりそれは当然規制という格好で例えば公害防止規制をして、そのためにお金を企業の方が使うなり、あるいはそれを税という格好で集めて公害防止対策に向けるというような考え方というのは一つの考え方だろうと思うんです。
 ただ問題は、各国が非常に今でもばらばらでございまして、やはり今のばらばらな状況というのは非常に各国間で難しい問題を出している。その結果、どうなっているかということでございますが、これはちょっと先ほど石田参考人が申し上げられたことにもかかわるわけですが、例えば日本では省エネルギーについては非常にぎりぎりのところまでやっています。
 実は、例えばエネルギーを同じ量節約するなら日本でやるより例えばアメリカなり中国に投資した方がいいんじゃないかという議論がございます。そうすると、むしろそういうメカニズムをどう考えたらいいか。日本だけがどんどん先へ行っていいのかどうか。もちろん日本の持っている技術を出さなきゃいけない。それから日本の経営資源といいますか、そういうノウハウを出さなきゃいけないということはございますが、そこの辺はやっぱりある程度国際協調も考えてやらなきゃいけないんじゃないかというような議論もございます。
#37
○白浜一良君 ありがとうございました。
 じゃ、もう時間がございませんので、石田参考人に一つだけお伺いします。
 本当はいわゆるオイルショックで産業用だけだっとダウンしたんですね、省エネは。民生用も運輸用もこれは当然だっと――いろいろ聞きたかったんですけれども、もう時間がございませんので、一点だけ。
 要するに、産業用でまだまだ省エネは進むと先ほどからもおっしゃっていましたですね。設備はまだ入れかえは終わっていないとか、エネルギー管理をきちっとすればいいとか、リサイクルをもつとするとか、いろいろ先ほど概略おっしゃっておりましたけれども、難点がございまして、リサイクルはうまいこといきませんね。例えば鉄でも紙でも安いからもう買うた方が安いんですよね、使うよりも。やっぱり資本主義の社会ですから、商売にならないと動かないわけです。私は大阪ですねん。大阪は特にそうです。
 それで、また先ほど設備投資の話がありましたけれども、大阪も中小企業が多うございます。それで大蔵省なんかもそうなんです。省エネ用の投資の予算を組みます。それは結構なんです。もうかるならそれは全部やります。もうかるならいいんです。もうかるための融資をもっとしてくれと言う。省エネ用の投資の予算を組んで融資枠をつくってくれても、そんなもの我々は困る。それが商売人の意識なんですよね。ですから、もうかれば商売になる、回転しますが、どうしてもそういうネックがございまして、なかなか現実進まないという点があるんですが、そういう点でその辺を解決するための何かポイントがございましたら、ひとつお教えをいただきたいんです。
#38
○参考人(石田寛君) 私も、一時リサイクルを含めて公害問題を担当いたしておった時期がございまして、大変長い期間にわたってリサイクルしたものを原料として供給するまでのルート、静脈産業というふうに一括して言われることがございますが、その辺をどういうふうにして活発化し育てるかというのが問題になっているということは私も十分承知いたしております。
 リサイクル法ができましたり、いろんな支援措置もできているようでございますし、それぞれ紙、スチール缶、アルミ缶、ガラス瓶、それから家電製品に至るまで再利用率の目標をつくって、それを達成するためのいろんな産業支援あるいは税制面の措置などというような支援スキームをあわせて、これはどちらかといえば長い目で見ましたら最近やっとそういう育成、手段、措置がスタートした、こういうふうに私は思っております。
 先ほど来のお話、地球環境問題あるいは効率改善、長い目で頑張っていかなければならない問題だと思っておりますので、そういう視点で考えますと今始まったリサイクルの円滑促進のためのいろんな措置、さらに年々手も加えられるでしょうから、そういう方向をもう少し見守っていていいのではないかな、こういうふうに考えております。
#39
○白浜一良君 ありがとうございました。
#40
○長谷川清君 きょうは本当にありがとうございます。
 最初に石田先生の方に。先ほどからずっと出ております省エネという、この省エネというのは何だというところからこの会議が始まりましたけれども、エネルギーというものはここにぽんとあるのではなく、そのエネルギーは燃料をたいてそこに資源があってのことでございますね。それが水であったり、石油であったり、あるいはLNGであったり、石炭の場合もありましょう、そして原子力という核の場合があると、こういうことでございます。
 この一つ一つの原資、いわゆる資源が地球上の中でやはり限りあるものであるから、これを売らなければエネルギーは生まれないのでございますから、ここを大事に大切にしましょうよというのがこの省エネ。だから、その精神が地球環境にも優しくという言葉ともずっと一致する理念であろうと思うんですね。ここのところが一番最初の西野先生とのやりとりの中で多少混乱というか、私はそう思うのでございますけれども、そこが一つエネルギーそれ自身をとらえて、つまりエネルギーは商品化された一つの商品でございますから、これが悪玉か善玉かという議論ではないんだと思います。
 そこで問題なのは、それを使う側の、その生のエネルギーというものを使う社会の構造、産業の一つの活動としましては、それをたいて製品化してそれを売るといういろんなことがございますから、そういう省エネの精神からいきますと産業活動の中にありましてはできるだけ自然のものを自然に返すようにという一つの概念が、消費活動の中にもそういうことが言えるのではないか、私はそのような解釈が省エネのスタート台にあると思います。
 さて、現実の問題からいきますと、政府もそしてお三方のそれぞれの皆さんも日常において大変な御努力をいただき、省エネ活動は進んでおりますし、また電力企業体もそれ自身がコマーシャルなどを通じまして自分がつくった商品である電力を余り買わないようにしてくださいと節約運動をやっているんですね。こういう現象というのはほかには例がないでしょうね。普通ならば、自分たちがつくったものは大いに買ってくださいで商売が成り立つはずでございます。
 なぜそうなっているかというと、その原点はやはり我々人間が自然との環境の中で共生していくというその一つの大いなる哲学がなければならぬのだと思うんですけれども、そういう規模からいきますがゆえに多くのファクターが、わずかな時間では言い尽くせない多くのファクターが、人間と自然、地球上のあらゆる問題がそこにテーマとして出てくるのではないか。そういう状況であるがゆえに、これは永遠に続いていく省エネ活動でなければならない、継続されなければならない。
 ところが一方、現実を見ますると、関東の規模だけで見ましても、もう神奈川県一県ぐらいの全体の消費量、神奈川県で全部使う消費量がこの三年の間にふえているわけですね。十年スパンで見まするともう倍ぐらいの需要がふえている。しかし、確かにデータにございますように、産業用は減っておりますけれども、一般家庭用がぼんとふえるという現実でございます。こういうものがやはりなかなか省エネをやってもやっても一方の数字はどんどん上るというこのギャップ、我々が願いとする目標と現実のギャップが開けば開くほど、そこに今、白浜先生からも言われたような原子力という問題に対する、我々はというよりも、政府もそれから関係者は好きこのんで原子力開発をしているのではないと思うんです。全体の量の、快適性と利便性と、なおかつ自然の環境に優しくという、それが循環していく中でこれがふえますというとそういうギャップを生ずる。
 でございますから、例えば一番クリーンと言われる風力であるとか波力だとか太陽熱、これがまた今一生懸命研究されていると思いますけれども、一%という数字にも出てこないぐらいの非常にパワーが弱いわけでございますね。一つの市町村ぐらいはかなりのスペースをとりますとその施設で供給できます。でございますから、電力会社がずっと全国にございますけれども、東京、関西、中部、北海道、九州、北陸、どこを見てももっとそれぞれの地方のある一定の地域の市町村で太陽熱というものが活用できるという、こういう状況ではないか。その現状を本当に実用化させていくには何年もかかりますね。こういう状況で、ところがこのエネルギーという商品は二十四時間ずっと出し続ける、ただの一秒も途絶えることがない、こういう製品にはそれぞれの性質というのがあると思うんです。
 そういう基盤の中で次なる、しからば今度横堀先生にそれから先をひとつお願いしたいんですけれども、環境サミットがございましたが、環境サミットのスタートは「環境」一文字のサミットで世界は集まったと思うんですね。会議が終了する段階では「環境と開発」という格好で、開発という相入れない概念が、お互いに相反する概念が二つ並んでこれが結びになっておりますが、事ほどさように世界じゅうの環境とこのエネルギーという問題は非常に難しい内容を含んでいると思います。
 そういう点で、日本のように科学技術がある程度あって、そして資金がありまして、あらゆるいろんなファクターのエネルギーの原料、もともとは危ない、危険、嫌なものばっかりですが、それをいかに完璧に安全に仕上げて、そして世のためにしていこうかと見たときに、エネルギーをそういう条件を持って開発できる国は、やはりそういうことをやっていきませんと、限りある石油をどんどんどんどんやりますと、後発国にそれを譲っていけない、こういうことが起こってくると思うんです。
 だから私は、この「環境と開発」になってしまった経緯の中には、先進諸国はどんどん石油をたいて豊かな生活をした、後発国は、あなた方ばっかりが豊かになって、我々にだって豊かになる権利があるんだ、今ごろになって環境が大事だから木を切っちゃいかぬとか石油を使っちゃいかぬとは何事ぞと、こういうやりとりがあって、結局「開発」がくっついたということでしょうね。そこら辺がやっぱり一つの大いなる世界規模におけるテーマだと思いますので、そういうことを視野に入れた上に立っての国内におけるいわゆるエネルギーの政策はいかにということ、やはりこれを考えることが必要なのではないかと思います。
 そういう視点に立って、世界規模の中におけるいま一つのファクターは、世界の人口は二〇二五年になりますと八十五億になる、今よりも三十億ふえる、しかもその九七%は後発国、今非常に経済的に困っている国々において人口爆発が起こると言われておりますから、今後の二十一世紀のテーマということになりました場合のファクターは、エネルギーを消費する側の要素はどんどん高まっていて、そして供給する側の方の問題はというと、かなりのファクターでいろいろの制約や反対や多くのコンセンサスを得づらい問題が出ておりまして、このトータル的なギャップというものを私は憂えるのでございます。今日我々がこの今の社会に生存して今あるだけの資源をみんな使い果たして、我々の孫の時代、今生まれていない人々がこれから生存しようというとき、そのころになりますと枯渇をしておると、これはやはり車代間における格差は大変なことになると思います。
 プルトニウムの問題もこれは四十年先のことではございますけれども、原子力がそうであったように、原子力も四十年前からでございますね、今程度の安定度をやっと保ち得たのは四十年たっているわけでしょう。プルトニウム、次世代のエネルギーを確保するためには、ここはひとつ藤目先生にもそこら辺のところを、次なる世代のいわゆるエネルギーはどのように今から確保していかなきゃいけないか。これは今から、今、きょう開発の研究をし始めても四十年かかるということでございます。
 そういうふうになりますというと、今の我々は我々だけよければいいという、こういう発想ていいんだろうかというところが私の問題意識でございますが、それに比べますと、現状は阻害する要素が多過ぎると思います。
 高卒は十年たたないうちにもう四十万人ぐらいいわゆる輩出量が減ってくるわけでございますね。こういうものが、やはり設備はありましても設備だけではどうにも現実に実用化できません。ハードな部分において設備や資金でございますとか、ソフトな部分において人材なくしてはこれは続かないわけでございます。したがいまして、そういう意味においては、今高卒の輩出量がどんどん減ってしまう。そして高校で、大体大学の理工系でも設備は非常に古いものになってしまっている。優秀な人材は、今まではストレートにそういうところに誇りを持って入っておりましたのが、いろんな反対があったり、やりがいがなかったり、そして銀行や三次産業へと流れていく。こういうような問題も、全部非常に複合的なあらゆる要素、要因というものを、ただ専門分野が一本調子ではなかなかいけない、こういう状況でございますだけに私は基本的な条件としまして、今のIAEAだけではなくて、別にこういう問題に対するエネルギーのいろんな意味における世界的な管理機構、こういうものを新たに確立をする必要が断じてあるものと、こういうふうに思ってはいるんです。
 一つには核の問題で、旧ソ連、ヨーロッパで核兵器が分散しておりますから、こういうことに対する危機意識があると思います。我々日本の場合には、いかに政権が変わろうとも完全なる完璧なる永遠に核の平和利用をと、こういう部分をただ憲法でうたうだけではなく本当の意味で世界じゅうにこれが認知されるような、そういうような方向に向かっての政治の責任は私は非常に大きいと思いますけれども、そういう背景が今のところまだ整っていません。そういう状況の中で何かひとつ藤目先生、いいお知恵はないものか、こういうことでお伺いをしたいと思います。
#41
○会長(浜本万三君) どうもお三人に質問したような形になっておるんですが、それじゃ順次ひとつ簡単に、石田先生からお答え願いたいと思います。
#42
○参考人(石田寛君) はい。
 大変ごもっともな御意見と思って拝聴いたしております。私のところの経験を若干申し上げて、説明にかえさせていただこうと存じます。
 かつては省エネルギーを、エネルギーの節約という意識で省エネルギーというふうに表現し、エネルギーを大事に使って次の世代へ渡すのだ、省エネルギーは次の世代への贈り物なんだ、こういう標語を使っておりましたが、今から二年ぐらい前に、どうも省エネルギーという節約イメージの強い表現が余り適当じゃないなと思いまして、新聞で広告いたしまして、今の時期で適当な言葉、アイデアがあったら送ってくださいと募集いたしました。
 そうしたら、やっぱり省エネルギーでいいじゃないかというのが一番多かったんですが、それと同じぐらいにつくるという意味の「創エネルギー」という言葉の提案が二番目に多うございました。つまり省エネルギーは、エネルギーの効率を高めて使うという意味においてエネルギーを新たにつくることに相当するのだ、今の先生のお話と同じように、石油であり、LNGであり、石炭であり、その次のエネルギー、省エネルギーという名前をつけてもいい、そういうエネルギーを新たにつくり出すことなんだ、「創エネルギー」が適当ではないかというふうに言われております。私どももそういう意識で、省エネルギーをするということはエネルギーを新たにつくり出すことなんだ、こういうふうに考えて努力をいたしております。
 エネルギー産業がエネルギー広報をやっておるではないか、全くそのとおりでございまして、大変な努力をして広報をやっております。エネルギー産業に限りませんで、製品をつくるについて、あるいはビジネス活動をされるに当たって、地球環境的な立場から今はどういう努力をしなければならないときなのか、それを具体的に憲章であったり努力目標であったり社内的にまとめられて実践をしておられるという企業さんが大変ふえているというふうに思っております。商品だからという一面だけではなくて、別な新たな観点を加えた企業行動が既に始まっているのではないかというふうに思っております。この案件は、決して二〇〇〇年で終わりではありません、永遠に続けなければならない人類の共通の目標であろうという認識でございます。先生のお説のとおりであると思います。
 自然エネルギーのパワーは弱いわけですが、とりあえず弱いパワーも引き込んで強いパワーと弱いパワーをミックスした形で、適材適所という言葉がございますが、それなりにうまく使えば使える方法がございますので、そういうものを生かして、あるエリア、コミュニティーを形成して複合、ミックスしたエネルギーの生活エリアというものを実験的につくってみて、うまくいったら隣でもやってみようではないか、こういう行動が既に始まっております。そういうようなことで二十一世紀には、全体として省エネルギー型社会に進んでくれないかというふうに期待をいたしているわけでございます。
#43
○参考人(横堀恵一君) 長谷川先生から非常に的確な御指摘をいただきました。
 確かに開発と環境の問題をめぐりましていろいろと先進国と途上国の間で意見に違いがありまして、例えば途上国側からすれば先進国の浪費を指摘し、先進国は途上国の人口増について批判するというような局面もあったわけです。しかし、こういうような議論を通じて結局何が出てきたかというと、先進国も途上国も環境問題、地球環境問題のような場合ですが、これについてはやはり共通だけれども役割が違う、ディファレンシエートという言葉を使っていますが、そういう責任を負っているんだ。だから、それぞれの力に応じて対応しようじゃないかという考え方が出てきたと思います。
 一言申し上げれば、やはり私ども相手が悪いんだということでいって、だから相手がやるまで自分は何もしないと言っていると、結局共倒れになってしまうということで、今割に先進国で言われていることは共通だが違う責任なんだということで、英語の表現に近くなるんですが啓蒙的利己主義ということで、エンライテンドエゴイズム、要するに長期的に見ると得をするんだけれども、そのために若干我慢しようじゃないかという考え方が各国のリーダーの方々にだんだん浸透しつつあるんじゃないかというのが私の楽観的な観測でございます。
#44
○参考人(藤目和哉君) 私についてどの部分が質問されたかというのがちょっとわからぬのですけれども、省エネルギーでも、新エネルギーといいますか、太陽エネルギーを含めて新エネルギー、あるいは原子力、それから石炭も最近ではクリーンに使おうということでクリーン・コール・テクノロジーというようなことできまして、基本的には技術をどう進歩させていくかということじゃないかと思います。やはりこういう新しい技術を育てていくときにやっぱり問題になるというのは、一つは資源論的なものです。例えば石炭は、非常に資源論的に言えば多い、しかしいろいろな環境を破壊する度合いが強いというような問題もありました。
 それからもう一つは、経済性の問題で石油は安いから使うということですけれども、一方、安全保障の問題があるということで、いろんな矛盾した問題があるわけです。やはり基本的には環境あるいは地球に優しいエネルギーをこれから育てていくということで、技術の開発にはそれなりのお金を投入しなきゃいけない。もちろん政府のサポートも必要だと思います。そういう意味で、短期的に経済性があるとかないとかというだけで判断するのは問題ですし、幸い日本のシステムというのは、経済性だけに振り回されないで長期に技術を育てていこうという考え方でやっていると思いますので、そういう点ではかなり長期をにらんで技術開発をしていく必要があるんじゃないかというふうに思っております。
#45
○立木洋君 お三方の参考人の御意見、大変勉強させていただいたんですが、お三方とも、結局かつてのエネルギー政策的な課題と今日大きく変わってきた、地球環境とのかかわりということが非常に重要になってきているというふうな点で、例えば省エネだとか有効利用だとかあるいは代替エネルギー、開発と供給の確保ですね、こういう問題が重要な問題になってきているということなんですが、私も全くその点では同じような考え方を持っております。
 それで最初に、先ほど来省エネとは何か、それから省エネができるのか、どれぐらいできるのかというふうな話が出ましたので、私はもう一つ進んで石田参考人にお聞きしたいのは、省エネの重点をどこに置くのかということをちょっとお聞きしたいんです。
 今、日本で供給されている総エネルギー量のうち、発電などのエネルギー転換段階だとかエネルギー消費の段階で有効的に利用されることがなくて、熱として自然界に還元されてしまうというのが六五%あります。ですから、結局有効利用されているのは三五%にしかすぎない。これはもう非常に大きな今後の人類的、技術的な課題になってきているわけですけれども、この捨てられた六五%のエネルギーを有効利用するならば、仮にこの半分だけでも有効利用できたら生活水準を下げることなくエネルギー供給の必要量を五二%削減することができるというふうなデータも出されております。
 ですから、この省エネの重点というのは、もちろん私も生産、流通、消費、すべての段階でこれは重要だというふうに思いますけれども、やはり最も重視すべき点というのは生産の段階、いわゆる企業、産業、結局総エネルギーの消費量を見ますと、やっぱり産業が五〇%を超えておりますから最も多いわけで、その中でも鉄鋼は先ほどのデータでも一番消費が多い、年間一二・七%。家庭での消費が一二・三%ですから全家庭の年間消費量を大体鉄鋼で消費しているというぐらいに相当する。ですから、そういうことを考えてみると、やっぱり生産という過程でどう技術開発をし、さらに省エネを進めていくか、有効利用を促進するかということが非常に大切ではないだろうかというふうに考えるんです。
 例えて言いますと、外国なんかでは自動車のモデルチェンジというのは大体八年から十年でモデルチェンジするわけです。日本の場合だったら大体四年ぐらいでモデルチェンジする。そうしたらなぜ十年ではいけなくて四年でするのか。それから家電なんかにすると大体もう毎年のようにモデルチェンジですね、どんどんどんどんやられている。日本ほど日常製品で使い捨てがこれほど発達している国はないというふうな状態なんかを見てみますと、やっぱりこれに対するエネルギーの消費というのは一体どうなんだろうか。
 それからまた、結局そういうふうに、売るためにいろいろなことが行われるために消費者の側でもそれをどんどん吸収していく。ところが、モデルチェンジが早いものですから、いろいろ修理しなければならない事態になっても、修理する部品がなくて、結局粗大ごみとして捨ててしまうというふうなことなんかもやっぱり生活全体の循環の中では出てこざるを得ないと思うんです。
 それから流通の部門なんかでも、前のこの調査会で行った内容を見てみましたけれども、POSという販売時点でのいわゆる情報管理をやりまして、だから、多頻度に少量の商品を輸送するそういうものに対する費用、あるいは生活自体のあり方が二十四時間社会みたいになっている。
 こういうふうなことを考えていきますと、やはりいろいろな面で省エネということを重視していかなければならないけれども、やはり重点としては企業、生産部門に置くべきではないかというふうなことを感じるんですが、その点どのようにお考えでしょうか。
#46
○参考人(石田寛君) 御説明申し上げます。
 ただいままでのところ、実はエネルギーの消費側での問題、そこに焦点を合わせて御説明申し上げてまいりましたが、しかも、それも第一回目の消費と申しましょうか、というところを重ねて御説明申し上げてきたわけでございますが、基本は、一度使ったエネルギーは熱になっておりますから、その熱になった姿でできるだけ何回でも使えるようにする。温度がだんだん下がってきますけれども、多段階に何回でも使えるようにするんだと。それでもう最後は、大分温度が低くなってから外へ出てまいりますから、その外へ出てまいりました熱をもう一回回収して使おうではないか、それがエネルギーを熱にした状態での効率化ということになるわけであります。つまり、多段階利用と回収利用ということでございます。
 既に御説明申し上げました中にも、例えば事業所、製鉄所あるいはセメント工場で使いました熱を廃熱ボイラー、回収してもう一度使うという設備がございました。あれなどは多段階利用のケースでございますね。
 それから、先ほど環境調和型のコミュニティーの話を若干触れさせていただきましたが、現にありますように、地下鉄の熱風を回収して熱供給に使えないか、あるいは川の水でありますとか下水道の水でありますとかいうものが持っております温度を回収して社会生活に使えないかというようなトライアルがあちこちで既にスタートいたしております。
 それから、きょうは消費側の立場でというふうにお断り申し上げましたので発電部門については全く触れておりませんが、発電部門でも複合的に組み合わせた発電方法をとって発電の熱効率を上げる、いろんな技術開発努力がございます。
 それは、それらの努力は先ほど先生が御説明なさいましたように、損失部分六五%をそのまま大気中に熱として放出してしまうのではなくて、回収して、あるいは放出される直前でもう一回廃熱ボイラーでつかまえて、少し温度は低いけれども次の用途に使うというような努力をしておりますので、きょう現在でも先生御指摘の六五%損失という数字は少しあるいは大分減っていると思います。つまり、そこのところを少なくしていく、それが省エネルギーの重点目標であろうということにつきましては全く先生のお説のとおりであるというふうに御説明申し上げます。
#47
○立木洋君 横堀参考人にお聞きしたいんです。
 参考人が出されておりました「地球環境問題の動向」という論説を読ませていただいたんですが、この中にも触れてあります環境に関する悪影響が出た場合の責任の問題だとか、それからあるいはそれに対する負担の問題だとかいうふうなことに触れられておるので、この点でお尋ねしたいんですけれども、地球温暖化の最大の原因、二酸化炭素の問題についてはこの中にも統計が出されておりまして、アメリカが一番多い。旧ソ連なんかを含めると全体で六五%ぐらいですか、という先進資本主義国等ではそれぐらいの量になる、六五%になるというふうな数字も出されております。
 ところが、オゾン層を破壊するフロンガスを製造しているのはアメリカ、日本、そしてドイツの三つの国の企業だけですね。そして日本は国際的にフロンガス規制に抵抗して削減目標の決定をおくらせるというふうなことも、私は外務委員会で議論したこともあるんですが、またそれを規制する以前に大企業ではフロンの駆け込みの増産をしたというふうな事態もあった。
 先ほど税の問題等が出ましたが、私はそこまでお尋ねするつもりはないんですけれども、ここに出されておる例えば先進国と途上国の責任の差というふうな考え方、あるいは汚染者負担というふうな考え方、私は基本としては、やはり汚染者がやっぱり責任を負う、汚染者が負担をする。それは設備の投資で行うか、技術の開発で行うか、税という形になるかは、さまざまな形はそれは別として、国際的にもいろいろな御意見があるということは述べられてあるとおりです。そういう基本的な点というのは明確にしておくことが必要ではないだろうかというふうに思うんですけれども、この責任と負担という点についての基本的な考え方をお聞かせいただきたいと思うんです。
#48
○参考人(横堀恵一君) 立木先生おっしゃったように、私も先ほどの御説明の中で外部費用の内部化ということも一つ申し上げましたけれども、汚染者負担だけに限らず、例えば安定供給の費用というようなことも含めまして、そういう社会的な費用も含めてちゃんと価格に織り込むべきだというのは基本的な考え方だと思います。ただ、実際にどうやるかということについては、いろいろ問題があるということは先ほど申し上げました。
#49
○立木洋君 最後に、藤目参考人にお尋ねしたいんですけれども、先ほど来原子力の問題というのは参考人のところに一番集中しておりますから、私も同じような観点でちょっとお尋ねしたいと思います。
 実は、九二年度の日本の予算を見てみますと、地球環境保全関係予算というのが十七省合わせて総額で四千九百八十四億円という金額になっているんです。ところが見てみますと、科技庁の原子力開発利用の二千六百四十五億、通産省の原子力導入促進予算の四百四十五億、これは合わせて地球環境関係予算全体の六割以上に充てているんです。つまり、いずれも原子力の発電というのはクリーンだと。だから、地球温暖化対策に該当するんだと。そういう名目のもとに原子力発電の推進を地球環境対策の費用の内容なんだとして該当させるというふうなことは、私はどうも納得がしかねるんです。
 先ほどもお話が出ましたけれども、原発の開発ができて、それはいろいろな御意見があるでしょうけれども、平和利用としては私はまだ未完成だろうと思っております。現に、日本で今稼働しているのは四十一基の原子炉、そのうち四十基までがアメリカの軽水炉ですよね。ところが、今原子炉で一たび冷却材を失えば炉心から熱を取り出す手段がない。結局、炉心溶融になる。そしてまた、核反応がその制御を失えば暴走を抑える手段がない。これはスリーマイル島の問題にしても、あるいはチェルノブイリの問題についても事故が明確に示している。これは、こういう事故が起これば大変な地球環境に重大な事態になる。これは、先ほど横堀参考人がおっしゃったように、時間的拡大あるいは環境的にも拡大する、地域的にも大変な被害を与える。
 これは、もともと美浜原発事故が起こったときに日本でもなかなか問題になって、チェルノブイリの後一九八八年の国際的にいわゆる過酷事故に対する国際シンポジウムをやられまして、勧告が出されたんですね。こういう事態に対応するようにやらぬといかぬと。私もおととし、この問題を外務委員会で質問したんです。そうしたら、絶対に通産省は日本の原発は安全だと、そんな過酷事故なんか起こることはございませんと言ったんですよ。
 ところが、ついに去年になって認めたんですね、過酷事故があり得る、そういう可能性はあり得ると認めざるを得なくなった。だから最近は、古い原発も何とかしないといけないということまで日本政府は言い出してきているんです。そういう過酷な事態で、地球に多大な影響を与えるような事故まで想定されるならば、これを地球環境のいわゆる対策費に原発の推進費を充てるなんというようなことは、これはどうしても納得できない。
 それから、もう一つ見てみますと、これは何も参考人が通産省だということで通産省とのかかわりで言っているわけじゃないんですよ、ただお考えを聞きたいという意味で例を出しているんですけれども、新エネルギーいわゆる代替エネルギーですね、これを非常に重視して開発しなければならない。ところが、ここに出されている、これは通産省からいただいたんですけれども、エネルギー対策費として新エネルギー技術関係費というのが平成元年から平成五年まで毎年減っているんです。これは代替エネルギーで新しいエネルギーを開発すべき費用というのが減って、平成元年のときの予算から見るならば、来年度、平成五年度の予算は半分以下なんですよ。こんなことで今エネルギーの問題、将来の二十一世紀の問題を展望したときに、新しいエネルギーの技術関係費をこんなに減らすような予算の決め方で本当に日本のエネルギーはいいんだろうか。
 これは、考えてみますと、もちろん太陽エネルギーだとか風力なんかによる新エネルギー、私も去年視察に行きましたけれども、もちろんこれは高温熱だとか、一度に大量のエネルギーを必要とするような用途にはこういうのは向かぬと思うんですね。しかし、少なくとも製造業では一八・九%を占める低温熱の一部、これでは太陽熱だとか地熱だとか、自然エネルギーの利用の可能性は多分にありますし、それから照明などの電源にしても、大電力を要するモーターを除けば、これらの自然エネルギーを利用するということができる。家庭でももちろんこの需要というのは低温で低熱、低圧、これがほとんどですから、自然エネルギーの開発の重要性というのは多分にあると思う。
 ところが、今は依然としてこれはなかなかコストが高いというふうなことが盛んに言われております。だけれども、国としてはそういう研究にもっと予算を投じてやるのが当然ではないだろうかと見えるんだけれども、五年間の推移を見ると、もう五年間に半分に減らされてしまっているというふうな事態。それから問題は、どうしてもやっぱりそのエネルギーを現実に実用化していくということになれば、今のようなコストの状態で、試験的な状態から言えばもっとコストをダウンすることだって可能だと思うんです。そういうことを考えるならば、今のような国の予算の組み方あるいは原発なんかを推進するようなものに出しているお金が、地球環境に対する保全の対策費なんだというふうな格好で予算を組むなんというふうなことはいかがなものだろうかというふうに思うんで、藤目参考人の御意見をいただきたいと思います。
#50
○参考人(藤目和哉君) 私が政治家ならもっとうまく答えられると思うんですけれども、私も研究所育ちでお役人にもなったことがないんであれなんですが、原子力が地球環境対策になるかどうかというのは、これは議論の分かれるところだと思いますけれども、地球温暖化とかあるいは地球の酸性雨ということに限定した場合にはならないということだと思うんですね。だから、ほかの放射性物質の問題についていろいろ考えた場合にはあるいは違った視点もあり得るということじゃないかと思います。
 それから、予算の配分については、私もそういうことは余りよくわかりませんけれども、地球環境対策という定義が今私が申したような定義であれば、地球温暖化とかあるいは酸性雨対策とかですね、そういうことであれば地球環境対策になると思います。
 新エネルギーについては、私どもの研究所の見通しは政府の見通しよりむしろ商業化については悲観的なんですけれども、ただ新エネルギーの技術開発に対しては資金を重点的に投入すべきだ、これは何でもかんでもじゃなくて、例えば先ほど触れられましたように太陽光発電とか非常に実現性のあるものについてはもっと重点的に資金を投入すべきだ、あるいは国のサポートも強化すべきだという立場をとっておりまして、もし減っているとすれば、私の個人的なあれですけれども、新エネルギーへの国のサポートはもっと長期的な視点に立って強化すべきだというふうに思います。
#51
○萩野浩基君 民主改革連合の萩野でございます。
 お三人の先生方には、私も長年教鞭をとっておりましたが、大学の講義は大体九十分で、幾ら長くやっても九十分。それから、私も国際会議とかいろんなものに出ていますが、普通二時間でティーブレークが必ずあるんで、それをこのようにやっているというのはまさに省エネなのかなと思いながらも、三人の先生、大変お疲れじゃないかと思います。そういうわけで、私がくどくど言うよりも、あとまだ私の後にいらっしゃいますし、時間も予定は四時半ということでございましたので、ディテールにわたりましては同僚の委員の方がおっしゃったので、私は十八分時間いただいておりますから、私のちょっと感想を述べ、その辺を配分よくお三人の先生方からの御意見を拝聴できればと思っております。
 私、この暮れからお正月の間に、御案内のホノルルにありますウエスト・イーストセンター、あそこでグローバルコミュニティーという大きいタイトルで会があったのですが、その中の一つのブランチで、私、基調講演を一年前から頼まれていましたので、行いました。
 そのときのやりとりの中で、いろいろ出てきたんですが、一つは、先ほど来CO2の話が出ておりますが、先生方御存じと思いますが、ただハワイにおいてだけ三十年間ずっとCO2がどのように変わっているかというのをとり続けた。確かなデータ、それ一つでしたね。ちょっとその名前を私今思い出せないですけれども、そういうところから、確かに完全に環境が破壊されておるということは事実だ。
 そこで、地球に優しい我々の発展ということ、先ほど来出ておりました先進国と後進国の間で考え方がそれぞれ違う、そういう中でいかに調整をとっていくかというのが非常に大きな問題だと思います。中には大変ひどい意見が出ておりまして、地球を滅ぼしていくガンは人間なんだ、だから人間自体が考え方を、価値観を変えていかなきゃいけない。発想の転換、ニュー・ウエーズ・オブ・シンキングというような表現で、そのとき大変な議論になったわけです。怖いことを考えますと、今我々が使っている石油というのは本当は動物の死骸ですね。だから、あるときに大変なことが起こったんだろう。石炭にしても同じです。そういう意味から、開発と、そしてきょうは実に二つの大きな問題を抱えたテーマで、省エネの問題。それから産業、資源をどうするか。
 そういうような二十一世紀に向けたエネルギーと、そして地球環境というようなことを考えるときに、先ほど来出ておりますが、やはりクリーンなエネルギーということは、これは地球に優しいエネルギーですからみんな望んでおるんですが、大学での傾向を見ていますと、私が大学に入った当時は、もう理科系の中でも特に原子力だとか物理学、そういう方にみんな向いていたんですね。私も本当はそっちに行こうかと思ったぐらいです。だけれども、今私の同僚の大学教授から聞きますと、人材が何か少なくなってきた、いい人材が来ないということを言っております。特に新しい分野の研究というのは、例えば水素を利用しての二十一世紀の新たなエネルギーというような問題では北海道大学あたりがやっていたり、そういう分野でやられておる。そういうのを見ると、先ほども出ておりましたが、やはり人材ということが大事じゃないか。
 また、我々はある意味では産業と資源というのは、アンビバレンスなものをいかに総合的に調和さしていくかという面で非常に重要ではないか。私は初めてこの調査会の方に加わったわけですけれども、大変とりとめもないことを言いましたけれども、日本だけではやっていけないということをとっても感ずるんです。
 この前中国に行きまして、中国ではあれだけの、今言われている人口プラスもしかしたら隠れている人口を加えるともう幾らになるかわからないというような数字も出ております。先ほどもこれも出ておりましたが、大気は常に流れておるわけですから、日本で幾らやっても日本だけではだめだというようなんで、例えばODAの使い方においてもやはりグローバルな視野に立っていろんな面から考えていかなきゃならないんじゃないかというのも実際に感じてまいりました。
 大変とりとめのないことを申しましたけれども、人間というのはやはり便利で能率的で豊かであればこれを望むのは当然と思いますけれども、限られた地球環境の中に我々は存在するんだという哲学、やはりそういうようなものをベースにしながら考えていかなきゃならないんじゃないか。産業と資源エネルギーというのは、これをいかにインテグレートしていくか、アウフヘーベンしていくかというのは大変難しい問題だろうと私自身悩んでおるんですが、与えられな時間、ちょっと長くしゃべってしまいまして少なくなりましたけれども、お三人の先生方に、きょうお話しになった以外でも結構でございますから、少し御意見を聞かしていただければと思います。
#52
○会長(浜本万三君) それじゃ、石田参考人からお述べいただきましょうか。
#53
○参考人(石田寛君) 本日のやりとりの途中に、それは価値観の問題ですねという部分がございました。ただいまの先生のお話も全く感銘深く承っております。価値観といいますか、生活哲学、習慣、こういうことでございますから、文化論的なアプローチが、たとえそれが百年かかろうとも決して時間がかかり過ぎということはないのではないか、こういうふうに思って日々の私どもの省エネルギーセンターとしての仕事も続けさせていただいているということを御報告申し上げたいと思います。
 それから、ただいまの先生のお言葉の中で、人材という言葉をちょっと拝借いたしまして一言御説明申し上げたいと思うんですが、省エネルギーをどうやって進めるか、省エネルギーの技術、特に産業の分野では、これはもうそこの事業場にくっついてあるノーハウでございます。ノーハウですから、これは人の頭の中にあります。人の頭で考えて、その知恵を結集してどうやって効率よくエネルギーを使おうかという経過をたどって成果が出てくる、こういうことであります。
 それからもう一つ、これも本日の質疑の途中でございましたように、近隣、中国でありますとか、韓国でありますとか、タイランドでありますとかというようなところでうまく技術が生かされれば、大変効果的にエネルギーの効率利用も、したがってCO2の抑制効果があらわせる。そういう技術をうまく生かす、これもまた先ほど申し上げましたように、そもそも省エネルギー技術はノーハウとして人についておりますから、そういったところで人材を育成する。大変重要なテーマに当面なっているというふうに考えております。
 終わります。
#54
○参考人(横堀恵一君) 三点申し上げます。
 第一点は、エネルギーをそれぞれクリーンにきれいに使わなきゃいかぬということだと思います。それから第二点は、やはり身近な環境問題から手がけていくということでありまして、三番目はその上で一石二鳥、三鳥の政策をとっていただく。つまり炭酸ガスだけとかそういうことじゃない政策。そういうことじゃないかと思います。
 以上でございます。
#55
○参考人(藤目和哉君) おっしゃるとおり、いろんな技術の問題も含めて、ハードウエアだけでなくて要するにソフトウエアというのが非常に重要じゃないかと思います。ソフトウエアというのは具体的に言いますと、教育の仕組みとか訓練の仕組みとかいろんなシステムといいますか、そういうものを考慮したものをやっていかないと身につかないということではないかと思います。
 以上でございます。
#56
○萩野浩基君 なるべく私も時間を省略いたしたいと思いますが、一番短く御答弁いただきました横堀先生に、先ほど人材とかそういう総合的なことをおっしゃいましたですわ、これから大切だというのを。私、大変なるほどと思って聞いたんですが、ちょっと先生、その辺もう少しお考えを聞かせていただければありがたいと思います。科学技術の方のこれからつくり出していく人材が今不足しているんではないかと私考えているんですけれども。
#57
○参考人(横堀恵一君) 非常にこれは人生観にかかわる問題になりますので、全く個人的な意見でございますが、やはり科学技術の方に学ぶ人たちに、これは生きがいがある仕事をやっているんだということですね。先生方これまでおっしゃったことの中で、やはり生きがいとかそういう価値観があるような生活の仕方をしなきゃいけないんじゃないかということをいろいろ指摘されていると思いますが、やはり教育の面でも科学技術というものがそういうものに役立つんだという確信を植えつけていただくように先生方にぜひ御指導していただきたいと思っております。
#58
○萩野浩基君 やはりこれには予算をもっとつけなければならない。そういうと、明るい未来のためには我々政治家たちに責任があるんじゃないか、そのように感じました。
 きょうは本当にありがとうございました。
#59
○武田邦太郎君 藤目さんにお伺いします。
 私は、新聞記事ほどの知識もない人間でございますので、非常に初歩的なお尋ねですが、二十一世紀に向けてエネルギーを考える場合、物理学の前進方向を見ますと、これも素人考えですけれども顕著な二つの方向があると思います。一つは宇宙に広がっていく、一つは極微の世界に入っていく。そういう方を考えて、即断的に言ってしまえば、供給源が豊かでクリーンな究極の人類のエネルギー源というものは、これは太陽エネルギーと核融合に帰着するのではないかと思うんです。
 それで、それが非常に見当違いでなければ、国も現在の予算を数倍あるいは十数倍、場合によっては国連に先進国の予算と人材を集めて研究を深めあるいは人材を養成するということが歴史的な課題になるのではないかと思いますが、これ見当違いではないでしょうか、お伺いします。
#60
○参考人(藤目和哉君) 二十一世紀のエネルギーを考える場合ですけれども、よく石油とか天然ガスとかそういうものには非常に資源的に限りがある、ウランなんかも限りがあると言われているわけですけれども、普通言われているよりはかなり大量にあるということで、恐らく二十一世紀中に石油がなくなるとかそういうことはないと思います。したがいまして、いろいろなエネルギーを多様に使っていくということが重要で、核融合についてはまだどうなるかということさえわからない段階だと思います。それで、太陽エネルギーはもちろん使っていかなきゃいけないと思いますけれども、最大に利用できたとしても恐らく一けたのパーセントじゃないかという見通しをしております。
 したがいまして、既存のエネルギーも含めて、新しいエネルギーも加えて、いろいろな多様なエネルギーを使っていくということしかなくて、永遠に解決するような方法というのはまだ見当がついてないという状況じゃないかと思います。
#61
○武田邦太郎君 その次に、横堀さんにお伺いします。
 今、途上国の人口は人類の七五%を超えているんですか、これが百億になるころには恐らく八〇%をずっと超えるだろうと思うんです。この場合に、すべての途上国がその国民経済がテークオフ水準まで上がった場合、今の程度の石炭、石油、一部原子力ですか、この程度のエネルギーで、そういう状況に達した場合、テークオフの水準に達した場合、地球環境がどの程度悪化するのか、そういうことは研究がどこかにありますでしょうか、お伺いします。
#62
○参考人(横堀恵一君) 簡単な試算はございます。そのときの状況は、例えば炭酸ガスについて言えば、たとえ先進国が今の状況で抑えたとしても、あるいは減らしたとしても、地球全体の炭酸ガスの排出量というのははるかに何倍もの量になるという試算がございます。
 ちょっと私はその資料をここには持っておりませんが、それは割に簡単な試算でございますので、探して、もし必要であればお届けいたします。
#63
○武田邦太郎君 よろしかったら、後でも結構ですから、御研究の結果をお教え願いたいと思います。
 今のような数字を拝聴しますと、人類の生息、人類だけではありませんけれども、人類の生息にとってかなり致命的に近い悪化でしょうか。
#64
○参考人(横堀恵一君) うかつなことは言えませんが、とにかく炭酸ガスで言うと、現在よりも極めて大量の、数倍といいますか、かなりの量になるということでございまして、そうなった場合一体どういうことになるかというのは、まだそこまで緻密な計算は行われていませんが、それは大変なことになるだろうと常識的に考えていいのではないかと思います。
#65
○武田邦太郎君 それでは、石田さんにお願いします。
 仮に、非常に豊かでクリーンなエネルギーが提供されるとしましても、依然として省資源、省エネルギーの新文明の創造といいますか、つまり物的にはできるだけ合理的で簡素である、しかし精神内容は非常に豊かで芸術性も高い、こういう新しい文明の創造が要求されておると思いますが、ちょっと夢のような話ですが、そういう文明が実現したと仮定して、これを支える産業、特に交通、輸送とか通信、情報とか、そういうことに要求されるエネルギーの量ですね、こういうものはやはり計算が可能でしょうか。
#66
○参考人(石田寛君) 私の頭の中で今先生のおっしゃいましたイメージの新文明世界を描いたことがありませんので、即座に計算ができるかどうかもはかりかねるのでありますが、先ほどの核融合にエネルギーを求める、あるいは太陽エネルギーもそのような文明社会ができるまでには、太陽エネルギーも宇宙で衛星を幾つか並べて、そこで太陽エネルギーを受けて発電し、地球上に届けてくるというような研究が既に始まっておりますが、そういうようなことも既に実現ができる時代ではないかというふうに思いますので、余り根拠ありませんが、多分、今私たちが議論しておりますエネルギー問題、地球環境問題の延長線のイメージではないのではないか、そういうふうに想像されます。
#67
○武田邦太郎君 つまり、エネルギー問題も新しい技術文明段階に入って、質的な転換ということでしょうね。
 それで、とっぴな質問ばかりしてまことに恐れ入りますが、もし御関心があれば、今申し上げたような質問について御研究していただいて、後々またこの調査会に御報告をいただければと、こういうふうに思います。
 一応省エネで終わります。
#68
○会長(浜本万三君) 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。
 参考人の皆様に一言御礼を申し上げます。
 参考人の皆様には、長時間にわたり有益な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。ただいまお述べいただきました御意見につきましては、今後の調査の参考にさせていただきたいと存じます。本調査会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。どうもありがとうございました。(拍手)
 なお、本日、参考人から御提出いただきました参考資料のうち、発言内容把握のため必要と思われるものにつきましては、本日の会議録の末尾に掲載させていただきたいと存じますので、御了承いただきますようにお願いを申し上げます。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後四時三十二分散会
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ソース: 国立国会図書館
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