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1993/02/26 第126回国会 参議院 参議院会議録情報 第126回国会 科学技術特別委員会 第3号
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1993/02/26 第126回国会 参議院

参議院会議録情報 第126回国会 科学技術特別委員会 第3号

#1
第126回国会 科学技術特別委員会 第3号
平成五年二月二十六日(金曜日)
   午後一時開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 二月十七日
    辞任         補欠選任
     池田  治君     萩野 浩基君
 二月二十五日
    辞任         補欠選任
     細谷 昭雄君     稲村 稔夫君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         刈田 貞子君
    理 事
                永野 茂門君
                吉川  博君
                三上 隆雄君
                大久保直彦君
    委 員
                鹿熊 安正君
                河本 三郎君
                志村 哲良君
                椎名 素夫君
                前島英三郎君
                前田 勲男君
                穐山  篤君
                稲村 稔夫君
                今井  澄君
                峰崎 直樹君
                直嶋 正行君
                吉岡 吉典君
                萩野 浩基君
   国務大臣
       国 務 大 臣
       (科学技術庁長
       官)       中島  衛君
   政府委員
       科学技術庁長官
       官房長      井田 勝久君
       科学技術庁長官
       官房審議官    笹谷  勇君
       科学技技庁科学
       技術政策局長   長田 英機君
       科学技術庁科学
       技術振興局長   島  弘志君
       科学技術庁研究
       開発局長     石井 敏弘君
       科学技術庁原子
       力局長      石田 寛人君
       科学技術庁原子
       力安全局長    佐竹 宏文君
       科学技術庁原子
       力安全局次長   工藤 尚武君
   事務局側
       第三特別調査室
       長        秋本 達徳君
   説明員
       科学技術庁長官
       官房審議官    高木喜一郎君
       外務省国際連合
       局原子力課長   岸野 博之君
       文部省学術国際
       局学術課長    長谷川正明君
       厚生省保健医療
       局疾病対策課長  澤  宏紀君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○科学技術振興対策樹立に関する調査
 (科学技術振興のための基本施策に関する件)
 (派遣委員の報告)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(刈田貞子君) ただいまから科学技術特別委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について御報告いたします。
 去る二十五日、細谷昭雄君が委員を辞任され、その補欠として稲村稔夫君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(刈田貞子君) 科学技術振興対策樹立に関する調査のうち、科学技術振興のための基本施策に関する件を議題といたします。
 これより質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#4
○三上隆雄君 私は、日本社会党・護憲民主連合の立場で、党のエネルギー政策とその方針を含めて若干の質問をいたしたいと思います。
 資源の乏しい我が国の発展と国民生活の向上安定を図るには、教育の振興により国民の能力を最大限に開発し活用させることが最も重要でありましょう。いわば人間が最大の資源であると言っても過言ではないと思います。現在の日本の繁栄は、日本人の勤勉性と科学技術の発展が大きく貢献していることは申すまでもありません。しかし、今までの日本の基礎研究に対する努力は先進諸国に比較してまさるとは言いがたい状況であったのではないか。近年、徐々にではありますけれども、各分野にわたって努力されていることについては賛意を表したいと思います。
 我が党は、地球に優しいクリーンエネルギー政策を打ち出しております。限りある資源と、これ以上地球環境を壊してはならないという前提のもとに、一つには天然ガスの新たな展開であります。次に石炭の無公害化の研究とその利用の促進であります。三つ目には水力と風力や未利用エネルギーを積極的に活用することであります。四つ目には展望の開けたと言われる太陽光発電の技術革新と量産体制の確立であります。それらの政策を掲げながら、政府の原子力一辺倒とも言うべき予算案等も含め、原子力の危険性と問題点について質問したいと思うわけであります。
 従来の科学技術推進のあり方を見ても、平成五年度の科学技術関係予算に見られるごとく、依然として原子力関係費が多くて五六%を占めているのが現状であります。だからこそ原子力庁だと内外から批判されるゆえんであるのではないだろうか。確かに現状では、国民生活の利便性の追求や自転車操業とも言われる経済活動を少しでも停滞させてはならないという観点から、将来もしも重大な事故があった場合等、大変なリスクを負いながらも原子力政策を進めざるを得ない現状にあるのではないでしょうか。
 先般、フランスからの転換プルトニウムの輸送に際しましては、世界の各国から領海の通航や寄港すら拒否され、多くの国々から抗議すら受けたことを見ても、世界の趨勢を逸脱し、その点も世界的な不信を買っていることは事実であります。また、東西冷戦後、核兵器の削減によるプルトニウムの過剰または廃棄の困難性からあえて再利用せざるを得ないという実情もまた反面あるわけであります。
 そこで質問したいと思います。
 このような世界の趨勢と諸外国からの批判と不信を日本政府はどう受けとめ、そしてまた日本の科学技術が、特に原子力に対する技術が世界の最高であり、絶対安全の技術が確立されているのかどうかをまずお尋ねをしたいと思います。
#5
○政府委員(長田英機君) 先生御質問の前半の、原子力偏重を改め、他のエネルギーの研究開発に力を注ぐべきじゃないかという御質問に答えさせていただきます。
 エネルギーの研究開発につきましては、内閣総理大臣がエネルギー研究開発基本計画といいますものを定めておりまして、このもとで各省庁が連携して研究開発を進めております。この研究計画の中では、原子力の開発利用のみならず、今先生御指摘になられました太陽エネルギーとか、その
ほか水力、風力、いろいろな自然エネルギーも含めましてその研究開発に力を注ぐべきであるという考え方になっております。
 こういうような点から、私どもとしましては、原子力以外のそういう自然エネルギー、これを一生懸命進めていかなければならないと当然思いますが、また同時に、先生も御指摘でございましたけれども、エネルギーの安定供給とか地球環境問題とか、いろいろそういうふうに考えた場合、やはり石油代替エネルギーの中核としての原子力の研究開発というのは積極的にやっていかなければいけない、こういうふうに考えておるわけでございます。
#6
○政府委員(石田寛人君) 御質問の後半の部分、すなわち原子力利用に関します世界の趨勢とそれから技術確立の状況等につきましてお答え申し上げます。
 原子力発電所につきましては、過去六年間におきまして世界全体で発電設備容量は約七千万キロワット以上増加いたしまして、昨年の六月末現在四百十八基が運転中でございまして、設備容量は約三億一千百五十五万キロワットということで、世界の総発電電力量の一七%を供給しておる、そういう状況にあることは御承知のとおりでございます。
 それで、世界の模様でございますけれども、いろんな御意見あるいはいろんなことをおっしゃる方は世界におられるわけではございますけれども、それぞれ各国におきましては、原子力発電の位置づけ、意義を認めながら、安全確保に留意しつつ原子力発電の安全な運転あるいはその建設に努力しておるという、そういうことであろうかと思うわけでございます。
 それで、高速増殖炉につきましては、今先生御指摘でございました、プルトニウムの利用等々ではどうかということはあるわけでございますけれども、特にヨーロッパでの開発がそのペースにおきましてスローダウンしておるということは確かにあろうかと思うわけでございます。ただ、その背景には、各国の財政事情もございましょうし、あるいはウランもしくはプルトニウムの需給の関係が非常にグラット、緩んでおるという、そういうことも背景にあろうかと思うわけでございますが、そういう事情におきまして、ヨーロッパにおきます高速増殖炉開発あるいはプルトニウム利用等がペースダウンしておるということは事実であろうかと思うわけでございます。
 さらには、旧ソ連の崩壊あるいはその民主化等に伴いまして、旧ソ連、東欧諸国の原子力発電所につきまして安全性の懸念が高まっておるということもあるわけでございますし、他方、核軍縮の進展とかあるいはイラク、北朝鮮をめぐります問題に起因いたしまして核拡散に対する懸念の高まり、あるいはそれへの対応の強化ということもあろうかと思うわけでございます。他面、ロシアあるいはアジア諸国におきましてさらに原子力発電所を建設するという、そういう計画も進んでおるわけでございます。
 こういういろんな状況が世界であるわけでございますけれども、これを一くくりにしてみますと、原子力は、もちろん細心の注意で努力していくことは必要でございますけれども、しかるべく努力を傾注していけば必ず安全に建設し運転し得るものというふうに認識しておるところでございます。
#7
○三上隆雄君 日本の技術は最高で絶対安全を確保できるという確信があるんですね。事前に私が質問したことに答えてください。
#8
○政府委員(佐竹宏文君) 絶対というものはこの世には存在しないかと思いますが、日本のこれまでの原子力施設、相当長い歴史にわたって運転されておりますが、メーカー、事業者あるいは私どもささやかながら国の規制、それから私どもを御指導いただいております先生方の力によりまして、これまでのところ原子力発電所あるいは核燃料施設から放射能が人に影響を及ぼすように漏れたというようなことは皆無でございます。
#9
○三上隆雄君 だから、世界的にプルトニウムなり原子力政策から撤退している状況を日本がどう受けとめて、あえて日本だけが突出して、これから基本計画におきますと倍加していくという方針でしょう。ですから、いろんな問題があるから、危険やリスクやそれからいろんな経済性の問題から問題があるから世界が撤退しているときに、日本がなぜ進めるのか、それだけの日本が世界最大の技術を持っておるのかということ、簡単に説明してください。
#10
○政府委員(石田寛人君) お答え申し上げます。
 今先生世界が原子力から撤退するとおっしゃったところでございます。ただ、世界と申しましてもいろんな国があるわけでございまして、確かにアメリカは御承知のように一九七七、八年以来原子力発電所の新規発注は一基もないわけではございますけれども、他面、御承知のようにアメリカは一億キロワットに上る原子力発電所を持っておりまして、それを運転しておるわけでございます。
 それから、ヨーロッパの国々でございますけれども、これはアメリカと異なりまして、これまでも核燃料サイクル政策を進めてきたところでございますけれども、先ほど御説明申し上げましたように、プルトニウムをめぐるあるいは濃縮ウランをめぐる需給関係等々からサイクル路線のスローダウンということはあるわけでございます。そのほかにも途上国、アジアの国々等におきましては原子力に対する関心を高めておるわけでございます。
 そういう状況にございますけれども、我が国におきましては、エネルギー資源の賦存状況あるいはこの核燃料サイクルによって得られますプルトニウム、これは技術エネルギーとも言われるわけでございますが、そういうものを丹念に根気よく利用する技術を積み重ねることによりまして我が国のエネルギー供給の安定化に貢献してまいりたい、かように考えておるところでございますし、我が国にはその技術はあるというふうに認識しておるところでございます。
#11
○三上隆雄君 それでは、次に進みたいと思います。
 原子力政策の中で一番ネックになっておるのはやはり高レベル放射性廃棄物の問題だと思います。原子力施設の稼働によっての事故や放射能の漏出の危険はもちろんでありますが、廃棄物の処理や保管が未確立のままいわゆる見切り発車をしたのが原子力政策であっただろう、こう思うわけであります。
 特に、高レベル放射性廃棄物の処理について先般青森市において世界のフォーラムが開催されました。現実に世界のどこの国でもいまだ試験段階であると私は受けとめたわけであります。現在の最善の方法とされる高レベル廃棄物の処理は、ガラス固化して深層地下処分するということでございます。いろいろ問題が多いと思いますけれども、私が今まで再三指摘と要望してきたことは、世界からの不信を払拭するためには、世界各国から反対または疑問視する国々あるいはそういう学者を集めて理論的に解明することが最善だと思います。今まで、この間のシンポジウムもやはり推進国の学者であるそういう側の人たちの意見を聞いて認識を深めるという手法をとったわけでありますけれども、日本の技術がこれだけ世界最大で絶対安全という確信があるならば、むしろ世界がこれほど危険視するそういう学者を日本に呼んでその場で理論的に説得するのが最も早い私は方法ではないか、こう思うわけであります。
 そこで、質問を続けたいと思いますけれども、高レベル放射性廃棄物の処分地が決まっている世界の国がありますか。そしてまた、我が国の場合、青森県は最終処分地は絶対受けないし、あり得ないとあらゆる場所で知事初め議会が言明しているわけであります。それにもかかわらず、ことしの四月には本格的な取り組みに入るということをフォーラムでも言っておられました。その組織や予定地の見通しに対してお尋ねをしたいと思います。
#12
○政府委員(石田寛人君) お答え申し上げます。
 高レベル放射性廃棄物の処分に関することでございますけれども、諸外国におきましても基本的にはおっしゃったように地層処分する方針ではございますが、現在はそのための研究開発を推進しておるところでございまして、処分場の建設が進められるまでに至った国はまだないものと承知しておるところでございます。ただ、いつでもその処分場の選定に向けましていろんな努力を傾注しておることは御承知のとおりであるわけでございます。
 それで、青森県におきます六ケ所村の施設でございますけれども、これにつきましては、基本的には青森県に建設されます高レベル放射性廃棄物に関します施設は中間的に貯蔵いたします施設でございまして、最終処分施設ではございません。先ほど言われました青森県知事の御意向につきましては私ども十分に承知しておるところでございまして、これまで国も事業者も青森県を処分地としてお願いしたことはないわけでございまして、また処分地とする計画もないわけでございます。
 将来の処分地の選定でございますけれども、国が二〇〇〇年を目安に設立を図る処分事業の実施主体が将来地元の了承を得て行うものでございまして、そういうことになっておりまして、今先生おっしゃいました四月に本格化すると言われましたのは、この高レベル放射性廃棄物処分に至りますもろもろの準備をする準備組織の設立のことではないかと思われるわけでございます。そういうことも含めまして一歩一歩準備をしていくということでございます。
 これにつきましては、全く技術的に見当がついていないかということになりますと、大きな方向はあるわけでございまして、その大きな方向が定められておることにつきまして、具体的な安全性、具体的な処分の可能性につきまして一歩一歩足元を踏み固めながら実施していっておるというのが状況であることを御認識賜りたいと存ずる次第でございます。
#13
○三上隆雄君 世界的にまだどこの国もその最終処分地を決定し得ないような状況、そしてまた今後段の局長のお話ですと、その組織をつくるために地元の了承を得るというお答えがありましたけれども、何で今地元の了承を得なきゃならないのですか。青森県を指定しているわけじゃないでしょう。なぜ地元と言うのか、その地元というのは何を指すのですか。
#14
○政府委員(石田寛人君) 今ほどの私の答え方、ややミスリーディンクになったところがあるかもしれませんが、今後半部で申しましたのは、処分予定地の選定につきましては、これからつくるであろう実施主体が将来地元の了承を得て処分予定地の選定を行うという、そういうことを申し上げた次第でございまして、私、全体頭から申しましたので、ややミスリーディンクだったことはおわびしたいと思いますが、そういう趣旨でございます。
#15
○三上隆雄君 将来未確定なものであれば、地元という文言必要ないでしょう。それは指摘をしておきますし、青森県ではないということを確認の上で質問を進めたい、こう思います。
 じゃ、現在では全く日本の国内では最終処分地の予定地が見当たらないという解釈でよろしゅうございますか。
#16
○政府委員(石田寛人君) お答え申し上げます。
 したがいまして、現在のところ処分の予定地は決まっていないわけでございまして、これにつきましては、研究開発を一歩一歩進めていくということとか、あるいは今ほど申しました準備組織による活動等々の積み重ね、それから二〇〇〇年を目安につくります処分事業の実施主体の活動等々が積み重なっていきまして処分の予定地が決まるという、そういうことであると御了解賜れば幸いでございます。
#17
○三上隆雄君 それ以上この議論は進まないと思いますから、次に進みたいと思います。
 それでは、今まで日本の原子力政策を進める上で、日米原子力協定に基づく事業が今回の政権交代で影響あるのかないかは別にして、最近そのことが報道されております。アメリカの日米原子力協定に基づいた方針が変わることによって日本の原子力政策にどのような影響があるのか、そしてまたそれに対する相談なり打診等々があるのかをただしたいと思います。
#18
○政府委員(石田寛人君) お答え申し上げます。
 クリントン大統領は、大統領の選挙運動期間中において明らかにいたしました国家エネルギー政策の中で、原子力への依存度の増加には反対するという、そういうことを言っておられまして、原子力推進の立場をとっておられましたブッシュ前大統領とは異なる姿勢を示しておられるところでございます。また、今月の十七日に行われましたクリントン大統領の包括経済対策に関する演説におきまして、財政赤字削減のために原子力発電にかかわります研究開発の計画などを削減する旨の発言とか、あるいは税収をふやしてエネルギー効率を高め環境汚染を食いとめる観点から、原子力をも対象としたエネルギー税を導入するというようなことをおっしゃっておられるところでございます。
 クリントン大統領が今後いかなる原子力政策をとられるかということにつきましては非常に注目されるところでございますけれども、我が国といたしましては、日米原子力協定に基づきまして原子力のさまざまな分野でアメリカと協力を進めてきておるところでございます。今後とも両国間の円滑な協力活動が継続するように努めてまいりたいと思いますし、我が国の原子力を進めております事情、あるいは我が国の原子力の必要性等につきましてはアメリカに十分に説明し、理解を得ていきたいと思っておるわけでございます。
 それで、むしろ先生の御質問の趣旨は、核不拡散政策等によりまして日米はどういうことになるかということであろうかと思うわけでございますけれども、これにつきましてはいまだ詳細な内容がはっきりいたしておりません。はっきりいたしておりませんけれども、確かに我が国の原子力政策にも深く関係するわけでございますので、アメリカの動向につきましては今後とも注視してまいりたいと、かように思っておるところでございます。
#19
○三上隆雄君 最近の新聞報道に、この原子力協定に基づいて、その変更に基づいて、原子炉安全研究、廃棄物処理研究等については継続すると、しかし新型炉の研究は、逆な言い回しですけれども、解釈すればそれは今までの方針とは違うというような報道がありましたけれども、その報道に対してどう思いますか。
#20
○政府委員(石田寛人君) お答え申し上げます。
 今御指摘の報道につきましては、恐らくアメリカのこれからの政策ではございますけれども、既に明らかになっております大統領の考え方、あるいはエネルギー省の関係資料、あるいはアメリカの国務省に在ワシントンの大使館の者が呼ばれてお話をしたということ等々を勘案いたしますと、先生がおっしゃいましたように、一部のプロジェクトにつきましてはこれが全体縮小方向あるいは中止というものもあろうかと思うわけでございます。他面、例えばアドバンスト・ニュートロン・ソースと申します新しい研究炉を進めていくとか、いろんな要素があるわけでございまして、それらの実態につきましては今後ともアメリカの動きを十分注意していきたいというふうに認識しておるところでございます。
#21
○三上隆雄君 それでは、次に進みたいと思います。
 プルトニウムの問題でありますけれども、世界的にプルトニウム利用は撤退もしくは保留が主流になっている中で、我が国のプルトニウムの生産や備蓄に対して近隣各国の不安や警戒が高まっていることは事実であります。我が国はプルトニウムは備蓄しないと言明しておりますけれども、IAEAの考え方等から言ってもすべて利用されなければならないという条件のもとで、現在日本にあるプルトニウムの量、そして東海村で生産する量、そしてフランスから返還される量、そして六
ケ所村でこれから生産するかしないかはまだ未定の問題でありますけれども、原子力長期計画に見込んだ量とその関係を御説明願いたいと思います。
#22
○政府委員(石田寛人君) お答え申し上げます。
 まず、先生最後におっしゃいました長期計画で見込んだ量ということでございますけれども、長期計画は御承知のように現在改定作業中ではございますが、一昨年の原子力委員会の核燃料リサイクル専門部会の報告によりますと、二〇一〇年までのプルトニウムの需給ということでございまして、全体供給が東海再処理工場、六ケ所の再処理工場、それから海外の再処理委託から返ってまいりますもの、すべて合わせまして約八十五トンということでございますし、需要は高速増殖炉原型炉「もんじゅ」及び「常陽」、それから高速増殖炉の実証炉、あるいはそれ以降の炉におきまして使いますもの、それから新型転換炉の原型炉「ふげん」、それから大間にお願いいたしております新型転換炉実証炉のもの、それから軽水炉によります利用等含めまして八十トンから九十トンということになっておるところは御承知のとおりでございます。
 ただ、これにつきましては、あたかも八十五トンのプルトニウムが蓄積していき、蓄積した八十五トンを使い崩していく、そういう印象を多くの方に持っていただいてしまっておることにつきましては、極めて説明の不足、つたなさを痛感しておるところでございまして、国の計画、原子力委員会の考え方といたしましては、絶えず収支をバランスしていきながら、もちろんそのバランスしていきますときにはランニングストックは必要であるわけでございます。一定のランニングストックを見込みながら収支バランスをして使い切っていく、そういう政策であることをぜひ御認識賜りたいと思うわけでございます。
 それで、原料プルトニウムの至近年度における需給バランスはどうかという御質問も前の方であったかと思うわけでございます。現在の需要供給を少しく申し上げますと、東海再処理工場からの約二・九トン、それから海外からの丁三トン、合わせまして合計四・二トンという供給に対しまして、需要は「もんじゅ」の約一・一トン、「常陽」の約一・一トン、それから「ふげん」の一・〇トン、研究開発用の約〇・五トンということがあるわけでございまして、合計約三・七トンのプルトニウムをこれまで使ってきた。これは現在までの需要でございます。
 したがいまして、昨年、すなわち平成四年十二月末のプルトニウムの保有量でございますが、この四・二トンと三・七トンのバランス、すなわち〇・五トンというものがある。これはまさに主として動力炉・核燃料開発事業団のプルトニウムをつくるそういう工場と申しますか、開発室と申し上げていいと思いますけれども、そこを中心にいたしまして、プルトニウム燃料に加工するということで、これらをもって活動をしておるというふうに御認識賜れば幸いでございます。
#23
○三上隆雄君 なかなか私の質問に対して答えがないので、しかも局長は大変な早口で、私記録することができません、記録を通してこれからまた質問することもあると思いますけれども。
 そこで、六ケ所村の再処理でつくろうとする量は幾らですか。
#24
○政府委員(石田寛人君) 早口でありましてまことに申しわけございません。なるべくゆっくり、努力いたします。
 六ケ所村でございますけれども、これは御承知のように、普通定常状態になりますと年間の再処理規模が八百トンということであることは御承知のとおりでございます。
 さて、その八百トンの使用済み燃料、これは燃料その他の風袋込みではございませんで、その中に入っておりますウラン量と申し上げてよろしいかと思いますが、重金属量あるいはウラン量、余り大して違いませんが、そういうものであろうかと思うわけでございます。この八百トンのものを再処理いたすといたしますと、これは一体どういう燃料を再処理するかによりまして出てまいりますプルトニウムは当然変わってくるわけでございます。実際、プルトニウムの収率ということにつきましても、たびたびこの委員会あるいは衆議院の委員会でも御議論になったところでございますけれども、燃焼度によるわけでございますけれども、〇・四とか〇・五とかという核分裂性プルトニウムが出てくるということになるわけでございます。それは、〇・四といいますのは、〇・四%、あるいは〇・五%ということでございます。
 したがいまして、八百トン掛ける、物によって違いますけれども、〇・三%、〇・四%あるいは〇・五%というものは年々六ケ所の再処理工場から核分裂性のプルトニウムとして出てくる、そういうふうに認識しているところでございます。
#25
○三上隆雄君 それでは、関連してもう少し続けたいと思います。
 将来六ケ村にMOX燃料工場をつくるのかという前提で、まあ質問する前提ですよ、つくるという前提でなく、大間ATRのMOXの量と東通原発、ATRとすれば、そのMOXの量。そうなった場合に青森県にどのくらいのプルトニウムが集中するのか。そして、日本全体のプルトニウムの割合が、青森県でつくり、移動する、入ってくる等々の割合はどうなるのかをお尋ねしたいと思います。
#26
○政府委員(石田寛人君) お答え申し上げます。
 大間炉のMOXでございますけれども、これは今御質問がございました。今の計画では、大間に装荷する予定のMOX燃料は、これは動力炉・核燃料開発事業団の茨城県の東海の工場でつくる予定でございまして、そのための施設が既にできておることはこれは御認識のとおりでございます。
 それで、全体どれくらいのMOXプルトニウムが青森県に行くのか。これは非常に難しい御質問でございまして、にわかに答えることは非常に難しいわけでございますが、基本的には先ほど申しましたように、六ケ所の日本原燃の再処理工場、年間八百トンの使用済み燃料の再処理をするわけでございますから、その八百トンの再処理工場から出てきたものはそこでプルトニウムとして分離されるということをもってお答えにさせていただければ幸いでございます。
#27
○三上隆雄君 決められた時間がもうそろそろないので、質問を飛ばして次の問題を質問したいと思います。
 返還プルトニウム及び高レベルの廃棄物は実際六ケ村に入ってくるのかどうか。県議会の質問ではあり得るというお答えをしたわけですが、科技庁ではそれを否定したという県議会のやりとりがあるわけでありますから、どちらに真意があるんですか。
#28
○政府委員(石田寛人君) 今ここで確認いたしましたのは、今先生おっしゃったものは返還廃棄物とおっしゃったかと思うわけでございますが、返還廃棄物、これは英仏から返ってくるものでございますけれども、これは御承知のとおりに、現在六ケ村におきまして建設が進められております日本原燃の廃棄物管理の施設に入ることは、これは決まっておるわけでございまして、よほど何か変わったことを言ったのかと思いまして確認した次第でございますけれども、英仏から返ってまいりますものはその施設に参るわけでございます。
#29
○三上隆雄君 県議会の質問でありますが、「海外に再処理委託したプルトニウムは、将来六ケ所村に持ち込まれる計画もあるが、県の見解は。」いかがかと。これに対する内山室長の答弁であります。「返還プルトニウムは再処理施設の立地協力要請の際、返還製品の貯蔵も含むということだった。今回の申請では触れていない」、そして「余剰プルトニウムの防止を目的とした使用済み燃料の一時貯蔵は、科技庁に照会したところ、そういう事実はないということ」。これは科技庁の方ではそういう事実がないということを言ったわけであります。したがって、県の考え方と科技庁の考え方が違うということになりますから、その
点の信憑性を伺いたいと思います。
#30
○政府委員(石田寛人君) 今先生のおっしゃいましたのは返還プルトニウムのこと、今の議事録でお読みになったのは返還プルトニウムとおっしゃったかと思うわけでございます。
#31
○三上隆雄君 そう。
#32
○政府委員(石田寛人君) 返還プルトニウムにつきましては、私こういう理解をしておるところでございます。
 事業者が青森県に全体お願いいたしましたときには、海外再処理委託に伴いまして返還されますウラン、これは減損ウランでございますが、ウラン及びプルトニウム製品につきまして、利用までの間の一時貯蔵を行えるようにするような、そういうことも考えるというふうに伺ったところでございますけれども、これにつきましてはまだ申請は行っていないところであるわけでございます。
 それから、その後一時貯蔵の御質問ございました。これは基本的には、我が国の再処理工場と申しますものは、これはまさに使用済み燃料を再処理し、出てまいりますプルトニウム、ウランを使うと、そういうことでございますので、目下一時貯蔵するという、そういうことは、政策には検討事項としてはございますけれども、大きな位置づけにはなっていないところでございます。ただ、全体使用済み燃料の、これはむしろ再処理の能力のバランス等々におきまして、一時貯蔵の考え方につきましてはいろんなところで議論があることも確かでございますし、現在進められております原子力開発利用長期計画の見直しの検討におきましても、一時貯蔵につきます議論は行われるものと承知しておるところでございます。
#33
○三上隆雄君 時間がもう経過しましたけれども、最後にもう一つ確認をして終りたいと思います。
 さっきも質問しましたけれども、六ケ所村にMOX燃料工場をつくるのですか、つくらないのですか。
#34
○政府委員(石田寛人君) MOX燃料加工工場につきましては、これはプルトニウムが出てもまいりますし、当然使っていくわけでございますから、当然MOX燃料加工工場は必要であるわけでございまして、MOX燃料の加工技術は動燃が持っておりますから、その動燃の技術を民間に移転するということにつきましての努力を現在やっておるところでございます。
 現在のところ、MOX燃料の加工工場につきましての具体的な計画につきましては私ども承っていないわけでございまして、六ケ所村も含めまして現在のところ立地場所につきましては何も決まっていないというふうに承知しておるところでございます。
#35
○三上隆雄君 だから結論的に申しますと、いろいろ世界的に問題がある、しかも最終候補地が世界的に決まっていない、そういう中で、日本が今の生活レベル、そして経済を落とさないために進めていくんだ。そこまではわかりますけれども、やはり科学技術行政の中でもっと違うクリーンエネルギーにもっと努力すべきだ。そのことについては同僚議員が後ほど質問すると思います。私の質問はこれで終わらせていただきます。
#36
○峰崎直樹君 私は、日本社会党・護憲民主連合の科学技術委員の峰崎でございます。昨年当選したばかりでございますので、どうかこれからよろしくお願い申し上げたいと思います。
 さて、先日行われました中島科学技術庁長官の所信表明演説に対しまして質問をさせていただきたいというふうに思います。
 まず、第一番目といたしまして、大臣が最初に指摘をされました、「新たな科学的知見を開拓し、次の世代の技術を培う創造的・基礎的研究の充実強化を図るとともに、科学技術振興基盤の整備を進める」、そういうことを主張され、「とりわけ、基礎的研究の推進については、世界に誇り得る卓越した研究所としての中核的研究拠点、いわゆるセンター・オブ・エクセレンスの育成を図る」ことなどを指摘されたわけでございます。大変すばらしいことであり、その実現について異存のないところでございますが、大臣、日本の基礎的研究の現状についてどのように認識をされ、それをどのように今後発展されようとされているのか、改めて御所見を承りたいわけでございます。
 ちなみに、先日、私の友人で大学の関係者の人たちと懇談をする機会がございました。それらの方々は社会科学、人文科学の方ばかりでございましたけれども、自然科学の状況を含め、今日の大学を初めとする国立の試験研究機関の研究環境、自分たちの研究条件も含めて非常に貧弱であり劣悪であるということの指摘を受けたわけでございます。その改善方を迫られたことも含め、大臣の見解をまず求めておきたいと思います。
#37
○国務大臣(中島衛君) 我が国の基礎研究の現状はどうかというようなお尋ねでありましたけれども、やはりアメリカを初めとする世界各国で我が国より基礎研究のすぐれていた国があったと思いますし、現在もあると思います。日本もこれから研究基盤、施設等を充実して、今先生のお話のありました大学や国の研究機関等の施設設備等を充実して基礎研究の強化をしてまいらなければならないというように思っております。
 我が国の基礎研究をこれまで以上に強化していくためには、基礎研究を強力にリードする拠点として、国内外の優秀な研究者を誘引するような研究環境を有し、世界に向けてすぐれた研究成果を発信するセンター・オブ・エクセレンスを国内に育成していく必要があると思います。このため科学技術庁におきましては、平成五年度より科学技術振興調整費を活用して我が国にセンター・オブ・エクセレンスの育成を図ることといたしておるわけでありまして、今後ともこの施策を初め基礎研究推進のための制度の充実強化を図り、基礎研究の推進に努力してまいりたいと思っておるところでございます。
#38
○峰崎直樹君 さて、平成四年度の科学技術白書を読ませていただいたわけでございますが、昭和五十九年度の科学技術会議が出されました第十一号答申、これに基づいて平成二年度目標、対GNP三%目標、これは自然科学の分野だけだというふうに思いますが、この研究費予算について対GNP三%目標を達成したというふうに言われているわけでございますが、この白書を読んでみますと、自然科学だけを見ますと二・七七%という数字になっておるわけであります。三%の目標に対して二・七七%で実は平成二年に達成したと言うこの根拠は一体どこにあるのか。日本のGNPは恐らく四百数十兆円に達していると思いますが、三%と二・七七%の差〇・二三%というのはこれは大変巨大な金額になるわけでございます。もちろんこれは政府だけでなくて、圧倒的に民間が多い金額でございますが、この点について御所見をお伺いしたいと思います。
#39
○政府委員(長田英機君) パーセンテージの問題についてお答えいたします。
 十一号答申におきましては、GNPということではなくしてナショナルインカム、国民所得に対して三%というふうにたしか言っていたように記憶をしております。そうしますと、今自然科学をとりますとGNP比では二・七七%、一九九一年でございますが、対国民所得比は三・五四%になっておりまして、この目標は一応関係の方々の努力で達成されたと、こういうふうに考えているわけでございます。
#40
○峰崎直樹君 それでは、この予算の科学研究費、科学技術関係の基礎的な研究費の問題についてもう少しお伺いをしてみたいと思うんです。
 昨年四月に閣議決定されました科学技術大綱に基づいて我が国の科学技術政策が進められていると思うんでありますけれども、その中で人材の養成確保、これは主として大学だというふうに思いますが、そのほか研究組織の整備あるいは教育研究費の充実についてどのようにこの科学技術大綱に基づいて努力をされているのか。あるいは国立試験研究機関などにおける処遇や研究環境の改善も提起をされているわけですが、その点について、具体的な改善方策についてお聞きしたいわけ
であります。
 その際、実は研究開発投資の拡充の必要性を強調されている中で、「政府の研究開発投資額をできるだけ早期に倍増するように努める。」と、こうあるわけでございます。これは昨年の四月の衆議院における科学技術委員会における同僚の秋葉委員の質問の中でもあったのでございますが、何年という年度については、その中においても三年であるとか五年であるとか十五年であるとか、あるいは財政事情などを加味してとあったわけでございますが、この点についてはその後明確になったのかどうなのか、その点についてもお聞かせ願いたいと思います。
#41
○説明員(長谷川正明君) ただいま大学の状況についての御質問がございましたので、私からお答えをさせていただきます。
 先ほど御指摘されましたとおり、我が国における科学技術振興、その場合大学が果たしている役割というのは、まさに学術研究、基礎科学の基盤をなし、かつその最大の使命といたしまして、常に若い研究者を育成しながら研究活動を続けていくという基本的なかつ重要な使命を持っているわけでございます。
 そういう観点から、特に大学における研究環境の悪化といいますか、研究条件の非常に憂慮すべき状況というのが一昨年来大変大きく内外で取り上げられまして御心配をいただいたところでございます。そういうことが大きく反映をいたしまして、今先生がメンションされました昨年の科学技術政策大綱等にも科学技術予算を初めといたします研究予算の充実ということが指摘されておりまして、これを踏まえ、また文部省の学術審議会から昨年の七月、二十一世紀を展望する学術振興施策につきまして御答申をいただきました。
 この中にも、特に学術研究環境、今御指摘の大学における施設あるいは設備の状況の改善、それから研究費の拡充というようなことが指摘をされまして、施設、設備について来年度予算の中で、施設については前年度比六%余り、一千八十九億程度の予算を確保し、また設備につきましては、特に大学における研究設備の老朽化あるいはそれが大変使いにくくなったというような状況を改善するということで、特に来年度は研究のための設備ということに限定しても二五%余りの増の予算を計上したところでございます。
 さらに、最も基盤的な研究費でございます科学技術研究費補助金につきましては、対前年度費九十億、パーセンテージで申し上げますと一三・九%ですけれども、七百三十六億という、ここ十年間なかったような、率にしてももちろん絶対額にしても大きな金額の増額をなすべく、今国会で御審議をいただいております予算に計上したところでございます。
 さらに、人材養成の話も出ましたので、ちょっと長くなって恐縮ですけれども、私ども文部省といたしましても人材養成というのは最も重要な事項、先ほど触れたとおりでございます。そういう観点から、特に大学における研究者がなかなか大学の研究環境がよろしくないということで民間企業等に出ていってしまうという状況は大学の力を大変弱める。これは将来の我が国の産業界を含めた科学技術全般に大きな影響を及ぼしますので、大学への研究者の確保ということを最大の重点といたしまして、来年度予算では、そのための事業であります特別研究員という制度がございますが、これはドクターコースあるいはドクターを終えて一本立ちした研究者の若い優秀な才能の方々に大学の世界にとどまってもらって二年ないし三年研究に専念をしていただく、こういう制度ですけれども、来年度におきましてはこれを千三百人から千七百人と四百人の拡充、これも先ほどの科学技術研究費と同様これまでにない大幅な拡充を予算上確保し、予算に計上しておるということでございまして、今申し上げましたとおり主要な施策につきましては、科学技術政策大綱を踏まえて格段の努力をしておるところでございます。
#42
○政府委員(長田英機君) 私の方から研究開発投資の問題についてお答えいたしたいと思います。
 先生が御指摘されましたように、基礎研究が非常に重要になって、これから大いにやっていかなきゃならないわけでございますけれども、基礎研究ということになりますと、やっぱりどうしても国の研究開発投資、民間というよりも国の投資が非常に重要になって、これをふやしていかなければなりません。こういう考え方にのっとりまして、科学技術政策大綱で、読んでみますと、「時々の財政事情等を踏まえつつ、政府の研究開発投資額をできるだけ早期に倍増するように努める。」、こういうふうに記載されているわけでございます。
 先生御質問の、これは何年か何とか決められないのかということで、非常にお気持ちはよくわかるんでございますが、今申し上げましたように時々の財政事情とか科学技術のいろいろな進歩の度合いとか、そういうようなものをいろいろ考えてみますと、なかなか何年というふうに決めるのは難しいわけでございまして、ただ具体的な期間は決まっておりませんが、とにかくできるだけ早くいこうということで予算をふやしていこうという決意でございます。
 こういう点から、例えば平成五年度、国会に今提出しております予算の案によりましては、科学技術振興費は八・五%伸びておりまして、一般の歳出は三二%でございますから、それと比べていただきますと、苦しい財政事情の中でいろいろ財政当局に配慮してもらっていることは事実だと思います。ですが、これだけで十分ということではもちろんございませんで、これからも将来に向かって予算の増額に一生懸命取り組んでまいりたいと思うわけでございます。
#43
○峰崎直樹君 今財政の問題が出まして、文部省の方からも努力をしているということですが、もともと低いところで、これを何年という計画がないと、その数字の根拠といいますか、やっぱり伸ばしているなというのはなかなか難しいんですけれども。
 ちょっと私視点を変えて、財政の問題がありましたから、きょうは大蔵省の人を呼んでいるわけではありませんが、できればこれは長官に答えていただければ一番いいんですけれども、実はこれまでよく赤字国債の論議で、建設国債なら将来に資産を残すからいいんで、赤字国債はだめだというような議論が昨今非常にあるわけでございます。今景気の問題をめぐって、私もここで景気論争するつもりはないんですけれども、しかし、最近人的資本ということがよく言われるようになりました。つまり、人材及び基礎的な研究というのは、これは将来必ず利益を生み出すといいますか、資本といえば利益を生み出すということなんですが、そういう意味で、基礎研究あるいは人的投資といったようなものについては投資的経費という考え方をやはりもうとるべきではないのか。アメリカでは実はもう既にそういう考え方がとられているやに聞いているわけでございます。
 ひとつこの点について、今ちょっとこの数字をとある学者の方が研究しておられましたけれども、そういう形で九二年度当初予算における投資的経費を引っ張り出すと公共事業関係費が八・二兆円だそうです。これはGNP比一・七%。RアンドD投資、民間ももちろん含めてですが、これが五千億。そして文部省関係の予算、教育訓練費用、これが五・四兆円で、合わせて十四・一兆円。これはGNPの約三%に相当するということで、そうすると公共事業関係を除いた費用が一・三%。これについては国債を増発したって構わないんじゃないかと。つまり、それぐらいやはりもう強化をして、必ず将来これは日本の発展のためになるよ、こういう観点を私は持つべきじゃないかと思っているんですが、長官、もしこの点について意見があればお聞かせ願いたいと思います。
#44
○国務大臣(中島衛君) 今峰崎先生から重要な提起があったと思います。私は財政の専門家ではありませんからはっきりしたことは申し上げられないんですが、今までの建設公債、これは将来の子
孫に財産が残るんだから負担してもいいだろうということで公共事業を中心とした社会資本整備に建設公債が充てられてきたと思うんですけれども、今の財政法やその他ではそれ以上のことができないのかもしれませんが、今先生のおっしゃった人的投資とか、それからもっと狭く言えば国立大学とか国立研究所の施設の充実とか、そういうものを公共投資に含めたらどうかというようなお話、それに建設国債の発行を充ててもいいじゃないかというようなお話だったと思いますが、私も十分それは価値のある発言だし、検討に値するものだというように思います。
 今の法律に完全に詳しいわけじゃありませんから、まことに申しわけないんではっきりしたことは言えませんけれども、そういう考え方は当然あっていいと思いますから、これから財政当局にも検討していただいて、我々も考えていかなきゃならぬ課題じゃないかというように思っております。
#45
○峰崎直樹君 ちなみに、わかればでよろしいんですけれども、国立大学の、自然科学系統だけでも構いませんが、古い施設、設備、これを今一挙に直そうというふうになさった場合にはこれはどの程度の金額が必要とされるのか。そういう見積もりなどはとられたことはないのかどうなのか、ちょっと念のためにお聞きしておきたいと思います、
 と申しますのは、今の景気刺激政策、なかなか浮揚していないんですけれども、やはり需要が足りないというよりも何か供給が多過ぎるような状況で、本当に需要面における拡大をどういう分野で図っていったらいいのかという点を非常にこれからは考えていかなきゃいけない時代に入るんじゃないかと私は思いますので、そういう教育訓練、こういった点における需要というものも大変大きいんじゃないんだろうかと思っていますので、もしわかれば教えていただきたいと思います。
#46
○説明員(長谷川正明君) ただいま先生の御指摘の点ですけれども、国立学校の施設の関係で、例えばどのぐらいのものがどのぐらいの年数を経過した建物になっておるかということでございますけれども、三十年以上経過したものの面積が全体の約二〇%弱、これを二十年以上経過しているというところまで下げますと、全体の四五%が二十年以上経過しております。そのうちどの程度のものが研究あるいは教育に支障が出ているかということはいろんなとらえ方があろうかと思います。
 ただいま厳密な数字は持っておりませんで、どのくらい全部にかかるかということはちょっと申し上げかねますけれども、少なくとも昨年度から国立学校特別会計の中に、一まさにそういう狭隘化、老朽化に対応するための特別な経費といたしまして特別施設整備事業というのを設定いたしまして、昨年度から毎年二百億円ずつそういう特別な老朽化対策だけに振り向けていこうと。これで一千億、五年間で建てるという計画でとりあえず走り出しておりますけれども、先ほど申し上げました全体で二十年以上のものが四五%に上るなんていうことを考えますと、まだこれではとても十分とは言えないということははっきりしておりまして、そういうことでこれ大変大事な問題です。私どもとしても、さらに緻密な調査をし、必要な予算要求その他関係省庁ともよく御相談をしながら対応してまいりたい、こんなふうに考えております。
#47
○峰崎直樹君 この点、本当に自然科学にせよ、もっと言えば社会科学もそうなんでしょうけれども、大学等試験研究機関におられる方々の御意向を十分踏まえて調査をしていただきたいと思います。
 そして、私は何よりもこの基礎研究の問題は、日米経済摩擦あるいは世界の中で今日本が果たすべき役割という観点からしたときに、どうも基礎研究を外国から借りてきて応用研究などに、産業開発、そういったところに日本は、最終的には輸出に特化をするというところにいって、そのことが大変大きな経済的な発展を生んだわけでありますが、今大きな矛盾にもぶつかっていると思います。
 その意味で、日本が国際社会の中で大きな役割を果たさなきゃいけない。これは科学技術政策の、中島長官もおっしゃられたとおりでございますので、基礎研究の充実強化を進めて、私はできればこういう科学技術、基礎的な科学技術というのは国際公共財だというような位置づけも含めてこれから発展をさせていただきたい。そのことを要望して、この質問はとりあえず終わらせていただきたいと思うわけでございます。
 実はそのことと関連して、昨年私はまだ議員でなかったわけでございますが、研究交流促進法というのが五月に一部改正が行われたようでございますが、そこで改正された内容、制度的には国家公務員法の改正を初めとして大変大きな制度改正だったと思うんであります。そこでお聞きしたいんでありますが、まだ半年足らずでございますが、この間どのような成果が上がったのか。例えば、任期つき任用制度に応じる研究者、これは一体何人いたんだろうかとか、あるいは国際的に共同研究に係る特許権というものの成果の特例を認めるような事例があったのか、そういった点について、事例がございましたら実態を報告していただきたいと思います。
#48
○政府委員(笹谷勇君) 先生今お話しのあったとおり、研究交流促進法は昨年の四月に国会を経まして、実は七月に施行されたばかりでございます。したがって、まだ半年ばかりでございまして、追加された事項につきましては全般的に見ますとまだ実績が上がっているところではございません。しかし、個々のそれぞれについて見ますと、私どもとしても、いろいろこの交流法改正の趣旨を踏まえまして、研究交流が着実に進展するような行政施策をとっているところでございます。
 ちなみに、今国会にお願いしております新技術事業団法の一部改正も、研究交流を着実に推進してまいりたい、こういう観点からお願いしているわけでございます。
 以上でございます。
#49
○峰崎直樹君 まだ本当に半年足らずですから数字が上がってきていないという言葉を信じたいわけですが、しかし本当にそのように国立の試験研究機関やあるいは大学、この制度が本当に魅力あるものになっているような実態にあるのかどうなのか、あるいはそういうようなレベルに試験研究環境などがあるのかどうなのか。そういった点について、実は先ほど科学技術庁長官もおっしゃられますように、そのレベルが非常に低いということでなかなか上がってきていないんじゃないかなというふうにちょっと邪推をしたくなるような、そういった面もございますので、この点は引き続き来年あるいは再来年、制度が着実に前進するように私どもも見守っていきたいというふうに思いますので、その後また質問を継続させていただきたいと思うわけでございます。
 さて、この法律の改正の論議の際に、きょうも御出席なさっています私どもの先輩の穐山委員の方から、この研究交流促進法に防衛庁の技術研究所も入れて実はその論議をされ、この防衛庁の技術研究所というのはちょっとなじまないんじゃないのかというような疑問を提起され、政府の統一見解を求めたいと、こういうことで前回審議をされているわけでございますが、附帯決議との関係もあると思いますが、この点もうなされたのかどうなのか、もしあればお聞きしたいと思います。
#50
○政府委員(笹谷勇君) 昨年四月の交流法改正時の附帯決議でございますが、衆参それぞれ附帯決議をいただいて、我々それの解決に向けていろいろ努力をしているわけでございます。項目といたしましては八つほどございます。先生御指摘ございました防衛庁云々という附帯決議上の表現は必ずしもダイレクトに出ていないわけでございまして、個々の附帯決議につきましてはそれぞれ努力している最中でございます。
 で、職務専念義務の免除による研究集会の参
加、こういう改正もございましたが、そこの実績で申し上げますと、参加者は防衛庁につきましては国内については九百九十一名、延べでございますが、外国は五十四名、合計千四十五名がこの研究集会へ職務専念義務免除に基づいて派遣されているという実績がございます。
#51
○峰崎直樹君 どうもちょっと質問の趣旨が私の方もはっきりしなかったのかなと思います。
 研究交流法で各省庁の試験研究機関の中に防衛庁の研究機関一から五まで入っている。それも含めて民間との研究交流だとかあるいは国際的な研究交流ということになると、日本国の平和憲法の精神といいますか、そういうものから逸脱するような研究といったようなことも含めて出てくるんじゃないかということで、どうも研究交流法にこれはなじまないんじゃないかということで、防衛庁の研究機関が入っていることについていかがかな、こういったような趣旨の質問で、政府から統一見解を示すというようなお約束だったように思うんで、その点を実は一番聞きたかったわけでございますが、もし明確であればお聞かせ願いたいと思います。
#52
○政府委員(笹谷勇君) 前回の議事録によりますと、純軍事的な研究はこの制度の中でやることは考えていない、関与しないというようなことでお答えしているようでございます。専ら軍事にかかわる研究については予定していないということで当時議論されたと思います。
#53
○峰崎直樹君 時間の関係がありますので先に飛びますが、くれぐれも日本国憲法の精神にのっとって、平和的利用という附帯決議もございますが、その点についてのきちんとした把握をお願い申し上げたいというふうに思うわけでございます。
 さて、地震の問題について少しお聞きしたいというふうに思います。
 科学技術庁の中にも地震予知についての研究体制ということで、首都圏直下型地震予知のための広域深部観測施設整備を打ち出されているわけでございます。首都圏地域に大規模な地震が発生すれば、その与える影響は本当に甚大なものがあり、その整備は急務だというふうに思います。ただ、日本は大変地震の多い国でありまして、私の住んでいます北海道も、ことし一月の釧路地震に見られますように極めて大規模な地震が多く発生している地域であります。このような地域に対する地震の予知についての研究は一体どのように進められているのか。
 そして関東及び東海のこの二地域に大変手厚い観測体制がしかれておるわけでございますが、北海道はもちろん、東北の三陸沿岸なども大変地震の多発地帯でございますし、大規模な地震が頻発をしているわけでございますので、そういったところにも地震の観測体制あるいは予知のための研究制度というものをもっと強くしてもらえないだろうかこういう要望が現地からも出てきているわけでございます。その点についてお伺いしたいと思います。
#54
○政府委員(石井敏弘君) ただいま地震予知の研究体制のお話がございました。先生御指摘のとおり、地震は一たび発生いたしますと、人命はもちろん社会経済に大きな影響を与えるものでございまして、いわゆる地震国である我が国にとって地震予知ということは極めて重要な意味を持っておる、かように認識いたしておりますが、現在のところ、いわゆる東海地震、M八クラスの東海地震と言われる地震以外のものにつきましては、予知というものについては現在の科学技術の水準をもってしては大変難しいというのが現状でございます。
 私どもといたしましては、現在の科学技術の水準では非常に難しいという認識を持っておりますが、地震予知ということにつきましては、測地学審議会建議の第六次地震予知計画の趣旨に沿いまして、科学技術庁の防災科学技術研究所あるいは気象庁、国土地理院等の政府関係機関、さらには国立大学といったような機関の緊密な協力のもとに、微小地震の観測あるいは大中小地震の観測、地殻変動観測等の観測研究等をそれぞれ特色を生かしつつ実施しておるというところでございます。また、これらから得られた観測データにつきましては、地震予知連絡会に集中されて専門家による総合的な判断がなされるというような体制になっておるわけでございます。私どもといたしましても、今後ともこのような専門家の評価も踏まえまして、長期的予知あるいは短期的予知に有効な観測研究の充実強化に取り組んでいきたい、かように考えておるところでございます。
 また、北海道あるいは東北といったような点の御指摘もございました。このような点につきましては、確かに北海道の太平洋沿岸といいますのは太平洋プレートの沈み込みに伴います地震活動の活発なところでございます。このようなことを踏まえまして、地震予知連絡会の判断に基づきまして北海道の太平洋沿岸の一部でございます北海道東部は特定観測地域に指定されておりまして、関係諸機関におきまして地殻変動、検潮等の各種観測が実施されておるところでございます。
 今後とも地震予知の実用化に向けて、大変難しい研究開発ではございますが、関係機関の緊密な協力のもとに、長期的予知あるいは短期的予知に有効な観測研究のより一層の充実等を行い、地震予知体制の一層の充実を図っていくべく努力してまいりたい、かように考えておる次第でございます。
#55
○峰崎直樹君 もう予定の時刻は完全にオーバーしてしまいましたので終わりたいと思うんですが、私ども、北海道大学の先生方ともこの地震予知体制の問題で、この釧路沖地震に際してお聞きしたことがあるわけでございますが、前々からこの北海道の地域において、こう地下に掘って、そしてケーブルで地震を探査するといいますか予知するというか、ちょっと私正確な表現を今存じておりませんけれども、そういうことを要求してきていたんだ、そのやさきにこの事故が起きてしまったというような意見も聞いておりますので、今後ともこの地域に対する観測の強化にぜひとも努めていただきたい。
 そして、本当は幌延問題もお聞きしたかったわけでございますが、これはもう原子力局長よく御存じのように、あるいは大臣もよく御存じのように、北海道の幌延問題、私どもも本当に、北海道は知事を先頭にしてこの問題、誘致に対しては反対であると。道議会の決議なども持っております。時間がありませんので詳しい内容は省きたいと思いますが、ひとつそういう観点で、これからも我々としては運動も起こしていきたい、そのことを申し上げまして私の質問を終わらせていただきます。
#56
○今井澄君 日本社会党・護憲民主連合の今井澄でございます。私も同僚の峰崎委員と同じように、まだ国会にお世話になって半年ちょっとでありますし、本日が初めての質問ということですので、よろしくお願いをいたします。
 先ほど、同僚の三上委員からも申し上げましたように、科学技術庁は原子力庁ではないか。実は私もこの予算を見たりなんかする限りにおいて、本当に中身的には原子力庁であるということを非常に憂慮しているわけでありまして、逆に申し上げますならば、科学技術庁の名に恥じないような本当の日本の科学技術の振興のための庁であってほしい、そういう願いから何点か御質問をさせていただきたいと思います。
 最初に、去る十七日、長官の所信をお聞き申し上げたわけですが、その中でこういうふうなことがございました。「特に近年は、地球環境問題、エネルギー問題を初めとする人類共通の課題を解決するとともに、」云々ということで、特に一番最初に地球環境問題という言葉を取り上げられて、そこから科学技術庁の取り組みについても所信を述べられたことは大変私としても結構なことだろうというふうに思うわけでございます。
 しかしながら、特に原子力の問題につきましては、一方で科学技術白書を拝見いたしますと、これは国民に対して政府あるいは科学技術庁が所信を表明している、そういう文書であるというふう
に理解いたしますが、その二百九十一ページ「原子力開発利用の推進」のところでは、「原子力は、供給安定性、経済性の面のみならず、二酸化炭素、窒素酸化物等を排出しないことから地球環境負荷の面でも優れており、」というふうな表現になっているわけでございます。しかし、先ほどの三上委員との質疑の中でも明らかになりましたように、やはり安全性という問題につきましては、安全局長の方からも絶対ということはないという御発言もありましたとおり、確かにそこが問題なんですね。むしろ逆に、安全局という局の形で安全のことが取り上げられざるを得ないところに原子力の問題があるということは、これはもう明らかなわけですね。
 そうしますと、この環境に対する問題は何も二酸化炭素やなんかだけの問題ではなくて、放射能、放射性廃棄物の問題等がある。そのことをやっぱりこの白書の中にもちゃんと書くべきなんですよね。問題点はこういうところにあるが、しかしその安全性に力を入れているんだというふうになれば、国民に対して極めてフェアなんですね。
 ついでに別のところを見ますと、「自然エネルギーの研究開発」のところにはこう書いてあるんですね。太陽エネルギー、何とかエネルギー云々と、「その資源特性から見て解決すべきいくつかの問題がある」と。確かに問題があるわけですね、経済性の問題とかエネルギーのレベルが低いとか。こういうふうに、こっちの方ではちゃんと書いてあるんです、問題点も。ところが、原子力の方は全然問題点書かずにどんどん進めているというところに、やっぱり私は科学技術庁が原子力庁だと言われるゆえんもあるし、それからやはり国民に対してフェアでないという面もあるだろうというふうに思います。そういった点で大変問題があると思います。
 もう一つ、エネルギー問題についての、じゃ科学技術庁の取り組みは原子力以外に一体どういうことがあるんだろうかということで多少調べてみますと、これは特別調査室の方で調べたことで、主に産業・資源エネルギーに関する調査会の方の関係であれしておりますが、その中で、政府の行っているその他のエネルギーについて見ますと、通産省、政府全般、通産省、経済企画庁、環境庁、通産省、通産省、経済企画庁、建設省、運輸省と出てきまして、科学技術庁は何もないんですよね、この中に。ということに見られるように、やっぱり非常に科学技術庁のあるべき姿といいますか、長官の所信表明に表現されているような形から言うとやっぱり問題があると思うので、その辺について今後の取り組みとか方向性も含めて、簡単で結構ですので長官の御所信をお伺いしたいと思います。
#57
○国務大臣(中島衛君) 確かに、予算の面から見ると原子力関係の予算が非常に多いので、そういう印象を与えておると思います。しかし、私どもは科学技術の進展、振興を期しておるわけでありまして、原子力だけをやっておるということではないわけであります。
 それから、先ほど今井先生から、CO2を排出しないというすぐれている点だけ白書に書いてあって、安全性その他の問題点が書いてないという指摘がありまして、それはまことにごもっともな指摘であると思いますから、我々はそういう面もはっきり言って国民の皆様方の理解を得ていかなければならないのではないかと思っております。
 科学技術は、自然観や世界観の形成に貢献し、文明の発展を支え、人類の活動範囲の拡大に大きく寄与してきており、今後、安定し、充実した二十一世紀を築いていくためには、人間・社会及び環境との調和に配慮しながら、科学技術の一層の発展を図っていくことが必要だと思っております。このような基本的な考え方が、昨年一月の科学技術会議第十八号答申において示されておるところでありまして、これを受け、政府は昨年四月に今後の科学技術政策の基本を示すものとして新しい科学技術政策大綱を閣議決定いたしました。
 この大綱では、第一に「地球と調和した人類の共存」、二番目に「知的ストックの拡大」、三に「安心して暮らせる潤いのある社会の構築」の三つの目標を掲げ、積極的かつ総合的な科学技術政策を展開していくべきとの方針を示しており、当庁としては、今後ともこのような方針に基づき、関係省庁の連携を図りつつ、科学技術政策を積極的に推進してまいりたいというように考えております。
#58
○今井澄君 もう一点、原子力の問題でお尋ねをしたいと思います。
 先ほど原子力局長は欧州においてはスローダウンあるいはペースダウンしているというふうなことでプルトニウムの問題について言われたと思うんですけれども、やっぱりこの表現は大変に間違っているのではないかと思うんですね。確かに使用済み燃料の再処理をフランスやイギリスでやってくれている、これはもう経済的な理由からでありまして、高速増殖炉を含めてプルトニウムに対する積極的な取り組みはむしろ中断している、甘く見ても中断しているというふうに私は言わざるを得ないのではないかというふうに思っております。
 先ほども三上委員からもお話がありましたように、アメリカでは今度使用済み核燃料の再処理に係る原子力の研究開発からはほぼ完全に撤退するという趣旨の報道がされましたし、そこでパネッタ局長の談話として、商業利用に役立たないと思われる原子力の研究開発、高速増殖炉の開発のようなものは予算から除くということが報道されております。
 そういう状況において、日本のみが先ほどのお話のようにまだまだこだわっておられるわけですけれども、一つは安全性の問題が当然あるわけですが、もう一つは安全性というか、危険であるがゆえにお金がかかるということで、非常にこれは大変なわけですね。そういう面から世界的に撤退しつつあるというのが現実ではないかと思いますが、日本とても、それは世界第二位のGNPの国かもしれませんけれども、非常にこれは将来にわたって経済的には問題だと思います。
 特に、日本の高齢化が急速に進む、一方で赤ちゃんの数が減るという状況の中においては、我々エネルギーにしろ資産にしろ、経済的な問題を厳しく考えながら将来の社会をよりよい社会としてやっていかなければいけないわけですね。そういうときに、日本がやたらに金のかかるこういうことをいまだに断念しないというのは非常におかしいことだと思うんです。アメリカも断念し、ヨーロッパもはっきり言ってストップしている。このことについて日本は断念することを検討すらしていないのかどうか、それを一言お尋ねしたいと思います。
#59
○政府委員(石田寛人君) お答え申し上げます。
 先ほども申しましたように、使用済み燃料を再処理し、出てきますプルトニウムを使うということは、やはり非常に膨大なエネルギー資源を私どもの手中にするということであるわけでございます。御指摘のとおりに、経済性というのは極めて大事な側面であると認識しておるわけでございます。プルトニウム利用技術、これは確かにウランそのものを使います場合に比べまして加工等々いろいろな面でより困難が伴うことは確かでございましょうけれども、それにつきましても、茨城県東海村でごらんになりますように、これを取り扱う技術はできておるわけでございます。
 それで、例えば高速増殖炉の場合でございますけれども、これも冷却材にナトリウムを使うということ等々から現在のところ建設単価等におきまして高いものになっておるということも事実でございます。ただし、高速増殖炉におきましても、例えば冷却材の圧力が軽水炉ほど高くなくて済むこととか、あるいは比較的原子炉が出力密度が高い、ということは小さいスペースから多くのエネルギーが出るということであるわけでもございます。そういうメリットもあるわけでございます。
 ただ、確かに現在まだ原型炉のようやく試験運転をやりつつあるという、そういう段階でございますから、今の段階で直接に比較することはなかなかできないわけでございますけれども、技術開発の努力を傾注いたしますれば長期におきましては必ず経済性も達成できるということ。それとともに、例えば軽水炉におきましてプルトニウムをリサイクルいたしますことにつきましても、これにつきましてもモデル的な発電コストみたいなものの計算があるわけでございますが、これをいたしましてもそれほど在来のものと大差がないという、そういう結果もあるわけでございます。
 ただ、いずれにいたしましても、これからも引き続き技術開発努力を傾注することは必要でございましょうけれども、その技術開発努力の傾注によりまして経済性も向上してくる、かように認識しておるところでございます。
#60
○今井澄君 まだ断念をされないようですが、しかしいずれかの時点で断念せざるを得なくなるのではないかと私は思っておりますし、それまでにお金を使い過ぎないように、また危険をばらまき過ぎないように、厳重に私は警告と申しますか意見を申し上げておきたいと思います。
 さて、その問題はそれにいたしまして、科学技術庁にいろいろ期待することがございますのでいろいろお伺いしたいわけですが、予算の比率を見ましてそれで力の入れ方を判断するというのは確かに早計だとは思うんですね。ショウジョウバエやネズミを使う実験と、大きな重粒子線の機械をつくるのとでは、これはもう額が違ってくるわけですが、しかしおのずと、こういう金目の世の中ですし、特に国家財政が厳しい折には、たくさんお金を使っているところにはやっぱり大きな力を注いでいると考えざるを得ない側面もあるわけです。
 そういう点から見ますと、この科技庁の予算は五六%が原子力で、その次に大きいのが二七%の宇宙開発。それを除きますと各項目ごとで一番大きいのが五%ということになるわけですから、科学技術庁が次に力を注いでいるのは宇宙開発というふうに考えざるを得ないわけですが、宇宙開発は科学技術庁だけがやっているわけではなくて、政府全体の宇宙開発関係予算を見ますと、その中で科学技術庁の占めている割合が八〇%余り。ほかに文部省、通産省その他があるわけですが、こういう各省庁でそれぞれやっている場合に非常に問題になるのはやっぱり縦割りによる非効率性等の問題、むだとかそういうことになると思うんです。
 この宇宙開発については、文部省が最近もロケットで内之浦から衛星を打ち上げたと思いますが、衛星ももう四十個ぐらい上がっている。こういう国全体の宇宙開発関係について、科学技術庁は文部省等との関係でどういう役割を果たしているのか、それについて一言ちょっと御説明を願いたいと思うんです。
#61
○政府委員(石井敏弘君) 宇宙開発につきましては、科学技術庁を初めといたしまして、御指摘のように文部省、通商産業省、郵政省、運輸省等、幾つかの省庁におきましてその所掌に従って関連の施策を実施いたしておるところでございます。
 具体的には、科学技術庁では所管の特殊法人でございます宇宙開発事業団が通信放送、地球観測等のいわゆる実用分野におきます衛星の開発、その打ち上げ用のロケットの開発を行っており、また文部省におきましては宇宙科学研究所におきまして科学的知見の獲得ということを目指しまして科学衛星の開発及びその打ち上げ用ロケットの開発を行っているところでございます。その他通商産業省におきましては資源探査、産業用材料の生成等を目的とし、また郵政省におきましては通信放送技術の開発等、さらに運輸省では気象業務の観点等からいろいろやっておるところでございます。
 これらにつきましては、宇宙開発委員会というものが内閣総理大臣の諮問機関としてございまして、この宇宙開発委員会におきましては、我が国の宇宙開発の全体の基本的政策ということで宇宙開発政策大綱というものを定めておるわけでございます。これに基づきまして各省がそれぞれの具体的施策を講ずるという形になっております。また、各年度の計画につきましても宇宙開発委員会は宇宙開発計画という年度計画を毎年定め、また予算の要求の段階に当たりまして見積もり方針調整ということで各省全体の調整を行い、御指摘のような重複がないような方向でやるという形で全体を整合的に行っておるというふうに認識いたしております。
#62
○今井澄君 確かにそういう意味では、分担をし、重複がないようにやっていることは多分そのとおりだろうと思いますが、しかし分担をし、重複がないようにやるということは、とかく連携がとれなくなる、それぞれが勝手にやるということになりかねないわけで、現にそういうことはいろいろお聞きするわけですね。その点については、科学技術庁としてはどういうところに注意して連携をとるようにしておられるのか、そういう努力がおありになればお聞きしたいと思います。
#63
○政府委員(石井敏弘君) 御指摘のとおり、特に大きな宇宙開発事業団と宇宙科学研究所というものにつきましては、かっても非常に大きな問題が国会等でも議論されたわけでございますが、基本的に先ほど言いましたように実用分野と科学衛星の分野、こういう整理が行われたところでございます。
 確かに御指摘のとおり、両機関が協力、共同して行うことが有効かつ効果的なもの、こういったものがあろうかと思います。このようなことにつきましては、従来からそういった線で進めてきておるところでございまして、具体的には平成六年に打ち上げる予定にいたしております宇宙実験観測フリーフライヤ、SFUと申しておりますが、これにつきましては文部省の宇宙研が衛星本体及び天文観測等の科学実験機器を担当する、宇宙開発事業団が宇宙ステーションに取りつける我が国のJEMの暴露部のモデルを搭載して、かつHIロケットによって打ち上げていく、また通産省も材料実験等のところをやるというようなことで、三省庁共同のプロジェクトというような形で進めておるところでございます。また、平成五年度予算要求をいたしておりますが、新たにJIロケットの開発というものに着手しようといたしております。これは低軌道に一トン程度のものを打ち上げる能力を持ったものでございますが、これは宇宙研が開発してまいりましたミューロケットの技術と、宇宙開発事業団が現在開発を進めておりますHUロケットの補助ロケットのSRBの技術、補助ロケット技術、これを組み合わせまして、両機関が協力してこれを開発するというようなプロジェクトでございまして、御指摘のとおり今後とも必要に応じまして関係機関の連携、協力ということを強力に宇宙開発委員会の指導のもとに進めてまいりたいと考えております。
#64
○今井澄君 今のお答えでなかなかはっきりはしないわけですが、現実にはなかなか連携がうまくいかないという実例もありますので、今後とも一層御努力をお願いいたしたいと思います。
 さらに、海洋科学なんかについては、これ国全体の予算が六百億弱なわけですが、これが通産、運輸、科技庁、農水省が大体四分の一ずっということで、全くどうなっているんだろうなというふうな、これはそれぞれの事情があるんでしょうが、そういう分担にもなっておりますし、ライフサイエンス一千八百億弱については厚生省が一番多いわけですが、次が科技庁、文部省ということで、これも大きな省庁がそれぞれやっている。分担はよろしいんですけれども、連携が十分できるようにということでぜひお願いしたいというふうに思っております。
 特にライフサイエンス関係では、私もかつて科学技術振興調整費で四年間研究事業をさせていただきまして、その中では厚生省と科学技術庁非常に連携がうまくとれたという実感も一方で持っておりますけれども、しかし多くの研究者に聞きま
すと、むしろなかなか連携がとれない。例えば国立大学の教官がその科学技術振興調整費なりなんなりをもらうと今度は文部省の研究費がもらいにくくなるというふうなことがあって、もらいたくてもなかなか他の省庁の方に手を出しにくいという現実があるということを非常に悩みを持って語っているのをたびたび聞いております。そういう意味からいいますと、もっと有効に研究費が使われるようにお願いしたいと思います。
 特にその中でライフサイエンス関係で一つお聞きしたいことは、がんの問題でありますが、科学技術庁の予算でも重粒子線の治療装置の開発ということでかなり多額の予算が計上されているわけであります。ところが、対がん十カ年総合戦略は厚生省が中心になってやっているわけでありまして、文部省も関係している。この連携がうまくとれるかとれないかで成果も違ってきますし、またそれだけの巨額な投資をする意味も違ってくると思いますけれども、特に重粒子線によるがん治療について、科学技術庁としてはがんの中のどういうがんについてこれは有効であろうと考えているのか、またそれについてプロジェクトを進行するに当たっては、対がん十カ年総合戦略の中で、あるいはもっと具体的にいいますと、その患者さんを一体どういうところに依存して来ていただこうとしているのか、そのことについて簡単で結構ですからお答えをいただきたいと思います。
#65
○政府委員(石田寛人君) お答え申し上げます。
 御承知のように、重粒子線がん治療装置でございますが、これ重粒子を直接がんにぶつけるわけでございますから、どう申しましょうか、パンチ力が強いパンチが入るということ、俗に申しますとそういうことかと思います。そういうことで、従来の放射線治療に比べまして集中してエネルギーを出すということでございますから、比較的広い範囲のがんに効くということで、私ども強い期待を寄せておるところでございます。
 今御指摘の、患者さんによく来ていただき、なおかつよく治療できるような、そういう体制の整備は極めて重要であると認識いたしておるところでございます。したがいまして、放射線医学総合研究所におきましては、重粒子線の治療のネットワーク会議というのをつくりまして、いろんなほかの病院あるいはがんセンター等々とも緊密な連携をとりましてがん治療体制を整えていくということで努力中でございまして、これ平成五年度には臨床試行を始める予定でございます。ぜひ御指摘の点を踏まえましてがん治療に努力してまいりたい、かように考えておるところでございます。
#66
○今井澄君 そこで、対がん十カ年総合戦略についてちょっとお聞きいたしたいと思いますが、たしか来年度でこの十カ年戦略は終わると思います。これは大変日本でがんの死亡者がふえているという中で国民の期待を集めてスタートしたプロジェクトだというふうに思っておりますが、つい先ごろの新聞報道をちらっと見ますと、基礎研究は遺伝子とか何か結構進んだけれども、どうも治療のほうがいま一つだということで、まだ死亡者はふえる一方だというふうなことも読みましたが、一体十年目を迎えるに当たってどんなところまで来ているのか、それから、これで終わっていいのか、それともさらに続けるお考えがあるのか、その辺をお聞きしたいと思います。
#67
○説明員(澤宏紀君) 対がん十カ年総合戦略につきましては、がんの本態解明という戦略の目標の達成に向けまして第一線の研究者による九年に及ぶ研究事業が進められておるところでございます。平成五年に十年目を迎えるわけでございますが、これまで不明でありました数々の発がん機構の解明がなされたことによりまして、がんの本態に近づきつつあるというふうに承知しているわけでございます。
 本戦略の今後の取り組みにつきましては、がん対策専門家会議にワーキンググループを設けまして、戦略の終了後の問題をも含めまして検討を行ったところであるわけでございますけれども、今後はこのワーキンググループの中間報告に基づき、がん対策専門家会議の検討作業を踏まえまして、関係省庁との連携協力のもとに適切に対応してまいりたい、このように思っております。
#68
○今井澄君 もう少し具体的に、先ほどちょっと申し上げたんですが、やっぱり治療という面でまだいま一歩十分な、十カ年戦略では、目的としたところに達したかどうかはともかくとして、国民の望むようなところにはまだ達していないという事実があるんではないかと思いますし、あるいはもう一つの問題は、働き盛りの人ががんで亡くなると非常に大変なことで何とかしなきゃならない。また若い人たちのがんは非常にこれは本人にも苦しみがあるということで何とかしなければならないと思うんですが、もう一方の問題として、高齢化が進むごとにがんがふえているという面もあると思うんですね。
 高齢者のがんというのはまたちょっと別の色彩があるんではないだろうか。これは私も臨床の現場で見ておりまして、高齢者のがんの患者さんは若い人と比べると苦しみなどは非常に軽いわけですね。ある意味で言ったら、人の寿命の一面ががんという病気であらわれているんではないかというふうに考えざるを得ない面もあるわけですから、高齢者に関しても若い人と同じようにただひたすら検査をして発見して手術をするなり放射線をかけりゃいいというわけでもない。むしろその人のクオリティー・オブ・ライフとの関係で、がんについても今後は単に医術としてだけではなく対処しなきゃならないんじゃないかという面もあると思いますが、その辺で専門家会議なりあるいは厚生省なりで検討されている方向がありましたら今後の方向をお示しいただきたいと思います。
#69
○説明員(澤宏紀君) 今後のがんの研究につきましては専門家会議の方で御検討いただいておるわけでございますけれども、現在のところ、ワーキンググループの報告にもありますように、基礎の研究の成果をいかに臨床に応用するかというのが今後の大きな課題になってこようかと思います。先ほど先生おっしゃられますように、がんの患者さんのQOLの問題、これは生命、生活の質というふうに訳されると思いますけれども、クオリティー・オブ・ライフ、この辺に向けての研究も非常に重要なことかと思います。それで、ワーキンググループの報告の重点的に取り上げるべき研究課題としましては、がん患者のQOLに関する研究が必要であるというふうな提言もいただいておるわけでございますけれども、私どもとしましてはこのような点も踏まえまして今後の対策に取り組んでいきたい、そういうふうに思っております。
#70
○今井澄君 時間がなくなってまいりましたので、最後ちょっとお願いのようなことになるわけで、先ほどの峰崎委員のお話にもありましたが、日本の研究体制や国家予算をもっと、特に基礎研究に関しては国家が責任を持たなければならないと、先ほど政策局長さんですか、お話がありまして、大変心強く思いました。
 たまたま日本が関係しております国際貢献の分野にもなりますヒューマン・フロンティア・サイエンス・プログラムというものがここ三年間動いているわけでありますけれども、大変うれしいことに、これは日本がお金の面では大体八割近く出しているわけですね。そして、これには国際的な学者が応募するわけですが、特にその中の長期フェローシップの事業では二三・四%日本人が採用されているというか、当選している。研究グラントの方でも一六・七%。日本の研究者は非常にその力を認められているという点は大変うれしいと思います。
 しかしながら、ホストの研究機関がある国はどこかということになりますと、例えば長期フェローシップの百二十八件でもわずか三件だけが日本の研究機関でやられるわけですね、京都大学二件、東京大学一件。日本人の研究者は研究テーマに当選するけれども、研究機関はほとんどがアメリカである。そして、研究者の流れを見てみましても、日本に来てやる外国人というのはわずか二
人しかいない。それに対して、あとほとんどがアメリカないしヨーロッパに行っている。カリフォルニア大学ですとか、マサチューセッツ工科大学ですとか、あとはドイツのマックス・プランク研究所ということになるわけですね。
 私も現実の研究者の話を聞いたんですが、一対一でやったら外国人には負けないんだ、だけれども研究環境が劣っているというふうな嘆きを聞くわけです。もちろんこれは国際的な問題でありますし、何も日本で研究をやらなきゃならないということないんで、それはアメリカへ行ったって構わないわけですけれども、逆に言うと日本の研究環境が非常に劣っているということが言えるんではないかと思います。
 先ほど峰崎委員もいろいろ言われましたが、日本の研究費大分伸びてはまいりましたけれども、基礎研究の分野が圧倒的に少ない、国費の注ぎ方が圧倒的に少ない。もう一つ私指摘しておきたいのは、研究者当たりの研究補助者や技術者の数が非常に少ない、諸外国に比べて圧倒的に少ない。もちろん昔のようにピペットで一滴一滴はかってやらなきゃならないような時代から、だんだん自動化されているので人手がそれほど要らないにしても、諸外国に比べて非常に少ないということは、単に機械だとか建物とかいうだけではなく、人的な研究体制が非常に劣っているということが日本の現実ではないかと思います。
 そしてさらに、事務職がこれを支えることも非常に大事なんですね、研究というのは。そういう点では、数字を見ますと、国立の機関は民間に比べてあるいは諸外国に比べて、特に国立の中でも大学なんかその典型ですけれども、研究者の数はふえても研究者以外の周辺の人の数が減っている。これは非常に問題であるだろうと思うんですね。
 そういう意味で、今後の研究への取り組み、特に人的配置、人的環境整備について充実していただきたいと思いますが、一言もし御意見がございましたら長官なりあるいはどなたかからコメントをいただきたいと思います。
#71
○説明員(高木喜一郎君) ただいま先生から御指摘がございましたフェローの件でございますけれども、先生御指摘の二名というのは第三事業年度でございまして、これまでに三年間やっておりますので、全体では八名ですか参っております。
#72
○今井澄君 一けたですね、一けた。
#73
○説明員(高木喜一郎君) はい、一けたでございますが、いずれにしましても、我が国としてはまず世界じゅうの研究者を引きつけるような魅力ある研究所をつくっていくことによってヒューマン・フロンティア・プログラムにおきますフェローシップの日本での研究者の招聴の拡大を図りたい、こういうふうに考えでございます。
 それから、先生最後に人材の問題についてお触れになられましたけれども、これは私どももちろん、科学技術活動を一層進展させていくためには、創造性豊かな研究者でございますとか技術者等のいわゆる科学技術人材の確保を図ることが重要な課題であるということは認識してございます。それでこのような、例えば特に科学技術人材の需要の増加が見込まれる一方におきまして、我が国の生産年齢の人口が減少しておりますし、また青少年の科学技術への関心が低下している、こういったような現象も指摘されておりますので、科学技術系人材の確保の方策を強化することが非常に重要でございます。
 こういったような背景を踏まえまして、昨年十二月に内閣総理大臣から科学技術会議に対しまして、科学技術系人材確保に関する基本指針についての諮問が出されたところでございまして、現在本基本方針の策定に向けて検討を進めております。
#74
○大久保直彦君 どうも長官、きょうは御苦労さまでございます。
 過日の長官の所信表明演説をお伺いいたしまして、非常に多岐にわたるテーマに言及をされておるわけでございますが、長官御在任中に特にこのことはどうしてもやり遂げたいと、いろいろ公平な立場で全般をにらんでおられると思いますけれども、特にそのようなお考えがございましたならば、冒頭にお伺いをいたしておきたいと思います。
#75
○国務大臣(中島衛君) 私も昨年の十二月初めに科学技術庁長官に就任をいたしまして、今事務次官以下各局長と連日勉強しておるわけであります。先ほど予算の話がありまして、原子力と宇宙が多いという話がございました。しかし、確かに予算の多寡はそういうことでありますが、全体に日本の科学技術を振興するということでやっておるわけであります。
 特に私は、今もいろんな議論がありましたけれども、研究者、科学者、人材の育成ということが一番大事じゃないかと思います。特に若い人の科学技術離れというか、大学なんか理工系への志望者が随分減ってきておるというようなことを聞きまして、将来の日本にとってはやはり若い研究者、優秀な研究者を育てるということが一番大事じゃないかと思います。それと関連するわけでありますが、そういう意味で、国立の研究所とか国立大学等の研究施設を充実して、本当に生きがいのある研究活動ができるようなことをやっていくための環境整備をするということが大事だと思います。
 ですから、優秀な研究者を育てるということと、それらの人たちが十分研究できるような環境をつくるという、そのことに私は重点を置いてやってまいりたいというように考えておるところでございます。
#76
○大久保直彦君 優秀な人材を育てたいというお考え、私も全く同感でございまして、どうか力いっぱい職務を全うされますよう、心から期待を申し上げているところでございます。
 今同僚委員からいろんな角度でのお尋ねがありましたけれども、私は宇宙開発について何点かお尋ねをいたしたいと思います。
 宇宙開発と申しますと、私は一九八六年のあのアメリカのスペースシャトル・チャレンジャーの大変痛ましい事故のことを思い起こすわけでございます。打ち上げ後わずか七十数秒にして爆発し、七名の宇宙飛行士が亡くなられた。当時、大変大きな話題を世界じゅうに投げかけておりまして、たしか一月の三十一日だったと思いますが、事故の三日後に当時のレーガン大統領が盛大な追悼式を持たれまして、宇宙飛行士七名の一人一人の名前を呼び上げながら、彼らの遺族並びに友人たちに心から哀悼の意を表するとともに、レーガン大統領が、未来は無償では得られない、アメリカという国は英雄的な行為とたっとい犠牲の上に築かれてきたんだと。この美しい神秘的な宇宙を探究することについての大変激しい情熱、事故の三日後でありながら、アメリカという国のフロンティアスピリットみたいなものを私は大変深く感じまして、ある意味では感動を覚えた一人でございます。
 それから二年数カ月の後に再生スペースシャトル第一号のディスカバリーが打ち上げられ、そして昨年の九月には我が国のも利さんが搭乗されましたエンデバーが打ち上げられたということで、私は宇宙開発に臨んで、特に今回のエンデバーの成功、毛利さんが宇宙空間を利用したいわゆる無重力実験というものを日本の子供たちにリアルタイムで伝えてきた、こういったことを考えますと、大変これからの宇宙開発、宇宙に対する人類の挑戦というものに敬意を表しながらも、我が国の宇宙開発についてはもっともっと日本としては力を注ぐべきではないのだろうかというような考えを持っておるわけでございます。まずこの点について、長官の御所見と今後の取り組みについての基本的なお考えをお伺いいたしておきたいと思います。
#77
○国務大臣(中島衛君) 今大久保先生からとうとい御経験の中からの御意見をいただきました。本当にあの事故はまことに痛ましい残念なことだったと思います。しかし、それを乗り越えてアメリカが宇宙開発をまたその後始め、現在のような状態に至っておることは事実であります。
 宇宙開発は、宇宙のいろんな環境を利用したり資源を利用したりして、地球にないものから我々人類の生活を向上するように努めていくということも一つあると思いますが、いろんな衛星を打ち上げることによって、実用的ないろんな観測をやって地球環境を守ったり我々の生活も向上したりというような、そういう使命もあると思います。大事な目的を持っておると思いますから、アメリカその他の国とも十分連携をとり合いながら、日本独自の技術開発も進めて、これからも宇宙開発を積極的に推進してまいりたいというように考えておるところであります。
#78
○大久保直彦君 とりわけ、昨年毛利さんが我が国としては初めて搭乗されたということは、我が国の宇宙開発に臨む基本的な立場からしても非常に大きな出来事であった、このように評価をいたしておるわけでございます。その評価がありましたがゆえに、毛利さんの次は向井さんであるということは、大体当時からの訓練を受けてきた仲間では、年間九回ぐらいのスペースシャトルが打ち上げられておるようでございますが、向井千秋さんの次の搭乗の計画は大体何年後ぐらいになるのだろうかということが専ら当面の関心事ではないか。また、向井さんの研究テーマはどんなものを今持っておられるのか。このことについて御答弁をお願いしたいと思います。
#79
○政府委員(石井敏弘君) ただいま御質問の向井千秋さんの件でございますが、アメリカのシャトルで第二次国際微小重力実験、私どもIML2と申しておりますが、微小重力下での各種の実験を行う計画があるわけでございます。これに日本からも十二テーマを提案いたしておりまして、このスペースシャトルで平成六年の七月に、来年の七月ごろに行く予定になっておるわけでございます。
 我が国の場合、全体八十テーマのうち十二テーマを提案しているというようなことで、搭乗員についても推薦する権利だけがあったわけでございまして、それで御指摘の向井千秋さんを強く大臣以下推薦し、いろいろNASAに働きかけを行ってきたわけでございますが、向井さんが来年の七月、IML2計画のスペースシャトルに搭乗をすることが決定されておる、こういうことでございまして、約十三日間にわたりまして実験をスペースシャトルに搭乗して行う、こういうような状況になっております。
 なお、我が国から提案しております十二テーマは、材料関係とライフサイエンス関係というようなものでございます。
#80
○大久保直彦君 来年の七月にこちらから出発をされるというただいまの御答弁でございましたが、打ち上げの日程についてはおよそ見当はついておりますか。
#81
○政府委員(石井敏弘君) 大変誤解されやすい表現で失礼いたしました。
 スペースシャトルの打ち上げ自体が来年の七月の予定でございまして、日にちそのものはまだ私ども確知いたしておりません。今現在、向井さんはアメリカに渡って各種の訓練を乗る人たちと一緒にやっておられるという状況でございます。
#82
○大久保直彦君 毛利さんに続いて向井さんが大成功をおさめられることを心から期待をいたしておるところでございます。
 長官、昨年はブラジルで国連の環境会議が開かれまして、地球環境問題への関心が非常に高まっておるところでございますが、今この環境問題に対しまして、宇宙からの地球観測というんですか、外から見た地球のあり方について観測そのものが大変大きな役割を果たしておる、こういうことでアメリカ並びにヨーロッパのいわゆる地球観測に対する関心も非常に高まりつつある、このような状況を承知しておりますけれども、詳しい何かデータ等がありましたらば教えていただきたいと思います。
#83
○政府委員(石井敏弘君) 先生御指摘のように、地球環境問題ということを考えました場合、地球規模での各種の現象というものを正確に把握し、そしてそのメカニズムを解明していくということが非常に重要なわけでございますが、その際、宇宙から人工衛星で地球を眺めるということは、広範囲を繰り返しかつ長期間にわたって観測することができるというようなことで、極めて大きな手段として期待されておるところでございまして、我が国も当然努力いたしておりますが、世界の各国でも宇宙からの地球観測ということに大変積極的に取り組んでおるところでございます。
 例えばアメリカにおきましては、一九七二年以来ランドサット衛星を五個順次打ち上げてきて陸域の観測を継続して行っておる、あるいは極軌道気象衛星NOAAシリーズによりまして気象のほかに上陸の植生の観測を実施するといったようなことをやってきておるところでございます。さらに、今後の計画といたしましては、我が国と共同して開発を進めております熱帯降雨観測衛星、これを九七年に打ち上げる計画になっております。また、九八年から打ち上げを予定いたしております気候変動を長期的に観測するということを目的といたしましたEOS計画というものの衛星を六種類打ち上げるといったようなことを予定しておるというようなことでございます。
 さらにヨーロッパにおきましても、フランスが一九八六年にSPOT衛星という地球観測衛星を打ち上げ、運用してきております。また、平成三年の七月にはヨーロッパのリモートセンシング衛星、ERS1と言っておりますが、これを打ち上げ、かつ九四年にはこれの後継機の二号を打ち上げるといったような形で、非常に各国とも努力しておるというような状況でございます。このほかカナダ、中国、インド、ロシアといったような国々でも将来の打ち上げを計画しているというような状況にございます。
#84
○大久保直彦君 世界の関心が非常に高まりつつあることは非常に結構だと思いますが、我が国が今求められておる国際貢献という立場からいたしまして日本ができる限りのことをなすべきであることは当然だと思います。特に宇宙からの地球観測という問題はそんなに古いテーマではない、特にこれからの宇宙開発については大きな柱になっていくべきものではないかと思いますが、特にこの点についての我が国のあり方といたしまして、国際間の協力としてやる部分と我が国が独自に取り組んでおる部分とあると思いますけれども、この辺についてはいかがですか。
#85
○政府委員(石井敏弘君) 先生御指摘のとおり、宇宙からの地球観測を進めていくということは、国際貢献を果たすという上におきましても非常に日本にとっても重要なことである、かような認識を持っておるところでございまして、科学技術庁におきましても、六十二年の二月に海洋観測衛星というものを打ち上げ、MOS1と言っておりますが、海面温度あるいは大気中の水蒸気等を観測する衛星でございます。さらに、平成二年の二月にはMOS1b、この第二号機を打ち上げて運用しているというようなことでございます。さらに、平成四年の二月には地球資源衛星一号というようなものを打ち上げ、雲の影響を受けずに地表の性質を観測することができるといったような高性能のセンサーを持った衛星を打ち上げております。さらに、今後のものといたしましては、平成七年度に地球観測プラットホーム技術衛星というものを打ち上げることを予定しております。また、平成九年の夏期には熱帯降雨観測衛星を日米協力で打ち上げるというような計画をいたしております。
 御指摘の国際協力という意味におきましては、我が国は、先ほど言いました平成七年度に打ち上げます地球観測プラットホーム技術衛星、ADEOS、この中にフランスあるいはアメリカのセンサーを載せるというような協力もいたしております。また、熱帯降雨観測衛星はアメリカと共同で開発して打ち上げるということで、国際的な協力のもとにプロジェクトを進めておるというようなことでございます。また、衛星から得られました観測データというものにつきましても国際的な流通ということに心がけておるところでございまして、今後ともこれを充実させていきたい、かよう
に考えておるところでございます。
 今後とも宇宙からの地球観測ということにつきましては、関係各国、国際的な関係のもとで相互に連携をとりながら積極的に進めてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
#86
○大久保直彦君 地球観測衛星を初め多数のロケットが必要だということになると思うんですけれども、一時、開発中のHUのことについては大変頻繁にいろんな情報が提供されておりましたが、最近は余りHUについての情報が聞こえてこない、何かトラブルが起きているのではないかという観測も逆にあるわけでございまして、HUの現状について御報告をいただきたいと思います。
#87
○政府委員(石井敏弘君) 静止軌道に二トンクラスの衛星を打ち上げる能力を持っておりますHUロケットの開発につきましては、これまでのところ第一段のエンジンでございますLE7、これを除きましておおむね開発は終了いたしております。このLE7につきましては、先生御指摘のように今までトラブルがいろいろあったのではないかというようなお話、まさにそれがこのLE7についてのものでございますが、昨年の六月にふぐあいが発生いたしまして、打ち上げスケジュールを一年延期せざるを得ないという事態に至ったわけでございますが、その後ふぐあい対策を講じまして各種の試験をやってきておるわけでございます。
 特に、長秒時燃焼試験というもの、これは三百五十秒の燃焼試験でございますが、実際にロケットを打ち上げたときにそのエンジンが約三百五十秒燃えるわけでございますが、それと同等の時間内の長砂時の燃焼試験というものを同じエンジンで四回やって四回とも成功したということでございまして、LE7エンジンの設計の確定というところまで至っておるわけでございます。さらに、つい最近におきましては、第一段ロケットのタンクとこのエンジンと組み合わせた燃焼試験というものも種子島でやっておりまして、二十三日にはその第一回目を無事終了した、こういうところでございまして、現在までのところ、昨年の六月のトラブルを克服いたしまして順調に推移いたしてきておるというのが現状でございます。
 もとより、いろんな開発でございますから、今後とも私たち安全対策には十分留意しつつ、平成六年の一、二月期に一号機が打ち上げられるべく全力を尽くしてまいりたい、かように考えておりまして、そういうような状況にございます。
#88
○大久保直彦君 平成六年の一月に打ち上げの予定であると。それはもう確定したんですか。
#89
○政府委員(石井敏弘君) 平成五年度冬期と申しておりまして、平成六年の一月ないし二月の期間に打ち上げるという予定で現在開発を進めております。
#90
○大久保直彦君 宇宙関係の問題で最後に長官にお尋ねをしたいと思うんですけれども、宇宙ステーション計画が既に作成され、また各国間で合意、調印され、また批准されてかなりの年月を経ておるわけでございますが、アメリカ、ヨーロッパ、日本、カナダ等々の国が中心となって行っておるいわゆる宇宙ステーションの国際プロジェクトが、このたびのアメリカ・クリントン政権の誕生によって果たして従来どおりの思惑といいますか、計画で今後とも進めていけるのだろうか。むしろ双子の赤字を抱えておるアメリカ経済にとっては宇宙開発そのものが今一つの曲がり角としてとらえられておるのではないか、このようなニュースがあるわけでございますが、この宇宙ステーションの国際プロジェクトについて、アメリカ・クリントン政権下での政策変更なり、またこの宇宙プロジェクトに対するクリントン政権の考えを承知されているのかどうか、何かつかんでおられるのかどうか、もしあれば御報告をいただきたいと思います。
#91
○国務大臣(中島衛君) クリントン大統領は二月十七日に経済政策の演説をしたわけですが、その際に配付されたステートメントの中で、宇宙ステーション計画を継続するとの方針を明らかにしております。しかし、今大久保先生からお話がありましたように、投資効果を増すための計画見直しを発表するということを言っておりまして、実際の中身については私どももまだ完全な把握をしていない状態でございます。宇宙ステーション計画は、参加主体が宇宙ステーションの構成要素を分担して開発するという方式をとっておりまして、今回のアメリカの見直しはアメリカが担当する部分を見直すというものだというように考えておるところであります。また、アメリカ政府から、計画の見直しに当たって我が国が開発している実験モジュール、JEMに影響がないように行いたいということは言っておるんですが、確たるところはまだつかんでおりません。
 我が国としては、これまでの方針どおり、我が国が担当している実験モジュール、JEMの開発を着実に進めてまいりたいというように考えておりますけれども、クリントン演説もありました直後でありますし、アメリカが宇宙ステーション計画をどう見直すかということが我が国のJEMにも影響することでありますから、今後ともアメリカの状況を十分に把握いたしまして、我が国が主体性を持って状況に応じた適切な対応ができるように情報収集をしてまいりたいというように考えておるところであります。
#92
○大久保直彦君 宇宙ステーションにつきましては、今話題になっております向井千秋さんが宇宙飛行士の試験に合格されましたときのコメントとして、私は将来宇宙ステーションでレストランを経営いたしたい、そして日本のお赤飯を目玉商品にするんだというようなことを、直接か間接か失念いたしましたけれども、たしかおっしゃったことを伺って、まあどえらいことを考えている人がいるものだなと私は大変感銘を深くいたしたのでございますが、大ざっぱな数字で恐縮ですけれども、たしかアメリカが三兆円、ヨーロッパが六千億、日本が三千億、そしてカナダがその半分ぐらいというような予算を持ち合っての計画であると思います。今長官からお話があったように、この宇宙ステーションの基本的なスタンスには変わりはないものの、その内容について非常に厳しい状況が生まれておるのではないかということを大変懸念をいたしております。
 宮澤総理が四月に訪米をされるというような御予定もお伺いいたしておりますけれども、日本の科学技術庁として、この宇宙ステーションの計画について、特に我が国がこの宇宙開発をリードする立場からいたしましても、日本側から特にアメリカに何か注文があってよろしいのではないかというようなことを私は思うのでございますけれども、もし長官の何かお考えがあればお伺いさせていただきたいと思います。
#93
○国務大臣(中島衛君) 今大久保先生から非常に心強い御発言をいただきましてありがとうございました。
 宇宙ステーションは日本、アメリカ、欧州、カナダの国際協力でやっておるものでありまして、将来の本格的な宇宙環境利用の基盤として有人宇宙活動に必要な基礎技術の習得、開発の機会として重要な意義があるものでありまして、今後我が国の宇宙開発における重点項目の一つとして位置づけておるところであります。
 この間、向井千秋さんが一月に科学技術庁の長官室を訪れていただきまして、私も話をいたしました。非常にさっぱりしたいい人でありまして、お医者さんでありますから人体に関することとか、そういうことに非常に関心を持っておるようでありました。スペースシャトルは毛利さんも約一週間、向井さんの方が少し長くて十二、三日と聞いておりますけれども、やっぱり将来は宇宙ステーションをつくって恒久的な基地を宇宙につくって開発できるようにすることが私は理想だと思いますので、アメリカの今の財政事情とかいろんなことからクリントン演説が出てきておると思いますけれども、そういうアメリカの財政事情はアメリカの事情でこれは別にいたしまして、我々が科学技術の振興、宇宙の開発を進めるという意味では今までの計画を進めていきたいというよう
に思っております。
 三月の中ごろ、宇宙開発事業団の山野理事長が別の用事でワシントンへ行くことになっておりますから、その際に、向こうの情報収集をすると同時に、我が国としてはこの宇宙ステーション計画を前向きに進めてまいりたいんで我が国のJEMについては従来どおりやりたい、アメリカとしてもひとつ従来の方針を変えることのないようにしてもらいたいという、そういう意味の我が国の考え方というものは十分伝えてきていただきたいというように考えておるところであります。
#94
○大久保直彦君 私も将来宇宙ステーションのレストランでお赤飯を食べたいと思いますので、ぜひよろしくお願いをいたしたいと思います。
 次は、地上の話になりますが、先ほど同僚委員からもお尋ねがありましたCOE、センター・オブ・エクセレンスの件についてであります。今回の長官の演説の中では大変力が入っているように拝見をするのでございますが、私は、基礎研究の主な担い手は各大学の研究室であり、または国立研究所等のいわゆる公的機関で行われているわけだと思うんですけれども、なぜ今このような新制度を設けなければならないのか、なぜこういうセンター・オブ・エクセレンスというようなものを我が国が新しく始めなければならないのか、その辺がいまいちよく理解ができないわけなんですけれども、お考えを聞かしていただきたいと思います。
#95
○政府委員(長田英機君) センター・オブ・エクセレンスと申しますのは、基礎研究を強力に振興させるために、非常にすぐれた研究施設を研究所に有しまして、そして優秀な人材を集めてまた世界に発信していこう、こういう考えなのでございますが、どうしてこういうものが重要か、急に出てきたのかという御質問でございます。
 やはり日本の科学技術がここまで発展して、そしてまた非常に経済大国になってまいりました。これからは、やはり日本としましては基礎研究を大いに充実しまして、基礎研究は人類共通の資産でございますから、それを大いに強化して世界全体のためになっていく、これをなるべく早くやらなきゃいけない。そういうふうに考えまして、そのためにはどうしてもこのCOE、センター・オブ・エクセレンスというものを早く形成して基礎研究の実を上げていく、こういうような点から、最近になりましてこういう強化策を特に打ち出したいということでございまして、昨年決めました科学技術政策大綱においてもそういう点が強調されているわけでございます。
#96
○大久保直彦君 そんなことを聞いているんじゃなくて、アメリカではNIHですか、フランスでもパスツール研究所のような、いわゆるCOEのような機関はかなり歴史的にも成果を上げているんだと思うんですが、我が国において大学や国立研究所等でやっている仕事が今の現状では不十分なんですか。今の現状ではとても国際貢献などという域に至らないという御認識でこういうものをつくろうとされておるのか。どうもその辺の問題の所在が非常にあいまいなまま今日来ているんじゃないか、こういうふうに思います。
#97
○政府委員(長田英機君) 現在の大学、国研の状況、これは一般に言われておりますが、施設も十分なものではなくて、このまま放置していくと将来に向かって大変なことになるというようなことが指摘されているわけでございますが、やはり我が国の研究施設、研究環境、研究基盤というものが必ずしも十分ではない。そういう状況下にあって、先生今御指摘になられました外国のCOEと言われるようないろんな機関、そういう機関にも伍してなるべく早く基礎研究の実を上げていきたい、そういうような発想から出てきているというふうに認識しております。
#98
○大久保直彦君 日本の置かれている地理的な立場ですとか、また日本語の言語等にかなりの障害といいますか、これから我が国の科学技術または医学等々の問題が国際的に十分な貢献度を発揮するためにはどうしてもこういうものが必要であるというような、その辺のアピールが何か非常に弱いんじゃないかと思うんですね。何となく、建物が古くなって寝るところもないからこういうものをつくらないとえらいことになるぞみたいな、非常に何か低次元でこのCOEの議論が展開されているような私は思い込みをいたしてならないのであえてお尋ねをいたしておるわけでございますが、どうかもっと胸を張ってこのCOEの設立、発展のために奮闘いただきたいと思います。
 時間があればもっといろいろと申し上げたいんですけれども、もうおしまいの時間が来ましたのでこれで打ち切りますが、最後に長官、同僚委員からも触れられましたがん対策のための重粒子線の問題、今井さんもおっしゃっておられましたが、研究は大体できたようだけれども、先ほど石田局長からも今年の五月ですか、臨床に入る、その段階まで来たと。しかしどういう患者がどういうふうな治療を受けられるのか、その辺については全くまだこれからの問題であろうかと思います。長い間の成果が実ってきたので、ぜひ実りある成果を得ていただきたいということをお願いしながら、最後に、あと二、三分ありますので、さっき東海地震の話がありましたけれども、首都圏の地震対策について、首都圏の地震予知、非常に首都圏は何か層が入り組んでおりまして難しいようなんですが、本年度の予算措置でどの程度のところまで成果を上げ得るというふうに踏んでおられるんでしょうか。
#99
○政府委員(石井敏弘君) 先生御指摘のとおり、首都圏は関東ローム層ということで、非常に上部の層が柔らかくて岩盤までが非常に深いということになるわけです。加えて、上層部は人間活動が非常に活発でございますから非常にノイズがあるということで、地下深く掘り込んで地震計等を置かなければ各種の微小地震等を精密にはかれない、こういうような状況にございます。
 従来から首都圏につきまして三カ所の三千メートルクラスの深井戸深層観測施設というものを持っておるわけですが、これらの成果ということが非常に出てまいりまして、さらに微小地震観測の大きな成果を上げて予知能力を向上させていくということのためには、三千メートルクラスの深井戸をさらに一カ所、二千メートルクラスを十二カ所ぐらい掘る、さらに海底地震観測施設等も置く、あるいは人工衛星を利用した、GPSと言っていますが、測地観測施設なんかを十二カ所ぐらい置くというような計画で現在首都圏の広域深部観測施設の整備というものを進めておるわけでございます。
 御質問の平成五年度につきましては、十四億八千万円の予算をもちまして既に整備に着手しております三千メートルクラスの深井戸並びに二千メートルクラスの二カ所の整備を進めるとともに、新たに二千メートルクラスの観測施設も一カ所整備するといったようなことを五年度におきましては行う予算を要求させていただいておるという状況でございます。
#100
○大久保直彦君 時間も参りましたので最後に、今日ほど科学技術庁の担う役割が非常に大きいときはないと私も思っておりますが、どうか一層の奮闘を強く要請いたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
#101
○直嶋正行君 民社党の直嶋でございます。
 私もきょう科学技術特別委員会で初めて質問させていただきます。長官初め皆様方、どうぞよろしくお願い申し上げたいと思います。
 私は、きょうは我が国の原子力政策、とりわけその中でも、先般あかつき丸でのプルトニウム輸送をめぐって改めて世界的な関心を集めました核燃料サイクル計画を中心に幾つか御質問をさせていただきたいと思います。
 まず、原子力政策あるいは核燃料サイクル計画についてでありますが、これらの政策は、安全性を十分確保する中で国内外の理解を得ながら平和利用目的に徹して積極的に推進していくべきである、私はこのように思っていることをまず申し上げておきたいと思います。
 現在の日本の原子力政策は、九〇年六月の長期エネルギー需給見通しやあるいは同年の石油代替
エネルギーの供給目標、そして八七年六月に策定されました原子力開発利用長期計画、こういうものによって行っているというふうに承知をいたしております。しかし、これらの政策ができた背景と現在ではバックグラウンドが大分変わってきているんではないか。例えばソ連邦の崩壊、冷戦構造の消滅、こういう五十年、百年に一回というような世界情勢の激変がある前のことでありますし、そもそも核燃料サイクルの問題というのは、私の記憶では第一次、第二次オイルショックを経た直後に、将来の日本のエネルギーの安定供給ということで立ち上がったというふうに記憶をいたしております。
 したがいまして、こうした世界情勢の激変の中で、例えば旧ソ連の核兵器の解体に伴って一説によると百トンぐらいのプルトニウムが発生するんではないかというようなことも伝えられております。世界的に供給過剰になるんじゃないか、こういう問題が出ておりますし、また同時に、核兵器が拡散をするんではないか、こういう危惧の念が国際的にも高まっているわけであります。そういう時期であるだけに、我が国のプルトニウム計画に対してさまざまなことが言われたり、極端なケースとしては、核兵器に転用する、将来そういうことがあり得るんではないかというようなことも指摘されているわけであります。
 また、米国の新政権の政策も、先ほど来お話ありましたように、例えばプルトニウムを使う高速炉の実験を中止する、あるいは日米の原子力協定についても縮小をするというようなことが見通されておりますし、何よりもアメリカの世論が日本のこういった核燃サイクルの開発に対して、例えばニューヨーク・タイムズ、ワシントン・ポストといった世論をリードする新聞がいろいろと批判的な見方をしている。
 我が国のこれまでの原子力政策を見ますと、やはり何よりも米国の理解と協力の中で進めてきたわけでございまして、これが大変大きな影響を受ける、あるいは近い将来受けかねない、こういう情勢になっているんではないかと思いますし、またフランスを初め各国もこういったプルトニウム計画そのものの見直し等が言われているわけであります。その中で、エネルギー供給をほぼ完全に海外に依存している我が国としまして、こういう世界情勢の変化に対応しながら、従来の計画を国内外の信頼を得るという観点に立って見直していく、このことがやっぱり必要ではないかな、このように思っているわけでございます。
 そうした視点に立って幾つか具体的な御質問をさせていただきたいと思うのでありますが、まず何よりも大事なことは、平和目的に徹するんだという日本の立場が正しく伝わっていない、理解がされていない、このように思うわけであります。したがいまして、この日本の立場を国内外に理解してもらう、こういう観点から、従来のこうした原子力政策に関する情報公開あるいは広報活動のあり方をやっぱり見直していくべきではないか、このように思います。
 今回のあかつき丸輸送に関しても、核防護の観点から、あるいはフランスやアメリカとの協定との関係で非公開主義で臨んだというふうに伺っておりますが、これがかえって国際世論の不信を買うことになってしまったと。あえて申し上げれば、政府が情報をその中で小出しにまた出していかれた。このこともそれを一層あおり立てたのではないか。したがいまして、平和目的に徹すると口でばかり言っているのではなくて、いろんなこういう背景が変わってきている中で、具体的な姿勢を私はあらわしていく必要があるのではないかというふうに思っております。
 先般の新聞報道等でも、例えばプルトニウムの在庫量の公開であるとか、あるいはアジア諸国に対して日本のプルトニウム政策について理解を求める、協議をしていく、こういうようなことが一部報道されておりますが、こういったことについて、あかつき丸の教訓を踏まえてこれからの情報管理やあるいは広報活動をどのように見直していかれるおつもりか、まずこの点についてお伺いをさせていただきたいと思います。
#102
○国務大臣(中島衛君) 今直嶋先生から全般にわたるいろんな指摘がありました。確かに、今石油を中心とした化石燃料が主体になっておりますけれども、将来は太陽熱とかいろんなクリーンなエネルギーに移っていくんだと思いますが、やはり化石燃料も有限でありますし、クリーンなエネルギーの開発もまだ見えてこないという状況の中で、やっぱり原子力の安全性に配慮をいたしつつ平和利用をしていくというこの路線を現在は進めていかなければならないんじゃないかと私どもは考えておるところであります。
 そこで、国際的な理解を得たりそれから安全性を確認したり、核が拡散しないようなきちんとした管理を行っていったりということが大事でありますけれども、結局は国民の皆さん方の理解と協力を得なければこういう政策は進めていかれないわけですから、積極的に情報公開を行って国民の皆様方の理解が得られるような政策を進めていかなければならないんじゃないかというように思います。
 原子力の開発利用に関する情報を公開していくことは、平和利用を確保するとともに、安全性等に国民の理解を深めていく上で重要なものというように考えております。そのため、原子力闘発利用に関する情報については、公開できるものは可能な限り公開することが基本と考えております。今後とも、核物質防護、また財産権の保護、核不拡散等の観点から、どうしてもやむを得ない理由がある場合を除きまして、政府としてはできる限り情報の公開に努めてまいりたいというように考えておるところでございます。
#103
○直嶋正行君 今の御答弁で、全体的な基本的なお考えは前向きなお考えだというふうに受けとめさせていただきました。
 あえてちょっと申し上げたいと思うんですけれども、今のようなお考えで、やはり理解を得るために積極的に情報を公開していくということでありますが、そういう視点に立って考えますと、例えば理解活動というようなことで申し上げますと、原子力に関するいろんな反対諸団体、これは特に国内だけではなくて海外の諸団体もあります。こういうところに対しても日本の姿勢といいますか、これをやはりきちっと理解を求めていくべきであろうかと思います。これは相手があることですから難しいことではありますが、必要な情報が国際協定の枠の中でどうしても公開できない、しかしやはりトータルで見ると公開した方がいいのではないか、こう御判断されることについては、例えば国際協定の見直し、こういったこともぜひ念頭に置いて進めていただきたいなと思うんですけれども、こういった現在の国際協定等の状況について何かありましたらちょっとお伺いしておきたいと思います。
#104
○政府委員(石田寛人君) お答え申し上げます。
 まさに先生御指摘のとおりでございまして、私どもの基本的な姿勢につきましては、やはり国際的に透明なものであること、透明性の確保が最大大事なことだと思っておる次第でございます。先ほど大臣からの御答弁にもございましたように、最大可能な限りの公開、ただし財産権の保護、核物質防護あるいは核不拡散の観点等の公開の制約もあるわけでございまして、それにつきましては国際的な枠組みもあるわけでございます。
 今回、あかつき丸によりますプルトニウムの輸送ということをやったわけでございまして、今回の経験にかんがみまして、今後はさらに我が国の原子力の計画等につきまして正しい情報の提供を時宜に行っていくという、そういう努力をますます展開する、関係各国ともいろんな話をしていきたい、かように考えておるところでございます。
#105
○直嶋正行君 続きまして、核燃料サイクル計画の中での、特に高速増殖炉の技術開発情報についてお伺いしたいと思うんですけれども、これも先ほどお話がありましたが、この分野で先頭を走ってきたというふうに言われておりましたフランスが実証炉のスーパーフェニックスにトラブルが続
いて運転再開を延期したということでありますし、またドイツやアメリカ等も計画が中止になっているというふうにお聞きをしております。
 日本においても、これも先般既に報道がありましたが、例えば次期増殖炉ですか、これの着工を従来計画していた九〇年代末から二〇〇五年ぐらいまでおくらせるというような報道があったように思っております。こういった各国の状況の評価とあわせまして、我が国における技術開発の見通しについてお伺いをしておきたいと思います。
#106
○政府委員(石田寛人君) お答え申し上げます。
 今先生御指摘のように、フランス等々においては若干の停滞あるいは中断があるんじゃないかというそういう御指摘、それから我が国の原型炉は「もんじゅ」でございますけれども、それ以降のいわゆる実証炉、あるいはそれ以降のものにつきましての計画、あるいはその実用の見通し等々の御質問でございます。
 これにつきましては、特にフランス、これは御承知のように原型炉フェニックスはもうずっと前から運転しておるわけでございまして、実証炉スーパーフェニックスにつきまして今彼らはいろんなトラブルにも見舞われ、あるいはその運転の仕方につきましてフランス国内でいろんな議論があるということは御承知のとおりであるわけでございます。その中で、スーパーフェニックス等につきましては、むしろこれからはプルトニウムを増殖というよりも燃焼させていくという、そういうことで考えたらどうだ、あるいは廃棄物となるべき超ウラン元素等を燃やしていくという、そういう計画でどうだという議論があること、これまた御承知のとおりでございます。
 こういうフランスの考え方につきましては、全体フランスはウラン、プルトニウムの需給バランスがグラットにあるという、そういう状況を踏まえましてフランスはいろいろそういうことを言っておるわけでございますが、先月中島大臣がフランスを訪問されましたときにフランスの関係者が言っておりますのは、やはり長期的には増殖という路線は非常に大事である、ただし、短期的には核燃料物質、燃えるものが比較的グラットにあるんだから、そこで急いで増殖することはないだろう、よって燃やしていくという、そういう路線もあるのではないかということをフランスの責任者が我が大臣に対して議論しておったということも思い起こすところであるわけでございます。
 それで、我が国の姿でございますけれども、御指摘のように、一部報道には高速増殖実証炉の建設時期、これは現在の原子力開発利用長期計画によりますと、一九九〇年代後半、すなわち二〇〇〇年に極めて近いところの着工という、そういうことになっているわけでございます。これにつきましてなかなか難しいんじゃないかという議論もあるということが報道されておるわけでございます。ただ、これにつきましては、現在原子力委員会で原子力開発利用長期計画を改定中でございまして、そこでいろんな御議論があろうかと思うわけでございます。ただ、この事業の実施主体たる電力会社、具体的には日本原子力発電株式会社は、高速増殖実証炉の設計等につきまして鋭意検討、勉強しておるところでございます。そういうことで、なるべく早く高速増殖実証炉は具体的なものになっていくことを我々は強く要望し、またそのための努力をしておるところでございます。
 最後に、実用化の見通しということでございますけれども、実際これからさらに開発努力を重ねる必要があるわけでございます。恐らく、その開発努力を続け、いろんな炉をつくっていくステップを経まして、二〇三〇年代以降になりますと、そのときのウラン、プルトニウムの需給関係にもよるのかもしれませんけれども、経済性を持ってエネルギー供給上大きな役割を果たしていくということが期待されておるところでございます。
#107
○直嶋正行君 今の御答弁の中でちょっと確認しておきたいんですけれども、実証炉も含めて計画改定作業の中でいろいろと議論があるとおっしゃったんですか、今。ということで、ちょっと状況によっては延びるかもしれない、こういうこともあり得るという理解をしていいですか。
#108
○政府委員(石田寛人君) お答え申し上げます。
 これは現在原子力委員会の長期計画専門部会の中の御議論でございますから、恐らくこうなるであろうということを事務方をお預かりしております私どもがこの席で申し上げることはむしろ差し控えるべきであろうかとは存じますけれども、この長期計画と申しますのは、これはまたいろんなことをすべていろんな角度から検討するということでございますので、その検討の結果によりましては、今先生がおっしゃったようなことも含めていろんな可能性があるということを申し上げた次第でございます。
#109
○直嶋正行君 続きまして、この核燃サイクルで厄介な問題だと思うんですが、高レベル放射性廃棄物について、その処理処分計画についてお尋ねをしたいと思います。
 この計画は、もちろん私がここで申し上げるまでもなく、高レベル廃棄物をガラスで固化し、三十年から五十年一時保管、その後地下数百メートルの深地層に処分する、大体各国ともこのやり方が中心であるというふうにお伺いをしております。その管理というのは、やっぱり放射性元素の半減期との関係もありまして、非常に長期的な、数千年というような単位の話だというふうにも聞いております。我が国の高レベル廃棄物の計画についてまだ実施主体が決まっていない、どこにこれを処分するか特定して決めた国はまだないというお話も先ほどの御答弁の中でございましたが、しかし私は、我が国のこの計画の部分がそういう横並びで見ても率直に申し上げてやはりちょっとおくれているんではないか、そういう気がいたします。特に日本の場合は、もう御存じのとおり地震や火山の多い国でありますから、この部分に対してはやはり本当に大丈夫かなという素朴な疑問が出てくる、このことは私もよく理解できるところであります。
 そういう日本という国の特殊事情も含めて考えますと、どうも全体的な印象として、高速増殖炉の開発計画については、いろんなことが言われて具体的な話もどんどん出てくる、しかし一番心配されている処分の部分についていうと余り情報が出てこない、こういう嫌いがあるんじゃないかなと思うんですけれども、この処分計画等について、現状あるいはこれからこれについてどう国民的な理解を求めていかれるのか、こういう点についてお伺いしたいと思います。
#110
○政府委員(石田寛人君) お答え申し上げます。
 高レベル放射性廃棄物の処分に至る一連の考え方につきましては、今おおむね先生がおっしゃったとおりであるわけでございます。
 現段階におきます大きな仕事と申しますのは、確かに先生が今おっしゃったような危惧を抱かれる方も非常に多いわけでございます。そこで動力炉・核燃料開発事業団は、研究開発の中核的推進機関といたしまして、高レベル放射性廃棄物を地下に入れたときに一体どういうことになるかということにつきましてのいろんな情報を一歩一歩積み上げてきておるところでございますし、それがまとまったところで逐次いろんなことで御説明申し上げておるところでございます。
 ただ、全体の原子炉の計画等に比べまして余りその辺はっきりきちんと説明していないんじゃないかという、そういう御指摘でもあるわけでございますけれども、これにつきましても確かに全体そういう印象をお持ちになるような嫌いがあったと思いますので、これからさらに動燃事業団に対しましては、放射性廃棄物の処理処分、特に高レベル廃棄物の処分に至ります研究開発につきまして、まずその中身を充実いたしますとともに、時宜を得ましていろんな方に御説明申し上げ御理解を賜るという、そういう努力をさらに強力に展開していくように動燃に要請していきたい、かように考えておるところでございます。
   〔委員長退席、理事永野茂門君着席〕
#111
○直嶋正行君 ぜひよろしくお願い申し上げたい
と思います。
 次に、この核燃サイクルのコストの見通しについてお聞きしたいと思います。
 既に「常陽」や「もんじゅ」等の建設費、あるいは六ケ所村の再処理施設の建設費、あるいはあかつき丸での輸送費等、さまざまな費用を積み上げますとこれまでに約一兆五千億ぐらいの費用がかかっていると思うんです。これからのことを考えますと、今議論させていただいたこの地層処分の費用、こういうものを加えると相当莫大な費用になるんではないかな、膨大な費用を投下しなければいけないんじゃないか、このように思います。
 そういう膨大な費用の投下が見込まれるんですけれども、何せ長期的な計画でありますから、また必要なことでもあるんですけれども、その長いレンジの中でやはりできるだけむだをなくしていくということも大事なことではないかと思います。そういう意味で、今後に向けてのそのコスト計画のつくり方あるいは考え方、こういうものについてお伺いしたいと思いますし、また、例えばこれが事業としてどのようにしてペイをさせていかれるのか、この点についてもお伺いしたいと思います。
#112
○政府委員(石田寛人君) お答え申し上げます。
 御指摘のとおりに、例えば高速増殖原型炉「もんじゅ」の建設費約六千億円等々、非常に巨額ではないかというふうになるわけでございますが、これはまさに今プルトニウム利用核燃料サイクルのインフラストラクチャーを整備しつつある、そのインフラストラクチャー整備の期間にあるということであろうかと思うわけでございます。その整備におきましていろんなものが、初期投資、先行投資、あるいは研究開発投資といたしまして必要であるわけでございまして、非常にたくさんの予算を計上させていただき、それを使わせていただいておるわけでございます。
 ただ、これはまさにいみじくも今先生がおっしゃいましたように、長期にわたって見るべきものであろうかと思うわけでございます。これが実用化いたします暁には、全体最終的なコストは、原子力発電単価といいますかコストといいますか、キロワットアワー当たり幾らということになりまして、低廉安定なる電力エネルギーの供給ということに結びつくわけであるわけでございますので、ぜひコストの面は長期的に見ていくということが大事かと思うわけでございます。
 そこで、全体の諸事業の事業としての成立性ということであるわけでございます。これにつきましても、核燃料サイクル事業、相当全体金がかかってペイしないのじゃないかという、そういう説をなされる向きもあるわけでございます。ただ、これにつきましては、全体妥当な料金体系あるいはその事業運営ということを得ますならば、使用済み燃料の再処理、あるいはもちろんウラン濃縮もアップするのでございますけれども、あるいは放射性廃棄物の管理等々、妥当な事業運営と料金体系をもってするならば基本的には事業の成立性は問題ないものと思っております。
   〔理事永野茂門君退席、委員長着席〕
 ちなみに、最終的な原子力発電の発電単価ということになりますと、核燃料サイクルコストといいますのは全体の多分二〇%あるいはそれ以下であるわけでございます。もちろんその二〇%以下の核燃料サイクルコスト、非常に大事なものであるわけでございますけれども、それにつきまして、プルトニウムリサイクルをした場合、しない場合の比較等もいろいろなモデル計算をやっております。現在まで私ども承知しておりますところ、今の技術をもってすれば、プルトニウムリサイクルをした方が若干高いということもあるわけでございますが、全体の発電コストということで割り掛けし直しますとそれほどの差にもならないということになるわけでございます。
 そういうことで、長期的な観点から現在のインフラストラクチャーその他を整備していくための費用を見ていくということによりまして、全体我が国の核燃料サイクルをめぐります経済性というふうな考え、展望していけるんじゃないかというふうに認識しているところでございます。
#113
○直嶋正行君 私心配しますのは、非常に重要なプロジェクトであるけれども、幾らお金をつぎ込んでもいい、こういうことにはならないと思います。
 それから、ここでこういうことを申し上げるのはちょっと失礼かもしれませんが、原子力船「むつ」が非常に巨額の経費をかけた割に、評価の仕方はいろいろあるかもしれませんけれども、かなり多くの方から成果とコストで見るとどうかなと、こういう指摘もあったわけでございます。ぜひそんな経験も念頭に置いておやりいただくよう要望申し上げておきたいと思います。
 続きまして、この核燃サイクル計画なんですが、実現をするということになると、これは特に二十一世紀に向けて非常に大きな功績になるんではないか、このように思っておりますが、やはりこの計画は、今まで指摘をさせていただきましたように、例えば廃棄物処理の問題についても技術面の開発で非常に難しい面が多々ある、巨額のお金がかかる。今申し上げたようなこういうコスト面も膨大なコストがかかる。また、我が国のエネルギーの安定供給という観点から考えますと、国際協調といいますか、これはもう言うまでもなく、石油を海外から依存しているこういう現実を考えましても国際協調ということは非常に大事ではないかと思います。
 それに、今申し上げたようなコストや技術、こういうことを考えますと、従来、我が国の行き方というのはどちらかというと自前でという発想が割合強かったんではないかな、こういう印象を持っているんですけれども、今後やはりこの国際共同プロジェクトという方向でこの計画もそういう側面を入れていく必要があるんではないか。このことがやっぱりいろんな意味で我が国の国益にもマッチしてくるんではないか、このようにも考えております。
 例えば、ヨーロッパではフランス、ドイツ、イギリスで高速増殖炉開発で協定が結ばれ、そして計画が進んでいる、こういうふうに聞いておりますし、これは昨年でしたが、外務省の初代原子力課長の金子さんという方が、これは新聞の投稿で、やはり国際プルトニウム管理機構というような形での国際的に有効な提案を日本はすべきであると。この方は最初のアメリカとの原子力協定に携わられた方でございます。そういう主張もされているわけであります。また、さっきお話があったように、ことしの秋には原子力開発利用長期計画の改定がされるというふうに聞いておりますし、この改定の時期はある意味で言うと非常にチャンスではないか、このように思います。
 今まで申し上げたことをちょっとまとめて申し上げますと、やっぱり一つは平和目的に徹するという日本の立場を国際的に理解をしてもらう。それから、プルトニウムが過剰になる、こういう中でのいろんな心配事がふえてきている。あるいはまた、日本に対する核疑惑といいますか、こういう目が向けられている。それから廃棄物処分を含めて技術開発が非常に難しい。あるいはさっき申し上げたクリントン政権の姿勢、それからアメリカの世論の動向、こういう世界情勢の変化、冒頭に申し上げたように、こういう新たな情勢変化に対応する中でぜひこの改定作業というものをおやりをいただきたい、このように思うわけでございます。
 そういう意味で、原子力委員会の委員長でもあります長官に今申し上げたような点について御所見をお伺いをいたしまして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。
#114
○国務大臣(中島衛君) 今直嶋先生から重要な御指摘をいただきました。現在、原子力委員会では昨今の原子力をめぐる内外情勢の変化を踏まえまして、ということは、先生のおっしゃった国際情勢が変化してプルトニウムが過剰になるような時代に入るんじゃないかというようなこと、それから核が拡散する、いわゆる兵器、爆弾に使われるような核が拡散する可能性があるんじゃないかと
いうような心配、それからまたソ連の兵器からの核というような問題、いろいろ国際情勢が変化をしておりまして、それらの内外情勢の変化を踏まえなければならないというように考えております。
 原子力開発利用長期計画の見直しに今取り組んでおるところでありますが、プルトニウムの平和利用については、本件をめぐる今後の国際動向にも十分注意を払いながら着実かつ段階的に計画を進めていくことが重要だと認識をいたしております。余り従来の方針を変えないというようなことを強調し過ぎるというようなことのないように、柔軟な姿勢で長期計画の立案に努めてまいりたいというように考えております。
#115
○吉岡吉典君 最初に事実関係をお伺いしておきますが、さきに質問があったことと関連しますけれども、クリントンの新型炉からの撤退方針に基づく日本への事前通告があったという報道がありましたが、これあったんですか、なかったんですか、その事実だけ。
#116
○政府委員(石田寛人君) 事前通告ということは難しゅうございますが、先ほどお答え申し上げましたように、大使館の関係職員が国務省に呼ばれたことがあるようでございますけれども、いわゆるちゃんとした意味での事前通告というのはなかったというふうに聞いております。
#117
○吉岡吉典君 話はあったんですか。要するに、大使館員への説明はあったということですね。
#118
○政府委員(石田寛人君) 私が承っておりますのは、大使館の職員が国務省で話を承ったことはあるようでございます。
#119
○吉岡吉典君 それだけ確かめておきたかったんです。
 きょう外務省からおいでいただいているので、最初に事実をちょっと報告願いますが、先ほど来論議になりましたあかつき丸によるプルトニウム輸送に関連して、世界じゅうで大問題になったわけですが、一つは、大体幾つぐらいの国で反対運動あるいはいろいろな反対の批判的な動きが起きたのかということ。もう一つは、その中で政府ないしそれに準ずるところから日本政府に対していろいろな問い合わせ、批判、意見、あるいはそういう国が懸念を声明するというようなことが行われた国が、これはどういう国であったのか。これ事実だけお伺いします。
#120
○説明員(岸野博之君) お答え申し上げます。
 まず、昨年のプルトニウム輸送に関しまして、マラッカ海峡の周辺諸国、それから南太平洋の島嶼諸国、アフリカ、それから中南米の諸国等、大体三十から四十ぐらいの政府から我が国に対しまして、外交ルートを通じ、輸送の安全性であるとかあるいは輸送ルートについて照会が行われたわけでございます。この中の幾つかの国からは輸送の安全性やあるいはルートについて懸念が表明されております。
 それから、先生御指摘の反対運動でございますが、これは何を含めるかによって答えが変わってくると思いますが、国内の諸団体による反対運動あるいはマスコミによる批判的な論調、それから国民の中の反対運動等を含めるとすれば、かなりの国でこういった反対の声が上がったのは事実でございます。
#121
○吉岡吉典君 この場で一々国の名前を述べられなくてもいいんですが、そういう多くの国でいろいろな意見、運動が起こったと。その国の一覧表で結構ですが、後からいただけますか。
#122
○説明員(岸野博之君) 個々の国がどういう申し入れを政府ベースで行ったかにつきましては、相手国との関係もございますので、どこがどういう主張をしたかについての細かい資料については出すことは望ましくないと考えています。しかし、どういった国が照会を行ってきたかについては適当な資料を探してみたいと思います。
#123
○吉岡吉典君 これ、きょうの本題じゃありませんから外務省の方に要望しておきます、国の名前それから反対運動も含めて。
 それから、今三十から四十の国から日本に対して照会、懸念の表明があったということです。この数字だけでも大変ですけれども、さらにそれをもうちょっと細かく言えば、例えばアメリカではハワイ州でも意見が述べられ、西部州知事連合、これはアメリカの西部二十一州だそうですが、そういうところからも懸念が述べられたという形で、記録を年表的にたどってみると、まずアメリカから日本への批判ないし懸念の声が起こったというふうに私は受けとめております。
 さて、こういう批判が世界じゅうから起こった理由は何であり、政府としてはそれをどうとらえているのか、またこれは予想どおりの反響であったのかどうなのかこれをどなたかにお伺いしたいと思います。
#124
○国務大臣(中島衛君) 今回の輸送が内外の関心を引いた大きな理由の一つには、一部の反対派による反対活動が行われたことも一つの理由だと思いますが、やっぱり核ジャックとか核不拡散とか、そういう観点からの心配もあったことも事実だろうと思います。実際のところ、本件輸送に関連して出された各国の疑問や懸念には、情報不足に起因する不安や不正確な情報に基づく誤解等も相当あったと思われます。
 このような事態を踏まえて、関係国に対して本件輸送計画や我が国のプルトニウム平和利用計画にかかわる正確な情報提供に努め、各国政府レベルではおおむね理解が得られたと思っておりますが、今回の経験にかんがみまして、今後は我が国の原子力計画等について正確な情報を時宜を得て提供していく努力をさらに強化してまいらなければならないというように考えておるところでございます。
#125
○吉岡吉典君 不正確な情報に基づく誤解ということでございましたけれども、私はそれで三十ないし四十の国が踊らされるということではないと思います。
 きょうここで私は細かく答えが出せる問題だとは思いませんけれども、この問題をめぐる日本への世界の批判というのは、単なる誤解ではない、日本の政治姿勢が各国の誤解を強めているという問題があると。私は、科学技術特別委員会では初めての議論ですけれども、かってこの問題が論議されたときに繰り返し言ってきたことですけれども、やはり日本は核武装を本当は考えているんじゃないかと相手が疑ってもしようがないような言明が重要な立場にある人から行われているわけです。私は、日本で今直ちに核武装をしようという計画のもとに科学技術庁が何らかの計画を進めているなどとは思っておりません。しかし、そうとられてもしようがない。それは、日本の政府の答弁を見ますと、例えば、憲法上は防衛的な核兵器は保有できるという答弁はしばしば行われております。
 九〇年、当時の中山外務大臣はこういう答弁もしていますね。我々の国には残念ながら核兵器は国として持たないという国民のコンセンサスがございます。残念ながら核兵器が持てないと言ったら、これは諸外国はやっぱり本音は持ちたいととると思いますよ。
 それから、これは私、去年参議院の予算委員会でも質問したことですが、これは外務省の政策企画委員会が半年にわたる作業をまとめた我が国の外交政策の基本に関する文書の中でははっきりとそのことを書いているわけですね。そういう疑問を持たれてもしようがない。ちょっとこれは予算委員会で読み上げたことですが、こう言っているわけですよ。「当面核兵器は保有しない政策をとるが、核兵器製造の経済的・技術的ポテンシャルは常に保持するとともにこれに対する制肘をうけないように配慮する。」と、「核兵器製造の経済的・技術的ポテンシャルは常に保持する」、こういうことを言っているわけです。この文書について宮澤さんは、政府の文書ではないという答弁でしたけれども、私は限定された外務省のある研究団体の文書だということを前提にしてこれも質問をしたつもりです。これは過去の文書じゃないんですね。
 というのは、これは朝日の記事で出たことですが、去年外務省のある幹部がこう語ったというん
ですね。これは去年の十一月二十九日の朝日に出たんですが、「個人としての意見だが、日本の外交力の裏付けとして、核武装選択の可能性を捨ててしまわないほうがいい。保有能力は持つが、当面、政策として持たないという形でいく。そのためにも、プルトニウムの蓄積と、ミサイルに転用できるロケット技術は開発しておかなければならない」と、こう語った言葉がこれは新聞に去年の十一月出ているわけですね。
 こういうことがあれば、やはり日本は少なくとも外交抑止力として核兵器保有力を内外に誇示しようとしている、こうとられますね。これはもう私は間違いないと思います。これはあなた方が幾ら誤解だ、平和利用についてのPRを徹底すると言っても、これじゃおさまりませんね。私は核燃料サイクルの問題については賛成でありません。これは技術的にまだ開発されていないと。時間があればゆっくりやりたいんですけれども、そういう結論ですが、しかし日本がどういう目で見られているかという点では、今言ったようなことは念頭に置いて日本の核政策というのはあなた方検討してもらわなくちゃならないと思います。
 大臣、こういう、私読み上げましたが、一々事実かどうかはいいですが、少なくともそういうものが報道をされている。こういう姿勢を長官ほうっておきますか。それは閣議ででも大いに異議ありということをおっしゃいますか。
#126
○国務大臣(中島衛君) 私は、日本は核保有国になることはないし、なる考え方もないと思っております。
 我が国は、国内的には原子力基本法によってすべての原子力活動を平和目的に限定しておりますし、また国際的には核不拡散条約の加盟国としてその責任と義務を忠実に果たしてきております。具体的には、従来から国際原子力機関、IAEAの保障措置を受け入れておりますし、原子炉等規制法に基づき国内保障措置を実施しております。これらにより、我が国の核物質については厳格な管理が実施されておりまして、核物質が核兵器に転用されないよう保障されておるわけであります。したがって、我が国としては核兵器の開発を行うなどということは毛頭考えておりません。この問題に関連して、他の国が日本を信頼できる国家と見るか否かによって見る目も変わってくる可能性があるかもしれませんが、かかる観点から、原子力分野のみならず、あらゆる分野で日本が一つ一つ信頼される行動を積み重ねていくことが重要であるというように考えております。
 私は、日本は核の平和利用に徹しておるわけでありまして、核兵器保有国になるということは絶対にないと確信をしておるわけであります。
#127
○吉岡吉典君 私はそんなことを聞いているわけじゃないんですよ。そんなことはもう百も日本政府が言ってきたことである。にもかかわらず、今長官がおっしゃったことに疑問を持つような文書があり、発言があるから外国の疑問は強まるんですよ。それでいいのかで、今読み上げられたことは外国はみんなよく知っています。しかし、長官がその姿勢では諸外国の日本への懸念はなくならないだろうと思いますよ、残念ながら。
 ついでだから一つお伺いしておきます。外務省のある幹部は、ロケット技術も開発しておかなくちゃならないと語ったというのですが、ロケット開発はさっきもちょっと論議ありましたね。平和的なロケット利用と軍事的なロケット利用は区別できますか。
#128
○政府委員(石井敏弘君) 宇宙開発のあれにつきましては、国会決議におきましても我が国の宇宙開発利用は平和目的に限る、このようになっておりますし、また宇宙開発事業団につきましても法律で平和目的に限ってこの開発を進める、これが我が国の宇宙に関する基本的な政策でございます。
#129
○吉岡吉典君 僕は政策を聞いたんじゃないんですよ。僕の聞いたことに答えてください。
#130
○政府委員(石井敏弘君) 私どもはこのような基方的な政策に基づいてすべての施策を遂行しておるということを申し上げたいと思います。
#131
○吉岡吉典君 何をあなた答弁するんですか。質問に答えができないということですか。
 大臣ね、こういうのはよくないんですよ。ロケットは平和に利用できる技術と軍事に利用できる技術と区別できるかと言うのに、政策を答えたってそれは答えにならないんですよ。科学技術庁というのはもうちょっと科学的に答えてもらわなくちゃなりません。まああなた答えたくないようだからいいです、それは。
 それじゃもう時間もないから、プルトニウム関係で幾つかお伺いしておこうと思ったんですが、これは時間が残ったら後でもう一度お伺いをすることにします。
 先ほども問題がありました宇宙ステーション計画の問題について僕も最初ただしておきたいのですが、クリントン大統領は宇宙ステーション計画の縮小をもう決定した、これは我々はそうとっていいと思います。そしてそれだけじゃなくて、それに伴う設計変更の指示もした。その指示はスタッフにも伝達されたということまで極めて具体的に報道されているわけです。日本には何らかのこういうことについての知らせがありましたか。
#132
○政府委員(石井敏弘君) 先生御指摘のとおり、アメリカのクリントン大統領は去る二月十七日に経済政策演説を行いましたが、その際にホワイトハウスから配付されましたステートメントの中で、宇宙ステーション計画を継続するとの方針を明らかにするとともに、投資効果を増すための計画見直しを発表いたしたところでございまして、これにつきましては米側から私どもにもそれなりの連絡を受けたところでございます。
#133
○吉岡吉典君 連絡はあったわけですね。
 そうすると、その連絡の範囲ではこの計画変更はどの程度に及ぶものというふうになっておりますか。
#134
○政府委員(石井敏弘君) 米側の今回の計画見直しというものにつきましては、あくまでも米側が担当する部分を見直すというものでございまして、米国政府からは、計画の見直しに当たりましては我が国が開発を進めております実験モジュールに影響がないように行いたい、かように申しておるところでございます。また、具体的な見直しに当たっては国際パートナーとも十分協議をする、かように連絡を受けておるところでございます。
#135
○吉岡吉典君 報道では、日本モジュールには影響がないということではなくて、基本設計から詳細設計までつくり直すということでアメリカの内部の作業は開始され、それに伴う予算上の問題まで報道されていますが、そうするとあなた方はそういうことはないという説明を受けているということですね。
#136
○政府委員(石井敏弘君) 米側からのあれでは、国際パートナーに対する影響がないように行いたい、かような趣旨を申してきておるところでございます。
#137
○吉岡吉典君 そうすると、報道にある基本設計から詳細設計までの変更ということは全く想定しないのか、それともそういう問題が起こり得る余地があるというぐらいは考えるのか。その点はどうなんですか。
#138
○政府委員(石井敏弘君) 現在のところ、米側の九四年度予算の二十三億ドルの中身は詳細にわかっておりません。また、見直し自身が現在NASAで行われておるところでございまして、詳細はまだわからない。ただし過去の例で、やはり宇宙ステーション計画がその開発の過程でより多額になるといったような問題もあり、計画の見直し等が過去も行われたことがございます。その過程におきましても、国際パートナーへの影響という点につきましては、米側は十分配慮しながらこれを進めてきたところでございます。
#139
○吉岡吉典君 この計画は、もともとがペンタゴンが米ソ対決時代に軍事的利用をも念頭に置いて進めたものだという経過があるもので、これが国会で協定が成立されるときにも大論議になった。当時、論議も尽くさないうちに私らも質問時間を
残したまま強行採決されたという経過があるもので、私らその後もそういう経過を踏まえて、しかもアメリカではしばしば計画変更が論議になるから、日本としても大いに慎重に対処しなくちゃならないということを言は続けてきた問題であります。
 膨大な予算、もう既に今年度予算を含めれば三割ぐらいを投ずるということになる。ところが、アメリカでは基本設計までやり直そうということになっているという報道がある状況で、私はそうなれば、科学技術の予算の一割までではないんですけれども、かなりの比重をこの宇宙ステーション計画は持っているわけで、予算までどうするかということまで検討しなくちゃならない問題を持っていると思いますが、そういう点で、あなた方はもう今までどおりの計画で進めればいいということで突っ走ろうということですか。
 アメリカが一緒に計画したものを勝手に大統領の演説で打ち切るということ自体もそれはもうけしからぬことではあるわけですけれども、あなた方はそれに対して、先ほど大臣は自主性を持って対処するということがありましたけれども、自主性云々ということは抜きにして、これは予算の根本にもかかわる問題もはらんでいる問題ですが、大体非常に甘い見通しで、従来と同じようになるだろうということですか。
#140
○政府委員(石井敏弘君) 宇宙ステーションの目的について、先生は若干いろんなことをおっしゃいましたが、宇宙ステーションは、平和目的のものでシビルユースなものであるということで始まった、あくまで平和目的の範囲のものでございます。
 なお、今回の米側の計画見直しということにつきましては、先ほど来申しておりますように、我々が現在国際プロジェクトで進めております宇宙ステーション計画は、参加主体が宇宙ステーションの構成要素をそれぞれ分担する、そしてそれを軌道上で組み上げるというような開発方式をとっているところでございまして、今回の米側の見直しというものも、米側が分担しておる部分を見直すというものでございます。かつ、これにつきましても米側は、JEMに影響がないように、国際パートナーに影響がないように行いたい、かような意向をNASA長官から言ってきておるということ、加えて、具体的な見直しに当たっては国際パートナーと十分協議しながらやっていくということを申しておるところでございます。
 私どもといたしましても、我が国としてはこれまでの方針どおり、我が国が担当しておる実験モジュールの開発を着実に進めてまいるということでございますが、もちろん今後とも米側の状況を十分把握して、我が国が主体性を持って状況に応じた適切な対応を図っていくべきものと考えております。
#141
○吉岡吉典君 もう時間がないわけですから、この問題の論議はやめて、今の答弁に責任を持ってもらいます。それだけ言っておきます。
 途中で飛ばした一つだけ確認しておきたいことがあるんですが、先ほど問題になりました高レベル放射性廃棄物ですね、これの最終的な責任はどこが負うのか。実施主体をつくって云々ということはあるんですが、私年末にも六ケ所村へ調査に行ったときに、一番問題になっているのは最終責任はどこが持ってくれるのかがわからないということでした。それとあわせて、先ほど地層処分の対象をどこにするかはまだ白紙だという意味がありました。答弁によると、六ケ所村はその対象から排除されるように響く答弁でしたけれども、排除するんですか、あそこも含めて白紙だということですか。その点もはっきりさせながら答えていただきたい。
#142
○政府委員(石田寛人君) 高レベル放射性廃棄物の対策につきましては、国、電気事業者、動燃事業団等、関係機関の適切な役割分担のもとに進めていくということで進んでおるわけでございます。
 具体的な責任分担といたしましては、国は処分が適切かつ確実に行われることに対しまして責任を負うとともに、処分の円滑な推進のための所要の施策の策定を行うということでございます。それから動燃事業団は、当面研究開発とそれから地質環境調査等の着実な推進を図ることでございまして、電気事業者は処分費用の確保のみならず、研究開発の段階におきましても高レベル放射性廃棄物の発生者としての責任を十分踏まえた役割を果たす、そういうことにしておるところであるわけでございます。実際、処分を実施いたします実施主体は、先ほどから御答弁申し上げておりますように、二〇〇〇年を目安といたしましてつくる事業主体によってこれが行われるということになっておるわけでございます。
 それから、青森におきます立地でございますけれども、基本的には私どもは立地はそれぞれの地元の御理解と御協力をいただき立地活動を進めていくということであるわけでございます。青森県におきましては、知事さんの御意向は青森県に最終処分場を持ってこないという御意向を表明しておられるところでございまして、その知事さんの御意向は重く認識されるべきものと考えておるところでございます。
#143
○吉岡吉典君 今の知事さんの意向を尊重するということだと、私がこの問題をかつていた外務委員会で質問したときには、全国的に白紙ですという答弁でした。今は、その全国的白紙の中から青森県だけは除外されたと、そういう意味ですか。
#144
○政府委員(石田寛人君) お答え申し上げます。
 全国的白紙というのは、どういうことかなかなか難しいことであるわけでございますが、これは、まさに全国的にどこで行うかは決まっていないという意味において全国的自紙と申し上げたことはあったかと思います。
#145
○吉岡吉典君 だから、青森のことを聞いているんです。青森はその全国的自紙から排除されて、ここが対象になることは将来ともないというのがさっきの答弁ですか。
#146
○政府委員(石田寛人君) お答え申し上げます。
 したがいまして、現在知事さんが青森県に持ってくる意向はないとおっしゃっておるわけでございますから、それを重く受けとめると申し上げておるところでございます。
#147
○吉岡吉典君 はっきり言ってください、はっきりそれは。もう一回言います。僕の質問に沿って答えてください。
#148
○政府委員(石田寛人君) お答え申し上げます。
 青森県知事がそうおっしゃっておられまして、そうおっしゃっております以上、青森県には立地されないということであろうかと思っております。
#149
○吉岡吉典君 きょうは科学技術庁というのは本当に非科学的な答弁しかできないということが非常によく証明される委員会になりました。まあそれはしようがないです。
 もう一問お伺いします。民間再処理第二工場、これは長期計画の中で大体二〇一〇年をめどにということの計画があるわけですが、これは生きているのかどうなのか、この第二民間処理計画は。あわせて、私ども去年六ケ所村へ行ったときに、六ケ所村で図面に沿ってこの地域は第二次計画の対象区域だという説明があった。したがって、六ケ所村というのはそういう第二民間処理計画の対象候補地の一つにもなっているのかどうなのか。
 そのことに関連して、青森県当局に行って、これは連絡受けていますか、あなた方御承知ですかどうですかという質問をしましたら、原子燃料サイクル事業の安全性に関する専門家の報告書の中に、状況によっては増設の可能性があるということも書いてあります、という答弁でありました。どう書いてあるかというと、「なお、将来、電力需要動向との関連で規模は未定であるが、施設の増設を見込んでいる。」ということがなお書きで書いてあるから、そういうことも起こり得るであろうという示唆をする答弁が県当局からあったわけです。
 そうすると、私青森県にかわって質問しているみたいな形になりますけれども、やっぱり青森県というのは今第一次の再処理工場でも問題になっているのに、第二次民間再処理工場の対象地もここから選ばれる可能性があり得ると、もう既に専門家の報告の中でそういうことが読み込まれているということになっているのかどうなのか、お伺いします。
#150
○政府委員(石田寛人君) お答え申し上げます。
 民間第二再処理工場の建設計画でございますけれども、現行の原子力開発利用長期計画、これは先ほどからお答えしておりますように現在改定の作業中でございますけれども、この現行計画では二〇一〇年ころの運転開始を目途とされておるところでございまして、今後のプルトニウムの需給動向を勘案しながらその具体化が図られていくものと、かように考えておるところでございます。
 具体的には、今後の諸情勢を踏まえまして民間を中心に検討が進められていくということになると思うわけでございますが、現時点では民間第二再処理工場建設に関する具体的な動きはないものと承知しておるところでございます。
#151
○永野茂門君 大臣、この後衆議院の方にもおいでになるようでございますが、大変御苦労さまでございます。
 最初に、科学技術を通じての国際貢献のあり方についてお伺いいたします。
 国際社会は政治的にも経済的にもますます相互依存を深めておりまして、世界はまさに国際的な協調の時代に入っておると言っても過言ではございません。経済的に米国に次ぐ力を持つに至りました我が国は、先進国の主要な一員として、国際社会の中でその立場にふさわしい役割と責任を果たしていくことが求められております。これまで人類は長年にわたり蓄積いたしました科学技術の成果を活用して今日の反映をなし遂げてきたわけでございますが、今後もますます科学技術の成果の蓄積が必要であり、我が国は率先してこれに貢献しなければならないと考えます。
 また、最近の渡辺・クリントン会談でも提起されましたけれども、近年、地球環境問題、資源エネルギー問題あるいはエイズ問題等々、人類共通の課題について先進国協調による解決のために、あるいはまた長期的には南北問題の解決を図り、途上国科学技術力の向上を進めるためにも、科学技術に対する期待は極めて大きなものとなっております。
 世界有数の科学技術力を有するようになってまいりました我が国としては、みずからが発信基地となって科学技術による国際貢献をするということこそが、我が国に最もふさわしい国際貢献のあり方ではないかこういうように考えます。
 そこで、まず科学技術を通ずる国際貢献についての基本的な考え方について大臣の見解をお伺いいたします。
#152
○国務大臣(中島衛君) 科学技術は人類全体の利用に供される知的な財産であり、豊かな経済力と世界有数の科学技術力を有する我が国としては、みずからの科学技術の振興を図り、その成果を世界に向けて発信することにより国際社会に貢献していくことが必要であるというように考えております。
 このような認識のもとに、国内においては基礎研究の強化や研究開発基盤の整備等を進めながら、科学技術にかかわる人、組織及び諸活動の国際化を図り、積極的に国際的な交流と協力を促進していくことが重要であると思います。平成四年四月に閣議決定された科学技術政策大綱においても、このような考え方のもとに、国際的な科学技術活動の強化を重点施策の一つとして取り上げているところでございます。当庁としては、同大綱を踏まえまして、今後ともみずから基礎研究を初めとする科学技術の振興を図り、国際貢献を積極的に推進してまいるつもりでございます。
#153
○永野茂門君 次に、センター・オブ・エクセレンスに関してお伺いいたします。
 ただいま述べられました国際貢献を行うに当たりましても、国内において活発な研究活動を展開し、特に基礎研究をさらに深め、そして拡大をしていくことが大事であります。
 我が国の科学技術活動に関しましては、民間企業を中心といたしました実用化あるいは製品化そしてまた生産技術等につきましては世界的に非常に高く評価されているところでありますけれども、先ほどからいろんな同僚の先生方がおっしゃっておりますとおりに、基礎研究につきましてはまだまだ大いに努力する余地があるのではないかと私も強く感じておるところであります。このため、基礎研究の主要な担い手でありますところの大学あるいは国立研究機関等、公的な部門の研究活動を今後格段に強化していく必要があると認識しております。
 基礎研究の強化に関しましては、今井先生の質問にもありました、あるいは大久保先生の質問にもありましたけれども、欧米では例えばNIHあるいはマックス・プランク研究所あるいはまたパスツール研究所等、COEと呼ばれる世界じゅうの研究者を引きつけるような魅力のある研究機関が数多くありまして、すぐれた成果を発信して世界の基礎研究を強力にリードしております。そしてまた、日本からもそれらに対してはたくさんの人が行って活躍していることは御承知のとおりでありますが、残念ながら我が国には海外の研究者がぜひ研究したいと思うような、これはいろんな条件があるわけでありますけれども、センター・オブ・エクセレンスが少ないのが実情であります。したがいまして、今後我が国が基礎研究を強化するに当たりましては、公的な研究機関の中にCOEを育成していくことが極めて重要であると考えます。
 昨年、総理が中心となってまとめられました生活大国五カ年計画の中でも、我が国の発展基盤を形成する上でCOEの育成が重要な要素である、こういうことを言われており、政府としてはこの問題に最大限の努力を払うべきだと考えますが、このCOE、中核的研究拠点の育成についての科学技術庁の基本的な考え方あるいは本年の具体策があるならば、その具体策について概要をお伺いいたします。
#154
○政府委員(井田勝久君) お答えいたします。
 我が国の基礎研究をこれまで以上に強化していくためには、やはり内外の優秀な研究者を引きつけまして大変魅力のある研究環境を持ちます基礎研究の拠点、こういうものをつくりまして、世界に向けましてすぐれた研究成果を発信できるようなセンター・オブ・エクセレンス、こういうものを国内に育成していくことはただいま御指摘のように大変必要であろうかと思っているわけでございます。このことは昨年四月に閣議決定いたされました科学技術政策大綱におきましてもその重要性が指摘されているところでございます。
 こういったことを踏まえまして、政府といたしましては、みずから創造的な研究所づくりに意欲的に努力を行っている研究機関、こういうものに焦点を当てまして研究資金の重点的な投入を行う、こういうことなどを通じまして積極的にセンター・オブ・エクセレンスの育成を図っていきたい。言ってみますれば、国立の研究機関たくさんございますが、その中で競争とそしてその研究活動に正しい評価を与えましてそういうものを育成してまいる、このように考えているところでございます。
 平成五年度におきましては、科学技術振興費を活用いたしましてこの育成の事業を始めるわけでございますが、当面十二億円、科学技術振興調整費、これは今予算の中に盛り込まれておりますが、この中から約十二億円を充てましてその事業に着手したい、ただいまそのように考えているところでございます。
#155
○永野茂門君 ぜひ努力をして、マックス・プランクだとかパスツール以上の世界的なCOEをつくれるように御努力をお願いしたいと思います。
 次に、研究交流についてお伺いいたします。
 近年、科学技術の高度化あるいは複合領域化等
が一層進む中で、我が国としても基礎的、創造的な研究を円滑にかつ効果的に進めることができるような条件の整備を行うことが強く要求されております。研究者が創造的な研究を行う際に一つの重要な要因として、研究者同士、特に異なった環境下にある研究者同士で触れ合う機会を持ち、そして相互に知識を交換し、相互に触発されるという中で新たな研究の発想が芽生えることが多いというように聞いております。我々の日常生活においてもそういうことがあるわけでありますが、このため、国の行う研究開発における公務員制度あるいは財産管理制度等の制約を調整して研究者同士が有意義な交流を行えるような環境の整備が極めてまた重要であると思います。
 平成四年四月に閣議決定されました科学技術政策大綱等においても、所属組織、研究分野等にとらわれない研究者の流動化を一層促進するとともに、研究者間研究交流の機会を拡充することの重要性が指摘されております。研究者間の研究交流の問題は一朝一夕には解決しない難しい問題であるとは思いますが、その促進策について、大臣に伺いたかったんですけれども、科学技術庁の方にお伺いいたします。
#156
○政府委員(井田勝久君) 創造的な研究開発を効果的、効率的に行うためには、やはり既存の組織とか分野にとらわれることがなく、産学官あるいは外国との研究交流の促進を図っていく、こういうことが大変重要であると考えているところでございます。
 これまで科学技術庁といたしましては、海外から若手研究者を長期間招聘するフェローシップ事業等を初めといたしまする国際研究交流事業等を新技術事業団におきまして推進していたわけでございまして、また制度面に関しましても、昭和六十一年に研究交流法を制定いたしまして、職務専念義務の免除による研究集会への参加等、産学官及び外国との研究交流を行う上での制度上の制約を緩和するための措置を講じましたし、また昨年四月にはこの法律を改正いたしましてその内容をさらに充実させるなど、法的措置を含めた諸条件の整備に努めているところでございます。
 今回、新技術事業団法の改正の御審議をお願いするわけでございますが、この改正によりまして研究組織、研究分野等を超えた研究者の研究交流を効率的、総合的に促進する体制を整備したい、このように考えているわけで、今後ともこういった研究交流の促進に積極的に取り組んでまいりたい、このように考えているところでございます。
#157
○永野茂門君 今国会に提出されております新しい改正法案につきましては改めて十分審議させていただきたいと思います。それによってさらにこの研究交流が活発化することを希望いたします。
 次に、研究開発基盤の整備についてお伺いをいたします。
 まず、施設、設備の整備、近代化、更新等についてお伺いをいたします。
 峰崎先生の御質問の中にもありましたし、あるいは今井先生の御質問の中にも同じようなことがありましたけれども、今後の科学技術の目覚ましい進展に即応した基礎的あるいは先端的研究を行うに当たりましては、高度かつ最先端の設備が必要不可欠であり、また特定の研究分野では研究施設、設備が著しく大型化する傾向があります。このような状況に対しまして、科学技術活動を支える研究開発基盤、例えば研究開発材でありますとか遺伝子資源の供給体制でありますとか、機器、設備の更新、近代化、最先端機器、設備の開発等含めまして、この基盤を強化することが我が国の基礎研究の振興上極めて重要となってきております。
 我が国の現状を見ると、民間の研究所などに比べまして基礎研究の中核的機関でありますところの大学や国立試験研究機関などの研究施設あるいは設備は、先ほどからも多くの方がおっしゃっておられますように老朽化、陳腐化しておりまして、今や目を覆うばかりの状況にあると見なければなりません。これが研究活動に深刻な影響を及ぼすことが非常に懸念されており、大変にゆゆしき事態であると私は見ております。この事態を改善するように国の研究施設、設備の整備を早急に進める必要があると考えます。
 また、もう一つの面につきましても、大久保先生も触れられました、多くの方が触れられたわけでありますが、人材の関係でありますけれども、優秀な人材を確保していくこともまた非常に重要であるということは言うまでもありません。現在、我が国の修士あるいは博士等の学位取得者数は微増を続けていると見ることができますが、総数においては米国の回ないし五分の一でありますし、研究者数の人口比は米国よりやや多いけれども、伸び率は鈍化してきております。今後我が国の年齢構成を眺めても大変に老齢化が進んでいくことは明瞭でありますし、若年人口が減少していくという憂うべき状態にあるわけであります。特に、先ほども答弁の中で指摘がありましたけれども、青少年の科学技術離れが進んできていると言われており、科学技術自体の衰退にもつながりかねないことを憂慮するものであります。
 この問題に対しまして、私は以前より強い危機感を抱いておったわけでありますが、今や産業界を初め多くの人々から同様な危機感を耳にいたします。二十一世紀を目前に控え、取り返しのつかない事態になることを避けるため、早々に効果的な施策を講ずるべきであると考えます。
 先般、内閣総理大臣より科学技術会議に対して科学技術系人材の確保に係る諮問がなされておりますが、先ほど申し上げました公立研究機関の施設、設備の整備と、さらに今申し上げました科学技術系の人材の確保、育成について今後どのように取り組んでいかれるか、科学技術庁の見解をお伺いいたします。
#158
○政府委員(井田勝久君) ただいま御指摘のように、大学・国立試験研究機関におきます既存施設、設備の老朽化、陳腐化が年々進行していること、これはもう事実でございます。また、基礎的、先導的研究の推進のために不可欠でございます最先端の研究施設、設備の整備充実、これも大変大きな課題になっているわけでございます。
 本日、さまざまな委員から御議論いただきましたように、こういった施設、設備の計画的整備、これをどうやって進めるか、これはやはり今私どもが直面している大変大きな問題であろうと、このように考えているわけでございます。私どもとしては、これは文部省を初めとしまして、各省に研究機関が分かれておりますので、こういった各省庁と連携いたしまして今検討を進めているところでございます。
 具体的措置といたしましては、平成四年度補正予算におきまして、大学・国立試験研究機関の老朽化対策、これに必要な経費を重点的に措置いたしました。また、平成五年度の予算案におきましても各省庁、試験研究機関全体の施設整備費を対前年度比一九%増加させるなどの措置をとっているところでございます。こういうわけで、この問題はやはり非常に大事な問題だということで一生懸命取り組んでまいりたいと思います。今後とも各省庁と連携して努力してまいりたい、このように考えているわけでございます。
 それから、人材の問題でございます。
 この問題については、ただいま御指摘ございましたように、やはり青少年の科学技術離れ、これに象徴されますような人材確保の問題は、私ども科学技術政策上の大きな問題でございます。我が国は、これまで科学技術に立脚いたしまして産業、経済、社会、こういったものの発展、整備を図ってまいったわけでございますから、やはり科学技術系人材をきちっと確保していくということは非常に大事な問題であろうと思っております。既に、科学技術政策大綱においても重点施策の一つとして掲げられているところでございますが、私どもとしましては平成五年度の予算におきまして、科学技術系人材の処遇の実態でございますとか青少年を対象とした科学技術に関する関心を高めるための措置でございますとか、こういったさまざまな問題について調査いたしまして、青少年
の科学技術離れの対策について取り組んでまいりたいと考えているところでございます。
 また、今御指摘ございましたように、内閣総理大臣から科学技術会議に対しまして、科学技術系人材の確保に関する基本指針についての諮問がなされているところでございまして、本諮問に対する審議等を踏まえてさらに努力してまいりたい、このように考えているわけでございます。
#159
○永野茂門君 関係する省庁がたくさんありますけれども、十分連携の上、協調して立派な成果を続けていかれることを希望いたします。
 次に、地球環境問題の解決のための地球観測に係る総合的な研究開発の推進方策について航空・電子等技術審議会から答申が出ておるようでありますが、それに関連した御質問を申し上げます。
 宇宙開発については後ほど承りたいと思っていますが、その中の重要項目として人工衛星の研究開発があります。既に通信・放送分野では重要な手段として大変に広く活用されているところでありますが、最近地球環境問題に対しても人工衛星の活用が期待されておることは御承知のとおりであります。
 地球環境問題は、人類の生存基盤を脅かしつつある、こう言った方がいいと思いますが、重大問題であり、手おくれにならないうちに世界各国が協力して早急に対応策を講じなければなりません。人工衛星を用いたグローバルな地球観測は、地球温暖化、熱帯林の減少あるいは砂漠化等々の進展など地球環境問題に特有の比較的大規模な現象を正確に把握するということに大いに役立つものでありまして、科学的知見を根拠とした、それに立脚した適切な対策を講じるために不可欠なものであると考えます。この取り組みを強化することが国際社会において我が国が十分な責務を果たすことにつながるものだと確信するものであります。
 設問の最初に申し上げましたように、航空・電子等技術審議会から今申し上げた議題についての答申が科学技術庁長官に提出されたようでありますが、地球環境問題に対する科学技術面の取り組みについて我が国としての方針を打ち出すべき時期にあって、この答申は時宜を得た重要な意味を持つものと考えます。地球環境問題解決のため自然的要因、人為的要因による複雑な現象の科学的解明の推進のために人工衛星による観測監視、あるいは海洋観測監視あるいは地上観測監視技術あるいはその分析などの技術開発などについて答申されておりますが、これを受けて今後地球環境問題に科学技術庁はどのように取り組んでいくつもりか、これも大臣の所見をお伺いしたかったんですが、科学技術庁の見解を承りたいと思います。
#160
○政府委員(石井敏弘君) ただいま先生御指摘の航空・電子等技術審議会から去る一月二十九日に地球環境問題の解決のための地球観測に係る総合的な研究開発の推進方策に関する答申がなされたところでございます。
 先生御指摘のとおり、地球環境問題は、かけがえのない地球を守り、人類の繁栄にとって欠かすことのできない良好な環境を維持していく上での人類共通の問題でございます。世界有数の科学技術力を有する我が国といたしましては、国際貢献の観点からも積極的に取り組むことが必要であると認識いたしております。今回、航電審からいただきました答申で地球観測に係る推進方策を示されておるわけでございまして、地球環境の状況を把握し、あるいはその変動のメカニズムを解明していく、こういったことのためにも地球観測はその基盤となるものでございまして、その推進を図っていくことは極めて重要な課題であると認識いたしておるところでございます。私ども、今後本答申の趣旨を十分に踏まえまして、宇宙からの観測あるいは海洋の観測といったようなことをより充実させていきたいと考えております。
 特に、宇宙からの観測ということにつきましては、既に海洋観測衛星なんかをこれまでにも六十二年あるいは平成二年にも上げております。また、昨年の二月には地球資源衛星を上げておるとこでございまして、これらから得られるデータというものは地球観測上非常に重要なデータでございまして、関係の研究者等において利用されるようにこれまで留意してきたところでございます。また、今後の宇宙からの観測ということにつきましても、さらに平成七年度の冬期には地球観測プラットホーム技術衛星ADEOSを上げることにいたしております。また、平成九年の夏期には熱帯降雨観測衛星、TRMMというものを日米共同で開発し、これを打ち上げるべく開発を進めておるところでございます。
 さらに、宇宙からの観測と同時に、地球表面の七割を占めます海洋というものが非常に地球環境問題との関係において大きな影響を与えておるところでございまして、海洋そのものの観測、海洋中における物質の循環あるいは海洋循環による熱の循環といったようなことも今後十分観測していく必要がございます。こういったものを観測していきますためには、そのための観測技術の開発といったようなことも非常に重要になるわけでございまして、これまでも海洋科学技術センターにおきまして海洋音響トモグラフィーの開発とか海洋レーザー技術の開発といったようなことを進めてきております。
 今後、これらの研究開発をより充実させながら、地球観測に係る総合的な研究開発を積極的に推進し、地球環境問題の解決に向けて大いに資するような地球観測の充実を図ってまいりたい、かように考えておるところでございます。
#161
○永野茂門君 宇宙、地上、海洋等の観測による種々の科学的知見を得るということは極めて大事であるということは、例えばかつて行われました、私も参加しましたけれども、環境問題のホワイトハウスコンファレンスで、ある主要な国が科学的知見が不十分なゆえに必ずしも環境対策について熱心な考え方を持っていなかったということがありますけれども、恐らくこれはまだまだ続く問題だと思います。そういう意味においても、科学的な知見をますます深めていくということは、地球を救うために説得力ある政策を打ち出していくのに極めて重要でありますので、科学技術庁も関係官庁、これもまたたくさん関係官庁がありますけれども、十分調整をし、そしてリーダーシップを発揮してしっかりやっていただきたいと思います。
 次は、ソ連の核兵器の解体に関する問題、したがってまたそれに関連する技術者の問題、そして原発の状況に関する問題に移りたいと思います。これらの件は昨年のミュンヘン・サミットでも取り上げられました重要課題であって、十分検討の上対応する必要があると考えます。
 まず、旧ソ連における核兵器に関する問題でございますが、御承知のように、一九九一年七月に米国と旧ソ連との間で調印されましたSTARTI、それから九三年一月に米国とロシアの間で調印されましたSTARTI等の条約によりまして、旧ソ連の核兵器が大量に削減されることが予想されます。これらの核兵器の解体に伴って生じますところのプルトニウムなどの核物質は、核不拡散の観点から厳重な管理及び処分が必要と考えられます。また、旧ソ連の核軍縮の進展に伴いまして、これまで核兵器の開発、維持等に従事してきました科学者及び技術者が国外に流出する危惧がありまして、既に新聞などではその例が報道されております。
 核軍縮が進展する一方で、これらの科学者、技術者が流出するというようなこと、あるいは解体によって出てきました核物質の管理がうまくいかないというようなことがありますと、これはせっかく今まで核不拡散に世界じゅうで努力してきた成果、そしてまたせっかく核の戦力のレベルを下げていくという努力を世界がやっている、特に米ソがやっているわけでありますが、その効果を打ち消してしまうというゆゆしい問題を含んでおるわけでありまして、科学者あるいは技術者の流出につきましては、御承知のように国際科学技術センターを設立してその流出を防止するという方針
が出されておるようであります。
 ここで、旧ソ連の核兵器の解体に伴って生ずる核物質の管理あるいは処分の現状、そしてまた新聞等で報道されていますところの旧ソ連の核兵器関連の科学者及び技術者の流出状況について外務省にお伺いをいたします。
#162
○説明員(岸野博之君) お答え申し上げます。
 先生御指摘のとおり、米国と旧ソ連との間の核軍縮の進展の結果、今後旧ソ連におきまして大量の核兵器が解体され、それに伴って大量の核物質が生ずるものと予想されます。私どもも非常に関心を持ってフォローしておりますが、何分軍事機密に属する問題でもございまして詳しい情報があるわけではございません。諸情報をまとめますと、核弾頭の解体ペースは年間千五百から二千というふうに言われておりまして、したがってそれに見合う量の高濃縮ウランなりあるいは兵器級プルトニウムが発生し、とりあえず貯蔵施設に保管されているものというふうに理解しております。
 なお、アメリカはロシアとの間で、約五百トンというふうに見込まれております高濃縮ウランをロシア国内の施設で希釈し、原発用の燃料の低濃縮ウランに組みかえ、それを引き取るというアンブレラ協定に今月調印しております。また、これら核物質を入れるコンテナを供与するあるいは貯蔵施設の設計について協力をするといった面で合意をしているようでございます。また、フランスにつきましては、このように発生した核物質を原子力発電所用の燃料に加工するための技術について共同研究するということでロシアと合意しているというふうに承知しております。
 なお、私どもも本件に非常に関心を持って取り組んでおり、ことし東京サミットがあるということもありまして、どういう国際協力をしていったらいいかについて知恵を出していきたいというふうに考えております。そのため関係各省庁とも相談し、また関係各国とも協議をしていきたいというふうに考えております。
 それから次に、核関連科学者及び技術者の流出の問題でございます。流出の状況について詳しい情報があるわけではございませんが、これらの核関連技術者なりあるいは科学者が第三国に流出するということは国際安全保障にもかかわる問題でございますので、そういったことにならないように主要国と協力しながら防止策を講ずるように努力していきたいというふうに思っております。モスクワに設立されることになっております国際科学技術センターもそのような努力の一環というふうにとらえております。
#163
○永野茂門君 外務省の方から現状を承りました。
 原子力の平和利用を長年にわたって推進し、そして世界の核不拡散に貢献してきた我が国といたしましては、軍事利用の防止と核不拡散という基本的立場に立ちながら、これらの問題に慎重かつ前向きに取り組んでいくべきであると考えます。
 また、核兵器そのものについてはもう我々は近づくべきではないと思うわけでありますが、そこで解体の後出てきたもの、あるいはまた核技術者の問題につきましては、我々は慎重であるけれども前向きに、あるいは積極的と言った方がいいかもしれませんけれども、取り組んでいくのが本当ではないかと私は考えるものであります。そういう意味において、旧ソ連の核兵器解体に伴って生ずる核物質の管理、処分についての我が国の取り組み方、あるいは今外務省の方から御答弁がありましたように、近く開かれる東京サミットの状況を見てからでないと具体的な方策というか取り組み方というのはあるいは出てこないのかもしれませんが、包括的な考え方でも結構でございますが、それを承りたい。
 また、核関連技術者の流出防止につきましては、これも今の御答弁にもありましたように、国際科学技術センターの設立等がありますが、これらを含めて我が国がどういうように流出防止に協力しようとしておるかということについて見解を承りたいと思います。
#164
○政府委員(石田寛人君) お答え申し上げます。
 旧ソ連の解体される核兵器、解体と申し上げるべきでしょうか、に伴う核物質とそれから核兵器の関連技術に関しましては、まずロシア連邦等が厳格な管理を行うことが基本と認識しておるところでございまして、再び軍事目的に転用されることのないよう、すなわち逆流していかないようにすること、それからまた核拡散の懸念が生ずることのないようにすること、これが一番でございまして、このために適切な対応がとられることを強く期待するところでございます。
 我が国といたしましては、核兵器削減の進展を見ながら、国際的な連携のもとに我が国として貢献できる協力を検討すべきものと思っておるところでございまして、核兵器の解体に伴いまして発生いたしますプルトニウムにつきましては、エネルギー源として利用することがやはり最も効率的な方法ではないかということでございます。現在、我が国において培ってまいりました原子力平和利用技術の応用によりまして、原子炉の燃料とし発電する専用高速炉等につきまして核不拡散等の観点から技術的な検討を行っておるところでございます。
 さらに具体的には、一昨年の暮れごろからだと思いますが、動力炉・核燃料開発事業団の専門家と私もお話をいたしまして、プルトニウムを専ら燃やすようなそういう原子炉を設計するとしたらどういうことになるかということを勉強していただいたことはございます。これはあくまで紙の上の勉掛、もちろんコンピューターも回しますと思いますけれども、勉強でございますから、それほど進んだものではございませんけれども、例えばそのときに動燃事業団が一つのレスポンスといたしまして、電気出力八十万キロワットのプルトニウム専焼高速炉とでも呼ぶべきものの概念を示してまいりました。これはまさに動燃が長年にわたりましてやってまいりました高速増殖炉の技術の一つの応用ということであろうかと思うわけでございます。
 その炉は、なるべく多くのプルトニウムを初装荷燃料として抱えておって、そしてプルトニウムを有効に燃やしながらエネルギーを出すということ、実際、これは燃料はウラン、プルトニウムを混合して使うわけでございますからさらに新たなプルトニウムもできるわけでございますけれども、言うところの転換比をなるべく低くするような努力をする。
 今度聞いた話では、例えば燃料をつくる場合も、今の燃料は御承知のようにプレスしてペレットを焼き固めましてつくっておるわけでございますけれども、このアイデアでは、振動充てん法という、燃料ピンのさやの中にウラン、プルトニウムの粉を入れまして振動させて詰めていくという、なるべく密に詰まらない、これはそうしますと多分核計算上中性子の燃料に当たる確率が少なくなるということになるはずだと思うわけでございますが、そういうようなアイデアをまとめましてそういうものをつくったということ。これまた一部の報道にも御紹介があったところでございますけれども、そういうものを動燃事業団が勉強したという経緯もあるわけでございまして、それに関連するいろんな検討も行ってもらっておるところであるわけでございます。
 それから、核兵器の関連の科学者と技術者の流出の防止に関しましては、今ほどお話のありました日米欧ロ四極によりまして署名されました旧ソ連の大量破壊兵器に関連いたします科学者と技術者の国外への流出防止を主たる目的といたします国際科学技術センターの活動が円滑に進むように、これはぜひ努力したいと思うわけでございます。私どもも、このセンターでいろいろ検討していただくいいテーマがあれば、ぜひこのセンターの流れのもとに活動される研究者の方にいろいろ御尽力賜れば幸いだと思っておるところであるわけでございます。
 そのようにいたしまして、人的、資金的貢献を含め、これまでの我が国の原子力平和利用分野で
の実績を生かしまして、ぜひこの件につきまして積極的に取り組んでまいりたいと思っているところでございます。そういうことでございますので、今後とも我が国は原子力平和利用の厳格な推進者ということであるわけでございまして、国際的な連携のもとに、世界的な核不拡散体制の維持強化に積極的に貢献していくという、そういう方向であろうかと思うわけでございます。
 その場合、ここでもいろいろ議論がございまして、一時、旧ソ連の解体核兵器から発生いたしますプルトニウムを例えば持ち出し、我が国で使うというようなこともいろんな報道であったわけでございますけれども、目下私どもは、でき得ればそういうことじゃなくて、発生したところのなるべく近くで使うと。特にプルトニウムにつきましては、解体核兵器から発生いたしましたプルトニウムと、我が国におきますプルトニウムの需給バランス、先ほどから議論のありましたプルトニウムの需給バランスは全く別のものとして認識し、取り扱うことが必要と、かように考えておるところでございます。
#165
○永野茂門君 科学技術庁は、ぜひ外務省を初めとして関係各省庁とともに、十分な国際的な話し合いのもとに、今言ったような御方針で進んでいかれたいと思います。
 次に、旧ソ連並びに東欧諸国の原発の安全問題でございますが、チェルノブイリ原子力発電所事故発生以来、旧ソ連、東欧地域における原子炉の安全性に対する懸念が高まっておりまして、早急な対応が必要となってまいりました。ミュンヘン・サミットの経済宣言におきましても、ソ連型の原子力発電所の安全性は重大な懸念材料であって、運転上の安全性の改善あるいは安全性評価に基づく短期の技術的改善、あるいは規制制度の強化等を含む多国間のアクションプログラム、行動計画の枠組みの中で旧ソ連、東欧諸国に対する支援を行うことの必要性が述べられております。
 原子力の安全確保は、もう私が申し上げるまでもなく国際的な問題として取り組むべき課題でありまして、原子力先進国たる我が国としても必要な支援、協力をしていくことが重要であると考えます。我が国は、本件につきまして、原子力関連技術者の研修等の施策を通じて協力、支援を行うというように聞いておりますけれども、各国の支援状況並びに我が国の支援状況について科学技術庁に説明をお願いしたいと思います。
 なお、各国の支援の現状について、もし外務省の方からコメントがございましたら御説明をお願いしたいと思います。
#166
○説明員(岸野博之君) お答え申し上げます。
 先生御指摘のとおり、昨年のミュンヘン・サミットにおきましては、旧ソ連、東欧における原発の安全性確保が緊急に対応を要する問題として取り上げられまして、とるべき支援策につき多国間行動計画が取りまとめられた次第でございます。この中には、すぐ行動を起こさなければいけない短期的な措置と、それからもう少し長い目で見てとるべき中長期的措置と二つございますが、この行動計画に従いまして、G7諸国を中心に先進各国支援を強化してきております。
 具体的に幾つかの注目すべき進展がございますが、例えば短期的措置の中で、運転上の安全性を向上するための措置、それから各国の規制当局の強化といった分野では支援の強化が図られております。こういった支援の調整メカニズムとしてG24という枠組みがございますが、そこが昨年の十二月にまとめた支援のリストによりますと、先進国全部合わせまして、九二年度、九三年度の二年間で約三億ECUの支援というものがリストアップされておりまして、ドルに直しますと三・六億ドルでございます。
 それから、ミュンヘン・サミットの際に、適当な場合には二国間の支援を補完するマルチのメカニズムを設置するということが経済宣言の中にもうたわれておるわけですが、これはサミットが終わった後、昨年の秋ごろから準備作業を行いまして、マルチの基金の設立につきましてほぼ法的、技術的な詰めができつつある段階にございます。まだ正式な発足には至っておりませんが、マルチの原発安全性支援の基金についても設立のめどがつきつつあるという現状でございます。
#167
○政府委員(石田寛人君) 現状につきましては、岸野原子力課長から今御答弁のあったとおりと思っておるわけでございます。
 それで、この枠組みにつきましては、私も昨年サミットにお快さしていただきまして、現場でその枠組みづくりの下働きをさせていただいたわけでございますけれども、ぜひこれがしかるべき機能をするということを強く期待しておるところであるわけでございます。
 現在、旧ソ連、東欧諸国におきましては、チェルノブイルの原子力発電所と同型のソ連型の黒鉛減速軽水冷却炉、これはRBMKという型でございますが、これと、それからソ連型軽水炉、これはVVER型炉、合わせて五十七基の原子力発電所が運転中と認識しておるところでございます。これは旧ソ連、東欧全体ということでございますので、この中の非常に大きな割合はロシアにございますけれども、それ以外ウクライナ、リトアニア、チェコスロバキア――今はチェコとスロバキアでしょうか、ブルガリアその他あるわけでございますが、そういうことになっておるわけでございます。
 そのうち、特にRBMK型炉と、それからVVERの四四〇・二三〇という型があるわけでございますが、このRBMKとVVER四四〇・二三〇、これに属しますのは、両方合わせて二十五基あるわけでございますけれども、これにつきましては、西側の原子炉にございます原子炉の格納容器、外をくるんでおります格納容器でございますが、これがない。これは厳密に絶対ないのか、あるいは我々西側のようなものはないのかということもあるわけでございますけれども、まさにこれは欠如しておるということも事実であるようでございます。それから緊急炉心冷却装置、ECCSも不十分であるということが言われておるわけでございまして、このようなことから安全性に懸念が表明されておりますことは御指摘のとおりであるわけでございます。
 我が国といたしましては、平成四年度から、専門家を派遣するとかあるいは資金的な援助等を通じまして、国際原子力機関、IAEAのソ連型原子炉の安全性に対する評価活動への貢献を行うとともに、旧ソ連等の原子力技術者に対する研修事業を開始しておるところでございます。それから平成五年では、運転中異常検知システムの設置等、これは通産省が計画しておる事業でございますけれども、原子力発電運転技術センターと呼ぶべきものを整備していくというようなことを考えておるわけでございます。
 特に、この運転中異常検知システムでございますが、これも動燃事業団が新型転換炉「ふげん」の運転におきまして開発してきた技術でございまして、マイクロホンによりまして異常が発生しましたときの音を速やかに検知いたしまして早期検知を可能にするという、そういう技術でございます。これがちゃんと機能するということにつきましても、現在確認しておるわけでございまして、ロシア側といろんな技術情報の交換を行っておるところであるわけでございます。
 それから、先ほど岸野原子力課長から答弁のありましたG24の活動でございますが、これも非常に大事な活動と思っております。私どもの方からも国際原子力機関を経由いたしまして専門家を派遣するなど、実際人的な貢献もぜひしていきたいと思うわけでございます。
 実際、ソ連の原子力発電の安全性に関する協力、これはなかなか広範にわたっておりまして、これから努力すべき点も多々あるわけでございますけれども、ぜひ今先生御指摘の御趣旨を踏まえましてこれからも努力してまいりたいと、かように考えておるところでございます。
#168
○永野茂門君 原子力発電所は安全確保が大前提であることは言うまでもありません。吉岡先生も大変に心配していろいろ御指摘されておりますけ
れども、その見解は別といたしまして、とにかく安全が大前提であることは言うまでもありません。
 旧ソ連とか東欧の原子力発電所の安全の確保についていろいろ努力するということは、その中に出てくるいろんなことは決して対岸の火事ではなくて、まさにチェルノブイリのときもそうでありましたように、どこかで大きな事故が起きれば全世界的な影響を与えることになるのでありまして、そういうものが再発しないようにしっかりとした世界的な協力体制を整えるということが大事であり、そしてまたその中で日本が今までの蓄積した力をもって、さらにその力を拡大しながらこの安全に協力するということは極めて重要であると思いますので、各省庁協力して実績を今後上げるように期待をいたします。
 最後に、宇宙開発について承りほす。
 先ほども触れましたとおりに、将来の国の担い手でありますところの青少年の科学に対する関心の低下は大変にゆゆしい問題であると認識しておりますが、昨年は御承知のように明るい話題もありました。九月にも利さんがスペースシャトルに搭乗して、宇宙空間という特殊な環境のもとに、材料でありますとかあるいはライフサイエンスの多くの実験を行って成功をおさめました。このことは我が国の宇宙開発にとって極めて意義深いものでありました。そして、その実験の成果は新材料あるいは新薬等の開発、その他多くの分野で活用されると期待されます。
 この毛利さんの活躍が、宇宙環境を利用した各種実験の重要性を改めて目に見える形で示したということだけではなくて、青少年を初め我が国において宇宙に対する関心及び期待を大いに高めたことも我々はすばらしいことだと認識していいんではないかと思います。平成六年には向井千秋さんがスペースシャトルに搭乗して各種の宇宙実験を行う予定でありまして、より一層青少年の関心並びに期待が高まるものと思います。
 また、既に国民生活の一部として入り込んでおりますところの通信・放送分野の発展、あるいは地球環境問題の解決に寄与する宇宙からの地球観測等に対しては、先ほども述べましたけれども、大変大きな期待が寄せられております。
 人類にとって、古来から宇宙は夢とロマンの対象でありますが、この宇宙開発は非常に先端的な技術の結集を要求するものでありまして、科学技術全般の大きな牽引力となっておりまして、他分野への波及効果も非常に大きいことから、国民生活の向上あるいは経済社会発展に資するものと期待されます。このため、我が国としてはまずます宇宙開発に力を入れるべきだと思います。
 ここで、大臣のその決意を承りたかったんですが、もう決意を承ることは省略いたしまして、ちょっと時間が残っている中で、今開発中のHUロケットの開発の状況、今後どういうような取り組み方をするのかということを二分間でお願いいたします。
#169
○政府委員(石井敏弘君) HUロケットの開発状況でございますが、これまでの開発の結果、第一段主エンジンでございますLE7を除きましておおむね開発を終了いたしておるわけでございますが、LE7につきましては、昨年六月にふぐあいが発生した。中身は、種子島の宇宙センターにおきましてLE7エンジンの燃焼試験を実施しておりましたときに、外部燃焼が発生いたしたわけでございます。
 その解析結果によりますと、配管の溶接部に予測を超えた熱応力が発生したために亀裂破壊が生じまして、結果として燃焼ガスが漏えいいたしまして外部燃焼に至った、かように推定されたわけでございます。したがいまして、このため、熱応力の集中を避けるため配管内の溶接部を平滑化するとか、あるいは熱応力を低減するためにエンジン始動・停止時のシークェンスを改善するといったようなふぐあい対策を実施いたしました。そして、昨年末からしE7エンジンの燃焼試験を再度開始いたしまして、これまでに同じエンジンで四回の長秒時燃焼試験、三百五十秒の燃焼試験に成功するということでLE7の設計は確定いたしたというところでございます。
 今現在は、さらに次の段階たる実物大の第一段ロケットタンクとLE7エンジンとを組み合わせた燃焼試験、実機型タンクステージ燃焼試験と申しておりますが、その試験をやっておるところでございまして、これにつきましては二十三日にその第一回目を、十秒ではございますが無事終了した、こういうような段階に至っておるところでございまして、平成五年度の冬期の試験機一号機の打ち上げを目標に、宇宙開発事業団におきましては安全対策に万全を期しつつ全力を尽くして開発に努めておるというのが現状でございます。
#170
○永野茂門君 成功を期待して終わります。
#171
○萩野浩基君 今、社会では時短と省エネというのが非常に注目なんですけれども、本委員会四時間半、延々と非常に熱心に御討議なされている。もう今の時代はクォンティティーではなくてクォリティーの問題でありますから、皆さんのやはり生理的限界というのもあると思いますから、私も簡潔に質問いたしますので、要領よくひとつ答えていただきたいと思います。
 先ほど来、同僚の委員の方々がおっしゃっておられましたが、確かに日本の科学技術において世界からよく言われることは、基礎研究というのがどうもおくれている。ある意味では、私はこの前もアメリカのウエスト・イーストセンターに行ったんですけれども、そのときでも、日本人はニュー・ウエーズ・オブ・シンキング、新しい発想というのは弱いけれども、工夫にかけてはすごいと。いや、そんなこともないんだ、このごろは進んでいるんだと。大分頑張って僕やり合ったんですけれども、やはり基礎研究的な分野はまだ薄いんじゃないか。
 特に、またエネルギー問題で先ほど来いろいろ討議がありましたけれども、例えばエネルギーの中でも原子力の問題、こういうのでも安全性というものを、本当に実証的にやはり安全なんだというのを科学的にでき得る限り示さなければならないんですが、その辺で基礎研究というのはまだマンパワーが、そういう研究者におけるマンパワーが私不足しているんではないかと思います。
 これは私見でございますけれども、私など経営しております大学で文科系の場合は余りお金がかからないでできるわけです。だけれども理科系は大変お金がかかる。極端なことを言いますと、国立大学では理科系を重点的にやって文化系は私立大学に任す、そのくらいの思い切った発想がないと、科学技術の分野において原子力は安全なんだと言ったって、これの方に従事、研究していく人のマンパワーがどんどん減ってきている。これは理科系の私の同僚の教授たちが非常に嘆いております。
 また、代替エネルギーを研究するにしましても、先ほど来プルトニウムの安全性とかなんとかいろんなことが大変問題になっております。簡単に考えれば、日本は水はたくさんあるわけですから、水素、これをエネルギーに変える方法というのは、これはCO2も出ませんですし、一番いいんだけれども、この辺の研究というのはほとんど進んでいない、北海道大学で少し何かやっているようですけれども。私調べましてもほとんどやらないです。ベストミックスとこう言ったって、みんな各政党でもいろいろこう言っていますけれども、実際にそういう研究をやっている人というのは非常に現実には少ない。
 ここの委員会でも調査に出かけましたけれども、産業・資源エネルギーの方でも私調査でいろいろ見ておりますけれども、かえって中小企業の方が一生懸命やっているんです。一例を挙げるならば、自動車の排気ガス。大きい二つの会社は結局よう開発しないんでそれ以外のところがやっていったと。そういうのに日本がおんぶにだっこしていてこの科学技術の将来はないんではないか。だから若い者たちが、研究者がそちらの方に目を向けない。これは政治家の責任でもありますけれども、特に科学技術庁においては、そういうこれからの人材養成というような点が基礎研究につな
がっていきますし、それから二十一世紀の未来を明るいものにつくっていく、長官のおっしゃっているようなのを実現するのには、先ほど永野先生もおっしゃっておられましたけれども、そういう面で特にマンパワー、そういう人材という面が大事だろうと思うんです。
 そのために、特に私立大学なんかでは、私の出ました早稲田大学なんかは理工系に文科系のをほとんど持っていっているんですね、文科系のみんなの月謝を理科系で食っている。これは皆さん御存じのとおりです。だからそういう意味で、先ほどちょっと私は言ったんですけれども、いずれにしましても特にこの科学技術に関しては、これから公害の問題だとか新エネルギーの問題とかいろんな問題になってくるわけだから、政府はこの辺はやはり責任を持ってやらなければだめなんで、安全だ安全だなんて言ったって、それは実証性がなかったら安全にはならないわけです。だからその原因とすれば、私はやはりそういう分野においては政府がある程度予算を盛るとかいろんな方法があると思います、人を引きつけるのには。
 私が大学に入った当時は理科系の中でも医学の方は三Kの一つ。あの分野は大変な仕事だったんで、みんな医学部に行こうなんてしなかったんですね。東大の理科の中は農学部とそれから医学部。だけれども、そういう点から考えても、今お医者さんはベストテンの中に入ってくる。私は余りこれはいいこととは、収入でいいとは思いませんが、人の不幸がお金になるというのは。これはちょっと余りいいことではないんですけれども、だけれどもあれだけ医学部はみんな行くようになったわけですね。特に私はいとこがみんな医者なもんで感じているんです。だから、私らのときも医学部に行こうと思ったらあんなふうふういわないでもある程度医学部に行けたんですけれども、あのころは専ら関心があったのは科学技術の方なんですね。だから、今時代は大きく変わってきたというのは、やはりそこに収入が入るんですよ、ある程度。
 だからこの科学技術を進歩させていく、安全なエネルギーを確保する、そういう面においては、やはりそれなりの予算がなければならない。これ予算のどこどこに何々と出てますけれども、これは外国で、特に先進国で一体政府が科学技術に対してどのくらい出してるのか。日本とアメリカなりドイツなりフランスなりイギリスなり、そういうところの政府がどのくらい力を、援助を出しておるのか。その辺のお答えをお願いします。
#172
○政府委員(長田英機君) 外国政府がどれくらい科学技術の……
#173
○萩野浩基君 パーセンテージでもいいですよ。
#174
○政府委員(長田英機君) よろしゅうございますか。
 そうしますと、研究開発投資に占める政府の負担割合を申し上げたいと思います。
 日本は、自然科学の場合には一六・八%でございます。それから、若干年度が違いますが、アメリカが四三・五%、ドイツが三四・一%、フランスが四七・五%、イギリスは三五・八%。この数字から見てみますと、日本の政府負担の割合は諸外国に比べて非常に少ない。年度のとり方によってちょっと数が違いますけれども、非常に少ないということが一言えると思います。
#175
○萩野浩基君 今同僚の委員の皆さん、お聞きになったらおわかりのとおりなんですね。だから、これじゃお話にならないわけです。たった一六%ですね。社会科学系の、これはコンピューターで社会科学の場合はある程度やっていきますけれども、これを加えても、私のところにいただいている資料では一八・二%しかならないんですね。だからこういうような、一緒にしてもそのぐらいの率というのは、これはどうしても日本の基礎研究においての後進性というのがこういうところに明確に出ておる。やはりこの辺のところはこれは我々もよく認識しなければならないことであります。
 何も外国と比較して、これはGNPが日本は高いんだから一六%であってもこのぐらいすごいことをやっているんだといえば、そういうことも言えないことはないかもしれませんけれども、私はやはりこれからの日本というのは、今まではよそのテールランプを見て走っていけば安全でよかったわけですね。だけれども、もうこれからは未知な世界にチャレンジしていかなきゃならないので、もうヘッドランプをアップにしながら先頭を切っていかなきゃならない。そういうときに、今のような予算の配分というようなことで、明るい日本の未来、いや世界に日本が貢献するにしても、実に脆弱じゃないかと思うんですが、いかがでしょう。
#176
○政府委員(長田英機君) 私どもも先生のおっしゃるとおりであると思います。今のパーセンテージをごらんになっていただきましても、日本だけが非常に少ないような、先進国の中ではそういう感じがいたします。
 これから基礎研究を大いにやっていこうということになりますとどうしても政府の役割がふえてまいります。そうなりますと、政府の予算をふやしていかなきゃいけない。当然そういう考え方になるわけでございまして、そういうような考え方を背景としまして、昨年定めました科学技術政策大綱におきましても、「時々の財政事情等を踏まえつつ、政府の研究開発投資額をできるだけ早期に倍増するように努める。」、こういうことになっておりまして、こういう目標に向かってその実現に邁進していく必要があると思っております。
#177
○萩野浩基君 数字を見てみますと、確かに日本はGNPが高いんである程度、決して力を入れていないことはない。そしてまた、前年度化何%上げたと言っているけれども、私はもう総体的に、全体的な一つのスパン、長さにおいてやはり日本は見ていかなきゃならない。だからそういう意味で、科学技術の方はやはり二十一世紀の一番大事な点ですから、安全性の面からしても、エンバイアランメントの問題、環境問題にしても、やはりそういう面でも、何としてもこれは我々政治家の者もみんな一緒に考えていかなきゃならないことですけれども、より安全性というような面からも、何としてもその辺を私は大事にしていただきたい、そのように思っております。
 今、せっかく長官いらしたんで、初めの私のはお聞きになっていないかもわかりませんけれども、科学技術の、特に基礎研究的な面が日本はおくれておる、そういう面において外国との比較を先ほど質問したんですが、日本はたった一六%、外国では四十何%、約五〇%ぐらい、フランスにしてもアメリカにしても。だから、そういう面から長官としてこれからの未来に対してどのようなお考えを持っておられるかお願いします。
#178
○国務大臣(中島衛君) 衆議院予算委員会でちょっと留守しておりまして、申しわけありませんでした。
 萩野先生から今御指摘がありました政府の研究開発投資でありますけれども、御指摘のとおりでございます。民間の研究費はある程度のところへいっておりますけれども、基礎研究をやる部分を負担をしなければいけない政府の投資が各国に比べて大分少ない。何としてもこれ、なるべく早い機会に今の倍ぐらいの割合に持っていかないと国際的な水準にならないということだと思います。
 御指摘のとおり、研究者、技術者等の人材の養成確保は、科学技術の振興を図る上でその基盤となる不可欠な条件でありますから、政府の開発投資がこれからふえるような方向で努力をさせていただきたいというように思っております。
#179
○萩野浩基君 今長官から力強い、倍にするというので、やるとおっしゃったんで、その回答をいただいたんで、私は以上にいたします。
#180
○委員長(刈田貞子君) 本件に対する本日の質疑はこの程度にとどめます。
    ―――――――――――――
#181
○委員長(刈田貞子君) 次に、第百二十五回国会閉会中、当委員会が行いました委員派遣について、派遣委員の報告を聴取いたします。永野茂門
君。
#182
○永野茂門君 それでは、私から委員派遣について御報告申し上げます。
 去る一月二十日及び二十一日の二日間、静岡県に派遣され、県浜松工業技術センター、浜松ホトニクス株式会社豊岡製作所及び中部電力株式会社浜岡原子力発電所を視察してまいりました。派遣委員は、刈田委員長、吉川理事、大久保理事、河本委員、今井委員、吉岡委員、萩野委員及び私、永野の八名であります。
 以下、視察先の概要について申し上げます。
 まず、静岡県浜松工業技術センターは、県西部地方の中小企業の技術力を強化支援するため、浜松地域テクノポリスの中核施設として一昨年設置されました。
 同センターの研究対象は、地域産業として伝統を誇る繊維、機械・金属部門と、近年発展著しい光・電子部門であります。これまでに研究開発してきたものとしては、使用済み注射針の安全な加熱処理法、光による音声多重伝送法、加工の困難なチタン等を粉末にし焼結して成形加工する方法、金とかわらない光沢を持つ窒化チタンの被膜形成法、繊維をセルロース分解酵素で処理し絹のような風合いに加工する方法、磁性織物等の機能性繊維の開発等多数ありますが、従来余り顧みもれなかった着心地のよい可変サイズ型の病衣の開発等ユニークなものもあり、これらについて詳しく説明を受けました。
 次いで、施設の中を案内され、金属表面や疲労破壊表面の高倍率像での観察等を行う電子顕微鏡室、光を応用した計測・制御・通信技術等の研究を行う光計測試験室、繊維材料の高機能化等を行う繊維改質試験室、電気電子機器類から放射される電磁ノイズの測定等を行う電波暗室、そして織物製造におけるたて糸、よこ糸の準備技術等の研究を行う製布準備室等の研究現場を視察しました。
 同センターでは、これからも企業や大学との共同研究を積極的に推進するとともに、中小企業に対して、技術指導、研修生の受け入れ、試験室の開放、技術情報の提供等を行うことにより、地域の産業技術の拠点としての役割を果たしていきたいとのことでした。
 次に、浜松ホトニクスは、テレビの父と言われる故高柳健次郎博士に学んだ研究グループによって、昭和二十八年に設立されました。以来一貫して、光についての基礎・応用研究とその成果を利用した光電変換素子等の製品の開発、製造を行ってきております。
 視察した豊岡製作所では、まず、超高感度の光センサーである光電子増倍管の製造現場に案内されました。ここでつくられた二十インチという世界最大の口径を持つ光電子増倍管は、陽子の崩壊や宇宙から飛来するニュートリノによる微弱光を検出する目的で、岐阜県神岡町にある東大宇宙線研究所の観測施設、通称カミオカンデに採用され、数年前にマゼラン星雲の超新星爆発によるニュートリノを世界で初めて検出することに成功したとのことでした。
 次いで、製品展示室に案内され、生きたままの脳や臓器の断面図を得ることにより人の心の働きの研究やがん、心臓病等の診断にも威力を発揮するポジトロン・エミッション・トモグラフィー、微弱な入射光を数万倍に増強することによりさまざまな夜間の観察、監視等を可能にするナイト・ビューアー等について説明を受けました。
 同社では、光技術は、日本から世界に発信する先端技術であるとの自負を持って、今後も基礎・応用研究を通して、産業、医療、学術等広い範囲にわたって貢献していきたいとのことでした。
 次に、中部電力浜岡原子力発電所は、中部電力の唯一の原子力発電所で、沸騰水型の四基の原子炉を持ち、その合計電気出力は約三百六十万キロワットであります。
 まず、発電所に隣接した原子力館で、出力百十万キロワットの三号機をカット断面で再現した実物大の巨大な原子炉模型に案内され、原子炉の機能と発電の仕組みについて説明を受けました。
 次いで、稼働中の三号機の中央制御室を視察しました。ここでは、コントロール機能を集中した制御盤を運転員が交代で二十四時間監視しています。運転員の教育には制御盤の実物大模型を使用して訓練を重ねる等方を入れており、その結果、これまで発電所周辺に放射能の影響を与えるような事故は起こしていないとのことでした。中央制御室を視察した後、原子炉建屋の四階に上り、炉心の真上に出ました。炉はフル運転中でしたが、放射能の心配はないとのことでした。炉の横には、純水を張った使用済み燃料保管用のプールがありました。また、壁には国際原子力機関の監視テレビが据えられていましたが、それがいつどのように作動するのか発電所側も知らされていないという話でした。
 派遣委員との質疑の中で、発電所側から、原子炉建屋について、その壁を厚さ約二メートルの鉄筋コンクリートにする等の地震対策を講じていること、定期的に環境放射能の測定を行っており、その結果は、県当局が独自に実施している測定の結果とクロスチェックした上で地元の人たちに公表していること、温排水を養殖用や放流用の稚魚の生産に利用していること等の説明がありました。
 また、同発電所では、今後も原発の安全性の確保と地元との共存に心がけていくとも話しておりました。
 以上でありますが、最後に、今回の調査に当たり、御協力を賜りました関係各位に心から感謝申し上げて、御報告を終わります。
#183
○委員長(刈田貞子君) 以上をもって派遣委員の報告は終了いたしました。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後五時五十一分散会
ソース: 国立国会図書館
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