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1993/03/29 第126回国会 参議院 参議院会議録情報 第126回国会 環境特別委員会 第4号
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1993/03/29 第126回国会 参議院

参議院会議録情報 第126回国会 環境特別委員会 第4号

#1
第126回国会 環境特別委員会 第4号
平成五年三月二十九日(月曜日)
   午前十時三十分開会
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         松前 達郎君
    理 事
                石川  弘君
                西田 吉宏君
                堂本 暁子君
                広中和歌子君
    委 員
                石渡 清元君
                狩野  安君
                河本 英典君
                釘宮  磐君
                須藤良太郎君
                野間  赳君
                真島 一男君
                大脇 雅子君
                竹村 泰子君
                中尾 則幸君
                本岡 昭次君
                横尾 和伸君
                勝木 健司君
                有働 正治君
                粟森  喬君
   国務大臣
       国 務 大 臣
       (環境庁長官)  林  大幹君
   政府委員
       公害等調整委員
       会事務局長    麻植  貢君
       環境庁長官官房
       長        森  仁美君
       環境庁企画調整
       局長       八木橋惇夫君
       環境庁企画調整
       局地球環境部長  加藤 三郎君
       環境庁企画調整
       局環境保健部長  松田  朗君
       環境庁大気保全
       局長       入山 文郎君
   事務局側
       第二特別調査室
       長        小林 正二君
   説明員
       通産省通商政策
       局経済協力部経
       済協力課長    中村 利雄君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○公害健康被害の補償等に関する法律の一部を改
 正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(松前達郎君) ただいまから環境特別委員会を開会いたします。
 公害健康被害の補償等に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
 本案の趣旨説明は既に聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#3
○大脇雅子君 公害健康被害の補償等に関する法律というのは、六〇年代が残した公害の被害の対処を民事責任を踏まえた損害補償という独自の理念に基づいて、いわば後始末の形で制度化されたという歴史があるわけです。それは、さまざまな事業活動ないしは開発事業に基づく健康被害の調査というところから、現在では環境影響の評価というところまで拡大をしておりまして、新たな環境被害の防止のために何が必要かということが議論される時代になっております。
 けさの新聞を見て驚愕いたしましたのは、環境アセスメントの法制化見送りについて環境庁は関係省庁と覚書を提出しているという事実であります。私は、けさこの新聞を読みまして新聞社に電話をいたしました。そして、この覚書の存在というものがあるのかというふうに聞きましたところ、これはニュースソースの関係で提出はできないけれども、公文書として確実に存在するという御返事をいただきました。この覚書があるのかどうか、そしてその内容について御説明いただきたいと思います。
#4
○政府委員(森仁美君) 突然のお尋ねでございますが、私の了知するところを申し上げたいと存じます。
 この覚書というのは、よく御承知のとおり、通常ある法案あるいは政令案などをつくっていく段階で政府部内でいろんな議論をいたす際に、その議論の経過を取りまとめるということはよくあることでございます。ただいまお尋ねのものにつきましては、これまでいろんなところでいろんな議論がございましたので、そういうものを取りまとめたもの、これが政府部内の資料として存在するかもしれないと思っております。
#5
○大脇雅子君 しれないのですかきちっとあるのですか。そこのところははっきりわかっておられると思うのですが、はっきりお答えいただきたいと思います。
#6
○政府委員(森仁美君) 通常、こういうものを取りまとめていく段階では所管局長が仕切るわけでございます。したがって、その所管局長のところで取りまとめるというものでございますので、私立場上、庁内全体を見ておりますが、ただいまのところそれを目にしているわけではございません。
#7
○大脇雅子君 具体的に所管局長というのはどなたでございますか。ここにいらっしゃれば御返事をいただきたいと思います。
#8
○政府委員(森仁美君) これは企画調整局長ということになるわけでございます。
#9
○大脇雅子君 ここにはいらっしゃらないわけですね。そうしたら、私の質問時間は十一時まででございますのでお呼びいただきたいと思います。そして、この覚書の存在をしかと聞かせていただきたいのですが、どうでしょう。
#10
○委員長(松前達郎君) 速記をとめてください。
   〔速記中止〕
#11
○委員長(松前達郎君) 速記を起こしてください。
#12
○大脇雅子君 それでは、公害健康被害の補償等に関する法律の質疑をさせていただきます。
 昭和六十三年、指定地域を解除して、予防する公害行政としてこの法律は新しく生まれ変わったと説明されています。その際、最も批判されましたのは、指定を解除して予防措置をとるといいましても大気の汚染状況というものが変化して改善をされるかどうかという一点と、さらに、この指定地域を解除したからといっても、実際に大気汚染の現況が法律によって変わるわけありませんから、完全に好転したわけではない状況において、新しい患者の発生に対してどう対処するかこの二つの問題点が残されたと思います。
 前段の大気汚染状況と変化について、現在はどのような状況にあるか、お尋ねしたいと思います。
#13
○政府委員(入山文郎君) 大気汚染の現状でございますが、これは二酸化硫黄、それから一酸化炭素につきましては、以前に比べまして大幅な改善が図られております。ほぼすべての測定局で環境基準が達成されるということになっております。
 それから、問題になりますのは二酸化窒素等でございますが、これは、特に大都市地域で環境基準達成状況が依然として芳しくないというようなことでございます。若干数字を挙げて申し上げま
すと、大都市地域におきましては、一般局とそれから自動車排出ガス測定局とございますが、一般環境大気測定局では五二・七%、それから自排ガス測定局では九三・一%というように達成ができていないということでございます。
#14
○大脇雅子君 なぜ改善されないのでしょうか。その対策はどのように進められているのでしょうか。
#15
○政府委員(入山文郎君) NOxにつきまして改善されていないという理由、原因でございますが、これは固定発生源あるいはまた自動車単体規制も進めてきたわけでございますけれども、それを上回る自動車の数の増加といったものがあるわけでございます。
 対策といたしましては、いわゆる自動車NOx法の特定地域におきましては、総量削減基本方針等に基づきまして、車種規制、物流、人流、交通流等の各般の施策を総合的に講じていくこととされておりますし、そうすることによりまして、平成十二年度までには二酸化窒素に係る環境基準を特定地域全体においておおむね達成することができるだろうと思っております。
#16
○大脇雅子君 しかし、患者の発生は現実においてあちこちの地域で発生しておりますし、例えば私の地元の名古屋では、むしろ前の指定地域の認定を受け得るような患者というのは年二百人ぐらい出ているのではないかという医療診療所の数もありますし、潜在的な患者というものもたくさんあると思いますが、そういった患者の存在についてどのようにお考えでしょうか。
#17
○政府委員(松田朗君) お答えいたします。
 まず、ぜんそく等の疾病というものはこれは非特異的な疾患でございまして、いろんな原因によって生じるというものでございます。したがいまして、現在発生しておりますぜんそく等の原因が大気汚染によるかどうかはっきりしていません。しかし、厚生省の調査、これは患者調査といっているわけでございますが、これの平成二年度に行った結果によりますと、一般的なぜんそくの患者の発生状況と申しますのは全国的に人口十万人当たり約百二十七人ということでございます。
 この数は、断面の日を決めまして、そのある一日間に病院を受療した患者さんの中にどれくらいぜんそくの患者がいたかという数字でございます。この百二十七という数字は確かに毎年といいますか、調査のたびに値はふえてきている現状にございますが、これは全国的な傾向と思われます。
#18
○大脇雅子君 現在、千葉、大阪、名古屋、川崎などで大気汚染を原因とするたくさんの訴訟が提起されておりますが、この現状をどのようにごらんになりますか。
#19
○政府委員(松田朗君) 先生御指摘の訴訟と申しますのは、大気汚染に関する訴訟で公健法の認定患者さんまたはその遺族等が提起しておる訴訟であろうと思いまして、現在全国で五つの地域で係属中だというふうに承知しております。具体的には、大阪市の西淀川地区、川崎市、倉敷市の水島地区、尼崎市、名古屋市・東海市、名古屋市・東海市、これは一緒でございますが、この五つの地域でございます。これらの訴訟につきましては、いまだもって係属中でございまして、内容についてはコメントは差し控えたいと思います。
 以上でございます。
#20
○大脇雅子君 認定患者が訴訟を提起しているという現状においては、もちろん支給額の問題、例えば慰謝料とか労働能力の喪失が入っていないということの問題もありますけれども、やはり予防事業がしっかり行われていないのではないか。既に認定患者は予防事業から外される、しかし健康回復のための事業は続行するというのが前回のこの法案の国会の中で御答弁された政府の答えでありますけれども、転地療養事業等を含めまして認定患者に対する健康回復事業というものはどのように進んでいるのでしょうか。
#21
○政府委員(松田朗君) 現在、認定患者さんにつきましては、公健法に基づきまして公害保健福祉事業ということでやっておるわけでございまして、リハビリテーション事業のうちいろいろ指導、訓練をする、あるいは転地療養事業のうち特に子供を対象にしていろいろ健康回復事業を実施する、あるいはひどい方には療養の用具も支給する、さらには御要望があれば保健婦さん等が家庭を訪問して療養指導する、こういうものを骨子として現在やっておるわけでございます。
 この事業と、それから公害健康被害補償予防協会がやっております環境保健事業というものは非常によく似ておりますが、場合によっては相まってやっておるという現状もあるわけでございます。
#22
○大脇雅子君 指定地域を解除するときに最も論議があったのは、各地方自治体におけるいわば独自の制度ないしは上乗せ制度というものがどのように変化するかということでありまして、約九〇%の地方自治体がこの指定地域解除に反対をしたといういきさつがあります。
 それに対して環境庁の方は個別的な救済というものには合理性がないというふうにして各地方自治体の制度自身について見解を発表されまして、私は当時こちらには来ておりませんでしたが、それは地方自治のまさに侵害ではないかというふうに考えたことがありますが、現在、この各地方自治体の上乗せ制度ないしは独自の制度というものはこの指定地域解除後どのように変化したのでしょうか。お調べになっていたらお答えいただきたいと思います。
#23
○政府委員(松田朗君) 今先生御指摘の、地方自治体が地域指定解除後独自にやっている制度、どういうものをやってどういう動きをしているかということだと思います。
 それで、現在私どもが承知しておりますのは、三つのパターンがございまして、まず一つは、公健法の認定患者に対して給付の上積みを行っているもの。それから二つ目は、当時、指定解除以前におきましても申請をしたけれども暴露要件等が若干足りなくてだめだった、そういう理由により公健法の認定を受けられなかった、そういうぜんそく等の患者さんを対象に若干緩めた形と申しましょうか、何らかの給付を行っているというもの。三つ目には、あるいはこれが一番問題かもわかりませんが、地域指定解除後において新たにぜんそく等の患者さんの認定を行いまして医療費の自己負担分の助成を行っている、これが三つ目でございます。
 これらの制度がどういう実施状況になっておるかということでございますが、直接国の制度でございませんので詳しくは承知しておりませんが、最初の、公健法の認定患者に対して給付の上積みをしているという自治体は十六あるようでございますし、いろんな暴露要件等で認定を受けなかった、そういう人たちを認定しているという自治体は六つぐらいあるというふうに聞いております。最後の、地域指定解除後に新たに独自の判断で患者を認定し医療費の自己負担分を補助していくというような制度をやっているところは現在十二ございまして、平成三年度まで名古屋市もありましたが、名古屋市はこれを廃止したというふうに承知しているわけでございます。
 以上でございます。
#24
○大脇雅子君 地方公共団体が救わざるを得ない患者を前にして、国が個人に対して補償することは望ましいことではないという形で意見を表明されて以来、それに対して独自の制度をなおかつ積み上げた自治体と変化をした自治体と幾つかあると思いますが、現在ではそういった問題について地方自治体に対していろいろな意見を言われるということはないんでしょうね。それは地方自治体の本旨として尊重されているんでしょうね。
#25
○政府委員(松田朗君) 今の御質問でございますが、私どものところにはいろんな機会にいろんなところから御意見、御要望が寄せられますが、私の承知している限りでは、旧指定地域に関連している地方公共団体から、特にその中で十二の自治体が独自の制度をやっておりますが、そこも含めまして私どものところに直接それについての御意見は聞いていないわけでございます。
 そういうことで、それ以外の関係団体からは若
干それに類するような御要望があるというふうに聞いております。
#26
○大脇雅子君 それは、四十一の指定地域の関係団体からもう一度指定をしてほしいという要望を指しておられるんですか。そういう要望はありますね。
#27
○政府委員(松田朗君) 今私が申し上げましたのは、指定地域解除後、今の独自の制度をやっておる十二の自治体を含めまして、こういう自治体から、例えば再指定をしてほしいとかという、そういう観点での御要望はないということを申し上げているわけでございます。
#28
○大脇雅子君 さまざまな住民の団体からの陳情というか請願とか、そういうものはどうですか。
#29
○政府委員(松田朗君) お答えいたします。
 直近の平成四年度、今年度でございますが、におきまして、いろんなところから要望等が来ております。
 例えば、日本共産党の東京都委員会、あるいは全日本自治団体労働組合、あるいは新日本婦人の会、あるいは日弁連の公害対策環境保全委員会のメンバーの関係の方というようなところから来ておりまして、それぞれ要望の内容は違いますが、その中で再指定を行え、行ってほしいという要望を申しておりますのは、言い方は違いますが、今の団体はほぼ再指定を要望しているというふうに受けとめております。
#30
○大脇雅子君 その人たちの要望というのは、やはり現場における患者の苦しみを見ての要望でありますので、私は環境庁に対しまして、真摯にその言葉をぜひ受けとめていただいて、再指定という問題を含めて御検討いただきたいと心からお願いをしたいと思います。
 次は、水俣病の認定事業について伺いたいんですが、現在この第二種の特異性疾患の水俣病の認定事業は、いかがになっておりますでしょうか。認定の数及び未認定の処理の現況についてお尋ねしたいと思います。
#31
○政府委員(松田朗君) お答えいたします。
 水俣病の認定申請につきましては、現在手元にある直近の資料は平成四年の十二月末でございますが、認定患者は二千九百四十五名、棄却された者が七千七百四十二名、まだ未処分の者が二千四百五十九名ということになっております。
 私どもは、この認定業務につきまして、これまで検診審査体制の拡充等、いろいろ施策を講じておりますが、まだ二千四百五十九名の者が未処分者で残っているというのに対して、より一層努力をしたいと申し上げたいと思います。
 ただ、この認定申請の制度と申しますのは、本人が望めば棄却された者であっても何回でも再申請をできるということでございまして、二千四百五十九名のかなり大部分の者が再申請あるいは再々申請という者がいるという事情もありまして、なかなか未処分者の数が減っていかないというふうに考えております。
#32
○大脇雅子君 水俣病の総合対策の問題を先回お尋ねをいたしました際に、内容は説明していただきましたけれども、この総合対策の中で、元旦二月二十五日に熊本地裁が判断をいたしましたような原告を救済する措置というものをとる余地はないんでしょうか。
#33
○政府委員(松田朗君) 総合対策事業の中で、特に先生御関心のあるのは医療事業だろうと思うわけでございますが、この医療事業につきましては、現在裁判で争っておる原告の方々も申請をし、要件に合えば、当然その対象となるものでございます。
 具体的に、実際そういう方もいらっしゃいまして、熊本県あるいはほかの鹿児島、新潟、トータルいたしまして約一千百名の方がこの対象といいますか恩恵にあずかっているというふうに承知しております。
#34
○大脇雅子君 最後に、大臣にお尋ねをいたしたいのですが、三月二十五日に熊本地方裁判所で判決がありましたこの時期というのは、福岡高裁の和解が大枠を決めまして、原告あるいはチッソないしは熊本県が、病像論の対立を克服し、責任論の対立を超えまして、並々ならぬ努力でつくり上げたものであると思われます。
 私は、法曹の一員として、この枠づくりがどれだけの艱難辛苦の末であって、解決に対する大きなともしびかということをひしひしと感ずるわけです。私は、今国が和解に来られまして、それが唯一日本の公害史上におけるエポックを画す時期だと思わざるを得ないわけです。
 先回長官は、環境庁の役人の方がどうであれ、自分で決めるとおっしゃいました。歴代の環境庁長官は、さまざまにその言葉を残してはポストを去られていっております。行政の担当者もポストを去られてかわっていかれます。しかし、患者はかわることはできないという事実、命は長くありません。そういう中で、閣僚会議をさらに開かれまして、長官の政治家としての、なし得ないことをなす政治家としてのお役目をしていただきたいというふうに考えますが、いかがでありましょうか。
#35
○国務大臣(林大幹君) ただいま先生の御質問は、和解も含めてこの問題の解決のためにというお気持ちのあらわれだと思っております。
 先般先生の御質問にも答えましたとおり、この問題は放置できるものではありませんので、どういう形にするかその形はまだ決まっておりませんけれども、いずれにしても、患者の苦痛を取り除くということを含めまして、解決に向かわなければならないというのは、これは私は至上命令であろうと思っております。
 ただし、そのために、先般も申し上げましたように、訴訟の争点が究極的には何らかの損失が生じた場合にはそれをどこまで国民全体の負担によって補てんすべきかどうかという、行政として最も根幹になる重要な問題も含んでおりますので、そのためにこそ政府としても和解の中に加わっていないわけでございます。
 したがいまして、それらを踏まえまして、あくまでも水俣病に関する国の見解だけを盾にとってかたくなに拒んでいるということではございません。
 いずれにしましても、この問題は、これは患者のお立場も踏まえて、そして関係者のすべての立場を踏まえながら解決しなければならない問題であることは言うを待たないところでありますが、その解決の方法につきましては、これはいずれ決断しなければならない。その決断の仕方をどうすればいいのか。果たしてその決断の仕方が患者の皆さんの期待にこたえられるものなのか、あるいはまたそうでなくて、患者の皆さんから恨みを一身に買わなきゃならないのか。そういうことも含めまして、私としては、国全体、国民全体に理解の持てる形で解決に踏み込みたい、そう考えております。
#36
○大脇雅子君 判決が出まして、水俣病の被害者や弁護団とチッソ株式会社との間で交わされた確認事項においては、チッソはどのように言っているかというと、「当社としては、水俣病問題の全面解決のために国が和解協議に出席されることを期待しています。」そして、「水俣病問題解決のために、当社は自助努力をすることはもとより、国などの金融支援等が得られるよう努力いたします。」。チッソのこの呼びかけを環境庁もぜひ受けとめられまして、国の税金をここに使うということでだれも私は非難をする人はいないと思います。
 この大きな転換期に立たれまして、政治家の決断として長官の態度を私どもは期待しておりますことを最後に述べさせていただきたいと思います。どうかよろしくお願いいたします。一言お願いいたします。
#37
○国務大臣(林大幹君) チッソの今の心情を大脇先生から披露されたわけでありますが、実はこのことは私どもも十分に承知いたしております。
 特にPPPの原則がありますから、そうなりますとチッソは第一陣に立たなきゃなりませんので、そのためにチッソがこの三月期をどう乗り切るかということも踏まえまして大変心痛しておりました。しかし、あくまでも国民全体の共感を得ながら、国全体の施策としてどうすればいいかと
いうことに踏み込むためにも、チッソがどこまでもチッソ自体の御努力ということでこの三月期を乗り切ってほしいと私は祈るような気持ちでおりまして、チッソもそのことにこたえてくださいましたことに大変私は感動をいたしております。そのチッソに対して決して無意味に知らないでいるということではありませんで、感動を持ってこれを見たということをお伝え申し上げまして、答弁にかえさせていただきます。
#38
○狩野安君 使いなれない言葉を使っての初めての質問ですので、お聞き苦しい点があるかと思いますけれども、御了承をお願いいたします。
 今回の公健法改正案は、旧第一種地域についての認定患者の補償給付等に要する費用を自動車重量税から引き当てる措置を延長するものでございますが、指定解除については当時大変大きな社会的議論が行われ、本委員会でも大激論が交わされたと聞いております。
 確かに、近年の大気汚染の状況は昭和三十年から四十年代の汚染状況とは違い、少しはよくなってきたものと思われます。したがいまして、このような現状で第一種地域の制度によって東京や大阪といった限られた地域のぜんそく等の患者について、これをすべて大気汚染による健康被害者とみなして、全国の工場や自動車の負担により健康被害の補償を行うということについては、制度として果たして合理性があるのかとの疑問もあります。しかし、最近大都市地域を中心として窒素酸化物等の環境基準の達成率ははかばかしくなく、現在の大気汚染でも人の健康に悪い影響を与えているのではないかと国民は心配しているのであります。
 そこで、環境庁に質問いたします。第一種地域の指定解除は昭和六十三年に行われましたが、その後における旧第一種地域における大気汚染状況はどのように推移しているのでしょうか。
#39
○政府委員(松田朗君) お答えいたします。
 地域指定を解除された四十一の地域でございますが、現在そのうちの三十七の地域に一般環境大気測定局が設けられております。その測定によりますと、解除された六十三年から平成三年度まで年平均の測定値を見てみますと、二酸化硫黄では〇・〇〇八ppmという値でずっと横ばいできております。それから、二酸化窒素につきましては〇・〇二七ppmから〇・〇二九ppmと、若干ふえているかなと。それから、浮遊粒子状物質は〇・〇四四ミリグラム・パー・立方から、〇・〇四七ミリグラム・パー・立方ということで、これも若干ふえているかなということでございます。
 またもう一つの自動車排出ガス測定局というのがございまして、これは四十一の地域のうち二十八の地域に設けられておりますが、この結果によりますと、二酸化窒素については六十三年度から平成三年度までは平均的に見まして〇・〇四一ppmから同じく〇・〇四一ppmというふうに横ばいできているというのが現状でございます。
 いずれにしましても、この二酸化窒素及び浮遊粒子状物質というものにつきましては、警戒すべき状況にあるかなというふうに思うわけでございまして、特に先ほど大気保全局長からありましたように、大都市地域においては環境基準の達成率も十分でないということでございますので、これは厳しいなというふうに認識しておるわけでございます。
#40
○狩野安君 ただいまお答えいただきましたように、最近は大都市地域を中心として窒素酸化物等による大気汚染は深刻な状況にあると思います。このため、昨年には自動車NOx法が制定されるなど大気汚染防止対策が推進されておりますが、きょうは公健法の改正案の審議ですので、人の健康の観点から問題を考えてみたいと思います。
 昭和六十二年の公健法改正案の国会審議において、当時の中曽根総理大臣が、科学的調査結果により、非常に憂慮すべき状況が認められれば再び第一種地域の指定を行うということもあるという趣旨の答弁をされておりますが、環境庁は最近の大気汚染の状況を踏まえて第一種地域の再指定ということについてどのように考えておられるのでしょうか、お尋ねをいたします。
#41
○政府委員(松田朗君) 最近の窒素酸化物等の環境基準の達成状況が芳しくないということでございますが、まず最初に申し上げたいのは、環境基準というものについてでございますが、これは人の健康を維持するための最低限の限度といいますか、行政上の目標値として定めております人の健康を保護する上で維持されることが望ましいという基準でございます。したがいまして、これを達成するために万全を期するということでいろいろ対策を進めているわけでございますが、公健法に基づく第一種地域指定と申しますのは、これは若干次元が異なるものでございます。
 公健法の制度と申しますのは、本来当事者間で司法的に解決される公害健康被害の補償問題を行政が仲介することにより迅速な救済を図ろうとするものでございます。したがいまして、そのために特に第一種地域に係りますぜんそく等の疾病は大気汚染以外の原因によっても起こる病気ではありますが、地域指定が行われた場合には、その地域内の一定の要件を満たすぜんそく等の患者は全部補償の対象にする、その負担を例えば煙突を持っている工場あるいは自動車等の負担にする、こういう割り切った仕組みになっておるわけでございます。
 したがいまして、この第一種地域を指定するというためには相当著しい大気汚染がある、それからその地域の人口集団が疫学的に非常に大気汚染との因果関係が強く認められる、こういう場合に初めて地域指定がなされるわけでございまして、先ほど申しました環境基準を満たしていないという条件とは全く違うというふうに考えるわけでございます。したがいまして、その環境基準に達しないということは、これは達するよう努力すべきでございますが、それだけのことで地域指定を再指定するということにはその合理性は認められないというふうに考えるわけでございます。
#42
○狩野安君 今のようなお答えですけれども、一つ気になるようなことも聞いています。それは地域指定が解除された地域、例えば川崎市や大阪市などの地方自治体では地域指定の解除をきっかけに独自にぜんそく等の患者さんに対して医療費の自己負担分を助成する制度をつくっておられるということです。そして、これらの制度ではその対象者数がふえ続けていると報道されております。
 つまり、これらの地域では依然として多くのぜんそく等の患者さんが発生しているのではないか、これは大気汚染が悪い影響を及ぼしているのではないかということであります。
 そこで、地方自治体の独自制度による認定患者数がふえ続けていることについて、環境庁はどのように考えているのでしょうか、お伺いいたします。
#43
○政府委員(松田朗君) 現在、先生御指摘の独自制度をやっているところは、先ほど申しましたように十二の自治体でございます。確かに、ここにおきまして認定患者がふえているということも承知しております。
 ただ、先ほども申しましたが、厚生省の患者調査等によりますと、このぜんそく患者のふえ方は、もう全国的な傾向でございまして、例えば地域指定を解除された四十一地域、あるいはその中で独自の制度を持っている十二の自治体とそれ以外の都道府県におけるぜんそくの患者の率を見ますと、必ずしもその十二の自治体等に患者の発生率が高いということじゃなくて、むしろそれ以外の自治体の方が高いという関係が見られるわけでございます。
 したがいまして、私どもが考えますに、そのぜんそく等の疾病というのは、大気汚染だけでなくて、ダニとかカビだとか喫煙、いろいろそうした生活習慣によりまして発症するいわゆる非特異的な疾患であるということでございまして、これらの十二の自治体においての独自制度による認定患者がふえているからといって、その原因が大気汚染によるものであるとは言えないというふうに承知しておるわけでございます。
#44
○狩野安君 今のお話はわかりましたけれども、
昭和六十一年の中公審の答申によれば、現在の大気汚染がぜんそく等の疾病に対して何らかの影響を及ぼしている可能性は否定できないとされております。
 つまり、大気汚染がぜんそく等の病気に何らかの悪い影響を与えている可能性があるということだと思います。特に最近は、窒素酸化物等による大気汚染が問題となっているところであり、このような状況を考えますと、ぜんそく等の患者さんに対して個別の補償を行うということは合理的ではないにしろ、大気汚染による健康被害の予防には今後とも万全を期す必要があると思います。環境庁は、どのような取り組みをしているのでしょうか、お伺いをいたします。
#45
○政府委員(松田朗君) 先生御指摘のように、大気汚染というものがぜんそく等の疾病に対して何らかの影響を及ぼしているというのは、確かにそのとおりでございます。主たる原因でないにしても、その影響は否定できないということでございます。
 これにつきましては、その地域指定を解除するに当たりまして審議されました中公審の答申においても指摘されておりますし、それを受けまして公健法をさきに改正するときにおきましても、参議院等でも附帯決議がされたわけでございます。したがいまして、そういうものを踏まえまして、私どもは大気汚染の防止対策、あるいは環境保健に関する施策等を一層強化したいと思っております。特に、附帯事項等にもございましたが、環境保健に関する施策といたしまして、健康被害予防事業を実施する、あるいは環境保健サーベイランスシステムを構築する、あるいは大気汚染の健康影響に関する調査研究を推進するなど、こういうことを重点にして、これまでも取り組んできましたし、これからも取り組んでいきたいということでございます。
 特に、健康被害予防事業につきましては、大気汚染原因者等の拠出によります基金を公害健康被害補償予防協会の中に設けておりまして、これによりまして低公害車の普及あるいは大気を浄化するための植樹事業、あるいは大気環境自体の改善を図るための環境改善事業、あるいは直接患者さん等に関係のあるぜんそく等の予防、あるいは回復のための健康相談あるいは機能訓練、環境に焦点を合わした事業、あるいは人間に焦点を合わした事業、こういうものを並行してやってきているところでございます。
#46
○狩野安君 今お答えいただきましたような事業はもちろん大切だと思います。しかし、公健法は人の健康に着目し、これを守っていこうという法律ですから、やはり人の健康を保護し、損なわれた健康を回復しようとする環境保健に関する事業が重要ではないかと考えます。
 大気汚染がぜんそく等の疾病に何らかの悪影響を与えている可能性が否定できない以上、ぜんそく等の病気の予防、ぜんそく等の患者さんの健康回復のための事業を、健康被害予防事業として推進すべきと考えますが、具体的にはどのような事業が行われているのでしょうか。
#47
○政府委員(松田朗君) 御指摘の健康被害予防事業についてでございますが、これは地域におけます人口集団を対象といたしまして健康の確保とか、あるいは回復を図る事業でございます。
 もう一つ、先ほど申しました環境に対する環境保健事業というものがございまして、これにつきましても先ほど申しましたようなことをやっておりますが、まず健康被害予防事業のうちの環境保健事業につきましては、一つの例としまして、医師とか保健婦等によります定期的なぜんそく等の予防や回復に関する相談や指導を行うこと。あるいは乳幼児を対象といたしましていろいろ問診とか検査等を行いまして、その乳幼児がぜんそくの兆しがないかとか、既にあるかとか、そういう観点から健康診査を行って、異常があればそれなりに応じた指導をするというものもございます。
 また、既にもうぜんそくにかかってしまっている児童を対象といたしましては、これは野外でキャンプをするとか、水泳によって鍛えるといいますか、水泳指導によってぜんそくの発作を防ぐようにしむけていくとか、あるいはぜんそくも精神的な影響が非常にかかわるということもありまして、音楽教室というような場において、ぜんそく児童に対していろいろ機能訓練をしておるというようなこともございます。
 この中で、特に水泳訓練というのは非常に人気といいますか、好評でございまして、これは年間を通してできればやりたいというような声もございまして、室内温水プールを整備するようなこともやっております。それから、ぜんそく等で悩んでおられる方がなるべく手軽に公的な病院に行って相談を受けれるように、そういう相談の窓口といいますか、呼吸器専門の外来部門というものをつくっていただきたいと思っておりますので、そういう御希望のあるところには医療機器の整備も行っているというような、ハードの面でいろいろ事業を展開しているところでございます。
 こういう具体的な事業のほかにも、やはり現在一番問題になっておりますのが、大都市におきます大気汚染、あるいはそれに関係があるんじゃないかという気管支ぜんそく等でございますので、これらに類する調査研究をやる。その調査研究の結果を少しでも利用して気管支ぜんそくの患者さんの発症予防に役立てるというようなことで、こういう調査研究事業というものも非常に重視して進めております。
 また、こういう調査研究は奥が漂うございまして、なかなか簡単に結論が出ませんが、しかし、その都度その都度それなりに成果が上がれば、そういうものを踏まえまして、それをパンフレットだとかビデオ等にしまして、そしてこれを関係者に配って、それを利用して、さらに、今申しましたような事業を発展させていただく。あるいはこういうぜんそく患者、ぜんそく対策といいますか、大気汚染に対してのいろんな考え方を改めてもらうためにも幅広く関係者に対して講演会を開催してこの大切さを訴えていく、こういうような講演会事業等もやっておるわけでございます。
#48
○狩野安君 今お答えいただきました環境保健に関する事業については今後とも積極的に取り組んでいただき、地域住民の健康の確保に努めていくべきと考えます。環境保健事業の今後の展開について環境庁はどのようにお考えになっているんでしょうか、お尋ねをいたします。
#49
○政府委員(松田朗君) 環境保健事業というものにつきましては、先ほど申しましたようにいろいろなことをやっておりますが、まだまだこれからもいろんなことをやっていきたいというふうに考えております。
 この環境保健事業をやる場合にやはりこれ二本立てになっておりまして、まずこの基金の設けられております公害健康被害補償予防協会、ここが独自にやるものと、それから関係の地方公共団体にもお金を出しましてそこでやっていただく、あるいはそこと一緒にやっていく、そういう二本立てになっております。したがいまして、今後その環境保健事業を展開する場合には基金のあります協会独自の考え方だけでなくて、やはり現場を掌握しております地方公共団体のそういう御意見を十分吸収しまして、そしてそれを事業展開に生かしていきたいと思っておるわけでございます。
 幸いにして今までの成果を見ますと、その健康相談事業につきましては六十二年度からこの事業を展開しているわけでございますが、このスタート時点で、例えば当初参加していた自治体が二十四しかなかったのが現在では三十七にまでふえておりますし、健康審査関係の事業は当初十三の自治体しか参加してなかったのが、既に倍の二十五にもふえております。あるいは機能訓練の事業、先ほど申しましたプールとかキャンプとかそういうものでございますが、そういう自治体も十九しかなかったのが現在は四十二とほとんどの自治体に普及しているというようなことで幸い御協力、参加をいただく自治体は非常にふえてきている、あとは中身ではないかなというふうに考えておるわけでございます。
 また、来年度におきましても今までやってな
かった事業をさらにやりたいというような自治体が随分ふえているというふうに承知しております。
 以上でございます。
#50
○狩野安君 健康被害予防事業の一層の充実を強く要望して、次の質問に移ります。
 先ほどの御答弁の中で大気汚染による健康被害を予防するため環境保健サーベイランスシステムの構築に取り組んでいるとのことでしたが、先ごろ環境庁はその中間報告書を公表したと聞いております。その内容について御説明をお願いいたします。
#51
○政府委員(松田朗君) 御指摘の環境保健サーベイランスシステムでございます。これもさきの法律改正のときに附帯事項となっていたものでございますが、このねらいはやはり公健法の精神である被害の予防に努めるということを一つの柱にしているわけでございまして、そのためには環境中における大気汚染の状況、特に異常な状態を早期に発見するシステムが重要であるということでございます。
 このサーベイランスシステムというのは大きく三つの考え方から成っておりまして、一つは大気汚染がどのくらいに進んでいるかということを探知する大気汚染のモニタリングシステム、それから今度はそのいろいろな問題のある地域、サーベイランスシステムあれは全国的な考え方でありますから、地域地域におきます人口集中がどのように大気汚染の影響を受けているかという人体における健康の関係を探知するシステム、すなわち健康影響モニタリングと言っておりますが、この両者がまず重要である、その両者の情報を集約しまして、本当にその大気汚染の状況がそのときのある地域の集団に健康被害を及ぼしているのかいないのか、これを解析評価システムと言っておりますが、この三つから成っておるわけでございます。
 こうやって言葉で申せば非常に簡単なんでございますが、これをやるためにはその検査の方法あるいは人口集団の選び方、それから解析をするために必要な情報にはどういうものが必要かとか、いろいろな問題点がございまして、今回におきましては最終報告とならず中間報告ということになったわけでございます。しかしながら、中間報告の中におきましても、大気汚染を常時観測するためには現在あります測定局がございますから、このデータが大いに有効に活用できるだろうということもわかってきましたし、それから健康モニタリングもいろいろな調査方法を改善して使えるものができる、こういうようなことでございます。
#52
○狩野安君 大気汚染の健康影響の異常を早期に発見するためのシステムの構築は大変重要な課題であると私は考えます。今の大気汚染の状況を考えますと、健康被害予防事業や環境保健サーベイランスシステムなど、大気汚染の健康被害の予防のための施策は引き続き充実強化を図っていく必要があると考えます。そして、かつてのように著しい大気汚染が生じ、ぜんそく等の病気が多発するといったまことに残念で悲しむべき事態が再び起こることがないよう万全の努力を傾けなければなりません。
 そこで最後になりましたが、このような大気汚染による健康被害の予防施策に取り組む長官の力強い御決意を伺って私の質問を終わりたいと思います。
#53
○国務大臣(林大幹君) 狩野先生から大気汚染の健康に与える被害につきまして、微に入り細にわたる御質問をちょうだいいたしたところでありますが、環境庁といたしましてはやはり国民の生命そしてまた健康の安全、これを守るということは環境行政の根幹的な使命でもございますので、特に公害による健康被害を未然に防止するという、その措置としての予防対策は環境保健施策上最も重要な課題の一つでもございますので、環境庁としてはこの問題に対して先ほど政府委員から答弁もありましたように真剣に取り組んでまいりたいと思っております。
 特に大気汚染の問題については防止対策の充実あるいは強化を図るということは当然でありますけれども、健康被害予防事業の実施あるいはそれらに基づく調査研究の推進、そしてまた総合的な環境保健施策の推進などを図り、健康被害を未然に防止するために万全を期したいと思っております。
#54
○竹村泰子君 公害健康被害の補償等に関する法律の一部改正ということなんですけれども、環境基本法を環境庁はお出しになったわけでありますが、環境基本法の中で大気の汚染、水質の汚濁とかあるいは地域の指定とか、いろいろな提案をされておられるんですけれども、この公害問題、特に大気の問題についてどのような施策をもって、そして実際に汚染されてしまった地域の人々に対してどんな救済対策があって、そして今後そのような大気汚染を起こしていかないために一体どんなことを環境庁がやっていけばいいのだろうかというようなことは余りよく見えないんです、この環境基本法の中で。
 長官、これは私はとっても残念に思うんです。基本法を一生懸命拝見いたし、なるほどところどころに触れておられますけれども、しかし同じお出しになるんでしたら、もう少しこういった問題をきちんと、せっかく出すんだから踏み込んでほしかった。汚染しちゃった人に対する責任とかPPPの原則などということに関してもほとんど触れられておりませんし、汚染を今後続けていかないためにどうすればいいのかというようなこともほとんど読み取れない。大変残念に思った次第ですが、長官、その点についてどのようにお考えでしょうか。
#55
○国務大臣(林大幹君) 竹村先生の御質問でございますけれども、今度提出されました環境基本法の中で大気汚染の状況についての取り組み方が少ないではないかという、そういう異議が今先生のお口から漏れたわけでありますけれども、実は環境基本法を制定するにつきましても、御案内のように中公審の答申を基本にしまして、そしてできるだけそれを法制化するということで取り組んできたことは御承知のとおりと思います。
 そのためには、従来取り組んできたこの大気汚染の問題につきましては、従来に劣らない取り組み方の気持ちを含めて基本法の法案もつくってございますので、それ以上の問題につきましてはまたその後の展開を図りたいと思っておりますが、大気汚染の状況を軽視したということは全くございませんので、御理解賜りたいと思います。
#56
○竹村泰子君 それでは、大気汚染の状況をどういうふうに今考えておられますか。私も参考資料などを拝見しておりますけれども、現状認識と、そして環境基準達成のための方策あるいは達成見通し。お答えはそちらからで結構ですが、長官に。特にお伺いいたしたいのは、危機意識があるのかどうかということ。公害対策先進国と自他ともに言われているかと思うんですけれども、そういうことに対して大臣がまず危機意識をお持ちかどうか。それから事務方から御答弁をお願いしたいと思います。
#57
○国務大臣(林大幹君) これはもう竹村先生のおっしゃるまでもございません。特に二酸化硫黄あるいは一酸化炭素の問題のほかに、特に大都市地域におきますNOxによる大気汚染ということが非常に重くかかってきておりますので、深刻にこの問題を意識しております。
#58
○政府委員(入山文郎君) 大気汚染の現況でございますけれども、二酸化硫黄あるいは一酸化炭素等につきましては、これは以前と比べますと大幅な改善が見られております。今はほとんど問題はないかと存じます。
 しかしながら、二酸化窒素につきましては、特に大都市地域の県でございますと、今大臣の方からも御答弁がございましたけれども、これは私どもいろんな施策を用いまして改善していきたいと思っております。御承知のように、昨年自動車NOx法ができたわけでございますが、その運用を的確に図るということを通じまして、二〇〇〇年までにはほぼ環境基準が達成できるんではないか、このように思っております。
#59
○竹村泰子君 大臣、公害対策先進国と言われて
いる、この誇りを持ってやはり施策を、方策を達成していただきたい、環境基準の達成をしていただきたいと思います。と同時に、一見減ってきているように見えるけれども、東京都の場合なんかは上がっているわけでして、決して患者は総体的に見てどんどんどんどん減る傾向にあるとは言えないわけです。
 既被認定者の実態等につきましては大脇議員の方からお伺いをしたそうですので省きますけれども、この大気汚染という問題、複合的な大気汚染ということがあるんだと思いますが、それと健康影響について、局地的な大気汚染による健康影響調査研究、これが大変おくれているというふうにお聞きしておりますが、その理由と今後の見通しをお聞かせください。
#60
○政府委員(松田朗君) 御指摘の局地汚染の調査研究でございます。
 幹線道路沿道におきます局地的汚染の健康影響の解明につきましては、これは幹線道路沿道におきます地域住民の大気汚染の暴露量を正確に評価するということがまず大事でございます。
 しかしながら、その沿道におけます地域住民が常に大気の汚染を受けているわけではない。言いかえますと居住条件も違う、あるいは職場、勤務の条件も違う、あるいは年齢その他いろいろ条件がございまして、暴露実態が一様でない。あるいはそれ以外のいろんな因子も一様でないということでございまして、そういうところがこの局地汚染による人体影響といいますか、健康影響を調べるには難しいというふうに指摘されておるわけでございます。
 したがいまして、その幹線道路におきまして、汚染とそこに住んでおります各個人の暴露量を正確に把握するため、あるいは評価するための手法を確立するために随分今まで時間がかかったわけでございまして、先ほども申し上げましたが、その中間報告という形で今回やっと表に出てきたということでございます。
 この中間報告では、窒素酸化物の個人暴露量に関する測定手法あるいは評価方法について、ある程度こういう方向でいけばいいという方向性が出てきましたし、それから個人暴露量といいますか、粒子状物質も含めまして、その窒素酸化物がどれぐらい個人に影響を暴露しているかというものを測定する手法もある程度開発のめどが立ってきたというようなことでございます。これによりまして、どれだけ暴露し、それが個人にどれだけ健康影響しているかというその量と反応の関係を明らかにするということが最後に残されておりまして、ここのところを今後の研究課題というふうにしていきたいと思っているわけでございます。
#61
○竹村泰子君 先ほど長官もおっしゃいましたけれども、大都市圏ではNOxの濃度が濃くなって悪化していっている。ぜんそく患者がふえているという、この傾向も出ているだけに、これは八七年九月の公害健康被害補償法の改正の際に、患者救済策の一つとして環境庁が公約をしたものですね。それが、こうやって先送りまた先送りされる、中間的な報告が出たとおっしゃいましたけれども、本格的な実施はさらに三、四年かかると、これは行政の怠慢ではないかという新聞記事も出ているわけですけれども、それで今お聞きをしたんですがね。これはもう少し早く結論を出すわけにはいかないんですか。
#62
○政府委員(松田朗君) ただいま申し上げましたように、環境保健サーベイランスと申しますのは、大気汚染との関連におきまして、地域の人口集団の健康状態を継続的に把握、観察するということでございまして、やはり理論上じゃなくて、実際にそれが機能するようなシステムを考えなきゃいけません。
 したがいまして、今までにいろんな調査法に必要な、例えば調査するためのいろんな健康調査票が要りますが、そういう場合にどういう質問票がいいかというのを幾つかの地域で実際にやってみて使えそうな質問票に改善するとか、いろいろ具体的なスタディーをやって、それを踏まえてということでございますから、随分時間がかかったわけでございますが、しかしそれなりに成果を得ているわけでございまして、先生御指摘のように、より一層努力して少しでも早く最終報告へ進めていきたいというふうに思うわけでございます。
#63
○竹村泰子君 今大都市の話を出したんですけれども、大都市における気管支ぜんそく等に関する調査研究の実施状況というのが出ておりまして、都市型ぜんそくを誘発しているのがディーゼル排気微粒子ではないだろうかということなんですね、DEP、デップと呼ばれる。この微細物質が気管内で腕組織を壊してぜんそくと同じ症状を引き起こすと。これは国立環境研究所のマウスを使った研究で裏づけられているわけですけれども、このことに対して環境庁はどのような御見解を持っておられて、そしてこの研究のことをどうとられておりますか。
#64
○政府委員(入山文郎君) 御指摘の研究でございますが、これはマウスに一定量のディーゼル排ガス中の微粒子を与えたところ、それから産生いたしました活性酸素によって肺胞の中に炎症が起きる、あるいは気管支上皮細胞が傷つくといったような事例が認められたということをおっしゃっているのかと思います。この実験につきましては、私どもはディーゼル排ガス中の微粒子についての健康影響を解明する上で新しい知見であるというように考えているわけでございます。したがいまして、これからさらに吸入実験等の研究もやられるというふうに伺っておりますが、その結果について注目してまいりたいと思っております。
#65
○竹村泰子君 この都市型ぜんそくというのが非常に多くなっていて、そしてこれはディーゼルエンジンに関係あるんじゃないかということはもうかなり言われているわけなんです。
 ディーゼル排気の規制では、環境庁は昨年六月、大都市部を対象に制定した自動車窒素酸化物総量削減法で、NOxの総量規制、車両ごとの単体規制の両面から環境基準の達成を進めておられるんですけれども、DEPに関しては体系的な規制はこれからというふうに受けとめますが、本格的にこれを環境対策として取り組もうというふうなお気持ちはございませんか。
#66
○政府委員(入山文郎君) 自動車から排出されるものもございますし、あるいは自然現象と申しますか、そういったものもございますし、いわゆる浮遊粒子状物質というものはなかなかわからない面もあるわけでございます。しかし、御指摘のようなディーゼルから出てくるものにつきましては、これは自動車の単体規制ということで、平成五年、六年からは、今までは黒鉛だけの規制だったわけでございますけれども、今度は粒子状物質全体の規制もやるというようなことにいたしております。
 それから、大幅な削減を図ることを目標にいたしまして、いわゆる長期目標というのを立てておりますが、それをできるだけ早く実施したいというように考えております。それから、さらにいろんな自動車の排出ガス低減技術の評価というものも継続的に実施をいたしまして、できるだけ早期に達成していきたい、こういうふうに考えているわけでございます。
#67
○竹村泰子君 次に、地域指定の解除についてなんですけれども、なぜ新たな患者認定の打ち切りを伴う地域指定解除をなさったか、その妥当性と解除後の五年間についての評価、分析をお伺いしたいと思います。
#68
○政府委員(松田朗君) 公健法の制度と申しますのは、本来当事者間で司法的に解決される公害健康被害の補償問題を行政が仲介することによりまして迅速な救済を図ろうとするものでございます。特に、その中で第一種地域に係りますぜんそく等の疾病と申しますのは大気汚染以外の原因によっても起きる非特異的な疾患でございますから、個々の患者についてその因果関係を科学的に証明することは非常に難しい。
 したがいまして、第一種地域の制度と申しますのは、地域指定が行われた場合は、もうその地域に住んでいて一定の要件を満たしておれば、たとえ原因が大気汚染であろうとそうでなかろうと、
と申しますのは、ぜんそくというのは大気汚染以外の理由でもなりますから、しかしそれを度外視しても、とにかく大気汚染による被害者と制度的にみなすという非常に割り切った認定を行いまして、そして一たん認めた以上は、その患者さん方にPPPの原則によりまして大気汚染の原因者にその費用を負担させるという仕組みになっております。
 したがいまして、第一種地域を指定するというのは、相当著しい大気汚染がある、またそこの大気汚染と疫学的な関係が、ある人口集団と非常に明らかである、ぜんそく等の疾病が非常に多発している、こういうようなことがあった場合に初めて地域指定されるわけでございますが、その地域指定を解除した時点におきましては、これは六十一年の中公審の答申にもございましたが、今やそういう事態を脱しているというようなことで、それ以上続ければ合理性を欠くというようなことで地域指定が解除されたわけでございます。
 その後どうであるかということでございますが、先ほど来いろいろ議論の中にございますように、SOxにつきましてはもう明らかに改善されている。それからNOxあるいは粒子状浮遊物質につきましても、これは若干問題のあるところもありますけれども、しかしそのレベルは、先ほど申しました制度的に割り切って地域指定をし、そして汚染原因者にその地域全体の患者全部の費用を負担させる、そういうところまではいっていないという認識でございます。
 以上でございます。
#69
○竹村泰子君 新規の認定を打ち切って以降も二年前に比べて三倍近い患者さんが出ている。これは独自に医療給付などを続けている東京都、川崎、愛知県東海、大阪、神戸、兵庫県尼崎市など十二の自治体の患者数が計四万九千五百六十四人に達していることが朝日新聞の調べで明らかになっています。二年前の調査の約二・九倍。これは未成年者や子供さんを対象にしていることもあって、幼児や子供の数がふえる傾向にあるということでありますけれども、改正前の公害健康被害補償法は四十一地域を大気汚染地域として指定をしていたわけです。気管支ぜんそく、ぜんそく性気管支炎、慢性気管支炎、肺気腫の四疾病患者に医療費などを支払っていた。
 今お答えいただいたように、大気汚染と呼吸器系疾患との因果関係がはっきりしない。つまり言いたいのは、大気汚染だけが原因ではないんじゃないかということで新規認定は打ち切られたわけなんですけれども、この辺が非常に私どももひっかかるわけなんです。
 再指定の要望の状況とか対応とか、あるいは再指定するとすればどんな判断要件が必要なのかちょっとお伺いしたいと思います。
#70
○政府委員(松田朗君) 御指摘の再指定の要望についてでございます。
 特に、現在四十一の地域指定が解除され、さらにその後においても現在十二の自治体で独自の制度があるということでございますが、その十二の自治体も含めまして四十一の関連自治体からいろいろ要望書が今まで来たと思いますが、その中で今の地域を再指定しろというようなはっきりした形の御要望は私は承知していないわけでございます。ただ、先ほど大脇先生の御質問にもお答えしましたが、それ以外の関係団体からは若干再指定を求める声があったということは承知しております。
 再指定をするということにつきまして、環境庁といたしましては、現状の大気汚染を見ますと、大気汚染がぜんそくの疾病の主たる原因をなしているという現状は考えられませんから、現時点においてその指定の必要はないと考えておるわけでございまして、もうそういうことがないように予防事業、調査研究事業に力を入れてやっていきたいということでございます。しかし、公健法が存在する限りこの第一種地域指定の制度は残っておりまして、万が一昭和三十年代、四十年代初めのような著しい事態になれば、これは当然考えなきゃいけない。
 その場合に考えられます再指定の条件と申しますのは、これは中公審の答申でも示されておりますが、まず人口集団に対します大気汚染の影響の程度が定量的に判断できる、その上でその影響が、個々の地域におきましてその地域の患者をすべて大気汚染によるものとみなす、もう割り切ってみなす、ほかの原因であるかもしらぬけれども、それはもう大気汚染のせいにしちゃう。そうすることに合理性があると考えるほどに大気汚染の状況あるいは患者の発生の状況が深刻でなきゃならない、そういう場合に再指定をすることになっておるわけでございます。
#71
○竹村泰子君 環境庁がNOx削減法の規制で環境基準をおおむね達成できると、私どもに言わせると甘い見解をお出しになったわけですが、東京都などでは都内の大気汚染は一向に改善が進まないと。二酸化窒素の環境基準は二十三区内の一般環境大気測定局では二十三局中二十一局が未達成の状況であると。このようなことから、東京都は独自の方策をとらなければならないというふうにしているわけで、東京都に限らず地方自治体が、都の予算や市の予算を使って独自の走行量抑制提言をしたり、低公害車に買いかえさせる車種規制とか、自動車排ガスのNOxを減らす等、具体的なことで非常に苦労している。
 これは環境庁が本当はやらなくちゃいけないことじゃないかと私は思いますけれども、環境庁がこれを甘い判断でもういいとしてしまったから、それぞれの自治体は非常な苦労をするわけで、この辺は長官、どういうふうにお感じになっておられますでしょうか。もう時間がなくなってしまったのですけれども。
#72
○政府委員(入山文郎君) 各自治体がそれぞれ工夫をいたしまして独自の施策を実施するということにつきましては、私どもは結構なことだと思っております。しかし一方、法律の体系の問題もございますので、具体的なそういう案ができた段階で相談をしていただきまして、私どもそれが有効なものであるならば支援をしていきたい、このように考えているわけでございます。
#73
○竹村泰子君 最後の質問になりますが、私も中国その他アジアの回々へ参りました。大変な大気汚染です。大気汚染に限らないんですけれども、もう目もあいていられないようなところもございました。そういうお隣の国々、これはもうブーメラン現象と言われるとおり、よその国のことだからとほっておくわけにはいかないんです。これはもう境がありませんから、やがては黄砂が風に乗ってやってくるかもしれない。そんなこともありまして、人ごとではないわけで、日本のいろんな公害も一つ一つ、公害列島と言われた一九六〇年代に比べればそれはもう確かによくなっているには違いないわけでして、そういう技術をアジアの国々に輸出なさることをもっと積極的に、実は環境庁からいただいたんですけれども、大したことやってないんです。
 通産、外務にもおいでいただいておりますので、それぞれこういう具体的なことをやっていて、今後もっともっとそういうところに力を入れていただきたい。それこそ私は本当の国際貢献だと思うんですけれども、そのようなお答えをいただいて質問を終わりたいと思います。
#74
○政府委員(加藤三郎君) 先生おっしゃいましたように、アジアの開発途上国は工業化、都市化が非常に急速に進展いたしておりまして、それに伴いまして残念ながら大気汚染その他の公害、かつて私どもも経験しましたような非常に激しい公害問題に今直面しているというのは事実でございます。
 私どもこの問題を非常に心配いたしまして、いろんな協力を進めております。まず、地域的な協力で申し上げますと、私ども環境庁は、環日本海環境協力会議というのを昨年開催いたしまして、これから毎年やっていこうということですが、具体的に申し上げますと、中国、韓国、モンゴル、ロシア、それと日本という、こういう国々の行政官あるいは研究者、その行政官の中には中央政府の行政官だけでなくて地方政府の行政官も含めま
して、大気汚染をも含むこの地域の環境協力を積極的に推進するためのいわば環境整備といいますか、そういったものを図ってまいりたいというふうに思っておるわけでございます。
 それから、特に先生お触れになられました大気汚染について申し上げますと、東アジア酸性雨監視ネットワーク構想というものを平成五年度から策定するための検討を開始しようというふうに今考えておるわけでございます。
 それから、二国間の協力で申し上げますと、従来かなりの時間をかけてやってきておりますが、途上国の主要都市、具体的に申し上げますと上海でありますとか、あるいはトルコのアンカラでありますとか、あるいはメキシコシティーだとかそういったところの大気保全対策のマスタープランづくり、そういったための開発調査と申しておりますが、そういった開発調査に私どもも外務省や関係する省庁ともども参画しましてお手伝いをする。それから、大気汚染を中心とします専門家の派遣あるいは途上国からの研修員の受け入れ、そういったものを進めております。さらに、これらの事業とあわせまして機材供与等と関連づけて実施します、私どもの用語で申し上げますとプロジェクト方式技術協力というのをやっておりますが、そういうものも実施しておるわけでございます。
 いずれにいたしましても、途上国が持続可能な開発を目指していろいろと御努力をされることは当然でございますけれども、環境をできるだけ損なうことがないように私どもとしてできる限りの協力をしてまいりたいというふうに思っております。
#75
○竹村泰子君 通産と外務にお聞きします。
#76
○説明員(中村利雄君) 先生御指摘のように、最近は中国とかASEAN等の国におきましては工業化が非常に進展いたしまして大気汚染等の環境問題が非常に顕在化している、また彼らの方におきましても環境問題についての認識がかなり深まってきている、こういう状況であろうかと思います。これらの国々におきまして、私どもとしましては、環境と開発の両立が図られることが重要でございまして、環境問題につきましてはその国の自助努力によって解決を図るべきもの、こういう認識に立つわけでございますけれども、やはりこれらの途上国におきましては、追加的コストを要する環境対策の円滑な実施には資金面、技術面におきまして非常に困難を伴うということでございます。
 特に、私ども日本は、六〇年代の経験で非常な環境対策の技術を蓄積したわけでございまして、こうした技術を利用いたしまして途上国のエネルギー、環境問題に対する自助努力の支援を行うということで、通産省としましては今年度からグリーンエードプランということで総合的、集中的に支援を行うということにいたしております。
 具体的には、今年度から中国とタイを重点に置きまして、例えば中国では石炭火力発電所におきます脱硫対策としての実証テストというのを始めておりますし、あるいは四川省の成都とかそういうところへ専門家を派遣いたしまして石炭火力発電所の技術指導を行う。さらに、対処能力を高めるという観点から種々の研修、総合的な調査、こういうものをやっております。
 タイでも大気汚染、水質環境を中心に事業を進めておりまして、特に平成五年度からは省エネルギー、エネルギーと環境というのは、かなり裏腹な関係にございまして、エネルギーに重点を加えまして協力を実施するということでNEDO法の改正案を出しましてかなり重点的にやるということにいたしております。さらに、ほかのASEAN諸国からも強い期待と要望が寄せられておりますので、このプランをASEANの他の国に拡大していきたいと考えているところでございます。
#77
○竹村泰子君 一言だけ済みません。もう時間が過ぎております。申しわけございません。
 外務と通産に特にお願い申し上げておきます。今のお返事を聞いていて、いろいろやっているやっているとおっしゃいますけれども、少なくとも日本の企業が相手国の環境を破壊している、この例はやっぱりつぶさに調査をしていただいて、真摯に反省をして指導をしていただきたいと最後にお願いをしておきます。
 花粉症の質問ができませんで、厚生省、申しわけございませんでした。終わります。
#78
○委員長(松前達郎君) 本案に対する午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。
   正午休憩
     ―――――・―――――
   午後一時開会
#79
○委員長(松前達郎君) ただいまから環境特別委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、公害健康被害の補償等に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
 午前中の大脇君の質疑に対し、この際、政府より発言を求められておりますので、これを許します。
#80
○政府委員(八木橋惇夫君) 午前中御質問があったそうでございますが、環境基本法案につきまして、環境アセスメントを含めまして法案の解釈等につきまして共通の理解を得るというようなことから、各省間で想定問答といったようなものを含めて所要の検討を行っているのは事実でございますが、報道されているような環境アセスメントについて将来の法制化を否定するような覚書を行ったという事実はございません。
#81
○国務大臣(林大幹君) 読売新聞社の報道についての所見でございますけれども、環境アセスメントにつきましては、ただいま担当局長の八木橋より説明ありましたとおりでありまして、報道にあるような覚書を結んだ事実はないということでございます。
#82
○委員長(松前達郎君) 以上で政府の発言を終わります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#83
○横尾和伸君 私は、この公健法の改正に当たりまして、特にこれからのことを考えた場合に健康被害の予防ということが極めて大切である、このことを中途半端にしていっては絶対ならないというそういう観点から何点かお尋ねしたいと思います。
 健康被害予防事業が本格的に動き始めて平成四年度でちょうど五年が経過することになります。まずこの事業のねらいとするところは何か、また成果が上がっているのか、その概要を手短に御説明いただきたいと思います。
#84
○政府委員(松田朗君) 御指摘の健康被害予防事業につきましては、昭和六十一年十月の中公審答申におきまして、現在の大気汚染がぜんそく等の疾病に対して何らかの影響を及ぼしている可能性は否定できないという現状を踏まえまして、この予防事業をやれということでございましたので、環境庁はこれを受けまして、関係地方公共団体の御意見も踏まえまして、昭和六十三年よりこの健康被害予防事業を実施してきたものでございます。
 この事業は環境保健事業と環境改善事業の二つが主要な部門でございまして、環境保健事業というのは、地域の人口集団に対してぜんそくの予防回復を図る。それから環境改善事業のねらいというのは、大気環境自体を健康被害が起きないようにいろいろ改善していこうと、こういうものでございます。
 具体的に成果に関するものでございますが、まず環境保健事業の中では、健康相談、健康審査あるいは機能訓練、これは総合三事業といって力を入れているわけでございますが、これに参加する自治体あるいは自治体で開かれる開催回数、それに参加する参加者数は毎年増加してきています。それから環境改善に資するものといたしましては、低公害車の普及ということも進めておりまして、平成四年、今年度までの累計で、例えば電気自動車では百六十五台、メタノール車では四百七十二台、最新規制の適合車四千二百二十台、こう
いうものに助成をする見込みとなっております。
 さらにいろいろな知見を地域住民にPRする、普及するという観点での事業では、各種のパンフレットあるいはビデオの作成等を実施してきております。
 特に私どもが非常に成果が上がっておると思っておりますのは、毎年代々木公園ほか全国各地で行っております低公害車フェアというものへの関心が非常に高くて、毎年参加人員がふえているということで、それなりに成果を上げているというふうに考えております。
#85
○横尾和伸君 本来この予防事業は関係自治体と各方面の意見を聞きながら、常に事業内容を点検し、より効果的な方向に見直していくことが極めて重要だと考えます。こういった観点から具体的にどういう取り組みをされているのか、できるだけ具体的にお答えいただきたいと思います。
#86
○政府委員(松田朗君) この公害被害予防事業の改正に当たりましては、先生御指摘のように、地方公共団体の意見を十分に踏まえるというのは大事でございます。したがいまして、事業をどういうメニューで展開するか、あるいはその実施方法をどうするかというような具体的な内容は、今までも地方公共団体の意見を十分聴取してきたところでございまして、具体的には毎年その事業実施に際しましては、その対象地域となっているすべての地方公共団体から個別に要望を聴取しておりまして、例えば来年度から進める事業についても、そういう要望を踏まえまして、新しい事業を展開するということになっておるわけでございます。
 また、中身を質的に高めるという観点からも、協会の中に医学、工学あるいはその他の専門分野からの人から成る検討会を設けておりまして、それでその専門的な観点からの御指導もいただいて、学問的にも間違いのない方向で進めていきたいということでやっております。先生御指摘のように、今後ともいろんな自治体を初め関係者の御意見を承って的確に事業を進めていきたいと考えております。
#87
○横尾和伸君 予防事業はそういった観点から内容的に大変重要なものですけれども、その財政的な裏づけとなるのが基金であります。その基金の果実で効率的な、また的確な運用が図られるということですけれども、社会全般としては、景気の低迷など大変問題があって、この基金が今後ともその影響を受けずに、計画どおりに集まるのか、そういったこともちょっと心配されるんですけれども、基金の現在の拠出状況と今後の計画とその見通しについてお伺いしたいと思います。
#88
○政府委員(松田朗君) 制度改正に伴いまして、昭和六十三年度より今御指摘のありました予防事業に力を入れる、それを実施するための財源といたしまして、基金を積み上げてその果実で将来役に立てようということで、総額五百億が目標になっていたわけでございます。
 御指摘のように、今のような経済状態でございますが、おおむね計画どおりに進んでおります。具体的には本年度末大体二百七十億円ぐらいが積み上げられることになります。この調子でいきますと、来年度末、平成五年度末には約四百十億円ということで、残りの九十億円ぐらいは平成六年度に積み上がるということで、当初予定していた場合には、平成六年度か七年度ぐらいには何とかと考えていたところですが、それよりも若干早目に積み上がるんじゃないかというふうに考えておるわけでございます。
#89
○横尾和伸君 これは大変重要な問題ですので、景気等の影響を受けないように、受ける予想ができたときには、できるだけ早く具体的な手を打って、その基金が積み上がりますように今後とも全力で努力を継続していただきたいと思います。
 この予防事業については調査研究がその柱の一つだと思います。むしろ一番大切な部分だろうとも思っております。その調査研究の中身の問題なんですけれども、最近花粉症の患者が大変ふえている。私ごとになりますけれども、私自身も実はある時期から急に花粉症になりまして困っているんですけれども、個人的な問題は別にしまして、花粉症と大気汚染の関連について現在わかっている知見あるいは環境庁としての見解をお尋ねしたいと思います。
#90
○政府委員(松田朗君) 御指摘の花粉症でございますが、これも毎年ふえているんじゃないかということで大変社会的な問題になっておるようでございます。
 この花粉症の発症につきましては、花粉の飛散量の地域差あるいは個人のアレルギー素質あるいは食生活とか住環境、いろいろ生活スタイルございますが、こういうものの変化が非常に関係しているんじゃないかというふうに言われておりまして、これに関連したそういうことを示唆するような研究がいろいろ出されておるわけでございます。
 御指摘の大気汚染との関連でございますが、最近の幾つかの報告の中では、大気汚染物質が花粉症の発症を誘発しているんじゃないか、関連があるんじゃないかというような御指摘の研究発表もございますけれども、その研究の実験の方法等を見ますと、必ずしもずばりそれが花粉症の原因というところまでの研究内容になっていないわけでございまして、花粉症との関連で大気汚染も無視できないな、研究が必要だなという認識でございます。
 そういうことで、環境庁といたしましても平成三年より検討会を設置いたしまして、動物実験を主体にいたしまして研究を進めていこうということで、平成三年度千八百万円でございますか、毎年予算をふやしまして来年度は三千万近くの予算でこの研究を進めていきたいというふうに考えておるわけでございます。
#91
○横尾和伸君 花粉症の研究を環境庁がやるのは当然だと思います。環境庁もやっているということは私も十分承知しているんですけれども、そういう意味ではなくて健康被害予防事業として、つまり患者を認めないということを前回の改正で行ったわけです。その分だけあるいは予防に力点を置くということが趣旨だったと思います。
 そのことを考えたときに、今お答えの中に花粉症誘発関連あるいは引き金的な要因となる可能性をほのめかされました。もちろん断定ができないという段階だと思いますけれども、そういった引き金の可能性があるということは、逆に引き金がないとこういうものは起こらないんです。引き金を引かなければ弾は出ないんです。私もある時期からいきなり花粉症になった。これは私だけではなくて多くの方に聞いてみますと共通している。また、その多くの方のほとんどの方が東京あるいは大阪等の大都市で幼少のころを過ごしたあるいはそれなりの長期間過ごした、そういう人たちばかりなんです。私は、そういうことを考えたときに、やはり引き金の可能性があるのであれば、大気汚染が花粉症の引き金としての可能性あるいは誘発に関連する要因であるという可能性があるのであれば、やはりこの健康被害予防事業の一環として研究を、因果関係の追求を中心として研究をすべきではないか。
 もちろん環境庁自体としてやっている花粉症の研究、これと同じことをやれと言っているわけではないんです。十分その辺は調整を図って、まだやられていない部分あるいは連携をとって効果的だと思われる事項というのはまだまだあるはずです。そういった面についての調査研究をやはり予防事業の一環としても始めるべきだと思うんですけれども、環境庁のお考えをいただきたいと思います。
#92
○政府委員(松田朗君) 公健法に基づきます第一種地域の制度と申しますのは、これは大抵の公害患者さん、ぜんそく等の慢性閉塞性肺疾患を対象として実施しているわけでございまして、したがいまして、その予防事業におきましてもそういう患者さん方についてそういうことにならないようないろんな予防事業を中心にやっておるわけであります。それが現状でございます。
 しかし、先生御指摘の花粉症につきましては、大気汚染との関係ということで非常に社会的に関心も深うございます。現在は今申しました理由で
花粉症にターゲットを当てたようなそういう事業だとか調査研究をやっておりませんが、今申しましたようなもろもろの背景を考えまして、将来この健康被害予防事業の中で今御指摘のようなことを課題として研究してまいりたいと思います。
#93
○横尾和伸君 予防というのは必ず先手を打たなければ結果が得られない。今出ている症状、例えばぜんそく等、その研究ももちろん大切ですけれども、予防というのは、まだ出ていない、はっきりしていないけれども可能性のあるものに対して新たな手を打っていく、早目早目に手を打っていく、これが予防だと思います。そういう観点をぜひとも踏まえて今後とも効果のある対策を進めていただきたいと思います。要望しておきます。
 次に、予防事業の中で環境改善に係る調査研究、全体的にどういう予防事業としての調査研究がなされているのか、話が逆転しますけれども、まず現状についてお尋ねします。
#94
○政府委員(松田朗君) 予防事業の研究につきましてはいろいろな研究がなされておるわけでございます。大きく分けますと、大都市における気管支ぜんそく等に関する調査、これは人間を相手にしたような調査でございます。それと、局地汚染対策事業としていろんな調査研究。大きく環境面と対人保健面と両方あるわけでございますが、特にその中で非常に先生御関心のものは環境関係の問題だと思います。
 それで、これは局地対策に関する調査研究でございまして、たくさんございますが、その中でも幾つか主なものを挙げますと、沿道の排ガス処理装置の実用化に関する調査、あるいはディーゼルの脱硝触媒に関する調査研究、こういうものがございます。また、さらに低公害車の普及という観点から、ごみ収集車の低公害化の促進に関する調査研究、あるいは最近話題にもなっておりますが電気自動車の各種周辺技術の調査、こういう具体的に環境改善に必要な研究も進めているわけでございます。
#95
○横尾和伸君 今言われた中でもう少し詳しくお尋ねしたいんですけれども、まず沿道排ガスの調査研究はどのような成果が得られているのか、またその成果をどのように生かしているのか、できるだけ具体的に御説明いただきたいと思います。
#96
○政府委員(松田朗君) 今御指摘の沿道排ガスの調査研究についてでございますが、やはり窒素酸化物による大気汚染の改善を図るためには総合的な対策が必要でございますが、その一環として、道路沿道におきます局地的な対策も重要だということでこの研究をやっております。
 六十三年度から平成三年度まででございますが、トンネルの排気ガスの脱硝装置の有効性あるいは実用性についての検討を行ってきておりまして、トンネル内における脱硝装置の基本技術については、常温あるいは低濃度のトンネル排ガスにつきましては七、八十%の効率で脱硝を行えるシステムがどうやら構成できそうだという見通しを現在のところ得ておりまして、平成四年度におきましては、その後の各メーカーにおきます触媒などの技術開発の動向を調査しております。その範囲でいきますと、少しずつ技術が向上しているのじゃないかというふうな感触を得ております。環境庁といたしましては、この問題はトンネル等に関係のあります建設省においても現在実際の道路でトンネル実験をしておりまして、その結果も期待しながら見守っております。
 いずれにしても、沿道の脱硝装置の実用化に向けましては、今後とも一層努力を続けたいと思っておるところでございます。
#97
○横尾和伸君 沿道排ガスにつきましては、どこにでもということではありますけれども、特にその中でも濃度がといいますか、一カ所に固まる、偏在するということはあると思います。今言われた沿道排ガスの調査研究、大変貴重な研究だと思いますので、さらにこれから具体化といいますか、実用化に向けて全力を挙げていただきたいと思います。
 その観点から、いわゆる装置の小規模化ということがポイントでもあります。また、省エネルギー化、簡単に管理ができる、こういった観点からの研究を精力的に進めて実用化、なおかつ効率的な実用化を急速に進めるべきだと思うんです。もう一歩踏み込んで御答弁をいただきたいと思います。
#98
○政府委員(松田朗君) ただいま御説明しました沿道の脱硝装置というのは、沿道におきます局地的な高濃度汚染対策の一つとして検討されておるわけでございまして、現在開発中のシステムで今適用が可能なのは交通量の多いトンネルのような閉鎖的な空間に限られるわけでございます。
 また、これを実際のトンネルに設置するためには、今先生御指摘のように、その装置の小型化あるいは省エネルギー化というものが必要と思われますので、さらに一層の技術開発が必要だと思われるわけであります。
 したがいまして、今先生が御指摘のように、これをさらに小型化する、例えば地下駐車場とかそういうところでも使えるようにしようということになれば、トンネルに使えるやつをさらに小型化あるいはさらに低濃度の場所でも機能するような、そういうふうな技術開発が必要になると思います。国内のバスターミナルなどのNOxの低減装置の必要性が言われているところもございます。環境改善事業の調査研究の一環としてその実用化の可能性等について今後どうしていくか、取り組むべきかというようなことについては今後十分検討させていただきたいと思います。
#99
○横尾和伸君 次に、ごみ収集車の低公害化に関する研究も大分進んでいるというふうに聞いておりますけれども、どのようにやっているのか、改善の効果、実用可能性について御説明いただきたいと思います。
#100
○政府委員(松田朗君) 大都市地域におきます大気汚染の問題に対応するためには、汚染物質の排出が少ない低公害車の開発普及が急務であるということでございます。したがいまして、各方面で活発な取り組みがなされておりますが、環境改善事業の調査研究におきましても、これまで低公害ごみ収集車の開発を行ってきております。
 御指摘のごみ収集車といいますのは、ディーゼルエンジンとそれからバッテリーという複数のエネルギー源の長所を組み合わせまして、いわゆるハイブリッドタイプと言っておりますが、このハイブリッドタイプの車両を開発しようというものでございます。エンジンとインバーター制御の交流器を組み合わせまして、制動時、とまるときのエネルギーをバッテリーに蓄積して発進、加速するときに、負担の大きくなるときにエンジン出力をモーターで補助する方式ということでございまして、こういうものの開発が望まれております。
 このシステムによりまして、改造前と比較しまして窒素酸化物は二、三割、黒煙、黒いガス状の煙ですが、これが七割、それから収集作業時の騒音でございますが、これも六デシベルぐらいに抑えられる、さらに燃費の方も五%から一五%ぐらいは改善されるというような性能を示すことが明らかになってきております。昨年五月には、その試作車ということで第一号が完成いたしまして、現在テニスコートのようなそういうところで走行試験をしておりますし、自治体においてもデモンストレーションをやっているというふうに聞いております。
 以上でございます。
#101
○横尾和伸君 今のお話で一点だけ追加的に聞きたいんですけれども、実際にそれを実用化するために、費用的にも現実的な費用の範囲でできるものなんでしょうか。
#102
○政府委員(松田朗君) お答えする前に、先ほど試作一号車はテニスコートと申し上げましたが、これテストコースの間違いでございますので、訂正させていただきます。
 それで、今のハイブリッド車を普及させるためにはやはり、今お金が大変高いというようなことでございましたが、平成五年度におきましては、現場での実証試験を行うなど実用化に向けて調査研究を引き続き実施することにしております。このハイブリッドのごみ収集車が実用化されまして
市場に供給される状況になれば、これの普及促進を図るために、従来、今まで事業の中で各種の低公害車に助成をしておりましたが、そういう対象とすべきかどうかということを含めて、この実用化の段階には検討してまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
#103
○横尾和伸君 ぜひとも成果が得られますように御努力をいただきたいと思います。
 次に、予防事業の柱がもう二つあります。知識の普及という大きな柱、また研修という柱がありますけれども、この知識の普及、研修についてどういった御努力がなされているのか、お聞きしたいと思います。
#104
○政府委員(松田朗君) いろいろ予防事業で調査研究をやっておりますが、その一つの中身は、そこで上げた成果をいかに地域の人たち、あるいはぜんそくで苦しんでいる人たちに役立てるかということでございまして、そういう意味では、その知識を普及するために、特に小児のぜんそくあるいは老人のぜんそく、そういうものの予防のためにいろいろパンフレットをつくりまして関係者に配付する、あるいはアニメーション映画などもつくってやる、さらには講演会を開いて普及をするというような形で展開しております。
 また、環境改善関係では、先ほども、午前中も触れたわけでございますが、低公害車を普及するためのフェアを開催して毎年非常に盛況になっておる。平成四年度の場合は、二万三千人もの方が全国的に参加されたというふうにも聞いておりまして、今後さらにこういうのを進めていきたい。
 研修につきましては、やはりそれぞれの関係の自治体でこの予防事業を推進する、あるいは地域の普及を推進するためには、やはりマンパワーが必要でございまして、そのマンパワーの中心となります保健婦さん、あるいは水泳療法の指導員、あるいは音楽療法指導員、栄養士さん、あるいは環境改善に携わっている人たち、こうした人たちを対象にしましていろんな研修コースを設けましてレベルアップを図っておる、そして第一線で活躍していただく。今までに延べ千三百名のこういう指導者の方に参加していただいているということでございます。
#105
○横尾和伸君 最後に、環境庁長官にお尋ねしたいんですけれども、この健康被害予防事業というのは、本来の公健法の精神を受け継ぐといいますか、十分にカバーし切るものを目指しているんだと思います。これは予防制度が十分に生かされなければ公健法の趣旨は、言葉が悪いですけれども、うそっぱちになってしまうという可能性もあります。
 そういうことを踏まえまして、健康被害予防事業の大切さ、ますます重いものになっていきますけれども、この予防事業に対する大臣の認識とこれからの進め方に関する御決意をお伺いします。
#106
○国務大臣(林大幹君) 健康被害の予防事業の非常に大事な点につきましては、ただいま先生御指摘のとおりと私も認識しております。したがいまして、環境庁といたしましても環境行政の使命が国民の生命と健康を守ることにあるということを深く決意いたしまして、公害による健康被害を未然に防止するということを環境行政の基本の一つであると位置づけております。
 こういった考え方に立ちまして、一つには昭和六十三年の三月から公害健康被害補償予防協会を設けておりますことは、先生の御案内のとおりでございまして、先ほど保健部長の説明にもありましたように運用基金も着実に今積み上げられていっているということでございまして、このような努力を踏まえながら健康被害の予防事業に一層の効果的な実績を上げるよう努めようと思っております。
#107
○横尾和伸君 一点だけ。
 冒頭でお伺いしました花粉症などの予防のための研究なんですけれども、今後の取り組みについてお願いします。
#108
○国務大臣(林大幹君) 大変乱知識がなくて、お恥ずかしかったんでありますが、私も花粉症でございまして、花粉症は厚生省へ行かなきゃいかぬのかなと実は思っておったくらい知識がありませんでしたけれども、今先生から御指摘ありましたように、これはやはり大気が汚染されることも大きな原因でもございますので、そういう意味におきましては環境庁としても大変大事な目標として取り組みたいと思っております。
#109
○横尾和伸君 終わります。
#110
○勝木健司君 総理府は来ておられますか。
 公害紛争処理制度についてお伺いしたいというふうに思いますが、公害等調整委員会はその発足以来二十有余年にわたりまして、いわゆる典型七公害による被害の適正迅速な救済に大きな役割を果たしてきておられるわけでありますが、最近の新聞報道などによりますと、この典型七公害に分類できない公害苦情が急増しているということであります。
 そこで、まず全国の公害苦情の実態についてかいつまんでお伺いしたいと思います。
#111
○政府委員(麻植貢君) お答え申し上げます。
 地方公共団体におきます公害苦情の処理は、公害紛争の前段階におきます解決策として大変重要な役割を果たしているというふうに考えているところでございます。
 公害等調整委員会においては毎年度都道府県及び市区町村の公害苦情相談窓口で受理した公害苦情件数について調査を行っているわけでございますが、平成三年度に受理した苦情件数は七万六千七百十三件で前年度に比べて二千四百十九件、三・三%の増加を示しております。苦情件数を大気汚染などのいわゆる典型七公害の苦情と廃棄物、日照、電波障害などの典型七公害以外の苦情に分けてみますと、典型七公害の苦情は平成三年度に四万六千六百五十件で前年度に比べまして二千七百九件、五・五%減少をしておるところでございます。一方、典型七公害以外の苦情につきましては近年増加傾向を示しておりまして、平成三年度は三万六十三件で前年度に比べて五千百二十八件、二〇・六%の増加を示しておるところでございます。
 この結果、典型七公害の苦情は平成二年度には苦情全体の六六%で典型七公害以外の苦情は三四%であったものが、平成三年度には典型七公害の苦情が六一%、典型七公害以外の苦情が三九%ということになっております。
 以上でございます。
#112
○勝木健司君 典型七公害以外の苦情が増加をしておるということで公害紛争事件も多数化してきておる現状でありますが、この現行の公害紛争処理制度で適切に対応できるのかどうかお伺いをしたい。そのためにはやはり現在の公害紛争の形態の変化に即応をした、国民のニーズに対応した利用しやすいものにこの公害紛争処理制度そのものも整備されることが必要じゃないかと考えるわけでありますが、御見解をお伺いしたいと思います。
#113
○政府委員(麻植貢君) 現在典型七公害以外の紛争につきましては、これが典型七公害とあわせて申請された場合にはそれらを包括して取り扱うなど、現行制度のもとで許容される範囲内で弾力的に運用を図っておるところでございます。
 しかしながら、典型七公害の定義におさまり切れない生活環境の保全にかかる都市生活型の紛争などが増加しておる現状にかんがみまして、このような紛争の態様の変化に適切に対応するために制度的な検討も必要であろうというふうに考えておるところでございます。
 以上でございます。
#114
○勝木健司君 それでは本法に入りたいと思いますが、昭和四十九年度以降、公害健康被害補償予防協会に対して自動車重量税の収入見込み額の一部に相当する金額を交付する措置がとられておるわけでありますが、この措置は自動車重量税の暫定税率の延長にあわせてこれまでも六回にわたって延長されてきておることは承知をいたしておるわけでありますが、その理由あるいは妥当性についていま一度お尋ねをしたいと思います。
 自動車重量税収入で財源措置を行うことが汚染者負担の制度の原則に照らして妥当なものかどうかもお伺いをしたい。また、この措置のあり方に
つきまして、将来的にはどのように考えておられるのかもあわせてお伺いしたいと思います。
#115
○政府委員(松田朗君) まず第一点の自動車重量税引き当ての妥当性ということでございますが、この自動車重量税引き当て方式はその自動車重量税が自動車の走行がもたらす諸社会的費用に充てることを一つの理由として創設されたということが一つ。
 それからもう一つは、昭和四十九年度の自動車重量税の暫定税率の設定に際しまして、環境保全にも配慮すべきことというようなことが言われました。こういうようなことを踏まえまして、同じく昭和四十九年度から暫定措置として始められたものでございます。それで過去六回にわたりまして暫定措置の見直しの時期を自動車重量税の暫定税率見直しの時期に合わせてきたわけでございますが、その理由は今申しましたようにこの制度を創設する際の趣旨、あるいは今申しました経緯を踏襲しましてやってきたものでございまして、ぜひとも御理解いただきたいと思うわけでございます。
 しからば自動車重量税というものを引き当ててそれを患者の補償費に充てることがPPPの原則に照らして妥当かどうかということでございますが、これは自動車の負担につきましては汚染原因者の負担の原則にのっとって払うわけでございますが、実際現実に実行可能な仕組みといたしまして、いろいろ自動車の保有者あるいは製造者、あるいはその他自動車関係者から取り立てといいますか、徴収する方法はいろいろ理論上は考えられますが、実際としては現実は非常に難しい。あるいは、既存の税以外にそういうのをつくると屋上屋を架すというようなことでございまして、現実に実行可能な仕組みとして今の措置が、自動車保有者に対しては大気汚染に対する共同責任者と、こういう立場から負担を求めているわけでございまして、これは中公審の答申においても言われておりまして、PPPの原則に照らしてもいいんではないかというふうに考えておるわけでございます。
 第三点の、将来どうなるのかという御質問でございます。これは今申しましたように、汚染原因者負担の原則にのっとって、しかも実行可能な方法でこの患者に対する財源を捻出しなきゃいけないわけでございまして、この公健制度におきまして、今申しました独自のいろんな徴収をするというのは非常に難しいという現状は恐らく将来とも変わらないであろうと。やはり原理的には今の方式が制度発足以来続いておりますので、この方法を続けていくべきではないんだろうかと私自身は考えておりますが、いずれにしてもこの自動車重量税の引き当ては、自動車重量税の見直し等のとぎにまた議論がされるものと思われるわけでございます。
#116
○勝木健司君 工場と自動車の費用負担の比率についてでありますけれども、八対二の負担割合はどのような根拠で定められたものか、もう一度お伺いしたいというふうに思います。現時点においても果たして妥当なものかどうかもお伺いしたいと思います。
#117
○政府委員(松田朗君) 御指摘の八対二でございますが、これはまさにPPPの原則におきまして大気汚染の原因者から財源を得るということで、その場合大気汚染の寄与度がどうであるかということで考え、いろんな計算で決められましたのがこの八対二でございます。すなわち、煙突等の工場による汚染の寄与度が八に対して、自動車による寄与度が二ということで決められたわけでございます。
 この八対二の考え方は今でも続いているわけでございますけれども、現在その補償のために必要な財源、その財源の対象となる患者さんというのは地域指定を解除する以前の患者さんでございまして、六十三年三月の解除後においては新しい認定患者は出ていませんから、その負担をする八対二の割合というのは、指定解除前の大気汚染の影響による認定患者であり、同時にその指定解除以前における工場と自動車の寄与度というものがそのまま現在も使われているということでございます。患者さん方が将来、まあ減ってはいきますけれども、しかし対象としては解除以前の患者さんには変わりはないわけでございますから、その比率は将来的にもこのままでいくのが適当である、こういうような御意見も中公審の答申でいただいておるわけでございます。
#118
○勝木健司君 六年前にこの地域指定の解除のための制度改正を行ったときに、個別補償からこの地域的な健康被害予防への転換をその目的としたようでありますが、具体的にその後どのようなことを行ってきたのか、また所期の目的に照らして成果が今出ておるのかどうか、かいつまんでお伺いいたします。
#119
○政府委員(松田朗君) 地域指定を解除するときにこの大気汚染の態様の変化を踏まえてその指定を解除し、新しい認定患者は認められなくなったわけでございますが、しかし、それまでの個人個人に対する個別の補償という観点から、地域の住民を対象にする健康被害の予防というのに重点を移しまして、その総合的な環境政策を展開してきたわけでございます。
 具体的には、健康被害予防事業を実施する、環境保健サーベイランスシステムを構築する、それから大気汚染の健康影響に関する調査研究を推進するなど、具体的な予防事業、あるいは将来に必要な調査研究事業、こういうものを推進するということで六十三年度から進めているわけでございます。先ほどもお答えしましたが、特に健康被害予防事業につきましては、具体的には環境改善に資するような低公害車の普及だとか、あるいは植樹をするとか、その他いろいろな事業もあわせて実施しているところでございます。
#120
○勝木健司君 健康被害予防事業の中でこの低公害車の普及助成も行っておるとのことでありますけれども、実態としてどうなっておるのかということと、それが健康被害の予防あるいは地域の環境改善にどのような成果が上がっておるのか、お伺いしたい。
 あわせて、特に大都市地域の大気環境の改善のために低公害車の普及促進に対して環境庁としてどのように取り組んでいかれるのかということもお伺いしたいと思います。
#121
○政府委員(松田朗君) この低公害車の普及促進につきましては、この公害健康被害補償予防協会におきましてもやっておりまして、これは各自治体に対して非常に好評でございまして、普及をさせておるわけでございまして、数といたしましては、平成四年度までの延べ台数で電気自動車百六十五台、メタノール車四百七十三台の予定になっております。もちろんこれ以外にも、環境庁としてもまた、その普及に努めているところでございます。
#122
○政府委員(入山文郎君) 大都市地域の大気汚染対策の一つといたしまして、低公害車の導入は極めて重要なことであると考えているわけでございます。自動車NOx法に基づく基本方針におきましても低公害車の普及促進が施策の柱の一つとして位置づけられているわけでございます。
 このために、従来から国、自治体において率先導入に努めることとしておりますほかに、広く民間への普及も図るために、低公害車の導入に係る税制上の優遇措置あるいはまた公害健康被害補償予防協会の基金による助成が、今話が出ましたが、そういうようなことをやっているわけでございます。さらに五年度には、新たに大都市の民間事業者による低公害車の実情調査といったようなものを開始することにしているわけでございます。これからも関係省庁との連携を強化いたしまして、いろんな助成制度でございますとか優遇税制の充実強化を図るとともに、より一層の技術開発、それから燃料供給施設の整備などを推進して低公害車の一層の普及拡大を図っていきたいと思っております。
#123
○勝木健司君 大気汚染の著しい幹線道路沿道地域における健康影響の問題についてでありますが、当委員会の附帯決議でも指摘しているところでありますが、環境庁は先ごろこれに関する調査
研究の中間報告を公表されたわけでありますが、その成果についていま一度お伺いしたいと思います。
#124
○政府委員(松田朗君) 御指摘の局地的大気汚染の健康影響に関しまして、これを解明するためには、当該地域住民の汚染物質の暴露実態を正確に把握し、その上で健康影響調査を行う必要があります。この手法は現在確立しておりませんから、その手法の確立を目的として今やっているわけでございます。
 この調査におきましては、昭和六十二年度から川崎市などで個人暴露の調査、あるいは沿道の健康影響調査の試行調査を行いながら、既存の調査手法について問題点があるかないか、あるいは新たな方法ではどういうものが有効がこういうものを検討してまいったわけでございまして、さきに中間報告を発表したばかりでございますが、その中間報告までに至る成果といたしましては、これに類するいろんな各種の内外の文献を集めまして、そしてそれを踏まえて、あるいは実際の調査研究を踏まえまして調査手法をまとめるところに近づいてきたところでございます。いろいろな調査手法の開発はまだまだ残されておりますが、今後とも鋭意研究者の皆さんにお願いして早く報告を取りまとめたいと思っているところでございます。
#125
○勝木健司君 時間も余りありませんので、最後に大臣にお伺いしたいというふうに思います。
 既認定患者については、できるだけやっぱり早期に健康回復をできるようにしていくことが何よりも重要でありますが、どのように対応を今後ともされていくのか、またそれを踏まえて将来における患者の数の推移予測もあわせてお伺いできればいいなと思います。それと、先ほどもありますように、既認定患者が大幅に減少したときの公健法の今後のあり方についてもお伺いをしたいというふうに思います。
#126
○政府委員(松田朗君) 大臣のお答えの前に、ちょっと先ほどの細かいことでお答えさせていただきますが、先生今の認定患者の健康回復というのが重要だと申されました。そういうものに対しましては、私どもは公害保健福祉事業ということで、今まで申しました協会の行う事業の中でもこれは法律に基づいてやっております。リハビリテーションあるいは転地療養あるいは療養の用具を支給する、さらには家庭訪問などをして直接指導する、こういうものをさらに進めていって先生の御期待にこたえたいと思うわけでございます。
#127
○国務大臣(林大幹君) 勝木先生の御質問にお答えしますが、その中で今保健部長が答えられました点でもございますので、それを除きまして二点ほど申し上げたいと思います。
 認定患者の数がピーク時には十一万を超えておったものが現在では約八万七千と想定されております。もちろん、健康を回復して社会復帰をする者もこの中には、大いに私はそれを歓迎するわけでありますけれども、今先生の御質問の中でこれが減っていった場合に公健法は一体どうなるのかという、こういうことでのお尋ねかと思いますけれども、今の想定からいきますと今後十年くらいの間に毎年毎年約四、五%ぐらいずつ減ったといたしましても六万人前後の認定患者がまだおられるわけであります。したがいまして、引き続き公健法に基づく認定患者の適切な補償あるいはそれに対応する諸策につきましては万全を期したいと思っております。
#128
○勝木健司君 ありがとうございました。
#129
○有働正治君 私は大気汚染に係る公害指定地域の復活、拡充の問題と自治体の基準上乗せ問題を中心に質問したいと思います。
 一九八七年の大気汚染に係る公害指定地域の全面解除、患者の新規認定を行わないとする公健法の改悪、これは東京、川崎など大都市におけるNO2の大気汚染の悪化などの中で深刻かつ重大な禍根を残す結果となっています。その見直しが根本的に求められる状況になっていると考えます。自治体も新たな対応に苦慮して模索している状況であります。これまでの議論の中で、大気汚染のうちNO2については依然として芳しくない、非常に厳しいという所見を環境庁も述べられました。
 重複を避けて幾つか事実確認を求めます。東京都の公健法認定患者及び条例に基づく認定患者数はそれぞれ幾らで、またここ数年の都条例に基づく新規認定患者数の推移はいかがでありましょうか。簡潔にお願いします。
#130
○政府委員(松田朗君) 直近の数字、手元にありますのを読ませていただきます。六十三年度は六万二千四百六名、元年度で六万三千百四十九名、平成二年度が六万三千六百十三名、それから三年度は六万四千六百八十一名でございますが、これの中には法で認められた者と、それから東京都が都の条例で定めました医療費の助成条例のもとで認められた者の両方が入っておるわけでございまして、その差を抜きますと六十三年度は約一万……。
 以上でございます。
#131
○有働正治君 もう少し正確にきちんと御報告願いたいと思います。
 都条例に基づく新規認定患者数の推移というのは八八年度四千四百八人でありましたのが、九一年度六千四百三十六人、約一・五倍に急増しているわけであります。
 次に、川崎市が行いました川崎市における気管支ぜんそく患者実態調査はどういう結果を示していますか、簡潔に。
#132
○政府委員(松田朗君) 川崎市が平成二年度に医師会に委託して行った気管支ぜんそく調査でございますが、これによりますと、気管支ぜんそく患者の受療率が昭和四十年代と比較しまして約二倍以上に増加していることが指摘されております。
 ただ、この調査は単に患者の医療機関への受診状況を調べたものでございまして、大気汚染との関連において精密に調査したものではないというふうに承知しております。
 いずれにしても、ぜんそく患者の増加が全国的な傾向であることは承知しておりまして、いろいろな原因でなって、こういう状況を来しているんだろうというふうに受けとめておるわけでございます。
#133
○有働正治君 次に、神奈川県の九二年十二月の大気汚染の健康影響調査報告書はNO2濃度と気管支ぜんそく患者数との関係についてどのように論及していますか、簡潔に。
#134
○政府委員(松田朗君) 御指摘の神奈川県の調査でございますが、これは神奈川県が平成四年十二月に公表したものでございます。平成二年度の調査結果によりますと、呼吸器疾患の患者は人口千人単位の患者数で最も多いのが川崎市川崎区の十三・四人、最も少ないのが大和市の一八人、津久井郡が三・七人であるというふうに承知しております。
 いずれにしても、この昭和六十二年度の調査結果としましては、人口千人単位の患者数と二酸化窒素濃度の関係をとって二酸化窒素濃度が高い地域でぜんそく患者が多かったというふうにされておるわけでございます。しかし、先ほど申しましたように、気管支ぜんそく等の発症についてはいろいろな因子が絡んでいるというようなことは考えなければいけないというふうに思います。したがいまして、この調査においても、大気汚染とぜんそくとの因果関係が明らかになったというふうに結論づけてはおらず、今後の検討が必要だというふうに指摘しておるわけでございます。
#135
○有働正治君 重要なかかわりがあることは明白なわけです。八七年の法改悪をめぐる論議の中で、当時の中曽根首相は、科学的調査の結果によっては、その結果が非常に憂慮すべき状況というものが出れば、当然再び指定するという趣旨の答弁をしております。
 これとの関係でお尋ねしますけれども、国立環境研究所の大気影響評価研究チームが大気汚染の健康への影響にもかかわるようなディーゼルエンジンの排気中に含まれるいわば真っ黒いすす、排気微粒子、DEPが肺の奥深く入り込んでぜんそくと同じ症状を引き起こすということをマウスを使った実験から明らかにしました。調査結果は極
めて注目されると思いますけれども、どう受けとめているのか、今後の研究の進行いかんで再指定について見直しする際に考慮に値するものではないかと考えますが、いかがですか。
#136
○政府委員(入山文郎君) 国立環境研究所の御指摘の研究についてのコメントを先にさせていただきます。
 御指摘の研究は、マウスに対しまして一定量のディーゼル排気ガス中の微粒子を注入という形で与えたわけでございますが、それによって肺腔内に炎症を起こしたり、あるいは気管支上皮細胞が傷つくといったような例が認められたということでございます。このことが直ちに人に当てはめられるかどうかはなかなか難しい問題だろうかと思いますが、いずれにいたしましても新たな知見を得たということで私どもは注目しているわけでございます。今後は、注入ということではなくて吸入実験もやるというように伺っておりますので、その結果について注目をしてまいりたいと思っております。
#137
○有働正治君 環境庁の職責上やはり前向きに真剣に検討すべきだと考えます。
 そこで、この問題で最後に大臣にお尋ねします。先ほど述べました環境庁の研究所のそういう研究結果、あるいは神奈川県の報告書等々を見ましても、大気汚染、特にNO2の現状、これに対する対応が迫られているし、政治の責任は重大だと考えますけれども、この点についてどうお考えなのか。やはり私は再指定について検討すべき時期に来ていると、環境庁の責務が問われていると考えるわけでありますが、いかがでありましょうか。
#138
○国務大臣(林大幹君) 先生御指摘の東京、神奈川あるいは川崎といいました大都市圏における窒素酸化物による大気汚染の改善が、はかばかしい改善が進んでいないということで、これは私も深刻に受けとめております。特に、国立環境研究所のマウスの実験なども一つのこれからの貴重な主データになろうかと思いますけれども、いずれにしましても、このNOxによるところの大気汚染というものの改善は、非常に焦眉の急と言ってもいいくらいの大事な問題になってきておることは事実でございますので、特に自動車NOx法に基づく諸施策を講ずることなどによって、大気汚染の一層の改善に努めてまいりたいという所存でございます。
#139
○有働正治君 そこで、環境基準の上乗せ問題をめぐってお尋ねします。
 関係自治体も対応に苦慮しています。東京都の自動車交通量対策検討委員会の今年二月の報告書によりますと、NO2の環境基準を達成するための方策として、一つは事業所のディーゼル車の走行量の規制、二つ目に一定の地域内、例えば環七の内側へのディーゼル車の乗り入れ規制などを示して、その実現を求めています。環境庁、この点承知でありましょうか。
#140
○政府委員(入山文郎君) 東京都がいろいろ検討しておられることは承知いたしております。御指摘のような流入規制、あるいは事業所に対する割り当てといったような話も私どもは聞いておりますが、いずれにいたしましても、そういうような自治体が独自で行う施策につきましては、具体的な話を聞きまして、その結果で対応してまいりたいと思っております。
 それから、東京都はその検討の中で、自動車単体規制と、それから低公害車の普及促進、それから車種規制、この三つの施策だけでは足りないと、こう言っているわけでございまして、私どももそれはそうだろうと思っております。
 ということでございまして、私どももこのNOx法の基本方針に照らしまして、今申し上げました施策に加えて、交通流対策あるいは人流対策等も講じていくことによって、環境基準のおおむねの達成が可能であろうと、このように思っているわけでございます。
#141
○有働正治君 ディーゼル車の乗り入れ規制でNO2が激減できることは川崎市の調査でも示されています。川崎市の公害監視センターが最近調査された結果について私も報告を聞きましたけれども、その概要とその内容を掌握しておられるか、お示しいただければと思います。
#142
○政府委員(入山文郎君) まだ内容についてはお聞きしておりません。
#143
○有働正治君 それによりますと、四年連続で自動車排ガス測定値全国ワーストワンを記録しています産業道路の池上新町の測定所、これは川崎区池上新町にありますけれども、そこの年末年始のNO2の濃度調査の結果をまとめたものであります。
 通常、環境基準を大幅に上回る〇・〇九八ppmを記録しています。その測定所の年末年始の測定値は〇・〇五ppm以下で推移しています。つまりこの期間というのは年末年始で、大型ディーゼル車の走行数が通常の七割減となった、これがこういう関係としてあらわれたというものであります。そういう点でこの報告も注目すべきだと思いますので、しかるべく報告を求めて、検討を願いたいと思います。
#144
○政府委員(入山文郎君) そのようにさせていただきたいと思います。
#145
○有働正治君 そこで、東京都のさきの委員会の示した内容についてでありますが、事業所ごとの自動車排出NOxの総量規制の問題、それから特定地域への乗り入れ規制の問題について、これはもともと環境庁が九〇年十一月に発表された窒素酸化物自動車排出総量抑制方策検討会の中間取りまとめの中に入っていたというふうに私どもは承知していますが、間違いありませんか。
#146
○政府委員(入山文郎君) 検討会で検討しておりました中で、そのような議論はしております。
#147
○有働正治君 それが九一年、翌年の十月、一年間の経過、そして最終答申の中で、関係業界等々の圧力等々の中で落とされたということが指摘されているわけであります。しかし、事態は最も被害が大きい、しかも対応を迫られている東京都で結局こういう方向が、施策が必要だという委員会としての方向が示されたわけであります。
 環境庁は、二〇〇〇年までに環境基準達成を公約しておきながら、最近になりまして、おおむね達成と、非常に後退し、逃げ腰の姿勢が見受けられます。これでは東京や川崎などの激甚地域、これが達成から取り残されると。だからこそ、東京都は二〇〇〇年達成のために有効な方策としての対策を今検討し、それを示しているわけであります。
 そこで、大臣にお尋ねします。こういう東京都なりが直接的効果が期待できる施策として実行するに当たって、相談があれば積極的に応ずべきであるというふうに考えますが、いかがでありましょうか。
#148
○国務大臣(林大幹君) 全体的には先生のお考えと私は一致しますけれども、しかし、具体的にどう上乗せするかということになりますと、それは内容を聞いた上で決めたいと思っております。
#149
○有働正治君 こうした方策が具体的に提起されてきた場合に、有効であれば支援すべきだと、前向きに検討すべきであるということでありますけれども、その点、再度求めます。
#150
○政府委員(入山文郎君) 具体的な案が出てきたところで相談をしたいと思っております。
#151
○有働正治君 そうした中で、自治体としての上乗せ、横出しということが示された場合に、それについては自治体の自主性も非常に考慮し、苦慮し対応を迫られる中で、もともと環境庁の中間報告にもあった内容が示されるわけでありますから、そういう上乗せなり横出しが具体的に出てきた場合に、それについて環境庁は積極的に対応すべきである、いやしくもそれに介入するというようなことはすべきでないと思いますが、いかがでありましょうか。
#152
○政府委員(入山文郎君) 流入規制あるいは事業所に対する割り当てといったようなことを具体的にはおっしゃっているのかと思いますが、この問題につきましては、先ほどもちょっとお話ございましたけれども、検討会において議論をいたしました。その結果としてはいろいろ無理が伴うと申しますか、あるいは効果が必ずしも担保されない
と申しますか、というようなことがございまして、最終報告には盛り込まれなかったものでございます。
 したがいまして、具体的な内容を伺った上でいろいろ相談してみたいと先ほど申し上げましたが、内容がこういう私どもがいわば報告に盛り込まなかったということと全く同じようなものでありますならば、これはなかなか難しいのではないかと思っております。
#153
○有働正治君 そういうふうに最初から枠をはめるんでなくて、そういう最終答申を出したにもかかわらず、自治体がその後の、今日の深刻な状況の中で新たな対応をしているということであるわけですから、今日の時点でそういうものを含めて見直して、有効であれば積極的に対応するということが大事だと考えますが、いかがですか。
#154
○政府委員(入山文郎君) いずれにいたしましても、よく相談した上で判断したいと思いますが、自治体が独自な施策を講ずることを排除するものではございません。有効なものであれば支援してまいりたいと、このように思っております。
#155
○有働正治君 最後に、大臣、その点明確に態度を、よろしいでしょうか。
#156
○国務大臣(林大幹君) ただいま大気保全局長が話されたとおりでございます。
#157
○有働正治君 時間ですから、終わります。
#158
○粟森喬君 まず最初にお尋ねをしたいと思います。
 今回のこの法律の一部改正は日切れ法案で回ってきたわけでございますが、日切れ法案にするに当たって環境庁の見解を幾つかお尋ねをしたいと思います。法律の文言上、平成四年度末で費用負担部分が切れるから日切れにしたというのは、だれが見たってわかるわけです。しかし、問題なのはそういうことではなく、まず五年間先送りをしたということの中で、どんな認可とどんな対応を環境庁がしようとしているのか、この部分からは伺いとることができません。
 もう一つは、今大気汚染の中でディーゼル車を初めとするところの発生源に対するいろんな問題が出ているにもかかわらず、当時の、昭和六十三年の指定区域解除から汚染のいわゆる寄与負担のところが基本的に変わらないということだけで問題を先送りをした、ここに私はこの法律の持つ意味から見ても重要な意味を感じるわけでございますが、まずこのことについて環境庁の見解をお尋ねしたいと思います。
#159
○政府委員(松田朗君) まず最初の、なぜ日切れ法案扱いするのかということでございますが、私どもといたしましては、先生御指摘のように、これはもう今年度末で切れるわけでございますが、もしこの補償給付の措置が平成五年度でつながらない場合にはいろいろな支障が生じてくると。財源的には百八十五億でございますが、その自動車分の財源措置が講じられるということだけではなくて、実はこの汚染者負担の原因によりまして自動車分と煙突分とが八対二となっております。この二の方がしっかり決まらないと、平成五年度におきましてこの八の部分の総額を決めまして、そしてそれに対する賦課料率を決めて、そしてそれを徴収するというところに支障を来します。
 特に汚染負荷量の賦課金と申しますのは、これは新年度四月一日から四十五日以内に公害健康被害補償予防協会の方に申告納付することが法律上対象の事業者に義務づけられております。にもかかわらず新年度における賦課料率が決まらないと賦課金の徴収に支障が生じる、こういうことになりまして、やはりここで何とか延長措置をとっておかないと、いろいろ制度、運営上にも支障を来しますし、法律工事業者に義務を課しているにもかかわらずその義務を履行できないという法的な問題も生じてくるということでございます。
 ただ、先生御指摘の、じゃ五年間何をやってきたかということでございますが、この法律の趣旨に基づいて、その五年間の間に起きた変化といいますと新たな患者は出てこなかったわけでございまして、患者さんが改善されたり治ったり制度から離脱した場合にその解除時点におきまして得られた財源と、実際にその後必要となる財源との差に乖離ができますので、その差額分を基金というものに積み立ててくる、あるいはそういうものを将来に役立てるということで規定しておるわけでございます。
#160
○粟森喬君 ちょっと聞いたことと違っていると思うのは、一つは、私は行政上の事情というのはわかりますが、基本的な問題でそういうことを聞いているんじゃないんです。
 いわゆる毎年患者が減っていると。一方で、大気汚染における特に自動車なら自動車を、ディーゼルならディーゼルを発生源とする可能性がかなりあると。そうすると、この法の運用を含めて、場合によっては法の改正も含めてやらなければならない時期というのは当然私は考えておかないと、何となく数字上ここに対象とする人が減った、いわゆるぜんそく患者が減っているとかいわゆる発生源が固定発生源ではないけれども移動発生源の中でかなり出てきている可能性というのはかなり高い。
 そのことについて何ら見直しをしないで、とにかく金目のことだけ改正をして平成九年度まで引っ張ると。それでは私は、この法をつくった本来の趣旨から見ても問題があるのではないか。ここは何らかの格好で変えていくためにも、この自動車重量税の一部引き当ての部分を含めて変えていくという前提の論議が欲しかった、こういう立場で申し上げているわけでございますが、この点はいかがでございましょうか。
#161
○政府委員(松田朗君) まず、御指摘の金目の面でございますが、工場と自動車、これにつきましてその負担割合がどうかということも問題になろうと思います。これは、法施行時の四十八年から六十二年度までの毎年の汚染の寄与度を工場側と自動車側との両方で算出しまして、そしてそのトータルの平均として八対二の寄与度があるというのが指定解除以前までの状態でございましたので、そういう負担割合で財源を拠出していただいているわけでございます。
 二点目は、じゃ、ずるずるとそのままでいいのか、八対二はそれでいいのかということでございますが、現在の財源の補償対象となっている患者は、その指定解除以前までの患者さん方でございますから、その寄与度の八対二というのは、そのまま続けても妥当ではないのかということでございます。
 それから、八対二の比率以前に、もともと自動車重量税から財源措置を行うことについての是非というものもあろうかと思います。自動車が確かに大気汚染にそれなりの寄与をしているという事実があるとしても、しからばどういう方法で寄与に応じて財源を得るか、負担金を取るかということにつきましては、いろいろ審議会等でも御議論いただいたわけでございますが、やはり現実問題として、これは今の自動車重量税から引き当てるのが最も現実的であろうというふうに考えておるわけでございます。
#162
○粟森喬君 私は、この八対二の比率を変えることは恐らく大きな論議を呼ぶことであるから、現状なら無難だろうと、環境行政がそういうふうに言っていることについて私は強く懸念しているわけです。因果関係を本当に全部成立させるというのは大変難しいことだということは私十分承知をしていますが、少なくともディーゼル車を中心にしてこのことが大きな問題であると。やはりここで負担比率を仮に変える。
 また、現実に昭和四十八年から六十二年までの平均を見ても、これは移動発生源の方が、いわゆる固定発生源より自動車の分がどんどんふえている。そして、これがますますふえる傾向にある中でこれをさわらずに済ますという発想そのものが私は環境行政のあり方として、こんなことを言ってはなんですが、この法案の大気汚染にかかわるところはひょっとすると休眠的に、もとより今指定されている方が亡くなったらここはもう機能させないということをむしろ考えているんじゃないかという意味で、私は疑うわけじゃないけれども、先ほどからの話はもうとにかくふえているんだ
よ、ふえているんだよ、こう言っている。
 現実に大気汚染における患者というのは、被害を受けている人がふえているわけでございますから、この法のあり方を含めてここは重要な、大切な論議をして、場合によっては環境庁というか閣法でこの部分の改正まで含めて考えるべきではなかったかという意味で、一般的に日切れとして扱ったことについての私の意見でございます。
 大臣、大気汚染にかかわる問題について、この種の健康被害がいろいろ出ておることについて同僚議員からもいろいろ意見が出ていますが、この法の運用についてどう検討し、場合によっては、私どもの立場からいけば改善をしていくというんですかそういうことについてお考えになっているでしょうかお尋ねをしたいと思います。
#163
○国務大臣(林大幹君) 粟森先生からの御質問でございますが、大変重要な質問でもございます。当面は今の姿で進めていきたいというのが私の気持ちでございますが、また、そのような粟森先生がおっしゃるような事態がもちろんはっきり認識される場合には、それなりにまた相談したいと思っております。
#164
○粟森喬君 私は、最近の大気汚染における健康被害というのは発生源を非常に特定しにくいという確かに問題があるんだろうと思いますが、ぜひとも見直しをして改善をし、いわゆる法的な保護としてはこの法律は非常に重要な意味を持っていますので、ぜひともそういう意味で改善をお願いしたいということを申し上げまして、次の質問に入ります。
 この間の大気汚染の状況をずっと見てきたときに、一つの成果でもあると思いますが、硫黄酸化物における大気汚染の状況というのはかなりもう改善をされてきている。改善をされていることは非常に結構だと思います。ただ、平均値というものの見方の問題もあるわけでございますが、数字が下がり定着をしている。低くなっているということはいいんですが、新しい問題新しい問題と出ますから、環境庁はもうこれは過去形だというふうに考えているかもしれませんが、もう一度ちょっと見直していただきたいと思うのは、局地的に汚染濃度が高いところがあるだろうと思うんです。これは平均値でしか私たちは報告を受けておりません。
 局地的に高いところについてどう改善をしていくのかという部分についてやらないと、私どもが質問するときに資料を提出していただいたわけですが、常に平均値でございます。恐らく平均値があるということは平均値以上のところもあるわけでございますから、その部分に対して対応をどうしていくのかということ。したがって、監視地点を場合によってはそういう意味で見直して、平均値以上のところに対する具体的な対策を立てるべきではないかと思いますが、この辺についてはいかがでしょうか。
#165
○政府委員(入山文郎君) 御指摘のように、確かに環境基準を達成しなかった測定局というのが例外的ではございますけれどもあるわけでございます。これは一般環境大気測定局で五局ございます。それから、自動車排出ガス測定局で一局ございました。しかし、これは全国の数字でございますが、これは火山活動の影響を受けている地域に設置されているといったような特殊な状況にあるもの等でございます。こういったことから、二酸化硫黄による大気汚染につきましては、こういった特殊なものを除けば良好な状態になっていると私どもは考えております。
 しからば、測定地点の問題がないのかというお尋ねでございますが、これにつきましても私どもは適正と申しますか、いろんなデータに基づきまして正しい測定地点を設定しているつもりでございます。全国で今千六百九十四の測定局が設置されているわけでございますが、各地方公共団体におきましても、この測定局の配置につきましてはいろんな状況を加味して的確に把握できるような場所に設定をするというようなことにしているわけでございます。
 それから、例外的なと申し上げましたけれども、そういった特別の地域等につきましては局所対策と申しますか、そういったことも考えていく必要がある場合も生じてこようかと思っております。
#166
○粟森喬君 質問通告をしていなかった部分でございますが、きょうの新聞紙上に報道されていることについて改めてお伺いしたいと思います。
 厚生委員会にも出ていましたので、私として確認をできないわけです。企画調整局長が来ていませんが、官房長、これは覚書はないというふうに私は理解してよろしいのかどうか。
#167
○政府委員(森仁美君) 先ほど企画調整局長からお答えをいたしましたことを繰り返させていただきますが、環境基本法案につきまして、環境アセスメントを含めまして法案の解釈等について共通の理解を得べく想定問答等所要の検討を行っているというのは事実でございますけれども、環境アセスメントについての将来の法制化を否定するような合意を行ったという事実はないということでございます。
#168
○粟森喬君 私は、覚書がないということと今のニュアンスはかなり違うような気がいたしますが、これは改めて環境基本法をやるときに論議をしたいと思います。
 ただ、私も環境基本法案の閣法の原案を読んだときに、非常に微妙に使い分けている言葉の使い方の中で、環境アセスにかかわるところの問題というのは、法案の原文としては非常に弱いというか、将来のあるべき姿をきちんと示していないという傾向を私はあそこで感じ取っています。
 したがって、私どもは、これからの法案審議の中で、私どもの態度をどう言うかということについてはこれからの課題でございますが、もう一度確認をしておきたいと思いますが、これから環境アセスメント法案をつくるということについては、現時点までの段階では何らの障害もないというふうに理解してよろしゅうございますか。
#169
○政府委員(森仁美君) 所管が企画調整局でございますが、今回の基本法の中で述べられておりますのは、まさに昨年十月の中公審、自環審答申、その答申を具体化する形に成文化したものということでございまして、その中で必要な措置を講ずるというような旨の規定を置いているところでございます。
 それをどういう形でやっていくか、その前提となるべき考え方がどういうものであるかという点については、これから法案審議の段階で御議論がございましょうし、またさらにその他の議論でも明確になっていくものと考えております。
#170
○粟森喬君 最後に、今の問題で大臣にお尋ねします。
 環境庁としては、これから環境アセスメント法を、当面か当分か、将来にわたって全く出す考えはないということじゃないんですね。これは確認をしておきたいと思いますが、よろしゅうございますか。
#171
○国務大臣(林大幹君) これから御審議を賜る環境基本法案につきましても環境アセスメント法の否定はいたしておりません、これは。
 したがいまして、それならば、じゃなぜつくるということを明文しないのかという御質問があるのかもしれませんけれども、御案内のように関係閣僚協の考え方をもとにしまして、それぞれまた国の立場ですべき環境影響評価についての取り上げ方と、それからそれぞれの自治体における条例に基づいて取り上げる取り上げ方と、こう今まできておりますから、この姿において、環境基本法案はこの姿をまず率直に認めております。しかし、さればといって、じゃこれから永久にアセスメント法を否定するのかということには、そういうことは全く考えておりません。
#172
○粟森喬君 永久か当面かというところでいうと、当面の問題も否定をする意味じゃないということで理解してよろしゅうございますか。
#173
○国務大臣(林大幹君) その当面という時期を、例えば何年何月までというように区切るということは、これは無理だと思いますけれども、そういう意味ではなくて、アセスメント法の法制化が必要であるという認識が生まれる時代に、そのとき
には、当然これは環境基本法はそれを否定はしておりません。
#174
○粟森喬君 終わります。
#175
○委員長(松前達郎君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。
 これより討論を行います。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。――別に御発言もないようですから、これより直ちに採決に入ります。
 公害健康被害の補償等に関する法律の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#176
○委員長(松前達郎君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 この際、堂本暁子君から発言を求められておりますので、これを許します。堂本君。
#177
○堂本暁子君 私は、ただいま可決されました公害健康被害の補償等に関する法律の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、日本社会党・護憲民主連合、公明党・国民会議、民社党・スポーツ・国民連合、日本共産党、民主改革連合、各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。
 以下、案文を朗読いたします。
    公害健康被害の補償等に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
 政府は、本法の施行に当たり、次の事項について適切な措置を講ずべきである。
 一 既被認定患者に対する認定更新等が適切に行われるよう関係自治体の長を指導するとともに、治癒によって制度を離脱した者に対するフォローアップ事業についても、再発の防止に役立つよう努めること。また、患者の健康回復を図るための公害保健福祉事業については、その一層の充実強化を図ること。
 二 健康被害予防事業を行うに必要な基金については、拠出が確実に行われるよう、引き続き適切な措置を講ずるとともに、健康被害予防事業については、これまでの効果を踏まえ、適切かつ効率的な実施に努めること。
 三 国立環境研究所等において複合的大気汚染による健康影響の調査研究を総合的に推進し、必要な大気汚染対策を講ずるとともに、将来の健康被害の発生を防止するため、環境保健サーベイランス・システムを早急に構築して、必要に応じ、適切な措置を講ずること。
 四 主要幹線道路沿道等の局地的汚染については、健康影響に関する科学的知見が未だ十分でない現状にかんがみ、その早急な解明に努めるとともに、必要に応じ、被害救済の方途を検討すること。
 五 大都市地域における窒素酸化物、浮遊粒子状物質等による複合的大気汚染については、改善が大幅に遅れ、依然として深刻な状況にあることにかんがみ、早急にその環境基準の達成を図るため、大気汚染防止対策を一層強化すること。
 六 近年の大気汚染については、ディーゼル車を中心として、自動車排出ガスの寄与度が高まっていることにかんがみ、自動車排出ガス規制に係る「長期目標」の早期達成及び電気自動車、メタノール自動車等の低公害車の開発普及の促進に努めるとともに、環境保全に配慮した総合的な交通対策を強力に推進すること。
 右決議する。
 以上でございます。
#178
○委員長(松前達郎君) ただいま堂本君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#179
○委員長(松前達郎君) 全会一致と認めます。よって、堂本君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、林環境庁長官から発言を求められておりますので、これを許します。林環境庁長官。
#180
○国務大臣(林大幹君) ただいま御決議になられました附帯決議につきましては、その御趣旨を十分尊重いたしまして努力いたす所存でございます。
 ありがとうございました。
#181
○委員長(松前達郎君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#182
○委員長(松前達郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後二時三十八分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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