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1993/06/04 第126回国会 参議院 参議院会議録情報 第126回国会 環境特別委員会 第10号
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1993/06/04 第126回国会 参議院

参議院会議録情報 第126回国会 環境特別委員会 第10号

#1
第126回国会 環境特別委員会 第10号
平成五年六月四日(金曜日)
   午前十時三十一分開会
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         松前 達郎君
    理 事
                石川  弘君
                西田 吉宏君
                堂本 暁子君
                広中和歌子君
    委 員
                石渡 清元君
                狩野  安君
                河本 英典君
                釘宮  磐君
                須藤良太郎君
                野間  赳君
                真島 一男君
                大脇 雅子君
                竹村 泰子君
                中尾 則幸君
                本岡 昭次君
                横尾 和伸君
                勝木 健司君
                有働 正治君
                粟森  喬君
   国務大臣
       国 務 大 臣
       (環境庁長官)  林  大幹君
   政府委員
       環境庁長官官房
       長        森  仁美君
       環境庁企画調整
       局長       八木橋惇夫君
       環境庁企画調整
       局地球環境部長  加藤 三郎君
       環境庁自然保護
       局長       大西 孝夫君
       環境庁大気保全
       局長       入山 文郎君
       環境庁水質保全
       局長       赤木  壯君
       建設大臣官房会
       計課長      木下 博夫君
   事務局側
       第二特別調査室
       長        小林 正二君
   説明員
       経済企画庁総合
       計画局計画課長  久米 重治君
       国土庁計画・調
       整局総務課長   関  和弘君
       外務省経済協力
       局調査計画課長  黒木 雅文君
       外務省国際連合
       局経済課地球環
       境室長      篠塚  保君
       厚生省生活衛生
       局水道環境部水
       道整備課長    浜田 康敬君
       厚生省生活衛生
       局水道環境部環
       境整備課産業廃
       棄物対策室長   飯島  孝君
       厚生省生活衛生
       局水道環境部環
       境整備課浄化槽
       対策室長     吉岡荘太郎君
       農林水産省農蚕
       園芸局植物防疫
       課農薬対策室長  咲花 茂樹君
       通商産業省立地
       公害局環境政策
       課長       今井 康夫君
       通商産業省基礎
       産業局化学品安
       全課長      長田 直俊君
       建設省都市局下
       水道部流域下水
       道課長      亀田 泰武君
       建設省河川局開
       発課長      坂本 忠彦君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○環境基本法案(内閣提出、衆議院送付)
○環境基本法の施行に伴う関係法律の整備等に関
 する法律案(内閣提出、衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(松前達郎君) ただいまから環境特別委員会を開会いたします。
 環境基本法案及び環境基本法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案の両案を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#3
○本岡昭次君 きょうは六月の四日、ムシの日というんですね。あしたは何の日かということになってくるわけであります。まだこの法案が成立していないので環境の日やというふうに言えぬと思うんですが、環境の日を前にし、また一年前には地球サミットが開かれて、そして六月の五日は世界環境デー、こういうことでありまして、そういう意味で非常に一つの大きな節目の中で質問できることを非常に喜んでおります。七十分余りの質問をさせていただく前に、長官の方から環境政策の基本的なお考えを伺っておきたいんであります。
 私は、きょうアジェンダ21の問題にふれながらいろいろ環境庁にただしていきたいと思っております。そのことに関係しまして、十四日から二十五日までニューヨークで、国連の経済社会理事会のもとに新設された持続可能な開発委員会が初会合を開くということのようでございます。五十三カ国の閣僚級の代表が加わるといっておりますので、日本からどなたがおいでになるのか、閣僚級といったらこれは長官がおいでにならなければならぬのかなとも思うんですが。そこではアジェンダ21の実現度、ちょうど一年たつわけですから、その査定に取りかかるというふうなことも聞いているわけなんです。
 そういう状況にあって、今どういうふうに日本が環境政策をやろうとしているのか、基本法案は私たちも賛成ですし、今国会でぜひとも成立させなければならぬ、しかしそれには若干のやはり我々の考え方もその中に取り入れていただかなければならぬ、こう思っているんですが、長官の所信表明等々質疑もずっといろいろ聞いてきました。しかし、改めて私が質問するに先立って、日本の地球規模における環境政策の問題について一言所見をいただければありがたい、こう思うんです。
#4
○国務大臣(林大幹君) 先生の御質問にお答え申し上げます。
 恐らく環境行政あるいは環境政策を進める基本の考えは一体おまえ何を持っているのか、こういうことであろうと思います。もちろん、個々の環境対策につきましてはそれなりに実を結ばせなきゃなりませんけれども、基本的には、経済活動とそれからまた環境保全というこの二つの大きな問題が常に両立する、あるいは統合されていくという、そのような姿がないとこれからの環境行政は進まないと私は思っております。
 しかしその中で、時間をとってはいけませんので簡単に申し上げますけれども、地球環境ということが高らかにうたわれてきたというこの数年の姿を見まして、私は人間の持っている考え方、価値観が非常に変わってきているということに大きな喜びというものを感じているんです。つまり、今までは物質万能であるし経済至上主義であった、だから人間の価値観もそこに置かれておった面があります。これが環境を破壊し、そしてまた我々の住む社会というものも毒してきているという面も一面ありました。人間の持つ価値観から、経済的な成功、物質万能的なあり方、こういうものに大変魅力を感ずるような姿でこられたというところに大きな問題があった、それが地球環境を大きく損なってきた点もあった。しかし、それが今この段階に来て、考え直されるような時期に来た、地球的規模でそれが出てきたということを、私は大変な喜びを持ってこれを迎えております。
 したがいまして、日本の環境問題も、ただいま先生方に御審議を賜っております環境基本法案の案が抜けるようになっていただければ、環境基本法をもとにして私はこういう取り組み方に一層はっきりした目標が立つものと考えております。
#5
○本岡昭次君 先ほど申し上げました持続可能な開発委員会、これどなたが今のところ参加なされる予定ですか。
#6
○政府委員(加藤三郎君) 先生お触れになられましたとおり、六月の半ばから六月の末にかけましてニューヨークの国連本部で持続可能な開発委員会第一回の委員会が開かれます。
 この委員会のそもそもの機能といいますものは先生がおっしゃいましたように、昨年六月の地球サミットで合意したいろんな事項、そういったものの実施状況をいわばモニターする、そして督励をする、そういうのが趣旨でございます。非常に大事な会議でございますので、もちろん環境庁も参加をいたしておりますが、特に先生もお触れになりましたように、今回後半部分の具体的に申しますとたしか六月の二十二日と二十四日だったと思いますが、これは閣僚レベルでの討議というのに当てられてございます。
 そのときまでに国会が無事終了していれば我が大臣にもおいでいただけるものだというふうに期待をいたしております。
#7
○本岡昭次君 ぜひ大臣にもこういう国際会議の中に出席していただいて、日本の立場を鮮明に訴えて、世界の中で環境政策のリーダーシップ的な立場がとれるように頑張っていただきたい、このように思います。
 それで、先ほど言いましたアジェンダ21に関する問題で質問するんですが、環境庁の平成五年度予算にはアジェンダ21ジャパン策定費ですか、一千万円が計上されていますね。このアジェンダ21ジャパンというこの国別行動計画を策定するのは、これは環境庁がやると理解していいんですか。
#8
○政府委員(加藤三郎君) アジェンダ21そのものは、これはもう本岡先生もよくよく御高承のとおりでございまして、内容は極めて広範にわたってございます。
 すなわち、例えば貧困、人口問題、健康、そういった社会的経済的側面、あるいは大気管理、森林資源あるいは土壌資源等々の資源管理、さらにこういった管理を推進する各グループ、例えば青年でありますとか子供でありますとかあるいは農民とか労働者とか、そういった各グループの役割の強化の問題、さらにアジェンダ21に盛り込まれましたいろいろな施策、計画、そういったものを実施するための実施手段であるところの資金の問題、さらに途上国を支援するための技術移転の問題といったような、非常に広範になってございます。もちろん、環境庁が国内的には主体となるということは当然でございますけれども、環境庁だけでこの広範な部分をカバーし得ません。
 お尋ねの、環境庁の予算はじゃ何に使うのかということでございますが、これはいわば環境庁でやる部分、これはかなりの部分私どもは担わなくちゃいかぬと思っておりますが、その部分の作成に要する当庁の経費でございます。
#9
○本岡昭次君 いや、かなりの部分を担う予算ということはわかりますが、環境庁が責任を持っておつくりになるんですかとお尋ねしているんです。
#10
○政府委員(加藤三郎君) 環境庁は、言うまでもなく環境行政の日本政府内におきます企画調整、総合調整をする役所でございます。そういう立場から、私どもこのアジェンダ21の策定にも臨んでまいっております。
#11
○本岡昭次君 そして国別行動計画、日本で言えばアジェンダ21ジャパンということになるわけですが、これは昨年のサミットの中で、本年中にこれを策定し、公表することという約束が国ごとにできていると聞いています。とすると、一九九三年、もう六月になって約半分過ぎたわけで、後半に入ってまいりますが、現在どの程度策定の作業が進捗しているのか、そして約束どおり本年中に策定し、公表できるのか、その点をお伺いしておきます。
#12
○政府委員(加藤三郎君) まさに先生御指摘のとおり、昨年七月にミュンヘンで開催されました先進国首脳会議におきましては、先進国が率先してこういったアジェンダ21に即したいわば国別行動計画をつくるということを率先してすべきであると。それはアジェンダ21自体に書いてあることでいきますと、可能ならば九四年までにというふうに書いてあるわけでございますが、先進国は率先すべきであるという趣旨で九三年末までに策定し、公表することという、そういう合意に達したところでございます。
 私どもは、先ほども申し上げましたように、環境庁が外務省と共同で日本政府内の取りまとめ省庁となりまして作業を進めておりまして、まさにここでお約束したとおり、まとめるべく今関係省庁の間で最大の努力をしているところでございます。
#13
○本岡昭次君 長官、ちょっと今の部長のあれはしんどそうですな。まとめるために努力しておるという、ちょっと私関西流の物の言い方するからちょっとわかりにくいと思いますが、しんどいというのは体やなくて仕事の進捗状況が思わしくないんじゃないかという表現をしておるんです。これは国際的な約束事ですから、何もつくったからよくできたというわけじゃないでしょうけれども、やはり一つ一つサミット等で決めたことは実行していかなきゃいかぬと思うんです。しかも、各国におくれをとるんじゃなくて、やはり率先してやっていくということでなければいかぬと思うんです。
 ことしじゅうにこれを策定して、そして公表するという約束、環境庁長官の責任でこれはもう必ず実行しますということを言っていただけませんか。
#14
○政府委員(八木橋惇夫君) 先生先ほどから御指摘になりましたとおり、このアジェンダ21につきましても、先進国が率先して取り組みに早急に手がけましょうやということで、まさにミュンヘン・サミットで私ども申し合わせをしたところでございます。
 これにつきましては、地球環境部長から御答弁申し上げましたように、環境庁と外務省が取りまとめ官庁になるわけでございますが、このアジェンダ21というのは膨大な分野にわたるものでございまして、まさに環境政策が二十一の省庁にわたっておりますと同様、またそれ以上にこのアジェンダ21というものは政府のやっている各般の政策に従ってやっているところでございます。今そういう関係にありますことから、関係省庁におきまして今一次的な執筆をやっている最中でございます。
 私どもは、ミュンヘン・サミットの精神に基づきまして、できるだけ目的といたしました九三年度末までにまとめるよう努力してまいるつもりでございます。
#15
○本岡昭次君 いや、私は長官の決意を聞いたんです。
#16
○国務大臣(林大幹君) 私の決意を申し上げる前に、厳しくこの問題に対応している姿も先生に御報告させたいと思いまして、今所管の企調局長より説明させましたけれども、非常に広範多岐にわたる大事な問題でありますので、いついつまでにこうしますということを私の口からも実は断言しにくいところでございます。
 しかしながら、ミュンヘン・サミット以来、日本の置かれている立場というのは今世界注視の中にあります。したがいまして、この日本の立場からも私は、この問題については世界各国に先駆けてすばらしいものをつくっていただきたいという念願を持って皆さんに努力していただいております。
#17
○本岡昭次君 ニューヨークで開かれる会議に長官がおいでになって、日本は今ここまで作業が進んでいるということを言えるように、何かぼそぼそ言うておってはいかぬ、ひとつ環境庁の方、しっかりやってくださいよ。
 それから、この法案の第十五条に環境基本計画というのがあるんですね。これは今後の環境政策のマスタープランになるというふうに説明もされています。そうすると、この環境基本計画なるものと、膨大な中身を持つアジェンダ21ジャパン、今大変御苦労いただきながらつくっておられる、ということになるとこのアジェンダ21ジャパンと、今後この法案が成立して環境基本計画をつくるというそのことと、一体これどういう関係になるんですか。
 アジェンダ21と法律に基づいてつくられるであろうこの環境政策のマスタープラン、環境基本計画の関係、これを御説明いただけませんか。
#18
○政府委員(加藤三郎君) 先生お触れになられました第十五条に規定しております環境基本計画、これは本法案の規定に基づきまして望ましい環境のあり方や講ずべき施策の大綱といったものを、中央環境審議会の意見を聞きまして、閣議の決定を経て政府全体として定めるものでございます。国が環境保全に関する施策を講ずるに当たって、環境基本計画に示された方向に沿ってまず行うことというわけでございます。
 一方、アジェンダ21は、先ほど来繰り返し御説明しておりますし、また先生も十分に御高承のとおり、極めて広範な分野を含むものでございます。それで、その国別の行動計画は、地球サミットや先ほど来触れております先進国サミット、ミュンヘン・サミットでの国際的な合意などに基づきまして、大気保全や地球砂漠化防止などの環境保全のほかに、貧困の撲滅とか人口問題とかいわば非常に幅広い分野も含んだもの、そういった幅広いものを、アジェンダ21において掲げられた諸課題へ我が国がどう対応していくかというものを国際社会に明らかにするための文書として、取り組みの状況を取りまとめて記述するものであるというふうに考えております。具体的に申し上げれば、それぞれの分野における既存の計画なり法律なり予算措置等に基づいて行われたもの、あるいは行われようとしているもの、そういった取り組みを中心に整理するものというふうに理解をいたしております。
 そういうわけでございますので、環境基本計画とアジェンダ21に基づくいわゆる国別行動計画といったものは、その役割なり性格は異にするものであるというふうに考えでございます。
#19
○本岡昭次君 それで、アジェンダ21ではNG0の役割を非常に重視して作成したと聞いています。ところで、今策定されようとしているアジェンダ21ジャパンは、NGOの意見を聞きながら策定がされているんですか。NGOをどのように策定に当たって関与させようとしているんですか。
#20
○政府委員(加藤三郎君) 先ほど企調局長からの御答弁にございましたように、本年末までにまとめるべく私ども関係省庁といわば執筆分担のような格好で、私どもが外務省と共同で取りまとめを行いながら進めているわけでございます。この段階ではNG0の御意見を聞くという段階にもまだなっておりませんが、私どものいわば素案ができた段階で何らかの形でNGOなどの各方面の御意見を聞いて、それが適切に反映されるように工夫したいというふうに考えております。
#21
○本岡昭次君 環境問題は三者構成というんですか、政府あるいは地方自治体、行政を進めていく側と、それから企業というんですか、そうした事業者の側と、それから市民の側と、この三者が一体になって取り組んでいくという仕組みをつくらなければ、これはうまくいかないと思うんです。
 だから、この基本法案にもそういう三者の構成がそれぞれの責務として挙げられているんですね。そういう意味で、NGOを積極的にこうした政策立案の段階からかかわって、そしてできたものに対してNGOも当然それに対する責任を果たしていく、ともに行動していくというふうにいかなければうまくいかないと思うんで、積極的にNGOに随所にかかわってもらうようにやっていただきたいということを強く要望しておきます。そしてまた、具体的に機会がありましたらどういうふうにかかわっていったのかということの報告もいただきたいと思っております。
 そこで、ちょっと気になることが新聞の記事に載っておったんですが、九日から北海道釧路市で開かれるラムサール条約の第五回締約国会議で発表される日本のナショナルリポートの事前公開をNGOが再三にわたって求めているにもかかわらず、環境庁がかたくなにこれを拒否しているということを新聞で読んだのですが、新聞に書かれてあることは往々にして事実でないことがよくあるんで、それだけ信用すると大変なことになるんで、ここで改めて事実かどうか。先ほどNGOとのかかわりを大切にしようとすることと今言ったようなことが書かれてあると、全くこれは違う状況がそこに起こっているということになりますから、そこどうですか。
#22
○政府委員(大西孝夫君) まず、NGOが国別報告書の作成の段階でどう参画するかという観点の面と、それからでき上がった国別報告書を会議の前に見せてほしいというその二つの要素を含んでおりますが、前段の方につきましては、実は地球サミットの場合は特別な会議でもございましたので、そのナショナルリポートの作成につきましてもガイドラインが定められて、その中でNGOの意見を聞くようにということがあって、それを踏まえて作成段階からNGOの意見を聞くように努めた、こういうふうに承知いたしております。
 私どものかかわっておりますラムサール条約の場合は、定例的に行われます締約国会議でございまして、日本はこれまで四回のうち最初はオブザーバー、二回目以降正式なメンバーで参加させていただいておりますが、過去三回の会議におけるナショナルリポートにつきましても、基本的にはそのナショナルリポートが条約の履行状況を前回の会からその次の会議までの間に起きた状況を中心に報告するという性格のものでございますので、政府が条約の履行責任者という形で、その政府の責任において取りまとめて報告をしてきた、こういう経緯でありまして、また一方ナショナルリポートの作成にNGOの方から参画をしたい、意見を申し述べたいという経緯が従来はなかったものですから、今回も従来の経緯に沿ったということでありまして、他意はないわけでございます。したがいまして、次回以降、このナショナルリポートの作成については、この作成手順等について少し検討を加える必要があるかなと考えております。
 それから、会議の文書として今でき上がっているものを事前に見せてほしいという点につきましては、実は会議文書として条約事務局は、会議の始まった以後でないと配付しないというのが条約事務局の方の考え方であります。だから日本国内にだけ日本のリポートだけを見せるかどうかという点につきましては、従来、外務省にそういう取り扱い等を聞きましたところ、事前に公開していないのが通例ということでありますので、これもその通例に従ったのでありますが、今後そういう点についてはもう少し工夫をしてみる必要があるかなと考えております。
#23
○本岡昭次君 NGOの意見を聞くようにと指示があったら聞きます、また外務省がこうしたからこうしますという、そういうのはどういうんですかね。先ほど私言ったように、環境庁自体が環境政策を具体的に推進し、効果あるものにしていくためにはどういうふうにすればいいかというみずからの主体的な立場を持っていなけりゃ、今あなたのおっしゃるように、事前に意見を述べたいと言うてきたから聞きましょう、言うてこなかったから聞かないと。私はそういうのは、それも一つの手法だと思うけれども、よくないと思いますよ。
 だから、積極的に環境庁の方からNGO、民間団体に対して、この基本法にも民間団体という言葉が三カ所ばかり出ていますけれども、その立場というものを重視して、そして積極的に意見を取り入れていくという姿勢が必要だ、だから、私はNGOとの関係をどうするんだと聞いたわけです。
 長官、お聞きになっておわかりのように、下手をすると、環境庁の中にあるそれぞれの局がありますね、部局が、それがてんでんばらばらのことをひょっとしたらやるかもしれへんのですよ、今聞いておると。一方はNGOの話は聞く、一方は言うてこなかったから聞かなんだと、あるいはまた聞けと書いてないからうちは聞かへんのやという、こういうことでは私は環境庁の中の統一という問題が出てくると思う。私はこの問題についてだれの責任をどうだ、そういう議論をしたくないわけで、今後環境庁長官のもとで環境庁の施策を進めるに当たってNGOとどういうふうにかかわりを持ってくるかということについて、先ほどいろいろ議論した中の基本的な立場を明確にしていただきたい、私はこう思うんです。
 総括的にひとつ長官の言葉をここで聞いて次へ入りたいと思うんですが、どうですか。
#24
○国務大臣(林大幹君) 今御審議を賜っております環境基本法案につきましても、国民の責務というような形で国民全体と一緒に取り組んでいこうとする精神を実はうたってございます。
 環境行政は、今までのような地域的なある局面に限られた公害対策というものも大事ですけれども、それも越えまして広く我々の生活の中から取り組んでいかなきゃならないという、そういう面が大きく出てきております。これからはNGOのような、そういう考えを持ってこの問題に積極的に協力してくださいます方々との関係は特に大事にしたいと思っております。
#25
○本岡昭次君 それで「アジェンダ21かながわ」というのを私ちょっとこれ見せていただいた、これね。アジェンダ21ジャパンができてないんだけれども、「アジェンダ21かながわ」ができておるんです。そしてこれ読んだんですが、実に読みやすく、理解しやすく、子供の絵本のようにずっとなっておるんですね。神奈川県の御苦労に私は本当に感謝したいんですが、こういうものが全国すべての自治体にそれぞれできればどんなにすばらしいかという思いをしました。ことし二月にもう既に発行しておるんです。長官、もうお目通しになったと思います。
 そこで、環境庁の本年度の予算にはローカルアジェンダ21の策定指針作成費として七百万円が計上されておるんです。恐らくこういうものを各自治体につくってもらうための予算ではないかと思うんですが、一体今後ローカルアジェンダ21、これをどういうふうに今後策定しようとお考えなのか、お聞かせをいただきたい。
#26
○政府委員(加藤三郎君) 先生も今おっしゃられましたように、神奈川県あるいは東京都、幾つかのところでは率先していわばローカルアジェンダとも言うべきものをつくってやってくださっておるわけでございます。私どもも地球サミットが終わりますと直後に特に環境部局の責任者を呼びまして地球サミットの成果を伝え、そして、その成果の中の一つとしてこういったローカルアジェンダというものがあるんだということをきちんと認識してもらい、そしてそういったその準備を促したところでございます。
 ただ、先ほど来議論をさせていただいておりますように、アジェンダ21なるものが非常に広範であるということで、私ども国においてもいわば一種の手探り状態でいろいろと作業を進めているわけですが、まして地方公共団体におきましては、いろいろとどういうものをつくったらいいのか、どうやってつくったらいいのかという、そういう国からのある種のガイドラインが欲しいという、そういう要望が当然あるわけでございます。それにおこたえするという趣旨で今年度から予算を計上させてもらっているわけでございます。
 つまり、地方公共団体でローカルアジェンダ21といったものを自主的におつくりになるという場合に、そういった策定する際の手引となるような指針を示そうということでつくったものでございます。今後地方公共団体にこういった自主的な取り組みを積極的に促してまいりたいというふうに思っております。
#27
○本岡昭次君 当然のことだと思います。
 そこで、今ガイドラインという言葉がありましたが、私はそのガイドラインの中にぜひとも入れなければならぬことがあると思います。それは、この「アジェンダ21かながわ」をずっと読んで、内容もよく整理されております。二十一の行動原則と七十七の行動プログラムということでやっていますが、しかし私は、ここで全国の地方自治体が参考にすべき、あるいはガイドラインとして環境庁が示すべき大きな示唆がこの中にあると思います。
 それは、これをつくるのに県と市町村という行政の側と、それから企業の側と、それから県民の側と、この三者が同等の立場でこの作成にかかわっていったということなんです、これをつくるのに、時間をかけて。そして、かながわ地球環境保全推進会議というものをつくって、これから推進していくんですが、その中に県民部会、企業部会、行政部会というのを置きまして、それぞれ県民の側からと、企業の側からと、行政の側からと、三者構成で当たるというこの仕組みですね。しかも、私がうれしかったのは、そういう三者を並べるときに何をトップに持ってくるかということですよ、わかりますか。ここでは県民部会というのをトップに持ってきているんです。それから、企業、行政と。なかなかこの県民というのは前へいかないで、大体後ろの方につくか、星をちりばめた中の一つでぽつっと、ああこれは県民代表、市民代表が入るというのが従来のパターンですよ。それでもいい審議会もあると思います。
 だけれども、長官もおっしゃったように、環境は僕はそうでないと思うんです。だから、ガイドラインの中にそうした三者構成、そうした問題をきちっと位置づけて、そして同じレベルでもってかかわっていくようにというふうなことを、このガイドラインにぜひとも盛り込んでいただきたいということを要請として申し上げておきたいと思いますが、いかがでございましょうか。
#28
○政府委員(加藤三郎君) このガイドライン、私ども今策定中でございますけれども、今先生からの貴重な御提言まことにありがたく拝聴いたしましたので、そういった御趣旨も踏まえて適切なガイドラインにしていきたいと思っております。
#29
○本岡昭次君 それから、ローカルアジェンダ21を昨年の地球サミットでは一九九六年までに策定するというふうな、しなければ罰則があるという代物ではないと思いますが、これは約束があるようです。それで私は、すべての自治体がこのローカルアジェンダ21を策定するということが最も好ましいと思いますが、そうした能力と言ったら地方自治体から怒られるかもしれませんが、かなりのこれは政策能力というんですか、そういうものが要ると思います。
 そこで、ローカルアジェンダをつくり、そしてそれを具体的に推進していくというために、法律を別個につくってやるというふうなことができないか。また、現在ある法律の中にそうしたものを盛り込んで、そして地方自治体の責務と、それからそれを支援していく、実行していく、実践していくためのさまざまな体制を整えていく。今の自治体だけではできない分野があると思うので、そうしたことを法律を整備することによって可能にしていく、こういうふうなことはいかがかというふうに思うんです。
 アジェンダ21ジャパンはそれを支える立派な環境基本法というものができていくわけですから、地方自治体はそうした条例ですか、そういうものをつくって相対応していけばいいということですけれども、できればそうしたものを国全体として、全国すべての自治体でそうした環境政策がほぼ同じレベルで推進されて、そしてすべての国民が、市民がそれにかかわっていくという環境政策、これを総体の大きなものにしていくためにそうした法律があればいいんじゃないか。
 国が進めるときはどうしても縦割りになりがちです、各省庁がありますから。それで、縦割りにそれぞれの環境政策を進めていく、それを受けとる地方自治体は一つですから、だからその地方自治体の地域政策というものとそれがどうかみ合うかということが私は非常に大事だと思うんです。地域のまちづくり、地域社会づくり。そういうものと一体になって総合的に展開されていかなきゃいかぬと思うのです。
 でなければ、国が幾らいろんな政策をしても、国民生活の場だというふうに今環境庁長官もおっしゃったわけで、文字どおり国民生活の場がその実践の場になってくるわけですから、そういう意味で、予算をどうつけていくか、制度をどう完備していくかというようなことを含めて、法整備というふうなものを検討されてはいかがかと思うのですが、どんなものでしょうか。
#30
○政府委員(加藤三郎君) 先生お触れになられまして、また私どももそう考えておりますように、地球環境保全といいますか、全体の環境保全を図っていく上で地方公共団体が果たす役割は極めて重要だというふうには思っているわけでございます。
 したがいまして、例えばアジェンダ21ということに関連いたしましても、私ども早速予算をつけて、地方公共団体の自主的な取り組みがスムーズにいくように、ガイドラインなどをつくってそれをお示しするということですが、基本は各自治体がどう取り組んでいくか、各自治体にいわばゆだねられているわけでございます。
 私どもといたしましては、まず地方公共団体による行動計画づくりは地方公共団体みずからの自主的な取り組みが極めて大切というふうに考えておりまして、こういう動きを促進するいろんな措置をとってまいりたいというふうに思っております。
#31
○本岡昭次君 長官いかがでしょうか。部長では法律というふうなことに触れられないと思う。私は、地域のそうした環境問題に対して法整備を改めて検討されてはいかがですかということを申し上げたんですが、今突然申し上げているので、御感想程度で結構ですからひとつ答弁いただきたいと思います。
#32
○国務大臣(林大幹君) このアジェンダ21の特に地方版とでも言うべきものの策定については、根拠になる法律があれば、これはもうそれぞれの自治体、たくさん数のある自治体でありますので、取り組み方も、取り組む内容も、それからまた取り組む心構えも、スピードもそれなりに進むのではないかという先生の御示唆でございますけれども、一面ごもっともでもあろうかと思います。
 ただ、現状におきましては、それぞれの地方自治体には自治体の意思がございますものですから、その自治体の意思を最大限に発揮させるということに対して環境庁としてもこれは大いに注目するし、督励もするし、支持もするということであります。端的にすぐこれを法制化するかというところまでは私も全く考えておりませんでしたが、その趣旨につきましては法制化したと同様の成果が、それぞれの自治体で取り組めるような活動については環境庁としても労を惜しまずに督励したいと思っております。
#33
○本岡昭次君 そうした問題は、また今後の展開の中で議論もさせていただきたいと思います。
 それで「アジェンダ21」、これを私詳細にわたって、余り本を読むのが好きやないんですけれども、読みました。特に私が注目をし関心を持ったのは第二十九章です。私が労働組合の出身だからというんじゃないんですが、ここに「労働者及び労働組合の役割の強化」というのがあるんです。そして、これを読みまして極めて重要な指摘をここにしていると思うんです。この労働者というのは、職場におるときは企業と相対し、そしてある意味では環境という問題と直接対峙しておるんです。地域社会に帰れば市民なんです。そういう意味で、労働者、労働組合を環境政策の中にどう位置づけ、どういう役割を与えていくかということは極めて大事だと思って、関心を持ち読みました。
 そこで、この文章の中には、この「労働組合が持続可能な開発の達成の促進において極めて重要な役割を果たす。」としている。そしてまた、「労働者はアジェンダ21に関連する行動の実施と評価に全面的に参加すべきである。」というふうにここで位置づけておるんですが、一言長官の環境政策、また環境保全を進めていく上で労働組合、この労働者の役割について御認識を伺っておきたいと思います。
#34
○国務大臣(林大幹君) このアジェンダ21におきましては、先生御指摘のように、それぞれの国民のグループがそれぞれの立場から取り組んでいただいておるわけでございますが、特に今先生の御指摘の労働組合におきましても、これは特に労働者あるいは労働組合という項を設けまして記述されているとおりでございまして、環境保全のためにはこれは大変大事な担い手であろうと思っております。
 特に、私から申し上げるまでもありませんけれども、今日日本の労働人口も六千数百万人になっております。全人口の半分以上がこれはもう労働をなさる方々でありまして、もちろん私も自分でそう思っております。したがいまして、これからの環境保全につきましても大いに私はその地位と立場とそれから持っている情熱を傾けていただきたい、またその傾けていただくことにつきましては、これは我々としても大いにその知恵をおかりしながら評価をさせていただきたい、そのように考えております。
#35
○本岡昭次君 それでは、アジェンダ21ジャパンの中にも労働者及び労働組合の役割の強化というふうな章を置く予定がありますか。
#36
○政府委員(加藤三郎君) 労働組合やら労働者の問題も当然今大臣から御答弁ございましたように、この環境保全を担う一翼でございますので、それについての記述は置く予定にいたしております。
#37
○本岡昭次君 この基本法案の中で、労働者及び労働組合とのかかわりを考えていきますと、特に関係の深いものとして次のものがあると思います。
 第二十条の「環境影響評価の推進」、あるいは第二十六条の民間団体等の自発的な活動の促進、第二十七条の「情報の提供」、それから第三十四条二項、民間団体の国際協力というふうなところは特に労働者、労働組合が関与することによってより大きな効果を上げ得るところではないかと思います。
 それで、「民間団体」というふうに書かれてある事柄なんですが、これはNGOあるいはまた労働組合、先ほど環境庁長官もおっしゃったように、その主力に労働組合というものを対象に置かれた方がより有効ではないかと思うのですが、その点どうですか。
#38
○政府委員(八木橋惇夫君) 環境保全上いろんな人がいろんな立場において環境保全に積極的な役割を果たしていかなければならないというようなことは大臣からお答えしたとおりでございます。そういう意味で、国民の積極的な行動に資するために、先生御指摘になったような条項を今回置かせていただいたわけでございますが、その中に環境保全に資する行動を行う民間団体等といたしまして労働組合がそういう御活動をなさる場合には、当然私どもは対象になるものというぐあいに考えております。
 ただ逆に、いわゆる労働組合法上の労働組合でなくても、そういう活動をなされば、そういうところも対象になるということもまた当然のことでございます。
#39
○本岡昭次君 それで、この「アジェンダ21」の第二十九章のところの言葉を紹介しますと、今おっしゃったように、労働組合側の意思でというよりはむしろ労働組合を積極的に参加させようというここは表現になっているんです。例えば二十九の十一「労働組合は次のことをすべきである。」というふうに言っているでしょう。「労働者が職場での環境監査」、環境監査もここに入っておるんです。環境監査及び環境面への影響評価ということも入っておるんです。「影響評価に確実に参加できるようにすること。」あるいは「地域社会での環境と開発に関する行動に参加し、共通の関心のある潜在的問題について共同行動を推進すること。」と。だから、この地域の環境問題について参加をしないのは労働組合としておかしいというふうに言わなければならないと思うんですね、逆に。また、「国際機関及び地域機関の持続可能な開発に関する行動で積極的な役割を果たすこと。」というふうに書いてある。
 また、「労働者及びその代表者は、雇用者及び政府が実施する労働者研修プログラムの企画及び実施に関与すべきである。」あるいはまた、「政府及び雇用者は、労働者及びその代表者がこれらの意思決定プロセスに効果的に参加できるようにするため、あらゆる関連情報を確実に彼らに提供すべきである。」、こういうふうに書いておるんです。そして、「職場での女性の権利と地位に関連する問題も含めて、安全と健康と環境についての問題を扱うために、職場及び地域及び国家レベルでの二者構成(雇用者と労働者)もしくは三者構成(雇用者と労働者と政府)の協力機構を確立すべきである。」というふうに書いてあるわけで、この環境面から言えば、この労働組合が後ろ向きになることは許さぬと。
 そこに働いているからよい環境でなければ困るんだというふうな受け身じゃなくって、よりよい環境をつくるためにかかわれ、協力せい、参加せいということをこの「アジェンダ21」は求めております。そういう意味で、環境基本法を具体的に実行するに当たって、ぜひとも労働組合のそうした参加を求めるようにお願いをしたい、こう思います。また、改めてその点については議論させていただきたい。
 そこで、その具体的なそうした労働組合あるいは労働者、市民を重視するという意味で、この第四十一条の中央環境審議会の構成の問題ですが、八十人の委員、特別委員を置くと、こうなっておりますが、従来のこの関連する審議会の中で、労働組合の代表者が入っているかと見ると入っております。たしか三人入っておられますが、八十人の中の三人、多いか少ないかいろいろ意見があると思います。しかし、今私が言いましたような観点に立って、新しく四十一条のもとに設置される中央環境審議会の委員です。各環境のさまざまな分野でその仕事に携わっている、自治体で働いている、あるいは製造業で働いている、教育の面であったら学校で働いている、いろんなところのそうした専門家を学識経験者としてこの委員として多数任命すべきである、こう思います。
 少なくとも企業代表よりも労働者の委員が少ないというふうなことだけは絶対にしてはならぬ、こう思うのですが、いかがでございますか。
#40
○政府委員(八木橋惇夫君) 中央環境審議会の委員につきましては、御指摘のように「環境の保全に関し学識経験のある者のうちから、内閣総理大臣が任命する。」ということになっているわけでございます。そこで、国民各界各層の意見が幅広く審議に反映できるようにこれからそういう委員を任命していただくということになるわけでございますが、私どもといたしましては、そういったような趣旨で国民各界各層の意見が適正に反映される、そういう意味で、先生御指摘になりました労働組合関係からも適正に選定されてしかるべきだというぐあいに考えておるわけでございます。
 現在、ちなみに先生御指摘になりましたように、中央公害対策審議会では三名の方がそういう御出身の学識経験者として参加をし、御熱心に御討議をいただいているところでございます。
#41
○本岡昭次君 ぜひとも今私の申し上げました意見を組み入れていただいて、この中央環境審議会の委員が構成されたときに、環境庁が積極的にそうした市民あるいは国民といったレベルでの意見をその中に大きく組み入れようとする努力が具体的に見えるように、従来も三だったから今度も三だというふうな、そういうことでないことを期待しておきたいと、強く要望しておきたいと思います。
 それから次に、報道によりますと、通産省は、環境管理規格審議委員会なるものを六月下旬に発足させて、私も先ほどちょっと触れましたけれども、環境監査の制度を導入する、そのためにいろいろ協議するんだと伝えられております。この種のことは考えてみると環境庁の仕事だと思います。しかし通産省がやっていかぬということはないと思いますが。
 そこで、環境庁は環境監査というこの新しい制度の導入なり、また環境管理制度というんですか、企業の中に新しい、そうしたものをどのようにこれから実施させていこうとしておられるのか、環境庁の考えをまず伺っておきたいと思うのです。
#42
○政府委員(八木橋惇夫君) 御指摘のように、環境への負荷の少ない健全な経済社会の形成を図っていくためには、経済活動の主要な担い手でございます企業におきまして、今までのような単なる規制措置に対する対応という面にとどまらないで、自主的、積極的に環境への負荷を少なくしていく取り組みが進められるということは非常に大事だというぐあいに私ども考えているわけでございます。
 そういった観点から、環境庁におきましても、いわゆる先生御指摘になりました環境監査を含めまして、企業の環境保全活動に関する内外の動向に関する調査検討を行ってきているわけでございます。こういったものの成果をもとに、私どもも我が国企業関係者の参考にしていただくということで、ことしの二月には、「環境にやさしい企業行動指針」というものをつくりまして、それを公表したところでございます。
 そこで、先生御指摘になりました環境監査の問題でございますが、これは国際的にも今検討が進められているところでございます。私どもといたしましてもその動向を注視しながら、我が国としてどういった方策として取り入れていくのが適切なあり方なのかということについて十分検討していく必要があるというぐあいに環境庁としても考えているところでございます。
#43
○本岡昭次君 通産省の方においでいただいておりますが、私が報道によるとということを申し上げたんですが、報道のとおり通産省としてはこの環境監査の問題についての検討をされているんですか。
#44
○説明員(今井康夫君) 環境監査につきましては、これが企業が各種の規制措置に対応していることにとどまらずに、自主的、積極的に環境問題へ取り組むということでございまして、企業活動の中に環境の配慮を組み込んでいく手段として非常に重要なものだと考えておりまして、国際的にもこういう議論が進められているところでございます。
 通産省におきましては、従来より環境監査のあり方を検討しておりますけれども、昨年の十月には所管の八十七団体に対しまして環境についてのボランタリープランということで、各企業において環境対策を自主的に大いに促進してくださいということで、ボランタリープランの作成をお願いしたところでございますが、その際におきましても、環境についての企業内部での監査の実施を要請したところでございます。
 それから、今の国際的な動きで、先生の御指摘の点でございますけれども、一九九一年ごろより国際標準化機構、ISOと称しますけれども、そこにおきまして国際的に整合性のとれた環境監査のあり方につきまして検討が進められております。通産省といたしましても、この作業に積極的に取り組んでいるところでございます。
 なお、昨日、一昨日どこの国際標準化機構で環境監査の規格づくりの第一回目の会合が行われておりまして、通産省からもその専門家を派遣しているところでございます。
#45
○本岡昭次君 私はまだ内容的によく理解してはおりませんが、感覚的にこの環境監査制度というものは必要ではないかと思いますし、この検討を通産省がやっていることについては大変結構なことだと思います。ぜひともこれは環境庁とよく連絡をとりながら、この制度を導入して自発的な意味での環境保全という問題について企業がかかわっていくようにしてもらいたいと思います。本当はこれ通産省にもっと聞いていったらいいんでしょうけれども、通産大臣がおられるわけではありませんので、環境庁の方に聞いていきます。
 そこで、この環境監査というものを置くのはいいと、必要だと、賛成だと。しかし、これは会計監査の制度なんかもそうでありますが、内部に置くのか第三者機関による外部の審査機関にするのかということによってこれ大分違ってきますね。だから、つくるならば私は、第三者による外部監査という仕組みにぜひともこれはすべきであろうと思いますし、それともう一つ大事なことは、情報の公開です。企業は企業秘密があり、いろいろそれは公開できない部分もあるんでしようが、情報の公開を原則とするというふうな、この二つの柱をきちっと立てた上で、ぜひともこれは環境庁主導のもとに、この環境監査制度というんですか、仕組みを実現していただきたいと思います。
 同時に中小企業が、そういうものに対応するときに、一体できるかという問題もあると思います。だから、中小企業に対するこの環境監査ですか、全体として環境管理というものを新しくその事業体の中の仕組みとして取り入れていくときにかなりこれは財政的に大きな負担になることもあるでしょうから、そうした経費的な面の支援体制等も含めて、何でもかんでも法整備することがいいとは私は思っておりませんけれども、少なくともこの問題も現在あるいろんな関係法令の中のどこかを改正して環境監査、そしてそれは外部監査にする、そして先ほど言った情報の公開を原則とするとか、さまざまなそうしたものをきちっと織り込んで、ある程度その責任の所在を明確にしていくということがいいんではないか。
 今のは全くの私見ですけれども、そう思っておるんですよ。環境庁長官、いかがですか。今のレベルの議論でいいじゃないですか、お互いとこまで責任を持つという話じゃなくて。
#46
○政府委員(八木橋惇夫君) それでは環境庁からお答えさせていただきますが、先ほど通産省の方から御説明申し上げましたように、環境監査は企業が環境保全活動を行うための行動を進める上での、企業がそういった点検作業をみずからやりたいというぐあいにやっている行動だと基本的には認識できるのではないかと私ども考えているわけでございます。
 そこで、企業がやります環境監査とか環境管理システムというものの導入を通じまして、こういった自主的、積極的な動きというものは、私どもは適切に評価し、そういうことを推進していかなければならないというぐあいに考えておるわけでございます。そこで、企業が対外的にそういったみずからの取り組み内容を明らかにしてその情報が信頼性を持つという意味においては、何らかの手段である程度それが対外的にはっきりしてこなきゃならぬということは、先生御指摘のとおりだというぐあいに私どもも考えるわけでございます。
 それともう一つの外部の専門家による環境報告書の検証といったようなものを取り入れてはどうかというようなこともございます。これについても一つの考え方ではあるとは思うんですが、企業に過重な負担となって、かえって積極的な取り組み、企業の自主的な取り組みということを阻害するようなことがあってはならぬということを一つ考えておかなきゃならぬのと、それからもう一つは我が国におきましてそういった外部に頼んでいい専門家がどのくらい育っているのかという現実の問題もあるわけでございます。そういうことも考えていかなきゃならぬという問題もございます。
 しかし、これは国際的にもそういうことも議論されておりますから、私どもは国際的な動向も十分注意しながら、どういう方法で我が国における環境監査というものを育てていったらいいのかということは、先生の御指摘をも踏まえながら、これから十分検討していく必要があるんではなかろうかというぐあいに考えます。
 それからもう一つ、中小企業の問題でございます。中小企業におきましても、そういった自主的な取り組みをやっていくこと自体におきましては、それぞれ直接負担を生じさせるというぐあいにはないと基本的には考えているわけですけれども、しかし環境監査を含む自主的な取り組みがいろんな種類の、またいろんな規模の事業者に普及し、またそれが定着していくためには、支援策が必要かどうかということもあわせて検討していくべき課題であるというぐあいに私どもも考えております。
#47
○本岡昭次君 持ち時間がもうわずかになりましたので、もう少しこの問題突っ込んで議論したいんですが、別の機会に譲ります。
 それで、あと残された二つの問題を簡単に伺います。一つは、地球温暖化防止行動計画の問題なんです。これは地球環境問題の最重要の課題と言っても言い過ぎでないと思います。そこで、地球温暖化防止行動計画の期間は一九九一年から二〇一〇年までとなっていて、その目標値は一九九〇年レベルでの安定化を図る、こういうふうになっております。それで、一九九〇年レベルというその目標値を置いて現状は一体どうなっているのか、そうしたことが可能なのかということを簡単に御説明いただきたいと思います。
#48
○政府委員(加藤三郎君) 温暖化防止行動計画は、これも先生御高承のとおり、平成二年に決定したわけでございます。その中で、地球の温暖化に直接影響を与えるいわゆる地球温暖化ガスというものはいろんなところから出てまいります。したがって、施策も都市地域構造あるいは交通体系、生産構造、エネルギー供給構造あるいはライフスタイルといったように非常にこれまた広範な部分にわたっております。
 先生もお触れになりました初年度の一九九一年、平成三年度の施策につきましては、計画策定の後まだ時間が比較的短いにもかかわりませず、省エネ設備の優遇税制の創設あるいはリサイクル法の施行など三百項目余にわたる施策を関係省庁も実施してくだすっているところでございます。それで、今どうなっているかということでございますが、昨年の五月に政府として九〇年レベルを確定したところでございますが、それは二酸化炭素についていえば、炭素換算で申し上げまして総量で三億一千八百万トン、これを人口一人当たりに割り振りますと二・五七トンということになっているわけでございます。
 その後、これが九〇年レベルの数字でございますが、九一年の数字はどうかということですが、あるいはそれ以降の数字はどうかということですが、これは今政府部内で取りまとめておりまして、近々に発表できると思います。ただいま現在では取りまとめ中でございますが、傾向だけ申し上げますと、いわゆるバブル経済と言われました一九八六年から九〇年にかけての非常に内需の活発な時期に比べますとかなり減ったとはいえ、若干九〇年レベルよりはふえているというそういう傾向がうかがえておりまして、今数値を精査しているところでございます。
#49
○本岡昭次君 それで、今言いましたように、それが今後目標を達成するということについて、今からあれこれということは言えませんが、私たちの聞いておるところではかなり困難ではないか。
 今おっしゃったように九〇年度が三億一千八百万トンですか。何か九一年度は前年度より六千万トンもふえておるんではないかというふうな報道等もあったりして、これは大変な状況になりつつあるんではないかと思うんですが、若干ふえつつあるというその傾向の問題と、最終目標をどうしても達成するんだというそこのところの問題ですが、もう少し見通しの問題について触れていただけませんか。
#50
○政府委員(加藤三郎君) 行動計画は、先生お触れになられましたように、二十カ年計画で中間の目標を二〇〇〇年に一つ置いているわけでございます。まだ少し時間がありますので全体的な傾向を言うにはまだ少し早過ぎるかと思いますが、いずれにいたしましても、これは私どもの認識でも、これは何もしないで簡単に達成できるというふうには全く思っておりません。極めて各般の施策を積極的に講じていかなくちゃいかぬと。そういう一環として例えば今回のこの基本法を成立させていただければさらに一層そういった動きに弾みがつくというふうに思っておりまして、この基本法の制定を機に、一層各般の施策を関係省庁と緊密な連絡をとりながら、かつ全国民的な理解と協力を得まして目標が達成できますよう最大限の努力を傾注してまいりたいというふうに思っております。
#51
○本岡昭次君 それで、九一年度はいつごろ明らかになりますか。
#52
○政府委員(加藤三郎君) 今月中には明らかにできると思っております。
#53
○本岡昭次君 それでは、その九一年度のものが明らかになった時点で、一年間で全体の見通しをつけるわけにはいかぬと思うのですが、そうした行動計画の問題について改めて議論させていただきます。あと環境ODA予算の問題を議論をしたい、こう思ったのですが、時間がなくなってしまいましたので、またこれは後日に回すことにします。
 それで、最後にこれは長官にお伺いをいたします。私は、限られた七十分ほどの時間でアジェンダ21を中心にして議論をしてきました。議論しながら確信を持ったことは、環境庁にとって大変重荷だということです。環境庁という一つの庁がこのアジェンダ21、この21というのは二十一省庁ですか、これ。もう全体の問題をこれ背負って日本の環境を、環境というのは人間の生きることにかかわっておるんです。生存を可能にするかという問題をやっていくというところが、貧弱だとかそんなこと言いませんよ、皆さん方が大変頑張っておられて果たしてできるのかということを思うんです。
 それで、私たちは環境を、人間の生存にかかわってそれを現在も将来にわたって可能にしていくという、そういう条件を整えていく。これは大仕事であるということを見たときに、環境庁の行政組織が果たしてそうした課題にたえられるのか、本当に期待にこたえられるのかということをいよいよ疑問に思います。
 それで、これは個人の努力はもう限界があります。だれだって一人は二十四時間しかないんだから、超能力を持っている方だってそうはいかぬわけです。それはアジェンダ21に示されるように、この地球環境、そして国内の環境保全の問題、すべてにわたってそれを十分こなし、そしてその目的を達成する、それにふさわしい行政機構をつくらなければ、よく言われるように仏をつくって魂入れずとか、絵にかいたもちだとか、いろんな表現がありますが、それに近いものになるおそれを私は感じます。
 行政改革というふうなものが一方にあって、できるだけ行政の機構を小さく小さくというのはあります。また、そうしなければならぬところもあるでしょう。しかし、今の地球規模の問題でいえば、環境とか人権とかというものを新しい課題として、そして新しい理念を構成していく上で取り組んでいかなければならぬところだと思うんです。
 そういう意味で、私どもは環境基本法の中に環境庁の行政機能を強化するということの一項目を入れたからといってあしたからなると思いませんけれども、理念的にそうしたものをきちっとその中に持っておかなければいけないのじゃないか、こう考えております。
 そういう意味で、最後に環境庁長官のお考えをお聞きして私の質問を終わります。
#54
○国務大臣(林大幹君) 先生の御質疑の意図するところは私も十分理解できます。ただ、今回この基本法案を策定する過程におきまして、先生も御案内でございましょうけれども、二十一ないし二十四のそれぞれの省庁、関係機関が加わってこの基本法が生まれております。この中では、それぞれの省庁は、基本法というものをまとめるために我が省の意思はここで抑えようという、そういう良心、了知が相当働いておって、その結果この基本法が生まれておるということに大変私は深い感心と感謝を抱いております。
 したがいまして、それはなぜそうなったのか。つまり、環境問題というのは、もう一省庁の問題ではなくて国民全体の問題になってきておる。したがって、我々の行政が国民を背景にする限りにおいては、これは一省庁の問題を飛び越えて私はそれだけの責務を果たすことができるのではないかという考えを持っております。
 したがいまして、今すぐに環境庁を省に昇格する運動を起こすとか、そういうことは私自身は考えておりませんで、今でも関係閣僚会議を開けば十九閣僚が集まらなければ関係閣僚会議にならないというほど広範なものでありますので、その中で各省庁にも御理解していただけるような、国民を背景にした環境行政が大事であるという形で当面取り組まなきゃならないということで、環境行政の中枢としての機能を十分に発揮したいという考えでございます。
#55
○本岡昭次君 きょうはこれぐらいで終わります。
#56
○堂本暁子君 私は、今世紀最後と言われた環境と開発の国連会議、ジュネーブ、ニューヨークの準備段階から参加いたしまして、またその地球サミットを受けた形でつくられた環境基本法案の審議に参加できるということを大変幸福でもありますし、責任も感じております。
 きょうは自然環境保護といった視点から逐条的に法案について政府にただしていきたいというふうに考えております。まず最初の感想は、これだけ地球サミットを受けたと言われていながら、我が国が国の内外に対して今後持つであろう環境政策をきちんと全文にうたっていないということを大変に遺憾に思っているということだけお伝えしておきたいと思います。
 質問に入ります。第一条でございますが、先日広中議員が環境の保全についてはもう聞かれたのでその意義は伺いませんが、もう少し広く「環境の保全に関する施策の基本となる事項を定める」とありますが、この内容についてお答えください。
#57
○政府委員(八木橋惇夫君) 先生御指摘のように、第一条におきましてこの法律の目的を規定いたしたわけでございますが、この目的規定の中におきまして先生御指摘の「環境の保全に関する施策の基本となる事項を定めることにより」というふうに記述をさせていただいております。
 この第一条の「目的」で書きました「環境の保全に関する施策の基本となる事項」といたしましては、「施策の策定等に係る指針」ということでこれは十四条、それから「環境基本計画」ということで第二節の第十五条、それから第三節十六条ということで「環境基準」といったような規定、さらには「環境影響評価の推進」といったような二十条の規定、その他二十一条の「環境の保全上の支障を防止するための規制」等の措置、さらには二十三条の「環境の保全に関する施設の整備その他の事業の推進」等々、この基本法におきまして政府が政策を総合的、計画的に推進していかなければならぬ政策プログラムの規定にかかわるものを、ここでは「環境の保全に関する施策の基本となる事項」ということで書いておるわけでございます。
#58
○堂本暁子君 もう少しこの法案の作成過程にさかのぼってその点を確認したいんですけれども、公害対策基本法が廃案になってすべて今度の環境基本法に盛り込まれておりますが、同時に自然環境保全法も継承している。
 その二つの点から考えるならば、今おっしゃった先のどういう条項がここに盛られているかよりも、ここに二つの法案が、廃案と継承と両方あるわけですけれども、そういったものの性格がきちんとここに盛られてないと思うんです。ですから、環境の保全というものの中に、公害の防止とか、それから自然の保全とか、そういったことが一言も入ってないまま今おっしゃったような先へ行ってしまっている。
 これは意見にとどめさせていただきますが、本来ならばそこに公害の歴史的な問題、実際的な意味、それから自然環境保全の重要性などといったものを例示する必要があったんではないか。その二つの法案から、そういったものが例示されたものがきちんと、公害の防止に関する施策、これは公害基本法の第一条でございます、それから自然環境の保全の基本となる事項の条文をここに入れるべきではなかったかと思います。
 では、次に参りますが、私が大変この「目的」というところで残念に思うのは、自然という言葉が一つも入っていないということです。例えば、アメリカの国家環境政策法はその冒頭で、人間と自然が創造的な調和を保ちつつ、プロダクティブハーモニーという英語ですけれども、存在し得る諸条件をつくり、維持することが最大の目標だと、諸条件を維持することが最大の目的だと。それ以後、細かい事項がずっと並ぶわけなんです。少なくとも人間と自然との調和の視点というのが見えてこない。この目的のところでそのことがきちんと書き込まれていないことを残念に思うのですが、人間とそれから自然の関係をどうとらえておられるんでしょうか。
#59
○政府委員(八木橋惇夫君) 先生ただいま第一条の「目的」が自然環境また環境と人間のかかわりということがうかがい知れるような条文になっておらないと、こういう御指摘でございました。
 私どもはその点につきましてはこの法律がよって立つ基盤というんですか、思想、理念といったような事柄を第三条以降に書かせていただいているところでございまして、この第三条に「環境の保全は、環境を健全で恵み豊かなものとして維持することが人間の健康で文化的な生活に欠くことのできないものである」という認識、「生態系が微妙な均衡を保つことによって成り立っており人類の存続の基盤である限りある環境が、人間の活動による環境への負荷によって損なわれるおそれが生じてきていることにかんがみ、現在及び将来の世代の人間が健全で恵み豊かな環境の恵沢を享受するとともに人類の存続の基盤である環境が将来にわたって維持されるように適切に行われなければならない。」ということで、人間と自然とのかかわりぐあい、それで環境そのものが生態系が微妙な均衡を保つことによって成り立っているというようなことから、そういった微妙なバランスを我々は大切にしていかなければならぬというような趣旨で、先生御指摘になった思想は、私どもここにあらわれているというぐあいに理解しております。
#60
○堂本暁子君 全体を読んでそういうことを理解しろとおっしゃるのかもしれませんけれども、「目的」というところの明確な書き方の中に先ほど申し上げた公害と自然ということがきちんと指摘されていない。それから、人間と自然との関係というのがきちんと指摘されていないということを残念に思います。
 では次にまいりますが、全体を読んで一々それを理解しろと言われることは、つくった方にはおわかりになるかもしれない、でも国民が読む場合に明確に目的がわからない。そのことは、この「目的」で明確にわからないということが法律全体をわからなくしている。ですから、「環境の保全」というこの五文字にすべて公害の防止から自然の保護から全部入ってしまっているためにどっちなのかさっぱりわからない。
 私は調査室にお願いして、きのう全部この法律が大体ベースがどっちが多いかというようなことを調べていただきました。公害対策基本法が大体主になっています。そこに自環法が加味されている形ですけれども、この法案のつくられ方、それから日本の法体系を整備してくる形の中で、この「目的」のところにどういうことなのかということはもっと正確に明確に書き込んでいただきたかった。この「環境の保全」という中から、時には公害を読み、時には自然を読み、どっちなのかずっとそのまま最後までそれで通ってしまっている。きちっと公害は公害として書き、自然保護は自然保護として書き分ける。それから、同時に「目的」のところで「環境の保全」とおっしゃるのであれば、先ほど申し上げたように公害とそれから自然ということをきちっとそこに定義しなければいけないのではなかったか。この中の「定義」でも、広中さんがお聞きになったけれども、環境の保全ということの定義は書いてないわけです。
 ですから、そのことを一々今のような解説を聞かなければわからない法律になっているということで大変これはわかりにくいスタートである、そのことが終始一貫最後まで続いていると思います。そのことは意見にとどめさせていただきます。
 次に、自環法の方の解説ですけれども、そこに自然の賢明な利用それから保存それから自然の修復の三つを含むと書いてございますけれども、この基本法になった場合も、特にその三つ目の修復を含むということは継承しておられるでしょうか、いかがでしようか。
#61
○政府委員(大西孝夫君) 基本的には、自然環境保全法は、その基本的な目的なり理念の部分を移したということであります。
 それで、表現上、公害等も含めて一体的に環境という中で記載できる部分は統合し、必ずしも一緒になれないものについては自然という明示をした形で規定を別途残すというような形をとっておりますが、今言われた点はここの基本法の中の条文に入っているというふうに私は理解いたしております。
#62
○堂本暁子君 きちんとそのことを確認させていただきます。
 例えば足尾銅山へ行っても、もう百年たっても木一本生えません。ですから、やはり保存ということと同時に修復ということが大変大事だと思います、これからは。その意味で、自環法の解説がきちっと次に引き継がれることを確認させていただきたいと思います。
 それから、前回自然保護局長に伺いました自然環境と生活環境の御説明の中で、自然環境と生活環境とがいわば重なっている形なのだという御説明でございましたが、もう一度その御答弁のさらに確認でございますけれども、自然環境は「人の、生活に密接な関係のある動植物及びその生育環境を含む。」というその範囲と、それから自然環境は人の生活に密接な関係のない動植物及びその生育環境を含む、その両方であると認識してよろしゅうございましょうか。
#63
○政府委員(大西孝夫君) お答え申し上げます。
 まず、この前のときにも申し上げましたように、この基本法案において自然環境という定義がまずございません。それから、生活環境という言葉につきましても直接的な意味の定義はなくて……
#64
○堂本暁子君 済みません、それはもう伺っていますので局長、ですから今私が申し上げたことにイエスかノーかだけで結構でございます。
#65
○政府委員(大西孝夫君) ちょっと今の先生の表現が私もはっきり……
#66
○堂本暁子君 もう一回申しましょうか。
#67
○政府委員(大西孝夫君) じゃ私の方から申しますが、自然環境、今言われた人間に近いかどうかは関係なしに、動植物は自然環境がまたはその構成要素であると思います。それで、人間に近い密接な関係のある部分が生活環境という状況にもなる、こういうことであります。
#68
○堂本暁子君 これは条文の一部を引いて申し上げているんですけれども。ですから、二条三項に「人の生活に密接な関係のある財産並びに人の生活に密接な関係のある動植物及びその生育環境を含む。」とございますね。その二条三項のところに書いてあるその「密接な関係」というのが、密接な関係にない部分も自然環境として認識していいのかどうかということの質問です。
#69
○政府委員(大西孝夫君) そのとおりでございます。先生言われたように私ども認識しております。
#70
○堂本暁子君 はい、ありがとうございました。
 次に参ります。二条でございます。これは、大変残念に思っていることなんですが、原案、第二次案と見てまいりまして、二次案の二項ですけれども、「国際的に高い価値があると認められ、我が国がその保全を推進することとされている環境の保全」という項目があるんですけれども、それが今回の基本法案では削除されておりますが、この精神ができましたこの基本法案の中に含まれているかどうか、その点御答弁ください。
#71
○政府委員(加藤三郎君) 結論は、含まれております。
 それは、第六節の方の国際協力に当たる部分でございますので、第三十二条の第一項の方に触れでございます。
#72
○堂本暁子君 次に、「事業活動その他の人の活動」とございますが、この「その他の人」の範囲を知りたいんですが、自衛隊、例えば駐留米軍、軍事行動が含まれるかどうかをお知らせください。
#73
○政府委員(八木橋惇夫君) 事業活動以外の人の活動は含まれます。
#74
○堂本暁子君 第二条でもう一つだけ伺いたいんですが、ここで言う「人」というこの「人」は、第二条で言うところの「人の活動」の「人」ですけれども、そこで我が国の国民以外も含むのかどうか。国境を越えての被害を及ぼしたときも公害というふうにお考えになるのかどうか、この定義のところで明確にしていただきたいと存じます。
#75
○政府委員(八木橋惇夫君) 国民でなしに「人」という表現を用いた場合には、それは含むことになります。
#76
○堂本暁子君 三条に参ります。
 「生態系が微妙な均衡を保つ」、これは原案ではれの部分がなくなっています。これは、先ほど最初に指摘させていただいた自然と人間の関係を示した非常に貴重な部分だったと思うので、その原案の段階からこれが削除されたことを大変私は残念に思っておりますが、この内容が今審議している基本法案の中に含まれるかどうか、その点はいかがでしょうか。
#77
○政府委員(八木橋惇夫君) それは、「人類の存続の基盤である」という表現に変わっているわけでございまして、先生御指摘のものは当然含まれます。
#78
○堂本暁子君 第四条ですけれども、「社会経済活動その他の活動」とございますが、これはどのような内容でしょうか。特に、「その他の活動」というのを具体的にお示しください。
#79
○政府委員(八木橋惇夫君) 「社会経済活動その他の活動」ということで、私どもが社会において行う活動、経済活動以外に家庭内において行う活動でございますとか余暇活動として行う活動とか、そういうものがございます。そういうものも含めてここでは規定しておるということでございます。
#80
○委員長(松前達郎君) 両案に対する午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。
   午後零時一分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時一分開会
#81
○委員長(松前達郎君) ただいまから環境特別委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、環境基本法案及び環境基本法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案の両案を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#82
○堂本暁子君 午前に続きまして逐条的に伺いますが、第四条の続きでございます。第二項「すべての者の公平な役割分担」とございますところの「すべての者」とはどういうことか。それからPPPの原則との関係はどうなっているか。多分その役割分担に含まれているというふうにお答えになるんじゃないかと想像しているんですが、そのPPPの原則以外の役割分担の適用のあるのはどういう場合かというふうに続けてお伺いしたいと思います。
#83
○政府委員(八木橋惇夫君) 第四条「すべての者」でございますが、まさにすべての者でございまして、国民を構成するすべての者ということになります。したがって、国民が構成する団体として例えば政府、地方公共団体、企業その他の団体、それから個人というものを含んでそれは考えるということでございます。
 それから、後段の御質問の汚染者負担原則との関係でございますが、「環境の保全に関する行動がすべての者の公平な役割分担の下に自主的かつ積極的に行われる」ということを述べたこの規定については、これは汚染者負担の原則の考え方を踏まえて設けたわけでございまして、したがって汚染者負担原則もこの規定の考え方の一つのあらわれであるというふうに私どもは承知しております。
#84
○堂本暁子君 二十二条の後段ですけれども、経済的手法とどういう関係になっているか知りたいと思いますし、それからたしか二十二条では汚染者負担というふうな考え方になっていると思いますが、いかがですか。
#85
○政府委員(八木橋惇夫君) 二十二条の書き方は、むしろ負担を課す措置を少なくするために、誘導するための措置として規定したものでございます。したがって、汚染者負担の原則という場合に、それはどこまで解釈するかという問題はございますが、一般的な生活、例えば我々が生きていて炭酸ガスを吐き出したり何したりする、また通常の煮炊きをする、そこで炭酸ガスが出てくる、そういうことまで汚染者負担の原則という範囲の中に含めてしまえば二十二条もそういったことが関係あるということになるかとは存じますが、汚染者負担の原則をそこまで広げて解釈するという考え方はまだ一般的にはなっておらないと思います。
 そういうようなことを踏まえますと、二十二条はむしろ、経済的な負担または助成をすることによって環境に影響の悪い行為というものを少なくするように促すための政策的措置というぐあいに御理解いただいた方がよろしいかと存じます。
#86
○堂本暁子君 少し飛ばしませんと時間内に入りません。できるだけ生物多様性のところにたどり着きたいと思いますので、少し飛ばしまして十三条、これは衆議院でも余り質問が出てないようですけれども、ここは原子力基本法に任すということで適用除外になっています。放射性物質による大気汚染、水質の汚濁及び土壌の汚染防止のための措置、これを適用除外にしていますけれども、そうすると、これ以外、例えば放射性物質による動植物の汚染の防止については本法は適用していいのかどうか、それが一つの質問です。
 それから、それでは一たん汚染された場合にはどうなのか。具体的には例えば日本海に投棄された核廃棄物なんかの問題がありますし、例えばチェルノブイリの問題を考えても当然ですが、いかがでしょうか。
#87
○政府委員(八木橋惇夫君) この条項につきましては、先生既に御承知のとおり、従来の公害対策基本法にあった条項をそのまま引いたものでございます。
 そこで、この条項によりますと、大気の汚染、水質の汚濁及び土壌の汚染の防止のための措置については原子力基本法の体系に譲るということですが、一たん放射線汚染等による環境汚染も環境問題としてとらえまして、理念なり各主体の責務というものは環境基本法の枠の中に一応かぶせまして、その対策ということになりますと、それぞれ特別の専門的知識を要するということもございまして、原子力基本法の体系の中で措置を講じてもらうということになりますので、対策につきましては、これは原則的にはそちらの方の体系でやることが原則ということになります。
#88
○堂本暁子君 原子力基本法の二条に「安全の確保を旨とし」というのはありますけれども、その安全というのは果たして環境の安全というところまで踏み込んでいるのか、多分そうではないということなので、核汚染についても当然環境保全という形で基本法で対応すべきではないかと考えますが、いかがですか。
#89
○政府委員(八木橋惇夫君) そこの点につきましては、私今前段で御説明申し上げましたように、放射能による環境汚染につきましても、この環境基本法の理念及び各事業者、国、それぞれの責務を受けた格好で対策を講じてやるということになるわけです。したがって、やります対策についても当然この環境基本法を踏まえた上での安全また環境上の対策ということになるわけでございます。
#90
○堂本暁子君 わかりました。最初の御説明がそういう意味でおっしゃってくださったということですね。ですから環境基本法のほかのところに放射能汚染をも含むという理解でよろしゅうございますか。ということですね、多分そうだと思います。
 では先へ参ります。結局、放射能汚染についても環境基本法で対応するということですね。
#91
○政府委員(八木橋惇夫君) 環境基本法で一応受けとめまして、そうしてその対策の具体的な実施は原子力基本法の体系に譲っている、こういう関係でございます。
#92
○堂本暁子君 次に、いよいよ自然の問題に入っていきたいと思うんです。
 先ほども申しましたように、ここの章に来ましても、「環境の保全に関する基本的施策」という書き方で、自然環境とは書いてございません。それから先も「並びに自然環境」というようなことは出てはくるんですけれども、非常に自然ということの特定が弱いような気がいたします。
 で、生物多様性条約を、私も外務委員なものですから、先日批准ということに決まったばかりですけれども、生物多様性条約の六条、七条は国家的な計画と戦略を立てていくということが決められておりますけれども、それに対しての国内的対応としてまさにこの部分であろうか。さらには、環境計画という形で書かれているところ、それから調査研究という二十八条ですか、のところといったように分散していろいろあるかと思いますけれども、それにしても、自環法から生物多様性条約を批准した、移行した地球サミットの時代になったときに、自環法自体が余り機能しなかった。残念ながら、非常にいい理念を持ちながら十五ぐらいしかそのスポットができなかったという現実がございます。
 そして、種の保存ということについては絶滅法を去年やっとつくったばかりという日本の現状なんですけれども、そういった中で、環境庁がこれから条約に対して、現代的な、特に生物多様性条約に盛られている理念それから施策、そして日本国として課せられた義務、それにどう対応されるのか、その点お聞かせいただきたいと思います。
#93
○政府委員(大西孝夫君) 今先生がお述べになりました点の中で、まず生物多様性条約はもちろん基本的に自然環境の保全という点にウエートがあることは事実でございますが、この条約は同時に、いわゆる南北問題と申しましょうか、遺伝資源の利用ないしそれにかかわります利益の配分などの問題も含めておりまして、必ずしもいわゆる環境対策だけでない部分もございます。
 したがいまして、この多様性条約の国内における実施につきましては、環境基本法という枠で対応できる部分とそこからはみ出る部分があるということは御理解いただいていると思います。そこで、生物多様性条約を国内で実施する際には、そういう幅広い観点に立って、関係する各省間で十分緊密な連絡をとりながら、世界のリーダーシップをとるべき一員として責任ある実施が必要であると思っておりますし、そのための体制の強化を図っていく必要があると思っております。
#94
○堂本暁子君 それではこれから、本来はこれ生物多様性条約ではございませんで、生物多様性とそれからバイオテクノロジーに関する条約という名前をつけた方がいい条約であることは確かですけれども、バイオテクノロジーは今ちょっとわきに置きまして、前段の自然環境についての施策のところに絞って話していただきたいと思います。
 この条文で申しますと十四条と二十八条に関連して伺いたいということなんですけれども、条約の方では七条なんですけれども「特定及び監視」というところがございまして、「生物の多様性の構成要素であって、緊急な保全措置を必要とするもの及び持続可能な利用に最大の可能性を有するものに特別の考慮を払いつつ、標本抽出その他の方法」云々かんぬんとあるんですけれども、日本で北は北海道から南は沖縄までのそういった生物種の特定あるいは生態系の特定、あるいはもっと遺伝子までおりてもいいと思いますけれども、そういった多層にわたる日本の自然生態系の特定ということの調査、それからデータの収集ということは十分になされているとお考えでしょうか。
#95
○政府委員(大西孝夫君) これまで環境庁におきましても、自然環境の基礎データ収集は環境政策なかんずく自然環境保護政策を進める上で重要であるという認識に立ちまして、緑の国勢調査を初め各種の調査を進めてきております。その過程で、日本国内におきます生態系あるいは種の分布状況等につきまして資料を従来集めてきていることは事実でございますが、ただ今般、この生物多様性条約の実施という新しい条約の枠組みのもとで改めて考えてみますと、今後生物多様性の保全を図っていく上では国内のそういう生態系なり種の存在の状況をまず正確に把握することが何よりも大事であるということは先生御指摘のとおりでありますし、そういう意味で従来の調査方法にさらに精度を加えていく努力が必要であろうと考えております。
#96
○堂本暁子君 具体的に言いまして、予算が二億六千九百万ですか、その予算で北海道から沖縄までの生物種を調査するということはもう無理なことで、ほとんど予算としてはないに等しいんではないかというぐらい、これでは人の手当てもできない、ボランティアに頼っているというのが現状かと私は思いますけれども、それではやはり、日本というこの地球の中のその一部分としては責任が持てないという実態がございます。
 ですから、今後何らかの形でそういった調査をきちっとやっていただいて、ここに書いてありますように「特定する」ということ、まだどういう植物なのかどういう昆虫なのかもわからないようなのがいっぱいあると思うんですが、そういったものをきちんと特定する作業をする必要があると思います。修正として私たちお願いしておりますのは、環境庁でそういった生物種の調査が十分にできる、そして十分に保存ができる、そういった機構を強化していただきたいということを一つ。そして調査研究をきちんとすることをさらに要求させていただいております。この条文の中にそういったことを盛り込むことによって、まさに環境先進国と言われながら自然生態系保全については後進国中の後進国であると言われても仕方がない、そういう日本の状況から脱却するために、そういった施策を何としても環境庁として充実させていただきたい。
 今まで、公害国会以来この二十年間は余りにも公害防止ということに主力が置かれてきた。今はもうグローバルな単位で、確かに地球の周りのオゾン層が壊れたというのは、これは気候枠組み条約がそのためにできたことですが、同時に地球の上の生態系、そして生態系というのはそれぞれ地域によって固有のものですから、日本の生態系は日本の責任でありますし、世界に対しての責任を持ってもいいんですけれども、そういったことで私は環境庁が率先してそういう姿勢を示していただきたいと思います。
 日本政府としても、そういった生物多様性条約に対応して、生物多様性に関するこの条文に盛られたことの責任を果たしていく一環として、基本法の中にそういった機構や調査の充実の指針とそれから政策の手がかりをぜひ入れていただきたいと思いますが、環境庁長官お答えいただけますでしょうか。
#97
○政府委員(大西孝夫君) まず環境基本法の枠組みでございますが、確かに環境という中に自然の問題も公害防止の問題も含めた形で整理されております。その背景には、従来それぞれ公害対策あるいは自然環境保全対策という形で行われてきた対策についてさらに両者を統合する上位概念としてやはり環境基本法の中に位置づけようという発想がございまして、そういう意味で、自然環境も含めた大きい環境という中で表現できるものは環境という表現で統合して、共通の理念はそこに盛り込んできたという経緯がございます。
 そこで、その調査についてでございますが、基本法の枠組みでは、そういう大きな環境というものを対象といたしまして二十八条とか二十九条で調査の実施や監視の体制等の規定を置いております。そういう形の中で、そのどちらにウェートを置くという価値判断はこの基本法としてはしておりませんが、その調査を進めるまず大きな枠組みはできていると考えております。それを踏まえまして、自環法の方で受けました例えば緑の国勢調査等の調査の規定がございますし、私どもとしましては、生物多様性条約の批准という行為を経まして今後国内で条約の実施を行う責務を負うわけでありますので、これは法の枠組みの問題という以上に、具体的に行う私どもの個々の行政事務の中身の問題としてその充実を図る方向で対応することでいいのではないかと思っております。
 ただ、何度も御指摘がありましたように、今までの調査で十分多様性の現状を把握しているかということになりますと、そこは私どもなお努力しなければならない要素があると考えておるわけでございまして、そういう意味で、この環境基本法の枠組みと多様性条約の批准という事態を踏まえた、そういう新しい舞台の上に立った調査体制のあり方というものを新しい背景の前で考えていかなきゃならぬと思っておりまして、そのための手立てについては今後私どもの大きな課題だと思っておるわけでございます。
#98
○国務大臣(林大幹君) ただいま堂本先生の御質問は、特に生物多様性条約の批准が行われたその直後でございますので、先生から率直な御質問を受けたわけでありますけれども、今まで我が国においては、ただいま局長が答弁いたしましたように、この種のことにつきましては自環法を基本にしてやっておりました。
 この中で、自然環境保全法そのものでは、例えば生物の多様性の確保あるいはまた人間と自然との豊かな触れ合いといったようなところまで確保するについては必ずしも施策の指針としては十分でなかったということが指摘されてもおりましたので、今回の基本法の制定に当たりましては、この点を踏まえまして、生態系の保全あるいは従来の対策で必ずしも十分でなかったと思われる点を改めまして、その重要性をこの法案に盛り込んでおるというように私どもは理解しております。
#99
○堂本暁子君 とかく翻訳がないという原因もございますが、やはり自環法は生態系を調べることが目的でございました。ですから、生物種の調査ということは目的になっていないということが一つ今指摘されたように不十分だった点かと思いますが、やはり今言葉の原因もございまして、トキだとかパンダだけが生物多様性の対象と思われがちなんですけれども、やはりヨーロッパ、アメリカそれから北欧なんかでも、今持続性という言葉と同じくらいにバイオダイバーシティーという言葉は環境のキーワードになりつつございます。
 先ほどからるる申し上げているように、地球の上の生物がなくなったら人類もそこで住んでいかれなくなるんだ、生物と自然界の中の一部、釈迦に説法かもしれませんが、生物としての人間が自然の一部であるということの理念が今見直されてきている。だものですから、そのことをるる目的のところでも、私は、この目的の書き方は不十分なのではないかという指摘をさせていただいたわけです。具体的な政策といたしましても、野生生物を保護すればそれでいいんだというレベルでとかく受け取られがちなのが日本国内の特殊事情で、大変そこに危惧を抱いております。やはりエコシステムなり、もっと広く、自然とまでは申しませんが、自然そのものに近いニュアンスでバイオダイバーシティーという言葉が使われているということをぜひ御認識いただいて、長官としても積極的にこの点での政策を進めていただきたいというふうに思います。
 法律の中ではという御指摘もございますが、非常にそこのところがないがしろに今まで二十年間されてきた、これからも下手するとないがしろにされかねない要素なので、どんなに言われましても、孫子の代にもうツルもいなければそして秋の七草は秋の五草になり四草になっていくという現状が今あるわけでございますから、それは私ども政治の場にある人間の現代の責任の一つだというふうに思っておりますので、その点はぜひ、修正という形というか追加という形になるんでしょうか、お入れいただけたら大変いいと思います。現実に今非常に積極的な行政での対応の御答弁をいただいたので、あらゆる面で対応していただきたいと思います。
 例えば、これは外務委員会でも質問したことですけれども、昆虫の標本その他も、スミソニアンですとか大英博物館に流出していて、そもそも日本に国立のそういった標本をきちんと置いておくようなところが青い。そういうのがないからもう遺伝子資源というような形でフォローするときには非常に不便だという現状もございます。それから今の環境研究所、元の公害研究所ですけれども、そこに三百人のスタッフがいらっしゃるけれども九割方は公害関係のスタッフだということで、何をとりましても、結局、自然環境に対しての施策は弱いわけです。
 今そのことで、最初に環境の保全ということに公害と自然をくるんでしまった、それは一つ次元が上がったことではなくて、むしろあいまいになってしまったことだというふうに私は感じますし、この基本法案を読みますときに、どうもそこのところの条文が揺れる。揺れると申しますか、ここでは何を言っているんだろうか、こっちはどっちが中心なんだろうか。それで、私たち表を持っているんですけれども、一々ここのところは公害対策基本法からとっている、ここはどっちからとっている、これは両方からこういう理念をとっている、ここは新しいんだという、そういう面倒くさい読み方をしないと、つくった方と違って実際に第三者は非常に読みにくい法律になっているとしか言いようがないんです。やはり公害という言葉もきちんと公害として位置づけること、それから自然環境は自然環境としてきちんと位置づけながら環境の保全というものを位置づけていかないと、この基本法というのは非常に読みにくいということを申し上げなければならないというふうに思います。
 今申し上げた研究者の問題ですとかそれから標本の問題は行政の中で対応していただきたいと思いますので、また基本法案の中に戻ります。ここに一つ、基本的なことで確認させていただきたいことで、「体系的に保全される」というふうな文言があるんですけれども、何項目でしたかしら、体系的ということの体系はどういう体系なのか、生態学的な体系なのか、それとももっと違った意味の体系なのか、お答えいただきたいと思います。
#100
○政府委員(大西孝夫君) 私どもの理解といたしましては、まず、今先生がお触れになったのは修正後の十四条二号かと思いますが、「森林、農地、水辺地等における多様な自然環境が地域の自然的社会的条件に応じて体系的に保全される」、その体系の意味だと思いますが、基本的には二つの意味を含んでいるというふうに私は受け取っております。
 一つは、そういう自然環境をトータルでとらえて保存を図るという意味で、体系というのを自然環境を包括的に含む概念、何といいますか、個体別といいますか断片的という意味ではなくて、自
然環境全般を含む意味での自然環境を保全するという意味と、もう一つは、その自然も多様でありまして、人手の入らない原生的自然から、人が常に出入りをしている里山のような自然、さらには人間が活動に用いて、いる人工の自然、例えば農地、森林のような場合、そういうもののいろんな自然の状況が、自然的な条件、社会的条件に応じつつシステマチックに、そういう自然が全体として、いろんなその利用途に応じた自然が体系的に保全されるという意味で、二つの意味を持った体系というふうに私は理解したいと思っているわけでございます。
#101
○堂本暁子君 次に参りますが、今おっしゃった、森林、農地、水辺というようなことが書いてありますけれども、ラムサール条約の締約国会議が釧路で開かれますが、ここには当然湿地を入れるべきではないかと思いますが、いかがですか。
#102
○政府委員(大西孝夫君) ラムサール条約もありますから湿地という用語をあるいは用いるというのも一つの考え方かもしれませんが、ここは水辺地という考え方の中にそういうものを含むという整理でこの法律用語を特定をさせていただいたということでございます。
 ラムサール条約に言う湿地とここで言う水辺地というのは、必ずしも一致しない面があります。特に、例えば人工ダムとか人工的にできた水域でもラムサール条約は湿地とみなして保護をしようという考え方がありますが、ここは自然的状況における湿地という意味で、若干狭い意味の湿地になろうかと思いますが、水辺地にそれは含まれるというふうに理解をいたしております。
#103
○堂本暁子君 私自身は、例えば川ですとか湖とかいろいろございますけれども、湿地は、あえてラムサール条約があるように、非常に重要な多様性、それこそ生物の多様性、それから渡り鳥の生息地、それからもういろんな意味で本当に、自然の宝庫だと思うんですね。やはり湿地を例示してないということに大変物足りなさを感じているということ、不満であるということを指摘させていただきたいと思います。
 次に十五条に移りますが、これは何度でも私はしつこく言いたいことなんですけれども、環境基本計画、これはそうすると公害防止のための計画なのか、自然環境のための計画なのか、まずわからない。そうすると、その先に行って公害防止計画というのが出てくるわけです。
 これは、もとはと言えば自然環境保全基本方針がこちらへ移されたような形で、この基本法の作成過程ではそういうことだったんだろうと思いますけれども、やはりここで環境基本計画ということしか書いてなくて、これが一体、自然に関してのものかどうなのかということについては全然わからない。ですから、きちんと自然環境に対しての基本計画を、まさに生物多様性条約で批准したものに対して対応してつくるのであれば、ここには当然自然という言葉が入ってこなければいけないのに、その言葉が使われていない。これはやはり、言葉の使い方に対して大変不満がございます。どういう形でこれを策定される予定なのか、それをお知らせいただきたい。
#104
○政府委員(八木橋惇夫君) この環境基本計画が対象とする環境の範囲につきましては、先生御指摘になりました自然環境に関するもの、また公害等人の生活環境を脅かすものに対する問題、さらには地球環境問題ということで、日常の生活活動から出てくる問題、廃棄物も当然その中に含まれますが、そういった、私どもが今環境問題として解決しなければならないものすべてを含むということでございます。
 したがって、先生がただいま御指摘になりました自然環境に関する問題は、当然この中に含まれるものではございますが、それに限定されるわけではございません。
#105
○堂本暁子君 といたしますれば、当然そういった含まれるものを例示していただくという方が親切かと思います。わからないと思います。
 第二次案ですけれども、第二次案の第七項に、「環境基本計画以外の国の計画であって環境の保全に関する事項を定めるものは、その事項に関しては、環境基本計画と調和が保たれたものでなければならない。」とございました。この考え方は、今回提示されている基本法案には含まれているでしょうか。
#106
○政府委員(八木橋惇夫君) その思想は当然含まれておるわけでございまして、なぜそういう規定が入っておらないのかと、逆の質問だろうと存じますが、この環境基本計画は政府の環境に関するまさに基本となる計画でございまして、環境保全についてはすべてこの環境基本計画をその基本的な方向として、政府の環境に関する施策がすべてこれをもとにして今後行われていくということでございます。そして、その手続というものは閣議決定ということで、関係省庁がすべてこれに参画してこの基本計画をつくるということでございます。
 したがって、そういう手続を経ることによって、そういうことがすべて確保されていくということから、あえて置く必要がないということになったわけでございます。
#107
○堂本暁子君 私は今の局長の御答弁を伺いまして、そうであるとすればこれは落とすべきではなかったのだと、ぜひ入れていただきたかったと思いますが、これも意見でしかないかもしれませんが、ぜひ入れていただきたかったというふうに思います。
 あと五分しかないので前に戻りまして、私、けさ、あえて一つ、軍事的なことが含まれますかということを公害の定義のところで伺ったんですけれども、八条に戻らせていただきます。
 「事業者の責務」のところです。「事業者は、基本理念にのっとり、その事業活動を行うに当たっては、」とございますが、ここは公害の定義のところと違いまして、「事業活動その他の人の活動」というふうになっておりません。これはどうしてなんでしようか。
#108
○政府委員(八木橋惇夫君) この第八条につきましては、事業者の責務としてとらえたからそこに事業者をまとめて書いたわけでございまして、それ以外の国民なり国の責務ということになりますと六条、七条、それから九条ということになっていくわけでございます。
#109
○堂本暁子君 公害対策基本法の解説書の中の事業者の責務のところによりますと、事業者には自衛隊などは含まれていないということが明記してございます。
 そういたしますと、自衛隊に限らないんですが、なぜこういうことをあえて伺うかといいますと、逗子の池子なんかにいたしましても駐留米軍の問題、それから飛行場、米軍基地の問題、それから日本の自衛隊にしてもそうですけれども、そういったいわゆる軍事的な領域から出てくるさまざまな公害がございます。自然破壊、騒音、それからごみの問題も今横須賀で出ていますけれども、それは一体どこで保障されるんでしょうか。
#110
○政府委員(八木橋惇夫君) 自衛隊等につきましては、国の機関でございますから、これは国の責務という、また、国が事業者として行動する場合には事業者という概念に入るわけでございますが、逆に今度は基地として提供しているような場合でございます。
 これはそれぞれ個別法によってまた規律される点が異なってくる場合がございますが、しかし、基本的には国が国の責務として、例えば防衛施設なら防衛施設を維持するという視点におきましては国の責務としてそれはやはり環境保全上の責務がかかってくるというぐあいに御理解いただきたいと思います。
#111
○堂本暁子君 そういたしますと、具体的にいろんな問題があります。横須賀の有害廃棄物の投棄の問題もございますし、それから逗子の池子の問題もございますが、こういったものについてすべて国は責任をお持ちになるんでしょうか。
#112
○政府委員(八木橋惇夫君) 在日米軍に関する問題でございますが、これは条約上の地位に基づいて、そこにおける法的関係を一応日本の国外とみなすような規定がたしかあったかと存じます。ただ、それを提供する今度は日本の側の責務として、国がこういった環境基本法の対象としての責務としてかかわるところによって、その局面において対策が講じられていく、こう御理解いただきたいと思います。
#113
○堂本暁子君 最後に、環境の保全について最も大事なことは、やはり環境行政の強化だと思いますし、それから情報の公開でございましょう。そして、私がるる申し上げているような自然環境が非常に強調される必要があるということがございます。
 そういったことを、私たち野党で修正のお願いをしておりまして、そういう形でよりよい法案につくり上げていくことができたらというふうに、まだこれから審議も続きますし、公聴会もございますし、そういった中で、これから恐らく何十年と私たちの環境の指針になっていくこの基本法をよりよいものにしていかなければいけないのではないかというふうに考えます。そう思えば思うほど、最初に大変憤って私が申し上げましたように、霞が関文学に終始してしまったことが残念です。そして、環境の保全などの言葉も、公害とかそれから自然とかというごく日常的に使われている言葉になっていない。
 それから、環境への負荷というような、もっと単純に、大量消費型社会からの脱却とか、環境保全型社会への転換とか、白書の中にはたくさん使っていらっしゃる言葉がこの基本法には入ってこなかったというところに、何か国民から大変遠い基本法に感じてしまうんですが、もっと市民に近い基本法にしてほしかったというのが意見です。
 きょう本岡議員も、どうしてNGOをもっと積極的に参画させないのかということをおっしゃっていらっしゃいましたが、私も、環境は絶対上意下達ではできない、やはり市民の一人一人の熱意と、そして国がむしろそれを大事にしていくという姿勢を持って初めてできることだと思いますし、基本法はそのような運営の仕方をしていくためのものではないかという考え方を述べさせていただいて、終わります。
 どうもありがとうございました。
#114
○大脇雅子君 前回は、公害問題を生み出した過去の産業政策や経済政策の反省に立って、今まさに環境の保全ということをベースにいたしましてこれよりの政策を行わなければいけないという歴史のターニングポイントに立っているということの点を踏まえまして質問をいたしました。
 環境基本法案というのは、今堂本議員も指摘されましたように、非常に抽象的な規定でできておりまして、これまでの環境汚染、自然破壊というものを発生させた政策、過去の政策の反省を今後の施策にどのように反映させていくのかという点が明らかになっておりません。
 そこで、環境庁長官にお尋ねをいたしたいのですが、公害問題を生み出した過去の政策の反省を今後の政策にどのように反映させていくのか、あるいは過去の行動様式に対する反省がこの基本法案にどのように盛り込まれているかという点についてお尋ねをさせていただきたいと思います。
#115
○国務大臣(林大幹君) 大脇先生にお答えいたします。
 公害問題を生み出した過去の政策の反省、それを通じて今後どのような政策に反映するのか、こういう御質問の趣旨だと理解いたします。
 先生も御案内でございますけれども、我が国はかつては激甚な公害を経験いたしまして、その深い反省から環境庁が設置されたわけでございます。したがいまして、環境庁は、その設置の当初の目的からしまして、我が国の環境行政の中枢として、政府を挙げての公害問題に対する積極的な取り組みを行ってまいりまして、国民あるいは経済界などと一体となってその克服に努めてきたところでございますが、その限りにおきましては一定の成果もある意味においてはありましたし、またまだまだ足りない点もございます。しかし、今日におきましては、今先生方に御審議を賜っております基本法案でも指摘いたしておりますとおり、公害の形態が都市・生活型公害と言われるような形に変わってまいりまして、その範囲も一地域に限定せずに地球規模というような形の環境問題に取り組まなければならない、そのような状態になってきておりますことも先生の御案内のとおりでございます。
 このような面に直面いたしまして、私は、過去の公害に対する取り組みの経験を未来への教訓として生かしながら、環境基本法に示されました理念を踏まえて、環境行政の新たな展開に一層積極的に取り組んでまいりたい、そのように考えております。
#116
○大脇雅子君 先ほど本岡議員が質問されました環境監査について、少し続けて質問をさせていただきたいと思います。
 環境への負荷の少ない経済社会、それを実現するためには、個人のライフスタイルを見直すということが今しきりに言われておりますが、企業の取り組み、あるいは企業の中に公害防止から環境監査へという仕組みを埋め込んでいくシステムが取り入れられるということがより大切だと思います。現在、国際的にはEC初め世界各国で環境監査への取り組みがなされていると聞いておりますが、具体的に国際的にはどのようなシステムが開発されつつあるか、お尋ねをいたしたいと思います。
#117
○政府委員(八木橋惇夫君) 先生御指摘のように、近年世界的な環境問題に対する関心の高まりを受けまして、企業が自主的に経営の中に環境配慮を組み込むという考え方が国際的な潮流となっているというぐあいに言っても差し支えないのではないかと思うわけでございます。
 特に、一九九一年四月に開催されました環境管理に関する第二回世界産業会議というのがございまして、そこにおきましては、最良の経営とは環境重視の経営であるという考え方をとりまして、その考え方のもとに企業の環境管理に関する十六の原則が採択されまして、我が国を含め世界各国の産業界に大きな影響を与えたところでございます。また、こういった企業の自主的な取り組みを促進するための制度化の動きも進みつつございまして、一つは一九九二年三月にイギリスで、企業組織内における環境管理手続、環境管理システムについての標準というものを示す、環境管理システムに関する英国規格というものが定められておりますし、また、ことしの三月にはECにおきまして、自主的参加に基づくエコマネジメントと監査スキームに関するEC規則というものが定められているところでございます。
 さらに現在、国際的に環境管理システムに関する標準化の問題、また環境管理に関する監査の方法に関する標準化の動きが進んでいるというぐあいに私ども承知しているところでございます。
#118
○大脇雅子君 例えばEC規則によりますと、いわゆる環境監査における自主監査項目といったものはどのようなものがあるのでしょうか。
#119
○説明員(今井康夫君) お答え申し上げます。
 ECの環境監査制度におきましては、環境監査項目といたしまして、環境の管理に係る企業活動、エネルギーの管理節約など、原材料の管理、廃棄物、リサイクル、再利用、その他騒音の評価とか生産プロセスの変更などなど、非常に細部にわたって規定しております。
#120
○大脇雅子君 そういった環境監査項目をいわば外部に情報公開をするというシステムが開発されているはずですが、それはどのような形で公開をされているんでしようか。
#121
○説明員(今井康夫君) ECの環境管理監査スキームにおきましては、企業が監査人を置きまして、通常今申し述べましたような項目について監査をするわけでございますが、それを別途、公認環境認証人と訳しておりますけれども、外部的な機関でございますが、これがそれを認証するということになっておりまして、その際企業は環境に関する声明書、ステートメントというものをその公認環境認証人に提示をし、そこで確認をしてもらうということになっております。
#122
○大脇雅子君 先ほど環境庁の局長のお答えでは、環境監査というのは企業が任意に行うもので、いわゆる自主的、積極的な動機を尊重していく、いわば外部監査を導入するということは企業に過重な負担を課すという趣旨の御答弁がありましたが、しかし単なる自主的な努力というものに任せていても私は実が上がらないのではないかと思います。
 例えばEC規則などを参考にいたしまして、その標準化づくりといったようなものは日本で検討をされているのでしょうか。あるいは過重な負担を課すというふうに言われました趣旨というのはどこにあるのでしようか。
#123
○政府委員(八木橋惇夫君) 私、先ほど本岡先生の御質問に対しまして、この環境監査というものは、企業がみずからの企業活動を環境に優しいものになっているかどうかという点検をしていくという自主的、積極的な活動としてそもそも出発しており、そういった動機は大切にし、また適切に評価しなければならないであろうということを申し上げたわけでございます。そこで、企業が対外的にその取り組みというものを外部に理解してもらうためには、やはりその情報が信頼性を持っているというようなことも必要であろうし、また外部の人にそれがわかるような仕組みも必要だろうというようなことも申し上げました。
 それから、今先生が御指摘になりましたのは、外部による監査制度を導入してはということに対する私の答弁で、そういうことが企業にとって過重な負担になってかえって自主的、積極的な取り組みを阻害するようなことになってはいかぬ、その辺もよく考えていく必要があるということと、もう一つは、そういった専門家が我が国にいるかどうかということも踏まえてこういうことは検討していく必要があるだろうと、こういうことを申し上げたわけでございます。
 しかし、結論といたしましては、国際的にも外部機関による監査ということは議論されているところでもあるし、そういったような議論を踏まえながら、同時に、私どもといたしましては、日本に適切な方法は一体どういうことなのかという視点からこの問題については検討していく必要があるということを申し上げたわけでして、私どもは決して、それじゃ環境当局なり何なりがそれに無関心であるということではございませんし、また自主的にやってい生はそれで済むということであるというぐあいに考えているわけでもございません。
 そういったような取り組みが推進されるような支援の仕組みというんですか、そういう動機づけというものは当然考えていかなければならないと思いますし、そういう意味で、環境監査に対する標準化というようなものも例えば通産省さんにおいても御勉強なさっているというようなことも、そういった一つの取り組みであるというぐあいに私は理解しているところでございます。
#124
○大脇雅子君 通産省の方はその点についてどのような作業をしておいででしようか。
#125
○説明員(今井康夫君) 通産省といたしましても、やはり企業がこれから環境問題に積極的に取り組んでいく、規制措置に対応するということでなくて企業活動の中に環境の配慮を組み込んでいくということが非常に重要でありまして、この環境監査という考え方も、これを担保していくための一つの考え方だというふうに考えております。
 その観点から、昨年の十月には、通産省所管の八十七団体に対しましてボランタリープランというのを作成していただくように要請いたしました。これは、それぞれの企業が環境配慮を、従来の環境典型七公害だけではなく、今後直面します地球環境問題、廃棄物問題などについても取り組んでいっていただくようにお願いしたわけでございますが、その際も環境につきましての企業の内部監査ということの充実ということを要請したところでございます。
 それから、今企画調整局長からお話ありましたように、現在、国際標準化機構、ISOというところでございますが、この場におきまして国際的に整合性がとれた環境監査の規格をつくろうということ、手続でございますとか環境監査のやり方の問題につきましての検討が進められたところでございます。その検討に私どもとしても積極的に参加をいたしまして取り組んでまいりたい、このように思っております。
#126
○大脇雅子君 内部監査に関するシステムの導入ということが進捗しつつあるということはよくわかりましたけれども、それをいわば環境報告書にまとめて、その報告書が適正に公表されていくということで初めて公正さが担保されるのではないかと思うわけです。確かに専門家は育っていないと思いますけれども、しかし専門家を育てていくという姿勢が私は大切だと思います。
 そういった中で、環境報告書を企業から提出させて、それを第三者が検証するシステムとして、私は、外部監査の方法については、一つとしては例えば地方公共団体というものの役割をそれに付加していくということがいかがかと思うわけです。例えば、公害防止協定などを通じまして市民や企業や地方自治体の連携の実績がございますし、企業にとってもその地域社会とともに共生するという考え方が漸次浸透してきております。
 環境監査の導入普及に当たっては、そのような実績を踏まえまして、地方自治体の役割を充実して、地域社会に根差した制度としてこの環境監査制度というものを定着させていくということが、日本の社会に非常になじんでいくのではないかというように考えるわけです。例えば地方自治体に環境監査条例などをつくらせていく、そしてそれを国が環境基本計画の中にしっかり盛り込んで統合していくということが私は将来的にいかがかというふうに考えたりいたしますが、そういうことに対しまして環境庁と通産省のお答えをいただきたいと思います。
#127
○政府委員(八木橋惇夫君) まず、先生が先ほど来御指摘になります環境監査の問題でございます。
 これは、企業が自主的にやる取り組みへの支援を政府はしていかなければならぬと既にあるわけでございまして、そういう意味では、この基本法案におきましては、私どもは政府の取り組みにつきましては、これは第二十六条における事業者等に対する支援の措置というぐあいに私どもは考えているわけでございます。そこで、先生の御提言は、こういう環境監査というものを日本に根づかせる場合に地方公共団体の役割を重視したらいかがかと、こういう御提言であろうかと存じます。
 おっしゃるように、我が国におきまして地方公共団体は、従来からこの環境問題に対してはかなり大きい役割を果たしてきたわけでございます。環境監査の導入方策につきましても、国際的な議論の動向を見ながら我が国にどういったような方策が適するのかということを検討しながら、この環境監査の導入策における地方公共団体の役割について検討していかなければならないというぐあいに考えるわけでございまして、先生が御提言になりましたEC規則に類似した外部の専門家による環境報告書の検証制度を導入する場合に、そういった専門家を地方公共団体の中に育てるというのも確かに一つのアイデアであるというぐあいに私ども考えておるわけでございます。
 しかし、この問題につきましては、外部の専門家による報告書の検証制度を取り入れるかどうかということにつきましては、私先ほど申し上げましたようなことを十分検討した上で、この問題については取り組んでいく必要があるというぐあいに考えているところでございます。
#128
○説明員(今井康夫君) 環境監査につきましては、先ほども御説明申し上げましたように、国などが国際的に整合性のとれたスキーム、仕組みをつくって、企業がそれを利用して参加をしまして、その企業が立派な企業であるということを対外的に表明できる、そういう場所を設定するというふうに考えられるわけでございます。その意味から申し上げますと、いろんなことで、環境監査の対象の問題それから声明書の問題、そういう問題について国際的に議論をしていく中で、やはりたくさんの企業が使うと言って使って、そういうものを取り入れていくということも非常に重要なことかと思っておりまして、この後国際的な議論の中で検討していきたいというふうに思っております。
 また、先生御指摘の地方自治体の問題、これも国際的な議論の中で、国際的な整合性というのはこういう制度にとっては極めて大事なポイントでございますので、国際的な整合性という観点から議論をしてまいりたいというふうに思っております。
#129
○大脇雅子君 日本社会党は、今国会に開発事業に対するアセスメント制度の法案を提案いたしました。そして企業のいわば環境リスクを少なくしていく形によって、情報公開というシステムでいわば社会的な責任としての存在を証明していくということがさらに大切だという視点に立ちまして、我が国に適した形で環境監査制度というものが一日も早く導入されることを期待するものであります。
 次の質問に移らせていただきます。第十九条は、環境基本法案におきまして、いわば国の施策というものは環境の保全を基礎として行わなければならないという旨を規定しております。これは配慮するという言葉で書かれておりまして、いわば必要な措置を講ずるというような趣旨にはなっておりませんが、この十九条の趣旨というものは、そしてこの配慮するという趣旨というのはどういうふうに解釈したらよろしいんでしょうか。
#130
○政府委員(八木橋惇夫君) 申すまでもなく、国の政策は社会経済活動全般を対象として展開されているわけでございますので、国の施策に伴って生ずる環境への影響も広範多岐にわたっておるわけでございます。第十九条は、こういった国の政策に関しまして、環境に影響を及ぼすと認められる施策の策定、実施に当たっては、環境の保全について配慮すべきことを定めたものでございまして、国に環境配慮義務を課している規定でございます。したがって、本来の政策が環境にかかわる事項ではないものを遂行する場合においても環境に対する配慮をしなければならないという義務を課している規定でございます。
#131
○大脇雅子君 日本弁護士連合会の環境基本法による声明によりますと、「環境基本計画に関する規定は盛り込まれたが、これが他の開発計画等に優先するものであることについて明確な規定がない。」という批判を出しているわけであります。
 そこで経済企画庁にまずお尋ねをいたしたいんですが、長期経済計画の法的な根拠は経済企画庁設置法であるということでございまして、長期経済計画というのは経済全体に関する計画である、それで環境の保全を含むという趣旨の御答弁をいただきました。先回は環境基本計画のいわば要素として考慮するというような御趣旨だったと思いますが、言ってみれば、十九条の趣旨が環境配慮義務を国の施策のすべてにわたって規定しているということになりますと、まさに環境保全をべースにいたしまして、それを基礎として長期経済計画等計画を立てなければならないという趣旨に解釈することが正しい解釈だと思いますが、いかがでございましょうか。
#132
○説明員(久米重治君) 長期経済計画は、御存じのように、経済社会全般にわたる各種の政策を総合的かつ整合的に位置づけたものでございます。今回の環境基本法第十九条との関係におきましては、長期経済計画で示される各種の施策のうち環境に影響を及ぼすと認められるものにつきましては、この環境基本法第十九条に基づき環境の保全について配慮されることになることは当然と考えております。
#133
○大脇雅子君 そういたしますと、環境に影響するいわば長期経済計画については、すべてについて環境基本計画をベースにして長期経済計画が策定されなければならないというふうに理解してよろしゅうございますか。
#134
○説明員(久米重治君) 長期経済計画は、繰り返しになりますが、各時代の経済社会全般にわたる目標と課題に対応いたしまして、財政金融政策、対外経済政策、産業政策、労働政策、国土政策、環境政策等、各般にわたる我が国の経済社会に関する諸施策を総合的かつ整合的に位置づけたものでございます。この長期経済計画というものは政府全体の計画として策定されますので、関係省庁との十分な協議を経た上で閣議決定される趣旨のものでございます。
 したがいまして、今後の長期経済計画の策定に当たっては、環境基本法、特にこの十九条の趣旨に沿って環境の保全について十分な配慮がなされますと同時に、計画を策定する際は各種の政府の計画を十分尊重すべきものであり、環境保全に関する施策については環境庁を初めとする関係省庁と十分な協議を行うことになりますので、その内容は環境基本計画の基本的な方向に沿ったものになることが担保されておるものと考えております。
#135
○大脇雅子君 そういたしますと、くどいようですが、すべての経済企画庁の行われる計画については、環境に関する限り環境基本計画を基礎とするというふうに伺ってよろしいでしようか。
#136
○説明員(久米重治君) 先ほど申しましたように、その内容は環境基本計画の基本的な方向に沿ったものになるというふうに考えております。
#137
○大脇雅子君 そういたしますと、国土庁に次に伺いたいと思いますが、環境基本法の基本理念ということを実現するため、国土庁は、国土開発法に関してもその理念を盛り込んで、すべての活動について経済企画庁と共通認識に立って作業を進めるかどうかという点について伺いたいと思います。
#138
○説明員(関和弘君) 国土政策は非常に環境政策と密接な関係を有することは事実でございまして、国土計画、特に全国総合開発計画につきましては、従来から環境の保全あるいは積極的に環境の創造というようなものを主要な計画課題として位置づけ、これまで十分環境に配慮してきたところでございます。例えば、現在、昭和六十二年に策定されました四全総、第四次全国総合開発計画という計画のもとにございますが、その四全総におきましても、自然のシステムを構成する緑や水あるいは大気、あるいは長い歴史と風土にはぐくまれた歴史的環境などを、人間活動と良好な生活環境を支える重要な要素というふうに認識しまして、自然環境の保全と触れ合いの増進、あるいは公害の防止、快適環境の形成などを提唱しているところでございます。
 さらに、現在この四全総につきまして、策定後五年有余を経過したということで、環境も含めました国土の状況変化を踏まえまして、総合的な点検というのを今年いっぱいをめどに作業をしているところでございますが、ここで人と自然とのかかわりというのを軸にしまして専門的に調査、審議を進めているところでございます。
 国土庁といたしましては、いずれにしましても、このような国土総合開発法に基づく全国総合開発計画、具体の計画の策定、推進に当たりましては、環境の保全について十分留意してまいりたいと思っております。
#139
○大脇雅子君 そういたしますと、経済企画庁の企画あるいは国土庁の企画も環境基本計画の基本的な方向に沿ったものである、したがって十九条の趣旨はまさにそこにあって、その法的根拠になるという点で二庁の共通認識があるというふうに私は理解させていただきました。
 環境庁にお聞きいたしたいと思いますが、環境基本計画というものは閣議決定により策定されるものであるということでございますが、他の長期経済計画や全国総合開発計画について、その策定について環境庁はどのような態度で臨まれるのか、お聞きしたいと思います。
#140
○政府委員(八木橋惇夫君) この点につきましては、ただいま国土庁、経済企画庁からも御説明があったところでございます。
 環境基本計画は、この基本法の第十五条第一項の規定によりましてこの環境基本計画が環境の保全に関する基本的な計画とされていること、またさらに、この三項の規定によりまして政府全体の計画として閣議で決定されるということになっているということから、長期経済計画、全国総合開発計画を含む国の他の計画は環境の保全に関しましては環境基本計画の基本的な方向に沿ったものになるということが、手続的にも、また規定の上からおきましても、そういうことになっているというぐあいに私は考えております。
#141
○大脇雅子君 そういたしますと、環境基本計画が策定された暁におきましては、国土庁と経済企画庁、さらに通産省の産業経済政策というものは作成された環境基本計画の基本的な方向に沿って見直されるのかどうかということについてお尋ねをいたします。
#142
○説明員(久米重治君) 先生おっしゃっているとおりでございまして、今後は、今後策定されます長期経済計画において環境保全に関する観点を十分尊重した計画が策定されるものと考えております。
#143
○説明員(関和弘君) ただいま申しましたように、第四次全国総合開発計画については既に現在その総合的な点検中でございます。もちろん全総計画の策定、推進に当たりましては、先ほど申したように、環境保全に関しては環境基本計画の基本的方向に沿ったものとするという考え方で見直しておるということでございます。
 なお、計画全体の見直し自体は、そのほかの要因も含めまして総合的点検が今年末を目途にまとまる、その段階でどうしょうかということを考えるということでございます。
#144
○説明員(今井康夫君) 産業政策につきましても、従来より環境問題を重要な課題として対応してまいっておりますけれども、環境基本法及びこの基本法のもとに策定されます環境基本計画、こういうものと整合性のとれた、それに沿ったものとなっていくというふうに考えております。
#145
○大脇雅子君 国土庁と通産省に関しては前向きの御答弁をいただきましたが、経済企画庁については、将来の計画についての御見解はありましたけれども、現行計画に対する見直しについては明確な御答弁がなかったと思いますが、その点はいかがでしょうか。
#146
○説明員(久米重治君) 私ども昨年策定いたしました生活大国五カ年計画の中におきましては、環境保全に対する配慮を十分いたしておりまして、特に地球環境問題への解決に向けまして、環境と調和した内需主導型の経済構造を定着させるという前提で、これまでの生産、消費活動、企業行動、国民のライフスタイル、都市地域構造等、我が国の経済社会のあり方を資源エネルギーの有効利用や環境保全の観点から幅広く見直し、環境と調和した持続可能な経済社会の構築を図るということでございまして、昨年既にUNCED等の状況も踏まえまして、十分環境に配慮した計画が策定されているというふうに考えております。
#147
○大脇雅子君 確かに経済企画庁の生活大国五カ年計画におきましては環境保全に関して大きなページが割かれて書かれておることは承知しておりますが、なおかつ、環境基本計画が策定されて、末端においてそういった理念あるいは施策が必ずしも一致するとは私は思えないところもございますので、やはり環境基本計画の基本的な方向に沿ったものとして再度の御検討をお願いをしたいと思っております。そういう作業をぜひしていただきたいと思います。
 環境基本計画の策定に当たっての住民の意見の反映にっきましてお尋ねをいたしたいんですが、環境基本計画というのは住民の意見をどのように聞かれるのか、その手法についてお尋ねをしたいと思います。
#148
○政府委員(八木橋惇夫君) 環境基本計画の策定に当たりましては、この法案にございますように、環境の保全に関し学識経験がある者により構成される中央環境審議会の意見を聞くこととしているわけでございます。中央環境審議会における審議、運営を通じまして各界各層の意見は幅広く反映されることになるというぐあいに私どもは考えております。
#149
○大脇雅子君 中央環境審議会の意見を聞くというのは、これは従来のいかなる場合でもあるわけですけれども、アジェンダ21でいろいろとNGOの役割ということをさまざまな委員が主張しておりますけれども、いわばNGOの意見をどのように反映させていくかということが重要であろうかと思いますが、その点どうでしょうか。
#150
○政府委員(八木橋惇夫君) 確かに先生おっしゃるように、国民各界各層の意見というものが審議会の審議に反映されるような格好にならなければならぬというのは、これは御指摘のとおりだと思います。そういう意味におきまして、内閣総理大臣が任命いたしますこの審議会の構成におきまして、各界各層の意見が幅広く反映できるような構成をお願いするということが一つございます。
 そのほかに、これも何度がお答えしたことでございますが、中央環境審議会の運営そのものにつきましても、これは審議会において御判断をしていただかなければならぬ事項ではございますが、国民各界各層の意見が反映できるように、例えばこの基本法を審議する際にとっていただきましたような、各界各層の御意見をこの審議会でヒアリングしていただくとか、またいろんな意見を文書でお出しいただき、それを審議のときに参考にしていただくというような方法をとる等、いろんな工夫をしていくということをお願いし、またしていただくということを考えていく必要があるというぐあいに考えております。
#151
○大脇雅子君 私は、これは環境庁だけではないんですけれども、さまざまの重要な事項が審議会の意見を聞いて定められるという法の仕組みに対して、いわば立法府の意見が中央審議会の意見よりも軽く扱われている、現実の仕組みにおいてですね。まさに立法府における我々の意見の統合されたものが例えば基本計画にもきっちり反映されていく、そして審議会においては具体的にきめの細かいところの意見はそこで集約されるというシステムが開発されなければいけないというふうに常々考えているものでありますけれども、環境基本計画に国民初め広く関係者の意見が反映できるように、その審議会の運営においても開かれた運営をしていただきたいという、そういう意見があったということを強くお伝えをいただきたいと思うものであります。
 それでは最後に、環境は一度破壊されるともとに戻ることはできない、そこで侵された人々の傘とその深い心の傷跡というものは回復しがたいものであるということを、十分に私どもは過去の反省として、すべてそういう人たちの痛覚をともにいたしまして、新しい環境行政の展開に向かって一歩を踏み出していくという決意を私は全員で明らかにしたいと思うわけです。
 そして、まさに環境庁がリーダーシップをとっていただくということを私は願うものでありますが、最後に長官の決意をお伺いいたしたいと思います。
#152
○国務大臣(林大幹君) 大脇先生の御質疑のとおりでございまして、私どもも先生と同じ趣旨でこの問題に取り組んでおります。
 特に、今日の環境問題は先生もかねがね御指摘されておりますように、一人一人の国民が環境を破壊する立場にも立ち得るし、またその環境をつくっていくのも保全していくのも一人一人の人間であるということを深く踏まえまして、私は国民的立場でこの問題に取り組まなきゃならない、そのような考え方を強く持つものでございます。
#153
○河本英典君 一九六七年に公害対策基本法が制定されまして二十五年、また一九七二年に自然環境保全法が制定されて二十年たったわけでございますけれども、この間、激甚な地域公害対策、すぐれた自然の保全対策につきましては、一定の成果が上がったものと私は大いに評価しているわけでございます。
 しかしながら、近年の地球環境問題の顕在化に象徴されますように、環境問題の質が二十年前とは大きく異なってきていることも事実でございます。私は、現代の環境問題に対応するためには、個別の問題に対症療法をもって接するのではなく、将来の世代のことを考えまして、社会経済活動のあり方自体にメスを入れることが必要であると思うところであります。
 まず、環境庁長官に対しまして、環境基本法において新しくどのような考え方が盛り込まれたかについてお伺いします。
#154
○国務大臣(林大幹君) 河本先生の御指摘のとおりでございます。
 環境庁が当時の公害対策に対応しなきゃならないということでスタートいたしましてから満二十年を超えるわけであります。二十年たった今日、先生御指摘のように、非常に環境行政のあり方が変わってきており、また変わらざるを得ないような情勢になってきております。それは、大都市におけるまず大気汚染、それからまた生活にかかわる生活排水の問題、そしてまたそれに伴う水質汚濁、あるいはまた、普通の日常の経済活動やライフスタイルに起因する環境への負荷の増大、このような環境問題への取り組みが痛切に求められておる、そのような時代に今日遭遇したわけでございます。そして、それと同時に、それらの生活の姿から生まれる、大気の状況を壊すいわゆる二酸化炭素のような問題から、地球温暖化などの地球環境問題の顕在化という新しい事態も迎えたわけであります。我が国におきましても、これらに対する対策に国際協力などの国際的な連携が非常に必要になってきているという、対応の姿がまた変わってきております。
 このように問題の一つ一つが二十年前とはまことに変わった形で我々の目の前にあらわれてきたわけでありますので、このような諸問題に適切に対応するために、今度の環境基本法案におきましても社会経済活動や国民の生活様式のあり方なども含めまして、社会全体を環境への負荷の少ない持続的発展が可能なものに変えていくという考え方を盛り込んで、今先生方の御審議をお願いしているところでございます。
#155
○河本英典君 次に、基本的なスタンスについてお伺いいたします。
 環境への負荷の少ない経済社会の構築という政策課題を新たに挙げられましたことは大変的を射たものであると評価いたします。しかしながら、経済社会のあり方を変えていくという大きな政策課題につきまして、政府はどのような考え方で臨んでおるのでありましょうか。経済社会に対する行政的関与の方法といたしましてさまざまなものが考えられるわけでありますが、経済社会に網をかぶせる計画経済がうまくいかないということはもう歴史が証明しているところでございます。
 また、不透明な行政指導を中心とする経済政策も、民間の自由公正な競争力をそぐことにつながるわけでございます。私は、環境への負荷の少ない経済社会の構築という政策課題の実現に当たって、自由主義経済を堅持しつつ、環境負荷の少ない方法で民間の健全な競争が生まれるような、必要最小限度のルールを設定するという方向が大切であるというふうに認識しておるところでございます。
 そこで、環境庁長官に対しまして、環境への負荷の少ない経済社会の構築という大きな課題につきまして、どのような基本的なお考えで施策を展開していくつもりであられるのかということについてお伺いいたします。
#156
○国務大臣(林大幹君) 自由主義経済を堅持しつつ環境負荷の少ない方向でいかに健全な競争を勝ち抜くか、こういう河本先生の御存念だろうと思います。私も同感でございます。
 特に、自由主義経済の場合には、やはり適正な競争原理というものがあるわけでありまして、そういう意味からいきましても、その適正さを欠いた場合にはこれは必ず環境破壊につながってくるということを私は絶えず警戒するわけでございます。したがいまして、環境と経済というものは、お互いに相対抗し合うものではなくて、それぞれの分を守りながら、環境を守り、そしてその中で適正な経済の発展が図られるという原則をまずいかに確立するかということがこれからの環境政策にとっては大事だろうと思っております。
 そこで、環境への負荷の少ない社会の形成をどうするのかということになりますと、基本法案の第四条では「環境の保全に関する行動がすべての者の公平な役割分担の下に」ということを言っております。つまり、この公平な役割分担ということがこれからの環境行政を進める上においては大変大事な項目ではないかと思っております。その下で自主的かつ積極的に行われるよう進めていくということがまず肝要であると基本法ではうたってございますし、そのような認識を持っておるものでございます。
 先生御指摘のように、環境負荷の少ない方向で民間の健全な競争が生まれるようなルールづくりを行いながら、自由主義経済の仕組みの中で自主的、積極的な環境保全への取り組みが促進されるよう、これは非常に難しい課題でございまするけれども、しかしこれを乗り越えることが私は環境政策を成功に導くことになろうと思いますので、このように努力していきたいと思っております。
#157
○河本英典君 長官のおっしゃるとおりでございます。私も議員をやらせていただく前は企業人としてやっておりまして、企業というのはややもすると悪であるというようなレッテルを張られながらいろいろなことが議論されるわけでございますけれども、やっておる人間も、悪い人間もおりますけれども、善良な人間もおるわけでございます。また日本の、東洋思想と申しますか、長官がいつもおっしゃる人と自然とのかかわりの中で、東洋思想を持ってこれからのそういった課題に企業人も取り組んでいくであろうという期待もしていただいていいんではないかというふうに思うわけでございます。
 そこで、率先垂範という言葉がございますけれども、環境への負荷の少ない行動に当たって政府もやはり率先垂範をせないかぬやないかという考え方があるわけでございます。環境への負荷の少ない経済社会の構築には、行政、今言いました企業、国民、すべてのものが力を合わせて取り組むことが必要であると考えるわけでございます。企業が事業活動のあり方を見直し、また国民の環境にやさしいライフスタイルヘの見直しも重要でありますけれども、行政自身も環境への大きな負荷を生み出しているということを考えますと、やはり率先してやっていただかないかぬということでございます。企業や国民に環境への負荷の少ない社会づくりを呼びかけるのであるならば、政府自身が再生資源を率先して利用するとか、極端でございますけれども電気自動車の導入を進めるとか、環境への負荷の少ない原材料や製品の利用を積極的に行っていくべきではないかというふうに考えるわけでございます。
 政府が率先垂範して環境への負荷の少ない行動をとることにつきまして、環境庁長官の御見解をお伺いしたいと思います。
#158
○国務大臣(林大幹君) ただいま先生が御指摘なさいましたようなこういう問題におきましては、まず隗より始めよで、政府みずから率先垂範をすべきではないかという先生の御指摘は、私も全く同感でございます。事業者や国民に行動を求める以上にまず政府当局が身をもって範を示していくということは、これはひとり環境政策のみならず、すべてに私はこのことは言えるんではないかという信念を持っております。
 そこで、環境基本法案の第二十四条の二項には、事業者、国民だけではなくて、国もそしてまた地方公共団体も環境への負荷の低減に資する原材料、製品、役務等の利用を促進することを規定しております。政府としましても、率先して先生御指摘の再生資源等の利用の促進に邁進したいと考えております。また、再生資源の利用にとどまらずに、政府みずからが率先垂範して環境への負荷の少ない幅広い行動を行っていくことが必要であり、具体的にいろいろな措置が講じられると思います。
 実は先生のお言葉が出ました電気自動車につきましても、環境庁でも今大気保全局長が試乗しております。その結果も恐らくそれぞれ報告されると思います。全く先生のお説に同感でございます。
#159
○河本英典君 先般の質問のときにも、今はやりといいますか、非常に発展中でございますテレビ会議であるとか、それから高度通信技術を駆使したそういったこともいかがなものかという質問をさせていただいたわけでございますけれども、そういったことも含めて積極的にそういった取り組みをお願いするものでございます。
 次に、情報提供についてでございます。事業者や国民がみずから環境の保全に関する活動を行うためには、正確な知識と情報が必要であります。環境への負荷の少ない行動と一口に申しましても、トータルで見てみましてどのような行動が環境への負荷が少ないかが明確でないわけでございます。例えば、プラスチックのようにかさばるものをリサイクルするためには輸送に大きなエネルギーがかかるわけでございます。このようなエネルギーを考えても、必ずしもリサイクルすることが本当に環境への負荷が少なくなるのかが明確ではないわけでございます。
 また、先日公表されました総理府の環境保全に関する世論調査におきましても、環境保全のため行動するとき何が必要になると思うかという問いに対しまして、環境問題と生活のかかわりや身近な工夫についての情報を挙げた者が非常に多かったという結果も得ております。ほとんど半分ぐらいが、環境と生活のかかわり、身近な工夫についての情報が欲しいというアンケートが出ているそうでございます。
 このような状況におきまして、環境庁は、環境への負荷を低減するための知識やノウハウなどの情報の提供に今まで以上に力を入れる必要があると考えられるわけですが、環境庁の認識についてお伺いいたします。
#160
○政府委員(八木橋惇夫君) 御指摘のように、国民が自主的、積極的に環境の保全に関する行動を行うということに際しまして、正確でわかりやすい情報が適切に提供されているということがその前提になければならないということはおっしゃるとおりだと思います。そこで、この環境基本法案におきましては、二十七条に、国は情報を適切に提供するように努めるものとするという努力義務を書かせていただいたわけでございます。
 環境庁といたしましては、従来から、環境に優しい暮らしの工夫など、環境の保全に関する知識、ノウハウに関する各種のデータの提供、また環境情報に関するデータベースの提供など、いろいろと工夫してまいったつもりではございます。しかし、先生御引用になりました世論調査におきましても五〇%ぐらいの方が御不満を持っている、また私どもNGOにつきまして意向調査をやりましたところ同じような傾向のものが出てきているということでございまして、やはり環境保全活動に当たって情報の不足が活動の障害になっているということは、これは紛れもない事実であろうかと思います。
 そこで私どもは、この環境基本法案をぜひ成立させていただき、その法体系のもとに情報の提供体制というものをさらに充実する、例えばどういったような格好で情報提供に関する体制を組んでいくかということを、まじめに考えてまいりたいというぐあいに考えております。
#161
○河本英典君 今お話しのございましたことは簡単そうで一番難しい問題でございますので、どうかよろしくお願いいたします。
 次に、環境教育、環境学習の推進ということでお尋ねいたします。昔より、国づくりは人づくりからというふうに申します。環境への負荷の少ない社会づくりに当たりましては、環境教育を推し進めて広く国民の意識を高めるとともに、地域社会の中であるいは家庭の中で、環境の保全に関する実践活動を通じた自主的な学習活動が進められることが必要であると思うわけでございます。
 私の地元の大津市におきましても、市が音頭をとりまして、小中学生を集めて「大津こども環境探偵団」というのを結成しまして、蛍探偵であるとか、琵琶湖の水質探偵であるとか、夏の星空探偵であるとか、町中探偵などというフィールドワークを行っているわけでございます。また、大人向けには「おおつ環境塾」と銘打ちまして専門家を招いて環境講座を開催したりいたしました。
   〔委員長退席、理事堂本暁子君着席〕
 そこで、この大津市のような環境学習に関する取り組みを全国的に広げていく必要があると考えますが、環境庁長官の御見解をお伺いいたします。
#162
○国務大臣(林大幹君) 実は、私も大津市の環境学習のことを伺いまして大変感動いたしました。
 環境保全のためにすべての国民がさまざまな場面を通じてそれに協力してくださるということの一つには、やはり環境学習の機会が大変大事であります。その意味におきまして、先生が今御指摘になりました、大津市におかれます「大津こども環境探偵団」でありますとか、あるいは「おおつ環境塾」の運営でありますとか、また身近な環境調査員のこと、あるいは生活環境の診断表など、あるいはまた琵琶湖畔のヨシの作戦、これをちょっと私も新聞で見て、ヨシにそれだけの水質を保全していく大事な作用があるんだなということを聞いたのでありますけれども、そのようなことを一つ一つ取り上げられました大津市の環境学習には心から敬意を表するものでございます。
 特に私は、子供から大人、八十歳の御年配の方に至るまでそういう問題に加わっておられるということも大変大事なことだろうと思っております。このような先進的な地方公共団体の取り組みがさらに波となって全国の津々浦々に波及していくということになればこの上ない喜びではないかと思っておりまして、この大津市の環境学習の問題につきましては心から賛意を表します。
#163
○河本英典君 琵琶湖は大変今水質が悪くなっておりまして、下流の方から臭い臭いと言われて、決していい状況でないということで、県を挙げて環境問題には大変関心があるところであるということもつけ加えさせていただきたいと思います。
 次に、専門家の育成ということについて少しお伺いいたします。環境教育を促進するに当たりましても、地域の環境保全活動を進めるに当たりましても、まず専門的な知識を有する専門家が重要であると考えられるわけでございます、先ほども議論があったわけでございますけれども。
   〔理事堂本暁子君退席、委員長着席〕
 今のファミコン育ちの世代といいますか、みずからが自然と触れ合って育った経験が少ないために、子供を自然豊かな場所に連れていっても満足に遊び方を知らないというようなことになっているというふうに聞くわけでございます。自然解説ができるような専門家を育てて各地で活動するようにすることが必要ではないでしょうか。また、地域社会や企業社会において自主的な取り組みを進めるためにも、環境の保全に関する知識とノウハウを持つ専門家を育てていくことが早急に取り組むべき課題であると考えます。
 そこで、環境庁は、環境の保全に関する専門家の育成について今後どのように取り組んでいかれるのでしょうか、お伺いいたします。
#164
○政府委員(八木橋惇夫君) まさに先生御指摘のとおりでございます。自主的、積極的な取り組みを促進する上で、その指導等に当たる専門家の育成はまず重点的に取り組まなければならない課題であるというぐあいに認識しております。
 この点につきましては、基本法第二十六条にそういう趣旨の規定を置かせていただいているわけでございますが、この基本法の趣旨を踏まえまして、私どもは、事業者、国民の自発的な環境保全活動の促進に関しまして一層の努力を払ってまいりたいというぐあいに考えているところでございます。
 なお、実際、現在どういうことをやっているかということに関しましても、自然と触れ合う活動を推進する人材育成の問題、また地域社会における環境教育のための人材育成の問題、さらには企業における人材育成の問題、各面に先生触れられたわけでございますが、私どももそれぞれの側面においてやはり施策を充実する必要があると考えております。御指摘の線に沿って私どもはその充実策を考えてまいりたいというぐあいに考えております。
#165
○河本英典君 次に、地球環境保全に関する質問に移ります。
 環境基本法案におきましては、環境への負荷の少ない社会の形成に関する取り組みと並びまして、地球環境保全に関する国際的な取り組みを充実しているところでございます。我が国は、経済大国として環境の分野においても目に見える形で積極的に国際貢献を図るべきであると考えます。この点で、私は、中南米地域におけるアメリカのリーダーシップ、アフリカに対するイギリス、フランスを初めとするヨーロッパ諸国のリーダーシップを考えますと、アジア地域に対する我が国のリーダーシップというような役割分担があってもいいんではないか。アジア地域を中心にリーダーシップを発揮していくことが、地球環境保全に関する国際協力に当たりまして我が国が第一に取り組む方向であるというふうに考えるわけでございます。
 そこで、環境庁長官に、地球環境保全に関しまして我が国はアジア地域におけるリーダーシップを発揮していくべきであるという考え方について御見解を伺います。
#166
○国務大臣(林大幹君) 環境庁といたしましても、国際的な環境保全あるいは環境対策の立場からも、実は先生の御指摘のようなアジア地域における環境問題について大変重視をいたしております。特にアジアは、まず人口が非常に多いということ、それからまた、これからの二十一世紀に向けまして世界的な水準から見ましても高い経済成長が見込まれるということ、そうなりますと、特に経済成長の中でかじ取りを誤りますと環境に対する負荷が増大するおそれが生じてくる。そのような意味から見ましても、地球環境保全を進めていく上で極めて重要な地域がアジアである、そのような認識を持っております。
 したがいまして、アジアに位置する我が国といたしましては、こうした地域の各国との連携や協力に重点的に取り組んでいくべきだという考え方から、その一環といたしまして、環境庁は、この六月三十日、七月一日の両日、アジア・太平洋地域の十数カ国の環境大臣にも御参加をいただきまして、地球サミットのフォローアップに取り組む議論をできる国際会議、エコアジア93を開催することにいたしております。このような取り組みを通じまして、先生御指摘のとおり、地球環境の保全に向け、その中の非常に重要な地域であるアジアというこの地域のリーダーシップを発揮していきたいと考えております。
#167
○河本英典君 地球環境保全に関する国際貢献のあり方として、地球環境の保全に関する情報発信という方法も重要であると考えます。
 これまで地球環境に関するモニタリングはアメリカが中心に行っておりまして、世界の政策決定に当たりましても主にアメリカから発信された情報が用いられておるわけでございます。我が国は、世界第二位の経済大国として、地球環境に関するモニタリングの分野においてさらに施策を充実して、世界に向けて情報発信を行うということが重要ではないかと考えるわけでございます。
 そこで、地球環境保全に関するモニタリングの充実について、今後どのような施策を講ずることを考えておられるのかを伺います。
#168
○政府委員(加藤三郎君) 地球環境保全に関しますモニタリングは、地球環境の状況を把握しましたり、その変動のメカニズムを解明するための基盤となるものでありまして、その充実を図ることは、まさに今先生が御指摘になられましたとおり極めて重要な課題であるというふうに私どもも考えております。
 このため、政府といたしましては、地球環境保全に関する関係閣僚会議というものがございますが、ここで毎年度、地球環境保全調査研究等総合推進計画というものを決定いたしておりまして、その中におきましてモニタリングなどの基本的な考え方、重点分野を明らかにするといったことをいたしております。そういった計画に従いまして、当該年度におきます具体的な観測あるいは監視計画などを進めているところでございます。
 なお、御審議いただいております基本法案におきましては、このような地球環境保全に関するモニタリングの重要性にかんがみまして、第二十九条の監視等の体制の整備の規定に加えまして、第三十二条におきまして、国際的な連携を確保するように努める旨の規定を置いております。
 具体的にどんな国際的な連携をしているかということを幾つか御紹介申し上げますと、環境庁自身でやっておりますものといたしましては、昨年六月に沖縄の波照間というところに地球環境モニタリングステーションを設けまして観測を開始しております。これは、先ほど先生がおっしゃられましたように、アメリカ発の情報だけでなくて、日本もしっかり情報発信していけという、そういう趣旨に将来これが十分に活用できるものというふうに考えておりますが、そういった波照間に一つ置いたということ。
 そのほかに、国際的な地球観測衛星計画を踏まえましたオゾン層等の衛星センターの開発、あるいは地球環境モニタリングシステム、これは国連のシステムでGEMSと称しておりますが、そういうシステムがございます。そういうシステムや、これまた国連の地球資源情報データベース、GRIDと称しておりますが、そういった国際的な観測、監視、情報提供のネットワークヘ積極的な参加をいたしてございます。さらには、東アジア酸性雨監視のための新たなネットワークの構築などを通じまして、地球環境モニタリングの充実に努めてまいりたいというふうに考えております。
#169
○河本英典君 地球環境保全に当たっては、開発途上国において対策が講じられることが不可欠であるわけでございます。このため、環境基本法では、開発途上国に対する国際協力の規定を設けているところでありますが、発展途上国における対策の推進に当たっては、まず地球環境保全に関する発展途上国の理解を深めることが第一に取り組むべき課題であると考えます。このためには、さまざまな手段がございますが、我が国が地球環境保全に関する調査研究を講ずる際に、できる限り発展途上国が参加できるようにすることも有効な手段ではないかと思うわけでございます。
 そこで、地球環境保全に関する研究への発展途上国の参加をさらに進めるためにはどのように取り組んでいこうと考えておられるのかをお伺いいたします。
#170
○政府委員(加藤三郎君) 先生おっしゃったとおりでございまして、開発途上国の地球環境保全に関する研究への積極的な参加を求めるということは、研究の進展とあわせまして、途上国自身の地球環境問題への対処能力の向上にも寄与するという観点からも重要であるというふうに考えております。
 このような観点から、これまでも地球環境研究総合推進費というものが環境庁に予算化されておりますが、その推進費を用いまして、例えばマレーシアとの協力のもとに、熱帯林の生態系及び野生生物の多様性に関する研究を推進してきております。そのほかに、インド及び中国との協力のもとに砂漠化に関する研究を進めております。さらに、開発途上国と言うには適当ではございませんが、ロシアと現在協力をいたしまして、シベリアの凍土地帯におきますメタン発生に関する研究なども共同で進めているところでございます。
 しかしながら、先生おっしゃいましたように、開発途上国では地球環境保全に関して十分な研究費用を充てることが難しいという状況も間々見られます。こうした資金的な制約によって、共同研究に参加することへのちゅうちょやあるいはその円滑な実施に支障が生ずるということも強く懸念されるところでございます。このため私どもといたしましては、特に重要と考える研究テーマにつきましては途上国の参加を促して共同研究が円滑に実施できますよう所要の施策を講じるべきだというふうに考えておりまして、現在その検討をしているところでございます。
#171
○河本英典君 では、ちょっと早いですけれども最後の質問をさせていただきたいと思います。
 環境基本法は新しい環境政策の幕あけになるものでありまして、私はぜひとも今国会で成立させる必要があると考えます。しかし、この施策の方向性を示す、この基本法を生かすも殺すもひとえに今後の具体的な施策の充実強化にかかっていると思うわけでございます。新しい環境政策は、経済政策のあり方あるいは国際協力のあり方にも影響を持つものでなければならないわけでございます。このためには環境庁長官の力強いリーダーシップが必要であると考えます。
 最後に、環境庁が政府部内でリーダーシップを発揮していただきまして新しい環境行政を推進していくことについての環境庁長官の御決意をお伺いして、最後にさせていただきます。
#172
○国務大臣(林大幹君) このたび議会でいろいろ御検討、御審議をいただいております環境基本法案の生まれるまでの過程を見ましても、私は今政府全体が一丸となって環境問題に大変真剣に取り組んでおる姿のあらわれが今回の基本法案でもあろうと思っております。つまり、二十省庁に余る各省庁が、それぞれの責任ある省庁の行政を抱えながら、その中で環境基本法という一つのものに意見を集約させていただいたということは、私は今日の政府そしてまた内閣が環境を大変重視するあらわれであると思っております。
 したがいまして、環境行政を推進する言うならば中枢的立場にある環境庁としましては、これからこの法案を議会で成立させていただきました暁には、この基本法にのっとりまして環境行政を進めていくそれなりの重大な決意を抱いております。特に、各省庁が一層緊密に連携しながら政府一体となった環境行政の取り組みというものを充実強化いたしまして、その中でこの法律の運用に誤りなきよう環境庁としては十分なリーダーシップを発揮したい、かように考えております。
#173
○横尾和伸君 まず、環境アセスメントについてお伺いします。
 去る参議院の本会議においても、この法案の中に環境アセスメントについての明確な表現がない、進めるのか進めないのかわからない、そういう表現になっているために環境アセスメントは大変重要な部分であるにもかかわらずどういうことなんだということでお伺いしております。
 宮澤総理より、法制化も含め所要の見直しについて検討してまいりたい、こういう御答弁をいただいております。ただ、検討してまいりたいというのは結構なんですけれども、時間的なめどがいつまでに、あるいはいつごろを目途にということが一切ございません。十年後のことなのか、あるいは今世紀だけではなくて来世紀中のことなのかよくわからない。大変大事なことですので、この時間的なめど、いつまでにどのように検討していくのか、この点についてもしいつまでにやるという言い方ができなければいつまでにやりたいという希望でも結構でございます。時間的な問題について何らかの御説明があることを期待して御質問いたします。大臣にお願いいたします。
#174
○国務大臣(林大幹君) お答え申し上げます。
 環境アセスメントに関する御質問でございますが、これは先生既に御案内のように、総理の御答弁の中でも、法制化を含めた所要の見直しをするということを申しておるわけでありまして、これについて今先生の方から、じゃその目安はどうなのかという御質問でございます。
 率直に言いまして、今先生方に基本法案の御審議をちょうだいしておるときでございますので、基本法案が成立いたしましたその後は、早速環境影響評価技術検討会というものを発足させましてそこでこの種の問題を検討し、そして総理答弁のようにいつどうなるのかということを実現するために技術検討会が具体的に取り組んで諸般の問題を検討してくださる、そのようになっております。
#175
○横尾和伸君 大変苦しい御答弁だと思います。早速取りかかるということだけはきょうお話をいただきましたので、難しい問題ですのでいつまでにというのが表現できないということも一面ではやむを得ないものとこの時点ではしておきます。
 次に、汚染原因者負担の原則に関連しまして何点かお伺いいたします。具体的なお話からちょっと始めたいと思うんですが、現在、広島県の福山市にPCB、水銀等を含むヘドロの問題あるいは土壌汚染の問題でかなり大規模なものがあるというニュースが流れておりますが、この問題の概要をわかりやすくかいつまんで御説明いただきたいと思います。
#176
○政府委員(赤木壯君) ヘドロ問題、お話があった件でございますが、平成三年九月に福山市が福山港内港地区における底質等の調査を行ったところ、PCBによる底質汚染が生じていることが判明したということでございます。その後の県の詳細の調査の結果ですが、内港の最奥部から約五百五十メートルまでの区間で環境庁が定める底質の暫定除去基準を超えるPCBが検出されたということで、その処理対象面積は四万三千平方メートルぐらいが該当するというようなことでございます。なお、周辺の海域の水質においてはPCBは無検出であったということでございます。また、魚介類の調査結果はすべて暫定的規制値以下であったということでございます。
 以上のことから、県は底質の処理をすることが必要であるという判断に立ちまして、処理計画を作成して地元住民に対する説明を行っているというふうに聞いてございます。
#177
○横尾和伸君 私、聞き方が悪かったかもしれませんが、ヘドロ問題だけではなくて、このヘドロ問題の原因をつくった工場敷地内の土壌汚染の問題がもう一つあるかと思うんですが。
#178
○政府委員(赤木壯君) 土壌汚染の問題もまた別途ございまして、これも平成三年八月に、市内の化学工場が県と市との公害防止協定に基づきまして工場跡地の再開発の際に調査を実施したことから、水銀とか鉛、砒素、PCBによる土壌汚染が判明したというものでございまして、汚染地の面積は十万平方メートル、汚染土壌の量は十八万立方メートルであるというふうに聞いてございます。
#179
○横尾和伸君 大変な問題だと思いますけれども、その対策のめどは立っているのか、もし立っていれば、概要で結構ですが、対策の内容とそれからその費用の概算額についてお尋ねします。
#180
○政府委員(赤木壯君) まずヘドロ問題でございますが、県と市の関係機関が福山港の内港地区の環境保全対策連絡会議というものを設置しまして、適切な処理、処分を行うための検討を行ってきました。その結果として、港湾公害防止対策事業として対策を実施することとして、処理対象範囲だとか処理方針だとかあるいは環境監視計画等浄化対策の基本方針を策定いたしまして、地元住民に対して計画の説明を行っているというふうに聞いてございます。県が現在検討をしておりますこのヘドロの対策事業は、現地固形化処理工法で事業をやるという考えでございまして、これに要する概略工事費は五十億円を超える規模であるというふうに聞いてございます。
 また、もう一つお話がございました土壌汚染対策についてでございますが、原因の工場が県と市に対して提出しております汚染土壌の処理計画によりますと、汚染土壌を汚染地である工場跡地から移転先の工場敷地まで運搬していって、周辺環境に影響を与えないようにコンクリート槽等に封じ込める処理を行うということになってございまして、その対策費用は七十億から八十億円であるというふうに聞いてございます。
#181
○横尾和伸君 大変な額で、五十億と七十ないし八十億円、この費用はほとんどか全部をもとの事業者が負担するんだと思っておりますけれども、それが本当なのかどうか。つまりだれが負担するのか、それから負担する場合の根拠、法令的な意味での正確なお答えが欲しいんですけれども、費用負担の根拠を具体的にお示しいただきたいと思います。
#182
○政府委員(赤木壯君) ヘドロ対策でございますが、県は公害防止事業費事業者負担法に基づき、汚染者に起因すると考えられる部分につきましては汚染者に費用の負担を求める方針で検討しているということでございます。
 それからまた、もう一つの土壌汚染対策の費用負担についてでございますが、現在法的根拠はないわけでございますが、従来から汚染者負担の原則の考え方に立って基本的には汚染者が自主的に対策を実施するように指導しておるところでございます。ヘドロ対策なんかにつきましては、汚染者に起因すると考えられるものがどれぐらいであるかというような問題もあるわけでございますが、そういうふうな考え方で費用を負担するというふうになってございます。
#183
○横尾和伸君 ヘドロについては法律の根拠がある、土壌汚染については法律的な根拠がなくて汚染者負担の原則によるというお答えだったんですけれども、その汚染者負担の原則というのは何に基づくものなんでしょうか、どこにあるんでしようか。
#184
○政府委員(赤木壯君) 従来、公害対策基本法の考え方にもそういうふうな汚染者負担の原則の考え方がございますし、我々公害事業を進める場合も汚染者負担の原則というのをもとにいろんな事業実施を考えてきておるわけでございまして、またそのように指導をしておるわけでございます。
#185
○横尾和伸君 今の汚染者負担の原則、公害対策基本法によるというのは公害対策基本法の二十二条のことでしょうか。
#186
○政府委員(赤木壯君) 公害対策基本法の二十二条第一項で、「事業者は、その事業活動による公害を防止するために国又は地方公共団体が実施する事業について、」全部または一部を負担するというふうな考えになっていまして、条項自体は国や地方公共団体が事業を実施する場合ということでございます。
 今のヘドロの事業なんかはまさにこういう考え方、それを負担させるという法律もできてそれに該当しますが、ここのもとになる考え方というのが汚染者負担の原則であるというふうに考えられるわけでございます。
#187
○横尾和伸君 お答えいただいてちょっと私まごついているんですけれども、二十二条に基づくもので、それによって福山の土壌汚染問題の費用負担はなされるという意味だと思うんですが……。
#188
○政府委員(赤木壯君) 私が申し上げたのはそういう意味ではなくて、この面での土壌汚染についての費用負担の法律関係というのははっきりしたものはございません。
 ただ、一般的に公害対策を実施する場合の費用負担の考え方は汚染者負担の原則があるということで、公害対策基本法二十二条はその一つの場面を書いてあるというふうに理解できるわけでございまして、ヘドロの場合はまさにこれを受けた形で法律も現にあるわけでございましてそれで適用されますが、こちらの土壌汚染の場合はそういう法律はございません。
#189
○横尾和伸君 土壌汚染の問題というのは今福山市では顕在化しておりますけれども、私、これは推測ですから正確な話にはなりませんけれども、土壌汚染の問題というのは、これはこれからかなり顕在化してくるんではないか。しかも、そのための処理費用というのは何十億とか何百億とか膨大な費用がかかることが予想されます。この予想がもし違っているんでしたら別なベースで議論しても結構なんですけれども。
 そうだとすると、今のようにヘドロ対策については費用負担の根拠法がきちっとある。法律に基づいて費用負担をしてもらう。しかし、実態的には人の健康への影響という観点から同種類と見られる土壌汚染対策については、これは明確な法的根拠がない、大変おかしな話ではないでしょうか。また、これから大きな混乱のもとになるんではないかと私は大変危倶をするものです。これが何十万円ではなくて何十億とか何百億、もしかしたら場合によっては会社自体の存続を危ぶむようなそんな事件にもなりかねない。にもかかわらず、根拠法がはっきりしない、これはどういうことなのか。
 その辺を踏まえて私は長官にお伺いしたいんですけれども、公害防止の面から土壌汚染についての費用負担の根拠を法制化するよう早急に検討すべきではないか、こう思うんですけれどもいかがでしようか。
#190
○国務大臣(林大幹君) 先生おっしゃるように土壌汚染対策、これを円滑に推進していくためにも汚染土壌の回復対策に要する費用負担というものは大変多額なものがかかるのでございますが、現状におきましては、基本的には汚染原因者が負担すべきものということになっておりますけれども、事業実施者あるいは費用負担のあり方なども含めて法制面においていかなる対策ができるか、これを今鋭意検討させております。
#191
○横尾和伸君 検討ではなくて根拠がないという話を今明確にしていただいたわけです。法文上の根拠がない。これは急いで根拠をつくって、それがやっぱり行政府の一番大切な仕事ではないでしょうか。そういう意味で、あいまいなことを言わずにこれから検討に入るべきではないでしょうか。
#192
○国務大臣(林大幹君) そのような実情でありますので、法制化を含めて今検討をしておるということであります。
#193
○横尾和伸君 土壌汚染の事例を挙げましたのは、実は基本法案で気になる部分があって、公害対策基本法二十二条で言う汚染原因者負担の原則、これが形を変えてどうも今回の基本法案の中にちりばめられているらしいという、ある意味ではもっと明確にしてほしいと思ったんですけれども、そんな気がしているので、その点について確認をさせていただきたいと思うんです。
 具体的に言いますと、文言上では公害対策基本法二十二条では、事業者が全部または一部を負担しなければならない、こうはっきり明示されております。考え方がはっきりしております。にもかかわらず、今回の法案の三十七条では、国や地方公共団体が事業者に負担させるよう必要な措置を講ずる、こういう文言になっているので、汚染原因者負担の原則が潜在化してどこにいってしまったんだろう、こういう気がしております。
 先ほど水質保全局長の御答弁の中にも、現在の土壌汚染の問題については考え方の上で費用負担の原則があるんだというお話をされたわけなんですけれども、そういう観点から特に私なりに探してみますと、法案の第八条の事業者の責務の中にもしかしたら費用負担もこれは読み込むべきなのかな、どうなのかなという気がしているのが一つありますけれども、それも含めて汚染原因者負担の原則を今後のためにも明確にしておく必要があると思うんです。
 それで伺うんですけれども、この新法案では汚染原因者負担の原則をどこでどのように定めているのか、今後混乱のないようにここで整理をして、汚染原因者負担の原則は何条のどこどこでどう読むんだということをお教えいただきたいと思います。
#194
○政府委員(八木橋惇夫君) お答え申し上げます。
 おっしゃるように、法体系が基本法と実定法との関係にかかわりますことから、若干御説明申し上げなければならないかと存じます。
 まず最初に、従来ございました公害対策基本法二十二条における公害防止事業費事業者負担法の事業費負担の根拠規定というものは、これは基本法的な規定ではございませんで実定的な負担義務、それも原因者負担としての規定を置かせていただいたわけでございます。今回これを基本法的なスタイルに直すに当たってどう構成するかという問題があるわけでございますが、先ほどの公害対策基本法第二十二条の規定は、そういう意味では汚染者負担の原則を書いたというよりはむしろ原因者負担、その汚染者負担の原則を基礎とした原因者負担のベースで書いたのが先ほどの公害対策基本法二十二条の規定でございます。
 そこで、汚染原因者負担そのものはどういうぐあいに取り扱われているかということでございますが、これが実は背景に隠れておりまして表にはあらわれておらないというのが公害対策基本法の関係でございます。それを今回、環境基本法ではどう取り扱ったかということでございますが、まずその基本的な考え方を第四条における基本的な理念といたしまして、「環境の保全に関する行動がすべての者の公平な役割分担の下に自主的かつ積極的に行われる」という大原則を書きまして、そのもとに先生御指摘になった第八条、第九条で、事業者及び国民が公害や自然環境の保全上の支障を防止するために必要な措置を講ずる責務を有するといったようなことを明らかにしたところでございます。
 また、特に環境基本法案第三十七条におきまして、そういった汚染者負担の原則の考え方に基づきまして、国等の公的事業主体が実施する事業に係る費用の負担に関する規定を設けたということでございます。それでは、第三十七条の整理の方はどうなったかということでございますが、先ほども申し上げましたように、公害対策基本法二十二条では公害防止事業費事業者負担法の事業費負担の根拠規定を置いていたところでございますが、公害対策基本法を制定いたしました後に、その実定法といたしまして、この事業者負担法だけではなしに公害健康被害補償法また自然環境保全法そのほか海洋汚染防止法等々原因者負担の規定を幾つかの法律において整備されてきたという実情があるわけでございます。
 そういった各個別法の規定を基本法として整理しなきゃならぬということで、環境基本法第三十七条におきましてはそういった基本法制定後の原因者負担に係ります規定の整理状況を踏まえまして、原因者負担に係る制度そのものをプログラム規定といたしまして全体を包括するような格好で整理させていただいたわけでございます。そういたしますと、実定法の規定をどうするかという問題が生じてくるわけでございますが、公害対策基本法第二十二条第一項の事業者の費用負担義務の規定を、今度は整備法によりまして公害防止事業費事業者負担法の中に移しかえて位置づけることをいたしておりまして、この規定に基づきまして事業者は費用を負担することとなるわけでございます。
 このように事業者等は、三十七条の必要な措置として、それぞれ各個別法で定められる該当規定によりましてこれから原因者としての費用を負担すべき者となると、こういう法律構成になっております。
#195
○横尾和伸君 わかったことにしないと、何か頭が悪いように思われるんで……。結果からすると、大臣にも先ほどお答えいただきましたのでわかりました。
 つまり、今回の三十七条の規定では、国等が必要な措置を講ずると言っているものの一つが、先ほど言った新しい立法措置をするなり法改正をするなりして土壌汚染の問題にも明確な根拠を与えるようにするという方向性だと思うんです。そういう意味では理解ができました。
 次に、これは提案になるかと思うんですけれども、その前に一つお伺いしたいんですけれども、環境の日の規定が第十条として追加されましたけれども、このことを環境庁としてどのように受けとめておられるのか、お伺いします。
#196
○政府委員(八木橋惇夫君) 環境の日の規定が第十条といたしまして衆議院の修正により追加されたわけでございますが、その御趣旨は条文に明記されておりますように、「事業者及び国民の間に広く環境の保全についての関心と理解を深めるとともに、積極的に環境の保全に関する活動を行う意欲を高める」ことにあるというふうに私ども見ているわけでございます。従来から国連で定めた日としてその日はあったわけでございますが、それを法律に明定することによりまして、政府全体としてまた国としてそれを明確にし、その日を中心にしてただいま申し上げたような趣旨の行動を起こしていけ、こういう趣旨と受けとめております。
#197
○横尾和伸君 大変私も同感でございます。
 そこで、お伺いというよりも提案をしたいんですけれども、環境の日を設置する、そういった考え方をより具体化してより定着化する、そういった努力がもう既に始められてもいいんじゃないか、こう思うんです。
 その一つとして、現在国民の間には環境問題について大変関心が高まっておりますし、できることなら自分でできることを一つでもまた小さなことでもやっていきたいという、そういったかなり善意の意欲というのを私は感じるわけなんです。そういったものを具体化する方法として、例えば民生委員というのが福祉の世界ではありますけれども、つまり民生委員の場合には厚生大臣の委嘱する民間の奉仕者ということで、福祉の向上を目指すためにいわゆる篤志家が委嘱を受けるということなんです。
 同じように環境問題についても、環境問題に関する身近な相談に応じるとか、あるいは地域密着型のNGOに対して情報収集したり、提供したりあるいはアドバイスしたり、また行政サイドとの連携を、いわゆる環境特派員みたいなもの、そういったことを含めてかなり広い範囲で環境アドバイザー的なもの、ちょっと特殊な用語でわかりづらいかもしれませんけれども、ニュアンスだけわかっていただければいいんですが、そういったことを含めたいわゆる環境委員のようなものを設置する。そういう中で、環境の日は一年のうちに一日ですけれども、その一日を盛り上げるためにすそ野が必要なので、日常的な活動を行うのに今言いました環境委員というような、言葉にはこだわりませんが、というような新しい制度が必要なんではないか、こう思うんです。
 そこで、そういった方向についての御検討を始められてはどうかと提案申し上げたいんですが、いかがでしようか。
#198
○政府委員(八木橋惇夫君) 先生御指摘のように、環境の日を国会の修正で挿入したという御趣旨は、環境の保全について国民的な関心と理解を深めるために積極的に環境の保全に関する活動を行う意欲を高めていくということだろうと存じます。
 それと、先ほどの御審議にもございましたように、総理府から発表された環境保全に関する世論調査の結果を見ましても、国民の中には環境保全のための行動を行うための必要な条件として、環境問題と生活のかかわりや身近な工夫についての情報とか、一緒に協力して活動できる仲間や団体が必要であるとか、情報の入手や取り組みについての相談ができる窓口が必要だという声が強いわけでございます。
 こういった点を考慮いたしますと、いろいろな場面で国民に対する環境保全活動の指導を行う人材の育成、確保がかなり重要な政策課題であると私どもも認識していくべきだというぐあいに考えておるわけでございます。また、現に一部の地方公共団体におきまして、環境保全アドバイザーとか環境保全相談員とか環境保全推進員とかといったような先駆的な取り組みもございます。こういった取り組みというものも十分参考にさせていただきながら、先生御指摘になりましたような人材の育成、確保の方策について、私ども積極的に取り組んでまいる必要があるというぐあいに考えております。
#199
○横尾和伸君 環境行政機能の強化、広い意味での行政機能の強化につながるのではないかという面もございますので、ぜひ具体化に向けて御検討をお願いしておきます。
 次に、水道水源問題についてお尋ねしたいんですが、本会議においても状況について若干紹介しました。簡単にもう一度繰り返しますけれども、現在、毎年のように、ほぼ間違いなく二千万人もの人たちが臭い水を飲まされている。また、少なく見積もっても一万種類の化学物質が身の回りを循環していて、それによる微量化学物質汚染の心配がなされている、水道水についてですけれども。また、そのことについて、専門家自身がギブアップ宣言に近い、国民からすると専門家にそんないいかげんなこと言われても困るんだということなんですけれども、事実ギブアップ宣言に近いことを言われております。
 ある意味では大変とんでもないことなんで、これを御紹介しながら総理にもお尋ねしたところ、それまで政府の御答弁が重要な課題という御認識だったものが、総理はそのときには緊急な課題となっているというぐあいに、緊急な問題としてお取り上げになったと私は理解しております。
 そこで、話が具体的な問題になりますけれども、四月七日のこの特別委員会において遠賀川流域のことを例にとって下水道についての質問をしました。水源問題で一つの柱ともいえる生活雑排水問題、その解決のためにはやはり下水道に一役買ってもらわなければいけない、そういう観点で取り上げたんですが、実際下水道の普及状況は全国を見まして、一般的な傾向ですけれども、海辺の大都市は九割方、九〇%程度の普及が図られて、その上流、中流部では全体含めても五%と、そういった例を引きながら、ほぼ全国的には同じような状況だと、こう言ったわけです。
 そこで、下水道を担当されている建設省にお伺いしますけれども、私はそのとき中上流部の市街地に重点的に下水道の普及を図る施策を考えるべきであると、強力なものを。そのときには一応何か考えておられるといった答弁をいただきましたけれども、考えておられても結果が出てないという状態でございました。もっと強烈な、もっと具体的なものをつくらなければ現実は動かないということだったと思います。そこで、私がそのとき提案したのは、例えば具体的にこの水道水源を守るから上流に下水道を普及させるんだと。そうすると、そこには相当な投資をする根拠ができる。そういうこともあるので、具体的な下水道普及促進の考え方をつくり上げて、国民は今下水道の普及の考え方はわかっておりません、そこでそれを国民に示すべきだ、わかりやすくするべきだ、こういうことを申し上げました。
 思い出していただくためにちょっと申し上げますと、例えば下水道整備五カ年計画においては、特に緊急に実施する必要のある地域について実施すると、こういうことで特に緊急に実施する必要のある地域とは何なのかというのがわからないままに進められている。だから、言いましたように海側で九〇%、しかも海側にある大都市の人たちは、上流で五%しか普及していないそういったほとんど垂れ流しに近いものを水源とした水道水を飲んでいる、こういうおかしな話になっているので、今まではともかくこれからは思想を明確にして中上流部についても、ついてもというか、そこに重点を置いた下水道の普及を図るべきではないか。そして、その考え方を具体化して国民にわかるように、何とかプランとかあるいは何とか計画と、特別にこういう考え方で下水道はやっていますよという、そういう対応が必要ではないかと提案しました。
 そこで建設省に、その後その提案についてどのように対応されているのかをお伺いします。
#200
○説明員(亀田泰武君) 先生御指摘のとおり、現在の下水道整備の状況でございますが、中小市町村を中心に非常におくれておりまして、先生の御懸念の水道水源の水質をめぐる状況、こういったものも考えまして、河川中上流部の市街地を含めまして整備のおくれている中小市町村、それから湖沼水質保全計画の対象となるような地域、こういう水質保全上緊急な地域に重点を置きつつ下水道整備の促進を図るために関係地方公共団体を指導してまいることとしております。
 それから、先生御指摘のわかりやすい下水道計画、地域性のある計画ということでございますが、皆さんの理解を深めるための地域に即した具体的なプランということで、本年度より私ども河川部局とも共同しておりまして、清流ルネッサンスといった水質浄化の行動計画を策定するようにしておりまして、今後ともこのように国民に所管事業の必要性をわかっていただいて促進が図れる工夫を重ねてまいりたいと考えております。
#201
○横尾和伸君 まだできていないんですね。
#202
○説明員(亀田泰武君) はい。現在作成中でございます。
#203
○横尾和伸君 それでは、ぜひそれを急いでいただいて、大変な国庫補助金もお使いになっていらっしゃるし、国民も大変期待していると思うんです。考え方を明確にしてひとつ安心させていただきたいと思います。
 そこで、下水道は中上流部の市街化の進んだ区域が中心になると思いますが、それよりも周辺の部分についてはやはり合併浄化槽の普及がこれからは主流になるんではないかと思います。
 そこで、厚生省にお尋ねしますが、この合併浄化槽の普及の考え方と、またこの普及に当たって建設省の下水道行政との整合あるいは連携、農水省の農業集落排水事業との調整または連携、この点についてどうなっているのか、また合併浄化槽の普及に当たって水道水源に焦点を当てているのかどうか、この点についてお伺いいたします。
#204
○説明員(吉岡荘太郎君) 合併処理浄化槽につきましてのお尋ねでございますが、合併処理浄化槽は生活排水につきまして下水道と同等の処理ができる、また一つの特徴といたしまして短期間でどこにでも設置できる、こういう特徴がございますことから、厚生省といたしましては昭和六十二年度から市町村に対する国庫補助事業によりましてその整備の推進を図っておるところでございます。
 それで、合併処理浄化槽以外に集合施設という形で下水道あるいは農業集落排水施設等がございますが、この三種の施設それぞれの特性がございまして、例えば御指摘のような周辺部につきましては、比較的住家がまばらなところでは各家庭単位に設置できます合併処理浄化槽が非常に効果を発揮するということがございます。各市町村の中でどういった形で生活排水を進めていくか。これは廃棄物処理法に基づきまして各市町村に生活排水処理計画というのを立てていただくということにしておりまして、私どもは、合併処理浄化槽の国庫補助事業におきましては、これは合併処理浄化槽だけではなくて下水道、あるいは農業集排の現況の整備の状況、あるいは今後の計画状況、それぞれ市町村にお尋ねいたしまして、これらと整合性を図りながら各市町村の計画が円滑に進むように指導を申し上げているところでございます。
 それで、この合併処理浄化槽の国庫補助事業、昭和六十二年度から始まっておりますが、従来から先生が御指摘の水道水源の流域、これを一つの整備対象の重要な地域として位置づけておりまして、平成四年度約千四百の市町村で補助事業を実施しておりますが、このうち約九百の市町村が何らかの意味で地域内に水道水源を持っている、こういうことで合併処理浄化槽の整備を進めておるわけでございます。
 今後とも御指摘の中上流部の周辺地域等につきましても重点的に合併処理浄化槽の整備を進めていきたい。その際、先ほど申し上げました下水道あるいは農業集落排水施設の整備等と必要な連携をとりながら実施をしてまいりたい、このように考えております。
#205
○横尾和伸君 下水道も含めて下水道合併浄化槽の普及、ぜひこれから頑張っていただきたいと思いますが、特に今回環境基本法が制定をされて直接どこがどう関連するかわかりませんけれども、どっしりと環境基本法という思想が日本に根づくということを期待しますと、この下水道等合併浄化槽も計画的に効果的に進めていただけるのではないか、こう期待しているものでございます。どうかよろしくお願いいたします。
 それから、水道水源保全法案に、法案といいますか、水道水源の根本的な問題というのがことしの二月に厚生省の有識者懇談会の報告書で明らかにされて、私どももそれを見せていただいて、専門家自身がこんな大変なことを言っているんだということで改めて驚かされ、また即座にそれに対応して、二月四日に厚生省に対して水道水源保全のための立法措置を含めた抜本対策の推進について強く申し入れたところでございます。
 厚生省のその後の取り組みについて、あるいは検討状況について御説明をいただきたいと思います。
#206
○説明員(浜田康敬君) お答え申し上げます。
 先生御指摘のとおり、安全でおいしい水道水を将来にわたりまして供給していくというのは水道の基本的な役割でございます。このためには、みずからも水質管理の強化あるいは高度浄水施設の導入など努力していかなければならないというふうに考えておりますが、一方におきまして、水道水源の汚濁の進行といったようなことによりまして異臭味被害の問題あるいは化学物質に対する懸念などが背景にありまして、国民の水道水への信頼感が薄らいでいるというふうな事態を招いていることも事実でございます。
 こうした状況から、先生のお話にありましたように、私どもとして有識者の方々にこの対応の方向について御意見を伺ったわけでございますが、二月にいただきました報告書におきましては、水道水源の水質保全のために総合的な対応が必要であるということで幅広い内容にわたります政策提言をいただいたところでございます。
 厚生省といたしましては、この提言をいただいて以来、法制度を含みます実効ある総合的な水道水源保全対策の確立に向けまして、水質汚濁防止法等を所管しておられる環境庁を中心にいたしまして関係省庁にいろいろと御相談を続けてきているところでございます。
#207
○横尾和伸君 私どももそれを期待してずっと首を長くして待っているところでございます。ただ、今国会の閉幕も少し見えてきたものですから、私ども何とか具体化を急いでいただきたいという意味も込めまして、今公明党で考えている水質保全に対する具体案を水道水源保全法案要綱という形で去る五月二十七日にまとめまして、これを公表するとともに、昨日環境庁長官に対してお示しをしながら、ぜひこの趣旨の実現に向けて御協力、御支援、御努力をいただきたい、こういうことでお願いしているところでございます。
 そこで、この法案要綱、特徴だけ何点か言いますと、一つは、私ども具体的に水道水源を保全するということのために従来からの水質保全行政を否定するものではなくて、肯定した上でさらに対策をとる。そこには過剰にならないように地域を最小限に特定しまして、特定した地域については各種の規制を強化するということが一つ。またそういった施策全体に流れる思想としては、国がどうこうするということよりも地域の観点から地方分権を先取りする地方分権の考え方、実はきょう本会議においても地方分権の決議がありましたけれども、基本的には考え方は同じです。地方分権的な考え方を取り入れているものでございます。
 まずこの点について、厚生省にどのように受けとめていただいているのか、お答えいただきたいと思います。
#208
○説明員(浜田康敬君) 先生お話しの公明党からお示しになりました水道水源保全法案要綱、私どもも拝見させていただきました。水道水源の保全のために取り組むべき課題につきまして大変示唆に富んだまた幅広い御提案だというふうに受けとめておりまして、今後、先ほど申し上げましたような水道水源の保全対策を含みます各種水道行政に十分参考にさせていただきたいというふうに考えております。
#209
○横尾和伸君 環境庁長官には昨日申し入れをしてきょうというのもちょっと急な話で恐縮でございますが、大臣の受けとめ方をお伺いしたいと思います。
#210
○国務大臣(林大幹君) 昨日御提示賜りました公明党の水道水源保全法案要綱でございますが、私も一項目一項目を専門的な立場で検討させていただいたということは申し上げられませんけれども、ずっと通覧させていただきまして大変大事な問題を幾つも指摘されておるということを感じております。特に保全対策でありますとか、それからまた、今先生もおっしゃられましたある一定の地域、保全区域といいますか、その地域に対する問題でありますとか、また水道水源の保全事業としてこれをどうするかというような問題とか、それの事業者が行うべき対策に対してどう見るかとか、そういう大事な点が幾つもございまして、大変この法案要綱は貴重なものであると感じております。
 したがいまして、水質保全の問題については環境庁としてもこれは非常に環境行政上最重要課題の一つであると言ってもいいほど重要でありますので、そういう意味からも昨日いただきました法案要綱を参考にさせていただきまして水質保全施策の一層の推進を図ってまいりたい、そう考えております。
#211
○横尾和伸君 ここでお願いをしたいんですけれども、今御検討されている法制化を中心とする抜本対策、これを今後できるだけ早く具体化していただきたいと、この願いを込めてお伺いしていきたいんですけれども、法制化を中心とする抜本対策を今後どのように進めるのか、まず厚生省からお伺いします。
#212
○説明員(浜田康敬君) 厚生省といたしましては、できるだけ早い機会に環境庁を初めといたしました関係省庁の御協力をいただきまして、水道水源に着目してその保全のために各種の実効ある抜本的な対策が講じられるような法制度が整備されるべく最大限の努力をしたいと考えておりまして、それを契機といたしまして水道水源の水質保全対策の一層の推進に鋭意努力してまいりたいというふうに考えております。
#213
○横尾和伸君 同じ質問で環境庁長官にお伺いします。
 法制化を中心とする抜本対策を今後どのように進めるのか、この点についてお伺いいたします。
#214
○国務大臣(林大幹君) 水道水源を初めとする水質保全の問題は、環境庁の任務としましても非常に緊急でありまた重要な課題であるということは先ほど申し上げたとおりでございます。この問題に関連しまして環境庁としましても、先般、水質環境基準の大幅な拡充を図りましてこれを達成するために排出基準等のあり方について審議会に諮問したのを初め、広範な水質保全対策を強力に展開していくことにしております。
 現在、必要となる施策につきましては鋭意検討を行っておりますが、公明党の法案要綱も参考にさせていただいて、現行の対策運用上改善を図る必要があるものにつきましては的確に対処するとともに、必要に応じ制度の検討、見直しなど適切に対処していきたいと考えております。
#215
○横尾和伸君 ありがとうございました。
 次に、化学物質の管理に関してお伺いしたいと思います。
 大変多くの化学物質が身の回りを循環しているということですけれども、まず国民の身の回りを循環している化学物質はどれほどあるのか、また化学物質については製造、輸入レベルでの規制を中心とする化審法がありますけれども、化審法の対象となり得るものはどれほどなのか、そういった点について概略で結構ですけれども、どのくらいの化学物質があるものなのか、通産省にお伺いいたします。
#216
○説明員(長田直俊君) 先生御指摘の化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律、いわゆる化審法でございますが、この対象となっております既存化学物質名簿には約二万種類の化学物質が登録されております。
#217
○横尾和伸君 二万種類というのは大変な数字でございますが、次に同じように製造使用段階の規制法として農薬取締法がございますが、農薬取締法の対象物質の数とそれから最近の数の動向といいますか、その傾向についてお伺いいたします。
#218
○説明員(咲花茂樹君) 平成四年九月三十日現在におきまして登録を受けております農薬の銘柄数は合計六千三十七件でございまして、これに含まれる有効成分の数は四百五十一化合物でございます。
 次に、近年の動向について過去十年間の動向を見ますと、銘柄の数は昭和五十八年の五千三百二件から増加傾向で推移をいたしまして、平成二年には六千二百九十九件でピークとなったわけでございますが、以後やや減少をいたしております。また、有効成分の数は昭和五十八年の三百七十化合物から漸次増加傾向で推移をしてきております。
#219
○横尾和伸君 同じように、農薬ではありませんけれども、毒物及び劇物取締法の規制対象物質、ちょっと時間の関係で私の方から数字を申し上げますと、毒物、劇物合わせて四百五物質が指定されております。
 以上、簡単に数字だけ、大変上っ面なんですけれども、とりあえずその点からということで取り上げているわけですが、化審法では約二万種類、農薬取締法では六千三百種類の製品、物質名でいくと約四百種類、毒劇法でいくと四百五種類、大変な数の化学物質、しかも人体へかなり影響のあるものも何百種類とあるというわけでございますけれども、こういったものが使われて、使われた結果が大気に逃げるかあるいはそのほかちりとなってまた雨に洗われて水の中に入り水道水源に入ると、こういう可能性があるわけです。
 この点に関して環境庁にお伺いしたいんですが、こういった化学物質の河川への主な混入ルート、どんなものがあるのかお答えいただきたいと思います。考えられるもので結構でございます。
#220
○政府委員(赤木壯君) 今日多数の化学物質がさまざまな用途、目的で生産、使用されてございまして、いろんな態様があるわけでございますが、それらの生産、使用あるいは廃棄の過程を通じて化学物質による環境汚染が懸念されるということになろうかと思います。
 化学物質による河川等の水系での環境汚染という問題を見てみますと、大きく分けますと、製造の過程で化学物質の製造や使用に際して排水への混入という形で出てくるもの、それから使用の過程での、例えば産業活動や日常生活に伴って排水へ出てくるような形での混入、それからもう一つは、化学物質あるいはこれらを含有する製品の廃棄というような行為によって河川等へ出てくるというようなことが考えられます。
#221
○横尾和伸君 そこで、一つ具体例としてお伺いしたいんですけれども、産廃の不法投棄の発生件数、これは全国の最近の一年間の件数ですけれども、また今御説明にはなかったんですけれども、汚染事故によって水道水源がいつも被害を受けるといったニュースを大変頻繁に聞くわけです。産廃の不法投棄の発生件数と水質汚染事故の発生件数、最近のわかっている年度で結構ですけれども、大体どのくらい発生しているものなのか、厚生省にお伺いいたします。
#222
○説明員(飯島孝君) 産業廃棄物の不法投棄の実態については、厚生省として現在全国的な調査を行っているところですが、現在わかっている数値といたしましては、警察庁の統計がございます。
 これによりますと、平成三年の値でございますが、産業廃棄物の不法投棄事犯として検挙された数は二百九十七件ございます。投棄量は約二百十万トンとなっておりまして、種類別に見ますと建設廃材が一番多く、次に廃プラスチック、水質汚染のおそれがあると思われる廃油の不法投棄の量は二十一万トンと全体の一〇%を占めております。
#223
○説明員(浜田康敬君) 水質汚染事故によります水道の被害の件数でございますけれども、いろいろございますけれども、御紹介いたしますのはつい最近社団法人の日本水道協会が全国の水道事業体にアンケートを出しまして調べたものがございます。
 本年四月に公表されたものでございますが、これによりますと、約九百の水道事業体のうち過去十年間におきましてさまざまな被害を受けております。必ずしも先生お話しの化学物質のみではございませんで、アンモニアによるものあるいは油によるものなども入っておりますけれども、それを見ますと、事業場の排水あるいは未処理の生活排水などによって取水を初めさまざまな影響を受けた事例が百四十例、それから農薬、肥料の使用あるいは水源上流での森林伐採などの開発というようなものも入っておりますが、こうしたものによりまして影響を受けたものが約四十例ということで数字が出ております。
#224
○横尾和伸君 今のお話の中で、化学物質の製造、使用あるいは販売の段階での規制というのはかなりしっかりした体系が、全体がしっかりしていると言えるかどうかは別にしまして、あるんですが、一回環境中に放出された後の情報というのはかなり難しいものがあります。
 というのは、具体的にお聞きしますけれども、その環境中に排出されたものを規制する法律としては、今の水道の例でいきますと、廃掃法と水濁法があると思うんですけれども、例えば水濁法ですと規制の対象物質の数はどれくらいあるんでしょうか。環境庁にお伺いします。
#225
○政府委員(赤木壯君) 水濁法に基づきまして排出水の排出とか地下浸透水の浸透の規制をやっておるわけでございますが、総理府令で排水基準を定めでございます。これまで有害物質については十一項目、また生活環境項目については十六項目について規制してございます。ただ、最近非常に化学物質が生産、使用されるものが多くなってございますので、実はことしの三月に人の健康の保護に関する環境基準の項目追加を大幅に行ったわけでございまして、この考えに即して排水基準を定める総理府令の拡充について今中央公害対策審議会に諮問しておるところでございまして、これの審議をいただいた上で規制項目の追加を考えておるところでございます。
 ただ、環境基準として追加した項目以外にも、要監視項目というような形で二十五の項目についての監視を行って環境基準への移行等を検討していくという考えております。
#226
○横尾和伸君 製造、販売、使用段階での規制法というのは先ほど申し上げましたように化審法、毒劇法、薬事法、それから農薬取締法、いっぱいあるわけです。ところが、一回環境に放出された後については、今水濁法を例にとって数だけをお伺いしましたけれども、これは規制ですからしようがない面もありますけれども、数でいくと何十ぐらいです。先ほど身の回りを循環している全体が二万種類、それから毒劇法等で指定されている特別怖いというものについてはそれでも四百種類とか五百種類とか、そういうオーダーであるわけです。そういったことからしますと、環境に排出された後のいわゆる規制措置の拡大だけではなくて、情報管理といったこともしていかないと化学物質の管理というのはできないのではないか、管理といいますか、人体への影響をとめるという意味から。
 そこで、時間もないのでちょっと角度を変えてお伺いしますけれども、いわゆる化学物質については先ほど言いましたように、数の比較でいつでも環境に出た後のものの追跡が大変難しい、あるいは把握することが難しいということでございました。その意味で、環境中で膨大な数に及ぶ微量化学物質の管理、地域情報管理、水道水源を例にとりますと、水道資源がある、その上流についてはどういった化学物質がどのように使われているのかそういった情報を地域レベルでしっかりしておく、あるいはそういった情報を提供できるシステムをつくり上げる、こういったことが、いざというときにどこどこに聞けば必ずそういった基本情報はすぐに得られるという体制を整えることが必要ではないかと思うんです。
 そういう意味で、化学物質が現在も大変な数がある中でまた今後もかなりの勢いでふえ続けていく。また私ども国民からすると、水道水という媒体を通して体の中にその影響が確実にあらわれる、あらわれるというか、多いか少ないかはわからないけれども必ず影響を受けるといったことがありますので、改めて申し上げますけれども、規制措置だけではなくて情報管理をもっとしっかりすべきではないか、そういう部分での新しい制度の確立というのが私は必要だと思うんですが、そういった面での御検討のお考えがあるかどうか環境庁にお伺いいたします。
#227
○政府委員(八木橋惇夫君) 先生が御指摘になりましたように、化学物質対策は環境汚染を防止する観点から極めて重要な問題であり、かつ先生今までるるその問題点を指摘してきたわけでございます。環境庁といたしましても、水質汚濁防止法、大気汚染防止法、その他一般環境調査を通じまして化学物質対策に取り組んできたところではございます。
 しかし、地域における環境保全のために先生御指摘になりましたような地域地域における保有量、使用量等を的確に把握するといったような情報管理をしていくことが必要ではなかろうかと、こういう御指摘でございます。国際的な動向も踏まえながら、私どももそういったような問題意識を持っているところでございまして、ぜひそういった面についての勉強を都道府県の協力を得ながらやっていく必要があるというぐあいに考えております。
#228
○横尾和伸君 最後に、大臣に二点一緒にお尋ねします。
 一つは、今回の環境基本法が制定されれば歴史的な節目になるかもしれない、かもしれないというのは、若干別な要素も必要になってくるかもしれないという意味なんですが。またラムサール会議でも全地球的に盛り上がった地球環境問題、こういった波と相まって歴史的な節目とすべきだと思うんです。
 そこで、六月九日から釧路で開かれます締約国会議におきましてこの基本法案、まだ法案の段階ですけれども、この法案の基本理念を生かす姿勢を鮮明にすべきと思うんですけれども、そういった意味での大臣のお考えをお伺いしたいのが一つ。
 それからもう一つは、基本法、大変立派な表現だと思う反面、あいまいであるので大変心配な面もあります。そこで、そのあいまいさを払拭する意味で、具体的に先ほども河本先生からリーダーシップのお話もありましたけれども、私も同じ角度から声援を送りたいという意味で申し上げたいんですけれども、具体的に来年度予算で姿勢を示すということがあいまいさを払拭する大変手っ取り早くて一番確実な方法だと思っております。そこで、十分な予算、人員、組織の拡充をすべきことを踏まえて、この基本法制定に向けての大臣の決意をお伺いしたいと思います。
#229
○国務大臣(林大幹君) ただいまの横尾先生の御質問は二つと考えます。
 一つは、ラムサール条約締約国会議、この会議に臨む大臣の決意はどうかというのが第一点だろうと思うのですが、ラムサール条約の締約国会議を先生御案内のように釧路で行うことになっておりまして、準備も着々進んでおります。この会議を我が国で開催することにつきましては、特に湿地保全の重要性というものを国民に理解していただく上においても大変貴重な機会になっているというふうに認識いたしております。そしてまた、この会議はアジア地域では初めて行われる会議でもございますし、この地域における湿地保全の機運を高め、その保全に資する上で極めて重要な会議であると私は認識を持っております。御指摘のように、今後環境基本法の基本理念にのっとりまして、地球環境問題で我が国がリーダーシップをとっていく上においてもこの会議をぜひとも成功させる必要があると決意いたしまして、そのために最大限の努力を今払っておるところでございます。
 それから、この基本法案をこれから実行していくためにも来年度の予算をどうするかということが一番大事ではないかという具体的な御提言でございます。それはもう先生の御指摘のとおりでございまして、今国会でこの法案を成立させていただきました上は、この法案に盛り込んだ新しい基本理念、そしてまた施策の方向性、そしてまた環境保全施策を強力に推進していくというその姿、そういうものを推進していきながらそれに必要な予算、人員の確保、組織の整備、これに極力努めてまいりたい、そのように考えております。
#230
○横尾和伸君 終わります。
#231
○勝木健司君 環境基本法案は、人間の社会経済活動による環境への悪影響をできるだけ少なくしていこう、そして社会全体を環境保全型に変えることを基本理念としてその理念を実現するための施策を列挙されておるわけでありますが、その中で導入が明記されたただ一つの新たな施策が環境基本計画であろうというふうに思います。
 環境庁では今後具体的な内容を庁内で検討する、そして来年中にも計画期間十年前後の案をまとめるようでありますが、前回も私質問させていただきましたけれども、実質的な効力のある計画となるかどうかということが大事になってくるだろうというふうに思います。この案をめぐります各省庁間の協議にかかっておるんじゃないかということで、そのためにも環境庁の省庁の調整機能を強化していくということ、そして総合的見地に立った行政組織の整備と行政運営の改善に努めることが特に必要じゃないかということで、この点についてももう一度見解を求めたいと思います。
 また、この環境基本計画に取り入れられるべき内容というものは地域住民の生命あるいは健康にかかわるものでありますから、国は地域的特性に応じてとられる地方自治体独自の施策を尊重すべきでありますし、同時にまた、国と地方自治体は良好な関係を保全するための施策を実施するに当たって緊密に連携をし合う、そして相互に協力することがまた当然必要不可欠であると考えますが、これについての見解を求めたいと思います。
#232
○政府委員(八木橋惇夫君) 御指摘のように、地方公共団体における施策、これはいろいろやっているわけでございますが、そういった施策が環境の保全上極めて大きな役割を果たしてきており、政府が環境基本計画の示す基本的な方向に沿って環境の保全に関する施策を推進する場合に地方公共団体と連携協力しながら政策を推進していくということは極めて重要であり、かつ大切であるというぐあいに私どもも考えております。
 そこで、御指摘になりました環境基本計画におきましては、政府に対し環境の保全に関する施策の基本的な方向を示すということにしているわけでございますが、それと同時に、地方公共団体についても期待される取り組みというものを記述することとしたいというぐあいに私どもは考えているわけでございます。
 また、環境基本法案第三十六条におきましても、地方公共団体は環境の保全に関する施策を総合的かつ計画的な推進を図りつつ実施するものとするという規定を置いているところでございまして、この規定によりまして、地方公共団体において地域の環境の保全に関する計画が作成される場合におきましては、国の環境基本計画と地方公共団体との計画とが相まって環境の保全に関する施策の総合的かつ計画的な推進に資する、先生のお言葉に従えば、緊密な連携ができて協力関係ができるという計画になるというぐあいに私ども考えているわけでございます。
 私どもといたしましては、今後とも地方公共団体の独自性ということを十分尊重する必要があるわけでございますが、それと同時に、相互に連携を保ちながら国全体が整合性のとれた格好で環境政策を推進できるように持ってまいりたいというぐあいに考えております。
#233
○勝木健司君 長官に御決意のほどをお伺いしたいと思いますが、我が国はあらゆるものが産業化されていくような言ってみれば高度に発達した産業社会でありますので、成長のための経済の考え方が圧倒的な地位を占めておるわけであります。そのため、この持続可能な開発という言葉はとかく持続的な経済の安定成長という言葉と同義語にとられがちであろうかと思います。既存の経済指標では、この経済活動の結果環境が破壊されていく、そしてそのための回復に多大な費用をかけたとしてもそれは経済活動とみなされてGNPは増大するという矛盾も含んでおるわけであります。
 そこで、環境政策の経済への調和を図るという観点ではなしに、経済の環境政策への調和を図るように将来の経済基盤を支える基盤としての環境を重視する持続可能な開発の考え方というものをぜひ経済政策にも取り入れていく、そして経済成長に関する新しい概念というものをこの基本法の成立と同時に確立していくべきだというふうに思いますが、長官の見解をお伺いしたいと思います。
#234
○国務大臣(林大幹君) この基本法におきましては、環境問題と経済問題が対立するものであるというようなとらえ方はしておりません。それはもう先生御理解のとおりでございます。第四条におきまして、環境への負荷の少ない持続的発展が可能な社会の構築ということを規定しておるのもそのためでございます。
 これは、昨年の地球サミットの環境と経済の統合あるいは持続可能な開発の達成という考え方、またこれを受けて出された中公審等の答申の考え方を規定したものでありまして、かつての公害対策の展開は経済の健全な発展と調和を図ることとした経済との調和条項とはその趣旨内容が全く異なっておるものであるわけでございます。ここがとかく混同されがちになるわけでございますけれども、そういうことはございませんで、あくまでも先ほど申し上げましたように、持続的発展が可能な社会の構築ということを目指すものであるということでございます。
#235
○勝木健司君 わかりませんけれども、次に進ませていただきたいと思います。国際関係についてお伺いしたいと思います。
 昨年六月のブラジルにおける地球サミットで採択されました地球憲章は、世界人権宣言とともに今世紀最大の精神的な支柱とも言われておるわけでありますが、そしてまた温暖化防止条約、生物学的多様性保全条約、森林憲章の合意、またそれらを具体化させるような実行計画、アジェンダ21の策定もなされたわけでありますけれども、日本としてもリーダーシップをとって条約の実施のために他国をリードしていく、さらにまた人、技術、資金面においても最大限の努力を当然すべきではないかと思うわけでありますが、これについても長官の決意のほどをお尋ねしておきたいと思います。
#236
○政府委員(加藤三郎君) 地球環境保全のための国際的取り組みを国際的協調を図りつつ率先することが重要というふうに先生もおっしゃいますように、私どももそういうふうに考えております。
 具体的に申し上げますれば、地球サミットでの合意などの国際的動向を踏まえまして、いわゆるグローバルパートナーシップという精神に基づきまして国際的な各種の枠組みづくりに積極的に参画する。それから、我が国が持てる能力を生かしまして、適切な責任分担のもとに開発途上国の立場にも配慮をしながら国際協力の推進に最大限の努力をすべきと私どもも考えております。
#237
○勝木健司君 次に、長官にお伺いします。
 従来我が国の地球環境への国際的取り組みに関しては消極的じゃないか、また受動的であるというような批判が強いわけでありまして、熱帯雨林の問題とか、あるいは流し網漁の問題等につきましても、日本は世界の環境略奪というか収奪者とのイメージが広がっておるわけであります。この地球環境に我が国がどの程度関与しており、どの程度努力しているかについて、環境改善努力の事実を正確に、国内はもちろん世界にも今後当然アピールするということが大事だろうと。そしてまた、人も技術も資金の協力ももちろん必要でありますけれども、それだけではなく、やはり地球環境保全のための理念あるいはもちろん具体的な施策も掲げていく必要があると考えるわけでありますけれども、御見解をお願いしたいと思います。
#238
○国務大臣(林大幹君) 勝木先生のただいまの御質問は、これは実は大変難しい御質問でもございます、答えるのも難しいんですが。
 といいますのは、特に日本がこれから地球サミットなど一連の地球環境問題の中で国際的に協力をしていこうとすれば、恐らく一番日本を頼ってくるのは私はアジアの国々だろうと思います。このアジアの国々は、御案内のようにこれから開発されていくといいますか、これから大きく発展しようとする国々であります。そうしますと、まず経済開発ということがどうしても先に日程に上ってきます。環境をどう整えるか、環境保全をどうするかということが大変急務なんだということも知っていながら、追われるような経済発展にどうしても対抗できなくなるというような難しい問題の渦中に日本も入るわけであります。
 ですから、このときにそれらの国々に対してリーダーシップをとるようにするためには、先ほども率先垂範という言葉がどなたかからも出ましたけれども、まず日本自身がこれを受けとめなきゃなりません。そういう意味で、私も今重大な決意を実は秘めるわけでありますけれども、具体的な問題につきましては担当部長から説明させます。
#239
○政府委員(加藤三郎君) 先生の方から、私どもがやっておることについて正確に世界にアピールすべきじゃないか、それからまた地球環境保全のための理念を掲げるべきじゃないか、そういう御質問だったと承ります。
 まず、その第一の点について具体的に少し申し上げたいと思いますが、我が国が過去二十年あるいは三十年ぐらいの期間にわたって環境保全でいろんな面をやってき、またいろんな痛切な体験もさまざましてまいったわけですが、そういった経験なりあるいは成果なり、そういったものを世界に正しく知ってもらうことは必要だというふうに思っております。このため、例えば昨年の地球サミットにおきます日本国政府代表演説など、さまざまな機会をとらえましては我が国の取り組みをいろんな形でアピールをしてまいっております。
 そのほか、私ども環境白書を毎年発行いたしておりますが、その環境白書の英訳版などをつくる、それ以外にも例えば現在この基本法につきましても既に世界が非常に関心を寄せておりますので、暫定的な英訳版をつくってそういった関心を寄せる方には原案をお見せするといったような努力をしているわけでございます。もちろん、私ども以外にも関係省庁、特に外務省などで海外広報も積極的にやってくださっているというのはもう先生御高承のとおりでございます。
 また、こういった事実の伝達に加えまして、理念もきちっと掲げるべきじゃないかということでございます。この基本法案の審議でずっと話題になってございますリオ宣言の策定に当たりましても、地球的規模の環境問題に関する懇談会というのがございましたが、私どもそこの懇談会からの提言という形でおよそ地球環境の保全に絡まる理念は我々としてはどう考えるかというのを懇談会の提言という形でリオの方に伝えた次第でございます。そのほか、今御審議いただいておりますこの基本法案そのものにつきましても、理念を三条、四条、五条に掲げておりまして、特に国際関係につきましては第五条に掲げておるというわけでございます。
 こんなわけで、私どもが努力をしておりますことを正確に知ってもらうことだけでなく、今回、特に基本法におきましては理念を高らかに掲げまして、世界に先駆けてそういった理念のもとでの環境政策を推進していくことを明らかにしたという次第でございます。
#240
○勝木健司君 外務省にお伺いしたいと思います。
 地球環境保護のためには南北問題の解決も重要なポイントになると思われるわけであります。一九八八年六月のサミットにおける経済宣言の中で持続可能な開発という言葉が確立をされた、そして国際社会の中で重要なキーワードとなっておるわけでありますが、しかし開発途上国においては経済発展を求める余りに自然生態系や土壌などの環境が破壊されている例が多い。そればかりか、公害防止を実施する資金と技術があるならその分を経済成長に回したいというのが開発途上国の現状じゃないかというふうにも思います。そのため我が国としても押しつけにならないように配慮をしつつ無償の比率を増加させていく、そして環境ODAの五カ年倍増計画を策定すると同時に、持続可能な開発のプランを開発途上国とともに策定をすべきではないかとも思うわけでありますが、見解をお尋ねいたしたいと思います。
#241
○説明員(黒木雅文君) 途上国におきましては、先生御指摘のとおり、環境よりは開発を優先するという傾向にございますので、政府といたしましては途上国との緊密な政策対話を通じて積極的に優良な案件の発掘、形成、実施を進めていきたいというふうに考えております。
 それから、ODAの中の無償比率でございますけれども、政府といたしましてもODAの量的拡充のみならず質的な改善という観点から、特に無償資金協力、技術協力、国際機関への出資、拠出等のいわゆる贈与部分を拡充するということに努めてきておりまして、その結果、絶対額では他の援助国に比べても高いレベルになっております。しかしながら、ODA全体に占める贈与比率を見ますと依然として低いレベルにあるということで、今後とも一層の改善に努めたいというふうに思っております。
 次に、環境ODA五カ年倍増計画を作成してはというお話でございますけれども、環境ODAの目標額につきましては、昨年六月のUNCEDにおきまして、先生御承知のとおり、九二年度から五年間で九千億円から一兆円という目標を設定しております。この目標を達成すべくODA全体の拡充を図る中で環境分野の協力の拡充にも努めてまいりたいというふうに思っております。
 それから最後に、持続可能な開発プランに関してでございますが、昨年の六月に策定いたしましたODA大綱におきまして、援助の実施に際して、「環境保全の達成を目指しつつ、地球的規模での持続可能な開発が進められるよう努める。」ということを基本理念の一つとして掲げております。右を踏まえまして各途上国の実情に応じた環境協力をきめ細かく実施し、途上国において持続可能な開発が進められるように支援していきたいというふうに考えております。
#242
○勝木健司君 地球サミットで合意採択された条約の実行のために毎年千二百五十億ドルが必要とも言われておるわけであります。求められて資金を出すということも大事でありますけれども、条約の実行のために日本としても積極的に資金を拠出をしていくと同時に、それ相応に他国にも役割分担を行うよう日本としても積極的に呼びかけるべきではないかと思うわけでありますが、これについても見解をお伺いしたい。
 あわせて、開発途上国に数多く存在する熱帯雨林や野生動植物について、その保護を開発途上国だけに任せるばかりではなく、その維持を図るためのコスト負担の新しいあり方についても日本が率先して国際的な枠組みの中で作成をしていくべきじゃないかとも思うわけでありますが、これについても見解を賜りたいと思います。
#243
○説明員(篠塚保君) お答えいたします。
 第一の点でございますが、先生御指摘のように、昨年の地球サミットで二つの条約、一つは気候変動に関する国際連合枠組み条約、それからもう一つは生物の多様性に関する条約が署名のために開放されまして、日本を含む百五十カ国以上の国が署名いたしました。批准につきましては、我が国につきましては国会の御承認を得まして既に承認させていただきましたが、現在のところ両条約の発効に必要な数に達しておりませんで、いまだ発効はしておりません。
 条約の実施に必要な資金の額及び資金供与の制度等の詳細につきましては、現在関係国間で話し合いを続けております。正式には条約発効後に条約締約国会議が開催されまして、その締約国会議の場におきまして資金の額その他資金供与の制度につきまして具体的な検討及び決定が行われることになっております。したがいまして、我が国としましてはこれらの会議に積極的に参加いたしまして、先進国間の資金負担の調整及び途上国間との建設的な対話の維持に今後とも努めていきたいと思っております。
 それから、第二の点でございますが、森林の保全それから野生動植物の保護、維持等を含む持続可能な開発のための必要な資金をいかに国際的に賄うかという問題につきましては、先生御高承のとおり、昨年の地球サミットの重要課題の一つとして議論されたわけでございます。我が国は、ただいま調査計画課長から説明がありましたように、九二年から五年間で我が国のODAを九千億から一兆円に拡大していくということで努力するということを表明したわけでございます。
 現在、地球環境問題に関する中心的な多国間の資金メカニズムとしましては地球環境基金という基金がございますが、先生から御指摘のありました生物の多様性の保全の問題もこの地球環境基金の対象分野の一つとなっております。我が国は、この地球環境基金に対してそのコアファンドに三千四百万ドル拠出をしてきております。それで、この基金につきましては今試験的な段階にございまして、次の段階が来年の六月以降始まることになっておりまして、現在、次の段階の資金規模あるいは意思決定の方法等につきまして関係国間で検討が行われております。我が国もこの検討に積極的に参加しているところでございます。
 それから、先生より御指摘のございました野生動植物の保護を目的としましたいわゆるワシントン条約それから熱帯木材の保全、特に熱帯木材の保全につきましては国際熱帯木材協定、ITTAがございますが、等の国際的な枠組みのもとで我が国は財政面を含めまして積極的に貢献を行ってきているところでございます。
#244
○勝木健司君 条文に戻りたいと思いますが、この政府案の第五条では国際協力について、先進国としての日本の役割を重視した規定となっておるわけであります。そしてまた、この第三十二条では、地球環境保全とともに、開発途上地域の環境保全に関する国際協力を推進するとしておるわけでありまして、また三十五条では、ODAまたは海外での事業に関する環境配慮にも触れておるわけであります。しかし、具体的な措置については努力規定にとどまっておるということで、特に環境ODAについての事前調査とかあるいは事後調査の充実とか透明性の確保などの抜本的な改善策等々も盛り込まれておらない。また、事業者の海外活動における環境配慮についても事業者の自主性に任されておるわけであります。
 もちろん経済活動は国境を越えて行われておるわけでありまして、その結果環境問題も国境を越えて深刻化しておるという中で、先回もありましたように、これは主権の問題だということで主権問題を理由に環境問題への取り組みをおろそかにすることはやはり第五条の趣旨に反することになりはしないのかということで、少なくとも国際環境協力の実施に当たっての環境配慮については十分配慮して適切な措置をとるということが私は必要だというふうに考えますが、これについても見解をお願いしたいと思います。
#245
○政府委員(加藤三郎君) 先生のお尋ねは二点ほどあったかと思います。一つが、第五条で理念を規定しているわけですけれども具体的な措置は努力規定にとどまっておる、これは第五条の規定の趣旨に反するのではないかというのが第一点かと存じます。それから第二点といたしましては、もう少し、十分配慮し適切な措置をとるというふうに条文をすべきではないか、そういう趣旨だと理解します。
 まず、第一点につきまして御説明を申し上げますと、第五条の理念の規定は、これはもう先生御存じのとおり、地球環境保全のための国際的協調のもとで積極的に取り組むという旨を規定したものでございます。このような理念のもとで、従来の立法例にない極めて踏み込んだ節、すなわち第六節国際協力の節を置いて国際協力の基本姿勢について明らかにしたというふうに私ども考えております。
 ただ、これまでも何度も御議論ございましたように、地球環境保全はひとり我が国のみでできるものではなくて、他の国々と一緒に協力していくということが不可欠でございます。したがって、これを進めていくに当たっては、相手国の立場あるいは主権を尊重するといったようないわば国際関係への配慮もまた必要だというふうに考えております。したがいまして、我が国としては最大限の努力を払うという趣旨でございますが、そういう趣旨でいわば努める規定、先ほど先生努力規定とおっしゃいましたが、そういう努める規定を置いたものでございまして、国際協力、協調のもとに積極的に推進するという第五条の理念にかなったものというふうに私どもは考えております。
 それから、具体的に、十分配慮し適切な措置をとるとすべきではないかという御意見につきましては次のように考えております。すなわち、海外の地域における環境保全につきましては、先ほども申し上げましたように、国内施策とは異なりまして、国際協力を通じて相手国と手を携えて取り組むべきというものであることから、その性質上相手国の立場、主権といったものを尊重し、十分な対話を重ねる中で推進すべきというふうに考えております。このような見地に立ちまして、第六節の規定におきましては、先ほども申し上げましたが、すべて国は努めるという旨の表現としたわけでございますが、これは私どもといたしましては、我が国として最大限の努力を行うという趣旨で書いたつもりでございます。
 特に、三十五条第一項に規定しておりますいわゆる環境配慮、この環境配慮という言葉が何か非常に緩い言葉というふうにとられることもあるわけでございますが、私どもこの環境配慮という言葉に対しましては、国際協力の実施に当たって相手国の環境の状況の把握あるいは環境保全対策の検討を行うだけでなくて、これらを踏まえて国際協力案件の審査等を行うことをも意味するというふうに解しております。
 したがいまして、先生御指摘の点につきましては、既に私どもが示しております原案にその趣旨が盛り込まれているというふうに考え、原案は適切なものだというふうに考えております。
#246
○勝木健司君 時間も余りありませんので次に進ませていただきます。情報公開であります。
 国が持っている環境にかかわる情報とかあるいは環境保全に関する情報が国民に適切に提供され、国民と共有することが必要じゃないかというふうに思うわけであります。また、この環境の保全は、国だけではなく地方自治体あるいは民間団体、国民、それぞれの取り組みが相まって初めて可能であるわけであります。そのためには環境に関する行政への信頼を高めていく。そしてまた、行政情報を有効に活用する点からも、情報提供と申しますか情報の公開は必要不可欠だと私は思うわけであります。
 そこで、この規定の趣旨が行政情報公開基準と同趣旨のものといたしますと、国が提供する情報を環境の保全に関する必要な情報に限りと、そしてまた提供の必要性を何々に資するためと限定した結果、この環境情報に関しては行政情報公開基準と比べて特に請求者にとって有利になる点は何かあるのかということをお尋ねいたしたい。
 また、この情報公開という文言を避けた理由として、先回もありましたように、行政改革大綱の報告においても公開についてはなお検討すべきものとしていることを受けたとの説明がなされておるわけでありますが、この公開というのと情報提供というのと実質においてどのような差異があるのかお尋ねをいたしたいと思います。
#247
○政府委員(八木橋惇夫君) 二点についての御質問でございます。
 まず、二十七条に係る御質問でございますが、行政情報公開基準は、環境の保全に関する情報を含めまして国の行政情報一般について国民の請求に応じ開示する際のガイドラインとして設けられているわけでございます。環境基本法案第二十七条は、民間団体等が自発的に行う環境の保全に関する活動の推進に資するために民間団体等に対し環境の保全に関する必要な情報が適切に提供されることが必要であるという認識、これはまさに先生と同じ認識なわけですが、そういう認識に立ちまして、国はその提供に努める旨の努力義務を規定しているわけでございます。したがって、基本法案第二十七条の規定によりまして、国が行政情報公開基準を踏まえながら必要な情報について積極的にその提供に努めていくことを通じまして、国民や事業者の自発的な活動等の一層の推進が図られていくというふうに解されるわけでございます。
 第二の問題でございますが、情報の公開という用語につきましては、法令に用いる用語といたしまして現段階では定着しておりません。その意味、内容も明確なものになっておらない。そこで現行法令におきまして情報の公開という用語を用いたものはございません。情報の公開という用語は、情報の公表を行政機関に原則的に義務づけたり、国民一人一人に情報について開示を請求できる権利を付与するという趣旨で用いられることが一般的ではないかというぐあいに考えられるわけでございます。そういった義務化、権利化についての問題というふうに解しますと、これにつきましては前回お答え申し上げましたように、なお検討を要する多くの問題がございまして、昨年十二月の行政改革大綱においても、今までに整理された検討課題を踏まえつつ引き続き調査研究等を進めるという、調査研究をこれからもしなきゃならぬという段階にあるわけでございます。
 そこで、環境基本法案においてこうした問題を含む公開という用語は使用しませんで、従来から各種法令において用いられている「提供」という用語を用いることによりまして法規定としての適正さを期したという事情にあるわけでございます。
#248
○勝木健司君 時間も参りましたので、長官に最後にまたちょっとこの件についてお伺いしたいと思います。
 この「提供するように努めるものとする。」という規定を提供するものとすると改めることができない趣旨というのが一体どこにあるのかということで、ただ単にやはり提供すべき情報を持っておらないとか、あるいは具体的な情報が不存在という理由で物理的な限界があるということならば、これは私どもはもう努力をしなくてもわかるんじゃないかと思いますし、また当然今認識は同じだということでありますから、提供できるものは提供するというのであれば実質的にはやはり情報提供を義務づけられているものと受けとめてもおかしくはないんじゃないかというふうに思うわけであります。国民の側からは、そういう必要な環境情報の提供がされておるということであれば、この環境上の行政も含めた行政への信頼はますます高まっていくだろうというふうに思います。
 そういった意味でも、前回も質問させていただいておるわけでありますけれども、この第二十七条の「情報の提供」は、少なくとも「努めるものとする。」から提供するものとすると、それぐらいは踏み込んでも、衆議院でも環境の日は修正で一項目やられておるわけでありますので、やっぱり四項目の要求をしておるわけでありますが、これについても私は必要だと思いますので長官の見解をお願いをして、もう時間が来ましたので次の機会に譲りたいと思います。
#249
○国務大臣(林大幹君) ただいまの勝木先生の御質問につきましては、この法案の作成に事実上携わってきた企調局長に答弁させます。
#250
○政府委員(八木橋惇夫君) 先生の御指摘は「提供するように努めるものとする。」ということを提供するものとするというぐあいに改めることができないかということでございますが、前回、私若干舌足らずな説明であったかもしれませんので正確にお答え申し上げますが、国に一定の情報の提供を一般的に義務づけることにつきましては、先生が今御指摘になりましたように提供されることが必要な情報であっても、そういう情報を国が保有していない場合という事実上の問題、また提供の前提となる科学的知見が得られていない場合というような提供に当たっての物理的制約等があり得ること、これは一つの理由でございます。
 そのほかにもございまして、提供の義務づけを含む情報公開一般についてはなお検討を要する多くの問題があるということはただいま申し上げたところでございますが、そういうことで今後引き続き調査研究を続けるということなので、その調査研究の成果を見なきゃならぬという問題がある。この二つの制約を踏まえた上での規定にすることが必要であるということになるわけでございます。
 そこで、国は必要な情報を提供するものとするという規定になるとどういうことになるかということでございますが、この規定になりますと、国に具体的な情報の提供を直接的に義務づけるということになるわけでございまして、基本法におきましてそういう一般的な規定を置くということは、環境の保全という極めて各般の行政分野にわたる問題をカバーすべき基本法におきましてそういう無限定な義務づけを置くことは、これは適当ではないというぐあいに考えられるわけでございます。
 それでは、どういうふうに考えればいいかということなんですが、情報の提供につきましては、この基本法で政府案がとりましたように、情報の提供に関して国が所要の措置をとるように努めるという国の努力義務をまず基本法の段階で書きまして、これを受けまして各行政分野のそれぞれにおきまして個別の問題、また必要に応じながら個別具体的に提供を義務づける情報の範囲、その場合の手続要件を明らかにしながら対処していく必要があると、こういうことになるわけでございます。
 ただ、この基本法におきまして努める規定を置いたと、努力義務規定を基本法に置きましたということは、その方向に向かって政府は考えていかなければならぬという方向性を示していることになりますので、各個別法を制定する場合はこの基本法の精神に基づいて個別法を考えていくと、こういうことになるわけでございます。
#251
○勝木健司君 終わります。
#252
○有働正治君 基本法案の第二十三条は、国は「絶滅のおそれのある野生動植物の保護増殖その他の環境の保全上の支障を防止するための事業を推進するため、必要な措置を講ずるものとする。」という趣旨を設けています。そして、第二十六条は、国は「民間の団体が自発的に行う」「環境の保全に関する活動が促進されるように、必要な措置を講ずるものとする。」という、概要そうした趣旨を盛り込んでいます。
 私は、まず本日はこれらの規定とのかかわりでイヌワシの保護について質問したいと思います。お聞きしますと首都圏では、群馬県境くらいにしかイヌワシは見ることができなくなったということで、非常にまれになってきています。そこで私は、お借りして一枚の写真を持ってきました。これがイヌワシの頭部の姿であります。(写真を示す)――見えますでしょうか。せっかくお借りしましたので、ちょっとお見せする次第であります。
 くちばしから尾っぽまでの体長というのは約九十センチぐらいで、体の重さというのは成鳥の場合には三キロから六キロぐらいあると。翼を広げますと、大体二メートル前後にもなるという勇壮な姿であります。成鳥は全身黒褐色でありますが、うなじから頭部には金色の羽毛を持っています。ここに非常にきれいな金色の羽毛があるということで、ゴールデンイーグルとも呼ばれているということであります。
 この問題についてきょうはお尋ねするわけでありますが、まず、このイヌワシは法律上どういう位置づけになっているのか、また今日生息状況をどう見ておられるのか、簡潔にお願いいたします。
#253
○政府委員(大西孝夫君) イヌワシの法律上の位置づけでございますが、昭和四十年に文化財保護法に基づく天然記念物にまず指定されております。それから昭和四十七年に、特殊鳥類の譲渡等の規制に関する法律いわゆる特殊鳥類法がございまして、それに基づく特殊鳥類に指定されておりましたが、今回、絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律の制定、それに伴います特殊鳥類法の廃止に伴いまして平成五年二月に種の保存法に基づきます国内希少野生動植物種に指定しているところでございます。
 生息状況でございますが、全国で四百羽、つがい数で見ると百二十つがい程度というふうに推定されております。また、ここ数年全国のひなの巣立ち確認数が減少しておりまして、環境庁が平成元年に取りまとめたレッドデータブックにおきましても絶滅危惧種に選定されているところでございます。
#254
○有働正治君 非常に絶滅が心配されているということであります。
 昨年九月二十二日に日本イヌワシ研究会がイヌワシの保護に必要な施策を八項目にまとめまして、環境庁、文化庁に提出されています。私たちは、この要望書の中で二に書かれている生息地の確保ということが非常に根本的に大事であるというふうに考えるわけですが、きょうは時間の関係でこの点は確認するにとどめておきまして、特に要望書の一、「営巣場所の確保」、つまり巣、この営巣場所の確保であります。三、「エサの供給と確保」五、「卵および雛の活用」など繁殖活動を促進する具体的な提言がこの中でされているわけでありますが、これについて環境庁はどういう御見解を持っておられるのか、見解を聞かせていただきたいと思います。
#255
○政府委員(大西孝夫君) 今、御指摘の日本イヌワシ研究会が昨年九月に取りまとめていただきました提言の中には、今先生が御指摘になったような点を中心にいろいろの御提言がありますが、私どもが現実にこの野生生物の対策を進めていく上で極めて貴重な内容を含む提言というふうに受けとめております。
#256
○有働正治君 それから、日本イヌワシ研究会というのが出てきますけれども、この団体というのはどういう団体か、そしてまたその活動について環境庁はどう見でどう評価なされておられるのか、見解を伺います。
#257
○政府委員(大西孝夫君) 日本イヌワシ研究会は、ワシあるいはタカ類の生態に詳しい会員で構成されました民間団体でございまして、昭和五十六年の発足以来全国のイヌワシの生息状況の調査でありますとか保護活動というのを自主的に行っていただいておりまして、野生生物の保護に取り組む我が国のいろいろな団体の中でも非常にすぐれた団体であると私ども思っております。
 行政側も従来そういう意味でこのイヌワシ研究会の協力を得ていろいろ成果を上げた事例もございまして、一、二申し上げますと、例えば昭和六十年から平成元年まで環境庁が実施いたしました人間活動との共存を目指した野生鳥獣の保護管理に関する研究、長い名前でありますが、そういう研究の一環としましてこのイヌワシ研究会会員の協力を得ながら岩手県の北上山地におきまして、崩落したイヌワシの営巣地を補修しまして繁殖を成功に導いたというような例がまずございますし、また大分県に生息しますイヌワシの繁殖実態の把握のために、数年前から県とイヌワシ研究会が協力いたしまして、生息状況の調査や産卵された卵がふ化しない場合の原因の分析などを行っているところであります。
 このように、行政側も大変恩恵を受けているところでありまして、今後ともこの研究会の活躍を期待しているところでございます。
#258
○有働正治君 非常に積極的に頑張っておられるわけであります。そして、提案している要望の実現に向けて本当に頑張っておられるわけであります。
 例えば、イヌワシというのは谷間だとかがけっ縁に巣をつくるわけです。そういう営巣場所を確保してやる。非常に激しい風だとか雨だとか雪だとか、そういう中で巣が傷んだり、あるいは巣をつくった場所が安定していない、転げ落ちるというような状況の中で、みずから命にかかわるようなことを顧みずそういうために頑張っておられます。あるいはえさの供給、確保の点におきましても、例えばえさが不自由な吹雪等が続くようなときなどにもそのために頑張っておられる等々、精力的に今環境庁もお述べになったような活動をやって、国内だけでなくて国際的にも極めて高い評価を受けていると私も実感するわけであります。
 そういう点で、積極的に活動されて非常に私ども敬意を表する次第でありますけれども、冒頭に私が述べましたような今般の環境基本法の精神と内容、そしてまた関係の条項から見まして、こうした民間団体、ボランティアの本当に精力的な誠意のある活動、これに対して任せっ放しにしておくのではなくて、政府としてもしかるべき積極的な支援をやるべきではないかと私は考えるわけでありますけれども、これについていかがでありましょうか。
#259
○政府委員(大西孝夫君) 私どもといたしましても、絶滅のおそれのある野生動植物の保護の問題につきましては、国として必要な措置を講ずることはもとよりでありますけれども、これにあわせまして民間団体による保護活動がますます重要な意義を有するようになってくるというふうに理解をいたしておりまして、そういう意味でも環境基本法二十六条の規定の趣旨を踏まえましてその支援に努めていく必要があるというふうに考えております。
 このため、御指摘のような民間団体による保護活動に対しましては、私どもといたしましても、一つには、必要な情報の交換でありますとか調査研究におきます連携の強化等を通じながらできる限り支援の道が見つけられるように努力をしてまいりたいと思っておるところでございます。
#260
○有働正治君 長官にもせっかくの機会ですから、先ほどお見せしましたような非常に絶滅の危機にあるという中で、この保護というものが非常に大事だと私は思うわけです。そういう点で、環境庁長官としてこういう民間ボランティアの精力的な活動に対して誠意ある対応をぜひしていただきたい、激励を兼ねて答弁願えればと思うわけであります。
#261
○国務大臣(林大幹君) 環境行政を実りあるものにするためにも民間の方々の御理解と御協力は欠くことのできない大事なことでございますし、今NGOの皆さん方がそれぞれ大変な奉仕の精神で努力してくださっているわけでありますので、特に今地球環境基金などの活用も図られるようになりましたので、これからも大いにそういう団体に対して激励したいと思っております。
#262
○有働正治君 それでは、この問題はひとまずおきまして、次の問題に移らせていただきます。
 二日の本委員会で、私は国定公園内での自然公園法違反の疑いの環境破壊をめぐりまして群馬県松井田町と長野県軽井沢町を結ぶ西武グループのアクセス道建設問題を取り上げました。本日、似たような問題として宮城県鳴子町の栗駒国定公園内の鬼首リゾート開発をめぐる問題を基本法案とのかかわりで質問いたします。
 本日の登場の主役はゴルフ場建設の三菱地所であり、東急資本のホテルが中核施設となっているものであります。これと宮城県とのかかわり、また現在の法案とのかかわりでお尋ねする次第であります。
 宮城県は、九〇年三月に栗駒・船形リフレッシュリゾートオアシス21構想を承認しています。この重点整備地区に栗駒高原地区がありまして、その国定公園内にゴルフ場、ホテルなどの鬼首リゾート開発が進められています。この開発地は、東北の名山の一つであります神室山、千三百六十五メートルのすそ野にあります。私も山登りが好きでよく知っていますけれども、ミニ谷川岳の愛称を持つ非常に風光明媚で貴重な山でありますし、だからこそ国定公園に指定されているところであります。
 そこで、まずお尋ね申し上げます。この三菱地所のゴルフ場開発、それとの関連で建設されています鬼首の観光道路の問題についてであります。この観光道路というのは、国道百八号線のバイパス的機能を持つ道路としながら、延長四・五六キロ、幅十一メートルの道路を宮城県単独の自然公園整備事業として一九八八年から建設しているわけであります。これは秋田へ通ずる道であります。近隣に鬼首近くに通じる花立峠線というのがございます。これは山形に通ずる路線であります。
 そこでお尋ねします。この花立峠線と今建設が進められています鬼首の観光道路、これは別の路線ではないかと考えますが、いかがでありますか。
#263
○政府委員(大西孝夫君) 今お話しの花立峠線は宮城県知事の計画決定に係る路線でございまして、県の計画によりますと、今お話しのように鳴子町鬼首車道分岐点から花立峠となっておりまして、現在建設中の御指摘の道路は、公園計画で示された路線と図面上におきまして若干のずれが起点においてあるということでありますが、宮城県では、公園計画に基づくその地名そのものは両方とも鬼首車道分岐点であるということで、公園計画に基づく範囲内のものであるというふうに判断をしているところでございまして、したがいまして、同一の路線というふうに聞いておるところでございます。
#264
○有働正治君 今認められましたように、起点、終点も全く違うわけであります。県は確かにそのように答弁しているようでありますけれども、県の環境保全課に聞けばはっきりします。皆さん方は環境庁でありますから、県の環境担当部門にこれはお尋ねになったものでありますか、今の答弁は。
#265
○政府委員(大西孝夫君) そのとおりでございます。環境部門から聞いたということでございます。
#266
○有働正治君 この環境保全課が県に提出いたしました資料は、明確に別路線になっています。そのことを確かめてください。
#267
○政府委員(大西孝夫君) 私もきのうその図面は見せていただきまして、確かにその図面上ずれているというのは実感しましたが、地名は両方とも同じ地名、地点内であるというふうにもまた説明を受けております。
#268
○有働正治君 それは建設サイドの言い分です、大体。環境保全課の担当責任者に確かめました。明確に違うし、私は地図もここに持っています。そういう点では明確に調べ直してください。どうですか。
#269
○政府委員(大西孝夫君) もう一度よく事情を伺ってみたいと思います。
#270
○有働正治君 この鬼首観光道路はそういう点で別路線で、新設道路であるというのが実態であります。そして八八年に事業執行していますが、それまでに自然公園法による現行路線の決定及び事業決定による公園計画の変更、県の自然環境保全審議会への諮問あるいは決定、それの公示等の手続を行っているかどうか、はっきり答えていただきたいと思います。
#271
○政府委員(大西孝夫君) 御指摘の道路は、宮城県からの情報によりますと、昭和四十三年に県知事決定の路線として計画決定されておりまして、昭和五十年九月に県自然環境保全審議会の議を経て事業決定された花立峠線道路として、昭和六十三年から国定公園事業として県が事業執行に入っているということでございます。
#272
○有働正治君 その公示等の手続を行っているかどうかと、その点を確かめているわけです。
#273
○政府委員(大西孝夫君) 県は、その事業の変更に当たらない、同一事業という判断で作業を進めているようでございます。
#274
○有働正治君 そうすると、やっていないということですね。
#275
○政府委員(大西孝夫君) いわゆる変更手続というのは、そういう意味ではとっていないということになります。
#276
○有働正治君 それが問題なんです。先ほど言いましたように、別路線なんです。だからそういう点では、自然公園法十二条に基づきます公園計画及び公園事業の決定の規定に対して違反しているということを言わざるを得ないわけであります。その点どうですか。
#277
○政府委員(大西孝夫君) そこの判断がなかなか難しいところかと思いますが、告示上の地名の範囲内ではあるけれども、図面上ずれておるということなんでございますが、県は、これはしたがって同一事業であって、変更手続は必要がないという判断に立ったようでございます。
 私ども、この法令に合うか合わないか直接判断する立場にはないわけでございますが、あるいはそういう疑念をわかさせないように変更手続等をもしとれば、より問題のない行政の進め方だったのかもしれません。
#278
○有働正治君 そういうあいまいな答弁では容認できません。やるべきなんです。
 そこで、具体的に聞きます。この観光道路はそもそも国道百八号線のバイパス的機能を持っておって、国定公園の第三種特別地域上を通る建設計画になっています。国立公園法における各種行為に関する審査指針では、二日のときも確認いたしましたが、延長が二キロ以上または幅員が十メートル以上となる道路の新築、一ヘクタール以上の面的広がりを持つ道路の新築以外の開発行為を大規模な開発行為として、事前の総合調査を行わなければならないとなっているわけでありますけれども、このバイパス道というのは延長四・五六キロ、幅員十一メートルの建設計画でありまして、これに該当することは明白だと思いますが、どうですか。
#279
○政府委員(大西孝夫君) その点はそのとおりだと思います。
#280
○有働正治君 そういう点からいったならば、事前に総合調査を行わなければならないはずでありますけれども、その点は行われていますか。
#281
○政府委員(大西孝夫君) 平成二年に環境影響評価を行っているというふうに聞いております。
#282
○有働正治君 それは、事業執行の前ですか、後ですか。
#283
○政府委員(大西孝夫君) 土地取得には既に着手していたけれども、実際に工事を開始した時点に比べると前であるというふうに聞いております。
#284
○有働正治君 事業執行の約二年後になるんです。その点も明確に違うわけであります。つまり、規定に基づく事前の総合調査、これを行っていないということであります。
 環境アセスというのは遅くとも事業の執行以前に実施するというのが常識でありますけれども、この場合には自然公園法の第十七条の審査指針に基づいたアセスを事前にきっちりやっていないということであるわけで、県当局から事情を聞いて、必要な改善措置等を図るべきだと私は考えるわけでありますけれども、ちゃんと調査して必要な措置をとるということを約束していただきたい。
#285
○政府委員(大西孝夫君) 私どもの指針では、工事着手以前における環境影響評価をそういう大規模の場合にはやるような定めになっておりますが、用地取得以前でなければならぬということは示しておりませんし、今回の場合はそういう意味では、平成二年に工事に着手する前に、平成元年までに道路部局が環境影響評価を行い、自然公園担当部局との協議を終えているというふうに聞いておりまして、その限りでは指針にも沿ったものだというふうに理解をいたしております。
#286
○有働正治君 それが先ほど申しましたように、八八年という点から見まして、事業執行後の九〇年三月に行った環境調査のことを恐らく言われていると思うんですけれども、そういう点で私は問題だということを指摘していますし、このこと自体が地域でも大問題になっているわけでありますから、ちゃんと調査して必要な措置をとるということを、そこをはっきりさせてください。
#287
○政府委員(大西孝夫君) もう一度よく事情を調査してみたいと思います。
#288
○有働正治君 次は、鬼首ゴルフ場の問題でありますけれども、このゴルフ場は九一年四月に開発許可が宮城県からおりています。この予定地内には国有地がございます。国有地の水路敷の末端に現在沈砂地をつくったり、その水路敷が変更されています。私も現場を見てまいりました。これはもう明白な事実であります。水路敷をもとのままに保全することに本来なっていたわけでありますけれども、大幅に改変して、事実上私物化している状況にあります。
 本件につきましては九一年九月に東北財務局が、この水路敷というのはなくてはならないということで保全するよう明らかにしていますが、現在保全されている状況にないと私は現場を見てきたわけでありますが、この点どう認識されておられるのか。
 建設省は、国有財産法十八条三項の流水の目的を妨げているのは明らかなわけで、国有財産保全のため、実態を見て必要な措置をとるべきだと考えるわけでありますが、いかがでありますか。
#289
○政府委員(木下博夫君) お答えしたいと思います。
 議員御質問のございました本件のようなケースの場合は、私どもはいわゆる法定外水路と申し上げまして河川法を直接適用しておりませんような水路でございます。こういうものにつきましての管理は、原則的には地方公共団体に国から委任させていただいております。
 御質問ございましたように先般も御陳情ございまして、私ども地元の県にも一応ただしておりまして、報告を受けた内容で答弁させていただきたいと思うわけでございますが、本件の沈砂地の設置につきましては、お話ございましたように鬼首ゴルフ場建設に際しまして、いわゆる水路の機能管理者でございます地元の鳴子町が、管理条例に基づきまして水路の機能を阻害しないように開発業者を指導した上で許可をし現在管理をしているわけでございます。
 国有地の末端というお話ございましたが、私ども聞いておりますのは、この水路は国有水路敷に隣接したゴルフ場の区域に一部水路からいわば沈砂地を設置するためにバイパスをつくったような形での設計をされているというふうに私ども受けておりまして、これの趣旨は、いわゆる建設工事中に起こります土砂の堆積が一時的な降雨によりまして濁水が直接水路を流れることのないようにということでバイパスの水路を自分のゴルフ場内につくったと聞いておりまして、現在宮城県にも現地確認をさせておりますが、お話のございました当該水路の機能そのものは私どもは確保されていると思っております。
 それから、一部確かに水路につきまして手を入れたというふうに報告ございますが、これにつきましてもいわばもともとの水路が自然との関係、いろいろ御議論あろうかと思いますけれども、河道がかなり荒廃しているということもございましたのでこの際整備させたという報告を受けておりますので、いずれにせよ国有財産の水路そのものが私物化されている状況ではないと私ども伺っております。
#290
○有働正治君 あなた、現場を見た方が私はいいと思うんです。
 二つあるんです。一つは水路敷がどうなのかということで、全然これは変わっているんです。それから沈砂地というのがあるんです。これ自体わきに入るような格好をしていますけれども、この二つを混同してもらっては困るわけで、水路敷、それから沈砂地、これは同時に国有地のかかわる部分であるわけであります。
 だから、その点は明白に現実とは違っているわけです。その上九一年九月に東北財務局というのはこれをちゃんと保全しなさいということまで言っているわけですけれども、現場を見た限りにおいて保全されているという状況には明白にありません。したがって、ちゃんとした調査をしてください。
#291
○政府委員(木下博夫君) 再度私ども現場へ当たることはお約束できると思っておりますが、先ほど来繰り返しになりますので詳しくは申しませんけれども、沈砂地を設置した場所そのものは、私どもの調べでは先ほど申し上げましたように国有地内でなくていわゆる私有地、ゴルフ場だと聞いております。
 いずれにせよ、お話ございましたのでもう一度調べさせていただきたいと思います。
#292
○有働正治君 政府の答弁を聞いていますと、三菱地所の言い分どおりの言い分だというのを非常に痛感せざるを得ないわけであります。
 もう一カ所、もう一つの問題をお尋ねします。このゴルフ場計画地内には調整池というのはあるんでしょうか、ないんでしようか、環境庁。
#293
○政府委員(大西孝夫君) 詳しくは知りませんが、調整池はないように聞いております。
#294
○有働正治君 おっしゃられるように一カ所もないんです。つまり、農薬等々で汚染されたゴルフ場内の水というのは直接川に流れて下流の市民の飲み水である方向に行くわけであります。新しく今つくられているようなこういう、しかも広大な地域の中で調整池一つないというのは私は珍しいんじゃないかと思いますけれども、この場内に調整池をつくって場外の環境に影響を与えないようにするというのが開発事業者の責任ではないかと考えますが、いかがでありましょうか。
#295
○説明員(坂本忠彦君) この地域で私どもは江合川総合開発事業の一環として、上大沢ダムという事業を実施中でございます。
 この事業は、通称地域整備ダムと申しておりますが、地域開発等の開発行為に伴います流出増対策の池と洪水調節を行う池とを一体的に整備する手法をとっておりまして、いわば洪水対策と開発事業によります流出増のための調整池をそこで実施しておるという形になっておりますので、委員御指摘のように、このダムについて防災上の配慮がなされていないという御指摘は間違いであると考えます。
#296
○有働正治君 つまり、上大沢ダムというのは、確かに三菱地所が五億五千万円を負担していますけれども、ゴルフ場の調整池としての機能を持って建設されているということでありますか、確認を求めます。
#297
○説明員(坂本忠彦君) 洪水調節の池と防災調整池の池の二つの機能をあわせ持っておるということでございます。
#298
○有働正治君 つまり、ゴルフ場とのかかわりで言いますと、そこからいろいろあふれ出た水その他もここに吸収されていって、そういうときにも対応できる内容になっているということでありますか。
#299
○説明員(坂本忠彦君) 開発行為に伴います流出増に対処するための池でございます。
#300
○有働正治君 時間がありませんので詳しくは申しませんけれども、本来つくるべき場内の調整池というのはやらないで、国、県、そして鳴子町自体にも負担をさせながら、一部この三菱地所も負担していますけれども、ダムをつくってやるというそのねらい等が非常に鮮明になってきたということを私は指摘しておきます。
 時間の関係で申しわけありませんけれども、私の主張ですから、それはもう明白なんです。この問題で非常に鮮明になった、そういう点であなたの答弁は注目されるということであります。
 それで、最後に幾つかお尋ねせざるを得ないんで申しわけありませんけれども、つまり今見てきましたように、この公園という問題につきましては、国立公園には公園計画として保護計画及び利用計画があります。そのもとに公園の地域ごとに管理計画が策定され、自然環境が保全されているわけであります。今申しました宮城県の栗駒国定公園の場合、さきに挙げました群馬県の事例を見ましても、国定公園の保全の問題が非常に私は重要と考えるわけであります。
 したがって、国定公園に国立公園と同様の管理計画をちゃんとつくる、そうでなければ国定公園の保全というのがきっちり対応できない、これがあちらこちらで今問題になっているということであります。
 そこで、私は、環境基本法の制定に当たりまして、さきに述べました第十四条の指針や十五条の環境基本計画を策定しようというときに、国定公園の自然環境を保全するためにも管理計画の策定というのを指導すべきではないか、不可欠だと。そうでなければ県あるいは企業、そういう開発の荒波の中で国定公園が非常に大問題にならざるを得ないという点で、この点での指導を私は求めるわけであります。
#301
○政府委員(大西孝夫君) 国定公園の管理につきましては、自然公園法の規定で都道府県知事の権限とされているところでございまして、北海道、福井県、山口県などにおいては都道府県の自主的な判断で国定公園の管理計画を策定しているというふうに聞いております。
 ただ、すべての国定公園についてこれを策定させるかということにつきましては、複数の県にまたがる国定公園が多いことなどから、かなり実務的に難しい問題もあるようには思うわけでありますが、確かに御指摘の点傾聴に値する面もあると思いますので、私ども今後のひとつ検討課題にさせていただきたいと思っております。
#302
○有働正治君 環境庁長官、私の二日の指摘、そして本日の指摘から申しまして、国立公園はしかるべき対応をされている。この中にもいろいろ私は問題を感ずるわけでありますけれども、少なくとも国定公園が各地でこう問題になっている以上、この基本法の精神にのっとって管理計画の策定の指導を積極的にやる方向で検討していただきたい、そのことを最後に申し上げます。
#303
○国務大臣(林大幹君) 国定公園等における管理計画につきましては、これから十分担当の自然保護局の方にそれらのことに対する対応をさせたいと思っております。
#304
○有働正治君 終わります。
#305
○粟森喬君 私はまず最初に、今回の法案の第二十二条第二項にかかわる問題、環境税にかかわる問題について幾つかお尋ねをしたいと思います。
 この二十二条二項というのは、この法案の中で最も難解といいますか意味不明なところが非常に多いし、恐らく将来の環境税あるいはデポジット制などを入れていくことも想定をしているんではないかということはこれまでの論議の中で出されているわけですが、特にこの中で、最後のところの「国際的な連携に配慮するものとする。」というのは、環境税にかかわる諸外国の最近の動向やこれからのあり方を見ながらいわゆる日本国内における対応を考えたいという意味だろうと思います。
 そこで、お尋ねをしたいのは、今OECDでもこの問題が大きな共通的な課題になっているかと思います。あるいはECでもこの問題が大きく取り上げられているというふうに理解をしています。また、アメリカでもクリントン大統領がいわゆるガソリンなどに環境税を賦課するなどの意向が出ていますが、こういう動向等について、まずこういう状況から見ても、我が国が環境税について何らかの対応が不可避的に起きるだろうと、こういうふうに思うわけでございます。
 それに比べて、ここの法案の書き方との関係で、将来的にこの辺のところをどういうふうに理解と認識を今現状としてしているのか、まずお尋ねをしたいと思います。
#306
○政府委員(八木橋惇夫君) まず最初に、二十二条の最後の段落の文章の意味でございますが、経済的措置が地球環境保全のためのものである場合、例えば地球温暖化等の課題に対処するための措置である場合には、その効果が適切に発揮されるためには一国だけがやっても大して効果が上がらない。例えば、地球温暖化のためのCO2の排出ということでありますれば地球全体としてどのぐらいふえていくかということが問題でございまして、どの地域でふえていくかということにつきましてはそれほど大きな意味合いを持たないということになりますことから、世界的な連携という中でそういう措置を考えていく必要があると、そういう趣旨での規定でございます。
 それから、第二の先生の御質問でございますが、諸外国の最近の動向についてどういうふうになっているかということでございますが、先生御指摘のように、経済的手法の活用は国際的な課題になってきているということはこれは私は事実ではなかろうかというぐあいに理解しております。
   〔委員長退席、理事堂本暁子君着席〕
この中で、特に環境税につきましては、従来から欧州諸国で用いられてきた事例もございまして、最近さらに幾つかの国で導入や検討が進められているというぐあいに考えられます。具体的には、これまで排水、使い捨ての飲料容器、殺虫剤等のさまざまなものへの課税や課徴金制度が欧米諸国で実施されてきたところでございますが、近年では二酸化炭素排出削減のための環境税の導入や検討が進んでおりまして、スウェーデン、ノルウェー等の北欧諸国とオランダで燃料に含まれる炭素分等に着目した税制が導入されているほか、ECでは、これは先生御指摘になったわけでございますが、指令案を策定して燃料中の炭素分と熱量に半々に着目した炭素エネルギー税の導入を検討しているということもあるわけでございます。
 また、米国ではクリントン政権におきまして、財政赤字削減、環境汚染対策、エネルギー効率の向上、米国の経済的自立性の向上という複合的な目的を持った新エネルギー税の導入が提案されており、現在議会で検討が行われているというぐあいに承知をしております。そこで、こういうような世界的状況にある場合に、我が国においても検討が不可避になるのではなかろうか、こういう先生は御指摘を同時になさったわけでございます。
 環境税等の経済的手法は、広く市場の活力を生かしながら、環境保全のための自主的な取り組みを促すという点で長所があるというぐあいに言われております。先進国サミット、OECD等においても国際的に推奨され、既に先進各国においても導入例がふえてきたというのは今述べたところでございます。
 そこで、私どもの国におきましても、そういった国際的な検討の動向をにらみながら調査検討を行っていく必要があるのではないか、我が国だけが調査検討を行わないということは、逆に言うとアンフェアであるという議論が起こりかねないということも一方では念頭に置きつつ、調査検討というものは怠りなくやっていく必要がある、こういうぐあいに考えております。
#307
○粟森喬君 その上で、恐らく想定をされる一つとして、今の税制の仕組みの中で、例えばガソリン税や軽油税の中を見ますと、今でも相当多額の税の負担がございます。ここにかけることが一つのインセンティブ効果があると言われますが、日本の場合はこの上にかける。結果的に現状でもこれだけかかっていても、日本におけるこの種のエネルギーといいますかいわゆるCO、が出るものに対するかなりの使われ方がしているわけです。
 それからもう一つは、私はこの間の日本の税制に対して言うならば、消費税導入のときの不信、それから所得税減税を求めることに対して今不信がある、それから政治不信が高まると税に対して不信感が非常に高まる。同時に、環境税を仮に入れるとしたら、環境行政に対する一定の信頼とか見通しがない限り、国民の理解と協力なんというのはとてもじゃないが得られるようなことにならないと思います。特に、そういうもろもろの要素をまずどう理解をしているかということと、もう一つは消費税についてのさまざまな論議が非公式段階、準備段階としていろいろ論議をされているわけでございますが、特に従来の日本の税制の中で、財源調達型のいわゆる新税というのが非常に多うございます。
 私はそのことを考えたときに、消費税を想定する場合に、これは目的税として明確にする、そしてそれを環境目的に限って使う、そういうようなことについて、これは税制を入れるのは大蔵省が行政官庁としてやるわけでございますが、そのことについて環境庁なら環境庁としてきちんとした見解を今お持ちなのか。それから、今後それを持ち得るのかどうか、その辺のところについてお尋ねをしておきたいと思います。
   〔理事堂本暁子君退席、委員長着席〕
#308
○政府委員(八木橋惇夫君) いろいろ難しい問題も幾つか含めて御質問になったわけでございますが、この法案で私どもが考えている経済的措置、第二十二条二項に規定されている経済的負担の措置の一つであるものとして想定する場合における環境税ということになりますれば、これはやはり負荷活動、つまり環境への負荷を直接または間接に発生させる活動を営む者がみずからの活動に係る負荷の低減に努めるようインセンティブを与えるものとしての措置として考えるものであって、財源を直接の目的にするものではないということになるわけでございます。
 そういう意味で、環境庁が環境税というものを検討する場合には、そういった税というものが環境負荷を減少させるためにどのぐらいの効果を持つのか、また、それが国民経済にどういう影響を与えるのか等々を研究するということが一義的な私どもの任務になるというぐあいに考えられるわけでございます。ただ、先生が御指摘になりましたように、今度はそれが一方に税ということで仕組まれた場合にはそれが財源として入ってくるということはそこであるわけでございます。
 そこで、それをどういうふうに考えるかということでございますが、これにっきまして、税ということになりますれば当然のことながら個別法の施行が必要となってくるものでありまして、そのときに、結果的に得られる財源の使途を含めまして具体的にどういう仕組みが必要であるかということを調査研究しながら、それは国民的な議論をしていかなければならぬということになるわけでございます。
 そこで、先生はもう一つ先に問題点を展開しまして、そういう場合に、一般消費税の議論のときのようにその辺の国民的な理解を得るというためについては環境保全上に十分な効果がなければそれは理解は得られぬよという御指摘だったかと思います。そういう御指摘は私ども当然ある御議論だと思いますし、現にOECDにおきましても、例えば環境税、あそこで議論しましたのは主として二酸化炭素を含む炭素税を中心にしてお考えになっているようでございますが、そういったものを考える場合に、環境目的をこれから達成していかなければならぬという場合に、またそれは効率的な水準に達していないというような場合においては、そういった財源というものを環境目的に使うんだというようなことで考えた方がむしろ受け入れられやすいという議論が行われていたということもOECDにおいては事実でございます。
 そういう議論もあるし、先生のような御議論があるということも私どもは十分承知しているわけでございますが、しかしこれにっきましては、いずれにしましても、これからどういう方法、またどういうものを考えていくことが適当であるかということを、まさに国際的な動向を踏まえると同時に、我が国における実情とまた我が国における環境政策上どう進めていくかということを含めまして、これから基本法を成立させていただきました暁に調査研究をしていかなければならぬ問題だというぐあいに考えておるところでございます。
#309
○粟森喬君 これからの論議だと思いますが、私は、そのインセンティブ効果とこの財源、もし環境税を導入するときに環境目的以外に絶対に使わせないというそういう限定的なやり方をしない限りはまず難しいと思う。
 そういう意味で環境庁が、これは特に税制論議のときにはトータルの論議になって何となく財源を調達するためになってしまう。そういう意味で環境庁としてそういうことについてきちんとした見解をこれからもきちんと整理をすべきだと思いますが、このことに対して環境庁長官の見解を、当面どう考えているか、お尋ねをしたいと思います。
#310
○国務大臣(林大幹君) 総括しまして環境税という名前でくくっているようでありますけれども、必ずしも環境税という名前を使わずに別の名前で現実に対応している国も北欧などにはございます。
 日本の場合には、非常に税の問題についてはアレルギーもありますものですから、簡単には打ち出しにくいという点もございまして、ただ環境税は、先ほど企調局長の答弁にもありましたように、一つは環境への負荷が非常に重くなってくる、それに対して負荷を軽減させようとする意味における課税の方法、そのために例えばCO2もだんだん減ってくるといったような意味におけるものなどは、これはやはり考えられる一つの手段でありましょう。
 しかし、必ずそれはまた税収という面と裏腹になりますので、税収を見ないでひとり歩きするということはありませんから、その辺のところは非常に難しいことであります。税の問題になりますと、これは当然他省庁もかかわる問題であるし、それからまた政府の税調あるいはまた党の税調、そういうところでいろいろこの議論が出てくると思います。
 したがいまして、今私自身は環境税の導入の問題については慎重に処していきたいという考えてあります。
#311
○粟森喬君 慎重にすることが結果として単なる財源調達になるというのは非常に私は懸念をしますので、きょうはそのぐらいにしておきます。現実に扱うときには大論議を呼ぶかと思いますので、そういう意味で見解を申し上げておきます。
 次に、事業者の海外における事業活動に対して環境庁が何をどの程度言えるのかということと、環境庁がどういう対応をしているのかということについて幾つかお尋ねをしたいと思います。
 前回の委員会でもマレーシアのイポーの三菱化成の問題が取り上げられました。新聞の切り抜きを読んだら、三菱化成は環境庁長官、前の長官に釈明に来たと。そうして、そこでは「国内で行う処置と何ら変わりない」と釈明をした。これに対して中村長官は、「国外で企業活動を行う際は公害輸出を引き起こさないよう、政府が決めた申し合わせや経団連の「地球環境憲章」に沿って環境配慮を徹底する。上告するかどうかを含め、今後の対応を逐次、環境庁に報告する」、こういうふうに受け答えをしたということが、小さな記事ですが、出ています。
 実は、私もそのイポーへ、現地に行ってきたことがございます。これはどう考えても国内のやっていることと何ら変わらない。あれと同じことがもし日本の国内で起きたら、そんなことで済まされるような状況では決してない。にもかかわらず、なぜこういうふうにしか答えられないのかということは、私もその前後に環境庁に問い合わせをしたんです。環境庁みずからは海外におけるそれぞれの企業に関する事業活動における環境の問題については、大使館であるとか外務省であるとか通産省に聞くというか報告を求めるにすぎない。
 この種の問題が起きたときには、あるいは何らかの格好で環境庁がそういうところにみずから足を運んで、先ほど日本の国内のことについても同僚議員からいろいろ出たけれども、地図の上で見たという話ばかりでございます。きちんとした事実状況の掌握であるとか、問題認識の整理というのは、環境庁というのはこれまでのことを含めまして何をどの程度言える立場なのか、それについてお尋ねをしたいと思います。
#312
○政府委員(加藤三郎君) 事業者が海外で活動をいたしまして、そのときにそういった環境問題を引き起こすという問題につきましては、環境庁としても比較的早くから関心を持って勉強はしてまいりました。
 ちょうど今から四年前になりますけれども、平成元年の六月に、事業者の海外活動にかかわる環境配慮について、関係閣僚会議で基本方針の申し合わせというのが行われましたが、その際、環境庁としてそれなりの、それまでに積み上げた知見などをもとにいたしまして、それなりのリーダーシップをとったつもりでございますが、その申し合わせの中で、民間企業の海外活動についても適切な環境配慮が行われるよう努めるというふうになったわけでございます。
 政府側におけますこういった努力を反映して、経団連におきましても、自主的に平成三年に地球環境憲章という有名な憲章を策定いたしまして、その中で、海外進出に際しての十の環境配慮事項といったものを定めておるわけでございます。環境庁といたしましても、こういったせっかくつくられた地球環境憲章といったものが隅々まで行き渡っているかどうか、しっかり隅々まで行き渡るよう周知方を私どもも経団連に要請をいたしているわけでございます。
 このような経緯を踏まえまして、これまで私どもだけでなくて、例えば通産省などももちろんこういった方面に努力されておりまして、そういったことを踏まえまして、今般の環境基本法案において、第三十五条で事業者の海外活動における、環境配慮の推進を規定したところでございます。
 私ども環境庁は、役所の性格もございますが、いわば事業者の海外活動にかかわる環境配慮の重要性の位置づけ、あるいはそういったものに対応するための枠組みづくりといったものに努力をしてまいったわけでございます。
 先生、先ほどARE社の個々の問題に触れまして、私ども一般的には個々の問題については直接関与することはございませんが、AREにつきましては、そういった社会的な関心も非常に強いことから、私もあの事件が報道されるやすぐに関係会社から説明を受け、そしてまた、私どもの環境庁長官、当時の中村長官から、この場合はマレーシアでございますが、現地で環境問題を惹起しないように要請をした、そういうことでございます。
 このように、今後とも私どもといたしましては、関係省庁とも連絡をとりながら、事業者の海外活動について適切な環境配慮がなされるように努めてまいりたいというふうに思っております。
#313
○粟森喬君 環境庁は、この種の問題が起きたときには現地にきちんと行くと。企業に聞くのも結構でしょう、私は経団連の出した憲章も知っておりますが、これは何ら規制措置がないわけです、経団連というのは任意の経済団体でございますから。まさか法律的なペナルティーがあるわけでもないし、単なる努力目標でございます。
 環境行政が本当にやられるということは、国内の基準は、外国へ企業が進出した場合もその基準を当然そのまま持っていくと。もちろん、その国において。それ以上厳しい場合は当然でございます。緩いからといってそれを認めることになると、結果として、環境破壊の道になるということで、ここはこの法案をつくるときに、そこまで踏み込めるのかどうかということが非常に大きな問題だと思います。
 通産省も平成元年に出しましたこのガイド指標を今回変えるということですが、この平成元年のやつを見ても非常に緩いといいますか、相手国の「基準を満たすことを前提とし、可能であれば、それ以上の環境上の配慮を行うことが期待される」というような、この程度の表現では、本当に日本が世界に対して環境に責任を持てる国になるのかどうか。地球環境の話はかなりやっているけれども、個別のそのことについてきちんとできない限り、地球環境について語る資格が本当にあるのかどうかというふうに私は思います。
 したがって、そういう意味で環境庁が、これからその種のことに、ついて、環境庁としての立場で、どういう対策をこの基本法がつくられてからやろうとするのか、お尋ねをしたいと思います。
#314
○政府委員(加藤三郎君) 先ほども御説明させていただきましたが、私どもといたしましては特に地球環境問題が惹起してからは、私ども国が海外でいわゆるODAなどで相手国と一緒になって仕事をする場合に環境問題を惹起しないよう、また日本の企業が海外で事業活動を展開される場合に、およそ公害の輸出などといやしくも非難されないように十分な環境配慮をしていただくという趣旨から、いわば枠組みづくりに努めてきたつもりでございます。四年前の平成元年の申し合わせから、今日のこの基本法案にその旨を定着させるまで、私どもなりに努めてきたつもりでございます。
 先生先ほど相手方の基準を守ることはもとよりだけれども、日本の国内基準を海外で展開している事業者に守らせるということができないのかということでございましたが、このことにつきまして本委員会でたびたび御議論をさせていただきました。基本的にはどういう基準を設けるか、そしてどういうレベルにするかといういわゆる環境行政の基本に関することにつきましては、これはすぐれてその国の主権になるわけでございます。それは我が国におきましても、たとえよその国のいわば資本が日本で操業しようとも、それはよその国の基準を適用するのではなくて、我が国の基準を適用するのと全く同じでございます。
 そういうことで、どうしても相手方との十分な協議をしながらやっていくということにならざるを得ないわけでございまして、そういう意味で繰り返し御説明しておりますように、この基本法案においては「努める」とかそういった環境配慮をするとか、そういう表現になっているわけでございます。
 しかし、ただ漫然と日本で事業者の努力にまつだけでなくて、本法案の三十五条におきましては、民間企業に情報を積極的に提供するなど、民間企業が海外での環境保全対策をとることが円滑にできるよう支援をするとか、あるいは三十二条でございますけれども、国はそういった進出国、多くの場合途上国でございますが、途上国で環境対策が十分できるように、そういういわゆる対処能力を向上できますように、私ども積極的にこういった国に技術支援なりあるいは資金面での支援とか、そういったものをしてまいっていきたい。
 これはひとり環境庁だけでできるわけじゃございませんが、環境行政の中枢を占めております私どもといたしましては、関係省庁に働きかけて、そういったことを実現させていきたいというふうに思っております。
#315
○粟森喬君 今の部分をきちんとするためには、法の三十五条の二項に、事業者の海外活動における環境保全に努めるということを明文化し、修正することが何よりも大事だと私は思います。このことだけ論議をしているわけにまいりませんので、次の問題に移らせていただきます。
 先ほどからのこの論議でも私が申し上げたように、環境庁というのはいわゆる連携、調整ということがよく言われます。しかしこの連携、調整というのは、各省庁の報告を聞くとか、その意見を聞いているというと、結局環境行政といいますか、そういう立場というのは積極的な意味で見えてこない。むしろ環境庁がこうあるべきだというか、そういうことがきちんと言える省庁になって欲しいというのが私どもの希望でございます。
 したがって、環境庁の権限が強くなることに対して、いろんな意味で各省庁であるとか、あるいは経済界からとか、さまざまなところからいろんな意見があるわけでございますが、今文字どおり地球が抱えている環境の問題、それから日本の国際的な、いわゆる事業活動における責務などを考えたときに、環境庁の行政権能の強化を単なる連携から積極的な面に持っていくという意味で、きのうもその部分を申し上げたんですが、最後に長官のこの部分にかかわる御意見をお尋ねをしたいと思います。
#316
○国務大臣(林大幹君) 環境行政の機能強化についての先生の御質問でございました。
 これは、私どもも法律が示してくれるその使命に対して、行政面で緩やかであると、あるいは行政面で達せられないということがあってはいけませんので、その点につきましては、関係省庁とも緊密に連絡しながら、政府一体となった環境行政の取り組み体制を一層充実強化していく必要を痛感しております。今後環境行政の中枢としての使命が果たせるよう、その機能を十分に発揮してまいりたいと思っております。
#317
○粟森喬君 私は、単なる一体論は今環境庁の置かれた状況を示していないと思う。一体になるときはある種のそれぞれの省庁権限みたいなものは、今対等に近いものにこないと、環境問題についての今置かれた状況の新たな展開ができないというふうに思います。
 この部分については、また改めて意見を述べる機会があるかと思いますが、きょうはこれで終わらせていただきます。
#318
○委員長(松前達郎君) 両案に対する本日の質疑はこの程度にとどめます。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後六時二分散会
ソース: 国立国会図書館
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