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1993/05/31 第126回国会 参議院 参議院会議録情報 第126回国会 国民生活に関する調査会 第6号
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1993/05/31 第126回国会 参議院

参議院会議録情報 第126回国会 国民生活に関する調査会 第6号

#1
第126回国会 国民生活に関する調査会 第6号
平成五年五月三十一日(月曜日)
   正午開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 五月二十八日
    辞任         補欠選任
     栗原 君子君     中尾 則幸君
 五月三十一日
    辞任         補欠選任
     前畑 幸子君     北村 哲男君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    会 長         鈴木 省吾君
    理 事
                岡部 三郎君
                成瀬 守重君
                三重野栄子君
                浜四津敏子君
                鈴木 栄治君
                有働 正治君
                笹野 貞子君
    委 員
                木宮 和彦君
                木暮 山人君
                清水嘉与子君
                竹山  裕君
                藤江 弘一君
                吉川 芳男君
                川橋 幸子君
                北村 哲男君
               日下部禧代子君
                千葉 景子君
                中尾 則幸君
                山口 哲夫君
                中西 珠子君
                下村  泰君
   事務局側
       第二特別調査室
       長        小林 正二君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○国民生活に関する調査
 (本格的高齢社会への対応に関する件)
    ―――――――――――――
#2
○会長(鈴木省吾君) ただいまから国民生活に関する調査会を開会いたします。
 まず、委員の異動について御報告いたします。
 去る二十八日、栗原君子君が委員を辞任され、その補欠として中尾則幸君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○会長(鈴木省吾君) 国民生活に関する調査を議題とし、本格的高齢社会への対応に関する件について意見表明を行います。
 本調査会は、これまで本格的高齢社会への対応をテーマに調査を進めてまいりましたが、このたび中間報告書を取りまとめるに当たり、本日は、これまでの調査を踏まえ、委員各位の御意見を伺いたいと存じます。
 御意見のある方は順次御発言願います。
#4
○成瀬守重君 私は、我が国がこれから本格的高齢社会を迎えるに当たって対応が迫られている幾つかの問題について意見を申し述べたいと思います。
 これから二十一世紀にかけて、我が国は世界でも例を見ない速さで人口の高齢化が進んでいきます。平成二年現在六十五歳以上の人が全人口に占める割合は一二・一%でありますが、これが平成十二年、二〇〇〇年には一七%、平成三十七年、二〇二五年には二五・八%、平成五十二年、二〇四〇年には二八%と急激に高まって、全人口の約三割が高齢者で占められるようになると推計されております。
 我が国の世界でも最高水準の長寿命化は、経済成長による生活の安定と豊かさの実現、乳児死亡率の減少や伝染病の克服等医学の進歩、公衆衛生の向上などによって実現したものでありまして、人類の永年の夢の実現という意味で誇るべきことであります。
 しかし、急激な人口の高齢化に伴って社会的、経済的にさまざまな影響が出てくることが懸念されております。来るべき二十一世紀の超高齢化社会をすべての国民が健康で心豊かに充実した毎日を過ごせるような長寿福祉社会とするため、今後全力を傾けていく必要があると思います。
 人口の高齢化の要因は、長寿命化と出生率の低下でありますが、このうち最近の出生率の急激な低下によって将来の我が国社会の活力がさまざまな分野で低下することが憂慮されるのであります。政府においても育児休業制度の確立、保育サービスの推進、児童手当の充実等の取り組みを行っているところでありますが、我が国の将来を担っていくのは子供たちであります。結婚や出産といったことは個人の生き方、価値観に深くかかわる問題であると思いますが、仕事と家庭の両立、子育てに対する支援など子供を生み育てやすい環境づくりに一層積極的に取り組んでいく必要があります。
 出生率の低下によって将来における労働力不足が懸念されております。二十一世紀に入ると若年労働力が減少することから女性や高齢者の労働力を活用していくことが課題となります。このため、今後女性にとって働きやすい就業環境の整備や高齢者の多様な就業ニーズに応じた雇用機会の提供等を推進していくことが必要です。また、雇用形態の変化に伴って、我が国の雇用の特徴である終身雇用や年功賃金制についても見直しが迫られてくるものと考えられます。
 次に、高齢化が日本経済に与える影響であります。
 一般的に高齢化は経済の活力を低下させると言われますが、我が国においても、労働力人口の減少に伴って今後一人当たりの労働生産性を高めていかないと経済成長率は低下していくと考えられます。このため、今後独創的、先端的な技術開発への支援、サービス業など低生産性部門の効率化、中高年者の技術習得、能力再開発に対する支援等を行っていくことが必要です。
 次に、高齢化社会を支える負担の問題であります。
 高齢化が進んでいくに従って年金、医療、福祉サービス等、これを支える負担は一層大きなものとなっていくことが予想されます。しかし、経済の活力の維持、世代間の公平性の確保などの点を考慮すると、いわゆる高福祉高負担は必ずしも社会の全階層のコンセンサスを得られるとは思えません。諸外国の例を参考にしつつも、我が国の実態に合った適正な負担と給付のあり方について国民各層の合意を得つつ、日本型福祉社会の構築に向かって取り組んでいかなければなりません。そのため、効率的で均衡ある社会保障対策を進めていくとともに、自立する努力を助け、家族や地域社会の相互扶助を援助し、良質な民間サービスの健全育成を図っていくことも必要であります。
 次に、農山漁村における高齢化の進展についてであります。
 農家人口に占める六十五歳以上の高齢者の割合は平成二年現在約二〇%と、全人口に比べて二十年程度高齢化が先行しております。これは若年層が農業などの第一次産業から離脱していることを意味するものでありますが、国家の基盤とも言う
べき農林水産業、農山漁村の重要性を考えますと、高齢者が働きやすく、健康で生きがいを持って生活を営めるような施策の展開とともに、今後、後継者の確保のため、若者にも魅力ある職業とするための条件の整備や生活関連施設の整備など農山漁村の生活の質的向上にも努めていかなければなりません。
 次に、高齢者をめぐる諸問題について申し上げます。
 まず、高齢者が健やかで生き生きと暮らしていくための施策であります。健康な生活を送っていくためにはまず農薬や食品添加物の使用を極力抑制し、清浄健全な食品の生産に努め、真の健康づくりに社会の各界各層が挙げて取り組んでいかなければなりません。こうした健康に対する啓発活動や健康診断等の施策を一層充実していく必要があります。
 また、超高齢化社会における医療の役割としては病気にならないための予防医学の意義が一層高まってくるとともに、病気の治療、キュアをするだけでなく、地域で高齢者を介護、ケアするという役割が大きくなってくると思われます。このため医学教育や開業医のあり方等について検討することが必要であります。
 さらに、寝たきりやぼけは本人の生活の質、家族や社会の負担という意味で極めて深刻な問題です。寝たきり防止については現在寝たきり老人ゼロ作戦が進められており、この推進によって新規発生は相当抑えられると考えられますが、今後とも保健医療、福祉、住宅すべての面からの対策を強力に進めていかなければなりません。
 また、ぼけについては原因となる病気の予防や、いわゆるアルツハイマー性痴呆の原因究明に努めるとともに、在宅の場合には家族に対する一層の支援や、福祉施設等による適切なケアサービスの供給が望まれます。
 次に、人生八十年時代を迎え、第二の人生を充実して過ごすための生きがいづくりとして、豊富な知識や経験を持った高齢者が積極的に教養、文化、スポーツ、ボランティアなど各種の社会活動に参画していくことが必要です。このため、国民への啓発活動を推進するための組織づくりや指導者の育成等が課題となっております。なお、これと関連して、高齢者が精神的な若さを保ち、生き生きと暮らしていくためには、高齢者にフィットした若々しい衣服や高齢者に適した安全な履物の研究開発なども望まれます。
 次に、高齢者の介護の問題であります。
 高齢者の介護につきましては、これまでの施設介護中心から在宅介護へと重点が移されてきております。これについては、二十一世紀までの十年間の目標を掲げた高齢者保健福祉推進十カ年戦略、いわゆるゴールドプランが平成二年度から実施され、これに基づくホームヘルパーの増員や各種福祉施設等の増設が年々図られております。まず、この画期的な計画の着実な推進、目標の達成を図っていくことが必要であり、そのための十分な財源の確保等を行っていかなければなりません。
 なお、現状では在宅ケアを支える家族の経済的、精神的な負担は大変大きなものとなっております。このため、家族に対する支援として一層各種の介護サービスを充実していくことが必要ですが、仕事を持ちつつ高齢者の介護をしなければならない人については、介護休業制度の普及促進が待たれます。介護休業法の制定についても真剣に検討すべき時期に来ていると思われます。さらに、家族に対する一層の経済的な支援を望む声も強く、今後検討を加える必要があります。また、親を在宅介護する子供の負担が非常に大きいことから、特別に遺産相続等で配慮できないものか、公平の確保の観点から検討が望まれます。
 次に、高齢者の雇用、生活保障についてであります。
 高齢者の生活を支えるのは、言うまでもなく公的年金であります。今後、高齢者が激増していく中で、公的年金制度を将来ともに安定的に運営していかなければなりません。しかし、高齢化が進むとともに、将来の世代の負担は非常に重いものとなっていくことが懸念されます。現在、政府において平成六年の財政再計算に向けた作業が行われておりますが、適切な年金の給付水準を確保しながら後代の負担を適正な範囲に抑えていくためには、厚生年金の支給開始年齢を検討していくことが課題であります。今後、高齢者の雇用動向について配慮しつつ、国民に対して広く情報を公開して議論を重ねていかなければなりません。
 年金の支給開始年齢を検討する際には、年金と雇用とのリンクが必要であります。このため、六十代前半の高齢者の雇用機会の確保に全力を挙げて取り組んでいく必要があります。定年延長、勤務延長、再雇用等によって継続雇用を推進し、高齢者の生活の安定を確保していかなければなりません。また、就業を希望しない人に対しては、早期減額年金の支給も検討すべきです。
 次に、高齢者の生活環境の整備について申し上げます。
 高齢者が住みなれた地域社会で充実した生活を送っていくためには、高齢者の生活の拠点である住居、歩道や公園等の生活環境、バス、地下鉄等の移動手段などが高齢者にとって利用しやすい安全なものであることが不可欠の条件です。人優先のゆとりのある道路構造とすること、駅舎などを高齢者の利用に適したものに改造することや、エスカレーターやエレベーターの設置を進めること、リフトつきや低床のバスの積極的な導入を図ること、公共的な建築物について高齢者に配慮した構造にしていくことなどの施策を進めていかなければなりません。
 最後に、これからの超高齢社会を乗り切っていくためには、次代を担う青少年に対して適切な福祉教育を行っていくことが必要であります。高齢者を敬い、ともに社会を構成する一員として支えていくために、社会奉仕や福祉現場における体験を学習に取り入れたり、高齢者との自然な交流の機会をつくることによって高齢者への思いやり、尊敬の心を醸成していくことが求められます。高齢社会に対する教育の一層の推進が望まれます。
 以上、簡単ではありますが、超高齢社会を迎えるに際し、早急に手当てが必要な政策課題と、とるべき施策について意見を申し上げました。我々政治家も、超高齢化社会へのソフトランディングのために大きな役割を果たさなければならないとの認識のもと、今後さらに検討してまいりたいと考えております。
 以上でございます。
#5
○日下部禧代子君 この調査会におきまして、私たちは、目前に迫っております超高齢化社会をいかに活力ある明るい社会にするかについてさまざま論議を重ねてまいりました。多くの参考人の方々や地方自治体の皆さん方の御協力を得まして、有意義な議論ができましたことに深く感謝を申し上げたいと存じます。
 さて、高齢社会に対応する政策を論ずる前提といたしまして、まず次の二点を確認しておく必要があるのではないかというふうに存じます。
 まず第一点でございます。それは高齢の方や障害を持つ方々が家族や友人とともにいつまでもなれ親しんだ地域で過ごしたいというのが自然の願いであるということでございます。人生の最後まで人間の尊厳が保たれるということがいかに必要であるか。それは私が訪問看護婦さんやあるいはホームヘルパーさんなどと御一緒に、在宅介護の実態を今日までさまざまな機会をいただきまして実践させていただきました。その実践からも私は強く感じたことでございました。
 そしてもう一つ、これは人間にとりまして、自分の人生は自分が決めるという主体性、これがやはり人間として生きていられるということの、生き続けていくことのあかしてはないかというふうに思うわけでござい良す。人間としての尊厳、そして自己決定権、主体性をいかに重んじられて生きることができるのか、そのことを私たちがこれからの超高齢社会におきましていかにしてお年寄りや障害を持った方々に保障していくのか、そういうことがさまざまなこれからの高齢社会に対応
する施策を論ずる前の大前提の一つではないかというふうに私は思っております。これを基本に据えなければならないというふうに思っております。
 ところが、現在の状況を見ますと、日本の福祉サービスはさまざまございますが、大きな決定的な問題点がございます。それが第二点でございます。
 それは、さまざまな社会的なサービスがございます。福祉サービス、医療サービスございます。しかしながら、そのサービスの姿勢でございます。それがサービスを提供する側の発想でその仕組み、体系が組み立てられているということでございます。これを利用する側から考えますと、非常に不便でございます。そしてまた、行政にとってもこれは非効率的でございます。そしてまた、経費の点から考えましても、社会的経費がどんどんと重なっていくということにつながっていると思います。この基本的なサービス体系の矛盾を克服するためには、私は六つの原則が必要ではないかというふうに考えております。
 一つは、サービスを利用する者が主役であるということであります。先ほど申し上げました利用者の人権、主体性、決定権をいかにして保障するかということであります。
 第二点、利用者の生活をさまざまに分割しないでトータルにとらえる、その全体性が必要ではないかと思います。
 三番目には、それを前提といたしまして、多様なサービスを地域におきましてその利用者を中心にしていかに有機的に連携を持った仕組みに変えていくか、ネットワークにしていくかということだと思います。例えば、現在におきましては、在宅サービス、施設サービスばらばらであります。福祉サービス、医療サービスもばらばらであります。例えば、福祉サービスはホームヘルパーさん。一番わかりやすい例でございます。医療サービスは、在宅で考えますと、これは保健婦さんあるいは訪問看護婦さんでございます。サービスのメニューはあるんですけれども、それを利用するお年寄りの生活ということを全体的にとらえてつくられた仕組みにはなっておりません。
 だから、ホームヘルパーさんは勝手にいらっしゃる。勝手という言葉を申し上げては失礼かもわかりませんが、ホームヘルパーさんの福祉のサービスという体系の中からいらっしゃる。保健婦さんあるいはまた訪問看護婦さんは、これは医療サービスの体系である。それは管轄する形で言いますと、いわゆる福祉局あるいは民生局がホームヘルパーさん、そして保健婦さん、訪問看護婦さんは衛生局というふうにばらばらになっております。したがって、これはもう労力のオーバーラッピング、非常に経費がかかるということにつながってまいります。そして、これは利用する側にとっては非常に不便であるということにつながってまいります。在宅サービスとそれから施設サービスというのも、これはばらばらに分けて考えるものではなくて、それを一つの連関したサービス体系としてとらえなければいけないということでございます。
 それから四番目には、これは当然のことでございますが、質のよいサービスを利用者が選択できるということであります。
 五番目。これは当然そういった個別性を重んじるようなサービスになるためには、中央からのおりてくる画一的なサービスではなくて、いわゆる地方における分権化と、そして住民の御意見がきちんと吸収できる、反映できる、住民参加ということが前提になると思います。
 それから六番目。これはクオリティー・オブ・ライフという言葉が言われておりますが、本当にその豊かさが実感できるような生活環境、これは単に福祉サービス、医療サービスではなく、全般的な生活環境及び生活の質の充実、向上ということをいかに地域で保障するか。この六つの原則がどうしてもこれからの高齢社会に対応する施策を立てていく上に基本的なことではないかということを私は考えております。
 さて、そういう二つの点を大前提といたしまして論を進めてまいりたいというふうに思います。
 ところで、慶応義塾大学の島田晴雄教授、日本大学の小川直宏教授及び政府当局から、人口問題について将来の推計及び問題の所在状況について御意見を伺いました。その結果、予想以上に人口高齢化の速度が速い、これに対応する対策がいかに緊急の課題であるかということを再認識した次第でございます。
 我が国には既に人生八十年の長寿時代が到来しております。その上、世界でも例を見ない速さで人口の高齢化が進んでおります。六十五歳以上の人口が現在千六百十八万人、総人口の一三%を占めておりますが、人口の高齢化の第一次のピークである平成三十七年には約三千二百四十四万人となって総人口の二五・八%に達するわけでございます。とりわけ、あと七年で到来いたします二十一世紀初頭におきまして一七%に達することが見込まれております。そのスピードは世界の歴史上例を見ない速さでございます。中でも、七十五歳以上のいわゆる後期老齢人口のウエートが大きな勢いで高くなっていきます。さらに七十五歳以上、特に八十歳以上の方々が非常にふえていくということを先日の参考人のお話からも私どもは聞いたわけでございます。
 そうなりますと、寝たきりのお年寄りや痴呆性のお年寄りなどの、福祉の援護が必要なお年寄りが急増していくということになります。現在約七十万人いらっしゃる寝たきりのお年寄りは、西暦二〇〇〇年の平成十二年には百万人に達するというふうに見込まれております。また、痴呆性のお年寄りは現在約百万人でございますが、西暦二〇〇〇年には百五十万人に上ると推定されております。
 一方、世帯規模の縮小、女性の雇用機会の拡大、扶養意識の変化などによりまして家庭での介護能力が低下しております。今後の世代の移り変わりを考慮いたしますと、増大する高齢者の介護需要等に適切に対応できる総合的な要介護老人対策を早急に確立するとともに、高齢者の健康と生きがいづくりを積極的に推進することが高齢社会の重要な課題となってまいります。人々が長生きして本当によかったというふうに思える社会、そのための総合的な施策が必要であろうかと存じます、
 ところで、厚生省などが策定いたしました高齢者保健福祉推進十カ年戦略は、目的及び内容につきまして評価すべきものがもちろんございます。しかしながら、社会党としてはこれを十年ではなく七年で完了するように前倒しということを主張しております。現行の政府のペースに当てはめましても、進捗状況が非常に悪いものもございます。四月十六日の国民生活に関する調査会でもそのことを私は明らかにさせていただきました。特別養護老人ホームを補正予算で増設するということもそのときに御発言をいただいておりますので、この際、高齢者保健福祉推進十カ年戦略を見直すべきではないかということをもう一度主張させていただきたいと思います。
 高齢者ケアの確保とともに定年の延長、再就職促進、生きがいの確保、公的年金制度の充実とそれを補完する企業年金、個人年金の適正な育成、住居の確保、安全な町づくり、生涯暮らせる地域づくり、それらを担保する都市計画法や建築基準法などの法令の改正なども当然なことだというふうに考えております。また、福祉体験やボランティア活動、社会保障の基本原理の認識、ノーマライゼーション理念の浸透のためにも、若い世代、若いうちからの福祉教育というのはさまざまな形で必要ではないかというふうに存じます。特に、ボランティア活動につきましては、私今月初めドイツを視察いたしました。その際に、ツィビルディーンスト制度というのがございまして、兵役にかわりまして若者が老人ホームなどで働いている姿を私実際に拝見いたしまして、非常に印象的でございました。
 ところで、地域におけるケア対策の取り組みと支援策でございますが、健康で明るい長寿社会をつくるため、政府では通称ゴールドプランを策定
して、その推進と戦後の福祉体制の変革を目指しまして九〇年六月には老人福祉法等福祉八法の大改正を行いました。この福祉改革の理念は、住民が住みなれた地域や在宅でいつまでも生活できるようにするための福祉基盤を充実するものでございます。そのために、住民が身近な窓口でサービスを総合的に受けられるように、市町村の権限強化、在宅サービスへの支援の強化、都道府県・市町村老人保健福祉計画の策定など、一定の成果はございますが、まだまだ十分ではございません。特に、この四月から実施されました町村への老人福祉施設への入所事務等の移譲と老人保健福祉計画の策定につきましては、多くの問題点を含んでおります。
 二月に福岡県及び山口県で行いました委員派遣におきまして、改めて地域の保健医療、福祉、住宅、雇用などの高齢社会対策の問題点が明らかになりました。例えば福岡では、ホームヘルプサービスなどの在宅福祉対策やマンパワー対策などに強力に取り組まなければならないことを改めて実感いたしましたし、山口県におきましては福岡に比べてより高齢化が進んでいるために、在宅福祉総合利用券方式などの新たな発想に基づく施策がとられている様子も拝見いたしました。
 自治体からは、町村への権限移譲と老人保健福祉計画の策定を目前にして、総合的な財政支援、地方公共団体における業務執行体制の確保、福祉マンパワーの確保対策、保健医療対策の充実、子供が健やかに生まれ育つための環境づくりの推進などの要望が出されました。今後、立法府といたしまして、これらの問題に積極的に取り組まなければならないことを確信いたしたところでございます。
 そこで、先週の末、二十八日から二十九日にかけまして、社会党シャドーキャビネットといたしまして、自治体職員とともに再度福岡県におきまして老人保健福祉計画策定の状況、在宅介護の状況の調査を行いました。その結果、多くの問題点が山積している状況がわかりました。少ない市町村の福祉担当職員、また第一線のマンパワーの数や処遇水準が圧倒的に低い点など、非常にさまざまな問題点があることを再度確認したわけでございます。この点に関しまして、立法府といたしまして強く行政府に物申さなければならないというふうに思っております。
 そういう観点から私は、以上述べたような問題点を解決するためには、単に福祉や保健、雇用の施策を充実すればいいというだけではなくて、ここで全施策の総合的な転換を求めることが必要ではないかと。そこで、社会党シャドーキャビネット市町村高齢化対策委員長といたしまして、根本的な経済財政のパラダイムの変革を御提案したいところでございます。
 日本ではこれまで、働くことがよいことである、よい製品を安くつくることが善である、日本製品の国際競争力が高まることが善であると言われてまいりました。それはすなわち国を豊かにすることであり、日本人は経済的豊かさを目指して走り続けてまいりました。しかしながら、その反面、ゆとりある暮らしたとか男女の真の平等だとか家庭生活の享受、高齢者介護の確保というふうな点では失うべきものもあったのではないかというふうに思うわけでございます。この点におきまして、本当に豊かな社会であるためには、ここで公共事業中心からソフト中心、福祉や医療などの付加価値の高い産業としてすそ野の広い分野に配分するように国家予算配分のパラダイムを変えていかねばならないという時期に来ているのではないかというふうに感じております。
 今後の経済対策に当たりましても、国民生活を真に豊かにし、輸出主導ではなく内需を拡大し、諸外国と協調することを主張いたします。新しくつくられる道路や公共施設は障害者や高齢者に配慮した高規格で付加価値の高いすぐれた文化遺産として後世に誇りを持って引き継がなければならないというふうに私は存じます。
 四月下旬から五月上旬に英国及びドイツを訪問いたしまして、ワイツゼッカー・ドイツ大統領、また、ヨー英国保健大臣、ブランケット英国シャドー保健大臣などと会談いたしまして、日本とヨーロッパ、これは生活や文化の違いが非常にございますけれども、共通の問題を抱えているということを確認してまいりました。
 きょうから日本・EC議員会議が開かれます。日本が諸外国と共通の問題を解決するために、重要な役割を果たすためにはどうすればよいのか。人間的な豊かさを追求して人生の選択を多様にするために、人類の共通の問題である高齢化対策はその試金石である、そういう時期に来ているということを私は再度強調しておきたいと思います。
 そこで、高齢社会の課題に対処し、地域でのケア対策を施設、在宅、保健医療、福祉が連携をとって総合的に進めることができるためにも、十カ年戦略などを法定化して強力に推進するとともに、高齢社会を理念を持って総合的に建設できる基本的な法律をつくるべきではないかということを提案いたします。つまり、高齢社会総合計画法というものをつくらなければ、町づくり、交通手段の確保、保健、医療、福祉、教育、労働、そういったものを総合的につくっていくことは不可能ではないかというふうに考えます。
 今後、本調査会におきまして高齢化社会づくりを計画的に推進する法律というものを検討するための小委員会を設置していただくことを会長に御一任したいと思います。理事会でお諮りくださいますことをお願い申し上げます。
 以上、私の提案とそして社会党の考え方を述べさせていただきました。
 ありがとうございました。
#6
○浜四津敏子君 世界でも例を見ない急速度の超高齢化社会を迎えようとしている我が国においてこの超高齢化社会にいかに対応していくのか、その明確なビジョンとシナリオをつくることが緊急の課題と言われ、さまざまな取り組みが試みられてきました。これまでの取り組みと現状における問題点、そして今後どうあるべきかについてこれまでの調査会での調査を踏まえて意見を述べさせていただきます。
 今後目指すべき福祉社会の基本は、すべての人々がいかなるハンディを持っていようと、その人の個性と能力などに応じたその人なりに生きがいの持てるノーマライゼーションの実現にあると考えます。その実現のための具体的な問題点を幾つか指摘させていただきます。
 まず、老人福祉、そして老人医療関係施設についてであります。
 幾つかの特養ホーム、老人ホーム、老人病院、デイケアセンターなどを見せていただき、現場の方々の声を聞く中で、このような施設の絶対数が現時点においてさえ決定的に不足しているということが明らかになりました。特養ホームにおいては、待機者がどこのホームにおいても常時定員の数倍はいると言われております。ここに入所できた人とできない人との明暗が浮かび上がってまいります。そして、老人ホームに入れるまでの間、老人病院に入る人も多くおりますが、そこで薬づけやあるいは人手不足による寝かせきりの実態がございます。
 現在でさえ数が不足しておりますので、これが今後の高齢者の増加、中でも重度介護老人の増加が予測される中で、殊に多くの特養ホームの建設を急がねばならないと考えます。殊に、土地高騰の大都市圏において数の不足は深刻になっております。設置基準の五十床の制限を少なくとも都市部においては見直すなど、大都市圏における施設の増設が急務であります。
 さらに、痴呆性老人の急増の現実がございます。特養ホームの約六割が痴呆性老人であると言われております。現在の特養ホームの中で他の入所者と一緒に共回生活をさせ、また介護をするのは余りにも困難が大き過ぎ、その対応策も急がねばなりません。特養ホームとは別に痴呆性老人の特別の受け皿を早急に設けるべきであると考えます。老人性痴呆疾患専門病棟を精神病院やあるいは既設の老人保健施設や特養ホーム等に増設するとともに新設の施設には設置を義務づけるなど、
専門の施設で安心して治療、療養が受けられるようにしなければならないと考えます。
 また、在宅の痴呆性老人対策として、痴呆性老人向けのデイサービス、ショートステイ事業も拡充すべきであります。そしてまた、老人医療を充実させるとともに、老人性痴呆症の発症のメカニズムが十分に解明されていないことから、老いについての研究体制を一層充実させるための施策も進めていかなければなりません。
 そしてまた、多くの老人ホームから経営難の声が聞かれます。言われ続けてきたことでございますが、補助の単価を実勢単価にできる限り近づける必要があります。そして、施設単価のみでなく、経営にかかるすべての補助単価を現実にかかる費用とほぼ同じ水準にまで上げる努力をこれからも続けるべきであると考えます。
 そしてまた、こうした施設における介護要員の不足も叫ばれております。きつい仕事である上に待遇や労働条件か悪い現状では介護になかなか人が集まらないのはある意味で当然と言えます。これの改善のためには、早急に国の直接介護職員の定員の配置基準を五人に一人からせめて三人に一人にまで引き上げ、一人にかかる労働の負担を軽くしなければならないと思います。労働条件も改善し、そしてパート労働者が多い現実を考えますと、福祉施設に働くパート労働者の方については、当面の措置として、非課税限度額を少なくとも二百万ないし三百万程度にまで引き上げるというのも一つの方法かと考えられます。
 また次に、費用徴収制度についてでございますが、この上限が毎年変わりますが、いずれにしましても、本人負担分のほかに家族負担分というものがございます。家族に負担をかけたくない老人が自分の年金をこれに充て、その結果として手元にお金がほとんど残らず、潤いのある生活ができない、こんな状況にあります。この状況への対応もしていかなくてはならない、こう考えております。
 次に、これからは在宅ケア中心と言われておりますが、在宅ケアについて何点か述べさせていただきます。
 昨年、江戸川区の老人施設を視察させていただきました。その際、区長そして職員の方々のお話を伺わせていただきました。江戸川区は福祉が進んでいることで有名でございますが、区長のお話の中にこういうお話がありました。区長が住民のための政治を実現しようと決意してまず取り組んだことは職員の意識の変革であった。それが十年前であったそうでございます。行政と政治は何のためか、一体だれのためなのか。議会のためでもなく議員のためでもない、住民のためにこそある。これを徹底した、これが根本である。この意識改革を進めた、こういうお話がございました。住民が困っているのであれば、それに対して可能なことを、あらゆることをすべてやろう、これがい言葉とのことでございました。在宅介護者が困っているとすればどうやって行政が手助けできるのか、それに真剣に取り組んでいく。これが本来の行政のあり方、そしてまた福祉のあり方である、こういうお話がございました。
 そして江戸川区では、紙おむつの支給もまたヘルパーの派遣も制限なく必要なだけ行っている。寝たきりをなくすため、家屋を車いす用に改造するその費用も金額の制限もなし、そして収入の制限もなしでやっている、こういうお話でございました。
 こうした制限なしでやっていては到底財政がもたないではないか、こういう意見もありますが、しかし金はかかるけれども、金にはかえられない。むしろ、寝たきりをつくらないことのほうが長期的に見ると福祉にかかる費用を抑制することができるのだ、こういうことがわかったということも聞かせていただきました。
 福祉というのはサービスである。区が出かけていく、そして迅速に手を打つ、必要なサービスを必要なだけ提供する、これを基本とする福祉を実現しているこの江戸川区での福祉のあり方は、行政のあり方の原点を教えられる思いがいたしました。そして、このようなやり方を進めるうちに行政と住民の信頼関係が確立してきた、こういうお話も伺いました。職員も生きがいを持ち、また、住民もよき住民になるよう心がけるようになった。例えば、ボランティアの寄附が年間八千万円にも上る、ある住民の方は金婚式のお祝いのかわりに区に一千万円を寄附した、このような結果となってあらわれている、こういうお話を伺いました。ここに政治と国民の関係のあり方の示唆がある、こういうふうに思いました。不信ではなく信頼の政治を築いていきたい、こういうふうに思った次第でございます。
 次に、高齢者の増加の中で介護の人手をどうするかが在宅ケアにおいても一番の課題となっております。現在は家族、殊に妻、嫁、女性が主に介護に当たっております。仕事もやめざるを得ないというのが現状でございます。物理的にも金銭的にも大変な負担を強いられておりますが、これを軽減する方策が何としても必要であると考えられます。
 その一つとして、公明党では介護・看護休業法案を提出させていただきました。勤労者が家族の介護・看護が必要になったときに退職しないでそれを行えるよう、介護・看護休業法を早期制定すべきであるというふうに考えます。そして、家族介護・看護の社会的価値を認め、それを保険事故と位置づけまして、所得保障をすべきであります。そしてまた、こうした家族の労働を正当に評価する介護手当も必要であるというふうに考えます。また、年金制度の中で介護給付ができるよう、年金の介護加算も検討すべきであるというふうに考えております。あるいは老人保健制度による介護給付、現物給付も検討すべき課題であると思います。
 また、マンパワーの問題でございますが、殊にホームヘルパーなしては在宅ケアを支えることは不可能であります。その確保が最大の課題でありますが、さらにきめ細かいサービス、また、ニーズに合ったサービスが提供できるように、ホームヘルパーだけでなく、コーディネーター、ソーシャルワーカー、保健婦など、また、医師も、看護婦も、ボランティアも、ホームなどの施設も力を合わせて保健、医療、福祉の連携を図っていかなければならない、これが大きな課題であるというふうに考えます。そのために、一番のネックとなっております縦割り行政を改めることが緊急の要請であります。厚生省、建設省、運輸省、自治省など、連携を密に取り組んでいく必要があると考えます。
 次に老人訪問看護制度でございますが、昨年四月に創設されました。しかし、訪問看護ステーションの経営基盤が弱いのが実情であります。今後老人訪問看護療養費などによる支援措置を強化する必要があると考えております。
 また、高齢者や障害者、難病患者など、ハンディキャップを持つすべての人とその家族に対する総合的かつ効率的な看護・介護体制をつくるため、現在制度別に行われている在宅介護支援センター、老人訪問看護ステーション等の在宅サービスを総合調整する地域ケアセンターの創設が必要であるというふうに考えております。
 そして、ゴールドプランについてでございます。この計画では要介護老人を百万人と見込んでつくられておりますが、この見込み数は少な過ぎると思われます。仮にゴールドプランがすべて達成されても、要介護老人の約四割の人たちにはサービスが行き渡らないことになります。現時点でも、要介護老人を抱えた家族の中にはお年寄りを引き受けてくれる病院、施設が見つからず、途方に暮れている人たちが多いのが現状でございます。早急に改善しなければならないと思います。この計画を三年ほど前倒しして、新たな計画を策定すべきであるというふうに考えます。
 そして最後に、高齢化社会の諸問題は最終的には教育に行き着くと考えております。自分さえよければいい、こうしたエゴを引き出す教育を続けていたのではいかに施設を充実し、施策を充実させたとしても究極の解決にはなりません。社会の
ため、人々のために自分の力を発揮して貢献することこそがとうといという教育に変えていきたいと思います。それこそが今後の望ましい福祉社会を築く根本であるということを強調させていただき、意見表明を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。
#7
○鈴木栄治君 長生きしてよかったと思える活力ある明るい長寿社会を築くことが大切です。私どもの会派の求める高齢化社会は、高齢者のだれもが生きがいを持ち、健康で経済的不安もなく、家族や若い世代から尊敬され、安心して暮らせる高齢化社会の実現を望みます。今後の高齢化社会は次の五つの視点に立って進めるべきであると考えております。
 まず第一は、各省庁の高齢化対策を整合性あるものとするため、雇用と年金、社会保障と住宅、医療と保健サービスなど、各制度間及び各政策間の統合化を進め、発展させなければなりません。
 第二に、家庭、学校、社会教育を通じ、高齢者や身障者が若年者や健常者と一緒に生活することが当然とする思想を普及することが重要であります。そのために、特に子供のころから社会奉仕、ボランティアに関する教育、その実践が大切であると考えます。
 第三は、政府や地方公共団体だけを福祉の供給者とするのではなく、一、公的分野、二、市場に任せる分野、三、家庭、地域社会、労組・企業、ボランティアなどの協力にゆだねる分野の三つの役割を明確化するとともに、これらを有機的に結合させ、それを通じて人間的触れ合いを重視する社会をつくらねばなりません。
 第四は、高齢化社会ではすべてを公的な福祉に依存することは困難です。国として最小限の公的福祉を確保しつつ、高齢者が自立して生活し、地域社会の中で連帯して助け合う体制を整備していかなければなりません。
 第五は、高齢化社会において費用負担の増加は避けられないため、公的分野で保障すべき医療、年金等、福祉サービスのあり方と、それにかかわる費用負担のあり方について国民の合意を形成していく必要があります。
 以上の五つの視点に基づき、計画的に対策を進め、高齢福祉計画の策定を望むものであります。
 この計画には高齢化対策に関する各種施策の総合化を基礎として、各年次ごとに実施すべき施策を具体的に明らかにし、三年ごとに見直し作業を行うべきものと考えます。計画を政府が一体となって推進するため、総務庁の老人対策室を高齢化対策室に改組、強化し、計画の立案を行うとともに、高齢者関連予算に関する各省要求の調整、各種施策の実施状況のチェックを総括的に行う機関としなければなりません。計画を国民合意に基づき実施するため、政府は毎年度の実施状況を高齢化対策白書により国会に報告し、国民に明らかにすべきであります。
 次に、計画には医療保険、年金制度の一元化と制度の安定化、高齢者雇用の推進と年金との連携、施設整備に関する具体的方針、在宅サービスの充実と負担の軽減、包括的医療の充実による健康の推進、高齢化社会に向けての生活環境整備などの項目を織り込まなければなりません。
 第一に、医療保険については、すべての医療給付を九割を目標に統一化することを目指すとともに、健保組合の設立の拡大、政管健保への都道府県運営方式の導入、国保経営の都道府県、市町村の共管化、高額医療費制度の改革など一元化へ向けての条件整備を図るべきであります。また、公的年金制度の長期的安定を図るため、公平性の確保を前提としつつ、できる限り早期に公的年金全体の一元化を図ることが必要であると考えております。
 第二に、高齢者雇用の推進と年金との連携については、六十歳代の十年間を弾力的引退期間とし、高齢者雇用に関する情報流通の場の設立、継続雇用制度の拡大など、働く意欲のある高齢者に対し雇用を確保するための受け皿づくりを進める必要があります。さらに現行の在職老齢年金を抜本的に改善し、日本型の部分就労、部分年金の制度を導入するなど、就労生活から年金生活へのなだらかな移行が可能となる体制を整備することも必要です。
 第三に、施設整備についてであります。
 西暦二〇〇〇年には百万人に達すると見込まれる介護を必要とする高齢者の約半数を中間施設に、三分の一を特別養護老人ホームに、そのほかを病院で対応できるようにすることを目標に、政府のゴールドプランで示された施設整備に関する具体的方針の着実な実行を促進するため、予算の重点的配分が必要であります。
 第四に、在宅サービスの充実については、ゴールドプランの在宅福祉サービス部門の目標を五割アップするとともに、介護費用の軽減を図るため、介護保険制度の創設を提唱いたします。さらに、働きながら老いた親などの介護ができるよう、介護のために休業あるいは勤務時間を短縮できる制度を法制化することが重要であると考えております。
 第五に、包括的医療の充実による健康の推進については、現在の治療に偏った医療体系を改め、予防、治療、リハビリなどの包括的な医療の確立を図るとともに、ホームドクターによる在宅看護費用への保険給付を拡大し、在宅福祉サービスとの連携を図らなければなりません。
 第六に、高齢化社会に向けて、生活環境の整備が必要であります。
 老朽化した軽費老人ホーム、養護老人ホーム、特別養護老人ホームの増改築、ケアつき住宅などの高齢者向けの住宅の整備、有料老人ホーム育成のための低利融資増、高齢者向けの改築時の低利融資を拡充するとともに、道路、住宅、交通など各面について高齢者快適生活基準を策定する必要があると考えております。
 最後に、このような高齢化の進行に対する行政の体制について一言述べたいと思います。
 高齢者の立場に立った高齢者対策を望むものであり、私が再三指摘している片仮名英語をなるべく使用せず、わかりやすい言葉で高齢者に優しい行政体制を確立すべきであります。
 国民の負担増を極力抑えるためには、行政のむだを徹底的に省き、行政需要の変化に効率的かつ総合的に対応し得る福祉行政基盤を確立することが不可欠です。
 このため、補助金の整理縮小、現業的部門を除く地方出先機関の原則廃止、公務員の大幅削減などにより一般歳出を大幅に削減する新たな行革計画の策定を進めるとともに、中央省庁の再編合理化、すべての許認可や補助金などに終期を付し、必要なものに限ってその存在を図る、いわゆるサンセット制度の導入、特殊法人、公益法人の総数抑制、地方行革の徹底など、行政改革を積極的に推進し、高齢化に対応した諸施策を推進するため、予算を重点的に配分する必要があることを強調しておきます。
 ありがとうございました。
#8
○有働正治君 私の見解表明に関する資料配付、会長よろしくお取り計らいお願い申し上げます。
   〔資料配付〕
#9
○有働正治君 本格的高齢社会への対応という幅広いテーマにつきまして、これまでの政府並びに参考人の方々の報告を聞きながら感ずる点でまず冒頭に強調したいことは、何のため、だれのためにこの問題を考えるのかということであります。
 我が国の高齢者は、戦前戦後を生き抜き今日の発展を築いてきた人々であります。その知恵と力をこれからも生かしていくことが大事であります。高齢者をお荷物として邪魔者扱いする社会であってはなりません。憲法二十五条に基づく国民の生存権、人権思想をきちっと対置して、高齢者の社会参加を保障し、すべての高齢者が誇りを持って真に自由に豊かな老後を過ごせる社会、長寿を喜べる社会、高齢者が大切にされる社会、このような日本社会の実現こそこのテーマを考える基本とすべきであると考えます。そのためには、公的責任による総合的な社会保障制度、社会的システムの確立がどうしても不可欠であると考えます。
 さて、私の主張の第一は、このテーマを考える根底に、前提としていわゆる高齢化社会危機論を説くのは誤りであるということであります。
 今、我が国の高齢者は医療、年金、福祉等において諸外国と比べても極めて劣悪な条件に置かれています。高齢者は同じ診療内容でも一般患者より診療報酬を低くされ、老人病院の制度化で医師、看護婦が大幅に減らされるといった二重の差別医療制度に苦しめられ、必要な治療さえ奪われています。このようなひどい制度は世界じゅうに例がありません。老齢年金受給者の五五%、八百五十万人が国民年金、福祉年金であり、その金額は月額三万円程度にすぎません。これで比べれば日本の年金は欧米諸国の五分の一という水準であります。また、ゴールドプランの計画どおりホームヘルパーを十年で三倍にしても、なお人口比でスウェーデンの十分の一にしかなりません。
 しかし、このような現状でさえ、このまま高齢者がふえていけば日本経済は危機に陥り維持することが困難になるというのが、高齢化社会危機論であります。政府・自民党は、高齢化社会の到来を最大の口実にして、消費税の導入を強行いたしました。このとき高齢者人口対生産年齢人口の比較によって、当時一九八五年、老人一人を働く六人で支えでいるが、二〇二五年には二人で一人を支えなければならなくなるという大宣伝を行いました。この議論は、我が党がこの問題をいうなら、働く人が支えるのは本人と高齢者や子供を含めた総人口であり、結論として総人口対就業者数で見るのが正当である、そうすれば二〇二五年になっても働く人の支える人数は全く変わらないということを指摘しましたが、それ以後既に破綻した議論となっており、私の参考人質疑においても学者の参考人の方がその正しさを認めたところであります。
 したがって、我々がこの結論として主張したいことは、高齢者がふえても現状の劣悪な水準を維持するだけなら、財源や負担は基本的には変わらない問題であるということであります。
 さらに我が党は、現状維持にとどまらず、極めて低い我が国の高齢者の社会保障給付の水準を先進諸外国並みに引き上げるべきであると考えていますが、それは我が国の経済力からして、十分実現可能であります。
 政府は、租税及び社会保険料の国民負担率は二〇二五年には五〇%を超えると言い、とりわけ給与所得者の負担は、現在の二、三倍になり、耐え切れないものになると宣伝しています。しかし、これは年々成長する日本経済の成長率を考慮に入れず、将来の日本経済と国民生活の規模がどのようになるのか、その中で社会保障がどれだけの比重を占めるのかを何ら明らかにしない議論であります。
 我が党の計算では、国民所得を毎年〇・二%ずつ伸ばすだけで、二〇二五年でも現在の水準を維持することができ、二・五%程度の成長を見れば、社会保障給付の水準を現在の国民所得比の一四%からイギリス並みの二六%にまで引き上げることができるのであります。さらに、これをスウェーデン四三%並みとは言わぬまでも、現在の西ドイツ三一%、フランス三三%並みに引き上げる必要があると考えています。その場合の負担増は、社会保険料の企業負担割合を現行の五割から七割程度に引き上げることや、国際的にも異常な大企業、大金持ち優遇の不公平税制を是正することなどで十分に可能であります。さらに、軍事費の削減を進めれば、財源確保は一層容易になります。
 これらについては、お手元に配付いたしました我が党の経済政策委員会が一九八八年の五月に発表いたしました「高齢化社会は立派に支えられる」という資料に詳細に述べられております。あわせ参照し、ぜひ御一読いただければ幸いであります。
 高齢化社会が国民の暮らしを圧迫するかのような宣伝が国民の中に広められようとしていますが、逆であります。国民各層の生活と権利の拡充こそ高齢化社会への備えを厚くする確かな保障です。低賃金と不安定雇用の一掃、大幅賃上げ、失業の防止と雇用拡大は、国民本位の内需拡大のかぎであり、同時に社会保障の物質的条件を豊かにします。長時間超過密労働の根絶と労働時間の抜本的短縮は、本人の健康と健やかな老後のための基礎であるとともに、高齢者家族の介護やボランティア活動への積極的参加の条件を拡大し、国際経済摩擦の解消、円高問題解決の上でも重要です。ウサギ小屋と言われる劣悪な住宅条件の改善、遠くて狭くて高いにかわる近くて広くて安い公共賃貸住宅の大量建設は、高齢者の健康の維持、回復、寝たきりの防止にも直結します。高齢者の利益と青壮年の利益は対立するのではなく、まさに一つのものなのであります。
 我が党は、このような観点に立って、高齢化社会の総合的社会保障政策として、一つは、すべての高齢者が安心できる所得保障、これは六十歳からだれでももらえる月額七万円の最低保障年金制度をベースにこの上に拠出年金を上乗せすること、二つは、安心して受けられる医療制度の確立、これは予防からリハビリまでの一貫した保健医療制度をつくること、三つは、安心して暮らせる地域福祉政策、これは高齢者が社会に貢献してきた人として尊重され、高齢期をみずから選択できるための環境や条件をつくり、在宅でも施設でも過ごせるようにすること、四つは、医療福祉を支えるマンパワー対策、これは公的な責任で正規職員を中心にマンパワーをふやしていくこと、五つは、高齢者の雇用、生きがい対策、これは社会保障を拡充して、高齢者が働かざるを得ないから働くという状況から解放され、労働する権利と引退する権利を保障し、本当に豊かな老後が保障されることなどを明らかにしています。
 これらについて、北欧の国々でも現在の福祉水準を十年か十五年でつくり上げているようですが、我々もこれから十年くらいをかけてこれらの政策を実現に移していく考えです。
 以上、我が党の政策の柱のみを紹介しましたが、詳細については一九九一年三月に発表いたしました「力をあわせ、長寿社会をささえる地域づくりを」という政策資料をお手元に配付しております。あわせ参照し、御一読いただければ幸いであります。
 最後に、本調査会が真に国民と高齢者の立場に立って、各党合意のもとで抜本的かつ具体的な提言を出せるよう心から願いまして、日本共産党を代表しての私の意見表明を終わります。
#10
○笹野貞子君 私は、急激に進む高齢化社会に向けて、以下七つの項目に分けて簡略に意見を述べさせていただきます。
 まず第一、高齢者の社会参加について。
 私たちがつくり上げなければならない高齢化社会は、停滞した社会ではなく、高齢者もその蓄積してきた貴重な知識、技能をもって積極的に参加できる社会でなければなりません。高齢者を福祉の対象として考える以上に、経験豊富な潜在する勤労者の大集団ととらえる時代が来ているのではないでしょうか。
 高齢者の労働を含めた生活全般をどう位置づけていくかが、二十一世紀の日本の社会が本質的に豊かなものとなり得るかどうかのポイントであると私は考えます。そのためには、例えば高齢者の短時間労働や在宅労働などの新しい労働形態に合わせた政策課題を早目に実現していかなければならないと思います。
 政策実現に当たっての基本的な考え方は、ノーマライゼーションに尽きると思います。高齢者だけではなく、障害者なども社会参加において機会均等となるような措置が極めて重大です。それが本当の意味での新社会資本でなければならないと考えます。アメリカのADA、アメリカ障害者法などを参考に、日本独自のノーマライゼーションのあり方を追求すべきです。
 第二、自由な福祉社会のあり方について。
 一方、福祉政策も従来の給付型を脱する理念が必要ではないかと考えます。そして、超高齢化社会を就業と給付のバランスのとれた自由な福祉社会にしなければなりません。給付福祉を卒業し、
アクティブで自由な福祉社会をつくるためには、高齢者の知識、技能の財産をプラスの方向に引き出し、次代に伝えることで社会を活性化させなければなりません。そこでは福祉は先端産業です。基本的要件を整備、充実させた上で、高齢者相互による福祉制度の運営に道を開き、高齢者福祉を人間的な新しい産業と位置づけることが可能です。
 第三に、ゴールドプランの前倒しについてです。
 現状では福祉サービスの最低限も達成されていないので、現在のゴールドプランを前倒しし、実施すべきです。現在でも日本は平均寿命八十年という世界最長寿国です。二十一世紀には国民の四分の一が六十五歳以上という未曾有の高齢化社会に突入します。そのための十カ年戦略と位置づけられたゴールドプランですが、戦略と呼ぶには物足りないものの、基本的に最低限の施策を加味し政策化した点では今後の指針となるでしょう。そして何度も強調しておきたいことは、高齢化社会を支えるのは人的要素であって、施設や研究の充実にもマンパワーが欠かせないという点です。
 第四、看護・介護者の育成についてです。
 例えばこれまでも繰り返し指摘してきましたが、看護・介護者の育成が決定的に立ちおくれているということです。教育の場において、看護・介護の人の育成に重大な欠陥があることは政府も認めています。例えばアメリカの大学で看護教育を受けている人は八万六千四十三人、そのうちドクターで学んでいる人が二千三百九人もおります。しかし日本で看護教育を受けている人は二千五百二十七人、そのうちドクターの教育を受けている人は六十七人しかおりません。高校や大学教育などに看護・介護を大きく取り入れ、看護・介護に対する社会的認知を飛躍的に向上させることが最も重大です。また、看護・介護技術のハイテク化を進め、産業技術を生活の中に取り込むための研究を早急に展開すべきです。
 第五、介護休業法の必要性についてです。
 家庭の場での介護の負担を家族に集中させないよう、仕事をやめることなく介護ができる介護休業法が非常に必要なことです。特に働く女性が仕事を継続できない理由に家族の介護を挙げているものが多くあります。女性が仕事と看護を両立させるためにも、立法化を急いで進めるべきです。
 第六、年金制度についてです。
 年金制度の改革に先立って、年金財政等に関する情報公開が不可欠です。年金制度の確立こそゆとり、豊かさを実感できる生活大国の第一歩です。そのためにも情報を公開し、平等で公正な年金制度を確立しなければなりません。
 最後、第七、高齢者対策の自治についてです。
 福祉も大幅に地域の自治、創意工夫に移譲すべきです。また地域の高齢者、退職者が地域の高齢者福祉の政策立案に参加できるシステムをつくるべきと考えております。高齢者対策こそ経験豊かな高齢者の知識を生かすべきであると考えております。
 以上です。
#11
○下村泰君 高齢社会について考えるときに、私たちにまず求められることは、これまでの生産性、健常者、男性中心の発想を転換することだと思う。
 これまで私たちは障害者、高齢者、女性を排除した社会をひたすら築いてきた。今そうした社会のあり方が問われているわけで、高齢者の人口比が急激にふえることによる社会的問題は、問われている問題に対して誠実に対応する中で考えるべきことと思う。すべての人々を受け入れる社会づくりのための議論こそ今始めなくてはならないと思う。北欧に始まったノーマライゼーションの考えは、当初に比べその概念は大きく発展し、日本においてはまさにこれからの社会のあり方を示唆するものと言える。
 こうした基本的な立場に立って今回のテーマである高齢社会について私の考えを述べるわけだが、高齢社会については総論から各論に入ったと言われます。そのことを念頭に置いて進めたいと思います。
 まず福祉サービスについて。
 現在あるサービスメニューは他の福祉先進国に比べても決して見劣りするものではない。しかしさまざまな場面で、ヨーロッパなどとの比較において感じる物足りなさはこのメニューの運用方法、質、そしてその量の点でまだ国民のニーズに応じ切れていない点にあると言える。本年より多くの福祉サービスが市町村の権限で実施されることとなり、これまでの運用及び質の面で改善が期待される一方、市町村間における格差の拡大への危惧は多くの人が指摘しています。こうした危惧の背景にあるものは、さきにも述べたが、限られた資源をどのように配分するかというとき、従来の生産性、男性、健常者中心の発想が根強く存在するところにある。まず、その発想の転換を強く進めることが肝要であり、それを促す環境づくりは高齢者、障害者、女性の主体的活動に対する行政の謙虚な態度から生まれることだろう。
 公私、官民、国、地方、行政と国民という区分に基づく役割、六十五歳から七十五歳のヤングオールドの役割、ケースマネジメント、コーディネートの確立、パオネットワークという新たなグループに見られる家族間の役割、そうした質的な面での取り組みが強く求められており、現代社会の引き伸ばしであってはならないと思う。
 次は、住宅及び町づくりについて。
 衣食住と言われるように、住居の問題、住環境の問題は、生活において最も基本となる福祉施策であるにもかかわらず、その対応のおくれ、認識の甘さは大いに行政のみならず私たちも反省すべき点だと思う。既に、福祉施設においても在宅同様の居住環境としての整備、充実が求められている。個室化の要望、軽費老人ホームへのニードの高さは、それを端的に示しており、今後もその要望は増すだろう。また、公営住宅を中心に、バリアフリーの考えに基づく高齢者・障害者対応住宅の整備も急がねばならない。
 さらに進めて、都市部において顕著な家賃の高騰、入居拒否、追い出しというコミュニティー崩壊の現実に対して、家賃補助も有効だが、高齢者、障害者を差別する状況に対する毅然とした行政の対応が求められる。アメリカにおける公正住宅法のような差別禁止法の整備もその中で検討すべきものである。
 交通アクセスの問題は、道のあり方も含め、駅舎や鉄道車両や船舶、航空機の改造というハードな面と、職員及び乗客の対応、諸手続の見直し、運賃の問題等のソフト面の双方がうまくかみ合わねばならない。日常的啓発を最重要課題としての認識に基づいて、精力的な対応を求めたい。
 次に、健康と医療について。
 多くの世論調査でも明らかなように、老後における心配事の第一は健康問題。しかし、健康問題は一朝一夕にできるものではなく、日常的に、また若いころからの蓄積によるところも大きく、予防医学の充実と国民への還元、啓発を推し進めることがまず必要と考える。そのためには、健康、予防に関する正しい認識を学生時代から身につけ、労働において労働時間の減少と余暇、休息への十分な配慮、健康診断の科目の拡大拡充と保険による対応、在宅医療の促進、健康カード、医薬分業、遠隔診断、このための取り組みが一層必要で、たとえ健康を損ねたとしても、早期対応が可能な医療システムの確立が必要であります。
 ホームドクターの養成、医療機関の地域偏在、技術的偏在の解消とともに、退院後の医療におけるケアシステムを大いに拡充すべきだ。昨年より本格化した訪問看護ステーションなどの重要性はますます高まり、区域医療のあり方も考え直すときに来ていると思う。
 医療費の増大に対しては、既にぎりぎりまでの削減策がとられており、今後は国民一人一人の自覚を促す中で考えるほかない。急激に増加するからといって、高齢者への負担を増すという安易な考えは避けるべき。むしろ医薬分業、予防医学、病との共存という考え方に立ち、安易な投薬の歯どめ、老人医学の確立が必要と考え、なすべき課
題の着実な実行が求められます。
 雇用と産業構造について。
 シルバー人材は、その活用方法について企業側の戸惑いとなっており、年齢によって一律に線を引くようなやり方は今後の職域拡大にとって余り意味がないと考え、労働人口の減少は必ずしも悲観的に見るべきではない。これまで生産現場の中では排除されてきた障害者、女性や外国人労働者の能力を見つめ直す絶好のチャンスであり、まさに共生の社会、ノーマライゼーションの社会の構築のきっかけになると思う。その視点からの積極的な受け入れ準備に入るべきだろう。
 全自動ビル開発システムなどに見られる機械化の促進、そしてまたシルバー産業及びその周辺産業の拡大、公的サービスの変化などによる新たな産業、職場が生まれており、ビジネスチャンスの幅は確かに増大している。さらに情報化社会を活用したメロウ・ソサエティー構想の充実も進めるべきだ。障害者雇用、女性雇用、高齢者雇用、外国人雇用の適切な拡大は、将来への明るい展望を持たせてくれるだろう。しかし、そうした施策は、受け入れの配慮などにおいて十分な認識をもって当たらなければ、経済構造、産業のよりよい発展は望めない。
 年金及び所得保障について申します。
 世論調査によれば、健康問題について、所得問題が老後の心配事として挙げられている。現在の厚生年金だけでは不十分と考える国民が多く、現実に原生年金のみの生活は厳しいものがある。国民基礎年金に至っては、満額支給を得たとしても、その名の示すとおりぎりぎりの基礎的生活さえ果たして可能だろうか。公的年金の持つ意味、公的年金への信頼は、その給付額の高低だけでなく、他の制度との関係も含め、生活全体の中での位置づけが明らかにされるところで成り立つ。例えば、住宅が確保され、福祉、医療面でも公的に安心して使えるとしたら、その価値はそのまま年金給付額に上乗せされたものと同等なものと言えないだろうか。
 年金において、その保険料と支給額のバランスを考える場合、他の諸制度との関係もまた考慮すべき点と考える。六十五歳支給について、私は一定の理解を持っている。しかし、労働者が抱く不安が至極当然なのは、そうした生活全体における認識として不安があるためだと思う。
 縦割り行政は、その面のみを見た場合、有効に機能するが、人間はトータルなものであり、全体の視点に立った行政が今後は強く求められるだろう。
 生きがいと生涯教育について。
 要介護の高齢者の増加とともに、介護や福祉サービスを必要としない、いわゆる元気な方々もふえるわけで、むしろそういう方々に対する施策のおくれが大変気になる。蓄積された高齢者の経験、知識、能力が十分に活用されることで、高齢社会における幾つかの不安は解消されると言える。例えば、教育現場における活躍の場、育児や地域における活躍の場、労働現場における活躍の場は容易に考えられるだろう。
 高齢者は決して受け身の生活を求めているのではなく、選択できる暮らしを必要としているのではないだろうか。社会が拒否してきたこれまでのあり方の変更が求められる。
 人権と権利擁護。
 痴呆の方、介護を必要とする方だけでなく、心身機能の低下によるさまざまな権利侵害は、既に大きな問題とされ、東京都においては権利擁護センターが設置されるに至っている。今後ますます権利侵害はふえるであろうし、その対応は緊急を要する重大課題だ。この点における国の対応は余りにも認識不足であり、無責任であると言える。法的整備も含め今後強く求めたい。
 以上をまとめてみました。
 少子社会による高齢者比率の急上昇は、確かに一面見通しに不透明さがあり、多くの不安があるのは事実だ。しかし、国民は極めて辛抱強く、行政のおくれに対しても自己防衛、自助努力をもって困難を乗り切ってきたし、今もそうであります。それに甘えてきたのは行政であり、我々議会ではなかったでしょうか。
 国民はたくましく高齢化社会に向けて準備を進めている。日本の高齢社会の最大の問題は、議会や行政が明確な将来展望、将来構想を示し得ないことにあるのではないでしょうか。画一的発想を捨てた上で、多種多様な展開が求められていると思います。自治体における財政負担も増大しており、この点はこれまでの数倍の対応が必要だと思います。
 以上をもって私の意見といたします。
#12
○会長(鈴木省吾君) 以上で意見表明は終了させていただきます。
 本日お述べいただきました皆さんの御意見は、後日作成いたします中間報告書案に反映させていきたいと存じます。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後一時十八分散会
ソース: 国立国会図書館
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