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1993/03/09 第126回国会 参議院 参議院会議録情報 第126回国会 予算委員会 第2号
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1993/03/09 第126回国会 参議院

参議院会議録情報 第126回国会 予算委員会 第2号

#1
第126回国会 予算委員会 第2号
平成五年三月九日(火曜日)
   午前十時一分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 一月二十七日
    辞任         補欠選任
     喜屋武眞榮君     島袋 宗康君
 一月二十九日
    辞任         補欠選任
     林  紀子君     上田耕一郎君
 二月八日
    辞任         補欠選任
     磯村  修君     古川太三郎君
 二月九日
    辞任         補欠選任
     古川太三郎君     磯村  修君
 二月十日
    辞任         補欠選任
     磯村  修君     古川太三郎君
 二月十七日
    辞任         補欠選任
     古川太三郎君     磯村  修君
 三月八日
    辞任         補欠選任
     喜岡  淳君     翫  正敏君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         遠藤  要君
    理 事
                井上  裕君
                石川  弘君
                上杉 光弘君
                柳川 覺治君
                角田 義一君
                村沢  牧君
                山本 正和君
                白浜 一良君
                寺崎 昭久君
    委 員
                井上 章平君
                石井 道子君
                岩崎 純三君
               大河原太一郎君
                大島 慶久君
                下稲葉耕吉君
                成瀬 守重君
                野間  赳君
                野村 五男君
                服部三男雄君
                林田悠紀夫君
                星野 朋市君
                前田 勲男君
                松浦 孝治君
                穐山  篤君
                翫  正敏君
                及川 一夫君
                久保田真苗君
                櫻井 規順君
                清水 澄子君
                種田  誠君
                堂本 暁子君
                肥田美代子君
                三重野栄子君
                山口 哲夫君
                荒木 清寛君
                猪熊 重二君
                広中和歌子君
                長谷川 清君
                上田耕一郎君
                吉岡 吉典君
                磯村  修君
                乾  晴美君
                島袋 宗康君
                武田邦太郎君
   国務大臣
       内閣総理大臣   宮澤 喜一君
       法 務 大 臣  後藤田正晴君
       外 務 大 臣  渡辺美智雄君
       大 蔵 大 臣  林  義郎君
       文 部 大 臣  森山 眞弓君
       厚 生 大 臣  丹羽 雄哉君
       農林水産大臣   田名部匡省君
       通商産業大臣   森  喜朗君
       運 輸 大 臣  越智 伊平君
       郵 政 大 臣  小泉純一郎君
       労 働 大 臣  村上 正邦君
       建 設 大 臣  中村喜四郎君
       自 治 大 臣
       餅静執委離    村田敬次郎君
       会委員長)
       国 務 大 臣  河野 洋平君
       (内閣官房長官)
       国 務 大 臣  鹿野 道彦君
       (総務庁長官)
       国 務 大 臣
       (北海道開発庁
       長官)      北  修二君
       (沖縄開発庁長
       官)
       国 務 大 臣  中山 利生君
       (防衛庁長官)
       国 務 大 臣
       (経済企画庁長  船田  元君
       官)
       国 務 大 臣
       (科学技術庁長  中島  衛君
       官)
       国 務 大 臣  林  大幹君
       (環境庁長官)
       国 務 大 臣  井上  孝君
       (国土庁長官)
   政府委員
       内閣法制局長官  大出 峻郎君
       内閣法制局第一  津野  修君
       部長
       国際平和協力本  柳井 俊二君
       部事務局
       宮内庁次長    宮尾  盤君
       皇室経済主管   河部 正之君
       総務庁長官官房  八木 俊道君
       長
       総務庁長官官房
       審議官兼内閣審  陶山  晧君
       議官
       防衛庁長官官房  村田 直昭君
       長
       防衛庁防衛局長  畠山  蕃君
       防衛庁経理局長  宝珠山 昇君
       防衛施設庁総務  竹下  昭君
       部長
       防衛施設庁建設  黒岩 博保君
       部長
       防衛施設庁労務  荻野 貴一君
       部長
       経済企画庁調整  長瀬 要石君
       局長
       経済企画庁物価  小林  惇君
       局長
       経済企画庁総合  田中 章介君
       計画局長
       経済企画庁調査  土志田征一君
       局長
       環境庁長官官房  森  仁美君
       長
       環境庁長官官房  小沢 通成君
       会計課長
       国土庁長官官房  藤原 和人君
       長
       国土庁長官官房  藤田  修君
       会計課長
       国土庁計画・調  糠谷 真平君
       整局長
       国土庁土地局長  鎭西 迪雄君
       国土庁地方振興  秋本 敏文君
       局長
       法務省刑事局長  濱  邦久君
       外務省アジア局  池田  維君
       長
       外務省欧亜局長  野村 一成君
       外務省経済局長  小倉 和夫君
       外務省経済局次  林   暘君
       長
       外務省経済協力  川上 隆朗君
       局長
       外務省条約局長  丹波  實君
       外務省国際連合  澁谷 治彦君
       局長
       外務省情報調査  鈴木 勝也君
       局長
       大蔵省主計局長  斎藤 次郎君
       大蔵省主税局長  濱本 英輔君
       大蔵省理財局長  藤井  威君
       大蔵省銀行局長  寺村 信行君
       大蔵省国際金融  中平 幸典君
       局長
       国税庁次長    瀧川 哲男君
       文部大臣官房長  吉田  茂君
       文部大臣官房会  佐々木正峰君
       計課長
       文部省初等中等  野崎  弘君
       教育局長
       文部省教育助成  井上 孝美君
       局長
       文部省高等教育  遠山 敦子君
       局長
       文部省高等教育  中林 勝男君
       局私学部長
       文化庁次長    佐藤 禎一君
       厚生大臣官房総  瀬田 公和君
       務審議官
       厚生省老人保健  横尾 和子君
       福祉局長
       厚生省児童家庭  清水 康之君
       局長
       厚生省保険局長  古川貞二郎君
       厚生省年金局長  山口 剛彦君
       農林水産大臣官  上野 博史君
       房長
       農林水産大臣官  堤  英隆君
       房予算課長
       農林水産省経済  眞鍋 武紀君
       局長
       農林水産省構造  入澤  肇君
       改善局長
       食糧庁長官    鶴岡 俊彦君
       林野庁長官    馬場久萬男君
       通商産業大臣官  石黒 正大君
       房審議官
       通商産業省通商  森清 圀生君
       政策局次官
       通商産業省貿易  渡辺  修君
       局長
       通商産業省産業  熊野 英昭君
       政策局長
       資源エネルギー
       庁長官      黒田 直樹君
       資源エネルギー  荒井 寿光君
       庁公益事業部長
       中小企業庁長官  関   收君
       運輸省運輸政策  大塚 秀夫君
       局長
       運輸省運輸政策
       局次長兼内閣審  和田 義文君
       議官
       運輸省鉄道局長  秦野  裕君
       郵政大臣官房財  新井 忠之君
       務部長
       労働大臣官房長  七瀬 時雄君
       労働省労政局長  若林 之矩君
       労働省労働基準  石岡慎太郎君
       局長
       労働省職業安定  齋藤 邦彦君
       局長
       建設省大臣官房総 市川 一朗君
       務審議官
       建設大臣官房会  木下 博夫君
       計課長
       建設省河川局長  岩井 國臣君
       建設省道路局長  藤井 治芳君
       自治大臣官房総  遠藤 安彦君
       務審議官
       自治省行政局長  紀内 隆宏君
       自治省行政局選  佐野 徹治君
       挙部長
       自治省財政局長  湯浅 利夫君
   事務局側
       常任委員会専門  宮下 忠安君
       員
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○平成五年度一般会計予算(内閣提出、衆議院送
 付)
○平成五年度特別会計予算(内閣提出、衆議院送
 付)
○平成五年度政府関係機関予算(内閣提出、衆議
 院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(遠藤要君) ただいまから予算委員会を開会いたします。
 まず、平成五年度総予算三案の総括質疑に関する理事会決定事項について御報告いたします。
 総括質疑は七日間分とすること、質疑割り当て時間の総計は九百八十一分とし、各会派への割り当て時間は、自由民主党及び日本社会党・護憲民主連合それぞれ三百四十三分、公明党・国民会議九十八分、民社党・スポーツ・国民連合、日本共産党及び民主改革連合それぞれ四十九分、二院クラブ及び日本新党それぞれ二十五分とすること、質疑順位についてはお手元に配付いたしておりますとおりとすること、以上でございます。
 ただいま御報告いたしました理事会の決定どおり取り運ぶことに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○委員長(遠藤要君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#4
○委員長(遠藤要君) 平成五年度一般会計予算、平成五年度特別会計予算、平成五年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題といたします。
 三案の趣旨説明は既に聴取いたしておりますので、これより総括質疑に入ります。村沢牧君。
#5
○村沢牧君 総理は施政方針演説で、改革、変革という言葉を十カ所以上も使って、政治改革こそがすべての変革の出発点であると述べ、また、政治改革に一身をささげるというふうにも言っております。
 政治改革といってもいろいろあります。自民党の政治改革方針の大綱は、衆議院に単純小選挙区制を持つこと、このことをメーンにしておりますが、野党多数の参議院でそのような法律が通るはずがない。今大事なことは、単純小選挙区の選挙制度ではなくて、政治倫理を確立して政治腐敗をなくすこと、政治資金や腐敗防止法を成立することこそ政治改革の第一歩にしなければならない。そのために総理は一身をささげるべきだというふうに思いますが、どう考えますか。
#6
○国務大臣(宮澤喜一君) 政治改革の問題につきまして、既に緊急改革につきましては過般の国会においてお認めをいただきまして実行に移されておりますが、抜本改革につきましてはこれから国会の御審議を仰がなければならない段階であります。
 自由民主党におきましては、そのための案の取りまとめを今月末を目途にただいま鋭意急いでおりまして、作業は順調に進行いたしておりますが、各党におかれましても、昨年末の党首会談のお話によりますと、おのおの案を御作成中であるというふうに伺っております。したがいまして、それらの案につきまして、国会におきまして国民の見ておられる前で御検討をいただき成案を得たいと、こういうふうに考えておりますが、自由民主党におきましては、ただいま御指摘のように、政治資金の問題、選挙制度の問題等々、全般にわたりましての改革案をただいま作成中でございます。その中で政治資金の問題はもとより焦眉の急であると考えておりますが、同時に、この政治資金の問題を詰めていきますと、やはり選挙制度の問題に密接に関係をしてくるということから、例
えば公費助成というようなことについても自由民主党としては検討をいたしております。
 したがいまして、御質問に対しましては、まさしく政治資金の問題は緊急の課題であるというふうに考えまして、そのための抜本改正を考えるべきだと思いますが、同時に、そのことは選挙制度その他の問題と密接に関係をしているということもまた事実であろうと思います。
#7
○村沢牧君 今答弁があったように、この国会に政治改革の法案を出そうとしている。そこで、この法案は選挙制度の改革ではなくて政治資金も含めて政治腐敗を防止する、そのことを優先すべきだというふうに思いますが、総理としてはどのように考えていますか。
#8
○国務大臣(宮澤喜一君) ただいま申し上げましたように、政治資金の問題は緊急の課題だと考えておりますが、これを検討を重ねてまいりますと、そのことは選挙制度の問題等々と密接に関係をしてくる。これは詳しく申し上げるまでもなく御理解をいただけることだと思います。したがいましてやはり全般の政治改革というものの大事なことを忘れるわけにはいかない、こういう考えでございます。
#9
○村沢牧君 総理、そういう答弁ですか。単純小選挙区制選挙制度なんでいうことば参議院では通りませんよ。そんなものと政治資金とを一緒にして、どっちも通らなかったらどうするんですか。政治改革だ、やっぱり重要視すべきことは政治腐敗をなくすこと、そのことを優先をして法律を出すべきだ。どうですか。
#10
○国務大臣(宮澤喜一君) 自由民主党の中におきます検討が終了いたしましたら恐らくは議員提案という形で国会に提案をいたすことになろうかと思いますが、その段階におきまして各党とも各党の持っておられる案をお出しになるような御意向と伺っております。
 したがいまして、まず衆議院の選挙制度特別委員会においてそれらをめぐって御議論が行われ、これはお互いの最も関心の深い問題でございますから、十分御議論の上各党の間での合意を図っていただきたい。まずそれが衆議院段階における問題でございますが、その後にまた参議院におきまして御審議を仰ぐということになろうかと思います。
#11
○村沢牧君 そんなのんきなことを言っているから国民は政治を信頼しないんですよ。なぜ政治腐敗をなくする法律が必要になるか、このことはだんだん申し上げていきましょう。
 そこで、自民党の金丸前副総裁、生原氏が巨額な脱税、しかもショッキングな政治腐敗事件が発生をした、そして逮捕された。法務大臣、大蔵大臣、両名の違反容疑の内容について報告してください。
#12
○国務大臣(後藤田正晴君) 今回の、金丸、生原両氏に対する捜査が今行われておりますが、本件につきましては捜査に入るという前に刑事局長を通じまして私のところに報告がございました。ただ、今御質問はどういう中身だといったような御趣旨のようでございますが、捜査の中身は、これは今日調べておる段階でございますから答弁は差し控えさせていただきたい、かように思います。
#13
○村沢牧君 中身まで細かく言えと言っているんじゃないですよ。なぜ逮捕したのか。逮捕の容疑は決まっているでしょう。答弁してください。
#14
○国務大臣(後藤田正晴君) 所得税法違反の容疑でございます。
#15
○村沢牧君 所得税法違反でありますから、大蔵大臣も当然関係しています。大蔵大臣、内容について報告してください。
#16
○国務大臣(林義郎君) お答え申し上げます。
 金丸信被疑者及び生原正久に対するところの、所得税を免れようと企てて両被疑者の雑所得となるべき収入を除外して簿外資産を蓄積するなどの方法により所得を取得した、そういったことでございまして、そういったことでの所得税法違反と、こういうふうに存じております。
#17
○村沢牧君 これだけ大きな問題ですから、もう少しはっきり答弁したらどうですか。所得税法違反で逮捕したことはわかっている。いつ、どのような額の所得税法違反をしたから逮捕したのか、そのことはわかっているはずだ。答弁してください。
#18
○国務大臣(林義郎君) お答え申し上げます。
 現在、違反容疑でもって逮捕して取り調べ中でございますから、その内容について具体的な話を申し上げることは差し控えさせていただきたいと思います。
#19
○村沢牧君 そんな程度の答弁で国会を通ると思いますか。これだけの額の脱税があったんだから、そういう容疑があるから逮捕したという、なぜそれじゃ逮捕したんですか。そのくらいのこと言えないんですか。逮捕状に書いてあるでしょう。
#20
○国務大臣(林義郎君) 先ほど申し上げましたようなことでの違反、所得税法違反の容疑事実がありましたから、それで逮捕いたし、今取り調べをしているところでございます。
#21
○村沢牧君 納得できません。
#22
○政府委員(濱邦久君) お答えいたします。
 委員のお尋ねは、金丸前議員に係る逮捕事実の要旨についてお尋ねだと思うわけでございます。
 生原元秘書と共謀の上、金丸前議員の昭和六十二年及び平成元年の雑所得につき、収入を除外して簿外資産を蓄積し、虚偽過少の確定申告を行うなどの手段により所得税数億円を免れたというのが逮捕事実の要旨でございます。
#23
○村沢牧君 新聞報道によれば脱税額は六十二年それから平成元年で約四億円というようなことが書いてあるんですが、これは否定をするんですか。
#24
○政府委員(濱邦久君) お答えいたします。
 これはすべての逋脱犯について共通する事柄でございますけれども、逋脱所得あるいは逋脱税額につきましては、これは最終的には捜査を尽くしてみなければ確定できないものでございます。したがいまして、逮捕状におきましては逮捕状請求の時点における捜査の結果としての逋脱税額が一応特定されているものと承知しているわけでございまして、先ほどお答え申し上げましたものが逮捕事実の要旨でございます。
#25
○村沢牧君 そこで、今答弁があったけれども、逮捕状請求のときのそういう特定した金額がありますね。これから捜査していく間にどれだけ脱税になるかわかりませんよ。逮捕状請求のときに特定した金額は幾らですか。
#26
○政府委員(濱邦久君) 今、委員がお尋ねになっておられます点につきましては、検察当局が捜査を続けているところでございますので、先ほどお答え申し上げた以上の逮捕事実の詳細についてはお答えを差し控えるべきものと考えるわけでございます。
#27
○村沢牧君 いずれわかってくるでありましょうから、この問題は余り突っ込んでいきません。
 そこで、日本債券信用銀行の割引金融債、すなわちワリシンですね、あるいは別のワリコー、これは大豆筒額購入者の脱税の温床とも言われているんですが、どうしてそういうことを言われるんですか。この債券制度の内容について説明してください。
#28
○政府委員(寺村信行君) 割引金融債は無記名でございますので、その無記名制についてただいまお尋ねのような議論がございますが、一般的には、現在、無記名債は割引金融債だけではなくて、利付金融債、それから国債、社債についてもそうした発行がなされておりますので、特にその点から今お尋ねのような問題は生じてはいないと考えております。
 ただ、過去の昭和六十二年の税制改正以前、割引金融債は源泉分離課税でございましたが、他の利付債につきましては源泉分離課税と総合課税の選択制になっておりまして、その場合、総合課税の場合、利付債につきましては税務上の支払い調書が提出されることになっておりました。そういった税務上の取り扱いの差があったということから、そのような議論がかつてはあったように承知をいたしております。
#29
○村沢牧君 ワリシンだとかワリコーをやっておる金融機関に対する大蔵省の検査は、どのように行っていますか。
#30
○政府委員(寺村信行君) 割引債の取引は、通常の場合、債券発行銀行から顧客が割引債を購入いたしますときに現物債を受け取るかあるいは保護預かりを受け取るかというそういう取引でございまして、その点について、特に銀行監督上、適正な手続がなされているかどうかというような検査をいたしているというところでございます。
#31
○村沢牧君 金丸氏が購入していたのは日債銀だけではない。他の銀行の割引債券も購入しておったようでありますが、その点についてひとつ検察当局から明らかにしてください。
#32
○政府委員(濱邦久君) お答えいたします。
 先ほどお答え申し上げましたように、金丸前議員は、生原元秘書と共謀の上、金丸前議員の昭和六十二年及び平成元年の雑所得について収入を除外して簿外資産を蓄積し、虚偽過少の確定申告を行うなどの手段により所得税数億円を免れたという事実で逮捕したことは先ほど申し上げたとおりでありまして、それ以上どのような方法で簿外資産を蓄積したかということにつきましては、これは捜査の秘密に属することでございますので、答弁は差し控えるべきものと考えます。
#33
○村沢牧君 私は、どのような方法でその資金を集めたかなんて、そんなことを今聞いたんじゃないんですよ。つまり、日債銀のワリシンを中心にして逮捕した、しかしそれだけではないであろう、そういうことを聞いているんですよ。
#34
○政府委員(濱邦久君) 先ほどお答え申し上げましたように、収入を除外して簿外資産を蓄積したということでございまして、今、委員のお尋ねはその簿外資産の中身をお尋ねだと思うわけでございますが、その点は、先ほど来お答え申し上げておりますように、捜査の秘密に属することでございますので、お答えは差し控えたいと申し上げているわけでございます。
#35
○村沢牧君 捜査の秘密秘密と言うけれども、私は後ほどまた国政調査権と関連して指摘をし要求しますが、検察は段ボール箱へ入れて全部差し押さえた債券はどことどこの債券があるかわかっているじゃないか。幾らあるかと聞いているんじゃないよ。
#36
○政府委員(濱邦久君) お答えいたします。
 今の委員のお尋ねは、押収物の中身がどうかということにも関連するお尋ねかと思うわけでございますが、先ほどお答え申し上げましたように、捜査を現在行っているところでございますので、その捜査の中身にかかわることはお答えを差し控えさせていただきたいと思うわけでございます。
#37
○村沢牧君 だめですよ、そんなことじゃ。中身を全部言えというんじゃないですよ。日債銀の債券とほかの債券だってあるじゃないか。
 金丸氏が購入した割引債権はワリシンだけではない。そのほかにもある。そして金丸氏の保管するワリシンの総額は五十億円とも言われることが新聞で報道されているじゃありませんか。これを否定するんですか。
#38
○政府委員(濱邦久君) お答えいたします。
 今、委員のお尋ねは報道を前提にしてのお尋ねかと思うわけでございますが、もとより報道された内容について法務当局から御意見を申し上げることはいたしかねるわけでございます。また、先ほど来お答え申し上げておりますように、検察当局の捜査の内容についても、これはお答えは差し控えるべきものと考えているわけでございます。
#39
○村沢牧君 さてそこで、脱税の時効はいつですか。
#40
○政府委員(濱邦久君) これは一般論としてお答え申し上げますけれども、委員も御案内のとおり、所得税逋脱犯の法定刑は懲役五年以下、罰金五百万円以下ということになっているわけでございます。
 この所得税
逋脱犯につきましては、確定申告の期限を基準にいたしまして時効期間を算定するわけでございますから、例えば、六十二年分の所得につきましては六十三年の三月十五日が申告期限でございますから、時効の完成はその五年後の平成五年の三月十五日ということになるわけでございます。時効満了日が三月十四日ということでございます。
#41
○村沢牧君 そうすると、六十二年分の脱税については本年三月十四日に時効になる。しかし、このような巨額な脱税をやったのは単なる脱税ということでなくて、重加算税、これを適用すべきだというように思いますが、どうですか。
#42
○政府委員(瀧川哲男君) 具体的な件につきましては現在調査中でございますので、一般的に申し上げますと、不正の手段によりまして税を免れたということになりますれば、当然のことながらそれは重加算税の対象になります。
#43
○村沢牧君 その場合と時効との関係はどういうことになりますか。
#44
○政府委員(瀧川哲男君) 私どもの税金は除斥期間というものがございまして、不正につきましては七年間課税ができるということになっておりまして、刑事訴訟法上の時効は五年、こういうことになっているわけでございます。したがって、重加算税も最大七年ということになるわけでございます。
#45
○村沢牧君 そうすると、この脱税はだれが見ても不正な手段によってやったものだと。刑訴法では三月十四日に時効になる分がある。しかし、重」加算税対象となれば三月十四日に必ずしも時効ではない、そのように理解していいですか。
#46
○政府委員(瀧川哲男君) そのとおりでございます。
#47
○村沢牧君 そのとおりだということは、必ずしも六十二年の脱税が時効になってしまったというわけではないですね。重ねて聞きます。
#48
○政府委員(濱邦久君) 今の委員のお尋ね、正確に私趣旨を理解していないとすれば御指摘いただきたいと思いますが、先ほど申し上げましたように、所得税法違反事件についての公訴時効は、既遂時期が所得税確定申告期限であるところの翌年の三月十五日とした場合には、その時効完成日はその五年後の三月十五日であるということを申し上げたわけでございます。
#49
○政府委員(瀧川哲男君) 今、法務省から御答弁申し上げた件は刑事の問題でございまして、重加算税は行政上の処分でございますから、この二つは違うと、こういうことでございます。
#50
○村沢牧君 昭和六十二年、平成元年の分について脱税容疑で逮捕したが、昭和六十三年、平成二年、平成三年については脱税に該当するようなものはなかったということですか。
#51
○政府委員(濱邦久君) 金丸前議員につきましては、現在までのところ逮捕事実に係るもの以外に所得税法違反等の罪に当たる犯罪の嫌疑が認められたという報告には接しておりませんけれども、いずれにいたしましても、先ほど申しましたように捜査中のことでございますので、これ以上のお答えは差し控えさせていただきたいと思います。
#52
○村沢牧君 金丸氏の脱税容疑は平成二年佐川急便からの五億円献金とは関係があるのかないのか。
#53
○政府委員(濱邦久君) お答えいたします。
 委員のお尋ねに端的にお答え申し上げますれば、これまでのところ告発事実、これは御承知のとおり金丸前議員に係る五億円の点でございますけれども、告発事実に係る五億円がこの逋脱所得の原資になっているなどというような意味で本件逮捕事実との関係が認められたという報告には接しておらないわけでございます。
#54
○村沢牧君 問題は、金丸氏がどこから資金を手に入れてそのような多額の割引債を購入したか、これが一番問題だと思うんですよ。
 検察も捜査をしていると思いますが、わかる範囲で答弁してください。
#55
○政府委員(濱邦久君) お答えいたします。
 今、委員のお尋ねは要するに所得の原資についてのお尋ねだと思うわけでございますが、その点も含めまして現在捜査をしているところでございますので、お答えは差し控えさせていただきたいと思います。
#56
○村沢牧君 国税当局はどうですか。
#57
○政府委員(瀧川哲男君) ただいま法務当局から御答弁したと全く同じ答弁になろうかと思います。
#58
○村沢牧君 金丸氏の昭和六十二年から平成三年までの税務署に申告してある所得額を明らかにしてください。
#59
○政府委員(瀧川哲男君) 申告所得額につきましては、従来から個別の問題でございますということで答弁を差し控えさせていただいてきたわけでございまして、本件につきましても申告所得額につきましては差し控えさせていただきとうございます。(発言する者あり)
#60
○委員長(遠藤要君) 皆さんに申し上げます。
 発言者以外の質疑はお許ししておりません。
#61
○村沢牧君 一千万円以上納税した者は所得額を公表して出てくるんじゃないんですか。
#62
○政府委員(瀧川哲男君) 先生誤解がございまして、公示されているのは所得税額でございます。したがって、公示されたものについて御報告申し上げたいと思います。
 昭和六十二年分につきましては一千四十四万三千円。六十三年分と元年分につきましては公示がございません。平成二年分は一千三万六千円。平成三年分は一千三十四万一千円。
 以上でございます。
#63
○村沢牧君 今答弁になったのは税額ですが、私もその税額は調査しています。
 私の調査では、国会議員で一千万円以上の税金を納めた人は昭和六十二年には七十五人いるけれども、金丸氏はその中に入っておらない。一千万円以下だ。六十三年では八十八人いるが、金丸氏は八十二番目だ。平成元年には八十人おるけれども、金丸氏の名前はない。平成二年には七十七人いるが、その中にもない。平成三年には九十三人中九十二番目という低さなんですよ。一千万円以上納税した人ですよ。
 これから推してみたって所得額わかるじゃありませんか。極めて少ない所得の申告しかしていない。したがって、この人がなぜ多額の債券を買えるというように思うんですか。これはどうですか、法務大臣答弁してくれませんか、こういう人がどうして多額の……
#64
○国務大臣(後藤田正晴君) だからこそ現在税金の捕脱があるという疑いで捜査をやっておると、こういうことでございます。
#65
○村沢牧君 結局、政治資金という名目で金を集めて資金をつくったんじゃないか。どう思いますか。
#66
○政府委員(濱邦久君) 委員先ほどから繰り返しお尋ねになっておられますが、要するに所得の原資についてのお尋ねだと思うわけでございまして、その点は捜査をしているところでございますので現段階でお答えすることはいたしかねるわけでございます。
#67
○村沢牧君 自治省に伺うが、金丸氏の政治団体の新国土開発研究会、日本政治を考える会、富岳研究会について、昭和六十二年から平成三年までの収支の報告を説明してください。
#68
○政府委員(佐野徹治君) 政治資金収支報告についてのお尋ねでございます。
 自治大臣に提出されました収支報告につきまして、昭和六十二年分及び昭和六十三年分につきましては官報によりまして、また平成元年分、二年分、三年分につきましては収支報告書により確認いたしましたところ、新国土開発研究会は、昭和六十二年分のその年の収入額は一億五千八十六万円余でございます。また、昭和六十三年分のその年の収入額は一億四千九百九十一万円余、平成元年分につきましては一億二千百二十三万円余、平成二年分につきましては一億八千八百七十八万円余、平成三年分につきましては一億四千五百七十七万円余でございます。
 また、日本政治を考える会につきましては、それぞれその年の収入額について申し上げますが、昭和六十二年分は二千四百六十一万円余、昭和六十三年分につきましては一千五百五十七万円余、平成元年分につきましては二千二百八十七万円余、平成二年分につきましては四千二百十九万円余、平成三年分につきましては二千八百八十一万円余。
 富岳政経研究会でございますが、昭和六十二年分は一千四百五十五万円余、昭和六十三年分は一千四百六十四万円余、平成元年分は一千八百九十五万円余、平成二年分は二千九百二十一万円余、平成三年分は一千七百十四万円余となっておるところでございます。
#69
○村沢牧君 収支報告書でありますから、当然収入があれば支出もある。そこで、今答弁のあった政治団体で支出の中に、金丸氏が受け取って債券を買ったかどうか、みんな、そこまでわからぬでしょうが、そういうところに使ったと思われるような支出がありますか。
#70
○政府委員(佐野徹治君) 先ほど申し上げました官報それから政治資金の収支報告書で確認をいたしますと、支出につきましての内訳は、経常経費といたしまして人件費だとか光熱水費だとか備品・消耗品費だとか事務所費、それから政治活動費といたしまして組織活動費、調査研究費、寄附・交付金、こういうものが内訳として報告されておるところでございます。
#71
○村沢牧君 自治省、金丸氏から保有金報告書の提出がされていますか。
#72
○政府委員(佐野徹治君) 金丸前議員が個人として受けた寄附につきまして、指定団体でございます新国土開発研究会に対しまして、昭和六十二年分、六十三年分、平成元年分、平成二年分、三年分、それぞれ一定額の寄附がなされておりまして、保有金に係る収支報告書は提出されておりません。
#73
○村沢牧君 以上答弁いただきましたように、金丸氏の所得申告を見ても、税額を見ても、政治団体の収支を見ても、保有金報告書を見ても、とても割引債券を多額に購入できるような資金は見当たらない。結局、裏金である、隠し金である、こう断ぜざるを得ないが、刑事局長はどういうふうに思いますか。
#74
○政府委員(濱邦久君) お答えいたします。
 今、委員が御指摘の点をも含めまして、所得の原資については捜査を続けているところでございますので、その捜査の内容を申し上げることはいたしかねるわけでございます。
#75
○村沢牧君 そんな答弁しなくたって、だれだってそう思うじゃありませんか。大臣、みなさん思いませんか。
 そこで、金丸氏は企業から政治献金の名前で金を集めて、そのうちから債券購入に充てている。生原秘書も同じである。その献金の中には佐川急便からの献金も、五億円だけじゃない、他にも入っているだろう。佐川急便から献金を受けていたことについても答弁はできませんか。
#76
○政府委員(濱邦久君) 重ねてのお尋ねでございますけれども、先ほど申し上げた理由によりましてお答えは差し控えるべきものと考えているわけでございます。
#77
○村沢牧君 結局、佐川急便の五億円は問題になっていますが、これだけじゃないということがだんだんわかってきたんですよ。わかるじゃありませんか。それ以前から株買うためにもらっておったに違いない。
 そこで総理、このような手口、仕組みをどういうふうに総理は考えますか。
#78
○国務大臣(宮澤喜一君) 事件そのものは極めて遺憾であり残念なことであると思っておりますが、御指摘のようなその内容、真相につきましては、ただいま検察、国税当局が厳正に調査をいたしているところでございます。
#79
○村沢牧君 総理、金丸氏は半年前までは副総裁として宮澤政権を支えてきた実力者なんですよ。この人が今報告あった容疑で逮捕された。総理はまことに遺憾だと、そんなことぐらいで済まされる問題だと思いますか。弁解の余地はないじゃありませんか。
 佐川事件を含めて、政治家と金の問題についてどう感じ、どう対処しようとしているんですか。
#80
○国務大臣(宮澤喜一君) 冒頭にも申し上げまし
たが、政治改革の必要が叫ばれて、殊に昨年来国民から強くそれを望まれておることはお互いがよく知っておるところでございますが、その中で資金の問題につきまして、資金の公正性、透明性というものはさらに明らかにならなければならない。いわゆる政治資金についての改革が強く望まれる。また、この国会において、ぜひともそれにつきまして成案を得たいというふうに考えております。
#81
○村沢牧君 その程度の答弁ですから、その程度の考え方だから、あなたは本当に決断力がないと思うんですよ。
 政治には金がかかるという、選挙には金がかかると。だから小選挙区制とあなたは言うんですよ。表向きは政治資金であるかのように集めた金を私財として蓄財をしていた。しかも庶民にとっては天文学的とも言えるような四十億、五十億というような蓄財をしたことについて、政治は金がかかるということで済まされるんですか。国民は政治家になったら金集めができてもうかる、こんなふうに考えているんですよ。一体、政治と金、あなたはどのように考えるんですか。小選挙区の問題じゃないですよ。
#82
○国務大臣(宮澤喜一君) 申し上げておきますが、私は小選挙区というようなことを一度も申しておりません。政治資金を透明にして公正にしなければならないということを申しておるのです。
#83
○村沢牧君 総理、こんな政治家がおったこと、我々まじめな議員にとってはたまったもんじゃないですよ。金丸問題は氷山の一角だと言われているじゃありませんか。総理、政治改革は政治資金規正法の手直し程度で済まされる問題、話ではなくなった。どう思いますか。
#84
○国務大臣(宮澤喜一君) 政治資金の公正性、透明性を確保するために政治資金に関する制度を改める必要がある、こう考えまして、今国会においで御審議を願いたいということで私どもの党におきましてもその準備をいたしておりますが、各党においてもそのような御準備中と承りますので、この国会で御検討の上、ひとつ新しい法改正をお願いたしたい、こう考えております。
#85
○村沢牧君 制度の問題だけじゃないんですよ。政治家がこういうことをしている。あなたを支えてきた実力者がこういうことをしている。政治倫理から見てどういうふうに感じているんですか。
#86
○国務大臣(宮澤喜一君) もちろん、すべての制度の問題の前に政治家一人一人の倫理の問題があることは、これは申し上げるまでもないことであります。
#87
○村沢牧君 ロッキード事件の田中元首相、リクルート事件の竹下元首相、そして宮澤現首相、故安倍晋太郎幹事長、共和事件では阿部元北海道開発庁長官、そして今回の金丸前副総裁。自民党の実力者が軒並み金や株にまつわる事件を起こしてい名じゃありませんか。自民党の皆さんは全く金銭感覚が麻痺してしまっている。総理、自民党のこの体質をどう改革しようとするんですか。
#88
○国務大臣(宮澤喜一君) まず倫理の問題であるということは先ほど申し上げましたし、これにつきましては政治倫理綱領、昭和六十年に国会においてお決めになっておられることがございます。その上に加えまして、いわゆる政治改革、緊急改革は既にお願いをいたしましたが、抜本改革の必要がある、こう考えております。
#89
○村沢牧君 この問題については、同僚議員からまた追及してまいります。
 そこで法務大臣、佐川事件について、昨年十二月九日中間報告を本委員会に提出したが、その後の動きについて報告書を提出して説明してください。
#90
○国務大臣(後藤田正晴君) 御質問にございましたように、佐川事件につきましては昨年の暮れ国会に中間報告の形で御報告を申し上げたわけでございますが、まだその後時間もそう長くかかっておるわけでもございませんし、今なお確かに、不記載の罪の疑いあるいは五億円そのものについての税法上の問題、こういったような点につきまして捜査をいたしておりますが、国会からそういう御要請があればその段階で法令の範囲内でどの程度許されるかということを検討した上で対応を決めたい、こう考えておりますが、率直に言いまして、まだ少し早過ぎるのではないかなと、かように考えております。
#91
○村沢牧君 報告書を提出するには早過ぎるとか遅過ぎるとか法務大臣が決めることじゃないんだよ、国会が要請することなんですよ。
 なるほど不記載の関係もあるでしょう。量的違反なのか。一応の不起訴にしたんじゃありませんか。ちゃんとその問題が進展しているんですよ。ですから私は理事会に要求して、その分ぐらいは出せるだろうと法務省に要求したけれども、出してこないじゃありませんか。法務大臣の答弁ぐらいではだめなんですよ。納得できません。
#92
○国務大臣(後藤田正晴君) だからこそ、私は国会でお決めになった段階において検討をさせていただきます、こう申し上げておるわけでございます。
#93
○村沢牧君 委員長に要請いたします。
 いろいろ資料を要求いたしました。この程度のものは先回も出したから出せるだろうということで理事会は一応了解した、理事懇談会は一応了解したと思うんですよ。協議してください。おかしいじゃないですか。
#94
○委員長(遠藤要君) 後刻、理事懇において協議いたします。
#95
○村沢牧君 今やってください、この前やったんだから。やってください。
#96
○委員長(遠藤要君) 委員長から、ただいまの村沢君の御発言の中において中間報告を求めるということに対して先般の理事懇においては、書類上ではまだ提出するほどのものではございませんが、中間報告として口頭で申し上げることはやぶさかでないという回答がこの間の理事懇で話をされて了承されているものと委員長は承知をいたしておりますので、改めてその中間報告をこの席において御報告を求めます。
#97
○国務大臣(後藤田正晴君) 先ほどお答えしたのが少々つっけんどんではないか、こういう御印象のようでございますが、実際問題としまして、昨年の暮れにああいうように一定の時期が来れば、国会の御要請を受けてできるだけの御協力をしなきゃならぬというのが我々政府の立場でございますから、そういう意味合いにおいてあの時期にも報告をさしていただいたわけですが、今回も当委員会で、国会の御意思として中間報告をさらにその後の状況についてやるようにというような御要請があればその段階で、法令等の制約があるわけでございますが、そういった制約の中ででき得る限りの御協力は申し上げたい、その時期にひとつ検討さしてください、こういうようにお答えをしているわけでございますので、ぜひひとつ御理解を願いたいと思います。
#98
○村沢牧君 法務大臣の答弁程度であるので、私は文書で提出してくださいと要求したんですよ。そのくらいのものは提出できるんじゃないかと言ったんですよ。改めて理事会で協議しますから、はっきりしたものを出してください。
 そこで、刑事局長、法務大臣はその後の動きについては不記載罪の疑い等があるのでまだはっきり言えないと言っているけれども、そのほかにもう既に不起訴にした問題もあるんじゃありませんか。その後の動きがあったんじゃありませんか。それを詳細に報告してください。
#99
○政府委員(濱邦久君) お答えいたします。
 これは委員も御案内のとおり、政治資金規正法上の量的制限違反事件、さらには政治資金規正法上の収支報告書不記載事件、あるいは所得税法違反事件というものが金丸前議員に係る五億円の関係で告発がなされて検察当局において捜査を進めてきたところでございまして、今委員御指摘になられましたように、政治資金規正法上の量的制限違反事件については時効切迫等の事情もございまして既に不起訴処分に付しているところでございます。しかしながら、残っております政治資金規正法上の収支報告書不記載事件、さらには所得税法違反事件の告発事件につきましては、検察当局
においてなお捜査を続けているところでございます。
 先ほど法務大臣がお答えになられましたのは、要するに、告発に係る事件につきましてもなお検察当局において捜査を続けているところでございますし、そういう意味で、現段階で昨年十一月三十日に御報告した以上のものを新たに御報告することはほとんどないということを御説明になられたと承知しているわけでございます。
 したがいまして、法務大臣からもお答えがございましたように、国会の国政調査権の行使に対しまして法務当局において法令の許す範囲内でできる限りの御協力を申し上げるべきことはもちろん当然のことでございますので、国会の正式の御要請がありました時点で、果たしてどのような御報告ができるかどうか検討をさせていただきたいということでございます。
#100
○村沢牧君 刑事局長は衆議院の答弁で、五億円は政治団体を経由して約六十人に配分し、配分先についても調査をしたが犯罪の嫌疑はないので、結局量的違反は不起訴にしたという。
 そこで、局長に聞くが、検察は金丸氏の政治団体の収支を調査して、そこから配ったという判断をしたんですか。
#101
○政府委員(濱邦久君) もちろん、政治資金規正法上の量的制限違反事件を捜査するに当たりまして、今委員がお触れになられました収支報告書、政治団体への入出金等必要な捜査は行ったものと考えております。
#102
○村沢牧君 自治省に聞くが、金丸氏の政治団体で五億円に相当するような金は収支報告書に記載されていますか。
#103
○政府委員(佐野徹治君) 平成二年分の収支報告につきましては、今お尋ねのようなものにつきましての記載はないものと存じております。
#104
○村沢牧君 刑事局長は、収支を調査して、そこに入ってそこから配ったというふうに今答弁があった。しかし報告書にはない。刑事局長、どういうことなんですか。
#105
○政府委員(濱邦久君) お答えいたします。
 これはもう委員に申し上げるのも釈迦に説法かと思いますが、政治団体に入ったかどうかという実態の問題は、収支報告書の記載だけで判断できるものではないわけでございます。もとより、政治資金規正法上、政治団体の収支報告書に記載がないものは政治団体に入ったというふうには認めないという取り扱いになっていれば別でございますけれども、実際には現行の政治資金規正法はそういう取り扱いにはなっていないわけでございます。
 したがいまして、収支報告書の記載だけでは決め手にならないわけでございますから、先ほど申し上げましたように、そういうものを含めて政治団体の入出金状況も当然これは捜査をいたしておるわけでございます。
#106
○村沢牧君 そこで、献金を受け取ったことは事実なんです。しかし報告書には記載をされていない。その金は一体どういう性格の金ですか。
#107
○政府委員(濱邦久君) お答えいたします。
 委員も御案内のとおり、この五億円は金丸前議員に対する政治活動に関する寄附であるということで、昨年確定いたしました略式命令において認定されているところでございます。
#108
○村沢牧君 そんなことを聞いているんじゃないですよ。答弁になっていないよ。
 全く答弁になっていませんが、五億円は確かに受け取った。しかし、政治団体に入ったか入らないかわからない。一体そういう金はどういう性格のものなんですか。
#109
○政府委員(濱邦久君) 委員のお尋ねは、要するに、政治資金規正法上の量的制限違反の事実を不起訴にした理由についてお尋ねになっているんだと思うわけでございます。
 したがって、政治資金規正法上の告発事実にあるような、金丸前議員から直接約六十名の候補者に分配されたという認定をするには証拠上嫌疑が不十分である。刑事裁判で要求されるところの合理的な疑いを入れない程度の証明を行うことは到底困難であるというふうに判断されたことから、量的制限違反の事実については嫌疑不十分ということで不起訴処分に付したわけでございます。
#110
○村沢牧君 そんなことを聞いているんじゃなくて、帳簿を全部調査したというんですね。しかし、五億円は入った、帳簿には載っていない。つまり裏金じゃないか、隠し金じゃないか。そういうことを聞いているんです。どういう性格のものですか。裏金じゃないですか。
#111
○政府委員(濱邦久君) 先ほどお答えいたしましたように、政治団体の収支報告書に記載がなされていないという意味では、今委員御指摘になられましたように裏金でございます。
#112
○村沢牧君 結局、その裏金を六十数人に配ったということで、六十数人にも調査をしたというんですね。だれが配ったか知りませんが。
 そこで、六十数人について何人調査をしたんですか。どういう理由で六十数人も量的違反は関係ないという不起訴にしたんですか。
#113
○政府委員(濱邦久君) 告発事実には約六十名の氏名不詳者ということでございますので、検察当局におきましては、政治資金規正法上の量的制限違反の事実について捜査する過程で相当数の者について取り調べを行ったわけでございます。
 なお、先ほどもお答え申し上げましたように、政治資金規正法上の収支報告書不記載罪あるいは所得税法違反の告発事実もなお現在捜査を続けているところでございますので、その約六十名の氏名不詳者についても特定するための捜査をなお続けているということでございます。
#114
○村沢牧君 捜査したんですから、相当数なんて言わぬたって、何人に捜査をしたかと聞いているんだよ。
#115
○政府委員(濱邦久君) 告発の対象になっておりますのは、先ほどお答え申し上げましたように、約六十名の候補者ということになっているわけでございまして、必要な捜査はもちろん行わなければならないわけでございますから、相当数の候補者について取り調べを行ったということで御理解いただけると思うわけでございます。
#116
○村沢牧君 人数ぐらいだったら言えるじゃないですか。そんなことも言えないのか。だめですよ、そんなことまで言えなくちゃ。だめですよ、相当数ぐらいじゃ。人数ぐらい言えるじゃないですか。
 その程度のことは言えると思うんですよ。そんな答弁もできないようなら全く国会軽視だ。相当数とは、例えば数名なのか、あるいは十数名なのか、二十数名なのか、あるいは四十数名なのか、その程度のことをなぜ答弁できないの。
#117
○政府委員(濱邦久君) 先ほどお答え申し上げましたように、約六十名ということで告発がなされておるわけでございまして、その約六十名について取り調べを行った、捜査を行ったというふうに御理解をいただきたいというふうに申し上げているわけでございます。
#118
○村沢牧君 六十名についてそういう捜査を行ったということでありますが、閣僚の中には旧竹下派出身の大臣がいらっしゃいますね。中村建設大臣、中山防衛庁長官、船田経企庁長官、中島科学技術庁長官、井上国土庁長官、皆さんは五億円の配分を受けたことがありますか。金丸氏の政治団体から献金を受けたことがありますか。また、検察から聴取を受けたことがありますか。それを答弁してください。
#119
○国務大臣(中村喜四郎君) お答えいたします。
 いずれもございません。
#120
○国務大臣(中山利生君) 御質問のようなことはございません。
#121
○国務大臣(船田元君) お答えいたします。
 いずれの事実もございません。
#122
○国務大臣(中島衛君) 平成二年、九〇年一月、二月に献金を受けた事実はございません。
 捜査のことは捜査中だから遠慮しますという当局の答弁はありましたが、私は捜査を受けております。
#123
○国務大臣(井上孝君) 全くございません。
#124
○村沢牧君 検察はいろいろ捜査しているわけで
すが、金丸氏と生原秘書が指定団体へ入れ、そこから配分したと供述しているから、それを認めだということを検察は言っているんですね。しかし、金丸氏はそんな金は見たこともきわったこともないと証言しているんです。今逮捕されている生原秘書の供述だけを真実と受けとめて検察はそのような判定をしたんですか。
#125
○政府委員(濱邦久君) お答えいたします。
 今、委員が御指摘の点につきましては、金丸前議員及び生原元秘書の供述だけではもちろんないわけでございまして、そのほかの関係者の取り調べ、さらには収支報告書の記載等の証拠物等を取り調べた上、捜査した上の判断でございます。
#126
○村沢牧君 刑事局長に言っておくけれども、あなたの答弁は極めて不親切ですね。今までの答弁とは違ってくるんだ。衆議院の答弁とも違ってきておるんですね。あなたは衆議院ではどういうことを言ったかというと、この五億円は裏金でございます、そしてなぜこういうことをやったというと、証拠はないけれども、金丸、生原のこの供述があるから、あるいは政治団体には入っておらぬけれども、昔入れた経験があるから、経過があるから、こういうことで類推して判断してこういうことをしたと、これが衆議院の答弁じゃありませんか。全く違っているじゃないか。
#127
○政府委員(濱邦久君) お答えいたします。
 先ほどお答え申し上げましたように、政治資金規正法上の量的制限違反の告発事実についてまずもって判断するに際しての検察当局の判断の経過と申しますか、そういうものを御説明したことを今委員おっしゃっておられると思うわけでございます。
 これは、先ほどもちょっと申し上げましたように、告発に係る政治資金規正法上の量的制限違反事実それ自体について公訴を提起することができるかどうかという観点から検察当局が判断をまず加えたわけでございまして、その際の判断の経過としては、先ほどお答え申し上げましたように、金丸前議員から直接約六十名の候補者に分配されたという告発事実を認定するには証拠上嫌疑は不十分である、そういう告発事実を刑事裁判で要求されるような合理的な疑いを入れない程度の証明を行うことは到底困難であるという判断の経過として衆議院でもお答え申し上げた、その点を委員がおっしゃっておられるのだろうと思うわけでございます。
 その際に、金丸前議員から指定団体に一たん入ったのではないかという点について合理的な疑いが残る限りは、先ほど申し上げた金丸前議員から直接約六十名の候補者に分配されたという事実を合理的な疑いを超える程度に証明することはできないんだということを申し上げたわけでございます。その際に、既に明らかになっておりますところの収支報告書の記載状況等をも、これは公になっておるものでございますから、それを引いてお答えを申し上げたわけでございます。
 そういうことから、あくまで政治資金規正法上の量的制限違反の告発事実を、言葉をかえて言いますと、先ほど申しておりますように、金丸前議員から直接約六十名の候補者に分配されたという告発事実を合理的な疑いを入れない程度に立証することは困難であるということで御説明を申し上げたつもりでございます。
#128
○村沢牧君 刑事局長の答弁は、私はいろいろ刑事局長の今までの衆議院における答弁見ていますからある程度理解するけれども、聞いておる人はわからないですよ。何言っているかわからない、ちっとも。だから、もうちょっと親切に答弁しなきゃいけないと最初から申し上げたんです。
 そこで、渡邊被告は、金丸氏に十億円渡すと約束したという供述をしておるんですね。そこで五億円ははっきりした。先ほど指摘したように、他の五億円もその前の年にやっぱりもらったんだろうという疑いが出てくるわけですね。そんな大金をなぜ金丸氏に渡したんであろうか、当然、検察としては調査したと思いますが、どうですか。
#129
○政府委員(濱邦久君) 先ほどもお答え申し上げたかと思いますが、金丸前議員に渡った五億円は金丸前議員の政治活動に関する寄附として渡邊廣康元社長から金丸前議員に供与されたということは、再々お答え申し上げておりますように、確定した略式命令の裁判において判断されていることでございます。
#130
○村沢牧君 そこで、金丸氏は臨床尋問で、佐川急便はいろいろ労働条件だとかなんとかいうことで国会でも問題になっておる、だから私のところへ献金をすると言ってこられたというような感じがしたと言っているんですね。国会で問題になっていることを封じ込めるための裏金なら、事実上、これは贈収賄になるんじゃないでしょうか。
#131
○政府委員(濱邦久君) お答えいたします。
 今の委員のお尋ねは要するに金丸前議員に渡った五億円は贈収賄のわいろではないかというようなお尋ねかと思うわけでございますが、これは先ほどからお答え申し上げておりますように、この五億円は金丸前議員の政治活動に関する寄附として渡違廣康元社長から金丸前議員に供与されたものであるという事実は、既に昨年確定いたしました略式命令の裁判において認定されているところでございます。
#132
○村沢牧君 だから、そういうふうに検察が判断をして裁判に持ち込んできた、裁判で認定されたからそれは私は否定しませんが、そういう疑いすら出てくるんですよ。それで、五億円は六十数人に配ったというけれども、もらった人も何もわからない。このうちの一部は金丸氏や生原秘書の懐に入った。個人所得としてやっぱり所得税に関係するものが当然出てくるんではないかと思いますが、その点は検察はどういうふうに見ていますか。
#133
○政府委員(濱邦久君) お答えいたします。
 先ほどお答え申し上げましたように、現在、東京地検が告発を受けてなお捜査を続けております政治資金規正法上の収支報告書不記載罪とあわせて所得税法違反についても捜査を続けているところでございまして、今委員がお尋ねの点はまさにそういう告発事件の捜査の過程において解明されるべき事柄であるというふうに思うわけでございます。
#134
○村沢牧君 国会はやっぱり真相を解明して、それから再びこのような事件が起こらない、発生させないという政治的、道義的な責任においてさらに事実を解明する必要があるんです。そこが国会の任務なんですよ。
 そこで、私はこの真相を解明するために検察庁が調査した金丸氏の政治団体の収支の明細、金丸氏、秘書の生原氏の供述書、五億円の配分先の調査資料を本委員会に提出することを求めます。法務大臣、今の要求した資料を提出してください。
#135
○国務大臣(後藤田正晴君) 私どもの立場は、検察といえどもこれは行政権の中の一部でございます。そういう立場からはできるだけ国政調査権に御協力を申し上げるという私どもは基本的な考え方は持っておるわけでございますけれども、しかしながら、今御質問のような資料は裁判確定の資料の話かと、こう思いますが、さらにその前の捜査資料ということの御要求なのか、ちょっと私には聞き間違えておる点があるかもしれませんので、両方についてお答えいたします。
 捜査関係の資料ということになりますと、これはやはり刑事訴訟法上のたしか四十七条であったと思いますが、この規定の定めるところに従ってできるだけ協力をすると、こういうことであろうと思いますし、それからまた、確定記録といったようなことになると、これは五十三条でございましたか、こういったようなことのいろいろ制約がございますので、御協力にも、できる限りこれはやるつもりでおりますけれども、限界があるんだということは国会の皆さん方もぜひひとつ御理解をしていただきたいと、こう思います。
 今御質問の中に一部確定記録というような理解を私しましたが、それならばこれはちょっとお出しをすることはできかねると、こう考えております。
#136
○村沢牧君 法務大臣、私も今現在捜査進行中のものを全部出せとは言いませんよ。確定したもの
は出せないとか、あなた今答弁があった。もう一回、その辺はどういうふうに考えているんですか。
#137
○国務大臣(後藤田正晴君) 御質問の点は、閲覧はこれはできるわけですね。これはまあ当然だと思いますが、しかし関係の書類を提出するということは、これはいたしかねると、こういうことでございます。
 そこで、閲覧をせられてそれについてこういった席で御質問があれば、それを確認するとか確認ができないとかいったようなことはお答えはできるんではないかなと、こう思いますが、書類としてはお出しいたしかねると、こういうことです。
#138
○村沢牧君 いつも法務当局は、刑訴法四十七条によって提出できないと言っているんですけれども、刑訴法四十七条には、「公益上の必要その他の事由があって、相当と認められる場合は、この限りでない。」と、こうなっていますね。
 そこで、法制局長官に聞くけれども、「公益上の必要」ということは、これは国政調査権の範囲に入ると思いますが、どうですか。
#139
○政府委員(大出峻郎君) お答えを申し上げます。
 ただいま刑事訴訟法の第四十七条を御引用になってのお話でございますが、刑事訴訟法の第四十七条というのは、「訴訟に関する書類は、公判の開廷前には、これを公にしてはならない。」というまず本文の規定があるわけであります。これを受けまして、「但し、公益上の必要その他の事由があって、相当と認められる場合は、この限りでない。」、かように規定をいたしておるわけであります。
 そこで、四十七条本文の規定がこのように訴訟関係書類の公判開廷前の非公開の原則といいますか、公開禁止の原則というものを定めている趣旨が何であるかということでありますが、訴訟関係人の人権というものを保護する、あるいは捜査及び裁判に不当な影響が及ぶことを防止するという公益上の必要によるものであるわけであります。
 そこで、今度は同条のただし書きの規定でございますが、「公益上の必要その他の事由があって、相当と認められる場合」に訴訟関係書類の公開をただし書きは認めでおるわけでありますが、これは非公開とすることによって保護される公益にさらに優先する他の公益上の必要があると認められる場合に例外的取り扱いを許したものであるというふうに解されるわけであります。
 議院の国政調査権というものに基づきまして訴訟関係書類の提出が求められる場合が刑事訴訟法第四十七条ただし書きに言うところの「公益上の必要」、これに当たるかどうかというのが御質問の中心でございますが、「公益上の必要」がある場合に当たることはそのとおりであると思います。
 ただ、このただし書きの規定というのは、単に公益上の必要があるからといいまして直ちに公開を認めるというものではなく、そのただし書きのその「公益上の必要」というものが、訴訟関係書類を非公開とすることによって守られるべき先ほど申し上げました四十七条本文の方の規定の趣旨との関連におきまして、その公益が優先すると判断される場合に限って公開が許されるということでございます。このただし書きの規定に言うところの「相当と認められる場合」、ということがただし書きの規定の中にございますが、というのはこういうことを意味しておるものと、かように理解をいたしておるところでございます。
#140
○村沢牧君 法務大臣、国会は憲法第六十二条によって国政調査権があるし、国会法百四条によって、国会が内閣、官公署その他に対して必要な報告、記録の提出を求めたときは、求めに応じなければならないと規定されている。もちろん、三権分立の我が国で司法権に介入することはしない。しかし、検察権は司法権ではなくて行政権です。
 国権の最高機関の国会が政治的、道義的責任をただしていく、そしてまた、そのときに公益上必要がある資料、これを求めたときには、何もかもだめじゃなくて、私は出せると思って理事会にも要求してあるし、要求したんですよ。一概にだめだというようなことであなたははねつけるあれはないんですよ。国会は、公益上、国会の責任として道義的責任を果たすために必要な資料なんですよ。どうですか。
#141
○国務大臣(後藤田正晴君) 今、法制局長官から四十七条について御説明がございましたが、そのとおりです。やはり非公開が原則なんです。しかしながら、公益上必要であれば、しかもその公益の中には国政で必要だと、こういうのも公益の中に入ると。しかしながら、相当と認められるということであって初めて提出するかしないかということを決めると。
 「相当」とは何ぞやということになれば、公開することによって失われる利益と、それと守ることによって守るべきこの公益との比較考量の上に立つ、その判断は私は政府にゆだねられておる、かように考えるわけでございますが、そういう判断の上に立ちまして、先ほど言いましたように、書類については閲覧等はこれはもう認められておるわけでございますが、書類を出すということになりますと、我々といたしましてはいろんな関係で、何しろ行政権の一部であっても準司法的な作用でございますから、司法に対する立場、さらにはまた個人のいろんな名誉なりあるいはプライバシーといったような問題もございますから、最大限協力はいたしますけれども、できない面があるんだということは、これは国会も御理解をぜひひとつしていただきたいなと、かように思うわけでございます。
#142
○村沢牧君 できないものがあることは私もわかりますよ。しかし、私が要求した中で、私が考えて当然出せるではないかと思われるものがあるんですよ。
 そこで、大臣は、閲覧はすることはできる、そこまで答弁をされてはこれは黙っておれぬですね。
 第百四条には、必要とする報告、記録の提出を求めたときは、その求めに応じなければならない。国会が要求したのを求めに応じて提出すべきですよ。
#143
○国務大臣(後藤田正晴君) その点は、遺憾ながら村沢さんとは見解の開きのあるところでございます。
 閲覧の話をいたしましたが、今日まだこの点は閲覧もたしか認めておる段階ではないのではないかと、かように考えておるわけでございます。その点はひとつ、御意見はわかりますけれども我々の立場も御理解願いたいと、こう思います。
#144
○村沢牧君 今の答弁、納得できません。
 国会が要求した後、実は理事会に資料を要求してあってまだ委員会全体の決議になっておらない。どうしてもそういう答弁だったら、私は動議を出して、提出してくださいという決議をしてもらいますよ。やってもらいますよ。その場合も大臣は、閲覧ならできる、報告はできない、そんな答弁には私は納得できませんね。
#145
○政府委員(濱邦久君) お答えいたします。
 先ほど委員がお触れになられました国会法百四条の国政調査権の行使としての資料の提出要求をおっしゃっておられるんだと思いますけれども、これは先ほど法務大臣からもお答えがございましたように、国政調査権の行使に対して法務当局としてもできる限りの協力をしなければならない、法令の許す範囲でしなければならないと思うわけでございますが、他方、検察及び司法の作用を妨げてはならないという別の角度からの職責、法令上の制約があるわけでございまして、そういう意味から先ほど法務大臣がお答えされているところだと思うわけでございます。
 これはもう改めて申し上げるまでもございませんけれども、国政調査権の行使につきましても、国政調査権が認められております趣旨及び憲法上規定されておりますところの三権分立の原則から、おのずと国政調査権にも一定の限界が存することは、これは一般に異論のないところだと思うわけでございます。
 したがいまして、今、委員がお尋ねになっておられますところの捜査資料等の提出につきまして
も、先ほど法制局長官からもお答えございましたように、刑事訴訟法四十七条本文あるいはただし書きの趣旨から、関係人の名誉、人権の保護、あるいは当該事件の将来の事件に関する捜査あるいは裁判に対する不当な影響が及ぶことの防止といった、基本的人権の尊重及び司法権の独立という憲法上の諸原則にもかかわるものでございまして、そういう趣旨から、法令上の制約があって提出には応ぜられないというふうに申し上げているわけでございます。
 委員先ほどお触れになられました資料の提出要求について、文書で当委員長から法務大臣に対して御要請があったかと思うわけでございまして、その点につきましても、既に同じような趣旨のお答えを法務大臣から当予算委員会の委員長あてに申し上げているというふうに承知しているわけでございます。
#146
○村沢牧君 私は、国会の政治的、道義的責任を果たすために国会の調査権あるいは公益のためにやることについて、一々法務当局から、これはできない、あれをどうするかとか、そんな弁解を聞く必要はないんです。国会は国会としての権限があるんですよ。ただ、要求したけれども、そういういろいろな事情があって出すことはできないというような話ならいいけれども、最初からできませんというふうな答弁は全く国会軽視だと思う。
 法務大臣、あなたが、閲覧ならいいけれどもいろいろ資料を求められても国会に提出することはできないということは、どうしても納得できない。
#147
○国務大臣(後藤田正晴君) 従来、こういった場合に政府がとっておる考え方につきまして正確にお答えをいたします。
 議院または委員会から国政調査権に基づき被告事件終結後の訴訟記録それ自体の提出要求があった場合において、これに応ずることは特定の被告事件の審理及び裁判を国政調査の対象とする事態を生じさせるおそれがあるので、訴訟記録それ自体については、その全部である場合はもとより、その一部を構成する証拠書類に係る場合であっても、これを提出することは差し控えるべきものであると考えております。
 ただ、閲覧可能となった記録については、その内容の確認等につき国会からの要請があれば、どのような協力ができるかその段階で検討したい、これが従来からの政府の見解でございます。
#148
○村沢牧君 その問題をやっておるとまた時間がかかりますので、山本議員からも私の関連でそうした問題について質問いたしますので、私はこの程度にしておきます。
 さてそこで、渡邊被告供述の約十七億五千万のやみ献金の配分について検察は調査したのか、調査したとするならば、だれのところへ、また何人に渡っているか、明らかにしてください。
#149
○政府委員(濱邦久君) 今、委員お尋ねの約十七億五千万円の渡邊廣康被告人に還流したとされる全員の流れ等につきましては、これは現在公判が係属しております松澤被告人に対する特別背任事件あるいは渡邊廣康被告に対する特別背任被告事件が現在裁判審理中でございまして、その過程で必要なものは明らかにされるというふうに思うわけでございます。
#150
○村沢牧君 その裁判が確定すれば、十七億五千万のうち五億円は金丸氏に渡って、あと十二億五千万についてはだれに渡ったか、これがはっきりわかるわけですね。
#151
○政府委員(濱邦久君) お答えいたします。
 今、委員が御指摘になっておられますところの被告事件が確定いたしましてその当該確定訴訟記録が閲覧可能になりました時点では、閲覧していただくことはもちろん可能でございます。
#152
○村沢牧君 総理、国会では、ロッキードやリクルート事件の反省の上に立って、再びこんなことを起こしませんということで政治倫理綱領や行為規範を制定した。我々議員のポケットにある議院手帳に載っているんですね。そして、国会法第百二十四条の二によれば、議員はこれを遵守しなければならないと言っている。
 総理は、政治家の身分、進退は選挙民と本人が決することだと言っていますが、客観的に見てある政治家の行為が政治倫理綱領や国会法に違反すると国会や国民が判断した場合には、本人の判断は別にしても、やはり国会法に規定する除名も含めて懲罰の対象にすべきであるし、所属政党としても厳しい処罰をしなければいかぬ。自民党総裁としての見解を聞きたい。
#153
○国務大臣(宮澤喜一君) 憲法、国会法等に除名の規定があることをよく存じております。それは三分の二という非常に重い規定でございますが、そのような規定がございます。
 それから、私ども党のことお尋ねございましたから、党におきましては、無論いわゆる党内の党紀の問題として、党紀違反ということにつきましてはそれに対する処置をする、そういう仕組みを持っております。
#154
○村沢牧君 率直に聞きますけれども、金丸氏は議員を辞職した、竹下氏の行為は政治倫理綱領やあるいは今総理から答弁あった自民党の党紀に違反をすると私は思いますが、どうですか。
#155
○国務大臣(宮澤喜一君) 竹下議員につきましては、私どもの党内で党の責任におきまして事実関係の解明を行ったところでございます。
#156
○村沢牧君 政治倫理綱領に違反をすると私は思いますが、どうですか。
#157
○国務大臣(宮澤喜一君) それは倫理綱領に書いておりますとおり、議員お一人お一人の判断をせられるべき問題であって、政府がかれこれ申すべきことではないと思います
#158
○村沢牧君 総理は選挙民との関係と言われますが、先月、朝日新聞の調査では、竹下氏の地元の島根県では、竹下氏が議員辞職すべきだという人が五〇%、離党すべきが六%、辞職も離党もしなくてもいいが一八%、次の選挙で竹下氏に投票するかという問いに対して、投票する人が八%、投票しないが六六%という数字です。昨年十二月、同じく朝日新聞の全国調査で、竹下氏は辞職すべきだという人が七八%、その必要はないという人が一三%。同新聞の最近の調査でも、辞職すべきが昨年と全く同じ七八%。
 総理、これが国民の声であり、地元島根県の選挙民の判断であります。どう思いますか。
#159
○国務大臣(宮澤喜一君) そのようなことは報道として存じておりますが、議員が選挙民から与えられた負託というものは極めて神聖なものでございますから、選挙民の意思というものは選挙を通じてあらわれるものであると考えます。
#160
○村沢牧君 やがて来るべき選挙にあらわれるでありましょうけれども、しかし、選挙民がそのように判断しているんですよ。
 そこで、竹下氏はいろいろ弁解しているが、総裁選挙の過程で暴力団が関与したことは、今までの国会の調査でも検察庁の調書でも客観的な事実なんです。竹下氏はその後、総現在任中もそのことを察知したというふうに認めていることは、結果責任があるわけです。
 総理、皇民党の褒め殺し街頭宣伝をやめさせるために暴力団がかかわったという客観的事実をどういうふうに認識されますか。
#161
○国務大臣(宮澤喜一君) そのことに関しまして、私の知り得ている陳述等は二つでございます。
 一つは、いわゆる東京佐川事件に関する平成四年九月二十二日の東京地検の冒頭陳述と言われるものでございます。次にもう一つは、衆議院における竹下氏の証言、衆議院の証人として答えられたもう一つの問題がございます。そのいずれも今言われましたようなことを直接に肯定しているということはないように思います。
#162
○村沢牧君 総理はそのような答弁ですが、暴力団が関与したという疑惑は感じるのか。また暴力団の関与はなかったと。あなたはどう思うんですか。
#163
○国務大臣(宮澤喜一君) 私の立場から申せば、それは明白な事実に基づかない限り、いずれの断定も下すべきでないというのが私の職責と思います。
#164
○村沢牧君 企業や諸官庁では、自分の在職中に不祥事があったとあれば結果責任をもって辞職をする。暴力団のパーティーに出ただけで、野球選手は出場停止になったり歌手は紅白歌合戦に出られなくなる。これが世間の常識なんですよ。
 総理大臣として位大臣をきわめた人が政治責任をとろうとしない、そんなことで済まされると思うんですか。どう思いますか、総理。
#165
○国務大臣(宮澤喜一君) それは、おっしゃいますことは私は一つの御意見としてわかりますけれども、他方で憲法、国会法が議員の除名について非常に重い規定を置いておるということは、議員と選挙民との神聖な関係、負託を受けたという関係を重視していることではないかと私は思います。
#166
○村沢牧君 これだけ国民の批判を受けて政治不信になっている事件について、あなたは自民党の総裁として竹下氏に直接会って真相をただすべきである。そういうことをやったんですか。また、これからやろうとするんですか。
#167
○国務大臣(宮澤喜一君) 既に党のしかるべき機関において竹下氏から詳しく真相を聴取しております。私はその報告を受けております。
#168
○村沢牧君 竹下氏と自民党幹部との話し合いをマスコミで知ったんですが、全く弁解を聞く程度のもので、あれが真相解明かと疑わしくなるわけです。
 そこで、竹下氏は暴力団にかかわっただけじゃない。大蔵大臣または総現在任中、金屏風事件、リクルート事件、数々の疑惑を持たれ、国会の名誉と権威を著しく傷つけたんですよ。国民の八〇%は議員をやめなさいと言っている。竹下氏みずからが議員を辞職すべきでありますが、宮澤さんは自民党総裁として辞職を勧告すべきである。どうですか。
#169
○国務大臣(宮澤喜一君) 先ほどからるる申し上げておりますとおり、これは議員御自身が選挙民からの負託を失った、あるいは選挙民の負託を実行する立場を失ったと考えられるかどうか、あるいは選挙民がそれをそう判断するかどうか、そういうことによって決せられるべきものだというふうに思います。
#170
○村沢牧君 また、日本社会党・護憲民主連合は竹下氏の辞職を求めている。辞職を求めています。そのことは、私が今まで申し上げたことだけだって、当然、議員辞職に該当するものである。本人がもちろん判断してもらうとともに、今後、竹下氏が責任をとるように私たちは求めてまいりますが、そこで、この佐川問題や、午前中と申しますか先ほどの金丸問題等に関連をして、私はさらにこの内容をただしていかなきゃいけない。そこで、証人の喚問を要求したいというふうに思います。
 日本社会党、公明党、民社党あるいは民主改革連合としていろいろ今日まで証人の問題について検討してまいりまして、十五名ほどの証人喚問を要求しておりますが、第一次分として次の諸君を証人として当委員会に喚問することを要請いたします。金丸信、竹下登、魚住汎英、伊坂重昭、真部俊生、佐藤茂、以上の六人を第一次分として当委員会に証人として喚問することを要請いたします。
#171
○委員長(遠藤要君) ただいまの村沢君の発言に対して、後刻、理事懇または理事会において協議いたします。
 村沢君の残余の質疑は午後に譲ることとし、午後一時まで休憩いたします。
   午前十一時五十九分休憩
     ――――◇―――――
   午後一時二分開会
#172
○委員長(遠藤要君) ただいまから予算委員会を再開いたします。
 平成五年度一般会計予算、平成五年度特別会計予算、平成五年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題といたします。
 休憩前に引き続き、村沢牧君の質疑を行います。村沢君。
#173
○村沢牧君 景気対策について伺います。
 景気の回復がおくれて、不況は依然として深刻なものがあります。総理、景気の現状と対策について伺いたい。
#174
○国務大臣(宮澤喜一君) 大変大きな問題をいただきました。
 いつぞやも申し上げたと思いますが、今回の不況というものがいわゆる在庫を中心にした循環だけではなく、資産の逆効果といいますか、バブルによるところの資産の下落によって家計においては消費意欲を、企業にとっては投資意欲を非常に損なうに至ったばかりでなく、国民経済の循環系統に当たりますような金融機関が融資対応能力を失う、あるいは証券市場がエクイティーキャピタルを起こす能力を甚だしく喪失するといったような要因がございますために、従来のような対応だけではなかなか景気の回復が難しい、回復しましてもそのテンポは非常にゆっくりであるというような認識を今日なお持っております。
 在庫の調整はかなり進んだようではございます。それから金融機関につきましても、いわゆる不良債権の処理の機構であるとか、あるいは証券市場の活性化であるとか、少しずつのことは進んでおりますけれども、何分にも受けた打撃が欠きゅうございましたので、それも時間がかかっておるということでございます。
 そこで、この間にあって、政府は昨年の夏以来市場再興の総合経済対策を講じてまいりました。その中心は、主としてやはり中央、地方の公共投資が中心になりますけれども、同時に、中小企業への融資あるいは投資等への援助等々も心がけてまいりました。御審議中の平成五年度予算案もその延長線において編成をいたしたものでございます。
 昨年、補正予算のおくれがちょっとこたえまして、昨年末の公共事業等々の進捗が十分でございませんでした。そういうことが再度起こりませんように政府としても十分心がけまして、補正予算の執行並びに今回の予算をできるだけ早く成立をさせていただきまして、年度の改まりとともに執行いたしたいと考えておるわけでございますが、いずれにしても、そのような性格を持った景気でございますから、絶えず注意を怠らずに、何かございましたら機動的に対応できるように、いろんな面でいつでも臨機に対応できるような姿勢をとって、一日も早い景気の回復のために努力をいたしておるところでございます。
#175
○村沢牧君 通産大臣、不況に加えて最近の円高は輸出産業に大きな打撃を与える、逆に円高によってメリットを受ける企業もあるわけでございますけれども、この打撃を受ける企業に対して、産業に対してどうするのか、政府としてどういう対策を立てようとしているのか、それからメリットを受ける企業に対してはどういうことを考えているか、伺いたい。
#176
○国務大臣(森喜朗君) 今、総理からお答えを申し上げましたように、我が国の経済はまだ十分注視をしていかなければならぬ、そういう時期だと考えております。その中で、特に個人消費、設備投資が低迷をしているわけでございまして、そういう意味では企業をめぐります状況は一層厳しくなっている、このように私どもとしては見ております。こういう状況の中で、今回のような急激な円高というのは輸出関連企業の円ベースでの手取り収入を減少させるということになりますので、収益のさらなる悪化を招くということで、景気には好ましくないことになるというように憂慮をいたしておるところでございます。
 通産省といたしましては、事務当局に命じまして、主要業種二十二業種、輸出型産地二十五地域に対しまして今回の円高の企業経営に与えます影響等について調査を行いました。三月五日に調査結果を発表いたしましたので先生も御高覧をいただいたと思いますが、この結果を見ますと、急激な円高が輸出関連企業の企業収益に悪影響を与えるだけではなくて、いわゆるすそ野の広い加工組み立て産業等を通じまして直接的には影響がない産業等についても悪影響を及ぼしている。国内景気をこれまた冷やすということで心配をいたして
おるところでございます。
 私は、景気の現状や企業の状況を注意深く見守ると、総理も先ほどそのようにおっしゃっておられますが、今回の調査結果を踏まえながら、早期の景気回復を目指しまして今後とも適時適切な経済運営に全力を尽くしていかなきゃなりませんが、その際、いわゆる為替相場の動向というものを十分見据えながら、踏まえながら進めていかなきゃならぬと考えております。
 また、委員から御質問にございましたように、今すぐというよりも、この円高傾向がまだ固定化しているということではございません、非常にいろんな変化がございますし、そういう面から見まして、十分この為替相場を注目しながら適時適切な措置をとる、対応をしていかなきゃならぬ。今調査もいたしましたところでございますので、そのためにはどうすべきかということなども中小企業庁を中心にして十分今検討しておるところでございます。
#177
○村沢牧君 通産大臣、今質問したもう一つの問題は、円高によってメリットを受ける例えば電気なりガスなどあるわけですね。こういうものに対しては円高差益を還元しなさい、そういう声もあるんですが、どういうふうに考えますか。
#178
○国務大臣(森喜朗君) 今ほど申し上げましたように、この円高はまだいろんな意味で推移をするわけでございまして、今この円高のメリットによってどういうふうに還元をしていくか、円高が固定化していけば当然それに対して還元をしていくということはこれは考えていかなきゃならぬことでございますが、今まだこのことを認めてしまうというようなことであってはならぬし、かなり相当の期間どういう状況で進捗するかということを見ていかなければならぬ、このように今考えております。
 今後の動向が不透明な現時点におきましては、円高差益の発生について今具体的に申し上げるということは時期尚早ではないかというふうに思います。しかし、委員から今御質問ございました例えば電力業界というのが当然視野に入ってくるわけでございますけれども、現行料金の前提となる為替レート、石油価格等に比べて円高による燃料コストの低減よりも石油価格等の上昇による燃料価格のアップの方がマイナス面の影響が大きいというふうに見るわけでございまして、いずれにしましても、今後の為替レートというものを十分注視しながら、現状においてはまだ電力について差益還元をしなきゃならぬというそういう段階にはないのではないか、このように考えております。
#179
○村沢牧君 労働大臣へ企業が景気が悪化する中で、その影響は雇用調整に、しかもその手法も工場閉鎖だとか人員削減、配置転換、退職勧告など合理化が厳しさを加えておるのですよ。企業はそれなりの事情があるでありましょうが、社会的責任を自覚しなければならないと思います。
 最近の雇用情勢と労働省の対応について伺いたいと思います。
#180
○国務大臣(村上正邦君) 失業者数も増加いたしておりまして、雇用情勢は厳しい状況が続いておりますことは、もう毎日、新聞を見て私どもも心を痛めております。
 そうした中で、このような状況を一日も早く脱却しなきゃならないと、こう思っておりますのできる限り失業者を出さないようにすることが何よりも大事なことでございまして、そのための対策といたしまして、予算の措置といたしましては雇用を守る事業主を援助するための雇用調整助成金制度がございます。これについて、平成五年度は五百九億円という大幅な予算額を計上いたしました。こうした制度を広く知っていただき利用してもらうために、政府広報の活用はもちろんのこと、各新聞等にも広告を出すことを決めた次第であります。そして、手続も簡素化をさらに進め効果が出るようにしていきたいと考えます。
 このように、事業主に対して安易な解雇を避け最大限雇用を維持するよう要請するとともに、新卒者の採用内定取り消しにいたしましても、これを行わないよう最善の努力をいたしておるところであります。
 雇用は景気の動向と密接に絡んでおり、政府全体の課題として取り組んでいく必要があります。このため、経済対策閣僚会議などで雇用対策の観点から、関係各省庁が協力して対策を打つよう提起してまいりたいと考えております。
 また、各地方自治体に対しましても、雇用についての積極的な取り組みに努力していただくよう各都道府県の知事にお願いしたいと考えてもおります。
 最大限の努力を雇用を守るために労働省としてはやりたい、このように考えております。
#181
○村沢牧君 今、大臣の答弁のあった就職内定取り消し、衆議院でも論議になりましたが、これは私非常に大きな問題だと思うんですね。やっぱり企業の社会的な責任からも、法律の面でも、安易な対応は許されておらないと思う。大臣も積極的な発言をされておりますが、その後労働省が導入しようとする事前通告制度はやっぱり実効あるものにしなければならないと思うんです。どういうふうにしてこうした内定取り消しをやめさせるのか、あるいはまた取り消した者に対してはどういう罰則というか、違反者に対しては措置をするのか、重ねて伺いたい。
#182
○国務大臣(村上正邦君) 内定取り消しは、もう申し上げるまでもなく、重大な問題だと思って取り組んでおります。
 やむを得ず採用内定を取り消された方々については、新たな就職先を確保するため最大限の努力を行っております。その結果、安定所の指導によって、例えば和歌山県においては十七名全員の、また石川県においては四人全員の内定取り消しが撤回された例も報告されておりまして、その他岐阜県、岩手県でも撤回された例が報告されておりますが、いずれにいたしましても、この内定取り消しということについてこれ以上波及しないために、この二月の九日に経済団体に対しましても採用内定取り消しは行わないよう傘下の企業に徹底するよう要請をいたしたところであります。また、今回労働省といたしましても、非常に取り組みが早く、機動的かつ間髪を入れずにその対策を講じてまいりまして、その効果、実効があらわれております。
 今後の対策につきましては、先般も社会党の影の労働大臣でいらっしゃいます浜本万三先生初め社会党の皆さんがお見えいただきまして申し入れを受けたところでございまして、例えば、求人票に内定取り消しの事実のあったことを明記するとか、そしてまたそういう内定取り消しした企業、こういった企業に対して公表するとか、あくまでもやっぱり企業は社会的存在である、それだけ責任が重いんだという前提に立ってそういう方法を講じてまいりたい、こう思っております。
#183
○村沢牧君 今、大臣から答弁ありました社会党のシャドーキャビネットの労働大臣から申し入れたこと、このことは誠意を持って労働省としても対応していく、そういうふうに受けとめていいですか。
#184
○国務大臣(村上正邦君) 一、二点問題のあるところもあろうかと思いますが、誠意を持ってできることはやってまいりたい。例えば罰則規定等々についても、私もこれは何とか法的措置を講じていかにゃいかぬなと、こう思いましたが、やっぱりこれはなじまないこともこれありまして、やれることとやれないことがございますが、私の性格でございますのでやれることはぴちっとやってまいりたい、こう思っております。
#185
○村沢牧君 この内定の取り消しは文部省にもいろいろ影響もあるというふうに思いますが、影響というかお考えがあると思いますが、文部大臣いかがですか。
#186
○国務大臣(森山眞弓君) 卒業を目前にいたしまして内定を取り消されるという学生や生徒の立場を考えますと、これは大変重大なことだというふうに思います。
 文部省といたしましては、就職協定遵守懇談会あるいは就職協定協議会特別委員会などにおきまして採用内定取り消しが行われないように要請を
行ってきたところでございます。また、できるだけ早い時期に大学等の関係団体から成ります就職問題懇談会を開催いたしまして、情報交換や今後の対応について協議することにしたいと考えております。
 労働大臣が大変積極的な手を次々と打っていただきまして効果があらわれつつあるのはまことにうれしいことでございますが、今後とも労働省や関係団体と緊密に連絡をとりまして、事態の善処に努めてまいりたいと考えております。
#187
○村沢牧君 ぜひしっかりやってください。
 そこで、総理からもさっき発言がありましたが、総合経済対策に対する公共事業の施行状況について伺いたい。
#188
○政府委員(長瀬要石君) お答えいたします。
 総合経済対策の公共事業でございますけれども、所要の追加措置がなされまして、実施に係ります許認可審査等の事務の迅速化、簡素化が進められておりまして、円滑な施行が図られていると考えております。
 補正予算が成立いたしまして、三週間後の十二月末の時点におきます国の公共事業等の契約率でございますが、これは補正予算にかかわりますもので約二八%ということでございまして、当初予算も含めました合計では八一・一%、地方公共団体の契約率は八二・一%という円滑な施行状況になっている、このように理解をいたしております。
#189
○村沢牧君 その二八%の施行というのは、いつの時点のことを言うんですか。
#190
○政府委員(長瀬要石君) 補正予算にかかわります昨年十二月末時点のものでございます。
#191
○村沢牧君 今、現在は。
#192
○政府委員(長瀬要石君) 現時点の数字は、手元にまだ集計なされておりませんけれども、公共事業の請負金額の状況で申しますと、前年比で一月は二五%、二月は三八・三%の伸びでございますし、また、建設工事の官公庁受注分につきましては、一月は六〇・〇%という高い前年比になっております。
#193
○村沢牧君 総理、公共事業、地方はよく頑張っていただいて、施行もいいんですよ。国の関係の発注なり施行が非常に遅い。ですから、せっかく総合経済対策をつくっても、この対策を平成五年に持ち起さなきゃならぬ、対策をですね。これではいけないと思うんですよ。
 今答弁あったけれども、国は大変におくれておると思う。もっと促進をしなければならないと思うが、総理、どうですか、もっと指導してくださいよ。
#194
○国務大臣(林義郎君) 御指摘のような御懸念もあるかと思いますので、私も事務当局に言ってどうなっているんだという話を聞きました。
 現時点の数字は、後で事務当局にわかるところの話は申し上げさせたいと思いますが、一生懸命やるように督励をしているところでございます。
#195
○政府委員(斎藤次郎君) お答えいたします。
 補正で追加したもののうち、一般会計、特別会計、公団及び事業団と比べますと、これは毎年のことでございますけれども、公団及び事業団の契約率あるいは施行率が低いということは毎年の事実としてございます。
 これについては、事業のロットが大きいとかいろいろな原因が考えられるわけでございますけれども、私どもとしては、御指摘のようにこれから一生懸命施行促進に努めてまいりたいと考えております。
#196
○村沢牧君 大臣は、現時点における状況については事務当局から説明させると。大臣と同じような答弁をしておったってだめだよ、あなた。何言ってるんだ。
#197
○政府委員(斎藤次郎君) 大変失礼いたしました。
 数字を申し上げますと、補正後の予算で全体として二八・一%ぐらいの契約率になっておりますけれども、一般会計は三三・四%でございますが、公団及び事業団につきましては二〇・四%という率になっております。
#198
○村沢牧君 総理、お聞きのとおり三〇%まで行ってないんですよ、公共事業をやるやるといったって。これではだめじゃないですか、どうですか。
#199
○国務大臣(林義郎君) お答え申し上げますけれども、今事務当局からお話ししましたような数字は古い数字、十二月宋の数字等でございます。その後につきましては、私は相当に進んできているものだと思っておりますが、まだ全体の数字を把握していないのであろうと思います。いずれ数字等が出ましたなら、私も早くやらなければならないということは事実であろう、こう思っています。
 ただ、契約でございますから、きょう言ってあしたやれというわけになかなかいかないことも事実でございますから、順を追ってやっていくということになっているんだろうと思っています。
#200
○村沢牧君 総理、経済は生き物でありますから機動的に対応しなきゃいけない。今まで進めてきた公共事業中心の対策では、私は全面的な景気を盛り上げてくる力にはならないと思う。
 そこで、この予算が成立したら、政府も緊急対策というか、立てるようでありますが、機動的に対応していくと。どういうふうに今度は対策を立てていくか、そのお考えをお聞きしたいんです。
#201
○国務大臣(宮澤喜一君) 実は私も昨年の十一月、十二月当たりの公共事業が思うように伸びていないということを知りまして、二度とそういうことがあってはなりませんので、まあ補正予算の成立がおくれたということはありますけれども、しかし、そういうことが行政の事情で起こってはいけないということで、十分注意をしなければならないと思っております。
 公共事業は補正以来、この平成五年度でも相当高い水準になります用地方単独でもそうでございますから、これはこれとしてそれなりの効果を上げると思いますけれども、冒頭に申しましたような複雑な景気の状況でございますから、それだけで済むというわけにもいかない。やはりもう少し広い意味での需要をつくっていくといったようなことも考えてみる必要があるだろうということでいろいろに検討いたしております。
 また、衆議院でもただいま御指摘のような御議論がございまして、この不況の問題について各党で協議をしていこうというような合意も各党間でせんだってお話がございましたので、それも私ども拝見しながら政府としてもいろいろ考えてまいりたいと思っています。
#202
○村沢牧君 各党間で協議をすることはいいこととしても、財政、経済に責任を持つ政府が景気対策は今まで対策もやったけれども、これではまだまだだ。したがって、四月段階あるいは五月段階に新しい対策を立てなければならない、そういう時期に来ていると思いますが、どうなんですか。
#203
○国務大臣(林義郎君) きょうから始まりました参議院の予算委員会で平成五年度の予算の御審議をお願いしているところでございます。お願いしておりますのは、我々といたしましては基本的には現在の予算でもって平成五年度の経済運営を、財政面からすれば景気に配慮した予算案、こういうことでやっているということで考えていることをまず申し上げておきたいと思います。
 与野党の合意がございますけれども、私どもの基本的な考え方としては今申し上げましたような考え方でやっているところでございまして、いろいろな御協議が与野党間で行われる、これの中におきまして実行可能な方途を考えていく、こういうことでございますが、基本的には先ほど申し上げたような考え方でやっていくということを御理解賜りたいと思います。
#204
○村沢牧君 先ほど来、総理も大蔵大臣も与野党の合意と言っています。これは所得税の減税の合意のことを言っているんですか。そうですね。ですから、所得税減税の必要性については昨年来私どもも論議した。だから私は時間の関係上ここで繰り返すことはしないし、また後ほど山本理事から質問もいたしますが、ぜひ私は必要だと思う。
 そこで、自民党幹事長の前向きに検討するとい
う回答によって予算は衆議院を通過した。総理は所得税減税は必要だとお認めになるんですか。
#205
○国務大臣(林義郎君) 総理からのお答えの前に私から申し上げておきますけれども、私の立場といたしましては、基本的には所得税減税、いわゆる言われているところの問題についてはいろいろな問題があるということをたびたび申し上げているところでございます。
 与野党間で協議をされまして、所得税減税については前向きに検討するというお話がございました。私どもは、与野党間で協議機関をつくってそれを検討する、こういうふうなお話でございますから、その事態の推移を見守ってやっていきたい、こういうふうに思っていることでございます。
#206
○村沢牧君 それは財政を預かる大蔵大臣としての答弁。
 総理は、所得税減税は必要である、それをお認めになりますか。
#207
○国務大臣(宮澤喜一君) 本来論から申せば、税というのはなるべく政治の目的としては重くない方がいい、これはもう申すまでもないことだと私は思っていますし、殊に昭和六十二、三年ごろにお願いをいたしました税制の抜本改革の際に、所得税の累進構造の刻みをもう少し緩くしたかった、刻みの段階を少なくしたかった。五つにまではいたしましたけれども、まだまだ実は途中にやや重税感が残るような姿になっておりますから、いずれの日にかはそれはもう少し簡素なものにすべきだということを私は常に思ってはおります。
 そういうことが私の基本の気持ちにはございますが、さて、当面の問題として申しますと、所得減税をするしないということは、例えば、景気に対する効果の問題、あるいはただいま申しました抜本改正との関連における所得税のあり方の問題、それから財源の問題等々がございますものですから、この御審議中の平成五年度予算においてはそういう選択をいたさなかったわけでございます。
 他方で、先ほど来お話がございます協議機関の問題もございますから、その推移を見守ってまいりたいと思っておりますけれども、ただいま御審議をいただいております平成五年度の予算編成に至りますまでの段階では、ただいま申しましたようなことでやっていこうと考えておったわけでございます。
#208
○村沢牧君 大蔵大臣、昨年の臨時国会の最終日ですね、十二月十日、補正予算を締めくくるに当たって、本院遠藤予算委員長の所得税減税の実施についての報告が予算委員会で、そして本会議で承認をされた。御存じですか。もっとも、大臣になってなかったからわからないかもしれないが。
#209
○国務大臣(林義郎君) お答えいたしますが、私の前の大臣のときでございますが、お話は聞いております。
#210
○村沢牧君 主計局長は知っていますか。
#211
○政府委員(斎藤次郎君) 存じております。
#212
○村沢牧君 知っていますね。どういう委員長の報告の趣旨であったか述べてください、知っているならば、思い出して。
#213
○政府委員(濱本英輔君) 御報告の詳細なるもの、今ちょっと手元にございませんので、お許しをいただきたいと存じます。
#214
○村沢牧君 総理はそこに座っておったし、本会議に座っておって知っておるというふうに思いますが、これは大変重みのある報告なんですよ。
 昨年の臨時国会最終日の十二月十日、この決議案の処理をめぐってあと一時間紛糾していれば補正予算も吹っ飛んでしまう。その中で与野党が協議をしてまとめたのは、野党が共同提案として出した所得税減税に対して、委員長の報告は、「参議院においては野党が多数を占めている現状から、重い意味を持っておりことなっています。というのは、野党共同提案ですから、採決すればこれは成立するんですよ。そうなれば一院の決議は重い。それですから、委員長報告としてまとめたんだ。
 この重大なものを、大蔵大臣はかわったとしても、大蔵省の諸君も軽く見ておっちゃいかぬですよ、どうですか、全然気にもとめていなかったか。
#215
○政府委員(濱本英輔君) 委員会の御報告をなおざりにしているという気持ちは毛頭ございませんけれども、今ちょっと手元にございませんで、申しわけございません。
#216
○村沢牧君 手元になければ見せてもやるけれども、そんなことではなくて、委員長報告は最後に「政府はその趣旨を体すべきである。」と結んでおるんですよ。採決して決めれば、この参議院の決議は成立したんですよ。
 ですから、委員長報告を予算委員会、本会議でやる、この種の報告をやるのは珍しいことですよ、異例のことですよ。全然この意思を体していないじゃないですか。どういうふうに外したんですか。
#217
○委員長(遠藤要君) ちょっと今、遠藤委員長の発言の問題で、大蔵省等も人もかわっておるので改めてこの席から委員長として申し上げたいのですが、あの委員長報告は、とにかく最終の日の夕方突然出てきた。減税問題で決議案をこの予算委員会に提出されました。
 しかし、最終日の夕方に当予算委員会だけで減税問題の決議を取り扱うということが委員長自身としては問題がある、それにまた財源の問題についてもまだ全然、そういうのは突然出てくるというので我々は何らそれに対する準備もなかった、そういうふうな点もございますので、野党もその点は御理解願ったと私は承知をいたしております。
 そういうふうな点で、その決議案は採択とか不採択でなく、こういうふうなのが共同提案で出たと、しかしやれば採択されるだろうということで、政府もその点を十分頭に入れてほしいという委員長の報告であったということを委員長から申し上げておきたいと思います。
#218
○国務大臣(宮澤喜一君) そのような経緯は私よく記憶をいたしております。決してそのような御意思を政府として軽視をしたつもりはございません。この平成五年度の予算編成前後の経済の運営につきましても、そのような院の御意向のあること、委員会の御意向のあることを存じながら考えてまいったつもりでございます。
 ただ、今、委員長もお話がございましたが、このような歳入状況でございますために、その財源をどういうふうにすべきかというような問題もございまして、とりあえず平成五年度には、やはり経済効果その他を考えまして、公共投資の方が不況脱出の効果が大きいだろうという判断をいたしたわけでございます。その点は、そのような経緯をよく存じておりますので、決して院あるいはこの委員会の御意向を軽々しく考えたつもりはございませんので、御理解をお願いいたしたいと思います。
#219
○村沢牧君 我々は、政府が前向きに提案しなければこの国会で決議案も出してもいける。予算の組み替えもできます。ですから、重く受けとめてもらいたい。
 だから、所得税減税については、総理、与野党協議を見守りつつなんとかいうことじゃなくて、所得税減税については政府としても前向きに取り組んでいく、前向きに検討する、そのくらいのことが参議院のこの決議の、委員長報告のある参議院に対して、我々の決議の前に対して言わなきゃ私たちも重大決意をしなきゃならぬ。どうですか。
#220
○国務大臣(宮澤喜一君) それは、先ほども申し上げたことでございますけれども、現在の経済情勢において減税がいいのかあるいは公共投資がいいのかというような波及効果の問題、あるいは先ほど申しましたようないずれは考えなければならないであろう所得税の体系の抜本的な改正の問題、それから財源の問題等々幾つか関連事項がございますので、そういうことを私どもとしても考えてまいらなければなりませんし、恐らくは各党の御協議においてもそういうことの御議論もあるのであろう、あるいはこの委員会におきましても
これからまたそういう御議論もおありになるであろうと考えます。それらを総合的に判断をさせていただきたいと思っております。
#221
○村沢牧君 私どもは、私どもの与野党逆転の参議院の決議も申し上げて、政府が前向きに取り組むことをこの国会の審議を通じてさらに同僚議員から要請してまいります。
 そして、あとは山本議員に関連して質問してもらいますけれども、いろいろな施策を講じて、一体今の景気はいつごろになったら前向きになっていくのか、いつごろになったらよくなってくるのか、政府の統一見解をひとつここで示してください。
#222
○国務大臣(船田元君) 村沢委員にお答えをいたします。
 この背景といたしましては、やはり昨年八月の総合経済対策、これが主に補正予算ということの成立を見て実行に移され始めたということで、今それを必死になって実行しつつある状況でございます。
 それから、平成五年度の予算におきましても、現在審議をしていただいておりますけれども、全体の予算の伸びがほとんどない、〇・二%程度という中にもかかわらず公共事業につきましては五%近い増加ということを見ておりまして、その点景気に十分配慮した予算である、このように考えておりますが、これも一日も早く成立させていただきたい。そういうことを通じまして切れ目なく公共投資が執行されまして、政府の投資額も平成五年度においては四年度の補正後の実績見込み額に対しても九・五%増、こういう相当の伸びが見込まれております。
 こういうことによりまして、五年度前半にかけては公共投資や既に回復の動きが見られている住宅投資、これがほかを引っ張るような形で成長が見込まれ、個人消費や設備投資についても徐々に回復をしていく。そして五年度後半においては、これは民間の個人消費、設備投資が非常に堅調になってくることが予想されておりまして、五年度後半にはインフレなき持続可能な成長経路に円滑に移行するものと、このように私どもは観測をいたしております。
#223
○村沢牧君 五年度の後半には景気が回復する、前向きにする、そういうことで受けとめていいですね。
#224
○国務大臣(船田元君) お答えいたします。
 今申し上げたような状況、これはもちろん政策努力ということを必死に現在やっているわけでありますけれども、そういう政策努力の結果として五年度後半に回復に向かっていくであろう、こういう予測は私は十分に立つのではないか、このように理解をしております。
#225
○村沢牧君 だろうではなくて、精いっぱいやってくださいよ、政府は。
 以上申し上げて、私、以下は山本議員の関連質問にさせてもらいたいと思います。
#226
○委員長(遠藤要君) 関連質疑を許します。山本正和君。
#227
○山本正和君 経済問題を主として質問したいと思っておるわけでありますが、その前に、午前中からいろいろと論議が交わされました問題について、ちょっと二つ三つ触れておきたいと思うわけであります。
 一つは、今、国民が国会に対して、また政府に対して、場合によっては司法に対してこよなき不信の中にある、こういうことを私はもう本当にこの質疑を通じていながらも大変残念に思う気持ちでいっぱいであります。今のこういう国民の不信に対して私どもがどうこたえなきゃいけないか、この問題も今国会で論議されるべき重要な問題だろうというふうに私は思うわけであります。
 まずちょっとこう申し上げておきたいのは、ほっとした気持ちも少しはある。それは、去年の臨時国会までは検察に対する不信が渦巻いておった、しかしどうやらやる気があるんじゃないかというような気持ちを国民が持ってき始めておる。その期待をひとつ決して検察は裏切らないでいただきたい、このことをまず冒頭に申し上げておきます。
 それから、二つ目の問題は、実は国会というところは強制的に主権者たる国民から税を徴収する法律を決める場なんです。その国会議員が政治活動に名を寄せて金を集めたもので私腹を肥やしたとなったら、国民は一体何を信頼していいかという問題があるわけです。
 ですから、私は一番ここでまず申し上げたいのは、私自身も国会議員の一人でありますから国民の皆様に対して大変申しわけがない気持ちでいっぱいであります。しかし、行政府の長たる総理もこの事態に対してどうお考えか、また政権党たる自民党の総裁としてどうお考えか、そのことをまず率直にお伺いしておきたいと思います。
#228
○国務大臣(宮澤喜一君) 昨年来の一連のことにつきましては大変遺憾に存じておりまして、もちろん政府といたしましてそういう事件に対して司直が厳正な態度をもって今日まで臨んでおりますし、また私どもの党内では党内としてのそれに対応する真相の究明もいたしてまいりました。また、国会におかれまして終始真相究明の努力を続けておられますことは、これは申し上げるまでもないことでございます。
 その中から今国民が感じておりますことは、やはり全体についてのはっきりした事実関係の解明ということと、それから事ここに至りました政治の問題、それは個人の政治倫理の問題から始まりまして、こういう事態を招くに至った資金の制度であるとか選挙制度であるとかいわゆる政治改革を焦眉の魚としておるような諸事情、それについての対応のおくれ、それらが国民の批判になっておるというふうに考えております。
 したがいまして、ただいま急がれる問題は、殊にこの昨今の問題につきましては事態に対して厳正な捜査、解明を行うことと同時に、かねて急がれております政治改革の抜本的な部分をこの国会でひとつぜひ成立をさせていただきたいということで、各党ともそのための準備をしていただいておりますので、それを十分に御議論の上、国会としての政治改革の成案をどうぞこの会期で成立をさせていただきたい。私どももそのために最善の努力をいたす覚悟でございます。
#229
○山本正和君 総理、実は私は三重県松阪なものですから前の衆議院議長の田村さんとも時々話をいたします。田村さんという人は被爆者なんです。そして時々、今でもレントゲンにかかるときに、ひょっとしたらというふうな気持ちでおびえが起こると、こうおっしゃる。ですから被爆者の人たちがどんなつらい思いにあるか、これは被爆者でなければわからないという部分がある。総理も広島の御出身ですからそのことは御承知だと思うんです。
 しかし、実は私が今ここで申し上げたいのは、被爆者の皆さんが抱える痛みというものと、もっと今痛い思いになっているのは国民だと思うんです。死ぬ思いで税金を納める人もおるわけです。税金を納められなくて夫婦で自殺した記事がこの前載っているんですね。税金というものの重み、税金がなかったら日本の国は成り立たない。その日本の国の法律をつくる立法府の議員がこういうことをしたということに対して一体どうなのか。これはまず何をおいても私は国民の皆様におわびしなければいけない問題だと思うんです。
 総理のお言葉を今聞いておりまして、そういう税金の痛み、それでも日本の国をみんなでつくっているんだからお互いに頑張ろうと苦しんでいる国民の皆さんの気持ちに対して、総理のお言葉はどうも今のままでは私は国民の皆様は満足しないと思うんです。ひとつ総理の立場で、率直にこの場で政治家宮澤喜一としての御意見、御見解を承りたい、こう思うんです。
#230
○国務大臣(宮澤喜一君) 先ほども申し上げかけたことでございましたが、政治というのは本来税金そのものであるとも申すことができるぐらい税金というものはなるべく軽くしなければならない。どうしてもちょうだいしたものは、これは本当に国民の利益のためにのみ用いられるということでなければなりません。
 そういう状況の中で、そういう務めを負っております議員の立場で間違いを起こすということは、何とも国民に対して申しわけないことであって、国会議員の一人として私は山本委員の今仰せられますことは身にしみて同感でございます。
#231
○山本正和君 本当にお互い自戒しながらこの問題に対応していきたいと思いますし、また事態の真相の解明等も今後やっていきたいと思いますが、私はきょうはその問題が主ではございません。
 ただ、もう一つ申し上げておきたいのは、後藤田法務大臣になられましてから大分いろいろ空気も変わってまいっております。私がここでちょっと申し上げておきたいのは、前臨時国会で検察当局に対してかなり私はきつい言い方をいたしました。法務大臣に対しても、法務大臣が声明を発すべき事柄じゃないかとかいろいろ申し上げた。それぐらい検察不信がみなぎっておったわけであります。しかし、今それが変わりつつある。このことに対して、これは法務大臣、検察はその本来の任務に従ってきちっとやっていくんだから国民の皆さん御安心くださいということをひとつ法務大臣から一言おっしゃってください。
#232
○国務大臣(後藤田正晴君) 昨年来、検察に対する厳しい国民の批判があることは十分承知をいたしております。ただ、検察といたしましては、こういう批判は批判なりに厳しく受けとめるべきであることは言うまでもありませんけれども、さらに言いますと、批判があろうとなかろうと、やはり法を乱すという者に対してはあくまでも厳正な立場できちんとした私は処理をすべきものと。
 そして同時にまた、私は今法務大臣として、検察の諸君がそれじゃ今までどうだったんだといいますと、国民の厳しい批判はありましたけれども、しかしながら検察官は今日まで職務に一生懸命になって努力をしておるのだということについては、私はいささかの疑念も持っておりません。そしてまた、今日こういう状況になりまして、やはり検察というものは国民の期待が非常に高いんだということを自覚してより一層の職務に対する精励を望みたい、かように考えておるわけでございます。
#233
○山本正和君 あわせて、これは大蔵大臣からか国税庁長官からでも結構ですけれども、マル査の皆さんが、「マルサの女」という映画がありましたけれども、国民の中にやっぱり徴税に対する信頼感がなければ困る。しかし、今度の問題を通じて、改めて国民が徴税のために苦労をしておられる皆さんに対してのいろんな思いがあろうかと思うわけです。そういう意味で、国税庁長官または、大蔵大臣でもどちらでも結構でございます、大蔵大臣、ひとつ御決意のほどを承りたい。
#234
○国務大臣(林義郎君) 先ほど総理からもお話がありました。税というのは国政のすべてであるとまで言っていいぐらいの問題だろうというお話がありました。税というのは国民から強制的に取り上げるものでございますから、先ほど委員から御指摘のありましたように、いろんな点で図られる方がたくさんある、その中での気持ちでありますからその気持ちを体してやらなければならない、私もそう思っています。
 そうした意味におきまして、また徴税は公平厳正でなければならない、こういうふうな気持ちで私どもはやっていかなければならないし、国税庁の職員がそういった私の今申し上げました気持ちと一体になって私はやっているものと確信をしているところであります。今後ともさらに一層お言葉を外しまして頑張らせていただきたい、こう思っております。
#235
○山本正和君 それから、経済問題に入る前にもう一点だけこれも申し上げておきたいのでありますが、新聞、テレビ等で国会は何しておるという形で随分批判を受けております、衆議院も参議院も。衆議院も参議院も与野党ともにそれぞれいろんな苦労があるわけでありますが、私ここで申し上げておきたいのは、国会というのは国権の最高機関である、そこのところは明確の中で、国会が国権の最高機関ということでさまざまな活動をすることを行政府が最大限これを保障する。これがなければ国会はなかなか国会独自に捜査能力もないわけですからできません。要するに、国民が知ろうとすることを行政がきちっと国会に報告をしてもらう、そのことによって国会で国政のあるべき姿が議論されるのが当然だろうと思うんです。ところが、公務員法の秘密護持の問題だとか刑訴法の問題だとか、いろんな法律間にさまざまな問題があります。
 私がここで申し上げたいのは、国権の最高機関たる国会ということの意味をこれは行政府としてどういうふうにお考えになっているのか。この前の臨時国会でも総理に対して私はお尋ねをいたしました。かつての国会の論議をずっと見てまいりましたら、中曽根総理が国権の最高機関たる国会ということについての論議をされていることがありました。読んでみました。若干宮澤総理とは違うような感じもするんです。歴代の総理によってさまざまなやっぱり国権の最高機関ということの解釈があろうかと思うんです。
 総理は今、国権の最高機関たる国会、この役割をどういうふうにお考えになっているのか。三権あります。確かに立法、行政、司法とある。しかしながら、国会の機能というものは一体どうなのか、その中で。その辺についての総理のお考えを承りたいと思います。
#236
○国務大臣(宮澤喜一君) この問題につきましては前国会で山本委員からお話がございまして、行政府として国会の国政調査には最大限に協力をしなければならないというお答えを申し上げました際に、行政、司法をあわせて国会が最高機関であるということの意義について見解をお求めになりまして、政府の統一見解をまとめまして申し上げますということをお約束申し上げました。
 それで、委員長のお許しを得まして、法制局長官からまずそれを御報告させていただきます。
#237
○政府委員(大出峻郎君) お答えを申し上げます。
 憲法第四十一条の「国会は、国権の最高機関」、こういうことについての意義を御説明申し上げたいと思います。
 憲法第四十一条における国会は国権の最高機関である旨の規定は、国会が主権者たる国民によって直接選挙された議員から成る国民の代表機関であるところから、国家機関の中で主権者に最も近く最も高い地位にあると考えるにふさわしいものであるとの趣旨を表明したものと解されるわけであります。他方、憲法は、国家の基本体制といたしましていわゆる三権分立の制度を採用いたしておるわけであります。
 したがいまして、この四十一条の規定は、行政権及び司法権との関係において国会の意思が常に他に優越するというそういう法的な意味を持つものではないと解されるわけであります。例えば国会の一院である衆議院が内閣の助言と承認による天皇の国事行為として解散されるということが制度的にあり得るわけであります。また、国会の制定した法律が最高裁判所による違憲審査の対象となるということがこれもまた憲法上明文で規定されているところでございます。
 なお、国政調査権との関連についての原則的な考え方を申し上げますれば、憲法及び国会法の規定に基づいて認められたものでありますから、内閣といたしましても法令の範囲内で可能な限りこれにこたえるべきものであるというふうに考えておるわけであります。
 以上でございます。
#238
○国務大臣(宮澤喜一君) 昨年の十二月に山本委員からお話のございましたことにつきまして、ただいま政府の統一見解を申し上げたところでございます。
 具体的な問題といたしまして、国政調査権というものが憲法及び国会法の規定に基づいて認められておるのでありますから、内閣としても法令の範囲内で可能な限り最高機関である国政の調査権に協力をするというのはこれは当然のことである。
 そこで、法令の範囲内ということは、具体的に
は従いましてそこから来る法益、どのような法益がそれによって守られるか、どのような法益がそれによって害されるかということの比較において考えるべきであろう。基本的には、国政調査権には協力をするという基本のもとに、そういう判断に従って協力の範囲、方法を行政府として決定していくべきものである、そう考えるわけでございます。
#239
○山本正和君 この問題はまだいろいろ議論しなきゃいけない問題がございますから、また一般質問あるいは締めくくり総括等の場で私なりの見解を申し上げて、政府側のお気持ちも聞いていきたいと思います。
 ただ、率直に申し上げておきますけれども、内閣法制局長官というのは内閣の法制局長官ですね、名前が。ところが参議院の法制局はこの法制局長官という名前は使わない。法制局長とこう言う。ところが、憲法上見ると、私はどうも衆議院や参議院の法制局長の方が本来法制局長官よりも憲法の意味づけからいえば高い位置にいなくちゃいけないと思うんですけれども、これは今後の論議だろうと思いますから、これは特に今後法制局の中でも行政府の長官の方もひとつ十分に御議論願いたい。なぜ長官という名前がついているのか。片っ方は局長です。どうも給与体系は一緒らしいんだけれども、そういうところに何かまだ明治以来の官尊民卑の思想がありはせぬかという懸念だけをちょっと申し上げておきます。今後の議論にこれはかえていきたいと思います。
 そこで、経済問題に入りたいわけでありますけれども、私は本年度予算をずっと、大変膨大なものでありますから全部は到底読めません、しかし私なりの目を通していく中で感じたのは、この予算は一体どういう哲学に基づいてつくられているんだろうかということであります。我が国の予算は一体どういう哲学においてつくられているか。
 私はここで総理にお尋ねしたいのでありますけれども、アメリカは大統領がかわりました。大変な激戦の中でクリントンという大統領が生まれた。レーガンさんとは違った形でもって国政についての哲学のもとに今アメリカが変わろうとしていると私は思うんです。
 そのことでこの前ちょっと参事官の人にも言っておったんですけれども、総理は大変な読書家でいらっしゃる。恐らくお読みになっただろうということで、クリントン大統領が立候補する二年前に発行した「ザ・ワーク・オブ・ネーションズ」という本がございます。今、労働長官になっている人です。この人が書いた。その人が、いわゆる新しい国際経済の中でさまざまな問題がこれから起こってくるだろう。アメリカが今なぜこうなっているんだということについでさまざまな提言をしている。アメリカが今までのような日本から来るものをシャットアウトして入れないよとかなんかいうふうな経済じゃなくなりますよということを言っているんです。これをもとに、大統領選挙を彼はこれを一つの自分の支えとして戦ったとこう言われている。
 大変なベストセラーだそうであります。総理も恐らくお読みになったと思うんですけれども、これについて御見解があれば承りたいと思います。
#240
○国務大臣(宮澤喜一君) 今のはライシュの書いた本をおっしゃったと思います。
 それは、確かにクリントンさんは、アメリカのあり方についてアメリカが今日のようになったことをどう考えるかということから、それはつまり保護主義等々によって解決されるべきものではなくて、やはりアメリカにおける基本的な教育であるとかあるいは人間の問題であるとかそういうことからもう一遍考え直して、そしてアメリカとしての卑近な例で言えば競争力でございますけれども、そういったものをつくり上げていくことによって競争にも勝つ、しかしそれはフェアな競争でなければならないわけですが、そういう国づくりをしなければならないというそういう基本哲学について書かれておったと思います。
 そのとおり、まさにクリントン政権は、俗な言葉で言えば教育投資というようなことになりますけれども、そういうことを大切にする、そしてもう一遍アメリカというものを、いわばそれが新しいアメリカと思いますが、つくり直していこうというそういう哲学に基づいて、この間の経済教書といいますか二月十七日の声明もそういう哲学がやはり基本になっておるというふうに私は感じました。
 なお、この間の二月十七日の演説の中では、同時に、そのような形で今世界ただ一つのいわば残された、強国という言葉はよくありませんから大国でございましょうか、のアメリカとして世界に対する責任、それはもはや世界の警察官になることはできないにしても、責任を分からながら世界の平和と繁栄のためにやっていかなければならないという使命をさらにもう一度強調するようなそういう考え方に立っておったものと考えております。
#241
○山本正和君 私は、クリントン大統領が今からアメリカ国民に何を訴え世界に何を訴えていこうかという中での哲学、そういうものがこの本の中にもあるように思いますし、それから、アメリカは大きく変わりつつある。要するに人間と社会資本、この充実なくして二十一世紀はない、こういう立場だろうと私は思うんですね。人間と社会資本の充実というところに基本を置いている。
 しかし、我が国の国家予算編成に当たってそういう一番根っこの部分の基本的な議論というものがあっただろうかということが私は心配で仕方がない。予算の編成というものをするに当たって、内閣はどういう立場でこの予算の編成を、我が国をこれからどうしようとするんだということで編成されたのか、その考え方をまず伺っておきたいと思うんです。
#242
○国務大臣(宮澤喜一君) 施政方針演説でも申し上げたところでございますけれども、やはり基本的に内外ともに新しい既存の体系では考えられない事態になってきたということを思っております。
 それは、対外的には、いわゆる冷戦後の時代の到来ということから平和のチャンスが高まっておりますけれども、同時に、しかし世界各国にいろんな問題があって、我が国として殊に国連を中心に世界平和繁栄の新しい平和秩序のために協力をすべき時代が来たという認識を示しております。
 国内的には、かなり経済水準は高くなりましたけれども、しかし豊かな国とは申せない。貧弱な社会資本しか持っていないということ。と同時にしかし、ある程度生活水準が高くなったとともに、国民はいたずらに能率とか競争とかいうことよりはもう一つ豊かな、文字どおり公正なそういう社会というものを求めつつあるのではないか。これもやはり一つの価値観の変化と思いますが、そういう内外の新しい問題に対処しなければならない時代が来たというのが基本の認識でございますが、たまたまそのときに非常な不況が参っておりますので、この不況に対しても予算としては対処をしなければならないということを考えておるわけでございます。
 もちろん、予算に先立ちまして、国民が深く感じておられます政治不信というものをどのようにして解消しこれにこたえていくかということがそれと同じぐらい大切な課題であるということは申し上げるまでもないことでございますけれども、予算そのものはただいま申し上げましたような課題にこたえたいと考えておるところでございます。
#243
○山本正和君 大蔵省で「平成五年度予算及び財政投融資計画の説明」というこういう冊子を配っていただいております。私もいろいろと、我が国財政をどういう観点で分析していったらいいか、いろんな議論があろうかと思うわけであります。確かに、不況という今の目の前の、それもまさに入り組んだ複雑ないろんな問題をはらんだ不況ですから大変だと。これにどう手を打たなきゃいけないかということは確かにあるわけですね。
 しかし、我が国財政を見てみると、不況を克服するという財政になっているかといったら必ずしもそう見えない。というのは、昨年度の予算と今
年度の予算と対比したら一体どうなるのか。例えば不況克服のために公共投資をするといっても、その絶対額はどうなんだという問題がある。さらには昨年の補正予算を含めて考えた場合で、ことしは一兆何がしという金が減っているんです、予算そのものは。そういうさまざまな、それは今総理がおっしゃったようにいろんな問題を少しずつでもいいから直していかなきゃいけないということでの意味から生まれた政策もあろうかと思います。しかし、本年度予算は国民の皆さんこうですよというはっきりとした明確な説明をしにくい予算のような気がして私はならないんです。それはこれから細かい一般質問等でまた議論がされますから申し上げませんが、きょうは総括ですから冒頭にそういうことだけ申し上げておきたいと思います。
 そこで、例えば内需喚起ということを言います。内需喚起といえばいろんな手段があろうかと思うんです。しかし、実はこれはちょっと私の方で調べてみたんですけれども、国立大学等で研究に従事している研究者の数が約五万人おる。その五万人の研究者に調査した結果が出ておりますけれども、そのうちの三万人の研究者が何と自分たちが大学で使うパソコンがない、計測機械がない。どこの国へ行っても、大学へ行ったら少なくともガスクロマトグラフィーやエックス線解析に使えるんです。パソコンで打つと使える、つながっている。ほとんどないんですよ、大学に。
 そこで、大学の予算を検討してみたら、たしか昭和五十五年には千五百億あったのが、いつの間にやら何と六百億とか七百億までどんと落ちてしまっている、大学の設備予算が。今やっとことしの予算ですか、千百億ぐらいになってきた。それでもこんなに落ちているわけですよ、ちょっと上がっただけ。一体日本の国はこういう高等教育ということに対してどう考えているかということが一つありますけれども、それよりも大学が仮に新しい機器を入れた場合、その及ぼす経済効果というのは大変なものです。三千億のお金をほうり込めば恐らく三倍になるだろうと言われている、波及効果で。
 もっと言えば、今中学校でコンピューター教育というのをやっている。コンピューター教育、大体どうやら中学校は八割ぐらいまで来ました。あと少ししなきゃいけない。一教室に三千万円の金がかかると言われている。これ実は小学校も全部コンピューター教育が必要なんです。二万五千ある小学校でコンピューターに子供たちがいつも触れて遊んでいる、それをきちっと保障してやったら一体どれだけの内需効果があるか、そういうことを計算されただろうか。
 要するに、私が冒頭に申し上げたのは、人と社会資本なんだ、アメリカが今やろうとしているのは。しかし、日本の国が今日まで栄えてきたのは人間なんですよ、明治以来の。みんなその当時の村長さんが必死の思いで、住民が必死の思いで学校をつくった。そろばん一つないところに全部そろばんを配ったんですよ。そろばんが全部日本人は使えるようになった。そのために大変な力がついている。あの明治時代に、金のない政府でも一生懸命教育に投資したんです。
 私は、ここでひとつ総理にぜひそういう意味で、公共事業というのは何だと。あの財政法四条というのは一体これ、ひとつ財政法四条の意味、ちょっと大臣おっしゃってください。財政法というのは大変これ難しくて、財政法四条の中に公共事業についての指摘がありますが、どういう意味ですか、あれは。
#244
○国務大臣(林義郎君) 今お話を聞いておりまして、財政法というのは歳入をもって歳出を賄うというのが基本でございます。そのほかに、いわゆる建設国債という格好でただし書きで規定をしておるというのが今の財政法四条だと、こういうことになっております。そういった形でこれから借り入れをし、また出資をいたしまして国の発展に努めていく、それが財政の基本であろうか、こういうふうに私は理解をしておるところでございます。
#245
○山本正和君 いや、私が申し上げたいのは、お金がないお金がないと言うんだけれども、公共事業には建設公債を発行してどんどん出しますよね、毎年かなりの額で。学校はどうかといったら、予算がない予算がないと、いつも大蔵省で歴代文部大臣が頭下げて頭下げて必死になってやっともうぎりぎりのもの。ところが、実際ほとんど人件費ですから、文部省の予算といったら知れているんですよね。なぜ文部省の、極端に言ったら大学の設備投資、これは後世代に残すもんですよ、これ。橋や道路と同等です。あるいは学校の設備、全部そうです。もっと言えば、義務教育に対して国庫補助するという発想も後世代への発想なんですよ。
 ところが、財政法四条で言うのは、公共事業はどこで決めるかといったら国会で決めると書いてある。国会でそういう提案をしていただいたら、それは恐らく衆参両院とも与野党含めてそれいけということになると思うんですよ。
 正直言いますけれども、先ほど言ったような、全部の今の小学校、中学校、高等学校あるいは大学に対する、二十一世紀を控えた今の私たちの大人の責任でそういう条件をよくしてやることに総力を使った場合には内需振興いくんですよ。千三百億という大変な黒字、そんなものが盛んに攻撃を受けている。何ですか日本はと言われている、内需振興していないからと、こう言う。内需振興する策たくさんあるんですね。ところが、財政法四条というものの適用に入らないからといって後世代に残すべきところの予算を特別に考えない。その辺に非常に私は問題があるように思うんですけれども、大臣どうですか、その辺のこと。
#246
○国務大臣(林義郎君) 委員の御指摘の問題点がちょっと私もよく把握できないところもございますけれども、御説明申し上げますならば、いわゆる生活関連重点化枠という形でやっておりますものがございます。その中にいわゆる公共投資的な観点で入っているところもありますし、公立学校の施設整備等につきましては従前からもうその中に入ってやっているところでございまして、九十八億円の配分を今年もやっているところでございます。
 文教施設全般につきましてどうかという恐らくお話だろう、こう私は理解いたしますけれども、文教施設全体といたしましては社会資本としての確かに性格は持っているけれども、その受益が特定されていること、また施設の整備は教育や社会保障のためのものであって、予算の分類としては文教及び科学振興費というような格好で分類することが適切であるということから、公共事業関係費として盛ることは今のところは適切でない、こういうふうな形でございます。
 現在、そういうふうな性格でやっておりますし、社会資本としての性格に応じた取り扱いを先ほど申し上げましたようなものについては行っているということで御理解を賜りたい、こういうふうに思っておるところでございます。
#247
○山本正和君 余り細かい話になるとまた総括の部分から外れますから、ちょっとこの問題おきますが、具体的に数字をちょっとこの場で、きょうはテレビですから全国の皆さんが見て知っているんですね、ごらんになっているんですから、文部大臣、学校の施設設備の充実、特に新しい教育の取り組みについて一体文部省はどう考えておられるのか、そしてまた現実に現場ではどういうものの要求がされているのか、この辺ひとつ文部大臣から御説明願いたいと思います。
#248
○国務大臣(森山眞弓君) 先ほど来、文教関係の予算につきまして非常に御同情と激励をいただきましてありがとうございます。
 文教関係の予算というのは先生御指摘のとおりいろいろな問題点がございまして、非常に苦労しているところでございますけれども、最近特に、例えば国立大学の研究設備などについて非常に厳しい状況というのが指摘されまして、この改善が緊急の課題だということになり、多くの方の御協力をいただきまして、平成四年度の当初予算におきましては国立学校特別会計に特別施設整備資金
を設置いたしましたり、いろいろな工夫をさせていただきまして、多少これから努力を続けてまいって改善をすることができるのではないかという明るい希望を持ち始めたところでございます。総理大臣もまた大蔵大臣も、この文教関係の予算の難しさについては御理解をいただきまして、いろいろと知恵をかしていただいておりますので、私どももいろんな工夫をしながら少しでも状況を改善していくように一層努力をしていきたいと考えております。
#249
○山本正和君 総理、大学あるいは研究、技術開発等のそういう問題も含めて、総理はこれからの我が国の予算の中でどういうふうな位置づけをされてお取り組みになろうとしておられるのか、お伺いしておきたいと思います。
#250
○国務大臣(宮澤喜一君) 長いこといわゆるシーリングというもので予算編成をやってまいりました。これによりまして各省庁のいわば予算要求の中で優先度をはっきりさせて不要不急なものは切っていく、新しいものがあればスクラップ・アッド・ビルドをしてもらうというようなことは、大変にこのシーリングは効果を長い年月上げてまいったことは確かでございますけれども、同時に、先ほどからお話のございますように、人件費が圧倒的に多額を占めます文部省、いわゆる学術研究、文化といったようなものの人件費はどうも抑えようがございませんので、どんどんどんどん必要な部分が圧迫をされてきておったのは事実でございます。
 これを長くほっておきますと、まさに山本委員の言われますように、将来日本を担い、世界を担わなければならない人を育てていくということが実は危殆に陥る心配があるということを、やはり一つの制度も長年続けますと、メリットのある反面でそういう問題が出てまいったことは、これは関係者自身が、実は文部省ばかりでなく気づき始めておったところでございましたので、平成四年度の予算編成におきまして国立学校特別会計に特別勘定を設けるとか、あるいは五年度は今度大蔵大臣の言われました新しい生活枠を設けるとか、何とかそのシーリングはシーリングで置きながら、今の問題の対処をしなければ将来に悔いを残すというような状況になってきていると思います。
 それは、教育の現場で苦労をなさいました山本委員のおっしゃるとおりだと思っておりまして、もう幸い問題に気づきましたので、何とかしてこれはおくれを取り返していかなければならないと思っております。
 それから、先ほど、小学校までコンピューターを導入する必要が出てきているというお話がございました。実は、その問題につきましても、ごくごく部内でございますけれども、やっぱり何かそういう問題に対応しなければいけない。これからの仮に景気の動向いかんによりましてと言うのもおかしい言い方ですけれども、従来の伝統的な公共事業はそれとしまして、もう少し広い意味で将来役に立つような施策というものを少し幅広く考えていくべきではないか。その中には、今言われましたような問題も取り上げるべきではないかということを実は関係者が考えつつございますので、大変貴重な示唆をいただいたものと思います。
 いずれにしましても、財政の難しい状況の中で今後とも厳しい財政査定はしなければなりませんが、同時にそれは将来にわたって人というものを大事にしていかなければ、何よりも増してそれが大切なことでございますので、そういうことについての施策はやはりシーリングはシーリングといたしまして大切に考えなければならないと思っております。
#251
○山本正和君 文部省、これだけでやっていきますと時間がかかりますから、与党の理事さんが盛んに時間を気にしておられるので、もう答弁求めずに言いますが、諸外国の小学校、中学校でのコンピューターの設置状況、あるいはこれを学校で導入している率というのは非常に高いんですね。
 私がここで申し上げておきたいのは、通産大臣が時々こういうことでちょっと新聞で談話を発表されたりしておられる。今五万ある全国の小中学校、高等学校にこういうものをずっと設置した場合に、我が国の産業に与える影響は非常に大きいんですよね。電気産業が今弱っておるんです。パートのお母さんたちがどこに就職したかずっと調べてみると、電気産業の下請に働いている人が非常に多いんです。私は、全国の五万の学校に、優秀な我が国の電気設備、電気技術、いろんな持っているものを子供たちの前に見せてやるとこれから日本の国はどのぐらいよくなるかということを思うんですよ。
 これひとつ通産大臣にどのくらいの経済効果があるか、恐らく御承知だと思いますけれども、ちょっと御説明を願いたいと思います。
#252
○国務大臣(森喜朗君) 学校にどの程度設置をしたらいいかとかというのは、これは所管が違いますので私から余計なことを申し上げるといけませんが、通産省といたしましては、先ほどからの村沢先生以来、山本先生、経済、景気の論議からまいりますと、通産省として一番心配しておりますのは在庫調整でございまして、そういう面からいいますと、資本財、生産財、耐久消費財、いずれにいたしましてもやや少し在庫調整の足が遅い、これがやはり景気低迷の最大の問題点だろうと思います。
 そういう意味で、総理からも先ほどお答えございましたけれども、公共事業も大変大事なことで即効性もございますが、公共事業だけではすそ野の広い産業全体への影響がどうも及んでいかないんではないかなというそんな心配も、今回の景気というのは従来の循環型でないだけにそんな点が大変実は心配される面でございます。
 そんなことから、世の中もどんどん変わったわけでございますから、少し社会全体の社会資本のあるべき姿というものは、これはまだ内閣全体でまとまっているわけじゃありません。ただ、通産という立場は絶えず全産業が少しでも活況を呈して活発に動いてくださるということが大事で、そのことがまた国の税収にはね返ってくるわけでございますから、おしかりをいただくかもしれませんが、所得減税よりも私はこのことの方がより効果があるというふうに実は考えておる一人でございまして、これは私の考えでございます。
 そんなことで、いろんな意味で、この新しい社会資本というのを少し考えてみるとするならば、今先生がおっしゃいましたような情報通信基盤を整備する、これはアメリカなんか非常に進んでおりますね。それから教育の情報化、それからこれも所管が違うんですけれども、自治省や総務庁でお考えいただくことでございますが、行政の情報化、こうしたものを少しでも、日本がこれだけコンピューター産業が発達して、これだけ科学技術が進んでおるのに、逆に学校への設置の率からいいますとアメリカやイギリスよりははるかにおくれているんですね。ですから、そういう点を少し新しい社会資本として考えてみたらどうかということで、今事務当局にそういう作業を実はさせてみているんです。
 そういう中で、これはあくまでもそういういろんな仮定の中での数値でございますが、ある産業の生産が増加した場合に、当該産業だけではなくて関連産業の生産も誘発させていって幅広く効果が普及する、これは仮にこの効果をコンピューターだけで計算をしてみますと、コンピューターの生産が一単位増加した場合に産業全体の生産は約二・二単位実は誘発されるということでございます。理由はと聞かれてもちょっとこれは専門外ですからお答えできませんが、そういう数字が出てきております。
 また、各産業に与える効果を見ますと、製造業に約一・七単位、うちこれは機械産業には約一・四単位でございますが、非製造業に約〇・五単位の生産が誘発されるということになりまして、従来型の公共事業よりも、波及効果としては全産業に及ぶという意味では大変効果があるということを私どもは試算をいたしておりまして、これはまだ全体的には、内閣全体で議論をしなきゃならぬ
ことでございますけれども、通産省としては事務的にいろんな角度で今検討作業をしておる、こういうふうに御理解をいただければと思いますし、ぜひまたそういう方向に進みましたら先生にも御支援をいただければありがたい、こう思う次第でございます。
#253
○山本正和君 我が国が、諸外国とのいわゆる貿易戦争といったらおかしいんですけれども、そういうもので余りにも強者であり過ぎる。その一方、それじゃ日本の国内を見たらどうかといえば、子供たちの状況を見ると受験競争というよりも偏差値競争に悩まされて、そして、しかもそれが私学のいい小学校へ行くときちっと情報教育の設備から何から全部あるわけですね。公立はもうないんです。東京都の子供たちは四年生になったらどこの私立の中学校へ行こうかといって頭を悩ます。公立にきちっとした施設をつくってやって、教育のそういう問題も含めてきちんと格差なしに、公立の小学校、公立の中学校へ行くのは国の責任でもって保障しますよということをしなきゃいけないと思うんですね。そういう意味からいったら、私は、社会資本の充実の中で一番大切な部分だろう、こう思うんです。
 景気振興のことでいろいろ議論してまいりましたけれども、これから二十一世紀を背負うのは私たちじゃないんです、子供たちなんですね。その子供たちに私たちは何をしてやれるか。この不況の時期で、べらぼうに一千億ドルを超すような黒字でどんどん外国から攻撃を受けているときに、今こそ少々苦しくてもやらなきゃいけない。
 財政法四条というのは、公共事業のためなら国債を発行すると、これを認めているんですね。きちっと認めている。じゃ、国債を発行するのはどういう基準かといったら、これは公共事業等というけれども、その中身はどこが決めるかといったら、国会で決めるとなっているんです。だから私は、二十兆や三十兆をこの際我々の世代で後のためにほうり込もうという決意を持っていけばできぬことないと思うんですよ。それを、お金があるじゃ、ないじゃという、その部分にとらわれて、財政法を狭義に解釈して今までの長い流れの中でやってきているから、発想の貧困の中でつぶれてしまっている、財政が。財政の硬直化というのは発想の硬直化でないかと私は心配してならないんです。
 そういう意味で、ひとつぜひとも、本年度予算には間に合わぬけれども、次のときには、政府はそういういろんな今までの議論にとらわれずに、日本の国はどうあるべきかという観点から基本方針を出して、従来のシーリング方式だとか、かつてのこれはこうだとかいう発想は一遍全部ゼロにしてから予算の編成をし直してもらわぬことには、本当の意味での今からの我が国の対応というものがし得ないんじゃないかということが気になってならないんです。
 そこで、余り時間がありませんから、もうしゃべりっ放しの方がいいからしゃべりますけれども、例の赤字公債はけしからぬと、こういうことを盛んにおっしゃるんです、大蔵省は。しかし、その赤字公債というのはどうかといってこれも調べてみた。一九六五年に議論されて、一九七五年に発します。そしてさらに、昭和五十九年には特例公債のまた借りかえしたんですね。随分議論しておられる。政府は一生懸命にそのことの必要性を、もう本当にどうしても論理に合わぬでもとにかくお願いしますということでこれやってきたんです。それを解消しようというんで解消してきた、中曽根内閣のときからね。解消して、赤字国債ないから、この隣どうしてもこれはだめですと言っているんです。ところが、それはお化粧されたものであって、中身は違うんですよね。
 皆さん御承知だと思いますけれども、大蔵省の皆さん御承知だろうけれども、隠れ赤字、隠れている赤字公債に匹敵すべき部分は五十兆円、我が国の政府の予算全体を見ると。五十兆円隠しているんですよ、これは。百八十二兆というけれども、そのうちの三分の一近いものが隠れている。私はこれはもうゆゆしきことだと思う。堂々と出すべきなんですよ、これは赤字国債として。そして、そこで本当に国民がこんなことでどうなんですかという形で議論しなきゃいけない。それを所得税減税が云々というようなだけで話してもらったんじゃ私は困ると思うんです。赤字国債の問題について申し上げますけれども、隠れ赤字というか、粉飾されているこの部分というのは、大蔵省はどういうふうにお考えになっていますか。
#254
○国務大臣(林義郎君) 今御指摘のございましたいわゆる隠れ国債でございますが、別途法律をもちまして御審議をお願いすることにいたしております。
 いろいろな内容がございまして、財政大変難しいときでありますから、今までの借り入れの繰り延べをいたしましたり、また払うべきところを払わないような格好でやるというようなやりくりをやっていることもございます。どの範囲かというのは、今五十兆というお話がありましたが、そんな台ではない。どこまで見るかということもあるでしょう。ありますけれども、私たちはそういったものもありますということでございますが、これはこれとして、少なくともいついつまでに返済しましょう、どういうふうな形になりましょう、こういうふうな形で一つ一つのものについて国会での御審議をお願いし、また御理解を賜るように努力をしてきておるところでございます。
 もう一つ申し上げますならば、百八十二兆という国債でございますけれども、これは六十年償還、こういう形に今なっておるわけでございまして、これがますます膨れていくならば大変なことになる。私はそういったものも全体含めまして、再び赤字国債で出すというような格好で、六十年償還というような格好になると、将来一体どうなるんだろうか、私はこれをやはり財政の基本的な問題として考えなければならない。財政当局としてはこのことを一番頭に置いてやっているところでございます。
 隠れ国債の話も、決して隠しておるわけじゃございません。国会で全部御理解を賜り、御承認いただくように努力をしているところだけ申し上げておきたいと思います。
#255
○山本正和君 じゃ私、ここで最後に申し上げでまた村沢理事に交代いたしますが、我が国の予算を見ていくのに、従来の発想で見ていったんではどうにも行き詰まって、もうあちらもこちらも手の打ちようがないというような部分がかなりあると私は思うんです。
 ですから、基本からもう一遍、今までのものは何にもないという中で、新しい日本の国というものが生まれたとして、それじゃ一体どういうふうに予算を組んでいったらいいんだろうかという白紙の立場で、大蔵省には非常に優秀な方がたくさんおるんです、若手の人と議論していると私どもも本当に二十一世紀は明るくなる気がする。そういう意味で、全く新しい立場でひとつ、来年度の予算を組むに当たっては、従来にとらわれずにやっていただきますように要望したいと思うんです。
 最後に、この私の意見につきまして総理の御見解を伺って、質問を終わりたいと思います。
#256
○国務大臣(宮澤喜一君) 先ほどからのお話を伺っていまして、お持ちになっていらっしゃいます問題意識とでも申しますか、私、実はかなり共感を持って伺っているんです。いるのですが、一つ一つのお答えになりますと、どうもノーノーというお答えをしなきゃならないようなところがございまして、そこは非常に苦しいところでございますのですが、財政のことは財政として、これは本当に明治以来の人がつくってくれた教育の蓄積を我々の時代で食いつぶしてしまったら、後に何にも残さぬでは、これはもういけませんので、やはりそういうことは非常に大事なことで、財政も大事でございますが、何かその辺にしかし少し知恵はないのかなとおっしゃっていらっしゃる、例えばそういうことは私ども真剣に考えなきゃならぬと思って、実は考えつつございます。思い切ったことができずにおるんですが、そういうことは確かにあると思います。
 予算というものも、本当は前年対比でどれだけふえた減ったではなくて、ゼロから一遍やってみたら違ったことになるのだろうということは何度も思うことでございますけれども、もうすぐに来年度の予算編成だというような追われる感じで思い切ったこともできずにいますが、まあしかしそういうおっしゃっていることを、それこそ一遍考え直してみる時期が来ているということは痛切に思っています。
 これは私ばかりでなくて、現場で仕事をしている諸君も、聞いてみるとやはりそういうことは思っておりますので、よくみんなでまた一生懸命考えて、将来に向かって間違いのないようにしてまいりたいと思います。
#257
○村沢牧君 あと時間もわずかになりましたが、引き続いて質問いたします。
 けさ私が金丸氏の脱税事件について質問いたしましたら、各地から電話が参りまして、いろいろな御意見がありました。そこで、その中でぜひ政府に聞いてもらいたいというのですね。政治家が名前を隠してまで利殖に励んで財産をつくっていく、全くもってけしからぬ。これは国が無記名の割引金融債を認めること自体が脱税をつくることになるんだと。こんなのは、無記名の債券なんていうのはなくしてしまったらどうかということをよく言うんですね。
 大蔵大臣、どういうふうに思われますか。
#258
○国務大臣(林義郎君) 実はこの割引債、無記名になっておりますが、これ、長い歴史もございまして、長期信用銀行で金融債を発行するときに無記名でやった方がいろいろやれると、こういうことでございまして、税制の抜本改正をやるときにも議論をしたわけでございまして、どうしようかと、源泉徴収でやったらという話のときにもいろんな議論がありました。しかしながら、一般の預貯金その他につきましての無記名その他の問題もありました。当時も郵便貯金で非常に多くの預金者の無記名でのものがあったというような話もありまして、その辺はやっぱり総合的に解決していくのは背番号制度か何かなのかな、こういうふうな話もあって、それをずっと検討してきておるところでございます。
 御指摘のようなこともありますけれども、現在は私は、今回こんな事件がありましたけれども、今のところまではまあ割とうまくいっていたんじゃないかな、金融債の調達その他につきましてうまくいっていたんじゃないかなというふうに思っているところでありますし、それから銀行あたりでやるときも、三千万円を超えるようなものにつきましては一応氏名その他の確認をするというようなシステムもございますから、うまくいっていたんじゃないかなと、こう思っておったところでございます。
#259
○村沢牧君 こういう債券を使って財産をつくったり脱税しておるのは、ひとり金丸さんだけじゃないだろうと言われるんですね。
 大変失礼ですが、大蔵大臣はこういう債券はお持ちですか。
#260
○国務大臣(林義郎君) お答え申します。
 残念ながら私は持っておりません。
#261
○村沢牧君 もうお一方にお聞きしたい。通産大臣、いかがでしょうか。
 大臣にみんな聞いてよというんですよ、外の人だから名を知りませんが。
#262
○国務大臣(森喜朗君) 私も持っておりません。
#263
○村沢牧君 わかりました。
 時間がありませんから単刀直入にまた聞いてまいりますが、PKOの問題です。
 政府は、モザンビークでのPKOに自衛隊の派遣を事実上見送ったようでありますけれども、最近調査団を派遣したと。調査の結果ではまた派遣もあり得るということですか。
#264
○国務大臣(河野洋平君) 調査の結果を見て判断をするつもりでおります。
#265
○村沢牧君 判断をするということは、例えば官邸筋の主導で事実上見送った、自民党の中にも外務省にもいろいろ意見がある、だから、調査団を派遣して、その結果を見てはまたこれは派遣をすることもあり得るということなんですか。
#266
○国務大臣(河野洋平君) 委員は派遣を見送ったと断定的におっしゃいますが、派遣を見送ったわけではございません。私どもは、仮に派遣をするとしても十分な調査が必要である、こう考えたわけでございまして、現在調査団が出ておりますから、この調査団が戻ってまいりましてその報告を聞いて検討をしたい、こう考えております。
#267
○村沢牧君 モザンビークは、反政府軍もどっちも武装解除が手についておらない、選挙も延期をされるのではないか、こういう情勢にあるということを私どもは聞いておるんです。アフリカの南端のこんな遠いところへ自衛隊を派遣する必要はないと私は思いますので、強く要請しておきたいというふうに思います。
 それから、政府は、カンボジア平和協力業務実施計画、実施要領を閣議決定して以来、これは変更していますね。何回変更し、どういうことを変更したのか、答弁してください。
#268
○政府委員(柳井俊二君) お答え申し上げます。
 ただいま御指摘の実施計画と実施要領の変更でございますが、まず実施計画でございますけれども、その変更につきましてはこれまでそのたびに国会に御報告を申し上げているところでございます。
 昨年の九月八日に最初の実施計画を閣議決定いたしまして、その後二回変更しております。
 第一回は昨年の十二月四日でございまして、その内容は自衛隊の業務といたしまして輸送、保管及び水の浄化という業務を追加いたしました。二回目はことしの二月十二日でございまして、自衛隊の業務といたしまして医療という業務を追加したわけでございます。この医療と申しますのは、施設部隊に医療班がおりまして、UNTACの他の国から来ております要員が病気あるいはけがになったときに医療を施すということでございます。
 それから、実施要領の変更でございますけれども、道路、橋等の修理等の後方支援分野における実施要領についてのみ変更を行いました。昨年の九月十一日に国際平和協力本部長がもともとの実施要領を作成いたしまして、二回変更しております。
 第一回は昨年の十二月九日でございまして、先ほど申し上げました実施計画の第一回目の変更、すなわち輸送、保管及び水の浄化の業務を追加したときでございますが、この変更に伴う変更を行いました。それから、二回目はことしの二月十二日でございまして、医療を追加した実施計画の変更に伴うものの変更とともに、従来実施しておりました道路、橋等の修理等の業務の地域をプノンペン市並びにココン、カンポット、タケオ、コンポンスプー、カンダール、プレイビュン及びスバイリンの各州において実施するようにというUNTACからの指図に応ずるために、業務を行う地域についての変更をそれぞれ行ったところでございます。
#269
○村沢牧君 実施計画あるいは実施要領は業務の種類や内容、派遣地域及び期間、あるいは規模、構成、中断に関する事項等重要なことを規定しているんですね。これを閣議でいつでも変更する、また変更しているわけですけれども、これはシビリアンコントロールからいっても自衛隊法からいっても私は重大な問題だと思うんですよ。やっぱり歯どめが必要だと思うんですが、総理、いかがでしょうか。勝手に閣議で決めればどんどん地域の変更も何もできるんですか。
#270
○国務大臣(宮澤喜一君) 今、政府委員から申し上げましたとおり、私が見ていますと、自衛隊が医療班を持っているのによそからけが人が来てその面倒を見ることができないというのはとてもおかしなことで、本来なら、医療班を持っていたら病人が来たら診てあげたらいいんですが、何かのことでやっぱりそこがそう書いていないとか、それから水が一番問題だということも十分わかっていなかったとかいうことを大体直しておるわけでございますが、地域のところは、今まであらかじめ日本の地域はこの辺ということになっていまし
たのを、選挙が近くなりましたので州の境界で分け直したということのようで、これも別な新しい意味を持っていなかった。
 私、注意して見ておりますけれども、そんなことかと、それならもう少し初めから広く書いておけばよかったなというようなことが大部分のように見ております。十分注意いたして見ております。
#271
○村沢牧君 やはり地域の変更なんか、拡大なんかも、どんどん拡大していったらこれはいけないと思うんですね。閣議決定でどんどん変えていくということは私は問題があると思う。
 そこで、この派遣期間は平成四年九月十一日から平成五年十月三十一日までになっていますね。今、自衛隊が派遣しておる人たちはこれでもう十月三十一日までで最後だということになりますが、その辺はどうなんですか。
#272
○政府委員(柳井俊二君) ただいま先生がおっしゃいましたとおり、実施計画上の期間は十月三十一日まででございます。ただいま派遣しております自衛隊の施設部隊あるいは停戦監視要員は、昨年の九月から十月にかけて現地に到着いたしまして、六カ月交代ということで近く交代する予定でございます。
 UNTACそのものの任務の期間は、安保理決議上、UNTACが展開いたしましてから十八カ月間ということになっておりまして、したがいましてことしの九月十五日までということになっておりますが、その後、仮にこの九月十五日までに予定どおりUNTACの任務が終了した場合におきましても、業務の終了、それから帰るための街づくり等もございますので、そういう撤収の期間ということも考えまして実施計画の期間は十月三十一日というふうになっているわけでございます。
 その後どうなるか、UNTACの任務が九月十五日までということに一応なっておりますけれども、その後どうなるかということにつきましては、これはもう国連の安全保障理事会におきましてそのときの情勢に基づいて判断し決定するということになると思いますので、今のところその後のことは具体的には申し上げられない状況にございます。
#273
○村沢牧君 十月三十一日までになっておって、その時期になってどんどんまた期間を長くしていく、そういうことであっては、一体このPKO協力隊をつくったときのいろいろ論議や、それから今、実施要領もどんどん変更していくんですけれども、これはそんなに勝手に延ばしちゃいけないというふうに私は思うんですよ。
 そこで総理、カンボジアの情勢の変化と、また国連の紛争の平和的解決と軍事的強制力行使の区別がなかなかはっきりしづらくなってきた、だからPKO法成立のときとそごを生ずるようになったと私は思うんです。こうした結果、五原則を実際の現地に当てはめることが困難になっている。政府が鳴り物入りで宣伝した五原則はやがて行き詰まってしまう。政府みずからがPKO協力法を破るような事態になってしまうと思うんです。だから、こういうことをいつまでも放置していくのか、このままずっと自衛隊の派遣を続けていくのか、その辺について総理の見解を聞きたい。
#274
○国務大臣(宮澤喜一君) UNTACの活動でございますが、三十七万おりました難民をほとんどもう三十万帰したわけでございますから、やっぱりこれはああいう環境の中で私は立派な仕事だったと思っておりますし、それから、とにかくSNCという機構は動いておって、そして時々いろんなことはございます。それは十三年も戦争をしておりましたんですから、しいんと全部静かになってしまうというわけにはいかないのかもしれない。
 にしては、しかし、やはりSNCにいまだにクメール・ルージュ、キュー・サムファン自身が会議に出ておるわけでございますし、シアヌークさんについてはみんなが、まあいろいろあっても結局シアヌークさんは中心になる人だというようなことは思っておるようである。つまり、基本的にパリ協定というものを破るということにはなっていないものでございますから、またこれを破ってみたらどうなるかということはクメール・ルージュも成算がないわけでございますから、そういうわけで曲がりなりにもまあまあ私は仕事はうまく進んでいる方ではないか。
 我が国の自衛隊諸君は国づくりをやっておりまして、これも成果を上げておりますので、私は理想どおり一〇〇%静かにいっておるとは申し上げませんけれども、まずまずうまくいっておる方だろう。これで五月の末に選挙ができれば、曲がりなりにもこのUNTACの仕事はだんだんはかどっていくというふうに考えておりますので、五原則を危うくするような事態は今までのところ生じておらないし、派遣の目的もますます私は達しておるというふうに考えておりますが、しかし、いずれにしても、毎日毎日の情報は的確に東京にわかっておりますが、情報源から先のどこかの村で何か起こったなんてことがすぐにわからない。これはやむを得ないことですけれども、そういう状況でございますから、大変に毎日気をつけてこの状況推移は見ております。万一にも五原則に反するような事態が起こりませんように十分注意をいたしてまいっております。
#275
○村沢牧君 時間が参りましたので、最後に農業問題で一点二点伺いたいと思います。
 ガット・ウルグアイ・ラウンドの農業交渉の現状と、この交渉は今後どういうふうに進めていくのか、お伺いしたい。
#276
○国務大臣(田名部匡省君) ガット・ウルグアイ・ラウンドにつきましては、アメリカの政権が交代前に大筋の決着を図ろうということで、昨年末来大変な努力が払われたことは御承知のとおりであります。しかし、市場アクセスでありますとかサービス、知的所有権、貿易ルール、そういう分野において各国が問題を提起したために、米だけが象徴的に取りわれておったんですが、他の分野がそういうことになりまして、クリントン政権交代を機に交渉が停滞をしておるということでございます。
 今後の見通しでありますけれども、米国のファストトラックの延長問題を初め、アメリカ政権がウルグアイ・ラウンドに対する方針をどうするかということが明確になっておりませんので、今後ともこの不透明な状況がいま少し続くであろう、こういうふうに考えております。
#277
○村沢牧君 最後にお伺いします。
 総理、私はこの予算委員会でも今日までも指摘してまいりましたし要請してまいりましたが、米の関税化、市場開放は絶対に応ずることができない、その決意をこの委員会でもお伺いしたいというふうに思います。
#278
○国務大臣(宮澤喜一君) ただいま農水大臣も言われましたし、私も何度も申し上げておりますが、やはりいわゆるダンケル案というものについては、我が国としては、どうも欠陥が多い、このままでそれを承認していくわけにはまいらないという立場を今後ともとってまいりたいと思っています。
#279
○村沢牧君 以上で私の社会党を代表する質問を終わります。これからも同僚議員がどんどん厳しく質問してまいりますので、政府も対応してもらいますように要請を申し上げまして、私の質問を終わりたいと思います。
 ありがとうございました。
#280
○委員長(遠藤要君) 以上で村沢君の質疑は終了いたしました。(拍手)
#281
○委員長(遠藤要君) 次に、井上裕君の質疑を行います。井上君。
#282
○井上裕君 私は、自由民主党を代表いたしまして、宮澤総理並びに関係各大臣に御質問いたしたいと思います。
 質問に入る前に、去る一月十九日の皇室会議におきまして、皇太子徳仁親王殿下と小和田雅子様の御婚約が成立し、四月十二日に納采の儀が決定されましたことはまことに喜ばしい限りでありまして、国民の皆さんとともにお二方の末永い御多
幸と皇室の御繁栄をまずもってお祈りを申し上げる次第であります。
 初めに、政治姿勢につきまして御質問いたしたいと思います。
 宮澤内閣が誕生いたしまして一年四カ月になります。国際的な未曾有の転換期が続いておる中で我が国経済は深刻な状況にあって、解決を迫られております問題は内外に山積いたしております。どなたが総理になりましても大変な時期でありますが、総理は、地味ながら堅実に日米会談を初めとして首脳外交を展開されてまいりましたほか、国際平和協力法に基づき自衛隊の海外派遣、そして国際貢献や政治改革に関する緊急措置、さらには十兆七千億に及ぶ過去最大規模の景気対策と御尽力をいただいております。
 そして今、五年度予算の年度内成立、衆議院の選挙制度を中心とした抜本政治改革、国際社会への貢献策、生活大国の実現及び高齢化社会への対応などの課題に真剣に取り組んでおられます。これらを克服するためには、長く定着をいたしました仕組みなどの変更や改廃という痛みも伴うことは必然的であろうと思います。
 かつてケネディ大統領が、個人が国に何をしてくれるかを求めるのではなく、個人が国に何をすることができるかを問うべきであると演説されたことは余りにも有名であります。この一月二十日、クリントン大統領はその就任演説において、ただで何かを求めたり政府や他人に何かを求めるという悪弊を今こそ打ち破るときが来た、みんなもっと責任を持とう、自分自身や家族のためだけでなく社会や国のためにと申しております。そして、これを受けて去る二月十八日、米国経済再生計画において、向こう四年間で三千二百五十億ドル、この財政赤字を削減、きょうの糧を費やすだけでなく、あすのより大きな糧のために投資をしようと、就任早々あえて国民的不人気な増税と予算の抑制という政策を打ち出しました。国民の理解を求めております。私は、信念ある行動に敬服いたしました。
 病める国はアメリカだけではありません。我が国とて同様であり、五年度末には国債残高が百八十二兆円にも達します。
 総理、どうか名実ともに我が国が道義国家、平和国家、世界のリーダーとして堂々と存在していくためには、今乗り越え解決しなければならない問題を先送りしてはなりません。戦後政治の流れの大きな節目節目に少なからず関係された総理として、ひとつこの難局を打開するには強いリーダーシップの発揮がぜひ必要であろうと思いますが、総理の御所見をお伺いいたしたいと思います。
#283
○国務大臣(宮澤喜一君) いわゆる冷戦後の時代になりまして、世界が大筋で見まして平和の方向に向かっているということは喜ばしいことでございます。もちろん、その間いろいろな問題がむしろあるいはそのゆえに地球上にたくさん起こりつつございますけれども、しかし核の脅威のもとに保たれておった東西間の危うい平和というものがもう少し確かなものになりつつあるということは喜ばしいことだと思います。
 それはまた、我が国が戦後歩いてきた道、我々のこいねがってきたところへ一歩近づいたということと考えますので、我々としてはこの新しい世界平和秩序確立のために最大限の貢献をしなければならない。幸いにしてそれだけの経済力を持つに至りましたので、国連を中心に貢献をしていかなければならない。また、国民にもそういう意識が高まっておりまして、金だけでなく憲法上許すところの汗も流すということも、現に自衛隊等の諸君がカンボジアで働いていてくれることによりまして明らかでございますが、そういう意味で、ひとつやはり対外的な責任を果たすという国民の意識の改まりが必要と存じます。
 国内におきましては、これだけの経済水準の高い国になりましたが、必ずしもそれが本当に豊かで余裕のある、公正なフェアな国になったとは申しがたいところがございます。この点はやはりこれにも国民の意識の変革があって、ただ競争をして勝てばいい、あるいはただ金をもうければいいといったようなことから価値観の変化が見られます。これにつきましても新しい意識を持たなければならない。
 この両様の意味で内外ともに、井上委員の言われますように、新しい意識を持って二十一世紀を迎えなければならないという今でございますが、同時に、政治の不信がある、あるいは二十一世紀に向かって老齢化がやがて急速に進む、あるいは現在このような不況にあるといったそういう非常な長期的なものとはまた違った意味でも当面の難しい問題も持っておりますので、それらも処理をしながら、内外のそのような意識の変革に十分に政治が対応をしていけるようなそういうリーダーシップが必要であるというふうに考えております。
#284
○井上裕君 ただいま総理から政治に不信があるというようなお話がありましたが、次に政治改革。
 相次ぐ政治スキャンダルによりまして政治に対する国民の不信が高まっていることは極めて残念なことであります。政治家たるものは、政治資金を透明に公私を厳しく峻別して政治倫理の確立に徹すべきことは言うまでもありません。今回、金丸信氏及び生原元秘書が所得税法違反事件で逮捕されましたことは、国民の模範たるべき政治家の行為としてまことに残念であります。
 およそ政治家は、選挙により負託を受けた国民の代表者でありますだけに、一般国民よりも強い倫理性が求められることは当然のことであります。既に党内には議員倫理規程があり、国会には政治倫理綱領、行為規範があり、資産公開法が制定されました。各人がこれを遵守していれば政治不信を招くことはないと思うわけですが、残念ながら現実は政治スキャンダルが相次いています。
 総理は、今日の事態を百年前のイギリスの政治腐敗のときと同じ認識に立つと申されておりましたが、今回の事件をどう認識し、対していくのか、所見をお伺いいたしたいと思います。
#285
○国務大臣(宮澤喜一君) 御指摘のように、ここ長年政治上の不祥事件が続いておりましたが、昨年からまた激しい国民の不信を受けるような事態が頻発をいたしました。まことに国民の皆さんに申しわけないことであります。
 我が国の民主主義がここまで国民の不信を受けたということは、やはりかつて英国がそうであったように、今我々は百年おくれて我が国の民主主義をここで本当に新しいものにしていかなければならない、そういう時期に際会したのではないかと考えましてイギリスの例を時々引かせていただいておるわけでございますが、まさに危機の深さも、また改革を要するその大きさも、あれに比肩すべきものではないかというふうに考えております。
 もとより一人一人の政治家の倫理の問題であることは、これは井上委員の今言われましたように、国会議員として、また党内においても当然のことでございますが、同時にその倫理が誤りなく貫かれますような制度上の変革もどうしても必要になってまいる。金のことにせよ選挙制度の問題にせよそうでございますけれども、先般緊急改革をお願いいたしました後、今抜本的な改革をいたさなければならない。それもこの国会でぜひお願いをいたしたい。また、国民はそれをいわば息を詰めて見ておられるのが昨今であると思いますので、与党におきましてもそのような案の取りまとめを今急いでおりますが、各党ともまたおのおの案をお考えのようで、やがて衆議院の特別委員会においてそういう御審議が始まるのではないかと考えておりますが、さらに参議院の御審議も経て、この国会において抜本的な政治改革をなし遂げることによって国民の失われようとしている信頼をもう一遍つなぎとめ、回復をしなければならないというふうに強く感じております。
#286
○井上裕君 昨年三月まとめました我が党の緊急政治改革との関連法案が、前国会、与野党間で合意されました。国会議員の資産公開あるいは収賄罪に対する公民権停止、さらには政治資金パー
ティーの規制等二十一項目と、衆議院の定数是正、いわゆる九増十滅が実現を見ましたことは、政治改革へ向けたせめてもの一歩前進である。我が党はこれをベースとして、さらに一層自己規律に徹した政治倫理の確立、あるいはまた政治資金の収支の公開、透明性の確保、また政党本位、政党交付金の交付などを内容とする抜本的な政治改革に取り組んでおりますが、総理は我が党の政治改革推進本部長として今後の政治改革にどう取り組むか、御決意をお伺いいたしたいと思います。
#287
○国務大臣(宮澤喜一君) 昨年の初めに、一年を見通しまして、緊急改革については三月までに案をまとめてもらいたいということを党内に要請いたしまして、これはそのとおりになりまして、少しおくれましたけれども、昨年の十一月に法案としても成立をし、実施できる段取りになりました。
 次に、第二段階として、しかしそれは緊急改革であって抜本改革は昨年の十一月の末までに党内の意思をまとめてもらいたいという要請をいたしておきまして、これもほぼ時間どおりに党内の大体中心になります部分はまとまったわけでございます。それで、ただいま自民党の中でこれを法案化いたしまして、そして国会に、衆議院に提案をいたそうとしておるわけでございますが、野党におかれましても、昨年末の党首会談の際におのおの案を具して、ひとつ国民の見ておられる前でガラス張りで議論をし努力をしようではないかというお話がございましたので、そのようになってまいると思います。
 いろいろ難しい問題がございますけれども、先ほども申しましたように、この機を逸しますと再び国民の政治に対する信頼を回復することは難しいと危惧をいたしますので、ぜひともこれをなし遂げまして、二十一世紀に向かって新しい日本の政治というものを築いていかなければならないと考えております。
#288
○井上裕君 この問題は党内におきましても大変議論の多いところであろうと思いますが、本部長としてぜひひとつ御勇断を持って進めていただきたい、このように思います。
 次に、大蔵大臣並びに自治大臣。
 最近、社会党及び社会党関係団体への旧ソ連からの資金援助に関する報道が相次いております。二月末の報道では、ソ連共産党の秘密文書によると、昭和五十年度の北海道知事選に際し、貿易操作による一億五千万円の資金援助を要請したとされております。その他に幾つかのことが報道されております。各大新聞の社説にも載っておるわけであります。
 一般論として、その当時、外国から選挙資金援助を受ければ政治資金規正法ではどのような規制があったのか、さらにまた外為法の規定はどうであったか、この点についてお伺いをいたしたいと思います。
#289
○国務大臣(村田敬次郎君) 井上委員にお答え申し上げます。
 御指摘の事実について、自治省としては事実関係を承知はしておりません。
 ただ、政治資金規正法の条文で申し上げますと、規正法の二十二条の五という規定がございまして、我が国の政治や選挙が外国の勢力によって影響を受けることを防止するという見地から、外国人や外国法人などから政治活動に関する寄附を受けることは禁止をしておるところでございます。
#290
○国務大臣(林義郎君) 井上議員の御質問にお答え申し上げます。
 事実関係は私も承知しておりません。新聞で拝見しているところだけでございますが、今お話のありました為替管理関係がどうなっているかということでございます。
 その当時の四十年、五十年のころというのは、実は現在もう外為関係は法律ががらりと変わっておりまして昔の法律になっておりますが、当時は外国為替管理令十一条の規定によりまして標準決済方法により外貨を受領する場合は許可不要でありましたけれども、四十七年までは受領した外貨は一定期間内に外国為替公認銀行に売却することが義務づけられておりました。標準外決済方法により受領する場合、例えば邦貨、円で受け取る場合、または非居住者のために他の居住者から受け取る場合等は日本銀行の許可が必要である、そういうふうな形になっていたということでございます。(発言する者あり)
#291
○委員長(遠藤要君) 御静粛に。
#292
○井上裕君 次に、景気問題に移りたいと思います。
 まず、総理にお伺いいたします。
 景気は低迷、そして底ばいという表現以上に不況感が深まっておるように思えます。個人消費と設備投資の二大需要項目の冷え込みが依然と続いており、雇用情勢の悪化も進んでおります。その上急激な円高も加わり、憂慮にたえません。
 総理に景気の現状と今後の見通しをお伺いいたしたいと思います。
#293
○国務大臣(宮澤喜一君) このたびの不況は、いわゆる在庫をめぐる循環ばかりでなく、ただいま御指摘のように資産価格の暴落ということがございました。これによりまして家計の消費の意欲は非常に沈滞するに至りましたし、企業においては投資意欲というものが失われるばかりでなく、これが金融機関、証券会社等々にも大きな影響を及ぼしまして、金融機関の融資対応能力の低下あるいは証券市場におけるエクイティーキャピタルの募集の困難さ等々、そういう要因が加わりましたために、このたびの景気の見通し等対応が非常に難しくなっておるというふうにまず現状を判断いたします。
 それで、本来在庫調整がもう少し早く進むと期待いたしておりましたけれども、片方で需要の沈滞がございますものですから、もう一つ思うように在庫調整が進んでおりませんで、ぼつぼつであろうと。この間の日銀の短観を見ておりましても、もうそう長いことではないとは思いますものの、まだ終わったというふうにはなっておりませんので、その問題が一つ。
 それから企業設備の問題も、何分にも四年間二けたの設備投資をいたしました後でもございますので、先ほどのエクイティーキャピタルのこともあって、設備投資の意欲も急には起こるともなかなか思いにくい。
 消費の方は、消費者が非常に用心深くなっておられるということがあろうと思います。これはかなりの程度に心理的なものであるかもしれませんけれども、ただいまのところ、百貨店の売り上げあるいは自動車の新規登録台数等々消費関連の指標を見ましても、旅行等々を含めまして、消費の高まりというものはまだ見られない状況でございます。
 そうしますと、わずかに住宅関連、それから公共事業は、これはこれだけ中央、地方が一生懸命になっておりますから高くなるのは当たり前でございますが、それらを除きましてそのような状況に今日あると申し上げるべきかと思います。
 ただ、これだけ昨年の夏から大きな総合経済対策をいたし、また、この平成五年度予算もその線上で組んでおりますから、これだけ大きな公共投資等中心の政府資本形成をいたしますと、それはやはり国民経済に影響を及ぼさないはずはないわけでございまして、ただ思ったよりも補正予算のおくれがあったりしておくれておりますけれども、しかし、これが影響を及ぼさないはずはございませんから、やがてそれが国民経済を、先ほど経済企画庁長官が言われましたように、平成五年の後半になりますと普通の巡航速度と申しますか、そういう軌道に引き戻してくるであろう。もとより政府のできますことは、GNPの大きさから言いますと決して大きな部分ではございません。これが国民の消費につながり、雇用につながり、投資につながるというところで役割を果たすわけでございますので、今その役割を果たしつつあって、平成五年の後半には民間の経済活動にそれがつないでいけるというふうに考えてよろしいのではないか。
 ただ、そうではございますけれども、何分にも
初めての体験を日本経済としていたしましたから、その後の回復が非常に急速度で進むと考えるのは多少楽観的過ぎるかもしれない。ただ、徐々に正常化に向かっていくということは確かであろうというふうに考えております。
#294
○井上裕君 今まさに心配はないといってとでございましたが、昨年から緊急経済対策、あるいはまた十兆七千億のかつてない空前規模の総合経済対策、あるいは大型の補正予算の実施、さらには公定歩合の六次の引き下げ、こういうものを行ったわけですが、評論家の一部にはややもいたすとタイミングがおくれたというようなことを言っておりますが、私は政府のそれは歩といたします。
 しかし、どうも今おっしゃる最終需要が伸び悩んでいる。そのため在庫調整、総理が今言われましたが、若干おくれがちだと。中小企業、また自営業者、企業経営者は景気の動きはますます悪くなるのではないか、ことしの後半何とかなればいい、こういう希望を持っているわけです。総理はまさに今、ことし平成五年の後半によくなるだろう、こういうことを言われておりますが、果たして中小企業の方々、非常に心配しておるわけであります。景気はマインドが大事ですから、そこで底入れの時期すなわち景気後退打ちどめの時期を示していただければ、景気低迷、底ばいに悩む方々、あるいはこの底ばいから脱却する、これは皆さんが安心するんじゃなかろうか。
 この点についてもう一回総理の御所見をお伺いいたしたいと思います。
#295
○国務大臣(宮澤喜一君) 先ほど経済企画庁長官が説明をしておられましたが、そのような政府の努力、平成五年度の予算の執行等々によって平成五年前半にはまずこの景気のいわば低下のとまり、つまり底を打って、そうして民間活動にそれがつながって平成五年の後半にはほぼ正常な巡航速度に入っていくのではないかというのが経済企画庁の大体の見通したと言われましたが、もちろんそのためには常時私どもが努力を続けていかなければならない。ほうっておいてそうなるという意味ではございませんが、努力は十分続けてまいりまして、そういうふうになると考えるという経済企画庁のそういう専門家の見方というものが私は大体当たっておるのではないかというふうに思います。そのためには、もちろん政府としてもあるいは民間経済活動におかれてもベストを尽くしていくという前提でございますけれども、ほぼそんなふうに考えてよろしいのではないかと思います。
#296
○井上裕君 大蔵大臣に一点のみお伺いいたしたいと思います。
 今のこの不況は複合不況、いわゆる循環的な不況に加えましてバブル崩壊後の不況、それが株価の低迷あるいはまた資産価値の下落から金融機関の対応力の低下とか、あるいはまた金融システムの安定性が非常に懸念されております。こういう中で私ども経験しなかった不況の要素が加わっているわけですが、三月期決算を迎えて実体経済への影響がどうあらわれてくるか、これが非常に気がかりであります。
 政府は、景気は今調整途上だと言っておりますが、もしこの今の調整の最中に金融面の混乱が生じると景気は二番底に陥る危険もございます。この点ひとつ大蔵大臣、大丈夫でしょうか。
#297
○国務大臣(林義郎君) 井上議員御指摘のように、今回の景気は複合不況と言われて非常に複雑な様相を示しておりますし、先ほど総理からも御答弁いただきましたような認識を私も持っております。
 景気は今回の予算また昨年来の総合経済対策その他で私はうまくいけるものだと、こう思うし、確信をしてやっておりますけれども、御指摘のように、金融システムにおきましては相当な問題があったと、それがまさに複合不況ということだろうと、こう思っておりますし、金融システムにおきましても内部蓄積が減少したり不良資産が増大したりしているというようなことが言われております。私たちの方といたしましても、いろんな対策を講じていかなければならない。
 御指摘のように、三月の決算がどうなるかということでございますが、それまでにいわゆる金融機関のシステムの安定化を図っていくということが必要でありまして、個別問題の早期処理の努力をやっている。例えば、これは民間でおやりになるのでありますけれども、日住金等いわゆる住宅専門会社の諸問題についての解決を民間の自主努力によってやっていただくようなことをお願いしておりましたり、民間金融機関によるところの共国債権買取機構の設立をいたしまして、これも既に動き出すという段階に来ております。
 また、各銀行によるいわゆる不良資産のディスクロージャーが本年三月から行われる予定になっておりますし、また経済活動に必要な資金の円滑な供給が阻害されることのないように新たな自己資本充実策をとってきたところでございます。
 また、中小企業金融につきましても、どうも金回りが悪いじゃないか、公定歩合を下げてもそうじゃないと、こういうふうな話がございますが、中小企業金融の円滑化に関しましても、銀行局長通達を出しまして円滑に回るような形でやっておるところでございまして、私は今までのところではまずは問題なくやっていけるものだろう、なかなか難しい問題でありますが、知恵を絞り総力を挙げてこの問題に取り組んでいかなければならない、こう考えております。
#298
○井上裕君 不況問題で、森通産大臣にお伺いいたしたいと思います。
 今までのお話を承りまして、不況で企業のいわゆる経営者たちはぎりぎりいっぱいの辛抱をいたしております。
 そこで、中小企業にいろいろな融資制度あるいは通産省、中小企業庁としても平成五年度の予算でいろいろな援助はしていただいておりますが、しかし、一歩誤りますと恐らく倒産、失業というものが続出する、こういうことで、今、国民の皆さんはこのテレビを見て、中小企業の方々は本当に心配をいたしております。
 ここで大臣に中小企業は大丈夫だ、こういうひとつ大臣の抱負と今後の御所見をいただければ幸いであります。
#299
○国務大臣(森喜朗君) 井上さんからも今御質問の中にもございましたし、総理も先ほどきめ細かくいろいろ御答弁なさいました。
 先般、総合経済対策を立てさせていただきましたが、その際、政府関係中小企業金融機関に対します総額一兆二千億円の貸付枠の追加等をやりまして、かなり思い切った中小企業対策を講じたわけです。平成四年度の補正予算の規模も円高の不況時期よりもはるかにそれを上回る史上最高の額、七百四十五億円を確保いたしてございます。
 しかし、現実にはかなり地方には資金需要が少し逼迫しているとか、もっと条件のいいものでありますとか、あるいは設備よりどちらかというと運転資金が必要だということなどもいろいろと声も聞いておりまして、さらに今、中小企業庁でもきめの細かい中小企業金融に対しましてはさらに積極的な検討を今しているところでございます。
 今御審議をいただいております平成五年度の予算におきましても、中小企業信用保険法の限度額、付保の限度額の大幅引き上げ、中小企業金融公庫、国民金融公庫の貸し付け規模の大幅な拡大、下請取引対策の充実など大変きめ細かく実は施策を盛り込んでございます。例えば、貸付規模の大幅拡大で中小公庫二兆六千六十四億組んでおりまして、これは前年度対比で六%の増でございまして、国民金融公庫も六%増です。
 これは平成五年からずっと当初の計画ベースの伸び率を見てまいりますと、平成元年は二・二%伸びています。二、三、四と全部一%ずつ対前年度伸びでありますが、この今回の補正、平成五年度のこの予算では六%という大変大きな伸びをいたしておりますし、また緊急特例限度貸し付けの実施期間を五年の三月末から九月までこれを延ばしておりますし、あるいはマル経、いわゆる小規模経営等の改善資金融資制度でありますが、これも設備資金を実に七年ぶりに五年から六年に延ばしました。運転資金も、これも十三年ぶりに三年
から四年に延ばしたというふうに、この平成五年度の予算にもかなり有効に機能するようにいろんな仕組みを考えてございますので、まずはこの予算成立を早くしていただきまして、さらにまた適宜適切な対策を講じていくように、中小企業庁長官が先頭に立ちまして懸命な今努力をしておりますということを述べさせていただきます。
#300
○井上裕君 私ども実はこの予算委員会で、衆議院で予算委員会開催中に、長野と宮崎で地方の人たちのお話を承ったんです。そのときに一番深刻な問題は、中小企業の方々、そして今大臣がおっしゃったPR、これをこれだけ通産省は中小企業やっているんだというこれをやはり中小企業の方々にわかっていただくように、これは要望いたしたいと思います。
 時間の関係で財政問題に入りたいと思います。
 まず、総理に伺いますが、景気回復のてこ入れは何といっても現在審議中のこの平成五年度の予算の早期成立であります。景気が重大な局面を迎えていることは与野党ともに一致しておりまして、野党の皆さんのこれは御理解と御協力によって年度内の成立が私は可能である、またこれが国民に対する国会の責任であろう、このように思います。そうした中で、先ほど来減税要求が高まっております。野党からもこの要求が出ておりますし、自民党の中にもいろいろな減税問題が議論されております。
 新聞紙上に報じられます所得税の減税は非常に巨額なものであります。そして赤字国債を財源にすると。それをしなかった場合には減税財源はどこにも見当たらない。先ほど来この問題についていろいろ議論があったわけですが、大量の赤字国債から私どもは十五年かかってやっと脱却できた。したがって、この赤字国債を引き当てに減税を求めるならば、五年以内にやはりこの赤字国債の償還をするためには、本当に申しわけありませんが増税をやらなくちゃならない、こういうことをやはり考えていただかなければならない。
 私は、赤字国債を財源とするこの所得税の減税が国民の果たして消費性向を高めるかどうか、これは不透明な中で実施の決断は相当の覚悟が必要だと思います。むしろ、住宅建設の促進やあるいはまた中小企業の設備投資等に資する投資減税、さらにまた先ほど山本議員が言われましたが、学校あたりにいろいろなこれからの新しい機械を入れてやるとか実験器具を入れてやる、そういう意味において有効性、即効性が私はベターである。この点は一致いたしますが、総理の見解をお聞きいたしたいと思います。
#301
○国務大臣(宮澤喜一君) 所得税減税がこの際必要であるという御意見は、実は政府が平成五年度予算編成をいたしますときから世の中に相当ございました。それは私どもよく注意いたしておりまして、気づいておりまして、ただそういう選択をいたしませんでしたのには幾つか理由がございました。
 一つは、先ほどもお話がございましたが、減税が及ぼすところの消費性向への影響、それがどのようなものであろうか。ひいては、したがって所得税減税と公共投資の充実と、それがどちらが大きな乗数効果を持ってあろうかという問題が一つでございます。
 それからもう一つの問題は、昭和六十二、三年の税制の抜本改革以来し残した問題が殊に所得税については御承知のようにあるわけでございますので、いつの日にかこれに取り組まなければならない。たまたま他方で年金の問題がございまして、財政再計算という問題もある。そういったようなことから、二十一世紀に向けての国民負担というものをどういう形でどのように考えるかという問題にもう間もなく我々直面をしなければならないということもございますから、そういう意味、でこれからのあるべき税制の姿というものとこの際の所得税減税というような主張とがどのような関係に立つであろうかという問題が第二でございます。
 それから第三は、これも今、井上委員が言われました、しかも強調せられましたその財源の問題でございます。いわゆる赤字国債を出しまして、これを打ち切るまでに十五年かかったという過去の経験もございますし、二十一世紀になりまして十年ほどいたしますともう老齢化がかなりはっきりいたします我が国の将来でございますから、そこへ向かってさらに財政負担を残すということがどうであろうかといったようなこと。しかし、いや、そうではなくて短期に償還できるような国債というものもあるだろうということであれば、それならば短期に償還できる財源を近い将来何に求めていくのかというような問題等々、問題がちょっと多過ぎまして、したがいましてこの平成五年度予算編成にはそういう選択をいたさなかったわけでございます。
 御指摘のように、衆議院の御審議の中で各党の協議をやがてされるということになりましたのでその推移も拝見しなければならないと思いますが、まさに今、井上委員の言われましたように、あるいは先ほど山本委員がおっしゃっていらっしゃいましたように、もう少し幅広い、文化であるとか研究であるとか教育であるとか、あるいはもっと広く言えば俗に言う新社会資本であるとか、そういうものについて狭い意味での公共投資、公共事業をもう少し幅広く日本の将来に向けて考えていくという道もあるではないかということ、あるいはいろんな意味での政策減税、住宅等々であるかもしれません、等々も一つの選択肢ではないかという御意見もございますので、衆議院でお決めになりました各党間の御協議も拝見をしながら、なお今言われましたようなことも与党の中でも検討しておられるようでございますので、それらのことを総合してこの経済状況の推移を見ながら先のことは考えてまいらなければならないと思いますが、いずれにいたしましても、仰せになりますように、この予算をできますことでしたらひとつ新年度早々から執行できますように成立をさせていただきましたら、それが今日本経済にとって一番大切なことではないかというふうに考えておるところでございます。
#302
○井上裕君 与野党の理事懇では、全員が自熟成立はさせない、早くやろうということを言っておりますので、そういう点では与野党の方にもお願いしたいと思います。
 大蔵大臣に財政問題をお聞きいたしたいと思います。
 赤字国債を脱却した後、再建の第二段階として、平成七年度には国債依存度を五%以内にする計画の達成を進めております。しかし、現状は非常に厳しいものがあろうと思います。国際貢献、あるいはまたいろいろな大きい高齢化社会の問題、そういう諸問題を考えますと、税収はバブル前になっておりますし、大変であろうと思います。このやりくりをきわめた五年度の予算の姿を見て、私はこれは明らかである。
 こういう中で過去の財政運営の原則を停止しても、例えば概算要求を今まで八月三十一日にやった、それを一カ月ぐらい早めて私は六年度の予算編成に当たってもらいたい。そして第二段階の財政再建の見直し、あるいはまた財政の再構築のための歳入歳出構造の見直し、そして直間比率、いわゆるこの七二・六対二七・四、こういう直間比率の是正等も検討しなけりゃならない、このように思いますが、簡単で結構ですから、御所見をひとつお願いいたします。
#303
○国務大臣(林義郎君) 井上議員の御質問にお答え申し上げますが、今御指摘のありましたように、平成七年度に新しい財政の目標を立てている、なかなか厳しいんじゃないか、おっしゃるとおりなかなか厳しいものでありますが、やっぱり財政が歯どめを持ってやっていかなければならない、節度を持ってやっていかなければならない、そういった目的を追求していくのが私たちの使命でもあろうかと、こう思っておるところでございますし、せっかく努力をさせていただきたい、こう思っているところでございます。
 六年度の予算につきましてもいろいろな御指摘がございました。抜本的なことを考えると、こういうふうなお話でございますが、なかなか厳しい
状況でありますし、例えば一カ月繰り上げということになりましても、実際にやりますとこれは大変な作業になるわけでございますし、大蔵省だけじゃありません、各省にわたりましてまたいろんな問題が出てくるわけでございまして、容易ならざることでございますけれども、お話しのように、いろんな点で制度の見直しその他の問題につきましては引き続き行って財政再建の方向へ努力をしてまいりたい、こう考えております。
#304
○井上裕君 一カ月というと大変なことでありますが、やはり目標を定めて概算要求を早くつくる、それが私は六年度の予算、そういうものに必要ではなかろうかと思います。
 財政問題の最後に総理にお伺いいたしたいと思います。
 この五年度予算を見てみますと、地方財政との間で一般財源化が図られ、地方の自主といいますか自立といいますか、その推進に私は行革の考え方が取り入れられておる、また財投も大変組まれている。国と地方と財投、大変これは私は新しい財政の時代、いわゆるリストラといいますか、これが進んでいるように見受けられます。
 その中で、先ほど来総理は、税制の抜本改革をしなければならない、こういうことを言われております。これは歳入面でのリストラにつながるとも思います。税制の抜本改革については、我が国のいわゆる租税負担率は諸外国に比べてまだ低いし、また先ほど申しましたように、直間比率は直接税が高く、この直接税が高いということは景気変動に左右されがちであろうと思います。
 一方で、課税の最低限は三百十九万八千円と先進国中最高の数字になっています。近い将来を展望すると、国際的にも通用する税構造に改めていく必要があるのではないか。私は税制改革の物差しというのはまさに国際化ではないか、このように考えますが、総理の御所見をお伺いいたしたいと思います。
#305
○国務大臣(宮澤喜一君) 基本的に私はおっしゃることに同意でございます。我が国は今所得税の累進構造が五段階あるのだと思いますが、六十二、三年の改正で随分縮小いたしました。しかし、イギリス、アメリカでございますと二とか玉とかいう、そういう大きな刻みでございますから、我が国がそこを五段階持っているということはいわば中所得層のところに重税感があるということになるわけでございます。それだけに、ここを軽くいたしますと非常な歳入の減りが大きい、当然そうなるわけでございますが、我が国の全体の社会構造が、だれもが中流であるというような意識を持っておりますように、そういうふうにできておりますものですから、そこのところが一番歳入が大きいし、そこのところに一種の重税感があるということだと思いますので、これはしかし簡素化するのが本当ではないか、それだけの歳入が必要であるかもしれませんが、やっぱりそれは私は本当は簡素化したい、その方が新しい世の中の流れだというふうに思っております。
 そのときにたまたま直間比率というものがあって、非常に直接税のウエートは大き過ぎるではないかと、これも六十二、三年のときに直そうといたしましたけれども、結局その後いろんな事情がありまして、今日また思ったほどには直っていないということでございますから、そういう問題もやはりやがて考えなきゃならない改正の中にある問題だろうとは思います。思いますけれども、まだまだ政府税調等々もそういう問題に取っかかっておりませんし、はっきりした姿は描けておりません。
 いずれにしても、しかしやがてもう一度大きな改正をしなきゃならないときが近く来るだろうと言われますことは私どももそう思いますので、その勉強はぼつぼつ始めていった方がいいのではないかと思っております。
#306
○井上裕君 生活大国に移らしていただきたいと思います。
 総理にお聞きしたかったわけですが、生活大国五カ年計画がことしから始まったわけであります。しかし、先ほど言ったようにいろいろなテーマがあります。その中で変革を、今まで日本のとってきた、これをやはりメスを入れる必要があろう。なかなか計画どおりはいかないと思いますが、それはやはり今までの日本の風習、あるいはいろいろな事業がありましたが、長年の国民の中にある考え方をやはり私は変えていく必要がある。これは一番大きい仕事であろうと思いますが、加えて短期的には今景気が、非常に経済環境が厳しいと、その前進も非常に厳しいと、制約を受けるわけでありますので、この生活大国に向けて総理が毅然とした態度でぜひ実行してほしい、これを要望いたしたいと思います。
 次に建設大臣、国土庁長官にお伺いいたしたいと思います。
 生活大国を実感できるというのは、私はやはり住宅政策であろう。そういう中で、今この首都圏の三大都市の地価は、おかげさまで国土庁の調べによるといろいろ鎮静化している。しかし、この間横浜の市長さん、あるいは東京都副知事、千葉県副知事、おいでいただいてお聞きしますと、まだまだやはり皆さんは、ちょうど年収の五倍以内で宅地、いわゆる住宅ができればいい。五倍というと約八百万というと四千万。これは私の住む千葉県ではやはり一時間では到底そういうところへ行けない、二時間ぐらいかかる。
 そういう中で、住宅政策に関してやはり国民の皆さんが豊かな人間像といいますか、これからまたいろいろなことをやる。そのためには住宅であろう。そういう中で、今までは宅地も広い、そして間取りも多かった。しかし、今売り出されている物件ですね、そういうものは、皆さんの考えているのと違って狭くなっている。間取りを狭めたり、あるいは宅地を狭くしたり、何か建設省、国土庁でお考えになっているのと反対に、逆方向に行っているような気がしてなりません。こういう意味で、やはり住宅政策が一番大切であろうと思いますので、その点、建設大臣、国土庁長官に御所見をお伺いいたしたいと思います。
#307
○国務大臣(中村喜四郎君) お答えをいたします。
 先生御指摘をいただきましたように、生活大国づくりのために居住水準の向上というものは非常に重要であり、そのためには持ち家が年収の五倍ぐらいで取得でき、そして適正な価格で賃貸住宅が借りられる、こういった環境が必要である、このように私たちも基本的に考えております。
 御指摘をいただきましたように、平成二年の段階でありますが、新築の分譲マンション、平均いたしますと東京、神奈川、千葉、埼玉で六十五・五平米で当時の金額で六千百二十二万円でございました。これは大体年収の八倍でありましたが、今日は、平成四年の段階で見ますると、大体分譲しているマンションの面積は六十三二二平米、価格にして五千六十六万円。これは年収の五・九倍でありますが、確かに倍率は下がったのでありますけれども、今御指摘をいただきましたように面積が狭くなっております。
 目標といたしますのは、大体七十平米ということになりますと五千六百万円でありますから大体年収の六・五倍でございますので、さらにこれを下げていくためには、低未利用地の活用あるいは市街化区域内農地の計画的な宅地化、そしてやはり住宅金融公庫の融資の改善、そして居住用財産の買いかえ特例、あるいは住宅減税、こうしたものを網羅的にやっていきませんとこれだけのものを確保することはできない、このように考えております。
 住宅政策は非常に重要だ、このように考えておりますので、御指摘をいただきましたように、生活大国づくりの目玉に住宅がなりますようにさらに努力をしていきたい、このように考えております。
#308
○国務大臣(井上孝君) 井上さんの御質問で私に関係するのは地価問題だと思います。
 御指摘のように、平成二年の秋をピークにして相当下落あるいは鎮静化しております。特に大都市地域では顕著な下落をいたしております。しかし、今も建設大臣がお答えになりましたように、
生活大国五カ年計画で目指しております勤労者世帯年収の五倍で良質の、そしてまた通勤距離もそれほど遠くない、一時間ないし一時間半と言っておりますが、そういうところに五倍の範囲内で家を求めようとするにはちょっとまだ地価が高過ぎる、こういう状況でございます。したがいまして、私どもとしては、今、建設大臣が言われました住宅を取得する能力といいますか、これは金融公庫の融資条件とかそういうものも含まれるわけであります、それから建築費の低減、そういうものとあわせて地価のさらなる下落というものを図っていかなきゃならぬと思っております。
 したがいまして、御承知のように、平成三年の一月に閣議決定いたしました総合土地政策推進要綱、これには土地取引の適正化監視、それから土地税制の活用、それから住宅宅地を供給する量をふやす、こういった総合的な土地政策をこれからも着実に実施してまいりたい、こう思っております。
#309
○井上裕君 今申し上げましたように、住宅というのはやはり満足感、充足感を国民の皆さんが味わうわけでございますので、ぜひひとつよろしくお願いいたしたいと思います。
 今一番問題になっております春闘問題につきまして、労働大臣にお伺いいたしたいと思います。
 現在、我が国経済が景気回復の兆しがなかなか見えない。しかし、景気の早期回復を図る上でGNPの約六割を占める個人消費の拡大が重要であろうと思います。そのような意味で、私としてはことしの春闘における賃金の引き上げの動向に非常に関心を持っております。これはすべての方が持っていると思います。
 現在、厳しい経済状況の中でありますが、経営状況、企業によってはあるいは賃金の支払い能力についてさまざまな企業があろうと思います。我が党の三塚政調会長も、ベースアップは景気浮揚効果があるので本気に考えてもらいたい、こういう発言をしております。私としても、春闘に当たりまして、景気の早期回復を図るためにも企業は個々の経営状況に応じてできるだけのベースアップをやってあげたい、このように考えますが、村上労働大臣の御所見をお願いいたします。
#310
○国務大臣(村上正邦君) 各界の方々がさまざまな意見を言われておられますことは十分私も拝聴いたして、これも経済の現状に憂慮されての御発言だと、こう思っております。
 今のお答えになりますが、賃上げについて、春闘でございますが、これは労使が自主的に交渉して決定するということが原則でありまして、これはもう言わなくたってわかっていると、こういうことでございますが、しかし、これからやはり一歩も踏み出せないのが悲しい労働省の立場でございますが、あえて井上理事の御質問でございますので言わせていただけるとすれば、今おっしゃられましたように、支払い能力を持っている企業は私はそういう方向でおやりになればよろしい、しかし一方においてはやっぱり雇用ということも十分お考えいただきたい、これが精いっぱいのお答えなのかなと、こう思っております。
 いずれにいたしましても、労使においてどうすれば経済の安定成長を確保し国民生活の向上を図れるのかという大局的見地から、労使の成熟した関係において妥当な解決が図られるものだと信じております。
#311
○井上裕君 大変前向きの答弁をいただいて、これはやはり見ている方々は非常に喜んでいる方もいらっしゃると思います。
 もう一点伺いますが、生活の潤い、ゆとり、あるいはまた余暇という問題は国民の大きな関心事であります。生活大国を推進していくためにはまさに重要であります。戦後の復興からとにかく働きに働いてきた日本人だと。二宮尊徳のお話が出ていろいろな話がありましたが、私もあの件につきましてはまさに同感で、その努力が今日のいわゆる経済大国、人のうらやむ経済大国をつくった。しかし、今度はその成果の上に立って、欧米諸国に見るようなゆとりの時間を確保していく、そして仕事だけでなく、趣味やあるいはボランティア活動、そういうものを通した生活を取り戻すことが必要であります。
 そこで、労働時間の短縮がかぎとなるわけですが、中小企業の一つ例をとりますと、まずやはり時間短縮をしていただきたい。これはやはり、中小企業は先ほど申しましたように景気に左右されたりあるいは親会社の問題があったりする。しかし、この事業者総数は実に九九%、従業員は八一%、そしてまたいわゆる流通機構で言いますと卸業の六二%、小売は七八%が中小企業、こういう中で、やはりこの時間短縮という問題が中小企業の方々には大変な問題であろうと思います。
 中小企業で時間短縮が進まない、これでは真にゆとりのある国民生活とは私は言えないと思います。どうかひとつ勇断な労働大臣、中小企業の時間短縮支援策をいろいろお持ちであろうと思いますが、この委員会でぜひひとつ御発言をお願いしたい、前向きでひとつ御答弁をお願いしたい。
#312
○国務大臣(村上正邦君) 二宮尊徳大臣と言われておりますが、今日の我が国の経済的発展は、長い間に培われてきた国民の勤勉、実直、すぐれた創意工夫、そして働くことをとうとぶ精神に支えられてまいりましたことは言うまでもございません。私は、こうした日本人の持つ伝統的な価値観を大切にしつつ労働時間の短縮を推進していきたい、こう考えております。
 労働時間の短縮は、働く人々がゆとりと豊かさを実感できる時間的余裕を持ち、家族とのコミュニケーションや健康の維持等により心身を健全にし能率を上げてよりよい仕事をするための重大な課題であり、内閣の掲げる生活大国実現のための大きな柱である、まずこうした認識に立って、生活大国生活大国と言われておりますが、先ほどからもお話ございますが、本当に今住まいというものと時という、時間ですね、この二つの問題がやはりまだまだ大きな課題としてあると思っております。
 衣食足りて礼節を知るという衣食はどうやらそれなりの水準に来ていると私はこう思って、私が担当いたしますこの時間ということにつきまして、ちょうど思い出すのでありますが、チャップリンのあのモダンタイムス、あれを見ますと本当に今日の日本を警鐘した映画ではなかったのかなと。時間に追われてせかせかとしている。これじゃちょっとやっぱり生活大国にほど遠いと、ゆとりを持つ時間が何よりも生活大国づくりには大切だと、こう思っております。
 中小企業の労働時間の短縮は、先生御指摘のとおり、親会社からの発注や景気の動向に左右される面が大きく、中小企業に対する指導、援助を充実していくことが重要であると考えます。このため、労働省といたしましては、労働時間の短縮に向けて国及び労使が取り組むべき方策を示した労働時間短縮推進計画に基づき発注方法の改善など取引慣行の是正のための啓蒙指導を行うとともに、親企業を含む企業系列別の集団的な取り組みも促し、適切な納期の設定などについての申し合わせを行わせてまいりたい、こう思います。
 また、先日この国会に提出いたしました労働基準法等の改正案により、労働時間の短縮に取り組む中小企業に対する助成制度をつくることとしております。今後はそうした助成制度の活用を図るなど労働時間の短縮に対する支援に全力を挙げて取り組んでまいりたい、こう思っております。
#313
○井上裕君 大変前向きの御答弁いただきましてありがとうございました。
 引き続きまして社会保障、年金の一本化、厚生大臣にお伺いいたします。
 厚生大臣はかつて厚生政務次官、党の社会部会長、社会労働委員長、厚生大臣、言うなれば福祉行政のエキスパートでありますから、私ども大いに期待しているわけでございますので、ぜひひとつこの問題を解決していただきたいと思います。
 年金問題ですが、昭和三十六年国民年金法、これで国民皆年全体制ができて今日に至っているわけですが、いろいろな課題を持ちながらも三十年経過した。これには我が党初め政府の並み並みならぬ努力があったわけでありますが、ただし、こ
の公的年金制度は、三種そして七制度に分立して、制度間の成熟度合いや産業構造あるいはまた社会構造の変化に伴う制度、財政基盤の不安定な問題が次第に大きくなっております。これは御案内のとおりであります。
 厚生大臣は今後の公的年金制度をどう考えておられるか。また、制度間格差という問題で言いますと、例えば鉄道共済は制度の発足が早かった、それで高齢化が非常に進んでいる。合理化、民営化による要員削減などで非常に年金財政が悪化を余儀なくされております。各年金から拠出を受けているわけですが、御自分たちも自助努力をしております。しかし、非常にこれはやはり若い人たちの高い負担となっている。公務員共済が援助している必要性を認めながらも、いろいろ皆さんにも鉄道共済にうんと納めるんだというように不満が充満している。結局、旧来の年金システムを前提に継ぎはぎ的にやろうとしてもこれはもう限界である、年金の制度一本化の方向はこれは緊急課題であろうと思いますが、厚生大臣の御所見を賜りたいと思います。
#314
○国務大臣(丹羽雄哉君) 専門家の井上先生から激励を賜りまして恐縮でございます。
 御案内のように、公的年金制度というのはいわゆる世代間の支え合いを原則といたしておるわけでございます。高齢化社会におきまして、産業構造あるいは就業構造の変化に耐え得るような長期的に安定した年金制度の確立というものをまず目指していかなければならない、こう考えております。
 現在、年金審議会の方で御検討を賜っておるわけでございますけれども、この国会におきましても、当面の課題でございます先生御指摘の鉄道共済の問題を中心にいたしまして平成五年度、六年度、いわゆる暫定的な措置として制度間調整法というのをお願いいたしておるわけでございます。
 これを踏まえまして、平成七年には年金の一元化を図っていかなければならない、こう考えておるわけでございますけれども、私自身の考え方といたしましては、とにかくまず第一に言えますことは負担と給付、この公平化を図っていくということである。それからもう一つ、いわゆる官民間の格差、これを是正しなければ国民の皆さん方から支持を得ることができないのではないか。こういうことを念頭に置きながら、ひとつ国民の皆さん方にわかりやすい形のすっきりした、しかも長期的、安定的な年金制度の一元化を図っていく決意でございます。
#315
○井上裕君 この年金問題は、大変大切なことでございまして、私はこれは総理にぜひお伺いしたいと思います。
 この公的年金の一元化は、今、私、厚生大臣にお聞きいたしましたようにどうしても避けられない。これは後送りはできません。昭和五十九年の閣議決定で、平成七年を目途に公的年金の一元化を完了させる、こういうことが決められているわけです。あと二年しかありません。また、高齢化社会を目前にいたしまして、他方では子供の少ない状況が進み、このまま適切な対策なしに行きますと大変なことになります。
 公的年金一元化による公的負担を確保するためには、私は、この際、年金庁あるいは年金省、こういうものを行政改革のスクラップ・アンド・ビルドの考え方でひとつ新設することが必要ではなかろうかと。現在、三種七制度のために年金を取り扱う役所は大蔵、文部、厚生、農林、自治と、これは五つある。その中で、そこに働いている方々も百名を超しております。これは、行政改革にもなることでずし、事務部門の大きな統廃合になります。
 総理、ひとつ行革のこれは大きな私は目玉にしていただきたい、高齢化社会の対応にいわゆる行革とタイアップしてひとつぜひ実現をしていただきたい。総理にお答えをいただきたいと思います。
#316
○国務大臣(宮澤喜一君) 御指摘の点はよく理解のできるところでございますけれども、我が国の公的年金制度が沿革的には職域ごとにおのおの発展をしてまいっていまして、そういう状況で井上委員の今言われますような将来を迎えているわけですが、ですから公的年金制度の全体としての改革をどうするか、政府部内で年金担当大臣というのを指名しておりまして、そして基礎年金をどういうふうに導入するか、あるいは制度間の調整をどうするかというようなことをずっとやってきて今日に及んでおります。
 平成七年を目途に公的年金制度の一元化という問題がございますが、今一応こういう体制で進めていきまして、そして最後にどういうふうにするかということを考えていったらいかがかと思っております。
#317
○井上裕君 ちょっと総理の前向きの御答弁をいただきたかったんですが、今申し上げましたように、年金の各役所をどうしてもやはり一本化した方がいいんじゃないか、そういうことを私営に思っておりましたので、この際ぜひお願いをいたしたいと思います。
 次に、医療保険の一元化で御質問をしたいと思います。
 年金問題同様、医療保険も厳しい試練を迎えているわけですが、厚生大臣に三点ほどお伺いいたしたいと思います。
 第一点は、平成三年度の保険で支払った医療費の総額は実に十九兆三千億、保険や医療費に対する国の助成も平成五年度予算では五兆五千億を組んでおります。これは文部省の一般会計予算よりも大きいわけです。一般会計の予算の七・七%を占めている。健康に対する欲求の広がりの中で、これはやむを得ないことであろうと思います。今後も増加していくであろうこの医療費負担、これを国民に納得してもらわなければなりません。我が国のこの医療保険制度の将来像をまず厚生大臣はどのようにお考えになっているか。
 さらにまた、一人当たりの医療費の伸びでは老人保健が六十万四千円と突出いたしております。また医療費の増加率は国民健康保険が六・五%と、これも一番高くなっております。この老人保健については、加入者の按分率による各保険者の拠出金制度によって財源を確保しておりますが、今後の老人人口の増加とそれに伴う医療費の増高を推測するともう少し国民の一人一人に理解しやすい財源確保が私は必要ではないか、このように思います。
 第三点は、御案内のように、過疎地域では高齢者が既に二五ないし三〇%、働く若い方々は町や村を離れております。どうしても保険料収入は減る一方であり、残された老人は病気がちであります。医療費の支払いが増大するという関係団体が非常にふえている。今後この状況が全国に広がり、地域の国保の組合財政、これが赤字化することは老後に不安が高まることになり、生活大国を目指す宮澤内閣としてそれでいいというわけにはまいりません。
 この三点につきまして、厚生大臣の御所見をお伺いいたします。
#318
○国務大臣(丹羽雄哉君) まず、先生の第一点でございますけれども、今後の医療のあり方でございますが、別な見方から考えますると、我が国の医療費は今二十三兆円になりまして、年間四、五%の伸びをいたしておるわけでございます。課題といたしましては、本格的な高齢化社会、特に二十一世紀におきましては六十五歳以上のお年寄りが四人に一人になる、こういう時代を迎えるわけでございますけれども、本格的な高齢化社会においても、いわゆる良質な医療を享受できるとともに国民の皆さん方にはなるべく過大な負担を避けていかなければならない、こういうスタンスに立っておるわけでございます。
 今この問題につきましては実は医療保険審議会において御議論をいただいておるわけでございますけれども、私といたしましては、いわゆる保険給付の範囲の問題、それから内容はどうしたらいいか、それから高齢者の医療と福祉のサービス、こういった問題についてひとつ国民の皆さん方の合意を得ながら進めていきたい、このように考えているような次第でございます。
 それから、第二点の問題でございますけれども、いわゆる老人医療でございますけれども、今私は二十三兆円と申し上げましたけれども、国民医療が二十三兆円でございまして、そのうち老人医療の占める割合はそのおよそ三分の一弱の七兆円にも達しておる。大変もうこれも大きな問題でございます。
 その財源でございますけれども、いわゆるお年寄りに負担をしていただいております一部負担というのは三・九%でございまして、それを除いた部分を各保険者から拠出していただく、そしてまた公費で負担をする、こういうことで、七対三でありますけれども、実はこういうことになっておるわけでございます。安定的な財源を確保する、こういう観点から、基本的にはこのシステムというものを守っていかなければならないわけでございますけれども、先生が御指摘ありましたように、これからますます高齢化社会がやってくるわけでございますので、この点につきましても国民の皆さん方の合意を得ながらどうあるべきかということを真剣に議論していかなければならない、こう考えておるような次第でございます。
 それから第三点目は、いわゆる国保の問題だと思います。過疎地域における国保の問題でございますけれども、御案内のように、これはもう本当に保険制度の中で一番大きな課題となっておるわけでございます。高齢者や低所得者を多く抱えておるということでございますので、財政基盤がどうしても脆弱でございます。こういう構造的な問題を抱えておるわけでございます。
 そういう中で、今国会におきましては、国保財政の安定化と保険料負担の平準化を図っていく、こういうような観点から法律改正をお願いいたしておるところでございますけれども、国民健康保険では、医療費を市町村ベースで見ますると、医療費の格差というのが実は九倍ぐらいになるんですね。大変な開きがあるわけでございますし、また保険料から見ましても七倍ぐらいの開きがある。やはり、何といいますか、この均一化というものを図っていかなければならないと思っております。
 いずれにいたしましても、構造的ないろんな問題を抱えて今まで私どもはこの国保について一つ一つ解決をしてきておるわけでございますけれども、今後とも、今お願いをいたしております医療審議会の場を通じまして、国民の皆さん方の御理解を得ながら、ひとつこの一元化の上にはこの国保の問題を解決しないと、周辺整備をしないと進まないわけでございますので、そういった観点に立って鋭意進めていく決意でございます。
#319
○井上裕君 この問題も総理にお伺いしたいと思うんですが、今、厚生大臣が申されました。やはり先ほどの鉄道共済と同じように、ここは国保が大変大変だと、こういうことで共済や組合保険、そういう方々から拠出をいただいているわけですが、やはり差し出す方はなかなか大変だと。こういう中で医療保険の一本化というものも、先ほどの年金同様、継ぎはぎの財源ということでなく、財源確保という意味でぜひひとつお願いをいたしたい。
 共済あるいは政管健保そして国保、さらにまた組合健保、船員保険、これがやはり分立している状況を一元化する、こういうことは政府も六十年代後半にやろうということを約束してくれているわけで、ことしはまさに一九九三年、平成五年、昭和六十八年ですから、六十年後半です。この問題、そしてまた党としても、三師会、日本医師会、歯科医師会、薬剤師会と、これは必ず医療保険の一本化、統合をいたしますということを約束しておりますので、この点まだ全然進捗状況が見られません、ぜひひとつ総理の御所見をお伺いいたしたいと思います。
#320
○国務大臣(宮澤喜一君) これは大変難しい問題のように承知をいたしております。
 昭和五十九年でございましたか、自民党と医師会等とのお話がございましたときに、五年後には統合一本化をしようというふうにお話をした時代もございました。しかし、なかなかそれが簡単にいきませんで、自民党の医療問題調査会などでは当面は地域保険と職域保険に加えて老人保健制度を考える、給付と負担の公平化をしようというようなことで一本化というようなことがそのときに、いわばかつての医師会とのお話とちょっと後退したと申しますか、いろいろ問題が難しかったからでございますけれども、ございました。
 したがって、どうも私この問題について十分こうあるべきだというほどの知識を持っておりませんけれども、過去のいきさつは存じております。やはり保険審議会等々でいろいろ検討していただく、そうしてその審議状況を踏まえながら、給付と負担の公平化が図られるにはどうすればいいかということを考えていくべきではないかと思っております。
#321
○井上裕君 生活大国という看板を掲げたわけですので、ぜひひとつお願いをいたしたいと思います。
 一応、私の生活大国の質問を終わりまして、ここで上杉君に関連質問をお願いいたしたいと思います。
#322
○委員長(遠藤要君) 関連質疑を許します。上杉光弘君。
#323
○上杉光弘君 まず、総理にお尋ねをいたします。
 戦後の目覚ましい経済発展によりまして、我が国は世界有数の豊かな国になりました。しかしながら国民は、生活の現場でその豊かさやゆとりを実感として満足のいくものとして感じておりません。このことは国政の上からも大変重要な課題であると私は認識をいたしておるわけでございます。
 なぜそうなっておるか。いろいろ理由がございますが、まず一つは日本は狭い島国でございます。そして、都市と言われる地域は全体の国土面積の数%、五%以下でございます。そこに八〇%を超えるほとんどの国民が居住をしている。また、地方においては広い八〇%、九〇%以上の国土に二割以下の国民が居住しておる。ここに大きな問題があり、また、この居住区分というのはある意味では日本独特なものでございますし、このことがひいては大変な問題を投げかけておる。いわゆる国民の居住区分というのは発展途上国的であるといっても私は差し支えないと思うわけでございます。
 そのような問題で、都市部におきましては人口の密集のために土地問題や住宅問題、ごみ処理問題や水不足問題、通勤問題や交通問題等の人口の過密に伴う弊害というものが深刻になっておる。またその一方、地方においては中山間地域では人口が急激に減少し高齢化が進み、地域の担い手の不足は目に余るものがある。このことが活力の低下等にますます深刻な問題を投げかけておると言っても過言ではありません。
 これらの地域の衰退により、国土保全や環境保全機能の減退も極めて重要な問題として憂慮されておるところでございます。また、そのような機能の低下によって莫大な財政負担を求められる国になってしまったということも言えるわけであります。言うまでもなく、国家存立の基盤を損なわれておる。国家社会的に言えば、国土保全はまさに国家存立の基盤をなすものでございまして、さような意味から国家にとっても重大な問題であると私は思うわけでございます。
 また、よく私どもは議論することでございますが、都市は市街地として独立しているように受けとめられておりますが、決して都市は独立をしておりません。都市は自己完結できるものではなく、都市の健全なる存立の維持というものは、農山漁村、農林漁業との共存によって初めて可能であると私は受けとめておるわけでございます。
 そこで、総理にお伺いをしたいのは、人間の健康を保つ一つの方法として古来から言われておることに頭寒足熱という言葉があります。すなわち、頭は冷え冷えとして足はぽかぽかという状態を保つことが人間の健康でございます。ところが我が国は、それと国のあり方と並べて考えるわけにはまいりませんが、東京には人も物も金も情報
も集まって、もやもやとしてぽかぽかした状態が頭の状態、地方は血のめぐりが悪くなって冷え冷えとしておるというのがまさに国の実態でありまして、さような意味から日本の国の健康診断を総理にまずしていただきたい。どのような問題があるのか、お尋ねをいたす次第でございます。
#324
○国務大臣(宮澤喜一君) 戦後、何度か全国総合開発計画というものがつくられました。新全総、三全総、四全総、そのほとんどが東京における人口、経済活動の集中を何とかして排除したい、分散したいということを目的としてまいりましたけれども、例えば昔で申しますならば新産都市というようなことで産業の配置を、産業側のニーズもございましたけれども、地方にしていくならばそれなりの分散ができるのではないかというようなこともいたしました。ある程度の成功はおさめましたけれども、どうもねらったような意味の成功でない。別の効果がむしろあったのかもしれないと思われますが、それからあと、やはりこれは交通と通信のネットワークを形成するのが一番効率的ではないかと考えられたときもあります。
 それから、もっと最近になりますと、むしろこれは首都圏そのものの移転を考えることがいいのではないかというような議論もあって、押しなべまして今上杉委員の言われますような頭寒足熱ではない。いろいろやってみてもなかなか集中の排除ができない、努力は続けられておるがというようなことを繰り返してきたように思います。
 そういう何遍かの全国総合開発計画、四つになりますでしょうか、見ていますと、やはり一番効果のあったのは端的に申しまして新幹線であるとか高速道路であるとかあるいは通信網であるとか、そういうものがやっぱり比較的分散には役に立ったというのが私は偽らざる事実であったのではないかと思います。その間にまた国際化ということが入ってまいりましたので、せっかく分散しようとした東京の機能が逆に大きくなってしまったというようなこともございまして、今日までの分散の努力というのは成功したとは私は申しがたいというふうに思っております。
 しかし、例えば地方の中核都市をつくろうとか、あるいはもっと申しますなら、ふるさと創生運動であるとか地方においてのそういう意識は非常に強くなってきておるわけですけれども、なかなかそれを十分に政策で誘導し切れていないというのが言ってみれば今の姿ではないかと思います。
#325
○上杉光弘君 総理のただいまの答えで私法して満足はいかないのでありますが、先に進みたいと思います。
 国土庁長官と農林水産大臣にお尋ねをいたします。
 我が国は、国の成り立ちが極めて世界の中では独特でございます。火山国で島国でございまして、海が四面を取り巻いている。しかも、火山国でありますから山が急峻であります。山が急峻でありますがゆえに谷のひだがいっぱいあって、川が大変多い国でございます。また、亜熱帯地域に位置しておりますから世界の降雨量の平均の二倍の雨が降るという特殊な事情もございます。火山国でありますから覆っております表土は火山灰土であります。水分を含めばすぐ土砂崩れを起こすという土質を持っておるわけであります。
 そのような狭い国に一億以上の国民がひしめいておるわけでございますが、それは都市部に限って、地方ではまだ過疎がどんどん進んでおる。自治省を中心に過疎対策に数十兆の金がつぎ込まれたけれども、過疎はまだとまっておりません。このような状態を放置すれば、国政の基本が損なわれかねないという私は危機感を持つものでございます。
 さような意味で、国家社会にとって地方が果たしておる役割あるいは農林漁業が果たしておる役割、これらは定性的な評価あるいは定性的な理解はあってもこれが定量的な理解や評価につながっていない、このことに私は大変問題意識を持つものでございます。
 さような意味で、何としても国家社会の中における地方が果たしておる役割並びに農林漁業が果たしておる役割、これらのものは、多面的な機能と役割を持っておるわけでありますが、これを計量的に政策的な方向づけをして、定性的評価から定量的評価に私は評価がえをするように、そのことがまた国民に正しく理解、評価される政策を持つべきだと、こう思っておるわけでございまして、このような軽量化政策にとりまして国土庁長官、農林水産大臣のお考えはいかがなものか、お尋ねをいたします。
#326
○国務大臣(井上孝君) 上杉さん、かねてより農山村問題について非常に造詣がお深い上にいろいろと勉強なすっておることを知っておりますが、私はそちらの方は余り強い方じゃございません。かねてより敬意を表しておる次第でございます。
 ただいま御指摘のように、農山漁村が国土の保全あるいは環境の維持というものについて果たしておる役割は、目に見えないけれども本当に大変な重要性があると思っております。水資源、大気の保持、涵養、土砂流出、土壌浸食の防止等、非常に大きな役割を果たしているにもかかわらず、過疎化現象、人口の流出、地域の荒廃というような状況に襲われておることは私も承知をいたしております。
 したがいまして、上杉さんおっしゃるように、従来そういった定性的な意見といいますか、ことは言われておるけれども、これを定量的にできないかということでございます。私も国土庁の職員にそのことを伝えましたところ、従来農林省等でそういう努力をある程度なすっておるようでございますが、今のところまだ確立した方法がないと、こういうことでございますので、これから研究をするように、こう申しております。
 御承知のように、国土庁には農林省、通産省、建設省、運輸省、自治省というようなところから大変優秀な職員がたくさん来ておりますので、その中で十分勉強をさせまして、先生のおっしゃるような定量的な把握が何かの方法でできないかということに努力をしてまいりたいと思います。
 いずれにいたしましても、そういった農山漁村地域が我が国の存立のために非常に重要な役割を果たしておるということは事実でございますので、そういった地域が荒廃しないように、定住化あるいは活性化のために従来とってまいりましたいろいろな施策を強化してまいると同時に、四全総に従って東京一極集中を排除し、そして多極分散の地域をつくる、その中で農山漁村を重要な一つの地域として取り上げていこう、こういうことで今後も進めてまいりたいと思っております。
#327
○国務大臣(田名部匡省君) お答え申し上げますが、今、国土庁長官からもお話がありましたように、あるいは委員からもお話がありましたが、確かに急峻な国土で雨量が多いということで、この国土保全という立場からあるいは環境を守るという立場から、大変重要だというふうに私も認識しております。
 常に、私もお伺いして思うんですが、幅広い国土政策のようなものが日本の場合にはしっかりしていなかったのではないか。例えばヨーロッパの方を見ますと、パリにしてもロンドンにしても日本のような高層ビルというのはない。それは都市に人口を集中させない、ある一定のキャパシティーを守るという政策がきちっとしておったんだろうと。そのために、余り過度に集中してきますと、損益分岐点といいますか、そういうもので都市が物すごく金がかかる、それを防ぎたいということでデカップリングのようなものが発達して、そして地方で頑張る、農村で頑張る人にはこれだけの補償をするということになったんだろうと思うんですが、残念ながら我が国はそういう政策がとられてこなかったということはあると思うんです。
 しかし、今お話しのように、洪水を防止するとか水資源というのは、海に囲まれておりますからこれは大事なことなんですね。これがなくなったら大変なことになるということからすると、本当にこの農山村というのは非常に大事でありますし、今緑豊かなと、都市と農村の交流と、例えば
都会で定年になった人は田舎に帰って農業をやると、もう人生八十代の時代ですから、ですからそういう農業にいかにして切りかえて所得を上げるか、そのお年寄りの人たちがやる農業というものはどういうふうにやればいいかといういろんな工夫というのは必要だと私は思うんです。そういう中で国土を守っていくということの政策をとらなければ、農村は活性化もしないしだんだん荒れていくということにつながっていくだろう、そう思います。
 今、計量的な評価手法というものを確立して、ヘドニックだと幾らだということをやっておりますけれども、その機能の適切な維持のあり方について幅広く国民の理解を受けるということに努めておりまして、今後ともこれらの公益的機能の評価について幅広く各省力を合わせて調査検討を進めるとともに、その成果をPRしていきたいというふうに考えております。
 都市に投資をし過ぎた嫌い、またせざるを得なかったという事情もわかりますけれども、農山漁村に投資が大変おくれたということは私も大変反省をしておるところであります。
#328
○上杉光弘君 次は、文部大臣にお尋ねをいたします。
 今、国土庁長官も農水大臣も、前向きに研究しまたこれの取り組みをさらに強めて各省とも連携をとっていくという御答弁をいただきましたが、さらに強く進めていただきたいと思います。
 このような農山漁村、農林漁業が持つ多面的な機能と役割については、必ずしも国民の上に正しく理解、評価されていないというのが現実でございます。これをどうさせるかは、文部省の所管であります国民教育をつかさどっておられる大臣の判断や行政の取り組みが極めて重要だと思います。さような意味で、学校教育や社会教育等でどう取り組まれておるのか。
 例えば、日本学術会議がこの我が国の国土や環境保全機能としての農業の役割をこう説明いたしておるわけであります。
  農業によって適切に管理されている水田・畑・森林などは、食料や木材生産のみならず、@大気組成の改善、大気浄化、気温緩和、騒音防止などの大気環境調節機能、A水資源の涵養、地下水維持、水質浄化、洪水制御などの水環境・水資源保全機能、B土壌の風食・水食の防止、汚染物の分解・浄化、土砂災害の防止など土地の保全機能、C緑豊かな自然環境と景観を維持し、心豊かな生活を保障する機能及びD野生の動・植物など多くの生物資源を保全し、動・植物の生態系を維持する生物環境・資源全機能など、国民生活の基盤を確保する多くの機能を有している。
こう定義づけておるわけであります。
 さようなこと等を国民に正しく理解させ、また地方が果たしておる役割や農林漁業が果たしておる役割を国民に理解せしむることは私は当然の文部省の役割だと思いますが、大臣の所感をお聞きいたします。
#329
○国務大臣(森山眞弓君) 上杉先生がおっしゃいますように、農山漁村が国土の保全や環境保全などに果たしております多面的な機能と役割について正しい理解を持ってもらう、それを広めていくということは大変大切なことだと思います。
 このため、まず学校教育におきましては、子供たちの発達段階に応じまして社会科を中心にして指導することといたしております。例えば小学校第五学年の社会科におきましては、国土の保全や水資源の涵養などのために森林資源が大切であるということについて指導いたしますとともに、ここに私たまたま教科書の一つの例を持ってきておりますが、この教科書などにおきましても、森林には土砂崩れなどの自然災害を防ぐとか水を蓄えておく力があり、大切な水資源を守るとか空気をきれいにしたり気候を和らげたりする動きがあるということを記述されておりまして、これはある一つの村、和歌山県の例が出ておりますが、その村を訪ねて農山村の国土全体に対するよい機能というものをいろいろと例示して説明いたして、わかりやすく教えているのでございます。
 中高等学校におきましても、小学校教育の上に立ちまして、広い視野から農林業等について指導しておりますことは申し上げるまでもございません。
 また、社会教育におきましては、豊かな地域づくりの観点から、公民館などにおきます青少年などを対象とした学級、講座などにおきまして、郷土の歴史あるいは文化あるいは産業などに関する学習などが地域の実情に応じてさまざまな形で実施されておりまして、文部省においてはこれらの事業の奨励に努めているところでございます。
 平成元年に改訂いたしました学習指導要領、その以前は確かに仰せのとおり、多少その点について不十分な点があったかと思いますが、現在使っております学習指導要領においては特にその点に力を入れて指導しておりますことを御報告いたします。
#330
○上杉光弘君 ただいま丁寧な御答弁を文部大臣からいただきましたが、私はこれらのことを国民に正しく理解、評価させるために決して十分だとは思っておりません。さらに積極的な進め方をお願いしたいと思います。
 次は、建設大臣、農林水産大臣にお尋ねをいたします。
 例えば、建設省が言います治水関係の整備の方針でございますが、現状から見ますと、現在の治水施設の整備状況は、はんらん区域のうち時間雨量五十ミリメートル相当の降雨による洪水が守られている割合が平成三年度末で四五%、半分以下でございます。依然として低く、過去十年間で約八割に及ぶ市町村が家屋浸水などの被害を受けておるとともに、ほぼ毎年どこかで取水制限が強いられるような渇水も発生しておる、裏腹の問題もある、こう言っておるわけであります。
 さような意味で、国土保全の中心的な長期事業、長期計画というのはわが国に幾つかありますが、長期計画で治水事業五カ年計画がございます。この投資の推移を見てみましても、前回計画の第七次十四兆四千七百億円から第八次では二十兆二千六百億円とウナギ登りになっております。これは、農山村における自然の持っておる保水機能、この国土の表面には保水貯水機能があります。そしてだんだん深くなって一メーター、二メーターになると深層保水機能というのが自然にある。樹木にもまた保水機能がある。その機能が低下しておるという日本学術会議も指摘をしておるわけでございますが、これはまさに農山漁村の問題ではなくて国家の問題として国土保全機能が低下している証拠であると考えるわけでございます。
 さような意味で、このことに対する建設大臣、農林水産大臣の御認識を伺いたいと思いますが、その前に私は一つだけ申し上げたいことがございます。
 これは、どう見ましても私は公共投資が都市部に集中しておるという認識を持っておるわけであります。そのことが存在する限り、中央と地方の格差是正はできない、私はこう思っておるわけでありまして、公共投資等の見直しは、当然、財政需要等を伴う問題で国の基本にかかわる問題でありますが、これは検討していただきたいというのが率直な気持ちでもございます。
 そのような意味から私が問題としたいのは、こうした過疎過密による問題がある中において、都市と地方農山漁村との間に社会資本の整備の格差がある、スポーツや文化的生活環境の格差がある、医療・福祉条件の格差がある、所得水準の格差がある、教育問題に関する環境の格差がある、就業機会等の格差もある。このように中央と地方の格差には、人間生活、国民生活の基本とも言われる問題の中にどうにもしがたい格差があるということを我々は十分受けとめておるわけでございまして、大変な格差がここには存在をしておる。いかに四全総で均衡ある国土の開発ということをうたいとげてみても、それに伴う財政問題や公共事業等のあり方というものが見直されなければそうはならないわけでありまして、私はそのような
意味で地方に定住を促進するならば公共事業の見一直しは当然の問題と受けとめておるわけでございます。
 そのような意味におきまして、自治省がまとめておる都道府県の公共投資に関する統計によりますと、平成二年度の実績で、東京都で国の総投資額に占める比率は一二・〇%、以下、北海道の六・二%は別といたしまして、神奈川県五・七%、大阪府五・六%、兵庫県四・五%、愛知県四・四%の順になっておるわけでございます。投資額の低い順に言えば、鳥取県の〇・六%、和歌山県の〇・八%、山梨県〇・八%、徳島県〇・八%、香川県〇・八%となっており、私の地元は一・〇%で下から数えて十番目でございます。
 このような実態というものを私どもが一つ一つ検討していきますと、どうしても公共投資の大都市部への集中はこれは明らかである。もちろん、そこに住まっておる住民の数あるいは土地の価格の問題、いろいろ違いがありますから一概にこの問題がそうだということではないにいたしましても、これらのことを考えますとどうしても納得がいかない。今後の二十一世紀に向かっての我が国の国づくりという基本課題に私どもが真剣に国政の場で取り組むとすれば、この問題は極めて重大な問題であります。
 さような意味で、大蔵大臣、自治大臣に対しましても、公共投資のあり方について所感をお伺いいたしたいと思います。
#331
○国務大臣(中村喜四郎君) お答えをいたします。
 先生御指摘をいただきました農山村の水質保全問題について、我が国の治水事業、第八次治水五カ年計画二十兆二千六百億円のこの規模が伸びてきたことについての御指摘をいただきましたが、我が国は、先生御指摘をいただきましたように、地形が急峻でございまして、今はんらん区域に住んでいらっしゃる方が国民の四九%おります。そして財産の七五%がそこにあるわけでございます。
 そして少し具体的にお話をいたしますと、現在大河川におきまして戦後最大の水害に耐えられる状況になっているところは六二%でございますが、この五カ年計画で六九%に伸ばそうと、中小河川は、先生御指摘をいただきましたように、時間雨量で五十ミリ、これで現在三五%でございますが、四三%まで伸ばしていこう、そうして大小河川を平均いたしまして現在の四五%から五三%まで伸ばしていこうという計画を立てているわけでございます。
 先生からお話をいただきました農地あるいは森林の保全、こうしたことによって国土保全を進めていくということは建設省としても全く同感でございます。これから圃場整備事業、かんがい排水事業、こういった問題と整合性を図りつつ治水事業を進めていかなければならないと考えておりますが、いずれにいたしましても、関係市町村と地域計画と農林部局と整合性を図りながら治水事業を進めていかなければならないと、このように考えております。
 そしてもう一点は、公共事業が中央に偏っているではないか、こういう御指摘もございましたが、確かに東京、神奈川、千葉、埼玉、この一都三県に三千二百万人の人が住んでいるわけでございます。そういった面で、ややもすればそのような傾向が今まであったわけでありますが、これから建設省といたしましても、道路、河川、公園、こういったものができるだけ地方に充実できるようにしていくことがやはり中央と地方との格差を是正していくために必要な公共事業の配分の基本的な姿勢だと、このように考えておりますので、御指摘をいただいた趣旨を体して事業を進めていきたい、このように考えております。
#332
○国務大臣(田名部匡省君) お答え申し上げます。
 本当におっしゃるとおりだと私は思うんですね。もう全く私はそう考えております。ですから、例えば県民所得の低い順とか過疎の進んでいるところ、これをどうやって定着定住させるかということが大事なことなんですね。ややもすると、先ほどもお答えしたんですが、都市に便利さを求めてみんな集まってきてその対策に追われているというのがもう実態なんでして、どうやって地方を、今申し上げたように生産も上がる、あるいは所得も上がる、あるいは社会資本を充実する、そういうことをやっていかない限りは、これは歯どめは私はきかぬだろうと思うんです。
 情報の話、先ほど通産大臣もお話あったんですけれども、私は、農村なんかを活性化するには情報というものをもう少し提供できる機関があれば、本当に農家は生産性を上げるために、もう相当の権威者の人がどういうことをどうやればいいかというようなことを、全部、化学肥料を使わない農業はこうやればいいとか、その土地土地、場所によっても全部違いますから、防除体制も違う、そういうものがいながらにして情報が得られる。若い人たちもそういう情報を受けながら、パソコンやファクシミリ、意欲を持ってやる企業的な感覚ということで去年の米価のときに予算を算定しましたので、そういうこと等をやりながらやれる農業、そんなことを考えてみると、本当にあらゆる面で整備充実を図っていかなきゃならぬなと。
 よく担い手がいないいないと言われますけれども、これはもう出生率が低下している限りにおいては急に望めることでもないし、その役割役割を分担しながらお年寄りが十分やれる、そしてさっき言ったように若い人は定年になったら帰ってきて農業の跡を継ぐ、あるいは孫が継ぐ、そういう体制というものをちゃんとつくりながらやったら、私は、この機械化が進んだ今日、お年寄りだって十分やれるし、むしろその人たちがいい農業をやるという面だってあるわけですから、そういうことを考えながら、おっしゃるとおり私どももやっていかなきゃならぬ。
 特に、治山事業も随分伸ばしました。これは近年、市街地とか集落がだんだん山に寄ってきているものですから、そういうことを踏まえると山地災害が多発傾向にあるところに手を入れていかなきゃならぬということで、今一生懸命やっております。
 また、おっしゃるように緑豊かな生活環境、そういうものも進めていきたい、全体として潤いのある農村をつくっていこう、住んでみたいという農村をつくりたい。私はスイスの農村というのは夢でありまして、そんな環境を農村につくって農民に喜んでやってもらえるような環境をつくりたい、こう考えております。
#333
○国務大臣(村田敬次郎君) 上杉委員の質問、承りました。非常に御見識であると思います。
 私は例え話を申し上げてみようと思うんですが、頭寒足熱が必要だと言われました。おっしゃるとおりでありまして、東京圏等は脳溢血を起こしそうな状態になっておる。人も金も物も情報も全部一極集中をしてしまっておる。したがって、総理が取りまとめて哲学をお示しになりましたが、三全総でも四全総でも一極集中を排して多極分散型の真珠のネックレスのような、真珠がいっぱいちりばめられたような美しい国土をつくるというのがこれからの理想だと思うんです。
 その意味で、先ほど御指摘になられたように確かに東京や神奈川や愛知や大阪は投資実績が多いんです。莫大に多いんです。だけれども、これは私は決してこういう数字を知ってくださいという意味で申し上げるんじゃないんですが、例え話をすると、人口一人当たりの投資額は全国平均が二十九万八千円なんですね。ところが、島根県は一人当たり四十四万七千円、高知県は四十二万三千円、北海道は約四十万四千円ということで、過疎地域が一人当たりは高いんです。
 しかし、過疎地域をそれだからほっておいていいというのではなくて、自治省は横糸の役所でありますから、私は農山村を大いに発展させなきゃならないという持論を持っているんですが、だから自治省は、農山村活性化のことを基準財政需要額でも交付税でも地方債でも重点的にやっていくつもりでありまして、この四全総、今度は五全総
になっていくんでしょうが、その中で上杉委員が御指摘になったような哲学を政府を挙げて追求していかなきゃならないだろうと思います。同意です。
#334
○国務大臣(林義郎君) 上杉委員のお話につきまして、建設大臣、農林水産大臣、自治大臣、それぞれからお話がございました。
 お話を聞いておりまして、いろんな私はこれ哲学が必要だろうと、こう思っておりますし、またこれからいろんなことで本当に考えていかなければならない。国土をどういうふうな形で保全をしていくかという大問題があります。農山村の国土をどうやっていくか、農業をどう育てていくか、寂れていくところの農村をどうするか、またそれらのところにあるところの地方都市をどうしていくかという問題がいろいろあるということも御指摘のとおりでありますし、それならばそれだけで東京や何かをほっておいていいかというと、やっぱりそうではない。私は、東京にもやはりシビルミニマムとしてやっていかなければならない問題もあるだろうと思うんです。
 そういったことをやはり総合的に考えていかなければならない問題だろうと、こう思っておりまして、住宅であるとか道路であるとか鉄道とかというのは割と大都会周辺に集中している。これはやっぱり、金額的にはそうなっておりますけれども、この辺での土地が高いということも私は一つの事実だろうと、こう思っております。それを一体受益者負担というような格好でやっていくのがいいのかどうかというような諸問題もありますし、一概になかなかどうだこうだという評価もできないだろうと、こう思います。
 いずれにいたしましても、多極分散型の国土形成というものを推進して地方の活性化を図っていくということは私は大きな方向づけだろうと思いますし、そのためには社会資本の整備というのは絶対不可欠なことだろうと思いますし、公共事業の配分に当たりましてはそういった点を配慮いたしまして、社会経済情勢いろんな点がございますから、そういったことを十分に勘案しつつ地方のそれぞれの実情に合うような発展を図っていくべきだろう、こういうふうに考えております。
#335
○上杉光弘君 いろいろそれぞれの立場で御答弁いただきましたが、自治大臣に私は強く求めたい政策がございます。
 農山漁村の機能がさらに低下して、もうとことんまで低下して、そして巨額の予算を投じなければ国土保全がどうにもならない、国家存立の基盤がどうにもならないという状態まで容認するのかしないのかという問題は重大な問題であります。今のままではそこまで私はいくと思っております。これだけ過疎が進み、地方から人がいなくなって山が荒れ、田畑が荒れてしまったら、そういう事態が起こりかねない。後追いの政策ではなく、そうなる前に農山漁村の活性化というものをどうしても導く必要がある。
 さような意味で、国土保全機能を中心にした農山村の持つ多面的な機能と役割というものをどういう方策でやるかといえば、いろんな問題がありますが、例えば財政的な裏打ちをもってこれを措置するとするならば効率的な政策というものをどうしてもこれは方向づけしなきゃならぬ。
 私は、その一つは、地方交付税の算定に当たって補正係数というものがございますが、このカウントの中に地方が果たしておる多面的な機能と役割、なかんずく国土保全を中心にした地方が果たしておる一つの役割は強くカウントされていない事実があるわけでありまして、したがって農山漁村の有する国土保全補正のようなものを交付税配分に対して措置すべきではないか。まずこのようなお尋ねを自治大臣にいたす次第であります。
#336
○国務大臣(村田敬次郎君) お答え申し上げます。
 今の地方交付税は、上杉委員のおっしゃっておられるようなことを大いに勘案してやっておるつもりでございます。
 私は、先ほどの補足をして申し上げなきゃなりません。
 国土庁長官や建設大臣や農林水産大臣、そしてまた総括して大蔵大臣がお答えになりましたが、私は東京は一極集中で脳溢血を起こしそうだと申し上げたが、もしそうなると東京都民も大変な不幸だし日本国民も大変な不幸だから、農山村の活性化をしなきゃならぬという考え方なんです。
 これは一例を申し上げますが、明治のときに東京の人口は百十五万しかありませんでしたが、今三千万です。そして、そのころ私の田舎の一番小さい村は二百何人という村がありますが、明治の初年には八百人以上あったんです。過密過疎が大変な勢いでこの百何十年の間に進行しておる。これをこのままで放置してはいけないので、東京のような超過密のところは多極分散しなきゃいけないし、そして御指摘の哲学のように農山村については活性化、そして地方交付税その他で勘案すべきものがあれば大いに勘案してやるべきだ、そういう考え方であります。
 先ほど申し上げたように、上杉委員の御指摘に私は全面的に賛成でありますから、東京も救い過密過疎も救うというこれからのいわゆる公共投資のあり方について、自治省は横糸の役所でありますから、各省の御相談に大いに乗って役に立ちたいと思っております。
#337
○上杉光弘君 大変前向きな答弁をいただいてありがたいと思います。交付税配分の際の補正係数をひとつぜひこのような形で見直していただきたい。
 次は、もう時間がありませんから農林水産大臣にお尋ねいたしますが、農山漁村の機能を維持発展させるためには、過疎化が進行している中山間地域を初め農山村の活性化のための中長期的な対策を講ずるべきだと私は考えておるわけでありますが、そのために決め手を欠いておりますのは法体制の整備が十分でないからであります。さような意味で、例えば農山漁村計画法的なものを策定し、農水省として取り組むべき農林業生産基盤、生活基盤の両面からの抜本的な法体制の整備というものをぜひお図りいただきたい。そのことを提案し、また強く求めて、農水大臣の所見を承りたいと思います。
#338
○国務大臣(田名部匡省君) お答え申し上げます。
 おっしゃるように法体系の整備、いろんな法律がありまして、これをどうするかという勉強を少ししてみなきゃならぬこともあります。私の方ばかりではなくて、各省庁に法律がたくさんあります。そういうことでありまして、今直ちにどうこうということは申し上げられませんが、しかし、農村地域の活性化でありますとか定住の促進が今各大臣からお話あったように大変重要な課題であります。
 私ども先般発表した新政策、これも二十一世紀を目指した農政の長期ビジョンということで取りまとめたわけでありますが、今国会に、経営感覚にすぐれた経営体の育成を目指す法律でありますとか、地域特性を生かした農林業の振興、あるいは地域資源の適切な利活用あるいは中山間地域対策の法案を提出いたしまして、定住促進のための所得あるいは就業機会の確保、生活環境の整備、そういうものを関係省庁と連絡協力のもとに総合的に推進してまいりたい。
 なお、農村地域における計画的な土地利用、生産基盤及び生活環境の整備等に係る体系的な施策のあり方については、その重要性を十分認識しておりますので今後さらに検討してまいりたい、こう考えております。
#339
○上杉光弘君 新農政の展開の上で、私ただいま言いましたこと等も含んだ法律を充実した形で国会に提示され、我々も十分議論を尽くさせていただきたいと思います。
 次に、文化庁と宮内庁に私はお尋ねをいたします。
 近年、文化財に関する関心が国民の間に非常に高まっております。文化財を活用した村おこしや地域振興というものが大変熱心でございまして、史跡等の整備に熱意を持っておる地域がたくさん出てまいりました。ところが、これまでの文化財
保護法は文化財や史跡を保護するだけのものでありまして、これが必ずしも地域の振興や活性化につながっていないというきらいがございます。このようなものをどうお考えなのか、また、市町村のこういう熱意というものを酌んで文化庁としてどうこの問題に取り組まれるか、これまずお聞きをいたします。
 次に宮内庁でございますが、宮内庁において管理しておる陵墓や陵墓参考地については文化財保護法の適用外とされておるわけでありまして、私はこの同じ法律のもとで適用外というのは極めて遺憾だと思っておるわけでございます。さような意味で、皇室に対する敬う気持ちや陵墓などの安寧を守りたいという気持ちは、私は人後に落ちないつもりでありますけれども、このような考え方に立った文化財の問題や史跡や遺跡等についての、特に陵墓やそういうものも含めて、文化財等の保護はもちろんでございますが、地域の振興にこういうものをつなげるということ等について宮内庁はどのようにお考えなのか、まずお尋ねをいたします。
#340
○政府委員(佐藤禎一君) お答えをいたします。
 文化庁におきましては、文化財の保存及び活用を図るという文化財保護法の趣旨に基づきまして、史跡等を将来にわたって保存するとともに広く活用を図るための施策を実施してきているところでございます。
 具体例を申しますと、平成元年度からは従来の一般的な史跡等の整備に加え、地方公共団体が実施をいたします歴史的な建造物の復元等につきまして国庫補助を行っております。愛称を「ふるさと歴史の広場」という事業でございます。また、平成四年度からは、かつて我が国の政治、経済、社会、文化の中心として機能をいたしておりました国分寺等の地域の中核史跡の活用事業についても補助事業を開始しているところでございます。
 今後とも広く国民が文化財を通じまして我が国の歴史や伝統文化になれ親しむことができますよう文化財の整備、活用というものに意を用いてまいりたい、このように考えている次第でございます。
#341
○政府委員(宮尾盤君) 宮内庁が管理をしております陵墓等につきまして、地域振興あるいは活性化というようなことについてどう考えておるか、こういう御質問でございました。
 私ども宮内庁が管理をしております陵墓は、御承知のとおり皇室の御先祖をお祭りしているお墓でございまして、地域にとりましてはこれまで大変大切にされてきたものでありますし、国民から尊敬崇慕の対象ということで参拝客等も非常に多いわけでございます。そういう意味から、宮内庁としては、この管理につきまして過ちのないようにできる限り努めておるわけでございます。
 これらの陵墓は、我が国が世界に誇る重要文化財、文化遺産の一つでもありますけれども、これは沿革的に見ましても長い間地域の方々から大変大切にされまして今日に至っているわけでございます。歴史的に考えましても、中世のような時代に陵墓の管理というものは十分にできなかったわけでございますけれども、地方の住民の方々から大変大切にされて今日まで損亡することなく伝承されてきている、こういうような経緯もございます。したがいまして、宮内庁といたしましては、陵墓の管理に当たりましては、そのように地域住民にとりましても大変大切にされてきましたそういう経緯も踏まえて、地元住民の意向とか要望等については十分配慮をしながら管理をしていく必要がある、こういうふうに考えております。
 今後ともそういうような考え方に立ちまして、地域住民に親しまれるようなあるいは地域の活性化に役立つようなやり方があれば、ぜひそういう御意見を承りながらそのように努めてまいりたいというふうに考えております。
#342
○上杉光弘君 宮内庁、文化庁とも、難しい問題ではありましょうが、積極的に地域の振興のためにお取り組みをいただきたいと思います。
 農山漁村の果たす国土保全機能の受益が都市住民にも広く及ぼすものであることから、例えば、今後、国土保全税等の創設等によりまして国民に平等に負担を求め、国土保全機能の維持管理の強化等を図るべく強く私は指摘をし、要望しておきたいと思います。
 また、最後に総理に、この公共投資のあり方、あるいは財政問題を含めた地方分権の推進は各省庁にまたがることでございますが、総理の指導力を大いに発揮していただきまして、地方の振興が図られまして立派な国づくりができますように心からお願い申し上げまして、質問を終わります。
#343
○井上裕君 私は、今一番大きい外交問題について五点ほどお伺いいたしたいと思います。
 現在は変化と変革の時代と言われますが、アジア・太平洋地域におきます今後の安全保障の枠組みをどのように構築していくかは我が国の平和と安全にとって極めて重要なことであると思います。
 総理はさきのASEAN諸国歴訪の際のバンコク演説で、個別紛争に関する協議と包括的な政治・安保対話といういわゆるツー・トラック・アプローチに加えて長期的ビジョンの必要性を強調されましたが、多様性を持ったこのアジア・太平洋地域の将来の望ましい枠組みとはどうあるべきか、まずその実現に向けてどう取り組んでいかれるか、お伺いをいたしたいと思います。
#344
○国務大臣(宮澤喜一君) 冷戦後の状況で、ヨーロッパにCSCEのような仕組みが現実のものとして動き始めたということから、アジアにおいても終局的には何かそういうものが欲しいということは恐らく多くの人が考えつつあるところだと思いますけれども、現実にはヨーロッパの国々と違いまして、アジアの国々の間に、何と申しますか、共通なそのような連帯を積極的に促すような要素がそうたくさんあるわけではない。むしろないというところにアジアの特色があるかもしれません。各国がおのおの自分の文化を持ち、宗教を持ち、人種を持ちというようなところがかえってアジアの多様性とか開放性とかいう、そういうアジアのよさになっているのではないかという感じがいたしますものですから、ここで何か、一つの構想の問題として何かをまとめてしまおうということはどうも私は余り適当なことではなさそうに思います。
 むしろ、例えばASEANの国の中から、ASEANというのは本来経済的な組織であったわけですが、やはり考えていくと安全保障問題も少し考えた方がいいのではないかというような動きが少しずつ出てまいっておりまして、ASEANのいわゆる外相会議というようなものもそういう問題に関心を向け始めておりますから、無理なくだんだんにお互いの共通の問題を考えようというそういうゆっくりした動きを、我が国としても決してこちらが主導的な役割をとるというような形では全くなく、そういう動きに日本も一緒にごくごく自然についてり」うといいますか、お互いに話していこうというようなそういう態度がいいのではないか。
 と申しますのは、国々によりまして腹の中で仮想敵と思っている相手というのは一緒ではないのだろうと思いますし、また極端な表現をしましたら、我が国が非常に大きな経済力がございますから、我が国自身の将来についてどちらかといえば心配を持っている国もあるかもしれない。あるいはほかのどこかの国、またどこかの国、いろいろございますので、そこは慎重にやっていった方がいい。
 しかし、ただ一つ、恐らく将来ASEANのそういう構想を考えるときに、やはりアメリカの存在というのは私は考えておいた方がいいのではないか。アジアというのをどのぐらいの地域でとるかによっても答えは違うわけでございますけれども、かなり大きな地域として考えましたならば、アメリカというのが将来この地域のやはりバランスをとる安定的な要素にどうもなるのではないかということについて、完全なコンセンサスがあるとは申せませんが、そういうふうに向かっていくならば、比較的現実性のあるものがやがてできるのじゃないかと、そんなように思っております。
#345
○井上裕君 総理はアジア地域が大切であるということをいつも言っておりますので、その点よくひとつ私どもも理解いたしました。
 先ほど冒頭述べましたように、アメリカのクリントン大統領が極めて強い調子でアメリカ再生の決意を表明しました。また、日本とドイツがアメリカとともに世界経済を拡大するエンジン役を果たすよう求めていると言われております。
 総理は、近々アメリカを訪問する予定と聞いておりますが、アメリカ再生への我が国の支援と市場開放やあるいは内需拡大など予想される厳しい対日要求にどう対処されていかれるか、これをお聞かせ願いたいと思います。
#346
○国務大臣(宮澤喜一君) クリントン大統領がアメリカの経済の状況を分析されて、それは結局アメリカ自身の競争力の減退であるということ、そのもとには教育であるとかあるいは技術革新であるとかそういったものについてのおくれがある、それが問題の根本であるからそういうところからアメリカのリニューアルと申しますか新しくするということをやっていかなければならない、それによってやがて赤字解消もできると。
 私はそういう考え方は基本的に正しいと考えておりますので、もとより我が国としてそれに協力できることがあればいたすのは当然のことでございますが、同時にまた、そういう意識から思い切って財政赤字もひとつ場合によっては増税でもして解消していこうという、そういう意識がかなり先般の二月十七日の演説には出ております。
 そういたしますと、長いこと言われておりましたアメリカ経済の持っております弊害に初めてメスを入れようということでございますから、恐らくしたがって日本にもいろいろなことをしてほしいという話になってくるであろうと。これは当然の動きじゃないかと私は思っています。そういたしますと、アメリカも一生懸命やっている、我が国も一生懸命やらなきゃならないな、こういう問題になってくるかと思いますが、ただ従来SIIというようなことで随分いろいろやってきておりますので、約束したことを一つずつできるだけ誠実にやっていくということが基本であろうというふうに考えておりまして、両国が共通して一緒になって世界経済のために、世界のためにやることはこれはもう別でございますが、両国間の問題としましては、やはり日本として求められていることでなるほどやらなきゃならぬということはやっていかなければならない。
 冒頭におっしゃいました日本とドイツ、機関車ということは、かつてボンのサミットがありましたときにも話が出たことが、これは随分前でございますけれども、しかし今にわかにどうも機関車と言われましても、我々としてはこの不況をできるだけ克服をして内需を充実していくという努力、それをたゆまずに続けていくということに努力をするということになるんではないかと思っております。
#347
○井上裕君 この問題はちょっと私も突っ込んで質問をしたいわけでございますが、時間の関係で先に行かせていただきたいと思います。
 まず、さきに来日いたしましたドイツのコール首相は、ロシアの改革失敗によるコストは非常に高いものにつく、こういう発言をしております。クリントン大統領もロシアの民主化成功のための支援を求めております。いわば西側先進国の大勢は世界はロシアの安定を必要としているというそういう見方であると言えますが、やはり我が国は北方領土問題との絡みもありまして、改革支援には原則的には同意いたしますが、また同意しつつもロシアの対日姿勢に何か釈然としないものを感じているのが実態である、国民も領土問題と切り離した対日支援は納得しない、私はこのように思います。
 東京サミットヘのエリツィン大統領招請もうわさされておりますが、我が国の対日支援のあり方、北方領土問題にどのように対応されていくか、総理の御所見をお伺いいたしたいと思います。
#348
○国務大臣(宮澤喜一君) ロシアがこれから民主主義の路線をとる、そして国内的には市場経済で、また外交的にはスターリン主義というものの残滓を整理をしてもらうというようなことはだれのためにもなることでございますから、そういう意味で、ミュンヘン・サミットではそういう立場から我が国の北方領土問題もG7の共通の問題として取り上げてくれたわけでございます。
 したがって、我が国としてはロシアがそのような国になっていくことについての支援を惜しむべきではないと思いますし、殊に当面人道的な援助はもちろんとして、いろいろな意味でのエネルギー等々を中心とした技術的な援助等々はこれはやってまいる必要があると思いますが、まあ非常に大きなスケールの援助ということになりますと、これはやはりわだかまりのない関係、少なくとも平和条約ができていないという不自然な関係というものは改善をされなければならない当然のことではないかと思っておりまして、両方を何かリンクさせたりバーターをするという気持ちはございませんけれども、大々的に日本としても応援をしていこうというためには国交というものが正常化をしていくということは大事ではないかということは考えておりますし、それがまたミュンヘン・サミットで話をしましたスターリン外交の清算ということにほかならないと実は思っておりますので、そういう気持ちで対応をいたしていきたいと思っています。
#349
○井上裕君 対日支援というものはしなくてはならない、西側先進諸国とともにやらなくちゃならないと思いますが、国民感情が、この北方領土の問題もありますので、これはよろしくひとつお願いをしたいと思います。
 次に、大きな安全保障の脅威、これは北朝鮮の核開発疑惑であります。
 北朝鮮は、国際原子力機関の特別査察を拒否し、疑惑は高まるばかりであります。加えて、三年目を迎えた日朝国交正常化交渉におきましてもこの核問題が前提なら会談に応じない、こういう態度をとっているわけであります。
 私は、北東アジアの安定のためにも朝鮮半島の緊張緩和と正常化は必要不可欠であると信じておりますが、同時に、この核のいわゆる拡散防止の観点から、強力な国際世論づくりに努め、北朝鮮の核開発疑惑を徹底的に究明し、これは阻止すべきであると、このように考えます。国交正常化交渉の見通しを含め、総理の御所見をお願いいたしたいと思います。
#350
○国務大臣(宮澤喜一君) 朝鮮民主主義人民共和国が核兵器の開発に仮に進んでおるといたしますと、それは韓国にとってのみならず我が国自身にとっても脅威でございますから、これは等閑に付するわけにはまいらないわけでございます。
 したがって、IAEAとの話し合いの結果、IAEAの特別査察に応じるということでなければ外からそれを疑われても仕方のない立場にならざるを得ませんので、そういう意味で北朝鮮がIAEAの査察に応じてくれるということが大事なことであると思います。その問題の疑惑が解消するということによって初めて我が国との間の国交正常化も進められるのでございますから、やはりその問題についての満足のいく回答あるいは解決というものが我が国と朝鮮民主主義人民共和国との交渉を進めるための最大のかぎになる、こう考えるべきものと思っております。
 また、北朝鮮の立場からいいましても、いろんな諸般の状況を総合いたしますと、これについてはそのような従来のようなやや極端な態度をとらずに、IAEAと話し合ってその査察を受けていくということの方が全体の北朝鮮のためになるのではないかと思いますけれども、ともかくその問題についての進展がやはりこれからの交渉の一つの前提になるというふうに思っております。
#351
○井上裕君 私は大変心強い今のお言葉を聞きました。
 そこで、日本外交には顔がないと指摘されますが、この顔とは一体何でしょうか。ある識者は、日本の全体的なあり方、日本の体質がおのずとにじみ出るもの、それが真の外交であるとし、口先
だけの理念、哲学ではなく、日本人の日常の行動、実践、これが顔になると、このように述べております。
 総理は、バンコクの演説で日本の基本姿勢に言及されて、二度と軍事大国になることはない、このように明言されております。私は日本国民の日々の行動の中にも歴史の教訓が生かされていくよう教育の充実に一層意を用いていく、こういうことを表明されております。ともに考えともに行動する姿勢を打ち出されたわけであります。私どもはこれを高く評価いたしますが、この実践のため、今後、総理はどのようなことを考え実行されていくおつもりか、これも御所見をお願いいたしたいと思います。
#352
○国務大臣(宮澤喜一君) 第二次大戦から我々にとっては随分長い時間がだったように思いますけれども、しかし第二次大戦のときの日本というものを諸外国が忘れているわけではございませんので、顔がないと言われていることの意味は、恐らく我々がそういう過去の反省の上に立ってできるだけいわば低姿勢と申しますか、そういう新しい日本としてつき合いをしていこう、余り言挙げをせずに、日本は新しくなりました、こういう国ですということをわかってもらう、そういう姿勢でいくべきではないかという、そういうことから、それが顔がないというふうに言われてまいった大きな理由ではないかと思います。 また、今バンコクのお話を御引用いただきましたが、東南アジア各国における我が国との関係が今非常によろしいのは、一つは、現地に行っておられます在留邦人、非常に気をつけて現地に溶け込もう、現地のためになろうという非常にそういう積極的な努力をしておられる、いわばそういう姿勢そのものが評価をされているということもございまして、今までそういう意識的な心構えから顔がないと言われておった点もあるであろうと思います。
 それは今後とも必要な心構えと思いますが、ただ、それはしかし、同時に、することはしていかなければなりませんで、なるほど日本は黙っているけれどもこういうことをやっていてくれるということをだんだん援助を受ける国からわかってもらっておりますので、やることはやはりきちっとやっていって、そして日本という国が戦後新しくなってこういう国になったというふうにわかっていってもらうというのが大事なことではないかと思います。
#353
○井上裕君 教育問題に移らせていただきたいと思います。
 明治四年に文部省ができまして、そしてそれも文部卿、さらに昨年は百二十周年のお祝いをやった。それで、しかも十八年に文部大臣森有礼さん、節目の年に森山文部大臣を百十五代目にお迎えして、非常に期待をいたしております。
 そこで、大臣に四点ほどお聞きいたします。
 まず業者テストですが、これは数々の問題点がありました。最初はこの業者テストというのは子供たちの腕試してあるとかあるいは志望校の受験のための一つの目安、これが最近では事前相談や推薦入学、一部の私立高校では中学校から提供されたこのテスト、偏差値によって事実上の合否も決まる。これは学校教育における業者テストの行き過ぎではなかろうか。文部省は、高校教育改革推進会議の報告に基づきまして、業者テストの偏差値を入学者選抜に用いないように通知を出されたということでありますが、この点、文部大臣の御所見、そしてまた今この高校教育、実に九五・九%という進学率、その中にありましてやはり高校中退者が十一万二千人に上っている、このような状況を考えると、今こそ教育の個性化あるいは多様化が課題であると考えます。
 一昨年、第十四期の中教審の答申、それを受けての高校教育改革推進会議の検討を踏まえまして、文部省として今後具体的にどのような施策を進めるか、また森山文部大臣の御所見をお願いいたします。
#354
○国務大臣(森山眞弓君) 文部大臣としての先輩であります井上先生からテストをされているような気持ちでございました。大変大事なポイントを御質問くださいました。
 先生が御指摘ございましたように、業者テストの問題というのは長い間の問題でございまして、井上文部大臣のときにも非常に御心配いただいた一つの大きな課題だったと思います。たびたびこのようなものの弊害がはびこりますことを少しでも防ごうということで、歴代の文部大臣が警告を発せられたり、自粛してもらうように注意をされたりしたのでございましたけれども、一時はそれで少しさたやみになりましても、また盛り返して何となくはびこってくるということを繰り返してまいりました。そこで、このたびの研究協力者会議の研究やその他大勢の方々の御意見をちょうだいいたしまして、文部省といたしましてもかなり思い切った結論を出して発表いたしたわけでございます。
 それは御存じのように、平成六年度の入学者選抜から、中学校は業者テストの結果を高等学校に提供しない、また同様に高等学校は業者テストの結果等の提供を求めない、そしてさらに、授業時間中や教員の勤務時間中に業者テストを実施したり教員がその費用の徴収や監督に携わったりするなど学校が業者テストの実施にかかわるということは厳に慎むべきであるという、この三つの点を打ち出しまして二月二十二日付で通知を発出したところでございます。早速明日、各県の課長を招集いたしましてその趣旨をさらに徹底するというような会議を重ねまして、この長年の問題を少しでも解決していきたいと努力しているところでございます。
 一方、御指摘のように、入学試験の問題あるいは偏差値の問題だけをいじりましても全体として解決していくわけではございませんで、高校生を受けとめてまいります高等学校自体の変化と改革ということもあわせて大変重要でございます。高等学校の方も以前は三〇%、四〇%の進学率の時代がございましたけれども、このところもうほとんど全部の子供が進学するということになりますと、生徒の方も大変多様化いたしてまいりますし、その希望や可能性、能力、特徴、さまざまでございますので、それらの子供たちの持っております個性を伸ばして多様な教育が行われるように、そしてそれぞれの子供がそれぞれに自分の能力をフルに発揮できるようなそういう教育をしていかなければいけないということで、高等学校の方の体制もさらに柔軟に多様化していこうということになりまして、例えば最近発表させていただきました総合学科の新設、また全日制におきましても単位制高校を新しくつくるというようなことを考えまして具体的に進めていきたいというふうに考えております。
 入学試験ばかりではなく学校そのものの方も改革いたしまして、少しでも二十一世紀を担う若い人たちが伸び伸びと成長していくことができますようにと努力してまいりたいと思いますので、井上先輩におきましても、今後とも御指導をくださいますようお願いいたします。
#355
○井上裕君 高校中退の問題、これはやはり家庭にいる時間が長いとか、あるいは我々を含めて社会そして学校教育、何といっても学校教育の先生方がしっかりした御指導を賜って中退をなくすようにお願いをいたしたい、私はこのように思います。
 引き続いて、大学改革の推進。大学改革についてまずお尋ねいたします。
 創造的で活力に富み、文化の薫り高い国家として発展、世界に貢献していくためには、学術の振興と人材の養成を担う大学の役割はますます私は重要なことであろうと思います。特に資源のない日本は、私は教育こそまさに大きい資源であろうと。現在、各大学におきまして、自己点検あるいは評価の実施、創意工夫を生かしたカリキュラム改革などのさまざまな取り組みを行っていると聞いておりますが、今後大学改革をどう推進していくか、大臣にお伺いいたしたいと思います。
 また、この大学改革と同時に、その基盤となる大学の教育研究環境の整備も重要であります。例
えば、先ほど我が国の高校進学率は九五・九%、大学あるいは短期大学は三八・九。しかし、大学院は平成三年では一千人に対して日本は〇・八%、イギリスが二・九、フランス二・九、アメリカ七・一と低いわけですね。この背景には私はやはり、先ほど山本委員も触れましたが、研究費の不足や、また教育研究施設設備の老朽化、あるいは民間企業と比べた場合の教育研究環境の低さも影響しているのではなかろうかなと、このように思います。
 とりわけ国立大学の教育研究環境につきましては、私も大学を見せていただきましたが、まさにこれは非常に危険なところもある。老朽化がひどいところもある。十年間に及ぶマイナスシーリングなどの厳しい行財政事情のもとで極めて憂うべき状態であります。
 このような状況を文部省はどう認識し、幸いに総理も、きょうで三度目ですが、予算委員会で、教育は考えなくちゃいけない、こういうことを言っていただいているわけですので、文部大臣としてどうこれに取り組むか、お伺いをいたしたいと思います。
#356
○国務大臣(森山眞弓君) 学術の振興と人材の養成を担う大学の改革ということを不断に進めていくということは大変大事なことだと思います。このため、先生もおっしゃってくださいましたが、大学審議会における検討を中心にいたしまして高等教育全般にわたる改革を着実に進めておりまして、平成三年に大学教育の基本的枠組みを定めた大学設置基準等の大綱化、自己点検・評価制度の導入などを行いました。そして、各大学が個性豊かな教育を自由に展開していくことができるようにしたわけでございます。
 これらの制度改革を受けまして、各大学におきましては、一般教育と専門教育を含め各大学学部の特色を生かした体系的な一貫教育カリキュラムを実施いたしましたり、教養部を廃止して新たな教育カリキュラムを全学的に実施したりするなどの取り組みが行われております。また、自己点検・評価についても先生お触れくださいましたが、多くの大学で学内の実施体制が整備されまして、報告書などを作成、公表する大学もかなり出てきているところでございます。
 今後とも各大学が創意を生かして個性的な教育研究活動を展開していくように積極的な取り組みを期待しているところでございます。
 また、二番目におっしゃってくださいました大学の教育研究環境の改善ということでございますが、たびたびお話が出ておりますように、特に国立大学の施設の老朽化、狭隘化、設備の陳腐化など教育研究環境の劣悪化につきましては、井上大臣の御在職当時だったかと思いますが、私も参議院の文教委員会の委員といたしまして多大の関心を持ちまして、幾つかの大学を実際に見せていただいて、非常にびっくりもし憂慮したところでございます。
 学術研究の推進と有為な人材育成の担い手である大学の条件整備ということは、将来にわたる我が国の発展の上でも非常に重要なことであると考えまして、平成四年度の当初予算におきましては、井上大臣の御在任中、特に御尽力をいただきまして特別施設整備資金を国立学校特別会計に設置していただきました。これが施設の老朽化、狭隘化の解消を助けることになればと期待しておりますが、また補正予算において施設費の増強に意を用いていただいております。
 さらに、平成五年度の予算案におきましては、施設費それから前年度創設した特別施設整備事業の継続のほか、特別施設費を六十二億円増ということでお願いしておりますし、設備費は研究設備費五十三億円の増をお願いしております。教育研究経費、科学研究費いわゆる科研費と言われるものですが、これも従来に比べまして思い切って九十億円の増ということを考えておりまして、各般にわたってその充実について最大限め努力をいたしましたところでございます。
 さらに、文部省といたしましては、厳しい財政事情ではございますけれども、今後とも一層の改善充実に努めてまいりたいと思います。
#357
○井上裕君 次に、私学の助成について。
 自由民主党は、昭和五十年の私立学校振興助成法の制定以来、私学助成の推進に並み並みならぬ努力を続けてまいりました。ところが、近年、私学助成予算は抑制されまして、私立大学の経常費に対する補助割合、昭和五十五年には二九・五%、現在は一三・三%に低下しておりまして、これは昭和四十七年のころの水準にまで落ち込んでしまっているわけであります。私学の人材養成、私は非常に重要であろうと思います。
 平成四年の五月三十一日現在、日本の大学は五百二十四校、短大が五百九十一校、その中で国立大学は九十八校しかない。そういう中で、私学に八〇%近い我々の子供たちがお世話になっているわけですから、この面につきまして文部大臣の私学助成に取り組む姿、数字は結構ですから、御所見だけひとつお願いいたします。
#358
○国務大臣(森山眞弓君) 先生御指摘のとおり、私学の持っております役割の重要性ということを改めて私からつけ加えて申し上げるまでもございません。私学というのは、建学の精神にのっとりまして特色ある教育研究を推進しておりまして、ただ数が多いというだけではなくてその教育の内容においても大変大事な役割を果たしているというふうに思います。
 このような私立学校の役割の重要性にかんがみまして、文部省といたしましては、臨調や行革審の指摘なども踏まえまして、現下の厳しい国の財政事情のもとではございますが、私学助成の充実に鋭意努力しているところでございまして、先生がおっしゃいました数字よりも最近はやや盛り返しつつあるかと思いますので、今後とも厳しい情勢ではございますけれども、一層この推進に努力をしてまいりたいと思います。
#359
○井上裕君 どうぞよろしくお願いをいたしたいと思います。
 次に、文化の振興について。
 心の豊かさの実現、こういう観点に加えて、国際化の進展の中でやはり個性豊かな文化国家として国際的にも評価されるような国づくりを進めていく必要があります。とりわけ、文化面における国際交流を推進することが私は重要であろうと思います。例えば荒廃が指摘されているカンボジアのアンコールワットにつきまして、我が国の文化財保護に関するすぐれた技術を用いた協力や、あるいは我が国の古美術品を広範に海外に紹介していくことなどを推進すべきと考えます。このような文化財に関する国際交流につきまして、大臣の考え方をお聞きいたしたいと思います。
#360
○国務大臣(森山眞弓君) 文化財の国際交流につきましては、先生仰せのとおり、我が国の伝統文化の海外紹介、ひいては海外における日本文化の理解につながるとともに、世界の文化遺産の保存、修復に寄与することによりまして文化における国際貢献を行うという点で大変重要なことだと思います。
 文化庁におきましては、従来からこのような考え方のもとに、日本古美術品の海外展、中国教煙遺跡など外国の文化遺産保存、修復のための国際共同研究、海外に流出した日本古美術品の保存、修復、文化財保存、修復のためのセミナーの開催などの事業を行ってまいりました。また、新たに平成五年度の予算案におきましては、先生御指摘のカンボジアのアンコール遺跡の保存、修復に関する国際共同研究を行うための経費を計上しているところでございます。
 今後ともこれらの事業を推進いたしまして、文化財の国際交流を積極的に進めてまいりたいと考えております。
#361
○井上裕君 最後になりますが、スポーツの振興に関して要望いたします。
 近年の国民のスポーツに対するニーズは非常に高まり、国民が生涯を通じてスポーツに親しむということで、指導者の養成あるいは諸条件の整備を図っていくことが重要であります。また、例えば昨年のアルベールビルあるいはバルセロナの両オリンピックのときのように、我が国選手の世界
の舞台での活躍は大変なものがあった。そこで、平成十年には長野におきましてオリンピックの冬季競技大会が催されます。本大会が世界に誇り得る立派な大会となるよう支援を行っていくことが大変重要であろうと思います。
 以上のように、スポーツの振興の重要性はますます高まっております。今後とも、関係予算の充実を初めスポーツ振興施策の一層の充実を図るよう切望いたしまして、要望いたしまして、私の質問を終わらせていただきます。
#362
○委員長(遠藤要君) 以上で井上君の質疑は終了いたしました。(拍手)
 本日の審査はこの程度といたします。
 明日は午前十時から開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
   午後五時五十二分散会
     ――――◇―――――
ソース: 国立国会図書館
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