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1993/06/08 第126回国会 参議院 参議院会議録情報 第126回国会 予算委員会 第20号
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1993/06/08 第126回国会 参議院

参議院会議録情報 第126回国会 予算委員会 第20号

#1
第126回国会 予算委員会 第20号
平成五年六月八日(火曜日)
   午前十時二分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
六月七日
   辞任         補欠選任
    上田耕一郎君     吉川 春子君
    萩野 浩基君     乾  晴美君
    喜屋武眞榮君     西川  潔君
    寺澤 芳男君     武田邦太郎君
六月八日
   辞任         補欠選任
    角田 義一君     篠崎 年子君
    ―――――――――――――
出席者は左のとおり。
  委員長          遠藤  要君
  理 事
               井上  裕君
               石川  弘君
               上杉 光弘君
               柳川 覺治君
               角田 義一君
               村沢  牧君
               山本 正和君
               白浜 一良君
               寺崎 昭久君
  委 員
               井上 章平君
               石井 道子君
               岩崎 純三君
              大河原太一郎君
               大島 慶久君
               沓掛 哲男君
               下稲葉耕吉君
               成瀬 守重君
               野間  赳君
               野村 五男君
               服部三男雄君
               林田悠紀夫君
               星野 朋市君
               松浦 孝治君
               穐山  篤君
               及川 一夫君
               喜岡  淳君
               久保田真苗君
               櫻井 規順君
               清水 澄子君
               篠崎 年子君
               種田  誠君
               堂本 暁子君
               肥田美代子君
               三重野栄子君
               山口 哲夫君
               荒木 清寛君
               猪熊 重二君
               広中和歌子君
               長谷川 清君
               吉岡 吉典君
               吉川 春子君
               磯村  修君
               乾  晴美君
               西川  潔君
               武田邦太郎君
  国務大臣
      内閣総理大臣   宮澤 喜一君
      法 務 大 臣  後藤田正晴君
      外 務 大 臣  武藤 嘉文君
      大 蔵 大 臣  林  義郎君
      文 部 大 臣  森山 眞弓君
      厚 生 大 臣  丹羽 雄哉君
      農林水産大臣   田名部匡省君
      通商産業大臣   森  喜朗君
      運 輸 大 臣  越智 伊平君
      郵 政 大 臣  小泉純一郎君
      労 働 大 臣  村上 正邦君
      建 設 大 臣  中村喜四郎君
      自 治 大 臣
      国 務 大 臣  村田敬次郎君
      (国家公安委員
      会委員長)
      国 務 大 臣  河野 洋平君
      (内閣官房長官)
      国 務 大 臣  鹿野 道彦君
      (総務庁長官)
      国 務 大 臣
      (北海道開発庁
      長官)      北  修二君
      (沖縄開発庁長
      官)
      国 務 大 臣  中山 利生君
      (防衛庁長官)
      国 務 大 臣
      (経済企画庁長  船田  元君
      官)
      国 務 大 臣
      (科学技術庁長  中島  衛君
      官)
      国 務 大 臣  林  大幹君
      (環境庁長官)
      国 務 大 臣  井上  孝君
  政府委員
      内閣法制局長官  大出 峻郎君
      内閣法制局第一  津野  修君
      部長   
      国際平和協力本  柳井 俊二君
      部事務局長
      公正取引委員会  植松  勲君
      事務局取引部長
      警察庁長官官房  垣見  隆君
      長
      警察庁長官官房
      総務審議官事務  泉  幸伸君
      代理
      警察庁警務局長  井上 幸彦君
      防衛庁参事官   高島 有終君
      防衛庁長官官房  村田 直昭君
      長
      防衛庁防衛局長  畠山  蕃君
      防衛庁経理局長  宝珠山 昇君
      防衛施設庁建設  黒岩 博保君
      部長
      防衛施設庁労務  荻野 貴一君
      部長
      経済企画庁調整  長瀬 要石君
      局長
      経済企画庁物価  小林  惇君
      局長
      経済企画庁総合  田中 章介君
      計画局長
      科学技術庁長官  興  直孝君
      官房会計課長
      環境庁長官官房  森  仁美君
      長
      国土庁長官官房  藤原 和人君
      国土庁長官官房  藤田  修君
      会計課長
      国土庁地方振興  秋本 敏文君
      局長
      法務省刑事局長  濱  邦久君
      外務大臣官房領  荒  義尚君
      事移住部長
      外務省アジア局  池田  維君
      長
      外務省北米局長  加藤 良三君
      事務代理
      外務省経済局長  小倉 和夫君
      外務省条約局長  丹波  實君
      外務省国際連合  澁谷 治彦君
      局長
      大蔵大臣官房総  日高 壮平君
      務審議官
      大蔵省主計局長  斎藤 次郎君
      大蔵省主税局長  濱本 英輔君
      大蔵省銀行局長  寺村 信行君
      大蔵省銀行局保  鏡味 徳房君
      険部長
      大蔵省国際金融  中平 幸典君
      国税庁次長    瀧川 哲男君
      文部大臣官房長  吉田  茂君
      文部省初等中等  野崎  弘君
      教育局長
      文部省学術国際  長谷川善一君
      局長
      厚生大臣官房総  瀬田 公和君
      務審議官
      厚生省年金局長  山口 剛彦君
      社会保険庁運営
      部長       佐藤 隆三君
      兼内閣審議官
      農林水産大臣官  上野 博史君
      房長
      農林水産大臣官  堤  英隆君
      房予算課長
      農林水産省構造  入澤  肇君
      改善局長
      農林水産省構造  中道  宏君
      改善局次長
      食糧庁長官    鶴岡 俊彦君
      林野庁長官    馬場久萬男君
      通商産業大臣官  江崎  格君
      房総務審議官
      通商産業大臣官  白川  進君
      房審議官
      通商産業大臣官  一柳 良雄君
      房会計課長
      通商産業省通商  岡松壯三郎君
      政策局長
      通商産業省産業  熊野 英昭君
      政策局長
      通商産業省立地  堤  富男君
      公害局長
      資源エネルギー  黒田 直樹君
      庁長官
      中小企業庁長官  関   收君
      運輸大臣官房会  楠木 行雄君
      計課長
      郵政大臣官房財  新井 忠之君
      務部長
      労働大臣官房長  七瀬 時雄君
      労働省職業安定  齋藤 邦彦君
      局長
      建設大臣官房会  木下 博夫君
      計課長
      建設省建設経済  伴   襄君
      局長
      建設省都市局長  鹿島 尚武君
      建設省住宅局長  三井 康壽君
      自治大臣官房総  遠藤 安彦君
      務審議官
      自治大臣官房審  松本 英昭君
      議官
      自治大臣官房審
      議官       小川 徳洽君
      兼内閣審議官
      自治大臣官房会  斉藤 恒孝君
      計課長
      自治省行政局長  紀内 隆宏君
      自治省行政局公  石川 嘉延君
      務員部長
      自治省行政局選  佐野 徹治君
      挙部長
      消防庁次長    吉原 孝司君
  事務局側
      常任委員会専門  宮下 忠安君
      員
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○平成五年度一般会計補正予算一第1号)(内閣提
 出、衆議院送付)
○平成五年度特別会計補正予算(特第1号)(内閣
 提出、衆議院送付)
○平成五年度政府関係機関補正予算(機第1号)
 (内閣提出、衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(遠藤要君) ただいまから予算委員会を開会いたします。
 まず、平成五年度補正予算三案の締めくくり総括質疑に関する理事会決定事項について御報告いたします。
 締めくくり総括質疑は本日一日間とすること、質疑割り当て時間の総計は六十分とし、各会派の割り当て時間は、日本社会党・護憲民主連合二十二分、公明党・国民会議十二分、民社党・スポーツ・国民連合、日本共産党及び民主改革連合それぞれ六分、二院クラブ及び日本新党四分とすること、質疑順位についてはお手元に配付いたしておりますとおりとすること、以上でございます。
 ただいま御報告いたしました理事会決定のとおり取り運ぶことに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○委員長(遠藤要君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
#4
○委員長(遠藤要君) 平成五年度一般会計補正予算、平成五年度特別会計補正予算、平成五年度政府関係機関補正予算、以上三案を一括して議題といたします。
 これより締めくくり総括質疑に入ります。村沢牧君。
#5
○村沢牧君 最初に、政治改革について伺います。
 総理は、先日テレビのインタビューを通じて、政治改革はこの国会で実現をしなければならない、やってしまわなければなりません、やります、こういうふうに国民に約束をしておりました。また、昨日は本委員会で、この国会で実現をします、やりますと答弁をしておりました。
 この時期になってまいりますと、選挙制度よりも政治腐敗の防止に重点を置くべきではないかという国民の声もありますが、関連法案を一括して処理していく理由と、この国会でやるという決意を改めてお聞かせください。
#6
○国務大臣(宮澤喜一君) 政治腐敗防止が大切なことは、もとより言うまでもないことでございます。
 以前にも申し上げたかと思いますが、政治腐敗防止の一つの問題はいわゆる資金の問題でございますが、資金の問題を詰めてまいりますと、これは各党とも同一の御見解のようでございますけれども、やはりここで選挙に公費を導入せざるを得ない、あるいはすることが望ましいという御認識、各党ともこれはやや共通の御認識のようでございますが、そうだといたしますと、選挙というものはやはり政党本位のものになっていかなければならない。今の申選挙区ということではなかなか政党本位ということが言いかねるのが現状でございますから、したがいまして腐敗防止の問題をずっと詰めてまいりますと、選挙区制の問題にさわらないわけにはいかないというそういう相互関係がございます。
 したがいまして、やはり政治改革は一体のものでなければならないと考えまして、自由民主党としてはそういう法案を国会に提出をしておるわけでございますが、そういうこともございますので、やはり腐敗防止は非常に大事でございますが、それを含めました政治改革を一体としてとらえなければならない。そして、現在の政治不信を考えますと、これはこの国会でぜひともひとつ関係法案を成立させていただきたい、こう考えておることに変わりはございません。
#7
○村沢牧君 日本社会党も、政治改革はやらなければならない、そういう立場で精力的に取り組んでおるところであります。
 そこで、選挙制度について、共産党を除く六野党は統一案をまとめて自民党側に提示をしております。しかし自民党は、報道を見れば、党内の対立が一層先鋭化して合意形成ができない。いつ自民党案がまとまるかわからない。よしんば自民党案が集約されたといたしましても、野党と協調あるいは妥協しなければ法律にはならない。
 総理、自民党の総裁として、また政治改革の本部長として、今こそリーダーシップを出すべきときではありませんか。何も聞いておりませんとか、まだ見ていません、そんなことでは済まされ
ぬのです。自民党の案は一体いつ出すんですか。そして、それに基づいてどのような段取りでこの法案づくりを進めてまいりますか。
#8
○国務大臣(宮澤喜一君) まず、自民党案は既に出ておりますことを申し上げておきます。
 次に、衆議院の特別委員会におきまして長いこと各党の間で各党の案を御議論になりまして、地方公聴会も終わって中央にまた御審議が戻ってきたという段階になりまして、各党の理事等々の方々が非公式にいろいろこれからの委員会の審議について御検討中でございます。
 その段階におきまして、各党ともこの委員会の終結をどういうふうにするかということをお考えでありまして、自民党もそういう党内での議論がただいま始まっておるところでございます。つまり、委員会の御審議がほぼ一巡をして、委員会として結論を出さなければならないというところへここで入ってまいりましたので、それに応じまして各党ともそれなりの対応をお考え中である。自民党もそうでございます。
#9
○村沢牧君 自民党案は既に出してある。単純小選挙区制。それからまた、報道によれば自民党は衆議院の委員会に小選挙区並立制なども出したということです。出している法律のどちらの法律をやっていくんですか。それで押し通そうとするんですか。
#10
○国務大臣(宮澤喜一君) 自民党が並立案というものを衆議院の特別委員会に出したということは、そういう事実はないと存じます。ございますのは、理事の方々、関係の方々がいろいろにこれからの委員会の取りまとめ、終局について内々にお話し中であるということであろうと思います。
#11
○村沢牧君 後藤田副総理にお伺いしたいんです。
 副総理も政治改革にはかねてから熱心に取り組んでおられますが、こういう時期にどういうふうに持っていったらいいというふうに思われますか。単純小選挙区制はあくまで貫いていく、そういうふうにお考えですか。
#12
○国務大臣(後藤田正晴君) 今、総理がお答えをいたしましたように、自由民主党としては、党議を経て、そして法律案として小選挙区制度がよろしいと、こういうことで出してあるわけでございますから、私は願わくはそれで与野党が一致してやってくださることを念願をいたしております。
#13
○村沢牧君 重ねて総理にお伺いいたしますが、自民党が提出しております単純小選挙区制のこの案、これを与野党で了解してもらって何としてもこれでやっていこうとする、そういうお気持ちなんですか。
#14
○国務大臣(宮澤喜一君) 私としては自民党の御提案したものが最善であると考えておりますけれども、いつぞやも申し上げましたが、これはやはりお互いの土俵の問題でございますから、できるならば皆さんが御一緒に検討されて、まあまあこの辺ならばお互いに仕方がないということがございましたらその方が円満な解決であろう、しかし、本来どれが一番いいかということになればそれは各党とも御自分の案が一番いい、そこへ戻られることはこれはやむを得ないことだと思います。
#15
○村沢牧君 自民党のことについて私があれこれ言える立場ではありませんが、今、総理がおっしゃったような案で自民党を最終的におまとめになる、総裁としてそういうお気持ちですか。
#16
○国務大臣(宮澤喜一君) ちょっとお尋ねの意味がわかりませんでしたが、自民党が御提案しております四法案ならば自民党はもう既にまとまっております。
#17
○村沢牧君 それでは、その言葉を信じておきましょう。私が信じておくと言うのは、自民党の総理が、自民党がそれでまとまるとおっしゃったんですから、そういうふうにまとまるだろうと思いますよ。私は知りませんよ、そんなこと。
 それで、今国会会期は余すところ実質審議は一週間とない。総理はこれまたテレビのインタビューで、ああそういうことだったのか、なるほどそうだったのかとわかるように私はやるというふうに言っているんですね。総理、この国会でもって本当にまとめていくという自信を持っているんですか。会期の延長は考えなくてもいいんですか。
#18
○国務大臣(宮澤喜一君) 私は正直に、まとまるし、まとまらなければいけない、この機会を逃してはいけないという考えを持っておりまして、それは先ほども申し上げましたが、特別委員会においては長いこと御審議でありますから、各党の理事さんの間では自然に一種のお互いの間の何と申しますか気持ちの通いが出てまいります。どうしようかというような通いが出てまいりますから、それでそう遠いことを皆さんが考えていらっしゃるわけでもない、立場上そうなられますでしょう。
 そのあたりを想像しておりますと、いざというその各党ともおのおのの決心ができれば、案がまとまりましたら、後はそんなに難しいことはない。これを法文に書くとかいうことになりますとそんなに難しい話ではございませんので、結局、各党が一致点を見出し得るかどうかというそういう決心の問題になってまいるのだと思いますが、そのことは会期を延ばしたから延ばさないからということではありませんで、やはり委員会の審議がここまで来たという段階で各党がひとつ共通点を見出す決心ができるかどうかということであると思いますので、そのこと自身に私はそんなに時間がかかるとは思わない。
 また、それは衆議院における今特別委員会の御審議でございますけれども、各党が話をしておられますから、そこで合意ができるならば恐らく参議院におかれてもそのことは踏んまえて御審議をしていただけるものであろう、もしそういう経緯をたどりますならばと考えますと、そんなに長い時間必要ではない、要は各党の合意が生まれるかどうかということではないかと思っておるわけでございます。
#19
○村沢牧君 総理はまず自民党の中をしっかりまとめること。それから各党の合意になりますね。きょうは予算委員会の締めくくり総括で、本予算委員会もこれで終わるんですよ。総理のようなそういうのんきなと言っては失礼ですが、そんな答弁で済まされるでしょうか。あと七日ぐらいしか審議期間はないんですよ。本当にこの会期内にやるんですか。
#20
○国務大臣(宮澤喜一君) お言葉ではございますが、この補正予算の御審議というのは異例のことでございましたので、私どもとしてはやはりここに全力を傾注しなければならないということでございまして、幸いにしてこの補正予算を議了していただきますならばいよいよ全力を挙げて政治改革に移れるな、こういう気持ちもございますので、よろしくどうぞお願いいたします。
#21
○村沢牧君 私も政治改革に支障を来すような予算の審議日程をつくっておらなかったはずですよ。ですから、どうしてもこの国会の会期中にやるのか、その一言だけもう一回答弁してください。
#22
○国務大臣(宮澤喜一君) ぜひそのようにお願いしたいと思っております。
#23
○村沢牧君 押し問答をしておりましても進みませんから、総理のリーダーシップを見ておきましょう。
 そこで、景気についてでありますが、経済成長について、当初予算審議の際、この予算を早く成立させていただけば三・三%達成はそんなに大したことではない、大丈夫だというふうに答弁しておったんですが、今回の補正を加えれば成長率は上がるのかという我が党議員の質問に対して、三・三%を確実なものにする補正なので御理解を願いたい、これを繰り返しただけですね。全く国会論議の軽視も甚だしい。無責任と言わざるを得ないんです。
 そこで、通産大臣にお聞きをいたしますが、最近景気は回復の兆しが見えるというふうに言っておりますが、これは回復過程に入ったのか、一部
言われているような底入れを宣言してもいいような状況になったとお考えになるのか、通産大臣の御答弁を願いたい。
#24
○国務大臣(森喜朗君) 昨日もこの委員会で同様な質問が幾つか出まして、その際も申し上げましたが、まだ私どもは予断を許さない状況にある、慎重にまだ見ていく必要があるというふうに見ております。
 確かに数字的にはいろいろと景気の回復の兆しが見える数字もないわけではございませんけれども、やはり二月、三月というのはいわゆる決算対策ということもございましてかなり無理があったというふうに私は見ておりまして、四月、五月の鉱工業生産指数はマイナスになっておりますから、そういう意味では在庫調整が確かに進展はしておりますけれども、本来在庫が少なくなっていきますと当然生産活動が起きてこなきゃいけませんが、その動きがまだ見られないということでございまして、そういう面から見ますと円高の問題もやはり影響しておるのかなと考えておりますので、結論から申し上げて、底入れがあったという感じはまだ私は十分に慎重に判断していかなきゃならないな、このように見ております。
#25
○村沢牧君 船田経済企画庁長官は昨日、私個人としては底を打ちつつあるというふうな答弁をしております。個人という答弁はこの委員会でおかしな話ですが、ということは、六月の定例報告、すなわち六月十日の関係閣僚会議で底入れをした、そういうふうに宣言をするというお気持ちなんですか。今、通産大臣のお話を聞いて、できないということなんですか。
#26
○国務大臣(船田元君) お答えいたします。
 昨日の経済の集中審議におきまして、私から景気の判断ということについての答弁を申し上げました。そこで、大変恐縮ですが個人的という言葉を冠としてつけさせていただきましたけれども、私としては、景気の底入れはそう遠くはない、あるいは底を打ちつつある、こういう表現をさせていただいたところでございます。
 その根拠といたしましては、これは細かいいろんな数字がありますけれども、確かに二月それから三月の経済指標が幾つかの点におきまして好転をしているという部分がございます。それから、特に景気動向指数であるいわゆるDIの数字でございますが、先行指数につきましては一、二、三、三カ月連続でプラスという部分が五〇%を超えている。それから、一致指数につきましては二月、三月、二カ月連続をしてプラスが五〇%以上と、こういう状況でございました。若干一部の不安はありますけれども、全体として見れば少し好転をしてきたかな、そういう判断がございました。
 しかしながら、同時にまた先ほど通産大臣が御指摘をされましたように、この二月、三月というのが期末要因ということで、各企業において若干決算対策ということもありゃや無理をして背伸びをして数字の上では活動をやや高めた、そういう可能性もある。ですから、四月、五月、その期末要因が外れますから期末要因の反動ということもあるいはあるかもしれないということで、特に四月、五月の数字、今入りつつあるところでございますが、その辺の数字が落ち込むかもしれないけれども、その落ち込みがどのぐらいであるかということを今慎重に見させていただいているということであります。
 しかしながら、総じて、全体としては景気は低迷をしているものの、そろそろそういう時期が近づいているのではないかな、このような気持ちを示させていただいた状況でございますが、なお、現在のところ関係省庁と十分協議をしている最中である、こういうことでございます。
#27
○村沢牧君 関係閣僚会議は六月十日、明後日ですね、明日は休みだから。それで、最初から考えているように景気は底入れをした、そういう表現に経済企画庁としては持っていきたいんですか、どうなんですか。
#28
○国務大臣(船田元君) お答えいたします。
 これは私どもとして、どうである、あるいはどうしたいという、やや恣意的な気持ちということの御質問のように聞こえましたけれども、これはもうごく客観的に我々の経済への現状の判断ということで、これはできる限り、もちろん数字も十分ににらみながら、慎重に判断をしていきたい、このように思っております。
 判断を急ぐとかあるいは逆におくらせるとか、そういうことではなくて、経済の実態そしてその経済の実態が示す数字というのをごくごく客観的に見た上での客観的な判断にしていきたい、このように思っております。
#29
○村沢牧君 九二年度成長を三・五%と見たが、この見通しを誤って一・六%に修正をした。私は、この一・六%も大変困難だと思いますが、現時点で一・六%が達成できるというふうにおっしゃることができますか。どのくらいになりますか。
#30
○国務大臣(船田元君) お答えいたします。
 この前の三月に発表されました国民所得統計の速報によりますと、平成四年十−十二月期の実質国民総生産は〇・一%の伸びは年率〇・五%ということでございますが、これはやはり循環的な要因に加えまして資産価額の下落などもありまして、国内民間需要を中心として低迷する当時の我が国経済の厳しい状況を反映したものというふうに受けとめております。
 しかし、また一方で、ことしの年初から昨年八月の総合経済対策の効果が本格的にあらわれ始めている。また、住宅投資なども回復の動きが続いてきたところでございます。
 いずれにしましても、四年度の成長率が全体としてどのようになるかというのは、基本的には一−三月期のQEを待たなければいけないというふうに考えており、現段階では確たることは申し上げられませんけれども、実績の見込み一・六%の達成という点につきましては今厳しい状況にある、このように考えております。
#31
○村沢牧君 総理は今までの答弁で一・六%も難しいということはたびたび言っていますが、総理はどのようにお考えになりますか。
#32
○国務大臣(宮澤喜一君) 結局一−三が統計的に出てきませんと確たることは申し上げられない、その時期は六月の終わりごろになるかな、半ばごろ、そのぐらいですね、もう少したたないとわかりませんが、今、経済企画庁長官が言われましたように、一・六は難しいと私は思います。
#33
○村沢牧君 総理、政府はこれまで経済成長率の見通しを誤ってきたところに景気対策のおくれと税収不足を招いたのみならず、外国からも批判をされているんですね。
 今回のように、当初予算が決まって一カ月半後に補正予算を出す、しかも同一会期内に補正をする。三十四年ぶりに異例の補正予算を講じてもなおかつ経済見通しを達成することができない場合には、政府はその責任をとらなきゃいけない。景気を回復させること、その見通し、決意と政府の責任を明らかにしてください。
#34
○国務大臣(宮澤喜一君) それは平成四年度の経済運営に関します限り、今、村沢委員の言われましたことは、残念でございますがそのとおりであります。政府と申しますか、これは私がずっとそれをやっておった責任者でございますから、その点については見通しを誤り申しわけないと申し上げるしかありません。
 途中で改定をいたしました一・六もここまで、もう年度は過ぎましたが、恐らく難しい状況である。そういう状況でございますので、まことに異例のことではありましたが、本予算御審議のすぐ後に補正予算の御審議を願うというようなことになりまして、これもしょっちゅうあってはならないことであります。しかし、そのような実際経済の事態になっておるという認識を持ちましたので、総合経済対策を立て、その予算に関する部分を秋まで待つということは、これはやはりせっかく回復すべきものを非常にもっと余計なコストをかけてもそれを難しくするという状況かと思いましたので、異例のことでありましたが、同じ会期に御審議を願っておるようなわけでございまし
て、経済の運営についての見通しが適当でなかったと言われますことは御批判を甘受しなければならないと思います。
#35
○村沢牧君 そういう批判でなくて、平成五年度は見通しを達成できる、するという責任ですね。
#36
○国務大臣(宮澤喜一君) それで、次に平成五年度のお尋ねでございますけれども、この段階で経済が底入れをした、しつつある、いろいろな表現がございますが、とにかくそういうところまで来た現状で、消費、投資とも実は余り強い回復は見られない。V型の回復というものはなかなか難しいだろうと思いますが、しかし少しずつでも順調にこれから上昇していくというところまでは間違いないと考えますので、いずれにしても前年度の経済成長が非常に低かった。一・六は難しいだろうと言われますのに私もそう思うと申し上げておりますから、それ以下である。その上に三・何がしの成長というものは決してそんなに高い成長を意味しているわけではございませんので、いわゆる巡航速度に入りましたら、そのくらいの成長は期待できるのではないかというふうに私は考えております。
#37
○村沢牧君 考えているだけではなくて、責任を持ってやってください。
 次の問題に入ります。
 金丸事件でありますが、金丸氏の所得税違反については、去る四月二日、法務大臣から報告を受けたところでありますが、私はこれは中間報告だというふうに受けとめております。
 金丸氏は昭和六十二年、六十三年、平成元年までの三年間の、また生原秘書は昭和六十二年から平成三年までの五年間の所得税脱税について、東京地検から公判請求をした。
 金丸氏については、平成二年及び三年分については脱税容疑はなかったんですか。
#38
○政府委員(濱邦久君) お答えいたします。
 今、委員御指摘のとおり、金丸前議員に対しましては、昭和六十二年、六十三年、平成元年分の所得税法違反の事実について公訴提起をいたしました。その余の分、すなわち平成二年以降の分につきましては、犯罪の嫌疑が認められなかったというふうに報告を受けております。
#39
○村沢牧君 そうすると、平成二年からはやみ献金もなかった、所得税申告も適正であった、こういうふうにお認めになったということですか。
#40
○政府委員(濱邦久君) 今お答え申し上げましたように、起訴した年以外の年の分につきましては訴追するに足る所得税法違反の事実は認められなかったという趣旨でございます。
#41
○村沢牧君 それもちょっと私が見るとそうですかと思えないようなことですが、法務大臣にお聞きをします。
 金丸脱税事件、所得税法違反の捜査は、これ打ち切ったんですか、まだ継続するんですか。
#42
○政府委員(濱邦久君) お答えいたします。
 先般の当予算委員会における御報告で申し上げましたように、金丸前議員らに対する所得税法違反事件の捜査はほぼ終了したというふうに御報告申し上げました。そのとおりでございます。
#43
○村沢牧君 先ほど申しましたように、本委員会に報告した法務大臣の報告は私は中間報告であろうというふうに受けとめたんですが、これすべて終わったという報告なんですか。もう一回聞きます。
#44
○政府委員(濱邦久君) 先ほどお答え申し上げましたように、金丸前議員らに対する所得税法違反事件の捜査はほぼ終了したというふうに申し上げたわけでございます。
#45
○村沢牧君 東京地検は九十四カ所の捜索を行って合計約七千点の証拠物件を押収した。これらの物件の中には、金丸氏に関係するものだけでなくて、他の政治家にも関係するものも含まれているのではないかというふうに思われるんです。また押収した物件を詳細に調査すればそういうことが出てくるんではないでしょうか。こうしたことについては調査をしているんですか。
#46
○政府委員(濱邦久君) 今、委員御指摘になられましたように、また先般の報告でも御報告申し上げましたように、検察当局において金丸前議員らに対する所得税法違反事件の捜査の過程におきまして多数の証拠物を押収したことは、そのとおりでございます。この証拠物につきましては公訴維持の観点等から必要に応じてなお分析検討を進めているというふうに聞いているわけでございます。
 委員が御指摘になられました他の政治家云々というお話でございますけれども、そういう報道がなされていることはもちろん承知しておりますけれども、これまでのところ、委員がお尋ねになっておられるような点について、既に公訴を提起した金丸前議員らに対する所得税法違反事件以外の事実について犯罪の嫌疑が認められたという報告は受けておらないわけでございます。
#47
○村沢牧君 今までの調査の中ではそうした犯罪の嫌疑が認められなかったということでありますが、これは調査をしていくのか、他の政治家にもこうしたことがあるんではないかというような重大な関心を持っているのかどうか、その点はどうですか。
#48
○政府委員(濱邦久君) 検察当局がどういう点に関心を持ってどういうようなことを捜査するかということにつきましては、法務当局からあれこれお答え申し上げることはいたしかねるわけでございます。
 ただ、一般論としてお答え申し上げますれば、検察当局を含めて捜査機関におきましては、犯罪の嫌疑があると思料いたします場合には適正に対処するものというふうに考えているわけでございます。
#49
○村沢牧君 佐川事件の五億円問題については、政治資金規正法の量的制限違反については時効で不起訴になったが、所得税法違反だとかあるいは不記載罪違反についてはまだ残されている。これらの捜査はどうなっているんですか。
#50
○政府委員(濱邦久君) 今、委員が御指摘になられました所得税法違反あるいは政治資金規正法違反、政治資金規正法上の収支報告書不記載等の告発事件につきましては、現在もなお所要の捜査を続けているというふうに聞いているわけでございます。
#51
○村沢牧君 そこで、金丸氏の政治団体の収支報告書には五億円に該当すると思われるものは記載されておらない。捜査を厳密にやれば、金丸氏にしてもあるいは金丸氏から資金の配分を受けた者の中にも、当然所得税あるいは不記載罪違反容疑が出てくるんではないか。これも時効を待って不起訴にするようなことがあっては断じてならないと思います。
 法務大臣、いかがでしょうか。
#52
○国務大臣(後藤田正晴君) 仰せのように、犯罪の容疑があるのを時間を稼いで時効の期限を待つなんということはあり得ません。犯罪の容疑があれば、これは当然検察当局は的確に捜査をしておる、私はかように考えるわけでございます。
#53
○村沢牧君 佐川事件や金丸事件の解明は、私は終わっていないと思う。竹下元首相に対する疑惑も解明されておらない。本予算委員会は本日をもってこの補正予算の審議は終了いたしますが、引き続いて、今後、解明、政治腐敗防止のために取り組むことは理事会でも話し合ったところでありますが、私は、こうした腐敗防止のために本院に特別委員会を設置して専門的にやってもらうことがいいと思うんですよ。予算委員会も努力いたしました。
 そこで、予算委員会の理事懇談会でも大方の意見も一致しているところでございますので、委員長にぜひ善処をしてもらいたいと思うんですが、どうですか、委員長の立場から。
#54
○委員長(遠藤要君) いずれ後ほど理事会で御協議して御返事したいと思います。
#55
○村沢牧君 次は、PKOの問題についてお伺いします。
 カンボジアで総選挙が事実上終わった。
 総理は、新政権の樹立をどう見ておるのか、また、どのように進むことを期待しておるのか、そ
のために日本政府としてはどのようなことをすべきだというふうに思われますか。
#56
○国務大臣(武藤嘉文君) カンボジアの選挙が終わりました。
 この間も御答弁申し上げましたように、カンボジアの国民は、九〇%という大変高い投票率があらわれておりますように、今までのような内戦は懲り懲りだ、あるいはまた、独裁的な政治体制は嫌だ、何としても平和で民主的な国家がつくられていく、自分たちもその国づくりに参加したいというのが私はあの選挙の結果であったと受けとめております。
 御承知のとおり、パリ和平協定では、これから三カ月以内に制憲議会が発足し、憲法をつくり、新政府を樹立する、こういうことになる。それまではUNTACが責任を持つということになっておるわけでございます。ただ、シアヌーク殿下は、しかしながらその三カ月の間においても何らかの形で、せっかくそのようなカンボジアの国民の気持ちであるならばやはりカンボジア国民の何らかの行政機構をつくっていくのがいいんじゃないかということで、先日そのような構想を発表されたと私は承知をいたしております。
 私どももこれは非常にいい方向であろうと思っておるわけでございますが、今まだカンボジア国内においていろいろとその点について御議論がなされておるのは御承知のとおりでございまして。私どもとしては今カンボジア国民が望んでいる方向に行くようなものはすべて関与すべきことであろうと思っておりますけれども、いずれにしても、パリ和平協定もございますし、この十六、十七とプノンペンにおいて関係国が集まりまして、そしてUNTACにも、またSNCの議長であるシアヌーク殿下にも働きかけをいたしまして、何らかのいい方向が見出されるように、これはもう当面のカンボジアの復興問題もございますのでそういう会議を開くことになっておるわけでございます。
#57
○村沢牧君 政府はPKOの初参加で実績を上げたと評価をしておるようでありますが、PKO法案審議の際の政府答弁とは現実はかなり食い違っていたことを政府自身も承知をしていたと思います。どういうところが違っていたんですか。
#58
○国務大臣(河野洋平君) 本院におきましても、国際平和協力法案の御審議に当たりましては、長時間御熱心に御議論をいただきました。その結果成立をいたしました法律に基づきまして、今回初めて本格的にカンボジアのPKO活動に参加をいたしたわけでございます。
 しかしながら、二人の若い貴重な命を失いましたことは、まことに申しわけなく、残念のきわみでございます。しかし、ただいま外務大臣からも御報告がございましたように、カンボジアにおきます制憲議会議員選挙の実績は極めて高い投票率、そして国民の熱い期待がそこに示されたというふうに考えておりまして、私どもは貴重な経験をいたした、こう考え、この貴重な経験に基づいて反省すべきところは反省しさらに国際貢献を進めていかなければならないというふうに思っているわけでございます。
 一般的に申しまして、国連平和維持活動というものは、停戦の合意によって、長年紛争が続いていたその地域において停戦の合意、紛争が終結した後に行われるものでございます。
 そうしたことから、私どもも、その停戦の合意あるいは当事者の同意、さらにはPKO活動の中立性、そういったものを確認をした上で派遣をいたしたわけでございますが、委員も御承知のとおり、終盤に至りまして、国連のブトロス・ガリ事務総長なども指摘をいたしますように、一部に武装解除が行われない、あるいはまた選挙に積極的に参加をしないばかりか妨害をするというような勢力がございましたことは、私ども当初考えておりましたことと想定が大分違っておりました。こうしたこともございまして、私どもとしては当初想定していた状況と違った部分がございます。
 先ほど申しましたように、初めての本格的参加でございました。この経験を踏まえまして、今後さらに注意深く国際協力を行ってまいりたいと考えているところでございます。
#59
○村沢牧君 私は、官房長官、こういうふうに思うんですよ。実際のPKOというのは、政府の想定した以上に危険なものだと。これはソマリアの例を見てもわかる。次は、国連の求める活動内容は、日本の法律の枠を超えていた。そして、PKOの要員の安全確保などに関して日本と他国との間に大きな違いがあった。
 私はこれらをこのカンボジアの要員派遣を見て感じますが、どうですか。
#60
○国務大臣(河野洋平君) この委員会でも何度か御答弁を申し上げましたが、一般的に言いまして今回のカンボジアにおきますUNTAC要員の安全確保については、その役割はUNTACそれ自身が第一義的には持つものでございまして、そうした点をUNTACには私どもも何度か注意を喚起し、あるいは申し入れを行ったわけでございまして、UNTACも我々の申し入れに十分耳を傾けるべきところは傾けてくれて、安全対策にも注意を払ってくださったというふうに考えております。
#61
○村沢牧君 注意を払っていくことはいいとしても、私が今三点を指摘したんですが、これについてどう感じますか。
#62
○国務大臣(河野洋平君) 我が国におきますPKO活動へ参加をいたしますときの考え方でございますが、我々は我が国の憲法、そして本院でも御審議をいただきました国際平和協力法の法令の枠内で参加をするということは当然のことでございまして、そのことは国連にも事前に十分説明をし、了解を得ていたところでございます。
#63
○村沢牧君 それも答弁になっていませんがね。日本が想定したよりも非常に危険なものだ、こういうことがはっきりしたんじゃありませんか。
 そこで、今国連に報告したと言われますが、口上書を私も持っておりますけれども、その際、日本の法律に基づいて行われることになることを申し述べる光栄を有するなんて書いています。これは協定書でありますが、これは出しっ放しですね。これでよろしいということで国連から了解を得たんですか。
#64
○政府委員(澁谷治彦君) 国連に対しましては、法案が成立いたしました翌日に当時のPKO局長であったグールディング局長に説明をいたしました。法案の枠組みその他詳細に説明いたしまして、我が方からも資料を提出いたしました。それから、この口上書の我が方の返事の内容につきましても、あらかじめ先方に説明いたしまして、その了解を得た上で出したということでございます。
#65
○村沢牧君 口上書を出したことは承知していますよ。口上書の中にはこういう文句が入っていることも承知をしている。これでよろしいと言ったのかどうか。国連が求める活動内容は日本の法律の枠を超えているんですよ。ですからこのことを、本当に日本の法律の枠内で結構ですという、こういう返事をもらったんですか。
#66
○政府委員(澁谷治彦君) その点につきましては事前に十分に説明いたしましたし、口上書提出の際にもその点は説明いたしまして、向こうもそれを了解したということでございます。
#67
○村沢牧君 質問の時間も余りありませんから総理に最後にお伺いいたしますが、総理、現実はPKOとPKFとの区別が現地ではだんだんつかなくなってくる。また、他国のPKOと協調するためにPKO法の見直しなどを求める意見も出ている。
 私は、カンボジアで日本の法律の枠を超えるような現実があったとしても日本の法律の範囲内でPKOはしなきゃいけない、PKOに広範な武力行使を認めることや、ましてや自衛隊の海外派兵につながるようなことがあってはいけないし、平和執行部隊に参加することは絶対あってはならない、日本の憲法がそんなことを認めないと思います。
 総理の見解を求めます。
#68
○国務大臣(宮澤喜一君) このたびのことを振り
返りまして、よその国の、それも戦争が終わったすぐ直後の脆弱な平和の中で国づくりを手伝うということはやはりなかなか容易なことではない、予想しないいろいろなことが起こるものだという体験をいたしました。これは、このことでなければほかのことが起こる、とかくそういうやはり予想しがたい状況での仕事でございますから、今後ともそのことは十分考えておく必要があるということ。
 それから、村沢委員の言われますように、我が国には我が国の憲法があり法律がございますものですから、仕事をしてくれる人たちに他国よりもっと厳しい武器の使用あるいは武器の種類等について制約を設けております。それもまた仕事をする人々にとってはある意味ではやりにくい点であったろうと思います。また、部隊よりは一人一人の要員の方がいろんな意味で仕事がしにくかった、あるいは危険も感じたことがあるというようなことも十分予想しなかったことでございます。
 しかし、さりとて、そうであるから例えばソマリアのようなああいう重武装をしていなければ国連の平和活動というものができないということになりますと、これはこれでまた問題がある。ソマリアの事態なんというのは、あれ以上流血にならないことを祈っておりますけれども、あれはあれでまたなかなか簡単なことではないという思いもいたしますものですから、今度のことにいろいろ難しいことがございましたけれども、しかしだからといって今言われましたような平和維持活動といったようなものならばうまくいくかというと、なかなかそうとも言えない。我が国がそういうことに参画できないということはもとよりでございますけれども、考え方としてもなかなか一足飛びにそこへ行けない問題があるのではないかという感じを持っております。
#69
○村沢牧君 次の問題に入ります。
 子どもの権利条約が本院で論議をされています。やがて批准をされるというふうに思いますが、批准をされた後において条約の精神を生かしてすべての子供が伸びやかに育っていく政治、社会を目指さなければならないんですが、この条約批准の意義と政府の対応について総理の見解を求めたいと思います。
#70
○国務大臣(宮澤喜一君) 我が国がこの条約を締結いたしますことは、子供に対する人権の、児童と申しておりますが、保障に関する我が国の姿勢を内外に示すことにもなると思います。また、国際社会における児童の人権尊重を一層普遍的なものにすることに貢献する意味からも有意義であると存じます。
 我が国の場合には国内法におきまして内容の多くが既に保障されておりますけれども、この条約を締結することによりまして国民の意識面、また行政の実態面で一層子供の人権の保障に努力をしていく、そういう契機にいたしたいと考えております。
#71
○村沢牧君 ここで肥田議員に関連を。
#72
○委員長(遠藤要君) 関連質疑を許します。肥田美代子君。
#73
○肥田美代子君 本条約が国連で全会一致で採択されましてからもう四年目になります。ついに今国会で批准承認のめどがつきましたことを私は大変うれしく思っております。
 ただ、衆議院で多くの議員たちがこの名称は子どもの権利条約とすべきと申し上げましたし、世論も大方がそのようになっておりますのに、外務省はチャイルドは児童だと今だに強い姿勢を保っていらっしゃることは非常に残念です。
 漏れ聞きましたところでは、自民党の文教族の先生方がこれに対して児童であるべきだと厳しくおっしゃっているということなので、私はちょっと皆さんにお伺いしてみたんです。そうしますと、元文部大臣でいらっしゃいます。その方は、私はずっと子供の方がいいと思っていた、もう少し早く手を打っていれば党内で解決できたのにとおっしゃっておられました。
 前文部大臣と元文部大臣が文部省の方に申し入れに行かれたとも伺いました。その文部省への申し入れは外務省に伝わっていると思いますが、いかがでしょうか。
#74
○政府委員(丹波實君) 元文部大臣をされた自民党の先生が今先生がおっしゃるような趣旨で文部省に対してそういう要望をされたということを、外務省として文部省から承っております。
#75
○肥田美代子君 子供と接する現場におります文部省は本気だと思うんです。
 ここに来年度の高校の教科書がございます。この教科書の中で、うれしいことにはほとんどの記述が子どもの権利条約になっているわけです。
 私は、教科書の記述というのは長い裁判もございましたし国際問題にもなっておりますから、その記述には大変心を砕かれたと思うんですけれども、文部省さん、いかがですか。
#76
○政府委員(野崎弘君) お答え申し上げます。
 来年度の教科書につきましてのお話が出ましたけれども、これは毎年七月に新教科書の内容とか前年度の検定の結果等につきまして統一的に公表することにしておりますので現時点ではコメントを差し控えさせていただきたいと思いますが、一般論として申し上げますと、教科書におきます本件条約の名称の取り扱いにつきましては、いまだ批准されていない段階でもある、こういうことで、申請者である発行者の用いた名称については特に検定意見を付さなかったと、こういうことでございます。
#77
○肥田美代子君 私は筆者のとてもいい感覚を信じるわけですけれども、批准されますと次からは児童の権利条約になるのでは困ります。
 それで、外務省にお尋ねしますけれども、批准後、広報の義務がございますが、例えば教科書では子供となっておりますけれども、高校生に対して児童の権利条約となさるつもりですか。
#78
○政府委員(丹波實君) この条約の日本語の正文は児童の権利条約ということでございますので、基本的には児童の権利条約という名称を使わせていただいて広報に努めたいというふうに考えております。
#79
○肥田美代子君 外務大臣、これでは現場が混乱すると思うんですよね。
 それで、法律の整合性とおっしゃってるお気持ちはよくわかりますけれども、ここはやはりさわやかに踏み切って、政治家としての御答弁いただけませんか。
#80
○国務大臣(武藤嘉文君) やっぱり私ども条約、法律というのは厳正に取り扱わなければならないと思っているわけでございまして、従来、国際人権規約も児童という表現を使っておりますし、国内法も憲法を初め児童福祉法、児童手当法、いろいろと児童という表現を使っているものがほとんどでございまして、たしか私の承知しているのでは、「こどもの日」というのはいわゆる祝日の関係で「こども」というのを使われておりますけれども、それ以外は法律用語は少なくとも児童と使われておりますので、今申し上げましたように、私ども条約とか法律というものは厳正に取り扱うというとその辺の整合性を重んじなければならない、こういう意味で児童という名称を使っておるわけでございます。
#81
○肥田美代子君 今、外務大臣が法律の整合性ということについておっしゃいましたけれども、実は法律の整合性など全くないんですよね。私がさっきわかりますと申し上げましたのは、そのように頑張っていらっしゃる気持ちがわかりますということでございます。
 それで、村上労働大臣、婦人を女性にということで閣議でおっしゃられましたけれども、そのあたりの御真意のほどを伺わせていただきたいと思います。
#82
○国務大臣(村上正邦君) 児童から女性に移ってきたわけでありますが、十代、二十代、未婚の女の方に婦人と、こう言うと、自分のことではないような面食らったそうした場面に私もしばしば遭遇するわけであります。といって、婦人と言われている方々に女性と申し上げますと、やはり自分のことのように認識をお持ちになる。
 そういうことからいけば、これはやはり男は概して男性と言うんですから、男性、女性ということでそこにぴちっとした概念というものが生まれてくると、二十代の方も十代の女の方も未婚の方もやっぱり我がことのように認識を持つんではないだろうか、より多くの女性の方がいわゆる女性問題に関心を持つようになる、こう思いまして、この五月の十八日の閣議でございましたか、法令上の婦人という表現については、婦人を用いる特別な理由のないものについては、労働省は婦人局を女性局に改めることを含め女性という表現に改めることについて検討をなされたらいかがでしょうということを河野官房長官に申し上げたところであります。
 関係省庁の方でもその調整を今精力的に進めていただいておるということでございますので、私は速やかにそういう方向に持っていっていただきたいと思っております。
 それから、先生、児童を子供とおっしゃっておられますが、先生のお人柄、プロフィールを見ますと、児童作家、それから児童の教育問題、児童というのが随分先生の御紹介の中に入っているんですね。子供とは入ってないんですよ。座右の銘なんか童心と書いてありますね。ですから、まずそこらあたりから、御自身から、自分の紹介をなさるときには、そこまでおっしゃるならば、やっぱり子供、子供、子供と、こういうことをおっしゃられたらいかがかなと、こう思います。
#83
○肥田美代子君 そういうこともおっしゃるとは思ったんですが、児童文学の場合には物を書く対象なんです。権利条約はまさに子供たちが主役なんです。これは随分違う話なんです。これをごっちゃにされると困るんですが。
 ところで、先ほど元文部大臣と申し上げまして森通産大臣かなと誤解された向きもあったようですが、通産大臣の御意見はいかがですか。
#84
○国務大臣(森喜朗君) 言葉というのは時代とともに多少ぎくしゃくしたり、解釈上おかしいなと思うこともやっぱりあるだろうと思います。現に今ありますいろんな法律を見ましても、旧仮名遣いのものもございますし、それから片仮名のものもございます。だから、その都度改正の際にそうしたことも含めて大改正をするということがあるわけです。
 先生のおっしゃる気持ちは私非常によくわかりますが、やはり法令用語ですから、法令用語であれば、きのう私は質問があるかもしれないと聞いたもので、久しぶりにコンサイスの和訳辞典を繰ってみましたら、子供、子、児童と書いてありましたから、どれをとってもいいんだろうと思いますが、法令用語というふうに外務大臣はおっしゃいましたから、そういう意味からいえば、憲法にも二十七条は児童になっていますから、もし法律用語全体を改正するということであると、憲法の問題をどうするのかなということもやっぱり考えてみなきゃならぬのじゃないかなと思っております。
 いずれにしても、今、村上さんもおっしゃいましたように、童心というそういうお気持ちを大事にしておられる先生のその主張については非常に私はよく理解はできますが、ここにおりますのは個人的立場じゃございませんので、国務大臣という立場でございますので、やはり法律用語を大事にしていかなきゃならぬのではないかと。後世またそれを変え得る人々が出てこられるだろう、そういう児童が成長していかれるんじゃないか、そんなふうに思います。
#85
○肥田美代子君 後世と言わず、私は今国会が終わるときには子供になっていると信じております。
 それで、総理、前回の当委員会でのお答えのときによく検討してみますとおっしゃっていただいて、私はそれをしっかりと胸に温めてまいりました。条約が批准されますと批准のための閣議が開かれますね。そこでぜひ変えていただけませんか。もう一度お願いいたします。
#86
○国務大臣(宮澤喜一君) 前回も、三月の終わりでしたが、肥田委員からこの問題についてお話がありまして、また御説得もありまして、正直言って、非常にそれは琴線に触れるものがありました。が、やはりここは法律とか行政とかいう社会だものでございますから、そういうことを考えておかないといけない。
 まあ世の中というものは変わってまいりますが、我が国のように殊に敗戦を境に非常に大きく変わりました社会で法律の言葉というものも実はだんだんに変わっていかなきゃならないんだろうとは思っております。それは長い間にそういう変化をするものでございましょう。
 今この際、ここでこれを改めるということはやはり過去における法律あるいは行政に相当な整合性の上で混乱を起こすというのが専門家の意見でありまして、お話には私は非常に心を揺すられるものがありましたけれども、やはりここはひとつ行政の立場を考えなければならないだろう、法律の立場を考えなければならないだろうと、そういうふうに考えるに至っておりまして、何度かのお話、御説得は、これはしかしそれとして長く自分の記憶には残る、これは間違いございません。
#87
○肥田美代子君 ありがとうございました。
#88
○村沢牧君 次に、所得税減税の問題について伺います。
 総理は、減税は政治そのものである、所得税の問題は近い将来においてどうしても考えなければならない問題であると答弁されています。我が党初め野党は、昨年来、景気回復と重税感を緩和して国民生活を高めるために大型減税が今こそ必要であるということを強調して国民的な運動を背景に政府に強く求めてまいりましたが、本補正予算でも見送られたことはまことに遺憾です。遺憾というよりも怒りを感ずるんですね。
 総理の言う近い将来とはいつごろを考えているんですか。
#89
○国務大臣(宮澤喜一君) 基本的に所得税の減税が不適当である、あるいは不必要であるということを申し上げたのではないことはおわかりいただけると思いますが、財政の事情等々がございました。
 それで、前回も申しましたが、公的年金の財政再計算はもう平成六年、来年のことでございます。それから、年金の統合というようなことも平成七年。続いて議論されなければならない。長寿社会といいますか老齢化社会が迫ってまいりますと、国民負担の問題というのも出てまいります。ですから、そういうこととあわせまして、二十一世紀に向けての国民の負担と給付の関係をどうするかという問題には直面せざるを得ない。それがもう明年のことになってまいります。
 したがいまして、そういうことを踏まえまして税体系をどうすべきかということは、昭和六十一、二年のときに所得税の抜本改正がもう一つ最後の姿までいかなかったこともあわせまして、いずれにしても考えなければならない問題である。恐らく政府の税制調査会等におきましてもことしの秋ごろにはこの問題についての検討を始められるのではないだろうか。もとより、非常に大きな問題になりますから、その答申あるいはその実行ということになりますれば時間がかかることはやむを得ないことと思いますけれども、問題の検討はもうそんなに長くほうってはおけないというふうに考えております。
#90
○村沢牧君 そんなに長くほっておけないことは何回も聞いているんですが、近い将来としては、総理は、例えば明年とかその後にとか、その辺の答弁をいただきたいんですよ。
#91
○国務大臣(宮澤喜一君) いつから実行するかということになりますと、それは税制調査会を初め各界におけるいろいろな御討議、相当幅の広いこれは税制だけでない議論をしなければなりませんので、それに要する時間というものはひとつ御許谷をいただきたい。非常に大きな問題の一環としてと申しますか、主要部分ではございますけれども、として考えていかなければならない問題だと思っています。
#92
○村沢牧君 そこで、税制の所得税減税の必要性だとかあるいは負担の不公平だとか位置づけだと
か、いろいろあります。これは本委員会でも論議をされたところでありますので、きょうは時間がありませんからその点は省略いたしまして、所得税減税は金がない金がない、財源がないということだけ今までずっと繰り返してまいりましたね。財源がそんなにないということは私もわかりますけれども、しかしやり方によれば、例えば四兆円一度にどこかで銭集めてこい、そんなことはできないと思いますが、大蔵省だっていろいろ配慮すればやる方法はあると思う。私はその財源の一部として地価税の問題を提起したいと思うんです。
 地価税は増収を目的とするものではなくて減税にあわせて土地対策等を行って国民生活に還元をするものである、これは地価税創設の趣旨なんですよ。そして政府の答弁や公約、本院の委員会決議でも明確になっていますが、この点はお認めになりますか。
#93
○国務大臣(林義郎君) 地価税の問題につきましては、「地価税の創設に伴う増収分の使途については、所得課税の減税、土地対策等に配慮しつつ、平成四年度税制改正・予算編成時においてその具体的内容について検討すること。」という附帯決議がついていることは承知いたしております。
#94
○村沢牧君 その程度の答弁では、大蔵大臣、納得できません。
 地価税はそういう趣旨で創設をして、特別委員会も設置をした、大蔵委員会でも論議をした。そして減税に使うということはもう政府の公約なんですよ。それを昨年から地価税収入を一般歳出として使ってしまった。私は昨年の予算委員会でこのことを追及いたしましたところ、当時の羽田大蔵大臣は、国会の御論議を大切にしながら平成五年には適切に対応する、こういう答弁をしており、なお宮澤総理もこのことを認めておるんです。
 大蔵大臣、この公約はどうなったんですか。
#95
○国務大臣(林義郎君) 今、国会の附帯決議というのを知っているかというお話でございましたからそうお答え申し上げたのですが、羽田大臣からもそういうふうなお答えをしているところも議事録等で承知をいたしております。ただし、ここに書いてありますのは、まさに先ほど御説明申し上げたとおりでございまして、「土地対策等に資するという観点から歳出を通じ国民生活に還元することが現実的には適当である」という御提言をいただいたところでございまして、歳出面におきましても、また税制におきましても、いろんな点におきまして適切な配慮をしてきたものだというふうに考えているところでございます。
#96
○村沢牧君 大蔵大臣が考えておったって、政府税調の基本答申は、「所得課税の減税を合わせて検討する」という基本になっているんですよ。いつの間にか公約やそうした基本答申を無視して大蔵省はこの方針を変えてしまった。どうですか。
#97
○国務大臣(林義郎君) 今私が御答弁を申し上げたようなことでございますけれども、この問題につきましては、いわゆる目的税にするかどうかというような御議論があったことも私は聞いておるところであります。自民党の中でも御議論があったときに、そういうふうな目的税的なものにしたらどうかというような御議論がありましたけれども、目的税ではなくて一般税としてやるんだ、そうするとやはり一般歳出あるいはそのほかの問題で土地対策、特にその当時におきましては大変な土地の高騰がありましたから、それに資するような格好でやっていったならばというような受けとめ方を私はしているところでございまして、そういったのがむしろこの税制で税をいただいているところの趣旨にも合致をしているんじゃないかな、こう思っているところでございます。
#98
○村沢牧君 総理、昨年の予算委員会、総理もお答えになったから記憶があろうと思いますが、本院の大蔵委員会が要望されておりました事態の背景が異なってしまったことにつきましてはこれはやはりまことに遺憾なことと申し上げなければならないというふうに思いますと、それから大蔵大臣が平成五年度においては何とか検討しますと言ったら、総理は、ただいま大蔵大臣がおっしゃったとおりであるという答弁をされていますが、いかがですか。
#99
○国務大臣(宮澤喜一君) 昨年の三月、当予算委員会におきまして、村沢委員の御質問に対してそうお答えをいたしております。
 そこで、政府としましては、このことはやはり一つちょっと忘れてならないことだものでございますので税制調査会にもいろいろ議論をしていただきまして、昨年の末の税調の答申は、平成五年度で減税をするということが困難であろう、それであればやはり本来の趣旨から考えて歳出を通じて国民に適切に還元をする、それが地価税を創設した趣旨を生かす道であろうという答申をいただいておりまして、それに従いまして歳出面で配慮をしたということなんでございます。そうなんでございますけれども、これは村沢委員が昨年も言われました趣旨とは実はかなりもう妥協いたしておりまして、やむを得ず減税ができませんので歳出に配慮をした、こういうことが偽らざるところでございました。
#100
○村沢牧君 大蔵大臣、総理の答弁の方が率直なんですよ。本当は減税財源に使わなきゃいけないけれども、減税ができなかったから一般財源に使ったということなんですよ。ですから、こういうことを考えれば、一遍に四兆円、三兆円は集まってこないけれども、そういう工夫をしなければ、結局、政治の最も基本的な部分で政府が公約違反を犯しては政治の信頼をなくすんですよ。
 大蔵大臣は、地価税の創設の趣旨や、それからどうするかという点は余り御存じないと思いますが、総理の答弁の方が正しいと思いますが、どうですか。
#101
○国務大臣(林義郎君) 今、総理の方が正しくておまえの方が間違っていると、こうおしかりでございますが、私も平成五年度の予算編成におきましては今までの国会の御議論やその他の決議の趣旨、税調答申の趣旨等を踏まえまして適切に今までやってきたつもりでございます。
 厳しい財政事情でありますけれども、先ほど申しましたような格好でやりましたのは例えば土地需要の調整に関する経費でありまして、先行取得に係る経費とかそういった対策費を出しましたり、あるいは土地に関する情報の整備というような経費を出しましたり、住宅宅地供給促進等に関する経費としていろんな経費を出している。こういったものをいろいろと出してやっておるわけでございまして、土地対策というのはまさに総合的な対策でなければならない、そういったような観点でこうした費用を組ませていただいておったところでございます。
 御趣旨でございますから、今国会での御論議その他を踏まえまして、これからも適切に対処してまいりたいと考えております。
#102
○村沢牧君 ぜひ適切に対処してください。
 そこで、九二年度の地価税の申告税額は幾らであったのか、地価対策には幾ら使ったんですか。
#103
○政府委員(濱本英輔君) 平成四年度の地価税収でございますけれども、四月末の累計で五千百八十七億円でございます。予算額は四千二百億円でございましたので平成四年度は、まだ進行中でございますけれども、予算額を多少上回る税収が上がりそうでございます。
 これらにつきましては、当初の予算段階におきまして、先ほど委員から御指摘がございましたようにそもそも地価税の使途について基本答申で議論があり、もちろんそういうものをわきまえました上で、どのような国民への還元の手法というものが最適かということを税制調査会で御議論をいただき、先ほど総理及び大蔵大臣から御答弁ございましたような措置になったわけでございまして、それに見合った歳出措置というものが講ぜられたというふうに考えておるわけでございます。
 ただ、その歳出措置の具体的中身は、先ほども
多少お触れでございましたけれども、平成四年度としまして六千五百億程度の土地対策に対する経費が計上されたわけでございまして、こういった土地対策の中に生かされているという説明でございましたけれども、村沢委員からのいろいろな御指摘もございまして、さらにそういったものを踏まえ、平成五年度予算編成におきましては、このあたりにつきましてより厳密な議論を行ってきたということでございます。
#104
○村沢牧君 厳密なことをやってきたと言うけど、土地つまり地価対策にどれだけ使ったんですか、その五千百何ぼの地価税が入って。そのことを聞いているんですよ。
#105
○政府委員(濱本英輔君) 先ほどのお答えの繰り返しになるようで恐縮でございますけれども、平成四年度におきましては、当初予算四千二百億に対しまして、四月末累計で五千百八十七億円の税収が見込まれたということを御報告申し上げました。
 一方、当初予算におきまして、土地対策としまして約六千五百億円規模のものが予算に計上されたということでございます。
#106
○村沢牧君 質問に答えていないんですよ。それだけの税収があって、地価対策に幾ら使ったんだと聞いているんです。
#107
○政府委員(濱本英輔君) 重ねての御指摘は、地価税収の額それから土地対策に計上されました額を先ほども申し上げましたけれども、その中で土地対策に地価税収がどのように充てられたかということを説明しろという御趣旨かと存じますが、土地需要の調整あるいは土地に関する情報の整備、あるいは住宅宅地供給促進に対するいろいろな整備、そういったものにそれぞれ用いられたわけでございます。
 ただ、村沢先生のこれまでのいろんな御論議を拝聴しておりまして思いますのは、今後におきまして、あのときの議論を記憶いたしますのに、さらに地価税収が将来増収になってくるであろう、そういったものにつきまして、その増収分を的確に土地対策の増加に向けていくということが目に見えるようにならないか、そういうふうなお気持ちでのお尋ねがあったかと存じます。
 それは翌平成五年度の予算編成作業の中で取り込まれた課題でございまして、平成五年度におきましては、ただいまのお尋ねを越えるかもしれませんけれども申さしていただきますと、地価税収は平成五年度におきまして税率が本則税率に移行いたしますために、税率がそれまでの〇・二%から〇・三に変わりました。それに伴いまして、まだ当時の地価動向等も加味してでございますけれども、六千二百億円程度のものを五年度の地価税収予算として見込みました。
 したがいまして、平成四年度に対しましては相当の増収になるわけでございますけれども、その増収見込み額というものを受けて平成五年度の予算が編成されておりまして、五年度の歳出予算におきましてはそういった御指摘の趣旨を最大限酌み取った予算編成が行われております。
#108
○村沢牧君 私は地価税収入を土地対策に使えなんて言っているんじゃないんだよ。土地対策は一般財源を使うべき、減税に充てなさいというのが趣旨なんですよ。私はそのことをさっきから言っている。
 そこで、大蔵大臣、地価税についてはいろいろな意見がある、このまま続けるのかやめるのか、そういう意見、要望もあるようですが、どうしますか。
#109
○国務大臣(林義郎君) 地価税というのは資産課税でございますし、土地問題の基本的な課税としてこれからも考えていかなければならない。土地の高騰があったからどうだという臨時的な措置ではないと、私はこういうふうに受けとめておりますし、地価が適正になるような格好でいろいろ配慮すると同時に、そこからやっぱり税金をいただくという形の税金だろうと思っておるので、これからも着実に運営をしていかなければならないものであろう、こういうふうに考えておるところでございます。
#110
○村沢牧君 それで、最後に大蔵大臣に聞きますけれども、地価税収入は所得税減税の財源とすべきだ、ことしは総理の言うように減税をしなかったからそっちへ回さなかったけれども、将来は減税財源に考えるべきだ、このことを確認をしたいと思いますが、いかがですか。
#111
○国務大臣(林義郎君) 委員御指摘でございますけれども、私も附帯決議を読ませていただきましたり、それから前大臣の答弁なども見ておったわけでございますが、今も確認したんですが、必ずしもこの問題をすぐに直接的に所得税減税に向けるという話ではなくて、一般的な土地対策の方向で使えと、こういうふうなことで書いてございますので、私はそういった形でやるべきじゃないかなと、こう考えているところでございます。
 最初に私が申し上げましたのも、最初に私が引用しましたあの附帯決議の趣旨に沿って私はこれからもやらなければならないものだろう、こういうふうに考えているところでございます。
#112
○村沢牧君 くどいような話ですが、去年からいろいろ答弁を通じて総理は、ことしは減税をやらなかったのでそちらの財源にしなかったけれども、本来ならば減税財源にすべきだということを昨年来答弁しているんですよ。大蔵大臣の答弁と違うんです。
#113
○政府委員(濱本英輔君) 論議の経過を御報告する形で今のお尋ねに対して何ほどかお答えが申し上げられればと存ずるわけでございますけれども、確かに、地価税が創設されましたときの論議といたしましては、先ほどから再三御指摘がございましたように、これを所得課税の減税に充てられないかという議論があったことは事実でございます。総理の御答弁もそういった事実を思い起こしていただきましての御答弁と伺っておりました。
 ところが、刻々と状況が移ってまいります過程で、その所得税減税に充ててはどうかという議論のさらに根っこにございます考え方というのは、要するに、何とかしてこうした新しい税制ができる、そしてできた当初そういうものをどういうことに振り向けていくかということが大きな関心を呼ぶ、その段階でこれは国民生活、特に土地に関連した歳出という方法があるいは所得税減税という方法か、いずれかの方法によって国民生活に還元することができないだろうかという論議があったということでございます。
 大蔵大臣からの御答弁につながるわけでございますけれども、そのことを重く見まして、平成四年度あるいは平成五年度の税制調査会におきましては相当突っ込んだ議論が行われたわけでございますけれども、例えば平成五年度の税制調査会の答申を読んでみますと、「財政事情が厳しさを増しており、平成五年度においては減税を行うことは困難であることにかんがみれば、土地対策等に資するという観点から、歳出を通じ国民生活に適切に還元することにより、地価税創設の趣旨を生かすべきものと考える。」、こういった御答申に結果的には至ったわけでございまして、私どももこういったものを踏まえて対応させていただいたつもりでございます。
 したがいまして、そのこと自体、例えば大蔵委員会におきます法案の御論議におきましても当然問題となりまして、附帯決議等でも同じような趣旨が再三附帯決議に盛り込まれるべき事項として御論議があったと思いますけれども、地価税創設の趣旨というものを念頭に置いて対応していくべきであるということは認識として共通しておろうかと思いますが、今後、所得税減税にそれを直接振り向けるというようなことまで附帯決議の中に具体的に盛り込まれてくるということではなく、そのときそのときの最適な解を求めていくというような意味で御論議が終結しているというふうに考えております。
#114
○村沢牧君 その問題を論議しておっても時間がありませんから論議はいたしませんが、今までの国会の答弁やなんかと随分食い違っていますから、またいずれ指摘をいたしましょう。
 そこで、総理、私は財源の一部について申し上
げたんですが、所得税減税は与野党の共通の認識となって、政権政党の幹事長の所得税減税を前向きに検討するという発言をいかに具体化していくかということは、言うまでもなく政府・自民党にあるんです。本補正予算に計上されている千五百億円程度の政策減税でお茶を濁すことは許されません。
 本院は昨年の臨時国会で、そして今国会の本予算の参議院通過の際において、所得税減税に対する経過と委員会審議をまとめて委員長の方で委員長報告として報告したんです、本会議で。政府はこの国権の最高機関の一院である参議院の予算委員長の報告に重みを持つべきです。こうした与党の幹事長の発言や本委員会の意思を真摯にかつ重く受けとめて、減税を求める国民の要求にこたえることが政治への信頼を回復することになるんです。
 国民は、総理の言うように、いつまでも待っているわけにはいかない。本年十二月の年末調整に間に合うように決断をすべきだ、このことを強く要請し、答弁を求めたいと思います。
#115
○国務大臣(林義郎君) 委員御指摘のとおり、平成五年度の予算の衆議院通過の際に与野党間の合意がありました。自民党の幹事長発言というものも私も重く受けとめておりますし、その後、五月二十四日でしたかお話がやはりありまして、与野党での話し合いがされた、そのときの経緯も私も聞いております。そうした中で、引き続きこの国会でいろいろ検討していくというような話にもなっていることもありまして、その辺は重く受けとめているところでございます。また、当予算委員長からのお話もございまして、その点も私どもも受けとめてこれをやっていかなければならない、こういうふうに考えているところでございます。
 そういった状況でございますので、今どういうふうにするかということについてこの場でどうだこうだということを申し上げるものではないと思いますけれども、あえて私の方の考え方を申せとこういうふうに言われるならば、今まで申し上げたこと以外のことはなかなか申し上げられないというのが私の立場でございます。
#116
○国務大臣(宮澤喜一君) 各党におけるそのような御意向、予算委員長の御発言、よく承っております。いろいろ財政の事情もございますけれども、先ほど申しましたように、この話はいつまでも放置しておいていいことではないということもよく存じておりますので、御趣旨のありますところはよく含んでまいります。
#117
○村沢牧君 終わります。
#118
○委員長(遠藤要君) 以上で村沢君の質疑は終了いたしました。(拍手)
    ―――――――――――――
#119
○委員長(遠藤要君) 次に、猪熊重二君の質疑を行います。猪熊君。
#120
○猪熊重二君 まず最初に、PKO法に関して伺いたいと思います。
 今般、政府がカンボジアに派遣した文民警察官あるいは自衛隊員が行った業務の実態は、国会によって定立されたPKO法の規定内容をはるかに超えるものであって、大きな食い違いを生じていると言わざるを得ない。これは法の支配という観点から考えたときに、憲法の言う国民主権原理に対する重大な危機、破壊であるというふうに私は考えます。以下、具体的な事例について政府の所見をただしたい。
 まず第一は、文民警察官の問題。
 国家公安委員会委員長、今回派遣された文民警察官が行い得る職務内容をPKO法及び実施計画に基づいて明確に説明されたい。
#121
○国務大臣(村田敬次郎君) 猪熊委員にお答え申し上げます。これは政府においては官房長官の所管でございますが、御質問でございますからお答えいたします。
 我が国文民警察隊員の任務は、国際平和協力法第三条第三号チ及び実施計画に基づき、警察行政事務に関する助言もしくは指導または監視である、このように認識をしておるところでございます。
#122
○猪熊重二君 要するに、警察行政事務に対する助言、指導、監視ということだったら、まさにカンボジアの警察官が警察事務をしているということが前提なんです。それがなしにして助言も指導も監督もありゃせぬということなんです。
 ところが、実際にはカンボジアの警察官がだれもいないところで何の業務をやっているか。今、委員長が言われた範囲以外の行為を文民警察官がやっていたという事実、これについて事実調査の結果を明らかにしていただきたい。
#123
○政府委員(柳井俊二君) 事実関係につきまして、私の方から手短に御報告させていただきます。
 文民警察官の任務につきましては、先ほど大臣から御答弁があったとおりでございます。カンボジアにおきまして、我が国の文民警察要員は現在八州一部二十六カ所において勤務を行っておりますが、いずれの地域におきましても現地の警察が存在しておりまして、カンボジア人警察官のいない地域に我が国の要員が配置されているということはございません。
 ただ、具体的な業務に当たりましてこれまで現地の警察官がたまたまいなかったというようなこともございましたので、この点につきましてはいろいろな機会にUNTAC側にそのようなことがないようにと、我が国の法律の規定につきましても再三説明をいたしまして理解を求めたところでございます。
#124
○猪熊重二君 そうすると、文民警察官が今、PKO法が規定している業務以外に、国境警備だとか政党事務所の警備だとかVIPの警護だとか、こんなことをやらされた事実はあるのかないのか、それをどれだけ調査しているのか、委員長、答えてください。
#125
○政府委員(柳井俊二君) ただいまお挙げになりましたような事例につきましては、例えば政党の事務所の警備でございますとかあるいはVIPの警護を行った、あるいは国境の監視を行ったというようなことにつきまして私どもも現場から話を聞きましたので、これについての調査をいたしました。その結果、一部の地域におきましてそのようなことがあったという事実が判明いたしましたので、まず政党の事務所の警備でございますとかあるいはVIPの警護というものについては、これは問題であるということを何回かにわたりましてUNTAC側に申し入れをいたしました。
 最近は、私自身が参りましたときに、二週間ほど前でございますが、UNTACの警察部門の責任者でございますルースさんという方、それから明石特別代表に対しましてそのような指摘をいたしましたところ、ルース警察部長の方から、政党の警備とかあるいはVIPの警護というものは本来現地警察が行い、それを文民警察が監視等をするという建前であるという説明がございましたので、それならばそういうことで徹底をしてもらいたいというふうに申し入れた次第でございます。
 それから、先ほどお話のございましたいわゆる国境監視でございますが、これにつきましても、そのようなことがあったということを聞きましたので、我が国の文民警察官のうちで国境付近において勤務を行っていた要員に対しまして調査をいたしました。その結果、具体的にはタイとカンボジアの国境でございますが、北西部のアンビル、フォンクーというところにおける勤務の実態についてそのようなことがあったというふうに承知しております。
 ただ、その対応でございますけれども、文民警察官が直接に国境の監視をするということではございませんで、現地の警察官もいて、それに対する監視等を行ったということでございました。これは我が国の文民警察だけではございませんで、我が国を含むUNTACの文民警察要員が現地警察の指導、助言、監視の一環として国境においてそのようなことを行っていたということでございました。
#126
○猪熊重二君 文民警察官に今のようなことを命
令したのはだれなんですか。
#127
○政府委員(柳井俊二君) 文民警察官を含めましてUNTACの要員はすべてUNTACのコマンドのもとにございます。いわゆる指図のもとにございます。
#128
○猪熊重二君 日本の法律がやってはいけないという、日本の法律が許容している限度以上のことをUNTACの方で、あなたが今コマンドと、そんなものを、なぜ行った文民警察官がそれに従わなきゃならぬのか。その法的根拠を伺いたい。
#129
○政府委員(柳井俊二君) 文民警察官は先ほど申し上げましたようにUNTACのコマンドのもとにあるわけでございまして、文民警察官の業務につきましてはUNTACがこれこれのことをやれという指図を出すわけでございます。ただ、先ほど申し上げましたとおり、御指摘のあったようなことにつきましては、例えば政党の事務所の警備でございますとかあるいはVIPの警護といったことは、UNTACとしてそのようなことをしろというふうに指図をしたことはないということでございました。ただ、現実に現場において、出先でそういうことがあったということがございましたので、そこは是正方の申し入れをしたということでございます。
 それから、国境の監視につきましては、先ほど御答弁申し上げましたとおり、現地の警察官もいて、それに対する指導、助言、監視の一環としてそういうことをやっていたということでございますので、我が国の法律からはみ出すという問題ではないと思います。
#130
○猪熊重二君 内閣法制局長官に伺う。
 今、いろいろ聞いていたことに関連して、文民警察官が法の所定以外の事由をカンボジアにおいて行ったこと、あるいはそれに対するUNTACの指図の問題、これについて法制局長官はどういうお考えですか。
#131
○政府委員(大出峻郎君) 具体的な事実関係に関連した問題はちょっと別の問題とさせていただきたいと思います。ここでは一般論として、この法律の枠組みという観点から申し上げさせていただきたいと思います。
 我が国から派遣された要員は本部長が作成する実施要領に従って業務を行うこととなるわけでありますが、国際平和協力法第八条第二項において、実施要領の作成、変更というのは、業務の中断のような場合を除きまして、国連事務総長または派遣先国において事務総長の権限を行使する者の指図に適合するように行うこととされているわけであります。しかし、実施要領は、実施計画に従い、国際平和協力法の第三条三号に定める国際平和協力業務を実施するために作成するものであり、仮に法に定める国際平和協力業務以外の業務を行うよう指図があったといたしましても、実施要領は法の定める業務の範囲内でしか作成、変更できないことは当然のことであるわけであります。
 したがいまして、法的な観点から見ますというと、我が国要員が法の定める業務以外の業務を実施するということは予定されていないということであります。また、我が国が国際平和協力法に従いまして国連平和維持活動に要員を派遣することは、これは国連も事前の手続によって了承をしているということであります。
 UNTACの司令官が我が国から派遣された要員に対し、法に定める業務の範囲を超えた業務を行うよう指図を行う、そういう権限といいますか、言葉が適当かどうかわかりませんが、そういうものはないというふうに考える次第であります。
#132
○猪熊重二君 今、法制局長官が答えたとおりなんです。やっちゃいけないんだ、こんなことは。
 私は、総理、今回の文民警察官が具体的にどういう仕事をしたか、いつどこで何名の人間がどういう仕事をしたか、それは警察事務に対する指導、助言、監視に当たるように、皆さんがわかるような意味での報告をきちんとしていただきたい。いかがですか。
#133
○国務大臣(河野洋平君) 七月十三日が文民警察の任期でございます。恐らくそれまでには一名を除いて全員が帰国をなさるというふうに心得ておりますので、帰国されましたら恐らくそうした報告書を作成するということになろうかと思いますので、先生御指摘の部分についても私注意深く確認をしてみたいと思っております。
#134
○猪熊重二君 公安委員長に一言申し上げておくけれども、あなたが送り出した責任者なんです。その人間が現地においてどういう状況だということをあなた、自分自身人間としてもっときちんと把握するべきだ、そうでなかったら送り出された人間にとってはたまったものじゃない、これだけ申し上げておきたい。
#135
○国務大臣(村田敬次郎君) 猪熊委員は、送り出された文民警察官の安全を考えて今の一連の御質問があると思います。御質問の趣旨はよくわかります。
 そして、柳井事務局長あるいは官房長官からお答えを申し上げましたように、文民警察官の実際の実務におきましては、先ほど私がお答えを申し上げました条文の範囲を超えていろいろ実際には行われておったことがあるというお答えがございましたが、私が総理から御指令を受けましたときに、ぜひこの問題についてよく話し合わなきゃいけないということで、五月十日の朝十時から十一時半まで明石UNTAC特別代表と会いました。そしてそのときに、日本は、宮澤総理はUNTACの業務について全面的に御協力を申し上げるということをお伝え申し上げました後で、三十二カ国から文民警察官あるいは要員等が派遣をされておるわけでありますが、その一身上の安全につきましては、三十二カ国を含め日本国の要員の安全もぜひ保障をしていただきたい、守っていただきたいということを誠心誠意申し上げました。そして、明石康特別代表もこれに対して誠心誠意お答えになったと思います。
 そのことは例えば防弾チョッキの配備であるとかあるいは地域における視察についてヘリコプターを将来準備をするというようなことについて、あるいは投票所を減らすというようなことについても誠心誠意の御答弁があり、また今即答できないことは今後も毎日のように日本側に御連絡を申し上げます、こういうことでございました。
#136
○委員長(遠藤要君) 簡単に願います。
#137
○国務大臣(村田敬次郎君) 私は、五月十二日に帰りまして総理に御報告をいたしまして、総理は直ちにこの問題に対応され、柳井事務局長はその翌日にプノンペンに向けて出発をしたわけでございます。
 したがって、このことについての猪熊委員の御質疑の趣旨はよくわかっておるわけでございまして、文民警察官の安全を守っていくためにUNTACの明石代表も、そして我が国の政府も誠心誠意対応してきたところであると思います。よく御趣旨はわかるのございまして、また官房長官、政府からもUNTACの明石代表には逐一……
#138
○委員長(遠藤要君) 簡明に願います。
#139
○国務大臣(村田敬次郎君) いろいろ連絡をしたところでございます。
#140
○猪熊重二君 次の問題に移ります。
 自衛隊員がカンボジアの現地において正当防衛として武器を使用できる範囲の問題に関して、官房長官にお伺いしたい。
 前回の委員会で官房長官がおっしゃったんですが、どうも私は納得できない。自衛隊員の自己以外の自衛隊員及び協力隊員に対する加害に対する武器使用の問題と、それ以外のものに対する正当防衛としての武器使用の問題についてお伺いしたい。
#141
○国務大臣(河野洋平君) 御指摘の自衛官の武器使用につきましては、国際平和協力法第二十四条第三項によりまして、自己または自己とともに現場に所在する我が国要員の生命または身体を防衛するためやむを得ない必要があると認める相当の理由がある場合には武器を使用することができるということになっております。同条は、国際平和
協力業務に従事する自衛官の法令行為ないし業務上の正当行為としての武器の使用について規定しているものでありまして、その場合、業務上の正当行為などとして防護の対象としているのは我が国要員でございます。
 他方、この法律は、日本人であろうと外国人であるとを問わず、他人の生命を守るために武器を使用したことが正当防衛または緊急避難に該当する場合に違法性が阻却されることまで否定したものでは決してない。このことは法律に書くまでもない当然の前提だということになっております。
#142
○猪熊重二君 要するに、現地人であれあるいは他国の派遣隊員に対してであれ、正当防衛として武器を使用できるということの法的根拠を伺っているんです、私は。
#143
○政府委員(柳井俊二君) 今、官房長官から御答弁があったとおりでございまして、この法律自体にはそのような場合についての規定はございませんけれども、これは日本人であると外国人であるとを問わず、他人の生命を守るために武器を使用したことが正当防衛または緊急避難に該当する場合に違法性が阻却されるということまで否定したものではないということでございまして、これは当然の前提としてこの法律には書いていないということでございます。
#144
○猪熊重二君 カンボジアという独立国家のもとにおいて、日本刑法が適用されるわけじゃないんです。日本刑法の正当防衛理論が何でカンボジアにおいてそのまま適用されるんです。カンボジアにはカンボジアの刑法があるはずなんです。要するに、他国においてどういう要件のもとに正当防衛が成立するかせぬかということを日本の刑法の基準で判断するわけにいかぬ。
#145
○政府委員(丹波實君) 今の先生の御質問は、国家の主権、国際法の問題に絡む問題だと思います。
 そこで、国際法上、立法管轄権という言葉がございますけれども、立法管轄権として幾つかの国家の管轄権というものが認められておりますけれども、その中には自国の領域の内外を問わず自国民に対して自国の法令を適用するといういわゆる国籍原則というものがございまして、そういう意味で日本人に対して日本の刑法を外国においても適用するということは一般国際法上認められておることでございます。先生弁護士でございますのでおわかりいただけると思いますけれども、例えば刑法の第三条「国民の国外犯」といたしまして「本法ハ日本国外ニ於テ左ニ記載シタル罪ヲ犯シタル日本国民ニ之ヲ適用ス」という国外犯の規定は各国も持っておりまして、日本も持っておりまして、この点は問題がないというのが第一点でございます。
 それから、ちなみに、主権の侵害という絡みで御質問をしておられると思いますけれども、主権侵害といいますのは、ある国家ないしその機関が主権国家である他国の領域内におきまして当該他国の同意なくして公権力の行使と呼ばれるような行為を行うこと、これが主権の侵害ということでございまして、今御議論されておられる国際平和協力法第二十四条を適用するということは、それ自体は公権力の行使ではございませんので、主権の侵害の問題にはなりません。
 それから第三点、最後でございますけれども、国際連合とカンボジアとの間でこのPKO活動につきまして地位協定という協定が結ばれておりますが、その中におきまして、カンボジアの中でPKOの要員が武器を所持し、かつ携行することができるという協定上の明文がございますので、そういう武器を携行し使用されるということをカンボジアとして当然前提としておるということでございます。
#146
○猪熊重二君 まず第一点は、そんな刑法の時的限界だとかあるいは物的限界の問題を言っているんじゃないんです。そんなことは私でも知っている。そうじゃなくて、カンボジアにおいて殺人行為がなされた、それを日本に連れてきて日本で処罰するといった場合だったらそれは日本刑法が適用になるんです。カンボジアという外国において殺人行為がなされたら、これに対してどの法を適用するかというのは全然別の問題だ。それが第一点。
 第三番目の問題は、そんなカンボジアと国連との間で地位協定ができたと言ったって、それが何ゆえに日本の文民に効力を及ぼすのか。
#147
○政府委員(丹波實君) 第一番目の問題でございますけれども、これもUNTACの地位協定によりますと、例えば軍事要員、あるいは文民警察官もそうでございますけれども、特に軍事要員につきましてはすべての刑事犯罪について派遣国の専属的な裁判管轄権に服するということでございまして、カンボジアの裁判管轄権というものは排除されておるということでございます。
 そういうことでございますので、そういう要員に対して日本の刑法がかかり、こういう方々が日本に帰国した際に日本の裁判権に服する、そういう仕組みになっておるわけでございます。基本的には、その任務遂行中の行為につきましては停戦監視要員あるいは文民警察官の方々に対しても日本の裁判権というものが適用されるということでございます。
 それから第二点でございますけれども、先生御承知のいわゆる国連と派遣国との間の派遣のモデル協定というのがございますけれども、その第五項を見ますと、「〔参加国〕の提供する軍人又は文民は、地位協定が規定する特権、免除、権利及び便益を享有し、地位協定が規定する義務を遵守する。」という規定がございまして、この考え方がカンボジアで活動しておられる各国の要員あるいは文民警察官にもかかっておる。そういうことを通じて地位協定の適用、したがいまして先ほど申し上げたような仕組みがかぶってくるという仕組みになっておる次第でございます。
#148
○猪熊重二君 要するに、今言っていることはとんでもないことだ。なぜかといえば、カンボジアと国連の地位協定、これを国会に出さない。私が出せと言ったって出さない。そんな国会審議にも何も出てきていないものを外務省だけがそれを知ってああだこうだ言ったって、そんなもの国民に対して何の意味もない。これを出さないんだから。PKO審議の際にも出さない、今も出さない。出しもせぬものを国民に、文民警察官の地位、身分に関して効力を及ぼすなんということはあり得ない。
 しかし、私はこれ言っているともう時間がなくなっちゃうんで、今の問題を含めて、総理、最終的にPKO問題に関して今回は五原則の一つである停戦合意の存否に関する政府の解釈、自衛隊のPKO所定義務を逸脱した警備、巡回業務、あるいは中断に関する政府の一方的な解釈等、法治主義の上から非常に物すごい重大問題をはらんでいる。すべての問題について、PKO法七条に基づく業務終了時の実施結果の国会報告の際には明確に詳細に報告してもらいたい、総理。
#149
○国務大臣(宮澤喜一君) 法に反しまして国際平和協力活動をいたしたとは思っておりませんけれども、もとより法に定めております報告は国会に対して申し上げます。
#150
○猪熊重二君 私はなぜこんなことをいろいろ申し上げるかというと、私は公明党としてこの法案に賛成したんだ。賛成した法律を、法律の趣旨を超えて適用されたら私は立つ瀬がない。
 次に、服部剛丈君の射殺事件について外務省に伺う。
 この射殺事件について、ルイジアナ州裁判所は陪審員全員一致で被告ピアーズは無罪という評決を行った。まずこの評決に対する総理の所見を伺いたい。
#151
○国務大臣(宮澤喜一君) 服部君御遺族に対してはまことに痛ましい事件であったと思っております。聞かれまして、そのことは新聞記者に申しました。
 なお、一部我が国がこの裁判に対して連邦政府に救済あるいは公正を求めるべきことを怠ったといったようなことを言われる方がございますが、これにつきましては、外務省政府委員の方からお
答えいたします。
#152
○政府委員(加藤良三君) ただいま総理が御答弁の後段でおっしゃられました点について私から申し上げます。
 公民人権侵害に対する連邦救済手続ということが結局できるのではないかということがその問題の中心だと思います。いずれにいたしましても、今般のアメリカの州裁判所における陪審員の評決を受けまして連邦政府が連邦法との関係でどういう措置をとり得るか、これはすぐれて連邦法を有権的に解釈する米国政府の判断の問題でございます。したがって、私ども日本政府が独自の解釈に基づいて意見を表明すべき問題では基本的にはないと考えます。
 他方、一般論として申し上げれば、州裁判所における無罪判決にもかかわらず公民権との関係で連邦法違反として起訴された例として、ロサンゼルス暴動につながった例のロドニー・キング事件ということは確かにございます。ただ、この件は公権力の行使の外観を伴った行動というものが絡むケースでございました。今回のこの服部さんの事件につきましては、加害者は実は全くの私人であることに加えまして、事件の要件、態様ということから見まして、ロドニー・キング事件と同一次元で論じられる問題ではない、恐らく公民権法に基づく起訴というのは非常に困難なケースなのではないかという心証を有しております。
 以上、ちょっと補足して申し上げます。
#153
○猪熊重二君 この評決があった直後に外務省の関係者が、日本政府としては今後政治問題として関与するつもりはないと言ったというふうに報道されている、これの真偽。それから、総理自身も評決があった直ちにその後に、日米文化の相違で仕方がない、他国の裁判ざたに政府としては口を出さないというふうにコメントしている。
 今、外務省で言ったような意味において、果たしてこれが公民人権侵害に当たるか当たらぬかということを検討するまでもなしに、関係ないよ、構わぬよと、これじゃ日本人が海外に行ってシカを殺すような大きなマグナム銃で心臓を撃ち抜かれても日本政府は何も言わぬということになる。検討した上でだめだと言うのならいいけれども、検討も何もせぬうちからアメリカに対して何も言うことがないという、総理、一番最初にそうおっしゃったんだとしたら、どうしてそんなことが言えるんですか。
#154
○国務大臣(宮澤喜一君) それは、昨日も申し上げましたとおり、そういうことを申しておりません。確かめもせずにその某新聞に引用された方がありますが、それは誤りです。
#155
○猪熊重二君 いずれにせよ、私はこういう意見があることを政府に、特に総理に申し上げたい。
 日本国民の利益を代表して、宮澤首相はクリントン大統領に対し、地方法廷の誤りを連邦政府として究明してくれと要求できるし、要求するべきである。あるいは、日本政府が日本人旅行者に米国は危険な国だと警告するだけでも効果がある。公民人権侵害として再審の道が開かれる可能性もある、こういうふうなことを在米の日本人の学者二人の先生が言っておられるんです。
 私は知りませんよ、実際はどうか。しかし、政府としてはもっと誠心誠意を込めてこの事態を、有色人種に対する不当な判決であるかないかということについて外務省を通じてもっと検討するべきだと私は思うんです。そういう意思があるかないか、外務大臣、総理。
#156
○国務大臣(武藤嘉文君) 先ほど政府委員から答弁をいたしましたように、一般論として公民人権侵害の連邦政府としての救済手続ができるかどうかは、たしか私の承知しているのでは四つの条件があったと思うのでございますが、どうも残念ながら今回の場合にはそれに該当しないというのが政府部内で検討した結果でございます。
#157
○猪熊重二君 次に、政治改革について伺います。
 先ほども村沢委員の質問に対して総理は、いろいろ今国会中にというふうなことをおっしゃっておられる。しかし、政治改革関連法案は衆議院の定数是正の公選法だけじゃないんです。政治資金規正法あるいは政治倫理法、あるいは新法である政党助成法、こういうふうな新法を含めて、これだけの大きな法律を参議院で審議する時間について総理はどう考えておられるのか。今から五日か六日しかないじゃない、審議する時間が。それにもかかわらず、今国会中に政治改革関連法案を全部成立させるなんと言っているけれども、参議院はどこで何を審議したらいいということになるんですか。総理。
#158
○国務大臣(宮澤喜一君) そのことには先刻もちょっと触れさせていただきましたけれども、御審議は衆議院の特別委員会において行われておりますが、野党とということを言わせていただきますが、あの方で皆さん御協議がありましたときには、参議院を代表される会派もその御協議の中に入っておられたように承知をいたしております、これは国会外のことでございますけれども。
 したがいまして、衆議院における御審議ではありますけれども、各党各派がこれには事実上御参画になっておるように拝見をいたしておりますので、もしその場で結論というものが生まれますならば、これは恐らく参議院の御審議におきましても、それを御参照の上、それを踏まえての御審議が行われるであろうということを、これはまことに出過ぎたことでございますけれども、期待を申し上げることができるのではないだろうか。いや、そうじゃないとおっしゃれば、もうそれまでのことになってしまいますが。
 そういう意味では、やはり衆議院における合意というものは幅広く各党各会派の中で生まれることを私ども期待を申し上げておりまして、そうであるならば御審議にそう長い時間がかからずに済むのではないか。これはただそういうふうに念願をすると言う以外に申しようがございません。それは違うとおっしゃいましたら、それは委員のおっしゃるとおりだと申し上げるしかございません。
#159
○猪熊重二君 要するに、会期延長をしてきちんと参議院の審議時間も考えた上での総理の発言をお願いしたいと、こう言っているんだ。今のままじゃ参議院なんか審議する時間が何もありゃせぬ。
 次に、所得減税について。
 先ほども村沢委員からも話が出ましたが、要するに自民党の幹事長が今国会中の所得税減税の実施について前向きに検討すると、こうおっしゃったわけです。総裁である総理も当然知っているはずなんだ。ところが、ここのところに来てこの予算委員会において総理がおっしゃる所得税減税が今国会においてできそうもないということの理由として挙げることは、先ほども言っておられた、公的年金の財政再計算を来年に控えたから今すぐはどうだとか、あるいは中堅層の重税感の軽減を含めた所得税の累進税率是正というような抜本的なものも考えなきゃならぬ、だから今はできないとおっしゃる。
 今、しかし総理がおっしゃるその理屈が本当に正しいんだとしたら、おたくの幹事長はできもせぬことを与野党合意でやったことになる。もし今国会中の実施について前向きに検討するという幹事長の言い分が正しいとすれば、総理が言っているすべての今できないという理由は後からつけたつけ足しにすぎぬと思うんです。いかがです。
#160
○国務大臣(林義郎君) 三月四日に梶山幹事長が三党との与野党の合意、話し合いにおきまして、所得税減税について前向きに検討するという話をされたことは委員御指摘のとおりでございます。
 その後、五月の十七日にいろいろ野党三党と自民党の方でお話がありまして、そのときには情勢も変わっているので前向きに検討しなければならない状況ではなくなったというような話をしておられるところでございます。また、野党の方からもそれに対していろいろお話がありました。ありましたが、最終的には今国会さらにいろんな点に
ついて協議をして検討していこうというようなお話し合いになっているということでございまして、私はこの問題、所得税減税の問題については、いわゆる不況対策としての問題である、こういうふうに考えておるところでございまして、今、総理から御答弁を申し上げておりましたり、また私もしばしば申し上げておりますように、所得税減税をどうするかというのは中長期的に考えていかなければならない話である。
 基本的な問題として、来るであろう高齢化社会にどう対応していくか、そういったときに租税への負担あるいは社会保障の負担、そういった点も含めながら考えていかなければならない。さらには税の持っていくところで、資産、所得、消費というところにどういうふうな形で負担を持っていったらよろしいのかという広範な点の検討が必要である、こういうことで言っているところでございまして、私は梶山さんが言っていることは党と党とのお話し合いでありますから、このお話し合いは慎重に見詰めていかなければならないものだ、こう思っておりますけれども、梶山さんの言っていることも私は一つも矛盾はしてないことではないか、こう思っておるところでございます。
#161
○猪熊重二君 最後に、円高差益の還元について経済企画庁、通産省にお伺いしたい。
 円高差益の還元の中で、電力、ガスといった公共性の強い事業は地域独占を含む各種公的規制によって業種的に擁護されている。この二つの業種に対する円高差益の還元について簡単に御答弁願いたい。私の持ち時間は十六分までです。
#162
○国務大臣(森喜朗君) 円高差益が発生をいたしますためには、たびたび申し上げておりますように、ある程度の期間にわたりまして円高が継続することが必要でございまして、現時点ではまだ先行きが不透明な状況にある、このように考えております。
 昭和六十年から六十一年にかけまして急激な円高が進行しましたときにも、円高の定着を見きわめますのに相当の長い期間を要しておるところでございます。また、電力、ガス事業におきましては、円高の影響のみならず原油価格上昇によります影響をも勘案するということが必要でございまして、今後とも為替レート及び原油価格の動向等に十分注視をしてまいりたいと考えております。
#163
○国務大臣(船田元君) ただいま通産大臣からも御答弁があったわけでありますが、公共料金、とりわけ電気、ガスを初めとする非常に公共性の強いものにつきましては、やはりぎりぎりの検討を行っていく必要があると思っております。
 現状ではそう大幅に円高差益がたまっているという状況は認識しておりませんけれども、今後の円高の動向や、あるいは原油価格、そのほか各企業の決算等の状況を十分に勘案しながら、総合的にぎりぎりの判断をしたいと思っております。
#164
○猪熊重二君 どうもありがとうございました。終わります。
#165
○委員長(遠藤要君) 以上で猪熊君の質疑は終了いたしました。(拍手)
    ―――――――――――――
#166
○委員長(遠藤要君) 次に、寺崎昭久君の質疑を行います。寺崎君。
#167
○寺崎昭久君 まず、外務大臣にお尋ねいたします。
 日本の貿易経常黒字が拡大して急激な円高が進行しているという現状は八六年の東京サミットのころの状況によく似ていると指摘する方がいらっしゃいますが、原因がどこにあれ、日本の黒字が世界の政治経済バランスを不安定なものにしているというのは否めない事実の一部、全部とは言いません、と私は思います。また、そういう指摘に対しては無視することはできないと思います。そして、日本が単に自由貿易を標榜しているだけでは問題の解決にはならないし、かえって日本が袋小路に追い込まれる、そういう危険性もあると思います。
 この七月の東京サミットでは、議長国として日本の対応がとりわけ注目されることになるわけでありますが、外務大臣は今回の東京サミットに向けて、残された世界経済に係る日本の課題、そして対応についてどのような御認識をお持ちなのか、伺います。
#168
○国務大臣(武藤嘉文君) 私は、日本の貿易黒字というのは、確かに日本にも考えなきゃならないことはあると思うのでございますが、正直、ずっと私、昨年一年の貿易の動向を見てまいりますと、必ずしも輸出量はそんなにふえているわけではないことは御承知のとおりであります。そして結局、金額的になぜふえたかと言うと、やはり為替レートの約一割近い円高になったということ、いま一つは、それぞれの輸出業者が相手側においてアンチダンピングと言われるようなことのないようにということで価格的に高い価格でお売りになっているということ、それが輸出の面では一つの大きな私は原因だと分析をいたしております。
 輸入面においては、やはり世界的に原油を初め第一次産品の価格が低迷をしている。結果的に日本は安い価格で原料が輸入できる。また、為替面も結局逆に一割プラスになっている。そして、国内の景気が低迷をしておりましたので輸入量が減ってきた。私はそれが貿易収支が大きな黒字になった原因だと見ているわけでございます。
 そこで、今御指摘のとおり、私はそれな力に理由はあると思うのでございますが、世界の中で突出しているということは事実でございまして、それはやはり日本の国内の景気をより高めていくということが結果的に必要であろう、そういう面においては今後とも日本の国内の景気を高めていただけるように経済政策を進めていただきたいと、こう考えております。東京サミットにおいてはマルチの問題を取り上げることになっておりますので、そのような問題も取り上げるということになると思っております。
#169
○寺崎昭久君 通産大臣にお尋ねいたします。
 先日、産業構造審議会が、アメリカなど十カ国・地域の不公正な貿易政策を列挙したいわゆる九三年度版不公正貿易白書というのを発表されております。その中で、一方的な措置には問題があるという指摘もし、また不公正な貿易がとられた場合にはガットに提訴をしてもそれを排除するという強い意向も示されております。筋としてはそのとおりだと私思いますけれども、しかしながら一方では、相手国の問題点を指摘しただけではぎくしゃくした関係というのは改善されないであろうと考えております。
 そういう意味では、通産省は外国市場の不公正貿易を公表するだけではなくて、日本の市場についても、とかく問題ありと指摘されている分野については見直しをし、より開かれた市場づくりのために、例えば通商にかかわる前川レポートのようなものを準備し、それの実行をスタートさせる時期を迎えているんではないかと思いますが、御認識を伺います。
#170
○国務大臣(森喜朗君) 寺崎先生の今のお考え、大変参考になる御意見でございます。
 昨日もこの委員会で総理からも御答弁ございましたように、今改めて、基本的に日本の貿易のインバランスを解消するには、やはり景気を回復させて、そして輸入の拡大に積極的に対応していくということが重要だろうと思います。それからもう一つは、やはり今回お願いをしておりますこの新たな追加的な予算、補正予算によりまして、ぜひ諸外国が日本に対して物を輸出できますように、そういうビジネスチャンスの場を設けてやるような、そうした事業を公共事業の中に取り入れてやるわけでございまして、そういうことに対しまして諸外国は積極的な営業をとっていただきたい、このように私どもは願っておりますし、機会をとらえましてそうしたことも各方面に申し上げているわけでございます。
 今申されましたように、アメリカの通商代表部やEC委員会がこの年次報告の中で対日輸出については貿易障壁があると指摘しているということは私も認識をいたしておりますが、しかし、どう
も日本にとっては神話みたいなものがございまして、またある意味では長いこれまでの経緯から、日本には特殊な一つの構造的な障壁があるのではないかというふうに見られていることもやはり私どもは注意をしなきゃならぬことだと思っております。しかし、寺崎さんよく御存じだと思いますが、日本市場は鉱工業品につきましては今世界で最も開放的な市場になっておりまして、既に日本市場は鉱工業製品につきましては輸入数量制限が完全に撤廃されておりまして、ECやアメリカとここが違っております。
 それから関税率につきましても、平成二年度には一千品目を超える鉱工業品の関税の撤廃、引き下げをいたしておりまして、平均でまいりますとアメリカ、ECの二分の一以下です。ちなみに、日本が二・一%、アメリカが五・五%、ECは五・六%でありまして、先般トロントで新たに私ども七百七十品目のオファーを提唱してまいりました。仮にこれが実現をいたしますと一・六%ということになりまして、世界で最も関税率が低い国ということになるわけであります。
 こうしたいろんな誤解に基づいているものもございますので、なお一層各国に対しましてそうした日本の神話的な誤解は解くように努力はしていかなければならぬだろう、こう思っております。
#171
○寺崎昭久君 ここで繰り返すまでもなく、外国から指摘されているのは金融とか保険サービスとか農業とか、そうした分野が多いんだと思います。これは通産省で対応するというよりは日本としてどうすべきかという問題だと思いますので、今後、関係閣僚会議とかそういうレベルじゃなくて、もっと日本としての意思があらわれるようなそういうお取り組みをぜひお願いしたいということでございます。
 続いて通産大臣にお尋ねします。
 きのうの当委員会で通産大臣はOECD閣僚理事会の一端を報告されましたけれども、その中で、アメリカだけが日本の貿易黒字を問題にしている、ほかの国は一言も触れなかったと。そのとおりかもしれませんけれども、マスコミ等が伝えている空気とは大分違うんではないかという率直な感想を持っております。
 それから、今週末にスタートする日米包括協議のフレームワークづくりに向けた次官級会議でしょうか、そのことに関しても、一般的には日米双方が相入れない主張を繰り返して不毛の論議に終わるんではないかというような懸念すら言う人もいる中で、昨日大臣は大変意欲的、建設的な御発言をされております。この面でも少し私はギャップを感じているわけなんです。
 そういう意味で、OECD閣僚理事会の空気をどう感じとったのか、それから、包括協議に向けてのフレームワークづくりや成果についてどのような見通しを持っておられるのか、改めてお伺いしたいと思います。
#172
○国務大臣(森喜朗君) 昨日申し上げましたところでは、アメリカだけというふうに申し上げました。確かに会合では、二十四カ国の閣僚の中でこの点について指摘をされましたのは確かにアメリカだけでございます。したがいまして、特定の国が特定の国を名指して黒字云々ということについての御発言はございませんでしたけれども、当然今委員が御疑問に感じられますように、やはり日本に対してはそういう気持ちは全くないという雰囲気ではなかったと感じております。
 むしろそのことよりも、貿易に関するワーキングランチというのは約三時間ほどございましたけれども、その中で皆さんが発言をされておられましたことは、どちらかというとウルグアイ・ラウンドをやはり早期に妥結をしてほしい、そしてやはり自由貿易体制を維持発展させる枠組みをつくってほしいというのがほとんどの国の皆さんの御発言でございました。
   〔委員長退席、理事井上裕君着席〕
 したがいまして、それぞれの各国の代表の閣僚でございますから、日米間については日米間の問題として大変な認識はしておられますが、そこのところはあえてそうした個別的な名前をお出しにならなかったんだろうと思いますから、だからといって、先ほど先生からも御指摘ございましたように、ほかの国は何も意識をしてないんだということを私は考えてはおりません。
 ただ、非常に大事なことは、今回のOECD閣僚理事会に出席いたしまして、これは総理にも私は御報告申し上げたんですが、日米関係というのは単に両国間の問題だけではなくて、世界各国の日米関係への注目と懸念は非常に高いということを改めて実感いたしました。そういう意味で、問題の解決のためには、これまでの協力関係をさらに強化していくことが重要であろう、このように考えております。
 したがって、フレームワークづくりにつきましても、総理とクリントン大統領のもとでのお話し合いのベースは、やはり日米が双方向性に協力をして、そして世界のGNPの四〇%を超えている我が国とアメリカでありますから、お互いに両国が協力することによって世界全体にいい影響を与えていく、及ぼしていくということが今回のフレームワークづくりにやはり大事なポイントではないかというふうに私ども考えております。
 もちろん、具体的には今週からアメリカで事務的な折衝が始まるようでございますけれども、日米関係というのはやはり強力な関係を構築することによって世界の繁栄、世界の安定があり得るという認識の上に対応していかなければならぬのではないかこのように考えております。
#173
○寺崎昭久君 大蔵大臣にお尋ねいたします。
 今回のOECD閣僚理事会の共同声明の中で、財政投融資の拡大、金利の引き下げなど、これは日本を意識したと見られるような記述があったと思います。これに対して、先日、大蔵省の幹部は我々の今までの努力がそのまま書かれているんだということを発言したやに新聞報道がされておりますけれども、ここで終わったんでは日本に対して輸入を拡大してくれと要請している各国の期待にこたえたことにはならないんではないかと思うわけです。
 そういう観点からお伺いいたしますけれども、各国の追加景気刺激策の要請について、大蔵大臣はどう受けとめられておられるのか。それからもう一つ、東京サミット向けの課題の一つとして、所得税減税や公定歩合の引き下げを行うお考えはあるのかどうか。この二点をお尋ねします。
#174
○国務大臣(林義郎君) 今のお話でございますが、理事会の中でいろいろなお話がありましたことは今通産大臣からお話があったとおりでございますが、少なくともペーパーだけで見ますと、「中期的な財政再建の目標を損なうことなく、財政政策のための存在し得る機会を活用する。」というのがございまして、その前に、「中期的に、構造的な政府財政赤字を決然と削減する。」と、こういうふうな規定があるわけでございます。
 申し上げるまでもありませんけれども、我が国は大変な財政赤字を抱えているわけでございまして、その中で、今申し上げた「存在し得る機会を活用する」と、こういうことでございますから、この共同声明の中に日本もやっぱりというようなことが読み取れるかもしれません。しかし、特に日本に対してメンションしてどうだこうだと言っているわけじゃございませんから、このコミュニケに関する限りは私はどうだということはないと思います。
 ただ、一般的な問題として、日本の大変大きな経常収支の黒字というものについてはやはりいろんな点の問題を考えていかなければいかぬ。これは世界経済全体の発展をどうしていくかということだろうと思いますので、そういった幅広い観点から考えていくべきものだろうと思っているところでございます。
 それから、金利の問題でございますけれども、金利の問題につきましてもOECDの中で言っておりますが、特に私どもはこれは日本を名指しして言っておるというふうには受け取っていないわけでございまして、今、国際的に申しますと金利
の問題は、正直に言えばドイツの金利がヨーロッパの中でどうだ、こういうふうな話がございます。日本はもう非常に低いところまで金利をやってきておりますから、そういったことは、まさにさらに下げろなどというような話では恐らく私はない、その辺については恐らくヨーロッパの諸国も大体認識を一致しているんじゃないかなと、こう思っておるところでございます。今のところ、それをどうしようとかというような話は、私はまだ俎上に上ってない、正直言って上ってないところではないかなと思っておるところであります。
 もう一つは、所得税減税という話でございますが、これはもう再三お答えを申し上げているところでございますが、私のところは今のところこれを持って東京サミットに臨むというような考え方をするには余りにも所得税減税の問題については問題が多いんではないかというふうに考えているところでございます。
#175
○寺崎昭久君 最後に総理にお尋ねいたします。
 最近の報道によりますと、米国は今回の東京サミットで、先進各国の貿易経常黒字あるいは赤字をGNP比一%台に抑えるよう提案するというようなことが伝えられております。また、管理貿易でも貿易不均衡を是正する結果につながるなら実現したいとのブラウン米国商務長官の発言も伝えられております。
 私は、こういう目標管理というのは経済のメカニズムを否定するものでありますし、場合によっては世界経済を縮小させてしまう、そういう懸念もあると思いますのでとるべき方法ではないと思いますが、もしこういう提案が米国等から持ち出された場合、議長としての宮澤総理はどのように対応されるのか、お考えをお尋ねしたいと思います。
#176
○国務大臣(宮澤喜一君) 具体的な品物の輸入についてマーケットシェアをどうこうという話は、これは市場経済ですからとてもやれる話ではないと思うのでございますが、そうすると、しかし何かの指標が欲しいではないかということはだれでもまあ考えそうなことでございますので、経常収支あるいは貿易収支をGNPなりGDPなりのこのぐらいのパーセントにとめればというそういう思考方法は、よくエコノミストがいたします。また、一国経済のそのときのあり方あるいはそれからの進路についてそういう話をすることはあながち無意味ではないのでございます。
 ただ現実にそれをこの一つのコミットメントにするというようなことになりますと、これだけ大きな経済でございますから、まずGDPがどうなるかGNPがどうなるかがわかりませんし、市場経済原理における輸出入がどうなるかということも、これもだれも、何人も実はコントロールができないというのが自由経済でございますので、まあ一つの、どう申しますか、頭の中に持っている物の考え方としてならともかくでございますけれども、具体的にそれをいつまでに何パーセントというようなお約束としてのコミットメントとなりますと、それは現実的ではないのではないかというふうに考えます。
#177
○寺崎昭久君 ありがとうございました。
#178
○理事(井上裕君) 以上で寺崎君の質疑は終了いたしました。(拍手)
    ―――――――――――――
#179
○理事(井上裕君) 次に、吉岡吉典君の質疑を行います。吉岡君。
#180
○吉岡吉典君 報道によりますと、大蔵省は、長期プライムレートの引き上げに伴い財投金利を引き上げる方針を決めた、こういうふうに伝えられております。正式決定であるかどうかは別としまして、事実関係及び正式決定でなくてもこういうことを考えているかどうか、お答え願います。
#181
○国務大臣(林義郎君) 長期プライムレートが上がるというのはこれは民間でおやりになる話でございますから、それはそれで尊重していかなければならないことだろう、こう思います。政府関係の金融機関の貸出金利はそのときどきの市場実勢に従って定められるべきものでありまして、具体的に申しますと、長期プライムレートと同一時期、同一水準に大体動いているというのが今までの考え方でございます。
 ただ、政府関係金融機関の話の方は、いわば政府の財政投融資の方の関係もございますので、今回は現在の経済情勢にもかんがみまして、預託金利交渉の帰趨を見きわめた上で金利の改定をしたらどうかなということで、現在では長プラを下回るところの極めて低い水準で動いているということで御理解を賜りたいと思います。
 政府といたしましては、新総合経済対策及び補正予算が景気に配慮した予算と相まって内需拡大にさらに一層効果をもたらすようなことをいろいろ考えていかなければならない、そういうふうなものの一環であるというふうに御認識いただいて結構だと思います。
#182
○吉岡吉典君 現在がそうなっているということは、これは非常にはっきりした事実です。私は、上げろというのではなくて、少なくとも新しい総合景気対策が実行される期間にこれが引き上げられるということになれば、せっかく打ち出された景気対策にも影響を及ぼしますので、それに対してそうでない措置が必要だということを申し上げたいと思っての質問であります。
 しかし、報道では、例えば六月の下旬をめどに実施する方針であるというようなことまで述べられていますと、今は決まっていないかもしれませんが、補正予算が通ったその直後あたりにそういうことが決められるということになってもこれは困りますので、少なくとも年内いっぱいぐらいはそんなことは考えていないとか、そういうある程度の見通しを持った考え方、答弁をお願いします。
#183
○国務大臣(林義郎君) 先ほども申しましたように、こうした政府関係金融機関のレートというのは長期プライムレートに連動するというのが今までの基本的な考え方でございます。それは郵便貯金その他のものがやはり金利が上がってくる云々と、こういうことでございますから、そこはやっぱりプライスメカニズムで動いていかないと非常に私はいびつな形になるんだろうと思います。
 しかしながら、今お話しのありましたような今の景気対策等々もありますから、その辺を勘案いたしまして、いつこれらに対する預託金利をどうするか、また集めるところの金利をどうするかというようなことも含めて今検討しているということでございまして、六月に云々というような話がありますけれども、そういったことでなくて、私は先ほど申しましたようなことでこれからも問題を考えていかなければならないところじゃないか、今のところでどうしようということが決まっているわけではないということだけは申し上げておきたいと思います。
#184
○吉岡吉典君 今のところということだけでは困るということで私は答弁を求めているわけです。
 財投金利の引き上げということになれば、これは国民金融公庫とかその他とか連動してくることはこれはもう非常にはっきりしているわけで、例えば報道によりますと、それに連動して住宅貸出金利も引き上げる方針がもう既に固まっている、時期は七月二日以降。これは第一回の融資募集期間が終了する七月以降に引き上げがほぼ固まっている、こういうふうに言われているわけでありまして、財投金利のみならず、それに連動しての住宅公庫の貸出金利ということまで言われているわけです。
 これは建設省の担当だと思いますけれども、どうですか。仮にこの財投金利の引き上げというようなことがあっても、住宅公庫の低利融資に期待を持っていた人に、その期待を裏切るようなことがないような措置をとられることを含めて、こういう金利の引き上げというようなことはないと言えるかどうか明確に答えてください。
#185
○国務大臣(中村喜四郎君) お答えをいたします。
 金利の上昇に対する報道については承知してお
りますが、財投の金利の引き上げについて財政当局からは正式にまだ聞いておりません。仮に原資たる財投金利が改定されれば、それに伴って公庫の貸付金利についても改定を行うものと考えております。
 ただ、五月末の中間統計によりますと、大体同時期の個人住宅の申し込みは八割増と好調に推移しているということもございますし、七月の二日までの第一回申し込みの貸付期間中に相当その申し込みが期待できる、このように認識しております。
#186
○吉岡吉典君 財投金利が上がれば住宅公庫の貸出金利も上げるという答弁ですから、私が最初に提起したことがいよいよ重要になるわけです。
 中小企業庁にお伺いします。
 中小企業庁は、今度の景気対策で中小企業対策を非常に重視しているということを強調されております。中には私どもも一歩前進したというふうに評価できる新しい制度もあります。これに与える影響も重大ですのでお伺いしますが、まず景気対策を決められる、補正予算を組まれる、こういうときに中小企業運転資金、緊急経営支援貸付、返済資金緊急貸付、こういうものについてはどれぐらいの金利を予定していますか。
#187
○政府委員(関收君) 先生御指摘のとおり、今回の総合経済対策におきまして中小企業の金融面につきまして特段の配慮が予定されているわけでございます。
 今、先生御指摘ございましたように、中小企業に低利の運転資金を融資いたします中小企業運転資金特別貸付制度の創設、二番目には、都道府県などと協調いたしまして地域の中小企業の経営の安定を図るための緊急経営支援貸付制度、これは従来からございますが、この拡充、それから中小企業金融公庫等に高金利の既往債務を有する赤字中小企業者に対し元利返済資金を供給する返済資金緊急特別貸付制度の創設が盛り込まれておるところでございまして、それぞれ中小企業の実情に勘案して金利水準も優遇されたものとなっておるわけでございます。
 貸出金利でございますけれども、現在の長期プライムレート、財投金利等の金利水準を前提といたしますれば、第一番目の中小企業運転資金特別貸付制度の金利で四・一%、それから緊急経営支援貸付制度では四・三%プラス・マイナス一%の範囲内で都道府県等が決める金利、それから返済資金緊急特別貸付制度では四・九%ということを想定していたわけでございます。
#188
○吉岡吉典君 これも財投金利が上がればそれにつながって引き上げるんですか。これはどうなりますか。
#189
○政府委員(関收君) 政府関係の中小企業金融機関の貸出金利と申しましても一般の金融、財政と無関係に定めるわけではございませんので、今申し上げました制度につきまして、そのときどきの長期プライムレートあるいは財投金利等の金利水準等を踏まえて決定されるものと理解をいたしておるわけでございます。
#190
○吉岡吉典君 そうしますと、景気対策だといって大々的に発表された。中小企業庁は毎月、中小企業対策についてという景気対策についての方針も示されています。私ここに四月、五月と持ってきています。
 そこには、金利はまだまだ中小業者の要求に比べればそれに十分沿うものではないにしろ、一定の低利が保障されている。この景気対策の中で中小業者はその低利の融資に期待を持ち、当てにしている。ところが、長期プライムが上がればこれは自動的に上がらざるを得ない。自動的でないにしろ、財投が上がればまたこれも上がらざるを得ないということになる。そういう説明はないわけですね。今説明はありますけれども、それは当たり前のことだというのか言い分かどうかもしれませんけれども、景気対策の目玉の一つにしていた中小業者あての融資というものは、実際実行される段階になると、宣伝され国民が期待していた金利と違って大きく上がってしまうということが起こりかねないじゃないんですか。これじゃ空約束という結果にもなりかねないですね。これはどういう方法で措置をとるかは別として、中小業者が期待していたその期待にはこたえるという政策的な措置が少なくともこの景気対策が予定している年内ぐらいは必要だと思いますが、総理大臣、これはどういうふうにお考えになりますか。
#191
○政府委員(寺村信行君) 政府関係金融機関の基準金利についてのお尋ねでございますが、我が国は市場経済体制を経済の基本といたしております。戦後、政府関係金融機関の基準金利といえども一貫して市場の金利に連動するという方式がとられております。
 昭和六十年までに、長期プライムレートはかなり高水準でございまして、いろいろな景気変動がございました。景気が極端に低迷したときにもその金利は七%を割らなかったという状況でございます。現在の水準は大変低く、金利水準が低下をしている。景気の情勢を考えましてそういう金融政策を運営しているわけでございますが、個々の金利の変動につきましては基本的には市場金利に連動することが全体として適切な経済運営に資するのではないかこういう考えでございます。
 預託金利につきましても、市場金利が上がってまいりますと、郵便貯金の預金者あるいは年金の被保険者との関連から、全体として市場金利連動というシステムが戦後一貫してとられてきた、こういう状況にあるわけでございます。なお、現在の水準は極めて低水準である、こういう状況になっているところでございます。
#192
○吉岡吉典君 私はそういう講義を聞きたくて質問したわけじゃありません。中小業者は当てにしているわけですよ、あなた方が言っている金利を。ですから、それにこたえられるような政策的措置が必要ではないか、そうでなければあなた方が言ってきたことは空約束ということになるじゃないかということを言っているわけです。
 大体、本予算もまだ成立しないうちから補正予算の論議が始まる。補正予算もまだ成立しないうちに、この基礎になっていた金利は終わって執行されるころには上がるんだという報道が行われているという状況のもとで、やはり政府は中小業者に重点的な政策の一つとして示したことについて実効があるように何らかの政策的な措置をとることが必要だということを私は求めているわけです。
 総理、答えていただきたいと思います。
#193
○国務大臣(林義郎君) 先ほど来御答弁申し上げておりますように、こうした政府関係金融機関の長期レートというものは、いわゆる長期プライムレートに連動するというのが基本的な原則でございます。それで、ですから、そういった形で今非常に低いところにあるわけでございます。
   〔理事井上裕君退席、委員長着席〕
 また、これは上がったりなんかすることもあるということは、これは金利の状況でございますから私はそれで考えていかなければならない、それは前提として考えるべきものだろうと思っています。
 中小企業に対しましては、そういった金利の問題ではなくて、いろんな形で融資の範囲を拡大する等の措置を今回とっておりますので、そういった形で中小企業者の御要望には十分こたえられる。私は、そういう対策をやっておるということで御理解を賜りたいと思っているところでございます。
#194
○吉岡吉典君 総理。
#195
○国務大臣(宮澤喜一君) 先ほど銀行局長から、また今大蔵大臣から申し上げたのは筋と思いますけれども、しかし、中小企業についてはやはりできるだけの配慮をしていかなきゃならないと思っています。
#196
○吉岡吉典君 最後に一言だけ。
 私、これは答弁は時間来ましたから要りませんけれども、金利は大変大事な問題ですよ。金利はどうあれほかの面で十分配慮するということではだめで、みんな金利を計算しながらいろいろこの大変な時期を乗り切ろうとしているわけですよ。その問題について総理は一応の配慮は必要だとい
う答弁でしたので、それが政策化することをお願いして、終わります。
#197
○委員長(遠藤要君) 以上で吉岡君の質疑は終了いたしました。(拍手)
    ―――――――――――――
#198
○委員長(遠藤要君) 次に、乾晴美君の質疑を行います。乾君。
#199
○乾晴美君 よろしくお願いいたします。
 私、まずPKOについてお伺いしてみたいと思うわけです。
 総理は、カンボジアのPKOの活動で、武装解除が実現しなかったこと、そして日本人要員が危険で劣悪な条件下に置かれていた、その上、派遣目的を超えた業務を担わされていたということ、それから特にとうとい命を落とされた二名の方と負傷された方々など、非常に厳しい反省が政府に求められていると思いますけれども、いかがでしょうか。
#200
○国務大臣(宮澤喜一君) 総体としては国際化の求められている貢献をすることができたと思っていますけれども、二人の方を失いましたことは大変にやはり痛恨のことであるというふうに思っています。
#201
○乾晴美君 ここに五月三十一日の日経新聞の署名入りの記事を持ってまいりましたのですけれども、この中で、政治部次長さん、自分の名前もちゃんと書いてあるわけですが、今回のPKOの問題は「法律が前提とした「虚構」というか、もう少しどぎつく表現すれば、「うそ」が白日のもとにさらけだされたことだ。」というように非常に厳しく批判しているわけです。その方だけではありませんで、同じ日経の編集委員の金指さんもおっしゃっていますし、また文芸評論家の加藤典洋さんもおっしゃっていますし、ジャーナリストの前田さんというように、枚挙にいとまがないぐらいそのことを指摘しているわけです。これは多くの国民もそう思っていらっしゃるんでないかというように思います。
 PKO活動が危険を伴って死傷者が出る可能性が非常に高いのではないかということで、私も当時の総理大臣に自分の子供を参加させますかというようなことを質問いたしましたら、与党側の方から大変失笑を買ったということを覚えておりますけれども、私は真剣にこういったことは論議すべきだということを主張させていただいたわけでございます。高田さんが死亡された途端に私を笑った人たちが非常に哀悼の辞を口にするわけでございますけれども、こういった法案審議で、血が流れる危険性を政府や大臣は認識されていたのでしょうか、それともしていなかったのでしょうか。それこそ、日経の政治部の次長さんが言っているように、うそを言われたのでしょうか。
 PKOで、総理の反省の第一は、国民や皆さんにうそと指摘された点からだと思いますけれども、いかがでしょうか。特に、この点では小泉郵政大臣にもお伺いしてみたいと思います。よろしくお願いします。
#202
○国務大臣(河野洋平君) 国際平和協力法案の御審議をお願いいたしましたときに、多くの方々からさまざまな角度からの御質疑がございました。そうした御質疑を踏まえて成立をいたしました国際平和協力法でございます。この法律の趣旨をしっかりと踏まえて、現在カンボジアで初めて本格的な参加を行っているわけでございます。
 このカンボジアにおきます私どもの国際平和協力業務というものは、うそでもなければ虚構でもない。国際社会に対して日本の国の憲法のもと法令に基づいてしっかりと国際協力を行うということでございまして、そのために七百人を超える日本の隊員が現地で懸命の努力をし、その努力は先般の制憲議会選挙の高い投票率、そして、いろいろその後の紆余曲折はございますけれども、カンボジアに永続的な和平がやってくるという多くのカンボジア人の期待を見れば、その活動が成果を上げたということは御理解いただけるのではないかというふうに思うわけでございます。
 もちろん、あの審議の中でもさまざまな御意見がございましたように、PKO活動は、すなわち、長期にわたる内戦といいますか大変な国内におきます戦いの後、停戦の合意ができて、その和平を永続的なものにするという作業でございますから、それはなかなか難しい作業であると思います。しかも、これは丸腰で行う。つまり、国連の権威とそして粘り強い説得によって行うわけでございまして、武器による強制によって行うわけではないわけでございますから、それなりに難しさが伴うことはこれは多くの方々に御理解をいただけたものというふうに考えているわけでございます。
 ただ、私どもといたしましては、初めての本格的参加でございますから、当初想定をしていた状況でない状況が出てきたということもこれは否定できないところでございます。武装解除が十分行えなかった、あるいは選挙を積極的に妨害するというような集団があったというようなことは当初は実は想定をしていなかったわけでございまして、こうした事態が起こりましたにつきましては、私どもも、今後こうした活動に参加をするときの、何といいますか、重要な参考にこれからしていかなければならぬこともあるというふうに承知をいたしておるわけでございます。
#203
○国務大臣(小泉純一郎君) 当初想定したことと現実は違って、そこに政府としても苦しい対応、また反省すべき点があったという官房長官の答えに尽きているんではないか、そう思っております。
#204
○乾晴美君 お二人から御答弁いただきましたけれども、これは非常に口先だけのように国民には響くんではないかというように思います。
 それは、日本独自の判断で業務の中断とか撤収ができるとか、日本に指揮権があるから国連の指図を受けないとか言って、そして法案を成立させておきながら、文民警察をプノンペンに集めることも、そしてまた危険地域からの配置がえもできませんでした。ですから、総理や皆さんに反省してもらうのであれば、国会と国民にできないことをできるように説明して国際貢献を美化した点ではないかと思いますけれども、いかがでしょうか。
#205
○国務大臣(河野洋平君) 誤解があるか事実を曲げておっしゃっておられるとしか思えません。
 プノンペンに文民警察を集めることができなかったではないかという御指摘でございますが、私どもといたしましては、安全対策を徹底するために一度プノンペンに集めてはどうかということを考えてUNTACに申し出たことは事実でございます。UNTAC側はそれを非常に真剣に受けとめてくれたわけでございますが、しかし、ああした事態の中で移動することが非常に危険であることもあるのだというようなことを指摘をされましたこと、それからさらに、あの時点つまり投票をもう間近に控えたあの時点での移動ということについて十分そういうわけにいかないこともあるというやりとりがあって、私どももそのやりとりに従ったわけでございまして、こちらの言うとおりにならないではないかという御指摘は、必ずしもそういうわけではないということをぜひ御理解をいただきたいと思います。
#206
○乾晴美君 初め想定していたより余分なことができたということはこのPKO活動の開始の前の事前調査というのが欠陥であったんでないかということで、反省してもらわなければならないと思うわけです。
 それは、カンボジアへの派遣に先立って、昨年七月の二日から七日にかけて有馬調査団というのが調査に行ったと思いますけれども、非常にこれがずさんであったんではないかというように思います。
 外相は先日の予算委員会で、外務省の情報収集と分析力の不足を正したいというように答弁されておりましたけれども、有馬報告もその一つではありませんか。いかがですか。
#207
○国務大臣(河野洋平君) 有馬調査団は非常に多岐にわたる調査を行って帰ってこられました。この有馬調査団の報告に基づいて、私どもはカンボジアに出します施設大隊を初めとするUNTAC
要員の準備をいたしたわけでございます。委員は、調査団の報告が不十分であったというふうにおっしゃいますが、この調査団の報告に基づいていたしました私どもの準備は、それなりに的を射たものであったというふうに現在考えておる次第でございます。
#208
○乾晴美君 昨年の六月十三日にパリ協定に基づく武装解除が始まったということなんですけれども、そのときにポル・ポト派はこの時点で拒否しているわけですね。そして、有馬調査団は、フン・セン・プノンペン政権の首相、元首相のソン・サン議長と会談しただけだということですね。最も危険なポル・ポト派とは接触していないし、ポル・ポト派支配地域の実情を調査したという形跡はないわけであります。こんなことでPKOの要員を送る十分な情報収集や、それから派遣五原則の中の紛争当事者の停戦合意や、日本のPKOへの参加で当事者の同意という確証が得られたのでしょうか。
#209
○国務大臣(河野洋平君) 当時、カンボジアの最高国民評議会、すなわちSNCでございますが、このSNCと有馬調査団は十分意見の交換をいたしておるわけでございます。さらに、当時のプノンペン政権の代表はカンボジア全領土の大部分を支配しているという状況でもございます。こうした会談、主としてSNCの代表との会談はカンボジア全体の政治状況を判断するのに有効であるというふうに考えたわけでございます。
 確かに、委員が御指摘になりましたように、武装解除につきましては、当時ポル・ポト派が武装解除を拒否するという状況でございました。このポル・ポト派の武装解除拒否というものをどういうふうに見るか、これが将来ともに武装解除拒否が貫かれるのか、あるいはその後の外交交渉その他によって武装解除が行われる可能性があるかどうかという判断は一つの判断であったわけでございます。
 私どもといたしましては、外務省を中心にその後も繰り返し繰り返しポル・ポト派に対して武装解除を要請してきたわけでございまして、その時点においてパリ和平協定の考えます和平プロセスは困難ではあるけれども進行するという見通しを持っていたわけでございます。
#210
○乾晴美君 私はどうも、この報告書は肝心なカンボジア情勢の調査を怠って、PKO派遣の地ならしの役割を果たすということを意図していたのではないかというように思うぐらいでございます。もしそうだとすれば、本当に使命感に燃えた前途有為な青年を失ったり負傷させてしまったりしたということの原因にもなっているというように思うわけです。
 総理が反省されるのでしたら、このPKOに規定した派遣五原則の徹底確認のために、そういった政府だけの調査団ではなくて、いわゆる国会議員や有識者といった第三者も加えて派遣前の事前調査を十分に行うということがこういった危険を伴うPKOの活動に絶対必要であったと思います。この点では、モザンビークに出したPKOもこの事前調査がなお不十分ではないのかなというように心配いたしておりますけれども、あわせてお答え願いたいと思います。
#211
○国務大臣(河野洋平君) PKO活動に派遣をいたします要員は、その責任は政府が担っているわけでございます。政府はその責任において調査をしっかりやるということが何より必要と思います。
 御注意をいただきましたが、調査団はそれぞれしっかりと現地調査を行い、その調査を踏まえて今後ともPKO要員の派遣を決めたいというふうに考えております。
#212
○乾晴美君 もう時間が来てしまったんですけれども、税収のことについて一言お尋ねしてみたいと思います。
 本日一斉に各社が取り上げておりますけれども、平成四年度の税収が政府見込みを大幅に下回って三兆円の不足というような見通したということで新聞に載っておりますけれども、こんな二年続きで税収の見込みが下がることに対して、政府はどのようなお考えなんでしょうか。
 この前、うちの粟森議員がお尋ねしたとき、相当自信を持って大蔵大臣はお答えのようでございましたけれども、いかがでしょうか。
#213
○国務大臣(林義郎君) 今御指摘の税収の見通してございますが、四月分の税収が出ましたけれども、まだ四年度全体のものは出ておりません。全体としてどうなるかというのは、五月分の税収を注視して見なければならないと思っているところであります。
 今お話がありましたように、三月三十一日に粟森議員さんにお答えしましたときは、私も、まだ相当やれるんだろう、こう思っておりましたんですが、なかなか難しいような状況になってきたことは端的に認めざるを得ない状況だろう、こう思っておるところでございます。
#214
○乾晴美君 時間ですけれども、一つお願いします。
 平成五年度の税収に穴があくという確率が非常に高かったのに、三十年ぶりの異例の補正をやりながらこういった税収の減額補正をしなかったということで、どういうように思っているかということと、三年連続で間違いましたなんていうことは言いませんでしょうね、もしそういうことになったら政府は十分な責任をおとりになる覚悟がありなさるんですかということを聞かせていただいて、終わりたいと思います。
#215
○国務大臣(林義郎君) まず第一点でございますが、五年度の税収にどう及ぼすかということでございますけれども、四年度がそういうふうな状況であれば経済の運営も漸次持続的な成長の方向へ持っていく、経済が成長をしていけばやはり税収もふえていくというのは私はあると思います。ただ、今の段階におきまして、五年度はまだ始まったばかりでございますから、今から五年度の税収についてどうだこうだというのは少し早過ぎるのじゃないかな、こう思っておるところでございます。
 一生懸命私の方も努力をして、いろんな形でやらなければならない、それには予算を早く通させていただきまして持続的な成長ができますように努力をさせていただきたい、これをお願いする次第でございます。
#216
○乾晴美君 終わります。
#217
○委員長(遠藤要君) 以上で乾君の質疑は終了いたしました。(拍手)
    ―――――――――――――
#218
○委員長(遠藤要君) 次に、西川潔君の質疑を行います。西川君。
#219
○西川潔君 どうぞよろしくお願いいたします。
 前回はきんさん、ぎんさんのことからお伺いしたんですけれども、またきょうは総理初め各閣僚にまじめな世間話からお伺いしていきたいと思います。
 高齢化社会のことをいつもお伺いしておりますが、総理大臣は初めて年金制度に加入されたころのことを覚えておられますでしょうか。そのあたりからお伺いしたいんですが。
#220
○国務大臣(宮澤喜一君) それは調べてみましたんですけれども、私が役所に入りました時代は年金というものが実際上ございませんで、恩給でございます。しかし、恩給は十七年たたないとつきませんので、中途でやめまして一時恩給をもらいましたが、これは実際上古い書類を調べましたら二十五万円もらっております。年金に加入しましたのは昭和三十三年、国会議員互助年金でございます。
#221
○西川潔君 お入りになったころと、そして今は総理は受給される側になっているんですけれども、そのころのイメージと今お受けになる実感、それをお聞かせいただきたいと思うんですが。
#222
○国務大臣(宮澤喜一君) まだもらっておりませんので、実感がちょっとございません。
#223
○西川潔君 御無礼いたしました。
 高齢化社会で皆さんそういうふうな立場のお年寄りばかりがふえると幸せなんでございますが、実は本当に死はだれにでも訪れてまいりますが、老後、医療や年金やそういうことで不幸なという
か、不安な生活を送ることが人生一番不幸ではないかなと、こういうふうに思うわけでございます。
 そこで年金のことで、今の若い世代の方々にとりましても、年金保険料を納める際にはそれぞれいろいろな、総理も今おっしゃいましたような思いを込めて納めておられると思います。
 その一つには、当然ながら今のお年寄りを支えるということですね。そしてまた、みずからが老後を迎えたときの支えとして、老後の生活設計を考える上での柱といたしましてそのイメージがあるのではないかと私は思うわけです。
 しかし、国民にとりましてはその柱となる年金についての将来像というものがなかなかはっきりしてこないわけです。特に、最近の六十五歳支給の引き上げ、あるいは公的年金制度の一元化、こういう言葉のみがひとり歩きをしている。そして、一体自分たちが老後を迎えたときには年金制度というのはどういうふうになっているんだろうということが今の若い世代が年金について持っている不安とか本音ではないかなと思うわけです。
 そこで、本日は、政府が将来の年金制度に向けて今変えようと作業を進められている公的年金の一元化について、短い時間ではございますが、これまでの経緯と現在の状況をお聞かせいただきたいと思います。
#224
○政府委員(山口剛彦君) 御承知のとおり、我が国の年金制度は、公務員等を対象にいたしました各種の共済年金、サラリーマンを対象にしております厚生年金、それから自営業、農民の方々にお入りをいただいている国民年金、職域ごとに分立をいたしておりまして、それぞれが歴史を持って発展をしてきたという経緯がございます。
 このために、年金も保険制度ですから、加入者がどんどん入ってくる集団であれば比較的問題ないわけですけれども、JR共済に見られますように、長い期間に産業構造、就業構造が変わってまいりますと、被保険者に比べて受給者が多いというようなことで運営に支障を生ずるというようなケースがどうしても出てまいります。また、一時官民格差ということが言われたわけですけれども、各制度によって給付、負担に不公平があるじゃないかという問題もございます。そういった問題を解消いたしまして、就業構造、産業構造が変わってもきちっと揺るぎない運営ができる年金制度にしていこう、それからまた給付と負担もできるだけ公平なものにしていこうというのが一元化のねらいでございます。
 政府といたしましては、一遍にできることではございませんので、十年かけて一元化を達成しようということで平成七年を目途に今努力をいたしております。
 具体的には、まず公的年金制度の一階部分を基礎年金ということにして、全国民の皆さんに加入をしていただいて、全員がそれを支えていくということでまず揺るぎない土台をつくろう、それから二階の部分については、それぞれの制度が担当するけれども給付については厚生年金の水準に合わせて格差がないようにしようというようなことをやってまいりました。しかし、JR共済に見られますように、JR共済は、年金受給者が三十二万、支えている方が二十万というようなことですから、このままではなかなか運営ができないということで今は被用者年金でそれぞれ拠出をいたしまして支えているということでございますけれども、さらに一元化の歩を進めまして長期的な安定した運営ができるような制度にしたいということで鋭意努力をしているというのが現段階でございます。
#225
○西川潔君 時間がないものですから早口になりますが、そこで、この公的年金制度の一元化が実現すれば、保険料を納める現役世代にとって、またあるいは年金を受給する受給者世代にとって、現状と比べてどのように変わっていくかということを厚生大臣にお伺いしたいと思います。
#226
○政府委員(山口剛彦君) ただいま申し上げましたようなことで、制度が分立をしておりますといろんな問題が出てまいります。
 したがいまして、一元化が実現をすれば、先ほど申し上げましたように、年金受給者にとりましても、将来産業構造、就業構造が変わっても安定した制度運営ができるということで、これは安心でございます。
 それから、保険料につきましても、現在は私立の学校へ就職される先生とJRに就職される職員の方とでは給付はほとんど同じなんですが、保険料は一・五倍ほどもJRの方が重いというようなこともございますが、そういった問題も解消できる。
 あるいはそれぞれの国民の皆さんが一生の間に職場をどんどん変わりますので、そういたしますと、年金制度もばらばらだということであると適用漏れができたり、あるいは制度間の調整もうまくいかないというようないろんな問題が生じてまいる可能性もございますので、こういった問題についても効率的に国民の皆さんにサービスができるのではないかというようなことがあろうかと思います。
 一気にはできませんけれども、そういう方向を目指して努力をしたいということでございます。
#227
○西川潔君 そこで、厚生大臣にお伺いしたいんですが、公的年金の一元化です。
 現業業務の一元化等の整備の推進を図ることとされておるわけですけれども、基礎年金は既に導入されており、そこには各制度間の併給調整などという事務処理が現在既に行われておるわけですが、その中で、例えば各制度間の併給調整がうまくいかず返納金債権が生じるという事例もございます。
 現実に私のところにもこうして四国の方からお便りもいただいておるわけですけれども、大変苦しんでおられる老夫婦もございます。まあ悪意があってもらっているわけではないわけです。いただけるものと信じ込んで長い間もらっていたわけですが、突然ある日数年間の何百万円というお金を返しなさい。これは本当にびっくりいたしまして途方に暮れているというお便りでございます。
 皆さん方も老後のこういう年金生活者お察しいただけると思うんですが、こうした事態がなぜ起きるのか、その原因について御説明をいただきたいと思います。
#228
○国務大臣(丹羽雄哉君) 年金業務のトラブルについての御指摘だと思いますが、御案内のように、社会保険庁におきましては国民年金と厚生年金の業務を行っており、それから各共済組合につきましては現段階におきましてはそれぞれの組合が要するに独自に事務処理をしておるということで、分かれておるわけであります。そういうことから、今、委員御指摘の併給調整の不徹底さが生じておるわけであります。
 併給調整につきましては、今後とも各制度間の情報交換に努めまして、トラブルが生じないように徹底をしていく決意でございます。
#229
○西川潔君 このような併給調整を行うには受給者本人が申告をするということが大前提であるわけですけれども、今回のケースでは何らかの形で申告がされておったわけですけれども、仮に申告漏れの場合であったといたしましても、これだけ複雑になっておりますと窓口で専門家でも間違うことが多々あるわけです。現業業務の一元化が実現するまでに現実に今こうした問題が発生しているということですから、各制度間における情報交換を十分に行っていただきたい、現体制の整備そして責任ある業務を行っていただきたいと思うわけですけれども、年金問題担当の大臣にもう一度お伺いいたします。
#230
○国務大臣(丹羽雄哉君) 御指摘の問題を抜本的に解決するためには、年金番号の一元化を図る必要があると思っております。各制度間で情報交換を行える体制を整備する必要があり、現在この年金番号の一元化につきましては検討をいたしております。
 さらに、先ほど局長からも御答弁を申し上げま
したように、平成七年におきましてはいわゆる公的年金の一元化を目指しておるわけでございますが、こういう一元化が実現できますのならばこういうようなトラブルは生じない、こういうように考えておる次第でございますので、ひとつ一元化に向けましても委員の御協力を賜りたいと思っております。
#231
○西川潔君 微力ですが、僕たちも一生懸命まじめに頑張らせていただきたいと思います。
 きょうはたくさんの皆さんがいらっしゃるわけですから、農林水産大臣にもそしてまた文部大臣にも大蔵大臣にも年金のことをいろいろお伺いしたいんですけれども、今後、一元化を含め公的年金制度につきましてどのような方向づけをしていかれるというふうにお考えでしょうか最後に御質問をして終わりたいと思います。
#232
○国務大臣(宮澤喜一君) 先ほどからお話しのように、これから高齢化が急速に進んでまいりますので、どういう制度を考えましても若い人たちに重いものを年寄りのためにしょってもらっていかなければなりません。それもやはりおのずから限度がございますでしょう。しかし他方で、老後をまず心配なく過ごしてもらわなければならない。それより前に、ただ、お互い寿命が延びておりますので、昔の六十歳と今の六十歳は全く違いますので、そういう意味でまだまだ社会に積極的に貢献をしていただくこともできるし、またそのような社会の仕組みに生活大国としてはしたい。そういうことを考えておりまして、そういう中で年金の問題も考えていきたいと思っております。
#233
○西川潔君 ありがとうございました。
#234
○委員長(遠藤要君) 以上で西川君の質疑は終了いたしました。(拍手)
    ―――――――――――――
#235
○委員長(遠藤要君) 次に、武田邦太郎君の質疑を行います。武田君。
#236
○武田邦太郎君 本年度本予算につきましては、日本新党は、国際貢献とか社会福祉等につきまして自民党とは異なる見解を持っておる立場から反対をいたしましたが、補正予算につきましては、景気の憂うべき動向にかんがみまして、一日も早く景気回復に前向きの対応をしていただきたいと思いまして、対象を景気回復のみに限定して賛成いたします。次に、また農業問題でございますが、いよいよ不年度から新政策及び第四次土地改良長期計画が発進いたします。長期計画は十年間に四十一兆円の巨費を投ずるわけでございますが、そこにガット関係についての配慮がほとんどないではないか、こういう気がいたします。牛肉やオレンジ、これはジュースを含んででありますけれども、何らこの対応をする準備なしに自由化がなされましたし、またリンゴもこの危機にさらされております。今後十年、米が同様の危機にさらされる心配は絶無であるのか、少なくともそれに対しては相当弾力性のある配慮が必要ではないかこういうふうに思います。
 繰り返し申し上げますが、日本の平野部の水田二百万ヘクタールを国際競争可能な状況にすることはそう困難な問題ではありませんし、面積はそれで一億二千万、三千万の国民に十分でありますから、私どもの計算では十兆円あれば十分、こう思っております。四十一兆円の中の十兆円でありますので、これはこの事業の中で最も前倒しにこの事業をやっていただく。平野部の水田だけやるというわけにいかぬでしょうけれども、そのほかを含めまして毎年二兆円ぐらい、五年間で水田の基盤整備を完了する。七年もすればもう自由化に十分対応できる稲作は実現できるわけでありますから、十分大事をとって十年後ということを考えに入れてガットの折衝を進めるということができるかできないかですね。
 今日、既に多くの農家は、牛肉・オレンジ、またリンゴの状況を見まして、米も自由化は避けがたいだろう、こういうふうに考えております。これは非常に不健康な政治の状態と言わなければなりません。したがいまして、この十年は絶対に自由化はしない、しかし七年もすれば自由化対策はできるだろう、こういうような方針を公言しないまでも、政治の腹をくくるというようなことができるかできないか。これはこれまでたびたび申し上げたことでありますけれども、御所見いかがでしょうか。
#237
○国務大臣(田名部匡省君) いつも大変我々の参考になる御意見をいただきまして……。
 基盤整備につきましても、土地改良長期計画というのは十年で一期と定めることになっておりまして、それはそれとして、どういう計画を進めて申請してくるかということのかかわりもあります。お気持ちは私も十分わかっておりますので、それとあわせて進めていくということは必要でありますし、計画は法律でそうなっておるものですから十年と、こういうことにいたしております。
 リンゴの輸入とかいろんなこととの関連でお話しになりましたが、今私どもは米あるいは乳製品、そういうものについては、ダンケル案はバランスがとれていないということでこれから交渉をいたすことでありますから、今からそれ以外のことを考えて行動するということは考えておりません。
#238
○武田邦太郎君 今、牛肉・オレンジ、リンゴの例を挙げまして、農家の心理状態は非常に健康的でない、それから、政府の一粒も入れないはちょっと言い過ぎかもしれませんが、入れないということについて必ずしも信頼を持っておらない、これに対して十分な信頼を持たせるだけの政治の姿勢が必要だろうと、こういうふうに申し上げたわけであります。
 ついでですから申し上げますけれども、新政策によれば、平成十二年稲作専門農家の家族労働報酬といいますか所得といいますか、基幹的農業従事者二、三人で年間所得を七百万から一千万、こういうふうになっておりますけれども、それならば一人当たりにすれば三百五十万前後であります。平成十二年を展望して農業者一人当たり三百五十万前後の年間所得というのは、これは余りにも低い目標であり七百万から一千万でなければならぬと、こういうふうに思いますが、これは御答弁は要りません。
 次に、地方分権の推進に関する決議が衆参両院でなされたわけでありますけれども、どういう権限をどういう受け皿に移譲するのかということはこれからの問題で、今具体的に御意見を伺おうとは思いませんけれども、私が一番心配しておりますのは国土の荒廃であります。山林が荒れる、川は水が少なくなっていく、流域は井戸を掘っても余り水が出ない、海岸には魚や貝の赤ん坊を放ってもろくに育たない、こういう国土の荒廃については、これは中央の縦割り行政ではこれに対応できないことは明瞭であります。
 といって、都府県がこれに対応できない。一つの山系、一つの河川あるいは海岸、瀬戸内海なんかはその代表でありますけれども、九つの県に分割されておりますので、これが死の海になっていくことを回復する手だてはほとんどありません。つまり、今日の都府県は国土を健康に管理しマネージするだけの受け皿にはならないわけです。
 どうしてもこれは、東北でありますとか関東でありますとか、中・四国は一つ、こういう強力な地方政治力を用意いたしませんと日本の国土は大変な荒廃状況、もう既に自然災害があったのを補正していくのがまだ追いつかないというような状況でありますので、これはぜひ地方分権に当たりまして、政府だけの問題ではありませんが、諸先生の深甚の考慮をお願いして、終わります。
#239
○委員長(遠藤要君) 以上で武田君の質疑は終了いたしました。(拍手)
 これにて締めくくり総括質疑は終了いたしました。
 以上をもちまして、平成五年度補正予算三案に対する質疑は終局したものと認めます。
    ―――――――――――――
#240
○委員長(遠藤要君) それでは、これより平成五年度補正予算三案に対する討論に入ります。
 討論の通告がございますので、順次これを許します。なお、発言者は賛否を明らかにしてお述べ願います。三重野栄子君。
#241
○三重野栄子君 私は、日本社会党・護憲民主連合を代表して、ただいま議題となりました平成五年度補正予算三案に対し、反対の討論を行います。
 反対理由の前にまず申し上げなければならないのは、カンボジアでボランティアの中田さんや高田さんほか文民警察官の方々が死傷されるという痛ましい犠牲を出したことです。これは、政府が一番重要な安全確保に有効な手を打たなかったばかりか、現実から乖離した無理な解釈の積み重ねをしながらなし崩し的にPKOの拡大をもたらした結果であります。
 昨年のPKO法案審議の際にも私たちがさんざん指摘したにもかかわらず、政府はまず自衛隊の海外派遣ありきを前提にひたすら安全を強調し、カンボジア情勢についての甘い見通しを改めなかったその責任は重大であります。ついにソマリアでは武力衝突が起こりました。PKOの拡大は全く認めることはできません。
 次に政治改革ですが、政治腐敗防止や政治倫理を求める国民の世論を軽視し、与党自民党は自党に有利をもって問題の多い単純小選挙区制の導入に固執する姿勢が見られるのは大変遺憾であります。我が党初め野党が既に妥協策を示す中でこのような姿勢を続けることは、国民の政治不信の声にこたえないものとして政治改革の意思が大いに疑われます。抜本的な政治改革の断行こそが緊急の課題であることを認識し、総理の速やかなリーダーシップの発揮を改めて強く求めます。
 さらに、今回の補正予算はその提出の時期が当初予算成立直後という極めて異例なものということです。これは政府の景気見通しの甘さ、当初予算での施策の不十分さを示すものと言わざるを得ません。当初予算の審議や両院協議会の場でも参議院側が誠心誠意予算修正を求めたにもかかわらず、政府・自民党はすべてこれを拒否したこと、その上このような補正を提出する姿勢は余りに独善的と言わざるを得ません。
 重ねてその提案理由についても景気対策を強調するばかりで、例えば当初予算にはわずか一千万円しか計上されていなかったある施設関係に十億円を超える額が追加されるなど、余りにもずさんな予算編成であり、このことは既に指摘しましたとおり、財政法第二十九条の補正予算の緊要性が認められるとは言いがたいのでありまして、このような補正予算は全くもって認めることはできません。
 以下、順次、平成五年度補正予算に反対する理由を申し上げます。
 反対の第一の理由は、私たちが求める所得税減税の実施が含まれていないことです。
 政府が強調する今回の補正の景気対策が旧態然とした公共投資中心のものであり、未曾有の消費不況であることの認識が全く不十分と言わざるを得ません。現に、昨年末の公共投資にもかかわらず、企業収益は落ち込み、所得は伸び悩み、百貨店販売額も一年以上前年比マイナスが続いています。発表によりますと、平成四年度の税収不足は三兆円を超し、十一年ぶりと言われる厳しい情勢である今こそ、何よりも緊急必要なのは落ち込んだ個人消費の刺激であることはだれの目にも明らかであります。
 自民党幹事長は、当初予算審議に入るに当たって前向きに検討すると約束しているのであります。今回の補正に盛り込まれたのは、わずか教育減税、投資減税など総額千四百六十億円の政策減税だけで、我が党初め野党が求める本格的な所得税減税の実施は一顧だにせず見送られており、公党間の約束をないがしろにする政府・自民党の姿勢として全く認めることはできません。
 反対の第二の理由は、社会資本整備の新たな展開への対応が不十分であることです。
 今回、社会資本整備の新たな展開として研究施設改善の費用が計上されていますが、当初議論されたような硬直した予算や財源策を打破する制度的変更はありませんでした。下水道のシェアの増加は見られたものの一方で住宅対策のシェアが低下するなど、全体として見れば依然として生活関連のシェアが顕著に増加したとは言いがたいのです。こうした政府の公共投資変革の必要性に対する認識の甘さ、対応の不十分さは全くもって容認できません。
 反対の第三の理由は、第二段階の財政再建の事実上の破綻にもかかわらず、政府がその責任を明確にしていないことです。
 政府は平成七年度までに国債依存度を五%以下にするとの目標を掲げておりますが、本補正での二兆二千四百六十億円の国債増発によって国債依存度は十三・九%に上昇し、かかる目標達成が困難であることはだれの目にも明らかです。にもかかわらず、政府は努力しますと言うだけで何ら対策を示さず、国民の財政運営に対する不信感を一層増大させており、こうした政府の姿勢は決して容認できません。
 最後に、緊急課題である所得税減税の実施について、今日までの国会論議を軽視し、政府・与党の誠意が見られない対応に怒りをもって強く抗議し、私の反対討論を終わります。(拍手)
#242
○委員長(遠藤要君) 次に柳川覺治君。
#243
○柳川覺治君 私は、自由民主党を代表して、ただいま議題となりました平成五年度一般会計補正予算外二件に対し、賛成の討論を行うものであります。
 我が国経済は、昨年八月の総合経済対策に盛り込まれた公共投資の本格的実施や二月の第六次の公定歩合の引き下げ、十月の補正予算の編成、さらには景気に配慮した平成五年度予算の年度内成立等の一連の努力により在庫調整の進展や住宅建設の回復の動きなど一部に回復の兆しが見られるものの、需要の二本柱である個人消費や設備投資が依然低迷しております。
 我が自由民主党は、今回の不況を厳しく受けとめ、本年一月に総合景気対策本部を設置し、党本部では、八十六団体に及ぶ有識者や各界各層から意見、要望を求めるとともに、調査団を全国九ブロックに派遣、各地域における企業の視察や九十六団体代表より要望を聴取し、地域経済の実態把握を行いました。
 我が党は、これを集大成して、四月十三日、本予算成立直後という極めて異例の時期ではありましたが、史上最大の事業規模十三兆二千億円という総合的な経済対策を決定したところであります。
 今回の補正予算は、景気回復の足取りをより確実にするため、この総合的な景気対策を踏まえて、政府が必要な公共事業の追加等、景気に対する迅速な対応を行うための財政措置を講ずるものであります。この対策により、必ずや内需拡大による貿易収支の改善が図られ、また経済大国としての国際的責務をも果たし得るものとして、政府の機敏かつ英断に対し高く評価いたすものであります。
 今回の補正予算に対し、野党の一部から、五年度予算が成立した直後に補正予算を出すことは財政法第二十九条の補正の要件を満たしていないとの批判が出されていますが、現下最大の政策課題は景気の着実な回復にあります。経済は生き物であり、そのときどきの経済状況に臨機応変な対応を行うことはけだし当然のことであります。本補正予算はこれにこたえるとともに、予算の編成要件そのものに合致しているものでありまして、こうした批判は全く見当違いであることをまずもって申し上げたいのであります。
 以下、賛成の主な理由を申し述べます。
 賛成の第一の理由は、公共投資の拡大など積極的かつ適切な景気対策が盛り込まれている点であります。
 本補正予算には二兆二千二百十七億円もの公共事業等の追加が計上されており、雇用安定の確保、内需拡大の促進など景気回復の後押しが期待されます。一般公共事業費においては、生活基盤の整備に重点が置かれているほか、教育、研究、医療、社会福祉施設などの各種施設整備費等も大
幅に拡充されており、政府の御努力に敬意を表し、賛成するものであります。
 賛成の第二の理由は、中小企業に対しきめ細やかな配慮がなされている点であります。
 本補正予算は、今日厳しい経営環境にある中小企業を支援するため、一般会計を初め財政投融資計画において総額一兆三千八百億円もの追加がなされております。これらの施策により低利かつ安定した資金が十分に確保されることとなり、万全の中小企業対策として大いに賛同する次第であります。
 賛成の第三の理由は、教育、住宅、設備投資等に関する総額一千四百六十億円もの政策減税が盛り込まれている点であります。
 これらの措置は、教育費負担や住宅ローンの返済を抱えた中堅サラリーマン層の負担軽減を図る一方、企業に対しましては各種投資減税により設備投資の促進を図るなど、景気の本格的な回復を促進する施策としてまことに時宜を得たものであり、反対の余地などありません。
 賛成の第四の理由は、ロシア連邦等への支援関係費が盛り込まれている点であります。
 現在、旧ソ連邦の各地域では政治並びに経済の改革が推し進められております。その着実な実施は世界の平和と繁栄の上に必要不可欠であります。今回の支援は、特に国民の手に届く支援を目的として人道的救援活動や市場経済に向けての基盤整備などに重点が置かれており、政府の御努力はもって多とすべきであります。
 以上申し上げました賛成理由により、本補正予算は景気回復を一層確実なものとし、さらに貿易黒字の解消にも大きく寄与するものとして妥当な措置であります。どうか政府においては、本補正予算成立後は、当初予算の執行と相まって速やかにその執行に着手されることを強く要望いたしまして、私の賛成討論といたします。(拍手)
#244
○委員長(遠藤要君) 次に、荒木清寛君。
#245
○荒木清寛君 私は、公明党・国民会議を代表し、平成五年度補正予算三案に対しまして、反対の討論を行います。
 佐川事件、金丸前議員の巨額脱税事件の発覚と金権腐敗政治に対する国民の怒りは限界を超えております。抜本的な政治改革を今こそ実現するべきであります。既に、公明党を初めとする六野党会派は、選挙制度改革で与野党合意を目指す第三案、すなわち妥協案としての連用制を正式に提示しております。今国会で政治改革が実現できるか否かは、自民党の決断いかん、なかんずく宮澤総理のリーダーシップにかかっております。政治改革つぶしは国民に対する裏切りであって、絶対に許されないことをまず最初に主張いたします。
 以下、予算三案に対する反対の理由を申し述べます。
 反対する第一の理由は、補正予算には所得税減税が盛り込まれておらず、景気対策として極めて不十分であることであります。
 民間の調査機関の多くは、今回の新総合経済対策の五年度のGNP押し上げ効果は一%前後にとどまると試算をしており、これでは政府経済見通しの三・三%の達成は困難です。今回の不況脱出の一番の決め手は、GNPの六割弱を占める個人消費の喚起です。そのためには、三野党が共同で要求をしております四兆円規模の所得税・政策減税の実施が不可欠であります。現に、今年度予算の審議の過程で、自民党の梶山幹事長は我々野党の所得税減税要求に対し前向きに検討すると公約をしているのです。総理はこの発言の重みをどのように受けとめているのでしょうか。国民生活の現場と国民の切なる願いを余りにもないがしろにしていると言わざるを得ません。
 反対の第二の理由は、本補正予算の内容と編成過程を見れば、当然五年度当初予算そのものの修正で対処すべきで、財政法二十九条の補正予算編成の要件からははみ出していることであります。
 政府・自民党は、五年度予算を景気対策予算とのふれ込みで、今国会でもその早期成立を訴えておりました。しかし、その一方で、自民党内部からは当初予算編成直後の昨年末より早くも景気回復のための補正予算の早期編成を説く声が繰り返し上がってきたのであります。このような政府・与党の財政運営の姿勢は、財政の節度や根本原則をゆがめるものとして到底容認できません。
 反対の第三の理由は、本補正予算においては税収の減額修正が行われていない点であります。昨今の税収動向では、四年度でおよそ三兆円の税収不足が生じると報じられております。こうした状況では五年度予算についても税収の減額修正が不可欠であります。しかしながら、政府は本補正予算において何らの措置も行っておりません。このような予算は補正予算として到底認められません。
 以上、反対する主な理由を申し述べました。
 最後に、宮澤総理に対しまして、残りわずかとなった今国会の会期中に、総理が公約として掲げ続けてきました抜本的政治改革の実現に向けて全力で取り組まれることを強く要望して、私の反対討論を終わります。(拍手)
#246
○委員長(遠藤要君) 次に、寺崎昭久君。
#247
○寺崎昭久君 私は、民社党・スポーツ・国民連合を代表し、ただいま議題となっている平成五年度補正予算三案に対する反対討論を行います。
 反対の第一の理由は、当初予算が成立した直後に政府が補正予算案を提出したことであります。本来なら、内閣が総辞職するか少なくとも大蔵大臣が辞職して責任をとるべき事態であると考えます。英国では、ラモント蔵相が経済政策の失敗で更迭されていることを指摘しておきます。
 反対の第二の理由は、景気対策が不十分なものとなっていることであります。今回の不況はまれに見る消費不況となっています。大幅所得税減税なしては早期の景気回復は見込めません。また、十三兆二千億円と景気対策の数字が水増しされていること、実効ある円高対策が盛り込まれていないこと、生活関連の公共投資が不十分であること等の問題もあります。
 反対の第三の理由は、対ロシア支援について領土問題解決の展望が開けない中で拡大していることであります。エリツィン大統領は二度も日本訪問を延期しました。核廃棄物を日本近海に投棄している問題もあります。国民が納得できるよう、政府は対ロ支援の原則を明確に示すべきだと考えます。
 それにしても宮澤内閣の景気対策はタイミングを失したと言わざるを得ません。「巧遅は拙速に如かず」と言いますが、政治家にとって時に重要なのは即断であることを申し述べ、私の討論を終わります。(拍手)
#248
○委員長(遠藤要君) 次に、吉川春子君。
#249
○吉川春子君 私は、日本共産党を代表して、平成五年度一般会計補正予算案外二件について、反対の討論を行います。
 本補正予算は、九三年度本予算成立直後の四月十三日に閣議決定した十三兆二千億円に上る史上最大の総合経済対策に基づき策定されたものですが、本予算と同一国会に、しかも本予算成立後わずか二カ月余り後にこのような大型補正予算を成立させることは全く異例のことであり、見通しを誤った政府の責任は重大です。
 さらに、問題はその内容です。
 第一に、数次にわたる政府の景気対策にもかかわらず景気が低迷している最大の原因は、国民の消費の停滞です。消費拡大を阻んでいる要因は、賃金の抑制、雇用、年金その他将来への不安に加えて、数年来の減税見送りによる実質増税負担にあります。ところが本補正予算では、国民の大幅減税要求に背を向け、わずかばかりの住宅減税、教育費控除の引き上げにとどめていることです。
 第二に、本補正予算の中心は二兆二千億円に上る公共事業の追加です。今回の公共事業は、新社会資本の整備など目先は変えていますが、基本的にはビッグプロジェクト中心の従来型公共事業の大幅な拡大がその特徴です。新しい国土ネットワーク構想など大型プロジェクトは、一部のゼネコンや大企業を潤しても、我が国経済のすそ野を
占める広範な中小企業や国民の懐にはほとんど届きません。しかも、大企業のリストラによる大量人員削減、パート労働者の解雇、労働条件の引き下げなど、増大する雇用不安に対する積極的対策もないのです。
 第三に、本予算は運転資金の低利貸付制度の創設などの中小企業対策、住宅金融公庫の貸付枠の拡大や住宅対策など、一定の国民向けの対策も含まれております。しかし、これらの対策は極めて不十分である上に、伝えられるように、市場金利が上がればそれに連動してこれらの貸付金利も引き上げられることになり、せっかくの対策も帳消しになりかねません。
 第四に、本補正予算は、大型公共事業を中心とする補正予算の財源として建設国債を二兆二千四百六十億円発行するとしていますが、当初予算と合わせると総額十兆三千七百六十億円に上り、国債依存度は一三・九%となります。これは依存度五%を下回ることを目指した政府方針にも大きく反し、健全な財政運営のための真剣な努力が放棄されたものと言わなければなりません。地方自治体に対しても財源対策抜きの地方単独事業の大幅拡大により地方債の増発を押しつけていますが、それらは結局国民の負担とならざるを得ません。
 以上、反対理由を申し述べましたが、我が党は、国民本位の不況対策及び経済大国にふさわしい国民生活を保障するために財政政策の抜本的転換を求め、討論を終わります。(拍手)
#250
○委員長(遠藤要君) 次に、乾晴美君。
#251
○乾晴美君 私は、民主改革連合を代表し、ただいま議題となりました平成五年度補正予算三案に対し、反対の討論を行います。
 まず初めに指摘しなければならないことは、当初予算を提出した常会中に補正予算を提出することが極めて異例のことであるということであります。これは、政府が景気判断を誤ったがために、先般の五年度予算が景気対策としていかに不十分なものとなっていたかを示すものにほかなりません。今回の補正予算もまた、景気浮揚や生活大国の実現など国民の期待にこたえる内容とはなっておらず、到底認めることできないのであります。
 以下、反対の主な理由 申し述べます。
 反対の第一の理由は、我々が再三主張してきた所得税減税が盛り込まれ いないことであります。
 現在、我が国は所得の低迷からくる消費の伸び悩みという消費不況の真っただ中にあります。一部の経済指標に明るい兆しが見え始めたものの、GNPの六割近くを占める消費が停滞している以上、本格的な景気回復が望めないことは言うまでもありません。春闘賃上げ率も六年ぶりに四%割れとなる中で、今何より国民が求めている景気対策は消費を引き上げる所得税減税の実施であることはだれの目にも明らかでありますしかるに政府は、それをかたくなに拒み、本補正予算での所得税減税の実施を見送っているのであります。適時適切な経済運営を怠り、国民の期待を裏切る政府のやり方に厳しい反省を求めておきます。
 反対の第二の理由は、生活関連社会資本整備への取り組みが不十分なことであります。
 本補正予算の一般公共事業費の事業別配分シェアを当初予算と比較してみますと、下水道、環境衛生等は当初予算に比べ上昇しているものの、住宅対策が大幅に低下しており、両者を合わせた配分比率はほとんど変化がないのであります。政府は生活大国の実現に配慮したことを強調しておりますが、従来の固定化し、配分比率の是正にはほど遠く、到底、生活関連社会資本整備を重視したとは言えません。
 反対の第三の理由は、景気対策を財政投融資と地方に押しつけている点であります。
 本補正予算は、四月に決定された総額十三兆二千億円の総合経済対策を受けて編成されたものでありますが、その一般会計規模はわずか二兆円余りにすぎません。すなわち、対策の大半は公庫や公団などを通じた財政投融資や地方単独事業なのであります。とりわけ、地方単独事業はその財源を地方債に依存することになり、こうして政府は国の財政難を地方に押しつけているのであります。本来、景気対策は一般会計が主体となって行うべきものであり、こうした他力本願の財政手法は到底認めることができません。
 最後に、景気判断の誤りと後手後手の対応しかできない政府に反省を促すとともに、政治改革については総理が強力な指導力を発揮し本国会の会期中に我々の要求する抜本的政治改革が実現するよう強く求め、私の反対討論を終わります。(拍手)
#252
○委員長(遠藤要君) 以上で討論通告者の発言はすべて終了いたしました。討論は終局したものと認めます。
 それでは、これより採決に入ります。
 平成五年度一般会計補正予算、平成五年度特別会計補正予算、平成五年度政府関係機関補正予算、以上三案を一括して採決いたします。
 三案に賛成の方の起立を願います。
   〔賛成者起立〕
#253
○委員長(遠藤要君) 少数と認めます。よって、平成五年度補正予算三案は賛成少数により否決すべきものと決定いたしました。(拍手)
 なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#254
○委員長(遠藤要君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後一時五十八分散会
ソース: 国立国会図書館
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