くにさくロゴ
1993/05/13 第126回国会 参議院 参議院会議録情報 第126回国会 建設委員会 第9号
姉妹サイト
 
1993/05/13 第126回国会 参議院

参議院会議録情報 第126回国会 建設委員会 第9号

#1
第126回国会 建設委員会 第9号
平成五年五月十三日(木曜日)
   午前十時開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 五月十三日
    辞任         補欠選任
     鈴木 貞敏君     矢野 哲朗君
     山田  勇君     井上  計君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         梶原 敬義君
    理 事
                井上 章平君
                岡部 三郎君
                種田  誠君
    委 員
                井上 吉夫君
                石井 一二君
                上野 公成君
                遠藤  要君
                鈴木 貞敏君
                矢野 哲朗君
                吉川  博君
                会田 長栄君
                青木 薪次君
                西野 康雄君
                白浜 一良君
                中川 嘉美君
                井上  計君
                上田耕一郎君
                萩野 浩基君
   国務大臣
       建 設 大 臣  中村喜四郎君
   政府委員
       建設大臣官房長  望月 薫雄君
       建設省建設経済  伴   襄君
       局長
       建設省住宅局長  三井 康壽君
   事務局側
       常任委員会専門  駒澤 一夫君
       員
   説明員
       大蔵大臣官房企  清水  治君
       画官
       労働大臣官房政
       策調査部統計調  白石 栄司君
       査第二課長
   参考人
       明治大学教授   玉田 弘毅君
       日本労働組合総
       連合会副事務局  河口 博行君
       長
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○特定優良賃貸住宅の供給の促進に関する法律案
 (内閣提出、衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(梶原敬義君) ただいまから建設委員会を開会いたします。
 特定優良賃貸住宅の供給の促進に関する法律案を議題とし、参考人から意見を聴取いたします。
 本日、参考人として明治大学教授玉田弘毅君及び日本労働組合総連合会副事務局長河口博行君の両名の方々に御出席を願っております。
 この際、参考人の方々に一言ごあいさつを申し上げます。
 本日は、御多忙中のところ本委員会に御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。委員会を代表して厚くお礼を申し上げます。
 皆様から忌憚のない御意見を賜りまして、法案審査の参考にいたしたいと存じます。
 これより参考人の方々に順次御意見をお述べ願うわけでございますが、議事の進行上、最初に参考人の方々からお一人二十五分程度の御意見を述べていただき、その後、委員の質疑にお答えいただく方法で進めてまいりたいと存じます。よろしくお願いいたします。
 それでは、まず玉田参考人からお願い申し上げます。
#3
○参考人(玉田弘毅君) ただいま御紹介いただきました玉田でございます。
 現在、明治大学教授を務めておりまして、さらに建設省の住宅宅地審議会の委員を務めさせていただいております。
 それでは、特定優良賃貸住宅の供給の促進に関する法律案について、参考人として私の意見を述べさせていただきます。
 まず最初に、この法律案の目的とその要点についてごく簡単にかいつまんで申し上げさせていただきます。
 この法律案は第一条に規定しておりますとおり、我が国における「中堅所得者等の居住の用に供する居住環境が良好な賃貸住宅の供給を促進するための措置を講ずることにより、優良な賃貸住宅の供給の拡大を図り、もって国民生活の安定と福祉の増進に寄与することを目的とする。」というものでございます。これが目的でございます。
 次に、具体的にはどういうことかと申しますと、これは用地取得の必要のない土地所有者等によって優良な賃貸住宅の供給の促進をするということでございまして、この法律案の主要なポイントは次のとおりというふうに考えます。
 まず、第一点でございますけれども、賃貸住宅の建設及び管理をしようとする者は賃貸住宅の供給計画を作成して都道府県知事の認定を申請することができるということでございます。
 それから、第二点でございますが、都道府県知事は供給計画が賃貸住宅の規模、構造、入居者の資格、賃貸の条件等に係る基準に適合すると認めるときは計画の認定をすることができるということになっております。これが第二点でございます。なお、政令指定都市の長もこれに相当するということになっております。
 それから、第三点でございますが、認定を受けた供給計画に係る賃貸住宅については、その建設費とそれから家賃の減額措置に対して国が間接補助を行い、そして地方公共団体が直接補助を行うということができることになっております。
 次に、第四点でございますが、認定を受けた供給計画に従って賃貸住宅の建設と管理が適正に行われるように、都道府県知事が報告を徴収するとか改善命令を出すとか、あるいは場合によっては認定の取り消しを行う等々の措置を講ずることができるということになっております。
 それから、第五番目ということになりますけれども、地方公共団体は中堅勤労者等を対象とする優良な賃貸住宅が不足している、そういうような場合にはみずから優良賃貸住宅の建設に努めなければならないという努力義務を課しております。それから、地方公共団体が優良賃貸住宅の建設及び管理を行う場合には、国がその地方公共団体に対して建設費及び家賃の減額措置に対して補助を行うことができるということになっております。
 次に、二番目として、この法律案の基本的な特色について若干述べさせていただきます。
 まず、第一点でございますけれども、これは民間主体による良質な賃貸住宅の供給促進ということとその積極活用を図るということにあるという
ふうに考えられます。と申しますのは、この法律案においては、土地を所有している個人とか法人とかあるいは公益法人などの民間主体による良質な賃貸住宅の新規供給というものを促進し、かつそれを公的に積極活用するということを基本としているからであります。
 やや詳しく述べますと、建設費に対する国の間接補助、それから地方自治体による直接補助、それから住宅金融公庫融資の拡充等によって民間による賃貸住宅の供給を質と量の両側面で拡大しながら、そのような良質な賃貸住宅を幅広い中堅勤労者層に提供するということを眼目としているものでありまして、そこでの賃貸住宅というのは中堅勤労者等の世帯向けの賃貸住宅ということが予定されておるわけでございます。
 第二番目としては、この法律案は新しい住宅政策の方式を確立するという側面があるのではないかというふうに考えられます。
 御高承のとおり、従来、我が国におきましては賃貸住宅供給に関し、公営住宅法による公営住宅とか、住宅・都市整備公団による公団住宅であるとか、あるいは地方住宅供給公社による公社住宅等のような公的部門による直接供給、つまり公共賃貸住宅というものがすぐれて重要な役割を担ってまいりましたけれども、このたびの法律案の内容をなすところの特定優良賃貸住宅制度というのは、従来から行われてきました、今述べたような公共賃貸住宅制度、つまり公的管理住宅制度といったようなものとは違いまして、概括的に申しますと民間主体による賃貸住宅というものに一種の公的規制の網をかける、そういう住宅制度であります。つまり、言うなれば広い意味での一種の公的規制住宅制度ともいうべき住宅制度であって、これは我が国におけるこれまでの賃貸住宅に係る住宅政策に対して一つの大きな転機ともなり得る、そういう制度でないかというふうに考えられるのでございます。そのような意味で、先ほど申しましたように住宅政策の新しい方式を確立する、そういう側面があるように考えるものでございます。
 第三点といたしましては、地域特別賃貸住宅制度という既存の制度の全面的見直しという側面がこの法律案にはあるのではないかという点でございます。
 この法律案に基づく特定優良賃貸住宅制度に類するものとしては、今申しましたように地域特別賃貸住宅という制度が既にございますけれども、これは要するに民間主体の建設に係る賃貸住宅というものを地方公共団体とかあるいは地方住宅供給公社といったような公的機関が借り上げて、そして管理するといったようなことなどが制度の中心ということになっておりまして、言うなれば公営住宅制度等を補完するという意味合いが非常に強いものではないかというふうに考えられます。しかも、入居対象層というのも原則として収入分位四〇%以下の者ということになっており、そういう意味でも限定的な制度ではないかというふうに考えられます。
 確かに、地域特別賃貸住宅制度というのは民間の良質な賃貸住宅というものを活用するという点では画期的なものでありますけれども、住宅の管理主体というのが今申しましたように公的機関に限定されているというようなことがございます。そのようなことから公的機関の管理能力のキャパシティー、そういったようなものの関係で、また、この制度が専ら予算制度として従来行われてきたといったような点等々を考えてみますと、これまではそれなりに成果を上げてきたというふうに考えられるのでありますけれども、今後、この制度というものが十分に展開をしていくという点についてやはりいろいろ考えられる問題があるのではないかということが指摘されるのでございます。
 そういったようなことから考えてみますと、住宅の管理主体といったようなものを今申しましたような公的機関に限定することなく、それ以外の民間機関といったようなものにも拡大してより積極的に民間活力の活用を図るといったようなこと等々が考えられるのでございます。今回の特定優良賃貸住宅制度を内容とする法律案というものが用意されたのもそのような趣旨からではないかというふうに考えられるのでございます。そのようなことから、先ほど申しましたように、従来の地域特別賃貸住宅制度というものの全面的な見直し、発展あるいは拡充といったような、そういう側面があるということが言えると思います。
 それから、次に四番目でございますが、特定優良賃貸住宅の供給の促進に関する法律案というものが持っている社会的な意味といいましょうか、社会的なインパクトという点でございます。
 この法律案は、先ほどから申しておりますように、民間主体による賃貸住宅の管理主体を地方公共団体とか地方住宅供給公社といったような公的機関に限定することなく、農業協同組合であるとかあるいは民間の住宅管理会社といったようなところにも広げていこうということでありますし、それから入居対象層というものも最大で収入分位八〇%までの者とするといったようにいろいろな配慮がなされております。しかも、そういったようなことから、民間活力の有効活用による中堅勤労者層向けの良質な賃貸住宅の供給拡大というものに大きく貢献するのではないかということが期待されるわけでございます。しかも、これはまた大都市圏を中心とするところの中堅勤労者層向けの良質な賃貸住宅といったものについての需要の高まり、そういうものにも十分こたえ得るものではないかというように考えます。
 それから、第五番目でございますけれども、この法律案における特定優良賃貸住宅制度という優良とは一体どういうことなのかということについてでございます。
 この法律案で言っている優良というのは、単に住宅の構造であるとか設備であるとかといったような、いわゆるハードの面だけの優良ではなくて、住環境であるとかあるいは住宅の維持管理などといったような、そういうソフト面での優良ということも含まれているというふうに考えることができます。しかも、この住宅ソフトの中には当然貸し手と借り手との間の契約関係といったようなものも含まれるというふうに見られるわけでございまして、そのようなハード、ソフトの両面から優良ということをこの制度では考えているというふうに言えると考えます。そのような基準についてはいずれ建設省令などで定められることが予定されているということでございまして、それはおおむね以下のような内容だというふうに考えています。
 御高承のとおりだと思いますけれども、一応簡単に述べますと、一つは戸数が十戸以上であるということ、それから規模は戸当たり専用面積が五十平米以上百二十五平米以下、これは聖心計算といいますか心々計算でございます。それから、構造は原則として耐火構造あるいは準耐火構造、それから設備は各戸に専用の炊事室とか浴室とかあるいは水洗便所等を備えていること、それから借り入れとか返済といったようなそういう資金計画が適切に行われているということが必要である。
 それから入居者の資格でございますけれども、原則的には所得分位で五〇%以下の者ということで、なお標準四人世帯の年間所得を平成四年で見てみますと、おおむね税込みで四百五十万以上六百三十万以下といったようなことになるというふうに見られています。それからなお、これは都道府県知事の裁量行為によるわけでございますけれども、所得分位についてはアップすることが可能なのであって、先ほども申しましたように、最高八〇%までの所得分位の者を入居対象層とすることができるわけでございまして、この場合は標準四人世帯の年間所得は平成四年で見ますとお拒むね税込みで九百五十万ということのようでございます。
 それから、次に家賃の点でございますけれども、供給計画の家賃の額というものは市場家賃を超えないものであるということが必要とされております。それからなお、この家賃を減額する場合にはいわゆる家賃対策補助というものが行われる
ことになっております。これは要するに市場家賃と入居者負担額との差額というものが対象になるわけでして、結論的には国が二分の一、地方が二分の一ということになるというふうに聞いております。
 それから、次に賃貸の条件でございますが、原則として入居者を公募、抽選等の公正な方法によって選定するということになっておりまして、しかも入居時に敷金以外の一時金、いわゆる権利金等々は取らないということが基準とされるということになっております。
 それから、次に七番目として管理の方法でございますが、維持修繕あるいは点検等の適切に管理する方法とか、あるいは管理を委託する場合のいろいろなルールといったようなものが決められることになっているということでございます。
 それから、八番目としては管理の期間でございますけれども、少なくとも十年以上ということでございます。ただし、最高二十年ということもあり得るのではないか。これは要するにその間、先ほど申しました一種の広い意味での公的規制というものがかかる期間というふうに理解できるわけでございます。
 以上のような基準というものは、この制度に大体において適当とするものであり、基本的には妥当な線をいっているのではないかというふうに考えるものでございます。
 それから、六番目としては管理の適正の確保という点についてでございます。
 従来、民間主体が建設する賃貸住宅というのは、そもそも建設時点での質の点で問題がなくはない。のみならず、その後における住宅の物的な管理というものが必ずしも適切に行われているとは限らない。そういったようなこと等々の理由もありまして、経年劣化というものが著しい場合が少なくないというふうに従来から指摘されております。それからまた、貸し手と借り手との間のトラブルといったようなものも少なからず発生しており、このことがやはり賃貸住宅の管理上のネックというふうにされてきたわけでございます。
 この法律案では、都道府県知事が申請者の計画認定を行う際において住宅の管理方法について審査するということがありますけれども、同時に建設大臣が住宅の管理に関する配慮事項を定めてこれを公表する。多分これは告示という形になるのではないかというように考えられるのですけれども、それを公表して、さらに地方公共団体がそれに沿って住宅経営者つまり認定事業者を指導していく、そういうふうなことになっております。しかも、住宅の管理というものが適正に行われなかったといったような場合には、先ほど申しましたように改善命令であるとか、あるいは認定の取り消しであるとか、あるいは罰則などといったような措置がとられることになっているという点が特徴的でございます。
 それからまた、住宅の管理を行う者はそもそも住宅の管理について十分な知識とか経験とか能力といったようなものを持っていなければならないわけでございまして、そういう点では地方住宅供給公社とかあるいは地方公共団体等のほかに、農業協同組合であるとか民間の住宅管理会社などといったようなものもそれに該当し得るのではないかというふうに考えられるわけです。この制度では、そういったようなところにまで管理する者を広げているのでございますけれども、そういう管理する者に対して地方公共団体の監督ということが行われることになっておりまして、そういう点を考えて見ますと、管理の適正の確保ということが図られるのではないかというふうに考えられます。
 それから、次に七番目として賃貸借契約の適正化ということでございます。
 この点は、先般住宅宅地審議会におきまして、いわゆる賃貸借契約の標準化ということに関しまして民間賃貸住宅標準契約書というものを作成して、そしてそれを建設大臣の方に答申を済ませたばかりでございますけれども、この標準契約書というものは今回の特定優良賃貸住宅における契約関係においてもおおむね妥当する内容のものであるというふうに考えられます。したがって、若干の調整というものは必要があるかもしれませんけれども、基本的にはそのまま用いられて当然であり、そのことが予定されているというふうに聞いております。
 それから、八番目でございますけれども、地方公共団体の総量の権限の拡大ということでございます。
 そもそも住宅事情というものは地方によってもかなり違うわけでございまして、そういうことからすればそういう点について当然の配慮をされなければいけないということが言えます。そういうことから、地方公共団体にそういう点についての裁量権限というものを大幅に拡大しているということが今回の法律案の特徴というふうに考えられます。
 例えば、入居対象者の収入分位につきましても、先ほど申し上げましたように原則的には五〇%までというふうなことでございますけれども、都道府県知事の裁量で収入分位八〇%の者にまで広げることができるといったようなことになっておりますし、それからまた建設費であるとかあるいは家賃減額に対する補助についてもやはり知事の裁量というものにゆだねられている点が特徴的でございます。
 それから四番目としては、認定事業者、つまり賃貸住宅経営者に対する指導監督でございますけれども、これはやはり地方公共団体がその責任と判断において行うということになっておりまして、この点につきましても概括的に申しますと、地方の権限というものが極めて大きくなっているというふうに考えられます。
 今申しましたように、地方重視の考え方というものがこの制度の特徴なのであって、その結果、反面からいいますと地方公共団体の責任というものが非常に大きくなっている、あるいは責務と申しましょうか、そういうものが大きくなっているということが指摘できます。したがいまして、この法律案におきましても、先ほど申しましたように、民間主体等による良質な賃貸住宅の供給というものが不足しているような場合には地方公共団体が良質な賃貸住宅の供給に努めなければならないということで努力義務というものが課せられているわけです。このこと自体非常に画期的なことではないかというふうに指摘することができます。
 それから、次は地方公共団体の財政負担の軽減ということでございますけれども、この法律案に基づいて地方公共団体が行う措置につきましては地方財政措置、いわゆる交付税措置というものが行われるということになっているということでございまして、このような地方公共団体の財政負担の軽減ということによって地方公共団体の手による住宅対策というものの推進を大きく支援するということになるのではないかというふうに考えられます。
 それから、大きな三番目としてこの法律案全体についてのいわば結び的な意味での意見ということになりますけれども、二、三申し上げさせていただきたいというふうに思います。
 一つは、この法律案というものは、先ほど申したことをいわば半ば繰り返すような形になりますけれども、賃貸住宅の供給に係る新しい施策的な枠組みをなすものではないかというふうに考えられます。と申しますのは、この法律案というのは、端的に申しますと我が国における民間の賃貸住宅の建設供給に係るかなり大きな規模のエネルギーというものがそもそもあるわけでございますけれども、しかしそれらのエネルギーはややもすると質のそれほどよいとは言えない、いわゆる単身者向けないしはペア世帯向けといったように言われておりますけれども、そういうような狭小な、小さくて狭い、そういう賃貸住宅の建設供給の方にそういうエネルギーというものが流出しがちであるといったようなことが従来から指摘されているのでございます。そういう点をいわば政策的に誘導して、そしてそういうエネルギーを今度
は中堅勤労者層の世帯向けの良質な賃貸住宅の建設供給の方に持っていこう、こういうわけでございまして、そういう趣旨でやはりこれは新しい制度的な枠組みというふうに言えるのではないかというふうに思います。ですから、これは従来の賃貸住宅に係る住宅政策ないしは政策的な面から見ても新しいジャンルと申しましょうか、考え方、分野ということになるわけで、この法律案が御審議の結果法律として発効した後においては、この運用状況といったものが非常に注目されるのではないかというふうに考えます。
 二番目としまして、それだけに国が果たすべき役割というものが大きいのではないかというふうに考えております。そういう点でも、やはり国は、特定優良賃貸住宅制度の運用の大半を担うというふうにされているところの地方公共団体に対して適切な指導と申しましょうか、誘導をして、そしてこの制度が円滑に運用されていくというふうにしなければならないというふうに考えます。それからまた、国としてはこの制度をなるべく早く、拠点都市等も含めてでしょうけれども、全国的な規模で早期普及というものを目指して、関係機関との十分な連携を保ちながらPR活動等々を行っていくということがやはり求められているのではないかというふうに考えます。
 それから、その他、当面この制度の大きな担い手となるところの農地所有者等につきましては、農業協同組合等々の関係機関との連携のもとに優良な賃貸住宅供給が行われるように、特にスプロールであるとかばら建ちなどが起きないように、その点、都市計画担当部局との密接な連絡というものが必要とされるのではないかというふうに考えます。
 それから、最後に四番目でございますけれども、住環境への配慮という点もやはり重要な問題だというふうに考えられるのでございます。この法律案では住環境に関しましては特に基準等々を設けておりませんけれども、しかし実際この法律案に基づく制度というものが運用されるに当たっては、地区計画制度であるとかあるいは面的整備事業であるとかといったようないろんな制度を有効活用することによって住環境の整備充実ということにも大いに考慮あるいは配慮していただきたいというふうに考える次第でございます。
 以上で私の参考人としての意見陳述を終わらせていただきます。
#4
○委員長(梶原敬義君) ありがとうございました。
 次に、河口参考人にお願いいたします。
#5
○参考人(河口博行君) 河口でございます。
 こういう機会を与えていただきまして大変感謝を申し上げます。連合の立場でと申しますよりもサラリーマンの立場で率直に意見を公述させていただきたいと思います。多少気持ちが入りますことにつきましては御勘弁いただければと思っております。
 まず、連合としての住宅並びに生活全体についてのスタンスを申し上げておきたいと思います。
 今、政府は生活大国五カ年計画を御推進でございますけれども、連合は基本的に生活大国五カ年計画を支持しております。それを勤労者、サラリーマンの立場から推進をしていきたい、このように考えております。その意味で、現下の景気対策なりあるいは減税、あるいはこの国会にも、参議院にも既にかかろうとしています時間短縮、そしてこの法律ということについて非常に注目をしておりますし、期待を持っております。
 生活大国五カ年計画につきましては、支持はしておりますが、住宅部分のことに関しましては、この生活大国五カ年計画で基本的には記述されておりますが、具体的に打ち出されている中身が、世間一般では年収五倍の持ち家という主義を基本に打ち出されております。しかしながら、多少といいますか、現下の日本の宅地事情並びにサラリーマンの生涯収支等を見た場合には、一代限りの勤労所得でもって平均的なサラリーマンでは持ち家は事実上不可能な状態にある。その不可能な状態にあることを前提にしながら五カ年計画の中で持ち家主義が打ち出されておるということに対して、住宅部分について率直に言って余り魅力を感じておりませんでしたけれども、今回この特定優良賃貸住宅促進法が具体的に法案で出された段階におきまして、極めて刮目すべき法案である、また画期的なものであるというふうに思っております。これをあわせまして、生活大国五カ年計画の住宅政策というものを支持していきたいというふうに思っております。ある面から言えば、今後の日本の住宅政策について画期的な動きになっていくというふうに期待をしております。
 そこで少し、全体的なことは既に政府から十分内容が御説明でございましょうから、勤労者なりサラリーマンの立場で、現在住宅についてどのような実情にあり、どのように意識をしているかということを資料を使って御説明させていただきたいと思います。
 資料が小さくて恐縮でございますが、後で見ていただければと思いますが、まず、この資料は連合が昨年行った生活調査でございます。一ページの資料一の左の方の図でごらんになりますように、持ち家比率というものはかなり進んでおりまして、全体では五二%ありますけれども、しかしながら年代別に非常に大きな格差がある、年代間の格差があるということについて御承知おきいただきたいと思います。それは所得の差があるからやむを得ないとはいえ、しかし今後の時代の変化を見たときにこれが一つの重要な意味を持ってくるということであります。
 それから二番目に、現在の住宅の広さ等についてサラリーマンがどのように評価をしているかということでございますが、既に持ち家を取得して戸建て住宅を持っておられるサラリーマン等については、十分な広さが実現されているということについての評価をしているわけです。事実、政府統計等の資料を見ましても、その状況は十分うかがえるわけであります。既に持ち家の床面積が百三十七平米あるわけでございますが、しかしながら持ち家でも、マンションの場合になるとそれが実現されてないというのが半分、五〇%を超えます。さらに、公営、公団住宅になると七七%が不満、さらに民間の賃貸住宅になりますと七五%、それから社宅等につきますと六四%ということで、二戸建て持ち家以外のところは住宅の広さについて強い不満を持っているわけであります。
 とりわけ大きいのは、一戸建て住宅と民間賃貸住宅の、政府統計によりますと、貸し家の平米数は四十七平米でございますけれども、ある面で百三十七平米と四十七平米に象徴されますように、これだけの格差が存在するということが一番の問題点であるわけであります。このことについてまず申し上げておきたいと思います。
 それから、その次に、住宅と年収ということについて少し申し上げておきたいと思います。
 勤労者が住宅を持っていくのにどうかということでございますけれども、現在、政府が年収五倍ということで一応出されている数字については、八百六十五万の年収の人で現在のマンション価格が五千六十六万で五・九倍だから少し迫ってきた。事実このとおりであります。近畿及び地方になればさらにそれが有利な状況になることも十分承知をしております。しかしながら、それを勤労者の生涯収支の立場で、持ち家を持っていくときに生涯収支がどのような状況になるかということを頭に置きまして、現下の状況を申し上げますと、このようなことになります。
 資料二ページ目の方の左のところでございますが、現在、持ち家を持っておられる方の住宅にかけている比率でございますけれども、住宅費が大体一三・四%の率であります。マンションの方は一六・九%でございます。ただし、東京圏につきましては二〇%近くを住宅費に負担しなければならない状況になっています。それから民間の賃貸住宅が一四%、公団、公社あるいは公営住宅については一〇%、社宅は四%、こういうことでございます。
 そこで、所得に対する住宅費の割合についてでございますが、これは単年度もそうであります
し、生涯を通じてもそうでありますが、おおむねこの実態から申し上げまして、持ち家の年収の五倍とあわせて年収の一五%ということをぜひ打ち出していただきたい。これがまた実態でもございますし、目標である。戦略的にもっと長期の目標で言えば、一〇%ぐらいのところを住宅費にかけられる目標ということで設定することが大事ではないか、このように考えております。これがこの法律で言う、公的助成の部分でどれだけ公的助成をするかという考え方の一つの基本にかかわっていくところであるというふうに思っております。
 その次に、現在の住宅で困っていることに対する不満ということでございますが、それは資料、右のところで小さい字でございますから、後で少しごらんになっていただければ結構でございますが、住宅の面積が狭いということが大きくて、特に賃貸住宅になるとそれは強い要求を持っているということ、それから賃貸住宅が持ち家を持つということは事実上家賃並びに今後の展望としては難しいというふうに思っているということであります。
 このことを意識ということで少し御理解をいただきまして、その次に資料三ページのところを使わせていただきますが、ここで生涯所得と持ち家ということについて少し御説明をしておきたいわけであります。
 資料三ページの左に図を入れております。この左の図は、昭和六十二年、一九八七年、景気が上昇過程に入ってバブル景気に入る直前でありますけれども、労働省が住宅持ち家と勤労者の生涯収支ということについて、労働白書で公式に政府見解として出した資料でございます。上の方の図が東京を中心に大都市部の生涯収支と住宅の中身であります。これで申し上げますと、三千六百万の住宅購入をするということで、ピーク時の賃金が五百七十万ということを前提想定をしておりまして、しかしながら、勤労所得だけでは三千六百万で住宅の購入はできませんという、これが政府としての見解であります。なぜできないかと申しますと、追加収入がないとできませんということで、パートで奥さんが十年間働くかあるいは遺産相続を含めて何らかの追加収入が一千万円以上なければできない。それでも六十歳定年時点での貯蓄残高は四百万程度ということになりまして、現在の平均余命で生きていきますと、この時点で最低でも普通の生活をすると六千万の老後生活費がかかるという計算をされておりますが、その時点で貯蓄残高が少なくとも一千五百万ないと六十歳から死亡するまでの収支が合わないわけでございますが、そういうことを指摘したわけであります。
 それから、下の図は、地方の場合の図でございますけれども、これが極めて健全な図でございますが、これは二千万の住宅取得で一千二百万の自己資金を持ってという場合の地方の姿でありまして、六十歳の定年のときに一千六百万の貯蓄残高を持つと、こういう中身であります。
 既にこのときから、持ち家というのは事実上できないということを警告した中身であります。
 そこで、右の図を見ていただきますと、これはごく最近、連合の附属研究機関の連合総研が生活の豊かさについて調査した中身でございますけれども、ここにありますように、住宅の購入方法としては、自力購入というのは東京では三三%、それから親の援助なり協力ということがやはり四四%ということでございます。それで、地方の例えば石川とか富山とか、ある面で生活が非常にしやすいところではそれが一層高まる、こういう構図になりますが、そこであえて言えば、親子二代でないと事実上住宅を持つことができない状況に現下の住宅価格ではなっているということでございます。その面では、中身は違いますけれども、東京のスタイルと石川、富山のスタイルはある面で似てきているというような面も結果的にはあるわけでございます。
 それとあわせまして、少し住宅から離れて恐縮でございますが、今、ことしから来年にかけていわゆる年金の財政再計算の年を迎えて、ことしから来年が一つの年金の大改革というふうに政府はお考えでありますし、世間もそう見ておるのですが、そのときに世代間の問題ということが非常に大きな問題になってきます。年金そのものが世代間の助け合いということで、ある面からいえば現役のOBに対する仕送り制度でありますから、それにかわって今の世代が、特に中高年が中堅サラリーマン及び若い世代のサラリーマンに何をしなければならないかといえば、時間並びに住宅ということについて思い切った投資をして公的助成をしていかなければ、生涯収支の面からも、年金の支払いを若い層が担っていくというふうに生活設計から、あるいは生涯収支設計から出てこないわけでございます。したがいまして、住宅に対して現在の政府を初め、特に現在の経済を生かして次の世代に住宅というものに思い切って投資をしていくということは極めて重要で、そこに公的助成が必要であるということを申し上げておきたいと思います。
 ちなみに、高齢化についての東京都の意識については御承知のとおりでございまして、出生率が一・五三が全国的な予測として出されましたけれども、東京はその分に当てはめれば一・一八でございますし、そして東京の男女ともに、特に女性が、なぜ少子化したか、出生率が低下しているかということについては、子供を育てるのに金がかかるということを考えている人が六〇%ありますし、また住宅事情がよくないということが五九・九%、六〇%ございまして、中長期の国民生活を考える上でも住宅というものが決定的に重要であり、公的助成が大事であるということをあらわしている状況ではなかろうかと思っております。
 以上、少し全体の状況を申し上げまして、あと残された時間、少しこの法律にかかわるところの要望を申し上げておきたいと思います。
 まず、これを機会に生活大国五カ年計画とあわせて、この法律をキックオフの役割を果たす意味で新しい住宅についての理念、そして目標を明確に掲げながら、この賃貸住宅政策を強力に国会としても御推進いただきたいということが基本であります。そのために、年収の五倍とあわせて、年収の一五%の住宅費ということをぜひ目標に挙げていただきたい。そのために、その中には連合としても要求しておりますが、家賃控除も含んでおりますけれども、そこで少し資料四でもって実情的に申し上げておきたいと思います。
 この資料四は、この法律が行政指導で鋭意、建設省を初め各地方自治体で進められた内容の一つの例でございますけれども、資料四にこういう図、格好になるのかなというふうに想定をしております。左が神奈川県が借り上げ公共賃貸住宅の県借り上げ型についての現在募集している内容でございますけれども、左にありますように、一番上の場合の例を挙げれば、当初、十五万の家賃が公的助成を行って九万円になるというような内容で、以下これで募集が行われております。右の図が、それで当初の家賃が四〇%相当を家賃対策補助を行ってやっていきましょう、そして年度を上げていきましょう、こういうふうになっておりますが、この背景の中の計算を、東京都と神奈川の資料を見た上でのことでございますが、住宅費負担率が二五%ぐらいを想定して書かれておりますけれども、そういった面で公的助成をもっと入れて住宅費負担率というものを下げていく必要がある。
 同時に、これは現下の神奈川で行われていることでありますが、当初六〇%のところからスタートして、年々五%の家賃を漸増させていくというふうになっておりますが、組合も賃上げで今からしっかりやってはいきますけれども、年五%というのはちょっときつい。しかし、財源にもかかわることでありますからこのあたりどう考えるかというのは、政省令にかかわる分野に法律的になっておると思いますけれども、住宅宅地審議会並びにその作業を進めていく政省令での検討というものは極めて重要でありますし、その中にも積極的に参加していきたい。ある面でこの法律はドイツ型の社会住宅というような思想がベースにあると
いうふうに私は理解をしておりますけれども、西ドイツは持ち家率が三九%と非常に低くて公的助成の社会住宅が非常に進んでいる、そして非常に安定しているというようなことで、公的助成の政策というものと税制的な優遇措置並びに家賃補助等についても積極的に進めていただきたいというふうに考えております。
 それから、一応これは広く国民に公平にということで現在の公社、公団と同じように募集が行われておりますことについては賛成でありまして、特に中小企業を含めて多くの人がこれに参加してこの政策の享受を受けるということが必要であります。
 あわせて今私どもが取り組んでいることは、社宅あるいは官舎についても同じでありますが、共同社宅というものを意図してこの種の取り組みを農協とも提携しながら事業を進めてまいりました。それで、ことし既に建つ状況になっておりますが、そういった共同社宅等につきましても家賃補助は企業に対して私は責任を持たすべきである、企業の責任で負担すべきであると思っておりますが、しかしいわゆる建設費並びに利子補給、こういったところは公的立場で助成をしていくということも今後の検討課題としてぜひ御検討をいただきたいと思っております。
 それから、その次に要望申し上げたいことは、設計等についてでございますが、明らかに高齢化に向かっていきますから、少なくとも高齢化に対応した段差のない設計とか含めて、将来に高齢化対応の福祉機器等が入れられていくような内容でもって設計を指導されたい。東京都等もそういった指針を既に出しておりますから、そういったことが必要ではないか。あわせまして、最低棺おけぐらい出入りできるぐらいの入り口になっていないとなりませんけれども、日本の住宅はそういった住宅、マンションになっておりませんが、そういったことも含めた設計指導というものが必要であると思っております。
 それから、その次に対応につきまして、この法律の趣旨が政府と土地を持っておられる農家を初めとする土地所有者と事業者の三者が協力する形になっておりますが、ぜひともこの協力関係を一層推進するようにしていただきたいと思いますし、またこの法律の中で、画期的な法律と思いますから、年度年度法律を見直して、予算、施策の面で拡充していく内容でもって、また附則事項でもぜひ年度見直しぐらいの強い姿勢で全体を推進していくぐらいのものを出していただきたいというのが気持ちでございます。
 なお、景気対策的にも、二百七十億という国費を使ってのことでございますけれども、ごく簡単に計算しましても、戸当たり二千万の資金需要があるとしましても直接四千億の資金需要が出て、乗数効果二・三五を掛けていけばほぼ一兆円の景気対策効果が即効的に出てくる。土地に全く資金が食われないという性格からいいましても効果を持っているというふうに思いますし、これから高齢化社会対応とともに、今の自動車産業以上に住宅が日本のリーディング産業に成長する要素を持っているというふうに思っておりますので、余分なことを申し上げましたが、この法律は画期的な意味を持っているということを申し上げておきたいと思います。
 以上でございます。
#6
○委員長(梶原敬義君) ありがとうございました。
 これより参考人に対する質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
 この際、参考人の方々に申し上げますが、質疑の際、答弁は起立してお願いいたします。
#7
○青木薪次君 玉田先生と河口先生が高い見識のもとに、今、特定優良賃貸住宅の建設促進に対する御意見を拝聴いたしておりましたけれども、全く同感ということをまず申し上げたいと思うのであります。
 順を追って、玉田参考人からちょっとお聞きいたしたいと思うのでありますが、住宅基本法の必要性ということについては、もう既にいろいろと住宅宅地審議会等において先生の御意見もかつてから聞いておりました。住宅政策の基本的な改善を図るために住宅問題の認識をまず明らかにして、住宅政策の体系を確立いたしまして、その円滑な推進を図るという立場に立って住宅基本法の制定についての御意見を拝聴いたしておりました。
 住宅政策の理念の明確化、今もお話に触れておられましたけれども、例えば、国、地方公共団体、企業、個人の役割分担の明確化とか、居住水準及び住宅資金の負担の関係等について住宅供給計画の策定とか、住宅に関する統計、情報の整備といったような問題等々について政府は必要な調査、広報等について格段の努力を払うべきであると考えているわけであります。その関係から、今回の法案については、私どももこれは画期的なものであり、将来にわたって非常に全体の住居水準というものを高めて住宅政策を前進させるものだと考えているわけでありますが、政府が格段の努力を払って国民的合意を得て、今申し上げました住宅基本法の制定に努力すべきであるということについて、先生の御見識を拝聴いたしたいと思うのであります。
 さらに、良質な賃貸住宅のためには、従来からの構造とか設備とか、こういうハード面だけでなくて、修繕、建てかえといったような計画などを含めた住宅の維持管理のソフト面が耐用年数を延ばすというストック重視の近年の考え方からも重要であると思うのでありますが、先生の御答弁をお願いいたしたいと思います。
 河口先生は、今もアンケート調査その他、いかに住宅政策があるべきかということについて組合員の意見を十分聞きながら実態をこの表にまとめられました。このことについても深く敬意をあらわしたいと思います。
 そこで、河口参考人は、土地基本法の審査の際に、勤労者の生活実態から考えて月収の一五%が生涯において限度ではないかと、今もそのお話をされました。私も、高い教育費負担や高齢化社会を迎えて老後の生活への蓄えの必要性の高まり等、勤労者を取り巻く状況を考えるとこのあたりが一つの大きな目安だと思うのであります。これまた同感をいたしております。
 そこで、この法律の家賃対策補助によりますと、十五万円の家賃を入居者負担が当初九万円から出発いたしまして、年五%ずつ上げて、そして二十年後に大体市場家賃になると、この法案の骨子でありますが、これではどうも、私もこの後すぐ午後に質問するわけでありますけれども、これではちょっと高い。特に労働省あたりからも来てもらって、大体賃金がダウンする年齢というものは相対的に何歳になるだろうかというようなことなども考えて、実際問題として優良賃貸住宅の政策というものについては、これは賃貸住宅の建設促進が主なのか、あるいはまた将来持ち家政策というものについて考えた方がいいのか、その点がまだ私は合点がいっていないわけでありますが、その五%の家賃負担の水準についてもう一度御意見を拝聴いたしたいと思うのであります。
 それから、NR住宅等についての御見識もお伺いいたしました。非常に注目をいたしておりますが、私は、職住近接を実現するために、河口参考人がおられる連合では今言ったNR住宅に取り組んでおられると伺っておりますけれども、その内容や実績についても教えてもらいたいと同時に、職住近接のために住宅の近所に職場、業務機能を密接するための方式というものを今日考えるべき時期じゃないだろうか。特に、アクセスその他の関係等についてもなかなか思うようにいかないというようなこともございまして、その点についてひとつ、東京都内では非常に不可能であるとするならば、例えば埼玉とか千葉とか神奈川とか、そういうところにやはり職場と住宅というものを密接にして職住接近の考え方というものをこれから誘導政策としてもやるべきじゃないか。私どもは、去年拠点都市の関係で東京一極集中に対する排除の法律というようなことについて決めたわけでありますが、これらとも関係があるわけでござ
いますけれども、その点もお伺い申し上げたい、こう思います。よろしくお願いします。
#8
○参考人(玉田弘毅君) ただいまの御質問に対して意見を述べさせていただきます。
 確かに先生が仰せられるように、住宅基本法というものの制定ということにつきましては、かねてからいろいろな方面で論議されているわけでございまして、その点につきましては私もいろいろ勉強させていただいてきているわけでございます。考えてみますと、先生も申されたとおり、国と企業とそれから個人等々のそれぞれが役割分担という面があるとか、あるいは住居費の負担の問題であるとか、情報の整備の問題であるとか、あるいは住宅の維持修繕、建てかえ等も含めたそういう管理の問題であるとか、いろんなことが現在問題になっているわけでございまして、そこら辺のところをどう考えていくかということは非常に難しいことがいろいろあろうかというふうに思います。のみならず、今回のこの法律案が提案しております制度というのは、先ほども意見を述べさせていただきましたとおり、従来の賃貸住宅に係る住宅政策に見られた方式とは異なるといいましょうか、全く違った考え方で打ち出してきているものだというふうに言えるわけでして、先ほど申しましたように、今度の法律案の考えている住宅というのは一種の広い意味での公的な規制のかかった住宅というふうな、そういうとらえ方ができると思うのでございます。
 従来、日本では公共賃貸住宅、それから民間賃貸住宅というふうに大きく二つに類分けされておりまして、しかも公共賃貸住宅は国ないしは地方自治体あるいはそれに準ずる公的な機関が供給する、それから民間賃貸住宅は専ら民間レベルで供給するということで割合はっきり分かれていたのです。ただ、最近はいろいろと工夫が凝らされてきていまして、公共住宅は公がやる、それから民間は民間だけでやる、そういうことでなくて、お互いに協力し合って国民の住宅ニーズにこたえていく、そういうような傾向が見られているわけでございますけれども、今度の法律案はそういう傾向をさらに大きく推進するという、そういう意味があると思うのです。したがって、従来の賃貸住宅の概念からいいますと非常に画期的だというのはそういう趣旨でございます。ですから、そういうことになってくると今度の住宅は純然たる民間賃貸住宅とも言い切れない、それからまた公共賃貸住宅かというとそうでもないということで、いわばその中間型というふうに考えることもあるいはできるかもしれません。
 いずれにしても、従来の賃貸住宅に係る住宅政策というものがいろんな意味で一つの大きな転機にきているということが言えるわけです。戦後約半世紀の間いろいろな賃貸住宅政策ないしは施策というものが行われてきましたけれども、公営住宅について言いますれば、御高承のとおり、最近は建設戸数が非常に落ちてきておりますし、それからまた、住宅公団の建設する賃貸住宅にしましても、用地取得等々のいろんな面でやはり問題があってそれほど大きく建設戸数がなかなか伸びにくい面があるやにも聞いております。それからまた、公社の供給する賃貸住宅につきましてもいろんな制度的な問題もあったりなどして、ちょっと言葉が過ぎるかもしれませんけれども、先細り的な感じも見られなくはない。
 そういう状況の中で、用地取得を必要としない土地所有者の人たちのそういう協力によって国民の必要とする住宅の供給を推進していこうということなんですから、そういうふうに政策が大きく変わろうとしている時期なので、したがって、この制度が一体うまく定着するかどうかはもう少し様子を見ないとわからないという面もあるのではないかというふうに思うわけでございます。
 といいましても、別にそのことが問題ということではなくて、要するにこれはまだこれから発足する制度でございますので、やはりある程度いろいろ試行錯誤的な面も含めてチェックし直しながら発展させていくという意味合いもあると思われますので、そういう意味でやはり少し様子を見た方がいいのじゃないかという面も考えられます。いろんなことを見ていきますと、国民のそういうコンセンサスに基づく住宅基本法の制定ということについてはもうちょっと時間が必要なのじゃないか、それに先ほど申しましたように、国と企業と個人等の役割をはっきりと分けるというよりも、お互いに協力し合っていくという、そういう関係にこれからはだんだんとなっていくのではないかというふうに考えられるわけで、これはまさに出発点をなすものであるというふうに制度的に私は理解しているわけです。
 ですから、この住宅供給の方式に関することも含めて、国民の間でのコンセンサスを明確にやはり打ち出していくのにはもう少し時間が必要なのではないかなというふうに思っている次第でございます。
#9
○参考人(河口博行君) 時間が来ておりますので簡略に申し上げたいと思います。
 まず、持ち家か賃貸かということでございますけれども、今までは持ち家一本主義とあとは公営、公団だけできておりますから、持ち家と賃貸と車の両輪主義に変えていく必要があるというふうに思います。
 具体的に先ほどの家賃補助とのかかわりで言えば、住宅の国家予算が九千七百億あって、その中で今回のこの法律は二百七十億の予算になっておりますけれども、その予算をどういう配分されるかということについてもそういったところから出てくる中身である。さらに申し上げれば、公営、公団で戸当たりの経費が六千万かかる、これで生涯保障したとしてもこの法律によっても一千二百万ぐらいだろうというふうに想定されますけれども、現実においてもそう転換をせざるを得ないところに政策的にきているというふうに見ております。したがいまして、今後、積極的に推進することによって公的助成及び家賃補助を拡大すべきだと思っております。
 それから、首都圏からの移転等について、あるいは職住接近型につきましては賛成でございます。
 あと申し上げたいのですが、時間が来ておりますので省略させていただきます。
#10
○上野公成君 どうも本日は御苦労さまでございます。
 まず、河口参考人に御質問させていただきたいと思います。
 大変この法案を評価していただいているわけでございますけれども、年代格差というお話が出たわけでございますが、この団塊の世代というところの最低居住水準未満がこの五年間でかえってふえている、こういう実態があるわけです。
 そこで、持ち家の方は五倍を目標にしているわけでございますけれども、なかなか五倍のところまでいかない。賃貸住宅については、公共賃貸については量は不足しているかもしれませんけれども一応公営であるとかそういう制度はあるわけでございますが、その間の制度が全くなかったわけでございまして、今回はそういった特に大都市の中堅サラリーマンといいますか、そういった階層にこういった制度が初めてできたということが非常に画期的な評価をされているところじゃないかと思うわけでございます。
 そこで、できれば持ち家を持てればいいわけでして、しかしながら持ち家にも行けない、賃貸住宅にも行けないという階層が現にある。そこで、そういった意味で、先ほど青木先生の方から持ち家か賃貸住宅か、こういうお話がありましたけれども、やはり賃貸住宅でも適当なものがあり、そこから持ち家にも行ける、賃貸ならもっと大きいところに行ける、こういうことができるということが一番大事なことなんじゃないかと思うのです。
 そこで、所得階層もこれは原則は二五%から五〇%ということでしているわけでございますけれども、都道府県知事の判断で上限が八〇%までできるということがあるわけです。ところが、この八〇%でも恐らく九百万ぐらいじゃないかと思うのですけれども、五倍でも持ち家が、特に大都市
圏では持てない、こういう状況があるわけでございまして、私は、そういう事情を考えますと、なるべく、特に大都市圏におきましては広い階層、八〇%のところまでどんどん活用して、そしてその階層がどんどん持ち家にも行く、そして狭いところにいたところは広い賃貸住宅の間の移動もやっていける。所得階層の考え方についてはそういうことがいいのじゃないかと思うのですけれども、その点を一つお聞きしたいと思います。
 それからもう一つは、先ほど五%ずつ上がるのはちょっと多過ぎるというお話が出たわけでございます。確かにそういうこともあるかと思いますけれども、今回この制度でやれるのは初年度で二万戸でございます。これは膨大な数が必要とされているわけでございまして、そういう点から入居できた人とできなかった人の公平性といいますか、そういう問題もあるわけですし、非常に良質なストックが少ない中でどんどん数を多くしていかなければいけない、こういう問題があるわけです。もちろん財源が二百数十億ということでこのままでいいということではありませんけれども、しかし五%なり上げていく中で、その補助として減額したものは次の人に回していく、そしてストックをつくっていく、こういうことがやはり基本的には重要なことじゃないか。そして、最終的には民間の賃貸住宅としてそういう良質なものがたくさんできてくるということが世の中全体の住宅政策としてもいいのじゃないかという考えを私は持っているわけでございますけれども、その点についてお伺いしたいと思います。
 次に、玉田参考人にお尋ねしたいわけでございます。
 今回は賃貸住宅に光をといいますか、特に中堅のサラリーマン層のためのストックをふやしていくということが一番の大きな問題であるわけでございます。しかし、この賃貸住宅というのは非常にいろいろな問題がありまして、先ほどちょっとお触れいただいたわけでございますけれども、契約関係も非常に不安定である。建設省に私が聞いてみましたところ、この半年ぐらいで都道府県のこういった民間賃貸住宅の契約関係のトラブルは五千五百件、これだけ多いということでございます。なかなかそういうことが、十年後あるいはその後には民間の賃貸住宅になるわけですから、やはりこの賃貸住宅が一つの大きな位置づけを住宅の中で占めるためには、そういった賃貸関係をきちっとする。これは建てる方も最後は不安があるわけですから、建てる方も安心して建てられる、入居者も安心して入れる、こういったことが望まれるわけでございます。特に十年たつと少し古くなるわけですから、十年たった後の方が老朽化して修繕でありましてもいろいろなトラブルが多いわけですから、そういうことが一番必要なことじゃないかと私は思うわけでございます。この特定優良賃貸として国も公共団体も絡んで管理をしているときはいいわけでございますけれども、その後については大変問題があるわけでございまして、この制度が定着する、例えば今後十年の間にそういったきちっとした契約といいますか、慣行が定着するということが必要じゃないかと思うわけでございます。
 先ほどお触れいただきましたように、先生が住宅宅地審議会の中で中心になって賃貸住宅の標準契約書ということを取りまとめいただいたわけでございますけれども、そういったものが世の中全体に定着をして、そして入居者にとっても建てる側にとっても安心して賃貸住宅の経営ができるということが必要だと思うわけでございます。こうした契約関係の定着についてどういうふうにお考えになるかお聞かせいただきたいと思います。
#11
○参考人(河口博行君) 最初の所得階層の問題でございますが、結論から申し上げまして賛成でございます。ただ、大都市と地方との所得格差も当然あるわけですから、八〇%を知事の認可でするということについては賛成ということを申し上げておきたいと思います。しかしながら、全体的な生活格差というものがあるわけでございますから、公営、公団住宅政策と並行しながら、低所得の方々が満足できるような政策を並行しながら進めるということが必要であるというふうに思います。
 それから、二番目の家賃補助の点についてでございますが、政府が提案される立場で公平性また公的な助成政策を進める上において、考え方としては理解はできるわけであります。初めから無理なことを余り言ってこの法律の趣旨をつぶしては何にもならないというふうにも思っております。しかしながら、補助をしていく額なり漸増させていく率等につきましては、経済環境等あるいは賃金引き上げ等を含めて重要な関連性を持っておりますから、その基準を決めるときあるいはそれを策定されるときに、消費者といいますか需要者が、あえて申し上げれば労働組合も勤労者の立場で積極的に参加させていただきたい。現在、住宅宅地審議会にも二人の労働側の委員が参加しておりますが、政省令を決められる作業の過程の中では、できるだけそういった基準を決める公正性といいますか納得性のあるものができるように留意をいただければありがたいと思っております。
#12
○参考人(玉田弘毅君) 上野先生の御質問に対してお答えさせていただきます。
 先生がおっしゃるように、確かに規制がかかっている間は今回の法律案が予定している制度としてある優良賃貸住宅というのはうまくいくということは言えると思います。問題は、確かに規制がかからなくなった後ということなのでございますけれども、実はこの問題につきましては、私は、きょう先ほど最初に意見を述べさせていただいたときに時間の関係などもあって述べるチャンスを失ってしまったのですけれども、民間の管理会社などにも管理をやってもらうような仕組みをこの制度は考えているわけでございます。そうなってくると、当然のことながら民間の管理会社の管理能力といいましょうか管理のレベルといいましょうか、そういったようなことが問われることになるわけなので、そういう民間の管理会社のレベルをやはり一定のレベルに保つ必要があるわけです。そういうことからすると、そういう管理業者に対する指導育成といいましょうか、そういったようなことも当然課題として、関連事項として出てくるわけで、そういうこともうまくそこら辺をやっていけば、規制がかからなくなった後においてもこの住宅管理はうまくいくのではないかというふうに思われるわけです。実はそういう意味ではこの制度が本当にうまくいくためには、そういう周辺の関連の制度的な整備というものが急務であるというふうに私は考えているわけでございます。
 それからまた、契約関係の安定化ということでございますけれども、その点につきましては、先般の標準契約書は大きな意味を持っていると思います。ただ、あれはあくまでも標準契約書でございまして法律そのものではございませんので、そういう意味での強制力というものは法的な意味ではございません。しかし、いろんな形で行政指導等々を通じて事実上かなりの強制力を発揮し得る余地は十分あるわけでございますけれども、そのためにもやはり賃貸住宅の管理に関する制度をてこにしないとうまくいかない面があるのではないかというふうに思います。のみならず、個別賃貸住宅事業者といいましょうか、経営者の管理能力には相当大きなばらつきがあるわけでして、そうなってくると、ある程度そのレベルを一定させるためには、そういうむしろ専門のノウハウを持っている管理会社に安心して任せられるような、そういう制度がないといけないという面もあると思います。
 いずれにしても、そういうことも含めて今後諸先生方にもいろいろ御検討いただければ必ずうまくいくのではないかというふうに思っている次第でございます。
#13
○上野公成君 ちょっと時間がありますので、河口参考人に、私先ほどちょっと質問の趣旨が十分あれかと思いますけれども、特に六倍ぐらい実際するわけですから、そこで持ち家にも行けない、賃貸住宅にも入れないという階層に限って御質問
をしたつもりなんです。
 そこで、公営住宅とか低所得者向けの賃貸住宅の制度が今ございますね。それとこちらの新しい制度との間の、相当今度連続性がなくなっているわけですね、できた時点では。その点について何か統合したような、連続的な制度にした方がいいのか、あるいは低所得者向けはこれは別に考えた方がいいのか、そういったお考えがあったら聞かせていただきたいと思うのです。
#14
○参考人(河口博行君) 各サラリーマン及び住宅を求めている人間の立場で申せば、先生の御指摘のように一定の連続性ということが必要だと思っておりますし、またそういう願望を持っていると思いますけれども、生活設計、生涯収支を計算してみますと、事実上無理であるという答えが出てくるわけであります。したがって、その面では三つの制度を並行して進めながら、そこへまた連続性を持てるような形での横くしを刺していくような政策補完というものが必要であろうと思っております。現在のところで言えば、直接連続性を持たなくても今の特定賃貸住宅が目指す政策を強力に推進することによってそういったものが解決されていくというふうに思っております。
 あえて申し上げれば、生涯借家で別に差し支えないじゃないですか、老後までそれが安心できればそれでいいじゃないですかというところへきていると思うわけでございますが、そういった面では先ほど青木先生御指摘の住宅基本法の世界にかかわる分野もあるかもしれません。
#15
○上野公成君 終わります。
#16
○白浜一良君 きょうは両先生お忙しいところありがとうございます。白浜でございます。私、持ち時間十分、簡潔にお願いをしたいと思います。
 まず、玉田参考人にお伺いしたいんですが、この制度、いわゆる建物の構造、ハード面だけじゃなしに住環境等のソフト面においても優良という概念をおっしゃいましたが、制度的な保障がないんですね。先生、地区計画とか含めて面的な整備、こうおっしゃいましたけれども、この辺十分そういうものを配慮されるように何か特段のお考えがございますか。こういうことをお聞きしたいんですが。
#17
○参考人(玉田弘毅君) 今、先生がおっしゃられたハード、ソフト両面がこの制度では考えられているというふうに申し上げましたが、これはまだ具体的な細かい認定の基準とか指導の内容がこの法律案そのものには書き込まれていないので、私も十分承知しているわけではないのでございますけれども、先ほども申しましたように、そういう細かい点についていずれ建設省の方では省令の形か告示の形がいろいろ考えられると思います。そういう形で細かい点が出されるというふうに聞いておりますので、恐らくそういう点では先生が御指摘になられた点は心配ないのではないかというふうに私自身は思っているわけでございます。
#18
○白浜一良君 もう一点、早期普及が大事だという話をされました。建設関係はいっぱい法律制度ができておりまして、実態をとっても、これは地方公共団体、特に都道府県の努力にもよるんですが、余り知られていないというものが多いんですね、実態的に。そういった面で、これは非常にいい制度ですから、早期普及という観点で何かそういうアイデアというか、お知恵がございましたら御教示願いたいんですけれども。
#19
○参考人(玉田弘毅君) ただいま非常に重要な御指摘を先生からなされました。私もどういうふうにこれをしたらいいのかという点についてはそれほど確信を持って申し上げられないのですけれども、確かに賃貸住宅に関しましてもいろいろな制度が、あるいは枠組みが現在用意されているので、そういう点からすると、さらにまたこういう違ったものが出てきてということで、そこら辺どういうふうに今後進めていくべきなのかということも確かに私は問題だというふうに実は思うのであります。
 ただ、先ほど申しましたように、従来の公共のかかわってきた賃貸住宅にしても新規供給はかなり難しくだんだんとなってきているということですし、それから民間の賃貸住宅は供給の量としては大きいわけですけれども質的な面でかなり問題があるということで、そこら辺を両方解決するためには従来の制度ではやはりうまくいかないというと言い過ぎかもしれませんけれども。ですから、そういう意味でつくられたので、そこら辺のところを大いにいろんな形でPRしていただいて、またこれは土地所有者等々が自分の持っている土地を提供してということですから、用地取得を必要としないわけですし、地価の問題もその中に織り込まれないことに家賃形成の点等々でも考えられますし、いずれにしても非常に大きな政策的に意味があるわけですから、そこら辺のところなども大いに強調していただいて、やはりこの制度を定着させるようにする必要があるのじゃないかと思うのであります。
 もう一つは、これが初めてですからだんだんとそこら辺試行錯誤的に検討していかなければいけないと思うのですけれども、建設戸数にしてもあるいは補助金の額にしてもあるいは率にしても、いろんな検討の余地が将来出てくるのではないかと思われるので、そういうことも含めて、いろんな形で、マスコミなども使ってやったらいいのではないかと私は思っているのであります。
#20
○白浜一良君 どうもありがとうございました。
 次に、河口参考人にお伺いしたいと思いますが、所得の中でのいわゆる住宅費の比率というのはお話ございましたように一五%ぐらい。将来一〇%ぐらいということで、もっともなお話だと思うんです。
 それで、この調査表、一五%という観点からこのデータを見ましたら、要するに、「持ち家・マンション・ローン返済中」で、この中でも首都圏と関西圏なんですよね、これ、一五%を上回っているのは。当然民間の賃貸住宅、これも首都圏と関西圏と、こういうふうになっているわけですね。
 ですから、負担的に言うとこの辺を手厚くせにゃいかぬということが当然データの上から出てくるわけでございますが、今回、初年度の制度で二万戸という計画があるんですけれども、どうしても中央の省庁というのは全国にばらまくくせがございまして、計画の具体化という面で、やはりこういうデータをベースにして首都圏、関西圏中心の予算配分といいますか、実施計画というか、すべきだと思うんですが、特にそのことに関しまして御意見ございましたら。
#21
○参考人(河口博行君) 御指摘のとおりだと思いますが、ただ、先ほど青木先生が少し、首都圏の仕事の地方への移転、あるいはそのほかのことを御指摘でございましたが、あるいは職住接近ということもお話しでしたが、そういったことなども考慮をしながら、特に首都圏を中心に三大都市圏、そしてそのほかある一定の範囲のことは必要ではなかろうかなという感じておりますが。
#22
○白浜一良君 比率で言うと……。
#23
○参考人(河口博行君) 比率で言えば、もう圧倒的に首都圏が第一でございます。続いて関西圏ということじゃないかと思いますが。
#24
○白浜一良君 最後に、もう一点だけ伺っておきたいと思いますが、先ほど青木先生からも話があったんですが、持ち家か賃貸かということで、両輪だと、こういうお話をされましたですね。これも、このデータを見せていただきましたら、賃貸という意味では社宅、公務員住宅、これが所得における住宅費が当然一番低いわけですね、楽なわけです。それから、当然公営住宅、また公団、公社住宅、こういうふうになっていくわけですが、この資料一の方を見せていただきましたら、特に社宅なんですが、当然大きな会社は自社で社宅をたくさん持っていらっしゃるという、こういうことでございますね。ですから、いわゆる年齢層から見ても、実際今の構成から見たら若い方が社宅は多いわけでございますが、そういうふうな賃貸住宅という概念で当然そういう公的な制度が拡充されればそれはそれでいいんです、どんどん広がればいいんですが、過渡的な問題として、社
定それから公営住宅、公団、公社、それからいわゆる民間に対する補助、この辺の全体的な考え方ですね、どこに力点置くとか、これはこういう方法がいいとか、そういう特にお考えございましたら最後にちょっと伺っておきたいと思うんです。
#25
○参考人(河口博行君) 実はそれが意見の中に入っておるわけでございますが、大変恐縮でございますけれども、資料の五をちょっと御参照いただきたいと思っております。
 それで、社宅に係る分野でございますけれども、基本的には現在の社宅というのはそれなりの歴史と経過があってできたものでありますから、それはそれなりの評価を行うとして、今後としては共同社宅なり、その共同社宅も協同住宅型の方向に変えていくべきであるというふうに考えております。企業に附属するというよりも、むしろ企業が住宅について責任をある程度持つという新しい考え方で考えるべきではないか。そういう一つの実験的なもので、農協と日経連と連合が協議して共同社宅事業を起こしたわけであります。
 しかし、起こしてみますと、土地代が事実上ゼロでありましても家賃に直しますと十四、五万のものになってくるわけでございます。それで今回の法律でできていくものが九万なり九万弱のものになっていきますけれども、その差が余り拡大をしていきますと、この種のものに全体が動かなくなっていく。したがいまして、公的助成の基礎部分については国の責任なり社会の責任としてやりながら、そして家賃補助に類するようなところは企業が責任を持つというような形でそういったものを補完するような制度があった方が私は望ましいと思っております。また、そういったことを政府としても、またこの委員会としても御検討いただければ大変ありがたいと思っております。
 いずれにしましても、住宅費所得比率についてはできるだけ下げていくということを目指しながら、一歩一歩前進していきたいと思っております。
#26
○白浜一良君 どうもありがとうございました。
#27
○上田耕一郎君 両参考人、貴重な御意見をありがとうございました。
 まず、玉田参考人にお伺いしたいんですが、玉田さんは住宅宅地審議会の住宅部会長の代理もおやりになっていらっしゃいますので、今度の法案とも重要なかかわりを持った中間報告、これについてお伺いしたいと思います。
 これまでの住宅政策は、所得分位に応じて公営、公団、公庫というふうに進められてきたんですけれども、今度の中間報告では、所得分位等だけでなく、結婚−出産−子供の成長−子供の独立−退職−高齢化といったライフステージ及び世帯構成に応じての住宅供給という、非常に重要な新しい観点が出されていると思うんですね。
 この中で、結婚後子供が成長する三十歳―四十歳代前半、この中堅層に対する良質な住宅供給ということで今回の法案で新しい制度、これが出されたと思うんですね。これは私たちも評価したいと思うんですが、この中間報告で、子供が成長期にある世帯と同時に高齢者に対する施策、非常に重要だということを何回も強調されておられるんですけれども、どうも高齢者の方はちょっと提起がまだ抽象的で具体的な制度、法案というまでにはなってないように思うんです。そこら辺の問題を玉田参考人、どうお考えになっていらっしゃるかお伺いしたいと思います。
 それから、河口参考人に対しては、今もお話のありましたNR住宅問題ですね。これも日経連、それから農協中央会、それから連合でお進めになっているんですけれども、ひとつその基本的問題としては、ILO百十五号の勧告で、企業の位置が通常の人日中心部から遠くにあるというような特殊な環境を除いて使用者が労働者に直接住宅を提供することは望ましくないということを認識すべきだという有名な問題がありまして、そこら辺の原理問題もあるんですけれども、このNR住宅協会の調査研究報告書を拝見しますと、需要は大企業に偏りがちだと、中小企業はなかなか負担の問題もあって参加できないという報告が出ているんですね。
 先ほどのお話で、家賃補助については企業に責任を持たせるべきだと、それから建設費に対する公的補助の要望がありましたけれども、社宅というと公募ではないわけで、それからこういう大企業に偏っているというような状況があるんですけれども、そこらあたりの問題について、どうお考えになっているかをお聞きしたいと思います。
#28
○参考人(玉田弘毅君) 今、上田先生からの極めて重要な御指摘がございましたので、答えさせていただきます。
 住宅宅地審議会におきましても、高齢者の住宅に関しいろいろ議論が出たことはこの報告書の中にも出ておりますので御高承のとおりなんですが、ただ、具体的な施策あるいは政策としてどういうふうにしていくかということについては、必ずしもこれにははっきりと明確に打ち出されている面ばかりではないように見られるわけでして、これは今後さらに継続的にいろんな形で進められていくことに審議会としてはなるのではないかというふうに思います。
 なお、私のこれは個人的な意見ということになりますけれども、現在、高齢者の住宅問題というのは、一面においては、もっと平たく言えば、高齢者は一体どこに住むべきなのかということでして、自分の従来の住んでいた家に住み続けるのがいいのか、あるいはしかるべきいろいろなケアの整った住宅に移り住んだ方がいいのかといったような、そういう大きな選択の問題でもあるというふうに考えられるのです。しかし、その反面、言葉が過ぎるかもしれませんけれども、高齢者というのは、一般的には収入の面ではそれほど大きな増大というものは見込めない、そういう立場にあるわけでして、そういうことからすると、どのような形でそういう住居費負担というものを考えていったらいいのかということは、従来自分の住んでいるところに住み続けるにせよ、あるいはほかのしかるべきところに移るにせよ、いずれにしても避けて通れない大きな課題でありますけれども、その点については、これは個人の努力ではどうにもしょうがない限界がやはりあると思うのですね。
 ですから、現在社会において働いている現役の勤労者の人たちよりももっとそういう意味では切実な問題があると思うので、そこにつきましては、やはりこれはいろんな意味で国なり自治体なりのもっと積極的なてこ入れがないとうまくいかないというふうに私は感じておりまして、その点についてもいろいろ勉強させていただきたいというふうに思っております。
#29
○参考人(河口博行君) まず、ILOの考え方につきましては、基本的にはそのとおりであると思っております。また、その考え方を住宅全体を通じて生かしていくことが大事ではないかと思っております。しかしながら、現実に日本の社宅というものが一定の定着をして、また経済的な面では一定の効果を持っておる過程の中でございますから、それはその中に立ちながら考え方の面においても改善を進めていくということが必要ではないかということが一つ。もう一つは、現実的にも個別企業が土地を買って社宅をつくるということは単身者用以外はもう事実上不可能なことになっていると思いますし、社会的にもそれを許すような状況とは思っておりません。したがいまして、今は共同社宅ということで進んでおりますが、やがて協同住宅というぐらいまで考え方を変えていく必要があると思っております。そうすることを通じて社宅そのものを社会的な住宅に変えていくということが必要だと思っております。
 それから、二番目に価格、中小企業が参加できないという現実の問題についてでございますが、私どもがつくった資料五に挙げておりますように、土地代をゼロ状態にしましても、住宅を建てていきますと建築費そのほかの費用でもって三LDKで最低限十五、六万のものになっていくわけでございます。そうしますと、事実上、会社の中でも入れる対象は部課長とかになっていくわけでございまして、また中小企業も同じような立場に
立つわけです。そこで考え方と合わせて申し上げますれば、マンション等の共用部分というのはある面から言えば道路と同じなんであって、公益体が本来責任を持つ分野の費用と考えても別に差し支えはないわけです。そこは考え方の問題であります。そして住宅費用については、居住者とある面では企業も住宅について責任を持つというような考え方で、国と地方と企業と個人とが責任を持っていくというような考え方をこれから考えていくときに来ているのではないか。それは先ほど来の住宅基本法の世界にひとつ入っていくかと思いますが、以上、現実論等いろいろと申し上げました。
#30
○萩野浩基君 両先生におかれましては、大変示唆に富んだ御指摘をいただきましてありがとうございます。
 私も、常日ごろ、特に住宅基本法の成立は急がなきゃならないんではないかというようなことを考えておる一人であります。特に、働く多くの勤労者、サラリーマンの関心は、もう著しく住宅にあるということはただいまの御指摘のとおりであります。今回、この法律におきまして民間のエネルギーを良好な建物というようなものに、今までは小さな建物であったのにそれに変えていくという玉田先生のお話にもありましたが、それに国としてできるだけの助力をしていく、これがひいては生活大国を推し進めていくんじゃないかということで、とても興味深く聞かせていただきました。
 特に、私は、今日本において出生率の問題が大変問題になっております。私も大学を経営しておりますので、そこの職員とか先生方を見てみましても、仙台においてはある程度建物は東京に比べると安いんですけれども、それでもかなりの値段になっております。
 それで、小さな子供のときにはまだある程度小さいアパートみたいなものでもいいですけれども、少し大きくなってくるとどうしても広さが必要だ。それを実感として皆感じておるのでたくさん子供をつくろうとしない。これはやがて日本が滅亡していくことにつながっていく。だから、住宅というものが著しく我々の将来とつながっておるというふうに考えております。そういう点から、私は最初申し上げましたけれども、住宅基本法的なものをどうしても考えていかなきゃならないところに来ているんじゃないかと思います。
 そこで、私は、この住宅基本法というようなものを制定する必要性ということを感じ、またその法案等も我々同僚の議員とともにやっておりますので、ひとつ両先生から住宅基本法の制定に関してどのような考えを持っておられるかお示しいただければと思います。
#31
○参考人(玉田弘毅君) 先ほど青木先生からも今御指摘の住宅基本法の制定のことにつきまして御質問いただきましたが、そのときに申し上げたことのやや繰り返しの面もあろうかと思いますけれども、私も現在の段階で今すぐそういうものができるだけのコンセンサスができているかどうかについてはやや疑問がないわけではないのです。
 といいますのは、先ほど言いましたように、第二次大戦後、四五年から九三年まで約半世紀の間、日本の持ち家政策あるいは賃貸住宅政策というものがいろんな形で展開してきたわけで、それなりの成果を上げてきたことはもちろん言うまでもないことですけれども、やはり先ほどもこの法律案が提案されていることに関しまして申しましたように、特に賃貸住宅に関しましてはうまく供給の流れが流れなくなってきている。そういう状況があるので、それを打開しようというのがこの法案の大きな一つのねらいだというふうに私は理解するのですけれども、ではその打開の仕方がどういう方法であれば一番いいのかということになってくると、こう言ってしまうと言葉が過ぎるというおしかりを受けるかもしれませんが、やって見なければわからない面もあると思うのですね。ですから、とにかくいろんな形でやってみて、こういう流れがよさそうだということになってくればそういう方向でまとめていくということは十分可能だと思うのです。
 そういう意味で今一つの大きな転機にかかっているのですけれども、ではどういう方向へ行くのか、ここら辺については必ずしもまだ現在の段階で国民的なそういうコンセンサスが得られているかどうか、これはちょっと慎重に見きわめなければいけないのじゃないかなというふうに私は思っているわけであります。基本的にいずれかの時期において住宅基本法といったものが制定されることについては、私も別にそういうものが必要ないというふうに考えておりませんのですが、ただ今のこの時点でそういったようなことが言えるかどうかという点若干疑問があるという、そういう意味でございます。
#32
○参考人(河口博行君) 結論から申し上げまして、住宅基本法をつくるときに来ているというふうに思っておりますが、この特定賃貸住宅の政策が成功していくとそれにつながっていくというふうに思っております。
 それから加えて、できるだけ早い時期に高齢化を対象にした、この法律と同様な住宅促進に関する法律というようなものが近い将来必要であるというふうに考えておりまして、この両輪がありますと基本法そのものが関連して生きてくると思います。
 なお、余分なことを申し上げますが、出生率一・五三、東京は一・一八でありますが、スウェーデンが二に、二人でございますが、そこまでかかってくるのに二十年間ぐらいの住宅政策並びに育児休業、介護休業を含めた諸政策を進めてきた経過があるということだけ申し添えておきます。
#33
○萩野浩基君 どうもありがとうございました。
#34
○委員長(梶原敬義君) 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。
 参考人の方々には、御多用中のところ御出席をいただき、貴重な御意見をお聞かせいただきまして、まことにありがとうございました。委員会を代表して厚くお礼申し上げます。
 午後一時に再開することとし、休憩いたします。
   午前十一時五十一分休憩
     ――――◇―――――
   午後一時二分開会
#35
○委員長(梶原敬義君) ただいまから建設委員会を再開いたします。
 前回に引き続き、特定優良賃貸住宅の供給の促進に関する法律案を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#36
○西野康雄君 この法案の質問に入る前に、少し中村建設大臣に御意見というんですか、所感というのをお伺いしたいなと思うんです。
 最近新聞の社説なんかを見るというと、随分と建設省に対して厳しい意見が述べられております。例えば、五月二日の毎日新聞の社説では、
  金権政治の温床となっている公共事業の入札、運営システムは、外圧ということではなく、独自に全面的な見直しが不可欠である。
 私たちは、その手始めに入札制度の抜本改革を訴えてきた。また、これまで官民の癒着の中核であった建設省に改革を任せられないことも、次第に明らかになってきた。
 そろそろ建設省自体の改革を視野にいれて、改革に取り組まねばならないときがきた。建設省OBが大手建設会社に天下りしたり、国会議員になり、腐敗したシステムの拡大再生産の片棒を担いていることは、国民の目に明らかになっている。
 この際、システム全体見直しを覚悟、談合を含めた実態究明のため、首相直属の諮問機関を新設、建設関係者だけではなく、有識者から外国の専門家まで入れて、公共事業の運営のあり方を探るべきだ。ということで、大きな見出しは「待ったなしの建設業界改革」。
 そしてまた、日経新聞では五月十一日の社説ですが、「公共事業改革は建設省にまかせるな」、こんな大きなタイトルです。
 連日のように公共事業をめぐる疑惑が報道されるなかで、建設省は十日、省内の委員会がまとめた公共事業の入札手続き改善策を発表した。内容を見るかぎり、公共事業の不透明さへの内外の批判と国民の不信感に対する同省の認識の甘さに驚く。というふうなことでして、大変に厳しい論調が見受けられております。国民の目というものも、きょうも山梨県の談合問題で公正取引委員会が入ったりもいたしました。
 そういうふうなことで、やはり今どのような認識をお持ちなのだろうか。そしてまた、建設行政全般に対してしっかりと改革に取り組むんだというふうな所感をお聞かせ願えればと思います。
#37
○国務大臣(中村喜四郎君) 御指摘をいただきましたように、今日公共事業をめぐるいろいろの国民各界各層から厳しい批判の声が出ていることは十分承知しております。また、その中において建設省がこの改革という問題に対して大きな責任を担わなければならないということは改めて申し上げるまでもないことでございます。
 先生も御承知のとおり、この件に対しまして大臣談話を発表させていただいて約一カ月間強でありましたが、当面する問題をどうするかということについて、入札手続改善検討委員会というのを設けさせていただきまして、当面する問題について、指名基準の具体化あるいは積算のあり方について今後検討していくとか、あるいは新しい情報を中心とした入札制度の導入とか、こうした問題についてこの間発表させていただいたわけでございます。
 これで十分だとは私も思っておりません。でございますので、これからさらに引き続き検討を加えまして、改善をし、公共事業に対する信頼というものがもっと国民の中に定着できるように、建設省がこの問題について真正面から取り組んでいかなければならない、こういった基本的な考え方で今後も努力をしていく決意でございます。
#38
○西野康雄君 私は、皆さんが本当に一生懸命国民のことを考えて、今回の法案も大変にすぐれたいい法案だなと思いますのでも、一方でこういうふうなことがあると、せっかく努力していることが片方でがらがら崩れていってしまうということを大変残念に思っているわけです。
 だから、皆さん方の今回の法案に関しての努力なんかも大変だなと高く評価をしているんですけれども、片一方で不祥事が起きるというと全部が崩れてしまうという、これは大変なことですから、やはり前向きの姿勢で、そしてまた国民の声を謙虚に受けとめていただきたいなと思います。
 それでは、法案の方の質問に移りたいと思います。
 今までいろんないい助成制度だとかそういうものが随分とできておりますのでも、その利用率だとか国民の皆さんがどれほど認知しているのだろうかということを随分と私自身疑問に思う点が多いんです。
 そこで、そういうふうな各種助成制度が今までどれほどつくられて、そしてまたその認知、利用状況というのはどういうふうなものなのか、ちょっと御教示願えますか。
#39
○政府委員(三井康壽君) ただいまの西野先生の御質問は、民間賃貸住宅に対する助成制度の現況という御質問と承りましてお答えをさせていただきます。
 民間の賃貸住宅に対する国や公共団体が公的に援助しておりますのは、大きく言いまして四種類ございます。
 一つは、金融公庫が地主がお建てになる賃貸住宅に対して低利で融資させていただく、これが一つでございます。これは条件も一応ございまして、原則としては千平米以上の敷地でやっていただくとか、細かい基準ではさらに五百平米まで下げられるのでございますけれども、そこで五十平米から百二十五平米の家をつくっていただく。それで、金利は当初十年間は四・一%、一番低い金利でございます。これが一つでございます。
 それから二つ目は、住宅・都市整備公団が、いわゆる民賃と称しておるのでございますけれども、民間の方々が賃貸住宅を建てる際に、それを実質的に設計とか施工を援助させていただきまして、公団の資金を使って賃貸用の住宅を建てて、それを民間に分譲する、こういうシステムがございます。これもやはり大都市圏を中心にしまして、敷地の規模は千平米以上でやっていただく。ただし、やや金利が高こうございまして、当初十年間は四・九%。
 それから三つ目は、地方公共団体が利子補給をするという制度でございまして、これは特定賃貸住宅、通称特賞と称しているわけでございますけれども、民間から資金を借りられた民間の地主の方々に対しまして、公共団体が四・一%まで、十年間、金利下げるまで利子補給をする。それに対して国も公共団体の利子補給分の半分をつき合う、これが特賞という制度でございまして、これは主として大阪とか関西地方でよく使われております。
 四つ目がいわゆる農住という制度でございまして、農地所有者の方々が賃貸住宅を建てていただく際にそれに対する利子補給をするということでございまして、これも主として三大圏が中心でございますけれども、人口二十五万以上の市におきまして、規模も五十平米から百二十五平米以下の住宅、そして住宅の敷地の面積は〇・五ヘクタールが原則、金利は当初十年間四・一%、こんな大きく言いまして四つほどの制度がございます。
 その利用状況でございますけれども、一般的には利子補給とかあるいは利子補給補助ということが中心でございますし、あるいは金利が低いものをするというのが基本でございますので、必ずしも思ったとおりの利用実績があるわけではございません。公庫が一番多うございまして平成三年度で四万三千戸、住宅・都市整備公団の民賃が約三千戸、それから地方公共固体が利子補給をいたします特賞が約三千戸、農住が約六千戸、合わせまして五万五千戸ということでございまして、年間賃貸住宅は約六十万戸から七十万戸建つわけでございますけれども、一割に満たない、こういう状況に相なっているわけでございます。
#40
○西野康雄君 そこなんですよ。東京の賃貸住宅は、今までの局長がおっしゃったことを本当に利用しているというのが三・二%、〇・四、〇・九、一・〇というふうな数字が順番に出てくるわけなんです。そうすると、今回のこの法案に関して、先日はできたものを利用者にどう宣伝をするんだ、どう告知をするんだという質問がございましたけれども、逆にこういう制度を利用してうちも優良な賃貸住宅をつくりたいんだという土地所有者に対してどういうふうに周知徹底をさせるのか、そしてまた、こういうふうなことがあってから既に反響があるのかどうか、その辺ちょっとお伺いいたします。
#41
○政府委員(三井康壽君) 今の御質問にお答えさせていただく前に申し上げたいわけでございますけれども、賃貸住宅、民間の賃貸住宅が主流で数は圧倒的に多いわけでございます。これをよくしていくにはどうするか、やはり助成措置といいますか、インセンティブを与えなければいかぬというのでこの間からいろいろ助成措置を申し上げたわけでございます。したがいまして、民間の方々にこれを御利用いただくにはそのインセンティブをいかに御説明をするか、こういうことに相なるわけでございます。
 既に、地域特別賃貸住宅のB型ということで、平成三年から借り上げ型をつくりまして、民間の地主の方々に地域特別賃貸住宅というのをおつくりいただくように始めているわけでございますけれども、そういった中で大都市を中心といたしましてかなりこの制度が普及しかけております。今後は、さらにこれを積極的に公共団体、県ばかりでなくて市町村にもお願いいたしまして、私どももよく説明会をさせていただきたいと思いますけれども、県、市町村、地主の方々あるいは何らかの形で賃貸住宅をお建てになりたい、あるいは今持っている賃貸住宅を建てかえたいという方に対しまして、この制度のいい点を特に御説明させて
いただきたいと思います。
 今回、この制度は住宅宅地審議会におきまして御答申を昨年の暮れいただきまして、その後反響がございまして、一番大きな反響は農業関係の団体でございました。農業関係の団体は農住で今までやっているわけでございますけれども、特にこの制度は割と早目に審議会の御答申を私ども御説明いたしました関係もありまして、非常に積極的にこれを農家の方々に農協としても、農業団体としても説明していこうじゃないか、いい賃貸住宅を建てていこうじゃないか、こういった御理解を得つつございます。さらに普及をさせていただきまして、この制度がより早く浸透するようにさせていただきたいと思います。
 なお、ことしこの法案を審議、御可決いただきますと、その配分戸数といいますか、配分させていただくわけでございますけれども、今のところ割と手ごたえがいい、滑り出しとしては割と手ごたえがいいような感じを受けておりますが、しかしこれをさらに積極的に進めていくためには、御指摘のとおり周知徹底をさらに我々も努力する、そして公共団体にもそれをさらにお願いをしていく、こういうふうにしたいと思っております。
#42
○西野康雄君 そこで、農協を中心に結構いい反応が返ってきているということですが、そうなると少し気になるのは、農協の所在地というのはいろいろあるでしょうけれども、割と都市の周辺部に多いんじゃないか。むしろ、こういうふうな特定優良賃貸住宅の供給というものは、東京都だとかあるいは大阪だとか、そういうふうなところの部分じゃないかなと思うんですね。そのあたりの反響は具体的に把握なさっておられますか。
#43
○政府委員(三井康壽君) 法案が通ってから正式にいろいろ決めさせていただくということでございますけれども、今まで公共団体からいろいろお聞きをしておりますと、やはり東京、大阪が戸数としては一番多うございます。また、東京でも二十三区の真ん中の都心地区はそう多くないわけでございますけれども、環状線の、山手線の外側あたりのかなりの区で御熱心に、区自体もそういったことをやっていこうじゃないかというふうな御要望が来ておりますので、その点は大変心強く思っておるわけでございます。
#44
○西野康雄君 こういうふうなことが出てきますと、今度は十戸以上ですわね、十戸とか百戸とかになるわけですけれども、そうすると管理会社というんですか、それを管理することをうまく指導してやらないと、土地だけは持っています、上物を建てました、さあそしたらどうするんだと、農家の方がどう管理してよいのかわからないというふうなことがあったりするんじゃないか。
 つい最近も、とある雑誌ですけれども、大手のマンション管理会社が倒産して、何か管理会社の倒産で分譲マンション購入者の修繕積立金がふいになるという事態が目立ってきた、マンションの管理会社、管理組合については建設省も把握し切っていない状況で、トラブルも今後ふえそうだと。こういうふうなことですけれども、やはり管理組合だとかそういうふうなものをうまく育てていくこともこの特定優良賃貸住宅の供給の側面というんですか、これをうまく今後もさらに、一回こっきりじゃないわけですから、ずっといくと、そういうふうなサイドのところをうまく育ててやっていかなきゃならぬのじゃないかなと思うんですけれども、その辺の計画とかございますか。
#45
○政府委員(三井康壽君) 現在、試験的に予算制度としてやらせていただいております地域特別賃貸住宅の借り上げ型は、主として公共団体または公共団体の設立いたします地方住宅供給公社、これが管理受託、借り上げをしているというのが実態でございまして、私どもも滑り出しの時点におきましては、そういった地方住宅供給公社のようにきちんと管理のできる能力と責任もある、そういったところでやっていただくのがいいのかなと思っているわけでございます。しかし、この戸数がふえてまいりますとそれなりの資力、信用といいますか、管理の責任を持てるような民間の会社あるいは財団とか、社団でもよろしいのじゃないかと思いますけれども、そういったところに管理をしていただく、こういったことも当然考えているわけでございます。
 当面、平成五年度から建てていただくものにつきましては、供給公社が管理を受託するといいますか、それがとりあえず主体となっていくと考えておりますけれども、法律に基づきまして省令を管理についてもつくる考えでございます。資力、信用があってきちんと管理ができる者につきましては、民間の法人でございましてもその対象とするという考えでございます。
#46
○西野康雄君 こういうふうな管理会社というのは許認可業者じゃないわけですよね。
#47
○政府委員(三井康壽君) この法律によりましては、管理をする方につきましては一切この法律による認可とかそういうふうなものはございません。
#48
○西野康雄君 ですから、うまく育てていくというんですか、そういうふうなシステム、これは今回のこれだけではなくて全般的な部分にもまた一つ言えるかと思います。
 続いて、今後こういうふうな優良賃貸住宅を建てていくというときに、一点は、高層のときには、いつも、高層マンションから乳幼児が転落をしていくというふうな、転落死というのが新聞の記事に載る。たしか昔、とある本で読んだんですが、欧米の方では乳幼児を抱えているところは一階だとか二階だとかに優先的に入居をさせているというふうなことも読んだことがございます。日本の場合はそうじゃないわけですね。もう上の方に住まわせたりとか、公共住宅全般にもそういうふうなことが言える。きめ細かい配慮というんですか、そういうふうなものはないわけですけれども、こういうふうな優良賃貸で利子補給だとかいろいろなことをするときに、私、そういうふうな乳幼児に対しての、子供の保護の思想というんですかね、そういうふうなものを前面に出していけないか、この法律をきっかけに出していけないものだろうかと思うんですが、その辺はいかがですか。
#49
○政府委員(三井康壽君) 大変申しわけございませんけれども、私ども乳幼児の、ヨーロッパの今おっしゃられたこと、ちょっと事実を把握していないので、その点はおわびをさせていただきますが、今のような乳幼児の問題とか、あるいは、むしろ高齢者、障害者、この問題につきましては私どもも一部取り組みを始めているわけでございます。
 特に公共賃貸住宅でございます公営住宅、公団住宅につきましては、例えば、お年寄りの高齢者の世帯につきましては一階に優先的な入居、これは倍率優遇でございますので必ずというわけではございません。それから、エレベーターを最近は五階建てまでつけるようにいたしますので、エレベーターで上がっていってなるべく近いところに、それは四階でも五階でもよろしいのですけれども、高齢者、障害者の方を倍率優遇でいこうと、こういう方針は立てているわけでございます。
 ただ、高齢者、障害者の場合と乳幼児とはやや若干差があるかなと思いまして、高齢者、障害者の方はどちらかというとどんどん身体能力が落ちていってしまう、したがって緊急性は割合と高いかもしれない。しかし、乳幼児の方は、確かに三歳とか五歳とか非常に注意力がまだ足りないようなときは大変危険があるという可能性もあるのですけれども、五歳、六歳におなりになりますと、もうむしろそういったことから完全に解放されてもいいんじゃないかということになりますと、本当にある一定時期をどうやって乳幼児の方を守るかということになりまして、そこまで現在の公共賃貸住宅は手が回らないというのが実態でございます。
 ただし、設計とかそういった面では、高層階につきまして、乳幼児の方々の転落防止をするとか、あるいは廊下とか階段のそういうところに物を置いたりしますとそれに乳幼児の方が乗っかられて事故が起こるという例も報告されております
ので、そういったことがないような管理者に対する指導といいますか、そういったことはさせていただきたいと思っておりますけれども、今おっしゃられたようなことを一気に検討するという段階には至っていないというふうに申し上げたいと思います。
#50
○西野康雄君 先日はハンブルクの方へぜひともというふうなことがございましたけれども、どこかお調べになって、それでハンブルクヘ行ったついでに、お隣の国かもしれませんので、その辺もお回りをいただいて、高齢者とか障害者だけではなくて、乳幼児対策というものも私は必要だと思うんです。
 高齢者の問題が今出ましたけれども、こういうふうな特定優良賃貸住宅を建てたいとおっしゃる方に対して、そうすると今度は、高齢者の方々のための設計だとかあるいは車いすが入れるような設計だとか、そういうふうなものもあわせて指導していかなければならないんじゃないかなと思うんですが、その辺の対策というんですか、指導というんですか、そういうものは既に組み込まれておるんでしょうか。
#51
○政府委員(三井康壽君) 今回の特定優良賃貸住宅の主たる目的は、ファミリー用の賃貸住宅でいいものが足りない、非常に深刻である、こういうことから発したこともございまして、そういった意味では、どちらかというと中堅所得者のうち若年層から高年層になりかかるところにつきましての階層といいますか、そこに非常にポイントを置かしていただいているわけでございます。しかし、制度としてはそういうふうに年齢とか書いてないわけでございますけれども、供給の必要性というのはそこにあるわけでございます。
 そうしますと、家賃をいろいろ考えたりしまして、いわゆる今おっしゃられたようなバリアフリーというのを設計基準上は義務づけは法律上しないというふうにしているわけでございます。多少、民間の事業主体でおやりいただくということもございますし、公的な助成をする面はあるのですけれども、民間の事業主体のお考えもある程度強制できない部分があるかなということで、法律上はそういうふうなバリアフリーという義務づけはいたしておりませんけれども、都道府県、都道府県の地域によりましては当然そういう必要が出てくると思いますので、供給計画の認定等に当たりまして都道府県でそういった指導をしていただくように私どもも公共団体に対して指導していきたい、こういうふうに考えているところでございます。
#52
○西野康雄君 やはり入った当初はファミリーでというふうなことですけれども、だんだんだんだんと日本の人口構成を考えていくとそうなっていくし、そしてまた、高齢化社会に対応させていかなきゃならないし、優良賃貸住宅となるとついの住みかというんですか、そういうふうなものまで恐らく利用者は考えるであろうと思いますから、その辺の配慮をお願いしたいと思います。
 こういう優良賃貸住宅とともに、非常に気になるのが、最近、都心の投資用のワンルームマンションが俗に幽霊マンションと言われるほどほとんど利用されておらないのが現状がと思うんですけれども、そういうふうな現状だとか、今後こういうふうな幽霊マンションをどうしようと思っておられるのか。ワンルームマンションをぶち抜いて三DKぐらいにはできへんのかななんて素人考えには思うわけですが、構造上はなかなか難しそうでございますけれども、何かこれ有効な手だてを考えぬとだめだなと。民間にほったらかしにしておいていいんだろうかなという気がいたします。むしろこういうところにもお金を使って、都心に人を張りつける作業というんでしょうか、そういうふうなものが必要がなと思うんですけれども、住宅政策の中ではどのように位置づけをなさっておられますか。
#53
○政府委員(三井康壽君) ただいまのワンルームマンションについてでございますが、私どももワンルームマンションというのを定義づけといいますか、どういうものを本当にワンルームマンションと言うかというはっきりした基準を持っているわけでございません。ただし、統計上は分譲共同住宅で三十平米以下のものにつきまして、この数字が大半ワンルームマンションであろうというふうに思っておるわけでございますが、このワンルームマンションは平成二年度には年間で五万三千戸ぐらい建ちました。全体の分譲マンションのうちの二割を超えたわけでございます。しかし、いわゆるバブルがはじけたということもあると思うのですけれども、最近では平成四年度五千戸しか供給されておりません。五%弱と激減しているということでございます。
 それから、利用の実態につきましては残念ながら私どももそこまで把握できていないわけでございます。今御報告いたしました平成四年度五千戸というものも、あるいはいいものがあるかもしれないとは思うわけでございます。全部が悪いとは申せないのですけれども、大半はいろいろあちこちで問題を起こしているというふうな認識をしているわけでございまして、したがって住宅政策上の位置づけは残念ながらプラスの方向ではしてないということでございます。
 そこで、現実に利用状況は本当はわからないわけでございますけれども、仮に使えるのに実際使われてないものをどうするのだと、こういうことでございます。私どもといたしましては、ワンルームマンションといいましても分譲になっているものと、それから一人の方が持って賃貸しているものと大分違うと思うのでございますが、分譲になってしまったワンルームマンションは、これを二戸を一戸に直すとかいうのは大変区分所有法で難しいわけでございまして、四分の三の所有者の同意がないとできませんし、どなたか一人が壁をぶち抜いて全体の構造がおかしくなると反対されると、一人でも反対されるとそれもだめだということでございます。賃貸につきましては一人の所有でございますので、場合によりましては、自分の責任になりますので構造上問題がなければ全体の構造に支障がない限りで二戸一に改造するのは可能でございます。
 それがどの程度あるか、我々もちょっとデータがないわけでございますが、仮にそういうことが適正になされるという場合には住宅金融公庫の改良融資というのがございまして、二戸を一戸に改造する際には五百二十万円まで今回の総合経済対策で融資ができる、こういう制度は持っているわけでございます。
#54
○西野康雄君 日本の住宅というのは、もう外国の人に言わせるとウサギ小屋だとか、あるいは紙と木と土と、この三つぐらいでできているんだというふうな表現もなされているわけですが、私は住宅の質を上げるときに一番基本になるのは土地政策ではないかなと。世界じゅうのいろんな地価とそして上物というんですか建物とを引っ比べるというと、日本がどうも逆転をしている。地べたの方がめったやたらと高い。そうすると、仮に五千万持っていても地べたの方に四千万使うて上の方に一千万しか使われへん。そうするともう大概二十年ぐらいたつというとぽろぽろになってくる、また建てかえをせんならぬとかそういうふうなことがあって、私は日本の住宅の貧相な部分というのは一つには土地の高さというのか土地政策のあり方そのものにもかかわってくるかと思うんです。
 そこはそう余り議論していても仕方がないんですが、もう一点気になることが新聞に載っておりました。住宅建築費、米の三倍というふうなことで日本総研リポート、省力化技術などのおくれという見出しです。
  日本の住宅建築のコストは、米国の約三倍にもなっている。省力化技術が遅れているうえ、資材流通や工事受注システムの複雑なことが原因――こんな内容のリポートを住友銀行系のシンクタンクである日本総合研究所がまとめた。
 日本の住宅が高いのは土地の値段が高いため、といわれてきたが、このリポートは住宅建築のコストも割高で、もっと改善すべきだと指摘している。省力化工法を開発する一方、合理
 化を阻む原因でもある建築労働者の低賃金も、労働組合の結成などで改善するよう提言している。
 リポートによると、土地価格を除いた住宅建築コストは、日本が三・三平方メートル当たり約六十万円程度なのに対し米国は約二十万円ほど。約百平方メートルの家を立てる場合、米国なら六百万円程度なのに、日本では千八百万円近くかかる。
 日米の建築コストにこれだけ差が出るのは、日本の住宅は耐震構造など米国などほかの先進国にない性能が求められるうえ、狭い敷地を最大限生かして建築しようとするため、間取りなとが千差万別で、量産が効かないのが第一の要因。
 加えて、資材の流通システムが複雑で、特に仕上げ材や設備機器は中間マージンが様々な形で価格に転嫁されるため、値段が高くなってしまう。工事の受注形態も複雑で、下請け業者が多く、競争原理が働きにくい。というふうなことを書いてございます。
 なるほどそうかなとも思うんですけれども、このリポートそのものをじっと読んでみて、いや本当かな、米国が果たしてそれほど安いんだろうかというふうなことも若干疑問に思うわけですね。その辺の把握というんですか、なさっておられるのか。そしてまた、この住宅建築費、仮に米国の三倍とするならば、どこを合理化していきゃいいんだろうかというふうなことは建設省としてお考えなのか、その辺ちょっとお伺いいたします。
#55
○政府委員(三井康壽君) 住宅というふうに現地生産でつくるものについて各国比較をするというのは割と難しい作業だと思うわけでございます。
 これは西野先生も多分ごらんになられたと思うのですけれども、私どももこの比較をしておられるのを一応数字だけでございますけれども拝見させていただきました。一部なるほどもっともだというところもございます。私どもも本当はきちっと同じような調査をしなければいけないと思っているのですけれども、残念ながらできておりませんで、それが御報告できないのですけれども、この報告をされたものを一応私どもなりに拝見させていただきまして、やはり一つはアメリカと日本の住宅のつくり方の差というのはあると思います。つくり方といいますか、生産のやり方なんですけれども、アメリカは戸建て住宅についていえば非常に大きな面積にある限られた四つとか五つのタイプの住宅をずっと建てていく、非常に量産がしやすい。しかも、ツーバイフォー工法のように非常に規格化しました住宅を建てていて、買われる方はその幾つかのタイプの、四つか五つのそのどれかを選ぶというふうな感じでございますので、もともと非常に工場生産的な形でやっているというシステムでございます。日本はどちらかといいますと、在来工法から出発いたしましたので、かつ注文主の方も非常に御注文がいろいろ細かいところで多いわけでございます。それから、どうしてもなかなか資材とか供給の仕方につきましても、現場の施工が多いものでございますので大量生産がしにくいとか、そういう生産の供給の仕方に一つ差がございます。
 それから、二つ目は、このリポートにもございましたように、やはり日本は地震国でございますので、安全につきまして非常に厳しい。それから地震を考えまして防災の観点も、非常にごみごみした町中でたくさん建っていることもありまして、隣に延焼しないようにいろんな手だてを講じなければいけない。これはどうしても日米で差が埋められないと思います。それからさらに、敷地が狭いこともあって、傾斜地とかいろいろ工夫しなければならないという日本的な特質もございまして、どうしても高くなってしまう。
 それから労働力の問題になりますけれども、労働力はやっぱりユニオン制度と私どもの伝統的な大工、工務店さんとやっぱり相当意識の違いというものもございますし、また建設業自体の下請問題というのも重なりまして、一概には言えないと思うのでございますけれども、日米で常識的に言いますと、日本の方がややコストが高くかかるのはやむを得ないなと思うわけでございます。
 今回の調査結果の数字を、一応仮にそれなりの真実性があるという前提といたしましても、いわゆる単純に一ドル百十円とか百二十円で比較するのはやっぱり不適当だと。OECDではそういった価格の比較の仕方を購買力平価ということでやっておりまして、購買力平価で日米の比較をいたしますと一ドルが百九十六円ぐらいの比較になります。そうしますと、先ほど名目値で百十円とか百二十円でしたか、百二十円ぐらいでやりますと二倍ぐらいの差になるのですけれども、購買力平価で割り戻しますと、約二割から二割五分ぐらい高い、こういう計算になるわけでございます。二割とか二割五分が生産供給体制の違いであったり、資材の流通の問題であったり、あるいは労働者の問題であるかなと、それは購買力平価の中に入っているのですけれども。
 したがって、今後私どもこれを努力していかなければならないと思いますのは、一つはプレハブ住宅とかツーバイフォー工法のように、生産の合理化、今でも相当やっているわけでございまして、これは数字で申し上げてもよろしいのですけれども、この十年来かなり進歩いたしまして、コストダウンを図ってきているわけでございます。コストダウンが図れても、実際の値段がまだ下がってないじゃないかという部分は、むしろオプションをよくしまして設備がよくなっている、そういうふうに御理解いただきたいと思います。
 ただし、中高層住宅につきましては、これは現場打ちが非常に多いわけでございます。それから工場でございますとか、あるいは商業ビルと同じような生産体制というか請負体制になっております関係上、コストダウンが一部非常に図りにくい、工場生産のしにくい点もございまして、中高層住宅につきまして今後生産をいかに合理化できているかというふうな調査を、昨年度並びに今年度かけましてアクションプログラムをつくろうというふうに考えているところでございます。
#56
○西野康雄君 時間もそろそろやってまいりました。
 最後の質問になるかなと思うんですが、このネーミングですな。特定優良賃貸住宅、縮めて恐らく特賞というふうになってくるんだろうと思うんですよ。近所の子供から、お前のとこ特賞かとかね、そんなことを小学校の子供が言われてきたりしやしないだろうか。ネーミングが大変にお役所的だなと、これは法案にしてみたらこれしかしゃあないわけでしょうけれども。しかし、特賞、特賞と言われたら、住んでる人もちょっと肩身が狭かろうというふうな気もせんことはないわけです。
 ですから、特定だとかそういうふうな意味合いの中に、何かもっと親しみやすいというんですかね、制度を普及させる場合にそういうニックネーム的なものを、ああなるほどなと、ひょいと利用できるような、そういうふうな利用者の立場に立ってのネーミングというのは、これは私は必要ではないだろうかなと思うのでございますけれども、その辺は考えておられますか。
#57
○政府委員(三井康壽君) 確かに御指摘のとおり、特定優良賃貸住宅と、いかにも役人の言葉でございまして、これは法律用語ということもございまして恐縮でございます。
 この制度の前身の地域特別賃貸住宅、これも地域特賞と、かたい名前ながらつづめて言っているわけでございますが、やはり御指摘のようなことは、建てられる住宅につきまして現場はお感じでございまして、各公共団体で愛称を持っておられるようでございます。
 例えば、御地元の兵庫県では、県の直接供給する地域特賞の場合はサンライフという名前をつけて、サンライフ何号、何号とやっているのでしょうか。それから、東京都の場合ですと都民ハイムですとか、大阪府ですとアンド・ユーという、これはローマ字で書いてございます。その他、横浜リブイン、サニーコート、そういうふうな愛称を結構おつけでございます。確かに、役所仕事で
やっているとどうもそぐわないというのを市町村や県ではお感じになっておられると思います。したがって、これを本当に地域の住民の方々までに定着させるには、かたい名前でなくて呼びやすい名前、親しみやすい名前というのが私どもも好ましいとは思っております。
 ただ、私どももどういうのがいいのか、なかなか頭がかたいものでございまして、今は持ち合わせはございませんけれども、全国統一のそういう愛称みたいのをつくるのか、あるいは公共団体にそういったことをお任せして、公共団体ごとに何かつけていただくのか、大変ありがたい御意見を賜りましたので、これを含めまして検討させていただきたいと思います。
#58
○西野康雄君 特賃もしんどいんですけれども、サニーやとかサンやとか横文字ばっかり並べられて、中には凝って、あれとこれとをひっかけてというので、前任者がおらぬようになったらネーミングの由来が何なのかわからへんというのもあったりもいたします。できるだけ地方公共団体の方にもわかりやすい、親しみやすいというふうなことでまた徹底していただければと思います。
 ありがとうございました。
#59
○青木薪次君 我が党は、今回のこの法案そのものは新たな賃貸住宅政策の一歩前進であるという立場において評価するものであります。
 その内容は、現在の地域特別賃貸住宅制度を発展させているわけでありますが、地域特別賃貸住宅制度との関係、相違点をもう一度お伺いいたしたいと思います。
#60
○政府委員(三井康壽君) 御質問の地域特別賃貸住宅との相違点につきまして御説明をさせていただきます。
 地域特別賃貸住宅は、昭和六十一年度に創設をさせていただきまして、国会でも御審議を賜りまして予算制度化をさせていただきました。六十一年度当初は、県や市町村が直接供給するというタイプでやらせていただいたわけでございますけれども、しかし、民間の方を事業主体にするというのが好ましいということから、平成三年度には借り上げ方式B型というのをつくらせていただきました。
 今回は、地域特賞のB型というのを主としまして法案化させていただいているわけでございますが、全体的に今までの地域特賞との差を大きな点で申し上げますと、第一が、地域特賞の制度は予算制度でございまして、今回は法律の制度として格上げをさせていただいたというのが第一でございます。
 それから第二は、地域特賞の制度は主として地方公共団体の直接供給というのを念頭に置いて初めやらせていただきました。順次やっているうちに、やはり民間の方を主体にした方が供給がふえるのじゃないかというようなことから、今回の特定優良賃貸住宅は、民間の事業主体の方を主体とすると、原則といいますか、そういうふうに変わっております。
 それから、三点目でございます。三点目は施策の対象階層でございます。地域特賞の場合は、収入階層二五%から四〇%までが原則で、大都市等によりましては六〇%までですから、範囲は二五%から六〇%まででございました。今回は、原則は二五%から五〇%でございますけれども、都道府県知事の裁量によりまして五〇から八〇の間の収入階層を対象にすると、やや中堅層でもだんだん所得の上がっていく階層、八〇%まで対象とする、これが第三点目でございます。
 それから、第四点目といたしまして、これをなるべく普及をさせるということから、例えば公庫融資につきましては、従来は融資率六〇%であったわけでございますが、八〇%にいたしました。さらに公共団体にも利子補給をおつき合いいただく等々の助成制度の拡充がなされているわけでございます。これは民間の事業主体についての比較でございます。
 それからさらに、法律制度となったこともありまして、地方財政措置、交付税措置というのを組み込むことができましたので、公共団体が財政的に安心して供給計画に取り組めるというのが次でございます。
 なお、この制度が法律の制度というふうにすることもございますし、助成措置もかなり厚みを加えたということもございまして、管理につきましては入居者のことをよく考えて適正なる管理をしていただく。これはどちらかといいますと、事業主体に対する義務でございまして、一定の場合の公共団体に対する報告義務でございますとか、あるいは家賃を高く取り過ぎるとか賃貸条件に違反するというような場合には知事が改善命令を出せる、そういった義務の規定も書かせていただいた、こういったところが地域特別賃貸住宅との大きな差でございます。
#61
○青木薪次君 そこで、この法案の位置づけについてお伺いいたしたいと思うのであります。
 御承知のように、今回の法案は中堅所得者層等を対象に、良好な賃貸住宅の供給を促進するために、基準に合致した賃貸住宅の建設及び管理をしようとする者に対して当該賃貸住宅の建設費補助及び家賃対策の補助を行って、入居者の家賃負担額を軽くしようとするものであるというように思うのでありますが、この家賃対策の補助は二十年間を限度としている。かつ、支払い家賃も年ごとに五%ずつアップするということになっておりますので、その意味で賃金は下降して家賃は上昇するということになるわけですね。その点についていろいろ問題が実はあると思うのでありまして、これを何とか緩和できないものかということをいろいろ考えました。
 そこで、労働省来ていますね。労働省は、男子労働者の平均階層別賃金についての年齢階層による相違についてちょっと説明してもらいたいと思います。
#62
○説明員(白石栄司君) 労働省で実施しております平成四年賃金構造基本統計調査によりますと、十人以上の民営事業所における男子労働者の所定内給与額は、二十から二十四歳層で十九万三千円であります。年齢が高くなるとともにこの所定内給与額は上昇しまして、五十から五十四歳層で三十九万九千五百円とピークに達し、その上の五十五から五十九歳層では三十五万六千二百円となっております。
#63
○青木薪次君 そういたしますと、今日労働力不足ということもあって、六十歳以上についてはどんなふうになっていますか。
#64
○説明員(白石栄司君) 六十から六十四歳につきましては二十七万二千四百円、六十五歳以上一括していますけれども、二十四万三千四百円でございます。
#65
○青木薪次君 そこで、住宅局長、例えば四十五で契約したということになりますと、二十年間ということになれば今言った二十七万円でだんだん高くなっていった家賃を払わなきゃならないということについて相当無理があるというように思いませんか。
#66
○政府委員(三井康壽君) 今の御質問に答える前に制度のねらっているところをまず御説明させていただきたいのですけれども、公営住宅という制度をずっとやらせていただきまして、量的になかなか土地の取得難等もございまして進まないわけでございますが、一方におきまして三十代、四十代の非常に働き盛りの年齢層のいわゆるファミリー用の賃貸住宅がなかなか建たない。しかし、そういった世代はどちらかといいますと収入が徐々に上がっていく、そこが期待できるという階層が多い。それが公営住宅とか公団住宅に申し込んでなかなか入らないとなると、家賃の値上げはある程度我慢していただいて、それだけの負担能力があるという前提でこういった供給方式をやった方がより賃貸住宅のいいものが建つのじゃないかというふうな考え方でこれを出させていただいたということをまずお答えさせていただきたいわけでございます。
 今の先生の御質問の、四十五歳で入った場合どうだということになりますと、仮に二十年間たちますと六十五歳でございますから当然年収が減ってしまうということでございます。ただ、今労働
省の方でお答えがございました労働者の賃金という点からいうと、確かに五十代の半ばからピークが来まして下がっていくわけでございますけれども、私どもの年収、いわゆる入居資格の年収は世帯収入でやらせていただいておりまして、総務庁の貯蓄動向調査というのを使わせていただいております。これによりますと五十歳代まで、六十歳に至るまでは年々歳々平均的にはまだ収入が上がっているわけでございます。そして四十五歳ぐらいでお入りになりますと、年収で言いますとこれは全国で申し上げますと八百万円でございます。それから京浜圏、首都圏で言いますと九百十万ぐらいでございまして、一般論から申し上げますと四十五歳時点におきましてはかなり負担ができるような年収をお持ちになっているわけでございます。
 したがって、先日も御答弁させていただいております例えば武蔵野の例で、市場家賃が十四、五万で当初の負担額が九万と申し上げたわけですが、これは原則階層の、収入階層二五%から五〇%の方々がそうでございまして、八百万ぐらいになりますと十一万ぐらいが当初の適正な入居者負担額と考えております。
 そういたしますと、その差は割と、もう十四、五万との差が少のうございますので、二十年間五%ずつ上がっていくという形じゃなくて済むだろう。六年とか七年でもう十四、五万に吸いついてしまうだろう。したがいまして、四十五歳ぐらいでお入りになる方々につきましても余り無理がなくてお入りいただけるのではないかというふうに思っているところでございます。
#67
○青木薪次君 後で触れますけれども、市場家賃がある。市場家賃を建設省でお考えになっているのは大体十五万。ここで補助をして九万となる。そうするとその市場家賃もだんだんアップしてくるということになって、そして毎年五%ずつアップしていくと。それでどこでクロスするかということになりますと、先ほど連合の河口参考人も言われたんですけれども、例えばNR住宅、二十万というような家賃の算定もあります、これは大和市ですか。そうなると、これはその家賃を払うために働かなきゃならぬということにも通ずるわけです、非常にいい構想なんですけれどもね。
 そういうことになってまいりますと市場家賃も上がっていく。例えば二年に一回五%、それから特定優良賃貸住宅は毎年五%は上がっていくということになりますと、そうすると二十年後にクロスした場合における家賃は一体大体幾らになるだろうかということについて、私は私で計算したんですけれども、専門的立場でいかがですか。
#68
○政府委員(三井康壽君) 今の四十五歳でお入りになったという前提につきましてはちょっと計算をしてないわけでございますけれども、当初申し上げました五%ずっというのは、五%ずつは負担をしていただこうという前提で入っていただきますと、こういうつもりの制度でございますというのを申し上げたかったわけでございます。
 現実に首都圏などで言いますと、過去五カ年間の年収の伸びというのは四・五%でございます。そういたしますと、五%ずつ上がっていくとややきついのじゃないかという御議論もあり得るわけでございますけれども、ただ当初の入居負担額は市場家賃よりも低いわけでございまして、一方では大半の民間の市場家賃でお住まいの方々というのは減額されない市場家賃でお入りになっていることを考えますと、やや頑張っていただいて、平均して四・五%の年収の伸びがあるとしますと五%毎年入居負担額が上がりますのでその差はあるわけでございますけれども、ややそこのところはほかの賃貸住宅の入居者との比較等をさせていただいて我慢をしていただく、こういう前提に立っているわけでございます。
 また、その四十五歳で申しますと、先ほどの繰り返しになりますけれども、市場家賃が仮に武蔵野の例で言いますと十四、五万でございますけれども、四十五歳の方ですと十二万ぐらい負担していただくというふうな収入階層になります。そうしますと、十四、五万との比較では六、七年で約三万円が埋まるわけでございますが、市場家賃の上がり方をどう見るか。市場家賃自体は、通常の今までの経験則からいいますと、例えば地価とか住宅地の価格とは比べ物にならない安定した家賃の値上がりでございます。それを考えますと、二十年間、仮に今の前提を置きまして、武蔵野の方に入っているという前提を置きまして、二十年のうちには十分に市場家賃の方に吸いついていて、収入が六十歳を超えましてだんだん減っていくころにまだ上がっているということは多分ないだろうというふうに想定をしているところでございます。
 ただし、四十歳の後半から収入が上がらないということもあり得るかもしれません。こういう方々につきましては、どちらかというと公営の一種といいますか、そういったところの方に、公営の一種に入る階層は特定優良賃貸に入っていただく機会が非常にふえますので、やや収入の伸びについて御懸念のある向きにつきましては、公営の一種といいますか、これは三三%の収入にしかならないわけでございます。そういったところに入っていただくというふうなことかなと思っておるわけでございます。
#69
○青木薪次君 労働省は、賃金に対する家賃の支払いについては大体どれぐらいでよろしいと思っていますか。
#70
○説明員(白石栄司君) 資料を持ってまいりませんので、ちょっとお答えできません。
#71
○青木薪次君 日ごろの考えでいいんです。賃金対策の立場から、いろいろ言いたいことを言ってくれればいい。
#72
○説明員(白石栄司君) 申しわけございません。ちょっと資料もございませんので……。
#73
○青木薪次君 質問通告してないからそれぐらいの程度もしゃべれないというようじゃ、これはやっぱり困る。
 じゃ、当該責任者である三井住宅局長はどうお考えですか。
#74
○政府委員(三井康壽君) 私ども、いわゆる労働省の、先ほど御報告がありました、賃金というのではなくて世帯収入ということでお答えさせていただきたいと思います。
 低所得階層いわゆる公営階層の方々につきましては収入の一五、六%ぐらい、それから、今回最大限八〇%まで入居階層の方がいくわけでございますけれども、五〇から八〇の間につきましては一八から二〇%ぐらいの負担率、これは全国平均してということでございますので、場所によって、人によっては二〇%を当然超えるのはあるのですけれども、平均して一八から二〇ぐらいのところで持っていくのが住宅政策上は妥当な線かなというふうに思っております。
#75
○青木薪次君 五十五歳を過ぎますと、労働省の先ほどの説明にありましたように、賃金がどんどんダウンしてくるということになり、それから家賃の方はだんだんアップしていくという、こういう問題点も出てくるわけであります。したがって、その時分になりますと、そろそろ老後のことといいますか、現実問題として言った方がいいと思うんですけれども、相当心配になってくるということになるわけです。
 そこで、私はこの特定優良賃貸住宅制度を評価しており、これからいよいよ日本の住宅対策、建設省の住宅対策がこの問題を初めとして、従来の地域特賞が発展的に解消してこれに移っていくというような理解さえ私はしているんですけれども、それはそれでいいですね。
#76
○政府委員(三井康壽君) そういうつもりでこの法案を提出させていただいたわけでございます。なお、これによりまして公営住宅もしっかりやるという前提でございますけれども、中堅層につきましては、こういったものをかなり積極的に拡充していく必要があるだろうというふうに考えておるわけでございます。
#77
○青木薪次君 住宅金融公庫の対策、方針その他からいってみて、やっぱり何としても持ち家制度というものは、これは大きな二本の柱ですよ。持ち家がなかなか困難だから、ひとつこの際何とか
この特定優良賃貸住宅制度というものを発展させる、ここに非常に我々も期待を持っております。むしろ、日本の社会保障制度がどんどん伸びていったらこんなに無理して自分の家を持つ必要はないんです。やっぱり社会福祉制度と言った方がいいのか、これが充実したらこれに全部任せた方がいい。建設省が今回考えた方針というものについて、私はさらに補完する意味で、例えば毎年三%ずつ上げる、そうすると二十年間でなくて三十年間にというような形でやられる、そういうところへ金を使うんだったら私は怒る人はないと思う。この点についていかがですか。
#78
○政府委員(三井康壽君) 今おっしゃられるように、家賃の負担額といいますか入居者負担額がなるべく低くて、しかも期間も長くてというのは確かに御意見としてはあり得ると思うわけでございます。
 この制度をいろいろ考えましたときに、民間の賃貸住宅がなかなか質が向上しない、それがずっと長く続いてきている、お金の入れ方はやっぱりうまく使った方がいいのじゃないか、財源というのは幾らでもあるじゃないかという御意見もあるのですけれども、現実問題としてはなかなかそうもまいらないものでございますので、そういたしますと、所得の伸び程度の負担額の増、初期負担は収入によって安くさせていただきますけれども、その後の伸びは所得のある程度伸びを考えて設定したのが五%ということでございます。三%になりますと所得の伸びよりも場合によっては家賃の方が低いわけでございますので、そういたしますと確かに居住者にはいいことに間違いないのでございますけれども、そのお金を努力するような形で入居者に負担額を頑張っていただくとそれが次の方にまたお金として使える。そうすると、さらに賃貸住宅の質の向上が量的にも拡大していくのじゃないかというふうなことから、五%で二十年とさせていただいております。
 なお、これは私ども本当に詳細にはわからないのですけれども、西ドイツの社会住宅というのはやっぱりこういうスキームと割と似ているところがあるようでございまして、それも最近では、事業主体が余り長期にわたりましてこれを管理するよりも、なるべく早くした方が事業主体にインセンティブになるというので、管理期間を短くするような制度をつくりました。むしろ、これが今非常にドイツではふえているということなどもあるようでございまして、先生の御提案はよく私どももわかるわけでございますけれども、今回お願いしているのは、五%で最大二十年ということでお願いいたしまして、これでとりあえずやらせていただきたいと思っておるところでございます。
#79
○青木薪次君 住宅局長、ドイツに行ってこられるようですから、それを期待いたしておりますけれども。
 やっぱり退職をしますと第二の人生が始まるというようなことと同時に、年金生活者になっていくんですね。平成七年に全公的年金八制度が統合されるわけです。そういたしますと、国全体がみんなでもって年金者を支えるということになってくるわけであります。そういうことを考えると、何といっても、今住宅局長の言われたような意見も我々は信頼しますけれども、やっぱり払えなくなってくるという状態が出てくるおそれがないだろうかということで、私は今回の法案の今位置づけということで考えたのでありますけれども、二十年後を見据えた持ち家促進政策の延長線上にこの法案があるのかどうか、あるいはまた立ちおくれている賃貸住宅の質的転換だけを意味するのか、どういう点に位置づけをされますか。
#80
○政府委員(三井康壽君) 私どもは、持ち家につきましては先般来御報告させていただいておりますように、居住水準向上は着実だ、借家につきましてはどうも非常に遅々として進まないということが原点であると申し上げました。したがって、借家の水準をよくすれば日本のウサギ小屋論という批判もかなり消えてくるし、生活も当然豊かになってくるということでございまして、持ち家政策の先にこれがあるというふうな感覚では考えてはいないわけでございます。
 今後は、例えば持ち家と借家に限らずに住みかえといいますか、そういうのがふえてくるのではないかというふうに漠然と思っておりまして、従来持ち家の方々が御年配になられてむしろもう割と簡単なマンションといいますか、借家で老後をお暮らしになるというお考え方の方もふえてまいりますでしょうし、持ち家一辺倒ではないかもしれません。それから、借家の方々も借家でいいやと思われる方もおられるし、借家からまた住みかえで持ち家というふうなことも、私は多様化してくるのではないかと思います。多様化することに適切にこの制度で対応できるかどうか自信があるわけではございませんけれども、今回は特に居住水準、そして中堅のサラリーマンの方々に適正な家賃でファミリー用住宅に入っていただくというのを特に主眼としまして、御提案させていただいたということでございます。
#81
○青木薪次君 日本の住宅の取得はもちろん建設費も、今西野質問で三倍ぐらいじゃないかという話もあったわけです。それから、土地がえらい高い、それから資材も高い。高いものずくめなんであります。そういう点でおとといですか、白浜質問にありました大都市圏に限って地代相当額要素を家賃の中に入れているというようなことは、これは非常に問題じゃないかということを私は黙って聞いておったわけですけれども、ひとつ所得税の家賃控除制度について、大蔵省は今どんなふうに考えているんですか。
#82
○説明員(清水治君) 家賃控除制度についての御指摘、御質問でございますが、所得に対して負担を求めるという所得税制のあり方の関連から考えてみますと、家賃と申しますのは食費ですとかあるいは被服費といったようなことと同様に典型的な生計費でございます。したがいまして、こうした生計費についてそれを個別に家賃というような形で取り出して配慮を加えていくということになりますと、所得に対する負担を求めるという所得税の課税ベースが著しく侵食されてまいりまして所得課税がなかなか成り立ちにくくなるというようなまず基本的な問題がございます。
 それから加えまして、この家賃控除という仕組みにつきましては、より高額の家賃を支払っておられる方により大きな恩典が享受される、その反面で、例えば納税額のない低所得の方には利益が及ばない、そういった問題もございます。また、家賃控除の創設、家賃控除制度ということは専ら賃貸住宅に対する需要、この需要をふやす方向に働くことになるかと思いますが、他方で賃貸住宅の供給の増には直接結びつかないのではないか、そういった問題もございます。したがいまして、家賃控除制度というのを所得税の中で導入することについては私どもはこれは適当でないと考えております。
 なお、税制の中におきましては、優良な貸し家住宅を供給するという観点から新築の貸し家住宅に対して割り増し償却制度を設けておりますし、特に三大都市圏におけるファミリー向けの優良賃貸住宅につきましては割り増し率をさらに大きくしているという制度をこれは平成四年度の税制改正で講じておりますが、そういった措置を講じているところでございます。
#83
○青木薪次君 僕は頭の悪いせいか、今あなたの言ったことがわからない。幾ら理解しようと思ってもわからない。もっと我々にわかるように言ってもらいたい。
 今度、大臣、宮澤総理がアメリカのクリントンのところへ行って、ひとつこの際日本は内需を拡大するために十三兆二千億円の総合経済対策を考えていますよ、そのときに住宅対策として、今度は住宅取得促進税制について二十五万円を三十万円に上げますというようなことも言ってきたわけです。
 それで次に、借家層相互間の不公平是正の問題について、中堅所得者層は良質な住宅に公的援助を受けて入居できることになっているんだけれども、良質かつ大量の民営住宅ストックがないまま低質の住宅に高家賃で入居している層について公
的援助がなく、公平を欠くことになるんですね。したがって、これを是正するには特定優良賃貸住宅入居者以外の借家層について単純に政府の策定した家賃限度額を超える家賃に対して広く補助を行う方法があるが、こういう点について大臣どう考えますか。
#84
○政府委員(三井康壽君) 私どもの基本的な考え方を申し上げさせていただきたいわけでございますけれども、今回民間の賃貸住宅に対しまして融資あるいは補助、税制というインセンティブを与えさせていただくようにお願いしているわけでございます。そして、その中で家賃対策補助というのを入れさせていただいているわけでございますけれども、これは居住水準の向上といいますか、借家の規模を拡大してそしてファミリー用の賃貸住宅に、狭い住宅じゃなくてお住みになれるようにし、かつ家賃もそのために高くならないようにしよう、こういったねらいであることはもうよく御承知だと思うわけでございます。したがいまして、そういった居住水準を向上するという観点につきまして財政上の援助をする、あるいは税制という広い意味でもよろしいのですけれども、助成をするというのが政策としては現在とり得る最も妥当な方法じゃないかと思っているわけでございます。
 したがいまして、今先生おっしゃられるような、それじゃ狭い家に高い家賃を払っている人との関係はどうなんだというふうな御議論が当然出てまいるわけでございますけれども、私どもはお金を使わせていただくならば、いい家に住みかえをされるといったところに使わさせていただくのがやっぱりよろしいのじゃないかという観点から考えまして、この制度をさらに拡充し、積極的につくっていただくように事業主体にお願いしまして、現在狭くて高い家賃に入っておられる方々の入居の機会をふやしていく、そのために家賃対策補助といいますか助成をやることは大いにやるべきだ、こういうふうな基本的な立場に立っているわけでございます。その点で今の家賃控除を押しなべてやったらどうかというふうなことになりますと、非常に大きな財政負担とか考え方の差が出てまいるのではないかというふうに思っておるわけでございます。
#85
○青木薪次君 私のところの秘書が住宅手当を二万五千円もらっているんですよ、そこにいますけれども。これは税金が全部合算でかかっているわけですね。そういう点から考えると、やっぱり税制の関係についてはあまねく公平を維持されなきゃならぬというように考えるんですが、この点については検討する価値があると思うんですが、大蔵省どうですか。
#86
○説明員(清水治君) 家賃控除のところで先ほど御説明申し上げたことのあるいは繰り返しになるかと思いますけれども、一つは家賃ですとか食費ですとかいろいろな生計費がございまして、それを個別に取り出して控除するということにしますと、所得税の中で所得に対して負担を求めていくという税制でございますので、基礎控除ですとかそういった一般的な控除制度で配慮させていただいて、個別に例えば家賃だけ取り出して控除していくということには所得税のあり方として複雑になりますし、また課税ベースが小さくなっていくことで問題があるということがあろうかと思います。
 それから、この家賃控除といった仕組みにつきましては、諸外国を見ましてもこういう形をとっている例というものはないものと承知しております。
#87
○青木薪次君 税金を納めるにはやっぱり平等の原則ということで、こっちの人にはいいけれどもこっちの人にはというのでは――同じ条件にあってですよ、またそれ以下であっても、そういう点については是正さるべきであると思うけれども将来検討の課題があるというぐらいなことは言いなさいよ。
#88
○説明員(清水治君) もちろん、一般的にいろいろ税負担については負担の公平ということが基本原則でございますから、あらゆる分野について負担の公平ということを常に私どもも念頭に置いて制度を勉強、研究していくということは、これは当然のことでございます。ただ、家賃控除というような形で特別の控除を設けることについては、先ほど申し上げましたような所得税制としての基本的な問題点ですとか、あるいは貸家住宅に対する需要と供給に対する効果の関係をどう考えるかとか、そういったいろいろな問題点ございますので、私どもとしてはこの家賃控除という方式については適当でないと考えております。
#89
○青木薪次君 満足な回答じゃないですね。これ以上は時間がもうありませんから。
 優良賃貸住宅として認定してもらうには五十平米以上でしょう。特にいろいろ民間等において管理する場合に、五十平米以上だといって五十一平米にしてたくさん建てて、そして補助を受けるというようなことが往々にしてありがちだということなんですけれども、優良賃貸住宅ですから、やっぱり誘導居住水準を七十五平米と言っていますから七十五平米ということでやるべきだと思うんです。このために建設省は努力するということについて説明とともに、住宅局長の御意見伺いたいと思います。
#90
○政府委員(三井康壽君) 法律上これは省令で決めさせていただきますけれども、特定優良賃貸住宅の規模といたしましては五十平米から百二十五平米、これは共同建てを前提にした面積でございますが、五十平米は四人世帯の最低居住水準の面積でございます。百二十五平米は、これは都市型の誘導居住水準、四人世帯、戸建て系で百二十三平米、これを丸めまして百二十五、こういうふうにさせていただいているわけでございます。
 私どもの考え方といたしましては、この五十平米は切ってはならぬというのを法律上の最低限にしているわけでございますけれども、建てるものが五十平米がたくさん建つということは好ましいと考えているわけではございません。しかし、ファミリー用賃貸住宅の供給といいながらも、事業主体によりましてはあるいは二人世帯だけで入ってこられる場合に五十平米の供給をそれもいかぬというのはいかがなものかということで、五十にしているわけでございます。現実にはなるべく大きな住宅を建てていただくようにお願いをしたい、そのために助成措置を厚くしているわけでございます。
 幸いなことに、平成四年度の借り上げ型の東京都でやっております地域特賞あるいは都民住宅といっているものでございますけれども、これもまだすべて建ち上がってないのですが、平成四年度の計画を見ますと平均で六十八・四七平米でございます。したがいまして、一般的には七十平米ぐらいのものは平均的に供給されるだろうと期待をしているわけでございます。
 なお、この特定優良賃貸住宅、建ててから二十年三十年と長もちするということが好ましいわけでございますので、できることなら、七十五平米とはこの場では申し上げにくいのですけれども、なるべく広い住宅を公共団体で認定の際に事業主体の方に指導していただくとか、それから我々がいろいろな機会になるべく広い住宅を建てていただきたいというようなことの普及を図っていきたいという考えでございますので、五十平米のものがどんどん建つというのは行政指導の中では避けるように指導していきたい。なるべく大きな面積で建つようにしたいと考えておるわけでございます。
#91
○青木薪次君 時間が参りましたから、最後に、大臣に住宅基本法の問題について。
 野党も一致しています。それから与党の皆さんともいろいろ話をしながら、ひとつこの際、住宅基本法の必要性はもう認められているわけですから、その点について、土地が上がってしまった中で土地基本法の方へ、私も土地対策委員長やっておりますけれども、そっちへ行っちゃったんですな。したがって、この問題についてはこの優良賃貸住宅の制度が実施された段階で、将来より促進する意味で住宅基本法の制定について大臣の所見をお伺いしたいと思います。
#92
○国務大臣(中村喜四郎君) いろいろ御意見をいただいている中で、我が国の生活大国づくりのための住宅の役割というのが非常に大きいということは先生も御指摘をいただいておりますので、住宅をさらに充実させていくために現在住宅建設計画法に基づいて五カ年計画を策定し、計画的に住宅のストックというのを行っているわけでございます。
 これに加えて、御指摘をいただきました基本法を制定するということに対しましては、現時点において政策の目標、国、地方公共団体の責務、住居費の負担の考え方、居住水準のあり方、こういった問題に対してコンセンサスというものは現時点において得られているとはなかなか判断しにくいわけでございます。
 基本法はその性格から、国民の合意形成に従って、住宅政策に対して各界の意見というものに現時点においてはまだ相当の差があると考えておりますので、合意形成に困難な状況ではあるものの、建設省として広く今後各界の意見を拝聴しながら検討をしていきたい、このような認識を持っております。
#93
○青木薪次君 終わります。
#94
○上野公成君 まず、宮澤内閣の一番大きな柱であります生活大国づくり、こういう観点から住宅政策の基本についてお尋ねさせていただきたいと思います。
 よく言われておりますように、経済大国になって一人当たりの国内総生産は二万七千ドル、世界一になっている。しかし、世界一になったけれども、全然そういった実感がない、こういうことでございまして、特に今、年間の労働時間の問題でありますとか、公園だとか下水道だとか、そういうものが非常に立ちおくれている状態でございます。そこで、生活大国五カ年計画ということで一生懸命やろうということでございます。
 しかし、こういった中で何といっても住宅が中心になって、住生活の充実ということが一番重要なことじゃないかと思うんです。これは、豊かさを実感するとかそういうことじゃなくて、住宅というのは人が生まれて、そしてそこで育つ、こういうことでございます。私もスラムクリアランスの仕事を前にしておったことがあったのでございますけれども、汚い住宅の中では友達もなかなか呼べない。しかし、住宅がよくなると喜んで住宅に友達を呼べる。そういうことで、子供たちも本当にさま変わりをするということになります。
 この住まいづくりというのは、物をよくするとか、豊かさを実感するということじゃなく、やはり人づくり、そういうことが国づくりにもつながるんじゃないかと思うわけでございます。そういう意味からいいますと、我が国の長い間の、百年の計であると言っても過言ではないわけで、私はそういった住宅政策のとらえ方をしているわけでございます。   〔委員長退席、理事種田誠君着席〕
 それじゃ、今一番の問題は何かといいますと、やはり二〇〇〇年に百平米にする。これは大体九○年に九十平米ぐらいだったわけですから、一年に一平米ずつ上げていく、そういうことが一番の具体的な目標じゃないかと思います。
 そこで、何が問題かというのを二つ整理してみますと、持ち家を持てる人はなるべく大きな持ち家を持っていく、これは大都市圏で非常に問題があるわけでございまして、これはこれで持ち家の問題として何とかしなきゃいけないわけでございますけれども、もう一つの問題が借家の問題であります。
 この借家の居住水準というのは持ち家に比べて四割ぐらいの状況にある。先ほどから持ち家がいいか賃貸住宅がいいか、三井局長は持ち家から賃貸住宅に、ライフスタイルとしての過程ではそういうこともいいんじゃないかというお話がありました。そうであれば、持ち家と賃貸住宅の規模の髪もなくしていかないとそういうことはできないわけでございまして、そういう意味でも本当に賃貸住宅の問題が大きな問題になるんじゃないかと思います。
 そこで、生活大国五カ年計画というものを今やっている最中でございますけれども、そういう住生活の充実といいますか、そういうものを図る一番の基本である住宅政策、その一番基本的な考え方、大臣はどういうふうに考えておられるか、まず伺いたいと思います。
#95
○国務大臣(中村喜四郎君) 今御指摘をいただきましたように、生活大国の中で住宅の果たしていく役割は非常に大きいということで、先生の経験に基づいた御意見をいただいておるわけでございます。
 御案内のとおり、我が国の居住水準というのは確実に上昇してまいりまして、六十三年度の段階では八十九・三平米、そして今の第六期住宅建設五カ年計画が終わる平成七年度には、大体九十五平米、そして二〇〇〇年度には百平米を目標にして、居住水準は確実に上昇してきているわけであります。その中で、いわゆる持ち家がそれだけの居住水準が確保できても、借家というものは持ち家に対して非常に狭隘である。この辺のところの水準を上げていかなければ、全体の生活環境というものを充実することはできないだろう。このようなことは今御指摘をいただいたとおりでございます。
 そこで、まず持ち家に対しましても、五カ年計画の中で年収の五倍で住宅が供給できるような政策のためには、宅地の供給あるいは多極分散型の国土の形成、そして金融公庫の融資枠の拡充、あるいは税制の充実、こうしたものを整えていくことによって持ち家対策というものをさらに強化していくことができるだろうと思っております。
 貸し家の面におきましては、公団あるいは公営、こうした住宅政策は従来どおり進めていくわけであります。しかし、民間の貸し家世帯に対する充実というものをどのようにきめ細かくしていくかということにおいて、今回出させていただきました法案が、土地を持っていらっしゃる方に、民間住宅をさらに質の高い形で貸し家として提供していただくということによって、全体の底上げにつながっていく。このように考えておりますので、ぜひこの政策が公共団体を中心として全国に活発に展開できるように我々一生懸命やっていきたい、このように考えております。
#96
○上野公成君 そこで、今大臣からも良質な賃貸住宅の供給が非常に大事だと、恐らく今までの大臣でこういうことを言われたのは初めてじゃないかと思うわけでございますけれども、そこまで来たということでございます。
 一方、ストックとしては、本当に先ほどからもお話がありましたように、四十平米とかそういうようなオーダーでありますし、首都圏では余計小さい。新規で供給されるものについては、五十平米に満たないような小さいものばかりが、しかも非常に戸数としては多く建っておる。これは、先ほどの二〇〇〇年・百平米という目標の達成のことからいいますと、かえって足を引っ張っておるのじゃないかと、大変心配しておるところでございます。
 しかし、これはなぜそういうことになるかというと、賃貸住宅の経営が非常に難しい。土地を買ってまで賃貸の住宅を経営するということは全然できないわけでございまして、どうも民間の活力にただ頼る、そういうことだけではなかなかうまくいかないのじゃないか。そこで、民間の賃貸住宅でありますけれども、賃貸住宅というのは社会資本に準ずる準社会資本という考え方を導入して、そしてその数をうんとふやしていく。そういう考え方をしていかないと、相当不足している良質な賃貸住宅がなかなかふえてこないのじゃないかと思うわけでございます。
 そういう意味からいって、持ち家を持つ人には高額所得者でもかなりの補助をするわけです。低所得者はまた補助があるわけですけれども、その間の人はもう全く何もないということでございますから、それは個人にするということじゃなくて、そういう全体のストックというふうな考え方を導入して補助していくということが必要じゃな
いかと思うわけでございます。個人の資産には補助をしないというような原則も一般的にはあるわけでございますが、今回はそこを打ち破って補助をしていくわけでございますけれども、そういった基本的な補助の考え方と、そしてスタートとして最初どのくらいの補助をされるか、そこをまずお聞きしたいと思います。
#97
○政府委員(三井康壽君) 上野先生もよく御存知のことでございますので、釈迦に説法でございますけれども、住宅が社会資本という位置づけであるかどうかというのはやや疑問がございまして、私どもの重点施策でもいつも住宅・社会資本と申しておりまして、本当の公共施設とはやや差がある。したがって、住宅に対する国の助成の仕方というのは、やや本来的な公共事業と違う扱いをしているわけでございます。
 また、住宅政策をずっとおやりになってこられました上野先生よく御承知ですけれども、住宅に対してお金を入れようとなりますと、個人財産にそういう公共のお金を入れるのはどうなのか、こういう御議論がありまして、公庫の利子補給問題でもいろいろ財政論等につきまして議論があったわけでございます。しかし、それではいつまでたっても日本の住宅はよくならないということで、最近はかなり目覚ましく財政措置も厚くなってまいりましたし、公庫の融資制度も厚くなってまいりました。ところが、これは持ち家が主ということでございまして、賃貸住宅はなかなかそれでも乗りおくれてきたというのが現状であろうと思います。
 これも御承知のことの繰り返しになりますが、賃貸住宅対策としては、先ほどの西野先生の御質問にあった復習になりますけれども、公庫の特定土地担保賃貸住宅、いわゆる土賃と言っておるものですが、それから公団の民賃、それから公共団体がやります特賞、それから農住、簡略な言い方で申しわけないのですが、そういった制度がいずれも利子補給でございますとか、割と薄めの融資ということで賃貸住宅対策をやってきたわけでございます。今回は、地域特別賃貸住宅という、公共賃貸住宅の中の位置づけで民間を事業主体にするという少し折衷案的な地域特賞のB型を法制度化したわけでございまして、これは今までの民間賃貸住宅に対する助成措置よりもかなり助成値を厚くしたというのが特徴でございます。
 ただいまのお尋ね、まず第一に初期負担といいますか、建設当初に幾らぐらいのお金が入るかということでございますが、これは個人財産ではございますけれども、階段とか廊下とかアパートの共同で皆さんがお使いになるところを公的な施設とみなしまして、これは準社会資本と言ったらいいのかというのはいろいろ御議論あるのですけれども、個人の資産ではありますけれども所有者が自由に使うんじゃなくて皆さんが使うものだ、こういう前提に立ちまして再開発事業などでは補助の対象にしているわけなんですけれども、今回この制度に取り入れさせていただきます。これは地域特質のときからそういう制度ができたわけでございますが、それが戸当たり平均いたしますと三百万ぐらいかかります。これを公共団体と国と半分ずつ持たせていただきます。戸当たり二百万は建設当初から国と地方公共団体の現ナマのお金が入る、こういうのが当初助成措置の第一でございます。
#98
○上野公成君 ストックが大変少ないという現実がありますので、とにかく量を拡大するということが一番大事なことじゃないかと思うわけでございます。そういった意味からも、ひとつ踏み込んだ考え方で補助も考えていただきたいというふうに思います。
 そこで、本年度は二万戸ということでございますけれども、やはり二万戸を、これだけ期待が多いわけでございますから、全党賛成でございますので、いかに拡大していくかということ、拡大の方策についてどういうふうなことを考えておられるのか。
 そしてまた、公共団体が絡むわけでございまして、私の今までの経験からいいますと、公共団体は、例えばスラムクリアランスなんかは法律に基づいてどうしてもやらなきゃいけないものはやるわけですけれども、余り悪くないけれどももうちょっとよくしようというような自発的なことに対しては割合消極的なわけですね。この場合も同じことが起こらなければいいがということでちょっと心配をしているわけでございますけれども、やはり相当な理解を公共団体の方々に求めないとなかなか量の拡大ができないんじゃないかと思うわけでございまして、その点についてもぜひ進めていただきたいわけでございますが、どんなお考えであるかお伺いします。
#99
○政府委員(三井康壽君) まず、今年度は予算戸数といたしまして二万戸計上させていただきまして、これは予算で既に可決させていただいております。この法案ができましてから一月ぐらいで実際の配分をさせていただきたいと思っております。昨年の地域特賞の戸数が一万戸でございましたので、思い切って二万戸とやや冒険ぎみで出させていただいたのですけれども、今のところ割と手ごたえがようございまして、二万戸まだ来ているわけではございませんけれども、かなり二万戸に近いくらいの御要望が既に出されております。これは主として大都市を中心といたしまして、地域特賞のB型がかなり普及してきたことを裏づけているかなと思うわけでございます。
   〔理事種田誠君退席、委員長着席〕
今後も普及に努めまして、この戸数がふえるように努力をしていきたいと思いますし、必要によりましては制度の拡充等もまたお願いしていかなければならないと思うわけでございます。
 そこで、特に地方公共団体にこれをいかに理解をしていただいて地主の方々に周知徹底していただくかというのがかぎでございまして、地方公共団体の中にはこういう賃貸住宅政策にはどちらかというと消極的な公共団体も多いわけでございます。ぜひ、委員会でもあちこち御視察の際にはこの制度を先生方のお力もおかりして普及していただければなおありがたいと思いますし、私どもも精いっぱい努力をさせていただきます。したがいまして、これは大都市が今多いのですけれども、地方都市でもいい規模でつくっていただいて、この制度を使っていただくように我々も努力いたしたいと思っております。
 いずれにいたしましても、この制度をうまく理解していただくのが公共団体の首長さんを初め職員の方を含めて第一でございますし、事業主体の方にもこの制度のいいところ、それから制度のねらいというのを御理解いただいて、拡充といいますか、戸数がふえていくように努力をしたいと考えております。
#100
○上野公成君 ぜひ、よろしくお願い申し上げ、PRをもっとしていただきたいと思います。
 そこで、持ち家についてはいろいろ施策がある。三三%以下については公営住宅がある。その上はある程度賃貸住宅その他あるわけです。この間が、持ち家を持てないという人のものが全く抜けていたわけですよ。そこを埋めるということで非常に意味があるわけでございます。それが一番大事なといいますか、これから特に団塊の世代なんかは、結婚して二人のときは最低居住水準を満たしているけれども、子供がふえてきたけれども持ち家に行けない。そこで五年たったら最低居住水準未満がかえってふえているという、こんなことは今までなかったわけでございまして、そういう意味からも非常に持ち家に届かないところまで、特に大都市ではかなりの所得の層まで届かないわけでございますから、そこまでぜひ届くようにしていただきたい。
 特に、公営住宅の場合は毎年所得の改定をしないという、そこで三三%が二五%ぐらいまで落っこっちゃって非常に及ぶ範囲が狭いということがあるわけでございまして、ぜひこれは毎年機械的に改定をしていただきたいということをお願いしたいわけでございます。その点についてお伺いします。
#101
○政府委員(三井康壽君) 今の公営住宅は三三%までが公営住宅階層でございますけれども、政令
でこの額を決めることになっております。政令の改正は各省協議が必要でございまして、いろいろ調査に時間がかかったり、あるいは財政当局との折衝によりまして二、三年に一遍の改正、二五%近くまで落ちてきてようやく三三%にまた引き上げる、こういうのが現状でございまして、御指摘のとおりでございます。
 今回は、要求のときから国の財政当局が地方の自治体の財政当局とよく話し合いをいたしまして、毎年この金額は改定するというふうなことが実質上合意ができておりますので、機動的に収入基準の見直しができるように対応したいと考えております。
#102
○上野公成君 それから、もう一つ管理の問題としては、収入超過者の問題があるわけでございます。これは収入超過をして次のステップに行ければ問題ないわけですけれども、現実にはなかなか次のステップに行くということができないわけでございます。しかし、収入が超過しているわけだから負担はできるわけですから、その辺はやはり、市場家賃を超えてもいいと思うんですけれどもね、市場家賃だったら入れるわけですから、市場家賃を超えたら自動的に市場家賃が高いから出ていくということで、そういった家賃の操作で住みかえを促進するというようなことが大事じゃないかと思うわけでございます。そういった運用をぜひお願いしたいと思うんですけれども、いかがでしょうか。
#103
○政府委員(三井康壽君) 今回の特定優良賃貸住宅も公営住宅と同じでございまして、収入の審査といいますか、収入の基準を見させていただくのは入居のときでございます。したがいまして、入居後に収入が上がった場合に、直ちに出ていただくとか、そういうふうなことにはならないということでございます。
 ただ、収入基準を仮に二五%から五〇%だけというふうに知事の方がお決めになっている場合に、五〇%を超えたらどうなるのだと、こういった御質問であろうかと思います。その場合は、収入基準が多くなれば当然に家賃負担は高くなるということを原則としている関係で、入居者補助を打ち切る、すなわち市場家賃になっていく、こういったことを基本的な考え方にしているわけでございます。法律上はそういうことを書いてございませんで、通達、運用におきましてそういうふうに措置したいと考えております。
#104
○上野公成君 そこで、先ほどから高齢者の住宅だとか、高齢者向けの住宅として活用するとか、いろんなお話も出ていたわけでございますけれども、やっぱりこれは一番の主流といいますか、一番は大都市の勤労者対策、これが全く抜けていたわけでございますから、そこに力を注いていただきたいと思うのでございます。高齢者の場合は、確かに全体が高齢化社会になっていくわけですから、四分の一ぐらいがいずれは高齢者になるということから見ますと、高齢者でも入りやすいというそういう準備としては必要じゃないかと思うわけですけれども、やはりそういったものは公的な住宅の方を中心にして供給していくべきじゃないか。
 そこで、この制度がある程度定着をしていくときには、やっぱりこの制度の方を基本にして公的な住宅制度との関係とか先ほどの管理のこと等も含めて、これは質問じゃありませんけれども、その辺もぜひ整合性をとるといいますか、連続性のある体系をつくっていただきたい。すぐということはちょっと無理かなという感じもしますけれども、長期的な課題としてはぜひお願いをしておきたいと思います。
 そこで、ただ、それじゃ大都市だけやればいいということではなくて、やはり大都市がこのままで、過密のままでいいということじゃなくて、やはり地方の活性化をしてどんどん分散をするということも大変重要なことですし、非常に意欲のある地方もあるわけです。ところが、市町村長が言うには、大変一生懸命に産業の振興とか企業の誘致だとかいろいろやりたいけれども、住宅の問題で非常に問題がある。かなりそういうところに来る人は低所得者じゃないわけですけれども、そうかといってすぐ持ち家をつくって永住をするというわけにいかない。結果として、地方が住みやすくて仕事もあるから定着するということはいいわけですけれども、当面の住宅がない。当面のある程度規模の大きなそういう人たちが入れるような住宅が非常に必要だということを言われる方が市町村長さんに本当に多いわけです。そういった地方活性化といいますか、ひいては地方定住につながるためにも非常に重要な役割をこの制度が果たすんじゃないかと思うわけでございますけれども、そういった点をどういうふうにお考えになっているか、お聞かせ願いたいと思います。
#105
○政府委員(三井康壽君) 今回、御提案をさせていただいております特定優良賃貸住宅は、一番は大都市の方の御希望が多いと、これはもう事実として申し上げざるを得ないわけでございますが、ねらいといたしましては全国でお使いいただきたいというわけでございます。
 ちなみに、地方を活性化するにはどうしたらいいかという御議論は非常に盛んですが、産業振興とかレクリエーションとかいろいろあるわけですけれども、住宅もその中の一つに入っていることも間違いございません。
 私どもの方で各地方公共団体、過疎地域も含めまして市町村がどういうふうなUターン、Jターンのための住宅政策をやっているかと調べたわけでございますが、かなりの市町村で、数はそう多くないのですけれども、単独事業みたいな形でやっておられるというのがわかりまして、私どもも意外とびっくりしたときもございます。
 したがいまして、今回の特定優良賃貸住宅の制度の前に地域活性化住宅、これも御承知のところだと思いますけれども、地方に行きまして収入が結構高いと、公営住宅階層より上の階層につきまして地域活性化住宅というのもできるという制度がございます。それは収入基準を三三%にしているわけでございますけれども、今回も当然二五%から五〇%にし、各地方公共団体の知事によって八〇%まで入居基準を広げることができるとなりますと、従来やらせていただいておりました地域活性化住宅をこの中に当然取り込むのだと、こういうふうに認識をしているわけでございます。
 一方、そのほかに地域活性化の住宅対策としましては、例えばHOPE計画という地域住宅計画と言っておりますけれども、をやらせていただいております。多雪地方では雪に強い住宅、克雪タウン計画と言っております。あるいは地域の良質な木造住宅を使ってやっていただくウッドタウンプロジェクト、こういったものも、今は名前は変わっているわけでございますけれども、地域活性化住宅制度としてございます。それらが分譲系はまだ予算制度として残しているのですけれども、賃貸系はほとんどこの新しい法案の中に入れさせていただきました。助成措置も全く同一でやらせていただくということでございますので、大都市ばかりでなくて地方都市でもこれをぜひ地域活性化にも役立つということでお使いいただくように、私どもは普及努力といいますか、指導をしてまいりたいと考えているところでございます。
#106
○上野公成君 そろそろ時間がなくなってきましたけれども、持ち家でも賃貸でも自分で選べると、そういうことになりますと余計住みかえということが大事だと思います。そのためには先ほども七十五平米以上のものをつくれというお話がありましたけれども、百平米を超える百二十五だとか、そういうものも賃貸住宅でやっぱりある程度のストックが必要じゃないか。私は、持ち家についても所得制限もしないし幾ら大きいものでも補助をしていけば、それが住みかえで全体のストックが大きくなるということにつながると、これは持論なんでありますけれども、ぜひそういう方向でお願いをしたいと思うわけです。
 そこで、非常に期待の大きな制度がスタートしようとしているわけでございます。先ほども申し上げましたとおりに、住まいづくりは人づくり、これは子供が少なくなっているのは面積が大きくなるに従ってというお話も先日ありましたけれど
も、やはり子供が産めないという中には住宅事情も相当あるんじゃないか。高齢化社会を放置しないで、子供がなるべく多く育つような社会をつくるということ、その中心にこういった制度が非常に大事なことじゃないかと思うわけでございます。
 この法案の考え方を先ほども申し上げましたけれども、ほかの制度にも推し進めていただいて、全体の住宅の体系、賃貸住宅の体系をぜひつくっていただきたいと思うわけでございますけれども、建設大臣のその点に関する決意を伺って終わらせていただきたいと思います。
#107
○国務大臣(中村喜四郎君) この法案につきましては、ただいま住宅局長と先生との質疑等で具体的にこの必要性については確認をいただいたわけでございます。
 本年度は二万戸を募集させていただきますが、今の状況では大分好評でスタートができると思っておりますが、大切なことは、この事業が本当に軌道に乗るかどうかというのはこれから数年間が一番大切だろう、このように思っておりますので、この制度そのものについて公共団体を中心として広く国民に知らしめていただいて、そして不十分な点は改善をしながら、この制度が真に中堅サラリーマン層に対して住宅供給と居住水準の向上につながるように大いに力を入れて、建設省挙げてやっていきたい、このように考えておりますので、よろしくお願いしたいと思います。
#108
○上野公成君 どうもありがとうございました。
 終わります。
#109
○委員長(梶原敬義君) この際、委員の異動について御報告いたします。
 本日、山田勇君が委員を辞任され、その補欠として井上計君が選任されました。
#110
○白浜一良君 私は、本題に入る前にちょっと一点だけ大臣に確認をしたいわけでございます。
 きょう、もうお昼のニュースで華々しく報道しておりました。公取が山梨県の建設業協会並びにその基幹の企業何社が立入検査に入られたという、こういう報道が流れておりましたが、業界の監督官庁でございますし、所管の大臣といたしまして、この事実をどのように受けとめていらっしゃいますか。
#111
○国務大臣(中村喜四郎君) 本日午前八時三十分ですか、山梨県建設業協会本部並びに協会の八支部に対しまして公正取引委員会の立入検査が行われたということは報道で私も承知しております。詳細な事実については現段階で承知しておりませんので、建設省としてのこの段階でのコメントというのは差し控えさせていただきたいと思いますが、独占禁止法違反は当然あってはならないことであり、建設省としても従来より指導の徹底を図ってきたところでありますが、今回、県の建設業協会が公正取引委員会の立入調査を受けたということ自体が非常に重大であり残念である、いずれにしろ今後の推移を注意深く見守っていきたい、このように考えております。
 この独占禁止法違反の防止のために、昨年の十月に建設業適正取引推進機構を設立いたしまして、独占禁止法という法律についてできるだけ地方の業界の方々にも十分認識していただこうということで、公取からも講師を招いて講習会を開いているわけでありますが、こうした機構をもっと充実しながら独占禁止法という法律そのものについての理解を深めていくという努力をさらにしていかなければならないと思っております。
 そして、このたび入札・契約制度の一層の透明性、競争性を確保するということで方針を現段階で取りまとめましたので、今までは正直申し上げまして自治省と建設省とでこういった問題についての協議機関というものも設置できておりませんでしたが、今回はそういうものも近日中に設置いたしまして、今後もこういった問題に対してできるだけ公共団体に対して、ぜひ独占禁止法というものについての重要性というものを協議機関で協議をしながら実態を把握して、今後の対応に万全を期していきたい、このように考えております。
#112
○白浜一良君 本委員会、これを検討する場でございませんのでやめますけれども、埼玉県の談合問題も公取が入りまして摘発された。その都度、通達を出したり談話を発表されたりしている。しかし一向に改まらない。特に金丸さんの逮捕以後はそういう国民の税金がバックペイされて、いわゆる不当なやみ献金に使われているという大きな疑惑があるわけで、監督官庁として今大臣ちょっとお述べになりましたが、十分対応をしていってもらいたい、このことを強く要望しておきたいと思います。
 それでは本題に入りまして、一昨日、私は法案の個々の問題をお聞きいたしました。きょうは住宅政策全般に関しまして、特に賃貸住宅に関しましてお伺いをしたいと思います。
 私の承知しているところによりますと、第五期の住宅建設計画がございまして、このときに行政監察で、例えば財形融資住宅とか特賞とか、農賃ですか、そういうふうなものはある程度計画量が見込めると、そういうものは数量を明示すべきじゃないかという行政監察があった、このように私承知しております。それで、今実施されています第六期の五カ年計画を見ましたら、一応公営住宅等がいろいろ書かれておりますが、公的助成民間住宅十五万戸、このように明示されておるわけでございますが、これの内訳は明示されていないわけでございます。これは具体的な内訳というのはあるんですか。
#113
○政府委員(三井康壽君) 五ケ年計画は割と大きな項目でまとめておりまして、公営住宅等、これは改良住宅とか地域特賞、今回の特定優良賃貸、これが入ります。それから住宅金融公庫住宅、それから公団住宅、それと公的助成民間住宅、その他住宅、こういうふうに非常に大きく分けさせていただいております。
 それで、公的助成民間住宅の中には種類が三つございまして、一つが農地所有者等賃貸住宅、二つは特定賃貸住宅、これは先ほど来からの御説明をさせていただいたものでございます。それから三つ目が、これは新しく今回から入れさせていただいているのですけれども、市街地再開発事業等の町の中の再開発なんかによって生み出される住宅、これに公的な助成が入っているわけでございます。そういった大きく分けて三つのものを合わせまして十五万戸でございますが、農地所有者等賃貸住宅が四万戸、特定賃貸住宅が五万五千戸、市街地再開発事業等の事業によってできますのが五万五千戸、合わせて十五万戸ということでございます。
 なお、第五期の五カ年計画におきましてこれらに相当する実績でございますけれども、農地所有者等賃貸住宅が一万八千戸、特定賃貸住宅が一万九千戸、市街地再開発事業等による住宅が一万三千戸、こんな実績がございまして、これを念頭に置きながら、第六期の五カ年計画を先ほど申し上げましたようなトータル十五万戸というふうに計画をさせていただきました。
#114
○白浜一良君 それで、ちょっと一、二点確認したいんですけれども、この五計見ましたら、その他の住宅四十五万五千戸、これ非常に大きい数がその他となっているんですが、これは何なんですか。
#115
○政府委員(三井康壽君) これは大変たくさんの住宅を中に入れておりまして、種類としては十八ぐらいの種類がございます。
 代表的なものを申し上げますと、厚生年金住宅とか、それから雇用促進住宅とか、あるいは国家公務員住宅、それから地方公務員の住宅、それから政府でお金を出しているので言いますと、住宅新築資金等の貸付住宅、あるいはがけ地近接の住宅、それから過疎地集落の移転住宅、僻地学校等の教員宿舎あるいは勤労者財産形成住宅、こういったもの等々で十八ぐらい種類がございますけれども、これの総トータルでございます。
 この計画四十五万五千戸のうち一番大きいのは
地方の単独住宅でございまして十五万戸余、それから厚生年金住宅が七万七千戸、こんなことで計画させていただいているところでございます。
#116
○白浜一良君 それで、今回、特定優良賃貸住宅の制度ができるわけでございます。これは初年度二万戸ということでございますが、いわゆる五計全体の中での位置づけというのは常にお考えになっているわけですか。
#117
○政府委員(三井康壽君) 第六期住宅建設五カ年計画のときは、特定優良賃貸住宅というのを想定いたしておりませんでしたので、そのときは入っていないというふうにお考えいただきたいのですけれども、ただし地域特別賃貸住宅というのがございまして、これが発展的に解消して拡充をして今回の特定優良賃貸住宅になりました。
 したがいまして、私どもの現在の考えは、公営住宅等というものの中に地域特別賃貸住宅が入っておりますので、特定優良賃貸住宅はこの公営住宅等の中に計算をしてカウントしていこうと考えております。
#118
○白浜一良君 わかりました。
 これは何回も論議されておりますが、非常に有望な制度でございますので、年次年次拡大されていきますようにお願いをしておきたいと思います。
 それから、いわゆる住宅政策でいろんな制度があり過ぎるんじゃないか。いろんな制度、法律つくられて、それはそれぞれ位置づけと考え方があるわけでございますが、利用者の方からいいましたらわかりにくさがあるんじゃないかということ、西野さんもお話しされておりましたが。
 先ほどおっしゃいましたが、賃貸住宅の制度が四つあるんですね。それで、それぞれ確かに特色はあるんでしょうけれども、私調べましたら、例えば公団の民賃なんかでもいろいろ借り受け制度とか特借制度ですかがあって、だけれどもこの特借制度なんというのは、もう平成三年も四年も実績ゼロだと。いろいろねらいがあってつくられているんやけれども、煩雑過ぎて実際使用されにくいという。それから、これまたちょっと角度が違いますが、市街地住宅の供給、再開発の促進という面でいうと二十一の制度があるんですか、そういうふうに伺っております。
 だから、いわゆる土地所有者、また利用者という観点からいいますと、窓口があっちにもこっちにもあって非常に使いにくい。もっとシンプルにそういう優良な賃貸住宅を促進するために制度の簡略化というのはできないのかということを私伺いたいんですが、この点はどうですか。
#119
○政府委員(三井康壽君) 賃貸住宅の制度に限らずに、住宅関係、再開発を含めまして非常に複雑だという御指摘は前々からいただいておりまして、わずかの差だけれども制度が違うというのがかなりあるわけでございます。住宅関係でも新しい制度をつくっては昔のものを統合したりしながら努力しているわけでございますけれども、賃貸住宅政策に限って申し上げましても、大きくは四つでございますけれども、その中の内訳を見るとまた幾つかある、何かだんだん見ているとわからなくなってしまうというふうな御指摘も確かにいただいているところでございます。
 今回の特定優良賃貸住宅は、公庫融資住宅とは基本的にはダブるわけでございます、公庫融資を使うという意味におきまして。ただし、公庫融資でも平成三年度で四万三千戸融資したと先ほど御説明申し上げましたけれども、今回、二万戸のうち公庫融資を使うのが幾らかわかりませんが、七、八割は公庫融資をお使いになるのだろうと思うわけでございます。それは戸数的にはダブってしまうわけでございますが、その意味で言いますと、公庫の戸数と今回の特定優良賃貸は言ってみれば一緒にやっているというふうに言えようかと思います。
 あと、公団のいわゆる民賃、それから農住の農地所有者等賃貸住宅、それから公共団体がやっておられます特定賃貸住宅、これがどういうふうな相関関係になるのか。それぞれ成立のときの経緯等がございまして、例えば農地の場合ですと農協の資金を使ってやるということになりますと、今回の制度が公庫融資でしかも四・一%でやろうということになると、一緒にするのがやや難しいかなと思ったりします。
 それから、特定賃貸住宅は、これは民間資金を使われて公共団体が利子補給をする。割と関西地区ではやっているといいますか、関西でほぼ半分なわけでございます。年々歳々割とこれは戸数も減ってきておりますので、場合によってはこれは統合するという考え方も当然出てくるかなと。
 公団民賃についてもやっぱり同じような議論がございますが、公団住宅の供給という面も頑張らなければいけない点もありまして、これを完全に統合すると公団の戸数、もっと頑張れという御議論も出るかなという気がいたしたりしまして、直ちには、今回はそういったものをそのまま一応残した形で、地域特賞だけは統合いたしましたけれども、統合といいますか、それをなくしましてこの制度にいたしたわけでございますけれども、その他の制度につきましては一応そのまま残した形にしてございます。
 しかし、複雑で何かよくわからないのがたくさんあるというのは決して好ましいことではないと思いますので、成立しましたその制度の経緯等を当然踏まえながらも簡素化に努めてまいりたいと思っております。
#120
○白浜一良君 既に御存じだと思いますが、建設省の実態調査によりましても、東京圏の「各種助成制度の認知・利用状況」、これは建設省の資料ですよね。これまたちょっと意味が違いますよ。意味が違いますが、例えば住宅金融公庫の土地担保賃貸住宅とか七つのいろんな制度に対して、知っているか、利用しているかという調査がございますけれどもね。ひどいのなんかになりましたら、これ何ですか、農地所有者等賃貸住宅利子補給制度、農賃のやつですね、この利子補給制度。これは知らないというのが七七・七%ですものね。
 今度のこの制度は優良な制度やからそれは普及するかもわかりませんが、何というかな、広報の仕方というか、そういう問題もあるんですけれども、やっぱり煩雑というか、利用者から見るとどうもそこがいいというのがわからぬという、そういうことが実際あると思うんですよ。だから、実際この実態調査を見ても、そういう制度そのものを知らないという方がたくさん実態であらわれているわけです。この辺、きょうの午前中の参考人質疑でも問題点として挙がっていたわけでございますが、局長、もう少しそういう制度の利用者の立場に立った普及というか、そういう観点から特にこういう点に力を入れたいということがございましたら、ちょっとコメントをいただきたいと思います。
#121
○政府委員(三井康壽君) 役所仕事なものですからなかなかPRがうまくいかないので、その点は大変申しわけないと思っているのですけれども、一つには、例えば不動産関係の団体とか、先ほどは農協関係の団体が割と熱心だというお話もありましたので、そういった公益法人でそういう不動産関係を扱っている方々にもできることなら協力をしていただくとか、それから一般誌はなかなかそうはいきませんので、専門的な住宅関係の情報誌とかそういったところでの御協力を得るとか、それからいろんな講習会とかそういったところでその普及をしていきたいと思います。
 ただ、パンフレットだけを配りますと、やっぱりパンフレットというのは読んでいてもなかなかわからないことがあるわけでございます。正確を期そうと思えば思うほどわかりにくくなるわけでございまして、実際に地主さんで何らかの形で老後に備えて賃貸住宅経営をしたいとか、そういう方がおられるわけでございますけれども、そういった地域地域のニーズを酌み取れるような適正なる団体等がございますればそこにも協力していただくという形で、直接的に内容の御説明ができるような形を各市町村などに対しまして普及していきたいと思っております。
#122
○白浜一良君 もう一つ、角度を変えまして。
 私は大阪でございますが、大阪でも非常に問題になっているのはいわゆる木造の老朽賃貸住宅ですね。これは市街地住宅密集地区再生事業ですか、こういう事業が既にあるんですけれども、実際問題からいいましたらこれはもう大問題です。大阪でも、戦後のまだ法整備されない前にどんどん人口が膨らみましたから、住宅が迷路のようになって、いわゆる大阪では文化住宅と言うんです。どこに文化があるのかという家でございますが、そういうのがありまして、これは当然再生事業をされているわけでございます。しかしながら、実績を聞きましたら、これは二千七百戸だと。これはどういうことなんですか、実績が二千七百戸というのは。
#123
○政府委員(三井康壽君) 確かに、住宅対策の中で問題点の大きなものの一つがいわゆる木賃住宅でございます。これは、規模が小さくて、構造が悪くて、そして設備がおふろがないとかトイレも共用だとか、そういったものを木賃住宅と称しているわけでございますけれども、大都会で、特に戦後かなりばたばたと建てられました。大阪地区も、例えば川西で非常にばたばたと建てられた例が、昭和四十二、三年ぐらいで新聞でも相当問題になりましたが、そういったものがたくさんございます。これは大阪に限らないんですけれども。
 そこで、それを何とか直していくにはどうしていくかということで、現在は市街地住宅密集地区再生事業という名前にしているわけでございますけれども、一つは、密集地区で道路も細いものでございますし、空地もない、公園とかそういうのもないというので、御協力いただける方の土地を買収しまして道路を少し広げるとか、公園みたいなものをつくっていくとか、そういった事業をするとともに、建てかえをする際に公庫融資を入れるとか、その建てかえの公庫融資にあわせて公共団体が少し補助をするとか、それに国もつき合うとか、こういった制度が市街地住宅密集地区再生事業でございます。しかし、現実には建物が大体借家でございまして、たくさんの借家人がおられる、所有者も建てかえるような資力がない、そういった現状が事実でございます。したがって、公共団体が割と熱心にやっていただきまして、例えば東京で言いますと、世田谷区とか新宿区というのが熱心でございます。それから、大阪でも門真市では、あるいは御承知かもしれませんけれども、一昨年にそういった密集地区を一応クリアランスしまして、建てかえといいますかできた地区もございます。しかし、現実になかなか進まないのは御指摘のとおりでございますが、これは制度をやるというよりも、地元の方々にどうやって理解をしていただくかということが一番大事がなと、そういった意味で人海作戦といいますかというふうに思います。
 したがって、この事業が二千七百戸で少ないとおっしゃられるのですけれども、最近になってようやくこういうふうに戸数が建ってきたということでございまして、二千七百戸のうち平成四年度で五百戸建っている。ですから、平成四年度まではかなりの期間やりましても二千二百戸しか建てかえができなかった、こんな状況であったわけでございます。
 そこで、私どもとしましても、非常に地域性の高いところでございますので、東京で言いますと区にしっかりしていただかなければならない、それから普通の場合は市町村でそういうふうに建てかえをしていく居住者の方々、地主の方を含めて協力していただくというそういう組織づくり、体制づくり、これが一番今力を入れているところでございまして、一昨年そういった木造賃貸住宅の密集している地区の再生をしようという協議会をつくりました。これは東京と大阪とそれぞれつくっているのですけれども、学者の先生も入ったり、それから都道府県の職員、区市町村の職員も入っていただきましたもので本格的に取り組みをしかけているということでございます。
 ただし、これはなかなか現実問題として難しい事業でございまして、地道な努力と時間を必要といたします。本当に建てかえができるようになりますれば助成措置というのが一応はあるわけでございますが、やはり権利関係をどうやって解きほぐしていくか、それから一戸当たりの住宅が十平米とか十五平米とかそういう住宅でございますので、建てかえをするときも実際問題としては権利者の合意というのを得るのがなかなか大変でございまして、そこを解きほぐしていくことができればこの事業は非常にうまくいくのではないかと思います。その点がなかなか進まないというように理解をしているわけでございます。
#124
○白浜一良君 局長そうおっしゃいますけれども、私はその政策努力が足らぬ、そう思います。
 まず、きょうは二つだけ言っておきますけれども、一つは、私は大阪当然詳しいんです。それで、対象地区が大阪で言いましたら、当然、豊中の庄内地区とか寝屋川の萱島とか門真、この辺は本当にそうなんですよ。ところが、御存じのように、大阪市内部も大変そういう地域がございまして、私大阪市で調べましたら、民間の老朽木賃住宅戸数というのは、共同住宅で十三万戸あります。それから長屋建てが七万戸。大阪市内だけでも二十万戸あります、老朽住宅が。大阪市はこの対象地区に入っていない、全然指定されていない、こういう問題が一つ。よろしいか、局長。
 もう一点指摘したいのは、誘導政策が弱いんですよ。これは予算を見たら、平成四年度が十三億ですか、五年度予算で十五億ですか、このくらいの予算ではできないですよ。もっと本格的にこれやらないと。実際問題どうなっているかといいましたら、確かに今おっしゃった門真の一つの地区だけ、あれは古川橋という京阪電鉄の訳ありますよ、古川橋の北側は駅前再開発と一体でちょっと整備したんですよ、きれいにした。一歩中へ入ったら前のままですよ。それで、ああいう文化住宅というのは、大体平均的に言いましたら、木造の集合住宅で、下が四軒、五軒、上が四軒、五軒、そういう長屋建てになっていまして、立ってやるような狭い炊事場と、あと四畳半、六畳、このぐらいですね。それで、壁は隣の話し声まで聞こえるというそういう本当に乱造された住宅でして、もう入らないんです、若い人たちは。どんどん出ていったりしているんですよ。それで家主さんも出ていくのを待っているんですね。
 それで、どうするかというと、もう老朽化しできますから建てかえて、そこで二戸一とか、ちょっと大き目の分譲住宅にして売っている。そこそこの値段で売れるんですよ。ところが、いわゆる住環境は変わっていない。道路も路地みたいなままやし、全然整備されなくて、実質的に建てかわっていっているというそういう現状があるんです。だから、もっと誘導政策をきちっとつくってやらないとこれはめちゃくちゃになりますよ。そのアパートは、その文化住宅は古くなって建てかわっているけれども、そういう住環境としての劣悪さというのは全く何も変わっていない、そのままなんですよ。
 だから、年間で、残念ながら、昨年度で十三億、本年度で十五億、これでは三千ヘクタールを超える、今の指定されている地域だけでそれだけあるわけで、私大阪市のことを言いましたが、それ以外にももっとあるんです、そういう地域が。新しい制度をつくって、そういう優良な賃貸住宅をつくるのも大事ですけれども、常に劣悪なそういう住宅をきちっと整備していくということがもっと大事だと私思うわけで、この辺もしっかり取り組んでいただきたい、このように思うわけでございますが、御見解を伺いたいと思います。
#125
○政府委員(三井康壽君) 確かに、この問題は私どもといたしましても相当長い間取り組みはしているわけでございまして、取り組みはしながらも遅々として進まないという現状でございます。
 これは今、白浜先生、お金がたくさんつけばもっとうまくいくのじゃないかというふうな御指摘ではないかと思うのですが、こういう密集地区の再生というのは非常に権利関係とか、土地も結構値段は周辺のいい住宅地よりも安いのですけれども一般的には高こうございますので、したがってそこそこの住宅で建てかえられると需要がつい
ちゃうという点も否定できないわけでございます。それを乗り越えて、公共団体もある程度土地を取得して、出ていかれる方の土地を間引きしながら道路を広げたり適切な公園の配置をしていくだけのまだ準備は整っていないというふうなことではないかと思うわけでございます。
 ちなみに、今どういう助成措置をさせていただいているかをちょっと述べさせていただきますと、一つは、建物の建てかえ促進のために、住宅の所有者が除却をする、それから新たな建物を建てるための設計をする、それから共用部分など共同施設の整備、それにつきましては公共団体が補助する際に国も補助しまして、おおむね国、公共団体合わせまして戸当たり、特定優良賃貸は二百万と申し上げましたが、規模によるのですけれども、百万から二百万程度は特定優良についてと同じような補助がここには出ております。それから、密集しているところで空地をとるために道路や公園の用地のための敷地の取得につきましても補助を公共団体に出しているわけでございます。それから従前居住者の家賃対策補助もさせていただいているわけでございまして、国としてはある程度の措置はさせていただいているのではないかと思うわけでございます。
 やはり権利関係をどうするのか、本当にごちゃごちゃしているところが多いものでございますので、それを解きほぐしていくような、何といいますか、組織体制というものがもっとそれよりも大事じゃないかというようなことでちょっと申し上げました。ただ、努力が足りないという点は、今の御指摘受けまして我々もまたさらなる努力をいたしたいと思います。
#126
○白浜一良君 時間がないのでもうこのぐらいにしておきますが、大変重要な問題なんです。もう本当に老朽化して、これはうまくいけばいいですけれども、下手するとスラム化するわけでして、だから賢明な誘導政策を、この再生事業そのものもございますが、それでいいのかどうかも含めて検討していただきたい、このことを要望しておきたいと思います。
 最後に大臣、今回特定優良賃貸住宅の促進という点では非常にすぐれた制度なんですが、これは中堅所得者のファミリー賃貸住宅ということがねらい目なんです。と同時に、これから高齢化社会を迎えていくわけで、そういう高齢者を対象にした優良な賃貸住宅を促進することも大事じゃないか、これを踏まえてそういう新しく制度をつくる必要があるというふうに私ども思うわけでございますが、どうか前向きな御見解を伺って質問を終わりたいと思います。
#127
○国務大臣(中村喜四郎君) 御指摘をいただきましたように、我が国はこれから高齢化社会を迎えていくわけでありますし、また一方では核家族化という問題も大きな社会的な問題となっているわけでございますので、そういう面では高齢者に対する住宅というものが次の時代のニーズに的確に対応できるような政策というものを検討していくことが重要なことは御指摘のとおりだろうと思います。
 そこで平成五年度予算では、シニア住宅について、従来の家賃等の一時払い方式とか、あるいはシルバーハウジング・プロジェクトについて、従来のライフサポート・アドバイザーの常駐方式に加えて、福祉施設との連携による方式等を追加するとともに、計画的にこうしたものを拡大していきたいということで、シニア住宅は五カ所から十カ所に、そしてシルバーハウジングは千戸から三千戸に、そして住都公団の高齢者向け住宅の供給戸数を一千戸から二千戸にと、こういったことで、さらに建築基準に基づく公営住宅の建設を推進するための補助に係る工事費単価の引き上げ、こうしたものも行ってまいりますし、公庫の高齢者同居割り増し貸し付けに対する限度額を百五十万から三百万にと、こういったことを網羅しながら、高齢者が次の世代に安心して老後が暮らせるような政策というものを前向きに取り組んでいく、こういう考え方でやっていきたいと思っております。
#128
○上田耕一郎君 今回の特定優良賃貸住宅の制度は中堅所得者向けに家賃補助へ一歩踏み出したものとして評価できるものですけれども、なお矛盾点とか非常に重要な大きな課題、これが当然残っているわけですね。きょうは幾つか取り上げたいと思うんです。
 まず第一点は、おとといの質問の最後に取り上げましたけれども、認定事業者と管理者との関係です。
 知事は事業者に対して報告要求ができる、改善命令も出せる、認定取り消しの権限も持っている。地方公共団体も助言、指導ができるようになっているんですけれども、それは認定事業者に対してであって、管理会社その他の管理者には直接及ばないわけですね。そこから生まれる問題の一つとして、入居者にとっては家賃の補助、これがずっと将来にわたって安定して行われること、これが一番気にかかることなんだけれども、万が一家主やあるいは管理者が非常にまずいことをやりまして認定が取り消されるというようなことになると、突然家賃が上がるわけですね、補助もなくなるので。そういうふうなケースも考えられないわけではないんで、そんな場合何か救済策はありますか。
#129
○政府委員(三井康壽君) 確かに今の御指摘のような、一つは事業主体自体が決められた賃貸住宅条件に違反するとかいう場合には改善命令を出す、場合によっては罰則もかける、こういう仕掛けをしております。
 管理会社の場合はちょっと別におきまして、仮に今の例で申し上げますと、非常に当初きちんとした条件を受け入れながら事業をされたにもかかわらず、それと違うような管理をしたような場合は当然改善命令が出て、改善命令に従わなければ入居者負担額の補助金を打ち切る、こういった措置が出てくるわけでございます。しかし、改善命令を出しますには相当の時間がございまして、事実上、入居者に、ある日突然にこの住宅は補助金が来ないからだめだよというふうなことがないように、まず一つ都道府県に指導をお願いしたいというのが一点でございます。
 それから、家賃自体は市場家賃で決まっているわけでございますけれども、入居者負担額というのは補助金が来ることによって五%なら五%上がっていくというふうな契約になっているわけでございます。したがって、これは契約書をこれからどういうふうにつくっていくかの問題でございますけれども、入居者負担額は一挙には本当は上がらないという契約書のつくり方もあるわけでございまして、そういったことの工夫もしていく必要があると思っているわけでございます。
#130
○上田耕一郎君 これから発足する制度なので、さまざまなケースを想定して、ひとつスムーズに運営されるような研究を要望したいと思います。
 二番目の問題は、今も取り上げられましたけれども、民間アパートに入っている低所得者層の問題ですね。この特定優良賃貸住宅に入居できる中堅所得者は今度家賃補助の恩恵を受ける、それ以下の所得者は公営住宅に入っている人以外は民間の非常に質の悪い借家住まいをすることを余儀なくされる。
 住宅統計調査、昭和六十三年のを見ますと、最低居住水準未満の世帯、そのうち四五・七%というのは年収三百万円未満の世帯、百六十二万いらっしゃるわけですね。それから、一番おくれているのは低所得者なんですけれども、公営住宅もなかなか建てることが困難な状況にある。そうすると、今回の制度を一歩前進させて、今木賃アパートの密集地帯の問題、非常に困難な話を率直に局長話されましたけれども、低所得者の民間住宅に入っている人たちに対する政策、これも大きな課題であると思いますけれども、今後の方向で考えておられることがあればお答え願いたいと思います。
#131
○政府委員(三井康壽君) 今回の特定優良賃貸住宅が出る前と、今特定優良賃貸住宅が実際に供給される時点におきまして、それ以前とそれが供給される時点とでは、民間の賃貸住宅の居住者に相
対的にはそういう御疑問が出るわけですけれども、実際は前と余り変わらないということだと思うわけでございます。
 しかし、従前よりもこれを積極的にやろうということは、民間のそういう賃貸住宅、高くて余り質のよくないところに入っておられる方をなるべく早目にこういう政策によって供給して入っていただくようにしたいということが大きなねらいでございますので、したがってある一定の期間は、抽せんて当たるとかそういうことによって実際に入れるまでの期間はある程度我慢をしていただかざるを得ないかなと思います。
 それから、今回の特定優良賃貸住宅は、公営住宅に一応入居するときはその入居基準に合っているのですけれども、十年二十年たつと収入が高いにもかかわらずなかなか出ていかれない方が多い、したがって新しく本当に困っている方が入れないという方が相当いるという問題が出てきていることを考慮に入れまして、ある程度収入が上がっていくぞ、五%ずつ上がってもいいから入ろうというどちらかというと成長階層の方に入っていただきますから、本来的にこれから建てかえが中心ですけれども、公営住宅を建てれば所得の伸びにやや不安のある方々の入居の機会も逆にふえていく、こういうふうに思っているわけでございます。
 したがいまして、すべての民間の賃貸住宅におられる方々を一挙に解決するのはなかなか難しいのじゃないかと思っているわけでございます。
#132
○上田耕一郎君 一層の努力を要望したいと思いますけれども、三番目の問題は、今も問題になりました高齢者層の問題ですね。
 一つ実例で申し上げますと、東京都の住宅供給公社が海岸三丁目という二十階建てを建てまして、今度一月に募集になったんです。募集したところがこれはなかなか、地域特賞B型も使っている、都民住宅も入っているんですけれども、募集戸数百五十五、港区の海岸三丁目なんです。申し込み数千六百八十で十倍だったんですよ。ところが、百五十五戸が抽せんで当たったんだが、契約数七十三、未契約数八十二というので、辞退しちゃったんです、八十二戸は。せっかく当たって、十倍を。
 東京都に聞くと、余り言わないんだが、この中で特に地域特賞B型の人はどのぐらいあるのかということをはっきりまだ言ってくれないんだけれども、やっぱりあるらしいですよ。何でこうやってせっかく当たったのに辞退になったかというと、五%ずつ毎年上がっていくでしょう、それがやっぱり大変なんですな。
 実際にこの家賃を見ますと、二LDKの地域特賞B型で、最初十一万五百円なんですよ。これなら払えると思って申し込むでしょう。ところが、いざ当たってみたら契約家賃は最終的には二十七万八千五百円となっているんです。そうすると、当たりはしたけれども、やっぱり五%上がっていくとこれはかなり年をとると難しいなということに実際に当たった人がなっちゃって、半分以上辞退になっているという実例なんですね。地域特賞B型の場合は建設費に対する補助がありませんからこれよりはもちろん安くなるだろうと思うんですけれども。
 だから、働き盛りのときは家賃補助を受けていくんだがだんだん五%ずつ減っていくと、いよいよ年金暮らしになって収入がダウンするころ一番高くなるということになってくるわけで、その点で午前中の参考人質疑でも申し上げましたし、それから今も白浜委員から指摘がありましたけれども、この住宅宅地審議会の中間報告に相当強烈に問題提起されている高齢者住宅に対する施策、これを今後大きな課題としてぜひ研究、検討して実際に進めていただきたい、そう思いますが、特に白浜さんに対するお答え以外にありましたらお願いします。
#133
○政府委員(三井康壽君) 今、高齢者ということに絞って御議論されたわけでございますが、都の公社の今の場所は海岸通りという港区の港南地区というところでございましょうか、ちょっと運河に挟まれた、これは多分公社は土地を取得いたしまして、国のどこかの税関の支署の跡地を国が国有地の払い下げをしてその土地を取得して供給しているものだと思うのです。したがいまして、当然地代の分といいますかが入っているので最終家賃が三十万ぐらいになっているかなというふうに思います。
 今回の特定優良賃貸住宅は、考え方としましては地代相当額を取るというようにはなっているのですけれども、市場家賃ということを考えますと一般的には地代相当額というのはそう取れないということをおととい申し上げました。したがって、今おっしゃられた額よりも多分低い額で市場家賃は設定されますので、びっくりするような、今の十何万から二十何万、倍近く上がるというようなことはないだろうと今回の法案につきましては思っております。それはちょっとお断りでございます。
 それから、高齢者住宅につきましては、一般的には本法案は高齢者よりも成長階層といいますか、三十歳代で最低居住水準未満率がこの前の統計で広がったということを念頭に置いているわけでございますが、本当に六十歳以上になって高齢者になられましたときはやはり多少別の観点からの政策が必要ではないか。大臣が申し上げましたシニア住宅とかシルバーハウジングとかやらせていただいておりますけれども、収入も少なくて、しかも介護もある程度は自立をしながらも相談に乗ってあげられるようなシステムというのは徐々にふやしておりまして、これはその考え方で進めていきたい。
 したがいまして、特定優良賃貸住宅はどちらかというと重点は中堅の割と若手の階層で成長階層、それから高齢者住宅は別途の政策をやっていく、こういうふうに考えているわけでございます。
#134
○上田耕一郎君 これは大臣に大きな根本問題でお伺いしたいんですけれども、今度のこの制度は家賃補助制度への非常に重要な一歩だと思うんですね、今度一歩踏み出したこういう方向。今までの収入の多さ低さによって公営、公団、それから公庫に分けてやって、収入が変わっていくと住みかえていく、そういうことを前提とした性格から、公共賃貸住宅の家賃体系を家賃負担能力の変化に応じた体系に変えていくという課題に政府の公共住宅政策は今大きく前進することが求められているんじゃないだろうかと思うんですね。
 日本とヨーロッパとはいろいろ歴史が違いますけれども、欧米の住宅政策、今、主流は七〇年代から賃貸住宅、特に家賃補助、これが主流になってきているんですね。多くの本の研究なんかも出ているんですけれども、物から人へ、公共住宅をどんどん建てていく、それに対して国、自治体が補助していく。物に対する補助、援助から人に対する援助、補助。対人政策、入居者への補助、これに転換が欧米では七〇年代からもう始まっていると、そう言われるわけです。
 この委員会でも私たびたび指摘しましたけれども、もう地方公共団体、自治体は実際に現状とそれから住民要求に迫られて家賃補助を非常に進めているんですね。九二年度の東京都の住宅白書もあります、これに詳細な表が出ていますけれども、東京の各区では家賃補助をずっとやっていますし、それから住宅条例をつくっている区なんかもどんどんふえているんですね。この点では、住宅基本法問題がなり出たけれども、自治体の方がどんどん進んでやっているという状況が生まれているわけですね。だから、東京都の二十三区全部が行っている家賃補助というのは、今の日本の住宅問題、特に大都市の住宅問題を解決する上で現状を解決する方向に沿った政策となっていると、そう思うんですね。
 ぜひ建設大臣も、今度の制度で大きく一歩踏み出した対人、人に対する体系、入居者への補助、そういう方向に日本の公共住宅政策の重点を発展させるという時期に来ていると思いますので、ぜひその方向を強力に推し進めていただきたいと思うんですけれども、大臣いかがでしょうか。
#135
○国務大臣(中村喜四郎君) 先生から御指摘をいただきました点につきましては、応能家賃制度の前提である家賃の負担能力に関しては、世帯の収入のほか家族構成、居住地域等に影響されるものもあり、また居住する住宅の水準を無視して負担限度を定めることについても問題がある、このように考えております。
 さらに、良質な賃貸住宅が不足しているという現状においては、賃貸住宅の家賃と入居者の負担能力の差額については、民間賃貸住宅を含め幅広く補助する応能家賃制度の導入については慎重に対応すべきである、このように考えております。むしろ、良質な住宅の供給や建てかえに際し、良好な住環境の実現が図られる場合については、家賃の減額のための補助を実施することは財源の効率的活用の観点からも適切である、このように考えております。
 そして、先生から御指摘をいただいた地方公共団体が進んでいるではないかということでございますが、こちらにある資料をちょっと目を通してみますると、一般的な形でのそのようなシステムではなく、いろいろの条件の中で、立ち退きによって他の民営借家に転居するとかそういった場合に対して補助が行われる、このように私どもは認識しておりますので、その点が先生の認識と若干異にするところであります。
#136
○上田耕一郎君 東京の場合、江戸川なんかは確かに立ち退きのお年寄りにかなり重要な基金をつくって始まったんですね。しかし、例えば渋谷なんかの場合は、立ち退きを迫られたお年寄りだけじゃなくて、新婚家庭とかかなり広い世帯に対する住宅補助制度をつくってきましたのでね。だから、そういう認識もまだ事態の発展に対して正確に見ていらっしゃらないということを指摘したいですね。
 今、慎重にとおっしゃいました。先ほどの住宅部会の中間報告も、一般的な家賃補助については負担能力の把握の困難さ、それから市場実態を理由にして引き続き検討という慎重な態度にとどまっているんですね。しかし、いつも慎重、慎重というんじゃ、いつ条件が整うかということになりますので、ぜひ積極的にもっと踏み出していただきたいと思うんです。
 私は、今回の制度の創設を評価するとともに、大きな課題として、第一、公共賃貸住宅の供給の大幅な増強。二番目に、高齢者のための住宅政策、これを早急に具体化すること。それから三番目に、今の公共賃貸住宅の家賃体系を所得実態に応じたものに見直すこと。四番目に、民間の賃貸住宅入居者を対象に家賃補助制度実現、この具体策を講ずることという課題がなお日本の公共住宅政策にとって大きなものになっているということを指摘させていただいて、私の質問を終わります。
#137
○萩野浩基君 午前中は参考人の方から貴重なる意見を聞かせていただき、今回のこの法案はある意味で新しい住宅に対する一歩を踏み出すものとなるのではないかと、そのように期待しております。
 いずれにしましても、我が国の借家の質の改善というのはもうこれはおくれにおくれておりましたし、それから借家世帯の居住水準の向上というものが最も重要なものであります。
   〔委員長退席、理事種田誠君着席〕
 子供の出生率が非常に下がってきておるというのは、これは日本の将来に対して非常に暗いものなんですね。その原因がいろいろ言われているんですが、最近明白になってきたのは、子供を育てるのに居住空間の問題が大きな原因になってきているということが明らかであります。
 日本の借家の平均規模というのは四十四平米と聞いておりますが、もしわかりましたらドイツとかフランスとか、大体似たようなところの平均規模というのをちょっとお知らせいただけたら幸せです。
#138
○政府委員(三井康壽君) 調べた年次がちょっとずつ違いますので、それを前提で申し上げますと、旧西ドイツの八七年の統計では、一戸当たりの床面積のストックでございますけれども、六十九平米でございます。それから、フランスが八四年で六十七・九平米、日本が八八年で四十四・三平米。これが借家の一戸当たりの床面積でございます。
#139
○萩野浩基君 ありがとうございました。
 今示されたとおり、これを比較してみても、いかに日本が低いかということで、この土地所有者等による良質な賃貸住宅の供給ということ、特に中堅層に対する公的な賃貸住宅として、これを今回、この法案が通れば活用していくということは、これは先ほども申し上げましたけれども、非常に大事であると、またすばらしいことだと思います。しかし言うまでもなく、この住宅施策の展開に当たりましては、あわせて住宅に困窮している低所得者に対する施策というものも十分我々は考えていかなきゃならないんじゃないか、そのように思います。
 元来、住宅市場におきましては、自力で良質な住宅を確保できない低所得者というものに対して、憲法でも保障されておりますが、健康で文化的な生活を営むに足る住宅を提供するということはこれは公共部門の責務であり、また義務でもあると考えております。
 現在、低所得者に対する住宅供給制度としましては公営住宅制度がありますが、いまだにこれは十分に供給されているとは言えないと思います。何人かの私の知っている者たちが東京都の都営住宅に入りたいとトライしているんですけれども、なかなかそれが当たらない。ちょっと聞いておりますが、大体でいいですが、一体何十倍ぐらいなんですか。
#140
○政府委員(三井康壽君) 東京都の都営住宅で申し上げますと、新築の場合、平成元年が三十九倍、二年が五十五倍、三年が五十六倍。空き家でございますが、空き家はやや規模が小さくなりますので、八・八倍、六・八倍、七・一倍、そんな状況でございます。全体ならしますと、十五倍から十三倍の間でございます。
#141
○萩野浩基君 先ほど言いましたように、やはり子供を育てるのに一番最適なようなところというのは、大体五十倍みたいになっちゃうんですね。ここに大きな問題があるだろうと思います。
   〔理事種田誠君退席、委員長着席〕
また、古くなった狭い公営住宅というのも少なくありませんですし、建てかえをしなければならないというような要請も都民から上がっていることも聞いております。
 近年、この土地の高騰によりまして、公営住宅の新規の供給というのはだんだん下がってくるだろうと、こう思います。特に、住宅に困っておられる低所得者に対する公営住宅については、国民の要請に応じて並行して進めていかなきゃならない。今回のこの法案は非常にいいですから、それも並行して考えていくべきと思っております。
 そこで、公営住宅の的確な供給のためにどのような施策を考えておられるか、簡単でいいですから、御答弁をお願いします。
#142
○政府委員(三井康壽君) 現在、建てかえがもう主力に大都市ではなっているわけでございます。東京都で言いますと、平成四年度では七割が建てかえでございます。全国で三分の二でございまして、それから先生の御地元の宮城の場合も大体同じ傾向で、六六%ぐらいが建てかえと、こういう状況でございます。
 建てかえになりますと、先ほどの答弁でちょっと申し上げなかったのですけれども、割と立地条件がいいものでございますから、しかも家賃が安いというので応募倍率も高いと、そういった面もございます。一概に非常に高いから何かサボっているのじゃないかというふうにおとりいただけない面もあるということを申し上げておきます。
 そこで、建てかえが主力ではございますけれども、平成五年度におきましても公営住宅の供給のための制度改善を予算でお願いいたしております。
 一つが、特定市街化区域内農地を公営住宅用地として売っていただけるような場合、従来、国か
ら補助金というふうな用地費は出ておりません、地方負担でございます。地方債でやるというふうになっておるのですけれども、臨時的に五カ年に限りまして緊急に買う場合には地方公共団体に五カ年間の利子を見ると、これが一つ。
 それから、建てかえが大事だと申し上げました。建てかえの際に従前居住者の家賃をある程度下げていただくための助成措置を拡充いたしました。従来、面積がふえた分は当然家賃値上げをさせていただいたのですけれども、なだらかに上げていこうと。それから、公営住宅の家賃をある程度下げ、かつ規模も拡大していくための面積増とそれから単価引き上げ、こういったことを平成五年度におきましても措置させていただきまして、建設促進に資したいと考えておるわけでございます。
#143
○萩野浩基君 それじゃ、次に移らせていただきます。
 この賃貸住宅の供給というものを考えるときに、単に質の高い住宅の供給を行うというだけではなくて、賃貸住宅の契約関係が安定的に維持されるということも、これはやはり住んでおるんですから、そこで非常に不愉快なことが起こるとせっかくのものもだめになってしまうと、そういうことで契約関係が安定的に維持されるという点が重要だろうと思います。
 国民の要請というのは良質な住宅に安心して住めることでありますし、契約の更新とかまた住宅の維持管理に関するトラブルはこれはもう借家人にとっても大きなマイナスとなると思います。住宅の維持修繕、そういうもののトラブルとか、また更新時の値上げに関するトラブル、以前におきましては子供ができたら出ていかなきゃならないというものもありましたけれども、もうそんなものはないと思いますが、それに近いものはあるというのも時々耳にしております。
 本法案におきましては、その点について知事の認定を受けた特定優良賃貸住宅ということで、管理面でも一定の規制というようなものが課せられております。また、こうした管理面での配慮があることはわかっておりますけれども、良質な賃貸住宅の供給というものを促進し、そして居住水準というものを向上させるためには、一般の民間賃貸住宅についても家主と入居者の間に安定した借家関係というものがどうしても確立される必要があろうと思います。一言で言うならばハード面での施策とこれにあわせてソフト面での施策が大事だろうと思います。
 そうした観点に立ちまして、借家関係におけるトラブルを防止し、適切な借家関係をつくっていくためにどのような措置を講じられておるか。先ほど私二、三学げましたけれども、もしその他あったら教えていただきたいと思います。
#144
○政府委員(三井康壽君) ソフト面では、一つは管理の仕方が適正に行われ良質な住宅として維持修繕をされていくと、これが一つでございます。
 それから二つ目は、これはまた意外と大事なことでございますけれども、法律関係、賃貸借の契約関係が合理的でなければいけない。これは家主の方からの御意見もありますし、借家人からの御意見もありまして、これは長年賃貸借契約関係というのはいろいろ紛争の種になってきたわけでございます。くしくも一昨年借地借家法ができまして、新しい借家契約というのが制度化されたわけでございます。これはある意味では法律関係をより一国会理化しようというのが目的だったわけでございますけれども、これを受けまして、昨年借家契約の標準契約書というのを約一年弱住宅宅地審議会で御議論いただきまして、先般出させていただきました。これも今回の特定優良賃貸住宅というのをやろうとする一つの伏線になっているわけでございます。
 これを御紹介しますと、例えば契約の解除につきまして、前に使っておりました一般の市販の契約書では無催告解除といいますか、一方的に解除権を認めていたわけですけれども、ある一定の期間を置いて催告をして解除ができる。例えば相手方の賃料不払いが相当続くとか、あるいは使用目的違反で住宅に使うところをほかに使ってしまうとか、そういったきちんとした義務違反があれば契約の解除を催告でできるように規定上明らかにする。あるいは賃料改定も一方的に改定できるということじゃなくて、双方の協議によって改定する、こういったことを契約上明らかにする。
 三点目は、これはよく賃貸借管理関係でもめるのですけれども、ペットの飼育について、公共住宅はペットの飼育は禁止しているのですけれども、いろんな御議論を審議会の委員にしていただきまして、家主の承諾があれば夫とか猫とかそういうものを飼えるとか、そういう契約関係も幾つかそのほかにあるのですけれども、割とトラブルがある点を考えて、今までのトラブルの実績を考えながら、法律上明確にできるものは明確にするという標準約款を出させていただきました。
 今回の特定優良賃貸住宅も入居者負担額という部分とか、幾つかはそれを変えなければいけないのですけれども、基本的には今申し上げました標準約款を使わせていただいて、これを必ず使っていただくというふうにいたしますから、契約書上は現段階では最も好ましいものを使っていただいて、それのもとに安定的な賃貸借の法律関係をつくっていただく。こういったことで、契約上はトラブルの少ない形とさせていただいております。
 ただし、本来的に賃貸借関係のトラブルはやはり両当事者の信頼関係というのが一番あれでございます。これは場合によっては感情論が入ったりすることもあります、大変難しいそういう心理的な問題もあるわけでございますけれども、そういったところは認定権者である都道府県あるいは市町村などの御協力もいただきながら、住宅相談窓口というものもございますし、ソフトの面も余りこの制度につきましてはトラブルが少ないように公共団体にお願いしていきたいと考えているところでございます。
#145
○萩野浩基君 ひとつ、せっかく今回特定優良賃貸住宅というようなものを積極的に押し進める法案が出されたのでありますから、国民の要請というのは良質で安心して住めるということが大事でありますので、そのときにトラブルのないようにソフト面においても十分配慮し、指導をよろしくお願いいたしたいと思います。
 終わります。
    ―――――――――――――
#146
○委員長(梶原敬義君) この際、委員の異動について御報告いたします。
 本日、鈴木貞敏君が委員を辞任され、その補欠として矢野哲朗君が選任されました。
    ―――――――――――――
#147
○委員長(梶原敬義君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。
 それでは、これより討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。――別に御発言もないようですから、これより直ちに採決に入ります。
 特定優良賃貸住宅の供給の促進に関する法律案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#148
○委員長(梶原敬義君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 種田君から発言を求められておりますので、これを許します。種田誠君。
#149
○種田誠君 私は、ただいま可決されました特定優良賃貸住宅の供給の促進に関する法律案に対し、自由民主党、日本社会党・護憲民主連合、公明党・国民会議、民社党・スポーツ・国民連合、日本共産党、民主改革連合の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。
 案分を朗読いたします。
    特定優良賃貸住宅の供給の促進に関する
    法律案に対する附帯決議(案)
  政府は、本法の施行に当たり、本委員会にお
 ける論議を踏まえて、地方公共団体、住宅・都
 市整備公団等及び民間事業者が連携を保ちつ
 つ、本法による賃貸住宅を含めた良質な賃貸住
 宅の供給が的確に行われるよう助成制度の充実
 について検討を行うべきである。
  右決議する。
 以上であります。
 何とぞ、委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
#150
○委員長(梶原敬義君) ただいま種田君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#151
○委員長(梶原敬義君) 全会一致と認めます。よって、種田君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、中村建設大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。中村建設大臣。
#152
○国務大臣(中村喜四郎君) 特定優良賃貸住宅の供給の促進に関する法律案につきましては、本委員会におかれまして熱心な御討議をいただき、ただいま全会一致をもって議決されましたことを深く感謝申し上げます。
 今後、審議中における委員各位の御高見や、ただいま議決となりました附帯決議の趣旨を十分に尊重してまいる所存でございます。
 ここに、委員長を初め委員各位の御指導、御協力に対し深く感謝の意を表し、ごあいさつといたします。
 どうもありがとうございました。
#153
○委員長(梶原敬義君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#154
○委員長(梶原敬義君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後四時十七分散会
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト