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1993/03/25 第126回国会 参議院 参議院会議録情報 第126回国会 労働委員会 第2号
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1993/03/25 第126回国会 参議院

参議院会議録情報 第126回国会 労働委員会 第2号

#1
第126回国会 労働委員会 第2号
平成五年三月二十五日(木曜日)
   午前十時開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 三月二日
    辞任         補欠選任
     岩崎 純三君     加藤 紀文君
     森山 眞弓君     泉  信也君
 三月三日
    辞任         補欠選任
     泉  信也君     森山 眞弓君
     加藤 紀文君     岩崎 純三君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
   委員長          田辺 哲夫君
   理 事
                大木  浩君
                星野 朋市君
                庄司  中君
                笹野 貞子君
   委 員
                岩崎 純三君
                佐々木 満君
                坪井 一宇君
                平井 卓志君
                篠崎 年子君
                千葉 景子君
                浜本 万三君
                三石 久江君
                武田 節子君
                中西 珠子君
                足立 良平君
                吉川 春子君
   国務大臣
       労 働 大 臣  村上 正邦君
   政府委員
       労働大臣官房長  七瀬 時雄君
       労働省労政局長  若林 之矩君
       労働省労働基準  石岡慎太郎君
       局長
       労働省労働基準  伊藤 庄平君
       局賃金時間部長
       労働省婦人局長  松原 亘子君
       労働省職業安定  齋藤 邦彦君
       局長
       労働省職業能力  伊藤 欣士君
       開発局長
   事務局側
       常任委員会専門  佐野  厚君
       員
   説明員
       警察庁警務局人  櫻井  勝君
       事課長
       経済企画庁国民
       生活局国民生活  川本  敏君
       調査課長
       厚生大臣官房政  谷口 正作君
       策課長
       厚生省児童家庭  宮島  彰君
       局企画課長
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○労働問題に関する調査
 (労働行政の基本施策に関する件)
○地方自治法第百五十六条第六項の規定に基づ
 き、公共職業安定所の出張所の設置に関し承認
 を求めるの件(内閣提出)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(田辺哲夫君) ただいまから労働委員会を開会いたします。
 労働問題に関する調査を議題とし、労働行政の基本施策に関する件について質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#3
○庄司中君 私は、現在深刻の度を増しております雇用問題を中心にして質問していきたいというふうに思います。
 雇用問題は、毎日の新聞、テレビの報道でいろんな問題が報道をされておりますけれども、だんだん心配になる状態に来ているというふうなことを感じております。ところが、マクロの指標を見ますと、必ずしも深刻ではありません。
 例えば、有効求人倍率をとってみましても、十二月で〇・九三ということになっております。去年一年をとってみましても、丁三八からずっと下がっていったわけですけれども、依然として○・九三ぐらいのレベルをいっております。例の石油危機のときとか円高不況のときは〇・五とか○・六とかという数字になったわけですから、この水準自身は割合高いわけです。
 それから、マクロの失業率をとってみましても、二・三とか二・四でありますので、同じような円高不況のときをとってみますと、二・六ぐらいになっていたというふうに思いますけれども、マクロの指標としては非常に深刻という感じはしないわけであります。過去の不況のときの状態を考えてみますと、いつも言われることでありますけれども、雇用指標といいますのは遅行指標である、景気におくれてくる。例えば、総需要が非常に減る、あるいはGNPの成長率が落ちる、それからしばらくたって雇用問題に影響するというふうな経験測がございますので、マクロの指標がいいからといって必ずしも安心しているわけにはいかない。
 例えば、GNPの成長率をとってみますと、去年の四―六の瞬間風速が〇ですね。そして、七―九をとってみますとこれがマイナスの〇・四、そして十―十二月をとってみますと〇・一というふうに、いわばそろそろ雇用に影響するんじゃないか。つまり、半年から一年半ぐらいおくれてまいりますので、そういう心配も実はあるわけです。そういう点で、大臣、全体としてある意味では総合的な雇用状態、あるいはこれからの雇用の見通しについてお聞かせいただきたいと思います。
#4
○国務大臣(村上正邦君) 雇用の状況について、庄司委員と見解を同じくするものでございます。いずれにいたしましても、景気の低迷を反映いたしまして有効求人倍率は一倍を下回っておりまして、失業者数も増加しているなど、雇用情勢は非常に厳しい状況が続いておるという認識に立っております。
 管理職、中高年者を対象とした希望退職、さらには学卒者の採用内定取り消しの事例もかなり出ております。また、雇用調整を実施する企業が三九%にもなりまして、昭和六十一年の円高不況期に迫る勢いとなっている。こうした事柄を見ますると、いろいろの面で、大変憂慮すべき事態である、こう思っております。
 今後についても、求人倍率の低下、失業者の増加など、雇用情勢はまだまだ厳しい状況が続くのではないかなと、このように認識をいたしております。
#5
○庄司中君 マクロの指標は、表向きは今申し上げましたように、大臣の御答弁にもありましたけれども、割合いいわけです。ところが、中身をずっと手繰ってみますと、必ずしもそうじゃないという面があるだろうというふうに思います。大臣も非常に今後の雇用情勢を心配のようでありますけれども、マクロの指標をずっととってみましても、もう少し細かく見てみますとかなり深刻な面が見えてくるという感じがいたします。
 例えば、有効求人倍率でありますけれども、地域別、都道府県別の去年一年の動向をとってみますと、年の初めの方から終わりの方に向かいまして急激に落ちていく部分というのは大都市が多いんですね。例えば、首都圏あるいは関西圏というのは非常に急速にダウンしていく形をとっていますし、それから求人倍率の数字、レベルをとってみましてもやっぱり大都市が非常に悪い、こういうふうな状態だろうというふうに思います。
 ですから、景気の状態というものが石油危機の場合とか円高のときとは違うパターンをとっているんじゃないだろうか。つまり、雇用問題というのは大都市圏のところに、一つの例として、ことしの場合には情報サービスの雇調金の対象が非常にふえているという一面もありますけれども、雇用情勢の地域的な特徴を見てみますと、サービスの部分、大都市の部分、これが非常に問題だという感じを持ちますけれども、どういうふうにこの点を認識していらっしゃいますかその辺をお聞きしたい。
#6
○政府委員(齋藤邦彦君) この一年間の動きを見てまいりますと、すべての都道府県で有効求人倍率は低下してきておりますが、特に関東、中部といいましたような大都市圏を中心とします地域で求大幅の低下が大きくなっておるということでございます。
 例えば、愛知ですと、この一年間を見てみますと二・二九倍から一・四三倍ということで〇・八六ポイント減少しておりますし、さらに茨城、栃木、群馬というようなところも数字自体は高こうございますが、やはり〇・六ポイント以上の低下というような状況でございます。
 今回、特に大都市圏を中心とします雇用失業情勢の悪化が目立つわけでございますけれども、一つの理由は、先生の御指摘にもございましたような情報産業の問題もあるかもしれませんが、ほかに関東、中部ですと、特に電機ですとか一般機械というような機械関連業種の比重が非常に高こうございまして、そういうような業種におきます業況の悪化というのが大きく影響しているのではなかろうかというふうに思っております。すおわち、こういうような業種からの私どもに対します求人が大きく落ち込むと同時に、求職者につきましてもこれらの産業からの離職者がふえてきている、こういうようなところが大きく影響しているのではなかろうか、こういうふうに思っております。
#7
○庄司中君 一つの問題は、私はやっぱりバブル経済の崩壊という一面があるんじゃないだろうかというふうに思います。例えば、情報サービスの雇調金の適用が非常にふえているという背景には、金融とか証券とかの情報投資が激減したという背景があるだろうというふうに思います。それから、不動産もそうですし、そういう点からいいますと、都市型というのは製造業の産業構造の一面が確かにございます、局長が答弁されたように。
 もう一つは、サービスの分野といいますか、金融とかそれから証券とか不動産とか、この破綻がいわば情報化投資を削減させて雇調金の情報サービスの適用者をふやしているというふうな一面があると思いますけれども、そういう一面はどういうふうに理解していらっしゃるでしょうか。
#8
○政府委員(齋藤邦彦君) 確かに、情報産業、関連産業、特にソフトウエア業を中心といたします業況の低下というのは、私どもいろいろなところからのヒアリング等を総合いたしましても大きく影響を受けておると思いますし、そういう意味で雇罰金の対象業種としての実績も高くなっておるということはあると思います。
 それから、金融・証券というようなお話がございましたけれども、金融・証券からのいわば離職者、これは事業主都合というふうに必ずしも言えないかもしれませんが、自発的なものも含めまして、これも目立ってきているということは事実だというふうに思います。
#9
○庄司中君 バブルの崩壊をきっかけにしてサービス業、サービス関係の雇用問題というふうになりますと、今までは主としてブルーカラーが中心でありましたけれども、ホワイトの分野に雇用対策の視点を移していかないと、今度の雇用対策というのはうまくいかないんじゃないだろうかその辺の感じを持っておりますけれども、その点の対策みたいなことはお考えでしょうか。
#10
○政府委員(齋藤邦彦君) 現在、私ども雇用対策の最重点といたしておりますのは、できるだけ失業者を出さないように、そのために事業主の方々に一生懸命努力をしていただく、それについて私ども雇用調整助成金の活用をしてお手伝いをする、こういうようなことで努力をしているわけでございます。
 雇用調整給付金制度、確かにある面では従来からのいきさつもありまして、製造業中心のような仕組みになっておりますけれども、ただ情報処理産業のように今まで例のなかったようなところも出てきておりますし、私どもとしましては現在の雇用調整給付金制度、助成金制度で全力を挙げていくのが適当ではないか、このように思っております。
 御指摘のようなサービス産業につきましても、別に適用を拒否しているわけでは毛頭ございませんで、いろいろな業界から事情は伺いながら、業界の中でもいろいろ金融業、証券業は議論があるようでございますので、その辺も十分に踏まえながら指定業種ということについては検討していきたい。やはり業界全体の希望といいますか、対応というものを十分見定めた上でそれに乗っていくということが効果的ではなかろうかこのように思っておる次第でございます。
#11
○庄司中君 雇用調整助成金の活用問題につきましては、また後でちょっと触れてみたいというふうに思います。
 ここで要望をしておきたいのは、今度の不況の性格がブルーと同時にホワイトにかかってきている。ですから、管理職の問題もその背景があるから出てくるというふうに私は理解いたしますので、大臣もおっしゃいましたけれども、やはり視点をそこに置いた雇用対策をやっていただきたい、こういうことをお願いしまして、次に移りたいというふうに思います。
 もう一つは、労働省の統計じゃありませんけれども、総務庁の例の完全失業統計というのがございます。これも、さっきも申し上げましたけれども必ずしも悪くはなっていない。ところが、これを細かく見てみますと、悪くなっていないよりも、むしろかなり深刻な面が出てくるというふうに私は感じております。
 例えば、去年一年の完全失業者の統計を見てみますと、一番大きいのは確かに就業者がふえているという面がございます。これは分母ですね、失業率を出す場合の分母でありますけれども。それから、分子の部分で特徴的なというのは非労働力人口が非常にふえているということです。つまり、労働市場から脱退をする人たちが非常に多いということがあるわけであります。昨年の春あたりから非労働力人口で家事を担当するという部分も非常にふえているわけです。
 五月から八月ぐらいをとってみますと、この部分が前年同月比で五十万から七十万ぐらいふえているわけです。だから、就職口がないから、あるいはパートを首になったから、もう失業情勢が厳しくなってきたから就職活動をやらないという人たちだろうというふうに思います。ですから、非労働力人口に入ってしまう。もう今は大変だから仕事をしない。これが六十万から七十万ぐらいありますと、完全失業者というのは大体百四十万から百五十万ですね、実質。その部分と比較をしますと、非常に大きい部分です。これが失業者に入ってきましたら、五割ふえちゃうわけですね、失業率は。
 こういうふうに考えてみますと、かなり雇用状態というのはマクロの面から見ても深刻ではないかというふうな感じを持っておりますけれども、その辺はどういうふうに判断していらっしゃるでしょうか。
#12
○政府委員(齋藤邦彦君) 完全失業率は、平成四年に入りましても比較的水準としては低いところで推移をしてきておりましたが、年末からやや上昇を始めまして、十二月が二・四%、一月は二・三%、こういうふうな状況になっているわけでございます。また、男女別の失業者の動向を見てみましても、先生御指摘のように昨年の春先から女性がふえ、夏から男性がふえてくる、こういうようなことになっておるわけでございまして、これだけでなくて雇用保険受給者の動向というのを見てみましても、事業主都合によります離職者の増加というのもこれにほぼ比例してふえてきておる、こういうような状況でございます。
 それで、昨年末までどうして完全失業率が余り変化してこなかったかということについての背景を考えてみますと、一つは、今回この不況前の景気拡大期の人手不足が非常に激しかったということによりまして、十分な人材確保ができなかった中小企業を中心にしまして人手不足を訴える企業というのが現在でもまだおりますし、つい最近まで非常に多かったというようなことがありまして、そういうところでの採用意欲が旺盛であったんではないかということが一つあります。それからもう一つは、将来の労働力人口の伸びの鈍化、減少というものを頭に入れまして、企業の雇用維持努力というのが比較的強かったんではないかということもあります。それから、先生の御指摘になった点だと思いますが、雇用環境の厳しさというところがありまして、求職者の方の求職意欲というのを減退させて、いわば非労働力化してきたということも大きく影響しているものではないか、このように判断しております。
#13
○庄司中君 もう一つ、心配な状況といいますのは、この総務庁の統計の求職理由別失業者というのをずっと時系列でとってみますと、前年同月比で非自発的失業というのがふえてきているわけです。非自発的、自分でやめないわけです、やめさせられたという、そういう失業の部分が非常にふえているわけです。局長も今言いましたけれども、非自発的失業が昨年の春までは女性のところでずっとふえてきました。恐らく、これはパートの問題だろうというふうに思います。大体多いところで三万人ぐらいふえています。失業者百四十万人のうち三万人ですから非常に大きいですね。これが去年の春にこうしてふえてきたということが言えるだろうというふうに思います。
 ところが、秋口になりますと今度は男性のところがふえてきたわけです。春は女性、秋は男性というふうにこの非自発的失業というのはふえてきたわけです。男性の場合は、十月になりますと何と十万人の大台にいっているわけです。非自発的失業がふえているということは、女性の場合には春、男性の場合には秋というふうに、しかも非常に大きいふえ方をしている。そういう点では、マクロの統計を少し細かく見ていますと、やはり雇用失業情勢というのは表の数字だけじゃなくて細かく見ると深刻さが浮かび上がってくるという印象を持っておりますけれども、労働省としてはその辺の感度といいますか、その辺をどういうふうに判断していらっしゃいますでしょうか。
#14
○政府委員(齋藤邦彦君) 先ほど大臣から御答弁申し上げましたように、最近の雇用情勢には大変憂慮すべきところがある、むしろ非常に憂慮すべき事態である、このように私ども認識をいたしております。
 その判断をいたします際に、表面的な数字だけで動向を判断するのは先生御指摘のように問題があるだろうというふうに思いまして、各業種別あるいは地域別に具体的な生の情報を手に入れるべくいろんな各種のヒアリングもやってきました。また、統計等につきましてもその裏に隠されている意味を十分読み取るように努力をして万全な雇用対策を講じなければいけない、このように考えておる次第でございます。
#15
○庄司中君 今お話が出ましたけれども、昨年の秋からずっと事業者団体に向けてのヒアリングをやっていらっしゃいますけれども、その特徴みたいなことをちょっとここで述べていただきたいと思います。
#16
○政府委員(齋藤邦彦君) 私ども先ほど申し上げましたように、数字だけではなくてやはり実態面からの把握ということが重要だというふうに考えまして、昨年の夏以来、数回にわたりまして業種別あるいは地域別に雇用動向の実態把握のためのヒアリングをやってまいりました。ことしの一月末にやったのが最新でございますけれども、その状況を若干御報告させていただきたいと思います。
 まず、業種別に見てまいりますと、鉄鋼、電気、産業機械、情報サービス業というようなところでの業況が極めて悪化をいたしておりまして、それに伴って雇用過剰感も非常に高まっております。また、その中では希望退職者の募集というような厳しい雇用調整を行っておる事業所も出てきておる、こういうような状況でございます。
 それから、先ほどの先生おっしゃられました百貨店、銀行・信託、証券、こういうようなところも問題意識といたしまして当然私ども持っておるわけでございまして、その辺の業界からもヒアリングをいたしております。こういうようなところの業界におきましては、業界体質のいわゆる見直しと申しますか、低収益体質の見直しを図りたい、こういうようなことを頭に置きまして雇用調整を考えておる、こういうような指摘もございます。
 それから一方、地域別の状況を見てみますと、先ほども御質問がございましたように、今回の景気後退の雇用に対します影響は大都市を中心にして一番初めに始まりましたけれども、この影響の波及というのが北海道、東北、九州というようなところにも及んでまいっております。したがって、このような地域におきましても影響が雇用面に強く出てきておるということでございます。特にということで申し上げれば、電気、一般機械というような機械関連製造業が多い地域、東北、関東、中部というようなところでは、一時休業、希望退職者の募集、解雇というような厳しい雇用調整が行われているところも見られるわけでございます。
 ただ一方では、今回の雇用調整につきましては、残業規制とか中途採用の抑制というものを中心にして行いまして、できるだけ雇用を維持していきたいという企業の姿勢も強く見られておるところでございます。
#17
○庄司中君 今局長がおっしゃいましたように、まず雇用調整といいますのは残業を削減するところから始まりまして、中途採用をやめるというところまできていますね、実際。私もその調査結果を読ませていただいたわけですけれども、建設業だけを除きまして企業種何らかの雇用調整対策をやっている、これは残業も含めての話です。
 局長が一番最後に言われましたように、今度の不況の場合には割合と本格的な雇用調整に慎重であるというふうな話がありましたけれども、慎重であるという理由といいますか、その項目みたいなものはどんなふうな点がヒアリングの中では挙がっていたでしょうか。
#18
○政府委員(齋藤邦彦君) 各業界にいろいろなヒアリングをいたしましたけれども、その中でどうして雇用調整について慎重な態度をとらざるを得ないかということを聞いてみますと、例えば過去の不況の際に大幅な人員削減策を実施して熟練工等が離職をしてしまったためにその後の影響が極めて大きかった、あるいは極端に採用抑制をしたために企業としての年齢構成自体が不自然な形になってしまった経験がある、それから一番多うございますのはやはりせんだってまでの激しい人手不足の経験、それからさらに今後中長期的に見ますと労働力不足が予想される、さらには時短を考えてと、こういうような理由が多いようでございます。
#19
○庄司中君 雇用調整に対する企業の慎重な態度というのはよくわかるわけです、四つぐらい挙げられましたけれども。しかし、今現在ではそうでありますけれども、これがもっと経済が悪くなってくるとでもいいますか、例えば二番底というふうな意見も出ているわけで、その可能性だってあるんだということになります。アメリカなんかもそうです。GMとかIBMがリストラで雇用調整をやったのはやっぱり二番底です。最初は我慢しているんだけれども、その次に上がれたと思ったら落ちた場合に非常に大きい、その反動が雇用調整に向かっていくというのは過去の経験なりアメリカの経験で言えるだろうというふうに思います。
 今挙げられました四点の中の慎重な態度、だんだん景気が悪くなってきますと、例えばけさの新聞を見ましても、スーパーでも過去最大、統計ができてからもう大幅な減収というふうな話が出てきますと、事は容易ならざる事態にだんだん入っていくんじゃないかという観測もあるわけでありますけれども、この慎重な態度をなしている四つの要因というのは、企業の態度としてかなりやっぱり確保していくといいますか、頑張っていきたいというふうな態度だったですかね。その辺はどうですか、感触は。
#20
○政府委員(齋藤邦彦君) 私ども各業界の方々のお話を伺った限りにおきましては、できるだけぎりぎりまで雇用は維持するように最大限の努力はしていきたいということを言っておられますが、先生御指摘のように、今後の景気の動向につきまして、各事業主の方々は不安感を持っておることも一方で事実のようでございまして、そういうことからしまして確かにいつまで持ちこたえることができるかということについての懸念を表明しておる方も多々あるというのは実態だろうというふうに思います。
 私ども、一刻も早く今回の景気が回復することによりまして、雇用につきましてもそれほど大きな影響がなくて景気が回復していくということを心から期待しておるという状況でございます。
#21
○庄司中君 大体、業種別、地域別の動向はわかりましたけれども、もう一つ私たちが心配をしておりますのは、残業を少なくするとか中途採用者の採用を取りやめるとかという次に何が出てくるかという問題です。例えば、新聞報道なんかをとってみますと、まずパートが切られてしまうというのがあります。あるいは自動車の場合には期間工が減るという問題があると思いますし、派遣労働に対する注文が非常に減ってくるというふうな報道もあるわけであります。それから、あるところでは企業によっては高齢者の継続雇用制度というものがございます、勤務延長であるとか再雇用という。これを取りやめた企業もあるというふうなことを聞いております。
 それから、もう一つ心配なのは、実態が把握できていないというふうに思いますけれども、外国人労働者の問題です。これも後からまた改めて申し上げたいというふうに思いますけれども、現在外国人労働者は専門技術的な労働者で約七万人ぐらい、そして日系人で十五万人、それからいわゆる不法就労者といいますか、それがもう三十万いっている。最近の統計によりますと二十九万、三十万近いですね。これを合計しますと五十二万ということですから、日本の雇用労働者の総数が五千万人でありますし、それから農業とかそういうものをひっくるめた就業者が六千五百万人ですから、大体一%ぐらいのところまで外国人労働者は来ているということです。そうなりますと、これはかなり大きい存在になってきているし、そしてまず何といいますか外国人労働者が首になる、こういう事態も恐らく考えられる。これはもうヨーロッパの状況なんかを見ましてもそういうことは十分考えられるわけでありますから、そういう点で就業形態別の雇用失業状態といいますかその辺のヒアリングはどんなふうにやられたでしょうか。
#22
○政府委員(齋藤邦彦君) 全般的に雇用情勢は厳しいわけでございますが、先生の御指摘になりましたところにつきましては、特に影響が出てきておるんではないかというふうに思います。
 一つは、パートタイム労働者でございますが、有効求人倍率は平成三年平均いたしますと二・六倍でございました。五年の一月には一・四七倍ということで非常に低下をしてきておりますし、また地域からのヒヤリング等におきましても、パートタイム労働者の再契約の停止というような事例は数多く報告を受けております。
 また、いわゆる期間工につきましても、これだけを対象にいたしましたような統計数値は持っておりませんけれども、これもヒヤリング結果等によりますと、特に業況の悪い機械関連製造業等で再契約の停止ですとか解雇というような事例も見られるようでございます。
 それから、派遣労働でございますが、これも計数的な把握をいたしておりませんけれども、派遣業界からのヒヤリング等によりますと、業績自身が前年比でいきますと大体売上高で一〇から一五%減だということでございまして、ことしになりましてからさらに落ち込んできているという話を聞いております。
 それから、高年齢者の問題でございますが、平成四年十月の有効求人倍率、年齢計で一・〇二倍でございましたが、五十五歳以上の高年齢者では○・二七倍、うち六十から六十四歳では○・一六倍と、こういうことでございまして、高年齢者を取り巻く雇用環境には非常に厳しいものがあるというふうに思っております。昨今、求人倍率が全体で見て〇・九二台になりまして、特に高年齢者の方々につきましての求人が私どもの窓口に非常に減少してきておりまして、実際に紹介に当たってもいろいろ求人がないために支障が生じてきておるというような報告も受けておるところでございます。
#23
○庄司中君 全体として雇用の調節弁と言われていますね、残業時間、それから中途採用、それからパートに来るとか期間工に来るとか、いわば弱い部分ですね。労働力からいきますと、就業形態別の対策を労働省がとっていかないと、業種全体とか地域全体とかという議論じゃなくて、就業形態別で対策をとっていかないとまずいんじゃないだろうか。特に、これから外国人労働者問題なども出てきますし、業種丸ごと、地域丸ごとの対策ではなくて、ある意味ではパートとか派遣とか、就業形態別の対策をとっていく必要があるんじゃないかというふうに思いますけれども、その辺はどういうふうにお考えですか。
#24
○政府委員(齋藤邦彦君) このような雇用調整が進んでまいりますと、やはりその影響というのは先生御指摘のように言い方は悪いかもしれませんけれども、弱い立場にある労働者の方に強く影響が出てくるということが懸念されるわけでございます。
 昨年の十二月でございますけれども、各都道府県知事あてに最近の雇用失業情勢に対応する対応策を指示いたしましたけれども、その際にもこのような方々についての雇用対策には十分気を使うようにということを指示いたしておる次第でございます。特に、こういうような方々についての安易な解雇が行われないようにということの指導をまず重点的にいたしておりますし、また不幸にして離職された方々につきましては、全力を挙げて再就職の促進を図るということの対策をやっておるところでございます。やはり第一線機関におきますこのような努力を今後もさらに充実させていかなければならないと、このように考えておる次第でございます。
#25
○庄司中君 例のことしは頻繁と出ました新規学卒者の採用の内定取り消し問題、これも広い意味からいきますと一種の雇用調整の一つだというふうに思います。昨年の秋ごろから内定取り消しが増加をしてきた。しかも、電話一本で取り消すとか 一万円の図書券で片をつけるという報道もあるわけであります。企業側の非常に安易な態度、これが目立っていたわけであります。ところが、取り消された人は大変です。つまり、一生をかけようとした企業から電話一本で取り消しを受ける。これから社会に出て働こうと思っていた人がそういうことになっていくということになりますと、これは非常に大きな社会的な問題だろうというふうに思います。取り消されますと、定期採用はほとんど決まっているというふうに思いますから、もうこれはだめ。だから不定期採用に回っていくということもありますし、ある場合には留年をして次の定期採用の機会を待つ、こういうふうなことになると思います。
 労働省も事態を重視いたしまして、施行規則を改正をしまして事前通知制というのを初めて取り入れたわけでありますけれども、ことしの内定取り消しの実態といいますか、現在つかんでいる状況はどのくらいになっていますか。
#26
○政府委員(齋藤邦彦君) 現在、把握しておりますところで申し上げますと、企業数にいたしまして四十四社、対象者数にいたしまして三百四十三人、そのうち男性が百五十人、女性の方が百九十三人、こういうようになっております。
#27
○庄司中君 女性が多いですね。男性よりも女性が波をかぶっているということは、これは大きな問題ですね。これは局長、みんな大学でしょう、実際。高卒はどうですか。
#28
○政府委員(齋藤邦彦君) 今申し上げました数字は、中学校、高校、大学、その三つを合わせたものでございます。
 ちなみに、高校の場合を申し上げますと、高校新卒者につきましては三十五社、百四十四人、男性が七十五名、女性六十九名となっておりますし、大学につきましては十七社、百九十三人でございますが、うち男性七十四人、女性百十九人、このような状況になっております。
#29
○庄司中君 労働省が緊急に事前通知制をとったということは非常によかったというふうに思います。その点は十分評価をしているわけであります。
 大臣、こういうことがあると思うんです。労働契約という面から見ますと、一般的にはこうなっているわけです。応募者に対して使用者が採用決定を意思表示したとき、労働契約が成立をすると言います。例えば、即日決定のときは口頭でもそれは労働契約が成立したということになるんです。それから、通知をする場合には発信した日、ポストへ通知を入れたとき、その日付が労働契約の成立をした日になるとなっております。それから、判例を見てみましても、労働契約の解消、いわば労働契約が成立をして内定取り消しをする、つまり解雇というふうになるわけです。二つの判例の傾向があると言われておりまして、使用者に甘い方をとってみましても、解雇権の乱用は無効であるという判例があるわけです。
 ですから、内定取り消しというのは労働契約という点から見ても非常に大きい問題です。これを電話一本でやる、一万円の図書券で片をつけるなんというのはとんでもないことだというふうに思います。
 そこで大臣、それだけ重い問題である以上、事前届け出制だけでいいのかという問題があるだろうというふうに思います。例えば、障害者雇用の問題で悪質な使用者に対しては企業名を公表するというのがありましたね。それから、今度の事件で大きな騒ぎになったものですから、内定取り消しをしたある企業は二百五十万円を弁済したという報道もあるわけであります。やっぱり二つのことを考えなきゃいけない。悪質なものは企業名も公表しなきゃいけない。事態はそれだけ重い。あってはならないことだというふうに考えます。それからもう一つは、内定取り消しをされた人に対する弁償措置、これも考えていかなきゃいけない。法理論の上から見ましても、あるいはこれは大変重い問題だということを考えましても、もう一歩そっちの方向に踏み出す必要があるんじゃないか、私はそういうふうに思いますけれども、大臣はどういうふうにお考えでしょうか。
#30
○国務大臣(村上正邦君) やはり内定ということは、それ相当の理由がなければ取り消しをしてはいけない。私もそのように考えまして、この問題については非常に労働省といたしましても重大な認識で取り組んでいかなきゃならない、こういうスタンスております。
 そこで、御指摘のようにとにかくこれは歯どめを何とかしなきゃならない、まずこういうふうに考えまして、歯どめをかけるのにはやはりそれ相当の対策を立てるということで、事前通告、今お話がありましたが、このことについては審議会に諮問をいたしまして、実は明日答申をいただくようにしておりますけれども、同時にゃはり公表に踏み切りをしなきゃならぬのじゃないのか。これは多少ざっくばらんに申しまして、私の考え方と事務当局の考え方に当初いろいろございました。しかし、悪質な企業に対しては公表するということ。しかし、これにはいろいろと配慮しなきゃならない。ある企業は公表されてある企業は公表しなかったという、こうした不平等があってはならない。そのためには相当慎重にその正確さを期していかなきゃならないということ等々ございまして、とにかくその実態の把握に正確さを期す必要がある。
 このようなことはもう当然でございまして、労働省といたしましても、この年度内の状況について学校や文部省と正確さを期しまして厳正にその突き合わせをいたしまして、四月の半ばごろには公表できるのではないだろうか、このように作業を進めるようにということでおります。
 それから、賠償、代償といいましょうか、これについてそれぞれ企業ごとにさまざまなケースがありますので、基本的にはこれは学生と企業との話し合いによるべきものと考えていかざるを得ないのかなと。余り罰則、制裁、代償というようなことになりますと、来年度の新規採用について企業側が消極的になられることもこれは困るのかな、こう思っております。そこは企業に対して、やはり社会的責任にかんがみ、でき得る限り誠意を持って学生と取り消しの場合は、今そういう事例がありましたようにはがき一本で内定取り消してはなくして、それなりに事情を説明し誠意を持って、そしてまたその学生が留年するというようなケースが出てきた場合には、相互間でそれらの一つの方向を見出していただくよう私どももそういう指導をしてまいりたいと考えております。
 ある企業は何か一律二百五十万ですか、それも私はやっぱりこうした積極的な労働省の考え方が出た一つの成果なのかなと思って、とにかく血も涙もあるそういう企業側の誠意というものは示していただきたい、こう思っております。
#31
○庄司中君 非常に重大な問題でございますし、これからも起こり得る問題でございますし、その対策いかんによっては社会的に大きな影響をもたらすということでありますので、できるだけ大臣がおっしゃった中の前向きの部分を積極的に進めていただきたい、こういうふうに思います。
 それから、実際に雇用情勢というのはこれからかなり深刻になる可能性もある。景気の後追いといいますかある時期に来ますとこれが深刻化する可能性があるということは御認識のとおりだというふうに思います。
 それから、先ほどお話がありましたように対策として主として雇用調整助成金を中心に考えていらっしゃるわけでありますけれども、昨年の十月に例の雇用調整助成金の基準を変えましたね。雇用の面をカットして業績の面だけでいいというふうにして、そのときには十業種ぐらいの指定業種だったやつが三月になりますと百五ですか、業種がふえてまいりました、もうわっと業種の指定がなだれ込んだという感じがありますけれども。つまり十月からこの三月ぐらいまで非常に速いテンポで雇調金の適用が行われてきたというふうに思いますけれども、趨勢といいますか実績みたいのはどんなふうになっているでしょうか。
#32
○政府委員(齋藤邦彦君) 雇用調整助成金は、昨年の十月に適用基準について暫定措置を設けまして、それ以来毎月指定をいたしてまいりました。三月一日現在で百五業種指定をされております。現在、四月一日の指定に向けて準備をいたしておりますが、大体十四ぐらいの業種が指定できるだろうというふうに思っております。いずれにいたしましても、数多くの業種を指定してまいりました。
 その後の実績でございますが、公共職業安定所に提出されました実施計画を見てみますと、休業につきましてはことしの一月に六万九千八百八十二人、こういうことでございまして、大体十月、十一月はまだ実績がそれほど出ておりませんが、十二月から七万人になりましたので一月とほぼ同じ水準、それから二月分につきましては現在取りまとめ中でございますけれども、ほぼ七万人ぐらいの水準だというふうに思っております。
 それから、教育訓練につきましては十二月が二万二百人ばかり、それから一月に二万八千人、こういうような状況でございます。
 それから、出向につきましては十二月三百九十六人、一月三百七十三人、こんなような形でございまして、出向の数字は多分二月は一月を若干上回る程度ではなかろうかこのように思っております。
#33
○庄司中君 平成五年度の雇調金の予算、どのくらいになっているかというのを知りたいのはこういうことです。八七年の円高不況のときに、一番近い時点では、雇調金が大量に使われたというふうに思いますけれども、それと比較しますと平成五年度の予算で雇調金をどの程度予算としてとっているか。この五年の間に賃金が上昇しましたから、それを適用の人員に直しますとどの程度になるのか、八七年との比較でちょっと説明をしていただきたいと思います。
#34
○政府委員(齋藤邦彦君) 雇用調整助成金の予算額でございますが、平成五年度予算案におきましては五百九億三千万を計上して御審議をいただいているところでございますが、この金額の積算対象人数は年間延べでまいりまして六百二十二万人日、こういうことで積算をいたしております。
 ちなみに、円高不況のときでございますが、昭和六十二年実績で申し上げますと三百九十二億七千九百万でございます。この当時と比較をいたしましてもはるかに上回る予算措置がなされているんではないかというふうに思っておりますが、今後の雇用動向は依然として予断を許さない状況にもございますし、指定業種も今後ふえてくる可能性もある。さらに、先生御指摘のように賃金水準が円高不況時よりも高まっている、こういうことの条件等を総合勘案いたしまして五百九億という金額を算定したわけでございます。
#35
○庄司中君 この前大臣が三月二十二日の予算委員会で答弁されまして、雇調金をもっと弾力化していきたい、例えば手続を簡素化するとか、業種指定じゃなくても一社でも適用できるような弾力性を考えたいというお話がございました。
 実際に私たちが見てみましても、例えば最近は業種に入らない企業がかなりふえているんですね。今まで言われてきていますように、業種と業種のすき間に新しい事業があるからということがあったわけです。そこがやっぱり制度上無理だろうというようなことがありましたし、それからアウトサイダーもいるわけです、業界に入っていないという。そういうところに対して全く今の制度では手が出ない。だから一社でも適用しなきゃいけない、こういうふうに私も思いますけれども、その辺は例えばどういうふうな準備とか、本当に一社でも適用になれるのかどうか、労働省の中で御検討されていると思いますけれども、大臣答弁どおりうまくいくのかどうか、実際に進むのかどうか、その辺はどうですか。
#36
○政府委員(齋藤邦彦君) 第一点でございますが、手続の簡素化の問題がございます。
 従来からこの雇用調整助成金の手続につきまして、非常に煩瑣である、あるいは提出書類が大量で非常にそれを作成するのに手間がかかる、こういうような御指摘がございました。日経連等を初めとしまして各産業団体からも強硬な申し入れ等もございまして、その後ずっと検討を続けてまいりました。現在、四月一日から簡素化を実施すべく最後の詰めを行っておるところでございます。大体目分量といたしまして中小企業の方たちにとっての手間がせめて半分ぐらいにしたい、こういうことを目標にして今全力を挙げて作業をいたしております。
 それからもう一つでございますが、大臣から予算委員会で御答弁がありました個別の企業につきまして助成金を給付できる方途を検討するということでございます。確かに、先生御指摘のように幅広く業界の実情を伺って業種指定をできるだけ中小企業の多いところをやりたいということで努力をいたしておりますが、どうしても漏れるところもございまして、そういう意味で非常に緊急性のある問題だろうというふうに私自身は思っておりまして、現在これも鋭意検討を進めております。大臣がお答えしたとおりにやるべく今作業をしております。
#37
○国務大臣(村上正邦君) 私は先般、ある新聞に埼玉県の鋳物工場か何かの零細企業者の方の現状が報道されましたときに、やはりこういう方たちにこれを利用していただくことが生きた金の使い方だ、こういうふうに思ったものですから、今齋藤局長が申し上げましたように、事務方といたしましても、やはり血の通った行政ということからいけば当然そういう方向で検討を進めて、そういう方々に御利用していただくという方向でいこう、こういうことで申し上げた次第であります。
#38
○庄司中君 やっぱりこういう時期でございますし、恐らく最大の不況だろうというふうに思います。そういう点ではあらゆる政策手段を使いまして、しかもそれを弾力的に思い切ってやっていただくというふうにしていただきたいと思います。
 それから、この適用の仕方の中身をちょっと見てみますと、局長がさっき言われました、私は特定月の十二月をとってみましてこの中身を見てみますと、例えば休業とか教育訓練とか出向等がございます。出向は物すごく少ないわけでありますけれども、休業と教育訓練を見てみますと大企業と中小企業の適用の仕方がかなり差があるということです。
 私の手元にあるものを見てみますと、例えば大企業の場合には、休業者の人数でいきますと、これを一〇〇にしますと訓練の方が四四%、訓練は非常に多いわけです。休業一〇〇に対して訓練が四四%。それから、延べ日数でいきますと五九・六%、六〇%ぐらいになるわけです。ところが中小企業になりますと、人数からいきましても一二%ぐらい。それから、計画延べ日数にしましても一六%ぐらいです。つまり、雇調金の適用を大企業の場合には次期の戦力を目指して使っていくということです。中小企業の場合には休ませるというのが圧倒的に多いわけです。これじゃやっぱりまずいだろうというふうに思います。
 こういう点で、雇用問題というのは決して雇調金だけの問題ではない、雇調金の適用の仕方まで考えていかなきゃいけない。そういう点からしますと、できるだけ中小企業が訓練をやって次の戦力をつくっていく、戦力を上げていく方向に行政としては援助をしていく必要があるだろう。そういう意味では、公共職業訓練あたりをむしろ雇調金の適用の現場にも絡ませていく、側面から援助させていく、こういう必要があるだろうというふうに思いますけれども、どんなふうにお考えでしょうか。
#39
○政府委員(齋藤邦彦君) 雇用調整措置としましては、休業あるいは教育訓練という二つの大きな流れがあると思いますが、先生御指摘のように資金の使い方という点から考えてみましても、あるいは労働者個人の事情を考えてみましても、また企業にとりましても、やはり教育訓練という方が休業より望ましいことだろうというふうに思います。
 したがいまして、現在、公共職業安定所の窓口におきまして助成金の相談ですとかあるいは申請というようなものを行う場合におきましてはできるだけ教育訓練をやっていただくようにということをお願いしておりますが、先生御指摘のように今後さらに一層そういう指導を強めていきたいと思います。確かに、公共職業訓練施設との連携を密にしてそういうようなところをうまく活用した教育訓練というのが非常に望ましいことだというふうに思います。さらに一層努力をしていきたい、こういうふうに思います。
#40
○庄司中君 もう一つ、雇調金といいますのは雇用安定事業の一つであります。雇用安定事業自身をとりましても幾つかの施策が入っているわけでありまして、それから雇用保険制度全体から見てみますと、能開事業もありますし福祉事業もあるわけでありまして、私は現在の雇用対策という点から見ますと労働省が持っている施策を総動員した方がいいんじゃないだろうか、こんな感じを持っております。雇調金だけじゃいけない。
 例えば、こういうことがあると思います。能開事業の中に自己啓発助成金というのがあります。忙しいときには自己啓発の時間というのはなかなかとりにくいわけです。ですから、こういう機会にこそ自己啓発助成金みたいなものの活用を図っていく。これは企業にとっては次の戦力になっていくわけですから、そういうふうに安定局だけの仕事ではなくて能開局の仕事とかみ合わせていくことが仕事だろうというふうに先ほど申し上げましたけれども。
 それから、安定局自身が持っている政策手段をフルに使っていく必要があるだろう、総動員していく必要があるんだろう、こういうふうに思います。雇用問題というのは決して雇調金だけの問題じゃないわけでありまして、いろんな面で連携をしておりますし、今は不況だけれどもやがて好況になり経済が上に上っていく時代があるわけでありますから、そのときにやっぱり戦力になるような施策を今打っておく必要があるだろうと思います。
 例えば、ある電炉メーカーはことしは何か新日鉄の経常利益よりも多い利益を上げるということになると報道されておりますけれども、この企業のやり方というのはそうなんです。好況時には投資しないんです。不況時に投資するわけです、長期計画でもって。そうすると、投資コストが非常に安いというわけです。ですから、好況になるともうけるだけということになるわけです。私たちの労働力政策というのもそうなっていかなきゃいけない。長期の展望の中で、今こそ次の戦力を目指した対策を動員していく。それは、雇用の安定だけではなくて雇用の改善にもなる、こういうふうに思います。
 そういう点で、大臣、雇用情勢がこうでありますけれども、労働省が持っている雇用に関係する政策手段をひとつ大動員していただきまして現在の問題の解決に向かっていただきたい、こんなふうに思いますけれども、大臣ひとつ。
#41
○国務大臣(村上正邦君) 庄司委員の今までの経験を踏まえられての御意見、心にしっかりとどめてやってまいりたい、こう思っております。
#42
○庄司中君 どうもありがとうございました。
#43
○三石久江君 三石です。私は労働委員会に所属いたしまして初めての質問をさせていただきます。
 まず、労働大臣に幾つかの点について御所見をお伺いしたいと思います。
 昨年、就任早々の記者会見での時短に関する御発言、閣議での御発言など、大臣は労働問題には独自の御意見をお持ちのようでございますが、その是非はともかくといたしまして、顔の見える大臣として私は評価をいたしております。
 そこで、労働大臣の持論との関係で二、三お尋ねいたします。
 まず、大臣は所信表明の中で、日本人の持った伝統的な価値観、これを大切にしつつと述べられて、勤労は美徳であるとの御意見をお持ちのようですが、適切な労働時間内で一生懸命働くという点では私も同様に考えます。しかし、大臣のお話を聞いておりますと、何か労働時間を短くすることが勤勉さと相反するもののようにも聞こえ、これを行うことに抵抗があるようにも受け取れます。
 しかし、現在の日本では、貿易黒字は外国に比べて労働時間が長い結果であるとか、朝早く家を出て夜遅く帰宅し子供の顔もほとんど見ないというとても寂しい過酷な労働条件、あまつさえ働き過ぎによる過労死の問題などがクローズアップされておりまして、生活大国を目指す我が国といたしましては、こうしたことに対しても労働時間短縮を進める必要があると素直に考えるのが一般的ではないでしょうか。とにかく、働き過ぎが問題なのではありませんか。
 大臣は、しばしば人間尊重という言葉を使われますが、人間を尊重するということはあらゆる面で当然です。その上で私は、個人の意思が尊重されるということが重要であると思っております。そして、その意思の決定はなるべく多くの選択肢の中から行われるものでなくてはならないと思うのです。余暇にも仕事がしたいというのも一つの選択肢ではありますが、それは明治、大正生まれの方の生き方で、特に男性には多いように思われますが、人間尊重の立場からは、家庭生活を営む上からも、長時間通勤、長時間労働によって一日あるいは一年の時間のすべてがこれに費やされ、働くことしか選択肢が残されていない働きバチということであってはならないと思うのです。そして、人間味のある家庭生活を営むことこそ生活大国と言えるのではありませんか。
 貿易黒字、過労死、家庭団らんの崩壊などが社会問題となっております日本の労働時間の実情を考えますと、大臣の持論には労働時間短縮に対する認識のずれが少しあるように思えてなりません。いかがですか。大臣の所信で言われました伝統的な価値観の理念も含めてお聞きしたいと思います。よろしくお願いします。
#44
○国務大臣(村上正邦君) 時短について、私があたかも逆行しているというような印象をお持ちのようでございますが、結論的に申しまして、大臣に就任いたしまして三カ月、私の軌道をしっかり両目をあけて見てもらえれば、どれだけの熱意でもってこの施策に取り組んでいるかということは御理解をいただけると、こう思っておりますので、まず結論的に申し上げさせていただいたわけであります。
 そこで、私の勤労観についてお尋ねでございまして、これは何も私が特別な勤労観を持っているということじゃないだろうと思うんです。普通の日本人の、大体きょうのこの労働委員会の顔ぶれを見ると私の世代ともそう変わらない委員の方々ばかりでございますので、そう大きな違いの勤労観ではなさそうだと、私はこう信じております。
 それは、今日の我が国の経済的発展は長い間に培われてきた国民の勤勉、そしてその実直さ、これは日本人が特に持ち合わせているあれのようでございますが、その実直さ、それからすぐれた創意工夫、そして付加価値をつけていくという、資源のないこの日本の国、そして働くということをとうとぶ精神、それは美徳であるというそうした価値観、こうしたものが日本人の持った伝統的な働くという共通した価値観ではなかったのかなと、こう思って私は申し上げたわけでございます。
 そこで、労働時間の短縮についての私の考え方は、働く人々がやはり時間的な余裕を持つということ、これは大事なことだと思います。朝早く起きて、二時間通勤時間の中で、満員電車の中で会社に着く。私は、今五号館、労働省のあります霞が関に朝出ておりますが、もうとにかくエレベーターの前に、九時から九時半ごろになりますといっぱいエレベーターを待っている。そして、みんなぶすっとした顔で疲れ切った顔。仕事もしないのに朝もう着いた途端からぶすっとした疲れた顔で、そうした顔を見ると、本当にこれで生活大国日本なのかなということを感じます。そうした面におきましても、時間の余裕を持つということは大事なことだ。それから、家族とのコミュニケーションを大事にしていくということ、そしてまた、それによって健康の維持を図る、心身を健全にする、知的向上を図る。そうすることが能率的でよりよい仕事をするための私は大きな力になる。やはり時間の余裕を持つということは非常に大事なことだと、こう思っております。
 それから、衣食足りて礼節を知る、こう今まで言われてまいりましたが、生活大国ということからいきますと、豊かさが実感できないというのは、衣食はそれぞれの収入、それぞれの懐ぐあいによってまあまあ満足できるところまできている。そこで、住まいということと時というこのことについては、先ほど言いましたようにおよそ生活大国などという豊かさを実感できるような状況ではない、こういうふうに私は思っております。
 そこで、私の所感は、時、時間をつくっていくということが私に課せられた今回の時短の大きな使命であろうと思っておりまして、あのチャップリンの「モダンタイムス」のような、あんなせかせかせかせかとした、私もどっちかといったら、あれを見て、ああおれはよう似ているなと思うんでありますが、ああいうことではやっぱりいかぬなど、こう思っております。そうした意味において、労働大臣として私に今課せられた大きな仕事は、時間のゆとりを差し上げるというこのことが、政策面における今回の年間千八百時間の目標に向かってこの国会で御審議を賜るわけではございますけれども、これを実現していくことだと私は思っておりますし、また大臣になるまでの私の仕事は、浜本委員もおられますけれども国会対策委員長という法案の上げ屋でございまして、何としてでもこの法案は上げたい、こう思っておりますので、ひとつ先生方の格段のお力添えをこの機会に御協力お願いする次第であります。
#45
○三石久江君 力強い所見を聞きまして、よろしくお願いいたしたいと思います。
 次に、日経連、日本経済団体連合会は本年度春闘に対し不況を理由にして賃上げゼロの牽制をしておりました。ぬれ手でアワのようにして得た利益がバブルの崩壊のもとで価値を低めたこと、あるいはこれらの利益を過剰な設備投資に回した結果が今回の不況を招いた一因であるとの意見もありますが、今回の不況にはこうした額に汚しなかった企業に責任があるにもかかわらず、賃上げ抑制という手段で労働者にその責任を転嫁するかのような経済界の発言並びに昨今の労使交渉の妥結額について、大臣の御見解を伺いたいと思います。
 また、二月二十六日の毎日新聞の報道によりますと、大臣の人生観として、労働を収入獲得の手段としか見ないようでは味気なく、仕事を通じて社会に貢献するという意識が大切などの発言があります。戦後の日本の復興は目覚ましく、世界に類のない経済成長をなし遂げたのは国民の勤労意欲のあらわれでありまして、これも三月三日の毎日新聞にありましたように、アメリカ、イギリス、フランス、旧西ドイツなど先進諸国に比べて日本の労働者の賃金は、為替レート換算では西ドイツに次いで二位ですが、購買力、労働分配率ではいずれの国よりも低く、最低であると指摘しております。
 このように、従来から企業あるいは経営者が生産性向上に見合った配分を従業員にしなかったことの方がよりむなしさを感じます。大臣の御所見を伺いたいと思います。
#46
○国務大臣(村上正邦君) 私は、ここには労政局長もおりますが、余り労働大臣は春闘にくちばしを入れないのが原則です、労使双方で、特に今成熟した労使関係の中でそれはそれなりの妥当な一つの方向が決まっていくんじゃありませんかと、大分だしなめられてきてはいるのであります。しかし、私の性格ですから、予算委員会等々でどう思うかと言われれば少しは踏み込んで答弁を期待なさっておられるんでしょうし、そこでぎりぎりの私は、バブルでもうけたか、泡か霧かにしか知りませんが、前大臣はそういう御発言をなさったようでありますが、いずれにしても支払う能力のある企業は支払ったらよろしい、これは常識的だと思うんですね。せめてそのくらいのことは言ってもいいだろう、こうして申し上げてきた。
 きょうの朝、私が七時ちょっと過ぎに車に乗りましたら、これは春闘のニュースでもやっておりましたが、今回春闘を顧みて労相の発言も異色であったがなんということを何かニュース解説でやっていましたが、私はそういう考えなんです、支払う金がありゃ払ったらいいと。それは、日本の企業というものは、ただ契約ということだけで結ばれている雇用関係ではありますけれども、そこらはやっぱり企業も一家族だというそうした心のお互いの通い合いというものが使用者側も働く側も私はあると思っております。少しでも働いていく人の生活が楽になっていけばそれは使用者の喜びでもありましょうし、そうした中でただ働く、汗を流すことが賃金の代価としてというのは、そういう意味を私は申し上げたわけでありますが、そうした欧米諸国に見られない雇用関係というのはそういうところにもあるのかな、こう思っております。
 ですから、私は今回の春闘を見まして、お互いにぎりぎりの出せるところは出す、そしてまた我慢するところは我慢するという、そうしたやっぱり良識の範囲内においておさまっているのかな、こういうふうに思っている次第であります。これからまだまだ大詰めを迎える企業もございますが、そうした成熟した労使関係の中で真摯に話し合われて妥当な解決が図られることを願っている、こういうふうに申し上げたいと思います。
#47
○三石久江君 次に、厚生省にお尋ねいたします。
 平成三年の合計特殊出生率が一・五三になって、出生率の低下が問題になっております。人口動態は、今後の労働力需給の見通しにとって重要な要素となりますので、以下お尋ねいたします。
 最近の出生率の低下と我が国の将来人口の見通しについて伺いたいと思います。
 出生率は、一九八○年以降低下の一途をたどり、九一年の合計特殊出生率はついに一・五三まで下がりました。また、出生率の低下により生産年齢と言われる十五歳から六十四歳の年齢層が本年または来年度をピークにして減少に転ずると言われておりますが、昨年九月の厚生省人口問題研究所の「日本の将来推計人口」に基づいて、出生率の現状と見通し、今後の総人口、年少人口、生産人口、労年人口の三区分人口の推移の概略を説明していただきたいと思います。
#48
○説明員(谷口正作君) 今後の日本の人口の将来推計についてのお尋ねでございますが、お尋ねのございました点を順次御説明させていただきます。
 まず、先生からもお話ございましたように出生率でございますが、平成三年、一九九一年の合計特殊出生率はこのところずっと下がってまいりまして一・五三となっております。そして、昨年九月、私ども厚生省の人口問題研究所が作成いたしました「日本の将来推計人口」に基づきますと、その中位推計によりまして合計特殊出生率はなお減少を続けてまいりますが、平成六年一・四九まで下がりまして、その後徐々に回復に向かいまして平成三十七年、二〇二五年には一・八〇になるというふうに推計されているところでございます。
 次に、お尋ねの総人口でございますが、平成三年の総人口は一億二千四百四万人となっておりますが、これも同じく先ほど申し上げました将来推計人口の中位推計によりますと、二〇一五年段階で一億三千三十三万人に達するわけでございますが、二〇二五年にはそれより減少いたしまして一億二千五百八十一万人になるというふうに推計されているところでございます。
 それと、もう一点でございますが、年齢三区分別の人口割合でございますが、ここで十四歳以下人口を年少人口、そして十五歳以上六十四歳以下人口を一応生産年齢人口、六十五歳以上人口を老年人口ということで見ますと、平成三年段階でそれぞれの割合は、一七・七%、六九・八%、一二・六%となっております。すなわち、一二・六%が老年人口割合で、これがいわゆる高齢化率と呼ばれるものでありますけれども、これも同じ昨年発表いたしました将来推計人口の中位推計によりますと、二〇一五年段階に年少人口割合は一六・三%、生産年齢人町割合は五九・五%、老年人口割合は二四・一%になりまして、そしてさらに二○二五年、平成三十七年には年少人口割合は一四・五%、生産年齢人口割合は五九・七%、老年人口割合、いわゆる高齢化率でありますが、これは二〇二五年段階で二五・八%に達するものと推計されているところでございます。
#49
○三石久江君 次に、厚生省はこのように出生率が低下した背景、原因などについてどのように分析しておられますか、お尋ねいたします。
#50
○説明員(谷口正作君) 出生率の低下の背景、原因についてのお尋ねでございますが、出生率低下の原因といたしましては、一般的に女性の方々の未婚率の上昇でございますとかあるいは夫婦の方々の間の出生する子供さんの数の減少などが考えられるわけでございます。最近、平成三年、一・五三まで下がってまいりましたが、この最近の出生率の低下は、主として二十歳代の女性の未婚率の上昇によるものであると考えております。
 少し具体的に申し上げますと、二十歳代後半の女性の未婚率、これが昭和六十年段階で三〇・六%でございましたが、その五年後の平成二年には四〇・二%に上昇いたしました。わずか五年の間に二十代後半の女性の未婚率が一〇%上昇したわけであります。さらに、女性の平均初婚年齢もこの間に二十五・五歳から二十五・九歳に上昇したわけでございまして、このように女性の未婚率が上昇いたしました背景には、一つは女性の社会進出に伴って女性の経済力が上昇したということもございますし、それから独身生活の楽しみが増大したというようなこともあろうと思いますし、若い男女の結婚に対する意識の変化だとか、女性の就業と家事、育児というものの両立の支援体制ということもございますし、あるいは子供の教育問題、住宅問題等、結婚、育児に対する負担感を重いものとしている。そういった種々の事情があるものと考えております。
#51
○三石久江君 次に、出生率低下によって総人口、特に若年人口が低下し、その結果として高齢化、社会保障制度への影響などさまざまな影響が考えられますが、厚生省は出生率低下による社会的影響及びその問題点にはどのようなものがあるとお考えでしょうか。
#52
○説明員(谷口正作君) 出生率が今後とも低水準で推移いたしますと、先生お話しございましたように高齢化が一層進んでいくということがあるわけでございますが、それに伴う影響といたしまして幾つか影響が出てまいるというふうに考えております。
 申し上げさせていただきますと、一つは、将来的に生産年齢人口の割合が大幅に低下する。これは先ほど申し上げたところでございますが、生産年齢人口の割合が大幅に低下いたしまして、我が国の産業構造でございますとか、消費市場等に少なからぬ影響が出てくるのではないかということでございます。
 二点目といたしましては、現在の行財政制度あるいは社会経済の諸条件を前提といたしますと、社会保障のための負担が一層増加していくこととなろうというふうに考えております。
 それから三点目といたしまして、二十一世紀初頭以降、いわゆる生産年齢人口の減少が加速されまして、労働供給面での制約要因になることも懸念されるわけでございます。
 それから四点目でございますが、子供の数が減ってまいります。そうしますと、子供がいわゆる仲間の中でお互いにもまれる機会とか、あるいは兄弟が多い場合はよくあることでございますけれども、兄弟が多ければ我慢するわけですが、一人っ子、二人っ子というような状態の中では我慢することもなかなか学ぶ機会がなくなるということで、いわゆる子供の社会性が育ちにくくなるということで、子供自身の健やかな成長への影響も懸念される。大まかに申し上げまして、このような影響が生ずる懸念、可能性があるというふうに考えております。
#53
○三石久江君 また、諸外国の出生率の状況は日本と比較してどうなっているのか。アメリカ、イギリス、フランス、スウェーデン、ドイツなどについて状況を説明していただきたい。あわせて、それぞれ出生率に影響を与えると思われる対策はどうなっているのでしょうか。
 特に、出生率が低下傾向から上昇に転じた国、出生率が比較的高位で安定している国などにおける直接的な政策、あるいはそれがない場合、家族政策など間接的な政策の概要も紹介していただきたいと思います。
#54
○説明員(宮島彰君) 欧米諸国におきます出生率の推移について見てみますと、欧米諸国におきましても一様に六十年代後半から七十年代にかけましてやはり低下傾向にございました。しかしながら、八十年代前半で一応底を打ちまして、現在は横ばいかやや増加という状況にあろうかというふうに思っております。
 こうした状況についての要因につきましてはなかなか分析が難しいわけでございますけれども、ただ一九七〇年代から八〇年代にかけまして、いわゆる家族手当なり育児休業制度なり、こういった制度の充実が図られてきているということが何らかの形でやっぱりプラス要因として働いているのではないかということは考えられるかというふうに思います。
 御指摘のように、とりわけこの中で目立ちますのがスウェーデンでございまして、一九七八年に出生率が一・六〇で底を打ちまして、現在は九〇年で見ますと二・一四、二を超えるぐらいまでに回復してきております。スウェーデンにおきましても、やはりこの低下傾向を踏まえまして、児童手当、育児休業制度、こういうものをかなり充実させておりますので、そういったものがある程度効果をもたらしてきているのではないかということは推測されるところでございます。
#55
○三石久江君 そこで、労働大臣にお尋ねいたします。
 平成四年度の国民生活白書でも、出生率低下の主な原因を、一つには女性の晩婚化と生涯未婚率の上昇、もう一つは結婚をした有配偶女子の出生率の低下に分けて、その要因についてさまざま挙げております。その中で、晩婚化の要因の一つとして挙げられております女性の高学歴化につきましては、個人あるいは社会にとってはプラスとしておりまして肯定的でありますが、問題はむしろ職業についた女性が、仕事と家事、育児を両立てきない社会環境の中では、キャリアウーマンと言われなくとも一がどの職業人になるためには、結婚に踏み切れないで独身を通さざるを得ないことにあります。
 ちなみに、厚生省の将来推計人口でも、一九三六年から一九四〇年コーホートの女性の生涯未婚率四・二%に対し、一九五〇年コーホートでは、中位推計では一一%、低位推計では一六・四%と、女性の一〇人から六人に一人は生涯未婚であると推定をしております。また、有配偶女子による出生率は、戦後二・三人とほぼ定着しておりましたが、現在の社会情勢では減少するおそれがあると言われております。その要因の中でも、育児への精神的負担感の増大、仕事と家事、育児の両立が難しいことなどが影響しているとしまして、夫の家事、育児への分担が得られないこと、長い労働時間などに見られる職場中心社会などがその背景として認識されていることを反映していると述べられています。
 出生率低下の要因はさまざまあるとしましても、女性、特に働く女性にとって極めて不利な日本社会の仕組みが女性の結婚をあるいは出産をちゅうちょさせていることは間違いないと思います。女性の味方であります大臣の御意見をお聞きしたいと思います。
#56
○国務大臣(村上正邦君) まず、未婚の女性が多いというところは男性が反省しなきゃならない、魅力ある男性が少なくなったのかなと。やっぱりパワーを持つ男性を大いにあらゆる面から再教育し直すということが大事なのかなと私は思っております。
 それから、本当に身近な例といたしまして婦人局長がいますが、お子さんは二人だそうです、私は四人いますが。それで、三人も四人もつくりたかったわよと、こうおっしゃる。しかし、この現状でやはりそんなに子供はつくれないのよ、両立がなかなか難しいのよと。それとやっぱり親の責任として、自分の命の職業を持ちながら親として責任の持てる育児ということになれば二人が限界なのかなというようなお話をお聞きしました。
 また、私の今の秘書官、まだ若い秘書官、三十を超したか子前か知りませんが、この奥さんも労働省にいるわけです。二人子供がいるんだそうです。秘書官が家に帰って託児所に寄って子供を連れておふろに入れる、こう言うんですよ。そうすると、私は責任があるんです。夜遅くまで使っちゃいかぬ、こう思うんです、早く帰してあげようと。
 本当にそういう身近な例からいきまして、子供をたくさん産めとは言いませんが、しかし少なくとも今よりは産んでもらいたい。三人ぐらいは産んでもらいたい。ということからいけば、本人たちの人生観にもよるでしょうが、しかし我々政治家として考えた場合には、そういう子育てしやすい環境というものを十分考えでいろいろな施策を遂行していかなきゃならない、こう思っております。そういう環境をつくっていってあげることだと思います。と同時に、やはり御本人たちも多少子供に対する生命の尊厳さだとか、それから今おっしゃられた日本が今後二十年先三十年先に行けばどうなるのかという、こういう社会的責任というものも大いに自覚していかなきゃならぬことじゃないだろうか。
 それからもう一点、人口が非常に低下してきたということにはやっぱり日本の戦後体制のひずみ、残照というものがここの中にもあるんだということを知っていただかなきゃならない。と申しますのは、やはり終戦直後狭い四つの島国に日本はなってしまった、復員が大陸からどんどん帰ってくる、狭い国土の中で食べ物もない、住むところもない、そういうところで優生保護法というものがつくられた。この残照が今日まで法律の中に歴然とあるという、人口抑制の政策というものがあるということも、これはやっぱり考え見直す時期に来ているんじゃないか、こういうことを私は提案してみたい、こう思っております。
#57
○三石久江君 優生保護法のことはまた後ほどゆっくりさせていただくことにいたしまして、次に労働省に伺います。
 先ほどの厚生省の御説明のように、出生率の低下は、若年層が減少する一方で高齢者が増加することにより、長期的には労働力人口の減少をもたらします。雇用政策研究会の労働力需給の展望と課題によりましても、出生率の低下から労働力人口の減少問題が提起され、今後労働力需給が引き締まり基調で推移して、二〇〇〇年以降は労働力不足感が一層高まり、これによって労働条件の向上や職場環境の改善が進むなどの効果が期待できるとする一方で、深刻化すれば国民生活にとって重要な分野に労働力が供給されず、そこでの生産・サービス活動が停滞する事態が起きる可能性があることが述べられております。
 出生率の低下は労働行政にとっても重大な関心事であると思いますが、労働省はこの出生率低下という事態を労働面からどうとらえておられますか将来の労働需給の面からも説明していただきたいと思います。
#58
○政府委員(齋藤邦彦君) 先ほど厚生省から将来の日本の人口についてのお話がございましたけれども、このような人口の動向に伴いまして我が国の労働力人口は一九九〇年で六千三百八十四万人でございますが、二〇〇〇年には六千七百六十八万人、増加幅が三百八十四万人ということが見込まれまして、一九八〇年代におきましては七百三十四万人増加をいたしましたので、それに比較をしますと非常に大きく増加幅が縮小いたします。さらに二〇一〇年になりますと、六千五百七十万人でございまして、一転して百九十八万人減少する、このように見込まれているわけでございます。中長期的に見ますと、若年者を中心としました労働力不足感の高まりということが予測されるわけでございます。
 こういうようなことを踏まえまして、今後の雇用対策の基本的な考え方といたしましては、一つは今後予想されますような労働力供給制約時代に的確に対応し得るような産業構造、雇用構造を徐々に今のうちからつくり上げておくということが一つ大事なことだろうというふうに思います。それから、高齢化が進みますし、さらに女子の社会進出ということがますます予想されるわけでございますので、そういうようないわば労働力供給構造と申し上げていいかどうか、そういうようなことについての変化に十分対応し得るだけの雇用システムを今のうちからやはりつくり上げていく必要があるだろう、このように考えておる次第でございます。
#59
○三石久江君 再度、労働大臣にお伺いいたします。
 ただいまの人口動態から見て、二〇〇〇年から二〇一〇年にかけて若年層は約六百万人減少し、高年齢層は逆に七百八十万人増加するとの見通しですが、現実に労働力が不足する事態になってから労働条件の向上や職場環境の改善が行われても問題を先送りにして深刻な状況をさらに深刻化するおそれがあります。今後、中長期的に見て労働力が不足することが明らかである以上、二十年から三十年先の人口動態を考えて、今直ちに現在以上に女性の就業機会の増加と、安心して結婚をし、仕事と家庭生活を営みやすい社会環境の改善を図る必要があると思います。いかがですか。」
 また、出生率を高める政策といいますと、戦前の産めよふやせよという言葉とダブって大変聞こえは悪いのですが、調和のとれた人口構成を維持するためには、合計特殊出生率一・五三は速やかに二・一に近づける必要があると思います。出生、育児環境などの整備を進めて、一たん低下した出生率を福祉政策を充実して上昇させたスウェーデンの例をどう見られますか。日本も大いに参考にすべきではないかと思いますが、いかがですか。
#60
○国務大臣(村上正邦君) 全く同感でございます。やはりここでしっかりしたそうした政策を英知を集めてやっておかないと大変なことになる、こう思っております。
 ただ、人間の生命というものを労働力だとか供給だとか需要だとか、こういう感覚だけでこの政策を進めるということはちょっと一面的過ぎるんじゃないだろうかなと。やっぱり大事なことは大事なこととして頭に置いていかなきゃいけない。人間尊重の行政ということはそこらあたりに力点を置いておるわけですね。ですから、政策的には先生のおっしゃるもうそのとおりだ、こう思っております。英知を集めて、労働省といたしましてもそういう政策を、今から地についた、具体性のある実行をやっていかなきゃならぬ、こう思っております。
#61
○三石久江君 英知を集めて日本のために頑張っていただきたいと思いますし、私どもも頑張りたいと思います。
 次に、経企庁にお伺いいたします。
 今後の労働力不足を考えるならば、女性労働力に期待するところは大きいと思います。しかし、平成四年度国民生活選好度調査によりますと、出生率の低下の要因につきましては、女性で最も多かった回答は「育児をする施設・制度が充分でないから」ということです。現行制度下では、女性労働力の確保と出生率の向上とは相矛盾する課題ですので、これらの両面を満たすためには施策の充実が求められます。
 ところで、平成四年度の国民生活白書には夫婦共働き世帯が望む出産、育児に必要な制度についての調査結果が掲載されておりますが、どのような内容なのか御説明願いたいと思います。
#62
○説明員(川本敏君) お尋ねの調査結果でございますけれども、昨年の九月、国民生活選好度調査の中で私ども調べております。
 それで、共働き世帯で出産や育児がしやすくなるために必要な制度や環境について聞いているわけでございますけれども、夫婦とも育児休業制度の充実を掲げる人が多くて四割以上に上っております。すなわち、共働きの奥さんの方では四六・七%、それから夫の方は四二・八%の方々がこの育児休業制度の必要性を感じておるわけでございます。このほかに、夫では育児手当の充実、出産費用の補助という経済的な支援を求める人が多くなっておりますし、また妻の方では、労働時間の短縮、保育施設の充実等子育ての時間の確保や、就業を続けながら育児をするのに必要な制度や施設の充実もあわせて望んでおる結果が出ております。
#63
○三石久江君 次に、労働省にお尋ねします。
 ただいまの説明のように、育児休業の充実、労働時間の短縮、再雇用制度の充実など、労働行政にかかわる部分が大きいのですが、これらの要望にこたえて、働く女性が安心して産み育てる環境を整えることが出生率の向上と女性労働力確保のための最重要課題でありまして、その意味では労働政策の役割は非常に大きいと思います。雇用政策研究会その他の資料によりましても、女性の二十五歳から三十歳までの労働力率は七〇%を超えますが、三十五歳までに五〇%まで落ち込み、以後再び上昇に転ずるといういわゆるM字型の就業構造であります。スウェーデンでは、各種政策によってこの中だるみを解消し、働きながら育児を全うする社会ができております。
 労働省は、平成四年六月の第二次女子労働者福祉対策基本方針では、「女子労働者がその能力を有効に発揮し、充実した職業生活を営むためには、」「女子が家庭の一員として育児や介護などの責任を負うことによって職業生活の継続が困難になることのないよう支援することが重要である。」と述べて、さらに「女子のみがいわゆる家庭責任を負うものであるとの役割分担意識を職場、家庭その他社会において固定化することのないようにしなければならない」としておりますが、職業生活と家庭生活の両立の点について、出生、育児のための具体的な労働政策として、労働省はどのようなことを考えておられますか。
#64
○政府委員(松原亘子君) 先生から御指摘がございましたように、女性が、特に働きながら結婚し、子供も育てていきたいというふうに希望する女性が本当に充実した人生を送れるためにどういうような政策をとっていく必要があるかという観点から、私どもさまざまなことを検討し、幾つかを具体化してきたわけでございます。
 御承知のとおり、昨年の四月から育児休業法というのが施行になりました。おかげさまで施行後の状況、比較的スムーズに各企業に導入されておりまして、これを利用して育児と職業とを両立させていける女性がふえてきたということは、非常に私どもとしても喜ばしいことだというふうに思っているわけでございます。一部の企業はまだ、特に中小企業でございますけれども、この導入が平成七年からということになっておりますけれども、こういった企業に対しましてもなるべく早く育児休業制度が導入されるようにということで、奨励金なども用いながら普及指導を進めているところでございます。また、来年度から、新たに事業所内の託児施設を設置、運営する事業所に対しまして補助金を支給することができるようにしたいということで来年度予算に盛り込ませていただいております。そういったことも女性の育児と仕事との両立を可能にするための重要な施策だというふうに思っているところでございます。
 さらに、最後に先生から御指摘がございました女性と男性との役割分担意識といいますか、固定化された意識というのは、私どもはやはり家庭だけではない地域、職場、いろんな場面で女性が十分に能力を発揮することの障害になってくるというふうに考えておりまして、これにつきましては婦人週間などさまざまな機会をとらえまして固定化された役割分担意識ということを取り払うようにという啓発指導をやってまいりました。そして、その結果だけということを申し上げるわけではございませんけれども、昨年の十一月に総理府において行われました男女平等に関する世論調査などを見てみますと、それまでに行われた調査結果に比べましてこの役割分担意識が、特に若年層を中心にして相当変わってきているという結果も出ておりまして、さらに一層今後とも努力してまいりたいというふうに思っているところでございます。
#65
○三石久江君 そこで、働く女性が安心して子供を産み育てる環境整備のための施策としては、労働時間の短縮、育児休業制度、保育所、学童保育、介護休業制度、女子再雇用制度と再就職援助など、以上のように仕事と家庭が両立てきる環境づくりについてはさまざまあります。大変大事なことでありますので、順次伺いたいと思います。
 まず、労働時間短縮の問題は、現在基準法の改正が国会に提出されておりますので法案審査のときに譲りますが、大臣に一点確認だけしておきます。
 今後、人口が減少していく中で労働力不足が見通される現在、女性の職場進出と定着の必要性はますます高まるものと思います。従来は社会的にも家庭内でも根強い性別役割分担が幅をきかせておりましたが、女性のみが家庭責任を負うのではなく、夫婦とも家事、育児に費やすことのできる時間を確保しながら働けるという環境を整備することによって男性の意識も改革され、男女同権の実も上がってくるものと思います。このような理由から労働時間の短縮は必要不可欠な条件であります。そこで、大臣の御見解をもう一度お伺いしたいと思います。
#66
○国務大臣(村上正邦君) 宇宙の半分は女性であると言われております。十分女性のそうした社会進出に対しての何と申しましょうか、お考えに敬意を表し、尊重もさせていただきながら、やれることがあれば家事でも何でもやってまいりたいと、こう思っております。
#67
○三石久江君 大いにやっていただきたいと思います。
 次に、厚生省にお伺いします。
 育児休業の充実も重要であります。また、その後をどうするかの問題があります。育児休業法には就学始期に達するまでの子を養育する労働者に対し勤務時間の短縮などの処置を講ずるよう努力業務を事業主に課しておりますが、これが行われたとしても育児保育の受け皿の問題が残されております。共働き世帯の要望の中で比較的高いものの一つに保育園の充実がありますが、数そのものは満たされてきたようでありますが、乳幼児、低年齢児の保育、延長保育、夜間保育など、これまた問題が多く残されております。特に、働く母親の保育所に関する悩みとして多いのは、ゼロ歳児を預けるところ、特に公的保育所が少ない、産休明け保育所がないことであります。
 育児休業制度が整備されても受け皿となる保育制度がなければ女性は働き続けることができないと思いますが、こうした働く母親の悩みに厚生省はどうこたえていくのでしょうか、お伺いします。
#68
○説明員(宮島彰君) 御指摘のように、仕事と家庭生活を両立していく上にいわゆる保育サービスといいますか、育児についてのいろんな諸施策の充実が非常に重要になってきておるわけでございます。
 保育所につきましては、制度的には昭和二十三年からスタートしておる福祉施策の中でも比較的歴史のある施策でありますけれども、御承知のようにいわゆる制度全体の仕組み自体がもう既に四十年間基本的には変わらずに来ております。しかし昨今、女性の社会進出等に応じまして保育ニーズが非常に多様化してきております、先生御指摘のように夜間保育なり延長保育なりあるいは休日保育なりですね。
 そういう意味で、現在私どもとしては、この保育のあり方につきまして全面的な一度見直しをやる必要があるということで、この二月に保育問題検討会というのを設置いたしまして、関係者の方々に御参加いただきまして、言うなれば将来、これからの二十一世紀に向けて保育所を中心とする保育サービスのあり方を全面的に見直して、御指摘のようないろんな多様なニーズに対応できるような柔軟な保育施策を展開していくための施策を今やっておるところでございます。そのまとまった報告を踏まえまして、御指摘のようないろんなニーズに対応できるような保育施策を確立してまいりたいというふうに思っております。
#69
○三石久江君 次に、労働省にお伺いします。
 ただいま、労働省の五年度予算では事業所内託児施設助成金の創設が織り込まれているというお話がありました。これは働く母親の要望の一つにこたえるものと高く評価したいと思います。
 そこで、制度の創設としては評価いたしますが、勤め先が近所にあるならばともかく、通勤距離が長く、混雑した電車を利用する場合、幼児を連れて通勤に困難がつきまといます。そのため、せっかくの制度が有効に働かない場合も考えられます。混雑した通勤を回避するには就業時間の短縮がぜひ必要であり、制度の趣旨を生かすため、育児休業法十一条を努力義務ではなく、十条と同様の扱いとすべきではありませんか、お伺いいたします。
#70
○政府委員(松原亘子君) 今先生が御指摘になりました育児休業法の十一条は、確かに十条と比べまして努力義務ということにはなっております。
 ただ、今御指摘ございました企業内託児施設でございますけれども、私どもはこれですべて問題なしということではございませんで、基本的にはやはり地域の保育施設というのが第一義的に整備されていくということが重要ではないかというふうに思っております。ただ、地域の事情によりましては、比較的通勤時間もかからないといったようなこともございます。そういったところにとりましては、十分地域の保育施設が対応できないような場合にこういった事業所内託児施設を整備してそこで対応するということも一つの選択肢として有効だというふうに考えておりまして、もちろんこれがすべてだというふうには思ってないわけでございます。そういうことから、さらに施策を充実するという観点でこういったものを来年度予算に盛り込ませていただいたということでございます。
 そしてまた、最初に戻りますけれども、十条と十一条でございますが、この育児休業等に関する法律は、基本的には、一歳未満の子を養育する労働者の育児と仕事との両立を容易にするという観点から策定をいたしたものであるわけでございまして、そういう観点から、一歳未満の子供につきましては、勤務時間の短縮ですとかその他幾つかの選択肢のうちのどれかを育児休業をとらない労働者に対して事業主が準備をしなければいけないということになっているわけでございます。
 そういったものが準備されることにより、子供が一歳を超える労働者にとりましても、そういった子のためのいろんな制度が充実されるということにもなってまいります。それは大いに期待されるところでございますが、直ちにこの十一条を事業主の義務規定にするというところまではまだなかなか社会的なコンセンサスは十分ではないのかというふうに認識しているわけでございます。
#71
○三石久江君 次に、厚生省にお尋ねします。
 働きながら安心して子供を育てるという観点から、さらに小学生に対する保育の場の確保も重要です。現在、学童保育については自治体によって取り組みがばらばらであり、自治体によっては公的にこれを確保せず、父母の自主性に任せ、一部の補助金を出すだけのものもある。このため、父母は施設の確保、指導員の給与などさまざまな面で負担を強いられる場合もあると聞いております。これら父母の負担を減じるため、学童保育についてすべからく公的な運営とし、指導員を公務員とすることはできないのでしょうか。就業と家庭を両立させるため学童保育の重要性は高く、公的に行われてしかるべきだと思いますが、なぜこのように自治体によって取り組みが異なるのでしょうか。
 NIRAの調査報告「母親の就労と子供」によりますと、母親が帰宅するまで子供に目が届かないことに対する不安を訴えるのが目立つとあります。そして、同報告には、小学生の子供を持って働いている母親の多くが子供の放課後の過ごし方に不安を覚え、そのために仕事を断念することも多いと指摘した上で、小学校低学年の児童を放課後から夕方まで公民館や児童館などで預かり指導する学童保育を制度化するように提言しております。この報告について、厚生省はどう対応しますか、お尋ねいたします。
#72
○説明員(宮島彰君) 民間保護者のいない家庭の小学校低学年児童につきましては、いわゆる児童クラブという形で平成三年度から放課後児童対策事業というのを創設いたしまして、現在その推進を図っているところでございます。
 この児童クラブに対する助成事業につきましては、年々大幅な増を図ってきておりまして、平成四年度では約三千五百のクラブに助成を行っております。五年度予算でも三千九百までこれをふやすということで年々かなり大幅な増加を図ってきているところでございます。
 この児童クラブに対します助成につきましては、職員配置につきまして、一クラブ当たり児童数おおむね二十人に対しまして指導職員一名を配置するという基準で行っておりまして、保育所が大体三十人に一名ということからしますと、かなり手厚い配置等を行っております。そういう形で、現在私どもとしては放課後児童対策事業というものを充実させていくという方向で対応していきたいというふうに考えております。
#73
○三石久江君 ありがとうございました。
 次に、労働省にお伺いします。
 高齢化社会を迎え、介護休業の必要性は高まっています。早期にこの法制化を望むものですが、高齢化ばかりでなく子育ての面でもこの介護休業は必要であると思います。
 小さな子供はしばしば熱を出したり、急に病気を訴えます。保育所あるいは幼稚園では預かってくれないために休まざるを得ません。このため、幼児を抱えて働く親はみずからのために年休というものをほとんどとることができず、それどころか取得できる年休以上に休む場合もあります。育児に関する女子労働者のニーズ調査によりますと、育児休業以外の育児と仕事の両立のために必要と思う企業内制度は、子供の病気などの看護のための休暇・休業制度とする声が多いということです。介護休業制度の法制化の際は、長期の介護休業とともに、短期の病気の子供を介護するために安心して休暇を取得できる制度の導入を要望したいのですが、労働省のお考えをお聞きしたいと思います。
#74
○政府委員(松原亘子君) 御指摘のように、家族の介護という問題は、特に高齢化がこれだけ急速に進展する中で、職業を持っている労働者にとっては非常に重要なといいますか、解決しなければいけない課題になってきているわけでございます。
 そういうことで、私どもこの介護休業につきましては、昨年の七月に「介護休業制度等に関するガイドライン」というものを策定いたしまして、これに沿った介護休業制度ができるだけ多くの企業に導入されるようにということでシンポジウムをやりますとか、使用者の方々に集まっていただいて制度の趣旨や内容等を御説明するといったようなことで普及啓発指導をやってきたわけでございまして、これについてはさらに一層私ども取り組んでいきたいというふうに思っているわけでございます。
 ところで、このガイドラインの中に具体的な内容が盛り込まれているわけでございますけれども、そのガイドラインでは介護休業の対象となる要介護者の範囲といたしまして最低限配偶者、本人の父母、配偶者の父母に加えまして子供も対象にするようにということで書いているわけでございます。それから、休業というフル一日の休業をずっと続けるということだけではなくて、育児休業法の中に規定があるものと見ておりますけれども、勤務時間の短縮の措置といったようなことも休業と選択して労働者が選べるような形にこの制度を導入してほしいということもこのガイドラインに示しているわけでございます。
 なお、その法制化の問題でございますけれども、これにつきましては昨年ガイドラインを定めたばかりであるというようなこともございますし、またちょっと古いんですけれども、平成二年の結果ですと、この休業制度そのものの普及率が一。三・七%ということでございます。さらにその後、春季賃上げ交渉と並行してとか、またそれ以外の時期でもありますけれども、幾つかの業種で介護休業制度が大手企業を中心に導入されたというふうにも把握しておりますので、近々最近の普及状況等も把握をいたしたいというふうに思っております。
 そういったことも総合的に勘案しながら、法制化問題というのは非常に重要な政策テーマだというふうに考えておりますけれども、今具体的にどういうふうな形でとか、どういう内容でいつといったようなことまでは、なかなかお答えできないということで御理解いただきたいというふうに思います。
#75
○三石久江君 時間がだんだんなくなりましたので、最後に。
 以上述べましたが、働く女性の要望は切実なものでありまして、それらは決して高望みではなく、育児と仕事の両立を図るために極めて当然の要求ばかりであります。育児と仕事の両立は出生率、労働力確保の面から重要になってきておりまして、単に個々の暮らし向きをよくしたいという個人の欲望を超えた社会全体の問題となっていることを十分に認識してもらいたいのです。
 労働時間短縮を例にとりましても、景気がよくないから、あるいは中小企業では直ちに導入は難しいからといって先延ばしすればするほど人口動態が悪い方向に向かうことは明らかです。キャリアウーマンが必死になって仕事に打ち込み、独身を貫き通すことも一つの生き方ではありましょうが、長期的な視野から見れば社会的に決して望ましいことではありませんし、私は人間として女性として痛々しさを感ずるのです。育児保育の福祉施策など社会保障が整っておれば、産前産後の休業などで継続して就業できるので、女性が結婚して総理大臣にでも労働大臣にでも会社の社長にでも子供を産みながら勤まると思うのです。外国には例がありました、これは極端な例ですが。
 近年の長寿社会では、女性の平均寿命は八十五歳を超えようとしております。次の世代に命をつなぐ妊娠、出産、哺育の母性機能を発揮する期間はそのうちせいぜい十年にしかなりません。その十年については女性が次の世代を産むという社会的機能を果たすために保護することは今後とも必要でありますが、そのことによって女性が社会的に男性と区別されるいわれはありませんし、妊娠、哺育の期間以外は社会的機能、能力ともに男女間に差異は存在しないとの認識が必要であると思います。
 この認識に立ては、女性の長い一生のうちの一時期にすぎない母性機能の存在でもって、男女の性別役割分業を推し進めてきた従来の社会通念は誤りであることに気づくべきではありませんか。人生の基本である家庭生活を犠牲にしてまで労働しなければならない会社人間の仲間入りするために生涯未婚を覚悟することは社会的損失であり、男女ともに十分な余暇と時間外労働をしなくとも豊かな生活を保障された適正な賃金こそ生活大国の目指す道であると思います。
 職業生活と家庭生活の両立を図るということは、労働時間短縮、育児休業、介護休業など労働政策からのアプローチだけでは当然不十分であります。保育所、学童保育、健康保険制度など、厚生行政にもかかわる面がありますので、各政策がきめ細かに行われる必要があるとともに、労働、厚生両省の連携がなくてはそれぞれの政策が有効に機能しないと思います。職業生活と家庭の両立を図るという点について、関係省庁とどう協力していくのか労働省及び厚生省の御意見をお聞きした上で、労働大臣としての御所見を承って質問を終わりたいと思います。
 よろしくお願いします。
#76
○政府委員(松原亘子君) 御指摘のように、育児の問題、介護の問題、国民のサイドから見れば、それは厚生省の行政、労働省の行政ということではなくて一貫をしているわけでございます。そういうことから、私どもが進めております先ほど来御説明いたしましたような行政分野というのは非常に厚生行政と関連が深いということは私も十分認識をいたしております。そういうことから、いろんな折に触れまして担当者レベル、課長レベル等々いろんなレベルで意見交換をするなり、例えばもっと具体的に申し上げれば、育児休業法が施行されたときには、保育所の入所の問題との関係をどうするかといったようなことについてもお話し合いをさせていただき、対応措置を厚生省の方でとられたというようなこともございますように、いろんな場面場面に応じまして連携をこれまでも密接にしてきたわけでございます。
 今後とも、そういう方向でさらに一層連携をとってまいりたいというふうに思っておるところでございます。
#77
○説明員(宮島彰君) 職業生活と家庭生活の両立のためにはいろんな施策が必要でございます。そのためには、労働省、厚生省以外にもいろんな各省の施策が関係してくるわけでございます。そういう意味におきまして、政府におきましては内閣に現在、健やかに子供を生み育てる環境づくりに関する関係省庁連絡会議というのを設置しております。現在十八の省庁が参加しておりますが、この会議を中心に、政府を挙げて子供が健やかに生まれ育つための環境づくりに現在努力をしているというところでございます。
 今後とも、こうした関係省庁との連携に努めながら施策の向上を図ってまいりたいと思っております。
#78
○国務大臣(村上正邦君) いろいろとお説を聞かせていただきました。労働行政の二十一世紀を展望いたしましたときに、非常に大事な役所だ、こう思っております。
 こうした問題について、今それぞれ松原局長、厚生省から話がありましたようにこれは厚生省だこれは労働省だとそういうことではなくして、政府としてこうした問題に積極的に取り組んでまいりたい、そして女性の皆さん方が本当に安心して結婚ができ、そして子供を生み育てる環境、そうした中で女性の役割と申しますよりも、先ほども女性から総理大臣をと、そうした時代が参りますことを心から切望いたしております。
#79
○委員長(田辺哲夫君) 本調査に対する午前の質疑はこの程度とし、午後一時二十分まで休憩いたします。
   午後零時二十三分休憩
     ――――◇―――――
   午後一時二十三分開会
#80
○委員長(田辺哲夫君) ただいまから労働委員会を再開いたします。
 午前に引き続き、労働問題に関する調査を議題とし、労働行政の基本施策に関する件について質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#81
○坪井一宇君 過日の参議院の予算委員会で、村上労働大臣が建築事故のことに関して建設部門を含めて大変踏み込んだ御回答をいただきまして、恐らく多くの人々は共感を呼びお願いしたいということで、労働省に対する一つの認識も新たにしていただいたんじゃないかなというふうに私どもは敬意を表する次第でございます。
 ただ、お亡くなりになった方々は各地方から出てこられて、そして一家を支えて一生懸命働いてこられた。この人力にまだ見舞金、一時見舞金等を含めて家族の手元に一銭も入っていない。まだ調査中というのは、それは大変時間がかかって問題があるんじゃないか。こういう事故を起こした場合は直ちに一時金等を支給して、そして家族の方々に少しでも報いていってあげる。それは建設行政の中の構造上の問題もあろうし、またいろんな問題があると思います。これとその事故の方々、遺族の方の気持ちというのはまた別な視点があるんじゃないかなというふうに思うわけでございます。
 その点について、労働大臣のこの間の答弁には大変敬意を表しますけれども、もう一歩進んでそういうことについての御回答をひとつお願いしたいと思います。
#82
○政府委員(石岡慎太郎君) 大臣にお尋ねでございますが、事務的なことでございますので、最初にお答えさせていただきます。
 労災保険制度におきましては、労働者が業務上で死亡された場合に遺族補償給付が行われます。年金でこれは遺族の数に応じまして違うのですが、給付基礎日額の百五十三日から二百四十五日分年額で支払われます。また、一時金につきましては、給付基礎日額の千日分支払われることになっております。
 ところで、御指摘の江東区の事故で死亡された四名の方々の場合でございますが、三月十二日に御遺族の方々から亀戸労働基準監督署に対しまして先ほど申しました遺族補償給付の請求が行われました。現在亀戸労働基準監督署におきましてはそれを受けまして速やかに給付を行うべく鋭意調査を行っているところでございます。また、お触れになりませんでしたけれども、負傷された方が一名おられます。この方につきましては既に労災保険で必要な治療を行っていただいているところでございます。
 なお、労働大臣がこの間元請会社を呼ばれた際に、元請会社におきましても御遺族の方々に対しまして慰謝料などについての話し合いをしているという報告をしておりましたので、申し添えておきます。
#83
○坪井一宇君 今答弁いただきましたけれども、各ゼネコンの建設業者も話をしているという段階でもう既に一カ月以上たっています。こういう事態では血の通った行政が出てきていないということでやはり人々の中に非常に不安感がある。地方から大都会にお出ましをいただいている、そういう人たちを大事にするということが基本的に欠けているんじゃないかなというように思うわけです。
 ですから、調査を鋭意しているといういわゆる役所なりの答弁じゃなくて、実際に調査するよりも早く一時金をどうしていこうとするか、そのために全力を挙げていただく、こういうことをひとつお願いをしたい、こういうふうに思います。
#84
○国務大臣(村上正邦君) 私もまことに同感でございまして、事故が発生いたしまして、二月一日でございましたが、恐らく予算の総括も終われば労働委員会等々も始まる。そうした中で、こういう御質問を受けましたときに、いまだ調査中だとかいう答弁は私としてはできない。こうかねがね思っておりましたので、三月十五日でございましたが、その後どうなっているんだ、こう尋ねましたところ、案の定今調査中だとかああだこうだということでございましたので、急遽私は再度現場へ行きまして、現場で鹿島元請等々と話をしてまいりました。
 ただ、その折にこういう補償についての話をいたしましたときに、東京支店長がそれは既に最高額について検討をさせていただいておりまして支払っておりますというような話を私は聞きましたので、それはよかったな、こう実は思っていたのでありますが、一昨日その点を担当部長に明らかにするようお聞きいたしましたところ、今局長が話ししましたように支払いは進んでなかったという事実を聞きまして私は愕然と実はしておるわけであります。いずれにしても、事故が起きてもう二カ月もたって、おっしゃるようにまだ一銭の補償もされてない。この時間のかかることにつきまして、時間がかかることもわかります、お金のことですから。しかし、それにしても時間がかかり過ぎる、こう思っておりますので、こういうことについても是正を今後していかなきゃならない。
 それから、ゼネコンの体質についてきのうの予算委員会で言及を私はいたしましたが、私はやはりこういう事故をなくしていくためには、ゼネコンの元請から下請、孫請という仕事を投げていくこうした流れ、それから大建設会社のジョイント方式、こういうことにやっぱり責任の希薄さが出てくる。管理、監督ができない、こういう状況の中では。ですから、私はただ営利を追求するということではなくして、安全管理を第一に考えていくということからいってもそういう仕事の流れについてはメスを入れるべきだ。労働安全対策上からいってもそう思っておりますし、それから十分にそういう予算を計上させる。
 この現場へ行きましても、結局ジョイントでやっている鹿島、鴻池、熊谷、この職員のおる建物は冷暖房でまあまあの事務所をつくっているわけです。それから事故を起こした孫請の事務所はどうかといいますと、十メーターぐらい離れたところに、寒いときでございましたのに冷暖房なんかないんです。ストーブで暖をとっている。地べたに畳を敷いている。かつての炭鉱の炭柱のようなそうした建物の中で暖をとりながら食事をしている。こういうところに問題があるんじゃないか。
 それから、坑内の状況をコンピューター、テレビ、映像等々で映し出していますが、これがまた別の建物にある。だから、元請の職員のいるところには一切現場の状況なんかわからない。こういうところへ行きましても、責任の一元化ということからいけば、元請の職員の詰めているそこへ下請も孫請も、それから坑内のそういう状況が一目でわかる、元請の責任でしょう、これは元請が仕事を受けているわけですから。そういうところに金の出し惜しみをしている。結局、そういうことは孫請、下請に責任をとらせるという形の体制だなということを私は現場に行ってつくづく感じておりますので、そういうところからもやっぱり改善をしていかなきゃならない。これは労働省が声を大にして言ったところでなかなかそう改善されるものじゃないと思いますので、本当にそういうことについて建設省の努力もまたなきゃならない。
 それからちなみに、秋葉原の事故の事後処理を後で聞きますと、たったの三十万円の罰金で済んでいるんですね、あれだけの事故を起こしていて。ですから、私はこういう痛みのない責任のとり方ということで元請の責任を追及しても元請は改善しない、こう思っておりますので、こういう事故を起こした場合の指名停止期間、それからその範囲、それからそういう罰則等々も私は新たに検討する必要がある、こう思っております。
#85
○坪井一宇君 大臣の烈々たるそういう気持ちというのは大変胸を打つものがありますし、ぜひそういう気持ちで労働行政に当たっていただきたい。特に、弱い立場にある方々、またこうして東京にお出ましになって働いておられる方々のそういった気持ちを察していただきたい。
 ただ、今の中で安全に対してもちゃんとしていないといいながら、しかも大臣にまでうその報告をしている業者というのは大変問題だろうと思うんです。大臣がお話しになったときに最高額でお支払い済みだ、そして聞いてみたら現実にしていない、こういうことを放置していくということはやはり私は大変な問題だと思う。ですから、労働省のいろんな方々も遠慮なしに摘発し、厳しい姿勢でひとつ臨んでもらいたい。
 私は、こういうことはイデオロギー以前の問題じゃないかなというふうに考えておりますし、またそういうことをきちっとすることがお互いに信頼のおける建設現場、化学工場の現場の労使の信頼につながっていくんじゃないかというふうに思いますので、ひとつその問題おきますが、厳しい姿勢で臨んでいただいて、そして二度と、こういう事故を起こしてもその後の始末、あるいは事故を起こさない前提になることもひとつお願い申し上げ、しかも労働省から言うことが私はこたえてくると思うんですよね、建築、いろんな関係の方々も。これがやっぱり大事だと思うんです。その建築の中におりますとそういう順序立てて孫請あるいはひ孫請までやっておるということが普通になってしまいますから。しかし、角度の変わった省からそういうお話をしていただけるということは私は一つの力になっていくんじゃないかな、そういうために労働省頑張ってもらいたいというふうに思うわけでございます。
 それからもう一つ、非常に現在の経済の不況下にあって悪い状態が続いておるわけですが、その中で大手五社初め自動車、電機労連あるいは造船等すべて回答が寄せられて、春闘の相場が上がったんですが、実質賃金の上昇になっているかどうか。実際には、ことしの物価の上昇率とそしてGNPの上昇率とを比較してこの一つの春闘の相場というものをどう判断しておられるのか、お聞きしたいと思います。
#86
○政府委員(若林之矩君) ただいま先生お触れになりました実質賃金の問題でございますけれども、これは計算のやり方とか見方、いろいろあるようでございまして、それぞれによって判断、評価も違ってくると思うんでございます。大体いつも春闘の時期にマスコミの方々、労使の方々がこの実質賃金の議論をなさいますときは定期昇給とベアと物価上昇率、こういったものを絡めて比較をされるわけでございまして、先生のただいまの御質問はそういう御趣旨かと思うんでございます。
 例えば、平成四年度で見てみますと、私どもの調査では最終的な主要企業のアップ率は四・九五%でございました。定期昇給はそのときは二%でございまして、定期昇給と過年度の物価を加えますと四・八%でございました。ですから、四・八%、四・九五%の比較というふうなことが去年言われたわけでございます。ことしにつきましては、過年度の物価の政府見込みは一・八%でございます。定昇が二%といたしますと三・八%ということになります。これが最終的な春闘の結果の率とどうなるかということでございまして、いろいろな受け取り方もあろうかと存じます。
 いずれにいたしましても、こういうことで計算の仕方、見方、いろいろございますので、そしてまた現時点におきましてはまだ春闘も進行中でございます。現時点で実質賃金との関係でどうと言うのはなかなか難しい問題でございます。御理解いただきたいと思います。
#87
○坪井一宇君 今実質的にまだ見通しについては申しにくい、こういうことでございましたけれども、労働大臣の今までの持論からいくと、春闘あるいは労使間のこういう中に労働省が割って入って作業をすることは避ける、むしろ労使間の協調の中に落ちつくところが一番ベターじゃないかという御意見も拝聴しているところでございます。しかし、今こういう中で、この労働省の役割の果たしてきた中で、一番不景気の根本は何かということは、消費が伸びない、これが最大の理由のように今言われているわけでございます。その中で消費が伸びないということは、少しでも各労働者初め皆さん方の賃金を上昇させる。私もみずから会社を経営した経験があるんですが、バブルでもうけた金を順次出したらええやないか、そのときあった金を出せばいいじゃないかという意見がございますけれども、会社というのは生き物でございまして、一たん悪くなりますと本当に雪崩を起こすような、前にこれだけあったのに、何だこれは。全部が悪くなる。仕入れの値段は高くなるわ、持っていくところは安くなるわ、賃金は上がるわ、もう瞬く間に。しかも、もらっておる手形がジャンプしてくるというようなことがありますと、一気に会社というものは大変な事態になる。そういう中で、ことしはとりわけ厳しい春闘の相場が提起されたというふうに思うわけですけれども、そうするとそういう中で労働省としても本当の、この辺の額が、この辺の相場が今国内に必要じゃないかということも、今後の大きく省としての力を増すためにも、そういうことも言及される気はないのかどうか、その辺をお聞きしたいと思います。
#88
○政府委員(若林之矩君) 確かに、春闘の賃上げと申しますものは、国の経済全体に対しまして影響を持つものでございます。
 しかし、先ほど大臣もお触れになりましたように、賃金の問題につきましてはあくまでやはり労使が自主的に解決していくべきものでございますし、また今日の日本の労使関係は大変成熟をしておるわけでございますので、労使関係の中におきまして個別の支払い能力の問題でございますとか労使関係の問題、あるいはそういった国民経済の問題、さまざまな問題をナショナルセンターベース、産業別ベース、個別企業ベースで議論しておるわけでございまして、いわば春闘の相場と申しますものもこういったものの中から形成されてくるというふうに理解をいたしております。したがいまして、私どもはこの点につきましては、十分そういう労使の自主的な交渉というものを見守っていくということがやはり基本ではなかろうか。
 先生の御指摘になります国民経済的な観点からのお考えは十分わかるんでございますけれども、私どもはただいま申し上げましたような考えで当たっているものでございます。
#89
○坪井一宇君 その問題は置きまして、パイオニアとかイーストマン・コダック社とかの事例で、いわゆる中高年者の肩たたきあるいは一時帰休とか自宅待機とか、こういったことが盛んに行われており、反面新卒者の内定者を断って大変問題になっている企業もある。
 これは確かに、私も三十年前に学校を出て初めて就職したときにはもうはやるような気持ちでおって、もしそのときに採用がだめだと言われたら大変なショックだろうというふうには思うわけですが、それ以上に大きなショックは、何十年と会社で一生懸命頑張ってこられて、そして一家の長として家族を支えて、しかもまだ息子さん、娘さんが大学あるいは社会に出たところぐらいという方々がこういう雇用調整をやられる。しかも、転換がなかなかきかない。若い人はほかの就職などもあるわけですし、若い人は今大変だなというお話がありましたけれども、逆に数年前は内定を三つも四つも決めておって、しかもここへ行くといって知らぬ顔で平気で自分はよそへ行って迷惑をかけるという、企業の方に迷惑がかかることが学生さんの中にも多かったわけでございますし、先にもう決まったら何とかして来てくださいよと言って会社の役員が家へ頼みに行かなきゃ来ていただけないような時代もあったことも事実なんです。それも事実なんです。
 振り返ってみれば、今内定取り消しがこれだけ問題になっている。しかし、それ以上に私は問題になるのは、一家の柱になっている人が、お父さんが家へ帰ってきて元気で、あるいは会社で働いて帰ってきて元気でというのが、一番柱になっている方が、そういう事態が今ホワイトカラーの中に大変出てきておる。このことにつきまして私もお聞きしたら、職業安定所に行って中高年のいろんな職場を探してくれるところもある、こういうお話でございますけれども、その前にそういうことをしてくる企業に対して、まだそこまでいかないうちに相談に持っていくような準備態勢が労働省でとれないのか。終わってからどこか探してくれというんじゃなくて、こういう事態のときに一家の柱として収入を断たれるわけですから、そういったようなことはとれないのかどうか、その点についてお聞きしたいと思います。
#90
○政府委員(齋藤邦彦君) 最近の景気の低迷が続きます中で、先生御指摘のような管理職の方あるいは中高年齢者を対象といたしました希望退職、勧奨退職というようなものが見られるようになってまいりまして、大変こういうような事態につきまして憂慮をいたしておる次第でございます。特に、このような景気の状態の中で企業の合理化、リストラというような形で雇用調整が行われるということにつきましては、非常に大きい問題があるだろうというふうに思っております。
 先ほども、午前中からもいろいろ申し上げてまいりましたけれども、まさにこういう事態の中でこそ雇用調整助成金をうまく活用していただいて、せめてもう少しリストラを待てないのか、こういう気分でございまして、私どもといたしまして公共職業安定所を今フル活動をいたさせておりますが、そういうようないわば事前の段階での御相談といいますか、むしろ事前にこちらの方から早目早目に情報を入手して当該企業にいろいろな働きかけをするということが大事だろうというふうに思ったわけでございます。
 また、新年度になりまして、各地方にもいろいろな対応策を新年度の関係で指示をいたす予定にいたしておりますので、そういうような先生御指摘の点も含めまして、私どもの出先の公共職業安定所、五百数カ所全国にございますので、その辺を活用しながら事業主の方に対しまして適当なアドバイスができるような体制をつくっていきたい、このように思っております。
#91
○坪井一宇君 ぜひともお願いをしたいんですが、時間が非常に切迫しておりまして、聞きたい内容について十分時間がないわけです。
 雇用問題というのはその国の経済の根本理念ですし、労働省というのは大変重要な中核を握っておられる。この雇用問題が崩壊することが、やはり経済を崩壊し国を崩壊していく大きな理由になっている。それほど重要な労働省が、週刊新潮に「労働省を投棄せよ」「官製粗大ゴミ」ということで連載の中で文章としてある。この週刊誌は一般週刊誌として世の中に出ております。これは労働省だけの一つの侮辱と言ったらおかしゅうございますが、ないがしろにする意見じゃなくて、労働大臣を初め私ども労働委員会に携わっている者全部に対する大変な侮辱だろう。この程度しかこの人力の中に労働省の認識というものがないのか。私は、非常にこういうことについて、労働行政を取り組む上において、労働委員会におりますと言って地元へ帰って胸を張ってやれる委員会でなけりゃいけないと思うんです。どの委員会もやっぱり大事だと思うんですね。にもかかわりませず「官製粗大ゴミ」で「労働省を投棄せよ」と、「ヌエ的存在」であるとかいうことが一連の文章としてある。私は、非常に残念無念でならないというふうに思いますが、その点についてお聞きしたいと思います。
#92
○国務大臣(村上正邦君) 私も労働大臣に就任いたしまして三カ月余りになりますが、労働行政は国政の中でも非常に重要な分野であるという思いを日増しに強くしておるところであります。
 どちらかといいますと、労働大臣については意外な面も私自身も実はありました。就任いたしまして登庁いたしましたら、新聞記者の諸君に、あなたどこかよそに行きたいところがあったんじゃないか、こう言われて、そういうふうにやっぱり見られているのかなと思いました。私も独立国家としての基本は国防であり外交であり文教政策だ、いずれ大臣になるならばこうしたいずれかの分野を担当してみたい、こう思っていたところ労働大臣ということでございましたが、しかし今三カ月たちまして、私はこの三つの柱にもう一つやはり労働行政というものを国の柱として入れるべきだ、実はそのように最近は思っております。
 そうした中で、今御指摘のありました週刊誌、私は週刊誌など読まないんで、電話がありまして今度出ている○○という週刊誌にはこういうことが書いてあるがといって非常に私の友人が激怒して憤慨して紹介をしてくれましたので、早速取り寄せて読んだわけであります。そうしましたら、屋山太郎さんがお書きになっている。屋山太郎さんというと私もいろいろと個人的にも関係のある政治評論家でございまして、早速屋山さんに連絡を入れまして、十分あれを読んで、今日の労働行政というものの認識の足りなさ、それから不正確な知識を持っておられるな、こう思ったものですから、これはただ週刊誌に書かれたということで見過ごすわけにはいかない、十分今日の労働行政について御理解を求めようと思って実は時間を割いていただくように申し入れてお約束をいたしました。
 ところが、どう間違ったか知りません、先方さんは私が待てど暮らせど2時間ほど待っても姿をあらわさないんです。それで、どうしたんだと思って自宅へ電話を入れましたら、いやすっかりきょうの約束を忘れて帰って気がついてまことに申しわけないという話があったわけでありますが、近々屋山さんともお目にかかるようにいたしておりますので。 私は、今日の労働行政が携わっている、本当に先ほども午前中もいろいろ審議いただいたわけでありますが、解決しなきゃならない労働行政に課せられた二十一世紀の使命というもの、雇用の問題、それから先ほどもお話がありました女性の地位向上の問題、外人の問題、労災の問題、幾多大きな問題がございます。こういうことについてその理解を求めていきたい、こう思っております。最近、おかげさまで新聞等々労働行政について随分と活字が出ておりますことは、そういう面でも国民の広くそうしたことの御理解をいただくためにもいいことなのかな、こう実は思っておる次第であります。
#93
○坪井一宇君 最後の質問です。
 予算の中に、労働省としてエイズの対策の根本的な理念がない。厚生省、あるいは個々に任せ切りなのか。実際に雇用環境の中にエイズの問題がもし入り込むような場合は大変な事態になるんじゃないか。
 私どもは、人種の差別、あるいは職業の差別、また病気の差別というものは廃止しなきゃいけない。しかし、その前に啓蒙宣伝、そして危険のないようにするためにはどうするのかということも、各職場に少なくとも労働省は率先してそういうキャンペーン運動の一端を担って多くの人々、労働省の掲げる中で重要な私は役割を果たさなきゃいけないというふうに考えておりまして、その辺に関しまして大臣初め皆さんの御意見を聞けたらということで、大臣でなくてもこれは結構でございますので、お願いしたいというふうに思います。
#94
○政府委員(石岡慎太郎君) 先生御指摘のとおり、このエイズの問題というのは、企業内の労使にとりましても大変なこれから問題になるんではないか、また日本国全体にとりましても事と次第によってはこれは重大な問題になるんじゃないかというふうに考えております。
 そういうこともありまして、労働省では先般、平成五年度を初年度といたしました第八次の労働災害防止計画を策定いたしました。これは、災害防止計画になっていますが、この中に健康問題も入っておりまして、この計画の中では、今度労働大臣の指示もありまして一つの大きな項目としてエイズ予防対策の推進というのを入れたわけでございます。その内容は、職域においてもエイズに関する正しい知識の普及等が効果的に行われるようにしていかなければいけない。また、日本の労働者で海外に派遣される労働者もおりますが、海外派遣労働者に対しましても健康教育、衛生教育の一環としてエイズに関する正しい知識の普及を図るべきだ、こう書いてございます。
 こういう基本的な方向に基づきまして、今後労働省におきましては職場におけるエイズ対策が一層効果的に進められるよう、いろいろ専門家の御意見も聞きながら努力をしてまいりたいと思っております。
#95
○坪井一宇君 以上で質問を終わらせていただきますけれども、とりわけ職場におけるエイズの問題はもう諸外国では大変な議論になり、労使双方がこの問題についてはもう国家的な中で考えなきゃいけない、世界的な規模で考えなきゃいけない時代に差しかかっておると思っておりますので、どうかひとつ積極的な運動を展開して皆さんの理解を得るように頑張っていただきたいということをお願いしまして、私はこれで質問を終わらせていただきます。
#96
○武田節子君 一番初めに労働大臣にお伺いいたしますけれども、大臣は所信表明の冒頭で「働く人一人一人の能力、天分が十分に発揮でき、喜びと生きがいを感じつつ、働く意欲を持てるような職場の環境をつくっていく」と仰せでございますけれども、現在の職場環境についてどのような御認識をお持ちですか、お伺いいたします。
#97
○国務大臣(村上正邦君) 所信表明の中で、働く人一人一人が仕事を通じてその能力、天分を十分に発揮でき、喜びと生きがいを感じつつ、社会に貢献できるような環境をつくることは労働行政にとって大変重要な課題であると申し述べました。
 それについての今の環境をどう思うかということでございますが、働く方々を取り巻く職場の環境を見ますると、労使の努力の積み重ねによって改善が進んできたとは思います。しかしながら、労働時間の短縮が望まれているとともに、健康で安心して働くことのできる職場づくりや家庭生活と職場生活が両立できるようにするとともに、高齢者や障害者が働きやすい環境の整備、自由時間を心豊かに過ごすことのできる余暇施設の整備、通勤対策など、さまざまな課題も残されていると認識いたしております。
 このため、私としてはこれらの課題の解決のためになお一層努力をしていかなければならない、このように考えております。
#98
○武田節子君 今日のバブル崩壊によりまして、不況を口実に女性の採用を減らしたりする企業が増大しておりますし、またセクシュアルハラスメント問題、これは去る二日付の朝刊に警察署長や署員の相次ぐセクハラ問題に兵庫県警がセクハラ予防策としてセクハラマニュアルを全署長、幹部に配付したというあきれ果てた記事が掲載されましたが、職場において日常的にある問題であります。
 この職場のセクハラ問題や、さらには女性が再就職をしようとするとき、壁は高く厚いわけですけれども、それぞれにどのようなお考えをお持ちですか、明らかにしていただきたいと思います。
#99
○政府委員(松原亘子君) 先生の御質問は二つあったかと思いますけれども、一つはいわゆるセクシュアルハラスメントと言われている問題でございます。
 この背景にはいろんなことがございますし、また世間にセクシュアルハラスメントというふうに言われていることも非常に幅広く概念として考えられているということもございまして、私どもとしては、もちろん一部には非常にそのこと自体が女性の能力発揮を妨げておるといったようなこともあるわけでございまして、そういったことについては働く女性を職業人として正しく評価してもらう、適切に評価してもらうというような雰囲気を社会全体につくっていくことが非常に重要だろうというふうに思っているわけでございます。そういうことからすれば、管理職でありますとか一緒に働く男性の労働者の方々、こういう方々の意識啓発などもしていかなければいけない面が多々あろうかというふうには思っております。
 また、再就職を希望する女性でございますけれども、女性の望ましい生き方と働き方という観点に照らして世論調査などをした結果を見ますと、多くの女性が子育ての期間は一時期家庭に入り、子育てが一段落したら再就職したいという希望を持っておられる方、この方が大体六割ぐらいいらっしゃるわけで、非常に大きな層をなしているわけでございます。そういうことから、私どもは再就職をしたいと思っておられる女性が適切な仕事が得られるようにするということは非常に重要だろうというふうに思っておりまして、一つには再就職準備サービス事業といったようなことをやっております。
 それは、再就職する女性の方々を見ますと、大体三十代の半ばから四十歳ぐらいまでで再び出たいという方が多いわけですけれども、最初の子供さんが生まれて一たん家庭に入るとなりますと、大体十年ぐらいはいわば職場から離れているという実態にございます。そういうことから、昨今非常に激しい技術進歩、変化のさなかにあるわけでございますので、そういった十年間家庭におられた方々が、やっぱり就職に当たっての心の準備を初め、例えば簡単な技能を身につけていただくといったようなことも必要かと思いますので、そういったことを行う再就職準備サービス事業というふうなこともやっております。
 また、私ども婦人局だけではなく、労働行政全体といたしまして、そういう再就職を望む女性の方が適切な仕事が得られるようにということで、職業安定行政機関におきましてそういったサービスもやっているということで、今後ともそういうことに力を入れていかなければならないというふうに思っているわけでございます。
#100
○武田節子君 昨年末、総理府が出しました女性白書では、女性の人生コースが多様化している一方、職場や社会通念、風潮に女性の不平等感が高いと指摘されておりますけれども、労働大臣の御認識はいかがでございましょうかお尋ねいたします。
#101
○国務大臣(村上正邦君) 御指摘の女性白書に引用されている総理府の世論調査では、職場や社会通念において男女の地位は平等でないと感ずる女性の割合は低下してきているものの、依然として高い状況にあります。
 今後とも、あらゆる場面において女性が不平等感を抱くことのない真の男女平等を達成するための努力が重要であると認識をいたしております。
#102
○武田節子君 国の審議会の女性委員が昨年やっと一割になりました。この一割達成にはどれだけの年月を要されたのですか、お伺いしたいと思います。また、九五年度に一五%という方針達成に対しては、大臣として具体的にどう取り組まれていくおつもりなのでしょうか、お伺いいたします。
#103
○政府委員(松原亘子君) 前段の事実関係をお答えいたしますけれども、手元にある調査ですので、必ずしも目標を立てたときと一致しているかどうかについては、ちょっと確実なところを申し上げられなくて恐縮でございますが、例えば労働省では昭和五十二年では女性委員の割合というのは六・四%でございました。それが六%台から七%台、そして六十年代に入りまして一〇%になり、一時期落ちた時期もございますけれども、平成四年の最新時点では一〇・一%という状況になっております。
#104
○国務大臣(村上正邦君) 午前中も言いましたように、世界の半分は女性によって占められておりまして、女性がいろいろな場に積極的に参加されることは大切なことだと思っております。
 男女共同参画型社会の形成を積極的に推進してまいります労働省といたしましては、審議会の女性委員の割合を現在の一〇・一%から平成七年度までに一五%とするという政府の目標達成に向けて率先してまいりたいと、このように思っております。
#105
○武田節子君 一割にかなり長い年月がかかりまして、あと二年で一五%というのは大変な御努力が必要だと思いますけれども、ぜひよろしくお願いいたします。
 最近の雇用失業情勢について、女性を中心にお尋ねいたします。
 昨年の十二月、当委員会におきまして、最近の雇用失業情勢の中で女性の雇用の動向について質問いたしましたけれども、その後現在までの間、全体の雇用失業情勢に改善は見られないようですけれども、女性の雇用動向はどうなっておりますでしょうか。また、昨年の質疑の際の答弁では、労働省は適切な措置を講じていくとのことでございましたが、どのような措置がとられましたのですか、お尋ねいたします。
#106
○政府委員(齋藤邦彦君) 最近の雇用失業情勢は、一月の有効求人倍率〇・九三倍ということに明らかなように非常に厳しい状況が続いてきております。
 このような状況を踏まえまして、昨年の十二月の末には、各都道府県知事あてでございますけれども、現下の雇用対策についての通達を出しました。さらに、一月六日でございますが、緊急に全国から所管の職業安定課長を招集いたしましたし、さらに二月にも会議を開催いたしまして、当面の雇用対策について指示をしたところでございます。特に、先生この前の御質問のところでは女性ということに重点を置いておられたように思いますが、その会議等で強調しておきましたのは、一つは、パートタイマーに雇用調整の影響が集中しないように事業主に対し適切な指導を行うということ。それからまた、求人開拓ですとか合同の求人選考会というようなものを集中的に開催することによってパートタイム労働者の方の雇用の安定と就職の促進というものに努めるよう指示をしたところでございます。
 またさらに、新規大学等の卒業者につきましても、学生職業センターの利用状況がふえてまいりました。女子学生を含めまして相談あるいは求人情報の提供を積極的に行って、円滑な就職が図られるように努めてきたところでございます。
 さらに、今後も失業予防のための事業主指導は当然でございますが、さらにきめ細かな職業紹介等にも努めまして、雇用の安定に努めてまいりたい、このように考えております。
#107
○武田節子君 新卒女子大学生の動向と対応についてお尋ねいたします。
 ことしになって、採用内定の取り消しという事実があることが今社会問題として大きな問題になっておりますけれども、不況のあおりがあって新卒女子大生にとって特に厳しい就職戦線になったように思います。女子大生の雇用動向はどうなっているのでしょうか。また、労働省としてはどのような対応をなされるお考えなのかお伺いします。
 その前に、私はある女子大学の学生課に勤務している、学生の就職活動の窓口業務を担当している人から投書をいただいておりますので、大臣にそのことを御紹介して、その後答弁をお願いしたいと思います。
 投書の内容を読みますと、
  バブル経済崩壊の余波を受け、景気後退による企業の業績の悪化は、平成五年三月卒業予定者の就職活動にも大きな影響を与えた。
  採用枠の減少は特に女子への風当たりが強く、求人倍率も八年ぶりに一割を割った。好景気や、男女雇用機会均等法が施行され、社会的な環境の整備に支えられて求人倍率を上げてきた女子だったが、景気停滞のあおりを受け、一生懸命活動してもなかなか思うようにいかなく、十数社回り頑張ったが落ちて自信をなくす人、面接三回が、五回、六回となり最後に落とされて落ち込む人、会社説明会参加の予約電話が二日間かけてもお話し中でかからず相談にくる学生、八月の暑い盛り、リクルートスーツで汗にまみれながら、夏休み返上で頑張った学生等々……厳しい状況の連絡に、学生の話をじっくり聞き、激励し、汗だくだくの八月でした。
  男女雇用機会均等法の施行後、女子総合職採用が順調に推移してきたが、景気後退によって企業の本音が見え隠れし、男女雇用機会均等法の建前上の問題と、現実の問題との格差が大き過ぎるのではないかと思われた。
  四年制女子大生の勤続意向は強く、七割以上の学生が「一生仕事を続けていきたい」と答えているが、男女雇用機会均等法の施行後七年経過しているが職場の平等感への感じ方は「ある程度平等になったがまだ差が大きい」と答えた人が六〇・七%を占めている。男女を問わず人間としても社員としても、どういうふうに活用していくかが、これからの課題なのではないだろうか。
という内容のものでございました。
 このような深刻な厳しい現場からの声をお聞きになり、また男女雇用機会均等法施行後七年を経過してのこの実態を大臣はどのように受けとめ対処なさるおつもりですか、お答え願いたいと思います。
#108
○政府委員(齋藤邦彦君) 大学卒の就職の関係だというふうに思いますが、昨年の夏以来の景気の後退によりまして、女子だけではなく男子につきましても従来とは違った学卒に対します就職活動というのが行われてきているというふうに思っております。
 特に、女性に厳しいという御認識でございますが、確かに従来大量に女子の学生を採用してまいりました金融・証券というようなところが採用数を大幅に減らしてきましたし、また一般的に俗に申しますホワイトカラーにつきまして非常に求人が減っておるというようなこと、そういうようなもろもろの要素が重なりまして、結果として女子学生の方に厳しい、こういうようなことになったんではないかというふうに思います。ただ、中小企業も含めまして、大学卒を中心とします若年者に対します求人者の方々の意欲というのはそれなりにまだあるわけでございまして、大学生につきましての就職は原則は大学がやっておりますけれども、私ども学生職業センターというものを持っておりますので、そういうようなところを活用していただければ我々としても最善の努力を尽くす余地がある、このように思っております。
 ただ、いずれにいたしましても、女性男性を問わず就職ということ、いわば人生のスタートに当たりまして女性男性の差別があるということは非常に問題だろうと思いますし、やはり私ども安定機関といたしましても、そういう意味での就職に際しての男女の差別がないようにということは十分指導をいたしたい、このように思っております。
#109
○武田節子君 午前中にも質問がございましたけれども、雇用調整が行われるとき真っ先にしわ寄せを受けるのは社会的弱者でありますし、特に女性であると思われます。女性が安易に調整弁に使われることのないよう法的に保護することも安定的雇用のために必要だと思います。あらゆる局面における安定的な雇用という問題について今後どのように取り組まれるのか、御所見を伺いたいと思います。
#110
○政府委員(齋藤邦彦君) 雇用を安定的にするということ、いわば完全雇用の達成ということが、私どもと申しますか、政府全体の政策目標でございます。そういう意味で、現在私ども労働省としてやっておりますのは、雇用調整助成金を中心といたします雇用の確保ということが第一番でございますが、そのほかに、やはり政府全体といたしましても景気の回復のために全力を挙げておるところでございますし、そういうような景気の回復というのが当面の問題としては一番の重要な問題だというふうにも思っております。
 ただ、いずれにいたしましても、いつの時代でも同じことだというふうに思いますが、完全雇用の達成ということが我が国政府の最大の目標であるということには変わりがないというふうに思っております。
#111
○武田節子君 最近、社会問題化しました企業の採用内定取り消しの問題については、労働省が実態把握をなされている数字を先ほど伺いましたのでこれは省きますけれども、今後もこの実態調査には取り組まれていかれるお考えなのでしょうか。
 それからもう一つは、今回この問題の対策として事前通知を義務づける方針をとられたと伺っておりますけれども、事前通知に落ちついた理由をお聞かせいただきたいと思います。また、罰則がないので実効性が伴わないのではないかという意見も多いようですけれども、この点についてはどのような御見解をお持ちなのか、お尋ねいたします。
#112
○政府委員(齋藤邦彦君) ことしになりましてから採用内定取り消しという問題がいわば社会問題化もいたしまして、大きな問題として取り上げられてきたわけでございます。午前中にもいろいろお答えをしたところでございますが、とりあえず私どもといたしましては、こういうような採用内定の取り消しを行っている企業に対しましてはできるだけこういうことをやめるようにという強い指導をいたすことを基本にしております。また、やむを得ず採用内定を取り消された方々につきましては、新しい就職先を確保するための最大限の努力をしておるところでございます。
 ただ、これは個々の企業に対します対応策でございまして、やはり制度的に仕組みを考える必要があるだろうということであったわけでございまして、まず適切な指導を行うということのためには私どもが情報を素早く把握する必要がある。そういうような意味から、企業から公共職業安定所あるいは学校に事前に通知をさせる仕組みをつくり上げることが一番先決だろう、このように考えたわけでございまして、そのために職業安定法の施行規則の改正を企画いたしまして、職業安定審議会から明日脚答申をいただく予定にいたしておりまして、四月一日付をもって省令改正を行う予定にいたした次第でございます。
 ただいま罰則というようなお話もございましたが、採用の内定取り消しというのはいわば民事的な問題が基本にあるわけでございまして、罰則というようなものをもって禁止をするとか、あるいは強制をするというには少しなじまないものではないかというふうに思っております。私どもとしましては、こういうようなシステムをつくることによって私どもの事業主に対します指導もそれなりの背景を持ってやれるということになるわけでございますので、決して罰則のあるなしによってその効果が異なってくることはない、むしろこういうような罰則なしの指導の方が実態を本当に真の姿で我々として手に入れることができ、また適切な指導ができるのではないか、このように考えておる次第でございます。
#113
○武田節子君 大臣、私は大卒や高卒や中卒などの採用内定の取り消しというのは、将来性ある学生たちの未来の夢を絶ち、そしてまた人生構想を著しく狂わせてしまったのではないか、また狂わざるを得ない状況におとしめたものではないかというふうに理解をいたしまして、企業の横暴に怒りを感じているわけでございます。こうした問題に対して労働大臣はどのようにお考えなのでしょうか。
 大臣は所信表明の中で、「人間愛あふれる人間尊重の労働行政を、私の基本においてまいります。」と仰せでございますので、雇用慣行から見て法律的にはどう取り扱うべきか、見解をお示しいただきたいと思います。
#114
○国務大臣(村上正邦君) やはり、この会社ならば自分の全生涯をぶち込んででも悔いかない、そうした選択で夢も持ち希望も膨らまして人生のスタートを待ちに待ったわけですね。そうしたやさきに一枚のはがきで内定取り消しと。私はこの記事を新聞で見ましたときに、今委員のおっしゃられたのと同じような憤りをまず感じました。
 そこで、早速齋藤局長に大臣室へ来ていただきまして、その新聞記事を役所としてどう思うと。局長も同じ認識に立っておりまして、これを何とかしなければいけませんと。と同時に、恐らくこれがこの不況下の中において波及していくんじゃないかという心配を持ったわけであります。それで、いち早く手を打たなきゃならないということで、その検討を齋藤局長のもとでスタッフを集めまして、この歯どめにはどうするかという検討結果、さまざまな問題点を提起し、そしてその中でやれることはやっていこう、こういうことになったわけでございます。あってはならない、私は重大な事柄だ、こういう認識に立っておりまして、速やかにできますならば企業に対してそういうことのないように撤回を努力するとか、そういう汗をかいてもまいったわけであります。
 そこで、歯どめ、実効性がなきゃならないと、こうおっしゃっておられることについても私も同感であります。罰則がなきゃ歯どめができないんじゃないかと、実は私もこう思っておりました。ところが、それはなじまないということでございますが、それはそれなりに実効は上がったと。
 こう見ておりますのは、たまたま私、夜あるところで食事をしておりましたら、そこへ来ていたお客様が私のテーブルに来られまして、あなた労働大臣じゃありませんかと、こう言われて、そうですと。実は、我が社は二十五名新人を新規採用することにいたしておりました。ところが、こういう不況下の中で実は内定取り消しをしようと思っていたんですけれども、最近労働省の、また大臣の発言等々を新聞等々で見て、これはやっぱり大変なことなんだということに気がつかせてもらった。それで、けさ役員会を開いて、予定どおり苦しくても予定した新規採用については採用しようと、実はきょうこう決定したんですよと。そうした日に大臣とこうしてお目にかかるなんてということで、ちょこと酒を持ってこられて私に乾杯しようと言ってくださったわけでありますが、私はこういうことを見ましても、やっぱり一つは大きな歯どめになったのかなと。
 それから、先般福岡、長崎に行きました。佐世保重工へ参りました。そうしましたら、おかげさまで最近造船は非常にいいようでございまして、もし九州圏内で内定取り消しの学生がいらっしゃって、私のところへ希望なさる方がおられたら何人でも引き受けましょう、協力します、こういう申し入れも受けて非常に喜ばしいことだと、実はこう思っております。
#115
○武田節子君 「人間愛あふれる人間尊重の労働行政」を基本となさる大臣に大いなる期待を持っておりますので、よろしくお願いいたします。
 次に、介護問題に移ります。
 アメリカの大統領のクリントンさんが、去る二月五日、出産・家庭介護休暇法に署名し、この法律が大統領就任後成立した初めての法律になったと報道されました。この法律はブッシュ政権下で企業負担が重過ぎるとして拒否権が発動されていたものでありますけれども、クリントン大統領の英断に対して大臣はどのように受けとめられておりますでしょうか、お答え願いたいと思います。
#116
○政府委員(松原亘子君) この法律は、先生御指摘のように育児ですとか介護、また本人の病気のため労働者が一定期間休業することができるということを定めたものでございます。期間としては年間十二週間を限度に休業することが認められたということでございます。過去さまざまな経緯があったようでございまして、これが成立したということはアメリカにとっては画期的な法律であったというふうに私どもも聞いておりますし、まさにそういうふうにアメリカ国内においても受けとめられているんではないかというふうに思うところでございます。
#117
○武田節子君 御承知のように、我が党は去る三月十二日、来るべき二十一世紀の高齢化社会に対応すべき緊急かつ最重要課題としての介護休業法案を他党に先駆けて国会に提出いたしました。関係方面より多くの反響をいただいております。
 率直にお尋ねいたしますけれども、労働省、大臣として我が党の提出した法律案についての発想、着眼点などにどのような御所見または評価をお持ちになっていらっしゃいますか、お伺いいたします。
#118
○政府委員(松原亘子君) 公明党の皆様方が御検討されました法案を私も読ませていただきました。長い間党内において検討された成果を取りまとめたものではないかというふうに受けとめているところでございます。
 午前中にもちょっと申し上げましたけれども、私ども労働省といたしましては、介護休業というのは非常にこれからの重要な政策課題だというふうに認識しておりまして、ガイドラインを定め、その普及指導をいたしているところでございまして、現時点におきまして最低限企業に導入してもらえる線ということも考えて定めたものでございますけれども、それと公明党がお出しになりました法案の内容とは幾つかの点において異なっている点もございまして、私どもとして現時点においては労働省が定めたガイドラインを最低限のものとして企業にお勧めするというのがさまざまな条件を考えますと最も適当なことではないかというふうに考えております。
#119
○武田節子君 確かに、政府としての取り組みの中で、昨年七月に「介護休業制度等に関するガイドライン」を発表して制度の普及に努めてはおりますけれども、今後やっぱり国民的な議論を高めていくかにかかってくるのではないか、こういう認識を持っているわけでございます。その意味でも、育児休業法と同じように数年かけて介護休業法の法制化へのステップを踏んでいくべきだと思いますけれども、その御決意のほどをお尋ねいたします。
#120
○政府委員(松原亘子君) 私ども労働省では、昨年の六月に今後の中期的な女子労働政策の課題をまとめました女子労働者福祉対策基本方針というのを定め、公表をいたしました。その中には、男女雇用機会均等法の問題、労働基準法の女子保護規定の問題等々に加えまして、介護休業の問題についても触れておりまして、そこにおいてはガイドラインを定めて普及啓発をするということを当面は基本といたしておりますが、これを進めて、またどの程度の普及率になっていくのかというようなことも見ながら、今後の有効な普及対策については法制化の問題も含めて検討するということにいたしております。
 またこれらの問題について、事務的にはいろんなものを勉強いたしておりますけれども、当然のことながら関係審議会に諮った上で具体的な政策化ということをやっていくわけでございますけれども、審議会の議論、具体的には婦人少年問題審議会においてこれら中期的な課題というのを検討していただきたいというふうに思っているところでございますが、まだ具体的な検討には入っておりませんで、近々来年度早々にはフリートーキングといったようなことから始めていただくことになろうかと思いますけれども、検討に着手しようかというふうに思っております。審議会の場での議論も始めていただこうかというふうに思っているところでございます。
#121
○武田節子君 私が大変心配する点としまして、最近の政府の立法化への対応として、先に野党としての対応、法案提出が先行して、後から政府案が出てくるというのが最近の労働法制では何か目立っているように感じられます。特に、この介護休業制度については、野党におしりをたたかれてそしてやっと嫌々重い腰を上げて法制化を考えるのではなくて、政府の威信にかけて自主性を持って積極的に取り組む姿勢を示していただきたいと思いますけれども、労働省としてはいかがお考えでしょうか、お尋ねいたします。
#122
○国務大臣(村上正邦君) 私は、後手後手政策というのは余り性格に合わない。いろいろと先手先手で先手必勝で物事を進めていきたい、私はこう思っておりますので、法制化をやれることは積極的にやっていく。それからまた、特に私は参議院の出身でございまして、参議院においては参議院のやっぱり独自性ということからいきまして議員立法というものをこれからどしどしやっていこうという申し合わせもこれは与野党一致したことでございますので、そういう面から参議院議員立法をどんどんひとつ出していただくということも一つの私はこれは方法ではないだろうか、こう思っておりますので、老婆心ながら申し上げさせていただきたいと思います。
#123
○武田節子君 去る二月十八日、日本大学人口研究所が日本医師会の委託に基づいて、世界に例を見ないスピードで高齢化が進む我が国の将来人口、経済、社会保障について推計した結果が発表されました。この中で特に強く指摘されている点は、六十五歳以上の寝たきり老人は二〇二五年で九〇年の二・八倍に当たる二百二十八万五千人、痴呆性老人は三・二倍の三百二十一万五千人に急増すると推計されております。寝たきりと痴呆症を合わせますと、何と五百五十万人になるわけです。
 問題は、このようになるとどういう事態が予測されるかという点でございますけれども、大臣よく聞いてください。
#124
○国務大臣(村上正邦君) よく聞いています。
#125
○武田節子君 専業主婦が在宅で介護する可能性が高まるわけですけれども、四十歳代の専業主婦が、二〇二五年には二人に一人がそのような老人を背負うんです。二人で一人を見るのじゃないんです。二人に一人がそういう寝たきり、ぼけた老人を背負うようになるんです。九〇年代は十五人に一人が背負っているわけですけれども、二〇二五年には二人に一人が背負うという極めて深刻な事態が生まれる、こう指摘されております。
 大臣、まずこの点の基本認識から伺いたいと思いますけれども、どのように受けとめられておりますか、お伺いいたします。
#126
○政府委員(齋藤邦彦君) なかなか感想的に申し上げるのはいかがかというふうに思いますが、将来の高齢化社会というのは確かに間近に迫りつつあるわけでございまして、これからの高齢化社会に向けて今からその準備をしておかなければならない、このように思っております。
 そのため、現在高齢者対策をいろいろ新しい抜本的なことも考えなければいけないかなと事務的には考えておりますけれども、あわせましてやはり介護労働力をどのように確保していくかということも非常に大きい問題だろうというふうに認識をいたしております。
#127
○武田節子君 本来、こうしたデータ等による将来予測などは行政がその責任において予測して対策プランを策定すべきであると思いますけれども、政府はこの日大の推計結果のようなデータはお持ちなのでしょうか。もしあるとすれば、西暦二〇〇〇年を過ぎた時期、例えば二〇一〇年にはどのような予測がされ、どのように対応されておりますか、お伺いいたします。
#128
○政府委員(齋藤邦彦君) 数字的にどのような形になるかというのを今手元に持っておりませんが、先ほども申し上げましたように労働力人口の減少が見込まれてまいります中で高齢化の進展の度合いというのは非常に高まるわけでございます。その辺の将来を見通した上で昨年八月に、五カ年計画でございますけれども雇用対策基本計画を策定いたしました。その雇用対策基本計画におきまして、将未来るべき高齢化社会に向けて今のうちから産業構造、就業構造をそれに合わせた形にできるだけ整備しておくというか持っていくということが非常に大事だろうということ。それを基本にしながら、そのような社会においても働く勤労者の方一人一人が豊かさとゆとりを感じる生活を送れる、こういう社会を築くために今のうちから基礎づくりをしておく必要がある、このようにしたわけでございまして、私どもの行政もそれに向けて全力を挙げて努力いたしていきたい、このように思っております。
#129
○武田節子君 いずれにしましても、二十一世紀は少子社会と超高齢化社会がセットで押し寄せてまいります。したがいまして、今後は介護問題が最大のテーマであることは明らかであると思うわけでございます。しかし、我が国の労働者が雇用を確保しつつ介護を行う体制は極めて脆弱であると考えられておりますので、介護休業制度の法制化は急ぐべきであると思います。再度大臣の御所見を伺って、私の質問を終わります。
#130
○国務大臣(村上正邦君) 私は、検討いたしますなんという答弁をするのが一番嫌いなんでございますけれども、しかしこれは検討させていただきますという言葉しかないのかな、こう思っております。鋭意そういう法制化について勉強したい、そしておっしゃるような法制化の機運というものをつくり出していかなければいけないのかな、こう思っております。
#131
○足立良平君 朝からいろんな問題がそれぞれたくさん出ていまして、大体このようなところを質問するよということで連絡しておったものがほとんど出尽くした感じがするんです。むちゃくちゃになるかもしれぬけれども、ひとつまた大臣、考え方を出していただきたいと思うんです。
 きょう、ずっと村上大臣のいろんな話を聞いていまして、大変おもしろい大臣だなというふうに率直に私は思いました。これはいい意味なんですよ。それで、そういう面で余りもうしゃくし定規な話なんてしてみても本当のところ意味がないのではないか。労働行政というのはそういう面ではまさに人間中心ですし、また心琴に触れるといいますかそういうものがないと労働行政というものは成り立っていかぬ。そういう面では、村上大臣が誕生いたしましてからマスコミもいろんな面で、私はきょう切り抜いてきて、これは何だと言うつもりだったんですけれども、話を聞いておったら余り言ってみても意味がないなどいう感じなので、これはやめます。
 ただ、これは大臣というよりも労働省にまず前段に考え方を聞いておきたいと思いますのは、先ほど来ずっといろんな話が出ていまして、これは考えてみますと労働行政というのは本当に難しくなってきたんだなというふうに私は率直に言って思うんです。というのは、振り返ってみますとこれは昭和四十八年でしたですか、第一回の石油ショック、それから五年後ぐらいの第二回の石油ショック、それから約五年後の円高不況、そして今度はバブルがばっと何していて、そしてバブルがはじけた今回の不況と、こういう大体五年から数年くらいの間隔を置いて我が国はいろんな経済の曲がり目が来ているわけです。曲がり目が来ている中で、日本の経済の質も、もちろん産業構造それから企業自身も大変な変化をしてきたわけです。そういう変化の中で、そこに労働行政の最たる労働者、勤労者というものが本当にもう揺れ動いてきているというのが、第一次石油ショック以降の今日までの日本の労働行政の一番の焦点ではないかなという感じをずっときょう朝からお話を聞いていて私は受けているんです。
 そういう中で労働行政というのは、先ほど私はちょっとメモしたんですが、大臣は国防、外交、文教と、私はもうちょっと入れるものがあると思いますけれども、国の政策としてこれは大事だとおっしゃっていて、そこへ労働行政を入れにゃいかぬと、こうおっしゃっている。労働行政を入れることは私全く賛成なんです。そこで、この労働行政というものをこれは今までの延長線上でなしにもう少し考え直していく、あるいはまた視点を変えていくということが要請されているのが私は今日の実態なのではないだろうかこんな感じを受けるわけです。これは、いきなり私今こんなこと言っていますから、もし何だったら労働省の方でその考え方があれば一回まず前段お聞かせを願いたいと思います。
#132
○政府委員(若林之矩君) 確かに、先生の御指摘のとおりだろうというふうに思います。
 労働行政は、大変厳しい労使関係の時代も経てまいりましたし、大変労働条件なども低い中で最低労働基準の確保というような点を進めておられましたし、大変厳しい失業対策なども進めてまいったわけでございますけれども、最近はやはり生活大国五カ年計画に示されておりますように、国民の豊かな生活をつくっていくというところが行政の大きな柱になってきていると思うのでございます。
 そういった面では、やはり行政の目標もまた行政の手法も変わってまいっておるというふうに思っておるわけでございます。私どもも昨年策定いたしました雇用対策基本計画、新しい基本計画でございますけれども、これは今後の労働力の問題も含めまして私ども随分いろいろ議論をいたしまして、新しい視点で労働行政を進めていこう、それを昨年の雇用対策基本計画にある意味では凝縮させたつもりでございまして、今後その線に沿って行政を進めていただきたいというふうに考えておるところでございます。
#133
○足立良平君 私もそれを拝見しまして、従来とは違った視点で少し考えようとされているなというふうに受けとめているんです。ただ、今の変化にそういう今までの集約したようなことで対応できるんだろうかなという感じを私は実は持っているんです。
 それで、実は大臣、私は労働委員会も余り経験ないものですから、昨年の十二月の初めくらいにこれは前の近藤労働大臣にも同じことをお聞きしたんですが、この雇用対策問題というのはまさに国のもとであることはこれはもう変わりない、これは絶対やっていかにゃいかぬ。ただ、労働省の雇用対策というものは、不況になりましたあるいは失業が起きたら困るから例えば調整金をどうするとかこうするとか、業種を指定するとかあるいは業種以外のところをもう少し幅を広げるとか、いろんなことはやるんですが、私は根本的に労働省というものが、例えば日本の中で雇用問題が生じないように、そのもう一つ前に、こんな大変楽しい労働大臣ができたわけですから、これからの日本の経済運営の中であるいは経済計画の中で、例えば今日のような不況のような状態を生じないように労働省としてあるいは企画庁なり大蔵も含めましてそれに一体どうかかわっていくのかという、もう少し積極的な面が私は必要なのではないかなと。
 それをもう少し私は労働省に、先ほど冒頭に言いましたような大きな変化の中でもう一遍脱皮をしてもらう。それはある面においては村上労働大臣という、ひょっとしたら異色かもしれませんが、そういうものを私は期待したいと思うんですが、これは大臣、もし考え方があったらお聞かせ願いたいと思います。
#134
○国務大臣(村上正邦君) これは、まだ具体化はされておりませんが、例えば雇用問題、閣議の中に雇用閣僚会議だとか、結局従来はこういう発想は、例えば有効求人倍率が〇・六だとか五だとか、かつての円高、昭和六十一年、円高、またオイルショック、あそこまで落ち込んだ、そういう現象をとらえてそういう雇用会議というようなものをつくってそこで対策を練るというのが従来のあり方だったんです。
 私は、今おっしゃるように労働省というのは、いろいろ原因があって結果が出てきてそして慌てたんじゃ遅い。だから、予測が立てはさっき言いましたように先手先手、やはり対策を政府挙げて取り組んでいくようなそうしたことも必要なのかなと。そこで、やっぱり労働省だけじゃなくして、それぞれやっぱり関係省庁の御意見、知恵をおかりして総合的に政策を打ち出していく。
 それから、またこれも今事務方にお願いをしているところですけれども、各国とも労働行政、労働というものの重要性というものはこれは非常に認識を新たにされているんじゃないかと思うんです。例えば、この前ドイツの首相が来られて、ドイツは時短にしても非常に進んでいる国であります。しかし、首相がこのことについて、多少やはり政策として見直しもしなきゃならないんじゃないかというような御発言等々もこれあった。そういうことを聞くと、やっぱり労相サミット会議というようなものを提唱して先進諸国の労相が一堂に集まって共通したそうした問題、そしてまた自分の国はこういうあれをやったけれどもこれについてはこういうところに問題が出てきているよと、これはおまえさんの国ではこういうことを今やろうとしているけれどもだとか、それは例えばですよ、何も私は時短にさお差すための話をしているわけじゃありません。例えば、誤解があるといけませんので言っておきますが、やっぱりそういうこと等々をそれぞれ共通の問題として先進諸国等とのサミットにおいて提起していくというようなことも一つの知恵が出てくることではないのかなと、そういうふうに思っております。
#135
○足立良平君 私、触れずに次へ行こうかと思っていたんですが、時短にさお差す意味でおっしゃっていないわけですから私もそのように素直に受けとめたいと思います。そういう面で大臣、私は大臣の所信表明というものを数回読んでみたんです。なかなかおもしろいなと思って、おもしろいと言うとなんですけれども、私見てみまして感じたことを率直に言わせていただきたいと思うんです。
 今、あえて大臣の方から触れられましたから少し触れさせていただくとするなら、労働時間の短縮というのを大きな位置づけにされている、そしてマスコミ等から見ますと、大臣の表現としては、働く価値というもの云々ということとそれから時間短縮を進めていくということといささかジレンマがあるとかいうふうな表現をされたとかいうようなこと等が記事にもございます。ジレンマという表現がいいかどうかこれは横に置いて、私は大臣の発言なりをずっと見ておりまして、労働時間の短縮というものを進めていくということと大臣が持っておられる労働の価値観というものに対するものは相矛盾するもの、相対抗するものと私は受けとめていないんです。これは、大臣もそういうふうにさっき答弁の中でおっしゃっていましたが、私もこれをずっと読んでみましてそういうふうに思います。
 私も現場で労働時間の短縮をどのようにしていくかということをいろんな点で考えたり、あるいはまたいろんなことをやってきた一人なんですが、労働時間を短縮していくということは労働者の立場からすると労働条件を向上させていく、あるいは生活にゆとりを持たせていくということ。国のレベルからすると、これは国民生活を向上させていく。政府の場合は生活大国、民社党は生活先進国と言っています。それは、そういう面で必要であります。あるいは国際的な労働慣行からするなら、これは公正な競争条件というものをつくり上げていくということにおいて国際経済の視点からこれはぜひとも必要である、このようにマクロ的には言えるんです。
 問題は、それぞれの職場の段階で労働時間を短縮していこうとするなら、現実的には経営のシステムを転換させることにつながっていく。労働組合の働いている人たちも経営の側も、逆に言ったらお互いに歩み寄るというところにそれがあります。ですから、その限りにおいては労働時間を短縮するということがあながち働かないということには決してつながるものではないんです。ある意味においては、単位当たりの中では生産性というものを向上させていくということを無視して労働時間というものを短縮させていくことは本来的には不可能だ、私はこう思います。
 したがって、そういう面からすると、大臣はあながち相矛盾することをおっしゃっているのではないんだろうなというふうに実は私は大変好意的に受けとめているんですが、間違いございませんか。
#136
○国務大臣(村上正邦君) 私は、時短を進めていけばいくほど勤労という哲学をここでしっかり持っておかなければいけませんよということを言いたかったんです。
 我々の世代というのは、もう本当に貧しい中から汗して働く喜びというものも知っていますし、働く悲しみというものも知っています。しかし、これから日本の国を背負っていく若い人たちが、ただその苦しい過酷な労働ということから逃げる、解放されるための時短というふうに考えたんではこの日本の国はどうなるのかというこの哲学をしっかりここでうたいとげておかなきゃならぬという気持ちがあるものですから、必要以上に二宮尊徳と言ってみたり、勤労の喜びと言ってみたり、日本人の伝統的勤労の価値観と言ってみたり、いろいろ言葉を変えてくどくど申しているわけであります。
 それから、二宮尊徳ということにつきましても、これは私もいい勉強になったんですけれども、私が二宮尊徳ということについてお話しいたしましたところ、ここにいる次官が、大臣、こういう二宮尊徳翁の人物評があるんですよと言って持ってきてもらった文献があるんです。これは関東学園大学の加藤という教授が二宮尊徳翁を研究なさっておられるそうでありますが、この説によりますと、二宮尊徳翁は勤労とはむだ、無理、むらをなくして速く楽に仕事をすることとされております。そうだとすれば、二宮尊徳翁は時短の先駆者である、二宮尊徳翁の教えに学ぶべきである。これは一面のやっぱり真理なのかな、私はこういうふうに思って、いい文献を下さった、こう思っております。
 ただ、ずしんとこないとか矛盾を感ずるとか申し上げたことは、これは一つの言葉のあやとしてお受け取りいただければありがたい。足立先生のおっしゃる、私に非常に好意的に理解をいただいておりますことを感謝申し上げ、そのとおりひとつ理解を賜っておけばよいと思って、私も精の出しがいがある、こう思っております。
#137
○足立良平君 ただ、二宮尊徳といいますと、私も大体世代は一緒ですから朝は朝昼夜は夜星ということがぴんと先に来ちゃう。今はイメージの時代ですから、そういうふうに理解いたしますと挙げる例がひょっとしたら合理性があるかどうか、私今初めて聞きましたけれども、それではいかがかなという感じがするんです。
 ただ大臣、私は大臣にも考えていただきたいことが一つ率直に言ってありますのは、やはり問題はここで日本人の伝統的な労働の価値観とかどうとか、これはいろんな物の見方があると思うんです。ただ、労働行政を預かる責任者として考えていただきたいことは、今日までの日本の労働の職場の中において、私は日本的労働慣行というもの、こういうものを日本的労働の価値観というものにイコールにして置いていくということは大きな間違いを来すんではないか。
 もっと具体的に申し上げますと、例えば労働契約というものが大変不明確のままできている、労働時間にしてもしかり、あるいはまた時間内労働と時間外労働というものとの違い、あるいはまたそれの賃金化の問題とか、仕事の指示の仕方の問題であるとか、こういう日本的な単位当たりの生産性を上げていくということを国民的にもあるいは労働組合の側においても否定することは私は間違いだと思う。大臣のおっしゃるとおりなんですが、ただ日本的労働慣行を容認したままいわゆるこれからの労働行政というものを考えていかれると、これは諸外国から見ましても極めて不明朗な労働慣行であるというふうに指摘をされるでしょうし、そしてまた働いている人たちの側から見てもこれは問題がある。この点だけ厳しく、大臣の表現でいたしますなら、日本人の持つ伝統的な価値観というのと労働慣行とは明らかにこれは対立するものだ、こういうふうにひとつ大臣の方でお考えを願っておきませんとこれからいろんなトラブルが出てくるのではないか、こんな感じを私は受けております。これはあえて私の意見を申し上げまして、答弁は結構です。
 それで、私の与えられておりますのはもうあとちょっとしかございませんのでもう少し進めさせていただきたいと思うんです。
 これは、中央労働基準審議会のいわゆる四月一日からの中小企業における労働時間の猶予の一年間延長の問題についてであります。この問題は大変大きな問題でありまして、あと残されていると、八分の時間ではやり切れないわけで、これはまた別の機会に引き続いてやらせていただきたいというふうに私は思います。これは、私は認めるものではございませんが、今回いわゆる労働側委員が欠席をした不正常な状態で審議会というものが結論を出されて、そして政令でああいうことをやられるということは、これはもう今後の労働行政の信頼関係、いわゆる信義誠実の原則に反するやり方だ、私はこれははっきりと申し上げておきたいと思います。
 ただ、それは認める立場ではありませんけれども、この延長期間を一年というふうにされましたけれども、労働省として一年というふうにされた根拠はどこにあるのか、ちょっとお聞きをしておきたいと思います。
#138
○政府委員(石岡慎太郎君) 御承知のように不況が深刻化いたしまして、中小企業をめぐる経営環境は非常に厳しい状況になってまいりました。そこで、今回緊急避難的な措置といたしまして、法定労働時間四十六時間を百人以下の中小企業に限って一年間認めるという猶予措置を講じたところでございます。
 この措置を一年間ということで講じました理由をお尋ねでございますが、一つは労働省といたしまして中小企業の労働時間の実態を調査いたしました。その調査結果もよく見ながら判断をしてまいりました。また、中小企業団体から独自の調査によりますところの法定労働時間の実態も出していただきまして、説明を受けてよく検討いたした次第でございます。その他、中小企業の経営状態につきましても関係者からいろいろ聞いたわけです。その上で、やはり中小企業はなかなか四十六時間から四十四時間に移行できないという判断を労働省としてしたわけでございます。一年というのは、法定労働時間は三カ月とか六カ月とか細切れにできませんので、最低の期間が一年であります。したがいまして、一年猶予をしたいという決断をしたわけでございます。
 それから、もう一つ手続面で、確かに労働側が審議会に欠席されたままになりましたけれども、これではいけないということで、大臣が先頭になりまして労働側委員に出席していただいて審議会で反対なら反対ということでその意見を述べられたいということをやってまいったわけでございます。そして、時間切れぎりぎりまでお待ちしたわけでございますが、とうとう出てきていただけなかったものですから、四月一日からの施行を予定しておりますので、審議会で答申をいただいたわけでございます。労側欠席でございましたけれども、使用者側、公益側ともに大筋の意見としましてはやむなしということで手続上答申をいただきまして、それで一年間延長いたした次第でございます。
#139
○足立良平君 私は予算委員会に出ておりませんから、これはマスコミの報道でしか見てませんが、総理の経済の見通しというのは大体底を打ったというふうに予算委員会では経済の現状を大体把握されていたと私は承知いたしております。それで、今局長、労働省の方の御答弁は、今日の経済の状況が大変厳しいからこれは一年間延ばしたんだと、こういうふうにおっしゃる。宮澤内閣の最高責任者の総理は、既に経済の底は大体もう打っていると、こういうふうにおっしゃっている。そうすると、私は今局長の答弁というものと全然合わないと思う。
 それからもう一つは、これは今まで大変中小企業でも努力しているところはあります。ですから、そういうところと構成条件がどうとかというのはこれはまたあした改めてやります。
 もう一点、労働省としての考え方をお聞きしておきたいと思うのは、この猶予措置がいいか悪いかという問題はいろんな議論があるんですが、少なくとも公、それから使、それから労、三者そろって一応時間短縮を計画的に進めていくために漸次進めていく、一遍にやれっこないよということでやったことですから、これはもうそれでいい。そうすると、そういう方向に向かって、例えばあなた方の部下、監督官、それぞれ全国に散らばっている監督官の皆さん方が中小企業に対して平成五年の四月一日から四十四時間の労働時間になるんだよ、だから例えば経営のシステムなりあるいは生産性向上のために投資をしていくなり、あるいは人員計画なり、そういうものを指導してきているのは第一線の基準監督官なんです。それに沿って、中小企業の経営者の皆さん方も苦しい中でこうこうやっている人たちはそのまま今度はやりなさいよと、そして余り努力しなかったところはそのままでいいですよとなると、それはまさに私が先ほど言った労働行政におけるいわゆる信義というもの、あるいは信義誠実の原則というものをあなた方自身がみずから破っているんだということになってきて、それは監督官を中心にしたモラルというものは私は落ちてくると思う。
 今度は、監督官の皆さん方がそれぞれ企業へ回っていろいろな指導をしたときに、あなたの言うことまたすぐ変わるからそんなこと聞かなくていいよということになっちゃうと、労働行政そのものがこれからうまくいかない、私はそう思うんですが、その点だけお聞きして、きょうはとりあえず質問を終わります。
#140
○政府委員(石岡慎太郎君) 二点御質問があったと思いますが、総理が経済は底を打ったという御判断を示されたと、私はよく知らないんですが、その御答弁と先ほど私が申し上げた点は矛盾がないと思います。私どもは、中小企業の労働時間の実態、それから今後の見通しを精査いたしまして、やはり四十四時間に移行することは経営上非常に大きな打撃を与えていろいろ問題が起こるという判断をいたしまして、緊急避難的な措置として一年間猶予措置を延長したものでございます。したがいまして、両者間には私は矛盾がないと考えております。
 それから、二番目でございますが、確かに第一線の監督機関は来年度から四十四時間になるということで指導をしてまいったのは事実でございます。しかしながら、今回こういう事態になりましたのは不況の影響でございまして、一度決めたことは絶対やらなければいけないということではなくて、やはり事態の変化がありましたら行政がこれに柔軟に対応するということも必要なことではないかと思っております。そういう意味で部下の信頼を失うことはない、部下もよく理解してくれると思います。
 それからさらに、この四十六時間というのは、基準法第一条第二項をお読みいただいたらわかりますけれども、あくまでも最低基準でございます。全部の企業は四十六時間にならなければならないというものではございません。これ以下になっていけないという、四十六時間以下になってはいけないという規定でございます。したがいまして、労働時間などはこれは労使が決めるものでございます。四十四時間で決められる企業が出れば大いに結構ですし、そういう観点に立ちまして我々も時短をこのまま放置しておくつもりはございません。また、第一線とともに、四十六時間という最低基準は決めましたけれども、できるだけこの中で四十四時間とか四十二時間になるように、特に中小企業に対しましていろいろ支援措置も交えまして指導してまいりたいと考えております。
#141
○国務大臣(村上正邦君) 足立先生、総理の景気の見通しについて底を打ったというこの発言はこういう事実関係がありました。
 それは、総理が国会答弁で申し上げたことではなくして、どこかの場所でそういう話をした、それに対して予算委員会での質問で、あなたはそういう認識を持っているのかと、そういう発言をしたと新聞に出ているけれども、こう予算委員会で質問をされたわけです。これに対して、私もここではっきり、これ精査しなきゃならぬと思って今改めて申し上げておりますが、このときの総理の発言が多少ニュアンスか非常に難しい表現でおっしゃっておられましたので、必ずしもそれを肯定した総理の御発言ではなかったかなと。これは大事なことですから一遍よく速記録を起こして、改めて次の機会にでも申し上げさせていただければ、こう思います。
#142
○足立良平君 終わります。
#143
○吉川春子君 セクシュアルハラスメントについてお伺いいたします。
 我が国においてもいわゆるセクハラが社会問題になっております。総理府が昨年十一月に実施して最近結果発表を行いました世論調査においても、セクシュアルハラスメントの言葉を知らない人はわずか一〇%、一方被用者でセクハラを直接経験した人は七・三%、同じ職場の女性で経験した人がいると答えた人は八・五%となっています。
 八九年に第二東京弁護士会の行った女性のためのセクシュアルハラスメント一日電話相談の結果によりますと、相談件数百三十八件の相談者の年齢は三十代が三二%、二十代が二八%、四十代が二六%、五十代が一一%、あと十代と六十代もおりますが、こういうふうになっております。相談事項は、交際を迫られた結果関係を持ったというのが一番多くて二二・五%、卑わいな言葉をかけられたのが一八・一%、身体に何遍もさわられたというのが一六・七%となっています。また、その結果退職した人が二四・六%もいます。退職はしたくないが一三・八%、仕事上のいじめがある一〇・九%などとなっていますが、労働省はこういう実態についてどの程度つかんでいますでしょうか。
#144
○政府委員(松原亘子君) 私ども、幾つかの調査をいたしております。一つは平成二年度に実施いたしました女子雇用管理基本調査でございますけれども、そこで性に関する不快な経験というのがあるかないかというもので幾つかの例を示してその回答を得ているわけでございますけれども、それによりますと、不快な経験があったという答えが一八・六%を占めているところでございます。
 そのほかにも、女性の管理職に対する調査といったこともやっておりますし、また私どもの調査ではございませんけれども総理府が昨年実施いたしました世論調査におきまして、特に定義をなさないままではございますが、セクシュアルハラスメントを受けた経験があるかどうかということで聞いておりますことに対する答えといたしましては、自分が直接経験したことがあるというのが女性の五・五%、同じ職場の女性で経験した人がいるというのが六・七%といったようなことが結果として出ているところでございます。
#145
○吉川春子君 労働大臣に伺いますが、弁護士会の調査によってもセクハラによって職場をやめている人が最も多いんですね。そのほか二八・三%というのがありますが、ここには退職したくないが退職すべきか目下悩んでいる人も含まれています。母子家庭でやめるにやめられない人、またセクハラを受けていることを夫など家族に言えないで悩んでいる、こういう深刻な事例もあるわけです。こういう人々に法的な救済措置が早急に行われる必要があると思うんですけれども、いかがでしょうか。
#146
○政府委員(松原亘子君) 個々の事案によりまして非常に問題があるというような事案も確かにあろうかと思います。現に、幾つか裁判になり判決が出ているものもあるわけでございますけれども、一般的にセクシュアルハラスメントと言う場合に、人によりましてというとちょっとあれですけれども、非常に概念が広く、なかなか何をもっていわゆる不法とまで言えるセクシュアルハラスメントなのかどうかということについては、まだ我が国社会においてはコンセンサスがあるとは言い切れないんではないかというふうに思うところでございます。
 もちろん、女性が職場において能力を発揮していく上でのそういったことが障害になるということは極めて私どもも遺憾だというふうに思っているわけでございまして、今後さまざまな観点から検討をし、社会においてコンセンサスをつくっていくという努力をしなければいけないということは認識しているところでございます。
#147
○吉川春子君 労働省は、コミュニケーションギャップなどといってそういう研究を進めているんですけれども、セクハラという問題について真正面から本当に真剣に全力で取り組んでいるという印象を私は受けないんですね。
 コミュニケーションギャップなんという言葉だと、何か被害者本人にも責任があると言わんばかりのニュアンスがあります。しかし、そういう水準の問題ではなくて、本当に女性が対等な働き手として人格も認められるというところからはセクハラは起きないと思うんです。女性を一段低く見るところからそういう職場におけるセクハラも発生しているんじゃないかと思いますけれども、この点についてはどうですか。
#148
○政府委員(松原亘子君) 先ほど、私どもの調査結果で一八・六%の方が性に関する不快な経験があると答えているというふうに申し上げましたけれども、その中には、内容といたしましては性的な関係を求められたとか、執拗に交際を求められたとか身体に接触をされたとか、いろんな中身がございます。
 ただ私ども、一般にセクシュアルハラスメントの事例として世の中に出ているような本ですとかいろんな方のお話などを伺いますと、例えば朝出勤してきた女子社員にきょうはすてきな髪形をしているねと声をかけた、これもセクシュアルハラスメントだというふうに言っておられるという方もありますし、逆にそういったものは別にセクシュアルハラスメントじゃないと女性自身が認識している場合もあったりして、非常に人の受けとめ方というのが男女間だけじゃなく女性の間でも違うということがあるのが実態だろうというふうに思います。
 先生が御指摘のように、コミュニケーションギャップというような表現でこれをとらえておって軽く見ておるというふうにおっしゃられましたけれども、今あるさまざまな現象、こういったことに関連した現象でございますが、そういうことについての人々の認識、これをコミュニケーションと言うという意味ではございませんけれども、そういったことの差もありますし、ギャップがある、人によって受けとめ方が違う。また、男性の場合にはこれまで余り自分の身近に女性が自分と同じような資格なり肩書なりで働く人たちが少なかった、そういうことに対するなれがないとか、さまざまな問題があろうかと思います。例えば、アメリカでもこういったセクシュアルハラスメントの事件が起こるというのはどういうところが起きやすいかというのを調べた方があるようですが、ちょっと今持っておりませんが、それを見た記憶では、これまで女性が余りいなかった職場に、つまり男性がほとんどを占めていたような職場に女性が入っていくとそういうところで起こることが多いというようなことも言われております。そういう意味では、こういったこと、ある一定の行為をやることが女性にとっては非常に不快なのだということが男性には十分理解できていないということも世の中にはあるんではないでしょうかというふうに思うわけでございます。
 長くなって恐縮ですが、例えばヌードポスターを張るとか、それからついこの間までは女性のヌードを売り物にしたカレンダーなんというのは随分あったかと思います。そういったものがいろんなところに張ってあった。それに対して、女性はこういうものが不快であるということを男性はわかっていたのかわかっていなかったのかわかりませんが、女性もおとなしく黙ってそういうものが存在していることを許していたということによって、ああ女性も別にこれを不快と思っていないというふうに思った人もいるかもしれません。女性は女性で、それが不快であれば本当にこういったものがかかっているのはおかしいじゃないかということを女性の方から声を上げて、それでやはり世の中がわかっていくということは、今職場の例で申し上げましたが、それ以外にも例えば広告などでも女性の方から声を上げてそういったものがだんだんなくなっていったということもありますので、コミュニケーションギャップという言葉を使っているから軽く見ているということではなくて、そういったところに問題があるところもあるんではないかという意味でございますので、誤解のないようにお願いいたしたいと思います。
#149
○吉川春子君 私は、セクハラ一般論を言っているんじゃなくて、雇用の場におけるセクハラということで、そこで被害に遭っている女性をどう救うかということできょうは質問をしています。
 大臣、やっぱり本当にそういう職場でセクハラに遭ってやめちゃっている人も多いわけです、さっきの数字でも明らかなように。それから、やめるにやめられない。しかし、本当に苦しんで病気になるとか。雇用の場に女性がどんどん進出していって長く働き続けてもらう、そういうことを担当している労働省としては、そういう女性を救っていくというかそういうことは非常に重要な仕事じゃないかと思いますが、これは大臣からぜひ答えていただきたいと思います。
#150
○国務大臣(村上正邦君) 職場関係でそこまで被害を受けるということは、被害を与えている男性自身も私はその会社の中で糾弾されていくんじゃないのかな、責任をとらされるんじゃないのかなと、こう思うんです。だから、この問題は非常に男女の親密な関係にあるのかないのか、好意があるのかないのか、ただ一片の会社における上司だとか部下だとかいう、そのつき合いの度合いによって、あなたセクハラよと、こういうことになるんじゃないのかなと。それから、その男性の人格的なものも恐らくあるんじゃないのかなと、こう思うんです。ですから、現実的にそこまで、死ぬか生きるか、会社をやめるかやめないかノイローゼになるかならないか、そこまで落ち込んでこのことをお考えになるということもちょっと異常なような気が私にはするんです。
 私なんかは、先生方のおつき合いにしても割合あけっ広げて、廊下ですれ違っても腕を組んで先生行こうと、それは私の人格を相手が認めてくれているのかくれてないのかとか、これはやっぱり難しい問題じゃないでしょうか。これを法的に労働省として何か救済の道を考えると言われても一概に、そのケース・バイ・ケースで考えていくしかないんじゃないのかなと、こう思うんです。
 私は、先生に対して親しみを持って、先生きょうは随分可憐なスタイルじゃないですか、チョウネクタイなんかしてとかなんとか言いますね。それをセクハラだと言われると、何か人間関係というよりぎすぎすした、それではうまく事も、例えばいろいろな政策的なこと、先生と私は与党と野党に分かれていますから、そういう中で、実は村上さん、こんなこと私は考えているから、これはひとつ素直に考えてちょうだいよと。日ごろそういう中で、やはりそこらあたりの解釈の違いが生まれてくるのかなと、こう思うんですね。
 今は、とにかく七歳にして席を同じくせずという時代じゃありませんし、割合そこはそこなりに余り  先生、やっぱりそういう方いらっしゃるんですか。
#151
○吉川春子君 労働省の今セクハラ問題で到達している水準がちょっとうかがい知れるわけです。もうちょっと具体的に問題をあれしていきます。警察庁、お見えですか。
 ことしの一月三十一日付のサンデー毎日で、警察庁神奈川県警本部長が福島県警の本部長時代に、夜遅く地元の女性記者宅に押しかけたり、自分自身の官舎に連れ込んだり、高価なペンダントを贈ったり、卑わいを言葉を投げたりしていたと報道されたことについて、警察庁は処分というか処置をとられていますね。どういうふうにとられたんですか。
#152
○説明員(櫻井勝君) ただいま委員御指摘の点につきましては、神奈川県警本部長本人から、何回にもわたりいろいろ事情を聞きましたし、また関係者の言われることにつきましても報道等を通じて十分承知したつもりでございます。そういうことを踏まえまして、いずれにしましても本部長の不用意な言動が誤解を生んだものというふうな認識を持っております。
 そこで、本部長たる者はたとえ生活面のことであっても誤解を招くようを言動がないよう心しなければならないということで、この点につきまして神奈川県警本部長に十分な注意を行っております。
#153
○吉川春子君 同じ週刊誌の別の号に、広島県警の署長が地元紙の記者のA子さんの胸にさわったりチークダンスを強要したりしたということが報道されておりまして、署長自身もこの事実を認めているんですが、この署長については何らかの注意とか処分とかされましたか。
#154
○説明員(櫻井勝君) ただいま御指摘の広島県警の警察署長の関係でございますが、地元の新聞記者クラブとの二次会、その懇親の席上、結果的に不快感を女性記者に対して与えたということがあったと、こういう報道でございますが、これにつきましては本年二月四日、県警の警務部長が、他の人に不快感を与えるような言動のないように口頭で注意、指導をいたしております。
#155
○吉川春子君 また、石川県警の金沢市内の巡査部長が、全国紙の記者のB子さんのマンションの部屋に入り抱きついた。週刊誌のとおり私言いますが、全力で抵抗し、難を免れた。そのとき、慌てて外へ出た巡査部長が女性の部屋にバッグを忘れていったと、こういうふうに報道されています。
 そして、B子さんはこの事件にショックを受けて、また別の警察官からも何遍もドライブに誘われたりするようなこともあって、せっかく入社した新聞社を半年で退職したということですが、この問題については処分はしたんですか。
#156
○説明員(櫻井勝君) ただいま御指摘の石川県警察の場合は、本人、関係者からも事情聴取をしましたし、相手の女性、もうやめておりますが、元記者からもいろいろ事情聴取をいたしたいと思ったんでありますが、この女性がこれ以上触れてほしくないということで、事実関係の食い違い等は大変ありまして、そういう女性側の意向もありまして事実解明が最終的には困難と判断いたしまして、正式な処分は行っておりません。
 しかしながら、いずれにしましても先ほどから申し上げますとおり、この場合は話せば長くなるんですが、親切心から出たとはいえ、結果的に誤解を招くようなことになった、こういうことは慎むべきであるということで、警察職員たる者の日常生活についても真摯な行動に心がけるように指導をいたしております。
#157
○吉川春子君 深夜、女性のマンションに行って、ベッドの上まで女性を抱えていっておろして、それを親切心であったとかということを警察自身が言うという感覚、大変問題だと思うんです。
 私は、そういう一連の事実について、差別撤廃条約の批准など女性が世界的に職場に進出していく中で、新聞記者もこの間すごくふえてきているという報道を読んでいます。そして、日本新聞協会の調査によると、女性記者もこの十年に十数倍にふえているんですね。国会の記者クラブなどにも女性の記者の姿を頻繁に見かけるようになったのはほんのここ数年だと思うんですが、こういう本来女性が進出しにくかったところ、特に警察回りなんて私だって怖いですものね、怖いという意味はいろいろありますが。しかし、そういうところに女性が進出していった。ところが、一生懸命まじめに努力して、もうお酒の席もつき合わなきゃいけないと先輩に言われて、必死でお酒の席もつき合って取材をしている。そういう女性たちに対してこういう行為を、警察全部じゃないんですけれども、たまたまこれ、今挙げたのは全部警察ですが、こういうことが行われていって、しかも将来有能な働きをするかもしれなかった女性記者が職場をやめていっている、こういうことというのは本当にもうけしからぬというか許せないと思うんですね。
 女性がどんどん職場に進出していって、その職場の環境も整えて、男女の不平等もなくしていって、こういうことを担当している労働省としては、こういう問題についてこれはよくない、やっぱりそういう立場で労働行政をやっていただきたいと思うんですけれども、その点はどうですか、大臣。
#158
○国務大臣(村上正邦君) 今、吉川委員と警察の政府委員との事実、まあこれは週刊誌だということでございますけれども、そのやりとりをお聞きしていて、現実に今おっしゃるようにそういう嫌がらせを受けながらやめていかなきゃならないなんという、そういう事態については深刻にこれは受けとめていかなきゃならぬ、こう思っております。
 また、これは私なんかもこうした立場にありますと、夜回りの女性の新聞記者がよくお見えになります。十一時ごろピンポンピンポン鳴らされるんで、のぞき見で見まして女の記者の場合は私はもう一切応答しない。それがたまたま、私は非常に清潔を旨としていますんで、部屋はもう廊下から全部あけっ放しして風を入れるんですよ。そういうときにたまたま女性記者が来られたときは、例えばパジャマを着ているときなんかは、パジャマ着ているからだめだよ、お帰んなさい、何だったら下から電話で質問してくださいとか、できるだけそういう誤解を招くような場面はつくらない、こういうことに私は徹しております。
 ですから、今話を聞いていて、それは一つの極端なあれなのかもしれませんが、そういうことはあってはならぬことだなと、こう思っております。
#159
○吉川春子君 警察庁の方、もう結構です。
 アメリカとかカナダとか、外国ではセクハラ救済の法制度が整備されているんですけれども、日本の場合は今何もなくて、民法の七百九条とか七百十五条とか、不法行為、使用者責任で救済する判例は出ております。そういう中で、しかし労働省も何もやっていないわけじゃなくて、例えばある会社の課長が女性社員に性的関係を強要した問題で、地方の婦人少年室長が介入して、企業と話し合ってその課長を処分した、こういう例もあるというふうに私も聞いていますが、現行法のもとで行政指導をやっていかなきゃならないと思うんですね。
 それで、労働省はこのセクハラのパンフレット一つまだつくっていないと私は思うんですけれども、解雇されるとか退職を余儀なくされるとかこういう問題については、特に雇用機会均等法などを前提にして婦人少年室長でももっと救済できるんじゃないか、もっと積極的にこのセクハラの問題をPRしたり対策を講じていくべきだと思いますが、どうですか。
#160
○政府委員(松原亘子君) 先生最初に外国の例をおっしゃられましたけれども、アメリカ、カナダ、それからオーストラリアですとか、つい最近フランスの労働法典の中にもいわゆるセクシュアルハラスメントを禁止するような条文が入れられたというふうに私どもも把握をいたしております。
 ただ、このアメリカ、カナダ、オーストラリアとフランスは、法律でカバーしております範囲というのは、先生もう既に十分御承知と思いますけれども若干異なりまして、いわゆるセクシュアルハラスメントには大別して代償型と環境型とあるというふうに言われております。つまり、環境型というのは職場環境、先ほど申し上げたようなヌードポスターを職場に張るといったようなそういったことによる不快感、不快な労働環境がつくられている、そういったものを環境型と言い、代償型というのは、先ほど来ちょっとお話があったようなことと関連いたしますけれども、一定の行為を女性に求め、それに応じた女性に対しては、例えば賃金とか昇進等々について有利な取り扱いをするといったようなことでいわば性的嫌がらせをするというものが代償型と言われております。
 アメリカ、カナダ、オーストラリアにつきましては、環境型、代償型を含めましていわゆるセクシュアルハラスメントとして対応がなされているわけでございます。一方、最近法整備がなされましたフランスにおきましては、代償型を禁止するということで法的な整備がなされたというふうな状況でございます。
 そういうことで、仮に法的なこと、行政的な措置というふうなことになります場合に、一体どういう範囲を我が国においては、国といいますか行政として取り上げるべきセクシュアルハラスメントとして概念をするかといったようなことについてはやはり検討をする必要はあろうかというふうに思いまして、それにつきましては一方で検討を進め、コンセンサスづくりに向けての努力をいたしております。ただ、さりとて、じゃそれができるまで何もしないのか、こういうことになってまいりますので、幾つか先生からも御紹介ございましたが、申し上げさせていただきたいと思いますのは、具体的にそういったことによって被害を受けたという女性が婦人少年室に既に何人がお見えになっておられます。相談という形で来られております。そういう場合に、もちろん直接的にそれに対応するような法的根拠があるかないかということの精査以前に、現状においてその女性がどういうことでその職場において働いておられるのかどういうような被害があるのかといったようなことを行政機関の一般的な相談としても私どもは対応いたしておりまして、先ほど御紹介がありました例につきましても、婦人少年室が間に入って、解決というと根本的解決ということにならないかもしれませんけれども、企業において一定の措置がその加害者とされる男性に対してとられたといったようなことでございます。
 そういうことで、行政の一般的な業務としてそういうことは対応いたしておりますし、もう一方別のことでございますけれども、私ども機会均等推進責任者という方々を主として女性を多く雇っておられる企業に置いてもらうということを指導いたしているわけでございまして、そういう方々に機会均等に関するいろんな情報提供をやっております。「プラザKINT〇」というのがその情報提供のための情報誌の名称でございますけれども、この中に、それほど昔ではございませんけれども、「セクハラに御用心」という記事を載せまして、過去に何件か裁判になった例なども御紹介し、こういった均等推進者の意識の啓発を通じて、起こってからというよりは予防措置ということが非常に重要だと思います。そういうことから、予防に努めていただける企業の人事管理制度の中にこういったことについての認識を持っていただくことが重要だということで、そういうことから始めているわけでございます。
#161
○吉川春子君 そういう企業に対する指導というのも非常に大切ですし、確かに予防という点で職場に相談の窓口を置くとか担当者を置くとか、そういうことも含めて労働省で積極的に指導を現行法のもとでもしていっていただきたいと思うわけです。
 国連婦人の十年の最終年に開催された世界婦人会議で採択された女性の地位向上のためのナイロビ将来戦略で、この国連婦人の十年の目標を二〇○〇年までに達成するために障害克服のための具体的な措置を決めたわけですが、そこで職場における性的嫌がらせを防止するための適切な措置が講じられるべきである。政府は、救済のための適切な措置を講ずるべきであり、これらの権利を保障するための法的措置を強化すべきだ、こういうふうになっているわけですね。
 このナイロビ戦略は日本政府も政策的に取り入れるということで、そしてそれに基づいて国内行動計画などもつくっているんですけれども、この新国内行動計画の中には実はセクハラの問題については具体的な規定はまだ入っていないわけです。
 こういうややこしいことはいいんですが、大臣に最後に伺いますが、やっぱり世界の大勢も職場におけるセクハラをもっと法的にも整備して女性を守れ、職場環境もよくせよということを国連も決めて、それに基づいて日本の政府もやる義務もあるわけですね。だから、そういう世界の情勢にも来ているし、また日本の女性がいろんなところへ進出していって、セクハラの問題も社会的にクローズアップされてきているわけです。だから、そういう意味で私は一般的なセクハラとは何かという問題はもう今日は全然触れてないんですけれども、要するに雇用の現場においてそういうことで女性の働く場が狭められるとかやめていかなきゃならないとか、こういうものは何としても防いでいかなきゃならないので、今できる行政指導、そして将来的には法的な措置、そういうものも含めてぜひ労働省でも、今もやっておられるでしょうが、真剣にやっていただきたい、その先頭に村上大臣が立っていただきたいと思いますが、最後に御決意をお伺いいたします。
#162
○国務大臣(村上正邦君) いやいや、セクハラに対する認識を新たに持ちました。よく松原局長とも、十分御意見を聞かせていただきながら、検討いたします。
#163
○吉川春子君 終わります。
#164
○笹野貞子君 大臣、セクハラでは大分お疲れのようですけれども、今度は大臣のお得意の分野に質問を移させていただきたいと思いますので、これからは楽になるというふうに思っております。
 実は、自分の知っている人がテレビに出たり新聞に出たりするということは、見ている人にとっては大変快いものです。まして、参議院で御一緒になっている村上大臣が大臣に就任されて、テレビでインタビューされたり新聞に出たりしているということは、私にとってはより一層興味がありますので、一言一句漏らさないようにテレビのインタビューも拝聴いたしました。
 そのテレビの一番最初の、大臣に御就任になったときに、先ほどもちょっと御発言なされましたけれども、私は二宮金次郎が好きだと、こういうふうにおっしゃいました。私もしばらくこの人の名前を記憶から忘れておりましたので、二宮金次郎がいいとか悪いとかということよりも大変懐かしい名前として、そして大臣にそういう具体的な理想像を言っていただいたことに対して、私は大臣がわかりやすくなりましたし、大変ユニークな大臣であるということで好感を持った次第です。そういう意味で、きょうは二宮金次郎論をひとつ伺いたいと思います。先ほどお聞きしていますと、大臣も大変一生懸命にお調べになったようですので、ひとつそういうすばらしい二宮金次郎論を展開してみたいというふうに思っております。
 さて、先ほどから労働省のやるべき労働行政云々のことで随分大きな議論がありましたけれども、私自身も労働行政というのは大変興味があり、重大なものだという認識をしております。なぜかといいますと、これは近代の民主主義というものが確立されて、初期の民主主義の大原則である自由という問題が私たちにとって大変重大だという認識があったわけですが、しかしやっぱり民主主義の成熟の段階によっていろいろと変わってくると思います。この初期の民主主義の自由の中の契約の自由というこの自由に対して、要するに公平な自由とは何かという成熟した民主主義の中で、労働の契約の自由の中に成熟した民主主義だけが持ち得る国家権力というのがどのように公平を保っていくかというのが、これが労働行政の原点だというふうに思いますから、その実地、労働条件、そして労働環境、人間の労働に対する意欲のあり方、そしてそういうもろもろのことに対して不公平なところがあったならば、やっぱりそれを公平な労働契約に持っていくという、そういう非常にすぐれた近代国家の一つの使命が労働行政だというふうに思っております。
 そういう意味では、これから働く者の社会づくり、働く者のゆとり、豊かさというそういうことを標榜しております連合の議員の一人といたしまして大臣に興味を持たざるを得ませんし、また私たちの連合に対してエールを送っていただきたいというそういう気持ちで私はおります。しかし、午前中の大臣のお話を聞いていますと、もうこれは働く者には非常に優しいし、特に女性に対しては大変に温かいお言葉をいただいておりますし、今もセクハラが非常に御理解いただけたように思いますので、私はもうきょうは私の任務が達成できたように思うんですけれども、それではちょっと味気がありませんので、二、三、質問をさせていただきます。
 私が二宮金次郎を勉強いたしましたのは、人名辞典の中に二宮金次郎というところで奈良本辰也さんという人が二宮金次郎の本を執筆しておりますので、この人の本を読んだら間違いないだろうということで、「二宮尊徳の人と思想」という奈良本辰也さんの本を読ませていただきました。私も、大臣が二宮金次郎が好きだと言ったときに、今の日本の現状を見ますと、すべてが二宮金次郎にもう日本人はなっているんじゃないかなという感じがいたしました。非常に勤勉ですし、そして働くということを大切にしていますし、また子供は夜な夜な塾に通って夜遅くまで勉強している。まきを背負っていないだけが違って、ほとんどの子供も男性ももう二宮金次郎そのものだというふうに思っております。ですから、より一層興味を持って読ませていただきましたところが、私も認識を新たにいたしました。二宮金次郎ってこんなに偉い人だったのかということで、大臣のおかげで勉強させていただきました。
 そこで、この二宮金次郎を尊敬なさる大臣に労働行政についてのお話をさせていただくんですが、二宮金次郎という人は、先ほども言いましたようにむだをなくし、合理的にそして現場主義なんですね。机上の空論じゃなくて経験に基づいて一つの法則をつくっていくという、そして時間は有効に、自分の働くことが楽しければ、それをお金に直す方法をちゃんと考えていますので、昼は畑に出て働き、そして夕方本を読みながら勉強し、夜はわらじを編むという、非常にそういう点では合理的な方です。
 また、彼の一番特色が減税なんです。この二宮金次郎の生活を見ますと、これはちょっと非常に難しいので今流の言葉に直しますと、国家が栄えるか滅びるかというのは、これは民が栄えるか滅びるかということであって、民が栄えるためには租税を軽くしたい、そうすると民は非常に栄えて、そして民が栄えれば国が栄える、こういうことを言っているんです。
 それで、現実問題といたしまして彼は、きょうは二宮金次郎の一生を言っていますと何時間あっても足りませんのではしょりますけれども、彼は税金を半分に減らして、まず民を富ましたという現実があります。この現実に対して、つまり減税ですが、大臣、ひとつ金次郎の減税ということに対してどのように御感想をお持ちでしょうか。
#165
○国務大臣(村上正邦君) まさか減税と二宮尊徳というお話をお聞きできるとは思いもいたしませんでした。また、私は何も二宮尊徳先生の研究家じゃないんですね。ただ、私の体の中に、片田舎で小学校のころ学校へ行きますと、校庭にまきを背負ってそしてわらじを履いて書を読んでいるあの二宮尊徳像というものが、子供心の中にやはり人間というのはこうして正しく生きていくんだと。そして、貧しければ貧しいなりにゃはり働きながら、働くということはまきを背負っているあの姿、働きながら書に親しんでいく、こういう二宮尊徳像というものが私の人間形成の中に、潜在意識の中に、教育というのはそうだと思うんですが、私は私なりにそういう一つの人間形成に大きな影響を及ぼしてくださった人間像というものが私の頭の中にあった。ですから、二宮尊徳翁というものはそういう勤勉さ、実直さ、そして親を思う、兄弟を思う、自分は汗して弟のために、妹のために、親のためにという、そうしたことに大変感銘した姿として今日生き続けているということでございまして、ただそれだけのことなんです。
 そして、小学校の教科書の修身か国語か知りませんが、今おっしゃられたような非常にすばらしい行政官であったし、行革の一つの先駆者でもあったということを書物の上で、これは同じ一般の方々がそういうふうに習ってきた、それまでのことであって、さらに二宮尊徳について勉強した、研究したということじゃないわけでございますので、あらかじめそのことは一つ申し上げておきたい、こう思います。
 そこで、所得課税についてどうだと、こういうことでありますが、納税者個人にとって最も負担感が強く、その税負担が過重になるときは勤労意欲に影響を及ぼすということはよく言われているところであります。議員のお話しなされている二宮尊徳先生もそういったところで取り組まれたのではないかと推察されるわけでございます。
 いずれにいたしましても、今この景気回復に五月雨的なことをやってはだめだ、労働省を預かる、特に雇用という面からいって心理的にもここで景気は明るくなるんだ、そういうあすに光明を持てるような政策、またそういう一つの議論というものが出てきてもいいんじゃないのかな、そういう思いが私にはありまして、先日、経済閣僚会議というのが月に一回あるわけでありますが、そのときも私は申し上げました。とにかく、この平成五年度予算も年度内成立が大体見えてきた。であるならば、いろいろ言われているあらゆる景気回復のための政策を一気にここでやるべきである。その中には、衆議院で予算を上げます前提で各党書記長・幹事長会談が持たれて、減税の問題も当然ここで出されているわけでありますから、そういうことを含めてやれることがあるならば一気にここでやったらよろしい。
 やはり、これは戦争で例えるならばガダルカナルの戦争だ。NHKが実録をこの前放映しておりましたけれども、あれは五月雨式に援軍を送ったからその都度やられたんです。それで最後、これは大変だというんで仙台の師団を、一気に何万という軍隊を投入したけれども、それはそのときにはもう上陸もできなかった。戦争で例えるならばそういうことになってはいけない。だから、ここで一気に景気対策を含めたすべての対策をやったらよろしいじゃないか。それが景気回復につながり、それは財源がどうだとか、それが実際に消費に回されぬとか回すだとかいう議論はあるけれども、それはそれとして、心理的に非常に明るい一つの希望を持っていただくためにもそういうことは決してむだではないんじゃないだろうかな、こういう発言を私は申し上げた経緯もあるわけでございます。二宮尊徳は別にいたしまして、今労働省が真剣に雇用対策を考えているときに労働省の立場でそういう考え方を披瀝させていただいた、こういう経過がありますこともひとつ御理解を賜っておきたい、こう思います。
#166
○笹野貞子君 大臣の今のお考えは、減税に対する一つの指針として大変ありがたいことなんですけれども、金次郎は、民が栄えずして国は栄えない、民に重い税金をかけるならば民は労働意欲をなくしてますます働くことが嫌になってしまって、すると国がますます滅亡していくという、こういう議論なものですから、私は大変興味を持ちました。
 そういう意味で、先ほど大臣は、親を思い友を思いいろんな人を思いこう言いましたけれども、真理は単純なところにあるんで、人間の社会の行政というのはそう難しいものじゃないと思うんです。つまり、民を思うことによって労働行政が私はできるというふうに思いますので、この際、宮澤内閣は生活大国、つまり生活にゆとり、豊かさということを標榜している内閣ですので、ひとつ大臣も、所得税減税は昭和六十三年のときに抜本的な改正をしたきり現在までされておりませんので、どうぞ民が富むために所得税減税を首相に進言していただきまして、労働省ここにありという意気込みを見せていただきたい。心よりお願いを申し上げたいというふうに思います。
 さて、次にいきます。きょうは金次郎ばっかりやっていると大変ですのでやめますけれども、しかし大臣、一つだけ知っておいていただきたいのは、尊徳さんは女性論をしっかり言っているんです。これは不思議なことです。今でもまだ物わかりの悪い男性がいるのに、今から二百年も前にこういうことをしっかり言っている尊徳というのはすごい人だなと私は思いましたけれども、人間は相対するものは上下の関係にない、こう言っているんですね。すべて相対偶している。男あれば女あり、天があれば地があり。つまり、天を上だと思っている人はこれは大きな間違いで、地球をひっくり返って見ると天が下になっているわけですから、天を上だというのはこれは非常に狭い考え方だというふうに思います。ですから、男性と女性というのはつまるところ一つの円になって人間なんだという、これは人権思想だというふうに思うんですが、この考え方を男女同権まで言ってしまうのはちょっと言い過ぎかなと思って、今私もここのところを一生懸命研究しようというふうに思っております。そういう考え方ですので、ひとつ金次郎を尊敬されます大臣止しましても女性観をどうぞすばらしいものにしていただきたいということをお願いいたします。
 次に、大臣が所信の中で、新たな技術移転システムとして外国人研修生受け入れの充実を図る、こういうふうに述べておりますので、私はこの点大変興味を持ちました。なぜかというと、これからまさにこの問題こそが我々が真剣に英知を絞って考えなければならない問題だというふうに思っておりますので、外国人労働のことをちょっとお聞きをしたいと思います。
 それには、能開法のときにこれを受け入れるシステムを研修制度としてつくったわけですが、その研修制度が今どのように準備されて、これは平成五年から出発するということになっておりますけれども、大体二年間で四万人を受け入れるということですが、どういうシステムでそしてどんなようなプロセスで、しかもその進捗状況はどうなのか、そして受け入れた後の対策をきちっと考えているのか、あるいはこの受け入れは独身しかできないのか、そこら辺のところを含めましてひとつお聞きいたしたいと思います。
#167
○政府委員(伊藤欣士君) お答え申し上げます。
 先生、御指摘の外国人技能実習制度というものを御指摘のとおり検討させていただいているわけでございますけれども、この制度は外国の方々に対しまして一定期間の研修を行った上でその研修の成果というものを評価する、それで一定の水準に達したこと等の要件を満たしまして、その後は雇用関係のもとで技術、技能等を習得するというような形で考えておるわけでございまして、この制度そのものは人づくりを通じて国際貢献を推進するという観点に立っておるわけでございます。そういう意味では、今までの研修制度とは異なりまして、より実効のある技能移転を行うための新たなシステム、こういうことで行革審の方からも御提言をいただいておりますし、また生活大国五カ年計画におきましてもその創設・具体化を図るということとされまして、現在政府部内で協議しているところでございます。
 受け入れの規模等につきましては、当面は受け入れの数を設けない、これは民間の企業なかんずく中小企業を中心にその持っておられるノウハウを外国の、特に発展途上国の方々に移転をしてお国でその活用をしていただく、人づくりをする、雇用開発に資するという観点でございまして、政府が枠を設けて強制的にこれをやるとか企業に割りつけるものでないわけでございます。そういう意味で、景気の動向等もございますし、当面受け入れ枠は設けないということで考えておるわけでございます。
 この制度の実施に当たりましては、人づくりによる国際貢献という観点からいたしまして、まず外国の方から良質な方に来ていただく、それから日本でまさに適切かつ実効的な実習、研修を行う、それから自分の国へ確実に技能を移転していただく、こういう三点が重要であるわけでございます。そこで、労働省といたしましては、一昨年秋に設立されました国際研修協力機構、財団法人でございますけれども、この機構を中核的な機関として位置づけまして、制度を円滑かつ適正に実施するための機関として位置づけ、検討しているところであるわけでございます。具体的には、送り出し国との協議であるとか、あるいは実習生のあっせん、それから研修成果を評価する、それで雇用関係に持っていく。それから、修了した場合に修了証書を出すとか、希望に応じて日本の資格試験を受けていただいて合格者にはオーソライズするというようなこと、あるいは技能実習全体についてのガイドラインをつくるというようなもろもろのことを研修機構でやっていただきたいということで予算措置をお願いしているところでございます。
 なお、この方々は技能移転ということでございますので、ぜひ日本での習得した技能をお国で活用していただきたいということで、これは入管法とも絡むわけでございますけれども、帰国の問題等についてもいろいろあるわけでございます。そういう中で、外国の方々との関係でございますので主として入管法の関係、あるいは労働者として働いていただく、技能を身につけていただくという観点から当然にこれは労働法規の関係、その他もろもろの我が国における懸案事項がございます。
 来年度から実施するということで、今関係各省と最終的に詰めをやっておる。ぜひとも、国際貢献の人づくりの大きな柱としてこれが実効ある立派な制度になるように現在鋭意検討しておるということでございまして、間もなくそれがまとまり次第実施に移したいと考えておるところでございます。
#168
○笹野貞子君 その点で一つお尋ねしますけれども、今日本は単純労働者は入れないということなんですが、この技能研修を終えると単純労働じゃなくなって技能労働になりますね。そういう場合には、帰国して再度入れるという場合にはどのように考えているんですか。
#169
○政府委員(伊藤欣士君) この方々、ざっくばらんに未熟練労働者、技能を持っておられない労働者を研修なり実務の中で働いていただいて技能を身につけて帰っていただく、こういうシステムでございます。
 現在、我が国におきましては、専門的技術的な分野についてはできるだけ多くの方を受け入れて我が国の経済発展の中で働いていただくということはございますけれども、現在考えております技能実習制度につきましては、最大限二年の期間で技能を習得していただいてお国で活躍していただくということを前提として考えておりますので、その技能はお国で発揮していただきたい。また、日本でやっていただくところまではなかなかいかないのじゃないかというふうに考えておるわけでございます。
#170
○笹野貞子君 時間がなくなりましたので、最後に大臣、大変お疲れだと思いますが、二つだけ聞いて終わりたいと思います。
 というのは、私たち、社会党、公明党、民社党そして我々も入りましてパート労働法というのを提出いたしております。ところが、政府提案のパート労働法も出たというのが現状です。この二つの法案は重大なところが非常に異なっているわけで、これから私たちもこの二つの法案に対して、私たちの出した法案の方が断然いいという意識を持ってこの法案のために頑張りたいと思うんですが、さて大臣、この二つの法案について、大臣はどのようにこれからイニシアチブをとっていかれるのか、その所信をお聞かせください。
#171
○国務大臣(村上正邦君) パートタイム労働に関する法制化の問題につきましては関係審議会からの答申を踏まえて法律案を作成し、三月九日に閣議決定を行い、十一日に国会に提出させていただいたところであります。
 そこで、先生の今の野党法案についてのお話でございますが、労働省といたしましては、パートタイム労働者の処遇の確保等に関し罰則等による規制を行うことや、パートタイム労働者について差別的取り扱いを禁止することについては社会的な合意が得られていないことから適当ではないんではないか、こういう考えに到達をいたしておりまして、政府案で出させていただいておりますこの法律案を何とかひとつ御審議賜って成立を期させていただきたい、このように思っております。
#172
○笹野貞子君 終わります。
#173
○委員長(田辺哲夫君) 本件に対する質疑は以上で終了いたしました。
    ―――――――――――――
#174
○委員長(田辺哲夫君) 次に、地方自治法第百五十六条第六項の規定に基づき、公共職業安定所の出張所の設置に関し承認を求めるの件を議題といたします。
 まず、政府より趣旨説明を聴取いたします。村上労働大臣。
#175
○国務大臣(村上正邦君) ただいま議題となりました地方自治法第百五十六条第六項の規定に基づき、公共職業安定所の出張所の設置に関し承認を求めるの件につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。
 近年、職業生活の中でその能力を有効に発揮したいという希望を持つ女性が増加している中で、それぞれの就業希望に応じたきめの細かい再就職援助措置を講じていくことが重要になっていることにかんがみ、労働省では、平成三年度から、女子の就業希望登録、離職期間中の職業情報の提供、職業講習、きめ細かな職業相談、職業紹介等を内容とする総合的女子就業援助事業を実施しております。
 この案件は、総合的女子就業援助事業を専門的に推進する組織として、公共職業安定所の出張所を札幌市、仙台市及び名古屋市に設置することについて、地方自治法第百五十六条第六項の規定に基づき、国会の御承認を求めようとするものであります。
 何とぞ、御審議の上、速やかに御承認くださいますようお願いを申し上げます。
#176
○委員長(田辺哲夫君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。
 本件に対する質疑は後日に譲ることとし、本日はこれにて散会いたします。
   午後四時十二分散会
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ソース: 国立国会図書館
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