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1993/03/26 第126回国会 参議院 参議院会議録情報 第126回国会 労働委員会 第3号
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1993/03/26 第126回国会 参議院

参議院会議録情報 第126回国会 労働委員会 第3号

#1
第126回国会 労働委員会 第3号
平成五年三月二十六日(金曜日)
   午後一時開会
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         田辺 哲夫君
    理 事
                大木  浩君
                星野 朋市君
                庄司  中君
                笹野 貞子君
    委 員
                岩崎 純三君
                佐々木 満君
                坪井 一宇君
                清水 澄子君
                篠崎 年子君
                浜本 万三君
                三石 久江君
                武田 節子君
                中西 珠子君
                足立 良平君
                吉川 春子君
   国務大臣
       労 働 大 臣  村上 正邦君
   政府委員
       労働大臣官房長  七瀬 時雄君
       労働省労政局長  若林 之矩君
       労働省労働基準  石岡慎太郎君
       局長
       労働省婦人局長  松原 亘子君
       労働省職業安定  齋藤 邦彦君
       局長
       労働省職業安定
       局高齢・障害者  坂根 俊孝君
       対策部長
       労働省職業能力  伊藤 欣士君
       開発局長
   事務局側
       常任委員会専門  佐野  厚君
       員
   説明員
       法務省刑事局参  神垣 清水君
       事官
       運輸省鉄道局保  豊田 榮次君
       安全両課長
       労働省労働基準  横田  浩君
       局労災監理課長
       労働省労働基準
       局安全衛生都労  田中喜代史君
       働衛生課長
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○平成五年度一般会計予算(内閣提出、衆議院送
 付)、平成五年度特別会計予算(内閣提出、衆
 議院送付)、平成五年度政府関係機関予算(内
 閣提出、衆議院送付)について
 (労働省所管)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(田辺哲夫君) ただいまから労働委員会を開会いたします。
 去る三月二十三日、予算委員会から、三月二十六日の午後の半日間、平成五年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、労働省所管について審査の委嘱がありました。
 この際、本件を議題といたします。
 予算の説明につきましては既に聴取いたしておりますので、これより直ちに質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#3
○篠崎年子君 それでは、委嘱審査に関してお尋ねをしたいと思います。
 まず初めに、総理の施政方針演説の中でも、また村上労働大臣の所信表明の中でも、生活大国の実現に向けた勤労者生活の充実とかあるいは生活大国実現のための前進とかそういう言葉が入っております。最近では、経済大国にかわりまして生活大国という言葉が非常に大きく取り上げられているようでございます。この生活大国というような場合に、労働大臣としてはどのようなことをイメージしていらっしゃいますでしょうか、お尋ねしたいと思います。
#4
○国務大臣(村上正邦君) 労働所管といたしましての生活大国という意味は、私の所信表明の中にも念には念を入れて訴えております。やはり働く人々がそれぞれ自分の能力、天分、個性、こういうものを生かし切って社会に貢献できるような、そうした姿というのが私に課せられた生活大国の働く人々に対する責任ではないか。そして、愉快に楽しくおおらかに、職場でお互いにコミュニケーションを図っていけるような、そして一方にあっては、やはり現実、生活大国と言うにふさわしくない、生活大国の実感としてほど遠い、そうした部分において欠けている部分、それはまだ霜のおりているうちから通勤をしていかなきゃならない、二時間ぐらいかかるところに住まいを持たなきゃならない、また一時間半以内となれば本当に空間の少ない住居の中で生活をしているという、外国からまだまだ日本の住まいはウサギ小屋だとこう言われている、そうしたことで果たして生活大国と言えるのかなと。これらの問題を、今後これは大きな政治課題として私たちは解決していかなきゃならない。
 それから時間です。これも本当に時間に追われた生活ということであっていいのかなと、こういうことを考えまするにつれまして、生活大国と言うはやすし、概念としてはよく理解をできるところでございますけれども、まだまだほど遠い現状であろう、私はこう思っております。
#5
○篠崎年子君 大体大臣の描いていらっしゃる生活大国、私も同感できるところがありまして、道はほど遠いとおっしゃいましたけれども、労働省が先頭に立って生活大国実現のために努力をしていただきたいと思うわけです。その中で、特に今ちょっとお話がありましたように時短の問題は、これはこの生活大国の場合にやっぱり避けて通れない問題じゃないだろうか。これは、改めて別の機会に審議をしていきたいと思っております。
 次に、個々人が自分の持っている能力をどんなふうに発揮していくのか。人間はみんないろんな違った顔を持っており、また違った能力を持っているわけですから、一律でなくて、それぞれの人が自分がここで仕事をしていてよかったな、そういったような会社のあり方というものもまた必要になってくるんじゃないだろうか。そういうことで、労働省のこれからの御指導なり、あるいは御助力なり御協力なりをお願い申し上げたいと思うわけでございます。
 次に、今もお話がありましたように仕事をする場合に、楽しく愉快におおらかに仕事ができる、あるいは生活ができるということが必要だというふうにおっしゃいました。そうすると、私たちの生活が快適な生活であるためには、自分の住んでいる普通の家庭の環境といいますか、住環境も快適でなければならないと同時に、また私たち仕事についている者は職場の環境というものも快適でなければならないんじゃないだろうかと思っておりますので、職場の環境ということについては特にこれからは気を配っていただきたいというふうに、これは要望いたしておきたいと思います。
 今度、予算概要の説明書をいただきましたけれども、ここの中で労働者の健康管理についてというところで、労働者の安全と健康の保持の推進についてという項目がございました。このことにつ
きましては平成三年の十二月に勤労者の健康管理についてということで、「労働者の安全と健康の確保のための対策の推進について」という項目で中央労働基準審議会労働災害防止部会の報告がございました。ちょっとそれを読ませていただきましたけれども、その中でこういったようなことが書いてございます。「はじめに」というところですけれども、長期的には最近は災害が鈍化している。しかし、労働災害による死亡者数は年間約二千五百人で、最近増加傾向にあるというふうに書いてあります。それから次に、労働者の健康に関しては、職場における疲労それからストレス、こういうものを感じている労働者が多いという状況がある。労働者が経済水準の割にはなかなか豊かさを感じないというのは、やはりこういったところに原因があるのではないだろうか。そのストレスあるいは疲労、そういうものを感じる原因は何かというと、やはりさっきも申しましたように、職場の中の快適な場の設定と申しましょうか、環境ということもありますでしょうし、あるいは時間に縛られて、そして非常にせわしなく働かなければならない、そういうこともあるんではないだろうかと思うわけでございます。
 それからさらに、作業関連の疾患とも言われます虚血性心疾患といったようなことも出てきておりますけれども、これもやはりそういったような職場のストレスからくるものが影響しているんじゃないだろうかというようなことを考えました場合に、人命にかかわります災害、これももちろん防ぐ方法を考えていかなくちゃならないと思いますけれども、きょうは健康に関してだけ重点を置いてお尋ねしたいと思うわけです。こういったような職場でそういう疲労とかストレスとかを感じて、それから病気になっていくといったようなことを防ぐのには予防措置が必要ではないだろうか。病気にかかってしまってからそれを治すのではなくて、かかる前の予防対策というものが必要になってくると思うわけです。そのことでは、健康管理体制の充実というものが必要になってくると思います。
 労働安全衛生法によりますと、産業医の設置ということが義務づけられているようでございますけれども、これは一体今どのような状況になっているのでしょうか。
#6
○政府委員(石岡慎太郎君) 労働安全衛生法の規定によりまして、五十人以上の労働者を使用する企業におきましては産業医を設けなければならないことになっております。実際設けているかどうか、最近調査しました結果では、約九割近い企業が設けております。
#7
○篠崎年子君 済みません、初めの方をちょっと聞き落としたんですけれども、九割近いというのはどのくらいの規模のところでしょうか。
#8
○政府委員(石岡慎太郎君) 最初の方を少しお聞き取りいただけなかったようでございますが、労働安全衛生法では「五十人以上の労働者を使用する」、そういう企業におきましては必ず産業医を設けなければならないということになっております。
 それで、産業医がどれくらい設置されているかでございますが、私どもの調査によりますと、平成三年十二月の調査では約八万七千の事業場で産業医が選任されているということでございます。その設置率を推計してみますと、これはいろんな推計の方法があろうかと思いますが、約九割近い企業で産業医が、九割近いといいますのは五十人以上の労働者を雇っている企業を分母にいたしますと、その九割近い企業で産業医が設置されているということでございます。
#9
○篠崎年子君 それでは、「常時千人以上の労働者を使用する事業場又は次に掲げる業務に常時五百人以上の労働者を従事させる事業場にあっては、」、産業医はその事業場に専属の者でなければならないというふうに十三条に書いてございますね。そうすると、これは一〇〇%設置されているんでしょうか。
#10
○説明員(田中喜代史君) お答えいたします。
 産業医を選任すべきものということでございますと、千人以上については昭和六十年の労働安全衛生基本調査では一〇〇%選任されているという状況ではございます。
#11
○篠崎年子君 一〇〇%ですね。そうしますと、今度の審査の中にありますけれども、産業保健センターの設置が今度新規ということで出されておりますけれども、この産業保健センターの概要、それからそこに働く人たちの職務、人数、そういったことについて大体側説明いただきたいと思います。
#12
○政府委員(石岡慎太郎君) 先ほど先生が御指摘なさいましたけれども、最近疲労とかストレスなどでいろいろ悩まれる労働者もおりますし、その中でいわゆる過労死という問題も起きておりまして、社会的に労働者の健康問題が非常に重要な問題になってきていると思います。そういうことを重視いたしまして、労働省の方では来年度から都道府県に産業保健センターというものを設けることに予定しております。これは労働福祉事業団が設置するものでございますが、このセンターにおきましては、企業における産業医の方々の活動を支援しようというものでございます。
 具体的に申しますと、産業医の方々に対する研修の実施、それから専門的な情報の提供、あるいは産業医などの専門家であっても実際に個々の事業場で健診・相談を行うに当たっては判断に迷うケースもございますが、そういうケースについて専門的な相談ができるようにあっせんをするということなどを仕事にしております。人数は若干県によりまして違いますけれども、大体約六人ぐらいの規模でございます。
 それからもう一つ、地域産業保健センターというものも来年度設置していこうと思います。これは、都道府県の地域の医師会に国が委任いたしましてそういう医師会でセンターを設けてもらうことになりますが、これは先ほど先生にお答え申し上げましたように五十人未満の中小企業では産業医の設置が義務づけられておりません。しかし、中小企業の労働者こそ健康問題でいろいろ救済していくことが一番大事なものですから、それをこの地域産業保健センターで今回やってもらおうということでございます。来年度、さしあたり約四十七ぐらいこのセンターをつくってまいりますけれども、そこでは中小企業の健康相談窓口としての機能を果たしていただく、それからそこのセンターからは中小企業に戸別訪問しまして産業保健の指導の実施をしていただくということなどの業務を行っていただくということになっております。
#13
○篠崎年子君 今御説明がありました県の段階の産業保健センター、これは労働福祉事業団がカバーするということですけれども、この労働福祉事業団について少し御説明いただきたいと思います。
#14
○政府委員(石岡慎太郎君) 労働福祉事業団は、労働福祉事業団法に基づきまして設立されました政府の特殊法人でございます。この事業団におきましては、皆様御承知の労災病院の設置・運営をやっております。その他の事業といたしましては、未払い賃金の支給だとか労働福祉事業もあわせてやっております。ここに、来年度から新しい事業といたしまして先ほど言いました都道府県の産業保健センターを設置・運営していただくということでございます。
#15
○篠崎年子君 そうすると、都道府県の産業保健センターというものは、独立した建物の中に独立した居を構えてそこで何人かの人が専任で当たるということでしょうか、それとも労災病院の中に設置されるのでしょうか。
#16
○政府委員(石岡慎太郎君) 結論から言いますと、その都道府県の実情に応じまして、労災病院の中にこのセンターを設けるということが産業医の方々にとっていいということであればそこに設けますし、それから産業医の方々の利便を考えますと、時々労災病院は非常に交通の便の悪いところに設置されておりますので、そういう場合には県庁所在地のような利便のいいところに設けていく二通りの設置を考えております。
#17
○篠崎年子君 それでは、次の地域産業保健センターの場合、これは先ほどの御説明では郡市の医師会に委託をするということで、その人たちが戸別訪問を行うという御説明がありましたけれども、医師会に委託をしてそして戸別訪問するということ、これは非常に問題といいますか、医師会の方のオーバーワークになるんじゃないかと思いますけれども、この点についてはどのような方法をとろうとしていらっしゃるんでしょうか。
#18
○説明員(田中喜代史君) 地域産業保健センターにおきましての活動の内容で、戸別訪問による産業保健指導ということでございますが、これにつきましては、産業医の選任義務のない労働者数が五十人未満の事業場に対して行うことといたしておりまして、地域で開業しておられる先生方が、現在日本医師会の中でも認定産業医制度というような制度で産業医の仕組み等を勉強しておられ、そういった先生を中心としてそれぞれの事業主が個別に労働者の健康の相談をしてほしいというような事業者の申し出があった場合に事業所に出向いて相談に応じるというようなやり方を考えております。また、別個健康相談の窓口を開催しながらそこに来ていただくというようなことも考えながら進めていくということでございまして、相手方の事業主の求めに応じて当面の間はこういった訪問での保健指導を進めていくというようなやり方でやっていこうというように考えておるところでございます。
#19
○篠崎年子君 今から始めようとするわけですから、どういうふうな結果になるかということは次の機会にお尋ねをしたいと思います。
 実は、一般定期健康診断の実施率、それから精密検査及び受診率という資料をちょっといただきました。そこの中で、これは定期検査をしなければならないというふうになっておりまして、その回数等も決められているわけですけれども、事業所の実施率とそれから受けている人数から見た実施率、これを事業所の規模別に見てみますと、三百人以上のところは大体九五、六%ぐらいをずっといっているわけですね、これは事業所率にしましてもあるいは人数の率にしましても。ところが、百人以下のところでは事業所の率は昭和六十年が九五・三%で平成二年は九三・七%、ちょっと落ち込んでおります。それから人数の方で言いますと、六十年が九〇・八%で平成二年が八六・三%、これもやっぱり落ち込んでいるわけです。それから五十人未満のところにまいりますと、事業所の率で言いますと、六十年が九三%で二年が九〇・二%、それから人数で言いますと、六十年が九〇・一%で平成二年は八一・九%というふうに一〇%近く落ち込んでいるわけです。これは、五十人未満のところはどういう理由でこういうふうに落ち込んでいるというふうに把握していらっしゃいますか。
#20
○政府委員(石岡慎太郎君) 確かに、私どもの資料によりましてもそのような傾向が認められるところでございます。
 それでは、なぜ五十人未満の中小企業におきまして一般健康診断の受診率が低いかという理由でございますが、二つ理由があろうかと思います。こういう中小企業におきましてはやはり経営基盤が非常に脆弱でございまして、なかなか健康診断を実施できない、これが一つあろうかと思います。それからもう一つ特殊な理由がございます。それは、平成元年でございますが、この平成二年のしたがって一年前になりますけれども、そのときに安全衛生規則を改正いたしました。やはり成人病が非常にふえてきている。高血圧の人とか心臓の悪い人とかいろいろふえてまいりましたので、一般定期健康診断の中で血液検査を行って肝機能のチェックなどをしていただく、あるいは新たに心電図をとっていただくなどなどの新しい健診項目をこの場合に入れたわけでございます。これはただではできませんでして、費用がこの分余計にかかります。
 そういった事情も若干ございまして、御指摘のように五十人未満の中小企業で一般健康診断の受診率が昭和六十年度と平成二年度の間で比べますと少し下がった、そういうふうに考えております。
#21
○篠崎年子君 今の検査内容が変わってきたということも一つあるし、それから経営基盤が貧弱でといいますか、そのために健康診断に出すことが時間的に余裕がない、そういったようなこと、あるいは健康診断の費用の問題等いろいろあると思いますけれども、こういうふうな小さな企業こそ国として手を差し伸べなければならないんじゃないだろうか。大企業は大企業で十分にできるはずですね。ですから、受診率も千人以上のところは一〇〇%なんです。ところが、小さい企業の方はなかなかそれができない。そういうところに国が手を差し伸べていかなければならないと思いますので、今後十分に御指導をいただきたいと思うわけでございます。
 次に、これはちょっと簡単なことなんですけれども、労働安全衛生法というものができまして、労働基準法の不備を補うためにということで昭和四十七年に施行されたわけです。労働基準法では、一番初めのところに労働者と使用者はというふうになっているわけです。ところが、労働安全衛生法の第二条の三号には事業者はというふうになっているわけです。そうすると、この場合に使用者と言った場合と事業者と言った場合とはどんなふうな違いがあるのでしょうか。
#22
○政府委員(石岡慎太郎君) 御指摘のように、労働安全衛生法第二条におきましては、事業者とは「事業を行う者で、労働者を使用するもの」と定義されております。この具体的な意味はというか、事業者は具体的にはどういうものを指すかと申しますと、個人企業にあってはその事業主個人を指します。それから、会社など法人にありましてはその法人そのものを事業主ということで指しますということでございます。
 一方、労働基準法の使用者は、第十条に書いてございますけれども、「事業主又は事業の経営担当者その他その事業の労働者に関する事項について、事業主のために行為をするすべての者をいう。」、こうなっております。したがいまして、先ほどの安衛法上の事業者よりは範囲が広くなっておりまして、その事業者のほかに例えば基準法の場合は取締役、工場長、部長など管理職も労働時間管理など具体的な事実ごとに一定の権限があるかどうかで判断するんですが、ある場合は使用者ということにしているわけでございまして、両方の規定には若干幅の違いがございます。
#23
○篠崎年子君 そうすると、簡単に言いますと事業者の方が全体をカバーしていて、使用者の場合には小さな、例えば建設業などで申しますと会社が一つありますね。その会社が下請を使った場合に、下請あるいは孫請といったような場合に、一つの仕事をする場合の会社の責任というものは事業者としてかかってくるのか、それとも使用者の方にかかってくるのかきのうもちょっとお話が出ておりましたけれども、この辺はどんなふうになっているんでしょうか。
#24
○政府委員(石岡慎太郎君) 安全衛生法の事業者の定義は先ほど申し上げたとおりでございますけれども、安全衛生法でいろいろ労働災害防止のためのいろんな措置を行う義務を負っているものは先ほどの定義によりますところの事業者でございます。したがいまして、先生がお示しなさいました重層的な建設業の元請・下請の関係で言いますと、元請の企業も事業者でございます。それから第一次下請も事業者でございます。それから第二次の下請も事業者でございまして、その事業者がそれぞれ安全衛生法の義務を果たさなければならない、こういうことになっております。
 なお、安全衛生法ではそのほかに二つの事業者に義務を課しております。原則は今申し上げたとおりなんですが、こういう重層下請工事の場合には元請の事業者にやはり下請までの指導とか監督をしてもらわなければ事故が起こりますので、元請事業者に下請への指導援助などの義務を安衛法で定めております。これが二番目にございます。
 もう一つございまして、この元請から第一次下
請に請け負いさせるわけですが、その場合の元請は注文者ということになりまして、作業を下請させるわけですから、足場をつくってやったり、あるいは機械を貸したりします。そういう場合に、そういうことよって事故が起こらないように注文者としての安全衛生法上の義務が課せられることになっております。元請が注文者であれば、元請は注文者としての安全衛生法上の義務があります。それから、それを受けました一次の下請が二次の下請にさらに仕事を請け負わせます。その場合は一次の下請がこれまた注文者になりまして、安全衛生法上の義務を負う。
 以上のように、事業者として安全衛生法上の責務を持つというのが大原則でございますが、元方事業者にも責務があり、それから元請、第一次下請、第二次下請と注文者としての責務もあるということで、安全衛生法には、特に建設業などについてはその三つの仕組みを通じまして災害などが起こらないように規則を定めておるところでございます。
#25
○篠崎年子君 そうしますと、重層的な仕事の場合に、一番の元請のところは私は知りませんでしたということはこれで言えないということですね、確認しておきたいと思います。
 次に、じん肺のことについてお尋ねをしたいと思います。
 先ほども申しましたように、快適な職場といいましょうか、働きやすい職場で仕事をするということは大事なことですし、そのために国としてもいろいろ施策をし、またいろいろな法律ができているわけです。ところが、じん肺というものについては、これは古くからある病気で職業病の起こりではないだろうかと言われているわけですけれども、労働大臣も福岡県の御出身でございますので炭鉱のことについてはお詳しいかと存じますが、私も長崎県、炭鉱のたくさんあったところで今はもう一つしか残っておりませんけれども、長崎県で命じん肺訴訟というものが行われておりまして、最高裁までいっているわけです。このじん肺というのは昔にあった病気であって、最近はもう出てきていないのではないだろうかというふうなことを思っておりましたところ、やはり今でもじん肺にかかっている人たちがいる、そういうことを資料で見たわけでございます。
 このじん肺の発生しやすい職場というもののベストといいましょうかワーストといいましょうか、五つぐらいを挙げていただきたいと思います。
#26
○説明員(田中喜代史君) じん肺を引き起こします作業場としては、現在じん肺法の中でも二十四種類の作業を定めておりまして、多いものということでございますが、かっての坑内というようなものも当然ございますが、そのほかいろんな粉じん職場で今日では起こっているところでございます。例えば、多いもの五つというお話ですが、ちょっと正確さを欠くかもしれませんけれども、多いものとしては私どもが知っておるものとして例えば陶磁器とか耐火物とかそういった製造業、そういう工程の作業、坑内あるいは土砂、岩石の採掘、そのほかセメントとか鉱石を積みおろしするような作業、そういったものが今日では比較的多いものというふうに考えておるところでございます。
#27
○篠崎年子君 今のじん肺の発生状況はどんなふうでしょうか。
#28
○政府委員(石岡慎太郎君) じん肺症及びその合併症で療養されている方々の人数を調べてみましたところ、平成四年の三月末で一万八千八百七十五名でございます。過去の状況を見てみますと、昭和六十三年が一万九千五百四名でピークでございましたけれども、それから見ますと若干下がっているということでございます。
 それから、平成三年だけで新規にどれだけの方々がじん肺症及びその合併症になられたか調べてみますと、平成三年の場合は千百四十人でございます。
#29
○篠崎年子君 このじん肺の場合には、管理区分が一から四までというふうになっておりますね。その中で、特に管理区分四というのは一番ひどいわけですけれども、この管理区分四という人が特に多い職場というのはどういうところなんでしょうか。突然言って申しわけありません。
#30
○説明員(田中喜代史君) 時に多いということで私どもまとめているというふうな整理をいたしておりません。ただいまお話しいただきましたじん肺管理区分四というのは療養ということで、四になりますともう治療に入るというふうにいろいろな職場から管理四は出てまいっておりますので、そういった観点からちょっと資料を持ってまいっておりませんので、申しわけございません。
#31
○篠崎年子君 私の手元にあります資料で見ますと、やはり陶磁器製造業とかその他の窯業あるいは鋳物業それから採石業、金属鉱業、トンネル建設工事、こういったところが管理区分四の方が、つまりそういうところで仕事をしている人が出た、そういうことではないだろうかと思うわけです。
 その中で、特にこの管理区分四になります前に管理区分三あるいは二や一の段階で、これは毎年先ほどのお話にもありましたように健康診断を行っているわけですね。その健康診断の仕方は前と比べますと非常に精密になってきているということで、この辺でこれが発見できるということになれば早く配置転換もできるし療養もできるということではないだろうかと思いますけれども、この検査の方法については特に今指定されました職場ではどういうふうな検査体制をとっていらっしゃるんでしょうか。
#32
○説明員(田中喜代史君) じん肺の健康診断の回数についてでございますが、じん肺法によりましてはじん肺管理区分一から四までの管理区分がございまして、じん肺管理区分一の労働者に対しては三年に一回、全く所見がないけれども粉じん作業場で働いているという労働者については三年に一回じん肺の健康診断を行うということでございまして、管理区分が二または三、レントゲン所見上若干じん肺所見が見られるという者につきましては、そのレントゲン所見の変動悪化ということが起こらないよう一年に一回レントゲンによる健康診断というものをやることになっておるわけでございます。
 しかしながら、先ほども出てまいりましたが、粉じん職場であろうとなかろうと労働安全衛生法で一般の健康診断というのをやることになっておりまして、この一般健康診断の中でも胸部のレントゲン検査がございまして、そういったものの機会、あるいはみずから医療機関で、例えば風邪が悪化したというようなときにレントゲンを撮られるとか、そういうようないろいろな機会でじん肺にかかっているというふうに判断された人についてもじん肺健康診査を実施していくというような二本立てで、これらの粉じん職場で働いていらっしゃる労働者の皆さん方の健康、先ほどお話がありましたようにできるだけ早く異常を発見し、必要に応じて職場を変えていくとかいうことで進展を防いでいく、そういったような趣旨で現在二本立ての健康診断、早期発見のシステムというもので健康管理が行われているというものでございます。
#33
○篠崎年子君 いろいろな職業病がありまして、またそれぞれに症状も違いますし、またその人その人の受けとめ方あるいは療養の仕方も違ってくると思うんですけれども、じん肺の場合には、一度これで肺を侵されますと、どんなに療養をしてもそれがもとに戻ることはないという病気でございます。
 特に、このじん肺の場合には十分な施策が必要ではないだろうかと思いますので、これは要望として申し上げておきたいと思いますが、じん肺にかかったために合併症を起こして、そして治療しなければならないという場合に幾つかの合併症が認められていると思いますけれども、現在認められている合併症はどんなものがございましょうか。
#34
○説明員(田中喜代史君) じん肺の合併症といたしましては、じん肺法の中では、じん肺の進展過
程に応じ、じん肺と密接に関係があると認められる疾病を合併症と言っておりまして、じん肺法の施行規則によりまして肺結核、結核性胸膜炎、続発性気管支炎、続発性気管支拡張症、続発性気胸の五つが合併症として定められておるところでございます。
#35
○篠崎年子君 私は、こういう医療のことについては詳しくございませんので的外れになるかと思いますけれども、私の地元にいらっしゃるじん肺患者の方のところに参りますと、確かに今お話があったような五つの合併症といいますか、特にこれはぜんそくなどがこの中に含まれていると思うんですけれども、肺が侵されていくということは、それに付随して心臓もやはり非常に負担を受けていくんではないだろうかと思うわけです。そうしますと、合併症の中にそういったような心疾患を含めた循環器系の病気は入れるべきではないだろうかと思うのですけれども、いかがでしょうか。
#36
○説明員(田中喜代史君) 確かに、じん肺に限らず肺の疾患が強度に進みますと当然心臓にも負担がかかるというケースは十分あり得る話だというふうに思っておるわけでございます。
 しかしながら、じん肺につきましては五十二年のじん肺法の改正の際に、合併症の範囲につきましては医学的知見を踏まえて定められまして、十分な検討を加えられまして、特にじん肺とかかわり合いのあるというような学識経験者の方々の御意見を踏まえた上で五つの合併症が定められているところでございます。しかしながら、ただいまお話がありましたようないろんな面で、常に我々としては医学的知見の動向というものは見ていきながらこれらの施策を進めていかなければいけないというふうには考えておるところでございます。
#37
○篠崎年子君 学識経験者の方々が十分な研究の上でこういったようなものを指定されたということですから、私たち素人がこれに口を挟む余地はないとは思いますけれども、皆さんにお願いを申し上げたいのは、命じん肺患者の方は高齢化しておりますので、その辺からくることもあるかと思いますが、じん肺患者の方とそれからじん肺でない方とが、例えば心疾患において罹患率がどのくらい違ってきているのか。例えば、こちらの方が高くてこっちが低いとかあるいは同じぐらいだとかというようなことを今後調査していただいて、そしてこの中に加えられるものがあったら加えていただけないだろうかと思うわけですけれども、そういうことはお考えになったことございませんか。
#38
○説明員(田中喜代史君) 先ほどもお答えいたしましたが、いろいろな角度でこの合併症が決められたわけでございます。しかしながら、特に高齢と呼吸器障害とかいろいろ難しい問題はございますが、じん肺との因果関係を判断する上で、各方面からの医学的知見の集積を図るため今日までいろんな角度からの調査研究は進めてまいりましたので、引き続きこういった因果関係を判断するための調査研究は進めてまいりたいというようには考えております。
#39
○篠崎年子君 今後も、ぜひともそのことを実行していただきたいと思います。
 最後になりましたけれども、大臣に一言御所見をお伺いしたいと思うわけです。
 きのう、水俣病の第三次訴訟の第二陣の判決が熊本地裁でございました。その中でチッソの責任はもちろんですけれども、国や県にも適切な指導をせずに被害を拡大させた責任があるという判断が示されました。きょう、先ほどちょっと見ておりましたら、三井三池の炭じん爆発、この事故は会社に責任があるということで原告が勝訴をしたということが出てきておりまして、こういった人の命を大切にしなければならないという風潮がいろいろなところでも強まってきているのではないだろうかと思うわけです。
 そこで、今全国でたくさんのじん肺訴訟が行われております。先ほども申しましたようにじん肺というのは非常にこれはもう苦しい病気でして、そばにいると自分までが息が詰まりそうに苦しくなるぐらいで、非常に苦しくなるときは横になって寝ることができなくて、若布団を積み重ねましてこのくらいの高さにして、それに寄っかかって寝なければならない、そういう状況もあるわけでございます。こういう人たちは、戦前から戦中にかけまして石炭を掘るということが国の命令として行われた中で、真剣にといいましょうか、まじめにと申しましょうか、言われたことを実際に自分がそれをやり遂げなければならないということで、長い間炭鉱の中にずっと入っていて仕事をした。まじめにした人ほど命じん肺にかかっている方々が多いわけです。
 その人たちが今非常に苦しみながら訴訟を行っておりますのは、私たちが国のために尽くしたということでなぜこんなに苦しめられなければならないのかということを何とかして、これは国の責任とは申しませんけれども、会社がそのときに人の命を大切にする対策といいましょうか、今は快適な職場といいましょうか、そういった方法をとらなかったためにこんな病気になったんだから、このことを何とかして会社が認めてほしい。訴訟に勝たなくても、和解でもいいからそういうふうにやってほしいという願いが非常に強いわけでございます。
 福岡県出身の村上労働大臣といたしまして、ぜひともこういったようなことについて、国としても会社に、もう年をとってきている人たちが多いんだから一日も早く和解に応じなさい、そして助けてあげなさいということを御助言していただければと思うんですけれども、御所見をお伺いしたいと思います。
#40
○国務大臣(村上正邦君) お話をお伺いしておりまして、人の命というのは本当にかけがえのない重いものであるということは私も人後に落ちない、そういう認識でおります。
 そこで、水俣にいたしましてもこのじん肺にいたしましても、横にいるだけでも本当に何とかしてあげたいという苦しみ、そういう苦しみが、見ていても見て耐えられないようなそういう状況であればあるほど、それだけこんちくしょうこんちくしょうという恨みというものがもうこれはまたそれだけ比例して強いんじゃないだろうか。そうした中で裁判で争っている原告側の言い分、主張、またそれを受けております被告の企業、人間のそうした極致、恨み、憎しみ、悩み、そうしたところの次元に、人情としては、私はこれは本当におれが割って入って大岡裁きで済むことならばという気持ち、今お聞きしていまして本当にそう思います。しかし、行政としてそこに入って和解勧告をするということになれば、これまたいろいろ問題があるだろう。これはやはりその和解勧告は裁判所においてなされることなのかな、そういう今感想を持たせていただいた次第であります。
#41
○篠崎年子君 ありがとうございました。
 終わります。
#42
○清水澄子君 労働省は、労働時間を年間千八百時間の水準にするために労働基準法の改定を初めとして時短センターの設置などの施策を講じようとしていると思います。しかし、実際の労働現場ではこれまで待ち時間であったものを労働時間から外すことによって、そしてそれで名目的な労働時間の短縮を図ろうとするというところが出てきているわけです。つまり、にせ時短があらわれているわけなんですが、これについて労働省は、労働時間の短縮のための施策から見ましてどのような指導を行っておられますか。
#43
○政府委員(石岡慎太郎君) 先生御指摘の問題は、最近JR西日本で運転手の待機時間を労働時間から外すかあるいは外すべきではないかという動きがございますので、それを背景にしてお尋ねなさったものと理解いたします。
 御指摘の待ち合わせ時間につきましては、一つの事例でございますけれども、貨物輸送事業の自動車運転手などの場合同様にございまして、こういう待ち合わせ時間につきましては労働基準法三十四条の休憩時間である、すなわち労働者が自由
に利用できる時間帯であるというふうに解されるケースもございまして、JR西日本の場合の待ち合わせ時間が果たしてそういう休憩なのか労働時間なのか直ちに判断することは非常に難しいと思っております。
 これにつきましては、労使間で争いがあるということでもございますので、この問題については労使でよく話し合って解決していただきたいというふうに考えている次第でございます。
#44
○清水澄子君 これはJR西日本だけじゃありません、今各地に起きているから私は冒頭からお尋ねいたしました。
 JR西日本は、昨年の九月にそれまでの年間総労働時間は約千九百九十時間であったわけです。その中に待ち時間というものが含まれていた。つまり、電車や列車の乗務員が行き先地へ行って次の列車に乗務するまでは待ち合わせしなきゃならない月その待ち時間をことしの三月十八日からはもう労働時間にみなさないという、カットして年間千八百労働時間としたわけです。これに対して労働組合は、今までこれは待ち時間の中に入っていたわけですから、これでは具体的な時間短縮に当たらないということで今紛争が起きているわけですけれども、私は鉄道事業の性格から見まして、目的地に行って折り返し帰ってくるためには、待ち時間というのはこれは必然的に生ずるのが当たり前だと思います。ですから、それは労働基準法から見て当然労働時間の中にカウントすべきものだと思います。それを今休憩時間と。休憩時間というのはもう完全に自由になる時間なんですね。そういうふうにならない待ち時間、待っていなけりゃならないんですね。それでもなおかつそれは労働省としては行政的な見解を述べることはできないんでしょうか。
#45
○政府委員(石岡慎太郎君) JR西日本のケースにつきましても、労働基準局としましていろいろ検討は当然ながらしているところでございますが、個々にこの実態を検討してみましても、この待ち合わせ時間につきましては自由に使用できるような性格もありますし、御指摘のように少し拘束されている面もございまして、非常に判断が難しいケースでございます。先ほど言いましたように、この件につきましては労使で十分話し合いをしていただきまして、その時間の性格を決めていただきたいものと思っております。
#46
○清水澄子君 難しいんじゃなくて、調査なさいましたか。
 JR西日本の待ち時間の内容は従来の労働実態と変わらないんです。そして、労働者は会社の指定した場所に、使用者の指揮監督のもとにあるわけです。そして、その時間は労働者が全く自由に、これはもちろん自由といっても休憩時間の自由とは全然違うわけです。そこにちゃんと制服も着てそこで待っている。これは、明らかにこの待ち時間の実態というのは労基法の三十四条に規定する休憩時間には該当しない、このように私は思いますけれども、それでもなおかつそれは労使関係で決めると言う。
 労働時間というのは、これは大変な刑罰までも含む労働省の最も基本的な基準を示し行政指導するものと思いますけれども、それについてもう一度お答えいただきたいと思います。
#47
○政府委員(石岡慎太郎君) 労働基準局でいろいろ調べたところによりますと、組合側は先生が今お述べになったようにこれは労働時間であると言っているわけでございます。一方、会社側の方からはこの時間帯は使用者の指揮命令に基づく具体的な労務提供のない時間であるということも言っているわけでございます。行政指導とおっしゃいましたけれども、それよりもやはりこれは労使でお決めいただいた方が一番合理的な円満な解決ができるのではないかと思います。
 もとより、本件について申告などがあれば、私どももそれに対応いたしたいとは思っております。
#48
○清水澄子君 労働時間についてですから、それは労使だけにゆだねておくことじゃないと思います。特に、これは労働時間短縮という今の大きな流れの中で起きていることで、例えば同じようにJR東日本、線路はつながっているわけです。JR東日本の方では一労働日が所定労働時間内に、ちゃんと七時間十分におさまるようにしている。そして、JR西日本の方は超勤が出ることを前提にした一労働日になっているわけです。そして、それで表向きは七時間というふうにしたというんですけれども、これは非常にごまかしが多いわけです。
 そして、同じようにいわゆる鉄道事業に働いている人が東日本のJRと西日本のJRで待ち時間が違うとかそういう問題は非常に私は問題が多いと思うわけです。特に、鉄道業の労働実態という場合、やはり法定労働時間を平均というわけにはいかないと思うんです。一労働日がどうなっているかその場合に一労働日は法定労働時間以上になる場合があると思うんです。ですから、余計にこの待ち時間というのははっきり労働時間に算入するということの合理的な見解を労働省が示す義務が当然あると私は思うわけですけれども、この際ひとつ、労働大臣はこの問題についてどういう判断をなさいますか。
#49
○政府委員(若林之矩君) その前にちょっと補足させていただきます。ただいま東日本、西日本の比較のお話がございましたけれども、この点で一つだけ補足をさせていただきたいと存じます。
 先ほど来、先生から御指摘がございました待ち合わせ時間をみなし労働時間とするかどうかということにつきましては、私どもの理解では東日本も西日本も同じような処理の仕方ではないかというふうに思っております。東日本につきましては、既にそういう格好で進められておりますということでございます。ただ、先生御指摘ございましたように七時間なら七時間の範囲で超勤なしの体制で交番を組んでいくかどうかということにつきましては差があるようでございます。しかし、待ち時間の処理の問題の基本的な考え方につきましては、私どもの理解では共通ではないかというふうに存じております。それをちょっと先に申し上げておきます。
#50
○清水澄子君 違うんです。
 私は、もっと非常に残念だと思いますのは、そういうことを労働省がおっしゃると、こういう鉄道運転手それからバスなんかは、待ち時間の間労働を提供していないということになったら、それは休憩ですと言ってもそういうわけにいかないと思うんです。ですから、これは何もJR西日本とかJR九州だけの問題ではなくて、他の私鉄関係でもこれは大きな労使の争点になってきているわけです。ですから、この問題については、今のようなおっしゃり方ですと、今労働判例においてもこれらは当然労働時間に入るという判例が出ているわけですけれども、それまでも労働省は覆されるおつもりですか。
#51
○国務大臣(村上正邦君) 清水先生、今と同じやりとりを実はこのお二方とやっていたんです。皆さんも聞かれて、私もそう思います。清水先生のおっしゃる方が説得力があると思うんです。私もそう思うんです、本当に。そうでしょう。休憩といいながらも会社の管理下の監督の中で、指揮の中で待ち時間としておるならば、これは当然労働時間の中に入るじゃないか。私もこれは素人ですから、先生は御専門か知りませんが、だからここらあたり私も釈然としていないんです。それで、この委員会に臨んで、私にここで答弁求められたらおれはしない、あなたたち説得してくれ、おれはあなたを説得するだけの材料がないと言ってこの委員会に臨んだんです。私は本当のことを申し上げている。ですから、これはそこらあたりに非常に難しい問題が、それだけやっぱり根が深い問題があるようです。それからまた、JR東日本、西日本、今おっしゃられたような対応が違うとかいや違わないとか同じことだとかというような議論も出てきておりますので、これはもう少し時間をかしていただいて、私にもそれなりの勉強をさせていただくお時間をひとつ賜りたい、こう思います。
 というのは、法律だとか問題を解決していく基
本になるのは一体何かというのは、やっぱりこれは一般通念の常識というものがそこに働いていかなきゃならぬ、こう思っておりますので、どこらあたりのものが常識の基本的認識として実際この問題に当たっていかなきゃならぬかということについて、私自身ひとつ勉強させていただきたい、こう思います。
#52
○清水澄子君 実態がわからなければそれを調べてみるというところから始まらなきゃいけないと思いますし、それから法律の表向きたけ数字は合っても、実際の働く業務の中で問題が起きていれば、どうそれをちゃんと指導するか、そういう点で私は大臣に期待をしておりますから、ぜひ十分な研究と適切な指導をお願いしたいと思います。
 次に、運輸省にお尋ねしたいと思います。
 やはり、これもさきの待ち時間を従来の慣行を無視して一方的に労働時間から外すという経営のやり方というのは、非常に反社会的なといいましょうか、とても何か問題があるなというふうに私は感じているわけですけれども、JR西日本は非常に事故が続いて起きているわけです。ですから、運輸省では、JR西日本で相次いで起きた、最近は相生駅、茨木駅で起きていますけれども、この事故についてどのように把握しておられますか。
#53
○説明員(豊田榮次君) 先ほど、先生から二件ばかりJR西日本の事故について御指摘がございました。
 まず最初に御指摘のございました相生の踏切事故でございますけれども、これは三月十一日に相生―有年間の緑ケ丘踏切というところで、軽自動車と貨物列車が衝突して二人死亡され重傷一人、結局その方もお亡くなりになりまして三名死者が出たわけでございます。原因といたしましては、ちょうど踏切で工事をしておりまして、保安設備、遮断機、警報機が使用できない状態になっておりまして、当然監視員をつけておらなきゃいけなかったんでございますけれども、十分監視をしないで踏切内に自動車が進入するのを制止できずに衝突したという明らかなミスでございます。
 またもう一点、茨木駅構内で貨物列車が脱線した事故でございますけれども、これも信号保安装置の取りかえ工事中で手信号によりまして運転を行っておりました際に、十分ポイントの切りかえを確認しないで行っていいよという信号を出しまして、安全側線に乗り入れて脱線したということでございます。
 これらの御指摘の事故も含めまして、最近JR西日本の社員の安全確認のミスに起因して発生した事故が目についております。また、先ほど御指摘ございました踏切事故につきましても、関係者が当初の時点で事実関係を隠ぺいしていたというようなこともございまして、同社の安全管理には不十分な点があったものと考えまして、運輸省といたしましては、昨日、運輸省鉄道局長名でJR西日本の井出社長に対しまして、保安体制の強化及び改めて全社員に対して安全意識の徹底を図るよう文書により警告したところでございます。
#54
○清水澄子君 きのう運輸省は警告をされたわけですけれども、その内容は、何をいつまでどういうふうにするように求められたのでしょうか。
#55
○説明員(豊田榮次君) 後ほどまた文書をお渡しいたしたいと思いますけれども、先ほどお答えの中で申し上げましたような内容でございまして、基本動作の励行の徹底について注意を喚起したところであるけれども、そういう事故が続いておる。したがって、貴社の安全管理に不十分な点があったものと考えられる。このため、貴社における保安体制の強化及び改めて全社員に対する安全意識の徹底を図るよう厳重に警告する。いつまでにどのようなということでは書いておりませんけれども、当然早急に対策を立て、とった措置については報告させるよう指示いたしているところでございます。
#56
○清水澄子君 ぜひその警告書を後からいただきたいと思います。
 次に、労働保険特別会計についてお伺いをしたいと思います。
 まず、平成二年度の決算ベースで見ますと、労働省が所管している予算というのは、一般会計予算の占める割合というのは全体の一三・九%なんです。残りは、雇用保険勘定が五〇%、そして労災保険勘定が三六%で、つまり八六%は労働保険特別会計が占めているわけです。そこでお尋ねしたいんですが、予算上計上されている労働保険特別会計の中の労災勘定の繰り越し利益は幾らですか。そして、雇用保険勘定の繰り越し利益は幾らですか。
#57
○政府委員(石岡慎太郎君) 平成五年度における労働保険特別会計労災勘定における歳入は合計で二兆三千五百五十九億円となっております。また歳出は、保険給付費などいろいろございまして、合計一兆三千二百六十四億円となっております。この歳出と歳入の間に七千五百五十五億円の残余がございますが、これは年金などの積立資金として積み立てるものでございます。積立金としてこの部分は処理をしている次第でございます。
#58
○政府委員(齋藤邦彦君) 労災保険特別会計雇用勘定でございますが、若干労災とはシステムが違いますが、積立金の累計は平成三年度末におきまして三兆九千六百七十億、このような形になっております。
#59
○清水澄子君 非常に巨額な利益が積み上がっているわけですけれども、なぜこんなに利益がふえていくんでしょうか。過去五年間、それぞれの勘定の繰越利益額がどのようにふえていったか、数字を述べてください。
#60
○説明員(横田浩君) お答えいたします。
 平成元年度末におきます積立金の額は合計一兆一千五百九億でございます。平成二年度末ではそれが一兆七千七百十四億、それから平成三年度末におきましては積立金の額は二兆四千八百三十二億、このようになってございます。
#61
○政府委員(齋藤邦彦君) 平成三年度の積立金額は先ほど申し上げたとおりでございますが、ちなみに平成元年度からの剰余の額を申し上げますと、平成元年度は六千百八十二億六千万、それから平成二年度におきましては七千八百三十四億……
#62
○清水澄子君 繰越利益ですよ。
#63
○政府委員(齋藤邦彦君) 差し引き剰余韻でございます。平成三年度が九十億、こういうような形になっております。
 ただ、保険料率を平成四年度から千分の二引き下げましたし、平成五年度から千分の一引き下げております。
#64
○清水澄子君 私の持っている資料と全然違うんですが、もう時間がありません。
 もう非常に巨大な金額、いま一つの例えば労災勘定を見ましても、元年に一兆円に余る繰り越しの利益があるのが、それがもう三年か四年で三倍になっていくというほどふえていっているわけです。まして、雇用保険になるともう五兆円近くあるわけでしょう。ですから、どうしてこんなに利益金がふえていくのかというところは、私はこのお金の使い方、あり方というところはほとんど見えないんですね、労働省の予算を見ただけでは。ですから、この点が非常に問題だと思っています。
 きょうは、主として労災保険についてお尋ねしたいわけですけれども、労災保険の本来の目的は何でしょうか。
#65
○政府委員(石岡慎太郎君) 労災保険は、労働者が業務上の災害をこうむった場合にその治療費とかあるいは不幸にして死亡された場合は遺族補償を行うなど労働者が災害を受けましても十分なその点で補償を受ける、補償して差し上げるという事業が中心であろうかと思います。
#66
○清水澄子君 その労災保険勘定の中に労働福祉事業というのがありますけれども、ことしの予算額は二千五百二十七億円でございますね。この二千五百二十七億円の内訳を見ますと、実際の被害者を対象としたものはその中の千六百四十八億円で、あとは事業者団体への補助金、八百億円ぐらいそれが使われていますね。それから、一般の事
務費、職員の旅費、謝礼金、庁費、施設費など、そういうものが八十五億円払われています。さらに、労災勘定の一般会計受け入れが十三億円ある。それを大きくそっちの方が上回っているという、こういう面から見まして労災保険の本旨にもどって労働者の労働災害の予防とか被災労働者及びその遺族のための福祉以外に多くのこの保険料が使われているそのあり方を私は疑問に思うわけです。
 そして、労災保険の支給の認定は非常に最近厳しい、煩わしい。そして、その一方で交付金とか補助金という形で労働省所管の各種団体や事業者の団体に向けて多くの資金が使われている。これが本当に適正な運営と言えるでしょうか。私は、労働大臣にお答えいただきたい。労働大臣にお願いします。
#67
○政府委員(石岡慎太郎君) 事務的な問題につきまして、大臣が御答弁される前にお答えを申し上げます。
 まず、第一点といたしまして、労働福祉事業について問題提起をなさいました。この労働福祉事業というのは、労災保険法二十三条に基づいて行っているものでございますが、決してむだなものではございません。
 内容を申し上げますと、労働福祉事業の第一は、労災病院の設置・運営、それから被災労働者がやはり社会復帰しなければなりませんが、その円滑な社会復帰を促進するための事業を行っております。それから第二には、被災労働者及び遺族の援護を図るため、これは正規の補償のほかにプラスアルファの特別支給金などをこれらの方々に支給しております。こういう事業もやっておりますが、これも必要不可欠な事業だと思っております。それから、こういう被災者が出てまいりますのは企業の安全衛生が十分じゃないからでございまして、労働者の安全衛生の確保のために労働災害防止団体というものが設けもれておりますが、こちらの方にもいろいろ資金を提供いたしまして、災害ができるだけ起こらないようにする事業を行っております。その他、労働時間の短縮のための事業にもこの福祉事業からお金を出しておりますが、労働時間を短縮していきますとやはりこれは災害が少なくなるという効果がありますので、これも妥当な事業であると思っております。
 かつ、こういう内容は適正な内容だと思っておりますが、この内容のほかにこういう福祉事業に支出する限度額もこの制度の中でははっきりと決められているわけでございます。すなわち、保険料等の収入の百十五分の十五以内でこういう福祉事業を行わなければならないことになっております。いろいろ年によりましてでこぼこはございますけれども、現在のところこの枠は一〇〇%使っておりませんでして、約七二%しか使っていないわけでございます。
#68
○国務大臣(村上正邦君) 適正にその趣旨に従って運営されていると、私はそう思っております。
#69
○清水澄子君 私は、適正じゃないと思って質問をしておるわけです。
 もう本当にきょう短い時間ですので、こういうものを見ますと、本当のところ今のお話では、それは幾つも抜け道の法律を次々とつくられてきたんですが、この法律改正の段階にそういう方向にいくんじゃないかと随分懸念されたことが今現在に全部あらわれているということをもう一度点検し直す必要があるんじゃないかと思うわけです。
 今も時間短縮促進についても援助しているとおっしゃったんですが、私は同じ労働委員として、昨年時間短縮促進法というのを確か私たちは通しました。あのお金が労災保険の中から払われるなんて本当に気がつかなかったんですけれども、そういう時間短縮というのは全部労災保険の積立金を使って今後も援助していく性格のものでしょうか。
#70
○政府委員(石岡慎太郎君) 先ほど申しましたように、労働福祉事業としまして時短促進のための必要な経費を従来からも計上させていただきまして、有効に使っているところでございます。
 これは、先ほど言いましたように決して労災を少なくしていくという労災保険法などの趣旨にもとるものではないと考えております。労働時間を短縮しますとやはり事故は減るわけでございます。しかし、労働時間の短縮は何も労災勘定だけで行っているわけではございませんでして、一般会計からも所要の予算をいただいてきまして、監督署などが強力に時短の指導などを行っているところでございます。
#71
○清水澄子君 また改めてこの面は質問をします。
 労働省は、全部それは正しい正しいと。それは大変大きな金の袋があるわけですから、そこは国会で余りチェックできない中身になっているんですね。労働省のこれだけを見ただけじゃわからないんですから、ですからその裏の決算の勘定を見るとおかしいなというのが出てきますので、こういうお金の使い方というのは私は非常に問題だと思っております。
 そこで、労働災害保険の給付対象の問題ですけれども、きのうでしたか朝日新聞に出ていましたけれども、ILOの「世界労働報告一九九三年」、それによりますと現在世界で各地で奴隷労働に等しい強制労働があると非常に発展途上国の問題が多く出されているわけです。その一方で、二十世紀の最も深刻な健康上の問題としてストレスが取り上げられております。そして日本は、過労死に見られるように超時間労働に見られるストレスの増加が指摘をされているわけです。
 労働省は、日本におけるストレスによる労働日の損失や生産性の低下をどの程度つかんでおられるでしょうか。そしてまた、その対策はどういうことを講じておられますか、お答えください。
#72
○政府委員(石岡慎太郎君) 確かに、いろいろストレスが多くなってきまして、その結果高血圧症とかあるいは胃潰瘍とか、その他いろんな労働者に疾病が起こっているかと思います。ストレスによる疾病によりましてどれくらいの労働日が損失されたかにつきましては、率直に申し上げまして数字的には把握をいたしておりません。
 しかし、この問題につきまして労働省は重大な関心を持っておりまして、例えばストレスによる疾病の一つにもなろうかと思いますけれども、最近いわゆる過労死の問題が非常に社会的に問題になっております。このいわゆる過労死の問題につきましては、六十二年に医学的な新しい知見も加えまして労災かどうかの認定基準を一新いたしました。それに基づきまして、ストレスとかいろんな意味でいわゆる過労死になられた方々につきましては、個別ケースごとにその認定基準に照らしまして、業務上と考えられる場合には補償もいたしているところでございます。
 その他、ストレスに関するいろんな問題が重要になってきておりますので、先ほどもお答えしたわけでございますけれども、来年度から都道府県に産業保健センターを設置いたしまして企業における産業医の活動を行政面から支援していく、産業医の方々がそれを受けまして企業内における労働者の健康管理をさらに一層充実させていただき、場合によっては人事面にもアドバイスをしていただく、そういう産業医活動の活性化も考えているところでございます。
#73
○清水澄子君 先ほども指摘しましたように、労災保険というのは非常に多くの利益金を出しているわけです。そして、それが直接の労災保険の給付に回るということよりも、他の事業の方に多く行っているということを申し上げたんですけれども、労災給付のうち、例えば介護料が他人介護の場合、月額最高九万八千百円となっているわけですが、この金額の算定の根拠はアルバイト賃金になっているわけです。ですから、今日では全く実情に合わなくなっているわけですけれども、それを見直す考えはありませんか。
#74
○政府委員(石岡慎太郎君) 先生の御質問の最初のところに、労災勘定におきましては大変利益を上げているという御指摘がございましたけれども、現在労災勘定の積立金は平成三年度末で約二兆五千億円でございます。これは、先ほども申し
上げましたように年金受給者がいるわけでございます。平成三年度末の年金受給者は約二十万いるわけでございますが、この方々に毎年毎年年金をお支払いしていかなければなりません。現在、その必要な原資を見込みますと約六兆円というものが必要でございます。この六兆円に対しまして、先ほどの積立金はその四割にしか当たらないわけでございまして、こういう積立金は決して利益を上げて何とか隠しているとかそういうものではございません。被災労働者の遺族とかけがをされた方々への年金の支給原資を積み立てている、そういう性格のものでございますので、よろしく御理解をいただきたいと思います。
 介護料の問題につきましては、担当課長からお答えさせます。
#75
○説明員(横田浩君) 介護料の限度額といいますか上限の額でございますが、これは他の制度との並びがございまして、現在の介護料の限度額は原爆被爆者に対する介護手当、そういった制度と横並び、そういう形で決められておるわけでございます。
#76
○清水澄子君 そういう説明だけじゃなくて、これが現状に合っているか。皆さんがもし自分の立場になったらどうなりますか。ですから、こういうものをもっと検討し直すということはぜひやっていただきたいと思うわけです。
 そしてまた、今度労災給付のうち、休業補償給付の場合も休業基礎日数の六〇%となっています。いわゆる今までのけがをしたその前の三カ月分の賃金の六〇%になるわけでしょう。そうすると、この率を上げなければけがをして所得がない。それなのに六〇%になるわけですから非常に生活は大変だと思うんです。ですから、ぜひ他の各種の特別支給金の給付日数の増加など労災給付の給付金の改善を検討する必要があると思いますが、いかがなんですか。
#77
○政府委員(石岡慎太郎君) 労災保険給付水準の改善につきましては、制度発足以来もう数次にわたってその改善を行ってきたところでございます。近年におきましては、平成二年に法改正をいたしまして、年金及び一時金の保険給付は、今まで賃金が六%上がれば変更することになっておりましたが、毎年毎年の賃金上昇率に応じて自動的にスライドして改定される、そういう制度に直しましてその給付水準を上げたところでございます。また、休業補償給付につきましても同様でございまして、従来賃金が二〇%上がらなければ給付水準は変えなかったんでございますが、一〇%賃金が変動すれば給付水準を直すというふうにしているところでございます。また、近年賃金水準がいろいろ上昇しておりますので、平成三年十月には給付基礎日額の最低補償額をこれまた引き上げたところでございます。
 給付水準はどれくらいが適当かいろいろ議論があるところでございますけれども、ILO百二十一号条約あるいはまたILO百二十一号勧告でいろいろ水準が示されております。こういう水準に比較いたしまして、我が国の給付水準は既に国際的にも相当な内容になっているというふうに判断いたしております。
#78
○清水澄子君 じゃ、検討し直す意思はないと今おっしゃったんですね。
#79
○政府委員(石岡慎太郎君) 決してそういうつもりはございません。
 労災保険の給付水準につきましては、制度発足以来たびたび改善してきておるところでございまして、今後におきましてもいろんな物価の動向だとか、先ほど先生御指摘のような介護料があれでいいのかどうかも含めまして、給付水準の改善には前向きに取り組んでまいりたいと思っております。
#80
○清水澄子君 ぜひお願いしたいと思います。
 今、ILO百二十一号勧告に沿っていろいろその問題をおっしゃって、水準に沿っているとおっしゃったんですけれども、事業主が業務外として立証できない場合は業務上として労災認定条件の抜本的な改善を図るということを労働省は検討すべきじゃないかと思うんですが、どうでしょうか。
#81
○説明員(横田浩君) 労災保険制度の基本的な仕組みの問題でございますが、労災保険制度は労働基準法に基づきます事業主の災害補償責任、これを保険制度という形でかわって行う、そういう責任保険制度になっておるわけでございます。
 そういう労災保険制度の本来の趣旨から考えまして、事業主に責任がありと認められるような場合、すなわち労災で現在やっておりますように業務上の事由により災害を生ずる、こういう場合に限って給付を行う、これが妥当であると、このように現在考えておるところでございます。
#82
○清水澄子君 その基準も、昔の労働はある意味で単純に炭坑の中ではどういう事故が起きたとか、直接因果関係が証明できたと思いますけれども、今はオフィスに働く人たちがとても多いわけですし、その基準というのは時代とともに働く人々の環境によって変えていかないと、私は実態に沿わないものになっていくと思うんです。
 次に、例えば過労死についての脳血管及び虚血性心疾患の認定基準、これもやはり見直しをしていけないのか。これも業務が非常に過重であったかという評価は、もう少し発症前一週間の業務を、これを付加的な要因というふうにとどめないで、やはり一週間前どういう労働だったかという、これを本要因にする必要があるんじゃないかと思います。そして、また当該労働者の基礎疾病というものがある上で、そういう業務が重なるという場合には、それがさらに徐々に悪化していく場合もあるわけですから、やはりそういうものを業務上として私は認定していくことが必要じゃないかと思いますが、そういうお考えはありませんか。
#83
○政府委員(石岡慎太郎君) 脳・心疾患による死亡を含めたいわゆる過労死の問題につきましては、昭和六十二年に認定基準を改めているわけでございます。その際には、当時の医学的な最新の知見をすべて検討していただきまして、専門家のそういう御検討結果も踏まえてつくったものでございますから、現在これがやはり一番妥当な内容の認定基準であると考えております。
 その際、御指摘のように従来は一日だけで業務上か業務上でないのかという判断をしていたわけでございますが、一週間前からの労働の状況も加味して業務上か業務上でないかを判断するように直した次第でございます。さらに言えば、それ以上の一月前、さらには甚だしい場合は一年ほど前からもケース・バイ・ケースで労働の状況を調べまして認定を行っているところでございます。そういう意味では、一週間前というのは本要因としてなっているのかなっていないのかわかりませんけれども、当日と一週間前とさらに一年も場合によってはさかのぼったこの三つの調査で認定基準に沿って認定を行っているということでございますので、妥当なものであると御理解を願いたいと思います。
 それから、基礎疾病の問題等々いろいろ御指摘がございました。確かに、この認定基準がこれだけでいいのかどうかといえば、これからいろいろ医学的な知識、見解も進みまして、こういういわゆる脳・心疾患のメカニズムなども明らかになってまいると思います。したがいまして、最近の進歩いたします医学的な知識や見解を絶えず収集いたしまして、その結果必要があればこの認定基準は将来さらに改めてまいりたいと考えております。
#84
○清水澄子君 ILOの一九八七年のリポートには、労働開運疾患という新しい労働災害の考え方が示されていると思います。これは、因果関係が明らかではないけれども、何らかの形で職業や労働条件と関係のある疾患群とあるわけですけれども、具体的には脳疾患とか心臓、それからぜんそく等の呼吸器疾患、頸腕とか腰痛などの筋骨系疾患、その他のストレス疾患などがあると考えられているわけです。
 こうした労働関連疾患という今日的な労働環境の中での新しい労働災害の被災者の救済制度を、この労災保険制度の中で私は新しく創設して
いく必要があると思いますけれども、いかがですか。
#85
○政府委員(石岡慎太郎君) 先生御指摘のように、ストレスなどによりまして高血圧症とかぜんそくだとか、頸腕だとか、いろいろストレス性の疾患が発生しているのは事実であろうかと思います。
 労災保険の場合は、これが業務と因果関係があれば補償していくという考えでございますけれども、この業務とストレス症候群との因果関係、必ずしも明らかじゃない面がございます。日常生活でもいろいろストレスがございます。職業性のストレスのほかに日常生活のストレスも原因でそういう疾病が発生している場合もございまして、なかなか判断の難しい問題であろうかと思います。そういう問題がございますけれども、ストレス性の疾病として労災請求がなされましたときには、個々の事案ごとに業務との因果関係を判断しまして適正に対処してまいりたいと考えております。と同時に、こういう新しいILOでも問題があるという指摘があったわけでございますから、専門家の会議などを開いて我々も大いに勉強してまいりたいと考えております。
#86
○清水澄子君 それでは、最後に主務大臣のひとつ御決意をいただきたいんですけれども、きょうは時間がありませんでしたから、雇用保険の面は省きました。この中にもやはり雇用安定事業の経費というのが四千六百七十億円ですけれども、その中にも雇用安定の給付金に対してその他の補助金だとか非常にたくさん他のことに、労働者のためというよりも事業者の方への援助が非常に多いと思います。
 でも、きょうはそこを省きますけれども、この間の所信表明並びに特別会計予算の概要説明を見ましても、この中にはっきり、例えば「労災保険制度の的確な運営を行うことなどにより、生活大国の実現に向けて勤労者生活の充実を強力に進める」とおっしゃっているわけです。ですから、本当に勤労者にちゃんとそういう生活大国の実現に向かった現実の内容がつくり出せるためにも、こういう労働保険のあり方をぜひ再検討していただくように、そして労働大臣がやっぱりそれは決意をされて、本来なら労働省一般会計で支出すべきものは大蔵省に要求しなきゃならないものだと思いますけれども、そういう点についても労働大臣がこのことについてぜひひとつ御検討いただく、研究をしていただくということについて最後に御決意をお願いしたいと思います。
#87
○国務大臣(村上正邦君) 今のやりとりを聞いておりまして、私は労働大臣として、適正な運用がなされている、こう思っておりますが、なおそうした御指摘があるとするならば、よくそこは勤労者のためにその趣旨に従って運用していくことについてはいささかもやぶさかではございません。
   〔委員長退席、理事大木浩君着席〕
#88
○清水澄子君 終わります。
#89
○中西珠子君 私は、平成五年度労働省予算案の中で新規事業と出ておりますものの中で、これまで同僚委員が御質問になったものはなるだけ重複を避けまして、具体的にどのような内容の事業をなさるのか。それからまた予算額が、この細かい方を見ましてわかるものもありますけれども、わからないものもあるわけですね。ですから、大体の予算額をおっしゃっていただく。それから、私が目的もお願いしますと申しましたときは、目的もおっしゃっていただく。こういうことで、私は具体的に細かいと思われるかもしれないことにつきましても大変好奇心があるものですからお聞きいたしますので、よろしくお願いいたします。
 まず、労働時間短縮関係の対策なのでございますが、時短促進法に基づきまして、これは新規になさる事業だと思うのでございますが、中小企業労働時間短縮促進特別奨励金の創設とございますね。これは一件当たりどのくらいになるんでしょうか、額としては。総額は幾らですか。
#90
○政府委員(石岡慎太郎君) 来年度予算をお認めいただきますと、新しく中小企業が時短を行います場合に、今御指摘のございました中小企業労働時間短縮促進特別奨励金というものを支給したいと思います。
 この支給の要件でございますが、簡単に申しますと、例えば週四十四時間を就業規則を直しまして四十二時間に二時間以上短縮する場合、その場合は必要な省力化投資もしていただくことになろうかと思いますが、そういう場合には事業規模によって違いますけれども、三十人以下の中小企業ではそういう時短を行った場合は五十万円、それから三十一人から百人の場合は百五十万円、それから百一人から三百人までの規模の企業の場合は三百万円の特別奨励金を支給するということを考えております。
#91
○中西珠子君 合計としては総額はどのくらいおとりになったんですか。さっきはそれもお聞きしたんですが、お答えがなかったんです。
#92
○政府委員(石岡慎太郎君) この特別奨励金の予算総額は四十四億六千百万円でございます。
#93
○中西珠子君 それから、その次に飛びまして、勤労者のボランティア活動参加のための環境整備というのがございますね。これはもうこのとおり目的はボランティア活動を奨励なさるのだと思うんですけれども、具体的にどのようなことをなさるんですか。それから、予算額は幾らですか。
#94
○政府委員(若林之矩君) 仕事の第一は、勤労者のボランティアセンターを開設いたしまして、ボランティア休暇制度の普及でございますとか、勤労者のボランティア活動に関するいろいろな情報の収集、提供、相談を実施するというのが一つでございます。また、勤労者を対象にいたしましたボランティア活動に関する講座開設、それからまた実地の活動も行うということを考えております。こういったことを実施いたしまして企業や勤労者のボランティア活動に対する啓発援助を行っていくというものでございます。
 本年度の予算額でございますが、この事業の予算額は五千八百万円を予定いたしております。
#95
○中西珠子君 センターはどこへおつくりになるんですか。
#96
○政府委員(若林之矩君) これは、まだ場所の決定はいたしておりませんが、東京に一カ所設けようというふうに思っております。
#97
○中西珠子君 東京につくるとすると、五千八百万円ではとても足りませんね。
#98
○政府委員(若林之矩君) 私ども、こういった事業をこれまでもたびたび行ってまいっておりますけれども、予算をできる限り有効に使わせていただきまして、その事業の円滑な実施を進めてまいりたいというふうに思っております。
   〔理事大木浩君退席、委員長着席〕
#99
○中西珠子君 予算をできる限り有効に、そして本来の関係法のあり方というものもよくお考えになって使っていただきたいと思うわけです。
 労災関係のところで、重度被災労働者に対する介護施策等の推進というのがございますね。その中に家族同伴介護サービス提供事業の実施として、新規となっているんです。これは何か介護施設に家族、たとえ妻であっても一緒にいられないのは困るという訴えがこれまであったり不満があった、こういう問題を解消するためにお考えになったんでしょうか。
#100
○政府委員(石岡慎太郎君) 千葉県の四街道市を初めといたしまして、重度被災労働者のための介護センターをつくっているところでございます。
 お尋ねの件は、この千葉の施設で来年度行おうとしているものでございまして、その内容は、在宅でいろいろ療養に努めておられます重度被災労働者と介護に努めておられる家族、この両方を千葉の介護センターに招きまして、九泊十日が原則でございますが、短期滞在をしていただきます。その間に特に家族の方々に、いろいろふなれなケースもございますし、なれていらっしゃってももっとこういうふうにやった方がいいということもございますので、介護技術の学習などをやっていただくということでございます。そして、お帰りいただきますと、その学んだ介護技術によりま
して在宅で重度被災労働者の介護がさらに一層向上する、こういうことをねらったものでございます。
#101
○中西珠子君 それから、看護・介護労働力確保対策といたしまして、福祉重点公共職業安定所というものを指定拡大なさるそうですけれども、現在どことどこが指定されているか。十一カ所あるそうです。新たに二十二カ所になさるわけですね。そうすると、あと十一カ所追加指定なさるわけですね。今どことどこにあるかお教えいただきたいと思うんです。
#102
○政府委員(齋藤邦彦君) この事業は平成四年度から開始をいたしました事業でございまして、現在指定をして業務をやっておりますところが十一カ所ございます。順に申し上げますと、札幌、浦和、千葉、池袋、横浜、名古屋中、京都西陣、阿倍野、神戸、広島東、福岡中央、この十一の公共職業安定所が現在指定をされております。
 平成五年度につきましては、さらに十一カ所を指定いたし合計二十二カ所にいたしたいと考えておりますが、予算が成立をいたしましたら次の十一カ所を指定いたしたいと内々考えております。これもまた順番に申し上げますと、仙台、福島、水戸、新潟、長野、静岡、岡山、山口、長崎、熊本、鹿児島、この十一の公共職業安定所を指定する予定にいたしております。
#103
○中西珠子君 今お話しいただきました既存の指定された福祉重点公共職業安定所、こちらは看護・介護労働力確保対策というものは非常に進んでおりますか。
#104
○政府委員(齋藤邦彦君) 福祉重点公共職業安定所でございますが、いろいろな資格を持ちながら現実にはまだ看護・介護、このような業務に従事しておられない方をあらかじめ登録いたしておきまして、再就職のための情報提供ですとか各種の講習の実施というようなことを行うことを目的といたしておりますが、今年度から始めたものですから、今手元にどれくらいの実績がという数字を持っておりませんが、それなりの実績を上げておるというふうに思っております。
#105
○中西珠子君 それなりのとおっしゃいましてもなかなか確保が難しいのではないかと思っておりまして、本当に強力な御努力をお願いしたいと思うわけです。
 ちょっと飛びますけれども、中小企業におけるゆとりの推進というのがあるんですね、サービスセンターの推進事業の一番下のところに。このゆとりの推進というのはどういうことですか。大変漠然としてわかるようなわからないようなことでございますが、具体的な事業としてはどういうことをお考えになっているんですか。
#106
○政府委員(若林之矩君) この事業は、各都道府県でゆとり推進委員会というのを設置していただきまして、そこで中小企業のゆとり推進の計画をつくっていただきましたり、あるいは中小企業におきます自由時間の有効活用なんかに関します好事例を集めていただく、そういったものを提供していく、そういった事業。それから三点目は、レクリエーションの指導者の方々のリストをこの委員会の事務局に設けておきまして、そういった指導者を求めておられる団体等に対しましてその指導者を御紹介する、こういった仕事を考えております。
#107
○中西珠子君 予算の総額はどのくらいですか。
#108
○政府委員(若林之矩君) 総額で七千万円でございます。
#109
○中西珠子君 新しい試みですから、御成功になることを祈っております。
 それから、農山漁村における雇用構造の改善に対する助成措置、これも新設なんですね。これは予算措置がどのくらいなのか、また具体的な事業の内容はどういうことをなさるのか、お教えいただきたいと思います。
#110
○政府委員(齋藤邦彦君) 近年、農山漁村等では人口が著しく減少したり、あるいは高齢化が非常に進んでいるというような地域がふえてきております。そのために、地域の経済社会の活力の低下ということがよく言われているわけでございまして、このような地域におきましてやはり地域の活性化を図りますためには、その地域ごとの特性を生かした形でなければならない。そういう意味で、地域の特性を生かした形での若年層の確保、定着を図りたい、こういう趣旨の事業でございます。
 来年度、平成五年度の予算で初めて実施をいたそうと考えておる事業でございまして、いわゆる過疎地域、若年層等の流出の著しい地域、こういうふうにイメージとしてはお考えをいただきたいと思いますが、このような過疎地域におきまして事業所を設置あるいは整備して地域の求職者の方やUターンをしてこられる方を雇い入れた事業主に対しまして、雇い入れ労働者の賃金の一部の助成等の助成金を支給しようというものでございまして、総額で一億三千八百万ばかりの予算を計上いたしております。なお、この地域といたしましては、全国で二百八十二の市町村を指定する予定で今作業を進めております。
#111
○中西珠子君 大都市圏から移転する企業の従業員の移転費用に関する助成というのがありますね。これは大体において事業主や企業に対する助成が、今おっしゃったものもそうですが、あるんですけれども、これはどのようなやり方でなさるんですか。企業の従業員に直接に移転費用をお払いになるのか。これまで、移転の場合の住宅を供与とかそういったものはあったけれども、移転費用というものを助成なさるとすると従業員にじかにお払いになるというケースが多いわけですか。それとも、やっぱり事業主に対してお払いになるんですか。
#112
○政府委員(齋藤邦彦君) これもいわゆるUターン対策の一つでございますけれども、大都市圏、東京のようなところから地方に移転をいたします事業所がある場合に、その事業所が従業員の移転費用を負担したというときに、その事業主に対しまして移転費用を助成しようとするものでございます。
#113
○中西珠子君 事業主に対してというのがどうも多いんですね。労働者に直接というのは非常に少ないということだと思いますが、これまでのやり方はそういうやり方でやっていらしたんだし、法的に見てもそれ以外にはないということであれば仕方がないことですけれども、もう少し労働者に直接に渡るような、直接に労働者が潤うような助成とか援助というものを考えていただきたいと思うわけです。
 それから、これは概要説明の中にございますから大体目的はわかるんですけれども、産業雇用高度化事業の実施、これも新規なんですね。これの目的はわかりますので、この総額と、それから具体的にどういうことをなさるかということを御説明願いたいと思います。
#114
○政府委員(齋藤邦彦君) 具体的には、産業雇用を高度化する際にどのような理念あるいはどのような目標で進めていくかというようなことを示します基本指針というものをつくりたいと思っております。
 それから、産業がこれからの時代に合った形で進んでいくためには、個々の産業自身にいろいろなことを考えていただかなければならないだろうというふうに思います。どのような方向で取り組んでいくかあるいはどのような点に重点を置いていくかということは、やはり各産業ごとに考えていただかなければならないということで、産業別の懇談会を開催いたしたい。それからさらに、その産業自身で具体的な取り組みをしていただく、そのための助成といたしまして、労働力確保のための基礎調査ですとかモデル的な事業の実施とか、そういうようなものをやっていただく経費でございまして、総額といたしまして、平成五年度二億四千二百万を予定いたしております。
#115
○中西珠子君 それから、これは高齢化の問題ではありますが、高齢化社会におけるホワイトカラーの能力開発のあり方についての調査研究、これも新規ですね。これはどこに委託なさるのか。労働省御自身でなさるのか。それから、額はどのくらいなのか。
#116
○政府委員(伊藤欣士君) 高齢化が急速に進展する中で、企業におきます教育訓練のうち特にホワイトカラー層の中高年労働者の能力開発を図ることが非常に重要になっておるわけでございます。しかし、従来からの教育訓練、能力開発は、企業内教育というのは主として若年者を中心としたものに偏っておる傾向がある。また、公共職業訓練におきましても、昨今は情報化時代、ME化時代ということで、懸命に科目変更等の努力をしているわけでございますけれども、なお訓練の科目はブルーカラー職種に偏っているというような現状があると言えるわけでございます。そういう意味で、公共訓練、民間訓練を通じまして、中高年齢者のホワイトカラー労働者に対します能力開発、こういう機会が十分に整備されているとは言いがたい現状にあるわけでございます。
 このため、民間企業におきます労働者の職業能力開発についてのノウハウを有しております認可法人でもございます中央職業能力開発協会へ委託いたしまして、高齢化社会におけるホワイトカラー労働者の能力開発のあり方について検討を行うということを考えておるわけでございまして、予算額としては一千五百万円程度を計上させていただいております。
#117
○中西珠子君 非常に結構な調査研究ですし、いい成果が出てくることを願っております。
 それから、私といたしましてはパートタイマーの総合対策という点をちょっとお聞きしたいわけでございますが、パートタイマーに対する総合的な対策をおとりになるというのが、パートタイム労働対策の総合的な推進というところで一応予算がとられておりまして、また中小企業勤労者福祉サービスセンターというものを、現在あるものを十ぐらいふやすというふうなことでやっていらっしゃる中で、パートタイム労働者の福祉対策というものもこのサービスセンターにもおさせになるというふうな別の予算のとり方をしていらっしゃるわけでございますけれども、パートタイム労働対策というのは非常に私といたしましては大事なことだと思っておりまして、労働省も今回パートタイムの人たちのための短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律案をお出しになったわけでございますけれども、パートタイム労働者というのは、やはり一番問題なのは正規の雇用形態の労働者と非常に差があり過ぎる賃金、労働条件であるということです。とにかく、労働条件につきましてもはっきりとした文書によって雇い入れのときに書面を渡すなんていうこともなかなかなくて、非常に不安定な状況のままであるし、また不況になりますと解雇されるのは一番先にパート労働者だというような状況もございます。
 私どもが提出しております四野党のパート労働法案というものは、まだそういう状況にはないという労働大臣の昨日の仰せでございましたけれども、差別をなくす、時間に比例した均等待遇を与えてパート労働者の権利を守ってやるということ、それから雇用の安定を考える、こういうことが非常に大事なのではないか。また、賃金についても労働省の調査によりましても非常に低いというわけで、一九八九年六月にパートタイム労働指針をお出しになって、いろいろ指導もなすっているし、書面による労働条件の明示、雇い入れ通知書も渡さなくちゃいけない、賃金や労働条件もよくしていかなくちゃいけないという御指導はなさっているわけでございますけれども、なかなかそれが実効性をもって労働者の改善、殊にパート労働、殊に女性のパートの人の賃金、労働条件の改善に結びついていないような状況があるわけでございます。
 政府提出の短時間労働者の雇用管理の改善という法律案におきましては、労働大臣の基本方針とか指針というものをおつくりになる、また短時間労働援助センターというものをおつくりになって、そしていろいろの業務をやらせて短時間労働者の雇用管理というものを改善していく、そして福祉の向上を図るということでいらっしゃるわけですけれども、このパートタイム労働対策の総合的な推進という中にあります新規の事業ですね、これはパート労働法案、パート労働法案と呼んでいらっしゃらないで短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律とおっしゃっていますけれども、これの準備の段階としてこういう予算措置から新規の事業というのをなさるわけでございますか。
#118
○政府委員(松原亘子君) 先生御指摘のとおりでございまして、パートタイム労働者の雇用管理の改善につきましては法案を提出させていただいておりまして、この法律案が成立いたしましてからの話ではございますけれども、施行日につきましては政令で、公布の日から六月を超えない範囲内で政令で定める日ということに法案の中でいたしております。また、パートタイム労働援助センターにつきましては平成六年四月一日からということで法案の内容に規定させていただいておりますけれども、それまでの間、従前今先生がおっしゃいましたようにパートタイム労働指針に基づきまして雇用管理の改善指導というのをやってきたわけでございます。
 法案の趣旨を踏まえた形で、また成立した暁の姿も頭に入れまして、一つはパートタイム労働者に対しますさまざまの雇用管理について事業主が自主点検を実施し、必要な場合には専門のアドバイザーから好ましい雇用管理のあり方について助言、指導を得られるというようなことにしたいといったようなこと、またパートタイム労働にまだついていないけれども、パートタイム労働に非常に関心を持っておられる方に対します相談ですとか援助、それから現在パートタイム労働で働いておられる方のさまざまな悩みなどに対応できるようにそういう専門的なアドバイザーを配置いたしまして、そういう人に対しての相談に乗れるような体制をつくりたいといったようなことを来年度予算に計上させていただければと思っております。
#119
○中西珠子君 労働省案を婦人少年問題審議会に諮問なさいましたときに、使用者側と労働者側と公益委員と、いわば三論併記のような形になり、殊に労働側は私どもが出しているような四野党のパート労働法案というふうなもので均等待遇というものをやっぱり推し進めなきゃいけない、権利の保護をしなければいけない、それからもっといろいろ紛争の処理の方法とかいろいろございますけれども、とにかくそういう指針だけに頼ってしまう、基本方針とそれから指針だけにすべてをゆだねてしまうのは危険ではないか、危険であるばかりでなく国の労働者保護、殊にパート労働者保護への責任を民間の団体に押しつけてしまうのではないか、こういうふうな批判がいろいろあるわけです。
 それから、使用者側は労働時間短縮援助センターですね、このセンターに対してやはり注文をつけていまして、短時間労働援助センターの事業の財源を労働者災害補償保険法の労働福祉事業及び雇用保険法の雇用福祉事業に求めることについては労働者災害補償保険制度及び雇用保険制度のあり方から十分な議論がなされる必要がある、こう言っているわけでございます。
 とにかく、そのような基本方針と指針をおつくりになり、労働大臣がパート、殊に女性労働者のために賃金も労働条件もよくしてやろう、福祉も向上させてやろう、それから労働条件や賃金がはっきりしないのはいけないから口頭でこう言っただけじゃだめだ、労働省の総合調査におきましても六六%以上が口頭で口約束だけで働き始めているという結果が出ています。ですから、そういうことではだめなんで、ちゃんと書面に基づいた明示というか、賃金、労働条件をはっきりと示すということでなければいけない、こういうことだと思うんですけれども、それをほかのヨーロッパの国々やなんかはちゃんとそういったことを法律そのものの中に書き込んでいるわけです。時間に対応した均等待遇、同じ時間働いているんじゃないから、やっぱり時間に対応した差別のない均等待遇ということもうたっているし、そういう書面による労働契約ということも必要だということもあるし、解雇に対する保護もあるような、そうい
う法律を持っているわけです。
 日本の場合は、基本方針をおつくりになり、労働大臣の指針をおつくりになるから大丈夫と、こういうことで、それで短時間労働援助センターというのをつくって、指定してそこでいろいろやらせるということで、それで事業主もしくは事業主の団体に対する給付金もお出しになるし、相談・援助の事業もさせるしというふうなことでお考えになっているわけでございますけれども、この短時間労働援助センターというのはどこをお考えになっているんですか。
#120
○政府委員(松原亘子君) このパートタイム労働援助センターは、パートタイム労働問題について政策目的が一応書いてございますけれども、そういったことを担当するに十分なところであるというふうに考えられます公益法人を指定するということにいたしております。現在、私ども想定しておりますのは、労働大臣認可法人といいますか、認可しました公益法人でございます女性職業財団を指定したいというふうに考えておりますが、これにつきましては法律に直接出てくるというより、法律が成立しました後法人の方からの申請を待って審査をした上で指定するということになってまいるわけでございます。
#121
○中西珠子君 婦人少年問題審議会の答申は、一応労使のそれぞれの意見を併記して、そして公益委員としても法案が非常にいいもので必要だという意見もあったけれども、とにかく「法律案作成の検討を進められたい。」と労働省に建議したわけでございます。それが答申であったわけでございますが、今おっしゃった短時間労働援助センターの会長さんと婦人少年問題審議会の会長さんが同一人物であるということはちょっと問題なのではないかと、私どもはちょっと奇異な感じを受けたわけでございますが、労働大臣はどのような感じをお持ちでいらっしゃいますか。
#122
○政府委員(松原亘子君) それは、たまたま同一人物であるということではございますけれども、団体の責任を持つ、また婦人少年問題審議会でしたら審議会の会長ということは全く別の資格でやっているわけでございますので、私どもとしては全く問題はないというふうに考えております。
#123
○中西珠子君 女性職業財団ということをお考えだそうですけれども、短時間労働援助センターというものがやる事業につきまして、やっぱり労災保険の労働福祉事業、それから雇用保険の雇用福祉事業というものからセンターの事業の財源を求めるということは、議論をうんと深めなければいけないということを使用者側も言っているぐらいでございますので、それでセンターとしては非常にいいお仕事をなさることになっている。例えば、パートの職業生活に関する調査研究とか、それから短時間雇用管理者というのをそれぞれの事業者が任命してそれの研修をやるとか、雇用管理改善のための講習をなさるとか、そういうふうな非常にいいお仕事もなさる、それから情報の提供もなさる、それから相談・援助業務というふうなこともなさるし、それは事業主に対しても、またパート労働者に対してもなさる、それからパート労働者の福祉の増進というものに必要な業務をなさるということで、事業主または事業主の団体に対して給付金を支給する業務もなさる、こういうことなんでございますけれども、これで果たしてパート労働者が直接的に福祉が向上したり、賃金、労働条件がよくなるようになるのだろうかと大変私は疑問に思うんです。
 それで、これは大変いいやり方かもしれない、現在の日本には合ったやり方かもしれないけれども、もう少し労働者の立場に立って労働者の賃金、労働条件も本当によくしてあげる、そして職業能力の開発向上もしてあげるという、そういうもう少し直接的な表現というものがあっていいんじゃないか。それから、時間に応じた均等待遇もやる。パートである身分のために差別をするというふうなことも、今はあるけれどもなくしていく。だから、本当にフルタイム労働者と同じぐらい働いていても、いわゆる疑似パートと言われる人たちですね、それでもパートという身分であるから差別されて、低い賃金、労働条件に甘んじているとか不況のときにはまず一番先に首になるという雇用の不安定とか、そういったたくさんの問題があるのに、労働大臣を御信頼申し上げて指針の中に全部入れてくださると思うんですけれども、でもそれが短時間労働援助センターで指針に基づいてやったときに、果たしてどれだけの拘束力をこのセンターが持つかということです。それで、お金さえ上げれば何とか事業主がうまくやるだろうと、こういうのは余りにも楽観的な考え方じゃないかなと思うんですけれども、いかがでございましょうか。
#124
○政府委員(松原亘子君) 法案の内容にわたる話でございますけれども、私ども提出させていただきました法案におきましては、指針を労働大臣が定めるということにした上で、この指針につきましてそれが守られるように指導するというのは労働大臣が行うということにいたしておりまして、指針そのものについて短時間労働援助センターが守らせるための、いわば行政にかわってそこのことを行政指導するといったような立て方にはなっていないわけでございまして、あくまでも指針の周知徹底ということは行政機関の責任においてやるということは法案の中でも明らかにしているところでございます。
#125
○中西珠子君 これに短時間労働援助センターが給付金やなんかを支給したりするに当たりまして不都合なことをやったり、また役員やなんかが不都合なことをやったらば、罰則があるんですね。だけれども、指針に基づいて使用者側がやらなければならないという拘束的な規定がないんですね、これには。だから、もう少し何とかならないかなと私は思うんでございます。予算から大分外れたことになってしまいましたけれども、ここにずらりと新規の事業が書いてあると、これは政府提出のいわゆるパート労働法案、短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律案、これはもう通るものという前提に立ってこれをどんどん予算化、準備の方を始めるというふうになすっているのかなと、こう思うわけです。 それから今度は、一方中小企業の福祉サービスセンターにおいては、パート労働者のためにやっぱり福祉事業をやる。これはどうして二つに分けていらっしゃるんですか。もし女性職業財団が短時間労働援助センターとなった場合、これは今は一つだけれども、全部の地域に出張所のようなものを、ブランチオフィスのようなものをおつくりになってなさるのか。そうじゃなくて、中小企業のサービスセンターというのをお使いになって、それとも相まってやっていらっしゃるのか。そこのところがちょっとこの予算の立て方じゃわからないわけで、お聞きしたいわけでございます。
#126
○政府委員(松原亘子君) 私からは、女性職業財団の関係についてお答えさせていただきたいんですけれども、現在この財団につきましては、地方の事務所をつくるということで今やっておりまして、すぐ参りますけれども、四月一日に現在東京を含めまして三カ所あります地方事務所を十三カ所にするということで、一昨日ですか一昨昨日ですか開かれました理事会においてその点も承認をされております。加えまして、その他の都道府県につきましては今年じゅうに地方事務所を開設するという運びになっておりまして、今先生御指摘ございました今年度の特に新規事業、総合対策につきましては、そういった地方事務所を通じてやるということにいたしているところでございます。
#127
○政府委員(若林之矩君) ただいま中小企業勤労者福祉サービスセンターのパートタイム労働者についての事業のお尋ねだと存じますけれども、現在この中小企業勤労者福祉サービスセンターで中小企業に働く勤労者の方々の福祉サービス事業を行っておるわけでございますけれども、パートタイムの労働者の方々がそういった中小企業にも随分働いておられますし、場合によりますとほとんどがパートタイムというような中小企業も多いわ
けでございます。なかなかそういう中小企業において、このサービスセンターに入っていただいていろいろな福祉事業に参加していただくというのは難しいものでございますから、パートタイムの労働者の方々に入っていただきやすいそういう加入促進事業といったものをこのサービスセンターにやっていただこう。それから、このサービスセンターでは健康診断の事業などもやっておるわけでございますけれども、あわせてこういうパートタイムの方が安い費用で健康診断を受けられるようにそういったことの促進事業もやりたい、こういうことでございます。
#128
○中西珠子君 中小企業のサービスセンターでおやりになるのは大変いいことだと思うんです。ですから、今おっしゃった低廉な費用での健康診断なんということも非常に大事なことですからおやりになってくださるのはいいんですが、女性職業財団の地方事務所とこちらと相まって、並行してなさるということですね。それで別々に予算がとってあるわけですね。
#129
○政府委員(若林之矩君) この中小企業勤労者福祉サービスセンターは主として市が中心になって行っていく事業でございます。現在、四十五カ所できておりまして、さらに十カ所来年度追加設置をしていこうというふうに思っております。今後とも団体をふやしていくという計画で進めておるわけでございますけれども、ただいま先生御指摘のような形で女性職業財団のブランチと連絡をとりながら仕事を進めていくようにしてまいります。
#130
○中西珠子君 労働大臣、先ほど私が御心配申し上げましたことにつきまして、一言どうぞ御感想をお述べください。
#131
○国務大臣(村上正邦君) ごもっともな御心配であろうかと思いますが、遺漏なきようやってまいりたい、こう思っております。
#132
○中西珠子君 政府御提出の法案が審議のときになりましたら、また少しやらせていただきます。今は予算の委嘱審査でございますので、余りこればかりやっておりますと皆様にも申しわけなくておしかりも受けると思いますので次に進みます。
 外国人の労働者が非常にふえている中で、外国人の労働者に対する研修制度、技能実習制度ですか、こういうものを創設なさるわけでございますが、その予算とか事業内容を教えていただきたいと思います。
#133
○政府委員(伊藤欣士君) お尋ねの技能実習制度は、一定期間の研修を経た上で研修成果の評価を行いまして、一定の水準に達したこと等の要件を満たした場合に、その後は雇用関係のもとで労働者として技術、技能等を習得することができるという制度を考えておるわけでございます。この制度につきましては、人づくりを通じた国際貢献を推進するという観点に立ちまして、外国人研修生に対してより実効ある技能移転を行うための新たなシステムとして、平成三年十二月の第三次の臨時行政改革推進審議会の第二次答申において提言され、昨年六月のいわゆる生活大国五カ年計画においてもその創設・具体化を図ることとされてきたところでございます。現在まで政府部内で鋭意検討してきておりますが、現在最終的な詰めの段階でございまして、本年七月からの実施を目指して準備を進めているところでございます。
 その内容でございますが、この制度の実施に当たりましては、先ほど申し上げました人づくりによる国際貢献という観点から、まず良質な研修生という方に来ていただく、またこちらに来て研修・実習を受けておられる場合にそのシステムが適正なものである、また実効あるものである、三点目に母国へ確実に技能が移転をする必要があるんじゃないか、言いかえればすなわち確実に帰国をしていただくシステムというのが非常に重要であるわけでございます。
 そこで、労働省といたしましては、財団法人でございます国際研修協力機構を中核機関として位置づけまして、制度を円滑かつ適正に実施するための必要な事業として、まず送り出し国との協議であるかと、実習生のあっせんを行う、研修成果を評価する、また研修・実習状況等を把握していく、また企業等を指導していく、あるいは技能実習のガイドラインの作成、普及等の事業を行う、これをいずれも国際研修協力機構等を通じて実施することといたしておるわけでございまして、平成五年度予算といたしましては、合わせまして約十億五千六百万程度をお願いしておるところでございます。
#134
○中西珠子君 技能実習制度は技能検定制度とは全然また違うんです。どうしてそんなことを言いますかというと、例えばアジア地域に同じ基準を持った技能検定をやるということが望ましいという考え方もあるわけです。そういった場合、この技能実習というのは、制度の成果を評価なさるというときにこれは国際研修協力機構だけがやるのか、労働省がかんでなさるのかそこのところをちょっとお伺いしたい。
#135
○政府委員(伊藤欣士君) いろいろ技能移転をやる場合に、例えばどういう職種の方がお見えになるか主として我々考えておりますのは、中小企業のノウハウを発展途上国の方にフィードバックするという観点が非常に重要なのではないかというようなことでございます。
 そういう意味で、対象とする職種というのは、いわゆる送り出し国のニーズに合ったもの、それから技能移転をする以上はその評価というのは非常に重要ではないか。その評価というのは公的かつ適正な評価、日本の場合に、例えば労働省で担当させていただいております能開法に基づく技能検定という制度がございます。そのほか、産業主管官庁におきまして、それぞれの資格制度を持っておられるような、資格制度はございますけれども、それはいずれもJITCOを通じて、JITCOはそれぞれの団体に委託をして適正な評価を行う、また従来の日本のシステムだけですとまさに途上国の方々が来てすぐ評価を受けられるかというような問題もございまして、そういう国際的な外国人の方がお受けになるというようなことを十分勘案いたしまして既存の制度を弾力化、あるいは言葉の問題、試験実施時期の問題、場所の問題、そういうことについても十分配慮をするという前提で評価を行ってまいりたい。JITCOを通じて、JITCOが集約して評価するという形を考えております。
#136
○中西珠子君 やはりアジア地域とも共通の基準というものができると望ましいと思うんでございます。
 それからこの場合、社会保障や何かの適用はどうなるんですか。やはり外国人の人も日本に来ている間は日本人と同じように基本的人権が守られ、社会保障の制度が適用になるというのが国連の条約、ILOの条約などでも言っていることでございますけれども、この場合はどうなるんですか。
#137
○政府委員(伊藤欣士君) この技能実習制度は、現在の入管法のシステムのもとの中で工夫してやっているものでございまして、まず研修期間につきましてはいわゆる現在の研修制度、それから一定の評価を、合格した場合については法務大臣の特定活動という形で在留資格が認められるわけでございますから、そのときに雇用労働者としてきちんとして働く形での特定活動でございます。そういう意味で、労働関係の法規については切りかえ後については適用されるというふうに考えておるわけでございます。
 なお、社会保障全般につきまして他の関係省庁の方で現在御検討をいただいておるところでございます。
#138
○中西珠子君 外国人労働者と申しましても、ペルーとかブラジルから来た日系の労働者が最近不況のために解雇されまして、そしてその人たちは不法就労ではないということですね、特別扱いされていますから。ところが、雇用保険の適用がないので、仕事はない、食べるには困ったというので、そういうのがもう相当何十万いるという話なんですけれども、そういう人たちに対して何とか援助の手を差し伸べることはできないんでしょう
か。
#139
○政府委員(齋藤邦彦君) 日系南米人の方々につきまして、最近の雇用失業情勢を反映いたしまして若干解雇その値しわ寄せを受けている、こういう話がございます。
 私どもといたしましては、上野にそれ専門の公共職業紹介所をつくっておりますし、今度名古屋にもつくろうといたしておりますが、あわせまして全国各地の公共職業安定所におきまして再就職のあっせんに努めておるところでございます。日系の方々は適法に就労できるわけでございますけれども、極めて短期間の就労を目的として日本に入っておられる、こういうことでございますので、実際問題としては雇用保険に加入しておられない方が多かろうと思いますが、私どもといたしましてはすぐに再就職の先を見つける、こういうようなことで対応いたしたい、このように考えております。
#140
○中西珠子君 人間愛あふれる人間尊重の労働行政を基本となさっている労働大臣でいらっしゃいますから、どうぞよろしくそういった問題もお考えいただきたいと思います。
#141
○国務大臣(村上正邦君) そういう方々が職業あっせんを受けている、そういうところにも近々視察に行きましてつぶさに見てこよう、それからまたいろいろ話も聞かせてもらおう、こう思っております。
#142
○中西珠子君 どうぞよろしくお願いいたします。
 ありがとうございました。
#143
○足立良平君 きょう私は、昨日提起をいたしておりました労働時間の関係で、猶予の一年間延長の問題をきのう少し残しておりましたので、その点をちょっと質問させていただいて、そのほかに雇用のいわゆる地域的あるいはまた能力的なミスマッチの問題くらいに絞りまして簡単に本日は終わらせていただきたい、こう思っております。
 それで、まず冒頭に私が昨日申しました内容で一点だけ修正をさせていただきたいと思いますのは、一年間延長するに当たりまして、景気の見通しの問題で総理とそして局長との答弁は少し食い違うのじゃございませんかと申し上げて、あのときに私は予算委員会というふうに多分申し上げたと思いますが、私が調べてみますと予算委員会でなしに、総理の方が言われておりますのはこれは日商の総会、そこであいさつをされてそういう趣旨を述べられた。昨日申し上げたのを少し訂正をさせていただきたいと思います。
 その上で、これは局長の御答弁もございましたから再度お聞きをしておきたいと思うんです。私はマスコミしか見ておりませんから、その場所にどういうニュアンスでどういうふうに総理が言われたのかわかりません。昨日の局長の答弁の言葉じりをつかまえようと私は思っておりません。その他食い違いがあるのではっきりしておきたいと思いますのは、総理の、これからの日本経済の先行き見通しにつきましては、「大変長い困難な低迷状態だったが、先が見えてきたと申し上げていいのではないか」、これは予算委員会レベルでも、政府として景気対策を中心にして前の臨時国会の対策あるいは今回の問題、ひょっとしたら予算が成立した後のまた緊急な対策というふうなもので、この不況というものが一年以上にわたって継続するものではないということは常に公式的に政府としては述べてきておられる、私はこのように理解をいたしております。それで、これはそれぞれ複数のマスコミ等を見ましても大体趣旨としてほとんど同じことを書いてますから、まあまあそれに近いことをおっしゃっていたんだろうというふうに、まず一応私は推測いたします。
 その上で、昨日局長が答弁をされましたのは、ここで言葉じりをつかまえるというつもりはないんですが、一年間延長したい、一年というのは一体どういうことですかというふうに私がお聞きいたしましたときに、事情変化の大変厳しい今日の経済状況、こういうふうにおっしゃっていまして、同時に既に決定をしている一年という、今年の三月に打ち切るということに対しまして、その経済状況の変化、事情の変化にこれは即応したものであると、こういうふうにおっしゃったんです。経済状況の変化、今日の大変厳しい不況の状況でさらに一年間猶予措置を延ばそうと。ところが、政府そのものの見解は、そんなに不況の状況はありませんよと、こういうふうにおっしゃっている。そして、総理が言われたかどうかわかりませんが、おっしゃっていることを言わせていただくなら、秋には空気が変わっているようにしたいと語っておいでになるわけです。そうすると、ここ半年間ぐらいなんだ、せいぜい行って今の厳しさというのは。ということになると、私は一年間延ばずに当たっての前提条件である我が国経済の先行き見通しについて、そういう面で認識が少し違っているのではないだろうかというふうに疑問を持つんですが、局長いかがですか。
#144
○政府委員(石岡慎太郎君) 先生から総理の御発言を教えていただきましたけれども、総理がおっしゃっているのは経済全体の見通してはなかろうかと思います。半年間ぐらいは景気は悪いけれども秋には空気が変わるとおっしゃっているのは、やはり経済全体の動きではないかと考える次第でございます。
 労働省が、緊急避難措置として四十六時間で猶予措置を延長しました際に、もちろんこういう景気の動向、経済全体の動きも視野に入れて検討したのは事実でございますけれども、何といいましてもこれは労働時間に関する措置でございますから、しかも中小企業の労働時間の問題ですから、中小企業の労働時間の実態がどうなっているかということをいろんな実態調査も見ながら検討したわけでございます。
 御承知のように、経済全体が例えば秋口からいい方向に向かいましても労働面への影響というのはすぐあらわれてこない。労働面の問題というのは遅効性がございまして、景気がよくなってもなかなか労働面の改善が行われないというのも一般的に見られる私は事実じゃないかと思います。そういう意味も含めますと、総理のおっしゃっている景気見通しと、私どもが中小企業の労働時間の実態を調べて考えてみた判断とは食い違いがあるとかないとかという問題ではないんではないか。私どもは私どもなりに中小企業の時間という実態に注目して、やはり一年ぐらいは大変な時期が続くんじゃないかということで判断をさせていただいた次第でございます。
#145
○足立良平君 そうしますと、認識として緊急避難ということは今日の経済がどういう要因であるのか、これは議論として横に置きます。大変構造的な複合的なものであるのかもしれませんが、そういう経済の状況を踏まえたものをある面においては私は緊急避難というふうに受けとめているわけです。
 だから、今局長のお話を聞いていますと、中小企業における労働時間あるいは労働の実態からこれは云々というふうにおっしゃいますと、それは逆に言うなら今まで公労使、中基審の中で議論してきた、しかもまだ合意を見てきた、それを緊急的にあえてさらに一年延長するということとはストレートに結びついてこない。経済というのはいろんな循環的なものがありまして、それはやっぱり緊急的にどう対応するかという問題はあるんでしょうけれども、少なくとも労働時間を短縮していくとかどうとかというのは、きょう決めてあすやるということは企業の側ではできないわけです。それは何年か先です。いわゆる長期的な経営計画に基づいて、その経営のシステムをずっと転換していくものなんです、労働時間を短縮するというのは。だから、緊急避難でそれを延ばすということは、今局長の答弁のような、今の中小企業の労働時間の実態からしてそれを延ばしたんだというのは、私は実際に企業の活動を前提にした現場においてはそういう論はちょっと通りにくいのではないかなというふうに思うんですが、いかがでしょうか。
#146
○政府委員(石岡慎太郎君) この猶予措置の決定に当たりましては、何度も申し上げておりますよ
うに私ども中小企業の労働時間の実態調査もいたしました。それを見ますと、やはり百人以下の企業ではなかなか四十六時間が多くて四十四時間が少ないという実態もございました。また、中小企業関係団体から聞きますと、四十四時間の実施比率はさらに低いという実態も別途出てまいりました。さらに、経営上の問題を中小企業団体から聞きますと、やはり景気の影響を受けておりまして、売上高の減少、収益の悪化、取引条件の悪化など、労働時間短縮に関係する重要な事項がすべて昭和六十一年、六十二年の円高不況期以上の悪化とか減少になっているという実態もわかったわけでございます。
 こういう段階で、例えば四十六時間を四十四時間にいたしますと、中小企業にとりまして週二時間の時短になります。月にしまして八時間の時短になりますが、賃金を変えないとしますと、時給千円だといたしまして八千円の賃上げになります。さらには、この八時間分につきましては今まで割り増し賃金を払わなくてもよかったんですが、割り増し賃金を二千円新たに払わなければいかぬことになります。一人当たり一月一万円のそういう単価アップにもなるわけでございまして、時短はもうやはりこういう状態ではできないんじゃないかということで、経営上そういうものを強制しますと、罰則つきの強行法規でございますから、違反が続出するか、それを守れば経営上非常に困難が予想されるという事態でございましたので、ぎりぎりの決断でございます。こういう事態がなければない方がいいんでございますが、ぎりぎりの決断といたしまして、一年間猶予措置の延長を労働大臣に諮りまして決断していただいたところでございます。
#147
○足立良平君 それでは、そういうふうにおっしゃるなら、逆にお聞きをしたいと思うんですが、労働時間の短縮を進めていくに当たっての阻害要因、困難な問題はどういうところにあると労働省としてお考えでしょうか。
#148
○政府委員(石岡慎太郎君) 労働時間の短縮をいろいろ進めてまいりました経験から申し上げますと、大企業の場合は経営的な基盤もしっかりしておりますし、労使の交渉も成熟しておりますので、これは労使間に任せておきましても労働時間の短縮は進んでいくものだと思っています。だから、我が国の時短が一番進まないのは、中小企業がいろんな問題を時短について抱えているからだと思っています。
 どういう問題がありますかといいますと、一つは、やはり中小企業の場合生産性がなかなか上がらないという問題があろうかと思います。生産性が上がらなければなかなか時短ができない。昨日も先生もおっしゃいましたけれども、まさにそういう問題点に中小企業は直面していると思います。
 それから、いろいろありますが、もう一つ挙げますと、やはり中小企業の場合取引条件が非常に悪い、これが時短を阻んでいると思います。大企業あるいは親企業が例えば金曜日に発注いたしまして月曜日に納品といった取引慣行もございます。あるいはまた、こういう時短、四十六時間から四十四時間に移行する場合に、どうしたってやはり生産性で吸収できないコストの問題があります。そういうものは単価で親企業が見てくれれば時短ができるわけでございますが、単価は据え置きといった取引慣行も見られるところでございます。それがさらに不況で悪化しているという事態すらあるわけでございます。こういう取引条件の改善も重要な問題だと思っております。
#149
○足立良平君 今労働省が答弁なされたとおり、私もまさにそのとおりだと思うんです。
 それで、これは日本商工会議所あるいはまた東京商工会議所、これが一体になって中小企業の労働時間実態調査というのをやっている。その中で、まさに御指摘のように東商なり日商の方で、これは中小企業の経営者側の回答ですけれども、今二番目におっしゃいました取引条件の関係というのが六七・二%で阻害要因としては一番高い。そして、人員増によるコストアップというのが四九・一%。それから、あと例えば人員を確保することができないとかいろんな条件もあるわけですが、まさにそれは実際的にはそうだろうし、それからユニオン、連合の方が調査しているのも、若干順位は違いますけれども、大体三大阻害要因というのはそういうところに集約されるだろうと私は思う。
 ただ、私はこれはおもしろいなと思うんですが、労働省が平成三年に調べている、これは多分おたくもお持ちだろうと思いますが、労働時間短縮が生産性向上等に及ぼす影響に関する調査をしている。そうすると、これは私は大変いい数字というのが出ているなど実は思っておりますのは、労働時間の短縮と生産性の分布というものを考えてみると、労働時間の短縮率の高い企業の生産性の向上率が高い傾向が出てきている。いわゆる生産性向上というものが労働時間の短縮には大変必要だ。そして、中小企業というものは生産性向上が今日まで大変低いことは事実だというと、労働時間の短縮によって生産性向上というのは労働時間の短縮率よりも高くなってくるという傾向があるということを、これは平成三年の調査で労働省のあなたの方が、どの局がわかりませんが出されているわけです。
 そうしますと、私は今日の不況の状況の中でこれを乗り切っていく、あるいはまた中小企業の体質というものを強化していくという、そういう観点から考えてみるなら、生産性向上を一体どのように高めていくかということは、中小企業のこれからの面を考えると一番重要なことだろう。そして、そのことは即労働時間の短縮の背景というものをつくり上げていくことにつながってくるのではないかと、私は今局長のお話を聞いていてふっと思ったんです。その点、労働省がやられた今度の決断というものは、中小企業そのものの体質を強化し生産性向上をさらに高めていくのとは相反する決断をされたのではなかろうかと私は思うんですが、これは偏見に基づきますか。
#150
○政府委員(石岡慎太郎君) 確かに、労働時間の短縮と労働生産性の向上の間には相関関係がございます。労働時間を短縮すれば生産性が上がる面がありますが、逆にまた生産性が上がらなければ労働時間の短縮ができないということで、どちらが原因かどちらが結果かわからない、そういう相対関係があると思います。
 御指摘の平成三年の数字は、日本がまだ好景気のときの数字でございまして、好景気の状況におきましては生産性も高まる、労働時間も短くなる。労働時間が短くなれば生産性も逆に上がるという非常にいい循環関係が見られたときのデータではそれはなかろうかと思います。今は中小企業が物すごい不況に苦しんでおりまして、生産性がなかなか上がらない、こういう状況でございます。
 しかしながら、今回四十六時間の猶予措置を一年延長いたしましたけれども、何も労働省はこれを手をこまねいて見ているつもりではございません。予算で新たにお願いしておりますように、中小企業が省力化投資などをやって時短をした場合には特別奨励金を支給するということも考えているわけでございます。これらの制度を活用しながら、あるいはまた取引条件の改善のためには各省に相当の決意でお願いをしてまいるつもりでございます。これもあわせまして行い、中小企業の生産性を高め、取引条件を改善し、四十六時間にはなっておりますけれども、その中で時短ができるだけ中小企業の場合進むように努力したいと思います。
#151
○足立良平君 わかりました。今局長がそこまでおっしゃいましたから余り深追いをしませんがね。
 ただ、これは日経連ですよ、これは労働団体じゃなくて日経運の調査等をずっと私は見ていまして、中小企業のいわゆる時間短縮の問題の進め方について各企業、中小企業は一体どういうふうなことをやってきたのかという資料があるわけです。これを各社別に一つ一つ私はずっと分析をしてみた。そうしてみますと、本当に中小企業とい
うのは今局長が言われたように確かに生産性も低いし、あるいはまた時間短縮を進めて、そして取引条件で大変阻害要因もありますし、困難な中で時間短縮をやっている企業というのは、私はこれをずっと見ていて大変だなというふうに思うんですが、その中でそれぞれ本当に苦労しているんですね。
 例えば、ユースキン製薬という会社ですけれども、時短を推進する、いろんな時間短縮をやろうということはやはり経営のシステムを変えることなんです、ある面におきましては。ですから、時短をどうしたら進めていけるのかということをいろいろ分析をしてみると、その企業の中でむだな仕事のやり方というか、そういうものがいかに多いかということが判明した。しかし、このむだを排除することが大変これは難しい面がある。それは、先ほど局長がおっしゃった取引上の問題とかいろんな問題、あるいはまたジャスト・イン・タイムで親企業とかいろんなところから要求されるとか、当該の企業にとってみると大変むだなことと思われるようなことが要求されている場合もある。そういう面で本当に苦労してやっているところはみんな努力している。
 ですから、そういう面をもろもろ考えてみると、局長も先ほど中西先生の方からいろんな質問をされましたときに、時短なりに投資をしたときにある程度援助をしましょう、支援をしましょう。これは五十万から三百万円、大変なとは言えないですね。五十万円のこの援助金をもらって、それなら投資をして時間短縮をやっていく、いわゆる生産性向上、合理化をしていくためにやっていこう、そういうインセンティブが働いていくものだろうか。大臣、これは理屈の問題じゃない常識の問題として、これはいろんな予算の制約というものがあるだろうと思いますが、五十万円もらって、百名未満の企業が本当にそれをやろうかという気持ちに私はならないと思うんですが、これももし何か感想がありましたら。
#152
○国務大臣(村上正邦君) 実際、五十万の金がどれだけの役に立つかということは疑問ではありますが、しかしそれはそれなりにこれを推進していく側の微意を酌んでいただくことができるんじゃないのかと、そこらあたりの程度でお考えいただき、私はまた、例えば雇用調整金にしても、今回政府にもお願いして、やっぱり実効を及ぼす金額じゃなきゃ即効性は上がらないと思いますから。そういうことから考えても、今おっしゃられるようなことについてももう少し工夫もし、予算措置もやっていかなきゃいかぬなと、そういう感想を率直に持っております。
#153
○足立良平君 わかりました。貧者の一灯という言葉がありますが、労働省は貧者とは思いませんが、これはもう少しそういう面では現実的に合うような手法というものを考えていただきたいと思うんです。
 それと、労働省がどういうふうな指導をされているのか私は十分事前に聞く機会がなかったんですが、やはり一番問題は顧客からの、例えば局長からも御指摘がありましたように時間短縮をやる条件をつくる阻害要因を排除していかなきゃいかぬだろうと思います。ですから、中小企業庁は中小企業庁で、これは省は違いますけれども、例えば休日前の発注というものをストップするとか、いろんなそういうものがあるわけでして、労働省としてもそういう観点からもっと強力にそれを進めていただくことを私は特にお願いしておきたいというふうに思います。
 それで、もう時間がほとんどなくなってしまいましたが、それともう一つ、確かに今回の不況というのは相当厳しいことは私も十分承知をいたしておりますが、中小企業の関係からするなら、これは日銀のレポート等をちょっと見ておりますと出てきておりまして、いわゆる非製造業の中小企業の場合には労働需要というのはまだ未充足感というものがあるようで、あるいはまた製造業の中小企業も高齢化してきて、労働力の確保というのは、そういう面では質のいい労働力というものを確保したいという要請はまだ中小企業にある。
 昨日来、雇用問題というものが相当提起をされておりまして、これは厳しい状況がありながら、一方では本当に中小企業の活性化というものを考えていくとするなら、いわゆる大企業と中小企業の労働力の問題というものがどういうふうに再配置されるかというのは、これは労働省だけの問題でなしに、その他の関係省庁を含めて大変重要な問題だろう。いわゆる均衡ある産業構造というものをつくっていこうとするなら、その点私は大変重要だろうと思っておるわけでありまして、そういう面では今回のこのような不況の中で、やはり積極的にそういうふうな条件をつくり上げていくことが私は労働時間の短縮というものを進めていける条件づくりになるんではないかなというふうに思えてなりません。
 もう時間がなくなってしまいましたけれども、これはまた改めて別の機会に。この猶予措置を一年間延ばしたことの基準法上のものの、いわゆる強行法規であることは百も承知いたしておりますけれども、やはり公労使という、そういうものが一緒になって審議会があり、しかもその中で労が抜けてしまって、しかも公の考え方というのも相当、労働省の考え、やり方、いわゆる諮問の仕方については問題があるということを前提に見解が出されていることも承知いたしておりますから、そういう面では労働省がこれからの労働行政そのものについてもう一度考え方を取り入れ、この点については抜本的に変えていただかないと、これはいろんな問題がこれから惹起するんではないかというふうに思えてなりません。
 そこで、もう時間ありませんから一点だけ、あえてこれだけに絞らせていただきますが、この延長問題で公益委員見解が出されておりまして、この公益委員見解の中で、延長一年間ということで延長されている五年度で、いわゆる「平成五年度においても、早期に実質的な週四十四時間労働体制が実現されるよう努力すべきであること。」という条件がついている。こういうふうな条件をつけて公益委員はある程度やむを得ないと、こういうふうに結論を出しているわけです。そうすると、いわゆる経済環境、緊急避難措置というものの条件が先ほど冒頭申しましたように変わってくるとするなら、私は一年間なら一年間ということで、もう決まったのだからそれでいいんだというのではなしに、労働省として例えばそれを一応決めたけれども、一年間を例えば三カ月だけで繰り上げましょうとか、半年繰り上げましょうとかいうふうな考え方がこの公益委員見解の中から出てくるのではないかと思うんですが、それについての労働省の考え方をお聞きをしておいて、質問を終わらせていただきたいと思います。
#154
○政府委員(石岡慎太郎君) 今回の猶予措置の延長につきましては、中央労働基準審議会から答申をいただいた上で行ったわけでございますが、その審議会におきまして、労側が欠席されるなど、あるいはまた公益委員の方からは労働省のやり方はおかしかったんじゃないかというおしかりもいただいておるわけでございます。私どもこの機会に反省いたしまして、審議会の運営につきましてもこういうことがないように十分心がけてまいりたいと思っております。
 そこで、今後の平成五年度の問題でございますけれども、公益委員の方々からこういう四十六時間で猶予される企業における労働時間の短縮の推進をやれ、あるいは取引慣行の是正もやれと、そして時短促進法の活用を促進して大いに中小企業の時短も進めなさいなどなどの御意見をいただいております。これを具体化いたしまして、具体的な施策として平成五年度展開いたしまして、できるだけ四十四時間の企業が多いように努力をしてまいりたいと思います。
 しかし、この法定労働時間というのは、もう三カ月間四十六時間だと、それから四十四時間だというようなことにはなかなかまいりません。やはり最少一年単位で回っておりますので、一年間は四十六時間の猶予措置の延長ということでまいりたいと、その辺は御理解を賜りたいと思います。
#155
○足立良平君 終わります。
#156
○吉川春子君 企業と労働組合ぐるみの選挙運動について質問をさせていただきます。
 九〇年の総選挙のときに、企業ぐるみ選挙がかつてない規模で展開されたことが重要な特徴であったと当時のマスコミで指摘されています。例えば、朝日の社説「企業は民主主義を脅かすな」、日刊ゲンダイ「この国は果たして民主主義の国なのか」などです。朝日新聞によれば、カネも票もの企業ぐるみ選挙は、いまに始まったごとではないが、今回ほど露骨な票集め作戦が横行したことはなかった。日本の民主主義にどって見過ごせない事態ではないか。として、
 「政治には 中立てあれ」という創業者の訓戒を破った自動車メーカー、従業員一人あたり三世帯の後援会加入カードを提出させ、管理職が票固めにあたる機械メーカー、労働安全衛生活動に名を借りて管理職が社宅街を戸別訪問するケース……。
 こうした企業の行為は、公職選挙法で禁じられた「選挙人に対する特殊な利害関係を利用して選挙人を威迫したり、誘導する行為」にあたる可能性がある。何よりも、「公務員を選定する国民固有の権利」を脅かし、思想・良心の自由や選挙の自由を保障した憲法の精神に反することは明らかである。いうふうに言っています。その実態を私も調査してみて、改めてそのひどさに驚いていますけれども、同時にこれらは労働者の保護法である労働基準法にも抵触する事例でもあるわけです。
 それで、今お配りいたしました資料をご覧いただきたいと思うんですが、資料の一は、これはホンダです。班長の仕事の連絡引き継ぎ票ですね。その中に、「ピット満水」だとか「水漏れ無き事」とかずっとあって、四角の中の三行目に「5、岡本さんへの一言宣言、未記入者」とありまして、黒で名前は消してありますけれども、これは個人の未記入者の名前が書き込まれているわけなんです。その下はずっとまた業務用の連絡で、反射炉がバルブより多量の水漏れがあったとか、ずっと仕事の引き継ぎ事項が書かれております。 その引き継ぎ事項の中に載っている岡本さんへの一言宣言とはどういうものかといいますと、次を一枚めくっていただきますと、これは「岡本まもる応援一言宣言」。これも名前は消しましたが、岡本さん支援活動に残された時間を有効に使いますとか、家族で応援していますとか、こういうのを一言ずっと書いていくわけです。これをまだ未記入者がこれこれありますよと、仕事の引き継ぎ票の中でこういうことを言っている。これは、まさに企業ぐるみといいますか、そういう一つの例です。
 それから、資料の二もホンダなんですが、三枚目ですが、これは特定候補者の支持を決定して後援会会議の通知をわざわざ課長経由○○様という形で会議通知を出しているわけです、「岡本まもる後援会」。そして、こうこうこういうことで後援会の活動に御協力いただきましてありがとうございましたという後に、こういう会議を開きますという会議の招集といいますかそういうものを全員に送りつけているわけです。
 それから、ついでに資料の三までいきますが、これはヤマハです。工場長と組合支部長の連名で、職域会役員全員に加入運動のフォロー依頼をしています。そして、吉松忠俊ポスターを各家の玄関内に従業員全員が掲示してもらいたいとか、紹介者に対する電話または会話での依頼、これも従業員全員、これを十月十三日までに完了してください、そして十月十六日からは本当にポスターが張ってあるのかどうか役員が見て回りますと、こういう内容がその資料の三です。
 そこで、ちょっと労働省にお伺いいたしますけれども、会社の業務命令で特定の選挙の立候補者の支援活動をさせる、あるいは業務の一貫としてさせる、こういうことはできないんじゃないですか。
#157
○政府委員(石岡慎太郎君) お尋ねは、企業が選挙の応援を行うよう業務命令を出した場合、労働者はそれに従わなければならないかどうかということだと思いますけれども、労働者が企業の業務命令に従う義務があるのは、その業務が労働契約上の義務となっている、そういう場合でなかろうかと思います。具体的には、個別の事案ごとに実態を見きわめまして正しいかどうかという判断をすべきではないかと思っております。
#158
○吉川春子君 ですから、いろんな選挙があるときに特定の候補者の選挙活動をするというのは、労働契約上の内容にはなり得ないですね。どうですか。
#159
○政府委員(石岡慎太郎君) 先ほど申し上げたとおりでございますが、一般的には労働契約上そういう義務があるかどうか、義務がない場合は業務命令に従ういわれはないわけでございます。
 いずれにいたしましても、これは一般論でございまして、今具体的なケースもお示しいただきましたけれども、さらに具体的な事実を見きわめた上でどうであったか判断すべきものではないかと思っておりますので、ここで具体的なケースについて判断を今申し上げるのは差し控えさせていただきたいと思います。
#160
○吉川春子君 私は、この個々のケースについてどうかと伺っているんじゃなくて、労働契約上の義務にならないでしょう、選挙応援はと、こういうふうに聞いているんですが、いかがですか。
#161
○政府委員(石岡慎太郎君) 手元に判例も実はあるんですが、昭和五十二年の最高裁の富士重工事件の判決におきましては、労働者が労働契約上の基本的な義務である労務提供のほかに負う義務については、労務提供義務を履行する上で必要かつ合理的であると認められる場合に限るということになっております。こういう判例に照らしまして、また個々別々の具体的な事案に応じまして判断をされるべきだと考えておりまして、具体的なケースにつきましての私どもの判断は一応差し控えさせていただきます。
#162
○吉川春子君 はっきり答弁してもらいたいんですけれども、私が具体的な事例を挙げてそれについては具体的に答えられないと言いながら、答弁は判例の具体的な事例で答えているんですね。判例というのは言うまでもありませんけれども具体的な事例についての判断であって、私はその具体的な事例についての判断を聞いているんじゃなくて、後援会に入って選挙を応援するということが労働契約上の義務になるのかどうかと、こういう一般論を聞いているんですから、その点について答えてください。具体的な事例で答えるんだったら私はもっと突っ込んで聞きますけれども、答えられないでしょう。だから、普通労働契約上の義務になっているのかどうか、その点だけ端的に答えていただければいいんで、何でそんなに時間とるんですか。きちっとしてください。
#163
○政府委員(石岡慎太郎君) 選挙の応援が、労務提供義務を履行する上で必要かつ合理的であると認められる場合は問題はないのかもしれませんが、そうでない場合は問題があると考えております。
#164
○吉川春子君 法務省においでいただきましたのでお伺いしますけれども、「平成三年三月二十日、浜松市において、スズキの第一下請け会社の関係者五人が事前運動および戸別訪問罪容疑で選挙期間中に警察の捜査を受け、」、それでこれはもう刑が確定している事例なんですけれども、ちょっと私は検事調書のメモを見ましたので、その中に書いてある事項について事実かどうか法務省に認定していただきたいと思うんですが、こういう記述があるんです。
 「選挙間近になって、候補者後援会加入カードを上からの指示により、親戚、知人などに名前、住所などを書いてもらって回収。」した。そしてまた、これはちょっともとへ戻りますけれども、株式会社A高塚工場長供述調書の中にある記述なんですが、「地区別担当者表に書かれてありますとおり、管理職や役職員などが合計十四名で二人一組の合計七組を構成し、それぞれ各地区の戸別
訪問をやるということを総務課長から具体的に説明を受けました」、こういう記述もあるんです。それから、「常々感じていたことでしたが、後援会だよりについて所定の配付物置場から従業員が手にして持って帰る枚数が少なく、私共の会社の候補者に対する意識が、はっきり言って低調気味ではないかと心配していたのでした」「私なりに、従業員達に出来るだけ候補者を当選させようという意識を植えつけなければならないと感じていたのです」、こういうふうにも述べているわけです。
 そして、「また工機課長は、正直な気持ちとしては「またいやな仕事をしなければならない」と内心思いましたと述べ、工場班長は、会社の方針に従って、工場長が私に指示をしてきたものですから、部下としては、この指示に従わなくてはならないという気持ちになりました」と、こういうような記述があるんですが、どうですか、法務省。
#165
○説明員(神垣清水君) お答えいたします。
 今先生が御指摘されました選挙違反は平成三年五月の二十日、浜松簡易裁判所において略式命令請求がありました公職選挙法違反、具体的には個別訪問でございますが、その被告人の中の供述調書の一部だろうと思いますが、そのような記載があるということは承知しております。
#166
○吉川春子君 それで、さっき局長がお答えされたことを前提にしてその次の問題として伺いますが、今の検事調書にあるように労働契約の内容になっていないのに会社の上司、管理職が部下たる労働者に対して特定候補者の選挙応援を行うように強制するということは許されないんじゃありませんか。
#167
○政府委員(石岡慎太郎君) 一般論でお答え申し上げますと、やはり先ほど言いましたように労働者が企業の業務命令に従う場合にはその業務が労働契約上の義務となっている場合であると思います。したがいまして、そうでない場合はそういう業務命令は問題だと思います。また、そういう場合は労働者は従わなくてもいいものだと思います。
#168
○吉川春子君 それで、労働者は今局長が答弁されたように従わなくてもいいんですが、法律上は従わなくてよくても、雇われていてその企業から給料をもらっていて家族もいる、そういう中で、いや自分は従いませんということが難しい場合が多いわけですね。それで、今法務省が確認された事例は嫌々やっているうちに戸別訪問で警察に捕まっちゃった、そういう事例なんですけれども、そういう場合にどういうふうに労働者を救済すればいいのかという問題があるわけですね。
 だから、じゃ法的には義務がありませんので私は従いませんで済まない場合、そしていろんな嫌がらせがあったりなんかするとまた違う労基法上のあれに引っかかってきますけれども、そういう一般的な場合に基準局としてはどういう形で労働者をそういう嫌な、選挙応援の行為に巻き込まなくてもいいように救済するのがその点についてはどうでしょう。
#169
○政府委員(石岡慎太郎君) 基準法にいろいろな規定がございますが、一般論で申しまして、そのようなケースにおいて基準法の規定に触れるということで労働者の方から労働基準監督署に申告してもらえば、事実を調べましてそれが労働基準法に反する場合には企業を指導して是正したいと考えております。
#170
○吉川春子君 労基署としては、こういう企業ぐるみの選挙活動をやっている労働者の実態というものを調査するとか把握するとか、そういうことをされたことはありますか。
#171
○政府委員(石岡慎太郎君) 企業が選挙の応援を行うよう業務命令を出しまして、その結果労働者がそれに従わない、その他いろいろあろうかと思いますが、そういうトラブルがあり労働者の方から監督署に申告がある、そういったケースはなかったとは言い切れないと思いますが、私は現在のところ確認してそういう事実があったかどうか知りません。
#172
○吉川春子君 知りませんとおっしゃるんですが、かなり新聞記事にはなっていまして、報道もされているわけです。
 そこで、大臣にお伺いいたしますけれども、今のような実態が、今少し挙げたんですけれども、たくさん私の手元にあるんですが、選挙でそういう労働者を仕事以外のことで駆り出して応援させたり、場合によっては首がかかったりするわけなんですけれども、そういうようなことが行われるということは余り好ましいことじゃないと思うんです。何とかこの問題を、今までは公選法違反とか憲法違反とか、そういう水準ではいろいろ問題になるんですけれども、労働者の立場から、労働行政としてと言うと変なんですけれども、この問題についても何とかもうちょっと対策を考えていただけないものだろうかと思うんですが、その前提として、大臣としてはこういう実態というのはやっぱり好ましくない、直さなきゃいけないと、こういう認識はお持ちでしょうか。
#173
○国務大臣(村上正邦君) そういう認識を持っております。しかし、今ははっきり労働者の方もイエス・ノーというのは言っているんじゃないでしょうか選挙運動やるといったってそれはできませんよとか。私は、言うべきことは割合ちゃんと言っておられるんじゃないのかなと。そしてまた強制して、やらなかったら日ごろのおつき合いの中で村八分をしたり、そういうことは徐々に良識の中で私は改善されておるんじゃないのかなと、こう思っております。しかし、あってはならぬことでしょうね。
#174
○吉川春子君 確かに、今大臣がおっしゃるようにあってはならないことで、そして結構行われているんです。改善されている部分もあるかもしれませんけれども、依然として選挙になると、地域にもよるし企業にもよるんでしょうが、行われているんです。是正するにしても、まず実態がわからないと是正もできないと思いますので、そういう実態をぜひ大臣の御努力によってつかむようなことをひとつしていただきたいと思うんですけれども、その点はいかがでしょうか。
#175
○国務大臣(村上正邦君) 私どもも選挙をやってもらう立場におりますが、しかしどういう形で実態を調査するのか、なかなか技術的な面もあろうかと思いますので、十分そこらあたりは検討課題にしておきたい、こう思います。
#176
○吉川春子君 ぜひひとつよろしくお願いしたいと思います。これは、実態をまずつかんでいただくということがすごく必要だと思いますので、大臣の今の答弁に私は期待をしたいと思います。
 それで、もう一つ私が質問したいと思いますのは、例えばヤマハでは、後援会加入カードを本人用一枚、紹介用五枚、これは強制的に割り当ててすべて通し番号が打ってあって、加入状況がわかるようになっているんです。ある従業員が、加入しない理由を書いて提出してほしいというふうに言われたんです、加入したくない人だっていますから。そうしたら、その理由を提出してほしいと言われた。他の未加入者の人も同じように求められていた。理由は何でもいいから出さないと何回もうるさく言ってくると思うよ、だから書いた方がと、こういうふうに言ってきたというんです。未提出者に対しては、提出していないのは君だけだよと暗に提出を強要して、中には仕事上の問題で上司に決済をもらいに行った女子職員が、この決済をしてやるかわりに入会するだろうなと、こういうことを言われた例もあるんですね、私は聞いたんですけれども。
 やっぱり労働者の意思に反した政党や候補者を業務命令で押しつける。これに従わないからといっていろいろの不利益な扱いを受ける。これはまさに労働基準法の第三条になるんですね。どうですか。
#177
○政府委員(石岡慎太郎君) 労働基準法第三条では、信条を理由とする労働条件に関する差別的な取り扱いを禁止しているところでございます。この場合の信条には特定の政治的な信念で云々というものが含まれていると解釈しております。
#178
○吉川春子君 それで、もう一つ具体的な事例についてお伺いします。
 資料の最後のページなんですけれども、資料四をごらんいただきたいと思うんですが、これは休憩時間の変更に当たる問題なんですけれども、これも「事業所内基幹職各位殿」ということで、職場の文書です。そして、入会のお礼のごあいさつが左側にあって、右側に「東厚生棟の昼休み時間変更の件」というのが書かれております。
 それで、これによりますと、「吉松・中村両氏による後援会加入お礼挨拶会実施に関係し、当日限り、東構内関係の昼休み時間(昼食時間)を変更させて戴きますので、関係部門長からのご周知・ご徹底をお願い致します。」ということで、早番、後番、そして東厚生棟というところの休み時間が書いてありますでしょう。その休み時間の中に、東厚生棟の時間が、こういう時間にしてください、きょうだけ変更しますよと、こういう文書があるわけです。
 これは休憩時間の変更ですから、もちろん後援会の文書であり得ないわけで、会社しかこういうものはできないわけなんです。しかし、労基法の就業規則の規定を見ても明らかなように、休憩時間というのは決まっていて、そして変更する場合には、労働者なり労働者を代表する人たちの意見を聞いてから変更しなきゃならないんですけれども、こういうふうにいきなりある日勝手に昼休み時間を変更するというのは、これはちょっと基準法に抵触するおそれがあるんじゃないかと思いますが、これはいかがでしょうか。
#179
○政府委員(石岡慎太郎君) 労働基準法第三十四条第三項の規定では、使用者は休憩時間を自由に労働者に使用させなければならないとなっておりまして、それに違反した場合は罰則もございます。
 この具体的なケースについては、この程度でございますから、断定的なことを言うのは差し控えさせていただきたいと思いますけれども、御指摘のように一般論で言えば、就業規則で休憩時間などは一般に特定されているわけでございますから、それが突然ある日に限って変更されるような場合については、いろいろ問題があると思います。
#180
○吉川春子君 それで、今局長が言われた休憩時間の自由利用権というのは、労基法の三十四条三項に当たるものですけれども、これは休憩時間が自由利用ということで明記されていますけれども、この法の立法趣旨はどういうところにあるのでしょうか。
#181
○政府委員(石岡慎太郎君) 休憩時間がもし使用者の拘束を受ける時間でありましたら、それは休憩にならないわけでございます。休憩にならないと、やはり一日八時間なり働きますので、その間で休むことができないという問題が出てくると思います。
 また、休憩時間と称しながら、その時間が使用者によって拘束されているような場合につきましては、それは労働時間に当たると考えております。
#182
○吉川春子君 そうしますと、これは選挙の候補者のごあいさつを休憩時間をずらしてさせるというわけですから、休憩時間にならなくて労働時間になる場合もあるのかもしれませんが、ともかくこういう場合、つまり休憩時間を自由に利用させない場合は、これは三十四条の三項に当たって、この場合は罰則もたしかありましたね。罰則を教えていただけますか。罰則というか、刑罰ですね。
#183
○政府委員(石岡慎太郎君) 御指摘の休憩の条項の違反につきましては、基準法第百十九条第一号に規定されておりますが、「六箇月以下の懲役又は十万円以下の罰金」に処せられるということでございます。
#184
○吉川春子君 「六箇月以下の懲役」ということになりますと、ちょっと私の記憶では、これは刑の時効が五年ですね。この文章が発せられましたのが九〇年の九月二十五日ですから、まだ刑の時効が成立していないわけなんですね。
 それで、私は労働省にお願いしたいんですけれども、こういう休憩時間を自由に利用させないで、そこを選挙の候補者のあいさつにあてるようなことはとんでもないことだと思うんです。刑罰とかどうとかということはさておきまして、ともかくこういうことが実際行われたということはゆゆしいことだと思うんですね。この事例についてだけでもとにかく調査をしていただけないでしょうか要求いたします。
#185
○政府委員(石岡慎太郎君) 調査をさせていただきます。
#186
○吉川春子君 私、いろいろと申し上げたんですけれども、ことしも解散総選挙がありそうですが、本当に労働者の人たちは会社に雇われていてお給料ももらっているので、いろんな会社からの文書あるいは業務の一環としての文書が来て、それでその選挙応援に駆り立てられるということは、基準法上のいろんな保護はあっても、それに抗して自分はやりたくないということはなかなか言えないわけです、生活がかかっているので。
 そういう中で、みんなやらされているということもあるし、それでそれは自分の思想、信条、そういうものに反するわけだし、突き詰めていけば憲法違反ということにもなりますので、きょうは労基法の観点からだけ時間の関係で取り上げましたけれども、労働省はそういうことにもぜひ目配りしていただいて、そして労働者が労働契約以外の、労働力だけ売っていればいいのにそのほかのことまで強制されてやるというような封建的な拘束はもうなくなっているはずなんですけれども、実際にはそういうものもありますので十分に注意していただいて行政指導をしていただきたいと、そのことを最後に大臣に申し上げますが、御意見というか御決意を伺って終わりたいと思います。
#187
○国務大臣(村上正邦君) 御決意と言われましても、しかし後援会に加入をするとかしないとかその運動をしたとかしないとか、結局は投票所に行って  これは何の選挙ですか、大体。
#188
○吉川春子君 これは、地方選挙も総選挙もいろいろあります、今言ったのは。
#189
○国務大臣(村上正邦君) このホンダとかなんとかいうのはこれは何の選挙ですか。随分きめ細かなことをやるなと思って私は感心して、実は一つの戦略としてはこれは本当にプロ中のプロが指導しているんだなと、聞いていて私なんかも気がつかない、密にして。しかし、書くのはやっぱり投票所に行って書くわけですから、だから幾ら強制しようと何しようと、私は投票所で果して入れるのかなというのは疑問ですので、余り常識外れな強制であっては逆に反発をされるんじゃないのかなと、今そういう感想でありますが、しかしあってはならないことだ。今基準局長もこのことについては調査をすると言っていますので、私もその調査した結果は関心を持ちたいと、こう思っています。
#190
○吉川春子君 終わります。
#191
○笹野貞子君 三月二十三日ですから三日前になりますけれども、参議院の予算委員会で大臣がお答えになっている言葉の中に大変我々女性にとってはうれしい発言がありましたので、そのことについてちょっとお伺いさせていただきたいと思います。
 この問題を取り上げましたのも、昨日からの審議を見ておりますと、大臣は殊のほか女性に理解が深いわけですから、これはもう村上労働大臣のときじゃなければできないんじゃないかという、そういう感じを持って質問させていただきます。
 と申しますのは、予算委員会の委員の方の答弁の中で大臣はこうお答えになっています。労働省の婦人局を女性局に改めたいと考えたが、それがいかに難しいか実感したという御発言をなさっております。この女性と婦人という言葉について、私もこの女性問題というのはもう二、三十年前から取り組んでおりまして、これからの民主主義の平等の世の中においていろいろなところの不都合をなくするために頑張ってきた一人です。
 この女性と婦人という言葉は意外と大変なんですね。こんなことをここで申し上げることもないと思うんですけれども、漢和辞典によりますと、婦人の婦というのはどういうことかというと、これは女がほうきを持って掃きまくって歩くわけです、これが婦人。ですから、掃きまくることは別に悪くはありませんし、私も掃きまくっていますけれども。しかし、女性がほうきを持って掃きまくるその相対する言葉ですね。男があれば女、女子があれば男子、女性があれば男性というその人間としての相対する言葉が、婦人に対する男性の言葉がないというところが非常に問題で、結局はこの婦人の婦というのは奴隷的な労働の一つであったというふうに言わざるを得ません。
 そこで、大臣は大変気の大きい方ですから、こんな名前なんかどうでもいいんじゃないかと、こうおっしゃるかもしれません。しかし、イソップ物語に出てきますように、子供が池のカエルに石を何げなしに投げつけていて、ボッチャンボッチャンというあのイソップ物語で、石を投げられることは私たちには死活問題なんですというあのくだりにもありますように、男性にとっては婦人でも女性でもいいじゃないかと思うかもしれませんけれども、しかしそうはいきません。やっぱり名は体をあらわしているわけですから、そういう意味で私は女性というのと婦人というのは随分違うというふうに思っております。私たち連合の中にも局はありますが、もちろん女性局というふうになっております。
 ここで大臣に、ひとつ労働省の婦人局を女性局に直していただくという御努力はいただけないものでしょうか。ちょっと御所見をお伺いいたします。
#192
○国務大臣(村上正邦君) 私は、労働省に参りまして、松原局長がおりますが、初め婦人少年局長と言って怒られたんです。そんな局はありません、婦人局ですと言って、局長に。まあその程度の理解しかありませんでした。
 私は、ネーミングはおっしゃるように大事だと思っているんです。といいますのは、そこにお嬢ちゃんがいらっしゃいますが、お嬢ちゃんというかいろいろ言い方、呼び方はありますが、お嬢ちゃんというのはこれは非常に個人的な呼び方で、あのお嬢様にあなたは婦人ですかと質問すれば、私は婦人ですとは恐らくおっしゃらないでしょう。女性ですとおっしゃると思うんですね。今労働省はこうして非常に幅広い女性の方々の社会進出という一つの大きな目標を持っているわけであります。ですから、婦人という概念の幅というのは非常に限られた人たちをお呼びする、またそういうふうに社会通念上はおとりになるんじゃないだろうかなと思って、婦人局を労働省の女性の社会進出の先駆者だれと、非常に私はそういう希望を込めて、期待を込めて大きくデラックスに飛躍してもらいたい、こういう願いを込めて女性局としたらどうですかと申し上げ、そうしましたら、後で局長も意見を申し上げるかもしれませんが、いや大臣、そうおっしゃってとはすに構えられ、しかし私ははすに構えられても、このことについては大臣として、検討しなさいという一つの課題を局長に与えているということであります。
 私が大臣でいる限りは、何かにつけて松原局長に、省内を私が激励に回ったときも婦人局に行って、あなたたち婦人なのとかなんとか部下の人たちにも言ってみたり、顔を見ると揺さぶりをかけていると、そして早くそういう方向でひとつ改組していただければなと。ネーミングだけじゃなくして、組織的にもこれは大変なことだと思います。長い伝統もありますし、長い慣習もありますし、長い役所の一つの習いもあるでしょう。しかし、ここはやっぱりそういう意味において、松原局長は先頭に立って新しい二十一世紀を目指した男女均等法というものも、これは国会に提案して局長が通させた原動力でもあるわけですから、松原局長において早くその実現の期待を込めているということを申し上げさせていただきたいと、こう思います。
#193
○笹野貞子君 何か問題は全く解決したように私は思うわけで、あとは松原局長の一言で決まるんではないか。だって、大臣が今揺さぶりをかけているわけで、揺さぶられたらいいわけです。初代局長というのは、いろんな意味で歴史的にすばらしいんじゃないでしょうか。
 ですから、初代女性局長になるという御覚悟をひとつここで御披露いただけませんでしょうか。
#194
○国務大臣(村上正邦君) さらに、まだうんと言わなきゃ、総をつけてもいいと思っているんです。女性総局長とつけてもよろしいと思うんです。
#195
○政府委員(松原亘子君) 大臣が御就任以来、今大臣御自身からおっしゃられましたように日々督励を受け、私も肝に銘じて業務に当たっているわけでございます。
 女性という表現につきまして、私どもも一般の方々を対象にいろんな広報をするというときには、できるだけ婦人ではなく女性という言葉を使ってきているわけでございます。
 ただ、婦人局の名称につきましては、これは労働省が設置されたときは婦人少年局でございましたが、いずれにしても婦人ということで非常に実績を積み、かつ歴史を重ねてきたものであるわけでございます。ただ、もちろん時代の要請に応じて、この名前が変わってはいけないということではございません。そういうことから、私どもとしては組織の見直しなどの適当な機会をとらえまして、もちろん見直すことも含め勉強していきたいと思いますが、その場合に必ず婦人局が女性局となることがいいのかどうか、そういったことは組織の見直し、つまりどういった仕事をやっていくのか、また二十一世紀に向けてどういった展望を持ってやるのかということなども含めながらネーミングについては検討いたしたいというふうに考えているところでございます。
#196
○笹野貞子君 別に時期は私の方でとやかくは言いません。しかし、アメリカのクリントンじゃありませんけれども、チェンジです。今はすべて改革ですので、そんな伝統とかそういうことにこだわらずに改革ということで、特に労働省というのはそういう新しい社会を生み出す一つの省なわけですから、局長もひとつ早くチェンジをしていただくようにお願いいたします。
 ここで、もう一つ不思議なことがありますので御質問をさせていただきます。
 これは、ネーミングを変えると必然的に変わってくるんでしょうけれども、ILOの勧告を見ても全部翻訳が婦人になっておりますから、これも婦人じゃなくて女性という翻訳に直していただきたい。例えば、産前産後に於ける婦大使用に関する条約(第三号)とか、あるいは農業に於ける婦人の夜業に関する勧告(第十三号)とか、数え上げればほとんどの翻訳が婦人という言葉になっておりますので、あわせてこれも御勘案ください。
 さて、もう一つおもしろいことがあるんですが、労働省の婦人局は、毎年「婦人労働の実情」という冊子を出しております。私も拝見しております。ところが、平成四年に総理府が発行しました新国内行動計画に関する第二回報告書「女性の現状と施策」というタイトルがついております。労働省は婦人と使い、総理府は女性というのを現にもう使っているわけですけれども、これは閣内不統一ですか。
#197
○政府委員(松原亘子君) 総理府が女性白書という名称を使ったのは、第二回がいわば初めてということで、これまでも政府全体としても婦人という名称を、ネーミングを使ってきたわけでございまして、現在の内閣で初めて婦人問題担当大臣というのが置かれたということでございますが、その場合も婦人問題ということにはなっているわけでございまして、法令用語ですとか組織をあらわす名称を除きましては、必ずしもこれでなければいけないといったようなことを内部で意思統一しているというほどのこともないわけでございます。
 ただし、社会の情勢の変化に応じまして、なるべく皆さんにわかりやすい言葉を使うということが必要になってきているということもございまして、総理府でまとめるものについては第二回目、ことし発表したものから女性白書にするということにしたわけでございます。私どももそういった経緯も含めまして、今後発表する際には検討してまいりたいというふうに思います。
#198
○笹野貞子君 問題はすべて解決されたようなきょうの御討議でした。
 特に、村上大臣は、きのう後手後手は嫌だと、先手必勝というふうに言っていらっしゃいます。冊子の面ではちょっと一歩立ちおくれましたけれども、局の名称としてはまだ総理府の方も婦人という言葉を使っておりますので、どうぞ先手必勝で労働省の方が先に女性局というのをつくっていただくように私の方からは応援団といたしまして、特にこの労働委員会はこれだけ妙齢な女性がいるわけですから、そういう点ではどうぞ御配慮ください。
#199
○国務大臣(村上正邦君) ちょっと、これについて。
 政府の使う用語として、私は女性で統一したらよろしいという話し合いを今河野官房長官とも、これは局長にもまだ言わなかったことでございますけれども、言うとまた手を回されますから。しかし、この委員会をかりて、せっかくの御質問でございますので、そういうことを河野官房長官とも打ち合わせいたしておるということも頭に入れておいていただければと、こう思います。
#200
○笹野貞子君 続きまして、本当に小会派というのは時間がなくて、いろんなことを御議論したいんですけれども、残念で、私はきょうは高齢者雇用の問題をやりたいとかねて思っていたわけですが、時間がある限りちょっと大臣に幾つか御意見をお伺いしたいというふうに思います。
 日本の憲法の第二十七条にはとてもいい条文がありまして、まさにこれこそ民主主義の原点だと思います。ちなみに、二十七条を見ますとこのように書いています。「すべて国民は、勤労の権利を有し、義務を負ふ。賃金、就業時間、休息その他の勤労条件に関する基準は、法律でこれを定める。 児童は、これを酷使してはならない。」というのが二十七条です。この中で、賃金そして就業時間、休息というふうにありますけれども、年齢というのは特別には取り上げられておりません。憲法が発布された二十一年は、まだ人生わずか五十年という寿命が非常に短いときであったというふうに思います。
 労働基準法の中にはいろいろあるわけですけれども、私がきょう大臣にいろいろなことを御議論したいのは、人生わずか五十年じゃなくてもう女性八十一・何歳、男性七十六歳ぐらいまで延びている現状で、大臣はどうでしょう。この二十七条の働く権利というのは、働きたいと思う意欲のある人に国家的に働くもろもろのことを実現させてあげよう、そのために働くということのもろもろのことをフォローするために労働省があるわけです。先ほど大臣は、すべて常識的なんだというお話をしましたけれども、大臣はどうでしょう、一体人間というのは幾つぐらいまで働くのが常識的だというふうに、今感想でいいです。
#201
○国務大臣(村上正邦君) 働くという定義がまたこれいろいろあろうかと思います。しかし、委員の私に対するこの憲法第二十七条からひもとかれての質問の趣旨からいたしますれば、勤労の権利の趣旨からすれば、これは年齢は明記されておりませんが、働く意思を有する人々についてその年齢にかかわりなく能力を発揮する機会を確保していくということが重要なことであると私は考えております。したがいまして、そうした方向のもとに最大限の働く場を労働省としては確保していくということが大きな使命なのかな、こう思っております。
 余談でございますけれども、実は官僚の皆さんともゆうべ話す機会があったんですが、とにかく若くて元気で五十五、六歳でもう退官という、これだけの豊富な経験を積まれ知識を持っておられる人が、そして天下りすればそれが批判される、これじゃたまったものじゃないなと。だから、もう少しそういう定年のあり方も、高齢化社会を迎えて、まずこの霞が関あたりからも考えていったらいいんじゃないのかというような話を私見としてたまたまきのう話した席があるのでございますけれども、働く意思のある方々は働いていただける方向で働く場を確保していくということは大事なことだと思っています。
#202
○笹野貞子君 私はきょうその部分を言いたかったわけです。ですから、働きたいという意思のある人に年齢というものが非常に大きな障害になってきている。だから、これからやっぱり労働行政としては年齢というものを、働くという意欲を持つこととかいろいろな問題をどういうふうにクリアするかというのが大変重大になってくるというふうに思っております。まして、これから高齢化社会になりますと、労働力がだんだん少なくなってくることはこれは私が指摘するまでもないというふうに思っております。
 そこで、一九八〇年から二〇一〇年までの間の労働力の増加を調べた表がありますけれども、これはどんどん少なくなっていくことはもちろん当然のことだというふうに思うんです。そういう定年までの労働力が少なくなってきている現状に対して、じゃそれをカバーするためにはどうするのかというところに高齢者雇用問題というのがあるわけですけれども、大臣の今のお話を聞いて、労働行政というのは二〇〇〇年を見越してやっぱり何らかの方策を立てていかなければ、二〇一〇年になってまさに超高齢化社会が来たときに労働力の問題をいやそれは知りませんでしたでは済まないというふうに思うんです。
 そこで、大変大ざっぱな質問なんですけれども、そういうことを見越した上での新規施策事業があるとするならば、ちょっとそれを御発表いただきたいと思います。
#203
○政府委員(坂根俊孝君) 先生御指摘のように、今後高齢化が進展する一方、二十一世紀には労働力制約が強まるなど、これまでに経験したことのないような状況を迎えようとしております。そこで、こういう中で活力ある経済社会を維持していくためにも、今から高年齢者などが働きやすい職場づくりを進めていくことが必要だというふうに考えております。そこで、来年度以降主として次のような施策を講ずることにしております。
 まず、高齢者につきましては、六十五歳までの継続雇用を地域レベルで推進するため、地域経済団体が具体的な目標を設定してその実現に取り組むことを推進します六十五歳継続雇用地域推進事業というのを実施することとしています。また、六十歳前半層の高齢者雇用の拡大を図るために施設設備の改善などを行った事業主に対しまして、高齢者の雇用の増加数あるいは施設の改善等に要した費用に応じまして七十五万円から六千万円の奨励金を三年間に分割して支給するという新たな奨励措置を設けることといたしております。
#204
○笹野貞子君 そういう新規事業というのは、私は大変いいと思っておりますので、金額は別といたしましてもやはりそういう事業を進めていくべき時期にもう当然来ているというふうに思うんです。
 ただ、きょう私が一番言いたいのは、高齢者雇用を促進するための働く条件として、ここにさきに調査した資料がありますのでそれで聞きますと、昭和六十三年の労働省の高齢者就業実態調査というのを見ますと、これにこう書いています。希望勤務形態について問いますと、五十五歳から六十九歳のうちの雇用希望者は六四・三%、ですからもう七割に近い人が働きたい、こう言っているわけです。この中で短期的に、短期というのはパートタイムです、パートタイムとして働きたいという希望者が三七・五%、約四割もいるということがあります。
 これを見ますと、私はこれから高齢者雇用は普通の、フルタイムというんでしょうか、フルタイムという勤務状況ではなくてパートタイム形式の勤務状態を取り入れていくならばこれは最も理想
的な形だ。要するに、高齢者の人もそういう働き方をしたいと言っているわけですし、労働力の問題からでもそのように思いますし、そして六十五歳まで働くということが生きがいにもなるというふうになるわけで、そういう点でどうでしょうか。この高齢者の短時間勤務雇用というものに対する御見解をお伺いしたいと思います。
#205
○政府委員(坂根俊孝君) お答えします。
 高齢者は、特に六十歳を超えますと就業ニーズが多様化いたしまして、今調査を言われましたように短時間勤務を希望する方もふえるわけでございます。そういうことで、高年齢者の雇用機会の確保を図る上では、こういったニーズに対応していくことが重要であるということは御指摘のとおりだと考えております。
 そこで、労働省といたしましては、六十歳以上六十五歳未満の高齢者を多数雇用している事業主を助成するための高年齢者多数雇用奨励金あるいはその他高齢者の雇用を進めるための各種助成金におきまして、従来から短時間労働者もその助成の対象とするなどの施策を講じてきたところでございますが、今後とも短時間勤務の形態による雇用機会の確保を含めまして高齢者の雇用の促進のための施策の充実に努めていきたいというふうに考えております。
#206
○笹野貞子君 ことしの新規事業を拝見いたしますといろんなのがあるわけで、例えば先ほどもありましたシルバー人材センターとかあるいは快適な職場の形成事業に対する助成金とかいろいろあるわけです。私は、これからは高齢者雇用の中でいかにパートタイムとして働ける職場を確保し、そしてパートタイムの高齢者をふやすことによっておのずからすべての時短が進んでいくというふうに思うわけですけれども、時間がありませんので最後に大臣に、こういう考え方でこれからの労働行政というのを一層進めていただきたいと思うんですが、大臣の御所見をお伺いいたします。
#207
○国務大臣(村上正邦君) この高齢者雇用対策というのは、これからやはり外国人労働者問題とあわせて労働省としても大きな課題として政策を掲げていかなきゃならない問題だと思っております。
 そのためにも、こういう六十五歳までの継続雇用だとかシルバー人材だとかパートだとかというお話のある中で英知を結集しながら、まだまだそうした新機軸、新分野で御活躍していただく、そういうことに答えを出していくべく労働省としては最善の努力をしていかなければならない、こう思っております。
 例えば、この前も通産大臣が言っておりましたが、デパートのエレベーターやエスカレーターの前あたりで若い人が何で頭を下げてぺこぺこやらなければならないのか、必要とあらばああいうところへそういう中高年者の方々がそれこそ働く場として行ってもいいんじゃないか、そしてそういう若い人は若い人の働く場があるだろう、そういうこと等々も話が出てまいっておりますが、やっぱり総合的に知恵を出していただく。労働省だけが考えるのではなくして、英知を結集するそうした場もつくっていく必要がある、こういうふうに私は思っております。
#208
○笹野貞子君 終わります。
#209
○委員長(田辺哲夫君) 以上をもちまして、平成五年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、労働省所管についての委嘱審査は終了いたしました。
 なお、委嘱審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#210
○委員長(田辺哲夫君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後五時五分散会
ソース: 国立国会図書館
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