くにさくロゴ
1993/06/10 第126回国会 参議院 参議院会議録情報 第126回国会 労働委員会 第13号
姉妹サイト
 
1993/06/10 第126回国会 参議院

参議院会議録情報 第126回国会 労働委員会 第13号

#1
第126回国会 労働委員会 第13号
平成五年六月十日(木曜日)
   午前十時開会
    ―――――――――――――
    委員の異動
  六月十日
     辞任        補欠選任
      平井 卓志君    南野知惠子君
      森山 眞弓君    石井 道子君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         田辺 哲夫君
    理 事
                大木  浩君
                星野 朋市君
                庄司  中君
                笹野 貞子君
    委 員
                石井 道子君
                岩崎 純三君
                佐々木 満君
                坪井 一宇君
                南野知惠子君
                平井 卓志君
                一井 淳治君
                大脇 雅子君
                清水 澄子君
                篠崎 年子君
                浜本 万三君
                武田 節子君
                中西 珠子君
                足立 良平君
                吉川 春子君
   委員以外の議員
       発  議  者  村沢  牧君
   衆議院議員
       労働委員長代理  永井 孝信君
   国務大臣
       労 働 大 臣  村上 正邦君
   政府委員
       労働大臣官房長  七瀬 時雄君
       労働大臣官房審  征矢 紀臣君
       議官
       労働省労政局長  若林 之矩君
       労働省婦人局長  松原 亘子君
       労働省職業安定  岡山  茂君
       開発局長
       労働省職業能力  伊藤 欣士君
       開発局長
   事務局側
       常任委員会専門  佐野  厚君
       員
   説明員
       総務庁人事局企  久山 慎一君
       画調整長
       総務庁行政監察  福田  実君
       局観察官
       外務省国際連合  隈丸 優次君
       局社会協力課長
       文部省大臣官房  草原 克豪君
       人事課長
       文部省高等教育
       局私学部私学行  鬼島 康宏君
       政課長
       郵政大臣官房人
       事部要員給与課  広瀬俊一郎君
       長
       自治省行政局公
       務員部公務員課  遠目塚昭三君
       長
       自治省行政局公  伊藤祐一郎君
       務員部給与課長
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律
 案(内閣提出、衆議院送付)
○林業労働者の雇用の安定及び雇用管理の改善等
 に関する法律案(浜本万三君外四名発議)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(田辺哲夫君) ただいまから労働委員会を開会いたします。
 短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律案を議題といたします。
 本案の趣旨説明は既に聴取しておりますので、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#3
○大脇雅子君 短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律案の質疑をいたします前に、まずその前提条件として共通基盤の認識の有無について三点お尋ねをしたいと思います。
 パートタイム労働者は、一九九一年週三十五時間未満の短時間労働者八百二万と言われておりますが、週三十五時間未満の短時間労働者の数は現状においてこれで間違いがないのかどうか。それから、週三十五時間以上働いてパートタイム労働者と呼ばれるいわゆる疑似パートタイム労働者は何人いて、この双方の比率はどの程度か、お伺いしたいと思います。
#4
○政府委員(松原亘子君) 先生がおっしゃいました一九九一年において週の就業時間が三十五時間未満の労働者八百二万人というのはそのとおりでございます。ただ、その後また新しい数字も出ておりまして、昨年一九九二年におきましてはこれが八百六十八万人というふうになっております。
 ところで、先生がおっしゃいました三十五時間以上働いている労働者でパートタイム労働者といったような扱いをされている者がどれぐらいいるかという疑似パートの数でございますが、これはなかなかはっきりつかんだものは実はございませんで、具体的にお答えすることはできないのでございますけれども、別の調査でその割合に近いものをちょっと申し上げさせていただきますと、労働省が平成二年にパートタイム労働者総合実態調査というのを行いました。
 ここでは、一般の正社員より労働時間が短い者、つまり三十五時間云々というのを問わずに短い者と、そうではなく所定労働時間が一般正社員とほぼ同じ非正社員の調査というのをいたしているわけでございます。そこにおきましては、一般の労働者、正社員と比べて労働時間が短い労働者が四百六十三万四千九百人に対しまして、一般の正社員と所定労働時間がほぼ同じ非正社員の数は百二十万三千人ということになっております。この合計のうち後者の所定労働時間がほぼ正社員と同じ非正社員の割合は二〇・六%と把握されているところでございます。
#5
○大脇雅子君 そういたしますと、いわゆるパートタイム労働者というのはほぼ一千万を超していると言われておる実態があると思われますが、その中でいわゆる非自発的なパートタイム労働者というのは何人というふうに把握しておられるでしょうか。
#6
○政府委員(松原亘子君) その非自発的というのをどういう意味でとらえるかということはございますけれども、例えば正社員として働ける会社がないからパートタイム労働者で働いているという方の割合を見ますと、先ほど御紹介いたしました平成二年の労働省のパートタイム労働者総合実態調査によりますと、その割合は一三・四%というふうになっているところでございます。
#7
○大脇雅子君 正社員として働ける会社がないのでパートタイム労働者をやむなく選択しているという人が十三・四%だといたしましても、いわゆる正社員として採用を求める場合に必ず年齢制限という壁がありまして、少なくともそういった壁に阻まれて応募できないという女性がたくさんいるのであります。
 再就職に関しましては、女性の就業に関する世論調査、これは平成一年の総理府のものですが、いわゆる求人の年齢制限の緩和ということが希望されているわけですが、再就職の問題として企業は一律の採用の上限年齢を設定していることを緩和していくという方向は打ち出されていますけれども、パートの就労に対してはそういった施策というものは打ち出されているのでしょうか。
#8
○政府委員(岡山茂君) 私どもといたしましては、パートの方もそれから常用労働者の方もそうでございますけれども、合理的でない年齢の制限についてはできるだけ緩和をしていただくように安定所におきまして指導いたしておるところでございます。
 したがいまして、パートの方につきましても確かに年齢制限的な求人の実態もございますが、それを緩和していただくように指導しているところでございます。
#9
○大脇雅子君 パートタイム労働者の多様化ということが言われておりますが、平均勤続年数も伸びてまいりまして現在では四・五年と言われておりますが、さらに十年以上の定着率もかなりに上っていると思います。専門職とか管理職のパートタイム労働者が生まれ始めているということですが、その実態は把握しておられるでしょうか。
#10
○政府委員(松原亘子君) 総務庁で労働力調査の特別調査というのをやっておりますが、そこで短時間就業者につきましても職種別に集計されております。それによりますと、昭和六十一年には専門的技術的職業従事者男女計で四十九万人でございました。そのうち女性が三十四万人ということになっておりますが、それが平成四年では男女計で七十二万人、女性で五十万人ということでふえている実態がございます。
#11
○大脇雅子君 こうした多様化するパートタイム労働者の実態を踏まえられまして、これまでパートタイム労働指針で行政指導をなさっていらっしゃったわけですけれども、婦人の就業対策等に関する行政観察結果に基づく勧告というものが出されまして、このパートタイム労働指針のいわば周知徹底が未熟であるといいますか、それからパートタイム雇用労務管理者の選任の勧奨も進んでいないと指摘されておられまして、それに対して労働省は回答を寄せられておりますけれども、この進捗具合というのはどのようなものでしょうか。
#12
○政府委員(松原亘子君) 平成三年六月の総務庁の行政監察結果報告書によりますと、先生御指摘がございましたように調査対象事業所におけるパートタイム労働指針の周知状況、これは百六十七企業の調査結果でございますけれども、その百六十七企業におきましては百三十二企業、七九・六%の企業がパートタイム労働指針を知っているというふうに答えておりまして、周知はかなり進んでいるかというふうに思います。
 ただ、残念ではございますけれども、その指針の遵守状況というのを見てまいりますと、必ずしも高くないということを言わざるを得ない点があるわけでございます。例えば、退職金制度がないという企業の割合が八六・八%ということになっておりますこととか、それから雇い入れ通知書に所定外労働時間がある場合にはその有無とその程度を明らかにするようにということを指針の中に書いてございますけれども、その程度が明示されていないという事業所が六六・八%ということになっているわけでございます。また、就業規則の整備というのも指針は求めているところでございますけれども、それにつきましても二五・七%の事業所が守っていない。それから雇い入れ通知書の交付につきましても一八・六%の事業所が遵守をしていないといったような監察結果で報告されているところでございます。
 また、パートタイム雇用労務管理者の選任状況でございますけれども、これにつきましても選任されている事業所というのは十七室で調査をいたしたわけでございますけれども、その一室当たりの平均の選任者数というのは六二・三人ということになっておりまして、事業所数から見ますとまだ選任の程度は低いと言わざるを得ないというのが実態でございます。
 こういう報告を受けまして、私どもとしましてはパートタイム労働指針をとにかく周知するということと、知っているということだけではなくてその内容が守られなければいけないということがございますことから、集団指導等婦人少年行政機関のみではなく労働関係行政機関と連携を密にいたしまして周知徹底を図るべくその後努力をいたしてきているところでございます。
#13
○大脇雅子君 そのように努力をなされていても効果が上がらなかったという、制度上ないしは指針上の欠陥というものはどのように把握しておられるのでしょうか。
#14
○政府委員(松原亘子君) 指針に書いてありますこと自体が欠陥があるということではなく、パートタイム労働者の実態は先ほど先生から御質問がございましたけれども、規模別に見てみますとパートタイム労働者の方々の多くは中小企業に働いていらっしゃるわけでございます。そういったことですとか、現在の指針は労働大臣告示ということで示しているものでございますが、法律上の具体的な根拠がないというのが現状でございます。
 そういうことから、一部の企業だとは思いますけれども、考慮すべきものだ、守らなきゃいけないものなのだという強いそういう受けとめ方がされていないといったこともあるのではないかというふうに考えているところでございます。
#15
○大脇雅子君 それでは第三点目に、いわばパートタイム労働をめぐりましては国際的にもさまざまな動きがあります。そうした諸点からお尋ねをいたしたいのですが、まず一九六七年でしたか批准をいたしました第百号条約がありますが、この百号条約をめぐりましてその委員会が日本の政府に対しまして職務内容に基づいた賃金制度の確立に向けた進展等について報告を示すように要請していると思います。
 ILO条約の規定を厳密に履行することが基本方針でありまして、百号条約の要件を実現すべく最大限努力しているというふうに日本政府は回答をいたしておりますが、少なくともこの同一価値労働、同一賃金の原則に限定いたしまして年功賃金制度から職務内容をベースとした制度へ改善していくということによってこの男女同一賃金の原則を促進すべきであるという政府見解を述べておられると承知しておりますが、この点について、この方向に向けての何らかの施策の進捗あるいは企業への助言策というものは行われているのでしょうか。
#16
○政府委員(松原亘子君) ILO百号条約は、今手元にちょっと恐縮ですがその資料がございませんが、この百号条約は男女で差別のない賃金率というものを定めるということが男女同一労働、同一賃金の原則であるということを条約上明記されているかというふうに思います。
 日本政府といたしましては、この条約は労働基準法四条によって担保されているということで批准したものでございますが、現実を見てみますと確かに男女の間での賃金格差は存在するわけでございます。この賃金格差の背景というのはさまざまなことがございまして、これだけがその理由である、原因であるというふうには言えないわけでございます。
 私どもは、これにつきましては、一つは雇用の機会といいますかそういったものが必ずしも男女で均等に確保されていない。雇用の機会と申し上げるのは、募集・採用のみならず配置だとか昇進とか含めててございますが、そこにおける男女の雇用機会の均等というものが必ずしも一〇〇%確保されているとは言えないといったこともございますし、そういうことによりまして男女で就業分野が違うということが一つあるわけでございます。それから、就業の実態を見ますと、女性の勤続年数も長くはなってきておりますけれども、まだ男性と比べて平均的に見ると短い、また分布で見ても長期勤続者の割合が少ないといったようなことがございます。
 我が国の賃金制度、どういった賃金制度をとるかというのは基本的には労使で決めていただくということになるわけでございますが、その我が国の一般的な賃金体系に照らしますと、勤続が短いということはそれによって賃金の差が出てくるという要因にもなっているわけでございます。また、同じように勤続が短いということから出てくる問題といたしまして、管理的な地位に実際についている女性の割合も低い、そうしますとそれがまた賃金に反映するといったようなことなどさまざまの要因がございまして、一概に今これだけがということは言えないわけでございます。その中で、一つ先生御指摘ございました年功賃金体系が一般的であるということにつきましては、確かに賃金体系の中で年齢給というような要素も入っているわけでございます。
 そういうことから来る問題というのはあろうかと思いますが、これは長年にわたって労使が積み上げられたいわば知恵といったようなところもございます。これもまた不変のものではなく、いろんな世の中の情勢に応じて変わっていくということはあろうかと思います。現に、そういった年齢給的な要素を少なくし、もっと職務給的な要素を多くするといったような企業も昨今出てきているというような実態にございますことから、私どもとしては、時代の変化に応じてそういった年齢給的なものの要素がだんだん少なくなってきているということはあるんではないかと思いますし、そういったことによってその面から来る男女の賃金格差というのは少なくなってくることは十分に考えられるわけでございます。
 しかしながら、いずれにいたしましても基本はやはり雇用機会の均等が確保されるということが非常に重要だというふうに考えておりまして、そういう面から私どもは雇用機会均等法等に基づきまして指導もいたしているわけでございます。
 今おっしゃいました賃金体系そのものについて行政が具体的なことを申し上げる、指導するということはなかなか難しい点もございますので、それについての具体的なことはなかなか申し上げられませんけれども、今言った周辺的な環境条件の整備、それから長く働き続けたいというふうに思う女性の方が子育てその他の家庭責任との両立から働き続けることが難しいということになってまいりますと勤続年数が短くなるといったようなことも出てまいりますので、働く意欲、能力を持ってずっと働き続けたいと思う方が働き続けられるような環境整備というのもあわせて必要だというふうに考えているところでございます。
#17
○大脇雅子君 私が指摘したかったのは、年功賃金制度というものが、今時代の中でいわゆる年功重視型から職務職能重視へと変わりつつあるということの認識が労働省としてはあるかということを確認したかったわけであります。
 この場合、パートタイム労働者も九〇%が女性が占めておりましたところから、現在は高齢者とか学生などのパートタイム労働者が多くなりまして女性比率は七〇%になっております。しかし、この七〇%比率の中で同一職場の男女のパートタイム労働者の間で賃金その他の労働条件に格差があるという状況が生まれているということを私は二、三事例を知っていますので、この場合パートタイム労働者についてもこの百号条約というものは当然適用されるんでございましょうね。
#18
○政府委員(松原亘子君) この百号条約は、労働者の種類を問わず適用されるものでございますが、先ほど申し上げましたように男女同一労働同一賃金の原則、百号条約でいいますこれは男女で差のない賃金率の設定ということでございまして、男女という性別以外の要素によって決まる賃金率の差というのは差別ではない、差別とみなさないということもまた条約上規定をされております。
 したがいまして、例えば職務の内容ですとか責任の度合い等々考慮いたしまして、にもかかわらず全く同一であるというふうに判断される場合には、この百号条約というのは当然適用はされてきますけれども、そうでなく職務の内容その他が違ってくればまた違ってくるということも条約上は許容されているわけでございます。
#19
○大脇雅子君 パートタイム労働法の制定に当たりまして、日本政府のスタンスを決める場合に、現在ILOの総会でことしはパートタイム労働の条約と勧告をめぐっての議論が始められております。そのとき、パートタイム労働者のいわば権利性と労働市場の政策的側面の双方からさまざまな議論が展開されておると聞いておりますが、まさに国際的には公正を実現するということがいわば立法原則になっていると思うわけです。
 ILOの政府の報告書によりますと、いわゆる条約をつくれというのが回答諸国のうち三カ国、それから勧告だけでいいというのが六十四カ国中二十二、そして勧告によって補足される条約を制定すべきであるというのが六十四カ国のうちの三十七カ国、したがって四十カ国が、勧告に補足されるか否かという違いはあっても、条約の制定というものを望んでいるというのが国際的な内容であります。
 しかし、我が国は条約を制定するということは不要であって、勧告のみでよいという回答を出しておられます。とりわけ、政府の回答書を見ますと、いわば条約の一律適用には反対であって、国内法の範囲内で弾力的な対応ができるような文書の形式にすべきだという回答を出しておられますが、私どもはその観点に非常に不満を表明させていただきたいと思うわけです。
 とりわけ、質問を去年の十月にいたしまして、その第六の質問の中で日本政府はこのように答えているわけです。「パートタイム労働者の労働条件及び雇用条件を改善すること。」を規定すべきかという質問に対して、「フルタイム労働がパートタイム労働より不利にならないよう配慮すべきである。」と、こういう回答をしておられるわけです。質問は「パートタイム労働者の労働条件及び雇用条件を改善すること。」を規定すべきかという質問なのに対し、まさに真正面からこれを避けたような回答になっているんですが、条約あるいは勧告という手法はいずれにせよ、この「パートタイム労働者の労働条件及び雇用条件を改善すること。」を規定すべき何らかの国際文書の策定には基本的には賛成なさるんでしょうね。
#20
○政府委員(松原亘子君) ILOで現在パートタイム労働についての国際文書を採択するということを目指して議論が行われておりますけれども、私どもといたしましてもパートタイム労働についての何らかの国際文書を採択するということはパートタイム労働者の労働条件の改善を図る上で有意義であるというふうに考えておりまして、基本的には文書の採択自体は結構なことだというふうに思っているところでございます。
 しかしながら、我が国においてもパートタイム労働者というのは非常に多様であるということでございます。まして、国際的に見てみますとパートタイム労働者の現状、これに対する認識、そういったことについては非常に大きな差がございます。そういう中で、一律に国際的に強制をするといったような条約というよりは、むしろ各加盟国がそれぞれの国の多様な実態に応じたパートタイム労働者の労働条件改善策が講じられるように、いわばそのためのガイドラインといいますか目標となるようなものをつくってもらうのが一番いいのではないか。そのためには、文書の形式は勧告がいいというふうに申し上げているわけでございまして、そういう勧告が採択されることによって、それを指針として各国政府がパートタイム労働対策を進めることができるということを基本といたしているわけでございます。
#21
○大脇雅子君 しかし、この条約策定に向けての国際的なコンセンサスというものをILOで議題にのせられたいわばその基礎にある認識というのは、パートタイム労働者の待遇が通常労働者の待遇と比較して不利である分野があるということ、そして国内法や慣行の特殊性の中で保護と促進に対する困難を各国が克服していかなければならないということが共通認識になっていると思いますが、我が国ではこの国際的な認識を共有されるのかどうか確認させていただきたいと思います。
#22
○政府委員(松原亘子君) 先生おっしゃいますように、国際的には特にヨーロッパ諸国などから出てきた発想といたしましては、非常に失業率が高いということから、いわばワークシェアリング的発想でむしろパートタイムという雇用形態を推進すべきではないかというところが基本的なところとしてあったかと思います。
 ただ、おっしゃいますようにパートタイム労働がすべて問題がないのかというと、必ずしもそうではないという面もありますことから、パートタイム雇用というものを一方で促進するということ、しかしながらそれが不合理な不利を伴うものであってはいけないということから、その両方の認識のもとに今回この国際文書がつくられようとしているわけでございます。
 それは、国際的に見てそういったものがつくられるということは我が国としても理解はできるところでございますけれども、こういった国際的な動向とちょっと違いますのは、我が国におきましては失業率が高くワークシェアリング、つまりパートタイム労働をつくるということでワークシェアリングをやっていかなければいけないといったような認識がパートタイム労働対策の前提にあるということとは、ちょっと国際的な面においてそこの点は違うのではないかと思いますけれども、パートタイム労働者の方々がその能力を十分に発揮できるような環境をつくっていかなければいけないという点においては私どもも同じ認識でございます。
#23
○大脇雅子君 少し差があると思うんですが、私が国際的なコンセンサスと申しましたのは、パートタイム労働者の待遇が通常労働者の待遇と比較して不利である分野が存在するという点についての認識はいかがでしょうか。
#24
○政府委員(松原亘子君) すべての国についての状況ということではございませんが、今回この国際文書をつくろうというふうになりました背景には、今先生が御指摘のようなパートタイム労働にはフルタイム労働に比べて不利な点があるという認識があるというふうに考えております。
#25
○大脇雅子君 この新しく今回審議されております法案につきましては、日本政府はこのILO条約が制定されることを見越して、各国の実情の違いを強調していわばそのILO条約ができる前に差別を固定化する立法を急いでいるのではないかというさまざまな批判が寄せられているわけです。
 そこで、労働大臣に伺いたいのですが、労働大臣は短時間労働者対策基本方針というものをお決めになる責任をお持ちなんですが、今私が申し上げました国際的認識を共有して、基本的な方針を定めていただけるのかどうかということをお尋ねいたしたいと思います。
#26
○政府委員(松原亘子君) 今回、私どもが提出させていただきましたこの法律案の第一条で「目的」が書いてございますけれども、この法律は、短時間労働者が我が国の経済社会において非常に重要な役割を現在果たしている、また将来とも果たすということが見込まれているわけでございますが、そういう認識のもとに、短時間労働者について、その雇用管理の改善等に関する措置、具体的な内容は適正な労働条件の確保及び教育訓練の実施、福利厚生の充実その他の雇用管理の改善ということでございますが、その改善に関する措置、職業能力の開発及び向上等に関する措置、こういった方策を講ずることによりまして、短時間労働者がその有する能力を有効に発揮することができるようにする、そして福祉の増進を図る、こういうことを目的にいたしているわけでございます。
 それを受けまして、労働大臣が短時間労働者対策基本方針というものを定めるわけでございますけれども、当然のことながら今申し上げましたような法律の目的に照らして、短時間労働者の我が国社会に占める重要性を踏まえ、その能力が有効に発揮されるような環境条件を整備するという観点から定めていくというものでございます。
#27
○大脇雅子君 法案は、もう趣旨説明をいただいておりますので了承しております。
 労働大臣に私はお尋ねをいたしたわけです。こういった国際認識を起点にして基本的ないわゆる対策基本方針をお決めいただけるかどうかと労働大臣にお尋ねをさせていただいているのでございます。
#28
○国務大臣(村上正邦君) もちろんでございます。
#29
○大脇雅子君 それでは、法案の内容に入らせていただきますが、今回の法案につきましては、第二条におきまして「「短時間労働者」とは、一週間の所定労働時間が同一の事業所に雇用される通常の労働者の一週間の所定労働時間に比し短い労働者をいう。」というふうに定義されておりますし。かし、先ほどお尋ねいたしましたように約二〇%近い週三十五時間以上働く労働者がいまして、いわゆるフルタイム労働者と同じあるいはそれ以上長い時間働くパートタイム労働者、いわゆる疑似パートと言われておりますものがここの条文の対象からは外れているわけです。
 前の労働指針によりますと、いわゆる疑似パートに関しましては、「通常の労働者と区別して取り扱われている者については、通常の労働者としてふさわしい処遇をする」というふうに規定してあったわけですが、いわばこのふさわしい処遇という点に関して今までどのような指導を行ってこられたのか、お尋ねいたしたいと思います。
#30
○政府委員(松原亘子君) 現行のパートタイム労働指針の一番最後に、「所定労働時間が通常の労働者とほとんど同じ労働者の取扱い」というのが書いてございます。ここでは、こういう労働者のうち「通常の労働者と同様の就業の実態にあるにもかかわらず、処遇又は労働条件等について通常の労働者と区別して取り扱われている者については、通常の労働者としてふさわしい処遇をするように努めるものとする。」ということを書いているわけでございます。
 この条項につきましては、私どもこれはパートタイム労働指針の一部でございますので、全般的なパートタイム労働指針の周知啓発活動の中におきましてこの条項も含めて事業主に広く周知されるようにという指導をやってきているところでございます。
#31
○大脇雅子君 そうしますと、個別具体的な指導はされたことはないということで伺ってよろしいのでしょうか。
#32
○政府委員(松原亘子君) 個別具体的とおっしゃいますが、例えばどこかの企業のだれそれさんについてといったようなことだとすれば、そういったことにつきましては私ども指導を行った例は承知しておりません。
#33
○大脇雅子君 そうしますと、この法律の対象から除外された疑似パートの労働条件と待遇の適正化はどのような形で実現されるのでしょうか。
 とりわけ、我が国のパートタイム労働の特徴としては、疑似パートタイム労働者の存在が最も根深く、いわゆる職場のアパルトヘイトと言われているような状況で、四半世紀あるいはやがて半世紀を超えて差別が継続しようという状況においてどのような対策を立てられるのか、伺いたいと思います。
#34
○政府委員(松原亘子君) 疑似パートという言葉自体が非常にいろいろに使われるものですから、ちょっと誤解を呼ぶ面もありますので、その言葉を使わずに御説明させていただきますと、現在のパートタイム労働指針におきますパートタイム労働者の意義という、パートタイム労働者をどういうふうに認識してこの労働指針を定着させようとしているかというところでございますが、そこにおきましては、「パートタイム労働者とは、一日、一週間又は一箇月の所定労働時間が当該事業場において同種の業務に従事する通常の労働者の所定労働時間に比し相当程度短い労働者」ということで、労働時間が単に短いだけじゃなくて相当程度短い人をパートタイム労働指針におけるパートタイム労働者というふうに認識しているわけでございます。
 そういたしますと、通常の労働者よりは労働時間が短いけれども、その労働時間が相当程度短いというほど短くないといいますか、相当程度ほど短くないぐらい、短いけれども相当程度まで短いとは言えない短さである労働者という方は、このパートタイム労働指針の今の意義に照らしますと入ってこないということになるわけです。
 しかしながら、こういった労働者の方々の中にもいろいろな問題があるということで、先ほどちょっと読み上げさせていただきましたけれども、このパートタイム労働指針の最後に、「この指針は、当分の間、所定労働時間が通常の労働者とほとんど同じ労働についても適用する」、こういうふうになっているわけでございます。
 そういうことで、私ども今回のこの法案は「定義」のところを先ほど先生に見ていただきましたけれども、「一週間の所定労働時間が同一の事業所に雇用される通常の労働者の一週間の所定労働時間に比し短い」と、ここは「短い」ということだけを書いてございまして、相当程度短い人たちに限定しているわけではないわけでございます。つまり、相当程度短い人も当然入るわけですけれども、指針の一番最後にございます所定労働時間が通常の労働者とほとんど同じ労働者についても、その所定労働時間が短い者である限りは今回の法案の対象に入ってくるということでございます。
 したがいまして、先生が疑似パートというのを三十五時間以上で通常の労働者とほとんど労働時間が変わらない人というふうにおっしゃいますれば、そのかなり長い人たち、所定労働時間が三十五時間を超えて長くいるけれども通常の労働者よりは短いという人たちもこの法律案の対象に入ってくるということでございます。
#35
○大脇雅子君 じゃ、もう少し厳格に概念規定いたしますと、フルタイムと同じかあるいはそれ以上働くパートタイム労働者と呼ばれる労働者、この人たちの対策を私はお伺いしているわけです。
 これまでは、指針の第四というところで今局長が言われたようないわゆる疑似パートですね、相当程度短いとは言えないパートタイム労働者というものは規制されてきたわけですが、フルタイムと同じまたはそれ以上働くパートタイム労働者と呼ばれる労働者というものの規制はどうなさるかというふうにお尋ねしているわけです。
#36
○政府委員(松原亘子君) 通常の労働者と労働時間が全く同じまたはそれ以上であるという方につきましては、今回の法律案の対象にはなっておりません。
 これにつきまして、私どもいわゆるパートタイム労働者に係る問題というよりは、いわば非正規従業員といいますか、非正社員全体の問題ではないか。これをパートタイム労働問題と一緒に論じていくということはかえってパートタイム労働問題の問題の所在といいますか、そういったものがあいまいになるおそれがあるということで、今回の法律案の適用対象にはいたしていないわけでございます。
 もちろん、そうは言いましてもそういった方々に対して何かする必要があるのかどうかということになってまいりますけれども、それは必要に応じまして対策を検討するということになってこようかと思います。例えば、労働契約法制に係る問題につきましては、先ごろ労働基準法研究会から報告が出されましたけれども、そういった問題につきましては、その報告を踏まえ今後検討していくということになってくるかと思います。
#37
○大脇雅子君 私は、抽象的なことをお尋ねしているわけではなくて、フルタイムと同じないしはそれ以上働いているパートタイム労働者は通常の労働者であるというのなら、現在放置されている差別あるいはそのふさわしくない処遇というものに対してどういう具体的な手を打たれるつもりか。この問題に明確な方向を示さないで、先送りして今回の法案を提出され施行されたとしても、短時間労働者の改善はできないと思うからお聞きしているのでございます。
#38
○政府委員(松原亘子君) 先生の御指摘された労働者の方々に私ども全く問題がないとか、政策は必要ないということを申し上げているわけではなくて、それは今後いろんな点において調査なども進めて必要になってくるということになりましたら、先ほど例えばと申し上げましたように労働契約法制について取り上げましたように個別に対応していくということはあろうかと思います。
 それと、パートタイム労働問題というのが同一というふうに議論するのは私どもは適当ではないんではないかということで、パートタイム労働者に対する対策というのはやはりあくまでも労働時間が短いということに着目した対策に限定すべきだということから、今回この法案を出させていただいたわけでございます。
#39
○大脇雅子君 パートタイム労働問題研究会の座長の高梨議長は、本来は二つのロケットを飛ばすべきであったと。一つは短時間労働者、一つは通常の労働者と同じフルタイム働くパートタイム労働者の改善、しかし非常に急がれたので、一つのロケットは発射せずに終わったということをある座談会で私は聞いているわけです。
 その対策については、ただ単なる契約法制で直すということだけでは足らないというふうに思いますが、パートタイム労働指針の第四に書かれた指針は残されるのかどうか、具体的にお尋ねいたします。
#40
○政府委員(松原亘子君) 先ほど、ちょっと言葉足らずで恐縮でございましたけれども、この最後の第四に書いてございますところにつきましては、私どもこの法律が成立いたしました後に定めます指針におきまして、引き続いてこれは踏襲して定めたいというふうに考えているところでございます。
#41
○大脇雅子君 労働大臣にお尋ねいたします。
 指針を制定されるのは労働大臣ですけれども、このパートタイム労働指針第四というのは、きっちりと中央労働審議会の審議のときに残されますかどうか、お尋ねしたいと思います。
#42
○国務大臣(村上正邦君) 一応審議会に諮り、残す方向でいきたい、こう思っております。
#43
○大脇雅子君 労働基準監督行政で通常の労働者として扱うという、その方向に沿ってどのような監督を行われるのか、お伺いしたいと思います。
#44
○政府委員(征矢紀臣君) 労働基準行政におきましては、これは労働基準監督官等が労働基準法、その他の労働者保護のための法規について厳正に監督指導をしてまいるわけでございます。この点につきましては、これは当然労働者を対象といたしているわけでございまして、したがってパート労働者も当然含まれ、労働者一般につきまして関係法規に基づく監督指導を実施いたしているわけでございます。
 今後とも、そういう観点から実施したいと思います。
#45
○大脇雅子君 どうぞ、しっかり労働基準監督署といたしましては監督をしていただきたいと思うわけであります。
 法案の問題として、パート労働者の定義をめぐってさまざまな議論が展開されております。今回は一週間当たりの労働者ということで、所定労働時間が短いというふうに規定されております。パートタイム労働指針では、一ないし二割、いわば相当程度短い者という形で規定されていたわけですが、この規定を変えたことによって基本的差異があるのかないのか。とりわけ、現場の危惧は、このようにパートタイム労働者を相当程度短いというのではなくて、所定労働時間が通常労働者よりも短いということになると、五分とか十分とか、あるいは三十分とか一時間という違いでパートとして取り扱われて、いわば契約形態の違いで差別を固定化するのではないかという批判が行われておりますが、この点について労働省の御見解はいかがでしょう。簡単にお答えいただきたいと思います。
#46
○政府委員(松原亘子君) 私ども、パートタイム労働者のとらえ方を通常の労働者に比べて短いというふうに、相当程度短いのではなくて短い、単に短いというふうにいたしましたのは、やはり所定労働時間が通常の労働者よりも多少を問わず短いということになりますと、それによって異なった雇用管理が行われているということからそういうふうにいたしたわけでございます。
 つまりパートタイム労働者の問題というのはそういったところから生じているというふうに認識をいたしまして、相当程度短いということではなく、単に短いということにいたしたわけでございます。したがいまして、パートタイム労働指針とこれを比べていただきますと、短いけれども相当程度短いのではない、それよりは長い人たちも今回の法律案には入ってくるということでございます。そういう方々につきましても、先ほど指針の最後に書いてございますけれども、そういった対策が必要であるというふうに考えまして、むしろそういった方々への対策を十分にするという観点から、今回の法律案におきましては全体を入れたということでございます。
 したがいまして、そういうふうな方々が、もちろんこれまで相当程度短い人とそうじゃない方々につきましてはこのパートタイム労働指針の中でも書き方が違っておりますように、私どもとしても現在ある指針を踏まえて今後とも指導いたしたい、指針についてもそういったことを明らかにしたいというふうに思っておりますので、先生御指摘のように例えば三十分短かった方々がこれまではパートタイム労働者でなかったのに、今回の法律において初めてパートタイム労働者になってしまうとか固定化するということにはならないのではないかというふうに思っております。
#47
○大脇雅子君 そうしますと、一日と一カ月といういわば算定基準が抜けることによって不利益を受ける労働者は出てこないのでしょうか。例えば、日雇い労働者、一カ月あるいは一週間または隔週で過当なりフルタイム労働者と同じ時間働く労働者の取り扱いは抜けることになるのではないかと思うのですが、そうではないんでしょうか。
#48
○政府委員(松原亘子君) 今回の定義におきましては一日と一カ月というものがなくなり、一週間だけになったわけでございます。しかしながら、これは私ども労働省の他の法令用語で一週間単位としているものがほとんどであるといったようなことからこうしたわけでございまして、一日、一カ月がなくなったからといって、これまでの対策の範囲であった方々がなくなってくるといったようなことはないものでございます。
#49
○大脇雅子君 そうしますと、例えばファーストフードの店などでは店長だけが正社員、そしてすべての業務がパートという場合には、通常労働者の所定労働時間というのはどこと比較するんですか。これは改めて指針で決めていただかないといけないんでしょうか。
#50
○政府委員(征矢紀臣君) ある事業所におる通常の労働者がだれかという点でございますが、ただいま御指摘の先生の例でいきますと、店長が通常の労働者ということになりますからそれと比較することになります。
#51
○大脇雅子君 衆議院から送られてまいりました修正によりますと、第三条の「事業主等の責務」のところで、「その就業の実態、通常の労働者との均衡等を考慮して、適正な労働条件の確保及び教育訓練の実施、福利厚生の充実その他の雇用管理の改善を図る」という責務が規定されたわけですけれども、この均衡という概念をめぐりましては、パートタイム労働指針にいわば賃金、賞与、退職金に関しましてはこの均衡を配慮してという言葉がもう既にあるわけですけれども、パートタイム労働指針におけるこの均衡の概念はいかなる概念として使用されたのでしょうか。
#52
○政府委員(松原亘子君) 御指摘のように、現在のパートタイム労働指針の中には、「パートタイム労働者の賃金、賞与及び退職金については、労使において、その就業の実態、通常の労働者との均衡等を考慮して定めるように努めるものとする。」ことというふうに書いてございます。
 この場合の均衡でございますけれども、パートタイム労働者と通常の労働者といいますと、労働時間が短いということではございますけれども、それだけではなく、それに伴いまして職務の内容ですとか、責任の度合いですとか、どの程度の仕事に配置転換が可能であるかといったようなこと、各種の要素といったことが違ってくるわけでございます。つまり、量的な違いだけではなく、それによった質的な違いというのも出てくるのが一般でございます。そういうことから、この均衡というのは、そういった状況も考慮に入れた上でのつり合いがとれたものであるようにということでございます。
#53
○大脇雅子君 そういたしますと、均衡という言葉が法律上どこでどのように使われているのかということをいろいろ見てみたわけです。
 例えば、地方公務員災害補償法六十九条二項などによりますと、非常勤の地方公務員の職員の補償制度というのは、例えば正規の公務員のそういった制度と均衡を保つようにとか、あるいは雇用対策法の目的あるいは九条に対しまして労働力の需給が質量両面にわたり均衡することを促進するとか、あるいは雇用保険法などによりますと、基本手当の日額の自動的な変更は均衡を失しないようにするとか、これらの法の精神を見てみますと、でき得る限り等しいものにする、幅があるとしても均等に近づけていくというような解釈がされるのではないかと思われるわけです。
 あるいはまた、労働保険の保険料の徴収等に関する法律の十二条二項などによりますと、労災の保険率というのは事業の財政と均衡を持たなければいけないとか、あるいはこういった法律は厚生年金法、国民年金法にもあるわけです。こういう財政的均衡の問題を見てみますと、均等、等しいということを支点といたしましてプラスもあればマイナスもあるというふうに解釈していけるのではないかというふうに解釈されるわけです。
 この均衡の概念というものについては、確かにさまざまな量的、質的な違いはありますけれども、量的、質的な違いというものが限りなく接近していた場合には、いわば労働時間に比例して等しい処遇をするというような考え方もこの概念の中に入ってくるのではないかというふうに考えられますが、いかがでしょうか。
#54
○政府委員(松原亘子君) 先ほどちょっと御紹介させていただきましたパートタイム労働指針に、「その就業の実態、通常の労働者との均衡等を考慮して」というふうに書いてございます。ということは、つまり質的な面、そういったことも考慮してバランスがとれたものであるように、つり合いがとれたものであるようにということでございまして、量質両方考慮した上での均衡ということになってくるというのは先生御指摘のとおりでございます。
#55
○大脇雅子君 そういたしますと、例えば労基法のパートタイム労働者に対する有給休暇の規定というものは、やっぱり均衡を考慮して定められたものというふうに理解してよろしいでしょうか。
#56
○政府委員(松原亘子君) おっしゃるとおりでございます。
#57
○大脇雅子君 それから、先ほど私が提起いたしましたILOのパートタイム労働の状況報告書の質問の八というところに、ILOはこのような質問をしているわけです。「条約は、パートタイム労働者の報酬比率が、労働時間が短いことに基づく差別なしに決定されるべきである」。これに対する日本政府の答弁は、「賃金に関する決定は、労使に委ねるべきものである。」。なお、我が国においてはパートタイム労働指針で、「パートタイム労働者の賃金、賞与及び退職金については、労使において、その就労実態、通常の労働者との均衡等を考慮して定めるように努めるものとする。」という規定がありますと、こういう政府答弁をしていらっしゃる。
 そうしますと、「条約は、パートタイム労働者の報酬比率が、労働時間が短いことに基づく差別なしに決定されるべきである」という、そういう原則に対しては、さきのパートタイム労働指針のこの均衡概念というものがここに該当してくるというふうに政府答弁から推察できると思うのですが、いかがでしょうか。そういう解釈でよろしいでしょうか。
#58
○政府委員(松原亘子君) ILOの質問が具体的にどういう趣旨でされているかというところまでの厳密な意味はわからないのでございますけれども、この「パートタイム労働者の報酬比率が、労働時間が短いことに基づく差別なしに」という文言からいたしますと、労働時間が短いということだけじゃなく、それ以外の例えば質的と申し上げましたけれども就業の実態、そういったことに基づいて出てくる差ということまでは否定をしていないというふうに私どもは読むわけでございます。
 そういうことからすれば、そういう意味であればという前提でございますけれども、パートタイム労働指針の趣旨も先ほど申し上げたようなことでございますので、相反するといったようなことではないとは思います。
#59
○大脇雅子君 先ほど、私は均等をてこの支点といたしましてプラスもあればマイナスもあるバランシスというような法的な解釈のことを言ったわけですけれども、例えば通常労働者であった者がパートに移行をして、同じ場所、同じ責任、同じ職務でただ時間のみが短いといった場合に、やはりそれは同じように均等に取り扱われるのが基本的な原則であると思うんです。
 これを不合理な差別と言うか言わないかというのはまた議論のあるところではあるかと思いますが、著しく不合理な差別的な取り扱いをした場合は、これは均衡に反すると解釈してもよろしいのではないかと思うんですが、いかがでしょうか。
#60
○政府委員(松原亘子君) 具体的な取り扱いに即しまして判断をいたしませんとなかなかお答えするのは難しいわけでございまして、抽象的に申し上げるとさまざまな誤解のもとにもなってはというふうには思いますけれども、著しく不合理な差、先ほど申し上げましたような就業の実態、通常の労働者との均衡等を考慮してもなお著しくそれを失しているというふうに言わざるを得ないような問題につきましては、私どもはこれは現行の指針に照らしても問題であるというふうに考えているところでございます。
#61
○大脇雅子君 そうしますと、労働大臣にお尋ねをいたしたいのですが、この事業者の責務というものを前提といたしまして、事業主が講ずべき雇用管理の改善等のためにいわば指針を策定されるわけですが、この均衡の概念というものについては、まあ均等も含むやわらかい、いわば幅のある、そういった均衡概念というふうに理解して指針等をおつくりいただけるでしょうか。どうでしょうか。
#62
○政府委員(松原亘子君) 言葉はなかなか難しいものですから何とも申し上げられない点もございますが、均衡といいますのは質が違う。先ほど先生が御紹介されたものも、前提条件が異なるものについての比較で、つり合いがとれているかバランスがとれているかということで御紹介があったんだというふうに思いますけれども、そういう質的な差異を考慮して、つまり前提条件が違うということを含めて考えて、そしてなるべく同じような形で、トータルな意味では同じような形になるようにということではないかというふうに認識はいたしております。
 私ども、今回衆議院の方で修正がなされまして、文言が事業主の責務のところに入りましたけれども、そういうことを十分踏まえて今後指針を定めるときに考えたいというふうに思っているわけでございます。
#63
○国務大臣(村上正邦君) 逃げるわけにいきませんから一応お答えいたしますが、これは衆議院から随分と均等、均衡、議論をされたところでありまして、今松原局長が言ったような概念でひとつ御理解を賜っておきたい、このように思う次第であります。
#64
○大脇雅子君 それでは、今回の法案にはパートタイム労働者が期間を定めた労働者であるという一般的な傾向を踏まえた措置というものがございません。
 さまざまなアンケート調査によりますと、パートタイム労働者は何回かの契約期間を反復更新いたしまして、正社員並みに長期に勤続をする、にもかかわらず一方的に突然解雇あるいは雇いどめをされてしまうという、景気の調節弁として使われることに対する雇用不安ということがかなりの不満、一番は賃金ですが、雇用の不安ということが第二位の不平不満になっているわけです。今回は、こういったものに対する何らかの規制がないわけですけれども、こういったものに対しまして雇用期間を例えば有期にする場合には季節的なもの、あるいは業務の臨時的なもの、そういったものに限定していくという抜本的な政策をとらなければならないと思うのですが、そういったことについての施策はいかがでございますか。
#65
○政府委員(征矢紀臣君) 現在のパートタイム労働指針におきましては、「期間の定めのある労働契約の更新により一年を超えて引き続き使用するに至ったパートタイム労働者について、労働契約の期間を定める場合には、当該期間を一年を超えない範囲内でできるだけ長くするように努めるもの」とされております。また、「期間の定めのある労働契約の更新により一年を超えて引き続きパートタイム労働者を使用するに至った場合であって当該労働契約を更新しないときは、少なくとも三十日前に更新しない旨を予告するように努めるものとする。」とされておりまして、労働省といたしましてはこの指針の周知を図り、労使のお取り組みを促しているところでございます。
 なお、新しい法律に基づく指針におきましても、この従来の指針を踏まえまして関係審議会に諮る予定でございます。
 次に、労働基準法研究会の報告におきましては、労働契約の期間の問題につきまして、これは契約の期間の問題となりますと、パートタイム労働者のみならず、先ほど来御指摘のございます疑似パートの方、あるいは期間雇用者、臨時雇用者、こういう労働者の方々すべての対象になる問題でございますけれども、この問題につきまして、研究会報告におきまして、
  労働契約の期間に関しては短期の労働契約を更新する形態が見られるが、雇入れ時に事業の将来の見通しが不確定である場合や労働者の側が長期勤続を予定しない場合等短期の労働契約を更新していく形態をとることが特に必要な場合も当然あると考えられ、そのこと自体について労働契約の観点から規制を行うことは適切ではない。しかしながら、長期間の雇用を予定しているにもかかわらず有期の労働契約を締結しこれを繰り返し更新する場合、短い期間を安易に設定する場合等当初の労働契約の期間の設定に問題のあるものもみられ、これらについては、労働契約の締結に際し合理的に期間設定がなされることが望ましい。とされております。
また、いわゆる雇いどめの問題につきまして、
  有期の労働契約の終了に関しては、解釈上有期の労働契約を更新することにより実態上期間の定めのない労働契約と評価される場合には解雇予告が必要とされている。しかし、更新回数、更新の態様等がいかなる場合に解雇予告が必要となるかについては明確でない。そこで、有期の労働契約を更新した場合であって、当該更新した労働契約の終了により、引き続き労働契約を締結しないこととするときは、解雇予告の場合と同様の予告等を行うこととすることが適当である。
とされているところでございます。
 私どもといたしましては、労働基準法研究会のこのような考え方を踏まえまして、今後中央労働基準審議会の意見を聞きながら検討を行ってまいりたいと考えておるところでございます。
#66
○大脇雅子君 確かに、有期契約の問題というのは、臨時工とか季節工と同じ次元でとらえられると思うんですが、パートタイム労働者の場合は、恒常的な業務が存続するにもかかわらず、その理由なく有期の雇用であるという点が特徴的なものであります。
 国際的には、フランス、西ドイツと御存じと思いますが、何らかの形で期間雇用契約が制限されているという傾向にあるわけです。判例も通常労働者に対しましては、いわば正当な理由のない限り解雇は解雇権の乱用というようなことで雇用の安定が図られているわけですけれども、何らかの形でパートタイム労働者などに対する有期の期間雇用を制限する立法ということのお考えはないのでしょうか。
#67
○政府委員(征矢紀臣君) 先ほど申し上げたとおりでございまして、ただいま御指摘のようなパートタイム労働者の状況等も踏まえて、この指針におきましては、先ほど申し上げたような期間の定めのある場合の労働契約についての定めをいたしているわけでございますが、今後の法律につきましても、制定されました後指針を策定する際にはこの考え方を引き継いでまいりたいというふうに考えているところでございます。
 ただ、労働基準法ベースでの罰則を背景とした法規を検討するに当たりましては先ほど申し上げましたようなことでございまして、これは研究会報告に基づき、中央労働基準審議会の御意見も聞きながら今後検討してまいりたいというふうに考えております。
#68
○大脇雅子君 そうすると、罰則を含む労働時間法制の中では、確かにそういった雇用の制限あるいは有期の雇用の制限ということはできないという御趣旨で、それはわかりますけれども、そうではなくて一般的な形のガイドラインとか、あるいは罰則を伴わないいわば雇用調整法あるいは解雇制限法のような立法は考えられませんか。
#69
○政府委員(征矢紀臣君) そういう考え方もあり得ると思いますけれども、私ども現実に取り組む場合、なかなか社会的なコンセンサスの得られない課題の一つでございます。
 そういうこともございまして、今回の短時間労働者の雇用改善等に関する法律につきましては、この労働大臣の定める指針におきまして、従来の指針を引き継ぎ、繰り返しになりますけれども、期間の定めのある労働契約の更新により一年を超えて引き続き使用するに至ったパートタイム労働者につきまして、この期間を一年を超えない範囲内、これは現在基準法で一年を超えてはならないというふうに定められておりますので、その範囲内でできるだけ長く期間を定めるようにするとか、あるいは契約更新によって一年を超えて引き続きパートタイム労働者を使用するに至った場合であってその契約を更新しないときは、少なくとも三十日前に更新しない旨を予告するよう努めるものとするというような考え方で対処いたしておるところでございます。
#70
○大脇雅子君 それでは、この法律の実効措置についてお尋ねをいたしたいのですが、今度「助言、指導」に加えまして「勧告」という修正がなされたわけですが、その際報告を徴収するという形になっておりますが、この報告義務はどのようにどこで徴収されることになりますか。
#71
○政府委員(松原亘子君) この法律が成立しました後に、先生が御指摘の点は労働大臣の「指導」ということで書かれているわけでございますが、労働行政の関係機関、労働基準監督機関、婦人少年行政機関それから職業安定行政機関とさまざまあるわけでございます。そういう機関のうち、具体的にどこがどう対応していくかということは事項によって具体化しなければいけないんではないかというふうに思っております。
 いずれにいたしましても、例えばパートタイム労働者の方から指針に照らしていろいろ問題があるといったような御相談があるとかその他いろんなことを契機といたしまして、労働大臣が助言、指導、勧告等が必要であるというふうに判断いたしましたときには、そういった前提としての報告を求めたり調査をしたりといったことが必要になってくるわけでございますので、事項に応じまして適切な機関が対応していくということになってくるわけでございます。
#72
○大脇雅子君 今回、この法案で短時間労働援助センターが設立されるわけですが、これは民間に委託されるわけです。このことをめぐりまして、事業主の指導業務をそういうところにゆだねることは国の責務を放棄することではないかという批判があると思います。したがいまして、本法のいわば最も基本的な実効を担保される機関というのは一体どこになるのでしょうか。
#73
○政府委員(松原亘子君) この法律におきまして短時間労働援助センターを設置するということにいたしておりますけれども、これが設置をされたということがありましても、既存の行政機関が現在の任務またこの法律によって与えられる任務を本来の目的に従って遂行するというのは当然のことでございます。
 この短時間労働援助センターというのは、指導するところというよりはむしろ事業主や短時間労働者の方々のさまざまな諸問題に対して相談に応じたり援助をするということで、むしろバックアップの機関でございまして、行政指導はあくまでも行政機関がやるものでございます。したがいまして、これができることによって行政責任が民間の法人に移るんではないかといったことは全くないものでございます。
 ただ、労働大臣の先ほどの助言、指導、勧告、報告の徴収ということにつきまして、具体的な事項、指針にいろいろ書かれる事項、それから法律にそのまま書かれている事項いろいろございますけれども、それぞれの事項をどこが担当するかということにつきましては、法律が成立しました後、私ども内部で検討しまして最も適切な機関が対応するということにいたしたいというふうに思っております。
#74
○大脇雅子君 パートタイム労働者は、労働者として労働基準法その他の関係法令というのはまず基本的に適用されるという原則を踏まえますと、やはり労働基準監督署が中心となってその他の行政機関がそれに協力体制をしいていくということを抜いては法の実効性は上がらないというふうに私は考えるわけです。
 現在でも、パートタイム労働者に対しましては職業紹介のところでパートバンクだとかパートサテライトなどがありまして、パートタイム労働者の立場からすると窓口が多過ぎてかえってどこへ行っていいかわからないというような声が現場でありますので、その監督と相談業務というものは截然と分けられまして、そしてなおかついわば協力関係をしっかりと整理されまして監督の実が上がるようにしていただきたい。まさに、新しい法律ができても何も前進しなかったということでは、パートタイム労働者にとってはそれは本当に悲しいことであるということを踏まえて、策定をきちっとしていただくように申し上げたいと思います。
 最後に、もう時間が迫りましたが、パートタイム労働者のこうした適正な労働条件の確保だとか雇用管理の問題というものは、その背景には日本の通常労働者の長時間労働の解消ということがない限り、私は基本的には問題の解決はないというふうに考えるわけです。特に、男女の職場における性差というものは、労働時間が短縮いたしまして、通常労働者とパートタイム労働者の労働時間が相対化していく、そしてひいてはフルタイム労働者が男性、パートタイム労働者が女性という構造が変化をしてきたときに、いわば本当の男女平等の雇用の実態が少しずつ広がってくるのではないかというふうに考えるわけです。
 したがいまして、パートタイム労働者の場合、とりわけ所定外労働時間の制限ということがパートタイム労働指針にあるわけです。雇い入れ通知
 書などには、パートタイム労働者の場合、所定労働時間をある場合には書くということになっておりますが、その理由を書かせたりするというような指導というのはできないことでしょうか。
#75
○政府委員(征矢紀臣君) 現在の指針におきまして御指摘のような形での書きぶり、指針が書きぶりになっているわけでございますが、現在これは告示に基づきます指針でございまして、これの周知、啓発に努めているわけでございますが、現状におきましては個別の指導というところまではなかなか参れないわけでございます。
 法律に基づく新しい指針につきましては、現在の指針を踏まえまして関係審議会で審議をいただいて新しい指針を策定いたしたいというふうに考えておりますが、これにつきましては、先ほど来お答え申し上げておりますように新しい法律に基づく指針で必要があれば大臣が指導、助言あるいは勧告というようなことができる仕組みになるわけでございますから、そういう新しい法律に基づく指導等を実施してまいりたいと思います。
#76
○大脇雅子君 その雇い入れ通知書の交付ということが今度は本法に入ったわけですが、これはパートタイム労働指針、パート指針、どういうふうに名前が変わるかわかりませんが、今度労働大臣が定められる指針などにつきましては、この雇い入れ通知書を労働者に交付するときにその裏にこれをきちっと刷り込んで周知徹底を図って権利の擁護に努めるとか、今までの啓発というのはどうも使用者を中心に、事業主を中心に行われていたわけですが、やはり労働者一人一人に情報を手渡していくという仕事もぜひしていただきたいというふうに思いまして、御検討いただきたいと思います。
 そのほかに、いわばパートタイム労働者の就業の調整問題というものへの取り組みなど今回の研究会の報告書など出ておりますが、労働省といたしましてはこの就業調整、いわば百万円の壁あるいは百三十万円の保険料の納付義務の壁というようなものについてのいわばそれを突き崩していくことへの取り組みというものを最後にお尋ねいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
#77
○政府委員(松原亘子君) 最後の御質問でおっしゃられた百万円の壁、百三十万の壁といいますのは税制、社会保障制度の問題でございまして、具体的に私ども労働省の所管の範囲のものではございませんことから、具体的な取り組み自体を申し上げることはなかなか難しいのでございます。
 昨年末に出されましたパートタイム労働問題研究会の報告書の中におきましても、そういった百万円、百三十万円ということが設けられた背景というのは、いわば家庭の中では夫も働き妻も働きということはあっても、原則的には夫が働くもので、妻は扶養されるといったこれまでずっと社会の中にあったそういう姿といいますかそういったものを前提といたしまして、これから女性労働者が社会の中に基幹的な労働者として位置づけられるためには、そういうものでつくり上げられてきた税制ですとか社会保障制度自体もこの際新たな観点から見直すべきではないかということが指摘をされているわけでございます。
 私どもといたしましても、今後の女性の経済社会に果たす役割の重要性ということを考えますと、このパートタイム労働問題研究会の御指摘というのは極めて最もなことだというふうに思いまして、機会がありましたらこういったことを担当省庁にも伝えていく努力をいたしたいというふうに思っているところでございます。
#78
○一井淳治君 まず、ILO条約でございますが、日本は非常に未批准の条約が多いわけでございます。きょう現在、たしか日本では四十一本のILO条約を批准しておりますけれども、イギリスが八十本、フランスが百十四本、ドイツが七十本、イタリアが百二本ということで、日本は非常に大きく水があけられておるわけでございます。
 ILO条約にも、これは内容はいろいろありますから、必ずしも我が国の方が全部批准しなきゃならないというわけではないと思いますけれども、しかしそれにしても余りにも少な過ぎる。経済大国と言われ、また外国とのえらい貿易摩擦を引き起こしている国として、こんな状態ではいけないというふうに思います。
 そこで、まず外務省の方にこの未批准の条約についての基本的な考え方をお尋ねいたします。
#79
○説明員(隈丸優次君) ILO条約につきましての御質問でございますが、ILOの条約につきましては各国の政府、労働者及び使用者のさまざまな関心を反映し、種々の分野を対象としたものが採択されてきております。
 外務省といたしましては、関係省庁とともにこれらの条約の目的、内容、我が国にとっての意義等を十分検討の上、またそのときどきの国際世論及び国内のコンセンサスも勘案して批准することが適当と考えられるものについては国内法制との整合性を確保した上で批准すべきものと考えております。
 具体的には、それぞれの条約の内容をよく吟味して批准することが適当であり、かつ国内法制との関係につき問題がないとの結論が得られたものからできるだけ早く批准のための手続を進めてまいる所存でございます。
 ただいま委員が御指摘ありました我が国の批准の締結しております本数でございますが、現在までのところ四十本の批准でございます。ただいま四十一本日の条約の審議を国会でお願いいたしているということでございます。今後とも、今述べましたとおりの方針にのっとりまして、未批准の条約について検討を進めてまいりたいというふうに考えております。
#80
○一井淳治君 きょうは、北海道で大事な国際的な会議があるようでございますし、また外務委員会が開催されておりますから、責任ある立場の方の御出席がいただけないわけですけれども、それにしてもこの状態をどうしても打開していただきたいというふうに思うわけで、お帰りになりましたら、未批准の条約について積極的に批准するかどうかということについて検討を進めていただくようにお願いしたいというふうに思います。
 次に、百五十六号条約の関係でございますけれども、これは批准しないのはどういう理由があるからですか。
#81
○説明員(隈丸優次君) 第百五十六号条約でございますが、この条約は、男女労働者特に家族的責任を有する労働者の機会均等及び均等待遇に関する条約でございます。これにつきましては、その趣旨に沿った育児休業等に関する法律等が制定されるなど、我が国においても批准に向けての環境整備が進められているところでございます。
 しかし、本条約と国内法制との整合性につきましては、例えば「家族的責任のみをもって雇用の終了の妥当な理由としてはならない。」という条約の規定、第八条でございますが、これが国内法制において満たされているかどうか等の問題がございます。本条約の批准につきましては、我が国の事情等を考慮の上さらに検討してまいるということでございます。
#82
○一井淳治君 この条約に関係しては、昭和六十年の六月二十日に参議院の外務委員会におきまして、「未批准の婦人関係ILO条約を可及的速やかに批准すること。」ということが決議されておるわけです。この決議との関係で質問をさせていただきます。
 まず、言わずもがなの質問ですけれども、この参議院の委員会の決議を尊重しなくちゃいけない、これに従って行政は進めなくちゃならない、そういうお考えがあるのかどうか、その点をまずお聞きします。
#83
○説明員(隈丸優次君) 委員の御指摘の決議でございますが、これは昭和六十年六月二十日の本院での外務委員会において、「未批准の婦人関係ILO条約を可及的速やかに批准すること。」という決議がされておる次第でございます。
 これにつきましては、我が国が未批准の婦人関係ILO条約の中には女子保護規定があるため、女子差別撤廃条約の締結により批准がむしろ困難となったというものもございますが、この条約の締結後、婦人関係のもののうち二本の条約、すなわち雇用政策条約百二十二号、人的資源開発条約百四十二号を昭和六十一年に批准しているということでございます。
 今後とも、婦人関係のものも含めましてILO条約につきましては、内容をよく吟味して批准するのが適当であって、かつ国内法制との関係について問題がないという結論が得られたものからできるだけ早く批准のための手続を進めてまいるということでございます。
#84
○一井淳治君 私が質問したいのは、端的に言って、外務省は参議院の委員会の決議を尊重する気があるのかどうかという一般論をお尋ねしているんです。
#85
○説明員(隈丸優次君) 御指摘のこの決議でございますが、「未批准の婦人関係ILO条約を可及的速やかに批准すること。」という決議でございます。これは当然尊重させていただきまして、今申し上げたとおり婦人関係のものだけではございませんが、批准することが適当で、かつ国内法制との関係で問題がないというものにつきましてはできるだけ早く批准のための努力をしていくということでございます。
#86
○一井淳治君 聞かずもがなのことですけれども、当然委員会の決議は尊重していただけるということですね。
#87
○説明員(隈丸優次君) 本会議の決議は尊重させていただいて努力いた促します。
#88
○一井淳治君 そこで、未批准の婦人関係ILO条約は、この時点で何を指しておったかということは一つの問題になると思いますけれども、当時の国会の会議録等々を参考にいたしまして研究いたしますと、これは明らかにまず第一に百五十六号が念頭にあった。
 といいますのは、外務大臣みずからが次の国会までにはというふうなことも言っているわけですから、この未批准の婦人関係ILO条約という言葉の中には百五十六号が最も中心的に入っておったんだと、その点はどうでしょうか。
#89
○説明員(隈丸優次君) この決議で指摘しておりました婦人関係の条約の中に、委員御指摘の百五十六号の条約がございますが、これにつきましては国会におきます女子差別撤廃条約の審議におきまして、当時の安倍外務大臣より、国内の関係省庁とのそれぞれの調整も残っておりますけれども、できるだけ早く批准の手続をとれるようこれから力を尽くしていくわけでありまして、とりあえず次の国会にその結果を御報告申し上げたいという旨の答弁をしております。
 これを受けまして、外務省といたしましては、昭和六十年の秋でございますけれども、スウェーデン、ノルウェー等の本条約の締約国を中心とした諸外国のこの条約の解釈、適用状況についての調査を行い、その調査の結果も踏まえまして報告書を昭和六十一年四月に本委員会に提出したということでございます。
 その後、御案内のとおり平成三年に男女労働者を対象とした育児休業法が制定され、我が国国内においても本条約の批准に向けての環境整備が進められているというところでございますが、本条約と国内法制との整合性につきましては国内の関係省庁との調整を重ねつつさらに検討をしてまいりたい、かように思っております。
#90
○一井淳治君 その乗り越えられない理由というのは、ただいまもお話がありましたが、「家族的責任のみをもって雇用の終了の妥当な理由としてはならない。」という、そこのところが検討が十分できないんだ、これを繰り返し言われておるんです。それは、非常に言葉が悪いんですけれども、私どもはこういう言葉を使わざるを得ないんですが、本当にばかの一つ覚えみたいに五、六年言われておるんじゃないですか、検討する検討すると。それじゃ、もうみんな我慢できませんよ。どうですか、もう早急にそこのところを乗り越えていただかなくちゃいけないと思うんです。
 今みたいなことを、課長さんにこれを言っても仕方ないというのはわかっております。ですから、わかっておるんだけれども、やっぱりお聞きしなくちゃなりませんから、どうでしょうか。
#91
○説明員(隈丸優次君) この条約につきましては、先ほども申し上げましたが、我が国国内におきましてはこの条約の批准に向けての環境整備が進められているということでございます。
 ただ、この条約とそれから国内法制との整合性につきましては、先ほど指摘しました第八条の問題等まだ検討していかなければいけないものがございまして、引き続き国内の関係省庁との調整を重ねさせていただいて検討を進めさせていただくということを考えております。
#92
○一井淳治君 この条約は、ただ単にパートの労働条件の向上というだけではなくて、家事と職業労働との調和という問題で、まさに日本の労働の状態を変えていくということで大きな意味がある条約ですから、労働省としても重大な関心がおありだと思いますので、労働省としてどういう事情があって批准ができないのかということを御説明いただきたいと思うんです。
#93
○政府委員(松原亘子君) ILO条約の批准についての基本的な考え方は外務省の答弁のとおりでございます。
 私どもも、このILOの百五十六号条約については非常に関心を持っているところでございまして、昨年の六月に、男女雇用機会均等法に基づきまして女子労働者福祉対策基本方針、第二次のものでございますが、これを策定いたしました。ここにおきまして、「必要な条件整備を図りつつILO第百五十六号条約の批准の可能性について検討することとする。」ということにいたしておりまして、労働省といたしましてもこの条約の批准の可能性について今後具体的な検討を行っていきたいというふうに思っております。
 その批准に当たりましての問題点でございますけれども、条約第八条につきましては、この条項を具体的に担保する明文の規定が法制上ないというのはそのとおりでございます。これについては、さらにそういう状況でいいのかどうかということを含めて検討しなきゃいけないと思っておりますけれども、それのみならず例えば条約の第七条で「家族的責任を有する労働者が労働力となり、労働力としてとどまり及び家族的責任を理由とする不就業の後に再び労働力となることができるようにするため、国内の事情及び可能性と両立するすべての措置をとる。」というのが規定をされております。
 ところで、この条約はその審議経過におきましてさまざまな議論があったわけでございますけれども、この家族的責任というのを二通りとらえていまして、一つは子供に対する家族的責任、それからもう一つは老親、老親というのは親に対する責任と二通りあるんでございますが、子に対する責任につきまして何らかの措置を国がとるという場合には、これは男女にとらなければいけないということになっております。漸進性がある条約なんでございますけれども、その漸進的に適用することでいいということについては、子供について何らかの施策をとる場合には漸進性は認められない。つまり男女を対象にしなければいけない、こういうことが審議の経過にございます。
 そういうことから、国内法で照らして考えてみますと、現在男女雇用機会均等法におきまして、再就職のための援助措置というのが規定されておりますが、これは女子だけを対象として規定をいたしているわけでございます。
 それからもう一つ、国家公務員及び地方公務員についての育児休業法というのがございますけれども、この法律ができることに伴いまして廃止をされました従前の法律、つまり義務教育諸学校等の女子教育職員及び医療施設、社会福祉施設等の看護婦、保母等の育児休業に関する法律、この対象職種の女子公務員には、当分の間育児休業給を支給するとなっております。これは、女子だけがその対象になっているということから、先ほど申し上げました子供についての家族的責任にかかる施策については、男女を対象としなければいけないということと、この点がひっかかるという問題があるのではないかというふうに考えております。
 さらに、これらにつきましてはもう少し審議経過を詳細に調べ、かつ条約締結国、既に批准している国もあるわけでございますので、そういった国の状況等もさらに詳細に調べなければいけないというふうに考えているところでございます。
#94
○一井淳治君 理由ですが、今二つ言われましたけれども、ほかにはないんでしょうか。その二点を乗り越えたらまだ次があったと言われては困るわけですがね、ちょっと余りにも不信感が強いようなんで申しわけないんですが。かなりしびれを切らしておりますので、その二点を克服したらもう大丈夫なんですか。
#95
○政府委員(松原亘子君) 私どもは、この条約をできる限り条件整備して批准したいという気持ちは持っております。そういう前提ででございますが、今申し上げたことだけしかないのかというふうに確認されますと、そこまでさらに詰めた議論というのが済んでおらないものでございますので、さらに詳細に詰める過程でまたこの点も問題というのが出てくることはあり得ると、その点はちょっと御理解をいただきたいと思うわけでございます。
#96
○一井淳治君 私は、これほど大事な条約をまだ労働省において詰め切られていない、まだ本気の取り組みができていないということだけは、今の御発言ではっきりしてきたというふうに思います。
 ですから、きょうは大臣もじっくり聞いてくださったわけですから、今後百五十六号の批准に向けて御努力を、省を挙げてと言ったら言葉がおかしいかもしれませんが、いろいろ部局あるわけでしょうけれども、労働省の関係部局がとにかくこの問題について力いっぱい努力をするということを大臣に御確認いただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
#97
○国務大臣(村上正邦君) 条件整備を精力的にやってまいりたいと思います。
#98
○一井淳治君 私どもは、参議院御出身の大臣で特に期待するわけでございますけれども、大いに力を発揮されることを本当に期待いたしております。
 次に、現在ILO総会が開催されておりまして、そこでこの問題も論議されておるようでございます。その点につきましては、先ほど大脇委員の方から質問がありましたので私の質問は省略させていただきますけれども、大脇委員が申し上げたように非常に大切な条約ですから、政府の方もとにかく百五十六号に向けてと同じように御努力をお願いしたい。
 それから、ついでにここでまた要望させていただきます。さきに、男女雇用機会均等法がつくられておるわけでございますけれども、これについての再検討も、これは要望でございますから答弁は要りませんので、この際二点を要望しておきたいというふうに思います。
 次に、パート労働に関する労働省の認識についてお尋ねしたいわけでございますが、パートに女性が多い理由、これはパートが短時間労働である理由と重なっていると思うんですけれども、それについての労働省の御認識をお尋ねいたします。
#99
○政府委員(松原亘子君) パートタイム労働者は、平成四年で八百六十八万人になっているわけでございますけれども、そのうち女性の占める割合は六八・二%ということで、三分の二強が女性であるということになるわけでございます。
 このパートタイム労働者として働いていらっしゃる方々がなぜパートタイム労働を選んだかということにつきまして、その理由を平成二年に調査をいたしておりますけれども、それによりますと「自分の都合のよい時間に働きたいから」という方が最も多くて六三・九%でございます。次いで「勤務時間・日数を短くしたいから」という方が三一・七%、「家事・育児の事情で正社員として働けないから」という方が一九・六%というふうになっているわけでございます。
 また、別の総理府の世論調査などを見ますと、女性の働き方としてどういう働き方が望ましいかということを調査しておりますけれども、それによりますと、約三分の二の方が仕事についた後結婚や育児のために一度家庭に入り、それらが一段落したらまた働きに出る、そういったパターンが望ましいというふうに答えられております。
 そういう場合に、どういうような働き方が好ましいかというときに、家庭生活との両立ができるような働き方をしたいという意識の方が非常に多いわけでございます。実際にパートタイム労働で働いている方の先ほどの理由、それから女性の働くことについての意識、そういったことを考えあわせますと、このパートタイム労働という一つのあり方は、家事や育児など家庭生活と仕事との調和を図るという観点からも非常に重要な意義を持つ就業形態であるというふうに考えているところでございます。
#100
○一井淳治君 それから、女性が多いわけですけれども、パートに働きに出られる理由、この点については、やはり家計の補助とか生活に困るので生計を確保するためということも相当大きなウエートを占めておるんじゃないでしょうか。
#101
○政府委員(松原亘子君) おっしゃるとおりでございまして、家計を維持するからといういわば家計の主体者であるという方はもちろんいらっしゃるわけでございますけれども、最も多くの方が選択しておられる働く理由というのは、家計費の足しにするというのが一番多くなっているところでございます。
#102
○一井淳治君 企業の方がパートを多く活用するということですけれども、これはやはり労働条件が高くない、賃金的にも安い、それから解雇もやりやすいというふうな、企業に好都合であるということがこのパートが拡大している主要な理由ではないでしょうか。
#103
○政府委員(松原亘子君) 平成二年に労働省が行いましたパートタイム労働者総合実態調査で、企業に対しましてパートタイム労働者を雇用している理由というのを聞いておりますけれども、その結果によりますと、一番多くの企業が回答いたしました答えは「業務量が増加したから」ということでございまして、これを挙げた事業所の割合が三九・六%になっております。次いで多いのが、「一日の忙しい時間帯に対処するため」というのが三六・四%、それから同じ三割台でございますが、「簡単な仕事内容だから」というのが三三・九%というふうになっております。
 先生がおっしゃいました理由、例えば「人件費が割安だから」ということを指摘したところもございますが、その割合は二一・〇%、それから仕事量が減ったときに「雇用調整が容易だから」ということを指摘した企業は六・四%ということで、そういった理由を選択した企業の割合は、先ほど申し上げたような理由に比べますと比較的少ないというふうに認識しております。
#104
○一井淳治君 この法案の提案理由説明の三行目を見ますと、「短時間労働は、働く人、雇う側双方の希望に沿うものであることからこというふうなことが書いてありまして、ここに労働省の認識も少し出ているというふうに思います。それからまた、先ほど業務量が増大したからパートを雇うんだという、そういう企業の回答が多かったということでございました。
 しかし、本質は手軽に安い賃金で業務量の増大に対応できるということに基本があるんじゃないでしょうか。企業の方は口では言わないけれども、安い労働力を手軽に使える、ここに本質があるんじゃないでしょうか。そう考えていかないと、パート労働法の基本的な問題を見失うんじゃなかろうかという心配があるものですからお尋ねする次第でございます。
#105
○政府委員(松原亘子君) 先ほどの調査は、多肢選択といいますか、一つだけではなくて該当するものを全部選ぶようにということで選んだ、その結果を御紹介したわけでございます。したがいまして、人件費が割安であるという意識のもとに業務量がふえたからというふうな方は両方に挙がってくるわけです、そういうことを考慮してもなお人件費が割安だということを挙げた企業が二一%ということを考えますと、ほとんどすべての企業が人件費の割安さということに着目してパートタイム労働者を雇っているとは言えないというふうに思っております。そういう企業は二一%で、比較的少数であるというふうに言えるのではないかというふうに思います。
#106
○一井淳治君 それであれば、例えば時間当たりの賃金は統計数字からいきましても六割。五割、六割、七割ですね。六割ぐらいであればいい方だと思います。それから退職金もほとんどない。賞与もほとんどない。そんなことを企業がしますか。企業が雇った以上、自分の配下の人間が賞与をもらってにこにこ顔でうれしい方がよっぽどいいと思うんですよ。それをしないで、賞与も払わない。同じ職場で一方の人は賞与をもらっている、一方の人は賞与をもらわないからもうくすんとしている、そういう暗い職場になっているんです。これは、やはり企業が自分が払いたくないからそうなっておるんであって、労働省がそういう甘い目で見られてはやはりパート労働の本質を見失う危険性があるんじゃなかろうかというふうに思いますので、もう一遍お尋ねしたいと思います。
#107
○政府委員(松原亘子君) 先生御指摘のとおり、パートタイム労働者と通常の労働者を比較いたしますと、賃金その他の労働条件について差があるというのはそのとおりでございます。
 しかしながら、それにはいろいろな背景、理由等があるわけでございまして、例えばパートタイム労働者であるからということで仕事の内容が違う、つまり短時間働くということになればおのずからどういう仕事をお願いするかということもフルタイム労働者と違ってくるわけでございます。また、パートタイム労働者の方の多くが家庭責任と両立させながら働きたいというふうな意識を保持っておられることから、例えば通勤時間などの調査をいたしますと、ほとんどの方が二十分以内の通勤時間というような状況にあるわけです。
 そういうことになってまいりますと、例えば事業所間の配置転換といったようなことができるかどうかというようなことなどさまざまな要素を考慮いたしますと、労働条件の違いが出ているというその結果だけから見て非常に割安になっているとか問題があるといったようなことは決めつけては言えないのではないか、そういったことを総合的、トータルに判断して考えなければいけないんではないかというふうに思う次第でございます。
#108
○一井淳治君 労働行政の立場も理解できるんですが、先ほどの局長さんの御発言の中でちょっと問題なのは、労働の質が違うということです。確かに、労働の質が違うんですが、しかし夫の方は時間外労働もする、配置転換にも応ずる、これは夫はもう家事労働と両立していないわけです。家事労働と両立させるためには、妻の方が仕方なしにパートになっているということもあるわけです。ですから、夫の方の家事労働を何とかしてもらわないと、家事労働との両立ができるようにしてもらわないとパートの問題の改善にはならないということも頭に入れておいていただきたいというふうに思います。
 次に、パート労働法が成立することになりました場合に、パートの特別扱いというものが、あるいは今私どもが問題にしております非常に低い労働条件のパートが固定してしまいはしないかということを非常に心配しておるわけでございます。
 といいますのは、さきに男女雇用機会均等法がつくられました。これは、私どもは何とか女性差別をなくそうということを夢見ておったんですが、法律の形が指導、助言とか、禁止もないしそれから罰則もないというふうなことでいったわけですけれども、結局コース別人事管理というんですか、一部の総合職と一般職というふうに女性が二つに階層分化していった。女性のごく一部の方は総合職としていい労働条件を確保されておりましたけれども、一般職の方は企業でも中枢から外されてしまったというふうな状況が固定されていったわけです。その上に、今回のパート労働法ができますと、現に今は女性の職場は総合職、一般職、パートというふうに三つに分類されているわけです。この分化がさらに進んで、パートが固定化されてはいけないというふうに心配するわけでございますけれども、その点はいかがでしょうか。
#109
○政府委員(松原亘子君) 女性の就業意識を見ますと、それがどういうところからできてきているかということはいろいろあろうかと思いますけれども、非常に男性以上に多様であるということは言わざるを得ないかと思います。
 総理府の世論調査、繰り返し同じような項目でやっておりますけれども、傾向的にやはり一つ同じ傾向が出ておるのは、一番多いのは家庭責任と職業責任とを両立させたいという観点からだというふうには思いますけれども、仕事を持った後子育てのために一たん家庭に入って、それが一段落したらまた再就職をしたいという意識の方が非常に多いわけでございます。もちろん、ずっと継続して働きたい、定年まで男性と同じように働きたいという方もいらっしゃることは確かでございます。しかし、それがすべてとは言えないのが実態でございます。
 そういったことを考えますと、今先生が御指摘ございましたコース別管理ですとか、フルタイマーの仕事に加えてパートタイマーの仕事といったようにいわば多様な労働の機会といいますか、そういったことは女性の意識の多様性に照らせばむしろ好ましいことではないかというふうに思います。
 先ほど、コース別雇用管理が女性の間を二つに分けてというふうにおっしゃいましたけれども、女性の意識も現に分かれているというのが実態としてあるわけです。それを、女性はこういうものだということで一つにくくってしまって単一的な扱いをすることこそ問題ではないかというふうに思っております。もちろん、コース別雇用管理が適正に運営されるという前提に立っての話でございますけれども、そういう女性の多様性に着目すれば、今のようなあり方ということが問題であるというふうには一概には言えないんではないかというふうに思う次第でございます。
#110
○一井淳治君 結局、国際的にいろいろ非難されておるということにそのあたりがつながっていくと思うんですけれども、やはり労働条件がいいようにいいように、働きがいを女性がどんどん発見できるように、そういうふうに分化が進んでいったらいいんですけれども、どうも女性が切り捨てられる方向に分化が進んでいくということを私どもは心配しておるわけでございます。
 といいますのは、これはもう古い話ですけれども、女工哀史の時代から女子労働を安く使うというのが日本の伝統的なあれでございまして、結婚前の若い労働力を安く使っておった。結婚退社制はなくなったけれども、依然として家事労働を武器にしながら低賃金労働を強いていくという日本の産業構造というものは、やはりそこをメスを入れていかないと、いつまでたっても貿易競争で外国から嫌われる産業体制から脱却できないというふうに思うわけでございます。
 外国に行きましても、重立った国の議員さんは日本の低賃金とかあるいは下請、中小企業の低賃金、労働条件が悪いということをみんな知っておって、我々は言われるわけです。非常に肩身の狭い思いをするわけでございますけれども、労働省の一層の御努力をお願いしたいというふうに思います。
 それからあと一つ、法案の文章でございますけれども、三条に、短時間労働者がということに始まりまして、「努めるものとする。」という言葉がございます。この「努めるものとする。」という意味なんですが、同じく四条にも「努めるものとする。」というのが出てまいります。四条はこれは国の義務でございますから、国の方はとにかく短時間労働者のために積極的に元気を出してやってくださるというふうに思うわけでございますけれども、この第三条の「努めるものとする。」というのもこれは同じ文字ですから、同じように理解したらいいんでしょうか。
#111
○政府委員(松原亘子君) 三条の「努めるものとする。」でございますが、これは国の意思として事業主はこういうふうに努めるものでありますよということを宣明したという意味においては四条と同じでございます。それに加えまして、この内容について、事業主の責務としてそれに向けての努力をしなければいけないということをあわせ持った規定だというふうに理解をいたしております。
#112
○一井淳治君 国が決められた政策を一生懸命実現していかなきゃならない、それと同じように大きな重い意味を事業主も負うんだと、そのように理解していいですね。
#113
○政府委員(松原亘子君) そのとおりでございます。
#114
○一井淳治君 それから、最後の質問でございますが、第一条に「目的」がございましてこの法律の性格というものが書かれておるわけでございますけれども、修正が行われまして、手段として適正な労働条件の確保等々を講ずることによってということが第一になりまして、次に短時間労働者が能力を有効に発揮するというのが第二段に入ってきまして、最終的に「もってその福祉の増進を図る」ということになっているんですけれども、この法律はこの短時間労働者の福祉の増進を図るということに究極の目的がある、そして福祉の増進には短時間労働者の労働条件の向上も含まれているんだと、このように理解していいと思うんですが、どうでしょうか。
#115
○政府委員(松原亘子君) ここに書いてございますのは、適正な労働条件の確保、その他の雇用管理の改善に関する措置、こういったことを講ずることによって究極的には短時間労働者の方々の能力が有効に発揮できるようにする、そして福祉の増進がそれによって図られるというふうなことを目的としているわけでございます。
#116
○一井淳治君 それで、福祉の増進には労働条件の向上も含まれているんでしょうね。
#117
○政府委員(松原亘子君) 含まれる、含まれないと、また言葉のあれになって恐縮でございますが、適正な労働条件の確保に関する措置を講ずること、これによって福祉の増進が図られる、こういう関係になるわけでございます。
#118
○一井淳治君 終わります。
#119
○委員長(田辺哲夫君) 午前の質疑はこの程度とし、午後一時まで休憩いたします。
   午後零時一分休憩
     ――――◇―――――
   午後一時二分開会
#120
○委員長(田辺哲夫君) ただいまから労働委員会を再開いたします。
 午前に引き続き、短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律案を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#121
○武田節子君 パートタイム労働者を過所定労働時間三十五時間以下の者と定義しますと、我が国の平成三年平均のパートタイム労働者数は八百二万人となって、このうち女性が約七割で五百五万人となっています。また、女性雇用者全体に占めるパート労働者の割合は約三割に達しております。
 このような量的側面から見ても、パート労働者の抱えている問題は女性労働者の問題と言っても過言ではないと思いますが、今日のパートタイム労働の現状についてどのように認識されておりますか、お答え願います。
#122
○国務大臣(村上正邦君) パートタイム労働は、家庭状況に合わせ、子供の手が離れてもう一度社会に役に立つため仕事をしたいという女性や体力に見合った働き方をしたいという高齢者の要望に沿うとともに、サービス産業の割合が高まり、営業時間や仕事の忙しさの状況に合わせてパートタイム労働を活用したいという雇う側の要望にも合った就業形態であり、近年著しい増加を見ています。これからの中長期的な人手不足の傾向を考えると、このように女性や高齢者が働きやすい就業形態であるパートタイム労働はますます重要になるものと考えております。
 また、先日も週刊誌、新聞にも御紹介をされておりましたが、パートタイマーの中から取締役に抜てきを受けたと、こういう傾向も出ておりまして、今後就業形態の中で非常に重要なその役割が果たされていくものだと、私はこう思っております。
#123
○武田節子君 大臣、私は実は昨年七月まで、働く女性の会で未組織の職場で働く中高年女性の問題に取り組んでまいりました。
 三十五歳を過ぎた中高年女性の再就職の職場はパートしかございません。ハローワークに行ってごらんになれば一目瞭然だと思います。特に問題なのは、死別や離別の母子家庭の母親や中高年独身女性が、生活の主体者でありながらパートで働く職場しかないといった現状でございます。選択などというそんなぜいたくなことはできない状況でございます。しかも、パートタイマーで募集されながら、雇用した後は中身はフルタイマーで、残業もしっかりさせられております。仕事はフルタイマーとして働きながら、身分はパートタイマーで差別されております。
 私は、要するにパート問題は女性の差別問題だというふうに思っているわけですけれども、交通費も手当もボーナスも昇給も退職金もなしで働いております。恐らく、八百二万人と言われているパートタイマーの七割を占めている女性のほとんどがそういう条件に置かれているのではないかというふうに推測されるわけですけれども、このようなパート労働の実態についてはこの法案のどの部分に盛り込まれているのですか、お伺いいたします。
#124
○政府委員(松原亘子君) パートタイム労働者の方々というのは非常に多様でございまして、これがパートタイム労働者の姿であるということを一言で言うのは非常に難しいんじゃないかというふうに実は思っているわけでございます。
 今先生が挙げられましたような方もいらっしゃるかとは思いますけれども、例えばパートタイム労働者の方々に、どういう理由からパートタイム労働を選んだかという大規模な調査の結果を見ますと、やはり一番多いのは自分の都合のいい時間に働きたいということで、みずからの意思でパートタイムという労働形態を選んでいる方が最も多いわけでございます。それに次いで、例えば勤務時間や日数を短くしたいといったことですとか、家事、育児の事情といったことを挙げる方は、特に女性の間で非常に多いということがございます。
 そういったパートタイム労働と言っても非常に多様であるということを私どもはこのパートタイム労働対策を検討する場合には考えなければいけないのではないかということから、今回の法案につきましては、パートタイム労働者の持っておられるさまざまな特性、そういった特性がまた非常に多様であるということにも着目いたしまして、そういう実態を踏まえつつも、問題がある点についてそれを改善していくという姿勢で取り組む必要があるというところから提案をさせていただいたわけでございます。
#125
○武田節子君 平成三年の七月に、働く婦人の会では、働く中高年女性の五百人を対象に面談によるアンケート調査を行いました。年齢は三十五歳から六十四歳未満、企業の規模は五人から九十九人未満の事業所で働く女性を対象にいたしました。
 この五百名の中に百三十二名のパートタイム労働者がおりました。詳細は省きますけれども、百三十二名に直接会って本人に聞いた実態をちょっとお知らせしますと、年齢は四十歳から六十四歳が八八・六%、勤務年数が三年から五年が二一・二%、五年から二十年が四二%で、連続して働いております。
 配偶関係は、既婚者が七五・八%で、死別、離別、未婚者は二四・二%です。就職経路は、知人の紹介というのが五七・六%、新聞・チラシが二八%、職安は八%、職訓はゼロでした。雇用契約は、口頭五七・九%で、何もしていないというのが一二%で、合わせて七〇%でございました。書類で雇用契約をしたという人は二一・八%ございました。就業規則を調べますと、確認していないが五二・六%、規則があるが四七・四%でした。退職金制度は、ないが七五二一%、あるが二四・八%です。転職の経験は、あるが八一・一%で、パートタイム労働者といえども大変転職をしております。これは、解雇とか倒産などが多く転職の理由になっております。
 一日の労働時間は、七時間が二七・八%で、八時間が一三・五%ですから、これを二つ合わせると四一・三%が七時間、八時間。六時間が三六%ですから、六時間以上働いている人が七七・四%でございます。一週の就労日数は、六日が四二・九%で、五日が四二・一%で、五日から六日の就労が八五%ございました。残業があるかの問いに対しては、四四%強が残業があります。年次有給休暇は、ないが六三・九%で、ありが三六%でした。
 雇用保険は、加入していない、わからない、合わせて五三・四%で、六時間以上働いているパートタイマーが七七・四%で、一週五日から六日働いている人が八五%と、このような状況で働いている人が雇用保険に加入しておりません。
 全くフルタイマーと同じ、いやそれ以上に一生懸命働いていてもパートタイマーという身分で差別されておりますが、このような状況に対してどのような御感想をお持ちでしょうか。また、このたび政府の法律でこの短時間労働者は救済できるのでしょうか。大臣にお伺いいたします。
#126
○政府委員(松原亘子君) 今先生がおっしゃいました調査結果を見ますと、勤続年数ですとか未既婚別とかなり多様ではないかというふうに思います。
 私ども、こういった多様な労働者、その属性もそうでございますけれども、やっている仕事の内容それからどういった責任を持って仕事をやっているか、また事業主としてもどういうことを期待しているかといったこと、それから例えば仕事をかわる可能性があるのかどうか配置転換、ローテーションの中にどういうふうに組み込むことを予定しているのか、それともそうではないのかといったようなことを、パートタイム労働者の方々はある意味ではフルタイムの方々と今申し上げたような点においてはかなり違う点があるのではないかというふうに思います。結果として、例えば退職金の問題等々御指摘ございましたけれども、そういった違いがあるということもそれは事実でございますし、私どもがやりました調査でもフルタイム労働者とパートタイム労働者で労働条件等において違いがあるという結果は出ております。
 しかしながら、そういう結果に違いがあるということはありましても、それがなぜそういうことになっているかということについてはまたさまざまな理由、要因等があるわけでございまして、その違いがあることだけをもってこれが差別であるというふうには決めつけることはなかなか難しいんではないか、言えないんではないかというふうに思うわけでございます。
 しかしながら、実態調査などをいたしますと、今先生の御指摘にもございましたけれども、雇い入れのときに雇い入れの条件が必ずしも明確でないまま仕事についてしまうとか、就業規則は必ずしも整備されていないといったようなことがあるということも私どもは承知いたしているところでございます。そういうところにつきましては、パートタイム労働者のそういった働き方というのを我が国社会の中に正しく位置づけるという観点からもきちんとしなければいけないというふうに考えております。
 そういう点について、今回の法案に事業主の責務そして指針それから衆議院の修正で若干具体的な条文が入ったわけでございますが、こういったことによってパートタイム労働者の方々が能力を有効に発揮していただけるような環境整備が図られるというふうに考えているわけでございます。
#127
○武田節子君 じゃ大臣、後ほどこの小冊子を差し上げますので、よくごらんいただいて、よろしくお願いいたします。
 四党共同案に対する政府の回答をまず初めて見ましたときには、何と毒にも薬にもならない法案かなとがっくりいたしました。しかし、このたび提出されました法案は、衆議院段階においてかなり大幅な修正がなされました点を評価いたします。私たちの四党共同要求で示した姿に一歩近づいたものと村上労働大臣の英断に感謝いたします。しかし、これで十分と言える内容のものではございません。理想は理想として、私たちは小さく産んで大きく育てるという気持ちでひとまずパートタイム労働法の誕生を評価し、今後はさらなる充実を図り、理想的な法制に仕立てていかなければならないと思っております。
 その意味で、今回を第一歩として今後どう法案の完成度を高めていくおつもりか、お伺いいたします。
#128
○政府委員(松原亘子君) 私は、まずこの法律を成立させていただきますれば、これに基づきまして例えば労働大臣が事業主の責務の具体的な内容を明らかにする指針を定めるということになっておりまして、そういった指針を定めるという作業をいたすということでございます。さらに、基本方針といたしまして、労働大臣が短時間労働者の福祉の増進を図るために施策の基本となるべき方針を定めるということにいたしております。
 そういった基本方針を定めるといったこともやっていかなければいけないというふうに思っておりますし、この法律が世の中に正しく認識され定着するようにということ、事業主の方のみならずパートタイム労働者の方々にもちゃんと理解していただくことが必要であろうかと思います。そういうことから周知のための努力をいたしたいというふうに思うところでございます。
#129
○武田節子君 周知徹底はぜひともよろしくお願いいたします。
 法案の具体的な内容についてでございますけれども、短時間労働者の定義ですが、統計上パートタイム労働者は過労働時間が三十五時間以下の労働者とされて、その数が平成三年の場合八百二万と言われております。本法案では、パートタイム労働者という表現を用いないで、短時間労働者を週所定労働時間が同一事業所に雇用される通常の労働者より短い者と定義しています。この結果、短時間労働者数は統計上のパートタイム労働者数を相当上回ったものになると考えられますけれども、どのように予測しておられるのでしょうか、お伺いいたします。
#130
○政府委員(松原亘子君) まず、パートタイム労働者という言葉を使わなかったということでございますけれども、このパートタイム労働者というのは本来労働時間が通常の労働者と比べて短い、フルタイマーに対する用語として使われるものだということで私ども認識をいたしておるわけでございます。
 しかしながら、現実の社会を見ますと、パートタイム労働者というのがそういうものだということで定着しているかというと、必ずしもそうではない。例えば、パートタイマーという呼称で呼んでいるとか、同じようなパートタイム労働者でもある企業の方に伺いますとサムタイマーというふうに呼んでいるという企業もありましたけれども、つまりいろいろな名称で呼ばれているのが実態であろうかと思います。そういうことから、呼称でとらえるということはできない。
 どういう就業の実態にあるかということに着目して、法律でございますのできちんとやはり定義がされなければいけないということで、労働時間が短いということが最大の特徴でございますし、そこに着目することが適当である。つまり、労働時間が短いということからいろいろ指摘されておる問題というのが出てきているというふうに認識をいたしまして、労働時間が短いということをその判断基準にいたしたわけでございます。
 ところで、労働時間が短いという点でございますけれども、通常パートタイム労働者の数といって世の中で言われておりますのは、総務庁の労働力調査で週の就業時間が三十五時間未満の雇用労働者というのを俗にパートタイム労働者にいわばかわる指標ということで使っているわけでございます。しかしながら、この三十五時間未満の雇用者、短時間労働者と言っておりますけれども、この中には企業におきましては通常の労働者の労働時間自体が三十五時間未満の場合もあるわけでございます。そういう場合には、パートタイム労働者の方でなくてもこの三十五時間未満の中に入ってしまうわけでございますので、統計の数とこの法律でいう短時間労働者の数というのがぴたっと一致したというものが実は現段階ではないというのが実態でございます。
 しかしながら、労働時間が短いということに着目いたしますとそれ以外の調査でも若干ございますので、そういったものを考え合わせますと、八百万台というのは先ほど申し上げたような労働者が入ったとしてもそれほど現実とかけ離れた数字であるというふうには考えないところでございまして、おおむね八百万から九百万、一千万弱ぐらいではないかというふうに推察されるところでございます。
#131
○武田節子君 この法案を拝見いたしますと、短時間労働者の労働時間と比較される通常の労働者の定義が見当たりません。この点はどのように理解されているのか、お伺いしたい点が一つ。
 もう一点は、短時間労働者はあくまで同一の事業所における労働者間の相対的な基準であり、絶対的なものではありません。この結果、労働基準法上特例措置や猶予措置が適用されている事業所における短時間労働者については、週四十時間を上回る所定時間であっても短時間労働者として考えられることになってしまいますが、絶対的な基準を設けなかった理由は何なのでしょうかお伺いいたします。
#132
○政府委員(松原亘子君) まず、通常の労働者の意味でございますけれども、これは簡単に言ってしまえばいわゆる正規型の従業員でございまして、社会通念に照らして判断するということになってこようかと思いますけれども、その労働者の雇用形態ですとか賃金体系、そういったことが総合的に勘案されることになるわけでございます。
 具体的には、法案成立後に通達によって明らかにしたいと思っておりますけれども、現段階におきましては、例えば雇用契約期間についてその定めがあるかないかといったこと、長期雇用を前提とした処遇を受けるものであるのかどうか、それから賃金形態につきましては、賃金の主たる部分を月給によって受けるものであるのかどうかそれから賃金制度につきましては、賞与ですとか定期的な昇給、昇格、退職金の支給、こういったことが制度として定められているのかどうかといったようなこと、その他さまざまの雇用管理の側面を総合的に勘案して決めていくということになろうかと思います。
 それから、絶対的な基準ということでございますけれども、例えば社会保険ですとか、そういうところにつきましては基準というものが絶対的な基準としてあるということはございますけれども、社会保険の場合でも当該事業場の通常の労働者の四分の三以上勤務しているかどうかといったことを基準にしているということで、やはりどうしてもパートタイム労働者、短時間労働者と言う場合には、何時間以上何時間未満といったような絶対的基準というのはなじまず、相対的にその事業場の中で通常の労働者とどういう労働時間の違いがあるか、どうなっているかということを判断基準にせざるを得ないのではないかというふうに思います。
 労働基準法上、労働時間法制の枠組み、原則が決まるわけでございますけれども、個々の事業場においての所定労働時間というのは必ずしもそれと同一というわけではございません。したがいまして、やはり個々の事業場単位に通常の労働者との対比で考えるということにするのが一番いいのではないかというふうに思う次第でございます。
#133
○武田節子君 短時間労働者の組織化についてちょっとお尋ねしたいと思うんですけれども、私は長年末組織で働く中高年女性の問題に携わってずっと思い続けてきたことは、短時間労働者の組織化ができないものかということでございます。
 パートタイム労働者の組織化についての現状、平成二年の労働組合活動等実態調査報告によりますと、組合員の所属する事業所全体の常用者に占めるパートタイム労働者の割合は産業の平均で一〇・三%でありますが、労働組合員に占めるパートタイム労働者の組合員の割合といいますのは〇・九%にすぎません。また、事業所にパートタイム労働者がいる労働組合において組合員にパートタイム労働者がどれだけいるかを調べた結果、組合員にパートタイム労働者がいない組合が調査産業の平均で九二・三%となっております。
 このようにパートタイム労働者の組織率が非常に低いことは、労働条件の決定に際しては労働基準法の強行法規で担保されている最低基準すら守れていないのが実情ですから、労使交渉にゆだねられている部分についてはその恩恵に浴することは非常に難しい背景になっております。実際にどんな立派な法律ができても、頭の上もかすめないといったところに働いている人が大変多うございます。労働運動への行政の介入は基本的には許されるべきものではないと思いますけれども、パート労働者の組織化を支援するような手だては講じられないものでしょうか。労働省の御所見を伺いたいと思います。
#134
○政府委員(若林之矩君) 労働条件の確保という問題は、ただいま先生御指摘のように労使交渉を通じてのシステムによって進めていくということが基本であろうかと存じます。
 ただ、実態から申しますと、労働組合のある全事業所におきますパートタイムの労働者の組織率は五・七%でございます。また、平成二年の労働組合活動等実態調査によりますと、パート労働者を組合員とすることについて肯定的な組合というのは二三%でございますけれども、これについて消極的な組合というのが五七%に上っておる状況でございます。産業によってはこれを重点的に進めておられるところもございますけれども、調査統計上はそういうような実態でございます。したがいまして、パートタイム労働者の労働力の確保につきまして、自主的な労使交渉を通じてのシステムがなかなか機能しないという実態があろうかと存じます。
 今回、まさにこのような法律をお願いしておりますことも、そういった点について行政指導措置を通じましてパートタイムで働く方々の労働条件の向上を図っていこう、こういうことを意図しているわけでございます。
 ただいま先生おっしゃいました労働組合のパートタイムの方々の組織化というものをどういうふうに考えるかということでございますが、これはパートタイムでございましてもフルタイムでございましてもそれはいわば自主的に進められることでございますので、行政としてはそこにおのずから限界と申しましょうか、本来行政がかかわらないことでございます。ただ、行政といたしましては、これまでずっと労働組合の設立というようなことにつきましていろいろ問題が起こったときに御相談に応じる、こういう活動は続けてきておるわけでございます。
 例えば、労政事務所等におきまして相談員等を配置してそういったような御相談に応じるというようなことを進めてきておりまして、全国でかなりの件数に上っておるわけでございますが、私ども今後ともこういった形で援助をしていくということを続けていきたいというふうに思っております。
#135
○武田節子君 とにかくパートタイム労働者は働く時間が短いというだけで差別があってはならないと私は思いますし、またILO百六十五号勧告でも、比例の原則によるべきものと勧告いたしております。
 しかし、今日までの実態はパート労働者という名前の女性差別であり、今度できた法律が短時間労働者と名を変えた合法的女性差別になりかねないと心配するわけでございます。また、低賃金による労働者として女性差別が固定化、定着するようになっては困ります。幸いにも、今回の修正で労働大臣は短時間労働者を雇用する事業主に対して指導及び助言に加えて勧告をするという修正がなされましたことは、弱い立場にあるパートタイム労働者にとってはこれほど心強いことはないと思いますので、ぜひ大臣の強力なリーダーシップによってこの点の勧告、御指導をしっかりしていただきたいと思います。
 ただ、先ほど局長がパートタイマーとは呼ばないというお話がございましたけれども、例えば求人欄がグリーンとピンクに分かれておりまして、一般の求人申し込みには会社の特徴とか業種の状況とか、福利厚生の施設がどうとか書いてあって、こちらのピンクの方にはそういうのがないんです。これは、ピンクの用紙にないということは労働者としての権利を認めていないことかなというふうに思わざるを得ません。
 ある病院では、正看護婦には白衣の制服を着せて、そしてパートのナースにはピンクの洋服を着せているわけです。パートのナースの方たちは割に五十歳を超えた方たちが多うございまして、この方たちはピンクの洋服を着てピンクさんピンクさんと呼ばれているんです。ピンクを着せて、ピンクさんなんという呼び方自体も、何か私は女性差別の何物でもないというふうに思うわけです。さらに、こういった高年齢者になると、こういうところを見るとよくわかりますけれども、これにはパートさんと書いてある。パートさんと呼んでいますからね、ここでもちゃんと。その辺もちょっとごらんになっていただければと思います。
 さらに、こういう高年齢者になりますと、仕事はございますけれども、三K、五K、六Kといった仕事しかございません。汚い、きつい、危険、給料が安い、休暇がない、企業のエゴというような五K、六Kのところでしか働く場所がないというのが私は実情だと思っております。このような現場の実態を把握されて、パート労働者を守るため、事業主に指導、助言、勧告を厳しく行っていただきたい、こう思っております。
 今後、一部改正の機会にはもっと強制力のあるものにぜひ見直しを行っていただきたいと思いますけれども、大臣、この点はいかがでございましょうか。
#136
○国務大臣(村上正邦君) いろいろお話をお聞かせいただきまして、改善するところがあれば積極的に速やかに改善をしてまいりたい、こう思っております。
#137
○武田節子君 実は、仙台市の青葉区に住んでいる市の給食パートの職員の方から手紙が来まして、彼女は市の給食パート職員の第一期生として働いてことしで七年目になっております。
 ここは、三年勤務したら退職になるというのは後でわかった。学校は、一学期が終わるころに二学期に仕事を続けますかという文書が来ます。その書類に続けたいという意思を記入し提出して二学期の採用になる。二学期も同じように、二学期の終わりに書類を提出して三学期も働ける、こういうことを続けて仕事をしているわけです。つまり、一学期ごとに首の皮一枚でつながっているような感じですと、こういうふうに言っております。そして、一学期ごとに首の皮一枚でつながっておりますけれども、三年勤務した時点ではっきりと切られてしまう。そういうシステムになっているので、もちろんボーナス、退職金は一切ございません。こうした状況を続けながら、七年勤務といっても三年目ごとの再就職で、ことし入った一年目の人と全く同じ賃金であるし、ベテランの七年もやった自分たちと全く同じ処遇である。出生率が低下して、生徒数によっては人員が整理されていつ首になるかわからない。ずっと働ける保障がないので非常に不安です。
 このような現状から見て、私が日ごろから改善してほしいと切望していることは、能力や勤務年数に応じた報酬をしてほしい、これが一つ。二つ目は、給食の職場は野菜の断裁機や揚げ物の油とか熱湯などで大変危険な職場ですので、労災保険や退職金の保障を見直してほしい。それから、パート職員のこのような不安や意見を聞いてもらえる窓口が欲しいなど、切々と訴えているわけです。
 今回、この法案の三十二条で国家公務員及び地方公務員には適用しないというふうに適用除外になっておりますと、彼女のこういった問題には適用されないということなんです。公務員といっても、パート労働に対する差別と申しますか、悪い労働条件で働いているのですから、このような人を何か救ってあげられる手だてはないものかということを私は思いましてお伺いいたしますけれども、この点いかがでございましょうか。
#138
○政府委員(松原亘子君) この法律案は、国家公務員及び地方公務員については適用除外にするということにいたしておりますが、先生御承知のとおり国家公務員及び地方公務員につきましては、国民及び地域住民全体の共同の利益という見地が非常に重要になってくるわけでございます。そういうことから、国家公務員法、地方公務員法、人事院規則、条例などの法令に基づいて任免ですとか勤務条件などが定められているわけでございます。
 それに対しまして、民間企業に働くパートタイム労働者の方々については、もちろん労働関係法令は適用されますけれども、さらにいろいろな問題に対応するために特別に法律的な手当てが必要だということで出させていただいたということから今回の法案になったわけでございます。
 基本的には、国家公務員、地方公務員に該当する方々につきましては、そちらの関係法令で手当てはされているということから適用除外にしたということでございます。
#139
○武田節子君 聞くところによりますと、労災病院の労災の支払い請求のときのカルテの内容審査などは中高年女性のパートタイマーが行っていると聞いております。この仕事も、五年も十年も続けて長期間働いております。しかし、この人たちはやっぱり交通費もボーナスも昇給も退職金も全くない。そして、一週四日勤務して月八万円ぐらいの支給をされております。
 これは、労働省だけではなくて、何か各省ともそういったような国家公務員や地方公務員のパート化が進んで、この彼女と同じような悩み、問題を抱えているやに伺いますけれども、この辺はいかがなものでしょうか。
#140
○政府委員(征矢紀臣君) ただいま労災病院関係のお話がございましたが、これは御承知のように労災病院自体は特殊法人でございます労働福祉事業団の設置、運営するものでございます。
 それから、その労働福祉事業団との関係で今御指摘のような方々が働いておるとすれば、これは当然公務員ではございませんから今回の短時間労働者のこの改善法の対象となり得るものでございまして、そういう観点から今後対処してまいりたいと思います。
#141
○武田節子君 次は、高齢者のパート志向の対策についてでございます。
 この問題は、特に男性も含めて短時間就業者がふえてきておりますが、労働省の高齢者就業実態調査を見ますと、例えば一九八三年には六十歳前半で働いている男性のうち短時間就業者の割合というのは約二五%でしたけれども、それが五年後の一九八八年には三一%までふえてきております。しかも、今働いていない男性の高齢者の中でも短時間就業を希望する人はかなりの数に上っていると予測されております。
 労働省としては、この対策を講じていく上で、一つには働く希望はあるが適当な仕事がない、二つには今までの技能や経験が生かせない、三つには労働時間が合わないなどなどの声が上がっておりますけれども、これらの問題解決なしては高齢化社会における人生設計自体にも影響を与える重要な課題と考えておりますけれども、どのような対策を講じていかれるおつもりですか、お伺いいたします。
#142
○政府委員(岡山茂君) お答え申し上げます。
 ただいまお話がございましたとおり、高齢者におけるパートタイマーの比率が増加をしているところでございます。これは、やはり六十歳を超えますと個人のいろんな能力、体力、その他個人差が出てまいりまして、就業ニーズが多様化してくる中で短時間勤務を希望される方もやはりふえてきておるわけでございます。したがいまして、高齢者の方の雇用機会の確保を図るという意味におきましては、このようなニーズにも十分対応していくことがぜひ必要であるというふうに考えておるわけでございます。
 私どもといたしましては、高齢者の雇用促進を図るという点につきましては、常用の労働者のみならず短時間の形での勤務をされる方の側面も十分考えて対応しておるところでございます。例えば、高齢者を多数雇用している事業主を助成するための高年齢者多数雇用奨励金といったものがございます。これにおきましても、常用労働者のみならず短時間雇用者として雇う場合につきましてもその奨励措置を講じておるわけでございまして、このように高齢者の雇用を促進するための各種助成金制度におきまして短時間労働者も対象とするようにしておるところでございます。
 また、高齢者の方の能力の再開発をしていただくための各種の能力開発のための助成制度あるいは高齢者の方の再就職促進のための職業相談、職業指導など、十分力を入れてやってきているところでございますが、今後とも力を入れてやっていきたいと思っております。
#143
○武田節子君 これは最後になりますけれども、公明党の三重県本部の健康政治推進本部、パートで働く女性の健康を守る会というところでアンケート調査したものを送ってまいりました。アンケート用紙の配付枚数が二千五百五枚、回収が二千五十二枚、回収率八二%でございます。二十歳から六十歳以上のパートで働く女性の健康調査を行った実態調査ですけれども、時間の関係で総括の部分のところだけちょっと御報告したいと思います。
 今回のアンケート調査の項目別結果を分析すると、まずパート労働をする女性の労働日数や勤務時間数は、実質的には常勤者に近い実態であると言えます。これが一つです。
 二番目は、そうした勤務実態の中で、健康面では六〇%を超える方々が働いてつらいと感じる自覚症状があると回答されております。設問の十番目の、一年間に何度医療機関にかかりますかとの問いに、八〇%の人が通院しているなどパート労働者の健康が相当むしばまれている実態が浮き彫りにされました。
 三つ目は、労働者の健康管理のあかしとなる健康保険証についても、交付されていない人が七〇%等大半で、国保や社会保険の被扶養者となって健康管理している現状であります。健康診断の受診状況については、全く受けていない人が二四%にも上り、受けていない理由の三〇%が日時が合わないから受けられないと訴えております。
 また、問い八の診断を自由に受けられるためにはの問いに対して、四五%の方々が休日診断の実施を求めています。なお、今後受診したい内容については、がん検診の充実を求めつつも人間ドック等総合的な検診要望が強くなってきています。
 五番目は、こうしたことから健康管理や福利厚生面等働く上での保障が不安定なパート労働者の諸施策の充実が急務であると考えます。特に、健康保険証の交付条件の緩和や職場内健診制度の充実を含めたパート労働法の制定がぜひとも必要と考えます。
 また、健康診断については市町村の住民診断や集団検診、病院での検診等の休日や夜間での実施や拡大が必要です。それとともに、女性の死亡率が急激に増加している大腸がん等のがん検診の充実や、人間ドックの検診の導入を図っていかなくてはならないと思っています。
 今後、このデータを中心にさらに分析して県、市町村議会で質問を通しながら、またパート女性問題として運動を展開していきたいと、こういうような実態調査が届けられましたので、一応御参考までにこれをお伝え申し上げて私の質問を終わります。
 後は、私ども公明党の中西委員の方に時間をたっぷり回してたくさん質問してもらいたい、こう思っております。
 以上でございます。
#144
○足立良平君 きょう午前中来、パートの問題でいろんな点が各委員から出ているんですが、まず最初に、私は質問の通告をいたしました内容から外れたり、質問がダブらぬようになるべく進めていきたいと思いますから、臨機応変にひとつ回答を願いたいと思うんです。
 このパート労働者というのは、近年ずっと増加をしてきているわけでして、増加をしてきている要因というのを労働省としては一体どのように認識をされているのかということが一つ。
 それから二つ目に、パート労働者と一口に言いましても相当幅があることは承知しているんですが、今後パート労働者というのは一体どういう傾向を保っていくのであろうか、どのように認識をされているのか、まずこの二つの考え方をお聞きしておきたいと思います。
#145
○政府委員(松原亘子君) パートタイム労働者の数は、先生御指摘のように近年急速にふえているわけでございます。i
 どういう要因があるかということでございますが、これはいわば二つの側面がございまして、一つはパートタイム労働者として働きたいという方が非常にふえているということが一つございます。その中にも二つの層があろうかと思いますが、一つは女性でございます。女性の就業意識などを見ますと、子育ての間一たん家庭に入り、それが終わってからまた仕事につきたいという方が三分の一ぐらいいらっしゃいまして、随分多いわけでございます。その場合に、どういう仕事がいいですかということを聞きますと、家庭生活と両立できるような仕事がいい、具体的にはパートタイム労働といったような労働がいいという方がまた非常に多いというようなことで、そういう女性の意識というのが一つあろうかと思います。
 そして、現にまた家庭生活といいますか、家庭責任も過去に比べますと、例えば子供の数が減っているとか、家事についても相当合理化できるようなさまざまな製品等の開発が進んでいるといったようなことがございますので、いわば家事労働以外に向ける時間というのがかなりふえてきているということが一つあろうかと思います。
 また、もう一つの層でございます高年齢者でございますが、統計調査等で見ていただきますと、職業生活からのだんだん引退過程にあるというようなこともございまして、体力に見合った仕事という観点からパートタイム労働がいいというようなことで、そういう働き方を選ぶ方がふえているということが一つございます。
 それとともにもう一つは、今度企業サイドの要因といたしまして、パートタイム労働に対する需要といいますか、ニーズというのが高まっているということがございます。これは、近年特に顕著に見られる傾向としましてはサービス経済化というのが非常に進んでいるわけでございまして、これは製造業などと違って、製品をつくってストックしておくということがなかなかできない。顧客がサービスを求めるときに対応しなきゃいけないというようなこともございますので、例えば一日当たりにしてみましても、忙しい時間帯というのがかなり集中しているとか、それから曜日でも同じような傾向が見られるといったようなことで、そういったところに対応するために、またフル一日、一週間フルにずっとそういう仕事があるというわけではないときに、そういう一時的な労働投入量の増加といったものをパートタイム労働ということで対応したい、こういうニーズが両方あるんではないかというふうに思っております。
 そういうことからふえているわけでございますが、こういった働く方々の要望、また雇う側のニーズ、そういったものに合う労働の形態としてこのパートタイム労働というのはこれからも私どもはふえていくのではないかというふうに思うわけでございます。そういう意味からも、ますますこの就業の形態を良好な魅力あるものとして社会の中に位置づけていくということが重要になってきているというふうに認識をいたしているわけでございます。
#146
○足立良平君 それでは、その上で現在の、これはパートタイマーとしてなんですけれども、そういう働く側とそれから雇用する側とのそれぞれの事情はあるわけですけれども、どこに一番の問題点があると労働省としては認識をされているのか、これをお聞きしたいと思います。
#147
○政府委員(松原亘子君) 問題点といいますか対応しなければいけない点というのは幾つかあるわけでございまして、どれが一番というのはなかなか申し上げにくいんでございます。
 幾つか申し上げさせていただきますと、一つはパートタイム労働者の方々が雇われるとき、就業といいますか雇用契約を結ぶときに必ずしも契約内容、労働条件が明確になっていないといったようなこともあるようでございます。一部には口頭の約束で雇われるとか、場合によりましては何の約束もなしに何となく就業を始めてしまうといったようなこともあるようでございます。そういうことになりますと、いろいろ労使間でのトラブルが生ずるということもあるわけでございますので、そういう意味でのまず雇い入れ時における労働条件が明確になってないということが一つ問題としてあろうかと思います。
 それから、パートタイム労働者の方々は最近量がふえているということだけではなく、質的にも非常に専門的、技術的な職業に従事する方がふえるなど、質的な変化も見られるわけでございまして、基幹的な仕事を行う方々もふえているという実態にございます。しかしながら、世の中にはともすればパートタイム労働というのはイコール補助労働、一時的な労働といったような認識がまだまだあるといったことは否定できず、パートタイム労働者の方々の意欲や能力が十分に発揮できるような雇用管理が行われているかというと、必ずしもそうではない。例えば、パートタイム労働者の方には教育訓練はしなくてもいいものだとか、最初から思い込んでしまったようなそういう管理が行われているというような実態もあるわけでございます。
 それから、労働時間の決め方などにつきましても、パートタイム労働者の方々というのはなぜパートタイム労働を選んでいるかというのは、先ほど申し上げましたように家庭との両立ができるということで労働時間というのは非常に重要な要素になっているわけでございます。にもかかわらず、必ずしもパートタイム労働者の方々のニーズを十分踏まえたような労働時間の設定になっていないとか、残業があるのかないのかわからないまま就労し、突然残業するように頼まれて非常に雇用を継続するのが難しくなったといったような例もあると聞いておりますので、そういった意味での特にパートタイム労働者の特性に着目した雇用管理が必ずしも行われてないといったようなこともあるわけでございます。
 それ以外にも幾つかあろうかと思いますけれども、私どもこういった問題点をやはりきちっと解決するような仕組みというのをつくっていかなければいけないんではないかというふうに思っているところでございます。
#148
○足立良平君 それで、もう一つ聞いておきたいと思いますのは、今景気の状況というのは一応落ち込んできている実態でありますけれども、これは長期的に見ると日本の労働力というものが不足の時代に入ってくることはもうはっきりいたしておるわけでありまして、そういう中におけるパート労働というものを労働省としてはこれからどのように位置づけをしていくのかということが一つ。
 そして、そういう位置づけの中で、今三点程度の問題点というのは提起をされましたけれども、それらを一体どのように解決をしていこうとしているのか、この二つの点をまず明らかにしていただきたいと思います。
#149
○政府委員(松原亘子君) 御指摘のように、長期的に見ますとやはり人手不足ということが見込まれているわけでございます。そういたしますと、これからどういった層に期待するかということになりますと、女性と高齢者、これまで十分に活用されてこなかった女性と高齢者に対する期待というのがますます高まってくるわけでございます。
 その場合に、もちろんフルタイム労働で働きたいと思う方々につきましては、そういったことが可能になるような、障害があるとすればそういったものを取り除く必要というのは出てこようかと思いますけれども、多くの方々がパートタイム労働で働きたいというふうに思っておられるわけでございます。かつまた、産業構造などの変化も見ますと、そういったパートタイム労働に適した労働のあり方、労働に対するニーズというのも出てくることを考えますと、ますますこれは重要な働き方といいますか、そういうものになってくるというふうに認識しております。私どもとしては、パートタイム労働というものを補助的、一時的な労働だというような認識ではなく、きちんと社会の中に位置づける必要があるのではないかというふうに思っているわけでございます。
 そういうところで、先ほど申し上げたような問題点はございますことから、今回法律案を私ども提出させていただきましたのも、そういった問題を解決することが必要だというふうに思ったからでございます。そのために、一つはまず事業主の責務といたしまして、適正な労働条件の確保ですとか、教育訓練の実施、福利厚生の充実その他の雇用管理の改善、こういったことを図るための措置をとるように事業主の責務としてきちんと規定をし、その責務の具体的な内容を指針に明らかにすることによって、さらに行政指導を具体的に進めるようにしたいというふうに思ったわけでございます。
 なお、衆議院の段階での修正によりまして私どもは指針に盛り込みたいというふうに思っており、かつ現行指針においても書いてございますけれども、雇い入れたときの労働条件につきましてのそれを明示した文書の交付ですとか、それから就業規則の作成手続におきまして、短時間労働者の過半数を代表すると認められる者の意見を聞くように努めるものとするといったような規定が具体的に書かれたということがございまして、こういったようなことと相まちまして、私どもはパートタイム労働者の方々が本当の意味で社会にきちんと位置づけられるよう、能力が本当に発揮できるようにする環境整備をぜひとも進めていきたいというふうに思っているわけでございます。
#150
○足立良平君 確かに、今局長の方から答弁がありましたように考え方としてはそれでいいと思うんですね。抽象的に言うなら、労働力不足の時代の中におけるパート労働というものの位置づけ、あるいは経済そのものがソフト経済化していったりという状況の中における時間的な問題というのは、おっしゃるとおりに私は大変重要だし、そしてその中で社会の中にそういう重要なものとして位置づけをしていかなければいけないという今の答弁も、私は全く反論する余地のない名答弁だと思います。これはそのとおりだろう。
 問題は、その上に立って、それでは具体的に一体どのようにこれから進めていこうとするのかということが実は政府の今回の法案の中で、先ほども同僚議員が提起されておりましたようにそれでは具体的に一体パート労働をどうしていくのかということが、私どもが何回これを読んでみたとしても、その裏の労働省の考え方というのはちょっと浮かび上がってこないというところが、今この法案の私は一番の課題ではないかというふうに思えてならないわけです。
 それで、もう少し具体的にお聞きをしたいと思うんですが、これは提案説明の中にもありましたし、法案の中にもあるんですが、今も局長の方から種々いろんな問題点というのはある程度あるということは認識をされている。そして、そういうものを踏まえて適切な管理が行われていないなど云々という問題点を指摘されているわけでありますが、それでは適切な管理というのは一体どういうことをもって適切な管理であるかないかということを労働省として認識をされているのかこの点をもうひとつ明らかにしていただきたいと思います。
#151
○政府委員(松原亘子君) 結局、先ほど申し上げたような問題点がきちんと解決されるような管理と、こういうことになるわけでございます。
 もつ少し具体的に申し上げれば、例えば雇い入れ通知書の交付がきちんとやられるとか、就業規則が整備されるといったことによって、労働条件がまず明確化されるということが基本にあろうかと思います。それから、労働時間ですとかその他の労働条件に係るさまざまなことがきちんとやられなければいけない。現在、パートタイム労働指針の中におきまして、労働条件の適正化ということで労働時間につきましては「パートタイム労働者の事情を十分考慮するように努める」とか、それから「使用者は、パートタイム労働者について、できるだけ所定労働時間を超えて、又は所定労働日以外の日に労働させないように努めるものとする。」といったようなことですとか、パートタイム労働者は所定労働時間を超えて、または所定労働日以外の日に労働させようとする場合には、雇い入れの際にそういったことがあるということ、またその程度を明らかにするように努めるといったようなことが書いてございまして、そういった管理面での適正化ということがございます。
 それからまた、短時間労働者の意欲や能力、就業の実態に応じました教育訓練を実施するとか、それから各種福利厚生施設の充実、そういったにとが通常の労働者と同じように利用できるようにするといったことですとか、その他いわゆる雇用管理といいます募集・採用から始まって退職というところまで一運の雇用管理の流れがあるわけでございますが、それぞれの場面がパートタイム労働者の就業の実態それから通常の労働者との均衡、そういったものも十分踏まえた上で適切になされ、短時間労働者はその能力を有効に発揮できるような状況をつくるということが適切な管理ということで私どもは考えているところでございます。
#152
○足立良平君 それぞれ今提起されましたそれらのことを考えてみますと、一つは通常の労働者との関係といういわゆる均衡の問題も、これは既にいろんな意見が出されておりますけれども、一般的に日本の雇用慣行の中で、雇用状況の中で通常勤務者というフルタイムで働く、みなしのパートタイムは別としまして、通常の勤務者の雇用というのは原則として新規採用者、学校を卒業して四月に新規採用して、そして契約としては雇用の期間を定めない包括契約で労働契約をやっているわけです。そこには、職種の転換もいろんなことも含めまして存在をしている。
 パート労働の場合、例えば短時間の労働の場合における契約というものを考えてみると、一般的には職種契約というのか、先ほど局長も認めておられるように就業規則というのが不明確であるとか、雇用条件というものは口頭で極めてあいまいなものであるとか、あるいはそれぞれ委員から指摘されたように中途において口頭契約が変化してしまっているとかいろんな問題点は現実問題としてある。だから、これは一応別のなにでこれを阻止していかなきゃいかぬとして、一般的にパート労働というか短時間の雇用というのは、こういう仕事でしかもこういう時間帯でという契約をする。むしろ、通常の勤務者とは違った雇用契約というものを前提にしているように思うんです。
 そうすると、そういう雇用契約を前提にしたときにおける労働者の処遇の問題というものと、それから包括契約をしている一般の通常の労働者の問題とは、最低限法的に例えば年休をどうするとか休暇をどうするとか労働時間をきちんと守っていくとかあるいはまた賃金水準をどうするか、いろんな問題はあるとしましても、それはその契約の概念からすると全く同一視をして考えていくことが本当に適当なのかどうなのかというふうに疑問を持つわけでありますけれども、その点はいかがでしょうか。
#153
○政府委員(松原亘子君) 先生がおっしゃるのは本当にそのとおりだと思います。
 パートタイム労働者の方々の募集について私ども幾つか例を見ますと、例えばパートタイムの看護婦さんを募集するとか、看護婦さんは専門職ですからフルタイムの方の場合も看護婦という職種別募集かもしれませんけれども、小売店などではレジ係パートタイマー募集とかかなり限定的な職種で募集をされているというのが多いかと思います。それに対しまして、通常の労働者、正規社員という場合には、具体的に仕事の範囲が明確にされるというよりはどこどこの会社が採用するといったようなことで、仕事の内容というのを明示して契約関係、この範囲の仕事について賃金幾らというよりは、もう少し幅の広い範囲での契約というふうになっているのが一般的であろうかと思います。
 そういたしますと、具体的に職務の内容というのも、パートタイム労働者の方はその契約時の職務というのは明確であるわけですけれども、フルタイムの方々は配置がえというのもいろいろありますし、そういうことで職務の内容自体も違ってくる。それから、人事ローテーションによって転勤もあるというようなこともありますし、それに伴うまた責任の度合いといったことも違ってくるわけでございます。そういう意味で、労働時間が短いということだけでない、それに伴う質的な違いというのも必然的に伴っているという場合も非常に多いということだというふうに私どもも考えております。
#154
○足立良平君 そこで、私が次に質問しようとすることを先に局長は答弁されたんですが、そういう認識を持ちながら先ほど来ずっとお聞きをいたしておりますと、短時間労働に着目をしてということが大変に実は強調されているわけです。これは、確かに短時間労働というものに着目をしていかなければいけない。そして、その他の労働条件といいますか、そういう雇用管理の問題についてはこれはもう通常の労働者と全く一緒だという考え方は、それはそれであるんです。
 そのパートタイマー労働というものをこれからの経済社会の大きな変化の中できちんと位置づけをしていこうとするなら、労働時間云々というだけでなしに、そういう点をきちんと認識しながら、そしてこれから労働行政として、先ほど来ずっと各委員が提起をされているような問題点がどれだけ発生しないようにきちんとしていくのかという認識を持ってかからないと、出発点をあいまいにした状態でこの問題を考えていきますと、結果としてはまたあいまいな状態になってしまうんではないかというふうに私は思えてならないんですが、その点、もし御意見があればお聞きをいたしたいと思います。
#155
○政府委員(松原亘子君) きちんと位置づけるという場合、いろんな側面はあろうかと思いますけれども、やはり企業の中で重要な役割を担っているという、これは企業ごとにいろんな状況がありますから一律には申し上げられないかとは思いますけれども、そういう状態である場合におきましては当然のことながらその企業の中の雇用管理に正しく位置づけていただく。パートタイム労働をちょっとだけ補助的に考えているといったようなことではなくて、企業の雇用管理の中に、また賃金体系の中にきちんと位置づけるという管理がなされるということが必要であろうかというふうに思います。
 ただ、パートタイム労働というのは労働時間が短いだけということはよく言われます。実際にはそうではなくて、短いことに伴って必然的に出てくるいろんな違いというのはあるわけでございます。しかしながら、違いがあるからといってそれで企業の中、社会の中に正しく位置づけられないということとまたそれは同義ではありませんで、違いはあっても違いを踏まえた上できちんと位置づけるということは当然あるわけでございます。
 それは、個々のケースによって違うかと思いますけれども、国としての考え方としては今申し上げたような形でパートタイム対策をやっていく必要があるということで今回の法案を出させていただいたということでございます。
#156
○足立良平君 全く私も同じ意見でありまして、企業の中にパートタイマーの労働というのをきちんと位置づけをしていくということは私は必要だろうというふうに思うんです。
 ただそこで、次の段階でお聞きをしたいと思うんですが、企業の中でパートタイマー労働というものをきちんと位置づけをしていこうとする、しなければならない、そしてまた労働省としても位置づけするようにこれから努力をしていきます、こうおっしゃる。私はしてもらわなきゃいけないと思うんだけれども、それでは位置づけをするようにどうしたらそれが一体できるんだろうか。これは、パートタイマーの労働者を雇用している企業の数というのはもう何百万とあるわけです。だから、そういう面からすると、労働省がそういうふうな意図を持っていたとしても現実的にそれはなり得るのかどうか。
 例えば、現に今までに労働省としてこの指針を提起していて、その指針のとおりにすべてが行われているのかどうかというと、そのとおり行われていない。あるいは極端に言うたら、その指針があるということは知っている、あるいは全く知らないところもあるということを考えてみると、その上できちんと位置づけをしなきゃならないという上に立っての労働省の仕方の問題、この考え方をお聞きいたしたいと思います。
#157
○政府委員(松原亘子君) 一つは、私どもはパートタイム労働について国としてどう考えるかといったようなこと、またどういった施策を講じようとしているかということをまず世間に明らかにする必要があるんではないか。
 この場で議論をさせていただいておりまして、パートタイム労働をきちんと位置づけるということを何度も繰り返し申し上げても、世の中にそれがかなり伝播するかというと必ずしもそうでない面もございます。そういうことから、この法律案の中の第五条で労働大臣が短時間労働者対策基本方針を定めるということにいたしておりまして、先ほど来申し上げておりますようなことを、つまりパートタイム労働者の社会の中でのきちんとした位置づけの必要性、そしてそれを具体化するための施策、またバックアップするための施策等々をきちんと書きました方針をまずつくりたい、それでこれを世の中にアピールをしていきたいということがまずございます。
 それから、具体的な雇用管理の改善につきましては、事業主の責務ということで法律に書いてございまして、その責務の具体的な内容を指針において明らかにするということ、そういう仕組みになっているわけでございます。この指針につきましても、法案を成立させていただきましたら速やかに策定作業をやりたいというふうに思っておりまして、この法律それから指針、先ほどの基本方針、こういったものをいろんな機会にPR、広報をさせていただきまして、考え方が定着するように私どもも広報、啓発活動に最善を尽くしたいというふうに思っているところでございます。
#158
○足立良平君 これは、日本の労働基準法の改正の委員会におきましても議論がされたところでおりますけれども、旧西ドイツというところのいわゆる労働の基準という問題と、そして日本における労働の実態というものが、法律を先行するのか、労使関係が先行するのかという議論がございました。
 残念ながら、日本の場合には法律が先行していって、そしてある程度労働の基準というものが、いわゆるミニマム基準というものがきちんとしていく。そして、漸次その基準というものを引き上げながらより公正な労働慣行というものをつくり上げていくことが、残念ながら日本の場合にはその手法をとっていかざるを得ないという実態にあろうかと思います。
 そして、その面からいたしますと、パートタイムの今回の法案というものと、それから現行の労働基準法というものとを考えてみますと、むしろ労働基準法の場合には強行法規として最低限これだけの基準というものは日本の労働者に保障しなきゃならない。これは、憲法から出てくる考え方としてはある。そうしますと、その基準に達する問題として今回のパート労働法においても、むしろ今日の新しい経済社会の変化に伴って、パート労働というものの位置づけはだんだんウエートが大きくなってくる。
 現に、雇用労働者が日本の場合は約五千万強の中で、現実的にパート労働が八百万から九百万あるいは一千万くらいに考えられる。二〇%、一千万人の人間がパート労働で働いている場合には、国の労働行政としてそれは強行法規としてこの部分は最低限きちんと守ってもらわないとそれはいけないのではないか、こういう議論が当然出てくるのではないか。
 したがって、そういう点で、今回のこの法律というものの位置づけというものがどういうところからこういうふうな法律になってきたのか、私は労働省の考え方にいささか疑問を持っているんですけれども、その点、お聞かせを願いたいと思うんです。
#159
○政府委員(松原亘子君) 御指摘のように、労働基準法は労働者の労働条件について最低基準を定め、これ以下の労働条件はどういう理由があっても許さないということで、罰則をもって担保しているものでございます。
 それに対しまして、この法律というのは、通常の労働者に比べて先ほど申し上げましたような幾つかの点において問題があり、これについてはやはりパートタイム労働者の能力の十分な発揮という観点から手当てをしなければいけない。しかしながら、一方で、パートタイム労働者の実態というのは非常にさまざまであって、これが最低基準であり、これ以下は許さないといったような形での強行法規をもって担保するというのにはいささかなじまないのではないかということで、今回のような法律にさせていただいたわけでございます。
 つまり、事業主が労働大臣が定める指針の内容に沿ったような雇用管理に持っていくように努力をする、そして国も後ほどの章で書いてございます短時間労働援助センターというものを設けまして、そこが国の行政指導と相まって実効を上げるためのさまざまな援助をやるという、そういう二本立てでパートタイム労働者の方々の労働条件、雇用管理の改善といったことを実現しようというものでございまして、労働基準法とはその性格が異なるものでございます。
 そういうふうな認識で、私どもは今回の法律案を作成させていただいたわけでございます。
#160
○足立良平君 この指針を読んでみますと、内容的に見ると、労働省が認識をされているものと、そして午前中来それぞれの同僚の委員から指摘をされている現実問題というものは相当ギャップがある。例えば、一井委員の方からも午前中に実態云々ということ、パート労働者の例えば労働条件の問題も含めて、これは賃金を安くといいますか、安価な労働力を確保するためにやっているんではないかというふうな提起がございました。
 それは、現実的にどうであるのかは別として、これは私は労働省の皆さんに一つお聞きをしたいと思うんだけれども、有効求人倍率というものを一つとってみましょう。有効求人倍率というものをとりますと、例えば平成元年は一般の労働者は一・一一なんです、年間平均いたしますと。ところが、パートの場合には三・九三なんです。約四倍弱なんです。それから、平成二年の場合にも一般が一・二六、そしてパートが三・二七、平成三年は、一・二八の一般に対してパートは二・六、そして四年は、一般が一・〇一に対してパートが一・七五なんです。これは、労働省としてこの数字をどのように認識をされるか。
 現実問題として、パートというものが日本の労働市場の中に入ってまいりましたのは、いわゆる高度経済成長で労働力不足というものが認識をされかけたときから入ってきている。そして第二期というのは、石油ショック後の企業のリストラを中心にした中でパート労働というものはよりウエートを高めてきた。そして、第三期というものが現在の経済のソフト化の中で、先ほど局長も答弁されておりましたように専門職とか熟練度とか、いわゆる特殊な能力というものを前提にしたパートが今入り込んできている。けれども、ベースとしてはそういういろんな企業のリストラの問題も含めて進んできているのが今日の実態なんだろう。
 もちろん、局長が冒頭答弁されましたように企業の労働力を必要とする時間帯が集中的に変わってきていますから、そういうふうな時間帯で効率的に労働力を確保したいという一面性があるし、働く側もまたそういう一面性があります。しかし、企業の効率化というものは、これは前提として今進んできているというふうに労働行政の一番の原点としてそれを認識しておかないと、私はそこから先の手の打ちようが全部狂ってくるというふうに思えてならないわけです。
 したがって、確かにパート労働というものは私もずっと現場を歩いてみましたときに、相当な幅があります。そして、委員から指摘されているようないろんな問題点もある、あるいはまた局長が言われているように私はこの時間帯でこのように働いた、この方がいいんですよという労働者も現実におります。だから、実態は委員の皆さん方が提起されたのと、局長が言われているきれいな面と、こっちは実態的には一番問題のあるところはかり指摘されている面もあるんですけれども、しかし両方の面を持っているとするなら、私はこれからの日本のパート労働というものをきちんと位置づけしようとするなら、この問題点のあるところを引き上げていく。それは、ある面においては強行法規できちんとやっていかないと引き上げていくことができないのではないかというふうに思えてならないんです。その点、局長の考え方を再度お聞きしておきたいと思います。
#161
○政府委員(松原亘子君) なかなか難しい点でございます。
 確かに、効率という問題と公正という問題、どういうふうにバランスをとって実現するかというのは、いつの時代でも非常に難しいところでございまして、見方によりますと、視点をどこに置くか、それが人によっていろいろ違ってくる。もう少し左に置かなければだめだという場合もあれば、いやもう少し右に置かなければつり合わないという場合もあるなど、その公正と効率のバランスをどこでとれば最もいいのか、社会的なコンセンサスがどこいら辺にあるのかということについてはなかなか一概に言えない難しい面があろうかと思います。
 そういう中にあって、私どもは現時点においてパートタイム労働者の方々のために新たな立法をつくるという観点に立ったとき、世の中のコンセンサスはどの辺にあるかということを考えなければいけないわけでございます。
 そういうときには、私どもが独断で判断するということではなくやはり関係者の御意見を十分に聞くということで、昨年来例えば労使の方にも入っていただきましたパートタイム労働問題研究会という中でずっと御検討をいただいた。さらには、その報告を受けて私どもが法律案要綱をつくりまして、審議会に諮り審議会の御意見を伺ったということをやってまいったわけでございますけれども、その中でもなかなか実際には意見の一致を見ないところがございました。
 一方では、先生が非常にいいところというふうにおっしゃいましたけれども、今は労使が自主的にパートタイム労働指針に基づいて雇用管理の改善をやっていくことで随分よくなっているではないか、したがって改めて法律をつくる必要はないんじゃないかという御意見も一方にありました。
 また他方では、非常にパートタイム労働は問題だ、差別が多い、そういったことを今急いでやらなきゃいけないんだ、そういうことに対応していかなければいけないんだということから、例えば四野党が衆議院にお出しになりました、パートタイム労働者とフルタイム労働者の差別を禁止し、かつそれを罰則をもって担保するような法律が必要だという御意見もありまして、我が国におけるパート労働問題について特に法制化ということを考えた場合のコンセンサスがどこにあるかということについては、なかなか判断が難しいところがあったわけでございます。
 したがいまして、先生がおっしゃいましたように強行法規が必要ではないかというふうに言われましたけれども、我が国においてはそういったコンセンサスは現在のところはないと言わざるを得ない。やはりもう少しソフトな形で行政指導と一方における労使に対する援助、そういったものでだんだんとパートタイム労働者の方々の就労環境の整備を図っていくという手段が一審いいのではないかということから、こういう法律案を提出させていただいたということでございます。
#162
○足立良平君 このパートタイム労働者の指針の関係ですね。今指針である程度よくなったと、これはよくなったかどうかは認識の差だろうと思うんです。
 それで、この指針をずっと見ておりまして、これもきれいごとを前提にしているんだなというように私は正直言って思っているわけです。
 これは指摘をいたしますと、先ほど武田委員でしたか、いわゆる労働組合の組織率の問題が提起をされました。これは、指針の第一の「趣旨」のところの後半で、「労使をはじめ関係者が考慮すべき事項」、こういうふうに明記されております。それから、これは「就業規則」の項なんですけれども、「就業規則の作成又は変更に当たっては、適当な方法でパートタイム労働者の意見を聴くことが望ましい。」と、こういう言い方になっています。それから、「賃金、賞与及び退職金」の項で、これは局長も指摘されている問題点の中でも、「パートタイム労働者の賃金、賞与及び退職金については、労使において、その就業の実態、通常の労働者との均衡等を考慮して定めるように努めるものとする。」、こうなっています。
 これは、先ほど来若林労政局長の答弁にもありましたけれども、パートタイム労働者の組織率というのはもうほとんどないに等しい、現実問題として。そういう現実問題としてないに等しい中で、例えば「考慮すべき」であるとか「適当な方法で」「意見を聴くことが望ましい。」とか、あるいはまた「努める」云々、こういうふうな内容で、そしてそれが労使関係の中でパートタイム労働者の問題点というものを現実的に解決することができるのか。
 ということになってまいりますと、局長の先ほど来言われている答弁は、なるほどいろんな幅があって難しいけれども、しかし本当にこれからパートタイム労働というものがこれからの我が国の経済社会の中で重要な位置づけをしようとすればするほど、国民みんなが、これは職種の違いがある、あるいはまた通常の勤務者とは違うんだけれども、この点だけはきちんとやっぱり担保していくものはある、こういうものをつくり上げていくことが私は逆に言うなら労働行政というものではないか、こういうふうに思うんですけれども、局長もう一遍ひとつ答弁をしていただきたいと思います。
#163
○政府委員(松原亘子君) 労働者の賃金ですとか休暇その他の労働条件は基本的には、最低労働条件の確保というのはまあ別でございますけれども、それ以外につきましては基本的には労使の両当事者の話し合いによって決められる。つまり、労使自治の原則というのがやはり働くべきであろうというふうに思います。そういう場合に、どういった要素を考慮してやられるかということは、労使で十分お話し合いをなさってやられるのが基本であるというふうに思います。
 しかしながら、このパートタイム労働の問題については、それではすべて労使自治で自由にお話し合いをと言っているかといいますと、必ずしもそうではないというのがこのパートタイム労働指針でございまして、結局労使自治にある意味では割り込んで入っていっているというのがこの姿であろうかと思います。
 つまり、労使の方々が自主的にお話し合いをなさっていろんなことを決めるわけですけれども、ひとつこれに沿ったような形でやってほしいというふうに示しているわけでございまして、先ほど先生が読み上げられましたけれども、そういうことで労使に、「考慮すべき事項」というふうに書いてあることからわかっていただけるかと思いますけれども、全く何もやらなくていいから自由に決めてくださいというのではなくて、こういう点を十分配慮して考えてほしいということを示しているわけでございます。
 現在のパートタイム労働者の労働条件の改善につきましては、先ほど来ちょっと申し上げましたけれども、社会的なコンセンサスがどの辺にあるかということも踏まえますと、こういった手法によってやっていくというのが最も適当ではないかというふうに考えたところでございます。
#164
○足立良平君 それでは、次に進みます。
 ただ、これは今局長の答弁からいたしますと、私は労使の、例えば賃金の水準をどうするとかこうするとか、行政がそこに入り込んでまいりますとこれは問題があるわけでありまして、自主的に決めていくということはもう当たり前の話であります。当たり前の話なんだけれども、その基準法の精神からいたしまして、労働条件のミニマムというもの、日本の労働者の最低限のものは法によって決めていこうという近代法の精神からして、それは最低限のものは強行法規として決めていかないと、日本の社会の中ではこれは定着をしていかないという現実があるということを私は申し上げておきたいと思います。
 これは、最後になると思いますけれども、短時間労働援助センターの問題なんですが、これを設置する必要性が一体どこにあるのかなと、私はこの点も大変実は重要視をいたしまして、相当しつこく質問しなきゃならぬなと思っていたんですが、ちょっと時間もございません。
 現在の指針の問題も含めまして、これは考えてみますと、パートタイム労働者の相談等につきましては都道府県の婦人少年室が行っている、あるいはまた賃金、労働時間等の問題は労働基準監督署だ、それからいわゆるパートタイム労働者の求人求職は公共職業安定所、そしてまたこの労働者の労使関係なり労働福祉の問題は都道府県の労政課あるいはまた福祉課が行っているというふうに、このパートタイム労働者の問題というものは、労働行政の中ではばらばらになってしまっているというところに一番の問題点があるのかもしれません。しかし、それはそういうことが現実的にこのセンターをつくることによってすべて解消し得るのかどうなのかということが私はどうしても理解ができないということが一つ。
 それからもう一点、先に申し上げておきますけれども、具体的に短時間労働者を雇用する事業主あるいはまた事業主の団体に給付金を支給することになっている。どういう基準で、そして金額は幾らくらい給付していくかということなんです。私が聞いてみると、実は事前にはまだ決まっていない、とにかく給付いたしますよということだけこの法律で決めようとしている。
 これは、一体どういうことなんだろう。何のために事業主に給付金を支給しなければならないのかということが、私はどう考えてみても理解できない、こういうことは。例えば、労働時間を短縮するために事業主が努力するときに、金額が少ないか多いかは別としてそれだけにコストが相当アップする、労働時間短縮をしようとするなら。したがって、そういう面では労働時間を短縮するために企業主を援助していかなきゃいけない。私は、それはそれなりに理解ができるわけです。しかし、短時間労働援助センターを通じて支給するのに、どういう基準でどういうところに一体それでは幾ら支給するのかもはっきりせずに、とにかく支給することだけ決めましょうというこの考え方は、私はどうもわからない。
 しかも、これはもう一言申し上げておくなら雇用安定事業の女子再雇用促進給付金というのがあります。これを考えてみますと、予算は平成元年九千四百五十万ある。九千四百五十万の平成元年度の予算に対して実績が八十万、平成二年は同じ九千四百五十万に対して八十万、平成三年度は九千四百五十万に対して実績ゼロ、四年度はまだ出てないんでしょうが、というふうに給付金というものにしましても、予算と実績というのはもうてんで話にならぬ実績になっているというところから考えてみて、こういう給付金を出す場合の目的というものなりはもっと明確にしていただかないと問題がある。これは、実際的にはこの給付金というのは松原局長の懐から出しているわけではない、パートタイムで働いている労働者の税金から払うわけです。
 ですから、そういう面で税金をいかに効率的に有効に使用していくかということは、これはもうイの一番であろうと思いますから、そういう観点で労働省の考え方をお聞きいたしたいと思います。
#165
○政府委員(松原亘子君) まず、短時間労働援助センターを設置することとした理由でございますけれども、確かに現在パートタイム労働問題を扱っている行政機関というのは非常にたくさんあるわけでございます。しかしながら、例えばパートタイム労働者の方が何か問題を抱えられた場合に、御自分がどこに行ってその相談に乗ってもらえるのかということは、もちろんこの分野に非常に詳しい方であればともかく、なかなかわかりにくいというものがあるんではないかというふうに思います。
 衆議院で御審議いただきましたときも、ある先生がおっしゃったのは、職業安定所に行ったらいやこれは監督署の問題だと言われたとか、監督署に行ったらこれは安定所の問題だと言われたというようなことがあったというお話がございましたけれども、そういったことも現実に起こり得るということはあろうかと思います。そういうことになりますと、あっちへ行ったりこっちへ行ったりというようなことになりますので、特に時間がないという観点に立ては、とにかく正しいところにストレートに行っていただくということが非常に重要になろうかと思います。
 私どもは、このパートタイム労働援助センターに期待したいと思っておりますのは二つございますが、一つは今申し上げたパートタイム労働者の方々の具体的な相談に応じられるような体制についてまず整理をしたい。もちろん、専門的な分野になりますと労働基準監督署ですとか職業安定所、そういったところに行くことになるわけでございますけれども、問題についてまずここのセンターで整理をし、どこに行っていただければその問題解決が素早くできるかといったようなことを御紹介する、そういったことでパートタイム労働者の方々自体への援助をいたしたいということがございます。
 また、パートタイム労働者の方々は多く家庭生活との両立を図りながら働いていらっしゃる方々でございますので、そういった問題について、例えば突然育児をしてくれた人がいなくなったけれどもだれか手伝ってくれる人がいないだろうかといったような情報が欲しい、そういう便宜を得たいということもあろうかと思います。そういう場合に、そういう情報について十分把握しているようなところで相談に対応できるということになれば、そういう意味でもバックアップ体制になるというふうに思ったのが一つでございます。
 それからもう一つは、企業に雇用管理の改善を進めてもらうということになるわけでございますけれども、事柄によりましては、企業の人事方針ですとか、それから先ほど来賃金とか退職金の均衡の問題などございましたけれども、そういったものを図る場合にはどういうふうにするか、賃金体系全体の見直しといいますか、考え方をどうするか整理しなければいけない。場合によりましては、例えば人員配置などと絡んできますと、企業の操業体制や営業体制をどういうふうに整えていくかといったようなことともかかわってくる。つまり、経営全般にかかわる事項に精通してないと、実際には指針を守ってくださいというだけでは直ちに実現できないという面は多々あろうかと思います。
 特に、大企業ならそういった面の専門家というのは社内に抱えているということはあろうかと思いますけれども、パートタイム労働者の多くの方々が中小企業に働いていらっしゃるという実態を考えますと、そういった事項、専門的な技術的な事項についてきめ細かなアドバイスというのも事業主は現に求めており、かつそういった面の解決がなくては指針の遵守も難しいということもあるわけでございます。そういった点については、具体的に行政機関が対応するというよりは、むしろ民間団体にある豊富な経験ですとか知識を生かした方がより効率的だというふうに考えたわけでございます。
 したがいまして、行政機関が行います行政指導とこの援助センターが行います支援、バックアップ策、そういったものが相まってこの指針の内容が定着をしていくということを私どもは期待をしているわけでございます。
 ところで、給付金の件でございますけれども、今申し上げましたようにパートタイム労働者の方々の非常に多くが中小企業に働いていらっしゃるわけでございます。中小企業は、こう言うと語弊があるかもしれませんけれども、やはり経営基盤は何といっても大企業と違う、人手も違うということになりますと、例えば雇い入れ通知書をきちんと渡すようにということになりましても、そんなに大勢のパートタイム労働者を雇うということでない場合に、一人一人みずからの手で雇い入れ通知書をつくって渡すということも非常に煩雑さを感じるというのも事実だろうと思います。しかしそれはやっていただかなきゃいけない。
 そういった場合に、例えば個々の企業というよりは中小企業の団体のようなところで一括してそういったものを印刷するとかそういったことで傘下の企業においてパートタイム労働指針の内容または法律の内容が遵守されるような手助けをしていくということが現実には非常に実効が上がる方策ではないか。そういうことであれば、中小企業といってもすぐにそういった面も対応できるということにもなってまいりますので、そういったことを援助するような、そういったことが促進されるような給付金を私どもは考えたいというふうに思っているわけでございます。
 ただ、ここの部分につきましては来年の四月一日からの施行ということにいたしておりまして、来年度の予算要求の中で、今申し上げたようなことも含めまして具体的に指針の定着について事業主または事業主団体を援助できるような実効ある仕組みを考えたいというふうに思っているわけでございます。
#166
○足立良平君 終わります。
#167
○吉川春子君 パート労働者保護の立法はパート労働者の長い間の強い要望であったわけです。この間、日弁運を初めさまざまな団体が立法提案を行ってきました。我が党も八九年に行いましたし、ほかの野党の皆さんも立法提案を行ってきました。
 その内容は、いずれも労基法の厳正適用を前提にして、パート労働者をその置かれている劣悪な労働条件から保護するため積極的な措置を盛り込もうとするものであったわけです。政府のパート労働法の立法の動きに対し、最初関係者は実は大きな期待を持ちました。しかし、今回政府の提出した短時間労働者の雇用管理改善法は、パート労働法と略称されますけれども、パート労働者の権利保護のための法の内容とはほど遠いと私は思います。
 以下、詳細に質問をいたします。
 まず、この法案の対象となる短時間労働者の数ですけれども、先ほど松原局長の答弁では、相当程度短いということで言えば八百六十八万人、そして疑似パートと称される人々はおよそ百二十万三千人とおっしゃいました。そうしますと、この二つの数の合計が本法の対象となるパート労働者ということになりますか。その数を示していただきたいと思います。
#168
○政府委員(松原亘子君) 先ほど申し上げた数字をもう少し厳密な意味で申し上げさせていただきますれば、この法案で言っております短時間労働者といいますのは、一週の所定労働時間が同一の事業所に雇用される通常の労働者の一週の所定労働時間に比べて短い労働者、こういうことになっております。
 ところで、現在我が国にありますこの短時間労働者に関係いたします統計調査でございますけれども、いろんな定義でとらえておりまして、これにぴたっと当てはまるものは実はないんでございます。先ほど、八百六十八万人という数字を申し上げましたけれども、これは総務庁が毎月やっておられる労働力調査の数字でございまして、これによると一週の労働時間が三十五時間未満の短時間雇用者ということでございます。これは実労働時間なんですが、そういう労働者の数が平成四年で八百六十八万人ということでございます。
 ところで、先生がおっしゃいました百二十万三千人でございますが、これはまた別の調査でございまして、労働省が平成二年に行いましたパートタイム労働者総合実態調査における調査の結果の中に出ている数字でございます。それは、一般の正社員と所定労働時間がほぼ同じ非正社員の数ということでございまして、これを足し上げてこのパートタイム労働法の適用対象者数というわけにはちょっといかないというような、時点の違いと定義のとらえ方が必ずしもきちんとしていないといいますか、きちんとしていないというと語弊がありますが、この法律の定義に言う短時間労働者になっていないというところがございますので、非常にラウンド数字でしか申し上げられないんでございます。おおむね推察するに、八百万からといいますか九百万近いと思いますが、それから一千万ぐらいの間ではないだろうかということで、きちんとそれを裏づける統計データがあるということではないというのは御了解いただきたいと思います。
#169
○吉川春子君 大ざっぱにつかんで、大体この法律の対象者は一千万ぐらいになるかもしれないと、こういうような答弁だったと思います。
 今まで、労働省は疑似パートの労働者とパート労働者とは一応区別してきたわけです。そして、先ほど来パート指針の中の文言も論議になっていますけれども、所定労働時間が通常の労働者とほとんど同じ労働者のうち、使用者は、「通常の労働者と同様の就業の実態にあるにもかかわらず、処遇又は労働条件等について通常の労働者と区別して取り扱われている者については、通常の労働者としてふさわしい処遇をするように努めるものとする。」と、こういうふうにしていますね。そして、今回こういうものを含めてすべての短時間労働者を一律にパート労働行政というふうにくくったと、この理由はどういうところにあるんですか。
 私は、こういういわゆる疑似パートというのは、今度の法案の対象にはしないで別のあれできちっと労基法の保護のもとに置くとか、そういろ形で区別するべきだと思うんですけれども、今回一緒にした理由、これを端的に述べてください。
#170
○政府委員(松原亘子君) まず、前提といたしまして、相当程度労働時間が短い、通常の労働者に比べて短いという方も含めまして、いわゆる短時間労働者につきましては労働基準法を初め労働関係法規というのはすべて適用になるわけでございます。そういう上に加えて、短時間労働者の方々については今度の法律を特別につくった、こういうことでございます。
 ところで、こういう短時間労働者のとらえ方をした理由ということでございますが、最大の理由は、正社員いわゆる通常の労働者と比べて労働時間が違う、その多少を問わず短いということになってまいりますと、それはそこで雇用管理が違うということになるわけでございます。それで、一般にパートタイム労働者の方々の問題点と言われております、例えば雇い入れ時の労働条件が不明確であるとか、就業規則の変更に当たってパートタイム労働者の方々の意見が聴取されないといったようなことにつきましては、通常の労働者の方々よりも相当程度労働時間が短い方以外についても同じようにやはりあるのではないかということから、そういう方々も含めて全体を今回の法案の対象にいたしたわけでございます。
 しかしながら、先ほど来御議論がありましたけれども、現在のパートタイム労働指針の最後にあります通常の労働者と所定労働時間がほとんど同じで就業の実態もほとんど同じ状況にあるという方々を今回の新しい法律の中に、もちろん全体として入っているわけですが、事業主の責務、そしてそれを具体化する指針の中でどう取り扱うかということはまた次の問題としてあろうかと思います。
 そういう方を相当程度労働時間が短い方々と一緒にしてしまうのか、そうでなくて現行の指針を踏まえたような形にするのかというのは次の段階である問題でございまして、それにつきましては私どもは現行の指針を踏まえて今度の新しい指針も策定をいたしたいというふうに考えておりますので、先生がおっしゃられましたようなこれまでやってきた行政と方向が違うのではないかといったことはないものでございます。
#171
○吉川春子君 そうしますと、パート労働指針の最後に書いてあるところの、使用者は、「処遇又は労働条件等について通常の労働者と区別して取り扱われている者については、通常の労働者としてふさわしい処遇をするように努めるものとする。」と、そういう立場で今後も労働行政はしていくということですね。簡単にお願いします。
#172
○政府委員(松原亘子君) 新しい法律に基づきます新しい指針は、これから審議会にお諮りして定めるということになってまいりますので、今私どもこうします、このとおり書きますと断言するのはちょっとそういう手続的な面でも問題があるところでございますが、基本的には現行の指針を踏襲してやりたいというふうに考えております。
#173
○吉川春子君 今回の法案によって法的根拠を与えられるとされているパートタイム指針の内容は、「労使をはじめ関係者が考慮すべき事項を定めたもの」とされて、使用者の義務規定がほとんどなくて、大部分は何々することが望ましい、こういう表現は一カ所ですね、何々に努めるものとするというのが十二カ所、私がざっと数えたらありまして努力義務規定にしているわけです。わずかに年休の取得とか雇用保険の手続、雇用管理、雇用労務管理者の選任についてのみ行うものとすると、こういうふうになっているわけですけれども、これも大臣告示という性格上、もちろん罰則はないわけですね。
 パート労働者の権利保護について、本当に権利保護の実を上げようとしたら、使用者の義務を法律に明記すべきではないんですか。そのお考えはどうですか。
#174
○政府委員(松原亘子君) 現在の指針は、先生おっしゃいましたように労働大臣の告示ということで、具体的な法的根拠はないんでございますけれども、定めて事業主に対する遵守の指導をやってきたと、こういうものでございます。
 そういうこともございまして、必ずしもこれが徹底してないということがございますことから、私どもはまずこの法案の中では第三条に「事業主等の責務」という規定を置きまして、事業主が雇用管理の改善等を図るために必要な措置を講ずることによって、「当該短時間労働者がその有する能力を有効に発揮することができるように努めるものとする。」ということで、まず事業主の責務というものを明らかにいたしたわけでございます。そして、今回この法律に基づいて作成しようとする新しい指針といいますのは、この三条の「事業主等の責務」を踏まえましてその具体的な内容を明らかにするというものでございますので、現行指針が労使を初め関係者が考慮すべき事項を定めたものであるということに比べますと、性格としては大幅に違ったものになってくるというものでございます。
#175
○吉川春子君 ILOがパートタイム労働について条約の採択に向けて準備を進めているわけですけれども、日本政府はILOからのパートタイム労働について条約、勧告いずれかにすべきかとの質問に答えて、条約には反対して国際的には少数派の立場に立っている。
 これも先ほど論議がありましたけれども、私はさらに具体的な内容について伺いますので、これは長くなると困るので簡潔に答えていただきたいんですけれども、ILOの質問のナンバー八の賃金の決定についての質問について政府はどう答えたか。ナンバー九の産前産後休暇等の母性保護について有給にすべきかどうか、この質問についてはどうか。それから、十四の老齢給付、家族手当の支給について。ナンバー二十一の通常労働者の所定内労働時間内の労働時間外労働賃金の支払いについて。これについてそれぞれどういう回答を出しましたか。
#176
○政府委員(松原亘子君) 質問八は、「パートタイム労働者の報酬比率が、労働時間が短いことに基づく差別なしに決定されるべきであると規定すべきか。」、こういう質問でございますが、これに対しまして私どもは「賃金に関する決定は、労使に委ねるべきものである。」ということと、「なお、我が国においては、パートタイム労働に関する一九八九年の「パートタイム労働者の処遇及び労働条件等について考慮すべき事項に関する指針」において、「パートタイム労働者の賃金、賞与及び退職金については、労使において、その就業実態、通常の労働者との均衡等を考慮して定めるように努めるものとする。」とされている。」というふうに答えたところでございます。
   〔委員長退席、理事大木浩君着席〕
 また、質問九でございますけれども、この質問は「条約は、パートタイム労働者が以下のことに関してこということでいろいろなことが書いてあるんですが、「他の分野または事業所の労働者と比較して同等な、または適切な場合には比例的な待遇を受けるべきであると規定すべきか。」ということで、その以下のことの中に「産前産後休暇を含む母性保護」というのが書いてございます。その点につきましては、私どもは「国際文書において与えるべき待遇の内容を」「一律に規定するべきではなく、母性保護に関しては、必要最小限のもの以外は労使の交渉に委ねられるべきものでありこということで、「加盟国の法令等により保護を与えられるものに限定すべき」だということを書いてございます。つまり、「加盟国の法令等により保護を与えられるもの」といいます意味は……
#177
○吉川春子君 いいです、それは。
#178
○政府委員(松原亘子君) そうですか。
 それから質問の二十一……
#179
○吉川春子君 十四はどうですか。
#180
○政府委員(松原亘子君) 質問の十四は、これは「勧告は以下のことを規定すべきか。」ということでございまして、質問の十四というのは非常にたくさんあるんですが……
#181
○吉川春子君 老齢給付と家族の手当について。
#182
○政府委員(松原亘子君) 「最低老齢給付及び一定の額の家族手当をパートタイム労働者に対して減額すべきではない。」というのを勧告に盛り込むべきかという質問ですが、それに対しましては「賃金体系の一部としての家族手当については、労使において決定すべき事項であるので規定すべきではない。」、つまり勧告に規定すべきではないということを回答いたしております。
 それから、質問の二十一でございますけれども、これも勧告に次のような規定を盛り込むべきかということでございまして、「パートタイム労働者の合意された勤務時間表外の作業は、たとえ総勤務時間数が関係する分野または事業所の通常の労働時間を超えない場合でも、特別に補償されるべきであると規定すべきか。」という質問でございますが、これにつきましては「パートタイム労働者の労働時間については多様であり、したがって、「合意された勤務時間表外の作業」の補償についても当事者間に任せるべきであり、国際基準で特別に補償されるべきと規定することには反対である。なお、我が国における時間外労働に対する割増賃金については、フルタイム労働者についても法定労働時間を超えて労働させた場合支払うことが義務付けられているが、労働契約に基づく労働時間を超え、労働基準法で定められる法定労働時間以下の勤務に対する補償については、当事者間で定めうるものとなっている。」というふうに回答をいたしたところでございます。
#183
○吉川春子君 今私が選んで幾つか伺ったのは、結局日本の政府は、パート労働者について条約でこういうものを決めるべきじゃないかという質問に対して、労使の決定にゆだねるべきだと、こういう回答をずっと寄せているんですけれども、その中で幾つか選んで今答弁をしていただきました。
 それで、パート指針でも「労働者の賃金、賞与及び退職金については、労使において、その就業の実態、通常の労働者との均衡等を考慮して定めるように努めるものとする。」となっていますが、使用者との交渉相手たる労働組合はパートの場合はどれくらい存在するんですか。パート労働者の組織率について伺います。何%ですか。
#184
○政府委員(松原亘子君) 労働省が行いました労働組合活動等実態調査、これは平成二年に実施したものでございますが、それによりますと、労働組合がある全事業所におけるパートタイム労働者の組織率は五・七%という状況でございます。
#185
○吉川春子君 つまり、国内のパート労働行政でも、あるいはILOの回答でも寄せた労使に任せるべきと言うときに、一方の組織率が五%だという、こういう事実を労働省がどう見るかということなんです。
 パート労働者を基準法初め法的に保護していかなければならない理由はここにありまして、実際にはほとんど組織化されていないパート労働者と使用者との自治、両方で話し合って決めなさいというのはある学者は空虚な前提だと、こういうふうに言っていますけれども、まさにそういうことじゃないんでしょうか。今度の法律も基本的には労使の自治にいろんなことをゆだねる、こういう立場に立って決められていると思うんですけれども、私は労働省の認識というのは非常に間違っているんじゃないかと思います。
 労働大臣に伺いますけれども、ほとんど組織されていないパート労働者、それが労使の自治という形で賃金も何もかも全部そこで決めなさい、こういう労働行政の姿勢というのは間違っていると思うんですけれども、いかがですか。
#186
○政府委員(松原亘子君) 最低労働基準につきましては当然法律で規定をされており、いかに労使自治といえどもそれを下回ることは絶対にできない、こういうことになっているわけでございますが、それ以外の点につきましては、基本的にはやはり労使自治でやっていただくということだというふうに思います。
 ただ、パートタイム労働者につきましては、年ほど来申し上げておりますようないろんな問題点があるということから、労使自治ではあるものの、一定の方向性を国として示し、それに沿った形で労使が努力するようにということで求めているわけでございまして、現状の我が国のパートタイム労働を考えますと、このような方策によってパートタイム労働者の方々の働きやすい環境条件の整備をするということが最も適切なやり方であるというふうに思っているところでございます。
#187
○吉川春子君 大臣、いかがですか。五%しか組織されていないパート労働者、これのいろんな決定を労使自治に基本的に任せる、こういう労働行政についていかがですか。それでよろしいんでしょうか。
#188
○政府委員(松原亘子君) 申しわけありませんが、もう一度答弁させていただきたいと思います。
 基本的には、やはり契約は最低の労働条件として労働基準法に決めてあるもの以外につきましては労使の自主的な話し合い、いわゆる労使自治の原則によってやっていただくということだというふうに思います。
 しかしながら、パートタイム労働対策についてはそれでずっとやってきたわけでございますけれども、やはり一定の方向性を示し、国として誘導していく必要があるということからパートタイム労働指針をつくり、さらにそれをもう少し実効あるものにするということで今回法律案を作成し、パートタイム労働指針も法律に基づくものにするということで整備をしたいということにしたわけでございまして、これでパートタイム労働者の労働条件の改善が全く進まないといった御指摘は当たらないというふうに思います。
#189
○国務大臣(村上正邦君) それでよろしいんでございますか。そのとおりであります。
#190
○吉川春子君 結局、パート労働者の問題を労使自治に任せるという、こういう政府の基本的な姿勢が今度の法案にもあらわれていて、それが最大の問題であると私は思います。
   〔理事大木浩君退席、委員長着席〕
 続けて伺いますけれども、パートタイム労働者の実態についてパート研究会の報告でも労働者の状態を述べていますけれども、これはどういう認識だったんでしょうか、伺います。
#191
○政府委員(松原亘子君) パートタイム労働研究会の報告は、多面的に書いてございます。
 基本的な認識は、まず一つはパートタイム労働者が非常にふえているということ。その要因は何かといいますと、両面ありまして、一つはパートタイム労働者として働きたいという方が女性、高齢者で非常にふえているということ。その意識は、家庭生活との両立てすとか、体力に見合った仕事といったような観点からそういうものを選んでいるという方がほとんどであること。それから企業のサイドでは、サービス経済化の進展により、例えば一日の繁忙時間帯に対応するためとか、一週間の繁忙日に対応するためということでパートタイム労働に対する需要が非常にふえているといったこと。こういった両方の側面からパートタイム労働者が非常にふえておるということ。
 しかしながら、これまでパートタイム労働というのは、ともすれば補助的労働とイコールでとらえられがちであったけれども、決してそんなことではなく、最近の状況を見ると、専門職ですとか技術的な職業に従事する方、場合によりましては管理的な職業に従事する方もふえているなど、質的にも非常に変わっている。そういう質、量両面から、我が国においてこのパートタイム労働というのは非常に重要な役割を担ってきているという認識がまず大前提にございます。
 ただ、パートタイム労働者の方々の意識、それからパートタイム労働を選んでいる理由など、そういったものを見ますと、パートタイム労働者というのは非常に多様であるという認識に立っているわけでございます。それは、各種統計調査から先生もごらんいただいていると思いますけれども、このパートタイム労働研究会の基本的な認識として流れているところでございます。
#192
○吉川春子君 パート研究会の報告では、賃金が安い、退職金制度が欲しい、昇進機会が少ない、能力を生かしてくれない、パートの意見を聞く機会が少ない、健康診断がない、能力開発、育児、家事の悩み、こういうものも挙げられていますね。そこは全部落とされて答弁されていましたけれども、どうですか。
#193
○政府委員(松原亘子君) 失礼いたしました。あえて落としたつもりは全くございませんで、先生がパートタイム労働の実態の認識と言われたものですから、むしろ属性ですとかそういったことに重点を置かれて聞かれたのかというふうに思って、大変失礼をいたしました。
 この報告では、「パートタイム労働者の就業についての課題」というところに「処遇等をめぐる状況」として、今先生が御指摘になりましたけれども、例えば「定期昇給、賞与、退職金制度等の労働条件についても、正社員との間あるいはパートタイム労働者相互間で異なっている場合もみられる。」というような実態のもとで、「雇入れ時に雇入通知書等書面を交付している企業は少なく、パートタイム労働者にどのような労働条件や制度が適用されるかをめぐって労使の間で問題を生じる」場合があるといったようなことが書かれております。
 それからなお、パートタイム労働者自身の意識としては、「賃金が安い、退職金制度がほしい、昇進機会が少ない、能力が生かせない、パートタイム労働者の希望や意見を聞く機会がほしい、健康診断を受ける機会がほしい、能力開発機会がほしい、仕事と家事・育児とを両立させたい等のさまざまな不満や不安がある。」ということは書いているわけでございます。
 さらに、その前段階で、パートタイム労働者の方でも、通常の労働者になりたいかというと、必ずしもそうでない方も中にはいる。今のままの仕事でいいかというふうに聞くと、今のままの仕事を続けたいという方もある一方、もう少し高度な技術、技能が必要な仕事ですとか責任ある仕事をしたいという方もあるといったようなことで、パートタイム労働者自身の意識も非常に多様であるといったことも指摘をされているところでございます。
#194
○吉川春子君 パート労働者の切実な声も反映されているわけですけれども、これは私どもの調査でも、またいろいろな団体がやっている調査でも共通して出てくる声なんです。労働省の認識も、今私が言ったようなそういう面については一致していますか。
#195
○政府委員(松原亘子君) 先ほどのパートタイム労働問題に関する研究会報告の中に書かれておりますパートタイム労働者の方々が持っておられる不安とか不満、私どもも調査いたしますとそういったものが出てきているということでございまして、そういう気持ちがパートタイム労働者の方々の中にあるということは認識いたしております。
#196
○吉川春子君 こうしたパートタイム労働者の要求は、やっぱり労働条件について通常の労働者と差別されたくない、同等に扱ってほしい、こういうことに集約できると思うんです。その場合、パートタイム労働者の平等の観点というのは、働いた時間に比して合理的なものを言うというふうに考えるべきだと思うんですが、一九六九年九月八日付の職業安定局長の通達では、労働条件の最も基本的なものである賃金について、「時間当たりの賃金は、当該事業所に勤務する同職種、同作業、同経験で、かつ勤務時間帯が同じである一般従業員の時間当たり賃金と比べて低い額でないこと。」となっています。この立場は八一年の職発四九一でも引き継がれていますけれども、今度法案の中にこの観点を明確に記さなかった理由は何でしょうか。
#197
○政府委員(岡山茂君) 先ほど御指摘のありました職業安定局の通達の趣旨につきまして御説明を申し上げますと、パートタイマーの就業希望者が非常にふえてまいりました、また求人も非常にふえてまいりまして、その職業紹介を円滑に促進する必要があるということで、パートバンクを設けるとかいったようなこともやってまいったわけでございます。
 この通達は、まずその中でパートタイマーの職業紹介を円滑に進めるためには、例えば就業希望者、求職者に対してはその資質の向上を図るために講習を実施するとか、それから同時に求人に際して、賃金や休憩時間等につきまして求人者に助言をすることが必要であろうということで、先ほど御指摘がございましたとおり時間当たり賃金につきましてこのような額でやってもらうことがその充足を図るのに重要であるといったことを目的といたしまして求人者に助言、指導をするということを行うこととしておるものでございます。
#198
○吉川春子君 だから、そういうことを行ってこられたわけでしょう。そうしたら、今度の法律の明文でこの観点、さっき私が読み上げましたようなそういう局長通達の観点をなぜ盛り込まなかったかと、その理由を伺っています。
#199
○政府委員(岡山茂君) ただいま申し上げましたこの通達の趣旨は、今申し上げましたとおり具体的に賃金をどのように労使において定めるか、あるいは具体的にどのように定めるかということについてあるべき姿ということを申し上げるというより、むしろ求人者に対しまして求人を充足するためにはやはりこのような賃金を支払うように求人申し込みをされるのがいいのではないかという助言、指導をするために行ったものでございまして、その限りにおいてこれと同じ趣旨のものということではないかと思います。また、パートタイム指針には別途それと違う観点が必要な面もあろうかと思うわけでございます。
#200
○吉川春子君 今までパート労働行政でそういうことをやってきたわけでしょう。そうしたら、そういう観点を法律の中に今度盛り込むのは当然のことじゃないですか。
 今おっしゃったパート指針で、賃金、賞与及び退職金については、労使において、就業実態を通常の労働者との均衡等を考慮して決めるとなっていますけれども、それと同じ意味だと、こういうふうにおっしゃるんですか。
#201
○政府委員(岡山茂君) これは全く同じ意味というふうに申し上げるよりは、私どもの通達は、求人者に対しまして求人充足を図るためにはこのようなことが必要ではないかという助言をするためのものでございます。
 したがいまして、パートタイム指針では、このパートタイマーの賃金のあり方についてどのようにするかという観点から定められたものであると理解をいたしております。したがいまして、この均衡といった点も踏まえてそれらの中にストレートにそのままということではないと思いますけれども、このようなパートタイマーの賃金についての指針での取り扱いを定めたものと考えております。
#202
○吉川春子君 今度法律がもし通ったとすると、職安は六九年の通達の観点と変える指導をするんですか。それとも、従来の方針で同一賃金という立場で指導されますか。
#203
○政府委員(岡山茂君) ただいま申し上げました通達の趣旨につきましては、職業安定所におきましてそのような趣旨を踏まえて指導していくわけでございますが、今回この法律が成立をいたしますれば、先ほどお話ございました法律におきまして、短時間労働者になろうとする者に対する雇用情報の提供、職業指導、あるいは職業紹介の充実等で国が行うこととされておりますので、パートタイム労働者に対する職業紹介に一層努力をしていくことにいたしておるところでございます。
 パートタイム労働者にかかわる職業紹介の業務の実施に当たりましては、今お話がございました時間当たり賃金を当該事業所に勤務する同職種、同作業、同経験で、かつ勤務時間が同じである一般従業員の時間当たり賃金と比べて低い額ではないようにするという方針につきましては変わるところはございません。
#204
○吉川春子君 私たちは、今度の法律が今までの通達の線よりもいろいろとさらに後退するという可能性もあるんじゃないかと心配しておりますけれども、少なくとも賃金については同作業、同経験でかつ勤務時間が同じである一般従業員の時間当たりの賃金と比べて低い額でないことということを徹底して指導されるように強く要望をしておきます。
 パートタイム労働者と通常の労働者の間に賃金の格差が減ってきているのかどうかという問題ですけれども、労働省の賃金構造基本調査で女子の一般労働者と女子のパートタイム労働者の格差を調べていますけれども、その結果はどうなっていますか。
#205
○政府委員(松原亘子君) 突然のお尋ねでございますので、今ちょっと調べでございます。済みません、後ほどお答え申し上げます。
#206
○吉川春子君 じゃいいです。
 これは、労働省の調査なんですけれども、時間当たりの所定給与は一般労働者が九百八十九円に対して、パートタイムは七百十二円ということで七二%、こういう格差があるという調査になっています。それから、退職金についても聞こうと思ったんですけれども、この数字も労働省の調査ですけれども、退職金制度があるというところは産業の合計で一二・二%、退職金制度がないというのは八七・八%、こういうふうにいろいろな面でパート労働者というのは非常に差別的な立場に置かれているという実態が労働省の調査によっても明らかになっていると思います。
 それで、退職金がないという点で、退職金がないということが非常にパートタイム労働者の雇用の不安定の原因になっているわけです。私は、ちょっと具体的な例について伺いますので、大臣よくお聞きいただきたいと思うんですけれども、コパルという会社があります。従業員二千百人、資本金四十五億円ですけれども、一月末川越工場が閉鎖されて九十二名のパートが全員解雇されました。退職金が十二万円から十七万円です。これは、勤続十五年から二十年で十七万円の退職金でほうり出されたわけです。二月にはさらに本社工場のパート全員の解雇、社員百八十六名の人員整理というものが発表されました。ちなみに、退職金引当金はこの会社は十九億円あるんです。このパートの労働者たちは就業時間が八時半から五時十五分、休憩時間四十五分で八時間労働で働いておられたわけなんです。
 それで、Aさんの場合は勤続十三年一カ月で時給が七百九十円、退職金が十五万円だったんです。正規だったら規定により勤続十三年の場合は八・九カ月で百十二万四千九百六十円の退職金が払われる、こういう社内規定になっているんです。こういう場合、先ほどから均等だとか均衡だとかという話がありますけれども、明らかに通常の労働者とパート労働者どこんなに差がある場合、これは均衡がとれているともなかなか労働省としても言いがたいんじゃないですか。こういう実態を調査していただきたいと思うんですけれども、どうでしょう。
#207
○国務大臣(村上正邦君) 今お話のありましたコパルですか、この新聞報道には一応目を通しておりますが、それ以上のことはいまだ労働省としても把握いたしておりませんので、調査をしろと、こういうことでございますので調査をして、個別の案件ですから個別個別によって対応が違ってまいりますが、早速調査をいたします。よろしゅうございますかそれで。
#208
○吉川春子君 はい。調査をしていただいて、それに基づいて適正な指導というか、パート労働者はそういう劣悪な状況の中で泣いているんです。そういう方たちをぜひ正当な権利に基づいてすくい上げていただきたいというふうに思います。
 それで、ちょっと前後しましたけれども、総務庁お見えでしょうか。
 総務庁が行政監察のテーマでパートタイム労働者の実態というのを選ばれましたけれども、その結果を簡単に御報告いただきたいと思います。雇い入れ通知書とか就業規則とか雇用保険の問題等ですね。お願いいたします。
#209
○説明員(福田実君) お答えいたします。
 勧告をしたのは平成三年の六月でございますけれども、婦人就業対策等に関する行政監察の一環として、パートタイム労働対策の実施状況について調査いたしました。その結果に基づきまして、一つはパートタイム労働者の雇用管理の適正化を図るため、平成元年に労働省告示として制定されたパートタイム労働指針の周知徹底及びパートタイム労働者の労働条件の明確化のための就業規則のモデルの作成について、それから二点目といたしまして、パートタイム労働者の雇用管理の適正化を図るため労働省が事業所に置くことを勧奨しているパートタイム雇用労務管理者の選任勧奨の効果的な実施、それから三つ目といたしまして、パートタイム労働者の雇用保険の加入促進及び職業紹介の迅速的確な実施ということ等について改善方を勧告したところでございます。
#210
○吉川春子君 ちょっと簡単過ぎたんですけれども、雇い入れ通知書、就業規則、雇用保険等についてどういう勧告をされましたか。
#211
○説明員(福田実君) まず、パートタイム労働指針の周知の状況でございますけれども、百六十七事業所について調査したわけでございますけれども、同指針を知っているという事業所が百三十二事業所、約八割ございました。残り三十四事業所が知らないということでございました。
 しかしながら、御指摘のございました雇い入れ通知書等の話でございますけれども、雇い入れ通知書を交付していないという事業所が三十一事業所、一八・六%、それからパートタイム労働者に適用される就業規則を整備していないというものが四十三事業所、二五・七%あるといったようにパートタイム労働指針そのものは周知はかなりなされているわけでございますが、それがパートタイム労働者の実際の処遇や労働条件に十分反映されていないというような状況が認められました。
 それから、雇用保険の加入状況についてでございますけれども、まず安定所の求人票から見ました場合に、実際私ども確認いたしました九十三件の中で加入資格がありながら未加入となっているものが四十五件、四八・四%ございました。それから、私どもが調査いたしました百三十八事業所について見ますと、三十一事業所、二二・五%が該当するパートタイム労働者を雇用していながら未加入といったような状況がございました。
 そこで、勧告といたしましては、パートタイム労働指針の周知をさらに徹底していただきたいということが一つ。それから、雇用保険の関係につきましては、「パートタイム求人票等における求人条件、労働条件等からみて短時間労働被保険者に該当するとみられる者については、職業紹介部門と雇用保険部門との連携を強化するなどにより、雇用保険の加入漏れ防止に努めること。」という勧告をいたしました。
#212
○吉川春子君 国の行政監察で見ても、非常にパート指針に基づいてもなかなかまだ徹底されていないという結果であったと思います。
 時間の関係で次へ進みますけれども、衆議院段階で修正された「その就業の実態、通常の労働者との均衡等を考慮して、」労働条件、雇用管理の改善を図る云々、この意味について伺いますけれども、先ほど来いろいろそのやりとりを聞いておりました。それで、端的に伺いたいのは、均等待遇ということをパートの労働者は求めているにもかかわらず、均等という言葉ではなくて「均衡」という言葉が法文の中に新たに入ったわけなんです。均等という言葉はイコールですね。均衡というのはさっき局長も言われましたけれどもバランスということでしょう。なぜその均等待遇、均等という言葉そのものが挿入できなかったのか、それは均等待遇ということを入れると非常に不都合なのかどうか、その点についてお答えをいただきたいと思います。
#213
○政府委員(松原亘子君) 衆議院での御修正でございますので私の方からお答えするのはいかがかというふうに思うわけではございますが、この現行のパートタイム労働指針の中でも、先ほど来申し上げてございますように「通常の労働者との均衡」という言葉が使われております。
 私ども、この「均衡」という言葉を使っておりますこれを御説明させていただきますと、パートタイム労働者についてはまず労働時間が短いということ、それは単に短いということで量的に比例してすべてが決まってくるということではなくて、それによって質的な労働の実態というのが決まっているのがほとんどのケースであろうかと思います。つまり、仕事の内容ですとか責任の度合い、それから人事ローテーションの体系にどういうふうに組み込まれているかといったようなこと、配置転換の可能性といったこと、総合的に雇用管理のすべての側面を考えますと、パートタイム労働者は労働時間が短くて、したがってあとは比例的に考えればいいとか考えるべきだといったようには簡単には割り切れないんではないかというふうに思います。
 やはり前提とする条件、先ほど申し上げましたように雇用管理のいろんなステージでのさまざまな違い、そういったことがございますことから、私どもはやはりそういう場合には均衡という言葉が最も適当であるというふうに考えておりまして、パートタイム労働指針の中にその言葉を使っているわけでございます。
#214
○吉川春子君 衆議院の修正なので答弁できないというお答えでしたけれども、労働省がうんと言えば修正できたんじゃありませんか。それで、私はその理由を聞いたわけです。
 それで、七〇年の婦人少年局長通達の中に、「パートタイム雇用は、身分的な区分ではなく、短時間就労という一つの雇用形態であり、パートタイマーは労働時間以外の点においては、フルタイムの労働者と何ら異なるものではない」、こういう一節がありますね。だから、そういう意味で言えばまさに労働時間以外はフルタイムと何ら異なることがないというわけですから、そういう意味で均等待遇ということは当然入れてしかるべきだというふうに思うわけですけれども、それを八九年のパート指針では「均衡」という形で後退しているわけで、そのパート指針の言葉、「均衡」という言葉を今度その法文の中に盛り込んだわけですね。そうすると、これはかつての行政指導の水準をさえ引き下げることを法律で追認することになるんじゃないか、固定化するという重大な意味を持つんじゃないかと私は思うんですが、いかがですか。
#215
○政府委員(松原亘子君) 御指摘の通達は、昭和四十五年に出されたものでございまして、この時期のことを思い起こせば、まだパートタイム労働というのはそれほど一般的でない、徐々にふえつっあったわけではございますけれども、それほど世間に定着しているという時代でもなかったというそういうことであったかと思います。
 そういう時代背景の中でこの通達は、その本文に書いてございますようにパートタイム雇用の歴史がまだ浅いということ、そういうことから女子パートタイマーの労働の諸条件についてはさまざまな問題が指摘されているという認識でございます。しかしながら、パートタイム雇用そのものについてまだ問題があると言いつつも、まずその問題の発端というのはパートタイム雇用の概念そのものがまだ確立していない、非常に概念の混乱があるんではないかということから始まっているわけでございます。そういうことで、まずパートタイム雇用という概念をはっきりさせるという趣旨で、これはパートタイム雇用ということで身分的に区別するためのものではなくて、そういう呼称で区別するということではなく、労働時間が短いという一つの雇用形態なんだということを明らかにいたしたわけでございます。
 ここのところで最大の眼目といたしておりますのは、まだパートタイム雇用の歴史が浅いということから、ともすればパートタイム労働者には労働基準法など労働関係法規の適用もないんではないかという誤った考えもかなりあった時期でございます。そういうことから、そうではなくて、これはやはりフルタイム労働者とそういう点においては何ら異ならないんだ、労働時間が短いんですよ、そういうことだけが違うので労働関係法規の適用はきちんとあるということを認識させなければいけないということから出されたものでございます。
 ところで、この同じ通達の中で「パートタイマーの賃金についてはこということが一文書いてございますが、そこにおきまして何が書いてあるかといいますと、「パートタイマーの賃金については、同種の労働者の賃金と均衡を保ったものであるよう」に云々、こう書いてございます。つまり、この時代におきましても現在のパートタイム労働指針に書いてございます就業の実態、通常の労働者との均衡という考え方がはっきり書いてございます。つまり「同種の労働者」という意味は、就業の実態を見てと、こういう意味と私ども考えておりますが、「賃金と均衡を保ったものであるようこというふうにはっきりと明記をいたしているところでございます。
 そういうことから、昭和四十五年から現在までにおきまして、パートタイム労働者とフルタイム労働者の賃金、賞与及び退職金等についての取り扱いにつきまして、あくまでも就業の実態、通常の労働者との均衡を考慮して定めるようにすることが必要だという考え方は一貫して流れておりまして、指針を定めたことによって四十五年の通達の方向が後退したとか曲げられたということは一切ございません。
#216
○吉川春子君 松原局長、読むんだったら全部読んでいただきたいんです。「均衡を保ったものであるようこの次に、「そのほか、当該事業所において、フルタイムの労働者に適用されている諸規定や職場の慣行その他の労働条件が、短時間就労という特性に基づくもの(たとえば、一定の労働時間就労することを前提とする休憩、休暇等)を除き、パートタイマーにも同様に確保されるよう努めるものとする。」、こういう規定もちゃんとあるわけですね。このときに、均等で待遇しなきゃならないということと、それから言葉の一つとして均衡という言葉が出てきた、それで一貫して変わらないと言うんですけれども、じゃどうして均衡という言葉はこの通達からずっとパート指針に引き継いで、今度の法案にも引き継いだけれども、そうしたら時間以外の点においてはフルタイムの労働者と何ら異なるものではないという、こういう考えはどうして引き継がなかったんですか。一方だけ引き継いで、一方は引き継いでいない。
 要するに、この当時の、革新自治体が全国にできたとか、労働組合の勢いもよかったとか、いろんな時代背景はあったと思います。そういう中でこの通達は出たと思うし、その中にはやはりパート労働行政としては必要なものも盛り込まれていた。しかし、そういうものはパート指針で全部落として、均衡とか職場実態とか、そういうものだけを残して、そしてそれを今度の法案に引き継いだ、こういうことなんです。
 私は、この論議だってもっとしたいんですけれども、もう時間がありませんので先へ進みますけれども、ともかくそういう今まで多少とも積極的な面もあった労働行政は、ここでもう本当に後退してしまうのではないか。そして、均衡ということだけが残って法律の中にも盛り込まれていく。ここに、本気でパートタイム労働者の均等待遇ということが労働省の頭にあるのかどうか。私は、そこに非常に疑問を感じるわけなんです。
 それで、さらに非常に重要なのはパート労働行政についてです。ちょっと時間がないので省略いたしますけれども、援助センターについて伺いますが、パートタイム指針を大臣告示から法的な根拠を与えたというのは、大臣告示よりもさらに行政指導を一層図れるからだということをパートタイム労働研究会の座長の高梨さんも言っているし、先ほど局長の答弁の中にもそういう趣旨のものがありました。そして、一層充実されるという行政指導は一体どこが行うんですか。援助センターで行政指導が行えますかどうか、その点をまず伺います。
#217
○政府委員(松原亘子君) この法律に基づく指導でございますけれども、一般的な啓発指導、周知徹底のための指導等につきましては、もちろん労働関係行政機関がそれぞれの任務に従ってやるわけでございますが、具体的にこの法律の修正後の第十条で、労働大臣が「事業主に対して、報告を求め、又は助言、指導若しくは勧告をすることができる。」、こういう条文になっておりまして、あくまでも指導は労働大臣、それからあと労働関係行政機関がやるというものでございます。
 この短時間労働援助センターを指定するということにいたしましたのは、パートタイム労働指針の内容を定着させる、企業の中にこれを正しく定着させるようなことをするというためにはもちろん行政指導は必要でございますけれども、特に中小企業を中心といたしまして、具体的な雇用管理のノウハウを求めているところというのは非常に多いわけでございます。
 また、先ほど申し上げましたようにパートタイム労働者の方々にとっても気軽に相談に行けるところが欲しいなど、いろいろな要望もあるわけでございまして、そういった事業主のニーズ、パートタイム労働者の方々の要望、そういったものを踏まえまして、パートタイム労働者の方々が職場で有効に能力を発揮していただけるように支援をする、側面から援助をする、そういうものとしてこれを指定することにいたしたわけでございます。
 短時間労働援助センターができることによって、行政としては指導しなくなるとか、指導をそちらに任せるといったようなことは全くないわけでございまして、既存の行政機関がこれまでの任務に従って行政を展開するということは当然のことでございます。
#218
○吉川春子君 労働省が業務を委託しようとしている二十一世紀職業財団ですか、女性職業財団ですね、その前の名前は。そこは、私が労働省からいただいた資料によると、職員が三人で、労働省からの天下りか嘱託が三人ぐらいで、大体数名の体制で、各都道府県一カ所ずつ、北海道にも一カ所、東京にも一カ所、埼玉県にも一カ所と、こういうところでおやりになるわけですね。
 先ほど、松原局長は、育児を手伝ってもらう人が急にいなくなっちゃった、そういうときも相談してもらいたいと、こういうことも言われました。私は、実はもう今日まで来るまでにお手伝いの方とか、そういう困った場面にたまたま何遍も出会って、そういうとき大変苦労してきたんですけれども、本当にそんなところで、北海道に一カ所しかない、そして数名の職員の人が一人の労働者の育児のお手伝いさんの世話までできるんですか。そういう何かそらぞらしいことをおっしゃるというのは、私は本当に誤解を与えると思うんですね。
 むしろ、私はそういうことではなくて、本当は労働基準監督官だって足りないでしょう、職安の職員だっててんてこ舞いでしょう。そして、婦人少年室も職員が少ないかどうかそこまでは陳情を受けていませんのでわかりませんが、そういう本来の労働省の国の機関、都道府県もありますけれども、そういうところの職員をふやして、そこでちゃんとした行政指導をする、そういうことが必要なんじゃありませんか。
 さっきちょっとおっしゃいましたけれども、専門は労基署かどこかへ行っていただかないとならないとおっしゃったけれども、まさにそうですね。ちょっと行ったところで、本当にとことんやってもらおうと思ったら、労基署とか職安とか、そういうところじゃないとできないんですね、行政指導の権限もないんだから。だから、こういうものを何となくつくって、労働省の天下り機関になるのかどうかわかりませんけれども、たった二カ所だったのが四十七カ所にふえるとか、そういうようなことをおやりにならないで、例えば大臣、労働基準監督官なんてうんとふやしたらどうなんですか、こういうところへ使うお金があれば、職安の職員ふやすとか。そして、そういうところでパートの問題も求人の紹介だけじゃなくていろんな問題もちゃんと扱う。だから、コパルの人だって、そういうところがあれば飛び込んでいけるんだけれども、今はなかなかそういう体制にないからなんですね。
 そういう点で、私は本来の行政指導機関の強化をこそすべきで、この援助センターというのは非常に何か中途半端な存在ではないかと思うんですけれども、いかがでしょう。
#219
○政府委員(松原亘子君) 先ほど申し上げましたように、本来の行政機関が本来の任務を遂行するというのは当然でございまして、労働省もこれまで行政体制の整備のためのさまざまな努力というのはやってきているわけでございます。
 しかしながら、このパートタイム労働問題を解決するためには、本来の行政機関が行う行政指導だけではなく、むしろもう少しバックアップ体制を整えるということによって現実には本来の行政指導の効果が実現できるという面もあるわけでございます。私どもは、そういう点に着目をしてこのセンターを設置し、そこがパートタイム労働者の方々、また事業主の方々への支援を行えるようにということにいたしたわけでございます。いわば行政指導とこのセンターの援助、そういったものが車の両輪となってパートタイム労働者の方々の働きゃすい環境整備ができるというふうに信じているわけでございます。
#220
○吉川春子君 大臣に最後、お願いします。
#221
○国務大臣(村上正邦君) よく労働省の実態を御存じの上の御発言、聞きようによっては労働省に対する強力なる御助言を賜っている、こういうふうに理解をさせていただいております。
 それからまた、この援助センターについては、見方によっては何か労働省は天下り先を考えてつくったんじゃないのという、そうした見方からいけばまたそこにはそこなりの御解釈が出てくるのかなと思いますが、素直にひとつここは、労働省といたしましてもこうしたパートの方々の本当の悩みをかゆいところに手が届くように親切、懇切にいろいろと御相談をさせていただく機関を新たに設けたい。これは、本当に何も色目で見ていただかずに、ひとつ今後の推移をぜひ見守っていただければありがたい。
 そして、実効の上がるように私どもも指導をしていきたいと思いますし、またそういう方向に育てていきたい、こう思いますので、いろいろ先生申し上げたいことがたくさんおありだとは思いますけれども、ここはひとつ私どもの本当の気持ちをそんたく賜ればありがたい、こう思っております。
#222
○吉川春子君 まだ言いたいことはあるんですけれども、時間が来たので終わります。
#223
○委員長(田辺哲夫君) これより午後四時十分まで休憩いたします。
   午後三時四十二分休憩
     ――――◇―――――
   午後四時十一分開会
#224
○委員長(田辺哲夫君) ただいまから労働委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律案を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#225
○笹野貞子君 よく参議院改革という言葉がありますけれども、なかなかこういう機関を改革するというのは遅々としておくれているわけですけれども、きょうはこの長時間の審議の中に休憩を入れて英気を養うということが初めてなされました。私も今疲れをとりまして非常に元気いっぱいで質問ができるということは、参議院改革のまず第一歩だというふうに思います。そういう意味で、いいことはどんどん進めていっていただきたいというふうに思います。
 それでは、元気なところで質問をさせていただきたいと思います。
 私は、労働問題を勉強したり審議したりするときは一つの大変な喜びを感じます。それはなぜかというと、人間というそのものが人間としての喜びを労働というものに置きかえて歴史の進歩があるというふうに思っております。かつては働くということは大変に苦痛で、まさに奴隷の労働というのは人間にとっては一番悲しい歴史でした。しかし、この労働の苦痛というものを人類の英知によっていかに尊厳のある楽しいものにしていくかということ、これは先ほど局長は、いろいろなバランスがあってなかなか労働行政というのは思ったようにいかないという御発言がありましたけれども、現実問題にそういうところもあるでしょう。しかし、これが人間の英知だったというふうに思います。人間が働くということは奴隷ではないんだという、そういう人間の良心というのが楽しい労働に変えていったというふうに思います。
 そういう点では、このパート労働というものも、一つの人間の英知が苦痛なものをいかに排除していくかという歴史なわけですから、余り現実問題に妥協することなしに、労働省としてはこういう人間の英知と良心ということについては積極的にやるべきだ。これが人類のロマンの一つだという、そういう認識を持っていただきたい。いつでも、労使のバランスだとか効率的な経済のバランスという、そういう余りロマンじゃないものに引きずり込まれるということは私はよくないというふうに思います。
 そこで、きょうは大臣が私と違ってお体のぐあいが余りすぐれないときに御質問するのは非常に何か心苦しいんですけれども、このパート労働という問題はどちらかというと経営者側にとっては触れてもらいたくない部分だったろうというふうに思います。そして、審議会の審議を見ましても、使用者側の方はまだ時期尚早、法律にする必要はないという強硬な意見があったということを聞きました。しかし、労働省は今度どちらかというと非常に急いで、なぜこんなに急ぐのかということは私の疑問の一つですけれども、急いでこのパート労働法じゃなくて、何かわけのわからない題をつけた法律が唐突に出てきた。なぜこういうふうに心境が変わってこの法律を出したかというところを、まず大臣にお聞きしたいと思います。
#226
○国務大臣(村上正邦君) 御同情いただいてありがとうございます。大丈夫ですから、元気いっぱいどんとやってまいりたいと思います。
 なぜ使用者側がやりたくなかったものをここで出したのか、こういうお尋ねでございますが、使用者側の思惑はどうであれ、労働省の立場といたしまして、やはり今日パートの重要性ということからかんがみて、そしてまた女性の皆さん方が大きな社会的変革の中でそれなりに職場を持ち、そしてより豊かな福祉、幸せを求めていくという、こうした時代の流れの中でやはりぴしっとすべきものはぴしっとしていかなきゃいけないんではないだろうか、こういう観点に立ちまして、機も熟しているというこうした考え方で出させていただいた、こういうことでございます。
#227
○笹野貞子君 実は、この法律につきましては、松原局長は殊のほか非常な熱の入れ方で、この委員会の前に私は相当時間局長と論議をいたしまして、本来で言うならばもうこの委員会で質問することのないぐらい論議をいたしました。そういう点では、松原局長の情熱はよくわかるんですけれども、しかしこの法律を読みますと、私は幾つか不思議なところがあります。
 全体で三十五条でしょうか。その中で、どうも読んでみますと十八条にわたって援助センターのことが延々と書かれております。法律というのは、一番重大な部分に条文をたくさん使うというのはこれはもう当たり前のことなんで、この法律で重大なことは援助センターなのかしらというふうに思うくらい援助センターのことが十八条にわたって書かれております。ひょっとすると、松原局長の二十年後の天下り先の法律を今からつくっているんじゃないかというふうに勘ぐりたくなるような法律なわけです。この法律は、先ほど言ったように一つの働く条件というものの歴史の進歩であるというふうにとらえるならば、これはこれでパートタイマーに一つの視点を向けたということは、これは評価に値するかもしれません。
 しかし、私ども野党四党もやはりパート労働法というのを提出いたしました。この私たちの野党提案を見ますと、非常に視点ははっきりしておりますし、我ながらいい法律だなというふうに思っているのですけれども、この政府提案の法律の方は、今も言ったように雇用管理などという言葉を使って、これはだれが何をどう管理するのかという、私にしてみたら、余り国民にとってはそういう言葉を使われたくない言葉が使われております。ですから、そういう点では一体何を言いたいんだろうか。その言いたい趣旨がきちっとわからないというふうに思います。
 そこで、大臣、お元気だということですので気をよくしてもう一度お尋ねをいたしますけれども、私たちが出した野党四党のパートタイマー法は非常に視点がしっかりしておりまして大変いいんですが、これは質問を通告しておりません。しかし、大臣は本会議でもノー原稿でもって演説するわけですから、委員会などは簡単だというふうに思います。私たち野党が提出したこのパートタイマーの法案について、一言御感想をお願いします。
#228
○国務大臣(村上正邦君) 前段の、松原局長のこの法案にかける情熱ということについては篤と御理解賜っておるようでございまして、私は労働大臣になりまして、衆議院でも私の女性観はどうだなんて聞かれたので申し上げましたが、どちらかというと家庭ではわんぱく亭主と申しましょうか、関白亭主と申しましょうか、それの延長線上で、労働省に参りまして松原局長と会うときなんか、やっぱりそういうあれが出てくるんですね。そうしますと、この局長はテーブルをたたいて私に、大臣、そんな程度だから困るんですよとか、そんな女性に対する認識だから困るんですよと、この前吉川議員にも大分おしかりを受けたわけでありますが、ちょうど立場がかわると吉川議員のような形で私を攻めてこられるわけです。
 そうした中で、パートということについて本当に情熱を傾けられまして、この重要性というもの、これがイコール女性の社会進出、そして家庭と職業との両立、こうしたことにいかに適合しているかというお話を承りまして、私も随分と洗脳されて今日に参っております。きょうあたりは多少顔色もよさそうでありますが、衆議院のときなんか本当に髪をざんばらげにして、なりふり構わずとにかく各委員のところへ、自分の考え方を、扉をたたいて回っておられる姿を見まして私も非常に感銘をいたし、この法案を何としてでもこの国会で速やかに成立させなきゃならないと心を打たれて今日を迎えている、こういうことでございます。
 諸先生方と同じように、女性の社会的地位というものをいかに位置づけていくかということは、本当に劣らずまさらずということが言えると思いますので、この点だけは諸先生も温かい目でひとつ局長を見てあげていただきたい。天下り先なんて本人もさらさら、私はむしろ女性局第一号の局長になってもらいたい、このように考えておるぐらいでございます。
 そこで、本題に移ります。野党法案の内容は承知いたしておりますが、労働省といたしましては、パートタイム労働者の処遇の確保等に関し罰則等による規制を行うことやパートタイム労働者について差別的取り扱いを禁止することについては、社会的なコンセンサスが得られてないことから適当ではないと考え、パートタイム労働者の多様な就業実態や認識を踏まえた適正な労働条件の確保及び雇用管理の改善を図ることを内容とする政府法案を提出させていただいた、こういうことでございます。
 罰則規定等々、私もこれは新規採用取り消しのときにも、浜本先生はいらっしゃらないようですが、庄司先生等々にお見えいただきまして、実効があるとすれば罰則規定を設けなきゃならないんじゃないかと、こういう御意見も賜りましたが、こういうことについての罰則規定というのは、いかに私が過激な大臣といたしましてもちょっとどうなのかなと、こういう考えを持っておるわけであります。
 そういうことからこうした政府提案を出させていただいた、こういう経緯でございますので、何とぞ御理解を賜りたい。だんだん、しゃべっておりますと、調子が戻ってまいりましたので、どうぞひとつ、御迷惑をかけました。
#229
○笹野貞子君 労働基準法の改正のときにも、私がフランスとドイツの例を出して、こういう労働法規というのはどういうふうな形態であるべきかということをお話しさせていただきました。
 力のバランスのないときには、いかに労使の自治といえども、国家というのは一つのこれからの展望、先見性というのをしっかり出しながらそちらの方に強引に引っ張るというのが、これが国家権力のすばらしいあり方だというふうに思います。そういう点で、どちらの顔も見て何も展望を出さないというのは、これは無力に等しいことで、私はこれからの日本もフランスやドイツのように一つの展望を出しながら、ロマンと喜びの方に国家は国民を引っ張っていくべきだという論理を展開いたしました。
 しかし、まだ日本の民主主義というのはそこまでのロマンを理解する力がないんでしょうか、どちらかというと労働省はびくびくしながらやっているような感さえあります。そういう点では、労働大臣は大変に勇気と決断のある大臣だというふうに思います。
 このパートタイマーの法律は、先ほど公明党の武田委員が毒にも薬にもならない法案だというふうに御指摘になりましたけれども、私もないよりはましたというふうに思います。しかし、それでは余りにも、せっかくみんながこれだけ時間とエネルギーを費やして、こうやってこの法案を成立させているわけですから、成立した後には、いややっぱりこの法案は非常に人類の進歩によかったというような運用をしていただきたいと、私は心からそのように願う一人です。
 さて、それでは私は個々の質問に入らせていただきますけれども、日本国憲法第十四条を見ますと、「法の下に平等」という規定があります。これは、非常に私はすばらしい規定だというふうに思います。その中に、社会的身分または門地によっていろいろ差別をされたり、法の下に平等というのが阻害されてはならないという規定があります。この社会的身分というのが、まさに民間と公務員という身分の違いであるというふうに思います。
 そして、憲法二十七条に勤労権という権利があります。この勤労権という権利は、もちろん身分やいろんなことによってその権利が奪われないということの一つの保障でもあり、また勤労権という権利は、時間の長さとかそういうものによって権利の種類に大小があるとは思いません。つまり、パートであれフルタイムであれ、いろんな働き方があっても、勤労というその権利においては私は何ら変わるものはないというふうに思っております。
 しかし、この勤労権もいまだにまだ、パートであるとかフルタイムであるとか、あるいは男性であるとか女性であるとか、いろんなところにその勤労権の保障が区別されているということは、私にとっては非常に遺憾だというふうに思います。そういう点では、労働省はこの勤労権というものをもっと具体的に直す労働行政をしっかりとやっていただきたいという、非常に私は強い期待を持っております。
 そこで、先ほどからは各委員の方がいろいろと、この何だか言いづらい法律の問題についてる御質問があったわけですが、一つ私は、この法案が除外規定としている公務員のことについて質問をさせていただきたいというふうに思います。
 この法案の第四条を見ますと、「国は、短時間労働者の雇用管理の改善等について事業主その他の関係者の」云々として、「これらの者に対し必要な指導、援助等を行う」と書いているわけです。そうすると、「国はこというわけですから、国家公務員としての労働省のもろもろの行事ですが、しかし憲法第九十九条を見ますと、国家公務員は一つ違った任務があります。それは何かというと、憲法第九十九条は、国家公務員及び地方公務員はこの憲法を尊重し擁護する義務があるという擁護義務規定というのがあります。そうするならば、国家公務員全体が勤労権というこの権利に対しては、みずからが憲法を尊重した基本的人権としての勤労権を守っているという範を示さなければなりません。
 しかし、範を示すんですけれども、この法律で言うと範を示す前にそういう人力は除外する、こうなってしまいますから、私にしたらこれは範を示す人が全部除外されちゃったら、パート労働者は一体これから何を見習いながら、そうして罰則規定もないこの法案はどうなるんだろうかという大変な心配があります。
 そこで、範を示すべき国家公務員のパートの実態をこれからるるお聞きしたいというふうに思います。
 まず、局長にお聞きいたしますけれども、パートタイムのときにいただいたこの豆事典の中に、パートタイムの人は八百二万と書かれていますが、この八百二万というのは民間と公務員とを分けているんでしょうか。それともどういう数字でしょうか。
#230
○政府委員(松原亘子君) この統計調査、下に資料出所がございますけれども、総務庁統計局の労働力調査でございます。これによる週間就業時間が三十五時間未満の労働者をここに書いているわけでございますけれども、平成三年八百二万人、このうち官公部門で就業する者は七十六万人でございまして、この七十六万人は八百二万人の中に含まれております。
 なお、平成四年の結果も出ておりますけれども、それによりますと八百六十八万人、つまり八百二万人が八百六十八万人にふえておりまして、このうち官公部門で働く方々は八十四万人でございます。いずれも内数でございます。
#231
○笹野貞子君 今のお答えでは八十四万人も官公庁の中にパートがいるという実態がわかりました。
 そこで、きょうは総務庁、自治省、文部省、郵政省をお呼びいたしております。どうぞよろしくお願いをいたします。
 さて、総務庁にお聞きいたしますけれども、この八十四万人の内訳をちょっと教えてください。どこの省に何万、どこの省に何万。
#232
○説明員(久山慎一君) お答えいたします。
 ただいま先生がおっしゃいました数字は、総務庁統計局の発表になった数字だろうと思いますが、私は総務庁の人事局の者でございまして、人事局の観点からの数字を申し上げたいというふうに思います。
 私どもでは、常勤の職員のほかに非常勤職員という概念がございまして、非常勤職員につきまして毎年一回統計をつくっておるところでございますが、今私どもにございます一番最近の新しい数字を申し上げますと、これは平成四年、去年の七月一日現在の数字でございますけれども、二十一万六千五百二十人という数字となっております。
#233
○笹野貞子君 二十一万六千というのはどういう分類になっているのかお答えいただきたいと思います。
#234
○説明員(久山慎一君) の非常勤職員の職務の内容でございますけれども、例えば委員でありますとか顧問でありますとか参与等、あるいは医療関係、教育関係、事務補助、統計調査等に従事する方々、そういう区分けでございます。
#235
○笹野貞子君 総務庁からの資料をいただきました。これは先週の月曜日に資料をいただきたいというふうに通告したのですが、資料を持ってきたのはけさでした。何か陰謀があるんじゃないか、私に予習をさせないつもりじゃないかというふうに私は疑ったのですけれども、こういう資料を早くいただきますと、私も一生懸命に研究をさせていただきますので、どうぞ今度から早いこと資料をいただきたいというふうに思います。
 そこで、この資料を見ますと、医療と教育関係が物すごく多いんですね、数が。そこで文部省にお尋ねをいたしたいと思いますが、文部省は大変に多くて全部で五万六千九百四十七人もいるわけですが、この内訳を言ってください。
#236
○説明員(草原克豪君) 文部省関係で国立大学の職員が非常に多くなっておりますが、その内訳を見ますと、本務の職員が十一万七千九十一名、それから非常勤の職員が私どもの調べでは四万六千六百六十二名となっております。この四万六千六百六十二名のうち、三万四百六十九人が大学の非常勤の教員でございます。
 大学においては、多様なカリキュラムを編成して、その授業を行うためにはどうしてもその大学の専任の教員だけでは十分に担当できないという面がございまして、その場合に外部の方々をお呼びして非常勤講師として授業を担当してもらう、こういうふうにしているためにこのような三万人強という数字になっているものと思われます。
#237
○笹野貞子君 この約三万四千という非常勤講師は公立ですか、それとも私立ですか。
#238
○説明員(草原克豪君) ただいま申し上げた数字はすべて国立の大学の職員についてでございます。
#239
○笹野貞子君 では、私立の非常勤講師の数はどのくらいですか。
#240
○説明員(鬼島康宏君) お答えいたします。
 私立大学におきます非常勤講師の人数は六万六千人でございます。
#241
○笹野貞子君 私立大学の非常勤講師の一こま当たりの単価は幾らですか。
#242
○説明員(鬼島康宏君) 非常勤講師の一こま当たりの時間給というものは、文部省としては調査をしておりませんので、幾らということはちょっと申し上げかねます。
#243
○笹野貞子君 では、公立の非常勤講師の単価は幾らですか。
#244
○説明員(鬼島康宏君) 国立の方は彼ほど答弁いたしますが、公立と私立につきましては、それぞれ設置者が実態に応じて決めておりますので、文部省としては全体的にどのくらいになるかということは調査はしておりません。
#245
○笹野貞子君 では、物事は親切ついでということがありますから、国立をついでに言っていただければ非常に早いんですけれどもね。
#246
○説明員(草原克豪君) 国立大学におきましては、一こまの時間当たり単価は予算上は現在四千五百二十円といたしております。この予算の総額は百十一億九百万円でございまして、各大学においては、それぞれの大学の具体の非常勤講師の時間当たり単価を決める場合には、本人の大学卒業後の経験年数等に応じまして予算の範囲内でそれを決めていくというのが現状でございます。
#247
○笹野貞子君 私は、私学の大学で講義をしている者ですけれども、私の周囲に非常勤として大変に苦しい生活を強いられている人がいっぱいいるわけです。私学の方はわからないというふうにお答えになりましたけれども、しかし六万六千人も私学に非常勤講師がいるんです。六万六千人の人がわからないままでいるというのは、これは私は文部省としては不思議な感じだというふうに思います。
 そして、私学は大体国立に右へ倣えをします。国立の一こまが今おっしゃったように四千五百円、そうすると大体一カ月二万強になります。一カ月二万円で生活はできるはずがありませんので、こういう非常勤講師はもうあっちこっちに飛び回って非常勤講師のこまを見つけて駆けずり回っているのが現状で、これは研究もおろか結婚することもできないような人がたくさんおります。たまたま文部省が余りにも今量的に多いわけで、やっぱり量的に多いということはこれは何らかの手当てをしなければいけない部分だと思います。
 文部省はこれだけパートタイマーが学校の中にいるということを放置しておくということの是非はどう考えますか。
#248
○説明員(鬼島康宏君) 先生の御経験のところかと思いますが、非常勤講師はそれぞれ大学がカリキュラムを編成いたしまして、本来的にはそこの教授、助教授、専任の講師が担当するということになっておるんですが、カリキュラムを豊富にいたしますとかあるいは特別に研究をしている方を招聘して講義していただくとかいろいろなケースがあるわけでありまして、先ほど申し上げたたくさんの非常勤講師が実際に教鞭をとられている、こういう状況がございます。
 大学によりましては、非常勤講師をできるだけ減らしていこうという大学もございますし、全体として見ればややふえている傾向があるわけでございますけれども、それぞれの大学がどのようなカリキュラム編成をするかという立場から、またそこの大学の教壇にどういう方をお招きするかはそれぞれ私立大学のいわば自由な裁量の問題でございますので、文部省としてはそのことについてあれこれ言うことは差し控える必要があるんじゃないかというふうに考えております。
#249
○笹野貞子君 随分何というんでしょうね、白々しいというか無責任というか。
 私にしましたら、この資源のない日本は何をもって国家の繁栄かというと、私たちは本当に知恵と能力を出し合いながら戦後のこの日本を築いてきました。これからの日本も人的資源というのは大変に大きいんです。いかに教育の面で力を入れるかということに日本の将来がかかっているわけですが、その文部省がこれだけたくさんの量のパートタイムの有能な人材をわかりませんでは済まされないんじゃないですか。
 そういう点では私は、労働省が出したパートタイマーに関するこの法案がしっかりと文部省の未知の部分にあまねく行くような努力をしていただかなければ、労働省だけ頑張ったってしょうがないわけです。そこのところ、ちょっと御決意を言ってください。
#250
○説明員(鬼島康宏君) 教育は非常に重要なことでございますので、先生御指摘のとおりでございます。
 文部省としましては、確かに実態がどうなっているかという把握が不十分な点がございますが、教育研究条件の向上を図るために私学助成、私立大学に対する補助金を計上しておるわけでございまして、そちらの助成、補助金の面から年々充実して教育研究条件の向上を図るということをいたしておるわけでございまして、本年度の予算におきましても経常費助成という点で私学助成をできるだけ充実したものにしていくということで頑張っているわけでございます。
#251
○笹野貞子君 そんなこと聞いているんじゃないんです。しかし、私はきょうは文部省だけじゃないわけですが、聞くところによりますと日本は非常に縦割り行政で、特に文部省は非常にそういう点では権威主義だというふうに聞いております。
 これから労働省は、先生といえども働く人です、そして勤労権を持っているわけです、そういうところに労働行政があまねく行くように私も労働委員の一人として大臣とともに頑張ろうというふうに思っております。きょうは時間がありませんので、本当ならばとてもそういう回答じゃこれからの日本の将来を背負う学問分野はちょっと何か不安で仕方ありません。しかし、きょうはそのことをお話ししていると時間がありませんので次の機会に回させていただきます。これで済んだわけじゃありませんので、どうぞ継続するということを御存じおきください。
 続いて、自治省に御質問したいというふうに思います。
 私は、地方公務員の方の中にもパートタイマーがたくさんいるということを聞き及んでおります。これは、地方自治体はまさに住民と直接関係のある部分にいるというふうにお聞きしておりますので、まずその実態、人数あるいは職種、いろんなことで調べてあるんでしたらそれをお答えください。
#252
○説明員(遠目塚昭三君) お答えいたします。
 私ども地方公務員の総数につきましては毎年度調査いたしておりますけれども、現在調査対象にいたしておりますのはいわゆる正規の職員だけでございまして、御指摘の臨時、非常勤等の職員については把握しておりません。答弁できませんので御了承いただきたいと思います。
#253
○笹野貞子君 それは、今後把握する必要はないとお考えという意味ですか、それともたまたま把握してないということは反省の色を込めて言っているんですか。
#254
○説明員(遠目塚昭三君) 私ども、現在までのいわゆる公務員数の調査につきましては、いわゆる定数管理という面ともう一つは常勤職員についてのいわゆる人件費等の地方財政措置、そういったことから実態とのかけ離れがないように、そういった趣旨で調査をいたしておりまして、臨時、非常勤等職員につきましての今後の調査につきましては担当の課長と交代いたします。
#255
○笹野貞子君 ちょっと語尾がわかりません。今後の、何ですか。
#256
○説明員(遠目塚昭三君) 今後の調査等の考え方につきましては、担当課長とちょっと交代いたします。
#257
○説明員(伊藤祐一郎君) お答えさせていただきます。
 ただいま申し上げましたように、地方公共団体の行っております定数調査等につきましては、遠目塚課長の方からお答えしたとおりでありますが、地方公務員でおる非常勤職員の取り扱いにつきましては、それぞれの地方公共団体におきまして同一ではございませんで、その実態は必ずしも明らかになっていない状況でございます。そのため、現在その制度のあり方や実態調査の必要性を含めまして、御指摘の点の趣旨も踏まえて検討を行っているところでございます。
#258
○笹野貞子君 今検討を行っているところでありますと言ったんですか。
#259
○説明員(伊藤祐一郎君) はい、そのように申し上げました。
#260
○笹野貞子君 じゃ、どういうふうにいつその検討が終わって、いつ実態調査をするという結論は出そうなんですか。
#261
○説明員(伊藤祐一郎君) ただいま御指摘いただきましたように、大変大切なテーマでもございますので、今後実態調査に向けまして私ども検討を進めていきたいと考えております。
 その具体的な日程と時期等につきましては、いましばらく御猶予を賜りたいと存じます。
#262
○笹野貞子君 私でも大体いろんなことがわかりますのに、自治省が何も実態を把握していないというのは非常に不思議な現象だと思います。
 例えば、ホームヘルパーとか保母さんとか、そういう人はみんな非常勤なんです。この人たちこそパートタイマーとして非常に待遇の悪い条件の中で、しかも最も重大な仕事として働いているわけです。こういう人力はどこから給与が出ているのか、それはわかりませんか。
#263
○説明員(伊藤祐一郎君) 今御質問ございました点につきまして答えさせていただきますが、御案内のように私ども非常勤職員と申し上げておりますが、いろんな職種の方がございます。
 例えば、今御指摘のホームヘルパーにつきまして申し上げますと、実は任用形態がいろいろございまして、地方公務員法の十七条という一般の職員であります場合、ないしは十七条で非常勤職員として採用する場合、任用する場合ないしは地方公務員法に二十二条というのがございますが、臨時職員として任用する場合ないしは地方公務員法上の特別職の職員として任用する場合、いろいろございます。
 これは、いずれにいたしましても地方公共団体が任用するわけでございますので、今申し上げましたケースにおきましては、その給料等につきましてはもちろん地方公共団体が負担しております。
 そのほかに、委託等の職員等もホームヘルパーについてはあると理解いたしております。
#264
○笹野貞子君 そういうことがあると理解しておりますということは、何もつかんでないという意味なんですか。どういうふうに聞いたらいいんですか。そういう言葉は、非常に私は困っちゃうんですけれどもね。
#265
○説明員(伊藤祐一郎君) そういうような声というのは、今おっしゃったことはよくわかります。しかし、前から申し上げておりますように、そもそもこういう席の言葉というのは、皆さん方関連者がいろいろ大切にすることでもありますので、私どもだけではなくてその周辺いろんな方が大切にした上で今後のあり方を進めるべきではないか、そのように思います。
#266
○笹野貞子君 何ですか。済みません、もうちょっとはっきり言ってください。
#267
○説明員(伊藤祐一郎君) みんなが、関連のある方々がいろいろお互いの言葉を尊重しながらその対応を決めるべきではないかそのように思います。
#268
○笹野貞子君 何にもわからないんですけれども、もう一度わかるように言ってもらえますか。
#269
○説明員(伊藤祐一郎君) お尋ねの趣旨をいま一つ私十分つかんでないのかもしれません。申しわけありませんが、御質問を。
#270
○笹野貞子君 つまり、給与はどこから出て、幾らもらっているのかわかりませんかと、こう言っているんですよ。
#271
○説明員(伊藤祐一郎君) ホームヘルパーと申しましても、先ほど申し上げましたように公的セクターのホームヘルパーもいらっしゃいますが、民間の方もいらっしゃるわけであります。公的セクターの方については大体の基準がございますが、民間の方については必ずしも十分フォローしてないという状況でございます。
#272
○笹野貞子君 じゃ、結論的に何もわからないということなんですね。どうですか、何もわからないという意味ですね。公務員の話です。要するに、ホームヘルパー、保母さんの例。地方公務員です。
#273
○説明員(遠目塚昭三君) ホームヘルパー等の雇用の形態につきましては、先ほど伊藤課長が申しましたように十七条職員、二十二条職員、いろいろなことを地方団体でそれぞれの実態に応じて雇用を区分しているということでございます。
 給与につきましては、例えばホームヘルパーでございますと厚生省の補助金、これは単価方式といいましてトータルで入っておりますので、それを地方公共団体が補助を受けまして支給している。なお、さらにそれで不足する分等がある場合には、あるいは地方団体が独自で設置を必要とするということで設置している場合には地方団体の一般財源から支給している、こういうことでございます。
#274
○笹野貞子君 雇用の期間、そして雇用の契約はどうなっていますか。
#275
○説明員(遠目塚昭三君) 大変恐れ入りますが、先ほど申し上げましたように公的な機関等につきましてはいろいろ指導いたしておりますが、実態につきましては調査をいたしておりません。
#276
○笹野貞子君 わかりました。つまり何にも調査してないという回答と同じだというふうに思います。
 これから、ホームヘルパーはゴールドプランの十カ年計画の中でもきちっと位置づけられた大変な職業なんです。そういうところがわからないでは済まされないでしょう。ですから、また自治省だけを怒っていてもしょうがないんで、次に郵政省に聞きたいんですけれども、これはだめですね。この調子でみんなわかってないんじゃないでしょうかね。もう私もあきらめました。
 ですから、短時間雇用、そしてパートタイマーと呼ばれる実態はいかに国家公務員、地方公務員の中では無視されているか。調べる対象でもないということがこれで本当にわかったというふうに思います。
 本来であるならば、郵政省の方に聞きたい。郵政省は、私は手紙をせっせと運んでもらう。この手紙をもらった方は本当にうれしいことですが、それをやっている人の現状はきっと聞くも涙、語るも涙の物語じゃないかと思うんですが、どういう実情ですか。
#277
○説明員(広瀬俊一郎君) 郵政省の非常勤職員は五万人お願いしておりまして、郵政事業の常勤職員は三十万四千人でございますので、その割合が約一四%になります。
 非常勤の職員の方にお願いをしております仕事は、郵便で申しますと主に郵便物の仕分けや配達業務の補助、あるいは貯金や保険の関係につきましては書類や資料の整理やあるいはお客様へのあいさつ状を作成していただくなど、窓口業務の補助でございます。
#278
○笹野貞子君 大きな団地の配達の要員はどうなっていますか。
#279
○説明員(広瀬俊一郎君) 大きな団地につきましても四時間ぐらいの仕事として、いわゆる団地は棟番号とか部屋番号ということで配達が割とわかりやすいものですから、団地のママさんにお願いしているところがございます。
#280
○笹野貞子君 団地のママさんと、女性が出てきました。郵便行政は本当に女性が支えているわけです。そして、夏の暑いときには炎天下郵便を抱えながら喜びを運んでいるんです。
 でも、その実態が、非常に私は待遇は悪いというふうに思いますが、契約の実態、給料、そして年休、ついでにボーナスもいきましょうか、どうなっていますか。
#281
○説明員(広瀬俊一郎君) 賃金の単価につきましては、業務の内容や地域により異なりますが、一時間当たり六百円から八百円でございます。
 今の御指摘の団地での配達につきましては、外務職ということでございまして、地域でもいわゆる発展地で多うございますので、その中では高い方の単価だと承知をしております。
 それから、一時金につきましては、夏期及び年末における臨時手当につきまして合わせて約一カ月分程度を支給しております。
#282
○笹野貞子君 一時間六百円から八百円といいまして四時間程度といいますと二千四百円ですか、二千四百円で暑い中寒い中配達しておるわけですから、これは決して待遇としては私はいい待遇じゃないというふうに思っております。
 こういうふうにざっと聞きましても、一番ひどいのは私は文部省じゃないかというふうに思います。何もわからない、もう任せているんだという全くそらぞらしい、ことですが、私は一番重大な、つまり将来を担っているわけですから文部省の方はもうちょっときちっとした対応をしていただきたいと思うんですが、何か言いたいことがあるんですか。言いたければ二分で言ってください。
#283
○説明員(鬼島康宏君) 大変先生の厳しい御指摘でございますが、私立大学は自主性の尊重ということが大変重要なところでございますので、余り関与していくという、かかわっていくということは差し控えるべきところなんですが、先生御指摘のように現時点では私どもよく把握をしておりませんが、私立大学の団体などもございますので、そういうところと話し合いをするなりしてできるだけ実態把握に努め、いいことであれば私ども文部省としてはどんどん御指導を申し上げていくという決意でございますので、よろしくお願いします。
#284
○笹野貞子君 学園の自治というのを何か履き違えているんじゃないかと思います。学問の内容とかそういうことは自主性に任せてもいいけれども、人間の生きるという労働の対価については、もう相手が餓死してもそれが自治だなんて言うのは大いに間違っていることですから、その点を履き違えないようにしてください。
 さて、そこで我が愛する労働省に話を移したいというふうに思います。
 昭和四十四年に政府はできるだけ公務員の定員をオーバーしないように総定員法というのをつくりました。しかし、この総定員法は現実問題としてはとても間に合わなかったわけですから、各省庁が今お聞きのように何らかの形で非常勤にしたり嘱託にしたり、いろんな形で、つまりパートタイマーと言われる人々を抱えたことはこれでおわかりになったというふうに思います。
 そこで、どんどんふえるものですから、昭和四十四年五月八日、参議院の内閣委員会におきまして当時の首相の佐藤総理がこのように答弁をしております。
 定員外の常勤職員、これは実際問題としてそういうものがあれば大変な不都合を醸し出すものであります。三十七年に一度、その前に閣議で問題になりました。もう整理は大体済んでおるはずだと思ったのにいつの間にか数がふえているという懸念もあります。私も実は今でも議論になっているのかと驚いた。定員外の常勤職員というものの雇用関係にしろ、そういう形でふえておるというのは大変な問題ですから、十分ひとつ精査するということに時間をかけてこの問題は対処したい、こういうふうに答弁をしております。
 そこで、大臣にお伺いをいたしたいと思います。
 きょうは、この実態を知っていただくために各省庁をお呼びいたしました。決して、私は各省庁を意地悪するために呼んだわけではありません。結局、今度できる法律が最も国民の模範となるような労働条件そして労働のあり方を示さなければならない公務員のところが、実態もわからない、そしてその処遇も非常に冷遇しているという、この状況を私は非常に憂えるものですし、そして働く人はその雇用主が何であれ勤労権は同じであるというふうに思います。そういう意味で、これから労働省は働く者というものの網を全部にかけられるような労働行政が必要だというふうに思いますが、大臣のきょう今お聞きしたこの状況をこれからの労働行政にどうあるべきかという、その御決意を聞かせていただきたいと思います。
#285
○国務大臣(村上正邦君) 今やりとりを聞いておりまして私も随分と勉強不足を感じた次第であります。十分これから各省実態把握に努めまして、おっしゃるようにいろいろと問題をこれはたくさん提起されたことだと思っておりますので、こうした問題に取り組んでいかなきゃならない、こう思います。
 随分と課長さんたち、苦しい答弁というか、質問の内容もわからなかった、非常に時間を気になさって端的な御質問をなさるものですから、前後の関連性等々でさすが我が優秀な官僚もたじたじとなった場面もあったようでありますが、十分今後注意をさせてまいりたい、こう思っております。
#286
○笹野貞子君 そこで、今度のこのパートタイマーの法律案はいろいろと問題がありますし、決して私は満足するものでもありません。どちらかというと、大変私たちが提案した野党法案に比べて不満の方が多いと思います。しかし、〇・一歩踏み出したという評価に立ちたいと思います。
 そこで、その〇・一歩の評価の上に立って局長にお伺いをいたします。
 つまり、援助センターというセンター、まあまあ人数は少なくても私は婦人行政というものの一つの情熱のあらわれではないか。こういうものをつくったからにはこれからこれを十分機能させていかなきゃいけない。そういうためには、私は局長の負うところは物すごくあるんではないかというふうに思いますが、そういう意味でこの援助センターというものに対する局長の意気込みをお伺いしたい。
 同時に、あわせて大臣にもう一つお伺いをしたいのは、これからの労働省に対する婦人行政。大臣、早く婦人を女性に変えてください。婦人行政に対しては、ただ婦人局が頑張ったところで労働行政というのはよくなりません。ですから、労働省全体として婦人行政をバックアップするというような人数そして組織、いろんな意味をひとつ反映させていただきたいということの大臣の御決意を聞いて、私の質問にさせていただきます。まず、局長からお願いします。
#287
○政府委員(松原亘子君) けさほど来御説明いたしましたように、この法律の実効性を確保するのは、一つは労働大臣の助言、指導、勧告等にあらわれておりますような行政指導といいますか、労働関係行政機関による指導がございますが、もう一方では、先生がおっしゃいました短時間労働援助センターによる事業主ですとか短時間労働者に対する支援というものがあるわけでございます。
 現在、短時間労働援助センターとしてどこの法人を指定するか、今後の検討でございますけれども、私どもは十分にこの援助センターの目的が達成されるようにそういう団体を指定いたしたいと思いますし、そういうものが指定された暁にはまた来年度の予算要求になってまいりますけれども、指針の定着が確実になるような給付金の仕組みですとか、そういうものを考えたいと思っております。
 先生から御指摘をいただきましたように、その行政指導と援助センターによる支援と、これが両輪となってパートタイム労働者の方々の能力が十分に発揮ができるような就業環境の整備というものに最大限努めてまいりたいというふうに思っております。
#288
○国務大臣(村上正邦君) 法令上の婦人という表現については、婦人を用いる特別の理由のないものについては、女性という表現に改めることについて官房長官を中心に今検討を進めております。
 また、労働省といたしましても、婦人局の名称を女性局と、これも早急に改めていきたい。私は、女性の声は天の声だと、こうした気持ちで女性問題には取り組んでまいる決意でおりますことを表明させていただく次第であります。
#289
○笹野貞子君 終わります。
#290
○中西珠子君 まず、お伺いいたしたいのは、私の同僚の武田議員が私に五分間時間を譲ってくれたために質問をし損ねた点がございまして、それをまずお伺いいたします。
 それは、第六条第一節、雇用管理の改善等に関する措置の「労働条件に関する文書の交付」、この表現がこれまでお使いになってきました現行の労働大臣の指針における表現と違うんです。これは労働条件の明確化、雇い入れ通知書の交付となっていて、「使用者は、パートタイム労働者を雇い入れたときは、当該パートタイム労働者に対して、賃金、労働時間等主要な労働条件を明らかにした書面(以下「雇入通知書」という。)を交付するように努めるものとする。」と、こうなっています。こちらは第六条の一行目ですが、「労働時間その他の労働条件に関する事項を明らかにした文書を交付する」となっているんです。なぜこういうふうにお変えになったのか、なぜ労働時間を一番先に持っていらしたのかそのお変えになった理由をお教えいただきたいと思います。
 賃金が非常に安いということで、パートタイム労働者はいろいろ時間的には家庭責任と両立できていいかもしれないけれども、本当に安い賃金で働いているという意味からしても、家庭責任がなくても自分だけがどうしても働かなきゃならないという、生活のために単身の中高年労働者もやはり正社員になるチャンスが全然恵まれなくてパートとして働いている人もいる。そういう意味では、非常に賃金というのは大きな意味を持つわけでございます。
 もちろん、その他の労働条件に関する中に賃金が入っているんだと思いますけれども、こちらの指針には賃金がちゃんと明示してあるのに、今度の法案の第六条には、これは衆議院における修正に基づいてこれが入ったものと考えますから労働省の責任ではないかもしれませんけれども、なぜこのような表現になったのか、そのいきさつというか、理由をお教えいただきたいと思います。
#291
○政府委員(征矢紀臣君) 御指摘のように、衆議院におきます修正案文におきまして賃金という言葉が入っておらないわけでございますが、なおかつ現行のパートタイム労働指針におきましては賃金という言葉が入っておるわけでございます。これにつきましては、現行の労働指針におきまして明確に書いてない面から誤解が生じたかと思いますけれども、実は賃金につきましては労働基準法の十五条で既にこれは書面により明示することになっております。
 したがいまして、そういう意味からいきますと、法文で現在のこの法案を修正するという点になりますと、今申し上げましたように賃金につきましては既に労働基準法で明示されておりますので、それを除くその他の労働時間、その他の労働条件につきまして今回の法修正でこれを文書で明らかにするように努めるものとする条文になったわけでございます。したがいまして、指針等におきましてはその辺を踏まえて考えます。
#292
○中西珠子君 基準法でもちろん明示されているのはわかっているんです。ですけれども、これはパートの人たちが読むための法案でしょう。それで、そこに賃金があった方がいいと思うものですから申し上げたのでよくわかっているんです。
 それから、大変時間が限られておりますので早口でぎゃっぎゃっと申し上げて大変申しわけないんでございますけれども、武田委員も指摘しました。それは、いろんな事例を挙げまして指摘したわけでございます。また、けさほど社会党の大脇委員も御指摘になったと思いますが、パート労働者は、家庭責任と両立させるために自分の好きな時間で働けるから働いているんだというのがおたくのなさった総合調査の答えとしては多いかもしれません。しかし、いわゆる正社員と比べるとずっと労働時間が少ないという人たちの三三%以上が正社員として働く口がないからと言っているんです。
 それから、いわゆる疑似パートというふうに言えるかもしれませんけれども、正社員と同じくらいの所定労働時間でパートと呼ばれて、パートの扱いを受けている、パートの身分ということになっている人たちの中でも、やはり一九・何%というかほとんど二〇%、この人たちが正社員として雇われる口がないから、働き口がないからと言っているんです。
 それに対しては、けさそういった年齢による差別をなくすための行政指導をやっておりますという御答弁がありましたけれども、もう少し詳しく確認させていただきたいと思うんです。詳しくなくてもいいから、はっきりとおっしゃっていただきたいと思うんです。
#293
○政府委員(岡山茂君) 求人者に対する指導につきましては、従来から適切な求人を充足するために必要な助言指導をしておるところでございますので、今後とも引き続きやっていきたいと思います。
#294
○中西珠子君 年齢による差別というものは、求人には幾つまでという差別がたくさんある会社の方が多いんです。これまでは、新規学卒者を採用してそこで訓練もしてその人たちを正規の社員とするというのは雇用の慣行でございました。ですけれども、だんだんこれは変わってきて、中途採用でも能力のある人は雇い入れるようにするということ、また若年労働力というものはこれからどんどん減っていくわけでございますから、年齢制限とか年齢差別というのをいつまでも温存したそのままの状態では、これは日本の労働力政策にとってもプラスではないと考えるわけです。
 ですから、指導を強力にやっていただきまして、現在のような状態が続きますと、中高年の女性は本当にそういった正規の社員となる可能性がほとんどない。それから、教員免許を持っておりましても年齢差別があるから教員にもなれない。それから、そのほかの資格を持っていてもなかなか雇用の機会が得られない、こういう状況があります。そうすると、女性の中に差別が階層化して固定してしまうというおそれもございますので、その点はぜひ労働大臣、お座りになったままで結構でございます、お体がお悪いと聞いておりますから、お立ちにならないでお座りになったままで返答してください。
#295
○政府委員(岡山茂君) ただいまの御趣旨は、大臣も同じような気持ちと思いますが、私どもも年齢制限といったようなことにつきましては、従来からもできるだけ雇用の範囲を広げるように努力しておりますし、今後とも一生懸命やっていきたいと思っております。
#296
○国務大臣(村上正邦君) そのようにいたします。
#297
○中西珠子君 御無理させまして、本当に申しわけないと思っているんです。
 それから、パートの問題といいますと、結局パートの身分であるがゆえの差別と賃金が低い、労働条件が劣悪であるとか、それからそのほかの面でも大変差別をされている。そして退職金もないし、それから不況のときは第一に首を切られる。雇いどめというふうなことになって雇用の調整弁的に扱われていると、そういったことがやはり一番大きな問題ではないかと思います。
 それで、とにかくパートの人たちに対して、時間は短いかもしれないけれども時間に比例した均等な待遇をやっていかなければいけないというのが、そしてパートの労働者の権利を守ってやらなきゃいけないというのが国際的な風潮だと思うのでございます。ILOで今パートの労働者の審議をやっておりまして、来年条約、勧告、もしくは片っ方ができるということになるかもしれませんけれども、まだどういうことになるかわかりません。
 それで、いずれにしてもECのパート指令の案、これはまだ案でございますけれども、それも均等待遇が一番大事なことだということを言っておりますし、それからけさ一井委員からも、それから大脇委員からも御指摘がありましたけれども、ILOの百号条約、同一価値の労働に対する同一賃金、これはパート労働者にも適用するものだと思うんです。時間比例で適用するということでございますが、とにかく同じような仕事をしているパートに対してはやはり同一労働の条約が適用になると私は考えております。
 それから、けさ一井委員からも大変百五十六号条約の批准について御要望がありましたけれども、私自身もやはり早期批准というものを実現していただきたいと考えております。この中ではプロレーターの均等待遇、必要なときはプロレーター、比例的な均等待遇というものが大事だということを言っておるのは御承知のとおりだと思いますが、とにかく一番大きな問題は、差別的な待遇をされているということだと思うんです。
 例えば、労働大里の現行の指針におきましては、福利厚生施設なども「同様の取扱いをするように努めるものとする。」と書いてあります。公明党がいたしました一九八八年のアンケートにおきましては、賃金労働条件における差別ばかりでなく、やはり福利厚生施設という面でも非常な差別を受けているというアンケートの答えがございました。これは、現行の指針には入っておりますが、今度法案が成立いたしまして、おつくりになる指針の中にはこれをお入れになりますか、どうですか。
#298
○政府委員(松原亘子君) 法律成立後、私ども案をつくりまして審議会にお諮りして決めていくということになるわけでございますけれども、その場合には基本的には現行の指針を踏襲したいというふうに考えておりまして、今先生が御指摘になりました部分についても同様に考えております。
#299
○中西珠子君 それから、けさほどいわゆる疑似パートにつきましても、この指針の第四にあります「所定労働時間が通常の労働者とほとんど同じ労働者の取扱い」ということはお入れになるとおっしゃいましたので、確認させていただきますが、そうですね。
#300
○政府委員(松原亘子君) 現行指針を踏襲して考えたいというふうに思っております。
#301
○中西珠子君 それでは、三にあります「通常の労働者への応募機会の付与」、いわゆる優先雇用ですね、これはどうですか。
#302
○政府委員(松原亘子君) この点につきましても、現行の指針を踏襲したいというふうに考えておるところでございます。
#303
○中西珠子君 とにかく、指針にゆだねるわけでございますから、その指針が実施されるように第十条におきまして、ただの助言、指導じゃなくて結局勧告もできるというふうに修正が行われました。それから、報告を求めることもできるというふうな労働大臣の権限が強化されたわけでございますので、この点につきましても指針にゆだねるということで、この現行の指針にあるものは絶対後退しないで全部入れてくださるということを期待いたしまして、そして監督行政を大いに強めていただきたいと思うんでございますが、お座りのままで労働大臣結構でございますからお答えいただきたい。
#304
○国務大臣(村上正邦君) しかと承りました。
#305
○中西珠子君 それから、私はこの法案の内容について少しお聞きしたいんです。
 と申しますのは、もう私自身が三十数年前になりますけれども、ILOの東京における日本支局、そこでパート労働者として雇われまして、四年間パートをやったんです。そのときに、差別待遇を受けたという思いが非常にあるわけです、賃金、労働条件すべての面で。それから、福利厚生の面でもすべて。それから労働保険、社会保険、みんな適用になりませんから。それから、休日がたまたま自分の出勤日に当たりますと、その日は収入がないから収入減になるわけです。そういう思いをして、とにかく一生懸命働いてきて、優先雇用をされまして、フルタイムにやっと四年後になったわけです。その後、一生懸命やってきて次長にまでしていただいたわけです。
 とにかく、私にとりましては、パート労働者の痛みとかいら立ちとか、雇用に対する不安とか不満というのがよくわかるんです、何十年も前であっても。いまだにそのころの思いを、同じような思いを持っている人が非常に多いということをいろんな人と話しして考えるわけです。ですから、この法案が一体センターができて果たしてパート労働者の処遇がよくなるかしらという心配があるわけです。ですから、これにつきましてちょっと根掘り葉掘りお聞かせいただきたい。それから、労働省令に委任してあるところ、これはわからないからお聞きしたい。そういうことで少しお聞きしたいと思いますが、よろしくお願いいたします。
 第十一条に職業訓練の実施、これは今現在家庭責任があって、そしてパートで働くことだけが、それも短い時間で働くことだけが精いっぱいという人には職業訓練を受けるなんという余裕がないかもしれないけれども、でも職業能力の開発それから向上、そしてそれに合ったような仕事をさせてもらうという意味では、これは職業訓練というものは大変大事だと思うんです。その第十一条の「職業訓練の実施について特別の配慮をするものとする。」と書いてありますが、「特別の配慮」というのはどういう意味でございましょうか。
#306
○政府委員(伊藤欣士君) 今先生お話しございましたように、いわゆるパート労働者であろうとフルタイムの方であろうと、自分の能力を最大限に発揮するということが働く者にとってもまた企業にとっても非常に重要じゃないか。
 ただ、現状においては、いろいろ調査いたしましても、遺憾ながら一般労働者と比較して教育訓練を受ける機会が少ない、実施率が低いというような場合もございます。また、いわゆるパートの労働者の方には一度職業生活を中断して新たに再就職なり職場復帰をするという方がたくさんいらっしゃるわけでございますが、その間のいわゆる技能、能力の陳腐化というようなこと、これを早急に回復するということも必要なんじゃないか。そういうようなこともございまして、この法律におきまして国、都道府県、雇用促進事業団がいろいろそういう面での特別な配慮をする。
 その内容として、いわゆる啓蒙宣伝との関係では社会一般の方々、事業主に対しまして、職業能力を向上することは非常に重要なんだと、訓練が重要でありまた評価というものをきちんとやってもらう必要があるんだと、そういうことについての啓発、あるいは能力開発はいろいろなところでやっておる、単に訓練校というだけじゃなくて雇用促進センターであるとか婦人の就業援助センターであるとか、婦人の方々が接触されるところでいろいろバラエティーは富んでおりますがやっております。
 そういうものについての情報の提供であるとか、あるいは事業主の方々が積極的に能力開発、パートの方々についても能力開発をやっていただければ能力開発のための給付金等援助制度がある、そういうものについての周知を図るというようなことを積極的にやりたいということでございます。
 また、特別の訓練というのは、コースをそれぞれの施設でもやるということでございます。
#307
○中西珠子君 特別の配慮の中身として、例えば使用者側がやる場合は給付金を出すというふうにおっしゃいましたけれども、パート労働者にとって時間というのがすごく大事なんです。
 だから、訓練をやっていただくのはいいんだけれども、一応勤務時間の中でやっていただくということでないと、勤務が終わったら急いでうちに帰ってお皿の一つも洗いたいというのがパート労働者の気持ちだと思うんです。ですから、この特別な配慮の中身というのは、勤務時間中に訓練をするようにする、それでロスになるから給付金を使用者側にやる、こういうことであればよくわかるんだけれども、この特別な配慮が啓蒙宣伝と一緒になってと長々とお答えになりますと、ちょっとはっきりいたしませんね。
#308
○政府委員(伊藤欣士君) 今先生御指摘ございましたように、パートの方であろうと一般の方であろうと勤務時間中に能力開発、そういう機会を設けていろいろ受講させる、その賃金を支払ったような場合についてはその分について一定の割合で助成するということでございます。
#309
○中西珠子君 それなら結構なんです。
 それから第十二条、「雇用情報の提供、職業指導及び職業紹介の充実等必要な措置を講ずるように努めるものとする。」と、こういうふうになっております。それで、今雇用情報の提供、職業指導、職業紹介とありますが、大体これはパートバンクとか、パートサテライトとか、それからレディス・ハローワークですかそういったところも含んだ職業安定所でもなさるということです。それで、殊に今婦人少年室とかなんかで、また監督署それから都道府県婦人就業援助センター、そういったところで相談業務もやっていらっしゃいます。
 今回、この法案が通りますと、短時間労働援助センターというのもできます。これが指定されて相談業務も一つの業務としてやるということになります。そうすると、この相談業務というのはこの援助センター、これはもっとも四十七ぐらいの地方の分室ができるらしいんですけれども、そういうところに一元化なさるわけですか、相談業務につきましては。
#310
○政府委員(松原亘子君) このパートタイム労働援助センターといいますのは、一つは事業主に対する支援をやるという機能もあるわけでございます。
 その場合には、けさほどもちょっと御説明いたしましたけれども、事業主にパートタイム労働指針に沿った雇用管理がなされるようにという指導をいたすわけでございますけれども、それを実際に取り入れようとする場合には、例えば非常に問題となっております通常の労働者との均衡問題というのを取り上げましても、企業の中での賃金体系をどうするか、全体の企業の人事方針をどうするかといったようなこと。さらには、もう少し突っ込みまして、企業の中での人員配置をどうやっていくか。場合によっては営業体制、操業体制をどうするかといったようなこと。いわば、全般的な検討が必要になってくるのではないかというふうに思います。そうなってきますと、かなり専門技術的な助言ですとか援助が必要だということで、そういうことはむしろ民間の団体の方に対応してもらった方がより効率的にできるということで、これを設置をするというふうにしたわけでございます。
 もう一つは、女子労働者の方々に対する支援という面でございます。女子労働者の方は必ずしもパートタイム労働者が女性という、イコールではないわけでございますけれども、多くの女性の方々がパートタイム労働で働こうという場合には、かなりの期間子育てで家庭に入っていたという方も多いわけでございます。そういう方が時間ができたのでパートタイム労働者として家庭生活と両立させながら働きたいという場合に、さあではどこに行けば自分が求めているような形で働けるのか、どういったところに問題があるのか、技能、技術を身につけたいとすればどうするかといったようなことを相談したいというふうに当然思われると思うのです。
 先生が今ごらんいただいておりますこのパートタイム労働豆事典の最後に、「パートタイム労働に関する相談や問い合わせは」ということで随分たくさんの機関が書いてございます。これはかなり専門的でございまして、それぞれの専門的な事項になりますとこういったところで対応するということになってまいりますけれども、パートタイム労働者の方々が効率よく自分の目的を達成するために一体どこに行けばいいかということがわからないときには、そういったことについてのいわば方向指示機を出してさしあげるような、そういう機関というのも必要なのじゃないか。
 また、実際にはパートタイム労働援助センターに来ていただければ、こういった行政機関の相談になじまないようないろんな仕事上の悩み、人間関係に伴う悩みなどもあるというふうに私どもの調査ですとか個別の事例でも把握しておりますが、そういったことについても相談に乗るということはできるのではないだろうか。そういうことは行政機関よりはむしろ民間の機関の方がパートタイム労働者の方々にとっても行きやすいという面があろうかと思います。
 そういうことで、今回この短時間労働援助センターをつくろうといたしているわけでございますが、ここのパートタイム労働豆事典の最後に書いてございます各種の機関がそれぞれの持ち分といいますか、任務に応じましてパートタイム労働者の方々の相談に応ずるというのは、それはもう当然でございまして、パートタイム労働援助センターができたからこれらの機関が相談業務をやらなくなるといったようなことは全くございません。これらの機関の任務というのは従前どおりということでございます。
#311
○中西珠子君 先ほど、同僚議員と話していたんですけれども、地方にもこの短時間労働援助センターという分室のようなものができますとしても、それが地方の県に一つずつであると大変遠くてとてもそんなところに相談に行かれないということもありますので、これまで相談業務をやっていらしたこの豆事典の後ろに書いてあるようなところは依然として続けておやりになるかということをお聞きしたかったわけです。
 それからもう一つ、短時間労働者の雇用管理の改善等に関する技術的な事項について事業主その他の関係者に対して相談なさる。その他の援助というのはきっと給付金のことなんかじゃないかと思うんですけれども、これは後で労働省令でどういうことをお決めになるかということをお聞きします。短時間労働者、パート労働者に対する相談というのは、局長がおっしゃるようにいろいろ私生活の面とそれから仕事の面とでパートで働きたいとか、今パートで働いているけれどもいろんな問題があって困るというふうな相談というのは、相談の場所があるということはいいことなんですけれども、相談して援助をする。
 先ほど、育児の問題が出まして、育児の援助もできるというふうなことをおっしゃいましたけれども、実際に処遇がよくなったとか、それから自分の子供を見てくれるところとか見てくれる人というのがすぐにあっせんがなされるかどうかということは大変疑問なんです。そのほか例えば賃金がもう安過ぎて困っているとか、全然休憩がなくてもうお昼も何も食べないでやるとか、それからまたシンナーのにおいでも何でもするようなすごいベンチレーションの悪い、通風の悪い、安全衛生の面から問題のあるようなところでお昼の時間がないからパンでもかじりながら作業を続けるとか、そういうふうな問題が持ち込まれたときどのようにセンターは援助なさいますか。ちゃんと監督署にそれを連絡して、監督署の方から行ってもらうようになさいますか。具体的にどのようになさるかということをちょっと御説明願いたいんです。
#312
○政府委員(松原亘子君) 今先生がおっしゃいました内容、多岐にわたっておりますけれども、そういう問題はこのセンターに持ち込まれました場合には個別に判断をいたしまして、それに対する最も適切な行政機関に対応してもらうことになるわけですから、そういった行政機関を紹介するといったようなことで、具体的な解決ということまではこのセンターがやるということはなかなか難しいわけでございます。
 労働基準法の関連の問題であれば、労働基準監督署なり労働基準局なりそういったところを紹介するとか、そういったようなことでパートタイム労働者の方々が監督署や関係機関に行きやすいような、そういったことで援助をいたしたいというふうに思っているわけでございます。
 なお、先ほど育児等のことを申し上げましたけれども、先ほど吉川先生がおっしゃいました二十一世紀職業財団におきましては、育児ですとか家事とか介護とか、そういったことにつきましての情報提供事業というのを現在やっております。それは、あっせんをするとかそういう業務ではございませんで、例えばどこへ行けばそういう人を紹介してもらえるかとかそういった情報の提供事業でございますけれども、これも現在でも非常に評判のいい事業でございます。かなり電話での問い合わせが多く、主として電話で対応しているものでございますけれども、電話で問い合わせを受け、そしてそれに対しましてかなり情報ストックを整備しておりますので、そういうもので情報を提供するということをいたしております。
 もちろん、地方には各県一つずっということではございますけれども、現在のように情報システムが整備をされている時代でございますので、電話ですとかファクスですとかそういったものを活用することによって十分対応できるというふうに考えておるところでございます。
#313
○中西珠子君 私は時間がありませんので次の問題に行きますが、第十六条の一項の一です。「短時間労働者を雇用する事業主又はその事業主の団体に対して支給する給付金であって、労働省令で定めるもの」、この労働省令はどういうことをお定めになるのですか。
 それから二項、ここは「給付金の支給要件及び支給額は、労働省令で定めなければならない。」と書いてございますが、この労働省令の内容について御説明ください。
#314
○政府委員(松原亘子君) この条文は、いずれも来年の四月一日から施行したいということで、そういう予定にいたしております。そういうことから、具体的な内容は二項の支給要件ですとか支給額を含めまして今後検討していくということになるわけでございます。いずれにいたしましても、短時間労働者の方々がその能力を有効に発揮できるような就業環境の整備を図るという目的から見まして、効果的なものとなるようにいたしたいというふうに思っております。
 現在考えております基本的な考え方といたしましては、パートタイム労働指針の内容を遵守してもらいたいということで指導をいたすわけでございますけれども、パートタイム労働者の方が多く働いておられる中小企業は、言われることはわかっても独力でなかなかできないということはあるわけでございます。そういうことから、例えば中小企業団体が傘下事業主のための全般的な雇用管理の改善計画をつくり、それを実施していくといったようなことをプッシュするような給付金、それによってひいてはそういった中小企業に働いておられる短時間労働者の方々の就労環境の整備に資するような、そういったものを考えたいというふうに思っておるところでございます。
#315
○中西珠子君 まだ来年予算要求してからですと、もちろんこれは六カ月先にこのセンターについては施行になるわけでございますけれども、何も内容を教えていただけないということはまるで白紙委任を要求されるようなものなので、今少しお聞きしたところによりますと指針の内容の遵守の促進、これも一つの大きな項目だというふうなお話ですから、並びに職業訓練とかいろいろそういったことをやっている事業主とか、そういうふうな観点で事業主だけが潤うのではなくていわゆるパート労働者が潤うような方向で、そしてその処遇が改善されるような方向でお考えいただきたいということをお願いしておきます。
 それから、もう時間がだんだんなくなってきましたので、第十八条です。第十八条の三行目に「自ら第十六条第二項に規定する労働者災害補償保険法第二十三条又は雇用保険法第六十四条の規定に基づく給付金の支給を受けようとするときは、労働省令で定めるところにより、労働大臣の認可を受けなければならない。」。これは、センターそのものがみずから給付金の支給を受けるときという場合でございますね。これは大体想像がつきますけれども、具体的に御説明ください。
#316
○政府委員(松原亘子君) 給付金のことについては先ほど申し上げたとおりでございますけれども、このセンターみずからがパートタイム労働者、短時間労働者を雇用する事業主という立場で、給付金の支給要件に合致し給付金の支給を受けたいというふうに考える場合も想定されるわけでございます。つまり、センター自体がみずから雇用する短時間労働者の雇用管理の改善のための努力を事業主という立場で行うということがあるわけでございます。
 そういうことから、その場合には通常の事業主よりもさらに厳しい要件をかけるということで、「労働大臣の認可を受けなければならない。」ということにしたわけでございます。
#317
○中西珠子君 このセンター自体が短時間労働者を雇用する事業主として短時間労働者の雇用に関するいろいろな改善を行うというのは、そういうふうなことはちょっと何だかおかしいような気がするんです。もちろんこのセンターが範を垂れなけりゃ、自分自身が変なことをやっていて相談や援助はできないわけですから、何かこの十八条はおかしいような気がするんです。
 それでは、とにかくそれで労働大臣が非常に厳しく審査なすって認可を受けて給付金が出るということにいたします。そうすると、今度は第二十二条に「交付金」というのがあるんですね、「国は、予算の範囲内において、短時間労働援助センターに対し、短時間労働者福祉事業関係業務に要する費用の全部又は一部に相当する金額を交付することができる。」。これは、「全部又は一部に相当する金額」というのは一体どのくらいなのか。私たちは皆目検討がつかないので、これはもちろん来年度の予算だからわからないとおっしゃるかもしれませんけれども、大体の目算としてはどの程度をお考えなんですか。
#318
○政府委員(松原亘子君) 先生御明察のとおり、来年度の予算要求の中で検討するということでございまして、現在はまだ未定でございます。
#319
○中西珠子君 でも、やっぱりどのくらいの枠とかどのくらいの額ということぐらいわかるんじゃないでしょうか。全然未定で、費用の全部または一部に相当するものは交付金を出しますよ、これをとにかく法案の中に書いておく、そして私たちはそれをちゃんと賛成して可決するということになると、やっぱり白紙委任になっちゃうんですね。
 だから、大体センターはこれくらいの仕事をするんだからこれくらいは要るんだろうという、それくらいの概算というか、アイデアぐらいおありになるんじゃないんですか。来年のことだからわかりませんと言われると、それじゃこの交付金とかやめちゃって、来年予算の額が出てきたときに賛成することにいたしましょうということになりますよ。
#320
○政府委員(松原亘子君) 今回の法律で交付金を交付することができるという、こういう枠組みをつくっていただきまして、来年度の予算案の審議をお願いするということはあろうかと思いますが、そのときに十分御審議いただきたいと思うわけでございます。
 いずれにしても、この交付金は事業主に対する給付金の支給ですとか、相談、援助、短時間労働者の職業生活に関する相談、援助、短時間雇用管理者などに対する研修といった業務を行わせることになるわけでございますので、それに伴う経費を国が交付するわけでございます。やはり細部につきましては、今後積算作業を行った上でないとちょっと申し上げるのもいかがかと思いますので、御理解をいただきたいと思います。
#321
○中西珠子君 これくらいは要ると思いますという枠組みもなくて、ただただ交付金を出すことを承認してくださいというふうなことは、ちょっとおかしいんじゃないかと思います。
 それから、みずから給付金を受けるという、これもおかしいし、それにまたプラスして、交付金は白紙委任で、幾らかかるからこうしてくださいというふうに来年言いますからと言われても、ちょっと私たち、センターはまあいい仕事をなさるかもしれないけれども、果たしてパート労働者がセンターのできたことによって処遇がよくなったり、均等待遇が受けられるようになったりということが納得がなかなかいかないんです。もう少し、大体このくらいというふうなアイデアがないんでしょうか。これは、私はちゃんと通告しているんですよ。交付金の問題も、それからみずから給付金を受けるという問題もおとといの四時半ごろ通告しているんですよ。課長補佐の人が来たんです、何とかという人が。それで、ちゃんと聞いて帰ったんです。通告しないで突然聞いたわけじゃないんです。
#322
○政府委員(征矢紀臣君) 難しい御指摘でございます。
 現在、来年度予算要求に向けて作業を始めているところでございまして、細部が詰まっておりません。したがって、具体的な金額を今時点で申し上げるのは困難でございますが、ただ再度の御指摘でございますので大体の感じを申し上げますと、これは何億円というような程度の単位ではなかなか対策は進まないというふうに考えております。しかし、当面何百億の金額にまではなかなかならぬだろうと、こういう感じでございますので、御理解いただきたいと思います。
#323
○中西珠子君 私は、意地悪して聞いているんじゃなくて、果たしてセンターがパート労働者のために役立つような仕事をしてくださるかどうかということが大変心配なんです。
 先ほども申し上げたように、私自身がパートだったんですから。私自身がパートで、パートの痛みもよくわかるから、一九八四年ですかまだ参議院議員になりたてのときに、パート労働者保護法案を出したんです。それで、また今度は一九八九年にはパート労働者の均等待遇に関する法案を公明党の賛同を得て出しているわけです。それで、四野党が出しましたパート労働法案というものが衆議院でかかっていて、そしてそれの審議があって、その結果労働省がお出しになりました水と油のように違う法案ではありますけれども、相当程度、六カ所ということでございますが修正をしていただいて、これはもう本当に清水の舞台から飛びおりたような気持ちで修正をしてくださったと聞いておりますし、また労働大臣の大英断でなさってくださったわけです。
 ですから、これはもうそれこそ、さっき笹野さんが一歩前進じゃなくて〇・一歩前進とおっしゃいましたけれども、私どもも〇・一歩前進と思っておりまして、これは賛成したいと思っているわけです。ですから、ちょっと白紙委任的な条項があるということは私どももまた将来責任を感じなきゃいけないということがありまして、大体これくらいと少し大きくおっしゃっておいたっていいんですよ。何百億ぐらいかかりますっておっしゃったっていいんだけれども、何にもおっしゃらないでは困るわけです。
#324
○国務大臣(村上正邦君) 申し上げます。
 必要な金はちゃんと取ってまいります。十分中身を精査して、このくらいの金が要るなと、妥当だなと、こういうあれが出てまいりますれば、そうしてぴちっとした機能ができるように予算づけはさせていただきたいと、こう思っております。
#325
○中西珠子君 積算の基礎をきちっとお出しいただいて、そして予算要求をしてくださるようにお願いいたします。
 それで、先ほどおっしゃったようなパート労働者のためになるような仕事という観点から給付金もやっていただくし、交付金もやっていただきたいと、これはもう心からお願いしておきます。
 それで、ほんの少し時間がございますので。私は、けさほど大脇先生と労働省の間で均衡を考慮してという均衡概念の論争があったのをお聞きしていたんですけれども、何で均衡に固執しなきゃいけないか、どうして均等待遇という言葉を、イコールトリートメントという言葉、それのプロレータです。時間に比例しての、プロレータのイコールトリートメントなんです。だから、どうして均衡に固執なさらなきゃいけないのか。もちろん、現行の指針の中に「均衡等を考慮して」と入れていらっしゃるのが、それが入ったんだからそれこそ〇・一歩前進かもしれません。
 だけれども、国際的な潮流である均等待遇ということを日本政府は絶対使うことができない。バランスという均衡をおっしゃらなければ、やっぱりこれは経営者側の意向に十分配慮なさって載せているのかなと思うんだけれども、均衡と言っちゃうと、けさもありましたけれども、質的にも量的にもプラスにもマイナスにもなるという場合があるわけです。そうすると、通常の労働者もしくは正社員との均衡を図ってやる、考えてやるというと、現在あるパートであるがゆえの差別が固定化されるんではないかという心配があるんです。固定化されれば、やっぱり女性の中の階層分化というものが今できつつあって、男女の均等待遇を一生懸命やっているけれども、今度は女性の中で階層化ができて差別があるというこういう状況というのはなくならないんじゃないかと思って心配するわけで、もう一度均衡という面をどうしてもお入れになるという理由をおっしゃっていただきたい。
 これは、もちろん衆議院が修正したんだから、何も労働省の御意向で均衡が入っちゃったというんじゃなくて、労働省はむしろ比例配分的な均等待遇というのをお考えになったいたかもしれないんです。それですから、ちょっともう一度この点についての御答弁をお願いしたいと思います。
#326
○政府委員(松原亘子君) パートタイム労働者とフルタイム労働者との間のさまざまな労働条件面での違いというのがあるのは実態でございます。
 ただ、その差というのはいろいろな理由があるわけでございまして、パートタイム労働者の方はフルタイム労働者に比べて労働時間が短い、労働投入量が少ないということだけではなく、それに伴いましてどういう仕事をお願いするか、どういう責任を持っていただくか、また仕事もとの範囲でかわっていただく可能性を期待するのかとか、そういった前提条件といいますか、そういったことが変わってくるわけでございます。そういったものを考慮いたしますと、現行の指針にも書いてございます「就業の実態」等でございますけれども、フルタイム労働者との均等というよりはそういうものはフルタイム労働者との均衡という言葉であらわすのが最も適切なのではないかというふうに思う次第でございます。これは現在のパートタイム労働指針についての考え方でございます。
 そういうことで、修正で入りました文言につきましては、均衡という考え方といいますかそういう言葉が入ったわけでございますが、私どもとしては、そういった前提条件の違いを考慮に入れた上でこういう言葉が使われたんであろうというふうに理解をいたしているところでございます。
#327
○中西珠子君 もう時間が参りましたから終わります。ありがとうございました。
    ―――――――――――――
#328
○委員長(田辺哲夫君) この際、委員の異動について御報告いたします。
 平井卓忠君及び森山眞弓君が委員を辞任され、その補欠として南野知惠子君及び石井道子君が選任されました。
    ―――――――――――――
#329
○清水澄子君 私は、さきの労働基準法の改正のときにも問題を指摘したんですけれども、最近労働省から出されてくる法案はすべて中身は政令と審議会にゆだねられていて、私たち国会の場で中身を審議しようとしても、ほとんどそれは今後にゆだねられているということになっていると思うんです。
 ですから、今回の法案も、またきょう一日の審議の中で皆さんがいろんなところを伺っても、なかなか実態を本当に私たちが責任を持ってこれだという確認ができないという非常に大きな欠点のある審議の仕方であり、提案の仕方だと思います。こうなると、国会の審議というのは私たちは入れ物だけを決定しておけばいいのであって、その内容は労働大臣とそして審議会にゆだねていく。今予算につきましても中西議員が、せめて目安ぐらいはということをしつこく言っておられましたが、これは全体の真理でございます。
 こういう責任を持てない、私もあたしからこういうふうになりましたよということをパート労働者に説明ができないというような法案の審議のあり方について、私はまず疑問に思いますけれども、その点について労働大臣はどのようにお考えになるか、御説明いただきたいと思います。
#330
○政府委員(松原亘子君) この法案におきましては幾つかの点において、例えば労働大臣が基本方針を定めるとか指針を定めるとか、また一部は労働省令にゆだねているという部分があるというのは御指摘のとおりでございます。
 私ども、いずれの部分につきましても短時間労働者の実態から遊離したものにならないように、法律成立後関係審議会の意見も聞きつつ適切な内容を定めたいというふうに考えているところでございます。その際は、先ほどもちょっと申し上げましたけれども、指針につきましては現行のパートタイム労働指針を踏襲したいというふうに考えておりますし、さらにそれ以外の部分につきましては、きょう一日御議論いただきましたそのことも踏まえつつ検討いたしたいというふうに考えているところでございます。
#331
○清水澄子君 しかし、一般的にはこの法案がパート法という名称で宣伝されていくわけです。そうすれば、パート労働者にとってこれは本当に日々の生活、働いている職場でのいろんな労働条件の改善とか、そういう問題について深いかかわりがあるわけですから、非常にこれは期待感が集まっていると思うんです。しかし、その実態はとてもそれには及ばないような内容でありますから、本当にパート労働者の生存権や労働権にかかわるような問題について、私は余りにも軽い扱いをしておられるんじゃないか。
 例えば、この法案のネーミング一つ見ましても、雇用管理の改善というこの名称だけでも、もうとてもこれはパート労働者の本当の人権を保障していくものではないという認識を私はしているわけです。ちなみに、労働省編の「労働用語辞典」を見ました。それによりますと、「雇用管理とはことあって、「労働者の募集、採用から」と書いて、そういう一連の体系的な管理をいう、そして労働者がその能力を有効に発揮することができるような条件を整えて、生産性の向上を図って、その成果が労働者の勤労生活の向上につながることを目的とする、これは労働省編の用語辞典に出ているわけです。従来の労働法の法体系にはこういう雇用管理という用語は用いられておりません。
 ですから、本当にこの名称にしても、本来なら例えば適正な労働条件の確保等というふうなパート労働者が自分たちの労働条件の問題だとわかるようなネーミングを私はつけるべきだと思いますけれども、あえて雇用管理の改善というふうにしてしまわれました。
 この視点というのは、出生率の低下と高齢化社会を控えて将来の労働力不足を見越したパート労働力の有効利用にやはり力点が置かれていて、今最も深刻なパートタイム労働者の差別是正とか労働条件の改善とか、本当の意味の能力の有効な発揮を妨げている原因を取り除いていくという問題については余り期待が持てない不明確な法案であると思います。しかも、今までパート支援センターについてこれで本当に実効が上がるのかという質問がたくさんなされておりましたけれども、私も本当にこれはこの法案で実効が上がるのだろうかということも確信が持てないでおりますし、多くのパート労働者たちや女性団体内では大変な不評を買っております。
 そこで、実効性について幾つかお尋ねしたいんですけれども、先ほどからいろいろ皆さんが聞いておられますのでその辺は省きますが、この支援センターというのは、全国十三カ所ですか、そして今後どういうふうになさるおつもりですか。
 それから、この法律はよく審議会にかけてと、この法律のいわゆる一番の重点的審議会というのは一体どこの審議会を言っているわけでしょうか。
#332
○政府委員(松原亘子君) 短時間労働援助センターでございますが、これはこの法律が成立しました後に申請をまって指定するということでございますが、現在は財団法人二十一世紀職業財団を指定する予定でございます。
 この財団法人は、先生おっしゃいましたように現在地方事務所と言われているものは十三カ所でございますけれども、この財団自体の今後の計画といたしまして年度内には四十七全都道府県に事務所を置くということが予定されておりまして、そういうことから見て私どもはこの業務というのを行うに十分であろうというふうに思っているところでございます。
 それから、審議会でございますけれども、パートタイム労働者に係る審議会、いわばほとんど労働行政のいろんな部分がこのパートタイム労働者にかかわってくるわけでございます。私どもは、最も関係が深いといいますかあるものとしましては、やはりパートタイム労働者の方々の七割が女性であるというようなことから婦人少年問題審議会をメーンの審議会に考えております。しかしながら、法案要綱につきましても婦人少年問題審議会だけでなく中央労働基準審議会にも諮りましたことから、他の関係審議会におきましても必要な事項に応じまして諮問なりをいたすということにいたしているところでございます。
#333
○清水澄子君 ですからここでは、ほとんどパート労働の最も大きな問題というのは労働基準行政にかかわることも多いと思うんですが、それが婦人少年問題審議会でこれらの問題がこの法案に私たちが求めているものと非常に大きなずれがあるのだというふうに思います。
 けさ、私の自宅にパートの方から電話がありまして、労働省は一九八九年にこのパート指針という非常にいいことを書いたものをつくられたけれども、一方で職安の方ではパートの求人票というのがあって、その票にはそのときまではまだ会社の労働条件が書かれていた。賃金幾らとか時間は幾らとかそれから健康保険や年次有給休暇が何日あるとか、そういうことが書かれていたにもかかわらず、八八年にそういう職安の求人カード、公開カードのやり方が大きく変化をして、窓口へ行ってこれはどういうことかと聞かなければ、そういうものが全部欄からなくなっている。
 だから、ガイドラインでは雇用上はパートタイマーを採用する際、仕事の内容や賃金はもちろんボーナスや昇給があるか、残業の頻度とか年休などを契約のときにはっきり示すようにうたっているけれども、そういう職業安定所の窓口ですらもうそこではカードからあったものが消えているという指摘があるわけです。
 ですから、私はパート労働の改善というのは、本来労働基準行政とかそれから職安、そういう既存のものと女性労働、この辺の基本的な労働行政が各分野に関連していることが多いわけですから、もっとその基幹的なところが総合的な対応をできるような、行政の力を分散させないでもっとそれを強化していくというシステムを先行させる、そこに支援センターがあるというんでしたら私は理解できるんですけれども、むしろ機関の方はそのままで、先ほども何回も言われましたが、労働基準監督官は減るばかりとか、パートにとって最も問題を処理する機関が非常に弱くなっている。そして、支援センターだけが宣伝されているということについて、私はもっと本来の機関を強化すべきであるということを要請したいわけですけれども、その点についてはいかがですか。
#334
○政府委員(岡山茂君) ただいま職業安定行政において用いますパートの求人票につきまして、何か誤解があるかと思います。パートの求人票も、求人の中で一番大事なのは労働条件でございます。したがいまして、労働条件、賃金あるいは労働時間、それから年次有給休暇があるかないかといったような事項につきましては漏らすことはできないものでございまして、何かの誤解であろうかと思います。
 もちろん、いろいろと求人票の様式を変えたりすることは機械の関係等でございますけれども、そういう基本的な事項について漏らすということはございませんので、何かの誤解かと思います。
#335
○政府委員(松原亘子君) パートタイム労働問題というのは、労働行政の各部局と関係がある問題でございます。
 第一線機関では、先ほど来話が出ておりました労働基準監督署、それから職業安定所、それから婦人少年室は県段階でございますが、いわば婦人行政の第一線機関でございます。そういったところが連携をとりまして、この法律が成立をいただきましたら、その着実な施行、適切な施行を行い、パートタイム労働者の方々の労働条件の改善等が図られるように行政体制の整備につきましても私ども最大の努力はいたしたいというふうに思っているところでございます。
#336
○清水澄子君 非常に力を込めてそれは何かの誤解ですということをおっしゃいましたが、それは後ほど申し上げますけれども、それを訂正させましたから、申し込んで要請して、その地域のパート労働組合がそのことについておかしいと言ってそれを訂正させておりますから、どちらが誤解なのか。それから、訂正したところの安定所はそういうふうにもとへ戻りましたけれども、その周辺は訂正されておりませんから、そういうアンバランスはどうなるのだという問い合わせも来ておるわけです。
 ですから、それはむしろ実態を調査されて、そういう声に耳をかされて、そういうことが起きていないかということを点検されるのが私は労働行政だと思いますので、今返事は要りません。時間がありませんので、後からお話ししたいと思います。
 ここで、大臣はよく現場の実態を見ることが大切だと言っている。私は、本当にそうだと思うんです。私たちがここでこういうことを議論をしていても、本当に末端で働いている人のことをわかっているかというと、わかってないことも多いと思うんです。ですから、ぜひこういうパート労働法をつくっていく、また今後これからガイドラインをつくったりいろいろなさるわけですけれども、そのときにはパートで組織している労働組合の方とか、またパート問題に取り組んでいるグループとか、それから女性団体の意見が反映するような場をぜひ私はつくっていただきたいと思いますが、労働大臣いかがですか。
#337
○国務大臣(村上正邦君) 耳を傾けてまいります。そして、大いにこの趣旨が徹底できます行政をやっていきたい、このように思います。
 先ほど、誤解だとかなんとか、こういうことでありますが、それはそれとして、十分その実態を私どもも調査いたします。
#338
○清水澄子君 それからもう一つお聞きしておきたいのは、先ほどの労働基準法研究会、労働契約等法制部会から報告書が出ました。
 その中で、労働基準法の見直しを行い、そして経済社会情勢の変化に適合した新しい労働契約法制を構築する必要が強調されております。そしてその中に、就業規則の作成に当たっては、これまでは労働基準法で行われていたと思うんですが、これからは企業を単位としての法の適用にして、そして労働基準法の適用も企業単位とすることへの運用、適用が説かれているわけです。
 このことは、私ども明らかに労働基準行政から個別労働契約行政への労働行政の転換を示唆していると受け取っているわけですけれども、この本法案によって労働大臣が定められる基本指針、これがパート労働者への諸政策がむしろパート労働者の身分の固定化や差別化など、そういう個別的な労働契約行政への転換に結びつくものではないということを私はひとつここではっきりしておいていただきたいと思います。
 先ほど、松原婦人局長が、今後は個人的な個別労働契約の方向もあるからという答弁をされていましたので、非常に私は不安になりましたので、その点について今度の法案の中でのパート労働者との契約、こういうものが個別の契約行政への道を開くものにはならないということをぜひお約束いただきたいと思います。
#339
○政府委員(征矢紀臣君) 労働基準法研究会の報告が先ほど出まして、これは労働契約等法制関係でございますが、この中で一定の考え方が取りまとめられておりますが、これは研究会としての一つの御意見でございまして、先生御指摘のようにこれにつきましていろんな御意見は各方面であるかと思います。
 したがいまして、今後これは一つの検討材料といたしまして、具体的には中央労働基準審議会の御意見等あるいは各方面の御意見も聞きつつ検討してまいりたいというふうに考えているところでございます。現時点では一定の方向が出ているということではございませんので、御理解いただきたいと思います。
#340
○政府委員(松原亘子君) 今先生は、私が何か答弁したことを引用されておっしゃいましたけれども、ちょっと私はそういうことを申し上げた記憶がないんですが、申し上げたとすれば、労働者と使用者の間の契約というのは、個々の労働者の方がどういう契約内容であったかということをやっぱり十分認識されなければいけないんではないかということは申し上げたと思います。そのために、例えば雇い入れ通知書を交付するというようなことの必要性は申し上げましたけれども、先生がおっしゃったような意味で何か用語を使ったような記憶がないんでございますが、申しわけありません。
#341
○清水澄子君 それでは、労働大臣にお伺いしたいと思います。
 きょうも各委員から、今スイスのジュネーブで第八十六回ILO総会が開催されているということについて、その内容についていろんな質問がございました。今このパート労働というのは国際的なレベルでとても大きな共通の課題になっていると思います。ですから、ここでパート労働保護の新しい国際基準づくりを行っていると思いますけれども、その基準づくりの前提というのは、もう御承知のようにこれはILO百六十五号勧告、つまり家族的責任を有する男女労働者の機会均等待遇に関する勧告の二十一項であるということは私はもう既に御承知の上だと思います。
 ですから、そういう上に立ってILO総会でことしは審議が行われ、そして来年の総会ではこのパート労働に関する国際的な基準が、日本政府は勧告でいい、条約は要らないということでやっていらっしゃるんですけれども、私たちは条約を求めます。そういう基準が勧告もしくは条約として示される予定になっていると思います。そこには、当然いろんな基準は法律によって示すべきであるとか、または自由意思で選択するパートの促進、それから差別の禁止並びに保護規定が明確にここでは出されてくるという予測を私はしておりますが、それは今年と来年の結果を見なければなりません。
 幸い、今回の本法案には施行後三年後に法の見直し規定が入っております。ですから、ILOで国際基準が示された場合、日本はやはりちゅうちょすることなくそういう国際基準を取り入れていくべきだと私は思います。ですから、ぜひ大臣は法の見直しに当たっては、ILOで議論されたさまざまな問題や、その中の先進的なそういう部分をぜひこの見直しの中に取り入れていくということを私はここでお約束をいただきたいんでございますけれども、どうぞひとつ御決意をお願いしたいと思います。
#342
○国務大臣(村上正邦君) もちろん、国際的な動向を念頭に置いてまいります。と同時に、我が国のパートタイム労働の実情も踏まえ、この法律の施行状況を勘案して適切に対処してまいりたいと考えております。
#343
○清水澄子君 それでは、今度は永井議員にお伺いいたします。
 私どもは、これまでパート労働法の労働条件の改善は通常の労働者との均等待遇を要求してまいりました。今回衆議院の修正案によりますと、通常の労働者との「均等」ではなく「均衡」という用語が使われておりますけれども、このことについては均等待遇をしなくてもよいという法的根拠を与えたのではないかという声も出ております。
 ですから、私はここでこの修正案の提出者はどのような概念でこの用語を使用されたのか確認したいと思います。よろしくお願いします。
#344
○衆議院議員(永井孝信君) お尋ねの点につきましては、衆議院の労働委員会におきましても議論されたところでありますが、修正内容の重要なポイントでありますので、若干御説明が長くなることをお許しいただきまして、お答えを申し上げていきたいと思います。
 私どもといたしましては、「均等」と「均衡」との間には一定の前提条件を踏まえた場合には大きな差異があるものではないものと理解をしているわけでありますし、例えて言えば「均衡」とは多少幅を持った均等、あるいはやわらかい均等だとも言えると思うわけであります。
 通常、「均等」という言葉は英語では「イコール」と訳され、そして「均衡」という言葉は「バランス」と訳されることから、実際に意味するところが特別に異なるかのように受けとめられることは、それもそうかなと理解できます。しかし、実際上の問題としてよく考えていただきたいのであります。
 例えば、収支の均衡、つまりバランスあるいは労働力需給の均衡、つまりバランスという場合には、収入金額と支出金額あるいは労働力の需要と供給とが同じかほぼ同じになることを意味しており、実際雇用保険法や労働保険料徴収法等においてはそのような意味で均衡という言葉が使用されているのであります。
 国家公務員災害補償法において、その補償内容が他の法律による補償内容と均衡を失わないようにと規定され、また地方公務員災害補償法では、非常勤者の扱いについて常勤者の扱いとの均衡を失しないようにと規定され、あるいはまた国際機関等に派遣される一般職の国家公務員の処遇等に関する法律で、「派遣職員が職務に復帰した場合における任用、給与等に関する処遇については、部内職員との均衡を失することのないよう適切な配慮が加えられなければならない。」、これは第十一条でありますが、そのように規定されておりますのは極力同じにするという意味で使用されているようであります。
 この問題については、衆議院の法制局にも御相談を申し上げ、使用例を点検してみましたが、参考になるコメンタールとして、農林法規研究委員会編の農林法規解説全集というのがございますが、その中で次のように言っております。農業基本法第一条において、国の農業に関する政策の目標を規定する条文の中にある「他産業従事者と均衡する生活を営むこと」という文言につきまして、そこで言う均衡という言葉の意味にかかって次のように解説はされております。すなわち、
  均衡とは、バランスするとか、つりあいがとれるということ、換言すれば、同じかるべきものと同じにするということで、その意味で理念的な概念である。したがって、いかなる姿がバランスか、どうなったら同じかるべきものが同じになったといえるかは、結局社会通念だということになる。もう少し具体的にいうと、他産業従事者との均衡という場合に、ひとくちに他産業従事者といっても、その内部は均質的ではなく、その従事する産業の種類・企業規模等によってその営む生活の程度や態様もさまざまである。したがって、農業従事者と比較することが社会通念的に妥当な――妥当ということの中には可能ということも含まれるのでその意味で妥当かつ可能といってもよい――他産業従事者をとり、その営む生活と、農業従事者の営む生活とが同等なものになることが「均衡する」ことの意味である。比較対象は、理論的一般的に決定されるというよりは、社会的経済的な妥当性と可能性の判断によって定められるべきものである。その判断の視点としては、生産労働の態様、生活環境等が問題となり、それらの視点から総合的に考えて社会的経済的通念のうえから妥当であるものをとることになろう。このように実は解説をしているわけであります。
 農業基本法のコメンタールでは、このように「同じかるべきものと同じにする」という意味だと解説されているのでありまして、私どもの修正案において「通常の労働者との均衡」というように「均衡」という文言を使用したのも、これと同様の見解に立ってのことでありますので、ぜひともこの点、十分御理解をいただきたいと考えているところであります。
#345
○清水澄子君 労働省は、今のこの説明についてこれでよろしいですか。
#346
○政府委員(松原亘子君) けさほど来、私がこういう御質問に対しましてお答えしてきた趣旨は、今永井先生がおっしゃいました趣旨と同じだというふうに理解をいたしております。
#347
○清水澄子君 労働大臣もよろしいですね。
#348
○国務大臣(村上正邦君) 私に念押しをされるということは、どういう意味がわかりませんが、永井衆議院議員がここまで来ての字句の解釈についての御説明でございますので、同意と、こう解釈をしていただいてよろしいんではないか、こう思います。
#349
○清水澄子君 それでは、私の方から確認質問をさせていただきたいと思います。ぜひ大臣、お答えいただきたいと思います。
 まず、第一の質問でございますが、現行のパートタイム労働指針では、所定労働時間が通常の労働者とほとんど同じ労働者のうち、「通常の労働者と同様の就業の実態にあるにもかかわらず、処遇又は労働条件等について通常の労働者と区別して取り扱われている者については、通常の労働者としてふさわしい処遇をするように努めるものとする。」とされておりますが、これについて本法に基づく指針においてはどのように取り扱うのかお伺いいたします。
#350
○国務大臣(村上正邦君) 確認答弁でございますので、味もそっけもないのかもしれませんが、お答えをいたします。
 本法に基づく指針は、法律成立後関係審議会の意見を聞いて定めることとなりますが、所定労働時間が通常の労働者とほとんど同じ労働者のうち、「通常の労働者と同様の就業の実態にあるにもかかわらず、処遇又は労働条件等について通常の労働者と区別して取り扱われている者については、通常の労働者としてふさわしい処遇をするように努めるものとする。」という現行のパートタイム労働指針の定義については、本法に基づく指針においても基本的にこれを踏襲したいと考えています。
#351
○清水澄子君 質問の第二です。
 事業主は、その雇用している短時間労働者が従事している業務と同種の業務について通常の労働者の募集をする場合には、短時間労働者が募集に応ずる旨の申し出をしたときは、その短時間労働者を優先して通常の労働者として採用するように努めなければならないようにすることについて、本法における規定についてお伺いいたします。
#352
○国務大臣(村上正邦君) 現行のパートタイム労働指針においては、「使用者は、通常の労働者を募集しようとするときは、現に雇用する同種の業務に従事するパートタイム労働者であって通常の労働者として雇用されることを希望するものに対し、これに応募する機会を優先的に与えるように努めるものとする。」とされており、本法に基づく指針については法律成立後関係審議会の意見を聞いて定めることとなりますが、その策定に当たっては基本的にこれを踏襲したいと考えております。
#353
○清水澄子君 質問の三。
 事業主は、短時間労働者をその意に反して当該短時間労働者の所定労働時間を超えて労働させたり、または所定労働日以外の日に労働させてはならない、あるいはさせないように努めなければならないようにすることについては本法にどのように規定するか、お伺いいたします。
#354
○国務大臣(村上正邦君) 現行のパートタイム労働指針においては、「使用者は、パートタイム労働者について、できるだけ所定労働時間を超えて、又は所定労働日以外の日に労働させないように努めるものとする。」とされており、本法に基づく指針については、法律成立後関係審議会の意見を聞いて定めることとなりますが、その策定に当たっては基本的にこれを踏襲したいと考えます。
#355
○清水澄子君 質問四です。
 家族的責任と仕事の両立を可能とするようILO第百六十五号勧告の趣旨を踏まえ、一日の労働時間の短縮を図るとともに、深夜・交代制労働や遠隔地配転において家族的責任が考慮されるよう必要な措置を講ずることについてお伺いいたします。
#356
○国務大臣(村上正邦君) 働く人たちがその能力や経験を生かしつつ、仕事と家庭生活を両立することができる環境を整備することは、今後真の意味で豊かな社会をつくっていくために重要であると考えます。
 この意味で、労働時間の短縮は重要であり、今国会においてさきに労働時間の短縮を内容とする労働基準法の改正について成立させていただいたところであります。
 なお、深夜・交代制労働や遠隔地配転において家庭的責任を考慮することについては、労使においてその実施の検討がなされることは結構なことだと考えます。
#357
○清水澄子君 質問五です。
 本法に基づく指針について事業主、短時間労働者等への周知徹底を図るとともに、本法の実効ある運営を確保するため行政体制の拡充強化を図ることについてお伺いいたします。
#358
○国務大臣(村上正邦君) 本法に基づく指針については、広く事業主、短時間労働者に対して周知徹底を図り、その実効が上がるようにしたいと考えております。また、本法の実効ある運営を確保するため、行政体制の充実を図ることは重要なことであるので努力してまいりたいと考えます。
#359
○清水澄子君 質問六。
 労働者派遣法の労働者派遣事業適正運営協力員制度と同じように、例えばパートタイム労働適正化指導員といった制度を設け、不適正な労働条件及び雇用管理のもとに置かれているパートタイム労働者について速やかにその是正を図ることができるように救済措置を求めることのできる機関の設置等について検討することについてお伺いいたします。
 また、短時間労働援助センターの運営に労働者代表が参加できるような措置を講ずることについてお伺いします。
#360
○国務大臣(村上正邦君) 救済措置を求めることができる機関の設置といった措置は困難ですが、短時間労働援助センターの事業に労働者の意見が反映されるようにするための方策については検討いたしたいと考えます。
#361
○清水澄子君 質問七。
 労働契約は、例えば代替的、短期的、季節的な特別の業務の場合など、業務の性質上期間を定めることについて合理的な理由がない限り期間の定めのないものとすべきではないでしょうか。
 また、長期間の雇用を予定しているにもかかわらず、短期の労働契約を締結し、これが繰り返し更新されるような事態が生ずることのないよう十分指導すべきと思いますが、いかがでしょうか。
#362
○国務大臣(村上正邦君) 労働契約については、当事者である労使が自主的に話し合って結ぶべきものと考えますが、御指摘のように長期間の雇用を予定しているにもかかわらず短期の労働契約を締結しこれを繰り返し更新するようなものも見られ、これについては労働契約の締結に際し合理的に期間設定がなされることが望ましいと考えます。
#363
○清水澄子君 質問八。
 解雇や定年退職等についても、パートタイム労働者に対する差別的取り扱いをなくすように措置するとともに、フルタイム労働者にも共通する期間雇用の問題については、労働者の保護、雇用の安定の観点から、早急に労働契約法制上の措置を講ずるため必要な検討に着手することについてお伺いします。
#364
○国務大臣(村上正邦君) 期間の定めのある労働契約についての問題を初め、労働契約法制についての問題については、労働基準法研究会の報告を踏まえ、今後検討を行ってまいりたいと考えます。
#365
○清水澄子君 質問九。
 中小企業退職金共済制度への短時間労働者の加入の催進を図るなど、短時間労働者にも退職金が支給されるようにすべきだと思いますが、いかがでしょうか。
#366
○国務大臣(村上正邦君) 中小企業退職金共済制度につきましては、今後とも新規加入した事業主に対する掛金助成の活用や掛金月額の最低額の特別制度の周知、広報等により、加入促進を進めてまいります。
 また、短時間労働者に対する退職金制度の普及状況は、通常の労働者に対する普及状況との差が見られるところであり、その就業の実態、通常の労働者との均衡等を考慮して退職金が支給されるよう集団指導などを通じて、啓発指導に努めてまいりたいと考えます。
#367
○清水澄子君 質問十。
 短時間労働者に対する雇用保険法の適用についてですが、労働基準法の改正による週四十時間労働制の実施に対応して、現行の短時間被保険者に係る一週間の所定労働時間の要件を見直すとともに、短時間労働者に対する雇用保険の適用を促進すべきと思いますが、いかがでしょうか。
#368
○国務大臣(村上正邦君) 短時間労働者に対する雇用保険の適用については、労働時間の現状を十分踏まえていく必要がありますが、労働時間の短縮は非常に重要なことでもあり、御指摘の方向で今後検討する考えであります。
 また、短時間労働者に対する雇用保険の適用促進についても、今後さらに強力に進めてまいります。
#369
○清水澄子君 質問十一。
 現行のパートタイム労働指針では、パートタイム労働者の定義は「一日、一週間又は一箇月の所定労働時間」が相当程度短い労働者とされているのに対し、本法では「一週間の所定労働時間」が短い労働者とされていますが、これによって現行のパートタイム労働指針において施策の対象となっていたパートタイム労働者がその対象から除外されるなどの施策の後退がないこと、または後退させないことについて確認いたします。
#370
○国務大臣(村上正邦君) 現行のパートタイム労働指針では、パートタイム労働者とは「一日、一週間又は一箇月の所定労働時間」が相当程度短い労働者とされているのに対し、本法では「一週間の所定労働時間」が短い労働者とされていますが、これによって従来は施策の対象となっていた短時間労働者を本法による施策の対象から除外することはないものであります。
#371
○清水澄子君 質問十二。
 野党は、実効ある野党法案を提出していますが、今回法修正等を条件に衆議院では政府案に賛成いたしました。このような妥協をしているのに、パート法が成立しても実効が上がらないのでは困ります。パート法によりぜひ効果が上がるように取り組んでもらいたいと思いますが、大臣の決意を伺いたいと思います。
#372
○国務大臣(村上正邦君) 本法が成立いたしましたならば、その円滑な施行を図り、パートタイム労働を魅力ある良好な就業形態として確立し、パートタイム労働者が安心して能力を発揮できるようにして、パートタイム労働者の皆様から心からよかったと言ってもらえるようにしたいと考えます。
#373
○清水澄子君 ただいまのこの十二点の質問につきまして、村上労働大臣から確認の答弁をいただきました。
 そして、特にこの最後のお言葉は、このことを私どもは全国のパート労働者に対して伝えたいと思います。
 ぜひ、これらが間違いなく誠実に実施されますことを心からここでお願いいたします。
 質問を終わります。
#374
○委員長(田辺哲夫君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#375
○委員長(田辺哲夫君) 御異議ないと認めます。
 短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律案の修正について吉川君から発言を求められておりますので、この際、これを許します。吉川君。
#376
○吉川春子君 私は、短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律案に対して修正の動議を提出いたします。その内容は、お手元に配付されております案文のとおりでございます。
 これより、その趣旨について御説明申し上げます。
 本日の委員会で、パートタイム労働者は約一千万人と答弁がありましたが、これらの人々は極めて劣悪な労働条件と無権利のもとに置かれており、その労働条件の速やかな改善と通常労働者との平等待遇の確保など、権利の保護を強く求めております。ところが原案は、パート労働者とフルタイムの労働者では、労働時間以外は何も変わらないという基本的な原則を欠落させているばかりか、労働条件の均等待遇を定める規定も全くありません。
 したがって、我が党は、パート労働者の要求にこたえ、次の点を基本とする修正案を提出するものです。
 第一に、法律の目的を、パート労働者が労働時間が短いことによって不平等な扱いを受けることなく、通常の労働者との均等な待遇を確保することを明確にいたしました。
 第二に、法律の明文によって、均等待遇の基準を具体的に決めました。その中には、退職金、手当等を含む賃金、昇格、年次有給休暇、解雇、教育訓練、福利厚生が含まれております。これらの基準に違反した場合は、行政指導を行い、それに従わない企業には罰則を与えることを明確にしております。
 第三に、労働条件に関する書面の交付、優先雇用の原則、本人の同意のない所定外労働の禁止を使用者に義務づけております。
 第四に、行政責任を明確化させるため、行政責任の放棄につながる「短時間労働援助センター」の項は全文削除しました。
 第五に、パート労働者のこうした権利について、国がパート労働者に周知させる措置を講ずるよう定めています。
 以上が修正案の主な内容でありますが、これこそ圧倒的多数のパートタイム労働者の願いにこたえるものと確信いたします。
 何とぞ、委員各位が御賛同をくださいますようお願いし、提案の説明といたします。
#377
○委員長(田辺哲夫君) ただいまの吉川君提出の修正案は予算を伴うものでありますので、国会法第五十七条の三の規定により、内閣から本修正案に対する意見を聴取いたします。村上労働大臣。
#378
○国務大臣(村上正邦君) ただいまの修正案につきましては、政府といたしましては反対でございます。
#379
○委員長(田辺哲夫君) これより、原案並びに修正案について討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
#380
○吉川春子君 私は、日本共産党を代表して、短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律案に反対、日本共産党の修正案に賛成の討論を行います。
 初めに、私は、本案の委員会審議がわずか一日しか行われないまま採決されることに強く抗議いたします。一千万のパート労働者がかたずをのんで見守っている中、常会の会期を一週間以上残しながらたった一日の審議で終えることは、国会の国民に対する責任をないがしろにするものであります。
 パート労働者は、労働省の調査でも年間平均千四百時間以上という欧米の通常労働者並みに働きながら、年収百万円前後という低賃金、ボーナスも退職金もなく、景気の調整弁としていつも解雇の不安におびえている日本のパート労働者は、パートに関する立法にどれだけ希望と期待を寄せていたことでしょう。しかし、本日の委員会審議でも明らかになったように原案はこうしたパート労働者の願いを無視するものであり、到底賛成することはできません。
 原案に反対する具体的理由の第一は、パート労働者の劣悪な労働条件が、この法案によって何ら改善されないばかりか、固定化しかねないことであります。法案では、パート労働者について、労働時間以外は通常の労働者と変わらないという均等待遇の原則が明記されず、労働条件についても通常の労働者と平等に扱うという規定が欠落していることであります。また、使用者が本法の規定に違反しても罰則もありません。
 第二は、この法律によって作成される指針の基礎となる現行パート労働指針は、パート労働者の最大の要求である賃金について、私の質問について労働省が答弁しているように平等にすることは適切でないという見地に立ったものであり、このような指針に法的な根拠、基礎が与えられれば、パート労働者の差別的な実態に法的な根拠が与えられることになります。こうした危惧は、衆議院で「就業の実態、通常の労働者との均衡等を考慮」という文言が加えられたことによって一層深まりました。
 第三は、これまではパート労働者の定義について、通常の労働者より労働時間が相当程度短いとしていたものを、今回の法案ではただ短いというだけにしていることです。このことによって、通常労働者とほとんど変わらない時間働いている、いわゆる疑似パートについても差別を広げ固定化するものとなりかねません。
 第四に、短時間労働援助センターの設置は、本来労働省が行う業務を民間機関に肩がわりさせるものであり、行政責任の放棄にほかなりません。しかも、このセンターの役員はすべて労働省のOBと財界人であります。これでは労働省高級官僚の新たな天下り先の確保、財界の意向に沿ったパート行政の推進のてことなりかねません。
 以上の点を強く指摘し、原案に対する私の反対討論を終わります。
#381
○笹野貞子君 私は、日本社会党・護憲民主連合、公明党・国民会議、民社党・スポーツ・国民連合、民主改革連合の四会派を代表し、短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律案について、原案に賛成、共産党提出に係る修正案に反対の討論を行います。
 パートタイム労働者は、経済のサービス化の進展や就業意識の多様化等を背景として近年著しく増加する傾向にあり、平成四年には八百六十八万人に達し、このうち女性のパートタイマーは五百九十二万人に上っています。
 そして、パートタイム労働は、労働者数の増加という量的な側面にとどまらず、従来臨時的、補助的な機能を果たすにとどまっていたものが、今日では恒常的、基幹的な労働力へと変質を遂げ、中長期的に労働力需給が逼迫すると見込まれる中で女性や高齢者を中心に今後も増加すると見込まれているのであります。
 このような状況の中で、パートタイム労働者の処遇や労働条件については、労働基準法を初めとする労働関係法令の適用が周知徹底されていないために発生するトラブルや、通常の労働者との間に存在する賃金や福利厚生面における格差、不安定な身分関係など、多くの問題を抱えているのが実情であります。
 労働省は、このような問題に対処するため、いわゆるパート労働指針を策定する等により、パートタイム労働者の処遇及び労働条件の改善に努めてこられましたが、法的拘束力を欠いた指導行政には限界があり、パートタイム労働者の権利保護を図るための立法化が切望されていたのであります。
 昨年、野党四党は共同して短時間労働者の通常の労働者との均等待遇及び適正な就業条件の確保に関する法律案を衆議院に提出いたしました。労働省もパートタイム労働問題に関する研究会等における検討の結果を踏まえ、今国会に法案を提出されたわけでありますが、その内容は労使の妥協の産物とはいえ、私たちの主張とは大きくかけ離れたものでありました。
 しかしながら、衆議院段階において政府提出法案に対する四野党共同要求を取り入れた大幅な修正が村上労働大臣の賢明な御判断により実現したため、完全なものとは言えないまでも、納得できる内容に改善され本院に送付されてまいりました。
 このような経過を踏まえ、私たちは、パートタイム労働者に対して適正か労働条件を確保し、雇用管理の改善に資するための法律の制定こそが急務であるとの認識に基づいて原案に賛成することとした次第であります。
 ただ、私たちも手放しで原案に賛成するものではありません。
 私たちは、本法案の質疑の中で各委員から提起された諸問題への適切な対応を要請するとともに、本法に基づいて作成される指針について、現行パート労働指針の内容を後退させないこと、常時五人以上の労働者を使用する事業場に対して就業規則の作成を義務づけること、解雇予告の適用が除外されている有期の労働契約に対しても解雇予告を必要とするよう改めること、中小企業退職金共済制度への短時間労働者の加入促進、家庭責任と仕事の両立を可能とするよう、ILO第百六十五号勧告の趣旨を踏まえ労働時間の短縮を図るほか職業生活環境の整備を進め、やむを得ず短時間労働者を選択しなければならないような状況を解消することなど、本法及び労働関係法令の適切な運用や今後における本制度の見直しによって対応すべき諸問題を提起しており、これらの諸課題の実現に向けての政府の積極的な対応を強く要請し、原案に賛成、共産党提出に係る修正案に反対の討論といたします。
#382
○委員長(田辺哲夫君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。
 それでは、これより短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律案について採決に入ります。
 まず、吉川君提出の修正案の採決を行います。
 本修正案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#383
○委員長(田辺哲夫君) 少数と認めます。よって、吉川君提出の修正案は否決されました。
 次に、原案全部の採決を行います。
 本案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#384
○委員長(田辺哲夫君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 この際、庄司君から発言を求められておりますので、これを許します。庄司君。
#385
○庄司中君 私は、ただいま可決されました短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律案に対し、自由民主党、日本社会党・護憲民主連合、公明党・国民会議、民社党・スポーツ・国民連合及び民主改革連合、各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。
 案文を朗読いたします。
    短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律案に対する附帯決議(案)
  政府は、本法施行にあたり、短時間労働者等の職業生活環境の整備改善を進めることにより、適正な労働条件の確保及び雇用管理の改善の実効性を高め、その職業生活が、快適で、充実したものとなるよう次の措置を講ずるべきである。
 一、事業主、短時間労働者等に対する労働基準法等労働関係法令の一層の周知徹底を図ること。
  また、本法及び関係法令の実効性及び違反、相談に対する処理の迅速性を確保するた
 め、行政体制の充実に努めること。
 二、本法に基づく指針の作成にあたっては、現行指針の内容を後退させないこと。特に、所定労働時間が通常の労働者とほとんど同じ労働者の取扱い、通常の労働者への応募機会の付与、労働時間などの規定について、現行指針を踏襲すること。また、本法に基づく指針について、事業主、短時間労働者等への周知徹底を図ること。
 三、常時五人以上の労働者を使用する事業場に対して、就業規則の作成を義務づけるよう検試すること。
 四、現在、解雇予告の適用が除外されている有期の労働契約についても、原則として、解雇予告を必要とするよう検討すること。
 五、中小企業退職金共済制度への短時間労働者の加入の促進を図るなど短時間労働者にも退職金支給制度が適用されるよう指導すること。
 六、雇用保険法、健康保険法、厚生年金保険法の適用促進を図ること。
 七、短時間労働援助センターの事業に労働者の意見が反映されるようにするための方策について検討すること。
 八、家庭責任と仕事の両立を可能とするよう、ILO第一六五号勧告の趣旨を踏まえ、労働時間短縮等を図るほか、職業生活環境の整備を進め、やむなく短時間労働を選択するような状況の解消を図ること。
  また、育児、介護等の必要から一時的に短時間労働を希望する通常労働者に対し、短時間労働への転換・通常労働への復帰を可能とする制度の普及に努めること。
 右決議する。
 以上であります。
#386
○委員長(田辺哲夫君) ただいま庄司君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#387
○委員長(田辺哲夫君) 全会一致と認めます。よって、本附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、村上労働大臣から発言を求められておりますので、これを許します。村上労働大臣。
#388
○国務大臣(村上正邦君) ただいま決議のありました附帯決議につきましては、その趣旨を十分尊重し、努力してまいる所存でございます。
#389
○委員長(田辺哲夫君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#390
○委員長(田辺哲夫君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#391
○委員長(田辺哲夫君) 次に、林業労働者の雇用の安定及び雇用管理の改善等に関する法律案を議題といたします。
 発議者村沢牧君から趣旨説明を聴取いたします。村沢君。
#392
○委員以外の議員(村沢牧君) ただいま議題となりました林業労働者の雇用の安定及び雇用管理の改善等に関する法律案について、その提案の理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
 地球環境問題の深刻化を背景として、昨年の六月に、リオデジャネイロにおいて環境と開発に関する国連会議、いわゆる地球サミットが開催され、熱帯林を初め、すべての森林の保全と持続可能な森林経営に関する最初の世界的な合意である森林に関する原則声明が採択されたことは御承知のとおりであります。
 生態系としての環境の有限性を超えた人類の活動の急激な拡大は、温暖化、オゾン層の破壊、酸性雨、熱帯林を初めとする世界の森林の減少と劣化、砂漠化の進行など地球環境の悪化を招いており、地球環境を保全する上で重要な機能を果たしている森林を保全することは、人類の生存にかかわる世界的な課題とされているのであります。
 我が国の森林は、国土面積の約六七%に当たる約二千五百万ヘクタールを占め、このうち人工林の面積は約一千万ヘクタールに及び、その蓄積量は約十三億六千万立方メートルと、全森林蓄積量の約四八%に達しておりますが、これらの森林を世界の森林の一部として位置づけ、木材等の供給という経済的な視点にとどまらず、森林が有する多面的な機能を総合的に発揮できるよう質的強化を図っていくことが重要であります。
 申し上げるまでもなく、森林がこれらの要請にこたえ、十分に機能するためには、山村の維持・発展と健全な林業の育成を欠かすことができません。
 しかしながら、今日の林業を取り巻く情勢は依然として厳しく、外材輸入量の増加や非本質系建築資材の進出等を背景にした国産材価格の低迷、経営コストの上昇等によって林業経営の収益性は著しく悪化しており、林家の経営意欲が減退するとともに適正な森林管理も十分に行われない状況が深刻化し、これが山村における過疎化の進行に拍車をかけているのが実情であります。
 我が国の森林が人工林を中心に成熟過程にある中で、持続可能な健全な森林経営を育成し、森林の保全を通じ環境の創造に一層貢献する必要性が今日ほど強く求められていることはありません。そして、この要請にこたえていくためには、森林の育成に欠かすことのできない林業労働者を確保することが重要な課題となってまいります。
 しかしながら、平成四年度の林業の動向に関する年次報告によりますと、林業就業者数は生産活動の停滞を反映して減少傾向で推移しており、平成二年には昭和六十年を三万人下回る十一万人となっており、その年齢構成も五十歳以上の就業者の割合が六八パーセントに達し、全就業者の高齢化指数の二倍以上に達しております。このような林業就業者の減少と高齢化の進行は、今後における森林の適正な管理や国産材の安定供給を図っていく上で深刻な影響を及ぼすものと危惧されているのであります。
 このような状況に対処し、林業労働力を将来にわたって安定的に確保してまいりますためには、白書も指摘しておりますように計画的な事業実行による事業量の安定確保と雇用の長期化・安定化、省力化や労働強度の軽減に資する林業機械化を推進するための効率的な機械利用システムの確立やオペレーターの養成・訓練、林業の労働形態から見て林業の労働形態から見て林業労働従事者の確保に特に必要な福利厚生施設の整備、社会保険への加入、月給制や週休制の導入、労働時間管理の適正化等による勤務・給与体系の改善を図るなど、労働に関する諸規定の適用を含めて、他産業並みの労働条件の整備を早急に進めることが必要となっております。
 今国会で成立いたしました労働基準法及び労働時間の短縮の促進に関する臨時措置法の一部を改正する法律におきまして、林業を労働時間法制の適用対象とする措置が講じられたところでありますが、林業労働者の雇用の安定と雇用管理の改善、福祉の増進等の広範にわたる課題への対応が急がれているのであります。
 我が党は、既に第九十八回国会から林業労働者の地位の向上と山村地域の振興に寄与するため、林業労働法案を提出してきた経過がございますが、今日の状況を踏まえ、改めて林業労働者の雇用の安定と雇用管理の改善等を図る観点から本法案を提出した次第であります。
 次に、この法律案の内容につきまして概要を御説明申し上げます。
 まず第一に、この法律案は森林の有する諸機能を維持増進する上において林業に必要な労働力の確保が極めて重要であることにかんがみ、林業労働者について、その雇用の安定、雇用管理の改善、能力の開発及び向上等に関する措置を講ずることによって林業労働力の確保に資するとともに、林業労働者の福祉の増進を図ることを目的としています。
 第二に、雇用の安定等を図るための国、地方公共団体、事業主等の関係者の責務について定めています。この中で事業主の責務につきましては、その雇用する林業労働者について雇用の安定及び労働環境の改善、教育訓練の実施、福利厚生の充実その他の雇用管理の改善を図るために必要な措置を講ずることによりその福祉の増進に努めなければならないこととしており、国の責務につきましては、林業労働者の雇用の安定の確保、林業労働者の雇用管理の改善の促進、林業労働者の能力の開発及び向上その他の林業労働者の福祉の増進を図るために必要な施策を総合的かつ効果的に推進するように努めなければならないこととしているほか、国有林野事業の経営管理において培った知識や技術を活用して林業労働者の雇用の安定確保や雇用管理の改善に資するための調査研究に努めることとしています。
 第三は、農林水産大臣及び労働大臣は、林業労働者の福祉の増進に関する基本指針を定めなければならないこととしています。基本指針は、地域林業労働計画の指針となるべき事項について定めることとしており、この策定、変更に当たっての手続、公表等について定めております。
 第四は、地域林業労働計画についてであります。
 都道府県知事は、基本指針に即して、森林計画区ごとに毎年、地域林業労働計画を定めることとしていますが、この計画では、林業労働者の雇用の動向に関する事項、林業労働者の雇用の安定の確保を図るための措置に関する事項、林業労働者の雇用管理の改善を促進し、並びにその能力の開発及び向上を図るための措置に関する事項、その他林業労働者の福祉の増進を図るための措置について定めることとしております。
 また、地域林業労働計画は、当該森林計画区における森林施業の合理化に関する事業と調和するものでなければならず、かつ林業労働者の就業の促進及び通年雇用の確保を図るとともに、林業労働者の所得を増大して、その経済的、社会的地位の向上に資するように定められなければならないこととしています。
 さらに、地域林業労働計画の策定、変更を行うに当たっての手続、公表について定めるとともに、国及び都道府県は、地域林業労働計画の達成に必要な財政上の措置等を講ずるように努めることとしています。
 第五は、林業労働者の雇用の安定及び雇用管理の改善等を図るための措置についてであります。
 事業主は、その雇用する林業労働者の福祉の増進を図るために実施する雇用の安定及び労働環境の改善、教育訓練の実施、福利厚生の充実その他の雇用管理の改善に関する措置について改善計画を作成し、これをその主たる事業所の所在地を管轄する都道府県知事に提出して、その改善計画が妥当である旨の認定を受けることができることとしており、国は、この改善計画について都道府県知事の認定を受け、認定計画に係る改善措置を実施する認定事業主に対して、農林水産省令、労働省令で定めるところにより、必要な助成を行うことができることとしています。
 また、国がこの助成を行うに当たっては、振動障害の症状が軽快した林業労働者の雇用の安定のための措置を講ずる認定事業主について、特別の措置を講ずるものとしております。
 さらに、国及び都道府県の認定事業主に対する指導及び助言を規定しているほか、林業労働者に対する職業訓練の実施、林業労働者になろうとする者の速やかな就業を促進するための職業紹介の充実等の措置について規定をいたしております。
 第六は、林業労働者雇用安定センターの設置についてであります。
 都道府県知事は、林業労働者の福祉の増進に関する支援機関として、森林計画区ごとに一つの林業雇用安定センターを指定し、林業労働者の雇用及び福祉に関する調査研究、林業労働に係る雇用に関する情報の収集と関係者への提供、林業労働者の福祉の増進を図るための措置に関する事業主等に対する相談等の援助、林業労働者及び林業労働者になろうとする者に対する研修等の業務を行わせることとしております。
 また、国は、都道府県が、林業労働者雇用安定センターの行う事業に要する経費について補助する場合におきましては、当該都道府県に対して、政令で定めるところにより、予算の範囲内において、当該補助に要する経費の一部を補助することができることといたしております。
 以上のほか、この法律の実施のために必要な手続その他の事項の農林水産省令、労働省令への委任、認定事業主が認定計画に係る改善措置の実施状況について都道府県知事の求めに応じなかった場合における罰則について規定しております。
 また、附則におきましては、この法律の施行期日について、公布の日から起算して六月を超えない範囲で政令で定める日からとするとともに、政府は林業労働者の雇用状態等を考慮して、労働者災害補償保険制度、雇用保険制度、健康保険制度及び厚生年金制度について検討を加え、その結果に基づいて速やかな措置を講ずべきとした検討規定等を設けております。
 以上、この法律案の提案理由及び内容の概要につきまして御説明申し上げましたが、林業労働者の雇用の改善は、我が国林業の再生と、山村地域の活性化を図る上で必要不可欠な課題であるとともに、持続可能な森林経営の確立を通じ、世界的な課題とされている地球環境の保全に貢献するものであるとの御理解をいただき、御審議の上、速やかに御可決をいただきますようお願い申し上げます。
#393
○委員長(田辺哲夫君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後七時十一分散会
     ――――◇―――――
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト