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1993/03/29 第126回国会 参議院 参議院会議録情報 第126回国会 逓信委員会 第6号
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1993/03/29 第126回国会 参議院

参議院会議録情報 第126回国会 逓信委員会 第6号

#1
第126回国会 逓信委員会 第6号
平成五年三月二十九日(月曜日)
   午前十時開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 三月二十六日
    辞任        補欠選任
     一井 淳治君    中尾 則幸君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         野別 隆俊君
    理 事
                岡野  裕君
                陣内 孝雄君
                及川 一夫君
                中村 鋭一君
    委 員
                岡  利定君
                加藤 紀文君
                片山虎之助君
                沢田 一精君
                志村 哲良君
                中曽根弘文君
                大森  昭君
                川橋 幸子君
                中尾 則幸君
                三重野栄子君
                常松 克安君
                鶴岡  洋君
                鈴木 栄治君
                青島 幸男君
   国務大臣
       郵 政 大 臣  小泉純一郎君
   政府委員
       郵政大臣官房長 五十嵐三津雄君
       郵政大臣官房財  新井 忠之君
       務部長
       郵政省電気通信  白井  太君
       局長
       郵政省放送行政  木下 昌浩君
       局長
   事務局側
       常任委員会専門  星野 欣司君
       員
   参考人
       日本放送協会会  川口 幹夫君
       長
       日本放送協会専  森川 脩一君
       務理事・技師長
       日本放送協会理  堀井 良殷君
       事
       日本放送協会理  中野 正彦君
       事
       日本放送協会理  諏訪 恭也君
       事
       日本放送協会理  安藤 龍男君
       事
       日本放送協会理  中村 和夫君
       事
       日本放送協会会
       長室(経営計画) 黒川 次郎君
       局長
       日本放送協会財  岡  晴彦君
       務企画局局長
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○電気通信基盤充実臨時措置法の一部を改正する
 法律案(内閣提出)
○放送法第保三十七条第二項の規定に基づき、承
 認を求めるの件(内閣提出、衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(野別隆俊君) ただいまから逓信委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について御報告いたします。
 去る二十六日、一井淳治君が委員を辞任され、その補欠として中尾則幸君が選任されました。
#3
○委員長(野別隆俊君) 次に、電気通信基盤充実臨時措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 本案に対する質疑は去る二日に終局いたしておりますので、これより討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。――別に御発言もないようですから、これより採決に入ります。
 電気通信基盤充実臨時措置法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#4
○委員長(野別隆俊君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#5
○委員長(野別隆俊君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#6
○委員長(野別隆俊君) 次に、放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件を議題といたします。
 まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。小泉郵政大臣。
#7
○国務大臣(小泉純一郎君) ただいま議題とされました日本放送協会の平成五年度収支予算、事業計画及び資金計画の提案理由につきまして御説明申し上げます。
 この収支予算、事業計画及び資金計画は、放送法第三十七条第二項の規定に基づきまして、郵政大臣の意見を付して国会に提出するものであります。
 まず、収支予算につきましてその概略を申し上げます。
 一般勘定事業収支におきましては、事業収入は五千五百三十六億七千万円、事業支出は五千三百二十四億九千万円となっており、事業収支差金二百十一億八千万円は、百六十六億二千万円を資本支出に充当し、四十五億六千万円を翌年度以降の財政安定のための繰越金とすることとしております。
 一般勘定資本収支におきましては、資本収入、資本支出とも八百三十九億七千万円となっており、建設費五百九十五億円等を計上しております。
 次に、事業計画につきましては、その主なものは、視聴者の意向を積極的に受けとめ、豊かな放送番組の提供と公正な報道に努めること、国際放送については、番組の充実刷新を行い、あわせて受信の改善に努めること等となっており、事業の運営は、経営財源確保のため、受信契約の増加と受信料の確実な収納に努め、あわせて経営全般にわたり効率的な業務運営を徹底し、視聴者により一層信頼される公共放送を実現していくとしております。
 最後に、資金計画につきましては、収支予算及び事業計画に対応する年度中の資金の需要及び調達に関する計画を立てたものであります。
 郵政大臣といたしましては、これらの収支予算等につきまして、おおむね適当であると認めた上で、事業計画等の実施に当たっては、極力長期にわたり受信者の負担増を来さないため、経費の節減と受信料収入の確保に努めるとともに、配意すべき事項として、豊かな放送番組の提供と公正な報道を行い、放送番組の充実向上に努めること等を指摘した意見を付することといたした次第であ
ります。
 以上のとおりでありますが、何とぞよろしく御審議の上、御承認のほどお願いいたします。
#8
○委員長(野別隆俊君) 次に、日本放送協会から説明を聴取いたします。川口日本放送協会会長。
#9
○参考人(川口幹夫君) ただいま議題となっております日本放送協会の平成五年度収支予算、事業計画及び資金計画につきまして御説明申し上げます。
 平成五年度の事業運営に当たりましては、激動する内外の諸情勢について公正な報道に徹し、ニュース・情報番組の刷新強化を図るなど、視聴者の期待と要望にこたえ、調和のとれた多様で豊かな放送サービスを充実し、より一層視聴者に信頼される公共放送を実現してまいる所存であります。
 業務の推進に当たりましては、経営財源確保のため、受信契約の増加と受信料の確実な収納に努め、あわせて経営全般にわたり効率的な業務運営を徹底してまいります。
 平成五年度の主な事業計画について御説明申し上げます。
 まず、建設計画につきましては、補完衛星の製作・打ち上げ計画を引き続き取り進めるとともに、放送番組充実のための設備の整備を行うほか、老朽の著しい放送設備の更新や放送会館の整備等を実施することとしております。
 次に、事業運営計画について申し上げます。
 国内放送におきましては、視聴者の意向を積極的に受けとめ、番組の充実刷新を図るとともに、公共放送の使命に徹し、公正な報道と豊かな放送番組の提供に努めてまいります。
 また、衆議院議員総選挙とリレハンメル・オリンピックの放送については、万全の体制で取り組むこととしております。
 国際放送におきましては、放送時間を拡充し、日本の実情をいち早く正しく諸外国に伝えて国際間の相互理解に貢献するとともに、海外在留の日本人に多様な情報を的確に伝えるため、番組の充実刷新を行います。
 また、海外中継を拡充するなど、受信の改善に努めてまいります。
 契約収納業務につきましては、受信料負担の公平を期するため、受信料制度の周知徹底を図るとともに、積極的、効果的な営業活動を行い、受信契約の増加と受信料の確実な収納に努めてまいります。
 調査研究につきましては、新しい技術の開発研究を初め、放送番組、放送技術の向上に寄与する調査研究を推進し、その成果を放送に生かすとともに、広く一般にも公開することとしております。
 以上の事業計画の実施に当たりましては、経営全般にわたり業務の見直しを一層徹底し、要員については、年度内三百三十人の純減を行い、総員一万三千六百七人とし、給与につきましては、適正な水準を維持することとしております。
 これらの事業計画に対応する収支予算につきましては、一般勘定において、事業収支で収入総額五千五百三十六億七千万円を計上し、このうち、受信料については五千三百四十二億一千万円を予定しております。これは契約総数において四十万件、衛星契約において百三十二万件の増加を見込んだものであります。
 これに対し、支出は、国内放送費など総額五千三百二十四億九千万円を計上しております。
 事業収支差金二百十一億八千万円につきましては、このうち、百六十六億二千万円を資本支出に充当し、四十五億六千万円を翌年度以降の財政安定のために繰り越すこととしております。
 次に、資本収支につきましては、支出において、建設費五百九十五億円、次期放送衛星を調達する法人等への出資十一億円、放送債券の償還等に二百三十三億七千万円、総額八百三十九億七千万円を計上し、これらに必要な財源として、減価償却資金などの自己資金のほか、借入金により賄うこととしております。
 なお、受託業務等勘定においては、収入六億八千万円、支出六億円を計上しております。
 最後に、資金計画につきましては、収支予算及び事業計画に基づいて資金の需要及び調達を見込んだものでございます。
 以上、日本放送協会の平成五年度収支予算、事業計画等につきましてそのあらましを申し述べましたが、今後の事業運営にあたりましては、協会の事業が受信料により運営されていることを深く認識して、多様で豊かな放送サービスを一層充実するとともに、効率的な業務運営を行い、協会に課せられた責務の遂行に努める所存でございます。
 委員各位の変わらざる御協力と御支援をお願いし、あわせて、何とぞよろしく御審議の上、御承認賜わりますようお願い申し上げます。
#10
○委員長(野別隆俊君) 以上で説明の聴取は終わりました。
 これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#11
○三重野栄子君 私は四点ほど質問をいたします。放送の公共性と番組制作、それから地域放送について、要員から見た営業体制についてNHKの方に質問をいたしまして、最後に郵政省の方にお尋ねをしたいというふうに思います。
 まず、放送の公共性と番組制作の問題でございますが、NHKスペシャル「奥ヒマラヤ 禁断の王国・ムスタン」の放映につきましては、九三年二月三日に主要部分がやらせや虚偽があるということが朝日新聞で報じられまして以来、NHKのやらせという言葉に対しても大変ショッキングでございまして、各方面に波紋を生じてまいりました。三月二十二日にNHKスペシャルで「ドキュメンタリーとは何か」ということが放映されまして、それを私も見ておりましたんですけれども、改めてこれらのドキュメンタリーの制作につきましてどういう問題があったかということを考えさせられたものでございます。
 そこで、まず番組をつくる側にお尋ねいたしたいと思いますけれども、NHKとしては、このムスタンの作成の経過ではなくて、なぜこのようなことが起こったのか、今後どのようにしようとなさっているのか、その点について教訓なども含めてお尋ねしたいと思います。
#12
○参考人(中村和夫君) お答えいたします。
 あの問題が起こりましてから、調査の結果をまとめて、その後、放送現場の倫理に関する委員会というものを設置いたしました。そこで、まずみずからの足元をきちんと見詰めようということで、三月三日から十日までの一週間、百八十の放送現場で数千人が参加して総討議を行いました。三百六十ページに及ぶ集約が寄せられました。この討議の中では四つの点について議論をしていただきました。
 まず、公共放送に携わる者として社会的責任をどう考えるのか。それから、放送に携わる者として視聴者や社会のモラルと離れていないのか。三番目に、日常的なチェック体制はどうなっているのか。四番目に、演出が時代とかけ離れたものとなっていないのか。テレビの演出手法、時代にマッチした演出手法というのをどうつくり上げていくのか。この四点について議論をしてもらいまして、三百六十ページに及ぶ集約が寄せられました。
 集約の結果を簡単に申し上げますと、まず公共放送に携わる者の姿勢については、放送現場に謙虚さがどれほどあったのか。おごりがなかったのか。取材・制作する側に特権意識というものはなかったのか。市民としての常識、価値観が必要ではないかという点がございました。
 それから取材・制作過程の問題点としては、目の前に展開される事実に柔軟に対応しているのか。それから、スタッフや上司との間に自由闊達なコミュニケーションがどれほどあったのかという点。それから、メディアミックスのあり方についても意見が寄せられまして、節度あるメディアミックスの理念、事業範囲をより一層明確にする必要があるという集約がなされました。
 この結果を踏まえて、モラルや取材・制作に当
たっての放送に携わる者としての心構え、それからスタッフ間の良好なコミュニケーションをどう確保するかということ。すぐできるものは直ちに現場でそこの点の見直しを行う。それから新年度の各種研修においても、取材者のモラル、心構え、そういうものについての研修を徹底しようということがなされます。
 それから、番組基準ハンドブックというものを五年に一回刷新しておりますが、これも早急に刷新して、基本的にモラルや取材・制作に当たって留意すべきことをきちんと全職場に徹底するということにしております。
 ただ、番組というものは制作者の視点だとか発想だとか、そういう点を大事にしてつくり上げていかなければなりませんので、いたずらな管理強化的な発想というものをとらないで、あくまでも現場の自主的、自律的な努力を第一にするということで対策を進めております。
 以上です。
#13
○三重野栄子君 大変細かく御報告いただきましたけれども、ムスタンの問題が出た場合に、事実と異なる部分は映像を見ただけではわからなかったとか、あるいは番組をチェックする立場の考査室から見ても指摘ができなかったというようなことなども伺っているわけでございますけれども、今お話しいただきました問題について、これからどのように温かい目で番組制作をなさる方に対してのチェックが行われていくのか、それが私としては大変心配に思います。
 監視をされているとかチェックをされているということになりますと、どんなに優秀な方でも萎縮をしていって、なかなかいい番組がつくれないのではないかということを思うわけでございますけれども、そういう立場から今細々御説明がございましたけれども、チェックの厳しさもありましょうけれども、どのようにこれからの皆さんを育てていくかということについてもう一度補足いただければ幸いです。
#14
○参考人(中村和夫君) ただいまも御説明申し上げましたけれども、やはりスタッフ間のコミュニケーションとか信頼関係とかいうものが番組をつくっていく上では非常に大切で、その中で、こういう手法をとったらどうかとか、そういう点はやめておいた方がいいとか、お互いに番組に対する考え方を自由に述べ合って、それで番組というものができ上がっていくものですから、そういう過程が取材のスタッフ間にあって、さらにデスクとかCP、そういう間でも番組がつくり上げていかれる過程でそういう意見の交換が十分になされるということが一番肝要かと思いまして、そういう意味でコミュニケーションも活発にする。いたずらにチェック、管理体制を厳しくするということではなくて、そういうスタッフ間、デスク、CP、上司との間の意見の交換、そういうものがベースであるということでございます。
#15
○三重野栄子君 そうしますと、そういうスタッフ間の問題が十分に行き渡ったといたしましても、一つの問題として先ほどメディアミックスのことも御報告がございましたけれども、ムスタンで考えなければならなかった問題の一つの結論だとは思います。しかし、番組制作費とメディアミックスとは直接関係がないというように言われたといたしましても、既に三十余にわたります関連団体もつくられておりまして、番組に関連した書籍やビデオ、CDなどを販売するメディアミックスという経営方針がある以上、やはりこの問題は軽視ができないというか、十分考えていかなくちゃならない問題ではなかろうかと思うわけでございます。
 ムスタンを制作された場合も、番組チーフディレクターが日産自動車と協力をして販売促進用のビデオ制作をしておられた方、そういうメディアミックスを進めていた方がぱっと本体のNHKに帰ってきたとしても、そのつき合いが続いていくわけでございますから、この場合も積極的に日産自動車と話し合ってステッカーが放映されたということも伺っているわけでございますので、先ほどメディアミックスの問題については考えていくということもお話しでございましたが、ここ数年間のメディアミックスの事業収入における実績と申しましょうか、その点について数字的に御説明をいただきたいと思いますし、本年度の予算にも副次収入のところに七十七億ほどの予算がございますけれども、それは前年度対比としてはどうなっているのか、ことしはこの点については、このメディアミックスをどのように生かしていこうとしておられるのかということについて、まず第一点でございます。
 それから第二点は、このメディアミックスが全体に占める割合が大きければ大きいほど、今年度は何%ほどの収入を上げようじゃないかと言うとおかしゅうございますけれども、やっぱり営業をする以上ある程度の目標があろうかと思うんです。そうしますと、制作費にかかわってメディアミックスは大体何%いこうではないかという目標があったとすれば、やはり制作をされる側についてもある程度そのことを考慮した番組もつくっていかれるのではないかということを思うわけでございます。そういうのも含めまして、今後どのようにされるかということについてお伺いをいたします。
#16
○参考人(中村和夫君) 数字については後ほど答弁させていただきますが、メディアミックスというのは放送番組に影響を与えないことというのが大前提で始まっておりまして、その結果の放送番組の成果を二次的に活用して、副次収入の確保を上げることによって視聴者負担を軽減するというねらいで行っているものです。
 ただ、先ほど御報告しましたように、今度の集約の結果、メディアミックスと放送の明確な区分、節度あるメディアミックスの実施、そういうことについての原則が現場に十分に徹底されなくて番組制作者の共通の理解となってはいなかったということがいろんな形で意見として述べられておりますので、そういう点についてはこれから一層明確にすべく努力してまいりたいというふうに思っております。節度あるメディアミックスの理念と事業範囲をより一層明確にするということについては、制度や組織のあり方ということともかかわりますので、時間をかけて着実に放送現場では実施していきたいというふうに思います。
#17
○参考人(中野正彦君) それでは私の方から副次収入全体について御説明をさせていただきたいと思います。
 NHKの平成五年度予算における事業収入のうち、受信料収入はその九六・五%を占めておりまして、協会はこの収入の大宗をなします受信料収入をもって事業運営を行うことを基本としておりますが、視聴者の負担増を極力抑制していく、そういう経営努力もこれ必要であるというふうに考えております。したがいまして、この一環として、関連団体における関連事業の効果的な推進を通じて、NHKが多年にわたり蓄積してきました番組や技術に関するノウハウを社会に還元するほか、協会の保有する施設等の有効活用を図りまして副次収入の確保を図っているものでございます。
 五年度における副次収入予算でございますが、現下の経済状況を勘案するとともに、一層節度のある関連事業の実施に努めることを経営の基本としておりまして、前年度に対しましてマイナス六%、約五億円減額した七十八億円を副次収入予算として計上いたしております。この副次収入の予算は、事業収入五千五百三十七億円に占める割合といたしましては一・四%でございます。
#18
○三重野栄子君 今年度の予算が昨年度よりも六%マイナスということでございますが、経済事情と節度ある運営ということでございましたが、三十に余ります関連団体を何か縮小するとかあるいはやめるとかそういう問題も含まれているのでしょうか。
#19
○参考人(川口幹夫君) 実はこの問題というのは非常に難しい問題でございまして、私が一年八カ月前に会長になりましたときにこの問題についてはすぐさま改革しようということを考えたわけです。ただ、現実にそれらの団体が仕事をしておりますし、そしてその団体が持っている例えばNH
Kに対する補完とか支援とか、あるいは制作の一部を受け持つとかそういう大きな役目がございますので、その役目とのかかわりの中でどういうふうに持っていけばいいのか大変苦心をしたところでございます。その最中に今のムスタン問題が起こりまして、私もこれは抜本的にメディアミックス問題あるいは関連団体とのあり方の問題というものを考え直していこうというふうに考えました。
 具体的には、これは一年八カ月前の就任当時以来ですが、メディアミックスについては節度を持てと、いわゆる公共放送として疑われるようなことは絶対にするなということを言明をしております。そしてその趣旨に基づいて、例えば予算は、メディアミックスによって入ってくるものを含めた副次収入はこれはもう抑えようと。ことしなどは平成四年に比べまして減額をしております。つまり、それだけ慎重にやるべし、もうけることを前提にして仕事をするなということでございます。
 私は、年度が変わりましてすぐさま関連団体の見直し、統合、再編成を含めたいろんなあり方を積極的にやりたいと思っておりますので、今後このような指摘をされるようなことが起こらないように努力をしたいと思っております。
#20
○三重野栄子君 受信料を抑えるための方法としていろんなことを研究されていると思いますけれども、やはり非難されるようなことがございますと、公共性とそれからNHKの商業主義という関連でいろいろ視聴者の方といたしましても心配をいたしておりますので、できるだけ今会長がおっしゃっていただきました方向で進められるということを期待したいというふうに思います。
 と申しましても、今までNHKが商業主義をどう抑えていくか工夫してこられた面を少し御披露していただきたいと思うんです。例えば、お相撲が終わりましたんですが、幕合いでぱっと土俵を掃いていらっしゃる方のはっぴを見ますと、企業の名前が出たり、それからスポーツだとかいってもやっぱり広告があちこち出ているわけです。それからドラマあたりでも、ビールを飲むというと、ビール会社がたくさんあるわけでございますから、そういう点はどういうふうになっているのか、そこらあたりの苦労のところもひとつお伺いしたいと思います。
#21
○参考人(中村和夫君) 今御指摘のとおり大変カメラワーク等では苦労をしております。できるだけそういうものについては振らないように現場では工夫しておりますが、どうしても映ってしまうところはございますわけで、その努力にも限りがあるという面はございます。
 ただ、いろいろなスポーツ絡みの大会では、主催者その他の協賛者等々がそういうイベントに広告を出すことを一つのねらいにしてやっておりますので、我々もそこを避ける最大の努力はいたしますけれども、限度があるということでございます。
#22
○三重野栄子君 私が聞きましたところによると、ビールを飲むときでもラベルを一つの企業の名前が映らないように工夫しているとか、宅急便と言わないで宅配便と言うとか、そういう言葉遣いなども苦労しておられるという現場の方のお話も伺ったりしたんですけれども、このように商業主義がばあっとあちこちのところで出る場合には、大変NHKが番組制作されるときにも御苦労があろうかというふうに思うわけでございます。
 今まではっくる側のことを申し上げましたけれども、NHKの皆さんが反省をしたり対策を講じられましても、やはり民放とも大いに関係はすると思いますから、このムスタンの問題を契機にいたしまして、民放だって公共性があると思いますから、民放とそういう意味での協議とか対策はどのようにとられたかということをお伺いいたします。
#23
○参考人(中村和夫君) 今回のムスタンの問題は、放送界全般に共通する部分も含んでいるということで、この二十三日に民放と倫理委員会というものを設置しまして、初会合を行いました。
 そのときの共通の認識といたしましては、この際、放送に携わる者として最低のモラル、規範、そういうものをもう一度きちっと見直してみたらどうかという意見で一致しておりまして、三カ月か四カ月かけましていろいろ議論をして最低の規範に当たるようなものを決めようということになっております。決めるというよりは、民放の会長とNHKの会長に報告するという形で決めたいという形をとることになると思います。
 それと、初めての試みとして、NHKと民放で共催をしてこういう問題についてのシンポジウムを開こうではないかということでも一応意見が一致しております。細かな議論についてはこれから月一回ぐらいのペースで行われるということになっております。
#24
○三重野栄子君 その協議会が成果が上がるように大変期待しております。
 今度は番組そのものについて少し要望をしたいと思います。
 まず一つは、「ドキュメンタリーとは何か」という放映を見まして、私たち見る方の側にも、ドキュメンタリーというのはどういう意味でつくられているのか、見た者はどういうふうに考えていくのかと、そういうようなテーマ、テーマと言うとどういうふうにしていいかわかりませんのですけれども、そういうテレビの見方というものについての番組もこれからあっていいのではないかと思うわけでございます。
 とすれば、番組を見ても、これは誤りだったということで指摘することも大事だけれども、それを見ながら視聴者側はどう考えていけばいいのかという問題提起を、放送なさる側からもそういう番組ができたらいいなということを思うわけでございます。
 それからもう一つは、最近は大変政治の問題が国民全部の関心の的でございまして、ちょっと番組から見た統計を計算をしてみたわけでございます。NHKと民放各社を比較いたしますと、政治分野に関する放送はNHKが多いんですけれども、何だか民放の方が多いような感じを私は受けるわけです。なぜそういうふうにぱっとNHKよりも民放の方が政治問題をたくさん撮っているように感じるのであろうかというのが一つの疑問であります。皆さんはどうかわかりませんが、その点についてやはり番組の工夫があっていいのではないかということを思うわけでございます。
 その場合に、政治にわたりまして、政治家の失策だとかあるいは失点だとか、そういうことが割と民放にも取り上げられておもしろくされている面がありますが、これからの政治を考える、国民が積極的に政治参加をしていくという面について、政策はどうあればいいかとか、これについてどう思うかというようなことをテーマにするような番組もできたらいいなというふうに思うわけでございます。
 昨年の八月十五日の夜だったと思いますけれども、当時PKOの問題が議論になっているときでした。高校生、大学生、いわゆる青年がPKOの問題について、我々は平和の問題をどう考えるのかということで、PKO賛成派と反対派と分かれまして大変長時間にわたっての討論でございましたけれども、あれは青年だけの課題ではなくて、私どもも大変大きな示唆を得たわけでございます。そういう意味のやはり啓蒙するような番組もぜひお願いしたいと思うんですけれども、いかがでしょうか。
#25
○参考人(中村和夫君) 今先生から見る側の方もという御指摘がございましたが、我々も送り手として、テレビがどういうプロセスでつくられていくのか、どういう形で番組、ドキュメンタリーがつくられるのか、そういうものについてもっと番組の中でもお示しした方がよかったのではないかと。テレビのつくられる過程についてはもう少し視聴者の皆さんにもわかっていただく努力があった方がいいのではないかという声が現場に出ております。
 我々も今度は別な形で、テレビ映像の持つ可能性と限界というようなものについて、テレビの受
け手の方の意見も入れながら映像論を番組の中で取り上げていきたいというふうに考えております。
 それから政治番組についてでございますが、基本的な我々の考え方としては、いろいろな形で政治に対する御意見、視聴者の考え、そういうものに基づいて民意がどういうところにあるのか、そういうことを中心に番組を組んでおりますけれども、政治改革なら政治改革の問題については具体的にどういう点をどういうふうに変えていったらいいのか、どういうふうにすれば政治改革というのが前に進むのか、そういう観点から各党の討論なり、各界の人々の意見を聞くというようなことを前向きに議論をしていただいているというのが現状でございます。
 先日も、かつて三年前にNHKスペシャルで放送いたしました「かくして政治はよみがえった」というイギリスの政治腐敗防止法について再放送いたしましたけれども、これは三回目の放送でございますが、そういう政治腐敗防止法なら政治腐敗防止法が具体的にどういう過程ででき上がってきたのかという、これは視聴者の皆さんその他の御要請もございましたので三回目の放送をしたというぐあいに、できるだけ具体的に前向きにそういう議論を展開していきたいと、そういう番組をつくっていきたいというふうに思っております。
#26
○三重野栄子君 やはりテレビを見ていますと何となく受け身的になりまして、評論家的になりがちでございますので、そういう意味ではアンケートという参加の方法もありますけれども、やはり言葉でもって評論家の皆さん、政治家の皆さん、あるいはいろんな各界の皆さん、そしてまた、名もないと言うと語弊がありますが、みんなが参加できるような形での討論もぜひ進めていただくと、自分たちが積極的に参加をしていくのだという体制があるのではないかというふうに思いまして、ぜひ要望していきたいというふうに思います。
 次に、地域放送について二、三お伺いいたしたいと思います。
 東京一極集中が放送の分野でも大きな議論になっているのではないかと思うわけでございます。BS4の波の割り当てとか、あるいは地方発信ができるような割り当てをすべきだという意見もあると思うわけでございますけれども、放送はよきにつけあしきにつけ今まで東京中心主義、生活の画一化というようなことで大きな役割を果たしてきたというふうに思うわけです。
 ところで、NHKは全国放送と地域放送は車の両輪だということを言われておるわけでございますけれども、「二十一世紀への展望とNHKの課題」につきまして、重点的にこの地域放送についての御説明をいただきたいと思います。
#27
○参考人(中村和夫君) NHKの地域放送は、地域ジャーナリズムの担い手としての役割と、地域文化の情報拠点として地域文化の活性化、創造、それから育成という、地域社会の発展に寄与していくということをねらいに放送しておりますが、情報の発信が東京からのものが多過ぎるという今御指摘がございましたように、この一、二年地方の情報を全国に発信するという努力を続けてきております。番組の内容が豊かで多様になるということもございますし、これだけ世界が小さくなってきている中で、日本国内も広域化というのが非常に進行している。地域の持ついろいろな問題、情報、文化、そういうものを地域だけにとどめないで全国に発信していくということに努めてまいりました。
 今年度ですと、NHKスペシャル十本のうち二本近くが地域の放送局が作成するか地域放送局と共同で作成しているというようなぐあいでございます。プライム10という番組も地域からの参加が非常に多くなってまいりましたので、今後とも放送の中身の充実、多様性、そういうものを確保する上でも地域放送の充実ということに努めてまいりたいと思っております。
#28
○三重野栄子君 逆説的でございますけれども、地域地域というふうに申しますと、地域の問題が全国放送になる、そうする場合に、何かのルールと言うとおかしゅうございますけれども、今まで随分とNHKが追求してこられました、放送がつくってきた一つの公共性の枠と言うとおかしゅうございますが、そういう面があるのではないか。例えば、放送文化をつくり出すのが一点と、それから第二点としては、放送サービスをしながら地域の皆さんとコミュニケーションをやりながらつくっていくという問題、直接的に地域とかかわっていくという問題とか、あるいは議論の場を提供するとかいうようなことは今まで営々としてNHKが築いてこられた課題ではないかというふうに思うわけでございます。
 そこで、NHKの新福岡放送センタービルが完成をいたしまして、既に二月からはそこからも発信をしている状況でございますし、それからまた福岡タワーが六月十四日から送信一本化ということで、九州地区は九州、山口ということで非常に前進をしているのでございますけれども、このNHKの新福岡放送センタービルがこれからどのように発展をしていくかということにつきまして、川口会長の抱負などございましたらお伺いしたいと思います。
#29
○参考人(川口幹夫君) 福岡放送センタービルは昨年落成いたしまして、おっしゃるとおり二月から運用を開始しておりますが、あのビルはこれまでの放送会館と違った面を幾つも持たしてあります。
 一つは、地域に向かって開かれた放送局ということで、下の方、一階の方はほとんど開放しておりまして、一般のお客さんがいつでも来られる、そしていろんな見学ができるし、そこで催し物もあれば討論会等もあるというふうな地域参加の場にしているのが、これが一番新しい形であろうかと思います。
 それから、九州はもちろんですが、福岡というのは南の方に向かって開かれた窓口であるというふうな認識も私どもしておりまして、福岡を基点にして南の方にいろんな情報を送ったり取ったりというふうな基地の役目もさせたいというふうに思っております。
 そのほかは、当然のことですが福岡県の皆さんへと、それから九州のいわゆる拠点局としての役目も同時に持たせてありまして、あのビルができたことによって九州全体の、あるいは福岡の放送がさらに活発化することを願っておるところでございます。
#30
○三重野栄子君 福岡タワーの完成の問題につきまして、どういうふうにNHKとしては利点があるといいましょうか、放送する側はどういう利点があって、受信する側はどういうふうにメリットがあるかということについて御説明いただければ幸いです。
#31
○参考人(森川脩一君) お答え申し上げます。
 福岡の地区は現在NHKとそれから民間放送のテレビの送信所が市内にございまして、しかもそれが五カ所に分散しているという状況にございます。したがって場所によっては複数の受信アンテナをきちっと設置をしなければ良好な映像が受からないという視聴者の方が多数おられます。これにつきましては、その改善の要望が前から出されており、長い間の懸案でございました。
 今回この福岡タワーの建設ということになりまして、昭和六十二年に市からNHKに対しましてこのタワーへの送信点の移設の要請がございまして、NHKは市あるいは地元の民間放送と検討を進めました結果、昨年NHKとそれからVHFの民間放送の三社、これが福岡タワーへ移転することが決まったわけでございます。
 現在、先生おっしゃいましたように、六月十四日をこの移転の日というぐあいに定めまして、市それからNHK、民間放送等々から成る福岡地区テレビ受信改善促進協議会というものを設置いたしまして、周知広報の活動、クリーンテレビ福岡と銘打ちましたそういうものを含めまして、鋭意準備を進めているところでございます。
 先生の御質問の送信、受信にどういうメリットがあるかということでございますが、まず送信側
のメリットといたしましては、テレビのVHFの電波の送信場所が一カ所となり、また送信アンテナの高さも高くなるということ、それから局舎とかあるいはその中に設けますいろんな電源等の設備が送信各社で共用できるというメリットがございます。
 一方、受信者側のメリットといたしましては、これまでは複数の受信アンテナをそれぞれのテレビ局に向けて設置をする必要がございましたけれども、移転後はVHFとそれからUHF、これは移転しませんが、VHFとUHFそれぞれ一本ずつのアンテナで良好な画質で受信をすることができるようになるわけでございます。また同時に、建造物、高層建築物等によります受信障害の範囲と申しますのも、これまでよりはこの施策によりまして少なくて済むという利点を持っております。
 以上でございます。
#32
○三重野栄子君 次に、要員から見た営業体制について簡単にお伺いしたいと思います。
 昨年の九月に、会長が二十億円九二年度は経費節約しようじゃないかというようなことを通達されたように伺っておりますけれども、営業経費率を下げるというふうになりますと、どうしても人件費の方にしわ寄せがされる。先ほどの御説明にも職員を三百三十人減らす、賃金も適正な水準というふうに発表がございましたけれども、これで大体うまくいくのだろうか。大変職場の皆さんは御苦労が多いんじゃないかということを思いますし、また、給与の面につきましても民放と比べますと大変低いということを伺っておりますけれども、その点はどういうふうになっているかという問題と、それから集全体制についても、オートロックのビルができるとか大変御苦労な面があろうと思いますけれども、営業職員、委託職員、それから多様な労働力としていろいろ御苦労があっておりますが、そこらあたりの点について簡単に御説明いただきたいと思います。
#33
○参考人(諏訪恭也君) お答え申し上げます。
 受信料制度を将来にわたって安定的に維持していくためには、受信料の公平負担の徹底を図るということとともに、経費の効率的な運用を不断に追求するということが視聴者の御理解と支持を得る不可欠の条件だというふうに考えております。
 営業経費の約四分の三は人的経費でありますので、これが経費圧縮のポイントになるのは事実でございますけれども、あくまで受信料制度維持が前提でございますので、業績水準の確保との調和に細心に配意をしつつ、営業要員のスリム化に努めてまいりたいというふうに考えております。
 職員につきましては、新システムの導入に伴う事務処理業務の関連団体への移行、外務職員につきましては内務、外務一体化に向けての圧縮を進めておりますけれども、その一方では衛星関係の体制強化のための要員増強も行っておりまして、円滑な業務運行に努めているところでございます。
 それから委託集全員については、収納の安定維持のために今後とも間接集金を拡大し契約開発業務を強化してまいりますけれども、訪問でなければ支払いに応じない層も一定数存在することから、受信料制度を維持していくための不可欠な要員として一定規模を確保してまいる必要があるというふうに考えております。したがって、受信料制度を第一線で支える基幹要員としての役割は今後とも変わらないものと考えております。
#34
○三重野栄子君 それでは最後に大臣にお尋ねいたしたいと思います。
 三月十九日に大臣が会長を国会にお呼びになりまして、厳重注意の処分をなさいましたということを新聞報道で見ました。やらせは過去にもあったと言うと大変大げさになりますけれども、私が当時逓信委員をさせていただいておりました折、「そしてチュちゃんは村を出た」というのがございまして、これはやはりマスコミにもいろいろ取り上げられていました。そのときには何ら処分という問題はなかったように思うのでございますけれども、このたびは、NHK側にもこのやらせの問題について急速に会長自身の処分をなさるとか、大変反省をしながらいろいろな施策がせられたにもかかわらず、このたび改めて大臣が文書とはいいながら厳重注意をなさった。しかも、これは初めてだというふうに、これも新聞報道で恐縮ですけれども、そこらあたりの経緯ですね、これからずっとそのような方針になるのかどうか、指導監督の面について大臣にお尋ねしたいと思います。
#35
○国務大臣(小泉純一郎君) やらせ問題については、国民の多くも大変残念だと、またNHKを信頼していたんだけれどもこういうことがあっていいのかという大きな疑念を生じたと思うのであります。
 公共放送として、こういう放送の信頼性を傷つけたということについて、NHK自身もまたNHKの川口会長自身も大きく反省されてそれなりに取り組んでいると思いますが、郵政省としても、こういうことが二度と起こらないようにより一層自主的に、このようなやらせが今後起きないように、そして報道に対する信頼性を回復するような措置をとってほしいと、そういうことを期待して厳重注意したわけでございます。
#36
○三重野栄子君 私といたしましては、ちょっと時期おくれと言うと悪いんですけれども、せっかくこの問題が落ちついてNHKが頑張っておられるときに、改めて処分というので非常に大きな見出しがついておりまして、えっと思ってびっくりしたわけでございますけれども、NHKが民放とともに努力をしておられるというところをこれからも温かく見るという形で郵政大臣の対応もお願いしたいということをお願いいたしまして、終わります。
#37
○中尾則幸君 中尾でございます。私もきょうの逓信委員会の審査で、ただいま三重野委員からいろいろ御質問がありましたけれども、まず最初に今の質問に引き続いて二、三伺いたいと思います。
 ただいま同僚の三重野委員からもお話がありましたけれども、まずNHKにお伺いしたいと思います。郵政大臣から三月十九日付で厳重注意があったとただいまのことで聞きましたが、郵政省からの定期的な報告の要請もその中には含まれているんでしょうか。まずお答え願いたいと思います。
#38
○参考人(川口幹夫君) 厳重注意の中には、再発防止への取り組み状況について、当分の間、四半期ごとに報告されたいというのが入っております。
#39
○中尾則幸君 ただいまの会長のお話によりますと、当分の間、四半期ごとに報告せられたいということだそうでございますけれども、今度は郵政当局にお伺いします。
 去る二月二十五日の逓信委員会で同僚の及川一夫委員からも、民放のいわゆるやらせ事件につきまして、朝日放送、読売放送に定期的報告を要請したということが明らかになりました。その同様な要請をNHKにもしたということで確認申し上げたいんですが、それでよろしゅうございますね。
#40
○政府委員(木下昌浩君) 放送法違反の事態が再発しないように再発防止策を講じて自主規律を徹底することを求めたわけですが、その際、再発防止の取り組みの状況を一定の期間把握する趣旨で、四半期ごとにまとめて報告してもらいたいという趣旨で申し上げているところでございます。
#41
○中尾則幸君 重ねて伺います。その定期的報告の根拠、さらにはその内容と範囲について具体的にお答え願いたいと思います。
#42
○政府委員(木下昌浩君) 取り組み状況の報告につきましては、個々の番組の内容に立ち入った事項の報告を求めるものではありませんで、再発防止に向けた自主規律の取り組みの実施状況の報告を求めているわけでございまして、行政指導の一環として求めているものでございます。
#43
○中尾則幸君 二月二十五日の逓信委員会で、私は、大臣を初め木下放送行政局長にも、今回のいわゆるやらせ事件について、民間放送そしてNH
K、この自助努力に任せるお話をしたはずでございますけれども、そのいわゆる決意といいますか、私は二月二十五日に伺いまして、さらに今回NHKに対して三月十九日。自助努力に任せると言っておきながらさらにあえて、もちろん厳重注意をしなければならないという状況も私は理解しております。ただ、それと四半期ごとに定期的に報告を求める、これは意味合いが違うと思うんですが、大臣、一言御答弁願います。
#44
○政府委員(木下昌浩君) ただいま申し上げましたように、再発防止の取り組みの状況を一定の期間把握する趣旨で、まとめて報告をしてくださいということをお願いしているところでございます。
#45
○中尾則幸君 私が言っているのは、自助努力というその考え方について申し上げているんでありまして、厳重注意をされました。それ以外になぜ四半期ごとに報告をしなければいけないか。内容については、これは当然のことであります、放送法三条の二にも規定されてありますけれども、これは私は必要のない措置ではないかと思っているんですが、大臣、一言お答え願います。
#46
○国務大臣(小泉純一郎君) 自主的に二度とこういうやらせみたいなことがないようにこれからもよく検討していただきたいというような厳重注意でありますし、同時に、そういう現実的な取り組みがどうかということで私は報告を当分の間求めているんだと、そう解釈しております。
#47
○中尾則幸君 それじゃここで確認申し上げます。当分の間というのはいつのことですか。そして、その報告が要らない、報告をもうしなくていいという判断の基準はどこにありますか。
#48
○政府委員(木下昌浩君) 私どもは基本的に再発防止に向けての取り組みが十分機能していると認められる時期までと考えておりますけれども、報告の期間は短ければ短いほど好ましいものと思っております。一応の目安として、ことしの秋に再免許の時期が参りますけれども、それまでが一つの区切りになるのではないかというふうに考えております。
#49
○中尾則幸君 それじゃここで確認いたしたいと思います。先ほども行政局長からお話ありましたけれども、少なくとも番組の内容にかかわることはこれは一切報告の義務なし、一切タッチしないということをここで約束しますか。
#50
○政府委員(木下昌浩君) 番組の内容に関しまして私どもが報告を強制的に義務づけていることはないと承知しております。
#51
○中尾則幸君 私の言うことにはっきり答えてください。義務づけるとかそういう形じゃなくて、一切求めないということですか、どうですか。イエス・ノーで答えてください。
#52
○政府委員(木下昌浩君) 郵政省としては放送番組の内容に関する資料の要求はいたしておりません。
#53
○中尾則幸君 一切ですね。
#54
○政府委員(木下昌浩君) はい。
#55
○中尾則幸君 続いてNHK当局に、NHKの将来構想、スリム化について、先ほど三重野委員からもお話ございましたけれども、それについて若干細かく伺いたいと思います。
 まず、川口会長にお伺いします。
 NHKの将来構想に関して、将来も受信料制度を堅持していくということをお話ししていますけれども、この考え方には変わりございませんね。
#56
○参考人(川口幹夫君) NHKは国民の支持によって成り立つ事業体であるというふうに解釈しております。したがいまして、国民から出していただく受信料がすべての基幹になるべきだ、財政の基盤になるべきだというふうに思っております。
#57
○中尾則幸君 川口会長は、さる雑誌のインタビューで私は拝見したと思うんですが、報道それから制作、現場スタッフと申し上げておきたいんですが、関連会社を含めたNHKの二千八百人体制では現行のテレビ四波、それからラジオ三波の維持は大変困難だと発言されておりますけれども、これについてはいかがでしょうか。
#58
○参考人(川口幹夫君) 当然のことながら番組をつくるにはまず人が必要であります。それからお金が必要でございます。その意味で人の確保ということが何よりも必要になってまいります。それをNHKの持っている制作人員だけでやろうとすることは極めて非効率的であるというふうなことがありまして、これはもう十年以上前になりますけれども、経営効率化の一環として、番組の関連団体への委託等もあり得るというふうな形でもって現在の関連団体への業務委託が進行しております。これは全体とのバランスの上で考えるべきことでありますけれども、現在進行しているものを、私はできるだけそのよさを生かしながら、しかしもし悪いところがあれば、これは抜本的に再検討するというふうな方向づけで制作、要員のあり方を考えていきたいと思っております。
#59
○中尾則幸君 会長は、「将来構想」の中でしたでしょうか、ラジオ一波を将来的に減らすことを検討しているということを申されているように思いますけれども、これについてはいかがですか。
#60
○参考人(川口幹夫君) この「将来構想」を考えるときに私どもがとりました方法は、まずみずからそのことを考えるのではなくて、視聴者の側に立つ皆さんからいろんな御意見をいただこう、あるいは世界の放送のことについて非常に詳しい方々がたくさんいらっしゃいます、そういう方々から現在のあるいは将来の公共放送はどうあるべきかということを前提にしていろんな御意見を伺ってまいりました。その御意見に基づきまして我々が部内で十分討議をし、経営委員会等も十一回にわたる論議を重ねましてまとめたのがこの「NHK将来構想」であります。
 その中で、先ほど申し上げた受信料を基盤とするというふうな形でいくとして、公共放送たるゆえんのものを報道の公正あるいは番組の豊かさというふうなもので実証してまいろう、それが多メディア時代におけるNHKの生きる道だというふうに前提づけたわけですね。ところが、もしもその形でいきますならば、将来NHKが持っている保有メディアというものについてはやはり考え直しをする必要があるんだろう。余り先へ向かってメディアをふやしていくということを考えると、それは経営にとっては非常に大きな負担になります。したがって、私どもはいたずらにメディアの拡大を求めないということを前提にして、むしろ将来は波を減らす方向に行くというふうに考えるのが妥当ではないかと考えたわけです。
 ところが、まだ衛星の一波はそれほど大きな発展をしておりません。現在いわゆる蕃熟の形になってきたのは音声三波でございます。音声三波の見直しからまず手をつけようというのがそういう趣旨でございます。
#61
○中尾則幸君 今の会長のお話でありますと、いたずらにメディアを保有しない、私もその考えには大賛成であります。
 重ねてお伺いします。会長は今後さらにテレビ一波も削減するという考えを新聞等で述べられていると思いますけれども、はっきりした考え方をここでお伺いしたいと思います。
#62
○参考人(川口幹夫君) テレビメディアは現在NHKは地上二波、衛星一波、合計四波を持っておるわけです。さらにこの後ハイビジョン放送が始まった場合はどうするかという問題もありまして、現在の段階ではテレビの波をどうするかということについては結論が出ておりません。したがいまして、当然のことですが、時代の趨勢に伴って衛星がどう伸びるか、ハイビジョンはどうなるかというふうな前提の上でその問題については十分慎重に考えたいと思います。
 ただし、それを先ほど申し上げましたように拡大するという方向で考えるのではなしに、スリムな経営をやろうというふうなことが前提でありますから、一波削減というようなこともあり得ても構わない。それはただし、そのときの視聴者のあり方とか、NHKの電波が持つ意味とか意義とかいうことを十分に勘案した上で決めるべきだと、こういうふうに思っております。
#63
○中尾則幸君 新聞等の記者会見の報道によりますと、テレビ一波削減を示唆といいますか、する
んだという方向というふうに私は受けとめていたんですけれども、そうではないんですか。一言。
#64
○参考人(川口幹夫君) 今申し上げましたように、拡大する方向は全くとらないということを前提にします。ただ、確実に一波をいつ減らすとかいうふうなことについてはこれからの問題であるというふうに思っております。
#65
○中尾則幸君 ただ、私も二月二十五日の逓信委員会で申し上げましたように、川口会長の今のお話と、それからNHKの将来構想に書かれているハイビジョンの移行波については大変矛盾があるように思います。
 将来構想の十八ページ、「NHKは衛星放送をハイビジョン化するまでの間、現行方式の放送一波に加えて移行波を設定しハイビジョン放送を実施することが適切であると考えている。」としております。問題なのはこの移行波の性格なんです。移行波と言う以上、これはだれでも仮の形ととらえるわけです。そうすると、いつか返上するというふうにこれはなりますね。いつ返上するお考えといいますか構想なんでしょうか。ちょっと先にお伺いしたいと思います。
#66
○参考人(川口幹夫君) 移行波というふうに我々が考えましたのは、もしハイビジョン放送を新しい波で始めるというふうにしますとまたそこで波が一つふえるわけです。それは国民多数の御支持にこたえるという意味からはいささか無理ではなかろうかというふうなことを考えるわけです。
 そこで、新しい波を持つということではなくて、自然にハイビジョンの波に将来かわっていくとすれば、それまでの間の移行波という位置づけはないだろうかというふうに考えたわけでございまして、それがもしお認めいただけるならば、移行波という形でハイビジョンの放送をやって、それが衛星の波で普及してきた段階では移行波をやめるというふうに考えるのが当然ではなかろうかと思っております。
#67
○中尾則幸君 私がお伺いしているのは、その精神じゃなくて、BS4、今回チャンネル衛星で計画が進んでいることはもう御承知だろうと思います。NHKは今衛星放送を一波持っています。それからもう一波は今問題になっているJSB。そして今ハイビジョン推進協がやっている一波でございます。この残り一波、今ハイビジョン推進協が試験放送をやっているこの一波の話ですね、この移行波。間違いないと思います。
 そうすると、私が聞いているのは、スリム化を図る、NHKのメディアの巨大化はしないという川口会長のお話、節度ある発展をしたいんだということはわかるんです。ところが、将来構想でいえば、四波のうち二波は現行のものです。それからもう一波はJSB。そして残りのハイビジョンをNHKが将来的にも移行波というとらえ方で自分たちが確保するなら、四つのうち三つになるわけです。これは拡大路線にほかならないと私は言っているんです。
 それで、今、将来の普及と言いましたから、NHKの将来構想の資料編の十ページ、これをちょっと読み上げます。前回もちょっと話しましたけれども、これは電波監理審議会のハイビジョン放送研究会の予測結果で、二〇〇七年で四四%から八八%なんです。これは普及予測結果です。八八%、これはまさに驚異的な数字なんですけれども、ここまで私は普及するのは常識的には考えにくいと思っています。
 この中間の六〇%台としても、まだ移行波を廃止することにならないんです。ということは、今の会長さんのお話に従えば、これから十四年後の二〇〇七年にも移行波の廃止は難しい。ということは三波を保育するということです。十五年も二十年も移行波をあれする、この技術革新の激しい時代に。これは私は、どうも会長さんの言っていらっしゃるスリム化と節度あるメディアの保有ということは私はどうも違うんじゃないか、これを見直すべきじゃないかと思うんですが、もう一度はっきりとしたお答えをいただきたいと思います。
#68
○参考人(堀井良殷君) 今先生のお話の中で、BS3後継機、いうところのBS4の調達をまず四チャンネルから調達しよう、これは継続性という観点でまず整理されたものと承知しております。つまり、NHKの衛星放送二チャンネル、JSBが一チャンネル、そしてハイビジョン推進協会が放送しておりますハイビジョン用の継続性、この観点でとりあえず四チャンネルの衛星を調達していこうということでございます。
 しかしながら、BS3後継機の段階のチャンネルプランにつきましては今電波監理審議会で御審議中でございます。この結論はまだ出ていない。したがいまして、この四チャンネル衛星の調達と、BS4の時代にこの四チャンネルをどう使うかということとは別途のものである、このように理解しているわけでございます。
 それから、ハイビジョンの普及がいつどのようになるのか、NHKの移行波というものがもし仮に認められた場合に、それがいつまでなのかという御下問がと思いますが、ハイビジョンの普及ということは、これは社会動向、景気動向、技術開発あるいは視聴者の皆様方の選択ということで変わってくることでございます。しかしながら私どもとしては、技術開発が進みまして安い値段の受像機が普及することによりまして、ハイビジョン受像機が普及しテレビが高画質化するという時代がなるべく早く来ることが望ましい、このように考えておるわけでございます。
 ハイビジョン受像機の普及とともに、例えば今両立性がないために私ども移行波という考え方も必要になってくる、こう申し上げておるわけでございますが、ハイビジョンも見れるようなコンバーターを備えた受像機が普及していくということも一つ視野に入れなければいけないわけでございまして、こうした総合施策の展開によりまして、ハイビジョンをごらんになれる御家庭がなるべく早く普及するということが望ましい、このように私どもは考えておるわけでございます。
#69
○中尾則幸君 今私が聞いたのはそこじゃなくて、何か郵政当局の御答弁みたいで大変ありがとうございました。電監審の話は私は郵政にお伺いしようかと思っていました。MNコンバーターの話、私も聞いていないことをお答えいただきました。ただ、移行波の話をしているんです。四チャンネルの中の三つをNHKが保有する、そういう意識がなかったらこういうふうに書きませんよと私は言っているんです。
 せっかくの機会ですからここで聞きましょう。放送局長、何かお株をとられたような御答弁でございましたけれども、BS4チャンネルプランについて聞いておかなかったら放送行政局長の立場がない。一言で結構です。移行波の問題も含めてお願いします。
#70
○政府委員(木下昌浩君) 移行波の問題につきましては、昨年の十一月にNHKから電波監理審議会に対しまして要望が出ております。要望として承っております。したがいまして、電監審でこの移行波の扱いも含めましてBS3後継機段階の衛星放送のあり方全体を御審議いただいていると理解しております。
#71
○中尾則幸君 もう一度確認します。会長に確認します。
 スリム化を図る、そしてBS4、恐らく今の流れであればBS4については四チャンネルが先発で上げられるだろう、これは疑うところがないと思いますが、これについて、JSBを別にして、NHKについてはこれ以上拡大しない、今保有しているのはニチャンネルです、そういうお考えがあるのであれば、ここではっきりと確認したい。それでなかったらスリム化と話が全然合わないんです。一言御答弁願いたいと思います。
#72
○参考人(川口幹夫君) 先ほども申し上げましたように、テレビの波の持ち方につきましては、ラジオのように成熟しておりませんので、今後の問題点として、方向づけはスリム化の方に行きます。そのことをはっきりと申し上げております。
 ただ、今大きく問題になってきているのはハイビジョン放送というのをどういうふうに扱ったらいいのかということでございまして、BS4のと
きには少なくともハイビジョンをやれる体制は整っているわけです。ハイビジョンが、もしも受信機のお値段が非常に安くなって国民大多数がそれを求められるような状況になる、あるいは機材が非常に進歩しまして、現在みたいな大きなのじゃなくて例えば壁掛けテレビのような形になっていくというふうなことがあれば、明らかに画質のいい、音質のいいハイビジョンについては大方の視聴者は非常にこれを喜ぶんではなかろうかということが予測されるわけです。ですから、我々は時代の先を開くものとして、ハイビジョン放送にはやはりある種の形でもってこれを手がけるべきではなかろうか。
 ただし、そこで先ほど申し上げましたようなスリム化等の問題がありますから、これを明らかに別な一波として指定することは、これはもうとてもNHKとしてもできない。だから、ハイビジョンが進行したら、それを今やっている衛星放送の波の中に吸収していく、あるいは衛星放送がすべてハイビジョン化するというふうな形になるんではないか、そういう願いを込めまして一応の移行波という設定をしたわけでございます。
#73
○中尾則幸君 そうしますと、現有の衛星二波の中に吸収していくという考えでよろしいですね。確認したい。
#74
○参考人(川口幹夫君) そうです。
#75
○中尾則幸君 ありがとうございました。
 続いて、先ほど三重野委員からもお話ありましたメディアミックスについて御質問いたしたいと思います。
 先ほども会長は、例のいわゆるムスタン問題を契機にさらにメディアミックスについては節度を持って、公共放送として疑われるようなことはするなと言明されました。ということは、NHKが放送法に基づきまして受信料を基盤とする公共放送である以上、民間放送のようなコマーシャルベースの商業活動をみだりにしない、できない、私も繰り返し申し上げていますけれども、すなわち節度を守るということでございますね。一言で結構です。
#76
○参考人(川口幹夫君) 先般の二月二十五日のときもお答えしましたけれども、メディアミックスにつきましては常に節度を持って行うということを既に関連団体に十分に指示をいたしました。指示というかこれは指導ですね。私どもの関連団体に対する指導をいたしております。同時に、これはNHKの職員にも徹底をする必要があるというふうに思いまして、NHK職員にもメディアミックスについての節度ある進行ということを指示しております。
#77
○中尾則幸君 それではここで、そのメディアミックスの基準といいますか、内部で審議されたと思うんですけれども、ここまでは絶対いかない、いけないんだというそういう基準等がございましたら、ちょっと判断の基準をお教え願いたいと思います。
#78
○参考人(中村和夫君) 先ほど申しましたように、番組が優先されるわけですから、番組を二次的に利用して副次収入を上げるということでございますから、あくまでも番組本位、番組の提案本位で物事を考えていくというのが大きな基準でございます、現場にとって。
#79
○中尾則幸君 私も先ほどから質疑を伺っていまして、公共放送の堅実な経営基盤を築くためにはすべてのメディアミックスを私は悪いとは考えておりません。例えば番組の二次使用、カセットにしろ雑誌にしろ、これは大変有効活用だと私も思っております。しかしそこで問題になるのは、これは受信料が基盤となっているわけです。この使い方は公正でなければならない。先ほどからお話にございます。少なくとも国民はそういう約束で受信料を払っているわけです。
 そうしますと、前回も私は指摘したんですけれども、ここで許されないのはムスタンの取材の件であります。例えばあのときはある特定の自動車会社から関連会社を通したといえどもお金を、そのお金といっても一千七百万あるいは一千八百万に及ぶ協力金といいますか得ているわけです。そして、私の調べた限りでは十分程度のVHS民生用ビデオテープをその自動車会社に対して制作をしているわけです。いわゆるコマーシャルをつくっているわけです。
 あそこで問題になるのは、ある自動車会社のステッカーを張った、これも問題でありますけれども、国民から受信料を得て、それをそうした放送にたとえ出ようが出まいがそういうコマーシャルベースのものをつくらせている。これは厳重にもうできないんだ、してはならないと私は思うんですが、そういったことについてのお考えをもう一度会長にお伺いしたいと思います。
#80
○参考人(川口幹夫君) おっしゃるとおりNHKの番組は受信料によってつくられるものであります。したがいまして、それを二次利用の形でメディアミックス等をやるということは、つまりは受信料でもってつくったものを社会への還元とか、あるいは放送が持ち得た新しい財産を例えば別な形で利用して公共の福祉に役立てるとか、そういう意味があるからメディアミックスというのは意味があるというふうに思います。
 したがいまして、その基本のところが例えばNHKの受信料を使っていて何だというふうな形で非難をされるようなことであれば、これはやってはいけないということを思っております。
#81
○中尾則幸君 語尾がちょっと私聞き取れなかったんですけれども、例えば今後こういったものに対しては、一切PRの取材・制作等はこれは二次使用をしないんだということでよろしいのでございますか。
#82
○参考人(川口幹夫君) 一切云々ということはお約束できないと思います。それは例えば今回のような紀行番組でありましても、何らかの意味で放送がつくった文化財として新しい社会への還元、再利用ということがあるならば、それはいいんじゃないか、こう思っております。ただし、そのことを前提にして番組を企画するというふうな方向にはしたくない、こう思っております。
#83
○中尾則幸君 具体的にちょっとお伺いしたいんです。
 紀行番組等については、私は先ほど申し上げたように、国民から受信料をいただいて、それをさらに文化的にいろいろ国民にもう一度二次使用として見ていただく、これは私は否定してないんです。ところが、ある特定のメーカーや企業と結びついたことを禁止するのかどうか、これが問題なんです。
 例えばムスタンの場合、これはちょっと特殊な例ですけれども、これは国民の受信料で飛行機に乗り、カメラマンを雇い、ホテルに泊まっているわけです。国民はいい番組を見たい、それで受信料を払っているわけです。ところがその取材・制作の過程で、受信料負担が厳しいから、例えばある二日三日間どうせ来たんならここでPR番組をつくろうか。私はそこまで国民は納得してないと思うんです。だからこういった問題が起きてきたわけです。その一線をきちっと引かない限り企業と結びつく、そこに問題があるんです。今までの出版あるいはビデオの二次使用と違うんです。もちろんうまみがあるからやるんです、はっきり言って。
 それについての確約をいただきたい。企業のPR活動には一切タッチしない、これが原則だと思うんです。それができない限りまた同じような問題が起こるんです。あいまいになるんです。その件について確約をいただきたいと思います。
#84
○参考人(川口幹夫君) 少なくともそのことを前提にして番組をつくることは絶対にさせないというふうに私は約束いたします。
#85
○中尾則幸君 それは関連会社についても同じでございますか。
#86
○参考人(川口幹夫君) 当然メディアミックス等の実施に当たりましては関連団体が関係しておりますので、この精神を通していきたいと思っております。
#87
○中尾則幸君 大変力強い。そうすると、企業のそういったメディアミックスは今後一切行わないということで判断してよろしゅうございますか。
#88
○参考人(川口幹夫君) ちょっと御理解いただきたいんですが、私はそのことを前提にして企業のメディアミックスをやるということはしないと。
 例えば、今回のムスタンに例をとりますと、こういうふうなところでこういうふうなことをやるけれども、それを企業のPR番組として利用するからお金を先にもらうとかというふうなことは、これはしません。ただし、番組自体が非常にいい成果を上げて、これを例えばある企業が何らかの意味で再構成をするとか、あるいはそのものずばりを何らかの意味で利用したいというお申し入れがあった場合は、それは許されることもあっていいんじゃないか、こう思っております。
#89
○中尾則幸君 ここは大変大事なところで、よくわかりました。といいますのは、先に契約ありきじゃなくて、今言っているのはライブラリーを使う、運用させてもらうという範囲でよろしいですね。それについては私も大変理解のいくところであります。
 それから、この機会ですから、先ほどの質問に戻りますけれども、メディアミックスに対する節度の問題、私は前回指摘しました。有識者がこれは節度を持って行うべきだと書いてあるにもかかわらず、NHKのこの見解というかまとめの中では節度という言葉が抜けております。これについて、おかしいんじゃないか、やっぱりきちっと明記すべきだと私は申し上げました。そういう方向に沿ってやりたいと、二月二十五日の逓信委員会ではそういう川口会長の御発言でございましたけれども、それについてはいかがですか。
#90
○参考人(川口幹夫君) 既にこの一週間ぐらい前からテレビを通じて告知をしておりますけれども、「NHK構想」自体が非常にわかりにくいという御指摘もありましたので、今度新しく「みなさんとともに新しい時代のNHKを考えたい」、こういうパンフレットをつくりました。これを現在全国の放送局に配りまして読んでいただきたいということを言っているんですが、その中には先生の御指摘のことを生かしまして、メディアミックスについての節度あるということをちゃんと入れてございます。
 わかりやすくつくったつもりでございますけれども、また後でごらんいただきたいと思います。
#91
○中尾則幸君 そういうものができたんであれば、先にいただければこんな回りくどい質問をしなくて済みました。色つきでもございまして、大変NHKがこれから将来に変わるというような、表紙だけを今拝見しておりますとそんなふうに思います。ぜひとも頑張っていただきたいと思います。
 それではまた放送行政局長に、このようにNHKは自助努力によって民間放送を含めてこれから不退転の決意で放送の公正さ、そして視聴者のために頑張ると言っておられるんですけれども、重ねてお伺いします、先ほどの四半期ごとの報告は必要ないんじゃないでしょうか。
#92
○政府委員(木下昌浩君) NHKが自分たちで自助努力といいますか、再発しないように真摯な取り組みをしておられることは承知いたしております。しかしながら私どもとしても、放送を主管する立場から、その取り組み状況について四半期に一回まとめて御報告をいただきたいというふうに考えております。
#93
○中尾則幸君 何度も言っているんですけれども、またこれについては繰り返し言われるとそうかなと思っちゃうぐらいですけれども、時間も余りございませんので改めてまたこの問題についてはやらせていただきます。
 最後になりますけれども、この機会ですから会長に一言私の意見を申し上げたいと思います。
 メディアミックス等の話ではないんですけれども、もう九年前になりましょうか、会長がN響の理事長のころに、地方の時代賞映像コンクールの表彰式に私も参ったことがありますけれども、その席上で、NHKは民間放送の優秀な作品をこれからもNHKの枠の中でどしどし取り上げていきたいんだという形を進められてきたと思います。会長になる以前からもそれを実行されてこられました。例えばギャラクシー賞あるいは芸術作品賞、あるいは地方の時代賞。私は会長のその姿勢については高く評価するものであります。とりわけ最近、私たちの時代は、教育テレビを開放していただきまして、一度教育テレビでうちの番組もお世話になったことがございます。最近はゴールデンアワーにも登場させる。こういう姿勢をずっと続けていっていただきたい、こう思うのであります。
 最後になりますけれども、公共放送あるいは民間放送の調和ある発展に腐心されている会長の最後の御決意を伺いながら、今回の質問を終えたいと思います。
#94
○参考人(川口幹夫君) 地域放送の重視ということは、同時に地方の文化とか地方の生活とか地方の考え方というものを重視する精神でなければいけないと思います。したがいまして、私は、単にNHKの地域放送だけが充実すればいいのではなくて、地方の民間放送各社の番組もまた当然充実してほしいという念願をずっと持っております。そういう形でつくられたものは、やっぱり全国放送であるNHKがある時間を提供して、そこの中で全国の方々にお送りするというふうな姿勢をとるべきであるということをいまだに確信しております。
 したがいまして、今後さらにこの考え方はむしろ拡大していく方向をとろうかと思っておりまして、それでもって各民放を含めた地域局が非常に奮闘してくれれば、これはもう日本の放送文化に対してもさらに新しいものをプラスすることになる、こう思っておりますので、その方向で拡充をしていく方針でございます。
#95
○中尾則幸君 きょうはどうもありがとうございました。先ほどからも節度の問題、メディアミックスの問題、そして表現の自由の問題、これについて私は質問させていただきました。これから放送を取り巻く情勢は大変厳しいものがあろうかと思いますけれども、NHKを初め民間放送一体となって、今回の不幸なやらせ事件等に立ち上がってみるということを私は聞いて大変心強く思っております。
 最後になりますけれども、最後だと言ってまた質問するのもなんですけれども、今こういう自助努力で立ち上がる、これに対して、何回も申し上げるようですけれども、定期的な報告は一度ぐらいでおやめになったらいかがかなというぐらいに考えておりますけれども、最後にこの質問を大臣に一言お伺いして、質問を終わらせていただきます。
#96
○国務大臣(小泉純一郎君) 自主的な努力を心から期待しております。
#97
○中尾則幸君 質問を終わります。
#98
○川橋幸子君 それでは、最初にNHKの経営基盤についてお尋ねさせていただきたいと思います。
 受信料制度こそがNHKの事業経営基盤の根幹ということでございます。そういう意味から、長期の経営計画を立てられまして、効率的あるいは効果的な事業運営を行っておられることは私はよいことだと思っております。
 平成二年度から六年度までの五カ年間の長期計画が立てられておるわけでございますが、しかし、新年度、現在審議しております平成五年度予算を拝見いたしますと、健全収支は堅持されているというふうに数字では見られるのですけれども、ここへきまして計画との乖離がはっきりしてきたように身受けられるわけでございます。原因は受信料収入が見通しほどに伸びていないということでございます。計画と実績の乖離という意味から見ますと、百億円ぐらいの収入の伸びの減が見込まれている。
 受信料収入というものを確保することは営業体制にかかってくるかと思いますが、この営業体制、どのように工夫し努力していらっしゃるのか、お伺いしたいと思います。
#99
○参考人(諏訪恭也君) お答え申し上げます。
 経営五カ年計画を策定する際に、衛星の普及と契約をどのように見込むのかということが大変大
きなポイントでございました。衛星は全くの未経験の分野でございましたので、カラー受信料を設定するときの状況を参考に計画を策定いたしましたけれども、計画実施の段階で当初の予測を超えるさまざまな困難性が出てまいりました。
 例えて申しますと、CATVや共同受信のマンションなどでは衛星を受信しているかどうかというのを確認するのが非常に難しい。また、個別受信の場合でもアンテナを一軒一軒確認するのに予想以上に手間と労力がかかるなど、契約化の進展の妨げになってまいりました。また、近年は景気低迷による普及の鈍化傾向が衛星契約の伸び悩みの大きな要因になっております。
 先生おっしゃいますように、この経営計画との乖離でございますけれども、この推移を四年度末時点で見ますと、衛星、総数とも経営計画を下回る結果となり、受信料収入もこれに合わせて下回ることになっております。
 経営計画との比較を具体的に申し上げますと、四年度累計、つまり三年間の累計で申しますと、衛星は七十八万件ダウン、それから総数は五万件ダウン、受信料収入は百五十億円のマイナス、これは受信料収入計画に対して一%のマイナスでございますけれども、そういう結果に残念ながらなるということでございます。しかし、我々としては段階的に活動推進力を高めまして、また協会挙げての普及促進策を展開する中で経営計画との乖離を少しでも縮めてまいりたいというふうに考えております。
#100
○川橋幸子君 計画と実績が乖離するにはそれ相応の大変な困難な事情、受信料収入確保のための困難な事情があったことはよくわかるのでございます。しかし、今の御答弁の中にありますように、これからは計画に実績を近づけていきたい、こんなお答えであったわけでございますが、そうしますと受信料収入の確保に力を入れていかれるということではないかと思います。
 ただし、この受信料収入の確保には相当のコストがかかるものでございます。営業経費率一二%にまで下げるという目標がかつて掲げられたと伺っておりますけれども、この営業経費率一二%の目標値の意味というものはどういうものなのでございましょうか、お伺いします。
#101
○参考人(諏訪恭也君) お答え申し上げます。
 受信料制度を将来にわたって安定的に維持していくためには受信料の公平負担の徹底を図るということが一番大事でございますけれども、それと同時に経費の効率的な運用を不断に追求して視聴者の御理解と御支持を得るということもまた不可欠でございます。このため経営計画におきましては、これまでの国会論議の経緯を踏まえまして、平成二年に料額を改定したわけでありますけれども、その前の旧料額のもとで努力指標となっておりました営業経費率一五%の指標を、平成二年度に料額改定した新しい料額で読みかえしまして一二%としたものでございます。
 営業経費率は、営業経費を分子とし受信料収入を分母として算出されるものでございますので、経費率の圧縮を図るには分子である契約収納経費の抑制、それから分母であります受信料収入の拡大の両面からの取り組みが不可欠でございます。営業経費の抑制につきましては、経費の約四分の三を人的経費が占めておりますので、口座利用の拡大などによって訪問活動の省力化、それから新システムの導入など、業績の水準を低下させないように細心の注意を払いながら人的経費の圧縮に努めてまいりたいというふうに考えております。
 営業経費率につきましては、元年度一八・一%から五年度予算では一二・五%まで圧縮してきておりまして、視聴者の経営費負担を極力抑制すべく今後とも取り組んでまいりたいというふうに考えております。
#102
○川橋幸子君 営業経費率、収入を上げることと経費を下げることの両方のバランスで努力目標としてこれを達成なさりたいということのように伺いましたけれども、ですが先ほどのお答えの中にもありましたように、衛星放送が思ったほど伸びていないこと、これは景気の影響もあるかもわかりません。それからもう一方において、衛星放送を受信しているか、あるいは日本の場合は転勤というようなこともありまして、四月上旬になればさまざまな引っ越しがあるわけでございますけれども、そうした場合の捕捉が非常に難しいこと、その捕捉をするためには、むしろ大変ベテランの集金業務に習熟した人を確保する、こういうことも必要になるのではないかと私は思うのでございます。
 ということでございますと、現在一三%ぐらいでございましょうか、最終的には一二%にまで下げたいとおっしゃる。計画でございますから達成に努力することは当然でございますのですけれども、この数字そのものをそんなに機械的に考えでいいものかどうか。営業現場の方々が土曜日、日曜日の夜にそれぞれ個別訪問をして、嫌がられながら説得して歩く、こういう非常に苦心なお話があるわけでございます。
 一二%の数字にそんなに機械的にこだわるものなのかどうか。もう事務方の説明はたくさんお伺いしましたので、会長から一言お答えいただけませんでしょうか。
#103
○参考人(川口幹夫君) 当然のことですけれども、営業の第一線というのは視聴者と接する第一線であります。したがいまして、今度のムスタン問題みたいなのが起こりますと、直ちにその問題は現場の営業の担当の方にはね返ってまいりまして、本当に涙のにじむような苦労をしております。しかし、そういうことが積み重なって受信料体制というものが維持できるというふうに私も考えておりまして、この受信者との接触、それから受信者への説得、それからいわゆる受信料の公平負担ということに対して払わなければいけない営業担当者の努力は今後ますます大きくなってくるだろうと思います。
 したがいまして、平成二年度からの五カ年計画を立てるときに、営業経費率をできるだけ低く抑えよう、いたずらにお金をかけることをよして、できるだけ節約した形でいこうというふうに考えたのが営業経費率一二%台という問題でございます。
 ただ、その後の状況を見ても、あるいは今後予測される問題を見てもなかなかそう簡単にはいかないという認識は私もしております。したがいまして、できるだけ営業経費率は下げたいと思いますけれども、今の受信者への説得あるいは契約の確保、そういったことに対してその力が落ちないような、そういうバランスの上でこの数字のことを考えていきたいというふうに思っております。
#104
○川橋幸子君 会長御自身が現場の方々の御努力、涙のにじむような努力というふうに表現していただきましたし、総合的にバランスのとれた形でこの問題に対処していきたいとお答えいただきましたので、私はそうした方向で満足でございますので、ぜひそうした配慮というんでしょうか、バランスのとれた経営効率化もやらなければいけない、それからもちろん事業の発展も考えなければいけない、そうした総合的なバランスの中でこの受信料収入の確保の問題もお考えいただきたいと思います。
 さてそこで、ある雑誌によりますと、会長のお話なのでございますけれども、受信料こそがNHKの存立基盤というときに、ホテル業に似ているというふうにインタビューにお答えになられたものがございます。ユーザーの支払いによって成り立つというものでございますのですが、平成五年度の予算案を拝見いたしますと、多メディア・多チャンネル時代を迎えるとか、あるいは衛星放送、ハイビジョンをさらに推進するとか、一方では難視聴の解消のサービスをやるとか、それから視聴率至上主義でない少数者のためのサービスもやっていきたい、大変多彩な事業内容が掲上されておりまして、それはそれですべて望ましいことではございますが、これはやはりコスト上昇要因になると私は思います。一方では受信料収入の確保が非常に難しくなってきているということを考えますと、全体にNHKの今後の経営方針というものをどのように考えていくか、大変基本的な問
題があるように思われます。
 これも会長がインタビューにお答えになられましたある雑誌の特集なのでございますけれども、これは記者が御自分の目で見て書いた表現でございます。NHK自身がそのような表現を使っていらっしゃるというわけではないのですが、NHK「縮み経営」という、縮小していく経営というふうに書いてあるわけでございます。人員、要員を削減合理化するとか、あるいはラジオ一波を減らすとか、それからまだまだ衛星放送については将来のことと先ほどお答えの中にもありましたけれども、将来的にはやはりそうテレビも拡大していいものではない、むしろ拡大しない、縮小するという方向が書かれておりまして、それを称しましてこちらの雑誌の特集号を組まれた方は「縮み経営」というふうに書いておられるわけでございます。こうしたNHKの今後の経営方針について「縮み経営」という表現でよろしいのかどうか、公共放送としてのNHKの今後の基本哲学をお話ししていただきたいと思います。
#105
○参考人(川口幹夫君) 確かに、最近のインタビューでいろいろ答えましたらそれが「縮み経営」ということになっていましてびっくりしたんですが、私は自分が締まろうとは思っておりません。むしろ縮み経営じゃなくて安定経営だというふうな意図でお話ししたんですけれども、残念ながら編集者はそういうふうに受け取らなかったようでございます。
 ただし、私が言ったことの中で、それほど大きなメディアの展開とか、あるいはNHKの果たす役割とかいうことはふえていくわけですね。それに全部お金を突っ込みますと、これはまたどんどんどんどん値上げをお願いしていかなきゃいけなくなってしまう、そういう時代ではもうない。ですから、できるだけ安定したお金でもって経営をしていくということを貫き通さなきゃいけない。そして、どうしても値上げをしなければいけないときは、むしろすべてをはっきりとお話をして受信者の方々に御理解をちょうだいするというやり方が一番いいんじゃないかと思っております。したがって、そのことの意味からいえば、安定的な経営を図っていくという前提の中でいろんなことを考えておりまして、単なるメディアがふえるからNHKもどんどんふやしていくということは絶対に考えないということを前提にしてやっていこうと思っております。
#106
○川橋幸子君 NHKがせっかくここまで公共放送としての実績を持ちながら萎縮していかれるという、そういうニュアンスに危険を感じたわけでございますけれども、そうではなくて、安定経営と会長おっしゃってくださいましたので、私も支持させていただきたいと思います。
 この経営五カ年計画が終わった後も当面の間は受信料の引き上げは考えていないというようなお話を承っているのでございますけれども、確実かどうかわかりませんが、そのように私は承っているわけでございますが、しかしいつかは受信料改定の問題が出てくると思います。それはNHKに対する信頼度が高くなり、視聴者の方が負担をそれはリーズナブルなものだと納得できれば料金改定はあっておかしくはない、むしろ縮むよりは安定経営を維持するための料金改定というのが必要ではないかと私は思っております。
 それから、先ほど来お話のありますメディアミックスにつきましても、節度ある活用をするというお話でございまして、決してムスタンの問題に懲りまして、あつものに懲りてなますを吹くような、そういうメディアミックスに対する対応ではないというふうに私は理解しましたので、その点も縮みではないというふうに考えたいのでございますけれども、収入確保の問題、特に受信料の問題についてお答えいただきたいと思います。
#107
○参考人(川口幹夫君) 受信料を、六年までで、七年から値上げをしますということは言いませんというお約束を一月の記者会見で私は申し上げました。というのは、これまで経過を見ておりますと、いわゆる繰り越し、安定化を図るための繰り越しというのがだんだんふえてまいりまして、平成六年段階では大体五百億ぐらいは繰り越しできるんじゃないかという予測が立てられます。したがいまして、よっぽどのことが起こらない限りは七年度に値上げすることは全く考えなくてもいいという判断をいたしまして、七年までは絶対値上げをしませんというお約束をしたわけです。
 今後、その基調は崩さないで、できるだけ繰り越しを長くして、受信者への御負担はできるだけかけないようにしようと思っております。そのための前提としては、しかし収入がもう少しふえなきゃいけないということがありますから、衛星の拡大、それから総数の拡大を基盤にして、契約者の増加ということについては格段の努力をしていきます。
 同時に節約の方もしなければいけないわけでして、先ほどもどなたかおっしゃいましたけれども、昨年の九月一日に私は二十億の削減令を出しました。それはやっぱりNHKというものがやらなければいけない当然の義務である。つまり、要らないところはできるだけ削ってスリムな形でもって事業を展開するというのは、これは受信者に対する責任であると思うんです。大体その二十億も年度末を迎えて達成できそうでございます。そういう節減努力を一方でやって、そして入ってくるのはどんどんふやしていくというふうなことをやり続ける必要があるんではないか。その上で、いろんなメディアの展開とか受信者の要望とかいうふうなことが重なりまして、ある程度以上のことはもう負担できないという状況になったら、一切をお話し申し上げて値上げのことをお諮りしよう、こういうふうな気持ちでございます。
#108
○川橋幸子君 別に受信料改定をなさっていただきたいとお勧めしているわけでは私もございませんで、あらゆる努力をやっていただいた上で、よほどのことがなければ値上げは考えないで済むのではないかと。ですけれども、もし万が一があればちゃんと視聴者にその旨をよく説明してくださる、そのように承りましたので、ぜひそうしていただきたいと思います。なおかつつけ加えさせていただきますと、やはり現場の方々の活力をそぐような、そういう経営方針になってまいりませんように御要望申し上げまして、経営計画の問題は終わりたいと思います。
 次に、国際放送の問題につきましてお尋ねさせていただきたいと思います。
 今年度予算を拝見いたしますと、総額百億ほどの国際放送の予算が計上されておりまして、この予算は年々ふえてきていることはよくわかるわけでございます。この予算の中身を見ますと、命令放送という形で、国がなすべき国際放送として交付金が支給されておりますこと。それからNHKが公共放送の使命において行います自主放送としての番組制作費が計上されている。両者で百億ぐらいで、増額されていることはわかるわけでございます。しかし交付金の割合を見ますと、かつて昭和六十二年度のころは全体の総額の中で郵政省からの交付金が二五%ぐらいあったわけでございます。これが五年度予算では一八・五%、このようにシェアが低下してきているわけでございます。
 この点につきましてまず最初に郵政省にお伺いしたいと思いますが、国のNHKに対する交付金として、シェアじゃなくて額なんだとおっしゃるのかもわかりませんが、どのようなお考えで五年度は編成されておられるのか、お尋ねしたいと思います。
#109
○政府委員(木下昌浩君) 御指摘のとおり、NHKの国際放送経費全体に占める政府交付金の割合が下がってきているのは事実でございます。しかし、郵政省といたしましては国際放送の重要性を認識いたしまして、国際放送の実施強化を図るために所管の一般会計の中で必要な政府交付金の確保に長年努力をしてきているところでございます。NHKの国際放送経費全体に占める割合は低下しておりますが、この十年間で郵政省の一般会計予算が三三%の増でありますけれども、このNHKの政府交付金に限って言いますと六四%増となっておりまして、私ども少ない郵政省の一般会
計予算の中で可能な限り増額に努めているところでございます。今後とも政府交付金の増額に向けて、必要な政府交付金を確保すべく最大限の努力をしてまいりたいと考えております。
#110
○川橋幸子君 今のような放送局長の御答弁にNHKの方はどのようにお考えになられるでしょうか。
#111
○参考人(中野正彦君) 短波によります国際放送ラジオ・ジャパンにつきましては、平成五年度予算で申し上げますと、使用する言語が二十二カ国語、一日に延べ六十時間の放送ということで実施することにしております。これはNHKの本来業務としての自主分と、それから国の命令によります命令放送分とあわせて一体のものとして実施することにいたしております。
 この一体として実施する経費の総額は、先生先ほどおっしゃいましたように約百億近いもの、正確に申し上げますと九十六億四千万円となっております。これに対します国からの交付金でございますが、大変国の財政も厳しい中ではありますけれども、郵政省さんの御努力によりまして前年度に対して八・六%増の一・四億円の増額、したがいまして、五年度交付金が十七億八千万ということで、先ほど申し上げました国際放送実施経費の総額の中で占める割合が一八・五%だということでございます。
#112
○川橋幸子君 数字を挙げてのお答えでございますが、そういたしますと、満足していらっしゃるというふうに考えてよろしいのですか。
#113
○参考人(川口幹夫君) 当然満足しているわけではございませんで、国の台所を考えながらという答弁を中野がしましたけれども、私どもも、国際関係が非常に密なる時代に、短波放送といえども相当大きな役割を持っていますから、今後ともできるだけ国の交付金の方は増加していただきたいという気持ちは強く持っております。
#114
○川橋幸子君 御満足ではないというふうに伺いまして、私もそう思うのです。国の台所、相手方の懐を考える前に、必要な国際放送をどのように充実するかをまずお考えいただきたい。懐の方は郵政省が大蔵省と相談してお考えいただきたいということで、ここでも縮み志向になりませんようにぜひお願いしたいと思います。
 海外の情報というのは、日本の場合は大幅な入超と言われていまして、貿易黒字もありますけれども情報の黒字も非常に大きい。逆に、物を言わない日本、情報を発信しない、顔のない日本ということで摩擦の原因にもなるわけでございます。いずれにしましてもお金がかかる問題かとは思いますけれども、郵政省、いかがでしょうか、別に短波に限らなくてもよいのですけれども、全体として国際放送をどのように充実していかれるか、今後の姿勢をお聞きしたいと思います。
#115
○政府委員(木下昌浩君) ただいま御指摘のとおり、国際化が進展している中で、諸外国との相互理解を深めるために我が国からの情報発信を行っていくということは極めて重要な問題であると認識しております。音声放送については、先ほども申し上げましたとおり、短波による国際放送、現在二十二カ国語で延べ五十二・五時間、平成五年度は六十時間ということで計画しておるところでございますが、映像につきまして、これもテレビの映像による国際交流といいますか、非常に大事なことだろうと思っております。
 郵政省では、財団法人放送番組国際交流センターによりまして、我が国の教育番組を英語に吹きかえまして発展途上国に提供するなどの事業を推進していることが一つ。それからまた、これとは別に、NHKにおきましてもアジアの放送事業者にニュース等を提供しているということでございます。また、欧米に対しましても番組素材を提供しているということでございます。それから郵政省では、平成五年度に我が国から発信する映像国際放送について調査研究会を設けまして、諸外国の状況も参考にしながら諸課題について検討していく所存でございます。
#116
○川橋幸子君 それでは、その研究会報告を待ちまして、ぜひ音声だけではない映像による海外情報の提供についても郵政省の方には御努力いただきたいと思います。
 NHKの方もお尋ねさせていただいてよろしいでしょうか。今後、そうした発信できる日本として、交付金を含めましての全体でも結構でございますし、あるいはNHK独自の姿勢でも結構ですが、取り組みの基本姿勢についてお尋ねさせていただきたいと思います。
#117
○参考人(中村和夫君) 主要先進国におきまして海外への情報発信のさまざまな試みを行っておるのは先生御承知のとおりだと思いますが、これから二十一世紀に向けて、ニュース・情報を中心に映像による情報の発信の必要性というものを非常に大事なものと考えております。
 現在NHKでは、海外への映像による情報発信として、トゥデーズ・ジャパン、ジャパン・ビジネス・トゥデー、アジア・ナウ、アジア・ビジネス・ニュースというようなものを英語を中心に出しておりますし、それからアメリカとヨーロッパで、テレビ・ジャパンという形でNHKの主な放送をアメリカには八時間、ヨーロッパには六時間、これは在外にいらっしゃいます邦人向けが主ですが、そういう放送をやっております。そのほか、アメリカと日本を結んでいるNHKの専用線を使って、アメリカから日本への回線の空き時間に、NHKの十九時のニュースとかその他のニュース・情報番組を末日回線に乗せまして、それをアジアの幾つかの放送局がアクセスをしまして利用している。そういう形も行っております。また、ニュース素材の相互提供、そういう努力も一方で進んでおりまして、いろいろな形での日本の情報の海外発信という努力を重ねております。
#118
○川橋幸子君 現状を中心にお答えいただいたようですが、ニュース・情報の提供、それから欧米諸国だけではなくてアジア地域へも目配りしたいというそういう現状のようでございますので、その方向で結構かと思いますので、さらに充実していただきますようにお願いしたいと思います。
 さて次は、同じ国際化の話なのですが、実は私は、日本国内における内なる国際化という問題が非常に大きいのではないかと思います。在日外国人の方が非常に多くなって、不法就労の方もいらっしゃるかとは思いますが、不法であるとかないとかは別にしまして、とにかく隣に外国人の方がおられてちっとも不思議ではない、そういう社会になってきているわけでございます。
 ついては、一つのアイデアなんでございますけれども、ラジオ・ジャパンの短波を、二十二カ国言語でございましょうか、非常に多言語でもって海外に向けて流しておられる。それを国内に逆に放送なさる、そういうアイデアはいかがなものでございましょうか。波の問題があると言われるかもわかりませんが、ソフトの方は既にあるものを中波に乗せて流すということですので、余りかからないのではないかと思います。
 在日外国人の方々に伺いますと、日本国内に来て、寂しいとか、あるいは仲よくしてほしいとか、国際親善を国内でもやってほしい、そういう声はもちろんのことですが、一番肝心の国際化というのは、事故があったり、あるいは地震があったりというときのいざというときにきちんとした情報が提供されること、あるいはニュースなどが的確に提供されること、こういうことを非常に望んでいらっしゃるようなのでございます。
 釧路沖地震の際にも現にそういうニーズがあったというふうに伺っておりますが、今のようなアイデア、国内にいらっしゃる外国人の方々に向けまして、大してお金もかからないことでしたら、むしろラジオの波をこれから調整なさるその過程においてこうしたラジオ・ジャパンを国内向けに活用するという方法が考えられるのではないかと思いますけれども、いかがでございましょうか。
#119
○参考人(中村和夫君) 国際放送は短波で行っておりまして、短波が遠距離通信に適しているというメディアの特性で国内ではなかなか聞きにくいという特性がございます。北海道や九州などでは外国語の学習に利用する方はいらっしゃるようですが、相当高度な受信設備をお持ちの人でないと
国際放送を受信しにくいということが現状でございます。
 ただ、ラジオ第一放送で、これは夜遅いのですが、午前二時から国際放送のニュースを五分間提供はしております。そのほか、先ほど御説明いたしましたが、衛星放送では英語の発信番組をそのまま出してございますし、七時のニュースもバイリンガルという形で英語で放送している。副音声を利用して英語でも放送しているということ、これは昭和五十三年から実施いたしております。
 それから、六十三年から外国人向けの緊急英語放送というものの運用を始めております。大規模地震の警戒宣言、津波警報が出た場合に行うものでございますが、総合、衛星第一、衛星第二の副音声、それからラジオの第二放送もそれに使用するということで、これまで平成元年の三陸沖地震の際に一度その放送を行っております。
#120
○川橋幸子君 何もやっていらっしゃらないというわけじゃなくて、現在るる御努力なさっておられる、現在も工夫してやっていらっしゃることはわかっているのでございますけれども、それでよいというのではなくて、それを充実してほしいと、そういう意味で申し上げているわけでございます。
 例えば、私は自治体にいました経験があるわけでございますけれども、今自治体レベルではごみの収集を多言語で住民の方にお示ししないとちゃんとした分別収集ができないわけですよ。それから、緊急医療体制というんでしょうか、休日診療なんかのお医者さんの所在地なんかも多言語で配る、このぐらいのことをやっているわけでございまして、やはり公共放送の役割からいいますと、国内の方々に対する生活に必要不可欠な情報とか緊急災害情報とかをもう少しシステマチックに御工夫いただけないものかということをお願いしているわけでございます。
 簡単で結構でございます。今すぐやりますというお答えでなくて結構でございますので、検討しますというお答えをいただきたいのでございますが、会長、いかがでございましょう。
#121
○参考人(川口幹夫君) 国際放送の多くの言語による放送をそのまま第二放送に流せとおっしゃるのは、非常にすぐれた御意見だと思っております。私も実はそういうことを考えたことがありまして、簡単にできるかなと思ったんですが、そうも簡単にはいかなかったんですが、やる価値は十分あると思っております。
 ただ、先ほどお話ししましたように、音声三波を一波減らそうかという新しい課題が出てまいりまして、それとの関連で急に新しい形をどうとるべきか、また今非常に迷っていまして、そういったこととの絡みの中で前向きに検討させていただきたいと思います。
#122
○川橋幸子君 ありがとうございました。もちろん総合的にNHKの中で御工夫いただく話でございます。検討に入れていただくということで、私はきょうの質問としては満足させていただきたいと思います。
 ほかにも国際放送の関係でまだ質問をお願いしたのでございますけれども、私の受け持ち時間が終わりに近づいてまいりますので、御準備いただいて大変恐縮でございましたけれども、特に郵政省の方には申しわけないと思いますが、最後の持ち時間は公共放送の役割についてということでNHKさんに御質問させていただいて、質問を終わりたいと思います。
 公共放送の役割についてというところで先ほど三重野委員の方からも冒頭質問がありましたが、民主主義社会の健全な世論形成に資するということが大きな役割としてこの「二十一世紀への課題」の冊子の中にも書かれているわけでございます。
 そして、今現在政治改革が非常に大きな課題になってきているわけでございます。私もそのイギリスの政治腐敗防止法の成立に至る歴史的な経緯をまとめられましたNHKスペシャルの再放送を拝見しまして、大変いい番組ではないかと思ったわけでございますが、これだけでよいというわけではなくて、現在日本の政治改革が迎えている課題といいますのは、選挙制度改革から、あるいは政党のあり方から、それから各国の議会制度のあり方から私ども日本国民というのは知らないことが多いのではないかと思うわけでございます。この件については情報は入超ではなかったのではないかと思います。
 NHKの公共放送の役割からいいますと、そう切り口というものはある程度の節度といいますか、限界があるのではないかと思いますが、今申し上げましたような政治改革について、世論といいますか、一般市民がちゃんとした知識を得るという意味ではドキュメント番組をつくっていただきたいと思うのでございますが、いかがなものでございましょうか。
#123
○参考人(中村和夫君) いろいろな形で政治改革にまつわる課題は取り上げてきております。例えば外国の選挙制度の問題だとか、今御指摘ございましたイギリスの政治腐敗防止法だとか、いろいろな形で番組をつくってまいりましたが、ドキュメントといいますか、いろいろな形でそういう問題についてやはり多角的に番組をつくって、どういう方法を選択したらいいのか、その判断の材料になるような情報の提供の仕方を今後ともやっていきたいと思います。
 討論という形では、三月十四日に政治改革各党に聞くというものとか、次の週にどうすれば政治が変わるかというような形を放送いたしましたし、今後ともそういうドキュメント、いろいろな番組はつくってまいりたいと思っております。
#124
○川橋幸子君 ぜひ御努力いただきたいと思いますが、今のお答えの中で特に私思いますのは、各党の主張を聞くというその点でございます。もちろん私も社会党に属する議員でございまして、野党であってもあるいは少数会派であってもまんべんなくNHKが聞いてくださる、チャンスを保障するということはやっていただきたいと思うのでございますけれども、一般視聴者の側に立ちますと、もう一つ各党の主張を聞く前に何か共通認識が要りそうな気がするんですね。ある共通の理解があって、その上で各党の主張を聞けば判断できるけれども、今のところ日本の民主主義も非常に歴史が浅いこともあって余り各国の民主主義制度あるいは政治制度等についての知識がない。そういう共通の認識が醸成されていないというところが国民が選択に迷うところではないかと思いますので、ぜひ御努力していただきたいと思うわけでございます。これは要望でございます。
 最後に、最後でございますのでぜひ敬愛する会長に伺いたいと思いますが、「NHKの仕事には公に奉仕する喜びがある」、これも先ほどのインタビュー記事でございます。敬愛するとわざわざ申し上げましたのはこの会長の一言なのでございます。NHKには公共性というものに奉仕することが大きな使命であるということを語っておられるわけで、ぜひこれをNHK放送、公共放送の使命としてやっていただきたいと思うわけでございます。
 それで、公に奉仕する喜びと言った場合に、非常に政治の状況と似ている感じがいたしますのは、政治の場合も今は市民が参加する、自分たちが自分たちの運命の主人公になるという意味で市民が参加する、その手だてを講じなければいけないと思うのです。NHKの場合も視聴者が主役といいましょうか、視聴者イコール負担者、自分たちが支えているNHKでございます。その主役のNHKとして公に奉仕するという公共放送を追求してくださいますように、本当に時間が少ないのですけれども、最後に会長の御決意を伺いたいと思います。
#125
○参考人(川口幹夫君) 公共のために奉仕する喜びというのは、私常々そのように思っていまして、放送を通じてできるだけそのような形でお役に立ちたいと思っております。
 討論的なものをこれまでやって、一般の市民参加の場合に余りうまくいっていないというケースが多いわけです。それは日本人が討論するのが下手だとか、あるいはそういうチャンスに恵まれな
いとかいう面が今まであったろうと思います。このごろの番組を見ていますと、いろんな面で市民参加の形が割とうまくとれてくるのじゃないか、討論の仕方も非常にうまくなってきたのじゃないかというところがありますので、そういうことにもう一遍挑戦をしてもいいなという気持ちになっております。やはり国民はNHKの放送を通じていろんなことを知られたり、あるいは自分のお気持ちを発表されたり、そういう意味で私どもが公共のお役に立つということが一番望ましいことだと思いますから、いろいろ研究をしてまいります。
#126
○川橋幸子君 ありがとうございました。終わります。
#127
○委員長(野別隆俊君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時二十五分まで休憩いたします。
   午後零時二十五分休憩
     ――――◇―――――
   午後一時二十五分開会
#128
○委員長(野別隆俊君) ただいまから逓信委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#129
○及川一夫君 まず最初に郵政大臣にお伺いしたいんですが、私が発言するとすぐ週刊誌の話が出てくるので申しわけないんですけれども、しかし、電車に乗ったり新聞を見たりすると、郵政省の話が出たり、またNHKの話が出たり、NTTの話が出ると、どうしても関心があるし、また、役割任務がその方なものですから言わざるを得ないということになるんですけれども、きょうの週刊ポストに郵政大臣のインタビューの内容が載っていました。あれを見られたかどうか知りませんが、真実を吐露しているんでしょうね。まずそれをお聞きしたいと思います。
#130
○国務大臣(小泉純一郎君) 週刊誌ですからどぎつい見出しで出ているようですが、話したものはそんなものじゃなくて、懇談したのは事実であります。
#131
○及川一夫君 時間があれば一つ一つその真意をただすということになるんですけれども、そんな時間はありません。
 ただ、私は問題にしたいのは、二月の二十六日から四月の九日号まで七週にわたって一貫して、BS4の問題であるとか、あるいはセント・ギガの十五億の債務保証の問題であるとか、JSBの四百億円の赤字の問題であるとか、その原因がスクランブルやデコーダーの原価と、それから視聴者、契約者に対する売り渡しの金額の逆ざやの問題とか、あるいはまた、債務保証に絡む郵政省の簡易保険局ですか、そういったところのいわば、言葉は恫喝という言葉が使われていますが、それでもってそれとなく銀行に対していろいろ融資をさせた話とか、とにかく七週にわたって書かれて、その締めが郵政大臣のインタビューということになっているわけですけれども、あなたのインタビューを見ると、何聞かれても否定したものは一つもない。大体肯定的に皆書かれている。そして、これから改めなければならない、今に見ろとは言わないけれども、何かそれらしく聞こえるようなお答えも率直に言ってあるわけですよ。
 しかし、ここはやってもらわなきゃいけないという気持ちがするんですが、この七週にわたって連続されたものを全部見ているとは言いませんが、非常に僕は国民に問題意識を植えづけたという感じがいたします。したがって、この扱いについて大臣どうされますか。
#132
○国務大臣(小泉純一郎君) 私もそういう週刊誌にいろいろ批判が出ておるのは承知しておりましたし、だからこそ批判をてこにしてよりよい行政を進めていけばいいということが私の本意であります。
#133
○及川一夫君 私も逓信委員である以上はいろいろ聞かれるときがございます。したがって、どれが本当でどれがうそか首を曲げるぐらいのことは私もわかるんですけれども、しかしこれが事実ということになれば大変なことかなということを感ずるのがやっぱり数多くあるんですよ。
 したがって、郵政大臣、そういうお答えをしていただくなら、どうでしょうか、逓信委員会に報告しろとは言いませんが、あの七週にわたって出された週間ポストの問題指摘に対して、省として、公式とは言わないけれども、私は見解を示していただきたい。どうでしょうか。
#134
○国務大臣(小泉純一郎君) そういう批判をよく調べてみまして、それが誤解に基づくものか、また省としてはどういう考えかというものを整理しまして、いずれ機会を見てお話しするような検討をしてみたいと思っております。
#135
○及川一夫君 ぜひそうしていただきたいと思うんです。
 毎週小泉郵政大臣の顔写真が載っかっておるんだよね。この人、悪い人かなとこう私は思う。そのうちに三局の局長の顔が出てきたり、五局の局長の顔が出てきたり、もう三回も四回も挙げられる顔もあるし、だれだって何回も何回も顔写真が挙がると、少なくとも批判の文章なんだから、この人たち悪い人だと、こういう印象を持つんですよ。最後は郵政大臣は一面の方にでんと構えた格好で載っておったが、あとの局長は全員二ページか三ページに並んでいるわけですよ。オール悪者というような印象を与えるような写真の出し方などを考えると、ぜひ郵政省の責任者である大臣として、今お答えいただいたような立場で、少なくとも我々に対しては明確に見解を述べていただきたいということをお願い申し上げます。
 こんなことから始まって、BS4の問題にちょっと質問を移らせていただきたいんですが、逓信委員会ではBSの問題は打ち上げ当初から盛んに論じられてまいりました。これまではBS1とかBS2、3とか、そういうお話になると必ず本体があって予備機という話が出たんですよ。ところがBS4の場合には予備機という言葉が全く出ない。そして、八チャンネル時代とか八チャンネル体制とか、そういう中で今後の衛星放送をどうするかと、こういうお話になっていくんだが、八チャンネル体制になったら予備機というのは必要なくなっていくんでしょうか。これをまず郵政省にお聞きしたい。
#136
○政府委員(木下昌浩君) 予備機のお話でございますが、BS3後継機段階における衛星放送を安定的に継続していくというためには、いかなる場合においても予備機が必要でございます。
#137
○及川一夫君 いや、その予備機が必要なのはわかるんだけれども、BS4というものを上げますね。上げた後、予備機というのはもう全然関係ないんですか。
#138
○政府委員(木下昌浩君) ちょっと省略してお話し申し上げましたが、現在の私どもの考え方では、次期放送衛星の調達に関しましては、八チャンネルのすべてを使った放送を行うというふうに基本計画で書いておるところでございますが、四チャンネル衛星をまず上げて、そして残る四チャンネルにつきましては実施主体が決まった段階で、その実施主体の選ぶ方法によって衛星を調達し打ち上げるという構想でございます。初めのNHK、JSB、ハイビジョン推進協会が調達法人をつくりまして調達し打ち上げる衛星につきましては、現用機一機と軌道予備機一機というふうに考えております。
#139
○及川一夫君 郵政省からいただいた資料によると予備機という言葉はもう全然なくなっちゃっているんだよね。八チャンネル体制で、最初は通信・放送機構、これに対してトラポン八本を積んだ中継器をロケットで上げるというお話は聞いたんだけれども、それが資金的な問題を含めていわば通信・放送機構ではだめだ、債務保証ができない、融資ができないということでこれはあきらめたんでしょう。
 あきらめたのはやむを得ないんでしょうけれども、そのときに、八チャンネルという構想、今放送行政局長もおっしゃられたけれどもそういう構想だった。八本のトラポンを上げるという構想だ
ったが、資金上の問題でうまくいかずに断念をして今度は四チャンネルで上げる。その後にまた四チャンネルで上げる。これは衛星放送をどう長期的に描いていくかという計画との関係では何らかの変更をしたことになりませんか。
#140
○政府委員(木下昌浩君) 大変説明が舌足らずで申しわけなかったんですけれども、八チャンネルのすべてのチャンネルを使った衛星放送を実施するということは、八チャンネル衛星一個、あるいは予備機を使ってやるという方法もありましょうし、あるいは四チャンネル衛星二機を使って八チャンネルをカバーするという方法もありましょうし、あるいは三チャンネル衛星を何個か打ち上げてやる方法もありましょう。したがいまして、八チャンネルを放送するということと、何チャンネルの衛星を打ち上げるかということとは若干考え方は分けて考えることができるのではないかと思っております。したがいまして、経済的な面あるいは管制的な面、諸条件を考えまして何チャンネルを保有する衛星がいいかということは別の視点から検討されるべきことであろうと思います。
 今回たまたま、八チャンネル衛星一機を打ち上げてということも考えたわけでございますが、しかしながら、やはり四チャンネルの衛星が現在実施している衛星の設計、製造において経験があるという意味合いから、さらにまた、軌道上の管制の問題も考えますと三チャンネルだと少し数が多くなり過ぎるのかなということから、四チャンネルが適当だということで考えた次第でございます。
#141
○及川一夫君 どうも僕は理解できないんだけれども、八チャンネル構想というのがあって、それがやれればそれにこしたことはないという前提で受けとめた場合に、いろんな事情があってそれがだめだ、あきらめたと。それで今度は四チャンネル四チャンネルでいくと。そういう方法があるのだそうだからね。今そういう計画になっているんでしょう。そういう計画に変更するに当たって電波監理審議会に何か諮問されているわけでしょう。何を諮問されているんでしょうか。
 それらを含めて考えると、八チャンネルでいこうというのと四チャンネルでいこうというのは、何かその辺に大きな変化、また変更しなければならない理由というのが基本的に何か存在しているんじゃないかということを考えるんですが、間違いですか。
#142
○政府委員(木下昌浩君) 先ほども申し上げましたように、八チャンネルを使った放送を平成九年を目途に実施するということにつきましては放送普及基本計画で電監審の審議を経て決まっておるわけでございます。そしてまた、それを具体的にどういう形で実施するかということについて、昨年以来電監審でそのあり方について御審議をいただいているところでございます。
 したがって、この衛星四チャンネルをさしむき実施するということは、現在のNHK二チャンネル、JSB一チャンネル、ハイビジョン推進協会一チャンネル、四チャンネルの放送の継続確保の観点からひとまず四チャンネル分の調達をしようということに相なっておる次第でございます。
#143
○及川一夫君 そうしますと、電波監理審議会に諮問していると言われる調達法人のあり方、それから事業主体の問題、それに放送形態、どうもこの三つが諮問されているように私は受けとめているんですけれども、少なくともこの三つを諮問しているとすれば、調達法人のあり方などというのは基本的な問題ですよね。しかし今回何か法人をつくるようなお話が出ているわけでしょう。そういうものとの関係というのは一体どうなるのかなと。
 まだあり方の問題について答申が出ない、ことしの五月に出るというお話になっているのに、NHKとかJSBとか、銀行五社とか八社とか、そういうものを入れて放送衛星何とか会社を調達法人としてつくってしまうということになると、諮問をしている調達法人というのは何の法人なんだ、またもう一つつくるのかというふうに私は受けとめるんですが、違うんですか。
#144
○政府委員(木下昌浩君) 審議会に諮問しております中身は衛星放送のBS3後継機の段階における衛星放送のあり方ということでございます。具体的に衛星をどのようにして調達するのかという調達法人なり調達方法の問題というのは諮問いたしておりません。どういう技術を使った放送、どういう方式の放送をやるのか、あるいはどういった人たちにやらせるのかという実施主体の問題とか、あるいは制度的な点で検討する必要はないのかといったような点を中身とする諮問をして検討していただいているところでございます。
 さしむき使用をする四チャンネルにつきまして、これはNHKとJSBとハイビジョン推進協会の関係者で調達法人をつくって調達をするという準備が進められているところでございまして、この調達法人につきましてはNHKがかかわるものでございますので、この調達につきましては内外無差別、透明、公開の国際入札手続を確保する必要があるということで準備が進められているところでございます。
#145
○及川一夫君 放送衛星システム、早速これは調達法人として発足されるわけでしょう。しないんですか。
 それで、NHKがこれに対しては資本金として四億出す話とか、あるいは資本金をさらに増資する話とか、最終的には百五十から二百億ぐらいに増資をする話とか、そしてNHKが二億円ならばJSBが一億円で、銀行が八行で九千万円、在京民放テレビ五社で一千万円というふうなものが出されていますよね。それで、総事業費五百億円から六百五十億円、社長が一名で取締役が四名とかえらい詳しい話を僕はお伺いしているんだけれども、これと今電波監理審議会に諮問している関係は、全くこれは関係ないですか。
#146
○政府委員(木下昌浩君) 次期放送衛星の調達会社は、今言いましたように、さしむき四チャンネル衛星を調達するに当たっての調達法人といいますか、会社の中身であろうと思いまして、NHKの平成五年度予算におきましては、今御指摘のとおり、資本金としての四億円を出資するということが内容として含まれているところでございます。
#147
○及川一夫君 これはNHKは御存じなはずでしょう、これはNHKからもらった資料だから。これはどういうことですか。今の放送局長の答弁でよろしいんですか。
#148
○参考人(堀井良殷君) 去年の十二月に郵政省の方で、この次期放送衛星の調達のあり方につきまして、さしむき安定的継続を図るという視点で調達のあり方のお考えが出まして、それに従いまして私ども関係方面と打ち合わせを重ねてまいりました。最終的にただいま先生からお話のございました放送衛星システムというものをつくる、NHKもそれに出資して参加してまいりたいと、こう思いまして取り進めておるところでございます。
#149
○及川一夫君 NHKの場合には現場ですし、現に衛星放送をやっているわけですから、この先どうなるのかというのはいち早く見通しをつけなきゃいけませんわね。必要なことはどんどんやっていかなきゃいかぬという立場から考えると別に私は何の疑問も持たないんですよ。
 ただ、今度のBS4というやつは、通信・放送機構に資金の調達をさせて八チャンネルというものを積んで上げるという構想があって、それが挫折をして、そして四チャンネルでNHK、JSBその他銀行をちょこっと入れて上げるというわけですわな。
 そうすると、もう一つの四チャンネルを上げる場合が当然一年おくれかなんかで出てまいりますよね。そのときにはこの会社は一体関係あるのかどうか。関係あるとすれば、そのときに増資がなんかするのか。そういうことならば、総事業費が五百億から六百億というふうになっているけれども、もう一つ上げることが、機械的な言い方で恐れ入るが、これの倍、一千億を超えるような総事業費というふうになっていくのかと。ということになると一体NHKの負担というのはどうなっていくんだろうというような疑問が出てくるわけで
すよ。そういう解明がここにはない。
 時間もないから、僕はこれ以上できないだろうと思うけれども、いずれにしてもそういう疑問があるんですよ。だから、もっと明確といいますか、率直なBS4の問題についての説明が必要だというのと、郵政大臣に申し上げておきたいんだけれども、僕らは実は非常に大きな疑問を持っているんですよ。衛星放送自体を否定するんじゃないんですよ。しかし、本当に郵政省が描いたような展望が持てるのかどうかということ、そして先ほど言った週刊誌に書いてある問題の指摘なんかを含めて考えると大変疑問が起きてくるというふうに思うんです。
 現に、これは郵政省が出された資料だというふうに思いますけれども、衛星放送の受信世帯数というのがありまして、加入見込み数ということで、平成六年とか九年とか五年とか、そういうものを前提にして見込んでいるわけですよ。例えばNHKの場合には九百万見込んでいる。そして平成四年の八月、去年の八月末では四百三十四万二千というふうに既に契約をしているわけですね。率にすれば五〇%に近い四八%ですから、まあ頑張れば七〇%までは平成六年にいくかなというふうな感じもするんです。
 しかし、日本衛星放送株式会社の契約数なんということになると、平成九年に五百九十万見込んでいるけれども、同じような去年の八月末で百万七千という状況になっている。決して低いとは言いませんが、パーセントでいえば一七%ということになっているし、それから衛星デジタル音楽放送という衛星放送になると、三万八千ということでわずか目標に対しては五%だ。あるいはスペースシャワーなんというのになると、これはCS関係かもしれませんけれども、一%とかあるいは〇・六%とか〇・四%というように極めて目標に対しては低い加入状況になっているんですよ。
 そうすると、そんな状況の中で八チャンネルを上げて、衛星放送をこのように拡大してこのようなサービスになりますよと言うには、これは大変な赤字を出すことになりはせぬかなというふうに考えていくと、八チャンネルをとりあえず四チャンネルにしてというふうなことになってきたのかなと。それは、赤字になるのをわかっていてやるばかはいないんだから、潔く変えるときは変えた方がいいと思う。条件の合ったときにまたやればいいというふうに、僕らは素人だからそういう発想をするんですけれども、そういった問題がある。ということをぜひ考えていただいて、もう少し衛星放送に対する展望というものを明確に我々に与えていただくように努力をしてもらえぬかということを実は言いたいためにさっきから言っているわけであります。
 この点ひとつ、郵政大臣、受けとめ方を聞かせていただきたいと思います。
#150
○政府委員(木下昌浩君) 事務的な話も含めてお話し申し上げたいと思いますけれども、現在の電波監理審議会の御審議の中でも、さまざまな有識者の意見なりアンケートの調査結果とかいろんなことも踏まえながら御審議いただいておるわけでございますが、その中には当然また現在の衛星放送の置かれている経営の環境とかいうこともいろいろ御審議いただいておりますので、総合的に御判断いただけるものと考えている次第でございます。
#151
○及川一夫君 理解できないから聞いているわけで、私ももっと勉強しますけれども、もっと国民わかりのするような方法というものを考えていただいて、専門家が論議をすれば済むという問題じゃないのじゃないかというふうに私は考えますので、強く要請をしておきたいと思います。
 次に、経営委員会の問題なんです。大臣が一年ごとにかわるのでこっちも容易じゃないんですが、しかし継続性はあると思うので、ぜひ小泉郵政大臣の段階で私は実現してほしいなというふうに思いますが、経営委員会の構成にかかわる問題なんです。
 全国と地方区に分けて今十二名ですよね。しかも、果たして各界を代表するという形になっているかどうかということについて幾つか我々は注文もしてきているんですが、今いる人が任期が来た場合に、交代ということになった場合に、ぜひ労働者代表とか各界という名にふさわしい構成にしてほしいということを私どもは強く要求しているわけですよ。またそうすべきじゃないか。
 放送法自体が昭和二十五年にでき上がっているわけですね。二十五年の状態を考えれば、一体我が国はどういう状態にあったのか、経済的に産業構造的にどうだったのかというのは今とはかなりの違いがありますよね。それからその当時は大体人数も会長を含めて九人か八人ぐらいだったと思いますが、昭和三十四年にこれが変更されて今の人数に実はなっているわけですね。しかも、これまた人口との対比でいきますと、三十四年当時は九千万体制でしたね。二十五年には八千万体制というふうな人口の状態でもあったわけですよ。しかも開発途上国と言われるような条件に置かれておったなどというのを考えると、今とはもう相当雲泥の差ですよね。
 それらを考えると、このNHKというものが国民の中に本当の意味で定着をしてきたということになればなるほど各階層を代表する者を選ぶべきではないか。法律上、科学とかあるいは産業とか、文化とか教育とか四つのセクション、その他の各分野と、こう書いてあるけれども、各分野なるものが何であるかわからないわけですよ。それでこの四つというものを前提にして選んだりするものですから、例えば労働者の代表なんというのは一体入っているのかということになると、ほとんど入っていないという。これまでも何回も何回も要求したけれども実現をしない。
 こういう状況だということを考えますと、ぜひ一項入れてもらいたいし、また法律を改正してもいいじゃないか、あるいは人数についてももう一度見直してもいいじゃないかと、こういう気持ちを含めて、ぜひ郵政省で見直しをしていただけないかということを強く要求したいんですが、いかがですか。
#152
○国務大臣(小泉純一郎君) 御指摘の点の人数をふやすとか、あるいは労働界の代表を入れるとかということをはっきり言うことは適当ではないと思いますが、できるだけ各分野の見識ある方々、そういうバランスのとれた人選ということについては随時見直していく必要があると私は考えております。
#153
○及川一夫君 衆議院段階でも同じ議論がされているようですし、附帯決議にも入るという話を聞いておりますから、今の郵政大臣の言葉をぜひ実現をしていただくように要請しておきます。
 次に移りますが、NHKというのは私は航空会社によく似ているなどいう気がしてしょうがないのであります。とりわけ、航空機が世界のどこかで事故が起きますと、連鎖反応的に次から次と航空機事故が起こるんですよね、どういう関係か知りませんけれども。NHKも何か新聞に取り上げられた。それやらせがあったなんというと、次から次と連鎖反応的に社会的な問題に、なっているのかされているのかいずれにしても出てくるわけなのであります。非常に気になってしょうがない。そんな意味で、やっぱりNHKの対応にもう一つ考えてもらった方がいいのかなということを感ずる事件があったように私は思うのであります。
 それは、二月十一日に放映された「心ががんを治した」というドキュメンタリーの放送です。これを取り上げて、ある週刊誌では、Yという病院で治したのでないのにY病院で治したような放映をしている、これはやらせよりもひどい、こういう意味でNHKが批判されているんですよね。私はおかしいなと思いましてもう一度実は見てみたんですが、確かに、入り口がYという病院で、Uさんがという言い方で、あなたの命は一週間もたない、仕方がないからもう自宅で療養、帰ったところがその人が治ってしまったんですよね。そういう経過があるんだが、それがY病院で治ったように見えるものですから、見た視聴者はNHKに対してY病院とはどこだ、教えてくれと、こうい
う話がかなり行ったはずであります。
 それに対しては、NHKはYという病院の名前を教えなかった。放映の目的はそこにあるんじゃない。病は気からというが、どんな難病でも気持ちが負けたら治らない。その証拠にということでUさんという方の話をしたり、四十三分の放映でしたけれども、三十八分間というのは、薬も飲まない、それから手術もしない、そういうがん患者が治っていったことがいろいろと紹介されているわけですね。だから、それはそれなりにドキュメンタリーとしては一つのものだと思うのだけれども、もうわらにもすがりたい気持ちのがんの患者というのは、Y病院で治ったということを聞いたので、Y病院をとにかく知らせてくれ、こういう気持ちになってNHKに殺到したというふうになっているはずであります。
 当時の模様をひとつ思い起こしていただいて、そういう事実があったかどうかということについてまずお答え願いたいと思います。
#154
○参考人(中村和夫君) あの番組は三本放送したわけですけれども、今御指摘があったのは二本目の番組だと思います。この番組三本シリーズの制作意図は、がんを思いながら、絶望することなく、心の持ち方でがんを克服して闘っていらっしゃるという方、そういう患者さんたちの精神的な体験談を紹介する、そして人間の体が持っている自然治癒力、自然に治ろうとする力を視聴者の方々に知っていただきたいという意図でつくったものです。それともう一つ、今がんと闘っている多くの方々を勇気づけたいというのが意図でございます。
 ですから、今御指摘ございましたY病院というところも、そういう患者の人がある体験をした場として描かれている。Y病院での治療そのものががんに効くかどうかということは、医学的にも番組の中でも説明はしておりませんし、そういう検証もできないわけですので、先ほど言いましたように自然治癒力というものを視聴者の方々に御理解いただきたいということでつくった番組です。
 また、がんについては非常に難しい側面がございまして、病状や程度というのがさまざまですし、療法がそれぞれの患者さんに効くか効かないか判断するというのも相当厳密に検証しなければいけないということもございまして、そういう意味で病院の紹介には極めて慎重になったということでございます。
#155
○及川一夫君 問題は、そこにとどまっていていいのかどうか。これからも同じような問題が起きると思うんですよね。そして、テレビで放映をするということは、それだけの反応がないとやっぱり効果がなかったということになるんだろうと思いますね。したがって、そう反応したものに対してある一定の助言を与えるとか、あるいはフォローしてやるとか、そういったものがNHKに僕はあった方がいいんじゃないか。
 もちろん、それをどういう体制の中でおこたえをしてやるかということもあります。しかも物によりけりですわね。ただ私は、命にかかわるような問題というのは、NHKが放映して、それだけの効果があって、影響が出てきて、どうしてもNHKに教えてもらいたいというような話のときには、それにこたえてやるというようなことがあるべきじゃないかというふうに率直に私は感ずるわけであります。
 せっかくの放映だというのと同時に、NHKがそれだけのことをやれば、公益事業であり公共放送であるというようなことを考えれば考えるほどそういう社会的な役割を果たすということはもう当然じゃないか、こういうふうに私は自分で結論づけるんですが、会長これはどうですか、これからの問題としてぜひ期待にこたえてやるような方途を探るというか、努力する気持ちはありませんか。
#156
○参考人(川口幹夫君) あの番組が出ましてから、あの番組に対する反響といいますか、視聴者からの電話とか投書などが合わせて三千五百以上ありました。だから相当この番組については多くの方が大きな感想を持たれたことと思います。その中で、あのYという名前で出た病院、もう一つありました、二つは何という名前の病院で、それはどこにあるんだというふうなお尋ねを行った方が大体三百件ございます。
 担当者の方は、今中村が申し上げましたように、がんにかかって精神的に治そう、何とかがんと闘おうという勇気を奮い起こしていただくためにつくった番組で、実際上、例えば医療相談みたいな形での番組ではなかった、これが一つあります。それからもう一つは、そんなに大きな病院ではございませんから、例えば三百人の方が一遍に殺到して大きなパニックも起こる心配がある。いろんなことを勘案しまして病院の本当の名前はお教えしなかった、こういうふうな経過であったようです。
 ただ、担当としても、何とかこういうものに対しては誠実におこたえする義務があるというふうに考えまして、そして、東京にあるんだそうですが、自然治癒力を考える会という会がありまして、これはお医者さん方でつくっている会だそうでございます。人間の体が持っている強い自然治癒という力を最大限に生かすようなことを考えよう、こういう会だそうです。そこの会の事務局がありますので、そこに三百のお問い合わせについてはお尋ねになってくださいと。そこからまたいろんな形で返事を申し上げて、そして少しでもがんに苦しむ方が新しい力を得るようにというふうに対応をしてもらったというふうなことでございます。今先生がおっしゃったように、ではNHKはそれができなかったかというと、今までお話申し上げた理由で、そういうふうにした方がいいだろうという判断をしたわけです。
 ただ、私としては、これからああいう番組を放送する機会もまたあるかと思うんです。その場合はではどうするか。NHKとしてそれをどう受けとめるかというふうなことをやっぱりはっきりと決めて、そしてきちっとした対応をするというふうにした方がいいと思っております。御提言を感謝いたします。
#157
○及川一夫君 ぜひそのような対応をしていただくようにお願いいたします。
 最後になりますが、NHKの中で働く職員といいますか、労働者の皆さんの待遇の問題なんですけれども、特に私は当逓信委員会にかかわって七年になりますが、一番先に聞いたときの職員数というのは一万七千人ぐらいありました。そして、この体制ではだめだ、もっと効率を上げなきゃいかぬということを含めて、当時一万五千名体制ということを叫ばれたことを実は覚えているわけなんです。
 今現在、それから七年間たった中身を見ると一万三千強ぐらいの数字になっている。しかし当時から見れば、総合テレビにしろ教育テレビにしろ、あるいはまた衛星放送にしろ、大変仕事の量の方はふえていっているし、受信者もふえていっているという状況の中では、恐らく職員や労働者の皆さんの労働密度といいますか、そういうものは大変なものだろう。仕事の上でいろんな意味での負荷が増大すると同時に、また問題点も私は出てきているんではないかということを感ずるわけであります。
 したがって、今なおかつさらに要員を削減しなければいけないとか、効率をもっと上げなければいけないとか、あるいは料金値上げにつながっていかないようにさまざまな節約もしなければいけないという、ありとあらゆるものに条件をつけているような状況にあるので、私は一体これで本当にNHKやっていけるのかどうかということを心配をしたくなるような気持ちでいっぱいなんです。
 もちろん、これらをやるには当然労働組合との話もされているんだろうし、労働組合もまた公益事業や公共放送という意味での使命感に燃えておられる組合だと私は思っていますから、拒否の姿勢じゃなしに応ずる、応ずるがこうしたいというような私は意見を述べておられるんじゃないかと思うんですよね。ぜひ会長にはこういった労働組合の姿勢というもの、労働者の対応についてしっ
かりと受けとめてもらって、単に節約だけではなしに、やはり労働条件の面でこたえてやるというようなことを保障するといいますか、そういう姿勢が私は必要だと思っています。NHKの放送というのはラジオ、テレビいずれもなくてはならない私は時代になっていると思いますので、最後はこれは要請ということになりますけれども、会長の一言を聞いて終わりにしたいと思いますが、いかがでございましょうか。
#158
○参考人(川口幹夫君) 私がNHKの役員になりましたのは昭和五十五年でございます。そのときは確かに一万七千近くの要員がおりました。当時からNHKのいわゆる肥大ということに対してはいろんな批判が寄せられていまして、NHK側としても何とかスリムな形に持っていきたい、そしてより競争力の働くような形でもって、例えば関連団体へ委嘱するとか、外部制作会社にも頼むとかというようなことまでひっくるめて制作の形を変えていこうということを一生懸命やってきたわけですね。それが現在では一万三千六百数名という形になっていまして、確かにNHK本体にいる人間の数は非常にスリムになりました。
 ただ一方に、及川先生の御指摘のように、そのことでもって番組制作の質的な問題というのが当然起こってまいりますので、これをやってはおしまいだと私は思っています。したがいまして、先ほども答弁の中で申し上げましたけれども、これから関連団体を含めて番組制作のあり方についてはもう一遍基本的に考え直そうと思っております。そして、いい形でNHKの番組ができるように組織ないしは人間の問題、いろんなことを考えていきます。
 当然、日放労とは誠心誠意話し合って御納得をいただこうというふうに思っていますので、今後そういうことを前提にして要員問題については取り組んでいくというふうにお約束申し上げます。
#159
○陣内孝雄君 我が国でテレビ放送が始まってことしは四十周年目に当たる、こういうふうに伺っています。これを記念してNHKでは先ごろ「青春TVタイムトラベル」という百万人大投票、こういうもので特集番組を制作して衛星放送で放映されました。この番組に選ばれた百の瞬間、百の感動というのは、いずれも大変今でも鮮明に記憶に残る事件でありまして、また大変懐かしい番組も数々その中にあったように思います。
 この特集番組を見まして、私もNHKテレビ四十年の歴史の中で育ち、また一緒に暮らしてきたんだなという感慨を深くしたわけでございます。端的に言って、NHKはこれまでたくさんの楽しいもの、感動するもの、あるいは役に立つもの、こういうものを幅広くしかも質の高い内容で放送していただけたのではないかと私なりに高く評価しているところでございます。
 しかし、この四十年間を振り返って思いましたことは、目覚ましい通信・放送技術の進歩による多メディア・多チャンネル時代の進展の中で、NHKもその中に置かれておりまして、NHKは公共放送の担い手としてこれまで以上にそういう条件の中でしっかりと頑張ってよい放送を送っていただきたいということ、これがまず一つでございます。
 そして、これとある意味では関連すると思いますけれども、放送をめぐる社会環境というのが目まぐるしく変わってきておる。つまり、国民の生活や文化に対する個性化や多様化、こういうのが進んできた。あるいは国際化や地球規模での貢献が求められる。こういうことも起こってきておるわけでございます。
 そういう中で、視聴者から受信料を喜んで出してもらえるような、そういう努力が必要になると思いますけれども、ひとつその点も頑張ってほしいということを感じた次第でございます。
 NHKへの期待が大きければ大きいほど、また課題も多く抱えておられると思いますが、会長、せっかくの機会でございますので、今後の経営方針や理念、こういったものをお聞かせいただければと思います。
#160
○参考人(川口幹夫君) 今「青春TVタイムトラベル」のお話をしていただきましたけれども、四十年というのは私にとっても非常に感慨深いものがあります。と申しますのは、昭和二十八年にテレビが始まったときに、アシスタントディレクターという役目がありますけれども、レシーバーをかぶってスタジオの中を駆け回る、そういう一番下の方の仕事でありますが、私はそれをやっていまして、以後テレビの四十年と一緒に私自体もテレビのいろんな仕事をやってまいりました。
 そういう点では、私自体もこの四十年に対する感慨が大きいと同時に、その間に果たしてきたNHKなりあるいは民放を含めた放送界のこれまでの経過というものに対して、決してあだやおろそかで見てはいけない、もっと私どもはそのことを真剣に、反省すべきところは反省をし、そしてより生かすべきところは生かすべしというふうなことを今この時期に思っているところでございます。
 NHKは、そういう中で、実は今度は新しい出発を迫られているわけでございます。それは例えば、私の前の会長が唱えておりましたNHKの拡人民営化とか、あるいは分割だとかというふうないろんな考え方があって、その基本には、受信料制度そのものは間もなく崩壊するであろう、だからそれ以外に頼る財源を見つけて自立をする、あるいはそのことによってきちんとした安定を図りたい、こういうふうな精神だったと思うんですね。
 確かにそういう危機感があったことは事実でございます。ただ、今度の一連の例えば経済状況の変化とか、いわゆるバブルの崩壊というふうなものを見詰めますと、決してそういうふうな形での展開というのはこれまた容易ではないということを私は実感をしておりまして、むしろこの際、受信料というものに対して、そのことを中心に据える経営のあり方というものが一番NHKにとっては正しいのではないかというふうに考えた次第でございます。
 現実にそうすることによって、我々は受信者と本当に向き合う姿勢をとれるし、そして我々が存立の基盤としている国民の方々に支持をしてもらう、そしていい番組を出すことによって、また信頼をしてもらうことによって財政的な安定も図れる、そういうふうなものだというふうに思っておりまして、そのことを基幹にして今回の「NHK構想」というものをまとめた次第でございます。
 ですから、それを一つのバックボーンにしながら、今後より役に立つNHKという形でいろんな工夫をしていく、同時に、経営の体系としてはスリムな形で皆さんにできるだけ御負担をかけない、そういう体質の企業体にしていきたいというふうに思っております。
#161
○陣内孝雄君 ありがとうございました。会長より総括したお考えを伺うことができましたので、これから少し各論についてお尋ねさせていただきたいと思います。
 今もお話しございましたけれども、NHKは偏りのない放送番組の編成、これに心をかけておられると思います。受信料で成り立つ公共放送のNHKには偏りのない豊かでよい番組を放送する責務があるわけでございます。
 そこで、四月から新しい番組がいろいろ始まるわけでございますけれども、その中の一つ、十九時のニュースを一時間にするそうです。これがNHKの番組らしく、どういうふうに魅力的な番組になるのかなと期待を寄せているわけでございます。
 しかし、放送時間が長くなる分、時間を埋める。ためにただ出来事をずっと並べていくということでは、これはもう退屈をしたり、またわかりにくかったりすると思います。そうかといって、アナウンサーの主観や意見、こういうものが入りますと、これはニュースショーみたいなことになってしまうということで、そういうことにならぬようにやってほしいと危惧していることも事実でございます。ニュースは視聴者に事実をわかりやすく伝える、視聴者に判断材料を与えるのが基本であると私は思うわけでございます。偏らず、節度を
持ってやってもらいたいのですが、その点どういう編集方針で臨まれようとしておるのか、お聞かせいただきたいと思います。
#162
○参考人(中村和夫君) ニュースの編集方針については、今御指摘がございました客観的な事実を正確、迅速に不偏不党の立場から提供する、伝えるということが基本でございます。
 今度、十九時のニュースを一時間、正確には五十七分にいたしますが、昭和三十八年に現在の十九時のニュースを三十分にしたときから、情報の多様化がますます進みまして、情報量はますます多くなる。そういう観点の中で、多くなる情報量にこたえる形で四十九年にニュースセンター9時というのをつくりましたし、五十一年にNHK特集というものをつくって深みのある情報を提供しようという形で努力してまいりましたけれども、三十八年以来、十九時のニュースももう少し時間をとって、多様な情報を丁寧にわかりやすくお伝えした方がよろしいのではないかと。
 それからもう一つ、情報の多様化に伴って、いろいろ今まで伝えられなかった、開発が進まなかった分野の情報、例えば健康情報ですとか、科学情報ですとか、医学情報ですとか、文化情報ですとか、そういうものについても新しい情報の分野があるのではないか。それから、今のような形で例えばスポーツニュースを伝えているだけでいいのか。もっと時間をとって、丁寧に映像、音声を十分に使ってニュースを伝えたらどうなんだというさまざまな点から五十七分という枠を設定いたしました。
 コンセプトといたしましては、その日一日の内外の動きをできるだけきょうという時点で切ってまとめてみようということ。それから先ほど申しましたわかりやすさ、一つの項目に充てる時間をもう少しとってわかりやすく丁寧に説明できないかということです。それから取材や制作パワーをそういうところに、一時間というニュースの中に集中してやってみたらどうかということ。それから、新しいニュースの開発というようなことをねらいにしてやっているわけで、オーディションをして今もう一度検討しておりますが、大体ねらいどおりのものができつつあるというふうに思っております。
#163
○陣内孝雄君 やや関連した問題かと思いますけれども、適正な番組づくりのためにチェックはどういうふうになされているのか、その辺のことについてお伺いしたいと思います。
 といいますのは、少し前の話に戻るわけですけれども、NHKプライム10というので、平成三年十二月四日でしたか、ここで放送された「問われる巨大開発・検証長良川河口ぜき」という番組を見まして、私はその内容の公正さについて強い疑問というか、ある意味の不信というものを感じたわけでございます。この番組についてはその後いろいろな方あるいはいろいろな立場からの反響があったことは御存じのとおりだと思います。
 その一つ、慶応義塾大学の草野教授、この方はある月刊雑誌に、平成四年の四月号でございますけれども、「長良川」報道の異常事態」という論文を発表されたわけでございます。その中で、長良川河口ぜきについて賛否両方の主張や取材の実態あるいは報道の内容等を詳しく分析された上でこう書いておられます。「この番組は事情を知らない視聴者にとっては極めて説得力があるが、同時に世論をミスリードする危険性がある。せめて番組冒頭に「この問題をめぐっては賛成、反対両論あるが、番組は主として反対派の立場から作られている」との断りが欲しかったというのは言い過ぎであろうか。」と述べておられます。この番組のタイトルは先ほど申し上げましたように「問われる巨大開発・検証長良川河口ぜき」ということでございますが、この草野先生はそういうふうな言い方をしておられます。私もかつて利根川河口ぜきというプロジェクトに深く長くかかわった一人でございますので、こういう話に大変深い共鳴を覚えた次第であります。
 このような背景から、ぜひNHKの信頼強化を願うという意味でお尋ねするわけでございますけれども、一般的に番組というのは企画から放送されるまでどのような流れになっておるのか、あるいはまた番組の適正化についてどのようなチェックが行われているのか、この辺についてお聞かせいただきたいと思います。
#164
○参考人(中村和夫君) 一般的に、番組の提案は各部局からまず出されまして、編集会議でその提案の内客の検討を行います。その編集会議で認められますと実際の制作にかかりますが、制作にかかった段階でディレクターの上司であるチーフプロデューサー、部長等々がその番組制作の進捗状況について把握することになっております。さらに編集の段階に入りますと、またチーフプロデューサーがいろいろな形で編集の過程に立ち会うということがございまして、試写、必要な手直し、そういうものが通常行われます。そういう形で放送いたしますが、放送した後いろいろな形でのフィードバック、視聴者からの反響やモニター、電話、投書等々ございますので、放送した後もその制作上いろいろ反省するところはなかったのかどうか、そういう検証を行うという形が通常のルートでございます。
#165
○陣内孝雄君 次に、文化の面についてお伺いいたします。
 NHKは文化を守り、そして文化を育てるのもこれまたNHKの大きな使命だと思うわけでございます。その際、社会の保守的といいますか、伝統的な価値基準に従って従来の文化を後追いするような形の紹介、これももちろん大切でございますけれども、新しい文化を積極的に創造していく、これも必要なことだと思うわけでございます。従来とは質の違った、あるいは余り知られていない良質の芸術作品、こういったものをどしどし発掘、開拓するなどやっていただけたら、それこそNHKは日本の文化をリードするという評価が高まるんじゃないかと思うわけでございますが、新年度の番組、恐らくそういう面でも何か新しいものがあるのかなと思って期待しておるわけでございます。
 この辺についての基本的な編集方針をお聞かせいただければと、こういうふうに思います。
#166
○参考人(中村和夫君) 新年度におきましても、日本の伝統的な文化その他守らなければならない大事な文化等々については積極的に番組をつくっていきたいと思います。また、日本のかけがえのない自然、そういうものの見直しに資するような自然番組、そういうものについても積極的に展開していきたいと思います。
 ハイビジョンでも、将来記録として残すべきような文化的なものについてもハイビジョンで記録をさらに進めるというようなことを続けてまいります。
#167
○陣内孝雄君 次に、地域放送サービスについてお伺いします。
 地方文化の振興とかあるいは地域の活性化、これに対するNHKの貢献、これも大きな期待を寄せられておるところであろうかと思います。このような感を強く持ちますのも、地域の活性化というのは言ってみれば個性の発掘ではなかろうかと思うわけでございまして、地域の固有の伝統文化、あるいはいろんな資源、こういうものを地域が主体となって活用し、地域づくりに取り組むというようなことが成功の決め手になるかと思います。そういう意味では、公共放送に携わっておられるNHKの地方放送局というのは大変大事な役目を果たしていただけるんじゃないかな、あるいはもちろんもう果たしていただいている面も多分にございます。佐賀の場合ですと吉野ケ里国営公園、これについては大変熱心な取材を続けていただいて啓蒙していただいたと感謝しておるわけでございますけれども、そういったことを踏まえてさらにひとつ頑張ってもらいたいと思うのでございます。
 しかし、いろいろそういう取材なり放送をするということになりますと人材も必要だと思います。感性のすぐれたバランス感覚のある人材を育てる、あるいは確保するということについてはどう考えておられるのか。一方では、財政の健全化
のためにはいろいろと削減もしていかなきゃならないということもあろうかと思いますが、しかしこの辺はぜひ両立させてほしいというお願いでございます。
#168
○参考人(中村和夫君) 地域の情報につきましても、NHKは五十三局のネットワークをフルに使って、先ほども申しましたけれども、多様で質のいい番組づくりのために、地域の持つ豊かな情報を全国向けに発信するという努力を新年度もさらに進める所存でございます。
#169
○陣内孝雄君 予算について具体的に少しお聞かせいただきたいと思いますが、五カ年計画と対比いたしまして平成五年度の予算案というのは百十四億円の収支改善となっておるわけでございますけれども、この要因といいますか、大きなところはどういうところでございましょうか。
#170
○参考人(中野正彦君) 平成五年度というのはNHKにとりまして現行の五カ年経営計画の四年目に当たりまして、そういう意味では、諸計画の目標達成と今後の経営展開に備えるという意味で大変重要な年であると、こういう認識をしておりまして、そういう認識のもとに五年度予算を編成してまいりました。
 今先生御指摘ありましたように、五年度予算におきましては経営計画に比べて百十四億の収支改善を行っております。これは、経営計画に対しまして、受信契約数が伸び悩んでいることなどによりまして事業収入で経営計画を百十二億円下回っておりますが、支出の面で、番組制作費等の視聴者サービス、これに必要な経費を確保した上で業務の効率的運営に努めることなどによりまして、事業支出において経営計画に対し百九十六億円を減額してございます。このほか、設備投資の抑制に伴う借入金の返還三十億円の減、これを合わせまして二百二十六億円を支出面で改善をいたしております。
 なお、事業支出の改善の主な事項を申し上げますと、一つは日常業務におきます諸経費の節減、さらにハイビジョンソフトの効率的な制作、海外放送機関とのニュース、番組交換等によります効率的な番組の制作に努めることによりまして節減を図っております。さらに設備投資の圧縮によります減価償却費の減もございます。
 以上でございます。
#171
○陣内孝雄君 今後の収入確保を確かなものにしていくという意味では、衛星放送の料金、受信契約率、これも上げていくことが大事だと思います。それには衛星放送の魅力を増していかなきゃいかぬということがあろうかと思います。恐らく今度の新番組でもいろいろその辺の工夫はなされておると思いますが、同時に、衛星放送というのは、大変魅力を持っておるハイビジョン放送、これの将来の受け皿といいますか、これと一体化していくということだろうと思いますので、そういう面からも魅力あるハイビジョン放送を早く実用化させていくという、そういう点での衛星放送の普及というもの、前段としての普及というもの、これも私は大事な意味があると思います。
 その辺について、どういうふうにお考えになっておりますかお聞かせいただきたいと思います。
#172
○参考人(堀井良殷君) ハイビジョン放送は非常に臨場感ある映像表現が可能な有望なメディアとして、また、この技術革新が国民の方々に早く一般にお楽しみいただけるように、普及してまいるように私どもも努力したいと思っております。衛星放送は非常にすぐれた技術特性がございますので、これをハイビジョン化していくという方向で普及が進むことを願い、私どもも努力したいと思っております。
 現在、ハイビジョン推進協会に参加をいたしまして大体一日平均四時間のハイビジョン番組を提供しておりますが、今後は、五二五現行方式の放送番組を制作いたしますときにハイビジョン番組を一体として制作するという方法なども使いまして、さらにまた、ハイビジョンならではの新しい番組も開発いたしましてこの普及発展に努力していきたいと、このように思っております。
#173
○陣内孝雄君 これは要望になるかと思いますけれども、我が国はいずれにしても災害の多いところでございます。災害情報はこれまでのところ大変的確に出していただいておる。それで災害の予防なりあるいは被害の軽減に役立っておるということは確かでございますが、例えば、東京に情報が集中しておるわけでございますが、こういう東京が災害を受けるということになりますと肝心の機能がかなり損なわれてしまうんじゃないかな。それは災害の状況にもよりますけれども、そういうことを考えますと、危機管理的な意味ではそれの代替機能というものはいろいろ工夫されていかなければならない。それは施設の面でもそうですし、またそれを運用していくソフトの面等でも必要なことだと思います。これから備えあれば憂いなしというようなことで、そういう面での努力もなされていただきたい。
 通信施設につきましては、今度法律をもって安全対策を強化していくというふうなこと、情報基盤の整備のためにそういうことも行われていくわけでございますけれども、NHKにおかれても、私たちの頼るところでございますので、ぜひどんなことがあっても私たちを情報から惑わすようなことがないように御配慮をいただきたい、そのことを要望いたしまして、終わりたいと思います。
#174
○鶴岡洋君 最初に郵政大臣にお伺いします。
 NHKの将来構想に関する懇談会、ここでまとめられた「二十一世紀への展望とNHKの課題」、これ大臣お読みになったと思いますけれども、この感想をお願いしたいわけです。この提言をされた懇談会のメンバーは日本の幅広い各界各層の有識者でございますし、その御意見の集約でもあるわけですけれども、私も読ませていただいて、提言が十二項目ございますが、それぞれごもっともな御意見のようにも思いますし、またそうあらなければならない、私もこういうふうに思っております。
 しかし、中身は大変重要な問題ばかりでありまして、大臣にこれを読んだ御感想と、特にこの中でどの点が大臣としてこれからのNHKの将来構想の中で重要なのか、あわせてお尋ねしたいと思います。
#175
○国務大臣(小泉純一郎君) NHKの将来構想の概要ですが、大きく言って、まず第一に重要なのは受信料制度を堅持するということ、そして公共放送と民放との併存体制を今後とも発展させていく、さらに保有メディアを見直しする、そして事業体制についてはスリムな事業体制を追求していくということでありますから、私は大体適切じゃないかなと思っております。そして、今やらせ等の問題でいろいろ批判を浴びておりますが、川口会長みずから今後は自主的に信頼を回復するような番組制作に取り組むということを強調されておりますし、なおかつ肥大化はしない、みずから電波の削減も考えているということをはっきり明言されておりますし、私はかなり評価していいんじゃないか、そういうふうに考えております。
#176
○鶴岡洋君 今何点か大臣の御感想をお聞きしましたけれども、ここでは先ほど言ったように十二項目ございます。私はこの中で一番基本になり一番重要な問題はやっぱり併存、共存の問題だと思うんです。
 この提言の三つ目に、「併存する現行の放送体制は、言論報道の多元性の確保、放送番組の質的水準の確保等の見地から、極めて優れた制度というべきであり、多メディア・多チャンネル時代においても引き続き維持されるべきである。」。
 この提言に対して、NHKの方としては今後の放送体制、基本姿勢を示しておりますが、その中でも、「財源と組織原理の異なる公共放送と民間放送が、競争しつつ相補う形で発展を遂げてきた。公共と民間の共存体制は、サービスの質と真の多様性を確保する極めて優れた制度である。」。そして最後に、「今後の放送体制においても、公共放送と民間放送による競争的な共存体制を、世界的にも優れた制度として、将来にわたり確保し発展を図ることが重要である。」、こういうふうに結んでいるわけです。
 そういった点から、いろいろ提言はございます
けれども、私はこの共存体制ということがこれからのNHKの将来構想の中で一番基本になり、そして公共放送と民間放送の中にあって一番重要な問題ではなかろうか、こういうふうに思うわけです。
 我が国の放送が始まって六十八年、テレビ放送も二月一日をもって四十周年を迎えたわけでございます。この間にNHKが我が国の音響、映像技術の発展、報道、教育、文化等、国民生活に最も密着したメディアとして果たしてきた役割はまことに大きいと私は思っておるわけでございます。
 しかし、現在はどうかというと、放送界を取り巻く環境、国民のニーズとか意識、これは大きく変わっております。すなわち時代は大きく変わった、こういうことが一つ。それから二つ目は、放送界の現状が急激に多メディア・多チャンネル時代に変化しつつある。それから三つ目には、テレビもハイビジョン時代へと急速に変わりつつある。BS4の星の打ち上げが平成九年、もう間もなく打ち上げられることになっておるわけでございまして、こういうことで大きく放送界が変わってくる。したがって、今申しましたように、公共放送としてのNHKの財政、経営、運営面等どれをとっても大変な問題ばかりであります。
 このNHKの将来構想に関する提言を受けて、NHKは今申しましたように基本的な考え方を明らかにしております。その中で特に考えてほしいのは、受信料を経営財源とする公共放送NHK、それから広告料収入を主財源とする民放、この関係、これが基本問題にあってすべてに私は影響してくる、こういうふうに思うわけです。今日までの併存体制でいい意味で競合、それからまたいい意味で補完し合った、バランスのとれた状況が国民に理解を得られてきたんじゃないか。もちろん問題は幾つかございました。またこれからも併存体制、共存体制というのは当然私としてもそうあらねばならない、こういうふうに思うわけでございます。
 しかし、基本的にこの両者というのは違うわけです。私から言うまでもございませんが、受信料に依存する公共放送NHK、一方は広告を主財源にする民放、これが一つ。二つ目は、NHKは九波を持っている。一方、民放というのは集中排除の原則によって放送メディアの複数所有が原則的には禁止になっております。それから三つ目は、NHKは非営利法人。何回かの放送法の改正で、八二年には出資制限の緩和、それから八八年には業務範囲も拡大され、八九年には本来業務の外部委託も可能にNHKはなったわけでございますけれども、いずれにしてもNHKは非営利法人、一方は営利企業。
 こうした制度の中で、放映を見る視聴者、受信者それから国民、大体見る人、聞く人というのはどっちを見てもいいわけでございますから、見る人は大方同じである。しかも多メディア・多チャンネル。我々の持っている時間というのは一日二十四時間。そこにいろいろな問題が起きてくるわけでございます。そこをどうするかということでございますけれども、この併存問題が一番基本になる重要な問題ではなかろうかなと、こういうふうに私は重ねて思うわけでございます。
 よい意味での競合、いい意味での補完、こういうことでずっと続けばいいんですけれども、今言ったように時代が変わり、多チャンネル・多メディア、こういう時代になってくるとどうしてもそのバランスというのが崩れがちであります。崩れた場合には、これはいい意味での競合でなくて悪い意味の競合になってくる、こういうことも考えられるわけでございます。したがって、公共放送の役割とあるべき姿、民放の立場と役割についてどういうふうに考えておられるのか、これが一点。
 それから、これは要望になりますけれども、こういう両者共存の重要な問題として、今申しましたように民放のあるべき姿、公共放送NHKのあるべき姿、役割、こういうものをどういうふうにすればいいのか、この話し合いの場、それから研究の場といいますか機関、こういうものを設けていかないとこの共存体制というのは崩れてくるんじゃないかなと、こういうふうに思うわけでございます。
 会長は、機会あるごとに公共放送として民放といろいろお話し合いをしてきているのは私もよく承知しておりますけれども、今言いましたように、この共存体制から、受信料のことも、経営方針のことも、営業方針も、これからの放送界のことも、全部ここから問題が出てくるわけでございますので、そういう点を考える会というか、考える機関というか、そういうものをつくられたらどうかなと、こういうふうに思うんですけれども、その辺についてNHKと郵政省の両方にお聞きし保たいと思います。
#177
○政府委員(木下昌浩君) まず私の方から御説明申し上げたいと思います。
 二点のお話がございましたが、まず第一点のNHKの役割という点でございますが、ただいま御指摘がございましたように、我が国の放送がNHKと民間放送の併存体制で運営されてきて、これが結果的に世界に類を見ない発展を遂げてきたという認識は私どもも持っておる次第でございます。
 NHKは、公共放送としての役割は法律でいろいろ書いてあるわけでございますが、放送の全国普及、あるいは豊かでよい放送番組を通じて我が国の文化水準の向上への寄与、あるいは放送番組、放送技術の面において先導的役割を果たしていく、それから国際放送の実施というようなことが基本的な役割として記載されているわけでございます。民放とNHKの併存体制を維持していくためにある程度のバランスをとっていくということは必要なことだろうと思いますが、NHKの問題としては、今の基本的な役割を果たす上においてどれだけのメディアを持つべきであるのかというところから出発するのかなと思うわけでございます。
 そうしますと、保有メディアのあり方については、ただいま申し上げました基本的な役割に照らして、これから社会情勢の変化等も勘案しながら総合的に常に見直しを図っていく必要があろうというふうに思っております。その中から必然的に、先ほど言われました財政問題とか、あるいは視聴率のシェアだとかというようなこともそれによってまた変わってくるのかなというふうに考える次第でございます。
 あるべき姿についての話し合いの場をというようなお話でございますが、郵政省といたしましても、放送界全体のあり方について、あるいは産業的な視点も加える必要があるかと思いますけれども、検討をしなきゃならないと思っております。放送事業者の皆さん、NHK、民放も含めて、学識経験者の方々もお入りいただいて勉強の場を設けたいというふうに考えているところでございます。その中で、先生御指摘の問題についても話題の一つとして取り上げることになろうかというふうに思います。
#178
○参考人(川口幹夫君) 私どもが公共放送の範としましたイギリスのBBCという公共放送がございます。そこがNHKの将来構想に先立つ二カ月半ぐらい前にやっぱり白書のようなものを出しました。その中でBBCはNHKのことを、公共放送の形として今どこの国も苦しんでいる、その中でただ一つ公共放送としての形をしっかりと保っているところがある、それは奇跡である、その奇跡はだれかというと日本のNHKであると、こういうふうに書いてあります。
 それは私どもにとってはとても光栄なことなんですけれども、その世界でも希有な公共放送の立場をずっと保持してこられたのも、一つには民放とNHKとの共存体制がうまくいってきたということにあるんではないかと私は思っています。もう一つは、やっぱり国民がNHKに対する一種の信頼をずっと保ってきたからではないだろうかと思うんですが、私どももさらに勉強をしてこの御信頼にはこたえなきゃいけない。と同時に、民放との関係をできるだけ友好的に働きかけて、そしていい形での共存体制というものをずっと保有し
続けたいと思います。
 今先生から御提言がありましたお互いに研究し話し合う機関というのは、大変貴重な御提言だと存じます。私は就任以来ずっと民放の会長、それから向こうの幹部の方々とも折に触れて会合を持っていろんな話し合いをしておりますけれども、今後さらにその形を進めるためにもあっていいかなという受けとめ方をします。ただ、これはいろんな方々がいらっしゃいますから、お話を申し上げて、こういうことができるならば実現に向かっていこうと思っております。
#179
○鶴岡洋君 関連してもう一点、端的に申し上げます。
 今申しました公共放送、民間放送の併存体制の中にある問題の一つとして、民営圧迫、NHKの商業化、商業主義のひとり歩きというんですか、予算の数字の上からいけばこの関連企業の数値というのはごく小さいものでございますけれども、これは社会的にはやはり影響が非常に大きいわけです。先ほど言いましたように、片方は非営利法人、片方は営利法人、こういうことになっておりますので、NHKの経営効率化とか不足財源の補てんを金科玉条にしていないかという、こういう疑問を持つ人もおるわけです。
 双方言い分はあろうかと思いますけれども、このNHKの外部企業のいわゆる緩和されたことによって、出資目的から乖離するようなこともあってはならぬと思いますけれども、こういう点について、事業規模と商業化の関係及び受信料と副次収入についての考え方、これからの考え方、簡単で結構でございますのでお答え願いたいと思います。
#180
○参考人(川口幹夫君) これからいろんな多メディア・多チャンネルに向かって全体が進行してまいります。その中で、私はNHKの運営をやはり受信料を基盤とするやり方に置いていきたいと思っていますが、ただ、いわゆる副次収入の増加については、これは節度のあるやり方をしてきちんとその増加を図ろうと思っております。
 先ほどのBBCの例もありますけれども、この前もBBCの経営委員長と話し合いまして、BBCが今後経営の課題とするのは何だというふうに私が聞きましたら、やはり副次収入の増だというふうに言っております。それは、BBCは英語という非常に大きな財産を持っておりますので、全世界に向かってソフトの売買とかあるいはニュースのネットワークの拡大とかいうふうなことができるわけですね。ですから、そこをさらに増大をして副次収入の増加を図りたいと言っております。NHKの場合は残念ながら英語ほどの強力な武器を持っておりませんですが、さらに工夫をして、世界に通用するNHK番組というふうな評価を得たいと思っております。
 そういうことで、できるだけ副次収入を上げることについては全力を挙げたいと思っていますが、いわゆる商業主義による副次収入の増ではなくて、当然行うべきNHKの社会還元あるいは国際的進出というふうなことについての副次収入の増加はこれをうんと図りたいと思っております。ただ、くれぐれも私が戒心しなければいけないと思っておりますのは、関連事業との連携の中で進めるいろんな事業がいわゆる商業主義の批判を受けて、そのことによってNHKの信頼が落ちるというふうなことがあってはいけない、このことは厳重に心にとめて運営をしていきたいと思っております。
#181
○鶴岡洋君 もう一点だけ。
 これは質問するということを通告してございませんので大変申しわけないんですが、番組編成についてでございます。実は昨晩、昨晩というよりけさですか、ブラジルのF1グラシプリをあるテレビで見させてもらったんです。そこで感じたことなんですけれども、番組編成についてNHKはもっと気を使って、全部リアルタイムというわけにもいきませんけれども、この点についてうんと気を使って番組編成もやっていただきたいなという要望を含めての質問でございます。
 F1のファンは今五百万とも六百万とも言われているわけです。特にNHKはスポーツ関係の放映が非常に多い。また逆に、民放と比べてNHKのいいところは、要するにCMがないから切れない。しかし、全部リアルでやっていただければいいんですけれども、この前インディー・カー、F1と同じような、アメリカで今盛んにやっておられるアメリカのカーレースですけれども、三月のたしか十八日にこの決勝レースがオーストラリアのゴールドコースト、ブリスベーンで行われた。しかし、これが放映されるのは四月十八日と私聞いているんですけれども、そうすると一カ月後になるわけですね。これだけ日にちが延びてしまうと、これはファンにとってみれば興味も半減どころじゃなく全然なくなってしまいます。ましてやこれレースでございますから。
 そういったことで、私から申し上げたいのは、インディー・カーはF1よりも今何か人気が盛り上がって、しかもファンというのが五百万も六百万もいるということで、この三月十八日に行われたインディー・カーのレースには、昨年F1で優勝したチャンピオンのマンセルが出場している、こういうこともあって関心の深い人はたくさんおるわけです。こういったものをリアルタイムでやっていただければいいんですけれども、これがどうしてできないのか、また、何か事情があったのか、その辺をお聞きしたかったわけです。
 端的に言えば、スポーツの放映というのをこういう形でやってしまうと、極端に言えば、きのう相撲が終わったわけですけれども、相撲の千秋楽のそれをビデオに撮っておいて一週間後に放送する、こうなったらもうまるっきり興味もなければおもしろみも何もなくなってしまう。したがって、こういうインディー・カーのカーレースですけれども、十万や二十万の人ならばあれですけれども、何百万というファンがいるんで、その辺のニーズに合わせた、今どういうスポーツに関心を持っているのか、番組編成にそれを生かしてもらいたい、こういうふうにお願いをしたいわけです。この事情だけちょっと、もしわからなければ後で報告をいただきたいと思いますが。
#182
○参考人(中村和夫君) スポーツのいいソフトについては私どもものどから手が出るくらい生で放送いたしたいんですが、いいソフトであればあるほど生放送の権利、放送権というものは極めて高額でして、それに競争相手がおりまして、そういう中で、どのくらいまでしか我々は出せないんだというその兼ね合いの中で決めていくものでございます。それでも、やはりそういうソフトは何らかの形でお見せしたいという場合には録画ででも放送するということでございます。来年度はJリーグも前半十九試合生放送で放送いたしますが、世界的にある程度いいソフトというものについては生で放送する放送権というのがどんどん年々高騰しておりまして、放送権との兼ね合いでなかなかできるものとできないものがあるという事情でございます。
#183
○鶴岡洋君 私は終わります。
#184
○常松克安君 大臣並びに会長及びNHKの役員の皆さん、本日はまことに御苦労さまでございます。
 唐突な質問でございますが、大臣、御家庭に何台テレビをお持ちでしょうか。
#185
○国務大臣(小泉純一郎君) 宿舎に一台と、自宅には二台あると思いますね。一台は故障しているかどうか、ちょっとわかりませんけれども、自宅には二台はあります。正確に何台あるかちょっとわかりません。
#186
○常松克安君 会長の御自宅は。
#187
○参考人(川口幹夫君) 私は自宅に三セット持っております。三タイプと言ってもいいです。中には録画ができるのが二つございまして、いろんな形でNHKのみならず民放の番組もできるだけ見ることにしております。
#188
○常松克安君 なぜ冒頭よりそういう質問をしたかは後ほど明らかになると思います。
 私は、政治はドラマ、行政はサービス、報道は民主主義をはぐくみ育てていく批判力である、こういうふうなベースに立って質問を展開いたしま
す。みんなのNHK、なかんずく世界のNHKになっていただきたい、みんなの善意と誠意でこれを育てていく、こういうような気持ちでおります。
 中でも、NHKで世論調査をたびたびいろんな角度でなさるわけでございます。その結果、第一番は報道をもっと見たい。ニュース、事実というものをもっと明らかにしてほしい。第二位にありますのがドラマでありドキュメンタリーであり、あるいはスポーツ、こういうふうなことの示唆が多い。しかし、中でも一番注意をしていただきたいのは、二十代の世代の九五%の方々は、瞬間見て気に食わなけりゃ必ずNHKのチャンネルを変えてしまう、ほかに移してしまう。こういうふうに、これから新世代のそういう価値観といいますか、若い青年層の価値観というものを酌み取っていただかなければ、この公共放送というものも果たして生き残っていけるんだろうかというふうな側面、NHKは果たしてこれで生き残っていけるんだろうか。その裏での大きな問題は、若い世代から見捨てられてしまう危惧を一番大きく持っているようなわけでございます。
 さてそこで、私はせんだって参議院決算委員会で沖縄の方へ参りましたが、あのエンタープライズが今「琉球の風」をドラマ化していらっしゃいます。いろいろな現場の方、いろいろな方々から賛同を受けた熱い胸のうちを聞かされました。それ以来、今までドラマといいますと何となく寝そべって楽な気持ちでもって見ておりましたけれども、あの話を聞いてから正座をして見ないかぬ、こういうふうな気持ちに相なったことも事実でございます。
 なぜかならば、約二年間ドラマ作成にかけていらして、そうしてその作者は平成五年度に「琉球の風」を通して何を伝えたかったのか。まず一つは貿易立国である歴史でございます。そして第二番目は武器を持たないで国を平和裏に守り続けてきたという思想でございます。第三番目にありましては、やはり平和、自由はかえがたいんだ、男の世界がどうあろうとも、女の戦いとして、一番大きなものが起こったならば必ず子供や老人や女性がいつも被害の陰に隠れる、こういうふうなところを一つ一つ画面を通して訴えられる。
 最近有識者に対しまして私は意見を拝聴いたしておりまするが、この「琉球の風」に関しては非常に骨太である。今までいろいろなドラマを見せていただいた。まず一つは信長である。その次は琉球である。そして次には藤原三代というものがある。日本民族の歴史の中で、単一民族という、そういうふうな中からは一面危険なものがある。単一民族、公共放送、軍部、大本営発表、それに右に倣えしてしまう。しかし、ここでもう一度、日本全国でありながら、そういうような文化伝統を通して考えさせていきたい、こういうふうなうがった見方もあるんじゃなかろうか。
 青年は未来をはぐくんで考え、壮年は現在を食べて生き、六十の老年は過去を食べて生きるとか。そうして考えますと、テレビが育って四十年である。そうしてこの四十年は変化に次ぐ変化。果たして今までの感じ、今までいろいろなパンフレット、今までいろいろな会長が述べられたことが視聴者にとっては、庶民にとっては、画面から出てくる土のにおいが、人間の温かさが、いろいろな面がその放映一こま一こまから、果たしてNHKが育てていくようなNHKなんだろうか。できることなら、NHKは一時間しか見ておらぬから、一時間の時間で受信料を払えんだろうかと、こういうふうなことを考え生み出していこうとする若い世代でございます。そういうふうな中においてこういうふうなドラマを非常に大きな視野としてつくっていかれる。
 しかしながら、一つ考えてみますと、大きく耳を傾けましたのは、沖縄の方々にとって歴史がなかった。日本国から侵略された時代があった。第二は、第二次世界大戦ですべてが焼き尽くされてしまって、その中には何の古文書も何の史跡もなく、その中で沖縄という心の影をこうして営々として放映されたことは、もはや教育現場の中で先生が子供にこの映像を通して教える、ここまでに発展をなすった。不祥事が一つありましたけれども、こういうところももうちょっと胸を張って言ってもらわなあかぬ。申しわけない、申しわけないでは下の方が気の毒でかなわぬ。こういう面がある。
 しかし、ここから質問なんです。ドラマの中で気づいたのは、やはりこういうふうな大河ドラマとなりますと、どうしても過去の歴史を踏まえますと、余りにも貧弱なセット。少なくとも人件費に抑圧されて、余りにも見え透いた、余りにもテクニックだけ、これはやはり予算でありましょう。でありますからお伺いいたします。「琉球の風」、二十三本で完結だと聞かされました。一体一本幾らの予算でやられるんでしょう。お伺いします。
#189
○参考人(中村和夫君) 一本三千七百九十九万五千円でございます。
#190
○常松克安君 まことにそっけない答弁でございますけれども、これでいてなかなか温かみがあるんです、あの方の答弁を聞いておりますと。しかしもうちょっと温かみのある言い方をした方がいいですな。どこかの番頭さんの話を聞いているようです。結構です。
 もう一つ、ここで私自身が思いますのは、やはり大事なことは、どんな名画でも、どんな演出効果があったとしても、その裏で支えていらっしゃるエキストラ、こういう方々に対してはなかなか労災もかかりにくい。あるいは保険もかかりにくい。監督の命令一つあれば寒い水の中、熱いようなところ、そこへ飛び込む。こういうふうな方々の画面一つ一つの動きというものを庶民は見ておるわけです、主演じゃなくて。そういうふうな人が本気になって立派なドラマをつくり上げようか、この熱というものが全体構成を支えているわけです。
 そういたしまして、この「琉球の風」一つとりまして、エキストラの方々に対してはどういうふうな保障、あるいはけが、あるいは災害に対しての集団的な保険がかかっていらっしやるのかどうか、お伺いいたします。
#191
○参考人(中村和夫君) エキストラの支払いといいますか、まず一般的に申しますと、エキストラ派遣専門のプロダクションから人をいただいたときにお払いする基準で、記念品というのをまずお支払いする。それから拘束時間が長い場合には、それに伴っての一定の基準でお金をお支払いするということがエキストラの方々に対する謝礼になっております。
 それから、けがその他については別な形で保険、そういう場合にどういう形の保障をするかということを一応きちんと取り決めてエキストラをお願いしてございます。
#192
○常松克安君 この辺のところ、会長、ちょっと耳をおかし願えませんか。
 過日、公正取引委員会の方から、NHKに対してじゃございません、一般の放送業界の皆さんに対して、この辺のところ、やはり字句の中で、非常に慎重の上にも慎重に図って、そういう方々に対する配慮、あるいはまた、さあやると言って途中でつぶれる場合、契約結んだけれども契約不履行で何%払うということがなかなか履行されていないとか、そういう方々に対しては、どんな役か知りません、何時何十分に集まれと言うだけです。集まって、八時間待て、なしになった、御苦労、さようなら、こういうふうなことも現場でこれあり、会長にさような細々したことを申し上げるのはいかがかと思いますが、一万八千いらっしゃる社員の最先端、一軒の家で契約を結ぼうとしてどんな思いで契約をとって、受信料を取られるかと同じように、ひとつ人々のことにも気を配っていただきたいために小ざかしい言い方をいたしました。
 そちらにもう一度お伺いいたしますが、この「琉球の風」におきまして、記念品はわかるんですよ。どういう画面であるかというと、沖縄の県民の皆さんにふるさとを大いに宣揚しよう、こういうふうに御協力願った。五百名集められました、
朝六時に。それが次の五百名がこっちに移り、次の五百名がこっち、そうして全部の画面で何とか二千名より以上の群衆が福州へ行くところの船を送るような画面をお撮りになりました。夜六時までかかったようでございます。ところが記念品はボールペン一本でございます。これはいいんですよ、皆さんは自主的に協力していらっしゃるんですから。ところが、予算は要らないかというと要るんですね。一人頭二万円、五百名で一千万ここで食っちゃうんです。これだけで食っちゃうんです。ドーラン及び衣装、このことで一日の使用料が約二万かかっているんですね。
 こうして細々していきますと、先ほどから累々と申し上げておりますように、歴史物だとかドラマだとかこういうふうなものに対して、NHKのあり方というものを庶民に大いによかったねというものにするためには、これから物価も人件費も高騰してまいりますけれども、よほどこれに対する予算の厚みというものをつけていかなきゃならないと思うんです。
 先ほども同僚議員が質問したときにおっしゃったんです。見たくない放映よりも、二百万、三百万、五百万と見たいというものなら、そこを英断で契約をとってくるということも庶民のNHKへの大なる新しい時代の要求じゃございませんでしょうか。そういうふうに予算をこれから、大河ドラマの名にふさわしい、三千何百万とおっしゃいました、一本三千七百万。上下があるんです。こちらの資料によりますと二千五百万のときも二千八百万、四千万も。押しなべて平均値をおっしゃいました。そういうふうなことで、今後の予算、こういうものに対するところを会長の方からひとつ御決断の御答弁を。
#193
○参考人(川口幹夫君) 私は昭和四十六年からドラマ部長というのをやっておりまして、ドラマの現場についてはいろんなことを経験いたしました。大河ドラマというのは実にお金がかかるんです。そして非常にたくさんの人を必要とします。そしてすぐれた脚本が必要だし、すぐれた演出が必要であります。こういう点ではやっぱりNHKのいわゆる代表的な番組として今後も維持していくためには非常に大変な苦労が必要になります。
 ただしかし、それをやっぱりやらないと番組の質は落ちますし、脚本が悪いと次のを見たくないとおっしゃるし、それからどこかでけちな使い方をしますと番組の迫力がないというふうな言い方になります。したがって、そこを何とか工夫していいものを、しかしまずまずのお金で上げるというのが歴代のドラマ部長の苦労でございました。
 今三千七百万という一本単価は、これは前に比べると相当高くなっています。ただ、私はこれは時代の趨勢でもあるし、それからいいものをつくるためにはNHK自体がそこに思い切って金をかけるということも必要だというふうに思っております。ですから、中身の充実のためにそういうお金の使い方については時には大胆になろうというふうなことを考えております。
#194
○常松克安君 それでは、第二弾を申し上げます。
 NHKスペシャルの中で、血液がんにかかった兄妹がいらっしゃいました。兄がその血液がんでいつともなく命を落とすかもしれない。その妹は一年間休学なさって全国に骨髄バンクヘの登録を訴えました。その兄を助けよう、あるいはこういう型で悩む。もうもはや川口会長みずから骨髄バンク、民間の推進本部の役員のお一人でございますからあえてくどいようなことは言いません。しかし、一面では年々数がこれはまたふえてきている。小さな軽い病気からしたら七千名にふえてきている。毎年重症は二千名とか。二千名になったから骨髄を上げられて救えるものじゃございません。
 これにつきましては、私は全力を挙げまして実のところ人事院の方に申しました。ありがたいことに、数日中に人事院はこの国家公務員の有給休暇制度なるものを打ち出していこうというふうな計らいをお持ちのようかと耳にいたしました。あるいは四月一日から東京都の鈴木知事は特別の休暇を含めてこの制度を導入とか、こういうふうなことを一面承りました。こういうふうなことのNスペが非常に大反響を受けまして、私たちで人道的に命を救おう、こういう気持ちで取りかかっていかれようというものの反響が出たかのように教えていただきました。
 さて会長、この問題でございます。
 今NHKの本社社員、関連、日本国内合わせて少なくとも一万数千名の要員でございます。その中で、個人的な人道的な意味で社員が骨髄バンクヘの提供、ドナーになられる方、希望を持っている方は何名いらっしゃるんでしょうか。
#195
○参考人(安藤龍男君) お答えいたします。
 現在まだ協会職員の中で提供を希望する人の数というのは具体的には把握はしておりません。
#196
○常松克安君 していらっしゃらないということでございますけれども、少なくとも一万八千名といいますと小さな県の県職員よりも大きいわけです。民間の位置づけでもそれだけ大きいわけでございます。
 ここで、じゃ質問を変えましてお伺いします。会長が骨髄バンクの推進本部の役員のお一人としてのこの問題に対するお考えをお伺いしたいと思います。
#197
○参考人(川口幹夫君) 確かに厚生省の委嘱を受けまして私は骨髄バンクの評議員を務めております。厚生省の中で会議を二回、私が出ましたのは二回ですけれども、その中でNHKとして果たせる役目は何だということで、私は骨髄バンクの存在を世の中の人に知らせること、それからそれはどういう形で運営され、どのようなことをすればいいのか、そういうことを積極的にお知らせをする義務があると思いまして、その一端がこの前の番組でもあるし、それからニュース等については、骨髄バンクについてはできるだけ細かく伝えております。そういうことで、難病に苦しむ方々に放送が少しでもお役に立てばという気持ちでございます。
#198
○常松克安君 もう一つ踏み込みまして、万々一にもNHKの社員の方々の中で、ひとつ私も自主的にドナーになろう、こういうふうなお気持ちがあった場合に、一つの壁になりますのは、本人の意思を受けてどういうふうな有給休暇に制度がなっているのか、まずここが一つのネックでございます。これを今特別休暇、有給じゃなくしてそれより以上のものを、こういうことで今全国で渦のように論議になって、国もそれに対応しようという姿勢になっているんですが、そういう意味で、休暇制度に対してはどういうふうな内容になっているんでしょうか。
#199
○参考人(安藤龍男君) 先生御指摘の骨髄バンク事業の推進の点でございますけれども、現在国や骨髄移植推進財団が関係方面に、移植に伴うドナーの登録に当たりまして必要な検査とか措置にかなり日数がかかります。そのために勤務を免除するといいますか、休暇を与えるということで要請をしているという、そういう動きについてはよく承知しております。
 国や地方団体もそうした社会的な動きにこたえようということを今先生御指摘のようなことで動いているわけでございますけれども、協会につきましても同じ問題指摘が労働組合からもございまして、現在ちょうどこのテーマについて私ども議論をしているところでございます。今議論をしている最中でございますので結論は出ておりませんけれども、組合とも十分話をしているということでございます。
#200
○常松克安君 それでは手っ取り早いです。会長に御提言申し上げます。
 今既に組合の皆さん方とはこういう社会的な貢献のお話が議題ベースにのっているわけでございます。そこで難しいのは、くどくど申しません、有給休暇の既得権を食い込むようなことでは、往復検査し実際に患者と適合したからといって最低五日間病院に伏せなきゃなりません。でありますから、既得権の有給休暇の扱いではなくして、やはり日本国じゅうの行政も一般の方々も動いている問題として、特別休暇制度においてNHKとし
ても社員の皆さんによくお話し合いをしていただきまして、あくまで参加するのは個人の自由意思ですから、そうした場合に本当に職場の心配なく、自分の身を賭して提供するわけでございます。こういうふうな一歩前進のお考えをお示しいただく、この姿勢こそ改めて皆さんとともに生きていく違った一面の私はNHKの存在価値を高めていくものである、こういうふうに思うんですが、いかがでございましょうか。
#201
○参考人(川口幹夫君) おっしゃるように、難病に侵された方々に対する非常に大きな福祉的な感じを持ちます。したがいまして、この問題については私は前向きに検討させることをお約束いたします。
#202
○常松克安君 それでは、今度は郵政省にお伺いします。今テレビが何台でどれだけ払っていらっしゃいますか。ちょっと御報告願います。
#203
○政府委員(新井忠之君) お答え申し上げます。
 郵政本省におきますテレビの受信契約状況でございますけれども、現在百四十八台ございます。受信料につきましては、平成四年度、これは一年の前払いで年度当初にお支払いしておりますけれども、百四十八台分ということで三百十四万六千円支払っております。
#204
○常松克安君 郵政省はあんな大きな建物で百四十八台、間違いないでしょうな。まけてもろうてませんでしょうな。払うべきものはきちんと払わなきゃいけませんよ。
 NHKの方に確認しますが、その台数に間違いございませんでしょうか。
#205
○参考人(諏訪恭也君) ただいまデータは持ち合わせておりませんけれども、恐らく間違いないと思います。
#206
○常松克安君 冒頭より失礼と存じましたけれども、大臣、会長に御自宅のテレビの台数をお聞きいたしましたゆえんといいますのは、果たしてあの放送法の中に位置づけられているところの今日までの法律で、新世代の考えを飛び越えてもこのままでいいんだろうか。制度には金属疲労と一緒でいろいろ年次年次によって対応というものが変わってきます。しかし大事なのは受信料。この受信料が今日まで我々が拝見いたしております法の上においてこのままでいくものだろうか。
 例えて言うなら、諸外国を比べますと、受信料を払わない者については、これは法律の建前の形態が違うと思いますけれども、イギリスにおいては最高四百万ポンドの罰金を課する、払わなければ。NHKはそんな罰金を取るような法律にはなっていない。フランスにおいては六カ月を超える滞納者は財産差し押さえ、こう書いてある。これだけ自信を持っているんでしょうか、この協会は。ドイツは未払い者に対しては行政手段による強制徴収、法律を持っているわけなんですね。イタリアにありましては不払い者に対しては罰金、滞納者に対しては強制執行、ここまで書いてあるわけですね。
 そうして考えていきますと、本日我々が目の当たりにいたしておりますこの受信料ということ、なぜこういうことを申し上げるかと申しますと、単純に企業はその利益というものは収入マイナス支出がマイナスかプラスか。単純です、このベースです。ところがその支出は、むだ遣いを省きます、合理化します、またこういうふうにありたいということです。
 大事なのは、そのベースは収入でございます。その収入というものが、これを契約したくないという人に対してNHKが果たして裁判所に訴えてでも、払っている人から比べるとこれは不公平になる、そこにいて契約をしません、こういう方に対して果たしてこういう態度をもってやっていけるのか、法がそこまで守られているんだろうかどうか。何も強制的にしろ、こう言っているんじゃございません。何とかして収入というものがもう少しふえていくにはどういうふうにしたらいいか、我々よりも会長みずからのいろいろな業務で一生懸命でございましょう。ですから、今郵政に何台と聞いたのはそういうことです。本当にそうですか、まけてもらっているのはありませんかと。
 あるいは市内ホテルについてはどうなんですか。五百室、一千室あるホテルで各部屋にあるテレビは、あれは全額もろうているんでしょうか。やはりようけのところは割引制度である程度割引していらっしゃるんでしょうか。こういう疑問が次から次に出てくるわけございますね。
 まず、NHKの方へお伺いします。
#207
○参考人(諏訪恭也君) ただいま先生から五百室、一千室あるホテルの状況はどうなのかという御質問がございました。事務所など住居以外の場所に設置する受信機については、御承知のように世帯契約とは別に受信機の設置ごとに契約していただくことになっております。したがって、一千室以上の大型ホテルについてもテレビ受信機の設置場所ごとに契約が必要でありまして、テレビ設置の部屋ごとに契約どお支払いをいただくということになっております。
 ちなみに、東京都内の政府登録の一千室以上のホテルでございますけれども、各部屋ごとにテレビを設置されております。部屋数に対する契約数の割合は約九四%ということになっております。
 以上です。
#208
○常松克安君 これがまた一つの問題になってきているんですね。イギリスにおいては、ホテル客室に備えつけられたテレビについては最初の十五室を一件、超過する部屋は五室ごとに一件。何で日本はそんな皆取るのやと。
#209
○参考人(諏訪恭也君) 先ほど申し上げるのを忘れましたけれども、事業所に対する多数一括支払い割引制度というのがございまして、事業所におきまして衛星放送の普及と契約の促進及び収納業務の円滑化を図るため、十件以上の衛星契約者に対しましては多数契約の一括支払い割引を行っております。例えば、一千室の場合はBSのカラー一件当たり月額三百円の割引ということになっております。
#210
○常松克安君 それを先に言わにゃあかんやないですか。再質問されてから実はと言うのは、そうするとその奥の障子の向こうにまたあるのか、こうなるんです。それでは困ります。
 時間がありませんが、会長、改めて来年度はこの受信料一点に絞って私も猛勉強します。この一点に絞って質問を展開いたします。
 といいますのは、これが光ファイバーの時代になってきたときに大きな社会的変化を起こすものがあるんです。光ファイバーが家庭まで直結されると、第一、電気料金の検針員は要らないんです。第二、ガス料金の検針員は要らないんです。全部それはデータでとられてしまうんです。検針だけですけれどもね、払い込みは別ですよ。
 こうなったときに、今の若い世代の人は、常識的におじいちゃん、おばあちゃん、お父さん、お母さんがそう言っているからといいながら、各口々に出てきますのは一つなんですよ。NHKテレビを見た時間で料金払うように何とかならぬやろうか、これが今若い世代に浸透していることですよ。この人たちが四十、五十になって生活的に家計簿を見て、これがまたまた上がってくるようなことになって、片一方は機械的にそうなってくるとどうなんだと。こういう問題の社会変化にも対応できるような、法が不備なら法を改正するとか、本当に公共放送はみんなによってつくり上げていかなきゃならないということ。少なくともそちらは質を高くしたい質を高くしたいとおっしゃいますが、庶民から見るとその言葉がおごりに聞こえるんです。私のところは質も高いでっせ、見たくなきゃやめときなはれ、料金だけくれと、そんなばかなことは市場経済原理に相反してしまうんです。でありますから、この法改正というものをある面深刻に、重大問題としてお取り組み願わないと混乱を生じてくるものがあり、こういうふうに心よりNHKを愛するがために御提言申し上げまして、質問終わります。
 ありがとうございました。
#211
○鈴木栄治君 私の質問に入る前に、さっき常松議員が御質問なさいました「琉球の風」、これ一本つくるのに幾らかかるんだと。そうしましたら一
本三千七百九十九万五千円と、それは会長も一本の単価としてお認めになりました。私も映像の人間でございます。映画もドラマもつくっております。あの番組を見て三千七百万、三千八百万でできるわけがないと思いますが、本当に三千七百九十九万五千円でできているんでございますか。お聞かせください。
#212
○参考人(中村和夫君) NHKがNHKエンタープライズに委託している一本当たりの単価はあの値段でございます。
#213
○鈴木栄治君 それは番組の直接費じゃないですか。
#214
○参考人(中村和夫君) そうです。
#215
○鈴木栄治君 何をおっしゃるんですか。まんじゅうだって、直接費というのは原料でございます。それから人の手がかかっておるんでございます。間接費、要するに要員、設備経費が三千百六十八万三千円かかっているんじゃないですか、そうでしょう。番組の単価というのは一つのできたものを言うんでございます。そうすると、この「琉球の風」というのは六千九百六十八万ぐらいかかっているはずです。そうじゃないですか。
#216
○参考人(中村和夫君) 仕組みを御説明しないで御答弁したわけですけれども、私どもNHKの本体の方では、番組制作費をトータルコストとしてではなく直接制作費で編成時は全部出しておりますので、それでお答えしたということでございます。
#217
○鈴木栄治君 そういうのは初めに言ってくださればあれですけれども、でもこれじゃ、さっき言ったように、まんじゅうの原料だけ言って幾らで売るかはわからないよと言っているようなもので、これは非常に私わかりづらいと思うんでございます。民間のテレビ制作費でそんなこと私聞いたことございません。
 それでは私の質問に入らしていただきます。
 NHKが非常に合理化を目指して一生懸命やっていることは私は大変評価するところであります。いろんなところで一生懸命おやりになっておると思うんでございますが、私も映像の人間といたしまして、ああもっとこういうところもこうしたらいいんではないかなとひとつ御提言させていただきます。
 NHKのテレビドラマ制作、「琉球の風」みたいなのはこれは特別でございます。普通のものですね、四十五分物、要するに民間の一時間物でございます。これが番組制作費は三千八百二十四万四千円でございます。約三千八百万でございます。民放はどのぐらいでつくっているか、約二千五百万でございます。いやそんなことないだろう、NHKのテレビ見ていれば、有名な人もいっぱい出ているんだから、役者のギャラも高いから、そのぐらいは高くたって当たり前じゃないか、そうお思いになる方もいると思うんでございますが、民放の制作費二千五百万の中の俳優の出演料の占める割合は約三〇%でございます。しかしNHKの場合は約一一%でございます。これも大体の平均でございます。
 そうしますと、要するに俳優料を引いた制作費、民放の場合ですと約千七百五十万。NHKは何と倍近うございますね、三千四百万でございます。これ私は同じ民放の一時間番組とNHKの一時間番組見でそんなに変わるとは思えないんでございますが、どうでしょう、その辺お聞かせ願いたいと思います。
#218
○参考人(中村和夫君) 確かに出演者の料金はNHKの方が低くなっていると思います。
 それから、制作に当たってお金がかかるいろいろな要因は、制作に当たっての時間、それからいろいろなセットその他をつくる費用の問題、制作の時間とかそういうセットや何かの問題も多分にございます。
#219
○鈴木栄治君 それは民放だって私は同じだと思いますよ。民放だってセットつくらなきゃドラマできませんから。民放の人間もNHKの人間も働いている人間は宇宙人じゃないんですからみんな同じなんです。私もNHKさんに出させていただいたことあるんですよ。もう本当に人が多いんです。一体何をやっているかわからないやつもよくいるんです。何かこの辺をぴしっともうちょっとこうやったら倍が一・五倍ぐらいまでにはおさまるんじゃないかなと私は思うんでございます。
 それと、今俳優の出演料が安い。本当なんですよ。私はどちらかというと恵まれた方でございますが、NHKに出ますと大体が民放のギャラの半分は当たり前、三分の一から五分の一なんです。でも中村さん、役者というのは御存じのとおり失業保険があるわけじゃありません。退職金があるわけじゃありません。何か事故起こしてもどうしたらいいだろう、この役はちょっと気にくわないと言ってストでもやろうものなら、あしたから永久にお疲れさんと言われちゃいますよ。そんな中でやっぱり役者も頑張っているんでございます。ですから、やっと天下のNHKに出させていただいたというときに生活できないじゃ困ると思うんです。それともNHKの規定の中で役者は思い切りたたいて使え、そのような項目があるんでございましょうか。ひとつお聞かせください。
#220
○参考人(中村和夫君) そういう項目はございません。ただ、出演者の基準というものがございますので、その基準をどういう形で見直すかという作業は毎年やっております。
 それから、先ほど御指摘ございましたけれども、私どもも番組をつくるに当たっていろいろな外部のプロダクションにトータルコストで番組をお願いしているということもございますので、コスト計算については現場でどういうコストマインドを持ってやったらいいかということは常々言っておりますので、番組制作に当たってのトータルコスト、人、物、金を全部トータルで計算するとどうなるかという計算の仕方を制作の中に取り入れるべくいろんな検証を今行っているところでございます。
#221
○鈴木栄治君 でもしかし、民放は大体半分ぐらいでとりあえず人件費だとかそういうもので使っている。でもNHKの場合は非常に緩やかでございますね。しかし俳優にとっては厳しゅうございます。そうすると、考え方によっては民放の基準というのは大変いいかげんなんでございますかね。ひとつよろしくお願いしたいと思います。
 会長、どうでしょう、私大変生意気事を言わせていただきましたが、いろいろ今話をさせていただいた中で、そういえばもうちょっとこういうところは削れるんじゃないか、こういうところは合理化に値するんじゃないか、そのようなお考えはあるんでございましょうか。
#222
○参考人(川口幹夫君) まず、出演料の問題ですけれども、民放とNHKの計算の基準が違うというのが一つございます。
 それは何かといいますと、NHKは下に厚く上に薄いというそういう考え方になっています。ですから、例えば幾ら名前が売れ、いわゆる大スターであってもキャリアが長くないと初めからいい格付にならないというふうなことがございます。それは、NHKの基本的な姿勢としては、まずは下積みになって働く人たちに対する厚い手当てをするのが当然だというところに基づいているわけでございますけれども、私は、今の時代、多少民放と違い過ぎでは困るという感じも持っております。したがいまして、そんなに民放と同じようにするわけにはいきませんけれども、俳優の方の御出演料についてはお話し合いの上で少しでもよくなるように努力したいと思っています。
 ただ、じゃ民放はどうかといいますと、今度は下の方には薄くて上に厚いというふうな形になっていまして、そこでもっていわゆる下積みの役者さんから相当厳しい御批判をいただいていることもあろうかと思います。両者相まって、下にも厚く上にも厚くというのが一番いいに決まっていますけれども、それは全体の番組の効果を考えながら判断すべき問題ではなかろうかというふうに思っております。
#223
○鈴木栄治君 下には厚くとおっしゃいましたけれども、私もいろいろ友人がおりますがさほど厚いとは思えません。特に、例えば有名な人にはこうだとおっしゃいましたが、有名な人とか使いた
い人には特別枠というのがNHKあるじゃないですか、時価ではございませんが、そのときによってはぼんと出す方もいると私は聞いております。どちらにしても、ただ安さやいいというものでもございません。やっぱりその期待にこたえるようなものをつくっていかなければならないと思います。しかしその中において、節約できるものはぜひ節約していただきたいな、そう強く思うものでございます。
 さて、次にいきますけれども、NHKが商業的であってはいけないけれども副収入を得てよい方に使っていきたい、そのように先ほど会長おっしゃいましたね。私それ大変いいことだと思います。ただし、私思うんでございますが、この間のやらせ事件における新聞報道、またNHKの関係者の方から、あれは要するに関連会社、子会社がやったことであっておれたちとは関係ないんだと。例えば例の自動車のステッカーの問題についても、あれは関連会社がやったんだ、本体とは関係ないというようなことをおっしゃっておりました。
 これは本来は、この受信料というものは番組を制作するのに使わなきゃならない、でもその解釈を大きく広げていい方に使おうとおやりになる、それは大変いいことなんです。でも、そうなればなったこそ、やっぱりNHK何とかという関連会社であるんですから、何かあったらうちは知らないよというのは、これはちょっとおかしいんじゃないか。そこまでぴしっと目を通して、何かあったときはおれたちも責任をとる、共同であるというぐらいの心を持ってもらわないとやっぱり健全経営というのは難しいんじゃないかと思うんでございます。いかがでございましょうか。
#224
○参考人(川口幹夫君) だれが申しましたかちょっと取材源を尋ねたいところですけれども、これは全く問題外でございますが、私はNHKがやったあるいは関連会社がやったということで区別をすることはできないと思います、それはやっぱり番組としてはNHKの番組で出ているわけですから。あのときも主になってやったチーフディレクターはNHK本体の者でございます。そして一緒に行った者が関連団体であったり純粋の外部であったりしたわけです。ですから、それはあくまでも言わんとするための詭弁でありまして、NHKの責任であることは言うまでもございません。そういう教育をこれからも十分していきます。
#225
○鈴木栄治君 いろいろ生意気事三言いましたが、私は客観的に見て、NHKは川口体制になってから非常にいい方向に向いていると思います。今回のやらせ事件においても、やっぱり悪いところは悪いと認めて、そしていかにして国民の皆さんの信頼を得るか毎日努力なさっているということは、私のみならず多くの国民がこれは評価するところだと思います。
 確かに合理化、例えば予算をどんどん削る、これも大事でございますが、私は一つつけ加えさせていただきます。もちろん釈迦に説法でございますが、言わせていただけるならば、NHK本来の大きな役割である報道とかドキュメンタリー、これは本当に人もかかるし金もかかるんでございます。その分は十分に認識なさっていただいて、私たちもそれは理解するところであります。ですから、同じ削るところでもしっかりと識別なさって、これからもより一層国民に信頼され、理解される健全なNHKの経営をしていただきたいと思います。
 ありがとうございました。終わります。
#226
○中村鋭一君 今年度の春の番組編成の中で、NHKの方でこれは随分力を入れているとか、ぜひ視聴者の皆さんに喜んでいただくために特にこれを目玉商品として推奨するものであるというような番組がございましたら、編成の基本方針とあわせて御紹介をお願いいたします。
#227
○参考人(中村和夫君) 編成の基本方針は五つの点がございます。
 一つはニュース・情報番組の刷新、強化というのをねらいました。二番目は豊かで多彩な教養・娯楽番組の開発。三番目に大型企画番組の積極的な編成。四番目に地域からの全国発信番組の拡充。それから五番目に衛星放送の充実強化ということでございます。
 幾つか御紹介いたしますと、この五つのポイントに該当するものとして、「NHKニュース7」、これは先ほど申しましたけれども、十九時のニュースを五十七分間にします。それから九時半から「クローズアップ現代」というのを月曜日から木曜日まで編成いたします。もう少し掘り下げてタイミングのよい調査報道を主体に三十分間の番組を組みたいということで、九時から九時半までの一日のニュースのサマリーの後に三十分間の番組を置こうということで、これは全組織を挙げて、地方の局も参加する形で、海外総支局、番制、報道全部参加するという形で展開するつもりです。それから今の「ニュースモーニングワイド」が「NHKニュースおはよう日本」という形で衣がえをいたします。もう少しビビッドでライブ感のある地方局の情報なども加えて、生き生きしたものにしたい。
 それから娯楽番組では、「ドラマ新銀河」、これは五年ぶりに復活ですか、昔の「銀河」のそのままの復活ではございませんが、内容を改めて、夜の八時四十分の時間帯にフィットするような内容にいたします。それから紀行番組で、「はるばると世界旅」というのを夜の八時から置きます。それから教育テレビで、これまでは週に一本置いておりました教育テレビスペシャル、これを月曜日から木曜日まで四本並べて、近代政治史その他いろいろ硬派の番組をここで展開しようというふうに思っております。
 大型番組については、「アジア・ハイウェー」というのを来月から月一本展開いたします。「アジア・ハイウェー」は、一万キロ、十カ国に及ぶそれぞれの国の今抱えている問題、それから日本とのかかわり合いという、言ってみればアジアの十カ国の近代史にかかわるような面を探っていきたいというふうに思っております。それから「驚異の小宇宙・人体U」というのを、今度は人間の脳と感情の問題に絞って何本がつくりたい。
 それから、地域からの全国発信番組の拡充の一つの番組として、「列島リレードキュメント」という、各地方局がつくりました十五分間のドキュメント番組を三局リレーで、夜の時間帯、十一時でございますが週一回置きたい。
 それから衛星放送では、先ほど申しましたけれども、Jリーグ、これを年間三十八本衛星放送で展開するというようなことがございます。
#228
○中村鋭一君 今の五つの基本的な編成方針は、どれが優先順位が上でどれが下ということはないわけですね。同じように力を入れてやっていらっしやる、こういうことですね。
 その中で、報道番組、今刷新強化ということをおっしゃいましたけれども、今の九時のニュースがございますね、あれはキャスターの方もそのままで維持していかれるわけですか。
#229
○参考人(中村和夫君) キャスターはかわります。九時のニュースは、全国ニュースが二十分、ローカルニュースが十分、一日のまとめという形になります。
#230
○中村鋭一君 タイトルも変わるんですか。
#231
○参考人(中村和夫君) 「NHKニュース9」になります。
#232
○中村鋭一君 私も九時のニュースは必ずといっていいぐらい拝見させていただいているんですね。タイトルというのはやっぱり随分大事だと思いますし、今たしかNC9とは言っていらっしゃらない思うんですが、やっぱりあの磯村さん以来の印象が強烈でいまだに私はNC9、NC9と、こう言ってしまうんですが、それぐらいあの時間帯も大事でございますので、キャスターもかわるし、やや形態も変わるようでございますが、従来のNHKの九時の時間帯に持ってこられたあの重量感、これだけはひとつ維持をしていただくようにお願いをしておきたいと思います。
 この間雑誌を見ておりましたら、NHKは芸能ニュースに今度は取り組むんだというような報道がされておりましたが、それは事実ですか。それ
から、もしおやりになるとすれば、NHKがお考えのいわゆる芸能ニュースというものは、どういうものをどういうふうに取材をし報道するようにお考えですか。教えてください。
#233
○参考人(中村和夫君) 芸能ニュースを殊さら取り上げるというようなことではございませんで、先ほど十九時の「ニュース7」のときに御説明いたしましたけれども、もっと視聴者の方に提供する情報があるだろうと。文化のニュースも、芸能にまつわるニュースも、科学のニュースもあるでしょうと。そういうものの一環として取り上げ方を工夫するということです。
#234
○中村鋭一君 もうちょっと具体的に教えていただきたいのですが、例えば貴花田と宮沢りえさんが婚約したときに、私の記憶に間違いかなければNHKはたしか九時のニュースのトップにそれを持っていかれた。私も見ておりまして、貴花田と宮沢りえが婚約した、これはビッグニュースでありますから、民放がこれを大々的にやるのはわかりますけれども、逆にNHKが九時のニュースでやるぐらいだからこれは大変なビッグニュースなんだなと。もう一つは新鮮な驚きというんですか、あれ、NHKがこういうスターの婚約をこんな大きなニュースの時間帯で取り上げるのかと新鮮な驚きを感じたんです。
 じゃこれからNHKは、例えばこういうふうなニュース、ビッグスターが結婚する、婚約する、離婚する、あるいは有名なスターが姿を隠した、行方不明だ、そういうときにはNHKはやはりリポーターを派遣して、他の民放番組のように逃げる人を追いかけて、マイクを突きつけて、慰謝料は慰謝料はとか、そういうことをおやりになるおつもりですか。
#235
○参考人(中村和夫君) そういうことはやるつもりはございません。そのニュースバリューの大きさによって扱うと。NC9の時代も、長嶋引退のときはたしか頭でグラビアで持っていった記憶がございます。
#236
○中村鋭一君 これも私のお願いは、誤解を与えると怖いんですけれども、そういう関係のニュースで民放と同じレベルで視聴率を取り合うようなことはNHKはおやめになっていただきたい。国民の間にあるNHKに対する無形の信頼というものは、いわゆる浅薄な、表面的な、極端に言えばどうでもいいような切った張ったとか、そういうようなことは軽々には取り上げないというところにNHKに対する信頼感があると思いますので、そんなところで民放等と無用の競争は避けるようにしていただきたいとお願いをしておきたいと思います。
 NHKスペシャルで、タイトル名は失念いたしましたが、イギリスの例の腐敗防止法制定に係る経緯を番組になさって、先ほどから中村さんもこれは三回放送したと、こうおっしゃっておいででした。先日朝日新聞を見ておりましたら、朝日新聞の短評欄にNHKが放映したこの腐敗防止法をもう一遍見たいというようなことが書いてありましたが、あれが再放送に踏み切られた一つの原因にもなっておりますか。
#237
○参考人(中村和夫君) あの朝日新聞のコラムがきっかけだけではなくて、その前からあの番組を政治改革論議が闘わされている中でもう一度再放送したらどうかという声がいろいろなところからございました。我々もやはり再放送をやった方がよろしかろうということで再放送に踏み切ったわけです。
#238
○中村鋭一君 我々も再放送に踏み切った方がよかろうじゃないかということで踏み切ったということでございますが、NHKの場合、こういった番組を再放送する場合等は、基準といいますか、要綱といいますか、取り決めといいますか、こういう場合に必ず再放送するとかいうような決まりはあるんですか。それとも、今おっしゃったように、何となく編成の担当者とかその職場の部長さんとかデスクの方が相談して、ここへ枠を一つつくってくれ、これは評判がいいからもう一遍やろうじゃないか、そういう形で割にフレキシブルにおやりになっているんですか。
#239
○参考人(中村和夫君) 再放送については特別こういう場合には再放送しようという取り決めはございません。NHKには年間五百万の投書、電話その他寄せられますけれども、その半分、大体二百五十万以上が電話による反響でございますが、その反響の中の第一位に再放送希望というのが多くありまして、途中まで見たけれども最初から見たいとか、そういう御意見がどのくらいあるかということがまず一つの目安になります。
 そういうものばかりでなくて、学校放送とか語学、趣味講座等々は時間によって見れない方がいらっしゃいますので、これは優先的に再放送の時間を設けるということをしておりますが、原則としてはいい番組、要望の多い番組については編成上柔軟に再放送の枠を設けるということにしております。
#240
○中村鋭一君 それは大変結構ですね。余り細かいこと、こういう基準でやるというよりも、今あなたがおっしゃったように、国民の皆さんからの反響で、随分それが質的にも量的にも好評を得たものであるならば再放送しようと、それぐらいのことをお考えになっておやりになれば、それは国民の要望に沿うことにもなりますから、視聴者に対するサービスになるわけですから、これからも例えばこのNHKスペシャルの腐敗防止法の番組のようなものを要望がある限りはひとつ何回でもやっていただくようにお願いをしておきたいと思います。
 NHKの評判のいいテレビ小説、朝のドラマがございます。今は「ひらり」ですね。私も時間があれば拝見しているんですが、先般からこの番組に「六甲おろし」を歌う青年が登場いたしました。私もタイガースファンでもありますし、「六甲おろし」のレコードを最初に出したのが私でございます。あの青年が「六甲おろし」を番組の中で歌うようになりましてから私もおかげさまで印税が少し、大した額ではありませんがふえてまいりました。喜んでいるんです。
 あの中で、あの青年が使ういわゆる関西弁ですね、あの人は高等教育を受けた医者です。出身は兵庫県が設定されていると思うんですが、例えばその中で、みのりはん、みのりはん、こう言うわけです。今現実に関西、大阪在住の若者で人の名前を呼ぶときに何とかはんというような呼び方をすることは現実には絶対にあり得ないわけです。これは小説家の田辺聖子さんの著書をお読みになったらわかるんですけれども、あの方の著書の中で使われておりますいわゆる関西弁というのは非常に正確に今現在大阪を中心とする若者が使っている言葉が再現されているんです。ですから、御関係の方々も一遍田辺聖子さんの本をお読みになりまして、大阪の若者が実際に使っている関西弁というものはこういうものだと。そこからすればあの医者の若者が言う、みのりはん、そういう言葉は使わない。どないだ、もうかりまっか、そうでっしゃろ、そういうような関西弁は、それは今船場の商人の方ならお使いになるかもわかりませんが、これは使わないんです。
 NHKは、しかもああいう評判のいいテレビ小説は、これはもう北は北海道から南は沖縄県の端に至るまで大変な視聴率をとっていらっしゃるわけですね。我々関西の出身からいたしますと、関西の人間があの番組見ると、何や、この六甲おろしの青年はむちゃくちゃな関西弁を使っているじゃないかと、こういう不満が残りますし、関西以外の皆さんは、今の大阪の若者はやっぱりこういう言葉を使っているのかという誤った観念を植えつけることになります。
 それはやっぱり、日本の文化を今までもつくってきて、これからも大事にしていこうとしていらっしゃる、特に言語文化なんというものにNHKはもっともっと神経質であってしかるべきでありますが、その点で例えばドラマの中で使われているいわゆる方言なんかについてはNHKはチェックはしていらっしゃるんですか。それとも、これはもう脚本の作家にすべてを委任しておりまして、その作家の自主性を尊重して、その内客のせりふについてはたとえ変な方言でありましてもチ
エックということや意見をすることは、忠告をすることは控えていらっしゃるんですか。
#241
○参考人(中村和夫君) 私も台本はちらちら拝見したんですが、台本にそう書いてあったかどうかちょっと記憶にないのでございますが、ドラマの場合方言指導という人をつけることになっております。先ほど先生がおっしゃった小林先生役の俳優は確かに兵庫県芦屋の生まれなんだそうですが、彼には特に方言指導はつけていないというふうに聞いております。
#242
○中村鋭一君 しかも、厳密に言いますと、大阪で使う言葉と兵庫県で使う言葉は全く違います。関西の人間なら、例えば私なら、あなたは大阪ですね、あなたは兵庫県、それも神戸ですね、播州、ずっと西の方ですねとすぐわかります。それぐらい方言というのは実に特色があるわけです。ですから、そういう点NHKはこれからも、特にそういうチェック機関をつくれとかそういう意味じゃありませんけれども、今おっしゃった方言指導でも結構ですし、本人に対するチェックでも結構ですから、ドラマに限らずいろいろな場面で方言等々が使われるときにはひとつ正確な指導を、表現をしていただくようにお願いを申し上げます。
 時代劇に対する例えば時代考証のチェックなんかは機関があるんですか。私、前々から自分で疑問に思っているんですが、いわゆる江戸時代のお侍は普通我々見てますと刀は左の腰に差してますな。私、江戸時代に左ききの人は刀をどっちに差していたんだろうなといつも疑問を持つんです。ですから、そういった意味での例えば時代劇における時代考証なんかはNHKの場合はどのようにしていらっしゃいますか。
#243
○参考人(中村和夫君) 時代考証は割合きちんとやっております。ただ、時代考証上こういう物がないとこの時代は表現できないというものがわかりましても、その物が現実になかったり、いろいろ問題点はあるようでございます。
#244
○中村鋭一君 自民党さんが政治改革の関連法をもうすぐ提出されると、こう思いますが、この間要綱を見ておりましたら、法にはなっておりませんが、明示規定で報道機関の選挙報道の予測をめぐる自粛規定は最終的に法案に盛られることになった。選挙が選挙人の自由に表明される意思によって公明かつ適正に行われることを確保するため、選挙に関する公職につくべき者の予想に係る報道または評論について新聞紙または雑誌への掲載、放送番組の編集または放送での慎重な配慮を求めることを書き込んであるわけです。
 私、自分で何回か選挙やってまいりまして、非常に個人的なことで恐縮でございますけれども、二回目の選挙で、例の直前に発表されます選挙報道、当落予想で、大阪で中村鋭一は西川潔と並んで完全に当選圏内入りだとほとんどの新聞が大見出しで報道をしたわけです。選挙をおやりになった方はよくおっしゃることだと思うんですが、一人しか当選しない選挙区であれば、これ絶対有利だと言われれば絶対有利なんだと、こういうことが言われますな。だれでも勝ち馬に乗りたい、そういう心理が働く。ところが複数区においては、絶対有利と言われるよりも、当選線上、あと一息の追い込みと書いてもらった人が必ず当選すると、これも割によく言われることなんです。
 私の場合は、そのように新聞等々が大見出しで当選圏内、もう絶対間違いないという書き方をして、実はふたをあければ西川潔さんに数十万票の差をつけて破れた、こういうことなんです。私は何もそれが原因だったとは言いませんが、敗れた人間からいたしますと、待てよ、あの新聞の見出しがいわゆるアナウンス効果になって影響をしたんじゃないか、そのように思ったことは事実であります。現に、フランスは直近の選挙の一週間以前から選挙の当落予想はしてはいけないということを法律で規定をしております。
 今度の自民党の案も、例えばフランスのそういうことも頭にあったんじゃないかと私は思うんです。結果は法には盛り込まれておりませんが、法案には明示はされているわけです、自粛を要望すると。これについて会長はどのようなお考えをお持ちでございますか。
#245
○参考人(川口幹夫君) NHKといたしましては、各種の選挙の事前報道あるいは世論調査の結果の取り扱い等につきましては慎重の上にも慎重にやっております。これは選挙の公正を害することがないようにという配慮でございまして、これまでも十分配慮をしてきました。
 ただ、事前の予測報道の自粛、それを規定しようという動きがあるそうですけれども、NHKとしてはこれまでも節度のある選挙報道に徹してきたところですから、法律に規定を加えるということにつきましては、自主自律を旨とする報道機関として賛成はできないという立場でございます。
#246
○中村鋭一君 おっしゃるとおりだと思うんですね。現にNHKはたしか非常に具体的な形での当落予想というものは直前にはおやりになっていらっしゃらないと思うんです。
#247
○参考人(川口幹夫君) 個人的な当落予想というのはやらないということを前提にしております。
#248
○中村鋭一君 私もこれは、最初自民党さんらがお考えになったように、法律にそういうことを盛り込むのは絶対に反対です。
 しかしながら、現に同じ先進国の中でもフランスでは一週間前から当落予想はしちゃいけないということを法律に明示している例もあるわけですから、例えばNHKがおやりになるならば、やっぱり従来のように本当に慎重の上にも慎重に、かりそめにもいわゆるアナウンス効果というようなことが候補者に対して影響の及ぶことのないように、選挙報道、特に予測報道ですね、これはお願いをしておきたい、こう思います。
 時間がございません。最後にまとめて二つお伺いいたします。
 もうはっきり申し上げますが、実は民放連から私のところにこんな書類が来ておりまして、これは朝から各委員もいろいろ形を変えてお尋ねでございましたけれども、民放からするとNHKの将来構想がやっぱりぐあいが悪いと思う点があるんですね。これは私も民放の出身でございますからわかるんですけれども、このNHKの巨大さ、その人員、その底力、NHKの知名率、そういうものが一体になって、それはNHKは切磋琢磨とか公正な競争と、こうおっしゃいますけれども、民放の方からすると、この巨大なNHKがかさにかかつて攻めかかってくるという、あなたの方から見れば被害妄想じゃないかとおっしゃるかもしれませんが、そのように考えるのはあながち否定はできない。そういうところから、例えば放送メディアの見直しについても、テレビの保有メディアはNHKは一波削減すべきである、またハイビジョン放送の移行波は認めるべきではない、こういう意見といいますか提言がございます。
 あるいはまた、NHKが徴収していらっしゃる受信料をメディアミックスにNHKはどんどん流用しているんじゃないか、NHKが有名であることをいいことにしてその系列の会社に受信料をどんどん資本としておろしていって、その金と有名さで民放と競合をして、本来ならば民放がとるべき仕事をNHKがどんどんとっているんじゃないかというのが民放連の言い分でございますが、この辺について御意見並びに反論があればお伺いをさせていただきたいと思います。
#249
○参考人(川口幹夫君) 実はここにこういうグラフがあるんですが、NHKと民間放送とのシェアの比較ということでグラフにしてみました。それによりますと、いわゆる視聴者や国民の何%が民放を、何%がNHKを見ているかということからいいますと、民放は七〇%、NHKは三〇%でございます。ですから、私どもは決してNHKが一人でふんぞり返っているとは思っておりませんで、むしろ民放さんの方がはるかに見られていうという状況にある。まずこれが一つ。
 それからもう一つは、収入のシェアということを調べてみましたら、日本の民放とNHKがどれくらいの収入を得ているか比べてみますと、民放が八二%、そしてNHKは一八%でございます。ですから、こういうふうな二つの比較をしてみましても決してNHKがのさばっているという感じ
では私はないと思います。
 収入なんかにおいては一八%しかとっておりませんから、そういう点においてもそんなに民放さんがおっしゃるような強力な存在ではないというふうに思います。ただし、そういうふうに民放さんの方はおっしゃって、御意見として二つの大きな問題を出していらっしゃいますから、私どもはそれは謙虚に受けとめます。
 もちろん私どもも、ラジオだけじゃなくてテレビ一波の削減は衛星の成熟の段階で再度考えるという言い方をしておりますし、将来構想そのものはまだ実は構想段階ですから、計画に行く間に具体的なことをつけ加えて計画すべきものだろうと思っておりまして、そういう点では十分民放連とも話をするということをしたいと思っております。
#250
○中村鋭一君 しかし、今川口さんがおっしゃった収入がどうとかテレビの占有率がどうとかというのは、それは問題にならぬでしょう。NHKはNHK単一で複数の波を持っているけれども、民放というのは、全体はそれは百何十社あるでしょうけれども、一社が一波ですから、それは全然比較の根底が違うわけでございます。それはちょっと違うと思います。
 最後に一言だけ。テレビ・ジャパン事業、これは朝から委員のお尋ねもございましたけれども、これはいろんな困難が予想されると思いますけれどもやっぱり絶対にやらねばならぬ事業でありますから、それについての会長の決意をお伺いいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。
#251
○参考人(川口幹夫君) 短波放送による国際放送だけじゃなくて映像による国際的な発信というものをやるべきだというふうなことは、もう前から皆さんがおっしゃり、私どももそう思っております。
 テレビ・ジャパンという形で発足しましたけれども、これが実は非常に苦境に立っております。といいますのは、もともとが公的なお金等々は全くなくて、いわゆる企業の経営努力によって何とかそれを維持していこうというまず経営姿勢が一つ。そして、現在ニューヨークとロンドンをキーにしてやっておりますけれども、いずれも伸び悩んでおります。したがいまして、経営的には大変苦境に立っておりまして、それぞれ年間に十億程度の赤字が出ているという状況でございますので、これをどういうふうに建て直すのか。ただ、テレビ・ジャパンといういわゆる映像の海外発信という事業は、もう今の時代は絶対にやらなければいけないことであろうかと思います。
 私どもは、NHKが国内の受信料でそのことを経営するのは、これはやっぱり基本的にはおかしかろうと。ですから、NHKは応分のことをやって、さらにいわゆる公的なお金等も御協力いただいて、何とかこのテレビ・ジャパン事業についてはより効果のある、しかも前途が非常に明るいという形のものを見出すべく今一生懸命努力しておるところでございます。いずれ成案がまとまりましたら、またお話を申し上げて御協力、お力添えをいただきたいと思います。
#252
○委員長(野別隆俊君) 先ほどの「琉球の風」の番組制作単価について中野参考人より発言を求められておりますので、この際、これを許します。中野参考人。
#253
○参考人(中野正彦君) 先ほど放送担当の中村から「琉球の風」の制作費について答弁いたしましたけれども、これについておわびと若干の補足説明をさせていただきます。
 まず、常松先生の御質問に答えまして、「琉球の風」の番組制作費、一本当たり三千七百万というお答えをいたしました。その後、鈴木先生から六千九百万円ではないかと、こういう御指摘がございまして、二通りの数字があるような答弁をいたしたわけでございますけれども、委員会にも説明資料として提出しておる中で、二十五ページに、「琉球の風」が四十五分で一本当たり三千七百万という数字で正式に提出してございますので、先ほど申し上げた、常松先生のお尋ねに対します三千七百万というのが正式の番組制作費でございます。
 なぜ三千七百万と六千九百万と違ってくるのかということについて説明をさせていただきますが、三千七百万というのは番組の制作直接費、つまり出演料でありますとかあるいはセット、美術費、あるいはその他もろもろの番組の諸経費、こういった番組制作の直接経費でございます。これに私どもの一万三千六百人の職員がいろんな業務に従事しております。この人件費については一括管理をしておりまして、予算計上もいたしております。その一万三千六百人の中からこの「琉球の風」に何人従事しているのかというのを、人件費の試算をいたしております。それからさらに、この番組をつくるにはスタジオを使いますし、それからあるいはVTRでありますとか編集機器、そういった設備を使っておりますが、その設備の減価償却費、こういったものを合わせまして三千二百万になります。したがって、直接費と合わせますと六千九百万というこういう試算値が出てくるわけでございます。したがいまして、正式には三千七百万という番組制作単価が正しいということでございます。
 なぜこういった二つの数字が出てくるかということを若干補足説明させていただきますが、現行の協会の予算制度は、支出項目で見ていただきますとおわかりになりますが、人件費、これは給与それから退職手当・厚生費という二つの項目がございます。人件費はこれは一万三千六百人分を一括予算計上し運用管理をいたしております。それからスタジオでありますとか中継車、カメラ等の放送設備、これにかかわる減価償却費もこれは全国一本で一括運用管理をいたしております。それ以外の、人件費、減価償却費以外の直接経費につきましては、これは予算科目体系に従ってそれぞれの業務に対応した金額の予算計上をしている、こういう仕組みになっております。したがいまして、それぞれの業務別に直接必要な経費、これは言ってみれば物件費と称しておりますが、これについての予算の内訳というのは、先ほど申し上げましたように、「琉球の風」で申し上げますと三千七百万という内訳がそこに計上される、こういう仕組みになっております。
 私どもこういう二重の数字が出てくることについてはいろいろ反省もし、今検討もしておりまして、やはり民間ベースで、人、物、金のトータルコストで仕事の経費を把握するような、そういう仕組みをなるたけ早くつくり上げよう、現在は部内でまだ試行段階でございますけれども、なるべく早く民間ベースと同じような経費の把握をし、業務運営をしていきたいなという状況になっております。
 以上でございます。
#254
○青島幸男君 いろいろお話伺っておりまして、私は最後でございまして、なるべく重複を避けてお伺いしたいと思うんです。
 いろいろ今後のあり方についてNHKもお考えいただいているようでございますけれども、まず会長にお尋ねしますが、ことしは既にもう一九九三年でございまして、あと七年かそこらで二十一世紀になるわけでございます。二十一世紀の頭、大体NHKのあらまほしきありさまと申しますか、どういう格好が望ましいのか、どんなふうになっていたら一番受信者の方々の信頼にこたえ、期待に沿うことができるようになっているんだろうか。おおよそで結構でございますが、どんな形を御想像になっていらっしゃるか、お聞かせください。
#255
○参考人(川口幹夫君) 二〇〇〇年といいましてもあっと言う間に、七年ですからすぐ参ります。そのころのNHKはどうなっているであろうか。私は近未来のNHKの姿として、九七年にBS4が上がりますから、そこで多少の変化があるだろうと見ております。それは、一つは技術的な問題で、ハイビジョンがいよいよ実用化の放送ができるのか、あるいはまだ実験であるのかわかりませんけれども、相当程度進んだ形になっているだろう。そういう新しいものに対して、視聴者の皆さんに御負担をかけない形で我々がその技術の進歩
を最もいい形で放送に生かす、そういう形が一つはある、こう思っております。
 それから二番目は、番組の面でありますけれども、衛星、地上そして音声三波というものを通じましていかにして信頼いただけるような報道ができているか。あるいは、これからますます心豊かな時代が求められているわけですから、そういうものに対して番組というものがどのような形で御奉仕できるだろうか。それが最もいい形で、ということは視聴者が満足する、信頼と満足のいただけるようなものがそのときに次々と出ているという状況をつくり出したいものだな、と思っています。
 それにはやっぱり人の問題が第一でありますから、人材の採用、育成という問題についてはこれから十分に志していかなければいけないだろうというぐあいに思っていまして、そういうものを実施するために、じゃ経営の形はどうなるかというのが先ほどの「NHK構想」であります。といって、際限なく拡大していったのではとてもNHKの経営はもちません。したがって、スリムな形で事業そのものを運営していくことが何より大切であろうというぐあいに思っております。
#256
○青島幸男君 何回も出た話でございますけれども、民放との切磋琢磨と申しますか、兼ね合い、話し合いの上で、NHKみたいに公共放送としての形が確立されて、しかもそれが安定的に行われているというのは本当に世界的に希有な例だと言われておりますが、それは我が国の国民性もありますし、NHKの皆さん方の御努力もあってこうなったんだと思いますし、この形はやっぱり二十一世紀になっても維持していただきたいと私は思う者の一人でございますけれどもね。
 しかし、ハイビジョンにつきまして私は大変に懸念を持っているんですけれども、ハイビジョンが普及するためには、まず受信者の要望、ハイビジョンを見たいという要望があって、その要望にこたえてメーカーもハードをつくるようになりますね。ハードの金額が安くなって普及版ができたりする、こういう基礎が必要だと思いますね。番組の放送の内容につきましては、従来も皆さん方御努力あったわけですから、ハイビジョンになるからといって特別どうしなきゃいかぬということになれば、今までじゃサボっていたのかということになりますから、今までも重々御活躍になっていらっしゃったし、御努力もなすっていたし、これは継続的に積み重ねていかなきゃならないことですけれども、飛躍的にどうなろうとも急激に変化するとは考えられません。としますと、受像機が百万円を切って家庭に入るようになったら普及するのかとか、そういう筋合いのものではないような感じが私はするんですね。
 と申しますのは、受信者のテレビに対する対応の形が従来とかなり変わってきているわけですよ。最初に白黒でテレビができましたときは、それは各家庭、地方の方でも都会でもそうですけれども、大体皆さんがお集まりになる居間の一番目立つところ、あるいは中央に仏壇のようにどんと控えたテレビがありまして、それを御一家一同がこたつに入ってかあるいはちゃぶ台を囲んで、取り巻く形で一家眷族一同が一つの受像機に、群がると言ってはなんですけれども、中心に一家団らんがあって皆さんがそれをごらんになっていたというケースでしたね。その前は試験的に新橋あたりの駅前にあって、何百人、何千人という方が押し合いへし合いでプロレスなんかを見て楽しんだ時期がありましたけれども、やがてそれが家庭に普及するようになってからも、一家に一台比較的大型のテレビが中央にあって、それを御近所の方とともに囲むなんというケースがありました。
 それからカラーになりまして、当時の皇太子の御成婚、あるいはオリンピックという大イベントと申しますか、それがありまして各メーカーのカラー管の技術も非常に進みましたし、普及しましたし、それで一挙にカラー化が進みました。これは大変に劇的なことで、当然あってしかるべき流れの中で妥当なことだったと思うんです。
 今、従来型の受像機でも、カメラのレンズの構造もよくなりましたし、オルシコンの技術も発達しましたし、またブラウン管の表面に塗布してある発像のメカニズムも格段の進歩を遂げております。ですから、上手に調整したテレビの画面を見ますと大変美しいですね。撮る方のライティングもいいし、化粧の仕方がよくなったのかもしれませんが、自然の状態なんかを映しても大変美しく見えます。きちっと調整した映像を見ますと、ちょっと見にはハイビジョンとそう変わりはないんじゃないかというくらいに美しく見えます。このことがやっぱりハイビジョンの意味を余り大きくとらえられなくなってくるんじゃないかと思うんです。
 と申しますのは、先ほど申しましたように、比較的大型のテレビを一家で囲んでという生活様式がないんです。ですから、変な言い方ですけれども、家庭用のミカンの消費量がうんと減ったといいますね。これはなぜそうなったかというと、こたつがあって、車座になって囲んで大抵テレビを見ながらミカンなんが食べていたわけです。どこの家庭にもミカン箱の二つや三つどっかから来ていまして、いつの間にか消費していましたよ。だけど今はそういう家庭生活の場がないんですね。ダイニングキッチンと申しますか、テーブルに座るようになって、バナナもミカンも余り尊重されなくなったというようなことがある。
 それと同様に、一家が一台のテレビを取り囲んで生活するというその生活形態がもう変わっているわけです。むしろパーソナルな格好で、個人個人がそれぞれ一部屋持って、その一部屋でおのれの好きな時間におのれの好きな選択にのっとった番組を視聴する。
 そういう形になりますと、日本の住宅事情もありますけれども比較的受像機が小型化しできますね、必然的に。そうすると、ハイビジョンというのは十四インチや十インチでは意味をなさないわけです。やっぱりある程度の画面の広さがあって、そこに繊細にあらわれる映像の陰影を楽しむように、あるいは見るようにできております。ですから、たとえハイビジョンが非常に安くなっても、今の生活形態から考えますと、各家庭のそれぞれ六畳なり四畳半なりに住んでいる方が三十インチのそれこそハイビジョンを見るという状況は、私の考えではこれはありません。それほど映像に差がありません、少なくとも小さくなればなるほど。
 確かに、空港のロビーだとかそういうところで大勢の方がごらんになるようなテレビとして見るんならハイビジョンは大変結構ですし、またフィルムに起こしたり、あるいは印刷用に使ったり、あるいはコンピューターと接続して細かい映像の解析をしたりするということには無限の可能性があるでしょう。そういう意味からすればこの研究は続けていかなきゃいけないと思いますけれども、しかし家庭用のテレビとして普及させるということはどだい私は無理だと思いますし、白黒が一挙にカラーになったごとく劇的に変化はしないと思いますね、十年やそこらじゃ。そういう必然性を持っていると思うんですよ、テレビがそれぞれパーソナル化していくから。
 それともう一つは、見る側の目の性能ですね、大変失礼ですけれども、会長、御自分の視力がどのぐらいおありになるか御存じですか、お伺いします。
#257
○参考人(川口幹夫君) 最近ははかったことがありませんけれども、私は大体一・〇ぐらいでございます。
#258
○青島幸男君 それは大変よく見えて結構ですね。皆さん方に一々お尋ねするのもなんですから私から申しますと、車の運転免許の場合、大体〇・七以上見えれば眼鏡を使用しなくとも免許をくれて運転していいことになっています。日本人というのは、どうもアメリカあたりで見ると、戯画化すると、カメラを抱えていて出っ歯で眼鏡をかけているということになっていますけれども、眼鏡をかけている方も大勢おいでになります。眼鏡を調製なさる方も、例えば〇・一とか〇・三の方でも一挙に一・〇とか一・二に調製はなさらないん
ですね。見え過ぎて不自由なのか知りませんけれども、大体〇・七か八見えればいいと。それから〇・六ぐらいの方は、日常眼鏡がうっとうしいから、むしろ眼鏡をかけないで過ごす方が多いと、こういうことですね。
 そうすると、日本人の視力の程度というのは〇・七が大体平均的な数値ではないか。これはもうそれぞれの方がそれぞれ個性をお持ちになっていらっしゃるわけですから、一々平均的にと申すのはちょっと極論かもしれませんけれどもね。しかし、見る側が〇・七なんですよね。〇・七の視力ということは、大体三メーター離れて八ミリの輪のどこが切れているか判別できないという精度なんですよね、目自体の精度が。それは本当に近くで見る方もおいでになりますよね。テレビの画面に鼻をつけるようにして、おまえのうちのテレビはにおいも出るのかというぐらいきっちりごらんになる方もおいでになりますけれども、やっぱりかなり離れて見ますよね。少し大きくなれば特にそうですけれども。
 そうすると、〇・七という視力の限度は三メーター離れて大体八ミリぐらいの片仮名がもう判読できないという能力です。ですから、相当に受像機がよくても、判断する方の人間の目がそれほど精度が高くないわけですから意味をなさないわけですね。特に、家庭でそれぞれの方が今お使いになっていらっしゃる型というのは、私がるる説明を申し上げましたような家庭生活の変化から、大体十四から十六ぐらいを御家庭でそれぞれパーソナルとしてお持ちになっていらっしゃる。これが大体八〇%から九〇%占めているでしょうね。
 そうなると、その方々が一挙に何千万円台というオーダーで、ハイビジョンが幾ら安くなってもそこに乗りかえるということは考えられないですね。ということは、ハイビジョン自体の意味合いが一四インチぐらいのテレビじゃ意味がないわけです。各家庭の部屋をみんな八畳にして三〇インチぐらいのテレビが見られるようになればそれは意味があると思いますが、現実的にはとても不可能なことですね。ですから、ハイビジョンというのは工学的にあるいは電子工学的に見ればとても可能性の大きなものではあるけれども、家庭でそれぞれの方々がそれぞれの部屋でそれぞれ随時にごらんになって情報を得たりエンジョイメントを楽しんだりなさるについては、ハイビジョンは家庭的には普及しないんじゃないか。ですから、従来白黒がカラーに変わったごとくに劇的に変化し劇的に普及するんだというような前提でお考えになるととんでもない間違いを犯すと私は思います。
 ですから、再三先ほどからの質問で会長がお答えになっているのは、どの程度に普及するか、あるいはどの程度受信者の要望があるか、あるいはどの程度のハードが完成されて普及型ができるのかということでちゅうちょしてお答えになっていらっしゃいました。それはやっぱり、そういう不安もお持ちになっていますし、これからどうなるのかなという明確な指針といいますか絵がかけなかったために、そういう不安がそういうお答えになってあらわれていると思いますね。ですから、その方向を前に置いて、そこを視点にして事を運ぶというと大きな間違いを犯すような気がします。ハイビジョンはいけないと申しているわけじゃないんですけれども、研究は大いにしていただきたいんです。そういう家庭用の少なくともパーソナルなテレビとして普及するということは余りお考えにならない方がいいんじゃないか。
 それからBSの問題なんです。衛星放送ができたときは、これは難視聴解消のことからいってもすばらしい効果のあることだと思いますし、大変な発明です。私も心から驚いているんですけれども、これにしても、今のWOWOWの経営がよくないというのが如実にそれを物語っていると思いますけれども、幾らきれいな音ときれいな映像を流しても、双方向通信でない限りはお仕着せで向こうから来る絵を受けるしかないんですよね。そうすると、受信者にとっては余り魅力があるものじゃないんですよ。
 というのは、WOWOWも一生懸命考えながらいろんなおもしろい番組の映画を流してくれますけれども、しかし、大体普通都会で生活していれば六波とか八波は見られるわけでしょう。そのほかNHKさんの衛星もあるわけです。人間一日だれしも二十四時間しかありませんし、そのうち大体八時間は寝るでしょう。そのうち生活に使う時間が何時間もあれば、テレビを見て過ごす時間というのはおのずと決まっていますね。その中でニュースも見なきゃならない、人の話にもおくれちゃならないということになると、ある程度決まったものを見たらそれでもう精いっぱい。ある種特別のものを見たいという方は、それはお仕着せのBSで見ませんよ。
 というのは、ビデオのレンタルショップがありますから、そこへ行けばWOWOWで選別して流してくれる映像が一晩三百円で借りられるわけですよ。それは夜中であろうと朝であろうと随時自分の好きな時間に見られるということになりますと、どんなにきれいな映像、きれいな音で、どんなにいい条件で流してくれても、お仕着せで流してくれる。そのために自分のスケジュールを合わせて見なきゃならないという人は、痛痒を感じてなかなかなじんでいきませんね。
 ですから、そういう格好でBSを普及させていこうというようなこと、あるいは普及していくであろうというような想定のもとに事を運んでいくと、これまたWOWOWの二の舞になるんじゃないかと思うんです。NHKさんだからこそ今一波を持っていて、これNHKの受信料の中でやりくりしていますから何とかもっています。新たに別料金もいただいていますけれども、今のNHKのシステムだからできるのであって、再三一波減らしてもいいんじゃないかというお話が出ていましたけれども、BSの先の視点をそういうところへ置いて、それを追いかけるととんでもない間違いを起こすことになるんじゃないか。
 ですから、テレビはきちっといつでも正確な報道と、それから望むものが常に見られる、そういう信頼性、いつもスイッチを入れれば普通の映像が流れるということが最大にして最善の結論ではないか。
 一時プッシュホンというのが普及したときに、これはスピードが上がるほかに、新幹線の予約ができるとかあるいはコンピューターに接続して計算ができるなんて大変な宣伝をしました。それはおもしろいなと思ったけれども、実際にあれでコンピューターにつないで何か計算している人というのはよほどの専門家ですね。私は当委員会でも申し上げたんですけれども、電話は確実にきちっといつでも話が通じればいいんだ、それ以上のものでも以下のものでもないんじゃないか、それを求めるのは無理だ、ほかのことでやればいいんだということを申し上げたことがあるんですけれども、NHKが今まで培ってきた信頼というのは私はそこにあるのだと思います。
 ですから、ハイビジョンというものが、すばらしければ何でも追っかければいいのかということじゃなくて、そういう方向で事を追うんじゃなくて、これからの視聴者対象というものをよく考えて、どういう形で受信者がテレビと対応していくんだとか、車の中にもある、それぞれの部屋にもあるというような格好でいくんだったら、やっぱりハイビジョンはその意味では何の役にも立たないということを考えます。
 相手が人間のことですから、受信者の対応の仕方も生活様式もそれぞれさまざまに変化していくかもわかりませんし、二十一世紀に向かうに当たってそれこそ生活様式がかなり変わってくる可能性もあります。例えば宅急便、宅配便みたいなもの一つにしても、田舎のおふくろから小さな小包みが送られてきたという歌がありますけれども、たまに田舎からそういうことがあるのが我々の常識的な世界でしたけれども、今は年中無休、盆暮れなしですね。そう言っちゃなんですけれども、年寄りなんかは要りもしないものをやったりとったりしてかなりむだが多いんじゃないかと思うんです。
 郵政省もそうですけれども、荷物が手軽にやったりとったりできるという状況から、通信販売というものとかあるいは地方の産物も手軽に、安直に手が届くということになって、買いだめのありようとかあるいは生活様式まで変わってきていますね。ですから、これから個人個人の生活様式がそれぞれ違った形で幸せを求めるという方向でバリエーションが大きくなりますと、従来ある視聴者ニーズというものを完全無欠、変化のないものだというような上にのっとって事を進めると間違いが起こるんじゃないかということで、何も質問しませんで要望だけ申し上げて大変恐縮でございますが、今までも御研さんあって重々お考えいただいていたと思うんですけれども、そのことについてお考えがありましたらお聞かせいただきたいと思います。
#259
○参考人(川口幹夫君) ただいまは大変現実的な厳しい御批判をいただきましてありがとうございました。私もそういうことはもう十分考えました。ただ、私はやっぱり放送屋でありますから放送屋としてのちょっと夢を語らせていただきたい。
 一つは、ハイビジョンというものがもたらす一つの世界というものを私なりに想像をしているということがございます。例えば学校教育の場で、これはハイビジョンの学校教育というのが出てきたときのことを考えますとまるで胸が躍るような気がするわけです。それは相当に効果があります。現にこれは去年の和歌山の大会でもって実証されていますけれども、ハイビジョンの児童教育に対する影響というのは相当強いものがございます。
 それからもう一つは、家庭内に持ち込まれても、これからは機械が非常に進歩しますから、今までの三十六インチでありましても奥行きがうんと狭くなります。それからお値段の方も大体五十万程度ぐらいまでは下がるだろうという見通しが一つございます。そうなれば、先ほど青島先生おっしゃった、一家団らんの場に昔はテレビがあった、今はもうない、これからもないだろう。そうだろうか。もう一遍ハイビジョンで一家の団らんが取り戻せる、あるいはそこで何かの会話が生まれてくるという状況はないだろうか。そういうふうなことも期待できるんじゃないか。それほどの効果をハイビジョンは持っていると。現に壁かけテレビの実験等を見てみますと、これはこれまでの我々の常識では考えられなかったことが進行するなという感じを持ったわけです。それならば、それを放送屋の夢として実現することはできないだろうか。
 ただ、おっしゃるように、お金がべらぼうにかかったんじゃこれはやっていけません。そのために我々が一つの波を持って、それをいわゆるメディアの拡大みたいな形にやったんじゃだめだ思います。ですから、まず一つは、移行波という考え方を出したのもいろんな意味でお金をかけない移行の形ができないかということでございます。それともう一つは、そこまでやって、じゃハイビジョンをつくるのにまたお金もかかるんじゃないか、人手もかかるんじゃないか、こういうふうなことがすぐ出てまいります。これは現在の機器の進歩によりまして、あるいは制作方法の進歩によりまして現在の五二五でやっているのとほとんど変わりません。大体一・四倍ぐらいが現在がかっているコストでございます。
 ですから、そういうことからいいますと、ハイビジョンの実用化そのものについて余り大きな困難性はなくなってきた。それに基づいて、先ほど私が申し上げました一つの放送屋の夢というものを実現していく過程がこれからの進行方向じゃなかろうか。ですから、その段階で今先生おっしゃったような現実的な厳しい状況というのも十分に取り入れながら、誤りなきを期して実行していきたいと思っておりますので、今後ともまたよろしく御指導を賜りたいと思います。
#260
○青島幸男君 終わります。
#261
○委員長(野別隆俊君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#262
○委員長(野別隆俊君) 御異議ないと認めます。
 それでは、これより討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。――別に御発言もないようですから、これより採決に入ります。
 放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件について採決を行います。
 本件を承認することに賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#263
○委員長(野別隆俊君) 全会一致と認めます。よって、本件は全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。
 及川一夫君から発言を求められておりますので、これを許します。及川君。
#264
○及川一夫君 私は、ただいま承認すべきものと決定いたしました放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件に対し、自由民主党、日本社会党・護憲民主連合、公明党・国民会議、民社党・スポーツ・国民連合及び民主改革連合の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。
 案文を朗読いたします。
    放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件に対する附帯決議(案)
  政府並びに日本放送協会は、次の各項の実施に努めるべきである。
 一、放送の不偏不党と表現の自由の確保に一層努めること。
 一、協会は、放送の社会的影響の重大性を再認識し、真実かつ公正な報道に徹し、自ら放送倫理の確立を図り、公共放送に対する国民の要望を反映しつつ信頼の確保・向上に努めること。
 一、協会の最高意思決定機関である経営委員会については、従来の経緯にかんがみ、幅広く国民の意見をより反映できるよう、また、その機能が十分発揮されるよう特段に配意すること。
 一、協会は、放送環境の変化に対応した経営方、針を確立し、公共放送としてふさわしい業務運営を適正かつ効率的に推進するとともに、職員の処遇についても配意すること。 一、協会は、その経営が受信料を基盤としていることにかんがみ、経営内容を積極的に開示して受信料制度の理解の促進を図り、衛星契約を含む受信契約の締結と受信料の収納に努め、負担の公平を期すこと。
 一、衛星放送については、BS―4の円滑な調達等衛星放送の継続的・安定的な実施に万全を期すとともに、難視聴解消のために必要な放送を確保しつつ、衛星放送の特質を生かした放送番組を充実・向上させるほか、ハイビジョンの実用化の促進を図ること。
 一、国際放送については、果たすべき役割の増大にかんがみ、放送番組の充実、受信の改善及び交付金の確保に努め、映像メディアによる国際交流を推進すること。
 一、協会は、地域に密着した放送サービスの提供と地域から全国への情報発信を拡充し、地域文化の向上に資すること。
 一、放送番組は、社会的、文化的に貴重な国民的財産であるため、その収集・保存・公開の充実・強化を図ること。
 右決議する。
 以上でございます。
 何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。
#265
○委員長(野別隆俊君) ただいま及川一夫君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#266
○委員長(野別隆俊君) 全会一致と認めます。よって、及川一夫君提出の本附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたし
ました。
 ただいまの決議に対し、小泉郵政大臣及び川日本放送協会会長から発言を求められておりますので、順次これを許します。小泉郵政大臣。
#267
○国務大臣(小泉純一郎君) ただいま日本放送協会平成五年度収支予算等につきましては、慎重なる御審議の上御承認いただき、厚く御礼を申し上げます。
 本委員会の御審議を通じて賜りました貴重な御意見並びにただいまの附帯決議につきましては、今後の放送行政を進めるに当たり御趣旨を十分に尊重してまいりたいと存じます。
 ありがとうございました。
#268
○委員長(野別隆俊君) 川日本放送協会会長。
#269
○参考人(川口幹夫君) 日本放送協会平成五年度収支予算、事業計画及び資金計画につきまして、ただいま御承認を賜りまして厚く御礼申し上げます。
 本予算を執行するに当たりましては、御審議の過程で種々御開陳いただきました御意見並びに郵政大臣意見書の御趣旨を十分生かしてまいりたいと考えております。
 また、ただいまの附帯決議につきましては、協会経営の根幹をなすものでございますので、これを外しまして執行の万全を期したいと考えている次第でございます。
 まことにありがとうございました。
#270
○委員長(野別隆俊君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#271
○委員長(野別隆俊君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後五時七分散会
ソース: 国立国会図書館
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