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1993/03/25 第126回国会 参議院 参議院会議録情報 第126回国会 農林水産委員会 第2号
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1993/03/25 第126回国会 参議院

参議院会議録情報 第126回国会 農林水産委員会 第2号

#1
第126回国会 農林水産委員会 第2号
平成五年三月二十五日(木曜日)
   午前十時一分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 二月二十六日
    辞任       補欠選任
     永田 良雄君     上杉 光弘君
 三月一日
    辞任       補欠選任
     上杉 光弘君     永田 良雄君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         吉川 芳男君
    理 事
                浦田  勝君
                永田 良雄君
                菅野 久光君
                三上 隆雄君
                林  紀子君
    委 員
                青木 幹雄君
                大塚清次郎君
                鎌田 要人君
                佐藤 静雄君
                野間  赳君
                一井 淳治君
                稲村 稔夫君
                谷本  巍君
                風間  昶君
                矢原 秀男君
                星川 保松君
                新間 正次君
   政府委員
       農林水産政務次
       官        須藤良太郎君
       農林水産大臣官
       房長       上野 博史君
       農林水産大臣官  日出 英輔君
       房総務審議官
       農林水産省経済  眞鍋 武紀君
       局長
       農林水産技術会
       議事務局長    貝沼 圭二君
       食糧庁次長    永田 秀治君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        片岡  光君
   説明員 
       厚生省生活衛生
       局食品保険課長  織田  肇君
       厚生省生活衛生
       局乳肉衛生課長  伊藤蓮太郎君
       厚生省児童家庭
       局企画課長    宮島  彰君
       農林水産大臣官
       房審議官     中須 勇雄君
       農林水産省経済
       局統計情報部長  嶌田 道夫君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○理事補欠選任の件
○農林水産政策に関する調査
 (畜産物等の価格安定等に関する件)
 (畜産物価格及び繭糸価格に関する決議の件)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(吉川芳男君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。
 まず、理事の補欠選任についてお諮りいたします。
 委員の異動に伴い現在理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。
 理事の選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○委員長(吉川芳男君) 御異議ないと認めます。
 それでは、理事に永田良雄君を指名いたします。
    ―――――――――――――
#4
○委員長(吉川芳男君) 次に、農林水産政策に関する調査のうち、畜産物等の価格安定等に関する件を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#5
○一井淳治君 去年の六月、「新しい食料・農業・農村政策の方向」を農水省はまとめられました。その中で酪農についての記述が非常に少ないわけで、これを読んだだけではよくわからないわけでございますけれども、この新政策の中で畜産や酪農に関する方向は今後どのように展開されていくのか、畜産、酪農に関する基本政策というものをはっきりと打ち出していただきたいと思いますけれども、まずそのあたりから質問をしたいと思います。
#6
○政府委員(須藤良太郎君) どうぞきょうはよろしくお願いいたします。
 一井先生の御質問は新農政と畜産の問題でございまして、これは畜産の農政における重要性からいたしまして当然の御指摘と思うわけでございます。御案内のように、我が国の畜産は牛乳・乳製品、また食肉等の良質なたんぱく食品の安定供給、農村地域の活性化等を図る上で今後とも大きな役割を果たすことが期待されておりまして、その振興を図っていくことが極めて重要と考えております。
 新農政におきましても、酪農及び肉用牛生産につきましては、生産性向上と経営の体質強化とあわせまして、ゆとりある酪農経営の実現、肉用牛資源の拡大、そして環境問題への適切な対応が必要であると指摘されております。こうした課題に対しまして、今農政審議会でも議論を始めたわけでございまして、ぜひこの議論を踏まえまして、できるだけ早く望ましい経営の展望を示しながら必要な具体策をつくりたい、こういうふうに考えておるところでございます。
#7
○一井淳治君 今のお話を聞きますと、どうもまだ酪農についての新政策というものがないような感じにも受けとめられるわけでございますけれども、そうでもないんじゃなかろうか、ある程度はお考えを持っておられるんじゃなかろうかどいうふうに思いたいわけでございます。
 そこで、お聞きしたいんですけれども、いわゆる新政策を説明されております文章を見ますと、「その他の農業経営の展望」という項目の中に、「酪農及び肉用牛生産については、生産性向上と経営の体質強化と併せて、ゆとりある酪農経営の実現、肉用牛資源の拡大、環境問題への適切な対応が必要である。」と三行にわたって書かれておりますけれども、この生産性向上あるいは経営体質の強化という観点から、例えば規模拡大とかあるいは頭数をどの程度にふやしていくことが妥当であるとか、他の関係では土地の耕作面積の規模拡大を行ってコストを低減していくということがうたわれておるわけでございますけれども、酪農あるいは畜産の関係では規模拡大、頭数の拡大あるいは飼料作物などについて展開を考えておられるのかどうか、そのあたりのやや具体的なお話をお聞かせ願いたいと思います。
#8
○説明員(中須勇雄君) ただいま政務次官からお答え申し上げましたとおり、酪農及び肉用牛生産については望ましい経営の展望ということを、水稲を中心とした土地利用型作物に倣って方向を示して、それに向かってどういう道筋で政策を展開してそれを実現していくか、そういうことを明らかにしていくのが畜産に関しての新農政検討の方向だというふうに考えております。
 したがいまして、望ましい畜産経営、こういう展望をいたす際に、ただいまお話のございましたとおり、例えば酪農でございますればどの程度の飼養規模、それをまた支える草地、飼料基盤としてはどのくらいの面積、そういうことを前提にいたしまして、どのような生産方式なり技術のもとで主たる従事者の所得がどの程度になるか、あるいは労働時間がどのようになるか、こういうような姿を、すべての経営についてということではございません、ある種のモデルというのをつくりまして、それについて明らかにして、その上でそれをどうやれば実現できるか、施策の方向を明らかにしていく、こういうような作業に現在取りかかったところだと、こういう状況でございます。
#9
○一井淳治君 酪農の現状を見ますと、一頭当たりの収入が非常に少なくなってくるものですから、これは農水省の低乳価政策にも直接関係があると思いますけれども、頭数をふやす以外に収益を上げる方法がないというので頭数をふやしておりますけれども、それが結局労働強化、長時間労働につながって、酪農で働く人たちは朝から晩まで、休日もなし、正月もなしで本当にきりきり舞いをして働いておる。
 しかも、規模拡大によって相当の借金もふえて規模を縮小することもできないというふうな大変厳しい状況に置かれておるわけで、そういったところを脱していくためには乳価を上げていく以外に方法がないと痛感するわけでございますけれども、どうなんですか、頭数とかあるいは現在の酪農の方々の長時間労働の関係ですね、そのあたりについてはどのような考えをお持ちなんでしょうか。
#10
○説明員(中須勇雄君) 我が国の酪農経営につきましては、御承知のとおり非常に短い期間の中でかなりの規模に発展してまいりました。特に北海道等におきましては、よく言われるわけでございますが、飼養規模に関しましてはほぼEC水準まで達している、かなり短期間に急速な発展を遂げてきたわけでございます。
 しかしながら、その酪農経営の内容ということを見ますと、ただいま先生から御指摘ありましたとおり、特に最近の問題といたしましては、牛肉の自由化の影響等もございまして、副産物価格ということに評価されるわけでございますが、ぬれ子の価格が低落したという問題もございまして、農家の酪農経営の所得が対前年で減少する、そういう現象もあったわけでございます。それを取り返すためにいわば頭数を拡大して一生懸命搾る、そういう中では所得はある程度は取り返せるものの、御指摘のとおり労働時間が大変過重になっていく、こういうような問題も抱えているわけでございます。
 したがいまして、それはそれといたしまして、やはり将来の展望として後継者が酪農というものに魅力を感じて従事していく、そういう環境をつくっていくという意味からも所得水準なり労働時間の水準、そういうものについて望ましい展望というか、こういうものが五年後、十年後に望めるんであるというものを示して、それに至る政策の道筋を明らかにしていきたい、こういうふうに思っているわけでございます。
#11
○一井淳治君 余りまだお考えがないようですから、この段階でお聞きしても時間がむだになりそうでございますのでこれ以上質問はいたしませんが、しかし、酪農民にとりましては、あるいは畜産をやる農民にとりましては農政が非常に強い影響がありまして、農政の方向が決まらないと自分の経営をどうやっていくかも決めがたい状況ですから、できるだけ早く生産基盤強化の方向、中長期的な将来展望が見えるようなものをつくっていただきたいと要望して、次の質問に移らせていただきたいと思います。
 ことしの一月に農政審議会が「今後の中山間地域対策の方向」という中間的な取りまとめをなさいました。それに基づいてこの国会に活性化のための基盤整備の促進に関する法律案という、いわゆる中山間対策の基盤整備についての法律案も出されておりますけれども、中山間対策の中で畜産、酪農をどのように位置づけていくかということがこれまた農政の中で見えてこないわけでございます。非常に重要な問題だと思いますが、そのあたりのことはいかがなんでございましょうか。
#12
○説明員(中須勇雄君) 御指摘のとおり、中山間地域というのは、農業全般という目から見ましても農家数とか農業生産で全国の約四割を占める大変農業生産にとって重要な地域であると同時に、国土環境の保全とか水資源の涵養、さまざまな多様な役割を果たしているわけでございまして、その活性化を図ることは農林水産省として極めて重要だと考えているわけでございます。
 ところで、その中山間地域という問題の中で畜産ということを考えますと、これはまた御承知のとおり、中山間地域の農業生産の中での畜産というのはかなり大きなウエートを占めております。特に戦後における畜産、規模拡大を初めさまざまな発展を遂げていく中で一つの特徴としてかなりの立地移動ということがあるわけでございますが、その立地移動が進む中で中山間地域における畜産の生産額というのが着実に伸びている、こういうような状況にあるわけでございます。
 畜産の立場から見ますと、中山間地域に関しましては、やはり一番着目するのは豊かな草資源と申しましょうか、そういう中山間地域に賦存している資源を畜産的にどう生かしていくか、それを中山間地域の活性化と結びつけていくということが一番畜産の目から見て中山間地域問題といったときのポイントになるような気がいたしております。今後とも粗飼料の生産基盤の整備、そういうことを中心としつつ新しい法律も御審議を国会にお願いしております。そういう中で生産から加工、流通にわたる各般の施策の強化を含めて中山間地域における畜産の振興努力をしていきたい、こういうふうに思っております。
#13
○一井淳治君 まあ通り一遍といいますか、これまた具体的な内容のない答弁であったと思いますけれども、しかし、審議官も今言われましたように、中山間地域は非常に酪農、畜産の関係の重要な産業としても配置されている場所でありますし、また最近のように環境問題が大きな課題になってまいりますと、中山間地域へ酪農が今後また移動していくということも考えられる非常に重要な地域ではなかろうかと思うんですけれども、そういった中で、もう少し畜産や酪農の問題を組み込んで検討いただかないといけないと思います。
 非常に初歩的な質問ですけれども、中山間地域対策は構造改善局がおやりになる。酪農、畜産の関係は畜産局がおやりになる。そういったことで縦割り行政の弊害があるんじゃなかろうかという気もするわけで、やはりこの問題については畜産局と構造改善局が一緒に論議していただく等、早急にこの中山間対策の中に畜産問題を取り入れて農政の方向づけを決めていただきたいと思いますけれども、いかがでございましょうか。
#14
○説明員(中須勇雄君) 中山間地域問題に関しまして、今回の基盤整備の促進に関する法律案自体は構造改善局が主管ということで取りまとめをいただいておるわけでございますが、いわば構造改善局というのはそういう入れ物、制度をつくり、所管をする。しかし、実際にその制度を使って中身がどうなるかと、こういうことは具体的な個々の作目なり個々の経営というのがそこで展開されるわけでございますから、言うまでもなく私ども畜産というものがいわば入れ物を使ってどういうふうに畜産の発展を図る、同時にそれが中山間地域の振興につながっていくと、こういう形で利用させていただくというか、そういうふうに連携をとってやっていきたいと思っております。
 例えば、よく言われるわけでございますが、中山間地域では地域の活性化ということを図っていく、そういう場合に何か一つのシンボルになる、目玉になるようなものを中核にして地域の活性化を図る。そういう場合に畜産の分野というのは大変活用がしやすいと言うとおかしゅうございますが、例えば卑近な例で申しますと、乳用牛と言ってもいろいろな乳用牛がおります。日本では比較的少ない例えばジャージー牛というのを一定の地域で、中山間地域の酪農の主力飼養対象家畜にいたしまして、そういうものを売り物にして、もちろん農業生産、酪農生産というものを発展させていくと同時に、観光だとか都市との触れ合いだとか、そういうことを通じて中山間地域の活性化を図る。
 そういったことは、最近御承知のとおりいろんなブランド、例えば銘柄牛あるいは鶏なんかでも地鶏とかいろいろ上に名前をつけましたそういうものが多数出てきております。そういったものが中山間地域の活性化というような形でつながりながら、多様な畜産とそれぞれの地域の活性化ということでつながっていくなんというのも一つの形でございまして、そういった面では今度の法律案なんかも大いに活用できるのではないか、そんなふうにも思っているわけでございます。
#15
○一井淳治君 今回の中山間地域対策の法律案をおつくりになるに当たって、関係方面に説明するために「特定農山地域(中山間地域)における農林業等の活性化に向けて」という資料をおつくりになっています。この中で、これは二十一ページぐらいの細かい字でぎっしり資料が書いてあるわけですけれども、畜産、酪農について触れられておるのはミートバンク事業というんですか、肉を会員制の宅配事業にしていくとかいうことが二、三行書いてあるだけでして、それ以外は何にもないわけでありまして、やはり中山間対策というのは酪農をかなり重視していかないと立派な中山間対策事業にならないと思いますので、その点を御配慮いただきながら立派な政策をこれまた早急につくっていただくことを要望いたしたいと思います。
 次に、加工原料乳保証価格の算定の問題でございますけれども、生産費調査の関係でこれまでたびたび要望をしておりました家族労働の評価の問題、あるいは企画管理労働、生産管理費の問題等について、ことしから相当前進していただいたことはありがたく思っておりますけれども、しかし、家族労働についてもっともっと改善をしていただかなくちゃならないと思うわけでございます。
 今回の家族労働については、建設業、製造業、運輸・通信業の五ないし二十九大規模(管理労働者を含む)を基準にして、一時間当たりが千二百九十円ということをお聞きしているわけでございますけれども、ただこの一時間当たりの数字ではどうもどういった方をイメージしているのかということがわかりませんので、月収に直した場合は大体どれくらいになるのかということをまずお聞きしたいと思います。
#16
○説明員(嶌田道夫君) 今回の生産費の見直しにおきましては、今先生の方からお話しありましたように、家族労働評価を従前の農村雇用賃金から労働省が調査を行っております毎月勤労統計調査の製造業、建設業、運輸・通信業の賃金で評価する方法に変えているところでございます。加工原料乳地域でございます北海道の平成四年の労賃単価、今先生言われましたように、この新しい方式で計算しますと千二百九十円というふうになっておりまして、従前の農村雇用賃金で計算した労賃単価は千百五十円になりますので、今回の毎勤統計を使ったことによりまして一二%の上昇というふうになってきます。
 この毎勤統計調査によります一時間当たり千二百九十円という単価を、例えば仮に一日八時間労働、月に二十五日というようなそういう仮定を置いて計算いたしますと、一月当たり約二十六万程度になるんではないかというふうに考えております。
#17
○一井淳治君 今、農水省は新政策を挙げてやろうというお考えのようでございますけれども、新政策のポイントは他産業並みの賃金を確保するということにあるわけでございますけれども、生涯所得は二億から二億五千万に持っていかなくちゃならない、そして、賃金部分については労働省が統計を集めております賃金構造基本統計、全産業計でいくんだと。それでいって、地域によるけれども大体一億六千万から二億ぐらいの賃金収入を上げるんだということをお聞きしておりますが、それでいきますと平均月収で三十四万円ぐらい稼がないといけないという問題が一つございます。そうしますと、ただいま御説明のありました二十六万円に比べてどえらい差があるわけでして、新政策を実現しようと思えば家族労働の評価をもっともっと他産業並みに接近させてもらわなくちゃいけないという問題が第一点としてあると思います。
 それからもう一つは、他産業並みの賃金を確保するためには、他産業の場合は退職金がございまして、退職金が統計によると大体二千万弱ですね。農水省の方では一千万から二千万という御説明をされておりますけれども、実際には二千万に近いわけです。そういった退職金分も乳価に割り振っていかなくちゃいけないという課題があると思いますけれども、そのあたりについてのお考えはいかがでございましょうか。

#18
○説明員(中須勇雄君) 加工原料乳の保証乳価のお話かと思いますので私の方からお答えを申し上げたいと思いますが、加工原料乳の保証乳価につきましては、実は従来から統計情報部がただいま部長から御説明申し上げましたような形でもって生産費調査というものをおまとめになられる、その生産費調査を基礎データとして、物価を最新段階に修正するとか一定の作業をいたしまして乳価を計算する、こういうことをやってまいりました。その過程の中で、実は生産費調査の中の家族労働費のうちのいわゆる飼養管理労働、この部分に関しましては従来から統計情報部の方で計算に使っておられます労賃単価というものを乳価算定の際には評価がえをする、こういうことをいたしております。
 具体的にどういう評価がえをしておるかと申しますと、その地域におきます製造業五人以上の規模の労賃、これに評価がえをする、こういうことをやってきておるわけでございます。そういう水準で申しますと、五年度のお話についてはまだ申し上げる能力ないわけでございますが、昨年というか現在の四年度の保証乳価の算定の際でございますと、労働費としては時間当たり千五百七十九円、こういうような単価を用いて評価がえをしている、こんな状況にございます。
 それはそれといたしまして、先生御指摘になりましたとおり、いわゆる新農政プランと申しましょうか、酪農経営の将来展望ということを考える際には、昨年六月に示された基本方向の中にございますように、生涯賃金の水準で他産業というものと遜色のない水準、これを確保しなければならないわけでございますので、その点につきましては、おおむね十年後ということを目途に算定というか作業をしようと思っておりますけれども、十年後ぐらいに想定をされます技術の水準であるとか、あるいは設備や機械がどういうものが考えられるか。それと同時に、また自給飼料生産の面で言えばかなりの大規模化なりあるいは共同化とか、あるいは乳牛についても大変改良が進んでおりますが、それがどの程度まで進展するか。
 そういうような十年後の各諸元と申しましょうか、そういうものの上に立って経営の姿を描いて、その中でただいまお話のございました生涯所得であるとか、あるいはもう一つの大きな要素としての年間労働時間の問題がございます。これが新農政の基本方向で示されたようなものにうまく構成できるかどうか、そういう形で作業を進めていきたいというふうに思っているわけでございます。
#19
○一井淳治君 大変長い答弁をいただいたんですが、ポイントは、一つ言い忘れておられますが、退職金ですね。退職金を割り込んでいかなくちゃいけないんじゃないかという点が第一点ですね。
 それからもう一つは、これは衆議院の予算委員会での上野官房長の答弁だったと思いますが、単年度で八百万円と言っておりますね。これは年収だと思います。そういうものに近づけていくためには、現在のものではとてもいけない。ですから、これを上げてもらわなくちゃいけない。それから、退職金をある程度加味した賃金構成にしてもらわなくちゃいけない。その二点ですね。
 それについて、新農政を実行するんだったら、新農政なんかもう紙に書いただけで、あれはもうどっちでもいいというんなら別ですよ、本気で実行するんであったら、具体的にやるようにしないといけないと思うんです。そのためにどういうお考えでしょうか。
#20
○説明員(中須勇雄君) 御指摘のとおり、農業の場合には退職金という概念は現在のところないわけでございまして、そういうものを他の面でカバーするということを含めて生涯賃金で他産業と遜色のない水準と、こういうことで考えていかなければならないと思っております。
 同時に、先ほど申しましたように十年後にどういうような水準と申しましょうか、技術の進歩なりあるいは生産性の向上なり、どの程度考えられるのか、そういう全体像の中でそういう所得なり労働時間というものを考えていきたい、そういうように思っております。
#21
○一井淳治君 もう一つ考えてもらわなくちゃいけないのは、生涯所得は老後の年金も入っています。農業者年金は、同じゲートボールしておっても、厚生年金の人は随分多いけれども、農業者年金の人は非常に肩身が狭いような状況ですから、農業者年金が非常に少ない、それによって生涯所得がうんと下がってくるということもやっぱり考えてもらわないと、実際に他産業並みは確保できないわけですから、そういったことも考えて、ぜひとも思い切った、この点は。本当に思い切らないと新農政はどっかへいってしまうと思いますから、重大な決断をしていただきたいと思います。
 次に、これは各農民団体の方々あるいは多くの方々から繰り返し繰り返し要望されているわけでございますけれども、生産性の向上が毎年確実にあるわけです。これは本当に酪農民、畜産の方々の大変な努力の成果であると思います。ただ、これが乳価を低くすることによって持っていかれてしまうということでは非常に酪農民は生産意欲をなくしてしまって、将来頑張ろうという気力をなくしてしまいます。そういったことで、どうしても生産性向上分を還元して、そして今みたいに借金に追われるようなことでなくて、資本の蓄積ができるような、そういう農政にぜひともしていただきたい。
 そして、この際申し上げておきたいことは、酪農経営安定等緊急特別対策事業ということでいろいろ御配慮いただいておるわけですけれども、これについても継続拡充をお願いしたいわけでございます。これは要望として申し上げるわけでございますけれども、生産性向上の還元について御意見を賜りたいと思います。
#22
○説明員(中須勇雄君) 加工原料乳の保証乳価の関連のお話でございますが、平成五年度の加工原料乳の保証価格につきましては、言うまでもございませんが、法律の規定に従って、一定のルールに従って試算値を畜産振興審議会に示して、そこでの御審議を経た上で決定する、こういうことで今年度についても実施していきたい、こういうふうに思っているわけでございます。
 ただ、まことに申しわけございませんが、政府の試算値に関しましては調整が現在おくれておりまして、まだ畜産振興審議会に提出する用意が整っておりません。そういう意味で、明年度の乳価に関しては内容を含めて御説明する能力がないというか、御用意がなくてまことに恐縮でございます。
 ただ、基本的な問題として言えますのは、先ほども若干述べたところでございますけれども、これまで加工原料乳の保証乳価については、加工原料乳地域の「生乳の再生産を確保することを旨として」定めると、法律にそういう規定がございます。同時に、酪農経営の合理化の促進にも配慮をすると、こういうことになっているわけでございます。
 それに従いまして、直近の生産費調査結果に基づきまして、最新時点まで物価修正を行うということと、これも先ほど御説明いたしました飼養管理労働費については一定の評価がえを行うと、こういうことを通じまして適正にコストを積み上げて算定をすると、こういうことがこれまでの基本的なルールであったということでございます。
 なお、酪農経営安定等緊急特別対策事業ということに関しましては、これは昨年三月、今年度の保証乳価を設定する際に、ぬれ子等個体販売価格の急落ということが大変酪農経営にとって所得の急減という激変をもたらしている、こういうことから、平成四年度限りの臨時異例の措置ということでこの事業を設定したと、こういう経緯がございます。したがいまして、この事業そのものについてはその継続は大変困難であると、これはそういうふうに申し上げざるを得ない事情があるわけでございます。
#23
○一井淳治君 これもよく言われることでございますけれども、昭和六十年から考えますと、消費者物価は一三%上昇している、それに対して加工原料乳保証価格の方は約一五%ぐらい下がっている。それだけでも大変なことでありますけれども、特にことしの特徴といいますのは、これは農水省も生乳需給表をつくるについては責任があると思いますけれども、生乳需給表あるいは生産計画等々に従って、酪農民の方々はまじめに生乳をふやすために一生懸命努力してきた。そういう経過があるわけです。
 ところが、最近では急速に需給緩和が起こったと、そういう現象もあるわけですけれども、需給緩和を理由に保証価格とかあるいは限度数量を抑制されるようなことが起こった場合には、もう酪農民の方々は何を信用していいかわからぬというふうになってくるわけでございます。そういったことで、需給緩和ということが今あるわけですけれども、これを今年度の保証価格や限度数量を抑制する方向に使われたら困ると思いますけれども、そのあたりはいかがでしょうか。
#24
○説明員(中須勇雄君) 先ほどもお話し申し上げましたとおり、来年度の保証乳価、あるいはお話のございました限度数量の問題につきましては、現在政府部内におきまして、どのような形で畜産振興審議会に対する試算値というものを提示するか、なお調整中でございまして、ここで具体的にお答えする用意はないわけでございます。
 ただ、今需給の問題のお話が出たわけでございますが、需給につきましては、確かにここ数年基本的には牛乳・乳製品の需給は逼迫基調でございました。需要に対して必ずしも国内生産が十分追いつかない、もっとたくさん牛乳をつくろうではないか、こういうような時代でございました。ところが、昨年後半ぐらいからそこが大きく転換をいたしまして、現在客観的に見て、率直に申し上げて需給はかなり緩和基調であると、こういうふうに言わざるを得ないと思います。
 それにはさまざまの理由ということがあるわけでございますが、ただ、我々としては、基本的な政策運営というか方向といたしまして、需給の変動に応じて実は生産自体も生乳については計画生産を行っているわけでございまして、そういうものに適切に対応しながら、需給という問題を念頭に置きながら考えていかなければならない、一般論でございますが、その点についてはそう思っております。
#25
○一井淳治君 ただ、需給の一つの大きな柱といいますか、これは農水省が畜産振興審議会にお出しになる生乳需給表によるわけでございまして、平成四年度は相当大幅な輸入もせにゃいかぬ、そうしないと需給が追いつかぬと、そこまでやっているわけですね。これは農水省がおつくりになっているんで、それに従って酪農民の方々は一生懸命頑張ってこられたということがあるわけで、需給緩和したからということでこれを抑制方向に働かされたら、本当に農政に対する信頼は失われてしまうので、農政が今の生産拡大、今の状況をつくり出したわけですから、農水省の責任においてここのところは酪農民の人たちが希望を持てるように、乗り切っていけるようにしてもらわなくちゃいけないと思いますけれども、その点はいかがでしょうか。
#26
○説明員(中須勇雄君) お話の御趣旨自体は大変私自身もよくわかるわけでございますが、ただ他方、需給事情というのは現実の数字で見ますれば、平成四年度、これは昨年の四月からことしの一月までの中間的な数字ということになるわけでございますが、生乳生産自体は三・七%程度の増加、ところが、飲用牛乳の消費量というのが、昨年度もそうだったわけでございますが、ことしもトータルで見てプラスの〇・五%ということで、大変伸びが小さいというか横ばい状態でございます。したがいまして、ふえた生乳というものは必然的に乳製品の原料になるわけでございまして、乳製品の生産量は、昨年対比で申しますと一〇%弱ぐらいの増加と、こういうことになっているわけでございます。
 一方、ちょうど間が悪くというか運が悪くというか、景気後退等の影響もございまして、バター、特にミルク等はかなり大幅な需要の減退と、こういうことが今年度に入ってから出ておりまして、在庫も積み上がって大変厳しい需給状況にある、こういうことであります。
 私どもは、だからといって決して一挙に在庫増をすべて解消するかどうか、そういうことまでするかどうかというのは別でございますが、ただ、こういう状況にある以上、やはり基本的にはその年度で食べるもの以上の量をつくって、倉庫にそれ以上たくさんの量を積んでも仕方がないわけでございますので、生産者団体ともお話を申し上げまして、生産者団体自体の計画生産も大変厳しい数値を現在打ち出しております。できる限り需給の緩和基調の中でこれ以上の緩和というか需給の緩和がひどくならないように努力をしていきたい、こういうことであります。
#27
○一井淳治君 酪農民の方々も生産抑制をするということで大変な努力をしているわけですね。ですから、この自主的な努力に対してはぜひともこたえていただきたい。そして、価格面では、あるいは限度数量の面では農水省の方で消費拡大等を図りながら何とか酪農民の希望を失わせないように、ここのとこうは本当に頑張っていただきたいというふうにお願いしたいと思います。
 それから、牛乳・乳製品の需給緩和の関係でお尋ねいたしますが、バターの在庫が五カ月近くになっておる、あるいは脱脂粉乳が二・七カ月くらいになっているということが言われておるわけでございますけれども、在庫量について世間で言われているところは本当なんでしょうか、どうなんでしょうか。農水省としても在庫量を詳しく調べておられると思うんですが、正確な在庫はどうなんでしょうか。
#28
○説明員(中須勇雄君) 私どもといたしましては、ちょうど三月というのが、先ほどお話にございましたとおり明年度の限度数量決定の参考資料となる需給計画というものを審議会に御提出申し上げなければならない時期でもございますし、在庫量の正確な把握ということに努めているわけでございます。具体的には毎年一月末と二月末の二回にわたりまして乳業メーカー等を対象にいたしまして民間在庫量について悉皆調査を実施いたしまして、その調査をもとにして正確な推計を期する、こういうふうにやっているわけでございます。
#29
○一井淳治君 在庫はどれくらいになっていますか、正確には。
#30
○説明員(中須勇雄君) 本年一月現在の推定でございますが、バターが三万三千トン、脱脂粉乳が五万トン、こういう数字でございます。
#31
○一井淳治君 今回の需給緩和の原因ですけれども、一つにはメーカーの消費拡大の努力が十分でなかったという、これがやはり一つの原因であると思います。また、バブル経済の崩壊というようなこともあったと思いますけれども、農林水産省の見通しの誤りと、これは生乳需給表にも生産伸び率を一・九から三・五%としており、輸入も相当確保しなくちゃいけないという需給表をおつくりになったわけでございますけれども、農林水産省の見通しが甘かったということも率直にお認めにならざるを得ないと思うんですが、いかがでしょうか。
#32
○説明員(中須勇雄君) 今年度の需給につきましては、ただいま御指摘のとおり昨年の三月の加工原料乳の限度数量を決める際に、参考といたす形でもって生乳の需給計画、今年度一年間を見通した計画を立てまして、それと現在の状況ということで比べてみますと、先ほど一部御指摘のあったとおりでございますが、生産量については当初予測、私どもの予測の上限が三・五でございましたので、それが現在の途中経過でございますが三・七ということでわずかにふえたということでありまして、まあ上限ぎりぎりちょっとを超えたところということでございます。
 問題は、需要の見方、ここにおいて需給計画で見たものに比べてかなり需要の伸びが小さかった、あるいは部分的には落ちた、こういうことでございます。したがいまして、輸入量そのものにつきましては、当初の需給計画で要輸入量ということで出した中央値の数値より現実に実行された輸入は、季節的なショートを防ぐための脱脂粉乳の輸入が行われたわけでございますが、それ以外の部分については実行されないということで、計画から見れば計画で見込んだよりは輸入量は少なくなっている、こういうことがございますが、それにしても需要の見通しのギャップと申しましょうか、私どもが見込んだ需要よりも実際の需要が落ち込んでしまったというところで現在のような在庫増が起きている、こういうことだろうというふうに思っております。
#33
○一井淳治君 それで、私は一つ提案したいのは、在庫の動きをもう少し農林水産省が的確に確認するようにしていただきたいということでございます。といいますのは、一昨年のバターの輸入分が今残っておるのかどうか、これ私は調べておりませんからわかりませんけれども、しかし脱粉については去年の輸入分がことしちょっと残っているということは私はもう疑いないというふうに思うわけですけれども、緊急輸入をする場合には正確な在庫がつかめてないと余分の輸入をしてしまって、また需給緩和をつくり出してしまうということが今回の教訓であったと思います。
 農林水産省の方では、毎月の在庫をきちんと確保することや、あるいは特定乳製品を輸入する場合にはいろんな判断をされなくちゃいけませんが、判断資料となるいろんな係数、そういったものも残念ながらどうも把握しておられないと思うわけで、この際、毎月の在庫をきちんと把握するということを今後やっていただかないとまた余分なものを輸入してしまうということが起こると思いますが、その点いかがでございましょうか。
#34
○説明員(中須勇雄君) 先ほども御説明申し上げましたとおり、確かに悉皆調査によりまして民間在庫量を完全に把握するというのは、一年に二回と申しましょうか、この時期に一月末と二月末ということでやっておるわけでございますが、もちろんそれ以外のときの在庫の動向というものを把握するのはやはり先生御指摘のとおり大変重要だろうと思っております。
 したがいまして、悉皆調査というような形での完全な把握は不可能なわけでございますが、一応各月の月末の在庫量というものにつきましては主要なメーカーから聞き取り等を行いまして、これは非常に大ざっぱな内部での事務統計ということでございますのでお聞きいただきたいと思いますが、全体量の九割ぐらいをカバーする形での在庫量の調査というものも一応各月やっているわけでございます。
#35
○一井淳治君 もっと正確を期して、余分の輸入を防げるようにしていただきたいと思います。
 それから、昨年たしか九月に最後に脱粉を輸入されたのが一万一千トンと非常に量が多かった。これなんかもその辺の見積もりを誤ったために起こったんじゃないかと思いますので、これも教訓にしていただいて、今後需給緩和が起こらないように御配慮をお願いしたいというふうに思います。
 現実に大変余っておることは間違いないわけでございますから、今後、飲用乳等についてもそうですし、また乳製品についてもそうですが、需要拡大に真剣に取り組んでいただきたいと思うわけでございますけれども、いかがでございましょうか。
#36
○説明員(中須勇雄君) 御指摘のとおり、牛乳・乳製品につきましては需要拡大、これは国民の健康というか食生活の改善というか、そういう観点からも重要でございますし、酪農の健全な発展と申しましょうか安定的な消費の拡大という意味でも重要だということでこれまでもいろいろやってまいりました。
 特に、御承知のとおり飲用牛乳については、従来から学校給食におきます牛乳飲用の促進を図る、こういうことをメーンにしながらやっていると同時に、社団法人の全国牛乳普及協会というものがございますが、これが中心となって牛乳・乳製品に関する基礎的な知識の普及であるとか各種のフェアのようなイベントの開催であるとか、小中学校における牛乳の飲用促進は国としてそういう形でやっているわけでございますが、幼稚園その他の周辺部分での集団飲用の促進、そういうものをこういう協会が行うなど消費拡大対策を実施しているところでございます。
 特に、昨年後半からどうも需給というものがかなり緩和基調に移行するんではないか、基調が展開しつつある、こういう状況でございましたので、昨年十月から全国牛乳普及協会が中心になりまして、飲用牛乳とそれからバターを含めました家庭用乳製品を対象にいたしまして緊急に消費拡大対策を進める、こういうようなこともやってまいりました。今後とも引き続き、基本的にはやっぱり息の長い仕事として牛乳・乳製品の消費拡大ということに取り組んでいきたいと思っております。
#37
○一井淳治君 特に、バターは長期間保存すると品質の低下のおそれがあると考えられて、バターの在庫について非常に心配するわけでございますけれども、これが国内にある限りは大変なお荷物になるわけで、何か外国へ出す方法はないかということで知恵を絞っていただきたいと思います。
 現在我々の方は、ガットの関係では輸出補助金については反対しているわけですから、輸出補助金をつけてバターを輸出するということはとてもできないわけでございますけれども、しかしODAとかあるいは発展途上国の子供たちに対する援助とか、何らかの方法でバターを早急に海外へ出すこともぜひとも知恵を働かせていただきたい、そういう方向をぜひともお考え願いたいと思います。
 それからまた、牛肉の自由化によりまして、最近の状況を見ますと重大な状態になってきておるわけでございます。それに対して強力な対策が必要だと思いますけれども、一つは国境措置として何かできないかということでございます。一九八八年の日米交渉の結果、現在の体制が決まったわけですけれども、せめて緊急調整措置といいましょうか、最近は輸入量が前年度の三〇%ぐらいふえているんじゃなかろうかというふうにまで言われているんですけれども、残念ながらいわゆる緊急調整措置すら発動できないというふうな状況ですが、再交渉ということは不可能なんでしょうか。

#38
○説明員(中須勇雄君) ただいま御指摘ございましたとおり、昭和六十三年に牛肉の自由化ということを日米あるいは日豪間で合意いたしました際、緊急輸入調整措置、一種のセーフガードということであろうかと思いますが、一定の取り決めをしたわけでございます。ただ、基本的には前年対比二〇%増というのがメルクマールになっているわけでございますが、六十三年を基準にいたしまして二〇%というものを計算していくという関係で、年によって、例えば前年に比べて減って再び上がったとしても、ベースとなるところに比べてどうかと、こういうことになってしまうので、現在ではこれについて発動し得るというふうな状況にないのは御指摘のとおりでございます。
 確かに、御指摘のように状況が変わっているんだから再交渉と、こういうお話それ自体は内容としてわからないわけではございませんが、率直に申しまして、六十二年度から五年度までの六カ年にわたる牛肉の自由化に関する一連の措置を決めたのは六十三年の合意でございます。基本的には政府間の合意でございますし、その内容について再交渉を行うという性格のものではないというふうに考えております。
#39
○一井淳治君 今年度は、アメリカやオーストラリア等からの牛肉の輸入枠といいますか輸入予定といいますか、アメリカやオーストラリアからいえば輸出になりますが、どれくらいの輸入、どれくらいの肉が日本に入ってくる見通しなんでしょうか。
#40
○説明員(中須勇雄君) 平成三年度の牛肉自由化以降、それらの日本に対する輸出国、基本的には御指摘のとおりアメリカとオーストラリアでございますが、これらの国との間では我が国の牛肉の需給状況等の、あるいは相手国の生産状況等の政府間のベースでの情報交換のようなことはできる限り密にしたいということでやっておりますが、具体的に輸入量、輸出量をどうだこうだというふうな明確な形ではやっていないわけで、そこまでの議論はしていないわけでございます。基本的に自由な民間の貿易の中でおのずと結果として輸入数量が出てくる、これが現状でございます。
 ただ、御承知のとおり、現在は、平成三年度が関税が七〇%、ただいまが六〇%、そしてこの四月からは五〇%ということで段階的に三年間関税水準が下がるという時期でございます。その意味では、関税水準が下がればその分輸出国の価格が同じであればより安いものが入ってくるということでございますので、基本的な輸入量は対前年に比べて増加する傾向を持っている、こういうふうには考えております。
#41
○一井淳治君 新聞の記事ですけれども、一〇%ぐらいふえるんじゃなかろうかという記事もございました。そういったことになりますと現状からして非常に心配なわけでございます。
 そこで、一つには、九四年度以降はこの関税の率が決まっていないわけですけれども、これはどんなことがあっても五〇%を下げるようなことは決してないようにお願いしたいと思います。
 またもう一つは、牛が食べる飼料は大量に輸入しているわけですけれども、日本の酪農、畜産が衰えますと飼料の輸入が減るというふうなこともあるわけで、その他、二国間交渉の糸口がうまくつかめるとなれば何とか牛肉等の輸入についての二国間交渉の糸口をうまくつかんでやっていただきたい、できるだけの御努力をお願いしたいというふうに思うわけでございますけれども、いかがでしょうか。
#42
○説明員(中須勇雄君) 先ほども若干申し上げましたとおり、牛肉に限らず肉全般ということでございますが、アメリカあるいはオーストラリアとの間ではできる限り我々も政府間あるいは民間の方々を含めて接触を密にしている。基本的には私どもとしては、我が国の需給事情あるいは価格動向、こういうものを十分御説明申し上げまして、いわば相手方、輸出国側にとっても日本の市場の状況というのがわかって、それに応じた形で、無理のない形で向こうから輸出をしていただく、そういうことの理解を相手方に求めるという意味でのそういったお互いの情報交換、相互理解というふうなことは重要だろうと思っておりまして、そういう面での努力、いろいろな機会を通じまして今後とも努めていきたいと思います。
#43
○一井淳治君 時間が参りましたので、あと二点要望をさせていただきたいと思います。
 先ほど来申し上げましたように、肉用牛の繁殖の方も肥育の方もまさに大変深刻な状況になっております。特に、子牛の関係などを見ますと、中央の安定基金協会からの借入金が三十億円もたまっている。これは合理化目標価格を割ったために、各都道府県の安定基金協会が支出をしたために起こったわけでございますけれども、これを見てもまさに大変な状況でございますし、また私などの近辺におります畜産農家の方に話を聞きましても、最近では和牛についても並みより下のものについては売っても利益が出ない、素牛代と飼料代にほとんどとんとんかあるいは赤字になるような状況ということで非常に厳しい状況でございます。そういうことで、国内対策ですね、繁殖、肥育双方含めまして肉用牛対策について、特にこれまで畜産物の価格安定等に関する法律でいろいろと価格対策などをやってきたわけでございますけれども、どうも最近の基本的な経済状況が変わった中ではこういったものが十分に機能していないんじゃなかろうかという感じもいたしますので、どうか新しい肉用牛対策を打ち立てるというぐらいの気概を持って新しい畜産や酪農家の保護を考えていただきたいという点が第一点でございます。
 それから、第二点はここで改めて申し上げますけれども、ウルグアイ・ラウンド交渉が最近は余り進展はないわけでございますけれども、バターや脱脂粉乳などについて輸入制限措置を今後とも厳重に堅持していただきたいという二点を要望させていただきまして、質問を終わりたいと思います。
#44
○菅野久光君 きょう畜産審議会の酪農部会が開かれているわけですが、政府の方のあれはまだできてないですか。
#45
○説明員(中須勇雄君) 御指摘のとおり、本日十時半から畜産振興審議会の酪農部会を開催していただきまして、そこに政府の試算値を提示いたしまして御議論を願う、こういう予定にいたしておりましたが、その政府試算値に関しまして政府部内での調整がおくれておりまして、いまだ審議会に提出する用意が整っておりません。まことに申しわけないわけでございますが、そういう状況にあるということを御報告させていただきます。
#46
○菅野久光君 それじゃちょっとお聞きしますが、事務当局の案とそれから政党政治ですから与党の方とのいろいろすり合わせといいますか、それをつくるに当たってのいろんな論議がなされていることは私どもも承知をしておりますが、その際に出された農林水産省当局としての考え方、特に保証乳価の関係についてはどのような考え方で出されて、そしていろいろ与党との間でやられているのか、そこのところはいずれわかることですからはっきりしてください。
#47
○説明員(中須勇雄君) 私ども、保証乳価あるいは加工原料乳の限度数量に関しましても、ただいま御指摘のとおり、一つは財政当局との間の議論もございますし、与党との間の議論もございます。
 ただ、それはいわば政府案、政府試算値を収れんさせていく過程での話でございまして、お互いに案というものを出し合ってどうこうする、こういう性格のものではございません。したがいまして、現段階ではいわば集約された形での試算値というものの作成、それの調整がまだできていない、こういう状態だということでございます。
#48
○菅野久光君 調整ができていないことはわかっている。だけれども、畜産局でいろいろやっているわけでしょう。事前にあなたと私どもとで会って話をしたときにも、統計情報部の中間報告、これでもって乳価は下がるというようなことを言っているわけでしょう。だから、あなたたちの基本的な与党とのすり合わせの考え方、そのくらい出しなさいよ。
#49
○説明員(中須勇雄君) 御指摘のとおり、私どもの加工原料乳の保証価格と申しますのは、統計情報部で作業していただきました生産費調査の結果に基づいて、その生産費調査に一定のルールに従った修正、物価修正なり評価がえ、そういうことを加味しながら行う、こういうことでありまして、生産費調査の結果が出た段階でその基礎になる生産費調査のベースでどういうような、昨年用いた生産費調査と、四年度、今度の保証乳価の算定に使う生産費調査のベースでどういう水準になるのか、そういう議論はしたわけでございますが、保証乳価の水準そのものに関しましては具体的に数値を挙げてどうこうと、我々は具体的な数値でもってどうこうということは外との間ではしていないわけでございます。
 内部でそれはもちろんいろいろな可能性を含めて検討はいたしますが、外との間では具体的な数値を挙げての議論と、こういうことはそういう事柄の性格上できないし、やっていないわけでございます。
#50
○菅野久光君 やっていないとかなんとかと言っても、いろいろ新聞等で出ているわけだから、今のあなたの立場としては言えないと、そういうことではないかというふうに思うんですよ。だから、このことについてはこれ以上は言いませんけれども、与党の方たちもやっぱり政治家ですからいろいろ現地の状況、お話なども聞いて、ある意味では私どもと本当に同じ思いで共通して言われている部分も私はあるというふうに思うんですね。それで私は聞いたんですよ、与党とのすり合わせは当然だと。
 それで、きのうの夕刊に、「金属大手一斉回答」ということで、「電機三・六%鉄二・六五% 各業界二千五百円程度ダウン」と表に、そして二面に金属回答のこのことについての解説が載っておりまして、「危うい実質賃金維持 後続の交渉に影響必至」、その中で「九三年度の消費者物価は政府見通しで二・一%の上昇が見込まれる。雇用労働者にとって、実質賃金を維持するには、それに定期昇給相当分の二・〇%を加えた四・一%程度が、計算上は欠かせまい。」「四%弱の賃上げでは実質賃金の維持さえ危うく、生活向上は望めそうもない。」、こういうような解説が載っているんですよ。
 賃上げがこれだけあっても、それが中間報告でもあなた方が言っているのは、ことしの保証乳価は生産費調査でも下がるというようなことで乳価は下がる方向でというようなことが言われておりまして、それで農家の人たちは今でさえも大変なのにこれが下がるなんということになったら一体どういうことになるんだと、きょうもきのう、おとといから北海道の農民連盟の方たちが六十人、みんなそれぞれカンパをしながら、大変だ、本当に酪農を継続してやっていけるのかどうかということを含めて上京してそれぞれ関係のところに要請をしているわけです。
 私は今までも畜産価格の決定に当たって、酪農を崩壊から守らなきゃならぬと言ってきました。そして去年は酪農経営安定等緊急特別対策事業、いわゆるキロ二円、これがあったので農家の人たちも少し助かったというのが実態ですね。しかしこれも一年限りだ、先ほどの答弁のとおりですね。それで、もう毎年毎年こんなはらはらしながらやってはいけないというような思いをしている人たちが離農していくというような状況なんですよ。
 農業本来のあれからいくと、A、B、C、Dという皆さん方に今資料をお配りいたしましたが、これは北農中央会で調査をしたものです。そこの(三)のところを見られるとわかると思うんですが、経済階層区分別、もうどうにもこうにもならないD階層、そこのところを見てください。平成元年には一・五%であったものが平成四年度は一二・四%。A階層、最もいい階層が平成元年には六六・九%だったものが平成四年度では三三・九%、半分ですね。こういうような状況になっているんです。
 離農する人は、このC階層とかD階層というふうに非常に経営状態の悪い階層が離農していくということは、これはある意味ではわかるんですが、そうではなくて、もうA階層あるいはB階層、ここら辺のいわゆる中核農家というような状況のところの人たちが離農していく状況です。そのことで結果的にはD階層がふえていっているということに今の酪農の状況が端的に私はあらわれているというふうに思うんですが、こういったような酪農の状態を見て一体どのように考えられるか、その点をまず政務次官にお尋ねをいたしたいというふうに思います。
#51
○説明員(中須勇雄君) ちょっとその前に事務的にお答えを申し上げたいんでございますが、実は、今度ちょうどシーズンということでございまして、まさに先生がお示しになりましたデータ、北農中央会との間でも私どもも議論をいたしました。また、私どもは私どもで農家経済調査あるいは生産費調査等のデータもあるわけで、それをまたそちらの方にもお示しをして意見交換等を行ったわけでございますが、かなり率直に申しまして両方のデータ間の差が大きい。
 ただ、基本的に言えることは、御承知のとおり農家、特に北海道におきます酪農家の状況ということで言いますと、まあ本業と言うとおかしゅうございますが、生乳生産自体はここ数年順調に伸びていると。その順調というのもいろいろ背景があるわけでございますが、量的には順調に伸びていると。ただ、残念ながらその副産物価格でございます特にぬれ子が自由化前後、特に自由化前にある程度急上昇し、またその後それに輪をかけて大きな急落をしたということでもって、所得全体として見た場合その間で、特に平成二年、三年で下がった、こういう実態があるのは私どももそのとおりだと受けとめております。
 ただ、平成三年と四年と申しましょうか、その動向ももちろん昔の一番よかったピークのときというのに戻っているわけではございませんが、三年と四年を比べれば、所得面、収益面で見れば酪農経営はある程度の改善はしている、そこの水準は別でございますが、傾向についてはおおむねそれはそうだろうということであります。
 ただ、具体的にこういう百三十戸でございますか、この調査につきましてはどういうふうな形で選ばれた百三十戸の農家であるのか、この結果はこの結果として別に私ども厳粛に受けとめますけれども、どういうような代表性があるのかということを含めまして、意見交換はいたしましたが、一つの参考資料としていただいた、こういうことで、残念ながらそれ以上踏み込んだ御答弁はなかなかしがたい状況でございます。
#52
○政府委員(須藤良太郎君) 今、審議官が申し上げたとおりでございますけれども、こちらの方の情勢認識といたしましては、乳用牛の飼養戸数は小規模層を中心に減少しているのは確かでございまして、飼養頭数はそういうことで横ばいないし微増傾向で推移しておりますから、一戸当たりの頭数は着実に増大しているわけでございます。規模拡大の進展、一頭当たりの乳量の増加等によりまして生産性の向上自体は図られている、こういうふうに考えておるわけでございます。
 収益性は六十二年以降、乳用種雄子牛、いわゆるぬれ子の価格の上昇から高水準で推移しております。その後、平成二年から三年にかけましてぬれ予価格が低落したために下がったわけでありますけれども、最近は以前より改善されているところでございます。
 また、搾乳牛一頭当たりの労働時間は生産性の向上によって減少しておりますけれども、いわゆる搾乳牛の頭数がふえておりますから、そういう意味で労働時間は一戸当たり増加している状況にございます。そういう意味で、後継者の確保等のためにも時間の短縮が非常に大きい課題だと思いますし、また環境問題もいろいろ出てきている、こういうふうに認識しておるところでございます。
#53
○菅野久光君 今の酪農の状況を先ほど審議官もいろいろ言っておりましたが、一戸当たりの飼養頭数がふえたというのは、ふやしたくてふえたんじゃないんですよ。これは構造的に、特に本州の方の酪農家の離農が非常に多いわけですね。それによって従来北海道から初妊牛を入れていた、それが売れなくなってきたんですよ。やむなく自分のところに置いて、自分のところに置いておけば月が満ちれば子が産まれるわけですから、子が産まれたら探らないわけにいかないわけですよ。それを規模が拡大したとか頭数がふえた、乳量がふえたというのもそういう関係なんですよ。そこのところを間違ってもらったら困るんです。ただ数だけ見てやっている。
 そうじゃないですね。経営の実態というのはそういうところにあって、しかも頭数がふえたらそのまま北海道で冬に牛を野ざらしにしておくわけにいかないということになれば、やっぱり畜舎も必要だと。しかし、今の状況としては畜舎をつくるだけの投資をする余裕がないといいますか、投資をしても将来の見通しかないというのが今の酪農家の実態なんですよ。
 それで、十六日に北海道の酪農協会で、酪農危機突破決起集会なんというのはよくあるんですが、異常事態突破道酪農民総決起大会というのを開いている。異常事態なんですよ。それはけさの朝日の五面に「農の行方」ということで出ておりますが、自由化後の全国酪農経営意向調査の中で「五年以内にやめる」という人が一五・八%、「わからない」と答えた人が四一・八%、この中には「中止の意向を持つ酪農家が含まれる可能性が強く、一五・八%という中止意向農家の数字は控えめな値と読むべきだ」というようなことが書かれておりますね。こういうようなのが今の実態です。
 そこで、新農政とのかかわりでゆとりあるとかいろいろバラ色のような言葉で書かれておりますが、ことしは新農政にかかわって新農政元年というようなことが言われておりますが、「新政策元年に向けて牛舎からのメッセージ なぜ価格の中期的安定化と所得政策の実現を求めるのか」という、これは皆さん方のところにも行っていますね。
#54
○説明員(中須勇雄君) はい。
#55
○菅野久光君 こういうような実際に酪農経営をされている方々の意見をまとめて、「酪農家の先が見えない経営に対する不安」、それは、「乳価の低下と所得の低下に対する不安」、「乳製品自由化問題に対する不安」、「長期需給見通しが不明確で、安定生産や投資に対する不安」、「牛肉輸入関税引下げに伴う個体価格下落に対する不安」、「自給率の低下等確固たる政策不在に対する不安」、そういうものが「酪農家の先が見えない経営に対する不安」の項目として出されているんですね。こういうことにしっかり対応していかなきゃならない、それが行政当局の私は責任だというふうに思うんです。
 そこで、酪農にとって一番基本になるのはやっぱり原料乳保証価格の問題ですね。かつて畜産価格をやるときにぬれ子の価格が非常に高かった、十五万とか十六万といった時代がありましたですね。その時代に事務当局は何と言ったかですよ。副産物の価格が非常に高くなって、それがいい、だから乳価引き下げの大きな要因としてそれを使ったんですよ。ところが、今は三万とか四万とか、あるいは地域によっては引き取りがなくて、逆に三千とか五千とかというお金をつけて引き取ってもらうというようなところもあるという話を聞いておりますよ。
 これだけ下がって、例えば従来の酪農家の収入の比率というのは、乳代が大体七〇%、そして副産物価格が三〇%、七対三ぐらいだったんですね。今はこれだけ下がって乳代と副産物との関係は九対一ぐらいになっているというんですね。そういう中で副産物がこれだけ下がってきたから、結局これは大きな上げ要素にならなければならないわけでしょう。それが思うように上がっていかない、乳価は据え置きだというんです。どうしてそういうことになるんでしょうか。
#56
○説明員(中須勇雄君) ただいま先生御指摘のとおり、副産物でございますぬれ予価格は保証基準価格を算定する際に当たりましてそのコストの要因の一つということになるわけでございますから、ぬれ予価格の変動というものは保証価格の上下動の要因になっているわけでございます。
 したがいまして、例えば昨年というか現在の乳価におきましては、ぬれ予価格というのを一頭当たりで換算いたしますと、ぬれ子一頭当たり四万八千円という水準で織り込んで現在の乳価というのを算定している。四年度の乳価というのは算定の際はそういう数値を用いている。これが今回乳価を算定する際に、最近の数値を使いましてそのぬれ予価格がこの四万八千円より下がっているということであれば、そこはその新しい数値をそこに入れて保証・乳価を算定する、これが基本的なルールでございますので、私どもは来年度の乳価算定に当たりましてもそういう考えでやっていく、こういうふうに考えております。
#57
○菅野久光君 四万八千円なんて、今そんな価格なんかしていないですよ。まあ、現在の価格をと言うからいいんですけれども、どうも私どもにすれば実態とかけ離れた要素でやっているんじゃないかというふうに思わざるを得ないんですよ。乳価を下げるために何かそういう数値を使っているんではないかと。いや、そんなことはありませんとあなたたちは言うことはわかっていますよ。それから、統計情報部もちゃんと決まりに基づいてやっていますと言うのはわかるんだけれども、実際、酪農家の人たちにしてみれば自分たちのそういう実感と違うようなことで決められているのではないか、私も決めているんではないかというふうに思うんですが、そういうふうに思わざるを得ないんですよ。
 そこで、先ほどちょっと話が出ましたけれども、労働費の評価の問題もそうですね。労働省の毎月勤労統計調査、いわゆる毎勤調査と言われているその調査産業計の一時間当たりの平均賃金を用いるということになって、飼料作物労働費というのと飼育労働費と別々になっているんですね。同じ人間が作業していてどうしてこんなに別々なものを用いなきゃならぬのか。例えば、審議官がここで答弁している時間の賃金と役所へ戻って作業しているときの賃金と違うなんということが、考えれば同じ人間ですよ、考えられますか。
 これだって、やっぱり同じ人間がやっているんですから同じ賃金を用いるべきではないかというのが、これはだれが考えてみても私はそうだと思うんですが、この仕事をやっているときには一時間当たり幾ら、この仕事をやっているときには一時間当たり幾らと、そんなやり方というのは私はないんじゃないか。これはもう前々から言っていることなんですが、どうしてここのところはちゃんと直らないんですか。
#58
○説明員(中須勇雄君) ただいまもお話しございましたとおり、かねてからのいろいろな乳価をめぐる議論の中の一つの争点というか、そういうお話でございます。
 生産費調査そのものにおきましては、飼育管理労働であろうと自給飼料生産労働であろうと、一定の決まりに基づいた同一の労賃でもってそこは計算をされている。そのデータを受け取った私どもが、飼育管理労働というものは、その労働がとにかく家畜が相手だ、乳を搾るということが入っているという意味におきまして年間全く休むことができない拘束的な労働だと。
 これは他の労働、もちろん他の労働と言ってもほかにも周年拘束的な労働はあるかもしれませんが、いわゆる農作業一般というものと区別されてより高度の労働というか、そういう特殊性を持っているということで、その部分について先ほどお話しございましたとおり毎月勤労統計等のデータを使いまして、主要加工原料乳地域における製造業五人以上規模労賃、これは具体的により高い労賃ということになるわけでございますが、それで評価がえをしているということでございまして、私どもは私どもなりにその労働の性格に着目してより高い評価がえをしている、こういうふうに思っているわけでございます。
#59
○菅野久光君 北海道の北見という地区があります。支庁ということで言えば網走支庁なんですが北見地区と言っております。そこの農民連盟の事務局の人がどうも安過ぎるんじゃないかということでいろいろ勉強された資料を私のところに送ってきました。
 平成三年のものをやられているんですが、一戸当たりの通年換算の搾乳牛の頭数が三十九頭、三・五%換算の搾乳量が七千二百七十七キロ、それで生産量は二百八十二トン八百三キロ。就業者は二・七人、専従一人当たり労働時間二千八百二十七時間、家族総労働時間は七千六百三十二時間である。
 そうすると、今、全産業の五人以上の規模の平均労賃は二千百三十四円五十銭ですね。これをそのまま使うとすると、労働に対する対価は千六百二十九万二千六百三十九円になる。生乳一キログラム当たりの労働対価は五十七円四十一銭。それに第二次生産費から家族労働費を引いた四十七円九十五銭を足すと求める乳価は百五円三十六銭、約百六円ぐらいになりますかね。そのぐらいになる計算になる。
 だけれども、このように飼育労働費だとかそれから飼料作物労働費だとかということで分けられると、調査産業計の全国五人以上の平均賃金が二千百三十四円五十銭ですね、それに対して四年度の保証乳価算定労賃は飼料作物労働費で五三・四%にしかならない。飼育労働費で七四%ですね。また、北海道の調査産業計五人以上の平均賃金、これは平成三年でございますが、それでは飼料作物労働費が六四・三%、飼育労働費で八九・二%にしかならない。だから、労働費一つとってもそういうことになるわけです。
 これは新政策の中で普通の労働者並みの賃金ということをうたっているわけですから、少なくともことしの段階からその考え方が生かされていかなきゃならないんじゃないかと思うんですよ。その点はどのようにお考えですか。
#60
○説明員(中須勇雄君) 私どもは、もちろん最終的な結論がまだ出ていない状態だと先ほどもお話し申し上げたわけでございますので、結論というわけではございませんけれども、基本的に来年度の乳価についての労賃問題については従来のルールに基づいて今年度も計算をするという考え方で一応臨んでいるということであります。
#61
○菅野久光君 ことしも従来どおりの考え方で乳価を決定したいということですか。
#62
○説明員(中須勇雄君) 家族労働費の評価の部分についてはそういうふうに思っているということであります。
#63
○菅野久光君 それじゃ、乳価そのものについてはどうですか。
#64
○説明員(中須勇雄君) それは、先ほど申し上げましたとおり現在なお調整中でございまして、具体的な内容をお話しできる段階にないということでお許しをいただきたいと思います。
#65
○菅野久光君 それで、コストが下がったから乳価を下げるということなのか、内外価格差があるから下げるということなのか、そこの考え方はどうですか。
#66
○説明員(中須勇雄君) 基本的な考え方は、乳価が具体的にどうこうということではなくて、内外価格差をできる限り縮小するというのは私どもも一つの施策の考え方、方向であるというふうに思っておりますが、これまでも御説明申し上げているとおり、加工原料乳の保証価格については具体的に直近の生産費調査というもので出てきたコストを基礎に算定をすると、こういうことでやっておりまして、それはあくまでもコストの問題として考えていく、コストの段階でもって再生産が確保できる水準を確保する、こういうふうに思っているわけであります。
#67
○菅野久光君 再生産ができない状況になっているから皆さん方が大変な思いをしているわけですよ。
 それで、算定してコストが下がったから乳価を下げると。それじゃ、コストを下げるために農家の人たちが一生懸命努力をするわけですね。これは会社だって私はそうだと思うんですよ。一生懸命働いて働いて利潤を得たものをどのように賃金の上で分配するかということになるわけですね。酪農家の人たちは、働いて、そして利潤を上げて、負債をできるだけ早く返して、そして幾らかましな生活をしたいということでコストを一生懸命引き下げるために努力をしているんですよ。
 私もずっとおつき合いをして、本当にもう涙ぐましい努力ですよ。生産資材価格の引き下げで関係の省庁に足を運んだり、それからトラクターや農業用自動車の車検の問題を何とかしてくれということで運輸省や警察庁や何かに行ってやったり、もうできるだけ引き下げるものは引き下げながら内外価格差の縮小にもこたえていくという努力をしているわけだ。ところが、それにこたえていくということで一生懸命努力すればするほど、肝心の乳価が下がっちゃうわけだよ。それじゃ生活できないんじゃないかというふうに思うんです。
 それで、例えばコストを一〇引き下げたとしますね。そうしたら、コストを引き下げるために努力をしたわけだから、そうでしょう、その努力分をどれだけ見ることを今までやってきたのか、今回はどうなのか、その辺の考え方はどうですか。
#68
○説明員(中須勇雄君) ただいま先生が御指摘になりましたとおり、生産性の向上というか、コストの引き下げというのには、当然生産者の皆さんの努力がその裏打ちとしてあるわけでございまして、そこはそれこそ血のにじむような努力の中でコストの引き下げが行われている、そのこと自体を私ども全く否定するつもりはございません。
 ただ、加工原料乳暫定法、昭和四十年にできまして、もう約三十年近い歴史がございます。その中で、もちろん幾つかの途中段階での議論に基づいてルールの一部について変更するということはございましたけれども、基本的な考え方として、農林水産省でやっております生産費調査を基礎にしてそのコストの動向というものを乳価に反映させていく、それは内外価格差の是正だとか、そういうまた別の次元でのいろんな政策的な要請、そういうことがあるんだろうと思います。そういう方向でやってまいりました。現時点においても私ども基本的にはその方向のルールに基づいて乳価を算定する、これを変更しなければならないという実態ではないというふうに思っているわけであります。
#69
○菅野久光君 そこの認識がおかしいんじゃないかと思う。今までやってきたことを変更するような状況ではない、今までどおりでいいんだというのが事務当局の考え方だということなんですね。
 先ほどの私が言った一〇コスト引き下げのために努力したと、努力したら努力した分がそのメリットが還元されなきゃいかぬですよ。それじゃ、あなた、働く喜びも何もないじゃないですか。そうでしょう、ね。ねと言ってもあなたは納得できないんだよな、今までどおりでいいと言うんだから。その努力の努力した分を、メリット一〇があったとしたらどのぐらい今まで還元したのかということを私は問うているんですよ。
#70
○説明員(中須勇雄君) 具体的に各年度の保証乳価、加工原料乳の乳価を決定するに当たりまして、生乳生産費調査を基礎としていろいろ先ほど申しましたようなルールに従って評価がえなり物価修正を行う。もちろんこれは、計算機があって、ある要素を入れれば自動的に計算結果として答えが出てくるというものではなくて、それはさまざまな具体的な段階で考慮を払わなければならない事項もありましょうから、ただいまのお尋ねに対して細かい点まで含めてどうだと、こういうふうにはお答えできないわけでございますが、基本の考え方として私どもは、生産費調査であらわれたコストの動向、それを乳価に反映させていく、これがこの法律、制度における考え方だと、こういうことでやっているということであります。
#71
○菅野久光君 それじゃ、先ほど資料で示しましたけれども、A階層はこれだけ減ったということをどのように認識されますか。
#72
○説明員(中須勇雄君) どういうふうにお答えすればよろしいのか私もよくわかりませんが、私どもの乳価の算定に当たって用いておりますのは、農林水産省が調査、集計をしております生産費調査でございます。その生産費調査というのも、よく議論が出るわけでございますが、例えば北海道なら北海道の地で二百数十戸というのが調査対象農家としてございまして、各階層別にその分布状況に応じてサンプルになる農家が選ばれる、その個別のデータ自体は、生産費の状況で言いましても非常に高いコストの農家あるいは安いコストの農家、それは千差万別というかたくさん入っているわけでございます。それをいわば加重平均いたしまして、平均概念として、生産費調査というふうに私ども申しているわけでございまして、具体的な数値としては、それを用いて私どもがやるということでありまして、その中で個々の一つ一つの農家、これは確かに置かれている状況も違います。ですから、千差万別と言うと大げさでございますが、たくさんあるわけでございまして、そこの一つ一つにどうかということは、率直に言って申し上げられないというか、平均概念に対しての考え方だということでございます。
#73
○菅野久光君 平均概念、そういう何というのかな、数字というのは何の心も持たないものなんですよね。だから、平均的なあれでこうだという、こう言っているんだろうと思うんですけれども、行政というのは心を持たない数字だけでやるというのは間違いなんだよ。そこに今日の酪農の置かれている状況があるんだというふうに私は思わざるを得ないんです。
 だって、平成元年にA階層の農家が百三十戸のうち六六・九%もあった。それが平成四年で三三・九%と半分近くに減ってしまったということは一体どういうことなのかということをしっかり見なくちゃいけないんじゃないでしょうか。
 だから、数字でコストが下がったから乳価も下げました。そのことで一・五%しかなかったD階層が一二・四%にまでふえていった。これは、もちろんA階層、B階層ぐらいまで含めてコストは確かに下がりますよ、ここは一生懸命努力しているんですから。ところが、C階層とかD階層というのはなかなかコストを下げるといってもいろんな条件があって下がらない。下げたからといって乳価を下げていく。そういうところにこういったような問題がやっぱり出てくるのではないかというふうに私は思うんです。
 私は酪農家の人といろいろ話をして、コストを下げるのももう限界だと言うんですよ。そうでしょう、二千八百二十七時間も働いていれば。一般の労働者というのはもう二千時間切ったんですよ。そうした中で、本当に新政策が言うようなゆとりある生活、豊かな何というんですか、きれいな言葉が出ていますけれども、それにことしは一歩でも向けるような政策、価格、それをやってもらえるかどうかということが、これから酪農を続けていくか、あるいはほかの農業も同じですけれども、その分岐点だ、ことしはそれを見きわめる年だと、こう言っているんですよ。そのときに価格を引き下げるというようなことを仮にやったとしたら、本当にこれは大変なことになっていくんじゃないかというふうに思うんです。
 だから、数字だけでやっちゃいけないと思うんです。私は先ほど質問いたしましたが、どこの会社も一生懸命働いて、働いた分はやっぱり労働者に還元をしていく。農家の人たちも負債を早く返さなきゃならぬ。負債の元利償還というのは大変なものですよ、農家経済に占める位置というのは。そして、幾らかでもましな生活をしたいということで一生懸命働いた。働けば働くほど、牛だから乳を搾るんですけれども、探れば搾るほど乳が出てくる、昔の生かさず殺さずといいますか、そういうようなやり方ではないかと思っている酪農家の人たちがたくさんいるわけですよ。
 だから、一生懸命働いた分をどこで見てくれるのか、コストを下げた分をどこで見て、幾らかでもとにかく経営が楽になる、そういう方向に行くのか、それはまさに新政策元年のことしたと。だから、先ほど言いました「新政策元年に向けて牛舎からのメッセージ」、その中にやっぱりそういう思いがあるのではないでしょうか。
 農業パリティ指数は、昭和五十年を一〇〇として平成四年度は一五三・六ですね。ところが、加工原料乳保証価格は、昭和五十年を一〇〇にして平成四年度は九五・六ですよ。はさみ状になっちゃっているんです。それでも価格を下げて探れば搾れるから、まだ乳の価格を下げようとするのか。どうもあなたたちの考えでは、統計上から来たあれでは下がるというようなことをあらかじめ新聞等にも出しておるわけですが、そんなことで本当に日本の酪農を守ることができるのかどうか。私が先ほどからいろいろ言いましたけれども、私の質問やら意見なども聞いていて、政治家としての政務次官、いかがでしょうか。
#74
○政府委員(須藤良太郎君) 政治家としてということでありますけれども、確かに労働時間、労働内容、あるいは単価問題、こういうものが今こちらでやっている問題と相当食い違うのかどうか、その辺はひとつ十分また検討させていただきたい、こういうふうに思います。
#75
○説明員(中須勇雄君) ただいまの先生の御指摘に反論するという意味ではなくて、若干申し上げたいことは、事実関係といたしまして、北農中央会の「北海道の酪農経営実態」というデータは、中央会にお聞きしたところ、いわゆる組勘と申しましょうか、あれをベースにして、いわば経営と生計、家計と申しましょうか、それが込みになった段階ということと、現金収支ベースでの出し入れ、そういう中で負債がどういう状況になっているか、こういうことをA、B、C、D階層であらわしたものと、こういうようなデータでございます。
 そういうことと、実は生産費調査と申しますのは、酪農経営というものをその部分だけ純粋にいわば取り出して、家計とか他の部門というのとは完全に切り離し、コスト計算をするという意味において、減価償却を行うとかそういう現金収支ベースとは別の形でもって計算をしております。ですから、そういう意味でのかなり基本的なそごということはあるわけでございます。
 それにしても確かに、この北農中央会の百三十戸のように具体的に借入金の返済が十分できない農家がふえていると、こういうことがこのデータからだけは出てくるわけでございますが、もちろん我々、実態すべてがこういうものに代表されるかどうかは別にして、冒頭ちょっとほかのところでも申し上げたかもしれませんが、短期間に規模拡大をしたために借入金が重圧になっている農家はかなりあるわけでございます。そういう農家の負債対策というか、そういうものをどうするかということは、保証乳価をどうするかとはまた別の問題というか別個の対策として、それはそれとして考えていかなければならない。
 そこはそういうふうに思っているわけでございまして、保証乳価というものですべてが解決しない。もちろん先生もそうおっしゃっているわけではございませんけれども、それとあとの諸対策をどう組み合わせていくか。それで、北海道なら北海道の酪農をどう発展させていくか。そこの気持ちは私どもも基本的に持っているわけでございまして、そういうふうに乳価とほかの対策の組み合わせというか、そういうように考えてまいりたいと思っているわけであります。
#76
○菅野久光君 もちろん、酪農の経済をあれしていく主流は何といったって、酪農はやっぱり乳でどれだけ収入があるかということが一番基本なんですよ。副産物なんというのは働く者で言ってみればボーナスみたいなもので、景気がいいときにはボーナスも高いし悪いときにはボーナスも低いというようなことで、私は乳代がどうなるかということが非常に重要なんだというふうに思うんです。
 現在の状況の中でこれだけ乳代を下げてきて、五円上げてもらいたいという切実な要求はあります。それはぜひ要求を入れるべきだというように私は基本的に思っておりますが、と同時に周辺対策、これをどのように考えておりますか。
#77
○説明員(中須勇雄君) 私の方からそういうことを申し上げておきながら大変恐縮なんでありますが、畜産振興審議会にお示しをする肝心の保証乳価及び限度数量その他の部分についての内容がまだ固まっておりません。
 そういうことで、今回、三月段階ですべてということではございませんが、一定の対策ということを考えたいとは思っておりますが、まだそこまで具体的にお話しするまでに至っていないという状況でございます。
#78
○菅野久光君 北海道の農民連盟を初め、北農中央会とかそういう団体から周辺対策事業としていろんな要求があります。豊かな酪農づくり特別対策事業だとか、あるいは優良乳用牛安定生産対策事業だとか、あるいは搾乳牛群資質向上等奨励対策事業、あるいは草地等地域支援活用推進事業などなどありますが、それらは皆さん方のところにも行っていると思うんですね。これらについては、数字じゃないわけですから温かい心でどれだけこれが実現できるかどうか検討して、できるだけのことをやっぱり政府当局としてはやるべきだというふうに思っておりますが、その辺のところはどうですか。
#79
○説明員(中須勇雄君) こういう価格決定に際しまして、北海道であれば北農中央会あるいは農民連盟その他の方々から限度数量の要請と同時に関連対策の要請も承っております。私どももできるだけそういうお話を聞いて、可能なものは生かしていく。牛肉自由化というような事態もございまして、一時期に比べれば、冒頭申しましたように総体として所得の減少ということがあったのも事実でございます。そういう中で北海道酪農が発展をしていく、それを確保し得るような総体としての対策、できる限り努力はしていきたいというふうに思っております。
#80
○菅野久光君 もう余り時間がありませんので。
 特に、周辺対策事業の中で新政策とのかかわりもありますが、先ほど言いましたように労働時間が二千八百二十七時間というのは平均で、それところじゃない、もう三千時間超えているよという話もあります。この労働時間を短縮する、あるいはゆとりのある生活をということで、酪農ヘルパー制度を山本大臣のときに基金七十億をつくって、そしてその果実で運営をするといいますか、そういうようなことで始めたわけですが、昨年八月時点で全国で利用組合が三百四、それから四年度末では三百五十六組合、こういうことになっております。
 北見地区では二十一の農協区域で十七の利用組合が設立されているということが報告書の中にあります。しかし、対象となるこの地域の酪農家に対して加入率は五三・三%、これは全国比ですが、ここにとどまっている。しかも、その利用は定休型利用というのは少なく、冠婚葬祭などの不定期利用が主となっているということです。
 だから、これは今日、生活大国への前進として労働時間短縮が国民的課題となっておって、さらに新農業政策で打ち出された労働時間短縮に向けて何とかしなきゃいかぬ。加えて後継者確保対策も兼ねて酪農ヘルパー利用者への利用料金助成、さらに酪農ヘルパー事業における人件費への助成容認・基金の積み増しなど酪農ヘルパー基金の拡充を行って、ヘルパー利用に対する生産者負担の軽減措置が求められるというふうにこの北見の農民連盟からいただいた資料の中には載っています。私はこのとおりだというふうに思うんですね。
 今、金利が下がりました。それで、せっかく七十億積んでその基金の果実でやっていたんだけれども、今日これだけ利子が下がれば従来のどのぐらいになるんですか。七〇%までいくのかどうかですね、果実が。そうすると、勢いそれぞれのヘルパー組合に分配される資金が少なくなるんです。少なくなっても働いている人たちの給料を下げるわけにいかないわけですね。下げるどころか毎年毎年上げなくちゃいけないんですよ。上げるためにはどうするかというと、結局酪農家の人たちが負担をしなくちゃいけない。そこにまたこれは問題があるわけですよ。
 だから全国比で加入率が五三・三%ということになる。それをそういうことにさせないためには、利用者、ヘルパーを利用した人に対して何らかの利用料金の助成が求められるんじゃないでしょうか。あえて言えば、新政策に向けての第一歩といいますか、そういうことになると思うんですね。
 それとあわせて、この七十億の基金ではどうにもならぬ。だから、もっとこれを積み増しして、そしてこれだけ利子が下がっても一定の果実が得られるようなことをぜひ、新政策を打ち出した中でだった一つ今やれるとすればここのところが私は大事なところだと思うんです。大臣にも私は強く申し上げておきましたけれども、いかがでしょうか。
#81
○説明員(中須勇雄君) ただいま先生から御指摘ございましたとおり、平成二年度でございましたか、このヘルパー事業について、先生方を含めさまざまな議論の中から、基金をつくって急速にこのヘルパーを普及していこうではないか、こういう機運の盛り上がりに即しまして二年度に七十億出して基金をつくってまいったわけでございます。現在、各都道府県段階の基金、これは国からの
二分の一、利用される方々初め団体の出捐ということで合計百億ちょっとというような基金が各都道府県にできている、こういう状況でございます。
 そして、数字についても先生がお示しになったとおりでございまして、こういう制度のもとで急速に利用組合等の数もふえております。三百四組合というお話が昨年の八月現在で先生からあったわけでございますが、実はこの一月現在で新たに調べてみたところ三百三十八組合ということで、また一段とふえているということでございます。酪農におきます労働問題、これが大変大きなネックというか重大な事態になっているという意味で、今後も育てて、普及をさらに進めていかなければならない事業だろうというふうに私どもも思っております。
 ただ、ここまで言ってきて消極的なお話をするのは大変心苦しいわけでございますが、金利が下がったことによって確かにおっしゃるとおり一定の果実は減るわけでございますので、そういう面での相対として酪農ヘルパーを支援するものが薄まるということは否めないわけでございますが、実はこういう形で基金を設けてその運用益で活動するという形の事業というのはほかにもたくさんあるわけでございまして、そういうこととの横並び等を考えると、今の段階で金利が下がったことを理由に増資をするというのはなかなか難しいというふうに考えております。
 ただ、一つ一つの各都道府県ごとに実情等があると思います。そういうところのお話を聞きながら、どういうような施策が可能なのか考えさせていただきたいと思っております。
#82
○菅野久光君 まあ、考えるのは何ぼ考えてもいいんですけれども、ぜひ平成五年の畜産価格決定に当たって、このことだけはもう何としても、やろうと思えば私はやれる問題だというふうに思いますので、その辺政務次官の責任が大変私は重いと思うんですが、いかがでしょうか。
#83
○政府委員(須藤良太郎君) 御要請はよく承りましたので、そのようにひとついろいろ考えてみたいと思います。
#84
○菅野久光君 政務次官の一つの大きな仕事を残したという実績をぜひつくってもらうように私からも強く申し上げておきたいというふうに思います。
 もう時間が来ましたのであとは半端になります。たくさん問題があります。ふん尿処理の問題から、それからバターや脱粉の輸入の問題、ウルグアイ・ラウンドの問題もありますし、酪農をめぐる、あるいは畜産をめぐる問題というのは数多くありますが、先ほどから言いましたように、ことしが新政策元年ということでことしの施策はどうなのかということがこれからの日本の農業、日本の酪農に大きな影響を与えていく。ことし希望の光がちょっとでも見えるようになるのかどうかというようなところが私は大事なところだというふうに思いますので、冷たい数字ばかり眺めていないで、数字を生かしてひとつ酪農の方が安心して営農できるような、そういう政策をぜひやってもらいたいということを強く要望いたしまして、私の質問を終わります。
#85
○委員長(吉川芳男君) 午前の質疑はこの程度とし、午後一時まで休憩いたします。
   午後零時一分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時一分開会
#86
○委員長(吉川芳男君) ただいまから農林水産委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、農林水産政策に関する調査のうち、畜産物等の価格安定等に関する件を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#87
○谷本巍君 畜産物価格問題等について伺う前に、初めに、お手元の方に今配付させてもらいました「大潟村 あきたこまち」というものをひとつごらんいただきたいのであります。
 実は、これとは別な話でありますが、今から三日ほど前でありましょうか、富山地検が、無許可で米を販売し、一昨年十一月食糧庁に押しかけてきて、おれを告発しろと言っておった川崎商店社長の川崎磯信さんですか、の起訴に踏み切ったという報道を承っております。食管についてはいろんな議論があって私はいいと思うのでありますけれども、現在の秩序というのはきちんと一定程度決まっておるわけでありますから、いたずらにそれに挑戦をし混乱をさせるということは、これは許すことができないわけでありまして、富山地検、それからまた食糧庁がこの川崎商店社長に対してやってまいりました方針、これはまさしく的確なものであったのではないかというふうに思います。
 きょう、私が冒頭に伺いたいと思いますのは、秋田県の大潟村の涌井徹さんという方が大潟村あきたこまち生産者協会というのをつくっておりまして、大量に不正規流通米を扱っております。その証拠物件の一つのこれがこのチラシなのでありますが、大潟村全体で見てみますというと七十五万俵ほどの流通量だと言われる。そのうちカントリーエレベーターの方のベースに乗っかってきますのが三十五万俵、これが正規流通米ですね。残りの約四十万俵というのが不正規流通米と言われておるのだが、この涌井さんらが扱っているのが四十万俵のうち十一万俵だというふうに言われております。
 このチラシをちょっと見ますというと、四世帯の皆さんがいわゆる手づくり型産直とでも言いましょうか、そういう米のような印象を受けるのでありますが、実はそうではないのでありまして、かなり組織的な集団的なものだというふうに言っていいと思うのです。問題はそれだけじゃなくて、ここには書いてありませんが、郵便法で二十キロ程度なら外国へ送ることができますから、外国へあきたこまちを売りましょうというような呼びかけもやっておるのですね。
 こうした問題をこのままにしておいてよいのかどうなのか。この大潟村というのは、これまでもここの委員会でも若干問題にしたことがありますが、食管遵守派と食管くそくらえ、要らぬという二つのグループに分かれて、言うなれば村の中でしのぎを削り合うような状況もあるわけです。そうした点も踏まえてみますというと、どうもこのままにしておくことができないのではないかというふうに私は思います。食糧庁当局、どんなふうに考えておるか伺いたいのです。
#88
○政府委員(永田秀治君) お答えを申し上げます。
 食管法違反事件は経済法規的違反であることを考慮いたしますと、第一義的には行政指導、それから行政処分によってその是正を図ることが必要であるというふうに考えております。それによりましてもなおかつ是正が図れないのじゃないかと思われる場合には告発をすべき、あるいは告発すべきではないかどうかということについて検討することになると思います。
 このため、大潟村の不正規流通問題に対しましては、秋田県、それから秋田食糧事務所、秋田経済連等関係者がこれまで一体となって不正規流通に対する中止指導を継続的に行ってまいりました。それからまた、運輸省等の関係機関にこれも協力をお願いいたしまして、宅配便等の輸送業者に対し不正規流通米を取り扱わないように要請してまいっているところであります。
 それから、このほか大潟村の不正規流通米取り扱いグループの一つであるただいまお話のありました大潟村あきたこまち生産者協会、これの不正規販売につきましては、本人に対する中止指導を行うとともに、チラシの頒布につきましては、チラシの製造、配達元への中止要請、それから各地の新聞、広告代理店等に対しまして頒布中止を要請しているといったいろんな措置を講じているところでございます。
 今後とも、大潟村の不正規流通問題につきましては、これらの措置を初めとして厳正な行政措置を講じ、その是正に努めていく所存でございます。
#89
○谷本巍君 そうしますと、行政指導、食糧庁としてはやれるだけのことはやっておりますということですね。
#90
○政府委員(永田秀治君) はい。
#91
○谷本巍君 そういうことですね。よろしいですか。
#92
○政府委員(永田秀治君) ただいま申し上げたような措置を通じまして諸般の行政措置を講じているところであります。
#93
○谷本巍君 行政指導をやっても指導どおりにやってくれない、応じてくれないということになれば、当然のこととして行政処分はせざるを得ない、そういうことになっていきますね。
#94
○政府委員(永田秀治君) ただいま申し上げましたように、行政措置というのはこれにも増してなお一層やってまいりたい、こういうふうに思っております。
#95
○谷本巍君 この際、政務次官にもお話を伺っておきたいのです。
 実は、この問題というのは、言うなれば食管要らぬぞというグループの問題だけじゃなくて、これはやっぱり農林水産省にも私は一定の責任があると思うのです。
 とりわけこの場合、直接的な問題はカントリーエレベーターの問題ですね。これは補助金を出して設置をしたわけですが、稼働率が私の伺っているのでは五四%。農家別の利用率で見ますというと五割を超すか超さないかぐらいの程度ではないのかというふうに聞いております。やみ米沢と食管遵守派。やみ米沢はカントリーエレベーターを全く使わないというんですね。そのために、カントリーエレベーターがせっかく設置されながら維持することができないという状況が生じておるわけです。
 問題は、不正規流通米をなくすことができればカントリーエレベーターも維持することができるようになるでしょうというのが、減反もきちんとやりながらカントリーエレベーターを活用しているグループの皆さんの発言なんです。そうであってみれば、カントリーエレベーターの補助金をきちんとつけて出した方の側は出したなりに見通しがあってやったはずなんですから、ところがその見通しどおりにならないという状況が出てきておるわけですから、そういう意味でも、まあ直接的とは言えないまでも間接的な責任もあるわけですから、このカントリーエレベーターの問題も含めてひとつ政務次官の御見解をいただきたいのです。――政務次官、答えられないの。
#96
○政府委員(永田秀治君) いや、私もう一度よろしゅうございますか。――大潟村の問題につきましては大変長い歴史もありまして、ただいま申し上げましたようなことで現地の食糧事務所、それから県経済連あるいは農協中央会等が一致協力いたしまして、これまで今私が御説明いたしましたような諸措置を講じているところでございます。先生が今御指摘のとおりで、不正規流通米をなくさなければ利用効率は上がりませんので、何としてでもそういうことをやりたいというふうに考えております。
#97
○政府委員(須藤良太郎君) 原因が不正規流通米の問題にありますので、これはひとつ厳正に行政措置をとっていかなきゃいかぬというふうに考えております。
#98
○谷本巍君 ありがとうございました。
 なお米の問題についてはいろいろ伺いたいことがあるのでありますけれども後刻に譲ることにいたしまして、早速畜産問題に入らせていただきたいと思います。
 まず、初めに政務次官に伺いたいのであります。
 それは酪農の現状をどう認識しているかということについてであります。午前中の我が党の同僚議員からの質問に答えて政務次官が言っておられたのは、一つは規模拡大も順調でありますと。それから一頭当たりの乳量ですね、これもふえておりますというような点に触れられながら、収益の問題については、ぬれ子が確かに下がったけれども搾乳量がふえるなど、労働時間当たりで見れば決して悪いものではないといったような意味合いのお話がございました。
 政務次官の話を伺っていますと、どうも日本の酪農というのは前途遼遠だという感じになっちゃうんですよ。私はそんなものじゃないと思うんです。とりわけ急激な無理な規模拡大をしてきただけにゆがみもまた非常に大きくなってきている、私にはそう思えるんです。午前中の話の中では政務次官は数字の話だけしておられましたけれども、中身の問題についてどのように踏まえておられるか、考え方を伺いたいのです。
#99
○政府委員(須藤良太郎君) おっしゃるように、私が午前申し上げましたのは、近年の酪農につきましては、乳用牛飼養戸数が小規模層を中心に減少し、飼養頭数はおおむね横ばいないし微増傾向にある、そういうことで一戸当たりの飼養頭数は着実に拡大している、したがいまして、規模拡大の進展、一頭当たり乳量の増加等によりまして生産性の向上が図られている、これを一点申し上げました。
 それから収益性につきましては、六十二年以降、乳用種雄子牛、ぬれ子ですけれども、価格の上昇から高水準で推移しておりましたが、その後、平成二年から三年にかけましてぬれ予価格が低落したため収益性は低下したということでありますけれども、最近は以前よりは改善されていると見られるところでございます。
 労働時間でございますけれども、搾乳牛一頭当たり労働時間は減少しているわけでありますけれども、搾乳牛頭数が規模拡大でありますから大きくなっておりますから、一戸当たりの労働時間は増加しておる、そういうことで後継者問題等も含めまして労働時間の短縮問題が大きい課題になっておる、こういうふうに思いますし、環境問題もいろいろ出てきているんではないか、そういう認識をしておるわけでございます。
#100
○谷本巍君 政務次官が言われたおしまいの部分が私は一番大事なことなんじゃないのかと思うのです。牛肉が自由化されましてから副産物の収入が激減してしまったという状況の中で、多くの酪農家は乳代をふやしていくために多頭飼育に入っていったんですね。例えば、北海道で言いますと、それは草と結びついた酪農ということで来ましたけれども、ここ最近は濃厚飼料依存型の規模拡大へと傾斜してしまったという状況になっております。
 そのことがどういう結果になってきているかということで言えば、例えばふん尿処理費の負担等々がふえてまいりましたという問題もあるでありましょう。最も共通的なのは牛の疾病がふえてきた。もうほとんどが昔と違っちゃって全部の牛に保険金を掛けていかなきゃならぬというような状況になってきました、そして牛も短命になってきましたと。午前中の話の中でも、酪農家の平均労働時間が年間二千八百時間を超えるという話がありましたね。牛も人も過労死の時代というふうに言われるような状況になってきているのです。
 それにもう一つ重要なことは所得問題です。これも勤労者、他の産業に従事している人と比べてみますと、例えば北海道の場合で言えば平成元年当時は十村八・五ぐらいでしたよ。それが平成四年には十対四になったと。片っ方は二千時間、片っ方は二千八百時間ですから、時間割りにしますというと十対四ということですよ。ですから、午前中菅野先生からも話があったように、経営が非常にうまくいっているところの若い人たちが出ていってしまうというのは何なんだと。ここにやっぱり原因があるわけですね。そうしたもろもろのゆがみを持った形の中での規模拡大であったと。
 問題は、新農政の中でどういうビジョンを出していかれるか、これが私は問題だろうと思うのです。つまり、持続性のある好ましい状況というのを念頭に置きながら、環境保全にかなうようなどういうビジョンを描いていくのか、その辺の点はいかがでしょうか。
#101
○説明員(中須勇雄君) 午前中の御議論でも幾つか出ましたように、確かに我が国の酪農、特に北海道の酪農が極めて短い時間の間に大きな規模に育ってきた。それに伴いまして、技術的な問題あるいは施設に対する投入資金の問題、その辺を含めまして順調な発展と同時に幾つかの問題を抱えている。それは御指摘のとおりだろうと思います。ただいま幾つか出されましたが、牛の共済の加入率が大変高い水準に北海道があるというのも御指摘のとおりでございますし、平均の牛の耐用年数、これも若干とはいえ短くなってきている、数量的にもそういうふうに把握しております。
 そういう意味におきまして我が国の酪農を、外からいろいろ市場開放等の問題はございますけれども、やっぱり内側の問題としても、後継者を確保し将来への発展をここで考えていくには、じっくりと将来のあり方というかそういうものを考え直さなくちゃいかぬ、そういうような時期に来ている。それが新農政で酪農について新しいブランをつくっていく、そういうことの作業を始めている私どもの内心というか動機の一つであるわけであります。
 しかも、それは多分ひとり酪農だけではなくて、我が国の農業全般が特に後継者が極めて少ないというような意味で構造が脆弱化している。これを基本的に立て直さなければならない時期に来ているのではないか、そういう認識が一番基礎にある、こういうことだろうと思っております。
#102
○谷本巍君 もう一つこの際申し上げておきたいと思うのは、必ずしも日本の酪農というのが順調に発展しているんではなくて、いろいろ問題を含んでいるということを今言われましたから、私はそこのところで一応我慢はしておきますけれども、乳量がふえたというのは一つは天候なんですよ。天候がよかったんだ。だから今度は牧草の繁茂の率がまた違っていましたということもありました。それからもう一つは、さらにはえさですね。これが値段が低位安定的な状況があった。言うならば、しばしばそういうふうな状況にぶつかって乳量がふえたということなんでして、これはもう日本の酪農が前途遼遠というような意味で乳量がふえてきているのとはわけが違うという点もこの際申し上げておきたいと思うのです。いかがでしょうか。
#103
○説明員(中須勇雄君) 酪農の生乳生産量、数量的には近年順調に、近年というか昨年後半以降順調に伸びてきているわけでありますが、そのほんのちょっと前は大変伸び悩んだ。それは実は、御指摘のとおり夏場の天候が、二年前でございましょうか、大変悪かった。それが草の生育不足ということにつながって乳量が落ちたということがございました。確かに、自然を相手にする産業でございまして、天候の影響を決して無視できないわけでございます。
 ただ、そういうことももちろんあるわけでございますが、もう一つはやっぱり一頭当たりの乳量がふえてきた。これは数字的に見ますと確実に年々上がってきている。どういう時点から見るかということはございますが、経産牛一頭当たりの乳量で見ますと、昭和五十五年、全国で約一頭五千六キロということでございました。それが六十年には五千六百四十キロになり、三年の数字、ちょっと古うございますが六千五百キロと目覚ましい勢いでふえてきているわけでございます。これには飼養管理面での技術の改善ということがあると同時に、乳牛の改良面でもそれなりの効果が上がってきているのではないか、そんなふうに私ども受けとめております。
#104
○谷本巍君 それはいい面と悪い面と両方二つが競合しながら出てきた事態なんです。
 これから先酪農のどういう経営像というかあるべき姿というのを新農政の中で描いていくのか、そこが問題だと思うのですね。農家の皆さんだれでも言いますよ、「貧乏には耐えてみせる、しかし将来が見えてこぬことに耐えられないんだ」と。ですから、こういう酪農をやっていきゃ何とか経営が成立しますよ、そしてそのために政府はどういう助成とどういう助成をするから酪農家はこうやってくれというやつをやっぱり描いていかなきゃしょうがないです。
 それを描いていく上で若干今から注文を申し上げておきたいと思うのは、まず第一点は労働時間の問題ですね。これは、今の二千八百時間を超えるような状況というのはちょっと常識の範囲を超えているものでありまして、世間並みの労働ということですね、これを一つの前提にする。
 それから、二つ目に勘案いただきたいと思うことは、環境保全にかなう酪農ということですね。北海道などで言いますというと、草地一ヘクタール当たりについて牛が何頭というようなことを基準にしながら一定のものを出していくということも含めていく必要があろうと思います。
 それから三つ目の問題としては、過疎化を避けるということを前提にした規模拡大でなければならぬということであります。規模拡大が進んだところというのはみんな今過疎の脅威にさらされていますね。北海道の場合で言いますというと、Dランクの農家が多いところなどはがさっと酪農をやめていったらおれの村はもたないという声が今出ていますね。
 おれの村がもたないということは、ここに残った酪農家の暮らしが成り立たぬということでもあるんですね。それは、除雪作業の問題にしたってそうでしょうし、あるいは集送乳の作業の問題にしたってそうでしょうし、村の中に一定の農家の数があることによって村社会というのは維持されるわけです。しかも新農政では、農林水産省は初めてつくるだけの農政から村社会をどうするという農村政策に足を踏み込んできたわけですから、その辺のところも含めた検討をいただきたいということをこの際お願いしておきたいと思うのだが、いかがでしょうか。
#105
○政府委員(須藤良太郎君) おっしゃるとおりでありまして、新政策と酪農、畜産の問題は非常に重要だと思います。御承知のように、新政策は稲作と中山間地等の問題を具体化で先行しているわけでありますけれども、これに余り跛行があってはいかぬわけでありますから、畜産にもぜひ先生のおっしゃるようなこれからのビジョンが描ける、そういうものを早く出したい、こういうことで進めたいと思います。
#106
○谷本巍君 そこで、もう一つお願いしたいのはヘルパーの問題であります。
 せっかくこの制度が発足したんですが、実態はどうかといいますというと、地方によって格差はあるが、例えば北海道の場合でしたら多く聞くのは一日一万八千円ですね。乳代の所得の方からしますというと一万八千円は高過ぎて、合わない。ところが、そういう制度を維持していかなきゃならぬからどうしているかというと、伺いますというと割と多いのがいわゆる割り当てですね。そして、ヘルパーを使ってもらわないというとこの制度も維持できないからということで、無理して今度はヘルパーに来ていただくというような状況すら見られるわけであります。
 ですから、午前中話がありましたように、人件費補助をひとつ考えていただきたいと思うし、私はもう一つ強調させていただきたいと思うのは、このヘルパー制度というのを後継者確保対策とひとつドッキングさせて何かうまい方法を考えることはできるはずです。そういう検討もしてもらえないかということをこの際お願いしておきたいんだが、いかがでありましょうか。
#107
○説明員(中須勇雄君) 午前中も若干お話が出たわけでございますが、酪農ヘルパー事業につきましては、現在各県に基金を設けまして、実はその基金の運用益等を主体といたしまして、実際に仕事をやっておられますヘルパーの利用組合、そこの活動費と申しますか、例えば事務所の借り上げ料であるとかヘルパーの活動車、その燃料、あるいは通信機器のリース料、ちょうど今お話が出ましたが、人件費以外の各経費につきまして幅広く助成対象にする、そういうことを通じて最終的には利用者の負担の軽減ということをねらいというか、そういう効果を期待してやっているわけでございます。
 確かに、実際にヘルパー事業を利用されておられる方々等から人件費についても助成できないかという声があるのは事実でございます。ただ、これは私どももいろいろ考えてはみるわけでございます。率直に言って、一つの産業部門について自分の労働というものを他人の労働に一部分がえ
る、その場合雇用労働にかえる、そこに対して公の助成をするというのは直接的な形ではやはりなかなか現状では難しいのではないかな、これはもう率直にそう思っております。
 したがいまして、現在やっております。そういう人件費以外の部分でございますが、運営経費を幅広く助成対象にしていく、こういうものの運営状況、充実等を見守りながら、どういうふうな形で次の手が打てるのか将来の課題として考えてまいりたいと思うわけでございます。
 それから第二点目の話でございますが、実はこれは先生から大変有益な御指摘があったわけでございます。実は、実際にも現在臨時ヘルパーの方はある程度活動しておられるわけでございますが、その中に占めるお話のございました酪農の後継者、後を継ごうと思っておられる方が臨時ヘルパーになっておられる割合が割に高いわけでございます。ですから、そういうものを育てながら、酪農ヘルパー自体もうまくいくし、後継者がスムーズに経営を継いでいくその修練をしていく、そういうふうな意味で、どうやっていけばそれがより進んでいくのか少し私どもも考えてみたいというふうに思うわけでございます。
#108
○谷本巍君 その辺のところは篤とまたお願いをしておきます。
 続いて、肉牛の問題、とりわけ乳用牛の問題について伺ってまいりたいと思います。
 初めに伺いたいのは、牛肉の自給率がどんな状況になりつつあるかについてであります。
 平成四年度で見てみますというと、肉牛全体でいった場合の離脱農家は五%程度でしたか、これに対して乳堆肥育の方は大分高かった、一七%になったという話を伺っております。そうしますと、三月末の自給率は五〇%を切るのではないかというふうにも言われているわけですが、その辺どう見ておられますか。
#109
○説明員(中須勇雄君) 牛肉の自給率につきまして、私どもの方でまとめております食料需給表のベースで見てみますと、需要自体はかなりの伸びが続いている一方、現在は国内生産は伸び率でいえば二、三%ということでございますが、依然として伸びている。そこに一方牛肉の輸入がかなりの増加傾向で来ている、こんなふうな状況でございます。そのために、ならしてみますと自給率は低下傾向で推移をしておりまして、先生の御指摘になりましたその一つ前、平成三年度で見ますと、概算でございますが五二%、こんな水準でございます。
 それが平成四年度とういうことになるかということでございますが、まだ数値的には残念ながら一月までしか私どもも把握してございません。したがいまして、最終的な数値としてどうなるか確定的に言えないわけでございますが、この平成三年度の五二%をやや下回る程度、こんなふうな水準ではないかな、おおよその感じがその程度になるのではないかなと見ております。
#110
○谷本巍君 五二%をやや下回る程度というのは何でしょう。結局四月一日から関税率が五〇%に下がっていく、そのために二、三月なんというのは輸入する側が手控えをするというような状況もあるので、五〇%を割るということはまずなかろうという見通しでしかないんじゃないですか、どうなんですか。
#111
○説明員(中須勇雄君) 確かに関税が四月一日から下がるということで、それを控えた二、三月に数量的には減ると、御指摘のとおりでございます。
 ただ、それはちょうど昨年も七〇%から六〇%へ落ちる段階で、昨年度、三年度の二、三月というのは輸入量が極端に減りまして、その分が本年度の四月にどっと入ってきた、こういうような経過でございます。したがいまして、それは各年度で合計しますとならされますので、もちろんこの二、三月数量的には減ると思いますが、そういう通常の後ろ倒しというんでしょうか、そういうことが各年行われるベースで比べても五二%をやや下回る程度かなと、こんなふうに見ているということでございます。
#112
○谷本巍君 そうしますと、結局ことしの四月を過ぎていく中で五〇%割れは必至というぐあいに私は見るべきだろうと思うのです。それで、長期見通しては平成十二年の牛肉の自給率四九%でしたね。それを割るような状況がことしの年度内に生じてくるのではなかろうかというふうに思われるのだが、長期見通しとの関連からしてもここでもってぎしっと自給低落に歯どめをかけて、長期見通しの見通しを割ることはないようにしていかなきゃならぬと思うのだが、その辺のところは皆さんどうお考えになっておりますか。
#113
○説明員(中須勇雄君) 確かに長期見通しにおける数字はそのような形でございまして、その実現に向けて努力をするというのが我々行政の任務であろうというふうに思っております。
 ただ、長期見通しの数字と現状との乖離と申しましょうか、その辺につきましてはちょっと今詳しく数字で申し上げるだけの準備がございませんが、国内生産は先ほど申しましたように年率ここ数年で平均で言えば三%程度は伸びているわけでございます。一番違うのが総消費量、消費量がかなりの高い伸びがこのところ続いているということでございまして、国内生産はそれなりに伸びているんだけれども、それを超えて需要が伸びている、それが輸入によって賄われているという形でもって自給率の低下が長期見通しで目標として考えたものを相当早いテンポで上回っている、こんなふうな状況になっているということだろうと思います。
 したがいまして、そういう最終的な目標の数値というのは、国内消費の伸びがかなり予想外に伸びておりますので、このまま十年先実現するかどうかという問題はあるわけでございますが、やはり基本は国内生産を安定的に今後とも伸ばしていく、そういうことを基本的な目標にして頑張っていきたいと思います。
#114
○谷本巍君 問題は、頑張るという決意表明はいいんですけれども、どういう施策をやっていくか、この中身で勝負が決まっていくと言ってもいいわけです。
 そこで、施策問題の初めに伺いたいのは、事業団による買い支え、つまり需給調整の問題ですね。この点について若干伺いたいと思います。
 一つは、肉の価格で一番下がったのは乳雄であります。二月で言いますというと七百円台になって、基準価格をこれは割っておりますね。ところが、和牛と乳雄を合算しちゃっておりますから、この方の値段で見るというと約一千円ということになっておる。したがって、調整保管が出動するという状況になってこないというような状況が生まれていたわけです。もともとは乳雄と和牛と分けていたわけですね。一緒にしちゃったわけですね。分離をすれば乳雄の方が買い入れ対象になったはずなんですね。そこのところを再検討する考え方があるのかないのか、伺いたい第一点はこの点。
 それからもう一つ伺っておきたいのは、事業団が買い入れをやった場合の実効性が果たしてどの程度得られるのかどうかということであります。以前は事業団が一元輸入をしていた。ですから、事業団の買い入れでもって確かに需給調整、市場調整やれたわけですね。ところが、今度は調整保管をやったとしてもやった分だけまた輸入物がふえたんじゃどうにもしょうがないといった問題等もあるわけでありまして、そういう意味では畜交法のあり方自身が問われるような一側面が生まれてきているわけですが、そうした問題も含めて皆さんの考え方を聞かせていただきたいのです。
#115
○説明員(中須勇雄君) 第一の和牛と乳雄の統一と分離と申しましょうか、そういう問題についてでございますが、先生から御指摘ございましたとおり、昭和六十三年に実はそれまで価格安定制度は和牛去勢とその他牛去勢と二本立てであったものが一本化したわけでございます。
 このときの考え方と申しますのは、ちょうど六十二年の四月から牛肉の枝肉の格付規格を抜本改正いたしました。その考え方というのは、すべての牛肉、和牛とか乳雄とかを問わず、牛肉を歩どまり等級と品質等級という大きな二つの物差しによって分類し、統一的に評価をし、適正な価格形成ができるようにということで、いわゆるA、B、Cの歩どまり等級と一から五までの肉質等級とこの組み合わせでそれ以降評価が行われているわけでございます。
 その際、それまでは要するに和牛は特選、上、中、並みというような区分だったわけでございますが、和牛と乳雄というので、そもそも値段の発表を初めすべて分けてある。それをA、B、Cと一から五で統一的にやろうじゃないかと、そういうある意味では非常に革新的な理想的なそういうふうな改正だったわけでございまして、その精神を受けて統一して、B2、B3の去勢牛を省令規格として一本化して価格安定制度の対象にした、こういうことでございます。
 ただ、その際B2とB3を対象にした、というのは、従来の価格安定制度の対象でありました中という規格に比べるとやや下でございます。より大衆的な、それでかつ去勢牛肉の中でかなりの量を占めている、そういう部分を対象にしようじゃないかということでB2、B3というところを対象にしたわけでございます。その結果、実際にはその中には御指摘のとおり和牛も乳雄も含まれておりますが、量的には圧倒的に乳用種が多いわけでございます。
 それと同時に、もう一つはB2とB3、和牛と例えば乳用牛に分けてそれぞれ価格動向を見ますと、先生御指摘のとおり数百円の格差があるのは事実でございますが、一定の格差を伴いつつかなり平行的に高い相関関係で動いている、そういう事実も自由化後もしっかりと見られるわけで、そういう意味では私ども今の段階では基本的にB2、B3で一本化して、省令規格として安定帯の中におさめるべく努力する、この制度が一応機能しているんではないかなと思っております。
 むしろ分離いたしますと、B2、B3というのは和牛去勢肉の中では一割ぐらいしかないということでございますので、和牛の一割だけを対象にした価格安定制度をまたつくるのはどういうことなんだと、こういうような議論も出てまいります。いましばらく自由化の影響がどういうふうに出てくるかさらに見定めなければならないかと思いますが、一応今の形をもう少し続けてその様子を見てみたいというのが率直な偽らざる気持ちでございます。
 それから二点目に、自由化のもとで一体牛肉の調整保管というのがどんな機能を果たすのかというお尋ねでございます。
 これは先生もまさに御指摘になりましたとおり、IQ制度で事業団が一元的に輸入牛肉を扱っているという時代における安定帯の設定、そしてその安定帯の下を割りそうなときの調整保管というものと、現在の自由化してだれでもが自由に輸入牛肉を入れられる、そういう制度のもとでの調整保管、やはり基本的な意味合いを含めて変わってきているんだろうと、そこはそういうふうに思っております。
 しかし、ここはなかなか断定的に言いがたいわけでございますが、牛肉の調整保管が今の制度のもとで機能を発揮するというような場合は、例えば短期的な需給の失調が起きている、例えば半年とか一年たてば明らかに回復することがわかっている、そういうときに一時的に調整保管をやって価格回復を早めるとか、そういった場合に用いるとか、もう少し理想的とか進んだ例で言いますと、自由化のもとで輸入牛肉と国産牛肉にかなりの品質の格差があることは事実でございますので、その品質格差というところに着目した消費面あるいは流通需給面と申しましょうか、そういう意味でのすみ分けというようなことが自由化後の一つの秩序として出てくれば、ある程度は相対的な輸入牛肉と国産牛肉のマーケット、もしそういうものが形成されるというような状況になりますれば、その一部のものを対象にした調整保管は不可能なわけではないと思います。
 ただ、そういうようないろんな考え方があるわけでございますが、いずれにしても自由化が輸入牛肉と国産牛肉のそれぞれのマーケットというか相互の需給なり価格関係に一体どういった形で、ある落ちついた時点で秩序をつくり出すか、そういうのを見定めた上で調整保管がどういうふうに機能するかさらに詰めていくというか、そういうのに応じた知恵を出していく、そういうことが必要なんではないかと思っております。
#116
○谷本巍君 ちょっとお願いしておきますが、答弁が丁寧なのは結構なんですけれども、もうちょっと手短に簡潔にお願いできませんか、伺いたいことまだまだたくさんありますので。
 さて、そこで申し上げたいのは、結局今までのような事業団による一元輸入でもって価格安定、需給調整をやるのが非常に難しくなってきたというようなこともあって肉用子牛生産者補給金制度なるものが登場してきたというふうに言ってもいいわけですね。
 この問題でちょっと初めに伺っておきたいと思うのは、合理化目標価格のことであります。平成三年の第一・四半期以降が七期連続で枝肉価格は合理化目標価格を下回っております。そして、都道府県基金の支払いが異常にふえるというような状況が生まれてきた。結局、これは合理化目標価格が輸入牛肉に対して対抗できるような水準ではなかったというところに私は問題があったのではないのかというふうに思うのです。ことしの場合は若干変更しまして十二万四千円というようなことになったわけですが、どうですか、輸入牛肉に対してこれが対抗できる水準というふうに皆さんお考えなんですか。
#117
○説明員(中須勇雄君) 設定段階ではそういう数値ということで努力をして一定の算式のもとで算定をしたということでございますが、現実がそれよりかなり下回ったというのもまた事実でございます。ただ、下回ったのが一時的なものなのか、あるいは恒久的なものなのか、そこはまたいろいろ議論もあるところだと思います。
 しかし、現実がそういうことでございますので、ただいま先生からお話しございましたように、例えば来年度の算定におきましては合理化目標価格をある程度実勢に近づけるというような努力もしたわけでございます。
#118
○谷本巍君 これは既に皆さんが審議会に数字を出してしまった後の話ですから、水かけ論みたいな話になってくるんだろうと思うんだが、とにかく一時的な現象というふうにとらえることには無理がありますよ、これまでの枝肉価格の暴落状況というのは。明らかに輸入牛肉に対抗できるような水準ではなかったというところに問題があった。その意味では今回の十二万四千円というのも決して私どもから見ると満足できる水準ではないというふうに思えるのです。
 そこで、この問題と関連してもう一つ伺っておかなきゃならぬのは、都道府県基金の莫大な借金をどう処理していこうとされるのかについてであります。四十二都道府県の基金、これは全国基金からの借り入れでたしか四十六億円に上るというふうに聞いておるんですけれども、今後これどのような縮小していくための方策をお持ちですか。
#119
○説明員(中須勇雄君) 御指摘のとおり、昨年暮れまでの不足払いを行った最終結果として四十六億円余の借入金というふうな事態になっております。ただ、実はこのような事態が万が一にも起きるかもしらぬということで、そういう事態に備えましてあらかじめ各県基金が組合員になっております全国協会に一定額の積み立てをしておきまして、それを原資といたしまして各協会にその分お金をお貸ししているわけでございます。これは無利子で八年間、そのうち四年据え置きという形でお金をお貸ししている。
 したがいまして、当面支払いが行われているということと、利子が増高するというような心配はないわけでございまして、とりあえずは借りたときから四年後から四年間かけて逐次返済をしていく、それまでの間に財源対策を講じていかなければならない、こういうことでございます。ただ、間際になって一挙にやるといろいろ問題が起きますし、それまでの間一切手をつかねているというのも制度に対する信頼の問題がございます。平成五年度も含めましてある程度一定部分について手を打っていくということについて、今検討を行っているところでございます。
#120
○谷本巍君 たしか都道府県の基金は県それから農家の負担割合が四分の一ぐらいでしたかになってましたね。これから莫大な借金を抱えて、これをどう処理していくかということで、一部の地域では農家の特別負担みたいなことをやろうじゃないかという話も出ておるようであります。私は余り感心できないんです。もともと牛肉の自由化をおやりになったのは政府なんです。そのときに、自由化に踏み切るときに、これは調整保管だってこれから難しくなってきます、そこで子牛の問題についてはこういうことでやらせてもらいますというような話でやってきたわけであります。
 つまり、打撃緩和の価格保証制度的性格を持つものとして生産者補給金制度なるものができ上がってきたという経過があるのです。そうであってみれば、それは今まで設定した合理化目標価格というのがちょっとばかり高過ぎたというような経過もあって都道府県の基金の方の負担がぐっとふえた、それで借金がふえた。そのしりぬぐいをかりそめにも農家にやらせるということは言語道断ですよ。ですから、その辺のところはぴしっとこの場で約束をしておいていただきたい。いかがでしょうか。
#121
○説明員(中須勇雄君) ただいまお話しございましたように、合理化目標価格より下がって借り入れをして支払ったその金額について何らかの対策を講ずるという場合に、私どもはそれをすべて生産者が負担すべきだというふうな形で処理すべきものとは考えておりません。やはり公の負担を含めて考えていく、こういうふうに思っております。
#122
○谷本巍君 それからもう一つ、この制度を初生牛の価格安定ということにつなげるのはなかなか難しいなという感じがして見ておるのであります。枝肉価格が下落をしてきたという状況の中で、肥育農家の方は素牛農家の方へしわ寄せができるような状況があった。素牛農家の方は初生牛生産農家の方へしわ寄せができるような状況があった。
 この制度がつくられた当初の話でありますけれども、これは公式な話ではありませんが私の記憶に残っているのは、農林省の役所の方ですよ、これが発足したときは初生牛では四万かそこらにはなるでしょうという話も伺ってきていた経過がありました。ところが実際はそうならないんですね。最近の状況で言いますというと、素牛農家の皆さんに言わせますというと、ぬれ子はゼロでなきゃだめであります、ないしはまた二千円から二千五百円ぐらい持参金をつけてもらわなきゃやることはできませんという話になってきていますね。
 そうしますというと、この制度がせっかくつくられてきたのだが、肥育農家、素牛生産農家それから初生牛の生産農家、三者にとってうまく恩典が行き渡るような状況になっておらぬ。そこをどうしていくかということが私は大きな課題になってきたと思うのです。その点どうお考えになっていますか。
#123
○説明員(中須勇雄君) 肉用子牛の生産者補給金制度を設け、乳用種についてはおおむね七カ月齢ぐらいの子牛の段階で、そこを不足払いの場所というかねらいとして設定をした。その際に、この制度自体は、直接的にはぬれ子の価格にどうこうということは制度論としては全くないわけでございますが、制度の立案者の意思を含めましてそうやっておけば何らかの形でぬれ予価格の安定にも資することにはなるだろう、こういうふうに思っていたのは事実だろうと思うわけでございます。
 現に、例えば今のような価格関係、六、七カ月齢の子牛が十一万程度で取引をされている。そういたしますと、保証基準価格が現在ですと十六万五千円でございますから、正確にちょっとあれでございますが例えば四万円程度の補給金が出る、こういう状態が今現に生じているわけでございます。そういう中で、仮に今先生がお話しになりましたように、素牛生産農家が酪農家のところに来て、ぬれ子は今の価格じゃゼロだな、いいところ一頭二千円だともしおっしゃったとしたら、それは不当に買いたたこうとして言っている、そういうふうに判断して間違いないと思います。もっとぬれ子に対して支払い可能な原資は当然あるはずだというふうに思います。
 そういう意味では、ぬれ子段階、子牛段階、肥育農家が肉を出す段階、それぞれ三段階で価格形成がなされている。その間で適切に利益がシェアされるような関係をつくり出す。それは基本的にある程度の競争があることが重要だろうと思います。
 そういう点で、実は私どもも酪農家の皆様に対して、個別で、あるいは集団で、あるいは農協での取り組みでも結構ですから、どうか酪農家の皆さんもぬれ子を育てて、自分で例えば四カ月齢まで育てる、そういうことをやってみてはどうだろうかと。そうすればこの制度に乗れるわけで、補給金の交付対象になる。そういうことを続けていけば、別に全部を酪農家の方がされなくても競争条件が改善されて適切なシェアの関係が生まれる。そういうことが出てくるわけで、現在乳肉複合経営の育成というか奨励等も進めているわけでございまして、私どもは、まだ基本的に中長期的に見れば適切なぬれ子の価格の形成にこの制度は役立つというか資するものであると一応考えております。
#124
○谷本巍君 問題は乳肉複合経営ですよ。これをうまく軌道に乗せることができりゃかなり解決できるような条件が整えられてくるわけです。
 ところが、実際問題どうなんですか。頭数がふえて、乳雄まではもう酪農家にすれば手が回らないという声が非常に多いんですね。これは労働的にもそうだし性質の上でもそうだというような声を聞くんですが、乳肉複合はぜひ推進していくべきだろうと思うのだが、そのための条件整備については当然考え方があるだろうと思うのですが、どうですか。
#125
○説明員(中須勇雄君) 御指摘のとおりでございます。
 酪農家個々の方々が保育、育成を行うということは、もちろん可能な方はそうされて結構なわけでございますが、すべてがそういうことが可能な条件があるわけではございません。そのために、酪農家が集団で行う、あるいは酪農家が所属しておられます組合が行う、多様な形で、その地域あるいは経営の条件に合った形で乳肉複合を進めていただく。これが重要ではないかということで、現在は乳肉複合経営の促進対策ということでも大変広範なメニューをつくりまして、それぞれ利用をその中から選んでいただけると、こんなことに努めているところでございます。
#126
○谷本巍君 時間があと三分少々になりました。豚肉のこともいろいろと伺いたかったのでありますが、これはまた別の機会に譲ることにいたしまして、最後に新ラウンド絡みのことについて政務次官から見解をいただきたいと思います。
 牛肉の場合は七〇%関税から出発して六〇%、五〇%、そしてこれは四月の一日から五〇%になっていくというような状況にあるわけですね。それで、その先は新ラウンドで決めていきましょうという課題がある。これが一つですね。
 それからもう一つの問題は、緊急輸入制限の問題です。こんなに日本の肉牛生産、とりわけ今まで論じてまいりました乳雄なんかの場合はひどい状況になってきているにもかかわらず緊急輸入制限が発動できるような状況にはない。結局一体あれは何だったのかという声が非常に強いわけであります。数量だけの問題を問題にしておって、価格問題というのは全くあそこには配慮されていないという問題もあるわけですね。ですから、関税の五〇%からさらに引き下げるということはもちろんまかりならぬが、それと同時に輸入制限の問題ですね、その辺の改定問題も含めてどんを考え方を持っておられるかお聞かせいただきたいのです。
#127
○政府委員(須藤良太郎君) 先生おっしゃいますように、五年度は五〇%ということでありますけれども、これからこの関税率を下げるということは本当にできないということだと思います。そういうことでこれからいろいろな障害がありますけれども断固頑張っていきたい、こういうふうに考えておるところでございます。
 それから、緊急輸入の問題はちょっと審議官の方から答えさせますので、よろしくお願いいたします。
#128
○説明員(中須勇雄君) 午前中も若干出ましたが、確かにこの日米合意、日豪合意、六十三年の合意に基づく緊急輸入制限措置は御指摘のとおり量だけの問題でございます。そういう意味で現在の状況では適用できない。そのとおりでございます。
 ただ、一つは、ウルグアイ・ラウンドの中でもまた特別セーフガードみたいな議論がございます。ただ、これは関税化と結びついておりますので、大変危険な議論という側面があるわけでございます。そういう中での議論では、量と価格と両面である程度のセーフガードというふうな議論もをされているようでございます。そういう状況を見ながら、将来の自由化された品目についてどういうふうな形でセーフガードを設けるのが必要なのか、そういうような、ちょっと難しい問題はございますけれども、機会をとらえて努力をしていきたいと思います。
#129
○谷本巍君 最後に、厚生省は来ておりますか。
 きのう、質問取りに来られた方に話を聞いて、私もちょっとびっくりしたんですけれども、つまりバーモニゼーションの問題について厚生省はどう考えておりますかというような話を聞きながら、話を伺っていったんですが、北米自由貿易協定、あそこの中じゃ環境条項が入ることになった。そして、その環境条項の中で特に今強調されてきているのは、各国がそれぞれ持っている安全基準を相互に尊重しようではないかという話がかなり有力な考え方の一つとして浮上してきております。厚生省当局の係の方が全くそういう事情を知らなかったということについて、私は背筋が凍るような思いがいたしました。
 厚生省はこれまでアメリカの言うとおりに何でもやってきた、ほとんど。そして、要らないものまで日本は買わされ、日本の農業がつぶされてきた。そういう意味では厚生省が果たしてきた役割というのはまさしく犯罪的な役割だと私は言っていいとも思っておる。バーモニゼーション問題についてどのように対処していかれるか、その考え方を聞かせていただきたい。
#130
○説明員(織田肇君) ガット・ウルグアイ・ラウンドの検疫・衛生措置に関してのことでございますが、一昨年末に出されました最終合意案におきましては、いかなる締約国も人の生命または健康を保護するための措置を採用することを妨げられるべきではないことを確認しておりまして、生命や健康の保護が当然の前提となっております。
 このため、国際基準とのハーモナイゼーションを図りつつも、科学的正当性がある場合等には国際基準よりも厳しい措置をとることができるとされているところでございます。したがいまして、最終合意案においても国民の食生活の安全性を確保する上で支障がない、このように考えておる次第であります。
#131
○谷本巍君 時間が来ましたので、厚生省との論議は別途やらせていただきます。これで終わります。
#132
○風間昶君 公明党の風間でございます。
 午前中から種々の厳しい酪農、畜産の状況をずっとお話を伺っておりまして、私なりに整理をさせていただいて、やっぱり根本の原因は牛肉の輸入自由化によって起こってきたのではないかというふうに思っておるわけです。実際、輸入自由化によって個体価格の下落が起こって、酪農家の方々は大変な状況に遭っている。その所得が減った分、乳量をふやす、搾るのをどんどんやる、そして頭数を拡大する、そして規模拡大。そのためには労働を過重に、過分にやらなければならない。しかし、それももう限界に来ているというのがきょうここにもお見えになっていらっしゃる従事者の方々の実感ではないかというふうに思うわけです。
 だから、ずっと今まで午前中から伺っていまして、何か不毛なお答えのように受けとめられる部分、今酪農家の皆さん方が一番感じているのはやっぱり将来に対する不安、将来の展望が見えないということが一番大きな率直な感じではないかというふうに思うわけです。
 そういう意味で、ことしは新農政の具体化元年に当たるわけですけれども、農水省が言っていらっしゃる他産業並みの所得、そして労働時間を実現しようという新農政と余りにも現実とのギャップが大きいんではないか。つまり、何や、これはもう新農政は絵にかいたもちになるんじゃないかという、その国に対するやる気がまさに問われているんじゃないかというふうに思うわけであります。
 そういう意味で、私も北海道でございますし、大変な状況の中を見させてもらいまして、我が国の酪農・畜産生産基盤の強化、経営の中長期安定化、経営体質の改善強化とお題目のように言っているその言葉のもう少し具体的な将来の展望を明示すべきじゃないかというふうに思うわけです。
 やってもやっても、搾っても搾っても苦しくなっているというこの現実の状況の認識をしっかりと言葉の上じゃなくて体で感じ取っていただきたいというふうに思いますし、その新農政における畜産分野の将来展望をきちっと公表していくべきじゃないかというふうに思うわけです。そのめどをいつにされているのか、政務次官からぜひともお伺いしたいというふうに思います。
#133
○政府委員(須藤良太郎君) 先生のおっしゃることは、きょう何人もの先生から言われたことでありまして、本当に重要な畜産・酪農分野のビジョンを早く出さなきゃいかぬということを痛感しておるわけでございます。
 新農政は、御承知のように相当おくれております稲作部門、それから中山間地の非常に放棄地がある、こういう二つの関係を、法律を今回出して、とりあえず進めることにしておるわけでありますけれども、本当に新農政の中で畜産の分野は非常に大きいわけでございまして、ぜひこれは本当に早い機会にこれからの展望と具体策を出す、こういうことに考えておるわけでございます。何月ということをちょっと言うとまた問題がありますけれども、本当にこれは近いうちにひとつ出したい、既に農政審議会の議論も始まっておりますので、そういうことでひとつ御了解いただきたいと思います。
#134
○風間昶君 何月にというふうには言えないけれども、近いうちにということはどういうことなんでしょうか。例えば、病気で言えば、急性感染と慢性感染、普通は一カ月から二カ月を超えますと慢性感染になるわけです。今、大変厳しい状況だということが現実にあるわけで、これは医療界であれば実際失格なわけですよ。症状が出ているのに的確な診断が十分できていない、したがって正しい治療もできていない、ましてや予防につながる展望が出てこないという、大変な私は問題だというふうにとらえざるを得ないわけです。
#135
○政府委員(須藤良太郎君) 内容もいろいろ難しい問題を持っておりますけれども、できれば六月、七月ごろまでに出したい、こういうふうに考えております。
#136
○風間昶君 今三月末ですから、四、五、六と三カ月間ある。もう少し早くしていただきたい。この三カ月の間にやめざるを得ない方々も出てくる可能性が十分過ぎると言っていいぐらいの、とりわけ専業酪農家の多い北海道の実態でございます。どうかよろしくお願いいたしたいというふうに思います。
 牛肉の自由化が実施されて、本当に酪農・畜産労働者の方々の採算性というのが悪化していることは、午前中の議論の中でも具体的な地域名が北見地方だとかいろいろなところで挙げられているわけですけれども、この牛肉の自由化は、私はさっきも言わせていただきましたが、採算が悪化してきた最大の原因でないかというふうに思うわけです。そのあおりを受けて乳用牛の雄子牛価格が暴落、その暴落がまた酪農家のいわば直撃的収入減と。雄子牛の売却収入が牛乳の生産販売に次ぐ副収入であるわけですので、そういう意味で牛肉輸入関税率の低下というのは非常に大きな影響を与えているのが実態だというふうに思います。
 先ほどもお話が出ておりましたが、ウルグアイ・ラウンドの関税交渉の一つとして関税率は九四年以降は九三年水準より引き上げないと。しかし、七〇、六〇、五〇と下がってきて、これ以上はもう限界だという酪農家の声をしっかりと受けとめていただきたいというふうに思います。先ほど政務次官は五〇%以下にさせない、そう努力するというふうにおっしゃってくださいました。
 じゃ、ちょっと話を変えまして、平成四年の関税率六〇%で輸入の牛肉は国産とほぼ同じ量の四十一万トンを占めることになったわけですけれども、ことしから関税率五〇%になっているわけですけれども、輸入総量はどのくらいになるんでしょうか。
#137
○説明員(中須勇雄君) 関税率が六〇から五〇に下がるということは、仮にほかの条件が同じであれば、より安い輸入牛肉が我が国のマーケットに入ってくるということでございますので、量的には拡大をするだろうというふうに見通すのが素直だろうと思います。
 ただ、じゃ具体的にどの程度ふえるのかということになりますと、国内の景気動向であるとかあるいは国産の牛肉、これは来年度も増加すると思います。どの程度の量増加するのかはなかなか見定めがたいところございますが、そういう関係。それと外国におきます市況、輸出国において牛肉価格がどう推移するかと、そういう不確定な要素がございますので、率直に言って計数的にその増加量を示すというのは私ども現在の段階ではちょっと不可能というか難しいと思っております。
#138
○風間昶君 きちっと何万トンと言うのは難しいかもしれませんが、おおよそのことはわかるんじゃないですか。
#139
○説明員(中須勇雄君) 率直に言って、よく経済誌等にも出ております。それぞれ企業の担当者の方が、ある意味で腰だめでございますが、来年は何%ぐらいふえるんじゃないかというような見通しも言っておられますが、役所という公的な機関になりますと、個人ベースで見通しを語るということは可能でございますが、そこはお許しをいただきたいと思います。
#140
○風間昶君 じゃ、後ほど個人ベースで例えば教えていただけるんでしょうか。どうなんでしょうか、それは。――よくわかりました。
 次に、我が国においては乳用種から供給される牛肉がかなりの量を占めておるわけであります。まだちょっと勉強不足でございますが、昭和五十八年に酪農振興法が改正されて、改正後は酪農及び肉用牛生産の振興に関する法律、いわゆる酪肉振興法というんですか、これには酪農と肉用牛生産とを一体的に振興していくものというふうにされているように文面上書いてございますが、今後我が国の肉用牛生産において酪農との関連をどういうふうに位置づけて生産振興を図るのか、教えていただきたいと思います。
#141
○説明員(中須勇雄君) ただいま御指摘ございましたとおり、現在の我が国国産の牛肉、その供給量のうち既に六割が乳用種でございます。その乳用種というのは、酪農経営で生まれた雄子牛を専ら肉専用に育てて肉牛として出荷するという形態のほかに、言うまでもございませんが、酪農経営で搾乳をした後の母牛、これが肉として出荷される、それを含めて六割、その他の四割が肉専用種、こういう形になっております。
 したがいまして、もはや我が国の国産牛肉というものを考える場合に乳用種のことを抜きに考えられないわけでございます。資源である乳用種の母牛を飼っておられる酪農経営がどういうふうな動向で今後推移するのか、どう発展するのか、そのことにかなり我が国の肉牛産業それ自体が依存している。それは消費者としての国民も依存している。そういうようなまず基本的な問題があろうかと思います。
 それと同時に、もう一つは、生産面におきますと、酪農と肉用牛生産というのは、種類こそ違え、あるいは種類が同じ場合もありますが、飼料作物、特に草というものを共通に必要とする意味で、草地を媒介として生産構造というものが、構造というか生産面が非常に代替性があるというか似ているわけでございます。
 それともう一つは、最近の新しい技術の問題でございますが、受精卵の移植というような新しい技術が発展してまいりました。和牛の優良な受精卵をホルスタインの雌牛のお腹を借りて出産をする、こういう形を通じて和牛資源というのが急速に増強できる、そういうような可能性も、もう一つ将来の課題ではございましょうが、出てきている。
 それから、当たり前のことでございますが、牛を飼うという意味で共通の技術、そういう部分もあるわけでございます。そういった生産面でのある種の相互依存関係なり共通性、そういうことを消費・流通面ないし生産面、そういうことから全体として、酪農と肉用牛というものをばらばらに振興していくんではだめなんであって、統一的な視野のもとに考えていくべきではないか。これが今の酪肉振興法の考え方であろうというふうに思っております。
#142
○風間昶君 大まかなその目的はわかりました。
 しかし、規模としまして、草地を媒介とする事業あるいは受精卵の移植、生産・消費・流通面から具体的にすべてうまくいっているんですか、これは予定どおり。
#143
○説明員(中須勇雄君) そこがまさに、例えば牛肉の輸入自由化によってぬれ予価格が最終的に低下し、それが酪農経営に非常に大きな影響を与えた。これ自体は、先ほどもお話が出ておりましたように、乳用種の子牛については子牛段階で不足払いの制度が設けられているわけでございます。設けられているわけですが、それがゼロというわけではございませんが、必ずしも十分には酪農経営までは恩典が及ばなかったという部分があるわけで、まだまだ生産面でと申しましょうか、酪農経営が私どもの現在の感じではもう少し雄子牛の保育という部分に関しましても自分の経営内あるいは計算の中に取り込んで酪農経営の安定というものに寄与させてはいかがかなと、そういうふうに思っております。そういう点ではまだ今後努力すべき、最低限そういう部分はまだ努力すべき分野があるんじゃないか、そういうふうに考えております。
#144
○風間昶君 酪農家の方々の負債の問題についてはかねてから取り上げられてきておりますけれども、政府としてその実態についてどのように把握していらっしゃるのか。
 また、負債農家についてはいろんな制度資金あるいは特別資金などの手当てがなされているのは承知しておりますが、現実に末端の生産農家の方々まで指導が徹底しているとは忠之ないんですけれども、どうでしょうか。この二点について。
#145
○説明員(中須勇雄君) 酪農経営の負債の状況につきまして、私どもが持っておるというか一番使っておりますデータは農林水産省の統計情報部がやっております農家経済調査でございます。ただ、これはあくまでも平均値としてどのような負債の状況かということに相なるわけでございます。
 その数字を簡単に申しますと、全国の酪農経営、この酪農経営というのはいわゆる農家の収入のうち八割が酪農部分に依存している、そういう経営でございますが、その酪農単一経営一戸当たりの負債総額というのは平成三年度末で千百十九万二千円というような数字になっております。これは実は経年的に見てみますと、経年的にはこの調査は必ずしも完全に同じ農家をとらえておりませんので問題がございますが、傾向を見るという意味で見てみますと、六十年以降ただいま申しました三年度末まで若干の減少傾向で推移している、こういうことでございます。
 それが北海道についてその部分を見てみますと、一戸当たりの負債額は平成三年度末で二千五百二十三万六千円、こういうような数字でございまして、全国平均よりはかなり一戸当たりでは大きいということでございます。ただ、この場合でも、経年的には六十年度以降減少傾向で推移している、こういうものがこの農家経済調査からは出てくるわけでございます。
 それからもう一点の各種の融資制度の問題でございます。
 ただいまのお話に関連して申しますと、酪農経営でもかなり負債の重圧にあえいでいるというか、元利償還金が完全に支払えないという農家があるのも事実でございまして、こういった農家に対しまして昭和六十三年度から、大家畜資金と通常言いならわしておりますが、返済不可能な分について低利の資金を提供して借りかえる、そういうような制度も設けております。そういうものを含めて、制度資金、大変通常の農協のプロパー資金等に比べますと政策的に安い金利体系がとられているわけでございまして、これを末端農家に十分周知をすることも大変重要な問題でございます。
 このために、これを取り扱う具体的な農協等の融資機関自体がまず十分貸付対象とか貸付条件について理解をしていただく、そして末端農家にその活用を指導していただくということが日常的な結びつきの上で重要でございますので、各都道府県あるいは系統金融機関等の金融機関を通じて資金の普及啓蒙の指導を行うとともに、通達等によりまして活用の推進についての指導、さらに畜産独自の分野で申しますと制度資金についてのパンフレットを作成して広範に配布をする、そういうようなことを行っているわけでございますが、なお今後とも一層努力をしてまいりたいというふうに考えております。
#146
○風間昶君 今伺いますと一戸当たり全国平均で平成三年度で一千百十九万、北海道でその倍になっている。単純に考えれば、数のトリックかもしれませんけれども、この数だけで北海道の人たちは末端の農家まで指導が農協もしくは団体などを経由して徹底してないというふうにとってしまう人だっているわけですよね。そうではないんですか。
#147
○説明員(中須勇雄君) 私の説明が十分でなくて恐縮でございますが、この数字自体は北海道と全国平均の規模の差、つまりそもそも投資額自体がかなり違っている。そのことを反映して借入金でもって資金調達をする、一定部分は皆様されているわけでございますので、そういう差が出ているということでございます。
 借入金というのは、総額自体はむしろ制度資金を積極的に借りても借入金負債は増大するという側面もあるわけでございます。したがいまして、この数字からはそういう制度資金の活用についての普及が十分であったかどうかということとはじかには結びつかない、そういう数字でございます。
#148
○風間昶君 じかには結びつかないけれども、当然結びついているわけですよ。そう考えるのが普通じゃないですか。
#149
○説明員(中須勇雄君) それぞれ何と申しましょうか、今申しました全国で言えば一千百十九万二千円、北海道で言えば二千五百二十三万六千円というのには、内訳というかどういう資金を借りているかという内容があるわけでございます。
 ただいまの北海道の二千五百二十三万六千円をベースにいたしましてその内訳を若干御紹介申し上げますと、まず第一に財政資金、これは農林漁業金融公庫資金であるとか、そういう財政が支援をして資金を出して行っております低利政策資金でございますが、これが一千四百五十九万七千円、それから第二として農協の系統資金、これが七百七十一万一千円、それから最後にその他ということで、銀行とかそういうことでございましょうが、百五十万七千円ということで、多分かなりの政策的な低利資金という財政資金が相当のウエートを北海道においても占めているわけでございます。
#150
○風間昶君 いずれにしても、この負債の問題というのは我が国のゆとりある酪農・畜産発展のためには避けて通れない、本当に初めから、親の代から借金、ある人によってはもらったままやっているという状況があるわけです。そういう意味でしっかりとここの部分の治療をやっていかないと大変な目に私は遣うんじゃないかというふうに思うわけですので、どうか本当にきめ細かい、ただ単に文書で、ファクス用紙で指導をするという部分ではなくて、現場に行ってきちっと伝えていっていただきたいというふうに思います。よろしくお願いしたいと思います。
 次に、酪農家の所得の水準について、先ほども社会党の菅野さんの方からも資料の部分でありましたが、私も同じ資料を使わせていただいて、北海道の一万四千戸近くある酪農家のうちの中規模酪農家百三十戸に対する調査で、一戸当たりの所得の推移を見てまいりますと、平成元年で九百九十万、二年で八百二十七万、三年で六百九十六万、四年で少し上がって七百八十万というデータがあるわけでありますけれども、この所得水準についての全国的な調査はされていらっしゃるんでしょうか。データがもしあればぜひ示していただきたいというふうに思います。
#151
○説明員(中須勇雄君) 先ほども御説明申し上げましたとおり、これは北海道の農協中央会の方で、農協の貯金のいわゆる組合員勘定というふうに言われておりますが、その数字の出し入れと申しましょうか、現金収支ベースのものをまとめたものでございまして、これはこれで一つの資料ということかもしれません。私どもはこういったベースでの数字は率直に言って私どものデータとしては持っておりません。私どもが全国ベースあるいは北海道ベースで所得の状況を見るということになりますと、一番端的なのは生産費調査、これに基づいた所得の推移というようなことを一つのデータとして持っているわけでございます。
#152
○風間昶君 ですから、先ほどもそれを伺いました。現金収支ベースのデータを出してみたらいかがでしょうか。そうすると大変なことがおわかりになるんじゃないかというふうに思うわけです。それはいかがですか、面倒くさくてできないということはないと思うんですけれども。
#153
○説明員(中須勇雄君) 現在行っております生産費調査というのは、家計とかそういうものは完全に分離いたしまして、一つの経済単位としての酪農経営というものを引き出して、その酪農経営というのを、現金の収支というものを記帳していただいて、それを一種の原価計算スタイルでもって積み上げてコストを出す、こういう処理をしておりますので、それを例えばこういう生活費まで含めた現金収支ベースのものに使うということ自体は不可能なわけでございます。
#154
○風間昶君 じゃ、生産費調査で、例えば政府の調査で平成元年の水準と比べますと三年、四年度はどうなんですか。
#155
○説明員(中須勇雄君) 北海道で各年で申し上げますと、昭和六十三年八百八万二千円、平成元年九百三十四万一千円、平成二年一千三十三万七千円、三年九百六万ちょうど、四年九百六十万一千円、こういう数字でございます。
 ただし、ただいま私は各年を申しましたが、この年は生産費調査の期間ということで、前年の七月から当年の六月まで、ちょうど半年ずれております。その間のものである。四年はその調査の期間がさらに若干ずれておりまして、前年九月から当年八月までと、こういう数字でございます。
#156
○風間昶君 じゃ、所得水準は余り減少してない、大体一千万近くずっとこの数年確保されているというふうにとっているわけでありますか。
#157
○説明員(中須勇雄君) ただいまの数字を各年の増減という形で見ていただきますと、六十三年をベースにいたしますと、平成元年は一五・六%と大幅な所得の伸びになっているわけでございます。そして、二年はそこからさらに一〇・七%伸びた、二年が最高水準になったわけでございます。これが私どもが時々申しておりますぬれ予価格が上昇した、これがかなり反映しているわけでございます。そのぬれ予価格が急落いたしまして、三年の所得が先ほど申しました九百六万でございますが、二年に比べてマイナス一二・四%でかなり落ち込みました。それが四年の段階ではやや持ち直して六%の増で九百六十万一千円になった、こんな数字でございます。
#158
○風間昶君 じゃ、平成五年度の見通しはどうなんですか。
#159
○説明員(中須勇雄君) これは所得の推移でございますので、見込みというふうなものは一切行っておりません。
#160
○風間昶君 わかりました。
 これは私ちょっと勉強不足なので、もう少ししっかり検討してからもう一遍伺いたいと思います。
 乳製品のことについて伺いたいと思います。
 平成三年度の乳製品の輸入総量は、畜産振興事業団の畜産情報から見ますと、総量四十四万七千トン、特にバターの輸入量は平成二年の九千百トンが翌年倍の一万八千七百トン輸入しておりますね。これは間違いありませんか。
#161
○説明員(中須勇雄君) ちょっと申しわけございません。ただいま手元に持っておりませんので、しばらくお待ちいただきたいと思います。
#162
○風間昶君 見せますか。(資料を示す)
#163
○説明員(中須勇雄君) ただいまの御指摘の数字のとおりでございます。
#164
○風間昶君 倍輸入量がふえた。そうすると、当然在庫が出るわけですよね、オーバーに。通常、在庫量というのは、伺った話によると、消費量の二カ月分が適正というふうに伺っているわけですけれども、新聞によれば、三カ月分もオーバーして、五・一カ月分在庫があるというふうに言われているんですけれども、これも間違いないんですか。
#165
○説明員(中須勇雄君) 先ほど申しましたように、ことしの一月現在で脱脂粉乳については五万トンの在庫があって、それは約二・八カ月分という状況でございます。
#166
○風間昶君 じゃ、余っているわけですよね、二・八カ月分。脱脂粉乳という今お話がありましたけれども、バターのことなんですが。
#167
○説明員(中須勇雄君) バターについては三万三千トン、四・五カ月分ということでございます。
#168
○風間昶君 じゃ、四・五カ月分今現在余っているわけですね。
#169
○説明員(中須勇雄君) 通常との辺が適切かということはございますが、二カ月程度を適正在庫と考えますと、二・五カ月分適正在庫を超えるものがある、こういうことでございます。
#170
○風間昶君 じゃ、二・五カ月分オーバーになっているにもかかわらずまた輸入するつもりなんでしょうか。
#171
○説明員(中須勇雄君) 輸入につきましては、私ども、バターとか脱脂粉乳、基幹的乳製品と呼んでおりますが、これらについては畜産振興事業団の一元輸入の制度のもとにありまして、国産の供給のみでは不足をするという事態になって初めて畜産振興事業団が輸入をして、市場に放出して需要にこたえる、こういう仕組みでございます。
 したがいまして、今申しましたように例えばバターについて通常在庫をかなり超える数量の在庫がある、こういう状況のもとでは、少なくともこういう状況が、どの辺があれかは別にいたしまして、相当解消されない限り輸入するというような事態には到底ならない、こういうふうに思っております。
#172
○風間昶君 じゃ、その二・五カ月分オーバーの分の、先ほどもお話が出ておりましたが、一方で消費を拡大していく具体的な方法は考えていらっしゃるんですか、どうですか。
#173
○説明員(中須勇雄君) バターにつきましても昨年十月以降どうも需給緩和だと、こういう中で、家庭用バターにつきましてテレビでのコマーシャル等を通じまして消費拡大を行うとかいろいろ努力を続けております。ただ、それによってこれだけの在庫を一挙に解消するというわけにはなかなかまいらないわけでございまして、それだけの在庫がある、これを徐々に市場で使っていく、それに見合って国内生産を行っていく、そういう形の中で無理なく、まあ若干のきしみは出てきてしまうわけでございますが、在庫を徐々に少なくしていく、こういうことが基本的な対応になるのではないかなと思っております。
#174
○風間昶君 私は安売りのときしかバターは買わないんです。北海道で言いますとスーパーでは二個で五百十円とか、一つ二百二十グラムのときしか余り買わない。そのときまとめ買いするんですけれども、それはそれとしまして、テレビでは余りそのPRを見たことないんですけれども、やっぱり消費者あっての生産者であり、生産者あっての消費者なんですから、その辺をきちっともう少し使える方法はないか。単にメディアに乗せていくということじゃなくて、これは日本人の今の食ニーズといいましょうか、この辺のブームもあると思いますので、ただ単に数字あるいはPRだけではなくて、その辺のところも考えていただきたいというふうに思うわけですけれども、具体的にそのPRあるいは具体的な方法がほかにございますか。
#175
○説明員(中須勇雄君) 率直に申しまして、今後とも私ども努力を続けていきたいとは思っておりますが、本当に決め手になるような消費拡大対策があるのかという点になりますと、確信を持ってこうだとなかなか申し上げられるものがございません。
 特にバターにつきましては、日本国内での総消費量のうち家庭用バターというのは三〇%強ぐらいでございます。その他の大部分は原料用バターでございまして、いわゆるお菓子とかそういうところで原料に使われる。そういうことになりますと、非常に大きな問題でございますが、景気の回復とかそういうフォローの風が大きく吹いていただくということが何よりも手っ取り早い決め手だと、こういうことではないかと思います。
#176
○風間昶君 わかりました。
 今度はまた話が変わりますけれども、労働時間の問題でございますが、酪農家の年間総労働時間というのは、規模拡大をすることで頭数はふえるわ、探らなきゃならないわということで、農水省の統計でも明らかであるわけでありますけれども、専従者一人当たりの年間の労働時間も二千八百二十七時間になっているというのを私は見まして、生活大国を目指す一つとしての時短が課題の今日、自分のお父さんはこれ以上規模拡大をしないでといった声、あるいは小学生が月に一回週休二日、第二土曜日ですか、そういう時代に休みがとれない酪農を継ぐという人は出てこないんだというふうに思うわけですよね。労働者一人当たりの年平均労働時間二千二十三時間との格差が広がっているわけであります。酪農専従者一人当たりの年間労働時間二千八百二十七時間、単純に計算しますと一日約八時間弱ですか、の労働になるわけですけれども、実際は朝早くから晩まで働いているわけで、もっと実労働時間は平均的にも多いんではないかというふうに思っているんですけれども、いかがですか。
#177
○説明員(中須勇雄君) ただいまお話しございましたとおり、私どもの農家経済調査で把握しております労働時間は、専従者当たりで言いますと二千八百数十時間、自家農業就業者一人当たりで割りますと二千五百四十四時間、こういうような水準でございます。
 ただ、これは一定の約束事に従いまして労働時間というものを各対象農家に記帳していただきまして、それを集計したものということでございまして、本当のところその実感とどういう形になっているか、私自身も的確にはお答えする余裕が、余裕というか力はございません。ただ、もちろんだからどうこうというわけではございませんが、酪農に限らず農業の労働時間というのは、例えば都会のサラリーマンと比べた場合には、通勤時間というものが基本的にない、あるいは極めて少ない、そういうような優位性も逆にあるわけでございます。
 しかし、それにしても、やはり現在の酪農の労働時間というのは相当程度過重なところに来ているな、これを減らしていかないと、先ほど先生御指摘のとおり、後継者自体が残ってくれないというか、若い人がこれでは後を継ごうという気持ちにならないではないかと、そういうふうに感じて、ここを改善していくというのが今後の酪農の大きな課題だというふうに受けとめているわけでございます。
#178
○風間昶君 そこまではだれでも納得するわけですよ。だから、どう減らすかというその指導をしていくのが私は農水省の役割の一つではないかというふうに思う。それであってこそ初めて、激励の指導の手を伸べてこそ人材は育っていくのが世の中の道理であるというふうに思うわけです。
 私も病院に勤めていて、手術患者さんがおりますと通常の八時間勤務では済まないわけで、週三回脊椎の手術をやりますと、一回の手術で一日長い方で十三時間から十四時間かかるわけです。そうするとどこかで穴埋めするわけですよね。例えば年休だとかあるいは所得の保障があるわけですよ。
 そういう意味で、大変な状況を減らす努力をしてまいりたいということであるならば、その具体的な道筋をつけていくべく指導、例えば所得の保障をきっちりするとか、単純に考えて。そういった点はどうですか、どういうふうに考えていらっしゃいますか。
#179
○説明員(中須勇雄君) 私どもが行っております生産費調査の中で、労働時間の内容を分析というか、したものがございます。酪農の場合、こういうふうに労働時間が多い中でも一番大きなのが家畜の飼養管理、中でも搾乳とかそういうものの時間が大変大きな割合を占めているわけでございます。したがいまして、労働時間の問題というのは、基本的にもちろん所得の問題と関連いたしますが、同時に、よほど手厚い助成をすれば別でございますが、ある程度の頭数がいなければ所得が増加しない。しかし、頭数がふえれば労働時間がふえてしまう。
 そこで、頭数がふえても労働時間がふえない、あるいは新しい技術だとかそういうものを導入していくということがどうしても決め手になるんじゃないか。ただ、それも今度はまたそれが多額の投資を伴うのであれば、またさんざん議論が出ております負債の問題にもつながりかねない。そういうふうなことで、私ども一つの考え方として、フリーストール・ミルキングパーラー方式、これに限るわけではございませんが、画期的な搾乳時間の削減を可能にする技術というふうに言われております。これが我が国でもごくわずかでございますが二%ぐらいの酪農家で今普及に入っている。これはヨーロッパではもう五割以上の酪農家が大体そういうものを使っているというふうに聞いております。ただ、現在の段階では、そういうものを導入された農家の方々に聞きましても、一つは投資額が非常に大きいという問題と、もう一つは、必ずしも絵にかいたようにうまくいくわけではない。
 そういう意味で、我が国の技術水準というか風土というか、それに合った、外国のものを基本は入れるにしても、いろいろそのノウハウを積み重ねて我が国に合ったものにする、そしてできるだけ低コストでそれができるようにする、そういった研究を、今補助事業等を行いまして、展示的にそういうことを平成五年度から実施いたしまして、どういうものが農家段階に普及して問題がないのか調べまして、一定の成果を得たら順次そういうものを普及に移していく、そんなことも一つの手段として考えているわけでございます。
#180
○風間昶君 モデル地域を選択してやっていらっしゃるように受けとめられましたが、ミルクパーラー方式ですか、そういったハードの投資、それを日本のこれまでの中にそのまま持ち込むというのはちょっと安易ではないかというふうに思うわけであります。何にも具体的なバックグラウンドはありませんけれども、単純に考えて。今までやってきたのが大変厳しいから、そういう投資をする地域を選んで、いわばやや短期的な結果を見て導入を広げる広げないという、規模拡大につなげていくというふうにも受けとめさせていただいたわけですけれども、むしろハードの部分でなくて、これだけ搾ったんならこれだけお金欲しいという、これは生活者の立場に立てはその思いになりませんか、どうですか。
#181
○説明員(中須勇雄君) 北海道は加工原料乳地帯でございまして、加工原料乳については、基本的に乳業メーカーが買い入れる基準取引価格と政府が補給金として交付する不足払いの額、合わせて保証価格水準になるわけでございますが、それが乳価を事実上決めているわけでございます。したがいまして、乳価というものを毎年算定するわけでございますが、その際、言ってみれば一定の国民の税金でもって酪農振興のためにそういう支出をするという考え方でございます。
 どういうような水準が妥当かというような議論がさまざまあるわけでございますが、そういう点に関しましては、午前中来お話し申し上げておりますように、私どもとしては、飼養管理労働費につきまして、時間当たり単価を同じ北海道におきます製造業五人以上規模の平均労賃というもので評価をすると、こういうことを現在しておりまして、現状ではそれが妥当なものだというふうに考えているわけでございます。
#182
○風間昶君 今のお話にも関連するんですが、要するに北海道の酪農家は一生懸命頑張っていいものをつくっているわけです。例えば、一戸当たりの成牛飼養頭数だってアメリカ、オランダに比べても遜色はないわけで、昭和四十五年から平成二年までの二十年間でどのぐらい規模拡大になったかという倍率にしたって、アメリカの二・三倍、オランダの二・五倍、EC十カ国の二・三倍に対して北海道は四・五倍、非常に北海道の酪農というのは短期間に急速な規模拡大をしてきたことはもう御承知のとおりでございます。
 搾乳一頭当たりの乳量にしたってアメリカ、オランダと比べても遜色はないわけですし、一頭当たりの脂肪生産量だって北海道はオランダ、アメリカとほぼ同じ、二百五十から二百五十五キログラムぐらいいっているわけですよ。生き物が相手だから休みもとれない中で経営努力をしているにもかかわらず所得が上がらないというのは本当に大変なことなわけです。
 この点について、牛肉の自由化による採算悪化に配慮して今年度限り、四年度限りの条件つきで四十八億円の酪農経営安定等緊急特別対策が決まったわけですけれども、これはウルグアイ・ラウンドヘの配慮から、乳価の据え置きまでが限度であるという判断から農水省が別枠で実質的に二円のキロ当たり値上げを認めたものと言ってもいいんじゃないかというふうに思います。
 この点に関しまして農水省は、牛肉の自由化に伴う経営困難を克服していくための一時的な措置である、恒常的な助成ではないというふうに先ほどもお話しされております。政務次官もそのようにお話しされたかと思いますが、五年度以降の廃止をうかがっているように聞いておったんですけれども、酪農家の健全な経営ができるような、緊急特別対策ではなくて、つけ焼き刃的なことじゃなくて、ポスト酪農経営安定対策のような農業所得確保の対策を講ずるお考えはないのか、政務次官にお聞きしたいと思います。
#183
○説明員(中須勇雄君) その点については午前中御説明申し上げましたが、保証基準価格あるいは限度数量等について具体的な試算値をまだ調整中という段階でございます。その試算値を提示し、最終的に価格なり限度数量を決定する際にはそれらを補完するというか、それらの措置と一体となって酪農を守っていく、発展させていくという上で必要な対策、可能な対策というのもまとめたいと思っておりますが、率直に言って現段階では、個別のこういう事業、ああいう事業についてどうだこうだというふうに申すだけの話が詰まってきておらない、こういう状況でございますので、御容赦願いたいと思います。
#184
○風間昶君 納得しないですよ。だからこそ、こうやって大事な農水委員会が開かれているんだというふうに私は理解しておるわけです。また、そのためにも、その結果を本当に働く酪農家の方々が獲得し得るために、きょうも何人かの酪農家の方々がいらっしゃっているわけです。ですから、そういう意味で、今お話しできる状態じゃないとかなんとかではなくて、やっぱり本当に腹の底から、保護していくとこういうふうになりますよ、今この状況で政府が頑張っているという姿勢を本当に働く者に与えていっていただきたいというふうに思うわけです。そういう意味で、政務次官、ぜひお考えをお聞きしたいと思います。
#185
○政府委員(須藤良太郎君) 御要請はよく承って、できるだけの努力をいたしたいと思います。
#186
○風間昶君 農水大臣も同じことですか。じゃ、一蓮托生で同じ御意見なんですね。失礼な言い方をいたしましたが、申しわけございません。
 時間がちょっと余っていますけれども、私はこれで質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
#187
○林紀子君 私は、まず、乳価について質問したいと思います。
 牛肉の自由化、低乳価政策で酪農生産基盤は弱体化しています。酪農経営は改善しているのかといいましたら、それはもうとんでもないという状況だと思うわけです。先ほど菅野委員が資料として配られました北農中央会の百三十戸の調査結果ですね。私も、北農中央会の皆様からお話を伺いまして、この資料も見せていただいたわけです。
 借入金の残高の推移というのを見ましたら、元利償還後の余剰額の推移というのは、平成四年度は少し赤字が減ってはいるということにはなっておりますけれども、しかしそれを積み増した総額の借金の額というのは平成四年度でも三年度に比べましてふえているという状況が示されておりますし、先ほどから盛んに個体価格、特にぬれ子というのは横ばい状態だというお話もありますけれども、しかしそれも輸入自由化が決定された六十三年度の額までは到底戻っているというようなことではないと思うわけですね。
 私は昨年の十月に北海道の別海町、ここは酪農の理想郷をつくるということで一九七三年から八三年まで十年間、九百三十五億円を投入して新酪農村建設事業というのが行われたところだということですが、ここに行って直接酪農家の方たちからお話を聞いてまいりました。
 そこのおうちは今乳牛を七十二頭飼っている。年四百二十トンの乳量、草地を含めて七十六ヘクタールの耕地がある。借金は一億円ある。実はこれはもともとお兄さんが入植してやっていたのだけれども、とうとうやり切れなくて借金を苦にして自殺をなさった。そのために自分が後を継いでやっているのだというお話でしたけれども、利子も含めて一千万円返済をしている、毎年毎年。牛肉自由化で個体販売も暴落して、販売するものはすべて安くなっている。四百万円の減収になった。そこで、乳量を上げるために頭数をふやし規模拡大して借金を返すしか方法がない、こういうふうに言っているわけですね。
 そして三千万円をかけてスチールサイロをつくったけれども、このサイロの維持のために年間百万円もかかるから、結局三千万円も投入してつくったスチールサイロは現在使わずにロールバックを使っている。そして年一千万円を返済していると言いましたけれども、これは金利分だけで、元金は返せない。三・五%の大家畜資金に乗りかえても、それでも元金を返すことができないというんですね。そして生活費は、農協から現金を手にするわけですけれども、家族七人、夫婦と子供四人、祖母、その七人で月わずか十六万円だというんです。そして働いているのは、夫婦二人で朝五時から夜八時ごろまで働きつめた。
 このお話を私は忙しい牛舎のそばで立ち話で聞いたわけですけれども、もう本当に何と言っていいか声が出ない。本当に涙が出てきてしまったわけです。
 こういう状況はこのおうちだけかといったら決してそうではないわけですね。別海町の美原地区で去年の八月に北海道酪農協会が調査をした、その調査報告書というのを私は現地でいただきました。
 八十戸の美原地区、乳牛の個体価格の下落により生乳五百トン出荷の農家で七百万円の減収になった。
 借入金の残金は一億円強、売上高負債率というのは二〇〇%以上、毎年元利償還額が一千万円の経営では生活費が捻出できない。生活費が捻出できないんですね。これは八十戸のうち五十戸がそういう状況だというんです。
 しかも労働は休日がとれない。夫婦どちらか一人が倒れるとたちまち経営は破綻に追い込まれる。子供に家族旅行の楽しい思い出をつくってやりたいが、それもできないで親として本当に情けない。
 これらのことから、所得確保のための規模拡大は、再び負債の増大を招くことになるとともに、労働力的にも限界がある。多くの若い後継者に夢と希望のある酪農を確立するためにも、今何らかの対策を講じなければ地域の崩壊を招くことになると酪農協会の調査は結論づけています。
 こういう実態を見るにつけて、今回のこの加工原料乳価の問題、これはもう引き上げしかない。引き下げなんかとんでもないことですけれども、据え置きというのもやはりこれは実情に合わないと思うんですね。引き上げしかない。そして限度数量はぜひふやしてほしい。
 そのほか、所得確保を図るためにどういうふうにしたらいいかというお考えがあればどうしてもお聞きしたいと思います。
#188
○説明員(中須勇雄君) 明年度の加工原料乳保証基準価格あるいはその限度数量につきましては、本来、本日の畜産振興審議会の酪農部会に試算値を提出する予定でございましたが、内部での調整がおくれ、いまだ審議会の方に提出する段階までに至っておりません。そのために、その内容を含めてここで私からお話を申し上げることができない、その点はおわび申し上げ、御勘弁をいただきたいと思います。
 ただ、加工原料乳の保証価格なりあるいは限度数量については、長いこの制度運営の中で確立されてきた一定のルールがございます。やはり基本はそのルールに従って適正に決定をしていくということだろうと思います。
 しかし一方、ただいまもお話がございましたが、急速に規模拡大を進めてまいりました北海道の酪農の中では、酪農経営の一部に借金の重圧というか、元利償還というものがスムーズにできないということで多くの問題を抱えている農家がある、そのこと自体は私どもも否定しないわけでございます。ただ、その農家に絞って、その農家に対して乳価、加工原料乳の保証価格を決めるということは制度的にはできないわけでございまして、価格はルールに従って決めて、そういう農家については、どのような措置をとってそういう農家を救っていくのか、そういうような別途の議論が必要なのではないか、そういうふうに考えているわけでございます。
#189
○林紀子君 今、審議会入りできないということそのものがいかに酪農家の方たちが大変な状況に置かれているかという、その何よりの証拠なんじゃないかと思うわけですね。本来ならば十時半から始まる予定ですね。
 北海道では来年度の生乳生産を生産者の方は前年度より五・七%伸ばしたい、こういうふうに言っているわけですけれども、営農計画というのは三%の伸びで組んだということを聞きました。ところが、中央酪農会議では需給が緩和しているという理由でわずか〇・九%の伸びということで下方修正した。こういう中で今の需給関係から乳製品を輸入する、こういう状況にはなっていないと思うわけです。したがって、来年度の生乳需給表では特定乳製品の輸入枠、こういうものは設定すべきではないと思いますけれども、どうでしょうか。そして、在庫の解消、これは需給調整をどのようにやっていくおつもりかというのもあわせてお伺いいたします。
#190
○説明員(中須勇雄君) ただいまお話し申し上げましたとおり、加工原料乳の保証価格と限度数量、実はこの限度数量を算定するに当たりましては、生乳の需給計画というものを参考資料としてつくりまして、その需給計画に基づいて、これが限度数量の適正な数字でございますと、こういう説明を審議会でする、これが従来からのやり方でございます。そういう意味で、限度数量を含めてまだ政府としての審議会にお諮りする案が確定しておりませんので、明年度の需給計画につきましても具体的な項目について今の段階で私から申し上げることはお許しいただきたいと思います。
 ただ、生乳の需給状況につきましては、私ども従来から、昨年、それまでの逼迫基調から緩和基調に大きく転換をした、そしてことし一月段階の乳製品の在庫量を見てもかなり顕著な緩和傾向であると、こういうことを申しておりました。
 今現在の状況で、もちろん何か基幹的乳製品について輸入をするとか、そういう状況にないことは言うまでもございません。ただ、実際の輸入、それは具体的な需給というのをそのときそのときでもって判断して、それが必要なのか必要ではないのかということを決めるということでございまして、例えば今の時点でどうかと聞かれれば、今の時点ではそういうことは到底考えられる環境ではない、そういうようなことは申し上げられる状況でございます。私どもとしましては、需給計画をさらに詰めて、余り時間をかけずに皆様方にお示しできるように努力をしたいと思います。
#191
○林紀子君 生乳の消費拡大ということでは、先ほど来飲用乳の消費というのが非常に伸び悩んでいる、ほとんどゼロ成長だというお話もあったわけですけれども、私の住んでいる広島市ではいまだに保育所にニュージーランド産の脱脂粉乳というのを飲ませているわけですね。三歳児以下の子供は牛乳を飲んでいるけれども、三歳児以上の子供たちには脱脂粉乳だということなんです。それで、保母さんやお母さんたちから、ぜひ牛乳を飲ませてほしいという大変強い要望が出ております。
 そこで、厚生省にお伺いしたいのですけれども、全国の保育所で飲用している脱脂粉乳の実態というのがどういうふうになっているか、保育所数、そして輸入数量、そしてこの輸入数量をどういうふうに決めていくのかということも一緒にお答えいただきたいと思います。
#192
○説明員(宮島彰君) 平成四年度におきます保育所における脱脂粉乳の使用状況でございますけれども、全国で約二万四千の保育所がございますが、そのうちの約半分の一万三千の保育所で脱脂粉乳を使用しております。
 なお、過去の推移を見ますと、昭和五十五年には一万五千カ所、当時の保育所の約七割の保育所におきまして脱脂粉乳を使用しておりましたが、このときがピークでございまして、その後年々使用保育所数がどんどん減ってまいりまして、現在一万三千カ所、全体の保育所の約半分という状況でございます。
 脱脂粉乳の輸入量は平成四年度におきまして二千五百トンでございます。これも昭和五十五年がピークでございまして、当時は四千二百トンでございましたが、これも年々減少してまいりまして、現在二千五百トンということでございます。
 脱脂粉乳の輸入量につきましては、輸入に当たっては通産大臣の許可を必要といたしますので、厚生省におきまして各都道府県を通じて各保育所における希望量を調査いたしまして輸入量を決めておるというのが現在の状況でございます。
#193
○林紀子君 全国の保育所の二万四千のうち一万三千の保育所でまだ脱脂粉乳を飲んでいるということですね。これがもし牛乳を飲ませるということになりましたら、その消費拡大というのは随分大きな量になるのではないかと思うわけです。
 厚生省は昭和三十八年にこの脱脂粉乳についての通達というのを出しているということですけれども、三十八年当時とは随分食料をめぐる状況というのも違っているわけですけれども、保育所の管理者に対して脱脂粉乳を使うようにこの通達をもとに現在も指導しているのかどうかというのを聞かせてください。
#194
○説明員(宮島彰君) 保育所におきまして脱脂粉乳を使うのかあるいは牛乳を使うのかというのは個々の保育所の判断にゆだねておりまして、脱脂粉乳の使用を強制しているということはございません。先ほどの脱脂粉乳の使用実態から見ましてもそういった状況が御理解いただけるんではないかというふうに思います。
#195
○林紀子君 そこで、農水省にお聞きしたいのですけれども、広島市の父母や先生やそれから子供たちも脱脂粉乳を飲むとまずいと言うんだそうですが、どうしてこの脱脂粉乳から牛乳に切りかえられないのか。
 その一番大きな理由というのは財源問題になるわけですね。経費のかからない脱脂粉乳の方を飲ませようということになってしまう。ですから、こうした保育所などへの牛乳の消費拡大のための助成措置というのがありましたら、これは脱脂粉乳から牛乳に切りかえる大きなポイントになると思うわけですね。保育所やそれから福祉施設に対してもこのような助成措置があるというふうに伺っておりますが、その内容を御説明いただきたいと思います。
#196
○説明員(中須勇雄君) 私ども、御承知のとおり小中学校におきます児童に対する学校給食に対しまして助成措置を講じて、牛乳の飲用促進というか、こういうことをずっと続けてまいりました。国費によってそういう措置を実施しておるわけでございますが、さらにそれを補完する措置といたしまして、幼児等の健康の保持増進に資するとともに、牛乳飲用習慣の定着を通じた牛乳の消費拡大を図る。同時に、それが酪農乳業の発展にもなるということで、保育所、幼稚園、あるいは老人ホームにおいて飲用牛乳促進奨励交付事業というものを全国牛乳普及協会が実施しております。これは、具体的にこういう施設におきまして飲用牛乳を供給していただく場合に、二百cc当たり二円九十銭を助成すると、こういう形でございます。こういうものを御希望になる場合には、各県の牛乳普及協会の方にお申し出をいただければ十分検討し得るというふうに思っております。
#197
○林紀子君 二円十九銭というお話を聞きまして、確かに補助がこれだけでもあれば助かるわけですけれども、実は脱脂粉乳は百五十cc当たりに直して十円で、牛乳になると四十五円というのは、ちょっとこれは高目に見積もっていると思うんですが、四十五円で、その差額が余りに大きいために切りかえられないという広島の状況なわけですね。ですから、二円九十銭、ないよりはいいということは言えるわけですけれども、これをもうちょっと引き上げていただくという、消費拡大ということも含めましてそれは考えられないんでしょうか。
#198
○説明員(中須勇雄君) 学校給食用の牛乳の供給促進事業自体つきましても実は長い歴史はあるわけでございますが、その補助額というのは、いろいろ補助のシステム自体も変更してございますが、基本的には大きな流れとして額を次第に縮減するという流れの中にございます。もちろんそれは多ければ多いにこしたことはないわけでございますが、やはり限られた財源の中でできるだけ多くの方々にということで現在こういう助成額を設定しておりまして、率直に申しましてこれの単価を上げるというのは大変難しい、そういう状況にございます。
#199
○林紀子君 今、酪農家も大変だし、脱脂粉乳を飲んでいる子供たちもこれじゃなくて牛乳を飲みたいと言っているわけですから、消費者、生産者両方にプラスになる制度なわけですね。ですから、それをもう一度お考えいただきたいということをぜひお願いしたいと思います。
 厚生省に来ていただいているので、もう一点お伺いしたいんですが、乳等省令というものを改正するということについて、「酪農事情」というパンフレットの九三年三月号、抜本改正を四十二年ぶりにする、検討会を三月にも設置するという報道をされておりますけれども、こういう事実があるのでしょうか。
#200
○説明員(伊藤蓮太郎君) お答え申し上げます。
 乳等省令は、食品衛生法に基づきまして、牛乳・乳製品の衛生を確保するという観点から制定されております省令でありまして、それぞれの時代の科学技術の水準の向上でありますとか、あるいは食品の流通実態などを踏まえて所要の改正をこれまでも行ってきたわけでありますが、しかしながら、現行の乳等省令につきましては、この中で定められている検査法の中に科学技術の進展に対応しないものもあるというようなことから、見直しの必要性の有無を含めまして今後検討していくということにしている状況であります。
#201
○林紀子君 まだ検討の前の検討というか、その辺だということなんだと思うんですけれども、酪農という観点から考えましたら、生乳の乳脂肪率、これも検討課題の一つだというふうに聞いているわけですが、私は昨年、一昨年の畜産の集中審議の中でも、現行の乳脂肪分三・五%、それから体細胞の三十万以下ですか、こういうものは本当に酪農家に大変な負担をかけている、しかも、これを今ペナルティーという形でお金の部分でも負担をかけているという状況になっているわけですけれども、この乳脂肪率三・五%などということが乳等省令ではっきりうたわれるということになりましたら、またまたこれは大きな酪農家に対して負担になると思うわけですね。
 ですから、農家の実態というのもよく調査をして、それも勘案した上でこの改正というのをやるならやってほしいということをぜひ希望しておきたいと思います。
#202
○説明員(伊藤蓮太郎君) 牛乳について、今ちょっと前段で御説明をさせていただきましたように、乳等省令の中に、牛乳でありますとかあるいは脱脂粉乳でありますとか、そういう牛乳・乳製品の成分規格というのが決められております。これらは食品衛生の観点から決めているわけでありまして、現行の牛乳について申し上げれば、乳脂肪分は三%以上、無脂乳固形分は八・〇%以上というふうに定めているところであります。
 牛乳の乳脂肪分等の成分規格、これについては、生乳の品質の実態でありますとかあるいは学識者の意見を聞きながら、食品衛生の観点から改正するということが必要であれば改正するということになるわけであります。
#203
○林紀子君 次に、豚肉の対策についてお伺いしたいと思います。
 真空包装などの技術進歩で、生鮮物の豚肉輸入が急増しております。それに引きかえ国内の養豚農家は年率一七%の割合で激減している。これ以上輸入量をふやしましたらますます大変なことになると思います。
 ところが、昨年の十月に来日をいたしましたフランスの全国養豚関連産業連盟の会長、この方がこういうふうにおっしゃっているわけですね。「日本のECに対する輸出過剰で貿易不均衡が生じているといわれているが、その不均衡を均衡にするためには、我々の努力が必要である。貿易不均衡を解消するために、我々が」、これはフランスですね、「日本に提供できる最良の輸出品は、農畜産食料品ではないかと考えている」と、フランスの養豚視察団がこのように述べているということなんですけれども、豚肉の差額関税制度というのを堅持して養豚農家というのを守るべきだと思いますが、いかがですか。
#204
○説明員(中須勇雄君) 豚肉の差額関税制度につきましては、基準輸入価格と安定帯の中心価格とを連動した一定価格以下の低価格の豚肉の輸入を抑制する。一方で、一定価格以上の豚肉については国内価格が高い場合に容易に輸入されてくる。こういうことで国内養豚の保護と円滑な輸入を両立させる、そういう形でこういう制度がとられているわけでございます。
 ただ、この制度につきましては、ウルグアイ・ラウンドの交渉におきまして、いわゆる包括合意案の中で、包括的関税化ということがうたわれているわけでありますが、その包括的関税化の中でこの差額関税のような制度も関税化すべきであるというのが各国の立場でございます。私どもは、もともと包括的関税化ということに異議ありという立場でございます。この豚肉の差額関税制度につきましても、関係各国の理解を求めるべく努力をしているところでございますが、今後とも引き続き最大限の努力を続けていきたい、こういうふうに思っております。
#205
○林紀子君 そして、伝染病のおそれがあるとして禁止してきたフランス、ドイツから豚肉の輸入を五月にも解禁する、引き続きベルギー、ポーランドについても順次解禁するというふうな報道もされているわけですけれども、EC内のイタリアでは、口蹄疫というのですか、伝染病が発生して輸出禁止の措置がとられているということです。安全性に不安のある輸入の解禁はすべきではないと思いますし、またこの安全性の問題からも、国産の豚肉の消費拡大のためにも、輸入の鶏肉と同様に輸入の豚肉についても原産国表示というのを行うように指導を強めるべきだと思いますけれども、どのように指導なさっているのでしょうか。
#206
○説明員(中須勇雄君) まず、動物検疫の問題に関しましては、もちろん海外からの悪性の家畜の伝染性疾病の侵入を防止する、私どもの重要な仕事でございます。特に、悪性家畜伝染病でございます口蹄疫、牛疫、アフリカ豚コレラについては、これらの疾病が発生する等衛生上の問題のある地域からの豚肉を初めとする偶蹄類の動物、さらにその肉加工品等の輸入を禁止しているわけでございます。
 フランス及びドイツの両国につきましては、悪性家畜伝染病、ただいま申しました三つの病気につきましては発生は報告されておりません。しかし、従来これらの国では口蹄疫のワクチンの接種が行われておりました。このために、豚肉を含め偶蹄類の動物の肉については輸入を禁止してきたところであります。これらの両国からは、一九九一年四月をもって口蹄疫のワクチン接種を全面的に廃止したということで、ぜひ解禁するようにという要請が来ているのは事実でございます。私ども、両国の家畜専門家間で家畜衛生上の意見交換を行う、昨年の十二月には当方の専門家を派遣して相手国の家畜衛生事情調査を行っております。その後も資料の提供等を求めているわけでございますが、そうした一定の段階で取りまとめを行いまして、口蹄疫ワクチン接種が廃止された後の両国の家畜衛生状況を判断する、こういうことになるわけでございますが、現段階においていつ解禁というふうなことを決めたということはございません。
 それから、小売段階におきます輸入食肉の表示の問題につきましては、特に六十三年に牛肉輸入自由化が決定された際、端的には牛肉についてでございますが、小売段階で輸入牛肉については輸入物であるという旨を表示を明らかにして販売する。消費者に対して国産物、輸入物の適切な選択の機会を与えるという意味からも極めて重要だということで、その徹底を進めてまいりました。
 また、そういうことで輸入牛肉について主として進めてまいったわけでございますが、近年、牛肉のみならず輸入食肉は次第に増加しております。このために、ことしの二月と三月に各食肉の小売店、食肉販売店におきます売る際の部位表示の方法、これらを中心として定めた食肉の小売品質基準あるいは食鶏小売規格、これを私ども定めていたわけでございますが、それを改正いたしました。輸入食肉については輸入物であるということを明確に表示する、可能な場合には原産国の表示をする、こういうような形に小売品質基準と食鶏小売規格を改めまして、その通達を行ったところでございます。今後こういう規格、基準に基づきまして、行政面での指導と、それから各県ごとに食肉販売関係者等が食肉に関する公正取引規約を定めて自主的な表示の改善を図っております。そういった組織も通じながら、御指摘のような表示の改善に努めていきたいというふうに思っております。
#207
○林紀子君 済みません。大変長い御答弁をいただいたものですから時間がなくなってしまったんですが、最後に政務次官に一言お聞きをしたいと思ったわけです。
 農水省は新政策の畜産版というのを出されるというお話を聞いているわけですけれども、規模拡大路線ではやはり酪農家は救えないというふうに思うわけで、本当に抜本的な対策というのが必要だと思いますが、その辺を、大きな話を一言では大変申しわけないんですけれども、ぜひお答えいただきたいと思います。
#208
○政府委員(須藤良太郎君) 生産性向上、経営の体質強化、こういうものはもちろんでありますけれども、いわゆる労働時間あるいは生涯所得の問題おるいは環境問題、こういうのをいろいろ含めまして、できるだけ早期に今一番重要になっております酪農の振興方策を立てたい、こういうことで頑張っていきたいと思います。
#209
○星川保松君 私が質問の通告を出した点については、先輩の皆さんからかなり重複した質問が出たようでございます。多少通告を離れるところが出てくるかもしれませんが、難しいことは聞かないつもりでありますからよろしくお願いいたします。
 まず、新農政の中における畜産という問題を取り上げてみたいと思うのでありますが、その新農政そのものについてお考えをまずお聞きしたいと思うのであります。
 この新農政というものは、農業関係者はもちろん国民の大きな関心の的になっておるわけでありまして、私も一生懸命この言わんとするところを酌み取ろうと思って読んでみたわけでございます。この中で「農業政策」というところがありまして、「望ましい経営体の考え方」というところがございます。ここには、「農業を職業として選択し得る魅力あるものとするため、主たる従事者の年間労働時間は他産業並みの水準とし、また、主たる従事者一人当たりの生涯所得も地域の他産業従事者と遜色ない水準とすることを目標とする。」、こういうふうにあるわけですね。いわゆる他産業並みの労働時間で地域の他産業従事者と遜色ない水準の所得ということでありますが、私はこれを読んで、はてどっかでいつか聞いたことがあるなというふうに思いましていろいろ思い出してみたんでありますが、農業基本法の中にこれと同じようなことが書いてあるわけなんですよ。
 いわゆる農業基本法の第一章総則に「国の農業に関する政策の目標」というのが第一条にあるわけですね。この中に「農業の自然的経済的社会的制約による不利を補正し、他産業との生産性の格差が是正されるような農業の生産性が向上すること及び農業従事者が所得を増大して」、この後ですね、「他産業従事者と均衡する生活を営むことを期することができることを目途として、」云々とこうあるんですね。この農業基本法というのは昭和三十六年にできたわけですよ。それから優に三十年経過しているんですね。ですから、新農政が、基本法に言うところのこの目標、三十年前の農業基本法にうたっていることと全く同じだということに私はびっくりしたんですよ。そういうことからすれば果たしてこの新農政の「新」という文字が適切なのかどうかということを私は疑わしく思ったんです。
 それで、まず、この新農政というものは農業基本法といかなる関係にあるとお考えか、お尋ねをしたいと思います。
#210
○政府委員(日出英輔君) この新政策と基本法との関係でございますが、基本的には新政策はやっぱり農業基本法の政策の流れの中での一つの位置づけかと思っておるわけでございます。
 ただ、今お話しのように、私どもが食料政策なり農業政策なり農村政策の頭に「新しい」というふうにつけましたのは、どちらかといいますと具体的なこれから行います施策につきましてこれまでのいろんな制度とか施策にとらわれずに目標を実現するための手段をきちっと整備していこうと、そういうつもりで「新しい」という言葉をつけたわけでございます。
#211
○星川保松君 目標は新農政と同じである、ただその目標に到達するための施策が違うから「新」とつけたと、こういうお話でございますが、基本法に掲げた目標が三十年たって実現できなかった、三十年たっても依然として他の産業と遜色ない農業を築くことができなかった、そしてまた同じ目標をここで掲げたということですね。
 それでは、この三十年間の農業基本法農政というものは方法においては失敗であったということをお認めになるんでしょうか。
#212
○政府委員(日出英輔君) 今までの基本法で行いましたいろいろな施策でございますが、これは先生御案内のとおり、例えば米一本やりの当時の時代から選択的拡大ということで、きょう問題になっております酪農の問題でありますとか、畜産あるいは果樹、園芸、そういった選択的拡大の問題でありますとか、基本法農政と言われる中で構造政策あるいは価格政策といったような手法によりまして幾つかの目標を達成してきたということは事実でございます。
 ただ、先生お尋ねのように、その中で日本農業を担いますいわば中核的な経営体がただいま日本農業の中で育っているのかということになりますと、当時の状況とまた今の状況と違いますけれども、同じようにやっぱり望ましい経営体なりあるいは日本農業の担い手というものをこれから育てていくという意味では課題がまだ残っておるというふうに理解をしているわけでございます。
#213
○星川保松君 私が言いたいのは、三十年かかって他産業との格差の解消ができなかった。それでまた同じようにこれから十年かそこらかけて今度は解消しようというならば、三十年かけてなぜそれができなかったかということへの反省と分析、それがなければ、三十年かかってできなかったことが何で今後十年でできるかと私は思うのでございます。
 ですから、もっと三十年間の基本法農政についての反省をしっかりして、なぜこうなったか、追いつけなかったかと。むしろ私は他産業との格差は開いていると思うんですよ。なぜこういうことになったのかということについてもっと農水省はきちっとした分析をして、そして新しい、本当に「新」に値する新農政を掲げていかなくちゃならない、こう思うんですよ。その点についてはどういう反省がありますか。
#214
○政府委員(日出英輔君) 先生のお話のような御意見でございますが、この新政策のペーパーを出しました後、各方面から寄せられておることは事実でございます。私どももそういったお話につきましてはよくよく腹に入れて新しいこの新政策の具体的な施策の方向というものを決めていかなきゃいかぬというふうに思っておるわけでございます。
 今お話しのように、当時の基本法のときに掲げました目標と、あるいは今現在さらに当時想定されておりませんでした構造政策のような問題、あるいは環境問題、いろいろ新しい地域問題、こういった問題も実は出てきておるわけでございます。そういうような問題意識を含めまして、今回新政策ということで食料政策、農業政策、農村政策という三つの柱の中で、具体的な施策の方向を探していこうということを今やっているわけでございます。
#215
○星川保松君 他産業というのはいわゆる商工業なわけですね。商工業の発展の手法と農業の発展の手法というものはおのずから違ったものがあっていいと私は思うんですよ。それを農業としての特殊性といいますか農業の本質といいますか、そういうものをしっかりとらえないで、そしてただ商工業を追っかけ回すというような発想が今日三十年かかってもなお追っかけまわしているという状況になったんじゃないかと思うんですよ。そういう面では三十年間追い続けてきた農業の政策、そして経営のあり方というものに対しての反省はないんですか。
#216
○政府委員(日出英輔君) この新政策のペーパーをつくりますときに、約一年間かけましていろんな方面の方々の御意見も伺った上で、私ども農林水産省の名前でこの新政策のペーパーを世の中に出したわけでございます。このぺーパーの冒頭に書いてありますように、今私どもの方の問題意識あるいは論点、そういったものを整理して世の中に出したわけでございますが、このペーパーは決してでき上がったものではございませんで、このペーパーを世の中に出しまして、私どもはこのペーパーのいろんな問題点ももちろんあろうかと思いますが、そういうものをいろいろ各方面から寄せていただきました上で、この新政策に書きました方向の中で具体的な施策を今検討していると、こういう状況でございます。
#217
○星川保松君 こんなこといつまでやっていてもしようがありませんが、ひとつそういう日本の商工業が非常に伸びた、その伸びたということからして、そっちの方にばかりとらわれて農業独自のいわゆる発展の施策というものを見失ってきたから私はいつまでたっても同じ追いかけをしているんだと思うんですよ。その点をもっとしっかり反省して分析をして、本当に新しい農業の施策を打ち立てていってもらいたいということを言っておきます。
 それから、この新農政の中の畜産の問題でありますが、昭和三十六年の基本法農政の始まりのころは私は日本の畜産というものもまだまだ未発達なときではなかったかと思うんですよ。日本には肉を食するという習慣が余りなかったわけでありますから、日本の人々のたんぱく源というのは、世界三大漁場と私は子どものころ習ったんですが、あの北海道周辺ですね、海がいわゆる牧場であったということを聞かされたわけでありますが、その後、戦後アメリカの食習慣等が強く入ってきて、それで食肉の需要というものがどんどんふえてきたと。だから、そのときの畜産農家というのは非常な希望を持ったんですね。これからは日本人はどんどん畜産品を食用するんだということで希望を持ってやってきたと思うんですよ。
 それで、例えば肉用牛は二戸当たり平成四年で十三・八頭、それから乳用牛は一戸当たり三十七・八頭、豚が三百六十七頭というような、鳥も何もありますけれども、そういうような状況。ところが、私の資料では、昭和五十九年しかありませんけれども、肉用牛はこの当時八・二頭、それから乳用牛が二十四・一、豚が百十三・九ですね。ここから見ましても一戸当たりの飼養頭数というのは非常に伸びてきているわけですよ。私は三十六年のいわゆる基本法農政のあたりはもっともっと規模が小さかったと思うんですね。
 新農政ではいわゆる大きな農家、中核農家は規模拡大規模拡大ということを今言っておるわけでありますけれども、こういうふうにどんどんどんどん規模拡大をやってきたわけですよ。それで規模拡大をやってきてもなお基本法農政の時代から脱却できないということなんですね。ここにただむやみやたらと規模拡大だけを追っかけているという今までの手法、これは果たしてこれでいいのかというふうに思うんですけれども、この点についてはどう考えていますか。
#218
○説明員(中須勇雄君) 畜産の戦後の発展の歴史、あるいはそれを基本法農政と申しましょうか、そういう中に位置づけてみるとまさに御指摘のような形だったと思います。
 終戦後、例えば酪農で言いますと、昭和二十九年にほぼ戦前の水準に回復して、しかしまだその時代というのは一戸に一頭ずつ乳牛が入って、いわば水田酪農とか水田農家に稲作農家が傍ら一頭を飼う、こういうような形で発展してきたわけでございます。その時代は、乳製品全体が伸びていく中で戸数がふえながら飼養頭数がふえていく、こういう時代だったわけであります。それがさらに、特に基本法が制定され、畜産という部分が選択的拡大部門ということで需要の伸びに応じた畜産、畜産だけに限りませんが、成長部門を発展させていこうではないかと。
 そういう中で、次第に単に外延的に拡大していくだけではなくて内部で規模拡大していく。それがさらに現在ではその状況が続いているわけでありますが、もうとにかく畜産農家の外枠というのはほとんど広がらない。既存の畜産農家の中で小規模層が脱落をしていって、それを大規模層が、それをと言うとおかしゅうございますが、さらに規模拡大をすることによって総トータルとしては頭数が需要に見合ってふえていく。ただ、最近の動向を見ますと、残念ながら豚肉等につきましてはここ三年ぐらいで飼養戸数がかなり急速に減少しておりまして、それを大規模飼養階層、これはふえているわけですが、そこでの飼養頭数の増でも減少の方を賄い切れない、トータルでも若干総頭数が減少すると、こんなふうにかなり様相が変化してきているわけであります。
 現在の状況を見ましても、先生が御指摘になりました肉用牛で言いますと年率大体五%戸数は減っております。乳用牛はこの数年対前年比大体五%ぐらい減っておりましたが、昨年は七%ぐらいとちょっとふえております。豚はここ二年ぐらい一七%ぐらい減っている、こんなふうな状況でありまして、なお規模拡大は進行しております。これはなおもうちょっと続くというふうにやっぱり見ざるを得ないと思います。
 ただ、その場合に、先ほど政務次官からもるるお答えしておりますが、新しい農政の展開方向という中で、これは限りない拡大ということではなくて、将来十年なら十年というものを見て、ここの辺をいわばゴールというか一つの目標にして到達をしようではないか、そういうふうな経営展望をつくっていく、そろそろそういう時期に来ているのではないか、こんなふうな受けとめ方をしております。
#219
○星川保松君 ですから、規模拡大規模拡大ということで結局借金ばかりふえて、それで所得が一向にふえない。だから、規模拡大ばかりあおってみたところでこの新農政の目的が達せられるわけじゃない。じゃ、どこに問題があるのかということをもっと探っていかないと基本法農政と同じようなことになると私は言いたいんです。ここのところはひとつもっともっと研究してほしいと思います。
 それから、この新農政ではいわゆる平場の農業経営とそれから中山間地というふうに二つに分けたですね。これは私は画期的なことだと思います、特に我が国のような平たん部の少ない、中山間地の非常に多いところでそうやったということは。しかし、私はそれだけでは本当は足りないと思うんですよ。なぜかといいますと、日本の場合は北海道から沖縄まで南北に非常に列島が長く連なっているわけですよ。これが南北でなくて東西の方に連なっている島の場合は、緯度がそう変わりませんから、作物も何もそう変わるものじゃないんですね。ところが日本の場合はもう大変な違いなわけですよ。
 私の隣は喜屋武さんですけれども、喜屋武さんのところはサトウキビなんかつくっていまして、いわゆる南方農業なわけですよ。私の方は二メーターも雪の降る寒冷地帯の農業なわけですよ。そういう北方農業、それから南方農業、立地条件は全く違うわけですね。それから、それだけじゃなくて、私たちのような日本海側の豪雪地帯と、それから今度は脊梁山脈の東の方、太平洋側の気候も全く違うわけですよ。
 日本みたいにこういう気候風土の差のあるところは、いわゆる平場と山間地なんて、こんな大ざっぱな区分けだけではなくて、もっともっと細かい区分けをして、そこで農業を営む場合はこういうふうにして地域の特性を生かしてやっていけるようにしたらどうだというようなことを方針として私は出してほしいと思うんですよ。その点についてはどう考えていますか。
#220
○政府委員(日出英輔君) 先生お話しのように、我が国農業は非常に多様な自然条件あるいは社会的な条件のもとで営まれておる。わけでございます。そういう意味で、この新政策の実施に当たりまして今国会に提出しております農業基盤強化法案の中で、その地域の農業の姿あるいはその地域農業を支える担い手というものを、市町村が地域の方々のいろんな意見を聞いて自分でそういう姿かたちをつくっていく。そういった姿かたちをつくっておきましたところを国なり県なり農業団体がそれを実現するためのお手伝いをする、こういうことを前提とした法案を今取りまとめたわけでございますが、先生お話しのように、非常に多様な農業でございますので、一律的なあるいは画一的な上からの指導ということには限界があると思っておるわけでございます。そういう意味で、私どもはそういった地域性に根差した多様な農業が各地域で非常に力強く残っていくということが大事だと思っておるわけでございます。
 ただ、ちょっと一言申し上げますれば、中山間の方は確かに平場に比べまして条件不利なところでございますので、今回こういったものとしては初めて平場と比べても条件の不利な地域の農業なりあるいは農村社会をどうするかということについて、新しくこういった新政策のペーパーで触れたということでございます。
#221
○星川保松君 一般論だけでもうだんだん時間がなくなってきてしまったんですが、自由化によって日本の畜産も非常に大きく変化を求められていると思うんですね。
 それで、まず一番最初に、先ほどからいろいろお話がありましたが、現在の価格安定政策というのは自由化前の価格安定政策ではなかったかと思うんですね。それで、自由化されてみますと、もうこの安定政策というものも十分に機能しなくなったということは先ほどからいろいろお話が出ているとおりなわけですよ。しかし、畜産がこれからも安定的な経営をやっていけるようにするには、自由化のもとにおいても機能するような新たな価格安定政策というものを打ち出していかなくちゃならない、そういう時期だと思うんですけれども、それについてはどのようにお考えですか。
#222
○説明員(中須勇雄君) 御指摘のとおり自由化前は、牛肉につきましては枝肉について設けられた価格安定帯の中に枝肉の卸売価格をおさめる、これが価格安定制度の中心的な役割でございました。しかし、自由化後はそういった形では、そこを中心とした制度ではなかなか安定は困難だということで、子牛の段階についていわば自由化によって枝肉が下がる、枝肉が下がれば、それが子牛の価格に波及する、そこを子牛段階で不足払いをすることによって支える、そちらを重点的な制度にする、こういうふうに制度的な変更を行ったと。それで、枝肉の価格安定制度は依然として残っておりますが、そういう意味では従来に比べて価格安定制度としての役割の相対的な重要性は小さくなった、こういうことだろうというふうに考えております。
#223
○星川保松君 とにかくもっと効果的に作用する価格安定政策というものをぜひ考えていってほしいと思います。
 それから、先ほどから北海道の畜産の話が出ておったわけでありますが、これは全国農業新聞の十九日の記事でありますけれども、これに新潟県の長岡市で乳用種二百頭、乳用種と黒毛和種とのF1牛を二百頭、合計四百頭を肥育する方の自由化で受けた大きな打撃について出ておるわけでございます。
 これによりますと、いわゆる「自由化の影響で乳用種牛の枝肉価格は乳オスで三割強の下落、乳メスは五割近くも暴落している。」ということなんですね。それで、この方は畜産振興事業団による基準価格割れの牛肉の買い支えが必要だということを要望しておるわけでありますが、これについてはどう考えますか。
#224
○説明員(中須勇雄君) 先ほど申しましたように、乳用種の例えば肥育経営、これはF1についても同様なわけでございますが、確かに自由化によって枝肉の卸売価格自体が、安い輸入物がたくさん入ってまいりますので、価格が下がるということで影響を受けているわけでございます。ただ、価格の安定帯との関係で言えば、現在の省令規格そのものは下の方でございますが安定帯の中に入っている、こういうことでございます。
 基本的にこういう経営につきましては、枝肉の卸売価格が全国的に下がっておりますので、昔のような価格で子牛を買っては採算がいません。したがいまして、子牛価格自体が枝肉の下がった分に相応して落ちているわけです。
 ところが、肥育経営というのは、子牛を買ってきてかなりの期間、一年以上の間肥育、大きくするわけでございます。それを出荷するときには、その原料として買ったときはまだ子牛が高かった時期、枝肉も高かった。それが一年たって出荷するときになるともう枝肉は下がっているということで、原料高の製品安ということで大変一時的に打撃を受ける、そういうような事態がタイムラグとの関係で一時期どうしても起きてしまうわけでございます。そこにつきましては、肥育経営の安定対策ということで、所得がかなり下がった場合に一定の省令措置を講じてそういう経営が継続できるように手当てをいたしておる、そんなふうな形で補完的な措置も講じて、自由化が経営に及ぼした影響をできる限り排除するように努めているところでございます。
#225
○星川保松君 それから、もう一つの例がここに載っておるんでありますが、これは鹿児島県の山川町の方で和牛六百頭を肥育。この方は全体で一五%近く価格が急落した、二けた台の下落はここ数年なかった、一頭当たり十万円の損が出ると、こう言っているわけですね。
 この方は、大家畜経営向けの四―五年の中期の運転資金がどうしても必要だと、こう言っていますが、これについてはどう考えますか。
#226
○説明員(中須勇雄君) この和牛の場合には、ただいま申しましたタイムラグが一層長い、二年に近い期間になりますので、これからもなお若干の期間、相当経営的には厳しい状態が続くのではないかというふうに思っております。
 ですから、先ほど乳用種でお話し申し上げましたタイムラグを補正するための措置、こういうことを考えていかなければならないなというふうに考えておりますことと、そういう中で借金の問題等につきましては、大家畜経営の体質強化資金ということで一定の借りかえ措置を含めた措置を従来講じておりました。その辺も、これからどの程度の必要性があるのか、そういうことを加味しながらどういう形でそういうものを継続していけばいいか、今検討しているところでございます。
#227
○新間正次君 新聞でございます。
 今の星川先生のお話の続きのような形になるわけでございますけれども、同じくこの全国農業新聞の中にあります記事で、新潟の中島さんという方でございますけれども、自由化前の平成二年は二千万円の利益があったそうですね。これは、肉用種二百頭、肉用種と黒毛和種とのF1の強制雑種が二百頭で四百頭ということでございますけれども、自由化前の平成二年には二千万円の利益があった。自由化元年の平成三年には利益がゼロになって、平成四年にはこれが二千万円の赤字になっているという記事も出ております。これをつけ加えさせていただくわけでございます。
 それと、輸入量でございますけれども、昨年が牛肉の輸入量が四十一万三千トンという史上最高の記録を残しているということは、ことしはこれにまた円高という問題が加わってまいりますし、なおかつこの四月から関税率が五〇%ということになりますと、どんどんどんどん肉の輸入は進んでくるんじゃないかな。片一方で酪農家の皆様方にお金を貸してあげますからどんどんひとつ規模を拡大してやってくださいと言っておいて、片一方ではどんどん輸入肉が入ってくるということで、結局酪農家の皆様方がばかを見るというような感じがしないでもないわけですけれども、この問題等につきましては、既に先輩の皆様方、諸議員がお話をいただいておりますので、あえて私はこれを避けまして、といいますか、都市近郊型の中小の酪農家の方々にスポットを当てていきたいと思っております。
 まず、飼料の面なんでございますけれども、豆腐の豆かすとか、最近では単身者の方々をターゲットにしたマーケットのカット野菜など、いわゆる食品産業から出される廃棄物の中に畜産の飼料として有効に十分使えるものがまだあるんじゃないか。資源の有効利用とごみの減量という観点から、この未利用、低利用の資源の利用化を図るべきではないかと考えますけれども、農水省のお考えをお聞かせください。
#228
○説明員(中須勇雄君) 御指摘のとおり、食品産業の廃棄物等のうち家畜のえさとして利用価値のある資源というものについて、私どもでも調べたデータがございます。
 それをいわゆる可消化養分総量というえさの、要するに体で消化されて養分になる、それの量に換算して、大体資源量としては百八十万トン程度というふうに見積もられております。このうち実は現在も既に飼料用にしむけられているものは約百三十万トン程度、七〇%程度がしむけられている、こういうことであります。
 例えば、果汁の加工品の副産物あるいは缶詰加工品の副産物あたりでは六、七割が既に飼料化にしむけられている。それから、大豆の加工品副産物で言えば六八%と、こんなふうなデータも持っているわけでございます。
 これらの資源のえさ化の問題点につきましてはいろいろございます。一つは、特定の時期にわっと発生して、ほかの時期には発生しないと、こういうような資源がある。それから、そういった食品産業廃棄物の場合には、水分含有量が非常に多くて、どうしても保管したり製品化のためには乾燥をしないといかぬというものが多いとか、発生場所と加工する施設との間あるいは畜産農家との間に距離があるとか、家畜の嗜好性とか種々の問題点があるわけでございます。こういったことのためには、施設の整備であるとか発生者と使用者の間の連携体制の確立だとか技術的な問題、そういうふうなことを埋めていく努力が必要ではないかなというふうに思っております。
 現在、実は小規模のものでございますが、そういうえさ用資源の効率的な利用を促進するために共同でえさ化するための施設を設置するというものについて助成するという事業もございます。私どももそういったものを活用しながらこういった資源化に取り組んでいる、あるいは今後とも取り組みを進めていきたい、こういうことでございます。
#229
○新間正次君 大変結構なことですので、それはぜひ進めていただきたいと思います。都市近郊型の酪農家の方々にとりましてはこれは大変望まれていることではないかなという感じがするわけでございます。
 続いて、今度は消費者の立場に立ってということでございますけれども、新鮮なおいしい牛乳を飲みたいという、これは我々消費者の共通する願いでありますし、北海道、東北、九州など比較的乳牛の牧畜が盛んに行われている地域の方々などは地元で新鮮な牛乳を飲むことができると思いますが、東京、大阪あるいは名古屋、こういう地域においてはそのすべてを自給するというのは大変難しいんではないか、よそから分けていただくというのが現状ではないかと思います。
 また、私の地元の愛知県というのもかつては日本のデンマークと言われたくらい酪農先進県でありましたけれども、愛知県ですら今はほとんど自給ができていないというわけでございまして、より新鮮なものを、そしてより高品質なものをという消費者の方々のニーズにこたえられるべく、地域自給体制の確立という、このことについて御意見をお聞かせいただきたいと思います。
#230
○政府委員(須藤良太郎君) おっしゃるように、生産と消費の関係から地場で生産できるものはできるだけ地場で賄う、これは原則だと思うわけでありますけれども、やはり都会では不均衡が生ずるわけでありますから、そういう意味で、基本的には地域の不足する量を補ってこれを安定的に供給する、そういう建前でいかざるを得ないんではないか、そういうふうに考えております。
#231
○新間正次君 さて、さりとて、今度は都市近郊において酪農を営む方々の場合のことでございますけれども、人間なんというのは勝手なものでございまして、近くにまたそういう牧場あるいは酪農の方々がいらっしゃるというと、ハエがうるさいとかにおいがどうもならぬなというような意見も出てくるわけでございますね。
 そこで、そういう都市近郊での酪農家の方々の環境衛生、特ににおいなどに対する細かい配慮が必要だと思うのでございますけれども、その辺の対策はいかがでしょうか。
#232
○政府委員(須藤良太郎君) 飼料生産基盤が余りないわけですから、それに依存しない搾乳専門的な規模の大きい経営が展開されることが一番望ましいわけでございます。そういうことでいろいろ考えるわけでありますけれども、おっしゃいますように家畜のふん尿処理の問題は非常に都市近郊では大変な問題だというふうに思いますから、この処理、保管、利用施設等の整備、いわゆるリサイクルですね、こういうものを徹底してやるとか、あるいは近郊にはいわゆる転作田があるわけでありますから、この既耕地を飼料基盤として有効に利用する、こういうことでぜひ都市型酪農も振興していってはいかがなものかと、こういうふうに考えるわけでございます。
#233
○新間正次君 私が都市型酪農にこだわる理由の一つに、もう一つ子供の情操教育ということで、生き物との触れ合いというんですか、私どもはちっちゃいときには学校から帰ってきてすぐに、私の親戚にも牧場がありましたから、よくそこへ飛んでいって乳を搾って、その乳を飲んだ記憶もございます。
 最近の都市の住宅事情などから見ますと、子犬さえ飼えないような、ペットさえ飼えないというような場所が大変ふえているわけでございます。そのような意味におきましても、都市型のこういう酪農家の方々にいらっしゃっていただいて、そしてまた子供たちにぜひそういうふれあいの場をつくっていただく、そのことで生き物を大切にする気持ちが養われると思います。ついては、ちっちゃいころから酪農に対する興味あるいは関心などを養うこともできるわけでございます。直接酪農にかかわらなくても将来的に酪農に関して深い理解を示してくれると私は確信を持っております。
 都市近郊においてこのように地域との交流を踏まえた酪農経営に対する対策は何かございますでしょうか。
#234
○説明員(中須勇雄君) ちょっとただいまの先生の御指摘に必ずしもマッチするかどうか自信はないわけでございますが、基本的な趣旨として、牛などの生き物あるいは緑豊かな草地等の緑資源、こういうものを有する牧場のようなものを都市住民、とりわけ子供たちに提供して、都市住民の側から見ればゆとりとか潤い、それと同時に実は畜産の側からすれば畜産というものをより国民に理解していただく、そういうものとして大変意味のあることではないかな、趣旨についてはそういうふうに思っております。
 実はこのために、平成元年度からなんでございますが、乳牛とか肉牛を育成するために市町村とか農協が少し山の方に入ったところに牧場を設置いたしまして、そこに例えば都市型酪農なんかをやっておられる方の子牛を預かりまして、そこで大きく育てて、また酪農家の方に返していく、そういうような公共牧場というものがございますが、私どもはこれをふれあい牧場として整備をしていく、そういうような事業を創設したところでございます。
 牧場の生産面での草の叢生をよくするとか、そういう意味での整備と同時に、子供たちが来て動物と一緒に遊べるようなふれあい広場であるとか待避所だとかトイレだとか、そういうものを整備しよう、こういうような事業でございます。そういった形を通じまして、御指摘のように特に都市の子供たちに酪農というものを知っていただく、こんなことを今進めているところでございます。
#235
○新間正次君 ぜひそれも進めていただきたいと思います。
 話は変わりますけれども、最近、卵の価格がかなり落ちている。物価の優等生と言われております卵でございますけれども、価格がかなり落ちているということで、二、三万羽の鶏を飼育する中規模の養鶏業者の方にとってはかなり死活問題だというようなことも耳にするのでございますけれども、卵の価格安定策を含めてお考えを聞かせてください。
#236
○説明員(中須勇雄君) 我が国の卵の消費量というのは実は世界最高水準、一人当たりの消費量で一、二を争う水準にございまして、ほぼ満杯というか、お腹いっぱい卵は食べている、こういう状況でございます。したがいまして、需要の伸びというのは大きくはもう見込めない状態でございまして、わずかな生産の増加というものが価格面で非常に大きな急落を招く、そういうような構造にございます。
 特に現在、卵価は、平成三年度まで価格が大変よかったわけで、基本的にそのよかった中で羽数がふえていったということと、ちょうど景気の影響を受けまして業務用、加工用需要がかなり減退をしております。そして、卵というのは冬から春にかけて暖かくなりますと鶏が一斉に卵を産み始めるわけでございまして、今ちょうど産卵の増加期に当たっております。そういう点でかなり低い水準で今低迷をしておるということでございまして、中小を含めまして養鶏農家にとってはかなり厳しい状況にございます。
 私どもといたしましては、一つは、価格が一定の基準価格を下回りますと、その価格差の九割を補てんする、あらかじめ積み立てた積立金の中で補てんをする卵価安定基金制度というものを生産者が自主的につくっております。これに対して助成を行いまして生産者の経営安定に資する、こういうことを一つやっております。
 ただ、基本は、現在の状況を見てみますと、生産を少し抑制することによって価格面では非常に大きな効果が期待できるわけでございます。生産者の皆様方が卵価安定のために生産過剰を解消するということが最も重要だと思っており、各団体を通じまして、計画生産と申しましょうか需要に見合った生産というものを強く今後とも指導、要請をしていきたいというふうに思っております。
#237
○新間正次君 最後になりましたけれども、政務次官のいま一度お答えをいただきたいのでございます。
 食肉牛でございますね。牛肉の輸入の関税率というのは五〇%が限度だということになっておりますが、これは間違いないでしょうか。
#238
○政府委員(須藤良太郎君) 平成五年度から五〇%に約束でなるわけでありますけれども、これをその後下げるということは阻止したい、こういうふうに考えておるわけでございます。
#239
○新間正次君 時間が余りましたけれども、私の質問はこれで終わらせていただきます。
#240
○委員長(吉川芳男君) 本件に対する質疑はこの程度といたします。
 菅野君から発言を求められておりますので、この際これを許します。菅野君。
#241
○菅野久光君 私は、自由民主党、日本社会党・護憲民主連合、公明党・国民会議、日本共産党、民主改革連合の各派及び各派に属しない議員新間正次君の共同提案に係る畜産物価格及び繭糸価格に関する決議案を提出いたします。
 案文を朗読いたします。
    畜産物価格及び繭糸価格に関する決議(案)
  我が国の畜産業は、牛肉の輸入自由化後三年目を迎え、その輸入が急増するなかにあって、需給の不均衡、畜産物価格の低下、所得の停滞、後継者不足、さらには畜産農家戸数の減少等厳しい情勢に直面している。
 よって政府は、平成五年度畜産物価格、繭糸価格等の決定に当たっては、将来展望が開けるよう次の事項の実現に努め、畜産業及び蚕糸業の安定的発展に万遺憾なきを期すべきである。
 一 加工原料乳保証価格については、乳用初生中等副産物価格の低迷、農家の生産意欲等を総合的に勘案し、また、長年にわたり生乳の生産調整を実施している実情を踏まえ、生乳の再生産を確保することを旨として決定すること。
 加工原料乳限度数量については、国産生乳供給の十分な確保を旨とした生乳需給計画の下、適正に決定すること。
 二 豚肉・牛肉の安定価格については、再生産の確保を図ることを旨として、経営の安定が図られるよう適正に決定すること。
 三 肉用子牛の保証基準価格については、繁殖農家の再生産の確保を旨として適正に決定し、合理化目標価格については、我が国の肉用子牛生産の実態等に十分配慮し適正に決定するとともに、肉用子牛生産者補給金制度については黒毛和種、褐毛和種の分離を図るなど円滑な運営に努めること。
 四 畜産経営の安定を図るため、乳肉複合経営の推進、肉用牛肥育農家に対する経営安定対策、農家労働の軽減を図る観点からのヘルパー制度の充実、畜産経営に対する金融支援を初めとする諸対策を講ずること。
 五 生産基盤の強化、経営の中長期的安定を図る観点から、我が国畜産についての将来展望と施策の展開方向を明らかにするとともに、畜安法に基づく価格安定制度に関し、検討を行うこと。
 六 ガット・ウルグアイ・ラウンド農業交渉において、我が国畜産の健全な発展及び地域経済の振興を図る観点から、基幹的乳製品の輸入制限措置、牛肉に係る関税率、豚肉の差額関税制度はそれぞれ全力で堅持すること。
 七 国産畜産物の消費拡大を図るため、生産、流通、消費に至る各段階のコスト削減と効率化を更に促進するとともに、卸売価格の小売価格への適切な反映、消費者のニーズに即応した新製品の開発、安全性の確保、原産国を含む表示も可能な表示の適正化に努めること。
 八 畜産による環境汚染問題が、生産性の向上と経営の安定を阻害し、畜産農家減少の大きな要因となっていることにかんがみ、環境保全対策を充実すること。
 九 繭糸の安定帯価格については、繭生産及び生糸価格の動向等蚕糸業及び関係業界をめぐる厳しい情勢にかんがみ、これらの健全な発展に資するよう決定すること。
 また、国産の繭及び生糸の安定供給を図るため、繭糸価格安定制度の適切な運営を期するとともに、先進国型養蚕業の確立及び中核的養蚕農家の育成確保を図ることにより、繭及び生糸の生産基盤の強化に努めること。
 右決議する。
 以上でございます。
 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
#242
○委員長(吉川芳男君) ただいまの菅野君提出の決議案の採決を行います。
 本決議案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#243
○委員長(吉川芳男君) 全会一致と認めます。よって、本決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、須藤農林水産政務次官から発言を求められておりますので、この際これを許します。須藤農林水産政務次官。
#244
○政府委員(須藤良太郎君) ただいまの御決議につきましては、その趣旨に従い、最近の畜産及び蚕糸業をめぐる情勢を踏まえつつ、十分検討してまいる所存でございます。
#245
○委員長(吉川芳男君) 本日はこれにて散会いたします。
   午後四時二十二分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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