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1993/04/08 第126回国会 参議院 参議院会議録情報 第126回国会 農林水産委員会 第5号
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1993/04/08 第126回国会 参議院

参議院会議録情報 第126回国会 農林水産委員会 第5号

#1
第126回国会 農林水産委員会 第5号
平成五年四月八日(木曜日)
   午前十時開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 三月二十九日
    辞任         補欠選任
     大久保直彦君     風間  昶君
 四月八日
    辞任         補欠選任
     高木 正明君     吉村剛太郎君
     村沢  牧君     本岡 昭次君
    ―――――――――――――
 出席者は左のとおり。
    委員長         吉川 芳男君
    理 事
                浦田  勝君
                永田 良雄君
                菅野 久光君
                三上 隆雄君
                林  紀子君
    委 員
                青木 幹雄君
                大塚清次郎君
                鎌田 要人君
                佐藤 静雄君
                野間  赳君
                吉村剛太郎君
                一井 淳治君
                稲村 稔夫君
                谷本  巍君
                村沢  牧君
                本岡 昭次君
                風間  昶君
                星川 保松君
                喜屋武眞榮君
                新間 正次君
   国務大臣
        農林水産大臣  田名部匡省君
   政府委員
       農林水産省経済
       局長       眞鍋 武紀君
       農林水産省農蚕
       園芸局長     高橋 政行君
       林野庁長官    馬場久萬男君
       水産庁長官    川合 淳二君
       労働省大臣官房
       審議官      征矢 紀臣君
       労働省職業安定
       局次長      岡山  茂君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        片岡  光君
   説明員
       防衛施設庁施設
       部施設管理課長  金丸 義彦君
       建設省住宅局住
       宅生産課長    社本 孝夫君
       自治省財政局調
       整室長      林  省吾君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○林業改善資金助成法の一部を改正する法律案
 (内閣提出)
○林業等振興資金融通暫定措置法の一部を改正す
 る法律案(内閣提出)
○沿岸漁業改善資金助成法の一部を改正する法律
 案(内閣提出、衆議院送付)
○水産業協同組合法の一部を改正する法律案(内
 閣提出、衆議院送付)
○漁業協同組合合併助成法の一部を改正する法律
 案(内閣提出、衆議院送付)
○参考人の出席要求に関する件
    ―――――――――――――
#2
○委員長(吉川芳男君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。
 林業改善資金助成法の一部を改正する法律案、林業等振興資金融通暫定措置法の一部を改正する法律案、以上両案を一括して議題といたします。
 両案につきましては既に趣旨説明を聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#3
○三上隆雄君 本日は林業二法案の審議が主題でありますけれども、委員長のお許しを得て、緊急を要する問題と私は解釈しておりますから、短い時間ではありますけれども時間をちょうだいいたしましたので、あえて質問したいと思っております。
 今回のニュージーランドのリンゴの輸入に関しての質問でありますけれども、先般の三月三十日にいわば輸入解禁のための最後の日程といいますか、セレモニーといいますか、その公聴会が開かれたわけであります。
 今回の公聴会は、現在我が国に生息または発生していないコドリンガと火傷病の防除体制が確立したとの理由で、輸入制限を解禁するために公聴会を開いたわけであります。そこで、その目的は利害関係者の意見を民主的に聞くということであります。
 そこで、去る三月三十日の公聴会は冒頭でもめたわけであります。いろいろ問題がございました。その原因は、その目的意義であります公聴会の意見を聞いて、その結果によっては今回の解禁しようとする政府の意図がその公聴会の意見によって左右されるのかどうか、そのことについてまず紛糾したわけであります。
 そこで、大臣が指名した議長、大川植防課長でありますけれども、その意見を聞き、それを大臣に報告するという一点張りの報告でありまして、いろいろな答弁がありましたけれども、そうしてその判断は大臣にゆだねるんだということでありました。そこで生産者は、そこで相当な時間もめたわけでありますけれども、その公聴会の結果を反映しないするは別にしてでも、その大臣に具申する意見を公表できるかという、それを確認したわけでありますけれども、議長は公表できないという答弁でありました。最終的には、時間も経過をしながら、いろいろ議論をしながら、最終的には公述人だけには公表するという結果になったわけであります。
 そこで、私は何か政府の今回の公聴会の進め方、それは最初に輸入ありきというのを前提として、植防法で規定されている、公聴会を開かなきゃならないという規定があるから、単なるセレモニーとしてやったのではないかという、そういう疑念を持たざるを得ないわけであります。
 そこで、その公聴会をやるまでに、それぞれの主産県にあるいは利害の関係者に少なくとも説明会を持たなきゃならないわけで、持つことが常識だと思いますけれども、それもまた青森県と長野県の二県に説明しただけである。よそのナシ、サクランボ、それがもし侵入した場合の果物県の主産県には全く説明会もそういうこともしていない。したがって、突如として今回の公聴会が開かれるという実態になったわけであります。
 したがって、今回いろいろこういう議論がある中でむしろ青森県、長野県よりも別な県が関心を持ってその反対の機運が高まってきた、それが主産県の長野、青森とも相まってここまで反対の運動が高まってきた、こう思うわけであります。現実に今まではそれぞれの市町村、地方議会が反対決議あるいは意見書の採択をする動きがなかったわけでありますけれども、今続々と反対の意見書が採択されております。
 私の考え方としては、少なくとも三年前ですか、沖縄のウリミバエそれからミカンコミバエのような、あのような状況をつくって初めて解禁すべきだという、そういう立場に立って今回の公聴会に関する問題を四、五点質問したい、こう思っております。
 前段申しましたけれども、最初に輸入ありきというそういう前提で開かなければならなかったその理由ですね。それには、さきの委員会でも質問したように、前農林水産大臣の近藤大臣がニュージーランドヘ行った際に、もはやのっぴきならないその交渉をしてきたんではないかという疑惑さえあるわけでありますけれども、先般の委員会で大臣の復命書を提出願いたいという私の提案に対してまだ返答がございません。それはどうなのか。もし、大臣にそれができないとすれば、同行者があるはずでありますから、その人の復命書を提出していただきたい。まずこのことについてお尋ねしたいと思います。
#4
○政府委員(高橋政行君) まず、近藤元農林水産大臣がニュージーランドに行かれまして、その際にリンゴのことにつきましてかなり何か約束みたいなものがあったんじゃないかというようなお話でございますが、これも前回御答弁申し上げましたけれども、平成三年の四月二十九日から五月六日まで日豪閣僚会議に出席のために豪州に行かれまして、その途中で四月三十日から五月一日にニュージーランドヘ立ち寄られました。その際にニュージーランドのファルーン農業大臣と会見されまして、日本とニュージーランド間の農林業関係の問題につきまして幾つかの点について話し合いをされたというふうに聞いております。
 それで、そのときにリンゴの話はどうだったのかということでございますが、前にも申しましたように、大臣から直接な復命書というようなものはございませんが、我々は関係者からも聞きましたところ、その際にリンゴの検疫問題についても話題となりまして、近藤元農林水産大臣からは、これは技術的な問題であるので専門家の間で十分詰めてほしいということを申し上げたというふうに聞いております。
#5
○三上隆雄君 その当時の報道では、技術的問題では輸入解禁を先送りしないというような報道があったそうでありますけれども、そんな話し合いは全くないと断言できますか。簡単に申し上げてください。
#6
○政府委員(高橋政行君) 今のお話は、あくまでもそれは技術的な問題でありますよと、技術的な問題であって、それによって輸入が先になるとか後になるとか、そういうことではないというふうな意味ではないかと思いますが。
#7
○三上隆雄君 限られた時間でありますから、進みたいと思います。
 先般の公聴会は、最初申請した公述人が六十五、六名、私は足かな数字を持っていませんけれども、そうであったわけですけれども、当日三十日参加したのは三十六名であったわけであります。いろいろ紛糾しまして、午後の十時までかかっていろいろ局長とも交渉して翌日開催することになって、二日目の翌日は十九名より出なかった。しかも、その十九名は農水省が依頼して費用弁償まで払った人も含めて十九名でありますが、その費用弁償を払った人は何人おりますか。
#8
○政府委員(高橋政行君) 公述会における出席の状況でございますが、ただいま先生のお話にございましたように、三月三十日は、全体で公述したいというお申し込みのありましたのは六十五人でございましたが、実際に三月三十日に出席した方は今お話しの三十六名です。それから、三月三十一日に出席のありましたのは二十一名でございます。そのうち学識経験者ということで国の方からお願いを申し上げた方は二名でございます。
#9
○三上隆雄君 今二名と言いましたか、二名。この間は三名という話でしたけれども、二名に違いないわけですね。
#10
○政府委員(高橋政行君) はい。三月三十一日に二十一名全体で出席されておりまして、そのうちの二名が学識経験者ということで出席をしてもらった、こういうことでございます。
#11
○三上隆雄君 そこで、この問題も含めて紛糾したわけであって、生産者のほとんどというより生産者のすべてがこういう不公平な運営の仕方、それから公聴会の意味も不明確な中で、これはこの公聴会に参加しても意味がないということでそれぞれ退席して、最終的に六名でしたかな、最終的に公述に応じた人は。
#12
○政府委員(高橋政行君) 今お話しのように、実際に出席した方は二十一名で、そのうち意見の公述を発言されました人は七名ということでございます。
#13
○三上隆雄君 私はこのような状態ではこの公聴会はやっぱり無効であると、こう判断せざるを得ないと思うんです。したがって、これからもっと広く国民に周知徹底せしめて、この重大な問題を生産者、消費者に広くアピールして、公聴会をもう一度私は開催すべきだと思いますけれども、いかがなものでしょうか。
#14
○政府委員(高橋政行君) まず、公聴会の開催そのものでございますが、これにつきましては三月十六日付で官報に公示いたしまして、それで三月三十日に公聴会の開催をしたわけでございます。これは植物防疫法施行規則によりますと、公聴会の開催をする場合には十日前までに公示をしなさいということになっておりますので、我々はその規定に従って公聴会を開催したのでございまして、その点については法律上問題はないんじゃないかというふうに思っております。
 それからさらに、当日の公聴会に関してでございますが、我々といたしましては、法律の規定に基づきまして、利害関係人及び学識経験者から御意見をお聞きするということで開いたものでございまして、まず公聴会の当日、当省側から改正案あるいはその内容あるいは背景、そういったものを御説明いたしまして、それに対する意見を公述人に求めるということで会議をしたわけでございます。
 実際問題といたしましては、実際に出席した人が見られましたけれども、そのうち一部の者が実際にも御意見は述べられたわけでございます。その他の人たちは退席をされて述べなかったということはございましたが、述べなかった人たちにつきましても、公聴会というのはそういったいろんな人たちに実際に発言ができる場を十分提供しているかどうかということでございますが、実際に退席した人に対しても我々としては十分に発言する場を与えておったわけでございまして、この公聴会が無効であるというふうには考えておらないわけでございまして、この辺はどうぞひとつ御理解願いたいと思います。
#15
○三上隆雄君 それでは、あと二、三質問があるわけですけれども、限られた時間ですから、私の意見を申し上げて、最後に大臣の御意見を聞いて、終わりたいと思います。
 私ども、今まで主張してきたことは、もちろんリンゴだけでなく、この病害虫が万が一にも日本に入った場合に、リンゴだけでなく、落葉果樹を中心としてほとんどの果樹に影響があるという、そういうことから、その問題を全くなくするにはメチル薫蒸処理をしなきゃならないという、この臭化メチル薫蒸というのも今世界的に問題になって、日本でも食品衛生法からいくと今問題になっているわけであります。
 したがって、全島でこの病害虫が撲滅されぬうちは私は日本人の健康を守る意味からもやっぱり入れるべきではない。全島撲滅するまで待っていただきたいということと、それから国際的な食料については、その国々で一応満たしている状況、自給が可能な状況、そして余っている状況のものは、米も含めてリンゴ、ミカン、すべてのものを一定の国際ルールをつくるということを、日本が国際的リーダーシップをとれる状況になったわけでありますから、農水大臣、積極的にそのことも主張していただいて、米等を含めてそういう国際ルールをつくることに御努力願いたい、こう思います。
 その意味で、大臣の今回のニュージーランドからのリンゴの輸入とその国際ルールをつくるということを含めて見解を聞いて、私の質問を終わります。
#16
○国務大臣(田名部匡省君) あくまでも技術的な問題でして、それをもってして輸入を禁止するということは新たな国際摩擦に発展しかねない問題でありますから、技術的に処理するということで御了解いただきたいと思うんです。
 後段のお話ですが、貿易に関する国際ルールというものは、これはガットということになるわけでありまして、その中で一般的には、関税措置あるいは国内農業保護のほか、生産調整を行っているものは数量制限を認められているわけであります。現在、どういう貿易ルールをつくるかということでウルグアイ・ラウンドで交渉が行われておりますが、御案内のように、ダンケル合意案においてはすべての国境措置を関税化するということが示されておりまして、私どもは、米のような基礎的な食料あるいは国内で生産調整をやっているもの、こういうものについては関税のみによる国境措置の例外とするよう主張しているわけです。
 ですから、その範疇に入るかどうかということは、これはまあいろんな事情がありますけれども、そういうルールをつくることに今努力をしているんですけれども、いずれにしても、御案内のように、アメリカのサクランボにしても、チリのブドウ、あるいはキウイフルーツ、レモン、いろんなものが現在まで入っておるわけでありまして、それはそういう基準をクリアしたものについて認めておるということであって、この基準をクリアしないものは、これは一切輸入するわけにはいきません。したがって、最終的には日本に入ってくるときにコドリンガ、火傷病というものがあるかどうかというのは最終判断になるわけでありまして、それがないように相手国が防除技術を確立したということでありますから、最終的にはそこになるわけでありますから、いずれにしても、入ってくるもの、それを見てどうするかということは最終的な判断だということに私は考えております。
#17
○三上隆雄君 入ったら終わりです。
 終わります。
#18
○村沢牧君 今、森林・林業は民有林、国有林を問わず衰退、荒廃をきわめて危機的状況に陥っている。このことは、木材輸入の急増による国産材価格の低迷、あるいは林業労働力の絶対的不足などによって、林家はまさに経営意欲を失っている。国有林は財政収支の回復のみに重点を置いて経営の合理化が進められている。こうした中で森林・林業の荒廃を招いているというふうに思うんです。
 そこで、大臣、森林・林業の現状について大臣の認識をお伺いしたい。
#19
○国務大臣(田名部匡省君) 林業をめぐる状況でありますけれども、木材価格が低迷しておる、あるいは経営コストが増大しておって林業の採算性が悪化いたしておることは御案内のとおりであります。そのことによって、山村の過疎化、そういうものが進行し、林業の担い手が減少し、あるいはそのことによってまた高齢者ばかりが山村に残る、こういう現状でありまして、森林所有者の経営意欲が減退し、適正な森林の管理への影響が実は懸念されておるわけであります。
 このために、一昨年改正された森林法に基づいて、森林の流域管理システム、こういうものを確立し、これを基本にして造林でありますとか林道、そういうものの計画的な投資、あるいは林業の担い手対策、木材の低コスト・安定供給体制の整備、そういうことを総合的に講じながら林業を振興し、あるいは森林の公益的な機能、そういうものを適切に発揮されるように努めてまいりたい、こう考えております。
#20
○村沢牧君 そういう現状の中から、今の森林・林業の危機を克服して林業の振興を図るためには、第一義的には森林の公益的機能を重視して地球環境保全をする施策を積極的に展開すべきである。さらにまた、国産材時代の実現と組み合わせた国内の林業が成り立つような条件整備を行うべきである。今、大臣から答弁があったけれども、今までのような施策ではなかなか森林・林業の活性化を図ることはできないと思う。
 そこで、具体的に伺っていくけれども、今話がありました森林法の改正によって、民国一体となった流域管理システムによる活性化協議会組織が発足しているけれども、その進捗状況はどうなのか、またその事業の実行状況について述べてください。
#21
○政府委員(馬場久萬男君) ただいまお尋ねのありました流域林業活性化問題でございますが、私ども森林法を改正いたしましてこの流域管理システムを確立しようということで、流域林業活性化推進事業というものを展開しているわけでございます。これは、御案内のとおり、森林・林業関係者の自主的な協議によって、流域単位に林業あるいは林産業の活性化を図っていくということで、全国百五十八……
#22
○村沢牧君 長官、そういうことは知っているから私の質問に答えてください。
#23
○政府委員(馬場久萬男君) はい。百五十八地域のうち、平成四年までに六十七地域におきまして活性化協議会を設置いたしまして、そこで現在積極的な取り組みを展開しているところであります。
 ただ、この六十七地域の中でまだ事業活動というところまで至っているものは少のうございまして、これはむしろ平成五年度から具体的な事業化を進めていくというところが実情でございます。
#24
○村沢牧君 林業の活性化について重要な課題は林業労働力の確保、担い手の育成強化であるというふうに思います。したがって、流域林業活性化協議会に林業労働者の代表を参加させるべきであると思いますが、現状はどうですか。
#25
○政府委員(馬場久萬男君) 御指摘のように、林業労働者についてもこの流域の林業活性化協議会のメンバーにする必要があるという御意見がございまして、私どもといたしましても、流域におきます関係者の合意のもとで参加し得るということで、都道府県等と連携を密にしていろいろと会議等の場においても指導しているところでございます。
 現在の六十七の流域林業活性化協議会のうちで三十二の協議会におきまして林業労働者の代表の方が参加し、協議を進めているところでございます。
#26
○村沢牧君 現在六十七の協議会ができて、そのうちの三十二、半分以下ですね、林業労働者の代表も参加させている。
 そこで、林野庁は、既に協議会を結成しているところ、あるいはこれから結成しようとするところに林業労働者の代表を参加させる、そういう指導をすべきだと思いますが、いかがでしょうか。
#27
○政府委員(馬場久萬男君) 流域林業活性化協議会の構成につきまして、基本的にはそこの流域の関係者の合意によってメンバーが決まるわけでございます。それで、その協議会の性格、目的からして必要のある場合には林業労働者の代表の方も入ってもらうということになろうかと思いますが、私どもといたしましてはなるべく幅広く関係者が参加することが望ましいというふうに考えておりまして、都道府県とも連携を密にしながら、その旨それぞれの地域におきます活性化協議会の構成についても指導してまいろうと考えているところでございます。
#28
○村沢牧君 林業団体はとかく保守的なところがあるんですね。林業労働者というと何か我々とは違うというような感覚を持ったところがありますが、これからはそうではなくて、林業の担い手の労働者、その代表を参加させることによってその地域の林業経営をどうすべきかということが大事になってくると思うんですよ。私もそういうことで二、三のそういう協議会にも林業労働者を入れなさいと言って要請したことがありますけれども、ぜひ林野庁も、これから私は林業労働力について質問してまいりますけれども、大事なことですから、林野庁の指導によって林業労働者もその活性化協議会に入れて、これから地域の活性化を図っていく、その指導をもっと強くやるべきだと思う。
 もう一回答弁してください。
#29
○政府委員(馬場久萬男君) 先生の御指摘の点はよくわかるわけでありますが、先ほど言いましたように、その地域の林業関係者の合意がないと、役所が入れろと言って入れるという性格のものではないだろうと私ども思っております。
 ただ、あくまでも労働者の代表も含めた幅広い関係者の参加が望ましいよということは指導してまいりたいと思います。
#30
○村沢牧君 もちろん地域のそうした構成員の合意があることは必要だけれども、そのことが大事だということを私は強く申し上げておきます。
 それから、流域管理システム構想を生かして活性化協議会の方針を実行に移すためには思い切った国の助成拡大と指導が必要であるが、どのように考えていますか。
#31
○政府委員(馬場久萬男君) 私どもといたしましても、流域管理システムの確立普及という点でいろいろと努力をしておるところであります。その取り組みを支援するという意味で、他の流域に先んじて流域林業活性化センターを設置して、基本方針を定め、それに基づいて森林整備、あるいは林業振興のための具体的な施策をやっていこうという流域につきましては、我々の持っています公共事業あるいは非公共事業の中で必要なものは優先的にそこで実施するようにしていこうというふうに考えておりまして、昨年の十月に林野庁長官名で「森林の流域管理システムの推進について」という通達を出しまして、そこで、これはもちろん県内のいろいろな事情があるわけでございますが、県内で流域管理システムの推進のために必要な地域については、補助事業の採択、あるいは進度率のアップ、その他事業の優先実施を行うことができるということで、各県の補助事業等についてそういうことを進めるようにという指導を行ったところでございます。
#32
○村沢牧君 森林整備五カ年計画、これが発足したわけでありますが、この五カ年計画の中の事業の配分は、流域管理システムの活性化事業、これを優先させるんですか。
#33
○政府委員(馬場久萬男君) 確かに、昨年私ども森林整備事業五カ年計画を立てまして事業の実施を図っているわけでございます。今申しましたように、流域林業活性化センターを設置して、基本方針を立てて森林整備に取り組むという具体的な体制が整ったところにつきましては、四年度、五年度ともでございますが、なるべくそういうところへ事業が優先して集中的に行えるようにすべきであるということで指導をしているところでございます。
#34
○村沢牧君 そこで、流域管理システムの活性化協議会は、先ほど答弁があったように平成七年度までかかるわけですね。そうしますと、既に協議会のできたところはいいけれども、最終年度に回される地域においては、森林整備五カ年計画に関係をするような事業、その他の公共事業の配分は随分おそくなってしまう、こういうことにもなりがちですけれども、それはどのように配慮するんですか。
#35
○政府委員(馬場久萬男君) 御指摘のように、先導的といいますか、一生懸命早く取り組んだところに事業を優先的にやっていきますと、おくれた地域というのは事業の実施がおそくなるということでございますが、これはある程度実際に現地の実情等から見て事業に取り組めないところは後回しになるというのはやむを得ないかと思っております。
 ただ、今仰せられました五カ年計画、それらの全国におきまして必要な事業量を見込んでおりますので、体制のできたところから優先的にやっていきましても、事業の全体としては順位の差はあれ事業が行えるというふうに考えておりますし、またそれでは足りないということになりますれば、それはその時点においてそういう地域にどうするかということを考えていかなくちゃいかぬというふうに思っております。
#36
○村沢牧君 活性化協議会をつくるについて、おくれた地域はやむを得ないという答弁だけれども、しかし、林野庁は一年間にどのくらいの活性化地域をつくっていくんだということを出して、それに伴う予算も出しているわけですね。地域が好んでおくらせているわけじゃないんですよ。あなたたちの計画に従ってだんだん年次がおくれていくんだよ。だから、おくれたところはいろいろ公共事業の配分にしてもおくれてもやむを得ないと、そういう考え方はおかしいんじゃないですか。それだったら、もっと活性化協議会を五年度、六年度において全部つくらせるようにやったらどうですか。
#37
○政府委員(馬場久萬男君) 確かに、予算的には五カ年で全体の地域にするということで、一年三十何カ所というような計画を立てておりますけれども、現実に体制が整ったのをこの計画のために待たせるとか、そういうことは私どもは考えておりません。
 したがいまして、各地域において熱心に取り組んでいただいた結果、そのセンターが予算の予定数よりふえたら、それなりに必要な措置は我々はとらなきゃいかぬというふうに思っておりまして、その計画は一応の予算上のめどでございますが、年によって早く進めばふやすこともありますし、おくれれば若干翌年に回すこともあると、その辺は運用は弾力的に行ってまいりたいと思っております。
#38
○村沢牧君 林野庁長官の答弁、納得できませんね。五年間で活性化協議会をつくりますというあなたたちが一つの方針を出した。したがって、各府県はそれに基づいて、平成七年までの計画、何年度にはどこをやろうということの計画を立てているんですよ。それだったら、最初から意欲に燃えたところは全部つくれと言えば二、三年でできちゃっている。今になってそんなこと言うたらおかしいですね。ですから、これからも平成六年度で全部やってしまうということがあったら、林野庁はそれにこたえますか。
#39
○政府委員(馬場久萬男君) 事務的に予算を確保する場合に、大体どういうめどでどのくらいにするかという計画をつくるというのは、これは事務的なやり方としては私どもいろいろな事業においても行うわけでございまして、このセンターの設置につきましてもそういう計画を一応持っているわけでございますが、先生仰せられますように、じゃ本当にその計画のために各県が本来やるべきものをおくらせていくということがあるかというと、私どもそういうことはないんだろうと思っております。
 例えばの話ですが、計画よりもふえてくるということになりますれば、それはそれなりに我々は、もちろん流域の管理システムをつくることが望ましいことでありますから、進めていけるように措置をとりたいというふうに思っております。
#40
○村沢牧君 長官がそういう気持ちだとするならば、だからこれから流域の活性化を図るために活性化協議会を早く促進しなさいという指導をしてくださいよ、今までの言っていることと違うんだから。その点をしっかりこれから指導してください。
 さて、そこで、森林の持つ公益的機能や国土保全という立場から見るならば、森林・林業政策はひとり林野庁だけでなくて政府全体で考えるべきことである。林野庁が森林・林業の活性化のためにいろいろな施策を考えてみても、政府の財政方針のシーリングのもとではなかなか事業費を拡大することはできない。
 そこで、国土庁、林野庁、自治省が提携して森林・山村検討会を設置して、林野庁の従来の事業あるいは新規の補助事業に加えて、自治省所管の交付税を適用する、あるいは国土庁が対策を立てる、そうすることによって森林・山村対策を講じようとすることは、私たち社会党もかねてから要請したことであり、このことは高く評価するものであります。
 そこで、自治省、平成五年度に講じようとする森林・山村対策の概要について説明してください。
#41
○説明員(林省吾君) お答えを申し上げます。
 お尋ねの地方財政対策についてでございますが、森林・山村を取り巻く現況を踏まえまして関係省庁で検討いたしました結果、地方財政として取り組むべきものを取りまとめたものでございます。
 その基本的な考え方といたしましては、御指摘ございましたように、森林の持つ国土の保全機能とか水源の涵養機能あるいは環境の保全機能等、多様な公益的機能に着目をいたしまして、この機能の維持増進を図ることが何よりも必要である、こういうふうに考えまして、新たな観点からの抜本的対策を講ずることといたしたわけでございまして、自治省といたしましては、地方単独事業として地方公共団体が取り組みます森林・山村対策に対しまして、四本の柱で財政上の支援措置を講ずることといたしております。
 お尋ねの内容でございますが、まず第一は、保全すべき森林につきましてはその公有化を推進したい、こう考えまして、地域環境保全林整備特別対策事業及び公益保全林整備特別対策事業、この二本の柱を立てまして、地方債と地方交付税を通じまして森林の公有化のための財源措置を講ずることといたしたところでございます。
 第二は、この公有林を適正に管理することも大変大切なことでございますので、公有林等の一般管理経費等につきましても交付税措置をするということにいたしました。
 第三番目の柱は、山村地域の定住環境の改善のためには何よりも林道の整備が不可欠でございますので、この整備を大幅に促進いたしますために、単独事業と補助事業を効果的に組み合わせて実施をいたしますふるさと林道緊急整備事業を創設することといたしまして、地方債あるいは地方交付税措置を通じまして手厚い財源措置を講ずることといたしました。
 第四点目は、林業従事者の確保と待遇改善のために森林整備担い手対策のための基金を都道府県に設置することといたしまして、そのための交付税措置を講ずることといたしました。また、あわせまして、森林の管理を行います第三セクターの設置等を支援するための措置も講ずることといたしたところでございます。
 以上、合わせまして一千八百億円の森林対策経費を平成五年度の地方財政計画に計上いたしまして所要の措置を講ずることといたしているところでございます。
#42
○村沢牧君 自治省がそういう構想と予算措置を講じたことは、これは私も評価いたします。
 そこで、森林・林業・山村対策というのは長い年月を要するわけです。したがって、自治省の施策も平成五年度単年度で終わってはならないし、あるいは地方債の充当率や交付税の参入率も地方自治体が意欲と魅力を持って取り組めるように設定しなければならないが、その用意はありますか。
#43
○説明員(林省吾君) 御指摘のように、森林、山村対策につきましては長期的な観点からの対応が重要であると私どもも考えております。このため、平成五年度から新たに実施をするといたしました地方財政措置に関しましても、公有林化の推進あるいはその適正な管理に対します財政措置につきましては恒久的な措置とすることとしておりますし、また担い手対策のための基金の設置につきましても地方団体が基金の設置によりまして長期的に施策を安定的に実施していくための財源を確保することとしたわけでございます。
 さらに、林道の整備につきましても、今回の対策では五年間の長期計画に基づいて推進していくということにしておりまして、森林・山村対策につきましては、地方団体が長期的な観点から関連施策を実施していくことができるよう私どもとしても十分配慮してまいりたい、こう考えております。
#44
○村沢牧君 森林・林業・山村対策について自治省も前向きに取り組めということは、地方行政委員会においても我が党議員から強く指摘をしてきたところでありますが、今、答弁があったように、ことし講じた仕事は、単年度で終わらない、恒久的にやっていくんだと、そのことを確認するとともに、これからもさらに必要な事業についてはこうした三者協議会等の意見も踏まえてさらに拡充をしていく、そのことを要請しておきたいと思いますが、答弁いかがですか。
#45
○説明員(林省吾君) 森林・山村対策につきましては、私どもといたしましても、今後とも中長期的視点に立ちまして引き続き検討を進めながら積極的に支援していく考えでございまして、今後の地方公共団体の取り組みの実態や山村地域の現況を見ながら、また関係各省庁とも御相談を申し上げながら適切に対処してまいりたい、こう考えております。
#46
○村沢牧君 今後の林政を推進する上で大事なことは何としても担い手の問題であるというふうに思います。私は、時間の関係上、この法案にも関連をして林業労働力問題について以下質問をしたいと思います。
 林業の従事者は、昭和三十五年には四十四万人いたが、平成二年には十一万人になってしまった。この十一万人のうち、林家として林業に就業している人と労働者として林業に従事をしている人の比率について述べてください。
#47
○政府委員(馬場久萬男君) 林業従業者の数の問題でございますが、これは国勢調査で把握されているのが一般的でございまして、平成二年の国勢調査によりますと、これは平成二年九月末の一週間に主として林業に従事した人というとらえ方をしておりますが、これは全体で十万七千五百人、約十一万人でございました。このうち、雇用労働者と言われる者は七万四千七百人、六九%を占めております。そのほかの者としましては、林家等の家族従事者が九千百人、それから一人親方のようないわゆる自営業種というのが二万一千二百人というふうになっているところでございます。
#48
○村沢牧君 文部省の学校基本調査によれば、新規学卒者で林業へ就職した人は平成三年で百八十三人しかいない。林業の就業者が高齢化して五十歳以上の占める割合が七割を超えているという現状の中で、こうした状況が推移するならば十年を経ずして林業労働者はいなくなってしまうんではないかという心配があるんです。十年後の労働力の推移を林野庁はどういうふうに見ておりますか、また必要労働力をどう見通しておるんですか。
#49
○政府委員(馬場久萬男君) 今後の林業就業者の見通してございますが、これは見通してございますからいろいろな考え方があろうかと思いますが、現在の年齢階層別の増減率というものを今後ともその増減の傾向が続くということで試算するコーホー十分析というやり方があるわけでございますが、そういう方式でやりますと、先ほど言いましたように、今のを前提といたしますが、平成十二年の林業就業者の数は約六万人程度になるんじゃないかという試算は可能でございます。
 しかし、今後の必要労働力につきましては単なる数の問題でございませんで、機械化の進展の度合い、あるいは一人当たりの労働生産性の問題、それから林業の施業の仕方も従来の皆伐から択伐方式へ変わるとか複層林施業をやらなくちゃいかぬとか、いろいろと変わってまいります。それから農家林家などの自家労働が、現在約四割を自家労働に依存しているわけですが、これが雇用労働の方へ行くかどうかというような問題、あるいは年間の就業日数、現在大体百五十日というふうに考えておりますが、これを今後ふやすのかどうかというようなことがございまして、これだけ必要だというような計算というのはなかなか難しかろうというふうに思っております。
 しかし、いずれにしましても、労働力が減少・高齢化するという中でございますから、今後林業従事者の育成確保に努めなきゃならぬということは我々の政策課題でございまして、今後とも一層そのための施策を充実してまいりたいと思っております。
#50
○村沢牧君 どうもその辺の答弁がはっきりしていません。
 そのほか林業を営んでいる人、林家戸数は二百五十万戸あるというんですけれども、本当に林業を営んでいる人はわずかである、あるいはまたその後継者は極めて少ない。それからまた、林業への他産業からの新規参入を期待をしている。今度の資金でも新規参入青年も貸し付けの対象にしておりますけれども、新規参入といっても三カ年平均で百五十名内外ということで、そんなに大きな期待を寄せることはできないと思いますね。その内容については一々質問いたしません。
 そこで、提案されている改正法案は厚生施設資金だとか研修費、経営資金等の貸付対象者を拡大していく、あるいは貸付限度額の拡大、こういうことをしようとするものでありますが、その内容に私は反対すべきものはないと思う。しかし、今まで答弁のあったような担い手の現状はさらに厳しいものがあります。こういう見通しの中から本法改正が担い手確保にどういうふうに結びついていくのか、そのことを明らかにしてください。
#51
○政府委員(馬場久萬男君) 確かに、担い手の現状は委員御指摘のように非常に厳しいものがございます。基本的には、他産業に比べて立ちおくれております労働環境の改善でありますとか、雇用の長期化・安定化でありますとか、あるいは林業労働の持っているイメージのアップでありますとか、さらに地域で安心して生活できるような定住環境の整備でありますとか、非常に幅広い政策課題があるわけでございます。
 しかし、具体的な施策として我々がやりまするのは、林業労働者を雇用する事業体の経営の安定あるいは体質の強化、それからその就労条件の改善、そして作業の機械化による労働の軽減あるいは労働環境の改善というようなことが課題になっているわけであります。今回の法律はこれをもってすべてに対応するわけではございませんが、従来からやっていますいろいろな労働力確保の政策に加えまして、流域を単位として林業事業体が体質強化をしていくというための平成五年度からの林業担い生育成強化総合対策の実施とか、あるいはいろいろな補助事業の補助単価の引き上げとか、先ほどお話のありました地方交付税措置等に基づきます担い手のための資・基金の創設でありますとか、そういういろんな施策の中で我々は、無利子資金を新たに林業に加わってくる人にも貸せるようにしよう、あるいは福利厚生施設についての融資の額をふやそう、対象をふやそう、あるいは初度的な資本投下に必要な資金も貸そうというような意味でこの金融施策を考えたわけでございます。
 したがいまして、今回の私どもの提案いたしました法律は、こういう労働力の確保、担い手の確保という面から見れば全体の中の一部でございますが、これをもって新しく林業をやろうという人あるいは今一生懸命やっている人にとってプラスになるだろうというふうに考えているところでございます。
#52
○村沢牧君 林業労働者がこういう現状の中において新たに無利子資金を設けましたと、これは遅過ぎたんですよね。農業だって農業の担い手のために改良資金などによって既に無利子資金をやっているんですよ。だからそういう発想が遅過ぎた。これは中身はそんなにどうこう言うあれはないけれども、そのことだけ指摘しておきましょう。こういう後追いでは林業労働者の確保はできない。
 それから、福祉施設の充実も重要であるけれども、さらに重点を置かなければならないことは就労の安定化や社会保険の加入促進など労働条件の改善が必要だと思いますけれども、これについては現状はどうで、どういうふうに変えていきますか。
#53
○政府委員(馬場久萬男君) 林業労働者の重要な問題として、おっしゃるように社会保険、労災保険でありますとか雇用保険等の問題があるわけでございます。私どもこれらの問題につきましてはこれまでもいろいろな意味で努力をしてきているわけでございます。
 例えば国が行っています補助事業におきますこういう労災保険あるいは雇用保険等の積算におきます見方というようなものも改善をしてきているところでございまして、例えば民有林の造林補助金などで森林組合が受託して造林する場合の社会保険料あるいは就業条件のための経費というものは、いわゆる諸経費率ということで補助事業の中の単価に見込んでいるわけでございますが、これを平成三年度に従来の一四%から一六%に引き上げるというようなこともしているわけでございまして、これらの措置を講じていきたいと思っております。
#54
○村沢牧君 その辺になると極めてあいまいで、長官も林業の労働の実態をよく知っていると思いますが、社会保険の適用なども随分おくれていますね。だからもっと指導性を発揮してそうしたことができるようにしなければならない、このことを強く要請しておきましょう。
 そこで、自治省の先ほど答弁の中で交付税措置で森林整備の担い手対策のために基金の設置を講じようとしているんですけれども、既にこの種の基金は二十二都府県でつくっておるんです。この基金は社会保険の掛金助成だとか退職金の上乗せだとか年末一時金を初めいろいろな助成も行っているんですね。自治省が講じようとする財政措置とこの基金との関連はどういうふうになりますか。
#55
○説明員(林省吾君) 御指摘のように地方公共団体の中には自主的な取り組みといたしまして林業後継者対策あるいは林業労働者対策のための基金を既に設置している団体がありますことは承知をいたしております。
 今回の私どもの措置は、このような地方団体における対策の充実を支援しようとするものでございまして、これに必要な財源といたしまして五百億円を地方交付税により措置することとしたものでございます。既に基金を設置している都道府県におきましては積み増しを行うことによりその拡充が図られるものと私どもは考えているところでございます。
#56
○村沢牧君 そこで、自治省の方針によると、林業就業者数を考慮する、これは当然のことで、林野面積を指標としてつくるということになっていますが、各都府県の基金は必ずしもそういうことになっておらないんですが、この整合性をどうするんですか。
#57
○説明員(林省吾君) 私ども先ほど申し上げました五百億円を各県にお配りをすることになるわけでございますが、その場合、今回の措置の目的が担い手対策といたしまして労働安全衛生の充実あるいは技術技能の向上、あるいは福利厚生の充実等を目的といたしておるわけでございまして、したがって、これらの目的が達成できるように財源を保障したいという考え方でございますので、これらの需要と相関関係が高いと思われます指標を用いて交付税の配分を検討する必要があると考えております。このためには、御指摘のように林野面積あるいは林業就業者数等を使用することが適当ではないかということで検討いたしておりますが、これにより適正な配分となるようにしてまいりたい、こう考えております。
#58
○村沢牧君 既に都府県が先行してこういうことをやっているんですから、それがさらに充実するような形でこの五百億円ですか、地方財政措置を講じてもらいたい、要請しておきましょう。
 それから、労働省が見えておりますので伺いたいと思うんですが、環境資源を守るためにも、あるいは木材の生産、森林の育成を図るためにも労働者対策が急務になっておるんですが、御承知のように民間労働者の労働条件は劣悪のまま保持されているんですね。労働基準法の適用をされるということは非常に結構ですが、その適用の内容を説明してもらうとともに、労働省としても林業労働者の労働条件の改善、あるいは雇用の安定、安全対策、振動病対策などについて積極的な対策を講ずべきであると思いますが、労働省の対策を伺いたい。
#59
○政府委員(征矢紀臣君) 先生御指摘のように、現在国会におきまして私ども労働基準法の改正案について御審議を衆議院でいただいているわけでございますが、これにつきましては、生活大国五カ年計画におきます重要課題であります週休二日制、週四十時間労働制の実現を目指すという観点からのものでございます。その際、特に林業関係につきまして従来労働時間法制の適用がなかったわけでございますけれども、関係者からの御要望あるいは林野庁からのお話等ございまして、この法案の中に今回労働時間法制を適用するという考え方を盛り込んで対処しているところでございます。
 これにつきましては、内容としましては、したがいまして一般的な製造業その他と同様に一日八時間、週四十時間、これは規模、業種等による猶予措置も含んでおりますけれども、そういうものを適用していこうという考え方でございます。それで、この法律が制定されました後にこれにつきましては、私どもまず周知徹底を図るという観点から適切に指導し法律の遵守を図ってまいりたいというふうに考えております。
 それから、第二点目の安全衛生の確保あるいは振動病の予防、治療等の対策でございますけれども、これにつきましても従来からの私どもの大変重要な課題でございまして、林業労働者の安全衛生の確保につきましてはなかなか現場の関係で難しい問題もあるわけでございますが、私ども監督指導の重点課題として取り組んできているところでございます。
 また、振動障害の防止につきましては、従来からチェーンソー取扱作業指針というのをつくりまして、これに基づきまして、一日の取扱時間を二時間以下とすることあるいは手袋を使用することなどについて事業者に対し必要な指導を行ってきているところでございまして、労災保険制度によります認定でいわゆる振動病と認定された方々、これは昭和五十二年から五十四年くらいまでは年間一千名を超えておりまして非常に大変な問題であったわけでございましたが、最近、平成二、三年で見ますとようやくこれが百人を割るようなところまではきております。ということで一定の効果は上がっているかと思いますが、なお引き続き対策を強化してまいりたいというふうに考えております。
 不幸にして振動病になられた方につきましては、これは労災保険法に基づきまして迅速適正な保険給付の実施に努めているところでございまして、あわせて社会復帰の促進にも努力いたしているところでございます。
#60
○政府委員(岡山茂君) ただいまお尋ねの中で雇用の安定の問題につきましてお答え申し上げます。
 林業労働につきましては、確かにいろんな自然の制約の条件の問題であるとかあるいは経営基盤がいろいろと問題があるといったようなこともございますと思いますが、今まで雇用関係が不明確な場合が非常に多い、それから雇用が不安定であるといったような問題を抱えておると思います。そのために労働条件やあるいは福祉の水準が他産業に比べまして立ちおくれておるといったような実態にあろうかと思います。このようなことから、若年者の就職といいますか、が非常に少ないといったようなことで労働者が減少し高齢化が進んでおると思います。
 このような問題点につきまして、私ども雇用の安定を確保する立場からいたしまして、これまでは林業の事業主体を対象にいたしまして雇用管理の改善セミナーを実施いたしましたり、あるいは林業の「雇用管理ハンドブック」をつくりまして、雇用の安定あるいは雇用管理の改善指導に努めてまいったところでございますが、新たに平成五年度からはこの対策を大幅に拡充をすることといたしておりまして、林野庁初め関係行政機関と十分連携協力を図りながら、林業の事業体における雇用管理の改善を促進するための相談指導の事業、あるいは調査研究、研修を内容とする林業雇用改善促進事業を実施することといたしておりまして、そのための予算額を一億七百万円ということで、従来に比べまして大変大幅な予算を計上させていただいているところでございます。
 また、山村等の若年層の流出が非常に著しい過疎地域におきまして雇用機会の開発を促進することが必要かと考えておる保ところでございまして、これまで地域雇用開発助成金という制度がございますが、そういう地域に新たに事業所、工場等を新設いたしました場合の施設あるいは設備についての助成、あるいはそこで新たに雇い入れられます労働者に対する賃金助成をするといったような地域雇用開発助成金制度がございますが、新たに過疎地域につきまして、若年労働力の流出の著しい地域におきます雇用開発を促進するためにそういう雇用開発助成金制度を適用するということにいたしたところでございまして、そのための予算も計上いたしておるところでございます。
#61
○村沢牧君 林野庁の働きかけもあって自治省も労働省も林業対策に前向きに、前向きといったってそんなに評価しているわけではない、今までよりも前向きに取り組んできた、それは評価をいたします。
 そこで、林野庁長官、国有林もこれからどんどん請負になってくる。せっかく労働基準法も適用になる。また雇用改善の促進のために政府を挙げて努力している。しかしこの林業事業体というのは非常におくれているんですね。労働基準法も守らないし、社会保険の適用もないし、今労働省から答弁があったようなことをやっていないところもある。そうした事業体に請負をさせちゃならないと思いますが、どうですか。
#62
○政府委員(馬場久萬男君) 国有林野事業につきましては、私どもとしましては民間の請負化等によります事業の実施を図っていきたいということで考えておりまして、また現在の国有林野事業の改善に関する計画でもそういう方向を定めているわけであります。
 ただ、今お話のありましたように、事業体がしっかりしていなければそこに国有林野事業を請け負わせるわけにいかないという御議論もございますし、また事業体において働いている方々の労働条件等を無視して請負に出すというわけにもいかないかと思っております。この辺につきましては、民間の事業体の育成を図っていく、健全な事業体、経営として安定している事業体の育成を図っていくということと両々相まって国有林野事業の民間請負化を図っていかなくちゃならないというふうに考えております。
 我々一般の林政といたしましても、長期の協定システムというようなものをつくって事業体の事業の安定を図る。いわゆる国有林野側から言えば計画的安定的な事業の発注をする、あるいは共同請負制というものを活用して事業の協業・共同化を図る、そして社会保険等の加入促進に向けての指導、啓蒙を行うというようなことを国有林野事業あるいは一般林政として事業体に対して働きかけながら、その中で事業体に仕事をお願いしていくというふうに考えております。
#63
○村沢牧君 時間がないから簡潔に答弁してください。
 そこで、私は林業労働者の実態の中からかねてから特別立法を制定すべきだと要請してまいりました。百二十国会で私がこのことを提案いたしましたところ、当時の入澤林野庁次長は、労働基準法の全面適用に向けて努力をしている、林業労働法という名前がいいかどうかわからないが、基本的な法制度が必要ではないかというふうに考えておりますと答弁しておりますね。
 林野庁長官、労働基準法が適用になった今日、林業労働者の雇用安定のための特別立法に踏み切るべきだと思いますが、どうですか。簡潔に答弁してください。
#64
○政府委員(馬場久萬男君) 林業労働力の確保あるいは林業担い手の育成というのは重要なことであると思っておりますが、ただいまいろいろとお話の出ましたように、それぞれ関係機関においてもいろいろと御努力いただいておりますし、我々も今回御審議をお願いしています林業改善資金の制度の充実というようなことも含めまして林業労働力対策あるいは担い手対策ということをやっているわけでございまして、政府としましては、特別の立法をするというまでもなく、それぞれの措置によって、予算、金融あるいは諸制度等を講じまして林業の担い手の育成確保に取り組んでまいりたいと思っております。
#65
○村沢牧君 中小企業には中小企業労働力の確保法という法律が既にあるんです。そこで、林業労働者の雇用の安定、労働環境の改善、教育訓練の実施等をするために、日本社会党は林業労働者の雇用の安定及び雇用管理の改善等に関する法律案、これを国会に提出しようと思って今準備をしているんですよ。したがって、この法案の概要については林野庁、労働省に提出してありますので目を通してこられたと思いますが、こうした立法措置がどうしても必要である、財政措置、行政措置だけではだめだと思いますが、我々の考え方について両省の御意見があったら聞かせてください。
#66
○政府委員(馬場久萬男君) 社会党において林業労働者の就労条件の改善に関する方針を立て、また計画を作成して、雇用の安定を図るためセンターを設置するというようなことを主たる内容とする法案を検討されているということは承知しております。
 私どもの考え方は、今も申しましたように、いろいろな制度で現在やっておりますので、これは法制度もありますしいろいろな補助制度もございますが、そういうことで、一つの法律をつくらなければできないということではないというふうに考えているところでございます。
#67
○政府委員(岡山茂君) 林業の労働者の減少の問題、あるいは高齢化が進んでいく中で、特に若年者を初めとする林業労働者を確保していくということが非常に大切だというふうに私ども考えておるところでございます。
 まず、そのためには、林業につきまして若年者がこれから一生を託していくに足る魅力ある職場をつくっていくということが大事であろうというふうに考えておるところでございます。私どもといたしましては、先ほども御説明申し上げましたとおり、これまでと違いまして、新しい事業を実施することにいたしております。特に、林野庁初め関係行政機関におきましていろいろと新しい施策も講じられるところとなっておるところでございます。それらの施策と連携をいたしながら、雇用関係の明確化あるいは雇用の安定、労働条件の改善、福利厚生の充実、あるいは研修、その他、林業事業体の雇用管理の改善を一体として進めていくための相談、指導あるいは調査、研究、研修、そういった内容をふさわしい団体に委託をいたしまして実施していくといったような内容で、先ほど申し上げましたとおり予算も増額をいたしまして推進をいたしていくことといたしておるわけでございます。この施策につきましては、林業関係者の御意見も参考にしながら、新しい視点で進めていこうということにしているところでございます。
 私どもといたしましては、まずこの施策の推進に全力を挙げてまいりたいと考えているところでございます。
#68
○村沢牧君 労働省の施策の推進に全力を挙げていくためにはこういう立法的なものが必要である。馬場長官、森林法と改善措置法の審議の際に当時の林野庁次長は、労働基準法が適用されたらこういうことも必要だと答弁しているんですよ、あなたは必要でないなんて言っているけれども。法律をつくるのは政府だけがつくるんじゃないんですよ。国会でありますし、この法案は参議院から持ち上げていくんですよ。私は与野党の皆さん方に協力願って、政府が嫌だというならこっちでつくりますよ。そんな必要でないなんて、そんな答弁があるのか。そうして、そういうことをしなきゃ林業労働者の本当の安定確保はできないんですよ。ですから、もう一回答弁してください。−何なら入澤次長の本委員会における答弁書、会議録を持っていますから見ますか。
#69
○政府委員(馬場久萬男君) いや、結構です。
#70
○村沢牧君 次長が言ったことだから、長官はだめだということですか。
#71
○政府委員(馬場久萬男君) 先ほど申しましたように、林業労働力の確保のため、あるいは担い手の確保のために我々もいろいろ努力をしていますし、また、社会党におかれましてもいろいろ検討されているということは十分承知しているわけでございます。
 ただ、私が申しましたのは、今いろいろな形で施策をしているんで、必ずしもそういう法律がなくてもこれらの施策はやっていけるというふうに考えているということを申し上げたんで、立法について直接とやかく申し上げたつもりはございません。
 ただ、重ねて申しますようでございますが、我々もここ数年いろいろな施策の充実を図って、林業労働力対策あるいは担い手対策ということについて努力をしてきているわけでございまして、そういう点を総合すれば新たな立法がなければできないかといえば、なくてもかなりのことをやってきているというふうに思っているものですから、そのように申し上げたつもりでございます。
#72
○村沢牧君 立法がなくてもできるというんなら、もっと積極的にやればよかったじゃないですか。林野庁が手をこまねいているから、だから自治省も労働省も応援してもらったことは結構だけれども、そんなことを言っているからだめなんだよ。ですからこういう必要な法律はつくっていく。私どもはこの法律ができるようにやりますから、その推移を見ておってください。
 時間がありませんから、最後に一つだけお伺いします。
 林業労働力がこれだけ少なくなってきた。国有林は二万人体制などといってどんどん人を減らしていく。民間労働者がいなくなれば国有林の労働者が民間事業まで流域管理システムで一緒に仕事をすべきだと思う。そこで、これも森林法、特別措置法の改正の際に、平成五年二万人というけれども、平成五年を見ずして林業労働者の実態はどうか、そのことを踏まえて検討すべきではないかと私が質問し要請したところ、当時の小澤長官は、平成五年を待たずして検討いたしますと言っているけれども、二万人体制をあくまでやって人を減らしていくんですか。林業労働者の実態がこうなんだから、国有林もひとつ余り人を減らすことをやらずに民有林のお手伝いもしましょうと、そういう気になるのかどうか、その点についてお聞きをしたい。
#73
○政府委員(馬場久萬男君) 国有林野事業の要員の問題と、それから民有林を含めての労働力問題と、非常に難しい問題でございますが、私ども、国有林野事業、これは事業特別会計ということでやっておりまして、その改善合理化という点からは要員規模の適正化ということは避けて通れないというふうに考えております。今お触れになりましたように、現在の改善計画のもとでは、平成五年度末におきまして二万大規模の体制にしようということで現在努力をしているところでございます。
 今、先生の仰せられました、民間において人がいないから国有林野事業の人をそこに使うということも含めてどうかというお話でございますが、これはなかなか国有林野事業の職員の労働の問題といたしましては難しい問題もございまして、私ども直ちにそういうことについて可能であるというふうにも申し切れないところでございます。事業としての観点からいいますと、国有林野事業につきましては平成五年度末二万大規模実現ということはあくまでもやってまいりたいというふうに思っております。
#74
○村沢牧君 最後に一言申し上げておきます。
 民国一体となって日本の山を守っていこうという流域管理システムなんですよ。だから、国有林の現場の作業員を民有林で使えないとかなんとか、そんなことを言っていることが既に発想が悪いんですよ。国有林だからひとつ入って山やろうという人がおるんですね。国有林の労働者はどんどん減らしていく、民有林の受け皿がないんですよ。ですから、二万人体制を何としてもやるんだということじゃなくて、林野庁が発想の転換をして、国有林労働者も民有林の仕事もやろうと、そういうふうに発想の転換をしなきゃ林業労働力の確保なんかできませんよ。そのことを強く申し上げて、私の質問を終わります。
#75
○一井淳治君 森林・林業の振興のためには、若い後継者が集まってくるように賃金を他産業並みにしていくこと、あるいは年間を通じて仕事を確保すること、さらには機械の導入ということが非常に大切であると思います。そういった中で昨年は景気対策のための補正予算が組まれ、今年度予算でも公共事業が非常に重視されているわけですけれども、林野庁の側におかれましては、予算編成あるいは公共事業を発注する場合に、森林組合やあるいは林業で働く人たちによい仕事が回っていくように御配慮を十分にしてもらわなきゃいけないと思いますが、いかがでございましょうか。
#76
○政府委員(馬場久萬男君) 私どもとしまして、林野庁のいろいろな事業、予算で事業をとっておるわけでございますが、国が直接やる事業あるいは補助事業等ございますが、これらにおきまして、今仰せられたように、森林の適切な維持管理を図っていくための林業労働力の確保ということが非常に重要だと思っておりまして、その予算内容におきましても、補助事業等におきまして、賃金等については、なるべくそういう森林組合等の賃金につきまして引き上げを図るというようなことも考えながら予算編成をしているところでございます。
#77
○一井淳治君 私の出身地の岡山県ではこういう事例がありましたので、御紹介をしながら質問を重ねていきたいと思いますが、岡山県の場合は林家が非常に規模が小そうございまして、森林組合あるいは林業労務者に余りうまみのある仕事というのは少ないわけです。県内では、吉井川流域におきまして流域林業活性化協議会が設けられまして、例えば、現在、機械化をどうするかという論議が進んでおるわけですけれども、しかし仕事がない。機械を購入しようとすれば、その機械を償却していくだけの十分な仕事が年間通してあればいいんですけれども、仕事がないということで一つの壁に当たるわけです。
 ところが、最近、この同じ流域で、どうも国有林野内だと思われるんですけれども、一つの林野庁発注の事業が始まりまして、それは堰堤をつくったり管理道をつくったりする相当大規模な事業で、地元の業者は全然関係なしに、遠方の都市部の建設業者が来て、大型機械を使って作業をしているという状況でございます。
 この流域管理システムにつきましては民有林と国有林が協力し合うということがあったんですが、それからまた近くには間伐とか除伐とか、要するに造林・林道事業でできるいろんな事業が可能なわけなんですけれども、そういったことはしないでおいて、遠方の建設業者がもうかるという仕事が出てまいりますと、これから活性化協議会をつくってやろうじゃないかと頑張ろうとしている人たちにとっては非常にショックなわけでございます。そういったことで、もう少し活性化協議会などで頑張っているところには細かい配慮をして、林野庁の仕事は、余りいいとは言えませんがまあまあいい仕事でございますから、そういったものはその地域にはちゃんと仕事が出ていって、どうせなら森林組合等に回っていくような仕事を地域に配慮していただかないといけないと思うんですが、どうでしょうか。

#78
○政府委員(馬場久萬男君) 今、具体的な事例のお話がございました。具体的な事例については私ども定かでございませんが、林野庁の事業で公共事業というのがよくあるわけでございます。これは大体いわゆる資本金で言えば一億円以下の中小企業に属する方々によって担われておりまして、民有林の補助事業で言いますと林野庁の一般会計の公共事業のうち金額で九九・六%が一億円以下の中小企業に請け負われている、また特別会計の方の公共事業で言いますと九六%がそういう方々によって担われているということでございます。どちらかというと、林野庁の事業は国有林野事業につきましても治山なり林道なりそれぞれ山間部の小規模な事業が多うございます。担当の営林局のブロックの中にいる業者の方に受注していただいているというのが大部分の実情だというふうに認識しております。
 今、先生の御指摘になったような事例につきましては、どのように行われているか一度調べさせていただきたいと思いますが、全体としてはそういう意味で地元の業者の方々に請け負っていただいているというのがほとんどだというふうに私ども考えております。
#79
○一井淳治君 最近の景気対策の中では景気の牽引力になります消費拡大をということが言われておるわけですけれども、そういった観点からしましても、都市部の大型機械を使って人間も余り使わない建設業者に仕事が行くのではなくて、地元の多人数の人力を使う公共事業に林野庁の予算が回っていくように一層の御配慮を賜りたいとお願いいたします。
 それから最近、米材あるいは南洋材が輸出国の環境対策の問題とかあるいは輸出規制などから、大変日本国内の価格が高騰しているわけでございます。その実情を聞きたいわけですが、全部言っていただきますと大変なことになりますので、米ツガ材、米松材それからラワンの十二ミリの型枠用合板を例に引いて、最近の国内価格の値上がりの状態についてお伺いいたしたいと思います。
 また、小売段階では手に入らないという声も聞くわけですけれども、そういったことについてもどのようになっておるのでございましょうか。
#80
○政府委員(馬場久萬男君) おっしゃるように、外国から輸入してくる木材の価格がここへ来てかなり急激に上昇しております。
 今お話のありましたまず米材、米松、米ツガでございますが、米材の中でも米松ですね、松のたぐいの方は、実は昨年、平成四年の年初からずっと上昇してきております。米ツガの方は、夏までは前年と変わらずに来たわけでございますが、夏以降に上昇しております。数字で言いますと、平成五年三月の産地価格は、前年同月つまり昨年の三月に比べまして米松で一六二、米ツガで一七六というふうになっておりまして、米ツガの方は非常に上がったように見えますが、これは先ほど言いましたように米松は昨年の初めから上がってきたということでございます。これは主としてアメリカにおきますマダラフクロウの保護を中心とした自然保護運動の高まり等から、丸太の伐採規制によりまして生産量が減っております。そういう意味で上がってきているわけでございます。
 次に、ラワンでございますが、ラワンも産地価格は上がってきておりますが、これは昨年のむしろ秋といいますか秋も遅くなってから上がってきたという経緯がございます。これは主としてラワン丸太の輸出はマレーシアから来ているわけでございますが、マレーシアのサラワク州の伐採につきましては、やや過去において切り過ぎたということで、国際熱帯木材機構、ITTOから少し伐採を制限したらという勧告を受けておりました。それによって伐採量が減ったということが一つございます。それから、我が国の合板の殊に良質のものの原料になっておりますサバ州の丸太でございますが、これは突如でございますが輸出が本年一月から禁止になりまして、そのために急激に上がってきたということでございまして、ラワン材について言いますと、昨年三月の産地価格に比べまして丸太の値段で二七六%と産地においては約三倍近い値上がりになっているわけでございます。
 ただ、これは産地価格でございまして、国内におきましては今のところ同じ平成五年三月と四年三月とを比べますと、米松で国内価格は一二六、米ツガで一一六、ラワンで一四三と産地に比べれば上がり方が少ない形になっているわけでございます。
 合板でございますが、これは国内へ今丸太を入れて、それを製品として売っているわけでございますが、殊にコンクリート型枠用に使いますいわゆる厚物と言われる十二ミリ以上の厚さのものでございますが、これは平成四年三月に比べますと平成五年三月で一三八という数字でございますから約四割高くなっているということでございます。合板につきましては、急激にこれも昨年の十月以降値上がりをしてきたわけでございます。それまではむしろ昨年年初より年中の方が下がったぐらいでございましたが上がってきているわけでございます。これは、国内で建築業の方々あるいは家具業の方々が、非常に物が不足するんではないかということで我々の方にも何とかしてくれということを言われましたので、我々はことしの一月、二月、三月と各団体個別に需給事情あるいは在庫の状況等を聞きました。いやしくも安定供給に支障のないようにということで国内の合板メーカー団体それから輸入合板を扱っている会社に対しまして、とにかく物がないというのは一番困ると……
#81
○一井淳治君 対策は後でお聞きしますから。
#82
○政府委員(馬場久萬男君) そうですか。そういう状況にございます。
#83
○一井淳治君 今、国内価格について御説明がありましたけれども、これはどういう価格なんでしょうか、卸段階価格なんですか。
#84
○政府委員(馬場久萬男君) 今私の申しましたのは、私ども農林水産省で調べております木材価格というものでいわゆる卸売価格と言われるものでございます。
#85
○一井淳治君 我々のところには工務店等から型枠用合板等が小売段階で大変上がっていると。先ほどは四割程度と言われましたけれども、我々の耳に入っているのは、地域によっては八割とか九割、そしてもう全然品物がない、注文しても半分しかくれないとか、そんな深刻なことを私どもは言われておるわけなんです。林野庁の方では、流通対策をする場合には問屋等の価格だけをつかんでおってもいけないんで、末端の小売価格についてももっと情報収集をしてきちんとした統計数字を持っておかないと適切な対策ができないんじゃないかと思いますが、どうですか。
#86
○政府委員(馬場久萬男君) 確かに、物の価格としていわゆる卸段階と小売段階とあるわけでございまして、両方正確につかめればよろしいわけでございますが、木材のようなものにつきましては小売段階というのは非常に細かく分かれていまして、なかなかその把握は難しいというようなこともありまして、従来流通段階では卸段階の価格をとらえているわけでございます。
#87
○一井淳治君 今回の木材の値上がりの問題でも、我々と林野庁との間では大分見方が違うな、林野庁の方は大変失礼ですがどうも本気になっていないなという感じがするわけです。それは結局情報が卸段階からしか入っていない、したがって末端の深刻なことが耳に入っていないということだと思います。統計数字をどのように集めるかは別にいたしまして相当程度のものを、林野庁としても小売段階の価格とか品不足を集めてもらわないと適切な対策はできないと思いますので、その点の御配慮を十分にお願いしたいと思います。
 それから、国産材の方も外材に引かれて値上がりをしているように思いますが、どうでしょうか、簡潔に答弁をお願いしたいと思います。
#88
○政府委員(馬場久萬男君) 外材の値段が上がったことに引かれて国産材が値上がりしているのではないかということでございますが、確かに国産材の中でも杉につきましてはややおくれて価格が上がりつつあるということは事実でございます。ただ、これは前年に比べますとまだ一〇五という程度で、外材に比べますとかなり上がり方は少ないわけでございます。
 なお、ヒノキにつきましては、外材がこれだけ上がっておりますけれども、ほとんど前年と同じ一〇一ぐらいでございまして、今のところ上がるというところまで行っておりません。
#89
○一井淳治君 これは私も伝票まで手に入れているわけじゃないんですけれども、長崎県の方から手紙が来ております。ヒノキですが、昨年の十月に三千五十円であったのがことしの二月には四千七百九十円になっている、そういう報告を受けておりますけれども、これは伝票までは手に入れていないわけです。ですから、今申し上げましたように、末端の小売価格の実情をもう少し真剣に見てもらわないと適切な対策はできないと思いますので、その点を重ねて要望しておきたいと思います。
 住宅建設につきましては、景気対策の観点からしましても波及効果が非常に大きいというので、建設省でも例えばことしは住宅金融公庫の融資枠を一万戸ふやすとか、あるいは予算全体では二万戸近く新築住宅をふやすような御努力をしてくださっているわけでございます。それで、景気対策の観点からしてこんなふうに木材が上がってきますと非常にぐあいが悪いんじゃないか、水を差す結果になるんじゃなかろうかということが第一に心配されます。それからもう一つは、値上がりが非常に急激でありますから、需要者の間に木材離れを起こすとか、あるいは林業、木材産業それから木造住宅産業によくない影響を及ぼすんじゃなかろうかということを心配するわけでございますけれども、建設省の方がきょうお見えだと思いますが、建設省の方ではどのような対策をお考えなのか、御説明をいただきたいと思います。
#90
○説明員(社本孝夫君) 最近の木材の値上がりに対処しなくちゃいけないわけでございますが、住宅全体の価格という面で見ますと、木材の使用費というのは大体住宅価格の二割程度でございます。したがいまして、仮に計算をいたしますと、例えば押しなべて住宅の木材が二割上がったということになりますと、住宅価格全体に及ぼす影響は五分の一でございますので、四%程度ということになるわけでございます、計算上でございますが。木造住宅の場合でそういうことになるわけでございます。
 私どもも住宅業界の方にこの二月に、最近の値上がりについてどういうふうに考えているかというようなことをヒアリングを行ったわけでございますが、住宅業界では、現段階におきましてはこの木材価格の上昇を直ちに住宅価格の方に転嫁しないように、設計上の工夫等を行っている状況にあるというふうに私どもは承知いたしているわけでございます。現段階の海外におきます木材価格の上昇が今後住宅価格全体に影響を及ぼしてくるんではないかということを懸念しているわけでございます。
 建設省といたしましては、住宅価格全体の上昇に対処するためには、従来から木造住宅の担い手でございます大工、工務店の近代化の推進であるとか、代替材の使用等の促進によりまして、住宅価格への反映を少なくする方策を従来から推進してきているわけでございますが、もう少し具体的に申しますと、住宅部品のプレカット化であるとかパネル化などによりまして工期を短縮するとか、それから現場での省力化に努めるような施策を進めるというようなことや、それから集成材であるとか単板積層材というような、いわゆるエンジニアリングウッドというようなものの使用の促進を図ってきたところでございます。
 今後におきましても、林野庁と協力しながら、長期的に森林資源が木造住宅において有効に活用されるような体制の整備に努めていきたいと思っております。
#91
○一井淳治君 これは新聞記事でございますけれども、木材の値上がりが建材や住宅機器にも拡大しそうだということを挙げております。今お聞きしたのは、非常に時間のかかる遠大な御計画でございますけれども、さらにいろいろと検討いただきまして、もっと直接的に価格に影響が出るような何か方策を考えていただきたいということをこの際要望いたしておきたいと存じます。
 建設省の方はこれでお帰りいただいて結構でございます。ありがとうございました。
 木材の流通対策は何といいましても林野庁が主管官庁でございまして、非常に今回の対策については責任があると思いますけれども、林野庁としてのこの値上がりに対する対策あるいは効果について御説明をいただきたいと存じます。
#92
○政府委員(馬場久萬男君) 今回の木材価格の上昇は、先ほど申しましたように、輸出国側の事情というのが非常に大きく左右しているわけでございまして、これによって我が国の木材価格が急激に上昇してきたということでございます。
 木材は委員御案内のとおり輸入は自由化されております。したがいまして、我々としましては、数量的な規制措置というのはないわけでございますので、四半期ごとに従来から主要な木材の需給の見通しを作成して公表する。それから、民間の機関を通じましてその需給の情報の収集、そしてまた業者に対する提供というようなことをしながら、需給なり価格の安定を図ってきた。いわば情報を集め、与えるという形で価格の安定を図ってきたわけでございます。
 今般、先ほど言いましたような急激な変化でございますので、流通に携わる者、需要先も含めまして、各団体から幅広く現実の需給の動向それからそれに対する各団体の対応の仕方等についてヒアリングを行い、またこれは業界にとっても需給なり価格が安定していることが必要なわけでございますので、その安定のための対策を協議したところでございます。
 とりわけ安定についての要請が関係者、ユーザーから強い合板につきましては、それぞれ合板メーカーの団体あるいは輸入を扱っている会社というものにつきまして、少なくとも物の不足、あるいはないというようなことになってはいかぬということで、必ず相談窓口というようなものをつくりまして、ユーザーから物がないというようなことがあれば適切に対応するようにという指導をいたしました。
 また一方、先ほどお話をいたしましたマレーシアのように、国内事情等もあって急遽輸出を制限するというようなことをしたところに対しましては、外交ルートを通じまして、この輸出について従来と同様に我が国に対する輸出をするようにという要請をし、あるいはなぜそうなっているのかという情報の収集を依頼したところでございます。
 実は、効果というお話がございましたが、一月、二月はややそういうことで関係者は非常に大変だということであったわけでございますが、ここへ来てやや高値安定ではありますが合板につきましては需要筋からの苦情もなくなってきておりまして、やや落ち着いた状況になってきているというふうに思っております。
 ただ、先ほども言いましたように、何せ外国がそれぞれの国の事情によって輸出を抑えるということでございますので、今後について決して楽観は許されないわけでございまして、引き続き各方面の情報の収集あるいは輸出国に対する輸出の要請等は続けてまいりたいというふうに思っております。
#93
○一井淳治君 最近はとにかく一般的な経済界の状況が不況が基調でありますし、ビルやマンションやあるいは株の関係も非常に需要が沈滞しておる。季節的にも一月と二月は不需要期でありまして、こんな時期に木材に限って値段が上がるというのは非常に異常な状態ではなかろうかと思います。供給の減少が起こるということを読んで商社や問屋あたりが在庫の積み増しをやったということが原因じゃないかと思いますが、ヒアリングの過程でちょっとこれはひど過ぎるなというようなこともあったんじゃないでしょうか、どうでしょうか。
#94
○政府委員(馬場久萬男君) 私どもヒアリングを行う場合も一番その点を、万が一にもこういう事態に便乗するようなことがあってはいかぬということで、意を用いてヒアリングをしたところでございます。木材関係者というのはユーザーと流通業者と取引がかなり持続的なものが多いわけでございまして、私どもが聞いた限りにおいては決してそういうようなことはしない、むしろ通常の在庫を少し減らしながら顧客に物を出しているんだというような話が多うございました。
#95
○一井淳治君 そのあたりのヒアリングをもう少し徹底してもらわないとヒアリングの意味がないんじゃなかろうかと思います。結局、現在高くなっている材というのは安いころに輸入したものが大部分であって、それが業者の中に眠っている間に高くなっているというのが大部分ですから、買いだめ、売り惜しみ、価格操作というものがあるわけですから、そこのところをつかみ出すまでヒアリングをやってもらわないと、何のためのヒアリングかと言われても仕方がないんじゃなかろうかと思います。業界がだめだったら、あるいは業界傘下の大手の企業とか商社とか、そこまでヒアリングを伸ばしてもっと厳重にやっていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
#96
○政府委員(馬場久萬男君) 私どももヒアリングの際、先ほど申しましたようにそういう点について注意して聞いたつもりでございます。また、ヒアリングをする対象団体も、需要者側、いわゆる家具工業連合会でありますとか建設業協会でありますとかあるいは木造住宅産業協会とか、そういうユーザー側の団体が十団体、それから流通関係、これは木材の市場の連盟でありますとか売買の組合でありますとか合板の商業組合とか、流通が三団体、それから供給側、これは国内の森林組合連合会も含めますし、また輸入商社の集まりであります輸入協会も含めまして八団体、それぞれ呼んで聞いたわけでございます。
 私ども今までのヒアリングの段階では、先ほど申しましたように、むしろ通常の在庫を減らしてでもユーザーに物をつないでいるというふうに聞いておりますが、委員御指摘の点についてはさらに今後ともよく留意して業界と話をしていきたいと思っております。
#97
○一井淳治君 我が国では木造住宅というのは非常に零細な工務店が大部分を担当しているわけです。零細な工務店は、現在は契約段階に比べて相当木材が上がっているということで泣きながらやっているわけですけれども、木材離れが起こったりしないように、あるいはせっかくふえつつある木造住宅の振興の気風がそがれないように、一層強力な対策を要望いたします。
 次に、林野庁やあるいは森林開発公団が発注される作業について労賃単価を上げてほしいという要望でございますけれども、これにつきましては三省協定賃金で決まっておって、建設関係の労働者からも低過ぎるという要望をよく聞いているわけなんですが、ここでは林野庁に限って質問をしたいと思いますけれども、その点はいかがでございましょうか。
#98
○政府委員(馬場久萬男君) 林野庁関係の事業を行う場合の単価の問題でございますが、二つございまして、一つは、民有林の事業に対する補助をしているわけでございますが、その補助のときの積算の単価をどう見るかという問題、それから国有林等でみずから事業をやっている場合の単価をどう見るかという問題がございます。
 まず最初に、今の民有林の関係でございますが、民有林の例えば造林事業について補助事業を行っているわけです。この標準単価というものについては非常に低いというお話が従来からありまして、我々も予算上の労賃については非常に苦慮しておったわけでございますが、平成五年度におきましてはこの単価を約二割引き上げるということができたわけでございます。造林の単価二割引き上げというのはかなりなものでございますが、それによりまして一応標準単価を引き上げました。
 あとは今度は地域別の実勢賃金に基づいて、地域において全国平均に比べますといろいろ高低がございますので、それを配慮してやるようにということを都道府県に指導しているところでございます。また、民有林の事業の中で、治山事業、林道事業、こういうものにつきましては、今委員仰せられました三省庁の賃金というものによるということで従来からやっておりました。これは都道府県ごとの三省庁の協定賃金によって事業を行うというふうに考えております。
 また、国有林の方につきましてでございますが、国有林の単価につきましても地域の実情に応じてやるということになっておりますが、これは国有林とそれぞれ契約する民間事業体との間でどういう積算単価を用いるかということになりまして、かなり地域的になるわけでございますが、原則としましては地域の民間林業労働者賃金を基礎として決定するということで従来やってまいりました。ただ、民間林業労働者の賃金というのは比較的地域においては低うございますので、平成四年度からは他産業の賃金水準も配慮して順次見直しを行うようにということを指導しているところでございます。
#99
○一井淳治君 結局、若い後継者が集まるには何といいましても賃金が基本でありまして、ほかの産業に負けておっては人は集まらないわけでございまして、これは政策的な目標ですけれども、今長官が言われましたように、引き続き上げる努力をお願いしたいと思います。
 それからもう一つは、人事院勧告の場合は、四月の民間賃金を調べて、そして春闘の賃上げがない場合には五月か六月にかけて積み残し調査というのをやって、それで結局春闘での賃上げ分を全部調査した上でこれを官に反映するというシステムです。しかし、この三省協定賃金のやり方は、前年の十月に調査をして、最近は六月と十月に調査しているようですが、十月分を例にとりますと十月に調査をして、そしてそれに基づいて四月ごろまでの時点修正をして少し傾斜をかけて賃金を上げているようですけれども、その金額で九月ごろまでをずっと決めていくわけなんです。
 そうすると、春闘賃上げ分を四月から十月ごろまでは加味しないまま契約をしていくことになっているわけで、半年おくれになっていると思うんです。ですから、そういった決定についても検討いただいて何とか是正をお願いしたいと要望させていただきたいと思います。
 それから、補助金単価については査定係数というのがございますけれども、この査定係数を有効に使われて打開を図っていっていただきたいという要望をここでさせていただきたいと思います。
 それから次に、森林で働く作業員の方々の各種の保険や厚生福利費なんですけれども、これが今非常に不十分であると思いますが、いかがでしょうか。
#100
○政府委員(馬場久萬男君) 御指摘のように、民間の林業事業体におきます社会保険、労災保険でありますとか雇用保険等についての加入率等を見ますと、大変他の業種に比べて低いという実情にあることは私どもも承知しているわけでございます。
 先ほども話にありましたが、我々国有林の事業を民間の事業体に委託する場合もそういう社会保険料についてきちっとやるということを指導しながらやっているわけでございます。国の具体的な補助事業等におきましてはこの点配慮していかなければならぬというふうに考えておりまして、造林補助事業につきましては、これを諸掛かり費という中で見る。要するに、本来の事業費に諸掛かり費というのを上乗せするわけですが、そういうことで見るということにしておりまして、平成三年度において従来一四%という諸掛かり費を一六%に二%上げるというようなことをしたわけでございます。
 また、治山とか林道、これはほかの公共事業と同じですが、その法定の福利費につきましてはそれぞれの法律に定める所定の率で積算をする、予定単価をつくるというふうにしているところでございます。
 したがって、国の事業あるいは補助事業については逐次織り込むように努力しているわけでございますが、民間事業体が民間事業としてやるものについては、先ほど言いましたように、国有林の事業の請負をするような場合に指導していくというような形をとりながら、逐次これらの林業に働く方々の社会保険料等についての充実を図っていきたいというふうに考えております。
#101
○一井淳治君 さっき長官は、造林事業について諸掛かり費を一六%カットしておられる、前年度より二%努力しておるんだということを言われましたけれども、それでは労災保険の保険料、雇用保険の保険料が幾らか御存じでしょうかね。これは合計しますと一五・五五%になっておるんですね。だから、一六%の諸掛かりをしてもらっても一五・五五%は労災、雇用保険に全部行ってしまう。これに健康保険が、もし仮に健康保険に入ろうと思えば、事業主負担と本人負担を合計して八・二%ですね。厚生年金に入ろうと思えば別に一四・五%要るわけですね。
 この諸掛かりの中には、近隣とのトラブルが起こった補償費とかあるいは交通費とか油代とかいろいろ入っているわけですから、一六%じゃ何にもならないわけですね。まあ、何にもならないという言葉は激しいかもしれませんが、現実においては一六%でちゃんと労災保険に入りなさいと言ったって入れないんですよ。そういったことを十分お考えいただきたいと思います。
 それから、もう一つの造林以外の関係につきましてはたしか四百万円までは二〇・七%になっておって、この辺が最高ではなかろうかと思いますね。いわゆる現場管理費ということで出ておるんでしょうか。これも、今言ったようにいろいろな保険料とかあるいは事務所の維持管理費とかいろいろありますから、そういったことを考えればこれまた労災保険にすら安心して入れないようなアップ率じゃないかと思います。どうでしょうか。
#102
○政府委員(馬場久萬男君) おっしゃるように、いわゆる労賃におきます保険料は先生御指摘のような数字でございます。造林について言いますと、もちろん大部分が労賃ではありますけれども、事業費の一六%ということで申し上げたつもりでございます。
 それから他の事業につきましても、それぞれ予定価格の中には所要額を織り込んだということでやっておりますけれども、それで十分であるというふうに言っているわけではございませんで、逐次改善の努力をしてきているということでございます。
#103
○一井淳治君 現場においては、これをふやすと林家の負担がふえるんじゃないかとかいろんな苦しい悩みも実際にはあるわけですけれども、しかし林野庁が指導性を発揮してもらわないと前進しない。結局はもう山元に人がいなくなってしまうわけですから、まあ言葉は悪いかもしれませんが、蛮勇を振るってでも前進をしていただきたいと思います。
 それから、国有林野事業改善計画ですけれども、平成三年度から新しく進んでおるわけですが、これをまたも以前の改善計画のように不成功になってしまってはいけませんので、何とかこれが成立するように努力を傾注していただきたいと思います。率直に現状を直視いたしますと、一般会計からの繰り入れを大幅に進めていただかないととても達成できないというのは、もうだれが考えてもそうじゃないかと思います。
 平成二年十二月十八日付の国有林野事業経営改善大綱というのがございますけれども、それを見ますと、「公益的機能発揮等に係る費用の適切な負担」ということで、造林・林道の開設等の費用は民有林の助成等を考えながら適切に決めていくということが書かれておるわけでございます。民有林に対する助成というのは、大体国の助成が半分それから都道府県の助成が四分の一ぐらいありますから、七五%以上の助成が現実にはあるわけですから、そういったことを十分に考えていただきたいのが第一点です。
 それ以上に林道とかあるいは造林とかいう事業は、治山事業と同じように森林の公益的な機能を発揮するための費用として、治山事業の場合は五十八年から一般会計から出してもらうようになっているわけですけれども、造林や林道についても同じように全額一般会計から出していただいてもいいんじゃないかなと思いますが、そのあたりはいかがでございましょうか。
#104
○政府委員(馬場久萬男君) 国有林野事業の改善計画で一般会計からの資金の繰り入れについて言っておりますのは、今も先生仰せられましたように、造林・林道等経常事業部門では造林・林道等の経費それから一般行政的経費ということになっておりまして、これにつきましては我々も努力をして、平成五年度予算におきましては前年に比べて一七%増というような大幅な伸びを確保したわけでございますが、今仰せられました国の補助以外に都府県負担分までというのはなかなかこれは我々としても申しにくい話でございまして、国が一般会計で負担する部分までが限度かというふうに思っておりますが、なおこれらの事業の必要性にかんがみて一般民有林の事業並みにしたいということで努力はしてまいりたいと思います。
 ただ、これらの造林・林道は国有林野の特別会計の事業用の部分があるわけでございますから、これは将来的にはそこで植えたものあるいはつくった道というのは事業の上でも役立ってくるわけでございますから、全部一般会計からということでは事業特別会計としてはちょっと説明がつかない話になろうかなと思っております。
 いずれにしても、民有林並みのということでかねてから我々も財政当局と折衝しておりますし、先ほど言いましたように、年々ふやしてきております。今後必要なものは努力をしてまいりたいというふうに思っております。
#105
○一井淳治君 民有林並みということは、都道府県の補助ということも忘れないように冷静に考えていただきたいと思いますし、また国有林は保安林が非常に多うございますし、また山奥の人の行けないところの森林の管理もしているわけですから、こういったものは本当にまさに公益的機能の発揮のための費用ですから、ただいま長官のどうだろうかという疑問の言葉でしたけれども、しかしそこのところはもう一遍考えていただくように要望いたしておきたいと思います。
 また、累積債務の関係につきましても、改善大綱では別途財源措置を講ずるということも書いておるわけでして、その点の一般会計からの助成ということについても十分なことをお考えいただきたいと思います。
 また、もう一つ要望ですが、林野庁に勤務しておられる職員さんですが、ほかの公務員に比べますと、例えば最近の期末手当を見ても一部カットされているという状況がございまして、意気阻喪するわけですね。そうしますと、活力ある国有林野事業の経営というものにも支障を生ずるわけですから、その点についての配慮もお願いしたいと思います。
 最後になりましたが、松くい虫の被害が依然として続いておるわけです。特に岡山県あるいは瀬戸内海沿岸の被害が引き続き甚大なわけですけれども、適切な予算等の対策をいただきたいと思いますが、簡単にお答えいただきたいと思います。

#106
○政府委員(馬場久萬男君) 松くい虫の問題でございますが、全国的にはかなり被害がいわゆるピーク時に比べると半分ぐらいの水準になってきているわけでございますが、瀬戸内地方におきましては、殊に平成二年、三年の夏の気候が高温少雨であったというようなこともありまして、実はそれまでかなりの程度被害が少なくなってきたものが平成二年、三年でふえておることは事実でございます。
 そこで、私どもとしましては、昨年三月に改正されました松くい虫被害対策特別措置法に基づきまして保全すべき松林を重点的かつ効果的に防除を行うということで、特に最近被害がふえてきたところに対しては意を用いながら、異常な被害の終息に向かって努力してまいりたいと思っております。
#107
○委員長(吉川芳男君) 午前の質疑はこの程度とし、午後一時四十分まで休憩いたします。
   午後零時一分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時五十七分開会
#108
○委員長(吉川芳男君) ただいまから農林水産委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、林業改善資金助成法の一部を改正する法律案、林業等振興資金融通暫定措置法の一部を改正する法律案、以上両案を一括して議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#109
○谷本巍君 初めに、林業改善資金助成法の一部改正について伺いたいと存じます。
 青年林業者等養成確保資金は、従来は「後継者たる青年又は林業労働に従事する者」を対象にしてきたわけでありますが、今上程されております改正案によりますというと、林業外からの新規参入青年等を含む「青年林業者、林業労働に従事する者その他の林業を担うべき者」というふうに対象を拡大しております。
 他産業からの林業への新規参入者について見てみますというと、平成元年から三年までの間の平均で言うと、四十歳未満が四十二人、四十歳以上が百十四人、合計百五十六人ということになっております。この改正でこの数がどの程度ふえていくないしはまたふやしていくということを目標にしておられるのか、初めにその点について伺いたいと存じます。
#110
○政府委員(馬場久萬男君) 御指摘の今回の改正に伴う新規参入あるいは後継者の数がどのくらいふえるかというお話でございますが、本資金の創設によりましてどのくらいふえるかということについては、個人の申請に基づく貸し付けでございますのでなかなか予測が困難なわけでございますが、私ども、近年の森林・林業をめぐる情勢にかんがみまして、青年林業者等の資質の向上のみならず、一人でも多くの次代を担う林業者を養成確保したいということで調査をいたしました。
 そのときに、新規参入に当たっての課題として、資金確保ができないということでなかなか新規参入できないというのが三三・八%、それから経営方法なり技術の習得が不十分だというのが四九・一%、これは林業をやりたいという希望者の中の課題ということでそういう返事が返ってきたわけでございまして、今回の改正のような措置を講じますれば、今言いました資金確保ができないあるいは技術習得が不十分だといって新規参入にちゅうちょしておられた方も入ってくるんじゃないかというふうに考えているわけでございます。
 大変恐縮でございますが、その数字的なめどというのはなかなか難しくてお示しすることはできないわけでございます。
#111
○谷本巍君 やってみなきゃわからぬというお話のようであります。
 それなら伺いますが、ここに計上されております国内研修費ですね、これは四十五万円ということになっております。この四十五万円というのは、どんな研修それから期間を想定されて出されたのか。そしてこの四十五万円という金額は研修にかかるであろう費用の何割相当のものなのか。その辺の算定の根拠といいましょうか、それはどうなっておるんでありましょうか。
#112
○政府委員(馬場久萬男君) 現在の研修費と言われるものの内容でございますが、今お話しのように研修を受けるための費用ということでございますが、具体的には旅費、教材費、それから視察をした場合に視察の相手方等に負担をかけるわけでございますが、そのための視察費というようなものを貸付対象といたしているわけでございます。これは各県におきます林業の技術普及指導事業を行っているところでそれぞれ研修の講習所というものがございまして、そういうところでカリキュラムを組んでやっているわけでございます。
 内容的には、特用林産物の生産技術の研修でありますとか、あるいは林業用車両の運転の技能研修でありますとか、いろいろございまして、一概にどういう積算でということは申し上げられないわけでございますけれども、むしろ今委員の仰せられた額がいわば上限でございまして、その範囲で必要な研修について必要な経費は貸し付けるということでございます。
#113
○谷本巍君 四十五万円という範囲でやってくださいという意味での上限としての四十五万円だというお話でありますけれども、それでは、この研修期間中の生活費、これなんかは全く今回の措置では念頭にないのかどうなのか。
 例えば農業関係で言いますと、御存じのように、例えば農協に採用してもらって、そこで一定の仕事をしながら農業の技術その他を身につけて、今度は農業プロパーの仕事へ入っていくといったような例等々が見られるわけですね。林業の場合についてはその辺のことについてはどのような考え方に立っておられるんでしょうか。
#114
○政府委員(馬場久萬男君) 林業に従事する方の中にいわゆる自営的な方とそれから事業体等に雇われている方とおりまして、我々の林業の資金について考えますと、林業労働に従事している方が研修を受けて一本立ちしたいとかあるいは新しく自分の仕事を始めたいという、こういう方が研修を受ける場合には、その雇用主なり使用者にお金を貸すというやり方があるわけでございます。そのときは、従事者の方が研修に行っている間かわりの労働者を雇用するという必要が出てきたりするものですから、研修を受講する林業労働従事者の賃金分も貸し付けの対象に含めて貸すというふうに考えております。
#115
○谷本巍君 それから海外研修費ですが、これは八十万円ということになっていますね。高性能の機械を中心とした海外でのこの種の視察というのは大変重要な意味が私はあると思うんです。思うんですが、どうも八十万という数字は少し中途半端でして、何で八十万という金額が出てきたのか。旅費からいってもちょっと足りな過ぎるような気がしますし、それから当然のこととして日当それから受講料等々があるんでありましょうけれども、いかにもちょっと金額が少な過ぎるなという感じがするんでありますが、この点はどうなのかということと、それからもう一つ、海外研修に行かれた方が帰ってきてからどういうふうにして研修の成果を生かしてもらうようにするのか、その辺の段取りはどうなっておるんでしょうか。
#116
○政府委員(馬場久萬男君) 今の海外研修は国内研修に比べますと高い限度にしているわけでございますけれども、外国へ行くのに八十万で十分足りるのかと言われますと、私どももこれで十分だという感じは持っておらぬわけでございます。
 ただ、林業従事者になろうとする方で海外まで行って勉強してきたいという方は、やっぱり自分でもある程度その費用の負担はできるという方が多いわけでございまして、そういう意味では我々、満額ではないにしても行って帰ってくる旅費程度のものはこれで貸せるんじゃないかというふうに考えておるわけでございます。
 具体的に行きますのは地域の指導林家の子弟の方あるいは林業研究グループのリーダーの方というような方が多うございまして、実際にこれは平成四年にもカナダ、アメリカへ七名行くとか五年には十六名行くとかという形で、そういう方々がグループになって行っているわけでございます。
 実は、林業の技術の関係は、全国林業改良普及協会というのがございまして、毎年そういう意味では希望者を募って研修旅行を組んでいるわけでございますが、大体カナダ、アメリカあるいはヨーロッパに十五日間程度視察に行くというのが多いようでございます。
 また、海外から帰ってきた後でございますけれども、今言いましたように指導林家あるいは研究グループのリーダーという方が多いものですから、帰ってきまして自分の経験あるいは見聞をもちまして地域において林業活動、自分の経営のみならず地域の林業グループの中のリーダーとしていろんな活動をしているというのが実情でございます。
#117
○谷本巍君 率直に申し上げまして、林野庁思い切って勝負に出ましたなというような感じは全く実はすることができない、まだ何か及び腰のような感じがしてならぬのであります。
 といいますのは、過去三年のUターン組で見てみますというと、いわゆるリタイア組が非常に多いわけですね。リタイア組はリタイア組で山村へ戻ってくるという状況はこれからもまた続いていくと思いますけれども、ねらわなきゃならぬのは私は若手だと思います。最近の世論調査を大都市などで見た場合に、例えば四十代の団塊の世代などで言いますと、地区によって随分違いはありますよ、五割近くの皆さんが大都市で生活をしていくということを言ってないですよ。地方小都市かまたは農山村で暮らしたいという、そういう願望が非常にふえてきているんです。問題は、受け入れ態勢をどうつくるかというところに今問われてきたものが私はあると思うんですね。受け入れ態勢が一つですよ。それからもう一つ重要なのは、果たして生活が成り立つのかどうかということなんですね。
 その点では、今回の改正で青年林業者の場合の林業経営開始資金、一千万円まで貸しましょうというようなことに拡大され、そして償還期間も三年据え置きで十年というふうにされたのは一歩前進だと思います。一歩前進だと思いますけれども、例えば現在の林業の造林投資の利回りで言いますというと一・三%なんですね。これが上がっていく過程の一・三%なら話は別なんですけれども、実は下がってきているという状況の中でせっかく一千万円まで経営開始資金を貸しますよというものを出したとしても、一千万円を借りて返すことができるような経営が果たして成り立つのかどうなのか、返せる見通しを持って皆さんは提案されたんだと思うのですが、その辺の根拠ないし考え方を聞かせていただきたいのです。
#118
○政府委員(馬場久萬男君) 確かに現在の林業経営というのは非常に条件が悪うございまして、先生御指摘のように杉の平均的な造林利回りを試算しますと一・三ぐらいにしかならないということでございます。
 今回の林業改善資金は無利子でございますけれども、林業というのは非常に長い期間かかるわけでございますので、なかなか新たに森林を造成して収入を得るという形では返せないんじゃないか、こういう御指摘かと思うんですが、確かに我々は森林の伐採に伴う収入というのはこの期間内に多く望むのは難しいかと思っていますが、林業経営の中で特に最近若い方がおやりになる中では、従来の材木を生産するための林業というだけでなくて、いわゆる山林経営と一緒に例えばシイタケの栽培あるいは山菜の栽培という森林から収穫できる他の、早期収益部門というふうに私ども言っていますが、そういう部門もあわせてやるという場合が多うございまして、そういうものの収入等を返済に充てるという前提で、一方では長期間を要します森林の造成も行うというような例が見られます。
 実際に運用するに当たりましては、先ほど言いました普及指導組織等とよく相談をして、個々の経営の状態、それで借金が返せるか返せないかというようなことについても十分指導を行うようにしておるところでございますが、そういう意味で、今回この一千万円、十年ということで何とか新しい仕事がやれるんじゃないかというふうに思っているわけでございます。
#119
○谷本巍君 今の話でもまたストンと落ちないんですが、後でまたこの点については伺う点がありますが、ここで大臣にちょっと伺いたいと思いますのは、やっぱり山村というのは融資政策だけではもう私は維持することは難しくなったのではないかというふうに思うのです。
 農業生産について見てみますというと、昔のような非開放体制の場合でしたら農産物価格は限界生産値の生産費でもって決まるというような状況があったわけですね。ですから、そういう時代には山村は山村なりに生活を一定程度維持して生きていくことができたという条件があったんですが、開放体制になりますというと、もう既に木材もそうでありますけれども、農産物価格にしても輸入価格によって国内価格が規定されるような状況が一般的になってくるんですね。
 そうなってきますというと、条件不利地とりわけ山村などの場合は融資政策だけではやっていくことができないというような状況が出てくるのはもう当然のことであります。でありますから、そうした山村を守っていく上でECなどの場合にはいわゆるデカップリング政策などをとってきておるわけでありますけれども、これから先に向けて政治家としての大臣もその辺のところについては一定の腹を固めて検討いただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。
#120
○国務大臣(田名部匡省君) いろいろ今御質問ありましたように、厳しいことは私は大変厳しいと思うんです。ただ、あきらめていいかというと、私は最大限の努力をしていく。というのは、長いこと日本の国全体を見て、後世の人たちにどういう負担を求めていくかということ等を考えてみますと、最大限の努力をして、余り人の世話にならぬといいますか、これは業でありますから、商業、工業、農業、林業、漁業、なりわいというからには、その成り立つように私どもは最大の努力をしていくべきだというのが私は基本にあるわけです。
 したがって、いろいろお尋ねありましたが、何とか流域を単位に民有林、国有林を通じていろいろと今やっております。あるいは何といっても森林の整備とか林業の生産性、こういうものを効率的にどうやったらいけるだろうかということを考え、あるいはそのためには造林・林道の計画を整備しようとか、あるいは林業の事業体の体質強化、林業機械化の促進、担い手の育成、加工・流通、いろいろと総合的に政策を進め、そうして今お話にありましたような生活が成り立つかどうかという心配があると。それはあると思うんです、今のままでは。したがって、そうでない方向というのは一体何があるか。これは創意と工夫もあります。お話しのようにデカップリングということもございます。
 しかし、いずれにしても、国民的なコンセンサスが得られるか、あるいは将来の負担というものにたえられるかということを考えてみますと、仮に将来の問題としてどういう政策になるかわかりませんが、それをやろうとすればやるだけの何といいますか、私は企業的感覚といつも申し上げて、実態がどうかというものがぴしゃっとなるということは、やっぱり企業と同じように経理をきちっとしてもらわなきゃいかぬ。
 そして、どこにどうかかったか、あるいはもっと改善の余地があるのかないのかということから判断をして、そうして最大限努力できたのがここまでだ、しかしここから先はなかなか努力してもと。そこでまたもう一つどういう手があるかということの中でいろいろ検討がされることはあるかもしれませんが、ただ、今直ちに何か成り立たぬからというので金をどんどん出すということではなかなか、国民のコンセンサスという問題もありますし、あるいはだんだん人口、若い人たちが減って、この業界ばかりではなくて、漁業もあるいは大工さんも左官屋さんもいろんなところが不足しているときに、そこだけに融資だけではなくて補助政策をやれるかということになると、これはもう国全般の問題になっていくだろうということを考えるわけであります。
 したがって、私は当面まだまだやれば可能性のある部門においてはその努力を促し、我々もまたそれに支援をして全力を挙げて取り組んでみるということが必要だというふうに考えております。
 いずれにしても、難しい問題があるということは十分認識しながら、委員各位のお知恵も拝借しながら、目標に向かって努力をしていきたい、こう考えております。
#121
○谷本巍君 大臣、山村の場合、一生懸命頑張っても成り立たぬから銭を出しなさいというふうに、端的に私はそういう意味で言っているんではないです。可能性は可能性で追求しなきゃなりません。ただ、経済的仕組みからいいますと成り立たないような仕組みになってきていますよ、してみるならば、それはもう融資政策だけじゃなくて、デカップリング的な手法を考えざるを得ないんじゃないんですかという意味で私申し上げておるんです。
 それから、国民的コンセンサスの問題も確かにあります。ありますが、例えば水問題で言えば一番川下の一級河川は建設省がやっているわけでしょう。二級河川は自治体がやっているわけですね。じゃ、その上はだれがやっているんだということになってきますと、大小さまざまの、堀にしたって、小川にしたって、農業用水路にしたって、農家や林家が言うなればただ働きでこれを維持しているから初めて二級河川、一級河川が成り立つというような状況があるわけですよね。
 それからまた、最近は川下の都市の皆さんが水の汚染だけじゃなくて生命力のある水かどうかということを問題にされるようになってきた。それを決めるのは何かというと、山の上ですよ、それを決める決定的な力を持っているのは。それから水田ですよ。こういう問題にしてみたって農家や林家の力によって生み出されたものであります。さらにはまた、山の景観などにしましても、雑草刈りやっているのは農家や林家がやっているんですよ。さらにまた、山の隙間伐にしたってこれは同じことでしょう。隙間伐の場合には、山の手入れということで一定の経済的な見返りの関係はあるけれども、雑草刈りというのはこれはありませんわな。
 してみるならば、こういう環境コストというのをどう見ていくかということが私は大事になってきたと思うんですよ。ですから、環境コストの方をもっと徹底して検討しながら、そして先ほど申し上げたように経済的にはもはや人間の努力といってもなかなか、これは例外的なものもありますけれども、簡単には山村経済が林業や農業の労働では成り立ち得なくなってきているという事情を見て、それでもって我々の政治方向というのか何というのか、デカップリング的な手法を検討すべきときに私は来ていると思うんですよ。いかがでしょうか、大臣。
#122
○国務大臣(田名部匡省君) 一級河川、二級河川で例を引いてお話しになりました。私もそういう面からいくと、山のそうした仕事というものが公共事業の投資といいますか、そういうことで仕事がふえることによって生活が成り立つという方向を目指すことは私も大賛成であります。
 ただ、所得補償方式ということではなしに、今申し上げたような、環境を保全するとかいろんな仕事があるわけですから、その仕事をいかにふやして、そうして生活ができるような状態になっていくかということに意を用いていく方が他とのバランスからいっても大変私は必要なことだと。これから国民の皆さんもだんだんおいしい水ということでいろんな意見も出、じゃそういうことをどうやって保全するか、どういう施設をつくっていくかということでそこに仕事が生まれ、仕事があるところには所得が生まれるわけですから、そういうふうなことの方が当面は私はいいのではないか。おっしゃることはもう全く私もそのとおりに思っております。
#123
○谷本巍君 大体考え方の基本的なところは大臣と一致したということで次に進めさせていただきます。
 次にお尋ね申し上げますのは、林業等振興資金融通暫定措置法についてであります。
 長官、今度これを改正されまして、これは今までは「国内産」に限っていたわけですね、対象にしていたのは。今度は「国内産」というものを外してしまって国内産以外のものも対象にするというふうにされたのはどういう意味なのか。私どもからしますというと、これからは国産材の時代だと言われるわけでありますから、国産材の時代だという状況を目の当たりに控えておってどうしてこういう改正にしなきゃならないのか、その理由を端的にお聞かせいただきたいと思います。
#124
○政府委員(馬場久萬男君) おっしゃるように、現行の法律におきましては「国内産木材の生産及び流通の合理化」ということを目的としているわけでございまして、今回この「国内産」というのをとったということでございますが、実際に我が国の木材の需給状況は現在四分の三が外材でございます。木材の流通・加工に携わる方々の実際の中身を見ますと、今や輸入品と国産材を分けて事業を行うというのが非常に難しくなってきているという事実がございます。
 また、そこを国産材だけにこだわって事業を行う方を選定していきますと、そういう方々だけではなかなか今回考えていますようないわゆる縦系列の構造改善をやるのは難しいと。御案内のように、従来はそれぞれ単独の事業者でございましたから、国産材ということにウエートを置いて業者選定をし、事業の運用がしやすかったわけでございますが、縦系列にいろんな方に事業の共同といいますか事業を行っていただこうと思いますと、ある人は国産材重視になっているが、ある人は外材がある程度あるよというようなことになるとつながっていくのが難しくなるという実態がございます。
 そこで、特に今回取り入れようとしています川中、川下の加工部門のようなところ、いわゆるプレカット化をするようなところ、あるいは木造住宅を建てるようなところは今や国産材、外材あわせて使うという事態になっていますので、「国内産」というものにこだわり過ぎてはいかぬのじゃないかということで、法律上の文言としてはこれを外させていただきました。
 しかし、我々の政策意思は、あくまでも政策の考えていることは、国内産の木材がこれから円滑に山元から切り出されて、流通し、加工され、需要者に提供される、そのための体制をつくろうということでございまして、国産のものを扱っている業者の方がつながっていくことが必要なわけであります。
 ただ、法律上そこを書いて従来どおり枠をはめていくと、今度は縦の系列をつなぐのがなかなか、業界に川上、川下一緒になってやれよと言っても、いや、相手がいろいろあってとかいうことで難しくなるものですから、法律の文言としては外させていただいて、木材一般の生産・流通の合理化ということにしておりますが、今言いましたように政策の意図はあくまでも国産材を今後円滑に加工・流通させていく、その体制を今からつくっておかなければ、国内産の資源がふえてきたときにそれを安定的に需要者に供給していく体制ができなくなっちゃう。そうすると、国産材を扱っている業者だけということにこだわり過ぎてはいかぬのじゃないかという意味でこれを外させていただいたわけであります。
 誤解のないように申しますと、決して国産以外のものを扱うことを奨励するとかそういう意味はございませんで、考え方としてはあくまでも国産材中心の考え方でございます。
#125
○谷本巍君 これまでの時代というのは、木材供給の構造にしましても、材価形成のメカニズムにしましても、総じて外材主導型であったということですよ。これから私たちが目指していかなきゃならないのは、国産材時代を控えて、丸太の生産にしましても、これを可能にする体制をどうつくっていくか、そしてさらには加工産業の立地と流通市場の整備ということですよね。これに向けた展望を開いていく必要がある。そういうふうな方向でやっていくのには、従来のような国産材だけを対象にしておったんじゃちょっとやりにくいという意味での改正だというふうに理解しておいていいんですね。
#126
○政府委員(馬場久萬男君) おっしゃるとおりでございまして、あくまでも国産材の生産・流通・加工をつないで行っていく体制を整えるために今回の施策を講ずるものでございます。
#127
○谷本巍君 続いて、合理化計画にかかわる幾つかの問題について伺いたいと思います。
 初めに、第三セクターによる流域林業サービスセンターについて伺いたいと思います。
 このサービスセンターの機能とそれから事業、具体的に言いますというと、どういうものを柱にしているかということと、それからもう一つ伺っておきたいのは、いわゆる流域管理システムづくりとの絡みの問題、つまり位置づけですね、どんなふうな位置づけになっておるか、その辺の事情について端的にお聞かせいただきたいのです。
#128
○政府委員(馬場久萬男君) 我々は流域林業サービスセンターというものを育成しようとしているわけですが、これは今御質問のありました流域管理システムというのが川上、川中、川下のいわば木材の生産から流通消費に係る各関係者を集めて、そこで全体としてその流域の上でできている木材をいかにうまく使っていくか、いかにうまく需要者に結びつけていくかということをやるわけですが、その中心になるものとして位置づけたいと思っておるわけでございます。
 まず、その運営主体といたしましては、これは地域によりますが、森林組合である場合もあり、あるいは木材等の事業協同組合である場合もあり、そしてまた行政も入った第三セクターである場合もあり得るわけですが、いずれにしても、その流域内での事業、木材の生産・流通に関するいろんな事業がございます。それからそのための労働力、こういうものの需給調整を行う。それから機械につきましても、個別経営が大きな機械を持てないということもありますので、機械利用体制の整備を行う。さらには技術者の訓練を行う。そういうような流域全体に必要な労働力なり事業量の調整なり機械なり技術の訓練、そういうものをする機関として設けたいというふうに思っているわけでございます。
#129
○谷本巍君 そうしますと、長官、つまり地域林業のオルガナイザー的な役割といいましょうか、ここが中心となって流域管理システム全体をうまく動かしていこうと、こういう発想だということですね。そういうことですね。
#130
○政府委員(馬場久萬男君) はい。
#131
○谷本巍君 大変結構な発想であります。発想でありますが、流域管理システム自身の問題について若干また伺っていきたいのでありますが、どうもこの法律制定のときから私は疑問に思ってきたことがありまして、最近視察などへ参りましても関係林家などからよく質問が出る問題の一つに次のような問題があります。
 この流域管理システムというのはなかなかすばらしい発想なんだけれども、どうして対象になるのが林業だけなんですかという話が多いんですね。農業の方も、長官ご存じのように、例えば九〇年から農山村総合整備事業、これがスタートしましたね。それにまた九一年からは中山間地域新規就農者の経営確立までの五年間程度ですか、県公社が農地の貸し付けをやって、その後売り渡しもやりますといったような新しい制度等が今つくられてきているわけですね。
 ところが、これが流管システムの方とは直接的なつながりがないんですね。農家の側からしますというと、山の収入だけで食っているんじゃなくて、農業収入と両方で食っているという農家というのが多いわけですね。十年ほど前には八割方が農業と兼ねておりましたね、最近はこれが六割程度に落ち込んできておるようですけれども。しかし、多数がやっぱり農業と一緒なんですね。なぜ農業の関係と一緒にすることができないのか、またしなかったのか、そこのところはどうなんでしょうか。
#132
○政府委員(馬場久萬男君) おっしゃいますように、山村あるいは農山村というのは、林業だけでなくて、農業をやりながら林業もやるという方が多いわけでございまして、この地域全体のシステムをつくる場合には農業も林業も一緒にやったらいいじゃないかという考えはあると思います。
 ただ、私どもが森林の流域管理システムということを打ち出したのは、特に林業につきまして従来どちらかというと、例えば山林所有者は自分の必要なときに木を切って売るだけである。そうすると、地元の山元にいます製材業者は年間一定量の仕事をしようと思えばあちこちの所有者に頼んで木を出してもらわないと仕事がなくなっちゃう。国有林なんかがある場合は比較的安定的な供給が受けられるけれども、民有林の場合は所有者の都合で仕事があったりなかったりする。今度は、それをさらに流通したり加工する側はまた山元のそういう事情によって振り回される。そんなくらいならむしろ外材を入れて安定的に使った方がいいという議論になってしまうというようなことがあって、林業の世界で川上から川下まで全体でその需給なり流通なり加工なりを考えなくちゃいかぬじゃないかということで出てきているわけでございます。
 また、考え方としては森林法の改正で国会にお願いしたわけでございますけれども、森林法という法律は、全国の森林についての適正な施業の計画を立てて、それに基づいて林業を行わせようという前提に立っている法律でございます。その法律の体系の中から出てきたということもありまして、林業についての管理システムというのをまずつくろうじゃないかということになっているわけでございます。
 これが実際に機能する上で、おっしゃるように農業、あるいは場合によっては水産業とかいろんな分野と関連を持ってくると思います。それは今のところは我々の施策としては林業中心に組み立てております。ただ、いろんな部門からの御意見あるいは要求というようなものは、これは対応できるものはしていくことになろうと思います。
 具体的に例えば、幾つか全国でもございますが、森林組合なんかは作業班を持っておりますが、山の仕事のないときは農業の作業も引き受けていいじゃないかとか、そういうような動きも出てきているわけでございまして、方向としては、委員仰せられるようにもっと広い農業とも一緒になってやれたらどうかという考えが現地にもあると思いますが、この制度そのものは今言いましたまず森林・林業をどうするか、それを森林法の体系の中からどうやっていくかということでできてきたもので、これでとにかく林業関係をきちっとやって、さらにほかにも関係を持たせていくということになろうかと思います。
#133
○谷本巍君 これから先の農業も同じでありますけれども、林業にとっても一番大事なのは担い手をどう確保するかの問題なんですね。確かに統計数字で見てみますというと、先ほど申し上げたが、農業と兼ねていた人が八〇%が今六〇%そこそこに下がってきた。これは私は林業にとって危機的状況だと思うんですよ。林業が農業よりも右利だから、農業はやめても林業はやめないという裕好ではないんですね。農業をやめて林業だけに残りましたというのは、山には行かなくなったということなんですね。そして、その多くは恒常的勤務や自営業への転換をしてしまっているんですね。ですから、こんな状況が続いていきますと、所有はすれど林業離れという状況が一層ひどい状況になっていって、次に出てくるのは不在地主がもっとふえてくるというような状況になって、問題解決を一層難しくしていくということだろうと思うんです。それだけに、林業と農業の絡みの問題についてはさらに長官の手元でも御検討いただきたいということをこの際要望申し上げておきたいと存じます。
 最後に、大臣に伺いたいのです。
 私は方々地方を歩きしまして、例えば岩手県に行きましたときに聞かされた話が、大臣、漁業組合が植林運動をやろうという話を聞かされたんですよ。この話を今度は福島の県庁に行ったときに話をしたら、県庁でも、私の県でも似たような話がぽつぽつ出始めておりますという話なんです。川上の山林をいきなり伐採されてしまうというと今度は水が濁ってくる、魚が上ってくるのは今度はどうのこうのという、その種の問題というのはかなり大きな問題になってきているという点があるんですね。
 それからもう一つは、川下の市民運動について言いますというと、水質汚濁の問題を契機にしまして水問題についての関心が非常に強くなってまいりました。この水問題についての関心は農家の側も似たような現象がありますね。例えば花の農家で言いますというと、いい水に切りかえたことによって花の色が変わりました。あるいは畜産農家で言いますというと、畜産農家は牛の健康をふんのにおいなどで見ていきますから、いい水に切りかえたらふんのにおいが少なくなってきましたというような話を聞かされることが間々あります。要するに、これは水の生命力の問題にかかわる話になってくるのでありますけれども、そんな意味でも水に対する関心というのも川下の大都市か非常に強くなった。それにまた、昔は産直運動十年と言ったものです。十年でおしまいになっちゃった。子供が大きくなったらもうそれでやめるというケースが多かったんですね。このごろはそうじゃないですよ。続くようになったのは何なのかというと、安全食料を手に入れる運動から今度は子供が山村を訪ねていくというケースがふえるようになってきた。つまり、物から人の交流へという状況の中で産直運動が持続されるようになってきた。この辺の点は、地方によって大分違いはありますけれども、川上と川下の都市を結んでいくという一定の運動なども伴ったそういう状況が今出ておるわけです。
 こうして見てみますと、せっかくつくった流域管理システム、農業と林業も絡めていきましょうという発想とともに、水産業ですね、これもやっぱり絡めていく。それから川上と川下の大都市ですね、この結合関係も一定程度考えていく。どうもそういう組み立てが大事になってきたのではないのか。そういう組み立てができ上がってきますというと、川上と川下との協力関係だっておのずと生まれできますよ。私はそういうぐあいに考えるんだが、大臣いかがでしょうか。
#134
○国務大臣(田名部匡省君) おっしゃるとおり、いつごろからどういうふうになっていくかというのは、これは時代が変わっていきますから、私も何回か農業協同組合と森林組合と一緒になってやったらいいじゃないかという答弁をしたことがあるんですが、やがてそういう時代というのはやってくるだろうと思うんですね。
 ただ、これは地域の実情によります。今お話しの漁業者の御婦人方、奥さんたちがおっしゃるとおり一生懸命植林を始めているんです、これは水産庁の方で一生懸命これまたお手伝いをして。それは今おっしゃったように海が汚れちゃかなわぬということでやり始めたことでして、これはもうやっていきます。
 そういうことでのいろんな取り組みというものは、大体農協もあれば漁協もありますので、そういうことでいろいろと相談しながらやっていく、その方式は十分考えていきたい。この流域管理システムの中でもそのことを考えておるわけでありまして、決してこれだけでどうしようというのではないわけでありまして、それはそれで十分やっていきたい、こう思います。
 ただ、基本的には林業の方の経営体がしっかりしてもらわぬと。それと農業しかないところもあるわけですから、地域によって随分、私の下北半島の方は林業と漁業は一緒なんです。後ろは国有林で前は陸奥湾。そういうところはまたそれなりにやっていくにいたしましても、基本的にはいかに所得が上がるような仕組みをつくるか、あるいは労働条件をよくしてあげるか、それから環境、住まいですね、そういうものをよくしてやるか。
 一方では、そういうことをやりながら方法を考え、そのためには、やがて国産材時代、今三十年ぐらいですけれども、だんだん大量に出てくる時代がやがて来るわけですから、そのために条件の整備ということで今スタートをし始めたわけでありまして、そのときになってはもう遅いですから、着々と整備を進めるし、森林の整備も果たしていかなきゃならぬ。やることはいっぱいあるわけでして、そういうことを考えてこれを中心には置いておりますけれども、例えば都市の資金ですとか活力、そうしたものも導入して森林の整備や林業振興を図っていくということは、おっしゃるとおり私は重要なことだと思うんです。
 したがって、この流域内の都市の林業活性化協議会、これにまず参加をしていただく。そういう中で都市側の費用負担ということになると、森林の整備を行う分収育林制度、そういうものにどんどん資金を出していただくとか、森林整備協定制度の推進を図っていくということで幅広くやっていかなきゃいかぬ、こう思いますが、しかし重さはどっちかというと、まず当面こっちの方をしっかりした体制にしてそういう整備を図りたい、こう思っております。
#135
○谷本巍君 終わります。
#136
○風間昶君 公明党の風間です。
 林野二法ということでございますが、ちょっとそれとは直接的関係はないんですけれども、去年のブラジル環境サミットに我が公明党からも高桑、東両議員が参加したことは御存じだと思います。環境保全のために、地球上の森林の維持といいましょうか回復に努力をしていくことが今世界の国の政府と、ある意味では国民の国際的な責任でもなかろうかというふうに私は思っているわけです。
 一方、国内においても、今までも随分御議論あったわけですけれども、大変な森林の役割といいましょうか、国内でも国土の七割近くを占める森林、地球レベルでいくと大気の浄化にもなりましょうし、国レベルでは国土保全だとか水資源の涵養、地域レベルでは自然休養。私も整形外科におったときにリハビリの患者さんでドイツの森林浴をされている医師とも相談したことがありますけれども、そういう意味では森林の役割が、大きな役割を果たしてきてはいるんだけれども、林業従事者の方々以外にはまだまだ理解されていない部分がたくさんあるんだなということを私自身も実感しておるわけです。
 そういう意味で、状況としては農業と同じように都市への人口移動、また高齢化等、本当に大変な、北海道でもそういう状況でございます。これは北海道だけじゃなくて、資料によりますと五十歳以上がもう六九%。そうすると、本当に平均余今からいってもあと二十年ぐらい。つまり、国産材が切り出せるときにはもう担い手はどこにいるのかと。二十一世紀前にきちっとした状況を、あるいは施策を施していくのが今大きなそういう立場にあられる大臣であろうかというふうに思います。これまでも随分さまざま大臣の御決意なり御方針を伺っていまして、非常に弾力的に現実の地域地域における課題を包み込みながら日本の林業をどうするかと御腐心されている、御苦心されているその姿を見て、現在、日本の林業を取り巻く環境について外圧の部分も含めてどういうふうに把握していらっしゃるのか、お伺いしたいと思います。
#137
○国務大臣(田名部匡省君) 私も大学を卒業して北海道の岩倉組に勤めまして……
#138
○風間昶君 存じ上げております。応援に行きました、私は。
#139
○国務大臣(田名部匡省君) 岩倉組は木材が主でありましたから、当時の状況と今とでは本当に変わったということは、やっている仕事を見まして、だんだん主体が本当に主でなくなってしまっているということを見ておりまして、本当に林業というのは変わったし大変だなと。
 それにはやっぱり木材価格が低迷しておるということが一つあります。それから経営コストがどうしてもかかる。あるいは林業の採算性が悪化をして山村はだんだん過疎になっていく。これは、押しなべて他の産業がどんどん発達して条件がいいものですから、どうしてもそちらに行こうという人たちが多かったこともあります。そのために、今お話しのように担い手がもういないということになり、一方では、お年寄りの方々は都市へ移りませんから高齢化がどんどん進んでいくということが言えるわけであります。
 ただ、戦後造成された一千万ヘクタールの人工林というのを我々は持っているわけです。これが成熟期を迎えてくるわけでありますけれども、この森林資源の適正な整備を行う、それのまた有効利用を通じた国産材時代、それを実現するために、林業の生産・加工・流通における条件整備を私どもはとっておかなきゃいかぬということであります。
 一方では、丸太の規制ですとか、海外だってそう潤沢にあるわけではないとすれば、環境問題等サミットでも話がありましたように、そういう影響というのは逐次出てくるであろうということを予想しておかなきゃいけない。そういうときに、私どもは一体どういう備えをしていくかという中でいろいろ考えながら、今回もこうしたことをやっていかなきゃいかぬということで、価格が外国のものが上がってくれば、国産材と比較してそう遜色ないということになると国産材もどんどん出ていくようになるし、そういうこと等も踏まえながら体制をきちっととっていかなきゃならぬというふうに考えております。
#140
○風間昶君 そういう体制をとっていかなきゃならぬのはわかるわけですけれども、少なくとも先ほどもお話しさせていただいたように、二十一世紀まであと七年くらいしかない。そういう状況の中で、樹齢がそれこそ国産材を切り出すにはまだ早いという状況の中で、十五年、二十年ぐらいの展望を、厳しい状況の中ではあるけれどもどう守っていくのかという観点に立って、十五年ぐらい先はもう大臣でないかもしれませんが、失礼な言い方になりましたけれども、そのくらいの展望を持って進めていくのが大臣としての大事なお務めであろうかというふうに私は思うわけでありますけれども、いかがでございましょうか、将来展望は。
#141
○国務大臣(田名部匡省君) 大量に出るのはその時期でありまして、しかしそれまでは今やっている程度でずっと続いていくわけでありますから、そのことをやっぱり大事にしていかなきゃならぬ。特に、緑と水ということはここ何年かで国民から大きな課題として出てきているわけでして、さっきも畜産の話からいろいろお話がございましたが、全く水というものは、あって飲んでいるときは余りありがたみというものを感じて飲んでいる人はいない、空気と同じようなものでして。しかし、これはヨーロッパなんかへ行って、水の飲めないところへ行くと本当に水ぐらい貴重なものはない。最近はお金を出しても水を買うという時代になって、私はびっくりしておるんです。しかも牛乳よりも水の方が高い。
 こういう時代になったわけでありますから、緑と水、こういうものの森林の整備はもちろん、今お話しのように国産材時代を実現するためにいろんな整備をしていく。しかし、それは何も三十年後とかにやるんではなくて、今あるものからひとつ手がけていかないとなかなか林業というものの厳しさから抜けていけないということで、機械化をどんどん進めるとか、人が不足することも考えてそういうことを言っているわけでして、おっしゃるとおり、今の人たちがリタイアするときはどうなるかという心配は私どももいたしております。
 きょうのNHKのテレビでも、幸い何か随分他産業から一生懸命山に入って、自衛隊を四十幾つぐらいで定年になった人たちが入っているとかいろんな放送をやっておりましたけれども、それに合わせた制度というものを考えていかなきゃならぬのですね。若い人を育てることも大事です。しかし、そればかり言っておっても、八十歳まで生きる時代をどういうふうにするかということで現実に合ったことを考えていかないと、夢みたいなことばかり言ってもこれはいかぬわけですから、そういう意味で、私どもは今度は新規参入の人たちも取り組んでいけることを考えたり、あるいは都会で定年を迎えた人たちが戻ってくるということ等も想定しながらいろいろなことをやっていかなきゃならぬ、こう考えております。
 しかし、いずれにしても、森林の流域管理システム、これの確立を基本として活性化をどうやっていくかということを考えた場合に、今回の林野金融二法の改正あるいは金融措置の充実、各般の施策を積極的に進めていかなきゃならぬし、これからも問題が出るたびにいろんなことを次々と手を打っていかなきゃならぬというふうに考えております。
#142
○風間昶君 ありがとうございました。
 まさに今大臣おっしゃったように、次代を担う林業者の養成確保、そこに本当に今回の二法の意義はあるというふうに私も思います。そういう意味で、今までもお話しされていました森林の持つ機能が有機的にかつ合理的に発揮できるような形での民有林と国有林とが一体となった森林整備、そういう中核として流域単位のシステムをつくっていくというのは非常にすばらしいことだと私は思うわけです。
 しかし、実際に今そういう作戦が開始されようとしている途上にあって、現在の森林管理の部分で、今までやっていらっしゃる地域の森林所有者の形態によって、ある意味では流域管理システムの中に組み込まれてしまっちゃうことで影響を受けることがあると思うんです、全部が全部でなくても。例えば不在村森林所有者の方々、これは私有林面積のそれこそ二十年前ですとわずかだったのが、今は二二%ともう七ポイントぐらい上昇しているように資料ではありますが、年々その割合が高まってきて、特に北海道がえらい高いわけです。半分近くで、不在村森林所有者の方々の割合が多いわけです。
 そうすると、実際に持っていらっしゃる方がそこにいないということになりますと、じゃその辺で流域管理システムが肩がわりしてくださるのか、あるいはどういうふうになっていくのか。その部分について、つまり不在村森林所有者の方々が持っている森林の機能を温存し、なおかつ発揮させる上でどういうふうに管理の部分で、私は何かほったらかしにされてしまっちゃうのではないかというふうな危惧があるんですけれども、不在村森林所有者がふえている現状をまずどういうふうにとらえているのか。これはさまざまな問題点があると思いますけれども、そのとらえからどういうふうに対策していくのかということをちょっと具体的にお伺いしたいと思います。
#143
○政府委員(馬場久萬男君) 御指摘のとおり、山村におきます過疎化の進行等に伴いまして不在村森林所有者というのがふえておりまして、平成二年度の統計で見まして、今お話しありましたように、全国で民有林の二二%、これは昭和四十五年の一五%から七ポイント上がっているという状況でございます。また、北海道につきましては、四十五年当時三五%でありましたが、それが平成二年で四五%と半数に近いというのはおっしゃるとおりでございます。
 これらを放置しておきますと、例えば間伐が必要なときに間伐をしない、その他手入れをしないということで、森林全体が十分な機能を果たせなくなるわけでございます。そこで、私ども従来から民有林の造林事業を助成しておりますが、民有林の造林事業あるいは間伐促進強化対策事業というような補助事業によりまして、これらの不在対者の森林についても地元の森林組合などが手入れをしていくということを助成しておりまして、特に具体的にはふるさと森林活性化対策事業というような事業を興しまして、森林組合が不在村者等の森林の経営とか施業の委託を受けるような、そういうことを推進しております。
 また、平成三年に森林法を改正いたしましたときに、森林法の中の制度といたしましても、地域におきます森林施業を共同して行うというための施業実施協定制度、協定を結んで人の森林も含めて共同して森林施業を行うというような施業実施協定制度というものをつくりましたし、またさらに、ほっておきますと森林が非常に弱くなるというようなことで、早急に間伐等を必要とする森林につきましては知事さんから森林施業を勧告してもらう、勧告をして開かない場合には知事の裁定で分収育林契約を結ばせる、後で収穫したときに分けるからということで、不在村の所有者等には後で収益を分収するという前提で地元での間伐等を行うというような措置まで法律的にはとったわけであります。
 ただ、こういう制度までいかないでなるべく当事者の話し合いで事業が進むことが望ましいわけでございますので、我々としましては、今言いましたふるさと森林活性化対策事業というような事業によりまして、森林組合等による施業受託というようなものを促進して森林整備の向上を図っていきたいというふうに考えております。
#144
○風間昶君 森林組合の方々を含めてやってもらうということですね。しかし、全員森林組合に入っているわけじゃないわけで、不在村森林所有者の約半分しかいらっしゃらないわけですよね、組合に入っているのは。だから、入っていない方々にももうちょっと具体的に、強烈な強度な縛りをかけるんでなくて、最後の方法は私はちょっと納得いかないわけですけれども、そういう不在村森林所有者の組合に入っていない方々に対してはどうされていかれるんでしょうか。
#145
○政府委員(馬場久萬男君) ちょっと私の説明が不十分だったかと思いますが、今言いましたふるさと森林活性化対策というのは森林組合に入っていない人のを受託してやるという仕組みでございまして、したがって、地元にある森林組合は作業班というのを持っていますが、そこが不在村の方に話をして、私どもに作業させてくださいというような形で委託を受けるわけでございます。
 例えば、これは平成三年の実績ですが、全国で委託をした方、不在村の方が新植の場合は千二百九名、下刈りの場合は三千八百八十一名、隙間伐が二千三百四十五名、主伐が五百十四名というような方々が作業を森林組合に、自分はやれないけれども頼むと言ってやってもらっているわけでございます。
#146
○風間昶君 わかりました。
 そういった今回の森林組合も含めて林業改善資金制度のことで、必要だから貸してください、じゃお貸ししましょうということで、その仕組みについていろんな団体、森林組合だけじゃなくて関係団体の機構図を見ますと随分といろんな積極的な御参加、御協力で運用されていくんではないかというふうに思いますけれども、今回の林業改善資金制度について特色が今我が国が進めている林業政策でどういうふうに生かされていくと認識されていらっしゃいますか、お聞かせ願いたいと思います。
#147
○政府委員(馬場久萬男君) 今回御審議をお願いしております金融制度は二つございまして、林業改善資金制度、これは御案内のように林業を行おうとする人に無利子でお金を貸す制度でございます。これは今現実に林業をやろうとしている人あるいはやっている人のために無利子の資金を貸すということでやっておりまして、この制度は五十一年に発足したわけでございます。
 いろいろと林業従事老の自主性あるいは創意工夫ということを生かしながら、また技術指導というようなものの裏づけを得ながらやってきているわけでございまして、平成三年度末までに十一万三千件、九百六十七億円の貸し付けというのを行ってきまして、林業経営の改善あるいは林業労働災害の防止、林業後継者等の育成というようなために大きな役割を果たしてきているかと思っております。これは今言いました山元で林業をやるという方を中心にしております。
 もう一つの法律の方は林業等振興資金融通暫定措置法という法律でございますが、これはどちらかというとむしろ育った木を素材として、丸太として切って出す、あるいは出したものを加工するという方を対象にしているわけであります。この制度はこの制度で、これは主として運転資金を中心にしておりますが、これまでかなりの活用を見てきているわけであります。
 それぞれ担当する金融制度としては分野がやや異なりまして、山元で木を植え育てていく方々に対する無利子の資金と、それからそれを経済的に流通・加工に乗せていく場合の必要な資金の手当てということで、この運転資金の方は比較的短い期間の融資でございますが、十分な機能をしているものというふうに考えております。
#148
○風間昶君 改善資金の方について、非常に大幅に増加してきている、十一万三千件ということでありますけれども、資金の種類ごとに見てまいりますと、貸付額が六十二年から平成三年の分での資料ですけれども、伸びてきているのと逆に減ってきているのがあるわけですよね。今回制度改正に当たって改善資金の動向をどういうふうに認識されていますか、そしてどのように改正案の方に生かしたのか、端的に教えていただきたいと思います。
#149
○政府委員(馬場久萬男君) おっしゃるように、林業改善資金制度の中には三つの資金がございまして、その中で林業生産高度化資金、これはまさに生産活動に使われる資金でございますが、この分野は昭和五十年代の前半では団地間伐促進資金という間伐を促進する資金が中心になりましてかなり重要な役割を果たしてきたわけでございますが、間伐の方はいろいろ補助事業が充実されまして、それとともに間伐からむしろ集運機械あるいは集運の施設さらにはキノコの生産用の機械とか施設の導入のための資金というふうに需要が移って、昭和五十年代の後半ぐらいからどちらかというとそういう林業の生産性向上というような方向に使われてきております。
 特に最近は林業の機械化というものが非常に重要になってまいりまして、高性能の林業機械の普及というような意味での導入資金がふえてきているわけでございまして、この林業生産高度化資金というものはいわばどちらかというとどんどんふえてくるという形で推移してきているわけでございます。
 もう一つは、林業労働安全衛生施設資金という資金がございますが、これは、これまでは振動障害等を防止するための防振チェーンソーとか防振の刈り払い機とか自動枝打ち機とかそういうものに主として使われてきたわけでございますが、これらの施設も必要なところへはかなり普及をしてまいりまして、資金的に言いますと最近ややむしろ実績としては停滞といいますか横ばいぎみであるというふうに思っております。
 それからもう一つは林業後継者等養成資金でございます。これにつきましても、林業関係の研究機関による研修を受けるための資金というようなことで資金を融通してきているわけでございますが、これはむしろ林業後継者というふうに限定をしておりましたために非常に融資の実績が減ってきているというのが実情でございます。
 そこで、今回この制度を見直すに当たりまして、先ほど申しました林業生産高度化資金は今回特に大きく手をつけるということは必要ないであろうと。償還期間の部分ではほかと合わせて延ばしておりますが、大きく手をつけることはないであろうと。しかし、林業労働安全衛生施設資金、これについてはまだまだそういう労働安全衛生というような見地から必要な資金需要があるんじゃないかということで、今回お願いいたしましたようにやや福利厚生施設的なものを融資の対象にして一体化を図ろうかということで改正をお願いしているわけでございます。
 また、林業後継者等養成資金につきましては、林家の後継者のみならず新規参入の方々に対しても、また従来は技術習得的な意味での始業資金はありましたが、これを本格的な設備投資がある程度できるような資金に広げたらどうかというようなことで拡充創設をさせていただきたいということにしたわけでございます。
#150
○風間昶君 なるほど。
 この林業後継者等養成資金のことについて、これが新規参入青年等というふうに枠が拡大されてきているというこの改正法でありますが、後継者が少ないということは先ほどからお話を伺っておりますけれども、実際に今回の新規学卒者だけ見ても、これは即林家になるとは限りませんが、農業千八百人、漁業が七百六十人ぐらいですか、それに林業が新規学卒者で百八十三人と絶対的に数が少ないわけであります。しかも、林業外からの新規参入者が三年間で四百七十人弱、平均百五十六人ぐらいですか、そういう新規参入者あるいはUターン青年に対する貸付制度を加えたということは、とりもなおさず担い手確保のため、ただただそれのためなんでしょうか。
#151
○政府委員(馬場久萬男君) 今回、林業後継者等養成資金を拡充して新しく新規参入の方々に対しても融資を行うようにする、あるいはその資金の規模をふやすというのは、おっしゃるように林業の担い手を確保しなきゃいかぬという政策要請に基づくものであります。
 これは、もちろんこの制度だけでやれることではありませんで、林業の担い手の確保のためにはいろいろな施策を講じてきているわけではありますが、自分でこれから新しい林業に従事してみようあるいは事業をやってみようというときに、まず資金があるかあるいは経験があるかということが問題になるわけでありますから、そういうものを身につける、あるいは初めての仕事を始める上での必要な資金の調達ができるという条件を整備することは非常に重要なことであると思っております。
 この資金は、各人の自由な希望でということもありますが、実際には各県におきます林業技術の普及組織がございまして、そこに技術普及指導員というのがおりまして、そういう人たちと相談して、どんなことから始めていったら林業に入っていけるんだろうかというようなことを相談して、技術指導を受けながらやっていくというような裏づけがあって活動する、そういう普及指導体制の協力を得ながら新規参入の方にも融資をしていこうというものでございます。
#152
○風間昶君 例えば、技術指導というと、高性能機械を中心とした機械化促進におけるテクニカルな問題、つまり技能の部分で十分習得しなきゃならないと思うんです、実際にやり出すときに。
 高性能林業機械の操作のための例えば研修会とかなんかも考えていらっしゃるんですか。
#153
○政府委員(馬場久萬男君) 今の林業改善資金の中の今回の青年林業者等養成確保資金の中の研修の中でいろいろな研修があるわけでございますが、各県にそれぞれ林業技術の研修所とか林業センターというのがございまして、そこにおきましては、林業用の機械の研修もカリキュラムとして組まれておるところでございまして、最近の高性能機械等についても研修が可能かと思いますが、ただあえて言いますと、高性能機械というのはまだ我が国において導入されている台数が少のうございますから、どの県でも十分研修ができるかというと、そういう条件が全部そろっているとも必ずしも言い切れないところはございます。
#154
○風間昶君 それは実際上は都道府県にお任せしてやるんでしょうけれども、そこのところの見通しをきちっとしてないと、例えば一般高校生だって今途中でいろんな問題が起こってやめていく人がいるわけですから、せっかくこの資金を供与して、しかも立派な担い手をつくっていく苦労が途中でおかしくなっていくことのないように、もうちょっときめ細かな見通しを立ててやらないと、はいお金上げましたよ、はい貸しましたよということで、ある意味ではそれがそのまま生活費に回ってしまうという危険性だってないわけではないというふうに、そんな甘いものではないというふうに思うんですけれども、いかがですか、その辺。
#155
○政府委員(馬場久萬男君) 御指摘のとおり、ただ貸して後は自由にというような甘いものではないわけでございまして、先ほど申しましたように、各県の林業技術の普及組織の方が指導して、例えばその県の研修センターでどういうコースの研修を受けるかと。例えば、それぞれ県においては一般コースとか専門コースとか婦人コースとかというふうにコースをつくって研修体制をつくっているわけですが、そういうところへ行って研修を受けますと。
 また、その初度資金的なものについては、こういう計画でこういう事業を始めたい、それに必要な金としてはどういうものが要るかというようなことについても、この普及組織が全部フォローアップして、そして、せっかく林業に意欲を持って入ってこようという人については、十分そこでやっていけるようにということに努力をしているところでございまして、ある意味では普及指導組織がそういう人たちの面倒をずっとその後見ていくというようなことも実際にやっているわけでございます。
#156
○風間昶君 お金の問題なんですけれども、よく見ますと、林業後継者等養成資金が六十二年度で二億六千五百万、貸付件数百七十五件、それで、平成三年度で二十件、三千五百万と、もうえらい減りようですよね、たった五年間で。めちゃくちゃひどいなという感じがするんです。要するに、この貸し付けする実績が低迷している理由というのは当然後継者不足だと思いますけれども、だからこそもうちょっと後継者の育成確保のためにきちっとしたものを、そこが大事な部分だというふうに思うんですけれども、私単純に考えて、今回の青年林業者等養成確保資金の貸付枠が十二億五千万確保されていると。「十二・五億円」と書いてありますよね、貸付枠。それはもう承知しておりますけれども、常識的に見て、現在三千五百万の貸し付け実績しかないのに、よくもまあ三十六倍と四十倍近く、十二・五億とったなと。いや、ここも大変御苦労はあったと思うんですけれども、えらい大変なものだというふうに思うんですけれども、その辺どうですか。
#157
○政府委員(馬場久萬男君) 今仰せられました林業後継者等養成資金の昭和六十二年からの落ち込み方の中で、内容的に言いますと、研修というよりはむしろ林業経営共同開始資金というところが、昭和六十二年には二億六千万ほどあったのが三千四百万ぐらいになったということで落ち込んでいます。つまり、これは共同開始資金という範囲で、要件を共同でやらなくちゃいけませんと。資金的にもこれはたしか二百六十万ぐらいが限度だと思いますが、非常に少額であるというようなことで人気がなくなったといいますか、そんな金借りてやったってしょうがないというのも出てきたんだろうと思うんです。
 今回、大幅にそこを改善いたしますから、私どもとすれば、それなら借りてやってみようという人がかなり出てくるんじゃないかということで、予算措置としては思い切ったものを組んだわけでございます。
 これはむやみに予算を膨らましたという意味じゃございませんで、先ほど言いましたように、地域の技術指導を行っている人たち等の意見を聞いても、一千万ぐらいまで貸すということになればやる人が出てくるというようなことも話としてありまして、じゃ思い切ってやってみようかということでやったわけでございます。
#158
○風間昶君 私だって一千万借りられるんならやってもいいと思っておりますけれども、それはともかくとしまして、林業生産高度化資金の方で随分取られていくということになるんでしょうかね。――間違いました。違いますね。
 じゃ、その十二・五億の予算の部分は非常に弾力的に行っていくというふうに受けとめてよろしいですね。三千五百万の貸し付けがないのに十二・五億というのは私はどうも何かどんぶりのような感じがしてしょうがないんです。つまり、それだけせっかく十二億五千万確保するなら予算の実効性がなければならないというふうに思うんですよね。
 だから、そういう意味で林業後継者の育成確保にきちっと、一たん来ていただいたらずっとそれを続けてもらって、林業の担い手として成長していくまで、国としてもそういう見通しに立っていらっしゃると思うんですけれども、そういう見通しに立っていらっしゃるなら、後継者の育成確保ということについてもう一度大臣の方から伺いたいと思います。
#159
○国務大臣(田名部匡省君) 率直に申し上げて相手がある話でありまして、私の方ではこういうふうにしてこれだけの人をと、こういう願いはあって計画を立てる。ただ、簡単に立てたかというとそうでないんです。
 新規参入の人たちの課題として調査をしたものによると、資金確保ができないという人たちが三三・八%ぐらい。あるいはせっかくやっても経営方法がわからない、技術の習得ができないという人たちが大体五〇%ぐらい。そういうのを見て、それならば思い切って、こうしたことでそれだけの要求があるのであれば、事業に取り組むには当初段階というか計画的にきちっとしたものを持って取り組まないと、ただ金があるから行ってやったんだというのではやっぱり途中で失敗すると思うんですね。
 ですから、これでこれだけの収入が上がる、別のものを合わせて。これだけの収入があれば、返すのはこの分近していく、生活費はこの分と。まずここがスタートだと思うんですね。ここがしっかりしていないと、これは何をやっても、何も林業ばかりではなくて、事業もうまくいかないだろうと思うんですね。
 ですから、そういう経営方法ということになると新規の人たちがわからない部分というのがあるものですから、そういう指導もしっかりして、これならおれもこういけるなという自信を持ってやっていただく。そうすると、大体目標どおりいきますと定着して、また別に行こうということにはならぬのではないだろうかという気がして、いろいろとやってみなきゃわからぬと言うとおしかりをいただくんですけれども、いずれにしても、私どもはそういう期待をしながら、あらゆる可能性のあることは積極的にやってみると。これでまたなかなか利用できないということもあるかもしれませんが、あったときはまたどういうところに問題があるかというので、もう何回も何回も私はやっていいと思うんです。そしていい体制をつくり上げるということが大事だ、こう思っております。
#160
○風間昶君 ありがとうございます。
 次に、物的担保のことについてお伺いしますけれども、物的担保を今回の改正で、それだけでも借り受けできるというふうになっていくわけですけれども、物的担保を認めるに当たって何らかの基準を設けていますか。つまり、どういうものを物的担保と言うのか、これこれこれと、これは違うというふうに挙げてください。
#161
○政府委員(馬場久萬男君) 本資金制度の物的担保として考えるものとしては、一つは、その方が森林等の資産を持っている場合に資産に抵当権設定の契約を締結するという形の担保のとり方、あるいはこの資金を借りて購入する機械とか施設についての譲渡担保契約を締結するというやり方等があろうかと思います。
 この資金は、従来どちらかといえば人的担保中心できたんですが、今回かなり金額も多くなり、長期の貸し付けになるということで物的担保もとれるようにしたということでございますので、我々としては、これからの問題でございますけれども、物的担保を設定してやるという場合は今言ったような形の担保契約を結んで確保するということだろうというふうに考えております。
#162
○風間昶君 もうちょっとわかりやすく言ってくれますか。例えば立木、これは物的担保と認められるんですか。
#163
○政府委員(馬場久萬男君) 立木については、評価の関係、明認方法等いろいろ問題があるので、実際にはなかなかとれないだろうということで、担保としては今のところ考えていないということでございます。
#164
○風間昶君 立木は担保と考えていない。
 森林を目的物とする物的担保は考えられていらっしゃるんでしょうか。
#165
○政府委員(馬場久萬男君) 資産として土地という意味での森林をもし持っていれば、それは担保として考えることは可能だと思います。
#166
○風間昶君 さまざまな状況があると思うんですけれども、細か過ぎてちょっと申しわけありませんが、例えば森林面積、実測で計った場合と台帳が今まで先祖代々続いている森林が違っている場合だとか、隣のところとの境界だとかいろんな問題が出てくることが考えられますよね。その一つ一つについてどういう対策が講じられているのか、林野庁としてのその基本原則をちょっと教えていただきたいと思います。
#167
○政府委員(馬場久萬男君) 森林を担保にとる場合のやり方だというふうに伺うわけでございますが、具体的な実務は私も必ずしも詳しいわけではございませんが、一般には森林を担保にとる場合の評価事務というのは、地元の森林組合などの地域森林計画に記載されている面積あるいは測量図というものが整備されている場合には、それの面積というものをもって担保設定をしているようでございます。
 これは、今回の私どもの融資制度だけでなくで、例えば農林漁業金融公庫とか農林中央金庫のような金融機関が林業者に対して融資する場合においても、森林を担保とする場合はそのようなやり方をしていると聞いているところでありまして、それによって特段の問題が生じているというふうには聞いておりません。
#168
○風間昶君 わかりました。
 例えば、高額の林業機械などを導入する場合に、法案の六条では「担保を提供させ、又は保証人を立てさせなければならない。」というふうになっておりますけれども、物的担保が優先的になるんでしょうか。それとも保証人による担保が優先するのか、お伺いしたいと思います。
#169
○政府委員(馬場久萬男君) 物的担保と人的担保、どちらが優先するのか、こういうお話でありますけれども、制度としてはどちらが優先ということは特に決めておりません。先ほど申し上げましたように、今まではどちらかというと人的担保中心でやってきたということで、一般には保証人を立てることができない場合であっても物的担保を提供すれば借りられるというふうになるわけでございますが、政府としてどちらが先あるいはどちらが優先ということを決めているわけではございません。
#170
○風間昶君 わかりました。
 僕も、この辺非常に難しい問題なんで、もうちょっと勉強してからまたの機会に聞きますので用意しておいてください。
 それでは、林業等振興資金融通暫定措置法について、先ほど谷本さんの方からも少しお話がありましたけれども、三年度から政府が林業事業体の再編整備及び組織等強化推進を図るとともに、流域の素材生産体制の強化を図るための作業路網というんですか、それから素材生産等施設を一体に整備する林業事業体体質強化事業に取り組んでいるというふうに認識していますけれども、その事業の具体的内容はわかっていますからいいんで、それが現在までどの程度進んでいるかということと、もう一つは、計画が七年までですよね、達成見通しがそこまでいくのかどうか、ちょっとお伺いしたいと思います。
#171
○政府委員(馬場久萬男君) 今おっしゃいましたのは、素材生産を行う林業事業体が小規模零細で機械化が立ちおくれている、また生産性が低くて労働条件も厳しいというようなことから、この事業体の体質を強化しなければならないということで、平成三年度から八年度まで六年間で三十六流域を対象に素材生産の中核的な担い手となり得る林業事業体の組織化と再編成、あるいは事業量の安定的な確保及び高性能林業機械の導入促進等を推進するということで始めたものでございまして、平成三年度及び四年度の二年間で十二の流域において実施をしております。残り二十四流域につきましても着実にその実施を進めていきたいというふうに考えているところでございます。
#172
○風間昶君 じゃ、三年から始まって八年までと、折り返し直前まで来ているわけですね。それで十二流域しか進んでいないということは、半分いっていないわけですよね。大丈夫ですか、八年まで。
#173
○政府委員(馬場久萬男君) ただいま申しましたように、平成三年度と四年度の二年間で十二流域でございますから、スケジュールどおりといいますか計画どおり進めているつもりでございます。
#174
○風間昶君 ちょっと話があれなんですが、私も実際にこれまで十九年整形外科をやっておりまして、振動障害の患者さんを随分診てきたんです。北海道の場合、特に営林局の縮小等あって、患者さんの側が病院指定をされて休んでいらっしゃって、随分いろんな感じでおつき合いさせていただいているんですけれども、振動障害についてはひところのようにたくさん発生はしておらないことも私は承知しております。一昨年まで整形外科やっていて、一年間に診た方がたった七人か八人でしたから、振動障害。
 それで、お聞きしますと、確かに機械は変わった、健康診断も非常に頻繁に実施。特に北海道の場合は冬場に温泉病院に来て振動障害の治療を受けるという方が多いんですが、実際に北海道で調べたところ、平成三年度ですか、一昨年の新規の認定者は二十二人。しかし、振動障害と認められて療養継続を必要とする方が二千人近くいらっしゃるわけでございます。これは民間林業でしょうか。私は北大の整形外科におりましたので、もっと少ない数の国有林野事業に携わっている方々の療養継続者、大体五百人ちょっとの方々を診させてもらっておりましたけれども、しかし昨年はたった七人か八人。
 林野庁の立場としては、そういう治癒認定者の方々の振動障害、軽度障害というんでしょうか、軽快者というんでしょうか、職業復帰といいましょうか、考えていらっしゃると思いますけれども、実際に話を聞きますと、要するにもう就労機会の拡充だとかあっせんというんでしょうか、そういう就労施設の基盤を育成するとかということを国が考えていても、実際の現場ですよ、患者さんはなかなか働けない、つまりどっかで断られちゃうという実態があるんです。
 その辺についてもう少し、これはどっかの病院の問題と同じなんですけれども、もうちょっときめ細かに、働きたいと言っているわけですから、担い手足りないんだから、そこのところもうちょっときめ細かに指導していってあげたいなというふうに思います。
 私も特殊健康診断、大して特殊じゃないんですが、タッピングと言って、一分間に何回こうたたいてやるかで、ここのところの爪の色が赤が白くなってきたり、あるいは表温テストと言って、水の中に五分間あるいは十分間、二十分間入れて、水によって表面温度が下がりますから、それをモニターするサーモメーターというのがあって、上げたらそれで回復の度合いを見るんですけれども、それで等級診断といいましょうか診断つけるんですけれども、結構慢性化した振動障害者の方々は働かなくても冷たいところに出ると同じレイノー現象みたいなものが出るんですね。
 そういう意味で、現実に働く上で、特に軽快者の方々の新たな就業機会を設けてあげられるようにぜひきめ細かにしていってあげられればなというふうに私は思っておって、こういう立場に今度なっちゃったものですから、今度は積極的に政府の方で、また林野庁で指導していっていただきたいなというふうに思うんですよね。その辺いかがですか。
#175
○政府委員(馬場久萬男君) 林業の作業に伴います振動障害の認定者、先生おっしゃるように最近はかなり減ってきていることは事実でございまして、私どもの把握している数字で言いますと、平成三年度の労災保険の補償分として新規認定が九十六名、これは全国でございます。国有林はゼロという形になっているわけでございます。
 ただ、療養の継続は大変多うございまして、労災保険補償分で平成三年度五千二十五名、国有林の方の療養継続者三千七名というふうにまだまだ多いわけでございます。その中で治癒認定者等振動障害軽快者と言われる方々、つまり比較的軽度の方で就業復帰を希望される方というものにつきまして、私どもといたしましては、最近の電動刈り払い機の導入などによって作業ができるだろうということで、そういう機械の拡充でありますとか、あるいはキノコなどの特用林産とか木材の加工等のそういう事業の方に従事する就業基盤の育成というようなことをしまして、これらの方々の就業の促進を図ってまいりたいというふうに考えております。
 確かに、新しい仕事をしていただくのに障害認定者の方でも自信がないとかいろんなこともあって問題は大変あるというふうに伺っておりまして、厚生省医療局長、それから労働省の労働基準局長、そして私林野庁長官と、三省庁で連絡協議会のようなものをつくりまして、毎年振動障害対策につきまして予算措置その他いろいろと連絡協議を行っているところでございます。
#176
○風間昶君 終わります、オーバーしていますのでありがとうございました。
#177
○林紀子君 私は、まず林業等振興資金融通暫定措置法、この基本的な改正点についてお聞きしたいと思います。
 先ほども質問がありましたけれども、今回の改正で、第一条の目的、第二条の基本方針の「国内産木材」から「国内産」という言葉が消えまして、「木材」一般に本法が適用されるようになりました。それにより外材にも適用範囲が拡大されるということになるわけですね。先ほどのお答えでは、縦系列の共同では国産材、外材どちらを使うかこだわらない、しかし川上から川下まで国産材をつないでいく、こういう趣旨だというお話があったわけですけれども、それならばなおさら、国内林業振興のための資金融通暫定措置という本制度の原則的な立場を守って、この「国内産木材」という言葉はきちんと書いておくべきではないかと思いますけれども、いかがでしょうか。
#178
○政府委員(馬場久萬男君) 私どもの考え方は、先ほど申しましたように、国産材があくまでも中心でございますが、現実に木材の流通・加工の実態を見ますと、製材品としての輸入も増加してきている。国内で輸入材を扱っている人たちも、輸入材だけを扱っているわけじゃなくて、国産材も扱っている人が多くいる。また、かなりの山元の方の製材業でも輸入材も上げてきて一緒に製材をして供給するという体制になっている。いわば輸入材と国産材が非常に入りまじって実際の流通・加工が行われているのが実態でございます。
 これを放置しておきますと、むしろどちらかといいますと、国内の製材業というのはだんだん全体として縮小してしまう、輸入の製材にも押されてくるというようなことがありまして、我々が将来成熟した国産材を供給しようと思っても、国内の流通・加工業が衰退してしまうおそれもあるというふうに懸念をしているわけでございます。
 そこで、今回むしろ思い切って「国内産木材」という言い方を「木材」一般ということにして、国内の木材産業全体が活性化し、かつ合理化していくようにというふうに言ったわけでございます。しかし、先ほど来申しましたように、政策としてはあくまでも山元でできた国産材を流通・加工していくという系列をつくっていくわけでございますので、中身として国産材が中心になることは間違いないわけでございます。外材について扱うものを排除していくという思想でないという意味では「国内産」という表現を取りましたけれども、内容としましては、「木材」一般の中で国産材が円滑に流通・加工されていくということを目指してまいるつもりでございます。
#179
○林紀子君 今のお話ですけれども、確かに加工段階では国産材、外材混在していて、分けて融資するということは難しい、こういうことはあると思うんですけれども、それならばこの法律がそもそもできたときはどうだったのかということなんですね。この法律ができる一年前の一九七八年には自給率既に三一・九%、そしてこの法律ができた七九年には三〇・八%、非常に低い数字だったわけですね。ですから、「国内産木材」から「国内産」を削るという必然性というのはないんじゃないかと思うんです。いかがでしょうか。
#180
○政府委員(馬場久萬男君) この法律が昭和五十四年にできたとき、おっしゃるように三〇・八%という自給率でございましたが、実はその後しばらく年ごとの自給率の推移を見てみますと、自給率は上がってくるんでございます。昭和五十九年には三六%まで一度自給率は上がっていくんですね。その後で、六十一年が三三・五%でございますから徐々に下がってきて、六十二年から急激に下がってくるという現象があるわけでございます。
 そこで、この制度をつくりましたときと最近となるほどそう差がないように見えますが、国内の自給率が一たん上がって下がってきたと、それはどういう理由であるかというふうに考えますと、先ほど言いましたように、だんだん外国から製材品も入ってくる、また国産材だけにこだわっているとそういうものを扱わないむしろ輸入材専門の業者の方がふえてくるというような事態が出てきたものだろうというふうに考えているわけでございます。私どもといたしましては、最近の自給率の落ち方と、そしてそれによる国内の木材産業の困難といいますか、こういう問題にどう対応するかということが政策課題であろうというふうに考えております。
#181
○林紀子君 一たんは上がったというわけですから、その上がった理由というのは、こういうもので国産材というのを手厚く保護しようという意図が働いたからということは言えるんじゃないでしょうか。
 それから製品輸入の件ですけれども、制定当時は丸太輸入がほとんどで製品輸入は少なかった。しかし、今は製品輸入というのが非常に多くなってきた。そういう変化もあるということもお聞きしたわけですけれども、この製品輸入の見通しにつきましても、一九七九年度の林業白書によりますと、既に各国の産出国の丸太の輸出規制の動向というのが書かれております。ですから、こういう意味では先行きというのはどうなるかというのは林野庁は十分見通すことができたんじゃないかと思うわけですね。
 それにもう一つ、同じ一九七九年の七月にガットの東京ラウンドについてジュネーブで議定書の調印が行われた。そこで製材品、合板などの関税の引き下げが決まっているわけですから、こういうことから考えましても製品輸入はふえる、こういう要素は強くあったわけですね。こういう見通しがあった上で法律が決められて、その中には「国内産木材」ということがはっきり書かれていたわけですから、当時の事情、今の事情、そんなに変わっていないのにあえて「国内産」というのを削るというのはやっぱりおかしいんじゃないかと思うわけですが、いかがですか。
#182
○政府委員(馬場久萬男君) 製品輸入の点の御議論でございますので、やや事実に即して申し上げさせていただきます。
 確かに、一九七九年、昭和五十四年は製品輸入がその前に比べますとふえてきております。当時の数字で言いますと、五百六十五万六千立方メートルというようなのが昭和五十四年、一九七九年の数字でございます。これも実はその後しばらくはむしろ減っていくわけでございます。昭和六十三年ぐらいまではむしろ四百万台に落ち、それからまた上がってくるということで、今、先生は既に五十四年の段階でガットの東京ラウンドの関税引き下げが決まって、そのときは予見されたんではないかという御指摘でございましたが、当時の担当者が予見したかしないかという問題と別に事実としては、六十一、二年ぐらいまではそんなに製品輸入はふえていないわけでございます。私どもの認識といたしましては、昭和六十三年に六百万が一千百万にぽんと上がる、それから一千二百万、一千三百万立方メートルというふうに製品輸入がここ数年で急増してきているという事態がありまして、これはその制度を当初、昭和五十四年につくるときから予見されていたかというと、なかなか予見することは難しかったんではなかろうかというふうに我々は考えているわけでございます。
#183
○林紀子君 それからもう一つお伺いしたいと思うのは、現行法では外材、国産材の扱い量での適用事業体につきまして、五十四年の八月、一九七九年の八月、事務次官通達というのが出されていますけれども、これには国産材取扱量二分の一以上、ただし、地域の林業及び国産材関連産業の実情等がら、知事が林野庁長官と協議し、三分の一以上及び林野庁長官が別に定める量を超えている、こういう合理化計画がつくられれば知事は認定をし、この資金を借り受けることができるというふうになっているわけですね。また、国産材の取扱量の割合がこの基準に達していなくても合理化計画期間内、これは五年間というのを見込んでいるということですけれども、合理化計画期間内にこれらの基準に適合することが認められればやはりこの資金を借り受けることができるというふうになっているということですね。そういう意味では、現在二分の一以上国産材を使っていなくても、猶予措置といいますかそういうものというのは十分考えられているわけですね。しかも、五年間待ってやるからそれまでに二分の一以上あるいは地域によっては三分の一以上使えばいいんだと。あくまで国産材を使うようにというふうに誘導するといいますか、そういう方向でこの措置というのは定められていると思うわけですね。
 ですから、こういう措置を適用していきましたら、今でもこの「国内産」という言葉を取らずに「国内産木材」ということで立派にやっていけるんじゃないか、そして国内産を本当に助成していこうというその精神というのがここできちんと生かされるんじゃないかと思うわけですけれども、この精神というのはどういうふうになっちゃっているんでしょうか。
#184
○政府委員(馬場久萬男君) 御指摘のとおり、これまでの国産材産業振興資金の運用に当たりましては、その国産材の扱い量というもので融資対象事業者を決めておりまして、その扱い量の割合につきましては、原則は二分の一以上でありますが、場合によっては弾力的に扱うということになっているのはそのとおりでございます。
 先ほど言いましたように、我々国産材を今後も使ってもらいたいし、それを中心に林業のいわば川上から川下まで流通を貫いていきたいというふうに思っているわけでありますが、今回の改正前まではどちらかというと個別業者に対する融資という形ですから、これはとらえやすいわけですね。ところが、今回、素材生産業者、製材業者、流通業者、加工業者、こういう縦系列で連携をしなさい、それによって国産材の流通に資するように流通体系を組み立てなさいということを言っていきますと、連携する業者の中でそれぞれ各段階でそういう要件をどうやって設定していくんだ、それをどうやって履行を担保するんだということを、考え方としては国産材中心にやりたいと言っても実務的に非常に難しくなるじゃないか。また、そこで国産材国産材と言っていて、じゃ国産材を扱う人間だけでそういう系列をうまくつくれるかというと、それはいろいろ問題があるよという議論もありまして、私ども気持ちとしてはあくまでも国産材中心に考えているわけですが、法律上は国内産の木材というふうにこだわるのはいかがかということで、今回条文を直させていただきたいというふうに思ったわけでございます。
 これは、だから国産材は扱わなくていいんだとか、そういう意味ではございませんで、また意図しているところが、先ほど言いましたように、山元で生産したものからつなげていくという発想ですから、必然的に国産材を扱っていくということを頭の中で考えているわけでございますし、またこれを知事が認定する場合も、知事さんとしても自分の県の国産材を扱わない者に低利融資の認定をするということは実際は余りやらない、あり得ないとまでは言いませんが、ほとんどそういうことはないだろうと思いますし、実際の実行上は国産材を相当程度扱っていく者を中心にこの制度の運用をしてまいりたいというふうに考えております。
#185
○委員長(吉川芳男君) 委員の異動について御報告いたします。
 本日、村沢牧君が委員を辞任され、その補欠として本岡昭次君が選任されました。
#186
○林紀子君 産出国は今国策として付加価値の高い製品での輸出というのに力を入れている。そのために、丸太ではなく製品での輸入がふえているというのは今までお話があったとおりですけれども、この製品輸入の増加というのは、製材業の衰退を招いているということになるんじゃないかと思うわけです。
 林業白書で見ますと、製材業は一九八六年で一万八千二百六十事業所、九〇年になりますと一万六千八百十一事業所になりまして、四年間で千四百四十九事業所が減っています。国産材到来の時代に製材工場が対応できなくなっている、こういうことが数字からも見えるのではないかと思いますが、どうでしょうか。
#187
○政府委員(馬場久萬男君) 国内の製材品を生産している製材工場の問題でございますが、製材品の生産量そのものが近年横ばいないし微減をしている中で、工場数が確かに減っておるわけでございます。これは輸入製材品に対抗するために、ある程度規模が大きくて生産コストが低い工場は生き残れるわけでございますが、小規模のものというのはなかなか経営が苦しくなっておりまして、実際の数字を見ましても、大規模の工場は増加していますが、小規模のものは大きく減少しているというのが実態でございます。
 私どもとしましては、これは全国の中で製材業をきちっとした形で今後とも残していく、あるいは国産材がふえてきたときにそれをこなせるようにするというためには、先ほど申し上げましたように、まさに国内産材の供給の方との連携をとって、業として、安定した企業として維持されなければならぬというふうに考えているわけでございまして、そういう意味では今後とも製材工場が今言いました輸入製材品と対抗していけるような、そういう工場にしていかなくちゃいかぬというふうに考えております。
#188
○林紀子君 しかし、原材料によって施設整備が違い、原料を変えることは膨大な設備投資が必要だということですね。外材に頼った事業の拡大では、国産材がいざやってきたと、そういうときに今おっしゃったようにうまくそれに乗ることができるかどうかというのは大変疑問だと思うわけです。
 そして、最後に大臣にお伺いしたいわけですけれども、林野庁の自給率の見通しては、平成四年の見込みでは二四%と前年よりさらに一%落ち込んでいます。先ほどからの質問で国内資源の活用というのを指摘してきましたけれども、安定的に供給できると見てきた外材依存、これが今大変な状態になって、大変不安定な状況になっていると思うわけです。ですから、この時期にこそ国産木材の振興に力を入れる逆に言えばチャンスなんじゃないかと思うわけですね。
 ソ理科から米材に、米材の規制が厳しくなったから次には北洋材と、こういうふうに世界じゅうに手を伸ばして、日本は木食い虫だと世界じゅうから環境破壊者のような非難を浴びているという面もあるわけですけれども、そういうことにするのではなくて、日本の資源活用に目を向けるべきときではないかと思うわけです。そのことが地域の活性化、山村の活性化につながり、今全国では県から産出される木材の需要を拡大するための安定供給事業などにも着手をしているところが方々にあるわけですから、こういうことも大いに参考にしながら自給率の低下に歯どめをかける、国産木材の振興に力を入れる、こういうときだと思いますけれども、いかがでしょうか。
#189
○国務大臣(田名部匡省君) 基本的にはそう私ども考えております。幸か不幸か外材が安くて、それを利用してきたということは、環境面からすれば日本は本当に環境を守ってきたということは言えるだろうと思うんですね。日本に輸出した国は、木を切って環境破壊、こういう大問題が起きておる。
 しかし、一方、先ほどの建設省の答弁にもありましたように、木造住宅でも二〇%と利用できる範囲というのは大体限られておりまして、一方では高層ビル等は木材というわけにいきません。そういうことではいろいろとやっぱり考えられるんですが、おっしゃるように国産材時代に向けて一体どうするかということで、先ほど来からいろいろとお答えを申し上げてきたところでありまして、これも需要と供給と価格、そうしたものが消費者の人はどちらを選択するかということ等もあって、将来の見通しを立てることが難しいこともあります。
 外国のは一体どうなのかということがわからぬで私どもだけ計画を立てても、漁業も同じようなものでして、いつどういう規制がかかるかということはわかりません。しかし、どんな場合にも対応できるようにこの業界というものは守っていかなきゃならぬことは確かでありますから、今林野庁長官からいろいろお答えしたとおりでありまして、私どももより一層森林の流域管理システムをまずちゃんとしながら、来るべき国産材時代にどう対処していくかということを真剣に考えながら努力をしていきたい。そのためには、今回の林野金融二法の改正あるいは金融措置、そういうものも充実をさせながら立派な体制をつくっていくことが大事だというふうに考えております。
#190
○林紀子君 次に、私は健康とゆとりの森整備事業として富山市で進められている呉羽丘陵整備事業についてお聞きしたいと思います。
 林野庁は、この整備事業に対する住民や自然保護団体などの反対運動が起こっている真っ最中の昨年九月に現地に入りまして、県に、計画の一部変更を含め、住民とよく話し合うために専門家の意見を聞くなどして何とかやれないかと指導しました。県は、森林総合研究所から推薦された岡山大学の千葉教授を富山市に紹介し、富山市は千葉教授を専門家として招いて現場調査を行った。そして調査報告も受けているということです。しかし、その後事態は好転するどころか一層混迷を深めているわけです。
 具体的には、千葉教授の調査と報告書は非開示文書扱い、こういうことになっているわけですね。それで、千葉教授自身も、自分の本意が酌み取られていないと、こういうことをおっしゃっているわけです。
 それから、富山市の緑化審議会会長の佐々学富山国際大学学長がこの事業に対して昨年十二月に意見書を提出しまして、審議会を早く開いてほしいということを市に要請しているにもかかわらず、この審議会も開こうとしていない。
 住民や関係者が今一番求めていることは、市が話し合いのテーブルに着くということです。国は二分の一の補助事業ということでこの事業に三億八千八百万円を使うということを計画しているわけですが、千葉教授の報告書を公開させ、住民、関係者の合意のもとにこの事業が円満に行われるように適切な指導を行うべきだと思いますが、いかがでしょうか。
#191
○政府委員(馬場久萬男君) 今お話のありました健康とゆとりの森整備事業というのは、我々国民が自然の中でゆとりと潤いを享受しながら心身のリフレッシュや人間性の回復が図られるように森林の造成整備を行うということを目的とした事業でございます。
 この事業の実施に当たりましては、地形あるいは植生、気象等の自然条件、あるいは森林に対する社会経済条件等を十分勘案して行うようにという指導をしてきたところでございますが、この呉羽丘陵の森林をどう整備するかというのは、今言いましたような諸条件を踏まえて地域で決められるべきものである。というふうに考えておりまして、事業主体である富山市に、地域の住民の意向等も十分考慮しながら事業を行うようにという指導をしているところでございます。
 具体的な問題につきましては、地方自治体の中での取り扱いの問題でありますので、私どもとしては個々に立ち入るつもりはございませんけれども、今言いましたように、この事業の目的がそもそも住民が自然に親しむというためのものでございますから、そういう地域住民の意向というものは十分配慮すべきであろうということで指導してきております。
#192
○林紀子君 この富山市の事態といいますのは、貴重な動植物生態系に大きな影響を与える、このままでは貴重なホクリクサンショウウオ、この生息地というのが見つかったそうですけれども、これも絶滅してしまう、こういう住民の声を聞かない、そして一方的に事業を行っている、これが現実なわけですね。
 整備事業だから環境アセスは要らないというふうに富山市の方は言っているということなんですが、県の担当者も環境アセスが要らないというのは乱暴な話だということを言っているわけです。ですから、この富山の事態を解決するということはもちろん必要なわけですけれども、それと同時に、この事態を教訓にして今後の整備事業に生かしていく、これも大切なことではないかと思うわけです。
 昨年の地球サミットのリオ宣言では、国内措置としての環境影響評価は、環境上重大な悪影響を及ぼすおそれがあり、しかるべき行政機関の管轄権が及ぶ活動案に対して実施されなければならないというふうにしていますし、また、林野庁が画期的だということを表明していらっしゃる森林原則声明では保護林やアセスメントの必要性というのをうたっています。
 こういうことを考えてみますと、今後とも整備だからアセスは要らないという機械的な対応ではなく、必要な環境アセスを行って、地元住民、関係者の合意で事業を進めるように指導していく必要があるのではないかと思います。
 そして、先ほど長官がこの健康とゆとりの森整備事業の趣旨をお読み上げになりましたけれども、その後にすぐ、「豊かな生態系を有する変化に富んだ明るい森林空間を整備」するという言葉も続いているわけですね。ですから、それをぜひ生かしていただきたいというふうに思いますが、いかがでしょうか。
#193
○政府委員(馬場久萬男君) おっしゃるように、私どもは自然環境というものは非常に重要であると思いますし、この事業の趣旨が先ほど申しましたような趣旨でございますから、そういう観点から地域住民の意見を反映して事業を実施するようにということで、引き続き指導をしてまいりたいと思っております。
#194
○星川保松君 今、我が国の農林水産業に携わる人々は、農林水産業が今後どうなるのかということで、いわゆる新農政に対して一斉に私は注目をしておるところだと、こういうふうに思います。
 きょうは、林業関係者、林業者の立場でこの新農政、「新しい食料・農業・農村政策の方向」というものをずっと目を通したといたします。私もずっと読んでみました。ところが、林業に関しては、日本の林業をどうしていくのかということが全然書いてないんですね。これは一体どうしたことかと林業関係者は思っておると思うんですが、これについてはどのようなお考えですか。
#195
○政府委員(馬場久萬男君) 新農政と言われる昨年の六月に打ち出されました「新しい食料・農業・農村政策の方向」におきまして、特に林業関係に関係の深いのは中山間地域におきます取り組みであると考えております。そこにおきましては、立地条件を生かした高付加価値型、複合型の農業などとともに、林業、農林産物を素材とした加工業などを振興することとされているところであります。また、特に条件が不利で、定住人口の確保などに務める必要がある地域については、農林地を一体的に経営・管理するため、農協と森林組合の業務の相互乗り入れなどを積極的に推進することとされておるところでございます。
 さらに、本年一月の農政審議会によって取りまとめられました「今後の中山間地域対策の方向」におきましても、中山間地域は地勢等の地理的条件が悪く、農業の発展等に不利な面も見られ、近年その地域においても農林業の担い手の減少・高齢化の進行が著しく、地域の農林業生産活動が停滞しているのみならず、国土・環境保全等の機能の低下が懸念される。このために、農林業等の事業の活性化のための基盤整備を促進する措置を講ずることにより、地域の特性に即した農林業等の事業の進行を図り、豊かで住みよい農山村の育成に寄与することが重要だというふうに言われておりまして、決して林業あるいは林地というものについて言及していないわけではございませんが、これはあくまでも農業の新しい政策を打ち出すという点に重点がありますから、林業を単独で取り出して言うあるいは論ずるという形になっていないことは事実でございます。
#196
○星川保松君 私は、そういう抽象的なことでは林業関係者は皆目わからないと思うんですよ。このいわゆる新農政の中では、例えばはっきり望ましい経営体というものをつくっていくんだということを打ち出しているわけですね。それで、例えば稲作の場合の望ましい経営体はこうだというようなことを言っているわけですよ。したがって、当然稲作だけでなくて林業についての望ましい経営体はこうだということをここでうたわなくちゃわからないわけですよ。
 それから、他産業並みの水準の労働時間ということをうたっているわけですよ。林業で他産業並みの労働時間というふうにするにはどうすればいいかということが全然書いてない。それから今度は、他産業と遜色のない水準の所得、こういうことをうたっているわけですよ。林業で果たして他産業と遜色のない水準の所得を得るにはどうするのかということに一言も触れていないということではわからないですよ。ここをわかるようにひとつ説明をしてください。
#197
○政府委員(馬場久萬男君) この「新しい食料・農業・農村政策の方向」においては、御指摘のように、林業について取り出して所得であるとかいうものについて論じていないことはそのとおりでございますが、委員御案内のとおり、我が国の林業の大部分は農家がやっておりまして、いわゆる農家林家というものがやっているわけでございます。
 したがいまして、林業の面だけを取り出してそれを論ずるといたしますと、林業専業の経営体ということになりまして、農業とやや趣を別にする面がございます。したがいまして、農業サイドで論じているのと同じような形で、例えば稲作について示したような形で林業について示せるかということになりますと、これはなかなか難しい問題があることは御理解いただけるかと思っております。
 すなわち、農業は、戦後の農地改革等によりまして規模が同じような農家が非常にたくさんあるということでございますが、林業につきましては、何百ヘクタールという大きな山を持っている林家から〇・三ヘクタールとか五ヘクタールぐらいの森林を持っている農家までずっとあるわけでございますので、農業と同じような手法であるべき姿を示すとかいうことはなかなか困難であろうかと思っております。
#198
○星川保松君 たとえ困難であろうとも、そこのところを避けて通るということでは林業に携わる者が救われないと思うんですよ。
 それで、農家林家、農業をやりながらやっているもの、それから一ヘクタールから五ヘクタールまでの小さな林家が一番多い。だから、その一番多い人たちがどうしていけばいいのか。それは、林業専業でなくとも複合経営でやっていけばいいんだとすれば、その複合経営の形を、そういうパターンをある程度は示していかなくちゃいけないと思うんですよ。全然触れてないというのは、難しいからだ、難しいから触れないということでは林業行政は成り立たないと私は思うんですが、その点もう一遍答えてください。
#199
○政府委員(馬場久萬男君) 難しいからということだけでございませんで、先ほど言いましたように、農業が主で新しい施策を展開する、そこで、先ほども読み上げましたが、立地条件を生かした高付加価値なものをつくる、あるいは複合的な農業をやるという場合に、林業あるいは林産物、そういうものも取り込んでやっていこうということをこの新農政の方では申しているわけでございます。切り離して林業だけということになりますと、先ほど私が申しましたように、非常に経営体に差があって、一つのものを示すということはなかなか難しいということを申し上げたわけでございます。
 仰せられますような、例えば五ヘクタール未満のような農家林家について、林業の面だけを取り出して何か示すということが必要であるかということになりますと、どちらかといえば農業とかそういう問題を中心にしてそこに林業をいかにかませていくかということになろうかと思いますので、御指摘の点も踏まえまして今後の検討課題とさせていただきたいと思います。
#200
○星川保松君 私は、林業の方を取り出して、それで将来像を示せということを言っているんじゃないんですよ。あなたがおっしゃるように、農業をしながら林業をどのように組み合わせていくかと、それでも結構なんですよ。それならそれなりの像をここに示さなければ、林家や林業関係者はいわゆる新農政で林業がどうなるのか皆目わからないわけですよ。これをできるだけ早く示していただかないと困ると、こう私は思います。
 それから、先ほども大臣おっしゃいましたように、今、日本の森林は一千万ヘクタール、樹齢が二十年から三十年という若い樹齢ですくすくと育っているわけですよ。それで、いつか国産材の値がよくなる時代が来ると。これは来てもらわなければ困るわけです、伐期が到来したときに。それで、それについてどういう見通しをするかということで林業を営む人々は今両極端に分かれているわけなんですよ。
 それで、国産材はこのままで到底見込みはないというふうにあきらめた方々はもう山を荒らしているわけですよ。山の手入れをやめているわけです。それで、山の手入れをやめますと樹木の成長がとまる。成長がとまれば、繁殖期に入って杉の花粉がぽんぽん出てくるというようなことになって荒れの状態があらわれてきているわけですね。それで一生懸命やっている人は、これはきっと国産材の時代が来るということに夢をかけて、どうなるかわからないけれども、そこに夢をかけて今一生懸命山の手入れをしているわけですよ。
 ですから、これは将来どうなるかということは難しいだろうけれども、いつごろどのような形で国産材の時代が来るのか来ないのか、そういうことを林野当局は研究をして示してもらわなければ困ると思うんですが、それについてお話を伺いたい。
#201
○国務大臣(田名部匡省君) なかなか難しい質問でありまして、考えてみますと、他に産業がなかった時代は農村では山持ちのところへ行って働いておった。あるいは外材がどんどん輸入されるようになってから、高度成長期といいますか、そういう時代にはみんなそちらの方に移ったということにおいて所得の向上を図ったことは、これは一つのいい結果であります。
 一方では、おっしゃるとおり農山漁村、これがどうも衰退しておるという事態に即して私どもは今考えておるわけでありまして、明確に国産材時代というのは、その伐期の来る、あるいはそれまでは全然ないかというとあるわけでありますけれども、そういう近い将来資源的には国産材の供給可能量が増大するということが期待されるわけであります。そのために、流域管理システムを基本として林業の生産基盤の整備をしておこう、あるいは人手不足に備えて林業の機械化にどんどん移行しよう、あるいは担い手の確保をしたり、国産材の生産から加工・流通に至る一貫した低コスト安定供給体制づくりに向けた条件整備のためのいろんな政策をやっておこうと。それはそればかりにらんでいるわけではなくて、もう現にそうしないと山村というものは守りにくいということでやっておりますので、明確にいつどうかということではお答えできないわけでありますけれども、いついかなる場合でも十分対応できるようにしておきたいということで努力をしておるわけであります。
#202
○星川保松君 大臣の今の話ではさあ山の手入れを続けようかもうやめようかという人はちょっと元気が出ないですね。どうやったらいいかわからない。世界の木材の需要供給の関係からいって、今あるもの、既にもう伐期の来ているものしかこれは対象にならないわけですから、そういうことからいって、世界的な需要と供給の関係からいって長官はもう少し具体的な見通しを立てることはできませんか。
#203
○政府委員(馬場久萬男君) 私ども、国内の資源については、今大臣も申されましたように、大体植えて何年ぐらいのものがどのくらいあるかというのは把握しているわけでございますから、国内から供給することの可能なものというのは、これは見通しはかなりできるわけでございます。
 ただ、世界の資源の供給力ということになりますと、それぞれの国の事情によって非常に予測が難しいわけでございます。例えばロシアにおいてはかなり資源があると言われております。しかし、今のあの国はそれをきちっと伐採して流通に乗せて輸出するという体制ができておりません。したがって、資源はあるけれども供給が可能かどうかということは見通しが難しゅうございます。あるいはアメリカやカナダは資源を非常に自然保護という観点から伐採しないようにという抑制をしております。資源的にないわけじゃございませんが別の要素で制限をするということであります。したがいまして、国内の供給可能量というのは予測が可能でございますが、外国から入ってくるものとの関係でどのくらいのものになるか、価格、需給いずれの面においてもなかなか予測が難しいというのが実情でございます。
 ただ、全体の方向としてはやはり海外からの資源というのはだんだん制約されてくるであろうと。幸いなことに我々の先輩たちが人工林を一千万ヘクタールつくった。これはだんだん資源がふえてくるだろうということは言えるわけでございますから、先ほど大臣から御答弁申し上げましたように、国内産の材が円滑に国民に供給される体制を今からつくっていきたいというふうに考えているわけでございます。
#204
○星川保松君 将来の見通しですからなかなか難しいとは思いますけれども、今、日本の山の木材が海から来る木材に押されて大変な苦しみをしておるというようなことについて、もっと林野庁はいろんなデータを集めて分析をし、将来の見通しをもう少し示してもらわないと林業経営者はもう迷うばかりだと、こういうふうに思いますので、もっとその点について研究をしていただきたい、こう思います。
 それから、若い人を林業につけようということで大変な努力をなさっていることは私わかるんでありますけれども、これは極めて実際は難しいことだと思うんですよ。それで、新規参入者という資料を私もらいましたんですが、これはもう極めて少ない希少価値のある話でありまして、到底日本の林業をこれからしょっていってもらうというわけにはいかないわけですよ。
 そこで、私は一つ提案ですが、この新農政の中にも書いてありますが、「稲作を中心とする農業構造の見通し」というところですね。稲作をしながら林業をやっていくのが一番多いんじゃないかと思うんですよ。それで、「農業労働力に大きな割合を占めている昭和一桁世代のリタイアに伴い、十年程度後の農業労働力は約三分の二程度に減少すると予想される。」と、こう書いてあるんですね。そのとおりだと私は思います。
 それで、いわゆるリタイアといいますけれども、私も昭和一けたですけれども、リタイア大作戦をやっているんですね、今農水省が。それは何かといいますと、農業者年金なんですよ。私と同じぐらいなのが、この間まだおやじが死んで相続したばかりなんですけれども、それを息子に経営移譲か所有権を移転しないと年金を支給しないと言われまして、それでぞろぞろみんな裸になって息子に移しているわけなんですよ。それで、今度は六十歳になって農業者年金をもらった連中が何を生きがいにして生きていくかということになってきているわけですよ。それが、ここでリタイアのことが書いてありますが、まさにぞろぞろ出てきているわけです。
 そうしますと、私の住んでいる周囲などを見ましても林業を一生懸命やっているのはやっぱり年寄りなんですよ。年寄りの皆さんが、六十から七十代の皆さんがせっせと山に行きまして、自分の楽しみもしながら孫のためにということでやっていますよ。ですから、こういう方々がもっともっと生きがいを感じて山仕事ができるような、そういう手だてを講じた方が私はむしろ若い人を大量に求めるということよりも現実性がはるかに高いと思うんですね。
 それで、そういう年配者、リタイアの皆さんはもう大概土地は持っていますよ。何反歩か何町歩かの雑木山なんか持っていますから、そこを地ごしらえしてそこに植林をするというようなこと、それから今あるものをせっせと手入れをするということをしやすいようにですね。それで、年をとりましてもそれなりの山仕事はできるんですよ。というのは、大変なことは森林組合に頼めばいいんですから、自分のできることだけをやればいいわけですからね。そういうリタイアのことと絡めて、むしろここのところに山に入ってもらうというための施策を講じたらどうかと思うんですが、長官どう思いますか。
#205
○政府委員(馬場久萬男君) 確かに、私どもが調べたところでも他産業から新規参入する方で四十歳以上の方の方が以下の方よりも多いわけでございまして、その人の生活の中で、四十歳まではほかの仕事をしていたけれども四十歳過ぎて、これは先生がおっしゃるように六十過ぎか六十五過ぎかわかりませんが、林業をやってみようということで新規参入される方がおるわけでございます。
 ただ、実際の本当に山の仕事をするというのは、どちらかといえば、先生がおっしゃいましたが、森林組合で作業班をつくって山仕事をしている方が中心になろうかと思うわけです。現在この森林組合の作業員というのは四万二千人ほどおられるわけでありますけれども、そこで中心的な仕事をしていただいて、確かにそうでない、ある程度年齢のいった方が見回って、例えば下草を取るとかつるを切るとかいう仕事をされるということは可能かと思っているわけであります。
 問題は、森林組合のような林業事業体、それを支えている作業員の人、こういう方々をどうやって確保するかという方が、政策的に言いますとまず第一の問題としてあるわけでございます。そういう点で、その担い手対策の中心はそういう林業事業体の健全な育成であるとか、あるいは新しい若い人をいかにして林業に従事してもらうかというようなことに我々は意を用いているところでございますが、御指摘のように、高齢者になってむしろ山の中で生きがいとして山の手入れをするという方々もおられると思いますし、またそういう方々についても有効な施策が展開できるならば、例えば農業の方でかつてありましたが、お年寄りに牛を一頭ずつ飼ってもらうというような施策をやったことがありますが、そういう方々にどうやって山の仕事に参加していただくかということも含めまして、今後施策の検討をさせていただきたいと思っております。
#206
○星川保松君 きょうの質問に当たって私は地元の森林組合に電話をしてみました。それで、今森林組合で一番悩んでいることは何ですかと聞きましたら、労務対策ですと。それで、補助対象になるような労務単価がどうも森林関係の方は安い。建設関係の方よりもかなり安いと言うんですよ。それで、人が来てくれないと言うんですね。困っていると。こういうことなんです。
 これは建設関係といいますと三省協定で、三省協定の中には農林水産省も入っているわけですわ。それで、入っていながらどうして三省協定の補助対象単価とあなたの方の単価が違ってくるのか、その点はどうなんですか。
#207
○政府委員(馬場久萬男君) おっしゃられますいわゆる三省協定単価というのは、国が行います公共事業の事業費の積算に用いている単価でございまして、この面では農水省も建設省も運輸省等の公共事業を行う官庁と一緒になって単価を決めているわけでございます。
 先生が仰せられました森林組合なんかで単価が低いというのは、これは民間の森林組合などが事業を行う場合の単価で、いわゆる非公共事業で私ども補助金を出している造林のための事業等があるわけです。そういうもの、あるいは公共事業の中でも、いわゆる三省庁の協定単価に入らない作業についてのお話かと思うわけであります。
 この点、確かに造林事業の単価というのは低いではないかという御指摘を前から受けておりまして、私どももこの改定のためにかなり努力をしたつもりでございました。平成五年度の予算におきましては、これらの事業単価につきまして前年比で約二割の引き上げを実現するということができたわけでございます。もちろん、それをもって十分かということになりますと、これからさらにその単価で事業をしながら検討しなきゃならぬと思いますが、できるだけ地域におきます実勢賃金に基づいて適正に標準単価が決められるように指導してまいりたいというふうに思っております。
#208
○星川保松君 それは、結局現場の方では、森林組合に来てくれと、それから今度は建設会社の方に来てくれと。それで、その単価を比べてみたらそっちの方が高いと。当然高い方へ行っちゃうわけですよ。
 山仕事というのは決して楽なものじゃないんですね。これはもう大変なんですよ。自然の中で働くなんて格好いいこと言いますけれども、若い連中が嫌うのは当たり前なんですわ。例えば、山には蛇もいるし、毛虫もいるし、ハチもいるし、蛇や毛虫嫌いな人はもう絶対入れませんよ。それに刃物を使いますから生傷が絶えないです、これ。そういうきつい仕事なんですから、そうすると当然楽な道路工事とか河川工事とかという方に行ってしまう。そっちの方が高ければ当然もう森林組合には寄ってこないです、それは。しかし、そういうことのないように、むしろそういう建設関係よりも高い賃金を払えるようにしなくちゃいけないと思うんですよ。そういうことをひとつ頑張ってやっていただきたいと思います。
 時間がなくなってきたんですが、今この「ポケット農林水産統計」というのを見ますと、五十年後を伐期とした場合の杉の生産費といいますか育林費、これが、六十一年のが一番新しいんだそうですけれども、杉の場合は二百万七千円ですね。私はもっとかかるんじゃないかと思うんですけれども、まあいいです。これを二百万七千円と見て、これで木を植えて五十年たって、そして売る場合、杉一ヘクタール売ったという場合にどのくらいの金が入るというふうに計算されますか。ざっとでいいですよ。
#209
○政府委員(馬場久萬男君) ちょっと、にわかなお尋ねでございますが、私どもの造林投資の利回りの計算等において考えておりますのは、大体杉でヘクタール当たり、今の五十年生、これは三十年、四十年にそれぞれ間伐をある程度してきちっと育てたものというふうに考えておりますが、ヘクタール当たりの立木の販売価格が四百二十六万二千円、それに対しまして造林その他の費用が二百四十五万七千円というような計算をしておりまして、これで計算しますと、いわば内部収益率といいますか、利回りといいますか、一・三%程度というふうになっているわけであります。
 ただ、造林につきまして国から補助金が出ますと、ヘクタール当たり大体百三十二万円ぐらいの補助金が出るわけでありますが、この補助金分は国からもらうということで計算しますと、今の内部収益率が三・一%ぐらい。つまり、補助金がかかった経費二百四十五万七千円のうちの大体百三十二万円出るわけですから、そういうことでヘクタール当たり四百二十六万二千円の売り上げの中で計算しますと三・一%ぐらいの収益になると、こんなようなことになります。
#210
○星川保松君 わずか三・一%ね。それしかない、五十年たって。ところが、私は郵政省の貯金局に聞いたんですが、今この二百万を郵便局に貯金した場合、五十年たったらどのぐらいになると思いますか。−これは管轄外のことですから、無理だと思いますのでいいですよ。私が聞いたところが、今の三年定期、三百万未満は年率安くなって三・六四%、それで税額も税率二〇%を払って、そして残るのが六百七十三万三千円。これに元本が確実に返ってくるんですから、それに二百万足しますと八百七十三万三千円になるんですよ、これ。こういう状況なわけですよ。だから、今、山林経営なんというのは惨たんたる状況にあるということですね。それは、これから木を植えようか、この二百万円を定期にしたらどうなるかと、そういうような計算をしますよ、だれでも。その場合に山に投資したら一・三%しか出てこない。貯金すればこれだけ出てくるんですよ。
 そういう状況にあって、どういうふうにして日本の山に林業関係者を手入れのために誘い込むか、極めて難しい問題なんですよ。そういう状況にあるということを踏まえて頑張っていただきたいということを申し上げまして、終わります。
#211
○喜屋武眞榮君 沖縄戦が終わって生き残った私が大変困りましたことは、不在地主が多く出たということでありました。いわゆる山の地主や畑の地主、それが外国に行っていないとか本土に行っていないとか沖縄戦で戦死したとか、こういうことで非常に財産の管理に困った経験を身にしみて感じておりますが、そういうことが沖縄でも幾らでもございました。そうして、海外にあるいは本土に飛び出しておる県民もたくさんおりますので、その連中も、戦後帰ってきたのもおりますけれども、ほとんど帰らない連中は不在地主という形で管理されたということです。だから、地料を渡すにも非常に当局は困っておった実情があるわけなんですね。
 そういうことを思い出しながらこの森林の問題も考えてみたわけですが、平成二年には私有林の面積の二一・八%が不在地主の数字になっておるんですね。十年前の昭和五十五年に比べて三ポイント高まっているという数字があらわれております。今後この傾向は多くなっていくのではないかと思われるが、その見通しはどうだろうか。不在村の森林所有者の増加、森林の管理不十分、森林の荒廃ということが考えられます。そうしますと、その対策は国としてどうするのか、まずお尋ねいたします。
#212
○政府委員(馬場久萬男君) 不在村の森林所有者がふえていくということは、おっしゃいますようにこれまでの傾向からもある程度想定されるところでありまして、特に先ほど来申しますように山村におきます過疎化、高齢化というようなことが進みますれば、不在村森林所有者というものの数はふえるだろうと思っております。
 私ども、それによって森林が荒れるということは避けなければならないというふうに思っておりまして、いわゆる造林事業あるいは間伐促進強化事業等にはります助成策を通じてそういう不在村地主の方の森林についても整備ができるようにしたいと思っております。特に、先ほども御質問にお答えしたのでございますが、ふるさと森林活性化対策事業というような補助事業を起こしまして、森林組合が不在対者から委託を受けてその不在地主の森林を手入れするというような補助事業も起こしているところであります。
 さらには、当該市町村におきまして公益的な見地から整備が必要だというようなものにつきましては、平成五年から自治省、国土庁と一緒になりまして打ち出しました森林・山村検討会の結果によりまして、公有林化というような形で地方自治体がその森林を取得して管理するという方途もあるわけでございますが、いずれにしても、今後ふえていくであろうという不在対者の所有する森林につきまして森林整備を図れるように努力してまいりたいというふうに考えております。
#213
○喜屋武眞榮君 この地主を捜し出すということは非常に困難な問題もあると思いますが、その点ひとつ地主に不利を与えぬように努力してもらいたいことを強く要望しておきます。
 次に、ちょうど今私が困っておる、私が困っておるのではなく孫のことでありますが、杉花粉症の問題についてお尋ねいたします。
 先般、杉花粉症の患者が国を相手にとって損害賠償請求の訴訟を提起したとのニュースを知りまして、森林の公益的機能の一つに国民の保健休養という側面が挙げられるが、杉花粉症の蔓延は杉林によって多くの国民が逆に保健上の被害をこうむっているという皮肉な結果をもたらしておるようです。この患者は相当数に上り、不愉快な思いをさせられているようであります。
 杉人工林の管理が不十分という状態が今後ますますふえるとしたら、春の季節に不健康をかこつ国民がさらにふえることになるわけでありますが、林野庁は杉人工林の管理にどのような対策を立てておるのか、またその際人工林と自然林の割合と面積、人工林中の杉林の割合と面積はどのようになっているのか、さらに今後の植林に当たっての樹種の選定についてはどのように考えておるのかなとなど、お尋ねをいたしたい。
#214
○政府委員(馬場久萬男君) 我が国の花粉症の原因といたしまして杉が多いということでいわゆる形花粉症という名がついているわけでございますが、これは、花粉症の中には杉だけでなくて、いわゆるセイタカアワダチソウと言われるブタクサの花粉でありますとかいろいろな花粉が作用する場合があるかと思っておりますが、これは専門家の間でもその原因につきましては、食生活の変化によるアレルギー体質の人の増加でありますとか大気汚染との複合要因だとか、いろいろな説があるようでございます。
 いずれにしましても、杉等の人工林につきまして我々森林を管理する立場からいいますと、造林したからにはその間伐保育ということを適正にしなければならぬということで、いわゆる森林整備事業計画というようなものを立てまして一般的な管理をしているわけでございます。特に杉の花粉症の問題が取り上げられるようになりましてから、昭和六十二年度から形花粉動態調査というようなことで杉林の分布の状況あるいは形花粉の発生の状況等を調査し、平成三年度からは花粉発生抑制に資するために森林の施業の方法等を調査して、特に首都圏におきます雄花の着花量の多い杉を優先的に間伐する。これは都市近郊杉林緊急整備事業と名づけておりますが、そういうような事業も実施してきているところであります。さらに、平成五年からはこれらの従来の対策に加えまして、花粉生産量予測手法の精度の向上の検討というようなことも行っているところであります。
 この花粉症の問題はいろいろな範囲に及ぶものでございますから、平成二年の四月に環境庁、厚生省と私ども林野庁、それから気象庁という四省庁で連絡会議を設置しまして、密接な連携をとりながらこの問題の対応をしているところであります。
 ところで、今、人工林の中におきます杉の面積と天然林におきます杉の面積というお尋ねがございました。我が国の森林の面積は平成元年度末で二千五百二十一万ヘクタールございます。うち天然林千三百五十二、人工林千三十三ヘクタールとなっておりますが、人工林の中で杉の占める割合は四四%、約半分近い四百五十四ヘクタールというふうになっているところでございます。天然林につきましては、ちょっと杉がどのくらいあるかという数字は残念ながら持ち合わせておりませんので、お答えできかねるところでございます。
 いずれにしましても、人工林において杉の割合が非常に多い。また、杉という木は我が国固有の樹種でございまして、それが非常に広く分布している、そしてまた木材としては利用価値が高いというようなことで、大変全国的に広く植えられているものでございます。今後、これらの森林の整備につきまして、今言いましたように、花粉症の問題も含めまして、極力杉の花粉によるそういう症状が起きるということについては何らかの形で抑制的な手法を編み出してまいりたいというふうに思っております。
#215
○喜屋武眞榮君 国民の健康にかかわる森林はますますその面に活用してもらわぬといかぬと思うんですが、逆に国民の健康に逆らうようなことに対しては、これこそ国にとりまして重大な問題であると思いますので、ひとつ十分配慮してもらいたい。
 次に、熱帯雨林の問題についてお尋ねします。
 世界の熱帯雨林が開発によってかなり消失しつつあるということは御承知のことと思います。そのことが地球環境に及ぼす影響についても憂慮の声が上がっております。
 大臣は、先進国日本の森林の永劫の守護者として、この地球規模の問題についてはどのような御見解を持っていらっしゃるのか、お伺いいたします。
#216
○国務大臣(田名部匡省君) 熱帯雨林の減少は、もう既に御案内のとおり、日本国土の四割に当たる千五百四十万ヘクタール、これだけ毎年減少しておるわけでありまして、地球環境問題にとっても大変大きな問題になっていることは私も承知をいたしておりますし、なかなか難しい面もあります、開発途上国の収入源になっておりますのであるいは農業生産を拡大しようとするとそういう伐採というものが進んでいく。生活ができないところの問題を一体どうするかという問題もありまして、なかなか難しいんであります。
 しかし、私どもとしては、熱帯雨林の保全あるいは持続可能な開発の確立、こうしたことに向けて何といっても開発途上国の自助努力を支援していかなきゃいかぬと思って、従来から専門家の派遣、研修員の受け入れによる技術協力、あるいは資金の協力でありますとか、国際熱帯木材機関あるいは国連の食料農業機構、こうしたところを通じた協力を実施しております。今後とも積極的に展開していきたい、こう考えております。
#217
○喜屋武眞榮君 次に、日本で沖縄にしかないマングローブの林についてお尋ねいたします。
 亜熱帯の沖縄には国内ではまれに見るマングローブ林が存在しており、これは生態系の保持並びに環境の保全の上からも貴重な存在となっておることは私が今さら申し上げるまでもありません。このマングローブ林はしっかりと保全していかなければならないと考えるが、今後開発の波にさらされる可能性があります。林野庁は、この点についてどのように考えておるのか、またその保全策についてどのように考えておるのか、お尋ねをいたします。
 実は、麹町の事務所にも沖縄から持ってきたマングローブの一鉢を上げて置いてありますが、それを持ってこようかとも思ったんですが、ちょっと鉢が重いものだから持ってきませんでしたが、向こうへいらっしゃるときはマングローブをぜひ見てください。というわけで、マングローブは日本で沖縄にだけしかない植物でありますので、また御希望であれば今度沖縄に帰って戻るときに持ってきてもよろしゅうございますから。
#218
○政府委員(馬場久萬男君) おっしゃるように、マングローブは沖縄にしかないものでありまして、その面積は、私どもの把握している限りでは四百五十八ヘクタールございまして、大部分の三百九十八ヘクタールが国有林ということでございます。この国有林におきましては、国有林の管理の仕方として、機能類型別に分けて、それぞれの持っている森林の機能によって管理をするわけでございます。マングローブ林につきましては、基本的には自然維持林という性格づけをして、自然維持林は原則として自然の推移にゆだねた保護管理を行うということにしております。
 また、特に西表島のマングローブにつきましては、平成三年三月に西表島森林生態系保護地域というふうに指定をしまして、その保全に努めているわけであります。
 さらに、河川におきまして浸食を防止する上で重要なマングローブの林がございます。これは国土保全林という性格づけをしまして、適切な施業管理を行うというような形にしておりまして、今の国有林三百九十八ヘクタールのうち、国土保全林が百三十一ヘクタール、自然維持林が二百六十八ヘクタール、そのうちで森林生態系保護地域として特に保護するところが百七十五ヘクタールというふうになっているわけでございます。
 なお、このマングローブの林の生態につきましてはまだまだ未解明の点が多いのでございますから、私どもの森林総合研究所を初めとしまして、地域内外の研究機関が結集いたしましてその生態系の解明に関する研究を行っております。
 また、沖縄県におきましては、社団法人沖縄国際マングローブ協会というのが設立されて、県からの積極的な助成のもとにこのマングローブ林の生態系の保全と利用に関する調査を行っております。これらの研究の成果が期待されているところだと思っております。
#219
○喜屋武眞榮君 沖縄県では来る二十五日に全国一巡の最後の植樹祭が開催されることになっておることは御存じのところだと思います。この植樹祭にはぜひ大臣もお越しくださって、記念の木を一本でも結構ですから植えていただきたいということをまずあらかじめ希望いたしておきます。
 沖縄県の森林は、戦争準備のための軍による伐採、戦中の砲爆撃による焼失、戦後の復興期の乱伐と数々の悪条件が重なった結果、荒廃の極に達したのであります。このたびの植樹祭は沖縄県最後の激戦の地である南部の糸満で開催されることになっておるが、このことは平和のシンボルである沖縄県の緑の復活にとって極めて重大なことであり、象徴的であります。
 そこで、沖縄県の森林・林業の振興策について大臣の御所見を賜りたい。
#220
○国務大臣(田名部匡省君) ことしの植樹祭にはぜひ参加をいたしたい、こう思っております。
 お尋ねの振興策でありますけれども、沖縄県の森林というのは県土の約五〇%を占めておりまして、自然環境でありますとか水資源の涵養、そういうものに大変大きく役立っておるわけでありまして、そのためには私どもも努力をしていかなきゃならぬ、こう考えております。具体的には、造林・林道の生産基盤の整備に当たって高率の助成を実はいたしております。
 また、沖縄県の特色ある森林資源を生かした林業の振興と地域の活性化を図るための特別対策ということも実はいたしておるわけでありまして、今後ともさらに一層森林・林業の振興が図られるように努力をしていきたい、こう考えております。
#221
○喜屋武眞榮君 時間が参りましたので、最後に松くい虫の被害とその対策についてお尋ねいたしたいと思うのであります。
 沖縄県における松くい虫の被害の推移は、大変おもしろいことにこの表で一目瞭然で、後でごらんになってください。(資料を示す)ちょうど四十八年からずっと年次的に横ばいであったんですが、五十七年に大変な猛威を振るっております。それからまた静まりまして、平成三年、四年にまたピークになっております。
 このように沖縄における松くい虫がまた猛威を振るっておるわけでありますが、この松くい虫の処理につきましては、ぜひひとつ林野庁としましても米軍基地内の同様の被害の実態と対策について十分調査、検討してもらうと同時に、防衛施設庁にも十分にその実態を報告してもらいたいということを特に要望いたしまして、この松くい虫に対する対策をお聞きしまして、私の質問を終わります。
#222
○政府委員(馬場久萬男君) 今、委員御指摘のように、沖縄県の松くい虫の被害というのは昭和四十八年に初めて発生して、五十七年に中南部中心に一万七千立方メートルという非常な大被害を記録したわけでございます。その後、ややたちまして大幅に減少したんでございますが、平成二年に今度は北部を中心に著しくふえ始めまして、平成四年度は一万六千五百立方メートルというふうな被害を生じております。沖縄県の主な樹種は、琉球松でございますが、これは国土の保全なり水源の涵養に非常に大きな役割を果たしていますので、この被害を防止するための被害木の伐倒駆除を中心にいろいろ対策を講じているところでございます。
 今後におきましても樹種転換を進めることなどによりまして被害の鎮静化に努めてまいりたいと思いますが、今お触れになりました民有林とそれから米軍施設区域内のものとの一体的な松くい虫被害対策という問題が沖縄には特にあるわけでございます。米軍の施設区域内の松くい虫の被害対策は米軍の経費をもって駆除する、また防衛施設庁におきましても米軍施設区域内被害木の駆除を一部実施しているということでございまして、私ども林野庁といたしましては、民有林と国有林を所管する関係省庁とが連携を密にして一体的な松くい虫対策が推進できるようにということで、関係省庁連絡会議を持ちまして協力を要請しておるところでございます。
 今後とも松くい虫の駆除には一生懸命取り組んでまいりたいと思っております。
#223
○喜屋武眞榮君 よろしく頼みます。
#224
○説明員(金丸義彦君) 米軍の施設区域内におきます松くい虫による立木被害につきましては、過去の処理実績から、昭和五十五年ごろから大量に発生し、昭和五十七年、嘉手納弾薬庫地区をピークといたしまして、昭和五十八年には嘉手納弾薬庫地区及びキャンプ・ハンセンに移行しております。また、最近の平成三、四年におきましてはキャンプ・シュワブに多く発生していることから、中部地域から北部地域に被害が移行しているものと推察しておるところでございます。
 米軍の施設区域内の松くい虫の被害につきましては、毎年被害の発生します十一月ごろに現地調査を行いまして、その実態を掌握いたしますとともに、防除につきましては、原則として米軍が実施すべきものではございますが、当庁におきましても、その緊急性、社会的影響等にかんがみ、米軍が実施できないものにつきましては昭和五十五年から松くい虫防除のための駆除工事、これは伐倒焼却駆除でございますが、を実施しているところでございます。
 なお、今後におきましても沖縄県と調整しつつ誠意を持って対応してまいりたいと存じております。
#225
○委員長(吉川芳男君) 委員の異動について御報告いたします。
 本日、高木正明君が委員を辞任され、その補欠として吉村剛太郎君が選任されました。
#226
○新間正次君 最後の質問者ということでございますので、質問ではダブる部分があるかもしれませんけれども、これは念押しということでお答えをいただきたいと思います。
 「兎追いしかの山 小鮒釣りしかの川」、あるいは白砂青松の国と、歌に言いますというとなかなかこれは潤いがあって結構でございます。しかし、現状の林業を見た場合に、採算性の悪化あるいは労働力の不足、大変厳しい状況にあると聞いております。こういう状況が将来的にも続くということになりますと、意欲を持って林業の経営を行う人がますます減ってくる。そして、我が国の国民にとって重要な資源であります森林が十分な手入れがされなくなるおそれがあると危惧しておるわけでございます。また、代替材の増加あるいは製材品の輸入の増加など、木材産業をめぐる経営状況も大変厳しくなってきておる。この木材産業が衰退すれば、たとえ我が国の森林資源が成熟した場合でも、これを円滑に再生産することが大変困難になってくるんじゃないかなと思うんです。
 そこで、まず大臣に、その林業、木材産業をめぐる状況についてどのような認識を持っておられますか、御質問いたします。
#227
○国務大臣(田名部匡省君) 過去において私どもが子供のときに見ておった森林というものと価値観が大分変わったんですね。昔はどっちかというと山というものを持っているというだけでこんな手入れはしなかった。最近になると、どうも一生懸命植林をしてやったけれども余りもうからぬ。損得からスタートしまして、もうからぬものに一生懸命やってもしょうがないということでだんだん山というものが粗末になってきた。価値観がずっと時代とともに変わってきたと思うんです。
 そういうことで木材の価格が低迷しておる。これは輸入との関連もあります。あるいは経営コストが、一方では賃金はどんどん上がる、設備に金がかかるということで経営コストというものが増大してきた。あるいは採算性が悪化をしておる。山村の過疎化を背景として林業の担い手がだんだん減少してきた。これは、高度経済成長、他産業の発展と関連がある。あるいは高齢化が進むということでして、今お話しのように経営意欲がもう減退してきた。そのことによって森林の管理への影響が実は懸念されておるわけであります。
 また、木材産業についても、非本質系の資材というものがどんどんどんどん発達してまいりまして、製材品を中心とした製品の形態での輸入がまた増加をいたしてきたということで、全体的に見て非常に厳しい環境にあるというふうに認識をいたしております。
#228
○新間正次君 そこで、今回提出されましたこの二つの法案でございますけれども、このような林業あるいは木材産業の厳しい状況に対処したものと考えておりますけれども、この二つの法案が林業あるいは木材産業の振興を図る上でどのような関連を持っているか、長官ひとつよろしくお願いいたします。
#229
○政府委員(馬場久萬男君) 林業それから木材産業というものは、今大臣からも申し上げましたように、我が国の産業として今後とも振興を図っていかなくちゃいかぬということでございますが、森林資源の適正な整備あるいは有効利用を行うというためには、まず山で林業に携わることが必要であります。また、そこでできてくる木につきまして、それを切り出して加工・流通するということが重要でございます。そういう意味で、山の森林整備なり林業生産活動の主体となる林業の担い手の確保ということと、そこから生み出される木材の低コスト安定供給体制の整備という施策は、いわば関連がといいますかつながっているものであろうというふうに認識をしているわけでございます。
 そこで、林業改善資金助成法案におきましては、林業従事者の就労環境の改善あるいは他産業からの新規参入の促進など、林業の担い手の確保のための所要の改正を行うということにいたしまして、また林業等振興資金融通暫定措置法案におきましては、木材の生産から加工・流通に至る事業者間の連携の促進を通じた木材の低コスト安定供給体制の整備に向けた措置を講ずるということにして、いずれもこれらは金融面からの支援措置ということで制度改正を行い、他の諸施策と相まって木材産業の振興に寄与していきたいというふうに考えております。
#230
○新間正次君 大変よくわかりました。
 ところで、今回創設する青年林業者等養成確保資金及び林業労働福祉施設資金の貸し付けの内容ということについて、またこれらを林業者の方々が利用しやすくするための何か方策があればお尋ねしたいと思います。
#231
○政府委員(馬場久萬男君) 今回創設いたします青年林業者等養成確保資金につきましては、貸付対象者に新規参入青年等を含めるとともに、近代的な林業経営の基礎を形成するために必要な種苗、資材、機械等の資本装備のための資金を新たに貸し付けるというものが内容でございます。
 また、林業労働福祉施設資金につきましては、林業労働従事者の確保を図るため、休憩室、シャワーなどの林業労働に従事する人の福利厚生施設についても新たな貸付対象にするということにしているわけでございます。
 さらに、この借り受け者の償還負担の軽減を図るために、現行五年または七年以内の償還期間を十年以内と延長しますとともに、借り受け者の利便を図るために、保証人による保証のほか物的担保による保証もできることとするなど、措置を講じるところでございます。
 今後、林業者等がこれらの資金を利用しやすくするためには、都道府県等を通じまして制度の改正の趣旨の徹底を図ってまいりたいと思っております。
#232
○新間正次君 次に、先ほど大臣からもちょっとお話をいただいたんでございますけれども、労働力を安定的に確保していくという、これは大変難しい問題だと思いますね。最近では、お父ちゃんは町に働きに行って、お母ちゃんが山へしば刈りに行くというような現状じゃないかというような感じがするわけでございますけれども、林業労働力を確保するための何か方策というのはあるんですか、長官。
#233
○政府委員(馬場久萬男君) 林業労働力の減少。高齢化というものが進んでいるということはこれまでもるる申し述べたとおりでございますが、林業の担い手の安定的確保をするということが私ども林政の重要課題であるというふうに考えております。そのためには、従来からでございますが、林業事業体の規模拡大等による体質の強化、それから高性能林業機械の導入の促進、あるいは雇用の長期化、安定化による就労条件の改善、災害の防止、労働強度の軽減等、労働環境の改善等々を重点としました施策を講じてきたところでございます。
 特に、平成五年度におきましては、これまでの施策に加えまして、今回の法改正の内容であります青年林業者等養成確保資金及び林業労働福祉施設資金創設等を内容とする林業改善資金の充実のための法改正、それから流域を単位に林業事業体の体質の強化、機械化の促進、林業労働力の確保を図るための林業担い生育成強化総合対策というものの実施、さらには自治省、国土庁との協議によります交付税措置に基づく森林整備の担い手対策のための基金の創設等々の各般の施策を講じるところであります。
 また、これに合わせまして、平成六年四月から労働基準法の林業への全面適用を行うことを内容とする労働基準法の改正案も今国会に労働省から提出されているところでございます。
 このように、各方面にわたりまして予算あるいは金融その他の法制度等々の措置を総合的に活用しまして林業労働力の育成確保に努めてまいりたいと考えております。
#234
○新間正次君 私、今ふっと思ったんですけれども、いろんな企業なんかでも求人をやる場合には企業のPRの映画みたいなものをやっていますね。つくっていらっしゃいます。だから、そういうような企画があれば結構なことですし、もしないようでしたら、そういう何か求人用のPR映画みたいなものでもおつくりになったらどうかなというような気がしないでもないんです。ということは、まあ日にちは定かではなかったんですけれども、近畿地方のある森林組合で十人ぐらい募集をしたところへ、PRが非常にうまく効いて何か十倍ぐらいの方が応募いただいたというようなケースもあるわけでございますから、努力をすればできるんじゃないかなという感じがいたします。
 そして、今の長官のお話の中にもありましたけれども、機械化を進めていくという問題なんですが、特に我が国のような急勾配な地形のところに合った高性能な機械の開発ということ、これは採算性の問題もあるんですけれども、その辺のことについては林野庁としては何か対応していらっしゃるんでしょうか。
#235
○政府委員(馬場久萬男君) おっしゃるように、林業に人が来ないというのには非常に労働がきついということもございまして、特に最近高性能機械というものが非常に強く望まれているわけでございます。
 私どもこれまでもそういう意味で高性能の林業機械の開発普及ということに意を用いてきているわけでございまして、平成三年の九月に高性能林業機械化促進基本方針というものを定めまして、これに基づきまして産学官、産業界、学者、官庁の連携のもとで、我が国の自然条件に適した伐出用あるいは育林用の高性能機械の開発ということを計画的に推進しているわけであります。これまでもある程度の傾斜地に対応した林業機械というのは開発されてきておりまして、普及もこのところ急速に進んでいるわけでございますが、現在は平成四年度からさらに急傾斜地に対応した機械の開発ということにも着手しているところでございます。
 いずれにしても、実は林業機械というのはヨーロッパ、アメリカ等ではかなり発達しているんですが、いずれも平たんな森林におきまして効率的に作業をするかなり大きなものでございました。我が国のような地形のところでやるにはやや重過ぎる、あるいは傾斜地で作業しにくいというような問題がございました。これらの改良のようなことを含めて現在機械化のための総合的な施策を推進しているところでございます。
#236
○新間正次君 来るべき国産材時代に備えまして木材の安定供給体制を確立するためには、木材産業の構造を改善し、木材の生産・流通の一層の合理化を進めることが重要と考えておりますけれども、林業等振興資金融通暫定措置法の改正によって木材産業の構造がどのように改善されるんでしょうか。
#237
○政府委員(馬場久萬男君) 林業等振興資金融通暫定措置法、従来はこの法律の適用を受けますのは、林業製造業者などが単独で合理化計画をつくって、自分のところの仕事としての生産の合理化あるいは流通の合理化を図るというものでございました。
 今回改正をお願いいたしている趣旨は、そういう各部門が共同して事業をやっていく、そしてその間では安定的な取引が確立するということによって事業の規模の拡大が図られるようにするというのが主要な点でございます。といいますのは、それぞれの事業主体、川上から川下までみんなある意味じゃ利害が対立するわけでございますね。山持ちはなるべく高く材木を売りたいし、加工業者はなるべく安く買いたいしとか。これを縦系列につないで安定的な取引関係にしないとなかなか国産材の流通というのはうまくいかないということで、今回はそういう構造改善を行いたいというふうに考えているわけでございます。
 これによりまして、今回、川上はまず森林所有者も計画の作成者の対象に入れるということから始まりまして、素材生産業者、さらに木材製造業者、販売業者、そして需要先である関連事業者まで各部門の間で安定的な取引関係をつくって事業の連携を強めていきたいと思います。これによりまして、我が国の木材の生産から加工・流通までの一貫した安定供給体制が確立されるということになると思いまして、それによります木材の生産部門及び流通部門全体の構造改善が実現するのではなかろうかと思っております。
#238
○新間正次君 先ほど林先生もちょっと触れられたんでございますけれども、自然環境保護と森林の利用の問題ということになるわけでございます。私もかつて森林組合にちょっと籍を置いたことがあるわけでございますけれども、最近、ストレスの解消だとかあるいは健康増進あるいは森林浴とかというようなことで、自由時間をそういうところで過ごされる方が非常にふえてきておるのは結構でございますが、自然環境保護という観点からすると批判的な見方もあるわけなんですね。
 そういう意味において、林野庁として自然環境保護と森林の利用の調和についてはどういうふうに考えていらっしゃるんでしょうか。
#239
○政府委員(馬場久萬男君) 森林が木材生産の場としてばかりでなくて、国土の保全、水資源の涵養等々のほかに、国民の保健休養の場にもなる。特に最近は生活のゆとり等からもそういうものを求めるという国民のニーズがあるわけでございます。これに対応するために、我々は森林の有します保健とか文化機能等多面的な機能を高度に発揮するのにふさわしい健全な森林を維持造成する必要があろうと思っております。
 その場合に、おっしゃるように自然環境保護との間の調和というのが一番問題になるわけでございますが、森林の形によりましてレクリエーションの場に提供するのに適する森林、あるいは環境保護のために維持した方がいい森林、いろいろなものがあろうかと思います。したがいまして、私どもは森林のあり方というのは、それぞれの地域でのその果たしている機能というものに着目しまして、利用すべきものは利用し、保護するものは保護する、また森林として施業するものはしていくというふうにやってまいりたいと思っております。
 例えば、森林の開発については保安林制度とか林地開発許可制度というものがございまして、そういうものによって守るべきものは環境の保全を図っていかなきゃいかぬ、あるいは公的な機能を果たすものは維持しなくちゃいかぬというふうに考えております。
 一方では、地元で森林をもっと多くの方々に使ってもらいたい。そこでレクリエーションをしてもらったりあるいはリフレッシュしてもらいたいというところもあるわけでございます。その辺も地域の実情を見ながら、地域の住民の方が納得してそこで森林を活用していくということが必要かというふうに考えておりまして、そういう点で十分配慮をしてまいりたいと思っております。
#240
○新間正次君 こちらにいただきました林野庁の大変すばらしいパンフレットがございますね。「森林は安らぎがある」、「森林はロマンがある」、「森林は新しい発見がある」、「森林は思いきりリフレッシュできる」という、大変これは結構なことでございますし、せっかくこれがあるんならば、これを大いにいろんなところへ持っていっていただいてPRもしてもらいたいなと思うんです。
 私は実は釣りが好きでよくカナダとかあるいはアラスカあたりへ出かけるんですけれども、そういうときに必ずパトロールといいますか、ガイドといいますか、ある資格を持ったガイドが必ずついてまいります。そして、もちろん釣る量の規制もさることながら、森林のいろんな生態系のガイドもやってくれるという制度があるんですけれども、日本の場合はそういうことは何かあるんでしょうか。
#241
○政府委員(馬場久萬男君) おっしゃるように、一般に都市の住民の方などが森林に入って森林でその恩恵に浴したいというときに、森林なり林業についての知識を提供したりあるいは森林内の案内、また野外の活動の指導を行うというような人が必要だということが論ぜられまして、私どもの方では森林インストラクターを育成するということをしております。これは平成三年に森林の総合的な利用を推進するとともに、山村及び林業の活性化にも資するという目的でインストラクター制度というものをつくりました。
 ただ、これは国が直接やるものではございませんで、農林水産大臣の認定を受けました公益法人、これは社団法人の全国森林レクリエーション協会というのがございますが、そこでインストラクターの資格認定試験あるいはそれを受験する人の研修等も行っておりまして、現在全国で百十六名、うち女性が十名でございますが、このインストラクターが誕生いたしまして活動をしているところでございます。この森林インストラクターというのは、自然環境保護と調和のとれた森林内のレクリエーションの推進、あるいは森林・林業に対する一般市民の理解の醸成というような面で重要な役割を果たすということが期待されておりまして、私どもとしては今後ともその資質の向上なり活動の強化に取り組んでいきたいと思っております。
#242
○新間正次君 それでは、最後にお尋ねいたしますけれども、私のふるさと愛知県というのは、古く江戸時代から広漠と広がる山を緑化して、また、たび重なる災害跡地を復旧して、治山事業というのが大変進んでいる県だとは思っておりますが、それでもなお伊勢湾台風による後遺症も約三十数年、四十年近くたっておりましても残っているようなことがあるわけですね。
 国土の開発の進展に伴いまして、このように市街地それから集落と山地が近接して、山地災害によって直接その被害を受ける地域が増大しているような気がするんでございますけれども、治山事業を積極的に実施して安全で住みよい国土を形成することが重要ではないか。安全で潤いのある国土づくりを進めるために、山地災害の防止対策についてはどのように行っているんでしょうか、長官。
#243
○政府委員(馬場久萬男君) おっしゃるように、山地災害というのは我が国では非常に多うございまして、現在我々が山地災害危険地区ということで指定していますのが全国で十八万五千カ所ほどございます。これらの山地が崩れますと大変な被害を生ずるわけでございますので、緊急を要するものから治山事業という形で未然防止のための措置をとっているところでございますが、平成三年度末までには全体の三九%に当たります約七万二千カ所が着手済みということでございます。
 今、先生の仰せられました愛知県は、着手率で言いますと六二%ということで、全国よりかなり高い水準になっておりますけれども、いずれにしてもまだまだ対応すべき箇所は多いわけでございますので、今後とも治山ダムあるいは山崩れ発生予知施設等治山施設の整備を進めまして、山地災害の防止に努めてまいりたい、かように考えております。
#244
○新間正次君 時間がありませんけれども、もう一つ最後に。
 水源地域の森林の整備促進ですね。これは先ほどお尋ねになった先生もいらっしゃるわけでございますけれども、水源地域の森林整備対策について、簡単で結構でございますのでお願いいたします。
#245
○政府委員(馬場久萬男君) 水源地域の森林整備のお尋ねでございます。
 水源地域の森林整備の中には今言いました治山事業のようなものもございます。それから造林事業、これは大体水源涵養保安林に指定されているわけでございますが、保安林の機能の維持向上のための措置。そしてまた、森林開発公団によります水源林造成事業の実施というようないろいろな事業をしております。特に、治山事業によります水資源確保のための森林整備対策としましては、治山施設の設置でありますとか、これはダムでございますね、治山ダム等の設置でありますとか、あるいは荒廃森林の整備に伴う水源地域の整備事業等を積極的に推進しております。
 いずれにしましても、森林は緑のダムということで、保水力の高い森林を整備していくことが必要かと思いまして、今申しましたような事業についてさちに今後とも実施してまいりたいと思っております。
#246
○委員長(吉川芳男君) 他に御発言もないようですから、両案に対する質疑は終局したものと認めます。
 ただいま議題となっております両案のうち、まず林業改善資金助成法の一部を改正する法律案について討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。――別に御発言もないようですから、これより直ちに採決に入ります。
 林業改善資金助成法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#247
○委員長(吉川芳男君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 この際、三上君から発言を求められておりますので、これを許します。三上君。
#248
○三上隆雄君 私は、ただいま可決されました林業改善資金助成法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、日本社会党・護憲民主連合、公明党・国民会議、日本共産党、民主改革連合、二院クラブの各派及び各派に属しない議員新間正次君の共同提案による附帯決議案を提出いたします。
 案文を朗読いたします。
    林業改善資金助成法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
  近年、我が国森林・林業をめぐる情勢は、森林の有する各種機能の発揮に対する国民の要請が多様化・高度化する一方、国内の林業生産活動は、外材との競合の強まり等から停滞の度を深め、森林資源の維持培養を図る上でも憂慮すべき状況となっている。
 よって政府は、造林・林道等の生産基盤の整備、林業担い手の確保対策の充実及び林業金融制度の拡充等のため積極的な推進を図るとともに、本法の施行に当たっては、次の事項の実現について万遺憾なきを期すべきである。
 一 林業後継者等の育成確保に資するため、地域社会との連携を強化しつつ、学習研究体制・林業試験研究機関の整備、グループ活動の活性化に努めるとともに、個性と魅力のある地域づくり、都市との交流の促進、その他有効な施策の充実を図ること。
 二 林業労働者を確保するため、雇用の安定、労働基準法の完全適用、社会保険への加入促進、福利厚生施設の整備等労働条件の向上及び労働安全衛生の確保等に努めるとともに、高性能林業機械の開発・導入を促進すること。
 三 林業の動向に即応して本制度の趣旨の徹底を期するため、今後資金量の充実、貸付限度額の引上げ等、さらに本制度の改善に努めること。
 四 本資金の貸し付けに当たっては、林業普及指導事業及び森林組合その他関係団体と十分協調して受入体制を整備し、他の関連諸施策との連携を密にする等その効率的かつ円滑な運用を期すること。
 五 間伐対策については、森林の育成上緊要であることにかんがみ、引き続き森林組合等が行う間伐事業に必要な施設の整備、森林所有者等が共同して行う計画的な間伐の実施、間伐材の需要開発等に努める等、その対策を強力に推進すること。
 六 林業普及指導事業及び流域林業の中核的役割を担う森林組合等の一層の充実強化に努め、本制度の円滑な実施に資すること。
 右決議する。
 以上でございます。
 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
#249
○委員長(吉川芳男君) ただいま三上君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#250
○委員長(吉川芳男君) 全会一致と認めます。よって、三上君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、田名部農林水産大臣から発言を求められておりますので、この際これを許します。田名部農林水産大臣。
#251
○国務大臣(田名部匡省君) ただいまの附帯決議につきましては、決議の御趣旨を尊重いたしまして、十分検討の上善処するよう努力してまいりたいと存じます。
#252
○委員長(吉川芳男君) 次に、林業等振興資金融通暫定措置法の一部を改正する法律案について討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
#253
○林紀子君 私は、日本共産党を代表して、林業等振興資金融通暫定措置法の一部を改正する法律案に対しての反対討論を行います。
 まず、今回の法改正では、目的、基本方針を「国内産木材」から「国内産」という縛りをとり、「木材」一般に適用範囲を広げ、外材にまで適用が拡大されることになります。
 そもそも本法の制定の趣旨は、一九七九年に国内産の供給率が既に三一%を切っているという状況のもとで、国産木材の製造業、卸売業等に特別の融資を実施することにより、国内林業の振興発展を図ろうというものでありました。今回の改正で「国内産木材」を「木材」にすることは、自給率二五%にまで落ち込んだ我が国の林業をさらに衰退させ、山の荒廃をもたらすものであります。
 また、本法律以外には国産材の利用促進、振興をうたった制度、基本方針はなく、政府の基本姿勢の立脚点が国産材でなくなることであります。
 次に、林野庁は、本法の改正の趣旨を来るべき国産材時代に向けて、国内の林業関係者の技術の維持、体質強化のためとしています。国内産木材の弱点である小ロット、高コストなどには協業は必要です。しかし、現在の林業の衰退を招いた原因は、大手商社等による資本力に任せ、産出国の環境破壊まで招いた無秩序な外材の輸入、付加価値の高い木材製品の輸入などであります。国産材のみあるいは外材と両方扱っている工場は中小企業が大勢を占め、林野庁の資料によると全体の八四・七%になっています。本法の改正で外材にまで融資枠を広げることが即技術の維持、体質強化に結びつくものではありません。国の施策として、国内産木材を扱うこれら中小企業にさらに援助を強化し、国内産木材の振興を図るという原則を貫くべきであります。
 折から木材産出国では、環境破壊、自然保護などから原木の伐採規制が強められております。この時期にこそ国内の林業振興施策に力を入れるべきであり、「国内産木材」から「木材」一般に適用を広げることは、まさに逆行していると言わざるを得ません。
 以上の理由から本法案に反対を表明して、討論を終わります。
#254
○委員長(吉川芳男君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。
 これより採決に入ります。
 林業等振興資金融通暫定措置法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#255
○委員長(吉川芳男君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 この際、菅野君から発言を求められておりますので、これを許します。菅野君。
#256
○菅野久光君 私は、ただいま可決されました林業等振興資金融通暫定措置法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、日本社会党・護憲民主連合、公明党・国民会議、民主改革連合、二院クラブの各派及び各派に属しない議員新間正次君の共同提案による附帯決議案を提出いたします。
 案文を朗読いたします。
    林業等振興資金融通暫定措置法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)  最近における林業の採算性の低下等にみられるように、我が国林業・木材産業を取り巻く情勢は極めて憂慮すべき事態にある。
 よって政府は、木材の生産及び流通の合理化等を促進するとともに、木材関連産業の振興を図るため、本法の施行に当たっては、次の事項の実現について万遺憾なきを期すべきである。
 一 林業をめぐる厳しい状況に対処し、林業事業体の健全在経営を維持するとともに、優秀な労働力を確保するため、流域ごとに策定する流域林業活性化基本方針に沿って、林業事業体の体質強化、機械化の促進、林業労働力の確保等各般の施策を総合的に講ずることにより、林業担い手の育成強化を推進すること。
 二 「森林資源に関する基本計画及び重要な林産物の需給に関する長期の見通し」については、国際的及び国内的諸情勢を的確に把握して、必要に応じ改定するとともに、計画実施に必要な関係諸施策の推進に努めること。
 三 林道及び造林等の林業生産基盤の整備をさらに積極的に推進するとともに、健全な森林を育成し、その有する多面的な機能の発揮を図るため、計画的に間伐を実施すること。 また、急傾斜地に対応した間伐等育林用機械の開発、流通加工施設の整備等間伐の条件整備を進めるとともに、間伐材の有効利用を促進するよう需要開発等に努めること。
 四 森林施業を計画的に実施し、特用林産物興係その他地域の事業との就労の組み合わせ等を推進して雇用の安定と労働条件の改善に努めるとともに、生活環境の改善も含めた山村振興対策をさらに一層推進すること。
 また、林業労働における災害の発生の防止等労働安全衛生対策の充実を図ること。
 五 国産材をベースとした的確な木材需給計画を樹立し、外材の秩序ある輸入を図るなど、需給の調整と木材価格の安定のための積極的な対策を講ずること。
 六 充実しつつある人工林資源の有効利用を推進するため、森林所有者、素材生産・流通・加工に携わる関係者の合意形成を図りつつ、需要者ニーズに対応し得る、品質の確保された製品の低コスト安定供給体制を整備するとともに、木材需要の拡大と木材産業の高度化を推進すること。
 七 本法の運用については、中小・零細林家及び事業者の利便に留意し、林業経営改善計画及び合理化計画の認定、貸出等の手続の円滑・簡素化を期するとともに、資金需要の動向に応じた資金枠の確保等その円滑な実施を図ること。
 右決議する。
 以上でございます。
 何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。
#257
○委員長(吉川芳男君) ただいま菅野君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#258
○委員長(吉川芳男君) 全会一致と認めます。よって、菅野君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、田名部農林水産大臣から発言を求められておりますので、この際これを許します。田名部農林水産大臣。
#259
○国務大臣(田名部匡省君) ただいまの附帯決議につきましては、決議の御趣旨を尊重いたしまして、十分検討の上善処するよう努力してまいりたいと存じます。
#260
○委員長(吉川芳男君) なお、両案の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#261
○委員長(吉川芳男君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
#262
○委員長(吉川芳男君) 次に、沿岸漁業改善資金助成法の一部を改正する法律案、水産業協同組合法の一部を改正する法律案、漁業協同組合合併助成法の一部を改正する法律案、以上三案を一括して議題といたします。
 まず、政府から順次趣旨説明を聴取いたします。田名部農林水産大臣。
#263
○国務大臣(田名部匡省君) 沿岸漁業改善資金助成法の一部を改正する法律案、水産業協同組合法の一部を改正する法律案及び漁業協同組合合併助成法の一部を改正する法律案の三法案につきまして、その提案の理由及び主要な内容を御説明申し上げます。
 まず、沿岸漁業改善資金助成法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び主要な内容を御説明申し上げます。
 沿岸漁業改善資金制度は、昭和五十四年に発足して以来、沿岸漁業の経営及び生活の改善並びに漁業後継者の養成のための無利子資金の貸し付けを通じて、沿岸漁業の健全な発展と漁業従事者の福祉の向上に大きく貢献してまいりました。
 しかしながら、近年の沿岸漁業をめぐる情勢は、国際的な漁業規制の強化に伴って沿岸漁業の果たす役割が一層重要となる一方で、我が国周辺水域における水産資源の状態は総じて悪化傾向にあり、また、養殖業をめぐる漁場環境の悪化が進むなど厳しい状況にあります。このため、このような状況変化に的確に対応した新たな漁業生産方式を積極的に導入し、沿岸漁業の経営を改善していくことが求められています。
 また、漁業就業者の減少・高齢化が一層進行する中で、特に次代の漁業を担うべき後継者が著しく減少し、漁業の担い手の脆弱化が危惧されており、すぐれた技術及び経営感覚を持った担い手を幅広く養成確保することが急務となっております。
 さらに、沿岸漁業改善資金の償還期間等及び保証制度につきまして、借り受け者の利便を図る観点から見直すことが求められております。
 政府といたしましては、このような状況を踏まえ、沿岸漁業の経営の改善と次代を担う漁業者の養成確保を図る観点から本資金制度を改正することとし、この法律案を提出した次第であります。
 次に、この法律案の主要な内容につきまして御説明申し上げます。
 第一に、最近の水産資源や漁場環境の悪化等の状況変化に的確に対応した新たな沿岸漁業の経営の展開を図っていくために、経営等改善資金について、従来の近代的な漁業技術等の導入に必要な資金に加え、合理的な漁業生産方式の導入に必要な資金を新たに貸付対象とすることとしております。
 第二に、意欲ある青年漁業者等の養成確保を図るため、現行の後継者等養成資金を青年漁業者等養成確保資金に再編し、漁業外からの新規参入青年等も含め幅広い層に対応し得るよう、貸付対象者の範囲を新規参入者等を含む青年漁業者、漁業労働に従事する者その他の漁業を担うべき者に拡大するとともに、資金内容を拡充して、沿岸漁業の経営方法または技術の実地の習得その他近代的な沿岸漁業の経営の基礎を形成するのに必要な資金とすることとしております。
 第三に、経営等改善資金及び後継者等養成資金の拡充に伴い、借り受け者の利便を図るため、償還期間及び据置期間を延長するとともに、保証制度についても、従来の保証人による保証のほか物的担保の提供によることもできることとしております。
 以上がこの法律案の提案の理由及び主要な内容であります。
 続きまして、水産業協同組合法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び主要な内容を御説明申し上げます。
 水産業協同組合制度は、漁民及び水産加工業者の自主的な協同組織の発達を促進し、その経済的社会的地位の向上と水産業の生産力の増進を図ることを目的として、昭和二十四年に発足いたしました。以来、水産業協同組合は、活発な活動を展開し、漁業の振興や漁村の発展に寄与してきたところであります。
 しかしながら、国際漁業規制の一層の強化、我が国周辺水域における資源状態の悪化、担い手の減少及び高齢化、金融自由化の一層の進展等、近年における我が国漁業及び漁村をめぐる情勢は大きく変化しており、漁業者及び水産加工業者の協同組織たる水産業協同組合は、組合員の負託にこたえるため、その事業活動を通じて、水産業の振興、漁村地域の活性化等の役割を一層的確に果たしていくことが強く求められているところであります。また、水産業協同組合の多くは総じて規模が零細で、取扱事業量の減少・伸び悩み、固定化債権の増大寺厳しい経営状況に直面しております。
 このような状況に対応して、今後とも水産業協同組合が本来の使命を果たしていくためには、その自主的努力にまつところが大きいことはもとよりでありますが、制度面においても、水産業協同組合の行うことができる事業の内容を充実するとともに、執行体制の強化を図る等の改善を進めていくことが緊要となっております。
 このため、今般、水産業協同組合法の一部改正を提案することとした次第であります。
 次に、この法律案の主要な内容につきまして御説明申し上げます。
 まず第一に、漁業協同組合等の事業内容の充実等を図ることとしており、資源管理型漁業を推進する見地から、水産資源の管理を漁業協同組合等の事業として位置づけるとともに、漁業協同組合等は水産資源の管理を適切に行うための資源管理規程を定めることができることとしております。また、漁業協同組合の漁業自営につき、技術の進展、漁業の担い手の減少等の状況にかんがみ、その要件を緩和することとしております。さらに、組合員のニーズに対応して、漁業協同組合等の信用事業の実施機能を拡充することとしております。
 第二に、漁業協同組合等の執行体制を強化するため、理事会及び代表理事を法律上設置することとするとともに、学識経験者等の理事への登用の促進の観点から、正組合員以外の理事の枠を拡大することとしております。また、内部牽制による的確な業務運営を確保するため、監事の業務、会計監査機能の拡充等を図ることとしております。
 第三に、漁業協同組合等の事業規模の拡大を図るため、信用事業、販売事業等の譲渡を円滑かつ適正に推進するために必要な規定を整備することとしております。
 以上がこの法律案の提案の理由及び主要な内容であります。
 続きまして、漁業協同組合合併助成法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び主要な内容を御説明申し上げます。
 漁業協同組合合併助成法は、昭和四十二年に、適正な事業経営を行うことができる漁協を広範に育成して漁業に関する協同組織の健全な発展に資するため、漁協の合併の促進を図ることを目的として制定されました。以来、議員提案により四回の延長を重ね、今日に至っているところでありますが、この間、百八十八件、参加五百三十六組合の合併が行われるなど、漁協の事業規模の拡大が図られてきたところであります。
 しかしながら、近年の我が国漁業及び漁村をめぐる状況の変化の中で、漁協が、組合員ニーズの多様化等に対応した健全な事業運営を図るとともに、漁業の振興及び漁村の活性化に積極的に取り組んでいくためには、その経営基盤の安定強化が喫緊の課題となっておりますが、全国的には市町村区域未満の漁協が約八割存在するなど、いまだ脆弱な小規模組合が多数存在しているといった状況にあります。
 政府といたしましては、このような状況を踏まえ、漁協の合併を引き続き促進して漁業に関する協同組織の健全な発展に資するため、所要の改正を行うこととし、この法律案を提案した次第であります。
 次に、この法律案の主要な内容につきまして御説明申し上げます。
 まず第一に、合併及び事業経営計画の都道府県知事への提出期限を五年間延長して、平成十年三月三十一日までとすることとしております。
 第二に、漁業権の放棄または変更の取り扱いが合併の阻害要因とならないよう、合併及び事業経営計画に定める事項として、共同漁業権の放棄または変更の手続に関する事項を追加するとともに、当該合併及び事業経営計画に従い合併をするために行う定款の作成等に当たっては、当該事項の内容を定款に記載しなければならないこととしております。
 第三に、合併及び事業経営計画の提出期限の延長に伴い、都道府県知事の認定を受けた合併及び事業経営計画に従った漁協の合併について、漁業権行使規則の変更または廃止についての漁業法の特例措置及び税法上の特例措置の適用期限を延長することとしております。
 以上がこの法律案の提案の理由及び主要な内容であります。
 何とぞ、これら三法案につきまして、慎重に御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願い申し上げます。
#264
○委員長(吉川芳男君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。
 三案に対する質疑は後日に譲ります。
    ―――――――――――――
#265
○委員長(吉川芳男君) この際、参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 ただいまの三案の審査のため、来る十三日の委員会に、広島大学教授地井昭夫君、全国漁業協同組合連合会専務理事菅原昭君、北海道指導漁業協同組合連合会専務理事稲垣大雄君、全国漁協労働組合協議会議長藤井幸雄君を参考人として出席を求め、その意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#266
○委員長(吉川芳男君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
午後六時一分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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