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1993/04/13 第126回国会 参議院 参議院会議録情報 第126回国会 農林水産委員会 第6号
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1993/04/13 第126回国会 参議院

参議院会議録情報 第126回国会 農林水産委員会 第6号

#1
第126回国会 農林水産委員会 第6号
平成五年四月十三日(火曜日)
   午前十時開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 四月九日
    辞任         補欠選任
     吉村剛太郎君     高木 正明君
     本岡 昭次君     村沢  牧君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         吉川 芳男君
    理 事
                浦田  勝君
                永田 良雄君
                菅野 久光君
                三上 隆雄君
                林  紀子君
    委 員
                青木 幹雄君
                大塚清次郎君
                鎌田 要人君
                佐藤 静雄君
                野間  赳君
                一井 淳治君
                稲村 稔夫君
                谷本  巍君
                村沢  牧君
                風間  昶君
                星川 保松君
                喜屋武眞榮君
                新間 正次君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        片岡  光君
   参考人
       広島大学教授   地井 昭夫君
       全国漁業協同組
       合連合会専務理
       事        菅原  昭君
       北海道指導漁業
       協同組合連合会
       専務理事     稲垣 大雄君
       全国漁協労働組
       合協議会議長   藤井 幸雄君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○沿岸漁業改善資金助成法の一部を改正する法律
 案(内閣提出、衆議院送付)
○水産業協同組合法の一部を改正する法律案(内
 閣提出、衆議院送付)
○漁業協同組合合併助成法の一部を改正する法律
 案(内閣提出、衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(吉川芳男君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 去る九日、本岡昭次君及び吉村剛太郎君が委員を辞任され、その補欠として村沢牧君及び高木正明君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(吉川芳男君) 沿岸漁業改善資金助成法の一部を改正する法律案、水産業協同組合法の一部を改正する法律案、漁業協同組合合併助成法の一部を改正する法律案、以上三案を一括して議題といたします。
 本日は、三案につきまして、お手元の名簿にございます参考人の方々から御意見を拝聴いたしたいと存じます。
 この際、参考人の方々に一言ごあいさつを申し上げます。
 本日は、御多用中のところ本委員会に御出席をいただきまして、まことにありがとうございました。
 沿岸漁業改善資金助成法の一部を改正する法律案外二法案につきまして、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお伺いいたしまして、今後の法案審査の参考にさせていただきたいと存じます。よろしくお願い申し上げます。
 それでは、これより御意見をお述べいただきますが、あらかじめ議事の進め方についで申し上げます。
 御意見をお述べいただく時間は、議事の都合上、お一人十分以内とし、その順序は、地井参考人、菅原参考人、稲垣参考人、藤井参考人といたします。参考人の御意見の開陳が済みました後で、委員からの質疑にお答えいただきたいと存じます。
 それでは、地井参考人からお願いをいたします。地井参考人。
#4
○参考人(地井昭夫君) おはようございます。広島大学の地井でございます。
 本日は、日ごろ漁業・漁村の研究に携わっている立場から私見の一端を御披露申し上げ、皆様の御参考に供していただければと思います。
 ここで私は大別して三つのことを概括的に申し上げたいと思います。初めは、漁業や漁協の持つ役割と可能性についてであります。二つ目は、それに関する各論であります。そして三つ目は、漁村や漁協の役割を広く国民共通の財産とするための努力についてであります。
 まず、漁業や漁協の持つ役割や可能性について申し上げます。
 言うまでもなく、漁業は日本で最も長い歴史を有する産業であり、その長い歴史の中で漁業者とその家族は日本国有の漁業慣習とさまざまな協同の歴史を築いてきました。これは、近代的な政策や法律体系ができるはるか以前からであります。
 そして、この慣習と歴史は、日本の近代国家が誕生した明治維新でも、また第二次大戦後の改革期でも、そのときの法律や政策によってむしろ補強され生き続けてきました。そうした意味で、日本の漁業や漁村、漁協というのは、世界でもまれに見るほどに近代・現代社会と共存しながら伝統的な慣習や協同が生きてきた世界だと思われます。
 しかし、その後昭和三十年代後半からの高度経済成長期に至って、つまり日本が本格的な工業化社会に突入してから初めてこうした共存関係に深刻な問題が生じるようになり、その問題は依然として今日まで引き継がれています。
 そこで、この問題をどう考えるかによってこれからの対策や政策のあり方も大きく変わると思います。その一つの判断は、工業化、情報化社会の中ではもう勝ち目はないからせめて守りをしっかり固めようという考え方であります。もう一つは、工業化、情報化社会の中でこそ協同組合の潜在的な可能性が開かれるときであるという考え方であります。
 私は、長い間後者の考え方から漁村の研究をしてきました。その理論的根拠を詳しく申し上げる時間はありませんが、私は近年ますますこうした漁村や漁協の可能性が大きな意味を持ち始めたと考えています。
 そこで、二つ目の各論について、幾つかの事例を引きながらお話し申し上げたいと思います。
 まず初めに、漁村と福祉という観点から定置網漁業について考えてみたいと思います。
 これは長い歴史を有する漁業ですが、高度経済成長期にはなまくら漁業などと侮辱されてきました。しかし、私は三重県のある定置網漁村を調査したときに強いショックを受けました。水揚げはさほど多くありませんが、ここの大敷網組合から地区の自治会へ網株の配当と寄附があり、毎年約七百万円ほどになります。さらにこの地区では一世帯当たり約十万円の株の配当があります。大変お年寄りの多い地区ですから、こうした寄附や配当は高齢者福祉の役割をも果たしています。そこで、これらのうち半分が高齢者福祉への財源であると仮定して、地区の六十歳以上の一人当たりを計算しますと約七万円となりました。
 サラリーマンなどの老後の福祉は振りかえ所得として税金などから政府、自治体を通して地域に配分されますが、この漁村では自前でこれだけの福祉を実現しているのです。この七万円というのは大した金額でないかもしれませんが、日本全体の六十歳以上の人口数に換算しますと何と十兆円を超えるものになります。ここを調査したのは昭和五十五年、一九八〇年ごろでしたが、そのときの日本の社会保障費は全体で八兆二千億円だったと思います。これから未曾有の超高齢化社会に突入する日本にとってこの漁村は高齢者福祉のモデルのような漁村であります。ここでは高齢者の例だけを申し上げましたが、女性や子供たちにとってもすばらしい自前の福祉を実現しているところは全国にたくさんあります。
 しかし、これからはこうした自前の福祉だけでは厳しい未来を乗り切れません。そこで、政府や自治体による漁村や漁協のより積極的な育成策が求められることになります。そうすれば、漁村や漁協の潜在的な能力はより現実的なものとなり、一人一人の顔の見える福祉が実現されると思います。これは都会ではほとんど絶望的なことです。
 しかし、次に、こうした漁村や漁協の潜在的能力の発展を妨げている内部の問題にも触れなければなりません。それは、高度情報化社会の中では、これまでの狭い地域とそこでの慣習のみにこだわっていたのではだめだということです。それではとても若い世代や国民に受け入れられません。そこに漁協の広域合併の意味もあろうかと拝察しております。
 その意味で、このたびの関係法改正の中に、例えば、新規参入者等を貸し付けの対象者に追加し、とあるのは、開かれた漁村づくりにとってまことに時宜を得たものと思われます。つまり、漁村の後継者市場も一定程度自由化されてしかるべきであると考えるからであります。
 次に、この若い世代について一言だけ申し上げます。
 それは、これからの漁村にとって若者の住宅対策は決定的な重要性を持っているということです。そして、例えば、これまでのような箱型の漁民アパートではなく、小ぢんまりとしたマンション風のものでなければ若いお嫁さんには好まれません。そのためには、住宅、下水道などを含めた漁村の総合的な環境整備をより積極的に推進していただきたいと思います。
 また、これと関連したことですが、漁協婦人部などによる生活改善は依然として重要なのですが、県によっては所得も向上したしもう必要ないなどという誤った考え方から生活改良普及員の定員削減や漁家担当を置かないところがふえていることは、二十一世紀の開かれた漁村づくりにとって大きな障害になると考えられます。農村も同じですが、これについてもさらに特段の御配慮を賜りたいと思います。
 最後に、三つ目の漁業や漁協の役割を広く国民の財産とするための努力ということについて申し上げます。
 これまでも努力はされてきたとは思いますが、次に述べるような背景からまだ十分なものになっていません。つまり、先ほども申し上げましたように、高度に発展した工業・情報化社会である日本における漁業慣習は、世界に類例を見ないような形で生きているために、多くの日本人には理解できないのです。なぜなら、多くの日本人は、教育の欠陥かもしれませんが、残念ながら欧米人のような観念で漁業を見ているからです。
 その代表的な例が、所得の低い漁業者を排除せよなどと主張する最近の大前研一氏の見解です。これがサラリーマンなどには結構受けるという危険性があります。しかし、日本の漁業の歴史と役割からすれば、こうした主張は漁業者にとって迷惑であるばかりではなく、国民全体にとっても大変不幸なことだと思います。大前氏はアメリカなどの経験からそう主張していると思いますが、アメリカと日本の海と漁業の歴史は似て非なるものであります。しかし、こうした主張を批判するばかりではなく、これから日本の漁業関係者はこれまで以上に漁業や漁村の持つ役割と可能性を国民や外国にアピールしなければならないと思います。
 例えば、最近森林浴というのが盛んですが、漁村にははるか昔の明治の初期から海風俗、つまり海の風を浴びるという習慣がありました。その代表例が海辺の結核療養所であります。これは、神奈川県の湘南海岸が最初ですが、もともと軍人のための療養所としてスタートしました。それ以後海水浴が国民に少しずつ浸透してきました。そして今はレジャーボートなどのにぎわいです。
 これもほんの一例にすぎません。つまり、魚の生産と消費という経済的関係だけではなく、これを含みつつさまざまな非経済的な関係も含めた幅広い漁業や海の持つ可能性を広く国民に理解してもらうことによって本格的な国民的合意ができると思われます。そのとき、海の世界の先輩として国民に海を紹介する最も重要な役割を果たすのが漁業者であり漁業協同組合であることは言うまでもありません。
 このたびの関係法の改正はもちろんのこと、漁協の全国民的な発展のためにこれからも継続的な御努力が傾注されますことを心よりお願い申し上げまして、私の意見陳述を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。
#5
○委員長(吉川芳男君) ありがとうございました。
 次に、菅原参考人にお願いいたします。菅原参考人。
#6
○参考人(菅原昭君) 私、全漁連の菅原でございます。
 日ごろ先生方には、漁業の各般にわたりまして格別の御指導、御支援を賜っておりまして、この機会に厚く御礼を申し上げます。
 私からは、今回の水協法、漁協合併助成法並びに沿岸漁業改善資金助成法の改正に関連いたしまして、漁協系統が今進めようとしている方向について、その要点を申し上げ、御参考に供したいと存じます。
 まず、漁業、漁協を取り巻く環境、情勢でございますが、漁業は現在競争的な漁業から協調的漁業への歴史的転換の過程にあります。これは改めて申し上げるまでもないわけでございますが、産業経済の伸長に伴う漁場環境の悪化、二度にわたる石油危機、二百海里体制の定着、さらには国際規制の強化、水産物輸入の増大等が進行する中で、高度経済成長を背景とした漁業展開のひずみが資源の減少、魚価安、コスト高など各所にあらわれ、漁業経営は大きな困難に直面しております。特に、輸入水産物の急増による魚価安が定着し、全国の漁業者は漁家経済の悪化に呻吟しておる状態であります。さらに、漁村地域における高齢化や漁業の担い手の減少が進む一方で、リゾート開発、海洋性レクリエーションなど、国民の海へのニーズが増大し、漁業との調整が大きな課題となっております。
 このような困難な状況に対処しながら二十一世紀につなげる漁業をつくり上げるため、漁協の果たすべき役割は極めて大きいものがあります。
 漁協が今後担うべき役割として期待されておりますのは、まず資源管理型漁業の推進と組合員の漁業経営安定化対策であり、さらに国民のニーズに対応した水産物の供給・流通対策、また海の多面的利用と海洋環境保全への対策、そして漁村地域の活性化と組合員の福祉向上への対策など、まことに幅広いものがあります。
 このような役割を担うべき漁協の現状を見ますと、約八割の組合が市町村未満の範囲であるなど、総じて規模が零細で経済基盤が脆弱であり、事業も伸び悩み、経営状況は深刻化しております。
 そのため、私どもは漁協系統にとって最重要の実践課題として組織強化への取り組みを進めているところであります。この課題に関しましては、漁協系統内部で検討を進め、一県一漁協も視野に入れた広域漁協への合併を内容とする将来方向を示し、昨年十一月の全国漁協大会でこれを決議したところであります。
 この組織強化の最大のねらいは、組合員の負託にこたえ、かつ社会的な役割を果たしていける漁協をつくり上げることであり、このためには漁協合併や事業統合による規模の拡大を積極的に推進し、経済的にも自立できる体制を確立することであると考えております。
 なお、漁協の合併、事業統合については、現在各県で真剣な取り組みが進められております。全国段階におきましても、漁協合併等推進中央本部を設置して、漁協系統の総力を挙げてこの運動に取り組むことといたしております。
 また、特に信用事業につきましては、金融自由化の急速な進展に対処するための緊急対策として、漁協の信用事業を信漁連に事業譲渡することを基本とした信用事業統合体の構築にも力を注いでおります。平成四年度中には既に信用事業譲渡をした漁協も出始め、今後は急速にこの動きが進んでまいりますので、漁協信用事業の零細性の克服に資するため、さらに取り組みを強めていく所存であります。
 ただ、こうした漁協系統が進めている事業、組織の改革への取り組みにつきましては、県ごとに進捗状況が異なったり、事業の実態もさまざまでございますので、一律に進むわけではないという面も当然ございます。したがいまして、それぞれの県や事業の実態を踏まえて、行政との連携を密にし、国の漁協事業基盤強化総合対策事業に基づき各県が策定しました基本方針に沿って、できるところから可及的速やかに実施していくということにしているわけでございます。
 このほか、漁協系統が組合員の負託にこたえ、しかも社会的役割を果たしていくために取り組むべき課題が幾つかございますので、項目的に述べさせていただきます。
 まず第一は、漁村、漁協の活性化の視点から、資源管理を漁協の事業として明確に位置づけることであります。
 資源管理型漁業の推進を系統挙げて取り組んでいるわけですが、漁協の事業として資源の維持培養を図りながら効率的な漁場利用を行おうとするものです。このほか、漁協が自営する漁業経営の実施要件の見直し、福利厚生事業への取り組みなどであります。また、漁協の信用事業については必要最小限の機能拡充をお願いしております。
 第二は、漁協の経営管理体制の強化であります。
 従来法律上は特に定められていなかった理事会制及び代表理事制の導入、員外理事枠の拡大、監事の監査機能の強化などを今後漁協が合併等により広域化してくることに対応していくことが必要となっております。
 第三は、組織整備の強化の観点から、事業譲渡の規定の整備と合併推進のための合併助成法の改正であります。
 漁協の組織の実態につきましては、さきに申し上げたとおり、規模が零細で経営基盤が脆弱であります。このたびの合併助成法等の改正は、合併、事業統合等を推進し、組織の強化を図る上で大きな促進剤となるものであります。
 どうか諸先生方におかれましては、こうした私ども漁協系統の取り組みについて御理解をいただきまして、私どもの要望に沿うものである今回の水協法並びに漁協合併助成法等の改正につきまして特段の御支援を賜りますようお願い申し上げます。
 なお、せっかくの機会なので申し上げたいと存じますが、先ほど述べました資源管理型漁業の展開と密接に関連する問題として我が国の二百海里問題がございます。
 現状を申し上げますと、我が国漁業者のさまざまな資源管理のための努力を無視する形で外国船の操業が行われているわけでございます。合意されました自主規制措置についても違反が続出している状況であります。関係漁業者の長年にわたる苦しみは筆舌に尽くしがたいものがあります。自分たちにはしょせん政治の光が当たらないのかというのが漁業者の率直な気持ちであり、二百海里の全面適用が一気には難しいのであれば、せめて漁業資源管理水域の設定に早急に取り組んでいただきたいと切に願っているところであります。
 このことにつきましては、昭和六十一年と平成四年の二度にわたり国会請願を行い、それぞれ採択していただいたところでもありますので、促進方につき重ねてお願い申し上げます。
 以上をもちまして私の意見とさせていただきます。
 どうもありがとうございました。
#7
○委員長(吉川芳男君) ありがとうございました。
 次に、稲垣参考人にお願いいたします。稲垣参考人。
#8
○参考人(稲垣大雄君) 北海道指導漁連の稲垣でございます。北海道の漁協系統組織の立場から今回の三法改正に関連いたしまして意見を述べさせていただきたいと思います。
 先ほど菅原専務からお話がございました全国の漁協概況、これにつきましては北海道はまさに縮図でございまして、これに加えまして、いわゆる国際規制の強化ということでイカ流しあるいはサケ・マスの沖どり禁止、こういった国際規制強化の中で生き残りを求めながら、特に海を接しております対ロシア問題についていろいろな模索を続けておる、こういうような実は現状でございます。
 こういう中で水協法、合併助成法、さらに沿岸漁業改善資金助成法の改正に関連いたしまして、私どもの取り組みと、今後この改正がより効果的に推進されますよう期待を込めまして三つの課題を現地の立場から申し上げたいと思います。
 その第一は、漁協の経営基盤強化の問題でございます。
 まず、本道漁協の現況を申し上げますと、組織面では沿海地区漁協は北海道に百二十九組合、組合員数で大体三万人ばかりございます。一組合平均で見ますと組合員数は二百三十六人、役員数が十一人、それから職員数は二十四人ということで、これは全国平均の約二・五倍程度の規模になってございます。
 事業規模にいたしましても、平成三年度の全道の漁協の総販売取扱高、これは全体で四千六百五十億円、一組合平均いたしますと三十三億円、貯金残高にいたしましても四千三百億円余りということで、これも一組合平均三十二億円ということで、全国平均から見てまいりますと三倍以上と、こういった大きな規模になっておるわけでございます。
 ただ、内容をよく見てまいりすと、販売取扱高に貯金残高平均、これを見てまいりますと、これは全道平均を下回る組合が七割以上を占めており、大部分が二十億円未満という零細漁協である。こういったことの中から、昨今の販売事業の伸び悩みあるいは金融自由化等によるコストアップ、こういった総合収支への悪影響というのが如実に出てきておるという現況にございます。
 当然、組合の財務状況につきましても、自己資本比率が鈍化いたしまして、あるいは硬直化いたしまして、加えまして固定化債権の状況になりますと、平成三年度末の漁協債権総額千七百六十六億円に対しまして、回収に十年−十五年以上を要するものあるいは回収不能と見られるものが債権総額の大体一八%に達してきておる。これが組合の財務を圧迫いたしまして、組合の本来機能を果たし得ない、あるいはここ数年のうちに組合としての存立ができないんではないか、こういう組合がかなり出てきておる、こういった状況にございます。
 このため、私ども系統組織といたしましても、トータルコストを削減する、さらに単協と連合会の機能分担をはっきりさせていこうと、こういうことで実は一昨年から機能・組織審議会というものを設置いたしまして、二カ年にわたり検討を進めてまいりまして、来る五月には最終結論を出す予定でございますが、基本的には組合の合併あるいは事業統合を柱にいたしました広域あるいは中核漁協づくりに全力を挙げていかなければならないと、こういった形で決議がされる予定でございます。
 あわせまして、現在国の方で進められております漁協事業基盤強化総合推進事業、これに基づきます北海道庁の基本方針につきましても、私どもとすり合わせを終わりまして、今後五カ年、十カ年の間で百二十九組合ほとんどすべてが合併なり事業統合の対象として網羅されておる、こういう方向づけを行っております。前期五カ年の間につきましては、五十五組合に対しましてこれを十五組合程度に統合していこうと、こういう考え方を実は出しておるわけでございます。
 この中で実は問題とされておりますこういった合併なり事業統合に対する組合員あるいは役職員の意識はどうかという問題でございますが、先ほど申し上げましたような組合のそういった経済的な状況、さらに私ども現地に入りまして、それぞれの組合につきまして、今後五カ年の間に一体組合はどうなるんだということを数字をもちまして全部調査をいたしまして、これを総代会、理事会等にかけまして、現実に組合の姿というものをはっきりさせたわけでございます。この結果、支庁管内ごとに一本化しようではないかと、こういったいろいろ広域合併の機運が高まってきておるわけでございます。
 こういった意味で合併助成法の改正なり延長というものは大きなはずみになるというふうに私ども期待を申し上げておるわけでございます。ただ、前段で申し上げました組合の財務格差あるいは償還不能固定化債権が大きなネックとなっております。国の総合対策事業におきましては、欠損金及び管理債権見合いの整備貸付金の利子補給ということでございまして、利息累増の軽減はでき得るものの元本の解消は当然のことながら自助努力というものによらざるを得ないということになるわけでございます。
 私ども連合会といたしましても、合併、事業統合に向かって努力し、自助努力も行うと、こういう組合に対しましてはその自助努力を超える部分につきましては何らかの支援措置を講じなければならない、こういうことで懸命な検討を現在続けておるわけでございます。そういった観点から今後国の総合対策事業が地域の実態に即して運用が図られるということ、それからあわせまして、こういった負債整理に対する自助努力、これへの格別の御配慮をお願い申し上げたい、こういうことでございます。
 さらに、水協法改正に関連いたしまして、経営管理体制の整備強化問題、これは先ほど全漁連の菅原専務からも申し上げましたが、今後の広域漁協のあり方として当然妥当なものと考えるわけでございますが、今後法改正に伴います模範定款例、こういった段階で各県の実情に応じた弾力的な指導をされるよう特にお願いを申し上げたい。
 またあわせまして、今回の改正で見送られたわけでございますが、漁協の存続要件二十人、こういったことは当然引き上げられるべきであるというふうに私ども考えておりますし、それから今後の組合の置かれた立場なり環境条件、そこの目的に従いまして、組合員資格日数につきましては現在九十日から百二十日と、こういうふうになっておるわけでございますが、先ほど申し上げました意味合いからそれぞれの組合の中でこれは考えていくべき問題ではなかろうかということで、上下限ともこれを拡大すると、こういった方向で検討課題にしていただきたい、こういうことをお願い申し上げたいと思っております。
 第二は、水協法に新しく組合事業として入れられました資源管理規程に関連する問題でございます。
 北海道におきます第一種共同漁業権管理につきましては、これは極めて漁業権行使規則等によってきっちりやられておりまして、これは本州府県にも例を見ないと自負いたしておるわけでございますが、今後本来の意味の資源管理型漁業を進める上で、いわゆる共有の共同漁業権あるいは許可漁業、こういったものを中心にいたしました広域的な資源管理を具体的にどう構築していくかという問題が大きな問題として残っておるわけでございます。
 私どもも漁業者の意識改革というのが基本であるという立場から、具体的に現地に入りまして、いろいろ資源保護対策についての検討を進めておるわけでございますが、この点で特に国に要請を申し上げたい課題が二点ございます。
 その一つは、沖合底びきあるいはまき網、こういった効率的ではございますが、採捕についての選択性がなくしかも資源管理に本質的になかなかなじみ得ない漁具・漁法、こういった漁業にどう対処されていくのかという問題でございます。この問題につきましては、特に行政にお願い申し上げたいのは、いろいろ沿岸と沖合底びき、長い紛争の歴史はございますが、今後我が国二百海里内の資源の永続的な再生産というものを図っていくためには、従来の行政のバランス感覚によります漁業調整、こういった域を脱しまして、操業海域なり期間、操業隻数について思い切った見直しを図られる、こういったことが真の意味の広域的な資源管理につながるのではないかというふうに痛感をいたしておるわけでございます。
 あわせまして、韓国トロール漁船の問題につきましても、先ほど菅原専務から申し上げたとおり、資源的には同じような問題があるわけでございます。こういった点で資源管理水域の設定等につきまして特段の御尽力をお願い申し上げたいということでございます。
 それから、最後が環境保全の問題でございます。
 五年前から北海道の浜のお母さん方は、「百年かけで百年前の自然の浜を」と、こういう合い言葉で、ささやかな息の長い木を植える運動というものを全道的に実は展開いたしておるわけでございます。
 私ども系統組織といたしましても、公害対策にいろいろ実は取り組んでおるわけでございまして、研究室も設置いたしまして、国の環境計量士の資格を持った職員も四名配置をいたしまして対応いたしておるわけでございますが、制度的な問題は別問題といたしまして、まず第一に特に公共事業等におきますいわゆる農地開発なり河川改修、ダム建設等でございます。こういったものに伴います漁業側との事前協議体制、こういうものをぜひ確立していただきたいという点でございます。
 さらに二点目といたしまして、これは従来言われておることでございますが、いわゆる縦割り行政ということで、開発等に伴います行政の対応につきまして、環境保全を進めるための計画なり実施、管理、こういうものを包括した責任体制というのが極めて不明確であります。そういうことで、当面とりあえずそういった関係省庁間の連絡協議体制の強化というものをぜひ図っていただきたい。
 それから三点目が、これは具体的なお願いでございますが、漁業者といえども漁業系廃棄物の処理については責任を持ってやらなきゃならぬわけでございますが、北海道の場合は特にホタテのいろいろウロ処理等に関連いたしまして現在具体的な対応を進めておるわけでございますが、ぜひ行政の立場からモデルプラント、技術的にかなり困難な問題を伴いますので、モデルプラントの設置などにつきまして検討をしていただきたい。
 浜のお母さん方のこういったまじめな運動が環境関連行政の中でぜひ生かされるようにお願いを申し上げたいと考えておるわけでございます。
 あわせまして、沿岸改善資金助成法につきましても、今後改良普及事業とのセットの中で資源管理型漁業の推進あるいは後継者育成の面から尽力を賜りたいというふうに考えております。これは一般論としての話でございますが、現在沿岸漁業というのは十トン未満ということで区切られておる。実態的には二十トン未満もほとんど何も変わらない、こういうふうに私ども実は考えておるわけでございます。これは一般課題でございますが、今後の検討課題としてぜひ再検討していただきたいということでお願いを申し上げたいと思います。
 以上、多少長くなりましたが私の意見とさせていただきたいと思います。
 どうもありがとうございました。
#9
○委員長(吉川芳男君) ありがとうございました。
 次に、藤井参考人にお願いいたします。藤井参考人。
#10
○参考人(藤井幸雄君) 委員の先生方おはようございます。私、座って述べさせていただきます。
 私は、全国漁協労の藤井でございます、現在、勤務は青森県の県漁連に勤務しております。本日は、漁業協同組合にとりまして大変重要な法案の審議に際しまして、私どもの意見を述べさせていただく機会を与えていただきまして、ここに深く感謝申し上げる次第であります。
 私からは、漁協系統に働く職員の立場から、漁協の現状と課題につきまして、私どもが考えておりますことの要点を申し上げまして、参考に供していただきたいと存じます。
 まず第一に、漁協職員の現状でございますが、全国の沿海地区の漁協に働く職員が約二万人、現在働いております。そのほか連合会等の職員も入れますと、約三万三千人が全国の漁協関係で働いているわけでございます。御案内のとおり、全国の沿海地区には約二千百余の漁協がありまして、これで職員の数を割りますと一漁協当たり九・七人が平均でございます。さらに、職員が五名以下の漁協というのが全体の半分でございます。こういうことからも漁協の規模の零細性が御理解いただけるものと思います。
 この漁協職員が全国の津々浦々の漁協で、漁船が帰港する早朝から漁業者に声をかけながら、市場に出ての魚の荷受け、入札、あるいは漁船への油の供給、あるいは信用事業等の資金の相談、こういう漁協の仕事に担っているわけでございまして、さらには漁村の地域の部落の仕事とか、そういうことも漁協の仕事として一生懸命果たしているのが実態であろうかと思います。
 今日、厳しい漁業環境の中で、漁協の役割が強く求められております。そのためには、まず第一に、漁協職員の意欲と活力がなければその達成ができないものと思います。私も漁協に五年間、産地市場におりまして魚の入札等をやった経験がございます。また指導職員として漁協への出向を含めまして指導を八年間やった経験がございます。
 このときの経験から申し上げれば、漁協の事業は職員の昼夜を問わない働きがあって支えられているものと思います。盛漁期には朝の五時、六時から仕事を始めまして、伝票の処理等を終わるのが夜遅くということがたびたびあるのが実情であります。これは、その担当職員に限らず、ほかの部門の職員も同様でございまして、職員の人数が少ないために交代で現場に立ってそういう仕事をしているわけでございます。私も漁協の再建のために漁協に出向したときは、そのようなことで一生懸命働いた記憶がございます。
 このようにして私たちが漁協で一生懸命働けるのは、それは私ばかりではありませんが、海に生きる漁業者の生活と漁村を自分が支えるという熱意と、漁業者から全面的な信頼を得ているという信念からでございます。また、漁協の職員にあっては、小さいときからそこで生まれ育っていますので、そこで働いて生きがいを感じている、こういうことでありましょう。
 しかし、近年、漁協の職員の確保が大変厳しくなっているということが現実としてあります。その原因は幾つかあると思いますが、まず第一は、職員の待遇改善が進まないということであると思います。それは他の民間企業あるいは市町村、農協等と比べまして労働条件の格差が拡大していっているという実態であります。第二は、漁業資源の減少あるいは漁業者の後継者問題等から、漁協の将来に不安を持っているということがあると思います。第三は、いろんな漁協事業を取り巻く環境が一段と厳しくなっているということでありましょう。
 そこで、漁協が組合員と地域の期待にこたえまして漁村の中核としての役割を発揮していくためには、これらの問題を克服していくことが重要なことであります。そのためには、第一にまず有能な職員の確保と養成が重要な課題であります。しかし、漁協の週休二日制の導入状況を例に見ますと、何らかの形でこれを取り入れている漁協は全体の約三割という状況であります。大半の漁協にあっては週休二日制は無縁という実態であります。しかし、既に農協系統は昨年四月より完全週休二日制を実施しております。また昨年以来、都道府県公務員、市町村、こういうところも順次二日制を導入しております。民間企業におきましても人材確保の条件に週休二日制というのが欠かせないというのが昨今の状況であります。我々漁協系統におきましても、優秀な人材の確保のために早急に組織的な対応を図る必要があるものと思っております。
 さらに給与の面におきましても、他に比べてやはり改善がなかなか進まないという状況であります。その体系におきましても水揚げ期待の賞与にいささか偏った内容でありますので、生活の基本給の改善が求められるものであります。
 また、定年制の制度につきましても、年金の支給開始年齢に合わせた定年の延長がぜひとも必要な状況にあります。
 第二の課題は、資源管理型漁業の一層の推進であろうと思います。
 私も漁協に過去に出向したことがございますが、資源の管理がぜひとも必要と感じて推進したことがございます。漁協の事業として資源管理が明確に位置づけられることで、より効果的な漁場管理が図られていくものと思います。
 第三の課題は、漁協経営基盤の強化と展望ある漁協事業の確立であろうと思います。
 そのためには、市場統合等の流通改善、あるいは消費者に直販するような付加価値向上型の事業の構築であろうと思います。そのほかに加工施設や活魚施設の拡充が必要であると思います。漁協経営基盤の強化にあっては合併や事業統合の推進がぜひとも必要なことであります。
 いずれにいたしましても、以上のいずれの課題も、これを打開するためには、漁場の管理、組合員の経営指導、経済事業の企画開発、総合事業の将来計画、こういうことを行えるような専任職員を擁する組織体制をつくる必要があります。このことを念頭に置きました合併や事業統合の推進が必要だと考えております。
 しかし、この際申し上げておかなければならないことは、合併や事業統合の組織再編に当たっては、経営の効率化のみを考えることでなくて、また合理化を目的に行われることがないようにお願いを申し上げておきたいと思います。むしろこのような場合は、新規事業の構築、職員の雇用と活用に十分配慮していただいて、そういう事業展開を図ることによって、組合員の営為と生活の向上に資するよう努めていくということが肝要であると思います。
 これからの新しい時代の沿岸漁業の発展のためには、漁業者と語らって、漁業者と一緒になって働く、あるいは漁協職員の養成と優秀な職員の確保が大事であります。そのためには、やはり週休二日制の導入とか待遇改善に向けた職員問題に組織的に取り組むことが急がれなければならないことであろうと存じます。このため、労働条件の実態調査や改善に向けた指針の作成等も必要だと考えております。近年、漁業者の間で定期休漁日の導入が全国各地で進められております。こうした漁業者の活動も含めまして全般的な対策が必要であると考えております。
 最後に、協同組合は人を基本とした組織であります。私ども漁協系統に働くすべての職員が、この浜からつながる人としての深みのあるこの仕事が大好きであります。将来に誇りと自信を持って働いております。しかし、現状は日々の仕事に追われまして、新しいことを考える余裕がないというのが現実だろうと思います。こうした職員のために、広く県内外の漁協職員の交流を図ることによって、今後の漁協の組織・事業の強化に健闘し得るそういう職員が育成されていくものと考えます。
 どうか諸先生方におかれましては、こうした厳しい環境を御理解賜りまして、漁協関係の諸施策の拡充に格段の御支援を賜りますようお願いを申し上げまして、以上もちまして私の意見とさせていただきます。
 ありがとうございました。
#11
○委員長(吉川芳男君) ありがとうございました。
 以上で参考人の方々の御意見の開陳は終わりました。
 それでは、これより参考人の方々に対して質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#12
○菅野久光君 社会党の菅野でございます。
 本日は、沿岸漁業改善資金助成法の一部を改正する法律案、水産業協同組合法の一部を改正する法律案、漁業協同組合合併助成法の一部を改正する法律案、この審議に際しまして、先ほど委員長からもごあいさつがございましたが、皆さん大変お忙しい中おいでいただきまして、貴重な御意見をいただきましたことを私も心から厚くお礼を申し上げたいと思います。
 初めに、私の持ち時間は六十分ということになっておりますので、その中で四人の方にそれぞれ御質問申し上げたいと思いますので、簡潔にひとつわかりやすくお述べをいただければ大変ありがたいと思います。
 初めに、広島大学の地井参考人にお伺いをいたしますが、我が国の漁協の性格の問題なんですが、地域における協同組合なのか、それとも漁業の分野における産業組合的側面が強いのか、その辺についてお考えになっていることがあればぜひ教えていただきたい、このように思います。
#13
○参考人(地井昭夫君) 私は、日本の漁業協同組合といいますのは、欧米とかなり違いまして非常に強い属地性を持っている、そういうふうに思います。そういう意味では、漁業権管理の問題、資源管理の問題とも関連しまして、資源というのは、当然のことですが属地、その場所に属しているものでございますから、そういう性格というのはこれからもやはり維持されていくのではないか、あるいは維持されていくべきではないかというふうに考えております。
 そういう地域的な性格が強い一例を申し上げますと、山口県のある漁村を調査しました折に組合がこういうふうに申しておりました。「私のところの組合はお寺さん以外のことは何でもやっています。」と。それはまさに産業組合ではなくて、地域組合であろうというふうに思います。
 以上です。
#14
○菅野久光君 どうもありがとうございました。
 次に、同じく地井参考人にでございますが、漁協が漁業権を管理していることについてどのようにお考えになっておられるか、お伺いいたしたいと思います。
#15
○参考人(地井昭夫君) これは先ほどの御質問と関連すると思いますが、漁業権は基本的にその場所に属している権利であります、これは海と陸を含んでいるんですが。その属地的な権利は、資源だけではなくて、そこに生活する人の生産と生活を支えるものであります。そういう意味で、それを維持するためには、当然その土地に、場所に詳しい集団が必要であります。そういう意味で、日本の現状を考えてみますと、恐らくこれからも当分の間、相当長い間だと思いますが、漁協にかわる適切な組織はあるいは集団は見当たらないと考えてもいいのではないかと思います。そういう意味で漁業権を管理していくということの妥当性があるのではないかと思います。
 ただ、一点、そうした漁業権も、先ほど私のところでも申し上げましたように、さまざまな周囲の環境の変化、そういったものといや応なしに対応せざるを得ませんので、その辺の今後の長期的な対応策というものをどういうふうにしていくのかということが、漁業権を持っていく上では非常に大きな検討課題になっているのが現状ではないかと考えております。
#16
○菅野久光君 次に、漁協の事業が順次拡大されて、生業である漁業と競合する遊漁、マリンスポーツ関連の事業を行う漁協がふえているわけですが、資源管理面や漁業の操業の妨害になるなど問題もあるのではないかと思いますが、その点はどのようにお考えでしょうか。
#17
○参考人(地井昭夫君) 私もこの数年この種の調査を精力的に行っておりますが、確かに現場で操業の妨害もしくは被害といったものは見られます。その理由を考えてみますと、さまざまあろうかと思いますが、やはり一番大きい問題はボートの――ボートだけではございませんが、そうした人々の組織化が非常に不十分であるということ。それから、先ほども申し上げましたように、もちろん意識啓発が大変おくれている。海はみんなのものだから勝手に使っていいんじゃないかというようなレベルにとどまっているわけでございます。それに対しましては、一部そういう萌芽が既にありますが、県条例などによるオーナーの組織化とか意識啓発といったものが相当今後積極的に推進されていかなければこの妨害、被害はなくならないと思います。
 二点目は、むしろ内部的な問題かもしれませんが、そうした事業に取り組む場合、あるいは事業として取り組んでいなくてもそうした状況に対して組合内部の十分な意思疎通というものが今後の非常に重要な課題で、一部漁民だ付が被害を受けるとか、あるいは一部漁民だけがメリットを受けるというようなことではいけないのではないか。
 しかし、比較的うまく共存している例もかなり見られるのも事実でございます。しかし、いずれにしましても問題は残るわけでございます。それはどういうことかといいますと、例えばボート、ヨットの場合には大変広域的に行動しますので、環境レベルで問題は解決しない。隣の漁協でうまくいっていても、そのボートが出ていったら隣の漁協でトラブルが起きる、そういうような事例は大変多うございます。その辺に広域的なこうした問題に対する調整組織、研究組織というものを早急に組織化していく必要があろうかと思います。
 最後に、そういう広域的な問題が今や国際的な広がりを持っているということです。例えば九州のマリーナなんかを調査しますと、そこから韓国沿岸に簡単に行けるわけでございまして、これが事故なりあるいはさまざまなトラブルに出会うといいますか、そういう危険性もあって、今や本当にこの問題については早急な対策が求められているのではないかというふうに痛感しております。
#18
○菅野久光君 最後に、今後漁協の事業として、種苗の生産だとかあるいは育成放流などの栽培漁業と広域の培養殖技術を組み合わせたいわゆる海洋牧場構想を積極的に進めていくべきだというふうに考えておりますが、その可能性だとかあるいはスケールメリット等についてどうお考えか、お伺いをいたしたいと思います。
#19
○参考人(地井昭夫君) この問題につきましては私の専門ではない部分もかなり含まれておりますが、私の意見を申し上げたいと思います。
 技術的な問題としましては、既に御承知のとおり一部実用化の段階ということで大きな可能性を秘めていると思いますけれども、私が現場を歩いて感じた範囲で申し上げますと、そうした新しい生産の技術なり施設なりシステムといいますか、そういうものをだれがどのように利用するのかということについては、まだまだ試行錯誤というか残された課題が多いのではないか。つまり、それが一部の階層やあるいは一部の地域の漁業者だけがメリットを受けるということでは、恐らくこうした規模の大きなものの利用なり維持管理というものについて大変いろんな問題を含んでくるのではないだろうか。そういう意味で、ここでもやはり先ほどのマリンスポーツと同じでございますけれども、広域的な事業組織化といいますか、そうしたものをつくるための十分な地域の漁業者のコンセンサスというものが必要になるのではないだろうか。
 そういう観点から申し上げますと、こうした事業をむしろ今後の広域的な活性化のための戦略的な事業として意識的に位置づけていく。そして、そうした戦略的な事業のための投資なり補助のあり方というものも、これまでの例えば魚礁とか増殖場というようなものもありましたけれども、そうしたこれまでの比較的規模の小さなものとは違った観点での投資なり補助なりのあり方というものを検討して、新しい分野といいますか、をつくり出していかないとスケールメリットの方に結びついていかないのではないかというふうに考えております。
 以上です。
#20
○菅野久光君 大変貴重な御意見ありがとうございました。
 続きまして、菅原参考人にお伺いをいたしたいと思います。
 初めに、先ほどから資源管理型漁業、二百海里時代を迎えて、もう何よりもこのことをしっかりやっていかなきゃならぬというのはどの参考人もおっしゃっておりましたし、私もそう思っております。
 現行の漁業法なんですが、これが資源管理を行うためには妥当だというふうに思っておられるかどうか、そこを最初にお伺いいたしたいと思います。
#21
○参考人(菅原昭君) 先ほど地井先生のお話の中にもありましたけれども、日本の漁業というのは大変古い歴史を持っておりまして、その長い歴史を法的に追認するような形で現在の漁業法の体系ができ上がってきているんだと思うんです。そういう意味では私は今日も基本的な妥当性を持った法体系になっているんだというふうに思っております。
 ただ、ここから先は、漁業法が想定している資源の重要性あるいは漁業全体の民主化というような法の理念を達成しつつ、新しい観点からの資源の管理ということがまた必要にもなってきているわけでありますし、まして最近のように資源管理も前浜の管理からより広域的な管理という形で変化を遂げていく状況にありますので、そういうマネージメントのシステムみたいなものはこれからいろいろ漁業法を本体にしたサブシステムみたいな形で勉強していく余地はあろうかと思いますが、基本的な枠組みとしては、私は十分今日的な意味のある法律の体系になっているというふうに認識しております。
#22
○菅野久光君 総体的には妥当性を持っているというようなことであるけれども、個々の観点からいくと幾らか問題といいますか現状に合わないところがあるのではないかというようなことはお考えでしょうか。
#23
○参考人(菅原昭君) 漁業法の今の体系が今日的な問題に対応できなくなっているという認識は私は持っておりません。
 ただ、管理の手法あるいはネットワークというものが漁村の環境の動きに即応していろいろな変化の状況がありますので、そういうものについてはさらにサブシステムの充実というようなことは努力していかなきゃいかぬ側面があろうかと、こういうふうに認識しております。
#24
○菅野久光君 次に、我が国の漁協の問題について、全漁連が昨年十一月二十日に三年に一度の全国漁協大会を開催されました。そして運動方針を決定されたわけですが、その運動を進める前提として六項目の政策課題を決定されましたね。その六項目は政策的に非常に重要な課題ばかりでありますが、一番最初に掲げられている漁業制度の抜本的見直しについて、現在お考えになっていることがあればそれをお伺いいたしたいというふうに思います。
 またあわせて、現行の漁業基本法としての沿岸漁業等振興法についてどのようにお考えになっているのか、そこのところもお聞かせいただきたいと思います。
#25
○参考人(菅原昭君) 率直に申し上げまして、現在の漁業について漁業者の間からは、いろいろな意見といいますか、不安といいますか、が当然あるわけですが、制度の基本にかかわる部分というふうに考えれば、今の日本漁業を基本的にどういうふうに国策の中に位置づけられているか、もう少し明確な位置づけができないものかというような漁業者の不安といいますか、気持ちもあるわけです。
 ただ、位置づけと一言に言いましても、実態的にはなかなか難しい問題がありまして、例えば漁業生産の持つ役割、これは私どもは常に貴重な国民の動物たんぱくの半分を担っている、非常に重要な産業だというふうに漁業者みずから考えてやっているわけですが、しかし、例えば動物たんぱく全体の需給ということを考えてみましても、大変今ふえてきている輸入水産物というものを供給ソースとしてどういうふうに位置づけるかというような問題もありまして、なかなか簡単にいかないことがあろうかと思います。
 また、漁業の果たしている役割につきましても、従来は漁業生産活動というのが当然中心になってきているわけですが、最近は、先ほどの地井先生のお話にもありましたように、海の持っている多面的な価値、役割というものについて漁業者というものが深いかかわりを持っていかざるを得なくなってきている。こういう大きい状況の変化の中で基本的な制度というものはどういうふうにあるべきなのかというような問題について、私どもも寄り寄り議論は内部的にしているわけですが、なかなかはっきりした形のものが出にくいという状況であります。
 したがいまして、政策課題の中で漁業制度の抜本的見直しという柱を一本立ててはおりますが、その内容を具体的にどう考えるかということにつきましては、私どもの組織の内部でもいま少し議論を煮詰めていきませんと、具体的な姿になかなかなってきていないということを率直に申し上げざるを得ないと思います。
 なお、沿振法について先生からお話がありましたが、沿振法も他産業との均衡ある発展ということを中心的なテーマとしてつくっていただいているわけですが、大変な役割を果たしてきている法律だというふうに思っております。ただ、やはりこれも先ほどの漁業法と同じで、沿振法も基本法でありますので、実際の施策は個別の法律なりあるいは物によっては予算措置等で実施していただいておりますので、私は問題はむしろ今後あるとすれば、具体的な個々の施策を展開する法律なり予算措置等についてさらに充実をしていっていただかにゃいかぬというふうに思っておりますが、沿振法そのものは基本法として機能を十分にしているんではないか、こういうふうに思っております。
#26
○菅野久光君 沿振法は基本法としての性格ですから、それは持っているが、しかし個々の問題を当たっていきますと、農業基本法と同じように他産業並みの、例えばそういうところはまだまだできていないが、これは具体的な施策の中で予算等もつけてやっていかなければできない問題でございますから、そこはそういうことで押さえておきたいと思います。
 次に、漁協の合併とか事業統合等の推進に関連いたしまして、一九九〇年の法改正に基づいて一県一信用事業統合体構想が示されました。漁協信用事業組織強化方策を策定されて懸命に取り組まれているようにお聞きしておりますが、このことについて成果が上がっているのかどうか。また、そうした中で県信漁連等ではバブルの崩壊に伴っていろいろ問題が起きているようでありますが、こうした問題について全漁連としてはどのような対策をとられているのか、お伺いをいたしたいと思います。
#27
○参考人(菅原昭君) 一県一信用事業統合体の問題につきましては、実際の成果というものは、今推進がようやく緒につき始めたということでありますので、効果というのはこれから先の問題だろうというふうに思っております。
 漁協の信用事業と申しますのは、販売事業、購買事業あるいは指導事業、共済、信用という全体の事業の中の一環でありますので、私どももその中から信用事業だけ切り離して県単位にまとめていくという考え方については大分深刻な議論も内部的にいたしましたし、漁業者の納得も得るまでにはかなりいろいろ議論がありました。しかし、そうせざるを得ない状況にもう追い込まれている。というのが基本的な認識であります。
 ただ、漁協単位の信用事業を県単位にまとめれば確かに一つのスケールとしての固まりはできるわけですが、それで十分この金融自由化の荒波に対応できるのかということになりますと、率直に言ってスケールメリットという点だけで考えればまだまだ問題は残るんではないかと思っております。しかし、非常に大きな要素は、専ら漁協の金融、系統の金融というのを、漁協が組合員の貯金、要するに調達を重点的にやって、信漁連はその運用、農林中金の連携もありながら信漁連が運用していく。つまり、調達と運用が二元的になっている状態は非常にこの金融の情勢には対応しにくいということもありますので、私どもスケールメリットのほかに運用と調達を一体的に行っていく、そういう機能の一元化ということに大変大きな意味があるんではないかというふうに認識しておりますので、今後ともこれはぜひ早急な実現を図っていきたいというふうに思っております。
 それから、最近一、二新聞等で有価証券の運用の失敗ということが報じられておりまして、私ども系統組織にいる者として大変申しわけないことだというふうに思っております。あってはいけないことであるわけですが、これからのこととしましては、みずからの体力に合った有価証券の運用といいますか、そういうことに一層努めていかなければいけないと思いますし、それを担保する手段として内部牽制機能を一層強めていく必要があろうかと思っております。このたびの法改正の中で監事の機能を強化していただくということもそういう線につながっていくことだろうと思いますし、さらに全漁連としましても、平成五年度から国の補助もいただきながら会員に対する指導監査を始めていきたい。従来はそれができない状態で続いてきておりましたので、平成五年度からはそういう努力もしていきたいというふうに考えております。
#28
○菅野久光君 信用事業ですから、信用というその言葉に恥じない運営といいますか、それを全国的に展開していくということではなかなか大変な御苦労が多いんじゃないかというふうに思いますが、これは一番やっぱり基本にかかわる問題ですので、さらに御努力をいただきたいなというふうに思います。
 次に、協同組合の原則という中には協同組合間の提携という項目があったように思っておりますが、全漁連としては、農協とかあるいは生協など異種協同組合との提携についてどのようにお考えになっておられるか。また、全国段階や県連段階、単位漁協段階で取り組まれている事例があれば簡単に御紹介をいただきたいと思います。
 また、関連しまして、北海道と山口県といったように地域が大きく離れた漁協間の提携もしくは漁協間でのネットワークの形成などについてどのようにお考えか、お伺いいたします。
#29
○参考人(菅原昭君) 私どもの協同組合組織にとりましては、今先生のおっしゃった協同組合間の提携というのは非常に大きいテーマでありまして、日本の協同組合、農協、漁協、生協、森林組合、大体その辺を中心に日本協同組合連盟というのをつくって横の連携をとりながら進めているわけですが、その中でもとりわけ協同組合間の事業の提携ということにつきましては、全国の協同組合間の連携推進協議会という組織も別途つくりまして、常時横断的な横の連携ができるようなシステムをつくっておりますし、また実態的に事業提携を進めるための研究集会というのも年に一遍程度ですが、大体十五回ぐらい今重ねてきております。
 そういう中で、例えば具体的な例ですが、全漁連としましても日生協と販売事業中心の提携の覚書等を結んで現在事業推進に当たっておりますし、それから水産物を中心としました流通のセンターを、日生協と全漁連等が中心になった共同会社というようなものも今実際に稼働しております。
 また、地域的にもさまざまな試みがなされておりますし、特に生協は消費者の声を直接生産者につなげてくださるという側面もありまして、今後ともこの提携はかなり進んでいくんだろうというふうに考えております。ただ短期的には、いろいろ提携といいましてもあくまでも経済原則にのっとった提携でありますので、それぞれの条件がなかなか合わない面も物によってはありますので、一本調子に進んでいけるかどうかというのは簡単には言えないと思いますけれども、大きい流れとしてはだんだんそのパイプは太くなっていく方向にある。
 国際協同組合連盟、ICAと言いますが、それのアジア地域では初めての大会が昨年東京で開かれました。その中でも協同組合間提携というのは非常に大きいテーマで確認されておりますので、大きい流れとしてはこれから太くなっていくんではないかというふうに考えております。
#30
○菅野久光君 漁協間の提携。
#31
○参考人(菅原昭君) 漁協間の提携は、具体的には産直というような形で特定の漁協と特定の生協という形は幾つかあります。
 ただ、これも実際に見ていますと、魚は自然のものでありますので、予定したように生産が上がらない、あるいは品種がそろいにくいというようなことがあったりしまして、いろいろその辺の品ぞろえ等にさらに工夫を加えていかないと長期間続けていくというのはなかなか難しい面もあろうかなというふうに思っております。しかし、個別にはかなりそういう提携は進んでおります。
#32
○菅野久光君 漁協間の、先ほど言いましたけれども、例えば北海道と山口県で、山口県の船がイカをとったのを北海道の例えば江差だとか函館とかそういうところへ陸揚げする。そういうような漁協間の提携などのネットワークですね、こういったようなものは大分進んでいるんでしょうか、これからやろうということになっているのか、その辺はどうなんでしょうか。
#33
○参考人(菅原昭君) 漁協同士の提携ということになりますと、多分一番多いのは水揚げをお互いに利用し合うということ。その前には、当然漁協の地先の漁場を他県借りをしていくとか、そういう問題も背景として絡むわけですが、多分水揚げでお互いに活用し合う。
 それからもう一つのパターンは、加工に非常に熱心に取り組んでいる漁協の場合は、加工原料の安定的な供給の面として他県の漁協から導入を図るというケースはかなりあると思います。
#34
○菅野久光君 菅原参考人、最後でございますが、我が国の周辺海域ですね、二百海里水域で操業する外国船と我が国漁船とのトラブルが絶えない。私も国会に出てきまして一番最初に取り上げたのが実は北海道の羽幌沖の韓国漁船に投石をした事件だったわけでございますけれども、その対策として、全漁連として、我が国も全面的に二百海里の設定を主張されて、国会へも陳情されたということは私もよく知っておりますが、その主張は今も変わっていないのか、それとも新たな提案が、先ほど漁業管理水域というようなお話もございましたが、そういったようなことなどで提案があるのか、その辺についてはいかがでしょうか。
#35
○参考人(菅原昭君) 二百海里を適用していただきたいという方針にはもういささかも変更ございません。これは、私どものあらゆる組織内部の討議を経て、何回も確認の決議なり決定をしておりますので、この基本はいささかも変わりないわけです。
 ただしかし、それをお願いしてから余りにも時間がたち過ぎまして、にもかかわらず事態はほとんど改善できないということに対する漁業者としてのやむにやまれぬ気持ちから、一歩退いてもせめて資源管理、これは漁業資源管理水域ですので、二百海里ということになれば、御承知のように、国土の延長線上で物を考えていく世界になるわけですが、それが日本の漁業以外のさまざまな都合からなかなか前へ進まないということであれば、漁業資源に着目して、狭い範囲で結構ですので現状を一歩でも早く打開していただきたい。そうしませんと、先ほど来強調して述べております資源管理型漁業といっても、特に関係地区で今苦しんでいる漁業者の気持ちからすれば「どこの国の話ですかね」というような感じに正直なるわけですね。
 日本の漁業の歴史は、特に戦後の歴史は拡大中心の歴史であって、足元の沿岸漁業というのは黙っていても順当にいくという前提に立って、沖合へあるいは遠洋へという拡大の歴史だったと思うんです。
 その際、昭和五十二年に日本の領海は三海里から十二海里に変わったんですが、私どもはその前に十何年かけて、領海三海里という時代はもう過去のものだ、早く十二海里にせめてしてほしいと。そのころはソ連の漁船で、もう三海里というのは陸から見て目の先なわけで、そこを極めて大型の船でどんどんどんどんもう根こそぎやられるという状態で、日本の沿岸の小さい船は操業できないという状態を十何年続けたわけですね。しかし、どうしても領海は広げることができなかった。いろんな阻害要因を十何年私たちは聞かされ続けてきましたけれども、どのようなことがあったにしても、昭和五十二年には立派に十二海里ができたわけです。
 ですから、私どもはその経験からしても、二百海里全面適用はどんな障害があってもやろうという強い意思があればできる、その道を模索すべきなんだという気持ちに一切変わりはないわけですが、漁業者の声も小さいこともあって、しかし、もう関係漁業者は本当に毎日のように内部で、もう海の上で国際的な事件になるようなことを起こさない限りは前へ進まないじゃないかという非常に絶望的な気持ちでおりますので、私どもはぜひ先生方の御理解で、せめて漁業資源を守るための水域ということを御提案いただきたいというふうに強く思っております。
 私どもは、もう繰り返す必要もないわけですが、漁業資源管理水域をつくったとしても、その水域から外国漁船を一切排除するという気持ちはないわけです。その水域の中では、日本の漁業者が努力している漁業規制と同じレベルの規制を受けながら、整々とした漁業をお互いにやっていただきたい。日本の船も外国へ行ったら同じようなルールのもとでやるというのが基本ですので、決して排除ということは考えておりませんので、本当に実現できる案というつもりで御提案申し上げているつもりです。
#36
○菅野久光君 菅原参考人、どうもありがとうございました。
 続きまして、稲垣参考人にお伺いをいたしたいと思います。
 北海道は、漁村における協同組合運動の大変進んだ地域であります。しかも、オホーツク海沿岸とか太平洋沿岸、津軽海峡沿岸、日本海沿岸とそれぞれ漁業の実態が異なっておりまして、漁家の所得も地域によって大変格差が大きいというふうに思います。したがって、漁業の振興策もなかなか一筋縄ではいかないというふうに思いますが、そういう格差が大きい中で漁協の合併について大変御苦労しておられるわけですが、まずその御苦労のほどをお聞かせいただければと思います。
#37
○参考人(稲垣大雄君) 北海道の実績といたしましては、この十年間、平成元年に実は一ケース、四組合の合併というものをやりまして、現在は平成五年度内に二ケース合併実現の見通しにございますし、一組合につきましては私ども職員を常駐させまして、実は合併指導に当たっているわけでございます。苦労と申しましても、要するにその合併のいろいろの阻害要因をこのプロセスの中でどうやって除いていくか、これは極めで難しいです。もうケースケースによっていろいろ異なってまいります。
 端的に申し上げますと、合併する際の人事の問題、これは組合長をだれにするとか、あるいは参事をだれにするんだとか、役員を減員するにはどうするんだとか、こういった問題。あるいは組合員と申しますのは隣の組合とは仲が悪い、そういった組合員の感情問題というのをどう克服していくかというような問題。それから、せっかく合併するわけでございますが、合併後に旧組合を全部支所として残していく、こういうことでは合併のメリットというのはなかなか出ない。そういった点で、組合員に対するサービスをできるだけ落とさない中で経営効率を上げていかなきゃならない、こういう実は問題もございます。
 それから、先ほど私から申し上げましたいわゆる財務格差という問題をどうやって埋めていくのか、こういった実は問題もございます。もちろん漁業権の問題等につきましては、これは合併助成法で今回ああいった形で補てんをされたということでございます。それと大事なのは、合併した後、組合員にとってどういうメリットが出てくるんだということを具体的に組合員にわからせなければならない、こういった仕事が山積をいたしております。
 そういった点で、それぞれのケースについて具体的に組合員にまで徹底するそういった意識的な改革と申しますか、これは大変な仕事でございまして、現実的に人事問題では組合長の首に鈴をつけなきゃならぬというような仕事も直接やらなきゃなりませんし、固定化債権整理のために連帯保証人あるいは本人を呼んで具体的に競売にまでかけてそういった整理をやらせるとか、はっきり申し上げますと、実はこういった並み並みならない苦労の連続でございます。机の上では確かに何ケース何組合というような結果となってあらわれますが、この間のいろいろな作業なり現地に入っての説得、そういった作業、こういったものにはほとんど二、三年を実際にかけなきゃならない、こういうような実は苦労がございます。
 私どもといたしましては、先ほど申し上げましたように、連合会そろって今度は本部を設置いたしまして積極的に入るということを考えておりますが、基本的にそういった現地対応という面で人手と予算というのがどうしてもついて回ります。こういった点で頭も抱えなければならないという現状になってございます。
#38
○菅野久光君 御苦労のほどはよくしのばれます。
 北洋漁業を抱える北海道は二百海里体制の影響を一番強く受けた地域であります。全国の漁協が抱えている固定化負債が約一千五百億円というふうに聞いておりますが、このうち約五〇%が北海道に集中している。根室など北洋漁業の影響を強く受けた地域における漁協の経営状態はどうなんでしょうか、その対策としてどのような指導を行っておられるのか、お伺いいたしたいと思います。
#39
○参考人(稲垣大雄君) お答えいたします。
 国際規制の強化によりまして確かに組合の経営というものは悪化をいたしてございます。これは当然取り扱いが減っていく。さらに、減船等によりまして漁業をやめなければならないという人たちのいわゆる負債、これが組合にそのまま残されるというケースがございます。こういったことから、組合の経営自体が国際規制の強化によりまして体質が弱ってくる、こういった問題がございます。
 ただ、先生も御承知のとおり、そういった国際規制の関連での道東というのは、はっきり申し上げまして、生産力と申しますか地方が実はあるわけでございます。基本的にはこういった対応策といたしましては、生産に見合った執行体制と申しますか、こういうものをまず考えていただく。一部の漁協では既に職員の人員整理というような方向も実は打ち出しておるわけでございますが、こういった点も含めて今後漁協内部の合理化というものをまず第一にやっていただくという問題とあわせまして、今のうちにそういった根づけ資源、いわゆる栽培漁業なりこういったところに金をかけて組合独自でやってもらうということで、ホタテだとかウニだとか、こういったいわゆる栽培漁業種類、こういった対応をそれぞれやっていただいておる。
 最終的にそれでは固定化負債の問題はどうするかということになってまいりますと、これも事業統合あるいは合併ということも長期的な十年以内の視野に全部入れまして、そういった中で負債整理を何らかの形で図っていきたい。こういうような長期戦略を立てまして、今具体的に対応を進めておる、こういう段階でございます。
#40
○菅野久光君 次に、韓国漁船などの北海道周辺で操業する外国漁船の対策については本当に苦労されてきたというふうに思います。また、二百海里規制によって我が国の漁船が沿岸に逆流してきて操業する沖合底びき漁船、北転船ですね、これと沿岸漁民とのトラブルが絶えないわけで、モデル化事業などもしておりますけれども、そんなことではとても今のいろんなトラブルをなくすということはできないんじゃないか。
 沿岸に行きますと、沿岸の漁民の人たちが、沿整事業にかなりのお金をかけているんですが、あの沿整事業にかけるお金を二年なり三年なりやめてでも、何とか沖合底びき、これを何とか減船補償の方に回して、地先で二百海里内での資源管理型の漁業が安心してできるような、そういうようなことをやるべきではないかというようなお話なんかが出てきます。
 こういう国内の大型漁船とのトラブル対策として何か国がやることがあるのではないかというふうに思いますし、また資源管理面での妙案がおありでしたら、この機会にお聞かせいただければと思います。
#41
○参考人(稲垣大雄君) 先ほども申し上げたわけでございますが、従来は、先ほど菅原専務からもお話し申し上げましたように、日本漁業のいわゆる外延的発展と申しますか、そういった形の中で日本の二百海里の中の資源問題というのは余り重要視されなかった。ただ、漁場利用に関しての陣取り合戦というような形の中で沿岸と底びきの間の争いが続いておった。
 ただ、現実に二百海里という漁場を中心にして今後の永続的な漁業生産を図っていかなきゃならぬという観点から申し上げますと、当然言われております資源管理型漁業というのが必要になってまいるわけでございますが、先ほども申し上げましたように、漁法的にどうしても選択性がないというような、そういった底びき漁法について本当に今後の資源管理型漁業を進めていく上で制度的にどう考えていかなければならないのかという大きな実は問題を私どもは痛切に感じておるわけでございます。基本的にそういった面からは今後沿岸とそういった沖合底びきとの間でいろいろ資源保護なり管理をめぐっての話し合いというものは続けてまいります。
 ただ、基本的にそういった中で今後の二百海里内の資源の再生産というものを図る上で、こういった漁法を持つ漁業について思い切った見直しと申しますか、こういうものがぜひ必要ではないか、単なる陣取り合戦の漁場調整なり、そういった漁業調整の段階では済まない時代に入ってきているんではないか、こういうふうに私どもは痛切に感じております。この点につきましては行政にもお願いをし、行政におきましてもそういった資源管理協定制度なりいろいろの対応は進めていただいておるわけでございますが、基本的な解決策にはなっていかない、こういうふうに実は考えておるわけでございます。
 資源管理上の妙案があるかと言われましでも、端的に言いますと、実際に魚をとるのは漁師でございまして、基本的に漁師がそういった意識を本当の意味で持っていかなければならない。そのためには、経済的な補てんをどうするかということと、思ってもやれないというのは、先ほど申し上げました資源管理について同じような競合関係にある漁業がそういったことになかなかなじみ得ないということについて、これをどう条件整備をしていくか、こういうことがまず基本になっていかなければならないのじゃないか、私はこういうふうに考えております。
#42
○菅野久光君 稲垣参考人に対する最後の質問でございますが、かつて北海道の関係者から栽培漁業権の設定という要望を受けたことがありますが、現在でもそのような要望はあるのでしょうか、ちょっとお尋ねしたいと思います。
#43
○参考人(稲垣大雄君) かつて漁業制度改善ということで漁業を初めその他の関係で北海道としての意見を取りまとめまして、昭和五十年代に実は要請を申し上げたわけでございますが、特に当面栽培漁業権の問題につきましては、御承知のとおり北海道におきましてことしから五カ年計画で五十億の栽培基金をつくりました。ヒラメの放流を皮切りに実は種苗放流をやりたい、こういうことでやっておるわけでございます。それにつけましても、ヒラメにいたしましても遊漁者、特に放流した直後はヒラメというのは実によくえにつくわけでございまして、そういったことで遊漁船がどんどんどんどん入ってきてこれを釣りまくってしまう、こんな実は実情がございまして、漁民の中からもこういった放流したものについての何らかの放流者に対する権利というものを与えてくれと、これが一番大きな要請になっておるわけでございます。
 ただ、栽培漁業権の問題については、法律的にいろいろ私どもも研究いたしておるわけでございますが、かなり難しい天然との差の問題もございますし、こういった問題があるわけでございます。いずれにいたしましても、所有権は持たなくても何らかの管理権をそういった放流者、種苗生産放流者に与えるような一つの仕組みというものを考えていただきたい、これは関係する漁業者の切なる願いになってございます。
#44
○菅野久光君 どうもありがとうございました。
 藤井参考人、大変お待たせをいたしました。全国漁協労働組合協議会の議長さんということで大変御苦労なさっていることだというふうに思います。
 先ほどもお述べになりましたが、単位漁協に勤められている職員の方は非常に少ないところが多いということなど大変組織化に苦労なさっているというふうに思いますが、大体全国の漁協に働いている職員、連合会も含めて組織率はどのぐらいになっているでしょうか。
#45
○参考人(藤井幸雄君) 私の方の協議会の組織率でございますね。
#46
○菅野久光君 はい。
#47
○参考人(藤井幸雄君) 今現在約三十会員がございまして、協議会はほとんど零細な漁協が多いものですから、労働組合という組織を形づくれるという体制を持っている漁協は少ないものですから、今ある労働組合のほとんどは私らの方に一緒に活動している現況でございます。全体で見ますと、二千百の漁協の中の数でいきますと三十組合ぐらいです。そんな状況でございます。
#48
○菅野久光君 なかなか組織化が進まないその原因は、一単位漁協当たりの職員が少ないということに一つは大きな原因があるんじゃないかと思いますが、その辺はいかがですか。
#49
○参考人(藤井幸雄君) やはり職員間のそういう組織の活動をするためにもいろんなことがございますので、職員の人数が少ないということからいろいろ忙しいものですから、そういう組織活動をやろうと思っても、それが必要と思っても、漁業者のためにもそれは必要なことなんですが、できないというのが現状だろうと思います。
#50
○菅野久光君 先ほどお述べになりました言葉の中に、漁業者の方がもう朝早くに出で朝早くに戻ってくる、その段階から職員の方々が出て、そして市場に出すものだとかいろんな細かい作業があるわけですね。そのほかに信用の仕事の問題だとかさまざまな問題を少ない人数の中で抱えてやっておられる。そういう中で、私のお聞きしたところでは、そういう忙しくて、しかも待遇改善、いわゆる労働条件が余りよくない、それから給与も余りよくないというようなことで有能な職員を確保するということが非常に難しいというお話を聞きました。
 それで、組合として一番要望したいこと、ここをこうしてほしいということをいろいろお考えだろうというふうに思います。一つだけでも結構ですし、二つ三つあればそれも加えて結構ですが、こうしてほしいという要望をお聞かせいただきたいと思います。
#51
○参考人(藤井幸雄君) 有能な職員の確保は一番今重要なことであります。したがいまして、優秀な職員の確保については漁業というイメージを明るいイメージに変えていく必要があろうと思います。そのためには、新しく職員として入ってくる人への説明の段階から職員の待遇の問題もいろいろ説明しなきゃいけませんので、そういう場合にやはり職員の待遇の改善をある程度しておかないといけないと思います。そのためには、先ほど来意見の中で申し上げましたように、週休二日制を社会情勢の流れもありますし入れていかなければいけないだろう、こう思っております。
 以上でございます。
#52
○菅野久光君 週休二日制の問題だとかあるいは給与面なんかでも農協と比較してみると漁協に勤めておられる方は低いわけでしょう。私が知り得たところでは何か低いというふうに聞いておりますが、そういったようなことなど、皆さん方がいろいろこうしたらもっといい人が集まる、もっといい仕事ができる、こう思っていながらなかなかそれができない、それができなくなっている、それを阻んでいる要因といいますか、それはどこにあるとお考えなのか、ここのところをこうしてもらえればもっとよくなるということをいろいろお考えだろうと思いますが、そこをお述べいただきたいと思います。
#53
○参考人(藤井幸雄君) それを導入するためにいろいろ問題はあると思いますが、先ほど来参考人の方々が述べられていますように、漁協の現状が厳しいことは承知しているわけでございます。何か新しい事業等の展開を先行投資の形でやっていく、そのためにはいろんな財政基盤の確立をしなきゃいかぬわけでございますが、そのための施策はいろいろあるんだろうと思います。行政の御援助もいただきながらいろんな、今産直間の交流の問題もありますが、そういう事業の施策の拡充、こういうこともやりながらやっていきますと、私らが今望んでいます給与の改善、週休二日制の問題、職員の待遇の問題の改善は進むんだろうと思います。
 ですから、将来展望を持ったいろんな事業の施策を行政の御援助もいただきながらやっていけばそれはおのずと改善されるというふうに私は考えでおりまして、ぜひともそういう今までにない漁協の事業を、今までにないというより今までやっていたことのさらに進んだ付加価値を高めるような、漁業者もそれによって喜ぶような事業を進めていきますと、それによって基盤も強化されますし、職員の意欲も出てきますし、職員の待遇もおのずと改善されていくものと、こういうふうに思っております。
 以上です。
#54
○菅野久光君 漁協も体質強化するためにこれから合併を君らに進めていかなきゃならぬということでいるわけですけれども、そうした中で、職員という立場で合併に当たって特にこういうことを留意してほしい、そういう要望がありましたらお聞かせいただきたいと思います。
#55
○参考人(藤井幸雄君) 合併の問題につきましては、実は私も漁協指導を八年間やったことがございまして、合併の仕事に携わったことがございます。
 合併をするということは経営基盤の強化のためにやるわけでございますが、どうしてもやっぱり職員の問題は出てまいります。合併計画というのをつくる際に、先ほど来申し上げておりますように、今までの事業の事業基盤をもとに五年なり十年の展望を持った合併計画をつくっていくんだろうと思いますが、その際にどうしても職員の合理化の問題が出ますので、そういう問題は、新しい事業を考えますと今までせっかく経験を積んだ職員が効率化のために少なくなるということはどうも後ろ向きのことになりますので、前向きに考えますと、そういう職員は経験をいろいろ積んでおりますので新しい事業をやる場合も有能な働きをすると思います。
 ですから、そういう事業の模索を、地域地域によって違うと思いますが、そういう確立をしていただければ、それは市町村、県、そういうところの合併の承認もありますので、そういう検討会の際にそういう検討をしていただいて、職員の活用を図っていただければおのずと展望が開けるものと思っております。
 以上です。
#56
○菅野久光君 大変貴重な御意見ありがとうございました。
 私の質問を終わります。
#57
○委員長(吉川芳男君) 午前の質疑はこの程度とし、午後一時まで休憩いたします。
   午前十一時四十三分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時開会
#58
○委員長(吉川芳男君) ただいまから農林水産委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、沿岸漁業改善資金助成法の一部を改正する法律案外二法案につきまして参考人の方々に対して質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#59
○佐藤静雄君 自由民主党の佐藤静雄でございます。
 参考人の諸先生には、大変御多忙中のところ、さらに早朝よりお出ましをいただきまして、いろいろ有意義な御意見をお聞かせいただきまして、本当にありがとうございます。心から感謝申し上げます。
 若干本日のテーマとはかけ離れるかと思いますけれども、漁業問題の基本にもかかわる問題でございますので、ぜひとも先生方の御所見をお聞かせいただきたい、こう考えるものでございます。
 それは、最近一部の評論家、政治団体を主宰されている方でございますが、大変影響のある方だというふうにお伺いしておるわけでございますけれども、その先生が盛んに漁港不要論あるいは漁民軽視論をマスコミ等でやっておるわけでございます。大変全国の漁民は心配しております。したがいまして、この場でひとつ権威ある諸先生のお話をお聞かせいただいて、私どもも自信を持って漁民にお話をしたい、こう考えております。
 その主張するところでございますが、これは事実誤認も大変入っておるわけでございますが、そのまま申し上げますと、一つは、魚も輸入が主流になっているものが少なくなく、日本の漁民は食料供給の面では大した比重を占めていない、こうおっしゃっておるわけでございます。
 それから二番目は、漁民の大半は税金を納めておらない。御承知のように統計でも三百万円をちょっと割っております。漁獲高三百万円以下の漁民は専業の漁民ではないんだから漁業権を認めなくてもいいんじゃないか、それなのにこれらの漁民が漁業権をほしいままにしておる、こうおっしゃっております。
 それから三つ目は、日本には二千九百八十四もの漁港がございますけれども、それが税金をほとんど払っていない漁民のために、あるいは漁獲高もろくにない漁民のために全国の漁港に、これはどういうことかわかりませんが、毎年十億円ずつ投資をしている、こうおっしゃっておるわけでございます。港は立派になるが、実際にそこで活動している漁船は五隻か十隻しかない。これも大いなる事実誤認でございますけれども、そんな漁港が日本に二千九百前後もある。
 こういうようなことをテレビあるいは雑誌あるいは新聞等で大いに宣伝をしておられる。それにちょうちんを持った一部の評論家もそうだそうだと言って同調している。極めて私にとっては不愉快千万でございます。これらの国民のリゾートや海洋レジャーなどのニーズのためにこの漁港を開放すべきであるというようなことをおっしゃっております。
 しかしながら、先ほど先生のお話にもございましたように、漁港は漁村地域の拠点でございます。日本民族は数千年にわたりまして漁港を中心に生活を営み、伝統文化、風俗をつくり上げてきた。また、我が民族が現在食べている魚食の習慣あるいは民族が民族の知恵で形づくってきた魚食の習慣は、今や人類がかつて経験したことがないほど理想的な日本型食生活ということで結実しておるわけでございます。
 思うに日本型食生活はお米の一千万トン、それからお魚の一千万トン、この国内生産がその基軸になっておりまして、日本人が現在享受している長寿社会、この食生活に無縁なものではないわけであります。まさに日本の漁民は国民のために大きな役割を果たしていると言って過言ではないわけでございます。漁業の生産額もいわゆる評論家という先生方のおっしゃるほどではないんでございまして、漁業生産額も二兆七千億円を超えておる立派な産業でございます。
 また一面、漁港、漁村は地域住民の定住促進のためにさらに積極的な役割を期待されておりまして、私は、持論でございますけれども、漁港を中心として漁村の整備事業を早く行って、水洗トイレをつくったり、下水道をつくったり、あるいは海浜の公園をつくったり、あるいは作業道を中心として道路網をつくったり、そういうことが過疎対策あるいは漁業後継者の問題の解決の一助になるというふうに信じておるわけでございます。地域振興のかなめになっておるというふうに思っておるわけでございます。
 このようなことを踏まえた場合に、一部のいわゆる評論家の御意見は私にとっては極めて浅薄皮相な議論である。効率性、合理性、経済性だけを追求して、それがすべてであると。私はドグマに感じておるわけでございます。国民食料のために私どもの浜におきましても毎年痛ましい遭難がございます。しかしながら、それを乗り越えて身命を賭して日夜国民食料の確保のために努力をしている零細漁民の立場にかんがみますと、この酷薄無残な議論は私にとってはとっても納得ができないということでございます。さらにそれが国民を惑わす有害なものであるというふうに私は断ぜざるを得ないというふうに考えております。
 この点につきまして先生方の御所見を例えれば幸いでございます。全先生方から一言ずつお願いを申し上げる次第でございます。
#60
○参考人(地井昭夫君) ただいまの問題につきましてお話し申し上げたいことは極めて多いのでございますが、ごく簡単な点だけに絞らせていただきたいと思います。
 そうした主張が出てくる背景は、一言で言いますと現場を知らないということが非常に大きな背景としてあろうかと思いますので、そういう人たちのための学習ツアーなどが計画される必要があるかというふうにも思います。
 今のお話の中で漁港の問題が出てまいりましたが、私も漁港について若干研究をしておりますので、私の意見を申し上げたいと思います。漁港は生産基盤であることは当然ですが、辺陳の地もしくは離島地域におきましては多くは非常に重要な生活基盤、社会資本であります。また、同時に防災施設、防災基盤でもあろうかと思います。
 私が注目しておりますのは生活基盤という役割でありまして、一例だけを申し上げたいと思いますが、私がこれまである漁村を調査したときに、漁港整備によって用地が造成されますと、そこに役場の健康診断の車が入ってくる、それによって地域の受診率が飛躍的に高まるという事実がございます。その結果、重病の人が二人ほど見つけ出された。これは大変大きな生産基盤あるいは社会資本的な効果でありまして、漁港というのは単に水揚げだけでそのよしあしを判断できるようなものではございません。そうした点でも、漁港に限りませんが、これまで行われてきたそういう水産関連の投資というものが持っているさまざまな年産経済効果以外の問題についても、先ほど申し上げましたように、積極的な研究とPRを今後とも続けていくことによってそうした誤解が少しずつ解かれていくんじゃないかというふうに期待しております。
 最後に、ちょっと余分なことですが、そのためにも、農林水産省の生産省としての性格からさらには生産地域省にぜひ政策転換をしていただきたいということを申し上げて、終わります。
#61
○参考人(菅原昭君) 私は今先生のお話を聞かせていただきながら本当にしみじみ感じますのは、今でこそ地球的規模の環境問題というのが大きいテーマになっているわけですが、私ども漁業者というのは本当に海がきれいでないともう仕事ができないというのが基本的な立場でありまして、日本の高度経済成長時代にさまざまな形での産業公害が、その最後の形が全部海に集約して出てきている。そういうときに全国津々浦々にいる漁業者が、これではいけない、この状態を放置しておいたら日本国民の大事な財産が失われるということを、本当に零細な漁業者が必死になって声を張り上げてきた。
 しかし、今の時代から見れば、本当にみんなが環境の重要さに気がついてきてくださっているわけですが、これからも、私はいつも申し上げるんですが、日本の島の周辺は約三万キロある中で、漁村集落が全国に大体七千ぐらい、みんなそこで生活しているわけで、大体平均的に四キロから五キロに一カ所ぐらいの漁村集落が存在して常に海を監視している。これは、本当に海洋国家日本としてその存在は極めて重要な意味を持っているんだと私は思っております。
 ですから、歴史的な意味を振り返ってみるまでもなく、先ほど来の本当に偏った物の見方というのは、国民の中で漁業者のしょっている荷物なり果たしてきた役割なりに故意に目をつぶることになっていって、国民全体として間違った方向にもまたリードしていく非常に困った発想だというふうに強く考えております。
 私どもは、反面また私どもみずからがこういう問題についてあらゆる機会にもう少し積極的に国民の皆さんに情報を提供していくということも必要なんだなという気持ちを深くしております。
#62
○参考人(稲垣大雄君) 今、菅原専務が環境論の問題からお話しあったわけでございますが、私は二点だけ申し上げたいと思います。
 大前先生の論議と申しますのは、いわゆる国際分業論、これは農業も同じような形の中での論旨の展開でございまして、これが西暦二〇〇〇年を過ぎますと日本が今輸入しているこういったものは本当に賄っていけるのかどうなのか、この点を考えていかなきゃならない。しかも、将来ともにわたって新鮮で安全ないわゆるたんぱく食料供給という使命を我が国の水産業は持っているわけでございますので、この点は特に私どもはこういった論議に対しては強く反発をいたしたいということでございます。
 もう一つは、三百万円以下の漁業所得しかない漁業者は切り捨てろ、こういったお話でございます。これは私考えますと、あの評論家は生活者重視の考え方をお持ちになっておるはずでございますが、こういった三百万円以下の低所得者を切り捨てろ、こういう論議は一体どこから来ているのか、私はその点も深く追及させていただきたい、こういうふうに考えております。
 以上でございます。
#63
○参考人(藤井幸雄君) 佐藤先生の一部の評論家ということでお話がありましたが、私も内容は熟知しておりませんが、そのようなことがあるとすれば、私は漁業者のために働き、水産振興のために一助になろうと思って働いておる者でございまして、そういう立場から言いますれば、そのようなことはあってはならないことであろうと思っております。漁村、漁業者は、先生がおっしゃるとおり、伝統、文化、そういうものを引き継いで過疎対策あるいは地域の振興のために一生懸命やっております。
 また、漁港の整備につきましても、漁港ができることによってその地域の活性化が生じて、水産業の発展がなされてきたのも事実であります。こういうことはぜひこれからも進めていただいて、そのような議論が起こらないように我々も一生懸命努力しなきゃいかぬと思いますが、そのように感じまして、私らもこれから浜の現状をPRしながらやっていきたいと思います。
 以上でございます。
#64
○佐藤静雄君 どうも貴重な御意見ありがとうございました。
 次に、漁協組織の整備についてお伺いをしたいと思うのでございますが、ただいま申し上げましたが、漁協は漁村地域の核でございます。漁業振興の中心としての役割を担っておるわけでございますが、この役割を円滑に、しかも十分に果たしていくためには、漁協組織がしっかりしたものでなけりゃならないというふうに思っております。
 しかしながら、大変残念でございますが、漁協の現状を身ますると、信用事業の貯金量あるいは購買事業の事業量、ほぼ農協の一割弱というところかと思います。職員の数も先ほど平均九・七人とおっしゃいましたが、九・七人で、これまた農協の一割程度という状態でございます。これでは漁協に要求される指導事業あるいは生産事業あるいは信用、共済、購販売というような本来の事業を果たすためにはなかなかでき得ないというふうに私は考えております。そういうことで、組合員あるいは漁民のためにも漁協の組織整備、特に合併を促進する必要があると思います。
 私も地方公共団体に勤めておりまして、農協の合併、漁協の合併も手がけたことがございます。特に、農協の合併などにつきましては、地方公共団体が、まあ指導でと言っては言い過ぎでございますが、例えば大きな合併ですとその市で五年間にわたって十億円の補助金を出すとか、あるいは小さな合併でも五年間で五億円の助成金を出すとか、いろいろそういうきめ細かい方策を私の県ではとっておるわけでございますけれども、それがいいとは申し上げません。行政指導がいいとは申し上げませんが、しかし今申し上げましたような、本当に漁民のために、本当に漁業振興をするためということを考えた場合には、やはり今後、国、県、市町村あるいは系統団体が中心となって各県ごとに強力な合併推進組織をつくって合併を進めていくべきではないか。
 そういうことで既におやりになっている県もございましょうが、その現状とこの私の考え方について御意見を賜れば幸いでございます。菅原先生、稲垣先生、藤井先生、ひとつよろしくお願い申し上げます。
#65
○参考人(菅原昭君) おっしゃったとおり、私どもも当面する漁協にとって最大の課題は組織をどう強化するかという問題だと思っております。午前中の御議論の中でもたくさん出ましたように、協国運動は人の集団でありまして、そこで働く人材をどう育て上げ、どう確保していくかというのがあしたの漁協運動の死命を制することになると思いますが、人材を確保するためには、それなりの労働条件なりあるいは職場環境なりというものを改善して、他産業と伍していけるような漁協運動の組織をつくっていかなければ絵にかいたもちになるだろうと思います。
 そういうことも含めて私どもは、組織はでかければいい、漁協は大きくさえすればいいというふうに思っているわけではございませんが、必要な仕事をきちんとできるだけの力は何としてでも持たなかったらいけない、本当の意味で漁業者も守っていけなくなる、こういうふうに思っておりますので、今次の法律改正等をしていただいた上は、十分にそれを活用しながら真剣な取り組みを続けていきたいというふうに考えております。
#66
○参考人(稲垣大雄君) 先生のおっしゃるとおりでございまして、また先ほど菅原専務からも申し上げましたが、私どもも先ほどの陳述で申し上げましたように強力な合併、事業統合、これを推進するための組織づくりというものを早急に現在手がけております。
 この場合、先ほど菅野先生の御質問にお答え申し上げまして、いろいろ問題点がございますが、そういったことを解決しながら、実際に現地に入ってそういった強力な指導ができるような体制を組んでいきたい、こういうふうに考えております。
#67
○参考人(藤井幸雄君) ただいまのことについてですが、漁協組織の基盤の強化ということでございますが、先ほど来申し上げておりますように、九・七人の人間であれば、先生のおっしゃるとおり、本来の仕事ができかねるという状況が多々あると思います。そのために事業の統合あるいは合併等を進めていくわけでございますが、そこには組織でございますから人がいなければなりません。人の育成、そういうものを含めていかなきゃいけませんので、そういう場合は私らが望んでおりますように職員の待遇の問題も組織的に取り上げていただいて、その中に織り込みながら合併なり事業統合をやっていただきたい。
 もう一つは、合併の際に新しい事業を起こさなきゃいけませんので、それらについてのいろんな助成方を御納得いただく検討をされた上でひとつ目玉として一つの事業を持っていくとすれば、それはその合併が相当展望のあるものになると思います。
 以上でございます。
#68
○佐藤静雄君 ありがとうございました。
 合併についてはさまざまな阻害要因があることも事実でございますし、大変難しい問題でございます。しかし、これは腰を据えて進めなきゃならぬというふうに思っておりますが、合併が困難な地域につきましては、次善の策として各事業部門において事業統合を進めるということも考慮していいんではないかと、こう思います。特に信用事業につきましては他の金融機関との間で競争力が、大変失礼でございますが、漁協サイドは非常に低い。さらに、金融自由化を目前にして信用事業の整備統合を図ることが喫緊の急務であるというふうに私は理解しております。
 さらに、これも私の経験からでございますが、現在の漁協の体制では不祥事件を未然に防止するための内部牽制組織も十分でないということもございます。せめて県一円の事業体をつくって組織整備を図ることが肝心ではないかと、こういうふうに思っております。その際に留意すべき点は、これは単協にだけそういう組織整備を要求するんではなくて、連合会あるいは全国連含めて組織のあり方を見直す必要があるんではないかというふうに私は考えておるわけでございますけれども、その点菅原先生、稲垣先生の御意見をお聞かせいただきたいと存じます。
#69
○参考人(菅原昭君) 確かに、私どもは今、当面の課題として漁協の合併、事業統合を最重点に進めておるわけでありますが、その方針を検討するさまざまな組織内部の場におきましては、漁協の上に成り立っている連合会組織がこのままでいいかという問題提起はたくさんございます。当然私ども連合会は県段階、全国段階含めて組織のスリム化あるいは合理化に取り組んでいかなきゃいけないと思っております。ただ、連合会の問題になりますと法律の体系が若干違うもの等もありますので、その辺の改善措置も十分議論しながら対応していかなければいけないだろうというふうに思っております。
 いずれにしても、漁協によって支えられる連合会であるという事実には変わりございませんので、組織の再編を待つまでもなく、事実工事業の横の連携を十分とりながら、できるところから段階制の縮減なりあるいは中間経費の削減に向けた努力はもう直ちに始めていかなきゃいけないというふうに考えております。
#70
○参考人(稲垣大雄君) 単協、連合会のいわゆる組織再編の問題でございますが、私ども、先ほど申し上げましたように、機能・組織審議会におきまして一応の方向づけを行っております。
 単協につきましては、合併なり事業統合ということで合併を前提とした事業統合というものをかなりの部分進めなきゃならぬという問題がございまして、こういった対応を進めておるということと、もう一つ、連合会をそれじゃどうするんだという問題でございますが、私どもは既に連合会自体、現在の専門連合会は北海道内の組織を何らかの形で統合していく、三つの部門ぐらいに統合していってはどうかと、こういうような原案をつくりまして、一応これは時限を決めておりませんが、当面はまず単協のそういった合併なり事業統合を進める。それとあわせて連合会自体もそういったトータルコストの削減、そして単協と連合会との機能分担、こういったものを進めていきたい、こういうふうに考えております。
#71
○佐藤静雄君 信用事業に関連いたしまして漁業信用補完事業についてちょっとお尋ねをしたいんでございますけれども、漁業金融を円滑にするためには、漁村における人間関係などを考えた場合に人的担保を徴求することは非常に難しゅうございます。あるいは場合によっては廃業、倒産の場合に人的担保だけにすがっておりますと大変ややこしい問題が出てくる。
 それに今度は漁業者の有する不動産等を考えた場合の物的担保、この物的担保についてもそう強いとは申しかねる、逆に脆弱性が目立つというふうに思います。そういう場合に必要な資金量を適時適切に借りる、あるいは今漁協内部で問題になっている固定化債権を長期間がかって解消するというようなことを考えた場合に、それに対応する信用補完制度の充実が私は必要じゃないか、こういうふうに思っております。
 現在、御承知のように、都道府県の漁業信用基金協会が信用保証を行っておりまして、基金が保険を引き受けるという格好になっておるわけで、それなりの役割は果たしておるというふうに思っておりますけれども、今申し上げましたように、漁民の長期的な固定化債務の解消までを目に入れた、そういう点ではこの漁業信用基金協会の力はまだ弱いと言わざるを得ないと思うのでございます。
 さらに、急激に変化するいろんな漁業情勢に対応して、現実に起きている倒産、廃業、そういう場合に即座に対応するように信用基金協会を拡充強化する必要がある。これについては、国、県、市町村、団体が一緒になってこの育成を図る必要があるというふうに私は考えておりますが、菅原元生、稲垣先生の御意見をお聞かせいただきたいというふうに思います。
#72
○参考人(菅原昭君) 先生がおっしゃいますように、漁協の信用事業にとって貸し出しをきちんとやっていくというのは非常に重要な問題だと思いますし、また漁業者の立場からしましてもスムースな金融がつくということが事業展開上も避けて通れない重要な課題であります。
 そういう中で現在の信用補完制度というのは、なかなかしっかりできた信用基金協会あるいは信用基金再保険等のシステムができ上がっておりまして、大変重要な役割を果たしているわけですが、先生がおっしゃいましたように、現下の漁業経営の厳しい状況を考えますと、さらに一層この制度が充実していくことが大変望まれるわけであります。ただ、それを充実していくためには、漁業者の組織もまたどの辺までそれに対する責任を果たしていけるかというみずからの限界というようなこともございますので、その辺も十分視野に入れながら、この制度の充実を長期的にお願いしていかなきゃいけないんだというふうに考えております。
#73
○参考人(稲垣大雄君) 北海道の場合を申し上げますが、先ほども申し上げましたように、国際規制の強化等によりまして代位弁済がかなり多額に上ってきた。こういうことで基金協会そのものの体質も弱くなってきたということで、三年前ぐらいから再建計画を立てまして、道あるいは市町村、連合会、こういった段階での出資増計画を立てまして、現在そういった体質強化といったことに努めておる段階でございます。
#74
○風間昶君 公明党の風間でございます。
 きょうは大変お忙しいところをありがとうございます。
 地井教授におかれましては北海道出身だというふうにお伺いしておりますが、漁村集落の位置づけとか、これまでの御研究の中で何編かのリポートを読ませていただきまして、本当に御研究に敬意を表するものでございます。
 今まで、午前中もそうでございましたが、高齢者の方々がふえていらっしゃって、しかも沿岸漁業の生産力がかなり影響を受けている、そして漁村そのものの活力が低下しているようにお話を伺ったわけでございますけれども、これは私の出身でもあります旭川でも農業・農村についても同じ問題を抱えておりまして、農林水産省が昨年六月に新農政、いわゆるビジョンを出しました。選択し得る職業として魅力ある、あるいはやりがいのあるものとするための所得などを他産業並みの水準とするということを目標とした農業経営を展望したビジョンだというふうに思いますけれども、漁業の場合も農業以上に非常に自然環境に左右されて、また国際漁業情勢についてもある意味では非常に先行き不透明な部分もあるかというふうに今思うわけでございます。
 将来展望をそういう意味で示すことは非常に簡単なわけにはいかないかと思いますけれども、漁業を職業として選択し得る魅力とやりがいのあるものにすることが求められているわけで、そういう意味で、このような観点から先生のこれまでの御研究を踏まえて、漁村の活性化あるいは漁村集落のあり方といいましょうか、今まである家をずらしてでも活性化をするためにシフトするとかいうようなことも含めて先生のお考えをお聞かせ願えればありがたいというふうに思います。
#75
○参考人(地井昭夫君) 私の論文をお読みいただいたそうで、ありがとうございます。
 ただいまの御質問は大変難しい問題でもありますし、またさまざまな角度からのお答えも可能かと思うんですが、私が今ちょっと思いついたというか、ここにメモしながらあれした範囲でちょっとお話し申し上げてみたいと思います。
 私は、午前中の意見でも申し上げましたが、農村もそうだと思いますけれども、漁村もやはりこれから自由化といいますか開かれた地域社会を形成していかなければいけないと思います。そのときに農村と漁村を比べてみますと、どうしても漁村の方が開かれ方が少ない。それが漁業権の問題なり生産構造からくる一つの特質でもあるわけですけれども、しかし、既に出ておりますように、食料生産と消費という関係を超えて非常に多くの付加価値というか潜在的な価値があることを考えますと、漁村には大変多くのビジネスチャンスが潜んでいるというふうに思います。
 しかし、その多くのビジネスチャンスを具体的なものにしていくためには、新しい頭脳といいますか力が必要なんですけれども、そこのところあたりだけを考えてみましでも私は漁村の活性化の、もちろん漁業生産の方にもそういうチャンスがいっぱいあると思いますけれども、それ以外のビジネスチャンスのところに積極的に、先ほども申し上げましたような新規参入者とか、あるいは特別の技能を持った人とか、あるいはそういう漁業なり関連のビジネスをやってみたいという人を招き入れる体制と、そうした制度的な裏づけといいますか、今度もそういう貸し付けとかいうことで制度的な裏づけができるわけでございますけれども、そういうことによって大変多くのビジネスチャンスを生かすことができると思います。
 ほんの一例ですけれども、沖縄で私が調査したところでは海洋性レクリエーションをやって、そのインストラクター、つまり指導者として数名、十名近い人だったと思いますけれども、二十代、三十代の若者が戻ってくる。そこは大変スキューバダイビングの盛んなところで、本土あたりからも女性がたくさん参ります。そのおかげもあって嫁さん不足は全くない。そういうようなところもあるわけでございます。これはほんの一例だし、地域の実態はもうちょっと複雑で、そう単純ではないかと思いますけれども、そうしたビジネスチャンスを生かすというのは大変重要なことであろうと思います。
 それからもう一つ、これはもちろん私見でございますが、このたびの改正でも員外利用という問題が出ているわけですけれども、私実は漁協で組合員の家族が利用したらそれは員外利用になるというのをこのたび初めて知ったんでございます。
こんなのはもともと組合員利用だと僕は思っていたんですけれども、そのくらい外に対するガードがかたかったのかなという感じもいたします。
 実は私自身もそうでございますけれども、ある農協の共済に入っております。それから購買はもちろん、それから最近は信用事業も受けております、準組合員ですけれども。そして私個人としては、サラリーマンでもそういう方が多いわけですけれども、サラリーマンの老後を考えて、農協の福祉事業に今から積極的に参画していきたいというふうに思っているわけでございます。
 そういうふうなことだけを考えてみても、共済、信用、福祉等の分野においても、員外利用が員外の人にも員内の人にも活力というかメリットをもたらすという、そういう潜在附な可能性というのは非常に高いように思います。その辺のところも今後の漁村活性化にとっての一つの非常に重要な柱の一つじゃないかと思います。
 最後に、女性の参加ということを、本当にこれは口先だけじゃなくて、実質的に担っているわけですし、ただ、そこで申し上げたいのは、漁業統計には女性の陸上労働が統計としてあらわれてこないというふうに私は思います。これは大変まずい統計でありまして、女性の陸上労働もきちっとこれから統計にあらわれてくるような、そうしたことが必要だと思いますけれども、いずれにしてもそういう女性の積極的な参加、そういったことがなければ活性化はできない。特にお嫁さんを迎える体制づくりというのはそういう漁村の女性たちの力によるところが多いというふうに思います。そのためにも、繰り返すようですが、生活改良普及員の本来の趣旨に合った配置ということをぜひ積極的に御指導願いたいと思います。
 以上です。
#76
○風間昶君 大変ありがとうございました。
 示唆に富んだお話で、女性の参加について、私も本当に三分の一を占めている女性の方々がもう少し生かされた形で、見える形で獲得できるものにしていかなければならないというふうに思っております。
 次に、全漁連の菅原専務にお聞きいたします。
 漁協の合併がずっとこれまでやられてまいりまして、いわばこれから合併していくところはかなりいろんな点で厳しい要因といいましょうかファクターを含んでいるというふうに考えられるわけでございます。政府は四年度から漁協事業基盤強化総合対策事業というのを実施しておりますけれども、これはあくまでも欠損金の借り入れに対しての利子の補給というものであるのでありまして、固定化債権の解消は直接助成の対象としていないというふうに私は思っているわけですが、現行のそういう対策で参考人は十分だというふうにお考えでございましょうか。
#77
○参考人(菅原昭君) 固定化債権につきましては、これはまず第一義的に回収のためのあらゆる努力をしていくことが最大の取り組みだろうというふうに思っております。
 固定化債権と一口に言っても、中身には要因なりあるいはレベルがいろいろあるわけですが、いずれにしてもそれの回収のための努力をまだまだやっていかなきゃいかぬ。それは組合員全員の財産であるわけですので、そういう取り組みが必要だと思います。ただ、それは自助努力だけで本当にいけるかどうかというのは、これは個々のケースで判断するしかないわけでありますが、これは、何かの時点でまた欠損金に振りかわっていくというふうになる部分も当然出てこようかと思います。
 ただ、これからのことをも考えますと、欠損金なり固定化債権なりの償却あるいは回収の努力と並行しながら組織統合の仕事を一緒に進めていかなきゃいけないという非常に苦しい状況に追い込まれるわけですが、しかし、その苦しさを何としてでも関係者力を合わせて、行政の支援も最大限いただきながら取り組んでいくしかないんだというふうに思っております。比較的傷の浅いところは、組織統合の前にそういうものの償却を済ましてからきれいな身になって合併に入り込めるというケースもありますし、何らかの形で荷物をしょいながらやっていかざるを得ないというケースもあろうかと思います。
 これは本当に個々のケースで物すごい違いがありますので、ただ申し上げられることは、組合員の荷物になるわけですので、回収のためのあらゆる努力を行政のお力もかりながらやっていくことが基本だろうというふうに思っております。
#78
○風間昶君 ありがとうございました。
 道指導漁連の稲垣専務にお聞きいたします。
 六十一年から漁業後継者の育成指導に当たって、地域漁業者の自主的な活動を促進するために、漁業士制度ですか、私も今は医師でございますけれども、国家試験を受けて医者になる前に医学士という制度、制度といいましょうか、そういう称号があるんですけれども、北海道漁業士制度が六十一年からスタートしまして、もう七年目を迎えられると思いますが、相当の数の方々が、青年の方を含めて指導をされていらっしゃる漁業士の方々がいらっしゃると思うんです。
 それで、お話を伺いましたら、今度北海道漁業士会が設立されて、北海道漁業のために非常に先頭的に自主的な活動をしていく、運動としてもまたやっていくというふうに伺っておりますが、私は、非常にこの視点は大事な視点でないかというふうに思うわけです。つまり、自分たちの漁業は自分たちでつくり育てていくんだということの大きな運動体として評価すべき問題だと思いまして、そういう意味で全国に広げていっていいんでないかというふうに思っておるんです。
 つまり、北海道だけじゃなくて、全国の青年漁業士の方々の交流あるいは異業種、特に第一次産業も含めた異業種の方々との人間的なネットワークをつくっていくことが非常に大事だというふうに思っておるんですけれども、その辺について展望等ございましたらお聞かせ願えればありがたいと思います。
#79
○参考人(稲垣大雄君) 青年漁業上、指導漁業士の問題でございます。これは、たしか全国的にもこういった制度は存在いたしておるわけでございまして、北海道も全道漁業士会といった方々を中心にして、事務局は私どもでお預かりしておるということでございます。
 当初、この活動は一体どういう活動をするんだということでかなりいろいろ試行錯誤はしておったようでございますが、一応いろいろの研修活動等を通じまして、これは行政の協力も得ながらそれぞれ活動しておる。ただ、私どもの問題は、漁協のいわゆる外郭組織として、協力組織として漁協青年部という組織がございます。漁業士の方々はこういった青年部をおりられたといいますか多少お年を召されて卒業された方、そういった青年部活動と漁業士活動というものをどうマッチさせていくか、こういう一つの問題もございます。
 さらに、活動をやらせていくにいたしましても、実際に漁業に従事しているということでなかなか暇がとれない、しかも、組織的な活動をするには予算なりそういった裏づけが必要になってくるということで、今後ともそういった漁業士の問題につきましては私どもも話し合いをしながら精力的に進めていきたい、こういうふうに考えております。
#80
○風間昶君 ありがとうございました。
 そこで、漁業士といいましょうか青年部の活動と漁業士の方々との密接な連携ということと同時に、漁業士という立場は現在漁業をやっていらっしゃるわけでございますので、私思うには、むしろ大変なお仕事かもしれないけれども、漁協の職員の方がそういうことに実際にシステム的にも入り込んでいけないものかなと、そんな私はちょっと考えを持っておるわけです。
 そこで、全漁労協の藤井参考人に先ほど合併そのものに対しての御意見をお伺いしましたら、全体的に賛成だと、いろいろあるかと思いますけれども。合併の利点としてはいろいろ考えられるわけでありますけれども、スケールが大きくなるとか、事務コストを節約できるとか、あるいは選択
肢が増加するために各部門に今度は、五人いた漁協の職員の方と三人いた漁協の職員の方が合併するわけですから、それぞれ専門職員がうまくやれば配置できるんではないかというふうに思いもするわけです。
 つまり、施設そのものも今度は効率的な配置ができるということが利点として挙げられますけれども、もし私が漁協の職員だというふうになったら、待てよ、ほかのところから来て合併したら私の立場はどうなるのかという部分の、つまり合理化するためですから、人員整理のことも含めて、ぴんと不安になるわけです。自分の立場はどこにあるのかな、どういくのかなということで、職員の方あるいは役員などの整理の問題、整理という言い方はおかしいですけれども、その部分について、漁協の職員の方々の今漁協離れということが少し言われておるようでございますけれども、合併によるそれらの不安について、現場の方の声を、漁協職員の方の声をお聞かせ願えればありがたいと思います。
#81
○参考人(藤井幸雄君) 今、事業統合なり合併についての職員の声はどうかということでございますが、先生がおっしゃられるように、事業統合あるいは合併ということは、規模の強化、基盤の強化を目的にやるわけでございますが、往々にして職員の合理化というものが問題として出てまいります。
 それが計画された段階では、実施する前から漁協職員はそれに対して非常に先行き不安を感じるというのが現実であると思います。ですから、職員に合併の計画を、漁協がやることですから漁業者には十分説明がなされて、地区の座談会、総会、そういうものをクリアしていくわけでございますが、じゃ、職員に対して合併の展望なりそういう計画が説明される機会があるかと申しますと、私の知る限りでは組織的な説明はないと思います。
 ですから、これはやっぱり漁協の職員も一緒になってやらなければ成功しないと思いますので、そういう合併計画についての説明あるいは展望を御説明いただいて、それで職員に対しての協力を依頼するというシステムが一つ必要であると思います。合併を進めていく場合にもう一つは、漁業士の問題等も触れましたが、そういう問題は漁業者がいろんな問題、ニーズを抱えておりますので、我々漁協の職員はそれに対応できるだけの経験を積んでおりますので、いろんな漁業者の新しい仕事に対しての我々が努める余地があると思いますから、そういう方向に使っていただければ、漁協の合併、事業統合がよりよく進むものというふうに思います。
 以上です。
#82
○風間昶君 ありがとうございました。
 終わります。
#83
○林紀子君 日本共産党の林紀子でございます。
 参考人の皆様、本日はありがとうございます。
 私の持ち時間といいますのはたった十分ということですので、申しわけありませんが、全参考人の方に御質問できませんが、あらかじめお許しをいただきたいと思います。
 初めに私が質問をざっと全部いたしますので、後で順番にお答えいただけたらと思います。
 まず菅原参考人にお伺いしたいんですが、第三回の全国漁協大会では一市町村一漁協ということをイメージして組織再構築構想というのが提案されたと聞いております。しかし、これがなかなか進まない。しかし、この進まない状況の中で、どうして実現できないのか、どうしたらスムーズに実現するのかというようなことを十分な総括もしないままに、第四回の大会では、今度は一足飛びに一県一漁協、こういうことで広域漁協構想というのを提案されたということですが、どうしてこういう一足飛びという形になったのかというのをまずお伺いしたいんです。
 そして、それと関連いたしまして、昨年の一月に全漁連が調査なさいました意識調査というのを私見せていただいたんですが、これは四十歳台から五十歳台の方、漁獲高が五百万円クラス以上が五四%、漁業専業者七三%、まさに沿岸漁業を担う中核的漁民層の皆さんのお答えだということですが、この中で、こうした漁協の運動方針を決める全国漁協大会について、その存在を知らない漁協の組合員が六割強もいるという答えだということですけれども、これはどういうことなのかということと、それから漁協合併については「反対」及び「一概に言えない」というのを合わせますと全体の六割だということで、合併問題に対してかなり慎重な意識を持っていらっしゃるということですけれども、この辺についてどう認識されているのかということです。
 次に、地井参考人にお伺いしたいんですが、参考人がFAOの会議で発表されたという論文を見せていただきましたが、その最後の方に「たとえ科学技術や行政手法がいかに発展しようとも、」「漁村の伝統と文化に十分な注意を払うことは、日本の漁村を活性化しつつ漁村社会の安定化と開放化を実現する上で、きわめて大切なことである。」と述べていらっしゃいます。
 午前中のお答えにもありましたけれども、漁協が漁業権というのを管理しているということも含めまして、やはり漁協というのは村落社会のかなめだということは言えると思うわけですね。そうしますと、今一県一漁協というような大変広域な合併ということになりますと漁村社会は今後どうなっていくのか、特にきめ細かなコミュニティー対策というのがどういうふうにとられていくのか、なかなかイメージとしてわきませんし、そういう意味では不安というのがあるわけですが、その辺についてどのようにお考えになっているかというのを伺いたいと思います。
 最後に稲垣参考人にお伺いしたいんですが、ことしの一月の二十八日に漁港関係主務課長会議というのが開催されて、そこで水産庁長官は「水産関係の公共事業等の執行に際しては、漁協合併を一つの課題として扱い、合併する漁協を対象とした優先施行も検討している」「次期漁港整備計画の策定に当たっても、漁協合併に十分留意していきたい」と、こういうふうに述べられたという報道があるわけですが、漁協の合併といいますのはまず第一に漁民の合意ということだと思うわけですね。ですから、そういう意味ではこのように公共事業というような形で、まあ、えさという言い方はちょっときつ過ぎるかもしれませんが、上から誘導するというようなことは本末転倒ではないかなというふうに思うわけですが、その辺稲垣参考人はどのようにお考えになるかというのをお聞かせいただきたいと思います。
#84
○参考人(菅原昭君) 一番最初の、一市町村一漁協が十分達成されないうちに一県一漁協的広域漁協の構想がちょっと飛躍しているんじゃないのかというお話だと思うんですが、形の上ではそのようになろうかと思いますが、一県一漁協というのは、私ども再三申し上げておるわけですが、機械的に全国でそれをやっていこうという考え方は全然ございません。
 あくまでも各県の置かれた実情、それから漁業者のコンセンサスがどうつくっていけるか、さまざまな状況に合わせた選択肢の中でもう既に一県一漁協でやるのが妥当だという判断ができる県においてはそこまで頑張っていこうじゃないか、こういう提案でありまして、全国連動として最低限のベースはやはり従来と同じ一市町村一漁協というのは、これはもう必達の目標にしよう。そこから先は各県の実情に応じて取り組んでいく。要するに、一市町村一漁協は最低の条件であって、最後のゴールということになるともう一段上の目標が必要になる、そういう位置づけを考えております。
 それから、二番目の意識調査のお話ですが、先生がおっしゃったとおりの数字になっております。これは統計ですから数字は正直に物語っているわけですが、これから先の一、二年で多分この数字は大きく変わっていく可能性を持っているというふうに私ども考えています。
 その最大の根拠は、漁協が今置かれている状況がもうこの数年で大変飛躍的に厳しさを増してきているという環境の変化が漁業者の意識をやっぱり変えていくことになろうというふうに思っております。合併について「一概に言えない」というのが約三分の一、三五%ぐらいあるわけですが、これはみずからの地域における組織強化のテーマが具体的な協議にまだ上っていないということが多分こういう結果になっていると思うんです。
 これから合併助成法の延長等をしていただきながら、各派々で具体的な漁業者の協議を進めていく過程では、自分たちの浜にとって漁協合併はどういうことを意味するのかという認識が徐々に、徐々にといいますかかなり急速に深まってくるんではないかというふうに考えておりますので、確かに現状の数字は先生がおっしゃったとおりですが、これから大きく変わってくる可能性を持っているんだというふうに思っております。
#85
○参考人(地井昭夫君) 時間の関係で十分に申し上げられないのが残念でございますが、私も漁協の置かれた現状なり特別事情、個別事情を無視して一県一協というようなところに急ぐべきだという考えは毛頭持っておりません。
 ただ、現在の諸状況を考えてみますと、非常に小さな漁協が、漁業生産の上でもそうかもしれませんけれどもそれ以外のさまざまな分野で非常に大きな波が押し寄せておりまして、その波にのまれてしまうんじゃないか。そうしたら、漁村のお年寄りとか子供の生活はどうなるんだろう、漁業専業者は何とか生き延びていけるかもしれませんけれども、そういう人たちを守るためにも、村のかなめとしての漁協的性格は残す工夫は十分にあるし、現実的には例えば子組合というような形で伝統的な単協が漁業権の行使をし、一定の旧来の役割を守りながら親組合との連携でやっているという方法があります。
 それがすべてうまくいっているわけじゃないと思いますけれども、それがうまくいくようなシステムというものを広い意味でつくり上げていくことによって私はそういう合併のデメリットがかなり解消される。そういう方向に行かないと大波にのまれてしまうのではないかという危機感を持っているわけでございます。
 以上であります。
#86
○参考人(稲垣大雄君) 林先生の御質問は、組合の合併に際していわゆる公共事業というもののえさでつっていくんではないかと、こういうお話でございましたが、私自身は場合によってはこれはえさでつることも必要だというふうに考えております。
 と申しますのは、先ほど申し上げましたように、組合の経営そのものが立ちいかなくなってくる、組合が解散せざるを得ないといった場合に本当に漁業者はどうなるんだと、こういう危機感の問題と、それから今後合併するにしろ組合が独自で生きていくにしろ、いろいろ行政施策による生産増大と、これは一単協単独ではなかなかでき得ないわけで、そういったものを受け入れていかなきゃならない。さらに、自前のそういった生産増大対策の種苗放流その他のいわゆる余剰を出していかなきゃならぬ。こういった観点から合併というのは私は至上命題だというふうに考えておるわけでございます。
 そういったことで当然合併については組合員の合意の上でやらなきゃならぬ。ただし、組合員の説得のために、これは組合員のためでございますので、組合員がどうかなと迷っているときには、そういった合併によるメリットというものは組合員にはっきり提示をして進めていかなきゃならぬ、こういうふうに考えております。
#87
○喜屋武眞榮君 午前中はそれぞれのお立場で御高見を述べていただきまして、大変ありがとうございました。時間の関係上、問題を絞りまして一つだけお尋ねいたしたいと思います。
 と申しますのは、私は沖縄でございますけれども、沖縄にも漁港はあるわけですが、特にこの席で申し上げておきたいことは、沖縄の漁港は、もちろん漁港としての使命もあるわけですが、避難港としての役割がほとんどであるとお考え願いたいということなんです。避難港の立場をとらされておるということなんですね。台風期になりますというと、南方漁業に出漁したすべての漁船は沖縄の漁港に集結をいたす、これが現状でございます。そうしますと、ますます沖縄の漁港は満ちあふれると申しますか、大変な状況でございます。
 そして、その気象条件が一日や二日でおさまればいいですけれども、四、五日も一週間もそのような情景が続くわけであります。これは大変なことでございます。その状況を見るにつけて、我が国にとって漁港というのが、あるいは避難港という位置づけが、もっときちんと施設も設備も充実しなければいけないなということを痛感いたしておりますが、現状は先ほど申し上げとおり避難港の立場をとる漁港であるということでありますので、大変なことであります。
 それに、南方漁業の危険性という立場から、たまたま最近もありまして、ここに新聞だねになっておりますが、「外国船に威嚇発砲」と。いわゆる沖縄近海で外国船から日本の漁船に、主として沖縄も含むわけですが、威嚇発砲されまして大騒ぎをしたことが最近もありますが、これは一回ならず二回ならずたびたびございます、威嚇発砲が。こういう不安な状態で命を的にして働いておるわけでありますが、それを安全に守る使命を持っておるのがすなわち海上保安庁であるわけでありますが、皆さんと海上保安庁との連絡提携はどのようになされておるのであろうか、そのことも、特にどの参考人という御指名はいたしませんから、お聞かせ願えればありがたいと思っております。
 こういう不安な状態で毎日の漁業に精を出しておるという状況であります。ですから、漁港としての不安さらに海上の不安ということで、こういう状況の中でそれこそ命を的にして毎日働いておるという、この状況をきょうはここで詳しく申し上げる時間持ちませんが、一応問題点として申し上げまして、必要であればぜひひとつその調査資料を要求して備えていただきたいということを申し上げまして、私の質問を終わりたいと思います。どなたか適当な方にひとつお答え願いたい。
#88
○参考人(菅原昭君) 今、先生から非常に深刻な御発言があったと思います。私どももそのような事故があったということは聞き及んでおりまして、その原因なり、あるいはどの国のどういう機関によるものか、どういう船によるものかということは、国の方にもさまざまな調査の努力をお願いしているわけです。
 海上保安庁との関係につきましては、全体的に漁船の安全の問題あるいは事故防止、もちろん海上犯罪等含めてですが、日夜大変な努力をしていただいておりまして、さまざまな具体的な問題について保安部にお願いしていけばいくほど、限られた人員と装備の中で日夜大変な御努力いただいているという実感を私ども漁業者は全体的に持っております。しかし、今のようなお話の問題につきましては、さらにあらゆる国の機関を通して実態を把握してもらうと同時に、再発防止のための努力は漁業者としては当然お願いもしていかなきゃいけないというふうに考えております。
 それから、漁港の機能について沖縄の実情をお聞かせいただいたわけですが、先ほど来もお話しありますように、確かに漁港の持つ機能というのが非常に多面的になってきている、地域によってさまざまな角度から漁港の機能が見直しもされてきておりますし、また新しい機能がどんどん付加されてきている、こういう実情にもありますので、それぞれの地域の漁港にふさわしい陸上施設なりというものの装備についてもこれから積極的に漁港事業の中で実現していっていただきたいものだというふうに私ども心から念願しております。
#89
○新間正次君 新聞でございます。
 参考人の皆様方には、本当にお忙しい中、また大変貴重な参考になる御意見をいただきまして、ありがとうございました。
 私も時間が余りありませんので、二点だけに絞ってお尋ねしたいと思いますけれども、まず、各先生方に福祉という面、いわゆる農山漁村、これは私は常に追求しておるわけでございますけれども、農山漁村の皆様方の高齢化という問題というのは都市部に比べまして二十年以上進んでいると言われておりますけれども、そういう面におきましてその福祉対策についてそれぞれの皆様方の御意見をまずお聞かせいただきたいと思います。地井先生からお願いいたします。
#90
○参考人(地井昭夫君) 漁村における福祉とその現状については午前中の意見の中でも若干申し上げましたが、私それについてちょっと補足といいますかお話しさせていただきたいと思いますのは、いわゆる漁村の活性化というものが重要であるということは間違いないと思いますけれども、非常に高度成長期以来大変な日本全体の経済社会の変動が起きている中で、今漁村や農村がかなりのスピードで活性化を実現するというのは実はちょっと難しい状況にあるだろうというふうに私は考えでいるわけです。
 さすればずっとこのままかというと、私はそうではなくて、現実にもそういう漁村の調査をたくさんしているわけでございますけれども、当面のところ資源と環境を守りながら、高齢化したとはいえ、高齢化した社会を健全な形で維持していくことが当面の目標となってもよろしいのではないか。そして、企業戦士と呼ばれるサラリーマンが退職後、もしくは途中でもいい、脱サラでもよろしいかと思いますけれども、事実そういうケースもかなり見られているわけで、そうした意味では活性化と若者定住というか、それを急ぐ余りその地域の伝統的なあれを見落とすことのないように、むしろその前に、現在残って頑張っている高齢者の人たちの暮らしをどうきちっと福祉を固めていくかという、そういうところからスタートすべきではなかろうか。
 ちなみに、最後に山口県の例を申し上げますが、これはマスコミでも報道されて、御存じの方があるかと思いますけれども、お年寄りと猫の島で有名な島があります。そこにはもうお年寄りと猫しかいないんです。しかし、そこのお年寄りは実に元気でございます。小舟に乗って差し網をやったりイカの一本釣りをしたり、エビなんかもとっていたと思うんですけれども、実にゆったりとやって、まあ息子たちはいずれ遠い将来には帰ってくるだろうけれども、おれたちはここで元気に当分やっていくと。そういうふうな、もちろんそのためにも行政も大変大きな役割を果たしていると思います。僕は、そういう現状は必ずしも否定だけされるべきではなくて、そういうベースをきちっと固めた上で、新規参入なり若者定住、Uターンのスケッチを描くという方向もあるのではないかというふうに追加させていただきます。
#91
○参考人(菅原昭君) 漁村の福祉という問題は、一言で言えば、私どもの受けとめ方は、従来漁村の環境は生活環境として非常に劣悪だったり、あるいは漁業の仕事が非常に厳しい。その職場は三Kとかというふうなことも言われるような状態から一日も早く脱却して、漁村で暮らしてよかったと思えるような漁業者の生活、漁村の生活を実現していくことだというふうに思っております。それは、何も必ずしも都市化していくということではなしに、漁村の持っているよさというものを保持しながら、若い人たちにも快適な生活だと思えるような、そういう漁村環境というものを一日も早くつくり上げていくことだなというように私ども考えております。
#92
○参考人(稲垣大雄君) 北海道の場合は、とりたてて高齢者対策というものは考えてございません。ただ、浜には無数にお年寄りが働ける場があるというのは、これは事実でございまして、根づけ漁業だとか網外しだとか、年寄りが元気でやっていただく仕事というのはたくさんございます。そういった意味で、いつまでも元気で働いていただくのが本当の意味の高齢者対策ではないか、私はそう考えております。
#93
○参考人(藤井幸雄君) 福祉の問題ですが、これは大変重要なことだと思っております。このためには、漁村の中に小さい子どもから小中学生まで、あるいは高校生がおって、若い人がおって、結婚前の男女がおりまして、それで生活を支える四十代のクラスがおりまして、それで高齢者の方がいるという、そういう人がそこにあって初めて福祉が充実されたものになるんだと思っております。
 ただ現状は、漁村には今若者が少ないわけでございまして、福祉対策をやるにしましてもお金と人がかかります。ですから、今残って最低限浜で頑張っているのは我々漁協の職員だろうと思っています。そういう意味で、漁協の職員のよりよい、人がみんな集まるような漁港づくりをしていただいて、そうすると、漁協の職員はいろんな形で漁業者と密接に連絡をとっておりますから、そういうことからもそういう対策に手助けができるものと、こういうふうに思っておりますので、まず第一に漁村の人口構成をそういう形で活性化をしていただいて、それで漁協の職員の人たちにもそういう手伝いをさせていくという形をつくり上げていただきたい、こういうふうに思っております。
 以上です。
#94
○新間正次君 最後に一点。
 時間が余りありませんので簡単で結構でございますが、今も参考人の方からの御意見にもありましたように、漁村を活性化していくためには、やはり魅力ある漁業といいますか、若い人たち、後継者を養成していただかなくてはいけない。私の地元にも水産高校がございますけれども、入学者も少なければ、そこを卒業して実際に漁業につかれる方は本当にごく一握りの方でございます。大変皆様方が御苦労なさっていることもよくわかるわけでございますけれども、その件に対しましての対策、菅原参考人と藤井参考人、現場の御意見ということでお二方の御意見を聴取したいと思います。
#95
○参考人(菅原昭君) 私は、後継者対策というのは、対策という形で取り上げても実効の上がるのがなかなかないんで、結局小さい努力を積み重ねていって、総合戦力としてそれがどの辺まで成果を上げるかということだというふうに思っておりますが、その際最大のポイントは、漁業で得られる漁業所得というものを一定のところまで引き上げるということが非常に大事なところだろうと思います。
 そのためには、海の生産の場の資源に限りがあるわけでありますので、適正な経営体数というのが非常に大きい問題になろうかと思います。ですから、ある時期、資源に見合った経営体数の実現のところまでは、経営体が減っていくとかさまざまな形の現象があらわれる時期がある。現在はそういう時期とも言えるかと思います。しかし、いつまでも減少が続くということではなしに、そこで漁業を営み、家族と一緒に生活するに足るだけの漁業経営体としての成績を上げられる単位になれば、おのずと後継者の問題というのも前向きな対応の可能性が出てくると思います。
 あわせて、先ほども申し上げましたように、漁業の厳しい労働を少しでも緩和していくし、労働時間等についても休日なりあるいは労働時間の短縮等にも意識的に取り組んでいく必要があろうかと思います。
 さらに本当にお願い申し上げたいのは、漁村の生活環境というのは非常な立ちおくれがあるんではないかと思いますので、この辺については漁業者の自助努力というのはもうはっきり限界があることでありますので、国の事業としてぜひ漁村の生活環境の整備には思い切った意を用いていただきたいというふうに考えております。
#96
○参考人(藤井幸雄君) 漁業者の後継対策についてですが、昔は漁村は今みたいな形でなかったわけですね。昔は漁村にみんな人がいっぱいいまして、そこで点もとれて、それで通常の形の社会構成だったわけですが、今は若者が育たないというのが現実であります。それはなぜなのかといいますと、沿岸漁業の漁業資源の減少等いろいろありまして、所得が思ったより取れない、したがって生活に不安があるだろうと、こういうふうに思っております。それと、漁業というイメージが非常に暗いもので、先ほど一評論家ということで御質問あったような感じの中で漁村を見詰めているという実態があろうかと思います。そういう漁業自体のイメージの暗さというものがあって若者がなかなか育たないんだろうと思います。
 ただ、所得と漁業イメージを明るくしましても、では若者がいるかといいますと、なかなか育たないと思います。それはなぜかといいますと、やっぱり漁業後継者というのは男を考えておりますが、男ばかりだと男はそこになかなか定着しないというのが現実でありますので、若い女性がそこにいるという環境をつくってやらないとお互いの定着ができないと思います。女性の方にはそこで加工施設とかそういう女性の働く場をそこに持って、海で男の人が働いて、そこで一つの地域経済をつくるという施策があって初めて後継者対策が前向きに進むものだろうと、こういうふうに思っております。
 以上でございます。
#97
○新間正次君 大変長時間にわたって貴重な御意見をいただきまして、この水産三法実現のために頑張るつもりでおりますので、本当にどうもきょうはありがとうございました。
#98
○委員長(吉川芳男君) 以上をもちまして参考人の方々に対する質疑は終わります。
 参考人の方々に一言お礼を申し上げます。
 本日は、御多用中のところ、本委員会に御出席をいただき、長時間にわたり有意義な御意見を述べていただきまして、まことにありがとうございました。本委員会を代表して厚く御礼を申し上げます。(拍手)
 本日の審査はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。
   午後二時二十一分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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