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1993/06/02 第126回国会 参議院 参議院会議録情報 第126回国会 農林水産委員会 第13号
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1993/06/02 第126回国会 参議院

参議院会議録情報 第126回国会 農林水産委員会 第13号

#1
第126回国会 農林水産委員会 第13号
平成五年六月二日(水曜日)
   午後一時開会
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         吉川 芳男君
    理 事
                浦田  勝君
                永田 良雄君
                菅野 久光君
                三上 隆雄君
                林  紀子君
    委 員
                大塚清次郎君
                鎌田 要人君
                佐藤 静雄君
                高木 正明君
                野間  赳君
                一井 淳治君
                谷本  巍君
                風間  昶君
                矢原 秀男君
                星川 保松君
                喜屋武眞榮君
                新間 正次君
   事務局側
       常任委員会専門  片岡  光君
       員
   参考人
       北海道上川郡鷹  小林 勝彦君
       栖町長
       全国農業会議所  池田 昭雄君
       専務理事
       全国農業協同組
       合中央会常務理  石倉 皓哉君
       事
       農  業  者  関川 金吾君
       農  業  者  山口 力男君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件、
○農業経営基盤の強化のための関係法律の整備に
 関する法律案(内閣提出、衆議院送付)
○農業機械化促進法の一部を改正する法律案(内
 閣提出、衆議院送付)
○特定農山村地域における農林業等の活性化のだ
 めの基盤整備の促進に関する法律案(内閣提出
 、衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(吉川芳男君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。
 農業経営基盤の強化のための関係法律の整備に関する法律案、農業機械化促進法の一部を改正する法律案、特定農山村地域における農林業等の活性化のための基盤整備の促進に関する法律案、以上三案を一括して議題といたします。
 本日は、三案につきまして、お手元の名簿にございます参考人の方々から御意見を拝聴いたしたいと存じます。
 この際、参考人の方々に一言ごあいさつを申し上げます。
 本日は、御多用中のところ、本委員会に御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。
 農業経営基盤の強化のための関係法律の整備に関する法律案外二法案につきまして、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお伺いいたしまして、今後の法案審査の参考にさせていただきたいと存じます。よろしくお願い申し上げます。
 それでは、これより御意見をお述べいただきますが、あらかじめ議事の進め方について申し上げます。
 御意見をお述べいただく時間は、議事の都合上、お一人十分以内とし、その順序は、小林参考人、池田参考人、石倉参考人、関川参考人、山口参考人といたします。参考人の御意見の開陳が済みました後で、委員からの質疑にお答えいただきたいと存じます。
 それでは、小林参考人からお願いいたします。小林参考人。
#3
○参考人(小林勝彦君) 北海道鷹栖町の小林勝彦でございます。
 参議院農林水産委員の諸先生には、日ごろから農漁村の振興のために御活躍をいただいておりますことに対して、心からお礼を申し上げたいと思います。
 このたびは、三案についての意見開陳の機会を与えていただきましてありがとうございました。町村行政を担当する立場から御意見を申し上げたいと思います。
 最初に、北海道の農業の現状についてお話し申し上げたいと思いますが、時間の関係上、ごくかいつまんでお話を申し上げたいと思います。
 一つには、現在、全国的にそうでしょうけれども、過疎あるいは高齢化が著しく進行いたしまして、北海道農業につきましても内部から極めて大きな課題を持っております。特に、担い手の問題等につきましては、ここ数年年間五百人を割るわけでございまして、北海道二百十二市町村でございますから、四つの町に一人ぐらいしか後継者がいない、こんな現状でございます。
 そういう暗い面はございますけれども、今、昨年からの転作の緩和等を含めまして、北海道が食料基地であるということの自覚に立って、規模の拡大はもちろんでございますけれども、蔬菜あるいは花卉とか、そういう所得の高いものについて若い人たちが意欲を持って取り組んでいる。そういう明るい面もあるわけでございまして、私どもは、そういうことを前提としながら、北海道農業についてのいろんな検討をしておるところでございます。
 次に、新しい農政プランといいましょうか、「食料・農業・農村政策の方向」について、私どもの現場からのお話を申し上げたいと思います。
 第一点には、新農政につきましては、北海道全体といたしましては、ここ数年いろんな桎梏はございましたけれども、それを乗り越えて食料基地であるという自覚のもと取り組んでまいりました。このことに対する自信がよみがえってきたと申しましょうか、そんな点では非常に意欲的でございますし、また反面、北海道の農業につきましは近代化路線をいろんな障害を克服しながら進めてきたわけでございますが、この路線が追認をされたものと考えておりまして、北海道全体としては好意的にこの問題を考えておる次第でございます。
 ただ、そうは言いながらも、規模の大きな農家だけが大きくなってまいりましても、必ずしも農村が均衡のある発展ができるわけではございませんので、規模の大きな農家とそれを補完する兼業的な農家、また自分の終生の生きがいとして取り組む農家、そういったものがいわばモザイク状に展開する中で北海道農業が均衡のある発展をしていくものだ、このように考えておる次第でございます。
 特に、このことにつきましてはいろんな形で課題があるわけでございますけれども、現在、北海道の場合はいろんな形で規模の拡大が本州府県に比べれば進んでおるわけでございますけれども、規模の拡大が企業努力的なものの中で所得の拡大につながるのかどうかこういう問題について疑問がございます。
 私どもは、やはり他産業と同じように年間千八百時間で少なくとも八百万の所得をということを目標にいたしておりますけれども、規模の拡大はむしろゆとりのある生活を阻害するという点もございまして、これらの問題をどういうふうに解決していくのか、これが課題でございます。
 と同時に、新規の就農が非常に少ないという中におきましては、農家の子供が農業を継ぐというだけでは農村を守れないということは、規模の拡大を進めれば進めるほどいたく感じてまいります。そんな形で新規の就農をどのように受け入れていくのか。これは法人化の問題等含めて北海道農業の発展の上で大きな課題であろうと存じておる次第でございます。
 と同時に、ここ数年いろんな離農であるとか高齢化によりますリタイアであるとか、そんなこともございまして、農地の取得の関係が恣意的に行われます関係から、非常に耕地が分散錯圃の状態になっておりまして、本町の場合でも、二十ヘクタール以上の農家が十数戸ございますけれども、平均いたしまして十三カ所に圃場が分かれている。こんな状態でございまして、分散錯圃をどういうふうに解消し、農地の集積化を図るのかこれも大きな課題でございます。
 また、私たちの町は、水田が約四千ヘクタール、畑が千ヘクタールという規模としては比較的大きな稲作地帯でございますが、その中におきましても、やはり中山間地域におきましてはいろんな問題もございまして、町全体の均衡のある発展のためにはそういう中山間地域の課題をどういうふうに解決をしていくのか。このことは規模の拡大とあわせて新しい農業の中で課題であるような感じがいたします。
 次に、目標といたします二十ヘクタールというのは、北海道全体からいきますと、現実とのギャップが大分ございますので、本当にこのような拡大ができるのかどうかという問題もございます。
 それから、拡大を阻止するいろんな要因がございますが、そういった法的な規制がどのように緩和をされてくるのであろうか。また、非法人経営に与えられておりました恩恵といいましょうか、相続税であるとか贈与税であるとか、そういう問題が法人にどのように適用されていくんであろうか。新農政そのものに対しては好意的に眺めておりますけれども、そういう具体的な手順がはっきりしない。こんな点につきまして一つのもどかしさを感じておる次第でございます。
 特に、構造政策の中で対応のおくれておりました特定農山村地域におきましては、今回重点的な配慮をされることに対しましては、地域の均衡ある発展を願う私どもといたしましては歓迎をするわけでございますけれども、その中にはいろんな課題がございまして、各省庁が省庁の枠を超えて特定山間地域を育成する、保護するといいましょうか、そういう対策をとらなければ本物でないと思います。
 特に、生産の課題もあり、生活環境の課題もございます。また、こういう地域ほど過疎化が進行しておりますので、単なる人材育成という問題といいましょうか、若い者だけでは無理でございますので、中高年齢の者につきましても地域の担い手になるような人材育成という問題を今後図らなければならない。そんな点では、今回出されております法律案につきましても、私どもとして大きな期待を持っておる次第でございます。
 また、中山間地域の農地の保全を多様に進めていく上におきまして、いろんな極端に条件の悪いところもあるわけでございます。本町の場合も集落の移転等行いましていろんな地域を守る対策をとっておりますけれども、どうしても経営的には難しいと言われております。そういったところに対して所得補償をどうしていくのかという問題もございます。
 もちろんこれは国民的な合意も必要でしょうし、またばらまき的なものでは十分でございませんので、そんなものを考えながら、地域が落ちこぼれなく農漁村が発展をしていくような、そういう特定山村に対する対策というものを十分お考えをいただきたい、このように考える次第でございます。特に、中山間地域の農地の取得につきましては、道県の農業公社が積極的にこれを買い入れることができるように御配慮をいただきたい、このように考える次第でございます。
 また、農用地の拡大等の中におきましては、いろんな形で農協とかそういう合理化法人の問題もございますけれども、やはり県と道の農業公社の持つ役割は多いわけでございまして、例えば北海道の場合におきましても、北海道農業開発公社は十九年前に国と道が基金として出資したものが経営の基盤でございますので、財政的な基盤を充実いたしませんとこれからの大規模な農用地の拡大といいましょうか、そんなことについては対応できないという問題もございますので、そんな点についての御配慮をいただきたい、このように考える次第でございます。
 また、経営基盤の拡大に当たりましては、大規模経営を中心とすると同時でございますけれども、付加価値の高い農業を守っていく、そういった面におきましての御配慮ということも必要でございますので、そういった点を十分御配慮いただきたいと存ずる次第でございます。
 いずれにいたしましても、課題といたしましては、やはり北海道の農業を大きくしていかなきゃならない。同時に、法人化という問題の中におきましても、かつてのような、企業が農業を支配するということも避けなきゃなりませんので、今回の法案の中におきましては、株式会社が参入することについて一定のチェックがされておりますことに対しては評価をする次第でございます。
 次に、農業機械の関係でございますが、技術革新の中で農業機械のいろんな問題に対する調査研究あるいはそれらのことにつきましては、規模の拡大を図れば図るほど重要な点になってまいりますけれども、今コスト低減の中で一番の課題となっておりますのは農機具のコストが余りにも高いということでございます。このことにつきましては、いろんな配慮をされていると思いますけれども、今後とも所得の拡大を図り、農業経営安定を図るためには、農業機械の近代化あるいは新しい技術開発と同時に、価格の問題等含めてコストに影響する農業機械の問題について十分の御配慮をいただきたいと思う次第でございます。
 時間がございませんので、極めて早口で申しましたけれども、私どもでは新しい農政の展開の中において、そしていろんな手順についてのいろんな課題はありますけれども、北海道の農業の近代化のためにいろんな苦難を乗り越えて努力をしていこう、こういう気持ちでおりますので、三法案につきましては速やかな成立を期待申し上げまして、私の意見の陳述を終わらせていただきたいと思います。
#4
○委員長(吉川芳男君) ありがとうございました。
 次に、池田参考人にお願いいたします。池田参考人。
#5
○参考人(池田昭雄君) ただいま御紹介にあずかりました農業会議所の池田でございます。いつも大変お世話になっています。ありがとうございます。
 参考人の一人として御指名いただきまして、意見を述べる機会を与えていただきまして、ありがとうございます。
 まず、我が国農業にとりまして最大の問題でありますガット農業交渉におきます米の市場開放問題につきましては、三度にわたります国会決議をいただきまして、感謝申し上げます。引き続きまして、国会決議の実現が図られますように特段の御配慮を賜りたいということをまずお願いを申し上げます。
 時間が限られておりますので、早速、当委員会で御審議いただいております新政策関連の三法案につきまして、基本的に賛成する立場から御意見を申し述べたいというふうに思っております。
 御案内のとおり、農業・農村の現状につきましては、担い手の高齢化とか遊休農地の増大とか過疎化の問題等極めて深刻だと受けとめております。私は、このまま放置しますと、外圧の問題をまつまでもなく、内部的に崩壊してしまうんじゃないかというふうな認識を持ちます。しかし一方では、農政改革のチャンスでもあるんではないか、可能な限りの政策努力を傾注いたしまして農業経営の確立を急ぐということが必要だ、そういう二つの視点を持っている、こういう考え方を持つものでございます。
 したがいまして、こうした状況を打開しますには、そして、二十一世紀に向けまして我が国の農業なり農村の問題を切り開くためには、農業構造の問題と農村対策というのは不可欠だと考えております。今回の三法案は、私はこれで十分とは申しませんけれども、こうした施策を展開する面の第一歩だという評価をいたしております。
 次に、農業経営基盤の強化のための法律案でございますけれども、この法案につきましては、経営体の育成というものに焦点を当てた構造政策という考え方、そして、今までありました規模拡大の認定制度から経営改善計画の認定へ発展をさせるということと、法人化の促進ということにつきまして条件整備を行う。それからもう一つは、保有合理化法人の機能強化の問題、私ども系統が昨年三月、農林水産大臣へ出しました答申で提言したわけでございますけれども、この中身が相当程度入っている。こういうことで、評価をいたしておりますけれども、三、四点につきまして私どもの意見、要望を申し上げたいと考えております。
 第一点は、推進組織の再編整備の問題だと考えております。
 昨年六月に農林水産省が打ち出しました新政策の方向にあります魅力のある農業経営を実現するためには、向こう十年間に今までの二・五倍の速度で百七十五万ヘクタールの農地の流動化をするんだ、また必要なんだということを強調いたしております。つまり、地域の農業と土地利用のダイナミックな再編が不可欠だと、こういうことでございます。
 新たな構造政策が実効を上げるためには、それにふさわしい推進組織の整備が必要だということは歴史の教訓でもあります。したがいまして、この推進組織の問題が今後に残されておると考えます。私は、このことがやはり残された最大の問題だと考えております。農地対策の問題と経営確立対策を結びつけた対策が必要だし、この推進組織というものが必要なんじゃないか、こういうふうに考えております。
 したがいまして、私どもは、政府に対しまして、農業委員会系統組織、私ども自身の問題も含めまして、新政策の推進体制の整備について早急に検討してほしい、こういう考え方を持つものでございます。
 それから、第二点目の問題でございますけれども、経営改善計画の認定制度の円滑な運用でございますけれども、私たちはこれまで利用増進法の中で規模拡大計画の認定制度をやってまいりました。もちろん今度の経営改善計画の認定制度の拡充については賛成するものでありますけれども、この制度をスムーズに進めるには運用上の工夫が必要なんではないか、こういうふうに考えております。
 といいますのは、農村の慣習なり実態というものを考えてみますと、認定する市町村長さんの立場というものがございます。そうしますと、制度を推進するということについては、認定ということで、推進しづらい面もあるんではないか。そういたしますと、例えば市町村段階には公選で選ばれました公的な代表機関として農業委員会があるわけでございますから、市町村長さんと農業委員会の連係プレーによりまして、まず農業委員会が推薦して、これを市町村長さんが認定するということの方がごくスムーズにいくんではないか、こういう考え方を持つものでございます。
 それから、第三点目の問題は、生産法人に対する農外資本によります農業経営の支配が生じないようにチェックシステムを整備するという問題でございます。
 この点につきましては、現在も通達で農業委員会が行うことになっているわけでございますけれども、これまでの農業生産法人は、構成員が農地か労働の提供者ということに限られておりました。したがいまして顔が見える関係でありましたけれども、この要件が緩和ということになりますと、農外資本の支配という問題がございますので、行政上の指導とか体制の整備、予算等につきまして、農業委員会によりますチェックシステムを強化していただく必要がある、私どもの方も努力しなきゃいけない問題だ、こう考えております。
 第四点目につきましては、生産法人の持ち分の取得や譲渡に関します金融、税制の問題についての支援措置を今後御検討いただきたい、こういうことでございます。
 農業生産法人の構成員といいましても、自然人でございますから高齢化あるいは死亡などによりまして農業生産法人から脱退する、こういう事態も起こるわけでございます。新たに構成員を加えなければ農業生産法人の経営の継続が困難になりますので、このことについての対応をやっていただく必要がある。これにつきましては、現行制度におきましては農業生産法人の持ち分の取得や譲渡に関します金融なり税制上の支援措置がございません。したがいまして、この問題は今後重要になると思われますので、法人化の推進の問題とあわせてぜひ御検討を賜りたいということが四点目でございます。
 次に、農業機械化促進法の一部改正でございますけれども、この法案の成立によりまして農業労働の負担軽減が図られる、経営の確立なりコストの低減に結びつくということでございますので、大変結構だというふうに考えております。
 次に、特定農山村における農林業等の活性化のための法律案に移らせていただきたいと思います。
 私は、この法案が対象としております山村あるいは過疎地域は極めて深刻だと受けとめております。今回、各省庁が一体となって支援措置を講ずるということは大変結構だということで評価いたしておりますけれども、やはり以下の点につきまして御配慮賜りたい点があります。
 それはどういうことかと申しますと、第一点目は、土地利用と優良農地の確保の問題でございます。農地面積の四割が中山間地域に存在すると言われております。これらの地域の活性化の基本は農林業の振興にあるわけでございますので、こうした観点から土地利用秩序を確保する。そして、優良農地を守るために新しい法律がいたずらに農地の転用促進の手段になっては困る。そういうことでございますから、地域指定に当たりましては十分配慮を賜りたい、こういう考え方を第一点目に持つものでございます。
 それから第二点目の問題は、法案にあります「農林業その他の事業の活性化」の「その他の事業」についてでありますけれども、現段階ではこの範囲が明確になっておりません。私は、この「その他の事業」につきましては、今までのバブルの崩壊の問題なりあるいはリゾート法の教訓等を考えまして、やはり農林業との調和がとれたものが必要だ、こう考えております。
 それから、最後の三番目でございますけれども、今後御検討賜りたいのは、これら中山間地域におきましても地域の資源を生かした地域産業の自立という考え方がまず大事だと考えておりますが、自然条件等によりましてはおのずから限度がございます。したがいまして、今後、本格的な中山間地域対策をやらなきゃいかぬわけでございますので、その役割なり機能につきまして国民全体の合意づくりを進めるということが大切だし、定住のための一層強力な制度的な支援措置について御検討を賜りたいというふうに考えております。
 以上で意見開陳を終わらせていただきます。
 御清聴ありがとうございました。
#6
○委員長(吉川芳男君) ありがとうございました。
 次に、石倉参考人にお願いいたします。石倉参考人。
#7
○参考人(石倉皓哉君) ただいま御紹介を賜りました全国農協中央会の石倉でございます。
 参議院の諸先生方におかれましては、日ごろから農政、農協の諸問題につきまして格別の御指導を賜っておりますことをこの機会をかりまして厚く御礼を申し上げたいと思います。
 なお、日本は三法案に関しまして参考人として意見を述べさせていただく機会を与えていただきましたことを大変光栄に存じ、感謝を申し上げます。
 以下、全中の立場から意見を申し上げてみたいと思います。
 農林水産省が平成四年六月に発表しました新政策の認識や方向づけの中には、私どもも大いに共感することが多く記述されていると思います。例えば、「国民のコンセンサスを得て、まず食料の持つ意味、農業・農村の役割を明確に位置付ける」、「農業の有するこうした多面的機能は、広く国民に利益をもたらすものであり、経済効率性の視点からだけでは律しきれない」、「国内供給力を確保するためには、一定の国境措置と国内農業政策が必要」というようなことであります。すなわち、新政策全体の約三分の一を費やして食料・農業・農村の意義、役割、今後の政策展開の基本的考え方を詳しく論述し、広く国民各層の理解を求めようとする姿勢を鮮明に示したことは評価することができると思います。
 しかし一方、このような認識や方向づけを具体化するための新たな政策手段の記述は、率直に言いまして説得力を欠く面があることを指摘せざるを得ません。農業の担い手を確保して国内生産の振興を図り、自給率の低下に歯どめをかけるためには、効率的・安定的な望ましい経営体像の提示と、それを育成するための構造政策の展開に加えまして、適切な国境調整措置や安定的な価格・所得政策を含めた施策の総合的展開が不可欠であると考えます。
 また、農業の生産条件等が不利なため、高齢化や人口減少に直面している中山間地域等の活性化を支援する財政措置等の対策はいまだ十分とは言えず、農林水産省はもとより、関係省庁が協力し、政府を挙げた本格的な中山間地域政策の展開が必要だと考えます。
 そこで、私どもは、少なくとも次の六つの事項について、政府として積極的かつ具体的な対策を講ずることが必要であり、そのことによって初めて自給率の低下に歯どめをかけることや農村地域社会の活性化が可能になると考えます。
 第一に、国境調整措置の強化のために、一九九〇年二月ジュネーブで開催されましたガット民間人会議のジュネーブ宣言の趣旨に沿った新たな農産物貿易ルールの確立を目指した外交交渉を展開することが必要であります。
 第二に、食料安全保障政策の確立のため、主要穀物等の備蓄対策を実施することであります。
 第三に、当面達成すべき政策目標として、カロリー自給率五〇%の確保及び国民一人当たり二千キロカロリーを供給し得る五百万ヘクタールの農地の維持を明示し、これを実現するために必要な政策及び財政措置について国民の理解を促進することであります。
 第四に、農業者が中期的な経営計画が描けるようにするため、おおむね五年程度を期間とする、仮称でありますが、農業法を制定し、価格・所得政策や生産計画、生産調整対策等の基本的枠組みを定め、政策展開を図ることであります。
 第五に、地域の自主性、創意工夫を遺憾なく発揮するため、地方自治体の農林関係予算の充実及び行政権限の強化を図ることです。
 第六に、食料・農業・農村の意義、役割あるいは今後の政策展開の方向につきまして、政府広報機能の動員や学校教育等を通じ、国民的合意の形成を進めることであります。
 私どもJAグループは、日本の国土・環境を守り、農業を発展させる農業市民会議への参加等を通じ、国民の皆さんの理解を得つつ、今申し上げましたような政策展開を政府に働きかけていきたいと考えています。
 しかし、政府に政策的支援を要請するだけでは、危機的状況にある我が国農業・農村の展望を切り開くことはできません。JAグループといたしましても、担い手及び経営体の育成対策や地域の活性化対策等に積極的に取り組みたいと考えています。
 担い手及び経営体の育成に関しましては、担い手や農業法人等を指導できる人づくり、農地の集積等農業経営の基盤づくり、さらにはこれらを推進するための農業者インターン制度や農用地利用調整委員会の組織化等の仕組みづくりの三つくりを進める考えであります。
 また、地域の活性化に関しましては、中山間地域を中心に、第一に、複合経営を基本とした特産物を含む畜産、園芸等の生産振興、農産加工や通信販売、オーナー制度や観光農業等農林業の積極的振興、第二に、米の発酵エキスから化粧品、トウモロコシから包装用緩衝材等生物系新素材の開発、あるいは小水力、風力、地熱発電の普及等農村地域の自然の恵みを活用した地域内発型産業の振興、第三に、下水施設、道路網、高齢者介護施設等の生活環境の整備等に政府、自治体の適切な支援を得つつ取り組みたいと考えています。
 私どもJA全中といたしましては、以上のような取り組みの考え方を取りまとめました「「新政策」の展開とJAグループの対策」を本年の一月から三月にかけまして組織討議にかけ、JAの役職員はもとより、組合員農家の皆さんにも検討していただきました。そして、五月十三日の全中理事会でこれを正式にJAグループの方針として決定いたしました。今後、この方針の実現に全力を挙げて取り組む考えてあります。
 さて、農林水産省におきましては、新政策発表後、昨年の秋から農政審議会を開催し、新政策の具体化のための諸施策が検討されてきております。そして、平成五年度の国家予算や税制改正にその結果が反映されるとともに、農業経営基盤の強化や特定農山村の活性化等のための法律改正が現在国会に提案されており、このような努力に対しまして深甚なる敬意を表するとともに、私どもも感謝しております。
 特に、このたびの法律改正では、例えば農協及び連合会が一定の条件のもとで新規就農者の研修のための農業経営等が行えるとか、農事組合法人や農業生産法人に出資し、構成員になることによって生産者のお手伝いができるよう措置されていることであります。また、中山間地等条件の悪い地域で標高差や温度差を利用し新規作物を導入した場合、収入に応じて低利資金が融通されるとか、地域の活性化のための施設整備に地方財政上の特例が利用できるよう措置されていることであります。もちろん、これらの措置だけで地域農業の担い手が確保されたり、中山間地域が活性化するとは考えられませんが、一歩前進であると受けとめております。
 こうしたことから、私どもは、本日の本委員会の案件となっております三法案に基本的に賛成であり、今後いかにこのような法律改正、制度を活用して、積極果敢に農業・農村活性化の具体的政策展開に取り組むことこそ緊急かつ重要な課題だと認識しております。
 以上をもちまして、私の意見開陳といたします。
 御清聴ありがとうございました。
#8
○委員長(吉川芳男君) ありがとうございました。
 次に、関川参考人にお願いいたします。関川参考人。
#9
○参考人(関川金吾君) 私は、ただいま指名をいただきました関川でございます。新潟県で農業を営んでおる者でございます。浅学非才な私が、国会議員の先生方の前で参考人として意見を申し上げる機会を得ましたことをまことに光栄に存じますとともに、その責任の重大さを痛感いたしております。
 以下、現場の一農民として発言を申し上げますので、御理解をいただき、不穏当な発言等がございましたらお許しを賜りたいと思います。
 農水省も農業・農村の実情についてよく分析をされておりますが、実際に携わっております立場といたしまして、若干情勢について申し上げさせていただきたいと思います。
 今、日本の農業、とりわけ地方の農村ではかつてないほどの動揺と混乱を来しております。それは、昭和三十六年に農業基本法が制定をされた際に、農基法の趣旨が生かされ、選択的拡大等によって他産業並みの所得が得られるものと農家は大きな期待をいたしましたが、残念ながら、二十年余にわたる生産調整や低価格政策により、農家・農村に及ぼした精神的、経済的打撃ははかり知れないものがあると思います。
 加えて、ガット問題では、我が国の主食であり文化とも言えます唯一の自給作物である米が内外からの圧力を受け、市場開放の事態を回避できるか否やの昨今の情勢であり、一方、新農政プランの動向で農業・農村の将来に不透明さと不安を強め、これからの農業経営を絶望視する農家さえ出ております。それゆえに生産意欲は極度に衰退をし、我が地方でも農地の荒廃は深刻なものとなっております。まさに、日本農業存亡の危機的事態と言わねばなりません。このことが農村社会の崩壊と食料の安全そして安定的供給を根底から崩そうといたしておりますし、環境の破壊にも大変な状況を招いておるというふうに思います。
 さらに、農業従事者の減少傾向は質、量ともに歯どめがかからず、新規就農者にあっては皆無に等しく、高齢化に拍車がかかっております。また、それに追い打ちをかけるかのように、長年続いた低価格政策で経営が立ち行かないため、担い手や経営主までが兼業化や離農を余儀なくされ、農村の美徳と言われた連帯感すらなくなりつつあります。
 一方、国の示す新農政プランは、農村の現状を直視することなく、問題未解決のまま大規模経営志向を一層強めつつあり、このまま推移すれば集落機能や農地の管理、保全等は不可能と言わなければならないと思います。仮に、企業的農業が残ったにしても、集落機能や農家・農村は崩壊したに等しいと言わねばなりません。
 そこで私は、世界的に変革期を迎えた今日、政治、経済を含め国として見直しをし、とりわけ経済、産業構造のあり方について、原点に立ち返り、農業・農村とは何か、食料確保の重要性を国として位置づけながら、健全な二十一世紀を子孫に引き渡すための努力が必要だと思います。そのために、自然と人間のかかわりや、農業がもたらす公益的機能、そして食料の安定供給と安全性等の重要性を国民の共通の課題としてとらえながら、義務教育の場や、あるいはまた国民の各界各層から十分に理解していただける国の措置が肝要であろうと思います。その中で新鮮で良質かつ安全な食料を安定的に供給でき得る施策を講じ、国内農業の充実を図るべきと常々考えておるところでございます。
 このたびの農業基盤強化関連の法律制定は、目的の中で述べられておりますように、「効率的かつ安定的な農業経営を育成し、」もって「農業の健全な発展に寄与する」とありますが、そのために農業基盤の整備強化を図るといたしましても、肝心の経営の基本要因となります自給率や価格政策等の方針、特に国境措置について国が方針を明らかにしない限り、どんな立派な法律を制定しても農家は積極的に取り組みはしないと思います。そして、内外格差是正に力点を置かずに、国内法に基づいた措置を講ずることが急務であると思います。そのことが明確にならない限り、効率的かつ安定的な経営改善を計画いたしましても失敗に終わることは既に農家は経験済みであり、知っているからであります。
 また、法案では、十年後に百七十五万ヘクタールの農地流動化促進を図るとしていますが、所有権の移転にいたしましても、あるいはまた貸借にいたしましても現地では大変な困難性があろうと思います。それは、農水省が参考資料として提出されております農地価格及び小作料の水準は平均値とはいえども実態に即しておらず、特に平場では通用しない価格であるからであります。
 近年、農家は農地に対する考え方が大きく変わり、資産としてとらえているために、相続をめぐっての争いや、評価及び倍率が上がり相続税にかかわる問題等が多く山積をされております。そのことが集積の流動化等が停滞をしておる要因とも言われております。したがって、合理化法人や認定農家に土地の集積資金や税対策等で優遇措置を講ずるにいたしましても、移転を前提とした集積は現状では農業経営の採算価格になじまず、不可能と言わねばなりません。
 今日まで農家の中核をなし規模拡大の対象となっておる農家が一番経営的に落ち込んでおり、一方、土地の提供者となっている安定兼業農家は農地を手放す状況ではなく、むしろ定年退職後余裕を持って老後の農業に真剣に取り組んでおり、農村では新しいスタイルの構造変化が芽生えております。それらの皆さんは、むしろ兼業農家が一定の規模拡大を望んでおるのが現地の実態であります。
 その意味で、効率性や利潤追求を優先させることよりも、地域のコンセンサスを基本とした地域振興計画を優先させ、地域をどう守り、農地管理や環境保全を含め、地域の総意によって活性化を図ることが不可欠であり、また積極的に地域ぐるみで取り組むことによって必ずや地域に新しい方向が生まれるものと思います。
 そして、それらのソフト事業に財政措置を講じ、その計画実施に当たっても、条件緩和を図りつつこれまでの原料生産提供の農業ではなく、加工等で付加価値をつけ、流通も含めた総合的な地域活性化を図る国の財政措置が望まれております。そして、認定農家や法人化組織だけを優先することなく、地域全体が参加し、かかわり合いを持つことのできる公益法人設立導入の法的措置も必要であろうというふうに思います。法案制定によって法的矛盾や末端におけるトラブル発生の要因となる可能性が多く山積いたしておりますことを心配するものであります。
 例えば、農用地利用増進法は、自治体の首長の公告行為によって貸借だけでなく転用も可能であるために、農地を管理しておる農業委員会との間に問題が生じたり、また土地の提供者が農業者年金の停止命令を受けたり、あるいはまた譲渡によって譲渡税で代金の大半を吸収される等のいろいろな問題もあります。したがいまして、これらの関連法案の見直しが必要であろうと思います。
 そしてまた、認定農家選定に当たっては、規模だけにこだわらず意欲のある者が選定される柔軟な対応策を望むものであります。過去の農業委員会の農地あっせん基準は耕作規模を基準に置き、一定規模以下の意欲ある者を無視してきた傾向があるように思われます。適格者認定には意欲のある者を優先的に扱うなどの措置が必要であろうと思いますので、法的条件の整備を願うものであります。
 農業の性格からして、デカップリングの必要性や公益的機能の還元策等も立法化を進めていただきたいことも申し上げておきたいと思います。そしてまた、環境保全型家族農業の重視を考えつつ、押しつけでなく、地域、農家の主体性を重んじながら生き生きとした地域振興が可能な法的条件整備を望む次第でございます。
 最後になりましたけれども、二十一世紀には世界的な人口の増加と農地の減少により食料不足が予想されております。このような事態が招来をしないように国会議員の先生方から十分な御論議と対策をお願い申し上げまして、一農民の声として発言をさせていただいた次第であります。
 よろしくお願い申し上げます。
#10
○委員長(吉川芳男君) ありがとうございました。
 次に、山口参考人にお願いいたします。山口参考人。
#11
○参考人(山口力男君) ただいま御指名をいただきました山口でございます。
 私は、熊本県の阿蘇町というところで米をつくりながら牛を飼い、百姓をやっておるわけでございます。時期柄まだ田植えも終わってはおりませんけれども、御指名をいただきましたので、こういう機会というのはめったにございませんから、田植えどころではない、とにかく出かけていこうということで参りました。ふだん着なれない背広を引き出しまして着てまいりました。
 ただしかし、初めての体験でございますものですから、ある程度会場なりきちっと見ておかないと、上がって全く物が言えないでは後に悔いを残すということで、実は昨日から参りました。こういうような神聖な場でもございますから、果たしてひげ面で入れるのかどうかというのは非常に不安を覚えておりましたけれども、食糧庁長官を見まして非常に安心をしたような、そういう思いで出かけてまいりました。
 私は、こういう場を設けていただいた先生方に対して、まずは冒頭にきちっとお礼を申し上げなければならないと思いますけれども、現場の百姓の一人として、こういうようなところでその思いの一端なりを述べさせていただくことに対して深い感謝を申し上げたいと思います。
 私は、ここへ出かけてくる前に、実は尋常農業小学校というのを今度開校いたしました。これは別に文部省の認可を受けておるわけではございません。今度出されました新農政プランの中に、非常に私もここで感銘を受けておるわけですけれども、農業というのは必ずしも効率だとかそういった側面からだけで律することには無理があるんだということが明記されてございます。少なくとも、そういう効率だとかあるいは利便性だとかいうような社会の価値感以外に、もっと価値あるものである、もっと別の価値を見出すべきであるというとらえ方から、それはやはり国民に対してそのコンセンサスを得るんだと。
 実は、昨日の先生方の質疑応答を聞かせていただいて、その中でも国民のコンセンサスという言葉がよく出てまいりました。しかし、我々現場からすれば、そういうような効率だけではない農業の価値というものをどう国民に理解していただくか、あるいは理解していただくための方策としてじゃ具体的にどういうものが考えられるのかというのが常々疑問点として残っておりました。
 ならば、ささやかであってもみずからそのことを実践すべきである。田植えのさなかにあって、それを一時やめてまで農業小学校をやるというのは、そういうようなねらいも一つにはございました。あえて我々が、ただ米をつくることだけに専念できなくて、そういうようなことまでやらなければならないという実情をまずは理解していただきたいというふうに考えております。
 それと、マスコミも含めて、この間の農業政策含めて農業事情、農業状況の流れの中で、現場の百姓は何をやっておるんだ、こういうような国際化社会の中で自助努力を含めてあるいは自立をする方向に向けてなぜ努力をしないという声があることも十二分に承知をしております。しかし、あえて私どもの立場から言わせていただくならば、今度の新農政プランにうたわれておりますような形の、いわゆる担い手としての集団化というか経営体というか、法人化とか含めてございますけれども、我々はこの仕事で生きていかなくちゃならぬということで必死です。ならば、ただ手をこまねいているだけではなくて、法人化した方が有利であり、あるいは土地の集積できるところは集積をしながらやれることは懸命にやっておるんです。
 言うならば、今度の新農政プランは別に目新しいものではなくて、そういうものが効果的であるというところの地域の農業をやっている人の中で、意欲のある人はもう既に取り組んでおると思います。私も、確かにまだその実効といいますか成果を上げるには至っておりませんけれども、三年前に法人化をしました、有限会社にしました。それは私の地域の中で米をつくり続けるためにはそれが有利であるということでやったわけであって、新農政プランの中でそういうのが出るなんということはゆめゆめ知りませんでした。しかし、そういう形で私はやっております。
 今、我々の中で一番心配しておるのは、そういうような新農政プランの推進をやりたくてもできない地域をどうするんだということについて、ここでやっぱりそのことについてお伺いしたい、そういう気持ちがいっぱい私はあると思うんです。
 私は、正直申し上げまして、先生方があれほど真剣に質疑応答含めて討議をなさっておるというのは軽い驚きでもございました。私どもは、お互い百姓同士で話しているとき、あぜ道で何を言っているかというと、我々に対しては地元では選挙民向けにああいうふうに言っておるけれども、恐らく東京へ行ったらほとんど農業のことなんかやってないんじゃないか、あるいは霞が関で農業に対してプランを練ったりするそういう立案をする官僚の人たちというのは、実情を含めてほとんど何もわからないまま机上でもってプランを立てる、単なるそれだけのことじゃないかというようなことをよく話題にします。しかし、きのう参りまして、必ずしもそういうようなことはないという、その一端を見させていただきました。本当にありがとうございました。並びに、これならばまだやれるという、多少お世辞も含めて、これならばやれるという思いもしたことも事実ではあるんです。
 しかし、現場では、どっちにしろそういうような為政者の先生方だとかあるいは官僚の皆さん方に任せておってもおれたちの将来なんというのは恐らく見えてはこぬということが話題になっておることも事実なんです。これは、私は帰りましたならば、早速、必ずしも軽率にそういう発言は控えにゃならぬぞと、実際参議院の農林水産委員会の中であれだけやっておられるということはそのまま私は報告をせにゃならぬというふうに考えております。
 ですから、新農政プランというのは別に目新しいことではなくて、あのプランに沿った形でやるべき人はやっておる。しかしやれない人をどうするんだというところが問題だということを先ほど申し上げましたけれども、それをフォローするという意味合いでいわゆる新農山村地域指定というのが私はあるんじゃなかろうかというふうに解釈をしております。
 ところが、それではその新農山村地域という指定を受けた地域であのプランを実行する場合に果たしてできるかというときに、私はなかなか容易ではないと思っております。
 まず、法人化しようにも法人の構成メンバーがいないわけですから、そのあたりをどういうふうに考えられておるのかという疑問が残ります。
 それともう一つは、たしか三法案含めて関連法案十一法案でしたか、その改正なり含めてそれを読ませていただきました。読ませていただきましたというのは格好いい言い方でございまして、農水省の方から資料を送っていただきました。説もうとしておったら五分ぐらいで眠ってしまいました。なかなか難しくて読めないという部分もあります。
 しかし、大体がいつまんで素人ながら解釈をすれば、非常にうがった被害妄想的な感覚になるかもしれませんけれども、あの全体的なプランの中で、もうこれ以上今の百姓、今の我々に対して、農業をあるいは農村社会を担ってもらうというのには多少無理がある。ならば、新しい農業というか新しい百姓を参入させなくてはしょうがないんじゃないかというようなものがあのプランの中にあるんじゃなかろうか、そういう心配をしております。それが具体的には、例えば株式会社でありあるいは法人格の中に農業以外の人の参入だとかというのも含めてあるのかなと。
 もし万が一にもそういうようなことがあるとすれば、ちょっと待ってくださいと。まだまだ我々百姓はあきらめたわけじゃないんです、自分の手で地域の農地を担いながら、自分の手で農村集落の機能を何とか維持するために踏ん張るという意欲はまだ残っておるわけですから、ですから、そついう意味合いでは中山間地域対策という意味でのあの新指定という部分について、もう農民では無理だろうから農民以外にということはもう少し待っていただいて、もう少し我々にやらせていただきたいというのはございます。
 それで、我々でもうできないということであるのならば、例えば中山間地域の農地を農業以外に、あるいは中山間地域を地域以外の人が担うということがあっても私はやむを得ないかなというふうに思っております。しかし、その際にしても、もしそこで出てくる利益があるのならば、その中山間地域に利益がきちっと還元されるような形でこれを行ってほしいという願いもあわせてございます。
 私は、出てくるときに、ただあぜ道でお互い百姓同士でいろんな愚痴を含めたそういうことをとうとうと述べておってもしょうがない、めったにないこういう機会に、たくさんのことを常日ごろ思っておることを含めて申し上げたいという気持ちで出てはまいりました。しかし、出てきたら十分でやめろということでございました。思いはいっぱいありますけれども、そういうような全体的に法案の文言について是だ非だと言うことは私にはできません。
 しかし、この法案の持つ意味として、今のようなことを私どもは考えながら、危惧するところが危惧で終わり、ねらいどおりの、うたわれておるような文言どおり地域が活性化し、我々百姓があすに希望をつなぎながら本当に意欲的に取り組んでいけるような、そのきっかけにこの法案なり新農政がなってくれるものと期待しながら、一応私の意見の陳述を終わらせていただきたいと思います。
 よろしくお願いいたします。
#12
○委員長(吉川芳男君) ありがとうございました。
 以上で参考人の方々の御意見の開陳は終わりました。
 それでは、これより参考人の方々に対して質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#13
○菅野久光君 社会党の菅野でございます。
 本日は、御多忙の中、それぞれの立場での貴重な御意見をいただきまして、本当にありがとうございました。
 私の持ち時間は十五分程度ということですので余り時間がないんですが、昨年六月発表されました農林水産省の「新しい食料・農業・農村政策の方向」、すなわち新農政と称される方向の具現化の第一歩として、今回三法律案が提案されました。
 今日の日本の農業は、先ほどから皆さん方述べられておりますように、条件不利地域、いわゆる中山間地の問題だとかあるいは担い手不足、高齢化、耕作放棄地の増大、そして内外価格差の縮小の名目のもとに農産物価格の引き下げまたは据え置きによる農家経済の悪化、加えて、ガット・ウルグアイ・ラウンドによる自由化問題等々、まさに日本の農業は危機的状況にあるのではないかこれを何とかしなきゃいけないというのが私どもの気持ちでございます。
 本日は、行政やあるいは農業団体、そして直接農業に携わっておられる皆さんにおいでいただきましたので、それぞれの立場から、今最も農政に求めたいものは何か、たくさんあろうと思いますけれども、そのうちの一、二点、大変申しわけないんですが、お一人二、三分程度でお述べいただければ大変ありがたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
#14
○参考人(小林勝彦君) 行政の立場から申しますと、今まで農政というのは全部の農家を同じように扱ってまいりました。先ほどそれぞれお話がございましたとおり、いろんな形がございます。大きな規模を求める者、また自分の生きがいを求める者、また、老齢化しておりますけれども自分の農地をしっかり守ろうという人たち、いろんな人たちに対して一律の扱いをされてまいりまして、このことでいろんな形で農村がゆがんできたと思うんです。ですから、私はこれからの展開の中で、どうしても大規模ないわゆる企業的な農業も必要でしょうし、そういったものを中心にしながらモザイク状の中で地域がいろんなものが支え合っていく、そういう多様な農村が展開をされていくだろうと思います。
 特に、私ども北海道という立場より考えますならば、一番の課題は、先ほど申しましたとおり農地の集積をどうするのかという問題でございます。分散錯圃の状態を解決して効率的な農業経営をするために、思い切った交換分合を中心にした農地の集積を含めて、そして規模のあるものに高めていく。と同時にまた、いろんな形で苦労している農業の零細なものに対していろんな点の配慮をしながらその人たちの生き方を支えていく、そういう多様な展開が必要だと思います。
 農地の問題、農地の集積化の問題等含めて、山間地域の対策もございますけれども、農村の多様な対応という問題をもう少し現地の町村なり農業委員会が具体的に展開できるような方策を考えていただきたい、このことが当面の一番の課題でございます。
#15
○参考人(池田昭雄君) 端的に申し上げます。
 農地の問題等につきましては後で先生方からの御質問等もあろうと思いますけれども、私は、農業の中の若者とか女性の個人の確立といいますか個の確立というのが一番大事なことだ、現在考えなきゃいかぬことだと思っております。
 経営体をどう育成するかということと同時に、家庭内の、従来の生業的なものもございますけれども、例えば休みもとれる、そして一定の報酬もいただける、こういうことをやるためには、やはり家計と経営の分離をしながら法人化なり経営の確立が必要だと。そういうためにも、現在、農業・農村におきまして特に若者と女性が家庭内において個の確立を求めるには、やはり経営体をどう育成していくかということなしには将来の農業の展望は出てこないということを私自身は考えておりますので、そこのことをこれから大事にしていきたいということでございます。
 今回の法案の問題につきましても、法人なり、私どもは家族協定農業の問題を推進しようと考えておりますけれども、そのことは先ほど申し上げたこととも関連する問題でございます。
 以上でございます。
#16
○参考人(石倉皓哉君) 私は二つあります。
 まず第一点は、先ほど冒頭の意見開陳の中でも申し上げましたように、仮称でございますが、農業法のようなものが制定できないか。これは何も法律をつくれというのが目的じゃなくて、要は農業者が将来に対する展望を持てる、ここにぜひ着目して農業法の制定ができないか、こういうことを申し上げているのであります。生産現場に行きますと、農業者は将来展望が見えない、将来に対する不透明感、不安感が増大している、ここを一番強調されるわけでありまして、したがって将来展望を明確にしてほしい。
 それから二点目は、やはり価格政策あるいは所得政策をきちっとやってほしい、こういうことであります。
 例えば、米価水準は昭和五十一年の水準であります。私どもは、毎年毎年価格を下げられる、たまったものじゃない。毎年毎年上げろとまでは言いませんが、とにかく価格を安定させてほしい。所得政策につきましては、平場のような地帯と中山間地を比べた場合に、どう逆立ちしても規模拡大とか生産性の向上は中山間は無理なんです。農家の怠慢じゃないんです。そこで、そういう中山間地域に対しては、あるいは条件不利地域に対しましては、環境保全とか国土保全とか美しい農村の自然の景観を守る、そういう点に着目するといいますか社会的機能に着目をして、そういう地域に所得政策を導入できないか。大変難しい課題でありますが、粘り強く追求をしていただいて、どうしてもそういう中山間地域対策には所得政策を導入していただきたい、この二点であります。
#17
○参考人(関川金吾君) 私は、農業・農村問題を解決するには、何としても農業で食える条件をつくることが問題解決の大きな要因だというふうに思います。
 そこで、まず一つは、今もお話がありましたけれども、農家の皆さんが農業に従事をしながら将来への展望が持てる、こういう農業政策をまず国から示していただくことだ、こう思っております。
 第二番目としては、やはり農業で食えるためのいわゆる価格政策を私は国の方針ではっきりと打ち出していただきたい、こう思っているわけであります。
 特に、私は米作の単作地帯でございますので、つまり自助努力によって価格を自分で決定をするというわけにはいかないわけであります。そういう意味で、私ども蒲原平野の中での農家の所得というものを見てみましても、大体税法上から見ても農水省の統計等では所得率が六〇%と言っておりますけれども、実際の標準外経費等のいわゆる減価償却等を引いでいきますと、可処分所得というのは十アール当たり大体三万かそれ以下、こういうのが実態なわけであります。これでは実際に農業をやってそれで生計を立てていこうといっても無理な話でありまして、そういう意味ではデカップリングの導入だとかあるいはまた環境保全の還元策、こういうふうなものもあわせて農家の所得を維持できるような、そういう価格政策を私は樹立していただきたいというふうに思っております。
#18
○参考人(山口力男君) 私は、新農政プランの中にもありますけれども、果たして経済的な条件の確立というか獲得だけで若い人がこの職業に殺到するのであろうかという疑問を持っております。それ以外の要素も含めて、担い手という場合に、これを確保するあるいは農業をやる人を確保する場合には配慮して考えていかなければ本当の対策にはならないんじゃなかろうかという思いを持っております。
 そう言う一方で、きのうの先生方のやりとりを見ながら大体その雰囲気は感じ取りましたけれども、今度の新農政プランというのは、三十六年の基本法にかわる、言うなれば我々百姓にとってのバイブルというかよりどころとなるような法律であるのかどうかというのが一つ大いなる関心事としてあったわけですけれども、どういうようなとらえ方かというのは先生方のやりとりで大体わかりました。
 願わくは長期にわたってこれを支えとして我々が頼っていけるような、法制度を含めて、新しいそういうようなバイブルになるような、よりどころとなるような何か柱が私は欲しいということだけをまず申し上げておきたいと思っております。
#19
○菅野久光君 大変ありがとうございました。
 時間が余りありませんので、行政の立場で小林参考人にちょっとお尋ねをいたしたいんですが、いろんな施策が霞が関の方で出されてきて、それぞれの市町村でそれをどうやっていくかというときに、私がいろいろ聞いているのは、どうもいろいろ枠がはめられて市町村の独自性といいますか、こういうところはこうなればいいんだが一つの枠があってなかなかできないとか、せっかくやられてもそれが十分にできないというようなことで地方の行政としては非常に困るというような話を聞いたことがあるんですが、そういう点についてどのようにお感じになっておられるか、率直な御意見をひとつお伺いいたしたいと思います。
#20
○参考人(小林勝彦君) もちろん、現場の中ではいろんな課題もございますしいろんな規制もございますが、それぞれの町村が、人まねではなしに自分の町で何がやれるのかという問題を中心にしながら、結構現場ではこれをそしゃくしてうまく活用しているというのが現状だろうと思います。
 ただ、私ども一つ言えますことは、今の日本の、特に私たちの町の農業の担い手は戦後ベビーブームの人たちだったわけですから、既に四十代半ばに立っています。彼らは、生まれてから初めて去年から転作が緩められましたので、自分らしい農業経営ができるようになりました。それまで親の代を継ぎまして二十年間近く、ほとんど手と足を縛られた形での農業経営をやっておった。そのもどかしさを我々現場の首長といたしましては常に感じながら、一緒にこの問題を苦しみながらやってまいりましたけれども、少しその桎梏は解放されてきた。これからやはり自分たちの力に合わせた、そして新しい展開をしなきゃならぬということでございます。
 そして、中央省庁にいろんなことを文句を言いましても、自分たちがどうして自分の町の中におけるセクショナリズムを克服して、どうやって有機的に展開をしていくのかこのことに知恵を絞らなきゃならぬ時代が来たなと、そんな点で首長としての責任の重さを感じております。
#21
○菅野久光君 終わります。
#22
○谷本巍君 初めに、池田参考人に伺います。
 先ほどの池田さんのお話ですと、十年間に相当膨大な農地の流動化というのを見込んでいかなきゃならぬ。とするならば、それにふさわしい推進組織の整備が必要ではないかというお話がありました。ここに農林水産大臣がおったら随喜の涙を流して恐らく喜んだろうと思うんです。
 私が伺いたいのは、農家にとってそれが一体どうなんだということです。例えば、これまで構造改善事業などをやりますというと、農家からはね返ってくる声は、借金だけ残る構造改善事業というお話が多かったんです。なぜそうなるか。価格が下げられて目算が狂ったということもありますが、やはり規模拡大、資本装備をやった後の技術経営管理、これに問題があったという例が結構多いのです。
 そうした問題とともに、これから非常に大事になってくるのは、地域性を生かした農業ということだろうと私は思うんです。そういう問題で、例えば技術問題を見てみますと、戦前などの場合ですとかなり民間主導型の技術開発があった、地域的技術というのがあった。ところが、戦後、特に昭和三十年以降にはこれはほとんどなくなってくるんです。これは国や県庁の技術指導が中心になってしまったためですよ。そうして見ますと、技術問題一つにしても、もっとやはり民間の力といいますか地域的な力といいますか、そこのところをどう出していくのかということが私は大事になってきたと思うんです。
 戦前の民間の場合の技術開発にしたって、困難な時代の中でそれが生まれてきているんです。ですから、そういう意味でも推進組織というのがどうも必要になってきているんではないのかと私自身は思うんですが、その辺のことを含めてもう少し詳しくあなたの考え方を述べていただけませんか。
#23
○参考人(池田昭雄君) 認定制度をつくり、そして新しい経営体をつくり上げていく、こういう今回の経営構造立法なんですけれども、先生おっしゃった点が一番大事だと実は考えています。つまり、集落の中でいろいろ話し合いが行われまして、そして税制なり資金の支援もする、こういうことだと思っております。
 それで、私はそのことについては二つ問題があると思っていますのは、一つは、そういう核になる人たち以外の問題はこれは別の問題がございますからまた後で関連してお答えしようと思っていますけれども、例えばそういう人たちを認めて支援する、こういうことになりますと、一つは例えば農地の流動化問題がございます。これは市町村段階でできる問題でございます。例えば農地銀行活動等を通しましてそういう方を経営体として伸ばしていくためのいろいろな対応というのは市町村段階で出てくる、こう思っております。
 それからもう一つの問題は、先生おっしゃいましたんですけれども、実は経営指導とかそういう問題につきましては、今度のこの法案の中身といたしましては十分顔が見えできていない。つまり、市町村段階だけでこういう問題の御支援を申し上げる経営指導の問題等については大変だと実は考えています。そういう意味になりますと、市町村の中で、いろいろと組織もございますから、それを連合でいろいろ相談しながらやるということはいいんですけれども、そればかりですと、県段階の例えば今まで法人の管理指導をやっておった関係者とかそれから自立経営の経営管理指導をやっておった関係者とか、そういう関係者の支援を得ないと、市町村段階であと経営管理をどうするんだと言いましてもとまどってしまう。こういう問題で、まだ今の状況は、それぞれ経営指導の問題まで市町村段階へおろしますと未成熟だと私は思っています。そこまでいっていない。ですから、中で皆さんで集まってうまいこと相談してやってくださいよということだけですとやはりだめだと思っています。
 したがって、市町村段階でやれる経営管理の指導の仕方と、県段階から御指導いただくといいますか、県段階からありますので、そういう関係者の御援助がどうしても必要になってくるんじゃないか。その辺を、何とはなしに市町村でセンターをつくるとか協議会をつくるとかというぐらいの話ですと、認定したんだけれどもあとどうするんだということになってしまいます。したがいまして、そういうことがないようにということでございます。
 それから、第一点で申し上げました農地の流動化問題につきましては、私は、百七十五万ヘクタールをおっしゃるようにやるというわけですから、これはただごとでないと思っています。ですから、どういうふうにその核をつくって、私どもは農地銀行が今までの経験に照らして大事だと思っておりますから、そういうのを核にしながらぜひやりたいと思っていますけれども、かけ声だけじゃいけませんので、そういうことを、推進体制の問題をこれからどういうふうにしたらいいのか。つまり、構造の問題と経営を一体的に考える組織を市町村段階でもどういうふうに構築したらいいのかということが必要になってくる。こんなように実は考えておるわけでございます。
#24
○谷本巍君 次に、石倉参考人に伺います。
 先ほど石倉さんが言われました農業法ですね、五年ぐらいを想定してのようですけれども、これはぜひひとつやっていくべきじゃないかと私も思うんです。
 そこで、伺っておきたいと思いますのは、これは全中さんのこれからの重要な運動課題の一つにしていかれるのかどうかということがまず第一点。
 それからもう一つ伺いたいのは、先ほど石倉さんのお話の中で、特定農山村法案は一歩前進だと評価しながらも、財政措置などから見ると十分とは言えぬというお話がございました。私もその点は全く同感であります。御存じのように、衆議院段階では既に一定の法案修正を行いました。必要に応じ所要の措置をこれから講ずることにしようということで、それも法案の中に字句修正で入れたという経過があります。
 したがって、もっと強力な措置をどうやっていくかというのはこれからに残された課題だと思っているわけです。そういう意味では、西欧のようなデカップリングの手法もあります。あるいはまた、直接所得補償以外の方法としては、例えば第三セクターなどがやっております農林地の管理ですかこれについて人件費の補助だってできるじゃないかといったような考え方等々が出ておるわけです。そうしたこと等についてあなたがどういうふうにお考えになっておるかあるいはまたこういう方法もあるんじゃないのかという点がありましたら、ぜひお聞かせいただきたいのです。
#25
○参考人(石倉皓哉君) まず、最初の農業法の問題でありますが、実は、先ほど言いましたように、ことしの一月から三月、約三カ月間かけて組織討議を全県であらゆる機会で議論していただいて積み上げてまいりました。その意見集約の結果は、大勢は非常にこの農業法いいじゃないかという評価をいただいているわけでありますが、同時に、組織の中の意見としましても、考え方は大いに賛成だけれどももう少し慎重にかつ掘り下げた検討をしながらこの問題を考えたらどうかこういうふうな意見になっております。
 そこで、実は本日の参議院の農林水産委員会におきましても、十分御審議いただいて、政府の方に大いに激励、ハッパをかけていただきたい、こう思っておりますが、運動論としてどうするかということにつきましては、今後の政府や国会の動向を見ながら、また組織のそういう意見もありますので、慎重に再度議論をしていきたい、こういうふうに思っております。
 それから二点目の、言ってみればデカップリングといいますか所得補償制度につきましては、実は農政審議会の中間取りまとめの段階で二つに意見が分かれているんです。一つは、日本型の所得政策の導入につきまして引き続き検討したらどうかということと、もう一つは、今回の中山間地立法を実施した上で必要ならまた考えたらどうか当面は今回の施策で全力投球してみよう、こういう意見に集約されたわけでありますが、最後に中間取りまとめの議長としまして今後とも幅広い政策努力を要望するという意見が付加されておるわけであります。
 そのことは何を意味しているかというと、非常にこの問題は重要であると同時に、なかなか難しい課題であるなということの認識の別の表現だと、こういうふうに受け取っておりまして、私どもは、所得政策には不安定な支給や最低限の生活を保障するものであれば効果が期待できない、支給方法が不適切であれば受給者の誇りを奪いかねない、根拠があいまいであれば国民の納得は得られないなどのいろいろ問題点があることも十分承知をしておるわけであります。そこで、中山間地域等を対象に国土・環境・景観保全等に資する活動への助成とか、あるいは税、社会保険料負担の軽減とか、あるいは地方交付税制度の拡大運用などの措置をとることはできないのか、そういうことで所得の実質的な確保を期することが適当ではないのかという考え方も持っているわけであります。
 今回上程をされました特定農産村整備法では所得政策への言及が見られないわけでありまして、政府見解に見られるように、国民的コンセンサスの醸成等克服すべき課題は多くありまして、一朝一夕に導入することは困難であることは私ども十分理解できるわけでありますが、将来の導入に向けまして合理的な導入の仕組みを今後さらに模索していただいて、これらの手法の実現可能性や効果の検討に着手をしていただきたいと思っております。本委員会におきましても、議論を深めていただければ大変ありがたいと思っております。
 いずれにしましても、いわゆる所得政策の導入に当たりましては、やはりかたい国民の合意、理解と協力が必要である。したがって、国民を納得させるに足る十分な理論といいますか筋道と内容が不可欠である。それから、ECの制度についてもですけれども、本当に我が国の風土にマッチさせるにはどうしたらいいかという、ECの制度も日本版に直してみて、さらに説得力を持てるような研究をしてみる必要があるんじゃないかということであります。
 今回の法案に所得政策の言及がないことは残念でありますが、先ほど言った考え方で粘り強く今後とも検討して、ある一定の考え方がまとまれば、実験的でもいいじゃないかということで導入して、それがうまくいけばさらにこれを面的に拡大する、あるいはまた考え方の内容を深めるというような方法がとれないか、そういうふうに考えております。
#26
○谷本巍君 ありがとうございました。
 私の持ち時間、あと五分になってしまいました。最後に関川参考人に伺います。
 先ほど来話も出ておりますように、今回の三法の中での論議の一つになってきておりますのは、一定の限度は設けているとはいえ、企業が農業生産法人に参入することができる道が資本参加という形で開かれるということが論議の焦点になってきております。その点についてあなたがどう考えておられるかということをひとつお聞かせいただきたいということであります。
 それからもう一つは、関川さんがおられる地域というのは、新潟という地方大都市の近くの市でありますから伺いたいのでありますが、地方大都市の近くというのは、大都市で土地を高く売って、今度はその金でもって近隣で農地を買ってかなり大規模な農業をやるという例があるんですね。そういう例を御存じであったらぜひお聞かせいただきたいのは、そうした別な地域からやってきた規模拡大組、これと地域農業というのがうまくやることができるのかどうか。といいますのは、企業型農業というのが登場することになってきた場合には、今出てきているその種の問題がかなり先を見ていく上で参考的な事例にもなっていくわけでありますので、そうした点がありましたら、ひとつお聞かせいただきたいということです。
#27
○参考人(関川金吾君) まず、谷本委員の御質問の中で、企業が資本参加をした場合にと、こういう御質問だと思います。
 現在の農業、今までは原料生産が主であって、しかもまだ農家というのは生産だけにいそしんでおって、それをどう有利販売するかについて確かに認識が浅かった点はあったと思います。それだけに、生産されたものを農家自身がどう有利販売をするかということについてこれから十分研究をしていかなければならない時代だというふうに思います。そういう意味では、企業から法人の中に参加をいただいて、流通の関係等々のものをより前進させるという意味では一定の評価をするわけでありますけれども、しかし、長年の農家の経験からいたしますと、順調に法人なら法人が経営が成り立って推移をすれば問題はないというふうに思いますけれども、仮に思うように推進を図ることができないということになりますと、結局は資本にすべてを奪われてしまう、そういう結果になりはしないか。これは今までの経験からして私はそう申し上げなきゃならぬと思います。
 第二点目の関係について、都市近郊の農家の皆さんが、つまり地価の安いところを求めて農業経営の場を求めてきておる実例はあるのかないのか、こういうお話でございますが、私どもの地域にも確かにございます。しかし、それは農業委員会等のいろんな問題等もございますし、あるいはまた地域とのコンセンサスを得ることがなかなか難しい状況であろうというふうに思います。
 しかし、私どもの地域の場合については、一応純農家でございますから、そういう意味では、私どもの地域の皆さんの意向というものも受け入れていただいておりますけれども、これが先ほどからいろいろと言われておりますような企業資本を含めた形のものだとすればまた違った形が出てくるんではないかこう思いますので、その辺は慎重にこの扱いについてお願いを申し上げなきゃならぬと思います。
#28
○谷本巍君 終わります。
#29
○三上隆雄君 参考人の皆さん、日ごろそれぞれの組織で、そしてまたそれぞれの経営で模範的な立場で努力されていることに心から敬意を表したいと思います。なおまた、きょうは大変お忙しい中、こうして御出席をいただいて私どもに御助言賜ることにお礼を申し上げます。
 大変これは失礼な聞き方になると思いますけれども、山口参考人にまずお尋ねしたいと思いますが、もしや山口さんは、全青協の委員長をやられた山口さんですか。
#30
○参考人(山口力男君) はい。
#31
○三上隆雄君 そうですか。私もかつては農協青年部の県の委員長をして全青協の役員もやった一人でして、一先輩として参議院にこうして籍を置いて、日本の農業そして農民を救わなきゃならぬということで、きのうもあのとおり一生懸命やっておりますから、どうぞ機会があったら、ひとつあなたは衆議院で立候補されて当選されて頑張っていただきたい、そのことをまず冒頭お願い申し上げたい、こう思います。
 山口さんに質問しますけれども、山口さん自身が実際に今法人化されて、しかも尋常農業小学校ですかそれをまた開設されて活躍されているということでございますが、その陰に、やれない地域あるいはやれない農家をどう救っていくかという大変貴重な思いがありました。あなた御自身の経営体としての方針と、それほどやれない地域、やれない人を配慮する、その辺の感情というか、それについてまずお尋ねをしたい、こう思います。
#32
○参考人(山口力男君) 私自身は三上先生の名前だけはよく存じておりまして、青年部活動の先輩ということで、御助言ありがとうございました。先生、私は政治家よりも百姓の方が向いておりますので、こっちで頑張りたいと思っております。
 私は、結果として、米はことしの場合には十一町歩ぐらいの作付になりました。これは新農政プランの先取りをして規模拡大をしたということではないんです。十数年前に、このままでいけば恐らく農作業を含めて農業をやる人はいなくなるという思いがあったものですから、新聞にチラシ等を入れまして、あらゆる農作業について私を初め私のグループで引き受けますから、何とか農業だけは続けてくださいということをやりました。そのことをずっと十数年間やり続けた結果、もうこれ以上は、例えばあなた方が稲刈りだけをやってくれるというあれがあるものだから、あなた方にお願いをしながら農業に対する思いが強かったから続けてきた、しかし、年齢的にも七十五を過ぎてしまって、これ以上はもう限界だ。だから、だれかに貸すかあるいは土地を売りたいと思うけれども、長い間手伝ってくれたあなたにまず話を持ってきたというような思い、そういうような要望を含めて、できるだけ可能な限り自分なり自分の周囲でその農地を借り受けたり買い取ったりということをやり続けた結果、十数町歩になってしまった、そういうことでございます。
 私は、基本的に、仮に経営体あるいは法人化による今後の農業というものを検討するに当たっても、法人化の枠というのは少なくとも集落が集落として機能するということが前提になると思うし、その枠の中での法人化だというとらえ方をしております。ですから私は、農業小学校を含めて決して他人のためにやったことはこれまで一度もありません。すべて自分のためにやってまいりました。
 しかし、私の理念というか考え方としては、集落の機能が維持できなくなったりあるいは限界を超えたところへ農家の数を含めて減ってしまった場合、自分の農業ももうやれないという信念があるものですから、自分のためにも集落の機能を維持する、あるいはそれが維持できるだけの農家の数を含めて集落の活力はやっぱり必要である、そういう観点から経営をやってきております。
 法人化したというのは、一つには、やむを得ない事情という形の中で少人数で従来の農地を維持管理する仕組み、システムとしては何が適切であるかということをそれなりに一生懸命考えた結果、生産から販売を含めて農業の枠の中に、範疇の中に入れなくちゃならぬということで有限会社にしたという、そういういきさつもございます。
 ですから、いわゆる他人のそういうようなことができない地域のために私が何かやれるということはないかもしれません。その人たちのためにやるつもりはありませんけれども、その人たちが生き残らなければ私も生き残れないという思いで可能な限りやれることをやり続けていく、そういう方針で今やっておるところでございます。今度の農業小学校では、とにかく農業を理論で語るな、ずばり体験を含めて実践の中でそれを感じ取るという形で農を語ってほしいというのが一つあります。
 この小学校以外に、私は、カルチャースクールとかいう横文字を使いながら、これから数は少なくなってきても、それぞれの地域と事情とを踏まえながらそこで農業をやる若い人たちが懸命に頑張っていけるような、経営者として、あるいは百姓としてのスタイルというか、そういうものを確立するための講座も開きたい。非常におこがましい言い方ですけれども、粗っぽい御説明で恐縮ですけれども、そういうようなものが私の今の経営の状態でございます。
#33
○三上隆雄君 ありがとうございました。
 それでは、北海道の小林町長さんにお願いしたいわけでありますけれども、私どもの認識では、やっぱり北海道は規模の大きい、少なくとも農業生産としては模範的な地域である、そういう認識であると思います。行政の方々も、そしてオピニオンリーダーと言われる人たちでもそういう認識でいると思うわけであります。
 しかしながら、熊本の山口さんも言われた、町長さんも、そういう地域でありながら残された中山間地をどうするか恵まれない農家をどうするかという御発言がくしくもこの中でありました。その地域を維持していくにはどうしたらいいのかという心配、憂いがあるから、そのような発言があると思うんです。その点についての御感想をいただきたいと思います。
#34
○参考人(小林勝彦君) 北海道農業というのは、規模の大きいことももちろんでございますけれども、特に私たちの町で考えて言えば、うちは四千ヘクタールの水田でございますから、新農政が言う二十ヘクタールで勘定しましたら二百戸の農家があれば事は足りることになりますが、それでは地域全体が町としての均衡のある発展ができるのかとなったら疑問が出てまいります。
 ですから、やはりどうしても北海道農業と言いながらも二重構造的な社会が必要でございまして、大規模ないわゆる企業的な経営も存在するでしょうし、同時にまた家族経営を中心にしながら、そこに生きがいを求める、そういう人たちも出てくるであろう。そうすると、規模の大きい地帯だからといって経済合理主義だけで農業社会を割り切るわけにまいりませんので、非常に難しい課題が出てまいります。
 それから、いろんな形で新しく新規参入がなければ地域を守れないのが現状でございますけれども、地域参入した場合における農村社会が村社会として今までのいい協同組合思想的なものが温存できるのかどうか。そんな点で、この新農政がうたいます市場原理という問題と、現場の町を経営する立場からいけば必ずしも問題は一致しないという点が出てまいります。ですから、企業的な経営を伸ばすと同時に、いわゆる従来の個別的な、家族的な零細な経営というものとをどういうふうにバランスをとってやっていくのかというのは非常に大事でございます。
 それから、私たちの町は非常に環境のいいところですけれども、中山間地域がございます。五つぐらいの地域がございまして、二十五年ほど前に集落移転をやりましたら、その地域は完全に残りましたけれども、それをやらなかった地域は全く崩壊をしてしまいました。そして、それらがいろんな形で、転作とかいろんな形の中でやってまいりまして、地域農業は大きく後退したという事実がございます。
 ですから、私たちは、地域の農業の生産性を高め、企業的な農業を育てながら、どうやって町全体の農業を守っていくのか、このことがこれからの非常に大きな課題でございまして、新農政の展開の中においてもそういう複合的、二重構造的な農村社会というものに視点を当てた経営をやっていきませんと、単に過疎を進めるだけになってしまう、こういう問題点もございまして、非常に難しい時期に来ているというふうに感じております。
 ただ、いずれにいたしましても、私たちは、地域の均衡ある発展のために人様の力を受けないで個別な経営を助けながらどうやって発展をさせていくのかということに対して、地域ごとの知恵を絞らなければならない難しい時期になってきた。先ほども菅野先生の質問にお答えいたしましたけれども、そういう考え方の中で、自分の町にふさわしい経営というもの、あるいは農業経営というものと地域を守るという問題とをどういうふうに調和させていくのか、こういう努力が求められるのではないか、こんなふうなことを感じております。
#35
○三上隆雄君 町長さんの冒頭の御発言の中で、規模拡大して企業的な経営と、それを支える農家も必要だという表現をされましたね。今まではそういう形が、大農があって、農閑期には適当な手伝いをして、そして農外収入を得たり、そういう形で地域というものを守ってきた。今新しい新農政というああいう極めて近代的ないわば構想だけは出ましたが、参考人として、あえて支える農家をということは何を意味するんですか。その点、御意見があったらひとつ。
#36
○参考人(小林勝彦君) 何度も申しますとおり、農家の息子だけが農業を継ぐということでは完全な拡小生産になってまいります。農村の崩壊につながります。私たちの町でも、先ほど申しましたとおり、現在の農業の担い手はほとんど三十代から四十代前半の者でございます。この十年間に大学あるいは高校を卒業して新規に農業についた者は五名ぐらいしかございません。北海道の代表的な米作地帯でさえもその状態ですから、やはり農業を守るためにはどうしても新しい血が必要だと。
 しかし、経済合理主義だけで割り切ってそれを進めたら、農村社会がまた崩壊していくという自己矛盾を内包しているという問題。それを、苦しみながら農村社会を守るためにどうやっていくのかということに対する手法という問題をこれからも検討しなきゃならない、そういう非常に重い件務がそれぞれの地域の社会の中には課せられているというふうに感じております。
#37
○三上隆雄君 ありがとうございました。
 そこで、新潟の関川さんにお尋ねしますけれども、きょう五人さんの御意見の中で、比較的合同の法案に対して否定的な御意見を述べられたのは関川さんがどちらかというとそういう見解を述べたと思います。
 しかし、私ども実際農業現場にいて、今までの農業形態ではこれは限界があるなということを感じています。しかも、一千八百時間で他産業並みの生涯所得二億五千万という目標を立てるとすれば、それはできないとするそういう状況の中で、あえてそのことに若干の批判をするということ、その点について参考人はどうお考えでしょうか。
#38
○参考人(関川金吾君) 確かに、現状のままで農業経営を維持することは大変な困難性があることは事実だと思います。それゆえに、いろいろな関連法案を整備しながら地域農業なり農業というものを発展させるという側面的な条件整備というものは必要だと思います。
 しかし、地域農業あるいはまた地域の活性化、農村というものは、総ぐるみの中で地域というものが農業を主体にして形成をされておる、このことを私どもやはり重視をしていかなきゃならぬ、こう思っております。
 したがって、私どもの地域の中では、本来、この流動化を促進するに当たって集積をしなきゃならない皆さんが大変な経済的な困難性に陥っておるわけであります。逆に、この法案等によって土地を提供しなきゃならぬ皆さんは、いわゆる兼業農家でありますから、定年後余裕を持ちながら経営をしているというのが実態なわけです。
 そういう面からいたしますと、例えば末端の集落の農家組合という一つの組織がございますけれども、その役員構成すら体質が変わってきておるというのが実態であります。つまり、六十歳になりますと、今まで農業にいそしんできた方が経営移譲年金を受けながら一線から退かなきゃならぬ。しかし、農業以外に従事しておった方はそれからスタートになるわけですから、そうしますと、農村が大きく体質的にあるいはまた構造的に変わりつつあるわけです。したがって、これから農業というものを本当に地域ぐるみの中でやっていくには、地域全体で創意工夫によって新しい方向を見出していく、そのことを国が財政的にあるいはまた行政的に援助していく、このことが必要ではないかというふうに思います。
 しかし、今までの農業振興等のいろいろな関連のものを見てみましても、いわゆる条件が余りにも強過ぎるがゆえに、なかなか一つのものをやるにしても、結果として自分が予定をしないものまでも導入をしながら一つのものをまとめていかなきゃならぬ、そういうつまりいろいろな制度があったわけです。そうではなしに、これからはメニュー方式で、それらの創意によって、一つの方針が出たとすれば、それらのものを主体性を持たせながらバックアップしていく、そういう法的な措置が必要ではないかと私は思っております。そうすることによって、地域農業あるいはまた地域ぐるみの中で農村というものは生き返っていくのではないか、原則はわかりませんけれども、私はそういう夢を持っておるということでございます。
#39
○三上隆雄君 それでは、農業会議所の池田専務さんにお願いしたいと思います。
 こうして見ると、今までのそれぞれの参考人の御意見を聞けば、経営体をつくる、共同化する、規模拡大する一番のガンになっているのは農地の集積が困難だということだと思います。その意味で、実際農業会議所は今まで農地の流動化を促進してきた立場にあったし、よりその役割が重大化、重要化すると思うわけでありますけれども、それに対する考え方はどんなものでしょうか。
 あわせて、農地銀行なり農地保有合理化法人との関連等も含めて、現状と将来についてお答えをいただきたいと思います。
#40
○参考人(池田昭雄君) 私どもの組織は、今まで農地の流動化対策を一生懸命になってやったわけでございますけれども、これからもどんどん組織努力をしなきゃいかぬと考えております。
 一つは、農地銀行の問題について今の状況はどうかということと、農地銀行の問題と保有合理化の公社との関係がどうか、こういう二つの御質問でございますが、実は農地銀行は、流動新法ができました五十五年から農地銀行ということでつくり上げてまいりましたのは、まだそのころ農地のアレルギーといいますか、返ってこないんじゃないかということがあったものですから、農業委員会がやればそれが保証人になるからということで安心をしてもらうということが農地銀行をつくった第一点でございます。
 それから第二点は、流動化の方向性を、農業委員会は公的な機関でございますから、農地銀行ということでつくり上げる、こういうことでやってまいりました。三上先生御承知のとおりです。そして、現在は農地の出したい人、借りたい人という情報を農業委員会の中で農地銀行の中に持っております。そういうことでやっております。
 そこで、問題点でございますけれども、農地銀行は、御承知のとおり農業委員会は合議体に基づく組織でございますから、実施機関ということにはなっておりません。権利主体にはなれないわけでございます。したがいまして、おのずから農地銀行活動も限界があるということで承知いたしております。それでも努力はいたしております。そういうことでございますので、これからは農地銀行活動をもっと実践的に、具体的に成果のあるようにしなければいけない、こういうふうに実は考えております。
 そうなりますと、県の農地公社といいますか保有合理化法人との連係プレー、今でも連係プレーはやっております。つまり、県の農地保有合理化法人は手足がありませんので、これを農業委員会が委託関係におきまして一定の役割を果たしておりまして、村内で貸借がある場合にはその段階で処理いたしておりますが、必要によりまして所有権移転の問題が出たときには県の公社に上げましてやっていただいている、こういう連係プレーを現在やっております。
 これからは農地の借り入れなり貸借なり、そういう問題が非常に実効性を上げなきゃいかぬというふうに考えておりますので、先生お尋ねの、今後の問題はどう考えたらいいかということにつきましては、先ほど谷本先生へのお答えに十分お答えできなかったわけでございますけれども、農地の担い手にできる限り集積するといいますか、そういうことをやるためにも何らかこれから推進体制、推進組織の問題を考える必要がある。私は、保有合理化法人の持ちます保有合理化の機能と農業委員会で持ちます農地調整機能を一体的にと申しますか、一元的に何かそういう仕組みを考えることの工夫はないだろうか、こういうことを実は常々考えておったものでございます。
 したがいまして、冒頭申し上げましたとおり、今回の法案が農地対策と経営対策を一体的にやるということでございますから、先ほど谷本先生にお答えした話との関連も含めまして考えてみますと、市町村段階の推進体制をどうしたらいいのかということをこれから考えていく必要がある。ただ、それができるまでほうっておくということじゃございませんで、その問題が肝心なことだというふうに私は実は考えておるわけでございます。
 以上でございます。
#41
○三上隆雄君 最後になると思いますけれども、全中の石倉常務さんにお尋ねしたいと思います。
 全中と私どもは常に一体的な考え方で行動をともにして、多くは聞く必要もないし語る必要もないと思いますけれども、農家自身が経営体となって一定の規模拡大をする、そして生産から販売、流通まで実際実施するという形態をむしろ望んでおるし、そうならないと農家の所得が確保できない。とするならば、今までの農協とは競合する面が多分に出てくるわけです。その場合に、連合会は別として、単協と企業体との関係はどう考えるかもしいい策があったらひとつ御助言いただければと思います。
#42
○参考人(石倉皓哉君) 今回の法案で農業生産法人の事業要件の緩和とか構成員要件の緩和、あるいはJAあるいは連合会が農業経営ができる、そういう道が開かれたわけでありますが、私どもは、地域農業の維持発展や農地の適正な保全を図るためには幾つかの場面でJAとかあるいは連合会による農業経営が必要だと思っておりまして、また現場からの要望も強いわけであります。
 そうした場面とは何かということでありますが、一つは担い手が見つかるまでのつなぎとしての農地利用、二つ目は産地形成のためのモデル経営、三番目は新規就農者等への教育目的での営農、四番目は圃場が連担化するまでの営農など、そういう場面におきましてJAあるいは連合会の農業経営という現場からの要望が非常に強く上がってきております。そのためには、一定の条件のもとでJAあるいは連合会の農業経営を措置する必要があるということでございます。
 一般に農業生産法人は規模の大きい農業を志向しておりまして、その設立には大きな初期投資、施設園芸で五千万円、あるいは酪農でいきますと一億円というような膨大な初期投資が必要となるわけであります。これを支援する立場から、JAや連合会の農業生産法人への出資が必要とされているわけであります。
 なお、現場では既にJA組合長等が農業生産法人をつくり、出資を行っている例もあるわけです。例えばグリーン松任とかあるいはグリーン中主という農協は既に農業生産法人をつくって出資をしておる、こういうことであります。
 なお、組合員との競合が起こる可能性につきましては、JAあるいは連合会におきましては、その行動は組合員の意思のもとに置かれており、組織の性格上、組合員との競合が生じるとは考えられない。そういう意味で、今回の政府案によればJA、連合会の農業経営については組合員の三分の二の同意が必要とされておりまして、その点からもチェックできるということで、JAと組合員との競合はそういう面でチェックをして、あくまでも地域に住む組合員の合意、これを非常に大事にして、先ほど言いましたような現場からの要望を受けてこれからそういった方面に力を入れていきたいというふうに考えております。
#43
○三上隆雄君 ありがとうございました。
#44
○浦田勝君 参考人の皆様方には、大変御多用の中を御出席いただきまして、私どもに適切な御指導いただきますことを心から感謝申し上げます。
 私は、自由民主党の浦田勝と申します。三十四年ほど農協長を務めてきたわけでありまして、今JA玉名の組合の会長理事を務めておるわけであります。したがいまして、皆様方とは言うなればまさに盟友、仲間の間でありまして、皆様方に失礼なことを申し上げる気はございませんけれども、少しかんにさわることも申し上げるかもしれませんが、同じ仲間としてお許しをいただきたいと思います。
 実は全中、全農に関しましてお尋ねを申し上げたいと思いましたが、その件に関しましてはまた先の機会に送るということにいたしまして、今回、新政策が提示されたわけであります。一年間いろいろと紆余曲折の中で論議をされてまいりました。言うなればいわゆる構造政策が主であって価格政策がないじゃないかという意見が非常に議員の中にもあるわけでございます。細部にわたりますとやはりそう思わざるを得ない面があるわけでございます。
 私は、今申し上げましたように組合長という職責からしまして、全中、国の指導等によりほして農協合併の方針に従って農協合併をやったわけであります。合併に次ぐ合併、再合併をいたしまして、二市八カ町の大型合併をいたしました。一万七千余の組合員を持っておるわけでございます。合併そのものも、従来は、行政がつながらないからだめだとか行政を越えてはだめだというような考えがあったわけでありますが、今日の農業の実態からして、行政は越えても、飛び地になっても合併をしなければ農協は生き延びていけない、また組合員の営農と生活を守ることはできない、こういうことで合併をいたしたものであります。
 さて、合併をいたしますと、組合員の中から出てくる言葉というのは、農協は大型化して官僚化するんじゃないか、我々との関係が薄くなってしまった、我々とはなじみがない、なじみのないやつが農協の窓口に座っているのは不愉快だ、こういうふうなことまで出てくるわけであります。
 特に、今日のように高齢化社会になりますと極度のサービスが必要になってくるわけでありますが、今申しましたように大型合併したことによって、大変なそういう批判もあるが、反面また農家に対しましての購買関係等々につきましてのいわゆるメリットというものが一つも出てこないじゃないか、こういう意見も出てきて、これを克服して、形の上で生産農家の皆さん方にきちっとしたそういう還元的なことができるようにすべきじゃないか、あるいはまた、本当に低廉な肥料、農薬、飼料等を提供すべきじゃないかということで、いろんな面で生活物資に至るまで今頭を痛めておるところであります。
 ところで、この新農業政策、「新しい食料・農業・農村政策の方向」ということで出たわけでありますが、この中の「経営形態の選択肢の拡大」という中にこのように書いてあるわけであります。
  労働力の周年消化、財務基盤の強化、幅広い人材活用が図られるよう、農業生産法人の仕組みの整備。
 なお、株式会社については、株式会社一般に農地取得を認めることは投機及び資産保有目的での農地取得を行うおそれがあることから適当ではないが、農業生産法人の一形態としての株式会社については、農業・農村に及ぼす影響を見極めつつ更に検討行う必要がある。
 「農業経営の法人化に向け、法人の設立・運菅の指導、金融・税制面の支援措置などの整備を行う。こう書いてあるわけであります。
 そこで、生産法人、個別法人の拡大に資する構造政策が進められるわけであります。法人化の区分の中で今申しました個別農家の法人化、生産組織などの法人化などがなされておるわけでありますが、法人化の問題点につきまして先ほど山口さんの方からユニークな御発言があったわけでありますけれども、この法人化の問題点について、総体的に見まして多少疑念もあるから石倉さんにお尋ねいたしたいと思うわけであります。
 この政策の中で法人化におけるJAの役割等が明確になっていないように思えるわけであります。これまで法人化に対しましては設立、運営に至るまで指導を行ってきたところであります。これが一般的であり、その他の法人については経済事業を中心とするJA事業と競合関係にあったわけでありますけれども、今回の法人化によって、地域産業を振興し、組合員の営農と生活を守るというJAの基本的な役割というものを果たしていくことができるのかという接点が明確になっていないということであります。
 また、法人化によって組合員のJA離れが加速的になるのではないかという懸念もあるわけであります。それから、法人化のメリットを強調する余り、無制限に法人化を認めることは、JAと組合員との伝統的なつながりが希薄になってくる可能性がある。法人化によって税制上、制度上の各種優遇措置が十分に整備される必要があるわけでありますが、現行の農業法人に対する問題点とJAが抱えている諸問題に対する十分な検討が果たしてなされてきたのであろうかということであります。
 法人化、企業資本が一定の割合で資本参加することにより、今後無制限に資本参入の道を開くことになりはしないか。現行農地法で守られてきた農地に対して、企業資本の参入により、伝統的な集落、農村は崩壊をし、投機的な農地の出現等の道を開くのではないかと予想されるわけでもあります。現行の農業法人に対しての諸問題を十分解決しないまま新政策において法人化が提唱されているが、これでこれまで組合員との結びつきを基本としてきたJAの役割が欠落はしないか。地域経済等におけるJAの役割がますます重要になる中で、法人化においてJAの果たすべき役割を制度上明確にする必要があると思われますが、この点について石倉参考人のお考え方を承らせていただきたいと思います。
#45
○参考人(石倉皓哉君) まず一つは、先生のお尋ねは、農業生産法人の構成員要件の緩和等を受けましてこれから一体JAはどのように農業生産法人にかかわっていくのかこういう第一点の御質問かと思います。
 これにつきましては、私どもは一定の条件を満たす農業経営が法人化することは今後の方向であるというふうにとらえております。JAグループといたしましても、積極的に農業生産法人を支援し、農業生産法人とJAのつながりを強化してまいりたいと考えております。
 ただし、JAグループといたしましては法人化推進のためには条件整備が必要であるというふうに考えております。
 その一つは、農業生産法人のメリットの確保であります。平成五年度の税制改正で農用地利用集積準備金制度が創設をされた。これは大変画期的な私は税制改正だと思いますが、そのほかいろんな制度を導入していただいているわけでありますが、法人化による請負担に照らしましていまだ十分とは言えず、一層の制度改善を今後お願いしていきたい、これが一つでございます。
 もう一つは、農業生産法人を現場で指導する人材の育成は非常に不可欠であるというようなことで、設立、運営の手続とか税務等固有の課題も多くありまして、そういう意味の農業生産法人を指導する指導者は不可欠であります。
 JAグループは、みずからの体制整備を進めるべく農業法人指導士制度、これは仮称でありますが、の設立を今進めているところであります用意欲と能力のある営農指導員を対象に新たな資格試験制度を設けることで農業生産法人の支援を進めたい。また、農水省にも制度面などで支援をいただきたいというふうに考えております。
 なお、先ほどもちょっと申し上げましたが、一般に農業生産に必要な初期投資は非常に多額化ということで、先ほど言いましたように施設園芸で五千万円、酪農で一億円ということで、とりわけ農業生産法人の場合は多額の初期投資が求められるわけであります。これを支援する立場からJAや連合会の農業生産法人の出資が必要とされている。こういうことで先ほど例を挙げたわけでありますが、こうした状況を踏まえまして、必要に応じましてJAによる農業生産法人の出資を行っていきたいと思います。
 それから、もう一つのお尋ねは、政府提案のように企業等の出資を認めた場合に、企業による農民支配のおそれはないのか、こういう趣旨のお尋ねかと思います。今回の法案では、企業等の出資について議決権の四分の一未満の範囲内で認めることになっておりまして、議決権の上では企業等による農業生産法人の支配はないことになるわけでありますが、実際には出資を通じてつながりを持った企業等が融資等を通じて農業生産法人の意思決定を左右することは可能でありまして、企業による農民支配のおそれは全くないのかというと、それは御指摘のとおり全くないとか懸念なしというふうに断言できない面はあると率直に認めざるを得ません。
 そこで、私どもは、法律上の要件のチェックを厳重に行ってもらうことはもちろんのこと、企業等の性格を制限するなど運用面で何らかの歯どめ措置を講ずることが必要だというふうに考えております。
 と同時に、これが大事でありまして、積極的な面ではJAによる法人への事業対応を検討するとともに、JAがより高度な機能を発揮し、農業法人のニーズにこたえていくことが最も重要だというふうに考えております。
 また、農協連合会の農業法人への出資及び農業経営の道が開かれたことから、この機能を活用した積極的な対応が重要だというふうに考えておりまして、そういった農協による積極的な対応を通じて企業による農民支配を防いでいくという対抗措置も考える、そういう結果につながっていくというふうに考えております。
 御質問の趣旨にマッチしているかどうかわかりませんが、以上でお答えとしたいと思います。
#46
○浦田勝君 いや、あなたが言われるそれはようわかっておるんだよ。四分の一がどうだこうだということはよくわかっておるわけで、そんなことはもうとっくに承知なんだ。
 ただ、私は、合併してみて初めでわかったが、こんなに人材がいないのかということです。
   〔委員長退席、理事永田良雄君着席〕
 例えば、経済連なんかはべらぼうにどんどん入れたけれども今の時代に対応できない。中央会の職員だったら対応できる、県信連とかそういうのは。それで組織そのものが経営能力と指導力が問われてくるわけだけれども、その指導的な役割を果たすいわゆる生産法人の中で何ほどの人がおるのかということなんです。
 確かに、農業に取り組んで、本当にプロに徹して、いわゆる職人かたぎでいいものをつくって産地間競争に打ち勝とうという銘柄をつくっておる生産農家があります。従来はおててつないでみんな一緒だった。ところが、おててつないでいったらみんな転げてしまうわけなんです。
 だから、そこで選別をして、やる気のある人だけで集落で法人化をやっていこう。あるいは高齢者の中では、やれないからやってほしいということで、農地を預託しましょう、預けましょう、やってくださいと、こういうことになればいいわけですけれども、たくさんのいわゆる生産法人ができた場合、あるいは個別法人ができた場合に果たして経営がうまくいくかどうかということであります。金融面においても借入金その他これから始まるわけですから、果たしてうまくいくかいかないか懸念するところです。
 ですから、私が言いたいのは、そこらあたりの指導をあなたたちがしっかりやってもらわにゃ困るということです。だから、先ほどの山口さんの話じゃないけれども、みんな政治家の話とか組織の上の話しか出てこないわけです。現場というものは非常に深刻なものがあるわけですから、そういう面では全中の皆さん方は、指導的役割をするためには、従来のような農水省が言うからはいそれではそうしましょうじゃなくて、農水省にこれだけはだめだと抵抗するぐらいのことはやっぱりやってほしいと思うわけです。
 あなたが言われた国境措置の問題、これはもう当然だと思いますよ。今度の新政策の中では、日本の農業は将来は外国の農産物と政府の補助なくしても十分に太刀打ちしてやりなさいと、こういうことが見えておるわけです。しかし、現実の国土条件からしても、日本がそのような外国とさしに立ち向かえるような環境にはないわけです。
 したがって、やはり価格政策というものをきちっとしてもらわにゃいかぬ。今度のやつはその価格政策というものが明らかになっていない。構造政策だけは華々しく打ち上げたけれども、価格政策というものがなっていない。だから、あなたたちも言っておるように、五年程度は農業法で政府価格をきちっと押さえておく必要があるんじゃないか。
   〔理事永田良雄君退席、委員長着席〕
 毎回毎回、麦価とか米価で我々は本当にあなたたちの声を代表して政府に、大蔵等々に注文つけてやるわけだけれども、こんな茶番はないわけよ、はっきり言えば。大蔵省に言わなきゃ、財政当局に申し上げなければだめだというふうなことでは話にならないんだ。農村の実態というのを見きわめて、吸い上げた税金から返すのが当たり前だ。
 この前の畜産だって同じだ。畜産の自由化については、畜産農家に対しては再生産ができるようにするということになっておった。にもかかわらず、関税が一千六十億ありながらも、これを出し渋って、大蔵の一般財源に入ったからといって農水省は言いわけするけれども、そんなものじゃないんだ。だから、この前はおかげで農水省を初め御理解があって御支援いただいて、結局は子牛の安定基金の問題については解決をしましたが、いずれにしましても、国境措置というものをきちっとしなきゃならぬ、組織運動の一環として当然やってもらわなきゃならぬ。
 あなたの御意見をここで再度お述べいただきたいと思います。
#47
○参考人(石倉皓哉君) ただいま浦田先生から多方面にわたる適切な御指摘、全く御指摘のとおりでございまして、大変心強い御発言だと思って感謝をしております。
 先生の意を体しまして、今後とも全力を挙げて全中としましても頑張ってまいりたいと思います。よろしくお願いいたします。
#48
○浦田勝君 だから、言うけれども、私は五十八年、山口さんたちの応援で国会へ参った。ところが、その当時、農協長の国会議員あるいは専門農協、それらの方々が三十何名おった。今は現役は大塚さんとたった二人だ。寒々しい限りですよ。農村の実態を思わせるようなものだ。まあ、平成元年でぶったたかれてなったんだけれども、本当にたった二人しかいない。
 それだけ我々は本当に弱い立場にあるけれども、幸いにして、この農林水産委員会というのは、私は五十八年からずっとここへ座っておるけれども、ずっとじゃない、この前三年ばかりおらぬかったけれども、与野党一致して本当に真剣に、思想的なものを盛り込まずにあくまでも生産農家の生活の根拠を守ってあげようということで皆さん方がおやりになっておるわけです。ですから、あなたも今は転換期にあるわけです。流動する政治経済の中で、今後の農協の指導的役割を果たす全中の役割というのは非常に大きい。だから、この前のような不祥事はできるだけ起こさないようにして、生産農家の信頼にこたえていただきたいと思うわけです。
 それから、山口参考人は、熊本同士で話してもいかがなものかと思うけれども、この人はもう本当にユニークな人で、私も山口さんの尋常小学校に行ってきました。この開校式は非常に盛会なものでありました。そして、聞いてみますと、多くの方々が、親子とかあるいは集落とかあるいはまた学校の生徒さんたちがこの尋常小学校で農業の勉強をして帰っていただいておるそうでありまして、開校以来ずっと大にぎわいだそうでございます。
 そのようなことで、農村に対する年を積んでおる皆さん方のお考えというのが、農に親しむ、土に親しむ、環境に親しむ、こういうことでこの学校に行っておるものだと思いますし、これらの方々に、食料というものはこうしてできるんだ、日本の食料はこんなにして外国の品物と比べた場合に安全な食料だと、こういうふうな非常なPRがなされておるところでもございます。
 私が山口参考人にちょっとお尋ねいたしたいのは中山間地帯の問題であります。中山間地帯はもう非常に幾種類もあるわけでありますが、御案内のとおり、中山間地帯の耕作放棄が災害の引き金になっておることも事実であります。今は環境問題が問われて、水源涵養林としてとかあるいはまたそういう緑資源の確保ということで中山間地帯に対する意見は出るわけでありますが、しからば住んでおる方々がこれで飯が食えるかということであります。
 新規の作物を明示しながら、これで上げなさい、あるいは価格政策をこれだけのことはしますとか、早くやらなきゃならぬだろうし、あるいはまたその流通、加工、一般に至るまで、あるいはまた運送等々になりますと大変なハンディがあるわけでありますが、中山間地帯に定着して営農をする方々が、残念なことには林業が御案内のとおりであり、そしてまた特にシイタケも随分だめになってきた、それから、本当に残念なことですけれども、過疎化の一途をたどってしまっておるということであります。したがって、固定化負債が多い農家が多いわけであります。これは私も合併してみて初めでわかったが、四分類なんかたくさんあったのに、こんなにあったかといってびっくりしたわけであります。
 とにかく、今、中山間地帯の人たちを本当にこの政策の上で生かすならば、はっきり言って、率直に言ってどういう方法をとったら一番いいか価格政策か何か。これは山口さん、的確にひとつあなたの御意見を聞かせていただきたいと思います。
#49
○参考人(山口力男君) 率直に今の先生の問いかけに答えろというあれですけれども、一番難しい問題です。
 その前に、少しだけ申し述べさせていただきたいと思いますけれども、例えば今度の新法案の前のいわゆる利用増進法で、定かではございませんけれども、たしか七十万ヘクタール前後の土地が移動したと言われている。今度の法案を含めて、これをきっかけとして百七十五万ヘクタールの農地の移動を考えるというふうに聞いております。
 ただ、率直なところで、移動はいいんですけれども、その百七十五万の農地を一体だれが受けとめるのかそういうような心配といいますか懸念がございます。特に中山間地域と言われるところで、じゃ私がこの地域の農業を含めて農地を担おうという人は激減しているはずです。そういう中でだれがこの百七十五万の農地を担うのかというときに、非常に勘ぐった、いい考えではないかもしれませんけれども、いないはずの担い手が担えるはずもない、受けとめられるはずもない。じゃ、それ以外のだれかがこの百七十五万の農地を受けとめるんじゃなかろうかという、そういう心配もございます。
 ただ、中山間地域については、だからといって、いないものをないものねだりで、どうしようもないからこのまま安楽死していくのを待つというわけにはまいりません。中山間地域、私の地域もその地域に入るのかもしれませんけれども、少なくとも、私のつたない経験からいたしますと、農業というのはそういう理論だとか計算ずくでできない部分、要素を含めて多く含んでおると思うんです。少し答えが長くなりますけれども、例えば私が偉そうに私はもう二十年百姓をやっておりますなんということを言っても、たった二十回米をつくっただけでございまして、そういうような難しさを含めて要素があるんだということを再度多くの国民に御認識をいただきたいという思いがあります。
 それともう一つは、そういった中で、自然なり土地を含めてその条件、環境を一番熟知しているのはそこで百姓をやっておる人たちだろうと思います。ですから、数が少なくなってきておっても、そういった中で何とか踏ん張って地域の中で生きていってそこの地域の農業をつくり上げようという人たちをいかに目ざとく見つけ出してこれを育成していくか、そしてこの人たちの考えるような農業をどういうふうにしてつくり上げていくか、それ以外に私は方法は今の段階ではないんじゃなかろうかと考えております。
 もちろん価格政策含めて、これは重要だろうというふうに思いますけれども、しかし価格政策は、一つ間違うと従来のような体質といいますか、いわゆるだれかが何かをやってくれるというようなそういう体質を維持し、依然としてそういうような形の中で自立てきないというままで済んでしまう、そういう危険もはらんでおるような気もいたします。しかし、当面の手当て策というのならばもちろん価格政策だろうというふうな考えを持っております。
#50
○浦田勝君 ありがとうございました。
 中山間地帯というのは本当に難しいんだ、はっきり言うと。本当に難しい。しかし、緑資源を守る山の戦士だということで特定地域を設定して、そこらあたりに補助金をやって山を守ってもらう。そのかわり、河川の泥さらいとか草取りもやってもらうとか、そういうことでもええじゃないかぐらいのことはいつも言っておったけれども、現実問題としてはそうはまいりません。
 そこで石倉さん、あなたにはかり言うようだけれども、中山間地帯の補助率、これはやっぱりかさ上げ運動を展開していかにゃいかぬだろうと思う。だから、今言われたように甘えの構造じゃだめなんだ、何でも。品物をつくるのはプロじゃないといかぬ。プロがプロらしいものをつくらぬから評判を落とすわけだけれども、しかし、今生き残ってやろうという人は皆プロ意識に徹してやっておるわけです。だから問題は、良質の労働力であるそういう人たちが、本当に定着しても飯が食えるんだ、こういう思いをするように全中の方としては挙げて運動を展開してもらいたいと思います。
 あと一分あります。
 今、大塚君が帰ってきたけれども、この大塚君と二人だ、本当に。だから、おれたちは本当にあなたたちとともに歩いていかなきゃならぬわけだけれども、従来のようにやあと言うただけではだめなんだ。もう通用しないんです、そういうことは。ですから、今私が一番懸念したのは、農協も大型化になったけれども、遅すぎたなと。それで生きる道は何で生きるのか。これは農協としてのやり方をもっと考えていかなきゃいかぬだろう。ただし、今言われた法人化がたくさんできてくる。これに対して農協との接点がどういうふうになるのかということが定かじゃないわけです。だから、そこらあたりのことと指導者の問題等々を考えるとき、これはもう大変なときだということになってしまったわけです。
 ですから、もう早速米価の問題があるし、自由化の問題も出てくるし、我々としては全く気の休まる暇はないんです。しかし、刻々として農村社会においては高齢化になってしまっておる。高齢化の実態を踏まえて、いろんな福祉関係等々でも組織団体の方で打ち出してくれてはおるものの、やはり農村に定着してどうやって生活をするかという、これが大事なんです。
 私の地元、私の足元は平均年齢六十三なんです。だから、この前の災害でビニールハウスが三回飛ぶと、寝込んでしまってだれももう起き上がらない。だから、農協の職員にお金を出して昼夜兼行でやらせた。そしてビニールをまた張りかえて、苗もとってきて、みんなで定植してあげた。しかし、こんなことがいつまでも続くとは私は思わぬわけです。
 ですから、そういう実態をよく踏まえて、先ほどの話ではないけれども、この新しい政策はいい政策であるとは思うものの、さっき言ったように、余り構造政策だけに走って、実体、中身というものを本当に農業をやってよかったなという実感を持てるようなものにしなきゃ、三十六年の基本法以来新たに今度は変わるわけだから、ここ当分はこの線でいくわけですからね。
 そういうことで、参考人の皆さん方に心から御礼申し上げて、終わりたいと思います。ありがとうございました。
#51
○風間昶君 公明党の風間でございます。
 きょうは本当にお忙しいところを五人の参考人の方々においでいただきまして、ありがとうございます。
 今、浦田大先輩のお話を初めて私はこの国会に来て農林水産委員会で伺いました。本当にどっちが参考人がわからないぐらいの大変貴重な大先輩のお話を伺いました。ぜひとも農林水産委員会で、大臣の前でその意見討論を行っていただければと思います。ありがとうございます。それはそれといたしまして、鷹栖町の小林町長には大変乱もお世話になっております。上川百万石の中心地であり、なおかつ福祉にさまざまな実績を上げていらっしゃる小林参考人に、この法案に関して一番大事な部分は、市町村の果たす役割が非常に重要になっているわけです。
 それでまずお伺いしたいんですが、認定農業者の認定を市町村がやること自体に対する御意見をちょっとお伺いしたいと思います。そして、今の市町村に認定をしていく役割をこなしていける、職員の方々の教育も含めて、体制が実際に現時点でおありなのかどうか。
 それからもう一点、国に対して、財政措置も含めてやってもらいたいということはどういうことがあるのかという注文がありましたら、教えていただきたいと思います。
#52
○参考人(小林勝彦君) 認定制度というのは、運用を誤りますと町村長が自分の町の農民を選別するという危険もあるわけでございますから、このことに対しては、先ほど申したとおり農村には多様な農家がおるわけですので、それを見ながら適切な対応をしていかなきゃならない。そして、たとえ規模は小さく零細だといいながらも、自信と誇りを持っている農業者を傷つけてはいけませんので、これらの運用についてはやはり農業委員会との緊密な連携が必要だろうと思います。
 現在、農村の中では、農業者が選ばれている公的な機関としては農業委員会が一つの中心になるわけでございますので、農業委員会の意見を十分聞きながら町村長が認定の作業をしている。これは単なる農村の中における振り分けではなしに、それぞれの個性と能力を生かした中での農業を発展させるための認定でなきゃならない、そういう認識を持っております。
 それから、農業者でも三つの要素を持っていると思います。労働者としての立場と技術者としての立場と経営者としての立場と三つあるわけですけれども、今の若い農業者というのは、案外労働と技術については非常に意欲的なんですが、経営的なことについてはなかなか難しい点がございまして、先ほど浦田先生のお話にありましたとおり、人材が乏しいのが現状でございますから、そういう問題、育成するという教育活動を含めてのこれからの認定という問題は、地域の中で農家同士が反目しあったり、農家同士がお互いの足を引っ張ったり、そういう意味じゃなしに、いい意味での農家の発展、農村の発展を図るようなための認定という問題は、農業委員会等の意見を聞きながら町村長としては十分に対応していかなきゃならない、このように認識をいたしております。
#53
○風間昶君 国に要望することはございませんか。
#54
○参考人(小林勝彦君) 国に要望、いろんな形で問題はございますけれども、いろんな認定制度、これは農用地利用増進法の中でもその育成の一部はございましたけれども、このことは余り何ら干渉がましいものはございませんでした。ですから、それぞれの地域の農用地利用増進法の中における改善団体の意見を聞きながら、改善団体は農民だけで構成をされておりますので、その中の意見を聞きながら運用してきたという民主的な運用の経験がございますから、特別このことに対しては国にどうこうという要望をいたしておりませんけれども、私どもとしては、先ほど選別をしてはいけないという認識の中で対応するという、そのことに対してもう少し市町村の自主性といいましょうか、そんなものを尊重していただけるような方策がとれればな、こんなことも感じております。
#55
○風間昶君 もう一点小林参考人に伺います。
 中山間の地域特性を生かした戦略的な作物といいましょうか売れる作物、これが大事な視点になっていくんではないかと思うんですけれども、御町ではどのような作物が考えられるのか、また、営農指導や販路の開拓にどういうふうに取り組んでいかれるのか、それを簡単にお話し願いたいと思います。
#56
○参考人(小林勝彦君) 中山間地域に独特な農産物を定着するのは大変難しい点がありまして、特に中山間地域ほど高齢化も進んでおりますし、地域のリーダーというのはどうしても少のうございます。ですから、四十代、五十代、六十代のある高年齢になりましても地域のリーダーの核になるような者を育てなきゃならないと考えております。とかく我々は人材育成となりますと二十代の者を対象に考えますけれども、農村社会の中では高齢者の能力をいかに再開発するかということが非常に大事だと思います。
 そんな点で、非常に対応の仕方が一律にはいかない点があると思いますが、私どもの町では、一つの特徴といたしまして、町の農業開発公社が中心になりまして、トマトジュースの生産であるとかそんなものをしながら、価格等についてもきちっと保証をし、そして新しい地域の特性を生かした産品として伸ばしていくという一つの例がございます。
 しかし、一つの農産物を加工したものにグレードを高めるというのはなかなか容易でございませんので、それぞれの地域の実情があろうと思います。それらを生かしながら、画一的ではなしに、山間地域の新しい特産化というのを図らなければなりませんし、それに対して地方自治体もいろんな形での財政的なあるいは技術的な支援もしなきゃならない。そういうふうな多様な手法を持ちながら、それぞれの地域の特性に合わせたものを育てていくという努力がこれからは一層必要だ、こんなことを感じております。
#57
○風間昶君 ありがとうございました。
 池田参考人にお伺いしたいんですが、これまでもお話を伺って、中山間地域対策の件で、農業者だけの問題では決していないと。中山間地域はいろいろな問題が、規模拡大もそれから土地改良も事業もうまくいきづらい側面があって、条件不利地域でしょうか、その活性化を図るために大変な御苦労があると思うんですけれども、中山間地域に対する直接的な所得補償の導入についてどのようにお考えなのか 一点お聞かせください。
 それからもう一点は、先ほどから話題になっております農業生産法人に対する緩和の件で、各種のチェック体制が必要だということで、私もそれは同感でございます。現在は市町村の農業委員会の方が行っていると思いますが、企業の参入も含めて、悪用を防ぐチェックの実効性を確保するためにはどんなふうなことが考えられるのか、この二点をお伺いしたいと思います。
#58
○参考人(池田昭雄君) まず、中山間地の問題でございますけれども、私はデカップリングの問題につきましては、農業者だけの問題ではないし、市町村段階でも地域の人たちがどう考えているかという問題です。そういうことで、ある程度一定の国民の合意を得た上でやるならやるべきじゃないか、こういう考え方です。つまり、どういうことかといいますと、そういう人たちの中でもちゃんとした、農業で生きるんだという人たちがいらっしゃるわけでございますから、それに対しましてどういう施策的な御支援を差し上げるか、こういうことが一番大事だと思っております。
 そういう意味では、実は私も各地に行っておるんですけれども、どうしても一定の基盤整備をやる、そうしますと、その辺がてこになって自立的な農業がその中で育っていくということを、遅まきではあってもそのことを追求しなきゃいかぬ問題だ、こういうことです。でありませんと、そういう人たちが何かばらまき的な話の中で追い込まれてしまいますと、じゃ将来どう考えたらいいのか、どういうふうに生きるんだ、こういう問題をなくしては困るんじゃないかという気持ちがございまして、実は半分半分の、いずれにしても制度的な支援は必要ですし、農業としてちゃんと生きなければいけないという、自立性を求めるという発想も必要だしということで、そんなようなことを考えますと、農業のことを考えますと、基盤整備をやることが大事じゃないか。
 と申しますのは、北陸筋を実は先月見てまいりましたけれども、そういうところでも農業基盤を整備するということが一番大事だというふうに考えております。とかくこの問題につきまして、下手をしますと何かリゾートみたいな話に追い込んでしまいまして、それが終わったらもうあとはどうしようもないという話に追い込まれると、今度はまた大変なことだというふうな認識が私は強うございますから、そういう感覚を今持っております。
 それから、チェックの問題でございますけれども、御承知のとおり、今でも農地法の三条関係で一応チェックしておりますけれども、これからの問題として考えますのは、一つは三条のときのチェックをきちんとやるということがまず一つ。
 それからもう一つは、認可後のフォローをどうするかということは、生産法人台帳をつくりまして、そこで農業の状況の変化が起こる、生産法人でありますから。毎年その後の状況はどうなったという点検の対策は必要だ。許可したら後は一遍こっきりでおしまいだということでございますと、何がどうなのかわからなくなってしまうということでは困りますから、フォローがどうなったかということの点検が必要だというふうに考えております。
 それからもう一つは、ちゃんとした報告義務を負わせる。こういうことが大事だと考えております。場合によりましては、また立ち入りをやって点検をするとかそういう二段、三段、四段の手順が私どもとしては必要なことではないのか、こういうふうに実は考えております。
 いずれにいたしましても、これから省令なり通達なりで多分お役所の方が当然考えていると思いますけれども、私の方も組織努力を続けていかなきゃいかぬ問題だ、こういうふうに実は考えております。
 以上でございます。
#59
○風間昶君 ありがとうございました。
 それでは石倉常務に、先ほどもお話ありましたが、生産法人の要件緩和の件ですが、人材の育成、強力なリーダーシップをとる方々の育成というお話がありましたが、むしろ育成の前に人材を発掘することが私は大事じゃないかそういう意味で全中の皆様方のいわば人を見る目、これがいかに大事なのかということを考えているわけですけれども、具体的にどうしていけばいいのかということをもしお考えありましたら教えていただきたいと思います。
#60
○参考人(石倉皓哉君) 人材をいかに発掘するかということは、先生の御指摘のとおり大事なことであります。そこで私どもは、一昨年になりますが、第十九回全国農協大会を開きまして、「農協・二十一世紀への挑戦と改革」という方針を決定しまして、三つの目標、三つの改革ということに今全力を挙げて取り組んでいるわけであります。
 その一つが農業改革であり、二つ目が組織の改革であり、その組織の改革をするためにはそこの農協に働いている役職員の意識が変わらなきゃならぬ、こういうことで、CIの導入等で役職員の意識改革に懸命に取り組んでいる、こういうことであります。そこで私どもは、特に大事な点は挑戦、チャレンジ精神なくして改革なし、改革の土壌は健全な危機意識がなきゃいかぬ、こういうことで全力を挙げてやっております。
 そこで、今既に三千百余の農協があるわけでありますが、現段階の各都道府県から上がってきております農協合併構想によりますと、七百五十農協、下手をするとさらに加速化しまして五百農協ぐらいになる可能性もある。この七百五十というのはどういう意味かというと、平均的に言いますと大体各県とも十五から十六、十七、二十以下の農協になっていく、大変な大型になるということであります。
 そうすると、大型化になれば、当然に職員も多くおるわけでありますから、いわゆる適材適所、そういうことも十分に配置が可能だというようなことでありまして、そういうようなことで職員の人材育成あるいは人材の掘り起こしということに全力を挙げている、こういうことであります。
 例えば、十農協があったのを合併しまして一農協になった場合、今までは総務部の職員がそれぞれの農協に五名ずついたとしましたら、新しい農協になった場合には五十名要らないわけです。例えば十五名でいいとか。そうしたらあとの三十五名をその一人一人の適性を見て適正な職場に配置できる。そういうこととか、要するに合併によりましていろいろメリットも可能だ、こういうことであります。
 それから、農協の民主的運営のためには、私は生産部会といいますか生産組織、ここが活性化するといいますか活発になれば、それが農協の全体の運営のチェック機能になるということでありまして、そういう観点からも今指導しております。
 それから、営農指導員の問題がよく出ますが、経営管理能力にすぐれておって、さらには非常に高い技術を持っておる、あるいは集落とか地域をまとめるそういう能力も持っておる、こういう人はなかなか少ないわけであります。そうではなくて、例えば営農指導員についてはむしろオーガナイザー的な機能を発揮したらどうか、これは私の持論でありますが、要はそういうすぐれた、専業農家は大変な技術を持っておるわけです。その人に生産部会の技術の面は任せる。営農指導員は何をやるかというと、もっと積極的に情報提供をしていくとか、あるいはハイレベルの専門家の話を聞くとか、要するに組織をオーガナイズする機能があれば私は十分に営農指導の機能を発揮できる。
 そういうことでありまして、人材の掘り起こしと同時に、人材をどういうふうに育てるかということは非常にこれが決定的な大事な課題だということで全力を挙げてやっているということでございます。
#61
○風間昶君 ありがとうございます。
 時間が余りありませんから、実際に農業現場にいらっしゃる関川さん、また山口さんに、農業経営の法人化の問題について、実際に農業の現場にいるお立場から法人化というものを今後さらに進めていくことと考えていらっしゃるのか 一言で済まされないかと思いますが、お考えまた御意見をいただければありがたいと思います。
#62
○参考人(関川金吾君) 確かに、これからの農業経営というものについては、個別の兼業農家というものについても環境の関係等々からして重視をしていかなきゃならぬと思いますが、本当に農業で経営をし、その中で生活を営んでいくということになりますと、今のようなやり方だけではだめだというふうにも思っております。
 法人化を進める際に、主体的に農家の皆さんが生産法人をするということについては問題はないように思うのでありますけれども、ただ問題は、先ほどからも言われておりますように、現在の既存の組織との関連、これが大変大きな問題のような気がいたします。
 と申しますのは、現実に私どもの方の地方に起きておる問題でありますけれども、つまり一定の力を持つわけでありますから、そうなってまいりますると、資材の購入あるいはまた生産物の販売等々、農協なら農協、JAを通さないで自力でやる、こういう実は問題が起きておるわけであります。そしてまた、農協に出資金の百万とか二百万というものを寝せておいてもむだではないかむしろそれを有効に使った方がいいのではないか、こういう実は問題もあるわけでありまして、そういう意味では法人化が進んでいくことによって農協にいろいろな影響を及ぼしてくる危険性というものが私はあるんではないかと思います。
 したがいまして、それらの法的な措置というものを十分にしていかないと、既存の組織というものが成り立たなくなってしまうという危険性をはらんでおるというふうに私は思っておるところでございます。
 しかし、今のような状態で果たして農業が、それを主に生計をしていくということになると難しい面があるわけでありますから、そういう意味では、法人の特典を生かしながらそういう方向にあることについては認めているところでございます。
#63
○参考人(山口力男君) ただいまの先生の御質問に対して私なりの意見を申し述べさせていただきたいと思いますけれども、私は法人化というのは選択肢の一つにすぎないというふうに考えておるんです。
 ですから、農業をやろうという意欲のある人が非常に少なくなってきただとか、そういうような問題を覆い隠すような形で法人化法人化と言い続ければどうかなるというのは非常に私は危険だというふうに思っております。先ほどから何度も申し上げておりますように、その地域の実情に合ってどういうような形が一番そこの地域の農業を担える、あるいは集落を担えるかという形、その方法論の選択肢の一つとして法人化というのもあっていいのかなという程度にしか考えておりません。
#64
○林紀子君 日本共産党の林紀子でございます。
 きょうは参考人の皆様本当にありがとうございました。私は短時間しかございませんので、申しわけありませんが全員の皆様にお伺いできませんことをおわびしておきます。それから、最初にそれぞれ質問を申し上げますので、質問が終わりましたら、順次お答えをいただけたらと思いますので、よろしくお願いいたします。
 まず、小林参考人にお願いいたします。
 今回の本案によりますと、市町村長の役割というのが大変大きいと思います。経営基盤強化法案では、承認市町村が基本方針を定め、認定農業者を決めるということになっております。また、特定農山村活性化法案では、中山間地域の市町村が新規作物の導入や農地転用などを含む基盤整備計画を作成しなければならない、こういうことになっているわけです。農水省が調査をしたところによりますと、中山間地域で活性化を図るための緊急な課題ということで、担い手確保を八〇%の市町村が挙げているという結果もあるということです。
 大変これは大きな話になりますけれども、担い手を確保し、地域を活性化するには、こうした大変重要な役割を背負っている町長さんとして、何が必要だとお考えになるかということをお聞きしたいと思います。
 次に、池田参考人にお願いいたします。
 今回の法案では、企業の農業参入など、要件緩和される農業生産法人に対するチェックシステムの強化、また中山間地域での農地の確保など、農地を守り、有効利用を図る上で農業委員会の役割というのが改めて問われるものになっていると思います。
 先ほどの御意見の陳述の中で、要望の一点目として、農業委員会系統組織のあり方も含めまして新政策の推進体制の整備について早急に検討するようにということを求めていらっしゃいましたが、聞くところによりますと、九〇年の十月、全国農業会議所の新役員の就任に当たっての最重要任務が農業委員会系統組織の制度問題に取り組むことだとして、このことを農水省にも約束をしたと聞き及んでおります。そして、事務局長のもとにプロジェクトチームを設置して、組織対策本部をつくり、また全国農業委員会会長大会では決議を採択するなどと鋭意検討しているということですけれども、系統の内部ではどのような組織の制度問題を検討されているのか、お答えいただけましたらお願いしたいと思います。
 それから、石倉参考人にお願いいたしますが、農協では、既に二百二十三の農地保有合理化法人で規模縮小農家や離農農家から農地を取得して規模拡大志向農家にその農地を再分配をしているということですが、今回の法案では農地売買事業、農業生産法人出資育成事業、農地信託事業が新たに創設され、新政策では農地の流動化についてはこれまでの二・五倍の百七十五万ヘクタールを十年間で行うということを掲げているわけですけれども、こういう大規模な農地の流動化というのは離農促進ということにつながらないか、その心配があると思いますが、このことにはどうお考えになるかということです。
 また、農業生産法人に農協なども構成員になることが認められ、同時に、企業も出資制限つきながら参入をしてくる。先ほど御紹介のありましたこの「「新政策」の展開とJAグループの対策」というのを私も見せていただきましたけれども、この中で、法人を育成、指導するための人材が必要だということで農業法人指導士制度というのを検討しているということも書かれております。農業生産法人の運営に対する考え方、特に企業参入に対してどのように対応していくのかということについてお聞かせいただけたらと思うわけです。
 最後に、山口参考人にお願いしたいと思います。
 先ほど御意見を伺いました中で、この新政策では農業というのは効率だけから律するものではないという、そういうことに大変感激をしたとお述べになったと思うわけですが、確かに前書きではそういうふうになっていると思うんですが、それでは具体化するとどうなるかといいますと、規模拡大政策ということになりまして、ここではやはり効率の追求ということが出てくるのではないかと思うわけです。
 今回の法案では、認定農業者に対して手厚い補助や融資、税制措置がとられる。こういうことでは農業に意欲を燃やしていても選別になるのではないかということが危惧されるわけですけれども、こういうやり方に対してどういうふうにお考えになるかあわせて農村社会における女性の役割というのも一言お答えいただけたらと思います。
#65
○参考人(小林勝彦君) 今回の構造政策の中で、市町村長の持つ役割が非常に重要視されてまいりました。特に承認市町村の立場あるいは特定農山村地域の問題、それぞれ従来、特に私ども稲作地帯は、北海道は御承知のとおりここ一、二年は過大な転作を強いられまして、全体的に五〇%以上の転作を強いられたわけでございますから、極端に言えば、北海道の町村が国のそういう政策に振り回されて守りにだけに追われておったと言って差し支えないと思います。
 現在、農業を中心にやっておりますいわゆる第一次ベビーブームの青年たちは、生涯、まず三十四、五回ぐらいしか自分の農業経営をやっていけないと思うんですが、その半分近くは手と足を縛られた形の中で経営を強いられてきた。やっと転作緩和の中で自前の農業をやれるという意欲に燃えているわけですから、そんな中で従来の守りの姿勢から自分の町の農業をどうやって守っていくのか、その中でいろんな多様な農家もありますので、一律な扱いじゃなしに、それぞれの農家の意見というものを民主的に聞きながら、そして自分の町の農村・農業をどういうふうに発展させるのかという町村長の主体的な考え方を展開しながらそういう役割を持っていかなきゃならない。
 ですから、大規模なものもあるでしょうし、零細なものもあるでしょうし、高齢者の方もあるでしょうし、いろんなものを抱えて自分の町はどういうふうにしていくのか、そういう一つの独自な計画を上からではなしに自分の町として考えていく。当然この計画は都道府県の計画との整合性もございますけれども、単なる都道府県から与えられたものでなしに、自分の町から発想していく。その発想の基本は農民の個々の意見を十分聞いた上での民主的な計画づくりである。当たり前のことですけれども、そういう自分の町を守るためのやらなきゃならない対策というものに対する市町村長の責任というものは今回の法律で非常に強くうたわれておりますので、その責任の重さを感じながらこれから努力をしなければならない、こんなふうに感じております。
#66
○参考人(池田昭雄君) 問題点が多かったわけでございますけれども、まず第一に、企業参入のチェックシステムの問題についてのお話でございました。
 これは先ほどもお答えを申し上げましたんですけれども、いずれにしても入り口の段階で農地法三条できちんとやるということと、その後の問題につきましては農業生産法人台帳で、あるいは六カ月とか一年、その状況ごとに具体的にチェックしていくということが大事だろうというふうに考えております。
 そこで、あとは二段階、三段階の方の問題がございまして、冒頭の意見開陳のときに申し上げましたとおり、確かに顔の見える部分と、今後は顔の見えない部分が出てきたわけでございますから、そこにつきましては二重のチェックがそちらの方でもあるわけでございますから、そこをきちんとした対応をしていくということに尽きます。時間がありませんから端的に答えておきます。
 それからもう一つは、中山間地の問題につきまして、農地の問題につきましてお話がございました。これは確かに私どもも考えておりますのは、中山間地が農地の四割を持っている地帯でございますから、従来の農振法の世界だとか農地法の世界で同じようにきちんと対応していくということが大事だということで、そういう地帯だから何か規制緩和をかけて将来取り返しがつかないような話になっても困るということがございますから、従来のような考え方できちんとした対応をしていくということに尽きます。
 それから、一番最後の推進組織の問題について具体的にどうかということでございますが、先ほど谷本先生か三上先生にお答え申し上げましたことに尽きるわけでございますが、ただ九〇年の話は、いずれにしても農業の状況が大きく変わってきております。二十一世紀に向けてどうするかということは、農業団体としまして大変なことだと考えております。そういたしますと、私どもといたしましては、将来展望を考えて、やはり私どもの組織では大事なことは優良農地を将来に向けてきちんと守っていくということを組織の特徴にすべきだということ。それから担い手問題につきましては、私どもの方は経営者組織の連係プレーをやっておりますし、それから農業者年金の実務を承っております。県段階、町村段階で。しかも、高齢化社会を迎えまして年金の問題は担い手間願等を考えますと非常に大事なことになると思いますので、その辺を大事にしよう。
 それから三点目は、農政が混迷しておりますので、利益代表の役割といたしましてきちんとしたしっかりとした対応をやりたい、こういうことを実は考えたわけでございまして、まだ具体的にどういう段取りということはございませんで、法案が成立しますれば、経営の問題と農地の問題につきまして一体的に考える組織が必要だということと、先ほど申しましたように農地銀行活動とそれから県公社との連係プレー、一体的な仕組みというものを考える時期に来ているんじゃないかということに尽きます。
 時間がありませんのでその程度にさせていただきます。
#67
○参考人(石倉皓哉君) まず、農地の流動化の問題でありますが、私は、今後、我が国の経済情勢がどういうふうになっていくのか、あるいは労働力の動向がどういうふうになっていくのか、農地流動化に対する支援施策、こういうことによって百七十五万ヘクタールが確保できるかどうか、そういう進展度合いは今言った三つの要素によって大いに左右されるわけでありますが、過去の流動化の推移を見ますと、かなり思い切った財政支援や適切な施策が伴わなければ百七十五万ヘクタールの流動化はかなり難しいなというふうに判断をしております。
 それから、土地条件等によりまして、大規模な稲作反つけを展望できる地域というのはおのずから限定されてくるというふうに思っておりまして、そういう稲作十ないし二十ヘクタールの反つけが展望できる地域以外では、労働力の有効活用とか経営の危険分散などの観点から五ないし十ヘクタールの複合経営というものを基本として、そういう育成対策を進めていくべきではないかというふうに私は思っております。
 いずれにしましても、地域の置かれた条件に応じまして規模目標を設定し、生産体制を仕組むことが必要であるというふうに考えております。今回、政府が法案において県・市町村で目標を設定するとしているのもその面での配慮があるものと理解をしております。
 それから、合理化法人の問題で、離農促進につながらないか、こういう御指摘でありますが、相対によります農地の貸し借りは、ややもしますといわゆる出作・入り作、つまり他の集落とか他の地域に出ていって経営するとか他の地域から入ってくる、出作・入り作と言っているんですが、そういうことを伴うなど、必ずしも農地の効率的利用につながらない側面があるわけです。農地保有合理化事業はそういう農地の連担化を進めるために有効な事業でありまして、JAグループといたしまして積極的に取り組んでいきたいというふうに考えております。
 なお、平成五年四月一日現在、おおよそ三百五十のJAが合理化事業に取り組んでいるわけであります。出生率の低下の影響から、我が国の労働力人口は西暦二〇〇〇年をピークに減少に転じることが予想されております。農水省の予測によりますと、農業労働力も十年後には現在の三分の二に減少すると見通されているわけであります。
 したがって、今後は農村にいるさまざまな人材、労働力を生かすことを考えなければならない。すなわち、拡大意欲のある農家には農地集積などを通じてその機会を与える。兼業農家や婦人、高齢者なども農村の重要な構成員としてそれぞれの状況に適した農業に従事し、役割を果たしていただくことが必要であるというふうに考えておりまして、農地保有合理化事業を実施するに当たってもこうした考え方で進めたいというふうに考えております。
 以上でございます。
#68
○参考人(山口力男君) 林先生の御質問にできるだけ簡潔にお答えいたしたいと思いますけれども、先ほどの私の意見、舌足らずの部分もございます。
 今度の新政策の中で、農業を必ずしも効率の面だけで見てはならないという文言が入っておったことに対しては、私は正直言って従来にない姿ということで感激をした。しかし、中身をめくってみれば、農業基本法にうたわれておった選択的拡大路線、いわゆる効率路線と何ら変わりないというところである種の失望を感じたことも事実ではございます。
 しかし、個人的な私の考え方や理念の中で、百姓というのは少なくとも制度や仕組みでこれをすべて律することはできない。意欲を初めとして我々の心までは制度や仕組みでは解決できない部分があるんだということが私の信念でもあるものですから、こういうものに余りこだわらないという私個人の事情もございます。
 それと、認定農家の問題ですけれども、認定をする際、じゃ認定農家の定義は一体何なのか、規模なのかあるいは意欲なのかというようなものを含めて非常に難しさがあるんじゃなかろうか。むしろ、こういう問題についてはもう一歩踏み込んだところで、西欧がすべていいというふうに私は思っておりませんけれども、あのスイスのマイスター制度みたいな形で我々農民自身がそのことを努力目標として目指すべきものという、そういう仕組みであればもっといいんじゃなかろうか、そういう感想を持っております。
 それと、女性の役割についてということでございますけれども、私は、世のフェミニズム運動とか言われるそういう運動をやっておる女性の方々と議論することもあるんですけれども、特にその際に申し上げるのは、農家に来て見ていただきたい、我々の家に来て見てもらいたいと。あなた方は女性の権利がどうのこうのおっしゃるけれども、私の母親を初めとして我々農村の女性というのは、一人前の労働力として、母親として、そして主婦として、一人で三役の役割を担っておるのだ。本当の意味でこういう人たちこそ自分の権利を主張すべきで、本当に主張すべき人はなかなか権利を主張しないものなんですなんという皮肉を交えてよく話をするんです。ですから、十二分過ぎるほど私は農村社会における女性の役割というのを評価いたしております。
 ただその際に、そういう運動をやっておる彼女たちから、じゃ農協になぜ女性の理事というのはいないのか、あるいは農地の所有者名義というのは大体男性というのはなぜなのかというような問いかけがよくございます。それに対してお答えしておるのは、正直申し上げましてそれだけ頑張っておる農村の女性たちが、じゃ私が農業協同組合の理事をやってそれを担おう、あるいは土地は私の名義にしながら担おうというような、まだ残念ながら意欲とそういうような認識に達していないという現状があるということを申し上げ、決して男性がこれを阻害しておることではないんだ、ただそれだけが理由ではないんだということを申し上げながら、女性問題に対しては自分の意見といたしております。
 以上、お答えいたします。
#69
○星川保松君 私は、山形県の今で言う中山間地帯の農家の次男坊に生まれまして、一番初めに選挙をやったのは農業委員の選挙で、二十歳代でございました。その後自治体の仕事もやってまいりました。今実家では私の兄貴が百姓をやっておりまして、私も畑を少し持っておりまして農家の資格を持っております用地元の農協の正組合員でございます。
 それで、今回の新農政について、いろいろと考えて農水省の皆さんと論議をしておるのでありますけれども、きょうはそのことについてお一人お一人と何時間でもお話をしたいなと、こう思っておるんですが、割り当ての時間は十分しかございません。
 それで、私は、新農政を考えるに当たって一番大事なことは、いわゆる昭和三十六年につくりました農基法ですね、その農基法農政三十年というものをしっかりと振り返って、失敗したことは失敗した、ここは成功したというふうに的確に分析をして、その上に立って新農政を打ち出していかないと、また大変な過ちを繰り返すのではないか、こういうふうに心配をしているわけなんです。
 それで、私なりに基本法農政というものを振り返って見ておるんでありますが、成功例というものはなかなか見つからないんです。失敗例ばかりやたらと目につくわけなんです。
 その中で典型的なものが私は三つあると思うんです。それは何かといいますと、今、農業・農家の後継者がいない。ほかの産業にちょっと見られないと思うんですが、後継者がいない。それから嫁さんの来手がない。これもほかの産業で見られないわけなんです。もう一つはいわゆる三ちゃん農業で、おやじさんが勤めに出て、そしてじいさんとばあさんとかあちゃんが農業をやっておるというような状態になった。
 これは一体なぜこうなったんだろうか。やはり農業全体、農家全体が落ち込んでいった、その落ち込んだ病的現象といいますか、そのあらわれがこういうことになってあらわれてきているんだ、こう私は思うわけなんです。そういう立場で農水大臣と一生懸命やりとりをしているんですけれども、農水大臣とどうもかみ合わないんです。
 それで、いわゆる基本法農政というのは他産業並みの所得を得られるようにするんだと言ってきて三十数年頑張って、そして格差はさらに開いた。なぜだと言いますと、農水大臣は、いや、農業の方も伸びたんだけれども、ほかの方はさらに伸びたんだ、だからこういう格差が広がったんだと、こうおっしゃるんですけれども、私はそういうことだけでいかないと思うんです。
 それで、なぜこんな農業になったんだろう、なぜ後継者がいないんだろう、嫁さんが来ないんだろうと言いましたら、農水大臣が言うことには、それは農家の皆さんが後継者や嫁さんに月給をやらないからだと、これが一つ。それからもう一つは、休みをちゃんとやらないからだと、こうおっしゃるんですよ。
 私は、月給をやらないからと言っても、ほかの産業とは労使関係が違うんじゃないかと。会社なら何十年勤めたって会社が自分のものになるということはないわけです。ところが、後継者の場合は、勤めてくだされば家屋敷、田地田畑全部がその後継者のものになるわけです。そういう考えがあるから、月々小遣いはやっても月給を払うという考えはないんじゃないかと思うんです。
 それから、休日の問題にしましても、農家というのは暦に合わせて休むわけにはいかないんだ、つくっている作物に合わせて、飼っている蚕に合わせて、飼っている家畜に合わせて休むよりほかないんだ、だから休日ということも違うんです、そこのところを考えてほしいと、こう言っているんですけれども、農水大臣がどうも譲らないんですよ。
 それで、きょうは特に実際に農業をやっていらっしゃる関川さんと山口さんのお二人に、あなた方は後継者や嫁さんに月給をやっていらっしゃるか、休みの方はどうなさっているか、あなた方とあなた方の仲間などを含めてその辺の状況をお聞かせいただきたい、こう思います。
#70
○参考人(関川金吾君) 今の御質問でございますが、正直申し上げまして、私も田畑合わせまして二町歩ばかり耕作をいたしておりますけれども、後継者や嫁に月給をやるだけの利益は生まれてまいりません。むしろ経営の改善等の投資によって負債がふえてきておる、こういう実情でございます。
 特に、私どもも規模拡大をしたいというふうなことで一つの法人をつくりたかったわけでありますけれども、法人をつくらないで個人のような形で県から土地の払い下げを受けて共同でその土地の管理等に努めてまいりました。五戸でその経営をやってまいりましたが、毎年毎年赤字が出まして、どうにもこうにもいかなくて今土地を遊ばせておるというのが現状でございます。
 そういう意味では、やはり価格政策というものについて国から確たる方針を打ち出していただいた中で農業経営というものが営まれない限り、特に私どものような米作地帯の中では農業が成り立たないというのが現状であろう、こう思っております。したがいまして、我々の地域の中でも、嫁さんにあるいは後継者に月給を払っておるというのは存じておりません。
#71
○参考人(山口力男君) 先生にお答えいたしますけれども、私は、なかなかそういう農村あるいは我々農家の実情、心情をくみしていただけないなというふうに思ったのは、例えばいわゆる農業をやりたいという若い人が出てこない、その原因は、給料が少ない、あるいは給料制度が整っていない、あるいは休みが少ないというような言葉がよくどこでも聞かれるんですけれども、私は果たしてそれだけだろうかという思いがあるんです。
 例えば、これは個人的な私の価値観ですけれども、休みにしても、他産業の皆さん方が週休二日制を導入した、だから農業も週休二日制なり週休三日制を目指さにゃならぬという、この追従型で果たして本当に若い人たちがこの職業につくんだろうか。あえて休みを言えというのならば、私は年休三カ月だと。九カ月はとにかく一日の休みもなく働いても構わぬのだ、そのかわり三カ月は丸々遊ぶんだ、それができるのがこの仕事だと。いわゆる農業をやる上においての価値観としてそのあたりをとらえていかないと、情報もそうでしょうけれども、都市から流れてくるいわゆる都会型の情報に我々が翻弄されるという形で都市の価値観を後追いするような形から、果たして本当に胸を張って農村社会に住み農業をやるという意欲的なスタイルが出てくるんだろうか、そういう思いがあります。
 ですから、月給制度にしてもしかりでしょうけれども、サラリーマンがこういうような仕組みでやっているから、だから農村もそういう形をやらなければなかなか後継者はいないんですよとか、あるいは嫁さんの来手がないんですよという論理はどうも私はおかしいんじゃなかろうかなという思いがしております。
 それと、嫁不足の問題にしてもしかりでしょうけれども、私の一番不得手とする話題でございまして、私はいまだに独身でございます。何もこれは後継者の嫁不足のサンプルになるつもりはないんですけれども、しかし、もともと嫁不足の問題は、マスコミも含めて、農家には嫁さんの来手がない来手がないという過剰反応、過剰報道を含めて言い過ぎだと思うんです。自分の結婚観というもの、人格対人格の向かい合いという形で、たまたまその人が農業をやっておったということで選ばれた女性も、これほど言いつらねられると、私はとんでもないところへ結婚するんじゃなかろうかともう一回足踏みするような形になるんじゃなかろうかと思うくらい、後継者の嫁不足の論議というのは私はおかしいと思っているんです。
 結婚なんというのはそんなに、家にもらうんだとかあるいは農家の労働力としてもらうんだとか、あるいは過疎対策の一環としてもらうんだという意識を改めない限りは嫁さんなんというのは来ぬのじゃなかろうかなと、私は自分の反省も含めて考えております。
#72
○星川保松君 どうもありがとうございました。
#73
○新間正次君 私も聞こうと思っておりましたのは嫁不足という問題でございまして、星川先生がお先に質問されたわけでございますけれども、それに対しまして山口さんから大変明快なお答えをいただいたわけでございますが、それは山口さんのお考えということでございます。
 一般論として、参考人の皆様方にそれぞれお尋ねしたいのでございますけれども、嫁不足対策についてどのような手を打っていらっしゃるか。また、お嫁さんがもしいらっしゃらなければ、それに対してはどういうふうにしてお嫁さんを迎える準備をなさるのか、その辺のところ。
 ということは、私はずっとこの委員会でも、むしろ農林水産業を支えているのは女性の力だと思っておるという意見をいつも持論として持っておるわけでございます。そういう意味におきまして、後継者不足ということも嫁不足という点ではある程度リンクされてくる部分もあるんじゃないかなという感じがいたします。
 この一問だけで結構でございますので、嫁不足対策に対してどのようなことをやっていらっしゃるのでしょうか。それぞれ参考人の方、よろしくお願いいたします。
#74
○参考人(小林勝彦君) この問題は非常に難しい課題でございますけれども、ただ、私たち現場におりますと、農村に住んでいる若い女性、都市の方も含めてですが、山口さんのお話にありましたとおり、余り過剰な報道は非常に逆な効果をあらわしていると思います。それから、いろんな公的な機関がいろんな花嫁対策に介入するということに対しましては、女性の立場からいきますと非常に不快感を持っているようでございまして、何か犠牲を強いられて行くような、そんな感じがいたしますようです。
 うちの町の農家を見ていますと、ほとんど農業経営者の伴侶になっているのは他産業からでございまして、そしていい経営をしているのは全部他産業から来たお嫁さんでございます。非常に柔軟にいろんな指導に対応していますし、計算能力とかいろんなことができますし、そんな点ではやはり別な血が入ってきて農村が活性化してきている、そんな点があります。
 それから、自分の町の状態を見ておりますと、嫁の問題というのは、親がどれだけ真剣に農業に取り組んでいるかという親の姿勢の問題だと思います。ふだんから農業に対し不満を持ち、自分の仕事に対して何か挫折感を持っている者が、その時期になって息子に農業のとうとさを説いてみたって意味がありませんので、日常的に、大農とかそんな意味じゃなしに、真剣に自分の家業に打ち込んでいる家の子供さんたちは結構立派な伴侶を得ている。そしてその伴侶はほとんどが他産業からの者である。
 うちの町は三十六万都市の旭川市の隣ですからそういう機会もありますけれども、ただこれから一番大事なことは、今はいろんな形で世の中がこんなふうになってまいりましたので、若い男女が公的に交際をするという機関が全くなくなってまいりました。そんな中で、公的な市町村の立場からいけば、若い青年男女がどういうふうな形で交流の場をつくって、そして自分たちが選ぶのか、そういう機会を与えるのも公的な立場として一番大事なことだと思っております。
 もとのようにお仲人さんをする親切なお年寄りがいなくなってまいりましたので、みずから選ばなきゃならない。そのためには、男女のいろんな交際の場を公的な機関を含めていろんな形で用意してあげること、そのことぐらいがいいのではないかな。あとはみずからの問題としてやはり律しなければならない、そんなふうなものだと、このように非常に割り切った考え方でございますけれども、考えております。
#75
○参考人(池田昭雄君) 端的に答えます。
 個人の問題、一般論でございますけれども、やっぱり農政上放置できない問題だというふうに考え方を持っております。私自身は、いい経営体をつくるという努力を目標にしながら頑張るんだということが必要だし、その経営体をつくった場合におきまして、私どもはこれから例えば家族協定農業を推進することによりましていい嫁さんが迎えられるような対策というのは、具体的にはそれぞれの組織がやるべきだ、ほうっておいていい話じゃないということでございます。
 それからもう一つは、例えば農業者年金の中で、平成七年の問題等もありますけれども、女性の加入問題とかそういう問題、具体的にやれることからやっていくということの中で考える問題ではないのかこういうふうに私は考えております。
 以上でございます。
#76
○参考人(石倉皓哉君) まず、結論から申し上げますと、妙手はないということであります。
 ただ、北は北海道、南は沖縄までを見渡しまして、ある県のある集落というかある地域では、若者が目をらんらんと光らせて、何、農業の将来という問題はどこの国の話だ、私には続々とほれて嫁が来るよと、こういうかなり自信を持っている若者もいます。また、ある県のある集落では、四十以上の嫁のいない青年が数十人もいる。その人たちは何かまずいのかというと、決してそうじゃなくて、一生懸命農業をやっている立派な農業青年者です。
 そういうことでありまして、身近なことから言いますと、まず農家に嫁が来ないということを言う以上は、逆に農家には娘を嫁に出さぬということを言うなということを言っておりますし、それから今後の対策としましては、農業経営としての魅力があるとか人間としての充実感とか生活面での充足感、そういう幅広い視点からの検討と対策が不可欠である。
 それからもう一つは、やはり国政における位置づけの明確化あるいは農業ビジョンの確立、あるいは教育面における農業の社会的位置づけということが非常に大事だろうと思います。若い就農者の激減は、私は日本の産業、日本の社会構造のあり方にも大きく影響されていると思いまして、農業政策だけに起因する問題ではない、特に私は教育が大事だと思います。
 それから、社会的風潮、三Kの一つ、危険、汚い、きついと、そういうことをあおっている限りは、私は若い農業者は農村に定住しないし嫁は来ないんじゃないか。
 そういう意味で、今申し上げました総合的な観点からの対策が必要である、こう思っております。
 以上でございます。
#77
○参考人(関川金吾君) 前の参考人の方でいろいろとお話はされましたのであえて申し上げることはございませんが、いずれにいたしましても農家の嫁不足事態は私どもの地域の中でも大変な問題となっておることは事実でございます。
 今お話がありましたように、農家みずからが、自分のところの嫁さんは欲しいけれども自分の娘は農家に嫁にやりたくないという、こういう意識をまず改革しなきゃならぬじゃないか、こう思います。その意識改革をするには、その要因たるものを一つ一つ解決していかなきゃならぬというふうに思っております。それは、農家みずからだけで解決できる問題じゃございません。国会の中でも十分御論議をいただく中で、それらの要因を取り除くように御努力をいただきたい、こう思っております。
 私も今まで媒酌人を二十回近くやらせていただきました。しかし、その中で農家以外からむしろ農家に嫁ぐ、こういう傾向もあることも事実でございます。したがいまして、そういう意味では農業の位置づけ、そして農業の暗いイメージを取り除くことが肝要ではないか、私はそう思っております。
#78
○参考人(山口力男君) 私は、個人的な考え方としては先ほど申し述べたとおりでございます。
 一般論として、そういう問題があるとすれば、これもまた個人の感想に近いものであるかもしれませんけれども、やっぱり人が人として魅力的に輝くためには自信が必要だろうと思うんです。農業をやっておる若者が、仮に嫁がなかなか来ない、結婚したくてもできないということであるのならば、一つには自信が持てないということが人間的な魅力を含めて女性を引きつけるだけの魅力に到達していない部分があると思いますので、言うならば安心して自信を持てるような農業をやれる条件、環境を先生方によろしくお願いをいたしたいと思います。
#79
○新間正次君 終わります。
#80
○委員長(吉川芳男君) 以上をもちまして参考人の方々に対する質疑は終わります。
 参考人の方々に一言御礼を申し上げます。
 本日は、御多用中のところ、本委員会に御出席をいただき、長時間にわたり有意義な御意見を述べていただきまして、まことにありがとうございました。本委員会を代表して厚く御礼を申し上げます。(拍手)
 本日の審査はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。
   午後四時三十一分散会
ソース: 国立国会図書館
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