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1993/06/03 第126回国会 参議院 参議院会議録情報 第126回国会 農林水産委員会 第14号
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1993/06/03 第126回国会 参議院

参議院会議録情報 第126回国会 農林水産委員会 第14号

#1
第126回国会 農林水産委員会 第14号
平成五年六月三日(木曜日)
   午前十時開会
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         吉川 芳男君
    理 事
                浦田  勝君
                永田 良雄君
                菅野 久光君
                三上 隆雄君
                林  紀子君
    委 員
                青木 幹雄君
                大塚清次郎君
                鎌田 要人君
                佐藤 静雄君
                高木 正明君
                野間  赳君
                一井 淳治君
                稲村 稔夫君
                谷本  巍君
                村沢  牧君
                風間  昶君
                矢原 秀男君
                星川 保松君
                喜屋武眞榮君
                新間 正次君
   衆議院議員
       農林水産委員長
       代理       柳沢 伯夫君
   国務大臣
       農林水産大臣   田名部匡省君
   政府委員
       農林水産大臣官
       房長       上野 博史君
       農林水産省経済
       局長       眞鍋 武紀君
       農林水産省構造
       改善局長     入澤  肇君
       農林水産省構造
       改善局次長    中道  宏君
       農林水産省農蚕
       園芸局長     高橋 政行君
       農林水産省畜産
       局長       東  久雄君
       農林水産省食品
       流通局長     須田  洵君
       農林水産技術会
       議事務局長    貝沼 圭二君
       食糧庁長官    鶴岡 俊彦君
       林野庁長官    馬場久萬男君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        片岡  光君
   説明員
       総務庁行政管理
       局管理官     畠中誠二郎君
       厚生省生活衛生
       局水道環境部環
       境整備課浄化槽
       対策室長     吉岡荘太郎君
       運輸省自動車交
       通局技術安全部
       技術企画課長   樋口 忠夫君
       建設省都市局下
       水道部下水道企
       画課長      亀本 和彦君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○農業経営基盤の強化のための関係法律の整備に
 関する法律案(内閣提出、衆議院送付)
○農業機械化促進法の一部を改正する法律案(内
 閣提出、衆議院送付)
○特定農山村地域における農林業等の活性化のた
 めの基盤整備の促進に関する法律案(内閣提出
 、衆議院送付)
○農林物資の規格化及び品質表示の適正化に関す
 る法律の一部を改正する法律案(内閣提出、衆
 議院送付)
○参考人の出席要求に関する件
    ―――――――――――――
#2
○委員長(吉川芳男君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。
 農業経営基盤の強化のための関係法律の整備に関する法律案、農業機械化促進法の一部を改正する法律案、特定農山村地域における農林業等の活性化のための基盤整備の促進に関する法律案一以上三案を一括して議題とし、前回に引き続き質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#3
○稲村稔夫君 おはようございます。
 きょう私は、新農政関連三法と言われているものが今審議になっているわけでありますが、非常に多くの疑問点などもございますし、そのことについてこれからお伺いをしていきたいというふうに思っております。
 質問を申し上げる前に私は、私の意見でちょっと恐縮でありますけれども、まず申し上げて、政府の方でもその辺については今後いずれかの時期にその点を明らかにしていただけるようにお願いをしたいと思っていることがございます。
 それは、先日来この新農政に関連をいたしまして、農基法農政についてどう考えているかということが同僚委員からいろいろと尋ねられたことがありました。それに対して、農林水産省の御答弁は主として官房長がお答えになっていて、農業三法についてはずっと現在もその枠が正しいと思っておる、一口に言えばそういう意味の御答弁をいただいてきたと思うんです。
 しかし、新農政を展開するというからにはいろいろな事情の変化、状況の変化、そういうものがあって、そこで初めて新農政ということになるんであります。それがなきゃ何も「新」とくっつけないで農基法農政のさらなる展開と、こう言えばいいんでありますから。ということなのに、新農政というふうに言われているんであります。
 そうすると、当然今の農基法農政はすべて正しく展開をしてきたと、そう政府の方が認識しておられるんであれば、それなりに正しかったからこういうふうにしていくんだ、この点は正しかったんだからこういうふうにしていくんだと、こういうことがきちっと明らかにされなければいけないのではないか。
 あるいは反省点があれば、その反省点は今度の農政の中ではこういうふうにして克服され、あるいは生かしていこうとしているというような点がそれぞれ、農基法農政が継続をしているという判断に立っているならば、まさに中間総括とでもいうんでしょうか、そういう形でやはりきちんと位置づけがされてこの新農政関連三法が提起をされてしかるべきだったと、私はそう思っております。
 したがいまして、これから先も新農政にかかわる議論をする際にはこのことが常に問題になっていくと思います。政府の方も、私は当然農基法農政ということが一定の基準になって、物差しになって物を決めているならば、それとの関連を明確にしていく責任が今後もあると思います。それは今度の法案の中では抽象的なお答えしかいただいておりませんが、きょうそれをやっているとまた一日かかってしまっても本意ではありませんから、私は要望として、今後の課題として申し上げておきたいと思うんです。
 そこで、法案の質疑に入らせていただきたいと
思います。
 最初に、新農政の中の農業基盤整備法については、経営規模拡大ということで農地を集約していく、法人化をさせて経営を合理化していく、このことが一つ大きな柱になって提起をされていると思うのであります。その中でも特に平場では稲作中心の経営ということで念頭に置いておられると思うのでありますけれども、そこで機械化とかあるいは化学肥料とか農薬とか、機械化は機械化に伴っての燃料の使用とかいろいろなことがありますけれども、要するに経営規模拡大ということに伴って化石燃料の使用量というものはどうなっていくんであろうか、このことが一つ大岩な課題になると思うわけであります。
 そこで、まず最初に伺いたいと思いますのは、機械化によって燃料の消費動向、皆さんの方から大体モデル経営みたいなものを考えていただいて試算なども出していただきましたけれども、例えば耕うんの関係でいけば、トラクターならトラクターは現在は二十馬力を中心にして考えるけれども、今度は三十馬力を中心にして考える。こんなことになってまいりますと、そうすると大型化による燃料消費傾向というものがどうなるであろうかということも気になるわけであります。その辺はどのようにとらえておいでになるでしょうか。
#4
○政府委員(上野博史君) これから規模の大きい効率的な経営体をつくってまいらなければならないというのが一言で申し上げればこれからの方針でございますけれども、規模の大きい経営をつくるということは効率化を進めるということでもその本意はあるわけでございまして、全体としての大きな機械を使う、あるいは経営体としての石油の消費量は絶対量ではふえるというのは、これはもう間違いないところだろうと思うわけでございますが、十アール当たりというような単位当たりで見ますと当然節約が果たされてくるというふうに考えております。
 具体的に言いますと、圃場整備なんかもそうなると要るわけでございますが、規模の大きな区画の圃場で仕事をするということになりますと、旋回に要するトラクターの旋回時間なども小さくなってくる。あるいは集団化が行われるというようなことになりますと、圃場がまとまって、機械がある圃場からある圃場に移るその時間が総体として短くなるというようなことも考えられるわけでございまして、全体とすれば化石燃料の消費は少なくなるというふうに考えております。
 個別の機械やなんかで見ますと、委員のおっしゃられたとおり、大きな馬力の機械を使えば、その絶対値としての消費量はふえるけれども、十アール当たり等の単位当たりで見ればこれもやはり使用量は少なくなるというふうに理解をいたしております。
#5
○稲村稔夫君 今のお答えは、先日私の方で要求して、とうとうこの間の一般質疑のときには間に合いませんでしたが、試算をお願いした「新政策・稲作経営モデルで想定した機械装備及び諸施設整備、化学肥料及び農薬」という資料を出していただきました。それを見せていただいてもそうなっている。ですから、官房長のお答えは当然そうだと思うんです。
 しかし、これを拝見してまいりますと、一つは、ちょっと私もわからないと思いますのは、例えばトラクターは、購入価格は別にいたしましても、年間使用時間は四百二十九時間、うち稲作部門で二百三十九時間ということでありますから、これでちょっと実態と合わせて、割ってみましたりして現在と比較をしてみますと、どうも能率の計算などについてはちょっとわからないところがいろいろとあるんであります。
 しかし、そのことは細かいことでありますから別にいたしまして、問題は、確かに機械装備だとかその点検等についての化石燃料の使用量は単位十アール当たりに直したら減る。それから、化学肥料も施肥技術の向上で減る、こういう試算もしておられる。しかし、例えば今官房長が言われたように、多くの時間のむだとか、畝を乗り越えていく、あぜを乗り越えていく、そういうむだな時間だとかいうようなことを考えていけば、当然経営面積を大きなものにして、それであぜを取り払ったりなんかいろいろまた圃場の整備をしていかなければならない。直接農業ではないけれども、圃場整備をするためにまた化石肥料は結構使うわけです。
 そういうことを総合していったときに、これは計算はなかなか難しいと思いますけれども、化石燃料というのはそう理想どおりに使用量が減っていくと、まあ減っていく傾向はあるでしょうけれども、理想どおりに減っていくというふうにはいかないんじゃないかというふうにも思うんです。
 しかし、あともう一つ大きな問題になりますのは農薬部門なんでありまして、農水省の方から出していただいたものによりましても、水稲作部門で想定した防除の費用で見ても十アール当たりの農薬の費用は六千八百七十二円、現在の米生産費調査でいつでも七千六百二十七円ということでありますから、これはもうほとんど減らないということ、横ばいということになるわけであります。
 私は、環境に優しい農業というよりも環境を守るという観点で農業を考えていったときに、一つはその化石燃料の消費量というのは総体としてどうなるかということをきちっと監視していかなきゃならない問題だというふうに思いますし、もう一つは農薬、これは今度は消費者の健康、いや消費者ばかりじゃないですね、むしろ直接使用する農家の健康というようなものとみんな関係してくるわけでありますから、これは直接的には環境問題ということにもなるわけであります。
 そこで、これが減らないということは一つの問題意識として持たなきゃならぬと思うんですが、その辺はどういうふうにとらえておられますか。
#6
○政府委員(高橋政行君) 特に農薬との関係での御質問かと思いますが、我々も現在、米の生産費調査によりまして、量としてはなかなか把握しにくうございますので、これを生産費の中での費用ということで見ますと、規模の大きい方はと農薬費の十アール当たりの費用も大体逓減をしておるという傾向は見られます。それはなぜかというようなことになりますが、やはり大きい経営の方は、それぞれコスト意識を持ちまして適時適切な農薬散布をしていこうという、そういう営農をしておられるのではないかというふうに思っております。
 我々といたしましても、先生お話しのように、これから環境保全型農業というのを我々の新農政の一つの柱にして推進していかなきゃいけないというふうに思っておりまして、その中では特に地域を限定したきめの細かい発生予察などもしっかりやるような体制をつくりながら、そういう中で適切な農薬使用というようなことにも今後努めて、できるだけ使用量を少なくしていくというような努力はしていかなきゃいけないと思っております。
#7
○稲村稔夫君 多分そんなふうなお答えになるんだろうと思ってはいたんですが、しかし経営規模の大きい方の方が農薬の使用については倹約をしていると、こういうお話というのはどういう根拠に基づいておられるのか私には少し理解しかねるところがあります。
 例えば、私どもの新潟県でまいりますと、農薬の空中散布は小さいところは者やっていませんよ。例えば頸城の山の方などというところで空中散布はいたしません。しかし、空中散布を地域の住民がいろいろと困るからやめてくれと幾ら言っても、どうしてもやらなければ耐えられないというのが蒲原平野なんですよ、農家の皆さんの方からすれば。だから、蒲原平野は逆に減らしてくれという要求に対して、空中散布は一回回数をふやさなきゃならぬというような形のものが出てきたりするんです。経営規模は、蒲原平野というと大きいですからね。
 経営規模の大きいところがむしろコスト意識を持って倹約するというお話というのは、ある程度理屈の上では成り立つと思いますけれども、現実の対応の仕方ということになりますと、私は極端に言えばそれでも採算が合う広さになっていけば
いい、そういう考え方もできる、こんなことにもなもんでありまして、このことが新潟では重大な問題を引き起こしているわけです。
 これはもう前回も私は問題にしましたから、またきょう繰り返す形になってしまいますけれども、この「アエラ」に載ったのは新潟大学の山本先生が提起をされたCNP、除草剤ですね。この除草剤と胆のう、胆道がんの因果関係、これは多因子説ですね、CNPだけが原因だとは言っておられない。しかし、そのCNPがほかの要因と重なり合って、そして多因子的に作用して胆道がんがふえている。
 要するに、新潟というところは、食生活であるとかその他のことで言ったら、CNPを使うことによってハイリスクを受ける地域だと、こういうことなんですよ。これは疫学的にかなり確実です、十年追っておられるんですから。そして、厚生省の対がん十カ年計画のメンバーとしてずっとこの問題と取り組んできておられる、その方がこのごろ警鐘を乱打しているんですよ。
 そうすると、このCNPの使用は、蒲原の方の平野部を流れている信濃川と阿賀野川で多い。ところが、経営規模の小さい地域はこれはほとんど検出をされない。頸城・上越地方というのはそういうものが検出をされないということなんであります。言ってみれば、これはどうしても作業能率としても、平野部で経営規模の大きいところはそれなりに除草剤もきちんと使って肥培管理しようとするわけでしょう。経営規模が大きくなればなるほど機械的に手で取りなさいとか、除草機器を使って中耕除草で取りなさいとかということがなかなか難しくなってくると思う。
 そんなことを考えていきますと非常に問題があるんじゃないかというふうに思うんですが、この山本先生などの提起をしておられる問題に対して農林水産省はどのように受けとめておられて、今後どのようにすべきだとお考えになっておりますか。
#8
○政府委員(高橋政行君) 空中散布につきましては、農作業の省力化あるいは生産コストの低減化を図るという上で、特に我々といたしましても必要であるということで空中散布が行われておるわけでございます。
 先生がおっしゃいましたように、空中散布を行う場合には特に環境への影響ということがあるわけでございますので、散布に当たりましては、散布区域の点検、見直しをよくして行うとか、あるいは特に薬剤の飛散が問題になりますので、薬剤の飛散の少ない新技術、例えて言いますと短縮したブームを使用するとか、あるいは粒剤で少量散布技術を開発するとか、あるいは無人ヘリコプターを利用しますと非常に小回りもきくというようなことで、そういった技術開発もしながら、地域住民の理解を得ながらやっていくということが必要じゃないかというふうに思っております。
 またさらには、実際に空中散布が行われた場合、大気中でもどのような濃度になっているかというようなモニタリング調査なども行って、安全性を実証しながらやれるというような対策事業も本年度から新規に始めたところでございまして、今後ともそういった点には十分に意を用いていかなければいけないというふうに思っております。
 それから、CNP自身につきましては、現在空中散布では用いられてはおりませんけれども、ただいま「アエラ」の記事も御紹介がございましたように、疫学的見地からあのような評価といいますか論文がなされておるわけでございます。
 それで、このCNPにつきましては、現在環境庁におきまして、いわゆるCNPも含めてでございますけれども、水田で使用される農薬につきましても水質汚濁に係る登録保留基準についての設定作業が進められておりますので、我々もその作業とあわせまして、その設定がなされれば農薬の使用時期あるいは方法等についても見直しをしていきたいというふうに思っておるところでございます。
#9
○稲村稔夫君 きょうは私は、CNPでどういうふうな影響が考えられるかということについて触れる気はないんです。これはまたあしたJAS法なんかもありますから、そういうところでまた関連をしますからどうしても触れざるを得なくなるでしょうが、きょうは、どうしてもこれは大気の汚染とか水質汚染ということを防ぎ切れない、そういう問題があるということをきちんと認識した上でかからなきゃいけないというふうに思ってお聞きをしているんです。
 それは、例えばできるだけ飛散しないようにと言うけれども、そこの集落に全然その農薬が飛散していかないなどということは不可能なんですよ、現実の問題として空中散布をやっていけば。空散に伴う薬剤そのもののいろいろな問題点というのはあるでしょうが、そういう飛散の問題というのはやはり問題なんでありまして、できれば空散というのはしない方がいい、環境に優しいというならしない方がいい、こういうことになると思うんです。農業が環境に優しくなくなってくるということになるわけでして、非常に問題があると思うんです。
 それから、CNPの水質汚染は、これは空中散布ではありませんけれども、水田にみんな散布することによって流入する河川を汚染していくわけです。その河川が湖沼も汚染するわけです。全国各地でCNPで汚染をされた調査結果というのが出てきていますね。霞ケ浦でも、あるいは琵琶湖でも、あるいはその他の幾つもの河川で研究者等が実際に調べて論文なども発表しているわけでしょう。
 こういうふうにして水質を汚染していくんですよ。農業が本当に環境を守るという、そういう観点からいったならば、私はこうした農薬の使用というものは最大限しないで済むように、そういう農業の技術を開発していかなきゃいけないんだと思うんです。農業の進んでいく方向というのはそういう方向でなきゃいかぬのだと思うんですよ。そうしなきゃ農業は環境に優しいなんて言ってられないんです。そういうことが私は規模拡大ということに伴って心配をされる問題であります。
 同様にして、今度は特定農山村では高付加価値の経営ができるように、生産法人等をつくりながら対応していこうということのようであります。しかし、中山間地で一体高付加価値の複合経営というのはどういうふうにしたらできるんだろうか。いろいろな意見があると思いますけれども、私なりに考えてみますと、例えば畜産との結合などということを考えていく。その畜産ということも、例えば私どもの方の山間地の山古志村で、あの牛の角突き、闘牛で有名なところですが、こういうところのように一頭か二頭の牛を大事に育てているというような、これは肉牛ですけれども、そういうようなところは今までどおりの経営ということになるわけであります。
 しかし、これを高付加価値でやっていこうとしたら、複合化して採算の合うものにしていこうと思ったらいろいろな形で機械化をしていかなきゃならぬ。新たに機械導入をして、言ってみれば機械そのものという形での化石燃料の消費増とそれから燃料という形での化石燃料の消費ということに結びついてくるんじゃないか。そうすると、例えば今度はハウスなどを組み合わせてうまくやりましょうということになってきたら、これはビニールを張らなきゃなりませんし、その中でまた燃料もたかなきゃならぬ。今までやっていなかったところでやるということになってまいりますと、それは化石燃料の使用増ということにつながっていくんではないでしょうか。
 そうすると、今の新農政関連法案というのは、今聞いている範囲の中だけでいったら、例えば世界的になってきている二酸化炭素の排出抑制であるとかNOxの抑制であるとか、そういうような方向に少し逆に動いてしまうということになるんじゃないか。そういう心配がするんでありますけれども、その辺はいかがでしょうか。
#10
○政府委員(東久雄君) まず、畜産物の関係についてお答えさせていただきます。
 畜産の場合には、先生御承知と思いますが、生産費の中に占めるエネルギーの消費というのはな
かなか出てこないんで、結局、光熱水料及び動力費というところで見させていただく以外にないんでございますが、水を含めまして、大体酪農の場合では生産費の約二%、それから肥育豚の場合で約一・五%、それから去勢の和牛の肥育で〇・六%、それから養鶏、採卵鶏の場合で二%弱という形になっております。そういう意味で、畜産の中に占めるエネルギーの使用量というのは必ずしも飛び抜けて高いということではないと思います。
 もう一つ、規模拡大とそれからエネルギー消費の関係でございますが、これについてもちょっとなかなかいい資料がないんでございます。今後、新農政等で展開していく場合には、土地利用との関係がございますので、酪農、肉用牛の経営規模拡大ということが大きな課題となろうと思いますが、それの関係で見てみますと、酪農の場合には、むしろ規模拡大をしていくことがエネルギーの消費の削減になるというか、生産費の中で見ますとそこのところが単位当たりの消費量が減っていくというような形になっております。
 そこで、もう一つ、畜産振興という場合に、エネルギーのこともさることながら、畜産経営自身の生産性の向上という観点でほかの部門でのコストが大きな部分を占めますので、それの削減という形で経営体質の強化という面があるということを考えていかなければならないというふうに考えておりまして、全体としてそういう規模拡大という形での、特に大家畜の場合の規模拡大でございますが、それはそういうふうな形での経営体質の強化ということになるとともに、酪農の場合には、先ほど言いましたようにエネルギーの削減にもつながっていくというふうに考えております。
#11
○稲村稔夫君 ちょっと局長の御答弁の中で、酪農の場合にはエネルギーの削減につながるという話だけれども、私はそう簡単なことじゃないと思いますよ。むしろ、例えば水を確保するんだって、山の水を引いてビニールパイプを引いていけば、それは化石燃料の使用ということにつながってくるわけですし、それから、ポンプで上げればポンプのまた使用ということであれが出てくる。要するに、コストの問題ではないんですよ、僕が今問題にしているのは。コストだけで物を言ってはいけないんじゃないかという考え方があるからこんなふうに申し上げているんです。
 そして、しかも酪農にしたって、それから肥育にしても、それは豚でも牛でも同じですけれども、今度は排せつ物の処理問題だとかなんかということが出てくるわけでしょう。そうすると、排せつ物の処理に対してもほうっておくというわけにはいかないんですよ。野積みにしておくというわけにはいかないんですよ。ということになってくれば、それなりの対策を立てていけばそれなりに、今の技術水準というのは、化石燃料は何らかの形に形が変わっている場合も随分ありますけれども、結局化石燃料のところへ落ちつかざるを得ない、こういうことになってくるんじゃないかと思うんです。
 私は、特定農山村、私たちの方の法案の方でいけば中山間地でありますけれども、この中山間地こそ、それこそ、あしたからまた議論になるのかそれ以降になるのかわかりませんけれども、JAS法との関連の中でいろいろと議論しなければならない課題になる有機農業の普及徹底を図っていくというようなこと、これは非常に適切な地域にもなってくるんだろうと思うんです。そのときに、そういうふうに適切だと言いながら、逆に全体でいったら化石燃料をたくさん使うようになってきたということになったんでは、総合してそうなったんでは、農業という範囲だけのことを考えてしまっていて、エコロジスト的発言をすれば人類全体の利益というものをかなり考えていないということに指摘をされてしまうということになりかねないと思うわけであります。
 そこで私は、経営規模拡大、高付加価値生産経営というふうなその指標だけでこれからの農政が展開されていったならば、いろいろとまた新しい形で問題が出てくるのではないかということを心配しているのであります。一つは、平場では、特に農薬使用の関係では新しい課題として今後いろいろな問題がさらに提起をされてくるんじゃないかと心配をいたします。それから、特に中山間地では、有機農業というものの普及対策というものがどれほど本気になって農林水産省は推進を考えておられるのか。その中で、特にそうした化石燃料をできるだけ使わないような、こういうことを私が申し上げているのは、化石燃料をできるだけ使わないようにしていくということはコスト減にもつながっていくという、そういう側面もあるわけでありますので申し上げているわけであります。
 その辺のところをちょっと総合してお考えをお聞かせいただきたいと思います。
#12
○政府委員(上野博史君) これからの農業を考えてまいります場合に環境への影響を考えていかなければならない、これはもう委員御指摘のとおり、全くそのとおりだというふうに思っております。今回の我々の新政策の中におきましてもそのことを十分意識いたしておりまして、一つの大きな目標として考えているわけでございます。
 その中で有機農業の問題でございますけれども、有機農業は、今おっしゃられますように究極の姿といいますか、そういう形になれば一番好ましいということはそのとおりだというふうに思うわけでございますけれども、現実の病虫害の問題を考えますと、なかなか有機農業をもちまして我が国の農業の大半を支えていくというふうには現在の技術の状況ではなりにくいわけでございまして、まさに規模の小さい、労力多用の経営でなければならない、そういうものでしか対応ができないというのが実態なわけでございます。
 我が国の自給率とかあるいは耕地の有効な活用とかいうふうに考えますと、一挙にそこをそういう話ですべてを割り切って考えるというわけにもいかないところが我々としての非常に大きな問題意識でございます。できるだけそういう方向に向かって、トータルとしての我が国農業の環境への影響度を小さいものにしていくという努力を今後とも続けていかなければならないというふうに考えているところでございます。
 それから、中山間地域の問題でございますと、我々はその地域の活性化の問題というのを非常に大事に考えているわけでございまして、活性化を図る手だてとして、それぞれの地域の条件に合っていろいろな工夫がなされるということになろうというふうに思っております。その際に有機農業というのも一つの非常に有力な手段だというふうに思いますけれども、しかしいろいろな形の付加価値の高い農産物をつくるということも地域によっては十分考えられるわけでございまして、その際には必要な農業用資材の投入というものも考えていかなければならないわけでございます。
 その際にこれを極力少なくするということは、経営のコストという面から見てまだ非常に必要なわけでございまして、環境へ優しいということとコストを削減するということはこの際は両立をするわけでございますので、我々としてもそういう観点も十分に頭に置きながら努力をしてまいりたいというふうに思っております。
 ただ、今御指摘の化石燃料の問題について若干考えてみますと、トータルとしての地球環境の保全というのは、農業を含めた全産業あるいは我々の生活態様全体としての問題という観点で考える必要のある問題だというふうに考えるわけでございまして、それを農業の部分でやってはいけないということはもちろんないわけでございますけれども、余りに農業の分野がそれにリジッドであれば、逆にそれによって生活が成り立たない、地域が成り立たないという辺の問題もあるわけでございまして、兼ね合いの難しいところ、むしろ全体の経済なり生活としてこの環境問題にどう対応していくかという観点からいろいろ考えなければならない問題だというふうに理解をいたしております。
 我々の農業の問題ももちろんその一環として対応していかなければならないということはお説の
とおりだというふうに理解をいたしております。
#13
○稲村稔夫君 私がここで最初に申し上げたことと関連をするわけでありますが、結局農基法農政で選択的拡大ということで、その中でも規模拡大ということをいろいろとやってまいりました。そして農業経営者も専業農家から兼業農家がますますふえていく。兼業農家になることによって、できるだけまた労働力を軽減するために機械に頼り、そして化学肥料に頼り、農薬に頼るということにならざるを得なかった、そう思うんです。
 そうすると、そこでもって選択的拡大ということを基準にしたいわば農基法農政というのは一体この面ではどんな役割を果たしたんだということをきちっとしておかなきゃならない、そういう課題なんじゃないかと思うんです。そういうものなしに今度の新農政というのが提起をされたということを甚だ私は遺憾に思うということだけを申し上げておきたいと思います。
 次に、機械化促進法が提起をされておりますけれども、これは主として私はコストの問題について伺っておきたい。とにかく機械化貧乏という言葉があるくらい、農業機械というものが農家の経営を圧迫する要因になっているという現実があると思います。
 そこで、今後規模拡大を図っていく、そういうことの中で当然またさらに新たな機械を購入しなきゃならぬ、大型の機械を導入しなきゃならぬ、こういうことになるわけでありますから、それが経営を圧迫するようでは困るんでありまして、新たな機械購入に伴って経営圧迫にならないようにする対策というのはどのようにして立てておられるでしょうか。
#14
○政府委員(高橋政行君) まさに先生御指摘の、機械をいかに効率的な利用がなされるように経営の中に入れていくかということが、今回の法律改正でも重要な点になるわけでございます。
 したがいまして、農業機械の導入に当たりましては、現在、農業機械化促進法に基づきまして国あるいは都道府県が、それぞれ機械の効果的な導入に必要な条件を定めます基本方針、導入計画を作成することになっておるわけでございまして、これに基づいて農業者それぞれが個々の経営状況あるいは利用規模に応じまして適切な導入ができるように、我々は末端組織を通じて指導をまずしていかなきゃいけないというふうに思っておるところでございます。
 それからさらに、その効率的な利用ということからいたしますと、共同利用を促進するということも一つでございますが、現在、農業機械銀行というような方式によりまして農作業の受委託を進めまして、規模を大きくした形で機械を効率的に利用する、あるいは機械利用の調整、これはいろんな人が機械を持っておるわけでございますが、むやみやたらに購入しないように皆さんが所有している機械を効率的に利用していくような方法での調整をするとか、あるいは銀行それ自身が機械を持って作業を請け負ってやるとかというようなことで、まず効率的な利用を進めたい。
 さらに、本年から新しく、農業機械を自分で購入しないで借りてくる農業機械のリース・レンタル方式と言っておりますが、こういうものも推進してまいりたいというふうに思っておるところでございます。
#15
○稲村稔夫君 局長の御答弁で、過剰投資をある程度防いでいこうという対策については大体わかりました。
 しかし、農業機械そのものの価格、これについては、例えば二十馬力のトラクターを購入するのと三十馬力のトラクターを購入するのとでは価格がかなり違うわけであります。また、汎用機械を購入するか専用を購入するかというようなことでも違ってまいります。これはまた、場合によっては過剰投資につながってくるという側面もあります。これらの点についてはどのように対策を講じておられますか。
#16
○政府委員(高橋政行君) 今のお話、ちょっと御趣旨がよく理解できなかったところがございますが、我々それで……
#17
○稲村稔夫君 よくわからなかったんなら、もう一度聞きます。時間がもったいをい。
 じゃ、端的に言いましょう。まず、機械の値段、これを抑えるためにはどうしていますか。
#18
○政府委員(高橋政行君) まず、機械そのものの値段ということになろうかと思いますが、その一つといたしましては、我々は、やはり機械の値段をいかに安くしていくかということにも当然意を注がなきゃいけないわけでございます。一つはメーカーが、自動車なんかでも同じですが、むやみやたらにモデルチェンジをする、あるいはいろんな余分なといいますか、装備をたくさんつけるというようなことがあったわけでございます。
 そういうことに対しましては、いかにモデルチェンジを抑制するかとか、あるいは簡素な機械といいますか、そういうものを製作するようにというようなことの指導、それから部品なども共通化することによって少しでも値段を下げていこうとか、あるいはモデルチェンジとも関係いたしますが、せっかく買った機械が悪くなることによって、もうそれが使えなくなってまた買いかえなきゃいけないというようなことになると、これも機械投資がふえるわけですから、そういう場合に部品供給が円滑に行われるように、部品供給のそれぞれメーカーが部品を持っている年限を長くするとか、あるいは部品の供給が円滑に行われるようなシステムといいますか、そういうようなものを設けるとかというようなことを通じまして、関係省庁とも連絡をとりながらメーカーを指導し、機械そのものの値段も下げていくというようなことにも配慮しておるわけでございます。
#19
○稲村稔夫君 部品の共通化だとかいろいろなことのお話がありましたが、これについて私は多少疑問がございます。
 というのは、自動車などは言ってみれば寡占の大メーカーがみんなマーケットを支配しているわけでありまして、お互いに競争といってもほとんど共通のもので、モデルチェンジの話もありましたが、自動車の場合はモデルを中心にした売り競争みたいな形になっていますね。しかし、農業機械の生産メーカーはそういうものに比べれば中小企業だということになってまいります。そして、お互いの競争というのはかなり熾烈でありまして、部品の共通性というよりも、言ってみれば特殊性をどう持たせるかというようなことでいろいろと競争する。そうすると、どうしても部品についてはメーカー独特のものになっていかざるを得ない。そういう側面も持っているということがあります。
 それからもう一つは、できるだけ簡素化というお話がありましたが、簡素化するということは、そうするとそれだけ汎用化から離れていくわけですね。大体そういう傾向にあると思うんですね、全部は断定はできませんけれども。そうすると、結局専用化するとそれぞれに見合った新しい専用機を買わなきゃならぬというような問題が起こってまいります。そういうようなことになりますので、機械の購入費についての抑制ということについては、過剰投資の防止もさることながら、同時に非常に難しい問題を持っているけれども、いろいろと工夫をして対策を立てて農民の負担をできるだけふやさないようにしなければならない、このように考えておりますので、そこはまた御答弁いただいていると時間がなくなりますから、要望にして、次の問題にいきましょう。
 トラクターは、千五百cc以上になりますと道路を走るということもあって、車検が要るというようなことになりますから、その車検の費用だとか、あるいは自賠責だとかその他の保険の問題などというのがあり、これがばかにならない経費だと思うんです。
 この辺は運輸行政とのかかわりがあると思いますが、運輸省との交渉はどのようにしておられるでしょうか。
#20
○政府委員(高橋政行君) 先生お話しのように、農業大型トラクター、千五百cc以上のものにつきましては車検の対象で、その車検期間も二年間ということになっております。
 この問題につきましては、従来も関係の団体から車検期間の延長とか、あるいはそもそも車検の対象にしなくてもいいじゃないかというような要請もございました。それで、我々もそういった要請も踏まえまして、運輸省とかけ合っているといいますか、運輸省に対して要請をしているところでございますが、まだ具体的な結論を得るまでには至っておりませんで、引き続き協議をしようということにしているところでございます。
#21
○稲村稔夫君 トラクターも、言ってみれば大型化すれば車検が要る、千五百cc以下であれば車検も要らない。その辺のところにもいろいろとまた矛盾もあると思いますし、それこそ今後の新農政展開の中でまた機械化貧乏が出てきたなどということにならないようにするためにはいろいろな手当てをしなきゃなりませんから、その辺は運輸省ともしっかりとまた交渉していただきたい、こう思います。
 さらに、農作業用のトラックの問題などもございますけれども、この辺はもう私の時間も足りなくなってまいりましたから割愛をさせていただいて、次の大きな問題の方に入りたいと思います。
 それは、今度の基盤整備法に伴います農地の集積の問題と土地価格の問題であります。今度の新農政の方には、価格政策であるとかそういうことについてはまた別途の問題だということでお触れになっていないのかもしれませんけれども、しかし経営を維持していく上ではこれは極めて重要な問題になるわけであります。
 そこで、まず第一に伺いたいのは、きのうも麦価米審をやられて、大分私どもには不満ばかり残るという形になるわけでありますけれども、さらに本米審、米価米審が開かれるときに、これまた私どもは農林水産省に裏切られるのかといったような、ちょっと言葉は悪く聞こえるかもしれませんけれども、しかしやっぱりそういう感覚なんですよ。
 そういう米とか麦とかといった価格でさえ下げられるという傾向にあるということになるわけですが、今後農産物の価格というのは一体どう推移をするというふうにごらんになっているんでしょうか。米とか麦とかというものについてはもうこれ以上下がらないということになるんでしょうか、それとも下げる可能性があるということになるんでしょうか。その辺本音をちょっと聞かせてください。
#22
○政府委員(上野博史君) 率直に申し上げまして、なかなかお答えが難しい問題でございます。全体としての価格の扱いにつきましては今の考え方を踏襲していくということになろうと思いますけれども、要は農業生産が、再生産をされる、そのために生産費を十分に考慮に入れて再生産ができるような価格を設定していく。しかし、一方で需給事情というものも、価格の機能として需給の調整というのもあるわけでございますので、需給をどう見るかということも入ってくるというふうに考えております。
 それじゃ、それは具体的に将来を見通してどうなんだと言われますと、なかなかはっきり申し上げられるようなことではございませんで、豊凶の問題もございますれば、あるいは例の生産調整をやって過剰な潜在的な生産力を調整しているというような、この辺の状況がどうなっていくのか、米についての話でございますけれども、等々先行きの状況によるところが大きいわけでございまして、一概に価格がどうなるというふうに申し上げるのは大変難しくて、差し控えさせていただきたいというふうに思うところでございます。
#23
○稲村稔夫君 そういたしますと、官房長、これから下げるというようなことを今考えておるわけではない、できれば今の水準でいきたい、しかしいろいろな条件があってまた下がるかもしれないと、そういう含みがあると思うんですね。
 そうしますと、そこで、これから政府の方針に従って農業生産法人に結集をして、土地を集積して、それで経営をやっていこうというわけでしょう。そういったときに、集積する土地に例えば利用権を設定して賃借でいくとか、あるいは新しく土地を手放す人がいればそれから購入するとか、あるいは農地保有合理化法人から買い取るというようなことが行われるわけですね。その土地の価格が、集積時から以降で農産物の価格が下がったときは、これは生産量がそれに見合ってふえていない限りは経営を圧迫するということになりますね。それは間違いないでしょう。どうですか。
#24
○政府委員(上野博史君) 土地を買うためにかかったコストあるいは借入金の金利というのが経営コストに入ってくるということになろうと思うわけでございますけれども、全体としてのコストと価格との関係で農家の経営の継続可能性というものは考えられてくるということになるんだろうと思います。
#25
○稲村稔夫君 どうもはっきりしませんね。
 要するに、土地を仮に合理化法人から買ったとしましょう。これは、分割になるのかどうか、長期に支払いをするということになります。そして経営は生産法人になって合理化いたしましたから、例えば一年とか二年とか三年とかという中で、一定程度収入、収穫は安定いたしましたということになりますね。そこでもって農産物価格が今度下落をしてきましたということになりますと、土地の価格は分割をしてでも返済をしていっているんですよ。同じ価格で、変わっていないんです。ということになったら、これは経営の利益は落ちるということになるでしょう。これは間違いないですね。
#26
○政府委員(入澤肇君) そういう御指摘のような状況が考えられます場合にいろんな方法を考えなくちゃいかぬと思います。
 一つは、不測の事態によりまして経営内容が悪化して既存債務の償還が困難となるというふうな場合に、農地取得資金を借りて農地を取得して経営を行うわけでございますが、その農地取得資金につきまして、農林漁業金融公庫のリリーフ資金、債務の借りかえですね、それから経営再建の整備資金、制度資金以外の債務の借りかえ、こういうふうな融資もやって、借りている制度資金の金利そのものを下げていくというふうな対策も講じているわけでございます。
#27
○稲村稔夫君 そうすると、それは結局借りかえと同じようなことになるわけでしょう。それに低利だといったって利息はつくということになったら、自転車に乗っている俵が一俵ふえていくことになるんじゃないんですか。自転車操業でしょう。自転車操業で後ろに積んでいる利息という俵がまたふえるということになりませんか、そうすると。それじゃちょっとぐあい悪いんじゃないでしょうか。
#28
○政府委員(入澤肇君) そのような制度資金を活用して、要するに経営を続けながら、全体として経営改善を図り所得の確保を図っていくということで営農の安定に努力をしてもらうということでございまして、単なる自転車操業ということではないと私は考えております。
#29
○稲村稔夫君 価格が下落をするということは、これは経営者の経営努力ではないですよ。それは仮に差別をつけることができて、いいものが生産できてということが一時的にあるとしても、それはすぐ競争の中でなくなって平準化してしまう問題でしょう。だけれども、借金というのは返さなきゃならないんですよ。利息はついているんですよ。
 経営者の努力というものにまつというけれども、努力のいかんにかかわらず価格は下落をする。そして今のように経営の努力でもって対応できるというのはごく一部の一時的なことしかありません。ということになってくると、土地価格を払っていくというのは長期にわたっているということになるわけですから、そうするとこれはやっぱり経営圧迫要因ということにならざるを得ないんじゃないですか。
 それで政府が勧めているんですよ。土地を集積して、法人化をして合理的なものをやりなさいと政府が勧めているんですよ。そして、合理化法人というものを政府の方針でつくった、ここから土地を買って、それで政府が勧める融資を受けて、
そしてまた融資の自転車操業をやらなきゃならない、そしてその自転車の後ろについている利息という俵はだんだんとふえていく。これじゃ困るんじゃないですか。
#30
○政府委員(入澤肇君) そういう場合にいろんな政策を用意しているわけです。作物の特性に応じまして価格安定制度がいろいろと工夫されておりますし、それから借りたそのお金は、金利負担が増高して困るという場合に、今申し上げましたリリーフ償還資金だとか、あるいは土地改良であれば一千億の基金を積んで、その基金から利子補給するとかによって実際上負担軽減を図るとか、いろんなことを組み合わせながら安定的な営農が継続されるようにしたいというふうに考えたわけでございます。
#31
○稲村稔夫君 そうすると、今の局長のお話は、そこのところだけでは解決できないから、土地改良の費用であるとかそのほかのいろいろな費用のあれの中でやり繰りをしていきます、こういうお話ですね。それは総体としてどこかで補助金としてその分を埋めていけるようなそういう措置があるんですか。あるとすれば、そこのところをちょっと聞かせてください。
#32
○政府委員(入澤肇君) 例えば、今リリーフ償還資金などというふうな例を申し上げました。これは農山漁村振興基金というのを設けまして、ここに五百億円規模で基金が造成されております。その基金から利子補給する。それから土地改良の方であれば、計画償還制度とかいろんな制度がありますが、そのほかに一千億円の基金を積んでそこから利子補給する。金利体系とは別途の財政措置を講じて実質上金利が低減されるような措置を講じているわけでございます。
#33
○稲村稔夫君 利子補給の方はわかりました。
 どこかで利子補給するといったって、それだってやっぱりどこかからまた借りるんでしょう。結局借りたものについての利子補給でしょう。利子を補給したって元金は残るんですからね。さっきの自転車の例えでいけばただ後ろに積んでいる俵がふえない、それだけのことじゃないんですか。
 結局は今のように要するに農産物の価格が下がってくれば、そうすれば経営圧迫の要因になるじゃないですか。その下がってきたものとの間を埋めてやるのは、貸してやるということではなくて、何かの形で補てんされなかったら経営の圧迫になるということだけは間違いない。どこから金を持ってこようが、持ってきた金をこうやってただ回しているだけじゃこれはどうにもならないんだと思うんです。その辺はいかがですか。
#34
○政府委員(入澤肇君) 経営を圧迫して困ったから、償還を免除するとかあるいはほかから補てんするということはなかなか難しいんじゃないかと思います。むしろ、いろんな救済策を講じながら、安定的に経営が発展していくように措置することが本筋じゃないかというふうに考えております。
#35
○稲村稔夫君 私はどうしてもそこのところは納得できません。
 要するに、総体として出たり入ったりということで物を考えていったときば、私はそういう農産物価格の下落というものが経営圧迫の要因になる、それに対しては何らかの歯どめ措置をしなければ、政府が進めていく政策に従って物をやるんでありますから、当然そういう措置が必要である」というふうに思います。
 それは同時に、私は今のは農産物の価格の下落のことを言いましたけれども、新たに経営規模を拡大しよう、今の規模からさらに土地の集積をもう一つしようというときにも今度は地価の関係で起こってくる問題というふうに思っておりますから、その辺のところはどうしても歯どめの措置というものが必要である。
 局長は、その歯どめの措置というのは救済策ということでいろんなところから金を心配して利子補給をするから大丈夫だと言う。利子補給というのはあくまでも利子ということなんであって、経営の基本になるところの圧迫要因を軽減するということにはならないということでありますから、どうしてもこれは納得のできないところであります。
 あともう一つ、時間もなくなりましたから簡単になりますが、生産法人の構成員の問題についてのことで相続税関係についてちょっと伺っておきたいと思います。
 生産法人ができる場合に、それに参加をする構成員となった人の場合は、現在農業にあります相続税猶予制度というのは適用されることになりましょうか。
#36
○政府委員(入澤肇君) 現在の制度を申し上げますと、相続税の納税猶予の適用を受ける農地、これは特例農地と言っていますけれども、一般的に譲渡をした場合に、譲渡等をした農地の面積が納税猶予の適用を受けている農地の面積の二〇%を超えた場合には猶予税額のすべてについて納税猶予が打ち切りになります。それから、譲渡等をした農地の面積が納税猶予の適用を受けている農地の面積の二〇%以下の場合、この場合には譲渡等をした部分についてのみ納税猶予が打ち切られるということになっております。
 ただし、例外がございまして、収用などやむを得ない理由によりまして特例農地を譲渡せざるを得ない場合には、二〇%を超えて譲渡等をした場合であっても、すべて打ち切りとはならないで、譲渡等をした部分についてのみ納税猶予が打ち切られるということになっております。
 納税猶予の適用を受けている農業者が特例農地を農業生産法人に現物出資した場合ということも御説明申し上げますと、これはみずから農業経営を行わなくなるということから納税猶予が打ち切られるということになります。出資者が農業生産法人の常時従事者になる場合には、出資した特例農地が全特例農地の二〇%を超えた場合であってもすべて打ち切りとはならないというふうになっております。それから、納税猶予が打ち切られるのは出資した特例農地部分についてのみとされております。このように、出資者がみずから常時従事者になる場合には一定の優遇措置を与えるということになっております。
 それから、農業生産法人の構成員がみずからの所有する農地を当該農業生産法人に現物出資した場合、出資した構成員は当該農業生産法人の持ち分を取得するということになりますが、この農業生産法人の持ち分を持った構成員が仮に死亡した場合、こういう場合には当該持ち分の相続に対する相続税については納税猶予制度の適用はございません。
 これらの場合に、納税猶予を継続しあるいは納税猶予の対象とすることについてはいろんな問題がございまして、納税猶予制度が特例農地等において適用者みずからが農業経営を行うことを前提に仕組まれているということ、それから納税猶予制度が農地のみに認められた特例制度であるということから、私どもはさらにこの例外とか救済措置を拡大しようと毎年毎年主税当局に要求しているんですけれども、他への波及とかいろんな理屈もありましてなかなか実現の可能性が今のところないというふうに考えております。
#37
○稲村稔夫君 政府がせっかく生産法人に結集をして、それで少しでも合理的な経営をやってもらおうという政策を進めるというのに、例えば出資をしてしまえば、一番端的なわかりやすいもので言えば当然相続税猶予はなくなる。言ってみれば生産法人に参加をするのには、相続税との関係でいったら損か得かということの計算をいろいろとしなきゃならない。これは私は一つ問題だと思うんです。
 本来、構成員になるからには、みずからが農業経営をしていようが、法人の中で構成員として農業経営に当たっていこうが、その辺のところはもう変わりないわけであります。農業ということについては変わりないということになりますから、これは、せっかく局長のお話では大蔵当局と交渉しておられるんであれば、生産法人についてもその辺はきちっとさらに強力に大蔵との間をとっていただかなきゃならぬ、そういう課題だというふうに思います。
 これは同時に、もう時間がなくなりましたから私は一方的に申し上げますけれども、中山間地におきましては今度は林業経営が全然対象になりません。林業経営といっても例えば林間放牧などで実際生産法人に林地を使用させる、つまり農地と同じわけであります。それなのに使用の間伐採しない。まさに農業に従事しているのと同じことであります。にもかかわらず、今度は林地として想定をされるから、これまた相続税との関係はなくなる。こんなばかなことがあっていいかということにもなるわけであります。その点は強く要望いたしまして、時間がなくなりましたので、私はこれで終わります。
#38
○谷本巍君 特定農山村法案について初めに伺いたいと存じます。
 この法案が農林業の振興についてどういう方向を目指しているのか、そこの部分について伺いたいんです。
 この法案のお手本になりましたのが農政審議会の「今後の中山間地域対策の方向」というものですが、これをちょっと読んでおきますというと、「地域の特性を生かした高付加価値型・高収益型農業への転換と森林資源等地域資源の総合的活用」ということで言っていることは、「今後、中山間地域の農業については、標高差等中山間地域の特性を生かし、加工等も積極的に取り入れた複合的な形態の中で、生産基盤の整備を進めつつ、花きや特産品等労働集約型作物を中心に、高付加価値型・高収益型農業への多様な展開を目指していくことが必要である。」と、こう言っているんですね。
 それからもう一つは、「また、」としまして林業のことについて言っているんです。「また、林業については、流域を単位としてその活性化を図りつつ、地域の森林資源等の特性を生かした地域材や特用林産物の産地化、銘柄化等生産・流通体制の整備を推進する必要がある。」と、こう言っているんです。
 新農政というのは、もともと縦割り主義はやめていきましょう、こういう発想を前提にしていたんではないですか。ところが、ここへ出てきたものは見事な単品縦割りの発想ですよ。どうしてこういう発想になってきたのか、そして特定農山村法案で目指す方向というのもそういう発想なのかどうか、ここのところを初めに伺っておきたい。簡単に答えてください。
#39
○政府委員(入澤肇君) 中山間地域の活性化を図るということが、平場の農業に比べて条件が不利だということで、これを何とかしなくちゃいかぬということが農政審議会あるいは新政策の検討過程でも議論されたということでございまして、中山間地域は農業が中心でありますが、林業も非常に大きなウエートを占めております。したがいまして、農林業一体となって政策が展開されなくちゃいかぬという趣旨で法案ができておりまして、縦割りということじゃなくて法案をまとめたつもりでありますけれども、私どもは、各省庁とも連携を強化するし、それから省を挙げて各局とも相談しながらこの法案をつくったというふうに理解しております。
#40
○谷本巍君 今の局長のお話については、さらに幾つか聞きながら、その中でもう少しただしてまいりたいと思いますが、次に伺いたいのは、中山間地域農業を皆さんどうとらえておられるのかということについて伺いたいわけです。
 大規模高生産性経営ということから見ますというと、まさしく山村ないし中山間地域は劣等地域であります。しかし、大相撲の世界で言うなら横綱曙のような力士がいる。片方には舞の海のような力士だっているんですよ。軽量でも若ノ花のような優勝できる力士だっているんですよ。ここの見方が僕は大事だろうと思うんです。中山間にとって何が武器なのかということになってくると、ここに書いておるような標高差というのは確かに一つの武器ですね。私はそう思います。
 しかし、それだけじゃなくて、川下と違うというところに大きな特徴があるんじゃないでしょうか。例えば、川下の農業というのは、水田単作型、米以外につくりようがないというところが幾つもありますよね。ところが、今度は川上の方へ行きますというと、これはもう田んぼもあるし、州もあるし、果樹園もあるしということで、複合的な性格を持っているというのが一つの特徴ですね。そして、もう一つの特徴というのは、丈夫でかたい作物が育つ。したがって病虫害に強い。したがって農薬の散布量も少なくて済むという特徴があるわけですね。つまり、有機農業生産に向くという特徴があるわけです。
 でありますから、大規模生産から見ますというと劣等地であるが、発想を変えて別な角度から見るというとこれは優等地になり得る可能性というのが私はあると思うんです。畜産だってそうですね。例えば山と結びつける。それから粗飼料生産。そして丈夫で健康な牛乳といいましょうか、健康な肉といいましょうか、そういうものが生産できる環境保全型畜産にしたって、これはやりようによっては中山間部というのは一つの武器になってくる可能性があるわけですね。
 ところが、有機農業ということを大胆に目指していこうとか、環境保全型畜産を大胆に目指していきましょうとか、そのためにそういうところへ重点的にどう助成をしていくかという、その辺の発想がないんですね。これはどうしたことなんですか。
#41
○政府委員(入澤肇君) 先生御指摘になりました事実は、私ども、この委員会の皆さん方と倉淵村に行って調査をしましたときに、新規参入者が、まさに中山間地域の方が平場よりもおもしろいしメリットがあるというふうなことを、今おっしゃったような事例を指摘しながら発言されておりました。私ども、この法案をつくる過程でそういう議論をやってまいりましたし、私もかなりのところを見ましてこの法案の構想を固めたわけでございますが、ある意味では我が意を得たりかなというふうな感じを持ったところでございます。
 そういう中山間地域におきまして、有機農法をやる、あるいは環境保全型農業をやる、複合経営を中心としていろんなことをやる。そういう場合に一番大事なことは、基盤整備を平場のように大規模にはやりませんけれども、簡易土地改良を中心としてきちんとした基盤整備をやっていくことが必要でありますし、それからまた、いろんな施設の導入につきましても、その地域に合った、大小を問わず臨機応変な設計ができるような仕組みを考えていかなくちゃいけないというふうに考えております。
 今回そういうふうなことに対応するために、中山間地域は総合的にいろんなことをやろうじゃないかということで、一つは基盤整備では、平場では見られない高補助率の中山間地域の総合基盤整備事業の補助金、土地改良事業でございますが、これをありとあらゆる工種を組み合わせて総合的にやれるというものを要求しまして、これは持っております。それからまた、生活環境の施設だとか、あるいは集落機能再編強化、住宅の移転等も含めまして、そういうふうなことに対しても助成しなくちゃいけないということで、中山間地域の集落機能再編整備事業ということで約十五億近くの予算もとってそういうところで実施しようとしております。
 要するに、中山間地域の特性に合わせまして私どもも予算等の面でかなり意欲的に取り組もうとしているということを御理解いただきたいと思います。
#42
○谷本巍君 要するに、中山間地域の特性に合わせてやっていきたいという考え方ですね。
#43
○政府委員(入澤肇君) はい。
#44
○谷本巍君 そこで、もう一つこの際伺っておきたいのは、農業と山との結びつきですね。農業と林業との結びつき、どう結びつけていくかということについて、どうしてもっと積極的かつ大胆な方向を出さなかったのかということを伺いたいんです。
 というのは、民有林で言いますと十年先は作業班だってこれは恐らくゼロになっていくでしょう、今の状況ですと。山を支える人手というのは
結局国有林の二万人体制、この二万人体制だって最近危ないじゃないかというような議論が出始めておるところですが、そういう状況になろうとしておる。そこへ国産材時代を迎えるという話ですよ。極めて事態は危機的であり深刻なんですが、そういう状況を見てみますと、やっぱり山村の農業と山との結びつきをどう強めていくかという発想を持たなきゃいけませんよ。今ではもう手おくれの感がありますけれども、手おくれの感があるといってもいろいろできるだけのことはすべきなんじゃないでしょうか。
 例えば、有機農業を伸ばしながら、首あった山との堆肥の原料などでの結合関係を強めていくというのも一つの発想になってくるでしょう。あるいはまた、化学資材で傷んでしまった土の回復、これを目指して最近注目されているのが土壌改良剤としての炭の果たしている役割ですね。ですから、そこでは炭焼きとそういうものと結合していく。しかも炭については、これは融雪剤、それから消臭剤、殺菌剤、それから水を浄化する原料などとして多角的な需要が今出てきておるわけです。
 ですから、そんな発想で山と田畑とを結びつけていくということを基本にしながら、さらにはまた、金にはならない山といったって例えば雑木林がありますよね。しかし、雑木林についても最近はナラにしたって桜にしたってカツラにしたって、これはもう大木だったらヒノキよりも高いんじゃないですか。希少価値が出てきていますよね。それにもう一つは、石油文明が生んだ薬剤づけの医療に対して薬木、薬草が注目されるようになってきた。そういう時代の変わり目に来ているんですから、そこらのところを踏まえて、人間が山の中に入っていく、旅行者という意味じゃありませんよ、農家がね。そういう環境をどうつくっていくかという工夫と問題提起は私はもっと積極的にやってしかるべきだと思うんだが、本法案を読み、それから皆さんの説明を聞く限りではどうもそういう観点が薄いという感じがするんです。どうなんでしょうか。
#45
○政府委員(入澤肇君) ある意味では全く御指摘のとおりでございまして、私も林野庁にいましたときに国有林野の改善法のほかに森林法の改正に携わりまして、今回この中山間地域の立法に当たりまして、農業と林業の連携の強化というのは極めて大事であるということで、いろんな角度からアプローチしてみようということで法律の中にもかなりのことを盛り込んでおります。
 まず、この法律では、中山間地域というのは農家林家が非常に多いということを踏まえまして、農業経営の改善・安定の目標をつくる場合にも、食用キノコも含めまして、今御指摘になった薪炭、そういう林産物の生産もあわせ行うような経営をその対象とするということを法律上明記する。
 それから、林業用施設をきちんと整備するためにはその用地の生み出しも円滑に行うようにしなくちゃいけないということで、土地改良事業におきましても共同減歩で一定の林業用施設の用地の生み出しができるようにしたということが第二点目。
 それから、農業生産の基盤整備だけじゃなくて、林業生産の基盤も一体的に整備するというような配慮規定を置いたということ。
 それから四つ目は、農用地の保全のために農作業の受託を行える主体として森林組合を位置づけたらどうか。これは森林組合の作業班の冬場の労働力の燃焼というところが非常に問題でありました。そういう意味で、森林組合の作業班は農作業の受託を行う機能が与えられていませんでしたので、この点は法律を改正いたしましてきちんと位置づけたということでございます。
 そのほか、農協、森林組合が、その労働力やそれから販路を相互に活用したり調整して、地域における農用地とか森林の適正な保全管理やあるいは地域特産物の販売、加工の推進に努めるようにということで、そういう配慮規定も置いたわけでございます。
 いずれにしましても、農業と林業の連携を通じた農林業の活性化がなければ中山間地の活性化はないという認識のもとに、現在の法制度の中で可能な限りの改正条文を置いたわけでございます。
#46
○谷本巍君 中山間地域はやりようによっては復興させることも可能性があるし、そしてそれをやっていく上で山と農業との結合関係というのは重要だということをこの際確認させていただきながら、次のことを伺っていきたいと思います。
 衆議院では中山間地域を守っていくためには直接所得補償が重要なのではないかといった、私ども社会党はそういう立場でもってまた法案も出しておりますけれども、論議がありました。そうした論議も受けて四党修正が行われたわけです。そして、修正の内容は、農山村育成を図る上で「必要な方途について検討を加え、必要に応じ所要の措置を講ずる」ということになったわけですね。
 このことについて皆さんどういうふうに受けとめておられるかということですね。つまり、必要により行っていく措置というのは財政も金融も含めたそういう措置だというふうに皆さんお考えになっているかどうか、その点を初めに伺っておきたい。
#47
○政府委員(入澤肇君) 「所要の措置」の中には行政として行うあらゆる手段を含んでおりますから、財政上、金融上の措置が含まれているというふうに私どもは理解しております。
#48
○谷本巍君 そうしますと、私どもの党は衆議院に直接というか直接的所得補償を含んだものを出しておるわけですが、そういうものも対象の一つになり得るというふうにお考えでしょうか。
#49
○政府委員(入澤肇君) いろんな対策をこれから中山間地域の状況に応じまして勉強していかなくちゃいけない、その勉強あるいは検討の対象としてそういう考え方も当然視野の範囲に入ると私は考えております。
#50
○谷本巍君 その点を確認しながら、今後検討すべきもろもろの課題、これはたくさんあるんですけれども、一、二例を挙げながら皆さんの考え方を伺っていきたいと存じます。
 まず初めに、有機農業生産への助成問題であります。
 これはどこの地域でもそうでありますけれども、有機農業生産をやります場合、大きなネックは二つなんですね。ネックはたくさんありますけれども、そのうち大きいのは二つですね。一つは技術指導の問題です。そこで出てくるのは、改良普及員の数をふやしてくれとか農協の営農指導員の数をふやすことができないのかというような注文がまず出てくる、これが一つです。
 その次に出てくるのが減収補償制度の問題です。物によって違いがありますけれども、野菜で言いますというと、大体三年目が半作以下になるのがまあ通例と言われ、大体五年ぐらいが不安定期間だというふうに言われておるわけです。民間段階では既に減収補償的なものをつくるという運動も起きているんですよ。
 例えば、私がかかわった例で言いますというと、新潟県の笹神村の場合は基金制度にしまして、その基金の半額を生協が持つ、残り半額を村と農協とそれから生産者で持って、それで基金制度をつくったというような例などもあるわけでありますけれども、この際、中山間地域の農業を復権させていくのには思い切ったそういう措置が必要なのではないのかと思うのです。いかがでしょうか。
#51
○政府委員(入澤肇君) 中山間地域の農業を活性化させるためには、まず今の地域の実態からいいますと、私が繰り返し申し上げていますように、土地利用計画をきちんとつくって、その上で最適な農業経営の改善計画を追求していくことが必要じゃないか、そのことが逆に農業経営の改善を通じて所得の向上につながっていくというふうに考えております。
 有機農法をやって減収したからすぐ減収補てんというふうなことは、はっきり申し上げまして私
どもはまだ念頭にありません。それよりも、この地域はこういうふうな農業経営をやる、こういう作物をこの程度つくると大体この程度の所得が安定的に確保できる、それからこの地域はこういう農業をやることによって国土保全の効果が一層高まる、そういうふうなことがきちんと各地域ごとに出てくれば、そういうふうな実態が定着すれば、その次のステップとして、私どもがことし予算をとりましたけれども、例えば土と水の保全基金だとかいうふうな予算を使って土地改良施設の維持管理とかをやることになっていますが、ああいうふうなことがもっと大々的にやられてしかるべきじゃないかとか、いろんなことがあると思うんです。
 現在のところは、とにかく最適土地利用計画に従って最適経営改善計画をつくって農業をやってみる。その農業をやる過程におきまして地域の知恵を絞って営農指導もきちんとやる。やってみてできない場合に、どうも目標はこういうふうに掲げたんだけれども、実際の収入はその目標を一割以上下回ったという場合に、その差額を低利資金で面倒を見るという政策を打ち出しているわけでございますが、まずそれが第一歩じゃないかなというふうに考えております。
#52
○谷本巍君 中山間地域の特性を生かさなきゃならぬというところでは意見は一致したんですけれども、具体的に生かしていく、そして生かすための方法、これに対する支援措置ということになってくるとどうもいい答えがいただけない。どうしてそうなのか、どうも私にとっては残念でならぬのであります。
 この間もここで自給論議がありましたよね。一番大事なのは何なのか、自給率低下に歯どめをかけるというのはどこでかけるかというと中山間なんですよ。農地面積で言ったら約四割が中山間でしょう。ここがお手上げになったときには、もう日本の自給率は坂をおりるような格好になっていくんですね。だから、何とか歯どめをかける。歯どめをかける方法としては私は有機農業が最大の武器の一つになっていくだろうと見るんです。その程度は大体局長と私の意見は一致したような感じがある。ところが、具体的措置になってくるというとどうも意見が一致をしない。どうしてなのか、今の答弁じゃ私には解せないですよ。さらに、私の側からもう一つ強調しておきたいのは、今申し上げたように、一つは、中山間の持つ特性を発揮する、そのためにということですね。それからもう一つは、よりよい水をつくる環境確立という意味ですね。そしてもう一つは、山と農業との結合関係づくり、その展望を開いていくためにというような意味合いがあるんですよ。そこのところは、平場の有機農業との違いという点では農政の上では一定の線引きは私は可能だろうと思うんです。
 そういう点を含めてこうした問題も検討すべきではないのかと思うのですが、もう一度あなたの考え方を聞かせていただきたい。
#53
○政府委員(高橋政行君) 先ほど来有機農業のお話が出ておりますが、我々、中山間地域といいますか、そういう地域においては、そこの地域にある資源として有機農業を進めるという環境としては非常にいいものを持っているんじゃないかというふうに思っております。
 それで、有機農業への取り組みを円滑に進めるというようなことからすれば、先ほど先生がお話しになりましたように、やはり一つは技術問題が非常に重要なことというふうに思っております。そのために、正直申し上げまして我々も有機農業に対する取り組みというものについて日が浅うございますが、有機農法といいますか、そういうようなものをいかにしっかりしたものにしていくかということが重要であると思っておりまして、現に行われている有機農業の技術、そういうものの集積あるいは優良事例の集積をしまして、そしてそれを普及員を通じて現場に返していくということをやっております。そういうことを通じて技術をそういうところへ伝播していきたい、普及していきたいというふうにまず思っておるのが一つです。
 それからもう一つは、有機農業をやって新しい技術をどうしても導入していくわけですから、そのための助成策といいますか支援策といたしましては、これらの人はそういうことを自主的にやっていくわけですから、我々もそれを援助していくということは必要であろうということで、昨年でございますが、有機農業技術を導入しようとする場合に必要な施設、機械、資材、そういったものに対しましては無利子の農業改良資金を貸し付けるという制度を設けたところでございます。この資金は償還期間が七年でございまして、当初三年間は据え置きを設けるというようなことで、経営の状況にも配慮いたしましてそういうような条件設定もしておるところでございます。
 先ほど構造改善局長からも話がございましたように、減収の補償とかというようなことは我々としてはなかなかなじみがたいことではないかというふうに思っておりまして、こういった貸付措置によりまして対応していくのではないかというふうに思っております。
 またさらに、そういった有機物資源、先ほどありましたようにバーク堆肥であるとか野草であるとか、木炭ですか、そういうようなものをいろいろ利用していくというような場合に必要となる施設につきましては、各種の助成制度も積極的に活用していくというような諸施策を総合的に組み合わせてこういった有機農業の育成ということをやっていきたい、こんなふうに思っておるところでございます。
#54
○谷本巍君 時間の関係もあるんで先に進みます。
 次に、大臣にぜひひとつ答えていただきたいことがあります。
 これまで私どもは直接所得補償ができぬかということで質問をいたしてまいりましたが、大臣からいただく回答はいつも残念な回答が多かったわけであります。人件費補助は農業以外のところで結構やっているんですね。大臣も御存じと思いますが、例えば地域雇用開発助成金制度、この制度で言いますというと施設の増設や人件費補助も行っていますね。だが、大変残念なのは、雇用増大促進地域として、過疎がひどい例えば中国地方の山間地などは対象になっていないんですよ。そういう問題点は持っておるんですが、そういう制度が一つありますね。
 そういうものを頭の中に置きますというと、例えば今第三セクターによる農林地の保全管理が行われているが、これは例外なしと言っていいほどどこも赤字になっているというような状況があります。この仕事はこれからも拡大しながら、そして中山間地域が立ち上がりができるような条件を整えていかなきゃならぬわけでありますから、今のような状態のままにしておくことができないのじゃないかと私は思うのです。
 しかも、こうした第三セクターは公的性格を持っておる組織でありますから、その従業員に対しての社会保障や人件費補助については、やろうとすれば私はできるんじゃないかと思うんです。国土と環境保全、そして緑を守るというような立場からいっても、これは国民の皆さんは反対しませんよ。
 この点についてぜひひとつ積極的な大臣の見解をいただきたいのです。
#55
○国務大臣(田名部匡省君) 平成三年の山村振興法の改正によりまして農林地の保全等の事業を行う第三セクター、これに対して税制上の特例措置でありますとか、市町村の出資についての特別交付税措置、こういうものが講じられておるわけであります。また、平成五年度からは農林地の保全管理を推進するために必要な調査、計画の作成あるいは整地、これはあぜの補修等小規模の基盤整備について助成する特定農林地利用管理事業、それから土地改良の施設の機能を良好に発揮させるための集落共同活動、この強化を目的とした中山間ふるさと・水と土保全対策事業、これを創設いたしたわけであります。
 今お話しの助成のことでありますけれども、農
林地の保全管理を行う第三セクターに対して所得付与を目的とした労賃の助成を行うということは種々問題があるということでありまして、地域の自然環境や国土の保全、地域の活性化の観点から農林地の保全管理を適切に実施していくためのさまざまな工夫についてはこれから検討してまいりたいと思うのであります。
 いずれにしても、これからどういうふうに今やっていることで進展していくかということを見きわめながら、委員おっしゃるとおり、国民も国土の保全とか環境には非常に関心を持ってくれておることはそのとおりであります。実際どういうものにどうするかということになるとまだ定かでない部分もありまして、その高まりと我々が今行っている施策、そういうものを見きわめながら、さらにもっと進める必要というものが私はあろうと思うんです。国民の合意とかコンセンサス、そういうものをあわせながら適時適切にやっていきたい、そのためにはさらに検討していきたい、こう考えております。
#56
○谷本巍君 大臣の一応の前向きのお答えはいただくことはできたように思うのでありますけれども、私が申し上げているのは、農林地の保全管理についての所得付与政策をやれということを言っているんじゃないですよ。公的性格を持つ団体に対してやろうとすればできるのではないのか。つまり、そこのところはかなり積極性を持って検討してほしいということで言っているんですよ。その点どうですか。
#57
○国務大臣(田名部匡省君) 今いろんな税制上の特例でありますとかいろいろ説明申し上げました。そういうことでまず最大の努力をしていただくということが非常に大事なところでありまして、この先それでうまく乗り切っていけるか、あるいはどういう問題が出てくるかということについては、この先見きわめながら検討したい、こう申し上げているわけでありまして、どういうものにどうするかというのはよくまた御相談申し上げながら実施をしていかなきゃいかぬ、こう考えております。
#58
○谷本巍君 そうすると、私がお願いしていることは検討するということですね。よろしいですね。
#59
○国務大臣(田名部匡省君) それそのものかどうか今後の見きわめというものが必要でありますから、また別な面での手だてというものも必要になってくるかもしれません。広範に検討しながら進めていきたい、こう考えております。
#60
○谷本巍君 方向としてはおおむねそういうことだというふうに理解しておいていいですね。いいですね。大臣がうなずいたところで、それじゃ先へ進みましょう。
 流域管理システムの問題について若干伺っていきたいのです。
 一昨年、林業二法の改正の際に、国有林と民有林が協力し合って地域からひとつ振興計画を積み上げていきましょう、それも川上と川下を結びつけてということでやっていこうという方向が出されました。そして、流域管理システムということで今方々で地域指定が行われてきておるところであります。これでようやく日本の林政というのも先進国並みになったというふうに言われてきておりました。
 ただ、残念なのは、これは林業だけなんですね。林家というのは六割を超えておるでしょう、農業をやっている皆さんが。農業もやっている、林業もやっている、そして土台の方はどっちかというと農業というのが多い。ところが、流域管理システムの構想というのは林業単品で走っているというような体制になっているわけですね。今までの論議の中でも、山と農業とをどう結びつけるかということが大きな課題だという点では私の意見と当局の意見とが一致してきておるわけでありますから、そうして見るならば、流域管理システムにしても、山と農業との結びつきをひとつ考えるようにしていただきたい。
 そして、さらにもう一つこの際欲を言っておきますというと、水産とも結びつける工夫をしていただきたい。これは最近結構出てきていますよ。漁業組合が川上の山の植林運動をやる。地域によっては川上の国有林の伐採反対運動をやるなんというような例だって出てきているんですね。農、林、水を結びつける。そしてもう一つ欲を申し上げておきますというと、川下の大都市と結びつけていく。これは水問題が非常に大きな問題になってきていますよ。そして、子供の学習その他の問題で、物だけじゃなくて人の交流を川上、川下でやっていかなきゃならぬというような時代に来ているわけですね。
 そういう仕組みをつくりますと、これはやっぱり地域的な発想がどっち向いて走るかというのがおのずと決まっていくわけですね。そして、それは農業と林業の復権しやすいシステムであり、土台づくりということに私はなっていくんじゃないかと思うんです。いかがでしょうか。
#61
○政府委員(馬場久萬男君) 流域管理システムの問題についてお答えいたします。
 御指摘のとおり、森林法で一昨年改正をいただきましたのは、流域を基本的な単位として多様な森林の整備を図る、あるいは林業の生産、加工、流通の条件整備を図るということを主たる目的としております。第一義的には、あくまでも流域におきます森林・林業、木材産業関係者の総意に基づいて、主として森林・林業施策を中心にシステムをつくろうということであります。
 ただ、委員おっしゃられますように、そもそも流域には森林もあるけれども田畑もあるわけでありますし、農家は同時に林家で、約二百五十万戸の農家林家と言われていますが、林家がございます。したがって、林業の生産活動というのは農業とも必然的に結びついていると思っております。また、おっしゃるように下流におきます水利用の問題等、これは森林それから水田等を通じて行われているわけでありますから、林業だけというふうに限定する必要はないものだろうというふうに私は思っております。
 そこで、まず重要なのは何かといえば、林業関係が従来どちらかというと流域の川上、川中、川下の結びつきがばらばらであった、それを結びつけてきちっとしたシステムをつくるというのが中心でございますが、農業と林業の関係が深い地域あるいは水産業と林業の関係の深い地域においては、当然のことながらそういう関係の事業展開ということが必要になってまいります。
 また、労働力の問題につきましても、先ほども議論ございましたが、森林組合の労働力が農作業にも使えるような今回の法改正等も行われておりまして、労働力の地域内での雇用の確保とそれからそれぞれの必要なときに調整をするというようなことも、この流域管理システムの中で取り組んでいきたいというふうに思っております。
 現実に各地におきます活性化協議会などにおきましても、その地域によって農業協同組合の組合長さんがメンバーに入っている地域も幾つかございまして、地域の中でこの問題に取り組んでいく過程で農業とか水産業とか必要な方々が流域管理システムに加わっていくということは適切なことだと思っております。
#62
○谷本巍君 長官、農業と林業を一層結びつけていくという点でさらに努力をお願いいたしておきます。
 次に、経営基盤強化法案について伺ってまいりたいと存じます。
 初めに、基本方針と基本構想づくりに関連した諸問題について二、三伺っておきたいと存じます。
 基本的な問題でありますけれども、これまでの農政というのは物をつくるだけの農政でありました。食料不足の時代はそれでもよかった。そういう意味ではこれまでの日本の農政というのは極めて時代すれの状況になっていた。そして、新農政になってようやく環境問題だけではなくて、流通、食料政策そして農村政策に踏み込むということになってきました。ところが、今度のこの構造三法案を見てみますと、どうも依然としてつくるだけということなんじゃないのか。流通の関係や
農村社会の建設をどうしていくんだという構想がまるでない。新農政の公約違反ですよ、この三法は、その意味では。どうなんでしょうか。
#63
○政府委員(入澤肇君) まず、都道府県が基本方針をつくり市町村が基本構想をつくるというこの枠組みは、現行の農用地利用増進法におきまして農業経営規模拡大計画の認定制度がございますが、これを拡充強化して農業経営の改善、それから地域の実態に即した経営の複合化、生産方式の合理化、それから経営管理の合理化、そういったことを主としてやろうとして定めたものでございます。
 御指摘の流通のあり方につきましても、基本方針、基本構想では、効率的かつ安定的な農業経営の指標とこれらの農用地の利用集積の目標等を定めることとしておりまして、直接基本構想等において農産物の流通のあり方について言及するものではございません。しかし、農業経営の指標を出す場合にどのような営農類型を目指すのか、あるいは作物の選択を行うかということは、その地域の産地形成の方向と密接な関連を有するものでありますから、この場合、産地形成の方向として広域流通に重点を置くのか、地域循環重視型に重点を置くのかということにつきましても当然その判断が入ってこなくちゃいけないというふうに考えております。
 この認定の制度の中では、生産量が少なくて地域流通が中心となるような作物も対象としてやれるように指導していくつもりでありまして、全く流通という視点を無視したというわけではございません。
 それから、村づくりにつきまして、これも農業経営を安定的に営もうとする者に農用地の利用集積を図っていく、その目標をつくるということでございますから、当然のことながら基本構想等そのものの中でいわゆる村づくりの方向を全般的に取り上げるということは念頭に置きながらやらなくちゃいけないというふうに考えております。直接村づくりという表現はやっていませんけれども、どのように村の土地利用を持っていくのか、集落の再編成をするのかということも念頭に置きながらこの基本構想を定めるということでございますので、全くこれを無視していくというわけじゃございません。
#64
○谷本巍君 つくり方次第で流通のあり方や村のあり方も変わってきますから、きょうはつくり方問題を中心にして伺っていきたいと思うんです。
 それじゃ伺いますが、単作、専作、規模拡大を基本としていくのか、複合有機農業を基本としていくのか、基本はどっちに置くんですか。
#65
○政府委員(入澤肇君) これは全く地域によって違うと思うんです。規模拡大によって達成されるスケールメリットを生かした単作経営でやっていくんだというところもありますれば、複合経営とかあるいは小規模な経営耕地を最大限に活用した集約的な経営というものも考えられます。これらは十分その地域の実情に応じて選択できるように指導していきたいというふうに考えております。
 しかし、全体として所得を上げるということを考えれば、地域複合を前提として個別農家が適切に土地の利用を図るということが一番望ましいんじゃないかというふうに考えております。
#66
○谷本巍君 その地域によって違うというのがくせ者なんですね。規模拡大向きのところはどんどん規模拡大をやってくださいということになってくると、これまで行ってきた広域流通と同じようなパターンができ上がってきはしませんか。
 今、流通で一番大きな問題は、農業の世界でも工業の世界でもそうでしょう、中央中央でそこへ集中させていって、そこから地方に回ってくる、こういう流通のあり方はやめようじゃないかというのが大方の意見になってきているんじゃないんですか。
 農業の場合について言うならば、これはもうあなたの方がよく御存じと思いますが、広域流通、規模拡大、野菜で言うならば肥料、農薬づけの生産をやって大型単品生産ということでやってきた。そこから出てきたのは何なのか。一つは土の衰えですよね。土が衰えてくるからしょうがない、土壌改良剤というばか高いものを買ってつき込んでいく。中にはミミズまで輸入するところが出てきているじゃないですか。そして一方では、やっぱり土の劣化は避けられませんから品質が低下する、品質が低下するから規格外がふえる、そこで今度は品質保全のために予冷施設まで入れなきゃならぬということになってくるわけですよね。
 だから、スタート時で例えば七億の収入を上げていた地域が、スタート時は大体五割ぐらい地元に残ったものです。それが何年かたつうちに地元に残るものが五割が四割になり、四割が三割を切るという状況になっていって、大型団地がつぶれて、そして広域流通というのが、例えば首都圏を中心にして言いますというと、北海道から野菜を持ってくる、九州から持ってくる、そして今度はより賃金の安いところということでニュージーランドとか外国へと、こういうことになってきているわけですね。こういうパターンを新農政のもとでは私は繰り返してはならぬと思うんですよ。どうなんですか、そこは。
#67
○政府委員(入澤肇君) 流通問題はなかなか難しいと思うんですけれども、スーパーが発達し、それから外食産業が発展して、安定的な取引を望む企業体がふえているわけでございます。そういうことも含めて、かなりそういう大型のところに荷が集中するような流通形態がある。
 一方で、例えば群馬県の嬬恋村のキャベツが東京市場に入ってから群馬県の前橋市で売られるのはおかしいじゃないかという意見もありまして、地域流通を促進しようという動きもあります。そういうのは、かなり経済の実態に即して、よりどちらが合理的であるかということを念頭に置いて指導する以外にないと思います。
 農水省としても、流通政策全般につきまして、中央市場対策、地方市場対策の中で地域流通に重点を置いて合理的な流通を図るしかないという視点からいろんな施策を展開しておりますし、また中央市場の役割も極めて重要でありますから、そこで安定的に流通がなされるような配慮も十分なされております。
 ですから、その地域のニーズというものを十分に踏まえた政策体系が流通政策の中に置かれなくちゃいけない。それに対応した生産地の供給体制というのが整備されなくちゃいけない。この法律の修正では、地域の「特性に即し」という言葉が入りましたけれども、まさに地域の特性に即して、地域の実情に即して、生産のあるいは流通のさまざまな政策が展開できるようにしなくちゃいけないというふうに考えております。
#68
○谷本巍君 局長、水田の場合、規模拡大を目指すということについてこの前伺ったときにきちっとあなたが答えてくれたのは、十ないし二十ヘクタールという規模であれば、大体環境保全型という枠組みからすればその手法にはかなった規模拡大ということだと思うというぐあいにあなたはお答えになっています。
 ですから、あなた方が出してこられておる規模拡大というのは、あくまでも環境保全型農業ということを大枠にしながら、その枠のもとでの規模拡大なんだなというふうに私は理解していたんです。だから、それからしますと農業生産のあり方というのは、従来型の単作、専作、規模拡大というのとは違って、やっぱり複合それから有機農法の手法も取り入れたそういう手法というのが基本なのかなというぐあいに私は思ったんですよ。もう一度伺いたいんだが、そこはどうなんですか。
#69
○政府委員(入澤肇君) 十ないし二十ヘクタールというのは試算の過程で、圃場整備がきちんと行われ農地が連担化しているということが条件の一つであります。もう一つは、現在開発されております中型機械化体系、これがフルに発揮できるような規模であるということ。そんなことを前提にいたしまして、十ないし二十ヘクタールというのは一つの所得目標や何かとも関連しましてもいい線ではないかなということで出したんでございますけれども、当然のことながら環境保全というご
とに留意した農業が行われていくということはあります。
 それから、単作経営がいいとか悪いとかいう話じゃなくて、私は、全体として所得を上げるためにどんな工夫をするかということが大事なんであって、そのために地域複合ということを前提にいたしまして、冬場の労働力の完全燃焼ということも考えれば個別農家の複合経営ということも単作地域においても導入されることが望ましいんではないかというふうに考えております。
 いろんな方法を考えていかなくちゃいかぬと思うんですけれども、そんなことをいろんな研究会で私は申し上げたことがありますけれども、いずれにしても、東北や北海道の冬場の労働力の完全燃焼、これを農場においてできるような仕組みもいろいろと考えていかなくちゃいかぬというふうに考えております。
#70
○谷本巍君 あなたが言う地域に応じてという意味合いがおぼろげながらわかってきたような気がいたしますが、そこでもう一つさらに伺っておきたいと思いますのは流通問題です。
 やっぱりこれから目指さなきゃならぬのは、一つは地場生産、地場流通ですね。これをもっと積極的に重視するということが大事になってきていると思うんです。この場合の地場生産、地場流通というのは、地場ということの押さえ方にいろいろな手法がありますが、基本としてはそういう方向というのは重視すべきだろうと思うんです。
 例えば、大豆生産なんかで言えば、地場でつくった国産丸大豆を、しかも有機農法などでつくった丸大豆を何もよそへ売る必要はないんです。これは地場の加工業者にやればいいんですよ。それで加工業者は今度は商店に卸していけばいいんですよ。そうすると、地場でつくった農産物というのが三回転していくわけです。それだけ地域経済の活性化につながっていくわけですよ。
 本来は、食料問題について言うならば、これまでの農基法農政が行ってきた最大の欠陥というのは、地場の農業と地場の加工業、そして地場の商業、農、工、商、この連帯関係というのをぶち切って分断してしまったというところに僕は大きな欠陥があったろうと思うんです。それがやっぱり地場農業の活力を停滞させてきたといったような原因にもなっていると思うんです。しかも、その種の地場流通というのを盛んにしていきますと、食べ方を変えることができる、地域型食生活をつくり上げていくことができる。食べ方が変われば日本の農業は復権することができるんですよ。その条件はかなり今までとは違ってくるんです。
 でありますから、そういうふうな方向を持った流通政策、これをぜひひとつあわせて考えていただきたいということを申し上げておきたいと思うのですが、あなたの考え方はいかがでしょうか。
#71
○政府委員(入澤肇君) 私どもも地場で生産されたものが合理的に輸送される範囲内で流通するということが最も効率的であるというふうに考えております。しかし、全部が全部地場流通というわけにはいきません。安定的な取引ということもやっぱり大きな要素でございまして、うまくいっているところは地場の加工企業なりあるいは地場の商店がきちんと受け取ってくれますが、ちょっとでき過ぎるともう受け取らないというふうなことで、これじゃ地場流通はだめだということで、もっと大きな器で処理できるようなところを目指して広域の流通があるわけでございます。
 ですから、地場生産、地場流通は私は基本的には極めて大事なことであると思いますけれども、全体の生産規模であるとか流通の規模であるとか、そういうことを加味して適宜適切な選択がなされることが必要ではないかというふうに考えております。
#72
○谷本巍君 次に、村づくり問題について簡単に伺っておきたいと思います。
 これまでの近代化農政における農業・農村のとらえ方というのは、農産物とその原料生産基地というとらえ方しかしてこなかったような気がするんです。農家の場合はどうであったかというふうに言いますというと、私は出身は福島でありますが、私のところの田舎じゃ米をつくるとは言わないです、田んぼをつくると言う。つまり田んぼをつくるということは、山と川とを生かし田んぼをつくりながら村をつくる、こういう発想なんです。
 新農政が今度は農村政策というのを取り入れた。じゃ、その農村政策、村づくりというのはどういう発想でやっていくのかということは、私も文章で読んだ限りではどうもはっきりわからないという点が少なくないのです。問題は、食料原料をつくるという一面的なとらえ方でいくのか、人が暮らす場としての産業ということで農業をとらえていくのか、それによっては技術も営農もまるで違ったものになっていくわけです。
 でありますから、私が言いたいのは、単作、専作、規模拡大志向で広域流通という考え方からは、人が心豊かに暮らす、そういう生活の場というのをつくることはできないだろうというのが私の考え方であります。局長、どう考えていますか。
#73
○政府委員(入澤肇君) いわゆる村づくりの発想の根底に私は四つの戦略目標を立ててみたわけでございます。
 それは、全国各地で若者が生き生きとして農業をやっている、嫁さんも来て非常に笑いが絶えないという村を回ってみますと、私の見たところ大体四つの条件が共通して見られます。
 一つは、それは都会のサラリーマンほどではないけれども安定的に所得がある。農業を中心としまして、林業あるいは観光事業と組み合わせたりなんかして安定的な所得が得られる、そういう条件が整備されている。
 二つ目は、旧来の陋習とか因襲とかいうことが極力排除されていて非常に開かれた村づくりがなされている。長老の締めつけとか何かもなくて若者が新しい技術の導入に積極的に挑戦する。あるいは都会で新しい流行がありますと、それも村の中にどんどん入ってくる、そういう開かれた村づくりがなされているところ。
 それから三つ目は、道路のアクセスとか何かが十分に整備されておりまして、一時間もすれば都市に行って都市の便益を享受できる。特に総合病院なんかも利用できる。安心して都市から離れていても村に住んでいられるという条件。
 それから四つ目は、これが一番大事だと思うんですけれども、我が村は美しくということで、自分の村に誇りを持てるというような村政がなされている。こんなところが私どもが全国各地を見て回ったときの共通項目でございました。
 私は、今度の村づくりもそういう視点から、所得政策それから労働条件の改善という意味で、開かれた村づくり、若者が来られるような村づくりをする、それから環境施設の整備、道路施設の整備ということでアクセスの改善をする、それから美しい村づくりというので、これは美しい村づくり運動で私どもは美しい村づくりをやったところは大臣表彰などやっていますけれども、そういうふうな運動論も加味しながらやっていくということで村づくり対策をやっていきたいと思っているわけでございます。
#74
○谷本巍君 大変結構な話であります。
 ただ、具体的に言いますと、今、日本の村に住んでいる人の八割というのは高齢者と婦人なんですよ。つまり、高齢者と婦人が元気を出すような農業建設をどうするかという発想がまず第一に据えられなきゃならぬのです。ところが、そこへいきますというと、どうも経営基盤強化法案というのは規模拡大規模拡大で、どっちかというと、そっちの方の人たちの力をフルに発揮させるということじゃなくて、無視していく、ないしは置いてきぼりにする、ないしは従たるものに見ていくというような発想があるように思えてしょうがないんです。これでは、あなたが言われるような村、私が言うような村づくりというのはうまくいかぬですよ。そこはどうですか。
#75
○政府委員(入澤肇君) この基盤強化法の発想の根源の一つは、今申しました村づくりについての
四つの戦略目標ということに加えまして、所得の安定、労働時間の短縮、それから労働条件の改善ということも考えております。その労働条件の改善の中に、当然のことながら農業労働力の六割程度を占める婦人労働の解放ということも考えていかなくちゃいかぬということでございまして、高齢者対策、婦人対策、これは農蚕園芸局長の方の専門でございますけれども、こういうことも念頭に置きながら基盤整備法のそれぞれの政策が展開されなくちゃいけないというふうに考えております。
#76
○谷本巍君 用意した質問がまだ半分近く残っておりまして、時間がもうなくなってしまいました。村づくり問題はまた別途改めて議論させてもらいます。
 続いて、五月二十六日の本会議で私が質問した際に、地域性それから自主性、創意性を生かす分権型農政の展開ということと関連して、上意下達的な手法というのはもうやめてくださいということを申し上げたんです。その際、事例としまして、大規模農家を何月つくらぬと補助事業の指定にはしないといったようなことはもうやらないでしょうねという意味のことを申し上げておるんです。
 私の質問の仕方に欠陥があったのかどうかは別といたしまして、答弁いただけていなかったおそれがありますので、その御答弁をここでいただきたいと思います。
#77
○政府委員(入澤肇君) 繰り返し御答弁申し上げておりますけれども、まさに上意下達の農政ではございません。この法案は、特徴といたしまして、通常の法案でありますと……
#78
○谷本巍君 こういうことはやるかやらないか、それだけで結構です。時間がありませんから。
#79
○政府委員(入澤肇君) ですから、上意下達という農政ではございませんでして、十ヘクタールの農家を幾らつくれというようなことを上から県に割り当てるというふうなことは考えておりません。
#80
○谷本巍君 ありがとうございました。
 それから、これは大臣に伺いたいんですけれども、これまで規模拡大をやってきまして、借金で倒れる例というのは結構あったんですよ。一つには、価格が下がっちゃって規模拡大農家の経営目算が狂ってしまったということもありましたが、もう一つの問題としては、規模拡大後の技術、経費管理、こういった点にも問題があってうまくいかなかったという例が結構あるのです。
 私は、今度は地域性というのをどう生かすかということが極めて大事になってくると思うんです。技術問題で言いますと、むしろ地域的な技術開発というのは戦前の方が例は多かったです。最近は国と県の技術研究が主流になっちゃったですから、地域的な技術開発なんというのは非常におくれてしまうといいますかなくなってしまうような状況が出てきているだけに、やっぱり地域性を生かしながらどう取り組んでいくかということが大事になってくるように思うんです。
 そこで、そういった地域性を持った技術から経営、管理の問題なども含めた一定の支援組織といいますか、これを考えていく必要があるだろうというふうに思うのです。例えば、農協がやればいいじゃないかという議論もあります。ところが、農協は経済事業体ですから、そこらのところは農業委員会がやったらどうなんだというような議論もあります。ともかくも、技術・経営・管理支援体制をどうつくっていくかということがこれからの地域農業確立の推進にとって極めて大事になっておると私は思うんですが、その点について大臣の見解をひとつ伺っておきたいのです。
#81
○国務大臣(田名部匡省君) 農業も業と言うからにはなりわいであります。ですから、どうすれば自分の農業というものが安定的に経営ができていくか。私は、企業的な感覚で農業経営というものをこれからやっていかなきゃいかぬ。それには、土地の規模をいろいろ組み合わせてやるとか、あるいは年間働けるように創意と工夫をするとかいろんな組み合わせがあるわけです。
 どれをしなさいということを私どもは、局長が言ったように、上からどうこう言いません。地域の実情に応じてみんなが知恵を出して、これならば機械の下にもならぬ、あるいはこうもいく。価格は、それは時によっては、例えばバブル経済で日本全体がおかしくなっているときに農業だけが安定的といっても、これはなかなか難しい面もあります。そういうことがあっても、全体的に何年かを通して安定していくというまず基本的な計画というものは必要である。それには私どもは、営農センター、そうしたものを活用していろんな人の知恵をかりるという中で、こうすれば大体年間これだけの収入が上がって、経費はこの分かかって、利益はこの分出る。そうすると、その利益からいくと、二人で働いた方がいいか、三人で働いた方がいいか、いろんなものが出てくるわけです。
 ですから、私は法人化のことでも申し上げておるんですが、働く人たちの労働条件とか給与とかいろんなことがきちっとなっていく、これとあわせて考えていただきたいということで、あとは技術とかいろんなものは我々が支援しながら、何をやるかとか、どういうものはどうだとかというのは、支援措置というものはできるわけです。主体的にやるのは農家の方々です。しかし、農家があっての農協ですから、農協も真剣に地域の農家の発展のためにどういう努力をするかということにもっと心を配って、一体となってやっていくんだという気持ちが必要である、こういうふうに考えます。
#82
○谷本巍君 農協の場合は、これは大型合併をやっていく。ところが、こっちの農政の方は市町村単位ですからね。そういう点もあって私は申し上げておるのですが、ともかくも、そうした支援組織といいましょうか、これは一定程度考えていかなきゃならぬなということですね、大臣。
#83
○国務大臣(田名部匡省君) 今までの農業経営と違った経営ということで戸惑いはあると思います。したがって、そういう支援体制というものはきちっとつくって、そしてその方々とよく相談するという中で自分の思うようなことをやっていただきたい、こう考えております。
#84
○谷本巍君 時間があと三分しかなくなってしまいました。企業による農業支配の防止策についていろいろ伺いたいことがあったのでありますが、残念ながら時間がありませんので一つだけ伺っておきたいと思います。
 これまた五月二十六日の本会議の質問の際に、私が一つの例示をして、大臣の答弁が欲しがったのですが、いただけなかったことがありました。
 それは、企業が後継者のない農家と農業生産法人を設立した場合、やがて企業が農地を取得するという状況になりはしないだろうか、これは一つの具体例を示して言ったことですが、これについての答弁をひとつこの際ここで伺って、おしまいにしたいと思うのです。
 局長でも大臣でもどちらでも結構です。
#85
○国務大臣(田名部匡省君) 後継者のいないというのは永遠にいないことかどうかわかりませんが、例えば子供はやらぬけれども孫がやりたいということもあり得るだろうし、もう一切ないかということでまた条件が違いますが、いずれにしても、私どもは企業によって支配されるということだけはもう絶対防いでいかなきゃいかぬ。
 農家の方々が主体的にやっていくわけですから、そういうためのいろんな歯どめ、役員の構成でありますとか議決権とかそういうものを、もう何回も申し上げておりますから申しませんが、いずれにしても、十分な監督体制をとって企業による農業生産法人の支配ということを防止するということにしておりまして、主体は農家が本当に安定的にやっていけるということを考えておるわけであります。
#86
○谷本巍君 そうしますと、これは局長でもいいですが、私が例示したこういう場合であっても企業の農地取得はあり得ないと、結論だけ聞かせてください、そういうことですね。
#87
○政府委員(入澤肇君) 恐らく相続だとか持ち分
の譲渡だとかいろんなことで企業が農地を取得するおそれがあるんじゃないかという御質問だと思うんですけれども、企業が農地を取得する場合には農地法三条の許可が必要であります。農地法の三条は、常時従事するとか、効率的に利用する、みずからが農業を営まなくちゃいかぬという厳格な条件がございますから、おっしゃるような御心配はございません。
#88
○谷本巍君 終わります。
#89
○委員長(吉川芳男君) 午前の質疑はこの程度とし、午後一時四十分まで休憩いたします。
   午後零時二十一分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時四十三分開会
#90
○委員長(吉川芳男君) ただいまから農林水産委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、農業経営基盤の強化のための関係法律の整備に関する法律案外二法案を議題といたします。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#91
○矢原秀男君 まず第一点は、日本農業における担い手、すなわち後継者の問題について質問をしたいと思います。
 既に関係者の方々も認識をされているわけでございますけれども、この農業従事の労働力不足の時代に対していろいろの観点から分析もされております。例えば、日本農業の担い手の労働力が量的だけでなく質的にもますます脆弱化しているという現実に、農業政策の将来にどう対応していくか、こういうふうな問題。そしてまた、農業の後継者難と言われて非常に久しい歴史過程があるわけでございますけれども、農業から労働力が流出をしたことはもう否めない現実でございます。そういう中で、日本のために尽くした農業の関係者の方々の功績というものは非常に大きいものがあるわけでございます。
 そういうふうな観点から私たちも今考えているわけでございますが、この新しい食料・農業・農村政策の検討に対応し、二十一世紀農業の構造展望の研究というもので長期的に推計をされているのがあるわけでございます。農水省の農業総合研究所で四年の四月二十八日、「農業総合研究」というもので長期的な二〇二〇年の農家の人口、農業労働力の推計結果というものが発表をされて、いろいろと構造的な対策が練られているのでございます。これを見ますと、農家の人口は三十年間に六〇%も少なくなる、こういうふうな問題、農業を支える基幹的な農業従事者は急減をして九十四万三千人で、三十年間で七〇%も減るという結果の推定も出ているわけでございます。
 こういうふうな問題がいろいろと質疑も交わされ、我々も心配をしているわけでございますけれども、改めて後継者対策、そして農業の担い手の諸問題についてお伺いをまずしたいと思います。
#92
○政府委員(高橋政行君) ただいま先生お話しのように、農業後継者の現状というものを見ますと、確かに最近新規学卒者で見ますと非常に低い水準でございます。そういうような状況の中で、我々、農業後継者の育成確保ということは、これは新政策におきましても非常に重要な柱というふうに思っております。
 したがって、こうした青年の皆さん方に何とか就農していただくというふうにしていくためには、何といっても農業・農村が青年にとって魅力あるものにしていくということが必要であるわけでございまして、今般御審議をお願いしておりますこの三法案もそうした意図から審議をお願いしているところでございます。
 直接的に農業後継者の育成確保としてどのようなことを我々として考えているかということでございますが、少し具体的に申し上げますと、まず就農相談対策といたしましては、平成五年度から新規就農ガイドセンターというようなものを通じまして、円滑な就農のための情報の収集なりあるいは提供をしていく、それから新しく就農しようという方が研修を行おうとするときに、きめ細かな就農相談といったようなことに応じられるような体制整備をしていきたいと思っております。
 それからさらに、先ほど質的な問題もいろいろあるじゃないかという御指摘もございましたが、そういうような皆さん方が技術を習得していただかなければいけないわけでございますので、これにつきましては現在やっております県農業大学校においての実践的な教育研修の充実をするとか、国内あるいは国外で先進農家がいらっしゃるわけですが、そういうところに派遣をしてそういうところで研修を受けていただくとか、また平成五年度からは新たに生産法人等における実践研究も行うというような対策もいろいろと考えておるところでございまして、そのほか就農を円滑にするための金融・税制上の特例措置というようなものも用意をしておるという状況でございます。
#93
○矢原秀男君 この統計の長期的な推計によりますと、基幹的な農業従事者の五三%が六十五歳以上の高齢者の方々という予測というものが出ております。これがまず一つですね。高齢者の方はやはりすばらしい技術や経験やいろんなものを持っていらっしゃいます。この本当に日本の国に貢献をされた農業の担い手というのは、戦前戦後青年時代の方であって、今農業で高齢者の方々だと思うんです。そういう方の多年の経験というものを私は生かしていく真心の政策が農村にしてなければいけない、これが一点ですね、高齢者の方に対しての。
 二番目には、若い人たち、若い労働力を農村の現状分析やなんかお構いなしに日本経済の中に巻き込み、流し込んでいった。こういうあれで農村というものが後継者に対して大変な状況になっている。
 この二点の問題について、先般も皆さんと一緒に視察に参らせていただきましたが、私はまず、若い後継者の方々に対してはどういうふうに農村に引き寄せていくか、こういう問題を専門家の方に御質問申し上げましたときに、はっきり言えば、経済の労働をしていらっしゃるそういう形と同じ経済的な賃金、それを農村にきちっとしていけば若い後継者の方はたまってまいりますと。心配をされている指導者の方から、こういう点は必ず負けないように、町で働いていらっしゃるそういう労働時間、賃金と対応のものをしてまいりますという二点のお話が返ってきたわけでございます。
 だから私は、その指導者の方は必ず青年後継者というものは農村に居ついてまいりますと、これはうれしい気持ちでございましたが、現実の面では、日本経済の中で働いている青年の勤労者の賃金と農村で働く若い人の賃金というものが本当にいつ同レベルになって農村というものを支えていただけるのか、これはいまだにどんな言葉をいただいてもいろんなものをずっと考えながら心配していることの一つです。ですから、この点について明確に、若い青年を農村にきちっと後継者として、絶対賃金もすべて間違いないんだと、そういう一点を私は聞きたい。
 それから、先ほど申し上げました経験豊かで、御苦労された高齢者の方々、今は高齢になっていらっしゃいますが、青春時代というものを農村に本当にすばらしい貢献をされて我々日本国民を支えていただいた、そういうすばらしい高齢者の方々が今農村で頑張っていらっしゃるが、その年齢は若い人とは違うけれども、しかし若い者が持っていないすばらしい経験、判断、そういうものを私は再度担い手として生かしていただかなくちゃいけない、そういうすばらしい政策をつくり上げていかなくちゃいけないと思っているわけでございますが、そういう点を具体的にひとつこうやりますということを答えていただきたい。
#94
○政府委員(入澤肇君) 全く御指摘のとおりでございまして、まず青年が農村地域に定住して農業をやろうかという場合に一番大事なことは所得の安定でございます。
 今回、この法案で経営改善の目標ということを打ち出していますけれども、それは先ほどから議論していますように、従来の単一経営、単作経営ということじゃなくて、地域複合を前提にいたし
まして複合経営によって可能な限り所得の確保を図る、さらに農業だけで十分でない場合には、地域資源というものを十分に利用して観光農業をやるとか、あるいはそのほかの兼業機会の整備によりましてそういうところからも所得を得ていくというふうなことで、全体として所得を上げる対策を強化していかなくちゃいけないというふうに考えております。
 さらに、もう一つつけ加えますれば、労働条件の改善、労働時間の短縮、これも若者を引きつける要因になろうかと思います。
 それから高齢者対策は、私は前回申しましたけれども、人間というのは働く意欲と能力のある限り働く場が提供されてしかるべきだ、それが社会福祉政策と相まって機能することによりまして生きがいのある人生を送れるんじゃないかというふうな考え方を持っております。
 それを政策面にどう反映するかということでございますが、農林水産省の仕事はむしろそういう高齢者対策に一番ふさわしいんじゃないかという感じがしております。従来から高齢者農園、高齢者が中心となって経営するシイタケ栽培園、あるいは高齢者が中心になってやります漬物工場、こんなものもやっていますけれども、非常に大きな成果を上げております。その売上代金の一部を要するに賃金として受け取る。これは年金プラスその賃金ですから自分の懐が豊かになる。それから、日中働くわけですから健康で医療費の支出も少なくなる。さらに、家庭的なトラブルも解消する。一石三鳥にもなるということを申し上げましたけれども、こういう成果が各地で上がっております。
 これからも高齢者の経験と知識を十分学びながら、この人たちによってまた若い人たちが営農をやっていくように指導していただくということも大事じゃないかと考えております。
#95
○矢原秀男君 この点、本当に真剣に生きていくように取り組んでいただきたいと思います。
 この担い手の関係で最後に大臣にお伺いをしたいんですけれども、今申し上げました、農業を支えていただいた今の高齢者の方に対するきめ細やかな、本当に生きがいを持って農業を守っていただく一つの政策、そして若い人の後継者の問題、これは今答えていただきました。
 もう一点は、参考人の方もきのうお見えになって言っておりましたけれども、複合的な社会が必要なんだと。農業をどんどんやっていらっしゃる。しかし、それを取り巻く複合的なそういうふうな地域というものが農業に激励を与え、農業に従事される方に本当に協力をしていく、そういう二本立ての行政やそして地域がなければいけないんだと。農業を農村の人だけに任せてお米だけを我々食べていく、そういうふうなことではなくして、複合的なそういう地域社会で農村に激励やそしていろんな応援もしてあげていく、そういう状況でなければ日本の農業は心配であるとも言われておりました。
 こういうことを含めて、農水大臣、こうやりますという明快な御答弁をいただきたいと思います。
#96
○国務大臣(田名部匡省君) 今、委員お話しのように、農村社会は高齢化がどんどん進展をしておるわけでありまして、実態としては出生率が低下しておるわけでありますから、何といっても高齢者の皆さん方に頑張ってもらうことが大変重要である。しかし一方では、この高齢者の方が本当に農業からリタイアするという時代もやがて来るわけでありますから、そうしたことを考えると若い担い手の育成ということも大事なことであります。
 局長から答弁ありましたように、やっぱり何といっても経営が安定するということが大事であります。ただ、残念なことは、今の高齢者の皆さんは、委員お話しになったように、かつては若いころがありまして、そこへ機械化がどんどんどんどん進展したことによって子供たちが農業というものを手伝わなくてもよくなってしまったということで他産業に従事をしていった。しかし、考えてみると、個々の若い人たちが働いてそれなりの所得の上がる方法をとらなければこれはなかなか難しいと思うんです。やがてはそうなるといっても、そのために私どもは今この法律によって対策を立てよう、こういうことであります。
 よく考えてみますと、都会に出でどういう生活をしているかというと、一時間半も片道交通にかかる、あるいは家賃は高い。そういう中で、所得も高いんでしょうけれども、しかし実際に農業で生活できれば、自然の環境の中で本当にいいところで働けるし、そういうものほかからない。比較していけば、金だけではなくて価値観まで含めて考えると、農業というものは私はもう本当に夢のある産業だというふうに思うんです。
 その産業をどうやって育てるかということで、今都会より不足している分、特に福祉なんかは農村はまだまだ不足している、あるいは環境の整備、集落排水等、そういうものも。ちゃんとしてあげるという生活の面でも何か充実したというか、そういうことと相まって我々の政策にのっとって、そしてだんだんお年を召してくるとやっぱり好きなことを好きなようにやることが一番健康にいいわけですから、余り型にはまったことでやるんではなくて、そこは若い人たちとの分担の中でやっていただければ、本当に過去の経験というものは若い人よりも多いわけですから、そういうものを生かしながら農業の振興ということに努力をしていきたい、こう考えております。
#97
○矢原秀男君 どうかよろしくお願いしたいと思います。
 時間の関係がございますので、次に参ります。
 第二点の質問は、農業機械化促進法の一部を改正する法律案について数点の質問をしたいと思います。
 農業を取り巻く諸情勢の変化、二番目には高性能農業機械、三番目には農業機械化適応農業資材の計画的試験研究、四番目は実用化の促進及び導入に関する措置、五番目は当該措置に関する生物系特定産業技術研究推進機構の業務の追加、こういうのが改正する法律案の提案理由の説明でございます。
 確かに、農業の機械化につきましては農業生産力の増進と農業経営の改善、これを図る観点から非常に大事なことだと思います。我が国農業と農村をめぐる状況というものは、経済の高度化、人口や産業の都市への集中、諸情勢の変化の中で、農業就業者の減少、高齢化の進行等々、近年大きく変貌しているわけでございます。そういう中で、今大臣もおっしゃいました価値観というもの、それから農業の担い手の夢というもの、魅力ある農業づくりというものにやはり機械の進化というものもあろうかと思います。
 それで、二、三質問をしたいんでございますが、農業機械を導入するためには農水大臣の国の関係がずっと下におりてまいりまして、途中で技術の提携、実用化、流通、そうして導入、個人とか共同利用の購入、そういう図形になるわけでございますが、最終的には農業者の皆さんが、すばらしい高度の農業機械が開発をされた、こういうときに一番御心配になることは、この機械に対するコストというものが借金財政にならないかどうかという対応、これは今の現実もそうでございますけれども、ずっとつきまとっていくと思うんです。
 すばらしい機械ができた、さあ使いたい、しかしそれを購入したときにその金額というものはどうなっていくのかという心配。それからもう一点は、数字にも出ておりますけれども、非常に生命の危険という、けがをされる方の数字のデータも出ておりますけれども、そういう安全性という二点について私は質問をしたいと思うわけでございます。
 先般、私も大宮の農業技術の研究所に参りまして、いろんな耕作機械というものを調べてきたんですが、ちょうど東南アジアから若い技術者が来ておりまして、ああ日本の農耕機械というのはすばらしいな、しかしちょっとお金が高いので東南アジアとしては個人では買えない、国が買えば買
えるけれどもと、そういうふうにして非常に残念がっておりました。
 私は研究所の方に、どんなにお金がかかってもいいから、まあそれは国家の財源には限度がありますけれども、とにかく大臣や農水省の担当の方から予算はどんどんとってもらって研究開発にお金を使いなさいと。そうして、最終的には農業に従事される方々が実際に使ってみて、本当に手が省けてすばらしいなと、そういう機械の開発をしていただきたい。そして、それが今申し上げたように、農家の皆さんが本当に借金財政にならないようにしてほしいなと。
 今、耕うんのロボットというものが開発をされております。これは今どの程度に進んでおるのか、説明していただきたいと思います。
#98
○政府委員(高橋政行君) 我々これからの日本の農業を考えていく場合に、人手不足であるとか高齢化というような状況の中ではやはり機械化は避けて通れないということで今回法案の御審議もお願いしておるわけでございます。
 その中で研究開発ということは非常に重要なことでございますので、今回も大臣が基本方針というものを定めるわけでございますが、その中で今後の機械の研究開発もしっかりと位置づけまして計画的に研究開発を進めていきたい。それから、これは生研機構というところで研究開発をしておるわけですが、単にここが自分ひとりで研究開発を進めるのではなくて、民間の力もかりまして、例えば民間と共同で研究するとかいうようなこと、あるいは民間にも委託をしてやるとか、そういうような道もいろいろ考えていきたいというふうにまず思っております。
 それから、先ほどのもう一つの御質問の耕うんロボットに関してでございます。これは私も見させていただいたわけでございますが、地磁気の方位センサーを利用いたしましてプログラムに従って無人耕うん作業ができる段階でございますが、なかなか圃場が常に均平であるというふうな状態でもございませんので、どうしても未耕起の部分が残ってしまうとかそんなようなことで、まだほんの実験段階ということでございます。
 今後とも精度の向上を図って、一体全体自分が圃場のどこに位置しているかということ、自己位置の検国技術といいますかそういうような精度をもう少し高めるとか、あるいは作業がしてあるところとないところをしっかりと区別して走るというようなことができる技術、そんなところがこれからやらなきゃいけない分野だと思っております。
#99
○矢原秀男君 私は、今これはなかなか日本の農地で活用するということは現実には時間がかかるなと思いますけれども、若い後継者の青年の夢という中からこれを質問したわけでございます。
 そのほかに、キャベツの収穫機であるとか野菜用栽培管理ビークルのいろんな形とか、もう四十種類も五十種類も現実の改造の問題、新しい問題、いろんな研究開発をされていらっしゃいました。だから、私も本当に農村に夢を与えるために使えるような機械というものを、そしてまた一面では夢のようなものも金がかかってもつくっていきなさい、そういうふうにお願いをしたところでございます。
 今申し上げている農業機械のコストを削減するというのは、きのう参考人が全国からすばらしい方が五人お見えになりまして委員の皆さんと質疑をされていらっしゃいます中で、農機具のコストというものが非常に高くついて大変なんだ、こういうふうなことを述べていらっしゃいましたが、全国の農家の皆さんはそういうことを皆思っていらっしゃるんではないかと思うわけでございます。
 ですから、そういう意味で、メーカーがございまして、モデルチェンジやいろんな問題もあるんでしょうけれども、私が農水省にお願いしたいことは、農家の負担にならないような農機のコスト削減へ全力を挙げていただきたい、こういうことでございます。
 それで、もう一つの安全性のことも、トラクター一つをとりましても、安全フレームがない場合には未装着は死亡が五〇%も出ているんですね。時間の関係で細かいこと言えませんけれども、非常に全国的にはいろんな死傷者というものが出ていらっしゃるわけでございます。やはり高齢者の方が相次ぎ犠牲になるとか、狭い農道であるとか急坂の道であるとかいろいろの問題がございます。この農機具についての安全性というものは、これはもう全力を挙げてメーカーもやっていただかなくちゃいけませんけれども、農水省の指導の立場からもこれはきめ細かくきちっとしていただきたいと思うのでございます。
 この点について、農水大臣、私はもう局長からは一応政策的には聞いたから、農業機械の安全性の問題と農業機械のコストを下げる問題についての答弁を、簡単でいいですから。
#100
○国務大臣(田名部匡省君) 安全性の問題ですけれども、私もしょっちゅう農家の方々が操作しているのを見ておるわけで、特に道路上において事故が多い。こういうことで、確かに普通の乗用車のような感じではない農機具もあるものですから、相当経験を積まぬといかぬなという感じのものもあります。しかし、機械上で安全でないというものは、これは徹底的にやっていかなきゃいかぬというふうに考えております。あとは機械をいかにうまく利用するかということだろうと思います。
 それから、いま一つはコストの引き下げですね。コストの引き下げについてはいろんなことをこの法案の中でもお願いをいたしておりますけれども、引き下げと同時に、私は企業的な感覚での農業経営ということをもう常日ごろ申し上げておりますが、機械を利用することによって経営がどうなるかということがまず大事だと思うんですね。
 経営規模に合わない農機具を購入するとどうしても無理が来るということで、その場合には例えばリースでやるかあるいは共同でやるか、そうした場合にはコストがどのぐらいになるか。要するに、経営を安定させるためから計算をして、一方では我々はコスト低減のための努力はこれからいたしてまいります。ですから、それと経営される農家の方々が適正な規模に合った、そしてどうしてもそれだけで足りなければ多少規模を拡大しながら合わせていく、全体で経営が成り立つようにやっていかなきゃいかぬのではないだろうか、こう思います。
 しかし、おっしゃるとおり、高い機械ではなかなか負担が多いわけですから、コストを下げるためにいろんな部品を、先ほどお話があったような生研機構で開発した型を利用してもらうとかいろんなことをやりながら努力をしていきたい、こう考えております。
#101
○矢原秀男君 どうかよろしくお願いしたいと思います。
 では、第三点の質問に移ります。
 今、国民の半数近くが生活排水の適正処理を実施しております。トイレの水洗化人口は国民の約七〇%になっております。しかし、この問題は大都市や都市、そして農村の僻地においてはそれぞれの違いがあるわけでございます。しかし、違いはあったにしても、生活大国五カ年計画を今の政府が打ち出されて、快適な生活環境というものを国民に訴えていらっしゃる。そういう中で、社会資本の整備というものもお金の限定がありますけれども、環境保全のためにはどういうふうにすれば住みはい地域社会になるかということが大きな課題なんです。そういう意味で、私は今後の浄化槽行政のあり方と対策についてどうされるのかを伺いたいと思うのでございます。
 まず、最初に伺いたいことは、農水省では独自の集落排水整備、こういうふうなことにかかわっていらっしゃると思いますが、総合経済対策関連では目標をどういうところに置いていらっしゃるのか。そして、今後の整備方針というものが何年、五カ年計画というのが普通基本でございますけれども、五カ年計画であるとか十カ年計画であるとか、そして単なる浄化槽というふうなそうい
う雑排水から、そうではなくして一番衛生的にきちっとなっていく合併処理浄化槽設置整備事業についてどうされるのか、こういうふうな方針というものを伺いたいと思います。
#102
○政府委員(入澤肇君) 私どもといたしましても、農村地域の集落排水、下水道の整備は極めて重要であると認識しております。
 そこで、まずどういう目標でやっているかと申しますと、生活雑排水とかし尿を処理する農業集落排水施設とかあるいは下水道施設の整備率、これを地域別に見ますと、大都市が八七%、中都市四七%、町村部八%となっております。まず、とりあえず中都市の四七%のレベルまではレベルアップをしていきたいというふうに考えているわけでございます。
 そこで、その長期的な計画でございますけれども、第四次土地改良長期計画、これは平成五年度から始まりまして平成十四年度までの十年間の計画でございますが、これに基づき特に緊急に整備することが必要であると思われる三万集落を目標に整備をしていきたいと考えております。
 私どもの集落排水の特徴は、処理水の農業用水としての再利用、それから汚泥の農地還元を図りまして、農村地域に適した小規模分散型の汚水処理システムということで非常に高い評価を得ているというふうに確信しております。したがいまして、このような事業を通じまして農村地域の生活環境の整備に努めてまいりたいと考えているわけでございます。
#103
○矢原秀男君 ぜひ先ほどの計画を実施していただきたいと思います。
 建設省にお尋ねをいたしますけれども、下水道整備は全国的に今日現在では何十%進んでいるのか、それも伺いたいと思いますが、予算及び整備の実態についてお伺いをしたいと思います。
 そういう中で、特に農村部においては特定農山村地域、農村振興地域、こういうふうな具体的なものがあるわけでございますが、その実態というものを建設省としてはどういうふうに把握されながら総合経済対策の建設省としての成果予測というものを考えていらっしゃるのか、伺いたいと思います。
#104
○説明員(亀本和彦君) 下水道につきましては、最も基本的な生活関連の社会資本ではございますけれども、平成四年度末での全国の数字を申し上げますと、整備率が四七%ということでまだ半分にいっていない。しかも、先生御指摘のように、町村に至りますと下水道の整備率というのはまだ九%という段階でございますし、まだ未着手の町村も七割程度あるという状況でございます。このため、国民の要請というのは、都市、農山漁村を問わず高まってきている。我々の責任というものを認識しております。
 したがって、建設省におきましては平成三年度から第七次下水道整備五カ年計画というものを策定いたしまして、総額十六兆五千億ということでございますけれども、中でも中小市町村の下水道の整備に最重点を置き、平成五年度の下水道事業予算につきましては他の社会資本と比べまして高い、全体として七%の伸び率ということになっておりますけれども、町村部につきましては二〇%の増という形をとらせていただいております。
 さらに、現在御審議いただいております総合経済対策に関連しました補正予算につきましても、国費にいたしまして一千七百八十億円余を準備いたしまして市町村対策をやっていきたい。その中でも特定環境保全公共下水道という小規模な下水道が農村部の中心的なものになりますけれども、農業集落排水等とも力を合わせながら目標の実現を図っていきたいというふうに考えております。
#105
○矢原秀男君 建設省もぜひよろしくお願いしたいと思います。
 じゃ、この件で厚生省にお尋ねをいたします。
 厚生省では去る二月十九日、生活環境審議会の浄化槽専門委員会が、将来的に生活雑排水処理を義務づける必要があるという報告書をまとめられました。特に、下水道未整備の農村部が対象になっているようでございます。
 私がおります兵庫県においては、し尿と生活雑排水を処理する合併浄化槽を自主的に条例で義務づけている自治体に、南光町、青垣町、千種町等がございます。その他は指導要綱で設置を奨励しているのが実態でございます。だから、市町村によっては非常に格差が大きいし、全国の僻地から見るといろいろの問題があります。
 例えば、生活雑排水のたれ流し、もしこれがいまだに日本じゅうの僻地にあるとすれば、厚生省だけではなくて関係各省庁が全力を挙げて明るい生活環境というものに努力をしていかなければいけない、こういうふうなことで法整備というものの提案があったんだろうと思いますけれども、こういう合併浄化槽の設置を促進する義務づけのお考えは厚生省にはないのかどうか伺いたいことと、財政的な裏づけというものが関連予算としてないとどうしようもないと思うんですが、総合経済対策の中にも整備というものは予定されていらっしゃいますけれども、厚生省のお立場から御答弁をお願いしたいと思います。
#106
○説明員(吉岡荘太郎君) お答えいたします。
 先生御指摘のとおり、合併処理浄化槽、これは生活排水につきまして雑排水もあわせて処理できる施設でございまして、下水道と同等の処理ができ、また短期間に設置ができるということでございまして、農村部も含めましてこれからの生活排水処理対策の一つの有効な手段であるというふうに考えております。
 厚生省といたしましても、この合併処理浄化槽を個人が設置する場合に市町村がこれを助成するという地域がふえておりますので、これに対しまして厚生省の予算で国庫補助事業という形で昭和六十二年度から実施をしておるところでございます。これは当初、実施市町村数五十五カ所で開始されました。国庫補助額は、当初昭和六十二年度に一億円でスタートしましたが、平成五年度にはこれを百億円に伸ばしまして、今年度約一千五百の市町村におきまして事業を実施しております。
 なお、総合経済対策の中におきましても平成五年度の補正予算におきまして四十億円を計上していただき、現在御審議いただいておりますが、こうした国庫補助を中心に、農村部も含めまして合併処理浄化槽の普及を図ることによりまして環境保全を図ってまいりたいと思っております。
 それから、先生あわせて御指摘の、ことしの二月に厚生省の諮問機関でございます生活環境審議会浄化槽専門委員会というところから今後の浄化槽行政のあり方、わけても合併処理浄化槽の普及促進のあり方ということにつきまして御報告をちょうだいしておりまして、この中で将来的には、先生も御指摘のとおり、地域によっては合併処理浄化槽の設置を義務づけていく、これによりまして生活雑排水の処理をさらに推進していく。こうした措置は法的な措置が必要かと思われますが、そういうものを将来的に検討しながら、一方で、当面各市町村におきましては条例あるいは指導要綱等によりましてその設置を義務づけていくということでございます。
 厚生省といたしましても、こういった地域につきましては国庫補助を重点的に行うことによりまして御支援を申し上げていきたいと考えております。
#107
○矢原秀男君 大臣にこの件につきまして一言伺いたいんでございますが、農村の地域社会の環境と衛生を守り、そして病気というものをなくしていかなくちゃいけない、こういうことで私は質問しているわけでございます。農村向きの生活排水法というものをきちっとやっていってすばらしい環境をつくっていかなくちゃいけないと思うんですが、大臣の御決意をこの件について一言だけ伺いたいと思います。
#108
○国務大臣(田名部匡省君) かねてから私は、どうも都市の方の下水はどんどん整備されるが、一極集中排除の受け皿である農山村、こうしたところの環境整備には少し手が薄いんじゃないのかということを申し上げてまいりまして、閣議でも各省が大分理解をしてくれまして、それ相当の予算をちょうだいしたわけでありますけれども、何と
いっても都市と農村の交流をこれから積極的にやりたいということになりますと、こういう集落排水の整備ができていませんとなかなか交流が盛んにならぬ。
 だから、子供、親、特に孫が都会に住んでおって休みに来ると、こう言っても、この辺の整備をしておかぬとだめだし、まあ嫁対策もどうかといつもおしかりをいただくんですが、それにつけてもやっぱりそういうことはきちっと整備をしていかなければならないというふうに考えておりますので、これは私どもの省にとっても、立ちおくれた農山漁村の生活環境の整備、特に集落排水には重点的に予算をつけて進めていきたい、こう考えております。
#109
○矢原秀男君 よろしくお願いいたします。
 時間の関係で最後の一点お伺いをいたします。
 最後の一点は、行政の許認可等の実態把握にかかわる閣議決定、こういうふうなことで総務庁が中心でございますが、発表されました。
 そういうふうなことで、許認可の問題というものは、報道関係の社説やそして委員の皆さんとか関係者、国じゅうで活性化を図るためには許認可のとにかく枠を外していただいて、そして民間の自制力に任せていただきたいという声はあらゆる産業とか階層の中で非常に多いわけでございます。
 そういう意味で、実態等についてまず総務庁に簡単にお伺いをしたいと思います。
#110
○説明員(畠中誠二郎君) 平成四年三月末時点での許認可等事項総数は一万九百四十二件でございます。
 政府は従来からこの規制緩和を行革の重要な柱の一つとして取り上げまして、臨調行革審答申等に沿って許認可等の整理合理化などの改革に努めてきているところでございます。
 昨年六月の第三次行革審の第三次答申におきましても、国際化対応とか国民生活重視の観点から各般にわたる規制の緩和等に関する提言が行われまして、政府としてはこれを受けて昨年十二月、いわゆる平成五年度行革大綱を閣議決定したところでございます。
 また、政府としましては、規制緩和に対する国民の世論の強い期待にこたえまして、経済の活性化を図るとともに、国民生活の質の向上を図るため、さきの経済対策におきまして公的規制を緊急に見直し、許認可等の大幅な整理を図ることとしておるところでございます。
 経済対策閣僚会議の席上、総務庁長官から、許認可等の整理について一万件を切ることを目標に取り組む必要があるとの考えが示されまして、また総理からも各大臣に対しまして許認可等の整理に積極的に取り組むよう指示がなされているところでございます。
 このような趣旨、経緯を踏まえまして、五月二十日に各省庁に実施要領というものをお示ししたところでございまして、一万件を切ることを目標に許認可等の整理に取り組む所存でございます。
#111
○矢原秀男君 これは大臣にちょっと答弁していただきたいと思っているんですが、農水省が三番目で、許認可を千三百五十七持っていらっしゃるわけです。それで、私もその中で許認可を種類別に分析をずっとしますと、大体二十一種類の許認可があるわけなんです。
 私は、農水省も多いからどのぐらい削減をしていただくのかということをきょうは御質問しようと思ったんですが、じっと考えておりますと、農水省というところは他の省庁とは違って地球環境を守るための山林とか林野とか、そして農業の関係とか、そしてまた食物を考えると、人間生命の食料に安全かどうかという非常な責任を持っていらっしゃる機関であるので、今質問しながら許認可をぐっと外しなさいということが私はちょっと言えなくなったんでございますけれども、専門の立場として、最後に農水省とそれから大臣、どのようにお考えなのかを伺って、私の質問を終わりたいと思います。
#112
○政府委員(上野博史君) 許認可の削減の問題につきましては、基本的なライン、政府全体としての方針は総務庁の方からお話があったとおりでございまして、国民の自由な経済活動といいますか、そういうものの阻害をできるだけしないようにすべきであるという考え方のもとに縮減を図っていこう、こういうことになっております。
 ただ、委員がまさにおっしゃいましたとおり、許認可というのはそれぞれ一定の目的を持って行われているわけでございまして、それぞれの許認可事項が果たしております役割というものをよく見きわめて対処していかなければならないというふうに我々は考えているわけでございます。
 したがいまして、我々としてもその基本的なラインには沿いながらできるだけ簡素化を図っていくという意味も含めまして努力をしてみたいというふうに思いますけれども、それは現在の段階でそれぞれの許認可事項の果たしております機能というものをよく精査した上で進めさせていただきたいというふうに考えておりまして、現在、検討を続けているところでございます。
#113
○国務大臣(田名部匡省君) 官房長からもお話があったように、私の方は、土地ですとか水、山あるいは食品、加えて環境問題が出てまいりまして、特に環境に関する問題。
 経済対策閣僚会議で、私も入っておりますので決定をいたしました。この方針に向かって努力をしなきゃならぬわけでありますけれども、実際やってみて本当に簡素化できるもの等あれば積極的にやりますけれども、なかなか難しい問題を抱えておることは、私もこれなくして本当にうまくいくんだろうかというものもあります。十分検討しながら政府の目標に向かって私ども努力いたしますが、内容によってはなかなか応じられないというものもあろうかと思いますが、十分精査してみます。
#114
○林紀子君 私は、まず、機械化促進法に関してお伺いしたいと思います。
 今回の改正で生研機構と民間企業の共同出資で高性能農業機械の開発、実用化を図ることになっているわけですが、この実用化の中心点というのは金型の共用ということになると思うわけです。しかし、現実問題としてこの金型の共用というのが本当に可能なのかどうなのか。現在の農業機械はメーカーごとに苗を植えるところから刈り取りまで一貫した開発を行っております。これは、農業機械メーカーは生き残りをかけてこういうことをやっているということですから、このような業界の中で果たして可能なのかどうか。
 また、機械化ということになりますと、野菜の栽培方法も統一をしなければいけないということになると思いますけれども、野菜というのは特に地域地域の特性があり、また付加価値を高めるために農家の方たちは一生懸命やっていらっしゃるわけですから、結局この栽培方法を統一するということが生産者にしわ寄せになるということはないかどうかということをまずお聞きしたいと思います。
#115
○政府委員(高橋政行君) 実用化促進会社によりまして金型をつくるわけでございますが、その場合の共用化に果たしてメーカーが喜んでついてくるんでしょうかという点でございます。
 確かに、共用化するわけですから、メーカーは各社の独自性を出しがたいというようなことでいささかしり込みするんじゃないかというふうに私たちも若干当初心配をしておったわけでございますが、この法案につきましていろいろ各社にお話を申し上げてまいりましたところ、それぞれのメーカーとしても、販売台数が余り多く見込まれないような機械の部品の金型を自分たち個々に所有しなくなるということは、それだけリスク軽減にもなっていいことではないかということで、実際には相当数の農機具メーカーがこれに参加していこうじゃないかという機運に現在ございます。
 それからもう一つは、野菜作についての栽培様式の標準化でございますが、我々も野菜の関係者あるいは学者さん、実務屋さん、いろいろ集まって今後の野菜の機械化について、うちの局じゃございませんが、食品流通局でありますが、そちらの方でいろいろ検討をしていただきましたが、そ
の中でも、今後の野菜作というものを考えていく場合、特に野菜作について高齢化とか労働力不足というようなのが進む中で野菜作を進めていくには機械化が必要であり、栽培様式の標準化というようなことも今後やっていかなきゃいけないんじゃないかという提案もなされておりまして、我々はこれをぜひやっていかなきゃいけないことじゃないか、こんなふうに思っております。
#116
○林紀子君 私の時間は限られておりますので、申しわけありませんが、簡潔にお答えをいただきたいと思います。
 二点ほど価格の問題でお聞きをしたいと思うわけですが、まず、農業機械のモデルチェンジのための開発には金型研究費などで十億円はかかると言われているということですけれども、金型の共通化を実用化促進会社で図るといたしましても、どの程度のコストダウンになるのか。これはつくる側で農機のモデルチェンジのサイクルが今までと同じでは到底コストダウンにはならないのではないかという心配が一つあるわけです。
 それから、これを購入する生産者の方、農家の側から見ますと、確かに野菜などの機械で重労働が軽減されるというメリットはあるかもしれませんが、一番問題なのは価格になるわけですね。金型の共通化によるコストの削減が農業機械の販売価格にどの程度還元できるのか。今までも機械化貧乏というようなお話が再々話題になりましたけれども、本当に農家の方たちに安くこれを提供することができるのかどうか。その二点について簡潔にお答えいただけたらと思います。
#117
○政府委員(高橋政行君) 今回の実用化会社をつくって金型を共用化していこうということは、直接にはコストダウンを目指すということではございませんで、個々のメーカーに任せておっては製品化ができない、何とかこれを製品化して農家の皆さんに使ってもらうようにできないかということを目的としましてやっているものでございます。
 それで、これをじゃ個々のメーカーが自分でつくったらどうなるかということなんですけれども、恐らくそれは採算に合わないというようなことですから、相当高くなってしまうんじゃないかという意味では、共用化して金型自身をつくるということは非常にコストが下がるということにはなると思うんです。しかしながら、製品ができ上がりますと、それに占める金型の割合というのは大体一〇%ぐらいなんです。したがいまして、金型で相当なコストダウンができたとしても、機械全体としては大幅にコストダウンということになるとは思っておりません。
 それから、こういった機械というものができるだけ安く農家の手に入っていくということはどうしたらいいかということでございますが、これは機械のメーカーが、今度は基本的なところだけ金型をつくりまして、あとは自分たちが独自にそこへいろんな装置をつけますので、それらの人たちが自由に競争して販売ができるという状態にすることによって価格を下げていくということではないか、だから、我々としてはそういう競争条件を整備してあげるということが必要ではないか、このように思っております。
#118
○林紀子君 先ほども申し上げましたけれども、確かに機械化されたら楽になる、しかし価格は高くなる。これではやはり農家にはメリットはないと思いますので、生研機構が加わるわけですので、農水省の方もそこのところをきちんとチェックしていただきたいということを申し上げておきたいと思います。
 次に、農業生産法人の要件緩和についてお聞きしたいと思いますが、農地法を改定しまして農業生産法人の事業要件と構成員要件を緩和することとしているわけですけれども、このうち事業要件の緩和については、農業関連事業、その附帯事業及び農業関連事業とはみなされない事業とはどういう事業か、こういう資料を私も質問に先立っていただきました。
 ところが、法案が閣議決定した際の農水省の出した資料と、調査室が作成した「参考資料」の中の資料ですね、これももちろん農水省から出されているものですけれども、これを比べてみますと、二つの事案が削除されているわけなんです。
 その一つは、「関連事業に含まれない事業の例」として、当初閣議決定の際に出されたものは、「道路貨物運送」、及びその理由として、「農畜産物のみの運送を行うことは想定されない。」と、こういうふうに書かれていたものが削除されているわけです。
 これはどうして削除をしたのでしょうか。この削除をしたということは、道路貨物運送は関連事業に含まれる、そして附帯事業でできると書かれている「所有する機械・施設の余剰稼働力を利用した業務(所有トラックを利用した運搬等)」というのとどういうふうに違うのかというのをお聞きしたいと思います。
#119
○政府委員(入澤肇君) ちょっと二つの資料を持っておりませんが、私どもの今考えております関連する事業の範囲と附帯する事業の範囲をもう一回確認のために申し上げましょうか。
#120
○林紀子君 いや、結構です。
#121
○政府委員(入澤肇君) 附帯事業の範囲に現在考えておりますのは、「所有する機械・施設の余剰稼働力を利用した業務」で「所有トラックを利用した運搬等」は附帯事業に入りますということでございます。これが恐らく前の資料には「関連事業に含まれない事業の例」として例示されたんじゃないかと思いますけれども、みずからの所有するトラックを利用した運搬等でございますので、「農業及び農業関連事業に従たる事業」として位置づけていいんじゃないかということで附帯事業として読むということでございます。
#122
○林紀子君 そうしますと、閣議決定のときの資料ですね、それによりますと、「関連事業に含まれない事業の例」として「道路貨物運送」、そしてどうしてこれは関連事業に含まれないのかという理由のところに「農畜産物のみの運送を行うことは想定されない。」というふうに書いてあるわけなんですけれども、それが消されてしまったということは、道路貨物運送というのは関連事業に含まれる、道路貨物運送も農業生産法人ができると、そういうことになるわけですね。
#123
○政府委員(入澤肇君) 附帯事業といたしまして、みずからが所有するトラックを利用して機械・施設の余剰稼働力を利用した業務を行うことはできるということでありまして、一般的に道路貨物運送事業を行うということはできないというふうに解釈しているわけでございます。
#124
○林紀子君 もう一点ですけれども、「農業に関連する事業」のうち、「農畜産物の販売」で「想定される事業の例」として「米穀類小売」という文言が調査室から来た資料では削除されているわけです。
 じゃ、この米穀類小売ということはできるんですか。「想定される事業の例」として最初は「米穀類小売」というのが書かれていたわけですから、米穀類小売というのはできるんでしょうか、できないんでしょうか。
#125
○政府委員(入澤肇君) 米穀の小売業を営もうとする場合にあっては、食管法令の規定に基づき都道府県知事の許可を受ける必要がございます。その場合、米穀小売業者の許可要件、遵法要件とか経験要件とか資力信用要件とか規模要件とか施設要件等を満たさなければならないわけでございまして、農業生産法人であっても他の法人または個人と同様に許可を受けられますけれども、特別の取り扱いをすることは考えておりません。
#126
○林紀子君 そうしますと、食糧庁長官にお聞きしたいんですけれども、許可要件を満たせばこの米穀類の小売の販売免許というのは与えることができるということになるわけですね。
#127
○政府委員(鶴岡俊彦君) そのとおりでございます。
#128
○林紀子君 そうしますと、今までの要件緩和をされていない農業生産法人ですね、その農業生産法人でも許可要件に適合すれば免許は与えられたわけですね。
#129
○政府委員(鶴岡俊彦君) それは農業生産法人の
能力の範囲であるかどうかということになろうかと思います。農業生産法人がそういうことができるのであれば、食管法上の資格要件さえあれば許可を与えることはできると思います。
#130
○林紀子君 今度の事業要件の緩和で、今までは自分たちが生産したものだけを加工して販売するということしかできなかったのに、今度は自分たちが生産しているものと同じ種類のものであればそれを加工して販売することができるというふうに要件が広がったので、それでこの米穀類の小売というのができるようになったというふうに考えてよろしいわけですね。
#131
○政府委員(入澤肇君) そのとおりでございます。
#132
○林紀子君 そうしますと、事業要件の緩和それから構成員要件の緩和というふうに今回農業生産法人の要件緩和は二つあるわけですけれども、この構成員要件の緩和で株式会社が参入できるということになったわけですね。
 それで、この米穀類の小売販売ということにつきまして考えますと、もう既に米に対して大企業というのはいろいろな関連の仕方を今までしているわけです。インディカ米で有名なキリンビールから始まりまして、私の手元にある資料だけを見ましても、三井東圧化学、三井東圧、三井物産、三井グループ、三菱商事、三菱化成、住友化学、丸紅、トーメン、ニチメン、伊藤忠商事、味の素、日本水産、ニチレイ、資生堂というふうに大企業がずらっと米に群がっているという状況になっているわけなんですね。
 そういうことでは、これは山形県でおかゆをつくって販売している有限会社だそうですけれども、こういう例もあるそうです。米を会社でつくって採算がとれるのかという問いに対して、おかゆというのは水でできるから金額では米で売る十倍になるんだ、本当に十倍の付加価値がつく。そういうことでは今まで大企業が参入ということを本当にねらっている。そういうことで、この農業生産法人が構成員要件の緩和とそれから事業要件の緩和とを一緒にやったことによりまして、まさに大企業がよだれを流さんばかりにここに参入して、生産、加工、流通、販売、これを一貫してやりたい、こういうところに道を開いていくものではないかというおそれがあるわけですけれども、いかがでしょうか。
#133
○政府委員(入澤肇君) 構成員要件それから事業要件の範囲は確かにおっしゃるとおり拡大いたしました。しかし、業務執行要件は前と同じで改正していないわけであります。したがいまして、大企業が野方図に入ってくるということはまず考えられないというふうに思っております。
#134
○林紀子君 それでは、農業生産法人のチェックの体制がどうなっているのかということについてお聞きしたいと思います。
 私は、三月二十九日のこの委員会で農業生産法人である岩瀬牧場の件を取り上げました。そして局長は、この岩瀬牧場が通達に違反している、是正指導することによって要件を満たすというふうにお答えくださいました。
 これは是正の指導をしたんでしょうか。農業委員会法の二十九条に基づいて指導したのかどうか、それもお聞かせいただきたいと思います。
#135
○政府委員(入澤肇君) 少し長くなりますけれども、きちんと説明させていただきます。
 岩瀬牧場につきましては、二つの点で農業生産法人制度上問題があったということをこの前申し上げました。
 第一に、農業生産法人の要件の一つである業務執行役員の要件につきまして、農地法第二条第七項第三号では、その法人の常時従事者たる構成員で、その法人の事業に必要な農作業に主として従事すると認められる者が業務執行権を有する取締役の数の過半を占めることとされていたにもかかわらず、これまで構成員で取締役となっている者三名のうち、法人の事業に必要な農作業に主として従事している常時従事者は一名のみであったと。したがいまして、業務執行役員の要件を欠いていたわけでございます。
 このため、その是正を求めました。私自身も福島県知事に会いましたし、それから福島県当局、農業委員会等を通じまして指導しましたところ、去る四月十二日の社員総会におきまして、常時従事者たる構成員に同法人で農作業をしていた三名を加えると、そのように定款変更が行われまして、これによりまして業務執行役員六名中過半数を超える四名が法人の事業に必要な農作業に主として従事している常時従事構成員となりまして、業務執行役員要件は充足されたところであります。
 第二番目の問題でございますが、農業生産法人の要件ではございませんけれども、農業生産法人の業務執行役員の代表権を有する者につきまして、昭和五十五年の通達で、「その法人の主たる事務所の所在地に住所を有する者であって、その法人の事業に必要な農作業に主として従事する当該法人の常時従事者であることが望ましい」というふうな通達を出しております。「この旨許可時に指導するもの」とされているにもかかわらず、この岩瀬牧場につきましては代表権を有する者は当該市町村に住所を有しない者であった。これは先生の御指摘のとおりでございまして、かつ常時従事者でもない者、すなわち単に農地の提供だけをしている者がなっておりまして、この通達の趣旨に合っていなかったというわけでございます。
 このため、業務執行役員要件の充足とあわせましてこの点につきましても是正を求めました。その結果、去る四月十二日の社員総会におきまして、地元で農作業に主として従事している常時従事者として構成員となった者、横山さんという方が代表取締役社長に選任されまして、通達の趣旨に沿うような方向で是正が行われたところでございます。
 この是正措置は、農業委員会が岩瀬牧場は業務執行役員要件を欠いており、通達にも違反していたため、農地法第十五条の二の規定に基づく農業生産法人の要件違反に対する買取手続の前段階の指導として当該牧場にこれらの是正措置を求めたところ、当該牧場が指導に基づき是正を行ったものでございます。
 本件は、農業生産法人の要件違反が明白な事案であったために、農業委員会等に関する法律第二十九条に基づく報告徴収であるとか立入調査を行うという必要もなかったものでございます。
#136
○林紀子君 今お話を聞きまして、この件につきましては局長みずから福島県とも会っていただいたということで、きちんと形としてはしたということをお伺いいたしました。
 しかし、農業生産法人のチェック体制ということになりますと、いろいろ農水省が通達も出して今まで指導もなさっているわけですけれども、許可権者である農業委員会がしっかりした姿勢を持たないと、それはなかなかチェックができないということになると思うわけです。
 ですからそういう意味では、先ほど申し上げましたように、農業生産法人の事業要件、構成員要件、両方とも緩和をしていくわけですから、きちんと農業生産法人の要件緩和に伴って農地法に新たな監督規定というのを設けるべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。
#137
○政府委員(入澤肇君) 現に、今申しましたように、農業委員会法の第二十九条におきまして、疑わしき場合は立入検査等を行い、それから所要の報告を求め、監督をする規定がございますので、農地法に改めてそのような規定を設ける必要はないと考えております。
#138
○林紀子君 今までも農地取得の問題をめぐりまして企業が参入する、株式会社が参入するということにつきましてはいろいろ危惧の念というのが出されました。今回のこの改正が本当にアリの一穴となって大きく企業参入、株式会社参入に道を開いていくのではないかという懸念が、四分の一、十分の一というようなことを幾ら言われましても懸念があるわけですから、このチェック体制というのを厳しくするということも含めて考えていただきたいというふうに思うわけです。
 次に、認定農業者制度についてお伺いしたいと
思います。
 認定農家の基準についてはどういうものなのか、そして認定農業者になった場合どういう支援措置があるのか、これは簡単で結構ですけれども、わかるようにお答えいただきたいと思います。
#139
○政府委員(入澤肇君) 認定基準につきましては、抽象的には、都道府県基本方針を踏まえて市町村がそれぞれの地域の実情に応じて定める市町村基本構想に照らし適切であること、それからもう一つは、農業経営改善計画達成の見込みが確実であることということになっております。具体的には、地域の特性に即しまして営農類型ごとの農業経営の規模、生産方式、経営管理の方法、農業従事の態様等が定められることになっております。
 今度の農業経営改善計画の認定に当たりましては、従前の制度は規模拡大だけでございましたけれども、規模拡大という観点だけでなくて、計画で目標とする経営の姿が規模において基本構想で定められた営農類型ごとの規模を上回っており、生産方式、経営管理の方式等々が合理的なものであるかどうかということが基本でございまして、そこら辺が具体的な認定基準になると考えております。
 それから、認定を受けた農家に対するメリットでございますけれども、一つは利用権の設定等の促進を図るために、農業委員会は認定農業者の申し出の内容を勘案して農用地の利用関係の調整に努める。課税の特例といたしまして、認定計画に従い新規就農または大幅な規模拡大を実現した場合には、五年間農業用機械・施設、大家畜等の所得税、法人税の割り増し償却を行う。それから、農林公庫、沖縄振興開発金融公庫の融資につきまして必要な配慮を行う。さらに、国、地方公共団体あるいは農業に関する団体は、認定計画の作成及びその達成のために必要な経営管理の合理化、農業従事の態様の改善等のための研修の実施、経営の指導を担当する者の養成その他の措置につきまして各般の措置を行うということでございまして、ここら辺が認定農業者に対するメリットというふうに理解しております。
#140
○林紀子君 この認定農業者というのは専業農家に限るんですか、第一種兼業農家まで認めるんでしょうか。
#141
○政府委員(入澤肇君) 効率的・安定的な農業経営を目指して計画をつくる農家でございますから、専業農家に限られるものではありませんでして、第一種兼業農家であろうと第二種兼業農家であろうと、生産方式の改善をやって、その地域で一定の目標以上の農業経営を営もうという人は全部認定農家の範囲に含まれると思います。
#142
○林紀子君 そうしますと、今兼業農家が非常に安定しているということが言われるわけですけれども、兼業農家というのも認められるわけですね。そのことを承っておきます。
 それから、経営規模についてですけれども、私は千葉県の干潟町、今回の法案とは無関係に独自にこの四月から認定農家制度というものをスタートさせたという「農協だより」を見せていただきました。
 この干潟町では地域の実情に応じて水稲の経営規模、営農類型によって百アールから百五十アールに区分をされているわけです。そして、およそ一千百戸ある農家のうち今五十四農家が認定を受けているけれども、四百近くある専業農家はそのほとんどが認定農家となるだろうというふうなお話も聞いているわけですけれども、地域の実情に応じてというお答えですので、これはこの法律に従った認定農業者ではありませんけれども、例えば水稲と施設野菜を組み合わせましたら、水稲が百七アール、施設野菜十九アール、水稲、露地野菜を組み合わせた場合は水稲百七アール、露地野菜三十アール、こういうふうになっているわけですね。
 こういうことで、新政策の十ヘクタールから二十ヘクタールというのとは大分違う、複合経営でも五から十ヘクタールというのと大分違うわけですけれども、こういうものをお考えになっていらっしゃるわけですか、地域の実情に相応してということでは。
#143
○政府委員(入澤肇君) 何度も申し上げておりますように、十とか二十ヘクタールなければ認定しないというんじゃございませんでして、各地域の実情に応じて非常に小さな面積でも今よりも所得が上がる、今よりも経営を改善するというふうなことが具体的に定められればそれでよいわけでございます。
 具体的には、市町村の基本構想の中に内容が定められまして、その定められた内容に照らし合わせて妥当であるとすれば認定農家になるわけでございますから、大規模な計画だけが認定農家の要件ということでは絶対ございません。
#144
○林紀子君 それでは、もう少し細かいことをお聞きしたいのですが、この認定農業著になるのに年齢の制限があるのか、それから転作の目標面積や他用途利用米の割り当てに応じなければ認定をしないのか、その辺はいかがですか。
#145
○政府委員(入澤肇君) 年齢の制限は考えておりませんが、地域全体として転作をやるということになっておりますれば、市町村の基本構想を定める場合にその地域全体の土地利用計画が定められますから、当然のことながらそういうことも参酌の対象になると思います。
#146
○林紀子君 それから、先ほど他産業並みの労働時間あるいは生涯所得、農業経営の規模、生産方式、農業従事の態様というふうにお答えになったわけですけれども、他産業並みの労働時間それから生涯所得、これも計画を立てて認定農業者になるときはこれだけの目標を上げますということで提出をするということになるわけですね、それぞれの地域の実情に応じて。
 しかし、新政策の中にも価格の問題では「内外価格差をできる限り縮小するための努力を引き続き積み重ねていくことが必要である。」というふうに書かれているわけですし、麦価は据え置きになりました。米価はどうなるか。そういうことでは、目標を立てましても、それは農家の責任ではなくて所得が下がってしまうということがあり得るんじゃないかと思うんです。政府の責任によって所得が下がってしまう、他産業並みの所得を得たいと思ってもそれができなくなってしまう、そういうことがあるんじゃないですか。
 その辺は、政府はどういうふうに責任をとるわけですか。
#147
○政府委員(入澤肇君) 地域の実情に合わせて面積をどうするか、それから作付計画をどうするか、最近あるいは近い将来の市場価格の動向はどうなるかというふうなことを見通しながら一定の所得目標というのを出してもらいますけれども、別にそれを金科玉条としてクリアしなければ認定しないという筋合いのものじゃございません。
 そういう目標に向かって経営改善をやるということが大事なんでありまして、やはり目標がないまま一定の方向に向かっていくのは難しい話で、農政に対して多くの方々が言うのは目標を出せという話ですから、地域ごとに基本方針を定め、基本構想の中で目標というのを明示していこうという話でございまして、裁量の余地のある目標でございまして、規則的なものではございません。
#148
○林紀子君 目標に向かってということを個々の農家に求められる。また、経営体というふうに言いあらわしておりまして、それに求められているわけですけれども、それならば政府の方がまずその価格の目標というものを示さないで個々の農家にそれを求めるというのは大変無責任じゃないかと思いますが、いかがでしょうか。
#149
○政府委員(上野博史君) 我が国の農業の中心が稲作にある、米であるというのは、それはそのとおりでございますけれども、地域の農業を振興してまいるという場合には、これは米だけでございませんで、いろいろな作目を、その地域に合ったものを選んで考えてまいるわけでございます。
 したがいまして、それぞれの農産物の価格がどうなるのかということすべてを政府がどうこうするというわけにもいかないという点がまずあるわ
けでございますけれども、政府の担当しております、政府が関与しております行政価格につきましても、考え方はもうはっきりしているわけでございますが、具体的な運用といいますのはやはりそのときどきの生産費の状況を見てまいらなければならないわけでございますし、それから需給事情を考えるということも非常に大事な要素でございます。
 それからまた、忘れてならないのは、消費者なり国民というものの存在も考えないわけにはいかないわけでございまして、そのときどきの需給事情なりコストの動向を見ながら適正に価格を決めてまいるということになろうと考えております。
#150
○林紀子君 今までそれこそ農基法の話が何回も出てまいりましたけれども、この農業基本法で選択的拡大ということを言われるときに、やはり農家の方たちは、その選択的拡大をしていったら収入が上がる、農業で本当に生きていくことができる、こういうことで必死に努力をしてきた。しかし、そうはならなかったわけですね。
 私は昨年の夏に北海道に行って、稲作よりももっと早く規模拡大規模拡大に駆り立てられてきた酪農の地帯、特に別海町美原地区というところを見てまいりました。この日本一の酪農地帯、ここはもうECよりも大規模な酪農を営んでいるところです。しかし、北海道の酪農協会の調査の報告というのをそこでいただきましたけれども、「牛肉自由化でこのままでは地域が崩壊する−負債一億円の悲鳴こという報告書を北海道の酪農協会が出しているわけなんです。
 そういう意味では、規模拡大規模拡大、そして今回は新政策にのっとって認定農業者制度というような形にあらわれるように選別をしていく、こういうことで本当に日本の農業がやっていけるのか、農家が生き延びていけるのか、このことは大変大きな疑問です。
 最後に、農水大臣にお伺いしたいんですけれども、稲作よりもっと先進的に規模拡大をして、しかも負債一億円を抱えて悲鳴を上げている。輸入自由化の大きな波がここにも押し寄せているわけですけれども、本当に規模拡大だけで、新政策の方向だけでこれから日本の農業を救っていけるのかどうか、そのことをどうお考えになっているのかということをお聞きして、私の質問を終わりたいと思います。
#151
○国務大臣(田名部匡省君) 規模拡大だけで私はうまくいくと申し上げておりません。一つの指標としてはこの程度やればということがどうも規模拡大拡大と。しかし、その程度やらぬとまたこの八百万という目標達成は難しいことも事実なんです。
 しかし、そればかりでいいのかというとそうではないんで、集約化をしたりあるいは複合化、先ほど来局長がお話ししているようにどれとどれを組み合わせるか、あるいは一年間を通じて働くためにはどうしたらいいかという、これは農家の方々が創意と工夫、しかも地域の実情、そういうものをにらんで他産業並みの収入を得る相談をしてください、それによって我々は支援をしていきましょう、こういうことであって、これは何回も申し上げておりますから、もうこれ以上申し上げません。
 ただ、担い手がいないこの実態、これから先一体どうするのかということを考えると、担い手を育成するための方策というものはやっぱり安定した経営、所得においても労働時間においても。そういうことを考えて実はやっておるわけでして、決して規模拡大だけを言っているわけではないわけです。
 別海町のお話がありました。私もよく調べてみましたし、テレビでも見ました。一億の負債、これはそのとおりなんですね。サイロをつくりました。機械を買いました。これは全部、事業では借金ではあるけれども、帳簿上では資産に載るわけです。これで働いてまあ何とか返していける、それがうまくいかないと経営というのは破綻していくんだろうと思うんですね。この間も別海町のことをテレビでもやっておりました。立派なサイロをつくったけれども使っていない。電気代が高いからだと。ですから、事業着手するときには何にどれだけの費用がかかるか、だからそういう企業的な感覚で入っていかないと、補助金つきだから、安いからといってやってみても後から負担というものは出てくる。
 ですから、そういう場合には、一軒じゃ無理なら二軒でやろうかとか共同で機械を買おうかとか、そういう創意と工夫というのが必要になってくるんであって、しかしいろんな支援措置はやっておりますよ。これはもう申し上げるまでもないことで、その中で経営の成り立つようにやっていただきたいということであって、決して無理なことをやっているわけでもないし、農家の後継者が意欲を持って、誇りを持って農業にいそしんでいける、そのために我々は全力を挙げてやっているわけですから、どうぞ御理解をいただいて御支援を賜りたい、こう思います。
#152
○星川保松君 私は、おととい総論的な質問をしまして、きょうは各論的な質問をするということを申し上げました。
 ただ、おととい総論的な質問の中で、いわゆる新農政というものが基本法の改正法案のような中身を持ちながら、これが国会の場に出てこないというのは、これはやはり三権分立の精神からいってそれに沿わないのではないかということについては、行政の長である総理大臣に聞かなくちゃいけないということでその出席をお願いしたのでございました。理事会でその返事をいただいたのでありますが、総理は大変多忙でありまして農水委員会にはとても出られない、すべて全権を農水大臣に委任してあるので農水大臣で間に合わせて――じゃなくて、何と言いましたか忘れましたが、農水大臣にとどめてほしいというようなお話がございました。
 まあやむを得ないと思いますけれども、ここで私の言いたいのは、いわゆる基本法というものをつくって三十年ほったらかしておいたんですね、言葉が悪いかもしれませんが。その間に農業の基本に関することが大きく何回も変わっていると思うんです。その変わるたびに本当はローリングしなくちゃいかぬと思うんです。それで、きのうの参考人の意見聴取の際に、中央会の石倉さんが五年ごとの農業法をつくってほしいということをおっしゃっておりました。それは、そういう基本法のようなものをつくったらやっぱり五年ぐらいのローリングをするという意味で、短期の目標を設定するとかそういうことを言っておるのではないかと私は思うわけです。
 ですから、基本法をつくって三十年もほったらかすというようなことは避けるべきで、それの見直しをするという場合は、中身のなくなったものにしがみつくようなことなく、新たな気持ちで新たな基本法をここでつくっていくんだという態度でやっていってほしいということを要望しておきたいわけです。
 それからもう一つは、今のままですと政治がやる仕事まで行政がみんなしょい込んでいるというふうに私は見えるわけです。それでは余りにも行政の任に当たる人の任務が重過ぎると思うんです。だから、そこはなかなか政治に対しては言いにくいかもしれませんけれども、行政の側としては、我々の任務はここまでだ、ここから先の方は政治の方でやってほしいというふうに遠慮しないで私は政治の方にやるべき任務というものを分けて、そしてやらせてほしいというふうなことを要望しておきたいわけですが、これについて総理大臣にかわって農水大臣一言。
#153
○国務大臣(田名部匡省君) おっしゃることはよくわかるわけでありますけれども、政治がどこまでで行政がどこまでかという線引きというのは難しいと思うんですね。私どもは政治家ですから、国民の意見というものを集約して基本的なことを決める、その基本の枠組みの中で行政というものはその都度臨機応変に対応していく。しかし、それから全然外れたことになったときには、国民を代表する国会の場で議論して基本的なことを決めるというところが大事ではないかなと思うんで
す。
 今回のも農水省の憲法みたいなものですから、五年ごとと、そうころころと変えるということもいいのかどうか。基本的なことだけをきちっとして、あとは変化に伴って対応できるというふうにした方がいいのでないか、私はそう思います。意見の違いもあろうかと思いますが、行政が政治に入ってくることは慎むべきことでありますし、政治の方も余りこまいことまで入って行政がやることまでやるのかどうかというところは議論のあるところだ、私はそう思います。
#154
○星川保松君 大臣が私の言うことをよく理解なさっておらないようですけれども、私は五年ごとに変えるなんて言っていないんですよ。五年ごとにその基本法どおりに現状が動いているかどうかということを検討しろと、こう言うんですよ。
 それから、何でもかんでも行政の方まで政治がやれなんというようなことを私は言っていないんですよ。いわゆる政策の方向ぐらいは政治でやらなくちゃいかぬと言うんですよ。その方向づけられた路線に沿って行政の方はいろんな具体的な施策というものを打ち出していくというふうにしてほしいと、こういうことですから、そこはひとつ誤解ないようにお願いします。
 私も農水委員会に来てから、農水大臣ほか農水省の皆さんといろんな論議をやっているんですが、どうもかみ合わないんですね。それで、どうしてかみ合わないんだろう、農水省はおかしいんじゃないかと思っておったんですが、こうかみ合わないと私の方もおかしいのかなと思って、両方おかしいのかなと思うと私も少し自信なくなってきまして、実はきのう参考人の方が新潟の方とそれから熊本の方が来てくださった。それで、どっちがおかしいのかひとつ聞いてみようと実は思いまして、それで一つ質問したんですよ。
 それは、農水大臣は、嫁さんが来ないのも後継者がいないのも月給やらないからだと公休みをやらないからだなんて、こんなことをおっしゃるんだけれども、あなた方はどう思いますか、月給やっていますかと、こういう端的な質問をしてみたんですよ。
 そうしましたら、新潟の関川さんが、やっぱり嫁さんにも後継者にも月給はやっていないと言うんです。仲間もだれも月給出している人はいないと言うんですね。月給出すほどもうかっていない、赤字だと言うんです。だから、私は言っているんですが、農家の後継者や嫁さんというのは、これは月給取りなんかと違いまして、会社の場合は何十年勤めたって会社が自分のものになるということはないんだ、ところが農家の人は、勤めれば後で後継者として家屋敷から田畑まで全部自分のものになるわけですから、そこが違うんだ、だから月々の小遣いぐらいでやっていけるんだと、私がそう言ったら、やはりそのような考え方でしたよ。
 それから、今度は熊本の山口さんに聞きましたら、山口さんは独身なんだそうですけれども、私はいわゆる農村の嫁不足の犠牲者ではありません、私個人の考えで結婚していないんですと、こうおっしゃっていました。
 それで、山口さんが非常におもしろいことをおっしゃったんですよ。農家の休みというのは、あの人が言うには九カ月連続労働だ、休みなしだ、そして三カ月休みだ、こういうことをおっしゃったのでびっくりしました。それで、少し計算してみますと、九カ月に三十日掛けますと二百七十日、それに八時間を掛けますと二千百六十時間、やっぱりぶっ続けというわけにはいかぬでしょうし、冠婚葬祭なんかもあるでしょうし、それで二十日分ぐらい、二十日ですと百六十時間、これを差っ引きますと二千時間なんですよ。そうすると、今のいわゆる千八百時間に向かっての時短とほぼこれが合うんですね。私は驚きました。
 ですから、私は農家の皆さんと話をしますと話が合うんですよ。それで、皆さんと話しても合わないというんですから、やっぱり農水省の皆さんの方がちょっとおかしいんじゃあるまいかとまた自信を取り戻したんですけれども。
 それで、どうしてこういうふうに農水省の皆さんが私らと違うんだろうなと考えますと、皆さんは現実に何もやっていないんですね。田の草取るわけじゃないし、稲刈るわけじゃないし、蚕置くわけじゃないし、それで、机の上ばかりやっているんですね。これが一番悪いんじゃないかと思うんです。
 天皇陛下でも田植えなさっているんですね。皇后陛下は養蚕なさっているんじゃないですか。だから、農水大臣も農水省あたりに鶏でも飼ったらどうですか。本当に私はそんな気がするんです。鶏は飼ったことありませんか。――ない。私は卵をとる鶏を飼ったことあるんですよ。鶏の産卵率をあしたからぐんと上げる方法あるんです。これはどなたか御存じですか。――わからない。これは、卵を産まない鶏を判別してそれを淘汰しちゃうんです、いわゆる駄鶏淘汰なんですよ。産卵率の低い鶏を淘汰してしまう。大体、同じえさばかり食って卵を産まないというのは、これは栄養がついて肉としてはいいわけです。だから食っちゃうわけです。それはうまいわけですよ。
 なぜ私がそんなことを言うかといいますと、今回の望ましい経営体というものをつくるために、駄鶏淘汰みたいに能率の悪い農家を淘汰するようなことをやっていてはいけないなと思うわけなんです。兼業農家だって、私、何回も言いますように、生産力としてはすばらしいですね、一千二百万トン片手間に農業で米づくりながら生産する生産力を持っているんですから。その生産力はだれも非難するわけじゃないんで、その生産性の問題、産卵率の問題なんですよ。
 だから、生産性が低いからといってこれを排除するというのは、それは鶏なんかはいいですよ、しかし経営体は農家ですから、これをそういうふうにして生産性が低いからということで淘汰するような考えに立ってはいかぬ、こう思っているわけです。
 余計なことばかり言っていたんじゃ時間がなくなります。望ましい経営体、これは思い切った目標を立てたというふうに私も評価をいたします。問題は土地の集積の方法なんです。どういうふうにして土地を集積するかということでは二つの土地の出し手を想定しているわけですね。
 その一つは、いわゆる後継者のいない高齢者の農家、その皆さんは四十何万ヘクタールですか。それから、勤めをしてちゃんとした収入を得ている、あるいは兼業の何か営業をしているということで安定している兼業農家、これは百四万ヘクタールですかを持っている。その土地を出してもらおうということなんですね。そこに私は難しさがあると思うんです。
 それで、一番の難しさというのは、農家を後継者として今やっている皆さんというのは大概長男です。その兄貴は兄弟の皆さんから相続の放棄をしてもらっているわけです。私も相続放棄しました。そうすると、兄弟の皆さんは相続を放棄する際に、私の実家を守ってくださいよ、仏様を守ってくださいよ、年寄りを守ってくださいよという暗黙の約束があって、そうして放棄をしているわけです。ですから、兄貴が勝手に土地を売るということは問題があるんですよ。勝手に売ったりしますと、それは約束と違うじゃないか、だからその売った金を分けてほしいとかいろんな問題が出てくるわけなんです。
 そういうことで、家を守る、墳墓のなにを守るというようなことからしますと非常に難しい、やはり先祖伝来の財産ということになっていますのでね。
 この点についてはどう考えていますか。
#155
○政府委員(入澤肇君) まさに、農村の実態というのはそういうふうなことが多いんじゃないかと思います。
 私どもはそういう農家から所有権を移転して、あるいは土地を売って専業的な農家に農地を集積させるという方法ばかり考えているわけじゃございませんでして、農家は実家を守るんだ、そのために親戚一同が皆期待しているんだということであれば、当然のことながらみずから農業をやって
もいいですし、あるいは利用権を設定して、そして規模拡大農家に農業をやっていただく、あるいは経営受委託という方法もございます。それからまた、みずから効率的な農業を営むということであれば、各地でやっていますけれども、集落営農、集落全体で例えば農協が土地利用計画を定めまして、農協が機械の合理的な利用計画をつくってやる、そんないろいろな方法があると思います。
 したがいまして、各地域の実情、農家の意欲、意向、そういうものを踏まえまして、少しでも経営の改善がなされればいいというふうな観点で今回の法案を提案したわけでございます。
#156
○星川保松君 それから、もう一つは安定兼業農家ですね。安定兼業をやっている私の友達がいっぱいおりますけれども、それらの方々の話なんか聞いてみましても、安定兼業をやっている人というのは非常に経済観念が発達しているんですね。それで、先取りしたような形で、農業だけじゃだめだということでいろんなことをやっているわけです。それらの方々は飯米を確保する、そして親戚に分けてやる米ぐらいは自分でつくる、そういうような自給的な農業というもの、それもそれらの人々の安定の中の一つの要素になっているんです。ですから、自分が立っているところの安定の基礎の土台石の一つなんですよ。
 だから、これまたそれを動かそうとしますと非常に抵抗するというような気がするんです。その皆さんが一番多いわけですから、百四万ヘクタールもあるわけですから、こっちの方もかなりやっぱり放す人の身になっての施策というものと同時に打ち出していきませんと、これは非常に難しいなという気がするわけですよ。
 それについてひとつお考えをお願いしたいと思います。
#157
○政府委員(入澤肇君) 安定兼業農家を含めまして、大体我が国の農家は平均して十四筆に分かれた土地を持っています。零細分散錯圃と言っていますけれども、その克服が大事でございまして、私は安定兼業農家が一定の自留地を持って米栽培をする、あるいはお米はもうほかの人にやってもらうけれども、花とか野菜の栽培をするということをこの政策で放棄するというわけじゃございませんでして、むしろそういうふうなことを組み合わせながら、地域にあってできるだけ専業的な農家あるいは生産組織体が効率的に稲作なら稲作の生産ができるように土地利用を持っていきたいということを考えているんでございまして、安定兼業農家が飯米を確保するために一定の土地を自留地として持って生産するということを否定するものではございません。
#158
○星川保松君 それから、この間群馬県を視察させていただきまして、私も同行させていただいたんです。局長も一緒に行ったんですけれども、玉村町、あそこではいち早く農業公社を設立して助役さんが理事長になって頑張っておられたですね。
 それで、理事長さんに一反歩幾らしますかとお聞きしましたところが、この辺でしたら一千万円とおっしゃっていましたですね。今、一千万円の田んぼを買って米づくりをしていたんじゃとても合いませんとおっしゃった。だから、公社としては土地の売買による集積ということはもう考えられないということをおっしゃっていましたですね。
 そうしたら、皆さんの方から小作料は幾らだという話が出まして、小作料は二万円だと。私は安いのでびっくりしたんですけれども、果たして二万円で、例えば一町歩を持っている後継者のない高齢農家がこれを貸しに出して、そして二万円ですから二十万ですね。それで、農家の人というのは大概基礎年金しかないんですね。二万円で貸して、それから公租公課があるでしょう。あの辺は早いところでやったから現在はどのくらいかは知りませんが、私のところなんかは遅くやったものですから、ピーク時は三万も四万も土地改良の負担金から何からあるんですよ。だから、二万円ではとてもあの辺でも公租公課を賄うだけでも足らぬのじゃないかなという気がするわけです。
 そう考えますと、これはなかなか難しいなという気がしたわけですよ。あのとき局長はどんなふうに考えられましたか。
#159
○政府委員(入澤肇君) あそこの町は市町村の公社でございますから、農地の売買というのは恐らく業務としてはやっていないと思うんですが、県の農業公社が間に入りまして売買あるいは賃貸借をやる場合に農業改良資金の無利子資金というのが使えるんです。小作料の一括前払い資金ですね。五年分をまとめて払うというような場合に無利子の資金が借りられますけれども、二万円はちょっと高いなと思いまして、そういう資金をうまく使っているんだろうかなというふうな感じを持ちました。いろんな政策があるんですけれども、それが徹底して普及されていないという印象を持った次第でございます。
#160
○星川保松君 局長、そうじゃないんです。私が言っているのは貸す方の立場を言えというんですよ。二万なら借りる方は安いでしょう。貸す方の立場。
#161
○政府委員(入澤肇君) ここは小作料の水準につきましては、私どもは統制小作料という制度を廃止しまして標準小作料ということで行政指導をやっているわけでありますから、その水準がその地域で実勢に応じて定められるものでございますから、高いとか安いとかというのは、全国と比較してどうだということは言えますけれども、その地域の農業の中でどうだということはなかなか申すわけにいかないんじゃないかと思います。
#162
○星川保松君 私が言っているのは、そういうことでは結局貸すわけにはいかぬということで、やっぱり委託するところはして、難儀なところは頼んで、そして楽なところだけは自分でやろうというふうに、それはその経営にしがみつくほかないんじゃないかと思うんです。だから、しがみつかなくてもいいように何か考えてあげないとそれらの人も土地を貸してくれないんじゃないか、それはやっぱり考えてほしい、こういうことです。
 それから、次の問題でありますが、特に特定農山村の基盤整備の法律、これで私は一つ欠けているところがあるんじゃないかと、こう思われてならないんですよ。
 それは何かといいますと、これはほとんど過疎地域なわけですね。私は過疎地域の自治体を受け持ったことがあるんです。そのときは過疎振興法のことでここにいらっしゃる鎌田先生が議長で大会をよくやりまして、私も何回か出席したんですけれども。それで、過疎地域というのは人口が、過疎地域指定というのは、一番初めは十五年間の人口減少率が二〇%とか、いわゆる人口減少率と財政力指数ですよ、財政力の弱いところですね、それが条件だったんですよ。それで、後で改正になってから今度はこれに老人の比率が加わったんですけれども、これは端的に過疎地域の悩みをあらわしているわけです。
 過疎地域というのは人口が流出したわけですよ。そうすると、外へ出ていって働ける人口というのは若い人なんです。年寄りはどこにも出ていけないものですから、若い人がどんどんと出ていったわけです。そして残ったのが年寄りなんです。そのために、もう私のところでは六十五歳以上の老人の比率が二〇%ぐらいのところはざらに出てきましたからね。
 ということで、これを活性化するためのいろんな施策をやっていく、それを自発的にそこから興していくという構想なわけです。ところが、そういうふうなことを勉強しながら、研究しながら積極的にやっていくという若い人がいないんです。年寄りばかりで、私がよく言う三ちゃん農業のじいちゃん、ばあちゃん、かあちゃんに研究して頑張りなど言ったって、これは始まらぬことなんです。そうすると、若い人を育てなくちゃならない。その若い人を育てるための人づくりの施策、ちょっとここが欠けているんじゃないかなという気がするんです。
 ですから、今回のこの法律なんかも各省庁連携しているようですけれども、その人づくりの面に
ついて文部省に入ってもらって、現在農業高校があるわけですから、その農業高校を出てももう家業を継がないとということでどんどん会社、工場へ行ってしまうような状況になっているわけです。これは、農業高校の整備をここで進めるということと、それから中山間地だけじゃないですけれども、いわゆる農村の振興を図るということとを一体にして、人づくりと地域づくりとを一体にして持っていきませんと、これはなかなかもう進まないんじゃないかというふうに思うわけです。
 それでぜひ、これからでも遅くないと思いますので、文部省とも連携をとって、中山間地の振興、それから農村全体の振興を担っていく人づくりを農業高校を中心としてやっていく、そのためには国は思い切った設備のために、青年たちが、よし、それじゃおれもやってみようとどんどんそこに入ってくるような金をかけなくちゃいかぬと思うんですよ。
 日本の高度経済成長というのはいわゆる工業だったんですね。それで工業の振興のために国立高専というのをつくったわけです。ああいうふうに人づくりに金を投じて、そして人づくりから始めたのが今日の工業の隆盛だと私は思うんです。やはりここでそういう施策を農業でもやっていかなくちゃいかぬ、こう思うんですが、それについてひとつお考えをお願いしたいと思います。
#163
○国務大臣(田名部匡省君) 先般の参議院の予算委員会でも同様の質問が出まして、私と文部大臣からそれぞれ答弁をいたしましたが、これからのこうした教育、これはもう本当に大事だということで、文部大臣もしっかり対応してやりますと。その中で、経営の指導もしっかり教育の中でやっていただきたいという御意見等がございまして、文部省とも連携をとりながらこの後継者づくり、そういうものをやっていきたい、こう考えております。
 今の法案の中でもいろいろありますけれども、そのとき私がお答えしたのは、小学校、中学校における教育、体験学習といいますかそういうものも必要で、平素から農業にいそしむということがあって農業というものを理解してもらえると思う。したがって、文部省も一緒になって、この指導をする者は我が方から出しますのでということで話し合いを実はいたしたわけであります。
 そういうことでございますから、いずれにしても、本当にこれからの農業というのは特に教育というものを私は技術的な面でも経営の面でもしっかりと身につけてほしい、こう思っております。
#164
○星川保松君 本当に今の農業高校に生き生きとした目を輝かせて青年たちが集まるというふうにすれば、私はもうこの計画は大成功につながる、こう思いますので、そこからひとつ始めていただきたいと思います。
 次に、機械化促進の問題をお尋ねしたいと思いますが、今回は大変立派な高度の高性能の機械の開発ということを掲げておるようでありますけれども、それも私は大事だと思います。しかし、日本の農家は今みんな機械化貧乏で悩んでいるわけですよ。この三百万農家ひとしく悩んでいる機械化貧乏の解決の方が私は先だと思うんです。
 例えば、米づくりに必要な一通りの機械、これは農水省の「ハンドブック」から拾ったんでありますけれども、例えば田植え機械の場合は、これは平均だと思うんですが、価格が九十四万四千二百円。それで耐用年数が、これは税の方の償却だと思うんですが、五年です。それで、これがどのくらい使われておるかといいますと年間平均二日なんです。それから、今度は噴霧機の値段が十二万七千四百円、償却は五年、これが使われるのが三日と五時間弱。それから耕運機の値段が、これはアタッチメントなしの本体だけだと思うんですが、四十八万四千円、耐用年数五年、これが四日と三時間。トラクターもアタッチメントなしの本体だけだと思うんですが、三百十七万一千円、これが償却八年、年間八日と三時間。それからバインダー、これが四十八万八千五百円、償却五年、これが一日と六時間強。それからコンバイン、これが百九十八万八千円、そして償却五年にして使うのが三日と五時間。乾燥機は九十六万六千百円、償却が八年、それで年間七日と二時間。
 こういうことです。これだけの設備投資といいますか機械に投資をして、これだけの日数しか使わないんです。あとは納屋の中に寝かしておくわけですよ、これ。これでは採算とれるわけがないんですね、幾ら米とったって。だから、きのうの関川さんも赤字だと。赤字の最大の原因はここにあるんですよ。これがいわゆる機械化貧乏の実態なんです。
 だから、高度の機械、耕うんロボットも結構だし大事だろうけれども、キャベツの収穫機も大事だろうけれども、この一般の農家の農機具の使用状態から見ての機械化貧乏、これとまず取り組まなくちゃいかぬのじゃないのかと思うんですが、その点についてはどう考えていますか。
#165
○政府委員(高橋政行君) 先生からお話がございましたように、機械が効率的に利用されていない、そういうことによって機械化貧乏というような状態にあるのではないかということだと思います。我々も、まさにそういうことになってはいけないということからいろいろと施策を考え、指導しておるわけでございます。
 まず一つは、今おっしゃった事例の話ですと、米作としてそういうような恐らく機械の使い方をしているということでのお話かと思いますが、我々が経営展望でもいろいろ議論している中では、まず経営としてただ稲作だけに限らず、いろんな複合的な経営体をやることによっていかに機械を長く使うかというか、そして償却を少なくするかというような、そういう経営としてどういうことをやっていったらいいかというまず一つ接近の仕方。
 それから、規模の拡大というようなことも当然やらなきゃいけませんが、特に効率的な利用というような形態としては、例えば機械銀行というようなものを設けて、かなり機械銀行も最近たくさん設立されまして、現在七百八地区全国でありますが、そういうようなところが、機械を新しく購入するということじゃなくて、うまく調整をしながら利用してもらうというような体制をつくっていくとか、あるいは普通でいけば組織体をつくって共同利用というものを進めていくとか、そういうことをしながらいかに償却費を安くしていくかということを考えていかなければいけないんじゃないかというふうに思いまして、我々もそういう観点から指導をしてまいっておるという状況でございます。
#166
○星川保松君 終わります。
#167
○喜屋武眞榮君 まず最初に、私は沖縄の農業関係でキビ作の機械化の促進の問題について取り上げてみたいと思います。
 今回、農業機械化促進法の改正案が提出されたわけでありますが、一九九二年・三年期のサトウキビの生産量は百十一万一千二百六十一トンになっております。この量は、復帰二十一年というんですが、復帰後最低を記録しております。復帰二十一年の中での最低の百十一万一千二百六十一トン。このように最低のサトウキビの収穫になっておりますので、非常に大きな問題として沖縄で今大騒ぎをしております。
 その結果、農協などの生産団体では、現在各地区別に生産振興対策の話し合いを進めておる最中であります。また、生産農家の経営安定と安定的な生産を維持するために、生産基盤などの条件整備とともに、規模拡大のための農地流動化とともに機械化一貫体系の推進をより強力に進めるべきであると強調いたしております。このことは、今回の新政策の三法案の目的にもまさしく合致しております。
 そこで、今回の法案において沖縄農業をどのように位置づけようとしておられるのか、また位置づけているのか、そのことをお聞きしたいと思います。
#168
○政府委員(高橋政行君) 特に、機械化との関係でのお話だと思いますが、まず沖縄農業につきましては、先生御存じのように、亜熱帯の地域特性というものを生かしましてサトウキビが中心でご
ざいまして、そのほか最近では冬春季の野菜、それから熱帯果樹、肉用牛などの畜産が展開されておるわけでございまして、現在第三次沖縄振興開発計画におきましては、まずサトウキビは何と申しましても収穫期の機械化ということが問題になっておりますので、収穫機械等の導入とその効率的な利用による一貫体系をどういうように整備していくかということがまず一つでございます。
 それから、野菜、花卉、果樹につきましては、省力化技術の開発普及ということが主眼に置かれておりますし、それから肉用牛などの畜産につきましては、草地開発などの飼料生産基盤の整備、ふん尿処理施設の整備等環境保全の推進が必要であるという、そういう指摘がなされておるわけです。
 それで、今回の機械化促進法の改正との関係で申しますと、生研機構の開発すべき高性能の農業機械といたしまして我々が現時点で考えておりますのは、まず一つには、農業経営の規模拡大あるいは経営の複合化というものを推進していくわけですが、その中でより汎用性の高いコンバインであるとかあるいは耕うんロボットであるとか、そういうような機械。
 それから、二つ目には、野菜、果樹等につきましては、省力化あるいは労働強度の大幅な改善を図るための野菜用の自動移植機であるとかあるいは果樹の無人防除機といったようなものでございます。
 三番目には、作業環境の改善ということで簡易草地更新機あるいは畜舎排水浄化処理装置、そんなものを現在考えておるわけでございまして、こういうようなものが開発されていけば、先ほど申し上げました沖縄振興開発計画で指摘しております沖縄農業の振興にも大きく寄与するのではないか、こんなふうに思っておるところでございます。
#169
○喜屋武眞榮君 北沖縄開発庁長官は、去る四月に沖縄で行われました全国植樹祭に出席をされたわけなんですが、その際に南部の糸満市内にあるサトウキビ機械化モデル展示をたまたま視察してくださいました。
 その会場で、松田JA沖縄中央会会長が北長官に、沖縄のキビ作農家が高齢化のために、機械化は収穫作業だけでなく植えつけや管理についても必要であると強調し、機械化一貫の栽培体系を確立し、普及を図るため各地に展示圃場を設置し、今後とも強力に推進したいと述べました。これに対して北長官は、キビの生産環境も年々厳しくなっているようだが、基幹作物として守っていかなければならない、キビ生産の低コスト化は不可欠、地域での取り組みをどうしても支えたいとも述べておられます。さらに、農水省とも十分に相談して、地域実態に合った施策をバックアップしていきたいという感想を述べておられます。
 まだその時期から余り時間も経過しておらない現状ですが、この長官の発言に対して農水大臣はどのように対応しようと思っておられるのであるか、まずお聞きしたいと思います。
#170
○国務大臣(田名部匡省君) 北長官に私もお話を伺いました。今お話しのようなことを言っておられました。松田中央会の会長さん、たびたび私もお会いするんですが、なかなか意欲的な人で、規模拡大をして、そして機械化を図って努力していきたい、こう申しておりました。そういうことで、平成四年六月に策定いたしました畑作農業の生産性向上等の指針を踏まえて、生産性の向上及び六年産から品質取引への円滑な移行を図る、このことも松田会長は言っておりました。やっぱり質のいいものをつくって頑張らないとだめですというので、私もむしろいろいろ指導いただいた方であります。
 その観点から最大の課題とされているのは、サトウキビの収穫期、植えつけ期、こういうものの作業体系の確立、これは大事だと私も思います。高品質の安定生産技術の啓蒙だとか普及のための実証展示圃の設置、畑地帯の土地基盤の整備をする、あるいは早熟で高精多収な優良品種の育成、あるいは優良種苗供給体制の整備、こういうことを総合的にやっていかなければならない、こう思っております。
 花とか野菜、果樹、そうしたものも振興しておりますけれども、何といっても基幹的な作物でありますから、私どもも全力を挙げて御支援をしてまいりたい、こう考えております。
#171
○喜屋武眞榮君 大臣は先般沖縄にお越しになりました際にこの松田会長にお会いになりましたでしょうか。――ありがとうございました。
 JA沖縄中央会会長の松田さんが言われておるように、キビ作の機械化一貫の栽培体系を確立するためには、今回の農業機械化促進法の改正案にもありますように、現在の農業機械に加えて高性能農業機械及び農業機械化適応農業資材の試験研究、実用化の促進が必要であると思われます。
 そこで、キビ作の機械化も当然その対象になると思いますが、今後具体的にどのように取り組もうとしておるのか、答弁を願いたいと思います。
#172
○政府委員(高橋政行君) サトウキビ作の機械化一貫体系を確立していくということが必要なわけでございます。全労働時間の約六割を占めます収穫作業の機械化がまず重要であるということで、生研機構が開発いたしましたケーンハーベスターというのがございまして、この開発が一応の成功を見まして、現在、農業機械メーカーにより実用化されて普及段階に入っているというまず状況でございます。
 したがいまして、一部地域ではそのほか移植というようなものも含めまして機械化一貫体系が確立しておりますけれども、まだ機械作業の能率が低いわけでございますし、特に収穫作業以外の移植、栽培管理面の高能率な機械の開発というのがおくれているという状況にございますので、この分野の開発、実用化を進めていくということがこれから必要なことというふうに思っております。
 それで、特にこれらの機械が余り高額なものにならないように開発していくにはどうしたらいいかということになるわけですが、我々が今考えておりますのは、この栽培管理用の機械につきましては既存の機械の改良により対応できるのではないかというふうに考えておりまして、そういった改良をしていくという開発、そういうことをやっていきたいと思っております。
#173
○喜屋武眞榮君 先ほどもどなたか触れられましたが、農業の機械化の導入は、農家の機械化貧乏と言われるほど、農家にとって生産という社会的使命がある一方、経済的負担も大きく、これを無視して機械化の導入はできないことは言うまでもありません。したがいまして、キビ作の機械化一貫の栽培体系を図るにはかなり莫大な資金が必要であります。
 そこで、これを導入する際に具体的に助成措置を設けようとするのであるか、しないのであるか。するとすれば具体的な施策を述べてもらいたい。
#174
○政府委員(高橋政行君) 先ほどから申し上げておりますが、作業機械といたしましては収穫期の機械の導入が急務であるということで、特に共同利用する形での整備をする場合に助成の措置を講じてきております。
 それで、収穫機械につきましては地域の実情に応じまして、大型、中型、小型のハーベスターの導入と普及を推進しておりまして、平成四年度には、これは沖縄、鹿児島両県で三十台、それから五年度には三十九台の導入を計画しているところでございます。
#175
○喜屋武眞榮君 本年の四月六日の衆議院における沖特委員会におきまして、北沖縄開発庁長官は沖縄県の農業問題の質問の答弁で次のように述べております。
 一、キビを初め花卉、野菜などを振興し、農業生産を今の二倍に引き上げたい、二、特に来年から品質取引に移るサトウキビは、将来品質改良や機械化を進めることで所得は上がる、三、サトウキビの年々減少する収穫量については、農家赤字は補償を続けなければならない、と答弁しておられます。
 この三つの答弁は沖縄開発庁長官としてのもの
でありますが、農林水産省の施策とも深くかかわっております。農水大臣はこの答弁をどのように受けとめて、そして具体的にどのように対応しようとしておられるのか、お聞きしたい。
#176
○国務大臣(田名部匡省君) 基幹作物であるサトウキビの生産性、品質の向上、これは当然図っていかなきゃなりませんし、気象条件の有利性を生かした野菜、花卉、そういうものも振興していかなきゃならぬわけであります。
 サトウキビの品質改良と機械化を図るため、先ほど作業体系の確立でありますとかいろいろ申し上げました。そういう対策を地域の実態に即して総合的に実施していくことによって農業経営の安定を図っていくと。北長官は倍にすると申されたようでありますが、いずれにしてもそういうことによって所得の向上というものを図っていくということであります。
 サトウキビの生産者価格のことについてもお触れになったようであります。所得の補償の継続を述べておったようでありますが、これにつきましては砂糖の価格安定等に関する法律に基づいて適正に決定することになっております。その際、他の農産物価格と同様に生産性の向上の動向、内外価格差の実態あるいは財政状況でありますとかそういうものを勘案して適正に価格決定に努めてまいりたい、こう思っております。
#177
○喜屋武眞榮君 次に、農地の流動化対策についてお尋ねします。
 新政策によりますと、十年後の中心的な稲作農家について、個別経営体を十五万戸、その経営規模を五から二十ヘクタールとし、これらの農家層が我が国の農業生産の五割以上の生産体制にするようですが、このような農業構造を実現させるために今後十年間に過去十年間の農地流動化実績の七十一万ヘクタールの二ないし三倍に当たる百四十から二百十万ヘクタールの農地を望ましい経営体に移す必要があると見込まれておるようでありますが、果たしてこれだけの農地の流動化が過去の実績から見て実現できるのかどうか疑問であります。
 さらに、新政策ではさきの規模拡大目標にどのようにして到達させるのか、その道筋も不明確であります。
 これらの点について農水省、明確に答えてほしい。
#178
○政府委員(入澤肇君) 新政策におきまして十年後の望ましい稲作経営を実現するために、百七十五万ヘクタール程度の農地が流動化するんじゃないか、その流動化する農地を担い手に集積させていくんだというふうな一応の試算をしたわけでございます。
 その一つは、過去十年間で七十一万ヘクタールの農地面積が流動化している。交換とか何かを含めますと、これは九十万ヘクタールに相当します。
 今後の動向ですが、今までの十年間よりもっと流動化する状況が整っているんじゃないかというふうに見ております。
 一つは、六十歳以上で後継ぎのいない高齢農家の保有する農地が四十二万ヘクタール以上ございます。それから、安定的な兼業農家の保有農地が百三万ヘクタールある。これだけでも百四十五万ヘクタールあるわけでございます。こういう農地は、そこで自習的に農業をやりたいというふうな人は別といたしまして、実際にやる人がいないとすれば、有効利用を図るというためには担い手となって農業経営をやる人たちに結びつけていかなくちゃいけないということでございます。そういう意味におきまして、これから十年間で大体二、三倍の百七十五万ヘクタール程度の農地をそういうやりたい農家、担い手としてその地域の農業生産を維持していく農家に結びつけていこうというふうに考えているわけでございます。
 今回、この法案におきましては、そのための具体的な手段として、農地保有合理化促進事業を強化することであるとかあるいは農地の利用調整活動を強化するなど、要するに農地を流動化することは非常に地道な活動が前提でございますけれども、そのための手段を従来以上に一層強化して提案しているわけでございます。
#179
○喜屋武眞榮君 もう少し時間が残っておるようでありますので、最後にもう一点お尋ねします。
 今回の法律改正では離農農地の売買を促進させるために農地保有合理化事業の強化策が提案されておりますが、こうした農地の受け手である認定農家をどのように選定するかが問題であると思います。衆議院での第十二条の法案修正によると、認定農家を認定する条件として「地域の関係者の理解と協力を得るように努める」ことを加えておりますが、文言が抽象的で理解が困難であります。私は、認定に当たっては農村社会という地域共同体の連帯を壊さずに、地域の合意を絶対条件に市町村長が認定することが必要ではないかと思われますが、この修正案についての政府の見解を明確にしていただきたいと思います。
#180
○政府委員(入澤肇君) 衆議院で追加修正されました第十二条第四項によりますと、経営改善計画の認定制度の運用に当たっては、地域の関係者の十分な理解と協力を得るよう努めるというふうにされております。
 具体的には、農業経営改善計画の認定基準となります市町村の基本構想の作成に当たりまして、まず地域の農業者の農業経営の実態調査をきちんとやるということが前提でございます。それから、市町村、農業委員会、農業協同組合、土地改良区、それから農用地利用改善団体等の関係機関、団体から構成されます、今沖縄県でも各市町村で組織されておりますけれども、市町村の構造政策推進会議、ここで十分に議論していただきまして地域合意を取りつけた上で市町村の基本構想というものをつくっていただきまして、この市町村の基本構想に基づきまして具体的に市町村が農業者の申し出によりまして農業経営改善計画を認定するということでございます。
 したがいまして、決してその地域社会の破壊につながるようなことがないように十分に合意を得た上で認定が行われるように指導してまいりたいと考えております。
#181
○喜屋武眞榮君 よくわかりました。
#182
○新間正次君 まず初めに、農地法の一部改正につきまして質問をさせていただきたいと思います。
 今回の法改正において農外資本の参入に新たなる道を開いていくお考えであると理解しておりますが、その趣旨とメリット・デメリットについてお聞かせいただきたい。
#183
○国務大臣(田名部匡省君) 新政策においてたびたび申し上げておりますように、経営感覚にすぐれた効率的・安定的な農業経営体を育成する、これが大変重要な課題とされておるわけでありますが、その一環として出資者の範囲が広がることによって財務基盤の強化を図りたい。それから、幅広い人材の活用による農業生産法人の活性化、そして特許の供与あるいは新技術の開発などによる農業生産法人の経営の安定発展への寄与、こうした観点から農業経営の法人化の推進を図る、こういうことにいたしておるわけであります。
 農外資本の参入によりまして農外資本による農業生産法人の支配を懸念するということがたびたび指摘されておりますけれども、構成員の範囲の拡大に当たって議決権に一定の限定を設けることとしておりまして、また農業生産法人に対する十分な監督体制が整備されていることからそのような懸念はない、そういう中で十分メリットが生かされるような体制にしていきたい、こう考えております。
#184
○新間正次君 大臣の明快な御答弁をいただいたんですけれども、それでも不安に思っている農業従事者の方はいらっしゃるんではないかなという懸念を持ちます。企業に乗っ取られてしまうんじゃないかなという方もいらっしゃるんじゃないかと思います。
 ということは、資本投下をすることによってその地域の農政に対する発言権を得るということは、今地道に農業をなさっていらっしゃる方々にとっては、これはある種の恐怖になるんじゃない
かなという懸念もあります。また、これからの日本の農業の発展のためには、そうかといってやはりそういう民間の活力も入れていかなくてはならないという問題点もあるわけでございますけれども、私自身が考えるのには、地域の実情に応じて長期展望のもとに企業と地元が提携をして構築していくといいますか新しく信頼関係をつくり出していく、そういうようなことを農業従事者の方も、それから新規参入なさる方もお互いが考えていかなくちゃいけないんじゃないかなというような感じがいたします。
 ちょっと例が飛躍し過ぎるかもしれませんけれども、例えばアメリカのケンタッキー州のレキシントン市でTMM、トヨタ・モーター・マニュファクチャリング・USAという会社、こちらで、うちの子供がついこの間帰ってきたばかりなんですけれども、地域の皆さん方に御理解をいただくために、その企業の人たちが地域に積極的に出てボランティア活動をやるとかいろんな面で御理解をいただくような努力をしておるというような話も聞いております。
 また、この間新聞でちょっと見たんですけれども、最近はかなり遠距離から通って、いわゆる農山村から東京圏へ仕事でお出かけいただいている方々との交流を図ろうということで、その村、町でソフトボール大会をやるとかというようなことをやってみえるという話も聞いておりますし、先日お邪魔させていただきました倉淵のクラインガルテンでございますが、あちらの場合は滞在型のいわゆる市民菜園をやっていらっしゃるというようなこと、これも一つの農業と我々一般市民がなじむという一つの方法ではないかなと思います。
 以上のような観点に立ちまして、新規にその地で活動なさる方々と円滑に交流し信頼ある協力関係をつくっていくためには何か方策があるか、考えていらっしゃるでしょうか。
#185
○政府委員(入澤肇君) 新規参入者が入りますと旧来の農村社会の中で一定の波風が起きるということも事実でございます。
 私もある県の要清で、入植はしたんだけれどもなかなか農協の組合員にしてもらえない、したがって近代化資金も貸してもらえないということを聞きまして、現地に赴きまして具体的に両者を集めて話を聞きました。そうしましたら、新しい農法をやろうというので、その地域の従来の感覚とは違うということでお互いに誤解があったようでございますが、私どもが中に入りまして手打ちがなされまして、組合員になって近代化資金も貸し付けられたというふうな事例がございます。
 そういうふうなことを、全国でどんなことをやっているかということが参考になると思うので若干申し上げますと、私どもの農政課が調べたところによりますと、今全国五十六市町村で何らかの形で農業の担い手不足に対処いたしまして地域外から積極的に若者を新規就農者として受け入れる体制をつくっております。
 一例を申し上げますと、北海道の黒松内町におきまして、平成三年度から条例によって新規就農者誘致のための特別措置を行うということを定めまして、新規就農者の募集活動のほか就農予定者の農業実習受け入れ農家に対して営農指導士とか就労賃金の支給を実施しております。
 農水省としましても、こういうような事例を十分調べまして、このような動きも踏まえまして、平成三年度から新規参入青年等農業を志す若者の就農を支援するために、農業体験であるとか技術研修あるいは就農初期の経営支援を内容とする若い農業者入植促進事業、こんなものを実施しながら新規就農者につきまして地域における受け入れ態勢の整備に努めております。
 いずれにしても、その地域に古くから住む人とあつれきがあってはいけませんので、相互に理解が深められるようにいろんな角度から援助していきたいと考えております。
#186
○新間正次君 続きまして、新政策では経営感覚にすぐれた効率的・安定的な経営体が生産の大宗を占める農業構造が実現されるようにいろいろな対策が書かれておるわけでございますけれども、先日私は地元の愛知県へ戻りまして、日本のデンマークと言われております愛知県の安城市でございますけれども、こちらで稲作、畜産を中心とした複合経営をし、大変意欲的に農業の効率化に取り組まれております林さんという方を初めとして十数名の方のグループにお会いしました。
 彼らは農繁期の大変忙しい中にもかかわらず、夜遅くまで仲間同士でいろいろと勉強会を開いてやっていらっしゃって、将来の農業のあり方などを真剣に論議してみえたわけでございますけれども、そのときの話の中に、これからも規模拡大を意欲的に進めていきたいと思っているのだが、規模が大きくなればなるほど相続のときに税制面での負担が大きくなるんじゃないかという、こういう御意見がありました。
 もちろん、農家の方の特別措置として農地には税法上の優遇措置が設けられていることは十分承知しておりますけれども、もしこういうガードがなかったら、それこそ農業というのはもう大崩れをしてしまいますので、それはわかるんですけれども、いざ規模拡大ということになりますと、アール、ヘクタールという単位で面積をふやすことになるわけでございます。したがって、単位当たりの税率は低くてもまとまるとこれはかなりの額になるわけなんです。
 規模拡大推進に伴うこのような弊害について何か御意見があったらお聞かせください。
#187
○政府委員(入澤肇君) 安城市はある意味では日本農業の先進地中の先進地でございまして、農地法の改正であるとかいろんなときにむしろ先駆けて事実を先行させているというところでございまして、私どもも非常に注目して見ているところでございます。
 今の相続税の問題でございますけれども、実際に計算してみるとかなり今の特別控除の恩恵というのは広く行き渡ってメリットがあるというふうに考えられます。例えば、法定相続人が配偶者と子供二人の三人とした場合に、基礎控除額は七千六百五十万円でありますから、農村部の農振農用地区域内の農地の相続税評価額の事例では十アール当たり四十万円程度で、農地を約二十ヘクタール所有していたとしても農地に対する相続税はかからないというふうな計算ができます。
 ただ、安城市のように都市近郊で農地価格の高い地域、こういうところで売買による農地の利用集積は困難でありますから、実質的には賃借権の設定とか農作業の受委託が主流となると考えられます。こういう地域では、所有農地の相続税の評価額が今申しました基礎控除の七千六百五十万円を超える場合でも、相続人が引き続き農業経営を営む場合には、農地についてのみ認められている相続税納税猶予制度の適用を受けることによりまして相続税の課税の軽減ないし回避をすることができるというふうに考えております。
 実績を申しますと、平成三年分の農地にかかる相続税の納税猶予額は約四千八百六十九億円、適用対象者が七千四十五人で、相続人一人当たりは六千九百十一万円ということになっておりまして、平成三年分の相続税の全納付額三兆九千六百五十一億円、相続人一人当たり二千五百六十万円に比べましてかなりの納税猶予額になっているということでございます。
 ですから、今の農地の相続税のいろんな特典を十分に利用する、それに農地の売買あるいは利用権の設定、受委託、そういうふうなものの組み合わせによりまして、相続税の問題は可能な限りかなりの部分解決されるんじゃないかというふうに見ております。
#188
○新間正次君 もう一つ税金のことでお尋ねしたいんですが、規模拡大、機械化の促進をすれば、当然ながらその機械を収納するといいますか格納する倉庫が必要になるとか、また収益を上げるために設備投資をして最先端の技術を導入する。例えば、水耕栽培で下をコンクリート張りにして効率のよい作業環境を整える。すると、それらの場所が今まで農地としての税制優遇措置を受けられていたのに、農業を営むための場所でありながら宅地並みの評価を受けてしまうことになるとい
う。
 特に、今局長もおっしゃいましたように、安城市の場合というのは都市近郊型の農家でございます。そういう地域で宅地としての評価がべらぼうに高いところでは大変問題が出てくるんじゃないかなと思います。もちろん、農地を農業以外の用途に転用したということならば、その用途に応じた税金を納めることはやぶさかではない。農家の方もそれなら納得がいくと言っておみえになりました。
 例えば、農地を農業用の施設に転用した場合に限ってある一定の枠を設けて固定資産税を優遇するとか、あるいは今まで作物が直接植えられることが条件であった農地の解釈を農業用施設の一部にまで拡大していくなどの方法もあると考えられるわけでございますけれども、いずれにしましてもこの新政策が目指す、意欲的に農業に取り組まれる方への農地の集約を積極的に推進するという意味で、規模拡大に伴う不利益が農業従事者にいってしまうということは避けなければならない。
 これらのことに関して御意見がありましたらお聞かせください。
#189
○政府委員(入澤肇君) 固定資産税と相続税をかける場合の地目の認定というのは現況によります。農地の現況主義と同じでございます。固定資産税は、課税に当たりましては、固定資産の適正な時価を固定資産税評価額として、その評価額に対し一・四%の税率を掛けていくということは御承知のとおりでございます。
 ただいま御指摘の、固定資産税を評価する場合に農業用施設用地についてどう取り扱うかということでございますが、その施設の敷地が現に耕作の用に供されている場合には農業用施設であっても農地というふうに認定しまして、そして耕作の用に供されていない場合は宅地または雑種地として認定されましてそれぞれの税金がかかるということになっております。例えば、ガラスハウスであっても敷地が耕作されている場合には農地として認定されて農地課税が課せられるということになっております。
 したがいまして、宅地とか雑種地として認定されるような農業用施設用地は、耕作の用に供されない状態になっている土地でありまして、農地法上の規制が及ばない土地であるということから他用途に転用しやすく、言いかえれば宅地または雑種地として同様の資産価値を有するものであるということで、農地に比べて高くなるのはやむを得ないんじゃないかというふうに考えております。
#190
○新間正次君 そうしますと、倉庫とかそういう形のものは宅地並みということでしょうか。
#191
○政府委員(入澤肇君) そのとおりでございます。
#192
○新間正次君 次に、造林対策でございますけれども、森林も他の農作物同様に丁寧に人の手を加えていかなければならない。中山間地域の振興を図り、このような地域に活気が戻るということは、森林資源の保全という観点からも大変重要であると考えております。
 ところで、愛知県の日進町が長野営林局と契約を結びまして源流域の山に植林をしておりますけれども、これは林野庁が推進していらっしゃる国有林の分収造林制度に町単位で参加した事例だと思います。下流域に住んでいらっしゃる方々が自分たちの手で良質な水資源を守っていこうという取り組みは、これは大変すばらしいことだと思いますけれども、将来この活動による恩恵を受けるのは日進町だけではないわけでございまして、このような一つ一つの地道な取り組みの積み重ねがひいては日本全体の環境保護にもつながるのではないか、そう思っております。
 そこで、三点ほどお伺いするわけでございますけれども、まず一点目は、今回の日進町以外にも、下流域と上流域の行政が協力関係を持ちながら造林などに取り組む事例があれば具体的に教えていただきたい。二点目に、この事例は国有林においての活動でありますけれども、民有林においても同様な取り組みがあれば教えていただきたい。そして三点目が、農林水産省としては今後このような活動をどのように推進していくおつもりか。
 以上、三点をお伺いしたいと思います。
#193
○政府委員(馬場久萬男君) お話しのとおり、愛知県の日進町が長野営林局との間で分収造林契約を結びまして、これから六年間にわたりまして毎年五ヘクタールずつ植林を行っていく、これを「平成日進の森」という名前をつけて造成するという契約を結んでおります。
 こういう河川の上流の国有林と下流の自治体が水の恩恵を受けるということで造林をするという契約は実はこれが初めてでございますが、既に植わっている国有林についての分収育林契約という形で上流の水資源の確保をするということで下流の地方自治体と国有林が契約しているのは六件ほどございまして、これは青森営林局及び秋田営林局管内でございますが、それぞれ県内の地域で上流域、下流域の契約を結んでいるところがございます。
 それから、民間ではどうかというお話でございますが、民間におきましても分収造林あるいは分収育林という制度は進められておりまして、民間の分収育林の方でございますが、昭和五十一年から現在までに百七十二件、契約面積が三千九百五十八ヘクタールというような形で分収育林の契約を結んでおります。ただ、これは必ずしも上流と下流の水の関係ということだけでございませんで、財産的な意味での分収育林契約を結ぶ、つまり手入れをしてもらって、伐期に来た材を売った場合の収益を分けるというような意味のものもございます。
 それから、国有林におきましてももちろんそういう形での分収育林というのがございますし、また分収造林につきましても従来の旧慣行部分林でありますとか学校分収造林でありますとか、そういう植えたものの収益を将来分けるということで行っているものは現在は総数で大体二万一千件ほどあるわけでございます。
 今御指摘のような、水とのかかわりで特に上流域、下流域が結ぶというものは、先ほど申し上げたように、現在の時点では造林は日進町の場合が初めてでございますし、国有林は六件ほどある、こういうことでございます。
 私どもの姿勢としましては、こういう方向はまことに望ましいことであると思っておりますし、また森林の手入れをするということがなかなか人手不足であったり経費が不足であってできないという事態に立ち至っておりまして、一昨年の森林法改正の中でも森林整備の協定を結ぶ、それが必ずしも十分行われないときは知事の裁定によって代執行するというような制度もつくったわけでございまして、今後とも極力森林の整備のための施策は進めてまいりたい、このように思っております。
#194
○新間正次君 わかりました。
 続きまして、機械の開発の問題でございますけれども、今回の法改正で農業の現場において必要とされる新しい農業機械の開発、実用化を促進していこう、こう言われているわけでございますけれども、その内容についてさらに詳しくお伺いしたいと思います。
 一つは、開発対象機械についてでありますが、愛知県は早くから野菜、畜産等の先進的な産地を形成しております。例えば、野菜ではキャベツの作付面積が四千五百ヘクタール、全国一位でございます。それから、ニンジン、白菜、タマネギなどにおいても全国で十位以内の作付面積を擁しておる。また、畜産では採卵鶏の飼養羽数が全国一位でございます。乳用牛あるいは豚の飼養頭数も全国十位以内。さらに、果樹では温暖な気候を生かしてミカン、カキなどの栽培にも取り組んでいる。愛知県というと何となく自動車産業を中心とした工業県と思われているようでございますけれども、農業県でも全国平均から見れば五位のあたりにランクされていると聞いております。
 さて、この愛知県でも担い手の減少あるいは作付面積の減少等が見られるようになっておりま
す。農作業の大変さを見るにつけ、農作業を効率化するとともに少しでも快適なものにするためには一層の機械化が不可欠と考えておりますが、今後具体的にはどうのような機械を開発の対象にしていらっしゃるか、お願いいたします。
#195
○政府委員(高橋政行君) 今回の対策によりまして開発すべき高性能農業機械として考えておりますのは、まず一つは農業経営の規模拡大を進め、あるいは経営の複合化というものを推し進めていくのに必要となりますより汎用性の高いコンバインであるとかあるいは耕うんロボット、それから水田用の管理ビークル、そういったようなものがまず一つでございます。
 それから二番目が、ただいま先生からもお話がございましたように、後継者不足あるいは高齢化等の状況の中にありまして野菜とか果樹作等におきまして省力化あるいは労働強度の改善というようなことのために、キャベツの収穫機であるとかあるいは野菜用の全自動移植機、それから果樹の無人防除機、そういったようなものでございます。
 それから三つ目が、作業環境の改善とか環境保全型農業の確立のために畜舎排水浄化処理施設とかあるいは農産廃棄物コンポスト化装置といったようなものを考えおります。
#196
○新間正次君 もう一つ、実用化促進会社ということでありますけれども、本改正案ではこの実用化促進事業の創設が大きな柱となっております。野菜、果樹用機械については水稲用機械に比べて市場が小さい。それがこれからの機械の製品化に対する機械メーカーの取り組み意欲を相対的に低下させていることは事実であろうと思いますが、このために本改正案では開発段階と実用段階の間に実用化促進事業を創設して、生研機構と民間との共同出資による当該事業を担わせようとしております。
 このような仕組みの趣旨は十分理解できるんですが、そこでこの実用化促進会社がどのような会社であるのか、その概要をお伺いしたい。また、具体的にどのような事業を実施することにより実用化を促進しようとしているのか、あわせてお伺いさせていただきたいと思います。
#197
○政府委員(高橋政行君) 実用化促進会社でございますが、これは生研機構と、それから民間などからの出資によって設立しようとする会社でございます。
 現在、法案の審議をいただいておりますので、設立に向けまして関係者の間でいろいろな話をし始めているところでございます。そういった中で我々はこんなようなことを考えておるのでありますが、まず設立予定しております実用化促進会社は、幾つかつくるわけではなくて、今のところ一社、一つつくろうというふうに考えております。
 設立当初の出資でございますが、これは国の予算上生研機構から三億円を出資することを予定して、三億円を現在用意しております。それで民間からはこれと同額の三億円を出資していただいて、計六億円程度を考えております。
 それから、役員とか従業員をどうするかでございますが、これもまだはっきり決めておりません。本事業の業務を的確に遂行していく上で必要最小限のものにしたいと思っております。
 それから、事業内容でございますが、これは言うまでもなく生研機構において開発された農業機械の実用化の促進を行うということでございまして、具体的にどんなことをやるかでございますが、先ほども別途御質問がございましたが、野菜でございますと非常にいろんな栽培様式をとっております。そうすると、機械化といいましてもなかなか難しいわけでございますので、まず全国広範囲に適用可能な標準的機械化栽培様式というものをそこでつくろう、もちろん、関係者の皆さん方に御相談していただいてつくっていただこうということが一つです。
 それから、主要部の設計調整と金型によって生産する部品の共通化と汎用化を図ろう。
 それから、そこでできました金型等の基本的製造機材を貸し付けましょう。それをメーカーに貸し付けまして、メーカーがその金型を使って部品をつくっていくということですね。
 それから、機械化栽培マニュアル、先ほどの標準的機械化栽培様式をつくるわけですが、それに従った栽培マニュアルというものを作成しまして、それを農家に提供し、いろいろそれに従って栽培指導をしていくというようなことを考えております。
 特に、民間からの出資につきましては、我々も趣旨に賛成する人がどの程度いるか若干心配したところでございますが、出資の中心としては、大手、中小、そういった農業機械メーカーの方あるいは農業団体等が期待できるんじゃないかというふうに思っております。
#198
○新間正次君 その機械化ということについて伴ってくるのが、先ほど委員からもお尋ねがありましたけれども、事故といいますか農作業中の事故につながってくるという。これは機械が進歩すればするほど、使う側もそれだけの知識を持っていないと事故につながってくるのではないか。現状におきましても、農作業中の死亡事故件数というのが毎年三百五十名から四百名近くあるというふうに聞いておりますし、これもまた数的には減ってきていないという。
 今回、さらに新しい機械の開発導入を促進しようとしているわけでございますけれども、農作業の安全確保対策についてはどのように進めていくおつもりか、お伺いいたします。
#199
○政府委員(高橋政行君) 農作業中の死亡事故でございますが、これは中身を見ますと、農業機械を動かしているときに起こる事故、それから農業施設、いろいろな施設がございますが、そういう施設の中で起こるもの、その他圃場見回り中に起こる事故というようなものの三つぐらいに分かれるわけでございますが、やはり農業機械作業に係る死亡事故というのが全体の事故の約七割ぐらいを占めておりまして非常に大きい。したがいまして、この農業機械作業事故を防止するというのが我々としても一番大切なこと、重要なことだと思っております。
 そのために現在やっておりますのは、農業機械の安全性の確保のために農機具型式検査、あるいは安全関係におきまして農業機械の安全防護装置を、作業者等にその危険を及ぼすおそれがないようにひとつそれを装備していただく、それがちゃんとなされているかどうかということを検査あるいは鑑定の際に確認するようにしております。
 それから、死亡事故の原因の多くが乗用型トラクターの転落とか転倒によるというものが多いという状況でございますので、平成三年度からは安全キャブとかフレームを装着したそういう機械、トラクターでなければ型式検査の合格あるいは安全鑑定の適合機としないというようなことにしております。
 それからあとは、農業機械の安全操作の徹底につきましては、安全意識の啓発活動であるとかあるいは利用技術の向上を図るための研修であるとか、そういうような運動もしております。
 さらにまた、今回の法改正におきまして、都道府県知事が定めます導入計画、そこのところに農作業の安全性の確保に関する事項を都道府県知事が定めなさいということを新たに設けておりますが、ここでは農作業安全基準の遵守であるとかあるいは機械の安全点検の実施といったような項目について定めることにし、都道府県において指導を強化してもらうというようなことにしたいと思っております。
#200
○新間正次君 時間ももうありませんので、くどいようでございますけれども、最後大臣にお伺いいたします。
 機械化貧乏と、まさにどの委員も指摘をなさったことでございますけれども、この機械化貧乏ということに対して抜本的な何か解決策はあるでしょうか。
#201
○国務大臣(田名部匡省君) 農業機械につきましては、性能に応じた効率的利用というのが行われ、それによって農業経営というものはよくなる、ここが大事なところなんですね。
 どうも、私の一族を農家ばかりですから見ておりますと、もう隣の機械買ったのを見てあれに負けないものを買おうとか、やっぱり経営の内容に合致したことをしませんと、結局機械化貧乏といいますか機械の下になるということは非常に多いんです。機械の方も大量にできる場合には安くなりますけれども、大量に出回らないと機械屋さんもいいものをつくろうとしない、不便な機械を使うと、こういうことがあります。
 この前もテレビを見ておりましたら、規模を拡大してだんだん大きくなった農家が水道からずっとホースを八十メートル引っ張って水をかける。とめるのに八十メートル走っていくんですね。だんだん考えて、子供の何か機械を使ってそこでとめられるように考えた。苗を運んでいくのに、これも大変な作業で、ごらんになった方もおると思うんですが、レールを引っ張ってずっと行くように自分で考える。そういう人はまれですが、一軒一軒に合わせた農業機械というのはつくれるわけはないわけですから、そういうことを今生研機構の方でいろいろと考えながら対応していこう、こういうことなんです。
 それで基本的には、いつも申し上げますが、企業的な感覚で一体これを買ったらどう経営がなっていくかということは大事なことなんですが、今はそんなことを言っても一挙にできるわけではないんです。ただ、農林公庫で資金を借りるときには経営診断といいますか、そういうのをやってくれているんですね。それを見ると、ああ自分はこういうものをやっちゃいかぬ、こうしなきゃいかぬというのまできちっと示してくれるからわかるんですが、それにかわるものとして、国、都道府県は、それぞれ効果的な導入によって、必要な条件を定める基本方針、導入計画、こういうものを作成して、農業者がその経営状況及び利用規模に応じて適切に導入するように農業改良普及所を通じて指導しようと、当面。
 若い人たちが経営者になるころは相当変わってきますから、その間はそういうことをいたしますが、農業機械の利用につきましては、そういうことによってどうしても採算がとれないということがわかってくれば、共同利用するとかあるいは新たに農業機械のリース、レンタル、そういう方がいいわけですから、そういう指導をやっぱりしっかりとして経営を安定してもらうということに力を入れていきたい、こう考えております。
#202
○新間正次君 田名部大臣にしてからが明快などうもお答えがいただけなかったという感じがいたしますけれども、いずれにしても機械を扱うのは人間でございます。人間が機械に扱われるような状態であってはならないし、またその機械が農家の皆様方の上に所得の負担増になってはいけないんじゃないかなという感想を持ちまして、私の質問を終わらせていただきます。
#203
○三上隆雄君 実は、明日の質問の予定でありましたけれども、委員会の運営に協力するという意味で、最終バッターできょうこれからやることにいたします。また、通告した問題以外に二つだけ質問したい、こう思っています。なお、あしたの午後の段階でもう一度質問がありますから、質問の流れによって順序も若干変えたい、こう思っていますので、よろしく御理解と御協力をいただきたいと思います。
 それでは、まずひとつ簡単に、簡潔にお答えをいただきたいと思いますけれども、特定農山村活性化の基盤整備法の関係でございますが、一条と四条に「農林業その他の事業」を行うことができる、そしてそれが市町村長が計画されて知事の承認ということになりますかな、そういう条項がございますけれども、ゴルフ場やリゾートホテル等々の事業がこの「その他の事業」に該当するのかどうか、それを確認したいと思います。
#204
○政府委員(入澤肇君) 先日も御答弁申し上げたんですけれども、今度の中山間地域法の計画そのものは中山間地域の地勢条件の状態が非常に不利であるということに着目して計画をつくり、その計画を前提として所有権移転等につきましてひと。つの工夫をなしたわけでございます。
 そういうふうなところでございますから、先日も申し上げましたけれども、大規模な開発、そういうふうなことをこの事業計画の中に含めるということは念頭に置いておりません。
#205
○三上隆雄君 大規模な開発は念頭にないということですが、ゴルフ場は大規模に入りますか、またリゾートホテル等はどちらに入りますか。
#206
○政府委員(入澤肇君) ゴルフ場であるとかリゾートホテルとかなんかをこの中山間地域の立法でやるということは最初から考えていないんです。一定の規模を持った商業施設あるいは農村工業導入法等に基づいて導入される工業施設、そういうものは対象になることはあるかもしれません。
#207
○三上隆雄君 それでは、運輸省おいでですか。−運輸省の方に、今回は農業機械化促進法の関係で、これに関連して質問させていただきますけれども、実は私が平成三年の七月の当委員会で、農業機械それから農業トラックの検査制度の見直しはどうかという質問をしたわけでありますけれども、その件については即答はできないけれども検討してみるという、そういうお答えがありました。議事録を持っておりますけれども、その見直しの経過がどうなっているのか、まずお尋ねをしたいと思います。
#208
○説明員(樋口忠夫君) お答え申し上げます。
 御指摘の自動車の検査と点検整備のあり方につきましては、昨年六月の臨時行政改革推進審議会の答申におきまして、国民負担の軽減の見地からその見直しを図るよう指摘されております。運輸技術審議会におきましては、この行革審答申、さらには最近の自動車技術の進歩や使用形態の変化等を踏まえまして、技術的、専門的見地から今後の自動車の検査及び点検整備のあり方について現在審議をいただいているところでございます。
 なお、同審議会におきましては自動車部会のもとに小委員会を設置いたしまして、この場で関係団体からの意見聴取、国内外における検査、整備の現地調査等の結果を参考にしつつ、実態を踏まえた審議が行われているところでございます。今後、さらに御審議をいただきまして、今月中にも答申をいただくという予定になってございます。
#209
○三上隆雄君 ただいま今月中にでもその答申が見られるという経過が報告されました。
 実は、私どもというより、日本の農業が国際的に競争でき得るような農業の体制をつくるということの大きな条件として、やはり生産のコストを下げなきゃならぬ。生産のコストそれ自体が諸外国と比較してどういう状況にあるかというと、私は諸外国に比べてすべての面で高価な条件のもとに経営競争せざるを得ない条件下にあると思うわけであります。
 特に、農業用トラックという車種はないにしても、農家の場合のトラックの走行距離というのは、年間大体三千キロから多くて五千キロであります。もちろん商売する人は何万キロという人がありますけれども、大方のトラックの走行距離というのはそういう状況なんです。
 しかしながら、今お答えのように、最近の機械の性能のアップによって十万キロも可能だという人さえあるわけでありますから、どうぞひとつその辺の特例緩和をしていただきたい、こう思うわけであります。
 精査してみますと、中間の点検と車検をとるときの定期点検、検査がございますけれども、もう答申の段階に来ているようでありますから、何か緩和の方法が見出せないのか、その辺も含めてお答えをいただきたい、こう思います。
 なおまた、農業用トラクターについては、これまた走行距離が極めて短いわけであります。しかしながら、トラクターの場合は走行距離がメーターに出ないという、そういうこともあります。
 もう一回普通自動車、トラック、乗用車に返りますけれども、前に質問したときは、メーターをその検査の基準にするということは至難だ、その至難の理由は、メーターを逆戻りさせる調整ができるということでしたけれども、今の自動車はそんなことはできないという情報も大分前から入っ
ておりますが、その辺の事情も踏まえてお答えをいただきたいと思います。
#210
○説明員(樋口忠夫君) ただいま御指摘の検査と点検整備の期間につきましては、例えば自動車には、バッテリーのように走らないことによりまして劣化するものでありますとか、ゴム部品のように時間の経過とともに劣化するものがある。それからまた、先生から今お話しございましてように、ユーザーによる走行距離の管理が一般的に難しい、適切な検査及び点検整備の実施が確保しにくいというようなことから、そういった理由によりまして現行の期間を設定してきている経緯がございます。
 なお、今後の自動車の検査及び点検整備のあり方につきましては運輸技術審議会におきまして、当委員会の場でもたびたび御指摘を受けておるという点も踏まえまして御審議をいただいているところでございます。
 なお、もう一つでございますが、最近走行距離計を巻き戻しができないようになっているという御指摘でございますが、基本的には昨年からことしにかけまして新たにつくられる車からそういう装置になりつつございます。
#211
○三上隆雄君 そうなれば、走行距離による検査の基準が一定の基準になるんじゃないか、こう思うんです。少なくとも一万キロあるいは一年のものを二年間にするという改善の方法も必要じゃないか、こう思うのであります。
 特に、行革の方から御指摘があって今審議に付されているということであれば、単なるユーザーの関係でなく行政の簡素化、簡略化に向けてもこれは当然必要なことでありますから、どうぞひとつその辺も踏まえて。先ほど説明の段階では何か中間の検査については一定の見通しがついているというお話もありましたから、どうぞひとつこの場で。そこまで言えないんですか。
#212
○説明員(樋口忠夫君) 今月中にも答申をいただくということでございまして、大詰めを迎えているところでございますが、審議会に御審議をゆだねているという状況でございますので、もうしばらくお待ちいただきたいと思います。
#213
○三上隆雄君 例えば、その中間の整備費がおよそ五、六万円かかるということですが、それは何か緩和できるような、そういう見通しがあるということですが、それはいかがでしょうか。
#214
○説明員(樋口忠夫君) ただいまの御質問は定期点検の貫目の簡素化というお話かと思いますが、そういった点につきましても行革審で指摘を受けているという事項でございます。そういったことで、現在その点も含めまして御審議をいただいているところでございます。
#215
○三上隆雄君 よろしく御配慮をお願いすると同時に、改良車でメーターが調整できない車種については走行キロを重視した検定期間にしていただきたい、そのことを強く要望申し上げます。
 どうぞ大臣、農水省としても農業政策の合理化という面からいってひとつ運輸省に強力に働きかけていただきたい。そのことをお願い申し上げると同時に、農水省としての考え方をひとつこの場で、運輸省の人がいる場でお答えと決意をいただきたい、こう思うんですが。
#216
○国務大臣(田名部匡省君) 先般も越智運輸大臣にお願いをいたしました。物によってはなかなか難しいのもあると思うんですね。今、トラックということになると、農業にばかり使うかあるいは道路だけを走る、あるいは別なものは道路も走るけれども大方は田んぼや畑におるわけですから、そういうことで同一の基準というのは若干検討していただけないかということをお願いいたしております。
 おっしゃるとおり農業というものは、先ほども委員の方からお話がありましたように、そう長い時間使わないものもあるわけですね。そういうものへの配慮というのは私は当然あっていいというふうに感じております、事故等は別でありますけれども。そういう意味では十分検討していただくようにお願いはいたしております。
#217
○三上隆雄君 どうぞひとつ、同じ日本国の政府間でありますから濃密な連携をとっていい方向へ改善をしていただきたい、こう思っております。
 それでは、本題の質問に入らせていただきます。
 実は、これからの質問もこの間の積み残しの質問と明日の質問に連係するから、進み得るところまで進めたいと思っていますから、よろしくお願い申し上げたいと思います。
 若干概況を申し上げながら質問したいと思いますけれども、日本の農業は基本法農政のもとで米を中心に果樹、畜産、野菜等国内の生産条件と国民のニーズに従って一定の需給量とバランスを保ちながら推移してきた、こう思うわけであります。まあ評価していいのかどうかわかりませんが、とにかく推移してきました。
 しかし、産業の近代化と輸入依存の経済政策によって、食料の自給率は先進諸国はもちろん人口一億以上の国では最低であり、これを裏から見るならば世界最大の食料の輸入国であります。したがって、そのことは自由貿易の貢献度も世界最大と言っていいのではないかと思います。それによって、日本の農業は存亡の危機に来ている状況にあります。
 農村の現場はもちろん、今回の委員会の調査あるいは昨日の参考人の意見を聞いても、また当委員会のそれぞれの与野党の意見を聞いても、抜本的な改革、従来とは違う強力なてこ入れをしないとどうにもならないところまで来ているというのが大体の一致した意見、認識ではなかろうか、こう思います。その意味で、今回の新農政の構想には期待しますけれども、政府の今の考えではその実現に疑問を感ぜざるを得ないわけであります。
 そこで、これから具体的な質問に入るわけでありますけれども、先般の質問でそれぞれの品目の自給率をただしました。そうしたら、米についてはあくまでも国内産で自給するということを明言されました。野菜は九二%を長期の見通しとして打ち出しております。肉は七八%、卵は九九%、乳製品は七八%という長期見通し。そこで、果樹の見通しについてただしたところ、現在六〇%のものを長期計画では六五%にするということであります。
 今回の法案でもいろいろ議論になっておりますし、法案そのもののねらいも中山間地の農業をどうするかというのが極めて大きな議論になっております。しかし、日本の農地の総割合からいったところの農地の面積は約四〇%、生産量もほぼ四〇%という状況になっております。そこにその地帯のこれから伸びる可能性、現在あるのを含めて果樹が極めて中山間地に多いわけであります。そこで、その果樹の問題についてこれから質問を進めていきたいと思います。
 現在六〇%のものを六五%にするということでございますけれども、今回のニュージーランドのリンゴの輸入によってこれがどういう影響を来すのか、まずそこをただしておきたいと思います。
#218
○政府委員(高橋政行君) このたびニュージーランド産のリンゴを解禁したわけでございますが、ニュージーランドの方ではどんなことを考えておるかということを申し上げますと、今まで我々がニュージーランドから得た情報によりますと、これはニュージーランド・リンゴ・ナシ・マーケティング公社というのが輸出を一元的に扱っておるわけでございますが、その輸出の計画によりますと、初年目である本年は十トン、それから一九九四年には一千トン、それからその後毎年五百トンずつ増加いたしまして、五年後には三千トンというような計画を持っております。
 実は、本年度産のリンゴがそもそも輸出されてくるのかどうかという問題があったわけでございますが、我々も一体全体どうなるのかなというふうに思っておりましたが、実は昨日ニュージーランド側から連絡がございまして、本年度産のリンゴにつきましては収穫期も終わったので輸出はしないという通報があったところでございます。
 したがいまして、ただいま申し上げました輸出計画が一体どういうようなものになってくるのか。というのは、ずれ込んでくるのか変更されて
しまうのかというのはわかりませんが、そういったまず向こうの輸出計画の、これは五年後までのことを一応言っているんですが、そういう計画であるとか、あるいはニュージーランド産のリンゴが国内の消費者にどういうふうに評価されるのかということが次に問題になるわけですね。
 恐らく、五年後までは三千トンぐらいというんですから、どちらかといえばほんの市場調査的な感じで入れてくるということになると思いますが、その後国内の消費者がどんなふうな評価を与えるかということによってどのくらいになってくるかということが決まると思います。現在のところではそれほど何か大きな影響が生じてくるというふうには見ておりません。
#219
○三上隆雄君 ただいまの今年度分については収穫も終わったから恐らく入らないのではないかという政府筋からはっきりお答えをいただいたのはきょう初めてじゃないか、こう思うんです。今までこのことは外に発表されておりますか。
#220
○政府委員(高橋政行君) 昨日ニュージーランド側から通報があったところでございますので、ただいまこれが初めてでございます。
#221
○三上隆雄君 そこで、今まで何度もお願いしたけれども、ことしがはいれない状況になったのなら、もう少し日本の消費者と生産者にはっきりした体制を示して理解のもとに入れるということができなかったかということはあの当時からもお願いしてきたし、今もその気持ちでいっぱいなわけであります。
 しかし、ここまで来たわけでありますから、これからでも新しい情勢変化によってとめるということはありますか、そのことをまず確認してから入りたいと思います。
#222
○政府委員(高橋政行君) まあ、とめるというのはどういう意味かということになりますが、現在の貿易体制の中では植物防疫法上の問題で何かあればとめるということはあり得ると思いますが、正常な状態であればそのようなことは考えられないと思っております。
#223
○三上隆雄君 重大な変化があればそれは考えるということですから。
 それでは次に、結局は産地対策ということになるわけでありますけれども、先日は光センサーの選果を何とかできないかという質問をいたしました。一定の合理化された生産のもとに選果、集荷の段階のことですから、やはり生産の段階で生産競争に勝ち得る条件をつくらなきゃならない。果樹園にもスウェーデンのようないわゆる基盤整備というものをしないと、私は日本の果樹がリンゴに限らず国際競争に勝ち得ないと思うのであります。ミカンはあのぐらいの勢いでいっとき生産が拡大いたしました。いっときは三百五、六十万トンまでミカンの生産量があったのが、今は百七、八十万トンという状況であります。
 そうだとすれば、今これが無条件で解禁されれば、しかもアメリカ、カナダ、オーストラリアも控えている、それは後ほどまた議論しますけれども、その輸入が来る前に体制を組むのが本当だと思うんです。先ほど大先輩の大塚先生からも御助言をいただいておりましたけれども、ミカンの二の舞を日本の果樹産業全部に私は及ぼしてはならぬ、こう思うわけでありますから、その産地体制、いわゆる生産の基盤整備にどのくらいの覚悟で対処されるのかお答えをいただきたい、こう思います。
#224
○政府委員(高橋政行君) 我々は平成二年三月に「果樹農業振興基本方針」というのを定めておるわけでございますが、その中でも経営規模の拡大あるいは高能率な団地への転換ということをうたっておるわけでございまして、ただいま先生がおっしゃいますように、高能率な機械の導入が可能であるような園地の条件整備であるとかあるいは団地化による高能率園地への転換というようなことは重要な柱であるというふうに思っております。
#225
○三上隆雄君 いや、私はリンゴだけのことを申し上げる気持ちは毛頭ございません。今までの経過を見れば、かんきつ類の三百六十三万トンが今二百万トンぎりぎりであります。ブドウは三十三万八千トンが二十七万トン、約八〇%に減少しております。日本ナシもしかりであります。
 日本の主要な果樹がこれほど減退するということは、これからまた日本の農業の自給率を高めて、魅力ある農業を、経営体を基本とした拡大をして若者が喜んで就農できるような、そういう農業の姿を想像するときに、今のこの流れでは私は到底できないと思うんです。しかもまだ、今の延長線ではいろんな条件からどんどんどんどん担い手のことを含めて日本の農業が減退するという条件が整い過ぎているわけであります。ですから、抜本的ということよりも、今の現状に相当なてこ入れをしないと若者が喜んで就農するような状況はできないと思うんです。その意味で私はただすわけであります。
 そこで、アメリカから執拗に輸入を迫られておりますけれども、新聞の報道では量的なもの、年次的なもの、そのことまで報道されております。しかも、農水省がアメリカに検査官を派遣しているという報道もあるわけでありますから、その辺の事実についてお尋ねをしたいと思います。
#226
○政府委員(高橋政行君) この間アメリカのリンゴに関して新聞報道がございました。ちょっと今はっきりしたことは忘れましたが、いずれにせよその中に数量まで示しての報道があったことは事実です。それについては、これは大臣も新聞記者会見のときに現におっしゃっておりますが、我々は全く聞いたこともない、どこから出た話なのかということでびっくりしておるようなわけでございまして、少なくともまだアメリカとの間で消毒・殺菌技術、いわゆる植防上の検疫措置というものが確立されていない段階でございますので、そういうことはまず一切ないというふうに考えていただいていいと思います。
 それはそれといたしまして、ただアメリカの方から……
#227
○三上隆雄君 時間もありませんから簡単にお願いします。検査官は派遣されていますか。
#228
○政府委員(高橋政行君) 今、検査官が派遣されているかということでございますが、現時点ではそういうことはございません。
#229
○委員長(吉川芳男君) 本日の質疑はこの程度にとどめます。
    ―――――――――――――
#230
○委員長(吉川芳男君) 次に、農林物資の規格化及び品質表示の適正化に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
 まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。田名部農林水産大臣。
#231
○国務大臣(田名部匡省君) 農林物資の規格化及び品質表示の適正化に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び主要な内容を御説明申し上げます。
 日本農林規格制度及び品質表示基準制度につきましては、従来主として加工食品等を対象に適正かつ合理的な規格を制定し、その普及に努めるとともに、その品質表示の適正化を図ることにより、農林物資の品質の改善、一般消費者の保護等に重要な役割を果たしてまいりました。
 しかしながら、近年、食生活において健康・安全志向、本物志向等の消費者ニーズの変化が見られる中で、従来、日本農林規格の対象になじみにくかった生鮮食料品など日もちのしない食品分野について、有機農産物、地鶏等特別な生産方法であることを表示した食品が多く出回るようになっておりますが、その内容にはさまざまなものが見られます。
 一方、この分野においても原材料等食品についての基本的な情報の提供を求める声が高まってきております。
 このため、政府といたしましては、この分野での規格・表示の適正化を図り、消費者の適切な食品選択等に資する観点から、日本農林規格制度及び品質表示基準制度について所要の改正を行うこととし、この法律案を提出した次第であります。
 次に、この法律案の主要な内容につきまして御説明申し上げます。
 第一に、日本農林規格制度の改善であります。
 生産の方法に特色があり、これにより価値が高まると認められる農林物資につきまして、生産の方法についての基準を内容とする日本農林規格を制定できるようにすることとしております。また、この日本農林規格による格付のための検査等が生産実態に即し円滑に行われるようにするための措置として、農林物資の生産行程を管理する者を活用する制度等を整備することとしております。
 第二に、品質表示基準制度の改善であります。
 製造業者等に品質に関する適正な表示を行わせることができる農林物資の対象範囲を拡大し、日もちのしない食品等その特性から見て日本農林規格の制定が困難な食品についても品質表示基準を定めることができるようにすることとしております。
 なお、衆議院において、政府提案に係るこの法律案について、農林物資規格調査会の専門委員の選任についてその要件を明確化するとともに、日本農林規格は当該規格に係る農林物資の品質、生産、取引、使用または消費の現況及び将来の見通しを考慮して定める旨の修正がなされております。
 以上、この法律案につきましてその趣旨を御説明申し上げた次第であります。
 何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願い申し上げます。
#232
○委員長(吉川芳男君) この際、本案の衆議院における修正部分について、衆議院農林水産委員長代理、理事柳沢伯夫君から説明を聴取いたします。柳沢君。
#233
○衆議院議員(柳沢伯夫君) 農林物資の規格化及び品質表示の適正化に関する法律の一部を改正する法律案に対する衆議院の修正について、その趣旨を御説明申し上げます。
 修正の第一点は、生産の方法に特色があり、これにより価値が高まると認められる農林物資の規格の新設に対応し、農林物資規格調査会の専門委員の選任に当たっては、現場の農業生産者、流通業者、消費者などの意向が反映されるよう、その構成をさらに明確化したことであります。
 修正の第二点は、日本農林規格の制定に関する規定に「当該規格に係る農林物資の品質、生産、取引、使用又は消費の現況及び将来の見通しを考慮する」とする文言を加えることであります。
 以上が修正の趣旨及び内容であります。
 何とぞ、御賛同を賜りますようお願い申し上げます。
#234
○委員長(吉川芳男君) 以上で本案の趣旨説明及び衆議院における修正部分の説明の聴取は終わりました。
 本案に対する質疑は後日に譲ります。
    ―――――――――――――
#235
○委員長(吉川芳男君) 次に、参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 農林物資の規格化及び品質表示の適正化に関する法律の一部を改正する法律案の審査のため、来る十日、参考人の出席を求め、その意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#236
○委員長(吉川芳男君) 御異議ないと認めます。
 なお、人選等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#237
○委員長(吉川芳男君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後五時三十四分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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