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1993/04/20 第126回国会 参議院 参議院会議録情報 第126回国会 厚生委員会 第7号
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1993/04/20 第126回国会 参議院

参議院会議録情報 第126回国会 厚生委員会 第7号

#1
第126回国会 厚生委員会 第7号
平成五年四月二十日(火曜日)
   午前十時開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 四月十三日
    辞任         補欠選任
     堀  利和君     糸久八重子君
  出席者は左のとおり。
    委員長         細谷 昭雄君
    理 事
                木暮 山人君
                前島英三郎君
                菅野  壽君
                木庭健太郎君
    委 員
                石井 道子君
                尾辻 秀久君
                大島 慶久君
                大浜 方栄君
                西田 吉宏君
                南野知惠子君
                糸久八重子君
                今井  澄君
               日下部禧代子君
                栗原 君子君
                横尾 和伸君
                勝木 健司君
                西山登紀子君
                粟森  喬君
   国務大臣
       厚 生 大 臣  丹羽 雄哉君
   政府委員
       厚生大臣官房審  市川 和孝君
       議官
       厚生大臣官房審  佐々木典夫君
       議官
       厚生省健康政策  寺松  尚君
       局長
       厚生省保健医療  谷  修一君
       局長
       厚生省薬務局長  岡光 序治君
       厚生省社会・援  土井  豊君
       護局長
       厚生省老人保健  横尾 和子君
       福祉局長
       厚生省保険局長  古川貞二郎君
   事務局側
       常任委員会専門  水野 国利君
       員
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○薬事法及び医薬品副作用被害救済・研究振興基
 金法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議
 院送付)
○戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正す
 る法律案(内閣提出、衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(細谷昭雄君) ただいまから厚生委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 去る十二日、堀利和君が委員を辞任され、その補欠として糸久八重子君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(細谷昭雄君) 薬事法及び医薬品副作用被害救済・研究振興基金法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 本案の趣旨説明は既に聴取いたしておりますので、これより質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#4
○今井澄君 おはようございます。
 それでは、薬事法及び医薬品副作用被害救済・研究振興基金法の一部を改正する法律案につきまして、また関連事項につきまして質疑をさせていただきます。
 まず最初に、今回提出されました法律の改正案の一番の眼目が、希少疾病用医薬品の開発を積極的に行うように国がいろいろな方策を講ずる、このことを私は高く評価するものでありまして、考えてみますと薬事法は医薬品の取締法として発足したわけですが、日本の医薬品の研究開発や製造のあり方について、厚生省として政策的に踏み込んでやっていこうということについては大変評価しております。いわゆる厚生省が政策官庁へ向けて大きくこれから羽ばたいていこう、あるいはもう既に羽ばたいておられるのかもしれませんが、そういうことについては評価するものであります。
 さて、幾つか御質問をしたいわけですが、与えられた時間百十二分あるわけですが、それでもちょっと足りなくなるおそれがありますので、最初にオーファンドラッグ等について簡単に質問させていただいて、あと時間があったらまた詳しく御質問をいたしたいと思います。
 大変いい法律だとは思うんです。しかしながら、過日の大臣の提案理由説明の中にこういう文言があるわけですが、「難病、エイズ等を対象とする医薬品や医療用具は、医療上の必要性が高いにもかかわらず、患者数が少ないことにより、十分にその研究開発が進んでいない」、こういう認識のもとに法律を出されておるわけです。私は、難病、これは何か揚げ足を取るようでちょっと恐縮なんですが、難病といってもこれはいろいろありまして、例えば難治性肝疾患、いわゆる慢性肝炎ですと患者数だけでも百万近くあるというふうなものもあるわけですし、すべてが希少疾病ということではないというふうなことが一つあるのではないかと思います、
 それからエイズについては、確かに日本では今希少疾病ですけれども、今後ふえるかもしれない、それから国際的に見れば大変多い患者数であるということからいうと、これはちょっと患者数が少ないことから研究が進んでいないという認識の対象には当たらないんではないか。
 さらにエイズにつきましては、今世界じゅう、学者や研究所、製薬メーカーを挙げて目の色を変えてこの薬の開発に取り組んでいるわけですね。エイズに関しては、もうかろうがもうかるまいがこの薬を開発することは研究者の名誉につながることでありますし、製薬メーカーにとっては非常にブランドの名前が上がるということになるわけですから、こういった意味では、このエイズを今回の法律をつくる必要性の理由として挙げられたことについては、私はちょっと認識が違うのではないだろうかというふうに思います。
 むしろ根本的には、確かに製薬産業も企業である以上、利益ということを考えてやる。ただ、医薬品については、やはり製品の特殊性から、商品の特殊性から利益だけを考えないで、必要性から開発するということに趣旨があるんだろうと思います。そういったことについても、後ほどちょっと御感想をお伺いしたいというふうに思っております。
 お聞きするところによりますと、希少疾病の対象としては、国内の患者が五万人以下ということを厚生省令で定める御予定であるというふうにお聞きしましたが、それはそのとおりなのか。また、その五万人以下という根拠は、どういう根拠でそういうことをされたのか簡単にお聞きしたいと思います。
#5
○政府委員(岡光序治君) 希少疾病用医薬品の指定要件としまして、対象患者数五万人以下という
ことを予定しておるところでございます。
 その根拠でございますが、こういった対象者の線引きをどうするかというのはなかなか客観的な基準が難しゅうございます。私どもは、先生おっしゃいましたように、国民の中でそういう医薬品の提供されることを求めておる者があるわけでございますが、どうしても民間企業ということになりますと利益を没却するわけにはまいりませんので、そういう意味で開発がされていないものがございます。それが典型例としては難病ではないだろうか、こう考えておるわけでございますが、そういうことで難病に焦点を当ててみたわけでございます。
 その中でも、御指摘がありましたように、すべての難病ではございませんで、やはり厚生省として特定疾患治療研究ということで、なかなかその適切な治療方法あるいは治療薬がないけれども何とか支援をしなければいけないということで研究事業を行っているわけでございますが、こういったものは少なくとも対象にいたしたい、こう考えたわけでございます。
 現在、この治療研究事業の対象になっております疾患の中で対象者数が一番多いものが三万人程度でございまして、これは対象者ですから患者数にすればもう少し数がふえるかもしれない、そんなことを考えまして、少なくともこういった特定疾患治療研究の対象になっているものは対象にしたいというふうに考えたものですから、少しその幅を考えた上で五万人というのを一応の基準として考えた次第でございます。
#6
○今井澄君 特定疾患治療研究対象疾患、私も見せていただきましたが、ことしの一月現在で三十四ですね。それで、平成五年度さらに一疾患を追加する御予定というふうにお聞きしているわけです。その中で、全身性エリテマトーデスが三万数千人、パー・キンソンが二万五千五百人ぐらいになっているんです。パーキンソンというのは、本邦臨床統計集などを見ますと十万人はいるというふうに言われているわけですが、患者数イコール特定疾患治療の研究対象ではないかなと思いますが、その辺のことは一応理解するといたします。
 ところで、この特定疾患ですけれども、この表を眺めていてちょっと奇異に思いましたのは、昭和四十七年のベーチェット病から始まっているわけですが、昭和五十二年以降は一年に一疾患ずつが特定疾患治療研究の対象として追加されているんですね。ずっと毎年一例なわけです。
 私は、これを見ていておかしいなと思うのは、特定疾患の治療研究対象になるものは何も毎年一例というのは実情に合わないと思うんですね。あるときはないかもしれないし、ある年は幾つもあるかもしれない。ところが、こういうふうに一例ずっというのは、かなりこれ財政的な理由もあって硬直化してきているのではないか、この研究制度がですね。対象はもっと拡大すべきものが大いにあるというふうに考えております。
 ところで一方、逆に見ますと、大変古くから研究対象とされていた疾患の中で、研究という事業にはもう当たらないんではないかという幾つかの疾病も見受けられるわけであります。簡単に言いますと、既に研究対象ではなくなったものは外し、新しく必要なものをどんどん入れていくということをやらないと、こういう研究事業というのは硬直化して中身がだんだんおかしくなってくるんではないかというふうに思うわけです。
 しかしながら、この特定疾患治療研究と密接な関係があるいわゆる難病の調査研究、特定疾患の調査研究、こっちが四十三班に分かれていて、これは疾病対応というわけではないのですが、これらの研究事業の目的を見ますと、一つは原因不明などの病気の調査や治療研究を行うということと同時に、もう一つ、そういった難病にかかっておられる皆さんの経済的な問題あるいは介護上の問題あるいは精神的な負担、こういったものを軽減するために厚生省としては政策として行うんだということがあって、私はこれは非常に結構なことだと思います。
 しかし、考えてみますと、医学的な治療研究対象の疾患と、ある意味では福祉的な要素の強いこういった支援とは、政策的に切り離して双方を充実させるべきだろうというふうに私は考えるわけですが、この辺、いわゆる難病対策について厚生省としてはいかがお考えでしょうか。
#7
○政府委員(谷修一君) 難病対策について今先生からお話がございましたが、御承知のように難病につきましては、四十七年から難病対策要綱というのをつくりまして、今お触れになりましたような調査研究事業と、それから治療研究事業、この二つをやってきているわけでございます。
 確かに御指摘がありましたように、難病対策についてのいわゆる難病の範囲ということについては、原因不明あるいは治療方法が未確立であって、かつ後遺症を残すおそれがある疾病、それからもう一つの概念としては、今お触れになりましたような、経過が慢性でかつ経済的な問題あるいは介護の問題等精神的にも負担が多い疾患という、そういう二つの考え方を採用しておりますが、この二つが必ずしもそれぞれの疾病について概念的に明確に区分し得るかどうかということになりますと、必ずしもそうもいかない面もございますので、そういう意味で両者を合わせた総合的な考え方といいますか、対策を進めております。
 ただ、現実問題としてこの難病対策というのは、実施をしましてから二十年経過をいたしまして、調査研究の対象疾病とそれからいわゆる治療研究の対象疾病、この間の整理といいますか整合性というような問題も少し考え直す必要があるんではないか。また、特に医学の進歩あるいは医療技術の進歩ですとか、それから患者さんを取り巻く社会的な環境の変化といったようなこともございますので、私どもとしては、この際、一回少しこの難病対策を今の時点でどういうふうにこれから考えるのかということを見直しをして検討したいというふうに考えておりまして、近く難病対策の専門委員会というのを設置いたしまして、今御指摘のようなことも含めて検討していきたい、このように考えております。
#8
○今井澄君 今の問題については、そのように進められるということで大変結構だと思いますが、これは医療費の問題とかを含めまして、どうも日本のこれまでの厚生行政といいますか医療、福祉行政の中では、医療が何でもかんでも抱え込んできている、あるいはしょってきているという傾向が非常に強いというふうに思います。
 これまでの委員会でも私の意見を述べさせていただきましたが、例えば老人病院問題などもかなり福祉的な色彩のあるものを全部医療費の中で見ている、医療の方に負担がかかっているということもありますので、その辺の整理をすると同時に、日本で非常におくれている福祉面の対策については、今後そういう調査研究あるいは治療研究を整理するにしても、難病を持って苦しんでおられる御本人や家族、あるいはそれを支援しているボランティアの人たちを含めて、十分に対策が立てられるように希望しておいて次の質問に移りますが、オーファンドラッグの個々の問題についても幾つかあるんですが、先ほども申しましたようにちょっと後に回します。
 次にお薬の値段、薬価の問題についてお尋ねをしていきたいと思います。
 こういうオーファンドラッグにしても、難病用のお薬についてもこういうものを積極的に開発することはいいことなんですが、開発すればこれは当然保険の薬価基準に収載する。そうすると、お値段がつくということになってくるわけですが、私は常々日本における保険薬のお薬の値段のつけ方、薬価のつけ方について大変疑問を持っておりますので、きょうそのことについてまずお尋ねしていきたいというふうに思います。
 お聞きしますと、お薬ができる、そうするとそのお薬の値段はどう決めるかというのは、大きく二つに分けると、まず一つは、似たようなお薬あるいは比較対象するお薬があるものについては一つの方法をとる。比較対象する薬が全くないものについては、いわゆる原価計算というのをいろいろな方法でやっていくということをお聞きしてい
るわけです。似たようなお薬があるものについては、一日量の似たお薬の値段が幾らかということなどを基本にしながら、あと画期的なお薬であるとか、まあその割には市場性がないからプラスアルファとかいう形で補正加算をするというふうに聞いているわけでありますけれども、まず日本の薬価は欧米の薬価に比べて大変に高いということが言われております。
 例えばアスピリンなどは、ヨーロッパでの値段に比べて日本は八倍、狭心症のお葉ニトログリセリンは二十倍、それから抗生物質合成ペニシリンであるアモキシシリンは五倍とか、あるいは膠原病などのお薬のプレドニンは五倍とか、潰瘍の特効薬であるシメチジンは十三倍とか、こういうふうな数字が上がっているわけで、日本はどうも欧米に比べて薬価が高いというふうに思っておりますが、いかがでしょうか。
#9
○政府委員(古川貞二郎君) お答えいたします。
 医療保険から支払われる医薬品の価格でございますけれども、これにつきましては、法定されている国もございますれば、またされてない国もある。また、国によってそういったことでいろいろ異なっているわけでございまして、単純に比較することは難しいというふうに考えておるわけでございます。
 我が国の薬価を諸外国の薬価に比較して高いのではないかというようなお話でございますが、我が国の薬価を諸外国における価格と比較する場合に、やはり高いものもあれば、低いものもあるというふうなことでございまして、一概に高低を比較することはできないわけでございます。
 ちなみに申し上げますと、例えば我が国の価格が高い例では、メルファランという制がん剤がございますが、これは一例で申し上げると、日本は二ミリグラム錠で二百七十・六円、アメリカでは百十五・八円、英国では五十六・二円というふうなことになっております。
 逆に、我が国の価格が低い例でございますと、例えばカナマイシン、抗生物質でございますが、一グラム瓶で日本は三百六十円、アメリカでは三千四百八十円、イギリスでは三千七百四十六円というふうにそれぞれのやっぱり事情がございまして非常に差があるということで、一概に比較はできないというようなことでございます。
#10
○今井澄君 この比較というのはなかなか難しいということは私もわかっておりますが、割合に高い例が多いというのが関係者の感想あるいは調査結果であります。
 ところで、高いお薬ということで今C型肝炎に盛んに使われておりますインターフェロンにつきまして、私は、何でこんな高いお値段がついたのかを先ほどの薬価の決め方との関係においてまずお尋ねしたいと思います。
 今インターフェロン、C型肝炎については四種類五銘柄が認められておりますけれども、単位によっていろいろ違いますが、一番安いもので一瓶が六千百四円、高いものですと三百万単位で、一瓶が六万一千八百六十円というふうな、こういうお値段がついているわけです。私も、かって肝臓を専門にやっておりまして、B型肝炎のインターフェロン療法をやったんですが、本当にこのお薬一本落として壊したりするともう大変ですので、病院の現場では宝石を扱うぐらいに注意をさせて、場合によっては赤ラベルを張って扱っているぐらいのところもあるわけなんです。
 特に、まずこのお値段のことと、それからもう一つ、これは大変に去年C型肝炎、慢性肝炎に適用になってから大変に使われるようになっているんですね。それで一挙に市場が五倍にも拡大した。昨年半年で約四百億円の薬が売れたというふうな関係筋の話もありますし、それから厚生省が何回か出した通達、通知に従ってさっきの六万一千八百六十円というお薬を六週間連続で使うと百四十八万五千円、大体こんなお値段になるわけですね。このほかに、入院したりとか検査をしたりとかいろいろなお金がかかるわけですから、これだけで済まないんですが、六週間で百五十万円もお薬だけでかかるというふうなことになるわけです。
 それで、これは大体一千億を超える商品ではないだろうかな、一千億どころか一兆円に迫る商品ではないだろうかと言われておりますが、一応今C型の慢性肝炎患者は七十万人いると言われていて、そのうちの活動性肝炎は約半分ではないだろうか。これで単純計算をしますと、全部の患者さんにこれを投与すると六、七千億円かかるわけですね。これは日本の医療費、国民医療費にとっても非常に大変なことだと思います。
 いいお薬は当然使っていいわけですけれども、現場の医者としてはこういう高いお薬は非常に使いにくい。患者さんにも負担になるし、それから日本の国民医療費にも影響を及ぼす。そうすると、医療費が上がれば医療費の締めつけがくる、現場では本来保険で認めてほしいものが認められないで抑制がかかってくる、だから高いお薬は使いにくいというのが良心的な医者の考え方であろうというふうに思います。
 そこで、なぜこんな値段がついたのかということ、それから一体この薬剤費は日本の医療費にどういう影響を与えると考えておられるのかということをお聞きしたいと思います。
 もう一つ、ついでにお尋ねしたいのは、普通は医薬品が認められるときには、動物実験が終わって、その後、今度は人間に対する投与試験が行われて、それが普通は一相、二相、三相というふうな形で行われるだろうと思います。まず一相は、希望者にお薬を出して、それで副作用がないかどうか調べる、これは少数ですね。それから、第二相というのはもう少し広げて系統的にやっていく。三相というのは、もっと広げて、しかも大体使い方は一人に対して何グラム使ったらいいかとかというのをやるということだと思います。
 このインターフェロンのC型肝炎への適用は、第三相試験が全然終わっていない段階で、第二相試験の後半のデータがまとめられつつある段階で認められたんですね。このこと自身は私は悪いごとではないと思うんですよ。いいお薬だったら早目に認めてほしいというのは現場の意見でもあるわけですが、しかしこの薬に限ってはどうしてこういうふうに第三相試験以前に保険適用が認められたのか、その辺もお尋ねしたいと思います。
#11
○政府委員(古川貞二郎君) インターフェロンについてのお尋ねでございますが、御案内のようにインターフェロンにつきましては、これは昭和六十年に、いわゆる皮膚がんといいましょうか、がんの関係で適用されたものが最初でございます。これは原価計算方式によったわけでございますが、その後、B型肝炎とか何か適用の拡大を行っておるわけですが、昨年の四月にC型肝炎にも効くというようなことで追加がされたわけでございまして、それによって使用量が非常に大幅にふえてきたというのは事実でございます。そういったC型肝炎追加という新しい適用拡大ということで、この価格につきましても、再計算をして安くといいましょうか、再計算をして見直しをしていることは事実でございます。
 ところで、医薬品については、先生のお話にございましたように、医薬品の決め方につきましては、新薬ですね、それにつきましては昭和五十七年の九月の中医協答申あるいは平成三年五月の中医協の建議によりまして算定されているわけです。
 一般論で申し上げますと、比較対象薬のあるもの、これは原則でございますけれども、これは算定方法は効能効果が類似している既存医薬品の一日当たりの薬価を基本とする方式でございまして、これは保険医療上必要性の高い分野の新医薬品の適切な供給の確保ということと保険医療の質的な向上を図るという観点から、画期性加算とか有用性加算とかあるいは市場性加算、こういった加算を行う。また、比較対象薬のない、類似薬効方式を取り得ないようなそういう新薬については原価計算方式をとっているということで、私どもといたしましては、このインターフェロンも含めまして基本的にはそういった考え方に基づいて薬価の算定を行っている、こういうふうに考えてお
るわけでございます。
 ただ、インターフェロンにつきましては、昨年C型肝炎に適用した以降非常に使用量もふえてくるということ等も含めまして、使用の適正化というようなことが十分かどうかというようなことも考えまして、ことしの一月八日に、このインターフェロン製剤の治療効果を確保しつつ適正かつ効率的な使用を確保すると、こういう観点から使用条件の徹底などを図る通知を出したということでございまして、その使用条件の徹底などを図る、使用の適正化ということを図ったわけでございまして、こういった措置をとったこととか、あるいは、これは六カ月というものが一クールになっているわけでございますが、そういった治療期間が終了した患者がふえてくることもございまして、現在は使用量は減少傾向を示しているというような状況でございます。
 いずれにしても、私ども、不透明でございますけれども、できるだけそういった類似薬効方式あるいは薬価の原価方式ということで適正化に腐心をしているところでございます。
#12
○政府委員(市川和孝君) インターフェロンの効能追加のときの臨床実験のステージのお尋ねでございますけれども、このものにつきましては、先生御指摘のとおり臨床試験第二相段階で効能を認めております。この第二相段階でインターフェロンについての有効性というものは十分確認ができるという御判断で認められたものでございまして、こういった判断につきましては、日本より先に既に肝炎に対します効能を認めておりますアメリカなどにおきましても同様に臨床第二相で承認が行われております。その上で、さらにその有効性について確認行為を行っていくために、承認後においても長期間投与の際の有効性というものについてのデータの蓄積ということを求めているわけでございます。
 このような措置が行われましたのは、ただいま申し上げましたように、一つは効力というものが確認できるということと、もう一つ、やはりこのC型肝炎の患者さんが非常に多うございまして、一刻も早くこういった治療薬というものを望んでおられるというような事情も勘案したものでございます。
#13
○今井澄君 確かに、国内だけの問題ではなくて国際的な視野で考え、また患者さんが待っているということを考えて、第二相試験が終わった段階で認められたのは結構だと思いますが、しかし私は、薬価のつけ方や保険適用の指導とかそういうものが全部ちぐはぐになっているために、やたらに一挙にたくさん使われて医療費がふえて、そのためにほかの必要な医療が窮屈になるという矛盾を招いている、そのことをこれからも幾つかの例を挙げながら繰り返し指摘していきたいわけです。
 まず、皮膚がんに認められたときに原価計算方式でつけられたという、それがC型肝炎に効能が拡大したときに薬価を下げたというお話ですが、もう一つ、インターフェロンについてはバイオによってつくる技術も確立されているわけですね。そういう段階でどういうふうに下げていったのか、下げ方が足りないのではないか。
 これは、相当売れるようになりますとかなりもうかる薬になるわけで、当然開発費やなんか全部回収できるわけです。もちろん、会社にとってはそれはドル箱商品ですから、やたらに下げるというのは、現在の経済的な一般社会の常識からいうと気の毒です。でも、一つは医薬品という特殊な商品であると同時に、もう一つは健康保険財政という国民からいただいたお金でやっている、枠の中でやるわけですから、これはやっぱり特殊な考え方をしなければいけないと思うので、今の点をお聞きしたいと思います。
 ついでに、さらにちょっとお話をいたしますと、このインターフェロンというのはそんなにやたらに使えるお薬でないことは、これは厚生省もよくご存じだと思いますが、まず、二、三日以内は三十八度以上の熱がまず一〇〇%出るわけですね、高熱が出るという副作用がある。それから、二週間余りたつと、大体七〇%の人に食欲不振が出てくる、多分それの結果でしょうけれども四〇%の人に体重減少が起こるという大変な副作用があるお薬ですし、二カ月以上たっての副作用の一つは毛が抜けるというのがあるわけで、かつらが必要になる患者さんもいるぐらいですね。これは主にインターフェロンアルファの方です。もう一つベータの方だと、二〇%以上の人にたんぱく尿が出るということです。
 いずれにしても、大変な副作用があるお薬ですから、そうめったやたらに使えるお薬ではないんですね。ところが、やはりC型肝炎になりますとがんになるおそれがあるということから、これは医者の気持ちとしても使いたいなという気持ちはあるし、患者さんはうわさを聞くとどんどん使ってほしいという気持ちが出てくるんですね。そこで使わざるを得ないということがあるんですが、しかし効き目の方はどうかと見てみると、ここ一年間ぐらいの成果では大体二〇%から四〇%という効き目だということになっております。
 そういう過程で、厚生省としては、インターフェロンの適正使用、C型肝炎の適正使用ということで先ほどもお話がありましたが、六カ月ということを一応限度として出されましたが、六カ月というのは投与方法としてはほとんどないんですよね。長くても十四週間とか十二週間とかというのが第二相試験から第三相試験でやられているもので、ある意味では六カ月はいいよということになると、場合によってはむだに使われることもある、繰り返し使われることもあると思います。そういうふうな意味で、やはり保険行政と業務行政と、それから厚生省全体として日本の医療費の適正配分を考えるという点で、どうもちょっとバランスに欠けているんではないかという点があると思います。
 そういう点でもう一度整理いたしますが、まず一点は、最初に皮膚がんの薬としてインターフェロンができたときの値段が幾らだったのか、それをどういうふうに下げてきたのかということについてお聞きしたい。もう一つは、こういうふうなお薬の使い方について、大臣からちょっと御感想などを、これはまた後で別のことやりますから結構です。
#14
○政府委員(古川貞二郎君) 御指摘のように、私ども医療保険の問題を預かっている立場からしまして、よい医療を国民に効率的に提供するということはもう全くの基本であります。そのために、しかし一方では限られた医療費の財源がある、それを上手に使わなければいかぬ、うまく使わなければいかぬ。そのことは私どもの重要な務めである、こういうふうに思っているわけでございます。
 したがいまして、薬剤の使用ということ、これは患者さんが一方でそれを非常に求められる、あるいは医学の立場、医療の立場、現場からもそれが要求される。それはできるだけ適切に使っていただくという要請にこたえなければいかぬ。
 一方で、そういったものがいたずらにむだというか、そういった形で薬剤の使用がふえていくということは避けなければいかぬということで、新薬の薬価を決めるに際しましても、あるいは既に決められた薬価の改定につきましても、実勢価格がより反映するようにということで工夫を凝らしておりますし、適正使用ということについてもいろいろと私ども努力をしているという状況でございます。
 そこで、インターフェロンの使用を決める昨年のあれでございますが、特にその中で先生投与期間の話がございましたが、そのことについて保険適用上やる場合の投与の問題についてちょっと申し上げたいと思うんです。これについては、臨床効果とか副作用の程度を十分考慮しながら慎重に決定されるものでございますが、これは十二週間、十二週間で効果が認められない場合には、その十二週間といっておりますが、これは私も技術的な詳しいことは存じ上げないんですが、イントロンA注射用三〇〇とか同六〇〇とか同一〇〇〇については十四週間、フェロンについては連日投
与六週間というようなことでございますが、原則十二週間で効果が認められない場合には投与を中止するというようなこと。
 それからなお、インターフェロン製剤の種類を変更した場合であっても、標準的な投与期間は六カ月以内であるというふうな、そういった学問的なこと等を十分に考慮した上で、そういった投与期間、元来標準的な投与期間として六カ月ということでございます。問題は、そういった使用についてはすぐれて医学的な問題でございまして、私どもが規則でがんじがらめに決めるということではない。
 やっぱり、医学者の、医療の現場の先生方がその患者さんの病状を十分に判断して、適切な使用をするというのが原理原則だと思うわけでございまして、原則私どもの医療保険上の議論は保険としていろいろ議論するのですが、基本にはそういった医学者の、医療の現場の方々の御判断をもとにしている。そのことは、六カ月ということになっているから、標準が六カ月だから六カ月間ぎりぎり使ってもいいよというのは、これは私は医療の現場の態度としてはいかがかなというふうに思うわけでございます。
#15
○今井澄君 確かに今局長御答弁のとおりで、医療現場の問題があるわけですから、そこで厚生省にお願いしたいのは、やはり実情に合わせて、この国民医療を圧迫したりゆがめたりすることのないような薬価の算定をすべきではないかということを繰り返し言いたいわけです。
 このインターフェロンは大変効く、副作用もあるけれども、一部の人には効くいいお薬なんですが、ここで私思い出さざるを得ないのは、かってのクレスチン、ピシバニールの問題です。今手元に、一九八八年六月七日号のアエラのコピーを持っております。「抗がん剤一兆円の気休め料」、要するに日本の国民は、十年ぐらいにわたって、一兆円の金を効かない薬に払わされたんですね。私たちが出した税金や保険料が、厚生省の再評価で単独投与では効かないというふうに認定されたクレスチン、ピシバニールに一兆円も使われたんですよ。そうしておいて、医療費がふえたふえたと言って、医療費の圧迫が行われて、現場では病院経営が苦しくなっている、こういう現状があるわけですね。このことについて、厚生省として一体どういう責任とか解決策を考えておられるのか、この辺をお聞きしたいと思います。
 これは今も言いましたが、インターフェロンについては、まあまあ効くから慎重に有効に使えばいい、それは医療現場に任せられた方が確かにいいと思います。しかし、高い値段をつけているというところに厚生省の責任の一端があって、クレスチン、ピシバニールほどではないにしても、そういうふうになるおそれがないのかどうかということを私は若干心配するわけです。
 この効かないお薬、クレスチン、ピシバニールは、実は私ごとを申し上げて大変恐縮ですが、今から十年ぐらい前、私どもの病院でも使うかどうか議論があったときに、私どもの病院では使わないということを決めました。このお薬は、副作用がほとんどない、場合によっては食欲を増進する、がんの患者さんが食欲増進して、いいお薬かもしれない。だけれども、まず効かないだろう。一日量が三千円するんです。一カ月十万円ですよ。そうすると、患者さんの負担、それから医療費に対する負担が大きいから使わないということを病院では決めた経緯も、私たちは覚えています。ですから、国立がんセンターともあろうところが、先頭に立ってこういうお薬を使いまくって十年間で一兆円もむだ遣いをしたということは、医療現場から考えても許せないことだというふうに考えているわけです。
 インターフェロンでも、内容が違いますから、質が違いますけれども、二の舞にならないようにお願いしたいと思いますが、厚生省としてはいかがお考えでしょうか。これは大臣の御感想もお聞きしたいと思います。
#16
○政府委員(古川貞二郎君) クレスチンとかピシバニールなどの大型寡占品目につきましては、これは昭和五十十年九月の中医協答申に基づきまして、薬価基準全体のバランスから必要な調整を行っておるわけでございます。これは、薬価が決められて以降、薬価の実勢価格等を踏まえまして、改定の都度、引き下げられてきているという実態がございます。
 基本的には、私どもは、患者さんの病状あるいはその患者さんに効くということで、いろいろと専門的な検討の上で、こういった薬の保険適用を図っていくわけでございます。しかし、薬価というサイドからは、御承知のとおり、市場の実勢価格をより適切に反映させるというようなことで、おおむね二年に一度の全面改定を行っているというようなことで、その薬が効く効かないという議論もございますが、もちろん効かない薬はあれでございますけれども、私どもはできるだけ、それが一日千秋の思いで待っておられる患者さんたちもおるわけでございますので、専門的にその薬が開発された場合に、それにいろんな観点から保険適用していく。しかし、その価格につきましては、実勢等を見まして改定をしていく。こういうふうな態度をとっているわけでございます。
 このインターフェロンの問題についても、私ども、患者さんが大変期待されているということでの議論がございましたが、そういったことで、実勢価格というか、そういった実態をも踏まえて対応していきたい、基本的にはそういう考え方で進めてまいりたいと考えているわけでございます。
#17
○国務大臣(丹羽雄哉君) 先ほどから、専門家である今井先生から、医療資源の有効な活用について大変大所高所から御質問を賜っておりますことに対しまして、まず心から敬意を表する次第であります。
 インターフェロンにつきましては、御案内のように、私も個人的にちょっと先生のお考え方をお聞きした機会があるわけでございます。ピーク時に比べますと、ややインターフェロンが一時よりは下降ぎみである、こういうことでございますが、平成四年度では一千六百億円まで達したわけであります。ただ、患者さんの方から見ますると、いわゆるC型肝炎の有効な治療としてはやはりインターフェロンと、こういうようなことがございまして、大変人気があることも事実でございますけれども、私どもは、あくまでも適正な使用というものを、これは当然のことながら、これまでも指示を出しておるわけでございますが、そういった点につきまして十分に留意していく決意でございます。
 それから、ピシバニールとクレスチンでございますけれども、これにつきましても、やはり基本的にはこの薬が免疫性を高める、こういった観点から利用されておるわけでございますが、再評価をいたしてもおるわけでございます。
 いずれにいたしましても、今後とも、いわゆる医療薬品の資源の有効な活用、こういった観点から十分にいろいろな御意見というものを賜りながら、ひとつ徹底的な指導を行っていく決意でございます。
#18
○今井澄君 クレスチン、ピシバニールのときには、またいろいろな問題がありまして、例えば有効性が世界的に通用するような論文なしに承認されたとか、承認していた中央薬事審議会の、特にがんの薬の座長がそれを推奨して論文に名を連ねたとかいろんなことがありました。その後審査の体制も改善されたようですが、やはりこういったお手盛りにならないようなことについては、厚生省としてはもっときちっとやっていかれないと、ただそのお薬を審査するときだけ関係した人がその会場から退席するというだけでは、これはやっぱりお手盛りの薬の承認になるから、この辺はぜひ今後とも国民に疑惑を持たれないようにやっていっていただきたいと思います。
 なお、クレスチンについてお値段をどんどん下げてきたと言われるけれども、私は事実に反すると思うんです。ことしの四月版の薬価基準表によりますと、クレスチンは一グラム八百八十六円四十銭です。私の記憶では、たしかよく使われていたときに千飛び何円だったと思います。そうしま
すと、いまだに余り使われていないからいいようなものの、一日量で二千六百五十九円もするんですよ。こんな高いお薬をこのまま野放しにしておいていいのかということについては私はちょっと疑問に思います。
 さて、それはそれとしてもう一つ、実は今一千億商品と言われて大変使われているお薬がありますが、これは一般名プラバスタチンナトリウムという、コレステロールを下げるお薬なんです。実は、私はこのことにも大変な危惧を持っております。今全国で百万人の患者さんが飲んでいるというか、飲まされているというふうに聞いております。このお薬の薬価がどういうふうに決まったかということもお聞きしたいのですが、コレステロールを下げるお薬については過去にいろんな類似薬があるわけです。ところが、類似薬でいろいろ計算をして補正をする場合も、これまでに比べて非常に画期的であるといってもたかが二〇%増しの加算にすぎないはずなんですが、このコレステロールの効果菜、この二年半ほど前に保険承認されたこのお薬は、ほかのコレステロールを下げるお薬の値段が三倍から八倍なんです、一日量が。どうしてこんな高いお薬の値段がついたのか。
 しかも、これ大変動くんですね。私もちょっと使ってみたことがあるし、現場の医者にみんな聞き回ってみると、非常によく効く、よくコレステロールが下がるということで非常に使われている。これまでコレステロールを下げるお薬は副作用が多くて発売禁止になったものも多いけれども、今のところは大した副作用もないということで非常に一挙に広まっているわけですが、これはまた一千億を超えているわけです。これは、国民医療費の立場からしますと、非常に何か問題があるのではないかなというふうに感じるわけです。
 しかも、これはげすの勘ぐりと言われるかもしれませんが、さっきのクレスチンをつくった会社の、クレスチンが売れなくなった後に今度これが売れているお薬なんですね。そういうことを考えまして、どうしてもこの辺、この薬価のつけ方については、やっぱり厚生行政上ちょっと不注意があるか、あるいは何か問題があるのじゃないかと私は思います。
 なお、つけ加えておきますと、コレステロールを下げることについては、これ国際的な常識ですけれども、まず食事療法をやる。それなのに何でまず薬を日本では出すのかということが、医者の倫理の問題、患者の嗜好の問題、薬屋さんの売り込みの問題を含めて大変問題であるということが第一点。
 第二点目としては、日本ではコレステロールがそんなに高くないのにすぐ使ってしまう。外国ではコレステロールを下げるお薬はかなり厳しい使う基準があるんですけれども、日本では簡単に使うということが二点目、問題があるだろうというふうに思います。
 それから、三点目の問題としては、コレステロールを下げればそれでは死ななくなるのかというと、死ななくなるという研究成果は何もないんですね。多少心筋梗塞やなんかが減るということは言われていますが、日本では心臓病はふえていますが、心筋梗塞で死ぬ人はそんなにふえていないんです。ですから、日本でこんなに一千億もコレステロールの薬が使われるというのは、非常に不思議な現象だと思います。
 それと四点目に、私は、このコレステロールを下げる薬は必ずいつか副作用が出てくる。なぜかというと、これは理屈からいってそうなんですけれども、コレステロールになる前でとめちゃうんですね。とめちゃうから、必ずそこにコレステロールになる前のものがたまってくるんですよ。それで、副作用が出てくるというのは理論的にもう逃れられない宿命なんで、これが長期に使われていけば、必ず白内障だとかもが抜けるだとかいろんな副作用が出てくるんじゃないかと私は恐れるんです。
 そういうことをちょっとつけ加えまして、何でこんな高い値段がついたのかを御説明願います。
#19
○政府委員(古川貞二郎君) お尋ねのメバロチンでございますけれども、これは平成元年の八月二十五日に収載されているわけでございまして、収載当時の薬価は百十七円四十銭、五ミリグラム錠で。現在は百二十五円という状況でございますが、このときは類似薬効方式ということで、クエストランとかそういったほかの類似薬効と比較しながら、価格を適正な価格ということで決めているということでございます。
 ただ、先生おっしゃるようないろいろな、クレスチンの後にこのものという、そういうふうなことは私ども全くやっているわけではありませんで、これはまあ冗談でおっしゃったと思うのでございますが、やはり新しい薬が開発されてそれが保険に収載する、これはもう適正に今先ほど来申し上げた類似薬効方式なり原価方式ということで決めているわけです。
 なお、私も実はコレステロールがちょっと高いわけでございますが、薬は一切飲んでいない。ところが、私の友人は私より低くて飲んでいるというふうなこともあって、それはやっぱり医学の判断がなと思っているわけでございますが、いずれにしても薬は適正に使用されるべきものだということが原則である、先ほども申し上げたとおりでございます。
#20
○政府委員(岡光序治君) その使用の問題でございますが、御指摘のように、こういったたぐいの高脂血症薬につきましては、まず薬を使う前に食事療法とか運動療法を行うべきでございます。この点につきましては、御指摘の製剤につきましても使用上の注意ということで、まず薬を使う前に食事療法、運動療法を十分考慮してくださいということを指摘をしているところでございまして、医療機関においてもこういった使用上の注意を十分御理解をいただいて薬を処方してくださっているものというふうに理解をしております。
 なお、これは、おっしゃいますように副作用の問題については注意を払う必要がございまして、もちろんこの製品も再審査の対象になっているわけでございます。それで、その症例報告を得ておりまして、つい最近も副作用情報を出しまして、医療機関にそういう情報提供を行ったところでございます。こういったことで、なお副作用の問題については注意を払いながら情報を集め、かつその情報に基づいて必要なことを医療機関に提供いたしたいと思っております。
#21
○今井澄君 クエストランを比較対象薬、類似薬として算定されたというんですが、クエストランはたしか一日量が百四十五円ぐらいだったと思います。メバロチンは二百五十円二十銭ということになるわけですから、二〇%加算、三%加算、三%加算をしてもなおかつ高いような気がしますが、まあそれはそれで結構だろうというふうに思います。
 ところで、そういうお薬が出てくる、日本の医薬品産業がそういうお薬をつくるわけなんですが、そしてまた特にオーファンドラッグについては、今回法律を改正していろいろ法的に支援しようとしておられるわけですけれども、日本の製薬産業について少しお尋ねしていきたいと思います。
 日本の製薬産業は、一般的に言われていることは、まず国内の他の産業、特に製造業、化学工業に比べて非常に利益率が高いんだというふうに言われているわけですね。そうすると、利益率の高い製薬産業に何で新薬開発の援助をするのかというふうな疑問も一般にはよく持たれるわけなんですが、その点についてはどうお考えなのかということ。それからもう一つは、研究開発に他の産業と比べて非常にお金がかかるんだというふうなことですが、じゃ、この研究開発について日本の製薬産業では諸外国、欧米に比べてどうなのか、研究開発投資が足りるのか、足りていないのか。その辺についてお尋ねしたいと思います。
#22
○政府委員(岡光序治君) まず、利益率が高いという状況でございますが、御指摘ありましたように、一九九〇年、平成二年で例えば見てまいりますと、日本の上位九社の医薬品製造業を見てまい
りますと、売上高利益率が六・六%でございます。これは製造業全般では二・八%でございますので、確かに高い状況でございます。
 一方、研究開発費でございますが、やはり製造業、これは全体で見ておりますが、製造業全体で売上高に対する研究開発費の比率は八%でございます。全産業で見てまいりますと、これは二・八%ということでございます。つまり、研究開発が非常に長期にわたっております。新薬を開発するのに、例えば三千品目から五千品目の候補物質を洗って、それで絞り込んでいく。そういう作業に十年から十五年かかり、開発経費は百億から二百億かかるというふうにも言われておりまして、そういう意味では長い時間がかかるということと、非常にリスキーであるということでございます。そういう意味で、資金力を必要としておりますので、利益を内部留保せざるを得ないという状況でございます。
 それで、外国と比較した場合どうだということでございますが、実は日本のそういう利益率あるいは研究開発費の売上高に占める比率は、外国、欧米の一流企業と比べますとこれは劣っております。アメリカで申し上げますと、アメリカの上位十社で売上高利益率が一六・四%でございますので、先ほど申し上げましたように日本の場合の上位九社が六・六%ですから、相当差がございます。また、絶対額においても差がございます。それから、研究費の売上高に占める比率も九%でございまして、日本の場合には八%ですから、やはりアメリカの場合の方が比率は高こうございます。そういう意味では、私ども、もう少し研究開発力を高めていかなければいけないということを念頭にしておりますし、また先発品を主力として売る医薬品メーカーにおいてはその研究開発力を高めなければいかぬというのを当面の課題にしているわけでございます。
 そういう中で、利益率は確かに製造業と比較すれば製薬企業の場合には高こうございますが、なぜオーファンドラッグの助成を行うのかということでございますが、これは私どもはむしろ企業に対する助成というよりも、そういった医薬品の提供を望んでおる患者、国民に対する期待にこたえたい。何もしないでおきますと、どうしても企業はそういう利益のことを考えますので、なかなか患者数が少なくて余り売り上げに寄与しないものは手がけない、そういう傾向があるわけでございます。そこのところを国が助成をするなり、税制上の配慮をするなりいろいろ支援策を講じまして、国民が期待しているところのものを早く出してもらいたいということでやろうとしておりますので、そういう意味では私どもいわば念頭にありますのは国民でございまして、そこにポイントを絞っているつもりでございます。
#23
○今井澄君 確かに医薬品というのは、医薬品産業も一般の産業であります。医薬品も一つの商品でありますけれども、特に医療に関係するということで特殊なものだと思いますので、今の御答弁で一応納得するとします。
 日本は、欧米に比べて研究開発費なども最近は伸びてきたようですが、それでもまだ劣っているということの結果、私もいろいろ聞いておりますが、例えば国際的に通用するような商品、医薬品がなかなか出ていない。優秀なものは外国製品に頼っているというふうなことも聞いておりますが、ただ新薬の開発件数だけは多いんですね。ここのところを見ても年間もう千六、七百件とか、そういうものが承認されているというやたら多いんです。
 その中で、新薬あるいは特に画期的な医薬品が少ないというふうに聞いておりますが、厚生省の御認識をお尋ねしたいんですが、例えば一応世界的にいい薬がどうかということになると、アメリカのFDAでどうやって承認されたか、あるいはFDAも承認基準がA、B、Cと三ランクあるわけですけれども、その中でAランクに位置づけられているようなものが日本では、日本の薬であるのかないのかということ。それから、世界の医薬品市場三百億ドル弱と言われますが、その中で日本の医薬品のシェアが伸びているのかどうか、あるいは日本からの輸出が伸びているのかどうか、あるいは日本で輸入に頼るお薬が少し減ってきているのかどうかというあたりについて、もし資料なり厚生省でつかんでおられる御認識がありましたらお知らせいただきたいんです。
#24
○政府委員(市川和孝君) ただいま先生からお話がございましたように、我が国でもかなりの数の新薬が年々承認されているわけでございますが、過去五年間ということで、平成四年十一月末までの五年間ということで見てみますと、新たに承認された医薬品、新しい成分のものというのは国内で合計百七十四成分ございました。そのうち、我が国で開発されたものが七十六成分、外国がオリジンの成分が九十八成分というような内訳でございます。
 こういった新薬につきまして、従来その画期性があるかどうかというような判断は特段今下しておりませんので、これらの内訳をお示しすることはなかなか困難でございますけれども、外国の文献等によりますと、先生ただいまお話ございましたような、例えば米国FDAでは、この種の分類を行っております。特に、治療上重要な進歩が見られるような新薬をランクAというようなことで審査の優先順位をつけておりますが、この文献によりますと、FDAが審査した全部の新薬のうちでランクAと評価されたものが全体の中の二〇%であったということでございます。
 それからさらに、そのまた内訳でございますが、日本がオリジンの新薬というのでFDAの認可を得たというものについて見ますと、ランクAと評価されたものは一四%というふうになっております。そういった状況でございまして、ランクAに分類されるようなものがアメリカ全体としても、あるいは日本で生産されるものとしてももちろんそう多いわけではございません。しかしながら、最近我が国でも次第に優秀な医薬品というものの開発が進んでまいりまして、具体例で申し上げますと、最近では、免疫抑制剤、これはタクロリムスというような成分でございますが、であるとか、あるいは心臓病の薬であります塩酸ジルチアゼムとか、それから抗がん剤の酢酸リュープロレリンとか、あるいは抗潰瘍剤でございますが、ファモチジンというような成分でございますが、いずれも日本で開発されました医薬品が世界的に評価されるような例が増加をしてきております。
 それから、輸出入に関してでございますが、個別品目につきましては、若干そのデータを把握していないのでございますが、医薬品貿易全般で見ますると、輸出は徐々に増大はいたしておるのでございますけれども、全体として見ますと、輸出入としてはかなり大幅な入超の状況である、こういった状況でございます。
#25
○今井澄君 国際的にも評価される薬がぼちぼち出てきていることは大変喜ばしいことだと思いますが、しかし、今の御指摘の数字にもありましたように、FDAのAランクが平均では二〇%なのに日本のは一四%弱というふうなことで、まだまだ日本はたくさん開発している割には少ないという事実があると思います。
 医薬品の研究開発費も最近どんどん伸びてきまして、年間五千億を超えるような状況になってきているというふうに思いますが、しかし、私は、診療報酬改定や薬価切り下げとの関係で、この研究開発費が本当に国民医療のために、あるいは世界に誇れる医薬品を開発していることにつながらないのではないかということを指摘して、また厚生省のお考えあるいは業務行政のあり方について、次の質問に移っていきたいと思います。
 過去十年余り、医療費適正化策あるいは医療費抑制策が進められてきたわけでありまして、確かに国民医療費がどんどん幾らふえてもいいということはありませんので適正化ということは必要だろうと思いますが、その中で特に薬価差益に依存するような病院経営は問題があるというふうなことがありまして、薬価差益の縮小政策がとられてきたと思います。これは医療現場も基本的には望んでいることでありまして、やはり技術料をき
ちっと評価してほしいということだったと思います。
 それで、実際に薬価基準として収載されたお薬よりも病院に納入されるお薬の値段の方が安い。これは考えてみますと、どの商売でも産業でも同じだと思うんですけれども、売る値段よりも安く仕入れて売るからそこに営業利益が出てくるわけでありますので、これをただ単にいけないんだ、医療ではいけないんだというのは、これはちょっとおかしいという面もあります。しかし、現実にそこに経営原資を頼らざるを得なかったために薬づけとかそういうことも出た弊害もあるので、基本的には医療費適正化策のあり方には問題があるにしても、この薬価の見直し、薬価を切り下げてそれを原資にして技術料に回すという方向自体については私も否定するものではありません。
 しかしながら、ここに、製薬業界の人に言わせればアリ地獄と言われるような事態が起こるわけですね。医療機関に納入したお薬の調査が行われて、その実勢価格に近づけるように薬価が切り下げられるということがずっと続いて、これは厚生省でどう把握しておられるか私はお聞きしたいと思うんですが、私が聞いたところでは、十年間で約四六・何%薬価が切り下げられた。そうすると、これでは製薬業界はやっていけないわけですね、売り上げがどんどん減ってしまうわけですから、やっていかれない。
 そこで、どうしたかというと、こういうことを漏らしているある製薬会社の幹部がいるわけです。保険薬価制度の矛盾、つまり薬価差があってそれを引き下げていくというこの悪循環、悪循環というか二年に一度ずつそういうことを繰り返していくことのもとで、製薬企業が経営を維持するためには新薬の連続的な開発が不可欠であると。要するに、今までの薬が下がるわけですから新しい薬を出していかざるを得ないわけですね。そのため、我が国主要製薬企業の研究開発費は一九八〇年代を通じて大幅に拡充されたと。事実そうなんですね、二千億ぐらいがもう五千億を超えるぐらいに、二・五倍以上に拡大されてきた。
 しかし、それら資源は、新薬を連続的に開発しなければならないという要請のもとで失敗リスクの少ない改良型新薬、要するに類似薬ですね、前のよりちょっと飲みやすいとか小さくなったとか、一日一回で済むとか、副作用が少ないとか、そういう類似新薬の開発に主に向けられてきたということなんですね。これがまた画期的な新薬の方になかなか向かないで、基礎研究とか。とりあえず製薬企業が、薬の値段を下げられるものですから、新しい薬出さなきゃならない、そのためには失敗は許されない、だからちょっと小手先を変えてということに大部分の研究開発費を投資してきたという、こういう嘆きも聞かれるわけです。
 こういったことについて一体厚生省はどういうふうにお考えなのか、これをお尋ねしたいと思います。
#26
○政府委員(岡光序治君) 先生よくご存じのとおり、従来の薬価算定方式は九〇%バルクライン方式でございました。要するに、その品物の売り上げ総量を見まして、それの九〇%の売り上げを確保するその値段を決めるということでございます。それは一〇〇%のところで決めるわけではなくて九〇%のところで決めますので、この算定方式では構造的に薬価が下がるという構造になっている、こういうふうに指摘をされています。
 そういう意味で、この算定方式に問題があるではないか、こういうことが指摘をされまして、それに対する答えとして、中医協でいろいろ御議論があったわけでございますが、平成三年度に薬価算定方式が加重平均値をベースにして一定幅を乗せるようなこういう方式に改められたわけでございます。
 こういうことになりましたので、算定方式が引き金になるところの薬価引き下げということは、システムからくる問題点というのは私はなくなったのではないだろうかと。むしろ今度は、企業の販売姿勢ということに私はかかわってくると思います。つまり、この品物は大切にして、しかも非常に現場では使われているとか理解があるということにつきましてこの価格で買っていただきたい、こういう話になりますし、そのことをまた強く求めるんだろうと思います。
 しかも、流通システムにおきましても、従来の仕組みですと、相手の医療機関に応じまして同じ品物であるにもかかわらず実は売る値段が違っていたという傾向がございます。しかも、その価格形成にはメーカーの人が直接関与をしていたわけでございまして、これは公正取引に反するのではないか、相手によって値段を変えていくというのはやはり不公正取引という疑いがあるというふうに公正取引委員会の方で指摘をされました。
 したがって、医療現場における製品の価格形成は卸の人がやりなさい、メーカーの人がその価格形成に直接タッチしてはいけませんと、こういう話になりました。したがって、メーカーとしてはどういうことかといいますと、卸に対してこれだけの値段でひとつ売ってくださいということで、価格に対する何というんでしょうかメーカー側の意思というのを明確に打ち出して、そしてその後はもう卸に頼むという、こういう仕組みに変わってきたわけでございます。
 こういうことから、私は、その制度の、薬価算定方式の仕組みなりあるいは流通の方式がそういうふうに変わったということでもって、従来とは随分と環境が変わってきたというふうに理解をしております。そういう意味では、メーカーの価格に対する責任度合い、価格政策というものをどういうふうに展開するかということが求められているということになりますし、またそれが直接反映するような結果になっているんだというふうに理解しております。
 そういう意味では、従来の制度がおのずとその制度の中に薬価を下げてしまうという仕組みはなくなりましたので、これまでのメーカーのそういう主張は私は通じなくなるのではないかと。むしろ、何が求められているのかということを考えていただいて、メーカーとしてどのようなメーカーの姿勢を貫くのか、新薬開発型のメーカーに脱皮していくのか、それともいわば非常に限られた地域だけに限定した商売に徹するというふうに持っていくのか、その辺はメーカーの判断だし、それがまた価格の政策に直接反映していくものだ、こういうふうに考えております。
#27
○今井澄君 確かに九〇%バルクライン方式だと一〇%のお薬だけ高く売っておけば薬の値段は下がらないわけですから、その標的にされたのが国立病院などでありまして、国立病院に高く売っておきさえすればあとは民間病院とか地方の病院に安く売ってやるということ、それが国立病院の問題でもあるわけですけれども、それが加重平均になったことによってより合理的になると。
 それからもう一つは、仕切り価制の導入によってよくなるということは、それはそうかもしれませんけれども、しかしそれにしても、これも出来高払い制、自由開業医制を基本として、やっぱり医療の世界にも製薬の世界にも競争原理ということを基本にしてやっていく以上、ここでは当然より安く買うということが起こるわけで、そのこと自身を悪と決めつけられないと思うんですね。
 問題は、そこに主力が集中されるような今の診療報酬制度そのものの問題だと思うんです。やっぱり薬価を切り下げて、そこでお金を浮かして、それで診療報酬制度に回すという今までのやり方が問題なんであって、本当に必要な診療報酬点数を、何とか財源を別のところから見つけてでもやるというだけの強い意気込みがなかったということですね。まあこれはなかなか国家財政の問題やなんかがありますから難しいことはよくわかりますけれども、その辺、厚生省の意気込みというのがなかった、非常に安易だったということにあるんではないかと私は指摘しておきたいと思います。このことについて、後でまた御感想を伺いたいと思います。
 ついでに申し上げれば、そういうふうに一年なり二年に一遍ずつ薬価が下がる、そうすると薬屋さんは新しい薬を出してくるということの結果い
ろんな問題が起こったんですけれども、例えば現場では医師が使いなれた薬が手に入りにくくなる。今度はこういう同じお薬ですけれども、こういういいお薬ができましたということで持ってこられる。ついそれに乗ってしまうわけですが、しかし、自家薬籠中のものという言葉も昔からあるように、長年使いなれた薬が本当にある意味では医者にとっても安心して使える薬であるんです。そういう問題が、古い薬、いい薬であるにもかかわらず、効き目もある薬あるいは副作用が少ない薬でもあるにもかかわらず、それが市場からどんどんなくなる、実質的になくなって新薬を使わされるというようなことも現場で起こってきまして、非常にそういう点では医者たちの嘆きを聞きます。また、薬局も、新しい薬がどんどん入ってくるので、本当に仕事になれないということで混乱が起こっているということを聞きます。
 もう一つは、例のMRSAの問題ですけれども、これは多分厚生省もそういう御認識があると思うんですが、これも抗生物質における画期的新薬という面もないわけではないですが、乱開発競争、より新しい抗生物質をつくって高く売るということから大量の抗生物質、第三世代の広域に効くものが使われて、その結果耐性菌が大量に出てきたという先進諸国に見られない日本独特の現象が出てきた。これは、これまでの薬価切り下げ政策の延長上、あるいは薬価を切り下げてそれを原資にして何とかして診療報酬を改定していくという、そういうやり方にあったということを指摘しておきたいと思います。
 さて、その流通制度の改善なんですけれども、細かいことでちょっとお聞きしますが、日本では今までプロパーとかディナールマンとか言われた、要するに企業から、これは企業だけじゃなくて問屋にももちろんおりますが、主として企業に所属するMRという医者のところに薬を売り込む人たちがいるわけで、そこで物とか金銭の授受があったりいろんなことが行われて、本当の医薬情報の提供ではないことがあって問題にされてきたんですが、欧米に比べて日本ではMRが過剰であるというふうに言われておりますが、厚生省の認識はどうか。また、一年しかまだたっていないとも言えますが、流通制度が改善されて不必要なMRが減ったのかどうかお聞きしたいと思います。
#28
○政府委員(岡光序治君) 学術宣伝員、MRでございますが、どうも諸外国と比べれば日本の場合は多いようでございます。例えば一人当たりの医師に対するMRの数を考えてみますと、これはどうも日本が一番多いようでございます。
 流通方式の改善以降のデータについては実は持ち合わせておらないのでありますが、例えば一九八八年、八九年、九〇年というふうに三カ年を見てまいりますと、医薬情報担当者の数というのは次第にふえておる状況でございます。それで、新流通方式になりましたのが昨年の四月、これを導入したわけでございますので七月に実はアンケート調査をしてみました。これに対しまして各メーカーの姿勢でございますが、MRの人数について変えないといったところと、これからふやすといったところと、約半々でございます。ということは、まだ減らす気は余りないのではないかというふうに私どもは受けとめております。
 そこで、それからはそれぞれの企業の対応の仕方でございますが、私どもはMRが一体何をすべきなのか、正しく学術情報を伝達するということが基本使命でございますので、特に流通方式が変わって直接価格に関与しないという段階になりましたらそういうことでございますので、そのMRの活動の指針につきまして業界としてもきちっとしたものをつくってください、それから、先生ちょっと御指摘がありましたが、疑われるような変な商売の仕方をしないようにしてくださいということで、その辺の要請をしているところでございます。
#29
○今井澄君 確かに諸外国に比べてかなり多いようですが、一説によりますと、MR一人について人件費から活動費からいろいろ含めますと二千万はかかる、年間、二千万以上はかかっているということなんですけれども、これが結局お薬代に全部含まれちゃうわけですね、宣伝費その他として原価に含まれてくる。それを、高い薬価がついて、その高いお薬に国民が出した税金とか保険料を使われるということになるんで非常にやっぱり問題があるだろうと思うんです。そういう点で一層の御指導をお願いしたいと思います。
 さて、またちょっと細かいことを二つほど言っていきたいんですが、流通改善によりまして医療機関の経営が苦しくなったと。要するに、安く買えたお薬が余り安く買えなくなったんで苦しくなるわけですが、これは大体お薬の購入額について五%上がったというのが大方の病院団体等の報告であります。五%というと、三〇%が薬代として一・五%。パーセントにすると少ないようですが、やっぱりこれは大きな額なんです。これが病院の経営悪化に非常に大きく結びついていることは間違いない。まず人件費のアップ、次にこの薬が安く買えなくなったことだという嘆きを聞きます。こういう流通改善をやっていくこと自身は私はいいと思うんですけれども、余り急激な変化には現場はなかなか耐えられないんですね。こういうことを指導し、やるからには、やっぱり厚生省としては行政責任において何らかの手当てもしなければならないと思います。
 そして、もう現場からは、診療報酬の改定は二年に一遍ではなく、緊急に部分的にでも変えてほしい、してほしいという要望が随分来ておりますし、私のもとへも来ております。私は、これしか今方法としては思いつかないんですけれども、厚生省として正しい流通にしていく過程で起こるこういう一時的な問題を解決するために、診療報酬の緊急是正をやる気があるのかないのか。あるいはないとすれば、ほかに何か医療機関の経営を支えるための方策を考えているのかどうかお尋ねしたいと思います。
#30
○政府委員(古川貞二郎君) 医療機関の経営状況につきましては、昨年の四月に診療報酬改定を行いまして、その効果によって改善されているというところも次第に出てきているということも聞いておりますし、一方で、ただいま先生がお話しのように、この薬価差益の減少とかあるいはコスト、人件費を中心とするコストの上昇ということによりまして厳しい状況が続いているという、そういった声もあるということも私ども実は承知しているわけでございます。
 診療報酬の改定については、御案内のように、従来から医療経済実態調査を実施して医療経営の実態を把握して、物価、賃金の動向とか医療を取り巻く諸状況を総合的に勘案するということをして、中医協の御意見、御審議を踏まえて、全体として健全な医療経営が確保されるというふうなことで努めておるわけでございます。ことしも実は六月に医療経済実態調査を予定しておりまして、こういった点、先ほどの御指摘の点等も十分に念頭に入れまして、中医協の御審議を踏まえて、私どもとしては、良質な医療が確保されるというふうに、医療機関の健全な経営が確保されるように、そういったことで適切に対処してまいりたい、かように考えているわけでございます。
 緊急に今すぐどうするということでは考えていないわけでございます。
#31
○今井澄君 大病院は若干いいかもしれませんけれども、中小病院は非常に苦しいというふうに言われていますし、それに、この中小病院というのは、地域における医療、一般医療及び救急医療を担っている重要な病院が多いんです。やはりそういうところに対しては何らかの臨時的手当てもしながら、こういう正しい流通改善の方向を進めていただきたいと重ねて要望します。
 今の問題は小さな問題じゃなくて大きな問題でしたが、次にちょっと小さな問題を申し上げますが、この流通改善とかMRの正しいやり方、最近プロモーションコードを製薬協が出したり、金銭授受に関するいろいろな公正競争規約を出したりいろいろ努力しているようですが、関西方面でのあるマスコミのすっぱ抜きによりまして、医療現場で混乱が起こっているわけです。
 それはどういうことかというと、医者が文献を勉強する、あるいは目の前にいる患者さんを治療するために緊急に文献を手に入れたいという場合に、従来はどうやっていたかというと、いわゆるMR、プロパー、薬屋さんに頼んでいたわけです。そうすると、薬屋さんがすぐにその医者の欲しい文献を探して、コピーをして届けてくれていたわけです。確かにこのことは、考えてみますと必ずしも正しいことではない。それは医者が自分の責任において、あるいは自分がお金を払ってやるべきことであるというのはまさにそのとおりだと思うんです。そういうことも今後適正化していかなければならないだろうというふうに思います。
 さらに、医者の立場でこんなことを言ってしまうと問題かもしれませんけれども、例えば学会、日本には医学会、研究会が二千とか三千とかあると言われておりますが、ほとんどこれが薬屋さんや、最近は医療器械メーカーのスポンサーシップで成り立っているものだ。医者がそれに何か発表するためには文献をたくさん集めて調べなきゃならないんですが、その文献も全部薬屋さんに依存する。発表するときのスライドをつくると、一回分十何万円のスライドも全部薬屋さんにお願いする、一回分十万円だということで。日本の医学というのは薬屋さんのおかげで成り立っているというふうなことがありまして、これは問題だと言えばまさに問題だろうと思いますね。学会の方もそういうことに気がつきまして、ことしの秋には消化器系の六つの学会が共同でやって、経費の節減を図ってメーカーに頼らないようにするという改善も行われてきて、非常にいいことだと思います。
 この文献の問題もそうなんですね。医者が自分の責任において自分が金を払ってやるのが、これが当たり前の方法だと思います。しかし、必ずしもそういかないんです。きょうは実は、科学技術庁、文部省も来ていただいてその点をお聞きしようと思ったんですが、ちょっと時間の関係があって、きのういろいろお話を聞いただけできょうはここへ来ていただいておりません。
 医者が非常に忙しい毎日の中で、特に文献を必要とする医者ほど忙しいと言ってもいいと思いますけれども、まずどういう文献があるのかを探すことが非常に難しいんですね。これには検索システムがあります、JICST、科学技術庁の外郭団体になりますが、ここで一応日本の文献をほとんど網羅されて、抄録もあります。しかし、この端末なんていうのは日本じゅうに普及していないんですよ。そしてまた、この利用料が物すごく高いんです。
 例えば、さっき言いましたけれども、高脂血症の患者であるお薬が出ていて、副作用のある患者はどのくらい出ているかということを私が端末を使ってやるとすると、まず一万円から一万五千円はすぐ吹っ飛んじゃいます。その上で、この文献ということを指定して、決めて、自分で図書館へ行ってコピーしてくるか、だれかに図書館へ行ってコピーしてもらうのを頼むんですね。要するに、こういう情報検索システムというのが全然普及していない。それから、たとえ目の前にあっても、使うのに一万円、一万五千円かかれば、これはしょっちゅうなんかできないですよ。特に大学のお医者さんや若いお医者さんは、残念ながら給料をたくさんもらっておりませんので、自分でお金まで払ってやるという環境にないということがあるんですね。これは十分認識していただきたいと思います。
 次に、さて自分の欲しい文献がわかったところで、それは大学の人だったら図書館へ行けばいいですけれども、研究室から図書館へ行くのも結構な時間がかかるんですね。その間も患者さんのそばにいたいという人もいる、いなければならない人もいるわけです。それから、地方の医者なんかにとっては、これはとても文献を自分でコピーになんか行けないわけです。あるいはよその大学にしかない文献をコピーに行くときに、割合閉鎖的なんですね、図書館が。そういう意味では、この文献検索のシステムを早く全国に普及し安く使えるように、これは商売に任せておいちゃだめですから、国策として行政の力でやるべきだと思うんです。
 それから、文献をコピーし、医者の手に早く届けてあげるようなシステム、これを公的に助成するなりあるいは支援するなりしてやることが必要だと思うんです。そうでないと、今現場の医者たちが、急に四月一日から、いや文献はちょっとサービスできないことになりましたと言われて、本当に手探りで現場の医療をやらざるを得ないところに追い込まれております。こういう事態に対して、個別には文部省なり科学技術庁なりということも問題でしょうけれども、厚生省としてどういうふうにお考えか、何かあったらお答えいただきたいと思います。
#32
○政府委員(寺松尚君) 今先生がおっしゃいましたように、そういう検索をやる、あるいはそういう医学を勉強するというようなことにつきましては医師みずからがやるというのが普通ではないか、こういうふうに考えられるわけでございます。医師は生涯研究あるいは研修にかかわるというようなことであって、自分の腕を磨くというのが普通の建前だろうと思います。
 そういうふうなことはさておきまして、それからもう一つ、今先生御指摘のように、今回の医薬品業界からの、持っております公正競争の規約、公正取引協議会でございますか、その中で医療用医薬品製造業の公正取引協議会の委員長名の通知なんかがございまして、今の文献のいわゆる提供等についていろいろと指示されましたのが四月の初めというふうに聞いておりまして、それから日がたっていないこともございましょうが、私どものところに今先生ちょうど御指摘のようなことがまさに来ているわけではございません。そういうこともございますので、私ども、今先生が具体的な対策は何かあるか、こういうようなお話でございますが、特別今考えているわけではございませんが、関係者等々からいろいろその実情を聞いてみまして、何かいい案があるのかどうかこれは勉強させていただきたい、このように思っております。
#33
○今井澄君 もう多くを申し上げませんが、確かにいろいろまだ不透明なものがあるのをたださなければならないということと、現場の医療がスムーズにいかなければならないということとを調整していくのがやっぱり厚生省だろうと思いますので、片方だけに偏ったような、あるいは大きな弊害を生むような手法についてはぜひお考えいただきたいと思います。
 さて、日本でもようやく、だんだんいい研究も行われるようにはなりつつあるということで医薬品に関する研究開発費もふえているということですが、一九九〇年度には五千百六十一億円が日本の製薬産業で使われている医薬品開発費だ。一方、同年度の老人保健福祉サービス給付費は五千七百四十九億円なんですね。今、高齢化が非常に大きな問題となってゴールドプラン等が進められているわけですが、それに使われているお金と、日本で医薬品開発に使われているお金がほぼ同じなんです。そして、国民医療費の中の約三〇%、約六兆円から七兆円がお薬に使われている。余りにも医療と福祉のアンバランスということを私はこの数字の中から感じざるを得ませんし、しかもいい方向に向いているとは言っても、まだこの開発費は、似たような薬を次々と開発して前の薬が下がった分を埋め合わせするためにやられているということでは、国民は本当にやりきれない気持ちだと思うんですね。むだなところにお金が使われている、あるいはむだなお金の使われ方をしている、大事なところにお金が十分回ってきていない、こういうふうなことだと思います。
 一方で、例えば、これは厚生省の方でもいろいろ言っておられると思いますが、入院医療管理科病院、老人病院のこういういわゆる定額制の病院では、お薬の使用量が三分の一に減って、一方、介護がふえて、かえってお年寄りは薬を飲んでいたときより元気になったというふうなこともある
わけで、今この薬の使い方とか薬のあり方とかいうことについて非常に反省しなければならない点があるだろうと思うんですね。そういう点で、やはりこれまでの厚生省の業務行政というのは何かむだなところに高い値段を、むだなところにと言ったらいけませんけれども、用もないのに高い値段をつけてお薬がたくさん使われるとか、あるいは研究開発を正しい方向に進めるよりは、とにかくとりあえず値下げをされた薬の穴埋めをする薬を開発するためにこれだけの研究開発費を使うというふうなものしかもたらしてこなかったというふうに考えます。
 そういった意味で、やはり業務行政を中心とした、あるいは保険行政も含めて、厚生省としては今大きな反省をして、これから流れを変えていかなければならない時点に来ているというふうに私は考えますが、この点、厚生省のお考えはいかがでしょうか。大臣の御答弁をお願いしたいと思います。
#34
○国務大臣(丹羽雄哉君) 本格的な高齢化社会を目前に控えまして、時代の要請にこたえるべく、厚生行政の推進に全力を挙げていくことをまず申し上げる次第でございます。
 ただいま業務行政につきましては御指摘がございましたように、今回の薬事法の改正を契機にいたしまして、医薬品の品質、有効性及び安全性の確保に努めつつ、新薬の研究開発を促進し、あわせて、先ほど先生から御指摘がございましたような医薬品の適正な使用を促して、国民の真の意味での保健衛生の向上を図るように努めていく決意でございます。
 また、全般的なお話についての御質問でございます医療行政につきましては、今後の高齢化社会において、医療費の国民負担が過大とならないように配慮しながら、医療機関の健全化を確保し、引き続き、我が国は大変世界の中でも冠たる医療サービスというのが行われておるわけでございますので、これを継続維持し、発展させていく決意でございます。
#35
○今井澄君 どうもまだ今進んでいるというか、これまでの業務行政を中心とする厚生行政がどういう弊害をもたらしあるいはむだを生じてきたかということについてもう少しやはりきちっとした反省と申しますか、認識の上に進んでいただきたいと思うので、必ずしも満足できないんです。その点でちょっと関連いたしまして、先ほども申し上げましたように、かなりむだなと言ってはなんですけれども、本当にいいお薬をつくるためだけではないことに五千何百億もお金が使われている。まあこれ使うこと自身はいいと思うんですけれども、反面、老人福祉にも同じぐらいしか使われていないという、こういう非常に貧弱な日本の老人福祉行政というのが数字の上からもあらわれていると思います。
 その老人福祉行政のことに関連してちょっとお尋ねをしていきたいと思います。
 これは薬事のことから離れるんですが、やはりこれは厚生行政の責任性の問題にもかかわることですし、もう一つは、去る三月二十五日の衆議院厚生委員会における外口玉子議員の質問に対する老人保健福祉局長の御答弁がどうなっているか、そういうことにも関係するわけです。
 実は、この四月一日付で総務事務次官から厚生事務次官あてに、シルバーサービスに関する調査を実施するという通知が出ているんですね。これは有料老人ホームのことです。有料老人ホームの運営等老人ホームの問題について、その監督官庁である厚生省の担当部局、それから都道府県の担当部局、そういうところを監査する、あるいは現場の有料老人ホームを調査するという通知が四月一日付で出ておりますが、どう対処されるつもりなのか。
 またもう一つは、その外口玉子議員の質問に対しての局長のお答えもそういう意味があると思うんですが、全国有料老人ホーム協会、これは厚生大臣許可の社団法人ですが、ここで入居したい人に対する案内のパンフレット「輝」というのを出しているわけですね。これは平成三年の十一号で古いものですが、これは改訂中なんですが、この古いものには、厚生省がちゃんと指示した有料老人ホームの六類型、要するに最後までお世話をします。あるいは寝たきりになったら出ていただきますとか、そういうことを表示しなければならないとなっているのにこれは表示していないんですよね。表示していないだけではなく、ある意味では非常にたちが悪いと言ってもいいのは、自分たちで勝手に決めた類型を書いているんですね。
 こういうものは変えなければならないということで外口玉子議員が御質問をしたと思うんですが、これはまだできていないと。きのうちょっと関係者にお聞きしたら、きのうかきょうのうちに印刷が上がるとお聞きしたんですが、まだ私の手元に来ていないのでどうなるのか、そういうことについてお尋ねしたいと思います。
 基本的なことは、有料老人ホームというのが厚生省の高齢化対策の一環としての民間活力の利用であるということで推奨されてきているわけですが、入るときと、入ってみたら条件が違うじゃないかということで消費者被害が随分出ているわけであります。私の地元でも、山の中から静岡県の有料老人マンションに田畑を売り払って行ったところが半年で帰ってきてしまったという御夫婦がいまして、帰ってきても住むぼろい家だけが残っていてもう田畑も何もないという悲劇もあるわけであります。そういう意味からいうと、やはり厚生省が民活をやる以上消費者を保護するという政策をきちっとやらない限りこれはだめだと思うんですね。
 そういう意味で、先ほども言いましたが、日本の製薬企業の研究開発費と同じ額しか老人福祉に使われていないということ自身が問題だと思いますけれども、どう充実していくのか、特に消費者保護の観点から、有料老人ホームの問題、この六類型の表示の問題についてはどういうふうにその後進行しているのか、それから総務庁行政監察局の監査というのはどういうものとして受けとめているのか、その点についてお尋ねしたいと思います。
#36
○政府委員(横尾和子君) 有料老人ホームの位置づけでございますが、私どもは、基本的な高齢者保健・福祉のサービスというものは公的に支えていくことが原則であるとしながらも、今後のさまざまな国民のニードにこたえていくためにはこういった有料老人ホームの存在ということも大きな役割を果たし得るのではないか。もちろん、その提供されるサービスが適正なものであるということが前提ではございますが、そのように位置づけているところでございます。そのために、これまでも有料老人ホームにつきましては指導の強化を図ってきたところでございまして、その一つに御指摘のございました、特に介護機能に着目した有料老人ホームの類型を明らかにする等適切な情報の開示ということを求めているところでございます。
 外口玉子議員から御指摘がありましたのが三月二十五日であったと存じますが、私は、戻りまして、直ちにこの団体に対しまして適正に記載をするようにという指示をいたしました。そのときに、既に印刷に取りかかっておりましたものがございまして、どうもそれについてはもう改正をすることが難しいということで、十三号になるそうですが、十二号からはきちんとやりますということで、十二号には盛り込めなかったことを御報告申し上げます。ただ、十二号というものが提供される際に何らかの形で誤解がないような手段をとるように改めて検討させているところでございます。
 また、総務庁の通知でございますが、これは有料老人ホーム等についての行政監察を行うという旨の通知でございますので、しかるべく私どもとしても協力をしてまいりたいと考えております。
#37
○今井澄君 その点については、つい最近の四月十一日号の社会保険旬報の中でも滝上宗次郎という人が、この人は自分でも有料老人ホームを経営している人ですが、やはり厚生省がこの間、老人福祉法改正以降きちっとした指導義務があるにも
かかわらず十分してこなかったということを指摘しているわけで、そういう点も踏まえて、行政監察もあるいはそういうことに関係があるのかないのか、なければいいのかもしれませんけれども、一言申し上げておきたいと思いますが、よろしく御指導をお願いいたします。
 さて、ちょっとわき道にそれましたが、本題のお薬の問題にまた戻りますが、お薬というのは基本的に副作用があるものだという認識を持たなければいけないと私は思っております。副作用のない薬というのは逆に言うとあり得ないわけで、副作用は必ず出ると。ところが、その辺の認識が、残念なことに日本の国民の中では全く副作用のない薬があるかのような夢を持たれているのが医療現場でも困るわけですし、またそれは行政でも大変困ると思うんですけれども、この辺についてはやはり厚生行政の役割というのが非常に大きいと思うんです。
 というのは、やはり薬というのは人体に対して外部から強制的にある力を加える作業である、したがってそれは何らかの副作用をもたらすというこういう認識を、これはもちろん医療現場の人たちや製薬企業は持っていると思いますけれども、国民の中になかなか浸透していない面があるんで、これについては責任を持ってやっていかなければいけないだろうと思うんですね。その点、やはり厚生行政に責任があるということを一点申し上げたい。
 もう一点は、これはそういう行政をつかさどっている以上副作用が出たときには、不可抗力の副作用とかあるいは急いで救済しなければならない副作用があるときには、これはやっぱり当事者だけではできないわけで国が必ず責任を持たなきゃならないわけですね。したがって、国の責任というのがあるわけですが、国は間違うことをしないという神話というか前提がありまして、必ず国は裁判で争っちゃうということがありまして、副作用の被害の救済などがおくれるということがこれまでも間々あったわけであります。ですから、国の立場としては、国民にも十分理解してもらうことを一方でやるとともに、副作用が起こったら必ずそれが広がらないように、被害が最小限にとどまるように即座に動いていくということが必要なんだろうと思います。
 そういう点で、医薬品副作用被害救済基金というのがつくられて運用されてきていることは、そういう趣旨に沿ったものだと思って高く評価するわけですが、しかしまだこの基金の存在がよく知られていないということがあります。そのために、救済されるべき人がこの基金の恩恵にあずかっていないということが大変ありますので、この辺を十分に国としてはやっていただきたいと思いますし、もう一つの問題は、今度新しい事業が機構改革とともにこの機構に追加されるわけですが、ともすると人数の多い部局にだんだん仕事の主力が移ってしまうということのないように、あくまでもこの機構は法改正があった以降も医薬品被害救済が主なんだということ、このことにより力を入れていくということが大事だと思いますが、その辺についての御見解、御決意をお願いしたいと思います。
#38
○政府委員(岡光序治君) 御指摘のように医薬品救済基金につきまして、制度につきましての広報、これは重点的にやらなければならないと思っております。政府広報なり、医師、薬剤師等のそういった方々向けの雑誌に制度を紹介するとか、いろいろな手段を用いまして広報の充実に努めたい考えでございます。
 それから、もう一点の御指摘がありました、この基金に新しい調査業務をお願いしょうと思っておりますが、この業務は今までの業務とはまるっきり会計区分を別にいたしますし、組織も別でございますし、人員も新たに置くことにしております。そういう意味では、従来やっております救済業務に影響が生じないようにこの副作用被害救済ということが早急になされるように、そういうことについては念の上にも念を入れたいと思っております。
#39
○今井澄君 多少時間が余りましたので、オーファンドラッグのことについてまた戻ってちょっとお尋ねしたいと思います。
 今回、研究開発費が、オーファンドラッグというふうに認定されますと研究開発費の税額控除六%というふうに聞いておりますが、アメリカでは、この研究開発費のうちの臨床評価試験費用の五〇%が税額控除になっている、こういうオーファンドラッグ法があるわけです。製薬企業の方に聞きますと、これは六%ではメリットがない、余り進めるあれにならないというふうな感想があるんですが、この辺については厚生省はどうお考えか。また、この税率、控除率を上げていくようなことについても検討する余地はあるのかどうか、お尋ねしたいと思います。
#40
○政府委員(岡光序治君) 確かにアメリカと税額控除の率は違っておりますが、税制の違いなんかがありますので直ちに横並びということは考えられないのではないかと思っております。今回のこの税額控除率は、どういうふうに設定されたかということでございますが、従来から増加試験研究費の税額控除の制度がございますが、それにつけ加える形で考えたわけでございます。
 従来存在しておりました中小企業の試験研究費に対する税額控除制度であるとか、あるいはメカトロ税制の税額控除であるとか、それからこのたびあわせて新設をされました民間の研究所と公の研究所が共同研究する場合の税額控除であるとか、そういったものにつきましては、いわば税額控除率横並びで設定されました。その率が六%ということでございます。そういう意味では、税制というのはやはり横並びの公平性というか同じ扱いをするという一つのルールを持っておりますので、この税額控除率が設定されたというふうに理解をしております。
 私どもは、この税額控除だけで事柄が進むのではない、医薬品基金によります助成金の交付であるとか、相談指導業務であるとか、私どもの方に参りました際の優先審査であるとかあるいは再審査期間の延長であるとか、こんなもろもろの施策を合わせて、必要なオーファンドラッグの開発に対するインセンティブになるのではないだろうか、こう理解をしているわけでございます。
#41
○今井澄君 オーファンドラッグについては、厚生省の方でも、今回に限らずもう以前から御認識があったようで、一九八五年六月には業務局関係の三課長通知で、希用医薬品の製造や輸入承認申請についての添付する資料の簡素化というふうなことでやってこられていると思います。
 その後、いわゆるオーファンドラッグに当たるようなものが、こういった通知に基づいて審査承認されたのが大体二十八種類ぐらいあるというふうに私は聞いておりますが、大体それでよろしいのかどうかということと、その中で、異型高フェニルアラニン血症という非常に珍しい病気に対する治療薬をサントリーが開発して、ビオプテンという薬ですけれども、何か十八人しか対象者がいないということなんですが、サントリーが開発に要した費用とか期間を大体どう認識しておられるのか。また、サントリーさんがこんな十八人しかいない人のための薬を開発した動機は何だったのか。企業としては大変だったことだろうと思うんですね。その辺、厚生省の御認識を明らかにしていただきたいと思います。
#42
○政府委員(市川和孝君) 最初の点でございますが、一九八五年に業務局関係で三課長名で通知を出したわけでございまして、先生お話しのように添付資料の簡略化等の措置をオーファンドラッグについては講じたわけでございます。現在までに、これによりまして承認されましたものの数は、御指摘のとおり二十八成分でございます。
 それから、その中に今お話の出ましたビオプテン、成分名は塩酸サプロプテリンというものでございますが、これは非常に特殊な高フェニルアラニン血症に使う薬ということでございますが、このものにつきましては、昭和五十五年度から厚生省の新薬開発研究事業として開発研究がスタートしたものでございまして、当時よりサントリー株
式会社もこの研究班に参画をしておったということでございます。もともとは、パーキンソン病などにも効くのではなかろうかという着想のもとでスタートしたわけでございますが、なかなかそちらの方の実証には結びつきませんでした。
 こういった過程の中で、このものについては、代謝過程などを研究しました結果今申し上げました高フェニルアラニン血症への効果が期待され、またその研究を行ったところそういった効果が実際にもあらわれた、こういうことでございます。なお、これに要しました企業の開発費用は三十五億円程度であったというふうに聞いております。
#43
○今井澄君 やっぱり医薬品というちょっと特殊な製品をつくる以上、製薬産業というのは一般の産業と多少違う面もあると思いますので、また苦労もあると思うので、ぜひその辺は積極的に指導あるいは助成をしていかれるといいと思うんです。
 その中で、今回の法案の中では、あるいはそれに付随して製造業者間の共同研究開発のことは触れられていないと思いますし、国際協力のことも余り触れられていないと思うんです。特にエイズの薬なんかについては、国際協力が必要だと思いますし、またマラリアの薬もオーファンドラッグとしてこれまで一応進められてきたと思いますが、マラリアというのは国際的には希少疾病ではないわけです。これも国際協力が必要、あるいは協力というよりは、日本の技術力と資金力をもって国際貢献をする上でも、こういった開発途上国における医薬品の開発や供給というのは非常に大きな役割があるんではないかと思いますが、その辺についてはいかがお考えでしょうか。
#44
○政府委員(岡光序治君) おっしゃいますように、オーファンドラッグにつきましても開発企業が重複するような場合には共同研究を進めたいと思っております。もちろん国際的な共同研究もこの際考えていきたいと思っております。
 それからもう一点の国際協力に関しましては、現在エイズの医薬品開発につきましては、諸外国の研究者を日本に招聘するなり、日本の研究者を派遣するなり、それから共同研究をやっておりますし、こんなふうなことで、やはりWHOとの連携も考えながら、国際協力のそういう分野の中で研究開発の共同作業というのを進めていきたいと考えております。
#45
○今井澄君 いずれにいたしましても、これは一企業、業界だけに任せておけないことですので、今回の法案の改正の趣旨に基づいて、厚生行政、業務行政として十分画期的新薬の開発等に向けて取り組んでいただきたいと思いますが、先ほど繰り返し申し上げましたように、これが非常にゆがんだ形で国民医療に被害を及ぼしたり国民医療費に圧迫を加えることのないように今後とも一層の注意をお願いしたいと思いますし、一部に製薬業界と厚生省の癒着があるんではないかなんということを疑われることなどないように、ぜひ先ほどから申し上げている点をお願いして、質問を終わりたいと思います。
#46
○横尾和伸君 私からは、まず、従来のオーファンドラッグの行政的な面での対応について御説明をいただきたいと思います。
#47
○政府委員(岡光序治君) 昭和五十四年から新薬開発推進事業という事業を実施しております。そして、オーファンドラッグの候補物質を選定いたしまして、官学産協同の研班をそれぞれ編成いたしまして研究を進める、それに対する助成を行ってきております。
 それからもう一点、審査の関係につきましてですが、昭和六十年に通知を出しまして、外国データを利用することが可能である、それから臨床試験における症例数の簡素化をする、通常の医薬品の承認をする場合の症例数よりも少なくてよろしい、それから安定性試験というものもやらなければなりませんが、要するにこれは製剤化したときにそれがちゃんと安定したものであるかどうかという品質面での試験データでございますが、それは後日提出してもよろしいというふうなことで非常に便宜を図りまして、オーファンドラッグができるだけ速やかに開発されるようなそういう措置をとっているところでございます。
#48
○横尾和伸君 今回の法改正は、時期的に決して早いとは言えないかもしれませんけれども、ある意味で私は行政的な対応が迅速に図られた一つの例として評価できるのではないか、こう思っております。
 というのは、今回の法改正のもとになっているのが去る二月に出された二十一世紀の医薬品のあり方に関する懇談会の中間報告だと伺っておりますけれども、この検討が始められたのが昨年の十月だったと聞いております。また、その前に、今年度のこの法改正に該当する予算措置をされたのも昨年の夏からだと思います。その前にずっと十数年の歴史があるというお話を今伺いましたが、今回の法改正の具体的な一つのきっかけになったのが、昨年の三月二十六日ですけれども、厚生委員会におきまして木庭議員が質問をしております。
 御当人を前にしてちょっと気恥ずかしい面はありますけれども、事実ですのでちょっと一部読み上げさせていただきたいと思います。平成四年の三月二十六日の厚生委員会ですけれども、木庭議員の質問を読み上げますと、
  こういう少人数のための薬というのは、私もちょっと聞きましたら、民間企業はとても採算に合わずに敬遠されて、いつになっても開発されないというようなことを聞きました。中略、本当ならば新薬を開発するのは百億、百五十億ぐらいかかるんだそうですけれども、そういった問題に国としても取り組んでいく、そして世界に対してもそういうものが貢献できる、しかも少数の患者さんたちにとっても一人の人権を守るということにもつながると思います。
 これに対する大臣の見解を伺って終わりたいと思います。
こういう質問に対しまして、当時の山下厚生大臣のお答えは、
  そういう現在の企業における新薬の開発の状況でございますから、オーファンドラッグというんですか、こういうものは国が関与してやらなければできないと思うんですね。中略、製薬会社がそれぞれやってくれておりますけれども、採算ベースに乗らないといえども、これは国家、社会のためにやらなきゃならぬというときはさらに国が製薬事業についても直接力をかしてやらなきゃならぬと思っております。
こういうお答えでした。
 私は、こういうことをきっかけに、もともと厚生省の中での高い認識があったということがベースでございますけれども、こういった質問に対して、その後恐らく即座に予算要求の検討を始められて、夏の厚生省の予算、そして十月からの懇談会の対応、そして二月にはその中間報告を出して、また法改正に持ってこられた。大変迅速で、気持ちのいいぐらい迅速に対応されている。内容は必ずしも十分かどうかという面はともかく、大変行政的に、このオーファンドラッグ対策として法律的な裏づけをもって新しい流れをつくるという意味で、大変私は評価に値するのではないかこう思っている次第でございます。
 そこで、こういった流れを踏まえて、改めて今回の法改正の趣旨について大臣から御説明をいただきたいと思います。
#49
○国務大臣(丹羽雄哉君) 近年、国民の医薬品等に対するニーズが大変多様化いたしておるわけでございますが、その一方で、医薬品産業においてもいわゆる新薬の開発により多くの資金がかかる、こういうことでありますし、また、資金のみならず大変な月日を要する、期間が必要とされる、こういうことになってきておるわけでございます。
 ただいま横尾議員から、木庭議員の質問の御披瀝があったわけでございます。まず、その問題提起をされました木庭議員の先見性に対しましても敬意を表するわけでございますけれども、このよ
うな中でオーファンドラッグにつきましては医療上必要性が高いにもかかわらず研究開発が十分になされておらない、こういうのは事実でございます。このため、これらの研究開発を促進することなどによりまして医療上必要な医薬品を一日も早く医療の場に提供する、こういうことが求められておるわけでございます。
 今回の措置を講じまして国民の保健衛生のさらなる向上を図ることができる、このように確信をしている次第でございます。
#50
○横尾和伸君 厚生省の是々非々の対応について大変評価いたしたいと思います。
 次に、この内容に入りますが、希少疾病用というその希少という対象を国内に絞っているわけですけれども、一方では、二十一世紀の医薬品のあり方に関する懇談会の中間報告を見ますと、この中間報告は、大変国際的な視野に立った施策といいますか、そういう視野に立ってオーファンドラッグについても位置づけておられるものだと思います。
 例えば中間報告の中には、「世界の患者に必要な新薬を早く届けるため」という表現とかあるいは「世界的な視野に立って」云々、あるいは提言の中でも、提言の副題に「良い薬を早く世界の患者の手に」、こういうぐあいに大変国際的な視野に立っているという中でのオーファンドラッグの位置づけがなされております。
 しかしそれにもかかわらず、先ほど申し上げましたように、希少云々という希少の中に対象者を国内の五万人に絞られている、国内に限ったという理由がよくわかりません。この点について御説明をいただきたいと思います。
#51
○政府委員(岡光序治君) 今回のオーファンドラッグの開発促進措置につきましては、国内で難病患者などがいい薬がないということで非常に苦しんでいらっしゃるわけでございまして、そこに必要とする医薬品を供給したいというところに焦点を絞っているわけでございまして、そういう意味で国内における対象患者数というのを一つの判断基準にしたわけでございます。
 仮に世界の患者を念頭に置いた場合には、実は患者数の把握が非常に難しゆうございまして、WHOなんかに尋ねましてもなかなかそこの辺は正確な数字がございません。かつまた、アメリカのオーファンドラッグ法におきましても国内患者を念頭に置いておりますので、そういったことを私ども参考にしながら、判断基準としては国内の患者数を念頭に置いたわけでございます。
 なお、世界で医薬品を求めておる患者たちに医薬品を届けるという、そういう国際貢献、国際協力の問題はまた別の問題ではないだろうか。私ども、一つ医薬品の世界で進めておりますのは、医薬品を承認する場合にできるだけ同じようなデータで承認をしていこうではないかという、日本とアメリカとECとの間で定期協議を持っておりまして、いわば国際的な基準をめぐるハーモナイゼーション、調和を図ろうという動きをしております。そういう意味では、そういった作業が進んでまいりますと、日本で開発されたものがアメリカ、ECでもそのまま承認されるというふうなことにつながっていく可能性があるわけでございまして、審査制度におきましてはそういうことをする、他方では国際協力という観点から必要な措置をする、こういうことを進めていきたいと思っております。
#52
○横尾和伸君 今の点については理解ができました。
 また、ちょっと変わった観点からお答えいただきたいんですが、省令で定める予定になっている五万人以下、この五万人以下が仮にゼロ人だったらどうなるのか。全くのゼロというお話を聞いているわけではなくて、実は例えば外国で既にそういった例がある、いずれは日本にも防ぎようがなく入ってくるだろうということが十分に予測される場合、しかしその日本人の対象となる患者はいない、そういう場合には、やはり今の御提案された制度ではそれは対象として見ないということになると思うんです。
 一方では、現実のことを考えますと、薬の開発というのは十年百億という言葉をよく聞きますけれども、やっぱりそういう単位で考えるぐらい大変だ、こういうことだと思うんです。つまり、国に入ってくるのがかなりの確度で予測されて、しかもそれには時間がかかるという場合に、入ってくるまで待っているというのは何か非常に現実離れしているのではないか。むしろ、それがわかったら、この制度がいいのか、あるいは別の制度をつくるのか。
 いずれにしても、こういったオーファンドラッグに対応するようなものを、たまたま日本人に、日本国内に患者がいないからといって飛びつかない、あるいは対応しないというのはおかしいんではないかと思うんです。そういった意味で、五万人以下であって潜在的なゼロですね、というのはどういう対応をされるのか、お伺いしたいと思います。
#53
○政府委員(岡光序治君) 原則論を申し上げますと、国内における患者がいないという、そういう段階では、原則論としましてはこのオーファンドラッグとして指定をするということはやはりできないのではないかと思います。
 しかし、先生おっしゃいますことは非常にわかるわけでございまして、それに対しては別の対応をせざるを得ないのではないだろうかと思っております。
 つまり、学者を派遣して共同研究をするとか、あるいは向こうの学者に来てもらってこちらで一緒に開発、勉強してもらうとか、それからWHOの活動なんかに参画をすることによってそういったものの開発を促すことにこちらも寄与するとか、そういう方法をとるべきことではないだろうかと思っております。
 つまり、オーファンドラッグの開発ということといわば国際協力という切り口の違いではないのかなと思っておりますが、おっしゃることはよくわかりますので、将来の展望をよく踏まえた上で柔軟な運用を図っていきたいとは考えております。
#54
○横尾和伸君 ぜひともこの制度でなければいけないという限定した考えは持っておりませんが、そういったものに対する、今回の制度の趣旨で、今申し上げたようなたまたま日本ではゼロだけれども、というようなことも余りしゃくし定規にとらえずに、実態重視で今後とも対応していただきたいことを要望しておきます。
 次に、これも一つの場合で、小さな話かもしれませんけれども、一定人数を五万人としましたが、指定後に助成によって開発促進策が講じられている場合、それが例えば三年後に五万人を超えたというようなときには、そのときの措置といいますか基本的な考え方をお尋ねしたいと思います。
#55
○政府委員(岡光序治君) 指定をした後に対象患者数が五万人を超えたというふうなケースについての御指摘だろうと思いますが、私どもは、その段階で直ちに指定を取り消すということはしない方がいいのではないだろうか。やはり、その製品の持っております性格を考えて、何かこういう支援策を講じた方がより迅速に患者に適切な医薬品が提供され得る、しかもその疾病は非常に重篤であるというふうな状況でありましたら、指定を取り消すというのはまずいのではないか。やはり、医療上の緊急性、必要性を十分配慮した上で対応していくべきではないだろうかというふうに考えております。
#56
○横尾和伸君 次に、また違った場合のことをお伺いしたいと思うんですが、医薬品機構による開発助成の希望がもし多数集中した場合、例えばある医薬品がもう一押しだ、あるいは見込みがある程度つくというようなことになった場合には、これは研究段階からお墨つきをもらうことになるの、で大変なメリットになる。そう考えたときに、製薬会社としては相当な力を傾注してこの助成を得ようとするのではないかと予想される面があるんですが、もしそういった形で例えば四社、五社、数はちょっとよくわかりませんけれども、相当数
の研究者、研究機関が殺到した場合に、原則的にはどう対応されるのか、お伺いしたいと思います。
#57
○政府委員(岡光序治君) 私ども、この法案を出すに当たりまして、有力なる医薬品メーカーにオーファンドラッグ開発の情報を求めたのでありますが、余りそんなにはないようでありますけれども、今先生の仮のお話ということであえて御答弁を申し上げますが、私どもは率直に申し上げまして、このオーファンドラッグの指定をするときには、中央薬事審議会でその意義につきまして意見を聞くことにしております。したがいまして、複数同じようなものが出てきた場合に、優先度の高さというものがやはりおのずとあるのではないだろうかと思っております。もちろん同じようなものであれば、むしろ共同研究を提案した方がいいだろうと思いますが、そういう同じようなレベルではないけれども、今おっしゃいましたように、一つのいわば位置づけを求めるためにわっと出てきたというふうなことがあった場合に、やはり医療上の必要性ということを主眼目にしながら、その優先度の高いものを選んでいくということにならざるを得ないのではないだろうかと思っております。
#58
○横尾和伸君 アメリカでは、約十年前にオーファン・ドラッグ・アクトが制定されて、もう既に円滑かどうかわかりませんけれども動いている。たまたま今手元にある資料では、一九九〇年なんですが、アメリカの国家予算としては千四百万ドル、十六、七億円ぐらいに相当すると思いますけれども、という予算をとって対応しているわけです。
 日本がそのまままねする必要はないんですが、日本の場合は十分の一強、二億円からスタートをするということなんですけれども、この二億円という額について厚生省では、いわゆるスタートとしてとりあえずということなのか、あるいは今後ともこの額でいくということなのか。もちろん情勢によって変わってくることはわかりますけれども、現時点での基本的な評価といいますか考え方をお伺いしたいと思います。
#59
○政府委員(岡光序治君) 私どもは、結論から申し上げますと、状況に応じて必要な額の確保を図りたいと考えております。二億円でとどめるつもりはございません。
 考え方といたしましては、いろいろな候補物質の中からこれがどうも薬として成立しそうだという見当をつけるわけでございますが、それは動物実験の段階でおよそ見当がついてくると思います。ですから、指定が行われるのは、この物質がこの病気にどうも効果がありそうだというのがおおよその段階でわかってくる、その段階で申請がなされると思っています。それは動物実験に入った段階ではないかと思います。したがって、指定後の動物実験に要する費用とそれからその後の人に対する臨床試験に要する費用、これを対象にいたしまして助成をしたいと考えているわけでございます。
 先ほど申し上げましたが、この法律案を考えるに当たって、いろいろ企業から情報をとりましたが、十年かかってやはり二十億とか三十億を要しているようなものもございますし、それから、既に外国にあるものでそれを日本に持ち込みまして日本で開発をしたというケースもございまして、それは余りお金がかかっておりません。そういうことで、物によって非常にばらばらでございます。
 私ども、おおむねの見当としましては非常に大ざっぱですが、今年度においては恐らく五億から十億ぐらいのトータルの今申し上げました動物実験の経費と臨床試験の経費になるのではないだろうか、それを念頭に置きまして、大体各社そういう経費の半分相当、おおむねの見当としては半分相当を助成したいなと考えたわけでございます。
 この法律の施行をお願いしておりますのは十月でございますから、いわば半年分でございますので、それで計算いたしまして二億という金を要求をしてこれを予算として計上させていただいておる、こういう中身でございます。そういうことから考えますと、申請のぐあいに応じまして、やはりそれぞれの品物に要する研究開発費には濃淡ございますが、そういったものを予想しながらまた翌年度の予算要求をしていく、こういうふうな展開にならざるを得ないのではないかと思っております。
#60
○横尾和伸君 半年分として二億円でスタートするというお考えを伺って、少しゆとりといいますか、安心というほどではないんですけれども。ということは、平成六年度の予算要求はまずこの倍という考え方からスタートするのだろうと推測いたしました。
 次に、副作用の点についてお伺いしたいんですけれども、独占的な地位を確保するために再審査期間を六年から十年に延長するということですが、この裏には延長によって副作用等の発見が、すなわち再審査のチェックの期間が長引くわけでして、そのために副作用等の発見がおくれる可能性が高まるのではないかという心配があるんですけれども、それに対する対策は考えておられるのかどうかお伺いいたします。
#61
○政府委員(市川和孝君) 通常、新医薬品は、承認されますと御指摘のように通常六年再審査期間ということにいたしまして、その間に使用成績を収集することにいたしております。この間に副作用等の情報が収集されるわけでございますけれども、希少疾病用医薬品の場合にはもともと対象患者さんが少ないという事情がございますので、市販後の有効性、安全性の確認に必要な情報収集という観点からしますと、通常の医薬品よりやはり長期を要するだろうということで、再審査期間を最長十年まで延長するということにいたしております。
 再審査期間中の使用成績に関する調査結果というものは、新医薬品すべてにわたりましてこの希少疾病用医薬品を含めまして、一年ごとに厚生省の方に報告をすることとされております。さらにまた、重篤な副作用等が発見された場合には、三十日以内に厚生大臣に報告するということが義務づけられております。したがいまして、この再審査期間の延長によりまして副作用の発見がおくれるというようなことはないものと考えております。
#62
○横尾和伸君 この開発助成に関して、企業からの寄附金というのか納付金というのかを予定しているそうですが、この考え方、あるいは額というのは難しいかもしれませんけれども、何か基本的な考え方をお伺いしたいと思います。
#63
○政府委員(岡光序治君) 製薬企業も社会的責務を負っているわけでございます。そういう意味で、余裕があればオーファンドラッグの開発助成金としていわば医薬品基金にファンドをつくりたいというふうに思っておりますので、そのファンドの一つとして製薬企業からの寄附金も充てたいというふうに考えているわけでございます。
 今回税制を変えまして、医薬品基金に対しまして、例えば相続財産を寄附するという場合に、これは非課税で寄附ができるというようなことも講じておりますが、そんなふうなことをして、いわば開発助成金が国の二億だけでは足らない事態も生ずるということ考えまして、広くそのようなファンドを造成するということを考えたわけでございまして、製薬企業も余力があればそういうことで寄附をしてもらいたい、そういう趣旨でございます。
#64
○横尾和伸君 私がお尋ねした趣旨は、実はその医薬品メーカーがある意味では他の医薬品メーカーの独占を促進するということに、利益の面からいうと相反するわけで、大変その点は難しいんではないか。そもそも、ほかの会社の独占のために使われる金を出すというのは非常に無理があるような気がするんですけれども、その点の特別なお知恵があるいは意欲か、お聞かせいただきたいと思います。
#65
○政府委員(岡光序治君) 製薬企業からの寄附金というのは、いわばそれぞれの企業ではなくて製薬企業団体としてお願いをしたいなというのが一
つでございますので、恐らく個々の企業への働きかけはその団体を通じてしてもらうという結果になろうかと思います。
 おっしゃいますように、先ほどの御指摘にもありましたが、再審査期間を十年に延長するというふうなことにしますと、結果としましてその独占的な地位が十年間得られるという結果になりますので、先生のおっしゃる気持ちは十分わかるわけでございます。しかし、医薬品企業は一方では社会的な責務を持っているわけでございまして、業界全体としてやはり研究開発を志向していくということが必要でございますし、それをまた世の中にも御理解いただくということが必要でございますから、業界団体を通じるなりしてそういった理解を深めていきたいと思っております。
#66
○横尾和伸君 先ほども一部お話が出ましたけれども、エイズに関してちょっとお尋ねいたします。
 エイズに関する本年度の予算は合計すると百数億円になるという、大変厚生省も力を入れていただいておりますけれども、このエイズ医薬品の開発に係る予算とその内容についてどういうものかと、百数億のうちのエイズ医薬品の開発に係る予算ですね、それと今回改正に係るエイズに関する医薬品の開発助成、これとの関係をわかりやすく御説明いただきたいと思います。
#67
○政府委員(岡光序治君) エイズストップ作戦で平成五年度予算、御指摘がありましたように百一億円余りでございますが、その中でエイズ医薬品等の研究開発の推進費は六億一千三百万をお願いしているところでございます。このお金の性格でございますが、これは産学官の研究者の共同によりましてエイズ医薬品の開発に関するいわば基礎研究をやっていただく、そして候補物質の探索を行っていただこうということでございまして、エイズ医薬品の開発過程で見ますと基礎的な段階に対する補助だというふうに認識をしております。
 今回、薬事法の改正をしていただきまして、医薬品基金の方から開発助成を行おうとしておりますものにつきましては、これはいわば候補物質が見つかりまして、動物実験をやる、臨床試験をやる、こういったいわば開発段階での研究費に対しまして助成をしようということでございまして、いわば前者は基礎的な段階、後者の方は物が見つかりました後製品化する開発研究への支援というふうに私どもは認識をしておりまして、そういう意味では基礎から開発までの一貫した助成体制が整うのではないかというふうに考えております。
#68
○横尾和伸君 次に、製造業許可の更新期間が延長されるといいますか、法文上では更新期間を、三年間という現状に対して、「三年を下らない政令で定める期間」というふうに改められるわけです。要するに、端的に言うと、三年間というものが「政令で定める」という内容になるわけですけれども、なぜ具体的な数字が挙がっていたものを今回「政令で定める」ということで政令事項に落としてしまうのか、また政令で定めるとすれば、その内容またはその要件について御説明をいただきたいと思います。
#69
○政府委員(市川和孝君) 今般の改正案で許可の更新期間を「政令で定める」ということにいたしましたのは、医薬品等の製造、特に製造関係におきます科学技術の進歩、あるいは製造管理、品質管理技術の向上などに適切に対応して更新期間を定める必要があるというふうに考えたからでございます。
 政令におきましては、更新期間とその対象となる業種について規定することといたしておりまして、基本的には、製造管理及び品質管理の基準をまず整備をいたしまして、その基準を適用する業種を更新期間延長の対象とするという考え方をいたしております。具体的には、当面は、医薬品の製造業等について、現在の三年の更新期間を五年に延長するということを考えております。
#70
○横尾和伸君 少し角度が変わります。
 今回の改正に絡むものではありませんけれども、医薬品の副作用による被害の予防についてお尋ねしたいと思うんですが、この予防に関して被害救済基金制度では基本的には後追いとなるわけです。被害が出てその被害者をどうやって救済するかということで使われる基金であるわけで、そういった意味では決して悪いことではありませんけれども、医薬品の副作用による被害を徹底して予防しようという観点からすると、やはりこの被害救済基金制度ではどうしても不十分ではないか、こう思うわけです。
 副作用被害に対する製造販売の法的責任をもっときちっとした形で明確化することが、本来の予防の骨子になるんではないかと思うんですけれども、つまり医薬品の副作用に関するいわゆるPL法の制定がぜひとも必要だと思うんです。こういった観点から、厚生省はどのようにこの医薬品の副作用を今後予防していくか、副作用による被害を予防していくか、基本的なお考えをお伺いいたしたいと思います。
#71
○政府委員(岡光序治君) いわゆる製造物責任、PLの関係でございますが、昨年の十一月に国民生活審議会の答申があったわけでございまして、これを踏まえまして、私どもは昨年の十月に局内に二十一世紀の医薬品のあり方に関する懇談会を設けまして、検討テーマの一つとして御議論をいただいております。五月ぐらいを目途に基本的な方向を取りまとめていただきたいと考えております。そして、これを受けまして中央薬事審議会に専門の部会を置きまして、医薬品にとっての製造物責任というのをどう考えたらいいかということについて集中的に御検討いただいて、秋ごろを目途に最終的な結論を取りまとめていただくということで進めているところでございます。
#72
○横尾和伸君 最後に、冒頭で私は申し上げましたけれども、今回の法改正の趣旨またその対応、大変迅速でまた是々非々の姿勢で一貫されたということは大変評価するわけです。今後、長期的にさらなる充実を図っていくということが必要だと思いますけれども、そういったことを踏まえて、大臣のお考えを簡単にまとめてお伺いしたいと思います。
#73
○国務大臣(丹羽雄哉君) 先ほど来、オーファンドラッグの今回の法律の目的につきましては御審議で局長あるいは審議官からお話をさせていただいておるわけでございますけれども、オーファンドラッグの開発の促進策として、今回は助成金の交付ということでとりあえず半年間で二億円ということ、まあほっとしたというか、そういうようなお言葉をちょうだいしたわけでございますが、そのほか優先審査、さらに再審査期間の延長、またこれもいろいろ御議論があったところでございますけれども、税制措置、こういったものを盛り込んだところでございます。いずれにいたしましても、今回のこの法律案が開発促進の環境づくりの第一歩として私は踏み出すことができるものだと、このように確信をいたしております。
 いずれにいたしましても、今後、これらの措置によって研究開発の成果がどの程度あらわれていくか、十分にこの点を見守りながらさらに一層の充実強化を図っていく決意でございます。
#74
○横尾和伸君 終わります。
#75
○委員長(細谷昭雄君) 本案に対する午前の質疑はこの程度にとどめ、午後三時まで休憩いたします。
   午後零時三十一分休憩
     ―――――・―――――
   午後三時開会
#76
○委員長(細谷昭雄君) ただいまから厚生委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、薬事法及び医薬品副作用被害救済・研究振興基金法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#77
○勝木健司君 限られた時間でございますから、特に私は新薬の臨床試験における被験者の人権、そして医薬分業を中心にお伺いをしたいというふうに思います。
 まず、臨床試験の被験者の人権保護についてお伺いをしたいというふうに思います。
 この臨床試験では、今まで人に使用したことのない医薬品を初めて使うわけでありますから、慎重の上にも当然慎重じゃなければならないわけであります。そこで、その治験薬または対照薬の適用の対象となる被験者の人権の保障に留意しなければならないと考えるわけであります。ヘルシンキ宣言におきましても、被験者の利益に対する考慮は常に科学的、社会的利益よりも優先しなければならないということで記されておるわけでありますので、臨床試験を行う上での被験者の人権の保障について、厚生大臣のまず基本的な認識を承っておきたいと思います。
#78
○国務大臣(丹羽雄哉君) 新薬の臨床試験においては、被験者の人権保護はまず十分に配慮していく必要がある、このように考えておる次第でございます。
 ただいま先生は、人権保障を尊重するというヘルシンキ宣言を持ち出されたわけでございますけれども、私どもといたしましても、このヘルシンキ宣言の精神を尊重し、昭和五十四年の薬事法の改正において治験の取り扱いの規定を制定いたしました。また、平成元年の十月二日に「医薬品の臨床試験の実施に関する基準」、いわゆるGCPを定めまして、医薬品の臨床試験において十分に人権に配慮をされるよう万全を期しておるわけでございます。
 いずれにいたしましても、今後とも、インフォームド・コンセントの重要性が最近大変指摘されておりますことも十分に踏まえまして、この考え方を関係者に周知徹底していく決意でございます。
#79
○勝木健司君 この被験者の人権の保障につきましては、特に強調されなければならないのはインフォームド・コンセントの問題であるというふうに思います。
 先ほどの医薬品の臨床試験の実施に関する基準の中で、この第十七条にも「治験担当医師は、治験の実施に際し、治験の内容等を被験者に説明し、治験への参加について文書又は口頭により、自由意志による同意を得るものとする。」といたしておるわけでありますが、この被験者の同意が形式だけの儀式あるいは書類上のつじつま合わせになってはならないわけでありますので、この点の実効性をどのように確保していくのか御説明を願いたい。
 特に、第一相の臨床試験に際しては、被験者として社内ボランティアを対象とする場合もあるというふうに聞いておるわけでありますが、この際、その雇用関係による従属関係を利用して自発性を損なう承諾が行われることのないような配慮が必要じゃないかというふうに思います。厚生省の見解をお伺いしたいと思います。
#80
○政府委員(市川和孝君) 臨床試験の実施に当たりまして、被験者の人権の保護ということは最も大事なことでございます。そういった観点から、実際に被験者に対応いたします医療機関、それから治験を担当する医師に対するいわゆるGCPの周知ということが非常に重要だと考えておりまして、私どもの方では、平成元年から病院関係団体などの後援をいただきまして、臨床試験の実施に関する基準というものを厚生省で定めておりますが、この基準についての説明会を開催してその徹底を図っておるところでございます。
 それから、先生御指摘の、特に第一相の臨床試験におきまして、被験者として社内のボランティアを使用するというような場合もございますが、こういった場合におきましては、厚生省が作成しております臨床試験の実施に関する基準におきまして「経済的理由又は従属関係によって同意の任意性が損われるおそれのある者を対象とする場合には、特に慎重な配慮が必要である。」という規定をいたしておりまして、特段の配慮を喚起しているところでございます。
 今後とも、こういった考え方のもとに医薬品企業を指導してまいりたいと考えております。
#81
○勝木健司君 この被験者に対しましては、治験の目的及び方法、予期される効果及び危険性等についての十分な説明が必要であることは今指摘したとおりでありますけれども、薬事法の施行規則第六十七条の規定にも「治験薬等により健康被害が発生した場合の補償のために、あらかじめ、必要な方策を講じておくこと。」と規定されておるわけでありますが、具体的にはどのような措置がとられておるのか教えていただきたいというふうに思います。
#82
○政府委員(市川和孝君) ただいま御指摘の事項の具体的な措置といたしましては、多くの医薬品開発メーカーにおきましては、治験薬によって被験者に健康被害が発生した場合の補償のために、損害保険会社との間に賠償責任保険の契約を結んで対処しているというふうに聞いております。
#83
○勝木健司君 次に、オーファンドラッグの副作用の厳格な再審査についてお伺いしたいというふうに思います。
 この希少疾病用医薬品、医療用具はその対象とする患者数が少ないということで、承認後の再審査期間には十分な副作用報告が集まらないことも懸念されるところであります。現在、厚生省はこのモニター制度を利用して副作用情報を集めておられるようであります。しかし、モニター病院に報告の義務がないということで、平成三年度の医薬品副作用モニターの報告件数についても千四百五十一件と、一年間の報告率が二つの病院に一件の割合にとどまっておるという状況であります。数多くの情報が寄せられなければ、個々の医薬品の副作用発生頻度がつかめないんじゃないか。したがいまして、副作用被害の大きさもつかむことができないわけでありますので、この希少疾病用医薬品、医療用具に係る副作用につきましては報告を義務づけるなどの強い方針で各モニター病院を指導すべきであるというふうに考えるわけでありますが、厚生省の見解をお伺いしたいと思います。
#84
○政府委員(市川和孝君) 希少疾病用医薬品等の承認の段階におきましては、症例数も少のうございまして情報がどうしても限られてまいります。そういったことから、今回の法案では再審査期間というものを、この間に承認後の情報を集める期間でございますが、最長十年まで延長いたしまして、その期間中は必要によりまして追跡調査を関係企業に義務づけるということなどを通じまして、通常の医薬品よりも精密な使用追跡調査というものを求めてまいりたいと考えております。
 同時に、今先生からお話がございましたように、こうした調査を効果的に実施するためには、やはり幅広く医療機関、医療関係者の協力を得なければなりません。そういった観点から、今後、特に医療機関内部におきます医薬品情報の収集体制確立という点につきまして関係者に対して協力要請などもいたしまして、副作用モニター制度の一層の定着ということを図ってまいりたいと考えております。
#85
○勝木健司君 このオーファンドラッグの治験、試験の安全性等の確保についてお伺いします。
 この希少疾病用医薬品については、医療上の必要性が高いにもかかわらず、患者数が少ないゆえに研究開発がなかなか進んでおらないということでありますけれども、しかしながら、そのために万一にも医薬品等の品質あるいは有効性とか安全性、臨床試験の被験者の人権保護が損なわれてはならないわけでありますので、この希少疾病用医薬品等の研究開発促進策あるいは品質、有効性及び安全性、臨床試験の被験者の人権保護等々の確保について厚生大臣の決意をお伺いしたいと思います。
#86
○国務大臣(丹羽雄哉君) 今回の改正は、医療上の必要性の高い希少疾病用医薬品などの研究開発を促進していく、これが今回の改正の主な目的でございますけれども、そのために品質、有効性及び安全性、臨床試験の被験者の人権保護の確保がおろそかになるようなことがあってはならないということは、先生の御指摘のとおりでございます。今後とも、医薬品などの開発指導、相談業務を通じまして、品質、有効性及び安全性などの確保を徹底していく決意でございます。
#87
○勝木健司君 次に、医薬分業の推進についてお
伺いいたしたいと思います。
 医薬分業の現状を見てみますと、処方せん枚数で見ますと平成三年度で一億六千万枚弱に達しておる、分業率が一二・八%と推計されるとのことでありますが、しかしその内容を都道府県別の人口一千人当たりの処方せん枚数で見ますと、一位の佐賀県が三百五十八・四枚、四十七位の福井県では五・九枚と六十倍以上の違いがあるわけであります。
 そこで、この医薬分業の推進に係る現在の施策の概要、そして、この大きな地域格差が生じている原因について教えていただきたいというふうに思います。
#88
○政府委員(岡光序治君) 具体的な分業推進事業といたしましては、一つは、保健所を事務局としまして、医師会、歯科医師会、薬剤師会、いわゆる三師会と住民その他関係者で地域医療として医薬分業を進めていくための医薬分業定着促進事業というのをやっております。それから二つ目には、地域における薬局の備蓄それから情報、調剤の体制を支援するための医薬分業推進支援センターの整備事業を行っております。三つ目には、高齢者に対する医薬品の安全かつ的確な使用を進めるための講習会の開催、パンフレットの作成等を行う事業をやっております。それから四つ目には、薬剤師や患者に対し正確かつわかりやすい服薬指導を行えるよう、個別医薬品服薬指導情報集を作成しております。それから五つ目には、患者本位の良質な分業を進めるため、薬局の業務運営に関するガイドラインをこの四月に策定をする予定にしています。
 こういうふうな分業施策を行っておりますが、先生御指摘のように相当の地域格差があるのは事実でございます。それで、私ども分業がよく進んでおる地域を見てみますと、特色的に言えますのは、三師会の連携が非常によろしいということ、それから分業推進のリーダーとなるいわば分業の指導者が存在しているということが挙げられます。したがって、私ども、こういったいい事例を全国的に普及をしてそれぞれのところでこういった定着が図れるようにしていこうということにしておりますのと、あわせまして日本薬剤師研修センターに委託をしまして推進指導者の養成を行う、こういうふうなことを行うことによりまして地域格差の是正を図っていきたいというふうに考えております。
#89
○勝木健司君 今後、厚生省も地域に根差した保険医療にかかわる医療の担い手としてのかかりつけ薬局を積極的に育成をしていくというふうに聞いておるわけであります。一方、日本薬剤師会においても平成二年四月より、地域医療の中で質の高い薬局であって一定の基準に該当する薬局を基準薬局として独自に認定する制度を発足しておるわけであります。
 このかかりつけ薬局、基準薬局の二つの関係でありますが、どのように違うのか、そしてまたこの関係についても説明していただきたいということと、一般の患者にもわかりやすい制度の定着に努力をしていただきたいというふうに思うわけでありますが、厚生省の見解を承りたいと思います。
#90
○政府委員(岡光序治君) 今御指摘がありましたように、私どもといたしましては、地域医療として医薬分業を進めたいということでございまして、その地域にいわゆる面分業として利用しやすく調剤薬局を配置していかなければいけないと思っております。それで私どもはかかりつけ薬局を育成するということを言っているわけでございます。
 一方、薬剤師会におきましては、自主的な基準をつくっていただいておりまして、それをいわゆる基準薬局制度とこう言っておりますが、私どもはこれは内容的には同じようなものだというふうに考えています。基準薬局の方は、条件を決めましてその条件に合致しているものについて看板を掲げるというふうなことをして明らかにすることにしておりますが、繰り返しになりますが、内容的には同じようなものだというふうに考えております。
 しかし、私ども、一般の利用をなさる地域の皆様方にこの分業のことをよく理解していただく必要がある、そのためにはわかりやすい言葉を使うべきだと考えまして、かかりつけ薬局というふうな表現を用いているところでございます。こういう言葉の違いはありますが、できるだけわかりやすい言葉を使って理解をしていただくのがよろしいのではないだろうかと思っている次第です。
#91
○勝木健司君 平成四年度から備蓄センター等の設置、施設、設備に関する費用の三分の一を保証する制度が創設をされておるわけでありますが、いわゆる面分業の推進のための備蓄センターの設置状況は今どうなっておるのか教えていただきたいと思います。
#92
○政府委員(岡光序治君) 備蓄センターの設置状況でございますが、平成三年五月に薬剤師会が調査をした結果によりますと、全国で百十三カ所でございます。厚生省としては、使用頻度の低い医薬品の備蓄などを行うことによりまして処方せんの応需体制を整備するというために必要な備蓄センター等へ施設ないし設備の補助をやっておりまして、平成四年度までに四十件がその対象になっておるという状況でございます。
#93
○勝木健司君 次に、無薬局町村の対策についてお伺いしたいというふうに思います。
 先ごろ、厚生省の行った医薬分業に関する薬局の実態調査では、処方せんを出した病院、診療所と薬局の関係、あるいは患者との関係はどのような関係になっておるのかお伺いしたい。それともう一点は、まだ一部には無薬局の町村があるようでありますので、この無薬局町村の解消のために厚生省としてどのような施策を試みておられるのかお伺いしたいと思います。
#94
○政府委員(岡光序治君) まず、平成三年の三月に医薬分業に関する薬局実態調査を行いました。その調査によりますと、処方せんを発行した医療機関と調剤をした薬局までのその距離を調査しております。処方せん発行機関と薬局の距離を処方せん枚数で見てまいりますと、二百メーター未満というのが三一・四%、二百メーターから一キロ未満というのが全体の六〇%程度を占めているということでございます。
 それからもう一点の、無薬局の町村解消のためにどういう施策を行っておるかということでございますが、平成三年末で八百三十八町村、無薬局町村がございます。このための対応といたしましては、地域の薬剤師会による地域薬剤師会経営の薬局、医薬分業推進支援センターと称しておりますが、これを整備いたしましてそれを拠点とするようにということで、この会堂薬局を整備することによって無薬局町村の解消をしていきたいということで努力をしているところでございます。
#95
○勝木健司君 先ほど申し上げましたように、厚生省も今後かかりつけ薬局を積極的に育成していくということでありますが、医薬分業の先進地区としての長野県の上田地区を対象にした薬局経営に関する調査報告書の中でも、医薬分業が進む中で順調な薬局経営に必要なことという中で、患者宅の訪問とかあるいは服用指導が挙げられておるわけであります。在宅医療とかあるいは医薬分業の一層の推進のためにも、また今後の在宅における寝たきり老人の増加に対応した薬局の薬剤師が寝たきり老人の家に訪問をしていく、そして薬歴管理あるいは服薬指導等を行うことを推進してはどうかということと、診療報酬の中に在宅寝たきり老人訪問服薬指導料を創設してはどうかということをお伺いしたいと思います。
#96
○政府委員(岡光序治君) おっしゃいますように、薬局の薬剤師が、医師あるいは保健婦などの方々と連携をして高齢者に対しまして薬歴管理、服薬指導を行うことは非常に大切だと思っております。薬の安全的な使用それから医療の質の向上を図る上で大変重要だと思っております。
 そういうことから、本年度から在宅医療の薬剤供給推進事業というものを開始しまして、在宅で医療を受けている寝たきり老人の患者の皆さんなどに対しまして必要な在宅医療での薬剤供給もす
るということを考えておりますとともに、ふさわしい薬歴管理なり服薬指導、こういった本来の薬局、薬剤師の業務のあり方について検討を進めたい、こう考えております。
 今御指摘がありましたように、こういった業務に対する保健医療上の評価の点でございますが、これは今一生懸命進めておるところでございますので、その推進状況などを踏まえた上で、どのように対応していくかいろいろと考えられるべき問題じゃないだろうかというふうに認識しております。
#97
○勝木健司君 もう時間が来ましたけれども、一言、この在宅医療における薬局の位置づけ、また医薬分業の推進についての見解を厚生大臣にお伺いして、質問を終わりたいと思います。
#98
○国務大臣(丹羽雄哉君) 今後の高齢化社会におきまして、お年寄り自身が長年住みなれた家庭で医療を受けるという在宅医療は、お年寄り自身の願いでもありますし、大変重要なことではないか、このようにまず考えておるような次第でございます。
 在宅医療を進める中で、地域の薬局が医療機関と十分な連携をとりまして、患者に必要な医薬品であるとかあるいは医療用具であるとか介護用品などを供給いたしまして、患者が間違いなく安全に医薬品などを使えるような薬局の役割というものを充実していくことが今後大変求められていくことではないかと思っております。このため、厚生省といたしましては、在宅医療における薬局の業務のあり方の検討、受け入れ体制の整備について努力を続けていく決意でございます。
 また、医薬分業でございますけれども、医師と薬剤師がそれぞれの専門性を発揮いたしまして医薬品の適正使用を進め、地域医療の質の向上を図る上で大変重要なことであるわけでございますが、医薬分業は現在少しずつでございます。外来の処方せんの一二%前後ということでございます。なお、必ずしも十分でないわけでございますので、今後とも医薬分業について一層の推進に努めていく覚悟でございます。
#99
○西山登紀子君 今回の改正では、筋ジストロフィーなどの難病に対する希少疾病の医薬品などの研究開発がこれまで不十分であったものが一歩進むことになったわけで、我が党は賛成でございます。関係者の強い要望にこたえるように進めていただきたいと思います。
 ところで、昨年の十二月十八日に、インフルエンザそれからポリオ生ワクチンなどの予防接種で死亡したり重篤な後遺症が生じた被害の救済を求める集団訴訟に対する東京高裁の判決が出ましたが、この判決は、厚生大臣は禁忌該当者に予防接種を実施させないための十分な措置をとることを怠ったとして、そのために発生した被害に国家賠償を認めるという、国に対しては厳しい内容でした。厚生省は上告を断念して、提訴以来十九年でこの長い裁判は終結しましたが、厚生大臣は記者会見で、ぬくもりのある厚生行政を進める立場からあえて上告を断念する、一度限りの人生を台なしにしてしまい、お慰めの言葉もないとして、予防接種制度の将来の展望を検討することが私に課せられた責任と御発言されました。
 この大臣の発言は非常に注目されるものですが、どのような点を反省し、また責任を感じておられるかお聞かせください。
#100
○国務大臣(丹羽雄哉君) 私が厚生大臣に就任をいたしましてから間もなくこの東京高裁の判決が出たわけでございますけれども、私は、これ以上苦しみを引きずっていくことは耐えがたい、こういうようなこともございました。厚生省といたしましても、これまで予防接種の行政に努めてきたところでございますが、今回のこの東京高裁の判決につきましては厳粛に受けとめておるわけでございます。
 今後でございますけれども、判決において指摘されております接種に当たっての予診の徹底を図るとともに、今後の予防接種制度のあり方については、去る三月二十四日に、公衆衛生審議会の中に予防接種制度の見直しに関する委員会、こういうものを設置いたしました。この委員会に諮問をいたしたわけでございますので、委員会におきましては、予防接種の義務付のあり方、予防接種を行う疾病の種類、救済制度のあり方などについて御審議をいただいているところであり、検討結果が得られ次第、法律改正を含めまして所要の措置を講ずることにいたしておるような次第でございます。
#101
○西山登紀子君 そういう厚生大臣の御決意を踏まえまして、国民の中で大きな問題になっておりますMMRの予防接種についてお伺いをいたします。
 既に、国会ではこのMMRの問題は繰り返し論議がされておりますが、九一年の六月に保健医療局の結核・感染症対策室長通知で、今後、定期的にMMRの接種者数及び無菌性髄膜炎の発生状況をモニタリングすることにしました。その調査結果の内容が九二年の四月に出ておりますが、その結果について厚生省はどのように評価をしていらっしゃいますか、お伺いいたします。
#102
○政府委員(谷修一君) 平成元年四月から平成三年十二月までのMMRワクチンの接種後の無菌性髄膜炎の発生率は、約千人に一人という割合だと承知をしております。これは前回の報告時と比較するとやや高くなっておりますが、公衆衛生審議会の専門部会での御意見としては、おたふく風邪にかかった場合の、いわゆる自然感染によって起こる無菌性髄膜炎の発生率と比較するとかなり低いというような御意見もございました。
 いずれにしても、私どもは、このMMRワクチンの接種につきましては、この副反応の問題について十分に保護者に説明をし、保護者の希望した場合にこのワクチンを接種するというようなことで指導をしているところでございます。
#103
○西山登紀子君 厚生省のこの副反応に対する通達というのは、八九年九月の段階では十万から二十万人に一人、それから十月には数千人から三万人に一人、九一年六月には千二百人に一人というように変わってきまして、そして先ほど御報告がありましたように九二年の四月には千人に一人、こういうふうに非常に厳しい結果が出てきているわけです。
 ところが、実際はもっと厳しいというふうに私は思います。京都の資料ですけれども、八九年の四月から九二年九月末の間にMMRの被接種者数は三万七千八百九十三人でしたが、そのうち無菌性髄膜炎の発生者は四十六名です。八百二十四人に一人の割合なんですね。そのうち占部株を含む統一株は約九割使用されておりますけれども、それだけを取り出しますと七百四十二人に一人の割合で無菌性髄膜炎は出ている、こういう資料を払いただきました。
 そして、その資料を見まして私が思いましたことは、被害の実際というのは数が多いというだけではないと思ったわけです。京都の例だと、接種をして二、三週間で発症しているわけですが、発熱、嘔吐、けいれんがあらわれます。そして、その子供たちの年齢は一歳過ぎの子供が非常に多いということなんですね。一歳半、一歳七カ月、一歳八カ月、こういうふうに、はしか予防をしようというふうな子供ですからそういう年齢の子供が多くて、その子供たちが約二週間程度前後して入院をしていらっしゃいます。中には一カ月も入院をしている子供がいる。私も十カ月の子供と一緒に入院したことがあるんですが、それはもうもちろん母子入院ということになります。大変なことです。そして、全国で今二名の重篤な心身障害を持つ被害児が出ているということをお聞きいたしました。
 この間の国会答弁では、MMRが中央薬事審議会に承認申請されたときの臨床試験は千件行われたけれども、軽微な発熱、発疹が中心で無菌性髄膜炎はなかったと答弁がされています。しかし、実際は無菌性髄膜炎の反応が多発しておりますし、また、その症状も決して軽くないというふうに私は思います。国会答弁とは随分と違う結果が出ているわけです。
 そこで、厚生省にお伺いしたいんですけれど
も、このような状態の中で四年がたったわけですが、当初十万から二十万人に一人というふうな発表が千人に一人というふうな発表に変わってきた、こういうふうに発表をされると国民は大変な不信感を持つのではないかと思うのですね。特にMMR、とりわけ占部株ワクチンを含む統一株を安全であるとして承認をしてきた、積極的活用を進めてきた、このことについての強い疑念を生み出したばかりではなく、予防接種一般に対する信頼性、国民の信頼をいたく傷つけたのではないかと思うわけです。
 それで二点お伺いいたしますが、厚生省は、統一株MMRを承認申請したときのデータの信頼性や審議会の評価、それが今でも十分に信頼に値するものとお考えでしょうか。またもう一つ、接種後のこういう副反応の多発、その症状を見て、この統一株は今でも政府が推奨できる、信頼に足る有効なものとお考えでしょうか。二点お伺いいたします。
#104
○政府委員(市川和孝君) ただいまの第一点目でございますけれども、MMRワクチンの承認に当たりましては、先生のお話にございましたように、申請者から安定性の試験だとかそれから毒性の試験のほか臨床試験データというものを提出させまして、これをもとに中央薬事審議会で御審議をいただきましたわけでございます。もちろん、実際にこうした臨床データをおつくりになっておられる専門のお医者さんといいましょうか、そういう方々から十分に御観察をいただいた上でこうしたデータをつくっているわけでございますので、データそのものにつきまして私どもは信頼性が欠けるというようなことは考えておりませんでございます。
 それともう一点、副反応の関係でございますが、当時観察されました副反応は、お話しございましたように発熱あるいは発疹というようなものを主としておりまして、無菌性髄膜炎というような報告はございませんでした。
 一般的に、治験におきましては症例を多くすれば副作用もより精密に検出されるということにはなるわけでございますけれども、治験という性格からその対象症例数についてはおのずと制約も出てくるわけでございまして、ある程度限られた範囲のデータからできるだけ多くの情報を得まして、それをもとに判断を行うということが通常求められるわけでございます。したがいまして、発生頻度の少ない副作用につきましては、承認前に行われます治験ではすべてを把握するということは必ずしも容易でないという事情にあることを御理解賜りたいと思うのでございます。もちろん、それだけに承認後の安全性の調査ということは非常に重要でございまして、私ども、こういった点を充実するために、特に医療機関あるいは医療関係者の御協力を得まして副作用のモニター制度の徹底といいますか、そういった点については今後とも努力をしてまいりたいと考えているわけでございます。
 それから、現在使われているMMRワクチンにつきましては、これは公衆衛生審議会の伝染病予防部会の方で御評価をいただいているわけでございまして、先ほど保健医療局長の方から答弁申し上げましたような状況であるというふうに考えております。
#105
○政府委員(谷修一君) ただいま市川審議官の方から御答弁がございましたが、若干補足をさせていただきたいと思います。
 先生おっしゃいましたMMRワクチンについては、一回の接種によって三種類の病気についての免疫が与えられるというようなことから、接種を受けられる方のいろんな負担の軽減が図られるというようなことがあるわけでございます。ただ、MMRワクチンそのものにつきましては、先ほどもお話し申しましたようにモニタリングを現在しておりまして、その統一株を今後どのように判断するのか、あるいは平成三年十月から導入されておりますいわゆる自社株というものの副反応の発生状況、そういうようなことについてモニタリングをして、その結果をひとつ専門部会で御審議をいただきたいというふうに考えておりますので、私どもとしてはその検討結果をいただいた上で判断をしていきたいというふうに考えております。
#106
○西山登紀子君 いろいろ御説明いただきましたけれども、やはり私は納得ができません。そのデータは問題はなかったとおっしゃるけれども、じゃ、問題がないワクチンからどうしてそのような副作用が多発するのか、原因は何であったのかというふうなことはやはりお答えがいただけないわけです。それから、私がお伺いしているのは、自社株ではなくて、当初からの統一株について今でも政府が推奨できる有効なものと思っているのかというふうにお聞きしておりますので、やはりもっと国民に率直であってほしいと思います。また、真剣に受けとめていただきたいというふうに思いますが、時間がありませんから次の質問に移ります。
 副反応が起きた場合の救済制度なんですが、この医薬品副作用被害救済・研究振興基金の給付件数を見てみますと、全国で八九年度は二百八十三件、九〇年度は四百四十五件、九一年度が三百九十件なんですが、そのうちMMRを含む生物学的製剤では二件、二十二件、三十四件という低い状況です。また公的救済制度では、京都の例を出しますと、無菌性髄膜炎の発症が四十六人ですが、そのうちの申請者は二十二件、認定は十七件という状況なんです。
 MMRの副反応に対します救済制度が十分活用されていないのではないかというふうに思うんですけれども、この救済制度をもっときちっと知らせていく必要があるのではないでしょうか。例えば、母子手帳に公的救済制度、それから基金の制度があるということなども示すなどして改善を図る必要があるのではないでしょうか。被害が多いということはそれはいけないわけですけれども、しかし万が一のそういう被害を救済する制度の普及、そのことについても改善を図る必要がないかということでお伺いいたします。
#107
○政府委員(谷修一君) MMRワクチンの副反応につきましては、実施主体であります市町村長を通じて、実施の際あるいは接種の際に、接種を担当する医師から保護者に対して十分そういうことを説明してもらいたいということはかねてからお願いをしているところでございます。また、予防接種の被害救済制度は、既に昭和五十一年からの制度でございますけれども、従来から市町村を通じましてその周知に努めてきているつもりでございます。ただ、必ずしも十分周知がされていないというようなこともあろうかと思いますので、私どもとしては、いろんな積極的な周知の方法ということについては考えていきたいというふうに思っております。
#108
○西山登紀子君 厚生大臣にお聞きしたいんですが、九二年三月号の「小児科臨床」という専門誌の中で、国立予防衛生研究所の所長の経験者でもあります大谷明さんが、MMR統一株は「一日も早くより安全なワクチンヘの切り替えを願うのは当然である。」、こういうふうに言っていらっしゃいます。そしてまた、「従来の統計資料にこだわらぬ客観的、科学的な調査が必要である。」とも言っていらっしゃるわけです。さらに日本小児科学会でも、当時は千二百人に一人ということだったわけですけれども、この副反応は好ましいものではなくて早急な改善の努力が積極的に行われるようにということで、厚生大臣への要望書も出しておられます。
 母親も医師もより安全なワクチンの接種を願っているわけですけれども、厚生省はこういう国民の要望にどのようにおこたえになるおつもりか、大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
#109
○国務大臣(丹羽雄哉君) MMRワクチンにつきましては、御指摘のとおり、さらに安全で有効なワクチンを生み出すことが大変急務である、このようにまず認識をいたしております。このため現在、より安全なMMRワクチンが選択できるよう、厚生省の改良ワクチン研究班などにおいて、ワクチンの専門家などの協力を得まして副反応発現の情報分析などの研究を進めております。
 また、接種方法につきましては、ま疹ワクチンの経皮接種時には、ま疹ワクチン単独の接種を原則とし、MMRワクチンについては、病気の実態やワクチンの副作用について十分に説明をした上で保護者の希望があった場合には接種することにいたしております。
 いずれにいたしましても、このMMRワクチンについては、国のワクチンについての対応といたしましては、これらの研究などをもとにいたしまして、国民の皆さん方が一層安心して予防接種が受けられるようワクチンの改良などに努力してまいりたいと思っております。
#110
○西山登紀子君 最後にですが、実は私のところに、現在問題になっておりますMMR統一株に使われておりますおたふくの占部株ワクチンの単味ワクチンを四歳のときに使用しまして、重度のてんかんとそれから知能障害、そういう後遺症になって今基金の給付を受けているお子さんの親御さんからも御相談があったわけですけれども、このMMRワクチンに限らずどんな予防接種も安全で親も子供もお医者さんも安心して使うことができる、そういうワクチンの有効性や接種の方法についても十分国民が納得できるものであってほしいと思っているわけですが、最後に、一番最初の質問と重なると思いますけれども、もう一度大臣の御決意をお伺いいたします。
#111
○国務大臣(丹羽雄哉君) 予防接種の実施に当たりましては、先生の御指摘のとおり、副反応被害ができる限り発生しないように、現場の予診の徹底や予防接種による副反応の情報提供などを積極的に行っていくことが極めて重要である、このようにまず考えております。
 今後の予防接種制度の見直しに当たりましても、このような観点から、予防接種に関する情報提供の方法についても幅広く検討をしてまいりたいと思っております。また、新医薬品の承認審議過程についても、今後国民の皆さん方の理解を得るためにも概要を取りまとめ、内外に公表していくことといたしております。
#112
○粟森喬君 まず、今回の法律の改正に当たりまして、厚生省の考え方を幾つかお尋ねをしたいと思います。
 まず最初に、先ほど同僚議員の発言にもあったわけでございますが、オーファンドラッグの開発をすべきではないかという公明党の木庭委員の昨年の質問を私もお聞きをしておりまして、そのときに私が感じた印象を申し上げますと、製薬メーカーというのはどうしても採算コストを考えますから、新薬開発のシステムを変えるしかこのオーファンドラッグの開発というのは無理ではないか。すなわち、メーカー依存のやり方から、多少公的な資金を何らかの格好で入れながらオーファンドラッグの開発をしていくべきではないか。そういう意味では、私どもの考え方も、今回のオーファンドラッグのために改正をすることについては賛成でございます。
 しかし同時に、私は、その背景についてもう少しきちんと押さえておかなければならないんではないかと思います。と申しますのは、今回のことに関して、二十一世紀の医薬品のあり方に関する懇談会中間報告、サブタイトルが「良い薬を早く患者の手に」ということで書いてあるわけでございますが、これを私が一読した感じを率直に申しますと、とにかく新薬をつくればいい、薬が開発されることがすべてだという、どうも何となく製薬業者のための報告のような印象を非常に受けるわけでございます。
 私は、民間の製薬業界がそれぞれそういう思いで物を考えることの一面は評価できますが、やはりもう少しきちんとこの辺のところを押さえておかないと、何となく新薬へ新薬へということで、薬というのは常に副作用が存在をすること、薬と治療の相関関係、そういうものを総合的に押さえておかなければいけないんではないかと思います。
 特に、今回の改正案の中で、業務行政の規制から促進になるというような一面もあるわけでございますが、この中では業務行政はどうも規制し過ぎだというような印象の表現がございますが、厚生省はこの二十一世紀の医薬品のあり方に関する懇談会のその種の表現についてどうお考えでしょうか、お尋ねをしたいと思います。
#113
○政府委員(岡光序治君) 業務行政の究極の目的は、医薬品などを通じまして国民の保健衛生の向上を図るということに尽きるわけでございます。従来から品質、有効性、安全性の確保ということに重きを置いてきたわけでございますが、その気持ちは、そして施策の重点は変わっていないつもりでございます。
 しかし、御指摘がありましたように、企業は採算を考えますのでどうしても希少疾病用医薬品とか医療用具につきましては開発がされないとかおくれるような結果になってまいりますので、その点につきまして各種の支援策を講じて、そういったものを求めておる国民の皆様にそれを早く届けるようにしていこう、こういうことでございまして、要するにそのことも結果としては国民の保健衛生の向上につながるというふうに考えておるわけでございます。今までの有効性、安全性の確保はもちろん図らなければなりませんが、それに加えて、別のサイドからのそういった種類の医薬品などの開発の促進を図りたいというのでプラスした発想だというふうに考えておるところでございます。
#114
○粟森喬君 この中間報告書の中に、こういう表現がございます。
 今回のいわゆる薬価基準の算定方式が改正をされて、薬価の循環的な低下に歯どめをかける、そうして、その歯どめがかかった分だけ新薬開発能力を向上させようというような表現でございますが、今医療費を取り巻く情勢というのは、お年寄りがふえ、難しい病気がふえるという中で、いわゆる低下に歯どめをかけるということになりますと、医療費抑制という観点は全体で考えたらこれはどういうことになるのか。
 例えば、競争が激しくなれば市場原理では薬が下がるわけでございます。そうしますと、この部分だけで全体を言うのは必ずしも適当じゃないかと思いますが、この種の表現をして薬価算定方式を一方的に評価されるというのは、これからの医療費のあり方で、私どもも少し従来からの考え方、例えば中小病院が大変厳しいとかいろいろな意味をこれから考えていくに当たって、こういうためにこの薬価の算定方式を変えたのかどうか、この辺のことについて見解をいただきたいと思います。
#115
○政府委員(岡光序治君) 薬価の算定方式なり流通改善の取り組みというのは、別に、今引用のございました懇談会の中間報告に触れておりますような、薬価の循環的な低下に歯どめをかけるということを目的にやったわけではないわけでございます。
 つまり、従来のバルクライン方式でありますと、どうしても価格が非常に合理的な範囲を超えてばらついてしまう、相手によって物すごく同じ品物でありながら価格がばらついておるというのは取引としてもおかしいのではないか。しかも、先ほども御議論ございましたが、総売上の一〇%の価格を高くコントロールすれば薬価が高く維持できるというふうなシステムは、これはおかしいではないかという指摘があったわけでございます。
 それでは、むしろすべての品物についての取引価格を反映させるようなシステムの方がよほど合理的ではないか、こういうお話があったわけでございますし、流通の適正化についてはむしろ公正取引の観点からもっと別な方式をとるべきだというので新仕切り価方式のようなものが導入される、こういうことになったわけでございます。そういう意味では、私ども、自由競争であるとか市場原理であるとかということと、この新しい算定方式なり流通方式は全然矛盾しないものだと思っております。
 あの中間報告の表現に、場合によっては誤解を招くようなところがあったかと思いますが、それは私どもの考えているところではございません
で、むしろ企業の販売姿勢いかんではないかということを述べたかったわけでございまして、企業が価格政策をどのように展開するかは企業の判断だろう。それは、率直に薬価に反映していくような仕組みになったんではないだろうか、むしろそういうふうに私どもは受けとめているところでございます。
#116
○粟森喬君 薬価算定方式のあり方については、多少推移を見なければ私もわからぬと思います。特に、製薬メーカーの利益率などがかなり取りざたされている段階でございますし、来年以降へ向けて薬価基準のあり方がもう一度何らかの格好で論議をされるときに、当然その辺の視点を生かしながら、さらに論議をする場がございましたら私の方から意見をまた申し上げたいと思います。
 そこで、もう一つちょっとお尋ねをしたいんですが、新薬の開発には一般的に百億円かかる。ところが今度のオーファンの開発助成は二億円でございます。余りにも差があるんではないか。先ほどのお話ですと、後半で五億ぐらいということでございますが、一般的に言う百億円とか百五十億円という金額が高過ぎるのか、いわゆる財政事情も当然あるかと思いますが、予算のこれが低過ぎるのか。私はどうも何となくアンバランスを感じ過ぎているわけでございますので、見解をいただきたいと思います。
#117
○政府委員(岡光序治君) 御指摘のありました俗に言われる十年百億というのは、失敗の事例も入れましていわばトータルの、一つの品物が開発されるのにかかる失敗事例も組み入れた額だというふうに承知をしております。
 といいますのは、オーファンドラッグも既にいろいろと開発されておりますので、開発事例を見てまいりますと、例えば国内で新しく開発された物の平均を見てみますと、大体八年余りかかって十六億から十七億になっております。それで年平均で考えますと、二億円余りの開発費がかかっているわけでございます。
 かつ、今回の助成対象にしょうとしておりますのは、開発経費のうちでも動物実験の経費、それから臨床試験の経費部分を対象にすることにしておりますので、そういう意味でぐっと対象の経費が絞られてくる。先ほどほかの委員の先生にもお答え申し上げましたが、私どもなりの理屈をつけて考えていきたいと思っておりますし、また、この助成の趣旨が成り立つように今後とも必要な額の確保は努力していきたいと考えております。
#118
○粟森喬君 先ほど冒頭にも私は申し上げたように、できるだけ公的な資金をふやすことによってメーカー依存のところから新薬開発体制をやっぱり強化してもらいたいという意味で、今後の推移の中でこれまたお尋ねをしたいと思います。
 そこで、もう一つ、今度の特例措置で優先審査制度というのがございます。租税上の措置等三つがあるわけですが、優先審査制度というのは、私どもが承知をするには、標準事務処理期間が十八カ月なのに、これだけはいわゆる特急券というんですか早くやりますと、こういうことです。私は、今の新薬の審査システムや審議会に早くできるのなら全体を早くしろという話も、オーファンドラッグといえども同じような質の審査が必要なのでございますが、ここだけなぜ早めたのか、この理由についてお尋ねをしたいと思います。
#119
○政府委員(市川和孝君) 今回の法案の中では、オーファンドラッグ並びに著しく新規性のあるすぐれた新薬につきましては優先的に審査を取り入れるということにしたわけでございますが、オーファンに関しましては、これは一つの開発促進のためのインセンティブとして取り入れたわけでございます。それから、すぐれた新薬につきましては、これは国民のニーズというものも著しく高いわけでございますし、またそういった新薬の場合には相当程度医療費の節減というようなことにも貢献し得る可能性がございますので、こういったものについては、できるだけ早くその市場に出してあげるという考え方でこのような制度を取り入れることといたしたものでございます。
#120
○粟森喬君 説明、答弁がよくわからないんです。といいますのは、オーファンといえどもほかの薬といえども早く認可してほしいという気持ちがあるわけでございます。今回オーファンだから特別にこれは早くするよというように言ったんですが、それならいわゆる新薬の審査システム全体を変えるか審議会のあり方を変えないと、これだから特別だという意味がどうも今の答弁を聞いておっても納得できないわけでございますが、もう一度その辺のところを答弁していただきたいと思います。
#121
○政府委員(岡光序治君) 御指摘の趣旨に沿うように、今回は医薬品基金を活用することを考えております。といいますのは、後発品とかいわゆる一般薬の審査事務のうちで調査の仕事、つまり今までの承認されている医薬品と同一かどうかという調査が必要になってまいりますが、そういう調査の仕事を基金に委託しようということで、その仕事は今まで業務局がやっているわけでございますが、それを基金に委託をできますと、今度は業務局の方はそれだけいわば時間的な余裕が出てまいりますので、それを新薬の承認の事務に集中していこうではないか、そういう意味では全体の新薬の開発の促進、事務処理の促進になるというふうに私は考えております。
 それからまた、治験段階から相談をしましょう、一歩一歩ステップを踏んでその開発に結びつけていきましょうということを進めることにしておりまして、これはすべての新医薬品を対象にしておりますので、先生から御指摘いただきました全体のスピードアップが要るではないかということには、今回の法律改正の中にそういう意味も含めておるというふうに私ども考えておりますので、よろしくお願いいたします。
#122
○粟森喬君 早く迅速にというだけでは私は本当はいけないと思います。やっぱり、慎重であることと早いものは早くするということの間で整合性を持っていただきたい。
 特に、さっき基金と言われました、今度機構というふうに名前が変わるようでございますが、例えばここで私はどうしてもちょっと納得できないのは、研究振興業務のあれが二十一億円に平成三年度から据え置かれたまま、今度は二億円プラスになるわけでございますが、何かここに予算を、いわゆる基礎的な研究をされているところの金をこっちに回すだけで果たして本当に問題が解決するのかと思いますが、これは財政政策の問題でもあるかと思いますから、これ以上申し上げても仕方がないんではないかと思います。
 そこで最後に、厚生大臣にお尋ねをしたいと思います。
 といいますのは、業務行政というのは、先ほども申し上げたように規制ということが前提であったと思います。今度、優遇といいますか一定の保護政策をとることによって、今まで新薬開発のシステムの中にコストとして盛れなかったものが入ったんですが、ややもすると、私は何となく医療メーカーに甘いような印象を非常に感じます。したがって、国民といいますか患者の立場から見たときに、いわゆる行政上の中立とか公平性というものを今回の法改正の中できちっと堅持をしていくという立場というのは明らかなのかどうかお尋ねをして、私の質問を終わります。
#123
○国務大臣(丹羽雄哉君) まず御理解を賜りたいのは、医薬品の品質、安全性及び有効性を確保していくことは業務行政の基本でございます。これまでと同様に厳正に行ってまいりたいと思っております。
 一方で、国民が真に必要としております医薬品を迅速に提供していくことも業務行政の重要な責務の一つでございます。今回、薬事法等の改正をいたしまして、オーファンドラッグの研究開発の促進措置を講ずることといたしましたのは、いわゆる医薬品産業界の振興というよりも、患者数が少ないために医療上の必要性が高いにもかかわらず市場の点から企業としてはどちらかというと消極的にならざるを得ない、こういった医薬品を一日も早く国民の医療の場に提供するということをねらいといたしておるわけでございます。
 なお、この研究開発が新薬に結びついた場合にも、その承認に当たりましては、中央薬事審議会に諮問をいたしまして、その意見を聞いて行うものでございますので、行政としての中立、公平性ということは全く問題ないわけでございますので、御理解を賜りたいと思っております。
#124
○委員長(細谷昭雄君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。
 これより討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。――別に御発言もないようですから、これより直ちに採決に入ります。
 薬事法及び医薬品副作用被害救済・研究振興基金法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#125
○委員長(細谷昭雄君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 この際、菅野君から発言を求められておりますので、これを許します。菅野君。
#126
○菅野壽君 私は、ただいま可決されました薬事法及び医薬品副作用被害救済・研究振興基金法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、日本社会党・護憲民主連合、公明党・国民会議、民社党・スポーツ・国民連合、日本共産党、民主改革連合各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。
 以下、案文を朗読いたします。
    薬事法及び医薬品副作用被害救済・研究
    振興基金法の一部を改正する法律案に対
    する附帯決議(案)
  政府は、次の事項について、適切な措置を講
 ずべきである。
 一 希少疾病用医薬品等の研究開発の促進に当
  たっては、医薬品等製造業者間の共同研究を
  図るとともに、国際協力の推進に努めるこ
  と。
 二 エイズに対する医薬品の研究開発を促進す
  るため、さらに格段の諸施策の充実強化に努
  めること。
 三 医薬品副作用被害救済・研究振興調査機構
  の新業務が適切に行われ、副作用被害救済事
  業等従来の業務が今後とも円滑に運営される
  よう、体制の整備を図ること。
 四 医薬品等の副作用被害の防止のための諸施
  策を推進すること。また、薬効の再評価の体
  制等について、さらに充実強化を図ること。
 五 難病治療薬の開発を強力に進めるととも
  に、患者の負担にも配慮しつつ、難病対策の
  充実を図ること。
 六 国民医療の発展の見地に立って、医療用医
  薬品の流通改善、薬価基準の適正化等、医薬
  品製造業者等の健全な育成を今後とも図るこ
  と。
  右決議する。
 以上であります。
#127
○委員長(細谷昭雄君) ただいま菅野君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#128
○委員長(細谷昭雄君) 全会一致と認めます。よって、菅野君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、丹羽厚生大臣から発言を求められておりますので、これを許します。丹羽厚生大臣。
#129
○国務大臣(丹羽雄哉君) ただいま御決議になられました附帯決議につきましては、その趣旨を十分尊重いたしまして努力いたす所存でございます。
#130
○委員長(細谷昭雄君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#131
○委員長(細谷昭雄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#132
○委員長(細谷昭雄君) 次に、戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律案を議題とし、政府から趣旨説明を聴取いたします。丹羽厚生大臣。
#133
○国務大臣(丹羽雄哉君) ただいま議題となりました戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律案について、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
 戦傷病者、戦没者遺族等に対しましては、これまで各種の援護措置を講じてきたところでありますが、今回、年金等の支給額を引き上げるとともに、戦没者の妻及び父母等に対し特別給付金を継続して支給するなどの措置を行うこととし、関係の法律を改正しようとするものであります。
 以下、この法律案の概要について御説明申し上げます。
 第一は、戦傷病者戦没者遺族等援護法の一部改正であります。これは、障害年金、遺族年金等の額を恩給の額の引き上げに準じて引き上げるものであります。
 第二は、戦没者等の妻に対する特別給付金支給法の一部改正であります。これは、戦没者等の妻に対し、特別給付金として、百八十万円、十年償還の無利子の国債を継続して支給すること等の改善を行うものであります。
 第三は、戦没者の父母等に対する特別給付金支給法の一部改正であります。これは、戦没者の父母等に対し、特別給付金として、九十万円、五年償還の無利子の国債を継続して支給すること等の改善を行うものであります。
 以上がこの法律案の提案理由及びその内容の概要でありますが、平成五年四月一日から施行することとしておりました改正規定につきましては、衆議院において、公布の日から施行し、平成五年四月一日にさかのぼって適用することとする修正がなされております。
 何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願いいたします。
#134
○委員長(細谷昭雄君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。
 本案に対する質疑は後日に譲ります。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後四時十六分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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