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1993/05/13 第126回国会 参議院 参議院会議録情報 第126回国会 厚生委員会 第10号
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1993/05/13 第126回国会 参議院

参議院会議録情報 第126回国会 厚生委員会 第10号

#1
第126回国会 厚生委員会 第10号
平成五年五月十三日(木曜日)
   午前十時一分開会
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         細谷 昭雄君
    理 事
                木暮 山人君
                前島英三郎君
                菅野  壽君
                木庭健太郎君
    委 員
                石井 道子君
                尾辻 秀久君
                大島 慶久君
                大浜 方栄君
                西田 吉宏君
                南野知惠子君
                糸久八重子君
                今井  澄君
               日下部禧代子君
                栗原 君子君
                横尾 和伸君
                勝木 健司君
                西山登紀子君
                粟森  喬君
   国務大臣
       厚 生 大 臣  丹羽 雄哉君
   政府委員
       厚生省社会・援
       護局長      土井  豊君
       厚生省児童家庭
       局長       清水 康之君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        水野 国利君
   説明員
       労働大臣官房参  後藤 光義君
       事官 
       労働省婦人局婦
       人政策課長    岩田喜美枝君
       労働省職業安定
       局業務調整課長  吉免 光顯君
       建設省住宅局住
       宅総務課長    吉野 洋一君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○母子及び寡婦福祉法の一部を改正する法律案
 (内閣提出、衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(細谷昭雄君) ただいまから厚生委員会を開会いたします。
 母子及び寡婦福祉法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 本案の趣旨説明は既に聴取いたしておりますので、これより質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#3
○糸久八重子君 私は、保育所問題についてお伺いをしたいと思います。
 小さな子供を抱えて働かなければならない母子家庭にとっては、保育所の問題は大変切実な問題でありますし、また出生率の低下という問題から見ましても、その原因の一つは日本の子育ての支援体制に弱さがあるからで、このことを克服するためには公的な保育保障体制の充実強化が必須の条件だと思うところでございます。
 日本の保育体制というのは、地域の保育需要にはまだまだこたえ切れておらないと思います。例えば、厚生省の調査の結果によっても、保育所に入所できないで民間のベビーホテルに預けられている子供たちの数は全国で一万二千人にもなっておりまして、これ九一年三月の調査なんですけれども、年々ふえ続けているという現状がありますし、また民間の無認可保育所とかベビーセンターに多くの子供たちが入所しているという状況を考えてみますと、保育所はまだまだ足りず、とりわけ乳児保育とか延長・夜間保育、一時的保育などの多用なニーズには対応し切れておらないところでございます。
 去る四月七日の厚生省の「これからの保育所懇談会」の今後の保育のあり方が発表されたわけでございますが、その内容を拝見しますと、保育所における多様な選択肢の用意とか柔軟な保育所運営とか費用徴収基準の見直しとか保母の配置の改善の問題だとか等々、多くの提言がなされておるわけでございますけれども、厚生省はこれらの提言に対しましてどう取り組んでいくおつもりなのかをまずお伺いしたいと思います。
#4
○政府委員(清水康之君) 御指摘のとおり、今年四月八日に、これからの保育所問題についての懇談会の方から十項目にわたる御提言をいただきました。
 この懇談会は昨年六月に設置されまして、約十カ月にわたって、主として保育所の機能面からさまざまな御議論をいただきまして、その結論をまとめたものでございますけれども、当面、この報告書の副題にもありますとおり、「これからの保育サービスの目指す方向」は、こういうことを目指すべきだといったような事柄につきまして非常に貴重な御提言をいただいているものというふうに理解をしております。したがいまして、当然、対応可能な課題についてはできるだけ早くこれを行政政策の中に反映させていくことが必要である、そういう考え方に立っております。
 御案内のとおり、一方で今年の二月に十七名の委員さんによりまして「保育問題検討会」というものが設置されております。既に三回ほど御議論をいただいておりますけれども、この保育問題検討会におきましては、保育対策の制度及び費用負担全般についていろいろ御議論をいただいて結論を出していただく、こういうことになっておりますので、私どもは、この保育問題検討会の御議論のいわば重要な参考資料といいますか、素材といいますか、そういうものに「これからの保育所懇談会」の提言が採択されてこれからの具体的な議論の素材としてなっていく、こういうふうに理解をしているわけでございます。したがって、保育問題検討会の議論の推移をこれから見守りたい、こう思っております。
#5
○糸久八重子君 そうすると、私も保育問題検討会のことをお伺いしようと思っていたんですが、それではこの二つの、いわゆる「これから懇」と言っているわけですけれども、「これから懇」とこの検討会との関連ですね、ちょっとその辺をもう一度お答えいただきたいと思います。
#6
○政府委員(清水康之君) これからの保育所懇談会の方は、実はその性格は児童家庭局長の私的諮問機関という形で昨年の六月に設置されたものでございますが、先ほども申し上げましたように、新たな保育ニーズに対応すべく主として機能面から今後の保育サービスのあり方というものを御議論いただいたわけでございます。したがって、委員の方々も、どちらかというと主として保育所に直接かかわっておられる方々がメンバーであったということでございます。
 それに対しまして、今年二月に設置されました保育問題検討会というものは、保育ニーズの多様化と社会の変化に対応しまして、特に御案内かと思いますけれども、昨年の十二月における平成五年度の予算編成過程におきまして、長年の保育関係者の方々の御要望であります、例えば主任保母の設置あるいは事務職員の常勤化とか、そういったような問題等々にこたえていくために、どうい
うような対策が可能かという御議論の中で、御案、内かと思いますけれども、民間の保育所と公立の保育所とを区別した財源措置の仕方というものはあり得るだろうか。そういう議論がありまして、そういう議論のいろいろな過程の中から、いわば地方三団体も、それから大蔵省、自治省それから私どもも皆合意をした形で、いわば保育所の機能面ということだけではなくて、少し財政問題あるいは施設整備の問題、いろいろ取り上げて幅広く保育全般について議論していただくために保育問題検討会が設置されたわけでございます。
 保育問題検討会の方は、したがいまして財源問題というふうなことも当然検討の対象になるわけでございますけれども、あくまでも制度そのもののあり方を議論するということが前提でございまして、国の負担を減らすために何か議論するというふうなものではないわけでございます。二月に設置されてまだ月日が浅うございますので、今後、保育所の現地視察などを行っていただいたり、関係団体からのヒアリングをしたり、いろいろなことを行って年内をめどに結論を出していただく、そういうことで現在進んでいるわけでございます。
#7
○糸久八重子君 ただいま説明がありましたとおり、この検討会の設置の目的に、その制度及び費用負担のあり方等の全体の検討ということが書かれているわけですけれども、私は、この検討会設置の背景は九三年度の予算編成にかかわる公立保育所の人件費の負担問題、その先送りがあったわけで、ここでの検討というのは女性とか子供の立場に立った保育制度のあり方というよりも、行財政問題が優先されることになるのではないかと大変懸念をしてしまうわけです。
 保育制度というのは、子供の利益がやっぱり最優先されるべきでありまして、子供の権利条約の趣旨にのっとって行われることが必要でございますから、国の保育政策が国の一時的な行財政によって左右されることは断じて避けなければならない、そのように思っておりますが、この点については厚生省いかがお考えなんですか。
#8
○政府委員(清水康之君) 御指摘のとおり、保育問題検討会が設置されるに至った経過の中には、平成五年度の予算編成過程において、保育対策の思い切った充実を図るという観点から、関係省庁間でいろんな事務的な話し合いが行われ、その中で公立保育所の人件費に関しての財源措置をどうすればいいか、こういう議論があったことは事実でございます。
 今回設置されました保育問題検討会は、そういう背景は背景としまして、決してその財源問題だけを議論するといったようなものではありませんで、先ほども御説明しましたとおり、これからの保育所のあり方、制度全般を考えて、特に保育所に子供さんを預けておられるいわば保護者の方々の立場、それから保育所で働いておられる従業員の方々の立場、それから保育所の経営者の立場、そういうことを幅広く議論しながら、将来に向かっての望ましい保育サービスのあり方を目指していく、こういうものとして設置されているものでございます。
 私どもは、保育ニーズの多様化等に対応した新しい制度あるいは費用負担のあり方全般について御議論がいただけるものと、そういうふうに確信をしております。
#9
○糸久八重子君 検討会として、新聞の内容等を見ますと一例えば措置費制度の抜本的な見直し、入園対象児童の専業主婦家庭の拡大とか、それから児童福祉法と切り離した保育サービス法の検討等、そういうことも書かれておったわけですが、これらは検討する内容だとしてお答えいただかなくとも結構なわけですけれども、私は措置制度というのは、やはりさまざまな問題を抱えながらも、保育の措置をとるその市町村の責任を明確にしながら、かつ所得の多少にかかわらず子供の保育を受ける権利を保障するという点で大変すぐれた制度であると考えております。この点については、やはりゆるがせにできないのではないかなというふうに思っておるわけでございます。
 検討に当たっては、特に保育サービス法の検討に当たっては、児童福祉法とか子供の権利条約の理念を継承、発展させたものであるべきであると思いますし、また、保育を児童福祉と切り離して保育に対する公的責任の後退につながることはあってはならないと考えておるわけですが、この点について御答弁いただきたいと思います。
#10
○政府委員(清水康之君) 保育問題検討会の設置に関連しまして、各紙の新聞報道等があったことは私どもも承知しておりますけれども、先ほど申し上げましたような内容でございますので、まだ具体的にどういうことが行われるのかということは全く白紙の状態といいますか、何も決まっていないというのが事実でございます。
 御案内のように、一部に保育サービス法といったようなことの報道がございましたが、いわばどういう制度改正をやるのかという中身が決まらなければ、どういうような法律改正をお願いするのかということも決まらないわけでございまして、私どもは、児童福祉法の一部改正ということにつながっていく可能性の方が大きいのではないかと思いますけれども、しかし例えばマンパワーの問題なども含めて総合的な対策ということになりますと、児童福祉法の改正よりは特別の保育サービス法といった法律がいいという結論は全く出ないということでもないと思います。
 私どもは、これはすべて、どういうような中身が新しいこれからの保育所のあり方として議論されていき、結論が出るのかということ次第であるというふうに思っているわけでございますけれども、いずれにしましても、保育料の問題、それから職員の配置を含めた入所児童の処遇水準の問題、当然保育時間のあり方など、いろんな各方面から保育サービスについての国民の御要望が強いということもよく知っております。
 また、先ほどいろいろ実態といたしましてベビーシッターの活用であるとかベビーホテルの利用であるとか、そういういわゆる私どもの方では保育サービス、保育所のサービスでは十分対応できないために、いわゆる二重保育という形で子供さんを抱えたお母さんたちが経済的にも精神的にも身体的にも大変御苦労なさっている。そういう実情は率直に認めておりますので、そういういわゆる二重保育問題の解消などにどのような形で取り組むことができるのか、あるいは、学校に入った特に低学年の子供さんたちが放課後に家にお帰りになってもまだお母さんは帰っておられない、したがって放課後児童の健全育成のためにどういうことをやればいいのか、さまざまな議論があろうかと思っております。
 したがいまして、保育ニーズの多様化という社会的な要請に応じて、いわば二十一世紀にも通用するような制度及び費用負担のあり方、そういうものを議論していただくというのが保育問題検討会でございますので、そういうあり方全体の議論の中で、これまでずっと堅持してきた措置というものについてもその行政的、財政的な意義、あり方ということの御議論もあろうかと思います。私どもは、措置制度そのものが果たしてきた役割というものも正当に評価をしておりますし、措置制度そのものの見直しとか新たな立法措置とか、そういうものを当然の前提として議論をしていただいているわけではございませんし、これからすべて検討会でいろんな各関係団体の御意見を聞き、実情を視察していただいた上で幅広な議論が行われるものと、そういうふうに考えております。
#11
○糸久八重子君 育児休業法施行に先立って、厚生省は、年度途中に定員外で児童を受け入れられる枠をこれまでの一〇%から一五%に拡大するということと、これまで下の子が生まれて親が育休に入ると自動的に退所させられていた上の子を事情によっては入所を継続するという通達をお出しになりましたね。
 しかし、育休をとった親たちが保育所探しに大変困っている現状があるわけです。つまり、年度途中に小さな子供を受け入れてくれる保育所が非常に少ないんですね。まれに定員にあきが出たとしても、親が復職していることが入所の条件にか
っているわけですから、一年の休業期限を待たないで復職をせざるを得なくなる例が大変多くある。育休明けの受け皿が整っていないということが明らかになってきているわけであります。
 育休明けの保育所探しが難しい背景には、低年齢の子供の定員が圧倒的に少ないことがあるのですね。全国で百七十万人の保育所在籍者のうち、ゼロ歳児が四万四千人、一、二歳児が三十四万四千人ですか。三歳以上のクラスは定員割れをしているというところが多いんですが、この低年齢クラスは大変あき待ちの人が多い、そういう状況をどう対処していかれますでしょうか。
#12
○政府委員(清水康之君) 今御指摘いただきましたように、私ども、育児休業法が制定され施行された際に、この趣旨に沿うように、例えば上のお子さんが保育所に入っておられて、二番目のお子さんが生まれたために育児休業をとったら上のお子さんも保育所を出なければいかぬと、そういうふうなことでないように、希望する限りは保育所に入所できるように、そういうことを可能にするためのいろんな通達を出し、また若干の予算措置などもしております。また、育児休業明けの場合においては、余り認可定員といったようなものにこだわらなくて、多少、一〇%ないし一五%程度の枠内であれば、育児休業明けの人を受け入れられるために定員の超過の許容限度といいますか、そういうものも弾力化するというふうなことなどいろいろ努力してきているわけでございます。
 しかしながら、実態として、先ほど御指摘のとおり、まだ一年間の育児休業期間中なんだけれどもどうも四月一日でないと入れそうがないというふうなことがいろいろ世上言われて、途中からでも育児休業を切り上げて保育所入所を確保するといったようなことがよく新聞、テレビ等でも報道されております。そういう実態が多少ないわけでもないというふうに思います。
 それは御案内のとおり、職員につきまして一、二歳児の場合は六対一という配置でございますが、乳児の場合は三対一という基準になっておりますから、乳児を預かるということは職員を倍確保しなければいかぬというふうな問題等になります。そして、特に公立の保育所においては定数という問題等もございまして、民間の保育所に比べて公立の保育所の方がこの乳幼児保育、乳児保育といったようなものについてなかなか積極的に対応していただけない実情も一方であるというふうなことなどがございます。
 しかし、保育のニーズといいますか需要の方は、御指摘のとおり、むしろ三歳、四歳、五歳といったところは幼稚園との問題もございますからそう伸びておりませんで、一般的に一、二歳あるいは乳児という低年齢児童といいますか低年齢の乳幼児の方々のニーズが非常に大きいということも事実でございますので、私どもは、何とかその辺をいわゆる計画的に乳児保育の指定保育所をふやすとかいろんな努力をしながら、女性の出産、育児と就業との両立が可能になるようにさまざまの努力をこれからも続けてまいりたい。就労と育児の両立を支援するという対策が整わなければ、現在問題になっております低出生数とか少子化社会とかそういった問題への対応は極めて難しいというふうに認識しておりますので、できる限りの努力を、これは厚生省だけではなくて労働省その他とも協議しながら努力していきたい、そう思っております。
#13
○糸久八重子君 具体的に、働く女性が働き続けるためにという目的でつくられた育児休業法でございますから、やはり低年齢の子供の定員をもっとふやすような施策を即刻的にやっていただきたいと思います。
 続けて、やはり女性の就労形態が非常に多様化していたり、それから通勤時間が非常に長かったりするようなそういう状況の中で、仕事と子育てを両立していくためにはどうしても不可欠だということは乳児保育、それから延長・夜間保育、長時間保育、そういうニーズが非常に高まってきているわけですけれども、これらの施策も全くもう遅々として進んでおらない。そこで、厚生省はこの現状をどう把握して、遅々として進まない原因はどうとらえているのか、そしてこれらの施策をどう進めていくのかということをお伺いをしたいと思います。
#14
○政府委員(清水康之君) 厚生省としてもいろいろ努力しているつもりでございますし、年々箇所数その他の増も図っているわけでございますが、一般的に思うようにいかない理由の一つは、実は保育所は御案内のとおり二万二千ほどありますが、公立と私立の比率はむしろ公立が六割で私立が四割というふうな、これは歴史的な背景がございますのでそういう状況になっております。他の社会福祉施設の場合はむしろ私立が多いわけですけれども、保育所の場合は公立が多い。
 公立の場合には、先ほど申し上げましたように、いろいろ例えば三歳児であると二十対一という職員配置基準が、一、二歳になりますと六対一、乳児の場合は三対一、こうなりますので、当然職員数の大幅増というものが前提になるわけでございますが、職員の定数というものの増加についての理解がなかなか得られないとか、あるいは通常の勤務時間以外にいわゆる延長保育をするとか夜間保育をするといったような問題については、そこに働いている方々の御理解が必要なわけでございますけれども、そういう面についても民間保育所に比べるとやや理解度が進まないといいますか実態としてなかなか数がふえていかないというふうなことなどがございます。
 私どもは、それだけではないかもしれませんが、予算措置の問題その他も含めて、夜間保育、延長保育といったいわばお客様のニーズにこたえるそういうことが必要なんであって、保育サービスをする側の都合といいますか労働条件というものも非常に大切でございますけれども、保育サービスを受けるお客様の必要にどうしたらこたえていけるか、そういう立場から関係者が一丸となって、また自治体も中に入って努力をして、一歩一歩世の中の要求にこたえていけるようなそういう保育体制をつくっていきたい、そのように考えているわけでございます。
#15
○糸久八重子君 乳児保育とか延長・夜間・長時間保育、これがなかなか進まない原因というのは、何といってもそのための措置費が余りに貧弱だからだ、そして保母の定数を初めとする最低基準がもう現実に合わなくなってきている、そういうことにあるのではないかと思うんですね。現行の措置費や最低基準では、こうした多様な保育ニーズにはこたえることがもうできない状況になっているわけです。
 措置費の抜本的な引き上げと、それから四半世紀にわたって据え置かれている保母の定数の基準の見直し、そしてさらに一日八時間を原則とする保育時間を初めとする最低基準の改善、そういうものをやっぱりやっていかない限りなかなか進まないのではないかと思うのですが、その辺はいかがでしょうか。
#16
○政府委員(清水康之君) 御指摘のとおり、保母の配置基準というものにつきましては、昭和三十年代、四十年代ごろには専門家の御意見などを参考にしながら逐次改定してきた歴史がございますけれども、近年、基本的な配置基準の改定という考え方から、少し個別の具体的な予算措置による改善というふうな方向に変わっておりまして、例えば業務省力化等勤務条件改善費を昭和五十六年度につくるとか事務職員の雇い上げ費を新設するとか、あるいは年休代替要員の改善を図るとか、乳児保育の対象を逐次拡大するとか、そういうふうな形でずっと対応してきたわけでございます。
 しかし、保母の増員等の御要望は各方面から寄せられていることでもございますし、長年据え置かれているということも事実でございますので、この問題につきましては、当然今後この保育問題検討会においていろいろ御議論がいただけるものと考えております。
 また、保育時間の延長等保育需要の多様化につきましても、いわゆる特別保育というふうな形で予算措置をもってこれに対応すべく努力をして、毎年多少なりとも予算額の拡大を図ってきており
ますが、今後ともその努力を続けていきたい、こう考えております。
#17
○糸久八重子君 最後になりますが、大臣にお伺いをしたいと思います。
 地域に開かれた社会資源として、保育所が地域の子育ての中核になっていることは大変よいことだと思います。しかし同時に、多様な保育ニーズヘの対応によって、本来の保育に欠ける子供たちに対する保育が手薄になったり、それから乳児保育とか延長・長時間保育等、仕事と子育てを両立していくための施策の歩みがとまるようなことがあってはならないと思っております。まして、地域に開かれた保育所を名目に、保育に欠けるすべての子供に公的責任で保育を保障してきた保育制度の根幹がゆがめられることがあってはならないとも思っております。
 現に、母子家庭の人たちの多くが、仮に多様な保育サービスの提供を名目に措置制度が見直され保育所が利用施設となっていくのならば、措置の保障を失って高い利用料を払えない母子家庭の子供たちは保育所から切り捨てられていくのではないかと、非常に危機感を持ってこの動向を見守っていらっしゃいます。こういう点につきまして厚生大臣の御見解を承りまして、保育所問題についての質疑を終わりたいと思います。
#18
○国務大臣(丹羽雄哉君) 保育対策につきましては、各方面からさまざまな御意見が出されておるわけでございます。
 今先生が御指摘の保育料の問題でございますが、これは御案内のように、収入に見合って御負担をいただいておるわけでございますけれども、高収入の方の間でもちょっと保育料は高過ぎるのではないかというような声もあることも事実であります。
 こういったような保育料の軽減であるとか、さらに入所児童の処遇の水準でありますけれども、御案内のように、保母さんの数は四歳児から五歳児が三十対一、それから三歳児が二十対一と、こうなっておるわけでございますが、この基準そのものももうちょっと手厚くできないかどうかと。さらに、保母さん等が不測のことがあってもしも欠勤した場合にそのやりくり等を補うためとか、あるいは保育園、保育所全体の運営を園長先生とともにいわゆる見渡すことができるような主任保母、こういったようなものを枠外でありますけれども設けてほしい、いろんな意見が出されておるわけでございます。
 こうしたことを踏まえまして、いずれにいたしましても先ほどから局長が御答弁を申し上げておるわけでございますが、保育ニーズの多様化などの社会の変化に対応した制度及び費用負担のあり方、特に国と地方の負担のあり方というものが問われておるわけでございますけれども、こういったような全般について、現在有識者で御議論をいただいております保育問題検討会というものを設置したわけでございます。こういった検討会を踏まえまして、先ほど先生が御懸念をなさいましたようなことではなくて、まさに女性の就労と子育ての両立を支援する施策として保育対策はますます今後大きな役割を果たしていく、こう考えておるわけでございます。
 いずれにいたしましても、先ほど申し上げました保育問題検討会の御論議を踏まえながら、今後具体的な改善方策を検討していきたい、こういうふうに考えております。
#19
○糸久八重子君 終わります。
#20
○栗原君子君 続いてお伺いをいたします。
 まず第一に、寡婦に対する貸し付けが大変進まなかったということがさまざま出されました資料によって明らかでございますけれども、これは私が見るにはPRの不足があったのではなかろうかと思うわけなんです。それとあわせまして所得制限がありまして、この所得制限が大変低い位置にあるものですから利用者が少なかったのではなかろうかと思うわけでございます。そしてまた、この法を見ておりますと「かつて」という言葉があるんですが、「かつて配偶者のない女子」としておりますけれども、この「かつて」という文言を取ればもっと対象者が広がっていたんではなかろうかと、そんなことを思うわけでございますが、いかがでございましょうか。
#21
○政府委員(清水康之君) 寡婦福祉資金の貸付需要が伸び悩んでいるのはなぜかといったようなお尋ねでございますが、私どもは、この寡婦福祉資金の貸し付けの中で最大のものはいわゆる住宅資金の貸し付けでございますけれども、住宅資金が四〇%程度を占めているわけでございますが、この部分が減少してきているということを主な原因と考えております。やはり住宅の改築、増築、取得といったことはそう毎年あるわけではございませんので、一たん行われますとおおむね二十年ぐらいのサイクルでしか資金需要が出てこない。そういうものが減ってきたために、過去に貸したお金が返ってくるのに対して新しく貸し付ける額の方の需要が伸びていかなかった、こういうことが主な理由かと思います。
 もちろん、本貸付制度は、都道府県や政令市が実施しているわけでございますけれども、それぞれの団体において適切な広報活動を通じていろんなPRをしております。例えば、福祉事務所にリーフレットを配置するであるとか、あるいは母子寡婦団体の雑誌において制度をPRするとか、あるいは母子相談員や福祉事務所の職員の方々の研修会でPRをするとか、あるいは小中学校や保育所にいろんなリーフレットを配置するとか、いろんな努力をそれぞれの団体がしておるわけでございます。貸し付けについてPRが非常に不十分だったために、その制度を知らないために借りる人が少なかったんだというふうには必ずしも考えておりませんけれども、しかし、これは各都道府県ごとの実情もございますので、なお大いにこの制度の普及徹底を図るための啓発には努力してまいりたいと思います。
 また、所得制限があるから貸し付けが受けられなかったのではないかというふうな御指摘でございましたが、確かに所得制限はございますけれども、私ども過去の例えば平成三年度の貸付実績について貸し付けできなかったケースというものを調べてみましたところ、所得制限のためにそこにひっかかって貸し付けができなかったという報告は一件もございませんので、私どもは、現在の寡婦の方々の収入水準というものから見まして、現在の所得制限枠が貸し付けを妨げているというふうには考えておりません。
 なお、「かつて」という部分を取ればいいのではないかという御指摘がございましたが、御案内のとおり、昭和五十六年に現行法ができた際にさまざまな議論がなされて、そして寡婦の範囲、寡婦の定義というのが決まりました。そして、いわば法律で言う寡婦ではありませんけれども、一般的な人との均衡も考えながら、しかし女性の方々の現状に配慮して、四十歳以上で子供を育てていない方々についても、いわゆる準寡婦というふうなことで貸し付けができるように法律の附則に規定がございまして、そういう努力もしておりますので、現在の段階でそれで対応することで一応必要な配慮はなされている、そういうふうに考えております。
#22
○栗原君子君 実は、いただきました資料を見ますと、岡山県あたりでしたら四百四十七カ月分という、これは三十七年分にわたるわけですね。それから、和歌山でも百八十六カ月とか、もう百カ月以上超えたのがまだ結構あるわけでございます。こんなになるまで放置といいますか、もっと早いうちのいろんな手だてというものはできなかったものかどうかお伺いします。
#23
○政府委員(清水康之君) 確かに御指摘のとおり、全国平均にいたしますと、寡婦資金は四十九カ月程度の繰越金の状況ということでございますが、都道府県ごとに言いますと、大変巨額の繰越金があるという県もあるのが実情でございます。
 私ども、この都道府県ごとの実情については、それぞれの各県の事情がありますから具体的なことはつまびらかにできませんけれども、やはり各県の貸付事務あるいは特に必要な予算計上の際に、その取り組みについてのいろんな姿勢の違い
があって、例えば住宅資金の需要が一巡したのに、前年度と同額の予算を確保しなければいかぬというふうなことから予算を確保してしまったとか、そういうふうなケースもあるいはあるのではないかと思っております。
 このような過剰状態といいますか、剰余金の状態があるということが背景になって、各都道府県の議会における決算委員会その他でもこの合理化、効率化の指摘がなされているということが背景にございまして今回の法律改正をお願いした、こういうことになったわけでございます。
#24
○栗原君子君 本法律で児童の定義、これを二十歳に満たないものとした理由、こういったことをお伺いしたいと思います。
 児童扶養手当のこの制度では、十八歳までを児童と定義をしているわけですけれども、二十歳と十八歳の定義の違いというのを、そこらあたりを少しお聞かせください。
#25
○政府委員(清水康之君) これは率直に申し上げまして大変難しい問題でございまして、何歳までを児童と定義するかというのは、御案内のとおり、各法律によっていろいろ一致しておりません。おっしゃるとおり、児童福祉法では十八歳未満、それから労働基準法では十八歳未満というのを年少者というふうに扱っているのに対しまして、民法であるとか少年法であるとか、そういうものでは二十歳というふうになっております。
 このように年齢がまちまちになっておりますのは、その法律が児童、成人と区別するに当たりまして、いわば身体的未成熟を問題として区分をするというふうな場合、あるいは意思能力とか行為能力の発達度を考慮する場合とか、それぞれその法律の目的によっていわばひとり立ちできるという時期の判断が異なっているというふうなことが背景にあるものと思います。
 母子・寡婦福祉法において二十歳というふうになっておりますのは、昭和二十年代につくられました母子福祉資金貸付等に関する法律、これがこの前身であるわけでございますが、この法律制定当時に、この法律は実は議員立法であったわけでございますけれども、私どもは推測するところ多分、民法において二十歳までを未成年として扱っておるというふうなことを背景として二十歳ということになった。当時でも母子福祉法は十八歳であったわけでございますが、むしろ民法の未成年というところに準拠したというふうに考えております。
#26
○栗原君子君 では、母子家庭及び寡婦に対する専門的な助言とか指導を行う、こういった事業を社会福祉事業として今回法的に位置づけることになったわけですが、このメリットというものはどういうことを思っていらっしゃるのか、お聞かせください。
#27
○政府委員(清水康之君) 確かに、母子家庭に対する指導、助言というようなものは現在でも事実としては行われておりますし、あるいは予算措置に盛ってバックアップされているわけでございますけれども、しかしながら、いわば自立支援という事業についての取り組みが、特に専門家による相談等の事業というものが必ずしも十分に展開されていないというふうな認識を持っております。
 そのため、私どもは、母子家庭や寡婦の自立を支援するための事業の中でも、特に経済的、社会的自立に必要な金銭貸借関係の問題あるいは事業経営上の問題あるいは財務に関する問題、そういったような問題については、第二種社会福祉事業として法定化することによってその一層の普及を図りたいということが趣旨でございます。あわせて、第二種社会福祉事業に位置づけられますと、いわゆる税制上の優遇措置それから共同募金の配分が優先的に受けられる、あるいはこの仕事について各都道府県等から事業を受託することが予想されるいわゆる母子寡婦団体、こういうものが現在は民法法人であるところが多いわけでございますけれども、これがいわゆる社会福祉法人化できる、こういうふうなメリットがあると考えております。
#28
○栗原君子君 専門的知識をもって行います生活及び生業に関する助言、指導を居宅介護事業等に入れた理由というのはこれは何であるのか。このままでありますと、居宅における助言、指導のように思われてしまうと思うんですけれども、この点の解釈はどのようになっておりますか。
#29
○政府委員(清水康之君) これは実は政府部内のいろんなやりとりの中で、おっしゃるとおり、この指導、助言事業というものを独立の項目として立てて書くという考え方もあったわけでございますが、数年前のいわゆる福祉八法改正の際に、居宅において介護事業等を行う事業がこの法律の中でも法定化されたという経過がございまして、居宅における介護事業の中に「等」という形で読み込むことで対応をすることで十分ではないか、そういう内閣法制局その他との政府部内でのやりとりの中で結論が出たものでございます。
 法定化する生活、生業等に関する専門的な助言、指導事業というふうなものも自立を促進するという事業でありまして、いわゆる居宅における介護事業というものと目的、性格において類似の点があるというふうなこと、あるいは介護事業につきましては現在五十六の道府県市で実施されておりますが、今回法定するこの相談事業につきましても三十七の府県市で既に実施されているというふうなことで、私どもが、介護事業の方がいわば今回新たに加える専門指導事業よりも実態としてやっている県が多いというふうなことから、指導専門の指導事業等というふうに、そちらを頭にするのではなくて、既に法定化されていわば居宅介護事業というのがございましたので、その中に「等」ということで加えたということでございます。
#30
○栗原君子君 母子相談事業、私は、どうせやるからにはいいものにしていただきたいと思うんですね。ただ文章だけにするものでなくして、中身のあるものにしていただきたい。そのためには、やっぱり母子相談員の常勤化ということをぜひ考えていただくことができないかどうか、ちょっとお伺いいたします。
#31
○政府委員(清水康之君) 母子相談員の方々が、母子家庭や寡婦の方々の自立促進なり生活の安定なり、そういうことについて大変御尽力をいただいて大きな貢献をしていただいていることについては、私ども大変高く評価をしているわけでございます。
 母子相談員は、現在は御案内のとおり、全部で千百名ほどおりまして、そのうち三百三十四名が常勤、七百七十六名が非常勤、こういうことになっております。実は常勤化については、昭和四十年八月のころから常勤化が進められておりまして、昭和四十年においては常勤職員は八十三名、当時相談員は九百四十名ほどでしたから一割弱ということであったわけでございますが、平成三年現在で三百三十四名、全体の三〇%ということですから、私どもは、逐年改善されてきているといいますか常勤化が進んできているというふうに理解をしております。
 しかし、私どもは、この母子相談員が都道府県に置かれたときの経過が、できるだけいわゆる未亡人等の方々にこういう母子相談員として活躍していただきたいとかいろんな背景がございまして、当時は、常勤化をしますと必ずしも母子寡婦問題だけではなくて福祉一般の仕事もしていかなければいかぬとかいろんなことがありまして、むしろ非常勤の方が望ましい、あるいは未亡人の方々、当時もかなり年齢的な問題もございましたので、常勤職員では都道府県の採用がなかなか難しい面がある。いろんな背景から非常勤が法律の原則になって、適切な人がいれば常勤でもいいというのが法律の書き方になっているわけでございますが、当時から、母子相談員の方々の重要な役割にかんがみて常勤化を進めるべきであるという国会での御議論がございますので、随時この常勤化について努力をしてきているつもりでございます。
 今後も、都道府県における交付税の基準財政需要額への算入、そういうふうな方向を努力して常勤化の促進というものに努めてまいりたいと思い
まずし、また非常勤の方々も大変努力していただきますので、非常勤の方々の処遇改善、待遇改善といったようなことも努力してまいりたい、そう思います。
#32
○栗原君子君 ぜひ、常勤の人をふやすなりして中身のあるものにしていただきますようお願いをいたします。
 続きまして、寡婦の定義でございますが、私もいろいろ調べてみましたら、もうさまざまな解釈がありまして大変混乱したわけなんですけれども、いただきました資料の中には、「配偶者のない女子であって、かつて配偶者のない女子として児童を扶養していたことのある者」、要するに母子家庭のOBということを言っているもの、さらには「児童を養育しておらず、かつ配偶者のいない女子であって、三十歳以上六十五歳未満の者」と、こういうことを書いたものもあります。それから、寡婦の定義といたしまして、「四十歳以上の配偶者のない女子で、十八歳以上の子を扶養しているもの、または四十歳以上の配偶者のない女子で、子のないものを指称する。」、こういったもうさまざまなことがあるわけですけれども、どれが一体本当なんですか、ちょっと教えてください。
#33
○政府委員(清水康之君) 確かに、寡婦という言葉だけ見ますと、例えば税制措置の場合の寡婦というのはかなり広い範囲でとられているわけでございまして、私どものこの母子・寡婦福祉法で言う寡婦が、最もある意味では狭い定義になっているようにも思いますが、当時、寡婦の範囲ということについて、母子及び寡婦福祉法に定める福祉の措置の対象範囲は何にするのだということが昭和五十六年の法改正当時にいろいろ議論されたというふうに承知しております。
 そして、本法における措置は、そもそも離別や死別によって一人で子育てに苦労されてきた方々に対して福祉の措置を講ずる必要があるという考え方がそのいわばベースになっていたわけでございますので、その対象範囲については、五十六年法改正時おいて、子供が成人に達した場合には自立が可能になるので、いわば全くの寡婦といいますか子供を育てていなかった方、かつて母子家庭でなかった方について特別の保障、特別の優遇措置、福祉の措置をするという必要があるのかどうかというふうな議論、それから中高年の独身女性の場合に特別の対象になっていなかったということで、そういうものとのバランスを図る必要があるといったような議論がいろいろ当時行われまして、現在のような定義になっているというふうに理解をしております。
 こういうような定義の基本を基本的に現在変えなければならないかどうかということにつきましては、そのような変化はないのではなかろうか、現状で対応してよいのではないか、そういうふうに考えておりますが、御案内のとおり、当時も融資については少し対象を拡大する方がいいということから、法律の附則第六条というところで、いわゆる四十歳以上の配偶者のない女子の方々について、法律には準寡婦という言葉はございませんけれどもいわば寡婦の範囲を少し広げて、いわゆる寡婦福祉資金の貸付対象にはする、こういう対応が当時もとられたということでございます。
#34
○栗原君子君 例えば、子供のいない夫婦で夫が急死した場合、その救済措置としたら生保しかないんですか、やっぱりこれが対象になるんですか、ちょっとそこを触れてください。
#35
○政府委員(清水康之君) 今申し上げましたとおり四十歳以上であれば対象になるわけでありますが、私どもの方では一般的に、もしこの法律による母子・寡婦福祉資金の対象にならない場合はどういう方法があるかというふうなことでお答えしますと、いわゆる社会福祉協議会がやっております、昔世帯更生資金と言っておりましたが、今は生活福祉資金という制度がございます。この社協が実施しております生活福祉資金の貸付対象なり条件は、母子・寡婦福祉資金と似たところがございます。この社協のやっております生活福祉資金については当然対象にすることが可能ではなかろうか、そういうふうに考えております。
#36
○栗原君子君 次へ進みたいと思いますが、児童扶養手当のことを少しお伺いいたしたいと思いますけれども、現行の場合の十八歳未満を変えまして、十八歳に達する年度の末日まで、要するに高校卒業までは見てほしいというそういう声がさまざま上がってきていると思いますが、これらについては考えていただけるものかどうか。また、その額の引き上げなどをどのように考えておいでなのかお伺いをしたいと思うんです。
 母子世帯の状況というのは、このいただいた資料を見ておりましても、一世帯平均が二百二万円、一般世帯でございますと五百十三万円の年間収入がある、収入が一般世帯に比べて半分以下、このようになるわけでございまして、中には百万円未満の世帯が二二・二%という状況になっておりますが、いかがなものかと思うんです。もちろん、けんか別れした夫から養育費を受けている人は大変少のうございまして、受けていないという人が七五・四%という大変高い率になっておりますけれども、ここらあたりはいかがでございましょうか。
#37
○政府委員(清水康之君) 児童扶養手当の支給年齢が十八歳に達する日といいますか、十八歳までというふうになっていることにつきましてはさまざまな御議論がございまして、先般の予算委員会その他でも御指摘をいただいているわけでございますが、現在、実はこの十八歳未満というふうになっている主な社会保障制度は、私どもの児童扶養手当のほかに公的年金であります国民年金や厚生年金における遺族厚生年金あるいは遺族基礎年金、それから労働省がやっております労働者災害補償保険法に基づく遺族補償年金などさまざまあるわけでございます。
 したがって、この児童扶養手当だけをいわば先行的に十八歳に達する日の年度の末日までというふうに改正することは、社会保障制度全体のバランスの問題もありますので、いろいろ難しいかと思っております。私ども、来年のいわば五年に一遍の年金制度の改正の議論の中で、現在この児童や子の範囲の均衡をどう考えるのかというようなことも年金の方でも御議論なさっているというふうに承っておりますので、さらに慎重に社会保障制度全体の問題として取り上げて御議論をし、検討していただく必要があるというふうに思っているわけでございます。
 金額につきましては、母子世帯が一般的に所得が一般の世帯に比べると半分程度である、あるいは半分以下であるというふうな実情は存じ上げておりますので、できるだけ各種の手当の給付額を拡大するように努力しているわけでございます。これも、児童扶養手当制度につきましては、御案内のとおり、平成二年度の改正におきまして他の手当と同様に基本的には自動物価スライド制というものが導入されておりますので、私どもは、現在導入されてまだ数年しかたっておりませんこの自動物価スライドという形で年々その充実に努力し、実質的な価値が減らないようなそういう努力を続けていきたい、そう思っているわけでございます。
#38
○栗原君子君 さらに努力をしていただきますようにお願いをしておきたいと思います。
 次に、これは大蔵省の税務当局にぜひ厚生省の方からお願いしていただきたいと思いますけれども、所得税とか地方税に関して寡婦の控除額の引き上げを図ってほしいという声が随分出ております。そして、その中には生別、生き別れの寡婦の場合とかあるいはまた、未婚の母が今大変ふえておりますが、未婚の母も控除の対象に加えていただくように要望していただけたらと思うんですが、いかがでしょうか。
#39
○政府委員(清水康之君) 寡婦控除が大変重要な役割を果たしているということはよく理解しておりますので、毎年、寡婦控除の控除額の引き上げというふうなものについても税制改正の時期に他の項目と並んでいろいろ要望しているわけでございます。
 御案内のとおり、所得税については平成元年度、それから住民税については平成二年度の税制
改正で、所得税は二十五万から二十七万、住民税は二十四万から二十六万というふうに引き上げられておりますし、また、平成二年度の税制改正において、寡婦控除の対象となるいわゆる所得限度額、制限があったわけですが、この所得限度額も大幅に引き上げられまして三百万円から五百万円になった、そういうふうなことでございますので、私どもも、先生御指摘のように、この税制における控除の引き上げという問題については常に気を配りまして、できるだけ他の人的控除との均衡も考慮しながら、その引き上げについて適時適切に要望をしてまいりたい、そう思っております。
 また、御質問の、児童を扶養していない寡婦について現在死別の場合にのみ寡婦控除が適用となっているけれども、これは亡くなった御主人のいわば実家などとのつき合いその他いろいろ、御主人がおられた方とおられなかった人との間での追加的費用の差があるというふうなことに着目して設けられたものでございますし、またさらに、児童を扶養していない生別寡婦あるいはいわゆる未婚の母ということについてこの寡婦控除の対象に含める、対象を拡大していくということについては、これまでも非公式にいろいろ意見を聞いてみておりますけれども、直ちに社会的な合意になるということは難しい状況ではなかろうか、そう考えております。
#40
○栗原君子君 それでは続きまして、労働省の方がおいでになっているかと思いますけれども、雇用促進の関係についてちょっとお伺いをいたしたいと思います。
 母子となりまして三年未満であれば、高等職業技術専門校に入校をする場合に訓練手当が支給されるようになっているわけでございますが、母子家庭というのは、何の準備もなく、ある日突然に母子家庭になるわけでございまして、そのときにたまたま子供が小さくて訓練校に通うことができなかったとか、あるいは気がついたときにはもう三年過ぎちゃってこの対象にはまらないとか、そんなことがさまざまあるようでございます。
 そして、この資料の中からも明らかなように、母が何らかの資格を有しているかというものに対しまして、何も資格のないという人が六六%もいるわけでございまして、当然生きるためには資格を取りまして働くということ、これの手だてをしていただかなければ問題解決にはならない、このように考えるわけでございます。それからまた、訓練校に通いたくても、なかなか近くになくてせいぜい郡単位ぐらいに一つあるという、そういったような状況であるやに伺っているわけですが、もう少し働く場を確保するということ、このことをどのようにお考えであるのかお聞かせをいただきたいと思うんです。
 特に、専業主婦でいた人が、その夫が亡くなりましてどういう生き方をしていいか大変迷うことが多いように聞かされるわけでございます。それから、小さい子供さんを抱えて母子家庭になった場合には、子供が病気で休んでしまいますと当然仕事に出られないんです。そして、保育所に預けていても、熱があればもう保育所では預かってくれない、そういうこともあるわけでございまして、ぜひ病気のときでも、病児保育所といいますか、余り大きな病気のときは預かってもらえないにせよ、病院に行かなきゃなりませんけれども、少しぐらいな熱のときには預かってもらえるとかいう病児保育所のことなど、私は、これはぜひ労働省の関係それから厚生省の関係で答弁をいただきたいと思います。
#41
○説明員(後藤光義君) 訓練手当の期間のお話がございましたので、お答えを申し上げたいと思います。
 母子家庭の母等に係る訓練手当につきましては、夫の死亡等により職業能力の十分でないまま就業せざるを得ないことが円滑な就職を阻害している、そうした場合が多いことを考慮いたしまして、母子家庭の母等になった後の特に能力の開発向上が必要となる時期に手当を支給しながら職業訓練の受講促進を図りまして、その職業的自立を援助しようとする趣旨で設けられた制度でございまして、母子家庭の母等となった日の翌日から三年以内に公共職業安定所に求職の申し込みを行いまして、安定所長の受講指示により職業訓練を受講する場合に、その訓練受講期間中の生活の安定を図ることを目的として支給するものでございます。
 ただ、先生がお話しございましたように、母子家庭の母等となった時期に乳児を抱えていた場合には、すぐに職業訓練を受講することが困難であると思われますので、乳児が成長し、保育所等での世話が可能となるまでの期間として三年以内に公共職業安定所に求職申し込みを行えばよいという、いわば猶予期間を設けているものでございます。
 この三年間という期間につきましては、雇用対策上、例えば障害者、高年齢者のような他の就職困難者に対して特別にいろいろな対策が講じられているわけですが、その有効期間がおおむね三年を限度としているという場合が多いことから、こうした他の同種の制度との均衡を考えますと期間の延長は適当ではない、このように考えております。
#42
○政府委員(清水康之君) 病児保育の問題についてのお尋ねでございますが、私ども、現在女性の職場進出が進む中で、子供さんが発病したときに保護者の方が休暇をとらなければいかぬけれども、なかなか緊急の場合には休みをとることも難しいといったようなことで非常に大きなハンディキャップになっているというふうなお話をよく聞いております。したがって、保護者の勤務の都合で家庭での対応が困難な場合に、その受け皿となるサービスをどういうふうにすればいいのかという大きな課題があるということはよく認識をしております。
 現在、そこでこれをどうすればいいのかということについて、すべての保育所で対応するということはなかなか難しゅうございますので、現在のところ病児デイケア・パイロット事業というパイロット事業を全国四カ所でやっております。
 このパイロット事業の対象児童というものは、病児デイケアの利用についてある程度登録をしていただいて、そして保護者の勤務等の都合で、病気になったときに保育所もなかなか通常の保育所では預かってくれない、家庭での対応も困難である、そして医師の診察等によって、いわば入院等の長期的な対応は必要でないけれども保育所における通常の集団的生活は困難である、こういうふうなケース、多分このことをおっしゃっているんだと思いますが、そういうケースについてどういうふうな事業内容を開発してどういうふうに対応すればいいかということについてパイロット事業として現在取り組んでいるところでございます。
 その成果を見詰めながらできるだけ、四カ所というのは非常に少ない数であるということは十分知っておりますから、これはあくまでもパイロット事業ということでございますので、その成果を踏まえていろいろ検討していきたい、こう思っております。
#43
○栗原君子君 先ほどの労働省の方の答弁でございますけれども、どっちにいたしましても、私は母子家庭になって三年以内というのは大変期間が短いと思うんですね。これを少し猶予の期間を長くしてもらうことはできないものかどうか。せめて五年ぐらいは何とか見てもらえないかなという気がするわけでございますが、このことについてはいかがでございましょうか。
 それから、今の全国でパイロット事業として病児保育所四カ所と言っておられますけれども、これは本当に四カ所ではほとんどないと言ってもいいような状況じゃなかろうかと思うんです。ぜひこれを各地域にできるように全力を挙げてやっていただきたい、このように思うんですけれども、いかがでございましょうか。
#44
○説明員(後藤光義君) いずれにいたしましても、円滑な就職促進を図るというのが最終目的でございまして、訓練手当を支給する云々ということはその就職を図るための一つの手だてである、
このように考えているところでございます。
 それで、三年を五年云々というお話でございましたけれども、これにつきましては、先ほども申し上げましたように、他の制度との整合性を考えますとなかなか難しい面があると考えておるわけでございまして、母子家庭の母等の雇用促進につきましては、例えば特定求職者雇用開発助成金等の他のいろいろな援護制度がございます。こうしたものを組み合わせ、活用することによりましてその就職促進に努めてまいりたい、このように考えているところでございます。
#45
○政府委員(清水康之君) 確かに、四カ所というのはもうないのと同じだというふうに言われればそれまででございますが、先ほど言いましたように、これはパイロット事業ということで平成四年度から始めたものでございますので、ここにおけるいろんな実験、試みを踏まえてこの箇所を将来的には非常にふやしていきたいというふうに思っております。当面、平成六年度予算要求の時期がそろそろ参りますので、平成六年度予算要求の時点において箇所数をもう少しふやすことができないかどうか、いろいろ検討してみたいと思います。
#46
○栗原君子君 母子家庭はもう本当にたくさんの問題をまだまだ抱えているわけでございますが、次に、私ちょっと父子家庭のことをお伺いしたいと思うんです。
 この父子家庭というのがなかなか声となっては出ていないように思うんですが、でも現実に年ごとにやっぱり父子家庭になられる家庭がふえておりまして、それで、そういった人たちに対してどういった手だてができるのかお伺いをしたいと思います。
 いただきました資料で、調査で、「困っていること」があるかという問いに対しまして、「困っていること」があるという人が父子家庭の場合で七〇・三%なんですね、母子家庭でも七五・一%なんですけれども。その中で、一番やっぱり困っておられるのは家事のことで困っていらっしゃるようでございまして、三八・二%、これはもう既に父子家庭全体の四割になっているわけでございます。
 それじゃ、その家事の応援をするためにホームヘルパーの派遣をやっているじゃないか、そういうことをおっしゃろうかと思うんですけれども、この利用している人を見ますと〇・四%なんですね。本当にほとんど利用していないという、そういうことになっています。利用していない人が九九・六%でございます。ほとんど利用されていないのでございます。それから家庭児童相談室、これだって一・八%という、ないに等しいような数字として出ておるわけでございます。
 このヘルパーが行っていないというのは、どういう状況でこれが利用されていないんでしょうか。手続が面倒だから利用されないものか、それから福祉事務所の窓口でいろんなことではねつけられてだめになっちゃうものかどうか、ちょっとそこらあたりをお聞かせくださいますか。
#47
○政府委員(清水康之君) まず、父子家庭の実情でございますが、全国的な規模で調査をしたのは昭和六十三年が最新でございますので、ちょっと古くて恐縮でございますけれども、昭和六十三年の調査によりますと、十七万三千三百世帯となっておりまして、五年前の昭和五十八年は十六万七千三百世帯でございましたから、多少父子家庭はふえてきているということではなかろうかと思います。
 そして、その父子世帯の生活状況というものを見ますと、父子世帯で持ち家を持っておられる方は六割、六一%ほど、母子世帯が三五%ですから、母子世帯に比べて持ち家率は非常に高い。それから、年間収入も三百六十万ほどでございまして、母子世帯が二百万でありますからかなり高い。そういう状況にございますが、まさに御指摘のとおり、困っていることは何だといえば、家事、育児といういわゆるサービス面で非常にお困りであるということのようでございます。
 したがって、私どもは、育児、家事に関する問題で苦労されている父子家庭が多いという実情を認識した上で、先ほどもお話がありましたけれども、ホームヘルパーの派遣あるいは保育所への優先入所といったような事柄に努力しております。また、親の方が病気になったときにはその子供を児童福祉施設で一時的に保護できる事業、家庭養育支援事業と言っておりますが、そういうものを採択しておりますし、平成三年度では親の方が仕事から帰ってくるまでの間、特に夜でございますが、夕食でございますが、養護施設等で子供に夕食を提供するトワイライトステイ事業というふうに言っておりますが、そういう事業を創設して父親の方が安心できるようなそういう支援も考えて、努力してきているところでございます。
 ただ、確かに父子家庭対策というのは、制度創設後日も浅うございますし、若干まだ十分な周知徹底がなされていない面もあると思います。これから全国的な展開に向けていろいろ努力をしていきたいと思いますが、ホームヘルパーにつきましては、この父子家庭あるいは母子家庭等に派遣される登録制度、登録介護者の制度がございまして、一万七千名ぐらいの登録がございますが、そのうち父子家庭にも行ってもいいですというふうに登録されている方が一万四千弱おります。私どもは、もう少しこのPRを強めていけば、また父子家庭の方が何となく利用を遠慮されるような雰囲気等が解消されてくればもう少しヘルパー派遣についても実数として、実績として伸ばしていくことができるんではないか、また伸ばせるように各都道府県を指導し努力してまいりたい、そう思います。
#48
○栗原君子君 実は、私も長年地方議会の中にいまして、父子家庭の問題にかかわってまいりました。
 その中に、例えばこういう例もあるんです。朝六時前にはお父さんが仕事にもう出ちゃうわけなんです。そうすれば、朝御飯を食べたが食べないかわからない状況で子供がいるんですね。そのまま学校に行くわけなんですけれども、中には近くの喫茶店でモーニングを食べて学校に行く子がいるわけなんです。そして、学校から帰りましても家で一人でいる。中には、家で一人でテレビを見たりテレビゲームをしたりして待っている子もいますけれども、そうじゃなくて外に遊びに出たくなるし、出ていったらいつ帰るかわからない。お父さんは残業して帰りますと十時過ぎでないと帰らないという、そういう家庭がありました。
 母子家庭の場合は、何とか始末してでも、例えば本当に食費を削ってでもお母ちゃんが頑張ってくれている例もたくさん見てまいりましたけれども、父子家庭の場合はそれすらできないんですね。ついついお金を子供に千円渡して、子供がそれで一日、学校給食がなかったものですから昼を食べ、朝も食べるが食べないかわからない、夜はカップラーメンを食べるという、そういう状況の子供に私はかかわってきました。
 これらを考えていただいたときに、やっぱりここに手を差し伸べていただくことがぬくもりのある厚生行政になるんじゃないかと私は思うんです。この父子家庭の問題は、声としては余り上がっていないかもしれませんけれども、現実に深刻な問題となっておりますので、ぜひ手を尽くしていただきますようにお願いをいたします。
 それでは、また再び母子家庭の関係に返ってまいりたいと思いますが、福祉資金の貸し付けの限度額を見ていただきたいんですけれども、これが大変私は低いと思うわけでございます。ぜひこの限度額を引き上げてほしいと思うんです。
 例えば、私立高校への入学とかあるいはまた予備校への入学などのとき、大学にしてもそうでございますが、入学金が結構がかるようでございまして、そのときにやっぱり手持ちがないからこの貸し付けを利用するということになっているわけでございます。
 それから、就職をする場合に就職支度金というのがありまして、これが特別とあるものを聞いてみましたら二十九万円、これは通勤用の自動車を購入するために平成四年度からこれを事業の中に
加えられた、このように伺っているわけでございます。二十九万円で自動車は今買えないのでありますが、これは一部になるんでしょうけれども、もっとこの金額というのは私は上げてもらってもいいんではなかろうかと思います。
 それから、住宅資金の場合に、一般の場合百二十五万円、転宅資金二十二万円となっております。今引っ越しをひとつしようと思いましても、五カ月分の家賃を用意しておかないと引っ越しはできないわけでございます。母子家庭の場合で、一番小さいアパートでも借りようかと思っても、せいぜい六畳と四畳半ぐらいなものを借りようと思いましても五カ月の家賃を用意しようと思えば二十五万円はかかるわけなんですね。これでは到底今言われているものでは足りないし、ぜひここらあたりの引き上げを図ってもらいたいと思うんです。
 それから、私が感心したのは、償還率が大変いいわけなんですね。九七%とか、九八%とか、焦げつきができていないんです。だから、この金額を上げて貸してさしあげればちゃんと私は戻ってくるようになっているなと思ったんです。そこらを受ける人を信じてこの貸し付けの額を上げていただけないかどうか、お伺いいたします。
#49
○政府委員(清水康之君) 母子・寡婦福祉資金の個々の貸付限度額の問題については、今いろいろ御指摘がございましたが、私どもは、毎年、その物価上昇等を勘案しまして、限度額の引き上げを行ったりあるいは新たに貸付対象を拡大したりということをやってきておるわけでございます。
 平成三年度では例えば学校に入った場合、大学、短大等に入った場合の入学金相当分を新たに貸付対象にするとか、先ほど御指摘がありましたが、平成四年度では通勤用の自動車を新たに加えるとか、さらに平成五年度では、それまでは住宅のいわば増改築、修繕といったようなものだけが対象であったものに対して住宅取得を加える、そういう努力をしてきておりますけれども、しかし、その現行の貸付限度額がこれで十分かというふうに言われれば、いろいろ御指摘がありましたとおり必ずしも十分と言えない面があるかもわかりません。
 他の例えば修学資金でありますと、日本育英会の行っております奨学金の制度に準拠してやるとか、いろんな他の制度とのバランスというふうなこともございますけれども、私どもは、貸付限度額の引き上げについては、御指摘のとおりまだまだそれを検討する余地はあるというふうに思っておりますので、今後の予算要求等を通じてできるだけ努力をしてまいりたいと思います。
 それから、償還率のお話がありましたけれども、これは本当に私ども大変感謝しているわけでございますが、母子相談員の方々の努力あるいは母子寡婦団体の努力、それから主としてお借りいただいた方々が、償還金が新たな貸付金の原資になっている、回転している、そういうことをよく理解していただいて非常に償還に誠意を持って努力していただいているということでございます。
 決して、貸付限度を多少上げれば焦げつきが大きくなるだろう、そういうふうな意味で貸付限度の引き上げを抑制するといったような気持ちは全くございませんので、これは全体的な予算確保あるいは他の制度とのバランス、そういうものを考えながら貸付対象の拡大あるいは貸付限度の引き上げ、こういうことについては今後とも努力をしたいと思います。
#50
○栗原君子君 時間が参りますけれども、住宅問題を少し触れさせていただきたいと思います。
 子供が二十歳になったら母子寮を追い出されてしまうわけでございますけれども、また例えば母子家庭になった場合に民間のアパートを借りようと思ったら、子供がいる人は断る家主さんが結構あるわけなんですね。そうしますと、私はこの問題は大変深刻であろうと思うんです。
 まず、住むところがなければなりません。持ち家に住んでいる人というのが三五%、借家住まいが六五%なわけなんです。特にこの借家のうち、公営住宅に住んでいるというのが一四・七%となっています。そして、民間の借家が三二%、三一・九%ですから三二%なんですね。このことからすれば、私は公営住宅というのは絶対に必要であろうと思うんです。特にこういった母子家庭、寡婦の方、それから障害者の方もそうでございますし高齢者の方もそうでございましょうが、例えば民間の高級マンションに住んでおりました人でも、夫が亡くなりますともう家賃が払えないからたちまち出ていかなきゃいけない、これが実態であろうと思うんです。
 そこで、私は、福祉住宅というようなものを考えていただくことはできないかとこのように思うわけなんです。都市部では、大変土地がありませんので何とか自治体で土地だけは用意をしていただければ、箱物いっぱいの建物を建てて、一階、二階はデイサービスができるようにするとか、あるいは中に保健センターが入ってもいいし、何か厚生省の関係で使えるものにして、それからエレベーターをつけて上の部分は住宅にしていく、そこは障害者の住宅であっていいし、高齢者も入っていいし、母子家庭のお母ちゃんたちも入っていいし、そういう感じの福祉住宅的なものをつくっていただくことはできないものか。そして、それを自治体が取り組むとすれば、地方交付税の中に十分にそれを算入していくとか、補助率を上げていくとかさまざまなことをしていただければ、今住宅住宅と地域で言っておりますけれども、それに弾みがつくんじゃなかろうか、このことをちょっとお伺いします。
#51
○説明員(吉野洋一君) お話しの件でございますが、建設省といたしましても、母子世帯向けの公営住宅につきましては、これは特に住宅困窮度の高いものとして特別な扱いをするなどの配慮をするということが必要であると認識をしておりまして、従来から公営住宅のうち一定戸数のものにつきましては母子世帯に対して優先的な取り扱いをしております。その戸数につきましては、平成三年度末現在の数字で全体の管理戸数二百五万三千戸のうち、二万五千二百六十六戸というふうになっているところでございます。ただいまお話がございました母子寮から退所を要求されているというお宅につきましては、これを最優先的に取り扱うということも通達で定めまして指導しているところでございます。
 お話しの福祉型住宅ということでございますけれども、建設省におきましても、昨年度から福祉型借上公共賃貸住宅制度というものを創設いたしまして、これは土地所有者等が建設をいたします良好な賃貸住宅につきまして、これを公共団体あるいは地方住宅供給公社が借り上げまして、家賃負担を軽減いたしましてお話しの高齢者あるいは障害者それから母子世帯に賃貸をするということによりまして、公営住宅の供給を補完しつつこれらの世帯の居住の安定を図るということでやっておるところでございます。
 以上でございます。
#52
○栗原君子君 ぜひこのことは検討していただきますように、自治体が土地だけは用意すればそういういい制度があるということをメニューの一つに加えていただきますように要望しておきます。
 さて、最後になりましたが、この全国母子世帯の調査結果の概要というのを見せていただきまして、昭和六十三年にこの調査をしているわけでございますが、ことしはもう平成五年なんで、調査をしてもう五年になっちゃうんですけれども、その調査の時点から余り進んでいないように思うんですね。だから、五年間何をしていらっしゃったのかなという気がするんです。
 それから、幾つか進んだものもあるかもしれませんけれども、余り現在と比べて進んでいないように思うし、貸付金の額だってそうだし、それからいろんな悩みがあるし、いろんなメニューはつくっているけれども、PR不足か何かわからぬが実際に利用している人は少ないし、そんなことがあるようです。調査を六十三年にしたら、その調査の結果を見てすぐ次年度から取り組みができるはずでございますが、これが私できていないのかなというそういう思いがいたします。
 それを含めて、先ほどからのさまざまなやりとりをお聞きいただいた厚生大臣から、最後に一言御答弁をいただきたいと存じます。
#53
○政府委員(清水康之君) 大臣の御答弁の前に、ちょっと数字の訂正なども含めて御答弁させていただきます。
 今大変厳しい御指摘をいただきましたけれども、いろんな統計上のあれで、五年に一遍ということですから、ことしの八月一日付でこの母子家庭実態調査をまたやることになっておりますので、御指摘のとおり、その統計がまとまり次第、何かその数字をほっておくのではなくて、できるだけその数字、実態を把握して適切に対応するようにということについては、御指摘の趣旨を体して努力していきたいと思います。
 なお、先ほど父子家庭の御質問のところで、ちょっと数字を私、父子家庭で派遣を登録、そこに行ってもいいといって登録している介護人が一万四千ほどいるというふうに御答弁申し上げたと思いますが、これは派遣を希望している父子家庭が一万四千ほどあるという数字でございましたので、訂正させていただきます。
#54
○国務大臣(丹羽雄哉君) 母子家庭は、若干ふえる傾向にございまして、現在八十五万世帯でございます。それから、寡婦の方々は百四十万人ということでございます。いずれにいたしましても、これらの方々はさまざまな面におきましてハンディを背負いながら一生懸命強く生き抜いておるわけでございます。私どもは、これらの方々に対しまして、生活の安定と向上を図るために大変さまざまな問題を抱えておる、まずこのように考えておるような次第であります。
 六十三年に調査をして、その後対策が遅々として進まないではないか、こういうような御指摘でございますけれども、平成二年には母子家庭へのいわゆるヘルパーの派遣を創設いたしまして、またこれを法制化いたしました。それから、平成五年度からは、住宅の貸付制度でございますけれども、これまでに加えまして、さらに住宅の取得に対しましても要するにこのような適用の道を広げたわけであります。
 若干またいわゆる対象額が少ないとかいろいろな問題がありますけれども、私どもは、いずれにいたしましても御指摘のように、時代のニーズに合ったような母子及び寡婦福祉制度の見直しというものを常に行っていかなければならない、こう考えておるわけでございます。今後とも、母子家庭や寡婦の方々の経済的、社会的な自立や母子世帯の児童の福祉の向上のために一層の充実に努めていくことが真の意味での公正な社会の実現であると、このように考えておるような次第であります。
#55
○栗原君子君 終わります。
#56
○石井道子君 自民党の石井道子でございます。
 我が国の母子福祉対策につきましては、四十年にわたる長い経過がございます。その原点は、過ぐる敗戦によって生じました戦争未亡人が、戦後の疲弊した経済情勢のもとで小さな子供を抱えて生活困難に陥り大変御苦労されたという、そういう母と子に対しまして必要な福祉対策を講じたことに始まっていると考えられます。
 当時の母子福祉対策は、昭和二十七年に議員立法によって制定されました母子福祉資金の貸付等に関する法律にも見られますように、福祉資金貸付制度とか母子相談員制度、また売店等の設置や専売品の販売の優先許可の三つの事項を中心として行ってまいりました。中でも、福祉資金の貸付制度が大変大きな役割を果たしていると伺っているわけでございます。
 それ以来四十年にわたっているわけでございますが、社会の変化によって母子家庭となった原因とか状況、事情というものはさまざまでございます。非常に多くの現象が起こってきているわけでございますが、私自身も母子家庭であったり、寡婦であったりという経験がありまして、大変身につまされることがあります。特にこの母子寡婦対策については非常に大きな関心を持ってきたわけでございますが、社会的、経済的に恵まれない母子家庭や寡婦の方々の自立を図り、そして生活の安定と向上を図っていくために、貸付制度が非常に大きな役割を果たしていると思います。
 今回、この本制度の改善を柱とする法改正をなさるということでございまして、大変歓迎をするのでございますが、今回の法改正に至るまでの経緯についてお伺いをしたいと思います。
#57
○政府委員(清水康之君) ただいま御指摘のありましたとおり、昭和二十七年に母子福祉資金の貸付等に関する法律というものが制定されまして、母子福祉貸付金制度というものが創設されたことがスタートになっているわけでございますが、それ以後、昭和三十九年には母子福祉対策の総合立法という形で母子福祉法というものが制定されました。また、予算措置でございますけれども、昭和四十四年に寡婦の方について独立した貸付制度をつくるということで寡婦福祉資金制度というものがつくられまして、それを法定化するといったようなことも含めて、約十年前の昭和五十六年に母子福祉法の一部改正が行われて現行の母子・寡婦福祉法というものになった経過がございます。
 そして、近年、離婚による若年母子家庭の増加といったような母子家庭や寡婦を取り巻く環境がだんだん変化してまいっておりますので、私どもとしましては、母子家庭や寡婦の方の自立促進のための施策の重要性というものはますます高まってきているというふうに考えているわけでございます。
 ところで、五十六年に法律が改正されました際に、いわゆる母子福祉資金と寡婦福祉資金とについては、両資金を独立して確保するということについての寡婦関係の方々からの非常に強い御要望等も踏まえまして、それぞれ別会計で独立して運用する、こういう制度になったわけでございます。その後、寡婦福祉資金につきましては、先ほどもちょっと御説明しましたが、住宅資金についての需要が一巡をして減少してきたといったようなことなどが背景にあろうかと思いますけれども、この寡婦福祉資金の方に多額の剰余金が滞留する状態になっているというのが現状でございまして、その点につきまして各都道府県議会あるいは国の会計検査院、いろんなところから御指摘があり、その有効活用についての検討を進めてきたというのが背景でございます。
 私どもは、こうした状況を踏まえて、この特別会計制度の改善を図るとともに、さらに自立促進に必要な相談指導体制を第二種社会福祉事業ということで法定化することによって、母子家庭及び寡婦の方々の福祉の一層の向上を図りたいということから今回の改正をお願いしたというのが経過でございます。
#58
○石井道子君 ただいま御説明を伺いますと、寡婦福祉資金に多額の剰余金が生じているということでございますが、その剰余金が生じたという理由についてはどのようなことが考えられますでしょうか。
#59
○政府委員(清水康之君) 剰余金の程度につきましても、先ほども御指摘がありましたように、各都道府県ごとに随分差がありますので、なかなか正確に一律にお答えをするということは難しいわけでございますが、一番大きな原因は、何といいましても、いろいろ統計で調べてみますと、約十年間にわたりまして貸付需要がそう伸びないのに対して毎年の償還金がふえて、貸付金の方が償還金を下回っているというところに背景があるわけでございます。
 それは、なぜそうなったかといいますと、寡婦福祉資金の貸し付けの中で最大のウエートを占めているのが住宅資金でございますけれども、この住宅資金の貸付需要が減少しているわけでございまして、それ以外の資金需要はトータルとして見ますとそんなに変わっておりません。したがいまして、これはやはり住宅資金の性格上、住宅の修繕あるいは増改築といったような事柄は、一遍行いますとそれは二十年とか相当長期のスパンで、そういうサイクルで行われる需要でございますから、たまたま過去の貸し付けの結果、現在では住宅のいわば増改築といったような需要が非常に減
っている、そういう時期に入っている、そういうことが大きな背景にあるというふうに考えております。
#60
○石井道子君 昭和五十六年に、母子福祉法に寡婦の福祉の措置が加えられまして母子及び寡婦福祉法に改正した際に、貸付金の特別会計を一つにしますと寡婦福祉資金が十分に確保できなくなるおそれがあるのではないかという見方がありまして、母子福祉資金と寡婦福祉資金の特別会計を別々に設置することとされたと聞いているわけでございます。
 確かに、財政の効率化を図るという点では大事なことではございますけれども、昭和五十六年の法改正時の考え方を踏まえまして、今回の二つの特別会計の統合ということが母子家庭及び寡婦の福祉の後退につながらないようにしなければならないと考えますが、厚生省はこの点についてどのようにお考えでございましょうか。
#61
○政府委員(清水康之君) 今御指摘の点は私どもも一番心配したところでございまして、五十六年につくられたときの経過が経過でございますから、まず母子寡婦団体の方々がこの現状をどう考えているのか、その団体の方々の御理解をいただかなければこの法律改正はできないだろうということで、母子寡婦団体の方々にも現状を素直に率直に御説明いたしました。特別会計を両建てで設置して、別々に確保するということで十年前にスタートしたわけでありますが、今日の現状から見て、特に一部の都道府県において多額の剰余金が滞留しているというふうなことを背景としまして、この会計の統合ということについて関係団体の十分な御理解をいただこうということでまずスタートしたわけでございます。
 幸い、昨年の末に御理解がいただけまして、私どもとしましては、会計の面で資金の統合といいますか効率化ということを図るけれども、決して寡婦の方々に貸付金が行き渡らないことがないように、運用面で十分都道府県も指導し、適切な配慮をしていくということを決意してこの改正案をお願いしたわけでございます。
 御案内のとおり、寡婦の方々は、全体としての数も一般的に言うと減少傾向が見られまして、昭和五十三年は百六十八万八千人であったわけでございますが、十年後の昭和六十三年の調査によりますと百四十二万二千人、やはりどうしても戦争未亡人の方々等を中心にいたしましてお年をとられてきて、母子家庭の方は若年化が進んで数がふえておりますが、寡婦の方々については一般的には総数が減ってきているというふうな背景もございます。そういう背景なども含めながら、しかし五十六年改正の趣旨が趣旨でございますから、私どもとしましては、両会計の統合を図るけれども、寡婦の方々の心配がないように、十分に総合的な適切な資金需要の把握、それから必要に応じた貸付原資の追加、そういうものについて万全の努力をしていきたい、こう考えております。
#62
○石井道子君 寡婦福祉資金に生じました剰余金の有効利用を図るという点については特別会計の統合を行うということで理解できるわけでございますが、その剰余金が生じた原因が、寡婦福祉資金の需要の減少に伴うということでございますので、制度改正に合わせまして貸付条件を緩和したり、貸付限度額を引き上げるとか、利用しやすい条件をつくっていく必要があるのではないかということが考えられます。
 前の調査によりますと、この貸付金の額が低いからというようなことをおっしゃっている方が四四・三%もありました。また、手続が非常に煩雑であるというようなことをおっしゃっている方が三二・九%もございました。限度額についても、先ほどお話が出ました修学資金なども、大学に行く場合に昭和六十三年に三万五千円であるものが、平成五年で四万四千円にしか伸びていない。それからまた、事業開始資金についても、昭和六十三年には二百万円であったものが、現在二百四十二万円でございます。また、住宅資金についても、昭和六十三年に百五万円であるものが、平成五年で百二十五万円にしか伸びていないという点についてはちょっと額が少ないのではないかということが言えると思います。
 このようなことについて、貸付需要の拡大について対応できるように積極的に取り組むべきではないかと思いますけれども、いかがでございましょうか。
#63
○政府委員(清水康之君) 一般論としましては、御指摘のとおり、資金に余裕があるならば貸付限度の引き上げを図ったり、あるいは貸付対象の拡大をもっともっと努力すべきであるという点については率直にお認めしたいと思います。ただ、私どもとしましては、先ほども御答弁したと思いますが、他のいろんな制度とのバランスとかそういうことを考慮しながら、毎年、物価上昇等を勘案して限度額引き上げそのものは努力してきているわけでございますが、その引き上げ幅が必ずしも十分でないのではないかということだと思いますので、大いにこれからも努力したいと思います。
 また、当然貸付需要も変化してまいりますので対象の拡大を図って、先ほども御説明いたしましたが、平成三年度では大学、短大等の入学金相当額を加算するようにするとか、平成四年度では通勤用自動車を対象に加えるとか、平成五年度では住宅取得を新たに加えるとか、いろいろそういう意味での努力はしてまいっているつもりでございますけれども、御指摘の趣旨を体して今後とも必要に応じて限度額の引き上げそれから貸付対象の拡大、そういうことについて財政当局の御理解を求めながら大いに努力していきたい、そう思います。
#64
○石井道子君 ほかの制度との問題もあると思いますので、その整合性を図りながら見直しをしていただければと思っております。
 また、このような制度を十分に活用できないという点については、都道府県のPRが不足しているのではないかというようなお話もございました。そのような点で、特に若い母子家庭の方々というのは、そういう面で知る機会が少ないというようなこともあるかとも思いますけれども、厚生省として、都道府県に対してこの制度の周知徹底に努めていただければと思いますが、いかがでございましょうか。
#65
○政府委員(清水康之君) せっかく無利子ないしは低利の資金を設けているわけでございますので、これがPR不足などによって利用してもらえないということであれば大変残念なことでございますから、私どもは、この制度の周知徹底ということについて積極的に努力したいと思います。
 基本的に、御案内のとおりこれは各都道府県、政令市の制度でございますから、都道府県、政令市においてそれぞれの実情に応じて広報活動といいますかPR活動というものを行っていただいているというふうに思っておりますけれども、まだまだ十分でない点があろうかと思います。各福祉事務所にリーフレットを置くとか、母子寡婦団体の機関誌で制度を説明するとか、母子相談員の方々の研修会で徹底するとか、あるいは市町村、社協などに資料を配付するとか、個別に聞いてみますといろいろな努力をそれぞれの都道府県がやっておられるようでございます。
 私どもとしましては、各都道府県に対しまして、せっかくの制度でございますし、ある意味で資金に非常に不足状態が生じているということでもございません、償還率も大変いいわけでございますので、今後とも、この母子・寡婦福祉資金を積極的に御利用いただけるように、制度の普及、啓発ということについて都道府県を十分指導してまいりたい、そう思っております。
#66
○石井道子君 次に、母子家庭や寡婦が自立するためのいろいろな政策があると思いますけれども、その世帯数とか年齢とか収入とか、母子家庭や寡婦の置かれている現状、抱える問題、このようなことがたくさんあると思いますが、そのような問題点を踏まえて、母子家庭と寡婦に対しましてとられている福祉施策の概要について御説明いただけたらと思います。
#67
○政府委員(清水康之君) 先ほどから御説明申し上げておりますとおり、一番新しい調査が昭和六
十三年度で、今年の八月一日から行われるのが五年ぶりの調査なものでございますから、若干時点が古くて申しわけないのでございますが、昭和六十三年度の調査によりますと、母子家庭は全国で八十五万世帯、五年前の五十八年に比べまして一八・三%ほどふえている。そして、その中では内訳として、特にいわゆる離別、離婚によるものが増加して全体の六割を占めているというのが実態でございます。
 母親の平均年齢で見ますと、四十・八歳ということで、一般的に見ますと若年化の傾向が見られております。それから、年間の収入ということで見ますと、平均二百二万円ということで、一般世帯の五百十三万円というのに比べますと半分以下というふうに非常に所得が低いというのが特色かと思います。そして、いろんな調査によりますと、要望としましては、家計、経済的な問題が第一、それから健康、住居といったようなことが母子家庭の場合には問題点として指摘されております。
 寡婦の方につきましては、全国で百四十二万世帯ということで、五十八年調査に比べますと九・一%ほど減少しておりますが、原因では死別というものが全体の八割ということになっております。寡婦の平均年齢は五十六・二歳でございまして、平均年齢自体は余り変化しておりません。年間平均収入は百五十七万円というふうなことであるようでございます。問題点といたしましては、年齢が高いということもありまして、第一に健康についての事柄、第二に家計のこと、第三に仕事に関することといったようなことが指摘されております。
 そういういわば問題認識といいますか実情把握の上に立って、私どもとしては、各種の施策を実施しているわけでございますが、特に離婚による若年母子家庭の増加といったようなことを踏まえまして、何といいましても経済問題が大きゅうございますから、母子福祉資金あるいは寡婦福祉資金といったようなものを柱とする貸付制度の充実ということに努力しますと同時に、母子世帯の児童の福祉の向上ということが大切でございますので母子相談員の指導の強化、あるいは所得問題につきましては、遺族基礎年金あるいは児童扶養手当、そういったものの支給あるいは額の確保、充実、それから居宅介護等事業のいわゆるサービス事業、ヘルパー派遣といったようなことの施策を展開しているわけでございます。
 もちろん、先ほどから御質問がありましたように、厚生省だけではありませんで、就業対策については労働省、住宅問題については建設省といったような他の省庁にも十分お話をし協力をしていただいて、総合的に母子寡婦家庭対策を充実強化していきたい、そう思っているわけでございます。
 平成五年度予算のことをちょっと御説明しますと、母子家庭や寡婦の自立促進等安定した生活基盤の確保ということを目指して、まず母子・寡婦福祉資金については貸付金原資を三十一億円ほど追加する、これは国が三分の二、地方が三分の一でございますから、地方団体が十五億円ほど追加しますので総額では四十五億円ほどの貸付原資の追加が実現すると思っております。また、住宅取得を貸付対象にするといったようなことも行っておりますし、児童扶養手当等についてもいわば物価スライドということでその引き上げを図っているということでございまして、これからも総合的に母子寡婦対策の充実を図ってまいりたい、そのように考えております。
#68
○石井道子君 母子家庭や寡婦が一番大事なことは経済的な自立であると思いますが、働く母親の状況を見ますと、零細企業とか中小企業に働いている方がほとんどでございまして、パートとか臨時雇いとか、なかなか安定した仕事が得られないというような面もありますし、非常にさまざまな問題を抱えていると思います。
 このような方々に対して、適切な相談に応じたりアドバイスをしてあげられるということで、母子相談員の方々が大変御活躍をいただいているということも承知をしているわけでございますが、今回、母子相談員制度に加えまして、専門的な助言とか指導を行う事業が法定化されるということでございますが、母子家庭や寡婦にとって相談指導体制が強化されるということは非常に大きな意義があると思います。
 この事業を法定化することになった理由と、母子相談員制度との違いについて御説明をいただきたいと思います。
#69
○政府委員(清水康之君) 母子相談員は、御案内のとおり全国で現在千百人ほどおられまして、常勤が三百二十、非常勤が七百七十といったようなことでございますが、この方々は当然いわゆる都道府県や政令指定都市の職員であるわけでございます。
 そして、その職務内容としましては、母子家庭の母や寡婦に対していろんな相談に応ずるとか必要な自立支援を行って、あるいはいわゆる母子・寡婦福祉資金の貸し付けや児童扶養手当に関すること等についていろんな助言、指導をしていく公務員ということになるわけでございます。
 それに対して、今回お願いしております法定化の背景なり法定化の理由、あるいはそのシステムというものは、もちろん母子相談員の方々が、一般的な相談指導については福祉事務所の方々などと一緒に大変御努力をいただいて成果も上げていただいているわけでございますが、何といいましても、母子、寡婦の方々はいわば事業をやって、先ほど御指摘がありましたように割合自立的な事業をやっておられるというふうな方々も多うございまして、社会的、経済的に自立するためのいわば金銭貸借に関する問題、事業経営上の問題あるいは財務の問題、いろいろそういう事柄になりますと一般的な母子相談員の方々で十分に対応できるというわけにはまいりません。
 私どもは、今回、指導相談事業を法定化して第二種社会福祉事業という形で位置づけることによって、母子相談員の方々とは別な形で母子寡婦団体の方々がまず最初にいろいろ相談に乗り、それからその人たちが一緒になっていわゆる専門家であられる弁護士さんであるとか公認会計士であるとか中小企業診断士であるとか、そういう方々のところに適切な助言を与えてもらえるようなシステムをつくっていく、そういうことを考えているわけでございます。
 なお、第二種社会福祉事業になりますと、税制上の優遇措置であるとか共同募金の優先配分であるとかあるいは社会福祉法人化の道ができるとか、いろんなメリットもございますので、今回の法定化ということを通じて、より一層この指導助言事業の適切な実施、母子相談員の方々と相協力しまして適切な指導ができるように努力していきたい、こう考えておるわけでございます。
#70
○石井道子君 自立を支援するということが大切でございまして、その相談指導を適切に行っていただきたいと思いますが、母子家庭の母親が安心して仕事と育児を両立させるということがまた大変重要でございます。
 そういう点で、先ほども御質問が出ましたけれども、特に今回、厚生省としてこの点についてどのような施策を行うおつもりでございましょうか。その施策の拡充についてお伺いをしたいと思います。
#71
○政府委員(清水康之君) けさほども保育所の問題についていろいろ御議論があったわけでございますが、私どもは、現在のように出生率が下がり、絶対的な出生数も非常に減ってきているというふうな状況のもとにおいて、決して産めよふやせよということではございませんけれども、いろいろ調査をしてみますと、子供は三人欲しいんだけれども実際には一人か二人しかいないという方も結構おられますので、そういう欲しいという方が安心して産み育てられるような条件づくりをするということが、いわば現在の宮澤内閣が推進しようとしている生活先進国といいますか生活大国といいますか、そういうことにとっても重要な柱ではなかろうか、そう考えているわけでございます。
 働く女性の方々の就労と出産や育児の両立支援ということにつきましては、まず保育所における
サービス、特に乳児保育であるとか延長保育であるとか一時保育であるとか、そういったような特別保育と言われる分野についての拡充強化を進めたいと思っております。
 また、ことしの予算で新たにお願いしておりますが、全国に二万二千ある保育所が、保育所に通ってくる方々のお世話をするということだけではなくて、その地域に住んで、そして保育所にも幼稚園にも行っていないけれども、家庭で心理的にも不安な体を抱えながら子育てに努力しておられる若いお母さん方に対して、率直にその相談に応じられるようないろんな協力ができるような、そういう機能を付与していくことが非常に大切だということで、私ども、保育所を地域子育てのセンター化するというふうな言い方をしておりますが、保育所の地域子育てセンター化についてのモデル事業というものを百数カ所お願いして今年から実施していきたい。いずれ成果が上がり、保育所関係者の御理解、住民の方々の御理解が得られるようであれば、この数を飛躍的にふやしていくということに努力をしたいというふうに考えているわけでございます。
 また、母子家庭や父子家庭等で保育を真に必要とする方については、優先的な入所措置ということについて努力していることもまた一方で事実でございます。これからも母子家庭の方々が安心して就労、育児に、両方が両立できるようなきめ細かな福祉施策、保育サービスの充実といったようなものに努めてまいりたいと思います。
#72
○石井道子君 母子家庭とか寡婦と同じように片親で苦労されております父子家庭がありまして、このような状況ではまた非常に、多少の違った状況があるようでございますが、やはり家事と育児については大変苦労されているということでございますので、その面もあわせてその施策の充実を図っていただくように御要望させていただきたいと思います。
 最後になりましたけれども、以上申し上げてまいりましたり伺った中で、厚生大臣にお伺いいたしますが、今後とも母子及び寡婦福祉制度をよりよいものにしていくことが必要と考えられます。その点について厚生大臣の御決意のほどをお伺いしたいと思います。
#73
○国務大臣(丹羽雄哉君) 冒頭、先生から、先生御自身が母子家庭や寡婦体験ということで大変関心を持って拝聴させていただいておったわけでございます。母子家庭や寡婦の方々はそれぞれハンディを背負って生活しておるわけでございますが、先生のように大変明るく前向きにたくましく生きていらっしゃるお姿を見まして、心から敬意を表する次第であります。
 いろんな問題点が先ほどから指摘されておるわけでございます。私ども、実態を十分に把握しながら時代のニーズに合ったような制度の充実のためにこれまで図ってきたわけでございますが、例えば先生が最後に御指摘になりました父子家庭の問題につきましても、前の委員の方から御質問の中で、実際にホームヘルパーは使っている率が非常に少ないではないかというお話もありますし、また現に今のこの時代におきまして、男性であるから女性に比べて要するに所得が多いとかいうことも、これもまたどういう何といいますか、こういう決めつけるということがいささか私自身は時代認識がちょっとおくれているのではないか、こういうようなこともあります。
 いろんな問題点がありますけれども、こういった問題につきまして、いずれにいたしましても、このハンディを背負った方々が今後とも経済的、社会的に自立できるような仕組みのためにひとつ全力で頑張っていく決意でございます。
#74
○石井道子君 終わります。
#75
○委員長(細谷昭雄君) 本案に対する午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。
   正午休憩
     ―――――・―――――
   午後一時一分開会
#76
○委員長(細谷昭雄君) ただいまから厚生委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、母子及び寡婦福祉法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#77
○横尾和伸君 今回の法改正の理由ですが、その主なものは、寡婦福祉資金貸付金に係る特別会計に多額の繰越金が滞留している、つまり金が余っている、遊んでいるというのか、そういうことだと認識しておりますけれども、間違いないかどうか。
#78
○政府委員(清水康之君) 直接的なきっかけは、御指摘のとおり母子福祉資金よりも寡婦福祉資金の方に全国平均で比べて四十数カ月に及ぶ資金が滞留といいますか死蔵されているといいますか、そういうものを有効に生かしたいということが大きな理由でございます。
#79
○横尾和伸君 貸し付けの停滞というのか滞留というのか、言葉はともかく、この停滞している状況というのは今後も恒常的に続くという認識なのでしょうか。そうだとは思いますけれども、念のために確認をさせていただきたいと思います。
#80
○政府委員(清水康之君) 寡婦福祉資金に剰余金が生じましたその背景は、いろいろありますけれども、一番大きなものは、先般来御説明しておりますとおり、需要の中に大きな比重を占めております住宅資金の事情によるというふうに理解しているわけでございます。住宅資金は、御案内のとおり、増改築等を行いまして、あるいは修繕を行いまして、以後、通常のケースですと相当長い期間にわたって必要性が生じない、二十年サイクルとか二十五年サイクルとか言われているわけでございますが、そういうことでございますので、私どもは、当分の間、貸付資金の需要よりも過去に貸したお金の償還金の方が多くなるというそういう状況は当分続いていくだろうというふうに理解をしております。
#81
○横尾和伸君 午前中からも何回も出てきているお話ですけれども、住宅資金が二十年サイクルというお話が何回か出てきております。この二十年サイクルというのはどういう意味なのか、もう少し詳しく御説明いただきたいと思います。
#82
○政府委員(清水康之君) 通常、住宅を改築したり増築したりしますと、そこに多額の資金が必要になりますし、大体改築、増築に当たりましては今後のいろいろな家庭の事情その他を配慮して行うわけでございますので、私どもは二十年というふうに別に一方的に決めつけているわけではございませんけれども、相当長い間にわたって新たな住宅資金の需要というものは生じてこないということでございます。
 ちなみに、母子家庭の持ち家等の状態を見てみますと、戦後から昭和三十年代前半にわたって増加しておりまして、その後例えば三十年代後半から四十年代前半に減少するとか、補修等のサイクルにつきましても、昭和四十四年に予算措置として寡婦福祉資金がつくられたわけでございますが、貸付実績、貸付件数のベースで見ますと、昭和四十四年につくられまして以後、四十九年までは非常に需要が増加して貸し付けが出ていったわけでございますが、その後平成五年度まで大体需要が減少してきております。
 約四十年間を経て、さきの需要の変化が今度は補修等の需要の方に反映されてくるというふうなことではなかろうかと思っておりまして、それらを総合して考えますと、一般的に二十年程度であり、母子家庭の母というのが寡婦になりますのは、当然子供が初めて生まれましでから二十年たつと子供が成人される、こういうことでございますので、母子家庭で持ち家を持たれますと、寡婦になってまた例えば修繕等の需要が出てくるのは二十五年を過ぎてか、二十年以降のことである、そんな事柄から二十年ないし二十五年ということを申し上げているわけでございます。
#83
○横尾和伸君 私は、それは一面では正しいという気もしますけれども、一面ではちょっと違っている面もあるんじゃないかと思います。
 それはまた後ほど触れるとして、基本的な問題
をもう一つお伺いしておきたいんですが、母子と寡婦の福祉対策、ほとんどこれは同じ対策のレベルといいますか内容といいますか、実質的には同じように思うんですけれども、そのように考えでいいのかどうか。
#84
○政府委員(清水康之君) 基本的な違いというのは、当然のことでございますが、母子家庭の場合は年齢が若くて子供を扶養しているというふうな背景がございますので、特に経済的自立あるいは教育資金の需要、そういうものが大きいわけでございます。それに対しまして寡婦の方は、いわば母子家庭の母に比べますと年齢的に高齢であって、収入が低いあるいはお年を召されているということから、健康に関することについての関心も非常に高いということが問題かと思います。
 しかしながら、行われている対策としましては、事柄の性質上、例えば寡婦につきましては、いわゆる児童扶養資金というふうな児童扶養手当が借りられなくなった場合に同額をお貸しするという、そういう制度の必要性がありませんので、そういうものがないということを除きますと、基本的には母子対策と寡婦対策について行われている貸付資金の条件なり性格なり、そういうものは同じでございます。
#85
○横尾和伸君 基本的には同じであるんですけれども、今の説明にもありましたように、寡婦の方が高齢であるということは一般的に間違いないようです。
 今、高齢化社会がかなり急速に進んでいるということは言うまでもありません。そういう中で、生活が高齢者にとってはしにくくなっていくという一般的な傾向がございます。さらに、景気の低迷、これはもちろん望むところではありませんけれども、不幸にしてこの景気の低迷が長期化したときに、これは寡婦にとっては大変生活がますますというか格段にしにくくなるんではないか、こういうふうに考えるわけです。
 今回の措置というのは、二つの特別会計を一緒にして別な使い方の道をということで、別な使い方の道が開かれるということはそういう面ではいいことかもしれませんけれども、寡婦にとってはますます苦しくなるという傾向の中で、今までと同じ傾向で今後も変わらないとした今回の前提で大丈夫なんだろうか、こういう心配が出てくるわけなんです。
 そこで、寡婦が貸付金を利用しようとする、この制度を利用しようとするときに、寡婦の優先制といいますか、優先制というのはちょっと正確ではありませんけれども、要するに統合によって寡婦に極端な不利益にならないようにすべきであると思うんです。そういう意味で十分な配慮がなされているのかどうか、その点についてお伺いいたします。
#86
○政府委員(清水康之君) 私どもも、実は昭和五十六年の法改正、これは議員立法で行われたわけでございますが、そのときに寡婦の方々の強い御懸念を配慮して寡婦福祉資金と母子福祉資金というふうに二つの特別会計に分離したという経過がございますので、ただいま御指摘いただいたような点については最も配慮しなければいけないというふうに思っているわけでございます。そして、関係の母子寡婦団体の方々ともいろいろ御相談した結果、昨年末の時点で御理解が得られて今回の法改正を提案したということは先ほど石井議員にも御説明したとおりでございます。
 私どもは、会計の統合は、死蔵されている資金といいますかそういうものを有効に使うということで行うわけでございますけれども、一方、今御指摘がありましたとおり、寡婦の方々が比較的年齢が高く、かついろんな景気の停滞の影響なども受けやすいそういう状況下にあるであろうということは十分想像できますので、この統合された全体の資金、現在の貸し付けベースでいきますと、母子福祉資金が百五十六、七億程度、寡婦福祉資金の方が二十億程度でございますが、統合された全体としての枠が大きくなりますので、それぞれの需要を適切に都道府県において把握していただきながら、いわば大きくなったパイの中で寡婦の方々が御不安のないように各都道府県を十分指導しながら、優先的にという言葉が妥当かどうかわかりませんけれども、これまで会計が別建てであったときよりも不利なことにならないように配慮を十分してまいりたい、そういうふうに考えております。
#87
○横尾和伸君 ぜひともお願いしたいわけです。
 同じくこの資金貸し付けが停滞している理由として、本当に困っている人が借りられる制度となっていないという批判の声も聞くわけです。この点については午前中も質問があったわけですけれども、それに対して局長の御答弁で、資金に余裕があればできるだけという趣旨のことを申されたと思うんですが、その中で一つ具体的にぜひともと思う点を代表例として申し上げたいんです。
 そこで、住宅資金の先ほどの話に戻るわけなんですが、住宅資金の場合、限度額が百二十五万円、特別でも二百万円、償還期限が六年以内となっております。これは額そのものあるいは償還期限、これが現実的かどうかということを実は大変疑問に思っているんです。先ほど寡婦の資金が滞留しているということの理由として、住宅資金が中心であるけれども、その住宅資金が二十年サイクルでというお話がありました。そのサイクル論も半分は当たっているのかもしれないけれども半分はそうでない理由があるのではないか。それは、この制度が一番求めている住宅の部分というのが現実離れしていて、なかなか、意味が薄いというのかありがたみが足りないあるいは役に立たない、そういった面があるのではないかと推定をしているんです。本当に困っている人が借りられる制度になっていないというのは実はその点だと思うんです。
 例えば、今時点で家をつくる。この制度の中には、住宅を建設し、購入しということがありますけれども、この中で百二十五万円というのは、これで家が買えるんだろうか。何かの足しにするんでしょうけれども、その額、そして償還期限六年というのも、これは本当に困っている人から見ると、これだったら借りても返せないということになってしまうんではないか。例えば六年を十年にするとかあるいは百二十五万円の見直しをするとか、こういったことをすることによって寡婦の方がこの資金をもっと有効に使うという道が開かれるのではないかと思うんです。
 こういうことを今回の措置と同時に本来ならばやるべきだと思うんですけれども、今回は制度改正が中心ですので、すぐ追っかけてでも寡婦の方がより借りやすくより有効に使えるように手を打つべきだと思うんですが、その点についてお考えをお聞きしたいと思います。
#88
○政府委員(清水康之君) 御指摘のとおり、まず住宅を取得するときに二百万円で取得できるわけではないということはそのとおりでございますので、私どもは、住宅取得資金の調達そのものは手持ちの資金を使う、それから住宅金融公庫等の借り入れあるいは年金福祉事業団等の公的機関からの借り入れ、それから民間金融機関による協調融資、その他いろんな方法を使って総合的に資金調達がなされているものと思うわけでございます。
 この二百万円というのは、そういう取得に当たってのそれを助長促進するためのいわば頭金とでもいいますか、そういうふうな性格のものであって、二百万で十分だというふうに考えているわけではないわけでございます。ただ御案内のとおり、住宅資金につきましては、修繕とか増改築とか、そういうものを対象にしてずっとやってきた中で、住宅取得そのものも対象にしてほしいという要望が出されておったものを、遅過ぎたかもしれませんが、やっと平成五年度からこれを認めていただくことができるようになった、財政当局の御理解をいただくことができるようになったということが経過でございます。
 それからもう一点、確かに住宅というものについて償還期間が六年というのはやや短過ぎる、現実離れしているのではないかという点は、私どもも個人的に率直にそういう気がいたします。実は、歴史を調べてみましたら、かなり前でありま
すが、相当前のときに五年であったものを六年に延ばすという改正が行われて以来、改正が行われておりません。したがって、この資金については、今までどちらかというと、多少限度額をふやすとか貸付対象を拡大するとかそういうところに力点を置いてきたわけでございますが、資金の性格に応じていわゆる据置期間も含めた償還年限、これが適切であるかどうかということは確かに御指摘のとおりであって、私どもは、比較的今までいわば見落としてきたといいますか、そういうふうな点ではなかったかなというふうに今率直に反省をいたしております。
 生活福祉資金その他、他の福祉制度とのバランスということもありますから、一遍にこの制度の償還期間を非常に長期にできるかどうかということは今後努力してみなければいけません。先ほど御指摘をいただきましたように、今回は制度改正をしてこれを平成六年度から具体的に各都道府県で実施してもらおうということでございますので、六年度の予算要求はこれからでございますから、この償還期間の問題については、限度額の引き上げとかあるいは貸付対象の拡大とかということといわば並んで非常に重要な問題として今後研究をし努力してみたい、そう思っております。
#89
○横尾和伸君 この資金、貸付金が償還率が極めていいというのも、当たり前のことなんですけれども、大変まじめな層の方々がいらっしゃる。その方々は本当に返せるんだろうかということを常に考えながら、これに手を出していいものかどうか、そういうぎりぎりの判断をしなければいけない方のことをぜひ念頭に置いて、今のお答えのとおりまた御努力いただきたいと思います。
 次に、今回の統合に関連して、統合後の特別会計に剰余金が出た場合に、政令で定める額を超えたときには国へ償還するように、あるいは都道府県の一般会計に繰り入れるようにという制度改正になるわけですけれども、国へ償還する場合の政令で定める額の程度はどのくらいのことを考えておられるのか、それをお聞きいたします。
#90
○政府委員(清水康之君) 政令でございますから、この法律改正が成立した後に関係省庁で協議するということになるわけでございますので、今のところ具体的に決定をしているものはございません。大蔵、自治、厚生省などで内々いろいろ議論している数字といたしましては、決算が確定をしましてこの剰余金の状態がわかって、それが翌々年度等の例えば貸し付けの原資に回っていくというふうなことを考えますと、どうしても二年ぐらいの期間は必要だろうというふうなことをお互いに議論しておりますので、現在のところ、各都道府県の貸付実績その他を見ながら、平均的なところとしては毎月毎月貸し付けに必要なものの二十四カ月分、約二年分ぐらいを一つの基準にして、それを超える以上のいわば滞留金がある場合には、それを一般会計等の方にお返しいただくというふうなことが議論されているところでございます。
#91
○横尾和伸君 これは、制度的には国からもまた貸し付けるという制度が法律上残ることは承知しておりますけれども、実質的には今回ツーウエーではなくて一方的に国に吸い上げるということになりはしないか。先ほど言いましたように、この需要が高齢化、景気問題等のために急激に上がった場合に、やはり足りないという状況が出てくるのではないか。そんなに確率は高いとは思いませんけれども出てくる場合もそれなりに考えなければいけないんではないか、こう思います。
 そういう意味で、もしこれを超えた場合の安全策といいますか、実質的な福祉レベルの低下にならないための考え方といいますか心構え、あるいは打たれている具体的な施策、そういった面でお伺いいたしたいと思います。
#92
○政府委員(清水康之君) 貸し付けにつきましては、御案内のとおり、確かにそのときの社会経済情勢によって急激に資金需要がある程度ふえてくるというふうな可能性もあるわけでございます。したがって、私どもは、この制度を運用している都道府県、政令指定都市において、それぞれ母子福祉資金、寡婦福祉資金について資金需要を適正に把握するということがまずもって大切だと思います。
 同時に、二年を超えているということで一方で一般会計にお返しするというふうな部分があり、同一年度でまた一方で原資の追加を求めなければならないということがしょっちゅう起こるようであれば、これは変なわけでございます。そういうことが絶対起こらないというふうに申し上げることは不可能でございますけれども、私どもは、資金需要を適正に把握し、過去二年前は余っていたけれどもことしは非常に必要だというふうな場合には、当然、現行の国から特別会計に三分の二の原資を貸し付けるという制度は残っておりますので、その制度を十分活用して必要な貸付資金の総額に不足が生じないよう、これは十分各都道府県と相談しながら必要な予算の確保ということについてはこれまで以上に努力を重ねたい、こう思っております。
#93
○横尾和伸君 ぜひ弾力的に対応できるように御指導いただきたいと思います。
 今の国への償還と並んで都道府県の一般会計へ繰り入れる問題ですけれども、一般会計へ繰り入れるのは、恐らくこれは国の判断ではなくて都道府県の判断になるんだと思います。もし間違っていたら後ほどお答えの中で訂正いただきたいんですが、都道府県の判断によるとすれば、これはここでお約束いただくわけにはいかないんですけれども、厚生省の一応指導、助言という観点から、都道府県の一般会計へ繰り入れる場合にも、先ほどの国の場合と同じように弾力的にツーウエーが、ツーウエーというのは一般会計へ繰り入れる場合、それから一般会計から特別会計に急速繰り入れなきゃいけないといったことにも対応できるということで、そういう観点から十分な御指導をいただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。
#94
○政府委員(清水康之君) 御指摘の点も全く大切なことだと思います。
 私どもは、国へ返還しなければいけない必要性が出てきたような場合には、そもそもこの貸付原資が国が二、地方が一、過去においてはちょっと違う時期もありますけれども、そういう比率で貸し付けられた特別会計でございますから、国へ返すのに県の方の一般会計には返さないというのはやや原則的には変でございますから、当然、国に返す場合には都道府県の一般会計への繰り入れも通常は行われるというふうに思います。
 そもそも、法律自体でも一般会計への繰り入れ、国への返還というのは貸付業務に支障がない限度において行われるということも規定しておりますし、先ほど申し上げたことと重複しますが、各都道府県、政令市が当該年度の貸付需要というものを適切に把握して行う限りにおいては、貸付原資にもし仮に二年前と非常に違った状況が出てきて不足するということであれば、一方で新たな原資の追加ということもありますから、一般会計へ繰り入れられるお金がいわば貸付原資にも充当されるといいますか、回り回ればそういうことになるわけでございます。
 そういうことも含めて、十分資金需要の的確な把握ということについて、当該年度のいわば社会経済情勢といいますか資金需要というものを適切に把握するよう都道府県をよく指導していきたい、そう思っております。
#95
○横尾和伸君 次に、児童扶養手当の面からお伺いします。
 児童扶養手当法に基づく児童扶養手当、この支給状況の概要を御説明いただきたいんですが、特にその中で、子供が一人の場合、二人の場合、三人の場合、四人の場合、こういった世帯の比率はどうなっているのかということも含めてお答えいただきたいと思います。
#96
○政府委員(清水康之君) 児童扶養手当の受給世帯数等の状況でございますが、平成四年三月末で調べた報告例によりますと、受給世帯の総数が五十七万四千百世帯でございます。そのうち、児童一人という世帯が三十三万九千百五十九世帯、全
体の五九・一%ほどでございます。児童二人の世帯が十八万五千六百八十五世帯、三二・三%、そして児童が三人以上いるという世帯になりますと四万九千二百五十六世帯、全体の八・六%、こういう状況でございます。
#97
○横尾和伸君 お子さんが一人の場合、それから二人、三人、四人とふえるに従って極めて数が少なくなるという実態、これは当然だとは理解できますけれども、ちょっと理解できない問題があります。
 それは、福祉対策としての所得制限や支給額の見直しについては不十分ながら現在まで行われてきているようなんですけれども、この手当の支給に当たって、子供が二人以上の場合は加算される額が決まっておりますね。二人目の場合は一月五千円、三人目の場合は一月二千円、これは昭和五十五年以降変わっておりません、十三年になりますか。これだけ世の中が目まぐるしく変わっている中で、例えば三人目の二千円というのは一日当たりにすると七十円にもならない。今、缶ジュース一本買うのに百十円です。カップラーメンさえ百三、四十円する。別にカップラーメンを食べるという意味ではないんですけれども、そういう中で三人目のお子さんに加算されるのが二千円というのは、これはちょっとどうかなという気がします。
 先ほど別の方からの質問に対して局長からは、言葉じりをとらえるわけじゃないんですけれども、子供が三人欲しいという声があって、欲しいけれども諸般の事情でなかなか三人ももうけられない、そういう方は割合多いんだということを言われておりましたが、福祉対策としても三人目にこういった何か形だけ月二千円というのはちょっと現実離れしているんではないか。さらに、三人、四人となると、家庭によりますけれども、三人、四人のお子さんを抱えている家庭というのは大変な御苦労をされることが心配されるわけです。
 そういう中で、対象者にしても三人、四人となると極めて少なくなるわけですから、こういうところに手厚く考えるということ、別にその額が少ないからということではないんですが、現実的に考え得るんじゃないかという意味で申し上げているんです。三人目、四人目ということに対してもう少し手厚く扱えるのではないか、そんなに無理をしなくてもできるはずなのになぜこれをしないのか、そういう疑問を持ちます。その点についてお考えをお聞かせいただきたいと思います。
#98
○政府委員(清水康之君) 御指摘のとおり、児童扶養手当の加算額というものについては、手当の本体額とそれから多子加算、こういう形で定められておりまして、昭和五十五年以降第二子の場合に五千円、第三子以降は二千円、そういう制度でずっと来ていることは御指摘のとおりでございます。
 私どもは、児童扶養手当の改定について、すべての世帯が受給することになる本体額というものの引き上げを優先的にしてきたという過去の経緯がございますけれども、多子加算の部分が、特に第三子以降二千円というのは余りに低いんではないかと言われれば、それはそのとおりだと率直に認めざるを得ないような気がいたします。
 実は、ちょっと脱線して恐縮でございますが、公務員の給与制度などにおきましても、子供が生まれますと扶養家族手当が出ますが、これも例えば第三子は千円でずっと据え置かれているというふうなことでございまして、私どもはこの点、こういう少子社会の中でややおかしいんではないかと人事院などに申し入れをしていただいたというふうな経過などもございまして、もう少し、第三子あるいは第二子という問題の加算については、本体額の改善との関係もございますし、また財政事情等も総合的に勘案しなければなりませんけれども、努力すべき一つの課題であるというふうに認識をしておりますので、御指摘のことを肝に銘じて今後の予算要求等に当たってよく検討してまいりたい、そう思います。
#99
○横尾和伸君 ぜひその点、お願いをしたいと思います。
 最後に、大臣にお尋ねしたいんですが、今回の法改正によって母子寡婦福祉対策の実質的なレベル低下に万が一にもならないように入念な配慮が必要だと私は思います。また、一面では、福祉資金の貸付条件の緩和などによってより充実を図るということも先ほど来局長から前向きの答弁をいただいておりますけれども、この辺を踏まえて、大臣の今後の母子寡婦対策についてのお取り組みの御決意を伺いたいと思います。
#100
○国務大臣(丹羽雄哉君) 先ほど横尾委員の方からも御質問の中で出されていたわけでございますが、母子家庭や寡婦の方々は大変まじめな方が大勢いらっしゃるということで、貸付金の返還が九五%、九七%という大変高いものがあるわけでございます。こういう中で、寡婦福祉資金につきましては、平成三年度で三千件と貸付件数が減ってきたわけでございます。三千件で二十億円、こういうことであります。こういうことから、いわゆる滞留資金が八十一億円。こういう中で、先ほどから御理解を賜っておるわけでございますけれども、今回の法改正によって一本化を図っていく、こういうことでございます。
 いずれにいたしましても、寡婦の方にそういったような中においてしわ寄せがあってはならないし、その一方で増大する母子家庭の需要に対応していかなければならない、こういうような基本的な考え方に立ちまして今後とも運営を行っていくわけでございます。
 御案内のように、五年に一回いわゆる全国母子世帯等調査というものを行うわけでございますが、本年この調査を実施するわけでございますので、その結果というものも十分に踏まえまして、今後とも対象枠の拡大や限度額の引き上げを含めて、母子家庭や寡婦の方々の生活の向上と安定に資するようなひとつ制度の運営改善のために最善の努力をしていく決意でございます。
#101
○横尾和伸君 最後に、福祉資金の貸し付けの条件の緩和がこれから大事だと思いますけれども、先ほど来局長の御答弁にも何回も出てきておりますが、横並びということも考え合わせなければいけないという言葉でした。その横並びの時代はもうある意味では終わった、だれがどの分野でその横並びのバランスを崩して新しいバランスヘ動き始めるか、こういう時期だと思うんです。御存じだと思いますけれども、そのことをよく踏まえて、ぜひともこれから対策の充実を図っていただきたいと思います。
 これで終わります。
#102
○勝木健司君 まず最初に、母子世帯及び寡婦の現況についてお伺いいたします。
 現行の母子及び寡婦福祉法の基礎となりましたものは、昭和二十七年の議員立法により成立をいたしました母子福祉資金の貸付等に関する法律であると承知をいたしております。その後、内閣から昭和三十九年に母子福祉法が提出されて成立をした。幾たびかの改正の後に現行の制度となっておるわけでありますが、母子世帯に係る福祉の施策も、四十年をたった今は母子世帯の状況も当初とはかなり異なってきていると思われます。
 そこで、母子世帯及び寡婦の現在の状況はどのようになっているのか、また母子世帯の母または寡婦の就労の状況、子供の年齢及び就学の状況など、そしてまた今後どのように推移をしていくと考えておられるのか、あわせて教えていただきたいと思います。
#103
○政府委員(清水康之君) 昭和六十三年度の全国母子世帯等調査というのが一番新しい調査でございますのでこれで御説明させていただきますと、母子家庭は約八十五万世帯で、前回に比べまして一八%ちょっとふえております。寡婦の方は全国で百四十二万人でございまして、昭和五十八年の前回調査に比べまして九・一%ほど減っているという状況にございます。
 就労状態でございますが、母子世帯の八六・八%の方が何らかの形で就労しておられ、そのうち八八・六%というのがいわゆる被用者、雇用されて働いているという方でございます。寡婦の場合は六一・七%の方が就労しておられますが、その
うち約八割の方がやはり被用者という形で働いておられます。
 母子世帯の子供でございますけれども、一番末っ子というか末子の平均年齢をとってみますと、十二歳ぐらいということになっております。子供さんの就学状況でございますが、小学生は約三十八万人、中学生が約三十万人、それから高等学校あるいは大学等に行かれている方が四十四万人、こういう数字でございます。
 今後の動向というのは、これはなかなか難しいわけでございますが、一般論として申し上げれば、母子家庭については離別、離婚によりましてその数がふえる傾向があり、かつ若年化の傾向が進むというふうに思われますし、寡婦につきましてはやはり全体的には減少傾向ということになるのではなかろうか、こう思っております。
#104
○勝木健司君 本法案では、母子福祉資金貸付金と寡婦福祉資金貸付金の特別会計を統合することなどによりましてこれらの貸付金に係る資金の有効活用を図ろうということでありますが、これまでの貸付金の実績及び剰余金の状況についてもお尋ねをいたしたいと思います。
#105
○政府委員(清水康之君) 現在、決算の数字が出ていますのは平成三年度でございますので、三年度ベースで御説明させていただきたいと思いますが、母子福祉資金の貸付実績は総額が百五十七億円、貸付件数で五万九千五百二十件となっております。この資金の資金需要は母子・寡婦福祉法が制定された五十六年以降一貫して大体増加傾向ということでございまして、昭和五十六年と比べますと貸付総額で一・五倍ということになっております。
 一方、寡婦福祉資金の方でございますが、貸付総額が約二十億、貸付件数が三千二百七十件ということでございます。こちらの方の資金の需要は五十六年から平成元年までは減少傾向であり、平成二年度にちょっと増加に転じましたけれども、貸付総額で比較しますと五十六年時点の六割の水準というふうな状況でございます。
 そういうような結果を反映いたしまして、剰余金の状況でございますが、全国トータルで母子福祉資金は約四十二億円、これは毎月の貸付実績から見ますと三・二カ月分ぐらいになります。それから寡婦福祉資金の方で約八十一億円、これは約四十九・四カ月分に相当しますが、このような剰余状態になっておるということでございます。
#106
○勝木健司君 厚生省が実施されました昭和六十三年の全国母子世帯等調査結果を見てみましても、母子福祉資金制度についてでありますが、借りている人の四八%強の人が不満であると答えておる。その理由として、貸付金額が低いなどが挙げられておるわけでありまして、合わせて百二十三億円もの剰余金が生じているのなら、貸付条件を緩和したりあるいは貸付限度額を引き上げたり貸付需要の拡大を図っていくべきではないかというふうに思うわけでありますが、これについて、他の議員も聞かれておりますが、見解をお伺いいたしておきたいと思います。
#107
○政府委員(清水康之君) 私どもは、この福祉資金の貸し付けについては、毎年、物価上昇等を勘案しながら貸付限度額の引き上げを行ったり、あるいは必要に応じて貸付対象の拡大を行ってきているわけでありまして、先般来御説明いたしておりますとおり、平成三年度で大学、短大等の入学金相当額を貸付対象に加えたり、あるいは平成四年度で通勤用自動車を加えたり、平成五年度で住宅の取得資金を対象にしたりというふうなことはやってきたわけでございます。
 しかしながら、今御指摘をいただいたように、調査結果によりますと、借りている方々の相当数が何らかの御不満を抱いているということも事実のようでございますので、私どもはなお貸付対象の拡大あるいは貸付限度額の引き上げ、貸付条件の緩和、償還期間を資金の性質に応じて適切な期間に延長していく、そういうふうな問題等について、これからもぜひ財政当局の御理解をいただきながらこの資金の内容を充実していくということに努力をしていきたいと思います。
#108
○勝木健司君 母子家庭、寡婦及び父子家庭に介護人を派遣して必要な介護あるいは保育を行うということは、母子家庭にとりましても、寡婦及び父子家庭にとりましても大変有意義な事業ではないかと思います。
 しかしながら、実際の運営状況を聞きますと、地域の差こそあれ余り利用されていないというようなことであります。大きな原因が、先ほどの調査でもありましたようにPRが不足である、また、介護人が介護や保育に関する専門的研修を受けていないことも理由の一つに挙げられているようであります。この事業のより一層のPR活動と、介護人、ヘルパーへの質の高い研修を行うということも大事だろう。そしてまた、手続が非常に煩雑であることも不満の理由に挙がっておるわけでありますから、手続等の簡素化をも図って利用しやすい体制の整備を図る必要があるというふうに考えておりますが、これについても見解をお伺いしておきたいと思います。
#109
○政府委員(清水康之君) 居宅介護事業等については大変重要なものだと考えておりまして、現在、先般も御説明したと思いますが、登録されている介護人の数というのは、県単でやっておられるところもありますので数県除いておりますが、全国で約一万七千四百人ぐらいの介護人の登録があります。
 これに対して、介護派遣を希望するという希望家庭は、母子家庭で十万五千件、父子家庭で一万三千八百件ほど、寡婦の方で六万九千件ほどといったような数字が出されておりますけれども、じゃ現実にどの程度利用したのか、実際にどのくらい派遣されたのかといいますと、延べ数でございますが、母子家庭で七千二百七十回、寡婦家庭で七千百九十七回といったような実績が報告されておりまして、私どもこれで十分だというふうに思っているわけではありません。
 なぜ利用されないのかということについては、手続の簡素化あるいは内容そのものが十分周知されていない、いろんなことがあるかもしれません。私どもは、事業主体である都道府県が広報活動を十分徹底しまして、そしてかつ、都道府県から委託を受けて母子寡婦団体等が実施をしているという例もありますので、母子寡婦団体等の広報活動にも期待しながら、一方で介護人の研修の充実を図ると同時に、他方で受け入れやすいといいますか利用してもらいやすい制度として評価してもらえるように、これからも都道府県を指導してまいりたいと思います。
#110
○勝木健司君 また、この調査結果からでありますけれども、母子世帯の約三割が民間の借家に住んでいるとのことであります。しかし、母子世帯の収入は一般世帯に比べまして極めて少ない。民間借家に住んでいる母子世帯の日々の生活には大変な御苦労があろうというふうに容易に推察をされるわけであります。
 母子・寡婦福祉法第十八条では、「公営住宅の供給に関する特別の配慮」が規定をされておるわけでありますが、昭和六十三年度以降の母子世帯を対象とした特定目的公営住宅の増加戸数を見ましても、わずか年平均百五十四戸にしかすぎないわけであります。
 現在も、一般公営住宅の供給時には一定戸数の枠を母子世帯向けとして特別の配慮はなされていると思いますけれども、公営住宅を必要としている母子世帯に十分な供給がなされているとはとてもこの数字からも思えないわけであります。母子世帯を対象とした公営住宅の枠の一層の拡大を図るべきではおいかと思うわけでありますが、厚生省及び建設省の見解をお伺いしておきたいと思います。
 また、公営住宅法の第三十条で、低所得者等を対象とした第二種公営住宅については、補助金交付の決定等の処分をする場合に、あらかじめ厚生大臣と協議することとなっておるわけでありますが、厚生大臣はどのような意見をこういうときに述べられておられるのか、あわせてお伺いをいたしたいと思います。
#111
○説明員(吉野洋一君) お話のございました母子
世帯の公営住宅への入居に当たりましては、特に住宅困窮度の高いものといたしまして、特別の取り扱いをするなどの配慮をすることが必要であると認識しておるところでございます。
 このため、従来より、公営住宅のうち一定戸数のものにつきましては、母子世帯に対しまして優先的な取り扱いをしておるところでございまして、その戸数は平成三年度末現在、全体の管理戸数二百万三千戸でございますが、そのうち二万五千二百六十六戸というふうになっているところでございます。また、これらの世帯を優先的に入居させることを予定いたします母子世帯向けの公営住宅の建設に努めますように地方公共団体を指導しておるところでございまして、建設省といたしましても、これらの住宅の建設に関する事業主体からの要望に対しまして積極的に対応しておるところでございます。
 今後とも、地方公共団体に対しまして、福祉部局との連携のもとに、母子世帯向け公営住宅に対する需要を的確に把握し、母子世帯向け公営住宅の適切な供給に努めるよう指導してまいりたいと考えております。
#112
○政府委員(清水康之君) 私どもといたしましても、母子家庭の中のいろいろな困っている事情をお聞きしますと、家計それから健康という問題に次いで住居に関することが挙げられておりますので、住宅問題というのは母子福祉対策の中でも特に重要な意味を持つものというふうに考えているわけでございます。
 委員御指摘のとおり、母子・寡婦福祉法においても公営住宅法においても、公営住宅の供給については母子家庭の福祉が増進されるような配慮が必要だというふうな規定がございますし、公営住宅法の規定に基づいて毎年一度建設省の方からいわば建設戸数の総枠についての協議がございまして、そして調整を行っているわけでございます。常日ごろから両省間での連絡調整ということに努力しながら、これからも母子世帯向けの公営住宅というものの確保について、お話がありました二万数千戸という戸数が現在あるわけでございますが、ここ数年の平均ですと、実績として百五十戸前後の母子世帯向け公営住宅が建設されている実績になっておりますが、私どもは、地方団体の意見をよく聞きながら、また建設省の方ともよく連携をとりながら母子世帯向けの住宅確保ということに努力をしてまいりたいと思います。
#113
○勝木健司君 次に、労働省にお伺いしたいと思います。
 国民生活基礎調査によりますと、平成二年の母子世帯の世帯人員一人当たりの年間平均所得金額は九十五万八千円であるということでありまして、これは全世帯平均の百八十三万六千円の約半分にしかすぎないわけであります。
 この格差が生じる原因の一つは、やはり男女間格差ではないかと思われるわけでありますが、実際、平成三年六月の労働省の賃金構造基本統計調査によりましても、決まって支給する現金給与額は、男子を一〇〇といたしますと女子はわずか五八であるわけであります。この男女間格差の是正は、母子世帯の経済的自立、生活向上のためにもぜひとも促進していかなければならない重要な課題であろうというふうに思います。それについての労働省の見解を承りたいと思います。
 時間の関係で、あわせてもう一点お伺いいたしたいと思います。
 雇用促進策についてでありますが、雇用機会の増大を図ることも経済的自立を図っていく上での大変重要なことであります。しかし、就業していても二四%の方が仕事をかえたいとしているという厚生省の全国母子世帯等調査などのデータが出ているわけでありまして、大変大きな問題を含んでいるんじゃないかと思います。仕事をかえたい理由として、収入がよくない、あるいは労働時間が合わない等々が挙げられているわけであります。また、母子世帯の母の約七割が何の資格も有していないとの調査結果から見て、就職のための必要な訓練を受ける必要性も出てくるんじゃないかというふうに思います。このように、母子家庭の雇用機会を増加させるために労働省としてどのような施策を講じておられるのかという点です。
 もう一点は、その中でも婦人就業援助施設、職業相談員が大変重要な役割を担っておるんじゃないかということで、しかしながら具体的に平成元年度から五年度の予算を見てみますと、婦人就業援助施設数も、母子家庭の母、寡婦に係る職業相談員数も全く増加しておらない。現状の体制でもう十分であると考えておられるのかということも含めまして、見解をお伺いしたいと思います。
#114
○説明員(岩田喜美枝君) 先生がお尋ねの第一点目の男女間賃金格差の問題についてお答えさせていただきます。
 男女間賃金格差には二つの側面があろうかと思います。一つは、賃金決定要因となる条件はさまざまなものがございますが、それがすべて同じであるにもかかわらず、その方が女性であるということだけの理由で賃金において差別的な取り扱いを受ける、そういうケースでございます。これについては、労働基準法の第四条でそういった差別的取り扱いを禁止をいたしておりまして、従来から監督指導をいたしておりますけれども、こういったことが起こることがないように引き続き指導を行ってまいりたいというふうに思っております。
 それからもう一つの側面でございますが、これは賃金決定要因である条件自体が男性と女性で違う。その結果、男性の賃金と女性の賃金で格差が生じているという、そういう側面でございます。これについては、例えば勤続年数や年齢や学歴が男女間で違うということがございますが、そういった問題に加えて、例えば女性は男性と比べて規模が小さな中小零細企業に就業する割合が高いとか、それから従事しております仕事が資格を要さない、訓練、経験を要さない単純、補助的な仕事につく者の割合が高いといったようなことが現にございまして、そういうようなことの反映として賃金格差が生じているという面でございます。
 二番目の面につきましては、男女で就業している分野が違うという問題でございますが、これについては、これまで必ずしも男性と女性との間に就業する機会あるいは教育訓練を受ける機会、こういうようなものが機会均等が確実に確保されていなかったという問題も確かにあろうかと思います。こういうことはすべての女性にとって重要な問題でございますが、なかんずく、お一人で家計を担っていかないといけない母子家庭の母等にとっては殊さら重要なことであろうかというふうに思っております。
 そういうことで、従来から男女雇用機会均等法の施行を通じてこういう問題の解消に努力をいたしておりますが、なお先生の御指摘を踏まえて、引き続き法律の定着に向けて努力をしてまいりたいというふうに思っております。
#115
○説明員(吉免光顯君) 先生御指摘の二点目の質問でございますが、就職促進に関してでございますが、私どもの方で極力御本人の希望に合うように、また家庭環境に配慮した形で職業相談をいたしましたり、あるいは職業紹介をいたしているわけでございます。また、特に雇用機会をふやしていくという必要がございますので、特別に母子家庭の母等を雇い入れました事業主に対しまして、性格的には賃金補助でございますが、そういった助成金を支給して雇用機会をふやすという努力をいたしております。
 また、御本人の就職促進をするという意味からは、技術とか技能を持った方が結構なわけで、そういう意味では職業訓練を受けたり、あるいは職場に定着をしていくということで適応訓練をするというような形を、訓練手当を受給しながら受けられるという形をつくっているわけでございます。そういったような施策を通じまして、これからも引き続き努力をさせていただきたいというふうに考えております。
 また、委員御指摘の三点目の職業相談員の点でございますが、就職促進にかかっては、公共職業安定所が中心に職業あっせんをいたしておるわけでございます。そちらにおります職員がその担当
をいたしておりますし、またそれにあわせて職業相談員を配置いたしております。
 最近五年間という御指摘でございましたが、五年間の状況で、新たに職を見つけたいとかあるいは転職の相談に見える方の数は必ずしもふえているというような状況でもないわけでございますが、これからも私ども職員あるいは相談員一丸となって対応をしてまいりたいというふうに考えております。
#116
○勝木健司君 時間が超過しましたので、大臣に最後に決意をお願いしたいところでありますけれども、もう大分超過しておりますからこれで終わりたいと思います。
#117
○西山登紀子君 母子・寡婦福祉資金は、母子家庭や寡婦の生活支援の一つとして一定の役割を果たしてきております。私は、今回の改正に当たり、まず四点ほど要望しておきたいと思います。
 その第一は、今回の改正の中身を見ますと、国が余った資金を引き揚げる剰余金引き揚げ法案ではないかというような疑問も出されているわけですので、この法案をてこにして貸付制限などが起こらないように制度の運営をしていただきたいというのが第一点です。それから二つ目は、就学支度資金や住宅資金など需要の多いものについてもっと貸付内容を充実してほしいということが二つ目。三つ目は、いろいろ出ておりましたが、これを機会にPRの強化を私もお願いしておきたいと思います。四点目は、本改正に関連してですが、児童扶養手当の問題です。一人目は約三万八千円、二人目からは数千円の加算というやり方では一人一人の子供に十分してやれないというお声もございますので、手当額の増額と、そして高校などに進学している場合、満十八歳で打ち切るのではなくて卒業時まで継続するよう、実態に見合った改善をお願いいたします。
 以上、四点を要望いたしまして、質問に移ります。
 母子家庭の生活保護問題についてお聞きしたいんですが、一九九〇年度の調査によりますと、母子家庭の一三・五%が生活保護を受けていらっしゃいます。
 四月二十三日、秋田地裁で生活保護費の減額は違法だという判決がございました。判決は、原告である加藤鉄男さんの全面勝訴であったわけです。判決では、保護費は憲法や生活保護法に定めた生存権に基づき被保護者の保有を許したもので、それを蓄えた預貯金を収入認定して保護費を減額することは本来的になじまない、一部を預金して将来の出費に備えるのもある程度是認せざるを得ないと一般的な判断を示しておりますが、全体としてマスコミ及び世論はこの判決の内容を支持しております。そして、県と国が控訴を断念いたしましたので、五月七日、この判決は確定をいたしました。
 そこで、大臣にお伺いしますが、大臣はこの判決をどのように受けとめておられますでしょうか。
#118
○国務大臣(丹羽雄哉君) 今回の秋田地裁におきます原告の加藤鉄男さんという方は、新聞報道やあるいはテレビ等で大変大きく扱われたわけでございますけれども、将来への不安から生活費を極端に切り詰めて蓄えておられたということでありまして、個人的に感じますことは、まことにお気の毒で胸が痛む思いがいたしております。
 生活保護制度は、憲法二十五条にいう「健康で文化的な最低限度の生活」を保障する、こういうことであります。老後の不安やいわゆる医療の確保、こういった点も実は指摘されておったわけでございますけれども、これにつきましては当然のことながら、医療扶助であるとかまた住宅の場合は住宅扶助であるとか、こういうようなものが講じられておるわけでございますので、本来預貯金というものはする必要がない、こういう基本的な考え方には変更はないわけでございます。
 ただ、この点につきまして必ずしも加藤さんに十分に理解させることができなかったのではないか、こういうふうに私自身感じておるわけでございます。こういったケースワーカーの皆さん方は大変いろいろ御尽力を賜って一生懸命やっていただいておるわけでございますので、その点は大変私ども感謝いたしておるわけでございますけれども、そういったことが十分に行き届かなかった、こういうようなことで、結果的に被保護者に不必要な切り詰めをさせるような生活になった。こういうことでございますので、これ以上裁判で争うということは情において忍びがたく、秋田県の判断を尊重していわゆる控訴を行わないことが適当である、こういうふうに考えたような次第でございます。
#119
○西山登紀子君 四月二十四日の、私の地元ですが、京都新聞は、その社説で「市民感情に即した生活保護判決」、こういう見出しを立てて、このように述べております。
  生活保護の受給者が保護費の一部を貯蓄することを認め、県が行った減額処分の取り消しを命じる判決が、秋田地裁であった。これまで貯蓄は「収入」と認定され保護費が減額されてきただけに、画期的な判断と言える。国の生活保護行政に与える影響も極めて大きい。こういうふうに論じながら、引き続いて、
  生活保護世帯の高校生が大学進学をめざして始めたアルバイト収入を生活費と認定され、保護費が減額されたケースが京都でもあった。府、厚生省は「進学のための貯金は生活保護法の趣旨から生活費に充てるべき」との判断を示し、母親から出された審査請求を棄却した。
  今回の判決は、そうした行政のありように反省を迫るものだ。弱者にやさしい福祉行政へ転換を促す契機としたい。
こういうふうに地方新聞が述べているわけです。
 ここに言われておりますお母さんのケースは、母子家庭なわけですけれども、体が弱くて生活保護を受けながら三人の子供さんを育てていらっしゃいます。後で詳しく述べますけれども、Kさんは厚生大臣に対して再審査を請求されました。私も立ち会ったわけですが、生活保護家庭の子供が大学進学の希望を持ってアルバイトした収入を保護費から削り再審査請求をされた初めてのケースとのことでした。
 この再審査請求、昨年十月十五日に棄却をされましたね。理由はいいです、事実だけ御確認をお願いいたします。
#120
○政府委員(土井豊君) 御指摘のようなケースにつきましての再審査請求の裁決を行っております。
#121
○西山登紀子君 Kさんのこの御長男はアルバイトをしておりますが、昨年一月から三月の月平均アルバイト料は九万八千五百八十六円でした。福祉事務所はその中から高校の授業料、PTA会費、通学定期代などを必要経費として九万五千二百六十二円を認めました。ところが、その控除額を超えた三千三百二十四円を保護費から削りました。その後、再計算をいたしまして、二千三百九十一円、三カ月間保護費を削減したわけです。このようなことがあったわけです。
 少年もお母さんも大変落胆をいたしました。この少年は、自分で高校の授業料とそして大学進学の費用などを稼ぐために学校終了後クリーニング店などで夜遅くまで働いていました。一生懸命働いて得たアルバイト料から、二千三百九十一円とはいえ収入認定をして保護費から削るとはどう考えても酷な話だと思うんですが、いかがでしょうか。
#122
○政府委員(土井豊君) ただいまお話がありましたように、アルバイトの収入金額は九万八千五百八十六円、そのうち基礎控除、未成年者控除、高校修学等の必要経費という形で、お話がありました九万五千円余を控除いたしました。そして残りの三千三百円、それは最終的には今お話がありましたような金額に手直しになっておりますけれども、そのような形の収入認定を行っているということであります。このお母さんと子供三人の家庭の、私どもで計算をいたしますと約二十一万円程度の最低生活基準になりますけれども、そのうち他の事項につきましては説明を省略いたしますが、収入の一部として三千円余を認定したという
ことでございます。
#123
○西山登紀子君 今、現行制度運用上はこうなっているという説明があったわけですけれども、私はそのような説明では納得をするわけにはまいりません。特にこの少年を納得させることができないと思うんですね。大学に進学して自立をしていこう、そういう意欲に非常に打撃を与えられたわけです。
 少年は、京都府知事にこういう手紙を出しております。少し御紹介をいたしますと、
  ぼくたちみたいな家の子供は大学へ行けないのでしょうか。国は大学へ入ってからお金をためるのはいいといっているが入ってからは何とかできるけど入学金などはどのようにしたらいいのでしょう。
 生まれてくるところが少し違うだけで大学へ行ける人と行けない人がでてくるのはおかしいと思う。
 なにも大学へ行くお金をくれといっているわけではないのです。ぼくがバイトをしてためるといっているのです。でもそのためたお金が生活費にまわってしまったらいつまでたっても大学へ行くお金がたまらない。
 ぼくもとても大学へ行くのが無理だと言われていたら無理に行こうとはしない。でもぼくの場合はもしよかったら推せんをしてやると言われているのにせっかく行ける大学を棒にふるやつはいるでしょうか。
 今まで以上にお金がほしいのではなく今までのようにお金がほしいだけなのです。
 この少年は精いっぱいこのような手紙を書いているわけですけれども、大臣どうでしょうか、この少年の主張、向上心があって道理もあると思われませんでしょうか。また、このような向上心を応援するのが自立を助長する保護法の目的であり、行政の姿勢でなければならないと思うのですけれども、御感想をお聞かせください。
#124
○国務大臣(丹羽雄哉君) まず、生活保護では最低生活を保障するとともに、被保護者の自立の意欲、今少年のお手紙を拝聴して思ったわけでございますけれども、当然のことながらこういうような向上心など自立の意欲、こういうものも大切にしていかなければならない、まずこう考えております。ただ、申し上げるまでもなく、生活保護費は国民の税金で賄われておるわけです。どこの範囲まで保障するか、こういうことでございますが、最終的には社会一般の生活水準などのバランスで線を引くというのが現実でございます。
 委員が御主張の点は、最終的にはいろいろな見方がありますけれども、生活保護費で大学に行かせてやってはどうかということに私は帰着するのではないか。大学に行くことは大変結構でございますが、大学の進学率というのは平成三年度で三七%であります。生活保護を受けていない家庭の子供でも高校卒業で働いて税金を納めていらっしゃる、こういうような方も大勢いらっしゃるわけでありまして、こういうような点のバランスから考えますと、現行の取り扱いを、つまり大学進学を生活保護費で認めよと、こういうことはなかなか私は一般的に理解と合意が得がたい、こう考えています。
 生活保護世帯の子供はじゃどうしたらいいか、こういうことであります。これは日本育英会の奨学金を受けられる、こういう仕組みがございます。ですから、ぜひともその少年に先生の方からお教えしていただきたいと思っておるわけでございますが、この日本育英会の奨学金を受けて、また生活保護を受けている親とのいわゆる世帯分離をした上で大学へ進学をする、こういうような道が開かれておりますので、向学心のある今のお手紙のような少年の方はこういった方法でひとつ努力をいただくようお願いを申し上げます。
#125
○西山登紀子君 生活保護世帯の子供が現在大学で学んでいらっしゃる、そういうのはどうなっているのか教えてください。簡潔にお願いします。
#126
○政府委員(土井豊君) 昼間の大学に通学をするというケースの場合には、生活保護を受ける世帯では認めないという考え方になっておりまして、今大臣も申し上げましたけれども、その場合は世帯分離という形で切り離しを行うという形をとらせていただいております。
 それからもう一つ、昼間働きながら夜大学に行く、これは、当然そういうケースは生活保護を受けながらも認めるという形で処理をしているところでございます。
#127
○西山登紀子君 今御説明があったわけですけれども、本件に関しまして、当該の京都市西京区の福祉事務所長が知事に提出をいたしました弁明書があるわけですが、この弁明書ではこのように書いてあります。「審査請求にある将来の大学入学のための費用については、現在の法運用では収入認定の対象外とする取扱いとはされておらず、又就労収入を得るための必要経費にも認められていないことから保護の実施機関である当所の判断でこれを収入認定の対象外、又は必要経費として認めることは出来ない」というふうに弁明書で述べているわけです。つまり、現在では法の運用がない、だからできないということで、現場の嘆きともいうような弁明書なんですけれども、そういうふうに述べているわけです。
 先ほど御説明いただいた運用は昭和三十八年ですから、一九六三年、今から三十年前の運用通達に現在よっているわけです。それによりましても、不十分ながら大学在学中の保護は認められているわけです。その理由は、その就学が世帯の自立助長に効果的である、こういうふうに認められる場合には認めてもいいだろうというように運用がなっているわけなんですね。
 ところが、この所長の嘆きにもありますように、現在大学進学準備のための貯金は認められていない。私は、ここに今新しく解決しなければならない問題があるのではないかと思うわけです。三十年たっておりますから、日本の教育をめぐる状況というのは大きく変化していると思います。高校進学はほぼ準義務教育的になっておりますし、大学進学希望者も急増しているという状況です。生活保護世帯でも、大学進学のための意欲があって自立の目的がはっきりしている場合には、一定の準備を認める、むしろ激励するような運用の解釈などに改められていいんじゃないかと思うんですけれども、御検討をお願いしたいと思います。いかがでしょうか。
#128
○政府委員(土井豊君) 先ほど大臣からもお話し申し上げましたけれども、現在大学進学率は三七・七%というふうに私ども承知しております。したがいまして、現在の高校進学率とはかなり格段の違いがありまして、大学に進学しないまま働いて税金を納めるというような形で働いている方々も多数おられるわけでございます。社会全体の中でどういうようなバランスを持って考えていくかというのが生活保護制度の運用の基準ではないかと私ども考えておりまして、そういう意味からは、現時点ではまだそこまではいっていないんではないだろうかというふうに思っている次第でございます。
#129
○西山登紀子君 秋田の加藤裁判は、従来の保護行政の運用、特に補足性の原則というものが非常に厳し過ぎるということで弾力的な運用を求めたものだと思っておりますが、このKさんの御長男である少年は、現在さまざまな方々の善意に支えられまして無事に大学に進学をされております。そういうことで大学に進学をしておられるわけですけれども、憲法二十六条は、「すべて国民は、法律の定めるところにより、その能力に応じて、ひとしく教育を受ける権利を有する。」、こういうふうになっているわけです。
 先ほどもありましたが、私も十二歳で父親を亡くしまして、奨学金をもらって大学を卒業することができたわけですけれども、生活保護世帯の場合には、奨学金を受ける、そして大学の費用というのはそれだけでは不十分、こういうことになりますと、このKさんの御長男のように自分でアルバイトをして少しずつでも準備をしよう、そういうふうに少年が思うのも無理からぬことだと思います。このKさんの御長男のようなケースは無制限にあるケースではないと思うので、時代にふさ
わしく生活保護世帯の子供の大学進学の夢をかなえる、こういう点での心の通った行政にもう一歩踏み込んでいただけないかどうか、大臣の御所見を最後にお伺いして、質問を終わりたいと思います。
#130
○国務大臣(丹羽雄哉君) 大変難しい問題でございます。
 まず、その少年の前にぜひとも御理解をいただきたいのは、秋田地裁の判決でございますが、私ども、先ほども申し上げたわけでございますけれども、この判決に対して控訴をしなかったのは、貯蓄を認めたということではなくて、高齢者である加藤鉄男さん御夫婦がいわゆる憲法二十五条によって定められた健康で文化的な最低限度の生活まで切り詰めた上で貯金をしていたということについて、これは憲法二十五条をきちんと守っていただかなければならない、そのためにいわゆる生活保護費というものを支給しておるということでございまして、そういうところがややもすると十分な行政指導が行われなかった、こういうことを踏まえて争うことをしなかったわけでございますので、その点をまず御理解を賜りたいと思っています。
 また、その少年の場合でございますけれども、これは大学のいわゆる進学のための準備金につきましては、先ほどから申し上げておりますように、現在の大学の進学率の状況を見て今先生が御主張のような大学準備のための費用について現行の取り扱いを変更することは困難でありますが、しかしそれによって道が閉ざされておるわけじゃなくて、性格が違うんだということを十分認識しておいていただきたい。先ほど申し上げましたように奨学金制度というものがあるわけでございますし、その中で堂々とひとつ志を立てていただきたい、このようにお願いを申し上げるような次第です。
#131
○粟森喬君 私の方から、今回の法改正に基づく幾つかのことについて厚生省の見解をお尋ねしたいと思います。
 まず一つは、ある意味では私の考えでもございますが、法律をつくったり改正をするときには、そのときの社会的な趨勢や背景を十分勘案して法改正をすべきだと思うのであります。
 今回の法改正というのは、大きく言って二つあるわけでございますが、そのうちの一つである母子福祉資金と寡婦福祉資金会計の統合というのは、緊急避難的な措置としては私は理解できるんですが、この間、同僚議員の方からも幾つか出ているように、例えば貸付制度の基本的な枠をどうするのかということが、これは政令で定めることになっているんでしょうから、いわゆる財源との問題でこれまたうまくいかないということになると、従来どおりであるとするならばこれはやっぱり大きな問題ではないか、こういうふうに思います。
 それから同時に、その社会的背景というのは何かというと、母子家庭等の調査というのを前回は昭和六十三年にやっておるわけでございます。五年ごとにやるとすればことしが調査の年でございます。恐らくこの調査をすれば出てくるだろうと思われる結果というのは、五年前の調査とかなり違ったものが私は出てくると思います。
 どういうことかといいますと、一つは、この間に男女雇用均等法がつくられたことによって、男女の賃金格差というのは、毎勤統計という労働省の調査を見てもかなり違いが出ています。所定内労働時間等のいろんな問題も精査すればまだまだ格差があることは事実でございますが、かなりこれは縮まっています。それから女性の高学歴化や総合職の採用で、例えば一方の親を欠くというか離婚のケースなどのケースも、女性の社会的な地位の変化というものが当然出てきているわけですから、そういうものを織り込まなかったら、本来的に私はこの法を改正するという意味にならないんではないか、こういう思いもあるわけでございます。
 したがって、そのような思いを持っておるわけでございますが、とりあえず厚生省が今回この改正に踏み切った背景について、趣旨説明だけでは十分ではございませんでしたので、改めてお伺いをしたいと思います。
#132
○政府委員(清水康之君) 今回の改正は緊急避難的なものではないのかという御指摘でございますけれども、私どもは、実はこの母子家庭と寡婦の方についてはどうも傾向的にやや違いがあるということを感じておるわけでございます。
 例えば対象世帯数を見ましても、昭和六十三年の調査では母子家庭は八十四万九千世帯でございますが、十年前の昭和五十三年では六十三万三千世帯というふうに、一般的にふえております。一方、寡婦世帯の方は五十三年には百六十八万八千世帯であったものが、六十三年には百四十二万二千世帯というふうに減っております。
 やはり、離婚の増加等々ということによりまして、母子世帯については世帯数もふえ、かつ教育資金等を中心に資金需要もふえてきているのに対して、寡婦福祉資金の方につきましては、対象者も減りますし、また一般的に高年齢化する、それから主な資金需要が住宅資金であるというふうな特性がございますので、これはくれてやるお金ではなくて貸付金でございますから、過去に貸したお金が返ってきて、それが貸付原資に回っていく。こういう性格を考えますと、どうも寡婦福祉資金につきましては、全体として資金需要に対してむしろ過去に貸したものの返ってくるお金が上回るという状態が続く傾向がある。これはここ二、三年でがらっと変わってしまうというふうなことはちょっと考えにくい。
 そういうふうなことなどを一つ背景にいたしまして、いわば緊急避難的な改正というよりは恒久的な改正としてお願いをしたわけでございまして、このことは、実は各都道府県の議会における決算委員会あるいは国の会計検査院、いろんなところの指摘においても、この両資金のもう少し合理的な活用といいますか統合活用といいますか、そういうことを図るべきだ、地方で図ろうと思っても、法律上それができないということになっているのは地方団体にとっては非常に困る、こういうふうな御指摘もあって改正にいわば踏み切ったわけでございます。
 しかしながら、先刻来御指摘がありますように、五十六年にせっかくこの法律ができて寡婦福祉資金特別会計という会計ができたときの趣旨そのものが生かされないと困りますので、そういう意味では、統合したことによって寡婦福祉資金が将来非常に借りにくくなったとか、母子福祉資金の方に食われてしまって寡婦の方は借りられなくなった、そういうふうなことが起こっては一大事でございますから、そういうことにならないように十分各都道府県で両資金の資金需要を適切に把握するよう、そして必要があれば貸付原資の追加ということについても、制度は残っておりますので、予算措置について遺憾のないようにしまして、五十六年改正の趣旨も生かしていきたい。
 私どもは決して、何かたまたま寡婦福祉資金の方に非常に滞留があって死蔵されているからこのお金を何とかうまく活用したいという、そういう短期的な見地から取り組んだわけではありませんで、両資金の需要の変化あるいは母子家庭や寡婦の世帯数の推移、そういうような事柄を総合勘案して今回の改正をお願いしたというとでございます。
#133
○粟森喬君 今、答弁いただいたわけですが、いわゆる母子家庭というんですか、一方の親を欠く家庭がかなりふえていく、絶対的にふえていくということに対して、念頭に置いてどう改正をするかということがこれにはないんですよ、いろいろ言われても。そんなこと、寡婦の部分はしわ寄せしないと幾ら言ったって、そういう発想というのがどれだけ実態の会計というか財政運営状況というものではなく、社会的背景というのはそこをきちんと押さえてほしいということを申し上げたいわけです。
 恐らく、次の調査までに、母子家庭というか一方の親を欠く家庭がふえる傾向の中でどうするかということを考えなければいけない。そして、最
近の一つの傾向として、男も女も権利として平等だという、そういう背景というのは、例えば育児休業法などでも男の人でもとる。今までですと、恐らく男は所得水準が高いから余りそんなこと気にしなくていいよという、多少そういう発想というのが根底にあったことはお互いが否定できないと思う。ところが、いわゆる父子家庭では家事ができないというケースが非常に多いわけで、そういう所得水準だけじゃ見れない支出上の問題で、家事をやれないから人にお願いをするとかいろんなケースで、必ずしも、私は生活実態としてそんな意味ではいわゆる父子家庭の場合はいいというふうに見るのは果たしていかがなものか、こういうふうに思うわけです。
 したがって、私は、この法律をつくるときに父子家庭の問題というのをどういうふうに念頭に入れたのだろうかということがどうも納得できませんので、その部分について見解を求めたいと思います。
#134
○政府委員(清水康之君) まず最初に、今年八月一日に行われます実態調査、これにつきましては、先ほど大臣からも御答弁がありましたけれども、私どもはこの結果をできるだけ早く集計いたしまして、いろんな母子世帯等のニーズといいますかそういうものを適切に把握して対処していきたい、そう考えております。
 そして、貸付限度額の引き上げたとか対象の拡大だとかあるいは償還期限の問題とか、そういう事柄についてもぜひ母子家庭や寡婦の方々から安心して利用してもらえるようなそういう制度にこの資金の質を高めていきたい、そういうふうに考えていをわけでございます。
 また、父子家庭について、母子家庭と福祉の面から見ていろいろ違いがあるんではないか、それに対してどういうふうに対応するのかというふうなお尋ねだったかと思いますが、いろんな調査によりますと、父子家庭においては経済面では比較的余裕があっても、御指摘のとおり家事や育児について苦労されているということが一番多く指摘されております。
 したがって、父子家庭に対してヘルパーを派遣するとか、あるいは子供の保育所への優先入所を図るとか、さらにはこれは平成二年度からでございますけれども、親が病気になった場合に子供さんを児童福祉施設でお預かりする、家庭養育支援事業と呼んでおりますが、そういうことであるとか、あるいは平成三年度からは親の方が仕事から帰るまでの間、いわゆる養護施設等で子供さんを夕方お預かりして夕食を提供して触れ合いをしていくという、父子家庭等の児童夜間養育事業、トワイライトステイ事業と言っておりますけれども、そういうことをつくるなど、父子家庭のニーズに対応すべくいろいろ努力をしてきているわけでございます。
 実際、育児休業法その他を見ても、あるいは男女雇用機会均等法のことを見ても、母子家庭と父子家庭を区別するのは少し時代から見ておかしいんではないかというふうな御指摘はいろいろいただいておりますけれども、この母子・寡婦福祉法が制定されてきた歴史、背景と、それからこの法律に対する母子寡婦団体の方々の愛着、いろんなことを考えますと、今即父子家庭も含めた法律にこれを変えていくということについては、若干長期的な課題として時間を置いて検討させていただきたい、関係団体ともよくいろいろ議論してみないと対応が難しい、そういうふうに考えているわけでございます。
#135
○粟森喬君 今、愛着といいますか、私はこの法律を根本的に変えるというのは、それはかなりきちんとした論議も必要だし、時間も必要だろうと思いますが、一方の親を欠くケースというのはかなりこれからはふえるのが社会的趨勢ではないか。そのときに結果を見てやるというより、私は調査をやるに当たって、かなり膨大なきちんとした調査だと思っているんですが、その辺を念頭に置いてやっていただかないと、ことしの調査をやるときにもそのことはかなり大事にしてほしいと思います。
 厚生大臣にここはお願いをする意味で申し上げておきますが、こういういわゆる父子家庭のことも含めてこれからのあり方を考える意味で、ぜひとも調査の項目のときにそのことを念頭に置いた指示をしていただきたいということと、やはりそういう段階では本法のあり方を含めてどこかで見直しをしていかないと、この部分、特に父子家庭の部分のところがこれから問題になるんではないか、こういうような思いがあるわけでございます。大臣としてのそういう意味で今後のあり方について考え方をお尋ねをしたい、こういうふうに思います。
#136
○国務大臣(丹羽雄哉君) 福祉資金の貸付制度のあり方そのものでありますが、当然のことながら時代の変遷とともに変えていかなければならない。いわゆる母子家庭における需要者は多くて、寡婦家庭が少ない、そういう中で今回こういうふうな統合をお願いしたわけでございます。
 私も午前中御答弁を申し上げたわけでございますけれども、父子家庭がゆえに、この問題で実際ホームヘルパーを派遣するとかそういうような事業が進められておるわけでございますが、まさにこの貸付制度には対象となっておらないわけでございます。まさに男女均等の時代において、男性であるから女性よりも賃金がすべて多いとは限らないわけでございますし、これは長い経過がありまして、関係団体との調整もいろいろ問題があるわけでございますけれども、当然この問題につきましては少し時間をかけて調整していきたいと思います。
#137
○粟森喬君 次に、今度新しく制度として確認をされました母子家庭及び寡婦に対する専門的な助言、指導を行う事業、社会福祉事業のあり方の問題でございます。
 まず、私の率直な感想を申し上げますと、これまでの論議ともつながるわけでございますが、この十四条を読んだときに、これがなぜ母子家庭に限らなければならないのかというふうに読めば読むほど思います。日常生活の中、生業にかかわる助言、困ったときに相談を受けるわけでございますから、うまくいっているときはだれも相談に来ないわけです。困ったときの相談というときに、果たして何ゆえにこういう社会福祉事業としてやるのかということが読み取ろうと思ってもなかなか読み取れない。
 法定化をしてきっちりやりたいという思いについては私も同意をするつもりでございます。しかし、展望は本当にどうなのか。例えば経済問題というのは、社会福祉事業でやる限りは、私はある意味では領域というのかバリアを越えるというのは非常にあると思う。弁護士さんであろうと公認会計士であろうと、ある種うまく事業がいかないとか生活費が足らなくなったときに、それはあなた貸しますよという話にならないわけです。
 それからもう一つは、今地方公共団体や福祉相談所や生活相談員をもって専門的専門的と言うけれども、この専門的分野というのは本当にこういう事業を起こすことによって解決でき得る問題なのかというと、私はちょっと違うんではないかという印象を持ちます。それから、先ほどの答弁でも経済的な側面というのを言われていますが、経済的な側面というのは、お互いがそれぞれの責任で処理をしなければならないという社会のこれが当然のときに、果たしてどの程度の効果があるのか。それから、生活ということで見ますと、またプライバシーの問題がありまして、私は行政だとか福祉事業でもある程度これは限度を持って当たらなければならない、当然そういう性格のものだと思うのでございます。
 したがって、そういう意味で、今回の福祉事業にするための背景というのも多少財団法人全国母子寡婦福祉団体協議会からの要望に基づいたということはお聞きをしたわけでございますが、将来の整合性として私の懸念をすることについてどう思っておられるか、お答え願いたいと思います。
#138
○政府委員(清水康之君) 技術上あるいは予算措置によって行っているものでも特に法定化しなくても対応できるんではないか、特に法定化する緊
急性なり必要性は何なのかというふうなお尋ねかと思います。
 一つは、率直に申し上げまして、長年、全国母子寡婦福祉団体協議会の方からこういう事業を法制化してほしい、強化してほしい、こういう要望があったということも背景にございますけれども、母子世帯あるいは寡婦の方々の実態調査によりますと、割合事業主であるという方が一般の女性に比べて多いんです。母子世帯の場合は事業主の方が全部の世帯の約一一%ございます。寡婦の方で二〇%ございます。女性一般ですとこれが六・七%ということになっておりますから、雇われて働くということよりも、非常に零細企業かもしれませんけれどもみずから個人事業主としておやりになっている方々も結構おられる。
 そうしますと、その個人事業主等の方々が経済的な問題に直面をしましていろいろ対応していく場合に、現在置かれている都道府県の母子相談員という方では必ずしも十分ではなくて、先刻申し上げましたが、中小企業診断士であるとか公認会計士であるとか弁護士さんであるとか、いろんな方々に相談をしたい、助言してもらいたい、そういうニーズはかなりあるわけでございます。そこを適切にやっていくためには、やはり第二種社会福祉事業として法定化することによって、きちんとした形できちんとした手続と内容によって対応していくことが適切ではないか、また可能になるんではないか、そう思ったわけでございます。
 また、もう一点は、これもお話ししたと思いますが、第二種社会福祉事業ということになりますと、税制面の問題あるいは共同募金の問題その他で、あるいは社会福祉法人になれるといったような意味でメリットもあります。そういうふうなことなども総合勘案して、この際、法定化をお願いしたい、こういうことでございます。
#139
○粟森喬君 時間がないので、もう端的に申し上げます。
 今、行政組織のあり方がいろいろ問われておるときに、結果として屋上屋を重ねるようなことになったり、機能できないときにはその機能できない原因について除去をして改めるところは改めていかないと、私は、本当に展望が開かれるのかというとどうも確信が持てないので、そういうふうに申し上げました。きょうはそれ以上申し上げませんが、行政組織、厚生省としても十分そういうところを配慮してやってもらいたいということを申し上げまして、質問を終わります。
#140
○委員長(細谷昭雄君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。
 これより討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。――別に御発言もないようですから、これより直ちに採決に入ります。
 母子及び寡婦福祉法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#141
○委員長(細谷昭雄君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 この際、菅野君から発言を求められておりますので、これを許します。菅野君。
#142
○菅野壽君 私は、ただいま可決されました母子及び寡婦福祉法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、日本社会党・護憲民主連合、公明党・国民会議、民社党・スポーツ・国民連合、日本共産党、民主改革連合各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。
 以下、案文を朗読いたします。
   母子及び寡婦福祉法の一部を改正する法律
   案に対する附帯決議(案)
  政府は、次の事項について適切な措置を講ず
 べきである。
 一 母子福祉資金及び寡婦福祉資金の貸付対象
  及び条件の改善と本制度の周知啓発に努める
  こと。
 二 居宅介護等事業及び職業訓練の実施、児童
  扶養手当等各種給付の充実など母子及び寡婦
  等に対する福祉施策の総合的な推進に努める
  こと。
 三 母子相談員については、相談事業の充実を
  図り、相談員の安定した雇用を確保するため
  にも、常勤化を促進すること。
 四 家事及び育児の支援等父子家庭に対する支
  援策の充実に努めるとともに、本施策の周知
  啓発を図ること。
  右決議する。
 以上であります。
#143
○委員長(細谷昭雄君) ただいま菅野君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#144
○委員長(細谷昭雄君) 全会一致と認めます。よって、菅野君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、丹羽厚生大臣から発言を求められておりますので、これを許します。丹羽厚生大臣。
#145
○国務大臣(丹羽雄哉君) ただいま御決議になられました附帯決議につきましては、その趣旨を十分尊重いたしまして努力いたす所存でございます。
#146
○委員長(細谷昭雄君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#147
○委員長(細谷昭雄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後二時四十八分散会
ソース: 国立国会図書館
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