くにさくロゴ
1993/06/03 第126回国会 参議院 参議院会議録情報 第126回国会 厚生委員会 第11号
姉妹サイト
 
1993/06/03 第126回国会 参議院

参議院会議録情報 第126回国会 厚生委員会 第11号

#1
第126回国会 厚生委員会 第11号
平成五年六月三日(木曜日)
   午前十時五分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 五月十三日
    辞任         補欠選任
     勝木 健司君     鈴木 栄治君
 五月十四日
    辞任         補欠選任
     鈴木 栄治君     勝木 健司君
 五月十七日
    辞任         補欠選任
     南野知惠子君     森山 眞弓君
 五月十八日
    辞任         補欠選任
     森山 眞弓君     南野知惠子君
 五月二十四日
    辞任         補欠選任
     南野知惠子君     森山 眞弓君
 五月二十六日
    辞任         補欠選任
     森山 眞弓君     南野知惠子君
 五月三十一日
    辞任         補欠選任
     南野知惠子君     森山 眞弓君
 六月二日
    辞任         補欠選任
     森山 眞弓君     南野知惠子君
 六月三日
    辞任         補欠選任
     尾辻 秀久君     泉  信也君
     大島 慶久君     山崎 正昭君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         細谷 昭雄君
    理 事
                木暮 山人君
                前島英三郎君
                菅野  壽君
                木庭健太郎君
    委 員
                石井 道子君
                泉  信也君
                大島 慶久君
                大浜 方栄君
                西田 吉宏君
                南野知惠子君
                山崎 正昭君
                今井  澄君
               日下部禧代子君
                栗原 君子君
                横尾 和伸君
                勝木 健司君
                西山登紀子君
                粟森  喬君
   衆議院議員
       厚生委員長    浦野 烋興君
   国務大臣
       厚 生 大 臣  丹羽 雄哉君
   政府委員
       厚生大臣官房総
       務審議官     瀬田 公和君
       厚生省健康政策
       局長       寺松  尚君
       厚生省保健医療
       局長       谷  修一君
       厚生省保険医療
       局国立病院部長  田中 健次君
       厚生省生活衛生
       局長       柳沢健一郎君
       厚生省生活衛生
       局水道環境部長  藤原 正弘君
       厚生省薬務局長  岡光 序治君
       厚生省老人保健
       福祉局長     横尾 和子君
       厚生省児童家庭
       局長       清水 康之君
       厚生省保険局長  古川貞二郎君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        水野 国利君
   説明員
       文部省初等中等
       教育局特殊教育
       課長       日高紘一郎君
       労働省婦人局婦
       人福祉課長    平野由美子君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○社会保障制度等に関する調査
 (看護婦養成課程の改善に関する件)
 (歯科保健対策に関する件)
 (診療報酬改定に関する件)
 (ハンセン氏病対策に関する件)
 (国民医療費と医薬品産業のあり方に関する件
 )
 (母子保健対策に関する件)
 (水道水の水質基準と水道水源対策に関する件
 )
 (保育所と措置制度に関する件)
 (食品の残留農薬基準改定のあり方に関する件
 )
○社会保険労務士法の一部を改正する法律案(衆
議院提出)
○調理師法の一部を改正する法律案(衆議院提出
 )
    ―――――――――――――
#2
○委員長(細谷昭雄君) ただいまから厚生委員会を開会いたします。
 社会保障制度等に関する調査を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#3
○大浜方栄君 私は、本日は看護婦の二年養成課程の問題について御質問をさせていただきます。
 私は、昭和五十八年の国会議員初当選以来、この十年間自民党の社会部会を初め予算委員会、決算委員会等で看護婦倍増論をずっと唱えてきました。厚生省で昭和五十四年に策定した看護職員の第二次需給計画では、昭和六十年に需給バランスがとれるという見通しになっておりました。駆け込み増床というような問題があったにせよ、私は、この策定計画は机上の論であって実際に看護婦不足の解消にはならないだろうと、こういうことをずっと批判してきたんですけれども、案の定今日の看護婦不足の惨状を見るに至っております。
 また、私が、准看護婦が働きながら正看護婦になれる道、いわゆる看護婦二年課程の通信制、推薦制の導入について取り組み始めてから既に七年が経過しております。この間に九名の方々が厚生大臣に就任しましたけれども、今度、丹羽厚生大臣が初めて、看護婦の質を向上させながら看護婦不足の解消の一助にもなる看護婦二年課程に通信教育制を導入するという画期的な制度を発表しておられます。
 すなわち、平成五年の四月二十七日、全日本病院協会の研修会において丹羽厚生大臣が看護婦二年課程、すなわち准看から正看への道の拡大の方法として看護婦養成に通信教育制を導入するという発言をしておられます。また、そのことは朝日新聞、日経新聞、読売新聞、東京新聞の各紙に報道されているところでございます。医療界の現場では、特に病院側はこの発表に干天に慈雨だと大変な感謝、喜びでございます。私は、この九名の厚生大臣の時代に実現しなかった、できなかったことを丹羽厚生大臣が勇気と決断を持ってこういうことを発表なさったことに対し、感謝し敬意を表す
るものであります。
 まず最初に、現在検討されておる看護婦二年課程検討会のことについてお尋ねをいたします。
 現在、看護婦、准看護婦の就業者数は約七十八万人でありますが、そのうちの看護婦と准看護婦の比率は五三・八%、四六・二%とそれぞれ半数のパワーという状況であります。私は、今後高齢社会における看護の仕事はますますその範囲が広がり、そしてより多くの看護が必要とされるようになり、このような国民のニーズにこたえられるような資質の高い看護婦がより多く求められるようになると思っております。また現在、御高承のとおり、老人保健福祉計画の策定が行われつつありますけれども、その内容をつぶさに見ましてもこれを支えていく中心になるのは看護婦さんのパワーであります。
 先ほど述べたとおり、数字の示すとおり、現在の看護婦の数は看護婦、准看護婦の比率は約半々であり、昭和六十二年の看護制度検討会においても二十一世紀に向かって看護婦の比率を高めるという、いわゆる正看護婦の比率を高めるということも提言されておりますので、以上のような今後の医療の展望や社会の要請にこたえていくためには、半数を占める准看護婦について看護婦への道を拡大していただく方策を、現在看護婦二年課程いわゆる全日制、定時制という養成課程がありますけれども、これも含めて拡大していただきたいと念ずるものであります。
 次に、看護婦二年課程の数でありますが、これは四百二十校あって、一学年定員は約一万八千人であります。この二年課程は、看護婦として就業しながら看護婦の資格を得たい、正看の資格を得たい、すなわち働きながら学ぶ学校として発足しているわけでありますが、一学年一万八千人のうち九千人がそのような学生であります。
 さて、今度は毎年卒業する准看護婦の学生は約三万人であります。その受け皿としての看護婦二年課程が存在するわけですが、この卒業生と入学生とのギャップは前に申し述べたとおり、三万人に対して一万八千人、約一万二千人が毎年准看護婦のまま残って、看護婦、准看護婦の比率が改善されない一つの理由にもなっておると私は危惧するものであります。厚生省は今までこの残された一万二千人の准看護婦さんの正看への道をできるだけ開くべく二年課程の看護婦養成課程を毎年ふやしていく努力をしているということは私も知っております。しかしながら、それらの准看護婦の中には進学の機会を逸してしまっている、あるいは進学の意思はあっても周囲がそれを許さないと、このような現在の二年課程の不十分な受け皿が准看護婦の意欲をもぎ取っているということも事実であります。
 また、この看護婦二年課程は、医療関係者審議会の看護婦等の確保を促進するための措置に関する基本的指針にもマッチしています。と申し上げるのは、同指針の就業の動向に関する事項では、看護婦の計画的養成、離職の防止、再就職に留意して確保を進める必要があるとうたっております。通信制、推薦制を実施するということは、一定期間病院に勤務することになり准看護婦の定着を促進することであり、また離職防止にもつながるものであります。さらに現在、四十万人と言われる潜在看護婦、これは正看護婦も含んでおりますけれども、この潜在看護婦の発掘、再就業の促進にも効果をもたらすものであります。
 中には、この通信課程を導入するということは看護婦の質を低下すると、こういう反論もありますけれども、私に言わせるならば、働きながら通信教育を受けて一定のカリキュラムをこなして国家試験を受ける資格を与える制度でありますから、国家試験にパスしなければ、実力がなければ正看護婦になれないわけでございますから、私はこれは質の低下につながらぬ、むしろ質の向上になると思うものであります。このようなことから、二年課程の拡大のために今ここで新たな方策を講ずるということは、看護教育にとって画期的なことであり、また看護教育の歴史においても極めて大きな意味を持つものであると信じます。
 ただいまから私は、本年度の四月二十八日、「看護婦不足の実態」を報じている共同通信の記事がございますけれども、これを先生方、また役所の皆さんも全員ひとつごらんいただいて、参考にしていただければ幸いだとこう思います。(資料配付)
 それで、私は、まず今厚生省で検討されている看護婦二年課程の検討会に関して何点かお伺いをしたいと思います。まず検討会における検討状況について、特に通信教育の導入も含んでどういうような状況になっているか御説明をお願いしたいのであります。
#4
○政府委員(寺松尚君) 今大浜先生が言われましたように、これからの高齢化社会あるいは医学医術の進歩というようなことに即応いたしまして、看護婦の資質を上げるということにつきましてはどなたも異存がないんではないかと思います。そういうこともございまして、しかもさらに先生の御指摘の准看護婦学校を卒業する者は三万二千人ぐらい、それからその受け皿としまして正看への道のための進学課程というのが一万八千人でございますから、相当の方々が進学がしにくいという状況にあることも事実でございます。
 そういうようなことに対しまして、私どもも、ぜひ正看への道を少しでも広げたい、その方策につきまして先生の御指摘の看護婦二年課程検討会というのを平成四年度に設けたわけでございまして、その中でいろいろと議論をお願いしてございます。近く報告書がまとまるということを承っております。
 そこで、この検討会の性格でございますが、健康政策局長の私的懇談会でございます。そこでやられております問題は、一つは推薦入学の改善拡大、それから入学試験科目の弾力的な取り扱い、あるいは通信制度の導入というようなものにつきましていろいろその看護婦二年課程の改善方法につきましての御検討をお願いしておるわけでございます。先ほども申し上げましたように、報告書が近々取りまとまるというところまでまいってございます。
#5
○大浜方栄君 ただいま局長から御答弁のありました推薦入学の入学制の改善拡大についてでございますが、これはいつから実施する予定でございますか、平成六年から実施すべく準備中だとも言われておりますが、と申し上げるのは、現場では一日千秋の思いでその日の来るのを待っている学生さんがたくさんおられます。
 それからもう一つは、その場合の推薦入学の枠はどういうふうにお考えでございましょうか。
#6
○政府委員(寺松尚君) 今現状の推薦入学制度についてちょっと実情はどうなっているかということでございますが、現在、看護婦二年課程養成所の約四分の一、二五%が推薦制というものを採用しておるというにすぎません。したがいまして、その改善拡大を図っていくことが必要だ、こういうふうに私どもも考えておるわけでございますし、検討会の中でもそのような議論がなされております。
 そこで、養成所の場合、いわゆる公的あるいは民間といろいろ養成所の設置主体が違いますけれども、そういう養成所につきまして御協力を得まして、その拡大を検討会の結果に沿いまして私ども進めてまいりたい。実施時期につきましては、この辺の問題につきまして今のところ進めてまいれば、次の試験の時期と申しますと来年になるわけでございますが、来年の二、三月になるかと存じますが、そのころからの採用になるんではないか、こういうふうに考えております。
#7
○大浜方栄君 平成六年から推薦制を実施していただける予定だと、ありがとうございました。
 次に、入学試験科目の扱い方でございますが、局長も御存じのとおり、最近の大学入試の状況を見ていると革命的とも言われるくらい、この変革の時期にいろいろ試験科目が変わってきている。すなわち選択制を極端に取り入れている、あるいはまた、人物本位でやっているとか、面接重視の方法でやっているとか、いろんな改革がなされておるので、私はこの推薦制に当たっても弾力的に
考えるべきである、こう思っておりますが、いかがでしょうか。
#8
○政府委員(寺松尚君) 今先生御指摘の最近の大学の入試の状況も、私どもも十分承知しておりますし、検討会の先生方の間でもその辺は御承知でございます。
 したがいまして、私ども、試験科目は現在御承知のように英語、数学、国語あるいは理科というようなものを取り入れている養成所もございますし、いろいろな形で試験科目は弾力的にはやってございますけれども、特に理科系の科目等なかなか難しいというふうなこともお聞きしております。その辺で、先ほども先生がおっしゃいましたように、弾力的に取り扱うというふうなことをやはり関係の養成所等に協力を働きかけていきたい、このように思っております。
#9
○大浜方栄君 次に、通信教育制の導入についてお伺いをいたします。
 通信教育制が導入されるということで、現場の医療機関、入学希望者、それからそれを実施してもいいという実施希望校、それから医療関係団体、福祉団体等は、もうその情報を、どういうぐあいになっていくんだろうかということを非常に知りたがっております。また、これの導入に当たっても一日も早く実施してもらいたい、こういう要望があっちこっちから参っておりますが、この通信教育制の導入はいつから実施する予定でございますか、お伺いをいたします。
#10
○政府委員(寺松尚君) 今御議論いただいております二年課程検討会におきましては、通信教育制を導入する場合の教育水準の確保ということを図る上で、教材の開発あるいは教員の確保等技術的にクリアしなければならない問題があるというふうな御指摘をいただいております。したがいまして、行政的にはその達成を求める方向でお話がまとまるんではないかと思っておりまして、それに沿って私どもは準備を進めていきたい、このように思っております。
 今先生のお尋ねの実施時期あるいは入学枠でございますとか経験年数だとか、いろいろなことの具体的な取り扱いについてお話がございましたけれども、私ども、時期につきましては、何とか今の申し上げました技術的な問題をクリアし、実際の養成所等にその内容をお示しし、そして実施に踏み切っていただくというためには若干の時間が必要でありましょうし、入学試験科目の弾力的な取り扱いとか推薦制とかはちょっと少し時間がかかるんじゃないかと思います。そこで、私どもは、今目標にいたしておりますのは七年には何とかそのような方向でオープンできる、開校できるようなことで準備をやってまいりたい、このような考えでおるわけでございます。
#11
○大浜方栄君 私は正直申し上げて、今局長から平成七年から実施される、できるのではなかろうかというお言葉をいただいて、本当はもう来年からでもとこういう思いを持っておったんですが、来年は推薦入学制度が取り入れられるということでございますから、準備等もあるんで、平成七年からはこの通信制の導入をぜひひとつ実現をしていただきたいと思うわけであります。
 もう一つは、先ほども申し上げたとおり、毎年卒業する准看護婦の学生は、先ほどの局長のお話もありましたとおり約三万人であります。これに対して受け皿である看護婦二年課程の一学年定員は一万八千人であります。つまり、約一万二千人の方々が正看になりたいのになれないという状況になっております、この看護婦不足の時代に。だから、これは非常にもったいないことであって、准看から正看への道は狭き門になっていると私はこう思っております。
 こういうようなときに、これから先、局長も御高承のとおり、老人保健福祉計画を各市町村で策定する義務ができておる、さらにまた週休二日制がある、さらにいわゆる二・八体制の確立、きちっと守るようにというあれがある、あるいは有給休暇、産前産後の休暇をどうするかという問題等があります。私は、そういうようなことを踏まえると、一万二千人にとって狭き門になっているがゆえに、また今さっき申し上げたような需要等を考えまして、この推薦入学制の枠をぜひひとつ広げていただきたいとこう思うわけでありますけれども、これはどういうようにお考えでございましょうか。
#12
○政府委員(寺松尚君) 先生おっしゃいましたことでございますけれども、やはり今高校を卒業して準看に入り、そしてすぐ進学課程へ行くというケースが非常に多いわけでございまして、経験豊かな情熱のある準看の方々がなかなか入りにくいというふうなことも私ども承知しておるわけであります。
 そこで、私どもは、いわゆる進学課程自身の養成校の拡大も努力をしてまいらぬといかぬと思っておりますけれども、今先生の御指摘のそういう経験豊かな方でぜひ進学したい、そして看護婦になりたいというふうな御希望の方々、そういうものにこたえていくためにも推薦制というのは意味があるんではないかと思っておりまして、その辺の枠につきましては、これまた養成所のいろいろな御都合もございましょう。しかも、先ほど申し上げましたように推薦制は二五%ぐらいのところしか対応していないわけでございまして、個々の養成所自身もそうでございますし、現在もう既に推薦制をとっておるところでもその拡大についてはいろいろ御協力いただくように、先ほども申し上げましたとおり積極的に進めてまいりたい、このように思っております。
#13
○大浜方栄君 今は通信教育制の枠の話でございますけれども、それもひとつ推薦制と同じように弾力的に考えていただきたい、こう思います。
 それからもう一つは、通信教育制を受ける準看護婦さんの資格、すなわち、業務経験年数を三年とかあるいは五年ぐらいたったら資格があるといろいろ言われておりますけれども、これも諸般の事情を勘案してひとつ検討していただきたいと思うわけでございますが、この業務経験年数をどういうぐあいにお考えでございましょうか。
#14
○政府委員(寺松尚君) 先ほど失礼しました。
 通信制につきましても同様でございまして、ただこれもなかなか技術的に非常に難しい問題があるやに聞いておりまして、どこでも養成所がやれるかどうかわかりませんが、その辺はできるだけそのような形でやっていけるようにまたいろいろ相談をしてまいりたい、このように思っております。
 それから、今の御質問の件で、実際通信制を設けます場合に、実習時間等の短縮というようなことを経験年数等の兼ね合わせで何か考えられないかというようなことで、あるいは評価して短縮に資することができないかというようなお話でございます。
 今現在進行中のこの二年課程の検討会におきましても、看護婦資格の質の維持が図られるよう実際具体的な教育方法等に留意すべきであると、こういうようなことも御意見がございます。そこで、通信制も全日制も、定時制と同様に二年課程の実施方法の一つになるわけでございますから同じカリキュラムを実施するということが必要であると、こういうことも言えるわけでありますが、今後検討会の報告書を待って、働きながらでも学習できるという通信制の特性、そういうものを生かされるように実習の実施方法あるいは実習時間の短縮等の評価といいましょうか、短縮への評価というようなことにつきましても検討いたしてまいりたい、このように思います。
#15
○大浜方栄君 次に、通信制あるいはまた推薦制等の実施校を国公立だけにするのか、あるいは私立にするのか、あるいはいずれでも構わないのか。それからもう一つは、そういうものの年齢制限はあるのか、希望する準看護婦さんの。それから、奨学金制度は適用されるのか。この三つをひとつまとめてお伺いしたいと思います。
#16
○政府委員(寺松尚君) 養成所は、確かに公的なもの、それから私的なものといろいろ設置主体によって違うかと思います。この辺は、それぞれの養成所の受け入れ態勢といいますか、実施に対する意欲だとかいろんなことに関係するかと思いま
すので、私どもは、できるところからやっていただければいいんではないか、特に官でなければならない、公でなければならない、あるいは私的でなければならないというふうには考えていないわけでございます。
 それから、年齢制限等につきましても、私どもこの制度ができまして、やはりこれを実効的かつ適切なものにしていくためにも、年齢というものにつきまして何か制限をつけるのはいかがなものかと存じますので、これは検討会並びに医療関係者審議会の保助看部会等の御意見も踏まえなければなりませんが、そういうことの差をつけるのはいかがなことかというふうに私どもは考えております。
#17
○大浜方栄君 奨学金制度はどうですか。
#18
○政府委員(寺松尚君) 奨学金制度でございますが、これは、実は私ども看護婦の場合にいろいろ設けておるわけでございますが、通信制につきましても何らかのことを考えなければならないというふうに思っておるわけでございます。そこで、これはいろいろ関係当局とも相談をしなければなりませんので、私どものちょっと宿題としていただいておいたらいかがかと、そういうふうに存じます。
#19
○大浜方栄君 次に、通信教育制は潜在看護婦の発掘にも私は大きな道を開く、すなわち、子育ても終わりもう一度看護婦への道をという方々にも大きな道になるとこう思っております。
 それからもう一つは、実習時間が現在七百二十時間だと思いますけれども、この通信教育制を受講しやすい、すなわち、学びやすい通信制を設けるのであれば准看護婦としての業務経験を踏まえて実習時間を短縮できないか。もちろんその質を落としてはいけないんで、そういう点も加味しながら、全くのイロハのイもわからない素人が実習するわけじゃなくて三年なり五年なりという准看の業務経験を持った、准看の中にははっきり申し上げて正看の方々よりもすばらしい、技能もさることながら人格的にも立派な方々がいっぱいいるんで、そういうような方々のことも考えて実習時間はひとつレベルを落とさないという前提で考えていただきたいと思いますが、それを簡単にひとつ御答弁いただきたいと思います。
#20
○政府委員(寺松尚君) 前半の御質問の件でございますが、潜在看護婦の発掘に大きな道を開くのではないかという点でございますが、確かにおっしゃいますとおりこの通信によります資格取得を契機としまして、恐らく再就職にも意欲を持って入られるというふうな面で役立つところがあるんではないかと期待いたしております。
 それから、実習時間の面でございますが、おっしゃいましたように七百二十時間が今設定されておるわけでございますけれども、いわゆる准看として病院に働かれる場合にそこの勤務の時間、年限等をどのようにカウントして、そしてそれの実習時間の短縮に役立つか、その辺は少し専門的なお考えも御検討をお願いしなければならぬのではないかと思っております。何とかその辺はカウントしてほしいものだと私どもは考えております。
#21
○大浜方栄君 次に、看護婦養成二年課程、この推薦制あるいは通信教育制の導入の件に関して報告書が提出された後の今後のスケジュールについて簡潔にお願いします。どういうぐあいになっていくか。
#22
○政府委員(寺松尚君) 今、検討会の報告は近くと申しましたのは二十日ちょっと前だというふうに、また今委員との打ち合わせもやっておりましてそのころをめどにしておるわけでございますが、それが御報告をいただきますと、もっと具体的に、ものによりましては先ほど申し上げました医療関係者審議会の保助看部会の方で技術的、専門的に御検討いただくものもございましょう。それから、また法的な問題もあれば、それらにつきましては私ども行政の方でいろいろ検討するというふうなことに入らせていただきたいと思っております。
 それで、最初の方で申し上げましたように、ものによりまして結論が早く得られ、そして実施できるというものもあるかと思いますので、できるものから実施をしていくという形になるのではないかと考えております。
#23
○大浜方栄君 私は、この制度は働きながら学ぶ准看護婦さんに道を開くものであると、こう思っております。そして、これはもっと大きく言うと規制緩和なんですね。
 時間がないんで規制緩和の話はちょっと控えますけれども、今世界は各界各分野で規制緩和の方向にある。そして、ECとの問題、アメリカとの問題、また国内の諸官庁の行政の問題は、すべてこれは規制緩和が今大きな日本国家のテーマになっているんです。それで、この通信制導入の問題も、こういう変革の時代にどういうぐあいにやっていくかという私は規制緩和の問題であると。質は、先ほど申し上げたように、国家試験を受けるんだから質は落ちない。公認会計士だって、今まで自力で勉強していて学校へ行かなくても国家試験を通ったら公認会計士になれるんだし、弁護士だって、一生懸命勉強して司法試験を通れば弁護士になれるんだから、私は、一部の方々を言うように看護婦の質が落ちるということはないと思っております。
 それで、私と今の健政局長とのやりとりをお聞きいただいて、丹羽厚生大臣はどういうふうな御見解をお持ちでございましょうか。私が丹羽厚生大臣に先ほど申し上げたように、深く敬意を表し感謝をしているところでございますけれども、特に看護婦養成二年過程の通信制導入の実施に当たっては、どうしてもいろんな万端を整えてから平成七年には実施していただきたい、こうお願いをするわけでございます。
#24
○国務大臣(丹羽雄哉君) 看護婦問題は、ややもすると量的な不足の面であるとかあるいは待遇の面、こういう面だけが指摘されています。確かにこの問題は避けて通れない大きな問題でございますけれども、私は、基本的な問題といたしましては医療現場における看護婦さんの地位の向上あるいは社会的な評価、こういうものをもっともっと私どもはその向上に心がけていかなければならない、まずこういうような考え方に立つものでございます。
 先ほどから大浜委員が御指摘をいただいております、いわゆる准看護婦さんであって志を高くして、そして正看の資格を取るためには今新たにまた二年の養成課程に通わなければならないわけでございますけれども、現実には医療機関で働きながら学校に行くということが非常に難しいわけであります。
 そこで、学校に行くかわりに新たな通信課程を導入いたしまして、その中で特に実務経験を評価して、二年の養成課程には七百二十時間の実習、こういうものが必修としてあるわけでございますが、例えば今先生の方からも御指摘がございましたように、一定の三年であるとか五年であるとか、こういうような業務経験のある方に対しましてはこれを大幅に短縮して、例えば夏の間の集中的ないわゆる実習のみで済ますことができないかどうか、こういうようなことの道を開けば、まさに働きながら准看から正看への資格を取得することが可能になってくるんではないか、こう考えるような次第でございます。
 検討会におきましても、こういった観点から御検討をいただいております。さらに、先ほどから御質問がなされております推薦制の枠の拡大の問題、入試科目の問題、こういった問題、順次ひとつ速やかに検討会の御報告を受けましてこの実施に移していきたい、こう考えておるわけでございます。
 それと、もう一つこれに関連する問題でございますけれども、正看と准看とのいわゆる差別、格差というものもやはり解消する方向で努力していかなければならない、こう考えておるわけでございます。例えば、准看の場合にはいわゆる都道府県知事免許でございますけれども、現にこういった医療業種において都道府県知事免許というのは、私の記憶によりまするともう准看護婦さんだけになってきておるわけでございます。いろいろ
実務的な問題等もあると思いますけれども、これも将来的にはやはり厚生大臣免許にしていく、こういうようなことが医療の現場においてもあるいは社会的にも看護婦さんの地位の向上につながる、このように私は考えているような次第でございます。
#25
○大浜方栄君 どうもありがとうございました。
 時間もないので、最後に私は、この推薦制あるいは特に通信制を導入するに当たって要望申し上げたいことがあるので、ひとつぜひお聞きをいただきたい。
 それは、現在ある二年課程の看護婦養成施設の運営にこれを導入することによって運営が支障を来さないように十分御配慮をいただきたいということ。
 もう一つは、看護婦さんというのは人命を預かる責任ある仕事を行っているわけでございます。また、看護婦等の人材確保法でも心の通う看護が提供できるということがうたわれておりますので、通信制にせよ、推薦制にせよ、これを選考するときには学力だけではなくてその人物も、人柄も十分尊重していただきたい。
 それから三番目に、この通信制導入の案が、私がいろんなことを要望申し上げ、御当局の努力で日の目を見ようとしておるわけでございますけれども、ややもすると、こういうのが出るといろんな団体から圧力がかかって実際にできたのは骨抜きになっていた、こういうのが多々あるので、これがないようにひとつきちっとしたものをつくっていただきたいということであります。
 私は、全国に理学療法士が少ない、ゴールドプランでこれからマンパワーが必要なときに理学療法士をもっと養成すべきであるということ、これも声を大にして言ったけれども、はっきり会の名前を申し上げて非常に失礼ですが、理学療法士協会から圧力が私にかかってきて、全国に通知書が回っている。いろんな国会議員が圧力をかけてふやそうとしているから、あなた方、みんな会員は一致協力して対策を立てろというもってのほかのことを言う。実際に、今度厚生省のおかげで定員の枠を広げたために非常に助かっている。そういうことがあるから、私はいろんな団体からの圧力に屈しないできちっとしたものを、レベルを落とさないということを頭の中に入れてやっていただきたいということが一つ。
 それからもう一つは、この制度ができたために、離島、僻地で働いておられる准看護婦さんたちも公平にこの恩恵に、恩恵といいますかこの制度を享受できるようなことを考えていただきたい。さらに、彼女たちが離島、僻地でも定着できる、こういう通った後も定着して地域保健、医療、福祉の面で貢献できるような制度にしていただきたい、これを最後に要望いたしまして、私の質問を終わらせていただきます。
 どうもありがとうございました。
#26
○木暮山人君 引き続きまして、自民党の木暮が質問させていただきます。
 先般、平成五年三月二日の厚生委員会で質疑をいたしまして、政府委員の岡光局長の御返答の中で、「残留モノマーの実態を的確に把握することは必要でございますので、厚生科学研究によりましてその面につきましての研究を現在進めているところでございます。」という御答弁をちょうだいしたのでありますが、ひとつ後ほどこれの中間の報告等もございましたらちょうだいしたいということで、次に進ませていただきたいと思います。
 まず第一には、歯科の入れ歯の話でございますが、入れ歯というものは、使用するしないにかかわらず壊れることもなければ変化することもないのでありますが、それを使っている人間の方は、それによっていろいろ変化を来しております。特に、口腔内に装着してかむ圧力がかかりますと、あごの骨がそれによって刺激されまして萎縮して変化する。また、粘膜の弾性も加齢に伴って劣化するのはごく当たり前のことであります。入れ歯を入れた人たちは余りこんなことに気を使ってはおりませんが、少なくとも学問的に考えますと、二年に一回は入れ歯を新しく製作するのがよいと言われておるのです。
 入れ歯が経済的に不採算という理由から、歯科医の協力を得られないのではないかと思われる節があります。そのためかどうか、最近入れ歯の安定剤なるものが市販されております。口腔内に傷をつけるような為害作用は起こっていないようですが、先ほどの話のように、適合の悪くなった入れ歯にこの安定剤を使うというわけですが、少しでも残しておきたいあごの骨の吸収に大きな影響を与えるのではないかと思われるのです。
 学会等の反応はどうか、また歯科医師の指導のもとに使用するのが適当と思われるが、どうか。許認可に当たっての判断基準がどんなものであったか、お伺いしたいと思います。
#27
○政府委員(岡光序治君) まず、歯科材料の残留モノマーの実態の研究でございますが、今お話がありましたように厚生科学研究によりまして検討を進めております検討結果が得られましたら、御報告をさせていただきたいと存じております。
 それから、義歯安定剤の問題でございますが、まず承認審査の点について申し上げます。これは安全性の確保という観点から、特にモノマーの溶出があるというふうにも言われておりますので、個々の品目ごとにチェックをしております。それから、新規の成分を含む安定剤のケースにつきましては、毒性試験、臨床試験を要求するというふうなことをやっておりまして、安全性の確保には特に念を入れているつもりでございます。
 それから、使用者に対しましての指導についてのことでございますが、安定剤は歯茎と入れ歯の微妙なずれを一時的に補いまして入れ歯を安定させる材料でございますので、やはり一時的なものだということを認識してもらう必要があるというふうに考えております。不適合な入れ歯を安定剤で安定させるのは一時的な場合というふうに考えていただいて、早目に歯科医に相談をして入れ歯の調整を行うことが本来のことであるということと、それから長期にわたってこれを使用する場合は歯茎やかみ合わせに悪い影響が出てまいります、こういうふうなことを添付文書を通じまして使用者に情報を提供しているわけでございます。そういう趣旨でこの安定剤は使っていただきたいということで、私ども、安全確保とあわせましてその使用者に対する情報提供をしているというところでございます。
#28
○木暮山人君 次に、高齢化が進み、入れ歯を必要とする人たちは年々増加するのが当然でありますが、厚生省の社会医療診察行為別調査によりますると、一診療所における一カ月の義歯の数は、昭和六十一年に十八・六個であったものが、次第に減少の傾向にあって、平成三年には十七・四個になっており、確かに診療所が増加していることも一つの原因がと思われます。同じ資料にある義歯の製作数、いわゆるレセプト百万円当たりに見た場合、昭和六十一年には八・三個であったものが平成三年には七・八個と明らかに減少しているのは事実でございます。入れ歯が長年にわたって不採算であり、そのために床の改良やら、また修理によって一時的に回避が行われているのではないかと懸念されております。道義的に見れば大変ゆゆしい問題であります。そのような事情に遣い込む経済的背景に問題があるように思われます。
 保険診療において良質な義歯が製作できるよう診療報酬上の適切な評価に努めてきたし、今後とも中医協の議論を踏まえながら適切に処理してまいりたいと厚生省は言い続けられておるようですが、極端な言い方をすれば、先ほどの話が事実であるとするならば、これは高齢者冷遇の差別であり社会的問題であると思われます。また、今基本的な姿勢についてお尋ねしましたが、入れ歯の不採算制は今日的なことではなく、恐らく入れ歯が保険でできるようになったときから続いている問題でもあります。入れ歯の評価が歯科の診療所の経営安定に寄与することが必要であります。また、この入れ歯を製作している歯科技工士の生活基盤に大きく関与していることも重要な問題であります。この人工臓器を必要としている製作する人、装着する人、それぞれ日の当たる場所にいてほし
いと思うものであります。
 この入れ歯の問題について、衆参の厚生委員会でも多くの質問が寄せられておりますが、実際、今の保険点数評価でどのように不採算なのか、実態はどうなのか、調査研究を独自の立場でなされたと思いますが、厚生省のおっしゃっておられる、中医協の議を踏まえ適切な評価が行われているとの結論に至っている現況の説明と御意見をひとつお伺いしたいと思います。
#29
○政府委員(古川貞二郎君) 繰り返してお答えを申し上げているわけでございますけれども、この歯科診療報酬につきましては、技術料重視の考え方から、改定の都度義歯などの補綴に関連する点数を含めましてその引き上げを図っているというような状況でございまして、私どもとしても、大変国民にとって大事な歯科の医療につきまして、保険医療におきまして良質な義歯等が製作できるようにということで努力をしている状況でございまして、今後とも中医協の御議論を踏まえて対処していきたい、こう思っているわけでございます。
 現状でちょっと申し上げますと、新しくつくる義歯については減少しているというような状況でございますが、この修理とかリベースは増加傾向にある、こういったこともそういった背景にあるのかと思うわけでございます。いずれにしましても、いろいろただいまのようなお話も含めまして、今後そういった良質な義歯の製作ということについて中医協の御議論を踏まえながら対応してまいりたい、かように考えている次第でございます。
#30
○木暮山人君 この問題につきまして、厚生省としてその実態というものは調査なさったことがございますでしょうか。
#31
○政府委員(古川貞二郎君) この歯科診療の問題、診療報酬の問題につきましては、御案内のように、医療経済実態調査というものを二年に一回実施いたしておるわけでございまして、そういった中で収入あるいはコストの問題等々を把握している、こういうことでございます。
#32
○木暮山人君 その不採算性ということがうたわれておりますけれども、その問題につきまして何かもう少し的確なデータがあって、いやそれは不採算じゃないよ、いやしかしこれは不採算だよということがございましたらひとつ御返答をください。
#33
○政府委員(古川貞二郎君) ただいま申し上げましたように、歯科診療につきましても医療経済実態調査で把握をいたしておるわけでございますが、いろいろな機会に歯科の関係の方々からお話を聞く等いたしていきたいとは思っております。
#34
○木暮山人君 それは大体その程度にしておきまして、次に、保険でよい入れ歯をという請願が地方自治体から政府に寄せられていると聞いております。今まで申し上げたとおり、入れ歯のための財源確保がぜひとも必要なのでありますが、財源調達の三つの手段、すなわち保険料、患者負担、租税のうちどれを選択しようと考えておられるのですか。今後のあり方について、今後できる審議会等の答申も予測してそれに対する御意見等をちょうだいできたらと思います。
#35
○政府委員(古川貞二郎君) 医療保険をめぐる状況ということを踏まえまして、現在医療保険審議会、これは昨年の九月に、医療保険審議会を新たに設置いたしまして公的医療保険の役割とかあるいは保険給付の範囲、内容などにつきまして幅広い観点から御審議をいただいているところでございまして、ただいま御指摘の医療費につきましては、今後高齢化の進展とかあるいは医療技術の高度化等によりましてこれが増大するということは避けられないというふうに考えておるわけでございますが、この医療費に関する財源あるいは負担のあり方については非常に重要な項目として医療保険審議会における審議状況を踏まえながら今後適切に対処していきたい、こういうふうに考えておるわけでございまして、現在医療保険審議会の検討項目の一つとなっているところでございます。
#36
○木暮山人君 それは、また医療保険審議会の答申が出た際に質問したいと思います。
 確かに、国民所得に対する国民負担率を二十一世紀初頭の時点に、四〇%台半ばを目途に上昇を抑制すべきと臨時行政改革推進審議会で提言されておるということは承知しております。そのためにはある程度の医療費抑制も理解できますが、一般的に言って、医療機関の構造不況の要因の一つに医療機関数の増大や病床数の増加があります。最近では、賃金コストの上昇もあってさらに深刻さを増しているように思います。
 そこで、医師、歯科医師の養成数は果たしてこのままでよいものかどうか、医療資源の有効活用の立場から養成数の削減は望ましい方向と思われますが、ただ単に厚生省の問題のみでなく関係各省間の相互の意見調整が先決と思われますが、これについていかがなものでしょうか。御意見等がございましたら拝聴したいと思います。
#37
○政府委員(寺松尚君) 今の先生御指摘の件でございますけれども、歯科医師の養成につきましては、昭和六十一年七月に公表されました「将来の歯科医師需給に関する検討委員会最終意見」ということで、その中で、平成七年を目途に歯科医師の新規参入を最低限二〇%程度削減する必要があると提言をされております。そして、今までの実績からいきますとほぼそれに達します。ちょっと二〇%を切っておるところでございますけれども、あと二年ばかりございますので、その実現方につきまして私ども御協力をいただくようにお願いいたしておるところでございます。
 この歯科医師の数につきましては、いろいろ御意見がございますが、私どもは現在のところ、先進諸国とその人口十万単位の数字で比べてみますと、ほぼ同じ程度の歯科医師を持っておるというような状況でございます。
 先ほど、その提言を受けまして厚生省がどういうふうにしてきたかと申しますと、先生御指摘のように、関係省庁、特に文部省とも十分お話をし御協力いただくようにお願いをいたしまして、その結果、先ほど言ったような状況でございますが、実は最近またいろいろと歯科医師会の地方のいろんな会合なんかに私ども出席してみますと、歯科医師の数につきましては非常に真剣に内部でもお話し合いなさっておるようでございます。今後、その歯科医師の需給につきましてはどうあるべきかということで、私ども今度の平成五年度予算の中でその辺の検討をするべく予算を確保いたしておりますので、また御相談をしてまいりたい、このように考えておるわけでございます。
#38
○木暮山人君 戦後、医師、歯科医師が非常に不足した時代、そしてまた今充足してオーバーぎみの時代、こんな時代になりますとそこら辺のコントロールが必要になってくるのではないか。医師、歯科医師の養成数が減るのは望ましい方向であるし、質のよい医師、歯科医師を国民は望んでいるわけでありますから、少数精鋭的に教育が行える点でも歓迎すべきことと思います。
 そこで、国家試験合格者を対象に、一般歯科医養成研修が国の予算で実施されていますが、実質一年の研修では臨床講義あるいは患者に触れる前段の臨床研修で終始してしまう傾向があります。当初の目的であった患者に触れる臨床までに至らないまま終了しているのが実情ではないかと思います。やはり二年間の研修を義務づけることが望ましいと思います。この研修制度があくまでも臨床経験に富んだ歯科医を社会に送り出すことを目的としているならば、早急に改善すべきではないかと思いますが、御意見はいかがなものでございましょうか。
#39
○政府委員(寺松尚君) 今先生がおっしゃいますように、歯科医師の質の向上、特に臨床につきまして力をつけるということは非常に大事である、しかも量的な問題よりも質の方が大事だという御指摘がございました。私どもも、その線に沿いまして卒業直後の歯科医師に対します臨床研修というものを昭和六十二年からやっておりまして、厚生省と文部省と分担をいたしてやっておるわけでございますが、厚生省につきましては年々ほぼ増員を図ってまいりまして、平成五年度では九百人の方々に臨床研修を一年間やっていただくという
ふうな予算を確保いたしておるわけでございます。それから、また文部省におかれましては、三百十名の研修を予定して予算を組んでいただいております。
 したがいまして、実際卒業される方々の中からいきますと、四〇%程度の方々が一年間の臨床研修を受けておるというのが実情でございます。私どもも、年々その拡充を図っていきたいと思いますし、実際問題臨床研修の中身も質の高いものにするようにいろいろとお願いをしておるわけでございまして、その成り行きを少し見させていただきたい、こういうことを考えております。
#40
○木暮山人君 ひとつ、できればその問題につきましては一年から二年と、そしてまたもう少し高度なカリキュラムを組んでいただきたい、かように思う次第であります。また、一般歯科医養成研修が十分にその効果を発揮するためには、年前の大学でのカリキュラムの中に基本的なあるいは基礎的な臨床研修が組み込まれていて当然と思われますが、大学によっては全く組み込まれていないといっていいほど省略化されているところがあるように聞いております。卒業間際に入れ歯の歯を並べる実習があるようでは、国家試験に実習を加えると言われても仕方がないところであると思います。
 また、卒業直後における今の研修制度、これの受け入れ側の大学病院では各大学によって格差があることは指導員として大変やりにくいという声があります。こんなところをぜひ関連しまして調整なされていただきたいと思いますが、それについてはどんな御意見でございましょうか。
#41
○政府委員(寺松尚君) 歯科大学の在学六年間におきます臨床の実習と申しますか、そういうものでございますので、アンダーグラデュエートのことでございますから文部省の所管ではございますけれども、私ども、よりよき質の高い臨床の歯科医師をお願いしたいという立場でもございますから、やはりその臨床実習につきましては充実を図っていただくように、それが望ましいというふうに考えておるわけでございます。
#42
○木暮山人君 続きまして、高齢化社会を迎え、保健、医療、福祉のあり方については今後とも大いに議論されると思いますが、寝たきりで在宅療養を続けておられる方々、施設等で療養されておられる高齢者や身障者の方々へ口腔保健の重要性が問われてきております。療養の現場に出かけることもこの一般歯科医養成研修事業の目的にかなっていると思いますが、このことを含めまして単に病院内だけでの研修にとどめるべきではないと考えられますが、こんな点ではいかがな御見識をお持ちでございましょうか。
#43
○政府委員(寺松尚君) 今先生おっしゃっておりますのは、在宅しております患者さんたちに出かけていっていろいろと保健指導をするというようなことはいかが考えておるかということではないかと存じますが、私ども、これは医師にかかわらず、やはり在宅におります患者さんと申しますか在宅医療の推進ということは、私どものよりよき良質な医療を効率的に提供する一つのシステムというふうなことから考えましても望ましいことだと考えまして推進を図っておるわけでございまして、歯科医療の分野におきましてもあるいは歯科保健医療の分野におきましても同様であろうかと存じます。
 実は、これにつきましては今まで幾つかの試みをやっておりまして、在宅の心身障害者の方々あるいは老人の方々、そういうような方々にもモデル事業として今やっておるところでございます。今後もその辺のことにつきましては充実を図ってまいりたい、このように考えております。
#44
○木暮山人君 よろしくお願いします。
 老人保健福祉計画が推進されていると思いますが、各市町村はこれにどのように取り組んでいるか。また、口腔保健の果たすべき役割の認識が厚生省に不足していたのかどうかわかりませんが、地方自治体の歯科に対する対応はいまひとつ積極的ではありません。この計画の中に歯科の問題を残して出発すると、途中から参画することになるというといろんな問題が起こりかねないと思います。老人保健法に歯科検診がうたわれていないということだけでこの計画に口腔保健の問題を取り上げないのはいかがかと思いますが、いかがなものでしょうか。
 また、この計画の作成状況が取りまとめられた平成五年一月八日現在、九百七十七市町村で既に計画案が作成済みかあるいは計画案が作成中とあります。その中でどのぐらい歯科がかかわっているかお伺いしたいと思います。
 また、作成中のところ、これからのところに積極的に地元歯科医師会に参画するよう声をかけていただくことが大変重要なことでありますので、厚生省がこのような指導を積極的に進めていただくようひとつ要望いたしたいと思います。
#45
○政府委員(横尾和子君) 老人保健福祉計画における口腔衛生についての取り組みでございますが、現在作成中の自治体の計画の中での歯科保健についての取り組み状況については、またそれぞれの計画が私どもの手元まで届いていないものが多数ございますので、詳細については今のところ把握をしておりません。しかしながら、各自治体がこの計画を策定するに当たりましては、この歯科保健の問題についてもサービスの目標を定めて織り込むようにという指示をしているところでございますので、それぞれしかるべく取り組んでいるものと考えております。
 また、もう一つのお尋ねの、老人保健の中で口腔衛生の問題について取り組みが弱いんではないかというような御意見があったかと存じますが、私どもは、この問題は高齢者の健康の上からも大変重要な問題と考えておりますし、また同時に、齲蝕であれ歯周疾患であれ予防が可能な疾患であるという観点から、特に歯科の健康教育あるいは健康相談については、重点健康教育として取り上げております八項目、例えば肺がんや乳がんの予防健康教育でありますとか、糖尿病の予防教育、寝たきり予防等の、特に取り上げました八項目の中の一つとして力を入れて取り組んでいるところであります。
#46
○木暮山人君 ひとつよろしくお願いします。
 また、平成元年十二月から八〇二〇運動を厚生省を中心に推進しておられ、平成五年度には六千九百余万の予算が計上され、その成果が期待されるところであり、国民挙げて、八十歳で二十本の歯を残そうと、歯の健康状態の改善に努めているのが現状と思われます。
 そのためには、生涯を通じ一貫した歯科検診が行われることが必要かと思われます。妊産婦の教育に始まり、高齢者に至るまでの各年代別に歯の健康管理がどのような制度でなされているかお尋ねしたいと思います。現状をひとつ御答弁願います。
#47
○政府委員(寺松尚君) 八〇二〇運動の推進を図ることによりまして、生涯を通じました歯科保健対策の充実強化ということを行っておるわけでございますが、非常に大変重要な問題だと考えております。
 現在の具体的なお話をいたしますと、歯科保健サービスは、学校保健法あるいは労働安全衛生法、母子保健法あるいは老人保健法等の関連法令の規定に基づきまして、ライフサイクルの各段階のニーズに応じまして行われておると承知いたしておるわけであります。
 この本運動を円滑に推進するためには、もちろん関係省庁との一層の連携を図らなければならぬとこのように考えておりまして、本年度から私どもの歯科衛生課におきまして歯科保健医療調整官というものを配置いたしまして、関係省庁、各都道府県等との歯科保健に関します連絡調整あるいは連携を図っていきたい、このように考えております。
#48
○木暮山人君 次に、今御答弁ちょうだいいたしましたことを質問しようと思っておったのでありますが、要は妊産婦から就学時までは厚生省、修学時が文部省、就業時に労働省、高齢者が厚生省になると思います。このような健康管理に各省がそれぞれ主導権を分割していては、八〇二〇運動
実施に支障があると思われます。これら関係各省が連携を密にとり、一貫した施策をとるべきであり、人間の一部の臓器である歯の健康管理ならば当然厚生省が主管の任に当たってしかるべきかと思います。今御答弁の歯科衛生課が今から大活躍されることでございますから、これについての御答弁はちょうだいいただかなくても結構であります。どうもありがとうございました。
 次に、産業歯科医としての資格認定がございます。実際にはその活動範囲は広くないのが現状であります。その大きな理由は、企業が行う健康診査の中に歯科検診の位置づけがなされてないため、企業によっては歯科検診に消極的なところがあります。このようなことでは、八〇二〇運動の推進に大きな支障を来すことは必至であります。企業健診の勧告に労働省も理解を示さなければならないと思いますが、厚生省のお立場よりいかにすべきか、御意見等がございましたらお伺いしたいと思います。
#49
○政府委員(寺松尚君) 今先生おっしゃいますように、生涯を通じても一貫して行う必要がございますし、その横断面をいろいろ考えましても、関係各省庁それぞれ所管事項については責任を持つということはもちろんでございますけれども、やはりそれら全体を調整していかなければならない。特に産業衛生と申しますか職域の問題につきましても、その期間はかなり長いわけでございまして、やはりそこら辺も十分歯科の問題につきましては関心を持ちまた充実していただきたい、このように私ども考えております。
#50
○木暮山人君 加えまして老人保健法の中の歯の検診の位置づけがないために、さきの老人保健福祉計画に歯科の問題が乗りおくれる、また支払基金を通じて行われている特別保健福祉事業にも、大変有意義な事業であると思われますが、これにも各健康保険組合や共済組合等は歯科検診には消極的な姿しか示しておりません。単に老健法の中に位置づけがないからという、ただそれだけで次に重要な事業展開に支障を来しているので、老健法の見直しが行われる平成七年にはまだ間がありますが、この間このような問題解決に努力する姿勢があるかどうか、御意見等をお伺いしたいと思います。
#51
○政府委員(横尾和子君) 老健法に基づきます検診については、これまでも関係の審議会、研究会等におきまして、検診になじむかどうか、あるいはそのことが所期の目的を達成するのにふさわしい項目であるかということを一つ一つチェックしながら取り込んできた経過がございます。
 御指摘の歯科検診については、これまで幾つかの御議論がありましたが、即座に取り上げるというところまで議論が煮詰まっておりませんので、当面モデル事業を実施してそのあり方等を検討するというスタンスでおりまして、それのモデル事業を平成四年度から始めておりますので、その成果を見ながら必要な検討を加えていきたいと考えております。
#52
○木暮山人君 今、八〇二〇運動といういわゆる政策課題が大きくクローズアップされてきております。しかし、この八〇二〇運動とは、八十歳の時点において健康な歯牙を二十本残存させようとする目標値であり、まことに有意義なことで口腔衛生思想の啓発に対して絶大なる効果をもたらすことと考えられますが、この運動によって国民個々の口腔機能に対する認識が向上いたしてまいりますと、次に、せっかく虫歯にならない残存させる歯の全体の機能、口の中のかむという機能を有効に賦活する、そしてまた栄養摂取に大きくその効果を上げていかねばなりません。
 そこで、人生の後半期によりよくかめるための咬合運動を改善するための顎運動の正常化、簡単に申し上げるならば、使い古したかむ運動のオーバーホールとでも申しましょうか、新品に近い機能に回復をある時期にしていかなければ、せっかく虫歯にならない歯が八十歳に二十本ありましても、かむ機能が低下すれば何にもならないわけであります。そういう観点から、できましたら顎の全体の運動、これをいわゆる老年期に入るいつかの時点で正常な位置に回復させてあげるということが側面から非常に重要な問題になってくるのではないかと考えられます。こういう側面の問題を八〇二〇の将来のためにも基本的にひとつお考えになっておいでになるか、それとも単に八〇二〇運動が成功したら八〇三〇運動に移行するのか、そこら辺の御意見をお伺いしたいと思います。
#53
○政府委員(寺松尚君) 先生から八〇二〇運動につきまして、その意義と申しますか、それを高く評価していただいておりますことを大変私の方もうれしく思いますが、今この緒についたところでございまして、長期的なレンジで何とか八十歳で二十本の健全な歯を有するというようなことを一応の目標にいたしまして、これから歯科保健医療の全般にわたりまして努力をしていかなければならないと思います。その際には、歯科医師を初め、関係の職種の方々にも御協力いただかなければなりませんし、省庁としましても、先ほど申し上げましたように、いろいろな連携をやっていかなければならないと思います。
 それで、今先生の御指摘、非常に学識の高い御意見をいただいたわけでございますが、私ども、やはりこれからそういうふうな顎の機能と申しますか、その機能の温存というんでしょうか、そういうふうなことも含めまして、あるいは歯の残存も含めまして、いろいろとまた専門家の御意見等をも徴しましてよりよき歯科保健の水準の向上に努力をいたしたい、このように思います。
#54
○木暮山人君 よろしくひとつお願いします。
 今幼稚園において、学校保健法第十六条に基づき、歯科医を置くことが定められております。しかし、保育所においては、児童福祉施設最低基準第三十三条に、保育所には保母、嘱託医及び調理員を置かなければならないとされ、歯科医師は御多分に漏れず除外されている現状であります。歯科医師が配置されないため検診が受けられないのでは、幼稚園が認められているのに対し、機会均等の上から公平を欠くことではないかと考えられます。
 今まさに、教育を含め、子育てがいかにあるべきかが問われている現状であります。幼児の口腔保健の重要性について申し述べる必要はないと思いますが、嘱託歯科医を各保育所に設置し、入所児童に対する口腔保健の充実を図るべきと思いますが、御所見はいかがなものでございますか。
#55
○政府委員(清水康之君) 保育所におきます歯科保健につきましては、乳幼児の健やかな発育成長のために、いわゆる齲蝕の予防ということについて正しい知識を持ち、また指導を徹底していくということが大変重要だというふうに考えているわけでございます。
 御指摘のとおり、確かに児童福祉施設最低基準とか保育所保育指針というところの中には、歯科医師の設置といいますか、そういうことが出てこないわけでございますけれども、たしか昭和五十六年ごろだったと思いますが、大変関係者の方々の御要望が強かったために、それを受けまして、五十八年の四月から保育所における嘱託歯科医の設置についてという児童家庭局長通達を出しまして、そして単に通達を出すだけではなくて、予算面におきましても嘱託医手当というものを、従来は年十二回ということでございましたが、これを一回ふやしまして、嘱託歯科医師を置いた場合に対応できるような予算措置もしながら、私どもとしては嘱託歯科医の保育所における設置について指導をしているところでございます。
 先ほど来、八〇二〇運動のお話がございましたけれども、この八〇二〇運動の出発点というのは、確かに乳歯から最初の永久歯が六歳臼歯でございますか、そういうものが生える時期、その辺が出発点になろうかというふうに思っておりますので、幸い一部の自治体で、例えばヘルスパイオニアタウン事業といったようなものを活用しながら、パイロット的にいろいろこの六歳臼歯の問題に取り組むというふうな動きもございますので、私どももこれから保育所における歯科保健対策の充実強化ということについて全面的に努力していきたい、こう考えております。
#56
○木暮山人君 どうもありがとうございました。時間でございますから、これで終了いたします。
#57
○菅野壽君 私は、医療に対する基本的な考え方を大臣にまずお伺いしたいと思います。
 ここ数年来、医療関係の法律がたくさん出てまいりまして成立いたしました。医療法改正、救急救命士法、麻薬二法、それから看護婦等の人材確保法、それから健康保険法の改正等々でございます。これらの法律がたくさん出たということは、これから参ります二十一世紀に対して、いかに今後の医療を支えていくかということに対しての関心の高まりだと思っております。高齢化社会への対応を迫られている現在、ただこういうものだけではいけませんので、これから二十一世紀の医療に対する対応の仕方について、これだけでは十分でないと思いますが、今後どういうふうなお考えで処していかれるか。
 また、日本の人口構成は高齢化社会に向けて、諸外国では考えられないような速さで急増をしてまいっておるものでございます。若い者と比べまして病気を抱えている人々がお年寄りにはたくさんおりますし、また慢性化してまいります。こういう高齢化社会に対する医療はどうあるべきかということは、ある程度のことは私もわきまえておりますけれども、一口で言えば、慢性期の医療需要の急激な増加にどう対処すべきかということであると思います。
 いろんな方々や機関が二十一世紀に向けて報告書並びに雑誌等でいろんな考えを披瀝しておりますが、中医協でも論議がなされておると聞いておりますが、これまで各大臣にそれぞれお伺いしてまいりましたけれども、丹羽厚生大臣はどういうふうなお考えか、まず承りたいと思います。
#58
○国務大臣(丹羽雄哉君) 委員御指摘のように、三十年後には四人に一人がお年寄りという、私どもがこれまで経験したことのない大変な超高齢化社会を迎えるわけでございます。超高齢化社会におきましても、私どもは、すべての国民が良質な医療を安心して受けることができる体制というものを確保していかなければならない、まず基本的にそういうような認識に立つものでございます。
 現在の我が国の医療水準は、御案内のように国民皆保険制度の中で、いつでもどこでも保険証を持っていけば一割から三割の負担で医療サービスを受けることができる、また、七十歳以上のお年寄りは原則として一カ月何回かかっても千円で医療サービスを受けることができる、そういう意味におきまして、大変世界に冠たる医療保険サービスを今私どもは享受しているのではないか、こう考えておるわけでございます。
 今後でございますけれども、先生が御指摘のように、いわゆる人口の高齢化や、これに伴います疾病構造の変化、いわゆる医療を取り巻く環境の変化に適切に、柔軟的に対応して、そして良質な医療を安定的に提供できる体制を将来にわたって確保するために、関係者の皆さん方の御意見を十分にお聞きしながら、医療機能施設の体系化、さらに給付の範囲の見直し、公的保険制度のあり方、こういったような抜本的な制度の見直しというものを順次行っていって、私が先ほど申し上げましたように、我が国の医療制度というのは極めて今順調にうまくいっておるわけでございますので、ひとつ急激な変革ではなくて、緩やかな変革というものを目指していく考え方に立つものでございます。
#59
○菅野壽君 大臣の御所見を賜りましたが、今後、これからの医療における民間病院、そしてまた開業医の先生方がどのように対処していったらよいのかでございますが、急激に増加する慢性期の医療需要にどういうふうに対処するかということであります。これについて厚生省は、その施策の一つとして在宅医療を重要視しているように思われます。この点を確認したいと思います。
 もう一つ、医療機関、病院については、機能分化を図り、急性期と慢性期の医療需要に対処していこうとしておられるようでございますが、この中で開業医、そして民間病院をどのように位置づけていかれるのかを確認しておきたいと思います。
#60
○政府委員(寺松尚君) 私ども考えておりますことをちょっとお話ししてみたいと思いますが、我が国の医療供給体制は、先ほど大臣のお話がございましたけれども、自由開業医制を基本といたしまして発展してまいりました。そのような経緯から考えまして、また今開業医の先生方はもちろんでございますけれども、民間病院が日本の医療の中で病院の中でも八割以上を占めておるというようなこと、それなりの大きな役割を果たされておるということを認識いたしておるわけでございまして、日本の医療は民間に依存しつつ成長したものだ、発展したものだと考えております。
 そこで、今おっしゃいましたように、これから本格的な高齢化社会を迎えるわけでございますが、国民に良質な医療を適切に、効率的に提供するという体制を確保していくことが必要であると思います。そのために、医療施設の機能の体系化を図っていく必要があるのではないか。開業医の先生方におきましては、いわゆるかかりつけ医というふうな形で役割を果たしていただくべきではないか。国民の間で、医療に対します知識は非常に豊富になっておるわけでございます。情報も豊富ではございますけれども、かえって混乱しておる場合もございますし、その辺をかかりつけ医の先生方によりまして、自分が診てやるのが適当か、あるいはこれは高度な専門医療機関に回す方が大事かというような振り分け等もぜひお願いしたいなというふうに考えております。
 また、民間病院におきましては、それぞれの民間病院が発展してきました経緯もございます。特に、院長先生の個性等あるいは持っていらっしゃる学識と申しますか、専門性と申しますか、そういうふうなものにも非常に大きく依存するわけでございますが、そういう専門性等も十分発揮していただくようにお願いをしたいわけでありますし、その辺を民間病院自身、個々の診療機能、そういうものの特質というものを最大限生かしながら、入院機能を持ちます身近な医療機関として役割を果たしていただきたい、このような認識を持っております。
#61
○菅野壽君 国民医療費と国民所得の関係についてちょっとお伺いしたいと思いますが、厚生省では国民医療費の伸びは国民所得の伸びの範囲内にとどめておきたいというふうに私は理解しておりますけれども、それはいかなる理由によるものか、何の条件、そしてまた前提もなくしてそういうことを考えておられるのか。今後は大変な医療費の伸びが来ると思いますけれども、国民所得の伸びの範囲内におさめておかなければならないという理由を詳しく教えていただきたいと思います。
 高齢化社会を考えますと、国民医療費は今後ともかなり増加していくことは明らかだと思います。それにもかかわらず医療費を抑制するということは、医療提供の質を落とすということでもございます。それとも、公的医療保険の質を落として、足りない部分は、アメニティーと称して自己負担を拡大して補っていくということでございましょうか、私的保険を導入するということでございましょうか。日本の保険のあり方は世界に誇るものでございます。その体系を崩していくのか、そういう点をひとつお伺いしたいと思います。
#62
○政府委員(古川貞二郎君) 御案内のように、この医療費の問題といいますのは、アメリカを初めとして先進国の共通の課題となっているわけでございまして、我が国の国民医療費は毎年一兆円前後増加をし続けている、こういう状況にあるわけでございます。平成五年度には二十四兆三千億というふうに見込まれまして、対前年度伸び率は四・五%、同時期の国民所得の伸び率の見通しが四・一%、こうなっておりますので、これを上回る、こういうふうな推定をしているわけでございます。
 そこで、今後の本格的な高齢化社会におきましても、すべての国民が良質な医療を安心して受けることができるようにするということは私は大変重要である。そのために必要な医療はぜひとも確保していく、これが極めて重要な課題である、使命である、こういうふうに考えておりまして、私
どもの、今日本が享受しておりますこの医療保険制度というものは、大変国民の安心の源として大きな役割を果たしている、これは基本的に堅持していかなければいかぬ、かように考えておるわけで、この体系を崩すというようなことは全く考えていないわけでございます。
 そこで、医療費でございますけれども、先生も御指摘のように、人口の高齢化とか医療技術の高度化等に伴いまして医療費の増加というものは避けられないと考えておるわけでございますが、一方、国民の負担、この医療費は公費あるいは保険料あるいは患者さんの負担、こういったものから成っているわけでございますけれども、国民の負担というものをも考えていかなければならぬ。これが余りにも過大なものとなるということは、社会の活力をも失うというようなこと等の指摘もございますが、そういった国民の負担というものにも配慮していく必要がある。こういったことで、医療費の伸びを国民所得の伸びの範囲内にとどめるということを政策目標としてきたところでございます。
 今後とも、私どもは、この医療を社会経済の実勢に見合ったものとしつつ、国民のニーズにふさわしい、良質な医療を安定的にかつ効率的に提供していく、これはぜひとも確保していかなければいかぬ、かような考えを持っているわけでございまして、そういう方向で努力をしてまいりたい、かように考えている次第でございます。
#63
○菅野壽君 ところで、医業経営がかなり悪化しているということは御承知おきのとおりと思いますが、悪化の状況をまず病院倒産で示していただきたいと思います。過去五年間の民間病院の倒産実績をちょっとお示し願いたいと思います。
#64
○政府委員(寺松尚君) 今ちょっと手元に五年間が載っていないわけでございますけれども、しかもその数字は私ども直接調査したわけではございませんで、民間の調査機関の数字によるわけでございます。――今、五年間の数字はございますので申し上げたいと思いますが、先ほどもお断りしましたように、民間調査機関の数字でございます。
 病院と診療所を合わせまして、昭和六十三年から平成四年までの数字でございますけれども、六十二年が三十件、平成元年が二十五件、平成二年が二十二件、平成三年が二十六件、平成四年が四十件、こういうことでございまして、徐々に増加しているかなどいう感じはいたしますが、少し波がございます。負債額の方は、非常に年によりまして違いまして、一番大きいのが平成四年でございまして、三百七十七億ほどでございます。一番少ない年がこの五年間の中では平成元年で、百二十八億程度でございます。
 あと、その中身でございますけれども、病院と診療所とを分けて見ますと、病院の方も波がございます。平成四年の例で申し上げますと、四十件のうちで病院が十六件、三百三億ほどの負債額でございます。それから診療所等、これは一般診療所と歯科診療所がございますが、二十四件、一般診療所が五件、歯科診療所が十九件という数字でございます。これはいずれも平成四年の数字を申し上げました。これは民間の調査機関でございます。
 私ども、医療法によります病院の廃止、ちょっと診療所の件は把握しておりませんのですが、病院の廃止等の様子を平成四年で見てみますと、平成四年で全部で百三十七件ばかりの廃止の届け出がございました。それの中を見てみますと、六六%はダウンサイジングでございまして、病院から有床診療所あるいは無床診療所へ移ったというのがほとんどでございます。倒産というよりも純然たる廃止というものは、この民間の調査機関の数字とほぼ同様な数字であったと記憶いたしております。
#65
○菅野壽君 医業経営の実態でございますが、厚生省が予算委員会に提出した資料によりますと、倒産の実態は、昭和六十三年八件、平成元年八件、二年十一件、三年五件であるのに対し、平成四年は十六件と急増しております。これを見ても、医業経営は平成四年になって急激に悪化しているように見られます。
 ところで、帝国データバンクの調査では、昨年の医療機関の倒産は実に四十五件、負債額は四百四十四億三千万円、最近五年間で最高額ということであります。もう一つの調査機関、東京商工リサーチでも、平成四年には四十件、負債額で三百七十七億四千二百万円と言われております。
 予算委員会提出資料の出所は「東京商工リサーチ調」となっておりますが、調査の数字がかなり異なっているように思われます。私が今紹介した数字は病医院の倒産件数であります。厚生省の予算委員会提出資料では「医療機関」となっていますから対象が異なるかとも思われますが、これでも開きが大き過ぎます。また、帝国データバンクの数字では、東京商工リサーチの数字よりも大きくて四十五件と言われております。
 このことから見ましても、厚生省では民間病院の倒産をどうも過小評価しているんじゃないかというふうに思われますが、この点についていかがでしょうか。御説明願いたいと思います。
#66
○政府委員(寺松尚君) 今私が申し上げましたように、民間の各調査機関、先生が今お話をなさいました調査機関についてもデータを持っておりますけれども、詳細な中身を私どもお話ししていただくわけにいかないので、その倒産の中身はよくわかりません。
 数はほぼ同じでございますが、先ほどの私どもの医療法におきます病院の廃止の届け出というものを見ましても、大体数がそんなに大きく離れているわけではございません。それぞれ病院からほかのものへは移っておるというようなことで、倒産というケースではないものがほとんどでございます。それぞれ医療機関の経営の問題もございましょうが、内部の診療機能等を初めとします病院としての機能とそれからその周辺の患者等の需要の状況、そういうふうな需給の関係もいろいろと理由になるかと思いますので、おっしゃるとおり確かに数字が若干違いますけれども、いたし方ないのではないかと思っておるわけでございます。
#67
○菅野壽君 私は、時間があと七分ぐらいしかございませんので、少し速くしゃべります。
 医業経営の実態でございますが、医業経営が苦しいというデータは今局長さんからもお話があったとおりでございます。平成四年六月の病院経営実態分析調査の概要を入手しておりますので、恐らく厚生大臣もごらんいただいていると思いますが、公私病院連盟が、また社団法人の日本病院会の協力を得て毎年六月に実施している調査であります。
 これによりますと、省略しますが、赤字の病院の割合は七三%。公的病院以上に、経営努力を行っても赤字が少しも少なくならずに困っておる私的病院は五五%、すなわち過半数が赤字という結果が出ております。この報告では、調査時点ではベースアップ未実施病院が七七・三%もあるということに留意する必要があると思います。赤字病院の割合はさらにふえ続けていくと思いますが、このような赤字経営が過半数を占めるという実態をどういうふうに御認識なさっているか、お伺いしたいと思います。
#68
○国務大臣(丹羽雄哉君) 民間の医療機関の経営が大変に厳しくなってきておるということは、私どももいろいろな機会に医療の関係者の皆さん方からお聞きをいたしておるわけでございます。
 その原因でございますけれども、いわゆる最近の薬価の流通改善に伴います薬価差益の縮小にあるのか、あるいは看護婦さんなどの人件費の高騰にあるのか、あるいは最近各民間の医療機関が高額の医療機械を導入する傾向にあるわけでございますので、こういったような無理がたたっているのか。いずれにいたしましても、病院の経営のあり方そのものに問題がないか、こういったことを含めましてひとつ病院経営の実態を把握して、ことしの夏ごろまでには経営健全化の方策を打ち出していきたい、このように考えておるわけでございます。
 診療報酬でございますけれども、現在、医療経
済実態調査を実施中でございまして、来年の四月には医療機関の経営実態を踏まえた改正を行う予定にいたしておるような次第でございます。
#69
○菅野壽君 収入の増加はございましても支出の増加に追いつかないということでございますし、支出の増加の原因は、看護婦さんを確保するための人件費の増大、医療廃棄物の処理に対する費用の増加、MRSA対策費用の増加、そしてまた週休二日制の導入という人件費の増加が挙げられておると思います。また、医薬品の流通近代化実施に伴う薬価差益の減少、先ほども申しました週休二日制の導入に伴う収入減等があったならば、ますます医業経営が苦しくなっていくということは火を見るよりも明らかでございまして、これをどういうふうにまた分析しておられるのか、厚生省の所見を承りたいと思います。
#70
○政府委員(寺松尚君) 今先生の御質問、民間病院等の経営悪化の状況の原因は何かと。今ちょっと大臣からもお話がございました。私どもも、民間病院の実態を早く緊急に把握しまして、それに対しましていかなる手が打てるのかというようなことの検討、あるいは医療法人自身のあり方の検討というようなことで近く検討会をつくる予定でもございますし、大臣からもお話がありました調査を緊急に行いましてということで準備を進めております。ようやく医療の関係団体の御了解もいただきましたので、近く調査票を各関係の医療機関にお送りしてその実態を把握したいと思っております。
 原因等につきましては、大臣からもお話がありましたようなこと、特に人的な問題というのが、私どもの今承知しております病院の廃止なんかの理由の中にも、あるいは民間医療機関の倒産の理由、原因というようなところにも人的問題というんでしょうか、そういうようなことで看護婦さんの確保が難しいとかあるいは看護婦さんの人件費が非常にかかったとかというような、その辺の看護婦さん等の人件費のアップということもあるのかもしれません。
 いずれにしましても、私どもが把握いたしておりますのは、看護婦さんの確保ができないために病院を閉じなければならぬというようなお話も非常に多いように聞いております。したがいまして、私どもは、看護婦等の職員の把握のために、養成力の強化はもちろんでございますけれども、その他離職防止、あるいは再就職の促進というようなことにこれからも一段と力を入れてまいりたい、このように思っております。
#71
○菅野壽君 ただいまも局長から承りました、また先ほど大臣から賜りましたけれども、どうかひとつよろしくお願いする次第であります。この前のアップも実質的には二・五%ではないかというふうに言われております。支出増に見合った診療報酬の改正が行われるように、今後ひとつ格段の御努力をお願いしたいと思います。
 今までも物価の上昇に追いつかない、賃金、人件費の上昇を後追いしている診療報酬でございます。この矛盾を大臣はどういうふうにお考えになっておられるのか。民間病院が赤字できゅうきゅうとしているという事実、しかしNHKのスペシャル番組では、普通の我々病院、医者では考えられないようなことも放映されておったり、取り巻く事情はまことに厳しいものではございます。
 また、本年も、きょうは六月三日でございますが、六月になりますと来年度の概算要求の作成の時期に入ると思います。今までの例では来年の四月には再び医療費が改正されると思いますが、大蔵省は国民医療費を国民所得の伸びの範囲内に抑えるんだということでございますが、社会情勢の変化を全くこれは無視していると言わざるを得ません。先日の全日本病院協会での演説で、大臣は、地域でまじめに医療を行っている医師が路頭に迷うようなことはさせないと力説されておられます。このお考えは今も変わらず今後とも我々開業医、そして医療に携わる者に対して力強い言葉と承っておりますが、最後に大臣の御所見を承って、私の質問を終わります。
#72
○国務大臣(丹羽雄哉君) 国民医療費は、先ほど来お話が出ておりますように年々増加いたしておりまして、ついに二十四兆円を超えるに至っておるわけでございます。そういう中で、平成五年度の予算では医療関係予算ということで五兆円ほどいわゆる補助を計上いたしておりますけれども、率直に申し上げて、診療報酬の引き上げたけで今大変厳しくなってきておるような民間の医療危機の抜本的な解決策になり得るかどうか、こういう点も含めて私どもは真摯に今度の問題を受けとめていかなければならないと思っております。
 いずれにいたしましても、この夏ごろまでにいわゆるどこに原因があるのか、先ほど先生からもさまざまな御指摘があったわけでございますけれども、そういうものを踏まえまして、多角的な角度から今後の医療経営の健全化というものを進めていかなければならない、このように考えておるわけでございます。
 私が全日病において講演をしましたときに申し上げましたことは、やはり民間の医療機関というのが地域において多大なる御貢献を賜っておるわけでございまして、こういった方々が、まじめに一生懸命汗を流して地域医療のために御貢献を賜っているというような方々が路頭に迷うようなことがあっては、我が国の医療機関の根幹が崩れることにもなりかねない。こういうような一つの考え方に立って、いずれにいたしましても、ひとつ関係者の皆様方のいろいろな面での御協力も賜りながら、先ほど冒頭私が申し上げましたように、緩やかな変革を目指して、二十一世紀においても十分に耐え得るような長期的安定的な医療体制の確立というものを図っていく決意でございます。
#73
○栗原君子君 私は、厚生大臣並びに関係者の方にハンセン病の問題、とりわけらい予防法の問題、そういったことについて質問をさせていただきたいと存じます。
 去る五月二十七日の日でございましたけれども、東京都の東村山市にあります国立の療養所、多磨全生園を訪ねてまいりました。村上園長先生の御案内をいただきまして、十一万坪の緑に包まれた広い園内の病棟や施設を見せていただきました。また、園内で生活されていらっしゃいます患者さんたちとも親しく懇談の機会を持つことができました。私は、終生強制隔離され、ふるさとの人々からも見捨てられ、病苦を背負って生きておられる患者さんの言葉の一つ一つに胸が痛くなりました。さらに、ハンセン病患者とともに生きてこられました医師や看護婦、職員の人たちの献身的な努力に対しても頭の下がる思いでございました。
 そこで、まず最初に、ハンセン病の現状と国立療養所における医療、福祉などの現状についてお伺いをいたしたいと存します。
 そしてもう一つ、療養所の入所患者の平均年齢が昨年十月で既に六十八・二歳と聞いております。高齢化が進み、がん、成人病などの合併症や、特にハンセン病の場合は視覚障害などが多くなっていると聞いています。これからは一層の介護中心のサービスが心要となってくると思いますけれども、介護要員の確保はどのようになっておりますでしょうか。そして、患者の皆さんは、不自由者棟の介護については三交代制による手厚い看護を望んでいらっしゃるわけでございます。療養所の医師、看護婦の配置基準についてもどのようになっているのか、あわせてお伺いをいたします。
#74
○政府委員(谷修一君) まず、ハンセン病の現在の状況でございますが、平成四年末の患者さんの総数は六千九百四十六人でございます。御案内のように、かつては一万人を超える患者さんがおられたわけでございますが、昨年末の数としては六千九百四十六人ということでございます。このうち、施設に入所されている患者さんが六千二百四十九人、在宅の方が六百九十七人ということになっております。なお、平成四年の新しく発見された患者さんは十五人というふうに承知をしております。
 国立らい療養所の入所者につきましては、お話のございましたような高齢化に伴う合併症がふえ
てきているということに対応するための医療の充実なり、あるいは看護婦、介護員を中心とした職員の増員、それから視覚障害ですとか先ほど申しました高齢化の問題、それから身体障害、そういうものに対応した患者の処遇の改善あるいは福祉の向上、患者さんの居住者棟などの施設の整備などを大きな柱としてハンセン病対策について努めているところでございます。
 なお、国立らい療養所におきます介護員の確保あるいは三交代制の問題につきましては、国立病院部長の方から引き続き答弁をお願いしたいと思います。
#75
○政府委員(田中健次君) それでは、お尋ねの後段の問題についてお答えを申し上げます。
 まず、国立らい療養所におきます介護についてでございますが、全国に十三のらいの療養所がございまして、多くの介護員によりまして日常生活のお世話を申し上げておるわけでございますけれども、先生ただいまお話しございましたように患者さんが高齢化をいたしまして、それに伴いまして体の不自由度が相当進行してきております。それから、合併症も併発をしてきておりまして、日常生活などの介護を充実あるいは強化していく必要があると考えておりまして、私どもといたしましては患者さんの不自由度の実態を勘案いたしまして、介護員の増員につきましては毎年重点項目といたしまして努力をいたしておるところでございます。今後とも引き続きまして増員に努めてまいりたいと考えております。
 それから、不自由者棟におきます介護員の問題、特に三交代制のお話がございましたけれども、不自由者棟の介護員につきましては、そこにおきます患者さんの生活実態も配慮をいたしまして配置をしているところでございまして、夜間につきましては個別の施設におきまして夜間の介護の確保のために相応の体制を組んだりしております。それからまた、早出あるいは遅出勤務を行うなど患者さんの状況に応じて介護に努めておるところでございます。
 それから、らい療養所におきます医師、看護婦の配置の基準のお尋ねがございましたけれども、これにつきましては、先生も先般多磨全生園を御視察いただきまして、ハンセン病の療養所がほかの病院やあるいは療養所と異なりまして医療と福祉の両方の面を持った特殊な療養所であるということを御視察賜ったわけでございますが、そういう点から見まして看護婦あるいは医師の配置基準を設けることは非常に難しい実態にあるという点を御理解賜りたいと思います。いずれにいたしましても、患者さんの高齢化の度合いあるいは不自由度等の実態に即しまして、医師、看護婦についても必要な増員について努力をしてまいりたい、こういうふうに考えております。
#76
○栗原君子君 今日では特効薬のプロミンが開発をされまして、その化学的療法によってハンセン病というのはこれは完全に治る病気となりました。そして療養所から社会復帰をする人も多くなってきております。
 多磨全生園でも、今まで七百六十九名の人たちが社会復帰をされていらっしゃるわけでございますが、この人たちの生活援助とそれから老後の保障というのはどのようになっておりますでしょうか。このらい予防法によりますと、これが施設中心の法律でございますので、在宅の場合になりますと少し抜けてくるんではなかろうかと思いますけれども、いかがでございましょうか。
#77
○政府委員(谷修一君) ハンセン病のいわゆるらい療養所を退所された方々の生活援護につきましては、現在、財団法人の藤楓協会に委託をいたしまして、退所された方のあるいはされる方の生活訓練指導や職業指導といったような更生相談事業、それから就労助成金の支給、それから相談事業などを実施いたしているわけでございますが、そういう方たちの老後の問題ということにつきましては、福祉など一般の社会保障制度の中で対応しているということでございます。
#78
○栗原君子君 それではもう一つは、日本では大変少なくなってまいりましたけれども、世界では熱帯の開発途上国を中心にいたしましてまだ千二百万人のハンセン病の患者がいると聞いております。
 最近、国際化とあわせまして南アジアとかあるいはブラジルなどの流行の地域から来日する外国人の発病者も多くなっていると聞いているわけでございます。その中で特に外国人の発病者についてはどのようになっているのか、お伺いをいたします。聞くところによりますと、半数は外国人の発病者と聞いておりますけれども、いかがでしょうか。
#79
○政府委員(谷修一君) 昨年、先ほど申しました平成四年におきまして、新規の発見患者として報告されておりますのは十五名でございますが、そのうち外国人の方が何人かということは実はちょっと把握をしておりません。
 ただ、今お話がございましたように、らいにつきましては、プロミンという薬が開発されたことによりまして、新しい患者さんの大半は従来のようならい療養所に入所するというよりは、むしろ通院あるいは入所しても短期の入所によって治療を受けることによって対応できるというような状況になったわけでございます。また、これについては、医療費についてももちろん公費で負担をするということをやっているわけでございますが、これらの措置につきましては国籍を問わずすべてのハンセン病患者に適用されるということでございます。
#80
○栗原君子君 そこで、私は日本としてもさまざま果たす役割があるように思うわけでございますが、このハンセン病の専門研究機関であります国立多摩研究所というのがありまして、この間そちらへもお伺いをいたしましたけれども、この国際研究事業をやっていらっしゃるわけでございます。そのハンセン病の研究コースを特設して中国とかタイとかインド、フィリピンからも研究生を受け入れていらっしゃるわけでございます。
 この国際共同事業として日米の医学協力計画に基づくアメリカとの共同研究や、WHOによりますらい根絶計画への協力など、ハンセン病への研究というのが大変私はこれが国際貢献に大きくつながってくるように思うわけでございます。厚生省のこの直轄の研究機関での研究活動がなされているわけでございますが、これら国際共同研究事業をどのように評価をしてこの間いらっしゃいましたんでしょうか、お伺いいたします。
#81
○政府委員(田中健次君) 国立多摩研究所でございますけれども、この研究所はハンセン病の予防、それから治療に関します調査研究を目的に設立をされました我が国唯一の研究機関でございまして、国内のハンセン病患者の減少に大きな貢献をしてきたというふうに評価をいたしております。
 お話にございましたハンセン病の国際研究協力の推進事業についてでございますけれども、研究研修生の受け入れ事業といたしまして、これまで十五名の発展途上国からの研修生の受け入れを行ったり、研究者受け入れ事業といたしまして東南アジアからの研究者の受け入れを行っております。それからまた、国際共同研究事業といたしまして、東南アジア等の国々と共同研究を実施いたしております。これらの事業につきましては、世界のハンセン病対策の促進とハンセン病医学の国際交流の推進に寄与していると私どもは認識をいたしております。厚生省といたしましても、今後ともこれらの事業の推進を図ってまいりたい、こういうふうに考えております。
#82
○栗原君子君 先般、私は患者さんの自治会の方との交流会を持っていただきましてお伺いいたしましたけれども、その中で多磨全生園には二百五十種類三万本というたくさんの樹木が古い大きなものがあります。そして、六十種類という野鳥が生息しているわけでございますが、このことをすごく患者さんたちが大切にしていらっしゃる姿をお見受けいたしました。患者の皆さんは、この緑化作業に励み、そしてまたこのことは地域への私たちのお礼として感謝の気持ちのあかしとして森を残そうと考えているんですよと、そういう言葉もおっしゃっておられたわけでございますが、ぜ
ひ私はこの十一万坪というあの広大な土地の、そしてたくさんの樹木、さらには鳥を守ることをお願いしたいと思うわけでございます。
 今月の二十五日に高松宮記念資料館がオープンをするようでございまして、大変立派なのができているのを目にすることができまして私も喜んでいるわけでございますが、この資料館やまた研究所、そしてまた私はこれらを市民の憩いの場所としても残していただきたい、このように思っております。東村山市にしても、それから東京都にしてもこの地域というのは大変重要視をしていらっしゃるようでございますが、ぜひ厚生省としてもこの残す運動にお手伝いをしていただきたいと思いますが、いかがでございましょうか。
#83
○政府委員(田中健次君) 多磨全生園の入所者とそれから患者自治会におきまして推進をされております緑化運動につきましては、地域の住民の方々に安らぎを与えておりまして、また全生園が開かれた場所であるという認識が広まることにつながりまして、私どもは大変結構なことと認識をいたしております。
 それで、これまでも全生園の緑を地域の住民の方に楽しんでもらうために、施設を地域に開放して中に自由に入ってきていただいて利用していただいておる、こういう状況でござます。今後とも、ただいま先生のお話もございましたように、患者さんの療養環境の改善という観点からもさらに先生がおっしゃったような点について取り組んでまいりたい、こういうふうに考えております。
#84
○栗原君子君 患者さんたちは、これは大蔵省が目をつけるんじゃなかろうかと大変心配をしていらっしゃいますので、ぜひ厚生省としてもこれを守ることに一緒に頑張っていただきたいということをおっしゃっておられました。
 それから、らいというのは保険の診療の対象になっていないわけでございまして、外来の通院中の人、または一般病院で診察をしてもらっておられる患者さんについてはどちらの制度からも見放されているのが現状と聞いておりますが、このような患者のケアにつきまして医療機関の善意に頼って進められていると聞くわけでございますけれども、これらの在宅の患者に対しては救済の措置というのがないように伺うんですが、どうなんでございましょうか、お伺いいたします。
#85
○政府委員(谷修一君) 在宅のハンセン病の患者さんで外来の治療を受ける方についてのお尋ねでございますが、ハンセン病については専門医が現実の問題としてはほとんどらい療養所におられるというようなことで、私どもが承知しております限りでは、ほとんどの方がらい療養所において医療を受けられているというふうに理解をしておりますが、この場合は、治療費については全額公費で負担をしているわけでございます。
 ただ一方、療養所以外の医療機関で治療を受けられておる方、数は非常に少ないと承知しておりますけれども、ただその方の場合どのような形で負担をしているかということが今御指摘ございました。こうした方々の負担を軽減するということについてどういう方法でやればいいのか、少し検討をさせていただきたいと思っております。
#86
○栗原君子君 先般伺いましたら、京都大学には百二十名のその外来の患者さんがおいでになっていらっしゃるということを聞くわけでございます。それで、全国にたくさんまだ患者さんがいらっしゃいまして、国立のこういった療養所で受ける場合にはすべて無料になるわけでございますが、外来で受ける場合にはその薬代というのがお金を払わなければいけないんだと。それで患者さんから取れない場合、お医者さんたちがポケットマネーで出しているケースもあるというように伺うわけなんですけれども、私は、ぜひこれら健康保険の適用ができないものかどうか、このことをお伺いさせていただきたいんです。
 それから、通院患者の場合、療養所にいらっしゃる方はよろしいわけでございますけれども、必ずしも認定をされた病院の近くに患者さんがいるとは限らないわけでございまして、遠くから通院をなさる場合も、その通院というのは何かすべて自分持ちになっているやに伺うわけでございますが、ここらあたりはいかがでございましょうか。
#87
○政府委員(谷修一君) 結局、プロミンという薬をどういう形で患者さんのところに使えるようにするかというようなお話になろうかと思いますが、具体的にどういう形ですれば、やり方があるか、今先生のお話しいただいたことも含めて検討いたしたいと思います。
#88
○栗原君子君 だから、そのプロミンを療養所だけでなくして一般の外来患者も受けられるように病院の方によこしてくれと、そういうことを先生方おっしゃっておられましたので、つけ加えておきます。
 さて、このらい予防法というのは昭和二十八年八月に成立をしておりまして、その当初から大変これは問題の多い法律であると言われているわけでございます。私もその当時の、二十八年八月の国会での参議院本会議の議事録を読んでみましたけれども、この中にやっぱり近い将来改正を期するということを決議としてしているわけでございます。こういった法律でございますが、あれから既にもう四十年の歳月が流れてきております。この法律は今日まで全く改正をされていないわけでございます。そして、いろんな識者の人たちもさまざまな論文を発表しておられますけれども、この法律というのは大変非科学的なそして非人道的な法律であるように私は思うんです。
 このらいということで強制的に隔離をすると、強制的に隔離をするような病気というのは大変恐ろしい伝染病であるという、そういう意識がまだまだ世間にあるように思うわけでございます。病院でもていよく断られたとか、あるいは大阪のある病院ではらいとわかって患者さんが病院を追い出されたとか、こんなことがあるわけでございますが、これらはやっぱり正しい認識を皆さんに持っていただきたい、治る病気なんだと。そして、菌というのは大変弱い菌であるから普通の人にはこういうものはうつらないんだと。そういう意識がもっともっと私は広まらないといけないと思うわけでございます。
 私は、このらい予防法そのものを、全く今まで成立してから手がけられていない中で今日を迎えているわけですが、この法律をいじるといいますか改正するようなこと、あるいはまたなくするようなことをお考えであるのかどうか、ちょっとここらをお伺いしたいと思います。
#89
○国務大臣(丹羽雄哉君) 私も、多摩全生園の方々に直接お会いをいたしまして、いろいろお話を聞かせていただきました。ハンセン病に対する差別と偏見が今なお国民の一部に残っておると、こういうことをお聞きいたしまして胸が詰まる思いがいたしたものでございます。
 予防法の改正の問題でございますが、昭和二十八年以来全く改正されておらない、こういうことでございますので、あるいは時代にそぐわない部分も出てきているかもしれません。
 いわゆる入所者が、先ほど先生がおっしゃいましたように、六十七歳とか六十八歳ということでございまして大変ふえてきております。また、国立療養所では、患者の医療、生活費を全額国庫負担をしており、結果的に入所を促す形になっておるわけでございますけれども、今申し上げましたように入所者の多くが大変高齢で、もし仮に療養所から退所しました後、身寄りのない方も少なくない、こういうことをお聞きいたしておりますし、また外出の問題でございますけれども、宿泊を伴わない外出は事実上自由だと、こういうことでございます。
 問題は、この法律を改正する場合には、いかにしていわゆる患者さん方のためになるか、そういうように内容を十分に検討していかなければならない、こういうことでございますし、なかなか難しい問題も含まれておるわけでございますけれども、いずれにいたしましても、関係者の方々の御意見を伺いつつ慎重に検討をしてまいりたい、こういう考え方に立つわけでございます。
#90
○栗原君子君 先ほど申しましたように、患者さんは本当に高齢化していらっしゃって、皆さん方
が御自分の老後のことを大変御心配でいらっしゃるわけでございます。これも年ごとに、今いらっしゃる患者さんたちも亡くなってこられまして、数は少なくなっておりまして、将来、私はこれは本当に少なくなってゼロになる日が来るんではなかろうかと、このように思っているわけでございます。
 そして、先般も伺いまして、患者さんのお一人お一人が、若いときに本当につらい思いをしていらっしゃって、世間から差別をされて、家族からも本当に縁を切って療養所に入っていらっしゃった。もう一人一人が涙の出るような物語が書けるような人生を送っていらっしゃったということを私もお聞きをいたしまして、本当に胸が熱くなったわけでございますが、ぜひこの問題をもっと世間の人たちにも十分に理解をしていただけますように、そして患者さんに対しては、また厚生省としても本当に手厚い介護、保護が、そしてさまざまな生活援助ができますようにお願いを申し上げまして、私の質問を終わります。
 ありがとうございました。
#91
○委員長(細谷昭雄君) 本調査に対する午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時四十分まで休憩いたします。
   午後零時二十四分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時四十一分開会
#92
○委員長(細谷昭雄君) ただいまから厚生委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、社会保障制度等に関する調査を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#93
○今井澄君 それでは、私は、病院の経営問題、そして来年の診療報酬改定等を中心として、できるならば先ほど午前中の質疑で大臣がおっしゃいました緩やかな変革というふうな内容の問題について及ぶように御質問をさせていただきたいと思います。
 まず最初に、去る三月二十二日の参議院予算委員会において、社会党の肥田美代子委員の質問の中で、国立病院における薬品費の未払いの問題が出ております。そのとき厚生大臣のお答えとして、三月一日現在百十二施設で十二月までの未納分の合計が百五億円ということがありまして、総理大臣もショックを受けたというふうな御発言があったと思いますが、この処理がどうなっているかお聞きをいたします。
#94
○政府委員(田中健次君) ただいま先生から御指摘のございました百五億円の未払い額についてでございますけれども、これにつきましては平成四年度の出納整理期間までに全部支払いを済ませたところでございます。
#95
○今井澄君 それでは、それについてはなぜこういう支払い遅延が起こったのか。あるいはこの中には十二月分の五十九億円というのがあるわけですが、十二月分についてだと三月一日現在では二カ月なわけですね。国立病院における薬品の支払いサイトは一体何カ月になっているのか。それから、年度末に支払われたのに関しては、補正予算を組むなりなんなりの財源手当てはどうされたのか、その三点についてお聞きをいたします。
#96
○政府委員(田中健次君) 国立病院・療養所で医薬品等の納入代金の未払い問題が生ずる背景といたしまして、一つは医療上の必要から通常の契約終了を待たないで、どうしてもある一部医薬品について納入をしていただかなければならないような場合もございます。また国立病院も事業体でございまして、事業体である以上は適正な購入努力は必要でございます。そういう適正な購入努力をする一方で、平成四年の四月には薬価基準の算定方式、それから流通方式の改正があったことから、その調整に例年以上の時間を要したわけでございます。さらに、納入に際しての手続あるいは予算の示達等で事務上の手続にも一定の時間を要する、こういうことが重なりましてこうした問題が生じたのではないかというふうに考えております。
 それから支払いサイトの問題でございますけれども、私どもは納入がございますとそれをよく検証をいたしまして、その後業界、業者の方から請求をいただきまして法令の範囲内で適正に処理をしておる、こういう状況でございます。
 それから財源の手当てはどうしたかということでございますけれども、予算の示達を四半期ごとにやっておりまして、そうしたことで第四・四半期の予算の示達をいたしまして補正を組まずに支払いを済ませておる、こういう状況でございます。
#97
○今井澄君 やはり新仕切り価制になって卸の方がお薬をまけないということで、国立病院も経営努力として大分なさったという苦労があらわれているというふうに私は受け取っておりますが、十二月分までは払えたとしても、その後一、二、三月の三カ月分、特に冬季はやはり入院患者さんもふえたり薬品もふえるわけですから、恐らく補正を組むことなしには本年度終わっていないんではないだろうかという気がいたしますが、それについては特別御質問はいたしません。
 私も公立病院におりました経験からいいますと、かなり予算主義で執行せざるを得ないので、患者さんがふえる、薬が余計必要になる、あるいは高いお薬が発売されてそれをどうしても使いたいということになると、予算オーバーして補正を組まざるを得なくなるということがあるわけです。なかなか補正ができないという場合にはどうなるかといいますと、例えばインターフェロンを使用する場合に、国立病院あるいは国立大学病院などでは予算上執行できないということから、近所の開業医さんにお願いをしてインターフェロンの注射だけをやってもらうという事例をこの間がない聞いております。そういう意味では、薬価の問題あるいはそういう薬品の支払いの問題についてやはりいろいろ問題があろうというふうに思っております。
 さて、五月二十日、日本医薬品卸業連合会が自民党の医薬品問題研究会、橋本龍太郎代議士が座長をなさっておられるわけですが、そこに流通改善推進上緊急な対応を要する課題ということで要望書を提出していることが報道されております。その中身はいろいろあるわけですが、特にそこには日赤、済生会病院、十二社ですか、そのリストが挙がっておりまして、例えば大阪赤十字病院は大阪合同薬品等十二社からの医薬品について債務残高合計二十八億九千二百万余りということでそれぞれ債務の滞留が八カ月とか十・一カ月とか、こういう一覧表が付されているわけです。
 この事実について、事実というのは二つあるわけですが、卸業界が自民党の医薬品問題研究会に要望書を出したという事実、そしてまたこの要望書の内容、こういう支払い遅延があるという事実を厚生省は御存じでしょうか。
#98
○政府委員(寺松尚君) 今先生の御指摘の件でございますが、日本医薬品卸業連合会が医薬品購入費の支払い遅延等につきまして改善方を求めて御指摘の要望書を出しておるということにつきましては聞いております。
 それからもう一つ御指摘になりましたのは、債権残高だとか債権の滞留のお話がございましたけれども、他の資料から一応今のような御指摘の金額あるいは債権の滞留月数というんでしょうか、そういうようなものは承知しております。
#99
○今井澄君 それはどういうルートでお調べになった、あるいはお知りになったんでしょうか。
#100
○政府委員(寺松尚君) 私が申し上げましたのはほかの資料でございます。私の方、別途健康政策局の方で日赤には直接内容につきまして聞いて資料をいただいておりますが、済生会についてはやっておりません。
#101
○今井澄君 自民党のその研究会あるいは座長である橋本代議士から厚生省にお話があったということはないんでしょうか。
#102
○政府委員(寺松尚君) 少なくとも私は聞いておりません。
#103
○今井澄君 それで、厚生省はこういう問題についてはどうするんでしょうか。指導をするんでしょうか、あるいはしたんでしょうか、この病院
あるいは日赤の本社、済生会の本部等について。
#104
○政府委員(寺松尚君) このことは、私どもの考えでは、卸売業者と病院の契約のあり方という問題で、当事者間におきます従来からの取引慣行や商習慣というふうなものではないかと思いますけれども、私ども、やはり実際こういうふうな債権滞留が行われていることは必ずしも望ましいことではないようにも思いますので、いろいろ実態を把握いたしまして必要に応じまして対応をしてまいりたい、このように考えております。しかし、先ほど申し上げましたように、やはりこれは当事者間の民事上の問題ではないか、契約の問題ではないかというふうに一義的には考えております。
#105
○今井澄君 私はこの問題について、ちょっと本質から外れますけれども、極端に言いますとプライバシーの侵害問題も絡んでいるんではないかと思うんですね。このような一覧表、大阪赤十字病院という名前が出て、しかも取引の卸の名前が十二社も出て、一々何億円が何カ月滞留しているということを一般の人の目に入るような形でやったこと、卸の業界がこういう行動を行ったというのは問題だろうと思うんです。
 私もちょっと日赤本社のヒアリングをしてみましたが、大阪赤十字病院は、支払いサイトは八カ月で従来何十年もやってきておる、何十年というかかなり長期にやってきているんですね。そうすると、その中で八カ月というちょうど支払いサイトの来ているのが幾つかありますが、六カ月というのまでリストに載っているわけですよ。こういうことというのは、これは何か私は卸業界の行動にちょっと異常さを感ずるんですけれども、厚生省はどうでしょうか。
#106
○政府委員(岡光序治君) 今、健康政策局長からもお話がありましたように個々の取引当事者間での流通問題でございますが、この医家向け医薬品の流通につきましては、ほかの消費財の流通とはやや様相を異にしておりまして、非常に古い体質が残っているという面があるんだろうと思っております。
 これに対しましては、従来から私ども内部に医薬品流通近代化協議会というふうなものを設けまして、これはもうお医者さん、卸、それから学者、いろいろな関係者に集まってもらっておるものでございますが、平成二年六月とかあるいは最近では平成四年二月とかいろいろ皆さんでお話し合いをいただいて、取引条件等について透明性をもっともっともたらすように、それからまた公平性も確保するようにというようなことでいろいろ指摘もいただいているわけでございます。業界に対しては、こういったいわば流通の透明性、公平性の確保ということで努力をしてくださいということで、業界にも、それから医療機関の団体にも御要請をしているところでございます。
 しかし、基本的にはこの医薬品の個々の取引については当事者間の問題でございますが、そういう意味で、従来から非常に支払いサイトが長いとかあるいは値引き要求が非常に強くてなかなか納入価格が決まらないとかこういうふうなケースもあるわけでございまして、そういうケースにつきましては当事者でずっと長くお話し合いがなされているわけでございます。そういうお話し合いがなされているいろ要請はされておるわけでございますが、購入サイドにおいてなかなか財政的な問題もあってうまくいかない、そんなことでかなりお互いで行ったり来たりという経過があるようでございまして、そういう経過を経たにもかかわらず依然としてどうもうまくいかない、こういうふうなケースをピックアップしてその要望書に添えてお話がなされたのではないのかというふうに私は受けとめております。
#107
○今井澄君 確かに、病院と卵との間の支払いサイトが長いというのはこれはほかの業界とはちょっと違う異常なことだったかもしれませんが、私も自分の経験では、累積赤字が多かったときには六カ月とかいう支払いサイトでしたがだんだんそれを短くしていったという、大体二カ月ちょっとぐらいになってきましたけれども、しかし、経営が苦しいところは支払いサイトを縮めるといっても一挙にはなかなかできないという実情があるわけですね。一挙に二カ月も三カ月も縮めるなんというのは非常に大変なことだろうというふうに思います。
 しかも今回は、後ほどもまた触れたいと思いますが、新仕切り価制を導入することによって平均五%薬の購入費が上がったということがあるわけですから、余裕のある病院ならともかく、経営の苦しい病院にとってはこれは死活問題だろうと思うわけで、これがこういう形で公表されたりされることが本当にいいのかどうか疑問を持つんです。特に、この日赤、済生会の場合に、このような多額の支払い遅延あるいは旧来からの慣行に基づく長期の支払いサイトでの債権がたまるということがあった背景として、日赤、済生会の経営状況については厚生省はどういうふうに把握しておられますか。
#108
○政府委員(寺松尚君) 日赤と済生会についての病院の経営状況についての御質問でございますが、平成三年度におきます、百床当たりにいたしておりますけれども、医業損失というものは、日赤におきましては約二千三百万円、済生会におきましては約八百万円というふうになっております。
 それで、御指摘の要望書におきまして取り上げられております日赤とか済生会の病院の、計十病院たしかあるようでございますが、そのうち平成四年度上半期に医業損失を計上した病院は一病院となっておりまして、平成三年度上半期と比較しまして八病院において医業利益が減少しておるというふうに私ども聞いております。
#109
○今井澄君 私が聞いたところでも日赤、済生会は大変厳しいと。しかもこれは公的病院ではあっても独立採算ということを旨としていて、私もかつて近くに諏訪赤十字病院があったわけですが、大変に厳しい、病院の建てかえなどはとてもできないというふうな状況だったわけです。特に、日赤などは九十二病院のうち赤字病院が大病院ふえて五十八病院になっているということがありますし、大体この大阪赤十字病院などは毎年ここのところ一億七千三百万、二億六千二百万、そして平成四年度は三億六千万ぐらいの赤字が見込まれる。
 こういう状況の中で、こういう支払いの遅延と申しますか旧来の慣行に基づく債権の累積があったというふうなことだろうと思いますので、これは国立病院の場合も同情せざるを得ない面もあると私は思っているわけです。やはり非常に病院経営が厳しくなってくる中で、新しい流通制度が一挙に導入されたということにあると思うわけですが、厚生大臣、一言で結構なんですが、こういう事態が起こっていることについての御感想をお聞かせいただきたいと思うんです。
#110
○国務大臣(丹羽雄哉君) 先ほど来各局長から御答弁を申し上げておるわけでございますが、おのおのの病院独自の懸命な経営努力をなさっていると思いますが、その中において経営が大変厳しくなってきているんじゃないか、こういうことだと思っております。
 ただ、この問題は、先ほど健政局長からも御答弁がございましたように卸業者と病院の契約の問題でございますし、これまでの取引慣行や商慣習の問題もあると思われますが、社会的常識の範囲の中で行われているかどうかというものを私どもは調査をしなければならない、こう考えておるような次第であります。
#111
○今井澄君 そこで、卸業者の三月期決算についてお伺いしたいと思いますけれども、卸業者の経営状況は、この三月期決算は前の年に比べていいのか悪いのか、厚生省としてどういうふうに把握されているのか。あるいは、一部マスコミでこれ見たことあるんですけれども、病院が支払ってくれないから倒産しそうだというふうなことがあったんですが、一体倒産した卸があるのかないのか、こういうことについてお尋ねをいたします。
#112
○政府委員(岡光序治君) 三月期決算の状況でございますが、一部の大手医薬品卸業者の決算が公表されておりますので、全体というわけではござ
いませんが、公表されておる決算状況から見ますと、売上高及び利益高ともに前年に比較しまして伸びております。伸びの原因といたしましては、医薬品メーカーの新製品及び主力製品の売り上げ増大ということがあったということと、ことしの冬のインフルエンザの流行がかなり医薬品需要を高めたということ、それから業務の合理化、効率化に伴う経費節減というふうなことで伸びているんではないかというふうに見ております。
 それからもう一点、病院の支払い遅延が原因となって倒産をした卸があるかどうかということでございますが、それによって倒産をしたという情報は私ども聞いておりません。ただし、医薬品卸業界の情勢といたしましては、中小卸が相当経営的には影響を受けておりまして、その結果、卸業界の合併、業務提携が進んでおります。つまり、卸屋さんの数が絶対的に減ってきております。そういうことで、経営環境はやはり厳しく、どうしても大手にシェアが相当集まっているんではないかというふうに見ております。
#113
○今井澄君 確かに御答弁のとおりだと思いますが、私は今挙げられた理由のほかに、新仕切り価制というもの、このことも大きく影響しているということをやっぱり言っていただかないとフェアではないと思っております。
 確かに、メバロチンとかインターフェロンのような大型商品、大型のものが売られたということも売上高の増加には結びついております。例えば売上高が、ススケンなどは前年比一二%伸びている、クラヤは九・八%伸びている。それに対して経常利益率が、何とススケンは去年に比べて四一・一%、クラヤの場合には五五・二%も伸びているんですね。大手の卸の経常利益の伸び率あるいは営業利益の伸び率あるいは当期利益の伸び率は、三〇%、四〇%というレベルなわけです。ですから、やっぱりここには、今の流通改善の激変というものが非常に大きな偏ったあらわれ方をしているということを私は指摘しておきたいと思います。
 そしてまた、今業務局長が言われましたように、中小というか零細の卸が非常に厳しくなって、業界再編が行われつつあるということも事実のようですし、この秋あたりにはかなり大幅なMアンドAが行われるんではないだろうかということですが、これはまた逆に言うと、日本の卸が多過ぎるということの一つの側面のあらわれでもあるというふうに思っております。
 引き続いて、製薬企業については経営状況はどうなのかということについてお尋ねしたいと思いますが、まあ世の中不況不況ということでみんな減収、減益の中で、医薬品産業についてはどうなのか、厚生省の把握しているところ、また見解をお伺いしたいと思います。
#114
○政府委員(岡光序治君) 東証上場の製薬企業二十九社の三月期の決算状況が公表されておりますので、それを見てまいりますと、非常に二極分化の傾向にあるんではないだろうかというふうに見ております。
 といいますのは、新薬開発なり海外展開等で業績が上がっている会社と、そういういい新薬が開発されていない会社と二極分化が始まっているという状況でございます。例えば売上高で申し上げますと、増加をしておりますのは二十四社、減しておりますのが五社とか、それから経常利益で見てみましても、増加をしているのが二十社、減が九社、当期利益では増しているのが十四社、減の会社が十五社というふうに、どうも新薬の開発がかなり大きくその業績に影響しているようだというふうに見ております。そんな状況でございます。
#115
○今井澄君 私は、今の分析というのはやっぱりちょっとおかしいんではないかと思いますね。というのは、先ほども申し上げましたように、全般的に日本経済が不況の中で製薬企業全体としてどうかという、そのことをまずとらえていただかなければいけないと思うんです。ミクロに見れば、それはその業界の中でいい会社もあれば悪い会社もあるというのは当たり前だろうというふうに思います。
 皆さんもう新聞で御存じのとおり、先月の二十一日ごろから新聞は大変にぎやかになりまして、もう軒並み三年連続の減収、減益だとかいうふうなことが出ているわけです。そういう中で、例えば経常利益率なんかについて見ますと、各社が、各産業が平均して減ってきている、三%を切って減ってきているのに対して、医薬品産業だけが相変わらず八%だとかそういうふうなことがあるわけですから、これは産業全体としてやっぱり医薬品産業がいいんだということが一つだと思いますね。
 それから、ミクロに見た場合も収益が、経常利益なんかが減っているのなんかを見ますと、必ずしもこれは医薬品の問題だけではない。むしろ、いろいろなその他の金融収支の関係とか、そういうことが影響しているというのは各社によってあるわけですね。ですから、確かにいい品、大型新薬を持っているところが伸びているのは事実ですけれども、しかし、全体として医薬品産業は全体の不況にもかかわらずいいというのが私の見解であります。細かいことを一々言っているとあれですけれども、例えば本当にお薬が伸びなかったのは逆に新仕切り価制が影響したツムラぐらいのものではないかと思います。
 やはり、そこのところが一番の問題だと思うわけですけれども、例えばその中でメディファクスなどは、大体薬品メーカー大手十社の決算が出たところで、どういう題で報道しているかというと、「流通改善で”一人笑い”を実証 製薬大手十社の営業利益は一七%の大幅増」、こういうふうなことをも言われているわけですね。もちろん新薬、あるいはインターフェロンとかメバロチンとかいうもう一千億を超える大型商品があるということも関係はしていますけれども、製薬企業全体として、しかも大手という力のあるところ、さっき卸も大手がよかったわけですが、結局こういうところに収益が集中してあらわれてきた。一七%もの営業利益の増加があったのは、まさに流通改善だと、流通改善で一人笑いだと、これが私は正しい見方ではないかというふうに思います。
 そういうふうなことで、世の中が変化をする、時代が変わるときにはいろいろな変化がつきものではあろうと思いますけれども、余りにも大きな変化である。一人笑いで製薬メーカーがもうかっている、あるいは卸も大手は大いにもうかっている、こういうふうになってきていると思いますけれども、このことについての厚生大臣の御感想、御見解を例えたらと思います。
#116
○国務大臣(丹羽雄哉君) 大変難しい御質問でございますけれども、基本的には、医薬産業というのは従来から比較的不況に強い。それは、御案内のように、国民皆保険のもとにおいて、いわゆる診療報酬上において適正な利潤というものが評価されておる、こういうことがまず第一ではないかと思っております。それから第二点といたしまして、やはり健康と命にかかわる問題でございますので、これは当然のことながら、やはり不況においても適正な診療を受ける。こういうようなことが相まちまして、いわゆる医薬品産業が不況の中において比較的堅調な伸びを示しておる。
 ただ、医療機関におきましては、先ほど来申し上げておりますように、人件費の高騰であるとか、医療機械であるとか、あるいは総合病院化、こういうようなものが進む中において、一部の病院において大変経営が厳しくなってきているんじゃないか、このように認識をいたしているような次第でございます。
#117
○今井澄君 そこで、これまでの経過の中では、確かに医薬品産業は不況に強いかもしれませんけれども、特にこの一年間の変化の中では新仕切り価制ということによって、もうメーカーの側が、あるいは実際に卸が前面に出るわけですが、お薬の値引きをしないという結果になったわけですが、そのことによって製薬産業が利益率が大変高くなっているということになってきているというふうに私は思うわけです。
 さて、日本での国民医療費とそれから医薬品費との関係なわけですけれども、日本の医療用医薬
品の売上高といいますか市場は約六兆円だというふうに言われていると思います。それに比べて、アメリカの医療用医薬品の市場規模、売上高は八兆円余りというふうに言われております。そうしますと、人口が日本とアメリカでは倍近く違うわけですね。そこで、医療用医薬品が売れているお金がたかだか三割がそこらしかアメリカの方が多くないということは、やっぱり日本はどうもお薬がたくさん売れている、あるいはそういうことにならざるを得ないと思うんです。ただ、これは問題が二つあると思うんですね。たくさん使われて売られているのか、あるいはお薬が高いのか、あるいは両方の要素が加味されているのか、そういうことだと思いますが、このことについては厚生省はどうお考えでしょうか。
#118
○政府委員(岡光序治君) まず、そもそも論としてよく指摘されておりますのは、医療費としてつかまえておる範囲が違うのではないだろうか。つまり、日本の場合ですと、医療保険が中心となりまして、国民医療費という公的な制度で支払っている医療費があるわけでございますが、それの中に占める医薬品の割合というのがベースになっているわけでございます。これと同じ比較を例えばアメリカとできるかということになりますと、どうも医療費の範囲が違うのと、それから御存じのように、アメリカでは公的な制度としては老人医療のメディケア、それから低所得者医療のメディケートというのがあります。そのほか、民間保険に入っている、かつ巷間言われておりますのは三千七百万人くらいの保険に全然加入していない人もいるということでございますし、一方では処方薬が給付対象に、何らかの保険で給付になっていない人たちが七千万人くらいいる、こういうふうな数字も示されておるわけでございまして、そういうことからいたしますとなかなか国際比較というのは難しいのではないだろうか、こういうふうに言われておることが一点でございます。
 それから、それにしても日本は医療費の中に占める医薬品の割合が高いんではないか、こういう御指摘がございますが、それに対しては私ども適正に薬を使うように、それから従来からも、言葉が余りよくないですがいわゆる薬づけ医療の実態になっているんではないかという批判がありますので、そういうことが起こらないようにいろいろと努力をしておるわけでございます。
#119
○今井澄君 確かに局長言われるように、これは国際比較というのはなかなか難しいと思いますが、一番確かなのは、医薬品の市場規模、売上高ですね、そこから医療以外の医薬品を引いていく形で類推するしかないだろうと思うんです。アメリカの場合には保険の関係がありますから、自分でお薬を、風邪薬でも何でも日本よりはドラッグヘ行って買ってくるというのが多いだろうと思いますが、そういうものを勘案しても、日本の医療用医薬品の六兆円に対しては一・五倍程度だということは、ほぼ数字としては出てくると思いますので、やっぱり日本はいずれにしても多い、金額にあらわれたものが多いということだと思います。
 確かに、今薬づけ医療の点について言えば、いわゆる介護力強化病院の制度ができてから、例えばこの有名な青梅慶友病院あたりでは役員費が半分に減ったというデータをつい最近も研究会で発表しておられますし、社会保障研究所の高木さんという方が札幌等の病院を調べた結果では、重症度によって違いますが、それでも平均すると三分の一ぐらいに減っているんじゃないかということがあると思いますので、やはりお薬の使い過ぎということもあると思います。しかし、一方でやっぱり日本の薬価が高いのではないかと。このことは前回も薬事法のときのことで御質問いたしまして、業務局長さんからだったと思いますが、たしか安い薬もあれば向こうの方が高い薬もあるんだということをいただきました。まあそれだけやっていると水かけ論なんですが、やっぱりこれは全体として高いということが一つ今の数字からも言えるんではないかというふうに思います。
 そこで、前回の薬事法のときに御質問して、私もちょっと細かい数字についてはっきり自信がなかったので、そのときは質問をさらに続けませんでしたが、調べてみますと、例えばメバロチンは一日量が二百五十円二十銭なわけですわ、非常に高いお薬です。安いお薬というと一日量が五円とか十円とか、普通のお薬が大体二けただと思います。やっぱり百円とか二百円、三百円というと、これは大変高い部類に属する医薬品になるわけですが、二百五十円二十銭。これは新薬としてどういうふうに計算したかというと、クエストランというコレステロールを下げるお薬、それの一日量をもとにして計算されたというんですが、しかし、厚生省からいただいたそういう新薬をどういうふうにして算定するかということで見ますと、やっぱりできるだけ似たお薬があるならばそのお薬をもとにしてやるということになるわけですね。このクエストランというのはイオン交換樹脂でありまして、メバロチンというのは代謝阻害剤である。ということになると、代謝阻害剤としてロレルコというコレステロールを下げるお薬が売られているんですが、これをもとにして計算する方が正しいだろう。そうすると、これは一日量八十二円ですから、それに画期性加算二〇%、その他を全部加えたとしても、私の計算によると百三円三十銭にしかならないんですね。それがなぜ二百五十円二十銭になったのか、このことについてお尋ねをします。
#120
○政府委員(古川貞二郎君) 御承知のように、現在の薬価算定方式については、類似薬効方式と、全く類似薬がない場合には原価方式、こういうことでございますが、お尋ねの件は、クエストランとそのほかの類似薬を加味しまして算定したということでございますが、いずれにいたしましても、私どもとしては類似薬効方式ということで適正な値段ということで配慮しているところでございます。
#121
○今井澄君 これはあと一言だけつけ加えておきたいと思いますが、薬価算定方式は、基本的には開発された新薬品に効能効果、薬理作用、構造式が類似している医薬品がある場合は一日用量による薬価比較でやるということですから、私は、この趣旨からいえばロレルコから計算して百三円三十銭ということの方が正しいだろうと思います。しかも、クエストランという薬は余り使われていないんですよ。そういうこともありまして、どうも厚生省の薬価のつけ方は私はやっぱりおかしいというふうに思っております。
 それから、薬価の見直しの方式なんですが、厚生省の薬価基準、これまで毎年あるいは二年に一遍切り下げてきましたが、それは売れている値段をもとにして、過去一年間、二年間幾らで売れたかということで、その基準でやっているわけです。前は九〇%バルクライン、昨年からは今度は加重平均プラス一五%とか、来年は。一二%、こういうことでやると思うんですが、こういうやり方でやりますと製薬メーカーから不満が出るわけです。お薬の値段は下がるだけで上がることがないと。もちろんごく特殊なものは上げる例があるようですけれども、あれは全く例外で、原則として薬は下がる一方で上がらないという、これは非常にやっぱり硬直した様式で、これはメーカーからも疑問がありますね。
 それから、もう一つ問題なのは、一たんメバロチンみたいに高い値段がつけられて、しかもお医者さんはコレステロールの薬を出すのが好きで患者さんももらうのが好きなような感じがありますから、用もないのにと言っては失礼ですが、私はちょっと使われ過ぎだと思いますが、一千億を超える売り上げになっているわけですね。幾ら開発にかかったかしれませんけれども、一千億はかかっていないわけです。はっきり言って、これが高いお薬だと使うともうかるわけです。値引き率が一〇%であっても、高ければもうかるからやっぱり使うということになるわけです。
 そうすると、一つの考え方としては、お薬をむだに使わせない意味でも国民医療費を節約する意味でも、例えば三百億とか五百億とか年商売り上げがあったら、その次からは幾らで売れたかには関係なくやっぱり適正な値段に、百三十円とか百
円とかに私は下げる方式があってもいいと思うんですよ。そういうことなしにただ機械的にやっているというこの厚生省の薬価政策が、結果として非常に薬価高という、日本の国民医療費の中に占める薬価の比率がここ十年ぐらいほとんど変わらないんですよ、大分薬の使われる量は減った、薬づけは減ったと思いますが、変わらない、こういうことを招いていると思うんですね。ですから、こういうことについては、やはり見直していただかなければならないだろうというふうに思います。
 それで、厚生省の医薬品産業に対する産業政策、これは前回のときも言いましたけれども、ただひたすら薬価を下げるものですから、製薬メーカーは、これじゃたまらないというので前の値段の下がったお薬はもうやめにして、それに似た新しい薬を持ってきてちょっと高い値段をつけてもらうということでずっと収益をあるいは売り上げを維持しているわけです。こういうところも非常に大きな問題が出てきている。
 そういう中で、今日本の製薬産業は、例えば国際競争力がない、最近ぼちぼち国際的に通用する薬も出てきましたけれども、ほとんど輸出はふえていない、輸入も減っていない、国際的にも通用しないということ、これは明らかですね。製薬産業自身が、国際競争力をつけるのにあと二十年かかるなんてばかなことを言っているような状況にあります。
 それから、企業の数が多過ぎますよ、日本は一千三百とか四百とかある。ドイツでさえ千社ですし、アメリカに至っては七、八百社ということです。そういうことで非常に多過ぎるということがあります。多いということは中に弱小があるわけです。だけれども、弱小の薬屋さんがつぶれたという話は余り聞かない。いわゆる護送船団方式ということで弱小のところを守ってやってきている。
 それから、流通改善の中でも、たしかこれは業務局長さんも、日本ではお薬のセールスマン、MR、情報提供者と言われるわけですが、これが諸外国に比べて多過ぎるということをあちらこちらで講演で言っておられます。それを減らすということなんですが、それも減っていないらしい。すなわち、医者のところに行って、薬を売るだけならまだしも、たばこに火をつけたり靴を磨いたり御機嫌をとったりするような仕事をやっているMRの人件費まで全部薬代の中に入ったままずっと維持されているわけです。これが日本の国民医療費の中の二八%も占めることになっているということ、これは国民経済から見ても非常なむだだと思うんです。
 そこで、最近、二十一世紀の医薬品に関する懇談会というのを厚生省がつくりまして、二月に中間報告、そしてつい先月二十八日に最終報告を出されました。私もそれを読ませていただきましたけれども、率直に言って、医薬品産業をどうするかという政策が全然ないと思うんですね。あれは、要するに研究開発をどうするかとか製造物責任をどうするかとか、そういう非常に細々した今の製薬産業のそのままの中でのことしか答申が出ていない。私は、厚生省が政策官庁に脱皮しようという決意を持っておられる割には非常におくれていると思います。
 それで、五月十四日の日経新聞には、通産省が、石油業界は合併をして生き残りをしたらいいんじゃないかということを基礎産業局長の諮問機関である石油化学製品需給協議会の国際小委員会というのが報告書を出したという記事がありまして、私も取り寄せて読んでみました。そうしますと、そこには大変すぐれたことが書いてあるんですね。石油ですから薬品とは違う面もありますが、石油化学という意味では極めて近い産業部門だと思います。はっきり言って、合併を含むリストラクチャリングをやれということを指導していると思うんです。
 私は、厚生省が、卸にしてもそうですが、製薬メーカーについて大々的な政策転換をする、弱小を含めたたくさんの薬会社を抱え、その収入を保障して高い薬価をつけて、国民医療費のかなりの部分を毎年食っていくということをもうやめなければならないというふうに思います。そのことについていかがお考えがお聞きしたいと思います。
#122
○政府委員(岡光序治君) まず事実関係からお話をいたしますと、一九九〇年度で確かに日本の製薬企業数は千五百余りでございますが、主に医家向け医薬品を製造している企業数は四百三十でございます。薬価基準に収載品目を持っている企業数が四百五十九でございまして、そういう意味では、そのほかの一般用医薬品をつくっている企業が随分と多いということでございます。
 国民医療費で論じられる場合には、この医家向け医薬品、薬価基準に収載されている医薬品をどういうふうに使うかということで医療費の中での薬剤費が積算されているわけでございます。そういう意味では、大きくは千五百余りありますが、私どもすみ分けがなされているんではないかというふうに見ておるわけでございます。つまり、医家向け医薬品を主としているところと、それから一般用の医薬品を主としているところ、こういうふうなすみ分けがあると同時に、医家向け医薬品の中でも、上位二十社のように、新薬を開発しかつアメリカやEC、ヨーロッパにも販路を伸ばしていわば国際的な企業として多国籍化しようとしているそういうグループと、それから国内の一定の地域でもって仕事をする、こういうふうにだんだんと志向が決まってきているんではないだろうかというふうに見ているわけでございます。
 確かにこの業界の企業数を見ますと多いわけでございますが、これはしかし、医薬品産業の性格といたしまして非常に参入がしやすい、つまり参入障壁が非常に低いわけでございます。いわば設備投資の額はたくさんなくて済むわけでございまして、そういう意味で、開発力がつけばそれだけ仕事ができるという性格を持っているわけでございます。
 こういう性格の業界につきましてどのような産業政策を進めるのが適切なのかというのは、いろいろ議論があるところでございます。私ども、学者にこの日本の医薬品産業の産業構造いかにあるべきかということについていろいろ議論をし、また尋ねたりしておりますが、大方の先生方は、かつて鉄鋼について大合併があったりいたしましたが、あのような企業合併をするというのは適切でないのではないか、むしろ研究開発ということを念頭に置きまして、それで自分の得意とするところと他が得意とするところとうまく提携をしていく、いわば戦略的結合を促すことがふさわしいのではないか、こういうふうに言う人が多うございます。私どもは、そういうことで戦略的にターゲットを決めて、それでそれぞれすぐれているところを出し合ってできるだけ早くすぐれた医薬品を開発する、そういう方向に持っていくべく今産業政策を展開しているつもりでございます。
 そのほか、御指摘ございましたがMRのあり方とか、いろいろいわばぜい内部分を削らなければいけない部分がございます。それはそれで知恵を出し合ってぜい内部分を削っていく、こういうことはしていかなければならぬだろうというふうに考えているわけでございます。
 私どもは、繰り返しになりますが、公的な施策としては研究開発力を支援するというところにポイントを置いて、かつ企業間の関係といたしましてはそれぞれがうまく提携関係を結んでいくように誘導するということが一番のポイントではないだろうか、そんなふうに理解をしております。
#123
○今井澄君 私も、企業合併というと大企業だけ生き残って中小企業がつぶされていく、こういうことについては必ずしも賛成するものではないわけですけれども、これから研究開発に力を入れるのもいいですし、そういう意味でこの薬事法の改正をみんなの力でやったわけだと思いますが、しかし、業界の人たち自身がこれから国際的に太刀打ちできるためには二十年かかる。二十年というのは余りにも遅過ぎるんではないだろうか。
 それから、このMRの数かど札だけ整理されたのかということについては、ぜひ早急に一年間で
どのくらい減ったかということを調べてほしいわけですけれども、それにしてもまず減っていないということは業界筋の人が言っているわけですね。多分これは岡光局長さんがどこかで講演された数字ですが、メモしてきた人の又聞きですが、一人当たりのMRに対する医者の数では、アメリカは十二・二人に一人のMR、イギリスは二十人に一人、日本は四・四人に一人という数字をどこかで言われたようで聞いてきたんですけれども、これだけ多いものを整理していかないことにはやっぱりだめだと思うんです。ですから、そういうことを含めてダイナミックにやっていかないと、二十年は待っていられないということです。
 もう一つは、私たち今超高齢社会を迎えようとしているときに、お金のむだ遣いはできない。ほかにもっともっと使わなければならないということがある。そのときに、こういうむだなお薬に、あるいは製薬産業にと言っては失礼かもしれませんけれども、使うこと自身が非常に問題だろうと思いますので、やはりそういう意味で厚生省としても産業政策というものをしっかり考えていっていただきたいと思うわけです。
 そこで、病院の経営の方に移るわけですけれども、病院経営については、最近、厚生省の健康政策局が平成三年度病院経営収支調査年表を発表されました。また、自治省でも、平成三年度地方公営企業決算の状況を発表され、その中に病院事業が載っております。それから、全国自治体病院協議会、約一千の会員を持つ組織ですが、ここで自治体病院における平成三年度決算額及び平成四年度決算見込額調査報告を出しておられます。また、月々、厚生省の健康政策局は、一般病院の移動年計による収支表というのを出されておられます。(資料配付)
 このことについてはちょっと資料を配らせていただきましたが、配らせていただいた資料の下が健康政策局で出されている移動年計です。これは、その月々から過去一年間さかのぼっての数字で、例えば一番右上、昨年の十一月の時点では、過去一年間百円稼ぐのに百九・四円かかったということですね、これは乙表病院。それで、甲表病院は一〇五・〇ですから、百円の収入を得るために百五円の支出をせざるを得なかったという病院の経営状況だというふうに思いますが、こういうこの間の、平成三年度の決算及び四年度の見込みについて、病院全体としてどういう方向にきているのか、赤字病院がどうふえているのか、その辺について御説明をお願いしたいと思います。
#124
○政府委員(寺松尚君) 今先生がおっしゃいましたように、私どもが調査しております一般病院移動年計によります医業収支表というのは今おっしゃったようなことでございます。それから、先ほど言われました自治省の調査でございますが、これは平成三年度の調査結果でございますけれども、地方公営企業年鑑によりますと、自治体病院の補助金、繰入金を除きました医業収支率は、平成三年度では一一二・八でございますから、やはり赤が立っておる、こういうことになるのではないかと思います。
 あといろんな調査で、私ども実際民間病院等の実態というのはなかなかわかりませんが、医療経済実態調査というふうなものを見てみますと、公的病院、それから民間病院も同様でございますけれども、年々経営が悪化しておる。特に、自治体立病院等につきましてはマイナスが立っておるというふうな状況でございます。民間病院につきましては、黒のあれがだんだん減っておるというような状況でございます。
#125
○今井澄君 お配りいたしました資料の上半分には、全国自治体病院協議会の平成四年度、去年大幅に診療報酬が上がったと言われた後の一年間で、さらに経営が悪化してきているというふうなことの資料がありますし、その右側の最後の二段目のところですが、特に薬品費の伸びが大きいということで、支出がふえているというふうなことも発表されております。また、民間病院の倒産や、民間病院の経営実態については、先ほど菅野委員からも言われたとおりで、民間病院も五五%、半分を超える病院が赤字になっているというふうなことが言われております。
 また、そういう中で、例えば日本病院会雑誌というのがありますが、一番最近のをちょっといただいてきて見ますと、ここには神奈川県病院協会理事の豊嶋範夫という方が、民間中小病院が地域でどういう役割を果たしてきているかというふうなことを書き、経営がいかに苦しいかということを書いておられます。
 そういう中で、特に去年の医療費の改定が特徴的だったわけですが、大病院の入院にはうんといいと。それから、開業医さんの方はまあまあということで、外来はいいと。だけれども、外来をかなりやっている地域の中小病院、これは民間だけではなく、私などのおりました病院も含めて、地域医療活動、在宅医療活動など熱心にやっている病院は外来というのが非常に多いわけですね。これは、患者さんの方もやはり開業医さんにもかかりますが、地域の小さな病院を自分のかかりつけの病院としてかかっているわけですが、そういうところが大変大きな打撃を受けている。
 それで、この豊嶋さんが書いているところの例によると、「厚生省の一部の人が考えているように、将来の医療システムの形として、開業医と大病院だけの両極になったとしたらどうなるだろう」と。地域の医療は崩壊するということをこの人たちは訴えているわけで、この原因は、やはり長期にわたる低医療費政策が原因であるということを指摘しているわけで、やはり診療報酬が抑えられているということ、あるいは昨年の改定で一部大病院の入院とあとは診療所の外来にいいという改定の問題点というのが出ているんではないだろうかというふうに思います。
 先ほど菅野委員からもお話がありましたように、厚生大臣がこの前、四月二十七日、全日本病院協会の研修会で講演された中で、最後に言っておられる、「地域で一生懸命まじめに医療を行っている医師が、路頭に迷うようなことは決してさせない。」という、このことを私も大変力強く受けとめているわけです。同時にまた、病院にもいろいろあるわけですが、日本病院会の方で、大臣が講演された全日本病院協会とは違った方のもう一つの団体ですが、三月十七日付で大臣あてに「病院診療報酬の緊急改定についての要望」というのを出しておられます。
 これは、大臣お読みになられただろうと思いますが、例えばその二ページ目に、九十二の日赤病院の赤字額は九十億円、百十五の厚生連病院は五十八億円、九百八十九の公立病院は一般会計から五千五百億円繰り入れても一千億円以上の赤字。二百三十九の国立病院・療養所は二千四百五億円の繰り入れをしても、借入金残高が六千億円になるということで非常に苦しいと。民間病院も五五・四%が赤字となっているというふうなことで、緊急の診療報酬を改定されるよう要望書が出ておりますが、大臣としてこういう要望書をごらんになっての感想をちょっと一言お願いしたいと思います。
#126
○国務大臣(丹羽雄哉君) 日本病院会を含めて、医療関係者の方々から常日ごろよくお話を聞いております。診療報酬につきましても、いろいろ御要望を聞いておるわけでございますが、昨年四月の診療報酬の改定は五・〇%でありまして、かつてない大幅な診療報酬の引き上げということでございました。
 診療報酬を一%引き上げるのに国庫負担が五百六十億から五百七十億にも達する、こういう大変な膨大な国庫負担増になるわけでございますが、そういう中で年々この医療費が増大しておる。そういうことで、また御案内のように、今年度の平成五年度の厚生関係の予算を編成するに当たりましては、医療費関係ではざっと五兆円ほど計上いたしておるわけでございますが、必要なそのほかのもろもろの施策を確保するために、例えば政管健保を一千三百億円ほど繰り延べをしたとか、そのほか国保の一般財源化とか、大変率直に申し上げて、こういう言葉が適当かどうかわかりませんけれども、やりくりをしながら要するに予算編成
をしておる、こういうことであります。
 来年度の診療報酬につきましては、現在医療経済実態調査を実施いたしておるわけでございますが、それを参考にしながら最終的に中医協でお決めいただくわけでございますけれども、先ほど先生のこの表の見方、ちょっと私よくわからないんですが、診療報酬だけでもう実際問題として今の経営というものはなかなか成り立っていかなくなってきておる、こういうような一面の指摘もあるように聞いておるわけであります。
 それならば、どういうことを今後私どもは講じていったらいいのか。例えば、実態調査を夏ごろまでにまとめる、その中で一つの結論を私どもは見出したいと思っておるわけでございますけれども、私は、全体的には規制を緩和していく、そういう中においてよりすぐれた病院が、そして健全な病院が生き残っていけるようなこういうような流れになっていくのかな、こういう感じを持っております。
 ただ、私どもは、先ほども全日病のお話をしていただいたわけでございますけれども、いわゆる地域のために一生懸命御貢献いただいております一般の民間病院、当然のことながら経営感覚というものも十分に備えていらっしゃる、そういう中においてももう経営が行き詰まっていく、こういうことにならないようなもろもろの総合的な対策の中で、ひとつそういう病院が生き残っていけるような施策というものを講じていきたい、こういうような考え方に立つものでございますので、先生の御理解を賜りたいと思っております。
#127
○今井澄君 確かに、診療報酬の改定だけで病院の経営が健全化するというものではないだろうとは思います。しかし、先ほどお配りしました移動年計は、これはたしか主に公的病院だったと思います。それで、公的病院の場合には補助金もありますし、税金はかかりませんし、また病院を建て直すときもほとんど事業債で一〇〇%充当ということですのでうまくいくんですが、それでも赤字になるということはやっぱり診療報酬体系自身に非常に問題があるということですので、まずその辺を抜きにしてほかの融資制度だとか税制だとか、それは民間病院にとって非常に大事なことですが、それ以前にまず診療報酬のことを考えていただきたいというふうに思います。
 さて、その診療報酬の話に入る前に、病院はもうかるんではないか、医者はもうかっているんではないかという考え方がまだ一般の世の中にありまして、これはなかなか医療費を上げるというのは難しいことを私よくわかっているわけですが、全体的には今のお話のように苦しいわけですが、しかし中には悪徳病院もないわけではない。昔の悪徳病院は公然と薬づけ、検査づけをしてやってきたわけですが、最近は大変巧妙になってきているわけです。
 たまたま、おととい発売されました週刊朝日に非常にショッキングな題で書いてあります。「安心医療の聖なる館は くすりが三倍 「死去」が年四十〜五十人」ということで、これは埼玉県の聖マリア・ナーシングヴィラという非常に有名な高級老人ホームがあるんですが、その経営者がそこでやっている聖ヨゼフ・クリニックという十九床の診療所のことが書いてあります。
 ここでは、医薬分業をやっているんですね。医薬分業をやっておりまして、ですから診療所の方ではお薬を出さないらしいんですが、そっちが一人当たり月四万六千円から月四万七千円、これだけでもべらぼうに高いんですけれども、こういう請求書を一方で出す。もう一方、院外処方を出しまして、それは経営主体は別のところですからこれは例の第二薬局ではなさそうですけれども、そっちに月当たり四万円から四万五千円の処方せんが出ているということなんです。
 これ実際、そうすると合わせて九万円ぐらいになるんですけれども、外来患者でこんなべらぼうな額というのはほとんどないんですが、しかし審査の場面にいきますと、これは全然別のところで審査していて突き合わせられないんですね。私も十二年間やっていましたからわかりますけれども、これは医薬分業の盲点を突いているわけですが、こういうふうにして一人当たり九万円の医療費を外来患者で取っているんです。
 ちょっとほかのデータを調べてみますと、今全国平均では大体一般診療所の外来の患者さんというのは月一万円以下なんですね。そういうときにこれだけのものがやられているというのは、これどういうことなんですかね。厚生省が一度指導をしたといううわさも聞いたんですが、一体この聖ヨゼフ・クリニック、まあこういうのは本当は医者仲間で自浄作用でやらなきゃいけないんでしょうけれども、しかしそれもでき切れないと、厚生省はどうやっていくのか、こういう悪徳、これ書いてあるとおりだとすれば悪徳医療機関なんですね。
 ついでにちょっと読みますと、たまたまここの老人ホームの方なんですけれども、平均入所期間は一年九カ月。大体こういうところ、もう亡くならないと出ませんからね。平均一年九カ月で亡くなっているということです。これに対して、ほぼ同じ時期に開設された同じ埼玉県内の特別養護老人ホーム二施設を見ますと、片方が二年五カ月、片方が二年九カ月というんですね。そうすると、この有料老人ホームは一年近く寿命が短いということになるんですね、平均すると。まあ薬を飲まされ過ぎて死んでいるのかもしれませんし、どういう理由がはわかりませんけれども、こういうところは放置しておいていいんでしょうか。
#128
○政府委員(横尾和子君) まず、有料老人ホームの関係でありますが、御質問の中に高級有料老人ホームというようなお話もありましたが、この有料老人ホームは、金額は高うございますが、私どもが決してそういう高級とかいうことを言っているわけではございません。また、全国的にシルバーマークをとっている有料老人ホームがあるわけですが、このシルバーマークを有している有料老人ホームでもございません。いろいろ指摘がありまして、今埼玉県に対して実情の調査を命じているところでございます。
#129
○今井澄君 ぜひ厚生省の方でもしっかりやっていただきたいと思いますし、これはやっぱり医療界でも自浄作用を働かせていかなければいけないことだ、反省しなければならないことだと思っております。
 さて、来年の診療報酬改定なんですが、これはどういう方針で行うのか、その点をお聞きしたいと思います。
#130
○政府委員(古川貞二郎君) 来年の診療報酬の改定の問題でございますが、現在、これは六月でございますが、医療経済実態調査を実施中でございまして、私どもその結果を踏まえまして、賃金の動向とか物価の動向等も踏まえて中医協で御審議を賜って対応すると、こういうことになろうかと思います。医療経済実態調査の結果につきましては、これは従来の方法としては大体十二月の段階で暫定的に速報値が決まりますから、それに基づきまして対応していくということになろうと思います。
#131
○今井澄君 結局、中医協とかそういうところにということのようですけれども、実はこの中医協にしろ、それからもう一つ医療保険審議会、これも来年の診療報酬改定の内容に随分影響してくるだろうと思うんです。ここでいろんなことが議論されているようですが、例えばちらほらと聞こえてくるのは、もう財源がないから、薬価の切り下げをしてももう限度があるし、これ以上できないのでどこかに財源を求めると。そうすると、先ほど大臣の言われたようにあっちこっちのお金のやりくりもあるでしょうけれども、それだけではやれないので給食費を外して、外してということは保険給付の対象から外して、それを財源にするという話をもうちらほら伺うわけです。私はこのことに関して非常に心配をしています。
 まず第一は、自己負担がどんどんふえていって保険給付が狭められるということは、これは健康保険あるいは社会保障の本来の概念からいって好ましくないのではないかということ。もう一つは、こういう大事な議論が非公開の場で行われている
ということ。そして、これは厚生省の方にお聞きしても、こういうところで出た資料は非公開なのでいただけないということを御返事いただきました。
 ところが、そういうところで非公開だ非公開だと言いながら新聞には出るんですね。どうして新聞に出て国会議員が下さいと言ってももらえないのか、この辺が非常におかしいんですが一非公開であると。ここに国保新聞にもその骨子が出ておりますし、病院新聞というのにもその医療保険審議会の骨子などが出ておりますが、非公開なところで国民の利害にかかわる大事なことが議論されて、結論だけが出てくるというこの審議会の方式に一つは疑問を持つということ、自己負担のことは後で述べますが、この辺について、もっと審議会を公開にしたらどうか。
 もっと極端な言い方をしますと、この審議会の中の有力メンバーは厚生省のOBが多いわけですね。しかも、事務局は厚生省がやっていて、資料は厚生省が提出するわけです。ですから、審議会の御意見を伺っているといっても結局は厚生省のお考えではないかと私は思うんです。だとすれば、そういう審議会を隠れみのにしないでもっと議論をやってもらいたい。例えば、この厚生委員会でも自己負担をふやすのがいいかどうかというフリートーキングをやるべきだと私は思っているんですけれども、そういう審議会のあり方、非公開性、それで請求した資料はいただけるのかどうか、それについてお答えいただきたいと思います。
#132
○政府委員(古川貞二郎君) 医療保険審議会における審議の問題でございますが、率直に申し上げまして、私どもは、これからの医療のあり方というものは大変重要なものであるということで、昨年の九月に、医療保険審議会を設置いたしまして国民健康保険の問題も含めまして議論をしております。
 まず、医療保険審議会の総会、これは公開でございます。それから、全員懇談会というフリーの議論がございますが、それは非公開になっております。
 そこで、現在の審議の運営のやり方を申し上げますと、まず昨年九月に第一回の会合を開きまして、何回か公開の議論と、それから懇談会で何回かの議論を重ねまして、そこで、審議会は四十二人の専門委員さんがおられますので、そういった審議の状況を踏まえまして、まず小委員会をつくろう、小委員会の中で論点を整理しましょうということにいたしまして、先般この論点の整理のメモをまとめた。これを小委員会から医療保険審議会の方に報告をしたということでございます。その報告の結果につきましては、これはクラブの方の記者会見で私どもの事務局の方で公表いたしておりますし、どなたにも差し上げておるわけでございます。それを踏まえましてこの医療保険審議会の全員懇談会で議論を重ねていこうと、こういう段取りであります。
 なお、私どもの考え方の基本は、今現在議論しておりますのは、これからの長い十年、二十年ということを考えながら日本の医療保険のあり方というものを模索しているわけでございますから、私どものスタンスは、小委員会でいろんな論点を整理されましたものを、これは医療保険審議会で御議論いただくだけでなくて、広く国民の関係者の方々に御議論いただいてよりよいものに持っていかなければいかぬ、こういうふうに考えておるわけでございまして、決して秘密主義ということではありません。ただし、全員懇談会なり小委員会というものは、すぐれて専門的な議論、それから審議会の先生方が自由に討議をするというようなことで、一つ一つのこの委員がこういう発言をしたとかああいう発言をしたというようなことについての議事録は出していないわけでございます。そういうものを、要旨をまとめてその都度明らかにしているということでございます。
#133
○今井澄君 それでは、まず一点は、そういうところでやってマスコミに発表するようなものは少なくとも厚生委員会の委員には届けていただきたい、このことは要望しておきたいと思います。
 それで、二番目には、確かにオープンにすると議論しにくい、本音が出にくいということもわからないわけではないわけですけれども、しかし国民の負担の仕方にかかわる非常に重大な議論ですので、これはやっぱり拙速を避け、できるだけ公開の議論にしていただくということをお願いしておきたいと思います。
 そこで、給食費を今度は保険で見ないよというふうな議論が、そこに財源を求めるというふうな議論がされていることを私は非常に心配するわけです。三月二日の一般質問でも、療養型病床群の特定療養費ということで差額ベッド代を取っていいというふうなこととか、どんどん保険給付から外されていくということを心配しているわけで、これは保険制度の本来の姿、社会保障制度の本来の姿から外れていくのではないかというふうに思っておりますが、この給食費を外すということについて、大臣、いかがお考えでしょうか。
#134
○政府委員(古川貞二郎君) 大臣の前に、経過でございますが、先ほど申し上げましたように、この小委員会報告で論点を整理いたしまして、公的医療保険の役割とか保険給付の範囲、内容を中心にこれまでの検討内容の整理を行って審議会に報告したと、ただいま申し上げたとおりでございます。
 小委員会報告におきましては、今後の医療保険のあり方の検討を進めるに当たっての基本的な視点とか、踏まえておくべき医療保険をめぐっての社会経済情勢の変化等について議論をする、それとともに公的医療保険の給付の範囲、内容について見直しを図ることが必要であるというふうな基本的な考え方のもとで論点の整理が行われたものでございまして、御指摘の給食費にかかわる給付のあり方についてもその一つとして取り上げられているわけであります。
 ちなみに、その考え方といいましょうか、在宅については、保険給付の内容の見直しということで、在宅、施設間を通じた負担の公平、給付の重点化、給食の質の向上を図る等の観点から給食にかかわる給付のあり方を見直すべきではないか、こういうことでございまして、そういった一つの提言がなされている。これを踏まえまして、先ほども申し上げましたように、私どもは医療保険審議会においてこの小委員会報告を踏まえた今後の幅広い観点からの御検討をいただく、こういうふうな段階であるということをまず申し上げたいと思います。
#135
○国務大臣(丹羽雄哉君) 将来にわたりまして、国民が安心して医療を受けることができるような揺るぎない医療保険制度を確立していくということがまず重要な課題である、こういう認識に立ちまして、先ほど来保険局長から御説明申し上げております医療保険審議会で現在この問題について御審議を賜っておるわけでございます。
 給食の問題については、いわゆる財政的な問題という観点からではなくて、日常の生活の中で三度三度の食事というのはするわけでありますので、それを保険の給付の中に入れておくことが適当かどうか、こういったような観点からも私は議論をしていただく必要があるんではないか、こういうふうに考えております。
#136
○今井澄君 それは、いろいろな面から検討されるのはいいと思うんですけれども、私はやっぱり今の議論は率直に言って財源論から来ていると思いますね。ということは、議論が整理されていないで、当面財源をどこに求めるかということから議論されているという印象をぬぐい切れません。
 それで、例えば今の生活ということで言うと、じゃ室料はどうするのか。今は個室とかなんかが差額ですね。私はこのことは非常におかしいと思ったわけですが、療養型病床群では、一定の条件が満たされれば四人部屋でも室料差額は取れるということで拡大されてきた。これは行く行く、住むところは医療と違うんだということで、室料は全部個人負担になるというおそれが一つあるわけです。あるいは寝具もそうです。寝具もこれは治療の手段じゃないわけですね。生活なわけです。そうすると、基準寝具なんというのが今あるわけ
ですが、これも保険給付の対象から外すという考え方に当然つながるわけです。もちろん病衣なんかもそうでしょうし、だんだんそういうふうになっていく。
 そうなっていくと、生活は自由にということになると、今度は何を持ち込んでもいいと。布団は自分の家から持ち込むとか、それから給食費は自分で払うんだったら出前をとるとか、そういうふうになってくることだってあり得りわけですね。一方で治療のために必要な食事もあるわけで、その辺のところは本当に長い時間をかけて検討しなければならないいろんな視点があるだろうと思うんです。ですから、それを少なくとも、来年の診療報酬改定の財源が足りないから無理やり理屈をつけて、これは生活部分だとか、あるいは患者さんが食べ物は選択できる方がいいんだから選択メニューにしてこれは自己負担だと、そういう無理はしないでいただきたいと思うんです。
 ところで、そこでの議論ですが、お聞きしたいのは、いわゆるアメニティーという言葉が非常に最近よく使われます。ところが、このアメニティーという言葉が非常に都合よくあいまいに使われるために議論が整理されない。そこのところについて厚生省のお考えをお聞きしたいのです。
 私は、アメニティー、アメニティーと今使われている使われ方を大きく三つに分けられるんではないだろうかと。今の給食費のお話のように、純粋に、手術をしたり検査をしたりお薬を飲んだりという治療以外の生活の部分をアメニティーというふうに使っている場合があるんではないか。だけれども、これは生活部分という言葉を使うべきであって、快適という意味を含むアメニティーという言葉は使うべきでないと思うんですね、この分野には。
 それともう一つ、これだけ豊かになったし、みんなそれぞれ自分の希望に合わせて選択をできる時代になったんだからということで、いわゆるぜいたく部分をアメニティーと言って使っている人もいるだろうと思うんです。これもアメニティーという言葉を使うには不適当だろうということで、アメニティーという概念からは、一つは生活部分というのは生活部分と言ってほしい、そしてぜいたく部分はぜいたく部分と言ってほしい、その両方を含めたアメニティーは使ってほしくないというふうに思うんですが、厚生省どうでしょうか。
#137
○政府委員(古川貞二郎君) 国民の医療に対するニーズというものは大変高度化、多様化しているわけでございまして、私ども、医療保険制度においてもこうした変化に対応していくということは大変重要なことだろうと思うのであります。
 ところで、そのアメニティーというような言葉でございますけれども、これはお話もございましたように、一般的には心地よさとか快適さとかあるいは感じのよさとかそういったような意味であるようでございますが、この医療の問題に関連しては、御指摘のように、療養生活を送っていく上で必要最低限度を超える療養環境というふうにとらえる場合とか、あるいはおっしゃったような生活関連部分全体と考える場合とか、ぜいたく部分というふうに区分する考え方、静けさあるいはプライバシーなどといったいわゆる感じのよさというふうにとらえる場合、人さまざまであります。
 ところで、私どもアメニティーということを特に申し上げているわけではありませんで、私どもは、いずれにしても、冒頭に申し上げたような疾病構造の変化とか国民の生活水準の向上あるいは医療に対するニーズの高度化、多様化といった医療をめぐる環境の変化ということを踏まえながら、公的医療保険としてどこまで給付の範囲とすることが適切かとか、あるいはどういうような仕組みによってこういった国民の方々のニーズにこたえていくことが適切なのか、そういったことにつきまして医療保険審議会とか中医協で御審議をしていただいていると、こういうふうな状況でございます。
#138
○今井澄君 厚生省があいまいな意味でアメニティーなどという言葉を使わないということでしたら非常に好ましいことだと思いますが、そういうことで、医療保険本来の目的、あるいは医療保険は大きな社会保障制度の中の一つの仕組みであるわけですから、やはり単純に生活部分を給付の対象から外すとかいうそういう安易に急いだ議論はしないでいただきたい。本当に今、これは国民の負担のあり方に関する大きな流れの問題だろうと思います。国民は、税なり保険料で負担するか自分のポケットから個人で負担するか、いずれにしても負担は国民のところにいくわけです。その負担のあり方については、行政の都合とか財源の都合で安易に考えるべきではないということを強調しておきたいわけです。
 ちょっと時間がなくなってきてしまいましたので、また次の機会にその他の議論は譲るとして、結局のところ、私が見るところ、一つは、日本の健康保険制度は国庫からお金が入っているということに規定されて、収入が、税収が少なくなったりとかそういうふうなことによって左右されるというようないろんな問題もあるわけです。基本的には、臨時行革審の午前中からも言われております国民負担率を二十世紀中は四〇%以内、二〇二〇年ですか、これにも五〇%以内という、どうもここのところにとらわれているために、非常に給付の内容がだんだん制限されてきているというふうに私は考えざるを得ない面があるわけです。
 それで、これは社会保障制度審議会が「社会保障の将来像に関する意識調査」というのを行って四月に発表しておられますけれども、その中で今後の給付と負担の関係についてのアンケート調査によりますと、一番多いのは「現在の給付水準を維持する必要があり、人口構造の高齢化に伴う負担増はやむを得ない」と、こういう人が四九・五%、これは有識者調査ですけれども、約半分あるわけですね。
 確かに第二位は、「人口の高齢化に伴う負担増は極力抑制し、そのために必要な給付の見直しもやむを得ない」という人が四人のうちの一人ということがあるわけですが、しかしその次に、「現在の給付水準を引き上げる必要があり、そのために負担の大幅増もやむを得ない」という人が一四・六%あるわけですね。だから、負担増を合わせれば六四・一%の人たちが、有識者調査の中では高齢化社会を迎えて負担増もやむを得ないと考えているわけで、この負担は当然税とか保険料とか掛金とかそういうものによる負担増のことだと私は理解しているわけですが、やっぱりこういう状況にある中で、臨時行革審の五〇%以内というのを金科玉条として給付の制限の方にだけ走るべきではないだろうと私は思っております。
 特に、これらの有識者調査でおもしろいのは、各階層の人たちを選んでいるわけですけれども、例えば「現在の給付水準を引き上げる必要があり、そのために負担の大幅増もやむを得ない」といういわゆる高福祉高負担路線に賛成する人が少ない階層は何かというと、一番少ない階層は言論・報道・評論関係なんですね。まさにこれが今の世論をつくっていると言ってもいい。その言論関係、報道関係の人が一番それに対して少ない、六・五%しか高福祉高負担に賛成する人がいないんですね。その次に少ないのが企業・経済団体関係、これはわかりますね、やっぱり企業、団体もお金を取られるわけですよ、福祉に回せば企業活動が少なくなる、これが八・六%。その次が行政関係で九・六%なんです。高福祉高負担に反対するのはマスコミ、企業、行政なんですね。しかも、審議会なんかになるとこういう人たちがやっぱり有力者なんですよ。
 そういう人たちの意見で、例えば人文科学研究教育関係の人は高福祉高負担に賛成する人が三七%もいるんです。こういうことも考えていかなければいけないんですね。これからの世の中は、一部の人たちの考えで世の中を持っていっちゃいけないと思うんですよ。いろんな考えがある世の中になってきたわけですから、こういうことをよく考えていただきたいというふうに思います。
 そこで、来年の診療報酬改定のことを最後に一言言って終わりにしたいと思いますが、来年いず
れにしても診療報酬改定がないと、診療報酬改定以外にも病院経営の援助の方法はありますけれども、これがないとますます苦しいことになる。何とかして、昨年のひずみを正すような形で中小病院、あるいは病院が外来をやってはいけないということはないはずなんで、外来をやっている病院にもそれなりに配分が回るように診療報酬改定もしなければいけないだろうと思います。
 その財源はどこに求めるかということになるんで、私は提案をして御意見を伺いたいと思いますが、好ましいことではないと思いますが、薬価を切り下げてまず来年の財源は求めるべきではないかと思います。こういうことを繰り返すと製薬産業の育成ができませんので来年限りにしたらいいと思いますが、まず来年はさしあたって製薬企業が大分収入があるようですから、来年の医療費改定はやはり薬価切り下げでやっていただきたい。
 そして、負担のあり方について長期にわたって議論する中で次に手をつけるべきことは、今医療費で支払われている中には福祉の関係のものが非常に多いと。極端な言い方をすれば、老人病院、介護力強化病院あるいは特養、老健、これはもう福祉がほとんどですね。福祉の金を医療費で払うために、病院や医者や看護婦が苦労するというのはこれはおかしい。したがって、今の医療費で払っている福祉にまつわるものは医療費から外して、それを財源に医療費の改定をすることを次の段階としては考えていただきたい。
 じゃ、福祉の方はどうするかといったら、福祉は私は福祉目的税で財源を確保してほしいと個人的には思っておりますが、そしてそういうことをやっていく中で、今の議論を長期にわたって全国民を巻き込んでやっていっていただきたいというふうに思います。そういう意味では病院のリストラクチャリングも必要で、やっぱり全然病院をつぶさないで乗り切るということはできないと思いますので、病院から福祉施設にするということも含めて必要だと思いますが、その点について御見解を伺って、質問を終わります。
#139
○国務大臣(丹羽雄哉君) 大変トラスチックな有意義な御提案でございますが、率直に申し上げて福祉目的税などにおきましても、前回の消費税のときには残念ながらまだ先生が国会に議席を得ておられなかったと思いますが、野党の皆さん方の大変な抵抗に遭ったわけでございます。国民の皆さん方の間でこういった問題についてどういうようなコンセンサスが得られるかと、こういう観点に立ってこれからのいわゆる社会保障の給付と負担のあり方について考えていかなければならぬと思っています。保ただ、先生は高福祉高負担と、こういうことでございますが、私は、たまたま五月の連休のときにジュネーブのWHO総会に出席いたしましてスウェーデンやデンマークの保健大臣あるいは社会保障大臣などとお会いしまして、この問題について意見をお聞きした機会があったわけでございますが、スウェーデンの大臣の方が、要するにスウェーデンは高福祉高負担で全く経済の活力がなくなってしまった、こういうようなことを申していたのを私は大変印象深く思っておるわけでございます。
 いずれにいたしましても、こういった問題を含めて国民の皆さん方に率直に我が国の財政事情というものの情報を公開する中において、そして国民の合意を得ながらこれからの社会福祉の構築というものを考えていかなければならない、こういう考え方に立つものでございますので、今後ともひとつよろしくいろいろ御指導、御鞭撻をお願いします。
#140
○木庭健太郎君 まず最初に、水道水のことを一、二問伺います。
 一つは、この水道水の問題、私も宿舎の方には浄水器をつけておりますけれども、やはり日本の水道水が今非常に悪くなってきたという問題がございます。国民の二割に当たる二千万人の方が、そういう臭い水、水に対する非常な不満を持っていらっしゃるというような結果も出ているわけでございます。また、いろんな化学物質の問題も、一万種類を超す問題もあるというようなこともございまして、私たちはこの問題、特に水道水源の問題について今至急取り組むべき問題ではないかということで、きょうここにいらっしゃいますけれども、党の横尾委員を中心にして水道水源保全法案要綱というのを私ども作成をいたしまして、それに関して大臣に申し入れもしたところでございます。この申し入れをどう受けとめられたか、まず伺いたいと思います。
#141
○国務大臣(丹羽雄哉君) 公明党の水道水源保全法案要綱につきまして、横尾先生などから払いただいたわけでございます。じっくり読ませていただきましたけれども、その道一筋の横尾先生などが中心となっておまとめになった大変な力作ではないか、こういうふうに拝見をいたしたような次第であります。
 水道水源の保全のために取り組む課題につきましては幅広く提案が行われたことをまず受けとめておりまして、その御努力に対しまして敬意を表するとともに、今後の水道行政に十分に参考にさせていただきたい、こう考えているような次第であります。
#142
○木庭健太郎君 私は、厚生省、今大変だと思います。各省庁いろいろかかわる問題だということも十分承知をしておるんですけれども、この水道水源の問題につきましては、厚生省がやはりリーダーシップをとりながら法制化を中心とした水道水源保全の抜本対策を今後進めていくべきだと考えております。総理もこの前、五月二十四日、参議院本会議の中でこの水道水源の問題は緊急の課題となっているというようなことをおっしゃっております。それを受けても、いろんな困難はあるでしょうけれども、やはり厚生省として法制化へ向け全力を尽くすべきだと考えますが、これについての大臣の決意を伺います。
#143
○国務大臣(丹羽雄哉君) 安全でおいしい水道水を確保するということが国民生活にとって大きな課題となっております。厚生省といたしましては、昨年の十二月に水道水質基準の拡充強化を行う一方で、今年度の予算では高度浄水施設事業として三十四億円を計上いたしております。基本的には、先ほどの公明党さんの水道水源保全法案要綱でも述べられておるわけでございますけれども、要するに水道水の根っこの部分の水道水源について抜本的な対策が重要である、こういう観点に立ちまして法制的な対応を含めて関係省庁の理解と協力を得ながら最大限努力をしていく決意でございます。
#144
○木庭健太郎君 ぜひ御努力をお願いしたいし、本当に多くの省庁にまたがる問題、ですから大変なこともよく理解はしております。ただ、やはりどこかがそういうふうに引っ張っていかない限りこの問題というのはできないと思うんで、その辺は大臣が一番よく御存じですから、大臣がぜひリーダーシップをとりながら、ほかの大臣とも連携をとりながらやっていただきたい、こう要望しておきます。
 次は、マッサージ、はり、きゅうの問題でございます。
 これももう何回もいろんな形で論議をされておりますけれども、やはり高齢化社会を迎えてこういうはり、きゅう、マッサージを使う方たちが非常にふえてきた。もちろんその団体からの要望もありますけれども、実際にこのはり、きゅう、あんまにかかっていらっしゃる方たちの中からも、どうも矛盾を感じるという点てい一つも上がるのが二点ございます。
 一つは併療の問題です、医療との。これは、例えば今の制度でいけば、五十肩の治療を受けようとした場合は保険医療機関内で整形外科とマッサージを行う、これは理学療法という位置づけでやっていらっしゃるそうですけれども、一応これは併療を受けることができる。しかし、はり、きゅうにかかるとこれは全くそういうものがなくなってしまう。患者の立場にとってみれば、何でなのかなという疑問だけがわいてくると思うんです。これも、療養費の問題ということであれば法的問題にかかわる問題なんですけれども、実際にかかる側
の立場になってみればこういう問題も考えていかなくちゃいけない問題だろうと思っているんですが、この併療の問題について厚生省の見解を伺っておきたいと思います。
#145
○政府委員(古川貞二郎君) いろいろの御要望があることについては私も承知しているわけでございますけれども、健康保険法は、保険医療機関あるいは保険薬局における療養の給付を原則としているところでございまして、それが困難な場合等に限りましてその療養の給付にかえましてはり、きゅうにかかわる療養費払いを認めている、こういう仕組みになっているわけでございまして、保険医療機関における療養の給付とばり、きゅうにかかわるところの療養費の支給とを同時に行うということは難しいと考えているわけでございます。
#146
○木庭健太郎君 もう一つの問題は、いつも出てくる同意書の問題でございます。
 この問題も厚生省として随分長い期間かげながら、例えば診断書で済ませるような問題とか、これもいろんな御努力をなさり簡素化されている。ことも事実です。その御努力には敬意を表するものですけれども、やはり最終的にネックになっている、医師の同意でどうにか済まないかという問題がいつも残っております。私は同意を全くなしでやれということはそれは間違いだと思っているんですけれども、その同意のとり方の問題、今回同意書というものは必ず要る。そうすると、なかなかこれも療養費にならずに、結局、自由診療という形で患者さんたちは自己の負担でしかこういうものが受けられないというような現状があるのも事実なんです。
 そういう意味で、簡素化が進んできたんですけれども、どうやって同意書なしで、いわゆる医師の同意だけでどうにかならないかという問題について、もう少し検討をしていただきたいというふうに思っておるんですが、この点についても見解を伺っておきます。
#147
○政府委員(古川貞二郎君) これも繰り返しになるわけでございますけれども、やはり健康保険における給付というのが医療の現物サービスの提供としての療養の給付を原則としているということで、それが困難である場合、先ほど申し上げたとおりでございまして、その場合等に限って療養の給付にかえて現金給付である療養費払いが認められている、こういうような仕掛けでございます。したがいまして、このはり、きゅう、あんまマッサージにつきましては、やはり医師による適当な手段がない場合等に限って療養費払いというような取り扱いが適当である、こういうふうなことと考えられるところから医師の同意等を要件としているということでございまして、同意書等を不要にするということはなかなか困難であろう、こういうふうに考えております。
#148
○木庭健太郎君 今私が申したように、医師の同意が全くなしでできるということは、現行法を変えなければそれはできない話です。
 それはそれとして、今の形の同意書というのを必ず添付するということになっております。その問題についての検討というのを私としてはしていただきたいし、私もなかなか名案が浮かばないんです。医師の同意といってもどうやって同意を確認するかという問題で、私もこれやや悩んでいるんですけれども、でも何かこの方法を少し研究していただきたいんですね。我々もまた一生懸命研究もします。患者さんからも聞きたいと思うし、団体からも聞きたいと思うけれども、やはりそういう方法をぜひ少し研究をしていただきたいと思っているんです。そういうことなんです。
#149
○政府委員(古川貞二郎君) 全く先生と同じように私どもも悩んでいるわけでございますが、いろいろと研究をしてみたい、かように考えております。
#150
○木庭健太郎君 それではもう一つ、今少子化社会という問題、それから女性の社会進出の問題、いわゆる母子保健をめぐる状況の問題について、きょうはお伺いしたいと思っております。
 少子化社会の中で私が感じるのは、子供を産みたいという女性がいれば、その女性がより安全に、ある意味では安心して子供を産める体制の整備というのは必要だと思っています。産めよふやせよみたいな考え方にすぐつながるのは非常に嫌でございまして、産みたい方が安心できる体制というのが今できているかどうかという問題が大事だろうと思っています。
 母子保健法というのがございます。我々も、この母子保健法というのは随分時間もたちましたし、直すべきだろうということで、独自に法案も出させてもらっているところなんですけれども、それはそれとして、現在置かれた状況を踏まえながら何点かごの問題でお伺いをしたいと思うんです。
 まず一点目は、この問題でお聞きしたいのは、厚生省が平成元年十二月にまとめられたゴールドプランの中で、長寿科学研究推進十カ年事業というものがございますけれども、この中に、「母子保健医療対策の充実」という言葉があります。この母子保健医療対策の充実というのは、盛り込まれておるんですけれども、具体的に一体何をされてきたのかお聞きをしておきたいと思います。
#151
○政府委員(清水康之君) 御指摘のように、平成元年に策定されましたいわゆるゴールドプランの中で、生涯の健康の基礎となる母子保健医療対策の一層の充実について中長期的な視野に立って検討を行うことという一項が入って、そのような要請がこの中で行われているわけでございます。
 私どもはその要請を受け、趣旨を踏まえて、平成二年にこれからの母子医療に関する検討会というものを設置いたしまして、いろいろ関係者の方々に御議論をいただいたわけでございますが、その結果が昨年の五月に最終報告として出されております。妊産婦死亡率の改善であるとか、新生児医療のさらなる向上、子育てを支援する体制の整備、あるいは慢性疾患を持つ子供たちへの対応といったような大きな四つの柱について、いろんな提言をいただいているところでございます。
 提言の内容が極めて広範多岐にわたっておりますので、いろんな既存の制度との調整あるいは既存の制度の見直しというものを必要とするようなことも多々含まれておりますので、私どもとしては実現可能なものから逐次施策に反映したいということで、関係団体との話し合いなどにも鋭意努めておりますが、現在のところ具体的にその法律改正案にこれを結びつけてというふうなところには至っていないわけでございます。
#152
○木庭健太郎君 ゴールドプランというのは、一番いいところは、毎年進捗状況がきちんと掌握されてわかるような形になっているということでございます。一応、この母子保健医療の対策の問題についても、ゴールドプランの中に挙げられた中長期的課題だとおっしゃるわけです。それで結構です。ただ、ゴールドプランの進捗状況を見ると、最初の平成元年十二月のものには、こういうことをやる、取り組みますと書いてあるのに、進捗状況の中に母子保健なんという言葉は一言も出てきません。全く切り離されている。一体これは何なのかというのは、やっぱり我々にとってはわからないですね。
 もし本気でやっていらっしゃるなら、そういうものの中にもきちんと盛り込むべきであるし、今検討課題がいろいろ挙げられた、それに対して、できるものからやっていこうということでございますけれども、じゃいろいろ課題が挙がったものをいつまでにどういう形でやるかというのを出すのが、中長期的視野ということではないでしょうか。別に十カ年そのものをつくれとは言いませんけれども、何年を目途にこういうものに取り組むということをきちんと明確にすることが大事ではないかと思いますが、いかがですか。
#153
○政府委員(清水康之君) 確かに、具体的な施策の報告というものをしていないという点があるかもしれませんが、例えば平成四年度ですけれども、予算措置で申しげますと、いわゆる出生前の小児保健指導事業というものを始めたとか、あるいはパイロット的でございますけれども病児デイケア事業を始めたとか、いろんなことを政策面でも予
算措置を含めて努力をしているつもりでございます。
 御指摘のように、何か長期計画をきちんと立てて目標を示すべきではないかということについては、そのような御議論もあろうかと思いますが、現在、母子保健事業全体についてその実施主体の見直しが検討されているところでありまして、現在の時点で国、地方を通じた長期計画の作成というふうなことはなかなか難しいのではないかと思っております。公衆衛生審議会の総合部会のもとで現在地域保健基本問題研究会というものが開かれておりまして、その中の御議論の一つのテーマの中に市町村保健計画の策定ということも入ってございますので、その議論の推移を踏まえて対応してみたいと、こう思います。
#154
○木庭健太郎君 まさに今おっしゃったとおり、この問題の大事な一つの視点は実施主体というものをどうしていくかという問題でございます。
 この研究会報告、私も読まさせていただきました。その中で、自治体の問題が指摘をされておりまして、現在、保健所と市町村がそれぞれ管理している健康診査等のデータについて、市町村における一括管理と一貫した健康管理、第一次的な健康診査や保健指導など基礎的な事業については市町村を実施主体とすることが望ましい、こういう指摘がなされているわけでございます。私ども、まさにこういう母子保健という住民に身近な問題ということであれば、やはり市町村を主体とした考え方をしなければいけないだろうと思っているわけでございます。そのために役割分担、いろんな問題があるけれども、方向としてそういうことをまず定めてやるということが極めて大事じゃないかと思っております。この点について聞きたいのが一点。
 もう一つは、今保健サービスの市町村への権限移譲を柱とする地域保健の総合的見直しということも進められているとお聞きしております。この中でも、大きなテーマの一つになるのがまさにこの母子保健の問題ではないかと思っておるんですけれども、これをリンクされながら実際に地域保健の総合的見直しをやっていらっしゃるのかどうか。その点もあわせて御答弁いただきたいと思います。
#155
○政府委員(清水康之君) 御指摘のとおり、中央児童福祉審議会の母子保健部会というところで過去に、平成元年の十二月でございますが、新しい時代め母子保健を考える研究会というところの御報告がございまして、その中で、お話のように、市町村において母子保健情報の一括管理を行うとか一貫管理を行うとか、行政の役割分担について、健康診査等の基礎的な部分は市町村で行い、難病対策等専門的な部分については保健所を実施主体とする、こういうふうな指摘がなされているわけでございます。
 御案内のとおり、平成三年五月に母子保健法の一部改正、これは部分的な手直してございますが、ございまして、この中でとりあえず母子健康手帳の交付事務などを市町村に一元化する、市町村に移譲する、こういう改正が行われて昨年四月から実施されているところでございます。私どもは、現在、市町村において母子保健を一元的に実施する、あるいは情報の一貫した管理を行うという問題についても、先ほど申し上げました公衆衛生審議会の総合部会の中に今設置されております地域保健基本問題研究会の中でいろんな議論が行われておりますので、当然のことながらその一環として検討していただいて、対処してまいりたいと思います。その際に、母子保健というものが地域保健サービスの中で非常に大きな比重を占めているということについては、そのとおり理解しております。
#156
○木庭健太郎君 今おっしゃったとおり、前回の母子保健法の一部改正で移されたものは母子健康手帳の交付権限、これについて市町村に移譲されたわけでございます。
 ただ、私が見ていてよくわからないのは、例えば一歳六カ月健診ですか、これは市町村、三歳児健診になると保健所、これはもうなかなか理解できないんですよね。やるならばそういうところもきちんと整理すべきだろうし、この問題まだ少し大きな問題のようでございますけれども、できる問題というならば、例えば母子保健に関する知識の普及とか、保健指導とか、新生児の訪問指導とか健康診査、その健康診査に基づく訪問指導の事務、こういった基本的問題なんですが、この辺についてはやはり早急に検討し、市町村への事務ということをきちんとすべきではなかろうかと思っておるんです。
 先ほどから御答弁を聞いていると、まだ投げている最中だからとおっしゃいますけれども、厚生省として基本的に考えるべき問題というのはやっぱりあると思うんです。どういう方向でということを持っていないと、投げるときも投げられないんじゃないですかね。その辺も含めて御答弁いただきたいんです。
#157
○政府委員(清水康之君) 御指摘のとおり、例えば一・五歳児健診は市町村がやる、三歳児健診は保健所がやるというふうなことについては非常にわかりにくいではないか、一般の国民の方々からもなかなか理解がしにくいというふうな御指摘をいただいておるわけでございますけれども、私ども、行革審等からいろいろ市町村移譲という問題について類似の指摘を受けておりまして、基本的には、保健サービスのうちの対人サービスは、市町村を充実して、市町村において行っていくというふうな考え方に当然立っているわけでございます。
 ただ、今お話のありました保健指導、あるいは新生児の訪問指導、健康診査、妊産婦の訪問指導といったようないろんな基本サービスについて市町村に移譲をしていくということのためには、市町村側の受け入れ態勢、特に保健婦等のマンパワーの問題、機能分担の明確化、そういうことがいろいろ必要でございまして、現在ちょうどその地域保健の問題について総合的な立場から、この地域保健基本問題研究会が設置されているわけでございますから、この中で適切な結論を出していただいて、そして基本的なサービスの移譲についてこの全般的な見直しの一環として進めていきたい、こういうふうに考えているわけでございます。
#158
○木庭健太郎君 またもう一つ、現行の母子保健法において大きな柱と言えます妊産婦、乳幼児に対する健康診査の拡充の問題についてもお伺いしておきたいと思います。
 安全な分娩、子供の出生、そして生涯にわたる健康の基礎づくりという観点から、やはりこの問題は重要な問題だと我々は考えております。厚生省が出しました母性、乳幼児の健康診査及び保健指導に関する実施要領、昭和四十一年、というのを読まさせていただきました。
 これによりますと、妊婦に関しては、妊娠七カ月までは四週間に一回、八カ月から九カ月までは二週間に一回、以降分娩までは一週間に一回の保健指導、これ全部合わせると十四、五回になると思うんです。また、乳幼児に関しては、生後一週間以内、一カ月、三カ月、五−六カ月、九カ月に少なくとも各一回、一年以降就学まで少なくとも年一回以上の指導が必要というふうになっておるわけでございます。ただ、この保健指導と書いてあるのと比べて、今度は公費負担の方を見させていただくと、現在公費負担の対象になっている健康診査というのは、妊娠中の一般健診の二回、乳児二回、一歳六カ月、三歳という形になっておりますが、指導しておきながら、それを全部とは言いませんけれども、これは余りにも格差があるんじゃないかなと私は思うんです。
 せめて、妊娠中の健診という問題でいきましたならば、公費負担というのを、例えば妊娠の前・中・後期みたいな形で分けられまして、私どもは六回というふうに主張しております。これでも保健指導から比べれば半分でございますけれども、こういった形というものを図る必要があるし、特に今度は乳児の問題で言えば、一歳六カ月健診というのは、やはりこれはきちんと法定化を図るべきではないかというふうに考えておるんですが、これについての見解を伺います。
#159
○政府委員(清水康之君) 妊婦の健康診査につきましては、今お話しのとおり妊娠前期と妊娠後期に一回ずつ医療機関で無料で受診ができる、そういう制度になっておりまして、いわば受診促進といいますか、そういう観点からすれば一応必要な措置が講じられているというふうに考えております。
 しかし、妊産婦死亡率などが欧米に比べて高いという問題もございますので、そういう妊産婦死亡率の改善などに絡んで、もう少し死亡原因に関する医学的研究をするとか、健康診査における新たな検査項目、例えば超音波診断法に基づいて、エコーというので、いろいろ妊娠の診断、胎盤の位置、胎児の頭の計測といいますかそういうもの、多胎の診断などが行えるようなそういうことが行われておりますので、こういうエコーの利用といいますか超音波診断、そういうふうな問題をうまく導入できないかどうか、こういう問題を検討してまいりたい。回数増というよりも、そういう方向での検討をしてみたいというふうに考えているわけでございます。
 一歳六カ月健診の問題につきましては、確かに現在は通達に基づいてやっているわけでございますけれども、これをしかるべき時期に法定化する、それも市町村事業として一元化して法定化するというふうな問題につきましては前向きに検討してまいりたい、そう思います。
#160
○木庭健太郎君 もう一つ今度は、子供を安心して産み育てるという環境整備という観点から、いわゆる妊産婦の方から要望が強いのはホームヘルパーの問題でございます。妊娠、出産によって日常生活を営むのに支障がある妊産婦の方、また乳児の保育を行うことができないというような方に、妊産婦の家庭における妊産婦ホームヘルパーという考え方、この派遣の問題は私は非常に大事な視点ではないかなと思っております。
 また今度は、先ほども言われましたけれども、日本の場合は、どうしても妊産婦の死亡率が高いという問題は、研究しなくちゃいけないんですが、スウェーデンの二倍とか言われる。これだけ医療がきちんと発達した日本でどうしてこんな現状になっているんだろうというのは、まさに不思議でならないし、本当にそういう問題を改善しなくちゃいけないと思っているんです。
 もう一つは、妊産婦がいわゆる休養、保護、それからどう生活すればいいかという指導の場所みたいな形としての母子休養施設の設置のような問題、あるいは母子休養施設を全部つくるというのはまた大変な問題ですから、それとともに、例えば助産所とか母子健康センターをそれでもって活用するというような問題、そういう育児支援みたいなものがこれからは大事になっていくだろうと思っておるんです。これについて、厚生省としても取り組もうとしたいきさつもよく知っておりますし、それを含めてぜひこういうものに向かってどういうお考えでどうされようとしているのかをお聞きしたい。
 もう一つは、仕事と子育ての両立支援という観点から見ていきますと、子供が病気になった際のフォローの問題でございます。今、お年寄りを見るために介護休暇制度というのが各企業ででき上がってきておるんですけれども、いわば子供が病気になったときにも安心して休暇を取得できるような制度というのがやはり必要ではないかと思っております。こういうお年寄りとともに、子供に対する、今現在この介護休暇制度というのは実際に企業ではそれぞれ広がっているわけですから、そういうものに広げていくということがお母さんたちにとって安心できる制度になるんじゃないかと考えます。この点ついては労働省から御見解を求めたいと思います。
 それと、先ほども話が出ておりました病児デイケア事業の問題でございます。ようやくモデル事業が始まり、私たちも非常にいいことだと思っておりますけれども、これについてどんなふうに今後発展させようとお考えになっているのか。これは厚生省の方に御答弁をいただいておきたいと思います。
#161
○政府委員(清水康之君) 妊産婦の方に対する支援につきましては、ぜひ健やかに子供を産み育てる環境づくりというものの一環として積極的な取り組みが求められているというふうに認識しているわけでございますが、御提案のその妊産婦ヘルパーあるいは産後ケアのための母子休養施設の整備、あるいは助産所の活用といったようなことについて、これを国の事業として取り上げて行っていくかどうかということについてはさまざまな意見があるようでございます。私どもも、なるべく関係者の方々の理解を求めながら、これを予算化するといいますか、制度化するということについていろいろ工夫もしてみたいと思いますが、現在の段階では、民間の自主的事業が行われつつあるという実情もありますので、財政当局も含めて、関係者の方々の大方の理解が得られるかどうかという見きわめも行いながら慎重に検討させていただきたいと思います。
 病児デイケアのパイロット事業につきましては、平成四年度から、地域特性や施設類型の異なる施設において、六カ所においてパイロット事業として実施しております。その試行を通じまして、対象児の範囲、受け入れの方法、あるいは必要な設備、処遇の内容といったことについて研究を今行っているわけでございますので、大変要望も強いことをよく知っておりますから、できる限り早い時期にこれをパイロット事業ということではなくて、本格的実施に向けてできるように検討を進めたい、こう思います。
#162
○説明員(平野由美子君) 先生からの御指摘は、介護休業は子供が病気の場合にもとれるような形で普及させるべきではないかということだと思いますが、私どもが平成三年十一月に実施しました調査を見ますと、介護休業制度の対象となる家族の範囲別企業数の割合というのを見てみますと、配偶者を対象にしておりますのが九七・八%、それから自分の父母の場合とれるというのが九五・七%、それから子供というのが九三・五%となっておりまして、子供の介護についても認める例が多いというようになっております。
 それからまた、労働省におきまして昨年七月に「介護休業制度等に関するガイドライン」というものを策定しておりますが、その中でも、対象となる要介護者の範囲には、最低限、配偶者、それから本人の父母、子供、配偶者の父母を含めるべきであるということにしておりまして、労働省としては、今このガイドラインに沿った介護休業制度ができるだけ多くの企業に導入されるようにということで啓発、指導に努めているところでございます。
#163
○木庭健太郎君 私がたまたま調べに行ったところが子供がなかったわけですよね、親御さん、配偶者はもちろんですけれども。わずかなパーセンテージの差ですが、それで見てもやっぱり子供というのが少し少なくなっていますし、これはぜひきちんと並ぶ形でやっていただければありがたいし、その辺を御要望しておきます。
 そして、もう一つ次に伺いたいのは、長期にわたる入院、療養生活を続ける慢性疾患を持つ子供たちへの施策という観点からお伺いしたいと思うんです。
 これも、これからの母子医療に関する検討会の報告でも、慢性疾患を持つ子供たちに対するクオリティー・オブ・ライフの維持向上の問題は大きな課題だというふうに取り上げられておるようでございます。この問題、子供たちに対して在宅ケアにどんなふうに取り組むか、また訪問看護をどうするか、ホームヘルパーの派遣をどうするか、こういういろんなさまざまな問題があると思うんですけれども、その辺について厚生省の方から何か具体的に今取り組めていることがあればお話しをいただきたい。
 もう一つ、文部省にこれはお伺いしたいんですが、長期入院児に対する教育の確保という問題もございます。養護学校の分教室の問題、院内学級、それから訪問教育といろんな形があるというふうにお聞きしておりますけれども、この現状についても簡潔にお知らせをお願いできればありがたい
と思っております。
#164
○政府委員(清水康之君) これからの母子医療に関する検討会の方から昨年の五月に御報告をいただきまして、実はそれを受けまして所要の改正ができないかということでいろんな関係団体との話し合いを六月以降すっとやってきたわけでございますが、特に費用徴収問題といいますか、そういう点につきましていろいろな団体で意見の調整がとれなかった、意見が一致しなかったといいますか、そういうような背景もございまして法改正案をお願いするということにはならなかったわけでございます。
 私どもは、その中で特にこれからは総合的、体系的な対策の確立に向けていろんな検討をすべきだという御指摘をいただいておりますので、心身障害児対策等の関連分野との整合性といったようなものに留意しながら、対象者の範囲、医療費の適正な費用負担のあり方等、十分な議論を行ってこれから意見の調整を鋭意進めながら、できるだけ話し合いがつけば必要な改正の中に盛り込んでいきたい、そう思っているわけでございますが、特に難病児対策全体の中でこの在宅ケアの充実というふうなことにつきましても鋭意努力をしてまいりたい、そう考えております。
#165
○説明員(日高紘一郎君) 御質問の病院に入院している児童生徒につきましては、医療を必要とする期間に応じまして、病弱の養護学校あるいは小中学校の病弱、身体虚弱特殊学級におきましてそれぞれ教育を行っているところでございます。
 このうち、比較的長期の医療を要する子供たちにつきましては、病院等に併設されております病弱の養護学校が教育の場になっておりまして、平成四年五月一日現在で全国で九十七校ございまして、幼稚部から小中高等部合わせまして五千百七十五人が在学しているということでございまして、このうちの一部が病院内に設置されております分教室で学んでいるという状況でございます。
 また、比較的短期間入院期間中の児童生徒につきましては、小中学校の病弱、身体虚弱の特殊学級が教育の場になっておりまして、平成四年五月一日現在で申し上げますと、小中高合わせますと五百四十学級ございまして、千七百一名の子供たちが在籍しているということでございます。このうち病院内に設置されております学級、いわゆる御質問の病院内学級というのは二百四十八学級設置されておりまして、八百二十二人の児童生徒が在籍しているということでございます。この二百四十八学級は、平成四年度の数字でございますが、三年度に比較しますと約二十クラスほどふえておりまして、私どもといたしましては、あらゆる機会を通じまして、各都道府県教育委員会に子供たちの教育権を保障するために院内学級の設置が促進されるよう指導しているところでございます。
 それから、訪問教育につきまして若干申し上げますと、心身の障害の状態が重度あるいは重複していたりしておりまして日常生活において常時介護を必要とするために、どうしても通学して教育を受けることが難しい児童生徒につきましては、教員を派遣いたしまして、いわゆる訪問教育と言っておりますが、訪問教育を行うことによりまして修学の機会を提供しているわけでございます。この訪問教育につきましては、現在、義務教育段階における養護学校等における教育の一形態という形で行われておりまして、重度、長期障害児の教育を受ける機会を保障するために必要な措置であるというふうに考えております。ちなみに、平成四年五月現在で、訪問教育の対象となっている児童生徒数は全国で三千八百二十三人ということでございます。
 文部省といたしましては、従来から、このような病気療養中の児童生徒や重度、長期障害児に対する教育を適切に行うために、病院内の特殊学級の適切な設置、訪問教育の充実などにつきまして各都道府県教育委員会を指導しているところでございます。
 また、今年度から新規事業といたしまして、二年間で、病院内学級のあり方も含めまして病気療養児の教育に関する調査研究というものを間もなく開始することにしております。今後とも、これらの児童生徒が適切に教育を受けられるように私どもとしましても努力をしてまいりたいというふうに考えております。
#166
○木庭健太郎君 そこで、厚生省に一つだけ確認をしておきたいのですけれども、小児慢性特定疾患研究事業というのがございます。これについてこの検討会報告書を見ていますと、医療費の適正な負担のあり方を含めた検討が提言されておるわけでございます。これは、小児慢性特定疾患の子供さんを持つお母さんたちが、また家族が心配しているのは、適正化ということで、現在これについては公費負担の制度がきちんとあるんですけれども、これをなくすつもりじゃないかというような御心配、誤解をされているんだと私は思っております。これについては、小児慢性特定疾患の事業について公費負担の制度についてはきちんと堅持をしていくというお考えで変わっていないと思うんですけれども、その点だけ確認させてください。
#167
○政府委員(清水康之君) この検討会報告の指摘の中で総合的、体系的な見直しということを指摘していただいているわけでありますが、その場合には、「心身障害児対策等の関連分野との整合性に留意しつつ、」「医療費の適正な費用負担のあり方等についても十分な議論を行う必要がある。」、こういうふうに指摘されております。
 この中で、率直に申し上げまして、研究費助成という形でいわば医療費の負担だけに着目して公費助成をしている、ややそれが偏り過ぎているんではないか、そういうふうな多分気持ちが背景にありまして、医療費助成だけではなくてもっと在宅対策であるとかあるいは福祉対策であるとか家庭支援であるとか、そういうようなことを総合的にやれというのがこの検討会の意見であろうと思いますので、私どもはそういう指摘を受けまして、先ほども申し上げましたが、たくさんの関係団体がございますから、その関係団体のいろんな意見を聞きながら検討してまいったわけでございますが、意見の一致を見られなかったというのが事実でございます。
#168
○木庭健太郎君 もうちょっと突っ込んで聞きたいのですけれども、時間がぎりぎりになっておりますので、最後に、大臣に。
 母子保健の問題を今何間かずっとやらせていただきました。さまざまな問題がまだまだ残っているし、実際に検討していただいている段階のところもございますけれども、来年は国際家族年というときでもありますし、ある意味では母子保健医療についても重大な転機だろうと思っております。こういった問題、大臣としては一生懸命取り組まれると思います。私も、こういう問題を取り上げながら、男性議員がこういうのを取り上げてどうなんだろうと思いながらも、男性議員だからこそやるべきだろうと思ってやっているわけでございますけれども、大臣としての決意を伺っておきたいと思います。
#169
○国務大臣(丹羽雄哉君) まず、妊産婦や乳幼児の健康の確保というのは生涯にわたる健康のいわば基盤になる、こういう考え方に立ちまして大変重要な課題であると、こういう認識をいたしているような次第であります。
 現在、公衆衛生審議会総合部会の下にございます地域保健基本問題研究会というところにおきまして、地域保健の総合的見直しの検討が進められておるところであり、母子保健事業の市町村移譲などを含めまして母子保健のあり方について抜本的に御検討を賜っておるわけでございます。できますならば、この研究会の報告を踏まえまして、これがまとまればぜひとも法制化を目指していきたい、このように考えているような次第でございます。
#170
○木庭健太郎君 あと二、三分あったので、最後に、大臣にちょっとお聞きしておきたいんです。
 母子保健の問題じゃないんですけれども、四月二十七日の全日本病院協会研修会ですか、そこの文章読ませていただきましたら、大臣が、いわゆる治療費を払わない外国人の問題について、治療
費を払わない外国人を救済するための方向について近いうちに結論を出したいというようなお話をされているようでございます。この問題は、私も当委員会で取り上げさせていただきましたし、自治体が困っている問題、もちろん私の立場で言えば人権の問題、いろんなことで言いました。ただ、これを見ると近いうちに結論を出したいということでおっしゃっていますから、何かこれで当委員会の場でおっしゃれることがあるならば、一言このことについて聞いて、私の質問を終わりたいと思います。
#171
○国務大臣(丹羽雄哉君) この問題につきましては、厚生委員会を初め、また予算委員会等で何回となく取り上げられておるわけでございます。
 実は、この全日病の研修会におきましても、質問が出まして私がそれに答えたわけでございますけれども、先生御案内のように、日本国内に適法に居住する者については、内外人の平等の原則に立ち国籍を問わず所要の負担のもとに必要な医療が受けられる、こういうような仕組みがとられております。不法に滞在する外国人に対しましては、不法滞在を前提とするような医療保障を行うということはいかがかなと一こういう面があるわけでございますけれども、その一方で、医療機関は正当な理由がなければ患者からの診療の求めを拒んではならないという、いわば応招義務というのがあるわけであります。
 そういう中において、外国人が診療を受けた場合に医療費を払わず、その費用が医療機関の負担になっているということが大変最近ふえてきておる。こういうことでありまして、この問題につきましては、実は関係省庁と協議をいたしておりますけれども、私といたしましては、いつまでも放置しておくわけにも、いかない、できるだけ早い機会にこの問題について関係省庁との意見の調整を踏まえまして、一つのいわゆる救済策といいますか、何らかの形の救済策というものを見出していかなければならない、こういうような考え方を持つものでございます。
#172
○木庭健太郎君 ありがとうございました。
#173
○勝木健司君 ゴールドプランについて最初にお尋ねをいたします。
 ことしで四年目を迎えたわけでありますが、私は、このゴールドプランが策定されたときに、年次計画がないこと、また具体的施策が明らかでないこと、また財政的裏づけがないことなどを指摘させていただきました。また、現在全国の地方自治体にて策定されておりますこの老人保健福祉計画により、住民の要望あるいは寝たきり老人の数など地域の実態が把握されるわけでありますので、その結果を見て、ゴールドプランも実際の需要に見合うように修正するところは修正するよう主張してきたところありますが、それに対して、厚生省、政府は、サービスの必要度、緊急度に応じて毎年度の事業量を設定していくことの方がベターだと答弁をされておるわけであります。
 言うまでもなく、このゴールドプランは超高齢化社会を目前に控えておりますので、極めて重要な計画でありますので、政府はもちろん、国、地方自治体あるいは民間団体、国民一体となった取り組みが求められているものであります。そういった意味で、私は、随時この進捗状況を確認していかなければならないと思っております。
 そこで、お尋ねをいたしますが、必要度、緊急度に応じて進めているということでありますが、現在のこのゴールドプランの進捗状況は、計画どおりに進んでおるのか、特に力を入れて現在進めているところなどをお伺いいたしたいと思います。
#174
○政府委員(横尾和子君) 既に実績の出ております平成三年度の進捗状況につきましては、何回か当委員会でも御報告を申し上げておりますので、概括的に申し上げますと、在宅対策では、ホームヘルパー、ショートステイが順調に進んでいるのに対しまして、デイサービス、在宅介護支援センターがおくれているという実情にございます。入所施設につきましては、特別養護老人ホームが予定以上の整備が行われております。老人保健施設については、都市部の整備に問題が残されているように存じます。全く新しい施設として導入をいたしましたケアハウスについては、今後その整備について相当なてこ入れが必要かというふうに考えております。
 重点といたしましては、進捗のおくれている施策について、運用の弾力化等の工夫を図るなどして進展を促進したいというふうに考えております。厚生省がさまざまな施策を行いますことについて、地域関係者との意見交換も必要だということで、それぞれの地域担当者と積極的な会議を持つなどして全国的にこの計画が進むように努めているところでございます。
#175
○勝木健司君 特別養護老人ホームにつきまして、入所待ちの人たちが非常に多いということで、解消するために前倒してこの整備を進めているということでありますが、昨年の本委員会でも、お聞きしたときには、待機者はたしか平成二年十月現在で二万九千人ということでありましたが、その後その数は解消されているのかどうか、また大都市につきましての整備では割り増しをしていくということでありますけれども、その進捗の状況についてもあわせて簡潔にお尋ねいたしたいと思います。
#176
○政府委員(横尾和子君) 特別養護老人ホームの待機者につきましては、現在地域計画の立案の前提として各自治体が実態調査を行っておりますので、その状況を待ちたいということと、また特養の入所希望そのものが当該地域での他のサービス、例えば在宅サービスの進捗状況いかんによって入所希望かどうかの数が変動するような性格でもございますので、計画策定を待って把握することが適当だと考えている次第でございます。
 しかしながら、特に大都市での整備というのは問題でございますので、御指摘のありました大都市に対する整備促進策を進めておりまして、大都市の整備について、整備費の補助単価について従来から五%の特例を設けておりましたが、特に平成五年度についてはさらに五%以内の上乗せ、両方で一〇%以内の上乗せが可能なようにしたわけでございます。また、補正予算の関係でも特別養護老人ホームの整備については重点的に枠をしたつもりでございます。
#177
○勝木健司君 この老人保健施設の整備は、用地取得あるいは費用の面でなかなか難しい面もありまして、とりわけ大都市では建設促進が進まない状況にもあると聞いておるわけであります。
 そうした中で、この春でしたか京都、大阪で既存の保育所のスペースを利用した特別養護老人ホームが併設をされたようでありますが、私はこのことは画期的な考えでなかろうかというふうに思います。用地取得に悩む大都市にとりましては用地取得が容易な上、建築費用の負担が軽くなり、また何よりも老人と子供の触れ合いが図られるなど大きなメリットがあると思うのでありますが、厚生省はどうこの点を評価されておるのか、そして今後保育所との併設をどんどん進めていく考えはあるのかどうか、お伺いをいたしておきたいと思います。
#178
○政府委員(横尾和子君) 他の福祉施設との併設あるいは福祉施設以外のさまざまな公共施設との合築ということは、私ども今後の都市部での整備を進める中の大変重要な施策というふうに考えております。そういう意味で、今お話のありましたような使われ方というのを高く評価したいと思っております。
 このことについては、自治体の関係者の集まりました会議の席上、厚生省としても応援するということを申し上げてまいりましたけれども、必要があれば、たまたま児童家庭局長も本店におりますが、両局でしかるべきお知らせといいますか通知を出すような形で周知徹底を図りたいと考えております。
#179
○勝木健司君 児童家庭局長、いかがですか。
#180
○政府委員(清水康之君) 全く老人保健福祉局長の答弁と同趣旨でございまして、私どももぜひ保育所が保育所だけというよりは、お年寄りとの触れ合いなどが大変重要でございますから、敷地的に余裕があれば、特に地価の高い都市部において
は保育所の敷地を活用した形で老人の施設を合築していく、そういうことについてはぜひ前向きに考えて、できれば両局長の連名通達ぐらい出してこれを促進していきたい、そう思います。
#181
○勝木健司君 次に、マンパワーについてお伺いをしたいと思いますが、このゴールドプラン達成のかぎはマンパワーの確保であることは言うまでもないわけでありますが、その中でも看護職員はその中心となるわけであります。看護婦さんの勤務体制の改善が一向に進んでいないんじゃないかというのが現状でもあります。
 昨年十二月の人材確保の促進にかかわる国の基本指針が策定公示されておるわけでありますが、今年度予算案にはこの看護婦職員等の人材確保対策についての追加的な新たな施策の展開は盛り込まれていないんじゃないかということ。で、私といたしましても期待外れの内容となっておるわけであります。
 この六月一日にも、看護業務検討会が看護婦の勤務体制の改善などに関する報告をまとめて、三交代勤務の見直しなどを提言なされておるわけであります。その中で、夜勤専従看護婦やあるいはパートタイム看護婦を一定の条件をつけて積極的に導入するよう提言をされておるわけでありますが、人材確保のためには離職者の職場復帰、再就業も検討すべきではないか、そういうことが重要になってくるんじゃないかと思います。そういった意味で、円滑に再就業が進められるような研修とかあるいは教育体制の整備をもっと積極的にやっていかなければならないと思いますが、その点についての厚生省の見解を伺っておきたいと思います。
#182
○政府委員(寺松尚君) 先生御指摘のとおりでございます。一たん離職いたしました看護職員の再就業を促進するということは、看護職員の確保対策を推進する上で極めて重要であるという認識を持っております。
 従来から、ナースセンターにおきます無料職業紹介事業を初めとします各種の施策を講じてきたところでございます。離職した看護職員の多くは、再就業に当たりまして、医学技術の進歩が急激なために医療現場に復帰するということをなかなかためらうというようなこともございます。不安に思われる方も多いというようなことでございますので、それに対しましては看護力再開発講習会というふうなものを開催するなどして円滑な再就業の促進に努めていきたい、こういうふうに考えております。いずれにいたしましても、こういう看護職員を初めとします医療関係者職員の生涯教育といいましょうか研修というものは非常に大事でございまして、あらゆる機会を通じまして私どもやっておるところでございます。
 そのほか、再就職の促進ということあるいは離職の防止というようなこともいろいろこれからは重点を置いてやっていかなければならないと考えておりまして、そういう総合的な対策の中で質の高い看護婦を量的にも確保してまいりたい、このように考えております。
#183
○勝木健司君 次に、保育所問題についてお伺いをいたしたいと思いますが、女性の社会進出に伴いまして働く母親が増加いたしておるわけであります。その支援策についても後追いというのが現状であります。そして、取り巻く環境も学校五日制の導入あるいは就業形態の多様化などと相まちまして、夜間保育問題も含めて保育所に対するニーズもますます多様化をしておるのが現状だろうというふうに思います。
 その中で、年度途中の入所を希望する声は育児休業制度の普及などにより高まってきておるわけであります。昨年度、厚生省は、保母さんの確保あるいは円滑な受け入れが図れるように、年度途中入所対策費を新たに計上までされたわけであります。また、途中入所は定員を満たしている場合はなかなか受け入れは難しいわけでもありますが、厚生省は、昨年の本委員会におきまして、保育所が定員を超えても子供の受け入れができるように都道府県に対しその対応についての通知を出すとの答弁が私に対してあったわけでありますが、果たしてその実効は現在上がっておるのかどうか、途中入所の普及が図られているのか、お聞かせを願いたいと思います。
#184
○政府委員(清水康之君) 御指摘のとおり、昨年四月から育児休業法が施行されるということに伴いまして従前以上に年度途中の入所児童が増加するであろう、そういう配慮のもとから、平成四年度から年度途中入所対策費というものを計上したわけでございます。
 実際にこの対策費を申請してきているところは百施設ほどでございまして、必ずしも私どもが予想した数にはなっていないわけでございますけれども、ちなみに平成四年の四月と十一月とで乳児に絞りまして措置人員がどうなったかということを見ますと、四月に比べて十一月は一万九千六百三十名ふえております。出生数が昨年は前年に比べて一万数千人減っているという状況でございますので、そういう状況のもとではこの約二万名近い乳児の措置人員の増加ということにつきましては、私は、各保育所関係者が大変熱心に努力をしていただいていることがこの実績にあらわれているというふうに考えているわけでございます。
 しかしながら、今後とも、乳児保育の必要性、要求というものは大変高まってきていると思いますので、育児休業法の施行の結果どのようになってきたかという実情の把握に努めながら、年度途中での円滑な受け入れについて、ぜひ都道府県を通じて市町村の前向きの対応を求めていきたいと思います。
 なお、定員超過の問題につきましては、昨年の時点で通達を出しまして一五%までの超過は認めると、こういうことを言っておりますので、その点については解決されていると思いますが、ただ、なぜ年度途中入所対策費の申請が少ないだろうかということをいろいろ考えてみますと、要件がやや厳しいのかなと。例えば、四月時点に比べて一割以上の児童が受け入れ増になっておって、しかもそのうちの半分以上は育児休業明けによる受け入れである、そういうふうな要件を多少、初めての制度でございましたので、付加しております関係からやや申請は少ないのかなと思っておりますが、これもよく実情を把握した上で必要な改善を検討していきたい、こう思います。
#185
○勝木健司君 次に、学童保育についてもお尋ねをしたいと思います。
 経済企画庁の外郭団体であります総合研究開発機構が本年の二月に「母親と就労と子供」と題する調査報告をまとめておるわけでありますが、その中で、小学生の子供を持ち働いている母親の多くが子供の放課後の過ごし方に不安を訴えておる、そのために仕事を断念することも多いと指摘をいたしておるわけであります。施設の状況については、学童保育施設のある自治体は九〇年時点で七百五十二で自治体総数の四分の一にしかすぎない、また施設の総数も六千三百十カ所で、このうち公的なものは半数とのことであります。
 先ほども申し上げたわけでありますが、働く母親が増加をしておる、また多様化する就業形態、そして学校五日制の導入などによりまして学童保育のニーズがますます今後高まってくるのではないかと思います。この報告にもありますように、国は学童保育の統一的な基準をつくったりあるいは指導、施設の充実を図るための援助等を検討すべきではないかと思っておるわけでありますが、この点についても見解を伺っておきたいと思います。
#186
○政府委員(清水康之君) 私も、今御指摘のいわゆる総合研究開発機構が行いました調査結果を読ませていただきました。働く母親の増加に伴いまして、そういう私どもの言葉で言う放課後児童対策というものの必要性が非常に高まっているというふうに考えております。
 平成三年度から、実は従来の児童育成クラブというものへ助成を行っていたものを放課後児童対策事業というふうに切りかえまして、その助成の大幅な増加に努力しておるわけでございます。平成五年度では三千九百二十クラブを助成対象にして、前年よりも約四百五十クラブほど増加をさせ
ております。そういう意味で、努力をしておりますが、確かに実施市町村数ということから見ると、全国三千数百の市町村からいえばまだまだ実施をしていない市町村も多いということでございますので、私どもはぜひ児童館の整備という事業とこの放課後児童対策というものとをできれば結びつけまして、自治体によっては児童館の整備はこの放課後児童対策をやることを前提にして児童館の整備をしているという市町村もございますので、平成四年度からは児童館が実施する場合には児童クラブ室ということで、いわば補助対象面積を約三十二平米ほどでございますが別枠で追加するというふうな施設面での充実も図ってきておりますので、今後ともこの放課後児童対策の充実強化ということで努力していきたいと思います。
#187
○勝木健司君 次に、水道水に関して幾つかの質問をさせていただきたいと思います。
 海外旅行から帰ってくる日本人の多くが感じることは、水道の水が安心して飲める日本がいいということでありますけれども、近年、国民の多くはこの安全であるはずの水道水に不安を感じ始めておるということであります。
 昨年の十二月一日、生活環境審議会が厚生大臣に対して水道水の水質基準に関する答申を行ったところでありますが、その生活環境審議会の答申を受けて水道水の水質基準が三十四年ぶりに大幅に改定をされる、そして新しい水質基準が本年の十二月一日から施行されるということであります。
 そこで、この水道水質の基準項目が二十六から一挙に四十六にふえたとのことでありますが、どういう項目がふえたのかということで、この四十六項目の中に健康に関連する項目、セーフティーレベルがあるということ、あるいはまた水道水が有すべき性状に関連する項目、クオリティーレベル、この二つに分類したことの意味、さらにこれとは別に快適水質項目を十三項目定めたということでありますが、その内容についても御説明をいただきたいと思います。
#188
○政府委員(藤原正弘君) 委員御指摘のように、厚生省では長らくこの水質基準の改定の検討をしてきておりまして、昨年の十二月に生活環境審議会から答申をいただいて、それに基づきまして水質基準の改定を行ったところでございます。水道水質基準のこの見直しによりまして新たに水質基準に加えられました項目は二十一項目でありまして、その内訳は、金属類が二項目、有機溶剤等の化学物質が十項目、塩素消毒に伴う生成物が五項目、農薬四項目ということであります。
 新しい水質基準では、委員御指摘のように幾つかの項目があるわけでございます。つまり、健康に関連する項目と水道水が有すべき性状に関連する項目であります。この前者は、人の健康に影響を及ぼすおそれのある物質や項目を定めておりまして、二十九項目が定められておりますし、後者は、色とか濁りとか腐食性などの生活利用上あるいは水道施設の管理上障害を生じさせるおそれのある項目でありまして、十七項目が定められておるわけであります。いずれも水道水にとって必須の項目でありまして、水道水質管理における対応を適切に行うためにこのように分類をしてやっているところでございます。
#189
○勝木健司君 そこで、ハイテク産業で使われている有機塩素系化合物とか、あるいはゴルフ場で使用されている除草剤あるいは殺虫剤などを基準項目に取り入れている点とか、あるいはマンガンや陰イオン系の界面活性剤などの基準値を従来より厳しくしている点など評価すべきところが多いわけでありますが、この旧基準では検出されないこととされておりました有機燐が今回の改定では基準項目自体から外されておるんじゃないかということでありますが、これは一体どういう理由からなのかお伺いしたいと思います。
#190
○政府委員(藤原正弘君) 委員御指摘のとおり、従来の水質基準におきましては、農薬に関する基準として有機燐というのが定められておりました。この有機燐というものの対象となる農薬でございますが、具体的にはパラチオン、メチルパラチオン、メチルジメトン及びEPN、この四種類のものでございました。
 そのうち前三者、つまりパラチオン、メチルパラチオン及びメチルジメトンの三つでありますが、これにつきましては我が国での生産、販売が行われていないことから基準を設定しておく必要がなくなったところでございます。また、残るEPNにつきましても、使用量が少なく検出レベルが極めて低いことから水質基準としては設定しないことにいたしましたが、監視項目といたしまして指針値を設定しまして、体系的、組織的な監視をしていくというふうなことで動向はちゃんと把握していくということにしておるわけでございます。
 さらに、有機燐に関するものという観点で申しますと、今回この五種類の有機燐系の農薬を監視項目として新たに追加して設定しておるわけであります。こういうものにつきましても、監視を強化していくということで十分な体制をとっておるところでございます。
#191
○勝木健司君 次に、最近、水道水がカビ臭いとかあるいはカルキ臭が強いといったような、そういう異臭味の被害が数多く発生しておるんじゃないかというふうに思います。一般国民が実感できるほど水道の水質が悪化しておるんじゃないかということで、最近の水道の異臭味被害の実態、状況はどうなっておるのか、把握されておる状況についてお尋ねをしたい。
 また、それについて全国の水道事業者は、こういった水道の異臭味被害が生じないようにどのような対策を講じているのかも含めてお尋ねをしたいと思います。
#192
○政府委員(藤原正弘君) 近年、湖沼等の閉鎖性の高い水域におきまして富栄養化に起因した植物プランクトンの大量増殖が生じまして、その結果、それらの水域を水源とする水道でカビ臭等の異臭味被害が発生しております。厚生省では、昭和五十八年度より全国的な異臭味被害調査を実施しておりますが、その結果によりますと、異臭味被害人口はここ数年増加傾向にございます。平成三年度には、全国で約二千万人がこの異臭味被害人口に該当するわけでございます。
 全国の水道事業体では、こういうふうな異臭味被害に対しましていろいろな対策を立てておるわけであります。必要に応じまして、浄水場において粉末活性炭を投入するというふうなことをやったりいたしておりますが、さらに異臭味被害が頻繁に起こるような場合には、オゾン処理や活性炭処理を用いた高度浄水施設の整備をしたりしておるところでございます。このほか、貯水池の水を循環させることにより水質を改善するといったようなそういう装置を設置するなどの対策を講じておるところもございます。
 厚生省におきましても、昭和六十二年度から、こういうふうな施設の整備に対しまして国庫補助制度を設けましてこの水道事業体がやります異臭味被害対策を支援しておる、こういうふうな状況でございます。
#193
○勝木健司君 幾ら水道水質の基準を強化したところで、水源の水質悪化が改善されなければやはりイタチごっこであろうかというふうに思いますので、多種多様な化学物質の使用拡大に伴う水質の汚濁、あるいは生活排水等による有機汚濁の進行、あるいは農薬、肥料等々の使用による水質汚濁などによって水道水源が汚染されているとすれば、我が国の水道にとっては将来、今日でも大変危機的な状況にあるわけであります。国民にやはり安全でおいしい水を供給するためには、先ほどもありましたように、高度浄水施設を整備するなど水道事業者の一層の努力が必要であることはもちろんでありますが、やはり将来にわたる抜本的な対策として、水道水源をきれいにする対策が何よりも重要であるというふうに考えます。
 そこで、この水道水源の保全に関する条例とかあるいは要綱を制定しておる地方公共団体は結構あるわけでありますが、今後もふえ続けることが予想をされております。しかし、地方公共団体のみで対応することには限界があるんじゃないかと
いうことで、今後は国レベルで対策を講じていかなければいけない。ことしの二月にも、有識者懇談会が「水道水源の水質保全対策の推進について」の報告書をまとめたところでありますが、時間が参りましたので厚生大臣に最後に、国民の信頼に足る水道を築くということも厚生省の大きな責任の一つでありますから、厚生大臣の積極的な御決意をお聞かせいただきたいと思います。
#194
○国務大臣(丹羽雄哉君) 水道水源の水質保全対策は、安全で良質な水道水を確保する上で大変重要な課題であると考えております。
 厚生省といたしましては、関係省庁の御理解と御協力をいただきまして、今先生の御指摘がございました水道水源、特に最近は例えばゴルフ場の開発やあるいは有害物質の排出などが大変大きな問題となっておりますので、その水道水の根っこの部分からまずきちんと規制をしなければならぬ、こういう観点に立ちまして、水道水源につきましてできるだけ早い機会に法、制度を含めた実効ある対策が講じられるよう最善の努力を尽くしていきたいと思っております。
#195
○勝木健司君 終わります。
#196
○西山登紀子君 私は、子供の福祉と保健に関して質問をいたします。
 まず、保育所対策についてですが、昨年来、突如として公立保育所の保母の人件費の交付税化が浮上いたしまして大問題になりました。
 そこで、端的にお伺いいたしますけれども、昨年末の公立保母の人件費の交付税化の方針は、やり方がまずかった、唐突過ぎたので地方自治体などの猛反対でつぶれた、だから今度は保育問題検討会をつくって自治体の代表も入れまして、手続をきちんと踏んでその論議を経て、その結果としてこの一般財源化を実施しよう、こういうことでしょうか、お伺いいたします。
#197
○政府委員(清水康之君) この二月に設置いたしました保育問題検討会につきましては、保育ニーズの多様化といったような社会の変化に対応して、保育所にかかわる制度及び費用負担全体を議論していただくということで設置されたものでございまして、決して一般財源化という特定のテーマ、問題を前提として限定的に議論していただくというものではございません。
 私どもは、確かに平成五年の予算編成の過程において、公立保育所の人件費について、交付税化をすることによって生み出される財源をもって、いろいろ保育所関係者の要望の強い職員の加配であるとか、あるいは事務職員の問題、常勤化の問題とか、あるいは保育料そのものの見直しとか、そういうことに資することができないかということで一つの案を提案したということは事実でございます。関係者で議論する時間が十分でなかったとか、あるいは特に市長会、町村会などにおいて、特に町村会の方は平成五年の四月からいわゆる老人及び障害者についての措置権限が県から移譲される、そういう問題を抱えていた中に急に保育所の問題についても議論が出てきたということで、関係者が十分に議論して納得をいただくような時間がとれなかった、そういうふうな点もございまして昨年は見送りになったということでございます。
 何か考え方が間違っていたのかどうかということについては、今後この検討会の中においてもいろんな議論があろうかと思いますので、十分その推移を見守って対処していきたい、こう考えております。
#198
○西山登紀子君 自治体の超過負担は今でも大変なものですし、また公立てあれ民間保育園であれ、国と自治体が責任を持つ認可保育園に違いがありませんので、その旨よく受けとめていただきたいと思います。
 さて、児童家庭局長はいろんな場所でいろんなことを発言されておりますが、例えば昨年十二月十五日の保育団体との交渉で、私も同席しておりましたが、措置費制度は国際的に通用しないとか、また、本年一月二十六日の全国民生主管部局長会議や三月四日に開かれました全国児童福祉主管課長会議では、必要であれば児童福祉法の改正もしたいと考えておりますとか、制度疲労を起こしていると言ってもいいのではないかと、こういうふうに発言をしておられますけれども、これらの発言は、保育制度が一体今後どうなるんだろうかと関係者に大きな不安を与えております。福祉制度の制度疲労ということですけれども、局長、これはどういうことを言うのでしょうか。
#199
○政府委員(清水康之君) 私が制度疲労という言葉を用いましたのは、たしかことし一月の全国民生部局長会議の席ではなかったかと思います。
 昭和二十三年に現在の児童福祉法が施行されたわけでございますが、以後四十五年を経過しているわけでございまして、昭和二十年代と今日とでは、大変保育所をめぐる社会経済情勢の変化、あるいは保育所そのものに対するニーズというものについて変化してきていることは紛れもない事実ではなかろうかと思います。児童福祉法自体は、昭和二十年代あるいは三十年代ごろは所要の改正をたびたび行っていたわけでございますが、昭和三十五年の精神薄弱者福祉法の制定、昭和四十年の母子保健法の制定といったような大きな改正以後は、その後他の法律の改正に関連して部分的に手直しをするということはございましたけれども、児童福祉法そのものの大きな改正は行われていないというのが今日の状況でございます。
 その真意は、私は、もちろん時代の変化に対応して、仮に運用でいろいろ対応することができれば適切に対応していくということは当然でございますが、運用改善ということで対応できる範囲を超えたいろんな課題が今日あるのではないか、そうしますと法改正も含めた制度改革が必要になるのではないか、そういう気持ちがございまして、実際の運用に当たっておられる地方団体の意見も十分に聞いた上で適切な対応をしていきたい、そういうことから申し上げたわけでございます。
#200
○西山登紀子君 今の御答弁では、制度疲労の内容というのが少し私には伝わってまいりません。
 それで、局長が制度疲労というふうな御発言を、私には非常に軽々しくというふうに思えますけれどもなさいましたし、厚生省が保育制度の見直しといった場合に関係者が非常に不信感を持つのには、やはり過去の経過を見まして二つの理由が私はあるんじゃないかと思います。
 一つは、保育所対策の抑制というのが、一貫して福祉切り捨てのターゲットにされてきた。臨調答申で、八一年ですけれども、保育所新設の抑制、保育料の引き上げというものを明記しておりますし、また、八五年の大蔵省の若い人たち、若手のグループが保育所国庫負担を批判するなど、とにかく保育所がターゲットにされてきたという事実。それから二つ目は、政府の福祉見直し論の結果どうなるかということを国民の皆さんが知り始めたからではないかと私は思っております。
 例えば、健康保険の見直しと言われますと、一割の自己負担が導入され、国庫負担が削減をされました。また、年金制度の見直しと言われますと、これまた年金水準の引き下げと国庫負担の抑制。そして、保育所の場合はどうなっているかといいますと、国庫負担が十分の八が十分の五に引き下げられたわけですが、その結果、保育所の単価の支弁額の負担区分の割合、これ少し数字を調べてきましたけれども、一九七六年と一九九三年では国庫負担の割合と父母負担の割合は逆転をしております。一九七六年には、国庫負担は五二・〇%、父母負担は三五・五%でした。ところが、一九九三年には、国の負担は二五%で、父母負担が五〇%という形でちょうど逆転をしているわけです。
 また、社会保障費用の負担の割合を見ましても、ちょっと年度は違いますけれども、一九八二年に社会保障全体の国庫負担の割合は二七・〇%、そして保険料は五三・六%でした。ところが、一九九〇年にどうなっているかといいますと、国庫負担の割合は二〇・六%に下がり、保険料の割合は五七・三%ということで国民の負担がふえているという、数字でもこういう結果が出ております。
 このように、国庫負担というのは社会保障、福祉に対する国の責任を示す指標の一つだと私は思うんですけれども、このように見直し論、再検討
論の結果いつも国民の負担増があるということがこの間の過去の経過を踏まえましてますます明らかになってきております。ですから、こういう直接的な厚生省の見直し論に対しまして、加えてこの過去の経過から見て、厚生省の保育所の見直し論に対しまして国民の皆さんが大きな不安を持つのは私は無理がないんじゃないかというふうに思うのですけれども、大臣の御所見をお伺いいたします。
#201
○国務大臣(丹羽雄哉君) 保育対策は、女性の皆さん方の就労と子育ての両立を支援する施策として大きな役割を果たしていると考えておりますが、各方面から保育料の軽減、入所児童の処遇水準の向上などいわゆる広範多岐にわたる要望が出されているところでございます。
 このため、保育ニーズの多様化等社会の変化に対応した制度及び費用負担のあり方全般について、先ほどから御議論いただいております有識者による保育問題検討会を置いて御議論をいただいているところでございますけれども、この検討会におきましては多様化する保育ニーズにどのように対応するのかという観点から議論が進められております。今、委員御指摘のようないわゆる保育制度の後退ではないかとか、こういうことにつながるものではないし、またつながってはならない、こう考えているような次第でございます。
#202
○西山登紀子君 報道されております厚生省の見直し論、ここで私が思いますのは、非常に肝心な点が見落とされていると思いますのは、保育制度は四十五年の歴史と蓄積があるわけですけれども、その評価が非常に欠けていると思うわけです。国庫負担をいかに減らすか、こういうアプローチではなくて、四十五年もの保育制度の評価、これをきちんとすべきだと思います。保育制度が、児童福祉に果たしてきた役割、育児の保障によって女性の社会進出や地位向上にどう寄与したか、ひいては日本の今日の経済や社会の発展にどう貢献をしてきたかというような視点が必要だと思うのです。私は、特に七〇年代に入って著しい発展があったというふうに思っております。
 例えば、現在女子の雇用者は千九百十八万人、全労働者の三八・三%です。有配偶者は千百二万人。そして、出生率の低下や少子化の中で最も要求されておりますのは、子育ての費用負担を少なくしてほしいこととあわせて保育制度の充実でございます。さらに、ゼロ歳から五歳児の七百九十三万人のうち保育所の在籍者は百七十万人ということで、入所率は二一%、実に五人に一人が保育所育ちです。日本の次の時代を担う子供たちが保育所で育てられている、こういう点も積極的に正面から私は評価をすべきだと思っております。もちろん、十分、不十分はあると思いますけれども、この四十五年間の日本の保育制度の到達点、その評価、役割についての大臣のお考えをお伺いいたします。
#203
○国務大臣(丹羽雄哉君) 先ほども御答弁を申し上げたわけでございますけれども、保育対策は、女性の就労と子育ての両立を支援する施策としてこれまで大きな役制を果たしてきたと高く評価をいたしております。
 今後とも、働く女性がふえていくということが予想される中において、女性の方々が社会生活の中で安心して子供を産み育てられるために、いろいろな多様なニーズになってきておりますので、例えば乳児保育であるとかあるいは夜間保育、延長保育など、このような多様なニーズに対応したきめの細かな保育サービスの充実に努めていきたいと思っております。
#204
○西山登紀子君 大臣のそういう積極的な姿勢を私は評価したいと思います。私は、日本の現在の保育制度というのは、女性の進出、そして子供の成長を支えていく上で非常に大きく貢献してきたというふうに思っておりますので、厚生省の方ももっともっと確信を持っていただきたいというふうにも思っております。
 私自身のことになって恐縮ですけれども、私も七〇年代、八〇年代、産休明けから子供三人を保育所にお世話になって育ててまいりました。いつも、子供の出産と仕事をやめるのかどうかという苦しい選択に迫られながらも、しかし、辛うじて保育所で保障をされまして働き続けられ、子供たちも立派に育ててもらった、このことは私の誇りでもあります。
 保育所は子供にとって一時的なサービスの場ではございません。子供は一日の三分の一を保育所で過ごしておりますし、心身ともに発達し成長していく場でもあります。親も安心して働けます。こういった大きな実績のある保育所制度、その保育所制度を支えてきたのが措置制度だというふうに私は思います。
 もちろん御存じのとおりですけれども、措置制度の中には三つの大きな意義があると思います。児童福祉法二十四条で保育に欠ける子供は保育所の入所が保障されるということ、第四十五条、四十六条では最低基準の策定が明記されているということ、五十一条、五十二条、五十五条では市町村、それから国、県の財政保障、こういった公的保障がきっちりと明記されている、これが日本の措置制度だと思っております。
 措置制度の見直しという言葉が先行しているわけですけれども、私はそうではなくて、こういう公的保障、そして日本の女性の社会進出と子供の福祉、成長を支えてきた、また日本の発展を支えてきたこの措置制度は将来ともに堅持すべきものだというふうに思うのですが、明確なお答えをお願いいたします。
#205
○政府委員(清水康之君) 御指摘のとおり、私ども自身も、過去四十年以上にわたりまして保育所が国民の中に定着してくるのに当たり措置制度が果たしてきた歴史的な役割、そういうものについてこれを否定するものではございません。措置制度を中心として保育所が非常に整備をされ入所措置が円滑に行われて、そして、働く女性の方々にとって就労と子育ての両立を図るための非常に貴重な資源として、全国に二万数千カ所もある保育所がある意味で安心をして保育所運営を行っているということは、措置制度の背景があったからのことというふうに考えているわけでございます。
 しかしながら、先ほど来いろいろ御議論がございましたけれども、保育ニーズが大変変化してきた中で、果たして本当に親の方々のあるいは子供の方々の要求に対して現在適切にすべてこたえ切れているんであろうかということになりますと、やはり若干の疑問があるように思います。
 私どもは、今後、働く女性の方々が大変ふえてきておりますので、どのような仕組みをつくったならば本当に国民の希望、要望にこたえていくことができるのか、そういう角度から御議論をいただいております。一方で、保護者の方々の保育料の負担というものについても、現在の税制転用方式によるさまざまの問願点が指摘されておりますから、これをどう変えることが国民の御理解、支持がいただけるものか、そういうことから幅広く検討をしていきたいということでございまして、いわゆる措置という言葉が、措置を見直すというとすぐ何か措置を全面的にやめてしまうというふうな形で、いわば過大に誤解をされて不安感が出ているという点はあろうかと思いますけれども、私どもは、この措置制度の根本的な見直しといいますか、そういうものを前提として議論していただいているわけではございません。
#206
○委員長(細谷昭雄君) 委員の異動について御報告いたします。
 本日、大島慶久君及び尾辻秀久君が委員を辞任され、その補欠として山崎正昭君及び泉信也君が選任されました。
#207
○西山登紀子君 私は、措置制度の三つの重要な意義について述べさせていただきましたが、これは非常に日本の将来にかかわる問題です。ですので、あいまいな御答弁では納得がいかないわけでございます。
 措置制度は堅持をする、そして運用については弾力的、柔軟に時代のニーズに応じていろいろと拡充策は図っていく、こういうことが必要だと思
うのですが、局長、あなたは三月三十日の日本保育協会幹部などとの懇談の席上、民間保育所への市町村の措置委託という形を変え多ことは万々あり得ないと明言をされておりますけれども、この点、間違いはないでしょうか。
#208
○政府委員(清水康之君) 三月の全国保育関係議員連盟という場所でのいろんなやりとりの中で、今御指摘のような発言をしたことは事実でございます。私どもは、特にこの民間保育所というものは市町村から委託を受けていわば子供を預かっているわけでございますから、委託側である市町村が委託費を払わないということはあり得ないわけでございまして、そういう意味で措置委託という形はなくならないだろうということを申し上げたわけでございます。
 しかし、この措置という制度を基本として、それを一階建てだとすれば、現在でも特別保育というふうな形で補助制度もございますが、いろんな意味で多様なニーズにこたえていくための工夫というものは必要ではなかろうか、措置制度についても改善をしていくことは必要ではなかろうか、そんなことを考えているわけでございます。
#209
○西山登紀子君 私は、措置制度の改善というところにどうも見直しと、なくすというふうにニュアンスを込めて言っておられるんじゃないかなというふうに大変心配になるわけでございますけれども、こういうふうにきちっとあり得ないと明言をされているわけですから、そういう方向でやっていただきたいと思いますが、やはり私は制度とそれから制度の運用とをすりかえる論議は大変危険じゃないかと思っております。保育の措置制度は堅持をしながら、やはり現在の保育ニード、国民の要求に見合った、弾力的でそして柔軟な運用を発展させる、そういう必要があると思うわけです。
 私は、いろんな保育団体の方々からの要望書を見せていただきました。日本保育協会やそれから全国保育協議会、全国私立保育園連盟、いろいろな団体、全国保育団体連絡会やいろいろな労働組合の方々の要求書も全部見ましたけれども、共通しておりますのは保育料の軽減、それから乳児、幼児などの保育内容の充実、時代に即応した週四十時間などの職員処遇の改善など、これはやはりすべてに共通した切実な要望となっておりまして、措置制度が古くさいとかなくせとかいうような要望は一つも見当たりませんでした。
 こういう真摯な要望に積極的にこたえていただくのが厚生省の役割ではないかと思いますので、この問題の最後に、厚生大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
#210
○国務大臣(丹羽雄哉君) 保育所の問題についていろいろ御提言を賜ったわけでございますが、保育料が月七万円も八万円にも及ぶ方がい谷一方で、自営業者などでは少額の保育料で済んでいる、これをどういうふうに考えるか。それから、夜間保育や延長保育はどうしたらこれからさらに広げて持っていくか。あるいは国と地方との費用負担をどうするか。さらに、今御指摘がありましたような週休二日制にどうやって対応していくのか、職員の人員配置をどう充実させていくか。こういったような問題について、保育問題検討会でいろいろ御議論を賜っておるわけでございまして、この検討会の結論を踏まえまして所要の措置を講じたいと考えております。
 先ほどからいろいろ御懸念をいただいております措置制度でございますが、措置制度を大幅に見直すといった前提に立って議論をいたしておるわけではございません。
#211
○西山登紀子君 やはり措置制度は堅持するという明快な御答弁をいただきたかったわけですけれども、時間がありませんので次に移ります。
 学童保育について、私は緊急に二点お伺いいたします。
 政府の現在の補助箇所数はまだまだ十分ではございませんで、京都市では九十二クラブ中七十九クラブしか補助対象になっていないと聞いておりますので、この補助箇所数を今後ともふやす努力をお願いしたいというのが一つと、それから緊急にですが、私も視察いたしました学童保育所では一人の指導員で運営されているところは一カ所もないんですけれども、現在の国の補助対象は一クラブ二十人で指導員一人、こういうふうになっているので、大規模施設にはもう一人、複数に加配をするように御努力をいただきたい。この二点についてお伺いいたします。
#212
○政府委員(清水康之君) いわゆる放課後児童対策につきましては、大変これは需要が多いということもありまして、年々補助対象数をふやすということで努力しておりまして、平成五年度も四百五十カ所ほどふやしまして三千九百二十カ所というふうなことにしております。今後とも、ぜひ助成対象クラブ数というものにつきましては計画的にふやしていきたいというふうに考えているわけでございます。
 なお、職員の数の問題の御指摘がございましたけれども、現在、児童おおむね二十人に対して一人の指導職員が配置されるというふうなことになっておりまして、保育所の場合は年齢にもよりますけれども、三十人に対してほぼ一人でございますから、保育所と比べても一応基準としては手厚いものになっているというふうに考えております。指導職員数をふやすという問題ももちろんあるかと思いますが、私どもは緊急に必要なのは、それ以上に児童クラブ、放課後児童対策をやっている市町村数がまだ全国的に見て十分ではないというふうな気がいたしますので、対象の市町村数をふやすといったふうなことをまず優先にして考えていきたいと、現在のところそう思っております。
#213
○西山登紀子君 次に、私はMMRの問題についいて質問をさせていただきます。
 さきの委員会で私がMMRで質問をいたしました直後の四月二十七日に、厚生省はMMRの実施を当面見合わせることといたしました。もっと早い時期に中止されてしかるべきであったと思います。さらにその直後に、阪大微研は、厚生省に無断でMMRの承認申請時の後、実施時と自社株導入時の二度にわたって占部株の培養方法を変更していたと報道されております。これが事実だとしたら、大変重大な問題だと思います。厚生省は阪大微研からどのような説明を受けたのか、また厚生省の立入調査も含めての対応について御報告をお願いいたします。○政府委員(岡光序治君) 五月十日に、財団法人阪大微生物病研究会からMMRワクチンの製造経過等に対する報告を受けました。この報告によりますと、統一株MMRワクチンに用いたおたふく風邪ワクチンの原液は、羊膜培養により製造されたものと細胞培養により製造されたものを混合したものであるということでございますのと、自社株MMRワクチンに用いました原液は、細胞培養によるものであるということでございまして、統一株に用いたものと自社株に用いたものと違うという内容でございました。これにつきまして同法人は、ウイルス学的には同等だという認識のもとにこういったことをやったというふうに説明をしております。
 この報告を受けまして、私どもといたしましては、内容裏づけのための詳細なデータの提出を指示いたしました。あわせまして、事実関係の究明を行うため、五月十八日から二十日までの三日間、香川県の観音寺に同法人の製造所がございまして、阪大微研観音寺研究所と言っておりますが、ここへ立入調査を行ったところでございます。現在、立入調査で入手をいたしました資料、それから法人からの報告につきまして精査、検討を行っているところでございます。
#214
○西山登紀子君 ワクチンは、弱体化されていてもやはり病原体です。その培養方法が違えば別々のワクチンだと判断するのが当然だと思うんですけれども、阪大微研がウイルス学的に言えば同等だということで、届け出は要らないというふうに主張しているのは言い逃れだとしか思えません。厚生省がそのような立場をとるべきではないと考えますが、いかがでしょうか。
#215
○政府委員(岡光序治君) 培養方法等製造の方法
が一部違った場合に、同じ医薬品と言い得るか否かにつきましては、その製品の成分等に関します同等性について専門的な判断が必要でございます。今回、同じ占部株が製造に用いられていたと阪大微研から報告を受けているところでございますが、現在そういった中身につきまして調査をしている段階でございまして、調査結果をもとに専門家の意見を十分聞きまして、会社側の主張が正しいものかどうか私ども判断してまいりたいと思っております。
#216
○西山登紀子君 薬学界の常識だそうですから、厚生省も厳正に調査をよろしくお願いしたいと思います。
 済みませんが、時間がなくなったので、次は四番目の大臣への質問に飛ばさせていただきたいんですが、この占部株以外の武田、北里の自社株、MMRワクチンについても、問題がないかというとそうではなくて、千百人から千八百人に一人の割合で副反応が発生しているわけです。当初、厚生省が言っておりました数十万人に一人からすると、とてつもない数字だと思います。先日の委員会での主張は繰り返しませんけれども、中止を決定して以降、厚生省がしなければならないことは、阪大微研の問題も含めましてこの四年間、国民がこの問題で率直に感じている疑問にきちっと答えることだと思います。親も子もお医者さんも安心できる予防接種行政の実現のためにも、今回の阪大微研の調査結果についても公開し、納得いくような報告がされるべきだと考えますけれども、大臣の御所見をお伺いいたします。
#217
○国務大臣(丹羽雄哉君) MMRワクチンをめぐりまして、国民の皆様方の間にいろいろな不安や疑問の声が上がっておりますことを謙虚に反省をいたしております。しかし、ワクチンそのものは疾病対策上重要な役割を担っておりますので、それだけに有効性、安全性、品質の確保を最優先としなければならないものと考えております。
 それから、阪大微研の件でございますけれども、阪大微研におきます培養方法の変更などをめぐる問題につきましては、現在事実関係などについて調査を行っている段階でありますので、その結果を踏まえまして適切な対応をしてまいりたいと考えております。
#218
○粟森喬君 先ほど同僚議員から中医協の運営のあり方に意見が出されておりましたが、私は、その問題にも触れながら、特に厚生省の審議会の委員の人選のあり方についての考え方をお尋ね申し上げたいと思います。
 審議会というのは、国民の意見あるいは専門家の意見を聞いていくという意味では、行政民主主義と言われる一般論の中で非常に重要な役割を果たしている。ところが、最近の私の一つのこれは率直な感想でございますが、審議会の結論というのは常に厚生省の見解と一致をする、どうもそんな感じでしか私は報告書を読めないんです。だとすれば、これは国民の広い意見を聞くという意味で、いわゆる審議会の諮問、答申というものを考えるときに、厚生省にとって都合のよい委員を選定して審議会を結果的に隠れみのにしているのではないか、こういうふうに感ずるわけでございますが、見解をお尋ねしたいと思います。
#219
○政府委員(瀬田公和君) 先生のお尋ねでございますけれども、厚生省の審議会の委員の人選に当たりましては、個々の審議会の目的とか性格に沿いまして各界各層の意見というものを厚生行政に適切に反映させる観点から、公正に行っているものというふうに私たち考えております。さらに、具体的な基準といたしましては、先生御承知と思いますが、昭和三十八年の九月に閣議口頭了解で「各種審議会委員等の人選について」という内規がございまして、これによりまして、関係のある広い分野から清新な人材を起用するように努める、また、十分に職責を果たし得るよう本人の健康状態等に留意し高齢者または兼職の多い者は極力避ける、また、委員の長期留任といったものにつきましては特別の事由のない限り行わないというふうな配慮を行っているところでございます。
 各種審議会におきましては、それぞれの法律に基づき、その設置目的に応じまして、重要事項に関する調査、審議等を行う合議制の機関でございまして、そうした重要事項の一環といたしまして法律案の作成等につきましては、先生御承知のように審議会にお諮りをいたしまして答申をいただいているところでございます。
 厚生省といたしましては、こうした各界各層からの代表によって構成されます審議会の意見を十分に尊重しながら、個々の施策に反映させて行政を推進するように十分に努めているところでございまして、審議会を隠れみのとしているというようなことは全くございませんので、先生にも御理解を賜りたいというふうに思います。
#220
○粟森喬君 そう言われても、法案と審議会の答申を見たら全く一致しているというのは、どう考えてもいけないことだと私は思います。
 私は、少数意見があったら、少数意見をちゃんとやっぱり併記をしておくぐらいのことがなかったらいけないことだと思います。脳死臨調の場合は相当強行な少数意見がありまして、これはきちんと記述されております。
 私は、審議会の、これは答弁をもらうといって一つ一つやっておったら大変なことでございますが、あえてこの部分、人選とあり方の問題で、個別の人の問題もお聞きをいたしますと、多少はそのことについて意見を持っている人がなぜ審議会でそうなるのかというと、結果として運営と人の配置の仕方です。そして同時に、それぞれの委員の意見、少数意見もやっぱり併記をしていく中で審議会というものを生かしていかないと、これは今一方で許認可行政のことが大きな問題になっていますが、こんな審議会なら何だという話になりかね。ない。そういう意味で、厚生省としては十分ここはこれから留意をしていただきたいと思います。
 そこで、先ほども触れられたわけでございますが、中医協の委員のあり方でございます。私は、中医協の委員というのは、いわゆる保険者側、医療に従事する側、公益委員と三つのグループがあるというふうに承知をしております。特にこの中で公益代表というのは、国会の承認人事でございます。この中医協というのは、それぞれ利害が対立をする中で一つの結論を、これは両論併記というわけにはいかない問題がたくさんございます、具体的に点数をどうするかという話でございますから。それだけにここの選び方というのは重要な意味を持っております。
 ところが、その委員会の議事録は公開されない、結論だけです。どなたが、どういう立場で、どう論じられたのかということを仮にお聞きをしても、厚生省が言うのは、いい先生でございますと言うだけです。いいとか悪いというのは何を基準にされているのかわかりません。特に、今中医協のあり方が非常に大きく論ぜられるのは、やっぱりかなり現実の保険診療点数を決めるときにここは重要なかぎになっている。同時にこのときに、公益側の役割と事務局のあり方というのは非常に重要な役割を果たしているんだ。事務局というのは厚生省がやっているわけでございますから、その間が全く一致するような公益側の委員の選び方というのは、もしあるとすればそれは問題があるんじゃないか。
 そういう意味で、中医協の委員の選出に当たってどういう配慮とその関係がされているのか、この部分についてお尋ねをしたいと思います。
#221
○政府委員(古川貞二郎君) 御案内のように中医協は、社会保険医療協議会法に基づきまして厚生省に設置された機関でございまして、健康保険等における適正な診療報酬額に関する事項などを厚生大臣の諮問に応じまして審議し答申する、こういったことを所掌としておるわけでございます。ところで、この構成は、先ほど先生おっしゃったように、法律によって法定されておりまして、支払い側、診療側を代表する委員それぞれ八人、公益を代表する方々四名、そういうふうなことで二十名で構成されております。
 お尋ねの選任でございますけれども、公益側に
つきましては、その任命に当たって国会の同意を得た上で厚生大臣が任命する。特にそういった公益側の方々に関しましては、医療の分野にも造詣が深く、公正で人格、識見ともにすぐれた方に御就任をいただくというような状況でございます。それから診療側につきましては、これは医師、歯科医師及び薬剤師を代表する委員から成っておるわけでございまして、各関係団体、すなわち日本医師会、日本歯科医師会、日本薬剤師会の御推薦を受けまして厚生大臣が任命する。それから支払い側につきましては、健康保険等の保険者それから被保険者、事業主等を代表する委員から成っているわけでございまして、関係団体の御推薦を受けまして厚生大臣が任命する、こういうふうなことになっているわけでございます。
#222
○粟森喬君 私は、利害が対立するだけに選び方について、ここに一つの結論を求めるつもりはございませんが、それぞれのグループからむしろ公益の人を推薦してもらうとか、いろいろ同意をいただくとかしないと、何となくこのままのあり方というのは問題意識を持っています。ただ、これは十分意のあるところは厚生省もおわかりだと思いますから、これからの運営で審議会のあり方を全体にそういう意味では留意をしてやっていただきたいと思います。
 次の問題に入らせていただきたいと思います。
 福祉施設等に対する入所に当たっての特に療育手帳を持っている人、これは一般的に精神薄弱者とか障害者とかあるいは知的障害者と言われておりますが、この部分に限って幾つかのことをお尋ねしたいと思います。
 一つは、この種の施設に入るに当たっての法的な根拠というのは、精神薄弱者福祉法といわれるところの中に、いわゆる措置というのはそこに入ることができるということですが、「措置を採るに当たって、医学的、心理学的及び職能的判定を必要とする場合には、あらかじめ、精神薄弱者更生相談所の判定を求めなければならない。」、こういうふうに書いてございます。ですから、これを読む限りでは「必要とする場合には」という言葉で、法的には必ずやらなければならないというふうには書いてございません。ところが、「福祉事務所における精神薄弱者援護事務の執行について」という、これは通知でございますが、これを見ますと、「十八歳以上の者については、必らず精神薄弱者更生相談所の判定を求めたうえ」というふうに、法律に書いてある「必要とする場合」を、こっちは必ずというふうに置きかえてあるんです。これは、法の範囲と、この通達で実際のことがかなり運用をされていますから、なぜこの違いがあるのか、ここをまずお尋ねをしたいと思います。
#223
○政府委員(清水康之君) 今お話しのとおり、精神薄弱者福祉法の十六条の二項においては、「判定を必要とする場合には、あらかじめ、精神薄弱者更生相談所の判定を求めなければならない。」と、こう書いてあるわけでございますが、実際上、精神薄弱児施設や精薄者施設への入所を必要と認めるケースであるかどうか、こういうことを判断する場合には、児童相談所や精神薄弱者更生相談所の専門家の方々の判定を求めて、その判定会議等によって決定をしているわけでございまして、その判定そのものと、それから入所に際して療育手帳のようなものを持つことを義務づけているかどうかということとは別でございまして、適切な処遇をするための判定は必要であろうと思っております。
 ちなみに、例えば精神薄弱者の適所施設につきまして見てみますと、この手帳を持っている方の所持率は九割程度でございますし、入所施設の場合は八割程度でございますし、精神薄弱児通園施設の場合は五割程度というふうなものが所持率でございまして、私どもは、この手帳のいわば保持、提示ということと、それから適切な処遇をするための判定会議をする、つまり精神薄弱者更生相談所等において専門家が判定をするということとはおのずから別ではなかろうか、こういうふうに思っております。
#224
○粟森喬君 その療育手帳の問題ともかかわりが今の部分はあると思いますので、あえて申し上げておきます。
 最近の事情といいますか、私はいい方向に向かっていると思います。一つは、ノーマライゼーションということで、入ったきりの施設から適所施設であるとか、あるいは授産所であるとか、自主的な民間施設、無認可というふうに皆さんの場合は呼ばれることもございますが、そういうものができる。一方で、無認可のところは財政的な負担が非常に大変なものでございますから、この間、厚生省としても一歩前進をしまして分場方式などを取り入れていただきました。これは、私はそれなりに一つの評価をしているつもりでございます。
 ところが、この分場になりますと措置費がきちんと出るものでございます。また、この措置費もことし非常勤の部分をふやしていただくなどの配慮をしていただいた。そうなればなるほど、入るときの基準みたいなものに対して、一つはこの判定会議というものを持つ手順が非常に煩わしい。実は民間といいますか無認可の施設は、その煩わしさを何となく嫌がったところから、自主的にやってきたというところも大変多うございます。しかし、財政上の問題もあったりなどして、分場にした方がいいんではないかというときに、この壁というのはかなり現実に、地域で運用されるときには大きな壁だ。その壁が、実は先ほど申し上げたように、必要な場合というところから必ずというふうに行政の指導が変わる、こういうことに私は問題があるんじゃないかと思います。
 そこで、ここはぜひとも厚生大臣、今やっぱり特にこの知的障害のある方本人のいわゆる権利の問題といいますか、社会的にまだ差別みたいなものが残っているし、家族も療育手帳をもらうということについて非常に消極的な方もおられます。やはり、今福祉事務所なりこの措置を決定するところには、かなり専門的な知識といいますか、基本的なことについてはかなりもう福祉事務所の方々はベテランでございます。この種の手続を省略できるものはできるだけ省略をして、いわゆる本人の人権あるいは親権というものは擁護する立場で、この行政指導のあり方についてやっぱり変えていただきたいというふうに思います。療養手帳の問題も、地域によってでございますが、それをもらってこなかったらだめだというふうに窓口で言われたという例もあるわけでございますが、そこを柔軟にそういう本人たちの人権を尊重するという立場で、ここは改めるところは改めていただきたいと思いますが、厚生大臣いかがでしょうか。
#225
○国務大臣(丹羽雄哉君) 精神薄弱者施設への入所に際しましては、ただいま児童家庭局長が御答弁を申し上げましたように、手帳の提示そのものを義務づけているものではありません。施設入所の手続に際しまして、保護者や本人の意思に反しまして療育手帳の取得を勧めることなく、障害者御自身の人権の尊重とか、家族の方々のお気持ちというものを十分配慮するよう関係者に周知徹底を図っていきたいと思っております。
#226
○粟森喬君 次に、いわゆる食品の農薬基準の問題について幾つかお尋ねをしたいと思います。
 厚生省は、最近いわゆる食品の農薬基準について、新しくつくるといいますか、いろいろ農薬の残留基準に関する食品衛生法にかかわる幾つかの基準づくりに取り組んでおられます。特に、私はなぜこのことが問題になっているかということの背景の一つには、いわゆる日米構造協議を含めて、日本のいわゆる食品の農薬の残留基準が厳し過ぎるといいますか、そういう意見が出ているということもあります。したがって、これに対して、ずるずるずるずる後退をしているという印象を私どもは受けるわけでございますが、厚生省としての基本的な見解はどういう立場で行っているのか、まずお尋ねをしたいと思います。
#227
○政府委員(柳沢健一郎君) 新規農薬の開発あるいは輸入農産物の増大等に伴いまして、かねてから農産物中に残留する農薬の安全性に強い関心が持たれてきたところでございます。厚生省といた
しましては、農産物の安全性を確保する見地から、平成三年九月以降平成五年三月までに、順次、合計九十三農薬につきまして残留農薬基準を設定すべく食品衛生調査会に諮問してきたところでございます。
 この残留農薬基準でございますけれども、食生活を通じて摂取する農薬の量が、科学的に定められた安全レベルであります一日摂取許容量、これをADIと称しておりますけれども、これを決して超えることがないように設定することにしているわけでございます。すなわち、残留農薬基準の設定に当たりましては、安全性の確保が大前提となるものでありまして、外国からの云々というような安全確保を犠牲にして設定されるものではないという基本方針でございます。
#228
○粟森喬君 そのADIの問題も、幾つかの立場でいろんなことをおっしゃる方がおります。どういうことかと申しますと、ADIではかるときに、体重というか、子供と大人では摂取量が違うと。問題がないものだから、そこは余り体重も考える必要がないみたいな考え方があるようでございますが、これまた口に入れるものだけに、それぞれがそれぞれの立場で意見を言っていることを、本当に厚生省がそういう情報なり状況を認識されているのかどうかというのが一つ心配であります。二つ目に、行政監査で、たしか厚生省の検査体制はお粗末であるという言われ方をされたと思うんです。
 以上のように、私は厚生省の今の安全基準づくりの体制のことをお尋ねしたいと思いながら、そのことがどうなっているかということと、クロルプロファムという農薬でございますが、これは外国の基準をそのままうのみにして、それで結果的に日本の国内基準を外国の基準がこうなっているからということで緩和したんではないか、結果的にいわゆる緩くなっているわけでございますから、果たしてこういうやり方というのはいかがなものか。これは、決してそんな外国の例に学んでいない、そんなことに関係ないというふうに言っていますが、これで果たして今の国民が持つ農薬基準に対する不安は解消できるのかどうか、このことについてお尋ねをしたいと思います。
#229
○政府委員(柳沢健一郎君) ADIの考え方は我が国のみならず国際的に認められた考え方でございまして、このADIに基づくということについては何ら問題はないものというふうに考えておるところでございます。
 それから、この残留農薬の検査体制でございますけれども、例えば平成四年十月二十七日に設定されました三十四農薬の残留基準につきましては、農産物輸入関係者に対しまして既に指導を行いまして、この間、厚生大臣の指定検査機関において検査を行う等々してまいったわけでございますし、横浜、神戸には食品検査センターを設置して、とりわけその両センターにおいての検査充実に努めてきているところでございます。
 それから、クロルプロファムの問題についての御質問でございますけれども、御指摘のクロルプロファムにつきましては、我が国におきましては除草剤としての使用を考慮いたしまして、バレイショに〇・〇五ppmという登録保留基準が設定されていたわけでございます。一方、外国におきましてはバレイショの収穫後発芽防止剤として使用される可能性があると承知しておりまして、そうした使用方法も考慮いたしまして、残留農薬基準値を設定するに際しましては五〇ppmという値を設定したところでございます。
 このバレイショの残留農薬基準億五〇ppmを含めまして、他の農産物につきましても、それぞれの残留農薬基準値の上限までクロルプロファムが残留したと仮定いたしましても、その摂取量は安全レベルであります一日摂取許容量ADI以下というふうになっているわけでございまして、安全性の面では全く問題がないというふうに考えているところでございます。
#230
○粟森喬君 ADIの基準が問題ないという根拠に対してきょう言及するまでのきちんとした見解はまとめていませんが、私は、国際基準というのはある種の平均値であったりしますし、各国の事情によって大分違うと思います。日本のように食糧の米を除くところはかなり輸入をしているときに、途中で腐ってはいけないということでいろんな殺虫剤をまいたり、いろんなことをするわけでございますから、どんなものをどう食べるかということについて大分個人差が出てくるような気がいたします。
 したがって、今の答弁は答弁としてお聞きをしておきますが、今後引き続き、この問題は私としてもかなり関心があるということと、やっぱり厚生省がきちんとしたみずからの検査体制を確立していかないと、どうしてもいろんな統計情報なりほかの科学的な見地に依拠するだけでは恐らくまた問題になりかねない、そういう懸念がありますから申し上げておきます。
 厚生大臣にこの際このことについてお尋ねをしておきたいのは、特にそんなことございませんというさっきの厚生省の見解をいただいたんですが、特に通産省がこの残留農薬基準を、いわゆるこの間の経済交渉の中でいろいう言われているので、少し緩和をするという方向がやっぱり出されていますというふうに私は聞いております。国民の健康を守るという厚生省の立場でございます。厚生省としては、そのような通産省の動きに対して、やっぱり厚生省としてしっかりした見解を持ってこの残留農薬基準の問題について規制を厳しくやっていくという立場でやっていただきたいと思いますが、厚生大臣の見解をお尋ねしたいと思います。
#231
○国務大臣(丹羽雄哉君) まず、私どもは、通産省に残留農薬基準を緩和せよというような動きがあるということについては正式に承知いたしておりませんけれども、ただ、食品の残留農薬につきましては一日の摂取許容量ADIを超えない範囲で国際的なハーモナイゼーションを図るとの方針でこれまで臨んでおります。
 予算委員会でこの問題が実は何回となく取り上げられたわけでございますが、残留農薬の基準をもっと厳しくしたらどうか、こういうような意見が各委員から出されたわけでございますけれども、率直に申し上げまして、我が国の食料はカロリーベースで五四%を輸入いたしておるわけでございます。これらの食品の残留農薬はもちろん我が国の一日の摂取許容量ADIを十分にクリアをいたしておるわけでございますので、この点は十分に御理解、御了承賜りたいと思っております。
 ただ、厚生省として確たる姿勢を示せと、こういうことでございますけれども、厚生省といたしましては、FAO、世界食糧機構、さらにWHO、世界保健機構、こういうような場におきまして我が国の実情というものを十分に説明いたしまして、さらに厳しい基準となるよう今後あらゆる機会を通じて主張していく考え方に立つものでございます。
#232
○粟森喬君 時間がございませんので、最後の質問に入ります。
 先ほども出ておりましたが、MMRワクチン接種の中止にかかわる問題です。
 一つは、副作用が予想以上に多いということが判明した段階で厚生省の対応がやっぱり必ずしも早くなかったような感じがするんですが、ここはどうであったのか。そしていずれにしても、これを中止することによって、単品でそれぞれ三回打つということはできるわけでございますが、特に小児科医の団体から、アメリカのメルク社のワクチンを使ったらどうかという提起が厚生省にも確かに正式にあるかと思います。早急にそういう対策を立てないと、一つ一つ打つというのはかなり副作用といいますか大変なことなので、こういうワクチンが開発されたわけでございますから、早急にそれを使えるようにするために今厚生省とすれば何が問題なのか、そういう検討は開始されているのかどうかお尋ねをして、私の質問を終わります。
#233
○政府委員(谷修一君) MMRワクチンにつきましては、接種後に無菌性髄膜炎が一定の頻度で発生するということが導入後明らかになりまして、
幾つかの対応をその都度やってきたわけでございますが、平成元年の十二月からは、希望者にのみ接種を行う、また医療機関あるいは保護者等に対しましてこの無菌性髄膜炎の発生状況の十分な説明を行う、またその後、統一株にかわるいわゆる自社株のワクチンを導入するといったようなことで、その時点その時点において私どもとしては適切な対応をとってきたというつもりでございます。先般、四月二十七日だったかと思いますが、公衆衛生審議会の意見を受けて、当分の間接種の見合せをするという決定をしたところでございます。
 今後の問題でございますが、先ほど西山先生の方からもお話があったことでございますが、現在、このMMRワクチンの問題につきましては、阪大微研の問題について業務局サイドで調査をいたしております。また、私ども保健医療局の方では、MMRワクチンの接種後の無菌性髄膜炎の発生頻度について、その後報告漏れがなかったのかどうか、またワクチンの性状に関するデータの収集、あるいは今お話しございました諸外国のMMRワクチンの状況等についての情報の収集を行っております。県に対します調査につきましては、五月の末に県の方に通知を出しまして、六月の末までに報告をもらうというようなことをいたしております。
 そういうようなことで、これらの一連の調査結果あるいは資料等がまとまりました段階で、このMMRのワクチンを、あるいは予防接種を今後どういうふうにするのか、どういう考え方で対応していくのかといったようなことについて改めて公衆衛生審議会で御議論をいただくというようなことを考えておりますので、その結果を得て私ども判断をしていきたいと思っております。
#234
○政府委員(岡光序治君) 後段のメルク社のものを早く使用できるようにというようなお話でございますが、関係企業から輸入したいという申請がありました場合には、私ども、通常のルールに従いまして審査を行って、その結果を待ちまして承認の可否を判断してまいりたいと思っております。別に、外国製品であるからこれを受けないというふうなことを考えておるわけではございませんで、審査に当たりましては内外無差別の立場で考えておるところでございます。
#235
○委員長(細谷昭雄君) 本調査に対する本日の質疑はこの程度にとどめます。
    ―――――――――――――
#236
○委員長(細谷昭雄君) 次に、社会保険労務士法の一部を改正する法律案及び調理師法の一部を改正する法律案を一括して議題といたします。
 提出者衆議院厚生委員長浦野烋興君から順次趣旨説明を聴取いたします。浦野君。
#237
○衆議院議員(浦野烋興君) ただいま議題となりました社会保険労務士法の一部を改正する法律案について、その提案理由及び内容を御説明申し上げます。
 近年、我が国における労働及び社会保険関係制度においては、社会経済情勢の変化や高齢化社会の到来等と相まって、関係法規の整備充実が図られ、その内容は極めて複雑かつ専門的なものとなってきており、労働、社会保険関係法規に熟達した社会保険労務士の果たす役割はますます重要なものとなっております。
 これに伴い、その業務に必要とされる資質についても、より高い水準が求められているところであります。
 本案は、このような状況にかんがみ、社会保険労務士の資質の向上等を図るため、社会保険労務士会への入会制度を整備するとともに、社会保険労務士の職務内容を明確にする等の措置を講じようとするもので、その主な内容は次のとおりであります。
 第一に、社会保険労務士が行う労働に関する相談・指導業務の重点が労務管理に関する相談・指導業務にあることを明確にするとともに、これに対応して試験科目名を変更すること。
 第二に、開業社会保険労務士がその業務のために備えつける帳簿の保存期間を一年間から二年間に改めること。
 第三に、社会保険労務士は、社会保険労務士名簿に登録を受けたときに、当然、社会保険労務士会の会員となること。
 第四に、この法律の施行の際、現に社会保険労務士会の会員でない社会保険労務士が、この法律の施行後三年を経過する日までに社会保険労務士会の会員にならなかったときは、その登録を抹消されること。
 その他、所要の経過措置を講ずること。
 第五に、この法律は、平成六年四月一日から施行すること。
 以上が本案の提案理由及び内容であります。
 何とぞ、御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
 次に、調理師法の一部を改正する法律案について、その提案理由及び内容を御説明申し上げます。
 近年の国民の外食依存の傾向にかんがみると、多数人に対して飲食物を提供する飲食店等において調理の業務に携わる調理師の資質の向上を図ることがますます重要なものとなっております。
 調理師に関しては、免許交付後、その者の氏名、住所等が把握されておらず、調理師の資質の向上を目的とした講習会等を実施することが困難な状況となっております。
 本案は、このような状況を改善し、飲食店等において調理の業務に従事する調理師の資質の向上を目的とする研修等の円滑な実施に資するため、これらの調理師にその氏名、住所等の届け出を行わせる等の措置を講じようとするもので、その主な内容は次のとおりであります。
 第一に、飲食店等で調理の業務に従事する調理師は、二年ごとに氏名、住所等をその就業地の都道府県知事に届け出なければならないこと。
 第二に、都道府県知事は、あらかじめ指定する者に、届け出の受理に係る事務の全部または一部を行わせることができること。
 なお、この法律は、公布の日から施行すること。
 以上が本案の提案理由及び内容であります。
 何とぞ、御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
#238
○委員長(細谷昭雄君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。
 これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。――別に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。
 討論の申し出はございませんので、これより直ちに採決に入ります。
 まず、社会保険労務士法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#239
○委員長(細谷昭雄君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 次に一調理師法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#240
○委員長(細谷昭雄君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、両案の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#241
○委員長(細谷昭雄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後五時三十八分散会
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト