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1993/06/10 第126回国会 参議院 参議院会議録情報 第126回国会 厚生委員会 第13号
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1993/06/10 第126回国会 参議院

参議院会議録情報 第126回国会 厚生委員会 第13号

#1
第126回国会 厚生委員会 第13号
平成五年六月十日(木曜日)
   午前十時一分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 六月八日
    辞任        補欠選任
     糸久八重子君     本岡 昭次君
     横尾 和伸君     常松 克安君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         細谷 昭雄君
    理 事
                木暮 山人君
                前島英三郎君
                菅野  壽君
                木庭健太郎君
    委 員
                石井 道子君
                尾辻 秀久君
                大島 慶久君
                大浜 方栄君
                西田 吉宏君
                南野知惠子君
                今井  澄君
               日下部禧代子君
                栗原 君子君
                本岡 昭次君
                常松 克安君
                勝木 健司君
                西山登紀子君
                粟森  喬君
   国務大臣
       厚 生 大 臣  丹羽 雄哉君
   政府委員
       厚生省健康政策
       局長       寺松  尚君
       厚生省保健医療
       局長       谷  修一君
       厚生省老人保健
       福祉局長     横尾 和子君
       厚生省児童家庭  清水 康之君
       局長
       厚生省保険局長  古川貞二郎君
  事務局側
       常任委員会専門
       員        水野 国利君
   説明員
       文部省初等中等
       教育局中学校課
       長        河上 恭雄君
       運輸省運輸政策
       局消費者行政課
       長        浅井 廣志君
       労働省職業安定
       局高齢・障害者
       対策部企画課長  北浦 正行君
       建設省住宅局住
       宅総務課長    吉野 洋一君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○精神保健法等の一部を改正する法律案(内閣提
 出、衆議院送付)
○参考人の出席要求に関する件
    ―――――――――――――
#2
○委員長(細谷昭雄君) ただいまから厚生委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 去る八日、横尾和伸君及び糸久八重子君が委員を辞任され、その補欠として常松克安君及び本岡昭次君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(細谷昭雄君) 精神保健法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
 本案の趣旨説明は既に聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#4
○今井澄君 おはようございます。
 今般提出されております精神保健法改正案につきまして質問をさせていただきたいと思います。
 この精神保健法は、昭和五十九年に報道をされました宇都宮病院事件など大変な人権侵害の事件あるいは殺人にも匹敵するような事件、さらに昭和六十年には国際法律家委員会等のNGOの合同調査団が日本に来るという、そういう経緯の中で精神衛生法から精神保健法への抜本的な改正がなされてきたという経緯があると思いますし、そういう過程で昭和六十一年には公衆衛生審議会精神衛生部会の方から中間メモというのが出されて、この法案が成立したと思います。その中には、昭和六十二年時点での法律改正で十分対処し切れないということも既にわかっていて、五年後の見直しということが附則で規定されていたわけです。
 最初に、大臣にお尋ねいたしたいと思いますが、そういった経過で改正された精神保健法のもとでの精神保健あるいは精神医療行政がこの五年間にどういうふうに前進したのか、あるいはどの点で不十分であったのか、また不十分であった点があるとすればそれはどこに原因があるのか、それがまた今回の改正で前向きに進むという保証はどういうふうに考えられているのか、そういう点をお聞きいたしたいと思います。
 特に、まず一番目の問題としては、その発端の宇都宮病院事件などに関係するわけですが、入院患者の人権擁護、あるいはさらに、そういう人権擁護の観点から開放処遇ということの重要性というのがこの間指摘されてきたと思いますが、その点についてはどうなのかということ。
 それから二番目には、社会復帰の促進、推進ということがうたわれてきたわけですが、その辺ではどういう前進があったのか、あるいは不十分さが残っているのか。また、社会復帰という場合は家族への支援の問題もあるわけですので、この点。
 それから三番目には、これは施設内医療あるいは社会復帰を含めてですが、精神医療を充実するためには精神科ソーシャルワーカーとか心理療法技術者等の養成あるいはそのための資格制度の整備が必要であるということが既に出されているわけですが、その点についてどうなのか。
 具体的には、この三つの点に触れながらこの五年間の経緯、評価についてお尋ねをいたしたいと思います。の国務大臣(丹羽雄哉君) 前回の改正では、精神病院から社会復帰施設へという観点から、いわゆる入院制度の見直しや社会復帰施設の創設を行いました。この五年間で、人権に配慮した精神医療の確保を推し進めてきたところであり、開かれた医療現場に向けて着実に私は前進をしてきておる、このようにまず考えております。
 今回の改正におきましては、これをさらに一歩進め、今度はいわゆる改正の位置づけといたしまして、社会復帰施設から地域社会へ、こういうことでございますけれども、特に社会復帰施設の運営費の設置者負担の解消、グループホームの法定化などの措置を講ずることにいたしております。また、精神科ソーシャルワーカーの国家資格化につきましては、当事者間の話し合いを進め、その実現に努力してまいりたいと思っております。
 残されております課題といたしましては、今お話ししたことにも通ずるものでございますけれども、やはり社会復帰施設というものがなかなか地域の皆さん方の御理解というものを必ずしも十分に得られにくいような環境にある。それから、先ほど法改正の中で申し上げましたいわゆる運営費の設置者負担の問題、こういうものがネックとなっておりまして、私どもが予定しておりました以上にややもするとちょっとおくれておるというのが厳粛なる事実ではないか、これをさらに進めていく必要があるのではないか。
 それから、保護者義務制度でございますけれども、今度はいわゆる義務という名前を削りました。これは大変大きな意味があるのではないかと思っております。この問題につきましても、いわゆる家族団体の方々と十分にこれから連絡を密にしながら、十分に協議いたしながら保護者制度のあり方について検討を加えていく必要があるのではないか、このように考えております。
 いずれにいたしましても、病院、施設、地域社会を通じ人権に配慮した精神保健が確保されるよう努力していく考え方に立つものでございます。
#5
○今井澄君 確かに、今大臣がお答えになりましたように、入院患者の人権擁護という点では私もかなりの前進をしてきたのではないかというふうに考えるわけですが、しかし、いまだに宇都宮病院事件に近いような事件が散見されるのは非常に残念なことだと思います。
 私も、同僚の参議院議員からついこの四月に相談を受けました。その方の知り合いの二十歳の青年がある病院に入院したと。そうしたところが、大変怖い思いをして退院をしたくなった。なかなか電話もかけさせてもらえなかったんですが、やっと家族と連絡がとれて、私の方へ相談が来ましたので、私は早速――大阪の大和川病院という、かつてから何回も問題を起こしている病院のようですが、大阪府の精神医療人権センターに連絡をとりまして、早速家族同道で行って退院をさせた。言ってみれば救出をしたというふうなことがあったわけです。
 聞いてみますと、どうも宇都宮病院事件のときとは違いまして、暴力的あるいは恐怖支配といいますか患者をおとなしくさせるのは、病院職員の直接の手によるのではなくて、入院している患者の中の牢名主みたいなのが患者の支配をしていたということのようであります。
 そういう病院では、例えば面会制限、これはその病院の面会の写真なんですけれども、「面会日のお知らせ 月曜日から土曜日 十三時半から十五時まで ただし日曜日、祭日は面会できませんので御了承ください。」。これは法的にはどうなのかわかりませんが、やっぱり面会ということになりますと、家族中心にできるだけ日曜、祭日の面会を図るというのは病院側として当然今日本じゅうで行われていることだと思うんです。もちろん、日曜、祭日には病院の職員配置も少なくなるという病院側が手薄になることもございますが、こういう点、一体厚生省としてはこういうことで本当に趣旨が守られているとお考えなのかどうか。
 また、この病院もそうですが、厚生省の調査によりますとたしか電話の設置率が八八%、まだ一二%の精神病院で電話が設置されてないところがあるということです。一体これは放置しておいていいのかどうか。また、その電話もナースステーションの中に置いてあったり、看護婦の目の届く範囲に置いてあって、どうもなかなか電話をかけにくいというふうな状況がある。それから、電話は今テレホンカードという便利なものができているわけですが、十円玉を一つの病棟には毎日五十個とか数を決めて配置して、患者には一個とか二個しか渡さないというふうなこともやっているようでありますが、そういう一般的なことを含め、特にこの大和川病院のことについては厚生省としてもお聞き及びかどうか。
 そして、大和川病院でもう一つ、暴力支配の仲なんですけれども、実は二月に、すぐ近くの病院に大和川病院から救急患者が運ばれて一週間そこそこで死亡したわけです。これは肺炎という名前で運び込まれたわけですが、肋骨骨折や頭蓋骨骨折があったということで死亡した。明らかに大和川病院の内部で暴力事件があったことは間違いないというふうに言われておりまして、家族が告訴をして今裁判が始まりつつある段階だと思いますが、その辺厚生省としてはどうお考えでしょうか。お願いいたします。
#6
○政府委員(谷修一君) まず、御指摘の大阪府の大和川病院の事件につきましては、現在大阪府が調査をしております。
 それからまた、今お触れになりました死亡された方の問題につきましては、警察の方が既に捜査をしているというようなことでございますので、具体的な事実関係についてはそれらの調査結果を得た上で私どもとしては判断をしたいと思いますが、この問題については、今先生お触れになりましたような精神病院における問題ということで、私どもも重大な関心を持っているところでございます。
 そのことに関連いたしまして、お話がございました面会の問題あるいは電話の問題については、精神病院の入院患者が外部の者と面会をするということにつきましては、患者と家族あるいは地域社会との接触を保つということによりまして医療上も非常に意味があることだと思いますし、また患者の人権擁護の観点からも重要な意義を持っていると考えております。したがいまして、原則として自由に行われる必要があるということが基本的な原則だと思っております。
 また、電話につきましては、患者の医療あるいは保護に欠くことができない限度での制限が行われることはあるにしても、それは医療上の合理的な理由がある場合に限って行われるべきであるということが原則でございまして、そういう意味で電話機の設置あるいはその設置の場所等につきましても患者が自由に利用できる場所に設置される必要があるということで従来から指導しているところでございます。
 また、今おっしゃいました具体的な話としては、テレホンカードというものが普及をしているわけでございますから、従来のようなコインを使ってやるということではなくて、テレホンカードによる電話の設置が望ましいというふうに考えておりまして、そういう意味で電話の設置につきましても引き続き、まだ若干設置をされていないところがあるということでございますので、設置についての指導は徹底をしてまいりたいと思います。
 それからまた、面会時間の問題につきましても、やはり病院の事情等いろいろな場合があるにしても、外部の方が面会しやすい時間をできるだけ設定をすることが望ましいというふうに考えております。
#7
○今井澄君 電話の問題につきましても、私も現場でいろいろあれしておりまして、躁うつ病の躁状態の患者さんが病院がら電話をかけまくって困るということもあるわけですから、医療上必要ないろいろなものがあるにしても、古い考え方でのそういうことについてはさらに御指導をお願いしたいと思います。
 面会の件につきまして一つちょっとお願いしたいことがあるんですが、患者の依頼人である弁護士が面会する際に、弁護士にだれかついていくと、弁護士だけだと限って面会させない病院がまだ幾つも多くあるわけですが、特に、例えば耳の不自由な方の場合には手話通訳がどうしても必要になるわけです。あと、外国人の場合はやはり通訳をするような人も必要になる。今の厚生省の通知等によりますと、弁護士以外は一切病院側の権限で断ることができるというふうになっているようですが、その点、必要な同行者について認めることはお考えになっていないでしょうか。
#8
○政府委員(谷修一君) 患者の代理人である弁護士さんが行く場合、もちろんこれは病院側として断る理由は何もないわけでございますが、どういう方が一緒に行かれるかというそういう個別のケースだろうと思いますけれども、できるだけ患者の人権を擁護するという観点から弾力的な運用を図ってまいりたいと考えております。
#9
○今井澄君 その点は、ぜひそういうことができるように、具体的な例示などを挙げながら通知を出していただければありがたいと思います。
 さて、先ほどの入院患者に対する処遇の問題ですが、いわゆる閉鎖病棟が何もいけないというわけではなくて、閉鎖も必要なわけなんですけれども、実際問題として、現在約三十五万人の入院患者中既に六〇%以上が任意入院という状況になってきているわけです。そういう中で、開放処遇というのがどんどん進められなければならないと思いますが、厚生省の昨年の御発表によりますと、開放率はまだ五八%と聞いておりますし、任意入院患者の五五%がまだ閉鎖病棟で処遇を受けていると聞いております。この点については好ましくないことだと思いますが、厚生省の考え方と今後の方針についてお聞きしたいと思います。また、そういう閉鎖処遇がなぜ任意入院患者の半分以上で行われているのかという理由についてもお聞きいたします。
#10
○政府委員(谷修一君) 現在、精神病院の病棟のうち、二十四時間出入り口に施錠をしている病棟というのは、平成四年六月現在で、先生お触れになりましたように五八%というふうに承知をしております。任意入院の患者については、みずからの同意による入院であるということにかんがみまして、原則として開放病棟での処遇が望ましいという旨を通知等によって明らかにし、そういう方向での指導をしているわけでございますが、一般的に入院患者の処遇というものはその症状に応じてなされるべきであるという考え方から、一律に開放的な環境ですべて処遇することが適当ではないというふうに考えているわけでございます。今後とも、精神病院における開放的な処遇ということにつきましては、今申し上げたような趣旨で開放的な処遇とするように指導をしてまいりたいというふうに思っております。
 一方、先ほど申し上げたことの繰り返しになりますが、精神医療の特殊性ということから、入院患者を外部から隔離する必要があるということも事実でございます。そういう意味で、一律に開放病棟を減らしていくのかどうか、それから仮にそういったような施錠された病棟であっても、個々の症状の程度に応じて外出等柔軟な対応をするというようなことも従来から指導しているところでございまして、そういう観点から、今回の法改正に合わせまして改めてこの開放処遇の趣旨を明らかにしてまいりたいと考えております。
#11
○今井澄君 開放処遇が進まないことの理由の一つに、やはり経済的な背景があるのではないかというふうに私は考えるわけですが、それは、療養環境を改善していくことについての十分な施策、経済的な裏打ち、あるいは診療報酬の面でやられてこなかったという点が一つと、もう一つ根本的に大きいのは、職員の配置、特に看護婦の配置を十分にすることがこの間保障されてこなかったという点にも大きな原因があるのではないかというふうに考えております。
 一般病院においては、既に御承知のとおり基本看護が患者四人に対し一人でありますが、精神病院の場合はこれが六人に対して一人ですね。一番最低のその他三種という看護基準、要するに基準とは言いがたいものですが、これが一般病院の場合で患者五人に対して看護職員一人未満、五対一未満という基準になっていますが、精神病院の場合には七対一未満と一般病院に比べて低いところに設定されている。これは、もちろん精神医療の特徴もありますが、しかし一面で見れば、職員の十分な配置というものがないと、治療の問題もそうですが処遇も十分できないのではないか、そういうことも考えられるわけです。
 その点、さきの精神保健法が改正された国会、第百九国会の参議院社会労働委員会の附帯決議の第四項において、「今回の改正の趣旨、今後の精神医療のあり方を踏まえ、診療報酬の面等において適切な配慮を行っていくこと。」、こういう附帯決議があるわけですが、この点については厚生省としてはどのような努力をされ、どういうふうに成果が上がっているとお考えでしょうか。
#12
○政府委員(古川貞二郎君) 良質な医療を提供していくということは大変大事なことでございますし、そのためには医業経営が安定していく、そのことがよりよい患者サービスにつながっていく、こういうことで大変大事な問題だと私どもは認識しているわけでございます。
 今、看護婦さんの配置の問題もございましたが、診療報酬の改定に当たりましては、私どもは、従来から精神医療の専門性等にかんがみましていろいろ必要な措置を講じたところでございますが、昨年の四月の改定におきましては、医学的な判断のもとで患者の病状に応じまして患者の早期退院とかあるいは社会復帰を促進する、そして患者さんの福祉の向上を図る、こういうふうな観点から、通院精神療法とかあるいは精神医療の専門性を評価するというようなことで対応したほかに、お尋ねの良質な看護サービスの安定的効率的供給というような観点から看護料の大幅な引き上げを行うなどの措置を講じたところでございます。
 具体的に申し上げますと、通院精神療法の引き上げとか入院精神療法の引き上げ、あるいは精神科デイケアの引き上げ、結核・精神特二類看護料の引き上げ、結核・精神特一類看護(U)の新設等の措置を講じたところでございまして、今後とも私どもは、患者の早期の退院とか社会復帰の促進とかあるいは医業経営の安定というようなことの観点から、現在、六月実施中でございます医療経済実態調査等の結果を踏まえまして、中医協の御議論を踏まえて対応していきたい、こういうふうに考えている次第でございます。
#13
○今井澄君 精神医療と身体医療、同じ身体医療でもまたまた老人医療、救急医療、いろいろありますので一概には言えませんけれども、精神病院における職員配置の低さという問題、例えば医師について見れば一般病院は百床当たり十人を超えているわけですが、精神病院では非常勤を含めて一・八人とか、看護職員も半分以下というこういう状況。これは、もちろん医師の科による偏り、不足とか、看護婦不足、この辺の問題も一方にあるわけですが、やはり経済的な問題、病院経営上の問題というのが非常に大きいと思います。
 今厚生省の方から努力をされているという御答弁があったわけですが、しかしなお精神病院の経営というのは非常に困難であって、職員を十分抱えられないという現状があるのではないかと思います。
 去る六月二日の衆議院厚生委員会において、網岡委員の質問に対して古川保険局長は、中医協の経済実態調査では百床当たりの収支差額が一般病院では十六万二千円プラスになっている、それに対して精神病院では八十万五千円プラスになっていると答弁されたと思うんです。この答弁を拝見いたしますと、精神病院の方が一般病院よりもずっと経営状態はいいんだということになると思うんですが、これは病院全部ひっくるめるとそういう数字が出ているのは確かでありますけれども、この答弁は大変誤解を与えるんではないか。
 というのは、精神病院には法人病院、個人病院が大変多いわけです。法人病院、個人病院は赤字にならない努力をせざるを得ないわけで、何とか総体としてこういう結果が出ている。だけれども、一般病院には公立病院、国立病院という大変赤字でやっている病院が多いんで、平均すれば一般病院の方が収支差額はこれより少なく出てくると思うんです。
 そこで、誤解を解くためにも保険局長の方から、法人病院については一般病院と精神病院で百床当たりどうなのか、個人病院ではどうなのか、あるいは公立病院ではどうなのか。その三つ、数字を挙げてお答えをいただきたいと思います。
#14
○政府委員(古川貞二郎君) 御指摘ございましたように、去る六月二日の衆議院の厚生委員会におきましては、一般病院と精神病院の医業収支比較に際しまして個人立とか法人立とかあるいは公立というふうなことを区分しませんで、一般病院総数と精神病院総数の医業収支比較を御答弁申し上げたわけでございます。
 そこで、お尋ねの経営主体別の収支状況について申し上げますと、これは平成三年の中医協、医療経済実態調査によりますが、一カ月の百床当たりの収支状況を見ますと、まず個人の経営する一般病院で申し上げますと、医業収入は六千百六十六万三千円でございます。これに対しまして医業支出は五千五百三十四万三千円ということで、六百三十二万円の医業収益となっております。
 これに対しまして、個人の経営されます精神病院につきましては、医業収入が二千八百六万三千円ということでございまして、これに対しまして二千四百三十万五千円の医業支出がございまして、医業収益は三百七十五万八千円ということになってございます。これを医業収益率で比較いたしますと、一般病院が一〇・三%、これに対しまして精神病院が一三・四%というふうになってございます。
 今は個人でございましたが、医療法人の経営する一般病院につきましては、医業収入は六千三百五十四万円に対しまして、医業支出は六千百四十一万七千円ということで、二百十二万三千円の医業収益がございました。
 これに対しまして、医療法人の経営されます精神病院につきましては、二千七百七十四万六千円の医業収入に対しまして、二千六百六十三万円の医業支出がございまして、医業収益は百十一万六千円ということになってございます。これを医業収益率で比較いたしますと、一般病院が三・三%に対しまして、精神病院は四・〇%、こういうふうになってございます。
 同じく公立の一般病院でございますが、医業収入は九千九万円ということに対しまして、医業支出は九千四百九十五万四千円ということで、医業収支は四百八十六万四千円の赤字となってございます。
 これに対しまして、公立の精神病院では、三千八十四万二千円の医業収入に対しまして、四千百二十六万五千円の医業支出がございまして、医業赤字額は一千四十二万三千円というふうになってございます。これを医業収益率で比較いたしますと、一般病院はマイナス五・四%に対しまして、精神病院はマイナス三三・八%というふうな状況になってございます。
#15
○今井澄君 ですから、今の御報告でおわかりのように、一般病院と精神病院とを比べてみますと、法人病院では二百十二万と百十一万、精神病院の方が収支差額は少ない。ほかも全部同じようなことになると思います。収支率でいうと多少いいと、そういうことで、やはり精神病院がこういう状況の中で職員の配置を控えながらやらざるを得ないという現実があると思います。特に今のお話のように、公立の精神病院、これは数は多くはないわけですが、何と百ベッド当たり一千四十二万円もの赤字が出ざるを得ない、出ているという現在の公立精神病院の運営状況、収支比率がマイナス三三・八%、こういうものも、それぞれ事情はあるでしょうが、改善の方向をぜひお願いしたいというふうに考えます。
 そういう状況の中で職員の充足ということが必要なわけですが、特に精神病院における医療の質の向上、それから社会復帰施策の推進、そしてまた今回保護義務者制度が保護者制度というふうに一定の方向は出ておりますが、しかしまだ根本的に改善されていない。こういうものを改善する上でも、こういう精神医療に係る専門家の養成が非常に大事だと思います。その点について、臨床心理技術者及び精神科ソーシャルワーカーの国家資格制度について厚生省としてはどのようなスケジュールあるいは見通しで進めようとしておられるのか、お答えをいただきたいと思います。
#16
○政府委員(谷修一君) 精神科ソーシャルワーカーにつきましては、この法案を作成するに当たりましてもとになりました公衆衛生審議会の意見書の中でも、やはり精神医療について今後チーム医療というものをやっていかなければいけないということの一環として、それに関連したマンパワーと申しますか専門職の一つとして、臨床心理技術者それから精神科ソーシャルワーカーの国家資格制度の創設が必要であるという御意見をいただいているところでございます。
 これらの資格のあり方あるいは資格の問題につきましては、現在関係者の間での意見調整をしているということでございまして、私どもとしては、この関係者の間での合意が整えば国家資格というものの創設に向けて努力をしてまいりたいというふうに考えております。
#17
○今井澄君 その点について一つ確認しておきたいと思いますのは、関係者というのは、精神科ソーシャルワークをやっておられる関係者あるいは関係団体というふうに理解しますが、それでよろしいのかということ。
 もう一つ、関係者という場合に、医療ソーシャルワーカーの資格問題が大分この間混沌としていると思います。かつては、医療ソーシャルワーカーの資格制度と関連して精神科ソーシャルワーカーの資格制度を考えていたようですが、現在の状況では、MSWの資格制度とは切り離してPSWの資格制度をお考えになっているというふうに確認してよろしいでしょうか。
#18
○政府委員(寺松尚君) 先生の前半の御質問でございますけれども、いわゆる医療関係者、それぞれ団体等がございますので、その辺の意見が中心になってその辺の意見の集約あるいは調整をお願いしておるわけでございます。
 それから、今のメディカルソーシャルワーカーの問題でございますけれども、メディカルソーシャルワーカーの定義の中で、それぞれソーシャルワーカーといいましょうか、その辺との関係で、一方は医療関係職種だというふうにおっしゃる、片方は、いや、広く福祉関係職種で医療も含むと、あるいは医療はむしろ含まないというふうないろんな御意見がございまして、まだ一致になっておりません。そこら辺を私どもぜび調整をお願いしたい、このように言っておりまして、その辺がまとまればやってまいりたい、このように考えております。
#19
○今井澄君 次の質問に移りますが、今回の改正法案の第五十一条の二に、精神障害者社会復帰促進センターというのを全国を通じて一個に限り民法法人を指定する。そして、そこを通じて今後社会復帰促進の事業をやっていくということになっているわけですが、ここで想定している全国を通じて一個に限る民法法人というのは、全国精神障害者家族会連合会、いわゆる全家連と考えてよろしいでしょうか。
#20
○政府委員(谷修一君) 精神障害者社会復帰促進センターにつきましては、今おっしゃいましたように厚生大臣が全国一つの法人を指定するということになっております。これにつきましては、やはりこのセンターの業務あるいは期待される事業というようなことから、精神障害者のことについて十分理解をいただき、また家族との関係についての事業あるいは精神障害者全体についての福祉関係の事業、そういうようなことについて十分御理解をいただける団体であり、かつ実施主体でありますセンターの内容、経営なりあるいは管理、そういったような問題について十分能力がある団体を指定することを考えておりまして、現時点でまだ正式な意味ではどこということは決めておりませんが、今お話のございました団体については、その候補の一つとして想定はいたしております。
#21
○今井澄君 やはり精神医療あるいは社会復帰の問題では、家族が非常に重要な役割を果たすし、また負担も大きいと思います。当事者である家族の方々をそういう精神保健医療施策の中に取り入れていく、役割を一緒に担ってもらうというのは非常に大事なことだからいいことだろうと思いますが、ただ、ここの点で若干の懸念がありますので、御質問をしたいと思います。
 一つは、そういうふうにして社会復帰の広報とかそういう活動だけではなく、研究研修事業もやっていっていただく、その民法法人にやっていただくのはよろしいんですが、そうしますと一つの懸念は、国立の各種の研究センター等があるわけですが、こういうところに対する力がそがれはしないか、民法法人にお任せをすることによってもっと国の研究研修、そういう事業も一方でさらに一層強化をする必要があるのではないかと思うので、この辺で力がそがれるのではないかという懸念を一つ持っております。
 それからもう一つの問題は、日本精神病院協会を初め、これまで専門家の団体が大変な努力をしてきているわけですが、ここで民法法人一つに限るということで、各種のそういった関係団体の自主的、自発的あるいは専門的な活動が何か阻害されていくというか、低く見られていくおそれはないだろうかということが二つ目。
 それから三番目には、法にもきちっとプライバシー保護のことが規定されているから大丈夫だと思うんですが、やはり長年にわたって専門職種の方々が精神科の患者さんのプライバシーの問題は非常に大事だということで取り組んできたわけです。家族の方であればまず問題ないと思いますが、一部には、新たにこういうところで研究研修などをやってデータを集めて調査をするということになって、プライバシーが漏れるおそれはないだろうかというふうな懸念も専門家の間では表明されております。
 この三つの懸念についてお答えをいただきたいと思います。
#22
○政府委員(谷修一君) 精神障害者の社会復帰に関する研究については、国、具体的には厚生省としても、これまで国立の研究機関、国立の精神。神経センターですとか、あるいは具体的な問題としては、例えばアルコールの問題については国立の久里浜病院というようなところで、精神科デイケアの実施の方法ですとかあるいは家族へのカウンセリングの実施方法ですとか、アルコール依存者の社会援助対策といったようなことについて、それぞれ個別のテーマを設けて研究をしてきたところでございます。
 今、先生お触れになりました社会復帰センターができたからといって、そのような国としての研究機能というものを縮小するとかそういうよ、つなことは全く考えておりません。むしろ、社会復帰センターを設けることによりまして、これらの機関との連携も図りながら研究の充実に努めてまいりたいと思います。また、この社会復帰センターにつきまして、決して他の団体との関係において、他の団体の役割を排除するとかそういうことは全く考えておりませんし、またそういうことがあってはならないというふうに認識をしております。
 また、プライバシーの問題につきましては、先ほど申しましたように、この社会復帰センターにおきましては、精神障害者の社会復帰の促進を図るための訓練あるいは指導等に関する研究開発を行うことを予定しているわけでございますが、その過程においていろんな情報は収集をしなければいけない。しかしながら、センターが収集する情報については、基本的には特定の個人が識別されない情報に限られるものというふうに理解をしております。
 ただ、センターが長期間にわたって研究を続けていく間に蓄積された情報については、外部に漏れることがないよう慎重に取り扱う必要があるということから、法律上、センターの職員等に秘密保持義務を課すとともに、特定情報管理規程の作成を義務づけることにいたしております。
 いずれにいたしましても、社会復帰センターの情報の管理等がプライバシーに配慮して適切に行われるよう指導、監督には十分努めてまいりたいと考えております。
#23
○今井澄君 終わります。
#24
○日下部禧代子君 去る三月二日及び三月二十六日の厚生委員会におきまして、私は精神保健法の改正問題について取り上げさせていただきました。三月二十六日の本委員会におきまして、精神保健法が昭和六十二年に改正されましたときの法附則に基づく見直し作業について、いつ国会に見直し法案が出されるのかということをお伺いしましたところ、運休明け、遅くとも五月じゅうに国会に提出されるというお話でございました。その御答弁のとおりに、予定どおりに出していただきまして、お約束守っていただきましてありがとうございました。まずお礼を申し上げます。
 ところで、今回の改正は、精神障害者の社会復帰の促進を図ると同時に、その適正な医療及び保護を実施するために、精神障害者地域生活援助事業、精神障害者社会復帰促進センターなどに関する事項、仮入院に関する事項を改善するということでございます。
 しかしながら、医療中心主義あるいはまた社会復帰施設から地域社会へというスローガンは立派ではございますが、なかなか中身が追いついていない実態、あるいは主役である障害者自身のインフォームド・コンセントということがまだ確立されていない、あるいはまた身体障害、精神薄弱とばらばらに行われる障害者行政など、問題点はかなりあるように思います。特に精神障害者問題というのは、私は日本社会の文化の程度をはかるメルクマールというふうにも思っております。そういう観点から私は、社会復帰、地域生活の問題あるいは人材確保を中心にして質問させていただきたいと思います。
 まず、最初に大臣にお伺いいたします。
 今申し上げましたように、精神障害者に対する対応というのは、どの社会におきましてもその社会の文化の程度をはかるものだというふうに私は存じておりますが、特に社会復帰の問題について、現状と課題をどのように認識なさっておりますでしょうか。今回の法改正でどのくらい進むことになるのか、そしてまた残された課題は何なのか、その点につきまして大臣の御見解をまず伺いたいと存じます。
#25
○国務大臣(丹羽雄哉君) 前回の改正では、精神病院から社会復帰施設へという観点から、任意入院制度の導入、さらに精神医療審査会制度の設置などいわゆる入院制度の見直しを行いました。さらに、社会復帰施設の創設を行い、この五年間、人権に配慮した精神医療の確保を推し進めてきたところであります。
 今回の改正におきましては、これをさらに一歩進めまして、社会復帰施設から地域社会へと、こういう新しい流れをつくるために社会復帰施設の運営費の設置者負担の解消、グループホームの法定化などの措置を講じております。
 残された今後の課題でございますけれども、公衆衛生審議会等でも指摘されておるわけでございますが、精神障害者に対するインフォームド・コンセントの問題、さらに、先ほどから御質疑を賜っております臨床心理技術者などに対する国家制度化の問題、さらに保護義務者制度のあり方、こういった問題が今後の課題だと認識いたしているような次第であります。
#26
○日下部禧代子君 三月の公衆衛生審議会の意見書のうち、今回の法律改正で実施されるもの、その後の政令、省令等で改正されるもの、残るものに分けてお答えをいただきたいと存じます。
#27
○政府委員(谷修一君) 今回の法改正におきまして法案に盛り込んだ事項は、すべて公衆衛生審議会の意見書を踏まえたものでございますが、審議会の意見書のうち法律改正に係るものにつきましては、今大臣からもお話ございましたとおりでございますが、一つは、仮入院制度の問題、法定施設外収容禁止規定の削除の問題、生活援助事業、いわゆるグループホームを法定化するということ、精神障害者の社会復帰に関する調査研究を行うためのセンターを指定するということ、資格制限の緩和と申しますか、栄養士あるいは調理師等についての資格制限を従来の絶対的欠格事由から相対的な欠格事由に改めるという問題、それから地方の精神保健審議会において精神障害者の社会復帰の観点を含めた審議を行うということから、社会復帰に経験のある方を委員として加えるといったようなこと、また、精神障害者の社会復帰の促進等を図るために医療施設、社会復帰施設、行政機関等の連携体制ということについての規定を盛り込むといったようなことでございます。
 それから、前回改正時からの宿題となっておりました課題につきましては、一つは、大都市特例の問題について今回の法律に盛り込んだということ、それから精神障害者の定義を法律事項としてこの意見書の中から法律の改正として取り上げております。
 なお、保護義務者制度につきましては、先ほど大臣もお答えをされましたように、名称について義務ということを現在の時点であえて強調する必要がないということから、保護者というふうに改めることにしたところでございます。
 なお、今先生お触れになりました運用等の問題でございますが、幾つか申し上げますと、一つは、入院等の告知文書についてでございますが、今後、法律改正後、改めて運用によってやってまいりたいと思っておりますのは、外国語による告知文書を作成する、外国人の入院患者に対する告知を円滑に行うということが一点。精神医療審査会につきましては、それぞれの地方の実態に合わせて合議体の活用を促進するということ、それから精神医療審査会の審査結果についてできる限り理由を付記するとともに、可能な限り参考意見を付すといったようなことを今後運用としてやってまいりたいと考えております。
 以上でございます。
#28
○日下部禧代子君 大臣もお触れになりましたけれども、インフォームド・コンセントの問題は、これは外国人に対しては行うということでございますか。
#29
○政府委員(谷修一君) 失礼しました。
 残された課題ということについて申し上げなかったんですが、残された課題としては、先ほどちょっと触れましたが、保護義務者制度については今後改めて引き続き検討するということ、先ほど大臣もお触れになりましたが、臨床心理技術者等の資格化の問題、それからインフォームド・コンセントについても研究をするということになっております。
 今私が申し上げました外国人に対する入院の告知の問題は、インフォームド・コンセント、入院の際の告知を外国人についてもわかりやすいと申しますか、その人のわかる言葉でやるということが国連原則にたしか書かれていると思いますので、そういう趣旨から外国語の告知文書といいますかそういうものを作成をしていきたい、そういうことでございます。
#30
○日下部禧代子君 その他、例えば任意入院の拡大とか施設運営の利用者負担の軽減、あるいは小規模作業所への援助の拡大、先ほど今井さんもお触れになりましたが、国家資格などについてはどういうことになりますでしょうか。
#31
○政府委員(谷修一君) 社会復帰施設の運営費に係る設置者負担につきましては、平成五年度の予算編成におきまして地方交付税によって手当てをするということによりまして解消が図られたわけでございまして、今後この趣旨をさらに徹底をしていきたいと考えております。
 それから、小規模作業所の問題につきましては、六十二年から新しい補助制度をつくったわけですが、小規模作業所の数が非常にふえてきているということから、この予算の獲得ということには引き続き努力をしていく所存でございます。
 あと、任意入院の問題でございますが、これは精神医療におきまして任意入院制度というのが基本だという認識を持っておりますので、開放処遇ということとあわせて任意入院制度の運用が適切に行われるよう指導してまいりたいと思います。ただ、精神医療の場合には、やはり精神医療の特殊性と申しますか、そういうことから何らかの形で制限をする、あるいは本人の同意がなくても入院させる、してもらうといいますか、そういう制度も必要でございますので、そういうこととあわせて入院制度の適切な運用ということは引き続き指導してまいりたいと思っております。
#32
○日下部禧代子君 もう一つ御質問を申し上げております。今井さんもお触れになりましたけれども、国家資格の問題、従事職員の国家資格などについては。
#33
○政府委員(寺松尚君) 今先生の御質問の件、精神病院に関係いたします関係職種はいろいろ御承知のようにございますが、その中で資格制度がないものが御指摘のようにございます。その辺につきましては、それぞれ検討会をつくりまして、臨床心理技術者なんかの場合には検討会をつくってその業務指針だとかどの程度配置するかというような御議論もしていただくことになっておりますが、要は関係団体間の意見がまとまっていただくことがこういう職種をやっていきます場合に非常に大事なことでございまして、その辺の調整に時間がかかっております。それぞれの御主張がいろいろございまして、それらがうまくなかなかいかないというのがおくれておるところでございます。私どもも何とかその辺の意見をまとめていただきたい、こういうふうなことを強くやっていくつもりでございます。
#34
○日下部禧代子君 次に、社会復帰施設についてお伺いいたします。
 特に、社会復帰ということが強調されるようになりますと、これは世界的な流れでございますが、社会復帰の受け皿というものがなければ社会復帰ということはただ単にスローガンに終わってしまうわけでございます。大変な重要なことだと思います。
 その社会復帰施設でございますが、種類別あるいは都道府県別の設置状況というものを見ますと、例えば平成五年度で、援護寮が四十九カ所、福祉ホームが六十七カ所、適所授産所が五十四カ所、そして新しくできました入所授産施設が全国で二カ所でございますね。この数字を見ておりますと、例えば援護寮未設置の県が十九県ですか、それから福祉ホームは未設置県が十六、適所授産所は十八未設置県がございます。そして、新しくできた入所授産施設というのは設置されている県がたった二カ所、二つの県だけだということになります。まず、これはまだ量的にも少ないというふうに私はこの数字を理解いたしましたし、そしてまた地域偏在というのがかなりあるようにも思います。
 それから三点目には、この施設の設置主体というのは医療法人立のものが非常に多いと私は理解しているわけでございますが、社会復帰施設の整備状況を厚生省はどのように評価なさっているのでございましょうか。
#35
○政府委員(谷修一君) 社会復帰施設の種類別の箇所数は今先生がお触れになったとおりでございます。
 社会復帰施設につきましては、前回の法改正時に初めて法律において規定をされたわけでございまして、この五年間、私どもとしてもこの整備促進というのが非常に重要な課題だということで進めてきたつもりでございますが、現実の問題としてまだまだ量的に不足をしているということは率直に認めざるを得ない事実だと思っております。
 その原因は幾つかあると思いますが、やはり一つは、先ほどもちょっと申し上げましたが、従来、他の障害者の社会復帰施設にはなかった運営費についての四分の一の自己負担、設置者負担というのがあったということが非常に大きなネックだったというふうに思います。それから、やはり精神障害者に対する国民の理解と申しますか、あるいは地域の理解というのがまだ必ずしも十分でないといったようなことによって必ずしも整備が進んでこなかったというふうに私どもは考えております。
 運営費についての設置者負担については、先ほど申しましたように平成五年度から地方交付税によって措置をしていただきまして、その負担が解消されたということでございますので、今後、こういったようなことをばねにして社会復帰施設の整備が促進をされるというふうに期待をいたしております。また、精神障害者の社会復帰の促進に向けては国民の理解と協力ということがどうしても必要でございますので、そういったような面においてさらに御理解をいただくよう努めてまいりたいと思っております。
 なお、地域偏在のことをお触れになりましたが、これは率直に申し上げて、地域偏在というよりはまだ絶対的な数が不足をしているということでございますので、偏在をしているとかしていないということ以前の問題だというふうに、まことに残念なことでございますが、私はそういう認識をいたしております。
 なお、医療法人が多いということでございますが、精神障害者の社会復帰施設というものが精神障害者の医療との兼ね合いにおいて、医療と密接に関係している部分があるというようなことから、医療法人が設置をする場合が比較的今までは多いんではないかというふうに考えております。
#36
○日下部禧代子君 その点に関しまして、治療を受け終わって病院から出て社会復帰をするというそういう意識がなかなか持ちにくいんじゃないでしょうか。まだ自分は病院の中にいるんだ、まだ治療を受けているんだという意識、そういったものがずっとつながるということは、自分が社会に戻ってきたという意識をかなり薄めていくものになるんじゃないかなという気がいたしますけれども、その点どのようにお考えでいらっしゃいますか。
#37
○政府委員(谷修一君) あるいは、患者さんといいますか障害者の方の意識としてそういうことがあるかもしれません。その辺は個別の問題でございまして一概に言えないと思いますが、もちろん、私どもとしては医療法人だけがやるということを想定しているわけではございませんので、当然、他の障害者の施設と同じように社会福祉法人におかれましてもこの分野にぜひこれから大いに参入をしていただきたいということは期待をいたしております。
#38
○日下部禧代子君 そのための方策は何か考えていらっしゃいますか。
#39
○政府委員(谷修一君) 先ほど申しましたような他の障害者には見られなかった運営費の設置者負担というのは解消されたわけでございますし、それとあわせて、先ほど申しましたように、精神障害者の社会復帰についての国民の理解なり関係者の理解というものを得られるよう、今回の改正に合わせまして改めて趣旨の徹底ということはやってまいりたいと思っております。
#40
○日下部禧代子君 今、局長もお認めになりましたように絶対数が少ないということでございますが、設置が非常に進まないというのは、やっぱり国庫補助が少ないということも非常に大きな原因ではないかと思うんです。
 施設整備費につきまして、今御答弁がございましたように、相当の改善はございますが、他の障害関係施設と比べると、例えば基準面積が狭いとか整備単価が低いというふうな疑問もまだ残るわけでございます。また、運営費につきましても、例えば適所授産にいたしますと、一人当たりの補助単価が引き上げられたとはいいますが月約七万円強、身体障害者の十一万円、あるいは精神薄弱者の十二万円と比べるとかなり低いように思うわけでございますが、今私が指摘いたしました数字でよろしゅうございますでしょうかちょっと御確認いただきたいと存じます。
#41
○政府委員(谷修一君) 今おっしゃいましたのは運営費だったと思いますが、施設事務費について申しますと、身体障害者の更生施設が定員一人当たり約七十万円、それから精薄の入院施設について二百十万円、精神障害者援護寮について百十万円と承知をしております。
 今お触れになったのと違う……
#42
○日下部禧代子君 ちょっと違うんです。例えば適所授産ということで私が申し上げたわけでございますが、私が申し上げたいのは、やはり身体障害者あるいは精神薄弱者に比べると精神障害者の場合低いのではないかということをお尋ねしているわけでございます。
 その例といたしまして、適所授産の場合、一人当たりの補助単価が月約七万円強、身体障害者の場合の約十一万円、精神薄弱者の場合の十二万円と比べると低いのではないかということを私申し上げたわけでございますが、いかがでございましょうか。
#43
○政府委員(谷修一君) まず、社会復帰施設につきましては、施設整備費につきましては補助率あるいは補助額の算定に当たっての基準の単価というものは、精神障害者の社会復帰施設と他の社会復帰施設ともに同一でございます。ただ、運営費について、もちろん補助率は同一でございますが、定員一人当たりの事務費につきましては、それぞれの施設を利用する障害者の個々の特性と申しますか、それに応じて職員の配置の数が異なっているというようなことから、施設ごとに異なる状況になっております。
 ただ、いずれにいたしましても、精神障害者の社会復帰施設の運営が適切に行われるよう必要な予算の確保ということは私ども努めてまいりたいと考えております。
#44
○日下部禧代子君 それでは、精神障害者の場合の施設整備・運営費について、他の社会福祉施設とはどういうところが違いがあるのか、その違いを御説明いただきたいと存じます。
#45
○政府委員(谷修一君) 基本的な考え方は、今申したように施設整備費については補助率とか基準単価と申しますかそういうものは他の障害者の施設と精神障害者の施設は同じでございます。運営費については、結局職員の配置の数というものがそれぞれの施設によりまして、障害者の特性と申しますかそういうことから変わっておりますので、それによって施設ごとに今お触れになりましたような形で違うものになっているということでございます。
#46
○日下部禧代子君 その運営費につきましては、四分の一の設置者の自己負担がなくなったということでよろしゅうございますね。
#47
○政府委員(谷修一君) 平成五年度からそのようなことでございます。
#48
○日下部禧代子君 確かにそれは非常に前進だと思いますが、他の社会福祉施設のように、あるいはまた措置費並みに引き上げるということはできないんでしょうか。また、これは補助金というのではなくて、いわゆる国庫負担というふうな形にはできないものでございましょうか。
#49
○政府委員(谷修一君) 精神障害者の社会復帰施設は、いわゆる措置という考え方ではなくてあくまでも利用施設という形で運営をいたしておりますので、今お触れになりましたいわゆる措置施設というか措置費で対応するということは考えておりません。
 ただ、先ほど来触れておりますように、基本的な補助の考え方と申しますか、施設当たりの補助率とかそういうことについては他の障害者施設と考え方は同じにやっているつもりでございます。
#50
○日下部禧代子君 今申し上げました最後の御質問は、いわゆる補助をするというんじゃなくて全面的に国庫負担とはならないかということを伺っているわけです。
#51
○政府委員(谷修一君) この制度、社会復帰施設の運営というものは、地方自治体立の場合には地方自治体、あるいは医療法人、社会福祉法人が実施主体であるということをあくまでも基本にいたしておりますので、国が国庫によって国の事業としてこれを行うということは現在考えていないところでございます。
#52
○日下部禧代子君 大臣にお伺いいたしますけれども、今局長もお認めになりましたように、量的にまだまだ絶対数が不足であるということでございますが、このような社会復帰施設の整備状況が悪いというのは、根本的な対策を立てていないからじゃないかと思うわけでございます。高齢者の場合にはゴールドプランというふうな施設整備年次計画がございますが、このようないわゆる施設整備年次計画を策定するお考えは全くございませんでしょうか。
#53
○国務大臣(丹羽雄哉君) 先ほどから、障害者の社会復帰の促進を図る上で社会復帰施設の重要性というものについて御指摘を賜っておるわけでございます。
 私どもといたしましては、地方公共団体がそれぞれの地域の実情に応じて適切に推進する必要がある、こういうような観点に立ちまして、これまでは地域における社会復帰対策のあり方につきましては、いわゆる二次医療圏ごとに作成する地域保健医療計画において盛り込むよう各都道府県を指導してきたところであります。
 今回の法改正を契機にいたしまして、地域の実情に応じたきめの細かな社会復帰の整備が一層推進されるように指導してまいりたいと思っておりますが、先生の御指摘の年次計画につきましては、率直に申し上げまして、まだまだ量的にも質的にもいろいろな面で検討課題はありますけれども、今後の検討課題にさせていただきたいと思っております。
#54
○日下部禧代子君 やはりその計画というのは、ただ理念だけではなくて、福祉、医療、保健、社会参加というふうなことも含んだ具体的な実施の場面における計画が必要なのではないかということを強調させていただきます。
 次に、病院から社会に復帰した場合に、社会で活躍するためには職場の確保が重要なことだろうと思うわけでございます。そこで、精神障害者の社会復帰を図るための施策、事業といたしまして、通院患者リハビリテーション事業というのがございますが、その実態はどのようになっておりますでしょうか。今どのくらいの方が利用なさっているのか、今後の見通しについてもお尋ねしたいと存じます。
#55
○政府委員(谷修一君) 通院患者リハビリテーション事業でございますが、御承知のように、これは症状が回復して病院に通院をしている精神障害者を一定期間事業所に通わせて社会適応訓練を行いまして、精神疾患の再発の防止あるいは社会的な自立を促進するということを目的といたしておりまして、いわゆる医学的なリハビリテーションの一環として行われているわけでございます。
 それで、これにつきましては、平成三年度でございますが、千四百六十四の事業所に御理解をいただきまして、約二千五百人の方を対象として事業を実施していただいているところでございます。
#56
○日下部禧代子君 いろいろと評価の仕方がございますが、二千五百人という対象の数は、これは多いとは言えないと思います。利用者が非常に少ないということはどういうところに起因しているのか。それからまた、これは受け入れ体制、事業主の問題もあると思うんですが、事業主に対する委託費は協力奨励金ということで一人当たり一日二千円ということでよろしゅうございますか。この二千円という奨励金を増額することはお考えの中にございませんでしょうか。それも含めてお尋ね申し上げます。
#57
○政府委員(谷修一君) 通院患者リハビリテーション事業につきましては、昭和六十二年度は事業所が四百七十カ所でございましたけれども、年々増加をいたしまして、先ほど申しましたのは平成三年度の数でございますが、平成五年度の予算では二千百カ所の事業所を予定いたしております。
 この問題につきましては、事業所の方の、企業の方の御理解が得られないとなかなかできませんので、今後とも関係の方々の御理解を得るように努めてまいりたいと思っておりますし、先ほど申しましたようなことで、一応事業としてはある程度順調に伸びてきていると私どもは考えております。
 なお、予算の問題につきましては、今後適正に予算が確保されるように努力をしてまいる所存でございます。
#58
○日下部禧代子君 二千円というのは、大体今後ともこの程度で据え置きでございますか。いわゆる事業主に対する奨励金でございます。
#59
○政府委員(谷修一君) これは、他の障害者の事業との並び等を勘案しながら必要な予算の確保はやってまいりたいと思っております。
#60
○日下部禧代子君 それでは、次に労働省にお伺いいたします。
 精神障害者の雇用につきましては、障害者雇用促進法の上ではどのようになっておりますでしょうか。特に、法定雇用率の算定対象というのは、最初は身体障害者のみで、次に六十三年に精神薄弱者も入ったわけでございますが、今、精神障害者の場合は法定雇用率の算定対象になっていますか。
#61
○説明員(北浦正行君) 障害者雇用促進法におきましては、私ども、障害者の種類については特別の限定はいたしませんで、障害のある方で長期にわたり職業生活に相当の制限を受け、または職業生活を営むことが著しく困難な方、その中で働くことができる方につきましては、障害者ということで対処しているわけでございます。
 その中で、精神障害者の対策も講じているわけでございますが、具体的な施策といたしましては、全体的に職業指導あるいは職業紹介、職業訓練などのそういった職業リハビリテーションの措置については法律上の対象となります障害者がすべて受けられる形になっているわけでございます。
 御指摘のございました雇用率制度の問題でございます。雇用率制度につきましては、現段階といたしましては精神薄弱者の方については適用があるわけでございまして、それ以外の精神障害の方は適用の対象になっていない、このような状況になっております。
 ただ、精神薄弱者あるいはそれ以外の精神障害者の方も含めまして、いわゆる助成金制度、納付金制度に基づきます種々の雇用促進のための助成金がございますが、こういったものの対象にはすべてするようにしたわけでございます。特にこの点につきましては、昨年、障害者雇用促進法を改正いたしまして、とりわけ精神薄弱者の雇用率制度適用については他の身体障害者と同様の取り扱いにすること、また、ただいま申し上げましたような広く精神障害者全体につきまして助成金の対象としていく。この場合、精神障害者のうちのいわゆる精神障害が回復をした方々、精神分裂症、躁うつ病、てんかんにかかっている方で症状が安定し、就労が可能になった、こういった方々についてはそういった助成金の対象にする、こういった改正を昨年行ったわけでございます。
 御指摘の障害者の雇用率制度の適用につきまして、精神障害者については現段階では適用の対象になっておりません。これにつきましては、私ども、精神障害者の方全体を見まして、医学的な管理も含めまして企業の中での雇用管理のあり方等について必ずしもまだ明確になっていない、あるいはその後その障害が必ずしも安定しない中で、雇い入れ後において障害の状況を継続的に把握していく、雇用率制度でございますからやはり継続した状態が必要でございます。そういったような体制の問題あるいはプライバシーの問題、いろいろ難しい問題がございまして、現段階では雇用率制度の適用の対象になっていない状況でございます。
#62
○日下部禧代子君 御説明ありがとうございました。
 それでは、次に運輸省にお伺いいたします。
 精神障害者の社会参加を促進するために、運賃割引などの措置を図るおつもりはございませんでしょうか。これは薄弱者の場合には運賃割引の制度があると聞いておりますけれども、この点いかがでございますか。
#63
○説明員(浅井廣志君) お答え申し上げます。
 ただいま先生から御指摘をいただきましたとおり、身体障害者の方々それから精神薄弱者の方々に対しましては、JRを初めといたしまして公共交通機関の運賃割引制度がございます。
 この制度の考え方でございますが、これらの方々が日常生活あるいは社会参加のために公共交通機関を御利用いただく際に、身体障害等のために基本的には常時介護者による付き添いを必要とするということがございます。そういたしますと、お二人分の運賃ということで大変過重な負担になるわけでございます。このような点を勘案いたしまして割引制度が実施されているところでございます。
 一方、ただいま御指摘をいただきました精神薄弱者以外の精神障害の方々につきましては、大変病種病態がさまざまであるというふうに私ども考えております。それから、現在実施されております、ただいま御説明いたしました運賃割引制度でございますが、割引による減収分につきましては一般的に他の利用者の負担によって賄うということで実施されているわけでございまして、こういったような公共政策のための費用をほかの利用者の方々に御負担いただくことについてはおのずから一定の限界があるのではないか、このように考えております。
 したがいまして、精神障害者の方々に対する運賃割引の問題につきましては、厚生省を初めとするさまざまな社会福祉政策との関係でございますとか、交通事業者の経営状況等を考慮いたしまして慎重に検討してまいるべき問題ではないか、このように考えております。
#64
○日下部禧代子君 今、利用者の負担とおっしゃいましたけれども、これは行政も含めてでございますが、企業のお立場そのものを象徴的にあらわすことにもなるのではないかと思います。企業の方の責任ということでこの問題に対処することについてどうお考えでいらっしゃいますか。
#65
○説明員(浅井廣志君) これまで身体障害者の方々それから精神薄弱者の方々に対する割引は、先ほど御説明をいたしましたが、非常に公共的な政策という観点で、もちろん各事業者の意見も徴しますけれども、いろいろな交通機関を御利用になるわけでございますので、そういう意味で各交通事業者と私どもよく相談をしながら検討していくべき問題ではないかこのように思っております。
#66
○日下部禧代子君 それは、利用者が負担するということだけではなくて、いわゆる企業の責任という観点からも、障害を持った方たちに対して企業がどういう姿勢を持っているのか、そういうことにもつながってくると思いますので、その点の御指導のほどをよろしくお願いいたします。労働省それから運輸省の方、ありがとうございました。
 次に、文部省にお伺いいたします。
 精神障害者に対する正しい理解を普及する、あるいはまた精神障害者の社会復帰を促進する、そういった意味で、やはり学校教育の場においてもそういった偏見、差別を取り除くための努力というのは大変必要なのではないかと思うわけでございます。その点につきまして、学校教育の中で、特にこの精神障害者問題についての取り組みというのはどのようになっておりますでしょうか、お伺いいたします。
#67
○説明員(河上恭雄君) 御指摘のように、一般の児童生徒を初め、社会の障害者に対する正しい理解と認識を深めるということは大変重要なことと思っております。
 学校教育で何をどのように教えるかということは、学習指導要領というのがございまして、そこで大体基準が定められておるわけでございますが、この指導要領が改訂になりまして、昨年度から小学校、今年度から中学校で実施に移されているわけでございます。その大きな改訂の方針の一つに、豊かな心を持ち、たくましく生きる人間の育成を図るということが掲げられております。他人を思いやる心や感謝の心、あるいは公共のために尽くす心、こういうものを育てることなどを重視しまして、社会の変化に適切に対応する観点から内容の改善を図っているわけでございます。
 そのような基本的な方針のもとに、具体的に申しますと、小中高等学校の道徳あるいは特別活動、こういう時間がございますが、そういう時間に人間愛の精神でございますとか福祉の心あるいは社会奉仕の精神、こういったものの育成を図っております。あるいはまた、社会科とか家庭科という教科の時間で社会福祉についての理解を深める指導を行っているわけです。
 例えば、特別活動の時間は、最近では非常に奉仕的な活動、体験的な活動というものが取り入れられておりまして、精神薄弱者の更生施設を訪問して交流するとか、そういった活動が行われております。また、教科書などを見ますと、障害者の社会参加でございますとか福祉の問題というものが具体的に取り上げられております。それから、一般の児童生徒により正しい理解と認識を深めさせるために、心身障害児理解推進校という形で全国の小中学校を指定しまして、障害者理解の指導のあり方について研究をしていただくというような活動も行っております。
 そういういろんな活動を通しまして、精神障害者を含めました障害者の問題について理解を深めているわけでございます。
 以上でございます。
#68
○日下部禧代子君 ありがとうございました。
 それでは、厚生大臣にお伺いいたします。
 これまでの論議の中でも、やはり施設が絶対的に数が量的にまだ不足であるということで、これはその一つの原因といたしまして、地域社会における差別、偏見、そういった問題があるというふうに局長もおっしゃっておりましたが、このように日本の社会の非常に根深い精神障害者に対する差別観、偏見ということに関しまして、どのようにこれを取り除いていくべきか大臣としてどのようにお考えでいらっしゃいますでしょうか。
#69
○国務大臣(丹羽雄哉君) 先ほどから御答弁を申し上げておるわけでございますが、精神保健対策のうちで社会復帰対策というのは最重要項目の一つである、このようにまず認識をいたしておるような次第でございます。
 先ほど来委員からも御指摘を賜っているわけでございますけれども、社会復帰施設というものがなかなか思うように進まないということもこれもまた紛れもない事実でございますが、その原因といたしましては、これまで運営費の四分の一をいわゆる設置者が負担をしていたとか、それから今御指摘を賜りましたいわゆる地域社会におきます理解というものがなかなか得られない、こういうようなさまざまな要因があると思っておりますけれども、先ほどから申し上げておりましたように、本年度からは施設の運営費の設置者負担が解消されることになるわけでございます。
 さらに、今回の法改正におきましては、精神障害者の社会復帰を一層促進するために、精神障害者地域生活援助事業、いわゆるグループホームでございますが、これを法定化いたしまして補助規定を設けるとともに、社会福祉事業として位置づける、さらに精神障害者の社会復帰の促進についてのさまざまな啓発広報や訓練、指導に関する研究開発を行う民法法人を精神障害者社会復帰促進センターとして指定することができる、こういうような法改正を行ったわけであります。
 率直に申し上げて、先生から御指摘を賜っておりますように、なかなか思うようには進まないわけでございますし、またこの社会復帰の問題というのはある意味においてその国の文化水準を指すものではないかと、こういうような御指摘も先ほどから賜っておるわけでございますけれども、私どもはそういった御指摘を謙虚に受けとめながら、いずれにいたしましても、今後国民の皆さん方の理解と協力を得ながら社会復帰施設の充実のために一層努力していく決意でございます。
#70
○日下部禧代子君 文部省の方、ありがとうございました。結構でございます。
 厚生大臣にお伺いします。社会にある根強い差別観、それから偏見、そういったものに対しては大臣どのようにお考えでいらっしゃいますか。
#71
○国務大臣(丹羽雄哉君) 率直に申し上げて、それがいろいろな面において、いわゆる社会復帰施設のみならず精神病院の経営そのもののあり方に大変大きな影を落としているのではないかと思っています。
 基本的には、私どもは今回のこの法改正の位置づけの中でも明らかにいたしておるわけでございますが、社会復帰施設から地域社会へと一歩先に進めていく中において、現に国民の皆さん方の中にまだまだいろいろな意見が十分あるわけでございまして、この問題につきましてもさまざまな意見が実はあったことは御承知だと思います。しかし、基本的な立場からは、私どもは、そういうような差別や偏見をなくして人権というものに十分に配慮したいわゆる精神障害者の対策というものをさらに進めていかなければならない、このように考えているような次第であります。
#72
○日下部禧代子君 確かに社会復帰の問題というのは、さまざまな要因を含んでおりますので、これは一概に言えるほど簡単ではない、理想どおりというのはなかなか難しいということも承知しております。他の先進国の場合には、かなり早い時期からそういう問題に挑戦しているというふうに私はとらえております。
 例えば、イギリスにおきましては、自由入院というのを法制化いたしましたのが一九三〇年でございました。これは英国法におきまして自由入院を法制化したわけでございます。コミュニティーケアという言葉あるいは概念というものが最初にあらわれたのが二十世紀の初頭、今世紀の初頭でございまして、まず精神障害者の分野でコミュニティーケアが進められ、それが児童福祉、そしてさらに老人福祉というふうに流れていったという歴史的な過程、これは日本とかなり違っているなという感じが私はしております。
 一九八七年でございましたが、イギリスの世界的に有名な医学誌でございます「ランセット」、大臣御承知だと思いますが、この「ランセット」の一九八七年の三月二十一日号に、「フォーゴトンミリオンス」、つまり忘れられた多くの人々というタイトルで我が国に非常に多い、いわゆる拘禁者が二十五万人いるという記事が出ております。当時一九八〇年の初めで、イギリスではいわゆる拘禁されている精神障害者の患者というのは七千人ぐらいでございました。その当時日本が二十五万人だったわけです。そのことが、セントラルテレビの「ビューポイント87」という番組で放映されております。また、そういうことを受けとめまして、「インディペンデント」という新聞が「ぺーシェント・オア・プリスナー」、患者か受刑者かというタイトルで大きく取り上げております。
 そういう歴史がある国でございます。私が議員になる前、研究者の端くれでおりますときからも、イギリスの精神障害者の社会復帰の実態調査は数を重ねております。今回、また四月二十三日から五月十日までイギリスとドイツを訪問いたしました。そこで、私はイギリスのシャドーキャビネットの大臣、そしてまた与党の大臣にもお会いいたしましたが、その際、イギリスの精神障害者に対するコミュニティーケアの実態を再度見てまいりました。
 私にとって非常に印象的だったのは、各自治体によりまして精神障害者の社会復帰についての計画ができていることでした。そこで使われている言葉にはいわゆる患者という言葉はございませんし、クライアントという言葉もございませんでした。そのかわりにどういう言葉が使われているかというと、コンシューマー、日本語に訳すと消費者というのでしょうか、そういう言葉が使われておりました。言葉というのはいろいろと重要な意味を持っていると思いますが、その点が私は印象的でございました。計画書の中の至るところに、コンシューマー、つまり消費者の人権、人間としての尊厳、そしてプライド、プライバシーという言葉が至るところに出ている計画書を見まして、私は非常に印象的でございました。
 社会復帰ということをそのように早くからずっとやっております。特にデイセンターというのは全国に普及しており、今世紀の終わりまでにはいわゆる閉鎖病棟をなくすという計画で各自治体が取り組んでおりました。私は、ロンドン市のハマースミス地区に参りました。ここは、エイズのデイセンターもきちんとしており、精神障害者のデイセンターも整備されておりました。
 また、ケント州というところに参りました。ここの精神障害者のコミュニティーケアというのはもっと徹底しておりまして、地域の衛生局が住宅を民間から買いまして、それをいわゆる公社に運営を委託するという形になっておりました。そこで入居なさっている方の家庭を訪問させていただいたんですが、一人はもう八十歳の女性でした。ほとんどその方の生涯というのは施設と精神病院を行ったり来たりということだったんですけれども、やっとケント州の計画の中で社会復帰ということが可能になり、人生の最後の部分において、地域社会の一人の住民として生活をしていらっしゃる。その家庭を見てまいりました。
 その場合、当然のことながら、生涯のほとんどを病院とかあるいは施設でお過ごしになっていらっしゃるので、社会的生活というのはなかなか難しい。したがいまして、その方につくケアをする人々というのが六人あるいは八人もいらっしゃった。何もその方々は一緒に住んでいるわけではございませんで、彼女は本当に独立して、グループハウジングでなく一つの家に住んでいらっしゃいました。その場合、必要なときに必要な担当の方が来ていただけるように、ケアをする方の顔写真と同時にその下に番号がちゃんと置いてある。だから、ボタンを押せばちゃんと応答してくださるという方式がきちんと彼女の家庭にできておりました。
 そういう形で地域の受け皿というのをきちっとつくっているわけであります。家賃は無料というのではなくて、障害者年金あるいは老齢年金で賄える家賃でございます。そういういわゆる地域復帰のためのさまざまな施策、地域の受け皿というものができておりました。
 そういう受け皿が必要なことは先ほどから申し上げておりますけれども、その受け皿の重要なものの一つにやはり住宅があると思います。私が見てまいりましたケント州の場合ですと、衛生局が住宅を買い上げていく、それをいわゆるもと患者だった方に退院した後に貸すという形になっております。そういうふうな住宅をどのように供給するか、利用する側からいくとどのように住宅が供給されるかということでございます。
 ここで建設省にお尋ねしたいのでございますが、入院なさった方が退院なさった、その受け皿として住宅が必要なわけでございますが、建設省といたしまして、公営住宅への優先入居制度、そういったことは全くお考えの中にございませんでしょうか。これからはそれを考えていくというふうな対応の御方針を持っていらっしゃるでしょうか、お伺いいたします。
#73
○説明員(吉野洋一君) お答え申し上げます。
 精神障害退院患者の公営住宅への入居制度につきましてのおただしでございます。精神障害者世帯につきましては、特に住宅困窮度が高いと考えられますので、心身障害者向け公営住宅の優先入居の対象として位置づけまして、入居者の選考に当たりましては、福祉部局との連携のもと優先的に取り扱うように各地方公共団体を指導してきているところでございます。
 ただ、公営住宅法におきましては同居の親族が必要だということが原則となっておりまして、単身の方につきましては特例の場合にしか認めておらぬところでございます。単身の精神障害者の方につきましては、どの程度の障害がございますと単身での生活が可能かどうかという判断が困難でございます。それから、住宅の規模あるいは構造、福祉施設との連携等の配慮が必要であるというようなこと等の検討すべき課題がございまして、現状におきましては単身の精神障害者の優先入居を認めることは難しいと考えております。
 ただし現在、先ほどもお話しございましたグループホームでの入居につきましては、公営住宅の目的外使用によりまして試行的に行っておる段階でございまして、今後の課題といたしまして関係機関とも協議しつつ検討してまいりたい、こういうふうに考えております。
#74
○日下部禧代子君 今、実際にはどの程度グループハウジングというふうなことで公営住宅への入居者がいらっしゃるんでしょうか。
#75
○説明員(吉野洋一君) グループホームの例でございますが、これは具体的には北海道の上磯町の町営住宅におきまして平成四年四月一日から実施
をいたしているほか、静岡県の袋井市の県営住宅におきましても平成五年四月一日から実施をしておるところでございます。
 入居者が何名かは、グループホームにつきまして今申し上げた二例につきましては、四人ずつ八名入っておるところでございます。
#76
○日下部禧代子君 今後、どの程度増加させていくというお考え、具体的な御計画がおありでしょうか。
#77
○説明員(吉野洋一君) 今申し上げましたグループホームの地方自治法に基づく目的外使用でございますが、これは地方公共団体の要望がございましてその公共団体が実施をする、そういうことにつきまして、私どもとしてはもし必要でございましたらば支援をしていく、そういった考えでございます。
#78
○日下部禧代子君 ぜひとも、物をつくる、建物をつくるというだけではなくて、ソフトという面でも建設省がいろいろとそういった御尽力をいただくということがこれからの社会にとってますます必要になってくるのではないかと思いますので、その点ぜひ御考慮に入れた計画をつくっていただくことをお願い申し上げておきます。どうもありがとうございました。
 ところで、厚生省にはイギリスでやっているような衛生局が住宅を買い上げてそれを賃貸するというふうな発想、これは全く厚生省の管轄ではないということになるんでしょうか。これは建設省の管轄ということになってしまうのでしょうか。――厚生省の方にお伺いしています。日本にはそういう発想はございませんか。
#79
○政府委員(谷修一君) 今、先生がお話しになりましたイギリスの例でございますが、イギリスの衛生局が、恐らく日本では厚生省に当たるということだろうと思いますが、現時点で厚生省が、あるいは厚生省が関係するといいますか地方自治体において住宅を買い上げるあるいは借り上げるということは当面考えておりませんが、先ほど来御議論のありますこのグループホームというものがやはりそういうことの一つの比較的類似をした事業ではないかというふうに先ほど来お話を伺っていて感じた次第でございまして、そういう意味で今回の改正の中でもこのグループホームを法定化いたしまして、今後積極的にこの事業は伸ばしていくという所存でございます。
#80
○日下部禧代子君 住宅の次に重要なことは、やはりケアをする方々の問題でございます。
 先ほど申し上げましたように、イギリスのケント州におきましては、一人の八十歳の女性が社会生活をするために八人の人手を直接的にかけているわけでございます。
 ところで、日本の場合には、例えば高齢者の場合にはショートステイ、デイサービス、ホームヘルプサービスというものを在宅サービスの三本柱として整備が進められております。精神障害者の場合に、ホームヘルプサービスが高齢者の場合とはまた形を違って必要ではないかと思うわけでございます。
 そういうことを考えますと、精神障害者の家庭生活指導員、あるいはホームヘルパー派遣事業の実態というのはどのくらい厚生省で把握なさっているのでございましょうか。
#81
○政府委員(谷修一君) お話のございました精神障害者に対する家庭指導員といいますか、あるいはホームヘルパーの派遣事業を自治体でやっているところがあるということは承知しておりますが、必ずしも全国的な実施状況等は掌握をいたしておりません。
 私ども、岡山県の事例として、岡山県の精神病院協会と岡山県が中心になって事業を実施しているということは承知をいたしておりますが、その他の自治体においてどの程度あるかということは把握いたしておりません。
#82
○日下部禧代子君 把握なさっていないということは、これはどういう意味でしょうか、例が少ないということなんでしょうか。それとも、余りこれ必要性がないととらえていらっしゃるのでしょうか。
#83
○政府委員(谷修一君) 私どもが知っている範囲においては、岡山県以外にはほとんどないんじゃないか。今申し上げた事例以外には、現在我が国の中で、先生がおっしゃったような意味での事業、精神障害者を対象にした事業をやっているところはないんではないかというふうに承知をしています。
#84
○日下部禧代子君 では、今後こういう事業というのは必要であると思っていらっしゃいますか。
#85
○政府委員(谷修一君) 精神障害者が地域の中で生活をしていくということを進めていくためには、こういったような事業はやはり一つのやり方というか必要なことかなというふうには考えておりますが、具体的に今後どうするかこれは今申し上げましたような実施をしている県の状況なども聞きながら研究をしていかなければいけない課題だというふうに思っております。
#86
○日下部禧代子君 では、早急に実態を把握していただきまして、またニーズ調査などもしていただきまして、これをまた制度化するという方向で検討していただきたいということを強くお願いしておきます。
 精神障害者の方が地域で生活するためにも、どこに相談したらいいのか非常にお困りになることが多いと思うんです。例えば精神保健相談員、これは昨年の六月末現在で千八百四十五人と私把握しておりますが、それらの方々の実態、それから将来どのようにこういった方々の確保をしていくのかということをお伺いしておきたいと思うんです。
 今申し上げました精神保健相談員、これは半分以上が保健婦の方あるいは医師、福祉関係というふうに私は把握しておりますが、この方々の実態あるいはまたその処遇というのはどうなっておりますでしょうか。
#87
○政府委員(谷修一君) 精神保健相談員につきましては、精神保健センターあるいは保健所に配置をされているわけでございますが、職種としては、今先生お触れになりましたように、大部分の人が保健婦だというふうに承知をしております。
 また一方、精神保健センターには精神科ソーシャルワーカーですとか臨床心理技術者、これは先ほど来御議論ありますように身分法としては確立をされていないわけでございますが、そういうことをやっておられる方がそれぞれ平成四年度で約百名配置をされているというふうに承知をしております。
 これらの方々の身分といいますか待遇は、もちろんこれは保健所職員あるいは精神保健センター職員でございますから、他の職種同様地方公務員として処遇をされているわけでございますが、こういったような方の人員の確保ということについては、先ほどの身分化、国家資格化ということの検討と同時に、確保については地方自治体に対して十分確保できるよう指導はしているところでございます。
#88
○日下部禧代子君 病院から退院した方々が地域で実際に生活なさるためには、量的には少ないのですがさまざまな施設があり、そしてまたさまざまな形で生活をなさると思うんです。それぞれの医療サービス機関あるいは福祉サービス、どこにどうすればいいのか、どこに何があるのかというふうなことも含めまして、一人の方が病院から退院なさって生活を地域でなさるためには、安心して生活がなされるためには、さまざまなそういったサービスを連携していくコーディネーターのような職種の方がどうしても必要になるのではないかと思うわけであります。
 ばらばらでございますと、退院した方がどのサービスがどこにあるのかさえわからない、そのサービスをどのように連携して自分が利用していいのかわからない、これはやはり不安ということにつながると思うんです。一番退院した方たちがお感じになることは不安だと思うんです。退院しても、こういうときにはここに行けばいいんだ、こういう方に相談すればいいんだということになれば非常に安心していらっしゃられる。この安心ということは非常に重要なことだと思うんです。
 そのためには、さまざまなサービスが今乱立している状況にございます。これは精神障害者の方のためのサービスに限らないわけでございますが、特に精神障害者の方々の場合には、退院後地域で安心してお過ごしになるためにそういったさまざまなサービスをコーディネートする、そういう役割の方が必要だと思うんですが、この点につきましてどのようにお考えでいらっしゃいますでしょうか。
#89
○政府委員(谷修一君) 私どもは、そういう先生お話のありましたようなことをやる職種といいますか方としては、やはり精神保健相談員というものが保健所あるいは精神保健センターを中心にして活動していただくということではないかと思っておりますし、またそういうことを期待しているわけでございます。
 また、今回の法改正の中で、精神障害者を引き取る保護義務者に対しまして、社会復帰施設あるいは医療施設が保護者からの相談あるいは援助に応ずるといった規定を新たに設けたわけでございますが、そういったようなことによりまして、地域に出ていく精神障害者の方に対する指導とか助言ということは今までよりはやりやすくなったのではないかというふうに考えております。
 いずれにしましても、今先生がおっしゃったような意味でのコーディネーターという新しい職種というものを私どもは率直に申し上げて考えてはおりませんが、精神保健相談員というようなものを充実する、活用することによってそういう役割を果たしていただきたいというふうに思っております。
#90
○日下部禧代子君 そういう重要な役割を精神保健相談員の方が担っていらっしゃるということになりますと、私の把握しております昨年六月末現在での千八百四十五人という数は非常に少な過ぎると思うわけでございますが、いかがでございますか。
#91
○政府委員(谷修一君) 精神保健相談員につきましては、主として保健所に配置をされているわけでございますが、今後とも必要な人員がそこに配置をされるように、都道府県には改めて今回の改正の趣旨も含めて指導をしてまいりたいと思っております。
#92
○日下部禧代子君 その具体的な御計画がおありでしょうか。
#93
○政府委員(谷修一君) いずれにいたしましても、今回の改正が成立をして施行をする段階で、いろいろ国会で御議論があったようなこと、あるいは審議会からいただいた意見も含めて、新しい精神保健制度の運用ということについては関係自治体あるいは関係団体に通知をし、またお願いをするわけでございますから、そういうことの中でこの精神保健相談員の役割というものについても当然触れなければならないというふうに認識をしております。
#94
○日下部禧代子君 私は、そういった精神障害者の方が退院なさったときに、地域社会で生活をなさるためにはやはりそういうケアをする方の人材確保というのが非常に重要だと思います。そうでなければ、さまざまな理念的なことというのがどうしても絵にかいたもちになってしまいがちだということをぜひとも御認識いただきたいと思います。
 次に、精神科の救急医療体制ということについて少しお伺いしたいと思うんですが、精神科の医療救急センターというのは今どの程度全国にございますでしょうか。
#95
○政府委員(谷修一君) 精神障害者に対するいわゆる応急入院といいますか、救急医療ということについては、前回の改正の際に応急入院制度というものを設けまして、各都道府県に対してその設置の促進を指導してきたところでございますが、本年の四月現在で、全国で二十九都道府県、四十二施設が応急入院指定病院として指定をされております。
 したがいまして、まだ幾つかの県においては未設置県があるということでございますので、この応急入院指定病院の設置ということについては各県に強く指導をしていくつもりでございます。
#96
○日下部禧代子君 応急入院指定病院というのは、これはいわゆる救急のためで、必ずしも入院するだけではなくて、普通の一般の救急と同じような形で対応されている病院のことでしょうか。
#97
○政府委員(谷修一君) いわゆる精神医療の場合には、症状が急に激変をするといいますか、そういう場合があるということから応急入院制度というものが設けられているわけでございます。
 先生がおっしゃっておられるのは、いわゆる精神科に関係した救急医療という意味だというふうに理解をしておりますが、精神障害者の救急医療ということに関しましては、受け入れの医療機関の確保と、先ほど申しました応急入院指定病院ということのほかに、それでは急性期を過ぎた場合にどういうふうな医療体制をするのかというような問題がございまして、公衆衛生審議会の中でもいろいろ議論があったところでございますけれども、私どもとしては、そういう受け入れの問題とそれから急性期を過ぎた後の体制の医療の確保といいますか、そういうことを全体として少し議論して対策を考える必要があるんではないかということから、この問題について研究会を設けて研究するということにいたしております。
#98
○日下部禧代子君 その研究会というのは、どのような形でいつごろ発足するわけでございますか。
#99
○政府委員(谷修一君) 今年度の厚生省の厚生科学研究の中でこの課題を取り上げることにいたしております。
#100
○日下部禧代子君 いつごろその結果がまとめられる御予定でございますか。
#101
○政府委員(谷修一君) 当面、研究なり議論をどういうふうに進めるかということはこれからでございますが、いつごろということはちょっとまだそこまで実は詰めておりませんので、ただ、いずれにしても今年度からそういう研究を始めるということは明確になっております。
#102
○日下部禧代子君 やはり地域で退院後安心して生活できるという、そういった観点から見ますと、精神科の救急医療ということは大変に重要な意味をこれから持っていくのではないかと思いますので、その点に関係しまして今研究会を発足させるということでございましたが、その研究会はぜひとも実のあるものにしていただきたいということをお願いしておきます。
 そして、未設置の県につきましてはどのような形で設置を促進する方策を考えていらっしゃいますか。
#103
○政府委員(谷修一君) 先ほどお話のありました社会復帰施設の未設置の問題とは若干性質は違いますが、やはり今御議論ありました救急体制ということとも関連して非常に重要な施設だというふうに思っておりますので、私どもとしては、あらゆる機会を通じて、この施設が未設置のところについては都道府県並びに病院団体等も含めまして関係者にその設置をお願いしてまいりたいと思っております。
#104
○日下部禧代子君 それから、入院の場合には社会的入院がかなり多いのではないかなというふうに思います。つまり、地域の受け皿というものが、きょう私いろいろお話を承っている中でやはり大変に不足しているということを改めて実感させていただいたわけでございますが、そういうことも含めまして、社会的入院ということが日本の場合非常に多いと思うんです。その社会的入院を減らさなきゃなりませんが、その指導あるいはまた診療報酬上の方策、そういったことは考えていらっしゃるんでしょうか。
#105
○政府委員(谷修一君) 社会的入院という意味は、恐らく、精神障害者の中で入院が必要なくなった、だけれどもまだ入院しているという意味だろうと思いますが、ただ精神病院におきましては、精神医療審査会における入院の要否の審査ですとかそういうことをやっておりますし、もう一つ、そういうような意味では社会復帰体制、施設の整備等によります退院後の受け入れ体制の整備ということによってその解消に努めていかなければいけないというふうに考えております。
 一方、そういうようなことを、診療報酬の面では精神科デイケアといったようなことが診療報酬上評価をされているわけでございまして、そういうこととあわせて、やはり社会的入院の減少ということに努力をしていく所存でございます。
#106
○日下部禧代子君 先ほどからお話も出ておりますが、また公衆衛生審議会の意見書にもございますが、精神科にはやはりチーム医療ということがどうしても確立されなければならないと思います。このチーム医療の確立のために、予算措置、診療報酬上の措置、そういったものについてこれからどのように確立のための方策を考えていらっしゃいますでしょうか。
#107
○政府委員(谷修一君) 精神医療サービスを個々の精神障害者のニーズといいますか、そういうものに応じて提供していくということのためには、医師だけではなくて、看護職員ですとか作業療法士あるいは臨床心理技術者あるいはソーシャルワーカー、そういう方々が連携をして医療に当たるというチーム医療を確立することが必要であるということを公衆衛生審議会の意見書の中でも言われております。
 そのための一つの検討事項としては、先ほど来いろいろお話のございます臨床心理技術者それからソーシャルワーカーの国家資格化の問題があるわけでございまして、これについては現在関係者の間での意見調整といいますか、そういうものがやられているということでございますので、その結果を待って私どもとしては対応していかなければいけないというふうに思っております。
 チーム医療というものを、今私ちょっとそういう幾つかの職種の方を挙げてそういう方が一緒にやっていくということで一言で申しましたけれども、現実問題としてのチーム医療というものを精神医療の現場においてどういうふうにやっていくかということについては、各職種の役割ですとかそれから精神医療という現場における連携のやり方、そういうようなことを少し明確にしなければいけないんではないかということで、今申し上げたようなことについて具体的な研究をしていきたいというふうに思っております。
#108
○日下部禧代子君 そういたしますと、精神科のチーム医療のスタッフの養成計画というものはまだないということでございますか。
#109
○政府委員(谷修一君) 今申しましたチーム医療ということとの関係でスタッフのことをお尋ねいただいたわけでございますが、スタッフの養成ということについては、もちろんこれは精神医療のことだけではなくて医師その他の職種全体の問題だというふうに思っておりますが、ただ、精神医療に携わる職員の資質を向上させていくという意味においては各職種を対象にした研修ということは従来から実施をしてきているところでございます。
#110
○日下部禧代子君 研修だけではなく、本当に養成計画というものを立てていかねばならないというふうに私は思うわけでございますので、ぜひとも養成計画をきちっと早急にしていただきたいと思います。
 それでは最後に、大臣にお伺いさせていただきます。
 やはり地域の受け皿ということは、これは今九十分の論議でいかに重要であるかということを再確認したわけでございますが、地域づくりをどう進めるのか、また精神障害者対策を進める上で残された課題を本当に誠実に実施していく、そして行政間の垣根を取り払う、精神障害を持った方の社会参加と社会復帰、そういったことに対してのお取り組みを大臣はどのようにしていこうとしていらっしゃるのか、その御決意を伺いまして、私の質問を終わりたいと存じます。
#111
○国務大臣(丹羽雄哉君) 御議論を通しましてさまざまな問題点を提起されたわけでございます。私ども厳粛に受けとめまして、いずれにいたしましても、今回の法改正の趣旨でございます社会復帰施設から地域社会へさらに一歩を進めていくよう最善の努力をする決意でございます。
 その中で、精神障害者の社会復帰、社会参加の促進というものは、先ほどから申し上げておりますように、精神保健対策の最重要課題の一つとしてまず考えておるわけであります。今回の法改正におきましても、グループホームの法定化やあるいは各種の資格制限の緩和措置などを講ずることにより、これまでの精神病院から社会復帰施設へという流れに加えまして、さらに先ほど申し上げました社会復帰施設から地域社会へという新しい流れを形成していかなければならない、こう考えておるわけでございます。
 精神障害者の方々の社会参加を推進していくためには、先ほどから各省の方にも委員の方から御指摘をなさったわけでございますけれども、単にいわゆる私どもの分野だけではなく、雇用、住宅などそのほかの施策の分野、これも十分に配意をしていかなければならない、このように考えておる次第でございます。
 政府といたしましても、障害者対策全体でございますけれども、昨年で国連障害者の十年が終わりましたので、さらにことしから新たに政府の障害者対策推進本部で長期行動計画というものを策定いたしまして、これには身体障害者、精神薄弱者、精神障害者の対策を充実していくことになっておるわけでございます。こういった中において、いわゆる障害者の自立と参加、こういったものもひとつ前進ができますようあらゆる施策を通じまして今後努力をしていく決意でございます。
#112
○委員長(細谷昭雄君) 本案に対する午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時十分まで休憩いたします。
   午後零時十四分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時十一分開会
#113
○委員長(細谷昭雄君) ただいまから厚生委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、精神保健法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#114
○本岡昭次君 時のたつのは非常に早いもので、一九八七年九月十八日、本院社会労働委員会で、長年の努力の結果として制定された精神保健法について私が質問しましてからはや五年と九カ月が経過をいたしました。今回、五年後見直しに従って本改正案が提出され、かつ、衆議院でさらに五年後の必要な見直しの修正がなされたことを何よりもうれしく思っております。そして、これを可能にした関係各位の御努力に心から敬意を表するものであります。
 さて私は、まだ多くの問題点を持ち、精神障害者の人権擁護と社会復帰の促進について国際連合の最低基準に照らしても不十分な内容でしかない本改正案でありますが、五年後の再改正に期待をつなぎながら、賛成の立場で若干の質問をいたします。
 私は、一九八七年九月の本委員会で、当時の斎藤十朗厚生大臣に次のように決意を求めました。そのときの会議録を読ませていただきますと、「まだまだ多くの弱点を持つ改正案でありますが、厚生省が精神障害者の人権に光を当てて国際的な人権水準に一歩でも近づけようとしたその方向性を評価し、今後の改革に大きな期待を寄せつつ」「厚生大臣のこの法改正に当たっての明確な決意を求めたい」ということで、私は当時の斎藤厚生大臣の決意を求めました。斎藤厚生大臣は次のように答弁いたしました。「私は今回の精神衛生法等の一部改正の法律を契機として、本年を日本の精神保健元年、こういうふうにいたしたい、」、こう言いました。そしてまた、「今回の法改正を契機といたしまして、我が国の国情に応じた施策を展開いたしてまいり、そして国際的にも精神保健、精神医療の分野においてモデル的な国としてこれから評価されるように努力をいたしてまいりたい、」、このように決意を述べられたのであります。
 今日、日本の精神保健、精神医療の国際レベルは一体どうなっていますか。世界のモデル国として評価される実態に近づきつつあるのですか。大臣の率直な所見をまず伺っておきたいと思います。
#115
○国務大臣(丹羽雄哉君) 精神医療対策につきましては、前回の改正によりまして精神医療審査会制度、任意入院制度、さらに精神保健指定医制度などの各種制度が医療現場で着実に定着をいたしております。また、強制入院である措置入院及び医療保護入院が減少する傾向にあり、それにかわりまして、本人の自由意思に基づく任意入院や通院医療などが増加いたしております。基本的には、この五年間において人権を配慮した精神医療に向かって着実に前進をいたしておる、このように考えておるわけでございます。今後とも、この改正を契機に、さらに適正な精神医療を確保するため、よりよい環境において質の高い医療を提供するよう努めてまいりたいと思っております。
 また、社会復帰対策につきましては、前回の改正によって初めて社会復帰施設というものが法定化されたわけであります。精神障害者の社会復帰の促進を図るための貴重な第一歩となったわけでございますけれども、率直に申し上げまして、社会復帰施設につきましては現在までのところ必ずしも十分に進んではおらないというのが現実ではないか、こう認めざるを得ないわけでございますが、今後とも社会復帰施設の充実が大変必要だ、このように考えておるわけでございます。前回の法改正におきましては、精神病院から社会復帰施設へ、こういうような位置づけでありましたけれども、今回の法改正に当たりましては、社会復帰施設から地域社会へと一歩進めたわけでございます。
 いずれにいたしましても、積極的に人権というものに十分に配慮しながら、開放的な精神医療の確保のために努めていく決意でございます。
#116
○本岡昭次君 大臣の率直な所見を私は伺いたいんです。
 それは、国際レベルで一体どういうふうに日本の立場が位置づけられているのか。また、モデル国に近づくと言いましたけれども、日本は今努力されておるようです。しかし、それ以上に国際的なレベルの方がどんどんと先行していっているんじゃないかと思うんです。どうですか、モデル国にふさわしいような実態に近づいておりますか、それとも国際水準というものに近づいた、最低基準を突破して中ぐらいになった、こうお考えですか。
#117
○国務大臣(丹羽雄哉君) 世界的にモデル国になったかどうかというあれは避けましても、御案内のような国連原則のいわゆる精神保健対策に関する世界各国の共通のガイドラインというものがあるわけでございますが、我が国の精神保健の諸制度につきましては、基本的には原則に沿ったものとして運用していく必要があると考えております。今回の改正でも、先ほど申し上げましたような位置づけに立ちましてもろもろな法改正を行っておるわけでございますが、例えば人権への配慮、適正な医療の確保、社会復帰促進、こういうものを念頭に置きながら、国連原則との関連におきましては非自発的入院の対象は精神障害者に限られるべきである、こういうような原則がありますけれども、この趣旨を踏まえまして仮入院の期間を三週間から一週間に減らすなど、世界的な水準に向かって近づきつつある、こういうふうに認識いたしております。
#118
○本岡昭次君 国連原則の問題にお触れになりましたので、それではそこに入ってまいります。
 私ははっきり言いまして、一九九一年十二月十二日に、国連において国連総会第四十六回総会決議として上げられた「精神病者の保護および精神保健ケアの改善」及びそれに付された二十五カ条の原則に照らしてかなりかけ離れている、日本は低い水準にあるというふうに言わねばならぬと思います。そしてまた、附属文書として国連事務総長の文章があるわけですが、そこにはこう書いてあります。「新たな関連法規を導入するにあたっては、諸原則に従った規定を採用すべきである。諸原則は患者保護に対する国際連合の最低基準を設けたのである。」、こういうふうに書かれてあるんです。
 それで、私はつぶさにこれを読みました、この諸原則なるもの二十五カ条。そしてこの改正法案と比べてみました。残念ながら、この国際連合の最低基準という問題に照らしてもまだまだほど遠いものがあると私は結論づけざるを得ないのであります。
 これからその問題について私は質問で触れていきますが、大臣は、この国連原則に照らしても恥ずかしくないとここで言い切られますか。もし言い切られるなら、私はこれはどうだこれはどうだと質問してまいりますが、恥ずかしいけれどもまだそこまで到達していないとおっしゃるなら、私はそういう立場で質問します。どちらの立場で質問したらいいか。大臣、国連原則と日本の精神医療の関係をはっきりさせてください。
#119
○国務大臣(丹羽雄哉君) 恥ずかしいか恥ずかしくないかということは大変難しい御質問でございますけれども、基本的には国連原則に沿ったものとして運用していく必要がある、こういう認識に立って少しでも国連の原則に近づくように、もろもろの我が国の実情というものを十分に踏まえながらもそうした方向に向かって進んでいっている、このように考えております。
#120
○本岡昭次君 ということは、現在まだ到達をしていないというふうに大臣が認識されているというふうに判断していいですね。
#121
○国務大臣(丹羽雄哉君) 私どもといたしましては、一方的に決めつけられますと、ああそうでございますかとは言いにくいわけでございますけれども、先ほどから私が申し上げておりますように、我が国は五年前ああいうような大変不幸な事件を契機にいたしまして、精神衛生法の抜本的な改正を行って、さらに今回また今度は位置づけにおきましても、当初の精神病院から社会復帰施設へ、あるいは社会復帰施設から地域社会へと一歩一歩前進をしておる、このように考えておるような次第であります。
#122
○本岡昭次君 一歩一歩前進していますが、国際的な水準は二歩三歩と前へ行っておるんですよ。私は具体的にそのことをこれから言ってまいりますから、ひとつ十分考えてください。
 まず、国連原則の八、それから十四の項目でありますが、国連原則の八にはこういう言葉があります。「すべての患者は、自らの健康上のニーズに適した医療的・社会的ケアを受ける権利を持ち、また、他の疾病を持つの者と同一の基準に則してケアおよび治療を受ける権利を持つ。」、「他の疾病を持つの者と同一の基準に則してケアおよび治療を受ける権利を持つ。」、こう書いてある。原則十四には、「精神保健施設は、他の保健施設と同一水準の資源を備えねばならない。特に、(a)資格を持つ医学的、その他の適切な専門職員の十分な員数」ということがございます。このことと、一九五八年の厚生次官通知、あるいはまたその後すぐ出されました厚生省医務局長の通知、いずれもが「特殊病院に置くべき医師その他の従業員の定数について」というのがありまして、これが現在もなおかつ三十五年間にわたって精神病院を拘束し続けているのであります。医師の数は他の診療科に対して三分の一、看護者の定数は三分の二以下でよい、こうされている。大臣、これは、原則八、原則十四に従ってこの次官通知、局長通知をこの際廃止するということでなければこの原則と大きく異なってまいります。これは大臣の判断、決断でこの隠されるべきだと思います。いかがですか。
#123
○国務大臣(丹羽雄哉君) 率直に申し上げて、委員も我が国の精神医療学界あるいは取り巻く環境について十分に御認識を賜っておると思いますけれども、やはり理想と現実とのギャップ、乖離というものが現にあることは私ども認めざるを得ません。しかし要は、私どもが大切なことは、理想に向かって一歩一歩進めていくことである。
 特に、今お話がございました中で、インフォームド・コンセントの問題であるとかあるいは人員配置の問題であるとか、これは現場のお話を聞いておりますと大変なかなか難しい問題がありまして、こういうような現場の意向なり現場の立場というものを無視して一方的に推し進めていくことが、果たして我が国の実情に合った真の意味での精神医療のあり方かどうかということも十分に踏まえながら、とにかく基本的には先ほどから申し上げましたように一歩一歩前進を図っていきたい、こう考えているような次第であります。
#124
○本岡昭次君 いや、一歩一歩もいいですが、三十五年間同じ通知で縛り上げているんです。しかも、医師の数が一般病院と比べて精神病院は他の三分の一でいい、看護婦の定数が三分の二以下でいいということを、精神病院のお医者さん、看護婦さんが納得されて、経営者もこれでよいとされてずっといるならいいですよ、それはあなたがおっしゃったように現場の御意見に従って。現場はこれを何とかしてくれ、こう言っているんじゃないですか。
#125
○国務大臣(丹羽雄哉君) 精神医療の現状から見て、今お話しのような人員配置の特例でございますか、こういうものを廃止するということは、まだ大変残念なことでありますけれども非常に差別と偏見というものが根強く残っている中において、実際問題としてなかなか人員を確保しにくい点があるということも、私どもは現場からいろいろな点でお聞きをいたしておるわけでございます。
 そういう中において、私どもは、今後チーム医療を確立していくことが必要だ、いわゆる精神科医療ソーシャルワーカー、先ほど午前中から御指摘を賜っておるわけでございますが、こういった問題の資格化もあわせまして、全体的の中において今申し上げたような人員配置のあり方、こういうものを検討していくことがより現実的な施策ではないかこう考えているようま次第であります。
#126
○本岡昭次君 昭和五十九年七月三十一日、私は社労委員会で当時の渡部恒三大臣とこういうやりとりをしているんです。今の問題なんです。そのときに渡部恒三大臣はこう答弁している。
  一般病院と精神病院とで、その基準等につい
 て精神病院に対して緩和といいますか、弾力的
 な措置をとっておったというのは、それなりに
 恐らく医学的な事由があったのだろうと考えら
 れますので、今すぐそれを私がここで廃止する
 とかしないとか、即答をするのはお許しをいた
 だきたいと思いますが、先生御指摘のように、
 精神病院のみならずこれはすべての問題にも通
 ずるかもしれませんが、時代が十年前、二十年
 前より豊かにもなってまいりましたし、そうい
 う問題に対する考え方もどんどん変わってきて
 おりますし、新しい時代にそういう通達がなお
 生き続けなければならないのかどうかという点
 について、先生の今の御指摘を十分に頭に入れ
 て、事務当局と相談してみたいと思いますの
 で、その時間的余裕はお与えいただきたいと思
 います。
 八年間も待っておるんです。一体幾ら時間的余裕があればいいんですか。私は本当に腹が立ってくるんです、そのときそのとき大臣が言い逃れをしているのかと。三十五年間も一つの法律で縛り上げて、そして現場の医療従事者、お医者さんや看護婦さんやそういう人たちに大変な御苦労だけを与えている。後ほどずっと詳しく言いますが、経営そのものにもそのことが大きく作用してきているんでしょう。これは大臣の決断です。何で三十五年前のものがいまだに生き続けるんですか、これだけ世の中大きく変わっているのに。大臣、これは早急に検討して廃止する方向でということをここで言ってください。そうでなければ私は厚生省を信頼できない。
#127
○国務大臣(丹羽雄哉君) 御趣旨はよく理解いたしております。しかし、委員も私が申し上げていることも十分に、ある意味において現場の実態という点から言うと、決して私の話が非常に後ろ向きであって全く話にならぬということじゃなくて、私は現実の問題として先ほどから申し上げておりまして、要はいかにして人権というものを配慮しながらよりよき運営を行っていくかという観点に立ちまして、私は今チーム医療の必要性というものを強く訴えておるわけであります。
 現に、私の地元などでも、率直に申し上げていわゆる精神医療を行っている医療機関においてはなかなか差別と偏見が根強く残っている中において、看護職員であるとかそのほかの医療従事者というのは非常に集まりにくい。それでなくても、今現在各医療機関においては大変なマンパワーが不足している中において、これもまた先生も御理解を賜りたいと思っております。
 要は、そういうことを現実に踏まえながら、いかにして今申し上げたような、私どもが理想としているいわゆるチーム医療、人権というものを十分に配慮した精神医療、こういうものを目指していくか、こういうことに尽きるのではないかこのように考えております。
#128
○本岡昭次君 私は、大臣を責めて、個人を責めているわけじゃないんです。よくわかるんです。ただ厚生大臣ですから、厚生省の責任者だからあなたに今いろいろと声を大きくして申し上げております。本来、これは歴代の厚生省の担当者の怠慢ですよ。大臣にそれだけ言わせておいて後は知りませんと、恐らくそういうことですよ。歴代の大臣がずっとそのことで苦しい立場に追い込まれる。だから、大臣は大臣として、大臣も政治家なんですから、やはり三十五年前のこの問題について本当に必要なのかどうかということを、ここで一遍ちゃんと検討しますということを言うのが私は政治家だと思うんです。
 それで、あなたがおっしゃったように、人が得られない、得られないからその三十五年前のが生き続けるというのは、それは実態はそうだと思うんですが、理屈に少し合いにくいと思うんです。やっぱり、大臣は政治家としてこの問題に対する対処をここで言っていただきたい。そうしたら、私も質問したいことがたくさんありますので。
#129
○国務大臣(丹羽雄哉君) 先生の御主張は、十分謙虚に承りまして今後の検討課題にさせていただきます。
#130
○本岡昭次君 いや、今後の検討といっても、これ時間的余裕といって八年間私はずっと待ちぼうけ食うてますねん。だから、厚生大臣の責任においてこの一年間に検討するとか、きっちりいつまでにこのことについて答えを出しますと、それを言ってください。
#131
○政府委員(寺松尚君) 今の先生の御質問にちょっと事務当局の方からお答えをいたしたいと思います。
 と申しますのは、一つは精神病院の実態でございますけれども、確かに先生御指摘のように、昭和三十三年に出ました事務次官通知というものが現在も生きておるわけでございますが、それによっていろいろと人員等の配置はされております。しかし、実態が現在どうなっているかといいますと、実は千四十六の精神病院を調査した平成三年の数字がございますが、その中で、医療法の標準と言われるものをさらに上回っておるというふうなものが四〇%を超えております。と申しますのは、一般の病院におきましてたくさんの看護婦さんを配置しておる基準がございますが、それに合わせました基準でやっておるような基準看護を採用しておる病院が精神病院の中にもございます。したがいまして、先ほど申し上げましたように全体的には四〇%が医療法の標準を超えている、こういうことでございます。
 それから、医師とか看護婦につきましての一般病院との差でございますが、実はこれは、もう私どもも医療監視等で非常に十分なチェックをしていろいろと指導はいたしておるのでございますけれども、なかなかその医療関係者の配置の増員が図られておりません。現在のところでは、医師につきましては、医療監視の遵守率というものは精神病院の方が一般病院よりも高くございまして五二%程度遵守しておる。それから、看護婦につきましては、これも一般病院と比べておりますが、一般病院が八二%ぐらいでございますけれども、精神病院が六五%と看護婦の問題は確かに遵守率が低うございます・
 しかし、各県でいろいろと調べてみますと、こちらの医療法の標準を非常に満足しておるところもございますし、非常に悪いところもございます。したがいまして、私ども、医療の標準をできるだけふえるように、先ほど申し上げた基準看護をとるなりする形で増員を図ってもらうようにいろいろと指導をいたしておるところでございます。
#132
○本岡昭次君 いや、そうなっておるんやったら要らぬやないですかこんな古証文みたいなものは。これを廃止して、新しい対応をさせたらどうなんですか。どうしても、またこれをこれから何年も先、十年二十年と生かし続けるおつもりなんですか。それで、今おっしゃった実態は四〇%は上回っておる、こういうことなんでしょう。しかし、それは現場の努力でそうなってきよるんでしょう。それにもかかわらず、いつまでこういう通知を生かし続けるんですか。
 それなら聞きますけれども、厚生省の統計報告を見ると、平成元年で一般病院の看護者数は全国平均で百床当たり三十八・四名、これに対して精神病院は全国平均で百床当たり二十・二名、これ間違いないと思うんです。しかし、精神病院といっても自治体立の精神病院は、百床当たり平均して三十四・九名の看護者が配置されているんです。私たちが問題にしたいのは、一般の精神病院の全国平均の百床当たりは二十・二ということなんです。自治体病院の三十四・九というのは後ほど別の観点から私は議論します。要するに、そういう状態であってもそれは昭和三十二年の通知によって何ら問題がない、こういうことになってくるわけでしょう。そこはどうなんですか。
#133
○政府委員(寺松尚君) これも先生御承知のとおりでおっしゃっておるんだと思いますが、精神病院の医師、看護婦等の配置標準と言っておりますが、これにつきましては、精神病の特性からいろいろと数字的には一般病院よりも低くなっておるのが普通でございますが、先ほど申し上げたように、一般病院のいわゆる基準看護等と同じように、非常に看護婦等を重装備しておるところもそれは病状に合わせてあるわけでございます。したがいまして、そういうふうな精神疾患の特性で、いろいろな症状の重い軽いに応じまして人員を配置したり、いろいろ工夫をしておるところであろうかと存じます。
 そこで、今このままほっておくのかという御質問でございますが、大臣からも御答弁がありましたけれども、私ども、これから二十一世紀の超高齢化社会に向かいまして今いろいろと考えております中に、良質な医療を効率的に提供するシステムを構築する、こういうようなことでいろいろな病院の医療機能の体系化を図りつつございます。したがいまして、私どもは精神病院も含めましてその辺の人員配置等も考えてまいりたい。そのときに、この国連の原則にもございますけれども、やはりその国その国の実情も十分考えてやるような努力目標という形で設定されておりますが、そういうような形でやってまいりたい、このように考えております。
#134
○本岡昭次君 あなたの話を聞けば聞くほど、昭和三十三年のこれは不要になってきている。特殊病院とかいう形ですね、結核とそれから精神病院を置いて。それで良質な医療を全体にと、こうなったときはこの通達の趣旨そのものが不必要になってきている。それだけ我が国の医療のあり方、あるいはまた患者の人権とか医療を受ける権利とか、そういうようなものがやっぱり年を追って拡大してきておるんでしょう。その中で、昭和三十三年のこうしたものが、もはや死文化したという状態になってもなおかつ生き続けているというこの不合理、これはやはり僕はこの質問の中ではっきりさせていただきたいと思います。
 それで、自治体病院はあなたがおっしゃったように重厚ないろいろな体制をとっていっておりますよ。しかしながら、病床数を見ると、平成二年度で、自治体立の精神病院では一万七千二百六十一床でしょう。それに対して、私立の精神病院の病床数は三十一万五千三百十床でしょう。これは圧倒的に私立の精神病院のところで治療を多くの患者が受けておられる、こうなっています。要するに、入院を要する精神患者のほとんどは私立の精神病院で治療を受けるんです。ところが、それが百床に対して二十・二、二十人そこそこという看護者の手で治療を受けているというこの実態。公立の自治体病院に行くと三十四・九という倍に近い形のところで治療を受けられる。精神病院一つとっても、個人と法人化された病院と自治体病院で非常に差があるわけです。こうした不平等が現にこうして非常に大きく存在をしているんです。
 しかも、先ほど今井委員の質問の中で答弁されましたけれども、平成三年度の病床百床当たり一カ月の収支について精神病院だけ取り上げてみると、個人の場合は三百七十五万円の利益、法人が百十一万六千円の利益、公立が赤字で千四十二万円、こういうふうになっておるんです。これはなるほどとわかるんですよ、何で自治体病院が千四十二万円も赤字になるのか。これは、百床当たり三十四・九、そういう看護体制を維持しておるからこれだけの赤字が出るんですよ。自治体病院がなぜそういう赤字を出してでもそれだけのを維持するかというと、そうでなければ良質な医療が保障できないから自治体病院は赤字覚悟でやっているんでしょう。となれば患者にとって、自治体病院に入った人とそうでない人とは医療の部分で大変な不平等を受けることになります。患者の治療を受ける平等の権利が受けられなくなる、こういう実態が私はここではっきりしたと思うんです。
 自治体病院の方は、赤字は税金の中から補ってやるという仕組みなんでしょう。個人とか法人の病院ではそれはできない。できないから人件費を抑制する、それで辛うじて経営をするための利益を出していく。その根拠になっているのは何かというと、この三十三年の通達というものがそういうものを認めていっているということなんです。
 経営者の立場からすれば、個人であろうと法人の私立の病院であろうと、やはりこれは経済的に成り立たなければならぬですよ。病院を経営しているんだから、経営の安定というものが当然そこに出てくる。だから、こういう格差を生まないように、経営の安定が図れるようなやはり精神医療の面での診療報酬の問題とかさまざまな手を打たなければ一般病院との間に大変な格差がある、さらにまた、精神病院の中にこういう格差が存在しているという矛盾をどう解決していくかということが私は極めて大事だと思います。
 その中の一つに、その三十二年の、他の病院よりも人員配置は少なくてもいいというこの物の考え方、考え方の問題ですよ、これをやはりなくす。それと診療報酬の問題で、こうした病院の経営の主体ごとにこんな格差が出ないようにやる対応の仕方、こういうものが私は必要ではないか、こう思うんです。だから、いろいろとここで議論をしたいんですが、きょうはその三十三年の次官通知、局長通知、それをこの際もうはっきり廃止も含めて見直します、考え直しますということを、私は政治家としての厚生大臣にぜひともそれだけはお願いしたい、こう思います。
#135
○国務大臣(丹羽雄哉君) 私は政治家としてというか厚生大臣として、今民間の医療機関の経営が極めて悪化をしておる、こういうことを私どもたびたび予算委員会なりあるいはこの厚生委員会なりで御指摘を賜っておるわけであります。その中におきまして、精神病院の経営の悪化ということも強く指摘されておるわけであります。
 なかんずく、当然のことながら民間の医療機関の問題でありますし、この人員の配置の問題はまさにその経営悪化の大きな根本にかかわる問題でございますので、この点は十分な、賢明なる委員でございますので、ひとつ今後の検討課題にさせていただきたいと思います。
#136
○本岡昭次君 だんだん平行線になりそうなんですが、それは検討していただくのはいいんですが、やっぱり渡部恒三大臣がおっしゃってから八年たってもまだ同じ議論を厚生省が展開しておるということが私は不思議でたまらぬのですよ。これだけ世の中が変わり新しい時代が生まれ、こういう国連原則がきちっとして、日本は国際的なモデルになろうとこう言い、この国連原則の最低基準、これは最低限クリアせにゃいかぬ、そういう強い決意と覚悟を持っておられるのに、依然としてそういう論理というのはどうもそこに一貫せぬものがあると思うんです。
 そういう先のめどのない検討じゃなしに、いつまでにこれはこうやって結論を出しますということをぜひとも言い切っていただきたいと思います。そうおっしゃらないからといって審議をとめるわけにもいきませんから、ぜひともそれはやってくださいよ。
#137
○国務大臣(丹羽雄哉君) やはりこういう問題、人員配置の問題につきましては総合的な観点から判断をしなければならない。先ほどから御指摘を賜っておりますような診療報酬も含めまして、いわゆる精神病院の経営の安定化、こういったものと密接不可分の問題でありますし、こういう中において先生の御趣旨、御指摘は十分に私も私なりに理解はしないわけではないのでございます。
 元の閣僚がそのような答弁を申し上げたことについて現在と全く変わっていないではないか、こういうことがありますけれども、問題にはやはり変わるものもあれば変わらないものもあるし非常にいろいろな面があるわけでありますもので、現在においては率直に申し上げて、今この人員配置の問題の特例なるものを廃止したならば、ほとんどの民間病院が大変なさらに経営悪化していわゆる精神の病棟あるいは精神治療そのものが大混乱する、こういうような高度の政治的判断におきまして、私はあえて申し上げて先生の御理解を賜っておるような次第であります。
#138
○本岡昭次君 そうですか、現場が大混乱をいたしますか。そうおっしゃるなら、それでは精神病院を経営されておられる方々に、昭和三十三年のこれは今でもなおかつ必要だと思っておられるのかどうか。もしそのために厚生省がこれを置いているとすればこれはまた別の――私は逆だ、こう思ったものですから、逆だと思ったんですよ。だから、これを変えることによって診療報酬の問題もまた一般病院と並んでいくんですから、特殊病院ということで別枠に置かれているということがすべての根幹だ、こう思うからですよ。
 それは、経営者の方々も物の考え方が余りにも後ろ向きじゃないんですかね。やっぱり特殊病院という枠を外してもらって、一般病院と同じような形で良質な治療をやっていく、そして病人、患者という立場で差別がないんだということをこの国連原則が示しているようになぜ一歩を踏み出せないのか私はちょっと理解ができないんです。ここまで自分の主張を言ってしもうて、大臣のおっしゃるのをそうですかといって引き下がるわけにいかへんですね。
#139
○国務大臣(丹羽雄哉君) 先ほど来、先生からの御意見を賜っておるわけでございます。私ども、十分にその言葉を重く受けとめまして、今後の検討課題にさせていただきたいと思います。
#140
○本岡昭次君 それでは私は、これから毎月といったら余りなんですが、三カ月に一遍ぐらい、どう検討されましたかどう検討されましたかということで月参させていただいて、今の大臣の答弁をきっちりと厚生省の中で受けとめて作業が進むように、再び私がこういう質問に立ったときに同じことを言わぬでもいいようにやりたいと思いますので、大臣もよろしくその点お願いいたします。――うなずいていただきましたので、次に入ります。
 同じ国連原則の九項というのがあるんですが、ここにも治療の問題で次のような表現がございます。
  すべての患者は、最も制限の少ない環境で、最も制約が少なく、もしくは最も侵襲的でない治療によって、自らの健康的ニーズと他の者の身体的安全を保護する必要性にふさわしく、治療を受ける権利を持つ。要するに、精神障害者、精神病院に入院している患者は「最も制限の少ない環境で、最も制約が少なく、」、そういうことが書いてあるんですね。
 そこで、前回の法改正のときに、これは「精神保健法第三十七条第一項の規定に基づく厚生大臣が定める処遇の基準」というものが告示されておりますね。これも読ませていただきましたが、その文章の中に、入院患者の処遇に当たっては、患者の自由の制限が必要とされる場合でも患者の症状に応じて最も制限の少ない方法によらなければならないというふうに書いてあるんです。
 また、公衆衛生審議会の答申もそうした立場の言葉が出されておりまして、ほぼ国連のこの原則と一致しているようにも思うんですが、これは要するにこの精神病院における開放処遇の問題だと思うんですね。開放処遇、開放治療というんですか、それを一体どういうふうにするのかということであろう、このように思います。
 それで、話はまたもとへ戻るんですが、開放治療をするという場合に、一体どれだけの人手があればできるのかという問題ですね。今までのように病院に収容して、かぎをかけて鉄格子をはめて、そこで管理監督というんですか、そういうもとでやる場合と、開放処遇というふうになった場合とこれは人員配置の上でさらに大きな相違が出てくる、私はこう思うんです。
 それで、先ほど厚生大臣も五年前とおっしゃいましたが、私は宇都宮病院という問題をここで頭に思い浮かべるんです。私も二度にわたって調査をして、宇都宮病院が一体何であったかということを体験してきました。今でも貴重な体験だと思っています。
 この病院では、入院患者九百四十四名に対して、常勤医は三名。看護者は正看、准看合わせて六十七名。つまり、看護者は患者百名に対して六名、こういう状態でこの病院が経営される、なぜか。これは鉄格子のはまった、かぎのかかった中に患者を入れた。騒ぐ者があればリンチをして静める。そして、独房のようなとても非人間的な耐えられないようなところに押し込んで処罰をする。そういう本当に重大人権侵害を地でいくような形の病院だったから、これだけの人数で済んだんです。
 だから、こうした病院も含めて開放処遇をするとなれば、これは私は大変なことだと思うんです。しかし、その点については先ほど言いましたように、きちっと公衆衛生審議会の答申でも出されておるし、先ほど言いましたように厚生大臣の告示の中に、そういうふうにしなさいということが述べられている。また、国連原則もそうしたことを明示している。とすれば、一体これはどうしていったらいいのかということなんです。
 先ほど大臣も、しかし人手がない、病院の経営が大変になってくるとおっしゃいました。おっしゃるとおりです。この経営、経済基盤の脆弱な土壌の中では、これはとてもそういう開放処遇はできないでしょう。人権侵害を前面に押し出してやるような病院でなければ、私はそれは成り立っていかないと思います。だから、経済基盤が脆弱であれば、そこに人権侵害が起こる。逆に経済的に経営が安定すれば、そうした人権侵害の土壌がなくなっていく。こういう関係にあると思うんです。だから、宇都宮病院のような轍を踏まないためにどうするかということで、前回精神衛生法が精神保健法として改正されて、この法案が新しく精神障害者の人権と社会復帰というものを前面にうたってスタートしたんであります。
 そういう意味で、私は先ほど言いましたように、この開放処遇という面から見ても、また話はもとに戻りますけれども、そうした開放処遇を十分やり切るだけの人員配置というものが果たして可能なのか。それをやらないで厚生大臣の告示と
いうところで幾らそれを書いたって、これは仏をつくって魂を入れずというふうな例えと全く同じようなことになってしまうと思うんです。やはり、これだけのことを大臣告示でやり、そして法律にもうたい、公衆衛生審議会も出したら、私はそれを裏づける体制を組まにゃいかぬと思うんです。厚生大臣、いかがですか。
#141
○政府委員(谷修一君) 前回の改正の際に、制度として導入されましたのは任意入院、特にこの任意入院については、みずからの同意による入院であるということから、できるだけ開放病棟での処遇が望ましいということは先生お話しのございましたように指導をしてきたところであります。また一方、入院患者の処遇というものはその症状に応じてなされるべきということから、一律に開放的な環境ですべて処遇をするということは、医療上から必ずしも適切でないということもまた私ども考えているところでございます。
 先ほどお触れになりました公衆衛生審議会の意見書の中でも、精神病院において開放処遇を適当とする者については開放処遇とするということを改めて意見として述べられているわけでございまして、そういう意味で、私どもは今回の改正を契機にして、この開放処遇あるいは開放的な処遇ということについての指導は徹底をしてまいりたいと思っております。
 一方、審議会の意見の中でも、開放処遇というのは一体いかなることを言うのかと。これは、少なくとも私は開放処遇という言葉で言っておりますが、じゃどういうことが開放処遇なのか。これは前回の改正の際の通知におきましても、例えば二十四時間出入り口を錠で囲っている病棟の中においても、そういう患者さんでも、場合によっては一時的に外へ出て開放的処遇をやるべきだということも言われているわけでございます。
 そういう意味で、開放処遇というものの概念といいますか定義というんでしょうか、そういうものを私どもとしては明確にしなければいけないというふうに考えております。これは、今回の改正法が施行する前に、そういう概念をきっちりと整理したい。これは、審議会におきます精神医療の関係者の中からもかなりそういう意見が出されていたことでございますので、そういうことも含めて対応をしていきたいというふうに思っています。
#142
○本岡昭次君 時間がありませんので、深く立ち入るのはまた別の機会にさせていただきます。
 それで、結局マンパワーという問題を私たちがどういうふうに認識して、その仕組みをどう確立していくかということになろうかと思います。そして、このことを法的に裏づけをして経営主体の病院経営の安定をどう図っていくのかということにもなってこようと思うんです。
 そこで、マンパワーの中の一つとして、PSWの問題を少し議論していきたいんです。午前中も今井さんの方から質問がありましたが、私はPSWに限りますから、このPSWの資格問題、これも先ほどの議論じゃありませんが、前回の法律改正のときにこういうやりとりをしております。
 私は、向こう一年の間にいろんな問題を解決して、この資格問題について、ソーシャルワーカーでつくられる一つの制度としてこれを処理するという約束をしてくださいと。一年間でひとつつくりあげてくださいという要請をしました。当時の竹中局長さんの答弁は、
  厚生省といたしまして医療福祉士として資格
 法制化をするという方向でこれまで医療関係者
 間の意見調整に大変努力をいたしてまいったわ
 けでございますが、現在の時点ではなかなか関
 係者のコンセンサスが得られない状況でござい
 ます。
  私どもといたしましては、できるだけ関係者
 の方々の御意見の調整、コンセンサスをつくる
 ということに努めてまいりたいわけでございま
 すが、今申し上げましたような一番基本のとこ
 ろで食い違っておりますので、大いに努力はい
 たしますが、なかなか一年というのはお約束を
 いたしかねるのが現状でございます。
 これは六年前の答弁なんです。私は、大いに努力をしていただいた結果が何であったのかということをお伺いしたいんです。
 それで、コンセンサスを得る、調整をする、五年間やって調整のつかないものというのは一体何なんですか。これから先十年やっても二十年やっても調整のつかないことを当てもなく厚生省はやっておられるということではないんでしょうか。もしこういうことをやっておられると、一方で実態的にPSWを必要とする現場が大変な混乱を起こしてくるんではないかと私は見ています。どうですかいつまでに結論を出すんですか。そして、そのPSWにはどのような方法でどんな資格を与えようとされているんですか。六年前の竹中局長のような答弁じゃなくて、五年間大いに努力してもらったんですから、その結果としてここではっきりとお答えをいただきたい。
#143
○政府委員(寺松尚君) はっきりした答弁をというお話でございますけれども、事態は余り変わっておりません。
 この精神科ソーシャルワーカーの必要性につきましては、先生も御指摘なさいましたように、地域や家庭におきまして充実した生活を送るために、こういうふうな患者さんが抱えます経済的、心理的、社会的問題の解決あるいは調整、こういうものを援助するということはこれは重要なことだ、そういうふうに私どもも認識はいたしております。したがいまして、各関係団体にいろいろ話をしておるわけでございますが、非常に基本的なことで幾つか論争点がございます。
 御承知のように、二つの大きなグループがあるんじゃないかと思います。一つは日本精神医学ソーシャルワーカー協会あるいは全国ソーシャルワーカー連盟という方々、会員数が約千二、三百人両方でおられるようでございます。それからもう一つは日本医療社会事業協会、これは二千人ぐらいおられるようでございます。そういうふうな方々の団体がございまして、資格化についてはどちらも賛成なんでございますけれども、その資格化の考え方の中でいろいろございますのは、一つは、前者の方でございますが、医師の指示のもとに業務を行う医療関係職種、こういうふうに主張されておるわけでございます。ところが後者の方のグループでは、社会福祉の実践を行う福祉関係職種だ、こういうふうに言っておられるわけでございます。
 したがいまして、ばらばらに申し上げて恐縮でございますが、業務内容の方でも、前者の方は、医療行為との関係ということを非常に大事にしておられまして医師の指示のもとに行うと。ところが後者の方は、いわゆる社会福祉の実践におきましては医行為性のものではないというような御指摘でございます。したがいまして、養成の過程におきましても、前者の方は社会福祉科目と保健医療科目と両方やる、後者の方は社会福祉科目でもう基礎は十分だ、こういうふうなお話でございます。
 そういうふうに、大きく言いますと医療関係職種だというのと社会福祉関係職種、こういうことになるんだと思いますが、そこらで一致して話がなかなか進まないというのが実情でございます。私どもも関係団体には関係各課を通じましていろいろとお話をしておるわけでございますけれども、まだそういうことで残念ながら一致を見ておりません。
 以上でございます。
#144
○本岡昭次君 どうもわからぬですね。関係団体の意向を聞くということはもちろん大事ですよ。それは尊重せにゃいかぬです。しかしその一方で、この五年間、精神保健法が成立して、精神病院の先ほど言った開放化の問題、開放処遇と言うのですかあるいはまた精神障害者の社会復帰施設がどんどん増加していく、そこで働く精神科ソーシャルワーカーの必要性というものはどんどんと増大してきているんでしょう。現にその人たちが無資格でいろいろ働いているんでしょう。通常は、私は精神科ソーシャルワーカーですと言えば、はいそうですかと言ってそれは受け入れざるを得ぬのでしょう。
 また、厚生省はPSWを精神保健法第三十八条の担い手として考えているんだと前回の法改正のときにおっしゃいました。また先ほどもチーム医療ということもおっしゃった。お医者さんに看護婦さんに臨床心理技術者、それから作業療法士ですか、こういう方々と一緒になって精神科ソーシャルワーカーが一つのチーム要員、そういう仕事がふえてきた。あるいはまた、精神障害者が社会復帰して地域社会の中で生活をする、働く、そうした場合の権利を擁護するという立場からのPSWの任務、こういうものもどんどん増大してくるんでしょう。
 このことは、PSWの資格をどうするかということ、関係者のああだこうだという議論の調整をするということ以上に精神保健法上要請される中身がどんどんふえてきておるんでしょう。これは国が必要としておるんでしょう。患者が必要としておるんでしょう。地方自治体が必要としておるんでしょう。にもかかわらず、いつまで両者の調整のところに、居眠りしておるとは言わぬけれども、ただそこでああでもないこうでもないということをおっしゃっているんですか。そんなことは、私はわからぬですよ。
 だから結論として言いたいのは、PSWのところが医療を必要とすると言うなら、医師の指示のもとにというところの中でくくって精神科ソーシャルワーカーとしてきちっとした資格を単独で与えなさいよ。何かしなければ五年たってもこの状態です。また、今言ったように国の責任でやらなければならぬことが一方でいっぱいありながらそのことをほっておくというのは、これはあなた、精神科ソーシャルワーカーの質の問題ですよ。そして、現場にその人たちの仕事をたくさん要請しておいて、こんな無責任なことはないと思う。こんなことではだめです。はっきりと決断をして、そこまでもう十年近くああでもないこうでもないと議論したんだから、ここでちゃんとした結論を出しなさいよ。
 双方の意見が譲らぬなら、厚生省としてこうすべきだ、こうすることが必要だという立場に立って、精神保健、精神医療のためにPSWの資格を確保して、そして四年制大学を出て資格を取って他のチーム要員と肩を並べて現場でしっかり誇りを持って働き、質のよい医療、具体的な活動を提供できるようにしてください。
#145
○政府委員(寺松尚君) 今先生の御指摘のようにすっきりと割り切れれば非常に楽なんでありますが、いろいろと各団体がそう言っておりますので、今おっしゃっておるようにそれを分けてやっていいかどうか、その辺も改めて聞くつもりでございますけれども、今までも何回かその話は出ております。したがいまして、医療のもとでの医療関係職種としてやっていいかどうかというようなことをもう具体的に決断しなければならぬというような先生の御指摘でございますが、私どももそのような点につきましてはひとつ努力してみたいと思います。
 ただ実際、今関係職種の中でほとんど医療の基礎科目を受けていない方々もいらっしゃるわけでございます。それが医療施設におられる場合もございますし、その他のいろんな施設にお勤めでございます。そういうようなこともございますので、その辺はまた各論になりますけれども、いろいろと手当てをしなければならぬところもあるかと存じます。十分なお答えになっておりませんが、そのような努力をさせていただきたいと思います。
#146
○本岡昭次君 大臣、ぜひともこれも伺いたい点なんです。
 なぜこんなに長くすっと続けているのか、どの省庁もこんな状態かなと思うときがあるんですよ。現場の当事者の御意見、これは大事です。しかし、そこのところで時間を費やしているうちに、一方で大事な精神障害者のさまざまな問題がどんどん先行していくんでしょう。そして、これから社会復帰施設もふやすと言うのでしょう。しかも、精神障害者だという障害を持ちながら社会復帰していくんでしょう。そのときに一体どうするんやという問題ですよ。PSWの活動の範囲はどんどん広がる。
 このことは、私は非常に高いレベルの人を要すると思うんです。私は学校教員の出身ですが、そんなことを言ったら教員が怒るかもしれぬけれども、教員以上のやはり高い質の者が要る。精神障害を持っている方の社会復帰、社会参加、そして平等な差別のない社会の中で暮らしていかせるというのは並み大抵のことじゃないですよ。しかしそれをやろうとする、高い理想に燃えて頑張ろうとする人を養成し、きちっとした資格のもとに、その人の身分と生活を安定させていくということをやらなければ私は不十分もいいところじゃないか、こう思うんです。
 大臣、これはひとつ何とか厚生大臣が五年も六年もやっていただいたらもっとこういう事態は早く進むと思うんですが、そういうわけにもいきませんので、大臣の在任中にこの問題はひとつけりをつけてください。お願いします。
#147
○国務大臣(丹羽雄哉君) 先ほど健康政策局長から御答弁申し上げましたように、さまざまな難しい問題を抱えてここまで長引いてきておるわけでございますけれども、今先生御指摘のように、いわゆる資格化というのは一日も早く望まれるわけでございますので、私どもといたしましても全力でこの問題に取り組んでいく決意であります。
#148
○本岡昭次君 それでは期待をしております。
 最後に、残された時間、計画化の問題をお伺いいたします。
 老人医療というんですが、これは高齢化社会というふうな問題を展望しながら、ゴールドプランという十年間の壮大な計画が今ずっと進められております。私は、この精神障害者の問題も非常におくれてきただけに、これを他の社会福祉の面、医療の面と歩調を並べて引き上げていくには、非常に緻密なそして大胆な長期計画というものがなければ、単年度単年度ではとてもやり切れないんではないかと思うんです。その点を少し申し上げてみます。
 一九九一年度の精神保健関連の全予算は四百六十二億円だったと思います。このうち社会復帰開運の予算は二十億、全予算の約四%強、これは間違いありませんね。そして、社会復帰という問題を考えていくに当たりまして、「昭和五十八年の精神衛生実態調査によれば、精神病院入院患者のうち、条件が整えば退院の可能性がある者は約二割である。」、このために「社会復帰のための施設の整備を促進することが重要である。」ということを一九九一年七月の公衆衛生審議会精神保健部会の中間答申で述べています。「条件が整えば退院の可能性がある者は約二割である。」、社会復帰のための条件を整える、こういうことです。昭和五十八年、入院患者は三十三万人いる。三十三万人の二〇%、これは六万人ということです。そうすると、六万人の社会復帰施設を整えるということが数字で出てくるんです。果たして、そのように今なっておるのかどうかということなんです。
 それで、もう少し見てみますと、私はこんなことを思うんです。一九八〇年の精神保健の予算は八百四十八億円。一九九〇年の精神保健が四百六十二億円になったんです。十年近くで、なぜ減ったのか、なぜ半分近くになったのか。これはなぜかというと、措置入院費に非常に多くのお金がかかっていた。精神保健法の問題とか、あるいは措置入院する必要のない人まで、年間二十二万円のお金をつけて措置入院させることが不当ではないかということ。あるいは、実地検査等々が進んで、また医療現場の従事者の大変な努力によってその措置費がだんだんと少なくなってきて、その結果私は四百億近いお金が軽減をしたと、こう見ているんです。これは、現場の精神医療従事者の大変な努力の結果そういうことだと思う。
 そして当時、私たちは、この減っていく分を社会復帰の面にお金を回せ、現場の努力した結果を、やはり厚生省の予算がただその分が減ってほかへ回らずに、精神保健、精神医療のところにそれを充当せいということを随分言ってきました。だけれども、結果は先ほど言ったようになかなかそのようにならないんです。
 どうでしょうか、五年計画というものをしっかり立てて、長期計画でもって精神保健、精神医療の抜本的な充実をやっていくということについて、厚生省は来年度予算の中でそうした企画をおやりになりませんか、どうですか。
#149
○政府委員(谷修一君) 社会復帰施設につきましては、今お話しございましたように確かに整備が進んでいないということは私どもも事実として受けとめております。前回の改正から五年たったわけですが、一方、身体障害者の場合には既に歴史的に三十五年、精薄の場合には三十年の歴史があるわけでございまして、精神障害者の場合には、五年という期間の中で私どもも努力はしたつもりですが十分でなかったということ、あるいはまだまだ足りない面があるということだと思います。
 特に、精神障害者の社会復帰施設の場合には、従来運営費についての設置者負担というのがございまして、これが他の障害者施設とは非常に大きな際立った違いでございました。特に、経営の問題に関係いたしまして、この運営費の設置者負担というのがネックになっていたというふうに考えております。そういう意味で、平成五年度から設置者の運営費についての負担が地方交付税によって措置をされることになりましたので、私どもとしてはこれを機会にしてぜひ社会復帰施設の充実ということを図っていきたいというふうに思っております。それからもう一つは、やはり国民の理解ということを引き続き求めていくということが必要だというふうに思っております。
 社会復帰施設の整備につきましては、そういったような非常にまだ全体に足りないという段階でございますので、当面やはり地方公共団体の自主性なり自律性というものを尊重して、それぞれの地域の実情に合った整備計画なり整備というものを進めていっていただきたいというのが私どもの基本的な考え方でございます。
#150
○本岡昭次君 ぜひとも計画を、単年度じゃなしに五カ年計画というふうな形でやるべき性格のことだと思うんです。昭和五十八年の統計で、入院患者三十三万のうちの二〇%は条件が整えば退院できる、こうなっておるにもかかわらず、六万人の受け皿ができないから入院している、こういうことは一体いかがなものかということです。だから、その六万人を福祉施設の中で社会復帰するということに対して、どうすればという計画を執行していく。私はお金がないとは言わさぬといっているんです。
 この医療従事者の大変な努力の中で、措置入院患者をずっと年々減らしてきて、ここで膨大な四百億いうお金を十年間で浮かしてきたんですよ。浮かしてきたという言葉はおかしいけれども。厚生大臣、そういう実態を踏まえて、ぜひともこの五カ年計画というものをここはつくって頑張っていただきたいと要請をしておきたいと思います。
 もう時間がありませんから最後に、大臣に決意をお伺いして終わります。
 私は、大変多くの問題点を指摘させていただきました。指摘できなかったものが時間の関係でもございます。大きな声を出したことはひとつお許しいただきたいと思います。私は、五年後の見直し時期までに十分検討して条件を整備して必ず法改正はされることを期待して、これから深く厚生省にかかわっていきたいと思います。
 問題は、最初から大臣と議論いたしました国連の原則です。国際的な最低水準だといっているこの原則にどう近づけるか。あるいはまた、それを達成して、どう上回っていくか。そしてそのことによって、当時の斎藤厚生大臣が言ったように、世界のモデルという状況をどうつくり上げていくかということであろうと思います。
 だから、五年計画、十年計画という計画を立てながらやっていく必要がある。私たちも短期にこれができるとは思っていません。さまざまな問題がたくさんあることは百も承知の上で申し上げております。すべての精神障害者やその家族、そして医療、社会復帰におけるさまざまな関係者が熱い思いで今後を見守っているのでありますから、そうした皆さんの期待にしっかりこたえられるように今後努力していただきたいということを申し上げ、大臣の決意を聞いて、私は終わりたいと思います。
#151
○国務大臣(丹羽雄哉君) 今回の法改正におきましては、前回の改正の位置づけが精神病院から社会復帰施設へ、こういうことでございましたけれども、一歩進みまして社会復帰施設から地域社会へ、こういう中でグループホームの法文化、さらに精神障害者社会復帰促進センターの創設など、さまざまな施策を講じておるわけでございますし、また仮入院も三週間から一週間に短縮するなど、先ほどから先生に申し上げておるわけでございますが、私どもは国連原則の理想に向かって一歩一歩着実に前進を続けておるわけでございますし、今後ともその気持ち、その趣旨に沿ってひとつ努力をしていく決意でございます。特に、今回の改正におきましては「保護義務者」の問題も、これも一応名前が義務というのが取れまして「保護者」になったわけでございますが、今後のあり方として大変大きな位置づけをいたしておるわけでございます。
 いずれにいたしましても、この精神保健法というのは患者の人権というものを十分に配慮しながら、そしてこの精神障害に対する国民の理解と協力がなかなか得られにくいというところが大変大きなネックとなっておるわけでございますけれども、皆様方の御協力を賜りながらひとつ精神障害者の人権の配慮に一層前向きに取り組みまして、先ほどから御指摘を賜っておりますような国連原則に一歩でも近づけるように努力していく決意を新たにするものでございます。
#152
○木庭健太郎君 精神保健法の質疑をさせていただきます。午前中からさまざまな問題点が指摘され、少しは重複する部分もございますが、なるべく避けながらお答えをいただきたいと思っております。
 精神保健法は、前回改正のときに人権擁護と社会復帰施設という大きな二つの柱で改正をいたされました。今回、さらにそれに加えて社会復帰施設から地域社会へと法の精神としてより広げていこう、こういう基本的な考え方、あり方については私も賛成でございます。
 ただ、午前中から質疑になっているように、それこそ社会復帰施設から地域社会へと私も叫びたいんですけれども、社会復帰というのが厚生省御自身も認めていらっしゃるようになかなか進んでいない現状がある。その理由についてもお聞きしようと思いましたけれども、もう午前中から同じことを繰り返されております。運営費の問題と地域理解の問題だと、運営費の問題は今回法改正をする、その中で進んでいくんじゃないかと、あと地域の理解についても今後復帰促進センターのようなものもつくりながら広げていこうというようなお考えのようでございます。ただ、私も五年間を振り返って本当に感じるのは、やはり社会復帰施設というのが一向に進まなかったことに関しては非常に寂しい思いをするし、これは厚生省に対してやり方がまだ私はあったような気がしてならないわけでございます。
 確かに、局長がおっしゃったように、こういう問題については今後進めるに当たっても地方自治体の自主性を尊重する、これは大事な視点だと私も思っております。ただ、そうはいうものの、地方自治体の自主性を尊重しながらも実際に今どういう現状になっているかというと、各県の数字を調べましたけれども、都道府県のうち全部がそろっているのは十七都道府県です。逆に、全くこの社会復帰施設というものがない県が七県もございます。
 私は本岡委員と違いまして別の資料、これは昨年の東京都地方精神保健審議会答申でございますけれども、これを見ると、患者数、精神病院に入院されている方が約三十五万人、うち三割、十万人は社会の受け皿さえ整備されれば退院が可能だというふうな指摘も実際にあるわけでございます。これを比較するともう余りに激し過ぎる。自主性を尊重しながらも、今社会復帰施設の三施設が全くないという県もある。そりゃ自主性を尊重されるのは結構ですけれども、全くないというこの事実を前にしたときに自主性尊重だけでいいのか、そのことを強く申し上げたいし、こういう県に対して厚生省としてどうお取り組みになる決意があるのか、まず冒頭にそれを伺いたいと思います。
#153
○政府委員(谷修一君) 社会復帰施設をまだ全くつくっていないという県が七県あるというふうに承知をしておりますが、私どもも、今回の改正を機会にして、特に全く未設置の県については強力に働きかけをして設置の促進を指導というか、指導について強力にやってまいりたいというふうに思っています。
#154
○木庭健太郎君 私も、地方自治、地方主権という問題は取り組んでいかなくちゃいけないと思うけれども、その一方でやっぱりそういう視点を持っていかないと、足りないから現状では地域偏在なんだという言い方もされますけれども、それとはちょっと違う部分があると思うし、その点は厚生省に特に取り組んでいただきたいことの一つであります。
 それと、今回グループホームの法制化というのをなさるとお聞きしております。法制化は非常にいいことだと思うんですけれども、またこれについて補助規定を設けることも決めていらっしゃるというふうに聞いておるんですが、そういうことについての意義づけ、どういうふうな効果があると判断されているのか。私は、この問題も前々からずっと同じことが指摘されておりますけれども、特にグループホームなんかはより受け入れ地域の理解という問題が伴ってくると思うんです。そういうものも含めてこの新しい施策をどんなふうにやられようとしているのか、これについてもお伺いしておきたいと思います。
#155
○政府委員(谷修一君) グループホームについて、今最後におっしゃいましたように、地域の住民というか周りの方の理解を得るということはやはり一番重要だと私どもももちろん認識をしています。
 今回、グループホームを法定化することによりまして都道府県知事の関与による適正な運営あるいは運営主体が明確化されるということがあるわけでございますし、また補助規定を設けることによりまして国、地方公共団体の支援によって円滑な事業実施体制が確保される、そういうことを法律に書くことによって明確にするという効果があると考えております。こういうことを通じて、このグループホーム事業というものをさらに伸ばしていく、そういうきっかけにしたいということで今回法制化に踏み切ったわけでございます。
#156
○木庭健太郎君 地域の理解という問題で、今回厚生省が目玉にしているのが精神障害者社会復帰促進センターという問題だと思います。午前中も質疑があっておりまして、これは指定法人として全国精神障害者家族会連合会、全家連を、これだとおっしゃいませんけれども、これをひとつ想定しながらということになっている。
 私は表を見せていただいたんですけれども、この全家連は全国組織でございます。役員が二十一名で、職員十八名ぐらいの全国組織ということになっている。ここに今から何をさせなくちゃいけないかというと、職員の研修、これは社会復帰制度ですね、それから国民の理解を得るための広報活動、中でも地域の理解をやりなさい、処遇ノウハウの研究開発もやりなさい、何でもかんでもやりなさいみたいな形になっている。今までの家族会がやってきた業務に加わるものが非常に大き過ぎるんではないだろうかということを私はちょっと心配するのでありまして、中でも全国だけじゃなくてそれぞれ地方自治体との対応みたいな問題も出てくるわけでございます。
 そういう意味で、この組織のマンパワーとの問題でいったら、一体これうまくいくんだろうかという危惧をいたしておるんですけれども、そういう人的な手当てができるのかこの辺どうお考えになっているかをまず聞かせていただきたいと思います。
#157
○政府委員(谷修一君) 精神障害者社会復帰促進センターは、今回の法律において、精神障害者の社会復帰の促進を図るための訓練あるいは指導等に関する研究開発等の業務を行うことができると認められる民法法人を厚生大臣が指定をするということになっているわけでございます。
 先ほど先生お触れになりましたように、センターとして指定する法人につきましては、業務内容から、精神障害者やその家族を取り巻く状況を十分に理解をした法人が適当であるというふうに考えておりまして、もちろん具体的にどの法人を指定するかということは今後検討していく課題でございますけれども、現時点で一応全国精神障害者家族会連合会を想定はいたしておりますが、最終的な判断は、この法人が先ほど申しました研究開発等の業務を適正かつ確実に行うことができるかということを十分に精査をした上で決めていくということでございます。
 その中には当然、繰り返しになりますが、今の業務の実施体制等を十分に審査するということで考えているわけでございますが、具体的にお話のございました業務それから家族会との関係につきましては、今御指摘のあったようなことも含めて全体を審査してその上で最終的な判断をする、そういうことを考えているわけでございます。
#158
○木庭健太郎君 この法案そのものを見ると、結局業務を投げるわけですよね、お願いしますと。やってくださいという形になるわけですけれども、ただ法案そのものを見ると、これは財政的な支援というのは特段出てこないわけです。業務の上でやりなさい、どうにかあなたのところでできるでしょうと、こう投げるだけで、私はなかなか難しい面もあるし、そうなれば今度はやるだけの裏づけみたいなものについてどう考えるのか。
 今確かに、全家連と想定しちゃいけないと、はっきり決まっていないんだとおっしゃるので、そう詰めることはできないのかもしれませんけれども、財政的にもこれどうやってやっていけるのかという問題も残ってくると思うんです。財政基盤なりそういうやるところが手当てをどれくらいしてもらえるのか、どういう形でやり得るのか、特にお金の面というのは心配な面も出てくるでしょうし、その点についてどう考えていらっしゃるのかをさらに聞かせてください。
#159
○政府委員(谷修一君) 社会復帰促進センターに関する財政上の支援ということでございますが、これは、指定される法人の財政能力なり事業内容といいますか、そういうものを勘案して検討するということでございますから、同様な他の指定法人制度との規定の均衡ということを考慮して、この法文の中には財政上の支援に関する規定というのは盛り込まれていないわけでございます。
 しかし、具体的に国が民法法人に事業をやってもらうということで指定をするわけでございますから、具体的な事業との関係において予算をどうするかということは、今後私どもが予算との関係で検討をしていかなければいけないことだというふうに考えています。
#160
○木庭健太郎君 ぜひそれは検討していただかないと、実際にさあ始まった、何もなしというんじゃこれはできないだろうと思いますし、その辺の御検討は願いたいと思っております。
 そして、社会復帰施設の問題で言えば、国の施設が進まない一方で何がふえたかというと、実は小規模作業所という問題でございます。共同作業所の全国連絡会の調査結果を見させていただきました。一九九二年度の小規模作業所の設置状況は、身体障害、精神薄弱が二千二百五十三カ所、精神障害が七百十四カ所で、計二千九百六十七カ所というふうになっているわけでございます。一方、これは精神障害者の適所授産施設は四年間で三十二カ所、圧倒的に小規模作業所というのがふえ続けている。ある意味では、今やもうこれがそういう社会復帰施設の補完――補完というよりはこっちが主役になりつつあるんじゃないかとさえ私は思っておるんですけれども、厚生省に、なぜ小規模作業所だけがふえ続けるのか、なぜこれだけ多くなったのかという理由についてお聞かせを願いたいと思います。
#161
○政府委員(谷修一君) 法定の社会復帰施設の数が少ないから小規模作業所がふえてきたという御指摘も確かに一部にあると思いますが、むしろ身近な社会復帰の促進のための施設として、地域における小規模作業所に対するニーズというのが高いということもかなり大きな理由なんではないかというふうに私たちは考えています。したがって、今後の精神障害者の社会復帰対策を考えていく上では、もちろん先ほど来お話のあるような社会復帰施設というのは重要でございますが、それとあわせてやっぱり小規模作業所というのも非常に重要なんだというふうに認識をしております。
 このことは、今先生お触れになりました他の障害者の例においても、これは先ほど来言っているように精神障害者の場合には社会復帰施設はまだいろんな理由があって、先ほど来おしかりをいただいていますが、ふえていないわけですが、身体障害者あるいは精薄の場合には社会復帰施設というのはかなり整ってはきておりますが、それでもなおかつやはり小規模作業所というのが数もふえているということは、先ほど私が申し上げたようなことも理由としてあるんではないかというふうに考えております。
#162
○木庭健太郎君 私は、小規模作業所というとすぐ法定外が何のがんのという話になって、なかなか施策の面、今から少しは御指摘もしたいと思うんですけれども、厚生省としても小規模作業所の問題、もうどうしようもないというか、必要不可欠な問題になっているという視点を持っていらっしゃると思います。だから、これ授産施設制度のあり方検討委員会提言、平成四年七月三十日、これは社会局、児童家庭局、保健医療局、三局長の私的懇談会ですか、この中でもわざわざ小規模作業所への対応という問題もお取り上げになって、取り組みも少し出されている。
 この中で指摘されている一つは、今後小規模作業所をどうすればいいかという問題について、やり方として、一つは法定外というだけじゃなくて、例えば授産施設の分場制度の拡充をしていったらどうだろうかとか、デイサービス事業の活用等によったり、こんなやり方によって一定の要件を満たす小規模作業所については法定施設化を促進するというような項目まで挙げられた。私は、これが一つできていくなら非常にいいことだろうと思っておりますけれども、この提言に基づいて小規模作業所が実際に法定施設化という問題についてどんどん進んでいるのかどうか、実情を御報告いただきたいと思います。
#163
○政府委員(谷修一君) これはたしか昨年の七月にこういったような意見の取りまとめがありまして、私どもその報告を受けて、小規模作業所の実態等について、主として先ほどお話のありました家族会等を中心にしたデータ、あるいは実態についてお話を伺ったわけでございますが、現実の問題としては、今までのところ法定施設への転換と申しますかそういうことはまだ進んでおりません。
#164
○木庭健太郎君 進んでいないと簡単に片づけられては困るので、進むためにこう例えば具体的に自分たちで書いたわけでしょう、授産施設の分場制度の拡充とかデイサービス事業の活用等、法定化へ向かって何か検討されたんでしょう。検討されなければ全く何か言葉だけ飾って期待だけ持たせて、はい進んでいませんじゃ、これは困るんじゃないでしょうか。
#165
○政府委員(谷修一君) 失礼しました。言葉がちょっと途中で足りませんで。
 昨年七月にこの報告を受けて、まず実態を把握するというようなことから、その実態の把握に努めたわけでございますが、今までのところまだなかなかこの分場制度というものの導入については、現在まだ検討しておりますが、先ほどちょっと申しましたように、今の段階で具体的にそういうことに進んでいるというところまではまだいっていないということでございます。
 私どもとしては、他の障害者の施設でやっておられるような分場制度というものは、やはり将来的には考えていくべき課題だという認識は持っております。
#166
○木庭健太郎君 やっぱり法定施設になるためにはいろんな要件がありまして、なかなか難しいことも承知をしております。いろんなやり方があると思うし、さまざまな角度から検討していただいてこの小規模作業所というのをきちんと位置づけて、その中でどうするかという問題に本格的に取り組まないと、社会復帰施設の一環だぐらいのとらえ方をしていかないと私はいけないんじゃないかなと思っておるわけでございます。
 それこそ地方自治体では、地方の自主性でこういうところに対してさまざまな援助を行っているところが実際にございます。かえって、国が授産施設に出す補助金よりももっと大きなものをこの小規模作業所に出しているような都道府県も実際にはあるわけでございまして、そういう意味では、国だけがこれについては非常に冷たいけれども、地方自治体についてはやらざるを得ないような現状になっているのも事実なんです。私がこういう問題で御提言をしたいものの一つとして、既に地方自治体がそういう問題について取り組んでおりますが、小規模作業所をやるときの大きな問題は土地の取得、施設を建てるときの問題でございます。かえって、この土地の取得の問題とかいろんなことになる場合は、法定施設よりも小規模作業所の設置を政策上優先課題に掲げているようなところもございまして、そういう意味では、公有地とか公共建設物の提供とか貸与の促進とかいろんな形、これは建設費設置者負担分の補助とかいろんなやり方はあると思うんです。
 法定施設へ移行をするためには、そういう特に施設をどう確保するかという問題について、地方自治体は優先で取り組んでおるんですけれども、一つは、国としてそういう地方自治体に対して誘導策みたいな形を講じる必要があるんじゃなかろうかと感じるんですけれども、まずこの点を伺っておきたいと思います。
#167
○政府委員(谷修一君) 小規模作業所について、地方公共団体からの土地の提供あるいは貸与ということが現実に相当見られるというふうに私どもも承知をしています。やはりこのことは、小規模作業所が安定した経営を進めていくという上では大変意味のあることだというふうに考えているわけでございまして、そういう意味で、将来、小規模作業所が新たに規模を拡大して法定施設になっていく、そういう要件を満たしていくためにもこういったような便宜が地方公共団体から図られるということは、有益と申しますか意味のあることだというふうに考えております。
 さらに、平成五年度からは、都道府県が単独事業として行う小規模作業所への補助に対して交付税措置が講ぜられたというようなことがございます。そういうようなことを通じて、やはり地方公共団体の小規模作業所への支援というものの充実が図られているということがあろうかと思います。
 それから、先ほど、この前の御質問でちょっとお答えをしなかったんですが、小規模作業所から法定施設に格上げをされたものはないというふうに申し上げたんですが、それはそのとおりなんでございますが、現在できるかどうかを調査しているわけでございますが、約十カ所程度が何とか実現が図られるのではないかというような結果になっておりますので、先ほどの答弁を補足させていただきます。
#168
○木庭健太郎君 もう一つはこれは金の面でございます。
 今、小規模作業所というのは年間九十万円の補助金でございますけれども、もう当然年間運営費には十分の一ぐらいですか、それぐらいの程度にしかならない。大体、小規模作業所の年間平均運営費というのが八百五十六万円、九百万円近いというふうに聞いております。ある意味では、これを補助するために逆に言えば地方自治体が補助金制度というものをどんどん拡充させていっている。私は、この問題について一つは国庫補助金制度みたいなものをそろそろ確立する、検討に入っていい時期だろうと思っているんです。確立したとしても、物すごい額にどんとなるかというと、実際には地方自治体がもう既にやっているわけで、補助の割合の問題になってくると思うんです。その辺まで検討を始めていい時期に来ているだろう。
 ある意味では、今、小規模作業所の問題については、地方自治体は一生懸命やっている、関係の方たちはもちろん自分たちの問題だから一生懸命やっている。どこが一体この小規模作業所について冷たいのかと言われたら、どうしても国だというふうなことになりがちなんじゃなかろうかと思うんです。そういう意味では、国庫補助金制度みたいな形の問題についてもそろそろ、もう小規模作業所は始まって二十年近くたちますけれども、検討の時期に入っているんだろうと私は思っておりますが、この点についても御意見を伺っておきたいと思います。
#169
○政府委員(谷修一君) 先ほど先生もお触れになりましたように、現在の小規模作業所については精神障害者の関係については家族会を通じて補助をしているわけでございます。今後とも、必要な予算の獲得ということには努めてまいりたいというふうに考えておりますが、小規模作業所については他の障害者との均衡というようなものが従来から現実にはあって、そういう中での予算の補助ということでございますが、いずれにしても予算の確保ということについては努力をしてまいりたいと思っています。
#170
○木庭健太郎君 大臣にお聞きします。
 今、局長は精神障害者の小規模作業所の問題をいろいろ言っていただきました。実質的に小規模作業所というのは、精神障害者だけじゃなくて精薄の方たちも、さまざまな方たちがいろんな形で広げ、大臣がおっしゃる地域社会の中でどう本当にこういうハンディを持つ人たちをきちんと社会復帰、自立の道を開くかという重要な位置を占めてきてしまった、関係者の人々の努力によってだんだん広がっていった、それをある意味じゃ地方自治体は認め出してきたというのが今の現状だと思っております。
 そういう意味で、この小規模作業所の問題というのは単に精神障害者だけの部分じゃなくて、全体像としてやはりきちんと位置づけを見直し、これからの小規模作業所の問題にどう取り組むかというのを考えていく時期だろうと思っているんですけれども、ここは大臣の見解を聞いておきたいと思います。
#171
○国務大臣(丹羽雄哉君) 先ほどから小規模作業所につきまして御議論を賜っておるわけでございますが、御案内のように、各地域で親の会の努力やあるいは地域住民の皆さん方の理解や協力によって支えられて小規模作業所というのは大変普及してまいっております。この精神障害者の社会復帰を促進するための対策の中で大変私は重要な役割を果たしておるものと考えておるわけでございます。この小規模作業所に対しましては、先ほどから委員も御指摘のように、昭和六十二年からその運営費に対する補助を開始いたしておりまして、その充実に努めておるわけでございます。また、本年からは各県の運営費の助成に対する交付税措置を行ったところでございます。
 いずれにいたしましても、この小規模作業所のいわゆる社会復帰施設の補完的役割と申しますか、そのものと申しますか、大変大きな役割を果たしておるわけでございますので、地方公共団体の理解を得ながらこの一層の充実に努めていく決意でございます。
#172
○木庭健太郎君 もう一つ、社会復帰という面では、先ほど本岡委員も御指摘がありましたけれども、一体どういうふうな形で国がこれを整備しようとしているのかという姿が見えないという点は、私もこれは大きな問題だと思うんです。
 何年計画がということは別にして、やっぱり長期計画というものがこういう問題には必要ではないかと思っております。例えば、今回からショートステイの問題についても精神障害者では新設をするわけでございます。福祉工場という問題も今回から取り組む、グループホームも本格的に取り組み出す、新たなものが次々に出てくる。一体、何をどうしてくれるのか、どこで何を担当してくれるのか、その最終的な姿は何になるのか。その一方で、今大臣から決意もしていただきました小規模作業所という問題がどんどんふえている。障害者の方たちにとって非常に見えにくい現状があると私は思っているのでございます。
 先ほど局長は、これは精薄の人たちと違って、ある意味じゃ精神障害者は新しい、始まったばかり、五年前から本格的に取り組んだばかりだ、歴史も違うと、そういうことをおっしゃいました。私は、歴史が違うからこそ、今ようやく始まったからこそ、新たな視点できちんと長期計画が立て得ると思うんです。ある意味じゃ既存のものがないわけです、なかなかそろっていないわけです。本当に一歩を踏み出したところだからこそ、全体バランスを見ながら最終的にはこうなんだ、こういう形まで持っていきたいということを立てやすいのが、逆に言えば精神障害者の方の社会復帰施設の問題だと私は思っておるんです。
 そういう意味では、先ほど明確なお答えがないんですけれども、この長期計画への取り組みというのは、是が非でも検討をしていただく、特に精神障害者の場合は始まったばかりだからこそやる必要があると考えておるんですけれども、御見解を聞きたいです。
#173
○国務大臣(丹羽雄哉君) この小規模作業所であるとかグループホーム化であるとか、さらに福祉工場であるとか、いろいろな各地域での自発的な動きに対して私どもが御支援を申し上げるという段階でございまして、今の段階において私どもがとやかくこういう問題に介入するよりは、この芽をしっかりと育てていくことがまさに社会復帰に役に立つんではないか。そういう中において、ある一定の期間を経て、こういう社会復帰的な役割を担うものの最もふさわしい形がどういうものかということが、いわゆる姿というものがおのずとあらわれてくるんではないか。
 私は、そういう意味において、むしろ今の期間におきましては、里の親の会であるとか地域住民の皆さん方であるとか、そういうものを御支援するという中において一定の期間が経ました後、今委員が御指摘のような問題についても本格的に検討を始めたい、こういう考え方に立つものでございます。
#174
○木庭健太郎君 大臣の意見も非常にもっともだと思うんですけれども、一方で、先ほどから本岡委員も指摘された、私も指摘したいのは、三十数万人いるうち、その二割から三割は受け皿さえあれば退院が可能だという、現実にそういう問題があるわけでございます。
 そういうことを進める一方で、ではこの人たちは一体どうすればいいんだという問題が出てくる。国としてやっぱりこういう方向を目指すべきだ、受け皿として、方向性としては大体こういうことだというものが出てこなければ、結局、今度の法の精神が地域社会ですかそういうものというのは出てこないんじゃないですか。地域社会ということを掲げられるのなら、余計にそういうものについて、やはり私は早期にきちんとそういう施策を積み重ねる一方でつくっていかなければ、これは見えてこないんじゃないかなと思うんですけれども、いかがでしょうか。
#175
○国務大臣(丹羽雄哉君) 基本的には、先ほどから申し上げておりますように、今回の改正の位置づけの中でも社会復帰施設から地域社会へと、こういうことをうたっておるわけでございますが、社会復帰施設が必ずしも十分でないということを私ども残念ながら率直に申し上げておるわけでございます。
 この社会復帰施設につきましても、先ほど各局長の方からも御答弁を申し上げましたように、まだ未設置の県等につきましては強力に指導して解消を図っていくとか、こういうことを進めていく、さらに、グループホームの法文化によっていわゆる地域生活援助事業というものを進めていく、こういうことが基本的な私どもの施策であります。その一方で、小規模作業所のような動きというものが大変盛んに目立ってきておることも事実でありますので、こういうような芽も大切に育てていきたい、こういうような認識に立つものであります。
#176
○木庭健太郎君 私も長期計画については要望します。
 おっしゃるように、さまざまなことをするというのは結構なんですけれども、次々にいろんなものを、新しいものだけやられても受ける側はわからないんですよ。今度はこっちに流れるのか、今度こっちに流れるのか、では小規模作業所はいつの間にかつぶされるのか、一体どうなんだというようなことが見えてこないんです。その意味では、何年までに確実に授産施設を幾つつくる、何個だ、何個だという確定数字は出てこないと思いますが、方向としては、こういうものを大体二割程度の整備なんだ、三割程度の整備なんだという形で、大枠で形としては全体像を描いていくんだというものはきちんとやるべきだろうと思うんですけれども、さらにもう一回聞きましょうか、大臣。
#177
○国務大臣(丹羽雄哉君) 先ほどから申し上げておるわけでございまして、その必要性においてはもう全く委員と一致しておるわけでございますけれども、私どもは、あくまでも地方公共団体の自主性、自律性というものを尊重すべきだ、こういうような立場に立つわけでありまして、余り上から押しつけるようなことが果たして現状にマッチするかどうか、果たしてこういうことが真の意味での社会復帰の施設に役立つかどうかということで実は大変今模索をしておるというのが現実でございますが、委員の御指摘のことも十分に今後検討してまいりたい、このように考えているような次第であります。
#178
○木庭健太郎君 私は、本岡委員のように突っ込みが鋭くないものですから、この辺で引き下がらせていただきまして、あと幾つかわからない点もまだ残しておるんでお聞きしていきたいと思うんです。
 一つは、資格の問題でございますけれども、今回の改正で栄養士、医薬品製造のためのケシ栽培、調理師、製菓衛生師、診療放射線技師の五つについては、絶対的欠格事由から相対的欠格事由に改められて取得の道が開かれるようになったわけでございます。ただ、この五つを見ていると、なぜかすべて厚生省関係のものだけが今回認められるようになった。国家資格というのは今三十種類ぐらいあるんですか、なぜ厚生省関係だけしかできなかったのか。
 やっぱり他省庁の壁を乗り越えるのは難しかったと、そういうことなのか。どういう検討をいただいて、他省庁にどういう働きかけをいただいて、特に今回の場合、一番本当は注目されたのは自動車の運転免許ですよね、これはいろいろ論議があると思うんですけれども、この問題についても実際に働きかけてみて、どういうふうな検討をなされたのかその辺をきちんと教えていただかないと、結局これは自分の省内の問題しかできないんだなということになってしまう。これではいけないと思うんで、その辺についての理由をお聞かせいただきたいと思います。
#179
○政府委員(谷修一君) この資格制限の見直しについては、やはり関係する方の理解というかそういうものが欠かせないわけでありますので、今回、厚生省関係におきましても関係者との調整ができた資格から改正を行うということで、御承知のように理容師、美容師については見送ったわけでございます。他省庁の所管する法律に基づく資格につきましても、もちろんこの審議会の意見をいただいた後に関係各省庁に検討をお願いいたしました。しかしながら、それぞれの省庁におきます検討の結果、特に時間的な問題も率直に申し上げてあって、今回改正には至らなかったものでございます。
 もちろん、他省庁が所管をする法律でございますので、その資格制限の緩和ということについては基本的にはそれぞれのお役所で考えていただくということが原則でございますが、私どもとしては今回の精神保健法の改正に当たって、先ほど言いましたように各省に検討はお願いをいたしました。今後、引き続き御検討いただくことになると思いますが、私どもとしても必要な協力はしていきたいと思っております。
#180
○木庭健太郎君 厚生省が積極的に働きかけないと、こういうものはなかなか難しいと思います。あえて言いませんけれども、いや、厚生省から具体的に聞いていなかったよというようなことを言う省庁も実際には前回ちょっとございました。ですから、この点本当にしっかり言っていただいて、検討をするならする、その上で現在こういう状況だというのを厚生省の方で掌握しておいていただきたいんです。最終的には権限は向こうにあるわけですからやるわけですけれども、知らないと言われたんじゃ私も腹が立ちましたので、その辺はきちんとお取り組みをいただきたいと思っております。
 労働省、来ていただいたので一問だけお聞きします。
 やっぱり地域社会へという流れをつくる上で一番大事なのは、少しでも多くの就労の機会を提供することだと思っております。そのためにぜひ、現在身体障害者雇用促進法の対象に精神障害者はなっておりませんが、精神障害者も例えば精神薄弱者と同様に改正をしていけば、企業に雇用することを義務づけるということですけれども、そうした場合、実雇用率の算定に同様にカウントしていただければ、企業の対応というのも少しは変わり就労の機会を広げる一つの手だてにはなるんじゃないかなと思います。確かに法改正を伴う大変な問題でございますけれども、しかし地域社会へという流れの中ではそういう検討をぜひいただきたいと思うんですが、労働省にはこの一問だけお伺いしたいと思います。
#181
○説明員(北浦正行君) お答えいたします。
 先生御指摘のありましたように、精神障害者の雇用の問題は、社会一般も含めて、特に企業の側の理解を得ることが大変重要な問題であることは私どもも重々承知をしているわけでございます。
 御指摘の障害者の雇用に関します雇用率制度につきましては、現在精神障害者については対象になっておらないわけでございます。その理由といたしましては、精神障害者の場合、御案内でございますが、職業の適性であるとか能力であるとか、あるいは医学的な管理の問題であるとか、こういったような問題も含めまして企業の中におきます雇用管理のあり方というものがまだ十分に明確になっておらないというのが現状でございます。私ども、こういった点につきましての今いろいろ研究を鋭意重ねているわけでございますが、研究を重ねれば重ねるほど難しい問題がまだ山積をしているという状況でございます。
 それからまた、こういう雇用率制度にのせていく場合にはやはり客観的な形で障害というのが見えるような形でないといけないわけでございますが、精神障害の場合には職場という新しい環境に入ることでまた症状が変わってくる、こういったような問題もございまして、非常に障害が安定しないというようなこともございます。そういったような雇い入れ後の状況なども、絶えず継続的にフォローしていく体制もまず整えていくことが重要だと思っております。
 それから、御案内のようなやはりプライバシーの問題もありまして、こういったものを一歩一歩片づけながら検討していくことが重要であろうと考えておりまして、現段階では雇用率制度の対象にはしておらないわけでございます。しかしながら、精神障害者の雇用を促進するのはこの雇用率制度だけが手段ではございません。
 そういった意味で、昨年障害者雇用促進法の改正をした際に私ども、精神障害者の方でも、精神分裂症などの方で症状が安定している方につきましてはむしろ助成金の制度の対象ということで雇い入れを助成する、こういったような形で雇用促進の努力を重ねているわけでございます。そういったことで今後とも努力をしてまいりたいと思っております。
#182
○木庭健太郎君 次は、大臣おっしゃいましたが、保護義務者は保護者に変えた、これは非常に大きなことで、名前についてはもうそのとおりだと思います。基本的精神がまずそこにあるということだろうと思うんです。ただ、名前は変わったんですけれども中身ということになったらどうなんだろうかというのは、私たち非常に不安を持つわけでございます。
 例えば、家族の負担軽減のために保健、医療、福祉の分野で総合的な支援施策を充実強化するというようなことを言われているわけでございますけれども、これは法文を見る限りこの支援施策とは何かというと相談制度しか読み取れない。一体、じゃ保健の分野で家族の負担軽減というのは何をやってくれるのか、医療の分野で何をやってくれるのか福祉の分野で何をやってくれるのかというのが見えないわけです。あるのは、相談事業はやりますとなっているわけです。
 この総合的な支援施策というのは、それぞれ具体的に相談事業のほかに何かお考えになっているのか。それがあってこそ初めて負担軽減ができると思うんですけれども、その点を伺いたい。
#183
○政府委員(谷修一君) 保護義務者の問題については、今回の改正においては制度はやはり代替するものがないということから残すべきだという審議会の御意見もございました。保護義務者の制度は残すことといたしたわけでございますが、先ほど先生お触れになりましたように、名称については現時点で義務ということをそれほど強調する必要がないということで保護者というふうに改めたわけでございます。
 それで、負担軽減をということで、具体的には入院措置が解除された精神障害者を引き取る保護者への支援ということで、精神病院や社会福祉施設に対し相談や援助が求められるよう保護者の権利規定と申しますかこれを整備した。それから、精神障害者と同居する保護者を保健所が行います訪問指導の対象としたということが今回の改正の中の主な部分でございます。
#184
○木庭健太郎君 結局、相談事業を中心ということですね。例えば、引き取った場合の具体的な財政的支援であってみたり、医療関係の別の面の支援であったり、福祉の面でホームヘルパーさんが来るとかなんとかそういう支援をするとか、何か具体的な支援というのがないと。相談業務と訪問してやるその二つだということでよろしいんですか。
#185
○政府委員(谷修一君) いわゆる精神障害者に対する訪問活動というのは従来からやっていたわけでございますが、今回の場合には保護者を訪問指導の対象とするということを新たに書き加えたということでございます。ただ、今おっしゃるような何か経済的な面での支援ということは現在は考えておりません。
#186
○木庭健太郎君 私は本当に負担軽減ということを考えるならば、例えば今度ショートステイも始められるんでしょうけれども、一たん家族が引き取るわけですがいろんな問題が起きる。そんなときに、そういうことを取り組むとかさまざまなやり方があるだろうと思うんですが、相談していくうちにいろんな解決策を見出していただいてその中から出るというお考えなんでしょうけれども、私はこの大層な、厚生省によれば、保健、医療、福祉の分野で負担軽減のために総合的な支援施策を行うと言われている割には何か中身が極めて乏しいような気がしてなりません。
 さらに、先ほど、かわる人がいないということで義務の規定の問題は今のところ変えようがないということですけれども、五年後見直し規定ということが衆議院でつきました。例えば、仮退院者の引き取り義務その他いろいろな問題がございますけれども、公的義務者との関係の問題についても、これは今後の検討の最重要課題であるという認識を持ちつつ今回は見送ったというふうに認識しておいていいのかどうかその点を伺っておきたいと思うんです。
#187
○政府委員(谷修一君) 今回、法律を改正するに当たりまして、そのもとになりました公衆衛生審議会の議論におきましても、保護義務者制度をどういうふうにするのか、どう考えるのかというのは大変長時間にわたって議論がされたわけでございますが、先ほど申しましたように、精神保健法において他に保護者にかわる制度がないということから、保護者制度というものは残すことにしたわけでございます。
 ただ、この公衆衛生審議会の中の意見においても、今後ともこの保護義務者制度のあり方について検討を行っていくということが指摘をされております。そういう意味合いにおいて、私どもは、関係の家族団体の御意見等も伺いながら、この問題については必要な制度の改善について研究を進めていく所存でございます。
#188
○木庭健太郎君 今度は痴呆性老人の問題でお聞きしておきたいんですけれども、痴呆性老人の問題につきましては私もいろいろな相談を受けることが多うございます。一つは、一体痴呆性老人の方たちがどういうところにどうきちんと措置されるのかという問題でございます。
 今、家族の中でそういう人が出てきた場合どういう対応になるかというと、例えば病院に相談に行くと、内科で相談すると老人病院と、内科そのままになる。ちゃんときちんと保健所あたりを通して相談すると、いやこれは老人ホームに入れましょうと。精神病院へ直接行かれた方は、もちろん精神障害があればそちらの方に行かれる。どちらかというとある意味で、家族がわからない、相談に行く、相談に行った先がそのままその人の行き先になってしまうようなところが私はあるように感じておるんですが、何かいかにも対応がばらばらのように感じるんですけれども、この点とういうふうにお取り組みになっていらっしゃるのか。痴呆性老人の方たちがその症状にふさわしい施設に入っているかどうかという問題については現在極めて疑問だと思っておるんですけれども、その点について見解を伺いたいと思います。
#189
○国務大臣(丹羽雄哉君) 痴呆性老人の方は現在百万人ほどおります。西暦二〇〇〇年までには百五十万人になることが見込まれておるということで、大変大きな社会問題となっています。このため、ゴールドプランにおきましては、御承知のように寝たきり老人ともあわせまして、いわゆる在宅三本柱として、ホームヘルパーさんを十万人確保する、さらにショートステイ五万床、デイサービスを中学校区に一カ所ずつで一万カ所確保する。またさらに施設面におきましては、特別養護老人ホームを二十四万床、老人保健施設二十八万床、こういうような計画を打ち立てておるわけでございます。痴呆性老人に対する在宅、施設面でのサービスをこういったようなゴールドプランの中でまず確保したい、これがまず第一点でございます。
 さらに、老人性痴呆疾患センターにおける相談体制の整備、痴呆性老人専用病棟の整備など総合的な対策を推進いたしております。これも大変大きな社会問題で大変深刻な問題でございますけれども、私どもは、今後とも保健、医療、福祉を通じた施策の充実を図る中においてこの痴呆性老人対策について取り組んでいく決意でございます。
#190
○木庭健太郎君 最近、精神病院については、人権擁護という視点で、ある意味では人権ということを視野に入れながらそういうことをきちんとやっていくということがだんだん定着をいたしてまいりました。しかし、老人性痴呆症の問題で言うならば、例えばこの方たちが老健施設であってみたり特別養護老人ホームに入る。ここではこの人たちについてどう扱うかということで、かってよく批判された精神病院のように、扱うのが大変だから体を縛っておくとかかぎをかけて外に出さないとか、そんな問題が逆にそういう施設に出てきているというようなことをお聞きしております。
 こういう問題について、厚生省として実態はどうなのかということについてきちんとお調べになったことがあるのか、あるならばどういう状況かということについてお聞かせを願いたいと思います。
#191
○政府委員(横尾和子君) 特別養護老人ホームについて、特に御指摘の点に着目した調査というものは行っておりません。しかしながら、おっしゃるようなことが特別養護老人ホームの入所者について行われるということはあってはならないというふうに考えておりまして、特に本年度におきましては社会福祉法人・施設に対する指導監査の主眼事項に入所者処遇の確保ということを取り上げまして、その中で個々の入所者について個別の処遇方針を確立しているかどうか、そして痴呆性老人につきましては、痴呆性老人の処遇対策が確立しているか、問題行動についての処遇方針が医師等の専門的なアドバイスを得て策定されその実践に努めているかあるいは問題行動等のある入所者について危険防止対策は確立しているか、こういう点を具体的に挙げまして、各都道府県が施設の指導に当たる際の主眼事項としてチェックをするように指示しているところでございます。
#192
○木庭健太郎君 きちんと実施されたら私また聞きますから、ぜひそういう問題がないようにしていただきたいと思う。
 もう一つ、私が痴呆性老人を見たときによくわからなかったのは、要するにそれぞれ法律も違いますね。精神障害があれば精神保健法で処理されるし、慢性の身体的疾患みたいな話になると老人病院に行くし、それから老人性痴呆疾患治療病棟、これは精神保健法で規定されたのがあるし、老人性痴呆疾患療養病棟になるとこれは老人保健法。そして今度は特別養護老人ホーム、寝たきりの状態で常時の介護になると老人福祉法になる。法律だけでもこれについてさまざまありまして、対応もそれぞれの病院で違ってくる。
 先ほど、大臣も決意でおっしゃっていただいたんですけれども、いわゆる家族にとってみればどこであろうとある意味ではきちんとやれるところが一番いいわけであって、その辺についてひとつ、どこに行けばきちんとわかるのかというのをもう少し明確化する必要があるのではないだろうか。法律を全部一緒くたにするというわけにはなかなかいかない問題ですから、痴呆性老人を抱えた家族がいる、せめてその家族にはきちんとわかるという制度をより一層確立していただきたいと思っているんですけれども、この点について伺いたいと思います。
#193
○政府委員(横尾和子君) 医療的な面でのいわゆる鑑別診断ということになりますと、痴呆疾患センターが専門の医療機関としてその任に当たるということになると思いますが、先ほど来先生御指摘の、具体的に家族が困ったときにどういうふうに考えたらいいのかという点で、現実には専門の医療機関に行く前にさまざまな悩みを持っておられるというのが実情であろうというふうに思っております。実際問題、私どもが現場の関係者の方々とお話をしておりますときにも、医療的な鑑別診断とは別に介護や福祉的なサービスを提供する場面においてもどこへお世話をすることが最適なのかということの、言ってみれば考え方の整理がなかなかできにくいというような御指摘が多々ございました。
 そこで、現在私どもが取り組んでおりますのが、かっていわゆる寝たきり老人と言われる方々について寝たきり度の判定基準というのを設けまして、一応のニーズのランクづけをしてそれに対するしかるべきサービスはこうであるということがお示しできるようにした、この方式を使えないかというような気持ちで今痴呆性老人の日常生活自立度の判定基準というものを委員会を設けて作成の試みをしております。でき得れば七月か八月ぐらいまでにこういうものをつくりまして、極めて高度な専門医療機関以外の場でとりあえずの介護度と必要なサービスの振り分けができるような仕組みをつくってみたいと思っております。そういたしますと、高齢者の場合ですと在宅介護支援センターあるいはデイサービスセンターの職員が一時的な判断ができて、とりあえずの御相談に乗り得るのではないか、そういう展望で臨んでいるところでございます。
#194
○木庭健太郎君 それともう一つ、例えば一般病院、老人病院、各種施設に入院、入所されている人たちの問題なんですが、例えばこういう人たちに対して、時期は何年に一遍あるのかどうかわかりませんけれども、やはり専門の精神科医師による診断というものがきちんと行えるようなことを義務づけていくことが、ある意味ではそういう人たちをきちんと処遇する一つのやり方ではないだろうかというふうに私は感じておるんです。
 ただ、この際本当に難しいなと思うのは、最初の論議に返ってしまうんですけれども、例えば自分の親が痴呆性になったら精神病院に入れられた、嫌だ、こういう意識がいまだに事実あります。精神科医に見せること自体をためらうような傾向も事実ございます。そういう意味では、本当に社会のそういう人たちにかかわる人たちに対する理解も要るんですけれども、一つは方法としてやはりそういう入所なり入院している方たちに対して精神科医、専門医がきちんと判断する場というものをつくっていく、それには家族の理解が物すごく背後に必要なんですが、そういうものをやらないとある意味では適切な処遇というのができないんじゃないかなという気もいたしておるんですけれども、この点についてのお考えを聞かせていただきたいと思います。
#195
○政府委員(横尾和子君) 痴呆性老人の方々を現実に非常に適切に世話をしておられる施設を拝見いたしますと、恐らく精神科領域での鑑別診断をすればかなり痴呆の程度は重いという方であっても、特別養護老人ホームの処遇のありようによってそのことが日常生活の上では問題を生じないような処遇の仕方をしていらっしゃるということもあるのではないかということを実感しております。その意味で、医学的な診断ということと処遇の場がどこが適切かというのとは、両方見ながら一番いい場を探していくということになるのではないかというふうに思っております。
 その意味で、私どもは、先生おっしゃるように精神科医への診断を義務づけるというよりは、それぞれの特別養護老人ホームがそれぞれ医師、看護婦を置くことが義務づけられておりまして、ある意味で医学的な判断プラスその施設での介護の言ってみれば懐度合いの深さも含めて見ながら、ホームドクター的に入所者を見ておられるということを考えますと、一律な義務づけよりも既に置かれている職員配置の活用という形で対応することが可能なのではないかというふうに思っております。
 そうは申しましても、これから特別養護老人ホームの入所者の中における痴呆性老人の割合というのは間違いなくふえていくと思いますから、もう少し適切な処遇を進める上での工夫ができないかは検討させていただきたいと存じます。
#196
○木庭健太郎君 まだいろんなことを聞きたかったんですけれども、もう時間がありませんので、午前中から論議になっていた医療の面における対策について最後に大臣の決意を聞きたいと思っております。
 それは、看護体制の問題であり、チーム医療とおっしゃいましたけれどもそういう体制の問題であり、また官民で格差のある問題であり、さまざまな問題、もちろん病院の赤字経営の問題も含めていろんな問題を医療面で私は抱えていると思っております。インフォームド・コンセントの問題についても、これから検討会が始まるわけですけれども、例えばこの場合だって精神科の場合は一般医療と違ってさまざまに難しい面があると思います。そういう意味では、別途の検討も必要だろう、さまざまに医療面でも取り組まなければいけない問題を抱えていると思います。
 また、診療報酬の改定、間もなくありますけれども、そういった際もこれは一般病院も含めて言えることですが、特に今精神病院が置かれた、先ほどの人不足の問題やいろんな点で指摘がありましたが、そういう問題に対することについて私たちもより一層充実をしていただきたい。先ほどあった三十三年通知の問題についてもいろいろ言いたいんですけれども、ともかく医療体制充実という問題について大臣として取り組む決意を最後にお伺いして、私の質問を終わりたいと思います。
#197
○国務大臣(丹羽雄哉君) 国民に良質で適切な医療を提供していくためには、精神病院を含めた医療経営の健全化、安定化が大変重要だと考えております。このため、精神病院を含めた民間病院の経営の状況について正確に把握することが大変必要であります。その収支状況や経営に影響を与える患者の数であるとか、人件費、借入金などについても早急に調査すべくその準備を今進めております。これは予算委員会で公明党の書記長からも御指摘を賜ったわけでございますが、八月をめどにこの調査結果をまとめる予定でございますし、この結果に基づきまして経営健全化全般について検討を行っていきたいと思っております。
 また、診療報酬でございますけれども、現在実施いたしております医療経済実態調査、この中での結果やあるいは中医協の議論を踏まえまして、いずれにいたしましても良質な医療経営、良質な精神医療というものが確保され、健全な民間病院経営あるいは精神病院の経営が確保されるように適切に対処していきたい、このように考えているような次第でございます。
 それから最後に、インフォームド・コンセントの問題でありますけれども、これは私どもは精神障害者にかかわるインフォームド・コンセントというのは人権を配慮する上において大変重要な問題であると考えておるわけでございます。それと同時に、医師と患者の信頼関係を支える大変大きな問題でございまして、近くこの検討会を発足させることになっておるわけでございまして、私どもは今年中にも一つの方向性をこの検討会において出させていただければ大変ありがたいな、このように考えています。
 いずれにいたしましても、今医療経営のあり方というものが非常に厳しく問われておるわけでございますけれども、概して我が国の医療というものは世界の中で冠たる医療サービス制度、そして医療保険制度というものも、こう言っては何でございますが、アメリカのクリントン政権下ではいまだにまとまらないということで非常に苦戦をいたしておるわけでございますけれども、その点我が国におきましてはおかげさまで、いろいろな問題点は含んでおるわけでございますけれども、要するに保険証を持っていけばきちんと一割から三割の医療サービスを受けることができる、七十歳以上のお年寄りは毎月千円で何回でも受けられるということで、国民との間に大変な信頼関係というものが私は確立されておるんではないか、このように考えておるわけでございます。このことを大切にしながら、これからもひとつ医療サービスあるいは医療保険の充実のために当たっていく決意でございます。
#198
○勝木健司君 まず最初に、精神保健対策に関しまして丹羽厚生大臣の基本的認識をお伺いしたいというふうに思います。
 WHO憲章では、健康とは身体的にも精神的にもまた社会的にも完全によい状態を意味するものであって、ただ単に病気や虚弱でないというだけではない、こういうふうにうたわれておるのは御承知のとおりであります。しかしながら、現代のように社会的環境が急激に変化する中で、著しい不適応状態に陥ることなく精神の健康を維持し、また向上させていくことは大変難しいことであって容易なことではないわけでありますが、国として広く一般国民の精神的健康の保持増進を図っていく必要があるわけであります。そこで、厚生大臣にこの精神保健対策に対する基本的認識というのをまずお伺いしておきたいと思います。
#199
○国務大臣(丹羽雄哉君) 委員が御指摘のことは、いわゆる全般的な国民的な精神保健対策、こういうことで御理解をしてよろしゅうございますでしょうか。ストレス社会と言われます現代において、国民の精神的健康の保持向上を図るということは大変これからますます重要になってくるのではないか、このように考えておるわけでございます。
 このため、保健所や精神保健センターにおいていろいろな相談事業をこれまで実施してきておるわけでございますけれども、ことしは精神保健全国大会、こういうようなものを通じまして、いわゆるストレス社会と言われる中において国民の精神的な健康の保持、こういうことを重点とした知識の普及に今後とも努めていきたい、このように考えているような次第であります。また、当然のことながら労働省など他省庁とも十分に協力をいたしまして、地域や職場における精神保健の啓発や相談員の相談事業の推進、こういうこともこれから進めていきたいと思っております。
 いずれにいたしましても、大変こういうような時代でございますので、本当に肉体的ないわゆる障害、病気、こういうこともさることながら、心の病というような問題につきましても厚生省としては積極的にこれから取り組んでいかなければならない、このように考えておるような次第でございます。
#200
○勝木健司君 昭和六十二年の精神衛生法の改正におきまして、精神障害者の社会復帰施設が初めて法定化をされた、そして精神障害者の社会復帰の促進を図るための貴重な第一歩が踏み出されたことは記憶に新しいところであります。しかし、その後の五年間の経過を振り返って考えますと、今日なお精神障害者に対する社会的偏見の存在あるいは他の障害者の福祉対策と比べて経験の蓄積が少ないこと等によって、いまだ社会復帰施設等の整備が十分に進んでいないのが現状ではないかと思います。
 そこでお尋ねをいたしますが、この精神保健法施行後五年間たった今、国民の精神保健の向上、また精神障害者の人権に配慮した適正な医療及び保護の確保、また社会復帰の促進といった精神保健の基本理念というものが果たして我が国に根づいたとお考えなのかどうか、厚生省の認識をお伺いいたしたいと思います。
#201
○政府委員(谷修一君) 前回の法改正において、国民の精神的健康の保持向上、あるいは精神障害者の人権に配慮した適正な精神医療の確保及び精神障害者の社会復帰の促進といったようなことを主な柱として改正が図られたわけでございますが、国民の精神的健康の保持ということにつきましては、ただいま大臣からも申し上げましたように、保健所や精神保健センターを中心にした広い意味での心の健康づくりといったようなことに取り組んできたところでございます。
 また、精神医療対策におきましては、前回の改正が主として入院医療制度の改正ということでございましたので、特に精神医療審査会の制度、あるいは任意入院制度、また精神保健指定医等の制度を医療現場において導入したわけでございますが、これは私どもは現在においては医療現場において着実に定着をしてきているというふうに認識をしておりますし、また強制入院であります措置入院あるいは医療保護入院が減少する反面、本人の自由意思に基づく任意入院が増加をしてきているということからも、おおむね適正な精神医療が確保されてきているというふうに考えております。
 一方、社会復帰対策につきましては本委員会でも再三御指摘がございましたように、社会復帰施設の整備ということについては残念ながらまだ必ずしも整備が進んでいないということを率直に認めざるを得ない現状でございますが、今後の社会復帰対策の充実ということが最も重要な課題の一つだというふうに考えております。
#202
○勝木健司君 精神障害者に対する社会的偏見というのがまだぬぐい去られておらないんじゃないかということで、精神障害者の社会復帰あるいは社会参加を取り巻く状況は必ずしも十分ではないということを認められておるわけであります。
 これからも、国民の理解を得るための啓発広報活動の充実は当然図られていかなければならないと考えております。また、多くの地域住民の理解と協力によって精神障害者の社会復帰の一層の促進が図られることを強く望むものでありますけれども、この精神障害者の社会復帰対策についての国民の理解を得るための啓発広報活動の状況は一体どうなっておるのかということ、また社会復帰施設の整備状況についても同僚議員からありまして、まだ未設置の県もあるじゃないかということで、社会復帰施設が地域偏在しておる現状、地域偏在しないようにどのように対応が今後なされようとしておるのか、その対応策についてもお伺いをしたいと思います。
#203
○政府委員(谷修一君) 精神障害者に関する国民の理解を得るための啓発活動でございますが、今まで国及び地方公共団体におきまして精神保健全国大会を開催しますとか、あるいは先ほど申しましたが、保健所、精神保健センターにおきます精神保健に関する知識の普及というようなものを実施してきておりますし、今後ともこういったようなことは続けていくつもりでございます。また、本年の八月には我が国において初めて世界精神保健連盟の世界会議が開催をされることになっておりまして、厚生省におきましても平成五年度の予算でこの世界会議のために三千万円の予算を補助することにいたしております。こういったようなことを通じまして、精神保健対策あるいは精神障害者の問題についての正しい知識の普及というものを引き続き図っていきたいというふうに思っています。
 社会復帰施設の地域偏在のことをおっしゃいましたが、これは地域偏在と言うべきなのかそれは確かにそうでございますが、やはり全体としてまだ足りないというふうに我々は認識をすべきだろうというふうに思っております。そういう意味で、先ほど来御議論がございましたような、従来ありました社会復帰施設についての設置者の運営費の負担の解消ということを平成五年度から実施ができることになりましたので、そういうことを通じまして社会復帰施設の整備の促進ということを図ってまいりたいと思いますし、特に社会復帰施設が未設置県といわれるようなところがあるわけでございますが、そういうところには強力な指導をしてまいりたいというふうに考えております。
#204
○勝木健司君 この精神障害者の社会復帰の受け皿については、国においても幅広く多様なメニューを当然用意していくことが、地域の自治、地域の創意工夫に基づいた対策の推進を支援していくという意味からも重要であると考えるわけであります。
 そこでこのたび、精神病院から社会復帰施設へという従来からの流れに加えまして、社会復帰施設から地域社会へという新たな流れを形成していくことが必要ということでありますけれども、重要なことは、今後の具体的な施策をいかに進めるかということが重要になってくるんじゃないかというふうに思います。
 本年の三月にも政府の障害者対策本部によって策定されました「障害者対策に関する新長期計画」におきましても、障害者が障害を持たない者と同等に生活をし活動する社会を目指す、いわゆるノーマライゼーションの理念のもとに、単に啓発を行うだけでなく行動に結びつくように配慮することの必要性というのがうたわれておるわけであります。
   〔委員長退席、理事菅野壽君着席〕
 精神障害者が地域社会で生活するというこの新たな流れを形成するために、厚生省は一体具体的にどのような施策を展開していくのかお伺いをしたいと思います。
#205
○政府委員(谷修一君) 今回の法改正におきましては、今先生がお触れになりましたように、社会復帰施設から地域社会へという新しい流れを形成したいということでございます。
 これに関連いたしまして、具体的には精神障害者の地域における日常生活を援助する事業として地域生活援助事業、いわゆるグループホームを法定化いたしたことがございます。それから、医療施設や社会復帰施設等が精神障害者の社会復帰の促進を図るために、地域に即した創意と工夫を行ない、また地域住民の理解と協力を得るよう努めることとする協力規定というものを新たにこの法律の中に盛り込みました。また、厚生大臣の指定法人として新たに精神障害者社会復帰促進センターを設けることにいたしたこと、具体的に今回の法律に即して申し上げれば以上のようなことかと思いますが、これらの規定を踏まえ、また従来から進めております諸施策をあわせて今後の精神障害者の地域社会での受け入れということに努めていきたいというふうに思っております。
#206
○勝木健司君 次に、地域精神保健対策についてお伺いいたしますが、この精神障害者の社会復帰を促進するためには、地域の実情に応じた適切かつきめ細かな対応を図っていくことが当然必要になってくるわけでありますが、このために保健所や精神保健センター、医療機関、福祉事務所、社会復帰施設等が相互に連携したネットワークを構築することが望まれてくるわけであります。さらに、その核となってコーディネーターの役割を果たすために、保健所または精神保健センターに専門職員を配置する必要があると考えるわけでありますが、この厚生省の考え方をお伺いしたい。
 さらに加えましてお伺いしたいのは、在宅の精神障害者がいつでもどこでも安心してかかれる地域の医療機関が大変少ないわけでありますが、疾病と障害が共存していることを十分認識して、いつでもどこでも安心して援助が受けられる体制の整備というものが急務であろうというふうに思うわけでありますが、この点についても取り組み方についてお示しをいただきたいと思います。
#207
○政府委員(谷修一君) まず一つは、社会復帰施設等におきます精神障害者の支援あるいは処遇等のノウハウの確立というようなことについてお話がございましたけれども、やはり精神障害者の社会復帰につきましては、他の障害者の福祉対策あるいは社会復帰対策と比べまして非常に歴史が浅いということもございまして、そういう意味で社会復帰施設等におきます訓練ですとかあるいは指導等の処遇のノウハウが確立をされていないというふうに考えております。
   〔理事菅野壽君退席、委員長着席〕
 そういう意味で、研究開発あるいはその成果の普及というものをやるために、具体的には、やはり従来やっておりました国立研究機関、国立精神・神経センターですとかそういったようなところの研究、あるいは地方公共団体の特に精神保健センターにおける研究を充実させていくということが一つあろうかと思いますし、また先ほどもちょっと申しました精神障害者社会復帰促進センターというものにおきまして、特に社会復帰施設等の訓練あるいは指導等の処遇のノウハウの研究開発ということをやってまいりたいというふうに思っております。
 それから、精神保健対策におきますコーディネーターあるいは専門職員の問題でございますが、これにつきまして私どもは、この精神障害者の社会復帰の促進を図るために医療施設とか社会復帰施設の相互連携ということが必要であるということから、先ほどもちょっと触れましたが、総則において関係機関等の相互連携規定というものを設けることにいたしたわけでございます。具体的には、やはり保健所等におきます精神保健相談員が中心になって相互に連携を図っていくということが現実的ではないかということで、それ以外に新たにコーディネーターという今お触れになりましたような職員を配置するということは現時点では考えていないわけでございます。
 それから、在宅の精神障害者の医療を受ける体制でございますが、これは通院医療がだんだんふえてきたということもございまして、精神科デイケアというものが特に診療所を中心にして普及をしてきております。現在、全国で二百四十六カ所の精神科の外来において精神科デイケアというものが行われているわけでございます。
 また、いわゆる急性期の対応という意味におきましては応急入院制度というものが設けられておりますが、この応急入院制度につきましては今後さらに指定病院の増加ということについて各都道府県を指導してまいりたいというふうに考えております。
#208
○勝木健司君 次にお伺いしたいのは、この政府の「障害者対策に関する新長期計画」におきましてノーマライゼーションを推進していこうということで、障害者自身が基本的人権を持つ一人の人間として主体性、自立性を確保していこう、そして社会活動に積極的に参加していくことを期待するとともに、その能力が十分発揮できるような施策の推進に努めることがうたわれておるわけであります。
 そういう意味からも、精神障害を理由とする各種の資格制限が障害者の社会参加を不当に阻む障害要因とならないように、必要な見直しについて検討を行っていくことが必要であるということで、今回もこの精神障害者の社会復帰、社会参加を促進させるために各種資格制限等の見直しをすることとしておるわけでありますが、今回この見直しを見送ったものについては今後どのように対応をされていくのか、見解をお伺いしたいと思います。
#209
○政府委員(谷修一君) 今回、資格の見直しを見送ったものは、厚生省関係では理容師と美容師でございます。これにつきましては、関係者の間の理解といいますか意見の調整ができなかったということで見送ることにいたしたわけでございますが、今後関係者の意見を十分踏まえながら引き続き検討していきたいというふうに思っております。
 なお、他省庁の関係につきましても、今回の改正には間に合わなかったわけでございますが、基本的には他省庁が所管の法律でございますので、他省庁において検討をされるべきでございますが、私どもも今回の改正をするに当たりましては、各省に文書でもって連絡をし検討をお願いしたわけでございまして、引き続き御検討をいただきたいというふうに思っております。
#210
○勝木健司君 次に、精神障害者の定義についてお伺いをいたします。
 今回の改正案を見てみますと、精神障害者の定義から「精神病者」の用語が消えておるわけであります。この定義規定の見直しは、精神障害者の概念の明確化と用語の適正化を図るもので、対象範囲の変更を伴うものでないという説明がありましたが、この改正で果たして従来言われておりました疾患、病態の範囲が不明確であるとか、あるいは誤解を招くおそれがあるということは全くなくなるのかどうかお伺いをしたい。
 また、今回の改正の中で精神障害者に関する資格制限の見直しが行われておるわけでありますが、精神保健法の定義を「精神疾患を有する者」としたのに対しまして、資格法の欠格条項改正部分を「精神病者」または「精神病」として残しているのはどうしてかということで、この精神保健法に合わせて「精神疾患を有する者」としなかった理由について教えていただきたい。
 あわせて、今回の精神障害者の定義規定の変更によって、医療現場において混乱が生じることのないように十分周知徹底を図るべきではないかと思いますが、この辺についての取り組みの方針についてもお伺いをしておきたいと思います。
#211
○政府委員(谷修一君) 精神障害者の定義の問題は、前回の改正の際からのいわゆる三つの宿題の一つでございました。精神保健法におきましては、従来から精神に障害のある者を包括的にとらえて精神障害者として精神保健法に基づく施策の対象にしてきたわけでございますが、現行のいわゆる従来の定義規定というものが、医学上の用語との整合性が図られなくなってきたということが指摘をされておりました。特に、今日における医学上の用語に合わせて「精神疾患」という用語を用いることによって範囲を明確化するとともに、現場において誤解のないようにするようにしたものでございまして、今回の改正によりまして従来の定義規定の対象範囲を何ら変更するものではないわけですけれども、このことについて一般の国民の方を含めて誤解が生じることがないように法律において必要な疾患名を例示することにしたものでございます。
 身分法、資格との関係で申しますと、従来精神病の概念というのは、後天的に発生した精神の異常を包括的にあらわしていたわけでございますが、近年の医学界の考え方としては、心因性の精神障害等を除いたものを医学的に精神病というような形に言うようになってきたというふうに承知しています。資格制限との関係で申しますと、心因性の精神障害等については、今日医学的には各種の資格について相対的にはもちろん、絶対的にも資格の取得を制限すべき必要性はなくなったものだというふうに考えられております。そこで、各資格法におきましては、心因性精神障害等を資格制限の対象疾病から外すことにいたしたわけでございますが、ただ用語については、医学上の用語の意義の変化というものを踏まえて、従来どおり「精神病」とすることにしたわけでございます。
 ただ、これはいずれにしても、各法ごとの対応なり解釈、あるいはそれぞれの身分法が持っている意味ということに対応して判断をされるべきだというふうに考えております。いずれにいたしましても、定義規定の変更というものが、今後医療現場において混乱することのないよう、この法律改正後、法の施行までの間に、改正の趣旨を地方公共団体はもちろん、関係団体についても十分に周知徹底をいたしまして、現場において混乱がないように努めてまいるつもりでございます。
#212
○勝木健司君 次に、保護者制度についてお尋ねをいたします。
 今回の改正で「保護義務者」の用語が「保護者」と変わったわけでありますが、これも当然実質的には何ら変わっていないと考えますが、念のためにお尋ねをいたしておきたいと思います。
 全国精神障害者家族会連合会の調査でも、精神障害者を抱える家族の多くが、半数以上が六十歳以上の保護者、いわゆる保護者が高齢化しておる。また、世帯の年収が三百万円以下というのが約四割ということで低収入である。年齢的にも経済的にも生活上の多くの困難を抱えておるわけであります。この点につきましては、本年三月の公衆衛生審議会の報告書においても指摘をされておるところでありますが、今回の改正において、保護者は保健、医療、福祉の各分野において必要な援助を受けることができることといたしておるわけでありますが、これによっても、精神障害者を抱える家族における保護者の問題は決して解決されたわけではなかろうというふうに思います。
 今回の法改正において、保護者の負担軽減のために具体的にはどのような措置を講じたのかということ、そして今後ともこの制度の改善に向けて保護者制度のあり方について検討すべきであろうというふうに思うわけでありますが、今後の取り組み方についても見解を賜りたいと思います。
#213
○政府委員(谷修一君) 今回、「保護義務者」の名称について「保護者」と名称を変えたわけでございますが、従来の保護義務者の役割というものに変更があるわけではございません。
 今回の改正におきましては、保護者に対する支援規定として、入院措置が解除された精神障害者を引き取る保護者に対する支援として、精神病院あるいは社会復帰施設に対して相談や援助が保護者から求められるような規定を設けました。また、精神障害者と同居する保護者等を、保健所の訪問指導の対象として法律上明記をいたしました。また、現在精神保健法においては、保護者となるべき者が存在しない場合、あるいはその役割を果たせない場合には、市町村長が公的保護者となるということにされているわけでございます。今後、市町村の担当職員の資質の向上を図るという観点から研修等を実施することにいたしております。
 なお、先生お話しございましたように、保護義務者制度あるいは保護者制度のあり方については、公衆衛生審議会の意見にもございますように、この制度の改善ということについて私どもとしても研究をしてまい係る所存でございます。
#214
○勝木健司君 次に、入退院時の手続についてお伺いをいたします。
 現在、措置、医療保護を目的として入院する場合に、精神保健指定医の診察が当然必要となっておるわけであります。そこで、患者が入院する病院の精神保健指定医の診察でもよいこととなっておるわけでありますが、他の病院の医師とした方がより客観的な判断が行われるのではないかという考え方もあるわけでありますが、これについての厚生省の見解をお聞きしたい。
 また、措置入院患者のうち、保護者の引き取り拒否、家族の崩壊等により、専ら保護目的をもって入院させている例があるのではないかということで、あるとすれば、そのようなケースは本来福祉施設で対応すべきではないのかと考えるわけでありますが、そのようなケースが実態としてあるのか。あるならば、どのような対応をされておるのかあわせて教えていただきたいと思います。
#215
○政府委員(谷修一君) 御承知のように、現在、措置入院あるいは医療保護入院におきましては指定医が診断をするということになっております。
 措置入院に関しましては、診断に当たっては、二名の指定医のうち少なくとも一名は入院先の病院以外の指定医が診断に当たるように指導をいたしております。ただ、この指定医の診断というものが厚生省の示します基準に従って医学的な判断をすることでございますので、私ども本質的には所属は関係ないんではないかというふうに思っております。いずれにしても、措置入院に関してはそういったような指導を行っているということでございまして、今後とも、指定医の資質の向上ということを図るために研修を充実させていくということをやっていきたいと思っています。
 それからもう一点、措置入院患者のうち保護者が引き取らないといったようなことで保護を目的にして入院をさせている例があるかということでございますが、私どもその実態については把握はしておりません。ただ、措置入院制度というのが自傷他害のおそれのある精神障害者を本人の意思にかかわりなく精神病院に入院させるという制度でございますから、自傷他害のおそれがなくなった場合には別の入院形態に移していくということもあり得るわけでございます。実際、そういうようなことがあるかどうか実は余り把握はしておりませんけれども、例えば医療保護入院に変わっていくというようなこともあり得るわけでありまして、そういう意味で措置入院患者についてそういうことは余りないのではないかというふうに考えております。
#216
○勝木健司君 次に、精神病院の開放病棟の増加と診療報酬の改定についてお伺いをいたします。
 先ほどのお話でもありましたように、最近の精神病院の入院形態別の入院患者数の割合は、全体の約六割が任意入院となっておる、また今後とも増加の傾向にあるということであります。しかし御案内のように、精神病院における職員の人員配置基準は医療法上特例が設けられておるということで、一般の医療機関より職員の配置が少なくなっておるのが実態じゃないかというふうに思います。精神病院の開放病棟をふやしていくためには、当然のこととしてそれに必要な多くの職員の配置が必要になってくるんじゃないかというふうに思います。このためには、やはり人員配置に対応した診療報酬の大幅引き上げが重要になってくるんじゃないかというふうに考えるわけであります。
 精神病院の人員配置基準の見直し、そしてまたこれに応じた診療報酬改定についての厚生省の見解をお伺いしておきたいと思います。
#217
○政府委員(寺松尚君) 前半の御質問の職員配置の問題につきましてちょっと御説明申し上げたいと思います。その後、診療報酬上の問題は保険局長の方からお答えをいただくことにいたしたいと思います。
 何度も御質問いただきましてお答えしておるのでございますが、精神病院の医師と看護婦等の配置基準につきましては、これは配置標準と言っておりますが、基準というふうな非常に厳しいのではなくて、一つの目標と申しますかそういうふうなことで標準という言葉を使っております。ここは、特定機能病院なんかで基準と使っておる場合と区別をいたしております。
 それはそれといたしまして、精神病のいわゆる特性と申しますか、あるいは精神病院での実態とか職員の配置の実態とかというようなものを考慮いたしまして、一般的には一般病院よりも緩和されていると言っていいのではないかと存じます。しかし、言うならば緩和されていることをもクリアできない施設もございます。
 先ほども申し上げましたが、医師の場合は、医療監視によりまして調べてみますと半分はそれを遵守できておりません。それから看護婦の場合は六割ぐらいしか遵守できていないというような実態でございます。そこで、今これもお答えしたことでございますが、基準看護につきましては特一とか特二というふうな看護の配置が濃いような基準を採用している施設もございまして、そういうようなことを見ますと大体四割はそういう医療法の標準よりも重い配置をしておるということでございます。そういう実態がございます。
 そこで、精神病院におきます人員配置の標準につきましてでございますが、これから私ども医療法の改正等もさらに続けなければならないと考えておりまして、その中で医療施設機能の体系化を図っていく所存でございます。そういう中で、大臣もちょっと申し上げられましたが、医療従事者間の役割分担のあり方、これはチーム医療というようなことでございますし、そういうふうな役割分担、それから看護婦等の需給の状況、こういうようなものも頭に入れながら、国連の原則の趣旨等もわきまえながらこれから引き続き検討して成案を得て見直してまいりたい、このように思っております。
#218
○政府委員(古川貞二郎君) 精神病院の人員配置基準の見直しにつきましては、ただいま健康政策局長が御答弁申し上げましたわけですが、まず人員配置基準につきましての議論が十分行われていくということが必要であろうというふうに私ども考えておるわけであります。医療体制といいましょうか、医療システムというものと医療費の保障といいますものはいわば車の両輪である、こういうふうに私ども考えておるわけでございまして、診療報酬上の評価ということにつきましては、今後ともこの人員配置基準を勘案いたしまして中医協の御議論等も踏まえまして適切に対処してまいりたい、こういうふうに考えております。
#219
○勝木健司君 時間が参りましたので、終わります。
#220
○西山登紀子君 前回の法改正に向けて公衆衛生審議会が出した意見書では、我が国の精神障害者対策は制度、事業面の立ちおくれについては否定できない現状であり、今や早急に是正を図るべき重要な社会的課題となっていると指摘しておりました。また、さらに一九八五年のWHOや国際法律家委員会と国際保健専門職委員会の調査団は、日本の精神医療制度の現状は精神障害者の人権及び治療という点において極めて不十分とみなされなければならないと、国際的にも厳しい評価を下しておりました。その後の経過を踏まえましても、なおことし三月の同審議会の意見は、前回改正で導入した各種制度はまだ試行錯誤を重ねているところもある、社会復帰制度の整備は他の障害者の施設と比べて十分に促進されていないなどの指摘がされております。
 私も、今回この分野につきましていろいろ勉強をしてきましたけれども、率直に言いましてどの問題を取り上げましても施策のおくれは甚だしいと感じました。精神障害者を隔離あるいは放置するというような前近代的な状態がまだ十分払拭されていない、残されているという思いを強くしたわけでございます。
 そこでお聞きしたいのですけれども、大臣は、繰り返し質問がされておりますけれども、現時点での我が国の精神障害者対策はどの程度の水準にあるとお考えでしょうか。前回改正時以降五年を経た時点でどのように評価をなさいますか。まずお聞きしたいと思います。
#221
○国務大臣(丹羽雄哉君) 前回の改正では、精神病院から社会復帰施設へという観点から、御案内のように任意入院制度の導入や精神医療審査会制度の設置など、こういった入院制度の見直しを行ったわけでございます。そして、それと同時に社会復帰施設の創設、こういうものを行いましてこの五年間人権に配慮した精神医療の確保を推し進めてきたところであり、私は開かれた医療現場に向けて一定の前進を図ることができたのではないか、このように考えております。
 今回の改正では、さらにこれを一歩進めまして、今度は社会復帰施設から地域社会へとこういうことを旗印にいたしまして、新しい流れをつくるために、社会復帰施設の運営費の設置者負担の解消、グループホームの法定化などの措置を講ずることにいたしておるわけでございます。
 先ほどから申し上げておるわけでございますが、社会復帰施設であるとか、まだまだ私どもが当初もくろんでいたよりもややもするとおくれている部分もあるわけでございますけれども、全体的な流れの中においては国民の皆さん方の理解と御協力を賜りながら着実に進んでおると、このように考えているような次第であります。
#222
○西山登紀子君 精神障害者の施策のおくれた現状をなくしていくためにも、施策の推進を図っていく上での姿勢といいますか、その点につきまして大臣に重ねてお伺いしたいと思うんです。
 九一年の十二月の国連総会で、「精神病者の保護および精神保健ケアの改善のための原則」が採択をされました。これは条約ではありませんから政府を拘束するものではないわけですけれども、しかしこの原則は、すべての人が最良で有益な精神ケアを利用する権利を有すること、精神障害による差別があってはならないし、精神障害者は搾取や虐待、品位を損なう取り扱いから保護される権利を有することなど極めて重要な内容を持っておりまして、私は国内の指針として尊重することが必要だろうと思っております。
 そこで、大臣にお伺いいたしますが、この原則をさらに広く関係者に周知徹底をしていただくように、そのように取り計らっていただきたいと思うのですけれども、いかがでしょうか。
#223
○国務大臣(丹羽雄哉君) 委員御指摘の国連原則は、精神保健対策に関する世界各国共通のガイドラインともいうべきものであり、我が国の精神保健のもろもろの制度についても、基本的にはこの原則に沿ったものとして運用していく必要があると考えております。当然のことながら、その趣旨を十分に周知徹底いたしまして、指針として尊重していく決意であります。
#224
○西山登紀子君 ぜひそのようにお願いしたいと思います。
 次に、精神障害者の救急医療につきまして三点質問をしたいと思います。
 日本精神神経学会の九一年の提言では、「精神障害者が安心して地域で生活を営んでいくためには、急激な病状変化に対応できる精神科救急医療体制の整備が必要である。」としております。いつでもどこでも必要なときに精神障害者が診療を受けることができる制度を整備することは、今回の法の理念にかなうものと考えております。実際、この救急医療に対する期待は大きいものがございます。
 私も調べてみましたけれども、京都市では精神障害者関係団体が九二年の八月にとったアンケートがございますが、緊急時に電話相談を受けてくれるところがないと答えたのが四四・九%。休日、夜間の救急受け入れ体制がない、これが四三・八%。デイケアをする医療機関が近くにないが四〇・四%で、精神保健センターで救急医療をしてほしいが六八・五%になっております。
 そこでお伺いしますけれども、精神疾患の救急体制は現在どのようになっているでしょうか。現行法では応急入院制度があるわけですけれども、この指定病院が全国で幾らあるのかその運営主体はどのようになっているのか教えてください。
#225
○政府委員(谷修一君) 精神疾患の救急医療体制でございますが、精神疾患の場合にはやはり症状が短期間の間に発生あるいは悪化をするといったようなことがあるわけでございまして、その場合にはやはりまず指定医等の専門家による診断がなされる必要があるというふうに考えておりますが、今お触れになりましたように、精神医療におきます急性期の対応ということについては、前回の改正によりまして応急入院制度が設けられたわけでございます。
 この応急入院の指定病院の数でございますが、ことしの四月現在で指定病院の数は四十二施設、その設置主体別の内訳は、国立が六施設、都道府県立が十七、市立が二施設、医療法人が九施設、その他法人の設置するものが八施設というふうになっております。私どもは、この応急入院の指定病院によって対応していくということを基本的な考えとしておりますが、しかしながらまだこの指定がされていない県が幾つかございます。こういう県についての設置の促進ということを指導していきたいと思っております。
#226
○西山登紀子君 二十九都道府県、四十二施設ということですから、すべての県にあるわけではない。また、一つの県に一つしかないというところもあるわけで、これは大変おくれているというふうに思っております。この際、国立や都道府県立病院に救急入院施設を備えた精神科を設置するなど検討することが必要だと思いますけれども、いかがでしょうか。
#227
○政府委員(谷修一君) 国公立の病院の診療科につきましては、それぞれ地域の実情なり施設の位置づけによって変わっているわけでございまして、一律に精神科が設置をされているわけではございません。
 一方、精神科の救急医療体制を確保するということでやはり私たちがこれから検討していかなければいけないこととしては、いわゆる救急で入った後、急性の症状が終わった後にどういう医療体制に移していくかということだと考えておりまして、そういう意味において精神疾患の救急医療体制については、受け入れ先の病院とそれからその後の搬送の体制ということも含めて検討していきたいというふうに考えております。
#228
○西山登紀子君 実は、搬送は次にお聞きしたいと思っていたんですけれども、搬送方法についても非常に現場では困っておられまして、いざ緊急事態が発生して家族や周りの人が病院に運びたいと思ったときに一一九か一一〇かあるいは民間の、これは三万円か五万円ほどするそうですが、搬送会社に頼むのか大変悩むところだというふうなお声も伺いました。だから、一般救急と同じように救急車で運ぶことができないものかどうか。パトカーでは犯罪者と同じような扱いになるわけなんで、この点の検討をよろしくお願いしたいんですが、いかがでしょうか。
#229
○政府委員(谷修一君) 精神障害者の救急医療体制の中で、先ほど申しましたいわゆる受け入れ医療機関の整備ということとあわせて、今先生御指摘がありました搬送の問題というのが残されているわけでございます。
 措置入院におきます搬送というのは、原則として都道府県において、あるいはそれ以外の場合には家族または医療機関等によって行われているわけでございますが、緊急時の搬送につきましては、先ほど言いました精神科の救急医療システムを検討する中で、やはり精神科救急医療に関する検討あるいは研究の一環として搬送体制の問題も含めて検討をしていきたいと思っています。
#230
○西山登紀子君 次に、以上のハードの救急とは別に、いわゆるやわらかい救急についてお伺いしたいと思います。つまり、総合病院や一般病院での精神科の救急で、例えば往診、看護婦やケースワーカーなどによる電話相談、時間外の救急外来の受診などを十分に保障していくということなんですけれども、このやわらかい救急、ソフトな救急を十分評価する必要があると考えるわけですが、厚生省のお考えをお伺いしたい。
 この点で、時間と労力が非常にかかる精神科の往診が現在五十二点と非常に評価が低い問題だとか、お医者さんが電話で相談を受けカウンセリングをやった場合に四十五点ということなんですが、看護婦やケースワーカーが電話相談を受けた場合には診療報酬がないということなんで、このような問題点をぜひ解決していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
#231
○政府委員(古川貞二郎君) やわらかい救急とおっしゃられましたが、往診とか電話相談に対するお尋ねでございますけれども、私どもとしては、一般的に在宅医療の推進というのはこれは精神医療に限らず一般医療を通じまして大変重要な課題であるというふうに考えておりまして、これまでも往診料の引き上げなどその評価に努めてきているところであります。
 既に医療機関で受診している患者さんに対しましては、電話で患者御自身またはその看護に当たっている方から病状の変化に応じまして治療上必要とされる医学的な意見を求められ、これに対して適切な指示を行った場合には、再診療として評価できることとされているわけであります。さらに、時間外あるいは休日や深夜の場合は、それぞれ時間外、休日または深夜の加算が評価されるということでございます。
 現在、往診料については、昨年の四月に引き上げを図っておりまして、この往診料は従来四百点でございましたのを五百二十点というふうにいたしております。それから再診療でございますが、病院、診療所の甲表については、病院の場合は七十一点を四十五点、それから八十一点を五十五点というふうに引き下げておるわけでございますが、これは事情がございまして、甲表において再診療が引き下げられたのは、甲表におきましてこれまで再診療に包括されておりました内科再診療、これの対象となる治療計画の策定などの治療サービスについて外来管理加算というふうなことで評価する、こういったことが可能となったということの調整の結果でございまして、いずれにしても評価しているわけであります。時間外加算につきましては、これは従来どおり時間外、休日加算については現在五十五点、百六十五点、それから深夜加算が三百八十点と、こういうふうになっているわけでございます。
 私ども、往診料等についての診療評価上の評価については、今後とも中医協の御議論を踏まえまして適切に対応してまいりたい、かように考えておるわけであります。
#232
○西山登紀子君 次に、社会復帰の問題についてお伺いをいたします。
 生活の場ではグループホームの推進が強調されているわけですけれども、実際問題として、私も精神科の先生にお聞きしましたが、病院から一挙にグループホームで障害者同士が一緒に生活できるかというと必ずしもそうではないと言われました。グループホームは大いにふやせばいいと思いますが、同時にグループホームですぐには一緒に生活できそうにないが、援助者がいて集団で助け合いながら生活することができるそのような施設である援護寮の意義は非常に大きいと考えます。
 そこで、この援護寮は現在どれくらいありますか。また、その設置主体はどこでしょうか。
#233
○政府委員(谷修一君) 精神障害者援護寮の数でございますが、現在四十九カ所というふうに承知しております。設置主体別では、都道府県立が五カ所、市町村が二カ所、医療法人が二十七カ所、社会福祉法人が十四カ所、社団法人が一カ所というふうに承知をしています。
#234
○西山登紀子君 厚生省は、グループホームは今年度百カ所を目標にすると言っておられるんですけれども、それに比べると現在法定施設の援護寮というのは四十九ということで余りにも少ないのではないかと思うんですね。援護寮からグールプホームヘ行くと、あるいは自立の方向へ進んでいくと、しかし失敗したらまた援護寮に帰ってもこられる、そのようなフォローができるようにするためにももっとこの援護寮を充実する必要があると思うんですけれども、都道府県に義務設置にしまして国が目標を持って充実することが必要ではないでしょうか。この点お伺いいたします。
#235
○政府委員(谷修一君) この援護寮に限らず社会復帰施設の充実をさせていくということは、今後の精神保健対策の中で重要な課題だということは認識をいたしております。
 ただ、社会復帰施設の整備につきましては、やはり地域の自主性なり自律性というものを尊重し、地域の実情に応じて適切に推進をしていくということが現時点における基本だというふうに考えておるわけでございまして、また他の障害者の福祉施設におきましても、基本的には施設設置の義務づけということを地方公共団体にはしておりませんので、私どもとしては、現在、この地方公共団体に援護寮も含めて社会福祉施設の設置を義務づけるということは考えていないところでございます。
#236
○西山登紀子君 援護寮がない県というのは、これは京都も含めて現在十八県に上っているわけですので、自治体任せというふうになっている現状ではなかなか進まないんじゃないかと思いますので、この義務設置の問題についてぜひ今後とも検討していただきたいと思います。
 次に、社会復帰の場合の就労の問題ですが、現在職親制度だとか職適制度というのがあるわけですけれども、なかなか職親を引き受けてくれる事業主がまだ少ないというふうに伺っております。そして、川崎市では実はジョブコーチという職業のリハビリの工夫がされているということをお聞きいたしまして、私は、これはなかなかいい制度というんですか、検討をしてみる値打ちのある制度じゃないかなというふうに思っています。
 どういう制度かといいますと、これは保護就労だとか援助つき就労というふうに言われているんですけれども、数人のグループで就労いたしまして、これに援助者が一緒に企業に就労するということなんですね。仲間が一緒だということもあって安心ができますし、何かあれば援助者を頼りにできるというふうなメリットもあるわけですが、こういうジョブコーチ制度につきまして厚生省としても大いに研究をしていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。
 それから、さらにあと続けて二点お聞きしておきます。
 共同作業所の問題、先ほどからもいろいろ出ておりますけれども、全国で無認可の精神障害者の共同作業所が六百カ所、しかし、そのうち国庫補助を受けているのが三分の一だということ。しかもこの国庫補助は年間九十万円で三年を限度としている。東京都では年間一千万円以上補助されているわけですが、ぜひこの法改正を契機にいたしましてすべての作業所に補助枠の拡大と制限の廃止、そして補助金の増額を検討すべきではないかというのが次の質問です。
 さらにもう一点ですが、京都で聞いてまいりましたが、精神障害者の共同作業所がこの間二カ所廃所になっております。自治体からの補助がおりるまでの間が長いという問題、またそこに行き着くのが大変だという問題などありますけれども、補助を受けた後にもなかなか続けていくのが難しくて廃所になっているということなんですね。そして、この共同作業所の補助の承認と交付の業務というのも、都道府県あるいは政令市が窓口となって公の窓口で責任を持って指導をするようにしていただきたい。
 このような点で、三点につきましてお伺いをいたします。
#237
○政府委員(谷修一君) 共同作業所いわゆる小規模作業所についての御質問でございますが、先ほど来御議論がございますように、この小規模作業所については非常に地域におけるニーズも多いということで、私どもとしては、この小規模作業所の育成といいますかそういうことには力を入れていかなければいけないというふうに思っております。
 現在、精神障害者の小規模作業所については二百九十四カ所を平成五年度において補助対象としたわけでございますが、補助額につきましても、他の障害者との均衡というふうなことも勘案しながら従来から予算の獲得ということに努めてまいりました。また、平成五年度からは、都道府県が単独事業として行う小規模作業所への補助に対しまして交付税措置が講ぜられることになったところでございます。
 なお、先ほど先生のお話の中で期限が三年というようなことをおっしゃったかと思いますが、精神障害者の小規模作業所につきましてはその期限は設けておりませんので、申し上げておきます。いずれにいたしましても、この小規模作業所の適正な運用が確保されるよう、今後とも必要な予算の獲得と必要な補助の充実ということには努めてまいりたいというふうに考えております。
 それから、ジョブコーチというお話があったかと思います。これはちょっと私どもの所管というよりは労働省の方かと思いますが、関連いたしましてやはり精神障害者の社会復帰の促進を図るということには、例としてもお話がございましたように社会的な自立を促進し、就労につなげていくための施策の充実ということが必要だと考えております。その一環として、厚生省におきましても授産施設の整備促進ですとか通院患者リハビリテーション事業というふうなことを実施してまいりましたし、また平成五年度におきましては福祉工場の整備というふうなことを新しいメニューに加えて、今後とも、精神障害者の社会的自立の促進あるいは就労につなぐためのトレーニングといいますか、そういうことの充実を図っていきたいと思っております。
#238
○西山登紀子君 そのジョブコーチですが、川崎市のリハビリテーション医療センターや神奈川県精神障害者地域作業所連絡協議会、こういうようなところで行われているということですが、労働省ともよく連携を強めていただいて研究をぜひお願いしたいと思います。
 次に、先ほどもお話がございましたけれども、予算の問題について大臣にお伺いしたいと思います。
 精神保健関係の予算は、八八年度以降九三年度までの措置入院費が三百六十八億円から百六十九億円へと約二百億円減っております。国庫負担率は四分の三ですから、百五十億円の国庫負担が削減されたことになります。その一方で、同じ期間に社会復帰を進めるための予算であります通院医療費で三十億円、社会復帰対策予算で十八億円、精神保健センターなどの施設整備費で一億円、合計約五十億円の国庫負担しか増加しておりません。社会復帰関連で多少の増額はありましたけれども、相殺いたしますと百億円の国庫負担が削減されていることになるわけです。
 今回の法改正の趣旨からいいますと、この削減された国庫負担は社会復帰のための施策のためにすべて使われてしかるべきだと思います。救急医療の整備や診療報酬の改善、援護寮の大幅な拡充、共同作業所に対する補助の拡大などなど、これまでも指摘されてきておりますいろいろな施策の改善にこういう予算を十分充てる必要があると思うのです。それをせずに、措置入院に係る予算を削減して社会復帰予算を余りふやさないというのでは、明らかに施策の後退としか言いようがありません。その点で、社会復帰しようにもできない患者さんに対する政府の責任は重大だと思いますが、積極的な施策を進める上での大臣の御所見をお伺いいたします。
#239
○国務大臣(丹羽雄哉君) 御指摘の予算の件でございますが、措置入院患者数が減ってきたことに伴います医療費の減少によるものでございます。これは、御案内のように人権の配慮という観点からも大変私は望ましいことではないか、このように考えております。
 社会復帰対策につきましては、精神保健対策における最重要課題の一つとして積極的にこれからも取り組んでいく決意でございますが、医療費の中でも委員が御指摘のように通院医療費は年々増加をいたしております。さらに、地域の精神障害者のニーズに応じた社会復帰施設の整備の推進や、先ほどから御指摘の適所型の援護寮であるとかあるいは福祉工場を新たに設けるなど、施設のメニューの拡大を図っております。
 いずれにいたしましても、今後とも社会復帰対策につきましては、これまでの精神病院から社会復帰施設へという流れに加えまして、社会復帰施設から地域社会へという新しい流れを形成する上においてもより一層充実した施策が必要だと考えておりますし、必要な予算につきましては全力で確保していきたい、このような考え方に立つものでございます。
#240
○西山登紀子君 精神障害については、社会の偏見はまだまだ根強うございますし、また患者家族の方々が社会に訴えることも難しいというような面もまだあるわけでございますので、それだけに今回の改正を機会に予算の裏づけのある先の見通しを持った施策を強く望みたいと思います。
 次に、本改正案に直接関係はありませんけれども、心配されます子供の心の問題について質問をいたします。
 私は、かつて京都市の児童相談所とそれから情緒障害児短期治療施設、青葉寮という施設ですけれども、そこで心理判定員、セラピストの仕事をしていたことがあります。随分前の話ですけれども、今日改めて伺ってみますと、この青葉寮という施設に入所している子供の八割は登校拒否の子供になっております。登校拒否の子供、最近は不登校児とも言われているんですけれども、この子供たちは単にわがままだとかトレーニング不足という問題ではなくて、学校に行きたくても行けないという心の葛藤を持った子供でございます。
 そして、それが頭痛や嘔吐、発熱などの身体症状に出たり、あるいは心の悩みという形で深く傷を受ける、こういう苦しい状態にいる子供ですけれども、この問題は非常に重要だと思っております。子供たちの状態は、朝起きて学校に行かなければと思うけれども、どうしても体が動かない。理由もないのに何で休むんやと親に言われるけれども、自分でわかっていてもどうしてもだめなんだと、自殺がしたい気持ちになる、こういうふうに切実でございます。
 そこで、文部省にお伺いいたしますけれども、この登校拒否、不登校児の児童生徒の数、それからどのような対策をとっておられるかをお伺いします。文部省、よろしくお願いします。
#241
○説明員(河上恭雄君) 私ども、毎年学校基本調査でそういった方の数字を把握しているわけでございますが、最新の数字で申しますと、平成三年度間に五十日以上学校を欠席した児童生徒数は小中合わせまして約五万三千人でございまして、近年増加する傾向にございます。平成三年度から新たに年間三十日以上欠席した児童生徒数を調べましたが、これが約六万七千人という数字になっております。
 御指摘のように、登校拒否児童生徒への対応というものは私ども大変大きな教育課題であるというふうに考えております。従来から、教師用の指導資料をつくりまして全国の学校に配付しますとか、教員研修を行ったりあるいは教育相談活動、それから最近適応指導教室というものが設置されておりますけれども、そういった事業、あるいはそういった登校拒否の子供さんを多く抱えております学校へ教員を加配するというようなことも行ってきたわけでありますが、平成五年度、本年度新規の予算で登校拒否研修講座、教員の指導力を高めるための研修講座を新たに実施することにしております。
 また、これは予防的な対策でございますが、子供たちの自然体験を豊かにするために、教員にそういった指導能力を高めるためのいわゆる自然体験活動担当教員講習会という新しい事業も考えております。それから、この登校拒否の問題につきましては、平成元年から三年間にわたりまして専門家によります調査研究をやってまいりまして、その結果が昨年まとまったのでございますが、それを踏まえまして、昨年九月に全国の教育委員会に対しまして「登校拒否問題への対応について」という通知を出しまして、学校や教育委員会の取り組みの充実のあり方とかあるいは関係の専門の機関等とよく連携するようにといったような趣旨の指導を行ったところでございます。
 今後とも、この面での施策の一層の充実に努めてまいりたいというふうに思っております。
#242
○西山登紀子君 最後に一点お聞きします。
 こういう子供たちに対しまして、厚生省が一体何ができるかまた何をしなければならないかという点でございます。私は、九一年七月に起きましたあの風の子学園の事件を忘れることができません。登校拒否をしていた子供が私的施設でコンテナの中に閉じ込められて熱射病で死亡する、殺される、こういう事件が起こったわけです。こういう事件を契機といたしまして私が思いますことは、児童福祉法四十三条の五に情緒障害児の短期治療施設が位置づけられております。これも義務設置ではありませんので、厚生省にお聞きしますと、昨年末で全国で十二施設、本年度中に大阪府と徳島県で設置予定があるとのことですけれども、それでも全国で十五施設しかありません。もちろん、登校拒否の子供たちに対する対策がこれだけでいいというものではないわけですけれども、この際厚生省としてこの普及が必要ではないか。
 この方針をお伺いいたしまして、質問を終わりたいと思います。
#243
○政府委員(清水康之君) 情緒障害児の短期治療施設につきましては、今御指摘のように大変に大きな問題だということから、家庭や学校での人間関係の影響などによって不登校とかあるいは孤立、不安、そういう児童がだんだん多くなっておりますので、それを入所させ心理治療や生活指導を行う、また学校復帰を可能にしていくというふうなこととして御指摘のとおり法定施設としての児童福祉施設が設けられているわけでございます。今十二カ所という御指摘でしたが、正確には新しく平成四年度中に一カ所できまして十四カ所ありまして、平成五年度中に二カ所新たに設けられることになっておりますので、最終的には十六カ所、約七百六十名ほどの定員が確保される見込みでございます。
 先ほど文部省からお話がありましたとおり、登校拒否児というのは、五十日以上の方が五万数千人いるというふうな状態であり、かつ一般的に言うと増加傾向にあるというふうなことでございますので、私どもは、この情緒障害児短期治療施設の機能の充実が非常に望まれているというふうに考えまして、この施設整備を十分進めていくと同時に、実は平成三年度から引きこもり・不登校児童対策のためにいわゆる家族療法事業というものを新たに始めております。これは、施設に家族の方とその不登校児童とが一緒に短期間宿泊していろんなカウンセリングを行うというふうな事業でございまして、この事業についての要望といいますか需要が大変多うございますので、これらも充実していきたいというふうに考えているわけでございます。
 いずれにしましても、これからも文部省とも十分連絡をとりながら、不登校児童の動向あるいは各都道府県の要望、施設関係者の要望というふうなものを踏まえながら、必要な施設整備、対策の充実ということに努めてまいりたいと思います。
#244
○粟森喬君 まず、最初にお尋ねをしたいと思います。前回のこの法改正によりまして、精神障害者の医療の現場というのは随分よくなったというふうに私は一般的に言えるんではないかと思います。そういう意味で評価をしているわけでございますが、現状について幾つかお尋ねを申し上げたいと思います。
 一つは、まず措置入院者数にかなりばらつきがあるのではないか。平成四年の数字、三年の数字、元年の数字、厚生省からいただいたんですが、いわゆる全体の措置入院者数を在院患者数で割った数値で言いますと、千人当たり五人という県と千人当たり五十九人とか六十人という県がある、あるいは七十人という県がある。最低と最高を比べますと十倍でございます。平成四年度で言いますと平均が二・四ですが、この程度のばらつきは法の運用に当たって問題点として意識されるようなことがおありなのかどうか、まずそこをお尋ねしたいと思います。
#245
○政府委員(谷修一君) 措置入院の患者数あるいは措置率と申しますか、そういうものが今先生お話しございましたように県によってばらつきというか差があるということは御指摘のとおりでございます。そのこと自体がどういう意味を持っているのかということでお尋ねになっておられると思いますが、地域的な状況あるいは精神病院の設置状況、そういったようなことが関係をしているのかとも思いますが、私どもまだその点について具体的に分析を特にしているわけではございません。
#246
○粟森喬君 私は、措置入院のあり方というのは、精神障害者にとって人権の問題でかなり重要視をされている一つの側面だと思っているんです。それから、医療保護入院数と特に任意の入院患者、私は、できるだけ任意でいくのが人権を守るという立場、医療の現場においても、そういう開放型に向かっていくとするならば、病院の数とかそれだけではないような気がいたします。
 例えば、指定医の二人以上ということで言いますと、そこの地域におけるお医者さんのグループなりあるいはそれぞれのいわゆる指定医の考え方にこれほど差異が出ることを放置しておくというのは、端的に言ったら同じ法律でありながら都道府県ごとに、何らかの客観的な意味、例えば大都市であるから多いのかとか少ないのかとか、あるいは東京へ単身で来ている人が地方へ行くから多いのかといういろいろ地域事情なども私なりに調べてみたんですが、どうもそこは違う。やっぱりその原因のところをきちんと整理しておかないと、特に私は措置入院のあり方というのは先ほどから再三申し上げているように問題ではないかと思うんで、その面をひとつ、いま一度改善するのかしないのか。
 それからもう一つは、これは措置であるのか任意であるのか医療保護であるのかというのは医療現場での差異はないけれども、支払われ方などでこういうことが出てきているのかどうか、そのことも含めて説明を求めたいというふうに思います。
#247
○政府委員(谷修一君) 御承知のように、前回の改正の際に入院制度について大きな改正をしたわけでございます。その際に、措置入院の適正な実施を確保するために、厚生大臣が全国一律のいわゆる措置基準というものを定め、かつ精神保健指定医を指定いたしまして、また指定医に対する統一的な研修の実施ということを行ってきたわけでございます。
 そういう意味で、私どもとしては、先ほどもちょっと申しましたように、こういったような形での県による差異があるということについては若干分析をし切れていないわけでございますが、いずれにしても、指定医に対する研修の充実ということによって指定医の資質の向上ということを図る、それによってまた改めて措置入院制度の適正な運用というものを図らなければいけないというふうに思っております。
 また、今年度から、各県ごとの精神医療審査会につきまして全国的な連絡協議の場を設けるというようなことをいたしまして、そういうこととあわせて、判断基準というものに違いがないようにさらに指導をしてまいりたいというふうに考えております。そういうことによって、引き続き措置入院を含めました精神医療制度の適正化ということを図ってまいりたいと思っております。
#248
○粟森喬君 私は、やっぱり今の状況を改善する方向で、少なくとも逐年ごとの数字を見る限り措置入院数が減っていることは間違いございませんが、どこか指導といいますか理念で統一されていない現状を早急に克服するための努力をお願いしたいと思います。
 次に、今申し上げたわけでございますが、重ねてここはお尋ねをしたいと思いますが、医療保護入院者数と任意入院者数、この相関関係の数字も全国的にばらばらでございます。これ三倍から違っています。任意が多くて医療保護が多いという、これはまた同じ法律でやっていて何でこんなに違うんだ。このことについて厚生省がきちんとした物差しを持っているのかどうかということですね。
 私は、これは各都道府県なりの単位で見たわけですが、余りにもその辺のところについて問題意識がないのではないかというような気がいたしますが、ここもお尋ねをしたいと思います。
#249
○政府委員(谷修一君) 今お話がございましたように、医療全体としては、措置入院患者あるいは医療保護入院患者というのは減って、任意入院が増加をしてきているということはお話のあったとおりでございます。
 医療保護入院の数と任意入院の数との関係ということで、私どももデータはまとめてあるわけでございますが、これは措置入院とも関係があると思いますけれども、先ほど言いましたような全国一律の基準なり考え方を示して、それに基づいて指定医が判断をしてやっていただいている。それからまた、精神医療審査会においていろいろ各毎月審査をやっていただいているということでありますから、私どもとしては、考え方はこの五年の間に十分定着をしてきたというふうに思っております。
 この際、先ほど言いましたような精神医療審査会の各県ごとの連絡の場というものも設けることにいたしましたし、また今回の改正において改めて、先ほど来この委員会でもお話のありました開放処遇というものについての周知徹底というものも図っていかなければいけないと思っておりますので、それとあわせて、入院の考え方、措置入院あるいは医療保護入院、任意入院の考え方というものも改めて各県並びに関係者の方に周知をしてまいりたいと思っております。
#250
○粟森喬君 あなた、今定着をしたと言ったけれども、一つの基準づくりは定着をしたが、全国都道府県の中でこのような差が出ている状況について、やっぱり私は格差というのはいいところ一・五倍とかそんなところではないかというふうに思うんです。特に、医療保護入院と任意入院について、これまたそれぞれこれだけの違いが出るというのはいかがかなという私は思いがありますので、ここは重ねてこれからの指導の中で生かしていただきたいと思います。
 そこで、大臣に、今までの議論を聞いておってぜひとも基本的なことで、今改めてそういうことをしていただけるということですが、私は、原則任意入院というか開放型の医療の現場という基本的な方向をきちんと確認をして、そういうふうにできるだけ持っていくような大臣としての指導指針をこの際明らかにしていただきたい。
 それから、実は任意入院の実態も一つ一つ見ますと、いろんな問題を私なんかも個別にお聞きをすることがございます。例えば医師と患者の関係も、今インフォームド・コンセントを入れるということでやっておられるようですが、私は、人権の立場で人権擁護のオンブズマンみたいな制度も入れていくとか、過渡的にいろんなことをやっていかないと、まだまだ医療の現場における患者と医師の関係、それから医療の実態、この差があると思いますので、まず前段のことに対しての基本的な姿勢と、この種のことについて検討いただけないか答弁願いたいと思います。
#251
○国務大臣(丹羽雄哉君) 精神保健法におきましては、精神障害者を入院させる場合には原則として、当然のことながら人権を配慮する立場から、本人の同意に基づいて入院が行われるように努めなければならない、こういうふうに規定されておるわけであります。
 これに基づきまして、今日、任意入院が精神病院への基本的な入院形態として浸透、定着してきておると考えております。また、精神病院の入院患者は、先ほど委員から御指摘の医療保護入院であるとか措置入院であるとか、入院の形態にかかわりなく都道府県知事に対しまして退院や処遇改善の請求ができることになっております。これらの請求については、すべて精神医療審査会において審査されることになっておりますから、御指摘のオンブズマンのような趣旨については、現行制度上におきましても既に織り込まれておる、このように考えておる次第でございます。
#252
○粟森喬君 そこで次に、今回の法改正で、第四十八条の削除は患者の人権や医療の多様性という意味では前進だと思っています。しかし、こういうこととは別に、精神病院そのものの医療の現場の改善をきちんとしなきゃならない、放置されているのではないかという懸念も私はございます。
 先ほどから同僚議員が精神科の看護基準の問題を取り上げました。私は、この問題は非常に重要なやっぱり物差しだと思います。といいますのは、精神医療という現場は、薬というよりも医師とか看護婦さんとかそれぞれの人たちの中で信頼関係をつくりながら社会に復帰をしていくという、こういうことが前提でございます。今看護婦さんが足らないときに、一般並みに四人に一人というんですか、すぐにしろといっても私はかなり難しい問題だと思っているんですが、これはいわゆる基準の問題としてどこかで見直して何らかの方法をとらないと、なかなかこの問題はうまくいかないんではないか。
 例えば、今の診療の計算の仕方、いろいろ具体的な数字では、私も余りきちんとしていないところもあるのでございますが、精神科の病院がちょっと経営の問題でコストを上げようとするとまず何をやるかというと、医師の効率的な配置というのをやるわけです。効率的な配置というのは、一人一人の患者と接する時間が結果として短くなるということでございます。そして、看護婦の基準もこうなっていますからその他の配置職員を最低配置にする、できるだけ人を少なくする。そういう環境というのは、本当に精神科病棟というものの一つのあり方をめぐってここは変えていかないといけないんではないか。やっぱりいい環境というのは、医者がたくさんいて看護婦さんもいて、それで掃除のことだとかいろんなことも含めてそういう環境の中で、精神病の病棟といいますか精神医療というのは改善をされないといけない。
 そういう意味で言うと、こう言ってはなんでございますが、多少安上がり的に精神医療を考えているというふうに私は結果的に見てしまうわけでございますが、この私が述べたことについて答えていただきたいと思います。
#253
○政府委員(古川貞二郎君) 私どもも、よい医療をということで、診療報酬の改定に当たりましてもそういった精神医療の専門性等で必要な措置を講じているつもりでございます。
 お尋ねはスタッフの評価ということについてでございますが、例えば看護職員につきましては、看護職員の配置に応じて看護料に第二類看護から基本看護までのような類別を設けまして診療報酬上の評価に努めているところでございます。また、ソーシャルワーカー等につきましても、精神科におけるチーム医療を担う一員として評価を行っているというようなことでございまして、例えば医師及び作業療法士、看護婦、精神科ソーシャルワーカー、また臨床心理技術者等の従事者がチームで個々の患者にふさわしいプログラムに沿いまして医療を在宅患者のグループに対しまして行った場合には、精神科デイケアを算定できるというふうなことの評価を行っているわけでございます。
 ちょっと具体的に申し上げますと、例えば看護についてでございますが、昨年の四月の診療報酬の改定では、精神符二類看護が従来一日当たり四百五十二点、つまり四千五百二十円であったわけでございますが、これを五百十八点、五千百八十円に引き上げる。あるいは精神基本一類看護、これが二百六十八点でございましたのを三百十点に引き上げる、三千百円に引き上げる。
 こういうこととか、あるいは精神科デイケアの話を申し上げましたが、これには小規模と大規模がございますが、小規模については、つまり小規模のやり方でございますが、従来診療所だけでございましたのを病院にもそういったことができるようにする。そして、金額につきましても従来は四百点、四千円でございましたのを五千円、五百点というふうに引き上げる。また、大規模のものにつきましては四百五十点でございましたのを六百点に引き上げる。こういったことでいわゆる社会機能の回復を目的とした精神科デイケアの充実に努めている、こういった努力をしているところでございます。
 なお、繰り返して申し上げておりますけれども、私ども今後におきましても、精神医療の専門性の評価とかあるいは医療経営の安定、そういったものの確保というふうな観点から、現在六月実施中でございますけれども医療経済実態調査の結果とかあるいは中医協の御議論を踏まえて対応してまいりたい、かように考えているところでございます。
#254
○粟森喬君 今のお話を聞きまして私の意見を申し上げますと、確かに改善をされたんですが、多少何人かの精神科の先生にお尋ねをすると、これだけの改善で本当に現場が改善できるかというと、まず特二類を実施しようとしたら、精神科というだけで来ていただくだけでも大変な看護婦さんの配置で苦労する。コストでいって、今言ったようにデイケアであるとかほかのいろんなところ、点数では上がったけれども果たしてこれで望むべき精神医療をよくできるのかというと、やっぱりこれは不足だと言うんです。これはもう率直な意見でございます。
 したがって、改善への努力を私もそれなりに多としながらも、大臣、ここはぜひともお願いをしたいのは、今でもこれは医療の現場も患者も社会もあるんだろうと思うんですが、精神科に入院しているとか通院しているというだけで社会的にある種の差別が存在をした。偏見が存在をするという中で、ここは法律の枠組みからだけでなく、かなり具体的に配慮すべき改善点をこれからぜひとも前向きに考えていただきたいというふうに思いますが、厚生大臣の見解をいただきたいと思います。
#255
○国務大臣(丹羽雄哉君) 御指摘の精神医療に対する偏見の問題でございますけれども、私も大変根強いものがあって、これが社会復帰施設であるとかそういうものがなかなか思うように進まない大きな要因になっているのではないかと思っております。
 さきの公衆衛生審議会の意見書におきましても、入院患者及び通院患者のクオリティー・オブ・ライフを高め国民の精神医療に対するイメージを一新する、このことの必要性というものが指摘されておるわけでございますが、私どもといたしましてはこれを踏まえて今後とも開放的処遇の一層の推進を図る。さらに、チーム医療の確立を通じてよりよい環境において質の高い医療が提供されるように努力していく、こういうことを通じていわゆる国民の間にありますこういう精神科への入院、通院、さらにこういう患者さんに対する社会的偏見、差別、こういうものを解消していかなければならないと考えているような次第であります。
#256
○粟森喬君 先ほど同僚議員からも取り上げられましたが、医療ソーシャルワーカーのことについてお尋ねをしたいと思います。
 一つは、今回の改定で社会復帰施設というものができて、そこをどうつなぐかというときの問題なんですが、私はあえて医療の現場という意味で言うなら、医師の指示に基づく医療ソーシャルワーカーというものを、これはもう医療の現場ですからそこできちんとまず位置づけることを先行すべきではないか。社会福祉全体のソーシャルワーカーという意味は、多少もう一つ別の分野といいますか専門的な問題になると思うんです。先ほどから関係者の同意をなかなか得られないということが理由になっていますが、医療の現場というものの中で関係者というのは医療の現場をどう見ているかという問題もあるんです。
 今、人材確保や、看護婦さんだけではやり切れない、やれない問題が幾つか医療の現場に出てきておると思いますので、この部分を全部トータルで解決するつもりなのか、医療のソーシャルワーカーは先んずることはできないのかどうか、ここをお尋ねしたいと思います。
#257
○政府委員(寺松尚君) きょう、いろいろと医療ソーシャルワーカーにつきまして御議論をいただきました。その中で、いろいろ関係団体からの意見が違うということも申し上げました。そのようなことを踏まえまして、今先生がおっしゃっておりますように、ある特定の範囲を限りまして、もしもそれでいいというふうな合意ができるならばまたひとつ考えてみたい、このように考えております。
#258
○粟森喬君 次に、公的病院の役割についてお尋ねをしたいと思います。
 いずれにせよ、今精神障害の医療というのは、これからの課題が幾つかあるし、ある種の道筋ははっきりしてきたと思いますが、実はそのモデル的な公的病院というのが、私は石川県だから石川県の高松病院というところを見て言っているわけではないのですが、やっぱり公的な病院の姿勢によって、例えば先ほど問題にした措置入院の問題とかそういうオピニオンリーダーとしての役割を結構持ちながら、そういう格好になっているところとそうでないところとかなり差があると思うんです。
 私は、大きな病院をつくれという意味ではなく、そういう公的な病院がモデル的に、実践的にそういうことをしていきながらやっていくということが非常に大事なことではないか。こういう意味で、このことについてこれからどう考えていくか、これをお答え願いたいと思います。
#259
○政府委員(谷修一君) 精神医療につきましては、先ほど大臣からも御答弁がありましたように、やはり精神病院のイメージというものを一新していく必要があるということが審議会の意見でも言われております。そういう意味では、精神医療に果たす公的な機関の役割というのは非常に大きいものがあるというふうに思っておりますが、そういったようなモデル的と申しますか、そういう医療をやっていく上では必ずしも公的病院に限る必要はないのではないかというふうにも思います。今、具体的に例として挙げられた高松病院のような非常に先駆的な、あるいはまた中心的な役割を果たしている医療機関もあるわけで、これはまた民間にも同じような医療機関があるわけでございます。
 ただ、いずれにしても、私どもが今後の精神医療を考えていく上で、精神医療機関としてのモデルとなるような先駆的な取り組みをしている病院、こういうような事例についてはひとつ広く関係者の間に知らせて、それで周知を図っていく一つのモデルとしての役割といいますか、そういうものをぜひ関係者の間に周知をしていくということは必要なのではないかというふうに思っております。
#260
○粟森喬君 私は、前回の医療法の改定で医療情報の提供についてかなりできるようになったから、そういうこともぜひとも活用してやってもらいたい。
 この際、もう一つお尋ねをしておきたいのですが、大都市の特例について、かなり週日の実施になっているはずですね。たしか平成八年だったかと思います。今の状況の中で、大都市が適切なのか中小都市が適切なのかというのもあるんですが、なぜこれは実施時期がおくれて、いわゆる先駆的な役割というのは、ある意味では措置権などをゆだねていくという一つのあり方だろうと思うんです。なぜこの部分にこれほど時間をかけるのか。特定の大都市のはずでございますが、その理由についてお聞かせ願いたいと思います。
#261
○政府委員(谷修一君) 今回の指定都市への事務の移譲につきましては、法案を作成する前に各指定都市にアンケートといいますか事情を聞きまして、いわゆる移行の準備期間というものがどの程度あればいいかということについて調査をいたしました。その結果、平成八年度なら大体そろうというような判断をいたして平成八年の四月からということにしたわけでございます。いずれにしても、この準備期間の間にそれぞれの市においては体制の整備というようなこともやらなければいけませんので、やはり混乱がないようにということから平成八年とさせていただいたわけでございます。
 なお、最近の例としては、精神薄弱者の福祉に関する事務について大都市特例を導入したわけでございますが、この場合にもおおむね二年半の準備期間を置いているといったようなことも参考にさせていただきました。
#262
○粟森喬君 私は、先ほど、前向きにいっているということとスピードが非常に遅いということをかなり懸念をしております。今回の法改正はやむを得ないかと思いますが、やっぱりできるだけ今の医療の現場をよくする意味でこれからもいろいろやっていただきたい。
 次に、さっきからの質問にもよく出ているわけでございますが、社会復帰支援施設が一つもない県、私の県もそうでございますが、ここの分野の領域に対するきちんとした位置づけを今回法定するということは非常に意味のあることだし、これ以降このような現状を打破し、どうやっていくかということをこれまたいろんな意味で考えていかないと、例えば老人の問題ともかなりかかわってきます。お年寄りの世代になりますと、どっちの保険で見るのか、どの施設で見るのか、そういう問題もかなりこれから整理をしていかなければならない段階でございます。
 今回、この問題を具体的にするために、前にも出ているかと思いますが、やっぱり年度計画の策定というのはもう絶対に必要だろうと。そうでなかったら、ここはかなり改善されていかないと、よりよきものをつくらないと、その医療の現場から二割、三割という人が退院できる状態といっても、ここの受け皿の早急な確立なしには現状の問題点というのは解決できない。そうすると、やっぱり年度計画は絶対に必要だと思いますが、これはいかがでございますか。
#263
○政府委員(谷修一君) 社会復帰施設の整備につきましては、先ほど来いろいろ御議論をいただいているわけでございます。地域におきます社会復帰施設の整備については、これまで都道府県が作成しますいわゆる地域保健医療計画の中に二次医療圏ごとに作成されるわけでございます。この二次医療圏ごとに作成する地域保健医療計画の策定に当たっての指針の中に、社会復帰対策の充実ということで、具体的に精神障害者の援護寮ですとか、授産施設の整備、あるいは通院患者リハビリテーション事業、社会復帰相談の拡充といったようなことを計画に盛り込むように指導をしてきたところでございます。社会復帰施設の整備については、やはり地方公共団体がそれぞれの地域の実情に応じて考えていくべきだということが私どもの現在考えている基本的な考え方でございます。
 ただ、先ほど大臣からもお答えがございましたように、今後の課題として、都道府県など地方公共団体の対応ぶりあるいは意見なども幅広く伺いながら今後の検討課題とさせていただきたいと思います。
#264
○粟森喬君 最後に、厚生大臣、ここは要望と意見を申し上げたいんですが、ここで法改正をするというのは、やっぱり年度計画の始まりがきちんとしていかないと、結局その法律を変えるというにはそれだけの意味がなければいけない。努力目標というのはどうあっても何となく私どもの立場から見ると納得できる範囲ではない。同僚議員も申し上げているように、ぜひとも年度計画として取り上げるように、厚生大臣としてきょうの段階で言えることについてお答えいただいて、私の質問を終わりたいと思います。
#265
○国務大臣(丹羽雄哉君) 先ほどから御答弁を申し上げておるわけでございますが、社会復帰施設につきましては、残念ながら大変お寒い限りでありまして、率直に申し上げてまだまだ年度計画を立てられる以前の話であります。
 いずれにいたしましても、ただいま局長からもお話がございましたように、都道府県など地方公共団体の自主性というものも尊重しなければならないわけでございます。要は社会復帰施設というものを設置していくことでございますので、強力な指導のもとにひとつ社会復帰施設の整備というものを図っていきたいと思います。ただ、年度計画につきましては十分な御提案として承っておきます。
#266
○委員長(細谷昭雄君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。
 これより討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。――別に御発言もないようですから、これより直ちに採決に入ります。
 精神保健法等の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#267
○委員長(細谷昭雄君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 この際、木暮君から発言を求められておりますので、これを許します。木暮君。
#268
○木暮山人君 私は、ただいま可決されました精神保健法等の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、日本社会党・護憲民主連合、公明党・国民会議、民社党・スポーツ・国民連合、日本共産党、民主改革連合各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。
 以下、案文を朗読いたします。
    精神保健法等の一部を改正する法律案に
    対する附帯決議(案)
  政府は、精神障害者のノーマライゼーション
 を推進する見地から、次の事項につき、適切な
 措置を講ずるべきである。
 一 精神障害者の定義については、国際的な疾
  病分類に準拠したものであることを周知徹底
  するとともに引き続き検討を行うこと。
 二 精神障害者を抱える保護者に対する支援体
  制を充実するとともに、今後とも公的後見人
  を含めて保護者制度の在り方について検討す
  ること。
 三 精神障害者の社会復帰を推進するため、社
  会復帰施設、地域生活援助事業、小規模作業
  所等に対する支援の充実を図るとともに、精
  神障害者に関する各種資格制限及び利用制限
  の緩和について今後とも引き続き検討するこ
  と。
 四 精神保健におけるチーム医療を確立するた
  め、精神科ソーシャルワーカー及び臨床心理
  技術者の国家資格制度の創設について検討す
  るとともに、精神保健を担う職員の確保に努
  めること。
 五 大都市特例については、円滑な実施を図る
  ため必要な配慮を行うこと。
 六 精神医療におけるインフォームド・コンセ
  ントの在り方について検討すること。
 七 社会保険診療報酬の改定に当たっては、精
  神障害者の社会復帰を促進するという観点や
  精神病院等の経営実態等を踏まえ、必要に応
  じ、所要の措置を講じ、その経営の安定等が
  図られるよう努めること。
  右決議する。
 以上であります。
#269
○委員長(細谷昭雄君) ただいま木暮君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#270
○委員長(細谷昭雄君) 全会一致と認めます。よって、木暮君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、丹羽厚生大臣から発言を求められておりますので、これを許します。丹羽厚生大臣。
#271
○国務大臣(丹羽雄哉君) ただいま御決議になられました附帯決議につきましては、その趣旨を十分尊重いたしまして努力いたす所存でございます。
#272
○委員長(細谷昭雄君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#273
○委員長(細谷昭雄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#274
○委員長(細谷昭雄君) 次に、参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 社会保障制度等に関する調査のうち、年金問題に関する件の調査のため、来る十七日に参考人の出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#275
○委員長(細谷昭雄君) 御異議ないと認めます。
 なお、その人選等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#276
○委員長(細谷昭雄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後五時二十五分散会
ソース: 国立国会図書館
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