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1993/03/26 第126回国会 参議院 参議院会議録情報 第126回国会 文教委員会 第3号
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1993/03/26 第126回国会 参議院

参議院会議録情報 第126回国会 文教委員会 第3号

#1
第126回国会 文教委員会 第3号
平成五年三月二十六日(金曜日)
   午後二時三十一分開会
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         松浦  功君
    理 事
                木宮 和彦君
                田沢 智治君
                森  暢子君
                山下 栄一君
    委 員
                井上  裕君
                小野 清子君
                清水嘉与子君
                世耕 政隆君
                柳川 覺治君
                上山 和人君
                國弘 正雄君
                肥田美代子君
                山本 正和君
                刈田 貞子君
                江本 孟紀君
                乾  晴美君
                小林  正君
   国務大臣
       文 部 大 臣  森山 眞弓君
   政府委員
       文部大臣官房長  吉田  茂君
       文部大臣官房総  岡村  豊君
       務審議官
       文部大臣官房会  佐々木正峰君
       計課長
       文部省生涯学習  前畑 安宏君
       局長  
       文部省初等中等  野崎  弘君
       教育局長
       文部省教育助成  井上 孝美君
       局長
       文部省高等教育  遠山 敦子君
       局長
       文部省高等教育  中林 勝男君
       局私学部長
       文部省学術国際  長谷川善一君
       文部省体育局長  奥田與志清君
   事務局側
       常任委員会専門  菊池  守君
       員
   説明員
       外務省国際連合  隈丸 優次君
       局社会協力課長
       外務省国際連合  吉澤  裕君
       局人権難民課長
       国税庁課税部法  濱田 明正君
       厚生省薬務局企  矢野 朝水君
       画課長
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○平成五年度一般会計予算(内閣提出、衆議院送
 付)、平成五年度特別会計予算(内閣提出、衆
 議院送付)、平成五年度政府関係機関予算(内
 閣提出、衆議院送付)について
 (文部省所管)
○公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数
 の標準に関する法律及び公立高等学校の設置、
 適正配置及び教職員定数の標準等に関する法律
 の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送
 付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(松浦功君) ただいまから文教委員会を開会いたします。
 去る三月二十三日、予算委員会から、三月二十六日の午後、平成五年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、文部省所管について審査の委嘱がありました。
 この際、本件を議題といたします。
 予算の説明につきましては既に聴取いたしておりますので、これより直ちに質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#3
○森暢子君 第六十五回の選抜高校野球大会での大臣のごあいさつ、始球式を見せていただきました。本当にお疲れさまでございました。
 実は私も、数年前になりますが、始球式ではないんですが、夏の高校野球大会にブラスバンドを引率して参加したことがございます。ちょうど岡山県の代表となった高校がブラスバンドの組織がなかったんですね。その学校の隣にありました私が勤めておりました学校が応援ということで、友情出演ということで、バス二台に乗りまして甲子園まで駆けつけたことがございます。大臣もお感じになったと思いますが、甲子園の球場に一歩足を踏み入れますと独特の雰囲気がありまして、もうすべてを圧倒される何物かがあるんですね。その何物は何だろうかといつも思うんですけれども、独特の雰囲気でございました。お疲れさまでございました。
 きょうは、子供の権利条約の内容もそうですが、批准後の今後の課題の方へ少し話を持っていきたいと思います。
 条約の批准と文部省の姿勢についてなんですが、文部省を含め政府は、条約批准に際しては国内法の改正は必要ない、例えば憲法とか教育基本法とか児童福祉法、少年法、そういうものについて子供の権利は保障されている、そういう法律もあるということで改正の必要はないということなんです。
 そこで、国内法を何も改正しないで批准はできると思います、できると思うというんですか、そのハードルは越えられると思うんですね。しかし、その後に問題があると思うんです。批准をしたならば、条約に基づきその施策の推進とか改善を図る必要がこれからの課題として出てくると思います。
 そういうことに対して文部省は、何回も聞かせていただいたかもわかりませんが、条約に対する評価、また将来に向かってその趣旨をどのように生かしていくのか、そういう今後の展望ですね、そういうものをお聞かせ願いたいと思います。
#4
○国務大臣(森山眞弓君) 先生御指摘のように、条約の批准について、そのために国内法を改正するとか施策を変更するというような必要はすぐにはございません。直接的にはございません。しかし、条約の批准をするかしないかとは別に、子供たちのよりよい育成を目標として教育をよりよくしていくということは常に私たち自身が努力していかなければいけないことであるというふうに考えております。
 そのような考え方に立ちまして、これからも教育施策の充実に努力をしていきたいと思います。
#5
○森暢子君 御存じのように、日本の国内の子供の権利の侵害というのは今毎日のように新聞にいろいろな問題が出ております。体罰の問題、校則の問題、それから親などによる虐待、そういうことを初めとした子供の権利の侵害のいろんな事件が数多く発生しているのも事実であります。
 ですから、この条約が日本にとってどういう意義があるかということの一つとしては、やはりこの条約に照らして日本の子供をめぐる国内法とか制度とか運用とかそういうことについて検討して、条約の批准を機会に検討し直して、改善するべきはしていくというのが今後の大きな課題であるというふうに思っております。
 ですから、子供を今までは保護の対象としてい
たんですけれども、そうではなくて権利の主体者として、表現とか思想とか集会の自由などの市民権の権利とか意見表明権とかそういうのが出てまいりますので、それを意識の上でも実態上でも子供が権利の主体者として扱われるようにこれから取り組んでいく、これは大変重大な、そして大きな課題ではないか、このように思っております。
 そこで、この権利条約の中身の問題ですね、その広報の義務というのが第四十二条に課せられているわけですね。政府全体としては、これは外務省にお聞きしますが、どのようにこの権利条約の中身を広報活動していくのか、また予算が必要であるが、どのようにそれを措置していらっしゃるのか。また、学校における広報活動について文部省はどういうふうな考えや予定で、予算措置をどうするのか、そういうことについてお聞かせ願いたいと思います。
#6
○説明員(吉澤裕君) この児童の権利に関する条約につきまして国会の御承認をいただき締結いたしました際には、外務省といたしましては関係省庁と協力いたしまして、この条約の内容、考え方を関係方面に幅広く広報してまいりたいと考えております。
 具体的には、既に政府の広報紙等においてこの条約の精神や内容について紹介や普及に努めてきたところでございますが、締結した際には、児童に対する広報も含めまして、文部省等とも緊密に協力させていただきつつ、いろいろなメディアや講演会などを通じて必要かつ適切な広報を行ってまいりたいと考えております。
 ただいま予算措置についての御質問がございましたけれども、政府といたしましては、この条約の広報については既存の広報予算の枠内で適切に対処していけるのではないかと、このように考えておりまして、広報も含めましてこの条約を実施するために新たな予算措置を講じる必要は必ずしもないのではないかと、このように考えております。
#7
○政府委員(長谷川善一君) この条約の中には、当然のことながら教育に関して重要な規定が多く盛り込まれておるわけでございます。これらが学校における教育活動などにも深くかかわるものでございますので、条約が批准された時点で文部省といたしましても、例えば学校関係者に対する指導通知の発出あるいは広報紙などによる広報など、今外務省の方から述べられましたように、関係省庁とも連絡しながら積極的に条約の趣旨、内容について周知を図っていきたいというぐあいに考えております。
#8
○森暢子君 外務省と文部省からお聞きして、今の枠内で特別に予算をとらなくてもできるというふうな御返事でございました。しかし、スウェーデンでは子供の権利条約の批准を一九九〇年の六月にもう済まされ、そして政府は七億円の予算で三種類の子供向けの普及パンフレットをつくりまして、条約の重要性を知ってもらうためにすべての子供に配付した、このように伝えられているわけですね。
 子供たちは、自分たちにはどういう権利があるかというのを教えられなければわかるはずはございません。ですから、どういう権利があるかということを知って初めてそこでいろいろな活動や、自分たちがその中で成長していくわけでありますから、そういうものをやはり教えていかなければいけない。
 けさ私は選抜高校野球大会を見せていただきました。新しい大会の歌ができまして、「今ありて」、谷村新司さんの曲ですね。そういう中を入場式で子供たちがもうたくましく成長して入ってまいりました。りんとした表情で堂々と若者たちが入場してきた。この子供たちは十六歳から十八歳ですね。そして、彼らを児童と呼べるか、こう思って眺めたのであります。つまり、若者といっても子供ですが、これを児童が堂々と入ってきた、これもちょっとおかしいなと思いながら見たわけであります。
 ですから、中学生とか高校生は、児童の権利条約となってしまっては自分たちには関係ないんだ、無関心なのだということで十八歳を過ぎてしまうかもわからない、こういうことを感じたわけであります。ですから、いかにこの広報活動というのが大事なのか、自分たちの権利をまず知るということが大事なんではないかというふうに思っております。
 じゃ、続きまして意見表明権なんですが、十二条に、子供の意見は、その子供の「年齢及び成熟度に従って相応に考慮されるものとする。」、こういうふうに政府は訳しております。しかし、子供の意見は年齢やその成熟度に従って相応に考慮されるもの、こういう訳は何か漫然としてわかりにくくて、そして消極的な印象があるわけですね。その本当の意味するところは、正当に重視する、こういうことですか、ちょっとお聞きしたいと思います。
#9
○説明員(吉澤裕君) 御指摘の条約の第十二条でございますけれども、この政府の訳で「年齢及び成熟度に従って相応に考慮されるものとする。」というところは、英語で申しますと「given due weight in accordance with the age and maturity of the child.」と、こういうふうになっておりまして、年齢及び成熟度に従って、それにふさわしい形で考慮される、こういう意味と考えられますので、「相応に考慮される」というふうに訳した次第でございます。
#10
○森暢子君 ここは正当に重視すると訳されるべきだと思いますね。こういうぼやっとした訳し方では、守ろうにもどういうふうに考えていったらいいかわからないし、また文部省は学校現場の中でこの意見表明権を確保していかなきゃいけないんですね、子供たちの。
 じゃ、その子供たちの意見を尊重する施策とか指導、これを今後学校の中でどのようにしていくかということについて文部省お願いいたします。
#11
○政府委員(野崎弘君) 今、外務省の方からお話がございましたように、児童の意見を相応に考慮するということなわけでございまして、その具体的な結果としてその意見が反映されないという場合もあるわけでございますが、やはりこの趣旨は児童というものを人格を持った一個の人間として尊重していこうという、こういう条約の全体の精神があるわけでございますので、その趣旨を踏まえて適切な教育指導が行われるように考えていきたい、このように思っているわけでございます。
#12
○森暢子君 これは条約を批准した後の大変いろいろな重い課題ではないかというふうに思います。ですから、この意見表明権についてはこれからこの委員会の中でもいろいろな問題が出てくるのではないかというふうなことが考えられます。
 また、その訳し方の問題で、二十八条1の(b)に中等教育の無償の問題があります。
 その中の、よく話題になったと思いますが、such asを「例えば」と、こういうふうに訳してありまして、「例えば、無償教育の導入、必要な場合における財政的援助の提供のような適当な措置をとる。」、こういうふうに訳されているわけでありますね。
 それで、ここは政府は例示であるからということでここを通り抜けていかれますし、前も質問したときには、高等教育を無償化するには膨大な財政負担が予想される。それはわかります。今のところ適切でないと考えている。こういう答弁がございました。しかし、例示であるからといってそのままにしておいていいという問題ではないと思うんですね。「例えば」というふうに訳されたのなら、やはりその例示の意味というものを考えて、今後どのようにしていくかということが必要であるというふうに思います。
 関係のある国内法には、学校教育法とか義務教育費国庫負担法、それから教科書無償法及び無償措置法などあって、いずれもこの条約に明確に抵触する規定はないんですね。法律上はそれでいいとしましょう。しかし、現実に義務教育の小中学校の無償というのは、授業料を取らないこと、それから教科書が無償で配付される、もうこれだけに限られているんですね。給食費であるとか学級費、部活動、たくさんかかるんですよ。いろいろ
なトレーニングウエアをつくるとか、野球でもミットとかブラスバンドでも自分の好みの楽器を買うとか、そういうふうにたくさんの部活動費。各種学校行事、遠足とか修学旅行とか、それから進学指導の関連費。父母負担が大変大きいということは、もう皆さん御存じだと思うんですね。その中で日本の高校進学率は九五・六%ですか、そういうふうに大変高い。
 そういう中で、これをただ「例えば」で済ましていい問題がどうかということについて、今後この「例えば」から後、この重い課題をどういうふうになさっていかれますかお聞きしたいと思います。
#13
○国務大臣(森山眞弓君) 確かに、おっしゃいますように、条約第二十八条の第一項(b)の規定は、中等教育の発展を奨励して、すべての子供に対して利用可能であり、かつ機会が与えられるようにするために、締結国がその裁量によりとるべき措置の例示といたしまして高校教育の無償化導入を示しているものでございまして、無償教育の導入自体を義務化しているというふうには解釈されないのでございます。
 先ほど先生御自身がおっしゃいましたように、政府といたしましては非常に大きな、仮に高校教育を無償化するということにいたしますと大変膨大な財政負担の増加というまた別の意味の深刻な問題に逢着いたしますので、そのようなことをいたしますのは無理ではないかというふうに考えているところでございます。
 高等学校におきます教育につきましては、必要な場合における財政的な援助といたしまして、育英奨学とかあるいは就学奨励など、就学が困難な者に対する経済的な援助を逐次拡大しておりまして、来年度の予算におきましてもその増額をお願いしているところでございますし、私立学校の就学上の経済負担の軽減のための私学助成も大変皆さんからの要望が強いわけでございまして、この点も財政が非常に厳しい中で御理解をいただきたいということでお願いしている状況でございます。
 これらの措置によりまして、この規定の趣旨とする中等教育の機会の確保のための適切な措置をとっているというわけでございまして、今後ともこれらの方策の推進に努めてまいりたいと考えております。
#14
○森暢子君 それはよくわかるのでございますが、ただ、世界の一、二を競う日本の教育、そして就学率ですね。これが有償制のまま、例えば高等学校、大学が発展してきたわけです。すなわち、その陰には多くの父母の多額の教育費負担に支えられていたということも事実であると思うわけですね。ですから、高い進学率だ、日本はもうすばらしいんだということで国が涼しい顔をしたり、外国に向かってそれを自慢できる問題がどうかということも言えるのではないかと思います。
 そういうことで、本条約の第二十八条の趣旨に従って、例示であるとしても今後の方向を示した規定ではないか、こういうふうに受けとめまして、例えば高校無償制としてとりあえず無月謝制とか、またとりあえず教科書だけは無料制を実現するとか、そういうことはいかがでしょうか。
#15
○政府委員(野崎弘君) 先生御存じのように、小中学校の義務教育につきましては、義務教育無償というのは授業料の無償であるということで、教科書はその義務教育の無償の精神を発展的に考えたものと、こういうことなわけでございますが、高等学校はそういうことで現在義務教育になっていないわけでございまして、今大臣お答えありましたように、教科書あるいは授業料ということを無償化するにつきましても膨大な財政負担を伴うことでございますので、そのような方針をとることは適当でないと、このように考えているわけでございます。
#16
○森暢子君 それでは、またそれは次の課題といたしましょう。
 次に、この条約の四十四条の子供の権利条約批准後のフォローアップについてちょっとお聞きしたいんですが、四十四条に、この条約が効力を生ずるときから二年以内、その後は五年ごとに、どのように子供の権利が守られているかということを子供の権利委員会に提出するということが規定されております。我が国におきましては報告書がどのような方法で作成されるのか。スウェーデンやエジプトでは民間団体の意見も聞いて報告書を作成するということが言われておりますし、子供の意見もその中に反映させるというふうになっております。
 また、同じく四十四条の六には、子供の権利委員会に対する政府の報告を国内の人々が広く利用できるようにすること、こういうふうに規定されていますが、そのためにどのような措置をとられるおつもりですか、国民への公表に対して。その点についてお願いします。
#17
○説明員(吉澤裕君) 御質問にございました、この条約の第四十四条に基づきます、この条約において認められます権利の実現のためにとった措置あるいはこれらの権利の享受についてもたらされた進歩に関します報告、これは条約に入りましてから最初は二年以内に、その後は五年ごとに提出するわけでございますけれども、この報告に当たりましては関係の行政機関相互間に緊密な連絡をとり合いまして、政府の責任におきまして報告書を作成する、このようになろうかと考えております。
 もちろん、その報告書作成に当たりまして政府に対していろいろな御意見が寄せられれば、それも当然受けとめながら政府の責任において報告書を作成すると、こういった形になろうかと考えております。
 また、この報告書を作成いたしまして児童の権利委員会の方に国連事務総長を通じまして提出いたしました際には、当然一般の方々が御希望があれば入手し得るという形をとるように検討していきたいと考えております。
#18
○森暢子君 その辺が大変不安でございます。もっともっとその子供の権利がどのように保障されているか、またどんな事件が起きたか、そして日本がそれにどのように対処してきたか、今子供が置かれている状況がどんな状況にあるかということを外務省がおまとめになって、そしてそれを国民全員によくわかるように広報し、ともに子供の問題を考えていくということが必要であると思います。
 そこで、この批准後、子供の権利が保障されているかをだれがどこでモニターするかということが必要になってくると思うんですね。総合モニターシステムというのがないと、だれがどこで見ていくかということなんです。例えば、従来のようにもう行政ごとに細分化されていると、子供にかかわることがあっちこっちに振り回されるわけですね。
 例えば、私は先日、学校給食の問題で文部省に要請に行きたいからついていってほしいということで行きました。いろいろと文部省の若い人が出てこられまして対応されたんですが、食料品、米の安全性についてお願いしますといって話していたら、それは農水省の問題です、こう言われるんですね。それから、調理員の人たちの腰痛とか指曲がり病のことについて申しました。それは労働省ですと、こうおっしゃるんですね。それから、有害な食器とか器具、メラミンとかポリプロピレンですね、そのことで言いましたら、それは厚生省ですと。ポストハーベスト、つまりいろんな食品のチェックですね。子供たちに安全なお米や食料品を提供してもらいたいと、こう言いましたら、それは厚生省ですと、こうおっしゃるわけですね。
 学校給食は教育の一環としてきちっと位置づけられている。それを話しに行っても、いやそれは文部省の管轄ではありません、農水省です、厚生省です、労働省です。こういう中で子供は学校給食を食べているわけです。
 そういうことがこの子供の権利についても言えると思うんですね。ですから、総合的に判断して、子供の権利がどこで侵害されているか、そしてどういうふうに保障されているかということをモニ
ターする機関、例えば子供の権利条約推進協議会とか、または子供の権利条約実施委員会とか、こういうものを設置するお考えはございませんでしょうか。文部省か外務省、どちらかお答え願いたいと思います。
#19
○説明員(吉澤裕君) この条約につきまして国会の御承認をいただき締結いたしました後、政府といたしましては、先ほど先生からお話のありました義務の履行達成に関します進捗状況の審査のための報告書、この作成に当たりまして関係行政機関相互間の緊密な連絡によりまして国内の履行状況をチェック、フォローアップしていくことができるものと、このように考えている次第でございます。
#20
○森暢子君 できるものと考える次第でございます、これは弱い。もっときちっと、私どもはこういうふうにして子供の権利を保障していきますと、必ずやりますと。重要なことは条約なんですから、それを受けて私どもはこうしていきますというかたい決意が欲しいと思いますね。保障されるものと思いますではだめ。もっときちっとやってください、その辺は。
 それで、私がもう一つ提唱いたしたいのは子供の権利オンブズマン制度ですね。こういうのはいかがでしょうか。例えば、海外の子供に対するオンブズマン制度で何か外務省資料はございますか。
#21
○説明員(吉澤裕君) いわゆるオンブズマン制度につきまして、対応ぶりは各国により一様ではございませんが、例えばノルウェーの例をとりますと、ノルウェーにおきましては、この条約に加入いたしますはるか前の一九八一年に既に児童の福祉の増進のために児童に関連する法令の実施の監督とか情報提供を行うオンブズマン制度が設けられておりまして、この条約の締結に伴ってこの条約の国内的履行にかかわる問題も扱うようになったと、このように承知しております。
 また、このほかデンマーク、オランダ等は行政一般についてのオンブズマン制度を有していると承知しておりまして、そのほかイギリス、スペインなどはこの条約の国内的履行をチェックするためのオンブズマンのようなものはないと、このように承知しております。
#22
○森暢子君 オンブズマン制度、これは外務省にお聞きしたらまとまった資料はないということで、今おっしゃったようなお返事があったわけです。
 ノルウェーでは調査権限を持ったオンブズパーソンが任命されて条約実施に関する政策のチェックがなされていると聞いておりますし、ベルギーでもやはり権利に対する条約に関連していろいろと実施が予定されているし、オランダも一九九三年から、フランスは条約適用について政府の活動を調整する担当官が置かれ、子供の権利に関する三部会が開かれて条約の普及と意見の集約がなされている。そのほか、もう御存じのように、スウェーデンではすばらしい子供だけに限らないオンブズマン制度がございます。
 そういうことについて日本もぜひ、子供たちの権利が保障されているかどうか第三者的な立場から厳しく調査し、そして意見が言えるそういう制度をつくらない限り、今もう御存じのように、子供たちの権利の侵害の現状はいっぱいあるわけですから、今後この批准後どうしていくのかということが大きな問題であろうかと思います。
 それではもう一つ、子供のための世界サミットというのが開かれまして、そのフォローアップとして西暦二〇〇〇年に向けての国内行動計画というのが立てられておると思いますが、ひとつ外務省、このことにつきまして少し御紹介を願いたいと思います。
#23
○説明員(隈丸優次君) 委員御提起の国内行動計画でございますが、一九九〇年の九月に行われました世界サミットに基づきまして、九一年の末の段階で国内行動計画ができ上がっております。
 これは大別しますと二つのことが書かれておりまして、一つは各国の、日本で言いますれば日本の国内における児童をめぐる諸施策の観点と、もう一つは開発途上国の児童の救済、福祉向上に対する我が国の国際的な貢献という二つでございます。
 前者につきましては、この国内行動計画に基づきまして関係省庁におきましてそのフォローアップ、諸般の施策の充実に努力しているところでございます。後者の国際協力につきましても、教育、保健、人口等の各分野におきまして二国間の協力、またユニセフだとかWHOを通じましての多国間の協力、緊急援助の増進といったことを通じて国際協力を推進しているという状態でございます。
#24
○森暢子君 この国内行動計画も余り知られてないと思うんですね。皆さん御存じでしょうか。この国内行動計画を公表して、やはり広く国民に知られて、そして行動しようという姿勢を外務省も示していただいて、みんなで知ってやっていかなきゃいけない、このように思います。
 私も、別の本なんですが、その中にありますのを読ませていただきましたら、最後のところに、「国内行動計画のモニタリング及びレビュー」というところで、「今後の子供をめぐる状況の変化に対応するため、随時本件国内行動計画の見直しを行う。」と、こういうふうに記してあるわけですが、その辺のお気持ちはもうきちっとございますね。
#25
○説明員(隈丸優次君) これは、私ども国内行動計画を取りまとめましたときに、当然ながら新しい状況を踏まえて随時見直しを行っていくということで考えておりますので、関係省庁と協議しました上で随時考えさせていただくということでございます。
#26
○森暢子君 いろいろと申しましたけれども、まだこれからたくさんの課題があるこの権利条約、この権利条約が今百二十六回の国会にかかっている。
 じゃ、この条約自体何を言っているのかということなんです。やはりこの条約を実効あるものにするためには、まず私どもの大人の人権意識というものがないとだめだ。大人の人権意識で大人の人権を守ることができないのに、どうして子供の権利が守れていくかということをつくづく感じております。
 世界じゅうでも子供の人権が侵害されている状況がもうたくさんございます。飢えで苦しみ、貧困、そして戦争によって生きる権利まで奪われてしまった子供たちもおります。日本の子供は守られているからいいではないか。決してそうではないと思いますね。物とかお金優先の大人の論理、それから競争社会の中で振り回されてさまざまな形で悲鳴を上げている日本の子供たちもたくさんおります。
 先日、議員会館の私のところに親子で来ましたが、学校へ行きたくても行けなかった子供、もう二十過ぎておりますが、今単位制高校に通っているんです。大臣は新宿の単位制高校に行ってみられたということですが、その子供は二番目にできた大阪の市立の単位制高校へ行きまして、そこで救われたんですね。救われて生きる希望を見つけた。その子供の話をもう一時間以上聞いたんですけれども、本当に悲鳴だと思って聞きましたですね。
 そういうことで、最後に、いろいろな行き方が選べる単位制高校を御視察なさっての御感想と、その今後についてお聞きしたいと思います。
#27
○国務大臣(森山眞弓君) 単位制高等学校は、生涯学習の観点に立って、だれでもいつでも必要に応じて高等学校教育を受けられるという新しいタイプの高等学校といたしまして昭和六十三年に制度化されたものでございます。私もその実態を存じませんでしたが、先日機会を得まして、東京の新宿にできました都立の新宿山吹高校という単位制の高校を視察してまいりました。
 この単位制高校におきましては、学年制をとらないで単位の累積加算を可能にするということでございまして、学習者の幅広い学習ニーズにこたえ、また多様な生活形態にも合わせるというようなことが可能でございます。生涯学習の観点から
も大きな意義を有しておりまして、私も視察しましたときにかなり御年配の方や、また若い方もいらして、昼間は仕事をしながらというような方にもお目にかかりました。非常に高校教育の多様化、個性化ということをかねて私ども方針として努力しておりますが、その新しい一つのタイプだというふうに見てまいったわけでございます。
 また、中教審の答申を受けました高校教育改革推進会議の第一次報告におきましては、全日制課程におきまして単位制高校を設置できるようにという提言がなされまして、これを受けまして文部省では平成五年度からの設置に向けまして必要な制度改正を行ったところでございます。
 平成四年の四月現在では公立私立合わせまして二十四県三十六校の単位制高校が設置されておりますが、五年にはさらにこれがふえまして二十九県四十三校となる見込みでございます。
 これから子供たちの個性に合わせた教育の多様化ということが進んでいくにつれましてますますこの役目は大きくなっていくのではないかと見込んでおります。
#28
○森暢子君 ありがとうございました。
#29
○肥田美代子君 きょうは質問と申しますよりも森山文部大臣にお願いしたいことがございまして申し上げます。
 実は、大臣は平成二年に福岡での子供の難病シンポジウムに出られたと思いますけれども、そこに出た人たちが森山さんがとても熱心に聞いてくださって励まされたということでとても喜んでいらっしゃったことをまずお伝えしたいと思います。
 それで、そのときに多分お会いになった高橋さんというお母さんがこういうことを書いておられるんです。
  昭和五十五年の夏休み、私どもの娘が小児がんと分かり入院、一年生の二、三学期と休学し、その間学習らしきものは無いに等しかった。当時、久留米大学病院にも病院学級が設置されており、この学級で学習を補わせようと思っていたが、この学級は、近くの小学校の分校として設置されているので入るなら転校手続が必要、とのことだった。 しかし娘は「転校したくない」と言って拒否した。娘は娘なりに今までとは一変した環境に戸惑い、転校という言葉に恐怖感を感じたのだろう。結局入院中は、定期的に届けられる学校からの学習プリントや読書、そしてゲーム遊びと売店通いが時間つぶしとなっていった。こうして退院までの八カ月間、学習の場を離れ、子供の社会生活の場でもある学校からも遠ざかってしまった。
こういうふうに書かれておりますのですが、私も、入院している子供たちにとって、とりわけ教育というか教えられる場が子供にあるということは大変大切なことだと思うわけです。子供の命の輝きということを大切にしようと思いますと、そういう場が入院している子供たちにもぜひ必要ではないかと思うんです、いわゆる院内学級の話なんですが。
 それで、ちょっとお尋ねしますけれども、院内教室は全国で今幾つぐらいございますでしょうか。
#30
○政府委員(野崎弘君) これは、六カ月以上医療を要する児童生徒につきましては病院等に併設されました病弱養護学校が教育の場になっているわけでございます。こちらの方は平成四年五月現在で全国に九十七校ございまして、幼稚部、小中学部、高等部合わせまして五千百七十五人の児童生徒が在学をしている。そのうちの一部が病院内にございます分教室で学んでおりまして、分教室がない場合は訪問教育という形で教育を行っております。
 それから、六カ月未満の場合には小中学校の病弱・身体虚弱特殊学級という形で入院療養中の者に学校教育を行う場として設けられているわけでございまして、こちらの方は平成四年五月現在で小中学校合わせて五百四十学級ございます。千七百一人の児童生徒が在籍をしております。このうち約半数の二百四十八学級が病院内に設置されておりまして、八百二十三人の児童生徒が教育を受けている、こういう現状でございます。
#31
○肥田美代子君 今、いわゆる就学年齢の子供の中で院内教室を必要とする子供の数というのは把握していらっしゃいますか。
#32
○政府委員(野崎弘君) そういう数字は私どもとして今持ち合わせておりません。
#33
○肥田美代子君 別の調べで、小児慢性疾患の子供が大体平成三年で十万八千人と言われておりますので、その中の三割が入院したといたしましても、充当率といいますかニーズに応ずる数というのは随分と低くなってくるように思うんですけれども、今、院内学級設置に国の予算はついておりますでしょうか。
#34
○政府委員(野崎弘君) これは、院内学級につきましては、それを設置するということになりますと当然それに必要な教員の配置とかそういうことも行うわけでございますが、これも先生今お話がございましたように、大変疾病の状況が変わってきておりまして、短期間で入退院を繰り返すとかいろいろなことがありまして、実際上私どもも設置の促進ということで指導を行っているのでございますけれども、なかなか児童生徒数の変動が多いとか、したがって年間を通じて一定数の児童生徒がいない場合が多いとか、あるいは入院する児童生徒があってもその病院のある市町村の教育委員会にはわからない場合があるとかいろいろなことがございます。
 そんなことで、私どもといたしましては、そういう疾病状況の変化もございますので、この病気療養児の教育に関する調査研究というのを平成五年度から開始したいと思っております。その中で、今の先生の御指摘のような点も含めましてこの病気療養児に対する教育というものをどう考えていったらいいのか、その辺もよく検討していきたい、このように思っております。
#35
○肥田美代子君 文部省自身がガイドラインを出していただいて、これは積極的に進めていただきたいと思うんですね。
 今、短い入院期間の子供もあれば長い期間の子供もあるからとおっしゃったんですが、実はアメリカなんかでは、たった四日の入院でもその学校の先生がその子の四日分のカリキュラムを病院に持っていきまして、それで院内学級の先生にお願いするわけですね。その四日間というのはもちろん出席日数に入ります。そういう子供の気持ちに即した方法でしていただければなと私は望むわけです。やはりこの場合でも主役は子供でございますので、ぜひ子供の心を大切にしていただきたいと思います。
 そこで、私は森山文部大臣が今度大臣になられて本当によかったなと思っています。こういうことでかねがね大臣がとても熱心に聞いてくださったということを伺っておりますので、恐らく大臣の在任期間中にかなり一生懸命やっていただけるかなと思いまして、そのお気持ちをお伺いしたいと思います。
#36
○国務大臣(森山眞弓君) 今、先生がおっしゃいました福岡県の集まりのことをお聞きしまして思い出しましたが、ちょうどあの一、二年前に私の身近なところで、はしかの後遺症である何か難しい名前で、略してSSPEという病気なんですが、そういう病気を持った子供のある方がありまして、その方からいろいろと難病にかかったお子さん方のいろいろな問題点をお聞きしたんです。
 それで、そのときはこの病気を難病として指定してもらいたいというお話でありまして、厚生省はその当時の基準では必ずしも合致していないので無理だという話だったんですけれども、いろいろと説明をいたしまして、この際少しその幅を広げて対象をふやしてほしいということの中にそれを含めていただいて、今は難病の指定ができておりまして、かなり親御さんたちの経済的負担はそれで助かったわけでございます。一ついいことができてよかったと思っておりましたが、そのときに次は院内学級だという話を確かに承りまして、なるほどそういうことがあるなということを聞いて、今のお話を伺ってそのときのやりとりを思い出しました。
 しかし、その後文部省も、もうかなり数年たっておりますので、その間に多少の努力をして実績が上がっているようでございますので、これからもそういうきめの細かい教育対策の充実に努力をしていきたいというふうに考えております。
#37
○肥田美代子君 ありがとうございます。よろしくお願いいたします。
 それでは、次の質問に移らせていただきます。
 医薬分業推進の兆しが見えてまいりまして、私は薬剤師としてとてもうれしく思っております。実は私は、薬剤師の職能といいますか、まだ日本はそのような職能を十分に生かす土壌になっていないということをかねがね思っておりまして、まず医薬分業、そしてその医薬分業が患者さんのためになることが一番だと思っています。
 先日も予算委員会で質問させていただいて、厚生大臣もやはり医薬分業を推進すべきだ、そして文部大臣も所管の大学病院で進めるようにというお気持ちでお話しくださったと思うんです。
 そこで、薬剤師の仕事の内容が医薬分業によって少しずつ変わってまいります。薬の情報について患者さんにお伝えする、患者さんが飲んでいらっしゃる薬を記録し、副作用がないように注意するとかいろんなことがございます。今後、薬学教育が少しずつさま変わりしていくんじゃないかと私は思うんです。特定機能病院というのを国立大学病院で八十カ所指定される予定だと聞いておりますが、私は、現在の大学教育ではこの特定機能病院の中の薬剤師さんの仕事には対応し切れなくなっていくのではないかと思うんですけれども、いかがでしょうか。
#38
○政府委員(遠山敦子君) 薬学の重要性というのは、現在の医療の高度化等を背景といたしまして大変重要であると考えております。
 特定機能病院の指定と直接にどのようにかかわってどのように変化していくかということはなかなか見通しが難しい面もございますけれども、やはり薬学教育といいますものは薬学に関する化学、技術を修得させて薬学に関連する社会的使命を遂行し得る人材を養成するということを目的といたしておりまして、それぞれの薬科大学はそれぞれの理念あるいは教育目標に基づいて教育を行っているところでございます。
 殊に、最近各大学におきましては、御存じのように、大学設置基準の大綱化を受けましてそれぞれの教育理念あるいはその目標に応じましてカリキュラムの改善に取り組んでいるところでございます。薬科大学の中におきましては、医療と結びついた実践的な内容を取り入れたカリキュラム改革を行っている大学もかなり出てまいっておりまして、その意味ではさらに充実していくものと考えております。
#39
○肥田美代子君 ところで、厚生省では薬剤師の国家試験の内容を変えようという動きがあるようですが、その辺のことについてお話しいただけますか。
#40
○説明員(矢野朝水君) ただいま先生がおっしゃったように、薬剤師の仕事というのは最近非常に変わってきております。
 もともと日本の薬剤師といいますのは、医療の現場で活躍できる、そういう土壌がなかったものですから、製薬メーカーで薬の開発をする、こういった人材を育てるというようなことで化学中心の教育が重視されてきたんじゃないかと思います。ところが、今おっしゃったようなことで分業が進む、あるいは病院の中でも病棟業務ということでベッドサイドに薬剤師の方が出かけていって患者さんに服薬指導する、こういう仕事が今非常に重要視されておりますし、非常にふえてきております。
 そういう環境の変化を踏まえまして、薬剤師国家試験のあり方につきましても見直すべきだということで検討委員会をつくって今検討中でございます。
#41
○肥田美代子君 看護婦さんの教育は二年から四年に変わりますね、それから獣医師の教育も六年制になりました。その獣医師教育が六年制になった経緯をお話しくださいますか。
#42
○政府委員(遠山敦子君) 獣医師の教育につきまして昭和五十八年に学校教育法が改正されまして、それまでの経緯をたどりますとかなり長い歴史がございます。かいつまんで申し上げますと、昭和二十五年に日本獣医師会の獣医事審議会が教育刷新審議会に教育年限の延長を要請しております。昭和四十六年に日本学術会議におきまして内閣総理大臣に修業年限延長の勧告を出しております。そして、昭和五十二年には獣医師法が改正されまして、国家試験の受験資格におきまして獣医学の修士課程を修了した者に引き上げられまして、教育の面におきましても昭和五十三年度から、学部四年に加えまして大学院の修士課程二年の六年間を通じた教育が実施されているところでございます。
 このような幾つかの動きがございまして、そして大学における獣医学教育の重要性、特に畜産の発展あるいは公衆衛生の拡充等による社会的要請にこたえるためという背景がございまして、学部段階における教育内容の充実を図り、かつ効果的な教育を実施し得るように修業年限の延長が図られたのが昭和五十八年でございます。
 以上が非常に簡単でございますが、経緯でございます。
#43
○肥田美代子君 私、今伺っておりまして、教育というのはいろんな社会の動きとか世間のニーズによって少しずつ変わっていくものだと思います。ですから、医薬分業が推進されると、さっき厚生省の方がおっしゃいましたように、国家試験の内容も少しずつ変わっていく。そういたしますと、教育の内容はおのずと変えざるを得なくなると思います。
 今後、薬剤師教育は積極的に変えていかなきゃならないという考え方を持っていますが、最後にもう一度文部大臣の御所見をお伺いしまして、私の質問を終わらせていただきます。
#44
○国務大臣(森山眞弓君) 御専門のお立場からいろいろ具体的なお考えを先生御自身もお持ちだと思いますが、近年の急速な医学、医療の進歩に対応して薬剤師さんの資質の向上ということも大変重要な課題だというふうに私も承知しております。
 現在の各大学では、大学設置基準の大綱化を受けまして、それぞれの教育理念に応じたカリキュラムの改革を行っておられます。薬学教育の分野でも臨床薬学教育などの実践的教育の充実の方向で進めていらっしゃると聞いておりますので、文部省でも各大学における改善工夫を大いに期待し、支援していきたいというふうに考えております。
#45
○木宮和彦君 本日は時間も短いし、それからなお、予算の委嘱審査ということで質問するわけでございますが、まず大臣に、予算が決まりましたらその予算をどういうふうに、項目がありますけれども、やはり私はお金というものは決められたお金でも使い方によって生きるし死ぬし、特に文部省の場合には七七%以上が人件費でございますので、この人件費をいかにして上手に使うか効率的に使うか。同時にまた、研究費もそうですけれども、研究費もやはりこれは同じ研究費でも効率的に使うか、そうでない、いいかげんに使うかによって随分私はその効果が違ってくると思います。
 ただ、残念なことに今日本の国家予算は単年度式でございまして、そしてまた余り細かく決め過ぎてかえってそれを阻害するような要素もなきにしもあらずだと思いますが、この際、大臣としてその予算の執行についてどういうお考えなのか、また将来展望的にどうすべきかということを、もし御意見がございましたら開陳をしていただきたいと思います。
#46
○国務大臣(森山眞弓君) 大変大局的な見地に立たれました御質問でございまして、予算が通過したら、成立したらどのような考え方でそれを執行するかというお尋ねでございます。
 先生御指摘のように、文部省の予算は人件費が相当部分を占めておりまして、それ以外の分量が少ないものですからなかなか難しいところがござ
いますが、しかし、最近の財政事情の厳しい中でも特に教育については大事であるからいろいろな工夫をしてその効果が十分上がるようにできるだけ内容のいいものを考えるようにということで事務方が一生懸命努力いたしまして、これからの新しい時代に対応できる内容のよいものをぜひということで案を御提案してお示しし、お願いしているところでございますが、できるだけ効率的に、しかもきめ細かく子供たちの教育が十分行き届いて行えるようにということを目標にいたしまして、精いっぱい努力していきたいというふうに考えております。
#47
○木宮和彦君 その具体的な一つの例といたしまして、学校の適正な規模ですね。特に義務教育の場合、あるいは高等学校、大学もそうですが、義務教育におきましての一つの学級の数ですね、生徒数ですね。これは多ければいいというものでもないし、といって少なけりゃいいというものでもないと私は思うんです。
 やはりそこにおのずから、時代によって多少違う、絶対的な数はありませんが、大体教育効果といいますか学習効果を高め、かつまた十分な人間教育ができるというときには一体どこを目標に将来、今すぐでなくでも結構ですが、そういうやはり一つの施策があって行政を進めるべきだと私はかように思いますが、その辺もしお考えがございましたらひとつ御答弁をいただきたいと思います。
#48
○国務大臣(森山眞弓君) 先生御自身具体的な教育のお仕事を長年おやりになっていらっしゃる専門家でいらっしゃいますので、学校あるいは学級の規模については何かと御意見がおありなのではないかと思うのでございますが、私ども文部省の現在の考えといたしましては、いろいろな意見があって、なかなかこれといって一つに決めて確立した意見というものがあるわけではございませんけれども、今回の平成五年度の改善計画におきましては平成五年から十年までの六年間にかけまして小中学校においてはより多様で柔軟な指導方法が工夫できるような教職員の配置を行おう、また高等学校におきましては普通科などにおきましても学級編制の標準を四十人にいたしまして、少しでも行き届くようにしようということを当面の目安といたしまして考えたところでございます。
#49
○木宮和彦君 それはよくわかりますが、将来またそれが変わることもあり得るだろうし、また私は、一つは少な過ぎてもかえって子供たちが社会勉強といいますか社会活動ができないと思います。
 ですから、少ないクラスも減らすという工夫をしなくちゃいけないし、多いクラスも減らすという工夫をしていかなきゃならない。その辺が、しかしいろんな因子といいますかいろんな条件がついできますから、これはやっぱり本当に子供のためを思ったら、一人のクラスが時々テレビに出ますけれども、果たしてそれが学校なんだろうかと、私はそう言わざるを得ない。しかしこれは地理的な条件その他ありますからやむを得ないと思いますけれども、その辺もやはり工夫をすべきだと私は思います。ひとつまた御検討を賜ればありがたいと思います。
 さて、今自民党では文教部会と文教制度調査会というのが合同で新しい日本の教育改革をひとつ試みてみようということで六つのプロジェクトをつくって精力的に毎週一回ずつ、六つありますから一日に二回やるときもございますが、そのくらい、夜の七時から始めるというプロジェクトもございます。しかも、座長さんには保利先生とか鳩山前文部大臣とか元文部大臣の方がなって、それこそ皆さん本当に汗をかいてやっていらっしゃいます。
 たまたま私も自分の経験から選ばれたと思いますが、大学改革プロジェクトの座長を実は仰せつかりまして、今大車輪で勉強しておりますが、大学について二、三、ひとつぜひ教えをいただきたいと思います。
 まず、第一に、この間大学審議会というのを文部省がつくりまして答申を得て、それによって新しい大学の行き方といいますか、自己点検あるいは評価の実施、創意工夫ということでカリキュラムなどの改正その他、特に自己評価ということを今大学がそれぞれ模索していらっしゃいます。
 昔は、文部省がそういう方針を打ち出すとすぐ大学側は敏感に反体制だとかということで、きょうは日教組の偉い先生がたくさんいらっしゃいますけれども、別に悪口言うわけじゃございませんが、本能的に反対しました。今回はそういう状況がなさそうでございますので、大変乱もいいなと思って、実は最近率直に物が言えるようになったんじゃないかと思うんです。
 しかし、私はそれで満足しているわけじゃございませんが、今申し上げました自己評価・点検ですね、これについて現在どういう状況であるか、簡単で結構ですが、ひとつお教えを賜りたいと思います。
#50
○国務大臣(森山眞弓君) 我が国が今後あらゆる分野で活力を維持しながら積極的に世界に貢献していきますためには、学術の振興と人材の養成を担う大学の改革を不断に進めていくということが全く必要不可欠な条件だと私も考えております。
 このため、文部省では、今先生おっしゃいました大学審議会における検討を中心にいたしまして高等教育全般にわたる改革を着実に進めてまいっております。平成三年には大学教育の基本的枠組みを定めました大学設置基準等の大綱化、自己点検・評価制度の導入などを行いまして、各大学が個性豊かな教育を自由に展開していくことができるようにしたところでございます。
 これらの制度の改正を受けまして、各大学におきましては一般教育と専門教育を含め各大学学部などの特色を生かした体系的な一貫教育カリキュラムを実施されたり、教養部を廃止して新たな教育カリキュラムを全学的に実施したりなど、いろいろな工夫、取り組みを行っておられます。
 また、自己点検・評価につきましても多くの大学で学内の実施体制が整備されてまいりまして、報告書などを作成し公表するという大学もかなり出てきているところでございまして、今後とも各大学が創意を生かして個性的な教育、研究活動を展開していかれますように各大学の積極的な取り組みを促してまいりますとともに、引き続き大学審議会の審議を踏まえながらその充実と改革に積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
#51
○木宮和彦君 今お答えのとおりだと思いますが、自己点検ということは私はやらないよりやった方がはるかにいいと思います。その点では大いに評価をいたします。
 しかし、これは私が言うわけじゃございませんが、私も外国のことを知っているわけじゃございませんが、日本の教育は義務教育まで、あるいは高校教育までは大変すぐれているけれども、どうも大学教育が国際的にもレベル的にいっても少し劣っているのではないかと。
 それは何が起因するかというと、やはりいろいろ構造上の問題、制度上の問題もあるし、それから教員の資質の問題、あるいは教員が非常に安住し過ぎているじゃないかという問題、あるいは日本人はそもそも人のまねはうまいけれども、自分で考える教育をされていないから創造的なことができないと。だから、こんなことを言うとちょっと問題になるかもしれませんが、ノーベル賞の数からいっても欧米の国に比べるとけた違いに少ないというようなことをよく言われます。これは、やはり率直に大学の関係者も我々政治家も心してこれから大学改革に新しい息吹を吹き込んでいく必要が私はあると思うんです。
 特に、今自己点検が始まったんですが、ただ自己点検で満足したり、自分で点検するとどうしても甘くなります。だから、やはりそれが大学の評価につながっていくように、あるいはそれが先生の、例えばの話ですが、任期制につながっていくとかプロモーションにつながっていくとかというような方策を考えていく必要が私はあるような気がいたします、なかなか難しいことだとは思いますけれども。
 その辺について、大学の改革の、特にこれから
の問題点について大臣はどうお考えでございますか。
#52
○国務大臣(森山眞弓君) 先生の御経験を踏まえた大変傾聴に値する御意見を承りまして、確かにそのような考え方もあるというふうに思ったわけでございますが、やはり大学の独立といいますか自主性ということを一番大事にしていきたいと思いますので、そのような大学の中におけるさまざまな制度の改革につきましては、まず大学側自身が自己点検をされて、評価をされて、そしてこのような方向に改めていこうということを協力してやっていただくということが何より大切ではないだろうか。その上でもしお手伝いできることがあれば文部省といたしましても御協力申し上げたいと思いますが、さしあたっては各大学の自己点検・自己評価に基づく大学の中の制度の改革ということが必要ではないかと思います。
 また、先生のお言葉の最初の方にございましたノーベル賞学者云々のお話でございますが、必ずしもノーベル賞とは直接関係ないかもしれませんけれども、大学の持っておりますもう一つの問題点は、かなり研究施設設備が老朽化しているということでございまして、中には新しい立派なところもありますでしょうけれども、かなり古くなりまして時代おくれになったり、あるいはもう傷んでしまって修復もしにくくなっているというような学校も多数見受けられるわけでございまして、そのような面でも相当思い切った改善を図っていかなければいけないのではないか。そういう貧弱な設備でございますと、立派な頭脳の方々も十分にそれを発揮することができないし、国際的な共同研究などもしにくいのではないかということが心配されるようなわけでございますので、そのような点についても一層力を入れていきたいというふうに考えております。
#53
○木宮和彦君 今、大臣おっしゃられました人の面も大事ですけれども、施設の面もこれはやはり欠くべからざるもので、私が調べたところによりますと、高等教育に注ぐ国家予算も欧米に比べますとどうもかなり低いんじゃないかというような気もいたします。
 ぜひひとつその辺は、我々も努力いたしますが、これから将来のことでございます、どうぞひとつ文部省一丸になっていいものをつくるためのたくさんの予算を獲得できるように頑張っていただきたいし、私たちも頑張っていきたいなと、こう思っております。
 ただ、税金ですからどぶへ捨てるわけにはいきません。その辺は、ひとつぜひとも効率的に使っていただきたいというのが私の念願でございます。
 ところで、いろいろたくさんございますので略しますけれども、もう一つ問題点は大学院です。
 この大学院が日本は質量ともに非常に諸外国に比べますと、どうも私が調べた結果によると落ちているのではないか。これは一体どこに起因しているのか。また、その大学院が生かされないからこそ、やはり技術とかあるいは学問の研究の業績が上がっていかないという一面もあるのではないか。これらも私考えておるのですが、その辺の実情を踏まえて、また将来大学院についてどうお考えなのか、ひとつお答えをいただきたいと思います。
#54
○政府委員(遠山敦子君) 先生御指摘のとおりに、日本の大学の学部につきましてはほぼ量的な面では整備されましたが、今後質的に充実という段階に至っておりますけれども、大学院につきましては量的及び質的にも充実が必要というふうなことが大学審議会の御議論を通じましても明確になってまいったわけでございます。
 もちろん、これまでも各専門分野におきます研究者の層の拡大あるいは研究水準の向上等の面におきまして一定の成果は上げてまいったわけでございますけれども、今後の日本のあり方ということを考えますと、本当に高度な大学院あるいはそこでの教育、研究ということの重要性というものを十分認識して、その方向に施策を重点化してまいる必要があろうかと思うわけでございますが、日本の大学院につきましては、既にあるものにつきましてもその大半が学部を基礎として置かれておりまして、学部とは独立した実態を備えているものは少ないわけでございます。その意味では、教育、研究組織として十分成熟を見ていない面がございます。
 また、大学院の教育、研究経費でありますとか施設設備等が企業の研究所などに比べまして十分でない。大臣がお話しくださいましたような状況でございます。そのような点あるいは研究条件、処遇の面におきましても企業との間に大きな格差がございまして、優秀な人材が大学に残らないというふうなこともございます。
 さらに、量的な面で申し上げますと、日本の大学院は人口千人当たりの大学院学生数で〇・九人相当でございますけれども、欧米の主要国におきましてはそれが二・六人から七・二人になっておりまして、けたが違っているわけでございます。
 このように日本の大学院の規模が小さいことには幾つかの原因がございます。
 一つは、理工系の分野等を除きまして、大学院教育を受けたことについての社会的な 認知といいますか評価というものがまだまだ十分でないという面がございますし、それから大学院自身が本当に社会のニーズにこたえている、そういう内容の教育、研究をやっているかということになりますと、なかなかその点でも十分でない面がございますし、あるいはこれからは開かれた大学の組織、大学院の組織であることが必要であるわけでございますけれども、必ずしも職業人の再教育に十分な履修形態の工夫等が行われていないというふうなことがございます。
 そのようなことを背景にいたしまして、今後量的にも質的にもということが言われているわけでございますが、大学審議会の数次にわたる答申におきまして、その方向性とあるべき施策について明確な指摘もございました。そのようなことが背景になりまして、大学院の設置基準を弾力化いたしまして、終業年限の弾力化あるいは社会人の受け入れ体制等のいろんな仕組みについて既に制度化をいたしたところでございます。そのようなこともありまして、これから少しずつ改善の方向に行くと思っておりますけれども、なお一層いろいろな工夫をしてまいりたい。
 また、予算面におきましても、特に来年度予算をお願いしている中では、財政当局の御助力も得ましてさまざまな工夫がされております。
 一つは、先端的な分野あるいは学際的な分野を中心とした研究科あるいは専攻科の新設でありますとかあるいは大学院を中心としました教育、研究の高度化を重点的に推進するための高度化推進特別経費の充実、あるいは大学院最先端設備の整備充実、あるいは大学院学生の処遇改善のために日本学術振興会の特別研究員制度の充実でありますとかティーチングアシスタントの経費の充実等のさまざまな所要の経費につきましての充実に努めているところでございますが、なお今後の大きな課題であるというふうに認識しているところでございます。
#55
○木宮和彦君 大変安心しました。これからひとつ大いに局長、頑張っていただきたいと思います。
 ところで、今は大学院の問題ですが、私は、理科系の大学の大学院に非常にみんなシフトしていくのは、やっぱり就職の問題で企業が各大学の専攻の先生と人間関係で採用するということで大学院まで行くという一つの新しい道というかそういうシフトができたと思うんですが、文化系はそれがないものですからさっぱり大学院には進まない。おまけに、特に文学部などは文学博士なんて出しはしませんから、留学生もせっかく日本の大学院に学んでもその称号をもらえないということで、帰っても余りメリットがないというようなことがあってどうも文科系の大学院が停滞しているのではないかなという気がいたしますが、その辺はいかがですかね。
#56
○政府委員(遠山敦子君) 人文社会科学系におきます大学院の充実あるいは現在の定員に対する学
生の充足状況というのも極めて低い面がございます。もちろん、大学によっても違いますし分野によっても違うわけでございますが、そのことが今先生御指摘のように、学位の授与について十分ニーズにこたえていないあるいは留学生のニーズにもこたえていない、さまざまな問題がございます。
 そんなようなことを背景にいたしまして、現在進めておりますのは、やはり大学院に関する学位の取り方あるいは大学院の目的につきましても、これまではどちらかといいますと研究者養成が中心であったわけでございますけれども、これからは社会人あるいは高度の職業専門的な能力を身につけるための資質を備えるというふうなことを明確に大学院の目的の中にうたい込んだりいたしまして、大学院自体のあり方を変えていくあるいはカリキュラムをもう少し充実していくべきではないか。
 教員組織なりあるいは施設設備なりというふうなことを整えて、外的な条件もさらに整えることが必要でございますが、なおこの面につきましては人文社会科学系の教員の方々のこの問題への重要性が必要でございましょうし、また仮に修士の学位なり博士の学位を得た後に社会でどんなふうな受け入れ体制があるかということも大変重要な問題でございます。
 その意味では、幾つかの問題を抱えた分野ではございますけれども、この面の充実といいますかあるいは制度の活用、そしてその成果を出していくことの重要性につきましてはまさに先生の御指摘のとおりでございまして、私どももその面についてもできるだけの支援をしてまいりたいというふうに考えているところでございます。
#57
○木宮和彦君 次に、平成四年度をピークにいたしまして十八歳人口がどんどん減ってまいります。いわゆる大学へ進もうとする若年層、高校を出た人間がどんどん減っていくわけでございます。
 私は、非常にいい面もあるし悪い面もあると思うんですが、大学と値するにふさわしくなく大勢の学生を収容するということはこれはまた問題があると思いますが、これから質的にあるいは量的に充実していくために今後大学のあり方について何か施策がありますか、その辺ひとつお伺いをいたしたいと思います。
#58
○政府委員(遠山敦子君) お話しのとおりに、大学への進学年齢層でございます十八歳人口はことしが二百五万人でございますが、これをピークにいたしまして非常に速い速度で減少してまいります。平成十二年には百五十一万人、四分の三になりますし、平成二十二年度の前後には約百二十万人、現在の六割になるわけでございます。
 このようになりますと、やはり程度の差はありましても各大学が何らかの影響を受けるということは避けられないのではないかと思うわけでございますが、既にそれぞれ心ある大学等におかれましてはこの事態を目前に控えていろいろ工夫していただいているところでございます。私どもも、この点のいろんなデメリットもございますけれども、この機会をとらえていわば量から質へという大きな大学改革の流れというものほかえってやりやすい面もあるのではないか、こういうものをメリットに変えていく努力というものが大変大事ではないかと思うわけでございます。
 文部省といたしましては、平成三年の大学審議会の答申を受けまして、それぞれの大学がみずからの理念に従って本当に個性豊かな魅力ある大学教育というものを展開していただきたいということで、その条件整備のための積極的な取り組みを奨励しているところでございますが、制度的にその面での支援を行いますために大学設置基準の大綱化、先ほどお話がありました自己点検・評価等のシステムの導入等の措置を講じたところでございます。
 自己点検・評価というのは単に点検・評価するということが目的ではございませんで 、それをもとにしてどのように大学を改革していくかというところに一番重要な目標があるわけでございます。
 そのようなことで、今後さらに各大学においては御努力をされることと思いますけれども、これからの時代を考えますときに若干明るいといいますか、その方向で努力していただける面もあるわけでございます。
 一つには、学生のニーズに対応したいいカリキュラムを組んで魅力ある大学にしていくということが前提でございますけれども、特に広く社会人にも門戸を開きまして職業人の再教育というような社会全体の生涯学習ニーズにこたえていく、そういうふうな大学になっていくということも一つの方向でございましょうし、あるいは国際化の進展に応じまして留学生についての積極的な受け入れを進めるというふうな方向もあろうかと思います。
 それぞれの大学の置かれた条件、地理的な条件あるいは伝統、特色といったものに照らしながら工夫をしていただくべきものと考えるわけでございますが、高等教育の規模につきましては、今後十八歳人口が減少することを考慮いたしまして、大学や短期大学の学部、学科等の新増設あるいは定員等は原則として抑制するという必要があるというふうに考えているところでございます。
#59
○木宮和彦君 大分時間も迫ってまいりましたのですが、いま一つ、十八歳人口だけに頼らずに私は生涯教育として大学をとらえていくということが大変大事な視点ではないかと思うんです。
 特に、短期大学というのはいわゆる五十、六十歳になって学ぶには私は非常にいいところだと思うんですね。特に文学が多いし、それから芸術が多いし、あるいは実業的なものが多いし。ですから、ぜひひとつ十八歳人口に惑わされないで、むしろ再教育といいますか生涯教育を大いにこれから奨励すべきだと思うし、またとりやすくしていただきたい。
 それからまた、もっと言えば、授業料の半分くらいは国が補助すれば、これはぼけ防止になりますよ。そして、なおかつそういう熱心な年寄りが来ますと、若い人はぺちゃぺちゃ私語ばかりしていますが、前の方でおばさんがおっかない顔で、静かにしてシーと言うと全体が静かになって、もういいことだらけなんで、学校も助かるし学生にも刺激になるし老人にも刺激になって、これはぼけちゃったら大変な国費を使うわけですから、ぜひこういうことを率先してやっていただくというのが私はこれからの教育に大事だと思うんです。
 それから、大学院もそうだと思います。ずっと自分の専門をやってきた人が再度大学院に入って研究をされて生き返る。ぜひひとつ社会人をたくさん大学に収容できるような方策を考えていただきたい、こう思います。返事はもういいです。この次またやります。
 最後に、私学助成の問題と、それから業者テストの問題をやりたいと思いましたが、業者テストはきょうはやりません。
 私学助成は、御存じのように、毎年つかみ金で少しずつふえてはきておりますが、しかし全体の伸びからいいますと、もう最初は二十何%あった、三〇%ぐらいあったやつが今じゃ十何%になっちゃったわけです。それは一つには、やはり私学助成に対するひとつの哲学と言うと大げさになるかもしれませんが、行政側のあれがないし私学にもない。
 だから、その辺をやはりこれから私どもも一生懸命考えて根本的にやろうと思っているわけでございますが、それについてもう一言で結構です。何かございましたら、大臣でも局長でも結構でございます、御答弁をいただければ大変ありがたいと思います。
#60
○国務大臣(森山眞弓君) 我が国の教育の中で私学が果たしている役割は非常に大きなものがございます。
 そのような観点から、今日まで私学助成を一生懸命やってまいったわけでございますが、御指摘のように、厳しい財政情勢の中で必ずしも十分あるいは満足すべき状態ではないかもしれません。
 しかし、これからもできるだけの努力をしてい
きたいというふうに考えますし、また個々の学生たちに対しましては育英資金でありますとかその他のできる限りの援助をいたしまして、私学に学ぶということが特別に困難なことであるということのないように努力していきたいというふうに思います。
#61
○木宮和彦君 終わります。
#62
○刈田貞子君 今、大臣が我が国の教育における私学の役割は大なるものがあるということをおっしゃられた直後でございまして、私も実は私学の問題についてお伺いしたいと思います。
 そのお言葉をいただきますならば、まさに私学は学校数におきましても、また学生数におきましても七五%を背負っていると白書に書いてある数字を見ましても、私立学校が果たす役割は大変大きいものがあると思いますし、特に高等教育におきましてはその役割が、意味が大きいというふうに思っているところでございます。
 私学助成のお話も出ておりましたけれども、私はこの私立学校の財政が、国公立がほとんど税負担によって賄われているのとは違って、学生生徒からの授業料と納付金あるいは国からの補助金あるいは資産の運用等の収益、寄附金、収益事業等で賄っているという現状にある中で、やはり私学に対する助成金の役割はとても大きいと思うんですけれども、国の厳しい財政事情下にあってその助成の割合は先ほどのお話のように年々落ちでいるという中で、私学は非常に厳しい立場に立たされていることは御存じのとおりなんですね。
 そこで、自助努力をしておるという実情にあると思います。学校自身が持っている資産の運用あるいは収益事業等、さらには外部資金の導入というようなことでいろいろな工夫、苦労をしているという実情下にあって、ことしの一月の終わりごろから新聞で、私たち大変注目してまいりました医科系私立大学の受託研究費が収益事業であるということで大きな課税をされたという記事が目にとまりまして、それから以降すっと私学の医科系大学を調査してまいりましたので、そのことについて少しお話あるいはお尋ねをしたいと思うのです。
 まず、私立大学における受託研究というものに対して大臣はどういうお考えを持っていらっしゃいますか。
#63
○国務大臣(森山眞弓君) 今日、大学の学術研究に対しまして産業界等社会の各方面から多様な要請が寄せられておりまして、大学としても本来の使命を踏まえながら大学の主体性のもとに可能な限りこれらの要請に適切に対応し協力していくということは、大学の社会に対する貢献という点から、さらには社会との交流を活発にするという意味もあり、また大学自身がそれによって刺激を受けるということにもなりまして、大変有意義だというふうに考えております。このような考えのもとに、大学におきまして民間企業等外部からの委託を受けて、委託者の負担する経費を使用して研究を行う事例が最近ふえてきております。
 文部省といたしましては、大学が社会の多様な要請を受け入れて積極的に研究活動を展開していくために推進すべき制度ではないかというふうに考えておりまして、今後ともこのような仕組みや制度の一層の充実に努めたいと考えております。
#64
○刈田貞子君 それで、一層の推進をというふうにはおっしゃられるんですけれども、現場の認識は大変この事業に対して今厳しい後ろ向きの姿勢を持っているというところがあるように私はお話し合いを教授あるいは事務当局と続けてまいりまして思いましたのは、やはりこのいわゆる受託研究というものが法人税法の中でうたわれているところの「請負業」だという形で認定されているところが大変問題ではないかというふうに思っておるようでございます。
 その辺のところを文部省からぜひ国税当局と、あるいはまた法律改正するのであれば主税局との話し合いもしていかなければならないのでしょうけれども、この辺のところの問題をまずは文部省がもっと積極的に推進していくというお立場をとられるのならば、やはり考えていく必要があるのではないかというふうに私は思います。
 そこで、きょう国税庁にも来ていただいているので、そのことについてちょっと国税庁の方から説明を求めます。
 それは、昨日もちょうちょうはっしでやったのでありますが、やっぱり国税庁が言っているところの法人税法の七条と二条十三号と、それから施行令の五条十号というのとみんなごっちゃに今頭の中に入っているんですけれども、すなわち私立大学が収益事業としてやるものは法人税法上三十三業種の指定があるわけです。その中には、例えば「旅館業」なんというのが入っているわけです、これはセミナーハウスの収入のことをいうようでありますけれども。それからまた、「不動産貸付」というようなのは、例えば売店を下に出したとかあるいは床屋さんを出したとかの貸付料というふうなものになるんですね。自動販売機から電話から、全部これは収益事業として私立大学がみんな出しているわけです。その三十三業種の中に「請負業」というのがあるんです。その「請負業」の中に委託研究事業が入っているというのを現場ではやっぱり納得していないみたいなんです。
 そこで、それがなぜ請負業になるのかということを説明していただきたい。
#65
○説明員(濱田明正君) 今、先生がおっしゃいましたように、公益法人等が収益事業を営む場合には、その収益事業から生じます所得につきまして法人税の納税義務があることとされておるわけでございます。
 その収益事業は、法人税法施行令第五条に三十、三の事業が特掲されております。その収益事業の一つに「請負業」がございますけれども、その「請負業」の中に「事務処理の委託を受ける業」という形ではっきりと書かれております。
 これを具体的に申し上げますと、他の者の委託に基づいて行う調査、研究、情報の収集及び提供等が含まれるわけでございます。したがいまして、他の者からの委託を受けて行う研究は、その「事務処理の委託を受ける業」、これに該当するわけでございまして、したがいまして収益事業に該当するということで、課税の対象になる次第でございます。これは税法の規定でございます。
#66
○刈田貞子君 ことし四大学、それから二年前に一校、それからもう一年前に一校、額で九千万ぐらい、それからその次が七千万でしたか追徴を取られておりますね。そういう事例がずっとあるんだけれども、そういう大学に聞いてみると、それはやっぱりいわゆる請負業という自覚に立っていないところがあって、さっきの「貸付」とか「旅館業」とかいうのと並べて申告していない状況にあるんですね。
 ですから、そこのところを、これもいわゆる請負業だということできちっと現場にもう一度、もしそうだとすれば認識をさせなければいけないのだというふうに思うんです。自分たちは製薬会社なら製薬会社から委託を受けて研究して、その成果はやがて社会に還元されるのだから収益事業ではないんだ、社会がそのメリットを受け、その効果は社会にもたらされるものであるというふうな持論を持っているわけです。したがって、これは申告すべきものではないという立場に立って申告をしていなかったわけですね。
 ですから、伺うところによるとみんな今まで追徴税を払っているようですから、一応そのことを認めたのだとすれば、これからその他二十九私大が同じ立場に立たなければいけないのかということで大変みんな不安を持つと同時に異論を持っているというのが実情なんです。
 それから、あわせて国税庁の方に伺いますけれども、寄附金は本来非課税でございますから、寄附金だと思って受けていたものに対しても課税をなさったケースがあるわけですけれども、これはどういう評価の仕方をして寄附金でないとみなされたんでしょうか。
#67
○説明員(濱田明正君) まず、二つに分けてお答えしたいと思います。
 一つは、公益性だから課税するのはおかしいのではないか、公益性があるからという点でござい
ます。
 元来、主税局から答えるべき話だと思いますけれども、法人税法におきまして、公益法人が収益事業を営む場合には、その収益事業から生じた所得につきまして法人税の納税義務があることとされておりますけれども、この場合の収益事業の範囲につきましては必ずしも公益性の有無やその強弱だけで決定されているわけでないということでございます。法人税法において三十三の事業が収益事業として特掲されておりますが、これらの事業は株式会社、有限会社などの一般私企業との競合関係あるいは課税上の公平の維持など、専ら税制固有の理由から収益事業として昭和二十五年以来課税されておるということでございます。
 国税庁としては税法を適正に執行する責務があるわけでございまして、公益法人等が収益事業として特掲されている事業を営んでいます以上、これに対しまして適正な課税をすることに努めるという義務があるかと思います。
 さてそこで、先ほどの寄附金収入と委託研究収入をどのように区分しているかというお話でございますけれども、これにつきましては、その収入が寄附金であるかあるいは収益事業に係る収入となるかについて個別に判定する必要があるわけでございまして、それはその収入が寄附金という名称を付されておるかどうかという単なるその名目によって判定するのではなく、その具体的な事例に則しまして、対価性があるかどうか実質的に判定することになります。したがいまして、寄附金収入と委託研究収入との区分につきましても個々の具体的事例に則して実質的に対価性の有無、対価性があるかどうかによって判定をしておる次第
 でございます。
 お尋ねの件は個別にわたりますので、守秘義務の関係上お答えできませんが、そのような趣旨に立って裁かれておるはずでございます。
 以上でございます。
#68
○刈田貞子君 時間があって細かい議論をするのであれば、対価性という問題についても実は議論をしたいわけであります。
 これは、後で私は国税庁に宿題を出しますので、文部省と主税局と話し合いをしていただきたいのは、今の対価性の問題が一つです。今後、高等教育というのはもっと進んでいくわけです。そして、そうした高度な研究というのはもっともっと私は盛んになっていくと思う。それは文部省の助成金だけではとても間に合わないわけで、こうした民間資金の導入ということは今後ますます盛んになってくる。そしてまた、そうした権威のある大学に対して社会がそういうものを求めてくるという土壌もあるわけです。
 その中で、今後全部こうした事業に関して、いや課税の対象だというふうなことになるのであれば、これはやはり文部省も真剣にこのことについてはお考えをいただかなければならないと思って、私自身もまだ大変勉強不足で、このことについてきょう大きな声を出して言えない部分もあるくらい、かなり論議ができる中身を持っているものなんです。
 それで、今私自身も勉強の過程ではありますけれども、ぜひこれを考えていただきたいということで出しました。今申しました対価性とは何なのかという問題が一つであります。
 それからもう一つは、つまり同じような事業をやっている国立大学の研究の体制もあるわけです。民間資金が入って国公立が同じ事業をやっているわけです。これは恐らく五十七年の「受託研究の取扱いについて」という通知で徹底されていると思いますけれども、国立大学においてはこれをゼロにするようにどうも指導させているみたいなんですね。そういうことになりますと、文部省の五十七年の通知の中に書いてある経費率の問題を一つ考える必要があるのではないかというふうに私は思います。
 五十七年の学術国際局長、会計課長が出された「受託研究の取扱いについて」の通知では、経費率の問題について直接経費の考え方と間接経費の考え方を大変的確にお示しになっておられるように思うんです。特に、間接経費についても「直接経費の三十%に相当する額を基準とし、」、それと異なる額が出た場合には、「あらかじめ学術国際局長に協議する」と書いてあるわけ。だから、この経費率の考え方もかなり幅を持たせてあるわけです。
 だから、そういうふうなことが国公立て通用するのならば、私大に対しても文部省はそういう指導を私はしていかなきゃいけないと思うんだけれども、これは文部省のどなたが答えますか。
#69
○政府委員(中林勝男君) 御指摘のありました昭和五十七年の五月の受託研究に関する通知でございますけれども、これは国立大学において受託研究を受け入れる際に委託者の負担する経費をできるだけ明確にするなどの趣旨で、その円滑な受け入れを図ることとしたものでございます。
   〔委員長退席、理事田沢智治君着席〕
 私立大学におきます受託研究については、実情を申しますと、自主的な判断に基づきまして受け入れ規定を設けて実施しているというふうに承知しているところでございます。経費の取り扱いについては、実は各大学まちまちの状況になっていると思います。
 このため、現在この関係の団体におきまして国立大学の取り扱い、さらには公認会計士協会の意見、それらも参考にしながら、今一生懸命検討しているところでございます。
 文部省としては、これらの検討状況を踏まえながら、なるべく早い機会に適切な考えをまとめて指導してまいりたい、このように思っているところでございます。
#70
○刈田貞子君 今、指導していくとおっしゃるのは、私立大学に対してそういう基準をお示しになるということですか。
#71
○政府委員(中林勝男君) はい、そのとおりでございます。
#72
○刈田貞子君 その経費率をどう考えるかというのが、要するに残ったお金が所得になるわけですから、その残したお金に課税されるわけですから、残らないようにみんな経費に入れちゃえばいいわけですよ。ところが、そうはいかないのが難しいところなんですね。
 だから、そこら辺のところの経費をどう考えるかという問題がとても私は大きな問題だろうというふうに思うので、そこのところをぜひ国税庁でも考えてほしいということ。
 それからもう一つは、これは専門的な話になりますけれども、昨日もちょっと話し合いの中で出したんですが、治験事業、いわゆる治験薬の臨床試験や検査活動の問題ですけれども、これは学校法人における「医療保健業」に該当すると私はどうしても思えて仕方がないのであります。
 それで、昨日は見事にそうでないとおっしゃられたんですけれども、いわゆる我々GCPと申しますが、このGCPが「医療保健業」に該当するかしないかという考え方ももう一度国税庁で検討してみていただきたいというふうに思うんです。
   〔理事田沢智治君退席、委員長着席〕
 これは、ひとつ薬事法との関係でも考えるべきではないかという見解を私は持っていて、時間がないのでできませんけれども、ぜひこれを検討してみていただきたいというふうに思うんですけれども、いかがでしょうか。
#73
○説明員(濱田明正君) 一般論として申し上げておきますが、治験収入は製薬会社からの委託を受けて新薬とすべき薬の臨床試験を行い、その結果を報告することによりその委託の対価として収受をするものでございますから、収益事業である「請負業」に該当することになります。
 一方、その治験収入は、非課税とされる「医療保健業」に係る収入に該当するのではないかというお話でございますね。それにつきまして、「医療保健業」とは医師等が患者に対しまして診断、治療を行う事業を言うわけでございまして、その治療等の対価として収受するものは収益事業に該当しないことになります。
 ただ、さっき申しました治験収入は、新薬の臨床結果を得るために委託者である製薬会社からの
委託の対価として収受するものでございますから、これは「請負業」に該当することになると私ども考えております。
#74
○刈田貞子君 難しい問題で、薬事法には治験は医療機関においてすることというようなところから、十四条だと思ったんですけれども、始まって、このGCPに対する非常にシビアな箇所があって、私実はきょうそこまで発言すべきではないと思ったんですけれども、そういう観点から見ても、何とかここら辺のところが非課税扱いのいわゆる医療保健業の対象にならないだろうかということを私が文部省やら私立大学連盟、私立大学連合会のかわりになって一生懸命に知恵のないところで考えているようなぐあいでございまして、できればこうした研究を進めていく環境を何とかつくっていくという意味からも前向きでこういう問題を考えていっていただきたいなというふうに思うのでございます。これはあくまでも要望です。
 そこで、文部省は先ほど検討中だというお話が出ましたけれども、日本私立大学団体連合会から委託研究が収益事業に該当しないことを明確にしてほしいという要望書が出されておりまして、そのとき税務当局とも協議を始められたということを聞いておりますけれども、その後そのことが中断されているやにも聞いているんですね。
 これは、今お話ありましたように、今後税務当局との話し合いを進めていくということになるんでしょうか。
#75
○政府委員(中林勝男君) 学校法人の行う収益事業について、その中でとりわけ受託研究の問題でいろいろと今御指摘をちょうだいしているわけでございます。
 受託研究は、申すまでもなく、先生御承知のように、大学の教育、研究を進める上においても、みずからの研究活動を活性化する上でも非常に大切でもございますし、開かれた大学として社会的に貢献する上でもこの受託研究というのは大変意義あるわけでございます。また、国立大学も私立大学も同様に、この受託研究というものはその観点からも大切なものとして位置づけなければならないと思っているわけでございます。
 学校法人の収益事業というのは、これも先生御承知だと思いますけれども、公益法人の中に位置づいておりまして、公益法人の収益事業の税法上の取り扱いというのは優遇されております。その中でも学校法人は、他の公益法人に比べて大変優遇されているものでございます。
 そういうふうなことで、学校法人の行う収益事業については、一般論としてその本来の学校法人の事業である教育、研究の充実のために充当されるのであればできるだけ税制上優遇してほしいというのが私ども文部省の基本的立場でございまして、そのような観点から税務当局にいろいろ要望をいたしてきているわけでございます。
 そのような立場に立ってこの問題を考えますと、まずその受託研究についてはいろいろと意義もある、国立との差をつける合理的な理由もなさそうであるというふうに思いますけれども、先ほど申し上げましたとおり、実情においては各大学の経理の取り扱い、経費の取り扱いがまちまちになっているというようなこと、それから先生が今御指摘になりましたように、経費率の問題でございます。どれだけ必要経費として受けているのかどうかというのも、これもまたまちまちのようでございます。
 したがいまして、私学関係団体におきましては内部に検討委員会を設けまして、現在いろいろな角度から検討中ということでございます。そして、私学団体の方で方針がまとまり文部省の方に要望が出てまいりますれば、私どもはそれを十分に受けとめまして、そして今後の態度を決めていきたい、このように思っているところでございます。その意味での検討中であるということでございます。
#76
○刈田貞子君 これは、まあ固有名詞を挙げてはいけないのかもしれませんけれども、新聞で出た大学名として帝京大学がそうした対象になったとき、平成二年のときだというふうに思うんですけれども、平成二年に帝京大学が申告漏れだということで、恐らくあのときたしか九千万だと思いましたが追徴を取られたときに、文部省は平成二年十一月十七日付、私学助成課の名前で、「税務上の問題が生じた学校法人に対する経常費補助については、下記のとおり取り扱うものとする。」ということで、助成金の措置を講じないというような通達をお出しになっていて、私は、こうした事件が起きたときには急いで現場に駆けつけて、どんな事情になっているのかという実情を把握し、そして教育現場を激励することこそあっても、そうしたペナルティーを科するような、経常経費の助成金はやらないぞというような、こんなペーパーを回すことは大変遺憾に思うんですけれども、大臣、いかがでしょうか。
#77
○国務大臣(森山眞弓君) 今、先生がおっしゃられましたような通知は文部省からは出ていないと、今私学部長が申しておりますが。
#78
○刈田貞子君 じゃ、後で見てください。
 私はこうした問題に関心を持っていろいろ資料を集めたり、それから勉強しておりましたらば、月刊「学校法人」という雑誌に特別寄稿で「学校法人における法人税上の収益事業について」という論文が載っておりまして、これはどなたがお書きになったのかわかりませんけれども、私が考えている課題を相当載せておられますので、国税庁も、それから文部省でもぜひこれを読んでいただいて、またそれなりの対応をぜひしていっていただきたいというふうに思います。
 二十九私学医科系大学の現場では、このままでいくと国公立との格差、つまり官民格差がますます開いていってしまうということへの不満が大変大きくありまして、その辺のところを是正するためにも、やはり文部省は私立大学に対して何らかの特例的な措置あるいは指導をなさっていく必要があるのではないかというふうに私は思っております。
 日本私立大学連盟の百十五大学のうち四十六大学が民間企業から研究費をもらって、いわゆる委託研究をしているように聞いておりますけれども、その中には今申し上げた医科系だけではなくて工学部系の大学も幾つも入っているわけでございまして、これからこうした基礎的研究あるいは応用研究あるいは創造的研究、こうしたものが大きな意味を持っていく中で、こうした民間資金の導入というものは私は非常に重要なものがあろうかというふうに思いますので、やはりこの辺のところに対する考え方をもっと文部省は前向きに受けとめて私大に対する支援をしていただきたいことを要望します。
 国税庁の立場は、結局はやっている研究の中身とか成果はどうでもいいとは言わないんだけれども、関係ないわけです。要するに、法律があるから取り立てているというだけの話でございまして、三十三事業の中の「請負業」にどうしても当たる、こういうことで徴税をなさっているわけだというふうに思うので、そこら辺のところをどうやって解決すればいいのか、この辺にぜひ知恵を働かせていただきたいというふうに思います。
 最後に、医科系の大学の内科の教授がお書きになった文章の中でこんなことを言っておられます。
 「この問題は抹消的な法規や税制を越えた社会の根幹にかかわる大きな問題ではなかろうか。広い範囲の関係者の高い視点に立った理性的配慮と解決を望みたい。学問研究を利益行為と見なして税務署が追及するのはどう見ても誤りである。」こういう文章がございましたので御紹介して、私の質問を終わります。
#79
○江本孟紀君 きょうは始球式、大臣どうも御苦労さまでございました。
 私もわけあって二十八年間高校野球の始球式を見たことなかったんですけれども、久しぶりに見せていただきました。きのう少しコーチさせていただいたんですけれども、僕がコーチするとやはりバッターの後ろの方に球が行くなということで、江本らしいなと言われたんですが、甲子園のあの雰囲気の中で本当にすばらしい明るい雰囲気
を持たれながら始球式をされたということで、本当に見ていてもすがすがしい感じがいたしました。
 さて、大臣も甲子園のあの大観衆の熱気の中で高校野球選手の情熱というかそういったものを感じられたと思いますけれども、先日私も予算委員会の中でも申し上げましたように、あれだけ野球に純粋に打ち込んでいる選手たちがプロ野球を目指し、そして努力してプロの世界に入ってある程度やったとしましても、退団後に、野球にかかわりながら結局やめるときにはその技術や経験といったものを生かせないまま終わってしまうというようなことで、先日はプロ・アマの問題なんかをやりましたけれども、実際我々は野球を取り巻く関係団体の諸問題がいろいろありまして、今こそ一つ一つ改善すべき時期に来ているんではないかと思っております。
 そういったことで、文部省としても前向きにこういった問題をとらえていただき、野球にかかわる青少年の夢が途中で断ち切られることのないように、また我が国のスポーツ振興のためにも適切なる指導と施策が講じられるようにお願いしたいと思います。
 詳しいことは、きょうはたまたま選抜の最初の日でありますので余りあれこれやらない方がいいんじゃないかなと思いまして、大臣のそういったことも含めた個人的な率直な感想だけを賜りまして、きょうの私の質疑は終わりたいと思います。
#80
○国務大臣(森山眞弓君) 最初に申し上げましたように、大変貴重な経験をさせていただきましてまことにありがたく、感謝しております。
 特に、江本議員には昨日大変御懇篤な御指導をちょうだいいたしまして、ありがとうございました。せっかく御指導いただきましたのに、どうもあの場所に行きましたら上がってしまいまして、せっかくの先生の御指導どおりにいけなかったのが大変残念でございましたが、日ごろ自分ではややずうずうしい方だと思っておりましたけれども、最初に森先生がおっしゃいましたように、独特の雰囲気がございましてすっかり緊張してしまいました。しかし、大変貴重な経験だったと感謝しているところでございます。
 野球は非常に国民の多くの人に愛されて楽しまれているスポーツでございまして、実際に野球をしたことがない人でも見ることはどなたでもなさっていることでございます。どちら側にあっても大変楽しい、知れば知るほどおもしろいといいましょうか、そういうスポーツだと改めて感じたような次第でございます。
 特に、高校野球の場合は、高校生という非常に若さにあふれた純真な人たちのぶつかり合いでございまして、大変さわやかな感動を呼ぶ場だというふうにいつも私も見て思っていたところでございますが、きょうはその場に居合わせまして、一層その迫力を感じました。
 野球について先生がいろいろと問題点を御指摘いただきまして、改善するべきであるということをおっしゃいましたこと、予算委員会でも拝聴させていただいておりまして、確かにそのようなことがあるのだなということを改めて認識したような次第でございますが、例えば野球の振興につきましては、関係団体などにおきましてプロ野球のOB選手の方が少年野球教室などを開催されて、そして青少年への普及をしておられると聞いておりますし、そのほかさまざまな努力がなされていると聞いております。
 文部省もスポーツの振興を図りますために、施設の整備でありますとか指導者の養成、確保、スポーツ教室とか大会、各種事業の充実のような観点からいろんな施策を行っているところでございます。
 野球につきましても、地方公共団体の行う野球場の整備に対する補助とか指導者養成事業の文部大臣認定とか関係団体の行う大会、高校野球もそうでございますけれども、その大会に対して文部大臣が出席したり後援をしたりというようなことをさせていただいて激励しているつもりでございます。
 スポーツ振興基金及び日本オリンピック委員会というようなものも通じまして、野球ばかりではなくて今後ともさまざまなスポーツの振興に一層努力していきたいと、そういう気持ちを強くした次第でございます。
 ありがとうございました。
#81
○江本孟紀君 ありがとうございました。
#82
○乾晴美君 先ほど森暢子議員の方からもおっしゃいましたけれども、子供の権利条約の中で子供の権利というのをやっぱり大人の権利というか人権という、その意識がどれだけあるかということによっても理解度といいましょうか、わかるというような御意見があったと思います。
 私は、きょうは人権ということについていろいろ伺ってみたいと思うわけです。
 この人権につきまして、文部省はどのようにそれを定義づけられているのか。いわゆる、基本に押さえるべきものは何なのかというようなことを教えていただきたいと思います。そしてまた、学校の教育の中で人権教育はどうなっているか。小学校、中学校、高校のカリキュラムの中でどのように押さえて指導されているかということを聞かせていただきたいと思います。
#83
○政府委員(野崎弘君) 今、先生人権についての御質問があったわけでございますけれども、日本国憲法、そして教育基本法の精神にのっとりまして学校教育が行われているわけでございます。日本国憲法で申しております基本的人権、こういうものの尊重の精神ということを学校教育の活動の場で指導していこうと、こういうことでございます。
 人権教育につきましては、児童生徒の発達段階がございます。発達段階に即して系統的に実施をしていくことが大事であるという考え方で人権教育の充実に努めているわけでございます。
 小学校におきましては、社会科におきまして日本国憲法について学習する中で基本的人権尊重の重要性というものを指導しております。道徳におきましては、だれに対しても差別することや偏見を持つことのないよう指導を行っているところでございます。
 中学校の社会科におきましては、小学校におきます指導を踏まえまして人間の尊重の精神についての考え方を深める。道徳におきましては、人間尊重の精神をはぐくむように指導しているところでございます。
 それから、高等学校におきましては、地理歴史科あるいは公民科におきまして人間の尊厳や基本的人権の保障について指導をいたしますとともに、特別活動におきまして個人及び社会の一員としてのあり方、生き方に関する指導を行っているところでございます。
 これらの教育を通じまして、特に同和教育につきましては、人類普遍の原理でございます人間の自由と平等にかかわる問題であるという認識のもとにその充実を図っているところでございまして、具体的には教育推進地域あるいは研究指定校の指定、研究協議会の開催、同和教育資料の刊行等を通じましてその充実に努めているところでございます。
 基本的人権の尊重ということにつきましては、学校教育の基本という考え方のもとに今までも充実に努めているわけでございますが、今後とも指導の徹底に努めてまいりたい、このように考えております。
#84
○乾晴美君 そういう立派なことを聞かせていただいても、おやと思うような事件があったわけですね。
 それは、新教育課程について品川区の教育委員会が九〇年の十月に開きました講演会で、文部省の初等中等教育局の遠藤友麗という教科調査官が差別発言をなさったそうです。そのことをただしましたところ、その方は、人権とか同和とかいう問題について非常に認識が浅かった、知識として勉強していたつもりであっても深く認識していなかったというように弁明をなされたそうなんですけれども、これは認識が浅いという問題では私はないと思うわけなんですね。人権ということをや
っぱりないがしろにしている文部省のあり方を問われる問題だというように思います。ほかの人が言ったんでなくて、文部省の方が言ったというところに非常に大きな問題があると思うんですね。
 人間を愛し、人の人格というか人権を認めようとするのに認識が浅かったというのは、それこそ人権とは何かということを御存じなかったのではないかというように思うわけですね。ですから、人権について学習するときは知識として教えるんではなくて、やっぱり血となり肉となるような指導が必要であるというように思います。
 同和教育というのは、同対法ができた昭和四十四年からいえば今はもう二十四年にもなっているわけなんですけれども、それでもやっぱり今なおこの同和差別がなくならないというのは、人権ということについて血となり肉となっていくような人間愛というようなことがちゃんと押さえられていないのではないかと思うんですね。
 私も、きょう森山文部大臣の始球式を見せていただきました。そのときに、黄色の上下のジャージーを着られてさっそうとマウンドに出られる。わあっと大観衆が手をたたく。その中で、頑張れよとか、ああ女性が出てきたという皆さんに相呼応してさわやかなお顔でそれにこたえられているという、これが人間の愛だろうと思うんですね。頑張れと言うと、ありがとうと言う、こういう本当に美しい姿がそこにあったと思うんですが、基本的なことというのはそういうことだろうと思うんです。
 しかし、この「全国のあいつぐ差別事件」という本の一九九二年版だとか九一年版を見ても同じようなものが出ていないんです。毎年こういうように全国に相次ぐ差別事件が出てくるということを文部省としてはどのようにとらえておられるのかということと、事もあろうに同和教育の中心であるべき文部省の調査官の差別発言についても文部省としてはどのような御見解を持っておられるか聞かせていただきたいと思います。
#85
○政府委員(野崎弘君) 御指摘の文部省の教科調査官の発言、これにつきましては今先生御指摘ございました。私どもといたしましても同和教育の重要性あるいは同和問題についての正しい認識というものに欠けた発言と、このように厳しく受けとめておりまして、極めて遺憾なことであると、このように考えております。
 文部省におきましては、この同和教育の重要性ということにかんがみまして、従来から学校教育及び社会教育を通じまして広く国民の基本的人権の尊重の精神を高めると同時に、対象地域の教育、文化水準の向上に努めることを基本にしてその推進に努めてきたわけでございます。そういう努力にもかかわらず、このたびのような発言が文部省職員によって行われたことは大変遺憾なことでございます。極めて遺憾なことでございまして、二度とこのような発言がないように、今後とも職員の研修あるいは同和教育の推進に努めていく所存でございます。
 今、差別事象のお話もあったわけでございます。私どもとしてもこの差別事象がなお頻発して出てくるというようなことについて大変憂慮しておるわけでございまして、いろいろな形でまさにこの同和教育の重要性ということで指導の充実もして文部省自体におきましても努力をしておるわけでございますけれども、この問題の解決に向けましてなお私どもとしてはさらなる努力を重ねていかないといけないという気持ちを持っている次第でございます。
#86
○乾晴美君 私は、この前の質問のときに、「地球の掟」の副大統領のゴアの話をさせていただきましたが、この後ろの方に「機能障害家族」という言葉が出てくるわけです。
 ちょっと時間ありませんので、それはどんなことを言っているかということは申し上げられませんけれども、この「機能障害家族」という中で育った子供は、やっぱり子供時代に身につけたそれを大人になってもまだ自分の家庭に引き継いでいく。ですから、何世代にもわたってそういうことが続くんだというようなことが中に載っているわけです。そして、人間を疎外化していくだとか虐待の形に出ていくだとかといった事例も出ているわけなんです。
 やっぱり、親の考え方だとか生き方ということがその子供にどれだけ影響を及ぼすかということもよく私わかるわけでして、人権について親と子供がちやぶ台を挟んでどんな会話がされているのかということが問題になってくるだろうと思うんですね。本当に親が真の人権意識というのを持って子供に接していけば、何世代にもわたってそういうことが引き継がれるということもないだろうと思うんです。それがなされていないということで、学校教育を先ほど聞かせていただきましたけれども、やっぱり家庭教育ということも重要になってくるんではないかと思うんですけれども、いかがでしょうか。
#87
○政府委員(前畑安宏君) ただいま先生の御指摘ございましたアルバート・ゴア著の「地球の掟」というのを拝読させていただきました。
 御指摘のように、家庭というのは親と子の触れ合いを通じて基本的な生活習慣の形成、情緒の安定等を一番最初に得る大変大切な場でありまして、そこで思いやりや人権を尊重する心などを培う重要な場である、このように認識をいたしております。
 ただ、私どもの立場といたしますと、家庭でどのような教育が行われるかということにはやはりこれは直接介入すべきではないので、家庭教育のあり方について親がいろんな疑問を持ったりあるいは悩みを持ったりするときに、それに対してこたえていく、相談に応じていく、このようなことを基本にいたしておるところでございます。
 そこで、家庭教育に関する学習機会や相談体制の整備を図るということを基本的に進めておりますし、また来年が国際家族年ということもございまして、先般は大臣にも御出席いただきましたが、新しく「フォーラム家庭教育」といったようなものも開催をいたしたところでございます。
 今後とも、親を初め多くの人々が人権に関する正しい認識を持って家庭で子供に対して接するように所要の施策の充実に努めてまいりたい、このように考えております。
#88
○乾晴美君 家庭の中の会話にまでは入れないというようなお答えなんですけれども、日本人はよく本音と建前ということを言うと思うんですね。そのときに、本音で語っているのが家庭の中のちゃぶ台の前の会話だろうと思うんです。その本音の中でずしんと人間愛というか人にやられて嫌なことは自分もやらないんだとか、それから人にも人権があるんだという、そういうことがどしんと入れば私はいいんだと思うんです。ですから、家庭の中で語られているところにまでメスを入れていかないと、この同和の問題というのはなくならないんではないかというように思うわけです。
 その次に、森議員もおっしゃっていましたけれども、いじめとか虐待とかいうのもやっぱり人権ということ、そういう人を愛するだとかやられて嫌なことはやらないといったようなことがよくわかってないんじゃないか、理解されてないんじゃないか、血となり肉となってないんじゃないかと思うんです。ですから、いじめによって死亡するという事件が出てきたりしますと、本当に何とも言えないというか、人を愛するということの本当の意味がわかってないなというので、この間の山形県でマットに巻かれて亡くなったということを聞きますと、言語道断だというように思うわけですね。
 ですから、やっぱりこれは学校教育も必要ですし、それから家庭教育も必要だけれども、また社会教育も大事だということで、ありとあらゆる場面で同時に進行していかなきゃならない問題なんではないかというように思いますけれども、いかがでしょうか。
#89
○政府委員(前畑安宏君) ただいま先生御指摘のとおりだと思います。私どもも従来から、社会教育の分野におきましても人権教育ということについては各自治体に対して積極的に取り扱っていた
だくようお願いをいたしております。
 具体に若干の例を申し上げますと、例えば日高市の教育委員会では子供の人権と家庭教育といったことで講習の場を持っておりますし、またこれは福岡県の築城町でございますが、人権学習、家庭と人権、同和教育といったようなことで講話とか映画で学習の機会を持つというようなことがいろいろと行われておるところでございます。
 しかしながら、さらにまた現在の状況でも必ずしも十分でない状況がございますので、昨年七月生涯学習審議会からいただきました答申では、生涯学習というのは基本的に、いつでも、どこでも、だれでも、何でもということでございますが、何でもというのではなくて、やはり積極的に学習機会を設けるものがあるのではないかということで、「現代的課題に関する学習機会の充実」ということを御提言いただきましたが、その現代的課題の一つの例として人権というのがあるということをはっきりと御指摘をちょうだいいたしております。
 今後は、その答申の趣旨を踏まえまして、地方公共団体に対するいろんな補助事業等につきましてはぜひそういった現代的課題・人権を含めた現代的課題についての学習機会の充実ということについて指導をしてまいりたい、このように考えております。
#90
○乾晴美君 学校以外でも社会ででも、私今民主改革連合の人権局長をさせていただいておりますけれども、当選させていただいて、昨年は十八波というくらいで、第二期十八波というわけで、一期から来ておったんだろうと思うんですが、十八回にわたって全国の方々が何としてもこの同和の問題を考えてほしい、基本法というか、そういうものを制定してほしいということがあったわけですね。ことしに入りまして第三期になって、第三波、第四波の中でこの事象が出てきたわけです。結婚差別、もういろんなことが出てきました。
 私、その会に参加させていただいて、改めて昭和四十四年からそういう法律ができ、学校教育も充実され、今おっしゃられましたように、ありとあらゆる申し分ないぐらいの手を尽くされているにもかかわらず、やっぱりこういう事態が起こってきているということは非常に大きく考えてみなきゃいけない問題ではないかというように思うわけです。それは単に子供の問題だけでもなければ、大人の問題でもなければ、そして地域の問題でもなければ、日本の国の問題だけでもないわけなんですね。もっと国際的にも、いわゆるみんなが住んでいる地球の人権というところまで思いをはせていかなければならないんではないかと思います。
 それで、私はこの間、子供たちや子孫のために人権に投資をということで、国際的な人権団体のアムネスティー・インターナショナルを代表する国際執行委員長のロス・ダニエルス氏が来日したときに、一月二十九日の朝日新聞ですが、インタビューに応じて、日本の政府や市民が国際社会の一員として率先して人権問題に道義的な取り組みを行ってほしい旨を述べられたそうです。
 そのことに関して文部省の御見解を伺って、私の質問を終わらせていただきたいと思います。
#91
○政府委員(野崎弘君) 文部省といたしましても、特にこの学校教育におきまして、今先生御指摘の国際的な人権問題も視野に入れた教育ということは大事なことだと思っております。
 特に、国際的な交流が進む中で、広い視野に立った人権尊重教育を推進するということで、今回の学習指導要領の改訂におきましても小中高等学校の教育課程の基準の改善の中で国際化の進展を視野に入れた人権尊重教育充実、こういうことを図っているところでございます。
 例えば、小中学校の社会科におきまして、世界と日本の関係の中で全世界の人々が平和のうちに生存できる世界を実現していくことが大切であるということについて考えさせるよう指導することとしております。また、道徳教育におきましても、基本的人権尊重の精神の徹底を図ることを基本に、例えば小学校の道徳におきましては、だれに対しても差別することや偏見を持つことなく、公正公平にし、正義の実現に努めるよう指導するということでございまして、中学校におきましても同様の趣旨で広い視野に立った人権尊重教育が図られるよう、内容の改善を図っているところでございます。
 今後とも広い視野に立ち、児童生徒の発達段階に応じまして人権尊重の教育が各学校の実際の指導の場で各教科等を通じ的確に行われるよう指導の充実を図ってまいりたい、このように考えております。
#92
○乾晴美君 憲法にうたわれております基本的人権が守られますように、なお一層の努力をお願いして終わらせていただきます。
 ありがとうございました。
#93
○小林正君 先ほど来話題になっております選抜高校野球、ことしは記念大会ということで、大会歌も先ほど御紹介ありましたように「今ありて」という新しい曲になりました。
 この作詞家の阿久悠さんが、人生に今を省略することはできないという指摘をされております。人生それぞれのライフステージの中でかけがえのない時を積み重ねて人生を完成していくという点から考えますと、今という問題について阿久悠さんが提起をされております「未来も扉を開く」というところへ至る子供たちの今を考えると、かなり大きな省略がなされていると思われて仕方がな
 いわけです。阿久悠さんもこのことについて、そうした点を指摘をされながらこの歌詞をつくられたというふうに伺っているわけです。「今ありて 未来も扉を開く 今ありて 時代も連なり始める」。子供たちの今ということを考えますと、先を急ぎ過ぎてなかなか今の子供時代を大切に生きるということに欠けているんじゃないかなという懸念を強く持つ者の一人でございます。
 そういう点で、昨年九月から学校五日制が始まりましたときに、塾に通っている子供たちにマスコミがインタビューをいたしました。その中の一人の男の子に、みんな学校五日制できょうは休んでいるんだけれども、君はどうなのと聞いたんです。そうしたらその子は、先へ行って楽ができるから、こういうことを言っておりました。
 私は、先へ行って楽ができることを期待して今を駆け足で通り過ぎていく子供たちと、今を子供として生きることで充実させるという子、このことについて阿久悠さんのメッセージ、そしてきょう大会に参加をされた文部大臣、先ほど御感想を述べられましたけれども、あわせてどのように受けとめておられるかお伺いしたいと思います。
#94
○国務大臣(森山眞弓君) 私も新しい大会歌がつくられたということを聞いておりまして、字の上ではこの詞を拝見しておりましてなかなかいい言葉だというふうに思っておりましたが、きょう現実にその場で曲をつけたものが演奏されるのを聞きまして、まことに若い人のエネルギーを感じさせる、すばらしいというふうに思った次第でございます。
 それで、私ごあいさつのときに最後の締めくくりに、今ありて皆さんの未来もあるのですというようなことを口にしてしまったわけでございますが、大変感動的なよい歌ができたと思った次第でございます。
 先生御指摘のように、子供たちにとって、人間すべてにとってですが、今を大切にするということはとても重要なことだと思います。特に私は、若い人たちが、大変元気ではつらつとスポーツをしているあの健康な人たちが、自分たちが元気で運動に勉強に励むことができるのは当たり前の話だというふうに受けとっているのではないかというふうな感じがいたしまして、いやそれはとても今それこそ貴重な一瞬一瞬なんだよということを、阿久悠さんは特にそういう意味も込めておっしゃっているんではないかなというふうに若い人たちの顔を見ながら思ったようなわけでございます。
 御指摘のように、子供たちが今子供として幸せであり充実し、そして未来の成長のために蓄積をしていくということが大変大事だというふうに考
えます。
#95
○小林正君 今の文部大臣のお話を伺いまして、教育基本法の中でも人格の全面的な開花ということを目指して、それぞれのやっぱりかけがえのないライフステージを生き抜いていくということの意味というものを、これは全く私も同感でございます。
 平成四年に文部省は十月段階で学制発布百二十年という大きな節目を迎えまして、日本の近代教育についてこれを検証して、これから新たなスタートを切るという式典も催されたわけでございますけれども、この百二十年の歩みと、それから戦後教育と言われるものから間もなく五十年を迎えるというこの九〇年代、激動する社会の中にありまして、日本の教育制度については一方においてサクセスストーリーであったという高い評価もある一面で、大変そのひずみも大きいという指摘もされております。
 そして今日、戦後スタートした教育制度そのものについて、ではどうなのかということになりますと、現在の社会経済情勢の中にあって、現在の公教育を中心とした教育制度というものが果たして十分に機能し得ているであろうかどうか、そのことが今問われていると思います。制度は大変大きなきしみあるいは悲鳴を上げているような状況があるのではないか。国民の公教育への期待という点で考えてみましても、かなり公教育離れが顕著に進行しているという状況もございます。
 ここで、やっぱり二十一世紀、二〇一〇年なり二〇年を展望した形の中で、新たな経済社会発展計画の中に位置づくような教育改革といいますか教育の制度改革を含めた問題提起が必要な段階を迎えているというふうに私は思います。先ほど木宮先生から、自民党がこの問題で六部会に分かれて御検討されているというお話もございました。今やそういうときだというふうに思うわけです。
 そういう意味で、今度一月に誕生いたしましたクリントン政権の中で民主党の進歩的政策、変革への挑戦という提言といいますかそういう提起もして、教育についても一部を割いて、教育の機会の拡大を図るという視点から生涯教育の問題を中心といたしまして、具体的に大きく言いますと三つの柱で問題提起がされているわけであります。
 アメリカでもやはり公教育をどう活性化するかという課題が大変大きな問題になっておりまして、ミネソタからスタートいたしましたいわゆる公認学校、公立学校の基本原則を踏まえて、それぞれの地域の特殊性なりニーズにこたえる学校の設立ということの中で、学ぶ側に選択権を与えるということから公教育の活性化を図るという試みがカリフォルニア、そしてその他の川へと今進行している、そのことについてさらにこれを促進すべきだという提起を一つしております。
 もう一つは、ドイツ、オーストリアで伝統的に行われております徒弟制度、日本の言葉で言いますとかなり誤解を招きやすい表現ではありますけれども、職人、親方に知識や技術を学びながら生きるための努力をしていくということで、この制度が具体的にドイツでどういう効果を持つかといいますと、大学卒といわゆる高卒の間におきます賃金格差、そして失業率等の問題でかなり評価すべき影響が出ている。そのことに学びながら現代的徒弟制度といったようなものをアメリカでも取り入れるべきだという提起が一つ出ております。
 そして三つ目には、市民部隊といいますかナショナルサービスとして公共事業その他に給料をもらいながら努力する、そうした学生たちに奨学金、そしてまた就学のための資金というものを蓄積させる。さらには、住宅建設に向けてもそうした蓄積にこたえられるような制度としてこれをシステム化するというような提起をしております。
 これは、第二次世界大戦直後のいわゆる復員兵に対する教育というのを国費で行っていくGIビルと言われる制度を取り入れてアメリカの生産性の向上に大変寄与した。四九年にはGNPの一%程度がそのことに費やされたということもその中で述べられているわけですけれども、そうした具体的な経済社会発展計画の中に位置づく教育改革といいますか、日常的に子供たちが悩んでいる問題がたくさんございます。
 例えば、現代版徒弟制度が目指すものは何かといいますと、そうした大卒と高卒間の格差の是正とあわせまして、アメリカで社会問題になっているのは十代の問題であります。この中で特に言われているのは麻薬と、それから妊娠の問題であるわけです。こうした問題についても、具体的に生きるための知識と技術を与えることによって人生の目的をきちっとさせる、そのことを通してそうした社会問題解決への道筋もひとつつくっていこう、こういう目標もあるわけです。
 翻って我が国で考えてみますと、実際問題としてアメリカと社会基盤や教育制度や、その他連邦政府と州の関係等々を考えてみましてもいろいろ違いがございます。一律の比較はもちろんできませんけれども、そうした問題提起を通して教育論議が今アメリカで進められているわけであります。現在の制度に対する、あるいは社会的なゆがみをどう是正するか、教育の分野でそれをどうするのかという問題提起としてそのことが今論議をされている。
 そのことを翻って、我が国ではじゃどうなんだろうかと考えてみますと、どうも私は、ことしの二月に中野区で教育委員の準公選の問題がございました。四回目、十三年目を迎えるわけでありますけれども、スタート当初はかなり住民の皆さんの関心も高かったわけですし、また教育に関する全国的な住民運動の耳目を集めて大きな関心を呼びましたが、結果として、文部省の指導が大変強かったんだと思いますが、中野区以外のほかの自治体には広まらなかったという問題がございます。
 昭和三十一年にいわゆる地方教育行政の組織及び運営に関する法律が制定をされまして、教育委員が公選制から任命制に切りかわった教育二法の経過があるわけですけれども、当時まだ日本の民主主義が成熟していないというのもその立法の一つの理由として言われてきたそのことが、今日デモクラシーというのはやっぱり日本国民の血肉になっている。そしてさらには、冷戦構造が終えんをして共通の価値観に基づく議会制民主主義における主権者としての国民の政治への参加、教育への参加、そうしたことが今求められているわけですから、教育におけるさまざまな住民運動が全国にありますけれども、そうしたことに道を開く上でも住民に地域の教育に直接責任を負ってもらう。
 その体制として、私は準公選は反対なんです。むしろ地教行法を改正して公選制を復活する、そしてそのことによって主権者としての国民が地域の教育に主体的に責任を負う条件を整える。かつて懸念されていたような事態は、もはやこの新しい時代の中で南北軸といいますか共生の思想に変わっているわけで、東西軸の対決のイデオロギー的な問題から脱却しているわけですから、そうした視点に立ってこの問題についてはもう一回大胆に再検討をすべきではないか、このように考えております。つまり、民主主義にとっては例外の部分があってはならないと、このように思うからでございます。
 それから、先ほど来の議論の中にもありましたが、教育予算の問題について私も予算委員会等の場で指摘をしましたけれども、やはり教育計画というものは中長期的な展望に立って弾力的に運営されなければならないという時代社会の進展に合わせた対応としての問題を持っているというふうに思います。
 そういう点で考えますと、やはりこの問題については単年度主義、そして物件費が年々、あるいはまた政策的経費が削られるような関係の中でのシーリングからの脱却、このことを第一原則としてやっていく必要があるだろう。と同時に、規制緩和ということが各省庁全体に対して日本の特別な行政上の問題として指摘されているわけですけれども、文部省も大胆な規制緩和をやるべきだというふうに思います。そのことを通して本当に現場の教職員が自由で生き生きとして、免許状を持った専門職としての責任が果たせる体制をぜひ考
えていただきたい。
 そのことがありませんと、先日私のところにこの三月で小学校長をおやめになる先生からお手紙をいただきましたけれども、やはり免許状を持った専門職とは何なのかということについて国政レベルでもぜひもう一回考えてほしいという御指摘がございました。余りにも行政や司法が、法曹界というふうに書いてありましたけれども、教育に手出し、足出し、口出しが過ぎるんじゃないのかと、こういう指摘でございました。それが結局、専門職としての教師の誇りややる気というものを失わせる原因になっている。そういう点で、ぜひ鼓舞激励するような試みも大胆に提起できるような対応をぜひお願いしたいというふうに思います。
 そうした戦後教育全般にわたる問題点の見直しと、新しい二十一世紀へ向けての本当に日本の経済社会発展計画の中で教育固有の目的はきちんと持ちつつも、社会の中の教育、社会に出ていく子供たちのための社会のありようも含んで教育改革というものをもっと大きくとらえ直してやっていく必要があるんじゃないか。
 そのための審議機関の設置というものも早急に検討して、戦後五十年を迎える一九九五年段階までに何らかの体制をつくって、それこそ共通の価値観に基づく教育論議を展開できるような条件づくりが求められていると思いますので、文部大臣のこの問題についての御見解をお伺いして、私の質問を終わらさせていただきたいと思います。
#96
○国務大臣(森山眞弓君) 先生が最初におっしゃいましたように、我が国の教育はこれまで経済社会の発展の原動力となってまいりまして、国民生活や文化の向上に大きく寄与してきたということは事実であると思いますし、私どもの先輩方が大変努力をしてくださった成果でありまして、誇るべきものであると考えております。
 しかし、最近は経済社会が急激に変化しておりまして、二十一世紀に向かつて我が国が創造的で活力ある社会を築くためには、このような時代の大勢に対応した教育改革の推進が極めて重要であるということもまた先生の御指摘のとおりでございます。
 昭和五十九年に内閣直属の審議会といたしまして臨時教育審議会が設けられまして、教育及びこれに関連する分野にかかわる諸施策に関して広くかつ総合的に検討を行おうということで勉強していただきました。当時の中曽根総理も諮問に当たりまして、「教育改革が、単に教育の改革にとどまらず、それを通じて我が国社会そのものの改革にも及ぶものである」というごあいさつをしておられます。
 その臨時教育審議会は、個性重視の原則、それから生涯学習体系への移行、変化への対応という三つの視点に立たれて、四次にわたる答申を総理大臣に提出されました。数々の改革提言があったわけでございますが、その中には文部省以外の省庁の所掌に属する事項も多く含まれておりまして、政府といたしましてはこれらの答申を最大限に尊重することを閣議で決定いたしまして、政府全体として各省協力して教育改革を進めてきたところでございます。
 文部省におきましては、現在臨時教育審議会とかその後の中央教育審議会、大学審議会、生涯学習審議会の答申などを踏まえまして、社会の変化や文化の発展などに対応した教育改革の推進に最大限の努力を払っているところでございます。
 また、さきに内閣・総理大臣から諮問を受けて経済審議会から答申がなされまして、政府全体で決定いたしました生活大国五カ年計画におきましても、二十一世紀に向けた我が国経済社会の発展基盤の整備という観点から、個性的、創造的な人材の育成のための教育の充実ということに大変力が入れられておりまして、各種の施策が盛り込まれておりまして、政府挙げてその推進に努めているところでございます。
 先生の御趣旨に沿いまして、これからもこれらの場を通じ、またそれらの御提言を逐次実行に移していくということで努力を続けていきたいと考えております。
#97
○委員長(松浦功君) 以上をもちまして、平成五年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、文部省所管についての委嘱審査は終了いたしました。
 なお、委嘱審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#98
○委員長(松浦功君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#99
○委員長(松浦功君) 次に、公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律及び公立高等学校の設置、適正配置及び教職員定数の標準等に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
 政府から趣旨説明を聴取いたします。森山文部大臣。
#100
○国務大臣(森山眞弓君) このたび、政府から提出いたしました公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律及び公立高等学校の設置、適正配置及び教職員定数の標準等に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
 今日、我が国は、情報化、国際化等社会の変化が著しく進展しており、このような社会の変化に対応して、これからの教育についても、単に知識や技能を身につけるだけでなく、児童生徒がみずから考え、主体的に判断し行動できる資質や能力を育成することを重視する教育へと質的改善を図ることが必要となっております。このためには、児童生徒の能力・適性、興味・関心等一人一人の個性に応じて指導方法を工夫するなど、教育の個性化を推進することが不可欠であります。
 これまで、小中高等学校等の学級編制及び教職員定数の標準につきましては、昭和三十四年以降数次にわたり計画的に改善を図ってきたところでありますが、このような社会の変化に対応して教育の一層の個性化を推進するため、小中学校においては複数の教員の協力による指導などの新しい指導方法の工夫改善を行うための教職員配置を、また高等学校においてはすべての学校で四十人学級を実施するとともに、多様な教育課程の編成、指導方法の工夫改善を図るための教職員配置を行うこと等を中心として、平成五年度から平成十年度までの六年間でさらに計画的に改善を図ることとしたものであります。
 次に、法律案の内容について御説明いたします。
 まず第一は、公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準の改善であります。
 すなわち、公立の小学校及び中学校の複式学級及び特殊学級の学級編制の標準並びに公立の特殊教育諸学校の小学部及び中学部の学級編制の標準の改善を行うことといたしております。
 次に、公立の小学校及び中学校の教職員定数の標準につきましては、複数の教員の協力による指導等指導方法の工夫改善が行われる場合に、政令で定めるところにより教員の数を加算することができることとするとともに、大規模校の教頭の複数配置、生徒指導担当教員等の充実並びに養護教員、学校栄養職員及び事務職員の数につきまして改善を行うことといたしております。
 公立の特殊教育諸学校の小学部及び中学部の教職員定数の標準につきましては、小中学校に準じた改善を行うほか、養護・訓練担当教員及び寮母の数につきまして改善を行うことといたしております。
 第二は、公立高等学校等の学級編制及び教職員定数の標準の改善であります。
 すなわち、公立の高等学校の学級編制の標準につきまして、全日制課程の普通科等における一学級の生徒の数の標準を現行の四十五人から四十人に改善することといたしております。
 また、公立の高等学校の教職員定数の標準につきましては、多様な教育課程の編成、指導方法の
工夫改善のための教員の充実、大規模校の教頭の複数配置、生徒指導担当教員の数等を充実するとともに、定時制の課程及び通信制の課程の教員並びに養護教員及び事務職員の数につきまして改善を図ることといたしております。
 次に、公立の特殊教育諸学校の高等部につきましては、学級編制の標準の改善を行うとともに、教職員定数の標準につきまして、大規模校の教頭の複数配置、生徒指導担当教員の配置並びに養護教員及び寮母の数を改善することといたしております。
 第三は、経過措置についてであります。
 この法律案は平成五年度から施行することとしておりますが、その実施につきましては改正後のこの法律の標準に漸次近づけることを旨として、必要な経過措置を設けることといたしております。
 以上がこの法律案を提出いたしました理由及び内客の概要であります。
 何とぞ、十分御審議の上、速やかに御賛成くださいますようお願い申し上げます。
#101
○委員長(松浦功君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。
 本案に対する質疑は後日に譲ることとし、本日はこれにて散会いたします。
   午後五時二十七分散会
     ――――◇―――――
ソース: 国立国会図書館
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